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パンデミック(経済社会的視点)(その22)ウィズコロナVSゼロコロナ(「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか、上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏((1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府、(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、4月10日に取上げたばかりだが、今日は、(その22)ウィズコロナVSゼロコロナ(「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか、上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏((1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府、(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め)である。

先ずは、3月24日付けJBPressが掲載したジャーナリストの福島 香織氏による「「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69430
・『現在、国際社会にとってウクライナ戦争が最も深刻な大事件なので、メディアはしばし新型コロナウイルス感染症やオミクロン株のことを忘れたかのようだが、実は中国では相変わらず厳しいゼロコロナ政策が採られ、吉林省長春、上海など多くの地域で都市封鎖、地域封鎖が続けられている。 3月22日に深圳の都市封鎖が解除されたかと思えば、今度は遼寧省瀋陽市全市の住宅区、農村のロックダウンが始まった。早い話が、いくらゼロコロナ政策を続けていても、オミクロン株の感染拡大は防げていない。 幸い死者数はさほど増加しておらず、中国のゼロコロナ政策は成功している、という当局の姿勢に変化はないが、経済、生活に対する悪影響は深刻で、一体いつまでこうしたゼロコロナ式都市封鎖を続けていくのか、という恨み節がそろそろ隠せなくなっている』、興味深そうだ。
・『続けていくべきか?党内専門家の間でも議論  ゼロコロナ政策とは中国語で「動態清零」と呼ばれ、感染者が見つかると、その感染者が行動した地域を丸ごと封鎖し、徹底的なPCR検査によって感染が広がっていないと確認されるまで物流や人流を凍結させるやり方だ。 中国は2020年1月に武漢で感染拡大してから、習近平が自ら指揮をとるゼロコロナ政策を、コロナ対策の基本としてきた。このやり方で、2月の北京冬季オリンピック、3月のパラリンピックも強引に成功させたのだった。 だが、実のところ冬季五輪前から感染力の極めて強いオミクロン株が中国でも拡大しており、強感染力の感染症をゼロコロナ政策で防ぐのは事実上無理ではないかという議論が党内専門家の間でずっと続いている。 3月11日の全人代閉幕時の李克強首相の記者会見では、ゼロコロナ政策についての質問に「起こり得る変化に速やかに対応しつつ、少しずつ物流や人の行き来を正常化させていく」と答え、中国もついにゼロコロナ政策を軌道修正していくというシグナルではないか、という見方もあった』、「李克強首相」がウィズコロナへの転換を示唆したとは初めて知った。
・『「最少の代償で最大の防疫効果を」と習近平  中国の2022年の経済成長目標は5.5%と国際社会の予想よりもずっと低い。中国経済が直面する状況を、非常に厳しく見積もっているからだ。2021年第1四半期は前年同期比18.3%で、他国に先駆けてコロナ禍からいち早く経済回復基調に乗ったかのように見えた。だが第3四半期は4.9%、第4四半期は4.0%と一気に減速した。その原因の1つが、ゼロコロナ政策の長期化だったと見られている。 他国に比べて新型コロナの感染が広がっていないにもかかわらずゼロコロナ政策の方針に従って大規模な地域封鎖や隔離を実施し、経済が戻りかけては、またブレーキをかけてしまう。その繰り返しが消費を冷え込ませ、需要の縮小に拍車をかけたというわけだ。 だが、中国国家衛生健康委員会副主任で国家疾病コントロール局の王賀勝局長は「ゼロコロナ政策が中国の国情に合っており、科学的にも正しく効果も上がっていることは、事実が証明している」と3月18日の会見で発表。ゼロコロナ政策が一部の社会生活や生産に悪影響を与えているとしても、この影響は短期的で範囲も限定的だとして、政策の見直しの可能性を否定した。いわく「どんな感染症対策であっても一定の代償は支払わねばならない。人民の生命の安全と身体の健康を守るために、代償を支払う価値はあった」。 中国規律監督委員会サイトによれば、習近平は3月17日に中央政治局常務委員会議を招集し、防疫工作における「ゼロコロナ政策」の社会コストについて、最小の代償で最大の防疫効果を実現し、経済社会の発展に対するマイナス影響を最小限に抑えるよう努力せよと強調した。つまり習近平には、ゼロコロナ政策を撤回する意思は全くないのと同時に、ゼロコロナ政策による経済成長低下などネガティブな影響も認識しているということである』、「習近平」は、「ゼロコロナ政策による経済成長低下などネガティブな影響も認識している」が、「ゼロコロナ政策を撤回する意思は全くない」ようだ。
・『厳しい行動管理で生活苦に  長期化するゼロコロナ政策の有効性と、経済悪化、物価上昇という代償のバランスが本当にとれているかどうかは、当局の情報統制などによって実際のところは不透明な状況だ(当局はゼロコロナリスクのネガティブ報道を禁じている)。すでに一部ネットユーザーたちがゼロコロナ政策への不満をSNSなどで語り始めているが、こうした投稿もすぐさま削除されている。 たとえば河北省郊外に住み北京で仕事をしている人々の中には、ゼロコロナ政策によって、省境を超えて移動できず、帰宅できないコロナ帰宅難民もかなりいるという。 感染者が1人でも出れば地域の全員がPCR検査を受けて陰性を証明しない限り足止めが解けないため、零下の極寒の中であろうが大雪の中であろうが、何時間、何十時間と屋外で待たねばならなかったり、施設に閉じ込められたりする。そういう不自由な目に遭う市民が、ときおり写真をSNSに投降して不満をぶつけるのだが、そうした写真ですら削除対象になっている。 3月21日の人民ネットによれば、遼寧省では新たな感染者が67人確認されており、うち瀋陽市は7人、大連市は5人、営口市は55人だった。また183人の無症状感染者も新たに確認された。感染人数としてはわずかと言えるのだが、このため3月22日から、瀋陽市の住宅街、郊外の村はロックダウン式管理が始まった。住民全員にPCR検査を行い、居民出入証を発行する。住民はその出入証に基づいて行動が管理されることになる。 住民たちは微博やSNS上で、こうした対処について、「もっと前もって言ってよ!」「防疫のやりすぎだ。病院に入院していた患者を全員追い出している」「人道があるのか。生活が苦しくなっている。金をくれ!」といった不満の書き込みを投稿していたが、これもすぐに削除されてしまうのだった。 吉林省長春市のロックダウンは3月11日から始まり、なお継続中だ。22日も新たに1979人の感染者が確認された。ある宅配便配達員がロイターの取材に対して「90%の市内のコミュニティ(小区)が封鎖されている。地元住民に呼び止められ、ただ封鎖が解かれるのを待つしかない、この街には全く希望がない、と言われた」などと語っていた。 一方で、吉林省では1万人以上の感染者が出ているにもかかわらず、死者が1月以降、3月18日までの段階で2人に抑えられていることこそが、ゼロコロナ政策の成功の証、という評価もある』、「当局はゼロコロナリスクのネガティブ報道を禁じている」、ため、断片的情報から推察するしかなさそうだ。
・『中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか  動態清零」ゼロコロナ政策は、台湾、香港、中国で実施されてきた。このうち、実質的にゼロコロナをほぼ成功させ、感染状況を落ち着かせたのは台湾だけである。 香港はゼロコロナ政策の完敗で、2021年末からオミクロン株の感染が拡大し、人口750万人の同地域で106万人以上の感染者を出し、死者を6000人近く出している。結局香港当局は、事実上ゼロコロナ政策の失敗を認める形で政策を転換した。4月1日以降、禁止していたアメリカやイギリスなど9つの国からの航空機乗り入れを再開し、香港到着後の強制隔離期間を14日間から7日間に短縮する。また外食産業、映画娯楽産業に対する規制も4月下旬以降緩和していくと発表している。) だが、中国は今のところゼロコロナ政策に固執しているようだ。それはなぜなのか。 中国国家衛生健康委員会・感染症対応処置工作指導チームの専門家組長、梁万年はCCTV(中国中央電視台)のインタビュー番組で、中国は多くの国家と違って現行の防疫措置政策を転換できないとし、その理由として目下のワクチン接種率を挙げた。特にブースター接種率が高くなく、老人や虚弱な体質の人々が依然として感染しやすい状況にあると説明していた。 梁万年は「もし中国でワクチン接種が強化され、科学技術研究が加速して治療薬、ワクチン開発が進めば、そしてオミクロン株がまた変異してより感染率や致死率が低くなれば、それがもっと良い(ゼロコロナ政策を転換する)機会となる」とも説明していた。 梁万年の発言はブースター接種率の問題に焦点をずらしているのだが、実は中国製ワクチンの効き目の問題ではないか、という説もある。香港当局がこの2カ月の香港内の新型コロナ肺炎による死者5100人について調べたところ、1300人がワクチン接種済で、そのうちシノバックワクチンを選択したのは87%だった。このことから、シノバックワクチンがファイザーなどのワクチンよりも予防効果が劣っていたのではないか、と言われている。 ただ、一部親中派の香港専門家は、死者の多くが長期療養中の高齢者で、高齢者はもともと体が弱く、副反応が比較的穏やかなシノバックワクチンを推奨されていたと説明し、シノバック=予防効果が低い=死亡率が高い、という図式にはならない、としている。もし、シノバックワクチンに重症化や死亡率を防ぐ効果がないのなら、中国製不活化ワクチンしか選択肢がなかった中国で死者が少なかったことの説明がつかない、とも指摘する。だが、これについては、中国の新型コロナに関する感染者数や死者数が本当に正しいかどうかを疑問視する声もある』、「香港内の新型コロナ肺炎による死者5100人について調べたところ、1300人がワクチン接種済で、そのうちシノバックワクチンを選択したのは87%だった。このことから、シノバックワクチンがファイザーなどのワクチンよりも予防効果が劣っていたのではないか、と言われている」、やはり中国製の限界だ。
・『「ウィズコロナ」に転換すると何が起きるか  ゼロコロナ政策は習近平の肝煎りの政策であり、途中で転換することは、習近平にとっては一種の敗北である。 しかも、中国製ワクチンに期待されていたほど予防効果、重症化予防効果がないならば、もしもゼロコロナ政策から欧米並みの「ウィズコロナ」(コロナと共存)政策に転換したとき、欧米以上の感染拡大や重症化が引き起こされる可能性もあるわけだ。農村部の医療保険体制の不十分さや人口に対する医療資源の少なさを考えれば、いったん感染が拡大し重症化率が高まると、2020年1月に武漢で新型コロナがアフトブレイクしたときのような阿鼻叫喚のパニックに再び陥ることは十分考えられる。 ちなみに2017年の段階で中国の1万人当たりの医者の数は22人で、これは米国の26人(2018年統計)よりもちょっと低いくらいのレベルなのだが、医師、病院は一部の都市に集中している。たとえば、中国の上位100の病院のうち半分は北京、上海、広州に集中している。ICUの数も、公式の調査は2015年以降行われていないので最近の状況はつかめないのだが、復旦大学の数名の医師による論文の中での予測数値によれば、10万人あたり4.37床で、米国の34.7床、イタリアの12.5床などよりもかなり少ない。 つまり「ウィズコロナ」に政策転換して、感染が拡大すれば、予想を超える重症者、死者が増える可能性がある。しかも中国が途上国に恩着せがましくばらまいていたワクチンが、実はほとんど役に立たないこともばれてしまい、ワクチン外交の失敗が決定づけられるリスクもあるのだ。 とはいえ、国際社会がウィズコロナで経済活動を回復させていく中で、中国がゼロコロナ政策で鎖国状態を継続し、思うように経済を回せない状況が続くと、人民の生活もじわじわ逼迫し、社会不満も募っていく。 つまり、ゼロコロナ政策を転換しても、あるいはしなくても、習近平にとっては党内アンチ習近平派からの「政策の失敗」という批判の根拠になりうるわけだ。 これが、秋の第20回党大会で習近平が狙う第3期目任期継続の野望にどう影響するのか。ウクライナ戦争と並ぶ中国政治にとっての大きな不確定要素と言えそうだ』、「農村部の医療保険体制の不十分さや人口に対する医療資源の少なさを考えれば、いったん感染が拡大し重症化率が高まると、2020年1月に武漢で新型コロナがアフトブレイクしたときのような阿鼻叫喚のパニックに再び陥ることは十分考えられる」、「ゼロコロナ政策を転換しても、あるいはしなくても、習近平にとっては党内アンチ習近平派からの「政策の失敗」という批判の根拠になりうる」、「秋の第20回党大会で習近平が狙う第3期目任期継続の野望にどう影響するのか。ウクライナ戦争と並ぶ中国政治にとっての大きな不確定要素と言えそうだ」、当面の大きな注目点だ。

次に、4月21日付けJBPressが掲載した近藤 大介氏による「北京のコロナ責任者が失脚、ゼロコロナ政策の不首尾で中国指導部に地殻変動 東アジア「深層取材ノート」(第134回)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69841
・『「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)という独自のコロナ対策に固執する中国で、「コロナ政局」とも言える状況が、むくむくと蠢動している――。 4月16日午後3時、中国共産党中央紀律検査委員会・中華人民共和国国家監察委員会の合同のホームページで、漢字41文字からなる短文の「通知」が発表された。 <北京市政協副主席・于魯明は、厳重な紀律法律違反の嫌疑により、現在まさに、中央紀律検査委員会・国家監察委員会の紀律審査及び監察調査を受けている> 2200万北京市民は、このサラリと書かれた通知の「対象者」を見て、仰天した。于魯明(う・ろめい)氏は、北京市の新型コロナウイルス対策のトップ、北京市衛生健康委員会主任を務めているからだ。北京市トップの蔡奇(さい・き)北京市党委書記の右腕として、首都のコロナ対策全般を仕切っていた重要人物なのだ』、興味深そうだ。
・『権力の階段を駆け上った元精神科医  于魯明主任は、1961年12月に北京で生まれた。北京医学院を卒業し、精神科医となった。だが、医師としてよりも、医療行政や政治方面に関心を示していく。1986年に中国共産党の友好党である農工党に入党し、1992年には中国共産党にも入党した(二重党籍)。その後、北京市南部の大興区の副区長や衛生局長などを経て、北京市病院管理局長となった。 2016年10月、習近平主席の福建省、浙江省時代の側近だった蔡奇氏が、習主席の「鶴の一声」で、北京市党委副書記兼副市長となった。蔡氏は、翌2017年1月に北京市長になり、同年6月には、市トップの北京市党委書記に就任した。 さらに、同年10月の第19回中国共産党大会で、習近平総書記が満場一致で再任されると、蔡書記は党中央政治局委員(トップ25)に選出された。今年2月4日には、北京冬季オリンピック・パラリンピック組織委員会主席として、オリンピック開会式で挨拶を行っているので、日本でも記憶にある人がいるかもしれない。 そんな蔡奇北京市党委書記が、全幅の信頼を置いていたのが于主任だった。2018年11月、蔡書記が主導した北京市政府の機構改革で、医療保障局を新設すると、于氏を初代医療保障局長に据えた』、「「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)政策」が改めてお墨付きを得た形だ。
・『「習近平-蔡奇-于魯明」ライン  2020年に入って、北京も含めた中国全土が新型コロナウイルスで激震すると、同年11月に于氏を、北京市政協副主席兼北京市衛生健康委員会主任に抜擢した。衛生健康委員会は、日本で言えば厚生労働省にあたり、中国で新型コロナウイルス対策を統括している官庁だ。 于主任は、北京冬季オリンピック・パラリンピックの準備に忙しい蔡奇党委書記に代わって、習近平主席が厳命する「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)政策の旗振り役となった。つまり、日本を含めて現在、世界の主流となっている「コロナとの共存」は目指さないということだ。 昨年、習近平政権が「三人っ子政策」を打ち出すと、于主任は、今年1月に開かれた北京市の人民代表大会・政協会議の場で、「子供を養育する費用を下げて、北京市の出生率を上げていかなければならない」と力説した。于主任が最後に公の場に顔を出したのは、4月8日で、北京市政協の常務委員会会議に出席した。 「厳重な紀律法律違反の嫌疑により、紀律審査及び監察調査を受けている」と記されれば、想起されるのは汚職や腐敗だ。だが、于主任は医療分野での汚職・腐敗撲滅運動の旗振り役も務めていただけに、その理由かどうかはっきりしない。) ともあれ、首都・北京で、「習近平-蔡奇-于魯明」という「動態清零」政策のラインの一角が、崩壊してしまったのだ。このため北京では、「すわ、コロナ政局か?」という声が上がっている』、「「すわ、コロナ政局か?」という声が上がっている」、実態はどうなのだろう。
・『習近平総書記の腹心、市民から罵倒される様子がSNSに  今年は、後半に第20回中国共産党大会を開く「政治の年」である。本来なら11月で「2期10年」を勤め上げる習近平総書記は、引退しなければならない。 ところが習総書記は、異例の「3期目続投」を目論んでいる。中国共産党内には、この「習総書記3選」に反対する勢力も存在する。そのため、「世界最大規模の権力闘争」が、水面下で始まっているのだ。 そんな中、習近平体制のアキレス腱になっているのが、「動態清零」政策による中国経済の低迷と、ウラジーミル・プーチン大統領との「盟友関係」を基軸としたロシアにベッタリの外交だ。 中でも、3月28日から中国最大の経済都市・上海で行っている事実上の「封城」(ロックダウン)は、2500万上海市民の怒りを買っている。このままGWの連休に突入する可能性も出てきたことで上海市民のストレスは、いまや「爆発」寸前だ。 4月11日には、厳しい統制国家の中国ではあり得ないような映像が、SNS上で拡散した。上海市トップの李強(り・きょう)上海市党委書記が、市内のマンション群を視察中に、市民たちから罵倒されたのだ』、「上海市党委書記が、市内のマンション群を視察中に、市民たちから罵倒された」、「党委書記」が「罵倒」されるとは、よほどのことだ。
・『習近平総書記の3選阻止を阻止しようとする者たち  李強書記は、浙江省瑞安の出身で、習近平主席が浙江省党委書記(省トップ)だった後半の2004年から2007年まで、習書記の最側近の秘書長を務めた。当時を知る上海人が証言する。 「習近平浙江省党委書記はたびたび、李強秘書長を伴って、上海西郊賓館で隠居生活を送る江沢民(こう・たくみん)元総書記のもとを訪れていた。それで習総書記は、2017年10月の第19回共産党大会で権力固めを行った後、満を持して李強氏を、上海市党委書記に抜擢したのだ。 つまり李強書記は、上海における『習近平代理人』だ。加えて、来年3月に引退する李克強(り・こくきょう)首相の最有力後継者とも囁かれている。それだけに、李書記が上海市民に罵倒される映像が拡散したことは、李書記の次期首相就任を阻止する、ひいては習近平総書記の3選を阻止しようという動きとも見られるのだ」 かつて2006年にも、「ポスト胡錦濤(こきんとう)総書記」を巡って、上海を基盤とする江沢民グループと、当時北京で政権を担っていた胡錦濤グループが激しく対立した。この時は、同年9月に、江沢民グループの有力な後継候補だった陳良宇(ちん・りょうう)上海市党委書記(当時)を、胡政権が北京で拘束してしまうという「事件」が起こった(懲役18年の実刑判決)。そこから、この両グループはさらに仁義なき権力闘争に明け暮れ、その結果、漁夫の利のようにトップに立ったのが、いまの習近平総書記だ。 歴史は繰り返す。習近平総書記の3選を巡る「コロナ政局」の行方から、目が離せなくなってきた』、「習近平」氏が、「江沢民グループ」と「胡錦濤グループ」の対立の「漁夫の利」を得て「党委書記」になったことを、改めて思い出した。

第三に、4月19日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/304072
・『上海は今、崩壊寸前だ。ロックダウンは2020年に武漢市でも行われたが、そもそも人口規模が違う。 武漢市の倍の約2500万人を抱える上海市では当初、ロックダウンは危険すぎて計画されていなかった。 昨年のコロナ蔓延後も感染者は少なく、ロックダウンはおろか全住民を対象にしたPCR検査も経験したことがない上海だったが、今年3月に入りオミクロン株の感染者が急激に増えた。上海市政府は同15日の記者会見で「ロックダウンは必要ない」として住宅地ごとの封鎖にとどめていたが、突然、市の東側の浦東は28日から、西側の浦西は4月1日から全面封鎖された。 流れが変わったのは3月22日だった。この日、上海市に国務院督査組が派遣され、上海市トップの李強・党委員会書記ほか、市首脳陣と話し合いが行われた。督査組とは党中央の政策を徹底指導する組織だ』、「上海市に国務院督査組が派遣され」、「上海市」のやり方に対する「党中央」の不信感の表れだろう。
・『背景に江沢民vs習近平の政治対立も  上海はこれまで、感染症専門の張文宏氏(復旦大学付属華山医院感染科主任)の分析のもと、オミクロン株に対しては「ゼロコロナ」ではなく、「ウィズコロナ」に近いやり方が採られてきた。 張氏については「欧米や日本などの諸外国のモデルを取り入れる国際派」との評価もあり、教育水準の高い居住者が集まる上海では支持を得ていた。 ところが、中央政府から派遣されてきた、この督査組が「ゼロコロナ政策は不変だ」だとゴリ押しし、“上海式”を頭から否定した。その後、張氏の姿は公の場から消え、浦東では28日からロックダウンが始まった。 「ロックダウンは感染の封じ込めなどではなく、政治だ」と言い切る市民もいる。もとより、上海市の実力者でもある江沢民・元国家主席(上海閥)と習近平国家主席(太子党)の間には根深い政治的対立があり、今回の督査組の派遣も「コロナに乗じて上海閥を抑えつけたい習の意向だ」とささやかれている。 督査組がかけた圧力で、上海市は何の準備もないままにロックダウンに突入した。春節前に行われた武漢市のロックダウンは、長い休暇を家族や親戚と過ごすために大量の食料備蓄があったという点で大きく異なる。もっとも76日間も続いたロックダウンで、配給の食料の量や質に不満を訴える住民がいたのは武漢も同じだった。 上海市のロックダウンは「5日間で終わる」として開始されたが今なお解除されず、全面封鎖前から外出規制を受けてきた住民は、ほぼ1カ月間幽閉されていることになる。これも政治だというなら恐ろしい。「お上に盾突く上海の場合、武漢の76日では済まされないかも」という悪い冗談さえある。(つづく)』、「上海はこれまで」、「オミクロン株に対しては「ゼロコロナ」ではなく、「ウィズコロナ」に近いやり方が採られてきた」のが、「督査組が「ゼロコロナ政策は不変だ」だとゴリ押しし、“上海式”を頭から否定」、「上海市は何の準備もないままにロックダウンに突入した」、これでは市民生活は大変だ。

第四に、4月20日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め」を紹介しよう。
・『4月12日、上海で公務員が自殺した。 銭文雄氏(55)の勤務先は上海市虹口区衛生健康委員会の情報センター。日本で言うなら厚生労働省の下部組織に当たり、感染状況のデータ管理にかかわるのが銭氏の仕事だった』、「感染状況のデータ管理にかかわるのが銭氏の仕事だった」、彼が自殺したとはどういう背景があるのだろう。
・『「彼の仕事量はあまりに多かった」  中国語メディアは「彼の仕事量はあまりに多かった。このまま行けば自殺者は彼だけにとどまらないだろう」と伝えた。銭氏を含め、感染症対策の専門家たちは、“上司”からの非科学的で非現実的な命令に疲れ果てているという。 非現実的な命令とはすなわち「ゼロコロナ政策」であり、その“総司令官”こそが上海市トップの李強氏(62・党上海市委員会書記)だ。市内の住宅区を視察した際、住民から「食べ物がない」「恥を知れ」などと罵詈雑言を浴びせられた張本人だが、李氏への不満は、老人など弱者を含む一般庶民に限らない。上海の某大学教授はこうこき下ろす。) 「ニンジンやダイコンでも配給しておけば、上海市民はありがたがると思っていることからして、感覚がズレている。インターネット上では富裕層から『我々はヤギやウサギじゃない』『上海人をなめてんのか』といった不満が噴出しています」 プライドの高い上海市民は中央政府に決して従順ではなく、「中央政府から送り込まれた習近平国家主席の子飼い」といわれる李氏に対しては、なおさら“ガン無視”だった。 過去を振り返れば、上海は19世紀から対外貿易の窓口として発展し、租界を通して西欧文化を受容した。国際感覚を持ち合理的に思考する上海人には、今でこそ高層マンションが建つが僻地といわれる浙江省瑞安県出身でエリート教育とは無縁だった李氏やその“親分”(北京市出身)のやることなすことが、あまりにばかばかしく映る。 「中央の要求に対して、やらなくてもいいことまでやって点数を稼ごうとするから、大混乱になる」(前出の大学教授)) 李氏は習氏の第3期続投とともに「次期首相候補の一人」と噂されている重要人物だが「早晩、親分に見捨てられるのでは」とささやかれている。 上海市の感染者数は1万9000人を超えて高止まりのまま。感染拡大に歯止めがかからず、当局と市民は各地で衝突や小競り合いを繰り返している。 衣食足り、高収入を得る上海市民は、コロナ直前まで最先端の物質的生活を謳歌していた。静安区在住の60代の中国人男性は「それが最高の生活だと思っていたが、ロックダウンで『人間の自由』に目覚めてしまった」と語る。 4月3日、上海に医療支援を名目に解放軍2000人余が派遣されてきた。上海のロックダウンの目的はコロナではなく、市民動乱の封じ込めに目的が変わってきたのか。=つづく』、「僻地といわれる浙江省瑞安県出身でエリート教育とは無縁だった李氏やその“親分”(北京市出身)のやることなすことが、あまりにばかばかしく映る」、「李氏は習氏の第3期続投とともに「次期首相候補の一人」と噂されている重要人物だが「早晩、親分に見捨てられるのでは」とささやかれている。 上海市の感染者数は1万9000人を超えて高止まりのまま。感染拡大に歯止めがかからず、当局と市民は各地で衝突や小競り合いを繰り返している」、「上海に医療支援を名目に解放軍2000人余が派遣されてきた。上海のロックダウンの目的はコロナではなく、市民動乱の封じ込めに目的が変わってきたのか」、これでは「李氏」は「次期首相候補の一人」どころか、「早晩、親分に見捨てられる」可能性が高そうだ。
タグ:パンデミック(経済社会的視点) (その22)ウィズコロナVSゼロコロナ(「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか、上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏((1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府、(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め) JBPRESS 福島 香織氏による「「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか」 「李克強首相」がウィズコロナへの転換を示唆したとは初めて知った。 「習近平」は、「ゼロコロナ政策による経済成長低下などネガティブな影響も認識している」が、「ゼロコロナ政策を撤回する意思は全くない」ようだ。 「当局はゼロコロナリスクのネガティブ報道を禁じている」、ため、断片的情報から推察するしかなさそうだ。 「香港内の新型コロナ肺炎による死者5100人について調べたところ、1300人がワクチン接種済で、そのうちシノバックワクチンを選択したのは87%だった。このことから、シノバックワクチンがファイザーなどのワクチンよりも予防効果が劣っていたのではないか、と言われている」、やはり中国製の限界だ。 「農村部の医療保険体制の不十分さや人口に対する医療資源の少なさを考えれば、いったん感染が拡大し重症化率が高まると、2020年1月に武漢で新型コロナがアフトブレイクしたときのような阿鼻叫喚のパニックに再び陥ることは十分考えられる」、「ゼロコロナ政策を転換しても、あるいはしなくても、習近平にとっては党内アンチ習近平派からの「政策の失敗」という批判の根拠になりうる」、「秋の第20回党大会で習近平が狙う第3期目任期継続の野望にどう影響するのか。ウクライナ戦争と並ぶ中国政治にとっての大きな不確定要素と言えそうだ」、 近藤 大介氏による「北京のコロナ責任者が失脚、ゼロコロナ政策の不首尾で中国指導部に地殻変動 東アジア「深層取材ノート」(第134回)」 「「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)政策」が改めてお墨付きを得た形だ。 「「すわ、コロナ政局か?」という声が上がっている」、実態はどうなのだろう。 「上海市党委書記が、市内のマンション群を視察中に、市民たちから罵倒された」、「党委書記」が「罵倒」されるとは、よほどのことだ。 「習近平」氏が、「江沢民グループ」と「胡錦濤グループ」の対立の「漁夫の利」を得て「党委書記」になったことを、改めて思い出した。 日刊ゲンダイ 姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府」 「上海市に国務院督査組が派遣され」、「上海市」のやり方に対する「党中央」の不信感の表れだろう。 「上海はこれまで」、「オミクロン株に対しては「ゼロコロナ」ではなく、「ウィズコロナ」に近いやり方が採られてきた」のが、「督査組が「ゼロコロナ政策は不変だ」だとゴリ押しし、“上海式”を頭から否定」、「上海市は何の準備もないままにロックダウンに突入した」、これでは市民生活は大変だ。 姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め」 「感染状況のデータ管理にかかわるのが銭氏の仕事だった」、彼が自殺したとはどういう背景があるのだろう。 「僻地といわれる浙江省瑞安県出身でエリート教育とは無縁だった李氏やその“親分”(北京市出身)のやることなすことが、あまりにばかばかしく映る」、「李氏は習氏の第3期続投とともに「次期首相候補の一人」と噂されている重要人物だが「早晩、親分に見捨てられるのでは」とささやかれている。 上海市の感染者数は1万9000人を超えて高止まりのまま。感染拡大に歯止めがかからず、当局と市民は各地で衝突や小競り合いを繰り返している」、「上海に医療支援を名目に解放軍2000人余が派遣されてきた。上海のロックダウンの目的はコロナで
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