バイデン政権(その4)(バイデン政権「プーチンフレーション」説は不人気 「インフレ」をめぐる責任論争では共和党が攻勢、アフガンに続きウクライナでも!現地職員を見捨てたアメリカ政府、台湾軍事介入は「計画的失言」?バイデン大統領“捨て身の情報戦”の代償) [世界情勢]
バイデン政権については、1月30日に取上げた。今日は、(その4)(バイデン政権「プーチンフレーション」説は不人気 「インフレ」をめぐる責任論争では共和党が攻勢、アフガンに続きウクライナでも!現地職員を見捨てたアメリカ政府、台湾軍事介入は「計画的失言」?バイデン大統領“捨て身の情報戦”の代償)である。
先ずは、3月16日付け東洋経済オンラインが掲載した米州住友商事会社ワシントン事務所 調査部長の渡辺 亮司氏による「バイデン政権「プーチンフレーション」説は不人気 「インフレ」をめぐる責任論争では共和党が攻勢」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/539019
・『今月末、ハワイ州のコロナ対策緩和とともに、アメリカ全50州で屋内マスク着用義務が撤廃される。ようやくパンデミックの終わりが見え、社会が正常化に向かっていると思われた矢先、ロシアのウクライナ侵攻によってバイデン政権には再び暗雲が垂れこめている。 最大の懸念は、国民の懐を直撃しているインフレが、ウクライナ危機によってさらに高進していることだ。2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で7.9%の上昇と、40年ぶりの高水準を記録した。国民にとって日々身近なガソリンや家庭用食品の価格はそれぞれ前年比38.0%、8.6%と大幅に上昇した。これらの消費が家計支出に大きな割合を占める低所得者層や中間層への打撃は大きい。 パンデミック沈静化とともに需要が堅調に推移し、夏にかけて自動車の走行距離も増えガソリン需要も増えることが想定される中、インフレの観点からは最悪のタイミングでウクライナ危機は起きた。歴史上、戦争はつねに物価上昇をもたらしてきたが、今回は産油国であるロシアによる戦争である。同危機と各国によるロシア制裁によって、全米のガソリン平均価格は3月14日時点で1ガロン当たり4ドル33セント(日本円で1リットル当たり約135円)まで上昇し、過去最高値を記録した。3月のCPIのさらなる上昇は避けられない』、「インフレ」に対しFRBの甘過ぎる見方に加えて、「ウクライナ危機」は「インフレの観点からは最悪のタイミングで」「起きた」のは確かだ。
・『インフレ悪化を覚悟し、ロシア産原油を輸入禁止に インフレが悪化しているにもかかわらず、3月8日、バイデン政権はロシア産原油の輸入禁止措置を発表した。ロシア産原油がアメリカの輸入量全体に占める割合は3%と微々たるものではあるが、ロシア産原油の輸入禁止措置がインフレを加速させかねないことを政権は熟知していた。 だが、この苦渋の判断を下した背景には、議会からの圧力があった。議会では超党派でロシア産原油の輸入禁止措置を可決することが確実視されていたため、議会圧力に屈したと見られる前にバイデン政権は先手を打ったようだ。バイデン政権は、ウクライナ侵攻を止めないプーチン大統領に対し弱腰の姿勢を国民に見せるわけにはいかない。 11月の中間選挙でインフレは最大の争点になるとの見方が支配的だ。そのため、自らにとってこの問題を有利に働かせようと、民主党と共和党はインフレに関してまったく異なる角度から主張を展開し始めている。 バイデン大統領の支持率が低迷していることから、現状、民主党は中間選挙での大敗が予想されている。民主党が特に下院で多数派を維持するには、残り約8カ月で奇跡の挽回を必要とする。ロシアのウクライナ侵攻は深刻な人道危機ではあるが、民主党にとっては巻き返しを図るチャンスが到来したともいえる。 バイデン大統領は2月のCPI発表後、インフレ高騰について、「プーチン大統領のウクライナ侵攻が要因」と主張。ホワイトハウスのケイト・ベディングフィールド広報部長は「#PutinPriceHike(#プーチンによる値上げ)」とSNS上でキャンペーンを展開している。民主党支持者の間では、プーチン大統領(Putin)とインフレ(Inflation)を繋げた「プーチンフレーション(Putinflation)」といった造語も拡散し始めている。 ABCニュース・イプソス世論調査(3月11~12日実施)によると、ガソリン価格が上昇したとしてもアメリカがロシア産原油の輸入を禁止することを支持するかとの質問に対して、77%の国民が支持している。SNS上ではウクライナ国民が払っている犠牲に比べれば、アメリカにいる自らがガソリン価格上昇で払う犠牲は微々たるものとの声も広がっている』、「プーチンフレーション」というのはみえみえの責任転嫁だ。
・『共和党はバイデンの「対エネルギー戦争」を批判 一方、共和党議員の多くもロシア産原油の禁輸措置は支持しているものの、ウクライナ危機はエネルギー価格上昇の主因ではないという立場だ。共和党はインフレの責任はプーチン大統領ではなく、バイデン大統領にあると、大統領の責任追及に注力している。つまり「プーチンフレーション」ではなく、引き続き「バイデンフレーション(Bidenflation)」だと主張している。 バイデン政権の化石燃料に対する厳格な国内政策「対エネルギー戦争(War on Energy)」こそ、インフレの主因だと主張しているのだ。共和党はバイデン政権が発足以降、キーストーンXLパイプライン建設阻止や環境規制強化など、気候変動対策を重視してきたことを理由に挙げている。 選挙で共和党議員を支援する全国共和党下院委員会(NRCC)は、今月、「ガソリンスタンドでの痛み(Pain at the pump)」と題するテレビCMの放送を全国の激戦選挙区で開始。同CMではガソリン価格の高騰をバイデン大統領や各選挙区の民主党議員に関連づけ、民主党がアメリカのエネルギー産業を台無しにしたと訴えている。) だが、そもそもアメリカのガソリン価格動向は国内の原油生産量よりも世界の原油価格との相関関係が強い。また、共和党が主張するバイデン政権の「対エネルギー戦争」がインフレにつながるとの話は一理あるが、国内での増産が容易でない理由は、より複雑だ。 社会がESG(環境、社会、企業統治)重視に急速に変貌を遂げる中、近年、化石燃料への新規投資には、経済界、とりわけ金融業界が慎重になってきている。また、共和党は国内でのシェール生産拡大を主張しているが、仮に企業が増産すると決めたとしても、労働力や掘削装置、資材などの不足から、実現は最短で半年後だという。民主党が主張する再生エネルギー推進による国内エネルギー供給の拡大には、長年を要する。 バイデン大統領がガソリン価格上昇に対して、「現時点では、ほとんど何もできない」と語るように、政権に残されたオプションは限られる。そこで、有力視されているのが他国の増産に頼ることだ』、「そもそもアメリカのガソリン価格動向は国内の原油生産量よりも世界の原油価格との相関関係が強い。また、共和党が主張するバイデン政権の「対エネルギー戦争」がインフレにつながるとの話は一理あるが、国内での増産が容易でない理由は、より複雑だ」、なるほど。
・『他の専制主義国家に頼らざるをえない イラン核合意の再建交渉を急ぐほか、対ベネズエラ制裁の解除、サウジアラビアなどによる増産協力などが想定されている。アメリカでは民間企業が中心となってエネルギーを生産しているが、これらの諸国では国営企業が生産をになっており、国の方針で増産が容易である点にバイデン政権は期待している。 ところが、頼りにしようとしているこれらベネズエラ、イラン、サウジアラビアなどはいずれも専制主義国家であり、国内の超党派による反発は避けられない点が、バイデン政権には弱みとなる。 共和党はすかさず、民主党は専制主義国家のロシアからの原油輸入を禁止する一方、他の専制主義国に増産を懇願している、と批判を始めた。ベネズエラ産原油輸入拡大協議に対しては、ベネズエラ移民が多いフロリダ州で、共和党のマルコ・ルビオ上院議員だけでなく、2022年中間選挙でその対抗馬と目される民主党のバル・デミングズ下院議員も、強い懸念を表明しているのだ。) ロシア軍のウクライナ侵攻以降、バイデン大統領に対する支持率はわずかながら上昇したという世論調査もある。だが、リアル・クリア・ポリティックスの最新世論調査平均値ではいまだに支持率が40%台前半で推移し、不支持が支持を上回る状態が半年以上も続いている。 したがって、民主党がプーチン大統領をインフレの元凶だとする「プーチンフレーション」戦略の効果は不透明だ。前述のABCニュース・イプソス世論調査では、国民の70%がバイデン大統領のインフレ対策を支持していない。「プーチンフレーション」という民主党の訴えは国民に響いていないようだ。 そもそもロシアがウクライナに侵攻する前から、バイデン政権下でインフレ問題は深刻化していた。その当初、バイデン政権がインフレ問題を「一過性」と軽視していたことからも、国民の信頼を失ってしまっている。政権のインフレ要因についての説明は、これまで二転三転してきた。国民は、プーチン大統領によるウクライナ侵攻だけがインフレの原因ではないことを見抜いている』、「共和党はすかさず、民主党は専制主義国家のロシアからの原油輸入を禁止する一方、他の専制主義国に増産を懇願している、と批判を始めた」、事実なので、「民主党」側としては苦しいところだ。
・『インフレ問題をめぐる情報戦では共和党が優勢 民主党の「プーチンフレーション」戦略は近い将来、ますます限界が見えてくるだろう。ウクライナ紛争は首都キエフが陥落したとしても、ゲリラ戦で泥沼化し長引くことが想定されている。一方、現在のようなウクライナ危機ばかりを24時間報道する状況がいつまでも続くとは思えない。ニュースサイクルが速い今日、キエフ陥落後はいずれ他のニュースに国民の関心がシフトする。 その反面、早期解決が困難なインフレ問題は長く国民生活を圧迫する公算が大きい。その結果、過去にもみられたように、不満の矛先は現政権に向かうこととなるであろう。 3月1日のテキサス州予備選を皮切りに、国内政治は中間選挙に向けた選挙サイクルに入り、民主党と共和党の攻防は本格化の様相を見せ始めた。ウクライナ危機以降、インフレ問題をめぐる情報戦が党派間で激しさを増しているが、当面は共和党優勢の状況が続きそうだ』、「ウクライナ紛争」はロシアがターゲットを「キエフ」から、東部地域に移し、長期戦の様相が濃くなっている。「ウクライナ危機以降、インフレ問題をめぐる情報戦が党派間で激しさを増しているが、当面は共和党優勢の状況が続きそうだ」、その通りなのだろう。
次に、3月22日付けNewsweek日本版「アフガンに続きウクライナでも!現地職員を見捨てたアメリカ政府」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/03/post-98325_1.php
・『<「約束と違う」とウクライナで雇われた米大使館職員が抗議。アメリカ人職員が退避するなか、何の保障もなく取り残されたという> ウクライナの首都キエフの米大使館に勤務していたウクライナ人職員が、約束を反故にされたと米国務省に救済を求めている。 ウクライナの米大使館は、ロシア軍の侵攻前に西部リビウに移転し、その後さらにアメリカ人職員の大半がウクライナ国外に退避したが、現地で雇われたウクライナ人職員とその家族は何の保障もなしに取り残されたというのだ。 キエフの米大使館で働いていたウクライナ人職員の団体が、米国務省の管理部門に宛てた3月11日付の手紙は、「事前の約束を反故にした」無責任な態度に強く抗議した上、給与の支払い、家族と避難する手段の確保、アメリカに長期滞在できる査証の発給を求めている』、「約束を反故にされたと米国務省に救済を求めている」、無責任そのものだ。
・『カブール陥落やサイゴン陥落のときも...... フォーリンポリシーが入手したこの手紙は、ウクライナ人職員団体の指導部が出したもので、ウクライナにおけるアメリカの外交活動を助けてきた約600人のウクライナ人職員の思いを代弁している』、なるほど。
・『「ヨーロッパの国に難民申請しろ」 それによれば、ワシントンの国務省スタッフは現地のウクライナ人職員と何回かオンライン会議を行い、ロシアとの戦闘が激化し、大使館を閉鎖する事態になった場合、現金での給与支払いなど、長期的にウクライナ人職員の生活を保障する手段を講じると約束していた。 すべては無理でも「せめて最低限の援助をしようという誠意すら見られない」と、手紙は訴える。 手紙によれば、国務省は事前にロシアの侵攻後もウクライナ人職員に給与を支払い続け、キエフから避難することになった場合も、出張扱いにしてその間の給与を払うと約束していた。 だが国務省には約束を果たす気が見られないとして、ウクライナ人職員は不安を募らせている。 手紙はまた、国務省スタッフに査証について問い合わせたところ、アメリカではなく、ヨーロッパの国々に難民申請をして支援を求めるよう指示されたと記している。) 「日常的に連絡を取っていれば、現地職員がどんな状況に置かれているかよくわかっているはずだ。家族は引き裂かれ、地下室に避難を余儀なくされ、戦闘に参加する人もいれば、住む場所を失った人もいる。子供たちは学校に行けず、まともな世話もされず、トラウマで心身の健康を害している。この20日間というもの、私たちはみんな夜もおちおち眠れない日々を送っている」 こうした状況下で、欧州の難民になれなどとはよく言えたものだ、と手紙は訴える。「難民としての生活にどれほど多くの困難がつきまとうか、この人はそれすらわかっていない」 また国務省スタッフはキエフの米大使館の再開にも公然と疑問を呈したという。「私たちは全員、ウクライナ軍が敵に勝利して家に帰り、日常を取り戻し、仕事を再開できると信じているのに、(国務省の)スタッフはオンライン会議で『米大使館の仕事が2021年12月のような状態に戻ることは2度とないだろう』と言った。とても辛く、何を考えているのか理解に苦しむ。既にウクライナに見切りをつけているかのようだ」』、「査証について問い合わせたところ、アメリカではなく、ヨーロッパの国々に難民申請をして支援を求めるよう指示された」、「難民としての生活にどれほど多くの困難がつきまとうか、この人はそれすらわかっていない」、酷い責任回避だ。よくぞ恥ずかしげもなく言えたものだ。
・『アメリカの国益に反する アメリカ外交官職員協会(AFSA)のエリック・ルービン会長によると、国務省はここ数週間にウクライナ人職員に対し経済的な援助を多少増やしたが、十分と言うには程遠いという。AFSAはアメリカの外交官の団体で、国務省から独立した立場で活動している。 「これは倫理観と良識の問題でもある」が、アメリカの国益に関わる問題でもあると、ルービンは言う。「いざというときこそあらゆる手を尽くす姿勢を示せなければ、われわれのために働いてくれる外国人はいなくなるだろう」 これに対し国務省の広報担当は、ウクライナ人職員とは「定期的に」連絡を取り、「この困難な時期に、皆を支えられるよう、法律が許す範囲内であらゆる選択肢を検討している」と述べた。 また「通常業務かテレワークができない職員は、居場所に関わらず、有給の休職扱いにし、必要な場合は給与の前払いなど追加的な支援」を行なっているとも付け加えた。さらに、国務省に対するウクライナ人職員の懸念を共有するため「専用の通信チャンネル」を設置したとも述べた。 キエフの米大使館の警護に当たっていた元海兵隊員が設立したNPOマウンテン・シード財団は、ウクライナ人職員とその家族を支援するため、クラウドファンディングの「ゴーファンドミー」で2万5000ドルの資金集めを開始した。募金者の中には、元ウクライナ駐在の米大使で、現在はギリシャ大使を務めるジェフリー・ピアットの名前もあったが、アテネの米大使館は今のところ問い合わせに回答していない。 ウクライナ人職員と連絡を取っている何人かのアメリカ人職員の話では、ウクライナ人職員の中には比較的安全なウクライナ西部に避難した人や祖国防衛の戦いに参加している人もいるが、ロシア軍がキエフを包囲し、陥落を目指す中、自身や家族がキエフに足止めされている人たちもいるという。 各国の米大使館で働くアメリカ人外交官の間では、国務省はいざという時に長く勤務してきた現地職員をあっさり見捨てるという怒りの声は以前から聞かれていた。民間人まで標的にするロシアの猛攻の最中でも同じことが繰り返されたとなると、国務省への不信感は増す一方だ。 「何カ月も前からヨーロッパ中でロシアが侵攻するぞと警告して回りながら、いざとなったら『緊急時対応のプランがありません』などと、よく平気で言えるものだ」と、ある匿名の外交官はあきれ顔で言う。「正しいことをするチャンスを逃すのは、国務省のお家芸らしい」 フォーリン・ポリシーは国務省にコメントを求めたが、返答はなかった。 国務省の対応には、外交官の間からも疑問の声が上がっている。ロシアによるウクライナ侵攻の可能性を何カ月も前から警告していたのに、なぜ現地職員の避難を支援する計画が何もなかったのか。 「キエフの米大使館の中庭には、大使館が所有していた数十台の車両が、ガソリン満タンの状態で放置されていた。それなのになぜ、彼らは現地職員がキエフから避難するのを手助けしなかったのか」とルービンは言う。 「それについてのどんなお役所的な理由も、不十分だし不適切に思える」と、彼は言う。「避難の支援をしなかったことは、もう済んだことで今更どうにもできないが、これから正しいことをすることは可能だ」 アメリカは2021年秋以降、ロシアの軍備増強とウクライナ侵攻の可能性について、先頭に立ってウクライナやヨーロッパの同盟諸国に警告してきた。1月には米国務省が、一部の米外交官とその家族に対して、ウクライナ国外への退避を命令。ウクライナ外務省はこれについて、ロシアによる侵攻がまだ決まったわけでもないのに、米政府がパニックや不安を煽っていると非難したほど早かった』、「ロシアによるウクライナ侵攻の可能性を何カ月も前から警告していたのに、なぜ現地職員の避難を支援する計画が何もなかったのか」、全く不可解だ。
・『アフガニスタンの教訓は 2月半ばまでには、ウクライナで職務にあたっていた米国務省の全職員が国外に避難し、キエフの米大使館は閉鎖された。2021年8月にイスラム主義組織タリバンが予想以上の速さでアフガニスタンの首都カブールを奪還したとき、首都カブールの米大使館員は大使館屋上からヘリで脱出する失態を演じた。キエフから早々に退避したのはその教訓だろうという解釈もある。 だが複数の米外交官によれば、ウクライナ人職員が直面する窮状を見れば、国務省がアフガニスタンの教訓から何も学んでいないことは明らかだと指摘する。国務省はカブールからの緊急退避のなかで大勢のアフガニスタン人職員を救いもしたが、一方で何千人もの現地職員や通訳などの協力者が現地に取り残された(注:取り残されれば、アメリカの協力者としてタリバン政権に殺される危険もあると彼らは訴えいたにもかかわらず、だ)。 ルービンはウクライナとアフガニスタンの類似点を指摘して、「危機に備えた基本的な緊急対策が必要だ」と述べた。「生死にかかわる状況で、現地職員のために何をすべきなのか。そのことについての検討が、明らかに不足している」』、「国務省がアフガニスタンの教訓から何も学んでいないことは明らかだ」、「危機に備えた基本的な緊急対策が必要だ」、「生死にかかわる状況で、現地職員のために何をすべきなのか。そのことについての検討が、明らかに不足している」、米国の「国務省」には長年のノウハウが蓄積されていると思っていたが、飛んでもないことで、お粗末極まるようだ。
第三に、5月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「台湾軍事介入は「計画的失言」?バイデン大統領“捨て身の情報戦”の代償」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/303769
・『バイデン大統領の3回目の「失言」で魂胆バレた? 「頼りないおじいちゃんかと思っていたけど、実はなかなかの策士じゃないか!」「失言のふりをして中国を牽制するなんてかっこいい!」 バイデン米大統領の台湾有事をめぐる「計画的失言」が称賛を集めている。 事の発端は今月23日、日米共同記者会見で、中国が台湾侵攻をした場合、軍事介入をするのかと質問され、元気よく「イエス!」と即答したことだった。 これまでアメリカは台湾の自衛を支える一方で、自国の軍事介入は明言しないという「あいまい戦略」をとってきた。政府のスタンスと異なるということで、ホワイトハウスもすぐに火消しに奔走。バイデン氏自身も翌日、報道陣に同じ質問をされると「ノー!」と即答。さらに、「政策は全く変わっていない。それについてはきのうも言った通りだ」と耳を疑うような発言をした。 われわれ一般庶民の感覚からすれば、「昨日は軍事侵攻するって言ったばかりでしょ、もう忘れちゃったの?」と御年79歳の大統領の「もの忘れ」具合にイラッとするが、国際インテリジェンスの専門家によれば、実はこのおとぼけぶりは、すべて「計算」だというのだ。 バイデン大統領といえば、アフガニスタン撤退や、ロシアのウクライナ侵攻前に早々と「軍事介入しない」と宣言するなど「弱腰」が批判されてきた。その苦い経験をいかして中国に対しては、「失言」の体裁で、軍事介入を辞さないという強気の姿勢を見せているというのだ。 そんな「計画的失言」説の根拠となっているのが、これが「3回目」ということだ。 つまり、「台湾有事で軍事介入する」というのは、これまでバイデン大統領は2回発言しており、いずれもすぐにホワイトハウスが火消しして、ご本人も「そんなこと言ってないでしょ」としらばっくれている。 そのパターンが今回も繰り返されたということは、もはやこれは「失言」などではなく、失言の体裁をとった「非公式な意志表明」と受け取るべきだ、というのが専門家の見解なのだ。 こういう高度な情報戦を仕掛けられるのがアメリカのすごいところなのだが、一方で「よくやるな」と驚く部分もある。これはバイデン大統領にとって「自滅」しかねない、リスキーな手法だからだ』、「これが「3回目」ということだ」、「すぐにホワイトハウスが火消しして、ご本人も「そんなこと言ってないでしょ」としらばっくれている。 そのパターンが今回も繰り返されたということは、もはやこれは「失言」などではなく、失言の体裁をとった「非公式な意志表明」と受け取るべきだ、というのが専門家の見解なのだ。 こういう高度な情報戦を仕掛けられるのがアメリカのすごいところなのだが、一方で「よくやるな」と驚く部分もある」、「失言の体裁をとった「非公式な意志表明」」、そういう高度な戦術を「ウクライナ問題」でも発揮してほしかった。
・『「失言のランボルギーニ」アメリカ国民の評価は? 政治家が自分の発言に責任を持てなくなったらおしまいだ。昨日言ったことを今日になって撤回するということが「平常運転」になれば、確かに「敵」はかく乱できるが、「味方」からもそっぽを向かれてしまう。「The Wall Street Journal」も社説でその危険性を指摘している。 <問題は、今の米国の方針がどういったものなのか、誰も確信が持てないことだ。ホワイトハウスが頻繁に大統領の発言を取り消せば、同盟国や敵対勢力にとってのバイデン氏の個人的な信頼性が損なわれる>(5月24日) 日本や台湾は中国の脅威に晒されているので、バイデン大統領の「計画的失言」に好意的だが、アメリカ国民の多くは、そこまで台湾有事に関心がない。経済対策など内政での強いリーダーシップを期待する人が多い中で、大統領が発言する度にホワイトハウスに撤回され、「イエス」「ノー」と回答がコロコロ変わるというのは、リーダーとしてイメージが悪すぎる。 そこに加えて筆者が不思議でしょうがないのは、バイデン政権の審判となる米国議会中間選挙が11月に控えたこのタイミングでよくもまあ「計画的失言」なんて、自分で自分の首を絞めるようなリスキーな作戦を選んだなということだ。 ご存じの方も多いだろうが、バイデン大統領はアメリカではしゃべればしゃべるほど、勘違い発言や失言がポンポンと飛び出ることから、「失言製造器」「失言のランボルギーニ」なんて呼ばれている。日本で言うなら、年齢も近いが、ちょっと前の森喜朗氏のようなイメージなのだ。 記憶に新しいバイデン大統領の失言は、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、プーチン大統領に対して「この男が、権力の座にとどまってはいけない」と言い放ったことだ。「ロシアに制裁で圧力をかけてプーチン政権を転覆させろ!」なんてことを主張する日本人の感覚ではまったくセーフの発言だろうが、国際社会の常識では、大国アメリカの大統領がロシアの体制転換を目指していると受け取られたら、米ソ冷戦時代に逆戻りしてもおかしくない問題発言だ。 アメリカのメディアによれば、これはスピーチ原稿にはないバイデン氏の「アドリブ」ということなので、今回と同様に「計画的失言」の可能性もゼロではない。だが、当時はそういう評価はされなかった。結局、各国首脳からいさめられるなど、国内外で激しい批判にさらされたバイデン氏は発言を撤回。共和党の上院議員からこんな嫌味を言われる始末だった。 「頼むから大統領、台本通り読んでください。体制転換と言ったり、示唆したりすれば、大問題を引き起こすことになるでしょう」 このようにバイデン大統領は気分があがってしまうと、調子にのって口を滑らせる「失言癖」があるのだ。2年前の大統領選でも、黒人が司会を務めるラジオ番組に出演して、「私かトランプ氏の支持で迷っているようなら、君は黒人じゃない」なんて口を滑らせて批判を受けている』、「バイデン大統領は気分があがってしまうと、調子にのって口を滑らせる「失言癖」があるのだ」、どうみてもみっとないことだ。
・『捨て身の作戦?「失言」を逆手にとって情報戦に活用 失言に加えて、「単純な言い間違い」や「ど忘れ」も多い。例えば、大統領選の時はトランプ大統領(当時)のファーストネームがスコーンと頭から抜けてしまい、「ジョージ」と呼んでしまった。当時、トランプ氏はバイデン大統領を「認知症」などと攻撃していたが、この言い間違いもそのネタにされてしまった。 また、ある集会では、「副大統領の時に、パークランドの高校乱射事件の学生らと(銃規制について)議論した」と主張をしたが、実はこの事件はそんな昔の話ではなく、19年のトランプ政権下で起きている。頭の中で「時間軸」がめちゃくちゃになっているのだ。ほかにも、ニューハンプシャー州の集会での第一声で「バーモント州は大好きなんだ」と叫んだりと、かなり「天然ボケ」も発揮している。 断っておくが、こういう「失言」や「言い間違い」が多いので、今回の台湾への軍事介入も単なる失言に違いない、などと言いたいわけではない。 アメリカ政治に詳しい多くの専門家が指摘していることなのだから、今回の発言が「計画的失言」であることは間違いないのだろう。 ただ、「失言製造器」「失言のランボルギーニー」などと言われるほど、これまで数多の失言で叩かれてきた政治家が、「失言の体裁で中国を牽制する」というリスキーな手法を選んだことに驚いている。その発想の大胆さ、自身の政治生命をたびたびピンチに追いやった「失言」を逆手にとって、情報戦に活用するという度胸に素直に感心をしているのだ。 先ほども指摘したように、日本人にとっては「すごいぜバイデン」と称賛ものだが、一般のアメリカ国民やトランプ支持者などからすれば、「これも失言じゃないの?」「やっぱりもうろくしていたな」なんて格好の攻撃材料にされてしまう恐れもあるのだ。 つまり、バイデン大統領の政治家としての信頼を大きく失墜しかねない「捨て身の情報戦」なのだ』、「これまで数多の失言で叩かれてきた政治家が、「失言の体裁で中国を牽制する」というリスキーな手法を選んだことに驚いている。その発想の大胆さ、自身の政治生命をたびたびピンチに追いやった「失言」を逆手にとって、情報戦に活用するという度胸に素直に感心をしているのだ」、褒めているのか、嫌味なのか、どちらだろう。
・『トランプ前大統領なら想定内だが…「駆け引き上手」に? この手の「捨て身の情報戦」はトランプ前大統領が非常にうまかった。 『「トランプならプーチンの戦争を止められた」が説得力をもって語られるワケ』の中でも詳しく紹介したが、トランプ氏は他国の指導者をののしり、核ミサイルをチラつかせながらも、在任中にひとつも新しい戦争を始めていない。 「計画的暴言」で相手を揺さぶって交渉のテーブルにつかせる。「緊張と緩和」を巧みに使い分けて、ギリギリのところで武力衝突を避けてきた実績がある。「取引(ディール)の天才」と自画自賛をしているように、確かに駆け引きがうまいのだ。 それに対して、バイデン氏はそのような「駆け引き上手」のイメージがこれまではなかった。しかし、今回の台湾をめぐる「計画的失言」が事実ならば、かなりの老獪さではないか。 日本でたとえるなら、麻生太郎氏や二階俊博氏が海外へ行って、日本政府の方針と異なる方針を主張して、中国に揺さぶりをかけるようなものだ。自民党も、日本政府も、こんなリスキーな情報戦は仕掛けないだろう。そこにどんなに深い思惑があろうとも、これまでのイメージから「リアル失言」と誤解を生む恐れもあり、ご本人だけではなく政権まで深刻なダメージを負う恐れがあるからだ。 しかし、バイデン氏とアメリカ政府はそんなリスキーな情報戦を、台湾をめぐる国際情勢の中でやってのけた。これは素直に称賛に値する』、前述の疑問は、やはり「褒めている」が正解だったようだ。
・『アメリカの「計画的失言」作戦はもう限界 ただ、残念ながらこの作戦はそろそろ使えない。3回目にして専門家だけではなく、一般の日本人にまで「計画的失言」だと見破られてしまったように、バイデン氏が失言、ホワイトハウスが火消しということが「平常運転」になっているからだ。こうなると、「アメリカは軍事介入する」が正式なメッセージとして定着してしまう。 つまり、バイデン氏がこの話題を振られて、「軍事介入にイエス!」と失言するのが、ダチョウ倶楽部のネタである熱湯風呂の「押すなよ」と同じように、“お約束”になってしまうのだ。 こうなると、もはや中国を牽制することはできない。むしろ、非公式ながらアメリカが軍事介入を「明言」したことと同じなので、ストレートに中国にけんかを売っていることになってしまう。中国人民解放軍の緊張は一気に高まるだろう。 かつての日本軍もそうだったが、軍隊というのは他国からコケにされると、「あちらがそう出るなら受けて立ちましょう」と交戦ムードが高まることがわかっている。実際、これまでの尖閣沖への侵入なども現場の暴走だったと言われている。 もし世界最大規模の軍隊である中国人民解放軍が「アメリカが本気ならこっちもやりますよ」と暴走をすれば、もはや習近平氏でも抑えることは難しいだろう。 政府と個人的見解のダブルスタンダードで中国に揺さぶりをかけるという「計画的失言」が使えるのは、あとせいぜい1、2回ではないか。 “失言製造機”から“駆け引き上手”に転身したバイデン氏が、次にどんな手で中国を牽制するのか注目したい』、「もし世界最大規模の軍隊である中国人民解放軍が「アメリカが本気ならこっちもやりますよ」と暴走をすれば、もはや習近平氏でも抑えることは難しいだろう。 政府と個人的見解のダブルスタンダードで中国に揺さぶりをかけるという「計画的失言」が使えるのは、あとせいぜい1、2回ではないか」、そうだろう。「“失言製造機”から“駆け引き上手”に転身したバイデン氏が、次にどんな手で中国を牽制するのか注目したい」、それよりも、「中間選挙」でボロ負けして、レイムダックになりはしないかと心配だ。
先ずは、3月16日付け東洋経済オンラインが掲載した米州住友商事会社ワシントン事務所 調査部長の渡辺 亮司氏による「バイデン政権「プーチンフレーション」説は不人気 「インフレ」をめぐる責任論争では共和党が攻勢」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/539019
・『今月末、ハワイ州のコロナ対策緩和とともに、アメリカ全50州で屋内マスク着用義務が撤廃される。ようやくパンデミックの終わりが見え、社会が正常化に向かっていると思われた矢先、ロシアのウクライナ侵攻によってバイデン政権には再び暗雲が垂れこめている。 最大の懸念は、国民の懐を直撃しているインフレが、ウクライナ危機によってさらに高進していることだ。2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で7.9%の上昇と、40年ぶりの高水準を記録した。国民にとって日々身近なガソリンや家庭用食品の価格はそれぞれ前年比38.0%、8.6%と大幅に上昇した。これらの消費が家計支出に大きな割合を占める低所得者層や中間層への打撃は大きい。 パンデミック沈静化とともに需要が堅調に推移し、夏にかけて自動車の走行距離も増えガソリン需要も増えることが想定される中、インフレの観点からは最悪のタイミングでウクライナ危機は起きた。歴史上、戦争はつねに物価上昇をもたらしてきたが、今回は産油国であるロシアによる戦争である。同危機と各国によるロシア制裁によって、全米のガソリン平均価格は3月14日時点で1ガロン当たり4ドル33セント(日本円で1リットル当たり約135円)まで上昇し、過去最高値を記録した。3月のCPIのさらなる上昇は避けられない』、「インフレ」に対しFRBの甘過ぎる見方に加えて、「ウクライナ危機」は「インフレの観点からは最悪のタイミングで」「起きた」のは確かだ。
・『インフレ悪化を覚悟し、ロシア産原油を輸入禁止に インフレが悪化しているにもかかわらず、3月8日、バイデン政権はロシア産原油の輸入禁止措置を発表した。ロシア産原油がアメリカの輸入量全体に占める割合は3%と微々たるものではあるが、ロシア産原油の輸入禁止措置がインフレを加速させかねないことを政権は熟知していた。 だが、この苦渋の判断を下した背景には、議会からの圧力があった。議会では超党派でロシア産原油の輸入禁止措置を可決することが確実視されていたため、議会圧力に屈したと見られる前にバイデン政権は先手を打ったようだ。バイデン政権は、ウクライナ侵攻を止めないプーチン大統領に対し弱腰の姿勢を国民に見せるわけにはいかない。 11月の中間選挙でインフレは最大の争点になるとの見方が支配的だ。そのため、自らにとってこの問題を有利に働かせようと、民主党と共和党はインフレに関してまったく異なる角度から主張を展開し始めている。 バイデン大統領の支持率が低迷していることから、現状、民主党は中間選挙での大敗が予想されている。民主党が特に下院で多数派を維持するには、残り約8カ月で奇跡の挽回を必要とする。ロシアのウクライナ侵攻は深刻な人道危機ではあるが、民主党にとっては巻き返しを図るチャンスが到来したともいえる。 バイデン大統領は2月のCPI発表後、インフレ高騰について、「プーチン大統領のウクライナ侵攻が要因」と主張。ホワイトハウスのケイト・ベディングフィールド広報部長は「#PutinPriceHike(#プーチンによる値上げ)」とSNS上でキャンペーンを展開している。民主党支持者の間では、プーチン大統領(Putin)とインフレ(Inflation)を繋げた「プーチンフレーション(Putinflation)」といった造語も拡散し始めている。 ABCニュース・イプソス世論調査(3月11~12日実施)によると、ガソリン価格が上昇したとしてもアメリカがロシア産原油の輸入を禁止することを支持するかとの質問に対して、77%の国民が支持している。SNS上ではウクライナ国民が払っている犠牲に比べれば、アメリカにいる自らがガソリン価格上昇で払う犠牲は微々たるものとの声も広がっている』、「プーチンフレーション」というのはみえみえの責任転嫁だ。
・『共和党はバイデンの「対エネルギー戦争」を批判 一方、共和党議員の多くもロシア産原油の禁輸措置は支持しているものの、ウクライナ危機はエネルギー価格上昇の主因ではないという立場だ。共和党はインフレの責任はプーチン大統領ではなく、バイデン大統領にあると、大統領の責任追及に注力している。つまり「プーチンフレーション」ではなく、引き続き「バイデンフレーション(Bidenflation)」だと主張している。 バイデン政権の化石燃料に対する厳格な国内政策「対エネルギー戦争(War on Energy)」こそ、インフレの主因だと主張しているのだ。共和党はバイデン政権が発足以降、キーストーンXLパイプライン建設阻止や環境規制強化など、気候変動対策を重視してきたことを理由に挙げている。 選挙で共和党議員を支援する全国共和党下院委員会(NRCC)は、今月、「ガソリンスタンドでの痛み(Pain at the pump)」と題するテレビCMの放送を全国の激戦選挙区で開始。同CMではガソリン価格の高騰をバイデン大統領や各選挙区の民主党議員に関連づけ、民主党がアメリカのエネルギー産業を台無しにしたと訴えている。) だが、そもそもアメリカのガソリン価格動向は国内の原油生産量よりも世界の原油価格との相関関係が強い。また、共和党が主張するバイデン政権の「対エネルギー戦争」がインフレにつながるとの話は一理あるが、国内での増産が容易でない理由は、より複雑だ。 社会がESG(環境、社会、企業統治)重視に急速に変貌を遂げる中、近年、化石燃料への新規投資には、経済界、とりわけ金融業界が慎重になってきている。また、共和党は国内でのシェール生産拡大を主張しているが、仮に企業が増産すると決めたとしても、労働力や掘削装置、資材などの不足から、実現は最短で半年後だという。民主党が主張する再生エネルギー推進による国内エネルギー供給の拡大には、長年を要する。 バイデン大統領がガソリン価格上昇に対して、「現時点では、ほとんど何もできない」と語るように、政権に残されたオプションは限られる。そこで、有力視されているのが他国の増産に頼ることだ』、「そもそもアメリカのガソリン価格動向は国内の原油生産量よりも世界の原油価格との相関関係が強い。また、共和党が主張するバイデン政権の「対エネルギー戦争」がインフレにつながるとの話は一理あるが、国内での増産が容易でない理由は、より複雑だ」、なるほど。
・『他の専制主義国家に頼らざるをえない イラン核合意の再建交渉を急ぐほか、対ベネズエラ制裁の解除、サウジアラビアなどによる増産協力などが想定されている。アメリカでは民間企業が中心となってエネルギーを生産しているが、これらの諸国では国営企業が生産をになっており、国の方針で増産が容易である点にバイデン政権は期待している。 ところが、頼りにしようとしているこれらベネズエラ、イラン、サウジアラビアなどはいずれも専制主義国家であり、国内の超党派による反発は避けられない点が、バイデン政権には弱みとなる。 共和党はすかさず、民主党は専制主義国家のロシアからの原油輸入を禁止する一方、他の専制主義国に増産を懇願している、と批判を始めた。ベネズエラ産原油輸入拡大協議に対しては、ベネズエラ移民が多いフロリダ州で、共和党のマルコ・ルビオ上院議員だけでなく、2022年中間選挙でその対抗馬と目される民主党のバル・デミングズ下院議員も、強い懸念を表明しているのだ。) ロシア軍のウクライナ侵攻以降、バイデン大統領に対する支持率はわずかながら上昇したという世論調査もある。だが、リアル・クリア・ポリティックスの最新世論調査平均値ではいまだに支持率が40%台前半で推移し、不支持が支持を上回る状態が半年以上も続いている。 したがって、民主党がプーチン大統領をインフレの元凶だとする「プーチンフレーション」戦略の効果は不透明だ。前述のABCニュース・イプソス世論調査では、国民の70%がバイデン大統領のインフレ対策を支持していない。「プーチンフレーション」という民主党の訴えは国民に響いていないようだ。 そもそもロシアがウクライナに侵攻する前から、バイデン政権下でインフレ問題は深刻化していた。その当初、バイデン政権がインフレ問題を「一過性」と軽視していたことからも、国民の信頼を失ってしまっている。政権のインフレ要因についての説明は、これまで二転三転してきた。国民は、プーチン大統領によるウクライナ侵攻だけがインフレの原因ではないことを見抜いている』、「共和党はすかさず、民主党は専制主義国家のロシアからの原油輸入を禁止する一方、他の専制主義国に増産を懇願している、と批判を始めた」、事実なので、「民主党」側としては苦しいところだ。
・『インフレ問題をめぐる情報戦では共和党が優勢 民主党の「プーチンフレーション」戦略は近い将来、ますます限界が見えてくるだろう。ウクライナ紛争は首都キエフが陥落したとしても、ゲリラ戦で泥沼化し長引くことが想定されている。一方、現在のようなウクライナ危機ばかりを24時間報道する状況がいつまでも続くとは思えない。ニュースサイクルが速い今日、キエフ陥落後はいずれ他のニュースに国民の関心がシフトする。 その反面、早期解決が困難なインフレ問題は長く国民生活を圧迫する公算が大きい。その結果、過去にもみられたように、不満の矛先は現政権に向かうこととなるであろう。 3月1日のテキサス州予備選を皮切りに、国内政治は中間選挙に向けた選挙サイクルに入り、民主党と共和党の攻防は本格化の様相を見せ始めた。ウクライナ危機以降、インフレ問題をめぐる情報戦が党派間で激しさを増しているが、当面は共和党優勢の状況が続きそうだ』、「ウクライナ紛争」はロシアがターゲットを「キエフ」から、東部地域に移し、長期戦の様相が濃くなっている。「ウクライナ危機以降、インフレ問題をめぐる情報戦が党派間で激しさを増しているが、当面は共和党優勢の状況が続きそうだ」、その通りなのだろう。
次に、3月22日付けNewsweek日本版「アフガンに続きウクライナでも!現地職員を見捨てたアメリカ政府」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/03/post-98325_1.php
・『<「約束と違う」とウクライナで雇われた米大使館職員が抗議。アメリカ人職員が退避するなか、何の保障もなく取り残されたという> ウクライナの首都キエフの米大使館に勤務していたウクライナ人職員が、約束を反故にされたと米国務省に救済を求めている。 ウクライナの米大使館は、ロシア軍の侵攻前に西部リビウに移転し、その後さらにアメリカ人職員の大半がウクライナ国外に退避したが、現地で雇われたウクライナ人職員とその家族は何の保障もなしに取り残されたというのだ。 キエフの米大使館で働いていたウクライナ人職員の団体が、米国務省の管理部門に宛てた3月11日付の手紙は、「事前の約束を反故にした」無責任な態度に強く抗議した上、給与の支払い、家族と避難する手段の確保、アメリカに長期滞在できる査証の発給を求めている』、「約束を反故にされたと米国務省に救済を求めている」、無責任そのものだ。
・『カブール陥落やサイゴン陥落のときも...... フォーリンポリシーが入手したこの手紙は、ウクライナ人職員団体の指導部が出したもので、ウクライナにおけるアメリカの外交活動を助けてきた約600人のウクライナ人職員の思いを代弁している』、なるほど。
・『「ヨーロッパの国に難民申請しろ」 それによれば、ワシントンの国務省スタッフは現地のウクライナ人職員と何回かオンライン会議を行い、ロシアとの戦闘が激化し、大使館を閉鎖する事態になった場合、現金での給与支払いなど、長期的にウクライナ人職員の生活を保障する手段を講じると約束していた。 すべては無理でも「せめて最低限の援助をしようという誠意すら見られない」と、手紙は訴える。 手紙によれば、国務省は事前にロシアの侵攻後もウクライナ人職員に給与を支払い続け、キエフから避難することになった場合も、出張扱いにしてその間の給与を払うと約束していた。 だが国務省には約束を果たす気が見られないとして、ウクライナ人職員は不安を募らせている。 手紙はまた、国務省スタッフに査証について問い合わせたところ、アメリカではなく、ヨーロッパの国々に難民申請をして支援を求めるよう指示されたと記している。) 「日常的に連絡を取っていれば、現地職員がどんな状況に置かれているかよくわかっているはずだ。家族は引き裂かれ、地下室に避難を余儀なくされ、戦闘に参加する人もいれば、住む場所を失った人もいる。子供たちは学校に行けず、まともな世話もされず、トラウマで心身の健康を害している。この20日間というもの、私たちはみんな夜もおちおち眠れない日々を送っている」 こうした状況下で、欧州の難民になれなどとはよく言えたものだ、と手紙は訴える。「難民としての生活にどれほど多くの困難がつきまとうか、この人はそれすらわかっていない」 また国務省スタッフはキエフの米大使館の再開にも公然と疑問を呈したという。「私たちは全員、ウクライナ軍が敵に勝利して家に帰り、日常を取り戻し、仕事を再開できると信じているのに、(国務省の)スタッフはオンライン会議で『米大使館の仕事が2021年12月のような状態に戻ることは2度とないだろう』と言った。とても辛く、何を考えているのか理解に苦しむ。既にウクライナに見切りをつけているかのようだ」』、「査証について問い合わせたところ、アメリカではなく、ヨーロッパの国々に難民申請をして支援を求めるよう指示された」、「難民としての生活にどれほど多くの困難がつきまとうか、この人はそれすらわかっていない」、酷い責任回避だ。よくぞ恥ずかしげもなく言えたものだ。
・『アメリカの国益に反する アメリカ外交官職員協会(AFSA)のエリック・ルービン会長によると、国務省はここ数週間にウクライナ人職員に対し経済的な援助を多少増やしたが、十分と言うには程遠いという。AFSAはアメリカの外交官の団体で、国務省から独立した立場で活動している。 「これは倫理観と良識の問題でもある」が、アメリカの国益に関わる問題でもあると、ルービンは言う。「いざというときこそあらゆる手を尽くす姿勢を示せなければ、われわれのために働いてくれる外国人はいなくなるだろう」 これに対し国務省の広報担当は、ウクライナ人職員とは「定期的に」連絡を取り、「この困難な時期に、皆を支えられるよう、法律が許す範囲内であらゆる選択肢を検討している」と述べた。 また「通常業務かテレワークができない職員は、居場所に関わらず、有給の休職扱いにし、必要な場合は給与の前払いなど追加的な支援」を行なっているとも付け加えた。さらに、国務省に対するウクライナ人職員の懸念を共有するため「専用の通信チャンネル」を設置したとも述べた。 キエフの米大使館の警護に当たっていた元海兵隊員が設立したNPOマウンテン・シード財団は、ウクライナ人職員とその家族を支援するため、クラウドファンディングの「ゴーファンドミー」で2万5000ドルの資金集めを開始した。募金者の中には、元ウクライナ駐在の米大使で、現在はギリシャ大使を務めるジェフリー・ピアットの名前もあったが、アテネの米大使館は今のところ問い合わせに回答していない。 ウクライナ人職員と連絡を取っている何人かのアメリカ人職員の話では、ウクライナ人職員の中には比較的安全なウクライナ西部に避難した人や祖国防衛の戦いに参加している人もいるが、ロシア軍がキエフを包囲し、陥落を目指す中、自身や家族がキエフに足止めされている人たちもいるという。 各国の米大使館で働くアメリカ人外交官の間では、国務省はいざという時に長く勤務してきた現地職員をあっさり見捨てるという怒りの声は以前から聞かれていた。民間人まで標的にするロシアの猛攻の最中でも同じことが繰り返されたとなると、国務省への不信感は増す一方だ。 「何カ月も前からヨーロッパ中でロシアが侵攻するぞと警告して回りながら、いざとなったら『緊急時対応のプランがありません』などと、よく平気で言えるものだ」と、ある匿名の外交官はあきれ顔で言う。「正しいことをするチャンスを逃すのは、国務省のお家芸らしい」 フォーリン・ポリシーは国務省にコメントを求めたが、返答はなかった。 国務省の対応には、外交官の間からも疑問の声が上がっている。ロシアによるウクライナ侵攻の可能性を何カ月も前から警告していたのに、なぜ現地職員の避難を支援する計画が何もなかったのか。 「キエフの米大使館の中庭には、大使館が所有していた数十台の車両が、ガソリン満タンの状態で放置されていた。それなのになぜ、彼らは現地職員がキエフから避難するのを手助けしなかったのか」とルービンは言う。 「それについてのどんなお役所的な理由も、不十分だし不適切に思える」と、彼は言う。「避難の支援をしなかったことは、もう済んだことで今更どうにもできないが、これから正しいことをすることは可能だ」 アメリカは2021年秋以降、ロシアの軍備増強とウクライナ侵攻の可能性について、先頭に立ってウクライナやヨーロッパの同盟諸国に警告してきた。1月には米国務省が、一部の米外交官とその家族に対して、ウクライナ国外への退避を命令。ウクライナ外務省はこれについて、ロシアによる侵攻がまだ決まったわけでもないのに、米政府がパニックや不安を煽っていると非難したほど早かった』、「ロシアによるウクライナ侵攻の可能性を何カ月も前から警告していたのに、なぜ現地職員の避難を支援する計画が何もなかったのか」、全く不可解だ。
・『アフガニスタンの教訓は 2月半ばまでには、ウクライナで職務にあたっていた米国務省の全職員が国外に避難し、キエフの米大使館は閉鎖された。2021年8月にイスラム主義組織タリバンが予想以上の速さでアフガニスタンの首都カブールを奪還したとき、首都カブールの米大使館員は大使館屋上からヘリで脱出する失態を演じた。キエフから早々に退避したのはその教訓だろうという解釈もある。 だが複数の米外交官によれば、ウクライナ人職員が直面する窮状を見れば、国務省がアフガニスタンの教訓から何も学んでいないことは明らかだと指摘する。国務省はカブールからの緊急退避のなかで大勢のアフガニスタン人職員を救いもしたが、一方で何千人もの現地職員や通訳などの協力者が現地に取り残された(注:取り残されれば、アメリカの協力者としてタリバン政権に殺される危険もあると彼らは訴えいたにもかかわらず、だ)。 ルービンはウクライナとアフガニスタンの類似点を指摘して、「危機に備えた基本的な緊急対策が必要だ」と述べた。「生死にかかわる状況で、現地職員のために何をすべきなのか。そのことについての検討が、明らかに不足している」』、「国務省がアフガニスタンの教訓から何も学んでいないことは明らかだ」、「危機に備えた基本的な緊急対策が必要だ」、「生死にかかわる状況で、現地職員のために何をすべきなのか。そのことについての検討が、明らかに不足している」、米国の「国務省」には長年のノウハウが蓄積されていると思っていたが、飛んでもないことで、お粗末極まるようだ。
第三に、5月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「台湾軍事介入は「計画的失言」?バイデン大統領“捨て身の情報戦”の代償」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/303769
・『バイデン大統領の3回目の「失言」で魂胆バレた? 「頼りないおじいちゃんかと思っていたけど、実はなかなかの策士じゃないか!」「失言のふりをして中国を牽制するなんてかっこいい!」 バイデン米大統領の台湾有事をめぐる「計画的失言」が称賛を集めている。 事の発端は今月23日、日米共同記者会見で、中国が台湾侵攻をした場合、軍事介入をするのかと質問され、元気よく「イエス!」と即答したことだった。 これまでアメリカは台湾の自衛を支える一方で、自国の軍事介入は明言しないという「あいまい戦略」をとってきた。政府のスタンスと異なるということで、ホワイトハウスもすぐに火消しに奔走。バイデン氏自身も翌日、報道陣に同じ質問をされると「ノー!」と即答。さらに、「政策は全く変わっていない。それについてはきのうも言った通りだ」と耳を疑うような発言をした。 われわれ一般庶民の感覚からすれば、「昨日は軍事侵攻するって言ったばかりでしょ、もう忘れちゃったの?」と御年79歳の大統領の「もの忘れ」具合にイラッとするが、国際インテリジェンスの専門家によれば、実はこのおとぼけぶりは、すべて「計算」だというのだ。 バイデン大統領といえば、アフガニスタン撤退や、ロシアのウクライナ侵攻前に早々と「軍事介入しない」と宣言するなど「弱腰」が批判されてきた。その苦い経験をいかして中国に対しては、「失言」の体裁で、軍事介入を辞さないという強気の姿勢を見せているというのだ。 そんな「計画的失言」説の根拠となっているのが、これが「3回目」ということだ。 つまり、「台湾有事で軍事介入する」というのは、これまでバイデン大統領は2回発言しており、いずれもすぐにホワイトハウスが火消しして、ご本人も「そんなこと言ってないでしょ」としらばっくれている。 そのパターンが今回も繰り返されたということは、もはやこれは「失言」などではなく、失言の体裁をとった「非公式な意志表明」と受け取るべきだ、というのが専門家の見解なのだ。 こういう高度な情報戦を仕掛けられるのがアメリカのすごいところなのだが、一方で「よくやるな」と驚く部分もある。これはバイデン大統領にとって「自滅」しかねない、リスキーな手法だからだ』、「これが「3回目」ということだ」、「すぐにホワイトハウスが火消しして、ご本人も「そんなこと言ってないでしょ」としらばっくれている。 そのパターンが今回も繰り返されたということは、もはやこれは「失言」などではなく、失言の体裁をとった「非公式な意志表明」と受け取るべきだ、というのが専門家の見解なのだ。 こういう高度な情報戦を仕掛けられるのがアメリカのすごいところなのだが、一方で「よくやるな」と驚く部分もある」、「失言の体裁をとった「非公式な意志表明」」、そういう高度な戦術を「ウクライナ問題」でも発揮してほしかった。
・『「失言のランボルギーニ」アメリカ国民の評価は? 政治家が自分の発言に責任を持てなくなったらおしまいだ。昨日言ったことを今日になって撤回するということが「平常運転」になれば、確かに「敵」はかく乱できるが、「味方」からもそっぽを向かれてしまう。「The Wall Street Journal」も社説でその危険性を指摘している。 <問題は、今の米国の方針がどういったものなのか、誰も確信が持てないことだ。ホワイトハウスが頻繁に大統領の発言を取り消せば、同盟国や敵対勢力にとってのバイデン氏の個人的な信頼性が損なわれる>(5月24日) 日本や台湾は中国の脅威に晒されているので、バイデン大統領の「計画的失言」に好意的だが、アメリカ国民の多くは、そこまで台湾有事に関心がない。経済対策など内政での強いリーダーシップを期待する人が多い中で、大統領が発言する度にホワイトハウスに撤回され、「イエス」「ノー」と回答がコロコロ変わるというのは、リーダーとしてイメージが悪すぎる。 そこに加えて筆者が不思議でしょうがないのは、バイデン政権の審判となる米国議会中間選挙が11月に控えたこのタイミングでよくもまあ「計画的失言」なんて、自分で自分の首を絞めるようなリスキーな作戦を選んだなということだ。 ご存じの方も多いだろうが、バイデン大統領はアメリカではしゃべればしゃべるほど、勘違い発言や失言がポンポンと飛び出ることから、「失言製造器」「失言のランボルギーニ」なんて呼ばれている。日本で言うなら、年齢も近いが、ちょっと前の森喜朗氏のようなイメージなのだ。 記憶に新しいバイデン大統領の失言は、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、プーチン大統領に対して「この男が、権力の座にとどまってはいけない」と言い放ったことだ。「ロシアに制裁で圧力をかけてプーチン政権を転覆させろ!」なんてことを主張する日本人の感覚ではまったくセーフの発言だろうが、国際社会の常識では、大国アメリカの大統領がロシアの体制転換を目指していると受け取られたら、米ソ冷戦時代に逆戻りしてもおかしくない問題発言だ。 アメリカのメディアによれば、これはスピーチ原稿にはないバイデン氏の「アドリブ」ということなので、今回と同様に「計画的失言」の可能性もゼロではない。だが、当時はそういう評価はされなかった。結局、各国首脳からいさめられるなど、国内外で激しい批判にさらされたバイデン氏は発言を撤回。共和党の上院議員からこんな嫌味を言われる始末だった。 「頼むから大統領、台本通り読んでください。体制転換と言ったり、示唆したりすれば、大問題を引き起こすことになるでしょう」 このようにバイデン大統領は気分があがってしまうと、調子にのって口を滑らせる「失言癖」があるのだ。2年前の大統領選でも、黒人が司会を務めるラジオ番組に出演して、「私かトランプ氏の支持で迷っているようなら、君は黒人じゃない」なんて口を滑らせて批判を受けている』、「バイデン大統領は気分があがってしまうと、調子にのって口を滑らせる「失言癖」があるのだ」、どうみてもみっとないことだ。
・『捨て身の作戦?「失言」を逆手にとって情報戦に活用 失言に加えて、「単純な言い間違い」や「ど忘れ」も多い。例えば、大統領選の時はトランプ大統領(当時)のファーストネームがスコーンと頭から抜けてしまい、「ジョージ」と呼んでしまった。当時、トランプ氏はバイデン大統領を「認知症」などと攻撃していたが、この言い間違いもそのネタにされてしまった。 また、ある集会では、「副大統領の時に、パークランドの高校乱射事件の学生らと(銃規制について)議論した」と主張をしたが、実はこの事件はそんな昔の話ではなく、19年のトランプ政権下で起きている。頭の中で「時間軸」がめちゃくちゃになっているのだ。ほかにも、ニューハンプシャー州の集会での第一声で「バーモント州は大好きなんだ」と叫んだりと、かなり「天然ボケ」も発揮している。 断っておくが、こういう「失言」や「言い間違い」が多いので、今回の台湾への軍事介入も単なる失言に違いない、などと言いたいわけではない。 アメリカ政治に詳しい多くの専門家が指摘していることなのだから、今回の発言が「計画的失言」であることは間違いないのだろう。 ただ、「失言製造器」「失言のランボルギーニー」などと言われるほど、これまで数多の失言で叩かれてきた政治家が、「失言の体裁で中国を牽制する」というリスキーな手法を選んだことに驚いている。その発想の大胆さ、自身の政治生命をたびたびピンチに追いやった「失言」を逆手にとって、情報戦に活用するという度胸に素直に感心をしているのだ。 先ほども指摘したように、日本人にとっては「すごいぜバイデン」と称賛ものだが、一般のアメリカ国民やトランプ支持者などからすれば、「これも失言じゃないの?」「やっぱりもうろくしていたな」なんて格好の攻撃材料にされてしまう恐れもあるのだ。 つまり、バイデン大統領の政治家としての信頼を大きく失墜しかねない「捨て身の情報戦」なのだ』、「これまで数多の失言で叩かれてきた政治家が、「失言の体裁で中国を牽制する」というリスキーな手法を選んだことに驚いている。その発想の大胆さ、自身の政治生命をたびたびピンチに追いやった「失言」を逆手にとって、情報戦に活用するという度胸に素直に感心をしているのだ」、褒めているのか、嫌味なのか、どちらだろう。
・『トランプ前大統領なら想定内だが…「駆け引き上手」に? この手の「捨て身の情報戦」はトランプ前大統領が非常にうまかった。 『「トランプならプーチンの戦争を止められた」が説得力をもって語られるワケ』の中でも詳しく紹介したが、トランプ氏は他国の指導者をののしり、核ミサイルをチラつかせながらも、在任中にひとつも新しい戦争を始めていない。 「計画的暴言」で相手を揺さぶって交渉のテーブルにつかせる。「緊張と緩和」を巧みに使い分けて、ギリギリのところで武力衝突を避けてきた実績がある。「取引(ディール)の天才」と自画自賛をしているように、確かに駆け引きがうまいのだ。 それに対して、バイデン氏はそのような「駆け引き上手」のイメージがこれまではなかった。しかし、今回の台湾をめぐる「計画的失言」が事実ならば、かなりの老獪さではないか。 日本でたとえるなら、麻生太郎氏や二階俊博氏が海外へ行って、日本政府の方針と異なる方針を主張して、中国に揺さぶりをかけるようなものだ。自民党も、日本政府も、こんなリスキーな情報戦は仕掛けないだろう。そこにどんなに深い思惑があろうとも、これまでのイメージから「リアル失言」と誤解を生む恐れもあり、ご本人だけではなく政権まで深刻なダメージを負う恐れがあるからだ。 しかし、バイデン氏とアメリカ政府はそんなリスキーな情報戦を、台湾をめぐる国際情勢の中でやってのけた。これは素直に称賛に値する』、前述の疑問は、やはり「褒めている」が正解だったようだ。
・『アメリカの「計画的失言」作戦はもう限界 ただ、残念ながらこの作戦はそろそろ使えない。3回目にして専門家だけではなく、一般の日本人にまで「計画的失言」だと見破られてしまったように、バイデン氏が失言、ホワイトハウスが火消しということが「平常運転」になっているからだ。こうなると、「アメリカは軍事介入する」が正式なメッセージとして定着してしまう。 つまり、バイデン氏がこの話題を振られて、「軍事介入にイエス!」と失言するのが、ダチョウ倶楽部のネタである熱湯風呂の「押すなよ」と同じように、“お約束”になってしまうのだ。 こうなると、もはや中国を牽制することはできない。むしろ、非公式ながらアメリカが軍事介入を「明言」したことと同じなので、ストレートに中国にけんかを売っていることになってしまう。中国人民解放軍の緊張は一気に高まるだろう。 かつての日本軍もそうだったが、軍隊というのは他国からコケにされると、「あちらがそう出るなら受けて立ちましょう」と交戦ムードが高まることがわかっている。実際、これまでの尖閣沖への侵入なども現場の暴走だったと言われている。 もし世界最大規模の軍隊である中国人民解放軍が「アメリカが本気ならこっちもやりますよ」と暴走をすれば、もはや習近平氏でも抑えることは難しいだろう。 政府と個人的見解のダブルスタンダードで中国に揺さぶりをかけるという「計画的失言」が使えるのは、あとせいぜい1、2回ではないか。 “失言製造機”から“駆け引き上手”に転身したバイデン氏が、次にどんな手で中国を牽制するのか注目したい』、「もし世界最大規模の軍隊である中国人民解放軍が「アメリカが本気ならこっちもやりますよ」と暴走をすれば、もはや習近平氏でも抑えることは難しいだろう。 政府と個人的見解のダブルスタンダードで中国に揺さぶりをかけるという「計画的失言」が使えるのは、あとせいぜい1、2回ではないか」、そうだろう。「“失言製造機”から“駆け引き上手”に転身したバイデン氏が、次にどんな手で中国を牽制するのか注目したい」、それよりも、「中間選挙」でボロ負けして、レイムダックになりはしないかと心配だ。
タグ:「ロシアによるウクライナ侵攻の可能性を何カ月も前から警告していたのに、なぜ現地職員の避難を支援する計画が何もなかったのか」、全く不可解だ。 「査証について問い合わせたところ、アメリカではなく、ヨーロッパの国々に難民申請をして支援を求めるよう指示された」、「難民としての生活にどれほど多くの困難がつきまとうか、この人はそれすらわかっていない」、酷い責任回避だ。よくぞ恥ずかしげもなく言えたものだ。 「約束を反故にされたと米国務省に救済を求めている」、無責任そのものだ。 (その4)(バイデン政権「プーチンフレーション」説は不人気 「インフレ」をめぐる責任論争では共和党が攻勢、アフガンに続きウクライナでも!現地職員を見捨てたアメリカ政府、台湾軍事介入は「計画的失言」?バイデン大統領“捨て身の情報戦”の代償) バイデン政権 東洋経済オンライン 渡辺 亮司氏による「バイデン政権「プーチンフレーション」説は不人気 「インフレ」をめぐる責任論争では共和党が攻勢」 「インフレ」に対しFRBの甘過ぎる見方に加えて、「ウクライナ危機」は「インフレの観点からは最悪のタイミングで」「起きた」のは確かだ。 「プーチンフレーション」というのはみえみえの責任転嫁だ。 「そもそもアメリカのガソリン価格動向は国内の原油生産量よりも世界の原油価格との相関関係が強い。また、共和党が主張するバイデン政権の「対エネルギー戦争」がインフレにつながるとの話は一理あるが、国内での増産が容易でない理由は、より複雑だ」、なるほど。 「共和党はすかさず、民主党は専制主義国家のロシアからの原油輸入を禁止する一方、他の専制主義国に増産を懇願している、と批判を始めた」、事実なので、「民主党」側としては苦しいところだ。 「ウクライナ紛争」はロシアがターゲットを「キエフ」から、東部地域に移し、長期戦の様相が濃くなっている。「ウクライナ危機以降、インフレ問題をめぐる情報戦が党派間で激しさを増しているが、当面は共和党優勢の状況が続きそうだ」、その通りなのだろう。 Newsweek日本版「アフガンに続きウクライナでも!現地職員を見捨てたアメリカ政府」 「国務省がアフガニスタンの教訓から何も学んでいないことは明らかだ」、「危機に備えた基本的な緊急対策が必要だ」、「生死にかかわる状況で、現地職員のために何をすべきなのか。そのことについての検討が、明らかに不足している」、米国の「国務省」には長年のノウハウが蓄積されていると思っていたが、飛んでもないことで、お粗末極まるようだ。 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「台湾軍事介入は「計画的失言」?バイデン大統領“捨て身の情報戦”の代償」 「これが「3回目」ということだ」、「すぐにホワイトハウスが火消しして、ご本人も「そんなこと言ってないでしょ」としらばっくれている。 そのパターンが今回も繰り返されたということは、もはやこれは「失言」などではなく、失言の体裁をとった「非公式な意志表明」と受け取るべきだ、というのが専門家の見解なのだ。 こういう高度な情報戦を仕掛けられるのがアメリカのすごいところなのだが、一方で「よくやるな」と驚く部分もある」、「失言の体裁をとった「非公式な意志表明」」、そういう高度な戦術を「ウクライナ問題」でも発揮してほしか 「バイデン大統領は気分があがってしまうと、調子にのって口を滑らせる「失言癖」があるのだ」、どうみてもみっとないことだ。 「これまで数多の失言で叩かれてきた政治家が、「失言の体裁で中国を牽制する」というリスキーな手法を選んだことに驚いている。その発想の大胆さ、自身の政治生命をたびたびピンチに追いやった「失言」を逆手にとって、情報戦に活用するという度胸に素直に感心をしているのだ」、褒めているのか、嫌味なのか、どちらだろう。 前述の疑問は、やはり「褒めている」が正解だったようだ。 「もし世界最大規模の軍隊である中国人民解放軍が「アメリカが本気ならこっちもやりますよ」と暴走をすれば、もはや習近平氏でも抑えることは難しいだろう。 政府と個人的見解のダブルスタンダードで中国に揺さぶりをかけるという「計画的失言」が使えるのは、あとせいぜい1、2回ではないか」、そうだろう。「“失言製造機”から“駆け引き上手”に転身したバイデン氏が、次にどんな手で中国を牽制するのか注目したい」、それよりも、「中間選挙」でボロ負けして、レイムダックになりはしないかと心配だ。