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金融関連の詐欺的事件(その12)(テクノシステム2題:小泉元首相が広告塔 小池知事とも親密、SBIが一杯食わされたでは済まされない)、スルガ銀 「アパマン融資」債務者の自宅を競売に 交渉難航で強硬手段へ 狼狽するオーナーたち、「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算 1200物件取得 シェアハウスの意外な投資価値) [金融]

金融関連の詐欺的事件については、昨年2月8日に取上げたままだった。今日は、(その12)(テクノシステム2題:小泉元首相が広告塔 小池知事とも親密、SBIが一杯食わされたでは済まされない)、スルガ銀 「アパマン融資」債務者の自宅を競売に 交渉難航で強硬手段へ 狼狽するオーナーたち、「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算 1200物件取得 シェアハウスの意外な投資価値)である。

先ずは、昨年6月16日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの有森隆氏による「テクノシステム<上>小泉元首相が広告塔 小池知事とも親密」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/290580
・『東京地検特捜部は5月27日、太陽光発電関連会社、テクノシステム(横浜市西区、以下テクノ社)社長の生田尚之容疑者(47)ら3人を詐欺容疑で逮捕した。 昨年3~7月、福島県白河市での太陽光発電事業への融資名目で阿波銀行(徳島市)から約7億5000万円、静岡県富士宮市でのバイオマス発電事業への融資として富士宮信用金庫(富士宮市)から約4億1500万円をだまし取った疑いである。 生田容疑者は1974年、神奈川県横浜市生まれ。日本大学理工学部電気工学科卒業、日本電設工業に入社。2009年、テクノ社を設立し、浄水システム、フード関連システムの開発を行ってきた。福島原発事故後の2012年、民主党政権が再生可能エネルギーを重視する政策を打ち出したことが転機となった。太陽光、バイオマス、小型風力発電などに本格進出。18年11月期、19年同期と160億円を売り上げ、急成長を遂げる。) 横浜みなとみらいにそびえ立つ横浜ランドマークタワー19階に本社を置く。フロアの奥には湾岸エリアが一望できる応接室。投資家たちが座る上座の背後の壁には生田容疑者が有名人と撮った写真がズラリと並ぶ。 無名の太陽光発電会社にすぎなかったテクノ社をどうして多くの投資家や金融機関が信用したのか。応接室に飾られた有名政治家との写真が信用を担保した、と指摘されている。 小泉純一郎元首相と生田尚之社長の記事体広告が昨年8月14日と同9月4日の日本経済新聞に掲載された。 自然エネルギーへの取り組みを熱く語る生田氏に対し、小泉元首相は、〈すごいな、生田君の仕事は夢がある。私は、日本は世界最先端の自然エネルギー大国になれると信じている。自然を我々の生活に生かす。その実現に向けて、ぜひこれからも頑張ってほしい〉(9月4日付)。手放しで持ち上げてみせた。) 小泉氏の長男で、俳優の孝太郎氏がテクノ社のCMに起用された。次男の進次郎環境相が「30年までに日本の総発電量に占める再生可能エネルギーの比率を40%に高める」と宣言したばかりだ。テクノ社にしてみれば小泉家は広告塔にうってつけだった』、「横浜ランドマークタワー19階に本社」、「生田容疑者が有名人と撮った写真がズラリと並ぶ」、さらに「小泉純一郎元首相と生田尚之社長の記事体広告が昨年8月14日と同9月4日の日本経済新聞に掲載」、舞台装置は十二分に整っていたのに、「小泉純一郎元首相」までが役者として登場、ダメ押しだ。
・『小池都知事とも親密  東京・銀座1丁目に「ドンピエール」という老舗のフランス料理店がある。オーナーが他界したため、店は16年、テクノ社に買収された。この店で生田氏は小泉元首相や小池百合子都知事を接待した。 特捜部が乗り出した当初は「小泉元首相の反原発運動潰し」と取り沙汰されたが、生田容疑者が小池知事の関係を吹聴していたうえに、小池氏関連の政治団体に献金していた」(全国紙の社会部記者)ことが露見し、「事件は小池氏に飛び火した」(同)。) 生田容疑者は小泉政権で環境相を務めた小池百合子氏に接近。13年には小池氏の衆議院議員時代の資金管理団体「フォーラム・ユーリカ」に50万円、15年に同氏が代表だった「自由民主党豊島総支部」に150万円個人献金していた。 「週刊文春」(6月10日号)は「11億詐欺逮捕社長は小池百合子のタニマチだった」と報じた。両者の濃密な関係を築いたキーマンがいる。小池氏の“いとこ”を自称する水田昌宏氏だ。小池氏が環境大臣の際には大臣秘書官、その後、公設秘書を務めた。 〈水田氏が「最高顧問」のような立ち位置でテクノ社に出入りし、外注費の名目で毎月50万円支払われていた〉と「週刊文春」は告発した。 朝日新聞出版のオンラインメディア「AERAdot」(5月25日付)でテクノ社の元社員が次のように語っている。 〈太陽光発電システムなどの開発の商談には「必ず、小泉元首相のツーショット写真を使え」と話していました。「ダメなものでも、大物政治家の名前を出せば、ゴリ押しが効くんだ」と〉 麻生太郎財務相や原田義昭元環境相らとの記念写真も顧客を信用させる営業アイテムとして使われていた、という。 金融機関に対する詐欺事件の摘発は“事件”の入り口にすぎない。 本筋は菅義偉首相のブレーンのひとりで地銀再編のキーマンとされている北尾吉孝氏が率いるネット金融大手、SBIホールディングスの子会社SBIソーシャルレンディングの闇に切り込むことだ。=つづく』、「老舗のフランス料理店」を「買収」するなど、ベンチャー企業にあるまじき行為だ。

に、この続きを、6月17日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの有森隆氏による「テクノシステム<下>SBIが一杯食わされたでは済まされない」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/290639
・『インターネット金融大手のSBIホールディングスは、インターネット経由で集めた資金を事業会社へ貸し付けるソーシャルレンディング(SL)事業から撤退する。運営子会社のSBIソーシャルレンディング(東京都港区、以下SBISL)はすべてのファンドを償還し、自主廃業する。 2月5日、貸付先の企業に「重大な懸案事項」があるとして第三者委員会を設置した。これが太陽光関連会社テクノシステム(横浜市、以下テクノ社)の詐欺事件が発覚するきっかけとなった。 4月28日公表した第三者委員会の報告書によると、テクノ社に2017~20年に380億円が貸し出されたが、129億円が太陽光などの事業に使われず、工事に大幅な遅れが発生した。 SBISLでは上場に向け過大な目標が設定され、トップの独断で融資を実行していた。担当者が一人でファンドの組成や審査を担っていた問題が浮き彫りになった。 SBIは21年3月期に不正融資に関連し145億円の損失を計上した。テクノ社に損害賠償を請求する。 SBIはSBISLの織田貴行社長(当時)を解任するなど社内処分を断行した。織田氏はSBIグループの総帥、北尾吉孝社長の野村証券の後輩。ソフトバンクからSBIへと立ち位置を変えてきた北尾氏に付き従う「側近中の側近だった」(SBI関係者)。 織田氏とテクノ社の親密ぶりはよく知られていた。テクノ社はSBI証券を幹事に上場準備に入っていた。 テクノ社社長の生田尚之容疑者とともに詐欺容疑で逮捕された専務の小林広容疑者が上場準備を担当していた。 共に上場を目指していたSBISLの織田氏とテクノ社の小林専務は、くしくも野村証券の先輩・後輩の間柄だった。野村OBはことのほか“同胞意識”が強い。上場の実績づくりのために織田氏は数字を積み上げていった。今年1月時点でSBISLの融資残高の4割がテクノ社の案件という異常事態となっていた。) 部下はもちろん取引先や投資家からもテクノ社の事業を危惧し、注意を喚起する声が織田氏の元に寄せられたが、聞く耳を持たなかったという』、「SBISL」の「融資残高の4割がテクノ社の案件」、「テクノ社はSBI証券を幹事に上場準備に入っていた」、「同社で「上場準備を担当していた」「小林専務」は「野村証券」の「後輩」、ここまで食い込んでいながら不正に気付かなかったというのは、信じ難い。
・『6月中にも法的清算へ  東京地検特捜部は4月、金融機関にうその書類を提出して融資金をだまし取った詐欺の疑いでテクノ社の家宅捜索に入り、5月27日、生田尚之社長らを逮捕した。 金融庁は6月8日、金融商品取引法に基づき、SBISLに1カ月間の業務停止命令を出した。廃業に伴う顧客取引などの処理は業務停止命令から除かれている。あわせて経営管理態勢の再構築など業務改善命令も。 テクノ社は6月中に東京地裁に法的清算の手続きを取る。民事再生法か破産のいずれかだろう。負債総額はおよそ150億円。このうち金融債務が90億円を占めるが、SBIが損害賠償を請求するから実際の負債はもっと膨らむ。) 「デイリー新潮」(6月5日付)は生田容疑者のカジノ狂いの実態をテクノ社の元社員から聞き出している。 〈生田社長は大のカジノ好きで知られていました。ラスベガス・サンズグループのカジノを頻繁に利用し、毎週末のようにマカオや韓国、シンガポールのカジノに出入りしていたことも。VIPルームに陣取り、1回にベットする(賭ける)金額は数千万円にのぼっていました。負ける額も億単位です〉 テクノ社の詐欺事件は金融スキャンダルに発展し、SL業界に壊滅的な打撃をもたらした、といわれている。 SBIの北尾吉孝社長は4月末の会見で「300社以上(のグループ会社)全部を細かく見るわけにはいかない」と述べたが、「顧客のお金を預かる金融機関のトップとしてはあり得ない発言」と金融当局から批判された。) テクノ社はSBI証券を主幹事として上場を準備し、北尾氏の側近中の側近である織田氏が社長を務めるSBISLが主な貸し手だった事実は重い。 「生田尚之容疑者に一杯食わされた」では済まされない深い闇が横たわっているのではないのか。それに気付いているなら、北尾氏は泥をかぶってでも真相を解明すべきである』、SBIはあおぞら銀行へのTOBに成功したが、こんな傷を抱えたままでは、先が思いやられる。「北尾氏」も「テクノ社事件」の経緯を詳しく説明すべきだ。

第三に、本年2月16日付け東洋経済オンライン「スルガ銀、「アパマン融資」債務者の自宅を競売に 交渉難航で強硬手段へ、狼狽するオーナーたち」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/576818
・『アパマンローンで不正の疑いがある案件の債権額は約5200億円。シェアハウス事件の約4倍だ。 スルガ銀行が、再び不正融資問題で揺れている。 今回、問題になっているのは2017年秋に発覚し話題となったシェアハウス事件ではなく、2014年頃から2017年頃にかけて集中的に融資が実行されてきた投資用アパート・マンション融資(アパマンローン)だ。 アパマンローンの投資対象は1棟のアパートやマンション。その8割が築年数20年を超える中古物件で、全国各地に点在していた。 不動産業者がずさんな営業でアパート・マンションに投資をする投資家を募り、無理な融資計画をスルガ銀行に提出、そうした実態を把握しながらスルガ銀行は融資を実行する。その結果、多額の債務を負ったアパマンオーナーが続出した。 神奈川県在住の40代男性は、2016年、知人を介して自宅に来たアパマン販売会社の社長に「家計の見直しを提案したい」と言われ、投資用アパマン物件の紹介を受けた。 「当時、海外留学をした直後で、口座には100万円程度しかないと伝えたのだが、販売会社は『スルガ銀行の融資が決まっているから(問題ない)』と説明してきた。仕事が忙しいと言うと、スルガ銀行の担当者2人と販売会社の人ら計5人が自宅に来て、自宅で契約を結ぶことになった」という。 男性はスルガ銀行から約4億5000万円の融資を受け、東京都と福井県の物件2棟を購入、販売会社と賃料保証のサブリース契約を結んだ。 100万円程度しかなかった男性の預金口座は、融資審査の過程で「7103万円」に書き換えられていた ところが販売会社による賃料保証計画はほどなくして破綻。保証されていたはずの賃料支払いは2018年8月に止まり、男性はスルガ銀行への返済に窮してしまう。 男性は2年後の2020年秋、ADR(裁判外紛争解決手続き)交渉の過程でスルガ銀行に融資書類の開示を請求した。出てきた書類を確認すると、当時の預金残高は「7103万円」に書き換えられていた。男性の物件は2022年1月6日から競売にかけられている。 「そんなに貯金があったら不動産投資なんてしない。悔しい。物件が差し押さえられたことで入居者の方からの問い合わせが続いており、お詫びのしようがない状況だ」(男性)』、「アパマンローンの投資対象は1棟のアパートやマンション。その8割が築年数20年を超える中古物件で、全国各地に点在」、「不動産業者がずさんな営業でアパート・マンションに投資をする投資家を募り、無理な融資計画をスルガ銀行に提出、そうした実態を把握しながらスルガ銀行は融資を実行する。その結果、多額の債務を負ったアパマンオーナーが続出」、「中古物件」が8割」とは初めて知った。
・『不正案件の債権額はシェアハウスの4倍  今回の不正融資問題を巡っては、2021年5月に結成された被害弁護団とスルガ銀行が解決に向けた交渉を重ねてきたが、弁護団が提案した解決スキームにスルガ銀行が難色を示し、協議は難航している。 アパマンローンの被害弁護団は、2021年12月25日、「代物弁済スキーム」をアパマンローンにも適用するようスルガ銀行に提案した。対象となる物件を一斉または分割で入札にかけ、債権回収会社やファンド等に売却し、売却益を債務弁済に充てる。債務の残額についてはスルガ銀行の損害賠償責任として相殺する。事実上の借金帳消しスキームだ。 これは「かぼちゃの馬車」事件をはじめとしたシェアハウス不正融資で金融庁から行政処分を受けたスルガ銀行が、被害者を救済する策として受け入れた弁済スキームと同様のものだ。 だが、スルガ銀行は今年1月28日、「シェアハウスのような集団的処理はできない」と弁護団に回答。「シェアハウスローンとアパマンローンの不正融資は質を異にしているため、同じスキームでの解決策は受け入れられない」とした。) シェアハウスとアパマンローンで「不正の質」はどのように異なるのか。 弁護団がシェアハウスと同様の集団的解決策を提案したのは、シェアハウスローンとアパマンローン不正融資の類似性があるからだ。入居率や家賃明細書(レントロール)を偽造し、物件の収益性を高くみせることで相場より高値で投資家に購入させていた点は同じ。投資家の自己資金を大きく見せるために預金通帳の改ざんまで施していたことも共通している。 スルガ銀行の責任は、そうした不動産業者のやり口を把握しながら時に黙認し、時に歩調を合わせながら融資を実行してきた点にある。 スルガ銀行が2019年5月に公表した投資用不動産融資の全件調査結果によると、アパマンローンにおけるレントロール改ざんや自己資金の水増しなど不正が認められた件数は6927件。改ざん・偽造の不正が認められたり、不正の疑いがあったりする案件の債権額は約5200億円にのぼった。シェアハウスの約4倍だ。 これに対しスルガ銀行は、シェアハウスローンには一般の投資用不動産ローンには見られない「特殊性」があったと主張する。 すなわち、シェアハウスのマーケットは未成熟で相場が形成されておらず、新築物件ゆえに収入予測が困難であるにもかかわらず銀行はリスク分析をせずに融資を実行してきた。不正の手口など個別性を考慮せずとも、すべての事案に当てはまる「定型的な不法行為」が存在した、というロジックだ。 その観点からいえば、「中古アパートやマンションの価格は既に市場で形成されており、シェアハウスに見られた特殊性は存在しない」とスルガ銀行は主張する。 スルガ銀行が融資した事案の中には、年収の10倍を超える債務を負うにもかかわらず現地を一度も見ずに購入している投資家もおり、債務者(投資家)側にも投資判断として過失が認められるケースがある。一部で不正が行われていたことは銀行として認めつつも、それがアパマンローンすべての融資に当てはまるわけではない、というのがスルガ銀行の主な主張だ。 「一括で返済してもらうほかない」 主張がぶつかる中、弁護団は2月4日、東京地裁に調停を申し立てた。弁護団の焦りの背景には2つの懸念がある。1つはスルガ銀行が時効を主張する可能性があること。もう1つは昨年末から今年にかけて「深刻な状況に急発展してきた」(河合弘之弁護団長)からだ。) 河合弁護団とは別の弁護士を通してスルガ銀行とADR交渉をしていた債務者62人がいたが、解決へ向けた条件がスルガ銀行と折り合わず、昨年10月、不調停に終わる。 弁護士が離任したことで宙ぶらりんになった債務者のうち56人は河合弁護団に加わる段取りを始めた。だが、その折、スルガ銀行が62人の保有する物件を順次、12月後半から競売に申し立て始めたのだ。 弁護団は「前の弁護士の手を離れ当弁護団に合流するまでの、わずか2カ月間の間にスルガ銀行は債権回収に動いた。狙い撃ちされた債務者たちは狼狽している」と憤る。 冒頭の神奈川県の40代男性のほか、債務者の中には居住している自宅が競売にかけられた者もいる。この債務者については弁護団の松尾慎祐弁護士が「自宅の住宅ローンについては延滞を解消して約定通り弁済をする、だから競売から外してほしいとスルガ銀行に申し入れた」という。 だが、スルガ銀行の回答は「期限の利益を喪失したものについては一括で返済してもらうほかない」というものだった。この債務者が受けている融資額は約3億6000万円だ。 上場企業であるスルガ銀行の経営陣には、株主利益を毀損してはならないという立場がある。「代物弁済スキーム」の拒否や債務者への債権回収、時効の主張など、打てる手を打たなければ株主から善管注意義務違反を問われかねない。 アパマンローン問題を受けスルガ銀行は2022年3月期、予防的引き当てとして340億円を計上している。ただ、これは昨年立ち上がった弁護団が融資総額805億8417万円の損害賠償請求をしたことによる引当金だ。今回56人が弁護団に加わり融資総額は972億2927万円に膨らんだことで、スルガ銀行は引当額を積み増す可能性がある。 スルガ銀行と弁護団は2月9日、9回目となる交渉を実施したが、解決スキームをめぐる両者の溝は埋まっていない。アパマンローンは他の地方銀行も実行してきた。そのため金融庁は他行への飛び火を気にしており、どこまで介入するかは不透明な状況だ。 金融庁や株主の意向を意識しながら弁護団と対峙するスルガ銀行の経営陣は、難しい判断を迫られている』、「不正案件の債権額はシェアハウスの4倍」もあるのであれば、「スルガ銀行」としては、「「中古アパートやマンションの価格は既に市場で形成されており、シェアハウスに見られた特殊性は存在しない」とスルガ銀行は主張」するのも理解できるが、その上で銀行側の瑕疵をどの程度見込むかがカギになる可能性がある。

第四に、4月10日付け東洋経済オンライン「「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算 1200物件取得、シェアハウスの意外な投資価値」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/580167
・『事件化したシェアハウス物件を大量に取得したローンスター。狙いは。 3月25日、スルガ銀行はシェアハウス関連融資債権の譲渡を発表した。対象は女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」など首都圏のシェアハウス522物件で、譲渡先はアメリカの投資ファンド「ローンスター」だ。 ローンスターは2020年、および2021年にも同様に、スルガ銀行からかぼちゃの馬車を中心とするシェアハウスの債権を譲受している。今回を含めて過去3度の取引でローンスターが取得したシェアハウスは計1213物件、総額1490億円に上る』、「シェアハウス関連融資債権」には銀行側の瑕疵もあるが、これは評価額にどう反映されるのだろう。
・『「投資不適格」の物件をあえて取得  ローンスターはハイリスクハイリターンを追求するファンドで知られる。日本でも2月末、コロナ禍で不振が続いていた「大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ」をベインキャピタルから取得した。2020年には株式非公開化を企図していた不動産会社ユニゾホールディングスに資金支援を行った。 ローンスターがスルガ銀行から取得したシェアハウスは、元をたどればスルガ銀行の債務者が保有していた物件だ。想定した収益を得られずにトラブルとなり、スルガ銀行が事実上の債権放棄と引き換えに取得。スルガ銀行は入札によって売却先を募っていた。 “投資不適格”の烙印を押されたシェアハウスを、なぜローンスターが取得したのか。 「シェアハウスというコンセプトは良かったが、収益物件としては歪められていた」。ローンスター傘下のファンド運用会社、ハドソン・ジャパンの鏑木政俊代表取締役社長は、そう指摘する。) かぼちゃの馬車に代表される、投資用不動産として供給されたシェアハウスが破綻した原因は、シェアハウスのビジネスモデルそのものではなく、無理な賃料設定にあった。 スマートデイズなどシェアハウスの運営会社は、スルガ銀行が物件価格の満額を融資することを逆手に取り、市場価格よりも高値でシェアハウスをオーナーに販売。代わりに周辺相場より高い賃料で一括借り上げを行い、投資家や銀行に対する収支の帳尻を合わせていた。 オーナーに保証した賃料を支払う一方でシェアハウスの入居率は低迷し、運営会社はほどなくして逆ザヤ状態となった。別のシェアハウスの売却益や建築費のキックバックなどでオーナーへの賃料を補填する自転車操業に陥った』、「シェアハウスが破綻した原因は、シェアハウスのビジネスモデルそのものではなく、無理な賃料設定にあった・・・市場価格よりも高値でシェアハウスをオーナーに販売。代わりに周辺相場より高い賃料で一括借り上げを行い、投資家や銀行に対する収支の帳尻を合わせていた。 オーナーに保証した賃料を支払う一方でシェアハウスの入居率は低迷し、運営会社はほどなくして逆ザヤ状態」」、なるほど。
・『当初は「転売」を計画  逆に言えば、賃料設定さえ適正であればシェアハウスは賃貸住宅として投資価値があった。実際、コロナ禍直前の2020年3月にスルガ銀行が入札にかけたシェアハウス約300物件の平均稼働率は約9割だった。このため当初ローンスターは、一括で取得したシェアハウスを個別に転売することを計画していた。 ところが、第2弾の入札が準備されていると知ったローンスターは、出口戦略を変える。 次の入札で追加のシェアハウスを取得できれば、規模の経済を働かせて1つの事業に仕立て上げるほうが、単なる転売よりも付加価値がつくと踏んだ。こうして計3回の入札をすべてを勝ち抜き、計1213物件を取得。このうち更地や未竣工物件を除く1084物件の再生に着手した。 着目したのはシェアハウスの特性だ。賃貸マンションやアパートと比較してシェアハウスは賃料が安く、入居者の約7割は20代で、国籍も7割が日本人だ。「初めて東京を訪れる人が住む家として、シェアハウスは社会インフラとしての機能を担っている」(鏑木社長)。) そのため、ローンスターは取得したシェアハウスについて、上京してくる10代から20代のいわゆる「Z世代」に照準を定め、月3万~7万円と家賃が安い「シェアアパート」として今年3月から売り出した。 平均入居期間が6~18カ月と短期であることから、住まいのベータ版という意味を込めて「トーキョーベータ」のブランドを新たに設定した。 入退去手続きを簡便化するため、スマートロックへの交換や家賃振り込みのデジタル化を進める。自転車や車を持たない入居者を想定して、電動スクーターやシェアバイクも設置する。今後は短期アルバイトの紹介といった付帯サービスも拡充させる』、「ローンスターは取得したシェアハウスについて、上京してくる10代から20代のいわゆる「Z世代」に照準を定め、月3万~7万円と家賃が安い「シェアアパート」として今年3月から売り出した」、なかなか面白い売り方だ。
・『管理コストの削減を徹底  矢継ぎ早にテコ入れを進める背景には、シェアハウスの管理コストの削減が急務だったこともある。 ローンスターが取得したシェアハウスは東京23区の外縁部に散らばり、管理会社も旧オーナーがバラバラに委託していた。そのため、委託先の管理会社は計199社に及び、委託費用がかさんでいた。そもそも、シェアハウスはキッチンやトイレといった共用部の清掃も必要で、通常の賃貸住宅よりも管理に手間がかかる。 そこでローンスターと取引実績のあった不動産管理会社「三好不動産」を筆頭に、管理委託先を3社に集約した。) 三好不動産の笠清太取締役は、「1000棟超のシェアハウスをローンスターのファンドが単独で保有していることは、管理会社にとっては魅力的だ。作業手順や備品の交換頻度、使う部材などを統一できる」と話す。 最も手間のかかる巡回清掃は、特定の清掃業者に一括で発注することで価格交渉力を働かせる』、「シェアハウスはキッチンやトイレといった共用部の清掃も必要で、通常の賃貸住宅よりも管理に手間がかかる」、「ローンスターが取得したシェアハウスは東京23区の外縁部に散らばり、管理会社も旧オーナーがバラバラに委託していた。そのため、委託先の管理会社は計199社に及び、委託費用がかさんでいた」、「ローンスターと取引実績のあった不動産管理会社「三好不動産」を筆頭に、管理委託先を3社に集約」、確かに集約化は合理的な方法だ。
・『2024年以降の事業売却を企図  コロナ禍で外国人需要が落ち込み、2020年秋にはシェアハウスの稼働率が一時6割強まで落ち込んだ。現在は7割程度の稼働だが、管理効率化が奏功し現状でも損益分岐点を超えているという。 「10棟ではスケールメリットが働かなかっただろう。1000棟規模だから成立した。稼働率もコロナ禍の約6割がボトムラインで、これ以上は下がらないという確信を持てた」(鏑木社長)。 2022年はポータルサイトの普及やサービス内容の拡充に努め、当面は国内の若年層を中心に集客を進める。2023年は外国人留学生や実習生の回帰を見込み、稼働率がコロナ禍前と同水準の9割前後に戻した段階で、トーキョーベータのシェアアパート事業として2024年以降の売却を企図する。 シェアハウスという新たな居住文化を若年層に訴求し、収益物件として安定稼働をさせる――。ローンスターが描く成長軌道は、かぼちゃの馬車などのシェアハウス運営会社がうたっていた宣伝文句と重なる。 ひとつ異なるのは、シェアハウスの収益構成だ。従前の運営会社は賃料を格安に抑えつつ、職業斡旋や新商品のサンプリングといった付帯サービスの手数料による収益の補填を目論んでいた。一方ローンスターは入居者からの賃料を収益源に据え、付帯サービスはあくまで入居促進策にとどめる。 一度は打ち捨てられた「かぼちゃ」に再び収穫の時期が訪れるか。不正融資騒動で悪化したシェアハウスのイメージを払拭しつつ、付帯サービスというごまかしが効かない点でほかの賃貸住宅との差別化が図れるかが、正面から問われることになる』、「ローンスターが描く成長軌道は、かぼちゃの馬車などのシェアハウス運営会社がうたっていた宣伝文句と重なる。 ひとつ異なるのは、シェアハウスの収益構成だ。従前の運営会社は賃料を格安に抑えつつ、職業斡旋や新商品のサンプリングといった付帯サービスの手数料による収益の補填を目論んでいた。一方ローンスターは入居者からの賃料を収益源に据え、付帯サービスはあくまで入居促進策にとどめる」、「ローンスター」の成長戦略は軌道に乗るのだろうか、注目したい。
タグ:金融関連の詐欺的事件 (その12)(テクノシステム2題:小泉元首相が広告塔 小池知事とも親密、SBIが一杯食わされたでは済まされない)、スルガ銀 「アパマン融資」債務者の自宅を競売に 交渉難航で強硬手段へ 狼狽するオーナーたち、「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算 1200物件取得 シェアハウスの意外な投資価値) 「シェアハウス関連融資債権」には銀行側の瑕疵もあるが、これは評価額にどう反映されるのだろう。 東洋経済オンライン「「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算 1200物件取得、シェアハウスの意外な投資価値」 「不正案件の債権額はシェアハウスの4倍」もあるのであれば、「スルガ銀行」としては、「「中古アパートやマンションの価格は既に市場で形成されており、シェアハウスに見られた特殊性は存在しない」とスルガ銀行は主張」するのも理解できるが、その上で銀行側の瑕疵をどの程度見込むかがカギになる可能性がある。 「シェアハウスはキッチンやトイレといった共用部の清掃も必要で、通常の賃貸住宅よりも管理に手間がかかる」、「ローンスターが取得したシェアハウスは東京23区の外縁部に散らばり、管理会社も旧オーナーがバラバラに委託していた。そのため、委託先の管理会社は計199社に及び、委託費用がかさんでいた」、「ローンスターと取引実績のあった不動産管理会社「三好不動産」を筆頭に、管理委託先を3社に集約」、確かに集約化は合理的な方法だ。 「ローンスターは取得したシェアハウスについて、上京してくる10代から20代のいわゆる「Z世代」に照準を定め、月3万~7万円と家賃が安い「シェアアパート」として今年3月から売り出した」、なかなか面白い売り方だ。 「シェアハウスが破綻した原因は、シェアハウスのビジネスモデルそのものではなく、無理な賃料設定にあった・・・市場価格よりも高値でシェアハウスをオーナーに販売。代わりに周辺相場より高い賃料で一括借り上げを行い、投資家や銀行に対する収支の帳尻を合わせていた。 オーナーに保証した賃料を支払う一方でシェアハウスの入居率は低迷し、運営会社はほどなくして逆ザヤ状態」」、なるほど。 「ローンスターが描く成長軌道は、かぼちゃの馬車などのシェアハウス運営会社がうたっていた宣伝文句と重なる。 ひとつ異なるのは、シェアハウスの収益構成だ。従前の運営会社は賃料を格安に抑えつつ、職業斡旋や新商品のサンプリングといった付帯サービスの手数料による収益の補填を目論んでいた。一方ローンスターは入居者からの賃料を収益源に据え、付帯サービスはあくまで入居促進策にとどめる」、「ローンスター」の成長戦略は軌道に乗るのだろうか、注目したい。 有森隆氏による「テクノシステム<下>SBIが一杯食わされたでは済まされない」 「老舗のフランス料理店」を「買収」するなど、ベンチャー企業にあるまじき行為だ。 「横浜ランドマークタワー19階に本社」、「生田容疑者が有名人と撮った写真がズラリと並ぶ」、さらに「小泉純一郎元首相と生田尚之社長の記事体広告が昨年8月14日と同9月4日の日本経済新聞に掲載」、舞台装置は十二分に整っていたのに、「小泉純一郎元首相」までが役者として登場、ダメ押しだ。 有森隆氏による「テクノシステム<上>小泉元首相が広告塔 小池知事とも親密」 日刊ゲンダイ 「アパマンローンの投資対象は1棟のアパートやマンション。その8割が築年数20年を超える中古物件で、全国各地に点在」、「不動産業者がずさんな営業でアパート・マンションに投資をする投資家を募り、無理な融資計画をスルガ銀行に提出、そうした実態を把握しながらスルガ銀行は融資を実行する。その結果、多額の債務を負ったアパマンオーナーが続出」、「中古物件」が8割」とは初めて知った。 東洋経済オンライン「スルガ銀、「アパマン融資」債務者の自宅を競売に 交渉難航で強硬手段へ、狼狽するオーナーたち」 SBIはあおぞら銀行へのTOBに成功したが、こんな傷を抱えたままでは、先が思いやられる。「北尾氏」も「テクノ社事件」の経緯を詳しく説明すべきだ。 「SBISL」の「融資残高の4割がテクノ社の案件」、「テクノ社はSBI証券を幹事に上場準備に入っていた」、「同社で「上場準備を担当していた」「小林専務」は「野村証券」の「後輩」、ここまで食い込んでいながら不正に気付かなかったというのは、信じ難い。
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