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女性活躍(その23)(性をタブー視する日本で広がる「生理の貧困」 LiLiCoが考える 自分の体について知ることの重要性、困窮女性へのコロナ給付阻む「世帯主の壁」の正体 「家制度」の残り香 必要な支援が届かない、新人女性記者が大物議員に「忖度なし質問」したら 「周囲からすっかり浮いてしまった」理由) [社会]

女性活躍については、本年1月29日に取上げた。今日は、(その23)(性をタブー視する日本で広がる「生理の貧困」 LiLiCoが考える 自分の体について知ることの重要性、困窮女性へのコロナ給付阻む「世帯主の壁」の正体 「家制度」の残り香 必要な支援が届かない、新人女性記者が大物議員に「忖度なし質問」したら 「周囲からすっかり浮いてしまった」理由)である。

先ずは、2月17日付けHUFFPOST「性をタブー視する日本で広がる「生理の貧困」。LiLiCoが考える、自分の体について知ることの重要性」を紹介しよう。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_61fcc460e4b09170e9cea3c1
・『生理用品のキャンペーン「#NoBagForMeプロジェクト」やがん検診普及啓発イベントなど、女性の体にまつわる仕事に縁の深いLiLiCoさん。メディアでも、生理や性について多く発言してきました。 世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、LiLiCoさんがホンネで語り尽くす本連載。今回のテーマは、「自分の体を知る」です。8歳から性教育が行われる国・スウェーデンで生まれ育ったLiLiCoさんが、自分の体について知識を深める重要性について語ります』、興味深そうだ。
・『世の中で「生理」の扱いが変わった  この数年で、生理に関する社会の意識はずいぶん変わりました。ニュースの見出しで「生理」という言葉をよく見るようになったし、地上波のテレビ番組で深夜枠に生理の特番が組まれたこともあります。 ショッキングだったのは、「生理の貧困」のニュースです。経済的な理由や家庭環境などによって、生理用品を手に入れられない人がいる問題です。 生理があると、生理用品だけでもお金がかかりますよね。私はお金のない時代でも生理用品を優先的に買っていましたが、頻繁にナプキンを取り替えることはできませんでした。また、少ない日用の薄いナプキンまで買う余裕がなかったので、生理の後半はトイレットペーパーや布、綿などで代用していました。 経済的な理由以外に、父子家庭で父親に「買って」と言えなかったり、ネグレクトによって生理用品を与えてもらえなかったりする子どもたちもいるそうです。 メディアには生理の貧困が重要な社会課題であることをもっと報じてほしいし、都立学校や一部の自治体のように、学校などの公的施設で配布する制度にした方がいいと強く感じています』、「生理の貧困」は確かに深刻な問題のようだ。
・『女性スタッフが目の前で流産するなんて……  生理の貧困が見て見ぬふりをされてきたのは、日本では長らく「性」がタブー視されてきたからでしょう。生理に対する世の中の目が変わった一方で、生理を含む性について知りたがらない、語りたがらない傾向はまだまだあります。 例えば、コロナ禍で中高生からの妊娠相談が増えたというニュースがありました。先日、産婦人科の先生の話で驚いたのは、その多くはセックスをしていない子どもたちからの相談だったということ。性交渉をしていないのに妊娠を疑う子どもたちがいるほど、日本は性教育が行き届いていないのです。 その人の一生を左右し得る妊娠について、仕組みも知らなければ、正しく自覚もできないというのは、おそろしいこと。 性教育を含め、体についての知識は、性別を問わず人生の早い段階でしつこいぐらいに教えた方がいいのではないでしょうか。私たちは自分の体でしか生きられないし、自分の選択に責任を持たなければならない。体への知識は、他人への思いやりにもつながります。 女性である私だって、女性の体について知らないことがたくさんある――。それを思い知らされる出来事は、この連載の取材中にも起きました。 撮影、取材が終わり、その場の全員が帰ろうと立ち上がったら、ある女性スタッフが座っていた真っ白いソファに、明らかに生理ではない量の血が……。 彼女は、私の目の前で流産してしまったんです。 とっさに持っていた生理用品と生理用ショーツと衣装のスカートを渡しましたが、こんな場面に立ち会ったのは生涯で初めて。「流産」という言葉はもちろん知っていますが、こんなことが起きうるのだとショックを受けました』、「ある女性スタッフが」「私の目の前で流産してしまった」、妊娠何カ月目だったのかなど詳細は不明だが、信じられないような出来事だ。
・『「生理はあって当たり前」のスウェーデン  私に初潮が来たのは13歳ぐらい。保健室に行った記憶があるから、学校のトイレで気づいたんじゃないかな。 経血を初めて見たときは「これが!?」とびっくり! でも、生理が来ている周囲の女の子たちがうらやましかったから、やっとデビューできたような喜びがありました。 私の出身国であるスウェーデンは、8歳から男女ともに性教育を受ける国。生理のことは女子だけ、精通のことは男子だけ、ということはありません。 水泳の時間に見学している女子を見ると、男子が「アイツ生理じゃね?」と言うこともありました。ただ、クラスメイトが「そうだよ、生理だよ~」とサラッと対応するカッコイイ子たちだったので、生理は当然あるものとしてクラス全体に受け止められていました。 一度、体育の時間に黄色いユニフォームに血がついてしまった女子がいましたが、彼女をいじる子もいませんでした。当時のスウェーデンでは、ブラジャーは胸が大きい人が使う物で、中高生でブラジャーをつける子なんてほぼいなかった それより大騒ぎになったのは、学校の廊下にブラジャーが落ちていたとき! なぜなら、からです。 だから、私の初めてのブラジャー体験は、18歳で日本に来てから。おばあちゃんに「葛飾のおじさんたちがみんなあなたのおっぱいを見ているから、ブラジャーをしなさい」と言われて、イトーヨーカドーでワゴンセールになっていた500円のブラジャーをサイズもわからず買ったんです。 私はそこで自分がジロジロ見られるのは胸のせいなのか、と思ったのを覚えています。そもそもハーフだから珍しいものを見るような視線を送られるのには慣れていたからね』、「私の初めてのブラジャー体験は、18歳で日本に来てから。おばあちゃんに・・・ブラジャーをしなさい」と言われて、イトーヨーカドーでワゴンセールになっていた500円のブラジャーをサイズもわからず買ったんです」、「ブラジャー」では意外に奥手だったようだ。
・『自分の体の声を聞こう  日本は、がん検診の受診率がとても低いですよね。とくに女性特有のがんの検診率は低くて、乳がん検診も子宮頸がん検診も受診率は4~5割で、なかなか上がりません。がんは早期発見が大事で、がんにかかってしまったら、検診よりずっと怖く痛い思いをしなければならないはずなのに。 例えば、子宮頸がんになって子宮を摘出したらどうなるか。 結婚して1週間後に子宮頸がんが発覚した女性は、子宮や卵巣の摘出手術を受けて子どもが産めなくなり、子どもを虐待する人のニュースが流れるたびに「私にください、私が面倒みるから」と号泣してしまう、と話していました。 彼女はセックスをしても感じない、尿意がわからなくなって2時間に1度はトイレに行かねばならないといった後遺症にも苦しめられているそうです。 検診を受けるかどうかを選択する自由はあっていいと思います。ただ、それを選択しなかったときにどうなるかという知識は、もっともっと知られるべきではないでしょうか。 自分の体について見て見ぬふりをするのはいいことではありません。 何年か前、胸に叫び出すほどの激痛が走り、「乳がん!?」と驚いてかかりつけ医に電話をしたら、「痛みを感じたなら大丈夫。がんは痛くない時もあるから検診が必要なんです」と一言。 痛みは、ストレスからきた肋間神経痛でした。先生に「ストレスが溜まっているって体が合図をしているから気をつけて」と言われました。 体を知ることは、自分を知ること。 私は毎朝必ず全裸で体重計に乗ったあと、全身鏡で顔色や肌の調子、体のフォルムをチェックします。便も必ず観察してから流します。こうしていると、気候や生活習慣、心の状態が、いかに体に影響しているかがわかるんです。 コロナ禍で健康に気を配ったり、生活を見直したりした人が増えたと聞きます。この機会に、まずは自分の体に興味を持ってみませんか? 自分の体に対する想像力は他者への想像力にもなるはずです』、「まずは自分の体に興味を持ってみませんか?」、なかなかいいことだ。

次に、4月11日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリスト・和光大学名誉教授の竹信 三恵子氏による「困窮女性へのコロナ給付阻む「世帯主の壁」の正体 「家制度」の残り香、必要な支援が届かない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/580365
・『コロナ禍は「女性不況」と呼ばれるほど女性に深刻な影響を与えています。女性の非正規労働者はコロナの感染拡大前より減少。路上に出たり炊き出しの列に並んだりする女性もなお目立ちます。 ところが、女性の失業率は男性を下回り続けるなど打撃の大きさは表面化しておらず、「沈黙の雇用危機」の様相を示しています。いったいどういうことなのか。 貧困や非正規雇用の問題を報じてきたジャーナリストの竹信三恵子さんは、「働く女性の訴えを抑え込んでいく『社会の装置』がある」と言います。その「装置」の実態について、竹信さんが女性の働く現場からさぐっていきます。 コロナ禍では、非正規を中心に大量の女性の雇用喪失が起きた。生活支援のため、政府が一律1人10万円の支給を決めた「特別定額給付金」や、18歳以下の子どもたちに対する所得制限付きの「子ども給付金(子育て世帯への臨時特別給付)」は、そうした女性や母子世帯にとっての命綱になるはずだった。 だがそれらは、助けが必要な人々に必ずしも届かず、女性たちの雇用危機をより深めた。背景にあったのが、「世帯主の壁」という装置だ』、どういうことなのだろう。
・『特別定額給付金の支給までに約1年9カ月  今年1月、鈴木明奈(仮名、30代)は胸をなでおろしていた。別居中の夫の口座に振り込まれていた特別定額給付金のうち、鈴木と子どもの分の20万円を2人に支払うよう命じた熊本地裁の判決が、ようやく確定したからだ。「迅速な支給」をうたったこの給付金が始まってから、約1年9カ月がたっていた。 鈴木はコロナの感染拡大が始まった2020年1月、「里帰り」中の親戚の家で、初めての子どもを出産した。出産までの別居期間中、自分や子どもへの夫の対応に不信感が強まり、話し合いの末、2020年4月に離婚することでほぼ合意が成立した。その月、政府による特別定額給付金の支給が閣議決定された。 特別定額給付金は、コロナの感染拡大による経済的影響への緊急経済対策の1つで、基準日(2020年4月27日)に住民基本台帳に記録されている全員に、1人10万円を支給する制度だ。「簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行う」を目的に、「受給権者」とされた住民票上の世帯主に、家族分をまとめて支給する仕組みだ。 離婚がはっきりしなかったこともあり、鈴木は住民票を移しておらず、「受給権者」は世帯主の夫となった。 DV被害で夫から逃げている女性については「世帯主」でなくても申請・受給できる特例ができたが、鈴木は「DV被害者でなく、世帯主でもない」として役所に対応してもらえなかった。) 2020年5月ごろ、夫は子どもの分を含む3人分の給付金を自治体に申請し、30万円が夫の口座に振り込まれた。 鈴木は産休が明けて育休に入り、生活は苦しくなっていた。正規雇用だったため、出産手当金とその後の育児休業給付金はすんなり受け取れたが、2つとも額は産休前の賃金の3分の2程度、育休給付金は開始から半年を過ぎる秋には5割に減る。夫からの養育費や生活費支援もなかった。 離婚後の子育てを考え、夜勤があった前の職場を退職して求職に奔走した。だが、コロナ禍で仕事は容易に見つからなかった。生活費に加え、退職後に加入した国民健康保険の子どもの保険料や前年の住民税の負担も大きく、預貯金を取り崩して暮らす日々が続いた。だが、夫は鈴木の給付金要求を断った。 鈴木は簡易裁判所に持ち込み、2021年4月に勝訴したが、夫は熊本地裁に控訴した。12月、鈴木はこれにも勝訴し。2022年1月、その判決が確定した』、「夫は鈴木の給付金要求を断った」、「鈴木」氏や「子ども」の分まで自分のものにしようとは、酷い話だ。
・『混乱招いた「受給権者は世帯主」  「離婚が決まる前の不透明な時期だからこそ、経済支援は必要だった」と鈴木は振り返る。にもかかわらず、「世帯主を通じた迅速な支給」がここまで長引いた背景には「受給権者は世帯主」の言葉のあいまいさがある。 一般に、「受給権者」は「年金給付又は一時金給付を受ける権利を有する者」(りそな銀行「年金用語集」)とされる。単なる申請・受給のまとめ役ではなく、受け取る権利がある人と解釈できる用語だ。 また、厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」では、世帯主は「年齢や所得にかかわらず、世帯の中心となって物事をとりはかる者として世帯側から報告された者」と定義されている。「男性」との明記はない。だが、性別役割分業が根強い社会では「物事をとりはかる者=男性」となりがちで、夫婦のみと夫婦・子どもの世帯の世帯主は9割以上が男性だ。 このような、「男性世帯主への取得権の付与」と解釈されかねない言葉が女性たちの警戒感を誘発し、給付金の発表時、ツイッターではハッシュタグ「#世帯主ではなく個人に給付して」が急拡大した。 「世帯主がまとめて申請・受給する」と修正すれば混乱は防げたはずだが、政府は、「簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行うという給付金の趣旨を踏まえて世帯を単位として給付」(首相の国会答弁)など、「迅速な支給」のための便法とする説明を繰り返す一方、「受給権者」という言葉は維持し続けた。 地裁の判決文に見られる夫側の言い分は、女性たちの懸念が杞憂ではなかったことをうかがわせる。受給権者は「個人ではなく世帯主」とされ、給付目的は「家計への支援」とされているから、給付金を受給した世帯主が給付対象者に給付金相当額を支払う義務はないと主張したからだ。 加えて、世帯構成員から世帯主への請求権が認められると「各世帯の家庭内において紛争が生じ、国民全体の混乱を招く」とも主張していた。 これに対し判決は、制度の目的が「迅速かつ的確な家計支援」とされ、給付対象者が「基準日において住民基本台帳に記録されている者」とされていることから、「受給権者=世帯主」は給付対象者の家計支援を迅速かつ的確に行うための方策だった、とした。 そのうえで、①2020年4月におおむね離婚は合意され、夫から生活費の送金もなかったことから見て基準日の時点で実質的に夫と鈴木らの2つの世帯となっていた、②世帯構成員が受給を希望しなければ申請書に記載する方式となっていたのに夫は希望を確認しないで鈴木らの分も受給していた、③これらから、実質的な別世帯への給付分を夫が「悪意で利得」したと認められ、対象者の世帯への迅速な家計支援という制度の目的に反する、とした。 鈴木の代理人、福井雄一郎弁護士は「この判断によって、経済的支援が必要なのに『世帯主』でないからとあきらめていた人たちが救われうる。実態に合った支援のために重要な判決だ」と話す。 この判決は、「世帯主」の夫から別居中の妻の世帯への支払いを認めた画期的なものではあった。だが、個人単位の支給を求めたものではない。東京都に住む40代の伊藤やす子(仮名)は、支援金の個人単位支給を原則とする必要性を訴える。 コロナ禍の感染が始まった2020年2月ごろ、伊藤は夫のDVで知らぬ間に自宅の鍵を付け替えられた。自宅に入れないまま別居が続いたが、生活費は夫の口座に結び付いたカードで引き出せた。そのため、特別定額給付金が夫の口座に振り込まれても、さほど問題と思わなかった。 だが、やがてカードに結び付けられていた夫の口座が空にされ、経済的な締め付けが始まった。 「世帯主にまとめる支援金の仕組みでは、夫の一存に妻の生活が左右される。やはり個人単位が安心と思った」』、「カードに結び付けられていた夫の口座が空にされ、経済的な締め付けが始まった」、悪どいやり方だ。
・『子ども給付金でも形を変えて問題化  このような男性世帯主への給付集中は、2021年度に支給された「子ども給付金」でも形を変えて問題化した。ここでは、「迅速な支給」へ向け、すでに把握されている児童手当の口座が利用されたが、その口座は、養育している親のうち、「生計を維持する程度の高い人(所得の多いほう)」とされている。男女の賃金格差のなかで、男性世帯主に給付が流れやすい形だ。 とはいえ、子どもへの配慮から、夫婦が別居していた場合、児童手当は児童と同居している親に優先的に支給され、男親の収入が多くても、スタート前から別居していれば子ども給付金は母子に支給されるはずだった。 ところが、児童手当の受給資格者の確定が「9月末の基準日」であり、8月末までの申請が必要だったことが、今回の壁となった。9月1日以降に離婚や別居した母子には、子ども給付金は届かないからだ。) 先の鈴木のように、離婚前の別居は生活の見通しが立たず、とくに不安定度が高い。にもかかわらず、ひとり親支援団体などによる「別居中・離婚前のひとり親家庭実態調査プロジェクトチーム」のアンケート(2020年9月Web調査)では、こうした家庭の18.1%が「子どもと別居中の相手が児童手当を受け取っている」と回答し、年収200万円未満が7割を超えた。 受給口座を変えられる制度を知らない人も4割近くにのぼり、「収入の多いほうの親」を振込先としてきたことが、母子に届かない事態を生むことになった。 2021年12月から2022年1月まで行われた一人親支援NPO「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」のアンケートには、基準日の壁で支援を受け取れない母たちの深刻な訴えが80件以上寄せられた。 「9月29日に離婚し、養育費も振り込まれない状態で元夫側に振り込まれてしまう」「11月に夫が失踪し受け取れない」「もらえると思っていた分、振り込まれないと聞いて絶望的になった。死にたくなった」といったもののほか、2022年春からの子どもの入学・入園を控え、制服や教材費が出せない、離婚による引っ越しで仕事を辞め、収入減で食費は子ども食堂などから支援されている、というものも目立った。 調査結果に批判の声が広がり、2022年7月の参院選を控えた政府は、基準日にかかわらず実態に合わせた支給へと姿勢を転換した』、「政府は、基準日にかかわらず実態に合わせた支給へと姿勢を転換した」、当然のことだ。
・『「家制度」と現実的な支援の綱引き  このような、「家長」に家族を管理させる「家制度」の残り香と、女性など「必要な個人」に届く現実的な支援との綱引きは、阪神・淡路大震災など、大災害のたびに浮上してきた。 1998年には「被災者生活再建支援法」が生まれたが、ここでも「被災者への支援金は世帯主に支給」が盛り込まれ、2011年の東日本大震災では、若い女性から支援者に、次のような訴えも寄せられた。 女性は、津波で家が流され、生活再建支援金を申請した。父は2、3カ所家を持ち、女性は住むところがないが、父が妹との3人分を占有し、不服申し立てもとりあってもらえなかったという(『災害支援に女性の視点を!』(竹信三恵子・赤石千衣子編著、岩波ブックレット、2012年)。 ただ、子ども給付金での政府の姿勢転換のように、長引くコロナ禍での女性の困窮と、女性団体の働きかけに「世帯主の壁」が揺らぐ兆しも見え始めている。 特別定額給付金で特例として認められた、逃げているDV女性による申請は、「全国女性シェルターネット」などのDV支援団体の粘り強い働きかけが背中を押した。また、女性たちの懸念を受けて国会で野党議員の質問が相次ぎ、政府が制度の趣旨を繰り返し明言したことが、鈴木の勝訴のような「受給権者」の占有の押し返しにつながった。 こうした揺らぎを、ポストコロナでの「女性の現実に見合った新しい支援原則」につなげることができるか。私たちは、その分岐点に立っている』、「「家長」に家族を管理させる「家制度」の残り香と、女性など「必要な個人」に届く現実的な支援との綱引き」、「家制度」は自民党が大切にしているものだけに、「「必要な個人」に届く現実的な支援」への切り替えは容易ではなさそうだ。

第三に、4月15日付け現代ビジネスが掲載した毎日新聞論説委員の佐藤 千矢子氏による「新人女性記者が大物議員に「忖度なし質問」したら、「周囲からすっかり浮いてしまった」理由」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94204?imp=0
・『「全国紙で初めての女性政治部長」として第一線で活躍してきた毎日新聞の佐藤千矢子さん。新著『オッサンの壁』(講談社現代新書)では、自身の記者生活を振り返りつつ、理不尽なオッサンたちがさまざまな仕方で自分の前に立ちはだかってきた様子を詳しく記しています。 以下は、佐藤さんが法務省の担当をしていたころの話。法務大臣だった梶山静六氏に「忖度なし」の質問をしたところ、周囲から浮いてしまったと言います』、「全国紙で初めての女性政治部長」とはよほどの腕利きなのだろう。
・『梶山静六ににらまれる  1990年の夏ごろから、総理番と官房副長官番をやりながら、法務省の官房を数ヵ月間担当したことがある。法務省全体の担当は社会部だが、閣僚とその周辺だけは政治部が担当する大手新聞社が多かった。当初は記者会見に出て、時々取材するだけだったのだが、9月になって大臣の病気辞任により、後任に、ある政治家が就任し、俄然、忙しくなった。自民党最大派閥・竹下派の七奉行に数えられた梶山静六氏だった。 就任早々の記者会見で、私は梶山氏を厳しく追及し、すっかりにらまれることになった。 法相就任から1週間後、梶山氏は、警視庁が東京・新宿のホテル街で、売春目的の不法就労外国人女性の一斉摘発をしたのに同行し、翌日の記者会見で感想を述べる中で、人種差別発言をしてしまったのだ。 「昭和20年代に日本人がたくさん立っていたころを知っているが、今は外国人が立っている。話には聞いていたが、これが今の日本なのかなと思った。(中略)あそこの善良な今までの居住者から(不法就労外国人女性が)あそこに立っていられると何となく評判が悪くなっちゃってね。それから、そのへんの通りは娘さんも歩けんね。悪貨が良貨を駆逐するというか、アメリカにクロ(黒人)が入ってシロ(白人)が追い出されるというように、(新宿が)混住地、混住地(になっている)。占領されたというか(中略)あのへんにお嫁にいく人もね、地価が下がって、地価が下がればいいんだろうが……」 いろいろ問題があるが、特に「悪貨が良貨を駆逐するというか、アメリカにクロ(黒人)が入ってシロ(白人)が追い出される」というのは、明らかな黒人差別だ。) 梶山氏本人には人種差別という意識はなく、法相就任早々に張り切って勇み足で失言してしまったという程度の認識だった。米国のマイノリティーに対し、政府・自民党の要人が人種差別発言をするのは、残念ながら珍しいことではなかった。 1986年には中曽根康弘首相が「米国には黒人やプエルトリコ人、メキシコ人がいて、日本より知的水準が低い」と語った。1988年には自民党の渡辺美智雄政調会長が「米国には黒人だとかがいっぱいいるから、あすから破産だといわれても、アッケラカンのカーだ」と述べた。 「また失言だ、やれやれ」。政府・自民党内も政治記者たちの受け止め方も、最初はそんな雰囲気だった。しかも梶山氏は、政界の実力者だ。記者会見には、米国内での批判が大きくなるにつれ、法務省担当以外の自民党竹下派担当の記者たちも姿を見せるようになっていた。それもあって政治記者の間には、穏便にすませたいという空気が醸成されていたと思う』、「梶山氏」の「人種差別発言」は酷いので、駆け出しの筆者が「厳しく追及した」のは理解できる。
・『批判が集中  新人記者だった自分は、忖度なく質問を連発した。女性記者は私一人だ。他の男性記者たちは、梶山氏やその周辺ににらまれないよう、厳しい質問をするのを上手に避けながら対処していた。先輩記者には私の質問を「何とかしろ」という圧力もかかったようだ。記者会見でのやり取りを私がメモに起こしたものを使って、社会部の先輩記者が厳しく記事を書いたこともあり、自分の原稿でないものまで、批判は私に集中した。 と言っても、特別な質問をしたというわけではない。「どういう意図で発言したのか」「責任をどう感じているのか」「米国社会からの批判にどう答えるのか」「引責辞任する考えはあるのか」といった、当たり前の質問ばかりだったと記憶している。) 人種差別を厳しく追及してやろうなどという構えた意識があったわけではなく、ただ目の前にあることを当然、質問しただけだったのに、私はすっかり浮いてしまい、梶山氏から目をつけられる存在になってしまった。これは新人の政治記者にとってはショッキングな出来事だった。新人も女性も、良くも悪くもその場の空気を読まない傾向が強い。私には、この二重に空気を読まない要素が備わっていた』、「私には、この二重に空気を読まない要素が備わっていた」、先輩記者などに相談したことはなかったのだろうか。
・『政治記者生命のピンチ  当時の新聞記事を読み返すと、ちょうどこのころ、南アフリカ黒人解放運動指導者、ネルソン・マンデラ・アフリカ民族会議副議長(当時72歳)が来日し、国会で演説した様子を伝えるものがあった。マンデラ氏は元首クラスではないため国会演説は難しいと言われていたが、梶山氏の人種差別発言が米国社会で問題となったことから、急遽、国会で演説することになった。 毎日新聞の1990年10月30日夕刊の社会面の記事は次のように伝えている。 閣僚の中ではいち早く議場入りした梶山法相はなにやらそわそわした様子だったが、演説が始まると、口をへの字に、耳を傾けた。終了後、記者団に取り囲まれ、「大変、感銘を受けた」とこれまた神妙な発言。しかし「問題の差別発言は日本国民の良識に任せるとマンデラ氏が言っているがどうお思いか」とたたみかけられると、突然、目をつり上げて記者に対し「お前はだれだ。名を名乗れ」と気色ばんでいた。 これは私が書いた記事ではないが、当時の雰囲気をよく伝えていると思う。梶山氏には、自身を批判するような質問を許さない迫力があったし、権力も持っていた。 大物の政治家や政府高官が、新聞社やテレビ局に圧力をかけて、気に入らない担当記者を替えさせようとすることはたびたびある。私は下手をすると、いろんなところから横やりが入って、政治記者は続けられなくなるかもしれないとも思った。 幸いそのような事態にはならなかったが、窮地の時は誰も助けてくれない。すでに亡くなった人だが、紙面を割いて深掘りした記事を書くよう指示した上司にも知らんふりをされた。こうしてオッサンたちは生き延びるのだろうか。何か問題があった時、うまくよけながらやり過ごす。男性社会の裏側、竹下派の威力を初めて肌で感じた経験だった。) 政治記者が他部門の記者に比べて空気を読む傾向が強いのは、政治家と人間関係を築きながら、時には懐にまで入り込んで情報を得ることが期待されるから、という面が大きいと思う。人間関係は一過性のものではなく、相手が若手議員のころから付き合い始め10年から20年ぐらいかけて関係を築いていく。若いころから取材してきた政治家が、首相にまで上り詰めることもある。 人間関係があるからこそ、表の記者会見の場などではできない話を聞き出すことができる。なぜ、あの時にそういう判断をしたのかといった過去の検証に関わることや、これからどういう政策判断、政治決断をしようとしているかなど、報道する価値の高い話であることが多い。 政治記者にとって政治家や政府高官との距離の取り方は、気を遣う難しい問題だ。 「政治記者は権力と癒着し、社会部記者は権力と戦う」といったステレオタイプな描かれ方があるが、それは短絡的過ぎる。政治記者の多くは、権力との距離感に悩みながら、日々取材をしている。だから空気を読むこともある。しかし、気をつけていないと、空気を読みすぎて忖度し、ついには政権の情報を無批判に垂れ流すだけの御用記者になりかねない。 政治記者生活が長ければ長いほどその危険度は増す。女性記者は政治記者として長く勤め上げた人そのものがまだ少ないが、これは男性の政治記者だけでなく、女性の政治記者でも起こりうることだ。いや、もうすでに起きているかもしれない。 梶山氏の人種差別発言を厳しく追及したことに後悔はないが、代償は大きかった。その後の自民党派閥取材で数年間にわたり苦労をすることになった』、「政治記者の多くは、権力との距離感に悩みながら、日々取材をしている。だから空気を読むこともある。しかし、気をつけていないと、空気を読みすぎて忖度し、ついには政権の情報を無批判に垂れ流すだけの御用記者になりかねない。 政治記者生活が長ければ長いほどその危険度は増す」、その通りだ。筆者は「全国紙で初めての女性政治部長」にまで上りつめたということは、「権力との距離感」の取り方がよほど優れていたのだろう。
タグ:「生理の貧困」は確かに深刻な問題のようだ。 HUFFPOST「性をタブー視する日本で広がる「生理の貧困」。LiLiCoが考える、自分の体について知ることの重要性」 「私の初めてのブラジャー体験は、18歳で日本に来てから。おばあちゃんに・・・ブラジャーをしなさい」と言われて、イトーヨーカドーでワゴンセールになっていた500円のブラジャーをサイズもわからず買ったんです」、「ブラジャー」では意外に奥手だったようだ。 「ある女性スタッフが」「私の目の前で流産してしまった」、妊娠何カ月目だったのかなど詳細は不明だが、信じられないような出来事だ。 女性活躍 (その23)(性をタブー視する日本で広がる「生理の貧困」 LiLiCoが考える 自分の体について知ることの重要性、困窮女性へのコロナ給付阻む「世帯主の壁」の正体 「家制度」の残り香 必要な支援が届かない、新人女性記者が大物議員に「忖度なし質問」したら 「周囲からすっかり浮いてしまった」理由) 「まずは自分の体に興味を持ってみませんか?」、なかなかいいことだ。 東洋経済オンライン 竹信 三恵子氏による「困窮女性へのコロナ給付阻む「世帯主の壁」の正体 「家制度」の残り香、必要な支援が届かない」 どういうことなのだろう。 「夫は鈴木の給付金要求を断った」、「鈴木」氏や「子ども」の分まで自分のものにしようとは、酷い話だ。 「カードに結び付けられていた夫の口座が空にされ、経済的な締め付けが始まった」、悪どいやり方だ。 「政府は、基準日にかかわらず実態に合わせた支給へと姿勢を転換した」、当然のことだ。 「「家長」に家族を管理させる「家制度」の残り香と、女性など「必要な個人」に届く現実的な支援との綱引き」、「家制度」は自民党が大切にしているものだけに、「「必要な個人」に届く現実的な支援」への切り替えは容易ではなさそうだ。 現代ビジネス 佐藤 千矢子氏による「新人女性記者が大物議員に「忖度なし質問」したら、「周囲からすっかり浮いてしまった」理由」 「全国紙で初めての女性政治部長」とはよほどの腕利きなのだろう。 「梶山氏」の「人種差別発言」は酷いので、駆け出しの筆者が「厳しく追及した」のは理解できる。 「私には、この二重に空気を読まない要素が備わっていた」、先輩記者などに相談したことはなかったのだろうか。 「政治記者の多くは、権力との距離感に悩みながら、日々取材をしている。だから空気を読むこともある。しかし、気をつけていないと、空気を読みすぎて忖度し、ついには政権の情報を無批判に垂れ流すだけの御用記者になりかねない。 政治記者生活が長ければ長いほどその危険度は増す」、その通りだ。筆者は「全国紙で初めての女性政治部長」にまで上りつめたということは、「権力との距離感」の取り方がよほど優れていたのだろう。
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