恋愛・結婚(その5)(「もう夫はいらない 邪魔されず生きたい」夫を断捨離する妻のリアル、「結婚する男女の激減」が招く日本の恐るべき末路 2020年の婚姻数は戦後最少の52万5490組) [社会]
恋愛・結婚については、昨年7月11日に取上げた。今日は、(その5)(「もう夫はいらない 邪魔されず生きたい」夫を断捨離する妻のリアル、「結婚する男女の激減」が招く日本の恐るべき末路 2020年の婚姻数は戦後最少の52万5490組)である。
先ずは、昨年8月6日付けAERAdot「「もう夫はいらない。邪魔されず生きたい」夫を断捨離する妻のリアル」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2021080400031.html?page=1
・『23年にわたる結婚生活を解消した鈴木保奈美(54)と石橋貴明(59)、結婚16年で離婚した篠原涼子(47)と市村正親(72)。この2組は、いわゆる“略奪婚”から“おしどり夫婦”と呼ばれるようになり、最後は離婚を選択。いずれも妻側が「結婚」という枠から脱出したように見えることなど共通点は多いとフリーライターの亀山早苗氏は指摘する。 【前編/鈴木・石橋、篠原・市村の離婚も妻の“断捨離”? 悔いなくリセットする妻】より続く 【写真】三度の不倫報道でも芸能界を「干されなかった」有名女優はこの人 家庭から巣立つ妻、非のない夫も直面する「令和のリアル」について亀山氏が取材した。 鈴木・石橋、篠原・市村の2組を見るだけでも、結婚や夫婦のあり方が変わってきたことがわかる。3組に1組は離婚する現代。芸能界の夫婦関係は、世間のそれの縮図でもあるからだ。 「下の子が高校を卒業したら離婚しようとずっと思っていました」 昨年冬に離婚したハルコさん(仮名、52歳)は晴れ晴れとした表情でそう語った。28歳のときに、4歳年上の社内の先輩と結婚。ふたりの女の子をもうけた後、再就職したが、夫とはいつまでたっても「先輩・後輩」の感覚が抜けなかったという。 「今思えば、モラハラみたいなこともありました。再就職したときは『家庭に支障のないように』と言われましたが、そもそも夫の収入だけでは将来、子どもたちの学費などが不安だったから仕事をしていくしかなかったんです。でも夫はそのあたりは理解せず、家事育児もほとんどやってくれなかった。今でいうワンオペ状態。大変でしたね。子どもが大きくなったら離婚も視野に入れたいとずっと思っていました」 日常生活では工夫して節約し、貯金を増やした。そして長女が大学4年生、下の娘が専門学校に入学した昨年春、離婚を決意したのだ。 「正直言って、もう夫はいらない。そう思いました。娘たちが巣立っていき、自分の残りの人生を考えたとき、夫がいるメリットは何もなかった」 家事ひとつできない夫。老後を考えたら、確かに妻にメリットはない。「冷たい」と言われるのは承知の上だった。 「それでも私は私の人生を、誰にも邪魔されずに生きていきたかった。だって休日に出かけようとすると、『何時に帰ってくる?』『オレの昼飯は? 夕飯は?』と聞いてくるんですよ。大人なら『自分の食事くらい自分でなんとかしなさいよ』と言いたいところだけど、そこが先輩・後輩の悪い習慣で、つい昼食を用意し、夕飯までには帰ってきてしまう。私は夫にとって飯炊き女でしかないのかとため息ばかりついていました。娘たちから『いいかげんにお父さんを甘やかすのはやめたほうがいい』と言われていたけど、『女はこうあるべき』に私もとらわれていたんでしょうね」 なかなか離婚を承諾しなかった夫だったが、決意を固めたハルコさんに揺らぎはなかった。春に離婚を宣告。最後には夫が折れ、家を母娘に明け渡して出ていった。現在は会社の社員寮に住んでいるようだ。ただ、離婚後は結婚時よりも交流があるという。 「不思議なもので、夫と妻という立場でなくなったら私も気が楽になり、言いたいことが言えるようになったんです。元夫とは時々、外でランチをしたりするし、娘たちも会っているみたい。私は娘たちと暮らしていますが、女3人、それぞれ勝手に生活しているという感じです。夫と離婚すると同時に、娘たちとも親子というより、ひとりの人間同士として接するようになっています」 母娘にありがちな妙な葛藤もなくなった。ハルコさんは妻とともに“母”という重い役割も手放せたのかもしれない。母娘の関係に新たな風が吹き込んできたのだろう』、「夫」は「現在は会社の社員寮に住んでいるようだ」、一時的とはいえ、「社員寮」では噂の種となり、さぞかし居心地が悪いだろう。
・『仲よし夫婦でも「独身」への憧れ 相手に不満がなくても離婚を選択するケースもある。 「うちは本当に仲のいい夫婦だったんです。子どもたちにからかわれるくらい」 結婚25年にして離婚したのは、ユウコさん(仮名、53歳)だ。夫は学生時代からつきあっていた同い年で、就職3年目で結婚したという。27歳で長女を、29歳で長男を出産。共働きで協力しながら家事も子育てもがんばってきた。) 「ささいなことで口げんかはしても、決定的ないさかいにはならなかった。つきあいが長いからお互いに言ってはいけないことを言わない暗黙のルールができていたんでしょうね。子どもたちが小さいころは家族4人であちこち出かけて楽しい思い出ばかりです」 それなのに、なぜ? 結婚25年を迎えたとき、夫が彼女に尋ねてきた。「記念日に何かほしいものはある?」と。 そのときふと、『自由がほしい』と口から言葉が飛び出したんです。長男が成人になって、ようやく肩の荷が下りた時期だったし、私自身が更年期真っただ中で、若いころを思い返して独身時代にもっといろいろなことをしたかったという後悔もあった。そんな思いが口をついて出たんでしょうね」 これに対して、「きみは自由だよ。ひとりで旅行したければすればいいし、やりたいことがあればやればいい」と夫。だが、ユウコさんはそう言われること自体が「うっとうしかった」。 「私、男性は夫しか知らないんです。恋愛は夫だけ。それでいいと思っていたけど更年期を迎えて、もっと独身生活を楽しめばよかったという気持ちが強くなっていた。夫が嫌になったわけじゃないんです。だけど息子が成人になったのを機に、家族という枠組みから離れたくなった」 当時、実家でひとり暮らしをしていた実父の認知症が進み、彼女は迷わず父を介護施設に預けることにした。そのとき夫が「ずいぶんドライだな。オレにはできない」と言ったこともひっかかっていた。 「私は私なりに葛藤したから、ああ、夫はしょせん他人なんだなと感じたんです。施設に入れて介護はプロに任せ、頻繁に面会に行ったほうが父も私も幸せだと信じて出した結論だったのに……」 それでも、自分がドライに冷静に考えられるからこそ、家庭と仕事を両立できていることも感じていた。 「これからは仕事だけに没頭したい。たったひとりでがんばってみたい。結婚しているから、男性とふたりだけで食事をしたりお酒を飲みに行ったりすることも極力、控えていたんです。よく考えればどこか夫に遠慮しているところがあった。だからこそうまくいっていたんでしょうけど。結局、25年間、心の中には少しずつ澱(おり)のようなものがたまっていったんでしょうね」』、なるほど。
・『妻からのサイン気づけずに離婚 夫の反対を押し切り、離婚届を置いて家を出たのが3年前。ユウコさんは現在、会社初の女性役員となった。 老後も何となく一緒に暮らしていきたい夫と、新たなチャレンジをしたい妻との間では、温度差が大きい。 定年退職したその日に、5歳年下の妻から離婚をつきつけられたジュンイチさん(仮名、62歳)は、まさに「青天の霹靂(へきれき)だった」と言う。 「結婚して30年、ごく普通の夫婦だと思っていました。暴力をふるったこともないし、借金をつくったこともない。浮気は皆無とはいいませんが、飲んだ勢いで一度きりという関係です。離婚されるようなことは何もしていない。妻にそう言ったら、『何もしていないから離婚なのよ』と静かに言われました。あのときの妻は迫力があった」 妊娠、出産、そして年子のふたりを抱えて悪戦苦闘の育児……。妻は昔のことを持ち出した。折に触れて自分は助けてほしいとサインを出してきたのに、あなたは無視した、と。 「言ってくれれば何でもしたのに。当時、妻の母が近所に住んでいて助けてくれていたので、なまじ私が手を出さないほうがいいと思っていた。ちゃんと言葉にすればよかったじゃないかと言ったら、『言われなくても私がどんなに大変だったかわかるはずでしょ』って。不用意な私の発言も覚えていて責められました。後半生を一緒に生きていくのは無理だと。しかたなく離婚届を書きました」 その2年後、57歳になった妻は10歳年下の男性と再婚した。 「長年一緒にいるからこそ、年をとってから夫婦のありがたみがわかったり味わいが出てきたりするものだと私は信じていました。でも妻はそう思っていなかった。常に新しいことにチャレンジするのが好きだった。その集大成が、私との離婚、若い男との再婚だったのかもしれません」 個人差はあるものの、熟年になって新たなチャレンジを好む女性は少なくない。逆に、これまで築いてきた家庭がずっと続くものだと疑わず、習慣や惰性に流され、保守的になるのは男性。 ひとりの人生を歩き出す女性たちは身勝手なのか、それとも正直に生きられる時代が来たと思うべきなのだろうか』、「夫の反対を押し切り、離婚届を置いて家を出たのが3年前。ユウコさんは現在、会社初の女性役員となった。 老後も何となく一緒に暮らしていきたい夫と、新たなチャレンジをしたい妻との間では、温度差が大きい」、これでは水と油だ。「定年退職したその日に、5歳年下の妻から離婚をつきつけられた」、「まさに「青天の霹靂」」、事前に予感を感じていなかったとしたら、よほど鈍感なのだろう。「熟年になって新たなチャレンジを好む女性は少なくない。逆に、これまで築いてきた家庭がずっと続くものだと疑わず、習慣や惰性に流され、保守的になるのは男性」、ポイ捨てされないよう気をつけよう。
次に、2月2日付け東洋経済オンラインが掲載した経営コンサルタントの日沖 健氏による「「結婚する男女の激減」が招く日本の恐るべき末路 2020年の婚姻数は戦後最少の52万5490組」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/505870
・『いま、日本の婚姻数(結婚するカップルの数)が激減しています。2020年の婚姻数は戦後最少の52万5490組でした。そして、2021年はさらに最少を更新する可能性があります。 コロナ禍の現在、婚姻数の減少はさほど世間に注目されていません。しかし、婚姻数が減ると出生数が減り、総人口の減少をもたらします。長期的には、経済・社会を大きく変える重大な出来事です。 今回は、結婚数の現状と将来の動向、その影響について考えてみましょう』、興味深そうだ。
・『2021年の婚姻数は史上最少をさらに更新か まず、婚姻数が現状どう推移しているかを確認します。2020年の婚姻数は52万5490組で、前年59万9007組から12.3%も減少しました。 減少の理由を厚生労働省の担当者は、「改元に伴う令和婚の反動や、新型コロナウイルス感染拡大の影響でカップルが結婚を先延ばしした可能性が考えられる」と説明しています。2019年の婚姻数は、令和婚で7年ぶりに前年比で増加していました。 2021年初めには、コロナが終息するという想定で58万組まで回復するという見通しがありました(リクルートブライダル総研、4月公表)。しかし、コロナが想定外に長引き、1~8月の婚姻数は34万1111組に留まっています(厚生労働省「人口動態統計月報」)。 秋以降の直近の状況について、婚礼関連サービスを提供するスフィア(名古屋市)の岩本直美社長は、次のように指摘しています。 「コロナが長引いて、『さすがにもう待っていられない』ということで、10月以降、延期していた結婚式に踏み切るケースや籍だけ入れるケースが増えています。ただ、地域によって回復に大きな差があります。東海4県で言うと、名古屋など愛知県の都市部ではかなり回復していますが、岐阜・三重・静岡の郡部ではまだまだ結婚式がはばかられるようで、戻りが鈍い印象です」 つまり、1~8月の実績と直近の状況を見ると、2021年は2020年の史上最少をさらに下回る可能性があります 【2022年2月2日17時40分追記】上記説明の正確性を期すために初出時から一部表現を見直しました。) 問題は、この先どうなるかです。壊滅的な事態にもかかわらず婚姻数の減少があまり話題にならないのは、厚生労働省が2020年の減少を特殊事情によると説明している通り、「コロナによる一時的な現象で、コロナが終息すれば戻るでしょ」という認識だと思われます。 しかし、この認識は間違っており、婚姻数の減少はむしろこれからが本番です。まず、婚姻数は長期的に減少傾向にあります。2000年に79.8万組、2010年70.0万組、2020年52.5万組と減り続け、1970年の102.9万組から半世紀でほぼ半減しています。独身志向が高まっていることやそもそも少子化で結婚適齢期の人口が減っていることなどが原因です』、「厚労省」の認識は甘過ぎるようだ。
・『出会いの機会もコロナで激減 そして、この2年間のコロナに対応した生活様式の変化が、減少トレンドに追い打ちをかけています。結婚するには、まず男女の出会いが必要ですが、コロナ対策のイベント中止やテレワークの普及で、出会いの機会が激減しています。 結婚に至るには、出会うだけでなく、カップルになる必要がありますが、マスクで顔が見えない相手のことを好きになるでしょうか。飲食や旅行を制限されて愛が深まるでしょうか。将来の収入を見通せない状況で「結婚しよう!」という気になるでしょうか。 男女が出会ってから結婚するまでの平均交際期間は、4.34年(国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」)です。コロナが終息した直後の年は50万組台を回復するかもしれませんが、2019年までに出会っていたカップルの結婚がピークアウトし、コロナ時代になって出会ったカップルの結婚が主流になると、2025年以降、婚姻数は再び激減します。 長期的には、コロナ終息後にどこまで元の生活様式に戻るかが焦点です。多くの企業でテレワークが定着していることから、完全に元通りになることはないでしょう。これらを総合すると、2030年頃には40万組を下回ることになりそうです) 日本では、生まれてくる子どもに占める非嫡出子の割合は2.3%に過ぎません。したがって、婚姻数の減少は出生数の減少、人口の減少に直結します。 仮に年40万組が結婚し、1.3人の子どもを産むとすると、出生数は平均で年52万人です。コロナ前の2019年の出生数が21世紀以降で最少の86万5239人にとどまり、「86万ショック」と騒がれましたが、これをはるかに下回る超少子化です。そして、子どもを産むカップルが減っていくので、状況はさらに悪化し続けます。
▽人口減で「韓国消滅」のリスクも(という話をすると、「結婚するかどうか、子どもを産むかどうかは、個人の自由」という反発があります。また、少子化による人口減少については、経済の専門家からも「生産性を高めれば問題ない」といった意見が聞かれます。 こうした意見は一理あるものの、少子化の影響を甘く見過ぎているのではないでしょうか。 少子化で生産年齢人口が減るのに高齢者の数は2042年まで増え続けるので、社会保障(医療・年金)の負担が現役世代に重くのしかかります。人口が減っても国の借金は減らないので、将来の増税懸念が消費を抑制し、経済成長率を下押しし続けます。 そもそも、今後も人口が減り続けて、日本という国を維持できるのか、という究極の大問題があります。人口減少と国家の存亡というと、いま話題になっているのは中国と韓国。とくに韓国は、合計特殊出生率が0.84(2020年)まで急低下し、「人口減少で22世紀に地球上から最初に消滅するのは韓国」(国連人口部、オックスフォード人口問題研究所など)というのが定説になっています。 しかし、日本でも合計特殊出生率が2005年の1.26を底に持ち直していたのが、直近の5年間は連続で低下しており、再び明確な低下トレンドになっています。このまま婚姻数の減少=少子化を放置すると、世界で最初かどうかはともかく、22世紀のどこかで日本は消滅します。 婚姻数の減少を「コロナの一過性の現象」の一言で片付けたり、少子化を「韓国よりはマシ」と溜飲を下げるのは、日本の将来にとってあまりにも危険なのです』、「婚姻数の減少を「コロナの一過性の現象」の一言で片付けたり、少子化を「韓国よりはマシ」と溜飲を下げるのは、日本の将来にとってあまりにも危険なのです」、その通りだが、抜本的な対策が必要になる。それが何かは別途、稿を改めて論じたい。
先ずは、昨年8月6日付けAERAdot「「もう夫はいらない。邪魔されず生きたい」夫を断捨離する妻のリアル」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2021080400031.html?page=1
・『23年にわたる結婚生活を解消した鈴木保奈美(54)と石橋貴明(59)、結婚16年で離婚した篠原涼子(47)と市村正親(72)。この2組は、いわゆる“略奪婚”から“おしどり夫婦”と呼ばれるようになり、最後は離婚を選択。いずれも妻側が「結婚」という枠から脱出したように見えることなど共通点は多いとフリーライターの亀山早苗氏は指摘する。 【前編/鈴木・石橋、篠原・市村の離婚も妻の“断捨離”? 悔いなくリセットする妻】より続く 【写真】三度の不倫報道でも芸能界を「干されなかった」有名女優はこの人 家庭から巣立つ妻、非のない夫も直面する「令和のリアル」について亀山氏が取材した。 鈴木・石橋、篠原・市村の2組を見るだけでも、結婚や夫婦のあり方が変わってきたことがわかる。3組に1組は離婚する現代。芸能界の夫婦関係は、世間のそれの縮図でもあるからだ。 「下の子が高校を卒業したら離婚しようとずっと思っていました」 昨年冬に離婚したハルコさん(仮名、52歳)は晴れ晴れとした表情でそう語った。28歳のときに、4歳年上の社内の先輩と結婚。ふたりの女の子をもうけた後、再就職したが、夫とはいつまでたっても「先輩・後輩」の感覚が抜けなかったという。 「今思えば、モラハラみたいなこともありました。再就職したときは『家庭に支障のないように』と言われましたが、そもそも夫の収入だけでは将来、子どもたちの学費などが不安だったから仕事をしていくしかなかったんです。でも夫はそのあたりは理解せず、家事育児もほとんどやってくれなかった。今でいうワンオペ状態。大変でしたね。子どもが大きくなったら離婚も視野に入れたいとずっと思っていました」 日常生活では工夫して節約し、貯金を増やした。そして長女が大学4年生、下の娘が専門学校に入学した昨年春、離婚を決意したのだ。 「正直言って、もう夫はいらない。そう思いました。娘たちが巣立っていき、自分の残りの人生を考えたとき、夫がいるメリットは何もなかった」 家事ひとつできない夫。老後を考えたら、確かに妻にメリットはない。「冷たい」と言われるのは承知の上だった。 「それでも私は私の人生を、誰にも邪魔されずに生きていきたかった。だって休日に出かけようとすると、『何時に帰ってくる?』『オレの昼飯は? 夕飯は?』と聞いてくるんですよ。大人なら『自分の食事くらい自分でなんとかしなさいよ』と言いたいところだけど、そこが先輩・後輩の悪い習慣で、つい昼食を用意し、夕飯までには帰ってきてしまう。私は夫にとって飯炊き女でしかないのかとため息ばかりついていました。娘たちから『いいかげんにお父さんを甘やかすのはやめたほうがいい』と言われていたけど、『女はこうあるべき』に私もとらわれていたんでしょうね」 なかなか離婚を承諾しなかった夫だったが、決意を固めたハルコさんに揺らぎはなかった。春に離婚を宣告。最後には夫が折れ、家を母娘に明け渡して出ていった。現在は会社の社員寮に住んでいるようだ。ただ、離婚後は結婚時よりも交流があるという。 「不思議なもので、夫と妻という立場でなくなったら私も気が楽になり、言いたいことが言えるようになったんです。元夫とは時々、外でランチをしたりするし、娘たちも会っているみたい。私は娘たちと暮らしていますが、女3人、それぞれ勝手に生活しているという感じです。夫と離婚すると同時に、娘たちとも親子というより、ひとりの人間同士として接するようになっています」 母娘にありがちな妙な葛藤もなくなった。ハルコさんは妻とともに“母”という重い役割も手放せたのかもしれない。母娘の関係に新たな風が吹き込んできたのだろう』、「夫」は「現在は会社の社員寮に住んでいるようだ」、一時的とはいえ、「社員寮」では噂の種となり、さぞかし居心地が悪いだろう。
・『仲よし夫婦でも「独身」への憧れ 相手に不満がなくても離婚を選択するケースもある。 「うちは本当に仲のいい夫婦だったんです。子どもたちにからかわれるくらい」 結婚25年にして離婚したのは、ユウコさん(仮名、53歳)だ。夫は学生時代からつきあっていた同い年で、就職3年目で結婚したという。27歳で長女を、29歳で長男を出産。共働きで協力しながら家事も子育てもがんばってきた。) 「ささいなことで口げんかはしても、決定的ないさかいにはならなかった。つきあいが長いからお互いに言ってはいけないことを言わない暗黙のルールができていたんでしょうね。子どもたちが小さいころは家族4人であちこち出かけて楽しい思い出ばかりです」 それなのに、なぜ? 結婚25年を迎えたとき、夫が彼女に尋ねてきた。「記念日に何かほしいものはある?」と。 そのときふと、『自由がほしい』と口から言葉が飛び出したんです。長男が成人になって、ようやく肩の荷が下りた時期だったし、私自身が更年期真っただ中で、若いころを思い返して独身時代にもっといろいろなことをしたかったという後悔もあった。そんな思いが口をついて出たんでしょうね」 これに対して、「きみは自由だよ。ひとりで旅行したければすればいいし、やりたいことがあればやればいい」と夫。だが、ユウコさんはそう言われること自体が「うっとうしかった」。 「私、男性は夫しか知らないんです。恋愛は夫だけ。それでいいと思っていたけど更年期を迎えて、もっと独身生活を楽しめばよかったという気持ちが強くなっていた。夫が嫌になったわけじゃないんです。だけど息子が成人になったのを機に、家族という枠組みから離れたくなった」 当時、実家でひとり暮らしをしていた実父の認知症が進み、彼女は迷わず父を介護施設に預けることにした。そのとき夫が「ずいぶんドライだな。オレにはできない」と言ったこともひっかかっていた。 「私は私なりに葛藤したから、ああ、夫はしょせん他人なんだなと感じたんです。施設に入れて介護はプロに任せ、頻繁に面会に行ったほうが父も私も幸せだと信じて出した結論だったのに……」 それでも、自分がドライに冷静に考えられるからこそ、家庭と仕事を両立できていることも感じていた。 「これからは仕事だけに没頭したい。たったひとりでがんばってみたい。結婚しているから、男性とふたりだけで食事をしたりお酒を飲みに行ったりすることも極力、控えていたんです。よく考えればどこか夫に遠慮しているところがあった。だからこそうまくいっていたんでしょうけど。結局、25年間、心の中には少しずつ澱(おり)のようなものがたまっていったんでしょうね」』、なるほど。
・『妻からのサイン気づけずに離婚 夫の反対を押し切り、離婚届を置いて家を出たのが3年前。ユウコさんは現在、会社初の女性役員となった。 老後も何となく一緒に暮らしていきたい夫と、新たなチャレンジをしたい妻との間では、温度差が大きい。 定年退職したその日に、5歳年下の妻から離婚をつきつけられたジュンイチさん(仮名、62歳)は、まさに「青天の霹靂(へきれき)だった」と言う。 「結婚して30年、ごく普通の夫婦だと思っていました。暴力をふるったこともないし、借金をつくったこともない。浮気は皆無とはいいませんが、飲んだ勢いで一度きりという関係です。離婚されるようなことは何もしていない。妻にそう言ったら、『何もしていないから離婚なのよ』と静かに言われました。あのときの妻は迫力があった」 妊娠、出産、そして年子のふたりを抱えて悪戦苦闘の育児……。妻は昔のことを持ち出した。折に触れて自分は助けてほしいとサインを出してきたのに、あなたは無視した、と。 「言ってくれれば何でもしたのに。当時、妻の母が近所に住んでいて助けてくれていたので、なまじ私が手を出さないほうがいいと思っていた。ちゃんと言葉にすればよかったじゃないかと言ったら、『言われなくても私がどんなに大変だったかわかるはずでしょ』って。不用意な私の発言も覚えていて責められました。後半生を一緒に生きていくのは無理だと。しかたなく離婚届を書きました」 その2年後、57歳になった妻は10歳年下の男性と再婚した。 「長年一緒にいるからこそ、年をとってから夫婦のありがたみがわかったり味わいが出てきたりするものだと私は信じていました。でも妻はそう思っていなかった。常に新しいことにチャレンジするのが好きだった。その集大成が、私との離婚、若い男との再婚だったのかもしれません」 個人差はあるものの、熟年になって新たなチャレンジを好む女性は少なくない。逆に、これまで築いてきた家庭がずっと続くものだと疑わず、習慣や惰性に流され、保守的になるのは男性。 ひとりの人生を歩き出す女性たちは身勝手なのか、それとも正直に生きられる時代が来たと思うべきなのだろうか』、「夫の反対を押し切り、離婚届を置いて家を出たのが3年前。ユウコさんは現在、会社初の女性役員となった。 老後も何となく一緒に暮らしていきたい夫と、新たなチャレンジをしたい妻との間では、温度差が大きい」、これでは水と油だ。「定年退職したその日に、5歳年下の妻から離婚をつきつけられた」、「まさに「青天の霹靂」」、事前に予感を感じていなかったとしたら、よほど鈍感なのだろう。「熟年になって新たなチャレンジを好む女性は少なくない。逆に、これまで築いてきた家庭がずっと続くものだと疑わず、習慣や惰性に流され、保守的になるのは男性」、ポイ捨てされないよう気をつけよう。
次に、2月2日付け東洋経済オンラインが掲載した経営コンサルタントの日沖 健氏による「「結婚する男女の激減」が招く日本の恐るべき末路 2020年の婚姻数は戦後最少の52万5490組」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/505870
・『いま、日本の婚姻数(結婚するカップルの数)が激減しています。2020年の婚姻数は戦後最少の52万5490組でした。そして、2021年はさらに最少を更新する可能性があります。 コロナ禍の現在、婚姻数の減少はさほど世間に注目されていません。しかし、婚姻数が減ると出生数が減り、総人口の減少をもたらします。長期的には、経済・社会を大きく変える重大な出来事です。 今回は、結婚数の現状と将来の動向、その影響について考えてみましょう』、興味深そうだ。
・『2021年の婚姻数は史上最少をさらに更新か まず、婚姻数が現状どう推移しているかを確認します。2020年の婚姻数は52万5490組で、前年59万9007組から12.3%も減少しました。 減少の理由を厚生労働省の担当者は、「改元に伴う令和婚の反動や、新型コロナウイルス感染拡大の影響でカップルが結婚を先延ばしした可能性が考えられる」と説明しています。2019年の婚姻数は、令和婚で7年ぶりに前年比で増加していました。 2021年初めには、コロナが終息するという想定で58万組まで回復するという見通しがありました(リクルートブライダル総研、4月公表)。しかし、コロナが想定外に長引き、1~8月の婚姻数は34万1111組に留まっています(厚生労働省「人口動態統計月報」)。 秋以降の直近の状況について、婚礼関連サービスを提供するスフィア(名古屋市)の岩本直美社長は、次のように指摘しています。 「コロナが長引いて、『さすがにもう待っていられない』ということで、10月以降、延期していた結婚式に踏み切るケースや籍だけ入れるケースが増えています。ただ、地域によって回復に大きな差があります。東海4県で言うと、名古屋など愛知県の都市部ではかなり回復していますが、岐阜・三重・静岡の郡部ではまだまだ結婚式がはばかられるようで、戻りが鈍い印象です」 つまり、1~8月の実績と直近の状況を見ると、2021年は2020年の史上最少をさらに下回る可能性があります 【2022年2月2日17時40分追記】上記説明の正確性を期すために初出時から一部表現を見直しました。) 問題は、この先どうなるかです。壊滅的な事態にもかかわらず婚姻数の減少があまり話題にならないのは、厚生労働省が2020年の減少を特殊事情によると説明している通り、「コロナによる一時的な現象で、コロナが終息すれば戻るでしょ」という認識だと思われます。 しかし、この認識は間違っており、婚姻数の減少はむしろこれからが本番です。まず、婚姻数は長期的に減少傾向にあります。2000年に79.8万組、2010年70.0万組、2020年52.5万組と減り続け、1970年の102.9万組から半世紀でほぼ半減しています。独身志向が高まっていることやそもそも少子化で結婚適齢期の人口が減っていることなどが原因です』、「厚労省」の認識は甘過ぎるようだ。
・『出会いの機会もコロナで激減 そして、この2年間のコロナに対応した生活様式の変化が、減少トレンドに追い打ちをかけています。結婚するには、まず男女の出会いが必要ですが、コロナ対策のイベント中止やテレワークの普及で、出会いの機会が激減しています。 結婚に至るには、出会うだけでなく、カップルになる必要がありますが、マスクで顔が見えない相手のことを好きになるでしょうか。飲食や旅行を制限されて愛が深まるでしょうか。将来の収入を見通せない状況で「結婚しよう!」という気になるでしょうか。 男女が出会ってから結婚するまでの平均交際期間は、4.34年(国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」)です。コロナが終息した直後の年は50万組台を回復するかもしれませんが、2019年までに出会っていたカップルの結婚がピークアウトし、コロナ時代になって出会ったカップルの結婚が主流になると、2025年以降、婚姻数は再び激減します。 長期的には、コロナ終息後にどこまで元の生活様式に戻るかが焦点です。多くの企業でテレワークが定着していることから、完全に元通りになることはないでしょう。これらを総合すると、2030年頃には40万組を下回ることになりそうです) 日本では、生まれてくる子どもに占める非嫡出子の割合は2.3%に過ぎません。したがって、婚姻数の減少は出生数の減少、人口の減少に直結します。 仮に年40万組が結婚し、1.3人の子どもを産むとすると、出生数は平均で年52万人です。コロナ前の2019年の出生数が21世紀以降で最少の86万5239人にとどまり、「86万ショック」と騒がれましたが、これをはるかに下回る超少子化です。そして、子どもを産むカップルが減っていくので、状況はさらに悪化し続けます。
▽人口減で「韓国消滅」のリスクも(という話をすると、「結婚するかどうか、子どもを産むかどうかは、個人の自由」という反発があります。また、少子化による人口減少については、経済の専門家からも「生産性を高めれば問題ない」といった意見が聞かれます。 こうした意見は一理あるものの、少子化の影響を甘く見過ぎているのではないでしょうか。 少子化で生産年齢人口が減るのに高齢者の数は2042年まで増え続けるので、社会保障(医療・年金)の負担が現役世代に重くのしかかります。人口が減っても国の借金は減らないので、将来の増税懸念が消費を抑制し、経済成長率を下押しし続けます。 そもそも、今後も人口が減り続けて、日本という国を維持できるのか、という究極の大問題があります。人口減少と国家の存亡というと、いま話題になっているのは中国と韓国。とくに韓国は、合計特殊出生率が0.84(2020年)まで急低下し、「人口減少で22世紀に地球上から最初に消滅するのは韓国」(国連人口部、オックスフォード人口問題研究所など)というのが定説になっています。 しかし、日本でも合計特殊出生率が2005年の1.26を底に持ち直していたのが、直近の5年間は連続で低下しており、再び明確な低下トレンドになっています。このまま婚姻数の減少=少子化を放置すると、世界で最初かどうかはともかく、22世紀のどこかで日本は消滅します。 婚姻数の減少を「コロナの一過性の現象」の一言で片付けたり、少子化を「韓国よりはマシ」と溜飲を下げるのは、日本の将来にとってあまりにも危険なのです』、「婚姻数の減少を「コロナの一過性の現象」の一言で片付けたり、少子化を「韓国よりはマシ」と溜飲を下げるのは、日本の将来にとってあまりにも危険なのです」、その通りだが、抜本的な対策が必要になる。それが何かは別途、稿を改めて論じたい。
タグ:(その5)(「もう夫はいらない 邪魔されず生きたい」夫を断捨離する妻のリアル、「結婚する男女の激減」が招く日本の恐るべき末路 2020年の婚姻数は戦後最少の52万5490組) 「婚姻数の減少を「コロナの一過性の現象」の一言で片付けたり、少子化を「韓国よりはマシ」と溜飲を下げるのは、日本の将来にとってあまりにも危険なのです」、その通りだが、抜本的な対策が必要になる。それが何かは別途、稿を改めて論じたい。 「厚労省」の認識は甘過ぎるようだ。 日沖 健氏による「「結婚する男女の激減」が招く日本の恐るべき末路 2020年の婚姻数は戦後最少の52万5490組」 東洋経済オンライン 「夫の反対を押し切り、離婚届を置いて家を出たのが3年前。ユウコさんは現在、会社初の女性役員となった。 老後も何となく一緒に暮らしていきたい夫と、新たなチャレンジをしたい妻との間では、温度差が大きい」、これでは水と油だ。「定年退職したその日に、5歳年下の妻から離婚をつきつけられた」、「まさに「青天の霹靂」」、事前に予感を感じていなかったとしたら、よほど鈍感なのだろう。「熟年になって新たなチャレンジを好む女性は少なくない。逆に、これまで築いてきた家庭がずっと続くものだと疑わず、習慣や惰性に流され、保守的になる 「夫」は「現在は会社の社員寮に住んでいるようだ」、一時的とはいえ、「社員寮」では噂の種となり、さぞかし居心地が悪いだろう。 AERAdot「「もう夫はいらない。邪魔されず生きたい」夫を断捨離する妻のリアル」 恋愛・結婚