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災害(その12)(1000年に1度のトンガ大噴火 これでは終わらない可能性、もし「富士山噴火」が起きたら…火山灰で首都圏の都市機能どうなる?【被害想定】、「体育館を避難所にする先進国なんて存在しない」災害大国・日本の被災者ケアが劣悪である根本原因 日本での「美談」は、欧米なら「人権侵害」「ハラスメント」になる) [社会]

災害については、昨年12月27日に取上げた。今日は、(その12)(1000年に1度のトンガ大噴火 これでは終わらない可能性、もし「富士山噴火」が起きたら…火山灰で首都圏の都市機能どうなる?【被害想定】、「体育館を避難所にする先進国なんて存在しない」災害大国・日本の被災者ケアが劣悪である根本原因 日本での「美談」は、欧米なら「人権侵害」「ハラスメント」になる)である。

先ずは、本年1月19日付けNewsweek日本版が掲載した:ニュージーランド・オークランド大学地球科学教授のシェーン・クローニン氏による「1000年に1度のトンガ大噴火、これでは終わらない可能性」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/01/1000-34.php
・『<なぜあんな大噴火になったのか、今後は何が起こるのか> 南太平洋に浮かぶ島々から成るトンガ王国はいつもなら世界の注目を集めるようなことはない。しかし1月15日に起きた海底火山の大噴火では、この島国で発生した文字どおりの衝撃波が地球の半分を揺るがした。 この海底火山も普段はいたっておとなしい。トンガの首都ヌクアロファから北へ65キロほど船で進むと、海抜100メートル程の2つの小さな無人島フンガハアパイとフンガトンガが海面に顔をのぞかせている。その下に眠るのが、高さ約1800メートル、幅20キロにも及ぶ巨大な海底火山だ。 島の名を合わせてフンガトンガ・フンガハアパイと呼ばれるこの火山は、ここ20年ほど何度か噴火を繰り返してきた。2009年と2014〜15年の噴火でも熱いマグマと蒸気が海上に噴出したが、今回の噴火はそれらよりはるかに大規模だった。 私たちが行ったこれまでの噴火の調査から、今回の噴火はざっと1000年に1度の大噴火と考えられる』、「1000年に1度の大噴火」とはやはり大変なことが起きたようだ。
・『超音速の爆風が発生  海底火山の噴火では、マグマが海水に冷やされるはずなのに、なぜこれほど激しい爆発が起きたのか。 マグマがゆっくりと上昇すれば、たとえ約1200℃の高温であっても、マグマと海水の間に蒸気の薄い層ができて、これが断熱材となり、マグマの外側の表面が冷やされる。 だが地下に火山ガスがたまり、マグマが一気に噴出すると、この仕組みは働かない。マグマが急激に海中に噴き出すと、蒸気の層は吹き飛ばされ、高温のマグマが冷たい海水にじかに触れる。それにより海水が瞬時に気化して、体積が一気に増大し、水蒸気爆発が起きるのだ。 これは火山研究者が「燃料と冷却材の相互作用」と呼ぶ現象だ。極めて激しい爆発により、マグマの外側が吹き飛ばされると、内部のマグマが海水に触れて、さらなる爆発が起きる。このようにして連鎖的に爆発が繰り返され、ついには火山性粒子が大量に噴出し、超音速の爆風が発生する』、「マグマが急激に海中に噴き出すと、蒸気の層は吹き飛ばされ、高温のマグマが冷たい海水にじかに触れる。それにより海水が瞬時に気化して、体積が一気に増大し、水蒸気爆発が起きる」、「連鎖的に爆発が繰り返され、ついには火山性粒子が大量に噴出し、超音速の爆風が発生する」、恐ろしい火山のパワーだ。
・『海底に眠る巨大カルデラ  2014〜15年の噴火で火山円錐丘が形成され、フンガトンガとフンガハアパイを結ぶ長さ5キロの島が誕生した。私たちは2016年にこの島を調査し、これまでの噴火は序章にすぎず、はるかに大規模な噴火がこれから起きると予想した。 海底地形の調査で、海面下150メートルに眠るカルデラが見つかった。 このカルデラはクレーターのような窪地で、直径約5キロ。2009年、2014〜15年の噴火など、小規模の噴火は主にこのカルデラの周縁で起きるが、大規模噴火はカルデラそのものから発生する。大規模噴火では、噴出するマグマの頂部が内側に崩れ落ち、カルデラはさらに深く穿たれる。 小規模の噴火は地下にマグマがゆっくりとたまり続け、大規模な噴火を準備していることを示す兆候だ──過去の噴火の痕跡の化学組成を調べて、私たちはそう考えるようになった』、「これまでの噴火は序章にすぎず、はるかに大規模な噴火がこれから起きると予想した」、不気味な「予想」だ。
・『遠い過去の大噴火の痕跡  フンガトンガとフンガハアパイの堆積層から、フンガ・カルデラで過去に起きた2度の大規模噴火の痕跡が見つかった。私たちはその化学組成が、トンガ王国の首都がある65キロ先の本島・トンガタプ島に堆積した火山灰の化学組成と同じであることを突き止め、放射性炭素年代測定で大規模噴火が起きた年代を調べた。その結果、カルデラの大規模噴火は、およそ1000年に1度の周期で発生していて、前回は1100年に起きたことが分かった。 これに照らせば、今回の噴火は1000年に1度の大噴火と見てよさそうだ。 今はまだ一連の大規模な火山活動のさなかにあり、噴煙で島が覆われていることもあって、不明な事柄が多い。 2021年12月20日と2022年1月13日に起きた2度の噴火は中くらいの規模だった。噴煙が17キロの高さに立ち上り、2014〜15年の噴火でできた島が拡大した』、「カルデラの大規模噴火は、およそ1000年に1度の周期で発生していて、前回は1100年に起きたことが分かった。 これに照らせば、今回の噴火は1000年に1度の大噴火と見てよさそうだ。 今はまだ一連の大規模な火山活動のさなかにあり、噴煙で島が覆われていることもあって、不明な事柄が多い」、さらに「大規模な」噴火があるのかは不明だ。
・『目覚めたフンガ・カルデラ  1月15日の噴火はそれらを上回る規模で、噴煙は高さ約20キロまで上がった。最も注目すべきは、噴煙が火山を中心に半径130キロの同心円状に広がったことだ。その後、噴煙は風に流されて形を変えた。 この噴煙の規模は、凄まじい爆発力を物語っている。その威力はマグマと海水の相互作用だけでは説明できない。ガスが充填した新しいマグマがカルデラから大量に噴出したと考えられる。 この噴火で、トンガの全ての島々、そして近隣のフィジーとサモアの島々も津波に襲われた。衝撃波は何千キロも伝わり、衛星からも観測され、およそ2000キロ離れたニュージーランドでも記録された。トンガタプ島では、噴火後まもなく空が真っ暗になり、火山灰が降り始めた。 これら全ての兆候は、巨大なフンガ・カルデラが目覚めたことを物語っている。津波は大気中と海中を伝わる衝撃波が合わさって起きるが、海底で発生した地滑りやカルデラの崩壊によっても起きる。 今回の噴火が一連の火山活動のピークかどうかはまだ分からない。マグマの圧力が大幅に放出されたのは確かで、それにより噴火が収まる可能性もある。 ただ、堆積層に残る過去の大噴火の痕跡を調べると、1000年に1度の大規模なカルデラ噴火は、複雑な連続的プロセスで、いくつもの噴火が別々に起きたと考えられる。 そのため私たちは、この海底火山では今後数週間、いや、ひょっとすると数年にわたって大規模な活動が続くこともあり得ると予想している。トンガの人々のために、この予想が外れることを祈っている』、「この海底火山では今後数週間、いや、ひょっとすると数年にわたって大規模な活動が続くこともあり得ると予想」、「トンガの人々のために、この予想が外れることを祈っている」、良心的だ。

次に、1月21日付け日刊ゲンダイ 「もし「富士山噴火」が起きたら…火山灰で首都圏の都市機能どうなる?【被害想定】」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/300213#:~:text=%E6%98%A8%E5%B9%B4%E6%94%B9%E5%AE%9A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%80%8C%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E5%B1%B1,%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%86%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%80%82
・『南太平洋のトンガ諸島の海底火山噴火で、電話やインターネットがつながらない状況が長く続いている。停電による海底通信ケーブルの不調が原因とみられるが、ライフラインが密集する日本なら余計に大事になりかねない。降り注ぐ火山灰によって都市機能は完全にマヒしてしまう。 トンガ海底噴火の噴煙は、最大20キロの成層圏に達し、1991年6月のフィリピン・ピナトゥボ火山の噴火に匹敵する被害が予想されている。 ピナトゥボは世界の平均気温を0.5度ほど低下させ、日本では2年後の93年の記録的冷夏でコメ不足が起こり、タイ米輸入騒動に発展した』、興味深そうだ。
・『日本には海底火山34カ所、活火山も111  今回のトンガ噴火は火山プレートが違うため日本の火山への連動はないが、これと同じことが日本近海で起きた場合も考えておかなければいけない。日本の海域には計34カ所の海域火山があり、昨年8月に小笠原の福徳岡ノ場海底火山が噴火したばかり。大量の軽石が流れ着いたことで話題となった。福徳岡ノ場では噴火前から過去になかったほどの低周波地震が頻発し、すでに昨年4月には海上保安庁が黄緑の海水色の“予兆”を確認していた。現在も白波や変色の異常が続いている。 これに加え、日本には現在111もの活火山がある。そのひとつである富士山は、1707年の「宝永噴火」を最後に約300年間沈黙しているが、2000年から01年にかけて低周波地震が頻発した。いつ噴火してもおかしくない上、必ずしも山頂が火口になるとは限らない。山梨県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長(東大名誉教授)は、「次の噴火は山頂火口で発生するとは限らず、噴火の予兆が察知できた数時間後には市街地近くに火口が開くことも考えられる」と警戒を呼びかける。足元の地面が割れ、マグマがあふれ出てくる。まさしくパニック映画のワンシーンのような光景が広がる可能性もあるのだ。 そして、この後の火山灰がさらに厄介だ。昨年改定された「富士山ハザードマップ」の降灰の想定によれば、山頂から70キロ離れた藤沢市で最終的に30センチ、同100キロ離れた東京駅で10センチが予想される(複数回の噴火)。被害総額は1.2兆~2.5兆円で、稲作被害は18万3000ヘクタールに上る。実際に火山灰が降り注げば都市機能はどうなってしまうのか。国内外の事例を参考にまとめた内閣府の被害想定(2019年)を見てみよう』、「マグマ」もさることながら、「この後の火山灰がさらに厄介だ」。
・『降灰1ミリで道路の視界不良、電車はさらに脆弱 ■「交通」  道路はたった1ミリ(0.1センチ)の灰が積もっただけで視界不良だ。実際、1~2ミリの降灰が確認された1974年新潟焼山噴火では一時視界が3メートルしかなくなり、対向車の巻き上げた灰で視界が利かず4歳児をはねる事故が起きている。さらに、降灰が1.3センチになるとエンジン故障。そして2センチでタイヤのスリップが相次ぐ。10センチの降灰ともなると、一般道路のほか、高速道路まで閉鎖。この状況下で自家用車を運転する人はまずいないと思うが、東京脱出のために走行したとするとエアフィルターは80~160キロで交換しないといけない。 鉄道はさらにモロくて、1980年桜島噴火では降灰0.2ミリで鹿児島市電が脱線している。0.5ミリでポイント動作不良、1ミリで線路の電気系統が不調(2011年新燃岳噴火)になってしまう。航空はわずか1ミリで空港閉鎖。13センチなら週単位での閉鎖だ』、「道路」、「鉄道」、「航空」は「火山灰」には脆弱なようだ。
・『■「ライフライン」わずか3ミリで停電の可能性  電力でまず心配なのは発電施設のダウン。首都圏に多く点在する火力発電所は8ミリ(0.8センチ)で吸気系の機能が低下し、一部施設で発電が停止する。配電線は湿った火山灰なら3ミリで配電が止まり、地域内の約6割で停電が発生。実際2016年阿蘇山噴火は3ミリで停電が発生している。また、0.3ミリ以上で太陽光発電は発電量ゼロとなる(パネル角度30度)。 一方、通信は15センチでも問題なく機能が維持される。2008年チャイテン噴火(チリ)では降灰が15センチに達した市街地においても、携帯電話や衛星通信、ラジオなどに障害は発生しなかった。8センチで通信機能が不調になったケースもあるが、微細な灰が携帯電話などに侵入し電子回路をショートさせた可能性がある』、問題は原発の冷却である。「火力発電所」は「吸気系の機能が低下し、一部施設で発電が停止」、程度で済むが、原発は冷却できなくなれば、炉心溶解を起こして、放射能をバラ撒くことになり、まさに東日本は大変なことになる。
・『■「健康」  ヒトへの影響はどうか? 降灰5ミリ(0.5センチ)で喉、鼻、目の異常を訴える(1000人当たり2~4人)。 そして1.3センチになると気管支炎や喘息が悪化。7.5センチなら軽い呼吸器疾患に陥り、1980年セントヘレンズ噴火(米国)では1000人当たり10~20人が手当てを必要とする症状を訴えている』、「放射能」汚染に比べれば、どうということはない。
・『南半球からの輸入小麦、大豆が高騰 ■「農林水産」  最も重大なのが農畜産物への影響だ。葉物や麦類は降灰3センチ以上で被害が甚大になり、6センチ以上で根菜類の地上部が枯れる。神奈川県はもとより、千葉県、埼玉県の農産物が大きなダメージを受ける。1707年富士山噴火では、15センチで翌年の収穫は皆無。50センチで回復まで15~45年を要した。 海産物は5センチの堆積でエビが3割死亡。1977年有珠山噴火では洞爺湖のニジマス養殖池の稚魚が数万匹死んでいる。 農畜産物への被害といえば、トンガ海底噴火の今後の影響も気になる。気象予報士の森田正光氏がこう言う。 「北半球と南半球の違いはありますが、91年に噴火したピナトゥボ火山は北緯15度、今回のトンガは南緯約20度と似たような位置関係にあり、同じように農作物への影響が考えられます。火山灰が成層圏に滞留することで1年半から2年後の低温が予想されるためです。日本は北半球ですので、タイ米騒動が起きた93年の時のような不作にはならないと思いますが、麺用小麦のほとんどを頼るオーストラリア、大豆輸入先2位のブラジルなど南半球は穀倉地帯が多い。国内畜産の飼料穀物の主な輸入先にしても、ブラジル、オーストラリア、アルゼンチンです。輸入物価が上がれば、当然、スーパーの店頭価格にも響いてきます」 食料だけでも定期契約を結んでおいた方がいいかもしれない。ちなみに、ふるさと納税で秋田県仙北市に3万円寄付すると、「あきたこまち5キロ」が5カ月連続で送られてくる。岐阜県飛騨市の「採れたて野菜定期便」は季節ごとに年6回発送される。日頃の備蓄に加え、こうした工夫も考えておきたい』、「富士山大噴火」のような非常時には、「ふるさと納税」の「採れたて野菜定期便」などは停止される可能性が強いので、「こうした工夫」も無駄になるだろう。

第三に、3月10日付けPRESIDENT Onlineが掲載した新潟大学大学院 医歯学総合研究科 特任教授の榛沢 和彦氏による「「体育館を避難所にする先進国なんて存在しない」災害大国・日本の被災者ケアが劣悪である根本原因 日本での「美談」は、欧米なら「人権侵害」「ハラスメント」になる」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/55248
・『日本では大規模災害が起きると、学校の体育館が避難所に転用されるケースが多い。しかし、先進国ではこうした対応はあり得ない。新潟大学大学院の榛沢和彦特任教授は「日本の避難所は欧米からみればハラスメント状態だ。『避難所の生活を改善すると、被災者の自立が遅れる』という主張がされるなど、根本的な誤解がある」という――。 日本では大規模災害が起きると、学校の体育館が避難所に転用されるケースが多い。しかし、先進国ではこうした対応はあり得ない。新潟大学大学院の榛沢和彦特任教授は「日本の避難所は欧米からみればハラスメント状態だ。『避難所の生活を改善すると、被災者の自立が遅れる』という主張がされるなど、根本的な誤解がある」という――(Qは聞き手の質問、Aは榛沢氏の回答)、興味深そうだ。
・『環境を改善しないと災害関連死は減らない  Q:榛沢先生は、災害関連死や災害関連病を防ぐために避難所の環境改善を訴えてきました。災害関連死は、適切な医療や支援によって0にできると言われています。しかし災害が発生するたびに、災害関連死の事例が報告されます。なぜ、状況は改善しないのでしょうか。 A:災害が発生すると、一般的に急性期(発災から1週間程度)の医療が重視されがちです。しかし急性期だけに力を入れても、根本的に何も解決しません。何よりも、改善すべきは避難所の環境です。 例えば、交通事故が頻繁に起きる道路があったとします。救急車の数を増やしても、事故は減りません。急性期の医療を重視する災害支援は、救急車をたくさん走らせている状況と言えばいいでしょうか。でも、本来なら道路状態や交通状況などを早急に見直す必要があります。 そう考えると、災害関連死を減らすためにも、いち早く環境改善に取り組まなければならないのが、いわゆる「雑魚寝の避難所」です。その風景は、約100年前の関東大震災から何も変わっていないのですから』、「「雑魚寝の避難所」・・・の風景は、約100年前の関東大震災から何も変わっていない」、言われてみれば、確かにその通りだ。
・『イタリアでは家族ごとにテントで生活していた  Q:避難所に対して問題意識を持ったきっかけを教えてください。 A:私が災害医療にかかわるようになったのは、2004年の新潟県中越地震からです。避難所での生活や車中泊などが、エコノミークラス症候群のリスクを高めると初めて気づきました。その後、07年の新潟県中越沖地震、08年の岩手・宮城内陸地震、3.11、2016年の熊本地震などで避難所の医療支援に入りました。 本当の意味で、日本の避難所が抱える問題を突きつけられたのは、2012年です。5月にイタリア北部を大地震がおそいました。その2カ月後、イタリアを訪れて、避難所を視察し、驚きました。広場に大型テントが整然と並んでいる。歩いて入れるほど屋根が高いテントは被災した家族ごとに割り当てられていました。カーペットが敷かれ、人数分のベッドや冷暖房装置も設置されていました。「雑魚寝の避難所」との差に目を見張りました』、「イタリア」では、「歩いて入れるほど屋根が高いテントは被災した家族ごとに割り当てられ・・・。カーペットが敷かれ、人数分のベッドや冷暖房装置も設置」、日本のとは雲泥の差だ。
・『環境を改善しないと災害関連死は減らない  Q:榛沢先生は、災害関連死や災害関連病を防ぐために避難所の環境改善を訴えてきました。災害関連死は、適切な医療や支援によって0にできると言われています。しかし災害が発生するたびに、災害関連死の事例が報告されます。なぜ、状況は改善しないのでしょうか。 A:災害が発生すると、一般的に急性期(発災から1週間程度)の医療が重視されがちです。しかし急性期だけに力を入れても、根本的に何も解決しません。何よりも、改善すべきは避難所の環境です。 例えば、交通事故が頻繁に起きる道路があったとします。救急車の数を増やしても、事故は減りません。急性期の医療を重視する災害支援は、救急車をたくさん走らせている状況と言えばいいでしょうか。でも、本来なら道路状態や交通状況などを早急に見直す必要があります。 そう考えると、災害関連死を減らすためにも、いち早く環境改善に取り組まなければならないのが、いわゆる「雑魚寝の避難所」です。その風景は、約100年前の関東大震災から何も変わっていないのですから』、「災害関連死を減らすためにも、いち早く環境改善に取り組まなければならないのが、いわゆる「雑魚寝の避難所」」、その通りなのだろう。
・・・・
・『「非常食」があるのは日本だけ  トイレやシャワーは、移動のコンテナ式でスタッフによって清潔に保たれていました。なかにはコインランドリーや子どもの遊具を備えた避難所もありました。食堂も、巨大テントで、キッチンコンテナで調理したばかりの料理を口にできる。欧米では被災者に温かい食事を提供するのが、当たり前になっていました。「非常食」があるのは日本だけなんですよ。 日本では、避難所で、被災者が並んでおにぎりや弁当を受け取るケースをよく目にしますが、イタリアでは避難所のスタッフが配膳などを担当していました。担当者の言葉が忘れられません。「温かくておいしいものを食べれば元気になるだろう。それが、生活を立て直す上ではもっとも大事なんだ」と。その数カ月前まで3.11の避難所の実態を目の当たりにしたせいか、本当に衝撃を受けました。 Q:日本の避難所とは根本的になにかが違う気がしますね。 A:避難所は、被災したすべての人が安心し、健康的に過ごせて、生活再建へ向けて力を蓄えてもらう場――ヨーロッパやアメリカでは、そうした意識が共有されているのです。 日本は災害大国とよく言われますが、避難所運営だけを見てもアメリカやヨーロッパの方が格段に進んでいます。イタリアも災害が多い国です。地震だけではなく、山火事も水害もひんぱんに起きます。アメリカもそう。毎年のように、ハリケーンやトルネードにおそわれています。そうしたなかで、避難所の環境改善や災害対策が進みました。イタリアでは全人口の0.5%にあたる人たちに必要なテントやキッチン、トイレ、ベッドを備蓄しています。10年以内に津波地震が予想されているシチリアでは今後は3%まで増やす予定だそうです』、「避難所は、被災したすべての人が安心し、健康的に過ごせて、生活再建へ向けて力を蓄えてもらう場――ヨーロッパやアメリカでは、そうした意識が共有されている」、日本も考え方を変えるべきだろう。
・『日本での「美談」が欧米では「人権侵害」  またイタリアでは、災害が発生すると政府から州の市民保護局に対して、72時間以内に避難所を設置するよう指令が下ります。ここでのポイントは、指令を受けるのは、被災した自治体の市民保護局ではなく、その周辺で被害をまぬがれた自治体の市民保護局という点です。 日本では被災した自治体の職員が避難所に寝泊まりして、管理、運営を担当するでしょう。当然ですが、被災自治体の職員も、被災者なんです。避難所運営に奔走する自治体職員の姿が、日本では美談として取り上げられますが、アメリカやヨーロッパなら、人権侵害、あるいはハラスメントとして問題になるでしょうね。 Q:なるほど。避難所のあり方がハラスメントに該当する場合もあるんですね……。 A:避難所が、被災者の立場や人格を尊重しないハラスメント状態になっていることを支援者だけでなく、被災者自身も気づいていません。なかには、食事などの環境をよくすると被災者が自立せずに避難所に居着いてしまうと口にする運営者もいます』、「被災者の立場や人格を尊重しない」「運営者もいます」、大きな問題だ。
・『海外にとって雑魚寝の避難所は「クレイジー」  2018年の西日本豪雨では4カ月、毎日朝に冷たいおにぎり、お昼に同じ菓子パンを出し続けた避難所もありました。被災した人にとっては、要望を出したり、毎日出るおにぎりや菓子パンを断ったりしたら、もう支援がこないかもしれないという不安感もあり、泣き寝入りするしかない。 被災者がガマンを強いられるのは食事だけではありません。寒くて広い体育館で、冷たい床の上にあり合わせの畳やマット……なかには段ボールやビニールシートを敷いて眠る。これでは身体を休めることができません。 3.11の避難所を撮影した写真をアメリカやヨーロッパの支援者に見せたところ「クレイジー……」と絶句された経験があります。 「雑魚寝の避難所」の改善には、簡易ベッドを導入すべきなのですが、まだまだ進んでいません。自宅では畳に布団を敷いて寝ているから、避難所でも簡易ベッドは必要ないと考えている人が多いのです。 もちろん平時なら問題ありませんが、硬い床に一日中すわって過ごすと足腰に想像以上の負担がかかります。3.11のある避難所では、1000人中、30人の高齢者が歩行困難になりました。足腰が痛んでトイレに立つのがおっくうになり、水分を控える被災者も少なくなかった。そうなると脱水状態で血液が濃くなり、エコノミークラス症候群や脳梗塞、心筋梗塞を発症しやすくなるという悪循環に陥ってしまう。それに、雑魚寝は床にたまった埃にウイルスや細菌が付着し、感染症のリスクも高くなる』、「西日本豪雨では4カ月、毎日朝に冷たいおにぎり、お昼に同じ菓子パンを出し続けた避難所もありました」、驚くべき官僚的な運営だ。「硬い床に一日中すわって過ごすと足腰に想像以上の負担がかかります。3.11のある避難所では、1000人中、30人の高齢者が歩行困難になりました」、やはり「簡易ベッド」が必要なようだ。
・『市町村には問題意識が蓄積されにくい  避難所改善などの問題意識は、県の防災担当者には、少しずつ浸透してきたように感じます。しかし被災者支援の中心となる市町村の職員にまでそうした意識が共有できているかと言えば、疑問です。市町村の職員はたいてい3年程度で部署を異動する。経験や問題意識が蓄積されにくい上に、市町村には予算もない。 以前、ある自治体でベッドやトイレ、キッチンを48時間以内に避難所に届ける仕組み作りをしましょうと提案したところ「予算がない」「水や食べ物が先だろう」という反応でした。もちろん水や食べ物も大切ですが、同時にベッドやトイレの導入、温かい食べ物の提供も進めていかなければ、災害関連死は防げないのですが……。 Q:とはいえ、西日本豪雨や北海道胆振地震の避難所には、簡易ベッドが速やかに導入されたと聞きました。環境改善が進んでいるのではないですか。 A:うーん……。まだ簡易ベッド導入のシステムが構築されたとは言えませんね。 例えば、北海道胆振東部地震では、その前年に北見市にある日本赤十字北海道看護大学が研究用に400台の段ボールベッドを購入していました。加えて、発災当日、北海道の危機管理にたずさわり、寒冷地の避難所の危険性を訴え続けてきた北海道赤十字看護大学の根本昌宏先生が偶然、札幌にいたんです。根本先生がすぐに道庁で簡易ベッド導入を提言し、保管していたベッドを避難所に送ることができた。災害時の危機管理の専門家で、道庁の災害対策職員とも顔見知りだった根本先生だから、簡易ベッドの早期導入を実現できたと言えるかもしれません。非常に幸運な事例だったと言えるでしょう』、「市町村の職員はたいてい3年程度で部署を異動する。経験や問題意識が蓄積されにくい上に、市町村には予算もない」、これでは限界がある。
・『災害専門省庁の設立が急務  一方で、私はうまくいかなかったケースも目の当たりにしました。2019年の台風19号では、総務省は発災後かなり速やかに福島、長野、茨城、千葉の4県の担当部署に連絡し、段ボールベッドがどのくらい必要か聞きとりを行いました。その結果、各県とも2000台の希望があったそうです。そして発災4日後ごろには段ボールベッド会社から送付してもらったそうなのですが、その保管場所は自衛隊基地などでした。県の担当者も保管場所や送付先を把握していなかったらしいんです。 災害対策の問題点のひとつとして、避難所の設置部署と運営部署が違うことがあげられます。発災するまでの事前の準備は、総務省の管轄で、発災後は厚労省に代わる。 Q:縦割り行政の弊害ですね。 A:その最たるものですね。だからこそ、その弊害をなくすためにも災害専門省庁の設立が急務です。専門省庁がないから、いつも発災後に補正予算をつけて対応するしかない。 一方イタリアでは災害関連の国家予算は約3000億円。この予算で、テントやトイレ、キッチンなどを備蓄し、搬送用のトレーラーやトラックのメンテナンスを行っています。 ただこうしたイタリアの仕組みがつくられたのも、最近の話なんです。イタリアで災害対策を行う市民保護庁が発足したのが、約40年前。それまでは、現在の日本のように、災害支援は市町村に丸投げでした。しかし1980年に、イルピニア大地震が発生し、建物の倒壊などで約3000人が亡くなりました。被害はそれだけに止まらずに、災害対応の遅れで、約1万人が避難生活で、病気を発症し、なかには命を落とす被災者も出ました。そうした反省から、市民保護庁が誕生したんです』、「発災するまでの事前の準備は、総務省の管轄で、発災後は厚労省に代わる・・・縦割り行政の弊害」、「イタリアで災害対策を行う市民保護庁が発足したのが、約40年前。それまでは、現在の日本のように、災害支援は市町村に丸投げ」、「日本」も司令塔として専門の省庁を設置すべきだ。
・『「生命を守る」だけでなく「生活を早く戻す」  Q:イタリアは“災害関連死”を教訓として、災害専門省庁をつくったということですね。 A:そうとも言えますね。もうひとつ日本の災害対策から抜け落ちている視点が“市民社会保護”という考え方です。 災害後に人々の暮らし、地域コミュニティーをできるだけ早く戻すこと。つまり生命を守るだけでなく、市民生活の復旧を第一に考えた災害対応です。 実は、これは戦争と切り離せない考え方でもあるんです。相手から攻められたとき、市民の生命をどのように守り、暮らしをどう復旧させるのか……。それに、戦争はたくさんの物を消費しますよね。消費ばかりでは戦争は続けられない。だからこそ、被害にあった市民に早く日常生活に復帰してもらって、物を生産して経済を回してもらう必要がありました。市民生活の復旧、復興があり、初めて戦争が続けられる。 こうした考え方が、欧米では災害対応にも生かされている。まずは市民の命を助ける。その後、いち早く社会復帰を果たしてもらう。それが、市民生活の保障や経済の早期復旧につながり、被災者自身のためになると受け止められています。 現状のまま、南海トラフ地震や首都直下地震が発生したらどうなるのか……。新型コロナでは、高齢者や基礎疾患を持つ人のリスクが明らかになりました。それは災害でも同じでしょう。このままでは避難所で、高齢者や基礎疾患を持つ人は過酷な生活を強いられてしまいます。災害時の被災者支援は、個人救済ではなく、公共の福祉です。だからこそ、何よりも避難所の環境改善を急ぐ必要があるのです』、「災害時の被災者支援は、個人救済ではなく、公共の福祉です。だからこそ、何よりも避難所の環境改善を急ぐ必要がある」、同感である。
タグ:「この海底火山では今後数週間、いや、ひょっとすると数年にわたって大規模な活動が続くこともあり得ると予想」、「トンガの人々のために、この予想が外れることを祈っている」、良心的だ。 「カルデラの大規模噴火は、およそ1000年に1度の周期で発生していて、前回は1100年に起きたことが分かった。 これに照らせば、今回の噴火は1000年に1度の大噴火と見てよさそうだ。 今はまだ一連の大規模な火山活動のさなかにあり、噴煙で島が覆われていることもあって、不明な事柄が多い」、さらに「大規模な」噴火があるのかは不明だ。 「これまでの噴火は序章にすぎず、はるかに大規模な噴火がこれから起きると予想した」、不気味な「予想」だ。 「マグマが急激に海中に噴き出すと、蒸気の層は吹き飛ばされ、高温のマグマが冷たい海水にじかに触れる。それにより海水が瞬時に気化して、体積が一気に増大し、水蒸気爆発が起きる」、「連鎖的に爆発が繰り返され、ついには火山性粒子が大量に噴出し、超音速の爆風が発生する」、恐ろしい火山のパワーだ。 「1000年に1度の大噴火」とはやはり大変なことが起きたようだ。 シェーン・クローニン氏による「1000年に1度のトンガ大噴火、これでは終わらない可能性」 Newsweek日本版 (その12)(1000年に1度のトンガ大噴火 これでは終わらない可能性、もし「富士山噴火」が起きたら…火山灰で首都圏の都市機能どうなる?【被害想定】、「体育館を避難所にする先進国なんて存在しない」災害大国・日本の被災者ケアが劣悪である根本原因 日本での「美談」は、欧米なら「人権侵害」「ハラスメント」になる) 災害 「災害時の被災者支援は、個人救済ではなく、公共の福祉です。だからこそ、何よりも避難所の環境改善を急ぐ必要がある」、同感である。 「発災するまでの事前の準備は、総務省の管轄で、発災後は厚労省に代わる・・・縦割り行政の弊害」、「イタリアで災害対策を行う市民保護庁が発足したのが、約40年前。それまでは、現在の日本のように、災害支援は市町村に丸投げ」、「日本」も司令塔として専門の省庁を設置すべきだ。 「市町村の職員はたいてい3年程度で部署を異動する。経験や問題意識が蓄積されにくい上に、市町村には予算もない」、これでは限界がある。 「西日本豪雨では4カ月、毎日朝に冷たいおにぎり、お昼に同じ菓子パンを出し続けた避難所もありました」、驚くべき官僚的な運営だ。「硬い床に一日中すわって過ごすと足腰に想像以上の負担がかかります。3.11のある避難所では、1000人中、30人の高齢者が歩行困難になりました」、やはり「簡易ベッド」が必要なようだ。 「被災者の立場や人格を尊重しない」「運営者もいます」、大きな問題だ。 「避難所は、被災したすべての人が安心し、健康的に過ごせて、生活再建へ向けて力を蓄えてもらう場――ヨーロッパやアメリカでは、そうした意識が共有されている」、日本も考え方を変えるべきだろう。 「災害関連死を減らすためにも、いち早く環境改善に取り組まなければならないのが、いわゆる「雑魚寝の避難所」」、その通りなのだろう。 「イタリア」では、「歩いて入れるほど屋根が高いテントは被災した家族ごとに割り当てられ・・・。カーペットが敷かれ、人数分のベッドや冷暖房装置も設置」、日本のとは雲泥の差だ。 「「雑魚寝の避難所」・・・の風景は、約100年前の関東大震災から何も変わっていない」、言われてみれば、確かにその通りだ。 榛沢 和彦氏による「「体育館を避難所にする先進国なんて存在しない」災害大国・日本の被災者ケアが劣悪である根本原因 日本での「美談」は、欧米なら「人権侵害」「ハラスメント」になる」 PRESIDENT ONLINE 「富士山大噴火」のような非常時には、「ふるさと納税」の「採れたて野菜定期便」などは停止される可能性が強いので、「こうした工夫」も無駄になるだろう。 「放射能」汚染に比べれば、どうということはない。 問題は原発の冷却である。「火力発電所」は「吸気系の機能が低下し、一部施設で発電が停止」、程度で済むが、原発は冷却できなくなれば、炉心溶解を起こして、放射能をバラ撒くことになり、まさに東日本は大変なことになる。 「道路」、「鉄道」、「航空」は「火山灰」には脆弱なようだ。 「マグマ」もさることながら、「この後の火山灰がさらに厄介だ」。 日刊ゲンダイ 「もし「富士山噴火」が起きたら…火山灰で首都圏の都市機能どうなる?【被害想定】」
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