女性活躍(その24)(将棋の「女性プロ棋士」がいまだに誕生しない理由 育児中の女流棋士が語る女性ならではの悩み、なぜ日本の「女性研究者」は先進国で目立って少ないのか 専門家が指摘する「3段階の課題」〈dot.〉、男子サッカー国際試合で「日本人女性審判トリオ」の快挙 主審がたどった軌跡とは) [社会]
女性活躍については、4月15日に取上げたばかりだが、今日は、(その24)(将棋の「女性プロ棋士」がいまだに誕生しない理由 育児中の女流棋士が語る女性ならではの悩み、なぜ日本の「女性研究者」は先進国で目立って少ないのか 専門家が指摘する「3段階の課題」〈dot.〉、男子サッカー国際試合で「日本人女性審判トリオ」の快挙 主審がたどった軌跡とは)dえある。
先ずは、本年4月17日付け東洋経済オンライン「将棋の「女性プロ棋士」がいまだに誕生しない理由 育児中の女流棋士が語る女性ならではの悩み」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/582236
・『将棋界において、厳密な意味で「女性のプロ棋士」は一人もいない。背景にはどんな問題があるのか。2児の母でもある上田初美女流四段に聞いた。 将棋界における「プロ棋士」とは、男女関係なくプロ養成機関の奨励会に入り、四段になった棋士のことを指す。一方、「女流棋士」は別の制度で「女流2級」以上の人のことを言う。 実は、奨励会を経て四段になった女性棋士はまだおらず、厳密な意味で「女性のプロ棋士」は、これまで一人も存在しない。その理由については、「将棋は囲碁以上に戦闘的で男性的なゲームだから」「男女に脳の構造の違いがあるから」など、都市伝説のような言説もある。 実際はどうなのか。上田初美女流四段(33)に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは上田氏の回答)』、興味深そうだ。
・『奨励会の9割以上は男性 Q:将棋界はそもそも、女流棋士が少ない印象です。 A:(将棋のプロ養成機関の)奨励会に入っている人は9割以上が男性です。女性はマイノリティで、そこで戦うのは大変なこと。奨励会にいるだけで、(男性の圧力に)圧迫されるような気分になると聞いている。 将棋に関心を示す人は少しずつ広がってきてはいるが、現実問題として奨励会に入る女性は増えていない。 小学生以下を対象にした「テーブルマークこども大会」などのイベントでは女の子が体感で3割くらい参加する。それが研修会(奨励会の予備校的な機関。女流棋士養成機関でもある)になると女性の割合は2割くらいになる。そこから実力で上にあがっていく人は限られるので、奨励会では女性比率が1割以下になり、最高峰ともいえるプロ棋士はいまだにゼロだ。 Q:女性がプロになるのはかなりハードルが高いと? A:そうです。将棋でプロを目指す女の子は、まず奨励会に入るべきかどうか、そこで悩む。奨励会に行っても女の子はほとんどいないし、悩みを共有することが難しい。 (男女関係ない奨励会とは別の)女流棋士制度を巡って、「男女平等であるべきではないか(女流棋士制度は必要ない)」と言う人もいるが、私は女流棋士の制度があっていいと思う。昔よりも現在は女性ファンも多くなった。女流棋士の存在なくして、女性の将棋人口は増えていかないだろう。 Q:「男性の棋士と女流棋士では実力差がある」と言われることもあります。 A:最近、囲碁界では、上野愛咲美さん(20)や藤沢里菜さん(23)が男女混合の棋戦でも勝つ場面が増えた(編集部注:囲碁では男性を含めた全棋士の中で、2021年の年間最多勝は女流の上野氏だった)。 将棋では「女流が男性棋士に勝てないのはなぜか」と言われることもあるが、奨励会に入った数少ない女性の多くは初段前後になっている。(女流の特別参加枠がある)将棋の公式戦でも、女流棋士は少しずつ実績を残している。限られた人数の中で女性は相当善戦していると感じている。 才能ある棋士は、やはり裾野(女性の将棋人口)が広がらないと出てこない。将棋では(女流二冠の)西山朋佳さん(26)、(女流四冠の)里見香奈さん(30)が活躍しているが、裾野が広ければ広いほど才能ある女性もたくさん出てくるだろう』、「奨励会に入った数少ない女性の多くは初段前後になっている」、今後の活躍が楽しみだ。
・『将棋以外の面で脱落することも Q:上田さんは男女で棋力の差が出てくる要因として、「生理やPMS(月経前症候群)の有無」を文春オンラインのコラムで指摘しています。 A:女流棋士同士ではお互い様だが、男性に混じっていくとなると、それ(生理やPMS)も含めて戦っていかないといけない。ただ、(生理などで)体調を崩す人と崩さない人がいる。将棋の才能があっても、思春期に入って体調が崩れる、心身が崩れるとなると、将棋以外の部分で脱落することもある。 (上田氏の略歴はリンク先参照) 三段リーグ(三段の奨励会員が四段昇格をかけて戦うリーグ戦。半年で18局を戦い、上位2人がプロ棋士である四段に昇格する)は、とくに過酷だ。半年間18局を好調で続けなければならない。非常に難しいこと。女性は男性に比べて体調を理想的に調整することがとても難しいと感じている。 私が2020年9月にコラムで書いたときにはいろんな反響があった。「体調の問題がありながらも、ほかの業界ではトップを走る女性もいる」といった批判もきた。このような議論が起きることは悪くないと思っている。 後進を育てる人、(将棋を)教えている人の多くは男性で、議論が広がれば女性の弟子が突然不調に陥った際に、可能性の1つとして彼女にそういうこと(生理など)が起きているのでは、と想像することができるかもしれない。 Q:将棋を指すうえで、生理などは具体的にどのような障害になりますか。 A:人それぞれまったく違うと思うが、将棋で最も大変なのは集中力の低下です。多くの人に眠気が出ると思う。低気圧に弱い人が眠くなったり、頭痛が起きたりするが、それに近い。眠気にあらがえない。何かに集中しようとしてもモヤがかかっているような感じがする。 調子がいいときは脳が回っている実感があるが、それがかなり鈍くなる。(生理よりも)PMSのほうがやっかいという人のほうが多いのではないか。これは女性である以上、必ずつきまとう。どう付き合っていくか、個人で抱えると重たい問題なので、何かいい形で付き合っていければいいと考える』、「将棋を指すうえで、生理などは」、「集中力の低下です。多くの人に眠気が出ると思う」、読むだけでつらそうだ。
・『出産後、勝てなくなった時期 Q:女流棋士の中には、上田さんのように出産を経験された方もいます。出産や育児が将棋に与える影響は大きいですか。 A:私も出産した後に、勝てなくなった時期があった。それなりに勝っていたころに戻れないのではないかという不安もあった。 でも、出産して成績が下がるのは当たり前。最初の数カ月は(育児は)すごい修羅場で、自分が寝る間もない。私は「出産後に勝率が落ちるのはしょうがない」と楽天的に考えたが、「勝敗がすべて」という勝負師タイプの女流棋士が出産したら、どうしても休むことになって勝率が落ちるので、大変だろう。 一時期、久保利明九段が「鈍感力」という言葉をよく使っていたが、細かいことを気にしない適当感は、出産や育児をしながら棋士として戦っていくうえで必要だと思う。 Q:夫の及川拓馬七段はプロ棋士ですが、それは子育て面ではプラスですか。 A:2人とも、いわば自営業なので、家にいる時間が多く、融通が利くことはある。女流棋士は特殊な職業で、「17時に(保育所に)お迎えにきてください」と言われても行けないことがある。14時に終局予定でも、「千日手」(同じ手順が繰り返されること。同じ局面が4回現れると無勝負となり指し直しになる)になれば、迎えに行けないし電話もできない。 わが家は夫に迎えに行ってもらうが、仮に激務の会社員の男性と結婚した女流棋士は、揉める原因になるかもしれない。「こっちは大事な取引があるんだよ」「こっちも対局なんだよ」と口論になりがち。ある程度融通が利くパートナーがいなければ、育児との両立は難しい面もある。) Q:子育てと仕事の両立は大変です。夫婦で時間のやりくりはどのようにしていますか。 A:2人とも同時に勝ち進むとけっこうきついが、うちはなぜか片方が勝つと片方が負けるようにできている(笑)。対局は2人の合計で年間100を超えることはない。それでもけっこう大変だ。 最近、仲よくしてもらっているママ友がいて、よく頼って子どもの面倒をみてもらっている。最初は「ママ友は必要なのか」と疑問に思っていたが、子どもが成長していくと、横のつながりが大事なことに気づいてきた。お互いに、子どもを預かったり預けたり、頼ったり頼られたりする存在はとても大きい』、「「17時に(保育所に)お迎えにきてください」と言われても行けないことがある。14時に終局予定でも、「千日手」・・・になれば、迎えに行けないし電話もできない」、「電話」すらできないとは大変だ。
・『棋士としてのキャリアと個人の幸せ Q:将棋の勉強は、子どもが寝静まってからの夜の3時間になったそうですね。 A:(負け込んでいる時期に)ちょっとやばいと思ったので、意識的に勉強した。将棋は周りに助けてもらうことはあまりなくて、あくまで自分のやる気の問題。コツコツ型の夫は、育児で勉強時間が減ったことで、「ここで勉強しないと絶対に勝てない」と勉強できる時間の希少性を感じて取り組んでいる。私も出産前と比べると、勉強の集中力が格段に上がった。 Q:今後、女性のプロ棋士は誕生してほしいですか。 A:当然、誕生してほしい。ただ、個人の幸せを考えると、複雑な気持ちになる。もし出産を考えるとなると、女性は休まなければならないので、一時的に確実に対局ができなくなる。 20代半ばが女性の出産適齢期と言われるが、棋士の最盛期も20代半ばで、ちょうど出産適齢期にあたる。対局を休めば当然、順位も落ちる。子どもが生まれると、女流棋士は最短4カ月程度は休まなくてはならない。産前産後の経過が悪くなるともっと長くなる。男女まったく同じ条件で戦っていくなら、相当な覚悟がないと難しい道になる』、「20代半ばが女性の出産適齢期と言われるが、棋士の最盛期も20代半ばで、ちょうど出産適齢期にあたる」、これは覚悟の上で「出産」を選択するほかなさそうだ。
次に、5月5日付けAERAdot「なぜ日本の「女性研究者」は先進国で目立って少ないのか 専門家が指摘する「3段階の課題」〈dot.〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022042800018.html?page=1
・『研究者として活躍する女性が少ない日本社会。対して、海外では女性研究者の活躍が広がっている。その違いにある、女性研究者が置かれた実情を考察してみたい。現在発売中のAERAムック『大学ランキング2023』(朝日新聞出版)より紹介する。 【データ】日本と諸外国、女性研究者の割合はこんなに違う 日本の研究者のうち、女性研究者が占める割合は17.5%(総務省「科学技術研究調査」2021年)。この数値は緩やかに上昇してきてはいるものの、イギリス、アメリカなどの先進各国と比べると目立って低い(グラフ参照)(イギリス38.6%、アメリカ32.9%、ドイツ28.1%)。 背景には、大学院に進学する女性が少ないという事実がある。文部科学省によると、大学生の女子学生比率は45.6%だが、大学院生になるとその数字は32.7%にまで下がるのだ(「2021年度学校基本調査」)。 男女比の偏りが起こる局面は、進学だけではない。教育社会学やジェンダー研究が専門の山形大・河野銀子教授は、「進学」に加え、「採用」「キャリアの中断」という3段階に課題があると分析する。 「研究者の就職先の約6割は民間企業なのですが、企業研究者の男女比はおよそ9:1。企業が女性研究者の採用に積極的でなく、活躍の場が用意されていないと言えるでしょう。さらに、頑張って研究者のキャリアを歩き始めたとしても、出産・育児で数年研究を中断すると知識的なギャップが生じて復帰が困難になり、研究の道をあきらめてしまうケースも多く見られます」』、「企業研究者の男女比はおよそ9:1。企業が女性研究者の採用に積極的でなく、活躍の場が用意されていない」、「出産・育児」による中断を嫌う企業はやはり採用に及び腰のようだ。
・『大学教員に性別分業の傾向評価、昇進の差に 研究者のもう一つの主な就職先は大学だ。ここで日本の大学教員のジェンダー構成に注意を向けると、女性がキャリアを築くことの難しさが浮かび上がる。 「日本の大学は、講師、准教授、教授と階層が上がるごとに、男性の比率が高まり、女性の比率が低くなるという構造になっています。これは、女性が出産・育児を機に仕事を辞めてしまったり、復帰したとしても昇進が遅れてしまったりすることが要因でしょう。また、性別分業の傾向があって、男性は研究者、女性は教育者としての仕事の比重が重くなりがちという側面もあります。学生のケアに尽力しても大学内で評価されにくいため昇進にはつながらず、自身の研究も進めにくくなるというわけです」) (女性研究者の割合は先進各国より低い の図はリンク先参照) 研究者の男女比の偏りは、その分野の発展にどう影響するのか。 「どの分野にも言えることですが、研究者が興味関心を持ったところに課題が見いだされ、解決法が導かれていきます。男性ばかりで女性の視点が入らないと、研究課題や分析方法が単調になってしまい、新しい発見をしにくくなってしまう恐れがあります。実際、男性のみのチームよりも男女混合のチームのほうが特許件数や特許の経済価値が高いというデータも示されています(日本政策投資銀行「調査研究レポート」2016)。近年は日本の研究力低下が叫ばれていますが、背景には研究者の多様性の乏しさが潜んでいるのかもしれません」』、「日本の大学は、講師、准教授、教授と階層が上がるごとに、男性の比率が高まり、女性の比率が低くなるという構造」、「大学」でも「男性」優位とは困ったことだ。
・『「女性の普通の幸せつかんで」 教員から止められた博士進学 分野別の女性研究者の割合を見ると、文学=43%、社会学=39%などに対し、化学=15%、工学=12%など、理系ではとくに割合が小さい日本。文系に進む女子学生が圧倒的に多いのが現状だ。 「大きな問題は、理系のイメージの狭さだと思います。日本では理系というと、化学実験、機械の開発、数式の解明などがイメージされます。しかし、例えばドイツでは、ギムナジウム(中等学校)で原子力について学ぶ時に、発電所の近隣住民が抱える問題について考えてプレゼンするなど、市民生活との関わりも強いそうです。それに対し、日本で理系と呼ばれる範囲は狭いのではないでしょうか」 また冒頭でも示したように、理系に限らず、研究者を志して大学院に進学する女子学生は少ない。なぜなのか。 「本人が研究者になりたいと考えていても、親や親戚から『女性らしくない』『結婚できなくなる』などと言われて、一歩を踏み出せない学生もいます。指導教員に『君には女性として普通の幸せをつかんでほしい』と言われ、修士課程から博士課程への進学を止められたという話も聞いたことがあります。女子学生の周りの大人の『研究は男の世界』という固定観念を払拭することや、職場となる企業や大学が、妊娠・出産、子育てをしながらでも研究を続けられる制度づくりを推進することが求められています」 ) (女性研究者はどこにいるのか の図はリンク先参照) 欧米では1980~90年代から女性研究者の実情に目が向けられ、大学などでは奨学金や助成金を与えるなどの取り組みが進められてきた。教師や保護者の間でも、「女の子は理系や研究職に向いていない」という思い込みを捨て、男女の区別ない教育を提供しようという意識が高まったという。 「女性研究者はすぐには増えません。欧米では何十年も前から長期的な視点の取り組みを続けてきたことが、今になって実を結んでいるのです。日本は大幅に出遅れていますので、行政面からも教育現場からも、迅速に対策を講じることが求められています」』、「「女性研究者はすぐには増えません。欧米では何十年も前から長期的な視点の取り組みを続けてきたことが、今になって実を結んでいるのです。日本は大幅に出遅れていますので、行政面からも教育現場からも、迅速に対策を講じることが求められています」、同感である。
・『多様な分野で求められるジェンダー的な観点 スタンフォード大では、性差分析を多様な研究に取り入れて全ての人のための改革を目指す「Gendered Innovations(ジェンダード・イノベーションズ)」を推進し、ホームページでさまざまな研究事例を紹介している。例えばある研究では、多くの車が男性の体型に合わせて設計されており、その想定に合わない女性などは事故による怪我や死亡のリスクが高くなると指摘されている。さらに、従来のシートベルトは妊婦の体にフィットするよう作られておらず、比較的軽い衝突事故でも胎児に害を及ぼす可能性があるという。 また、妊娠・出産や生理、女性特有の病気などをテクノロジーでケアする新しい分野「Femtech(フェムテック)」も世界的に注目され、これからの成長が期待される。 河野教授は、研究に女性の視点が入ることで、ダイバーシティーが実現されていくのだと話す。 法学分野ではDVやセクシュアルハラスメントに関する法整備、経済学分野では主婦の家事労働が経済に及ぼす価値の分析、情報分野ではAIによる顔認識システムのバイアスの除去、医学分野では男女の体の差をしっかりと踏まえた性差医療の研究……。ジェンダー的な観点は特定の分野ではなく、あらゆる分野で求められています。女性研究者の増加は、誰もが暮らしやすい社会づくりにつながっていくのです。これからは、男女が協働し、分野も融合した複合的な研究開発が世界を変えていくことでしょう」) 研究者という仕事に男女の向き不向きはない。あるのは、女性が働きにくい労働環境と、周囲の大人の偏見だ。研究者を目指す女子学生に向け、河野教授は励ましの言葉を送る。 「日本人の女性には自分の力を過小評価してしまう『インポスター症候群』が多いと言われていて、自分には研究者なんて無理だと考えてしまうケースが多いと感じています。ですが実際にはとても優秀な女性が多く、挑戦もせずにあきらめてしまうのは実にもったいないことです。ぜひ研究者になって興味関心を突き詰め、社会を改革していってください」 (河野氏の略歴はリンク先参照)』、「「日本人の女性には自分の力を過小評価してしまう『インポスター症候群』が多いと言われていて、自分には研究者なんて無理だと考えてしまうケースが多いと感じています。ですが実際にはとても優秀な女性が多く、挑戦もせずにあきらめてしまうのは実にもったいないことです。ぜひ研究者になって興味関心を突き詰め、社会を改革していってください」、同感である。
第三に、5月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの藤江直人氏による「男子サッカー国際試合で「日本人女性審判トリオ」の快挙、主審がたどった軌跡とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302664
・『日本サッカー界で前例のない快挙が達成された。アジア各国の強豪クラブが頂点を競うAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で、山下良美主審、坊薗真琴、手代木直美両副審で構成される女性審判員チームが初めて試合を担当した。特に36歳の山下さんはACLだけでなく、30年目を迎えたJリーグの公式戦でも初めて主審を務めた実績を持っている。男子のトップレベルの試合を裁く女性主審のパイオニアを歩む、山下さんのキャリアと素顔を追った』、「女性主審のパイオニア」とは興味深そうだ。
・『サッカー界の歴史に新たな1ページ 日本人の女性審判員トリオが試合を担当 アジアの頂点を目指し、日本から川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、浦和レッズ、ヴィッセル神戸が参加した今シーズンのACLで、サッカー界の歴史に新たな1ページが刻まれた。 新型コロナウイルス禍が考慮され、ホーム&アウェイ方式ではなく、中東と東南アジアの4カ国で集中開催されているグループステージ。試合会場の1つであるタイ中部、首都バンコクに近いパトゥムターニースタジアムで4月21日、日本人の女性審判員トリオが試合を担当した。 山下主審、坊薗、手代木両副審が割り当てられたのは、メルボルン・シティ(オーストラリア)と全南ドラゴンズ(韓国)が対戦したグループG第3節。前身となる大会を含めて半世紀以上の歴史を持つACLで、山下さんは主審を務めた初めての女性になった。 36歳の山下さんは昨年5月16日、ニッパツ三ツ沢球技場で行われたJ3リーグのY.S.C.C.横浜対テゲバジャーロ宮崎でも主審を務めている。このときもJリーグの公式戦で史上初となる快挙だった。歴史を塗り替え続けるパイオニアは、どのようなキャリアを歩んできたのか』、確かに「山下さん」は「歴史を塗り替え続けるパイオニア」にふさわしい。
・『選手だった山下さんが審判に きっかけは先輩・坊薗さんの誘い 昨シーズンにJリーグデビューを果たした直後に、山下さんを取材する機会があった。サッカー人生において、審判とはどのような存在だったのか。返ってきたのは意外な言葉だった。 「選手としてプレーしているときは、審判という存在は私の目には入っていなかったんですね。一緒に試合をしているはずなのに、言ってみれば全く興味がない、全く関心がない世界でした」 東京都中野区で生まれ育った山下さんは、兄の影響を受けて幼稚園のときに始めたサッカーに夢中になった。社会人チームでボランチとして活躍しながら、都立西高から進んだ東京学芸大在学中に転機が訪れた。大学の先輩で先のACLで副審を務めた、坊薗さんから審判を頼まれたのだ。) 「坊薗さんに誘われたというか、最初は無理やり試合に連れていかれたというか。全然気が進まなかったんですけど、とにかくやってみよう、と。最初の試合はキックオフの笛を吹いて、時間を計って、試合終了の笛を吹くことしか考えていなかったんですけど、それを終えるともっとこうしたい、という気持ちが芽生えてきて。試合ごとにそういうものが、どんどん積み重なってきた感じですね」 審判員にも魅力を感じ始め、4級から3級、そして日本サッカー協会(JFA)が主催する全国レベルの試合で副審を担当できる2級審判員の資格を取得したときに、社会人チームで続けていた選手との二刀流から1つに絞った。当時の心境を、山下さんは「責任」を介して振り返っている。 「女子のトップリーグに関係できる責任の重さを感じたこともあり、2級審判員になるのであれば、しっかりと審判という仕事に向き合わなければいけない、という気持ちが芽生えてきました」 2012年になでしこリーグの主審を担当できる女子1級審判員の資格を取得した山下さんは、JFAの推薦を受けて15年に国際サッカー連盟(FIFA)の国際審判員として登録された』、「全国レベルの試合で副審を担当できる2級審判員の資格を取得したときに、社会人チームで続けていた選手との二刀流から1つに絞った」、「15年に国際サッカー連盟(FIFA)の国際審判員として登録された」、大したものだ。
・『澤穂希の引退試合で主審 女子サッカーの力を感じた FIFAが主催するU-17女子ワールドカップや女子ワールドカップに加えて、男性がプレーする大会として国内で全国高校サッカー選手権大会、アジアではACLに次ぐ大会となるAFCカップで審判を務めた山下さんは、キャリアを積み重ねた過程で今も忘れられない試合を経験した。 レジェンド澤穂希さんの現役最後の試合となった、15年12月27日の皇后杯全日本女子サッカー選手権決勝。2万人を超える大観衆が駆けつけた等々力陸上競技場で、注目された澤さんの決勝ゴールでINAC神戸レオネッサが頂点に立った劇的な一戦の主審が山下さんだった。「自分の転機になったかといえば違うかもしれませんが、本当にたくさんの方が見に来てくださったあの試合がとにかく印象に残っていて。ピッチに立って周囲を見回したときに、女子サッカーでこれだけの注目を集められるんだ、人の心を動かせるんだ、という力を感じました」 主審という仕事にさらなるやりがいを覚えた山下さんは、それでも「男性の試合も裁こうとは、特に考えなかったんですけど」と苦笑しながら、19年12月のJFA理事会で認定された、Jリーグを含めた男子社会人の試合で主審を務められる1級審判員資格をこう振り返った。 「フィジカル面では維持させるよりも向上させることを常に考えてきましたし、技術面や座学による勉強面も含めて、全てを向上させたい、と取り組んできたその先に男性の試合を担当できる選択肢があったというか。結果として、Jリーグを担当する機会があった感じでしょうか」』、「「フィジカル面では維持させるよりも向上させることを常に考えてきましたし、技術面や座学による勉強面も含めて、全てを向上させたい、と取り組んできたその先に男性の試合を担当できる選択肢があったというか。結果として、Jリーグを担当する機会があった感じでしょうか」、凄い向上心だ。
・『昨年Jリーグの主審に これまで通りのスタイルを貫く 20年は“4部”に当たるJFLで経験を積んだ。迎えた昨年1月。59人からなるJリーグ主審リストに初めて名を連ねた山下さんは、前述した5月16日に歴史の扉を開いた。 もっとも、主審として目指していくスタイルは、資格がどんどん上がっても全く変わらない。決して目立たず、それでいて両チームにストレスを感じさせない秘訣(ひけつ)を山下さんはこう説明する。) 「まずは一生懸命走って、できるだけ近くで見ること。わかりやすく、簡潔に伝えられるようにジェスチャーと表情、あとは笛も含めて使えるものはなるべく使ってコミュニケーションを取れればと思っています」 世界へ目を向ければ、フランス人のステファニー・フラパールさんという先駆者がいる。38歳のフラパールさんはフランス1部リーグに続いて、UEFAチャンピオンズリーグ、カタールワールドカップ出場がかかったヨーロッパ予選と男子選手がしのぎを削る大舞台で主審を務めた。 年齢が近いフラパールさんが切り開いた新たな分野を、山下さんも歩んでいく先に見つめている。何事にも「初めて」と報じられる自身に課された役割を、山下さんは自然体でこう語った。 「今後はJリーグでの機会を続けていくこと、女性審判員が男性の試合を担当することが当たり前になっていくことが、私の目標とすべきところだと思っています。そのためにできることは目の前の試合に全力で取り組むことなので、それを意識して担当していきたい。その上であまり目を留められなかった方々に、審判員という存在を少しでも注目していただけたらうれしいですね」』、「今後はJリーグでの機会を続けていくこと、女性審判員が男性の試合を担当することが当たり前になっていくことが、私の目標とすべきところだと思っています」、なるほど。
・『ジェンダー平等で後れを取る日本サッカー界 山下さんがすそ野を広げ続ける サッカー界全体で事例が少ないがゆえに、今はまだ男子のトップレベルの試合で笛を吹く女性が注目される。ただ、例えばアメリカでは選手も共用できる託児所がスタジアム内に設けられるなど、審判員という仕事においてもジェンダー平等参画に対する意識が日本よりはるか先に進んでいる。 審判という仕事に憧れる女性のすそ野を大きく広げ、その上で審判員資格を順次取得してステップアップしていく先で、周囲の理解を得ながら可能性が狭まらない社会を作り上げていく。 日本サッカー界の課題には、Jリーグの審判員として生計を立てられる環境も含まれてくる。JFAが認定するプロフェッショナルレフェリー(注)に名を連ねていない山下さんは、実は他に仕事を持っている。多忙を極める日々で、それでも毎日1時間から2時間のトレーニングを欠かさない。 「筋力トレーニングやアジリティーを鍛えるトレーニングは、自分を奮い立たせながらできます。ただ、インターバルトレーニングなど、息が上がるようなトレーニングは一人だときついので、なるべく仲間を見つけて一緒にやるようにしています」 苦笑しながらこう語っていた山下さんは、Jリーグで笛を吹いた実績を「選択肢が増えたことは、とても意義のあることだと思っています」と、サッカー界全体にとってプラスになると歓迎していた。そして今、選択肢に日本国内のJ2やJ1を飛び越えてACLという舞台も加わった。 注目された一戦を終えた後に、山下さんはJFAを通じてこんなコメントを発表した。 「ACLを日本人女性トリオで担当するという機会をいただけたこと、大変感謝いたします。このような機会が続いていくよう今後も一試合一試合、全力で向き合っていきます」 ストレスを感じたときには気分転換としてゲームに興じるか、あるいは「陽気な声を出して」と照れながら明かした山下さんはこれからも気負わず、日本全国の審判員仲間がこれまでに積み上げてきた実績をリスペクトしながら、誰も前にいない道を全力で歩み続けていく』、今後の活躍が楽しみだ。
(注)プロフェッショナルレフェリー:審判員の活動によって主たる収入を得ている人物並びに制度(Wikipedia)
先ずは、本年4月17日付け東洋経済オンライン「将棋の「女性プロ棋士」がいまだに誕生しない理由 育児中の女流棋士が語る女性ならではの悩み」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/582236
・『将棋界において、厳密な意味で「女性のプロ棋士」は一人もいない。背景にはどんな問題があるのか。2児の母でもある上田初美女流四段に聞いた。 将棋界における「プロ棋士」とは、男女関係なくプロ養成機関の奨励会に入り、四段になった棋士のことを指す。一方、「女流棋士」は別の制度で「女流2級」以上の人のことを言う。 実は、奨励会を経て四段になった女性棋士はまだおらず、厳密な意味で「女性のプロ棋士」は、これまで一人も存在しない。その理由については、「将棋は囲碁以上に戦闘的で男性的なゲームだから」「男女に脳の構造の違いがあるから」など、都市伝説のような言説もある。 実際はどうなのか。上田初美女流四段(33)に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは上田氏の回答)』、興味深そうだ。
・『奨励会の9割以上は男性 Q:将棋界はそもそも、女流棋士が少ない印象です。 A:(将棋のプロ養成機関の)奨励会に入っている人は9割以上が男性です。女性はマイノリティで、そこで戦うのは大変なこと。奨励会にいるだけで、(男性の圧力に)圧迫されるような気分になると聞いている。 将棋に関心を示す人は少しずつ広がってきてはいるが、現実問題として奨励会に入る女性は増えていない。 小学生以下を対象にした「テーブルマークこども大会」などのイベントでは女の子が体感で3割くらい参加する。それが研修会(奨励会の予備校的な機関。女流棋士養成機関でもある)になると女性の割合は2割くらいになる。そこから実力で上にあがっていく人は限られるので、奨励会では女性比率が1割以下になり、最高峰ともいえるプロ棋士はいまだにゼロだ。 Q:女性がプロになるのはかなりハードルが高いと? A:そうです。将棋でプロを目指す女の子は、まず奨励会に入るべきかどうか、そこで悩む。奨励会に行っても女の子はほとんどいないし、悩みを共有することが難しい。 (男女関係ない奨励会とは別の)女流棋士制度を巡って、「男女平等であるべきではないか(女流棋士制度は必要ない)」と言う人もいるが、私は女流棋士の制度があっていいと思う。昔よりも現在は女性ファンも多くなった。女流棋士の存在なくして、女性の将棋人口は増えていかないだろう。 Q:「男性の棋士と女流棋士では実力差がある」と言われることもあります。 A:最近、囲碁界では、上野愛咲美さん(20)や藤沢里菜さん(23)が男女混合の棋戦でも勝つ場面が増えた(編集部注:囲碁では男性を含めた全棋士の中で、2021年の年間最多勝は女流の上野氏だった)。 将棋では「女流が男性棋士に勝てないのはなぜか」と言われることもあるが、奨励会に入った数少ない女性の多くは初段前後になっている。(女流の特別参加枠がある)将棋の公式戦でも、女流棋士は少しずつ実績を残している。限られた人数の中で女性は相当善戦していると感じている。 才能ある棋士は、やはり裾野(女性の将棋人口)が広がらないと出てこない。将棋では(女流二冠の)西山朋佳さん(26)、(女流四冠の)里見香奈さん(30)が活躍しているが、裾野が広ければ広いほど才能ある女性もたくさん出てくるだろう』、「奨励会に入った数少ない女性の多くは初段前後になっている」、今後の活躍が楽しみだ。
・『将棋以外の面で脱落することも Q:上田さんは男女で棋力の差が出てくる要因として、「生理やPMS(月経前症候群)の有無」を文春オンラインのコラムで指摘しています。 A:女流棋士同士ではお互い様だが、男性に混じっていくとなると、それ(生理やPMS)も含めて戦っていかないといけない。ただ、(生理などで)体調を崩す人と崩さない人がいる。将棋の才能があっても、思春期に入って体調が崩れる、心身が崩れるとなると、将棋以外の部分で脱落することもある。 (上田氏の略歴はリンク先参照) 三段リーグ(三段の奨励会員が四段昇格をかけて戦うリーグ戦。半年で18局を戦い、上位2人がプロ棋士である四段に昇格する)は、とくに過酷だ。半年間18局を好調で続けなければならない。非常に難しいこと。女性は男性に比べて体調を理想的に調整することがとても難しいと感じている。 私が2020年9月にコラムで書いたときにはいろんな反響があった。「体調の問題がありながらも、ほかの業界ではトップを走る女性もいる」といった批判もきた。このような議論が起きることは悪くないと思っている。 後進を育てる人、(将棋を)教えている人の多くは男性で、議論が広がれば女性の弟子が突然不調に陥った際に、可能性の1つとして彼女にそういうこと(生理など)が起きているのでは、と想像することができるかもしれない。 Q:将棋を指すうえで、生理などは具体的にどのような障害になりますか。 A:人それぞれまったく違うと思うが、将棋で最も大変なのは集中力の低下です。多くの人に眠気が出ると思う。低気圧に弱い人が眠くなったり、頭痛が起きたりするが、それに近い。眠気にあらがえない。何かに集中しようとしてもモヤがかかっているような感じがする。 調子がいいときは脳が回っている実感があるが、それがかなり鈍くなる。(生理よりも)PMSのほうがやっかいという人のほうが多いのではないか。これは女性である以上、必ずつきまとう。どう付き合っていくか、個人で抱えると重たい問題なので、何かいい形で付き合っていければいいと考える』、「将棋を指すうえで、生理などは」、「集中力の低下です。多くの人に眠気が出ると思う」、読むだけでつらそうだ。
・『出産後、勝てなくなった時期 Q:女流棋士の中には、上田さんのように出産を経験された方もいます。出産や育児が将棋に与える影響は大きいですか。 A:私も出産した後に、勝てなくなった時期があった。それなりに勝っていたころに戻れないのではないかという不安もあった。 でも、出産して成績が下がるのは当たり前。最初の数カ月は(育児は)すごい修羅場で、自分が寝る間もない。私は「出産後に勝率が落ちるのはしょうがない」と楽天的に考えたが、「勝敗がすべて」という勝負師タイプの女流棋士が出産したら、どうしても休むことになって勝率が落ちるので、大変だろう。 一時期、久保利明九段が「鈍感力」という言葉をよく使っていたが、細かいことを気にしない適当感は、出産や育児をしながら棋士として戦っていくうえで必要だと思う。 Q:夫の及川拓馬七段はプロ棋士ですが、それは子育て面ではプラスですか。 A:2人とも、いわば自営業なので、家にいる時間が多く、融通が利くことはある。女流棋士は特殊な職業で、「17時に(保育所に)お迎えにきてください」と言われても行けないことがある。14時に終局予定でも、「千日手」(同じ手順が繰り返されること。同じ局面が4回現れると無勝負となり指し直しになる)になれば、迎えに行けないし電話もできない。 わが家は夫に迎えに行ってもらうが、仮に激務の会社員の男性と結婚した女流棋士は、揉める原因になるかもしれない。「こっちは大事な取引があるんだよ」「こっちも対局なんだよ」と口論になりがち。ある程度融通が利くパートナーがいなければ、育児との両立は難しい面もある。) Q:子育てと仕事の両立は大変です。夫婦で時間のやりくりはどのようにしていますか。 A:2人とも同時に勝ち進むとけっこうきついが、うちはなぜか片方が勝つと片方が負けるようにできている(笑)。対局は2人の合計で年間100を超えることはない。それでもけっこう大変だ。 最近、仲よくしてもらっているママ友がいて、よく頼って子どもの面倒をみてもらっている。最初は「ママ友は必要なのか」と疑問に思っていたが、子どもが成長していくと、横のつながりが大事なことに気づいてきた。お互いに、子どもを預かったり預けたり、頼ったり頼られたりする存在はとても大きい』、「「17時に(保育所に)お迎えにきてください」と言われても行けないことがある。14時に終局予定でも、「千日手」・・・になれば、迎えに行けないし電話もできない」、「電話」すらできないとは大変だ。
・『棋士としてのキャリアと個人の幸せ Q:将棋の勉強は、子どもが寝静まってからの夜の3時間になったそうですね。 A:(負け込んでいる時期に)ちょっとやばいと思ったので、意識的に勉強した。将棋は周りに助けてもらうことはあまりなくて、あくまで自分のやる気の問題。コツコツ型の夫は、育児で勉強時間が減ったことで、「ここで勉強しないと絶対に勝てない」と勉強できる時間の希少性を感じて取り組んでいる。私も出産前と比べると、勉強の集中力が格段に上がった。 Q:今後、女性のプロ棋士は誕生してほしいですか。 A:当然、誕生してほしい。ただ、個人の幸せを考えると、複雑な気持ちになる。もし出産を考えるとなると、女性は休まなければならないので、一時的に確実に対局ができなくなる。 20代半ばが女性の出産適齢期と言われるが、棋士の最盛期も20代半ばで、ちょうど出産適齢期にあたる。対局を休めば当然、順位も落ちる。子どもが生まれると、女流棋士は最短4カ月程度は休まなくてはならない。産前産後の経過が悪くなるともっと長くなる。男女まったく同じ条件で戦っていくなら、相当な覚悟がないと難しい道になる』、「20代半ばが女性の出産適齢期と言われるが、棋士の最盛期も20代半ばで、ちょうど出産適齢期にあたる」、これは覚悟の上で「出産」を選択するほかなさそうだ。
次に、5月5日付けAERAdot「なぜ日本の「女性研究者」は先進国で目立って少ないのか 専門家が指摘する「3段階の課題」〈dot.〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022042800018.html?page=1
・『研究者として活躍する女性が少ない日本社会。対して、海外では女性研究者の活躍が広がっている。その違いにある、女性研究者が置かれた実情を考察してみたい。現在発売中のAERAムック『大学ランキング2023』(朝日新聞出版)より紹介する。 【データ】日本と諸外国、女性研究者の割合はこんなに違う 日本の研究者のうち、女性研究者が占める割合は17.5%(総務省「科学技術研究調査」2021年)。この数値は緩やかに上昇してきてはいるものの、イギリス、アメリカなどの先進各国と比べると目立って低い(グラフ参照)(イギリス38.6%、アメリカ32.9%、ドイツ28.1%)。 背景には、大学院に進学する女性が少ないという事実がある。文部科学省によると、大学生の女子学生比率は45.6%だが、大学院生になるとその数字は32.7%にまで下がるのだ(「2021年度学校基本調査」)。 男女比の偏りが起こる局面は、進学だけではない。教育社会学やジェンダー研究が専門の山形大・河野銀子教授は、「進学」に加え、「採用」「キャリアの中断」という3段階に課題があると分析する。 「研究者の就職先の約6割は民間企業なのですが、企業研究者の男女比はおよそ9:1。企業が女性研究者の採用に積極的でなく、活躍の場が用意されていないと言えるでしょう。さらに、頑張って研究者のキャリアを歩き始めたとしても、出産・育児で数年研究を中断すると知識的なギャップが生じて復帰が困難になり、研究の道をあきらめてしまうケースも多く見られます」』、「企業研究者の男女比はおよそ9:1。企業が女性研究者の採用に積極的でなく、活躍の場が用意されていない」、「出産・育児」による中断を嫌う企業はやはり採用に及び腰のようだ。
・『大学教員に性別分業の傾向評価、昇進の差に 研究者のもう一つの主な就職先は大学だ。ここで日本の大学教員のジェンダー構成に注意を向けると、女性がキャリアを築くことの難しさが浮かび上がる。 「日本の大学は、講師、准教授、教授と階層が上がるごとに、男性の比率が高まり、女性の比率が低くなるという構造になっています。これは、女性が出産・育児を機に仕事を辞めてしまったり、復帰したとしても昇進が遅れてしまったりすることが要因でしょう。また、性別分業の傾向があって、男性は研究者、女性は教育者としての仕事の比重が重くなりがちという側面もあります。学生のケアに尽力しても大学内で評価されにくいため昇進にはつながらず、自身の研究も進めにくくなるというわけです」) (女性研究者の割合は先進各国より低い の図はリンク先参照) 研究者の男女比の偏りは、その分野の発展にどう影響するのか。 「どの分野にも言えることですが、研究者が興味関心を持ったところに課題が見いだされ、解決法が導かれていきます。男性ばかりで女性の視点が入らないと、研究課題や分析方法が単調になってしまい、新しい発見をしにくくなってしまう恐れがあります。実際、男性のみのチームよりも男女混合のチームのほうが特許件数や特許の経済価値が高いというデータも示されています(日本政策投資銀行「調査研究レポート」2016)。近年は日本の研究力低下が叫ばれていますが、背景には研究者の多様性の乏しさが潜んでいるのかもしれません」』、「日本の大学は、講師、准教授、教授と階層が上がるごとに、男性の比率が高まり、女性の比率が低くなるという構造」、「大学」でも「男性」優位とは困ったことだ。
・『「女性の普通の幸せつかんで」 教員から止められた博士進学 分野別の女性研究者の割合を見ると、文学=43%、社会学=39%などに対し、化学=15%、工学=12%など、理系ではとくに割合が小さい日本。文系に進む女子学生が圧倒的に多いのが現状だ。 「大きな問題は、理系のイメージの狭さだと思います。日本では理系というと、化学実験、機械の開発、数式の解明などがイメージされます。しかし、例えばドイツでは、ギムナジウム(中等学校)で原子力について学ぶ時に、発電所の近隣住民が抱える問題について考えてプレゼンするなど、市民生活との関わりも強いそうです。それに対し、日本で理系と呼ばれる範囲は狭いのではないでしょうか」 また冒頭でも示したように、理系に限らず、研究者を志して大学院に進学する女子学生は少ない。なぜなのか。 「本人が研究者になりたいと考えていても、親や親戚から『女性らしくない』『結婚できなくなる』などと言われて、一歩を踏み出せない学生もいます。指導教員に『君には女性として普通の幸せをつかんでほしい』と言われ、修士課程から博士課程への進学を止められたという話も聞いたことがあります。女子学生の周りの大人の『研究は男の世界』という固定観念を払拭することや、職場となる企業や大学が、妊娠・出産、子育てをしながらでも研究を続けられる制度づくりを推進することが求められています」 ) (女性研究者はどこにいるのか の図はリンク先参照) 欧米では1980~90年代から女性研究者の実情に目が向けられ、大学などでは奨学金や助成金を与えるなどの取り組みが進められてきた。教師や保護者の間でも、「女の子は理系や研究職に向いていない」という思い込みを捨て、男女の区別ない教育を提供しようという意識が高まったという。 「女性研究者はすぐには増えません。欧米では何十年も前から長期的な視点の取り組みを続けてきたことが、今になって実を結んでいるのです。日本は大幅に出遅れていますので、行政面からも教育現場からも、迅速に対策を講じることが求められています」』、「「女性研究者はすぐには増えません。欧米では何十年も前から長期的な視点の取り組みを続けてきたことが、今になって実を結んでいるのです。日本は大幅に出遅れていますので、行政面からも教育現場からも、迅速に対策を講じることが求められています」、同感である。
・『多様な分野で求められるジェンダー的な観点 スタンフォード大では、性差分析を多様な研究に取り入れて全ての人のための改革を目指す「Gendered Innovations(ジェンダード・イノベーションズ)」を推進し、ホームページでさまざまな研究事例を紹介している。例えばある研究では、多くの車が男性の体型に合わせて設計されており、その想定に合わない女性などは事故による怪我や死亡のリスクが高くなると指摘されている。さらに、従来のシートベルトは妊婦の体にフィットするよう作られておらず、比較的軽い衝突事故でも胎児に害を及ぼす可能性があるという。 また、妊娠・出産や生理、女性特有の病気などをテクノロジーでケアする新しい分野「Femtech(フェムテック)」も世界的に注目され、これからの成長が期待される。 河野教授は、研究に女性の視点が入ることで、ダイバーシティーが実現されていくのだと話す。 法学分野ではDVやセクシュアルハラスメントに関する法整備、経済学分野では主婦の家事労働が経済に及ぼす価値の分析、情報分野ではAIによる顔認識システムのバイアスの除去、医学分野では男女の体の差をしっかりと踏まえた性差医療の研究……。ジェンダー的な観点は特定の分野ではなく、あらゆる分野で求められています。女性研究者の増加は、誰もが暮らしやすい社会づくりにつながっていくのです。これからは、男女が協働し、分野も融合した複合的な研究開発が世界を変えていくことでしょう」) 研究者という仕事に男女の向き不向きはない。あるのは、女性が働きにくい労働環境と、周囲の大人の偏見だ。研究者を目指す女子学生に向け、河野教授は励ましの言葉を送る。 「日本人の女性には自分の力を過小評価してしまう『インポスター症候群』が多いと言われていて、自分には研究者なんて無理だと考えてしまうケースが多いと感じています。ですが実際にはとても優秀な女性が多く、挑戦もせずにあきらめてしまうのは実にもったいないことです。ぜひ研究者になって興味関心を突き詰め、社会を改革していってください」 (河野氏の略歴はリンク先参照)』、「「日本人の女性には自分の力を過小評価してしまう『インポスター症候群』が多いと言われていて、自分には研究者なんて無理だと考えてしまうケースが多いと感じています。ですが実際にはとても優秀な女性が多く、挑戦もせずにあきらめてしまうのは実にもったいないことです。ぜひ研究者になって興味関心を突き詰め、社会を改革していってください」、同感である。
第三に、5月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの藤江直人氏による「男子サッカー国際試合で「日本人女性審判トリオ」の快挙、主審がたどった軌跡とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302664
・『日本サッカー界で前例のない快挙が達成された。アジア各国の強豪クラブが頂点を競うAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で、山下良美主審、坊薗真琴、手代木直美両副審で構成される女性審判員チームが初めて試合を担当した。特に36歳の山下さんはACLだけでなく、30年目を迎えたJリーグの公式戦でも初めて主審を務めた実績を持っている。男子のトップレベルの試合を裁く女性主審のパイオニアを歩む、山下さんのキャリアと素顔を追った』、「女性主審のパイオニア」とは興味深そうだ。
・『サッカー界の歴史に新たな1ページ 日本人の女性審判員トリオが試合を担当 アジアの頂点を目指し、日本から川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、浦和レッズ、ヴィッセル神戸が参加した今シーズンのACLで、サッカー界の歴史に新たな1ページが刻まれた。 新型コロナウイルス禍が考慮され、ホーム&アウェイ方式ではなく、中東と東南アジアの4カ国で集中開催されているグループステージ。試合会場の1つであるタイ中部、首都バンコクに近いパトゥムターニースタジアムで4月21日、日本人の女性審判員トリオが試合を担当した。 山下主審、坊薗、手代木両副審が割り当てられたのは、メルボルン・シティ(オーストラリア)と全南ドラゴンズ(韓国)が対戦したグループG第3節。前身となる大会を含めて半世紀以上の歴史を持つACLで、山下さんは主審を務めた初めての女性になった。 36歳の山下さんは昨年5月16日、ニッパツ三ツ沢球技場で行われたJ3リーグのY.S.C.C.横浜対テゲバジャーロ宮崎でも主審を務めている。このときもJリーグの公式戦で史上初となる快挙だった。歴史を塗り替え続けるパイオニアは、どのようなキャリアを歩んできたのか』、確かに「山下さん」は「歴史を塗り替え続けるパイオニア」にふさわしい。
・『選手だった山下さんが審判に きっかけは先輩・坊薗さんの誘い 昨シーズンにJリーグデビューを果たした直後に、山下さんを取材する機会があった。サッカー人生において、審判とはどのような存在だったのか。返ってきたのは意外な言葉だった。 「選手としてプレーしているときは、審判という存在は私の目には入っていなかったんですね。一緒に試合をしているはずなのに、言ってみれば全く興味がない、全く関心がない世界でした」 東京都中野区で生まれ育った山下さんは、兄の影響を受けて幼稚園のときに始めたサッカーに夢中になった。社会人チームでボランチとして活躍しながら、都立西高から進んだ東京学芸大在学中に転機が訪れた。大学の先輩で先のACLで副審を務めた、坊薗さんから審判を頼まれたのだ。) 「坊薗さんに誘われたというか、最初は無理やり試合に連れていかれたというか。全然気が進まなかったんですけど、とにかくやってみよう、と。最初の試合はキックオフの笛を吹いて、時間を計って、試合終了の笛を吹くことしか考えていなかったんですけど、それを終えるともっとこうしたい、という気持ちが芽生えてきて。試合ごとにそういうものが、どんどん積み重なってきた感じですね」 審判員にも魅力を感じ始め、4級から3級、そして日本サッカー協会(JFA)が主催する全国レベルの試合で副審を担当できる2級審判員の資格を取得したときに、社会人チームで続けていた選手との二刀流から1つに絞った。当時の心境を、山下さんは「責任」を介して振り返っている。 「女子のトップリーグに関係できる責任の重さを感じたこともあり、2級審判員になるのであれば、しっかりと審判という仕事に向き合わなければいけない、という気持ちが芽生えてきました」 2012年になでしこリーグの主審を担当できる女子1級審判員の資格を取得した山下さんは、JFAの推薦を受けて15年に国際サッカー連盟(FIFA)の国際審判員として登録された』、「全国レベルの試合で副審を担当できる2級審判員の資格を取得したときに、社会人チームで続けていた選手との二刀流から1つに絞った」、「15年に国際サッカー連盟(FIFA)の国際審判員として登録された」、大したものだ。
・『澤穂希の引退試合で主審 女子サッカーの力を感じた FIFAが主催するU-17女子ワールドカップや女子ワールドカップに加えて、男性がプレーする大会として国内で全国高校サッカー選手権大会、アジアではACLに次ぐ大会となるAFCカップで審判を務めた山下さんは、キャリアを積み重ねた過程で今も忘れられない試合を経験した。 レジェンド澤穂希さんの現役最後の試合となった、15年12月27日の皇后杯全日本女子サッカー選手権決勝。2万人を超える大観衆が駆けつけた等々力陸上競技場で、注目された澤さんの決勝ゴールでINAC神戸レオネッサが頂点に立った劇的な一戦の主審が山下さんだった。「自分の転機になったかといえば違うかもしれませんが、本当にたくさんの方が見に来てくださったあの試合がとにかく印象に残っていて。ピッチに立って周囲を見回したときに、女子サッカーでこれだけの注目を集められるんだ、人の心を動かせるんだ、という力を感じました」 主審という仕事にさらなるやりがいを覚えた山下さんは、それでも「男性の試合も裁こうとは、特に考えなかったんですけど」と苦笑しながら、19年12月のJFA理事会で認定された、Jリーグを含めた男子社会人の試合で主審を務められる1級審判員資格をこう振り返った。 「フィジカル面では維持させるよりも向上させることを常に考えてきましたし、技術面や座学による勉強面も含めて、全てを向上させたい、と取り組んできたその先に男性の試合を担当できる選択肢があったというか。結果として、Jリーグを担当する機会があった感じでしょうか」』、「「フィジカル面では維持させるよりも向上させることを常に考えてきましたし、技術面や座学による勉強面も含めて、全てを向上させたい、と取り組んできたその先に男性の試合を担当できる選択肢があったというか。結果として、Jリーグを担当する機会があった感じでしょうか」、凄い向上心だ。
・『昨年Jリーグの主審に これまで通りのスタイルを貫く 20年は“4部”に当たるJFLで経験を積んだ。迎えた昨年1月。59人からなるJリーグ主審リストに初めて名を連ねた山下さんは、前述した5月16日に歴史の扉を開いた。 もっとも、主審として目指していくスタイルは、資格がどんどん上がっても全く変わらない。決して目立たず、それでいて両チームにストレスを感じさせない秘訣(ひけつ)を山下さんはこう説明する。) 「まずは一生懸命走って、できるだけ近くで見ること。わかりやすく、簡潔に伝えられるようにジェスチャーと表情、あとは笛も含めて使えるものはなるべく使ってコミュニケーションを取れればと思っています」 世界へ目を向ければ、フランス人のステファニー・フラパールさんという先駆者がいる。38歳のフラパールさんはフランス1部リーグに続いて、UEFAチャンピオンズリーグ、カタールワールドカップ出場がかかったヨーロッパ予選と男子選手がしのぎを削る大舞台で主審を務めた。 年齢が近いフラパールさんが切り開いた新たな分野を、山下さんも歩んでいく先に見つめている。何事にも「初めて」と報じられる自身に課された役割を、山下さんは自然体でこう語った。 「今後はJリーグでの機会を続けていくこと、女性審判員が男性の試合を担当することが当たり前になっていくことが、私の目標とすべきところだと思っています。そのためにできることは目の前の試合に全力で取り組むことなので、それを意識して担当していきたい。その上であまり目を留められなかった方々に、審判員という存在を少しでも注目していただけたらうれしいですね」』、「今後はJリーグでの機会を続けていくこと、女性審判員が男性の試合を担当することが当たり前になっていくことが、私の目標とすべきところだと思っています」、なるほど。
・『ジェンダー平等で後れを取る日本サッカー界 山下さんがすそ野を広げ続ける サッカー界全体で事例が少ないがゆえに、今はまだ男子のトップレベルの試合で笛を吹く女性が注目される。ただ、例えばアメリカでは選手も共用できる託児所がスタジアム内に設けられるなど、審判員という仕事においてもジェンダー平等参画に対する意識が日本よりはるか先に進んでいる。 審判という仕事に憧れる女性のすそ野を大きく広げ、その上で審判員資格を順次取得してステップアップしていく先で、周囲の理解を得ながら可能性が狭まらない社会を作り上げていく。 日本サッカー界の課題には、Jリーグの審判員として生計を立てられる環境も含まれてくる。JFAが認定するプロフェッショナルレフェリー(注)に名を連ねていない山下さんは、実は他に仕事を持っている。多忙を極める日々で、それでも毎日1時間から2時間のトレーニングを欠かさない。 「筋力トレーニングやアジリティーを鍛えるトレーニングは、自分を奮い立たせながらできます。ただ、インターバルトレーニングなど、息が上がるようなトレーニングは一人だときついので、なるべく仲間を見つけて一緒にやるようにしています」 苦笑しながらこう語っていた山下さんは、Jリーグで笛を吹いた実績を「選択肢が増えたことは、とても意義のあることだと思っています」と、サッカー界全体にとってプラスになると歓迎していた。そして今、選択肢に日本国内のJ2やJ1を飛び越えてACLという舞台も加わった。 注目された一戦を終えた後に、山下さんはJFAを通じてこんなコメントを発表した。 「ACLを日本人女性トリオで担当するという機会をいただけたこと、大変感謝いたします。このような機会が続いていくよう今後も一試合一試合、全力で向き合っていきます」 ストレスを感じたときには気分転換としてゲームに興じるか、あるいは「陽気な声を出して」と照れながら明かした山下さんはこれからも気負わず、日本全国の審判員仲間がこれまでに積み上げてきた実績をリスペクトしながら、誰も前にいない道を全力で歩み続けていく』、今後の活躍が楽しみだ。
(注)プロフェッショナルレフェリー:審判員の活動によって主たる収入を得ている人物並びに制度(Wikipedia)
タグ:女性活躍 (その24)(将棋の「女性プロ棋士」がいまだに誕生しない理由 育児中の女流棋士が語る女性ならではの悩み、なぜ日本の「女性研究者」は先進国で目立って少ないのか 専門家が指摘する「3段階の課題」〈dot.〉、男子サッカー国際試合で「日本人女性審判トリオ」の快挙 主審がたどった軌跡とは) 東洋経済オンライン「将棋の「女性プロ棋士」がいまだに誕生しない理由 育児中の女流棋士が語る女性ならではの悩み」 「奨励会に入った数少ない女性の多くは初段前後になっている」、今後の活躍が楽しみだ。 「将棋を指すうえで、生理などは」、「集中力の低下です。多くの人に眠気が出ると思う」、読むだけでつらそうだ。 「「17時に(保育所に)お迎えにきてください」と言われても行けないことがある。14時に終局予定でも、「千日手」・・・になれば、迎えに行けないし電話もできない」、「電話」すらできないとは大変だ。 「20代半ばが女性の出産適齢期と言われるが、棋士の最盛期も20代半ばで、ちょうど出産適齢期にあたる」、これは覚悟の上で「出産」を選択するほかなさそうだ。 AERAdot「なぜ日本の「女性研究者」は先進国で目立って少ないのか 専門家が指摘する「3段階の課題」〈dot.〉」 日本の研究者のうち、女性研究者が占める割合は17.5% イギリス38.6%、アメリカ32.9%、ドイツ28.1% 「企業研究者の男女比はおよそ9:1。企業が女性研究者の採用に積極的でなく、活躍の場が用意されていない」、「出産・育児」による中断を嫌う企業はやはり採用に及び腰のようだ。 「日本の大学は、講師、准教授、教授と階層が上がるごとに、男性の比率が高まり、女性の比率が低くなるという構造」、「大学」でも「男性」優位とは困ったことだ。 「「女性研究者はすぐには増えません。欧米では何十年も前から長期的な視点の取り組みを続けてきたことが、今になって実を結んでいるのです。日本は大幅に出遅れていますので、行政面からも教育現場からも、迅速に対策を講じることが求められています」、同感である。 「「日本人の女性には自分の力を過小評価してしまう『インポスター症候群』が多いと言われていて、自分には研究者なんて無理だと考えてしまうケースが多いと感じています。ですが実際にはとても優秀な女性が多く、挑戦もせずにあきらめてしまうのは実にもったいないことです。ぜひ研究者になって興味関心を突き詰め、社会を改革していってください」、同感である。 ダイヤモンド・オンライン 藤江直人氏による「男子サッカー国際試合で「日本人女性審判トリオ」の快挙、主審がたどった軌跡とは」 「女性主審のパイオニア」とは興味深そうだ。 確かに「山下さん」は「歴史を塗り替え続けるパイオニア」にふさわしい。 「全国レベルの試合で副審を担当できる2級審判員の資格を取得したときに、社会人チームで続けていた選手との二刀流から1つに絞った」、「15年に国際サッカー連盟(FIFA)の国際審判員として登録された」、大したものだ。 「「フィジカル面では維持させるよりも向上させることを常に考えてきましたし、技術面や座学による勉強面も含めて、全てを向上させたい、と取り組んできたその先に男性の試合を担当できる選択肢があったというか。結果として、Jリーグを担当する機会があった感じでしょうか」、凄い向上心だ。 「今後はJリーグでの機会を続けていくこと、女性審判員が男性の試合を担当することが当たり前になっていくことが、私の目標とすべきところだと思っています」、なるほど。 今後の活躍が楽しみだ。 (注)プロフェッショナルレフェリー:審判員の活動によって主たる収入を得ている人物並びに制度(Wikipedia)