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資本市場(その8)(意味あった?東証市場改革「完全骨抜き」の全内幕 1部上場の84%が横滑り 海外マネー流出の危機、東証の市場再編 不評でも「案外よくやった」と山崎元が考える理由、日本の市場は世界から見向きもされなくなる…SMBC日興証券の相場操縦事件が物語る"証券界の悪しき体質" 市場の信頼を守るより 「目の前の客」を最優先してしまう) [金融]

資本市場については、昨年8月17日に取上げた。今日は、(その8)(意味あった?東証市場改革「完全骨抜き」の全内幕 1部上場の84%が横滑り 海外マネー流出の危機、東証の市場再編 不評でも「案外よくやった」と山崎元が考える理由、日本の市場は世界から見向きもされなくなる…SMBC日興証券の相場操縦事件が物語る"証券界の悪しき体質" 市場の信頼を守るより 「目の前の客」を最優先してしまう)である。

先ずは、4月4日付け東洋経済オンライン「意味あった?東証市場改革「完全骨抜き」の全内幕 1部上場の84%が横滑り、海外マネー流出の危機」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/578948
・『退潮著しい日本の株式相場で、市場再編という歴史的な“大改革”が日の目を見た。しかし、時間をかけて完全に骨を抜かれた改革への失望から、眼前に投資マネー流出の危機が迫ろうとしている。 『週刊東洋経』4月4日(月)発売号は「東証沈没」を特集。東京証券取引所の市場再編について、約60年ぶりとなる“大改革”が骨抜きにされた全内幕を詳報したほか、「プライム」など新たな市場区分における要注意企業などを、独自ランキングであぶり出した』、興味深そうだ。
・『国会議員の1人に呼び止められた金融庁幹部  「優秀な若者が地元で就職するとしたら、県庁、銀行、1部上場と相場が決まっているわけ。その1部上場企業がもし“降格”になったときの影響は、君たちが考えているよりもはるかに大きいからね。よろしく頼むよ」 東京・永田町にある自由民主党本部。6階の会議室での会合後、国会議員の1人に呼び止められた金融庁幹部は、そう言われて腰をぽんと叩かれた。 同幹部にとっては、担当外の話だったため「なぜ自分に」と思ったが、議員が言わんとしていることはすぐにわかった。当時まさに、金融庁の審議会で議論していた案件だったからだ。 その案件とは、東京証券取引所の市場構造改革について。東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックという4つの市場区分を再編・統合し、海外の市場と比べ大きく見劣りする現状を打破しようとするものだった。 ただ、結果として東証の市場改革は「骨抜き」や「看板のかけ替え」といった強烈な批判を投資家から浴びることになってしまう。 なぜなら、市場再編後の最上位区分となったプライム市場に、1部上場企業の84%に当たる約1840社が、そのまま横滑りする格好になったからだ。) そもそも東証1部を巡っては、かねて玉石混交という批判が渦巻いている。時価総額が30兆円を超える企業から、同10億円台の企業までが入り乱れ、規模やガバナンス(統治)の程度があまりにもかけ離れている状態だからだ。 その状況で改革議論の出発点にあったのは、上場をゴールとせず、持続的な企業価値向上にむけてどう動機付けを図り、その一環として最上位市場の構成企業をどう厳選していくか、ということだった。 にもかかわらず、なぜ東証改革はほぼ現状維持のような内容に終わってしまったのか。その要因は大きく2つに分けられる』、「改革議論の出発点にあったのは、上場をゴールとせず、持続的な企業価値向上にむけてどう動機付けを図り、その一環として最上位市場の構成企業をどう厳選していくか、ということだった」、それとは大きくかけ離れたものになった。
・『プライムの時価総額基準が証券会社に漏洩  1つ目は、東証が改革議論の主導権を失ったことだ。東証は2018年に有識者を集めた懇談会を設置し、市場構造改革に向けた議論を内部で始めている。その過程でプライムにおける具体的な時価総額の基準が、懇談会のメンバーを通じて証券会社に漏洩する事態が起きてしまったのだ。 その情報を、われ先にと投資家に拡散させた野村証券に対しては、金融庁が行政処分を下す事態にまで発展。そのことで、改革議論は金融庁が「引き取ることになった」(金融庁幹部)という。 舞台が金融庁に移ったことで、公正中立な議論の下、改革は一気に加速するかに思われたが、実態は違った。 金融審議会で議論を始めた2019年5月以降、冒頭にあったような圧力を、与党議員たちが金融庁に折に触れてかけ始めたのだ。 中でも圧力が「強烈だったのは当時官房長官だった菅(義偉)さんであり、経済産業省出身の官邸官僚たちだった」と、金融庁の関係者は声を潜めながら話す。議員たちにとってみれば、一民間企業よりも日常的にやり取りする官庁のほうが、“口利き”しやすかったのだろう。 その圧力に金融庁があらがえるはずもなかった。当初、地方の企業が1部上場というブランドにこだわるのであれば、1部、2部を残したままで、その上位に優良企業に厳選した市場をつくるという案もあったが、幻のごとくすぐに立ち消えになっている。) さらに、最上位市場の上場維持基準についても、時価総額で1000億円や500億円という声が当初上がっていたものの、審議会で大きな議論がないまま、いつのまにか流通時価総額で100億円にまで緩められていたというのが実態だ。 大手金融機関の役員はあるとき、金融庁の幹部に上場基準を大きく緩めた理由を尋ねたことがある。「やっぱり最初から結論ありきですかと意地悪く問いかけたら、反論するどころか『ご想像にお任せします』と言って否定しなかった。お互いに苦笑いするしかなかった」と話す。 東証から議論を丸投げされ、そのことで政治家たちから激しいプレッシャーを受ける中、金融庁として東証を本気で改革する気など、さらさらなかったようだ』、「中でも圧力が「強烈だったのは当時官房長官だった菅(義偉)さんであり、経済産業省出身の官邸官僚たちだった」、やはり官邸の圧力は強力だったようだ。
・『TOPIXの見直しが進まなかったワケ  一方で、改革の芽が消えたわけではなかった。TOPIX(東証株価指数)の見直しという、もう1つの大きなテーマがあったからだ。TOPIXは東証1部の全企業で構成されており、市場区分と完全に一体だ。そのTOPIXを東証1部と切り離し、厳選した優良企業で構成していくという道が、そのときはまだ残されていたわけだ。 TOPIXに連動するインデックスファンドが人気を集める中、株取引の主役になっている海外マネー(左図)を今後さらに呼び込むには、市場区分の変更よりも、むしろTOPIXの見直しこそが改革の本丸だったといえる。 東証の経営陣の中にも、TOPIX改革に熱い思いを寄せる役員が複数おり、中でも「熱心だったのが当時社長を務めていた宮原(幸一郎)さんだった」と東証の関係者は明かす。 しかしながら、TOPIX改革の先導役だった宮原氏は、20年10月の大規模システム障害によって、経営から姿を消してしまう。これが、改革が骨抜きになった2つ目の要因だ。 このとき東証にとって何よりもまずかったのが、障害時の初動対応だ。政府や金融庁に状況を逐一報告することをしないまま、株式売買を終日停止することを早々と決めてしまったのだ。 障害が発生した当日午前。定例の記者会見に臨んだ加藤勝信官房長官は、東証の終日取引停止について記者から問われると、その想定問答がないために「ええと、ちょっと、その情報は確認していないので」などと、しどろもどろの答弁を迫られた。 そうして東証が政官との密なコミュニケーションを怠り、政府のナンバー2に恥をかかせたことの代償は大きかった。 宮原氏は最終的に引責辞任を迫られることになり、その2か月後に発表したTOPIXの見直し案は、改革とはほど遠い内容になってしまったのだ』、「政府や金融庁に状況を逐一報告することをしないまま、株式売買を終日停止することを早々と決めてしまった」、信じられないような不手際だ。
・『「JPX経営陣の覚悟のなさ」という指摘も  一方で、まったく別の見方もある。日本取引所グループ(JPX)の関係者の1人は、改革が骨抜きになった要因について「JPX経営陣の覚悟のなさだ」と指摘する。 たしかに政府や金融庁の姿勢がどうであれ、改革の方針を最終的に決断するのは東証であり、その親会社のJPXだ。 JPXの清田瞭CEOは、最上位となるプライム市場の上場維持基準について、「どの金額で切ったとしても、それぞれの立場で批判が出る。批判のない仕切り線(基準)はなかった」と、週刊東洋経済のインタビューで語っている。 そこは清田氏の言うとおりかもしれないが、政官や経済界との利害調整の中で、大きな現状変更を伴わず、最も批判が少ない緩い基準にしたのは、紛れもない事実だ。 清田氏をはじめJPXの経営陣が、「金融庁をうまく巻き込みながら、批判を受け止める盾になり、改革実現に向けて1点突破しようと思えばできたはずだ」(同JPX関係者)という声は、市場関係者の間で根強くある。障害が発生した当日午前。定例の記者会見に臨んだ加藤勝信官房長官は、東証の終日取引停止について記者から問われると、その想定問答がないために「ええと、ちょっと、その情報は確認していないので」などと、しどろもどろの答弁を迫られた。 そうして東証が政官との密なコミュニケーションを怠り、政府のナンバー2に恥をかかせたことの代償は大きかった。 宮原氏は最終的に引責辞任を迫られることになり、その2か月後に発表したTOPIXの見直し案は、改革とはほど遠い内容になってしまったのだ』、「東証」の不手際の当然の「代償」だ。
・『「JPX経営陣の覚悟のなさ」という指摘も  一方で、まったく別の見方もある。日本取引所グループ(JPX)の関係者の1人は、改革が骨抜きになった要因について「JPX経営陣の覚悟のなさだ」と指摘する。 たしかに政府や金融庁の姿勢がどうであれ、改革の方針を最終的に決断するのは東証であり、その親会社のJPXだ。 JPXの清田瞭CEOは、最上位となるプライム市場の上場維持基準について、「どの金額で切ったとしても、それぞれの立場で批判が出る。批判のない仕切り線(基準)はなかった」と、週刊東洋経済のインタビューで語っている。 そこは清田氏の言うとおりかもしれないが、政官や経済界との利害調整の中で、大きな現状変更を伴わず、最も批判が少ない緩い基準にしたのは、紛れもない事実だ。 清田氏をはじめJPXの経営陣が、「金融庁をうまく巻き込みながら、批判を受け止める盾になり、改革実現に向けて1点突破しようと思えばできたはずだ」(同JPX関係者)という声は、市場関係者の間で根強くある。) そうして批判の集中砲火を浴びている東証が、反転攻勢に向けて実は今ある材料を仕込んでいる。 それは、上場廃止銘柄を売買できる市場の創設だ。中間区分のスタンダード市場で、上場廃止になった銘柄の取引を主に想定している。基準抵触で上場廃止となった際の影響を抑えるため、その受け皿となる市場を設け、株主や投資家を支援するのが狙いだ。 他方で、そうしたある種のセーフティネットが上場企業の甘えを生む恐れもある。今後の具体的な制度設計次第で、そうした批判の音量は変わってきそうだ』、「上場廃止銘柄を売買できる市場の創設だ。中間区分のスタンダード市場で、上場廃止になった銘柄の取引を主に想定・・・基準抵触で上場廃止となった際の影響を抑えるため、その受け皿となる市場を設け、株主や投資家を支援するのが狙い」、しかし、「セーフティネットが上場企業の甘えを生む恐れも」、最終的にどうなるのだろうか。
・『親子上場の実態調査も進める  さらに東証は、年明けから親子上場の実態調査も進めている。親子上場は、上場子会社の少数株主の保護といった難易度の高い課題を抱えている。東証は「20年から研究会で議論してきた問題」と話すが、1年以上のブランクを空けて、なぜ今重い腰を上げたのかは判然としない。 親子上場しているある企業グループの幹部は、「子会社を上場させるときは、東証の上場推進部にかなり背中を押されましたけどね」と話しており、手のひらを返された印象を受けているようだ。 同実態調査は、東証改革が骨抜きになったことへの批判をかわす狙いにも映るが、そうした見方を払拭するような改革案が、今後示されることになるのだろうか』、「親子上場」問題は根が深い問題で、「東証改革が骨抜きになったことへの批判をかわす狙い」程度では真剣に取り組む気ははなからないのではなかろうか。

次に、4月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「東証の市場再編、不評でも「案外よくやった」と山崎元が考える理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/301045
・『東京証券取引所の市場再編が行われたが、投資家をはじめとする世間の評判は今ひとつのようだ。しかし、あえて異論を唱えよう。今回の市場再編にあって東証は、「案外よくやった」と評価したい。われわれは東証に多くを求めすぎているのではないだろうか』、山崎氏らしい見方だ。
・『評判いまいちの東証の市場再編と最上位「プライム市場」  4月4日(月)から東京証券取引所が新しい市場区分の下に取引を開始した。これまで、東証1部、東証2部、マザーズ、ジャスダック(スタンダード、グロース)と4市場に区分されていたものが、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編された。 すっきり整理できて好評を博しているかと思いきや、この市場再編の評判はいまひとつのようだ。例えば、QUICKが2月に行った市場関係者向けの調査(「QSS月次調査(株式)」2022年2月)によると、今回の市場再編が有効だと思うかという質問に対して、「あまり有効ではない」と「まったく有効ではない」という回答の合計比率が71%に達したという。 ちなみに、経済誌「週刊東洋経済」4月9日号の特集タイトルは「東証沈没」であり、表紙には「市場改革『骨抜き』で投資マネー流出の危機」とある。 不評の主な原因は、最上位の市場として位置づけられているプライム市場に魅力が感じられないからだろう。プライム市場の企業数が多すぎるというのが衆目の一致するところだ。) 大まかには、「流通時価総額」(市場で流通していると推定されている株式の時価総額)100億円以上がプライム、10億円以上がスタンダード、5億円以上がグロースという区分だ。ところが、この基準はいかにも甘く、条件を満たす上で移行措置が設けられたこともあって、これまで2177社だった東証1部上場企業の1839社がプライムに移行した。 今回設けられたプライム市場は、これまでの東証1部と大して変わらない。1社当たりの平均時価総額は、ほんの17%増えた(「日本経済新聞」4月4日朝刊1面)にすぎない。 率直に言って、投資家の目で見て「魅力が増した」と言える要素はほとんどない。「東証が何をしたかったのか、全く分からない」という声もある。確かにその通りだと感じなくもない。 だが、冷静に考えてみると、われわれは東証に多くを求めすぎているのではないだろうか』、「率直に言って、投資家の目で見て「魅力が増した」と言える要素はほとんどない」、「だが、冷静に考えてみると、われわれは東証に多くを求めすぎているのではないだろうか」、どういうことなのだろう。
・『世間にあえて異論を唱える 東証は案外よくやっている  あえて、異論を唱えることにしよう。今回の市場再編にあって東証は、慎重に考えて「やれることを、やった」と評価したい。 推察するに、大衆投資家が求めていた東証の市場再編は、増えすぎた東証1部上場企業の数を減らして、例えば500社程度(アンケートを採るとこのくらいの銘柄数を支持する投資家が多い)の精鋭企業を残す最上位市場の区分を作ることだったように思われる。仮に、この実現しなかった市場を「超プライム市場」とでも名付けよう。 「超プライム市場」ができるとことによって、次のようなストーリーが期待されていたように思われる。 (1)上場銘柄は時価総額が大きく流動性が高く投資しやすいため外国人投資家の資金が流入しやすくなる (2)国際競争力の高い一流企業が集まるので株価が外国株に負けないくらい上昇することが期待できる (3)上場企業は社会的ステータスが高い「超プライム市場」への上場とその維持を求めて競争するので、企業が株価向上のために今よりも頑張るようになる  付け加えると、(4)500の上場銘柄で計算される「超プライム指数」に東証株価指数(TOPIX)を改組することで、小規模で低成長な銘柄にもTOPIX連動のインデックスファンドによって投資される「生ぬるい」状態を脱却すべし、とのTOPIX改革に期待する向きもあったかもしれない。 率直に言って、いずれも幼稚な空論だと言うしかない』、「超プライム市場」への「期待」は「幼稚な空論」なのだろうか。
・『「超プライム市場」への期待が幼稚な空論である理由  (1)(2)は単なる市場区分に対する過剰な期待だ。(3)(4)に至ってはふがいない上場企業が多い旧東証1部上場企業に対していら立った投資家や似非有識者の、ピント外れの処罰感情にすぎない。 外国人投資家は流動性の大きな銘柄だけに投資することもできるし、流動性の低い時価総額の小さな銘柄に対して丁寧に投資することもできる。「プライム上場」の全銘柄を単位として売買しなければならないというルールはない。 また、時価総額が大きい、すなわち投資家が評価する株式価値が現在高い企業が、今後も投資家が期待する以上の利益成長を遂げると期待できる理由が存在するわけではない。 個々の企業の成長や株価の上昇は、東証の市場区分によって決まるものではなく、個々の企業のビジネスの盛衰と経営方針、財務政策によって決まる。 東証は単に株式を取引する場所にすぎない。今回の市場再編を批判する人々は、「市場区分」や「上場ルール」の効果に対して期待しすぎではないのか。 日本企業の株価がさえないことについて東証の責任を問うのは、全くのお門違いだ。もっとも、東証が何をしても大した効果はないということでもあるので、東証を弁護することが東証自身に喜ばれるかどうかは不明だ。 (3)に関しては、かつて「東証1部上場企業」という肩書きが、企業のステータスであった時代の記憶を引きずりすぎているように思う。 今でも特に地方では「東証1部上場企業」というブランドに威光が残っているのかもしれない。しかし、過去の東証がこのブランドを安売りしすぎたおかげで、旧「東証1部上場企業」の価値はすっかり薄まった。それは、対象企業数が2200でも1800でも大して変わらない。 とはいえ、田舎ではわずかに有効だったかもしれない「東証1部上場企業」のステータスを、例えば「超プライム市場」の銘柄数を500に絞ることで奪い去ることに、経済的にプラスの価値があるとは思えない。そして、「東証1部上場企業」のステータスは、時価総額があまり大きくない「限界的東証1部上場会社」にとってこそ意味があったに違いない。 過去の経緯への責任に鑑みるなら、今回設定された「プライム市場」の上場基準は緩いものであるしかなかったし、それで案外適切なのだ』、「今回設定された「プライム市場」の上場基準は緩いものであるしかなかったし、それで案外適切なのだ」、なるほど。
・『「誇り高きスタンダード銘柄」に投資妙味あり?  ところで、プライム上場のためには、流通時価総額100億円のほかに多くの条件が付けられている。流通株式比率35%以上、3分の1以上の独立社外取締役、気候変動が事業に与える影響の開示、英文での情報開示などだ。 率直に言って、いささか過干渉のきらいがある。例えば、気候変動が事業に大して影響しない会社もあるだろう。東証もESG(環境・社会・企業統治)のキーワードでビジネスをする「ESG商人」たちに担がれたか。 こうした条件のあれこれが自社の経営に適している会社もあるだろうし、そうでない会社もあるだろう。 プライム基準ぎりぎりの会社の多くにとっては、これらの条件が余計な制約や手間とコストになる場合が少なくないだろう。しかし、経営者のプライドであったり、社員の採用(本当に有効なのだろうか?)に対する影響などへの考慮であったりで、無理してプライムを選んだ会社は少なくあるまい。取り巻き社員にとって、社長に「プライム上場は余計なコストが掛かるのでやめておきましょう」とは言いにくい場合が多いだろう。 しかし、プライム上場の基準を満たしながらも、会社の事業内容や経営スタイル、諸々のコストなどを考慮してスタンダード市場を選択した企業もある。「名」ではなく「実」を取ることを選択した経営姿勢に思えて、好感が持てる。 投資の観点では、こうした会社を調べてみたい気持ちになる。興味のある向きは、スタンダード市場の時価総額上位銘柄を探すといい』、確かに「スタンダード市場の時価総額上位銘柄」は、余力の大きさを示しているようだ。
・『最も心配だった「TOPIX改革」は無難で良かった  筆者は先の(1)から(4)の中で、(4)の実現を最も心配していた。各種の日本株運用のベンチマークであり、さらに日本銀行の上場投資信託(ETF)買いもあって、TOPIXの銘柄と構成ウェイトの変化に影響を受ける資金は、今や数十兆円単位に及ぶ。このTOPIXが、2000銘柄を超える旧東証1部上場銘柄から、500銘柄で計算される「超プライム指数」に入れ替わるような変化が起こるなら、大事件だった。市場参加者にその入れ替えの情報を利用されて、TOPIX連動ファンドに投資している一般投資家が損失を被る可能性があったからだ。 古くは、2000年にあった日経平均株価の銘柄入れ替えの際に、日経平均連動ファンドを持っていた投資家が受けたような理不尽な損失を被る可能性がある。この時の日経平均の銘柄入れ替えは拙かった。日経平均インデックスファンドの投資家は資産額の10%を超える損失を市場の変動とは無関係に銘柄入れ替えによって被った(他方、当時の証券会社の自己売買部門は大きな利益を計上した)。同時に、指標としての日経平均にも入れ替えの前後で大きな不連続性が生じてしまった。 日銀のETF買いもあって、現在のTOPIX連動ファンドはかつての日経平均連動ファンドよりも1桁大きい残高を持っている。さすがに、あの時ほどひどい入れ替えにはならないだろうが、TOPIXの採用銘柄や銘柄ごとの構成ウェイトが大きく変動するようだと、投資家にとって大きな問題が生じる可能性がある(同時に高速取引業者や証券会社には収益機会であるかもしれない)。 そのように大いに心配だったのだが、結論を言うと、「全くの損失ゼロ」ではないかもしれないが、TOPIXのインデックスファンドを持っている一般投資家が資金の「避難」を考えなければならないような状況には陥らないだろう。TOPIXの採用銘柄およびそのウェイトの変更は、時間を掛けて緩やかに行われ、そもそも入れ替えの実質的な規模が小さい(時価総額的に99%の銘柄が残る見通しだ)ためだ。) 最終的には「流通時価総額100億円」がめどになるが、これを満たさない銘柄が現TOPIXに占めるウェイトは極めて小さい。 ピント外れのサディスト有識者が期待した、「ダメな企業からは、東証1部上場会社の肩書きを剥奪して、さらにTOPIXからも外してインデックスファンドに株を持ってもらえないようにしてやろう」という乱暴なTOPIX改組は回避された。インデックスファンドの投資家やTOPIXを利用する機関投資家への影響を考えると当然だ。 TOPIXを巡る東証の判断は現実的で適切だと思う。 上場企業の扱いや影響の大きな株価指数などは、関係者の大きな利害が絡む問題であって、思いつきで大きな変更を行うべき問題ではない』、「上場企業の扱いや影響の大きな株価指数などは、関係者の大きな利害が絡む問題であって、思いつきで大きな変更を行うべき問題ではない」、その通りだ。
・『日本株に魅力がないのは東証ではなく日本の上場企業のせい  それに、そもそも日本企業の存在感が薄く、日本の株価がなかなか上がらないことの責任は上場企業のビジネスや経営、財務政策等にあり、取引市場に魅力がないからではない。 日本の企業が米国企業並みに自社株買いを行うなら、「ビジネスの状況はそのままでも」相当に株価を上げることができるはずだ。ただし、そうすることが適切かどうかは、株主と経営者および各種ステークホルダーが個々に決めるべき問題だ。現在の上場企業の多くは、株価の最大化を最優先事項として経営しているようには見えない。 日本株に魅力がないのは東証のせいではない。今回の市場再編はぱっとしない印象だが、よく見ると東証は妥当な判断を行っている。東証に過剰な期待をしてはいけない』、「日本株に魅力がないのは東証ではなく日本の上場企業のせい」、同感である。
・『運用のためのインデックスを運用会社が作れ  さて、「プライム市場」にインパクトがなく、TOPIXも漸進的にしか変化せず連続性を残すとなると、「日本版S&P500種株価指数」のような東証「超プライム市場」と「超プライム指数」を求めていた市場関係者はどうしたらいいのだろうか。 はっきり言って、「一流会社」を選別することは東証の役割ではない。また、「運用のため」という観点から評価するとTOPIXがベストな株価指数であるとはたぶん言えない。 一流会社の評価が必要なら、取引所ではない民間企業が「勝手に」評価を提供するビジネスを行えばいい。企業評価の結果を無料で提供し、評価のための詳細データを有料で販売するようなビジネスは十分成立しそうだ。 ついでに、選んだ一流企業で構成される株価指数を作ってもいい。出来のいい指数なら、その指数をベースにインデックスファンドを作る運用会社が出てくるかもしれない。 インデックスファンドに関しては、長期的資産形成のための運用に特化した株価指数を運用会社が自ら作って、インデックスファンドを商品化するといい。幾つか必要な工夫があるが、十分可能なはずだ。 外部で計算・公表されている株価指数との比較にあっては、運用上のメリットが多くある。適切な銘柄数が選べて、リバランスの内容及びタイミングの事前発表が不要であること、デリバティブ市場の影響を受けにくいこと。そして何よりもインデックスベンダーに対するインデック使用料を支払わなくてもいいことなどだ。 運用会社の自家製インデックスは長期投資用の指数なので、毎日1回だけ値を計算することで十分だ。ただし、投資家にインデックス自体の長期的な性質や、これをターゲットとした運用のパフォーマンスなどを見てもらう上では、インデックス自体の計算データを長期的に公開すべきだろう』、「運用のためのインデックスを運用会社が作れ」、との提案はなかなかよさそうだ。「一流会社の評価が必要なら、取引所ではない民間企業が「勝手に」評価を提供するビジネスを行えばいい」、同感である。
・『グローバル株式のインデックスにもニーズがあるかも?  有力な自家製インデックスおよびインデックスファンドができれば、その株価指数に採用されることが、かつての「東証1部上場企業」や現在の米国の「S&P500採用銘柄」のようなステータスを上場企業にもたらすようになるかもしれない。 自家製インデックスについては、投資家のニーズを考えると、日本株だけではなく、グローバル株式のインデックスにもニーズがあるかもしれない。また、筆者は「ESG」を投資に持ち込むことに反対だが、商業的には「ESG企業インデックス」にもチャンスがあるかもしれない。 なお、インデックス運用がアクティブ運用に対して有利である理由は、商品として運用手数料が安いことのほかに、運用として「ライバルの平均を持って、じっとしていることの有利」がある。なので、妙に意欲的なルールを作らない方がいいことを申し添えておく(例えば、自己資本利益率〈ROE〉を銘柄採用基準に加えたJPX日経インデックス400は失敗作だった)。 インデックス自体もインデックスファンドも、早く作って長く維持したものの方がビジネス上有利なはずだ。運用会社各社の商品企画担当者に大いに期待したい。 繰り返す。一流企業の選定は東証の仕事ではない』、「インデックス自体もインデックスファンドも、早く作って長く維持したものの方がビジネス上有利なはずだ。運用会社各社の商品企画担当者に大いに期待したい」、同感である。

第三に、4月7日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの磯山 友幸氏による「日本の市場は世界から見向きもされなくなる…SMBC日興証券の相場操縦事件が物語る"証券界の悪しき体質" 市場の信頼を守るより、「目の前の客」を最優先してしまう」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/56357
・『「ブロックオファー」自体は違法ではない  証券大手のSMBC日興証券幹部らによる相場操縦事件は、ついに副社長の逮捕に発展し、会社ぐるみでの不正取引が行われていた疑いが強まった。特定の銘柄の株価下落を防ぐために大量の株式を買い付けていたことが金融商品取引法違反の相場操縦に当たるとされた。 すでに副社長が統括するエクイティ本部の前本部長ら幹部が逮捕されており、法人としてのSMBC日興証券と幹部5人が相場操縦の罪で起訴された。副社長は特捜部の調べに対して「取り引きの報告は受けていたが、違法という認識はなかった」と説明していたという。 今回、問題とされたのは、「ブロックオファー」と呼ばれる株取引に関連した株の売買。「ブロックオファー」は、証券会社が、大株主から特定の銘柄の株を大量に買い取ったうえで、取引所の時間外で、市場価格より低い価格で個人投資家に売却する取り引きで、これ自体は違法ではない通常の取引だ。 大株主が大量の株を売却したい場合、市場で売却すれば株価の大幅な下落を招くことになる。「ブロックオファー」を使えば、大株主は値崩れさせることなく一気に保有株を売却できる。一方、証券会社から勧められて株式を買う個人投資家の側も、市場価格よりも安く株式を購入できるメリットがある。もちろん、証券会社にとっては大量の株式の転売によって利益を得ることができる』、3月27日付け日経新聞によれば、「銀行と証券会社の情報共有に制約を課す「ファイアウオール規制」の緩和が進み、複数の機能を束ねて金融サービスの高度化をめざす流れは強まる一方だ。営業現場では日常的に顧客や案件を紹介しあっており、SMBC日興では売上高にあたる純営業収益の約3割が銀行との連携によるものだという。三井住友FGでは銀行と証券、信託が手掛けていた富裕層ビジネスをグループで一体化し、SMBC日興が主導する形にした。ネットを通じて銀行と証券の口座を同時に開設できるサービスも検討するなど連携を深めてきた。三井住友銀行で法人営業に携わる行員は「今回の不正で表だって証券と連携しにくくなっている」と明かす」、銀行・証券の「「ファイアウオール規制」の緩和」を受けたもののようだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB261FL0W2A320C2000000/
・『証券会社による買い支えが「相場操縦」に当たるとされた  証券会社の買い取り価格は、設定した基準日の終値をもとに決める。個人投資家などに情報を伝えた結果、株が売られたり、値下がりを見越した「空売り」が入ると、株価が大きく値下がりすることになりかねない。そうなると大株主が売却自体を取りやめる可能性もある。 今回問題になった取引は、投資家からの空売り注文が相次いだため、SMBC日興証券が株価を維持しようと、証券会社の自己資金を使って大量の株を買い付けていたとされている。この買い支えが「相場操縦」に当たるというわけだ。SMBC日興証券の近藤雄一郎社長も記者会見で、ブロックオファーの価格が決まる時間帯に自社で買い付けを行っていたことを認め、「市場の公平性と公正性に疑問を生じさせる行為であることは明らか」と謝罪した。 なぜ、こんな事件が起きるのだろうか。ひとことで言えば、日本の証券会社が引きずる昔ながらの「体質」がある』、「ブロックオファーの価格が決まる時間帯に自社で買い付けを行っていたことを認め、「市場の公平性と公正性に疑問を生じさせる行為であることは明らか」と謝罪」、確かに悪どいやり方だ。
・『「市場の信頼」を守ることが最も大事  体質とはどういうことか。「目の前の客」の利益を第一に優先させてしまうのである。一見、当然のことのように思えるが、本来、証券会社の最大の役割は、潜在的な顧客である投資家全体の利益を考えること。「目の前の客」に利益を与えようとすれば、目に見えない市場全体の投資家の利益を損なうことになりかねない。相場操縦はその株式の売買を行う「目の前の客」の利益を優先させることに他ならない。 株価は市場での需要と供給の結果生まれる「正しい株価」でなければならず、そうした正しい株価形成によって証券市場の「公正性」が保たれる。だからこそ、世界の投資家がその市場を信じて株式の売買をするわけだ。株価を証券会社がコントロールしたとすれば、その公正性が崩れ、市場の信任が失われてしまう。 おそらく逮捕された銀行出身の副社長は、「目の前の客」、この場合は株式売却を望んでいる大株主のために「買い支え」て、株価を維持することが問題だとは思わなかったのだろう。「顧客第一」で何が悪いのだ、と逮捕された今も感じているかもしれない。だが、証券市場に携わる者にとって最も大事にしなければいけないのは「市場の信頼」をどう守るか。それを裏切る相場操縦という行為は粉飾決算同様、重大な犯罪なのだ』、「正しい株価形成によって証券市場の「公正性」が保たれる。だからこそ、世界の投資家がその市場を信じて株式の売買をするわけだ。株価を証券会社がコントロールしたとすれば、その公正性が崩れ、市場の信任が失われてしまう。 おそらく逮捕された銀行出身の副社長は、「目の前の客」、この場合は株式売却を望んでいる大株主のために「買い支え」て、株価を維持することが問題だとは思わなかったのだろう。「顧客第一」で何が悪いのだ、と逮捕された今も感じているかもしれない」、「副社長」は「銀行出身」とはいえ、「「ファイアウオール規制」の緩和」要求時に銀行側はいやというほど勉強した筈だ。
・『1991年の「損失補てん」で証券会社の信用は地に落ちた  1991年、大手証券会社が特定の顧客に「損失補てん」していたことが明らかになり証券界を揺るがす大事件に発展した。バブルの崩壊で株価が大きく下落し、企業などの特定の客から預かった運用資金が大きく目減りする中で、その損失を補てんしていた。最も金額が大きかった鉄鋼商社の場合、123億円もの補てんを受けていた。 証券会社からすれば、膨大な運用資金を任せてくれている大口の顧客の利益を第一に考えることは当然だと思っていたのだろう。だが、一部の客にだけ損失補てんしていたことが明らかになって、証券会社の信用は地に落ちた。大手だった山一証券が経営破綻していく伏線にもなった事件だ。この事件も「目の前の客」を優先する証券界の体質が表れたものだった。 今回の事件で驚かされたのは、「大株主がブロックオファーで売却を希望する株価の目安が、大株主を担当する部署から株を売買する別の部署に伝えられていた疑いもある」と報じられていることだ。証券会社は株式の売買だけでなく、新規発行やM&Aなど様々な業務を行っている。このため、部署によって利益相反が起きることになる。当然、それを防ぐために部署の間に「ファイアーウォール」つまり「情報隔壁」を設けるのは証券会社としてイロハのイだ』、確かに「証券会社」は、「銀行」との間だけでなく、自分自身の中にも「ファイアーウォール」を設けなければならない。
・『東証も「目の前の客」に配慮している  M&Aを行う企業の情報が株式売買部門に公表前に流れ、その情報を使って売買すれば、典型的なインサイダー取引である。インサイダー取引規制が導入される前の1980年代前半には、そんな情報を、「早耳情報」として仕入れて株式の売買を行うことが当たり前に行われていたし、顧客も証券マンにそんな「早耳情報」の提供を求め、「確実に儲かる銘柄」を知りたいと思ったものだ。だが、「金融ビッグバン」と言われた2000年前後のグローバル・ルールへの規制の統一を機に、そうした伝統的な仕組みは姿を消したはずだった。それがまだ残っていたとしたら、SMBC日興証券の信用は地に落ちることになるだろう。 東京証券取引所はこの4月から市場改革を行い、「東証1部」「東証2部」「東証マザーズ」などの市場区分が刷新され、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」がスタートした。これまで2185社もあった「東証1部」の位置づけが曖昧になったとして、「グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場」として「プライム市場」を設けた。つまり、世界の投資家が売買対象にするような選りすぐりの銘柄を「プライム」と位置付けようとしたのだ。 ところがである。その2185社の1部上場企業のうち、何と85%に当たる1841社が「プライム」に横滑りしたのである。これも東証が「目の前の客」に配慮した結果と見ることができる』、「「金融ビッグバン」と言われた2000年前後のグローバル・ルールへの規制の統一を機に、そうした伝統的な仕組みは姿を消したはずだった。それがまだ残っていたとしたら、SMBC日興証券の信用は地に落ちることになるだろう」、その通りだ。
・『取引所までもが「証券界の古い体質」を引きずっている  本来、証券取引所の最も重要な顧客は株式などを売買する「投資家」である。市場改革も投資家にとって使い勝手の良いものにできるかどうかが焦点だった。ところが、東証は株式を上場させて毎年費用を払ってくれる上場企業の利益を優先したのだ。「目の前の客」である。 投資信託や年金基金などの機関投資家は、これまで「東証1部」の銘柄を投資対象とし、「東証2部」に陥落すれば投資しない姿勢を取っていた。つまり、「プライム市場」から外れれば、機関投資家の投資対象から外れてしまうのではないか、という危機感が上場企業側にあった。グローバルな投資家を相手にできる力があるかどうかよりも、投資対象から外れて株価が下がることを恐れたのである。ほとんどの企業がこぞってプライムへの移行を希望した。この声を東証は無視できなかったということだろう。 結局は東証1部の看板を掛け替えただけに終わったわけだ。本来の最も重要な顧客である世界の「投資家」の期待を集めることはできていない。日本の市場の中核である取引所も証券界の古い体質を引きずっているということなのだろう。SMBC日興証券の事件にせよ、東証改革にせよ、これでは日本の証券市場が世界から見向きされなくなっていくことになりかねない』、「SMBC日興証券の事件にせよ、東証改革にせよ、これでは日本の証券市場が世界から見向きされなくなっていくことになりかねない」、同感である。
タグ:資本市場 (その8)(意味あった?東証市場改革「完全骨抜き」の全内幕 1部上場の84%が横滑り 海外マネー流出の危機、東証の市場再編 不評でも「案外よくやった」と山崎元が考える理由、日本の市場は世界から見向きもされなくなる…SMBC日興証券の相場操縦事件が物語る"証券界の悪しき体質" 市場の信頼を守るより 「目の前の客」を最優先してしまう) 東洋経済オンライン「意味あった?東証市場改革「完全骨抜き」の全内幕 1部上場の84%が横滑り、海外マネー流出の危機」 「改革議論の出発点にあったのは、上場をゴールとせず、持続的な企業価値向上にむけてどう動機付けを図り、その一環として最上位市場の構成企業をどう厳選していくか、ということだった」、それとは大きくかけ離れたものになった。 「中でも圧力が「強烈だったのは当時官房長官だった菅(義偉)さんであり、経済産業省出身の官邸官僚たちだった」、やはり官邸の圧力は強力だったようだ。 「政府や金融庁に状況を逐一報告することをしないまま、株式売買を終日停止することを早々と決めてしまった」、信じられないような不手際だ。 「東証」の不手際の当然の「代償」だ。 「上場廃止銘柄を売買できる市場の創設だ。中間区分のスタンダード市場で、上場廃止になった銘柄の取引を主に想定・・・基準抵触で上場廃止となった際の影響を抑えるため、その受け皿となる市場を設け、株主や投資家を支援するのが狙い」、しかし、「セーフティネットが上場企業の甘えを生む恐れも」、最終的にどうなるのだろうか。 「親子上場」問題は根が深い問題で、「東証改革が骨抜きになったことへの批判をかわす狙い」程度では真剣に取り組む気ははなからないのではなかろうか。 ダイヤモンド・オンライン 山崎 元氏による「東証の市場再編、不評でも「案外よくやった」と山崎元が考える理由」 山崎氏らしい見方だ。 「率直に言って、投資家の目で見て「魅力が増した」と言える要素はほとんどない」、「だが、冷静に考えてみると、われわれは東証に多くを求めすぎているのではないだろうか」、どういうことなのだろう。 「超プライム市場」への「期待」は「幼稚な空論」なのだろうか。 「今回設定された「プライム市場」の上場基準は緩いものであるしかなかったし、それで案外適切なのだ」、なるほど。 、確かに「スタンダード市場の時価総額上位銘柄」は、余力の大きさを示しているようだ。 「上場企業の扱いや影響の大きな株価指数などは、関係者の大きな利害が絡む問題であって、思いつきで大きな変更を行うべき問題ではない」、その通りだ。 「日本株に魅力がないのは東証ではなく日本の上場企業のせい」、同感である。 「運用のためのインデックスを運用会社が作れ」、との提案はなかなかよさそうだ。「一流会社の評価が必要なら、取引所ではない民間企業が「勝手に」評価を提供するビジネスを行えばいい」、同感である。 「インデックス自体もインデックスファンドも、早く作って長く維持したものの方がビジネス上有利なはずだ。運用会社各社の商品企画担当者に大いに期待したい」、同感である。 PRESIDENT ONLINE 磯山 友幸氏による「日本の市場は世界から見向きもされなくなる…SMBC日興証券の相場操縦事件が物語る"証券界の悪しき体質" 市場の信頼を守るより、「目の前の客」を最優先してしまう」 3月27日付け日経新聞によれば、「銀行と証券会社の情報共有に制約を課す「ファイアウオール規制」の緩和が進み、複数の機能を束ねて金融サービスの高度化をめざす流れは強まる一方だ。営業現場では日常的に顧客や案件を紹介しあっており、SMBC日興では売上高にあたる純営業収益の約3割が銀行との連携によるものだという。三井住友FGでは銀行と証券、信託が手掛けていた富裕層ビジネスをグループで一体化し、SMBC日興が主導する形にした。ネットを通じて銀行と証券の口座を同時に開設できるサービスも検討するなど連携を深めてきた。三 「ブロックオファーの価格が決まる時間帯に自社で買い付けを行っていたことを認め、「市場の公平性と公正性に疑問を生じさせる行為であることは明らか」と謝罪」、確かに悪どいやり方だ。 「正しい株価形成によって証券市場の「公正性」が保たれる。だからこそ、世界の投資家がその市場を信じて株式の売買をするわけだ。株価を証券会社がコントロールしたとすれば、その公正性が崩れ、市場の信任が失われてしまう。 おそらく逮捕された銀行出身の副社長は、「目の前の客」、この場合は株式売却を望んでいる大株主のために「買い支え」て、株価を維持することが問題だとは思わなかったのだろう。「顧客第一」で何が悪いのだ、と逮捕された今も感じているかもしれない」、「副社長」は「銀行出身」とはいえ、「「ファイアウオール規制」の 確かに「証券会社」は、「銀行」との間だけでなく、自分自身の中にも「ファイアーウォール」を設けなければならない。 「「金融ビッグバン」と言われた2000年前後のグローバル・ルールへの規制の統一を機に、そうした伝統的な仕組みは姿を消したはずだった。それがまだ残っていたとしたら、SMBC日興証券の信用は地に落ちることになるだろう」、その通りだ。 「SMBC日興証券の事件にせよ、東証改革にせよ、これでは日本の証券市場が世界から見向きされなくなっていくことになりかねない」、同感である。
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