東京一極集中(その1)(東京23区の人口減「テレワークで移住説」は本当か 25年ぶりに23区の「日本人人口」が転出超過に、「東京一極集中が日本を救っている」といえる理由 「東京が潤えば地方も栄える」の仕組みを解説) [経済政治動向]
今日は、東京一極集中(その1)(東京23区の人口減「テレワークで移住説」は本当か 25年ぶりに23区の「日本人人口」が転出超過に、「東京一極集中が日本を救っている」といえる理由 「東京が潤えば地方も栄える」の仕組みを解説)を取上げよう。
先ずは、本年2月16日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの山田 稔氏による「東京23区の人口減「テレワークで移住説」は本当か 25年ぶりに23区の「日本人人口」が転出超過に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/511572
・『コロナ禍が長期化するなかで、東京の人口に異変が起きている。総務省が発表した2021年人口移動報告と東京都の住民基本台帳による世帯と人口(2021年1月1日現在)でみると、東京23区はついに年間の転出者が転入者を上回る転出超過となり、年間で人口が2万人以上も減少した。いったい、何が起こっているのだろうか』、興味深そうだ。
・『「脱23区」はファミリー層に多い まずは、総務省の2021年人口移動報告をみてみよう。日本人のデータでみると、東京都の転入超過数は1万815人で、前年から半減だ。コロナ前の2019年は8万6575人だったから、87%もの大幅減である。それでも転入超過は続いている。 大きな異変が起きたのは東京都特別区部(23区)の転出入だ。外国人を含めた数値では、1万4828人の転出超過となり、外国人を含めた集計を開始した2014年以降初めて転出超過となった。日本人に限っても7983人の転出超過で、こちらは1996年以来25年ぶりだという。ちなみに23区の転出超過を世代別(日本人)にみると、30ー44歳の「子育て世代」が3万372人、0-14歳の「子ども世代」が16434人でボリュームゾーンを形成している。 それでは、区ごとの状況はどうだろうか。 転入超過は12区、転出超過は11区と半々だ。転入超過が多いのは ①足立区2224人②台東区1494人③葛飾区1258人 逆に転出超過が多いのは、①江戸川区3330人②世田谷区2755人 ③目黒区2581人 だった。 死亡数と出生数を加味した人口増減はどうか。東京都の日本人人口データ(2022年1月1日現在)で見ると、23区全体では21年の1年間で2万3462人の減少だ。20年は年間3万1248人の増加だったから、逆転現象が起きている。増加したのは中央区(0.66%増)、台東区(0.51%増)など6区だけで、17区は減少だ。減少数が多いのは江戸川区(4856人)、大田区(3949人)などだ。 ちなみに23区の人口増減をコロナ禍直前の20年1月1日時点と比較すると、それでも7786人の増加となっている。) では、23区が転出超過となった背景に何があったのか。今回のニュースを伝える多くのメディアは「コロナ禍でテレワーク移住進む」「テレワーク普及で近隣県への転出が増加」などと伝えている。本当にテレワークが最大の要因なのだろうか。 筆者の周辺で昨年、都心から転居した3家族の転居理由は、「自然豊かな環境で暮らしたい」(23区内から房総)、「転職」(23区郊外から神戸)、「子育てのため実家で父母と同居」(23区内から九州)だった。逆に週の半分程度がテレワークという知人の多くは23区内から動いていない。 テレワークで地方移住、郊外転居を実行した人が、いったいどれだけいるのだろうか。テレビでは、23区から千葉県流山市や神奈川県小田原市に引っ越した若い夫婦2組のケースを紹介していた。共にリモートワークだというが、2組ともにIT関連企業勤務だった。職場環境が恵まれているケースだ。毎日、現場に向かわなければならないエッセンシャルワーカーの方々には無縁の世界である。 コロナ禍は3年目に突入したが、テレワークの実施状況はどうなっているのか。東京都のテレワーク実施率調査(1月7日発表)によると、2021年12月の都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は56.4%で、前月比で0.8ポイントの減少だった。「週3日以上」は45.6%で同0.4ポイントの減少。もっとも多いのは「週1日」で35.3%で、「週5日」は16.6%にとどまっている。日本生産性本部の最新の調査(1月)では、首都圏1都3県の実施率は26.8%で10月調査よりも10.1ポイントも下がっている』、「東京都のテレワーク実施率」はいずれの調査でも低下したようだ。
・『マンション高騰も「脱出」原因か こうした数字をみる限り、「テレワークで移住進む」はどうにも説得力に欠ける。楽観的過ぎるのだ。むしろ、他の要因があるのではないか。そこで住宅環境を調べてみると、仰天の事実が浮上してきた。東京23区の新築マンション価格の高騰である。 不動産経済研究所の「新築分譲マンション市場動向2021年のまとめ」によると、首都圏の発売戸数は3万3636戸、前年比23.5%増で、東京23区は1万3290戸(シェア39.5%)だった。気になる23区の平均価格は8293万円(1㎡当たり128.2万円)で前年比7.5%アップ。首都圏全体平均の6260万円よりも2000万円以上も高い。東京都下5061万円、神奈川県5270万円、埼玉県4801万円、千葉県4314万円と、23区の突出ぶりが分かる。 では、賃貸はどうか。不動産情報サービスのアットホーム株式会社が毎月公表している「全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向」を見てみよう。 コロナ直前の2020年1月の23区の「ファミリー向き(50~70㎡)」物件の平均家賃は186944円だったが、最新の2021年12月では191863円となっている。家賃は景気動向に左右されにくいと言われるだけあって、その差は5000円弱、上昇率は2.6%ほどだが、終わりの見えないコロナ禍において、都心に住む必要性のなくなった人たちにとっては受け入れがたいものだろう。 「都心部の住宅コストは高騰し過ぎています。一方、サラリーマン世帯の所得はそう増えていませんから、一握りの富裕層や資産家しか購入できないし、業者も購買層を絞っています。23区が転出超過になった要因が「テレワークの普及」というのはあくまでサブの話で、根本的には住宅コストが上がり過ぎて住めなくなってきているため郊外へ転出しているとみています」(不動産専門のデータ会社・東京カンテイの市場調査部の担当者)。 新築マンションが8000万円超、賃貸の家賃ですら上昇傾向。子育て世代には、今の23区の住宅環境は厳し過ぎる。子育てのための住宅購入を機に地方や郊外へ引っ越す。そんなサラリーマン世帯の姿が目に浮かぶようである。テレワークが引き金となったかもしれないが、やはり住宅価格の高騰が転出超過・人口減の最大の要因ではないだろうか』、「子育て世代には、今の23区の住宅環境は厳し過ぎる。子育てのための住宅購入を機に地方や郊外へ引っ越す」、「やはり住宅価格の高騰が転出超過・人口減の最大の要因」、なるほど。
・『都内の「休廃業・解散」した企業は大幅減 もう一つ、気になる現象がある。コロナ禍での〝不況〟である。帝国データバンクが発表した『全国企業「休廃業・解散」動向調査』の結果によると、意外にも休廃業・解散した企業数はコロナ前に比べて大幅に減少している。しかしその内実は、政府系・民間金融機関による資金提供やコロナ対応の補助金が貢献した結果で、実際、東京都に限ってみれば、1万2123件と前年より増え、全国で唯一1万件を超えている。 2021年12月の東京都の有効求人倍率(就業地別)は0.90倍で、年間を通じて1倍を下回った。一方、東京都の失業率は2021年7-9月平均で3.1%と全国 平均の2.8%を上回っている。コロナ前の2019年7-9月は同2.2%だったことを踏まえると、コロナ禍の経済状況悪化でリストラされたり、職を失ったりした人たちが東京から去っていった。そんなケースも相当数あるのではないだろうか。 データ上はもっとも23区への転入が多い若者層でも「大学がオンライン授業ばかりになったからアパートを解約して実家に帰った」とか、「バイトがなくなり23区内から私鉄沿線の郊外に引っ越した」といった声も聞く。このほかにも都心からの転居には、さまざまな事情があるだろう。 2021年1年間に東京23区から人口が流出したのは紛れもない事実だ。しかし、その一方でタワマンをはじめ新築マンションが年間に1万3000戸以上も販売され、22年の予測はそれを上回る。そして結果として、コロナ前と比べた23区の日本人人口は、依然として減少には至っていない。今年に入り感染拡大が続くなかでも、テレワーク実施率は低下傾向にある』、「コロナ禍の経済状況悪化でリストラされたり、職を失ったりした人たちが東京から去っていった。そんなケースも相当数あるのではないだろうか。 データ上はもっとも23区への転入が多い若者層でも「大学がオンライン授業ばかりになったからアパートを解約して実家に帰った」とか、「バイトがなくなり23区内から私鉄沿線の郊外に引っ越した」といった声も聞く」、確かにこれらが「23区の人口」への減少圧力になっているのだろう。
・『「都心を去る人」には2種類ある 「テレワークで移住進む」といった分析は、働き方改革や東京一極集中是正を掲げる政府にとっては、なんとも耳当たりのいいものである。しかし、現実はそんなに甘くはない。テレワーク環境が整備された企業で働き、都心から離れても生活できる人と、もはや暮らしていけないから都心を離れざるを得ない人のどちらが多いのか。今後の人口対策、少子化対策のためにもきちんとした分析、検証が必要だろう』、確かに「今後の人口対策、少子化対策のためにもきちんとした分析、検証が必要」、同感である。
次に、5月6日付け東洋経済オンラインが掲載した明治大学名誉教授 の市川 宏雄氏と不動産コンサルタントの 宮沢 文彦氏による「「東京一極集中が日本を救っている」といえる理由 「東京が潤えば地方も栄える」の仕組みを解説」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/582711
・『コロナ禍においても、都内各地の再開発プロジェクトの多くは進行しており、懸念されていた人々の地方移住も限定的で、「東京一極集中」の状態は続いています。東京にはなぜ、それほどのパワーがあるのか。そして東京には、これから先どんな未来が待ち受けているのか。 明治大学名誉教授の市川宏雄氏、株式会社ボルテックス代表取締役社長兼CEOの宮沢文彦氏の新刊『2030年「東京」未来予想図』から、東京の現在と未来を3回にわたって紹介します。 人口が東京に一極集中すること、その結果、ヒトだけでなくモノ・カネ・情報がすべて東京に集中してしまうことは、これまで社会の在り方として不健全だと考えられてきました』、「東京一極集中」を評価するとは、興味深そうだ。
・『ヒト・モノ・カネ・情報が集まる東京圏 地方に暮らす人々から見ると、東京圏にばかりヒト・モノ・カネ・情報が集まるのは、確かに不公平のように思えます。特に2000年代以降、「限界集落」や「地方消滅」といった問題が広く取り沙汰されるようになってからは、「東京一極集中こそが諸悪の根源」のようにもいわれてきました。 しかし1990年代以降、出口の見えないデフレ不況に突入し、きわめて低い経済成長率しか達成できていない日本が今日でも先進国の一員でいられるのは、実は"東京一極集中のおかげ"ともいえるのです。ヒト・モノ・カネ・情報が今のように東京に集中していなければ、日本はどこかの時点で、G7(主要先進7カ国)から脱落していたかもしれません。多少オーバーな言い方をすれば、東京一極集中こそが日本を救っているのです。 なぜ、そういう理屈になるのか。それは、現代が第3次産業全盛の時代であり、第3次産業は大都市でこそ繁栄する産業だからです。 自然界に直接働きかける産業を第1次産業といいます。具体的には農業・漁業・林業がこれにあたり、第1次産業で製品(収穫物・漁獲物)を生産(収穫・採取)するために必要な場所は、耕作地・漁場・山林になります。第1次産業で得た製品を使って加工する産業を第2次産業といいます。製造業・建設業がこれにあたり、第2次産業で製品を生産するために必要な場所は工場・一定の広さの土地になります。 では、第3次産業で製品を生産するために必要な場所とはどこでしょうか。第1次産業、第2次産業に含まれないすべての産業を第3次産業と呼びます。 具体的には、電気・ガス・水道業、情報・通信業、運輸業、卸売・小売業、飲食業、金融・保険業、不動産業、サービス業、公務など。第3次産業で生産される製品(サービス)は非常に多岐にわたりますが、その製品が生産される場所は明確です。人と人が自由に行き来でき、交流し合えるところ。つまり、交通網と情報網が整備され、多くの人々が居住しているところ、すなわち都市になります。 すべての産業をこのように第1次から第3次までに分類したのは、イギリスの経済学者コーリン・クラーク。彼はペティ=クラークの法則でも知られています。) この法則とは、一国の産業構造は経済発展の進度によって、第1次産業から第2次、第3次へと比重が移っていくというもの。 わが国の経済発展の歴史もまさにそのとおりで、産業別の就業者人口を1968年と50年後の2018年で比較してみると、第1次産業は19.8%から3.4%に、第2次産業は34.0%から23.5%に減少しているのに比べ、第3次産業は46.3%から73.0%へと大きく増加。いまや、日本で働いている人の10人のうち7人は第3次産業に従事しており、その大部分が都市部で暮らしていると推察できます。 この第3次産業に特徴的なのは、人口が集積すればするほどスケールメリットが働き、指数関数的に経済がより巨大に発展していくということ。人が集まれば集まるほど、そのニーズは多様化かつ巨大化していき、新たな市場が同時多発的に増殖されていくからです。 人口100万都市が生み出す経済的価値=都市GDPを10倍しても、人口1000万都市1個分の都市GDPには遠く及びません。人口1000万都市の都市GDPは、人口100万都市のGDPの20倍にも30倍にもなるからです』、「ヒト・モノ・カネ・情報が今のように東京に集中していなければ、日本はどこかの時点で、G7・・・から脱落していたかもしれません。多少オーバーな言い方をすれば、東京一極集中こそが日本を救っているのです」、一見したところ、もっともらしいが、首都圏への「集中」は、他の先進国に比べても日本では著しいので、もっと丁寧な説明が必要だ。
・『東京の経済規模はオランダGDP以上 たとえば、2019年度の世界各国のGDPを見ると、日本は5兆45億ドルで世界第3位ですが、驚くべきことに、東京都の巨大な経済規模は日本のGDPの約19%にあたる9654億ドル(都民経済計算平成30年度年報)に上り、オランダ、イラン、スイス、トルコといった国々のGDPを凌駕しています。一極集中によって巨大化した東京の経済力が、今日の日本経済を支えているといえるでしょう。 また東京には、地方都市では成立しにくいビジネスがいくつも成立しています。その良い例が、猫カフェ、ハリネズミカフェ、フクロウカフェなどの動物カフェでしょう。 それぞれ、その店に行けば猫、ハリネズミ、フクロウに触れ合えることがウリで、利用料金はハリネズミカフェで1人30分1500円程度。こうした動物カフェのような隙間ビジネスはそもそも、人口の少ない都市では成立しません。人口1400万人を有する東京だからこそ、「ハリネズミと触れ合いたい」と思う人々が一定数存在し、それらの人々を相手に商売することができるわけです。ちなみに、ハリネズミカフェは現在、東京都内に10店舗以上あるそうです。 秋葉原電気街、神田古書店街、かっぱ橋道具街など多くの専門店街が成立しているのも、巨大都市である東京ならでは。飲食店にしても、焼き芋専門店、マッシュルーム専門店、ポテトサラダ専門店、かつお節専門店、りんご飴専門店など、特定の食材や料理に特化したメニューだけを提供する店が数多く存在します。 さらに2021年6月から、飲食店デリバリーサービスのUber Eats(ウーバーイーツ)が東京都区内で徒歩配達をスタートさせました。徒歩によるデリバリーサービスがビジネスとして成立するのも、巨大な人口密集地である東京なればこそといえるでしょう。 もちろん私自身、「東京一極集中」を100%肯定的にとらえているわけではありません。人口が狭い地域に集中することは、ときに、さまざまなストレスや軋轢の要因となりえます。特に2020年に発生したコロナ禍においては、東京の過密さが感染拡大の大きなリスク要因になってしまいました。東京一極集中のデメリットは確かに存在します。 しかし、そのメリットもまた無視できないほど大きいものであるのも事実。私たちはそろそろ、東京一極集中のメリットについても真剣に語り合うべきではないでしょうか。 先ほど、東京にはヒト・モノ・カネ・情報が集積していると述べましたが、東京は、いわゆる大企業が集積していることでも知られています。 たとえば、「フォーチュングローバル500」(2020年)のデータによれば、世界で売上高上位500社に入るグローバル企業のうち、東京都に本社を置く企業は37社。これは北京市55社に次ぐ世界第2位の多さであり、3位のパリ市、ニューヨーク州16社を大きくリードしています』、「私たちはそろそろ、東京一極集中のメリットについても真剣に語り合うべきではないでしょうか」、なるほど。
・『東京の税収はスウェーデンの国家予算並み また、日本の従業員数100人以上の事業所所在地を見ると、全体の37.0%が東京都に集まっています。以下、大阪府9.2%、愛知県5.9%、神奈川県4.7%の順。東京圏1都3県を合計すると、日本全体の46.9%が東京圏に集中している計算になります。 それだけに、東京都が毎年得ることのできる法人税などの税収は膨大であり、例年の予算規模約15兆円はスウェーデンの国家予算を上回ります。東京都が受け取るこうした莫大な税収の一部は、実は地方へも還元されます。本来、「東京などの大都市」と「地方」と「中央政府」の関係は、以下のようなものでした。 ○「地方」は「東京などの大都市」に労働力となる「人」を提供 ○「東京などの大都市」は企業による経済活動で税収を得て、「中央政府」に税を納付 ○「中央政府」は東京などが納めた税金から「地方」に地方交付税などの補助金を分配 ところが、1990年代前半にバブル経済が崩壊してから、この3者の関係は大きく変化しました。ごく大雑把にいえば、企業の業績悪化や不良債権問題で東京など大都市の税収が激減。中央政府の税収も激減しましたが、地方に補助金を支給しないと地方経済が破綻してしまうため、赤字国債を大量発行して急場をしのぎます。 しかし、そんな自転車操業がいつまでも続けられるわけもなく、中央政府は「平成の大合併」で全国3232市町村を1727市町村にまで削減。補助金の総量を減額すると同時に、「地方法人特別税」の制度を導入。制度の変更もありながら、現在は、東京都の法人事業税、法人住民税の税収のうち、9000億円超が地方に再分配されています。 このようにして、東京が一極集中によって得られた富は、直接的または間接的に、地方の各都市に配分されています。つまり、東京が潤えば地方も栄えるのです』、「東京が一極集中によって得られた富は、直接的または間接的に、地方の各都市に配分されています」、これは地方交付税の仕組みそのものだ。こんなことで、「東京が潤えば地方も栄える」とは間違えではないとはいえ、新たに発見した関係であるかのように誇らしげに強調するとは、お粗末だ。こんな記事を取上げるとは、東洋経済も落ちたものだ。私も、ざっと読んだ段階では、気づかなかったため、このブログの読者を巻き込んでしまったことを、ここに深くお詫びしたい。
先ずは、本年2月16日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの山田 稔氏による「東京23区の人口減「テレワークで移住説」は本当か 25年ぶりに23区の「日本人人口」が転出超過に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/511572
・『コロナ禍が長期化するなかで、東京の人口に異変が起きている。総務省が発表した2021年人口移動報告と東京都の住民基本台帳による世帯と人口(2021年1月1日現在)でみると、東京23区はついに年間の転出者が転入者を上回る転出超過となり、年間で人口が2万人以上も減少した。いったい、何が起こっているのだろうか』、興味深そうだ。
・『「脱23区」はファミリー層に多い まずは、総務省の2021年人口移動報告をみてみよう。日本人のデータでみると、東京都の転入超過数は1万815人で、前年から半減だ。コロナ前の2019年は8万6575人だったから、87%もの大幅減である。それでも転入超過は続いている。 大きな異変が起きたのは東京都特別区部(23区)の転出入だ。外国人を含めた数値では、1万4828人の転出超過となり、外国人を含めた集計を開始した2014年以降初めて転出超過となった。日本人に限っても7983人の転出超過で、こちらは1996年以来25年ぶりだという。ちなみに23区の転出超過を世代別(日本人)にみると、30ー44歳の「子育て世代」が3万372人、0-14歳の「子ども世代」が16434人でボリュームゾーンを形成している。 それでは、区ごとの状況はどうだろうか。 転入超過は12区、転出超過は11区と半々だ。転入超過が多いのは ①足立区2224人②台東区1494人③葛飾区1258人 逆に転出超過が多いのは、①江戸川区3330人②世田谷区2755人 ③目黒区2581人 だった。 死亡数と出生数を加味した人口増減はどうか。東京都の日本人人口データ(2022年1月1日現在)で見ると、23区全体では21年の1年間で2万3462人の減少だ。20年は年間3万1248人の増加だったから、逆転現象が起きている。増加したのは中央区(0.66%増)、台東区(0.51%増)など6区だけで、17区は減少だ。減少数が多いのは江戸川区(4856人)、大田区(3949人)などだ。 ちなみに23区の人口増減をコロナ禍直前の20年1月1日時点と比較すると、それでも7786人の増加となっている。) では、23区が転出超過となった背景に何があったのか。今回のニュースを伝える多くのメディアは「コロナ禍でテレワーク移住進む」「テレワーク普及で近隣県への転出が増加」などと伝えている。本当にテレワークが最大の要因なのだろうか。 筆者の周辺で昨年、都心から転居した3家族の転居理由は、「自然豊かな環境で暮らしたい」(23区内から房総)、「転職」(23区郊外から神戸)、「子育てのため実家で父母と同居」(23区内から九州)だった。逆に週の半分程度がテレワークという知人の多くは23区内から動いていない。 テレワークで地方移住、郊外転居を実行した人が、いったいどれだけいるのだろうか。テレビでは、23区から千葉県流山市や神奈川県小田原市に引っ越した若い夫婦2組のケースを紹介していた。共にリモートワークだというが、2組ともにIT関連企業勤務だった。職場環境が恵まれているケースだ。毎日、現場に向かわなければならないエッセンシャルワーカーの方々には無縁の世界である。 コロナ禍は3年目に突入したが、テレワークの実施状況はどうなっているのか。東京都のテレワーク実施率調査(1月7日発表)によると、2021年12月の都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は56.4%で、前月比で0.8ポイントの減少だった。「週3日以上」は45.6%で同0.4ポイントの減少。もっとも多いのは「週1日」で35.3%で、「週5日」は16.6%にとどまっている。日本生産性本部の最新の調査(1月)では、首都圏1都3県の実施率は26.8%で10月調査よりも10.1ポイントも下がっている』、「東京都のテレワーク実施率」はいずれの調査でも低下したようだ。
・『マンション高騰も「脱出」原因か こうした数字をみる限り、「テレワークで移住進む」はどうにも説得力に欠ける。楽観的過ぎるのだ。むしろ、他の要因があるのではないか。そこで住宅環境を調べてみると、仰天の事実が浮上してきた。東京23区の新築マンション価格の高騰である。 不動産経済研究所の「新築分譲マンション市場動向2021年のまとめ」によると、首都圏の発売戸数は3万3636戸、前年比23.5%増で、東京23区は1万3290戸(シェア39.5%)だった。気になる23区の平均価格は8293万円(1㎡当たり128.2万円)で前年比7.5%アップ。首都圏全体平均の6260万円よりも2000万円以上も高い。東京都下5061万円、神奈川県5270万円、埼玉県4801万円、千葉県4314万円と、23区の突出ぶりが分かる。 では、賃貸はどうか。不動産情報サービスのアットホーム株式会社が毎月公表している「全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向」を見てみよう。 コロナ直前の2020年1月の23区の「ファミリー向き(50~70㎡)」物件の平均家賃は186944円だったが、最新の2021年12月では191863円となっている。家賃は景気動向に左右されにくいと言われるだけあって、その差は5000円弱、上昇率は2.6%ほどだが、終わりの見えないコロナ禍において、都心に住む必要性のなくなった人たちにとっては受け入れがたいものだろう。 「都心部の住宅コストは高騰し過ぎています。一方、サラリーマン世帯の所得はそう増えていませんから、一握りの富裕層や資産家しか購入できないし、業者も購買層を絞っています。23区が転出超過になった要因が「テレワークの普及」というのはあくまでサブの話で、根本的には住宅コストが上がり過ぎて住めなくなってきているため郊外へ転出しているとみています」(不動産専門のデータ会社・東京カンテイの市場調査部の担当者)。 新築マンションが8000万円超、賃貸の家賃ですら上昇傾向。子育て世代には、今の23区の住宅環境は厳し過ぎる。子育てのための住宅購入を機に地方や郊外へ引っ越す。そんなサラリーマン世帯の姿が目に浮かぶようである。テレワークが引き金となったかもしれないが、やはり住宅価格の高騰が転出超過・人口減の最大の要因ではないだろうか』、「子育て世代には、今の23区の住宅環境は厳し過ぎる。子育てのための住宅購入を機に地方や郊外へ引っ越す」、「やはり住宅価格の高騰が転出超過・人口減の最大の要因」、なるほど。
・『都内の「休廃業・解散」した企業は大幅減 もう一つ、気になる現象がある。コロナ禍での〝不況〟である。帝国データバンクが発表した『全国企業「休廃業・解散」動向調査』の結果によると、意外にも休廃業・解散した企業数はコロナ前に比べて大幅に減少している。しかしその内実は、政府系・民間金融機関による資金提供やコロナ対応の補助金が貢献した結果で、実際、東京都に限ってみれば、1万2123件と前年より増え、全国で唯一1万件を超えている。 2021年12月の東京都の有効求人倍率(就業地別)は0.90倍で、年間を通じて1倍を下回った。一方、東京都の失業率は2021年7-9月平均で3.1%と全国 平均の2.8%を上回っている。コロナ前の2019年7-9月は同2.2%だったことを踏まえると、コロナ禍の経済状況悪化でリストラされたり、職を失ったりした人たちが東京から去っていった。そんなケースも相当数あるのではないだろうか。 データ上はもっとも23区への転入が多い若者層でも「大学がオンライン授業ばかりになったからアパートを解約して実家に帰った」とか、「バイトがなくなり23区内から私鉄沿線の郊外に引っ越した」といった声も聞く。このほかにも都心からの転居には、さまざまな事情があるだろう。 2021年1年間に東京23区から人口が流出したのは紛れもない事実だ。しかし、その一方でタワマンをはじめ新築マンションが年間に1万3000戸以上も販売され、22年の予測はそれを上回る。そして結果として、コロナ前と比べた23区の日本人人口は、依然として減少には至っていない。今年に入り感染拡大が続くなかでも、テレワーク実施率は低下傾向にある』、「コロナ禍の経済状況悪化でリストラされたり、職を失ったりした人たちが東京から去っていった。そんなケースも相当数あるのではないだろうか。 データ上はもっとも23区への転入が多い若者層でも「大学がオンライン授業ばかりになったからアパートを解約して実家に帰った」とか、「バイトがなくなり23区内から私鉄沿線の郊外に引っ越した」といった声も聞く」、確かにこれらが「23区の人口」への減少圧力になっているのだろう。
・『「都心を去る人」には2種類ある 「テレワークで移住進む」といった分析は、働き方改革や東京一極集中是正を掲げる政府にとっては、なんとも耳当たりのいいものである。しかし、現実はそんなに甘くはない。テレワーク環境が整備された企業で働き、都心から離れても生活できる人と、もはや暮らしていけないから都心を離れざるを得ない人のどちらが多いのか。今後の人口対策、少子化対策のためにもきちんとした分析、検証が必要だろう』、確かに「今後の人口対策、少子化対策のためにもきちんとした分析、検証が必要」、同感である。
次に、5月6日付け東洋経済オンラインが掲載した明治大学名誉教授 の市川 宏雄氏と不動産コンサルタントの 宮沢 文彦氏による「「東京一極集中が日本を救っている」といえる理由 「東京が潤えば地方も栄える」の仕組みを解説」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/582711
・『コロナ禍においても、都内各地の再開発プロジェクトの多くは進行しており、懸念されていた人々の地方移住も限定的で、「東京一極集中」の状態は続いています。東京にはなぜ、それほどのパワーがあるのか。そして東京には、これから先どんな未来が待ち受けているのか。 明治大学名誉教授の市川宏雄氏、株式会社ボルテックス代表取締役社長兼CEOの宮沢文彦氏の新刊『2030年「東京」未来予想図』から、東京の現在と未来を3回にわたって紹介します。 人口が東京に一極集中すること、その結果、ヒトだけでなくモノ・カネ・情報がすべて東京に集中してしまうことは、これまで社会の在り方として不健全だと考えられてきました』、「東京一極集中」を評価するとは、興味深そうだ。
・『ヒト・モノ・カネ・情報が集まる東京圏 地方に暮らす人々から見ると、東京圏にばかりヒト・モノ・カネ・情報が集まるのは、確かに不公平のように思えます。特に2000年代以降、「限界集落」や「地方消滅」といった問題が広く取り沙汰されるようになってからは、「東京一極集中こそが諸悪の根源」のようにもいわれてきました。 しかし1990年代以降、出口の見えないデフレ不況に突入し、きわめて低い経済成長率しか達成できていない日本が今日でも先進国の一員でいられるのは、実は"東京一極集中のおかげ"ともいえるのです。ヒト・モノ・カネ・情報が今のように東京に集中していなければ、日本はどこかの時点で、G7(主要先進7カ国)から脱落していたかもしれません。多少オーバーな言い方をすれば、東京一極集中こそが日本を救っているのです。 なぜ、そういう理屈になるのか。それは、現代が第3次産業全盛の時代であり、第3次産業は大都市でこそ繁栄する産業だからです。 自然界に直接働きかける産業を第1次産業といいます。具体的には農業・漁業・林業がこれにあたり、第1次産業で製品(収穫物・漁獲物)を生産(収穫・採取)するために必要な場所は、耕作地・漁場・山林になります。第1次産業で得た製品を使って加工する産業を第2次産業といいます。製造業・建設業がこれにあたり、第2次産業で製品を生産するために必要な場所は工場・一定の広さの土地になります。 では、第3次産業で製品を生産するために必要な場所とはどこでしょうか。第1次産業、第2次産業に含まれないすべての産業を第3次産業と呼びます。 具体的には、電気・ガス・水道業、情報・通信業、運輸業、卸売・小売業、飲食業、金融・保険業、不動産業、サービス業、公務など。第3次産業で生産される製品(サービス)は非常に多岐にわたりますが、その製品が生産される場所は明確です。人と人が自由に行き来でき、交流し合えるところ。つまり、交通網と情報網が整備され、多くの人々が居住しているところ、すなわち都市になります。 すべての産業をこのように第1次から第3次までに分類したのは、イギリスの経済学者コーリン・クラーク。彼はペティ=クラークの法則でも知られています。) この法則とは、一国の産業構造は経済発展の進度によって、第1次産業から第2次、第3次へと比重が移っていくというもの。 わが国の経済発展の歴史もまさにそのとおりで、産業別の就業者人口を1968年と50年後の2018年で比較してみると、第1次産業は19.8%から3.4%に、第2次産業は34.0%から23.5%に減少しているのに比べ、第3次産業は46.3%から73.0%へと大きく増加。いまや、日本で働いている人の10人のうち7人は第3次産業に従事しており、その大部分が都市部で暮らしていると推察できます。 この第3次産業に特徴的なのは、人口が集積すればするほどスケールメリットが働き、指数関数的に経済がより巨大に発展していくということ。人が集まれば集まるほど、そのニーズは多様化かつ巨大化していき、新たな市場が同時多発的に増殖されていくからです。 人口100万都市が生み出す経済的価値=都市GDPを10倍しても、人口1000万都市1個分の都市GDPには遠く及びません。人口1000万都市の都市GDPは、人口100万都市のGDPの20倍にも30倍にもなるからです』、「ヒト・モノ・カネ・情報が今のように東京に集中していなければ、日本はどこかの時点で、G7・・・から脱落していたかもしれません。多少オーバーな言い方をすれば、東京一極集中こそが日本を救っているのです」、一見したところ、もっともらしいが、首都圏への「集中」は、他の先進国に比べても日本では著しいので、もっと丁寧な説明が必要だ。
・『東京の経済規模はオランダGDP以上 たとえば、2019年度の世界各国のGDPを見ると、日本は5兆45億ドルで世界第3位ですが、驚くべきことに、東京都の巨大な経済規模は日本のGDPの約19%にあたる9654億ドル(都民経済計算平成30年度年報)に上り、オランダ、イラン、スイス、トルコといった国々のGDPを凌駕しています。一極集中によって巨大化した東京の経済力が、今日の日本経済を支えているといえるでしょう。 また東京には、地方都市では成立しにくいビジネスがいくつも成立しています。その良い例が、猫カフェ、ハリネズミカフェ、フクロウカフェなどの動物カフェでしょう。 それぞれ、その店に行けば猫、ハリネズミ、フクロウに触れ合えることがウリで、利用料金はハリネズミカフェで1人30分1500円程度。こうした動物カフェのような隙間ビジネスはそもそも、人口の少ない都市では成立しません。人口1400万人を有する東京だからこそ、「ハリネズミと触れ合いたい」と思う人々が一定数存在し、それらの人々を相手に商売することができるわけです。ちなみに、ハリネズミカフェは現在、東京都内に10店舗以上あるそうです。 秋葉原電気街、神田古書店街、かっぱ橋道具街など多くの専門店街が成立しているのも、巨大都市である東京ならでは。飲食店にしても、焼き芋専門店、マッシュルーム専門店、ポテトサラダ専門店、かつお節専門店、りんご飴専門店など、特定の食材や料理に特化したメニューだけを提供する店が数多く存在します。 さらに2021年6月から、飲食店デリバリーサービスのUber Eats(ウーバーイーツ)が東京都区内で徒歩配達をスタートさせました。徒歩によるデリバリーサービスがビジネスとして成立するのも、巨大な人口密集地である東京なればこそといえるでしょう。 もちろん私自身、「東京一極集中」を100%肯定的にとらえているわけではありません。人口が狭い地域に集中することは、ときに、さまざまなストレスや軋轢の要因となりえます。特に2020年に発生したコロナ禍においては、東京の過密さが感染拡大の大きなリスク要因になってしまいました。東京一極集中のデメリットは確かに存在します。 しかし、そのメリットもまた無視できないほど大きいものであるのも事実。私たちはそろそろ、東京一極集中のメリットについても真剣に語り合うべきではないでしょうか。 先ほど、東京にはヒト・モノ・カネ・情報が集積していると述べましたが、東京は、いわゆる大企業が集積していることでも知られています。 たとえば、「フォーチュングローバル500」(2020年)のデータによれば、世界で売上高上位500社に入るグローバル企業のうち、東京都に本社を置く企業は37社。これは北京市55社に次ぐ世界第2位の多さであり、3位のパリ市、ニューヨーク州16社を大きくリードしています』、「私たちはそろそろ、東京一極集中のメリットについても真剣に語り合うべきではないでしょうか」、なるほど。
・『東京の税収はスウェーデンの国家予算並み また、日本の従業員数100人以上の事業所所在地を見ると、全体の37.0%が東京都に集まっています。以下、大阪府9.2%、愛知県5.9%、神奈川県4.7%の順。東京圏1都3県を合計すると、日本全体の46.9%が東京圏に集中している計算になります。 それだけに、東京都が毎年得ることのできる法人税などの税収は膨大であり、例年の予算規模約15兆円はスウェーデンの国家予算を上回ります。東京都が受け取るこうした莫大な税収の一部は、実は地方へも還元されます。本来、「東京などの大都市」と「地方」と「中央政府」の関係は、以下のようなものでした。 ○「地方」は「東京などの大都市」に労働力となる「人」を提供 ○「東京などの大都市」は企業による経済活動で税収を得て、「中央政府」に税を納付 ○「中央政府」は東京などが納めた税金から「地方」に地方交付税などの補助金を分配 ところが、1990年代前半にバブル経済が崩壊してから、この3者の関係は大きく変化しました。ごく大雑把にいえば、企業の業績悪化や不良債権問題で東京など大都市の税収が激減。中央政府の税収も激減しましたが、地方に補助金を支給しないと地方経済が破綻してしまうため、赤字国債を大量発行して急場をしのぎます。 しかし、そんな自転車操業がいつまでも続けられるわけもなく、中央政府は「平成の大合併」で全国3232市町村を1727市町村にまで削減。補助金の総量を減額すると同時に、「地方法人特別税」の制度を導入。制度の変更もありながら、現在は、東京都の法人事業税、法人住民税の税収のうち、9000億円超が地方に再分配されています。 このようにして、東京が一極集中によって得られた富は、直接的または間接的に、地方の各都市に配分されています。つまり、東京が潤えば地方も栄えるのです』、「東京が一極集中によって得られた富は、直接的または間接的に、地方の各都市に配分されています」、これは地方交付税の仕組みそのものだ。こんなことで、「東京が潤えば地方も栄える」とは間違えではないとはいえ、新たに発見した関係であるかのように誇らしげに強調するとは、お粗末だ。こんな記事を取上げるとは、東洋経済も落ちたものだ。私も、ざっと読んだ段階では、気づかなかったため、このブログの読者を巻き込んでしまったことを、ここに深くお詫びしたい。
タグ:東京一極集中 (その1)(東京23区の人口減「テレワークで移住説」は本当か 25年ぶりに23区の「日本人人口」が転出超過に、「東京一極集中が日本を救っている」といえる理由 「東京が潤えば地方も栄える」の仕組みを解説) 東洋経済オンライン 山田 稔氏による「東京23区の人口減「テレワークで移住説」は本当か 25年ぶりに23区の「日本人人口」が転出超過に」 「東京都のテレワーク実施率」はいずれの調査でも低下したようだ。 「子育て世代には、今の23区の住宅環境は厳し過ぎる。子育てのための住宅購入を機に地方や郊外へ引っ越す」、「やはり住宅価格の高騰が転出超過・人口減の最大の要因」、なるほど。 「コロナ禍の経済状況悪化でリストラされたり、職を失ったりした人たちが東京から去っていった。そんなケースも相当数あるのではないだろうか。 データ上はもっとも23区への転入が多い若者層でも「大学がオンライン授業ばかりになったからアパートを解約して実家に帰った」とか、「バイトがなくなり23区内から私鉄沿線の郊外に引っ越した」といった声も聞く」、確かにこれらが「23区の人口」への減少圧力になっているのだろう。 確かに「今後の人口対策、少子化対策のためにもきちんとした分析、検証が必要」、同感である。 市川 宏雄 宮沢 文彦 「「東京一極集中が日本を救っている」といえる理由 「東京が潤えば地方も栄える」の仕組みを解説」 「東京一極集中」を評価するとは、興味深そうだ。 「ヒト・モノ・カネ・情報が今のように東京に集中していなければ、日本はどこかの時点で、G7・・・から脱落していたかもしれません。多少オーバーな言い方をすれば、東京一極集中こそが日本を救っているのです」、一見したところ、もっともらしいが、首都圏への「集中」は、他の先進国に比べても日本では著しいので、もっと丁寧な説明が必要だ。 「私たちはそろそろ、東京一極集中のメリットについても真剣に語り合うべきではないでしょうか」、なるほど。 「東京が一極集中によって得られた富は、直接的または間接的に、地方の各都市に配分されています」、これは地方交付税の仕組みそのものだ。こんなことで、「東京が潤えば地方も栄える」とは間違えではないとはいえ、新たに発見した関係であるかのように誇らしげに強調するとは、お粗末だ。こんな記事を取上げるとは、東洋経済も落ちたものだ。私も、ざっと読んだ段階では、気づかなかったため、このブログの読者を巻き込んでしまったことを、ここに深くお詫びしたい。