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心理学(その3)(悲観的に考える人の気持ちを軽くする3つの手法 どうすればネガティブにならずにいられるのか、精神科医が分析「コロナで生じた同調圧力」の背景 「長いものには巻かれない」ための対応策も紹介、人には相性がある「嫌われる」ことも受け入れよう ストレス対策から見ると「我慢」はよくない、【Twitterフォロワー30万人超の精神科医が教える】「承認欲求」を満たす最短ルートがある!) [生活]

心理学については、5月10日に取上げた。今日は、(その3)(悲観的に考える人の気持ちを軽くする3つの手法 どうすればネガティブにならずにいられるのか、精神科医が分析「コロナで生じた同調圧力」の背景 「長いものには巻かれない」ための対応策も紹介、人には相性がある「嫌われる」ことも受け入れよう ストレス対策から見ると「我慢」はよくない、【Twitterフォロワー30万人超の精神科医が教える】「承認欲求」を満たす最短ルートがある!)である。

先ずは、6月4日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「悲観的に考える人の気持ちを軽くする3つの手法 どうすればネガティブにならずにいられるのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/590527
・『コロナ禍のマスク生活が始まって、すでに2年以上が経過しています。不自由な毎日が長く続いていますから、自分のことを「明るい」と考えている人でも、「最近、ちょっと暗くなっているかも」と感じているのではないでしょうか。 「暗い気持ちでいると、どうしてもネガティブな方向に考えが向いてしまいます」と言うのは、精神科医の和田秀樹氏です。「ネガティブな考え方をしていても、何もいいことはありませんが、明るい気持ちで前を向いていれば、不思議と物ごとがいい方向に動き出します」。 では、しんどいとき、落ち込んでいるとき、気分を上げるにはどうすればいいのか?和田氏の新刊『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』をもとに3回にわたり解説します。今回は2回目です(1回目はこちら)。 気持ちが暗くなる要因には個人差がありますが、多くの人に共通しているのが、「予期不安」や「ストレス」によるものです。予期不安とは、何かよくないできごとがあると、「また同じことが起こるのではないか」と考えて、不安や恐怖に悩まされる感情のことです。 ここでは、この2つの要因を中心として、「どうすればネガティブにならずにいられるのか」をお伝えしていきます』、「気持ちが暗くなる要因には個人差がありますが、多くの人に共通しているのが、「予期不安」や「ストレス」によるもの」、なるほど。
・『日本人の特徴の1つ「予期不安」とは?  私たち日本人には、物ごとをつい悪い方向に考えてしまう傾向があります。先々のことを心配して不安になり、気分が落ち込み、暗くなってしまうのです。何ごとにも楽天的なラテン系の人たちとは対象的な国民性といえますが、その原因の1つが、「予期不安が強い」という日本人の特徴にあります。 「がんになったらどうしよう」「この仕事は失敗するのではないか」「このままずっと独身かもしれない」……。老若男女を問わず、世の中には考え始めたらキリがないほどの不安材料があります。日ごろから「どうして暗くなってしまうのだろう」と自分の性格に悩んでいる人は、予期不安に振り回されて、先回りして暗くなっている可能性があります。 私たちは社会の中に身を置いて生活していますから、つねにこれから先のことが心配になります。人間関係にまつわる悩みも、日常茶飯事のようにあります。予期不安というのは、これから先のことについての「過剰」な不安ですから、悩み始めたらキリがないし、実際には起こらないことがほとんどです。 実際に起こらないことに対して、あれこれ考えて不安になり、落ち込んでしまうのですから、完全に「取り越し苦労」です。実際に起こってから悩むようにするだけでも、不安の9割はなくなります。でも、なぜか多くの人が予期不安に悩まされてしまうのです』、「予期不安というのは、これから先のことについての「過剰」な不安ですから、悩み始めたらキリがないし、実際には起こらないことがほとんどです。 実際に起こらないことに対して、あれこれ考えて不安になり、落ち込んでしまうのですから、完全に「取り越し苦労」です。実際に起こってから悩むようにするだけでも、不安の9割はなくなります」、「完全に「取り越し苦労」で」、「実際に起こってから悩むようにするだけでも、不安の9割はなくなります」、無駄な「取り越し苦労」をしていただけとは、やれやれだ。
・『予期不安を軽減させる3つのアプローチ  予期不安を軽減する方法には、3つのアプローチがあると考えています。その1つは、何ごとも「やる前から答えを出さない」ということです。世の中は、「やってみなければわからない」ことばかりですから、実際にやってみて、その後に答えを出せばいいのです。 例えば、パニック障害の発作が心配で電車に乗れないという人には、こんな経験をしてもらうこともあります。「各駅停車でいいから乗ってみましょう。もし心臓が止まっても、すぐに蘇生できます。安心して乗ってください」。 まずは電車に乗ってみて、「やってみたらできた」という経験をすることが大事です。その経験を通して、「案ずるより産むが易し」を実感として理解できれば、漠然とした不安は解消できます。不安が解消できれば、列車の旅を楽しむこともできるのです。 「恋人ができない」と悩んでいる人にも同じことがいえます。断られることばかり心配して相手に告白できなければ、ルックスが飛び抜けていいとか、大金持ちでもない限り恋人できません。断られる可能性があっても、こちらから告白しない限り、相手に受け入れられることはないのです。1人目がダメでも、2人目はOKかもしれません。 「何ごとも試してみなければわからない」というのは、「人生がうまくいく明るい人」の考え方と同じです。「やってみなければわからない」とか、「試してみないとわからない」という発想を持つことは、予期不安の解消にも役立ちます。 2つ目は、深刻に悩むくらいなら、あらかじめ「ソリューション」(解決策)を用意しておくということです。 がん検診を頻繁に受けている人はたくさんいますが、自分ががんになったら、どこの病院で治療を受けるのか、その先のことを考えている人はほとんどいません。認知症が不安なら、心配ばかりしていないで、介護保険を受給するための準備を今から整えておけばいいのです。 もしこうなったら、どうするか……を先に考えておくということです。心配事が起こった後の善後策を事前に用意しておけば、不安は軽減されます。前もって準備しておくことで、「安心材料」が増えるのです。 3つ目は、不安に思うことが実際に起こる「確率」を冷静に検討してみることです。 予期不安が強い人というのは、確率の計算ができないというか、そもそも確率を考えていません。起こる確率が極端に低いことを、深刻になって心配している人が多いのです。 例えば、墜落事故が怖くて飛行機に乗れないという人がいますが、飛行機の事故は交通事故とは比べものにならないくらい少ないわけです。精神科医としては、あまりにも起こる確率が低いことを心配しすぎる人は、何らかの病気を疑います。人には「無視できる確率」があるからです。無視しなければ生活が成り立たなくなるような確率のことは、心配したところで、どうにもなりません。それを「万が一」と考えていたのでは、何もできなくなってしまうのです。 予期不安から自由になって、やりたいことをやる人は、起業ができたり、恋人ができたりと、楽しいことに出会える確率が上がります。空振りがある代わりに、ヒットも出るのです。まずは、「案ずるより産むが易し」と思って、何でも試してみることです。 物ごとを悲観的に考えるクセがあると、常に不安を抱えることになり、気持ちも沈みがちになります。気持ちが沈んでいれば、自然と表情も暗くなり、周囲の人に陰気な印象を与えてしまうことになります。 デメリットは、それだけではありません。悲観的に考える人は、意外に「地雷」を踏みやすいことも明らかになっています』、「「やってみなければわからない」とか、「試してみないとわからない」という発想を持つことは、予期不安の解消にも役立ちます。 2つ目は、深刻に悩むくらいなら、あらかじめ「ソリューション」・・・を用意しておくということです」、「心配事が起こった後の善後策を事前に用意しておけば、不安は軽減されます。前もって準備しておくことで、「安心材料」が増えるのです」、「3つ目は、不安に思うことが実際に起こる「確率」を冷静に検討してみることです」、なるほど。
・『社会心理学の実験でわかったこととは?  これは社会心理学の実験によってわかったことですが、「人を見たら泥棒と思え」とネガティブに考える人ほど、詐欺に引っかかる可能性が高くなるそうです。「人を見たら泥棒と思え」というのは、「知らない人は疑ってかかれ」とか「軽々しく人を信用してはならない」という人間不信の悲観的な考え方です。 その対極として、「渡る世間に鬼はない」と楽観的に周囲を見ている人もいるわけですが、楽観的な人に比べて悲観的な人は、「誰が詐欺師か」を見抜けないといいます。多くの人は、「渡る世間に鬼はない」と甘く考える人のほうが、詐欺の被害に遭いやすいと思っていますから、まったく逆の結果なのです。 なぜかというと、人間不信の人は「他人はすべて悪いやつだ」と思い込んでいますから、全員が悪者に見えてしまうため、そのなかから本物のワルを見つけ出せないのです。 それに比べて、「渡る世間に鬼はない」と思っている人は、全員が善人と思っていますから、少しでも不審なところがあれば、「こいつだけ、ちょっと変だぞ」ということに気づきやすいということです。 社会心理学者の山岸俊男さんによれば、人間不信型の人は「一度、相手を信用すると全面的に信用してしまう傾向が強い」といいますから、「自分は用心深いから大丈夫」という人ほど、まったくアテにならないということになります。 大事なことは、できるだけ物ごとを悲観的に考えないように意識することです。 悲観的な考え方から抜け出せれば、偏ったものの見方をしなくなりますから、視野を広く持つことができます。視野が広くなれば、いろいろな可能性が考えられるようになり、これまでに気付かなかった他の選択肢を持つことができるのです』、「人間不信の人は「他人はすべて悪いやつだ」と思い込んでいますから、全員が悪者に見えてしまうため、そのなかから本物のワルを見つけ出せないのです。 それに比べて、「渡る世間に鬼はない」と思っている人は、全員が善人と思っていますから、少しでも不審なところがあれば、「こいつだけ、ちょっと変だぞ」ということに気づきやすい」、常識とは逆なので、よく気を付けよう。

次に、この続きを、6月5日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「精神科医が分析「コロナで生じた同調圧力」の背景 「長いものには巻かれない」ための対応策も紹介」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/591827
・『2年以上におよぶ新型コロナとそれに伴う自粛生活が、私たちの心身に与えたダメージは大きく、その副作用は実はこれから出てくる――。『マスクを外す日のために今から始める、ウィズコロナの健やかな生き方』を緊急出版した精神科医、和田秀樹さんはそう警鐘を鳴らします。 自由に暮らせないストレスや同調圧力、マスク依存から脱却し、自らの免疫力を高めながら健やかに暮らすのにはどうしたらいいのか。これからも続くであろうウィズコロナ時代を、自分らしく生きるための心構えを解説します。 経済学に「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」がありますが、同様に心理学にも「マクロ心理学」と「ミクロ(マイクロ)心理学」という言葉があります。 まだ新しい区分法であるため、その定義は論者によってさまざまですが、本稿では「マクロ心理学」は国民全体の心理状態、「ミクロ心理学」は個人レベルの心理状態をあつかう心理学という意味で使いたいと思います。 さて、マクロ心理学的にいうと、コロナ禍以後の日本社会では、「同調循環」とでも呼ぶべき心理現象が起きています。政府やメディア、そして国民などの各セクターが影響し合って、「同調」現象を拡大・維持する状況です。 ここでは、政府や分科会(新型コロナウイルス感染症対策分科会)を「ふりだし」にして、考えてみましょう』、「同調圧力」を「考えてみる」とは興味深そうだ。
・『政府の方針にメディアの大勢が同調  まず、政府や分科会が何らかの方針を打ち出すと、テレビをはじめとするメディアの大勢が同調します。一応はマスコミですから、少しは嫌味をいって、批判する姿勢を見せはするものの、むしろToo Late(遅すぎる)、Too Little(少なすぎる)ことを問題とし、実質的には賛成します。むろん、全面的な反対キャンペーンを張ったりはしません。 そして、国民は、大勢としては賛成のメディアの影響を受けて、政府方針を是とする「世論」を生み出します。たとえば、飲食店に対する政府の自粛要請があれば、「深夜まで営業している店はけしからん」という意見が多数を占めるのです。 そして、世論がそちらの方向に傾けば、政府は選挙怖さに、その世論に同調した方針をさらに強化します。分科会では、形式的な異論は上がっても、大勢としては、政府の意向に沿った見解を出して、専門的に政府の政策を補強します。 こうして、互いに同調し合う循環構造が生まれ、その回転音が響くなか、「異論」はノイズとしてかき消されていきます。要するに、この循環構造のなかでは、互いに同調し合うだけで、誰も「自分の頭で考えていない」のです。 このような同調圧力に関する社会心理学の研究は、おおむね欧米で行われてきました。ですから、日本人だけでなく、人類全体にこうした傾向はあるわけです。 ただし、欧米、とりわけアメリカは、「人と違う意見をいう」ことをよしとするお国柄です。たとえば、日本語で「とくに意見はありません」というのは、ごく普通のフレーズですが、アメリカで「I have no opinion」といえば、「意見もいえないバカ」と見下されることでしょう。そのぶんアメリカは、日本ほどには同調圧力が働かない国です。 一方、日本人は、同調圧力に屈する傾向がひときわ強い。一般的に、「閉鎖的社会に、同質性の高い人々が暮らしている」ほど、同調圧力は強くなります。 その点、わが国は「島国」という地理的な閉鎖空間で1つの国を形成し、社会的活動は企業・学校単位という閉鎖社会内で行われることが多い国です。しぜん、人間関係は固定化し、同質性が高まっていきます』、「同調圧力に関する社会心理学の研究は、おおむね欧米で行われてきました。ですから、日本人だけでなく、人類全体にこうした傾向はあるわけです。 ただし、欧米、とりわけアメリカは、「人と違う意見をいう」ことをよしとするお国柄です」、「そのぶんアメリカは、日本ほどには同調圧力が働かない国です。 一方、日本人は、同調圧力に屈する傾向がひときわ強い」、「「同調圧力に関する社会心理学の研究は、おおむね欧米で行われてきました」、意外な事実だ。
・『日本人は「集団規範へ同調する傾向」が強い  そもそも、国内で暮らす異民族の割合が少なく、宗教や価値観も同質性が高い国です。コロナ下で私たちの社会が強力な同調圧力を生み出し続けているのも、その閉鎖性と同質性ゆえです。 そうして、私たち日本人は「集団規範へ同調する傾向」がひときわ強くなりました。閉鎖的な社会で、個人が勝手な行動をとると、秩序が崩れ、みんなが迷惑します。そこで、日本社会の至るところに、どう行動すればいいかというルールが用意されています。それが「集団規範」です。 ただ、ここで問題なのは、集団規範には、合理的根拠があるものと、そうした根拠のないものがあることです。たとえば、「因習」と呼ばれるような掟、しきたりには、現代の目から見れば、根拠のないものが大半を占めています。 しかし、たとえ不合理でも、人間には、集団規範から外れることへの恐れから、規範に従う傾向があります。そこに合理的思考はなく、安心を得るため、自ら思考停止する道を選んで、不合理な規範に同調するのです。 新型コロナに関する自粛ルールも、私は根拠に乏しい点では、「因習」に近い規範だと思います。それでも、この国の同調圧力の高さが、人々にそれを守らせているのです。 と、「同調圧力」をめぐって、さまざまに述べてきましたが、残念ながら、この国の同調圧力は今後も簡単には弱まらないでしょう。 この国の政治家には、欧米の政治家のように、大胆な政策変更を提案する力はありません。そこで、私は、1人ひとりの個人が、少しずつでも「自分の生き方を取り戻す」気持ちになることが大事だと思います』、「この国の政治家には、欧米の政治家のように、大胆な政策変更を提案する力はありません。そこで、私は、1人ひとりの個人が、少しずつでも「自分の生き方を取り戻す」気持ちになることが大事だと思います」、同感である。
・『「したかったこと」をリストにしてみる  その手始めとして、コロナ禍がはじまる前に、「自分がしたかったこと」を思い出してみてはいかがでしょうか。それをリストにしてみるのです。 「ピアノを習いに行きたかった」「親に孫の顔を見せたかった」「あちこちに写生に出かけたかった」。──どんなことでも、かまいません。そうして、今、できることから、1つずつトライしてみるのです。 そうして、人生を「自粛」のなかで、これ以上、空費するのはやめませんか。 人生は、おおむね、人の意見に従うと、不幸になります。失敗したとき、自分のせいではなく、人のせいにするためです。その負の感情が人を不幸にするのです。 良識を働かせながら、自らの判断で、自分のしたいことをする。──そうして、同調圧力には100%は屈しない。同調圧力という「長いもの」に巻かれながらも、巻き返す。この時代、自分らしく生きるには、そんな覚悟が必要だと、私は思うのです』、「人生は、おおむね、人の意見に従うと、不幸になります。失敗したとき、自分のせいではなく、人のせいにするためです。その負の感情が人を不幸にするのです」、「同調圧力という「長いもの」に巻かれながらも、巻き返す。この時代、自分らしく生きるには、そんな覚悟が必要だと、私は思うのです」、全く同感である。

第三に、この続きを、6月10日付け東洋経済オンラインが掲載した 精神科医 の和田 秀樹氏による「人には相性がある「嫌われる」ことも受け入れよう ストレス対策から見ると「我慢」はよくない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/590528
・『コロナ禍のマスク生活が始まって、すでに2年以上が経過しています。不自由な毎日が長く続いていますから、自分のことを「明るい」と考えている人でも、「最近、ちょっと暗くなっているかも」と感じているのではないでしょうか。 「暗い気持ちでいると、どうしてもネガティブな方向に考えが向いてしまいます」と言うのは、精神科医の和田秀樹氏です。「ネガティブな考え方をしていても、何もいいことはありませんが、明るい気持ちで前を向いていれば、不思議と物ごとがいい方向に動き出します」。 では、しんどいとき、落ち込んでいるとき、気分を上げるにはどうすればいいのか。和田氏の新刊『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』をもとに3回にわたり解説します。今回は2回目です(1回目はこちら、2回目はこちら)。 気持ちが暗くなる要因には個人差がありますが、多くの人に共通しているのが、「ストレス」によるものです。ストレスを溜め込まないためには、自分に合ったストレス解消法を見つけておく必要があります』、「ストレスを溜め込まないためには、自分に合ったストレス解消法を見つけておく必要」、その通りだ。
・『手っ取り早いのは誰かに愚痴ること  バッティングセンターに行ってバットを振り回せばスカッとする人がいれば、友達とおいしいケーキを食べに出かければ気分が晴れる人もいます。何もストレス解消法がないならば、一番手っ取り早いのは誰かに愚痴をこぼして、ストレスだと思っていることをすべて吐き出してしまうことです。 自分1人では抱えきれない不満を人に話せば、気持ちが軽くなります。同じような環境の人が相手なら、共感してもらえることもあります。相手を選ぶ必要はありますが、同じ職場で働いている感覚が合う人なら、1つぐらいは共感してもらえるポイントがあるはずです。 居酒屋などで職場の同僚に愚痴をこぼしている光景に出会うと、「やれやれ、愚痴っても仕方ないだろうに……」と見下す気持ちになることもあるでしょうが、愚痴っている当人にとっては、決して悪いことばかりではありません。 自分が「どんなこと」を「どのように」悩んでいて、本当は「どうすべきなのか」など、気持ちの整理ができることもあります。愚痴を聞いてくれた相手から、何らかの解決策がもたらされたり、新しい考え方のヒントをもらえることだってあります。ストレスを溜めるくらいなら、親しい人に愚痴ってしまえばいいのです。 日本人は「人と仲よくするのは当たり前」という考え方が大前提としてありますが、それを疑ってみることもストレスの軽減に役立ちます。多くの人が「対人関係が悪いのは自分の性格が悪いからだ」とか、「努力が足りないからだ」と思いがちです。 日本人は、子どもの頃から「いじめはいけません。みんなで仲よくしましょう」と教え込まれ、「おもてなしの心」を学んで育ちます。社会に出れば「人間関係を維持する」ことを求められ、「上司との良好な主従関係」を強いられて、何がなんでも「良好な関係」を維持することに努めます。 最近では、逆に「部下と良好な関係を築けない上司は失格」という風潮が高まっていますから、誰もが「周りの人と仲よくしなければならない」という強迫観念にとらわれているのです。 残念ながら、人と人には「相性」がありますから、どんなに努力をしても、合わないものは合いません。日本人は「できれば仲よくしたい」とか、「何となく、仲よくできそうな気がする」と思いがちですが、それほど簡単なことではありません。 合わないものは合わないと認める「勇気」が必要です。無理なものは無理と「割り切る」ことも大切です。 SNSの「いいね」仲間のような、表面的な仲良しばかりが増えているのは、無理して人に合わせている証拠です。「人に嫌われることもある」と覚悟を決めれば、あなたの気持ちは軽くなるのです』、「残念ながら、人と人には「相性」がありますから、どんなに努力をしても、合わないものは合いません。日本人は「できれば仲よくしたい」とか、「何となく、仲よくできそうな気がする」と思いがちですが、それほど簡単なことではありません。 合わないものは合わないと認める「勇気」が必要です。無理なものは無理と「割り切る」ことも大切です」、「「人に嫌われることもある」と覚悟を決めれば、あなたの気持ちは軽くなるのです」、その通りだろう。
・『「人と合わない」は職場関係だけでない  「合わないものは合わない」というのは、上司と部下の関係だけではなく、夫婦であっても同じことがいえます。例え話として、知り合いの精神科医のエピソードを紹介します。 その医師は、研究のためにアメリカに渡ったのですが、何年かすると、長く連れ添った奥さんと離婚してしまいました。彼はこんな弁明をしています。 「日本にいるときは、家に帰りたくなければ、研究室に引きこもるなり、仲間と酒を飲むなり、何とでもできたんだよ。でも、アメリカみたいに夕方5時半にはキッチリと家に帰らなければいけない文化だと、どうしても妻と顔を合わせる時間が長くなる。これまでは無理して合わせてきたけど、やっぱり無理なものは無理と気がついたんだ」 これは、決して他人事の笑い話ではありません。コロナ禍の日本でも同じ現象が起こっています。リモートワークによって、夫が会社に行かなくなり、一日中ずっと家にいることで、ストレスを感じている奥さんが増えているといいます。夫もストレスが溜まっていますから、DV(家庭内暴力)が増えたという話もあります。 職場や学校に行くことが嫌になり、ストレスが蓄積して「適応障害」と診断される人がいます。適応障害というのは、職場や学校の環境が自分に合わないとか、仕事や勉強がプレッシャーになるなどの原因によって、次のような症状が現れるストレス性の障害です。 ストレス性の障害の症状(憂鬱な気持ちになる/不安感が強くなる/涙もろくなる/過剰に心配する/眠れなくなる) 会社や学校に行くと心や体の調子が悪くなりますが、家に帰ればケロッとしているので、一時期は「新型うつ病」などと呼ばれました。 こうした症状が出た場合、精神科医は「物の見方を変えましょう」とか、「自分に合ったストレス解消法を考えましょう」とアドバイスをしますが、どうしても無理ならば、その場から「逃げる」という選択肢があることを知っておく必要があります』、「適応障害というのは、職場や学校の環境が自分に合わないとか、仕事や勉強がプレッシャーになるなどの原因によって、次のような症状が現れるストレス性の障害です。 ストレス性の障害の症状(憂鬱な気持ちになる/不安感が強くなる/涙もろくなる/過剰に心配する/眠れなくなる)」、「こうした症状が出た場合、精神科医は「物の見方を変えましょう」とか、「自分に合ったストレス解消法を考えましょう」とアドバイスをしますが、どうしても無理ならば、その場から「逃げる」という選択肢があることを知っておく必要があります」、「どうしても無理ならば、その場から「逃げる」という選択肢がある」、のは確かだ。
・『今の環境が無理なら別の環境を探す  会社に行くことがどうしてもツライならば、「会社を辞める」とか、「別の部署に異動させてほしい」と上司に直談判するということです。「いじめ」が怖くて学校に行けないならば、別の学校に「転校」するということも視野に入れる必要があります。 今の環境が無理ならば、無理して我慢せずに、他の環境を探す……ということですが、多くの日本人は、この「逃げる」という選択肢を非常に嫌がって敬遠します。欧米の人は収入や環境面で不満があれば、すぐに転職を決意しますが、日本人は「逃げる」という選択を「汚いこと」とか「卑怯な手段」と考えているのです。 「逃げる」という選択を「卑怯な手段」と考えているから、転職の道を選ぶことはせず、上司に異動願いを出すこともありません。これだけ転職が一般的になった時代でも、多くの人が「じっと我慢」する道を選択して、結果的に心身に支障をきたしたりしているのです。 夫婦関係や人間関係でも、まったく同じ傾向が見られます。欧米人は愛情が冷めたら素早く離婚してしまいますが、日本では我慢することが普通ですから、離婚というのは「よほどのこと」として選択肢から外されます。 人間関係に悩んでいる人の8割くらいは、その人間関係から逃げられないと考えていますから、職場や学校、友人やママ友まで、多くの人が「我慢」の道を選択しているのです。 「我慢する」という考え方は、ある意味では日本人の「美徳」と見ることもできますが、ストレス対策という面で考えると、必ずしも最良の選択とはいえません。日本人が「逃げる」と考えるのは最後に自殺するときだけ……というのでは、最悪の逃げ方しかできないことになります。 「逃げる」といっても、必ずしも、すぐに会社を辞める必要はありません。「最後には逃げればいいんだ」「逃げられるんだ」と思えれば、すぐに会社を辞めないで、「もう少しだけ様子を見てから決めよう」という気持ちの余裕が生まれます。 「辞めるという手もある」と覚悟ができれば、上司に掛け合って異動をお願いするとか、面と向かって文句を言うことだってできるはずです。少なくとも、現在の環境を変えて、ストレスを吹き飛ばすための最初の一歩を踏み出す決心ができます。 生活面や収入面、家族のことや転職先のことが心配で「逃げる」という選択ができない人もたくさんいます。「逃げる」というのは、あくまでストレス軽減のための「最終手段」とか、「最後の切り札」として、知っておけばいいのです』、「「我慢する」という考え方は、ある意味では日本人の「美徳」と見ることもできますが、ストレス対策という面で考えると、必ずしも最良の選択とはいえません。日本人が「逃げる」と考えるのは最後に自殺するときだけ……というのでは、最悪の逃げ方しかできないことになります」、「生活面や収入面、家族のことや転職先のことが心配で「逃げる」という選択ができない人もたくさんいます。「逃げる」というのは、あくまでストレス軽減のための「最終手段」とか、「最後の切り札」として、知っておけばいいのです」、その通りだ。

第四に、6月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した精神科医 Tomy氏による「【Twitterフォロワー30万人超の精神科医が教える】「承認欲求」を満たす最短ルートがある!」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304701
・『生きていれば、不安や悩みは尽きない。寝る前に考え込んでしまって、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。 ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉の数々。とても読みやすいオムニバス形式の8つの物語は、気づかぬ間に心の荷物を抱え込んで苦しくなったとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。 voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!』、「精神科医 Tomy氏」といっても、後述の通り純粋な日本人である。
・『承認欲求を求めるほど逆効果  「承認欲求」についての質問は、かなりたくさんいただきます。それだけみなさんの関心事でもあり、悩みの源になっていることでもあるんですね。 承認欲求は、「自己承認欲求」と「他者承認欲求」の2つに大きく分かれます。自己承認欲求は「自分で自分を認めたい」という欲求、他者承認欲求は、「他人から認められたい」という欲求です。いずれにしても、驚きの事実があります。それは、承認欲求を求めるほど逆効果だということです。 だから、自分を好きになりたいのであれば、自分を好きになりたいと思うのをやめる。他人から好かれたいと思うのであれば、その思いを断ち切ってみるほうがいいです。ただし、口で言うのはたやすいけれども、それを実行することは得てして難しいものですよね。だから、まずは承認欲求について極力考えないようにすることがいちばんです』、「承認欲求を求めるほど逆効果」なので、「まずは承認欲求について極力考えないようにすることがいちばんです」、なるほど。
・『承認欲求を満たす最短ルート  考えないようにすることが、承認欲求を満たす最短ルートだと思ってください。自分にとっての自然体を探して、それを永遠とやリ続ける。これが一番の正解に他なりません。自分にとっての自然体を探すということ自体、きっと人生に充実感をもたらしてくれるでしょう。 では、自分にとっての自然体とはなにかというと、たとえば「人にどう思われようが、私はこうしていることが楽しい」ということなんです。人に認められたいとか好かれたいとか思うのではなく、逆に「人からどう思われたっていいじゃない」と割り切ることがポイントです。 別のいい方をすると「自分に素直になる」「自分の思ったことを素直に表明する」ということ。もちろん、そのことを心よく思わない人が出てくるかもしれませんが、そこは「人にどう思われてもいいじゃない」ということです』、「自分にとっての自然体とはなにかというと、たとえば「人にどう思われようが、私はこうしていることが楽しい」ということなんです。人に認められたいとか好かれたいとか思うのではなく、逆に「人からどう思われたっていいじゃない」と割り切ることがポイントです」、ここまで割り切れれば本物だろう。
・『ふり切った考え方をしてみる  もちろん、人に迷惑をかけてもいいからワガママに振る舞えばいいというわけではありません。人にどう思われてもいいとはいえ、みんなから嫌われるような行動をするということでもありません。ただ、自分や他人に認められたいという承認欲求にこだわるスタンスからすると、まずは極端にふり切った考え方をしてみるのも一手かもしれません。 とにかく承認欲求を意識しないようにすることが先決です。これは、人生のテーマみたいなものなので、延々と追い求めていい視点です。それ自体が人生に充実感をもたらしてくれるのですから。 そして、自分が夢中になれることが見つかれば、素晴らしいこと。もし、見つからなくても、追い求めていたら、それはそれで承認要求に苦しむことがなくなるのです。 ※『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)には、お悩み解消のヒントが満載です。 「精神科医Tomy?」「Twitterフォロワー30万人超?」――こりゃ、怪しいな……。そんなふうに思われた方がいらっしゃるかもしれませんね。いいえ、そんなことはないんです! 日々患者さんと向き合い、多い日には100人以上を診察することもあるという経験豊富な精神科医なのです。これ以上患者さんが殺到して医療現場が混乱しないよう「精神科医Tomy」として活動しています! 【著者】精神科医Tomy 1978年生まれ。某名門中高一貫校を卒業し、某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後、精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。精神科病院勤務をへて、現在はクリニックに常勤医として勤務。30万フォロワー突破のTwitterが人気で、テレビ・ラジオの出演多数。著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)にはじまったシリーズは、27万部突破のベストセラーに。自身初の小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)も大反響を呼ぶ』、「多い日には100人以上を診察することも」、第一線の「精神科医」のようだ。「30万フォロワー突破のTwitterが人気」、大したものだ。
https://twitter.com/PdoctorTomy?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
タグ:心理学 (その3)(悲観的に考える人の気持ちを軽くする3つの手法 どうすればネガティブにならずにいられるのか、精神科医が分析「コロナで生じた同調圧力」の背景 「長いものには巻かれない」ための対応策も紹介、人には相性がある「嫌われる」ことも受け入れよう ストレス対策から見ると「我慢」はよくない、【Twitterフォロワー30万人超の精神科医が教える】「承認欲求」を満たす最短ルートがある!) 東洋経済オンライン 和田 秀樹氏による「悲観的に考える人の気持ちを軽くする3つの手法 どうすればネガティブにならずにいられるのか」 「気持ちが暗くなる要因には個人差がありますが、多くの人に共通しているのが、「予期不安」や「ストレス」によるもの」、なるほど。 「予期不安というのは、これから先のことについての「過剰」な不安ですから、悩み始めたらキリがないし、実際には起こらないことがほとんどです。 実際に起こらないことに対して、あれこれ考えて不安になり、落ち込んでしまうのですから、完全に「取り越し苦労」です。実際に起こってから悩むようにするだけでも、不安の9割はなくなります」、「完全に「取り越し苦労」で」、「実際に起こってから悩むようにするだけでも、不安の9割はなくなります」、無駄な「取り越し苦労」をしていただけとは、やれやれだ。 「「やってみなければわからない」とか、「試してみないとわからない」という発想を持つことは、予期不安の解消にも役立ちます。 2つ目は、深刻に悩むくらいなら、あらかじめ「ソリューション」・・・を用意しておくということです」、「心配事が起こった後の善後策を事前に用意しておけば、不安は軽減されます。前もって準備しておくことで、「安心材料」が増えるのです」、「3つ目は、不安に思うことが実際に起こる「確率」を冷静に検討してみることです」、なるほど。 「人間不信の人は「他人はすべて悪いやつだ」と思い込んでいますから、全員が悪者に見えてしまうため、そのなかから本物のワルを見つけ出せないのです。 それに比べて、「渡る世間に鬼はない」と思っている人は、全員が善人と思っていますから、少しでも不審なところがあれば、「こいつだけ、ちょっと変だぞ」ということに気づきやすい」、常識とは逆なので、よく気を付けよう。 和田 秀樹氏による「精神科医が分析「コロナで生じた同調圧力」の背景 「長いものには巻かれない」ための対応策も紹介」 「同調圧力」を「考えてみる」とは興味深そうだ。 「同調圧力に関する社会心理学の研究は、おおむね欧米で行われてきました。ですから、日本人だけでなく、人類全体にこうした傾向はあるわけです。 ただし、欧米、とりわけアメリカは、「人と違う意見をいう」ことをよしとするお国柄です」、「そのぶんアメリカは、日本ほどには同調圧力が働かない国です。 一方、日本人は、同調圧力に屈する傾向がひときわ強い」、「「同調圧力に関する社会心理学の研究は、おおむね欧米で行われてきました」、意外な事実だ。 「この国の政治家には、欧米の政治家のように、大胆な政策変更を提案する力はありません。そこで、私は、1人ひとりの個人が、少しずつでも「自分の生き方を取り戻す」気持ちになることが大事だと思います」、同感である。 「人生は、おおむね、人の意見に従うと、不幸になります。失敗したとき、自分のせいではなく、人のせいにするためです。その負の感情が人を不幸にするのです」、「同調圧力という「長いもの」に巻かれながらも、巻き返す。この時代、自分らしく生きるには、そんな覚悟が必要だと、私は思うのです」、全く同感である。 和田 秀樹氏による「人には相性がある「嫌われる」ことも受け入れよう ストレス対策から見ると「我慢」はよくない」 「ストレスを溜め込まないためには、自分に合ったストレス解消法を見つけておく必要」、その通りだ。 「残念ながら、人と人には「相性」がありますから、どんなに努力をしても、合わないものは合いません。日本人は「できれば仲よくしたい」とか、「何となく、仲よくできそうな気がする」と思いがちですが、それほど簡単なことではありません。 合わないものは合わないと認める「勇気」が必要です。無理なものは無理と「割り切る」ことも大切です」、「「人に嫌われることもある」と覚悟を決めれば、あなたの気持ちは軽くなるのです」、その通りだろう。 「適応障害というのは、職場や学校の環境が自分に合わないとか、仕事や勉強がプレッシャーになるなどの原因によって、次のような症状が現れるストレス性の障害です。 ストレス性の障害の症状(憂鬱な気持ちになる/不安感が強くなる/涙もろくなる/過剰に心配する/眠れなくなる)」、「こうした症状が出た場合、精神科医は「物の見方を変えましょう」とか、「自分に合ったストレス解消法を考えましょう」とアドバイスをしますが、どうしても無理ならば、その場から「逃げる」という選択肢があることを知っておく必要があります」、「どうしても無 「「我慢する」という考え方は、ある意味では日本人の「美徳」と見ることもできますが、ストレス対策という面で考えると、必ずしも最良の選択とはいえません。日本人が「逃げる」と考えるのは最後に自殺するときだけ……というのでは、最悪の逃げ方しかできないことになります」、「生活面や収入面、家族のことや転職先のことが心配で「逃げる」という選択ができない人もたくさんいます。「逃げる」というのは、あくまでストレス軽減のための「最終手段」とか、「最後の切り札」として、知っておけばいいのです」、その通りだ。 ダイヤモンド・オンライン 精神科医 Tomy氏による「【Twitterフォロワー30万人超の精神科医が教える】「承認欲求」を満たす最短ルートがある!」 「精神科医 Tomy氏」といっても、後述の通り純粋な日本人である。 「承認欲求を求めるほど逆効果」なので、「まずは承認欲求について極力考えないようにすることがいちばんです」、なるほど。 「自分にとっての自然体とはなにかというと、たとえば「人にどう思われようが、私はこうしていることが楽しい」ということなんです。人に認められたいとか好かれたいとか思うのではなく、逆に「人からどう思われたっていいじゃない」と割り切ることがポイントです」、ここまで割り切れれば本物だろう。 「多い日には100人以上を診察することも」、第一線の「精神科医」のようだ。「30万フォロワー突破のTwitterが人気」、大したものだ。 https://twitter.com/PdoctorTomy?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
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原発問題(その19)(福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」、日本型エリート思考”の限界を3.11の原発事故に見た 新失敗学 正解をつくる技術(3)、「正解を作る技術」を詳細公開! ビジネス、生活…すべてに活用できるその技術とは? 新失敗学 正解をつくる技術(4)) [国内政治]

原発問題については、昨年11月3日に取上げた。今日は、(その19)(福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」、日本型エリート思考”の限界を3.11の原発事故に見た 新失敗学 正解をつくる技術(3)、「正解を作る技術」を詳細公開! ビジネス、生活…すべてに活用できるその技術とは? 新失敗学 正解をつくる技術(4))である。

先ずは、3月7日付けAERAdot「福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2022030400025.html?page=1
・『東京電力福島第一原発事故からまもなく11年。国と東電は30~40年後の廃炉完了を目指すロードマップに基づき、作業を進めている。だが、相次ぐトラブルから廃炉作業の計画は大幅に遅れている。廃炉は本当に可能なのか。AERA 2022年3月7日号は、小出裕章・元京大原子炉実験所助教に聞いた。  国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。 国と東電がいう「廃炉」とは、燃料デブリを格納容器から取り出し、専用の容器に封入し、福島県外に搬出するということです。 当初、国と東電は、デブリは圧力容器直下の「ペデスタル」と呼ばれるコンクリート製の台座に、饅頭(まんじゅう)のような塊になって堆積(たいせき)していると期待していました。そうすれば、格納容器と圧力容器のふたを開け、上方向からつかみ出すことができます。 しかし、デブリはペデスタルの外部に流れ出て飛び散っていることが分かりました。デブリを上部から取り出すことができないことが分かったのです。 そこで国と東電はロードマップを書き換え、格納容器の土手っぱらに穴を開け横方向に取り出すと言い出しました。しかしそんなことをすれば遮蔽(しゃへい)のための水も使えず、作業員の被曝(ひばく)が膨大になってしまいます。それどころか、穴を開けた方向にあるデブリは取り出せたとしても、格納容器の反対側にあるデブリはペデスタルの壁が邪魔になり、見ることも取り出すこともできません。 つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能です。 東電は「国内外の技術や英知を活用すれば廃炉はロードマップ通りに達成できる」などと繰り返し言っているようです。本気で考えているとすれば、相当なバカだと思います。ロードマップは彼らの願望の上に書かれたもので、その願望はすでに崩れています。 廃炉できなければどうすればいいか。できうることは、1986年のチェルノブイリ原発事故の時に実施したように、原子炉建屋全体をコンクリート製の構造物「石棺」で封じ込めるしかありません。) 人間に対して脅威となる放射性物質のセシウム137とストロンチウム90の半減期は、それぞれ30年と28年です。100年待てば放射能は10分の1に、200年待てば100分の1に減ってくれます。 100年か200年か経てば、その間に、ロボット技術や放射線の遮蔽技術の開発も進むはずです。そして、いつかの時点でデブリを取り出すこと以外ないと思います。 国と東電は、それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけません。 そのためにも、一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し、謝罪するべきです。悲しいことですが、事実を直視しなければ前に進めません』、「デブリはペデスタルの外部に流れ出て飛び散っていることが分かりました。デブリを上部から取り出すことができないことが分かったのです。 そこで国と東電はロードマップを書き換え、格納容器の土手っぱらに穴を開け横方向に取り出すと言い出しました。しかしそんなことをすれば遮蔽(しゃへい)のための水も使えず、作業員の被曝・・・が膨大になってしまいます・・・デブリの取り出しは100年たっても不可能です」、「できうることは、1986年のチェルノブイリ原発事故の時に実施したように、原子炉建屋全体をコンクリート製の構造物「石棺」で封じ込めるしかありません」、「「石棺」で封じ込めるしかありません」、「100年か200年か経てば、その間に、ロボット技術や放射線の遮蔽技術の開発も進むはずです。そして、いつかの時点でデブリを取り出すこと以外ないと思います」、国や東電は、そろそろ現実を直視すべきだろう。

次に、6月6日付け現代ビジネスが掲載した東大名誉教授で原発の政府事故調委員長の畑村 洋太郎氏による「日本型エリート思考”の限界を3.11の原発事故に見た 新失敗学 正解をつくる技術(3)」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95914?imp=0
・『「決められた正解を素早く出す」ことが優秀な人とされた時代から「自ら正解をつくる」ことができる人の時代へ。「正解がいくつもある時代」になった今、自分たちで正解をつくっていく必要がある。そして自分たちで正解をつくるとは、仮説ー実行ー検証を回していくことにほかならない。そのためのポイントを丁寧に解説、これから私たちが身につけるべき思考法を明らかにした書籍『新失敗学 正解をつくる技術』から注目の章をピックアップしてお届け』、興味深そうだ。
・『東大工学部で感じた違和感  私が東京大学に入学したのは1960年のことです。その後、機械工学科修士課程を出てから日立製作所に就職しましたが、2年後に助手として大学に戻り、2001年に定年で退官するまで30年余、工学部で教員生活を送りました。 私が所属していた東大工学部は、優等生がゴロゴロいました。もちろん百人いれば数人は、「こいつは本当に頭がいい」と感じる、ものごとの本質を突き詰めようとするタイプもいましたが、大部分がいわゆる優等生タイプでした。たしかに頭の回転は速く優秀ではあるのですが、ものごとの本質を突き詰めて考えるというより、自分がいかに早く正解を出せるか、そして知識量の多さを競うような学生が多かったのです。 そして優等生が大部分だった当時の東大工学部を覆っていた雰囲気もまた、とにかく正解が外にあるのだから、それを持ってきてうまく使おうという、いわば「便宜主義」でした。 その典型的な例が原子力発電です。東大原子力工学科は、私が入学した1960年に設立されました。日本初の原子力発電所による試験発電が63年、初の商用発電が66年ですから、ちょうど私の学生時代は日本の原発の黎明期に当たります。 私は当時、原発はすごいものだなと思っていました。原発の試験発電と同じ1963年、関西電力の社運をかけて建設された黒四ダムが、7年の歳月と171人の殉職者を出しながら完成します。このときできた水力発電所の出力が33万5000キロワットでした。一方で日本初の商用軽水炉として66年に着工し、70年に発電を開始した日本原子力発電の敦賀発電所一号機が、一基で35万7000キロワット、その後は一基70万キロワットを超える原発がどんどん建設されていくわけですからエネルギー量がケタ違いです。 日本にとってエネルギーをどのように確保するかは、明治以来ずっと続く大きな課題です。唯一の原爆被爆国である日本でも、原子力を「平和利用」すればエネルギー問題が解決できる、原発こそ夢のエネルギー源だと考えたのは、とてもよく理解できます。 しかしその反面、原子力畑の人が言っているロジックには、なにか危うさも感じていました。原発が本当に安全なのかという議論は当初から頻繁にされていました。それに対し原子力畑の人たちは、原爆と原発とは構造も違うし、何重にも制御できる仕組みがあるから絶対大丈夫ということを言い続けてきました。 しかし、ものごとの本質を考えれば、ウランという原子量が非常に多いものを使っていることは、原爆も原発も変わりありません。物質の構造で見ると、原子量が多いということは、たくさんの素粒子同士のつながりがあって、そこにエネルギーがたくさん蓄積されているということです。だから、その蓄積されたエネルギーを取り出して使えば、少ない材料から大きなエネルギーを得ることができるという考えです。 先進国の米国がやり始めたことだし、とても便利なものだし、安全も確保される(はずだ)し、放射性廃棄物などの難しい問題は後から考えよう――、こうした考え方は便宜主義そのものです。そうした考え方には当時から違和感を感じてきました』、「優等生が大部分だった当時の東大工学部を覆っていた雰囲気もまた、とにかく正解が外にあるのだから、それを持ってきてうまく使おうという、いわば「便宜主義」でした」、「原発」は「先進国の米国がやり始めたことだし、とても便利なものだし、安全も確保される(はずだ)し、放射性廃棄物などの難しい問題は後から考えよう――、こうした考え方は便宜主義そのものです」、なるほど。
・『原発事故に見る日本型エリート思考の限界  2011年3月の東日本大震災における福島第一原発事故は、このような便宜主義の限界を示した大事故でした。私は当時の政府から事故調査委員会(いわゆる政府事故調)の委員長を依頼されて、約1年3ヵ月の間、この事故の調査を行いました。 福島第一原発には6つの原子炉がありました。大事故に至ったのはこのうちの3つで、それぞれ状況は違いましたが、原子力発電において最も重要な「原子炉を冷やす」という機能を失ったことで問題が発生した点は同じでした。ここでは細かな説明は省きますが、冷却できなくなった核燃料は、自身が発し続けた熱で溶けて圧力容器の底に落ち(メルトダウン)、やがて外側の格納容器にまで漏れ出した(メルトスルー)のです。その際、大量に水素が発生して建物内に充満し、これが爆発を起こして建屋を含む周囲を激しく破損しながら大量の放射性物質を外部に放出しました。 周辺ではこの放射性物質による汚染はいまなお続き、事故現場では建物全体を封じ込めることで大気への放出は抑えられているものの、冷却用に使われている水の処理がいまでも大きな問題になっています。国際原子力事象評価尺度(INES)において最悪のレベル7(深刻な事故)に分類されていますが、これは史上最悪の原発事故とされている1986年のチョルノービリ原発事故(旧ソビエトで現在はウクライナ)と同じ評価です。 福島第一原発の事故では当初、地震による大きな揺れを感知して自動停止した原子炉の冷却機能は維持されていました。地震の影響で外部からの電源供給が途絶えたものの、非常用の発電機が正常に働いていたからです。ところが、その後押し寄せた津波による浸水によって非常用の発電機が使えなくなり、「原子炉を冷やす」という重要な機能が失われました。これが致命傷となって、史上最悪の重大事故が引き起こされてしまったのです。 非常用の発電機が津波による深刻な被害を受けたのは、敷地内で最も低い、地下に設置されていたからでした。当初の想定では、その場所でも津波による被害は及ばないと考えられていましたが、実際に到達した津波の高さは想定をはるかに超えていました。もちろん非常用の発電機をあらかじめどんなに高い津波がやってきても影響を受けない場所に設置していたら、あのような重大事故が発生することはなかったでしょう。関係者は事故発生後、悔やんでも悔やみきれない思いでいたことでしょう。 ではなぜ、非常用の発電機を津波の影響を受けやすい地下などに設置していたのでしょうか? 津波の高さこそ想定外だったとはいえ、あらかじめ津波による被害を想定していた場所です。備えとしては念のため想定外の高さの津波がやってきても被害を受けない場所に設置しておくべきと考えるほうが自然です。むしろそうしていなかったことが不思議でした。 結論から言うと、米国から技術を日本に持ち込む際、知識が中途半端に伝わったことによる悲劇でした。私は政府事故調の活動を通じて、福島第一原発だけでなく日本中の原発が非常用の発電機を地下に置いていたことを知りました。その理由は政府事故調の期間ではわからなかったのですが、その後、さらに調べている中で、米国から原発の技術が持ち込まれたときに、本質的な議論もなしに、形だけの知識が伝わったものであることをある人から教わりました』、「福島第一原発だけでなく日本中の原発が非常用の発電機を地下に置いていた」、「その理由は・・・米国から原発の技術が持ち込まれたときに、本質的な議論もなしに、形だけの知識が伝わったものであることをある人から教わりました」、なるほど。
・『米国と日本の決定的な違い  米国ではなぜ、地下に非常用発電機を設置していたのか。それは、米国ではいちばんの脅威が、「津波」ではなく「竜巻」だったからです。 米国はもともと竜巻被害の多い国です。2021年12月にも中西部や南部を襲った竜巻で90人以上の死者が出たことが大きく報道されました。竜巻がやってきて仮に風速100メートルの暴風に襲われたとすると、竜巻の通り道にある木々や建物は鋭利な刃物で切られたように吹き飛ばされてしまいます。それらを巻き込んだ強風は、大きな破壊力を持っているので、たまたま通り道になっていたりすると、原発の建物やその中にある各種の重要な設備が破壊されてしまうかもしれません。原発本体は頑丈なつくりになっているので耐えられたとしても、冷却に必要な電力を供給するシステムや非常用発電機が破壊されると重大な事故につながりかねないので、これらを最も安全な地下に置くことで安全を確保していたわけです。 ところが日本に原発の技術が伝えられたとき、安全確保に関するこの重要な知識の中身は正確に伝わりませんでした。あるいは途中で消えてしまったということかもしれませんが、いずれにしても結果として残ったのは「重要な設備は地下に置く」という中途半端な知識だけでした。この知識は竜巻から守るためなら有効なものの、日本の原発が想定し、備えていなければいけなかった津波への対策としては、明らかに不適切なものでした。 このように、「ある地域・ある時代の人たちにとっては自明であるがゆえに明文化されず伝えられることもない重要な知識がある」ということも、失敗学では重要な知見の一つです。いちばん大事なことは、常識としてみんなの頭の中に入っているので、文章化されないことがあるのです。 福島第一原発では、もともとの海岸段丘を掘削して立地のレベルを下げ、その地下に非常用電源を設置しています。平地の確保、海水を冷却水として利用しやすくするためといった理由はあるのでしょうが、津波が予測される日本の海岸に設置される原発にとって、いちばん必要なことは何か、という観点からは、ナンセンスとしか言いようがありません。 事故調では、なぜそのようなことをしたのか調べましたが、当時の経緯について触れた資料はまったく残されていませんでした。資料が残されていない以上、当時技術を導入した人たちが、どこまで考えていたかは詳細にはわかりません。しかし、「先進国の米国で行われていることだから間違いないだろう」という意識が働き、思考停止していたのではなかったかと推測しています。 私はここにも正解を持ってくればいい、正解を持ってきてそのままあてはめればいいという優等生型の思考の限界を感じます。 「正解」がはっきりしている場合は、そのまま正解を頭にインプットすれば問題はありませんし、非常に効率的です。しかし「正解」がわからない場合、「正解」自体が間違っている場合も、実際の世界には数多くあるのです。 こうしたときには、本質的には何が重要なのか、根本を突き詰めて考える必要があります。非常用電源を地中に入れておけば「正解」という思考には、本質的に何が重要なのかについて考えた形跡はまったくないのです』、「米国ではいちばんの脅威が、「津波」ではなく「竜巻」」、「冷却に必要な電力を供給するシステムや非常用発電機が破壊されると重大な事故につながりかねないので、これらを最も安全な地下に置くことで安全を確保」、「当時の経緯について触れた資料はまったく残されていませんでした。資料が残されていない以上、当時技術を導入した人たちが、どこまで考えていたかは詳細にはわかりません。しかし、「先進国の米国で行われていることだから間違いないだろう」という意識が働き、思考停止していたのではなかったかと推測しています。 私はここにも正解を持ってくればいい、正解を持ってきてそのままあてはめればいいという優等生型の思考の限界を感じます」、その通りだろう。

第三に、この続きを、6月7日付け現代ビジネスが掲載した畑村 洋太郎氏による「「正解を作る技術」を詳細公開! ビジネス、生活…すべてに活用できるその技術とは? 新失敗学 正解をつくる技術(4)」を紹介しよう。原発問題とは離れるが、「畑村」氏の考え方をより深く知る意味があるとして取上げた次第である。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95945?imp=0
・『「決められた正解を素早く出す」ことが優秀な人とされた時代から「自ら正解をつくる」ことができる人の時代へ。「正解がいくつもある時代」になった今、自分たちで正解をつくっていく必要がある。そして自分たちで正解をつくるとは、仮説ー実行ー検証を回していくことにほかならない。そのためのポイントを丁寧に解説、これから私たちが身につけるべき思考法を明らかにした書籍『新失敗学 正解をつくる技術』から注目の章をピックアップしてお届け』、「正解をつくる技術」とは興味深そうだ。
・『「正解がない時代」とは「正解がいくつもある時代」のこと  現代は、いままでの思考法――問題を分析し、その問題の正解を外から持ってくるという思考法――だけでは、多くの場面で通用しません。 私はいまの時代を「正解がない時代」というより、唯一解のない「正解がいくつもある時代」と捉えています。 そんな時代に必要なのは、やはり自分なりの正解を出していく思考法です。これはビジネスに限りません。直面している問題の解決など、すべての活動に求められている考え方です。 それは言い換えれば、「自分で考えて実行し、その結果を検証する」サイクルを続けることにほかなりません。 そこでまず、そのサイクルの基本的なプロセスについて説明していきましょう』、「自分なりの正解を出していく思考法」、「それは」「「自分で考えて実行し、その結果を検証する」サイクルを続けること」、なるほど。
・『「自分で考えて実行する」とは  「自分で考えて実行する」ことは、じつは多くの人が、日常行っていることです。たとえば、「今日は午後から雨が降りそうだから折りたたみの傘を持って出よう」「今日は金曜日、ということは、いつも通る道は渋滞しそうだから、別の道を選ぼう」「昨晩は焼肉屋に行っていっぱい肉とごはんを食べたから、今日の夕食はさっぱりと野菜中心にしよう」といったことは、すべて自分で考えて実行することに含まれます。こうした日常的な出来事から、さまざまな計画を立てる、企画を考える、設計をするなどのことがすべて、「自分で考えて実行する」ことになります。 ですから、日ごろから意識的に、自分で考えて実行する機会を増やせるかどうかで、人生は大きく変わってくるのです。 一方、「親に言われたから実行した」「教師に言われたから~」「上司に言われたから~」「夫に(妻に)言われたから~」「マニュアルにそう書いてあるから~」「それが決まりだから~」というのはどうでしょうか? そこでは「自分で考えて」の部分が抜けています。 さらに、「自分で考えたけれど、実行しない」のはどうでしょうか? じつは私は、「自分で考えて実行する」ことのうち、「実行する」ほうがより重要だと考えています。 というのも、自力で考えるときよりも、考えたことを実行しようとするときのほうが、さまざまな制約が次から次へと出てきて、はるかに難易度が上がるからです。 たとえば、自分の仕事で新たな企画を考えたり、プライベートで旅行の計画をする。しかしそれをいざ実行しようとすると、「時間がない」「人がいない」「お金がない」「場所がない」「実現する手段がわからない」というように、いろいろな制約が出てきてなかなか実行できないということはよくあります。「考える」と「実行する」の間にある壁は、じつは非常に大きい』、「自力で考えるときよりも、考えたことを実行しようとするときのほうが、さまざまな制約が次から次へと出てきて、はるかに難易度が上がるからです」、確かにその通りだろう。
・『実行することこそが大切  だからこそ、実行することが大切です。まずはどんどんやってみることをおすすめします。そもそも「考える」と「実行する」との間にどんな壁があるかは、実際にやってみないと、なかなか見えてきません。もう一歩進んで実際にやってみると、まったく予期していなかった新しい制約条件が出てきたり、思いもかけない結果が引き起こされたりするなど、もっと別のものが次々と見えてきたりします。そうして明らかになった新たな制約条件を乗り越えたり、別の方法を見つけることが正解への道になるので、実行することそのものが、成功へ至る具体的な道筋を知る方法でもあります。 だいたい多くのことは、頭で考えた通りには動きません。本当のところはどうなのかは、実際にやってみないとわからないものなのです。 極端なことを言えば、最初は「誰かに言われたから実行する」でも良いのです。自分で考えたものでなくても「実行する」ことで、自分の頭が動き出すことだってあります。 たとえば、学校で行う理科の実験のように、誰かがすでにさんざん行って「正解」のあるものでさえ、自分で実際にやってみると、なかなかうまくいかないことが多く、さまざまな発見があります。もちろんうまくいかないということは、材料を間違えたり、手順を間違えたり、温度を間違えたりと、理由が必ずあります。しかしなぜダメだったかを自分で知ることが、本人にとって大きなプラスになることもあるので、できることは可能な限りどんどん実行してみることをおすすめします』、「だいたい多くのことは、頭で考えた通りには動きません。本当のところはどうなのかは、実際にやってみないとわからないものなのです。 極端なことを言えば、最初は「誰かに言われたから実行する」でも良いのです。自分で考えたものでなくても「実行する」ことで、自分の頭が動き出すことだってあります」、なるほど。
・『第一歩は直感から始まる  「自分で考えて実行する」ことの最初の一歩、それは「直感」です。 じつは私はふだん、同じ読みでも「直観」のほうをよく使っています(『直観でわかる数学』〈岩波書店〉という本も2004年に出しました)。この「直感」と「直観」、読みは同じでも意味は大きく異なります。 「直観」は、ものごとの本質をひとつかみに把握するものです。一般的には「論理を用いずに」と説明される言葉ですが、実際には、「なぜそのような判断をしたのか」と理由を問われると、後からきちんと論理的に説明できるものです。「直観」は、実際にはさんざん考え抜いた人だからこそ身につけられるものだと私は考えています。 一方、「直感」は、もう少しほわっとしたものです。違和感だったり、好みだったり、勘だったり……。「感」という文字の通り、感覚的なものだったり、こみあげてくる感情だったりします。論理的にはうまく説明できないことも多いものです。 論理的に説明できない「直感」は、「直観」に比べて、一段劣るものと考える人もいるかもしれません。 しかし、この直感こそが、新たなことを考えるとっかかりとなります。 日常の活動でも仕事をしていても感じる「なんか変だな」といったちょっとした違和感、ちょっとした数字の変化、見慣れた景色だけれどいつもと違うという空気……。意識しないとそのまま通り過ぎてしまうような小さなことが、意外と大きな意味を持つことが、じつは結構あるのです。 私は大学院を修了後、日立製作所で2年間働き、それから大学に戻りました。日立製作所では、いろいろな経験をさせてもらいました。とりわけ後から考えると貴重だったのは、設計の仕事の前にさまざまな現場を経験できたことです。とくに重機の試作機の耐久試験をやる仕事では、自分の五感を使ったいろいろな発見ができました。 あるとき、重機の試作機からふだんと違う音が聞こえてきたことがあります。注意していなければわからないような音の違いでしたが、上司に報告して調べたところ、冷却水が漏れて空焚きの状態になっていることがわかりました。 また別の機会には、熱の変化から試作機の異常に気づいたことがありました。正確に言うと、熱の変化というのは後からわかったことで、最初は試作機の横を通ったときに「昨日とは違う」「なにかおかしい」くらいにしか感じませんでした。そのことを一緒に試作機を動かしている先輩に話したところ、「それなら調べてみよう」と動いてくれました。そしていろいろと調べているうちに、試作機の冷却用の水が抜かれていたのを発見することができたのでした。 熱は温度の高い物体から低い物体へ電磁波によって伝わります。この熱のことを輻射熱といいます。どんな物体も常に輻射熱を放っていますが、感じ方は対象同士の差によって異なります。ふつうは体温より高いものからの輻射熱は「温かい」と感じるし、体温より低いものからの輻射熱は「涼しい」とか「冷たい」と感じます。 しかし、私が試作機から感じたのは、こうした明確なものではありませんでした。「昨日とは違う」とか「なにかおかしい」といったかすかな変化の幅くらいのものでした。それでも違いを感じることができたのは、それまでの現場経験で、五感を使うことの大切さを学んでいたからでしょう。 また、直感はそうした五感からのものだけではありません』、「畑村氏」が、何回となく異常を発見してきた「直感」の鋭さには感服せざるを得ない。
・『「おせっかい」から始まったプロジェクト  2004年3月に、東京・六本木の高層ビルの回転ドアで六歳の男児が挟まれて亡くなるという痛ましい事故がありました。この事故の後、私は仲間たちと原因究明を目的として「ドアプロジェクト」を始めました。じつはこのプロジェクトは、誰かに仕事として依頼されたわけでもなく、完全な手弁当で始めたものです。おせっかいと言えばおせっかいかもしれません。ただそのときは、「これはやろう、やるべきだ」というある種の直感に突き動かされたものでした。そして趣旨に賛同してくれる個人・企業が集まり、プロジェクトとしての活動が始まりました。 「ドアプロジェクト」はその後、対象分野を広げ、13年間続く、常時数百人が参加する「危険学プロジェクト」「ポスト危険学プロジェクト」へとつながっていきました。こうした活動も、「この活動をすることは自分にとって得か損か」などと事前に計算していたら、とうてい、やり始めることさえできなかったでしょう。 どんな人の人生にも、おそらくこうした分岐点のようなものがあると思います。私はそのときにどちらの道を進むのか、最後に決めるのは「計算」より「直感」なのではないかと思っています』、「六本木の高層ビルの回転ドアで六歳の男児が挟まれて亡くなるという痛ましい事故」の後、「私は仲間たちと原因究明を目的として「ドアプロジェクト」を始めました。じつはこのプロジェクトは、誰かに仕事として依頼されたわけでもなく、完全な手弁当で始めたものです」、「その後、対象分野を広げ、13年間続く、常時数百人が参加する「危険学プロジェクト」「ポスト危険学プロジェクト」へとつながっていきました」、大したものだ。
・『仮説を立てる  「なんだろう」「変だな」と直感で思った次は、「自分で考える」ことですが、「自分で考える」とは、言い換えると「仮説を立てる」ことです。 新商品・新サービスの企画にせよ、ビジネス上の戦略にせよ、国の政策にせよ、まず「○○という目的のために、△△をすればいいのではないか」という仮説を立て、実行するための手順に落とし込んでいきます。 たとえば政府の行ってきた新型コロナ対策なども、まず仮説を立て、実行に移されます。感染拡大を防ぐためには人の流れを減らせばいいはずだ、重症者を増やさないためには、リスクの高い人から優先的にワクチンを接種すればいいはずだ、重症者が増えた場合はベッドの確保のために広域で対応すればいいはずだ……。いずれも仮説に基づく対策を行っているのです(いるはずです)。 企業の戦略も同じです。いまはこういうものが消費者に求められているという仮説をもとに製品やサービスを提供したり、近未来の状況を予測し、自社がどこに向かうべきか仮説を立てて中長期計画を立てています。 私も強く意識しているわけではありませんが、大学教員時代、退職後もずっと仮説づくりを行ってきました。 たとえば何かの実験を行う場合、必ず実験計画を作成します。その際、どのような結果が期待されるか、自分なりの仮説を立てます。仮説がないと、どのようなパラメータでどのようなデータを記録するのかを決めることすらできません。とりわけ、誰かの後追いではない新しい試みをする場合は、ゼロから自分なりの仮説をつくらなければなりません。ですからずっと、仮説に基づいて実験し検証する、そのサイクルを続けてきました。 失敗学を提唱してからは、事故調査の依頼が増えました。大きな事故が起こったとき、現場に出向き、関係者に話を聞くなどしながら、原因を探っていきます。事故の瞬間に何が起こっていたかは映像などでこと細かに記録されていることはほとんどないので、現場に残された痕跡や事故に遭遇した人たちの証言などから真相は想像するしかありません。そこで集めたピースから、頭の中で事故時の状況を再現しながら事故原因を探るのですが、これもまた仮説を立てる作業です。状況が許されるのなら、自分が立てた仮説をもとに再現実験を行うこともあります。 もちろんこうした仮説を立てる際は、なんでもいいから仮説を立てればいいというわけではありません。再現実験を行ったり、ちゃんとした事故原因を究明するためには、精度の高い仮説が求められます。当てずっぽうの仮説に基づいてこれらのことを行ってしまうと、得られるものはほとんどないどころか、ミスリードによって同じような誤りを繰り返させることになりかねません。これはどんな類いの仮説づくりであろうと同じです。 たとえばある企業で消費行動に関する仮説を立て、精度が低いまま、それに基づいて製品やサービスを企画して世に出したとします。仮説の精度が低いというのは、実際のニーズと大きくかけ離れているということですから、こういう場合は当然、期待していた成果は得られません。 それでも自分たちで考えた仮説を実際に試したことで、考えが及んでいなかった別の支配法則のようなものが見つかって、それが新たな成果につながることもありますから、実行したこと自体にはそれなりの意味はあります。とは言え、仮説の精度を高めたほうが成功する確率ははるかに上がります。 それではどうすれば仮説の精度を高めることができるのでしょうか? 私の経験では、結局のところ、自分でしつこくやり続けるのがいちばんです。 私は研究仲間や教え子から「先生ははじめて見る事象に対しても、その事象を支配する法則や、パラメータを見つけるのが上手だ」と褒められることがあります。これは興味を持ったり、仕事上必要なものであるとか、ある事象を理解するとき、たんなる一般的な知識として取り込むのではなく、その対象について徹底的に見て考えて自分なりのモデル、つまり仮説をつくることを続けてきた結果だと思います。 と言っても、私も最初から精度の高い仮説を立てられていたわけではありません。何回もしつこく続けていたから、自分がつくる仮説の精度が結果として上がってきたのだと、自分自身では考えています』、「私も最初から精度の高い仮説を立てられていたわけではありません。何回もしつこく続けていたから、自分がつくる仮説の精度が結果として上がってきたのだと、自分自身では考えています」、なるほど。
・『仮説と実行の繰り返し  実行することのほうがより大事だということを前述しましたが、漠然と考えているだけのものを実行しても得られるものは少なく次に活かすことができません。「頑張ってやってみたけどうまくいかなかった」だけでは、次につながりません。 一方で、自分でちゃんと仮説を立てて実行して、それでもうまくいかなかったとき、それは次へのチャンスにつながります。 何かの現象が起こったとき、その現象を支配しているのはどんなパラメータなのか、パラメータ同士の関係はどうなっているのかなど、自分の過去の経験や学んで獲得して持っている知識を総動員して頭の中に仮説をつくるのです。 そうした場合、実行してうまくいかなかったとしても、失敗した原因について、「ここに考え落としがあった」「想定外の反応があった」「こういう制約条件があることに気づいていなかったのがまずかった」などと、いろいろと検討しながら推測しやすくなります。そのうえで、新たな仮説を立てて再び実行することを繰り返し行えば、そのたびにうまくいく可能性はより高まっていきます。 仮説と実行を繰り返す――つまり試行錯誤する――ことは、クリエイティブな作業を行うときには欠かせない作業です。実際にやってみると、だいたい自分の仮説通りにいかないですし、一度で満足のいくものができることもほとんどありません。しかしその原因を考える中で、足りないもの、思い違いをしていたものなどいろいろなことが見えてきます。そうして得たものをもとに、新たな仮説を立てて実行することができるし、場合によっては別の創造のタネにすることだってできます。 iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥さんは、他の人と違う創造的なことをやろうとすると、以下の三つの場合しかないと言っています。それは、「誰も思いつかないことを思いついたとき」「みんなが望んでいるけれど無理だとあきらめているとき」「仮説を立てて実験した結果が最初の予想と違うとき」の三つです。 誰も思いつかないことを思いつくのは、よほどの天才か、奇跡的なひらめきがあったときだけですから、現実にはほとんどありません。二番目は、未踏のまま残されたところを自分の考えで切り開いていくやり方ですが、やり甲斐はあるものの多くの時間と労力を要するので、よほどの覚悟を持って取り組まないといい結果は得られないかもしれません。 これらに比べると三つ目は比較的誰にでもできるのではないでしょうか。仮説を立てて実行するのは、どんなことでも日常的にできますが、チャンスなのは自分の仮説とは違う結果が出たときです。そこに注目して、それを新たな創造の糧にしたり、タネにするのです。 自分で考えて実行するというのは、この三つ目の考え方と基本的には同じです。なんでもそうですが、仮説を立ててやってみたけれどうまくいかない。じつはそこにこそ、目的としていることを成功に導いたり、新たなものを創造するための大事なポイントや情報があるのです。そしてそのことに気づくことができるのは、自分でちゃんと考えたうえで実行している人だけなのです。 私が大学で学生を指導していたときも、ペーパーテストで優秀な成績を取っていても演習ではなかなか手を動かさない学生より、ペーパーテストではそこまでではなくても、演習でどんどん手を動かして試行錯誤を繰り返していくタイプの学生のほうが、最終的に伸びていきました』、「ペーパーテストで優秀な成績を取っていても演習ではなかなか手を動かさない学生より、ペーパーテストではそこまでではなくても、演習でどんどん手を動かして試行錯誤を繰り返していくタイプの学生のほうが、最終的に伸びていきました」、やはり「実行」が肝心なようだ。
タグ:原発問題 (その19)(福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」、日本型エリート思考”の限界を3.11の原発事故に見た 新失敗学 正解をつくる技術(3)、「正解を作る技術」を詳細公開! ビジネス、生活…すべてに活用できるその技術とは? 新失敗学 正解をつくる技術(4)) AERAdot「福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」」 「デブリはペデスタルの外部に流れ出て飛び散っていることが分かりました。デブリを上部から取り出すことができないことが分かったのです。 そこで国と東電はロードマップを書き換え、格納容器の土手っぱらに穴を開け横方向に取り出すと言い出しました。しかしそんなことをすれば遮蔽(しゃへい)のための水も使えず、作業員の被曝・・・が膨大になってしまいます・・・デブリの取り出しは100年たっても不可能です」、「できうることは、1986年のチェルノブイリ原発事故の時に実施したように、原子炉建屋全体をコンクリート製の構造物「石棺 現代ビジネス 畑村 洋太郎氏による「日本型エリート思考”の限界を3.11の原発事故に見た 新失敗学 正解をつくる技術(3)」 「優等生が大部分だった当時の東大工学部を覆っていた雰囲気もまた、とにかく正解が外にあるのだから、それを持ってきてうまく使おうという、いわば「便宜主義」でした」、「原発」は「先進国の米国がやり始めたことだし、とても便利なものだし、安全も確保される(はずだ)し、放射性廃棄物などの難しい問題は後から考えよう――、こうした考え方は便宜主義そのものです」、なるほど。 「福島第一原発だけでなく日本中の原発が非常用の発電機を地下に置いていた」、「その理由は・・・米国から原発の技術が持ち込まれたときに、本質的な議論もなしに、形だけの知識が伝わったものであることをある人から教わりました」、なるほど。 「米国ではいちばんの脅威が、「津波」ではなく「竜巻」」、「冷却に必要な電力を供給するシステムや非常用発電機が破壊されると重大な事故につながりかねないので、これらを最も安全な地下に置くことで安全を確保」、「当時の経緯について触れた資料はまったく残されていませんでした。資料が残されていない以上、当時技術を導入した人たちが、どこまで考えていたかは詳細にはわかりません。しかし、「先進国の米国で行われていることだから間違いないだろう」という意識が働き、思考停止していたのではなかったかと推測しています。 私はここにも 畑村 洋太郎氏による「「正解を作る技術」を詳細公開! ビジネス、生活…すべてに活用できるその技術とは? 新失敗学 正解をつくる技術(4)」 原発問題とは離れるが、「畑村」氏の考え方をより深く知る意味があるとして取上げた次第である。 「正解をつくる技術」とは興味深そうだ。 「自分なりの正解を出していく思考法」、「それは」「「自分で考えて実行し、その結果を検証する」サイクルを続けること」、なるほど。 「自力で考えるときよりも、考えたことを実行しようとするときのほうが、さまざまな制約が次から次へと出てきて、はるかに難易度が上がるからです」、なるほど。 「だいたい多くのことは、頭で考えた通りには動きません。本当のところはどうなのかは、実際にやってみないとわからないものなのです。 極端なことを言えば、最初は「誰かに言われたから実行する」でも良いのです。自分で考えたものでなくても「実行する」ことで、自分の頭が動き出すことだってあります」、なるほど。 「畑村氏」が、何回となく異常を発見してきた「直感」の鋭さには感服せざるを得ない。 「六本木の高層ビルの回転ドアで六歳の男児が挟まれて亡くなるという痛ましい事故」の後、「私は仲間たちと原因究明を目的として「ドアプロジェクト」を始めました。じつはこのプロジェクトは、誰かに仕事として依頼されたわけでもなく、完全な手弁当で始めたものです」、「その後、対象分野を広げ、13年間続く、常時数百人が参加する「危険学プロジェクト」「ポスト危険学プロジェクト」へとつながっていきました」、大したものだ。 「私も最初から精度の高い仮説を立てられていたわけではありません。何回もしつこく続けていたから、自分がつくる仮説の精度が結果として上がってきたのだと、自分自身では考えています」、なるほど。 「ペーパーテストで優秀な成績を取っていても演習ではなかなか手を動かさない学生より、ペーパーテストではそこまでではなくても、演習でどんどん手を動かして試行錯誤を繰り返していくタイプの学生のほうが、最終的に伸びていきました」、やはり「実行」が肝心なようだ。 「自力で考えるときよりも、考えたことを実行しようとするときのほうが、さまざまな制約が次から次へと出てきて、はるかに難易度が上がるからです」、確かにその通りだろう。
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鉄道(その9)(多すぎる「東京の踏切」 パリの90倍もある理由とは、普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も SLは複数免許が必要、3大高速列車合併 「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス ルート拡大期待高まる) [産業動向]

鉄道については、昨年12月16日に取上げた。今日は、(その9)(多すぎる「東京の踏切」 パリの90倍もある理由とは、普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も SLは複数免許が必要、3大高速列車合併 「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス ルート拡大期待高まる)である。

先ずは、本年2月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏による「多すぎる「東京の踏切」、パリの90倍もある理由とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/295395
・『横浜市は1月25日、相鉄本線の一部区間を地下化し、10カ所の踏切を減らす計画を明らかにした。東京や大阪などでも大規模な高架化の計画があるが、予定より大幅に遅れるなど難航している。そもそも日本の主要都市における踏切の数は、海外と比べて多い。その理由はどこにあるのか』、興味深そうだ。
・『用地確保の難しさなどで進まぬ線路の立体交差化  横浜市道路局建設課は1月25日、相模鉄道本線の鶴ヶ峰駅付近を中心に西谷~二俣川駅間約2.1キロを地下化し、10カ所の踏切を除却する連続立体交差事業の都市計画決定を行ったと発表した。概算事業費は約784億円で、2022年度上期に事業認可を得て、下期に着工する計画だ。完成は2033年度を予定している。 相鉄ではこれ以前にも、2002年から2018年まで16年もの年月をかけて星川~天王町駅間を中心とする約1.9キロを高架化し、9カ所の踏切を除却している。駅前広場や周辺道路、高架下の整備などの付帯する事業も2021年度に完了した。総事業費は約550億円だった。 線路の立体交差化(高架化または地下化)は、踏切の除却による混雑・渋滞や事故の危険の解消、線路による地域分断の解消だけでなく、鉄道事業者にとっても事故多発ポイントである踏切の除去による運行の安定化向上、また高架下用地の活用が可能になるなど、三方が得をする事業である。 しかし用地の確保が困難な市街地で、運行を確保しながら線路を切り替える立体交差化工事は新線建設以上に困難で莫大な費用を要するため、なかなか進まないのが実情だ。 例えば近年行われた大規模な高架化としては、JR中央線三鷹~立川駅間約13.1キロでは、1995年から2010年まで15年の月日と約1790億円の事業費が費やされた。 また京急本線は2000年から2012年にかけて京急蒲田駅を中心とする平和島~六郷土手間約4.7キロおよび空港線蒲田~大鳥居間約1.3キロを高架化し28もの踏切を除却している。こちらの事業費は1650億円だった。 現在行われている工事の中で事業区間が最長なのは京王線笹塚~仙川駅間約7.2キロの高架化だ。事業費は約1701億円。2013年に事業化し2022年度に完了予定だったが、実際は昨年秋にようやく高架橋が建ち始めたところで、工事は大幅に遅れている。京王は今後の工程について精査した上で、事業期間の変更について関係者と調整したいとしている。 次いで長いのが、阪急京都線・千里線の淡路駅を中心とした約7.1キロの高架化工事だ。こちらは1997年に事業着手したが用地の取得が難航し、実際に着工できたのは2008年のことだった。それでも2017年度末の高架切り換えを予定していたが、2015年になって事業期間の7年延長を決定。付帯する工事も含めて全体が完了するのは、事業着手からちょうど30年後の2027年度ということになる。事業費は約1632億円だ』、「付帯する工事も含めて全体が完了するのは、事業着手からちょうど30年後の2027年度ということになる。事業費は約1632億円だ」、いずれも工事期間は延長されることが多いようだ。
・『立体交差化の財源の多くはガソリン税・自動車重量税  これらはいずれも鉄道を大幅に造り替える工事だが、鉄道事業者が事業費の多くを負担するわけではない。それどころか鉄道側の負担は非常に少ない。「連続立体交差事業」とは、鉄道事業者が自主的に線路を高架化または地下化するのとは異なり、渋滞解消など自動車交通の円滑化のために自治体が事業主体となって行われる「道路整備事業」だからだ。 そのため事業費の概ね90%は自治体が負担し、その半分を国が「ガソリン税・自動車重量税」を財源とする「社会資本整備総合交付金」で充当する。鉄道事業者の負担は、高架下利用と踏切事故解消などの受益分とされる残り10%程度(23区内は15%)にすぎない。 ただ連続立体交差事業による高架化・地下化は鉄道の改良工事ではなく、あくまで地上にあった設備と同程度のものに作り替えるのが原則なので、工事とあわせて設備を増強するとなれば話は別だ。 西武池袋線では1990年から2015年にかけて西武池袋線桜台~大泉学園間の連続立体交差事業が行われたが、高架化にあわせて練馬~石神井公園間が複々線化され、増額分の事業費は西武が全額負担した。 京王線柴崎~西調布駅間および相模原線調布~京王多摩川駅間約3.7キロで2003年から2014年にかけて行われた地下化でも、調布駅での京王線と相模原線の平面交差を解消するために線路も立体交差化したことから、事業費約1150億円のうち約650億円を京王が負担している。 上記のように近年、大規模な連続立体交差事業が次々と完成しているが、都心の踏切はなお多く残っている。国土交通省は昨年3月、1961年の制定以来5年ごとの時限立法として運用してきた踏切道改良促進法を恒久化するなど対策を強化しているが、そもそも諸外国と比較して都市部に踏切が多すぎる日本では、抜本的な解決には気の遠くなるような時間を要することになるだろう』、「渋滞解消など自動車交通の円滑化のために自治体が事業主体となって行われる「道路整備事業」だからだ。 そのため事業費の概ね90%は自治体が負担し、その半分を国が「ガソリン税・自動車重量税」を財源とする「社会資本整備総合交付金」で充当する。鉄道事業者の負担は、高架下利用と踏切事故解消などの受益分とされる残り10%程度(23区内は15%)にすぎない」、「都市部に踏切が多すぎる日本では、抜本的な解決には気の遠くなるような時間を要することになるだろう」、なるほど。
・『東京の踏切数はパリの約90倍  なぜこんなに踏切が多いのか。国土交通省の資料によると2014年度末時点の海外主要都市の踏切数は東京23区が620なのに対して、ニューヨークが48、ベルリンが46、ソウルが16、ロンドンが13、パリ(周辺3県含む)が7と、けたが違う。このうちソウルとパリは23区と面積がほぼ同等である。 日本は路線数が多いからと思うかもしれないが、都市部の鉄道に限ればどこの都市も遜色ないネットワークを有している。日本の都市鉄道は根本的に性質が異なるのである。 敷かれたレールに沿って走る鉄道にとって、線路上の障害物は事故に直結する。1830年に開業した世界初の鉄道と1872年に開業した日本初の鉄道は、どちらも開業初日に線路内に立ち入った人と接触する人身事故が起こっている。 煙を吐き、高速で走行する危険な鉄道は都市の内部には乗り入れさせず、中心部への移動は町はずれに置かれたターミナル駅から馬車鉄道(後に路面電車)などに乗り換えなければならなかった。しかし車体が小さく速度も遅い馬車鉄道(路面電車)では都市の輸送を捌ききれない。そこで危険な鉄道を都心まで安全に乗り入れさせるための工夫が始まった。 その最初の事例が1863年にロンドンで開業した世界初の地下鉄「メトロポリタン鉄道」である。続いて1871年、ニューヨークで高架鉄道が開業。どちらも線路と道路を立体交差させることで市街でも蒸気機関車を運転できるようにしようとしたものだ。 こうした事例は明治初期の日本にも伝わっていた。明治の東京の都市計画を主導した「市区改正委員会」は1888年、ロンドンやニューヨークを念頭に市内の鉄道は道路と立体交差とするとの原則を定めており、現在のJR中央線が新宿~牛込(現在の飯田橋駅付近)駅間の延伸を出願した際も、途中に踏切を設置する計画があったのを立体交差構造に改めさせている。 その後もメインストリートである新橋~上野間(現在の山手線・京浜東北線)や、さらにそれを乗り越える総武線御茶ノ水~両国間などの高架鉄道が建設されていく。日本も明治時代から都市に踏切は作るべきではないと分かっていたのである。それがなぜこのような事態になってしまったのか』、「日本も明治時代から都市に踏切は作るべきではないと分かっていたのである。それがなぜこのような事態になってしまったのか」、なるほど。
・『東京の急拡大で顕在化した踏切問題  問題は東京の急激な拡大だった。当時の行政区域である「東京市」は皇居を中心に半径5キロ(概ね山手線の内側から深川、押上、三ノ輪を結んだエリア)の範囲しかなかったが、1920年の時点で東京府(現在の東京都)の人口のおよそ3分の2にあたる約218万人が住んでいた過密都市であった。 後の23区内に相当する周辺地域(当時における「郊外」)の合計は約118万人で、既に郊外化は進み始めていたが、この流れは関東大震災で決定的なものとなる。1925年の調査では東京市の人口は10万人以上減少して約205万人となる一方、周辺地域は206万人となり一気に逆転した。この原動力となったのが大正時代から昭和初期にかけて相次いで開業した山手線に接続する私鉄だ。 前述のとおり東京市内の線路は道路と立体交差させなくてはならない。そのため私鉄は莫大な資金を要する独力での都心乗り入れはせず、山手線に都心直通を依存する形でその外側に路線を延ばしていった。その過程で多くの踏切が設置されたのである。 現在では「都心」に含まれる品川、渋谷や、高級住宅地を擁する世田谷区、大田区、杉並区も当時は市外であり、当時の交通量を踏まえれば莫大な費用を投じて立体交差化しなくても踏切で事足りた。 しかし郊外の人口はさらに増え続け、市街は発展し、交通量は激増。踏切の問題が顕在化する。東京市は1932年に周辺地域を組み入れ、現在の23区とほぼ同じ広さとなるが、踏切だらけの路線を都市鉄道に組み込めば当然無理が生じてくる。政策決定者は立体交差の必要性を認識し、対策を講じていたにもかかわらず、それを上回るほど短期間に都市圏が拡大してしまったのだ。 これに対して海外主要都市は都心の地下鉄道・高架鉄道が早くに開業し、市域の拡大とともに郊外へと延伸したため踏切が少ない。東京に地下鉄が開業したのは、郊外の私鉄があらかた開業し終わった1927年のことだった。 実は既にこの頃から立体交差化の必要性が認識されており、1940年には内務省と鉄道省が重要道路の立体交差を費用折半で進める協定を結んでいる。1952年には道路法が公布され、鉄道と道路は原則として立体交差にしなければならないと法律に明記された。その後、建設省と運輸省の間で連続立体交差事業の費用負担について協定が結ばれ、幾度の改定を経ながら現在の制度につながっていく。 全国連続立体交差事業促進協議会のウェブサイトによれば、1969年以降に全国で行われた連続立体交差事業の総延長は556.5キロ(これは奇しくも東海道本線東京~新大阪間とほぼ等しい)、除却できた踏切は1657だ。現在事業中の事業の総延長は約105.2キロ、除却できる踏切数は287だから徐々にだがスピードアップしていると言えるだろう。 それでも終わりは全く見えない。連続立体交差事業とは100年前から積み重ねてきた宿題を解くような地道な取り組みなのである』、「私鉄は莫大な資金を要する独力での都心乗り入れはせず、山手線に都心直通を依存する形でその外側に路線を延ばしていった。その過程で多くの踏切が設置された」、「政策決定者は立体交差の必要性を認識し、対策を講じていたにもかかわらず、それを上回るほど短期間に都市圏が拡大してしまった」、「連続立体交差事業とは100年前から積み重ねてきた宿題を解くような地道な取り組みなのである」、後手に回った行政の尻拭いには時間がかかるようだ。

次に、2月24日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライターの小林 拓矢氏による「普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も、SLは複数免許が必要」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/514209
・『新幹線、特急ロマンスカー、SL――。鉄道の運転士に憧れる子どもたちならば、いつかはこういった「かっこいい」列車の運転をしてみたい、という思いを抱くのは当然のことだろう。大人でもかつてそうだった、あるいは今もそう思うという人も少なくないのではないだろうか。 鉄道の運転士になるには、まず鉄道会社に入社して訓練を積み、試験を突破して運転免許を取得しなくてはならない。ただ、列車によってはさらに別の資格や社内での選抜が必要な場合もある。先に挙げたような列車を運転できるようになるにはどうすればいいのだろうか』、鉄道オタクでなくても、興味深そうだ。
・『どんな人が新幹線運転士に?  東京から新大阪、博多などを結ぶ「のぞみ」は鉄道好きな子どもたちの憧れの列車である。きりっとした制服に身を包み、ダイヤ通りの高速運転を正確に行う運転士は、そんな子どもたちからすると「神」のように見えるだろう。 新幹線を運転するには、在来線とは別の「新幹線電気車運転免許」を取得しなくてはならない。では、東海道新幹線を運行するJR東海ではどんな人が新幹線の運転士になれるのか。 JR東海に聞くと、主に駅係員、車掌、運転士など鉄道の運行に直接携わる職種で入社した場合に、駅係員や車掌などの経験を積んだのち、運転士の資格を取得したうえで新幹線の運転士業務に従事することが一般的だという。運転士の仕事ができるような採用区分に応募し、そこで仕事の実績を積んでいく。 現在のJR東海の採用方式ならば、「総合職」もしくは「プロフェッショナル職」の「運輸部門」に応募することになる。総合職は将来的にマネジメントを担う職種、プロフェッショナル職は「主に鉄道部門で高い技術力・専門性を発揮することを期待」される職種、つまり現場の第一線だ。総合職の場合は、ジョブローテーションの一環として新幹線の運転免許を取得する。 実は同社は以前、総合職全員に新幹線の運転免許を取得させていた。つまりオフィスで働くマネジメント系の社員もみな新幹線の運転ができたわけだ。これは何かあったときでも新幹線をきちんと動かせるようにしたいという考えが背景にあったためだが、現在は鉄道の運行に直接携わる職種のみに取得させているという。総合職の運輸部門は主に理系の大卒者が採用される。 JR東海の場合、新幹線の運転士は「選抜」されるという性質とは違うものの、本気でなりたいという人は、入社を志願する際にコースをよく見極める必要がある』、「JR東海の採用方式ならば、「総合職」もしくは「プロフェッショナル職」の「運輸部門」に応募することになる。総合職は将来的にマネジメントを担う職種、プロフェッショナル職は「主に鉄道部門で高い技術力・専門性を発揮することを期待」される職種、つまり現場の第一線だ。総合職の場合は、ジョブローテーションの一環として新幹線の運転免許を取得する」、なるほど。
・『ロマンスカーの運転士は「エース」  子どもたちの憧れの列車としては特急列車も大きな存在だ。さまざまな特急があるが、とくに小田急電鉄のロマンスカーは憧れの存在としてポジションを確立している。 小田急電鉄に話を聞いてみると、ロマンスカーの運転士は選抜度の高い仕事であることがわかった。まず同社にエキスパート職で入社し、駅業務や車掌業務を経て、電車の運転免許である「甲種電気車運転免許」を取得する。その後、3年間は一般車両の運転を経験する。そしてようやく、ロマンスカーの運転士になるための社内試験を受けるのだ。 まずは基礎試験として、筆記試験と実務試験。それに合格したら、任用試験で接遇のロールプレイが試される。不合格になる人もいるという。 ロマンスカーといえば展望席付き車両が有名だ。赤いロマンスカー「GSE」や3月に定期運行から引退する「VSE」の運転室は展望席上の2階にある。そこに乗り込む運転士の姿はカッコいいが、その運転台のタラップをのぼるには厳しい選抜基準を満たさなければならないのだ。 さて、新幹線、私鉄特急と見てきたが、鉄道の運転士の中でもさらになるのが難しそうなものがある。SLの運転士だ。そもそも蒸気機関車は、免許の種類が違うのだ。 「SL大樹」を運行する東武鉄道によると、まずSL運転士になるには、電車の運転士としての免許(甲種電気車運転免許)の保有が前提だ。そのうえで「東武鉄道のSL事業を積極的に牽引したいという高い意欲とともに、運転技能やサービスマインドを総合的に勘案したうえで、日光・鬼怒川エリアにおけるSL事業を担うSL機関士・機関助士としてふさわしい人材を選抜している」という。わかりやすくいうと、「力量」と「品格」が求められるといえようか。大相撲の横綱昇進基準のようである。 そうして選ばれた人たちが機関助士となり、甲種蒸気機関車運転免許を取得して機関士となる。ボイラー技士の免許も必要だ。人数も限られているだけに、「特別な列車」の中でもとくに選抜の度合いが厳しいといえそうだ。 【2022年2月27日20時20分 追記】記事初出時、免許取得についての記述に誤りがあったため上記のように修正しました。 このほかにも、鉄道事業者によっては職種が設定され、そのための選抜が行われるところがある。京急電鉄では、「運転主任」という職級が設けられている。これは「営業車の運転士」の上位職級である。分割・併合作業を含む車庫からホームまでにおける車両の出入庫、運転関連では信号・ポイントの切り替え指示というのがあり、営業運転者への指示や、検査修繕などを考慮した車両運用(車庫への列車格納配置の差配)を行っているという。 京急電鉄によると、「営業車の運転経験を活かし、列車の運転から運用へと、1段上の視座から業務を行う仕事で、鉄道部門業務の中間管理職」という。運転士になったあと、本人の選抜や適性を見て配属しているという』、「小田急電鉄に話を聞いてみると、ロマンスカーの運転士は選抜度の高い仕事であることがわかった。まず同社にエキスパート職で入社し、駅業務や車掌業務を経て、電車の運転免許である「甲種電気車運転免許」を取得する。その後、3年間は一般車両の運転を経験する。そしてようやく、ロマンスカーの運転士になるための社内試験を受けるのだ。 まずは基礎試験として、筆記試験と実務試験。それに合格したら、任用試験で接遇のロールプレイが試される」、選抜は予想以上に厳しそうだ。「「SL大樹」を運行する東武鉄道によると、まずSL運転士になるには、電車の運転士としての免許(甲種電気車運転免許)の保有が前提だ。そのうえで「東武鉄道のSL事業を積極的に牽引したいという高い意欲とともに、運転技能やサービスマインドを総合的に勘案したうえで、日光・鬼怒川エリアにおけるSL事業を担うSL機関士・機関助士としてふさわしい人材を選抜している」という」、「SL機関士・機関助士」の「選抜」はさらに厳しそうだ。
・『「特別手当」はあるのか  では、こういった「特別な列車」の運転士は特別な手当などはあるのだろうか。JR東海では運転士や車掌に出る手当はあるものの、新幹線運転士だけの特別な手当はない。小田急でも、ロマンスカー運転の特別手当はない。 ただ、東武のSL運転士の場合、SL(とそれを補佐するディーゼル機関車)には電車の運転と違う技能が求められるため、SLおよびDLの操縦にかかわる社員には特別な手当を支給しているという。京急の「運転主任」は、職能に応じた給与設定があるとのことだ。 「特別な列車」の運転士だからといって手当などの面で特別扱いはされないようだが、そういった面とは違うやりがいがあるからこそ子どもたちの憧れとなり、そして実際に目指す人も多いのだろう』、「特別手当」の有無に拘らず、厳しい「選抜」をくぐり抜けたことで、「子どもたちの憧れ」の対象になるのだろう。

第三に、6月1日付け東洋経済オンラインが掲載した在英ジャーナリストのさかい もとみ氏による「3大高速列車合併、「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス、ルート拡大期待高まる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/593461
・『コロナ禍による移動需要の激減により、一時は瀕死の状態まで陥っていたイギリスと欧州大陸を結ぶ国際列車「ユーロスター」。欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会の競争当局は3月末、同社とフランス・ベルギー・オランダ・ドイツを結ぶ国際高速列車「タリス」の合併について承認し、このほど両社を束ねる持株会社が設立された。 2つの高速列車の合併プロジェクトは、欧州がコロナ禍に襲われる半年前の2019年9月、“グリーンスピード”という名称のもと、検討が開始された。しかし、コロナ禍での移動制限がもたらした利用者激減による多額の損失を受け、2年間にわたって保留となっていた。コロナ禍の落ち着きを受けて欧州各国間の往来が再び増え始めた2021年秋、両社は合併取得承認に向けた動きを再開。そしてこの春、欧州委による合併承認を得ることができた。 合併により、イギリスでは、「ロンドンから直通列車で行ける欧州大陸の都市が一気に増えるかも」と大きな期待が寄せられている』、「2つの高速列車の合併」により「「ロンドンから直通列車で行ける欧州大陸の都市が一気に増える」との「期待」も頷ける。
・『「レッド」と「ブルー」の2種類に  両社はユーロスターグループという持株会社を設立、ユーロスターとタリスの運行会社はその傘下となった。現在は従来通りの列車名で運行しているが、列車のブランド名はいずれタリスの名が消え、すべてユーロスターに統合される。 ただ、車両の色は現状を維持し、英国へ乗り入れているほうを「ユーロスター・ブルー」、現在のタリスを「ユーロスター・レッド」とすると報じられている。 合併10年目となる2032年の年間利用者数は3000万人を目標とする。業界では「コロナ後のV字回復を期待する“ショック療法”として提示された野心的すぎる数字ではないか?」との声もあるが、目標達成に向けて新たなルートの拡大を目指す一方、車両や乗務員数の最適化、ポイントプログラムの統合、ITや予約システムの統合などによるシナジー効果の創出を目指す。 コロナ禍の2年間、ユーロスターは最も影響を受けた乗り物のひとつだった。2019年には年間1110万人だった利用者数は、2021年には160万人まで減少。存続に向け、同年5月には株主および銀行から2億5000万ポンド(約390億円)の短期借入金の注入を受け、なんとか破綻の危機をしのいだ。 2021年秋以降は、イギリスやフランス政府によるコロナ感染対策の緩和で、観光需要が一気に回復した。筆者も在住するイギリスからフランスやドイツなどを訪れる機会があったが、すでに出入国時のコロナ検査などは省略されており、それが旅行業界の回復に一役買っている。検査の有無は旅行の日程を大きく左右する。フランスで日本への帰国前にPCR検査を受ける同行者と検査施設を訪れたが、旅行の最中に検査のためにまるまる午前中が潰れるというのは大変な手間だ。 ユーロスターの分析によると、ビジネス客の戻りは「観光客ほどには順調ではない」という。オンラインによるビデオ会議の普及はもとより、ブレグジットの完全実施でロンドン金融街シティーから欧州連合(EU)各国籍の金融マンの多くが職場を離れ、欧州大陸との往復需要が減少したことなどが重なったためだ。 タリスとの合併による「新生ユーロスター」の誕生後、「その効果が現れるのは、2〜3年先」(フランスの経済アナリスト)と予想される。共通ブランドで今後、さまざまなキャンペーンや企画運賃の導入などを図り、輸送量の増加やシェア再拡大を目指すことになる』、「タリスとの合併による「新生ユーロスター」の誕生後、「その効果が現れるのは、2〜3年先」」、意外に時間がかかるようだ。
・『英国で期待高まる「ドイツ直通」  2019年時点の“グリーンスピード”計画は、合併後のロンドン発着ユーロスターのネットワークとして、現在の3カ国(フランス・ベルギー・オランダ)に加え、ドイツへ乗り入れるとしていた。タリスのネットワークはもともとフランス・オランダ・ベルギー・ドイツに広がっており、合併後にユーロスターがドイツへ、というのは妥当な選択だろう。 同計画発表時の資料では、ロンドン発ドイツ行きはベルギーのブリュッセルからリエージュを経てドイツ領に入り、ケルンを目指すという形だ。さらにその先、デュッセルドルフ、デュイスブルクを経てドルトムントまでのルートも描かれている。 イギリス―ドイツ間の直通に関しては、ドイツ鉄道(DB)がロンドン乗り入れを目指した時期もあったが、結局さまざまな障害で実現しなかった経緯もある。本格的に英独直通列車が運行されるとなれば、両国の鉄道界にとって大きなインパクトとなるだろう。 ユーロスターグループの広報担当は、仏紙コネクシオン(Connexion)に対し「新規区間や運行開始時期を公表するのは時期尚早」としながらも、イギリスでは大衆紙デイリーメールをはじめとする複数メディアが「ロンドンからドイツ行き国際直通列車実現か?」と報じている。そのほか、旅行関係の雑誌各社もこぞって新生ユーロスターのルート拡大に期待を寄せる記事を発表しており、関心の高さがうかがえる。 一方、ビジネス路線として需要が極めて高い、ロンドン―フランクフルト間は前述の合併後のネットワーク計画には入っていない。タリスがフランクフルトに乗り入れていないからだ。 両都市間は飛行機だと2時間ほどだが、空港と市内中心部の行き来や出入国手続きの時間、そして時差(欧州大陸はイギリス+1時間)を考えると、ロンドンから朝一番のフライトに乗っても、フランクフルトの用務先にはランチタイムに間に合うかどうかギリギリだ。一方、ロンドンからユーロスター・ブルーでケルンへ行き、そこからDBのICEへの接続がしっかりできれば、列車でもランチタイムごろのフランクフルト到着が可能となりそうだ。 航空機にはない、列車ならではのメリットもある。車内で同行者とミーティングができ、携帯電話での通話やメールチェックなどの「穴」が出る心配もないからだ。都心発着の列車利用なら、航空機といい勝負になるかもしれない。 一般の人々の間に環境意識が大きく広まったことも新生ユーロスターにとっては追い風だ。「列車では所要時間がかかりすぎる」と思われる目的地へも列車利用で行こうと考える人が増加している。例えば、欧州投資銀行(EIB)の調査によると、欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」しているという』、「一般の人々の間に環境意識が大きく広まったことも新生ユーロスターにとっては追い風だ。「列車では所要時間がかかりすぎる」と思われる目的地へも列車利用で行こうと考える人が増加している。例えば、欧州投資銀行(EIB)の調査によると、欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」しているという」、飛び恥なる言葉が生まれるほど、環境意識は高まっている。「欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」、確かに「新生ユーロスターにとっては追い風だ」。
・『スペイン国鉄も英国進出目指す?  欧州の鉄道ネットワーク拡大に関しては5月末、DBとフランス国鉄(SNCF)がパリ―ベルリン間の直通高速列車を2023年中にも運行開始すると報じられた。「片道7時間かかっても列車利用のマーケットがある」と新規路線開設に踏み切るのは、今や列車の所要時間をさほど気にしない人が増えていることの現れと言えようか。 また、英仏海峡トンネルの運営会社であるゲットリンク(Getlink)は同区間のシャトルサービスを検討するスタートアップ企業に利用してもらうため、SNCFから中古TGV車両10編成を購入する意向を示している。実現すれば、年間で200万〜300万人の利用客は見込めるとされ、これは新生ユーロスターの大きな競争相手となるだろう。さらに、スペイン国鉄(Renfe)が、英国向け国際列車への参入に向け、パリに事務所を開設したという動きも伝わってきている。 コロナで大きく傷ついた欧州圏内の国際間移動だが、それ以前から、国際列車網は格安航空会社(LCC)の路線拡大でずいぶんと荒らされてしまっていた。経済の回復とともに、イギリスを取り巻く欧州の国際鉄道はどのような形で再興していくのだろうか』、「欧州の国際鉄道」、が「どのような形で再興していく」か、大いに注目される。
タグ:鉄道 (その9)(多すぎる「東京の踏切」 パリの90倍もある理由とは、普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も SLは複数免許が必要、3大高速列車合併 「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス ルート拡大期待高まる) ダイヤモンド・オンライン 枝久保達也氏による「多すぎる「東京の踏切」、パリの90倍もある理由とは」 「付帯する工事も含めて全体が完了するのは、事業着手からちょうど30年後の2027年度ということになる。事業費は約1632億円だ」、いずれも工事期間は延長されることが多いようだ。 「渋滞解消など自動車交通の円滑化のために自治体が事業主体となって行われる「道路整備事業」だからだ。 そのため事業費の概ね90%は自治体が負担し、その半分を国が「ガソリン税・自動車重量税」を財源とする「社会資本整備総合交付金」で充当する。鉄道事業者の負担は、高架下利用と踏切事故解消などの受益分とされる残り10%程度(23区内は15%)にすぎない」、「都市部に踏切が多すぎる日本では、抜本的な解決には気の遠くなるような時間を要することになるだろう」、なるほど。 「日本も明治時代から都市に踏切は作るべきではないと分かっていたのである。それがなぜこのような事態になってしまったのか」、なるほど。 「私鉄は莫大な資金を要する独力での都心乗り入れはせず、山手線に都心直通を依存する形でその外側に路線を延ばしていった。その過程で多くの踏切が設置された」、「政策決定者は立体交差の必要性を認識し、対策を講じていたにもかかわらず、それを上回るほど短期間に都市圏が拡大してしまった」、「連続立体交差事業とは100年前から積み重ねてきた宿題を解くような地道な取り組みなのである」、後手に回った行政の尻拭いには時間がかかるようだ。 東洋経済オンライン 小林 拓矢氏による「普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も、SLは複数免許が必要」 鉄道オタクでなくても、興味深そうだ。 「JR東海の採用方式ならば、「総合職」もしくは「プロフェッショナル職」の「運輸部門」に応募することになる。総合職は将来的にマネジメントを担う職種、プロフェッショナル職は「主に鉄道部門で高い技術力・専門性を発揮することを期待」される職種、つまり現場の第一線だ。総合職の場合は、ジョブローテーションの一環として新幹線の運転免許を取得する」、なるほど。 「小田急電鉄に話を聞いてみると、ロマンスカーの運転士は選抜度の高い仕事であることがわかった。まず同社にエキスパート職で入社し、駅業務や車掌業務を経て、電車の運転免許である「甲種電気車運転免許」を取得する。その後、3年間は一般車両の運転を経験する。そしてようやく、ロマンスカーの運転士になるための社内試験を受けるのだ。 まずは基礎試験として、筆記試験と実務試験。それに合格したら、任用試験で接遇のロールプレイが試される」、選抜は予想以上に厳しそうだ。「「SL大樹」を運行する東武鉄道によると、まずSL運転士になる 「特別手当」の有無に拘らず、厳しい「選抜」をくぐり抜けたことで、「子どもたちの憧れ」の対象になるのだろう さかい もとみ氏による「3大高速列車合併、「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス、ルート拡大期待高まる」 「2つの高速列車の合併」により「「ロンドンから直通列車で行ける欧州大陸の都市が一気に増える」との「期待」も頷ける。 「タリスとの合併による「新生ユーロスター」の誕生後、「その効果が現れるのは、2〜3年先」」、意外に時間がかかるようだ。 「一般の人々の間に環境意識が大きく広まったことも新生ユーロスターにとっては追い風だ。「列車では所要時間がかかりすぎる」と思われる目的地へも列車利用で行こうと考える人が増加している。例えば、欧州投資銀行(EIB)の調査によると、欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」しているという」、飛び恥なる言葉が生まれるほど、環境意識は高まっている。「欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」、確か 「欧州の国際鉄道」、が「どのような形で再興していく」か、大いに注目される。
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米中経済戦争(その17)(知らぬ間に中国の国民抑圧に加担する 日米欧の民間企業、池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する、「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』 #3) [外交]

米中経済戦争については、昨年8月6日に取上げた。今日は、(その17)(知らぬ間に中国の国民抑圧に加担する 日米欧の民間企業、池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する、「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』 #3)である。

先ずは、昨年10月12日付け日経ビジネスオンラインが掲載した元アメリカ国家安全保障担当大統領補佐のH・R・マクマスター氏による「知らぬ間に中国の国民抑圧に加担する、日米欧の民間企業」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00373/100400002/
・『中国側と技術開発などで協業している日本や欧米の企業は数多いが、いつの間にか技術を転用され、中国共産党が国民を監視したり人民解放軍の能力を向上させたりするために利用されているケースがある。また、新技術の開発や投資でも、日米欧は中国に後れをとっている。対抗するためにはどのような政策が必要なのか。 トランプ政権の国家安全保障担当大統領補佐官を務め、歴史的な対中政策の転換を主導したH・R・マクマスター氏の著作『戦場としての世界 自由世界を守るための闘い』から一部抜粋して紹介する。 ※本記事の内容は本書からの抜粋で著者個人の見解。タイトル、見出し、写真選定は編集部によるもの。写真はイメージ』、「歴史的な対中政策の転換を主導した」人物の著作とは興味深そうだ。
・『開かれた社会に付け入ろうとする中国共産党  中国共産党は、自分たちの中央集権型の国家主義的な経済システムには優位性が備わっていて、特に官、産、学、軍を巧みに調整する能力で並ぶものはないと自負している。そして、アメリカなどの分権的で自由市場を中心とする経済システムは中央から指令を下す中国の戦略、例えば「中国製造2025」の産業政策や「一帯一路」構想、軍民融合の政策に太刀打ちできないと見る。 これに対抗するため、アメリカをはじめとする自由市場型の経済システムを持つ国々は、中国からの侵略の手をはねのけつつ、分権的な構造と制約のない起業家精神の発露こそが競争上、優位にあることを示さなければならない。 ここで大きなカギを握るのは民間セクターである。新しい技術の開発と実用化の最前線にいる企業や学術機関にとって、中国に対する油断は禁物であり、彼らがルールを破ってでも、開かれた社会と自由市場型の経済に付け入ろうと企(たくら)んでいることを認識する必要がある。 競争上の優位性を維持するための最初のステップは、中国による我々の技術の窃盗を取り締まることである。海外からの対米投資の影響を国家安全保障上の観点から検証する作業を経て大がかりな改革が実現したものの、効果的な防御策を継続的に追加していくことが求められる。 具体的には、アメリカ企業に対して、中国に関連した法人から投資を受け入れたり、中国側から技術移転の要請があったり、また、自らが中国共産党の中核的な技術の開発や人民解放軍の近代化のプログラムに参加したりする場合には報告させることである。 中国は国家資本主義のモデルを広めることだけでなく、監視警察国家の完成を目指してアメリカ経済の開放性に乗じようとしている。それを防ぐ取り組みには改善の余地が大いにある。 法の支配と個人の権利を重視する国々では、多くの大学、研究機関、そして企業が承知の上で、あるいは知らないうちに中国側に加担し、中国共産党が国民を抑圧する技術を実際に使い、また、人民解放軍が自らの能力を引き上げることに手を貸している。これらは軍民両用の技術があるために生じている。 民間セクターは新たな協力先を探し、自由市場型の経済や代議制、法の支配を尊重する姿勢を共有できる相手と組むべきである。多くの企業が監視技術、人工知能(AI)、遺伝子工学などの分野で中国側と合弁や提携を進め、結果的に中国共産党が国内の治安対策に適した技術を開発することを助けている。他にも複数の企業が中国からの投資を受け入れ、中国共産党はそれらを糸口に必要な技術にアクセスしている。 多くの事例からもう一つ挙げれば、マサチューセッツ州に本社を置くある企業が提供した遺伝子抽出装置は、中国共産党が新疆でウイグル族の住民を追跡するのに役立った。また、グーグルは中国からハッカー攻撃を受け、中国共産党によって国民が情報にアクセスできないようにサービスを遮断されたが、同社はアメリカの国防総省とのAIでの協業は拒んだ。 中国の国民を抑圧するための取り組みだと分かった上で、あるいは、いつの日にか同じアメリカ市民に対して行使されかねない軍事能力を構築する計画だと分かった上で中国共産党に協力する企業は、罰せられなければならない』、「民間セクターは新たな協力先を探し、自由市場型の経済や代議制、法の支配を尊重する姿勢を共有できる相手と組むべきである。多くの企業が監視技術、人工知能(AI)、遺伝子工学などの分野で中国側と合弁や提携を進め、結果的に中国共産党が国内の治安対策に適した技術を開発することを助けている。他にも複数の企業が中国からの投資を受け入れ、中国共産党はそれらを糸口に必要な技術にアクセスしている」、「中国の国民を抑圧するための取り組みだと分かった上で、あるいは、いつの日にか同じアメリカ市民に対して行使されかねない軍事能力を構築する計画だと分かった上で中国共産党に協力する企業は、罰せられなければならない」、その通りだ。
・『新しい技術の採用で優位に立つ中国  アメリカ、ヨーロッパ、日本の資本市場での審査の厳格化も、企業が中国共産党の権威主義的な目標に向けた動きに加担することを制限する上で役立つだろう。国内での人権侵害や国際条約への違反行為に直接的に、あるいは間接的に関与している多くの中国企業がアメリカの証券取引所に上場している。これらの企業は、アメリカおよび他の西側諸国の投資家たちからの恩恵に与っている。 上場中国企業は全部で700社余り。このうちニューヨーク証券取引所に86社、ナスダック市場に62社が上場し、規制の緩い店頭市場では500を超す銘柄が取引されている。上場廃止の候補の1社がハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)だ。ウイグル族の住民たちを特定し、行動を監視するための顔認証技術を持ち、同社が生産する監視カメラは新疆の強制収容所の壁に並んでいる。 同社は、親会社で国有の中国電子科技集団と共にアメリカの商務省のエンティティ・リスト(多くの人々が「ブラック・リスト」と呼ぶもの)に掲載されている。我々が持つ自由市場型の経済は世界の資本の大半を管理しているという意味では、中国の経済よりもはるかに大きな影響力がある。 しかし、防衛のための態勢はまだ不十分だ。自由で開かれた国々は、改革と投資を通じて装備面での競争力をテコ入れする必要がある。中国のほうが新しい技術の採用という点では明らかに優勢だ。上意下達型の意思決定システム、政府の補助金の存在、リスクを恐れない姿勢、アメリカやその他の民主主義の国々でよく見られるような規制や官僚制度の壁が比較的少ないこと、倫理的な障害がないこと(例えば遺伝子工学や自立型兵器の分野で)など、これらすべてが民生分野と人民解放軍の現場での技術の迅速な利用を促している。 アメリカもその他の国々も倫理面で妥協してはならないが、中国と比べた場合の弱点の多くは、実は自分で作り出したものだ。一例を示せば、アメリカの国家安全保障にかかわる機関には官僚的な硬直性という病状が長年、表れていた。国防関連の予算計上と装備の調達が遅くて柔軟性に欠ける点も長らく対策が検討されてきたが、効果のある見直しはほとんど実現していない。今度も改革を実現できなかった場合、代償はあまりに大きい。 装備の調達計画を複数年の継続予算に組み入れて予測可能性を持たせることができずにいることや、込み入ったままになっている装備調達の仕組み、そして防衛近代化策が先送りになっていることはもはや許容できないほどだ。 また、国防総省と取引を始めることは本当に難しく、それが最も革新的な中小企業にこの国の防衛能力への貢献を思いとどまらせ、ひいては新しい技術が日の目を見ずに終わる結果をもたらしている。何年も時間をかけて研究開発を進め、能力を一つずつ設計・検証していくやり方はもはや通用しない。 人民解放軍はこれまで続いたアメリカの軍事的優位を無効にするべく、新たな能力や対抗手段を開発している。つまり、国防総省と米軍は優雅に存在感を失っていくリスクに直面している。民間セクターと国家安全保障に関連した機関・産業との間の障壁を減らせば、この重要な分野での自由市場型のイノベーションの可能性を解き放てるだろう』、「民間セクターと国家安全保障に関連した機関・産業との間の障壁を減らせば、この重要な分野での自由市場型のイノベーションの可能性を解き放てるだろう」、「障壁を減ら」してもらいたいものだ。
・『先端技術分野での投資が重要になる  官僚的なやり方を合理化しても、中国の巨額の投資に対抗するにはまだ足りない。中国は新興の軍民両用の技術に投資して、データ主導の経済と軍事力を前進させている。アメリカが一段と能力を高め、攻撃的になる人民解放軍に対して格の違いを見せつけるほどの優位性を保つには、政府と民間セクターによるAIやロボット工学、拡張・仮想現実、材料工学といった技術分野への投資が重要となるだろう。 インド太平洋地域にまたがる多国間の防衛協力も焦点であり、将来をにらんだ防衛能力の共同開発にまで広げる必要がある。その最終的なゴールは、武力の行使によって目的を達成することは不可能だと中国共産党を納得させることである。宇宙やサイバー空間を防衛する能力の開発における多国間協力も、これらのせめぎ合いの対象となっている領域(ドメイン)への中国の侵略を食い止める効果が期待される。 また、台湾の防衛能力は中国を遠ざけておくのに十分なほど強固でなければならない。中国が台湾に対して抱く計画は多くの犠牲をもたらす戦争につながりかねず、戦火は東アジアの大部分に広がる可能性もある』、「アメリカが一段と能力を高め、攻撃的になる人民解放軍に対して格の違いを見せつけるほどの優位性を保つには、政府と民間セクターによるAIやロボット工学、拡張・仮想現実、材料工学といった技術分野への投資が重要となるだろう」、「台湾の防衛能力は中国を遠ざけておくのに十分なほど強固でなければならない」、その通りだ。
・『「法の支配」を民主主義国の弱みと捉える中国  我々の自由市場を劣後した経済システムだとみなす中国共産党は、アメリカやその他の民主主義の国々における法の支配という原理も我々の相対的な弱みだと位置づけている。中国共産党にとって法を至上なものとする考え方は受け入れがたい障害物であり、法の前ではすべての人々を平等に扱うという要件も、法の適用にあたっては主観を排して公平にあたるという基準も中国共産党は退ける。 しかし、ここでも中国が相手の弱みと捉えているものは、実際には自由で開かれた国々の優位性の基盤をなしており、我々はそれを中国共産党との競争に適用しなければならない。 例えば、中国のスパイ行為に対抗するために必要な情報を各国の国民や企業、政府に与えるのも法の支配であり、具体的には法的に適正な手続きの下で行われる捜査(その結果は公表される)である。 2019年になって、中国製の通信機器で構築されたインフラと、持続的なサイバー攻撃によるスパイ活動の組み合わせは、経済の安定や国家の安全保障に深刻な脅威となることが判明した。そこで、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、台湾はそろって中国の通信関連企業のファーウェイ(華為技術)を自らの通信網から排除し、他の国々も追随するようにと訴えた。 2020年2月になると、アメリカの司法省はファーウェイとその複数の子会社が謀議の上で企業秘密を盗み出し、不当な利益を得たとして起訴した。法執行機関による捜査は引き続き重要な役割を果たすだろう。ただし、中国共産党はあまりに多くの大学や研究機関、企業に浸透しており、中国の産業スパイの全容を暴くには、調査報道のジャーナリストたちを含めた総がかりの対応が求められる。 表現の自由、起業の自由、そして法の下での保護は互いに欠かせない関係にある。そして、これらが一体となって我々に競争上の優位性を与える。それは、中国の産業スパイやその他の中国からの経済的な攻勢に対抗する上で役立つばかりか、中国共産党の政策への批判を控えさせ、逆に支持させることを狙って仕掛けてくる影響力拡大のための活動を打ち負かす際にも有効だ』、「表現の自由、起業の自由、そして法の下での保護は互いに欠かせない関係にある。そして、これらが一体となって我々に競争上の優位性を与える。それは、中国の産業スパイやその他の中国からの経済的な攻勢に対抗する上で役立つばかりか、中国共産党の政策への批判を控えさせ、逆に支持させることを狙って仕掛けてくる影響力拡大のための活動を打ち負かす際にも有効だ」、その通りである。

次に、本年5月9日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの池上 彰氏による「池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/584132
・『今、アメリカと中国の関係がここ数十年で一番険悪になっているといわれています。米中対立はアメリカのトランプ前大統領の時代に激しくなりましたが、バイデン大統領に代わってからも一向に収まる気配がありません。 「2つの大国がもめてるだけ。自分には関係ないや」と思っている人がいるかもしれませんが、それは違います。世界は「米中新冷戦」の時代に入ったともいわれています。両国の厳しい対立は日本にも大きく関係してくるのです。 そもそもこんな事態になったのはなぜでしょうか。米中の対立で、日本はどうなるのか?『20歳の自分に教えたい現代史のきほん』(池上彰+「池上彰のニュースそうだったのか!!」スタッフ・著)より、一部を紹介します』、興味深そうだ。
・『台湾有事で米中戦争が勃発!?  2021年1月、中国側からこんな発言が飛び出しました。「台湾独立を目指す勢力に本気で告げる。(中略)台湾独立は戦争を意味する」。 極めて稀なことですが、中国国防省の呉謙報道官が「戦争」に言及しました。台湾は独立したほうがいいのではないかと言っている人も台湾の中にはいます。しかし、もしそんなことをやろうとしたら戦争になるぞと中国が脅したわけです。 中国と台湾が戦争になったら台湾を助けに駆けつけるのはアメリカです。 ①アメリカは台湾を守るために様々な武器を台湾に売ることができる。 ②台湾が軍事攻撃などを受けた場合、アメリカはそれに適切に対応する。 アメリカが1979年に制定した台湾関係法という法律に、こういった内容が盛り込まれています。これは条約ではありませんが、この法律ができたことでアメリカと台湾の関係は事実上の軍事同盟になったのです。 したがって、いざというときは、アメリカは国内の法律に基づいて台湾を助けようとします。そうなれば必然的に台湾をめぐってアメリカと中国が衝突することになり、米中間の戦争になりかねないということです。 2021年3月、アメリカ軍の司令官が「今後6年以内に中国が台湾を侵攻する恐れがある」と発言してニュースになりました。侵攻するとは、軍事攻撃を行うということ。もし中国が台湾に軍事攻撃を仕掛けたら、アメリカはどう動くでしょうか』、国交がないので、条約を結ぶことが出来ず、代わりに「台湾関係法という法律」で定めたようだ。
・『日本にある米軍基地から出動  アメリカ軍が台湾を応援するために出動するとなると、どこから出動すると思いますか?台湾に一番近い沖縄や佐世保、横須賀などの米軍基地から出動するはずです。 今、沖縄からアメリカ軍の船が台湾に向かって出動したとします。中国から見たとき、台湾を攻める上でアメリカの船は邪魔になるため、おそらくこれを攻撃するでしょう。もし沖縄から出港した直後にアメリカの船が中国から攻撃されたら、日本の自衛隊はどうしますか?黙って見ていますか? 別のシナリオも考えられます。沖縄からアメリカ軍が出動するということになれば、中国はその前に沖縄の基地にいるアメリカ軍を叩こうとするかもしれない。そのときは沖縄の基地にミサイルが飛んでくることもあり得ます。 この例からもわかるように、私たちは「これはアメリカと中国の台湾をめぐる対立だ」と何となく他人事のように思っているところがありますが、台湾で軍事衝突が起きたら日本も巻き込まれるのです。 そこで近年、日本や世界の国々である取り組みが進んでいます。それが中国包囲網の形成です。 まず、ファイブアイズというのがあります。文字通り「5つの目」のことで、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが機密情報を共有するために結んだ協定です。この5カ国がお互いに情報を交換しながらスパイ活動での連携を取り合っています。 もう1つが、最近よくニュースに出てくるクアッドです。 クアッド(quad)は英語で「4つの」を意味する言葉。日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国で中国に対抗していこうという枠組みです。ただ、4カ国のうちインドの立場は特殊です。 というのは、伝統的にインドは「非同盟主義」といって、特定の陣営に肩入れしない、いわば全方位外交をとってきたからです。中国は脅威ではあるけれども、できれば敵対したくないと考えています。 そこでアメリカは21年9月、イギリス、オーストラリアと3カ国でオーカスという枠組みを発足させました。それぞれの国(「Australia」「United Kingdom」「UnitedStates」)の頭文字を取ってオーカス(AUKUS)です。 日本は憲法上の制約から軍事面での協力には限度があり、インドは非同盟主義です。この点を考慮して、中国の動きを抑えるため3カ国で軍事同盟を作ったのです』、「ファイブアイズ」は「5カ国がお互いに情報を交換しながらスパイ活動での連携を取り合っています」、「クアッド」は「4カ国で中国に対抗していこうという枠組み」、「AUKUS」は「中国の動きを抑えるため3カ国で軍事同盟」、対中国では3つの枠組みが出来たようだ。
・『一連の動きに中国も反応し始めている  一連の動きに中国も反応し、早速新たな動きを見せ始めました。 アメリカが中国包囲網を作るというなら、その中国包囲網をさらに外側から包囲するような新たな包囲網を作ろうということで、反米ネットワーク作りに余念がありません。 ロシアとの関係を強化し、トルコやイラン、さらに中東のアラブ諸国の中でバイデン政権になってからアメリカとの関係がギクシャクしている国などを取り込んで、アメリカ包囲網を作ろうとしています。 世界を舞台にアメリカと中国がそれぞれ包囲網を作ろうと動いていて、地球レベルで今、それぞれが陣地の取り合いをしている。それが現在の状況です。そういうなかで日本はどう行動するのかが今まさに問われているのです』、「中国」は南太平洋諸島に王毅外相を派遣して安保条約を結ぼうとしたが、ギリギリになって米豪が巻き返したことで、不発に終わった。このように米中間の摩擦は極度に緊張しつぁ段階にあるようだ。

第三に、5月30日付け文春オンラインが掲載した国際ジャーナリストの山田敏弘氏による「「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』 #3」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/54499
・『中国への情報漏えいを恐れて、本格的な「ファーウェイ排除」を進めるのがアメリカだ。2018年から同盟国に対し、5G通信機器などでファーウェイ製品の排除を要請している。ところが、この問題に対して日本はいまだに明確な対策を打てていない。 危機意識の低いこの国はどうなってしまうのか? 国際ジャーナリストの山田敏弘氏による新刊『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』より一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目/#1、#2を読む)』、興味深そうだ。
・『世界が進める「ファーウェイ排除」  ここまで見てきたアメリカとロシア・中国の争い。そしてそこに巻き込まれる欧州。もちろん日本も他人事ではない。世界規模の覇権争いが続く中で、日本はどういう立場を取るべきなのか。実は日本は非常に中途半端な姿勢を見せている。 その一例が、ファーウェイ排除である。アメリカは2018年成立の国防権限法により本格的にファーウェイ排除措置がとられるようになってから、同盟国に5G通信機器などでファーウェイ製品の排除を要請した。10年も前から米政府はファーウェイを安全保障のリスクだと結論づけて警戒しており、国防権限法の前から国防総省などは米軍基地での使用禁止措置などをとっていた。 オーストラリアはすぐに反応し、同年のうちに安全保障への脅威からファーウェイを禁止にする予定であると発表した。 では、日本はどう対応したのか。米政府のファーウェイ排除要請の直後、「読売新聞」など大手メディアは、日本政府もファーウェイなどの製品を政府調達から排除すると報じた。 ロイター通信や香港の「サウス・チャイナ・モーニングポスト」、オーストラリアの「シドニー・モーニング・ヘラルド」など海外のメディアでも大きく報じられている。この動きを受けて、中国商務省は日本政府に対して、「日中関係に悪影響を及ぼす可能性がある」と脅しもかけてきた。 こうした動きをみれば、多くの人が日本政府もファーウェイ製品を排除したと考えるだろう。 ところが、である』、「中国商務省は日本政府に対して、「日中関係に悪影響を及ぼす可能性がある」と脅しもかけてきた」、初めて知った。
・『自衛隊に中国系PCが支給される始末  先日、日本のサイバーセキュリティの司令塔である内閣サイバーセキュリティセンター(NISC=ニスク)の関係者に話を聞いたところ、「各省庁の調達時に、ある特定メーカーを名指しして排除はしていない」と言うのだ。さらに2020年12月に平井卓也デジタル改革担当相(当時)も記者会見で「我が国のこの申し合わせでは、特定の事業者とか機器を名指しで排除するような記載はしていません」と発言している。 防衛省関係者もこう話す。 「機会均等という観点で、調達にも特定の企業を排除するということはしないのが防衛省。さらに備品などもなるべく安く購入できるならそちらを選ぶこともあり、セキュリティがトッププライオリティになっていない現実がある」 さる自衛隊関係者も最近、「これだけ(スパイ疑惑が)言われているのに、職員に中国系のメーカーのノートパソコンが配られて唖然とした」と嘆いていた。 日本政府の危機意識は欧米に比べて圧倒的に低いのが現実なのだ。 あらためてファーウェイの日本語公式サイトをチェックしてみた(2022年3月22日閲覧)。すると、Q&Aの項目にこんな記述が掲載されていた。 Q:ファーウェイは日本の5Gネットワーク構築から排除されているのですか? A:日本政府が発表した調達ガイドラインは、特定の国や会社について詳細を述べたものではありません。 この記述を見ると日本からは、ファーウェイ製品が排除されていないとしか読めない。 ファーウェイについては、さらにこんな話もある。 中国には「国家情報法」という、個人も企業もスパイ組織に協力しなければいけない法律がある。実はこれが思いがけず、日本人にも影響を及ぼす問題が発生しているのだ』、「自衛隊に中国系PCが支給される始末」、「備品などもなるべく安く購入できるならそちらを選ぶこともあり、セキュリティがトッププライオリティになっていない現実がある」、とんでもないことだ。
・『「LINEのユーザーデータ」も中国にダダ漏れ  それが、2021年3月に「朝日新聞」の報道で発覚した、無料通信アプリLINEのサーバー問題である。通信アプリとして国内最大の8600万人のユーザーをもつLINEのユーザーデータが、中国の関連企業で閲覧可能になっていたと判明し、大きな騒ぎになった。実際に中国人4人がLINEの技術開発に関わる際にデータにアクセスできていたと、LINE側は認めている。 もともと韓国ネイバー社の下に作られたLINEだが、本国の韓国よりも日本で人気のアプリになった。 LINEの運営会社幹部は筆者にこう話す。 「LINEの開発部門を韓国側が担ってきた。日本の運営会社からは開発をコントロールしづらい環境にありました。その韓国側が中国法人に下請けさせ、そこで働く中国人たちが日本人のデータにアクセスできるようになっていたのが実態です」 言うまでもなく、中国の国家情報法によれば、こうした中国法人の扱うデータも政府が手に入れることが可能になる。 ただこの幹部はこれまで明らかになっていなかった事実をこう暴露する。 「LINEの開発部門はAIの開発も進めており、できる限りのデータを蓄積させたがっていたのです。そのために、LINEを使う大勢の日本人の写真や動画、ファイルといったデータを韓国に置いているサーバーに保存していました。今回、批判を浴びたことから、現在はすべて日本で保存するように変わりました。ですがそれよりも問題なのは、日本人のデータを保存していた韓国側のサーバーなどの機器が、中国のファーウェイ製だったことです」 ここまで見てきたように、ファーウェイへの疑惑を顧みると、この事実の重みがわかるだろう。我々、個人がファーウェイ製品を使わないと決めていても、世界がインターネットでつながっている現在、どこで情報が把握されているのかわからないのだ』、「LINE」は「サーバー」を「韓国」から「日本」に移したが、「サーバーなどの機器が、中国のファーウェイ製だった」、とはどこまでいっても安さ優先の企業のようだ。
タグ:米中経済戦争 (その17)(知らぬ間に中国の国民抑圧に加担する 日米欧の民間企業、池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する、「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』 #3) 日経ビジネスオンライン H・R・マクマスター氏による「知らぬ間に中国の国民抑圧に加担する、日米欧の民間企業」 「歴史的な対中政策の転換を主導した」人物の著作とは興味深そうだ。 「民間セクターは新たな協力先を探し、自由市場型の経済や代議制、法の支配を尊重する姿勢を共有できる相手と組むべきである。多くの企業が監視技術、人工知能(AI)、遺伝子工学などの分野で中国側と合弁や提携を進め、結果的に中国共産党が国内の治安対策に適した技術を開発することを助けている。他にも複数の企業が中国からの投資を受け入れ、中国共産党はそれらを糸口に必要な技術にアクセスしている」、「中国の国民を抑圧するための取り組みだと分かった上で、あるいは、いつの日にか同じアメリカ市民に対して行使されかねない軍事能力を構 「民間セクターと国家安全保障に関連した機関・産業との間の障壁を減らせば、この重要な分野での自由市場型のイノベーションの可能性を解き放てるだろう」、「障壁を減ら」してもらいたいものだ。 「アメリカが一段と能力を高め、攻撃的になる人民解放軍に対して格の違いを見せつけるほどの優位性を保つには、政府と民間セクターによるAIやロボット工学、拡張・仮想現実、材料工学といった技術分野への投資が重要となるだろう」、「台湾の防衛能力は中国を遠ざけておくのに十分なほど強固でなければならない」、その通りだ。 「表現の自由、起業の自由、そして法の下での保護は互いに欠かせない関係にある。そして、これらが一体となって我々に競争上の優位性を与える。それは、中国の産業スパイやその他の中国からの経済的な攻勢に対抗する上で役立つばかりか、中国共産党の政策への批判を控えさせ、逆に支持させることを狙って仕掛けてくる影響力拡大のための活動を打ち負かす際にも有効だ」、その通りである。 東洋経済オンライン 池上 彰氏による「池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する」 国交がないので、条約を結ぶことが出来ず、代わりに「台湾関係法という法律」で定めたようだ。 「ファイブアイズ」は「5カ国がお互いに情報を交換しながらスパイ活動での連携を取り合っています」、「クアッド」は「4カ国で中国に対抗していこうという枠組み」、「AUKUS」は「中国の動きを抑えるため3カ国で軍事同盟」、対中国では3つの枠組みが出来たようだ。 「中国」は南太平洋諸島に王毅外相を派遣して安保条約を結ぼうとしたが、ギリギリになって米豪が巻き返したことで、不発に終わった。このように米中間の摩擦は極度に緊張しつぁ段階にあるようだ。 文春オンライン 山田敏弘氏による「「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』 #3」 「中国商務省は日本政府に対して、「日中関係に悪影響を及ぼす可能性がある」と脅しもかけてきた」、初めて知った。 「自衛隊に中国系PCが支給される始末」、「備品などもなるべく安く購入できるならそちらを選ぶこともあり、セキュリティがトッププライオリティになっていない現実がある」、とんでもないことだ。 「LINE」は「サーバー」を「韓国」から「日本」に移したが、「サーバーなどの機器が、中国のファーウェイ製だった」、とはどこまでいっても安さ優先の企業のようだ。
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医療問題(その36)(学会が緊急声明!子どもの「急性肝炎」増加の実態 日本で7人 世界12カ国で169人が発症、うつ防止に効く運動とは?発症リスク25%減の結果も 19万人、国民皆歯科健診の導入で「動脈硬化リスク」が下げられるかもしれない理由) [生活]

医療問題については、5月11日に取上げた。今日は、(その36)(学会が緊急声明!子どもの「急性肝炎」増加の実態 日本で7人 世界12カ国で169人が発症、うつ防止に効く運動とは?発症リスク25%減の結果も 19万人、国民皆歯科健診の導入で「動脈硬化リスク」が下げられるかもしれない理由)である。

先ずは、5月14日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライターの鈴木 理香子氏による「学会が緊急声明!子どもの「急性肝炎」増加の実態 日本で7人、世界12カ国で169人が発症」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/589123
・『複数の国で小児の重症急性肝炎が報告され、医療関係者は騒然となっている。 WHO(世界保健機関)は4月22日、ヨーロッパの11カ国とアメリカで、生後1カ月から16歳までの子どもの、少なくとも169人が「原因不明の急性肝炎」を発症し、1人が亡くなったことを報告。5月3日時点では、約320人が報告されている。 日本でも厚生労働省が7人の子ども(16歳以下)が、原因不明の急性肝炎で入院していることを明らかにした(5日5日時点)。 10日に国立感染症研究所が公表した内容によると、7人のうち3人が男性で、4人が女性。5人はすでに退院し、肝移植を受ける必要があったケースや亡くなったケースはないとした』、「日本」は幸い患者数も少なく、重症者も少ないようだ。
・『2団体が緊急の声明を発表  これを受け、13日、日本小児肝臓研究会と日本小児栄養消化器肝臓学会も連名で、「小児の原因不明の急性肝炎について」というタイトルのステートメント(声明)を緊急発表した。 (出所)日本小児肝臓研究会ホームページ、日本小児栄養消化器肝臓学会ホームページ 今回のWHOや国内の報告を、小児の肝臓病に詳しい専門家はどう捉えているのか。 「最初にイギリスで報告された後、ヨーロッパの別の国やアメリカなどから次々と報告が上がってきました。小児の急性肝炎はまれな病気であることを踏まえると、(169人という数字は)多いという印象です」 こう話すのは、今回、ステートメントを発表した日本小児肝臓研究会運営委員長の虫明(むしあけ)聡太郎医師(近畿大学奈良病院小児科教授)だ。20年以上にわたって子どもの肝臓器移植や診療に関わっている。 虫明医師は一方で、国内の報告に関してはこうも語る。 「報告されている7人は、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)やALT(アラニントランスアミナーゼ)という肝機能をみる検査で、数字が標準値より上がっていて(500 IU/L)、かつA型からE型の肝炎ウイルスの関与が否定されているケース。実は、それだけでは情報が十分ではありません。海外で報告されているケースと同じなのか、しっかりと検証していく必要があります」 これは海外で確認されている169人についても同様で、全員が同じ原因で発症しているのか、注意深く見ていかなければならないという』、まだよく分からないようだ。
・『子どもにみられる急性肝炎の原因は…  肝臓は、さまざまな栄養の代謝にかかわったり、脂溶性の物質を解毒したり、脂肪の分解を助ける胆汁の消化を助けたりする、まさに”肝心かなめの臓器”だ。 その肝臓に何らかのダメージが加わり、炎症が起こった状態が肝炎で、成人では原因はアルコールとウイルスによるものがほとんど。残りは自己免疫疾患や薬の副作用によって起こる。ウイルス性肝炎の多くは、肝炎ウイルス(A型~E型)によるものだ。 一方、子どもにみられる急性肝炎は代謝疾患や自己免疫性が悪化したもの(急性増悪)と、サイトメガロウイルス(注)やEBウイルスなどの感染によるものが半数ほどで、実は、「残りの半数ほどは、原因がわからない急性肝炎」(虫明医師)だという。 今回問題になった重症急性肝炎では、報告された子どもたちは腹痛や下痢、嘔吐、黄疸、肝機能の上昇などの症状を訴えている。だが、今回に限らず、ほかの急性肝炎でも同じ症状が見られるそうだ。 また、報告数の約1割にあたる17人に肝移植が必要だったという。これについても、「小児の急性肝炎の場合は、急に重症化して肝移植が行われることもあります。そのため、今回のケースに限らず、肝移植を想定して、移植の環境が整っている医療機関で診たり、連携を取ったりすることが望まれている」(虫明医師)という。 今回の件で注目されているのは、169人のうち74人にアデノウイルスという病原体が陽性だったという点だろう。国立感染症研究所の報告によると、日本でも7人のうち1人がPCR検査でアデノウイルス陽性と判明している。 アデノウイルスとはいわゆる風邪のウイルスで、のどの痛みや咳、鼻水などの呼吸器症状や胃腸炎のほか、流行性角膜炎という目の感染症を引き起こす。ごくありふれたウイルスだ』、「報告数の約1割にあたる17人に肝移植が必要だった」、しかし、その前では「肝移植を受ける必要があったケースや亡くなったケースはないとした」、サンプルが違うのだろうが、よく分からない話だ。
(注)サイトメガロウイルス:ヘルペスウイルス感染症で、症状が出ないものから、発熱と疲労感が出るもの(伝染性単核球症に似たもの)、また、眼や脳、その他の内臓を侵す重い症状が生じるものまで、症状は多様です(MSDマニュアル家庭版)
・『アデノウイルスとの関連性は  アデノウイルスとの関連性について、虫明医師は次のように話す。 「アデノウイルスはA型などの肝炎ウイルスのように、肝臓に特異的に感染するウイルスではありません。急性肝炎の原因ウイルスをつぶさに調べれば、アデノウイルスによるケースが見つかることもありますが、そこまで強い結びつきはないといえます」 そして、あくまでも推測になると前置きしたうえで、アデノウイルスが肝炎を起こすしくみを次のように話す。 「可能性としては2つ。1つはアデノウイルス自体が肝臓に何らかのダメージを加えて、肝炎が発症したという考え方。もう1つは感染によって生じた免疫的な反応で、免疫細胞が肝臓にダメージを与えてしまうという考え方です。もちろん、今回のケースがどちらかなのか、あるいはまったく別のしくみで起こっているのかは、今のところわかっていません」 繰り返しになるが、そもそも、日本では以前から年間20例ほどの小児の重症の急性肝炎が生じている。その半数が原因不明だ。WHOで報告のあった重症急性肝炎と同じ原因かどうかを調べるためには、詳細な調査や研究を行う必要がある。 そこで、日本小児肝臓研究会と日本小児栄養消化器肝臓学会では、今回問題となっている原因不明の急性肝炎について、疑わしい症例について精査・治療をするべく準備を進めている。 「まずは、ASTやALTだけでなく、重症の急性肝炎でみられるビリルビンの値の上昇や血液凝固能の低下などの検査を行っていきたい。また、地域の小児科医が診察や検査などから急性肝炎の疑いがあるお子さんを診たときに、速やかに子どもの肝臓病に精通した医師に診てもらえるしくみも必要。今回は学会に所属している医師の名簿も作って公表することにしました」(虫明医師)) 日本感染症研究所も、「2021年以降、B型肝炎・C型肝炎の報告数に増加傾向は見られない。それら以外のウイルス性肝炎の症例の報告数はわずかに増えているが、大半が成人であり、その起因ウイルスのほとんどはサイトメガロウイルスや EBウイルスであり、アデノウイルスの報告はない」と記載。またアデノウイルス自体も流行していないとしている』、「日本では以前から年間20例ほどの小児の重症の急性肝炎が生じている。その半数が原因不明だ。WHOで報告のあった重症急性肝炎と同じ原因かどうかを調べるためには、詳細な調査や研究を行う必要がある」、なるほど。
・『新型コロナとの気になる関係  もう1つ、今回の件で指摘されているのが、「新型コロナウイルス対策」との関連だ。日本と欧米で起こっていることが同じであるかわからない今、「あくまでも私見」としたうえで、小児科医として虫明医師は次のように考える。 「この2年あまりの間、子どもたちは以前なら当たり前のように感染していた風邪のウイルスにあまりさらされることなく成育しました。それで自然に身に付くはずの免疫があまりついていないのではと想像されます。 今はどこにでも消毒用のアルコールがあり、誰も彼もがマスクをしている。少しでも熱があれば保育園に預けられない状況です。以前は、幼稚園に上がるころには一通りワクチン接種も済んで、風邪も一通りひいていた。そういうことが経験できなくなったことで、コロナ以外のウイルスが流行したらどうなるんだろうと心配はしていました」 本来得られるはずの獲得免疫が、感染対策の影響で得られにくくなっている。その結果として現れたのが今回の子どもの急性肝炎なのかは、現時点ではわからない。だが、あるウイルスが爆発的に増えれば、何かしらの感染症が広がり、その一部が重症の肝炎につながる可能性は否定できない。 現在、新型コロナ対策で行われている子どものマスク着用について、熱中症の危険性が指摘されていることなどを受け、見直しをすることが検討されている。虫明医師はこう述べる。 「今の社会状況がこうなってしまっている以上、一気に以前の状況に戻すのは不可能ですし、多くの人は受け入れないと思います。ただ、過度な衛生環境を保つことばかりが大事ではありません。今後は、子どもたちの集まる環境とか、学校などでも徐々に感染対策を緩和していく方向に行くしかないと思います」』、「本来得られるはずの獲得免疫が、感染対策の影響で得られにくくなっている。その結果として現れたのが今回の子どもの急性肝炎なのかは、現時点ではわからない。だが、あるウイルスが爆発的に増えれば、何かしらの感染症が広がり、その一部が重症の肝炎につながる可能性は否定できない」、あり得る話だ。

次に、6月5日付けダイヤモンド・オンライン「うつ防止に効く運動とは?発症リスク25%減の結果も、19万人・3年以上の追跡調査」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304032
・『新たな研究が明かす、うつ病に対する興味深い発見  メンタルヘルスの専門家は何年も前から、気分を高める手段として“エクササイズをやること”を推奨してきました。ですが、定期的なエクササイズには実際にうつ病を防いでくれる可能性があることが、新たな研究による結果で示唆されています。 これは学会誌である、『JAMA サイカイアトリー』に掲載された新しい研究から導き出された推察です。研究者たちはこの研究のために、少なくとも3年間の追跡調査を行い、19万1130人の成人を対象にした15の調査から得られたデータを分析したということ。 そこで研究者たちは、調査に参加した人たちの運動レベルとうつ病になる割合を追跡し、推奨された運動(中程度の激しさのエクササイズを週に150分)を実際にやった人たちと、それができなかった人たちの心理状態を比較しています。 すると、中程度の激しさのエクササイズ(自転車、水泳、早歩きなどが含まれる)を週に最低150分やった人たちは、あまり運動をしなかった人たちに比べ、うつになるリスクが25%低いという結果が示されました。 また、週にやった運動が推奨された量の半分であった人でも、その効果は示されました。その場合の参加者では、うつになるリスクは18%低くなるという計算が出ています。 この発見は、「例え公衆衛生上で推奨しているレベルを下回った分量でも、肉体を動かすことから得られるメンタルヘルス的なメリットは顕著に得られるであろうことを示している」と研究者たちは結論に記した上で、「従って医療関係者は心の健康を向上させるためにも、肉体的な運動をポジティブに奨励すべき」と付け加えています』、「中程度の激しさのエクササイズ(自転車、水泳、早歩きなどが含まれる)を週に最低150分やった人たちは、あまり運動をしなかった人たちに比べ、うつになるリスクが25%低い」、「運動が推奨された量の半分であった人でも、その効果は示されました。その場合の参加者では、うつになるリスクは18%低くなる」、したがって「医療関係者は心の健康を向上させるためにも、肉体的な運動をポジティブに奨励すべき」、なるほど。
・『エクササイズが、どのようなカタチでうつ病防止に役立つのでしょうか? 6人の心理学・医学博士が解説  なぜエクササイズがうつ病防止に役立つ可能性があるのか? この研究では、具体的な分析を行っていません。ですが、専門家たちはいくつかの考察を述べています。 「運動は快感をもたらす化学物質、エルドルフィンを脳内につくり出してくれる」(通常、うつ病の治療はトークセラピーと抗うつ剤を組み合わせて行われるものです。ですが既に、ライフスタイルセラピーとしてエクササイズを取り入れることを推奨している専門家もいます。その一人が、『Finding Peace When Your Heart is in Pieces』の著者で心理学博士のポール・コールマンです。 「エクササイズを行えば、快感をもたらす化学物質のエルドルフィンを脳内につくり出されることが報告されています。うつ病の症状がある人たちは、『自分の行動は、何の役にも立たない』と感じる傾向にあるため、そこから活動的でなくなっていきがちなのです。なので私ちは、エクササイズを“自分は変われる”と言い聞かせるための手段とするようにすすめます。なぜなら、“自分は変われる”という考えを持つことこそが、楽観的な思考へと向上するのに大いに役立つからです」と、コールマン博士は説明します。) 「身体の血流が増すことは脳の成長につながり、さらに変わっていく能力をサポートするはず」(さらにエクササイズを行うことで影響されるのは、エンドルフィンだけではありません。 「運動は気分をつかさどる神経伝達物質のセロトニンや、快感や意欲を与える神経伝達物質のドーパミンにも影響を与える可能性があります」と説明するのは、ニューヨーク・プレスビテリアン・ホスピタルの准教授で、「How Can I Help?」(ポッドキャストのプログラム)のホストを務める医学博士ゲイル・サルツです。 さらに、「エクササイズを行えば、自然と身体の血流が増します。なので脳へ運ばれる酸素量も増え、それが脳の成長につながりるでしょう。そして、変わっていく能力をサポートすることも強く期待できるというわけです」と、サルツ博士は語っています。) 「満足感や達成感がうつ病防止に一役買う」と言う医学博士も…(米国・ラトガーズ大学行動医療ケアの医療部長で医学博士のキース・R・ストーウェルは、「その人の日常の行動」からもその説明がつくと言います。 「何らかの活動に参加することで、人はより生産的な気分となり、ある種の計画性が得られるはずです。それが満足感や達成感へとつながっている点なども、うつ病防止に一役買っていると考えられるでしょう」と、ストーウェル医学博士は説明します。 またエクササイズは、「ジムに入会したり、フィットネスのクラスに参加したり、同じ趣味を持つ人たちとトレーニングメニューについて話し合うなど、社会的なつながりを持つ機会をつくり出してもくれます」と言うのは、ペンシルベニア大学ペレルマン医学部精神科の助教で心理学博士のヒラリー・アモンです。「エクササイズは、ストレス対策としても利用することができるます」と付け加えています。 「週に3時間の運動を行う人はうつになるリスクが17%低くなる」と言う医学博士も…(「エクササイズの習慣がうつ病になるリスクの軽減につながることを示した研究は、ほかにもある」と指摘するのは、『Family Fit: Find Your Balance in Life』の著者で臨床心理学者の資格を持つ医学博士のジョン・メイヤーです。 彼が引き合いに出したのは、「身体を動かさない人に比べると、少なくとも週に3時間のエクササイズを行う人はうつになるリスクは17%低くなる」と2019年に発表されたハーバード大学の研究です。 「私たちの身体は数千年の歳月をかけて、“じっとしている”ようにではなく、“活動的に動き回る”ように進化してきているのです。私たちの身体は、行動するようにつくられているというわけです。そのため私たちの身体には、アロスタティックバランスまたはアロスタティック負荷(=ストレスによる心身の疲弊)と呼ばれるものがあって、動くこと(運動)がそのバランスの維持に役立っているという研究もあります。つまり、心と身体には直接的なつながりがあるわけで、身体のバランスが心と気分のバランスを保ってくれるというわけです」と、メイヤー医学博士は説明してくれました。 
「運動は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と同じくらい効果的」と言う心理学博士も…(「軽度から中程度のうつ症状の場合、エクササイズが選択的セロトニン再取り込み阻害薬(うつ病治療に使われる一般的な薬)と同じくらい効果的であることを示すデータは、ずっと前からありました」と説明するのは、ニューヨーク大学のランゴーン医療センターの臨床准教授で、ポッドキャストの「Mind in View」で共同ホストを務めている臨床心理学者で心理学博士のテア・ギャラガーです。「脳に与えるエクササイズの影響力には、とてもパワフルなものがあります」とも言います。) 「ウォーキングやランニングの動きのパターンが、気分に良い影響を与える可能性」と言う専門家も…(「どんな運動であっても、気分に大きな影響を与える可能性があります」と言うのは、シカゴのスカイライト・カウンセリング・センターのオーナーで『You Are Not Crazy: Letters from Your Therapist』の著者でもあるセラピスト、デヴィッド・クロウです。 「左右の脚を交互に繰り出すウォーキングやランニングの動きのパターンでさえ、自分の身体をきちんとコントロールできているという気分(わずかとも言える高揚感)に役立っている可能性があります。その逆に、惰性や1カ所に留まっていることは停滞感や行き詰まり感に関与している可能性も否めることはできないでしょう」とのこと。 「うつが進行するリスクを軽減するには、どんな運動でも役に立つ可能性が大いにあります」と、コールマン博士も言っています。そして、「鼓動が激しくなるようなものである必要はありませんが、血流がよくなるものをぜひ」と付け加えています』、「専門家たち・・・の考察」は、いずれももっともらしい印象だ。
・『うつ病を防ぐ運動は、どのような人に役立つのでしょうか?  「うつ病になるリスクを軽減するエクササイズは、すべての人に役立つと言っていいでしょう」と、コールマン博士は言います。「なぜなら、ほとんどの人は『毎日、さまざまなストレスにさらされている』と答えるに違いないからです。 「このことは、すべての年代の人にとって大いに役立つものです」と説明します。とは言え、身体的な制限や健康上の問題がある人もいるでしょう。そのように定期的なエクササイズを行うことが困難は人は、まずはかかりつけ医に相談することをストーウェル医学博士はすすめています。 また、「エクササイズのメニューに関しては、自分にできることをやるようにしていください」と、サルツ博士は推奨しています。 「研究では、1日に10分から15分の早歩きでも有効であることが示されています。それくらいなら、ほとんどの人ができるでしょう。完璧を目指す必要もありません――少しのウォーキングでも何もやらないよりはマシです。『ランニングやエクササイズを1時間やるのなんて無理だから、何もやらない』なんていうのは、可能な限り避けるべきです」とのこと』、「1日に10分から15分の早歩きでも有効であることが示されています。それくらいなら、ほとんどの人ができるでしょう。完璧を目指す必要もありません――少しのウォーキングでも何もやらないよりはマシです」、なるほど。
・『注意点:運動のみが、うつ病の防止や治療を行う唯一の方法ではない  とは言え、「エクササイズを行うことだけが、うつ病の防止や治療を行う唯一の方法であるとみなすべきではありません」と、ギャラガー博士は強調しています。「私がいつも言っているのは、「規則正しい食事」「推奨されている長さの睡眠」そして「エクササイズ」です――これらのすべてが、心の健康の基礎を築いてくれることに関与するということ。ですが心の健康を保つためには、もっとたくさんものが必要になるかもしれません」とも言います』、確かに、「規則正しい食事」「推奨されている長さの睡眠」も「心の健康を保つためには」「必要」だ。
・『うつ病とは、正確には何なのでしょう? うつ病の症状11項  うつ病とは、否定的な考えや感情を持続的に引き起こす精神状態のことであり、「大うつ病性障害」とも言います。「アメリカ国立精神保健研究所(NIMH)」によると、うつ病の人には以下のような症状が出ることがあるとのこと。 ・持続的な悲しみ、不安、あるいは“空虚”感 ・絶望または悲観的な感情​ ・怒りっぽさ、欲求不満、落ち着かなさなどの感情​ ・罪悪感、無気力感、あるいは無力感​ ・趣味や活動への関心や喜びの喪失​ ・活力の減少、倦怠感、あるいは“減退”感​ ・集中、記憶、あるいは決断の困難 ・不眠、早朝覚醒、あるいは寝過ぎ​ ・食欲の変化、あるいは意図しない体重の変化 ​・痛み、頭痛、けいれん、原因不明で治療の効果がない消化不良​ ・自殺未遂、または死や自殺の考え  例えば「全米不安うつ協会(以下、NIMH)」によると、うつの影響を受けている成人アメリカ人は1610万人以上――18歳以上の人口においては全体の約6.7%――にのぼります』、「日本」では4%とやや低いようだ(科学技術振興機構)。
・『では、どんなときに 医者に診てもらえばいいのでしょう。  「もし、自分を傷つけたいと思ったり、自殺することが脳裏に浮かんだりしたときは差し迫った事態となります。その場合は、できるだけ早くケアを求めるべきです」と、ストーウェル医学博士は言っています。 NIMHによると、うつ病と診断されるには(上記の)うつ状態を示す症状の5つが、毎日ほぼ1日中、それが少なくとも2週間続いている場合に下されるというのが、一般的な診断の流れということです。 もし自分がうつ病かと思ったら、医療機関に素早く相談すべきです。一般的な医師であればうつ病の診断が可能ですし、治療を行ったり、場合によったら心理学者や精神科医のようなメンタルヘルスの専門家を紹介してくれるでしょう。 「気分が落ち込んで、あなたの日常生活に影響を及ぼしているようであれば、専門家に相談したくなるはずです。悲しい気分の日は誰にだってありますが、それに覆(おお)いつくされているときは大きな問題で、このような状態は『時が解決してくれる』などとは思えませんので」と、ストーウェル医学博士』、「日本」の場合は、精神科医のなかには患者を薬づけにする悪徳医もいるので、要注意だ。
・『まとめ  「自分がうつに苦しんでいるのかどうか? よくわからないという人は、とにかく声を上げてみることです」と、アモン博士は言います。「自分の気分の変化に気づいていたり、心配しているという場合は、それについて医師と積極的に話し合うのがよいでしょう。自分の心配事を医師に相談するのに、不適切なときなどありません。いつでも相談してください」とのこと。 日本での、悩み相談窓口(電話やSNSでも…) ・よりそいホットライン(24時間対応):TEL 0120-279-338(フリーダイヤル・無料) 岩手県・宮城県・福島県からの場合は TEL 0120-279-226 つなぐ つつむ(フリーダイヤル・無料) ・生きづらびっと:LINE「生きづらびっと」友達登録 ・こころの健康相談統一(対応の曜日・時間は都道府県によって異なります): TEL 0570-064-556 ・厚生労働省が推奨する電話相談窓口総括 ※この翻訳は抄訳です』、「自分の心配事を医師に相談するのに、不適切なときなどありません。いつでも相談してください」、その通りだ。

第三に、6月11日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「国民皆歯科健診の導入で「動脈硬化リスク」が下げられるかもしれない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304574
・『歯が痛いなどの症状の有無にかかわらず定期的に歯科を受診している人は、動脈硬化があまり進行していないというデータが報告された。東北大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野の小宮山貴将氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Periodontal Research」に4月6日掲載された。 口の中の健康状態と動脈硬化性疾患リスクとの関連を示した研究報告は少なくない。しかし、定期的な歯科受診と動脈硬化との関連の有無は明らかでない。小宮山氏らは、岩手県花巻市大迫町で行われている地域住民対象疫学研究「大迫研究」のデータを用いてこの点を検討した。 大迫研究は1986年にスタートした循環器疾患に関する長期前向きコホート研究。今回の検討では、55歳以上の大迫研究参加者のうち、歯科関連指標と頸動脈エコー検査の結果がそろっている602人(平均年齢66.0±7.3歳、男性37.7%)を対象とする横断的解析を行った。なお、頸動脈エコー検査で内膜中膜複合体肥厚が1.1mm以上、またはプラークが認められた場合に、「アテローム性動脈硬化の所見あり」と定義した。) 602人中100人(16.6%)が症状の有無にかかわらず定期的に歯科受診しており、その他は症状のある時のみ受診していた。残存歯数が20本以上の人は306人(50.8%)で、動脈硬化の所見が認められたのは117人(19.4%)だった。 動脈硬化所見の有無で比較すると、所見あり群は高齢で、男性や収縮期血圧高値者、降圧薬服用者の割合が高く、肥満者は少なかった。飲酒・喫煙習慣や拡張期血圧、糖尿病、脂質異常症の割合、教育歴は有意差がなかった。 定期的に歯科受診している人の割合は、動脈硬化所見あり群が10.3%、所見なし群は18.1%であり、有意差が認められた(P=0.04)。また、歯周病の有無や重症度、および残存歯数にも有意差が見られた。一方、歯槽骨吸収の程度は、動脈硬化所見の有無で差がなかった。 ロジスティック回帰分析にて、年齢、性別、BMI、現病歴、血圧、喫煙・飲酒習慣、教育歴などを調整後、定期的に歯科受診していないことは、動脈硬化所見ありの独立した関連因子として抽出された〔オッズ比(OR)2.16(95%信頼区間1.03~4.49)〕。 また、米疾病対策センター/米国歯周病学会の定義に基づく重度の歯周病があることも、動脈硬化所見を有することと独立して関連していた〔歯周病なし~軽度歯周病を基準としてOR4.26(1.01~17.5)〕。中等度の歯周病と動脈硬化所見との関連は有意でなかった〔OR2.48(0.61~10.1)〕。 残存歯数に着目すると、10~19本の場合に動脈硬化所見ありとの関連が有意だった〔残存歯数20本以上を基準としてOR1.77(1.004~3.12)〕。残存歯数が1~9本の場合は有意でなかった〔OR0.96(0.52~1.80)〕。 著者らは、本研究が横断研究であり因果関係は不明であること、動脈硬化進行に影響を及ぼし得る身体活動量などの因子を考慮していないことなどを、解釈上の限界点として挙げている。その上で、「歯科を定期的に受診しないこと、および重度の歯周病を有することが、アテローム性動脈硬化(注)の所見を認めることと有意に関連していた。定期的な歯科受診勧奨を、動脈硬化進展抑制のための介入戦略の一つとして考慮すべきではないか」と結論付けている。 なお、残存歯数が10~19本の場合に動脈硬化所見との関連が有意であり、1~9本では非有意であったことの背景として、残存歯数10~19本だった人の92.3%に中等度~重度の歯周病が存在していたことから、「現在の歯周組織の炎症がアテローム性動脈硬化の進展に関与している可能性もある」との考察を加えている』、「定期的に歯科受診している人の割合は、動脈硬化所見あり群が10.3%、所見なし群は18.1%であり、有意差が認められた(P=0.04)。また、歯周病の有無や重症度、および残存歯数にも有意差が見られた」、「定期的」な「歯科受診」が「動脈硬化」のリスクを下げることは確からしいが、そのメカニズムを今後解明してほしいものだ。
(注)アテローム性動脈硬化:太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気(MSDマニュアル家庭版)。
タグ:「専門家たち・・・の考察」は、いずれももっともらしい印象だ。 「中程度の激しさのエクササイズ(自転車、水泳、早歩きなどが含まれる)を週に最低150分やった人たちは、あまり運動をしなかった人たちに比べ、うつになるリスクが25%低い」、「運動が推奨された量の半分であった人でも、その効果は示されました。その場合の参加者では、うつになるリスクは18%低くなる」、したがって「医療関係者は心の健康を向上させるためにも、肉体的な運動をポジティブに奨励すべき」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン「うつ防止に効く運動とは?発症リスク25%減の結果も、19万人・3年以上の追跡調査」 「本来得られるはずの獲得免疫が、感染対策の影響で得られにくくなっている。その結果として現れたのが今回の子どもの急性肝炎なのかは、現時点ではわからない。だが、あるウイルスが爆発的に増えれば、何かしらの感染症が広がり、その一部が重症の肝炎につながる可能性は否定できない」、あり得る話だ。 「日本では以前から年間20例ほどの小児の重症の急性肝炎が生じている。その半数が原因不明だ。WHOで報告のあった重症急性肝炎と同じ原因かどうかを調べるためには、詳細な調査や研究を行う必要がある」、なるほど。 (注)アテローム性動脈硬化:太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気(MSDマニュアル家庭版)。 「定期的に歯科受診している人の割合は、動脈硬化所見あり群が10.3%、所見なし群は18.1%であり、有意差が認められた(P=0.04)。また、歯周病の有無や重症度、および残存歯数にも有意差が見られた」、「定期的」な「歯科受診」が「動脈硬化」のリスクを下げることは確からしいが、そのメカニズムを今後解明してほしいものだ。 ヘルスデーニュース「国民皆歯科健診の導入で「動脈硬化リスク」が下げられるかもしれない理由」 ダイヤモンド・オンライン 「自分の心配事を医師に相談するのに、不適切なときなどありません。いつでも相談してください」、その通りだ。 「日本」の場合は、精神科医のなかには患者を薬づけにする悪徳医もいるので、要注意だ。 「日本」では4%とやや低いようだ(科学技術振興機構)。 確かに、「規則正しい食事」「推奨されている長さの睡眠」も「心の健康を保つためには」「必要」だ。 「1日に10分から15分の早歩きでも有効であることが示されています。それくらいなら、ほとんどの人ができるでしょう。完璧を目指す必要もありません――少しのウォーキングでも何もやらないよりはマシです」、なるほど。 (注)サイトメガロウイルス:ヘルペスウイルス感染症で、症状が出ないものから、発熱と疲労感が出るもの(伝染性単核球症に似たもの)、また、眼や脳、その他の内臓を侵す重い症状が生じるものまで、症状は多様です(MSDマニュアル家庭版) 「報告数の約1割にあたる17人に肝移植が必要だった」、しかし、その前では「肝移植を受ける必要があったケースや亡くなったケースはないとした」、サンプルが違うのだろうが、よく分からない話だ。 まだよく分からないようだ。 「日本」は幸い患者数も少なく、重症者も少ないようだ。 鈴木 理香子氏による「学会が緊急声明!子どもの「急性肝炎」増加の実態 日本で7人、世界12カ国で169人が発症」 東洋経済オンライン (その36)(学会が緊急声明!子どもの「急性肝炎」増加の実態 日本で7人 世界12カ国で169人が発症、うつ防止に効く運動とは?発症リスク25%減の結果も 19万人、国民皆歯科健診の導入で「動脈硬化リスク」が下げられるかもしれない理由) 医療問題
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SNS(ソーシャルメディア)(その11)(承認欲求のお葬式、SNSで自分の意見は多数派と思う人が陥る怖い罠 精査したと思っている情報がすでに偏っている、「なぜデマ情報が急増?」米SNS研究が明らかにした衝撃の事実) [メディア]

SNS(ソーシャルメディア)については、昨年10月21日に取上げた。今日は、(その11)(承認欲求のお葬式、SNSで自分の意見は多数派と思う人が陥る怖い罠 精査したと思っている情報がすでに偏っている、「なぜデマ情報が急増?」米SNS研究が明らかにした衝撃の事実)である。

先ずは、本年3月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーランスライターの川代紗生氏による「承認欲求のお葬式」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/299791
・『SNSが誕生した時期に思春期を迎え、SNSの隆盛とともに青春時代を過ごし、そして就職して大人になった、いわゆる「ゆとり世代」。彼らにとって、ネット上で誰かから常に見られている、常に評価されているということは「常識」である。それ故、この世代にとって、「承認欲求」というのは極めて厄介な大問題であるという。それは日本だけの現象ではない。海外でもやはり、フェイスブックやインスタグラムで飾った自分を表現することに明け暮れ、そのプレッシャーから病んでしまっている若者が増殖しているという。初の著書である『私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)で承認欲求との8年に及ぶ闘いを描いた川代紗生さんもその一人だ。「承認欲求」とは果たして何なのか? 現代社会に蠢く新たな病について考察する』、「承認欲求との8年に及ぶ闘いを描いた」とは興味深そうだ。
・『感情の「お葬式」  「さようなら。今までありがとう」 私は人生の節目節目で、「感情のお葬式」というものをすることがある。なんてことはない。別に実際に参列するわけではない。一種の妄想だ。頭の中で、今までお世話になってきた感情に対してお辞儀をする。ありがとう、とお礼を言う。そして目を開ける。そうすると、なんだか過去の自分から解放されて、新しい自分になれるような気がする。思い込みかもしれないけれど。 頻繁にあるわけではない。ふと思い立ったとき、私はお葬式をする。さようなら、恋。さようなら、親への執着。さようなら、学生としての甘え。本当にその感情が自分の中からいなくなるとは限らないけれど、それでも、ひとつ自分の中で線を引いたような気分になるのだ。 これまでの人生の中で、「あ、今が転機かもしれない」と思う瞬間があって、そのときどきで必要に応じてお葬式をやってきた。いろいろな感情を弔ってきたし、その分、新しい感情が生まれてくることもあった。けれども私の中で、どうしてもさようならを言えない感情があった。 承認欲求。 他人から認められたいと思う気持ち。 周りと自分を比べてしまう気持ち。 社会からの評価に振り回されてしまう。とにかく、「世間の目」が気になって仕方がない、気持ち。 承認欲求に悩んでいる、いなくなっちゃえばいいのに、という声は頻繁に耳にする。とくに同世代で。就活生の頃からだったろうか。SNSが発達し、他人から「評価される」という機会が多い現代の社会で、私たちゆとり世代は日々、他人からの評価・期待と、自分本来の限界値との間でゆれ、劣等感に悩み続けている。 私は大学生の頃からブログを書いているが、「承認欲求」について考えることが、とても多かった。メインテーマは「女子と承認欲求」だった。 男子ももちろん大変だろうが、女子の中ではとくに、承認欲求について悩みを持つ人が多いように思う。女子は、ロールモデルが多く、多すぎるあまりに、「こんな人生が幸せ」というサンプルを得にくいからだ。仕事を頑張ってトップになったら絶対に幸せになれるというわけではない。数多くの男たちから告白されたら幸せになれるというわけでもない。結婚して子どもを産めば終わりというわけでもない。 ナイトプールに行っている子だってバリバリ海外で働いているキャリアウーマンを見ると焦りを感じるし、東京でクリエイティブな活動をしているエディターだって、地方の田舎でパン屋さんをやっている主婦の丁寧な暮らしぶりに嫉妬するのだ。女の人生は、なかなか難しい。 そんなことをあれこれ書いていた。書いていると、気がつくことがあった。私が悩んでいるのと同じようなことで、みんなも悩んでいるということだった。 たとえば、私は周りからこれほど「認められたい」と強く思っているのは私だけかと思っていた。承認欲求がこんなに強い人間は珍しいほうだと。 そう思いながらも、恥をさらすつもりで自分の感情をブログに曝け出したら、思わぬ反響があった。みんな同じだというのだ。私と同じように、承認欲求に、嫉妬に、劣等感に苦しんでいる。なかなか口には出せないけれど。 「ありがとう」と、感謝されることが多くなった。文章を書くことによって。 勇気を出して書いてよかった、と思うと同時にむくむくと、別の感情が湧き上がってくるのがわかった。不思議な恍惚というか、何かに興奮しているような、そんな感じ。けれども、その感情を何と定義するべきなのか、すぐにはわからなかった。 それからというもの、私はどんどん書くことにのめりこんでいった。書けば書くほど、共感してくれる仲間が増えていくのが面白くて仕方なかった。 「どうして、書くことを仕事にしたいと思うの? 」 将来書いて食べていけるようになりたい、と私が言うと、こんな風に聞かれることがあった。何がきっかけだったの? 転機みたいなものはあった? 決定打は?  「わからないけど、ただ、文章を書くようになって、最初にいろんな人に読んでもらって、『共感した』って言ってもらえたときの、あの感動が忘れられなくて」 私はとっさにそう答えた。事実だった。やりたいことなんて、合理的に決めるものじゃないんだなと思った。ビビッとくる、というのか、「これがやりたい!」という直感に突き動かされて、決まるものなのだな、と』、「これまでの人生の中で、「あ、今が転機かもしれない」と思う瞬間があって、そのときどきで必要に応じてお葬式をやってきた。いろいろな感情を弔ってきたし、その分、新しい感情が生まれてくることもあった。けれども私の中で、どうしてもさようならを言えない感情があった。 承認欲求」、「感情の「お葬式」」とはユニークで面白い。
・『私は承認欲求の奴隷だった  けれども、そこまで考えたとき、私はあることに気がついた。 もしかして、私がこうして文章を書き続けているその原動力こそ、承認欲求そのものなのでは? 私は、認めてもらうために、承認欲求を満たすために、文章を書いているのでは? もっと別の言い方をすると、私にとっては、承認欲求を満たす最も簡単な方法が、書くことだった。それだけだったのでは?  一見、矛盾しているようだが、事実だった。私は、「認めてもらう」という大目的を達成するために、「承認欲求から解放されたい」というネタをコンテンツにし続けていたのだ。 承認欲求をなくしたい。他人からの評価軸で生きるのをやめたいと思っているのは事実で、その苦しみから逃れるために記事を書いていた。けれども、周りが共感してくれるのは、「承認欲求から解放された私」ではなく「承認欲求に苦しんでいる私」という内容。 つまり、私が承認欲求から本当に解放されてしまったら、誰も私の文章を読んでくれなくなるんじゃないか? ものすごい恐怖を覚えた。 今、周りから必要とされているのは、「ポジティブに生きる、幸せな私」ではなく、「承認欲求に苦しんでいる私」なのだ。 ドロドロとしたマイナスの感情から逃れたいのは事実なのに、解放されない方が結果的にはおいしいという、とんでもない矛盾を抱えていたのだ。 私の中から承認欲求が消えたら、必要とされなくなるという、恐怖。 「共感してもらえる」という強烈な満足感を知ってしまったばかりに、「認められたい」の負のスパイラルに陥っていた。 いなく、ならないでくれ。 自分が嫌いだと思っていた感情に対して、そんな風に思ったのは、そのときがはじめてだった。 もはや私にとって、承認欲求はただの感情ではなくなっていた。 ひとつの、武器とすら言ってもいい。 承認欲求というツールを使って、私は不特定多数の、同じ苦しみを抱き、同じ痛みを抱えている人たちと繋がることができた。他者の持つ、「欠損」というものは、どうしてこうも魅力的に見えるのだろうか。そして、「欠損」によって繋がった人間関係というのは、どうしてポジティブな理由で繋がった人間関係よりもずっと、奥深くでしっかりと絆を紡いでいられるような気がしてしまうのだろう。 恐ろしかった。自分のことが。 このままでいいのだろうか、と思うことさえあった。 「書く」という作業をしていると、色々なことをネタにしようという視点が身についてくる。 辛いことがあったり、苦しいことがあっても、「書くネタができた」と思えば、プラスに転換できる。世の中を見る目が、前向きになってくる。 けれども私の場合は、それが歪んだ方向に進んでしまっていたのかもしれなかった。 書くために、辛いことがありますようにと願った。 書くために、承認欲求が消えませんようにと願った。 どんどんと、負のスパイラルは進んでいく。ぐるぐると下に向かう。 あ、これはもうだめだな、と思ったのは、知人が亡くなったときだった。 よく知る、自分と年の近い人間が死ぬというのは、思いのほか衝撃的で、私はしばらくその事実についてぐるぐると頭を巡らせていた。 そしてしばらくボーッと考えたすえに、ふと浮かんだのは。 「これ、ネタになるな」 その瞬間、ハッとした。 今、私、なんて思った? 何を考えた?  こともあろうに、私は、人の死をネタにしようとしてしまっていたのだ。よく知る人間の死。辛い。その感情を描けば、きっと。 きっと、みんなから認めてもらえる?  どこまでも、私は承認欲求の奴隷だった。 人から認めてもらいたい、その感情と向き合うために文章を書き始めたのに、結果的に、承認欲求がないと困る人間になってしまっていた。 こんなやつで居続けて、いいのだろうか。 そんな疑問が、ここしばらくずっと、いや、もしかしたらここ数年ずっとかもしれないが、私の頭の中にあった。結論が出ないまま、時は過ぎた』、「辛いことがあったり、苦しいことがあっても、「書くネタができた」と思えば、プラスに転換できる。世の中を見る目が、前向きになってくる。 けれども私の場合は、それが歪んだ方向に進んでしまっていたのかもしれなかった。 書くために、辛いことがありますようにと願った。 書くために、承認欲求が消えませんようにと願った。 どんどんと、負のスパイラルは進んでいく。ぐるぐると下に向かう」、「私は承認欲求の奴隷だった。 人から認めてもらいたい、その感情と向き合うために文章を書き始めたのに、結果的に、承認欲求がないと困る人間になってしまっていた。 こんなやつで居続けて、いいのだろうか」、確かに深刻なジレンマだ。
・『私は居場所が欲しかっただけなのかもしれない  そうして、大学生の頃とは違い、働くようになった。この数年がむしゃらに働き、苦しいことばかりだったが、最近になってようやく、働くことの面白さみたいなものが、わかりかけているように思う。 ありがたいことに、店長や書く仕事、編集作業やイベントの企画など、幅広い仕事を任せてもらえるようになった。失敗することもまだまだあるが、これからも続けていきたいという、熱中できる仕事に出会えたことで、私の人生は変わりつつある。 結論から言えば、今の私は、承認欲求に頼って生きる必要がなくなってしまった。 きっかけとなったのは、福岡店のリニューアルを担当したことだった。2018年の5月のことだ。 私は子どもの頃からチームで動くということがとても苦手で、一人でいる方が好きなタイプだった。リーダーとして周りをひっぱっていく才能もないし、部活の先輩後輩の上下関係の中で要領よく立ち回るのも苦手だった。 けれども、福岡店のリニューアルをするためには、チームで動かざるをえなかった。目標を達成するためには私一人の力ではどうにもできない。店舗というのはスタッフ一人一人が動き、そして、お客様に感動を与えられるようにみんなで工夫していかなければならない。 どうしたらお客様に「来てよかった」と言ってもらえるのかと、そればかりをずっと考えていた。 そして思いつく限りのことはやった。スタッフからあげられたアイデアはすぐに取り入れ、実行した。うまくいくこともうまくいかないこともあった。けれども失敗と成功を繰り返して、リニューアルは徐々に進んでいった。お客様に「ありがとう」と言っていただけることが増えた。 ふと、顔を上げると、私は「認められたい」という衝動によって動いていることが圧倒的に少なくなっていることに気がついた。 たしかに、「みんなにこう思ってほしい」という感情はあった。けれどもそれは、認められたいという承認欲求とはまた別の感情のような気がした。私がこうなりたいとかじゃなくて、みんなに、楽しんでほしいとか、笑っていてほしいとか、居心地がいいと感じてほしい、とか。 口にするのは照れ臭いけれど、それは、承認欲求ではなくて、愛情なんじゃないかと、私は思う。そう思いたい。 自分ではない誰かのために動く面白さは、周りから認めてもらえたときの興奮とは、また違った震え方をした。優しく穏やかに、じんわりと広がっていくような。 今、冷静になって思う。 あるいは私は、居場所がほしかっただけなのかもしれない。 「認められたい」という感情は、言い換えれば「あなたはここに居ていい」と許してもらいたいという欲求なのだ。自分にはどこにも居場所がない。そんな不安を掻き立てられると、必要とされたいと思う。認めてほしいと思う。「あなたは価値のある人間だよ」と言ってほしいと、願う。 だから、「承認欲求」というネタも、ある種私の居場所づくりのために必要だったのだ。承認欲求について語っているときは、私は「ここに居ていい人間」になれる。そんな風に。 仕事をして、仕事が好きになって、人のために動く面白さみたいなものが、徐々にわかりかけている今、私は自分の居場所を「承認欲求」コンテンツ以外のところに、もう見つけてしまったような気がする』、「熱中できる仕事に出会えたことで、私の人生は変わりつつある・・・承認欲求に頼って生きる必要がなくなってしまった」、「仕事をして、仕事が好きになって、人のために動く面白さみたいなものが、徐々にわかりかけている今、私は自分の居場所を「承認欲求」コンテンツ以外のところに、もう見つけてしまったような気がする」、「自分の居場所を「承認欲求」コンテンツ以外のところに、もう見つけてしまった」、おめでとう。
・『承認欲求にさようならをする日  だから、ようやく。 ずいぶん時間はかかったけれど、承認欲求にさようならをする日が、来たのかもしれない。 感情のお葬式。 これまで、様々な感情を弔ってきた。お別れしてきた。 執着心。 焦り。 嫉妬。 劣等感。 これらは私の中で抹消されたわけではないけれど、ぴっと一本、線を引いたことで、ずっと遠くの物に感じられる。 けれどもずっと、離れられない感情があった。 承認欲求。認められたいと思う気持ち。 なぜなら、私は承認欲求に依存し、承認欲求というコンテンツによって、甘い汁を吸い続けてきたからだ。 いなくなってほしい相手であり、いなくなったら困る相手でもあった。 けれどもうそろそろ、お別れしてもいいのかもしれない。 認められたいと思わなくなるわけじゃない。 世間の目が気にならなくなるわけじゃない。 だけどでも、「さようなら」と一言、言ってもいいような気がする。 もう、あなたの役目は終わりと、お辞儀をして、お別れをしてもいいように思うのだ。 だって私は、幸せになるために生きてるんだから。 不幸の数を数えて、不幸自慢をして、辛いことや悲しいことをネタに共感してもらって、それで仲間を増やすために生きているわけじゃ、ない。 面白いことや楽しいことをやって、「居心地がいいな」と思う人と一緒にいて、そして、幸せになるためにここにいる。生きている。 欠損を分かち合うことで繋がり合えることもたしかにある。 けれども、最高に面白い瞬間を共にすることで繋がり合える絆の強さも、私は知ることができた。 子どもの頃からずっと、心のどこかで居場所を探していた。 家族といても、学校にいても、恋人といても、どこか、ぽっかり穴が空いたような気がすることがあった。 私には居場所がないような気がした。 求められていないような気がした。 社会に必要とされていない気がした。 でも私には今、居るべき場所がある。 必要としてくれる人がいて、大切にしてくれる人がいる。大切にしたい場所もある。大切にしたい人も、たくさんいる。 あるいは、そんな風に思う今の私は、必要とされないかもしれないけれど、それでも、いい。承認欲求はもはや、朽ちかけているコンテンツに過ぎないのだ。 ありがとう。 私は今まで、あなたのおかげで色々と楽しむことができた。味方が増えた。仲間ができた。居場所ができた。 おそらく承認欲求と気がすむまで向き合い続けた期間があったから、私は今前を向けているんだろうと思う。 そろそろ、さようならを言おう。 ずっとずっとお別れを言えなかったけど、あなたを弔うことにする。 次のステージに、私は進む。 不幸集めをして満足する人生は、もう終わりにしよう。 心が、震える。 静かに震える。 何かが変わりゆくときの、振動だ。 ほんの少しの寂しさと、不安と。 未来への期待で、震えているのだ。 さようなら。 承認欲求のお葬式 川代紗生(かわしろ・さき)1992年、東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。2014年からWEB天狼院書店で書き始めたブログ「川代ノート」が人気を得る。 「福岡天狼院」店長時代にレシピを考案したカフェメニュー「元彼が好きだったバターチキンカレー」がヒットし、天狼院書店の看板メニューに。 メニュー告知用に書いた記事がバズを起こし、2021年2月、テレビ朝日系『激レアさんを連れてきた。』に取り上げられた。 現在はフリーランスライターとしても活動中。 『私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)がデビュー作。(5頁目の本のPRはリンク先参照)』、「承認欲求と気がすむまで向き合い続けた期間があったから、私は今前を向けているんだろうと思う。 そろそろ、さようならを言おう。 ずっとずっとお別れを言えなかったけど、あなたを弔うことにする。 次のステージに、私は進む。 不幸集めをして満足する人生は、もう終わりにしよう・・・さようなら。 承認欲求のお葬式」、歯切れのいい文章で、SNSでの「承認欲求」を取上げた出色のコラムである。通常は、略歴は紹介しないが、今回は例外的に紹介した。『私の居場所が見つからない。』も時間が出来たら読んでみたい。

次に、6月3日付け東洋経済オンラインが掲載した取材記者グループFrontline Pressによる「SNSで自分の意見は多数派と思う人が陥る怖い罠 精査したと思っている情報がすでに偏っている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/593828
・『閉鎖的なコミュニティ内で偏った意見や情報が増幅され、ほかの異なる意見や情報がかき消される「エコーチェンバー現象」。自分の関心に近い領域の情報に囲まれている状況下で起きるこの現象は、SNSの普及で加速度的に広がってきたとされる。 SNSは閲覧履歴などから利用者個人の好みの情報を推測し、自動表示していく。SNSの隆盛に比例してその危険性は指摘されてきたが、利用者はどう対応すればいいのか。エコーチェンバーの専門家である東京大学大学院工学系研究科の鳥海不二夫教授(計算社会科学)に尋ねた。 鳥海教授は2021年9月、自らが開発したアプリ「エコーチェンバー可視化システムβ版」を公開した。 あるアカウントのTwitter(ツイッター)タイムラインに表示される内容がどの程度偏っているかを客観的にチェックできるシステムだ。タイムラインの内容やフォローなどを分析し、ツイッター全体に流れる情報と比較することで、偏りの度合いを「エコーチェンバー度」として表示する。 このシステムでは、自分のツイッターアカウントと連携させると、まずは本人のタイムラインがどの程度特定のコミュニティに占められているかを「タイムラインのエコーチェンバー度」として表示する。 さらに、フォロー先のユーザーは「こんなことに関心がある人たち」として、「フォロー関係のエコーチェンバー度」が表示され、フォロー先の関心領域も文字の大小などで表現される。ほかにも、リツイートがどの程度特定のコミュニティーに偏っているかの「リツイートのエコーチェンバー度」などを表示し、アカウント所有者の党派性もデータで示してくれる。 このシステムの公開当初は予想を上回るアクセスがあり、サイトがパンクしたという。 「エコーチェンバー可視化システムβ版」。筆者(板垣)のツイッターアカウントを使って、エコーチェンバー度を出してみた(Qは聞き手の質問、Aは鳥海教授の回答』、「エコーチェンバー可視化システムβ版」はなかなかよく出来ているようだ。
・『「自分の考え=世界の考え」という図式に陥りやすい  Q:システムを作った背景をお聞かせください。 A:エコーチェンバーという言葉は昔からあります。選挙を想像してみてください。よく、負けた側の人が「なんで負けたのか」という顔をしていますよね。「みんな自分に投票してくれるって言った」のに、蓋を開けると、負けてしまったと。よくある話です。 当人は「自分に投票してくれると言った人が大多数」と思っているんですが、実は自分の見えている範囲は、そんな広くないのです。自分の周りで起きている100%な事実は、世の中全体の0.1%の意見にしかすぎなかったりする。こんなことはつねにあるわけですよね。 そうした現実はSNSによって加速しています。SNSでは、個人の趣味や嗜好に合わせた関係性を構築していくため自分と似た感性の投稿・広告が表示されやすく、「自分の考え=世界の考え」という図式に陥りやすくなっているのです。 これは仕方ないことです。そもそもSNSなんて、みんな楽しいもののために使っているわけですから、自分があまり見たくない情報を遮断する仕組みはその点で理にかなっており、必然です。 だからこそ、SNSの利用に際しては、極端な意見しか増幅されない可能性があること、そして自分と異なる意見が必ずあるという気づきが必要となります。その発見のために「エコーチェンバー度」を開発しました。 誤解されると困るのですが、SNS上の言論が危険な状態だからその警鐘を鳴らすために作ったわけではありません。 一般には、あまり受け入れられていない意見も、世の中には当然存在しています。その意見自体が悪いわけではないですが、そういった意見に関連して自分で何か意見を言い、周りからも「そうだね」という答えが返ってきてしまうと、自分が間違っているということに気づけないんですよね。井の中の蛙、大海を知らず、というところでしょうか。(鳥海 氏の略歴はリンク先参照)』、「SNSでは、個人の趣味や嗜好に合わせた関係性を構築していくため自分と似た感性の投稿・広告が表示されやすく、「自分の考え=世界の考え」という図式に陥りやすくなっているのです。 これは仕方ないことです」、「SNSの利用に際しては、極端な意見しか増幅されない可能性があること、そして自分と異なる意見が必ずあるという気づきが必要」、その通りだ。
・『間違った情報に接していることを見抜くのは困難  Q:「見たい情報だけを見る」というSNSの選択的接触は、大きな問題として認知され始めています。2020年のアメリカ大統領選挙では、SNS上で「陰謀論」が流布され、トランプ氏の敗北を事実として受け入れない人々が大勢出現しました。1000人を超えるトランプ氏の過激な支持者たちが2021年1月6日、大統領選の不正を訴え、首都ワシントンで連邦議会議事堂を襲撃しました。今も記憶に新しい、衝撃的な出来事でした。 A:陰謀論による政治活動「Qアノン」や連邦議会への襲撃を見て、「もしかしたら自分は当事者になっていたかもしれない」と思う人は、そうそういないでしょう。しかし、ある側面ではすでに彼らと同じような状況になっていてもわれわれは自分では気づけないんですよね。エコーチェンバーの問題はそこにあります。 そもそも、人間がまんべんなくすべての情報を仕入れてくることは事実上できないのですから、自分が少数派なのか間違った情報に接しているのかを見抜くことは極めて困難です。 むしろ偏った情報を信じている人たちのほうが「自分は情報をきちんと調べて精査して結論に至っている」と考えていることが多いようです。そのときに精査した情報がすでに偏っている可能性になかなか気づけません。 Q:先生はどんな研究を経て、エコーチェンバーの研究にたどり着いたのでしょうか。 A:普段は、ソーシャルメディアやニュース閲覧行動の分析、AI(人工知能)の社会応用などの研究をしています。直近ですと、2021年10月に豊橋技術科学大学と香港城市大学と共同で「保守の声はリベラルの声よりも中間層に届きやすい」という研究結果を公表しました。これは、安倍政権時代の安倍元首相に関する1億2000万件以上のツイートを解析した結果です。 この研究では、2019年2月10日から10月7日までにツイッターへ投稿された「安倍」または「アベ」を含むツイート(約1億2000万件)を収集しました。そこから、好意的または批判的なツイート群を抽出し、それぞれのツイート群を計10回以上ツイートしたアカウントを保守かリベラルに分けました。 その結果、保守派のツイートは23.23%が中間層に拡散されているのに対して、リベラル派のツイートは6.46%しか中間層に拡散されていませんでした。保守派のツイートを中間層が拡散する割合は、リベラル派より約3.6倍多かったのです。 政治に強い関心を持つ人でツイッターなどのSNSで政治について話をする人は諸外国と比べると、日本では少ないです。それもあって、リベラルの声はリベラル界隈内でとどまり、数の多い中間層に届かない実態が生まれているわけです。これは、いまの政治環境でリベラル派が苦境に立たされている要因の1つと考えてよいのではないでしょうか。 このような研究から、実は多くの人たち、とくに主義主張のある人たちは自分たちの周りに同じような主義主張の人たちが多いことから、多数派であると思っているようなケースがデータ分析をしているうちに多く見つかりました。エコーチェンバーはその分析の中で見られる普遍的な社会現象でしたので、これを分析することは社会を理解するうえで重要なことかと思い、研究を行っています』、「保守派のツイートは23.23%が中間層に拡散されているのに対して、リベラル派のツイートは6.46%しか中間層に拡散されていませんでした。保守派のツイートを中間層が拡散する割合は、リベラル派より約3.6倍多かったのです」、「リベラルの声はリベラル界隈内でとどまり、数の多い中間層に届かない実態が生まれているわけです。これは、いまの政治環境でリベラル派が苦境に立たされている要因の1つと考えてよいのではないでしょうか」、こんなことまで分析できるとは、「エコーチェンバー」は有力なツールのようだ。
・『デマや誤情報は「勘違い」で流されることがほとんど  Q:研究対象にSNSを選んだのはなぜでしょうか。 A:SNSは社会現象を分析するうえでデータを取りやすいツールだったからです。その転換期は、2011年の東日本大震災でした。当時、SNSでは「給油タンクの火災で酸性雨が降る」「うがい薬を飲むと放射線に効く」といったデマが広がりました。 デマや誤情報なんて、最初から「人をだましてやろう」といったものはほぼ存在していません。比率で言えば、勘違いで流されることがほとんどです。ほかにも「面白いから」で誤った情報が拡散されることがあります。 一方では、「正しい情報を発信しなければ」と、社会正義感にかられて熱心に情報を拡散する人もいます。社会貢献をしたつもりになった人たちの暴走ですね。2020年のコロナ禍初期にあったトイレットペーパーの買い占め運動も、社会貢献をしたつもりになっている熱心な人による拡散が原因と考えられます。 Q:フェイクニュースが発生し、社会の分断がSNS上で起きるなかで、プラットフォーム側が負うべき責任はあるのではないでしょうか。 A:プラットフォームに限らず、責任は各所にあります。ユーザーがSNSで必要な十分な情報を得るには個々人の努力では限界があります。 情報環境の体質改善に向けて、デジタル・プラットフォーム(DPF)事業者、ユーザー、マスメディア、政府などさまざまなステークホルダーが取り組むべき施策を2022年1月に、憲法学者の山本龍彦・慶應義塾大学大学院教授と共同で提言しました。 「健全な言論プラットフォームに向けて――デジタル・ダイエット宣言」というもので、ポイントは5つです。 ①幅広い情報にユーザーが触れることができる情報的健康(インフォメーション・ヘルス)を実現すること ②食品の成分表示のように、コンテンツの種目やどんなバランスで表示と配信をしているのかを「情報のカロリー表示」として明らかにし、ユーザーの判断材料とすること ③ユーザーが情報的健康を確認するための健康診断「情報ドック」の機会を定期的に提供すること ④「情報ドック」により、ユーザーが情報的健康に問題があるとなった場合には、希望する者にはバランスのとれた情報摂取ができるよう調整できるデジタル・ダイエット機能を備えること ⑤ユーザーの興味関心で成り立っている経済構造を変えること』、「健全な言論プラットフォームに向けて――デジタル・ダイエット宣言」初めて知ったが、なかなかいいポイントを突いているようだ。
・『情報的健康の達成は、社会的に大きな意義がある  このうち、⑤で提言した新しい経済構造の姿は現時点では明らかではありません。 ただ、ユーザーの趣味嗜好に合わせて広告を打ち出すネット広告の配信事業者のほか、その広告主やマスメディアも「アテンション・エコノミー」の渦に巻き込まれ、PV数といった単純な指標で動き、情報的な健康を阻害しています。そうではなく、その質などによってコンテンツを評価していくシステムの構築が急がれるでしょう。 このような情報的健康の達成は、社会的に大きな意義があります。まず、「エコーチェンバーの内部にいる方が快適な情報空間である」という現状認識を変えていくことは、ユーザー個人から始められる第一歩といえるのではないでしょうか』、「情報的健康の達成は、社会的に大きな意義があります」、その通りだ。「エコーチェンバー」にもっと関心を持ってみてゆきたい。

第三に、6月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した科学者・起業家・投資家のシナン・アラル氏による「「なぜデマ情報が急増?」米SNS研究が明らかにした衝撃の事実」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304311
・『「なぜデマは真実よりも速く、広く、力強く伝わるのか?」SNSに潜むウソ拡散のメカニズムを、世界規模のリサーチと科学的研究によって解き明かした全米話題の1冊『デマの影響力──なぜデマは真実よりも速く、広く、力強く伝わるのか?』がついに日本に上陸した。ジョナ・バーガー(ペンシルベニア大学ウォートン校教授)「スパイ小説のようでもあり、サイエンス・スリラーのようでもある」、マリア・レッサ(ニュースサイト「ラップラー」共同創業者、2021年ノーベル平和賞受賞)「ソーシャル・メディアの背後にある経済原理、テクノロジー、行動心理が見事に解き明かされるので、読んでいて息を呑む思いがする」と絶賛された本書から一部を抜粋して紹介する』、「デマは真実よりも速く、広く、力強く伝わる」、初耳だが、興味深そうだ。
・『フェイクニュース拡散についての大規模調査を実施  ではここで、少し回り道にはなるが、私自身が具体的にどのようにしてクリミア、ウクライナでの出来事を理解していったのか、という話をしてみよう。これはいわば、小説のなかで登場人物がもう一つの小説を書くようなものかもしれない。 クリミア併合から2年後の2016年、私はマサチューセッツ州ケンブリッジのMITの自分の研究室にいた。私はそこで同僚のソルーシュ・ヴォソウギ、デブ・ロイとともに、ある重要な研究プロジェクトに取り組んでいた。 ツイッター社と直接連携し、オンラインでのフェイク・ニュースの拡散に関して[1]、これまでで最大の長期的研究をしていたのである。 サービスの始まった2006年から2017年までの10年以上のあいだに、ツイッター上で広まった事実確認済みのすべての噂の真偽を確認し、それぞれの拡散の仕方を調べた』、「10年以上のあいだに、ツイッター上で広まった事実確認済みのすべての噂の真偽を確認し、それぞれの拡散の仕方を調べた」、膨大な作業のようだ。
・『嘘が地球を半周する頃、真実はまだ靴も履き終わっていない  研究の結果は、2018年3月、『サイエンス』誌のカバーストーリーとして発表された。オンラインでのフェイク・ニュース拡散についての初めての大規模調査の結果がこの時に明らかにされたわけだ。 この調査の過程で、私は科学者として、それまで知ったことのなかでも最も恐ろしい事実を知ることになった。今にいたるまでこれほど恐ろしい事実に出合ったことはない。 それは、フェイク・ニュースが、種類を問わず、真実のニュースよりもはるかに速く、遠くまで広がり、多くの人の心に深く浸透するという事実だ。場合によっては、拡散の速さ、範囲の広さは、10倍以上にもなる。 「嘘が地球を半周する頃、真実はまだ靴も履き終わっていない」と言った人がいるが、この言葉は正しい。 ソーシャル・メディアでは、嘘は光の速さで広がっていくが、真実は糖蜜が流れるくらいの速度でしか広がらない。しかも、ソーシャル・メディアを流れるあいだに情報は歪曲されていくことになる』、「ソーシャル・メディアでは、嘘は光の速さで広がっていくが、真実は糖蜜が流れるくらいの速度でしか広がらない。しかも、ソーシャル・メディアを流れるあいだに情報は歪曲されていく」、恐ろしいことだ。
・『大統領選挙に呼応してフェイクニュースが増加  しかし、調査で明らかになったのは、こうした明白な事実ばかりではない。一見したところではすぐにはわからない事実も明らかになった。その一つは、クリミア危機に直接関係する事実だ。 ツイッターでの真実と嘘の拡散に関してまだ精緻なモデルが構築できていなかった頃、私たちは、分析の一環として簡単なグラフを作ったことがあった。 このグラフには、政治、ビジネス、テロ、戦争など様々な分野の真実のニュース、嘘のニュースのカスケード(あるニュースについてのツイート、リツイートの連なりのことをこう呼んでいる)の数が時間の経過とともにどう変化していったかが示されている[図1─1]。 [図1-1] 2009年から2017年までのあいだにツイッター上に流れたニュースに関するカスケード数の推移。 [図1-1] 2009年から2017年までのあいだにツイッター上に流れたニュースに関するカスケード数の推移。ファクトチェックされた真実(明るいグレー)、嘘(ダーク・グレー)、真偽混合の情報(部分的には真実で、部分的には嘘/黒)。「ファクトチェックされた真実」とは、私たちの調査の過程で、6つのそれぞれに独立した組織によってファクトチェックされた情報を指す。ツイッターのユーザーによりツイート、リツイートされて広まっていった様子を示している。 このグラフを見ると、嘘のニュースについてのカスケードの数は、2013年末、2015年、2016年末などにピークに達していることがわかる。 2016年末のピークは、前回のアメリカ大統領選挙に呼応したものだろう。2012年、2016年と、アメリカ大統領選挙のあった年には、明らかに嘘のニュースが他の年より多く拡散されている。 政治とフェイク・ニュースの関わりがいかに深いかがこれでよくわかる』、「嘘のニュースについてのカスケードの数」を見ると、「アメリカ大統領選挙のあった年には、明らかに嘘のニュースが他の年より多く拡散されている」、なるほど。
・『クリミア併合で「部分的には真実で、部分的には嘘」が急増  だが、私たちの興味を引いたのはそれだけではなかった。わかりにくいが、データにはもっと興味深い傾向が見られたのだ。 2006年から2017年までの10年あまりのあいだに、「部分的には真実で、部分的には嘘」というニュースの数が急増したのはたった一回だけだ。私たちはこの種の噂を「混合ニュース」と呼んだ。 [図1─1]のグラフを見ても、そのピークの存在はわかりにくい。ところが[図1─2]の、政治関連のニュースだけについてのグラフを見ると、黒で示された「混合ニュース」の拡散が急増しているタイミングがあることが明確にわかる。 [図1-2] 2009年から2017年までのあいだにツイッター上に流れた政治ニュースに関するカスケード数の推移。 [図1-2] 2009年から2017年までのあいだにツイッター上に流れた政治ニュースに関するカスケード数の推移。ニュースには、ファクトチェックされた真実(明るいグレー)、嘘(ダーク・グレー)、真偽混合の情報(部分的には真実で、部分的には嘘/黒)がある。 それは、2014年の2月から3月にかけての2ヵ月間だ。ちょうどクリミア併合が起きたタイミングということになる。クリミアでの出来事に直接、呼応して混合ニュースが増えたわけだ。 これは驚くべきことだった。私たちの調べたかぎり、歴史上、ツイッター上にこれほど混合ニュースが急増したケースは一度もなかったからだ(カスケード数が、2番目に急増したケースの実に4倍になっていた)。 しかも、急増したあと、すぐに急減している。クリミアの併合が完了すると、ほぼなくなってしまったのだ。 さらに詳しく調べると、この急増は、親ロシア勢力が組織的にソーシャル・メディアを活用した結果であることがわかった。この時、親ロシア勢力は、ハイプ・マシンを積極的に活用して、クリミアの出来事についてのウクライナの世論、国際世論を操作しようとしたのである。 クリミアの併合は、クリミア市民自身の意思に沿うものであるという認識が広まるよう仕向けたわけだ。 【参考文献】 (省略)(本記事は『デマの影響力──なぜデマは真実よりも速く、広く、力強く伝わるのか?』を抜粋、編集して掲載しています』、「クリミアでの出来事に直接、呼応して混合ニュースが増えたわけだ」、「急増したあと、すぐに急減している。クリミアの併合が完了すると、ほぼなくなってしまったのだ」、「この急増は、親ロシア勢力が組織的にソーシャル・メディアを活用した結果であることがわかった。この時、親ロシア勢力は、ハイプ・マシンを積極的に活用して、クリミアの出来事についてのウクライナの世論、国際世論を操作しようとしたのである。 クリミアの併合は、クリミア市民自身の意思に沿うものであるという認識が広まるよう仕向けたわけだ」、「クリミアの併合」時に「ウクライナの世論、国際世論を操作しようとした」、今回の「ウクライナ」侵攻でも悪用されたのだろうか。
・『全米震撼のベストセラーが日本上陸!  本書では、私が過去20年のあいだに、実際にソーシャル・メディアを立ち上げ、また研究対象、投資対象、ビジネス・パートナーとしてソーシャル・メディアと関わることで知り得たことを述べていきたいと思う。 20年の道のりは決して楽ではなかった。信じがたい発見も多くしたし、ソーシャル・メディアが民主主義を蝕む酷いスキャンダルに直面もした。 有用な情報も多く伝えてくれるが、明らかな嘘が瞬時に拡散されていくのを何度も見た。抑圧と闘う道具にも使えるが、同時に抑圧を促進する道具としても使えることを知った。 言論の自由を守ることの重要性と、それがヘイト・スピーチの蔓延につながりやすいこともよくわかった。 そして何よりも重要なのは、ソーシャル・メディアのなかの仕組みがわかったことだ。私たち人間の脳がソーシャル・メディアに引きつけられやすい性質を持っていることや、感情、社会、経済、様々な要因が私たちをソーシャル・メディアに結びつけていることも知った。 本書を読めば、ソーシャル・メディアの背後にあるビジネス戦略がわかるだけでなく、ソーシャル・メディアのデザインを変えれば社会がどれほど大きく変わり得るか、ということもわかるはずだ』、「私たち人間の脳がソーシャル・メディアに引きつけられやすい性質を持っていることや、感情、社会、経済、様々な要因が私たちをソーシャル・メディアに結びつけている」、我々もこうした危険性を踏まえた上で、利用してゆく必要がある。
タグ:Frontline Pressによる「SNSで自分の意見は多数派と思う人が陥る怖い罠 精査したと思っている情報がすでに偏っている」 東洋経済オンライン SNS(ソーシャルメディア) (その11)(承認欲求のお葬式、SNSで自分の意見は多数派と思う人が陥る怖い罠 精査したと思っている情報がすでに偏っている、「なぜデマ情報が急増?」米SNS研究が明らかにした衝撃の事実) ダイヤモンド・オンライン 川代紗生氏による「承認欲求のお葬式」 「承認欲求との8年に及ぶ闘いを描いた」とは興味深そうだ。 「これまでの人生の中で、「あ、今が転機かもしれない」と思う瞬間があって、そのときどきで必要に応じてお葬式をやってきた。いろいろな感情を弔ってきたし、その分、新しい感情が生まれてくることもあった。けれども私の中で、どうしてもさようならを言えない感情があった。 承認欲求」、「感情の「お葬式」」とはユニークで面白い。 「辛いことがあったり、苦しいことがあっても、「書くネタができた」と思えば、プラスに転換できる。世の中を見る目が、前向きになってくる。 けれども私の場合は、それが歪んだ方向に進んでしまっていたのかもしれなかった。 書くために、辛いことがありますようにと願った。 書くために、承認欲求が消えませんようにと願った。 どんどんと、負のスパイラルは進んでいく。ぐるぐると下に向かう」、「私は承認欲求の奴隷だった。 人から認めてもらいたい、その感情と向き合うために文章を書き始めたのに、結果的に、承認欲求がないと困る人間に 「熱中できる仕事に出会えたことで、私の人生は変わりつつある・・・承認欲求に頼って生きる必要がなくなってしまった」、「仕事をして、仕事が好きになって、人のために動く面白さみたいなものが、徐々にわかりかけている今、私は自分の居場所を「承認欲求」コンテンツ以外のところに、もう見つけてしまったような気がする」、「自分の居場所を「承認欲求」コンテンツ以外のところに、もう見つけてしまった」、おめでとう。 「承認欲求と気がすむまで向き合い続けた期間があったから、私は今前を向けているんだろうと思う。 そろそろ、さようならを言おう。 ずっとずっとお別れを言えなかったけど、あなたを弔うことにする。 次のステージに、私は進む。 不幸集めをして満足する人生は、もう終わりにしよう・・・さようなら。 承認欲求のお葬式」、歯切れのいい文章で、SNSでの「承認欲求」を取上げた出色のコラムである。通常は、略歴は紹介しないが、今回は例外的に紹介した。『私の居場所が見つからない。』も時間が出来たら読んでみたい。 「エコーチェンバー可視化システムβ版」はなかなかよく出来ているようだ。 「SNSでは、個人の趣味や嗜好に合わせた関係性を構築していくため自分と似た感性の投稿・広告が表示されやすく、「自分の考え=世界の考え」という図式に陥りやすくなっているのです。 これは仕方ないことです」、「SNSの利用に際しては、極端な意見しか増幅されない可能性があること、そして自分と異なる意見が必ずあるという気づきが必要」、その通りだ。 「保守派のツイートは23.23%が中間層に拡散されているのに対して、リベラル派のツイートは6.46%しか中間層に拡散されていませんでした。保守派のツイートを中間層が拡散する割合は、リベラル派より約3.6倍多かったのです」、「リベラルの声はリベラル界隈内でとどまり、数の多い中間層に届かない実態が生まれているわけです。これは、いまの政治環境でリベラル派が苦境に立たされている要因の1つと考えてよいのではないでしょうか」、こんなことまで分析できるとは、「エコーチェンバー」は有力なツールのようだ。 「健全な言論プラットフォームに向けて――デジタル・ダイエット宣言」初めて知ったが、なかなかいいポイントを突いているようだ。 「情報的健康の達成は、社会的に大きな意義があります」、その通りだ。「エコーチェンバー」にもっと関心を持ってみてゆきたい。 シナン・アラル氏による「「なぜデマ情報が急増?」米SNS研究が明らかにした衝撃の事実」 「デマは真実よりも速く、広く、力強く伝わる」、初耳だが、興味深そうだ。 「10年以上のあいだに、ツイッター上で広まった事実確認済みのすべての噂の真偽を確認し、それぞれの拡散の仕方を調べた」、膨大な作業のようだ。 「ソーシャル・メディアでは、嘘は光の速さで広がっていくが、真実は糖蜜が流れるくらいの速度でしか広がらない。しかも、ソーシャル・メディアを流れるあいだに情報は歪曲されていく」、恐ろしいことだ。 「嘘のニュースについてのカスケードの数」を見ると、「アメリカ大統領選挙のあった年には、明らかに嘘のニュースが他の年より多く拡散されている」、なるほど。 「クリミアでの出来事に直接、呼応して混合ニュースが増えたわけだ」、「急増したあと、すぐに急減している。クリミアの併合が完了すると、ほぼなくなってしまったのだ」、「この急増は、親ロシア勢力が組織的にソーシャル・メディアを活用した結果であることがわかった。この時、親ロシア勢力は、ハイプ・マシンを積極的に活用して、クリミアの出来事についてのウクライナの世論、国際世論を操作しようとしたのである。 クリミアの併合は、クリミア市民自身の意思に沿うものであるという認識が広まるよう仕向けたわけだ」、「クリミアの併合」時に 「私たち人間の脳がソーシャル・メディアに引きつけられやすい性質を持っていることや、感情、社会、経済、様々な要因が私たちをソーシャル・メディアに結びつけている」、我々もこうした危険性を踏まえた上で、利用してゆく必要がある。
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核武装(その1)(日本はなぜ世界で唯一の「無法」国家なのか? 被爆国に問われる責務 9条があるから大丈夫 ではない!、日本における核共有(シェアリング)の効果とコスト、暴走プーチンの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら…その「地獄」を完全シミュレーションする、埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来 その驚愕の「威力と死者数」) [安全保障]

今日は、核武装(その1)(日本はなぜ世界で唯一の「無法」国家なのか? 被爆国に問われる責務 9条があるから大丈夫 ではない!、日本における核共有(シェアリング)の効果とコスト、暴走プーチンの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら…その「地獄」を完全シミュレーションする、埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来 その驚愕の「威力と死者数」)を取上げよう。

先ずは、2020年8月26日付け現代ビジネスが掲載した東京外語大学教授・紛争屋の伊勢崎 賢治氏による「日本はなぜ世界で唯一の「無法」国家なのか? 被爆国に問われる責務 9条があるから大丈夫、ではない!」を紹介しよう。
・『オバマの戦争  覚えていらっしゃるでしょうか? 2016年に、オバマは、現職大統領として初めて広島を訪問しました。安倍首相と並んで記者会見をしたのですが、その時のアメリカの女性記者がオバマに向けた辛辣な質問。アメリカのメディアは、日本のみたいに“やらせ”の受け答えはしませんからね(安倍首相への質問はNHKの女性記者でした)。それは、今でも続くアフガン戦のことだったのです。 この数日前、アメリカ軍が、アフガン戦争での敵タリバンの新しいトップだったマンスールをパキスタンとの国境付近で無人爆撃機の空爆で殺害したばかりだったのです。 記者はそのことを取り上げて、「あなたが終わらせることができないこの戦争を、こういう形で次の大統領に引き継ぐのか?」と。 アメリカ大統領として初めて訪れた広島で、初っ端の質問ですよ。日本の視聴者には、何が何だか分からなかったでしょうが。 軍事的な勝利があげられない中で、アメリカは、アフガニスタンのタリバンと政治的な和解をずっと試行錯誤していたのです。もうこれ以外には、この泥沼化した戦争の打開策はなかったし、トランプ大統領に引き継がれた今も、ありません。だからこそ、この女性記者の、それも広島訪問という場所での、この質問だったのです。 しかし、首謀者のリーダー格を殺害し続けることしか、大統領としてアメリカ国民に顕示できる「戦果」がないのです。政治的和解の交渉には、相手の指揮命令系統を温存し、常にそのトップと交渉しなければならないのに、これを壊すと相手側の構造が無秩序となり、交渉どころではなくなります。こんな簡単なことが分かっていても、「ドローン攻撃」をやるしかない。まさに堂々巡りです。 結果、相手の指揮命令系統が破壊され、かろうじて保たれていた秩序が喪失し、首を失った蛇が暴れるように、下部組織がどんどん分派し、派生し、過激さを競うように、わけのわからない連中が出てくる。この泥沼…。 敵のリーダーを標的に、それが地球上のどこに潜伏していようと、それが国際法でアメリカの交戦相手国と説明できない国であろうと、その国の主権を気にせず、空から、「機械」によって、殺害する。 アフガン戦は、前任者のブッシュが始めたものですが、歩兵・部隊を現地に投入して古典的な軍事戦術をもって、そして後述する国際人道法という戦争のルールに則って”正々堂々”と戦うのではない、後任の大統領が始めたこの超法規的な異様な戦争は、いつしか、「ブッシュの戦争」と区別して「オバマの戦争」と呼ばれるようになりました』、「首謀者のリーダー格を殺害し続けることしか、大統領としてアメリカ国民に顕示できる「戦果」がないのです。政治的和解の交渉には、相手の指揮命令系統を温存し、常にそのトップと交渉しなければならないのに、これを壊すと相手側の構造が無秩序となり、交渉どころではなくなります。こんな簡単なことが分かっていても、「ドローン攻撃」をやるしかない。まさに堂々巡りです」、その後、バイデン大統領が強引に撤兵し、タリバン支配に委ねた。
・『国際人道法の努力  機械が、超法規的に、人間を殺す。 大量の民間人の殺害や核施設への攻撃などを「戦争犯罪」として禁止するジュネーブ諸条約等の「交戦法規」は、化学兵器や対人地雷など、交戦中に使われる武器も、一つ一つ、その使用を禁止する合意を取り付ける努力を続けています。これらの総体が「国際人道法」と呼ばれるものです。その違反が、いわゆる「戦争犯罪」です。 その最新のものが、やっと成立した「核兵器禁止条約」です。 まだ、核を実際に保有している国々が批准していないので、「国際人道法」の一つと見なされるには更なる努力が必要ですが、中身を読めば(ぜひ読んでください https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000433139.pdf )、この条約が核兵器の製造、維持、使用を、「化学兵器条約」(1992年)のように、国際人道法上の「戦争犯罪」に位置付けることを目的にしていることが分かります。 それと同時に、国際人道法のもう一つの努力が、ドローンをはじめとするロボット兵器をどう違法化するか、もしくは、少なくともどう規制するか、です。国連を中心として国際社会では活発に議論がおこなわれていますが、まだ条約として、成立にも、いたっておりません。 こうして国際人道法は、今でも弛まない発展を続けているわけですが、オバマは、それにネガティブに貢献した特筆すべきアメリカ大統領だったのです』、「「核兵器禁止条約」は、「まだ、核を実際に保有している国々が批准していないので、「国際人道法」の一つと見なされるには更なる努力が必要ですが」、「国際人道法上の「戦争犯罪」に位置付けることを目的にしている」、なるほど。
・『戦争犯罪の考え方  ここで、国際人道法に関して、忘れてはならない、特に日本人が、しっかりと考えを改めなくてはならない点が、一つあります。 国際人道法が定義する「戦争犯罪」は、個々の殺人事件の集まりではない、ということです。 戦争犯罪とは、「敵国」とかジェノサイドでのそれのように、国際人道法が定めたルールに則って双方の戦闘員が相まみえる交戦ではなく、戦闘員でない人々を、その国籍とか民族や宗教など特定の人間の集団のアイデンティティをターゲットにして、抹消する行為です。 戦争の主体が国家であった時代は去り、内戦の時代を迎え、国家ではない武装集団が国家と交戦するようになってからは、一つの国の中で、これが頻繁に起こるようになりました。ルワンダ内戦に代表されるジェノサイドですね。 そして、そういう行為は、個々の殺人犯ではなく、一つの政治意思による決定行動です。ですから、必ず、それを発案し、扇動し、徒党を組み、それに財政を与え、一つにまとめる指揮命令系統があるはずです。そして、人間のアイデンティティの抹消を政治行為として実行する。 ですから、「戦争犯罪」では、命令した者、もしくは、直接その命令を発さなくてもその地位にいた者を、誰より優先的に裁くことが求められるのです。 軍事組織では、上官の命令に従う義務があり、実行者は攻撃対象に対する正確な情報を持ち合わせていない場合も多いので、手を血で染めた実行犯が起訴の起点ではありません。これが、個人の生命身体を守るために、実行犯を中心に罰することを目的とした「刑法」とはベクトルが違う、国際人道法が目指す法益です』、「「戦争犯罪」では、命令した者、もしくは、直接その命令を発さなくてもその地位にいた者を、誰より優先的に裁くことが求められるのです」。「これが、個人の生命身体を守るために、実行犯を中心に罰することを目的とした「刑法」とはベクトルが違う、国際人道法が目指す法益です」、確かに「実行犯を中心に罰」しても意味はな」く、「命令した者・・・その地位にいた者を裁くことが求められる」、よく理解できた。
・『主権国家の義務を世界で唯一果たさない国  それでは誰に、それを裁くことを求めるのか? 国際人道法を批准した、各々の国家に、です。 国際人道法のような国際法の役目は、何が違反行為かを国家間で合意するまで、です。違反行為がその主権領域内で発生した時、それ立件し、裁きを下すために国内法を整備することは、それを批准した国家の義務なのです。特に、命令した者を裁く責任は、主権国家の義務として明確に謳われています(1949年 ジュネーヴ諸条約 第一条約 第49条)。 ここで説明している考え方は、人類はいまだに、地球上で起きる違反行為の全てを断罪できる強力な国際司法を執行する仕組みを持ちあわせていないことが理由でもあります。 特に、アメリカのような超大国がおかしたそれらは、どうするのか? 前述のロボット兵器のように、まだ規制が合意されていない最新兵器で戦争に邁進する超大国をどうするのか? だからこそ、前述のように国際法は発展し続ける、ということでもありますが。 繰り返します。国際人道法が、その違反行為を国家間に合意させることによって実現する法益とは、人間をアイデンティティの抹消から保護することです。そして、その違反行為をおかした指揮命令系統の立件は、主権国家に課せられているのです。 日本はどうでしょう? 主権国家として、それを実現すべく国内法整備の義務を果たしているか? 否。戦後70年以上経った今も、です。国際人道法の法益に応える国内法はありません。 たぶん、世界で唯一、です』、「日本」は「国際人道法の法益に応える国内法はありません。 たぶん、世界で唯一」、何故なのだろう。
・『 刑法があるから大丈夫?  最近、僕は、知り合いの政治家(山尾しおり衆議院議員)を通じて、衆議院法制局にチームをつくってもらい、それに同議員と僕を含めた5人(他に倉持麟太郎弁護士、水上貴央弁護士、松竹伸幸かもがわ出版編集主幹)が向き合う形で、この問題への取り組みを始めました。 一応、日本は、そういったジュネーブ諸条約をはじめとする国際人道法を批准していますから、それに伴う国内法整備の必要性について、チームの法務官僚たちも十分承知しておりました。しかし、それは刑法を中心とする現行法で対応できている、と。少なくとも、それが歴代の日本政府の見解だったことを彼らから聞かされました。 彼らとの作業は、国際人道法の主軸であるジュネーブ条約及び第一追加議定書上の「重大な違反行為」、いわゆる戦争犯罪にあたるものを列記し、その一つ一つに対して、日本の現行の国内法のどれが対応しているかの精査から始まりました。 その列記した表は、国際刑法典の制定を国家に求める会 http://kokusaikeijihou.org にあります(リンク内の【国際人道法等での重大な違法行為と刑法】をクリックしてください)。 同表の【重大な違反行為の内容】欄の中で、戦争犯罪として日本人にも分かりやすいのは、「軍事上の必要によって正当化されない不法かつ恣意的な財産の広範な破壊・徴発」(第一条約50条等)、「⒜ 文民たる住民等を攻撃の対象とすること ⒝ 文民又は民用物に対する無差別攻撃 ⒟ 無防備地区・非武装地帯を攻撃の対象とすること」(第一追加議定書85条3)でしょうか? それらに対して、日本の現行法がどう対応しているか? 【刑法等上の該当犯罪・法定刑】の欄を見てください。「建造物等損壊(5年以下の懲役)、器物損壊(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金・科料)、強盗(5年以上の有期懲役)、恐喝(10年以下の懲役)等」や「殺人、殺人未遂、傷害、傷害致死等」、すべて個別の財産権や身体等を保護するために、実行犯を中心に処罰する犯罪です』、確かに「日本」の「刑法」では「実行犯を中心に処罰」する体系だ。
・『命令した者の責任は?  みなさんもヤクザ映画をご覧になってお馴染みとは思いますが、臭い飯を食うのは多くの場合、鉄砲玉であって親分ではありません。親分の責任が問われても、主犯と認定することは極めて難しいのです。特に鉄塔玉に正当防衛が成立するような場合には、指示をした親分だけが裁かれることはありません。 つまり、どういうことかというと、歴代の日本政府は、批准したジュネーブ条約群の国際法が求める国内立法義務を現行法で果たしているという説明をしてきたのですが、それはあくまで、親分と鉄砲玉の前提で、ということなのです。 もう一度繰り返しますと、ジュネーブ条約を主軸とする国際人道法が求める法益の実現は、あくまで、命令した者を犯罪の中心とし、その下位の者の責任をどこまで問えるかを考えるのです。実行犯は、その命令不服従への報復とか無知が勘案され、赦される場合があり、日本の現行法とは、ベクトルが真逆、ということになります。 つまり、国際人道法が求める法益に、それを批准しているのにもかかわらず、日本の現行法は、(ベクトルが逆なので)対応できていないということになります。 そこで、衆議院法制局のチームと達した結論は、刑法をはじめとする現行法の微調整では、国際人道法の法益に応えるのは不可能であり、まったく新しい法体系を日本に導入するしかないという結論に達しました。 そして、彼らと立案した新法が、前掲のリンク【国際刑法典の制定を国家に求める会】です。ぜひご覧になってください』、「歴代の日本政府は、批准したジュネーブ条約群の国際法が求める国内立法義務を現行法で果たしているという説明をしてきた」、しかし、「国際人道法が求める法益の実現は、あくまで、命令した者を犯罪の中心とし、その下位の者の責任をどこまで問えるかを考えるのです・・・日本の現行法とは、ベクトルが真逆」、「衆議院法制局のチームと達した結論は、刑法をはじめとする現行法の微調整では、国際人道法の法益に応えるのは不可能であり、まったく新しい法体系を日本に導入するしかないという結論に達しました」、なるほど。
・『なぜ日本では放置されてきたのか  核兵器禁止条約が、それを国際人道法上の戦争犯罪にするべく訴える、核兵器がらみの事犯は、国家レベルの組織犯罪と考えるべきです。その製造は言うまでもなく、核物質・転用技術の取り引き、それらの移動・集積、そして使用…。すべて綿密な計画と資金が必要な組織犯罪になるはずです。 それが、テロ集団・結社など非国家を装ったものであっても、それを発案した者に実行犯よりずっとずっと重い刑を課すべく、どんな手をつかって身を隠そうと、命令してないと言い張っても、公訴時効の制限なく最後まで追い詰め(「戦争犯罪」に時効はないのですが、日本は「戦争犯罪及び人道に対する罪に対する時効不適用に関する条約」に加入さえしていません)、立件する法体系そのものが、日本にはないのです。 なぜ、唯一の被爆国として、核兵器がらみ事犯への警戒とその懲罰に一番積極的になるべき日本が? 本当に、なぜ、なんでしょうか。 国際人道法が求める法益に対する現行法の「空白」は、僕たちが提案する新法の成立によって埋められます。そのために、僕たちは引き続きロビー活動を続ける所存です。 これは与野党を超えて取り組むべき問題であり、政局にすることなく、日本国民全体が一丸となって、そして、政権交代してから云々の話ではなく、即座に、解決するべき国民的課題ですので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。 しかし、一方で、なぜ、こんな重要なことが、日本で、こんなに長い間にわたって、そして現在でも、放置されてきたのか? これを、全ての日本人は自問自答するべきです。 僕は、憲法第9条問題が原因であると思います。 前述のように、内戦の時代を迎え、国際人道法がその違反行為を戒める対象は、いわゆる軍隊、正規軍だけではなく、ゲリラ組織のような非国家主体にまで及ぶようになりました。 ここは、日本人にとって、非常に大切です。自衛隊を軍と呼ぶか否かは、もはや国際人道法は問題にしないのです。しかし、それを国をあげて政局化してきたのが我々日本人なのです。 そして「9条が戦争しないと誓っているのだから戦争犯罪を想定しなくていい」。これが、9条下でも必要最小限であれば実力組織が持てるとしてきた日本の憲法学、そして日弁連などの法曹界。他方、9条下でもできると軍拡(世界屈指の通常戦力になるまで)を推し進めてきた歴代の自民党政権。この双方の安全神話になってきたのです。無法の安全神話です。 もし、核兵器の唯一の被害国である日本が、被爆者の方々の命がけのキャンペーンで核兵器禁止条約の成立の立役者になった日本が、核兵器禁止条約が最も重要視する国際人道法の法理を全く受け入れていない無法国家だと、世界が知ったら、どうなるか? 想像してみてください。 以上、国際人道法の発展にネガティブに貢献し続けるアメリカ。そして、賛意を見せかけるも国際人道法の肝心の法益を蔑ろにしている日本。オバマ大統領の広島訪問の持つ意味を、別の角度で、反核運動にかかわる全ての善意の関係者に、再考をお願いしたいのです。 反核に向かう日本の良識を代表する表現者のみなさま。 もう一度、核兵器禁止条約の中身を熟読いただき、同条約と国際人道法の関係を、そして同法への日本の立法状況を、そして、みなさまが同時に礼賛する(少なくとも僕にはそう見えます)9条主義と、その立法状況との関係を、ご再考ください。 核兵器禁止条約の成立への貢献でノーベル平和賞に輝いたICANのかけがえのない一員となったピースボート(https://peaceboat.org/34282.html)のみなさま。 僕自身、同船に水先案内人として何度も乗船した、勝手知ったるあなたたちですので、親愛を込めてキツイことを言います。あなたたちには、核兵器禁止における国際人道法の意味と、その日本の立法状況を、誰よりも被爆者の皆さんに説明する義務があります。さもないと、あなたたちも礼讃している9条を護憲するという運動に、被爆者の人たちを政治利用しているとしか、僕には見えません。 最後に、核兵器禁止運動にかかわる被爆者のみなさん。 ぜひ、国際人道法に関するレクチャーを、ピースボートをはじめとする国際法を十分に理解する関係者から、お受けになってください。そして、核兵器を国際人道法による明確な戦争犯罪にするべく、誰にも負けない厳しい国内法を日本が持つことで、国際社会において名誉ある地位を占めるよう、引き続きお力をお貸しください』、「「9条が戦争しないと誓っているのだから戦争犯罪を想定しなくていい」。これが、9条下でも必要最小限であれば実力組織が持てるとしてきた日本の憲法学、そして日弁連などの法曹界。他方、9条下でもできると軍拡・・・を推し進めてきた歴代の自民党政権。この双方の安全神話になってきたのです。無法の安全神話です」、これが本当の要因か否かはもっと検討する必要がある。ただ、国内法整備に向けた伊勢崎氏の努力は大いに評価すべきだ。

次に、本年3月9日付けが掲載した在米作家の冷泉彰彦氏による「日本における核共有(シェアリング)の効果とコスト」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2022/03/post-1263_1.php
・『<「核の傘」以上に抑止力が強化されるのか、その効果とコストを見極める議論は必要> ウクライナにおける戦争を遂行する中で、ロシアのプーチン大統領はNATOへの威嚇として2月27日に「核抑止力部隊による警戒体制」を命令しました。もちろんこの行動を、アメリカのブリンケン国務長官は「核レトリック」つまり軍事上の「舌戦」に過ぎないとしています。3月1日に行った一般教書演説の中でバイデン大統領が、この点に一言も触れなかったのはこのためです。 一方で、日本では大きな反応がありました。核武装論などと並んで、かなり大きな声として出てきたのは「核シェアリング」構想です。難しいテーマですが、この機会に議論を行うのは良いことだと思います。 まず、日本が核シェアリングを行うというのは、NPT(核拡散防止条約)の枠組みの中で認めてもらわねばなりません。NATOの5カ国(ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコ)の前例があるものの、NPT交渉の時点ではNATOのシェアリングは秘匿されており、なし崩し的に既成事実化したものです。 そもそも、NPTの条文では「核保有国が非保有国に核兵器を供与」することは禁止されています。ですから米国が日本にシェアリングを行うと、常識的に考えると両国が脱退することでNPTの枠組みは崩壊する可能性が大きいわけです。ですが、それでも実現しようとするならば、これを避けながら加盟国との条約改定交渉で合意を取り付けて乗り切るという難しいプロセスを経なくてはなりません。本当にNPTが崩壊したら、地球全体が危機に陥って日本の抑止力確保どころではなくなるからです』、「NPT維持」のためには、「加盟国との条約改定交渉で合意を取り付けて乗り切るという難しいプロセスを経なくてはなりません。
・『外交含めた有形無形の負荷  しかしNPTの問題が出てくるのは、日本が仮に決意したとして、その後の話です。そもそも決意するのかどうかを決めるには、シェアリングのコストと効果の見極めが必要です。コストとしては、NPT体制を維持しつつシェアリングを認めさせるという困難な外交プロセスに加えて、周辺国との外交関係調整の困難、日米における費用負担、日本国内における政治や社会の混乱といった有形無形の負荷を覚悟しなくてはなりません。 では、効果について考えてみます。つまり、現在の「核の傘」に比べて抑止力がどう改善するかということです。 まず、「傘」と「シェアリング」の違いとして、物理的な核兵器の場所が異なります。「傘」の場合は米国支配下のどこか、多くの場合は深海で任務に就いているミサイル原潜になります。一方で「シェアリング」の場合は、明確に日本領内ということになります。また「シェアリング」の場合は、その核弾頭は明確に日本に供与され、NATOの前例を参考にするのであれば有事においては日米の共同管理になります。 仮に日本が核攻撃の第1撃を受けたとします。その場合に核抑止力の理論としては、攻撃した国への反撃が行われることになっています。その場合に、「傘」には問題があります。つまり米国は、日本が核攻撃された場合、自国への核攻撃(第3撃としての反撃)を覚悟し、自国民を危険に晒してまで反撃(第2撃)をするかという問題です。 どうして「シェアリング」の可能性が議論されるのかというと、この米国が危険を冒して反撃してくれる可能性が100%ではないという疑念があるからです。もっと言えば、日本が疑うというよりも、相手国が「米国によって反撃されない可能性」に賭けて第1撃を撃ってくる可能性があるということです。 では「シェアリング」の場合はどうかというと、これは核弾頭が日本に抑止目的で配備されているわけですから、核攻撃に対する反撃はその弾頭になります。仮にそうであっても持ち主が米国であれば、第2撃に対する反撃、つまり第3撃が米国に来る可能性があり、それを考慮して米国が躊躇する可能性はあるでしょう。ですが「傘」の場合よりは、低くなります。なぜならば、日本に配備されている核弾頭による反撃は、日本との共同ということになり、再反撃のリスクの一部は日本に行くからです。 つまり、米国としては第3撃が日本に向かう、つまり米国に来ないという判断を前提に、日本と一緒に反撃(第2撃)を行うわけです。その分、日本には反撃後にその再反撃(第3撃)を受けるリスクは高くなります。 問題は米国が反撃を躊躇する可能性とか、反撃後に第3撃が日本に飛んでくる可能性といったリスクの総計を考えて、どちらが日本に有利かという比較をすることではありません。そうではなくて、どちらが「より相手に第1撃を思いとどまらせる」か、つまり「確実な抑止力になるか」ということだと思います』、「持ち主が米国であれば、第2撃に対する反撃、つまり第3撃が米国に来る可能性があり、それを考慮して米国が躊躇する可能性はあるでしょう。ですが「傘」の場合よりは、低くなります。なぜならば、日本に配備されている核弾頭による反撃は、日本との共同ということになり、再反撃のリスクの一部は日本に行くからです」、「問題は」、「どちらが「より相手に第1撃を思いとどまらせる」か、つまり「確実な抑止力になるか」ということ」、なるほど。
・『軍拡競争を招く危険  これとは別に、いくら抑止力確保のためであっても、相手国から見れば日本が核攻撃能力を得たという理解から、日本が「第1撃」を撃ってくる可能性は否定できなくなります。そうすると、相手国は核弾頭をより多く日本に向けることとなり、そうすると核による軍拡競争となって当初想定していた配備と維持のコストが増加し、いつまでも「安全が保障されない」危険もあります。 以上は「戦略核」の場合ですが、例えば上陸作戦部隊や戦車部隊の侵入を抑止するための「戦術核」をシェアリングする場合は、効果の計算は別になります。ですが、NPT条約改定という難しい交渉、外交による周辺国との関係の再調整、国論分裂による社会の混乱など、コストの部分は同じように重くのしかかってきます。 いずれにしても、NPTとの両立の方策はあるのか、そもそも確実に抑止力が向上するのか、外交や通常兵器によるバランスなどを含めて、より日本の安全は確保されるのか、それに対してコストは十分に見合うのかという議論はやっておいた方がいいと思います。入り口のところでタブー視するというのは、かえって推進派を勢い付かせるだけですし、安全保障に関する重要な議論を曖昧なまま放置することにもなりかねません』、「いくら抑止力確保のためであっても、相手国から見れば日本が核攻撃能力を得たという理解から、日本が「第1撃」を撃ってくる可能性は否定できなくなります。そうすると、相手国は核弾頭をより多く日本に向けることとなり、そうすると核による軍拡競争となって当初想定していた配備と維持のコストが増加し、いつまでも「安全が保障されない」危険もあります」、「NPTとの両立の方策はあるのか、そもそも確実に抑止力が向上するのか、外交や通常兵器によるバランスなどを含めて、より日本の安全は確保されるのか、それに対してコストは十分に見合うのかという議論はやっておいた方がいいと思います。入り口のところでタブー視するというのは、かえって推進派を勢い付かせるだけですし、安全保障に関する重要な議論を曖昧なまま放置することにもなりかねません」、同感である。

第三に、6月6日付け現代ビジネス「暴走プーチンの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら…その「地獄」を完全シミュレーションする」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95814?imp=0
・『人類史上、3度目の災禍がついに起こってしまうのか。世界の命運は暴走する独裁者たちに握られ、日本人の命もその例外ではない。恐ろしくても現実を直視しなければ、生き延びることはできない』、興味深そうだ。
・『核兵器は再び使われるのか  1945年10月。東京帝国大学理学部教授・渡邊武男は、核爆弾投下直後の広島市中心部に入り、目をみはった。散乱する煉瓦や屋根瓦の表面に細かな泡が見える。鉱物が沸騰した痕跡だ。数千℃を超える熱線を浴びなければ、このような現象は起こらない。 それから77年、核の脅威が再び人類に鎌首をもたげている。他ならぬロシアによってである。 これほど「核兵器が使われたら」という議論が盛んになったのは、冷戦終結後初めてのことだ。しかし一方で、もし頭上で核が炸裂したときに何が起きるか、生き残る術はあるのか、正確に知る人は少ない。核の脅威が現実のものとなった以上、その知識は誰もが持っておく必要があるだろう。 本誌は今回、物理学・工学分野で世界トップクラスの名門校、米スティーブンス工科大学で核兵器開発史を研究するアレックス・ウェラースタイン教授の協力を得た。核攻撃シミュレーションプログラム「NUKEMAP」の開発者だ。 「このプログラムを使うと、世界各地の任意の場所に任意の破壊力の核爆弾を落とすシミュレーションができます。最大の特徴は、破壊範囲だけでなく死傷者数も計算できること。人口のリアルタイム推定値を利用し、爆風の圧力や温度などを求める特殊な方程式を当てはめて割り出しています」』、「核攻撃シミュレーションプログラム「NUKEMAP」」があるとはさすが米国だ。
・『新宿上空で炸裂したら  このNUKEMAPを用いて、日本の大都市や防衛拠点が核攻撃を受けた場合の詳細なシミュレーションをおこなった。結果は本記事の後編『埼玉・川崎・浦安まで壊滅 プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来、その驚愕の「威力と死者数」』の図に示している。東京を例にして、詳しく見ていこう。 条件はこうだ。広島型原爆の50倍、800キロトンの威力をもつ戦略核兵器を搭載したロシアの大陸間弾道ミサイル(ICBM)が、東京を目標として飛来。核弾頭が大気圏へ突入し、西新宿にある東京都庁の上空、高度600m地点で炸裂すると仮定する。 ロシアの戦略核は、全て水素爆弾(核融合爆弾)だ。現代の大型核兵器は、かつて広島や長崎を焦土にした原子爆弾(核分裂爆弾)を、水爆の「起爆装置」として利用する仕組みになっている。 「弾頭の前側にある核分裂爆弾が爆発し、放出された中性子と高熱が、後部に仕込まれた『セカンダリ』と呼ばれる水爆本体を起爆させる。この過程はわずか100万分の1秒の間に起こります」(自衛隊関係者) その瞬間、東京のど真ん中にまばゆい太陽が出現する。表面温度30万℃の火の球は、1秒足らずで半径900mまで膨張し、直下にある建物、人、全てを蒸発させる』、「広島型原爆の50倍、800キロトンの威力をもつ」「水素爆弾」、とは恐ろしい。
・『「ホープレス・ゾーン」  「爆心付近のこの領域を、私は『ホープレス・ゾーン』と呼んでいます。運悪くここにいた場合、気の毒ですが、何もできることはありません」(前出・ウェラースタイン氏) 都庁周辺には深さ100m・直径400mのクレーターができるが、それを生きて目にする人はいない。JR新宿駅のあたりまで数万度の高温にさらされ、人も物も原子へと還ってしまう。 火球は3秒ほどで消えるように見えるが、終わりではない。目に見えない超高熱の赤外線が、全方向を焼き尽くすのだ。爆心地から半径3kmほどの範囲では、熱線で人や物の影が地面に焼き付けられる。それより遠くにいる人も、肉まで焦がされて焼け死ぬことになる。 次に襲ってくるのが衝撃波、つまり爆風だ。核爆発で生まれた火球は音速をはるかに超えるスピードで膨張するため、空気と衝突して衝撃波が発生する。かろうじて熱線に耐えた建物なども粉砕され、砕かれたガラスや瓦礫が弾丸のように飛ぶ。ここまで、まだ起爆後10秒も経っていない。 「図のエリア2、半径約6.5kmの範囲では、ほとんどの建造物が破壊されます」(前出・ウェラースタイン氏) 東京でいえば、東は皇居を越えて丸の内や東京駅まで。西は環状8号線のあたりまでがこの範囲に該当する。衝撃波のもたらす圧力はあまりに強く、エリアの外周にいた場合でも、衝撃で内臓や骨、脳を破壊されたり、脳震盪を起こしたりして意識を失うケースが多い。 超高温で加熱された爆心周辺の空気は、猛烈な上昇気流を巻き起こし「キノコ雲」が生じる。同時に、衝撃波で一度吹き飛ばされた空気が一気に戻ってくるため、至るところで火災が起きる。木造の建物や布はひとりでに燃え出し、灼熱地獄と化すのだ。 プーチンの核ミサイルが東京都心を直撃した場合、被害はこれだけでは収まらない。日本の首都機能はどうなるのか。後編記事「埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル『東京都心』に襲来、その驚愕の『威力と死者数』」で引き続き紹介する』、「「ホープレス・ゾーン」では、人々は瞬時に蒸発してしまうので、ある意味で楽だといえるかも知れない。

第四に、この続きを、6月6日付け現代ビジネス「埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来、その驚愕の「威力と死者数」」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95815?imp=0
・『もし、ロシアの弾道ミサイルに搭載された核兵器が新宿上空で炸裂したら……第二次大戦で使用された核をはるかに超える威力の熱線と衝撃波によって、東京23区の大部分が焼き尽くされてしまうことを前編記事「暴走プーチンの核ミサイルが『東京・新宿上空』で炸裂したら…その『地獄』を完全シミュレーションする」で見てきた。後編では、図解で被害の範囲を明らかにし、生き延びるための術をお伝えする』、興味深そうだ。
・『被害はさいたま市、川崎市にも及ぶ  後掲の図に(3)の円で示した半径約11kmの範囲にある人や物は、エリア2内のように瞬間的に焼き尽くされ破壊されるわけではないが、それでも危険なことに変わりはない。 「この範囲では、真皮を越えて皮下組織まで及ぶ、3度の重い火傷を負う人が多数出ます。広島では、爆心地から4km離れた場所にいた人が火傷を負ったとの報告もありました。水爆の威力は広島に投下された核の数十倍ですから、熱線のもたらす被害ははるかに広範囲に及ぶでしょう」(同) 葛飾区・墨田区・江戸川区を除く東京23区のほぼ全域が、このエリア3に含まれる。 衝撃波は爆心地から離れるほど衰えてゆくが、800キロトンの戦略核兵器の場合、それでも半径約18.4kmの範囲では窓ガラスが割れるなどの被害が生じる。図中の(4)で示したエリアだ。南は多摩川を越えて神奈川県川崎市のほぼ全域、北は埼玉県さいたま市の浦和駅周辺、東は江戸川区と千葉県市川市の境界である江戸川までが含まれる。 「被害が比較的軽いエリアと言っていいですが、爆心地からやや離れているため、火球を直視してしまう可能性が高い。網膜に火傷を負い、視力を失ってしまうことも考えられます。閃光で一時的に何も見えなくなるため、交通事故などの二次災害も懸念されます」(同)』、「半径約11kmの範囲」、「では、真皮を越えて皮下組織まで及ぶ、3度の重い火傷を負う人が多数出ます」、そんなので苦しむより都心部のように瞬時に蒸発した方が楽かも知れない。
・『日本各地が同時に壊滅  一連の爆発で発生するキノコ雲は高度30kmに達し、晴れていれば東海地方や東北からも視認できる。予想される被害は、死者133万9000人、負傷者429万4920人。東京23区住民の半分以上が死傷し、日本の国家機能は停止する。 さらに悪いことに、破壊されるのは東京だけではないかもしれない。この秋にもロシアが配備する大型ICBM「サルマト」は、MIRVと呼ばれる多弾頭システムを採用し、一発に10以上の核弾頭を搭載している。800キロトンの威力を持つ弾頭それぞれがマッハ20の超スピードで独立して飛び、複数の目標めがけて落下する。爆撃機からゆっくり投下された、77年前の核とは全く違うのだ。 大気圏に突入するMIRVの弾頭は、空を切り裂く美しい光の筋のように見えるという。だが、目撃した人は次の瞬間に蒸発する。迎撃はまず不可能だ。たった一発のサルマトによって、日本全土に地獄絵図が現出するのである。 中国はサルマトと同様のMIRVミサイル「DF-5」シリーズを持つ。中でも'15年に就役したDF-5Bには、一発に400キロトンの核弾頭が3つ搭載されている。サルマトには及ばないが、壊滅的な威力であることに変わりはない』、「大型ICBM「サルマト」は、MIRVと呼ばれる多弾頭システムを採用し、一発に10以上の核弾頭を搭載している。800キロトンの威力を持つ弾頭それぞれがマッハ20の超スピードで独立して飛び、複数の目標めがけて落下」、「中国はサルマトと同様のMIRVミサイル「DF-5」シリーズを持つ」、恐ろしいことだ。
・『北朝鮮もロシア並みの核を持つ  気になるのは、実験と称して弾道ミサイルを撃ちまくっている北朝鮮だ。拓殖大学海外事情研究所客員教授の武貞秀士氏が言う。 「これまで『北朝鮮は核の小型化に苦労している』と言われてきましたが、金正恩体制はむしろ核の運搬手段であるミサイルの高性能化や大型化に成功しつつある。たとえば最近、同じ日に弾道ミサイルを何発も撃っていますが、これは同じ気象条件で燃料の量や点火のタイミングを微妙に変えて実験を行っているということ。つまり高性能ミサイルの開発が最終調整段階にあるということです」 さらに金正恩は、'17年9月に水爆実験も成功させたと発表している。もし事実ならば、北朝鮮はロシアや中国のものと遜色ない威力の核兵器を手にしていることになる。 「もし現実に北朝鮮が核を使用する場合、反撃を防ぐために沖縄や三沢、横須賀など自衛隊・米軍の拠点を狙う可能性が高い。アメリカは『北朝鮮が核ミサイル発射の兆候を見せただけでも即、先制攻撃する』との原則を守っていますが、ウクライナの状況を見ると、実際には難しいでしょう。 核の先制使用のゴーサインを出し、責任を取れる政治家は、今のアメリカにはいないのです」(武貞氏)』、「北朝鮮はロシアや中国のものと遜色ない威力の核兵器を手にしていることになる」、「核の先制使用のゴーサインを出し、責任を取れる政治家は、今のアメリカにはいないのです」、「北朝鮮が核ミサイル発射の兆候を見せただけでも即、先制攻撃する』との原則」は現実に適用するのは、確かに難しそうだ。
・『その瞬間、まずやること  北朝鮮やロシア極東、中国から核ミサイルが発射された場合、時間的猶予は最短30秒、最長でも10分ほどしかない。生き残る術はあるのか。ウェラースタイン氏が語る。 「日本にはJアラートという緊急警報があると聞いています。警報が鳴ったら、どこでもいいのでコンクリートの建物に入ってなるべく奥へ逃げるか、地下街や地下鉄駅に逃げ込んでください。地下にいれば衝撃波や熱線、放射性物質を浴びずに済む可能性が高まります」 地下へ逃げ込むなら、入り口からできるだけ離れる。衝撃波で吹き飛ばされたり、その後の吹き戻しで外へ吸い出される可能性があるためだ。広島や長崎でも、運よく防空壕や地下室へ逃げ込んでも、爆風が流れ込んで亡くなった人がいた。 「それが難しければ、地震のときと同様に、窓から離れて机の下へ入り、体を可能な限り小さく丸めてください。衝撃波や熱線に触れる面積をできるだけ少なくするのです。 爆発が収まっても、すぐ外へ出てはいけません。大量の放射線や放射性物質にさらされるからです。最低でも数時間、できれば数日はその場を動かないのが賢明です」(同) もっとも、この地獄を生き延びたとして、平穏な日常が戻ってくることはないだろう。核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器なのである』、「北朝鮮やロシア極東、中国から核ミサイルが発射された場合、時間的猶予は最短30秒、最長でも10分ほどしかない」、「警報が鳴ったら、どこでもいいのでコンクリートの建物に入ってなるべく奥へ逃げるか、地下街や地下鉄駅に逃げ込んでください。地下にいれば衝撃波や熱線、放射性物質を浴びずに済む可能性が高まります」、「この地獄を生き延びたとして、平穏な日常が戻ってくることはないだろう。核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器なのである」、「核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器」とは言い得て妙である。
タグ:核武装 (その1)(日本はなぜ世界で唯一の「無法」国家なのか? 被爆国に問われる責務 9条があるから大丈夫 ではない!、日本における核共有(シェアリング)の効果とコスト、暴走プーチンの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら…その「地獄」を完全シミュレーションする、埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来 その驚愕の「威力と死者数」) 現代ビジネス 伊勢崎 賢治氏による「日本はなぜ世界で唯一の「無法」国家なのか? 被爆国に問われる責務 9条があるから大丈夫、ではない!」 「首謀者のリーダー格を殺害し続けることしか、大統領としてアメリカ国民に顕示できる「戦果」がないのです。政治的和解の交渉には、相手の指揮命令系統を温存し、常にそのトップと交渉しなければならないのに、これを壊すと相手側の構造が無秩序となり、交渉どころではなくなります。こんな簡単なことが分かっていても、「ドローン攻撃」をやるしかない。まさに堂々巡りです」、その後、バイデン大統領が強引に撤兵し、タリバン支配に委ねた。 「「核兵器禁止条約」は、「まだ、核を実際に保有している国々が批准していないので、「国際人道法」の一つと見なされるには更なる努力が必要ですが」、「国際人道法上の「戦争犯罪」に位置付けることを目的にしている」、なるほど。 「「戦争犯罪」では、命令した者、もしくは、直接その命令を発さなくてもその地位にいた者を、誰より優先的に裁くことが求められるのです」。「これが、個人の生命身体を守るために、実行犯を中心に罰することを目的とした「刑法」とはベクトルが違う、国際人道法が目指す法益です」、確かに「実行犯を中心に罰」しても意味はな」く、「命令した者・・・その地位にいた者を裁くことが求められる」、よく理解できた。 「日本」は「国際人道法の法益に応える国内法はありません。 たぶん、世界で唯一」、何故なのだろう。 確かに「日本」の「刑法」では「実行犯を中心に処罰」する体系だ。 「歴代の日本政府は、批准したジュネーブ条約群の国際法が求める国内立法義務を現行法で果たしているという説明をしてきた」、しかし、「国際人道法が求める法益の実現は、あくまで、命令した者を犯罪の中心とし、その下位の者の責任をどこまで問えるかを考えるのです・・・日本の現行法とは、ベクトルが真逆」、「衆議院法制局のチームと達した結論は、刑法をはじめとする現行法の微調整では、国際人道法の法益に応えるのは不可能であり、まったく新しい法体系を日本に導入するしかないという結論に達しました」、なるほど。 「「9条が戦争しないと誓っているのだから戦争犯罪を想定しなくていい」。これが、9条下でも必要最小限であれば実力組織が持てるとしてきた日本の憲法学、そして日弁連などの法曹界。他方、9条下でもできると軍拡・・・を推し進めてきた歴代の自民党政権。この双方の安全神話になってきたのです。無法の安全神話です」、これが本当の要因か否かはもっと検討する必要がある。ただ、国内法整備に向けた伊勢崎氏の努力は大いに評価すべきだ。 Newsweek日本版 冷泉彰彦氏による「日本における核共有(シェアリング)の効果とコスト」 「NPT維持」のためには、「加盟国との条約改定交渉で合意を取り付けて乗り切るという難しいプロセスを経なくてはなりません。 「持ち主が米国であれば、第2撃に対する反撃、つまり第3撃が米国に来る可能性があり、それを考慮して米国が躊躇する可能性はあるでしょう。ですが「傘」の場合よりは、低くなります。なぜならば、日本に配備されている核弾頭による反撃は、日本との共同ということになり、再反撃のリスクの一部は日本に行くからです」、「問題は」、「どちらが「より相手に第1撃を思いとどまらせる」か、つまり「確実な抑止力になるか」ということ」、なるほど。 「いくら抑止力確保のためであっても、相手国から見れば日本が核攻撃能力を得たという理解から、日本が「第1撃」を撃ってくる可能性は否定できなくなります。そうすると、相手国は核弾頭をより多く日本に向けることとなり、そうすると核による軍拡競争となって当初想定していた配備と維持のコストが増加し、いつまでも「安全が保障されない」危険もあります」、「NPTとの両立の方策はあるのか、そもそも確実に抑止力が向上するのか、外交や通常兵器によるバランスなどを含めて、より日本の安全は確保されるのか、それに対してコストは十分に見合 現代ビジネス「暴走プーチンの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら…その「地獄」を完全シミュレーションする」 「核攻撃シミュレーションプログラム「NUKEMAP」」があるとはさすが米国だ。 新宿上空で炸裂したら 「広島型原爆の50倍、800キロトンの威力をもつ」「水素爆弾」、とは恐ろしい。 「「ホープレス・ゾーン」では、人々は瞬時に蒸発してしまうので、ある意味で楽だといえるかも知れない。 現代ビジネス「埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来、その驚愕の「威力と死者数」」 「半径約11kmの範囲」、「では、真皮を越えて皮下組織まで及ぶ、3度の重い火傷を負う人が多数出ます」、そんなので苦しむより都心部のように瞬時に蒸発した方が楽かも知れない。 「大型ICBM「サルマト」は、MIRVと呼ばれる多弾頭システムを採用し、一発に10以上の核弾頭を搭載している。800キロトンの威力を持つ弾頭それぞれがマッハ20の超スピードで独立して飛び、複数の目標めがけて落下」、「中国はサルマトと同様のMIRVミサイル「DF-5」シリーズを持つ」、恐ろしいことだ。 「北朝鮮はロシアや中国のものと遜色ない威力の核兵器を手にしていることになる」、「核の先制使用のゴーサインを出し、責任を取れる政治家は、今のアメリカにはいないのです」、「北朝鮮が核ミサイル発射の兆候を見せただけでも即、先制攻撃する』との原則」は現実に適用するのは、確かに難しそうだ。 「北朝鮮やロシア極東、中国から核ミサイルが発射された場合、時間的猶予は最短30秒、最長でも10分ほどしかない」、「警報が鳴ったら、どこでもいいのでコンクリートの建物に入ってなるべく奥へ逃げるか、地下街や地下鉄駅に逃げ込んでください。地下にいれば衝撃波や熱線、放射性物質を浴びずに済む可能性が高まります」、「この地獄を生き延びたとして、平穏な日常が戻ってくることはないだろう。核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器なのである」、「核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器」とは言い得て妙である。
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東芝問題(その43)(「東芝の混乱は 日本の原子力政策の混乱を象徴している」東芝を"崩壊"させた経産省の罪深さ 選挙に響くから…元凶は国が原子力事業への方針を定めなかったこと、東芝迷走の原因はメディアと有識者にある、東芝 再建策に影を落とす「取締役選任への異論」 ファンド推薦の候補者2人は賛同を得られるか) [企業経営]

東芝問題については、昨年11月22日に取上げた。今日は、(その43)(「東芝の混乱は 日本の原子力政策の混乱を象徴している」東芝を"崩壊"させた経産省の罪深さ 選挙に響くから…元凶は国が原子力事業への方針を定めなかったこと、東芝迷走の原因はメディアと有識者にある、東芝 再建策に影を落とす「取締役選任への異論」 ファンド推薦の候補者2人は賛同を得られるか)である。

先ずは、本年3月9日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの磯山 友幸氏による「「東芝の混乱は、日本の原子力政策の混乱を象徴している」東芝を"崩壊"させた経産省の罪深さ 選挙に響くから…元凶は国が原子力事業への方針を定めなかったこと」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/55360
・『「モノ言う株主」が実質株主になっている  東芝が迷走を続けている。昨年11月、グループを3分割する計画を公表したものの海外ファンドなど大株主が反対したことから2月には2分割案に修正した。それでも混乱が収まらず、3月1日に綱川智社長と畠沢守副社長が同日付で突如退任する事態に陥った。3月24日に予定している臨時株主総会は実施し、従来方針のまま2分割案を議題として諮るとしている。もっとも、否決された場合は、新分割案を修正するともしており、東芝がどんな形で存続していくのか、見通せない状況が続いている。 東芝の大株主上位には2021年3月末現在、証券保険業務を行う金融機関の名前が並び、「モノ言う株主」と言われる海外の投資ファンドが実質株主になっている。提出されている大量保有報告書によると、旧村上ファンドの幹部だった高坂卓志氏らがシンガポールで立ち上げたエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが実質筆頭株主、シンガポールの資産運用会社、3Dインベストメント・パートナーズが2位、米国の資産運用会社ファラロン・キャピタル・マネジメントなどが上位を占める。東芝が公表したデータでは、発行済株式の50.44%を「外国法人等」が保有している』、「発行済株式の50.44%を「外国法人等」が保有」、こうした混乱はかねてから予想されていたものだ。
・『会社分割案を決める前に、経営執行体制を整えるのが筋  また、24.14%を第一生命保険や日本生命保険など「金融機関」が持つ。こうした国内金融機関も「スチュワードシップ・コード」によって保険契約者の利益につながるかどうかで投票方針を決めるため、必ずしも経営陣支持に動くとは限らない。 昨年の株主総会では、会社側が提案していた、取締役会議長だった永山治・中外製薬名誉会長の取締役再任議案が否決された。結局、社外取締役で永山氏の後任を引き受ける人物は現れず、綱川社長が議長を兼ねた。今回、綱川氏は社長を退任したものの、取締役会議長にはとどまる。東芝はガバナンス体制の強化に向けて社外取締役から議長を選ぶとしてきたが、混乱が続く中で、社外の経営者が誰も引き受けない事態が続いている。 綱川氏は退任の理由について会見で「引責辞任ではない」と強弁していた。「新体制が見えないと(臨時総会で)投票しにくいという声があった」としていたが、本来は会社分割案を決める前に、東芝の経営執行体制を整えるのが筋だという批判は根強い。一方で、綱川氏ら現経営陣は、海外ファンドなどが選ぶ社外取締役が経営の実権を握ることに強く抵抗している。投資ファンドの多くは、短期的な資金回収を狙っており、東芝が持つ事業の売却などで利益を得ようとしているという』、「現経営陣は、海外ファンドなどが選ぶ社外取締役が経営の実権を握ることに強く抵抗している。投資ファンドの多くは、短期的な資金回収を狙っており、東芝が持つ事業の売却などで利益を得ようとしているという」、「投資ファンド」に屈する必要はない。
・『会社を破綻処理しなかったことに元凶がある  経営側は、発行済み株式の4割を保有する半導体大手キオクシアホールディングスの株式売却で株主への利益還元を行うことでファンド側の理解を得て、分割した新会社を上場させることで、海外ファンドの呪縛から解き放たれようとしていると見られる。どれだけ株主還元するかが、ファンド側との条件闘争のような様相を呈しており、エレベーター事業や照明事業の売却でその利益を株主還元に回すとしている。 なぜ、ここまで東芝はボロボロになったのか。 会社を破綻処理せず、形の上で存続させることにこだわったことが大きな要因だろう。粉飾決算と子会社だった米ウェスティングハウスの巨額損失が表面化した2016年の段階で、いったん会社更生法を申請し、債務処理を行っていれば、再生できていたかもしれない。東芝メディカルシステムズのキヤノンへの売却を始め、優良な事業の売却で辻褄を合わせ、会社を存続させることに終始したことから、事業の多くを切り売りするハメになった。破綻処理をすれば債権放棄などが求められる銀行主導で再建策が作られたことが大きい。 極め付けは資本不足を補って上場維持をするために2017年末に大規模な第三者割当増資を実施。海外機関投資家を呼び込んだことだ。これによって会社は存続し、上場も維持されたが、その後、投資ファンドに翻弄されることになった』、「2016年の段階で、いったん会社更生法を申請し、債務処理を行っていれば、再生できていたかもしれない」、「破綻処理をすれば債権放棄などが求められる銀行主導で再建策が作られたことが大きい。 極め付けは資本不足を補って上場維持をするために2017年末に大規模な第三者割当増資を実施。海外機関投資家を呼び込んだことだ。これによって会社は存続し、上場も維持されたが、その後、投資ファンドに翻弄されることになった」、無茶な「大規模な第三者割当増資」が元凶になったようだ。
・『存続を支えていた経産省の責任も大きい  東芝の経営者が会社の形上の存続にこだわったのは、破綻処理すれば自身の責任が問われることが大きかったが、裏で存続を支えていた経済産業省の責任も大きい。 ウェスティングハウスの買収は、経済産業省の原子力発電政策の一環として、いわば「国策」で進められていたことは明らか。2015年に発覚する粉飾決算も、リーマンショック時に経営危機に陥っていた東芝を経産省など霞が関が「救済」していたことが遠因になっている。事実上、破綻していたものを存続させるためのやりくりのひとつが粉飾決算だったと見られている。これも、国の原子力事業を担ってきた東芝に対する経産省の「意思」が反映されていたと見ていい。 その後、モノ言う株主の排除に向けて経産省の関係者が「介入」していたと見られる問題が発覚し、米国メディアなどでも報じられたが、それも、原子力事業へのファンドなどへの関与を回避したい経産省の思いがあったと見られている』、「裏で存続を支えていた経済産業省の責任も大きい」、むしろ「経済産業省の責任」の方が「大きい」が適切だと思う。
・『背景にあるのは「国の原子力事業への方針」  逆に言えば、今の東芝の迷走も、国の原子力事業への方針が定まらないことが大きい。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故以降、政治は原発の将来の方向性について議論することを避け続けている。安全性が確認されたものから再稼働するとはしているものの、将来的には原発依存を下げていくともしている。そうした中で、原子力技術を将来にわたってどう継承していくのか。抜本的に考えることすら放棄している。国民世論を二分する原発に「前向き」な政権だとなれば、選挙に響くと考えているからだろう。 民間電力会社に原発を維持させている原発政策にしても、今後どうするのか不明なままだ。現状の原発は、いずれ稼働年限が来て廃炉になっていくが、原発の新設の可否どころか、リプレイス(建て替え)の議論すら事実上タブーになっている。仮にリプレイスをするにしても、それを民間の「事業」として行うのか、国の事業として行っていくのかも、まったく議論されていない。経産省の一部には原発をすべて国有会社に集約すべきだという意見もあるが、政治が議論を避けている中で、一向に方向が定まらない』、「経産省の一部には原発をすべて国有会社に集約すべきだという意見もあるが、政治が議論を避けている中で、一向に方向が定まらない」、「政治」の無責任さは余りに酷い。
・『日本の原子力政策の混乱を象徴している  そんな状況の中で、原子力技術の研究開発や、原発新設、廃炉などの事業を東芝や日立などの民間会社に「独自に」行わせる体制を続けられるのか。東芝は福島第一原発の廃炉作業に大きく関与しており、会社のあり方が定まらない中で、本来、国が責任を持たねばならない廃炉作業が宙に浮く危険性もはらんでいる。 本来は、会社を分割するなど東芝が事業形態を見直す前段階として、国が今後の原発事業をどうしていくのか、方向性を明確にする必要がある。さもなければ、東芝の持つ原子力事業や技術を将来にわたってどうしていくのか、より国の管理に近い事業体に変えていくのか。あるいは日立などに集約していくのか、議論が進まない。 ロシアによるウクライナへの侵攻で、原油価格が高騰を続けている。また、西側諸国がロシア産原油・ガスの輸入停止に踏み切れば、価格高騰だけでなく、エネルギー確保にも重大な支障を来しかねない。そんな中で、将来のあり方を議論することなく、原発へのなし崩し的な依存へと進んでいく可能性もある。そうなれば、東芝はまたしても国策に振り回されることになるかもしれない。 東日本大震災からまもなく11年。東芝の混乱は、日本の原子力政策の混乱を象徴していると言ってもいいだろう』、「本来は、会社を分割するなど東芝が事業形態を見直す前段階として、国が今後の原発事業をどうしていくのか、方向性を明確にする必要がある。さもなければ、東芝の持つ原子力事業や技術を将来にわたってどうしていくのか、より国の管理に近い事業体に変えていくのか。あるいは日立などに集約していくのか、議論が進まない」、「東芝」だけに押し付けず、本来、国が前面に立ってリーダシップを取ってゆくべきだろう。

次に、5月31日付けアゴラが掲載した財務省出身で慶応義塾大学准教授の小幡 績氏による「東芝迷走の原因はメディアと有識者にある」を紹介しよう。
https://agora-web.jp/archives/220530052755.html
・『東芝は迷走を続けているが、迷走が、ついに餌食として食い尽くされる局面にまで進んできてしまった。 なぜなら、6月末の株主総会へ向けて、ようやく会社側の提案する取締役候補のメンバーが固まったのだが、それが世界的に常識となっているコーポレートガバナンスのスタンダートから大きく外れるばかりか、もっともやってはいけない陣容になってしまったからだ。 新しく取締役に加わるのは7名で、そのうちの2名は執行役員と兼任だから、日本でいうところの社内であり、それ以外の5名が社外取締役である。そのうちの2名が、東芝の現在の大株主であるファンドの幹部である。 これは最悪だ。 絶対にやってはいけない例として、コーポレートガバナンスの教科書に出てくる、最悪の取締役人事である。 東芝は、この候補者を発表したプレスリリースの中で、こう言っている。 株主からの代表が取締役会に参加することにより、株主と経営陣はより足並みをそろえることができます。 180度間違いだ。 これは一番やってはいけないことだ。 東芝は、取締役の役割と、コーポレートガバナンスの役割と、両方ともまったくわかっていないだけでなく、180度逆に理解している。 取締役とは、すべての投資家の代理として、経営陣を監視する役割である。 ここで大事なのは、「すべての投資家」の代理、ということである。「特定の」株主の代理ではない。 上場企業における取締役は、潜在的な株主、つまり上場企業の株主には、誰でも株式を取引所で買えばなりうるわけであり、「彼らの評価が高い」ということが企業価値であり、「株価が高い」ということになる。すなわち取締役が代表するのは、現在株式を保有しているすべての株主と、それに潜在的な株主、将来株主になり得る投資家である。 株価は、新たにその会社の株式を買う人が決める値段、払う価格であるから、潜在的な投資家は極めて重要な取締役が代表すべき投資家たちである。 それにも関わらず、現在の株主の代理人、しかも特定の大株主の代理人を取締役にする。それは現在の株主を有利に扱い、将来の株主を犠牲にしているのである。 経営陣および社員は、今後もその会社、ここでは東芝と命運をともにするから、会社の長期的利益を最大化しようとする。同時に、潜在的な株主は、将来東芝株を買って、さらにその先の将来に売却する可能性があるわけだから、長期的な企業価値を大事にする。しかし、現在の株主の利益だけを考える取締役は、現在の株価を優先に考えるから、長期の企業価値を最大化しない可能性がある。 これが第一の問題点である』、「経営陣および社員は・・・東芝と命運をともにするから、会社の長期的利益を最大化しようとする」、「潜在的な株主は・・・長期的な企業価値を大事にする」、しかし、「現在の株主の利益だけを考える取締役は、現在の株価を優先に考えるから、長期の企業価値を最大化しない可能性がある」、確かに問題だ。
・『しかし、第二の問題点は、遥かに深刻で致命的だ。 それは、20世紀末に経済学会で確立し、企業の実際のガバナンスの基本として世界中の法制度に取り込まれた原則、「ガバナンスとは、経営陣と株主の対立ではなく、株主と株主の対立をターゲットとし、大株主が、一般の少数株主の利益を奪うことを防止することが最重要である」という不動の真理、これに真っ向から反しているからである。 特定大株主はガバナンスの敵である。仮想敵国である。彼らが、外部の少数株主の利益を損なわないように、一般の株主全体の利益を損なわないように、すべてのガバナンス法令は存在するのである。少数株主は、株主総会の投票で数の力で負けてしまうから、少数派の権利を守るために、法律があり、重要な決定に反対したにもかかわらず、数で押し切られた場合には、株式の買い取り請求が認められており、1株1票の原則、利益配分の平等性の確保のための配当原則、などが決められているのである。 例えば、大株主が、彼らの関係する別の企業に有利なように会社と契約を結ばせることや、戦略的にこの会社を利用することは、その他の株主の利益を大きく損ねるのである。 したがって、ファンドの代表を取締役に入れることは絶対にやってはいけないのである。ファンドが複数集まり、過半数を超えていたとしても、ファンドの短期的な売却利益追求が、長期の企業価値を損なうとその他の少数株主が思った場合には、ファンド主導で決められた決定がなされる前の株価で買い取り請求ができるように法律は作られているのである。法律で守り切れないところは、取締役が、すべての株主の利益を平等に守るためにいるのである。これが取締役の役割の本質である。 そして、経営陣は大株主に選ばれているから、経営陣は大株主の言いなりになることが普通なので、実は、大株主と経営陣の利害対立というのは本質的な問題ではなく、大株主と一般株主の対立こそが、ガバナンスの最大のイシューなのである。それが20世紀の末にアンドレシュライファーというハーバードの教授のグループの研究により確立し、世界銀行も世界各国の政府も、この考え方に倣ってガバナンス関連法制度を整備してきたのである。 したがって、ファンドという大株主の代理人を取締役にするのは、もっともガバナンスが悪い会社なのである。 しかしこれを誰も指摘せず、いままで経営陣側がファンドという大株主の言うことを聞かないのがガバナンスの悪い会社だと批判してきた、有識者、メディア。 こんな無知どころか経済や企業を破壊する有識者とメディアがはびこっている国は、日本だけなのである』、「ファンドという大株主の代理人を取締役にするのは、もっともガバナンスが悪い会社なのである。 しかしこれを誰も指摘せず、いままで経営陣側がファンドという大株主の言うことを聞かないのがガバナンスの悪い会社だと批判してきた、有識者、メディア。 こんな無知どころか経済や企業を破壊する有識者とメディアがはびこっている国は、日本だけなのである」、確かに「有識者、メディア」による「批判」は真逆だ。どうしてこのようなことが起こるのだろう。恐らく、批判の対象としては、最も弱小な「東芝」を血祭にあげ、政府という巨悪には目をつぶっているのが、居心地がいいためなのだろう。

第三に、6月9日付け東洋経済オンライン「東芝、再建策に影を落とす「取締役選任への異論」 ファンド推薦の候補者2人は賛同を得られるか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/595408
・『「10件も応募してくださった。当社の潜在的な価値に対して、大きく期待されていることをうれしく思う」。6月3日に東芝が開いたメディア合同インタビュー。その場で島田太郎社長は笑顔を見せた。 3月下旬の臨時株主総会で、半導体などのデバイス事業を分離する会社分割案が否決された。その後、東芝経営陣は5月30日を期限とし、株式の非公開化を含む経営再建策を「公募」するという異例の方法で、スポンサーを探してきた。 公募に応じて出された提案は島田社長が述べたように計10件。そのうち8件が非公開化を含む内容、2件が上場を維持したうえで資本業務提携を結ぶ、というものだった。 提案をしたスポンサー候補の名前は伏せられている。ただ、市場関係者の間ではCVCキャピタル・パートナーズ、ベインキャピタル、KKRとブラックストーンの連合といった海外ファンドの名前が浮上している。さらに国内勢の産業革新投資機構(JIC)も買収を検討しているもようだ』、やはり、第二の記事で問題にしたファンドが「スポンサー候補」になっているようだ。
・『島田社長は妙に自信ありげ  東芝経営陣はどの提案を選ぶのか。島田社長は、スポンサー選定協議の途中経過と同時に公表した、新たな「経営方針」に合う相手を選びたいようだ。 経営方針で掲げた数値目標はかなり強気だ。2025年度に売上高4兆円、営業利益3600億円を目指すとしている。東芝の2021年度の売上高は約3.3兆円、営業利益は約1590億円。わずか4年で利益を倍以上にするというのだ。2030年度には売上高5兆円、営業利益6000億円を目指すという。 中核とするのがデータビジネス。かみ砕いて言えば、東芝がすでに持っているエレベーターや小売り、発電システムなどのハードから得られるデータをサービスにつなげようという戦略だ。最終的には、量子技術を活用した産業の創出も見据えている。 「ディメンジョン(次元)が違うビジョンになっている」と、島田社長はこの経営方針に自信満々だ。「『この方向に行くなら東芝と一緒にやりたい』と考えてもらいたい」とも語り、スポンサーに歩調を合わせてもらいたいと期待していることが分かる。 ただ、島田社長の思惑どおりに事が運ぶ保証はない。今回手を挙げているスポンサー候補はファンドが中心。「事業の切り売りも含め、短期的な利益を追求するだろう」(ファンド関係者)との見方は強い。 ファンドの考える時間軸は、島田社長が描く中長期の視点と合わない可能性が高い。選ぶスポンサーによっては、経営戦略の前提となる事業そのものが変わってしまう懸念もある。 実際、今回の経営方針では、会社分割案で非注力事業とし売却を検討するとしていたエレベーターや照明、東芝テックなどを、一転して注力事業と位置付けている。外的要因によって、方針が二転三転するような事態も起きかねない』、「ファンドの考える時間軸は、島田社長が描く中長期の視点と合わない可能性が高い。選ぶスポンサーによっては、経営戦略の前提となる事業そのものが変わってしまう懸念もある」、当然だろう。
・『スポンサーは日本勢の参加必須か  さらに問題となるのは、改正外為法上、国がとくに重要な「コア業種」として位置づける原子力や防衛関連の事業を東芝が抱えていることだ。それらの買収には外為法の審査を通過する必要があり、海外のファンド・企業のみでの買収はハードルが高い。日本勢の参加が必須とみられている。 島田社長は外為法について、「バイヤー(買い手)がクリアするハードルだと考えている」と述べた。あくまでその問題をクリアした提案の中から、1つを「選ぶ」というスタンスだ。 現状上がっている候補者の中で、確実に外為法をクリアできそうなのは国内勢のJICくらいだろう。ほかのプレーヤーがこのハードルを乗り越えられるかによって、実際の選択肢の数は変わってくる。 外為法をクリアした提案の中から、東芝が描いた戦略に合うものを選び、すり合わせをしていく。今後この難しい選定は、6月28日の株主総会で選ばれる経営陣によって進んでいくことになる。 ところが、この株主総会からして波乱含みだ。東芝が提案している取締役候補の中には、主要株主である2社の幹部が含まれている。ファラロン・キャピタルマネジメントの今井英次郎氏と、エリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏だ。 ファラロンとエリオットの2社合わせて、約10%の東芝株を保有している。そのため、特定の株主の意見が強く反映されるのではないかと、取締役候補をめぐっては批判が相次いでいる。 今井氏とバンジー氏の選任に当たっては、東芝の内部でも意見が割れている状況だ。スポンサー選定などを協議する特別委員会の委員長であるジェリー・ブラック社外取締役は前述の合同インタビューで、「社外取締役で弁護士の綿引万里子氏が2人の選任に反対した」と明かした。 その理由については「綿引氏の考えを誤って伝える可能性があるため、コメントは控える」とした。2人の新任が認められると、13人の取締役のうち、ファンドの関係者や推薦者である取締役が6人へと増える。そのことを綿引氏は問題視したとみられる。 ブラック氏自身は「株主からの任命であることに注目するのではなく、個々人の能力が重要だった」とし、2人を取締役候補とすることに賛同。「常に全員が合意できるわけではない。指名委員会としては会社の最大の利益のため、このメンバーでいくと決めた」と説明した。 綿引氏が反対をした事実は、東芝の株主総会招集通知にも注記され、株主にも見える形になった。判断は株主たちに委ねられた形だ』、「外為法について、「バイヤー(買い手)がクリアするハードルだと考えている」と述べた。あくまでその問題をクリアした提案の中から、1つを「選ぶ」というスタンスだ」、「外為法」「の問題をクリア」する必要があるとは、難題が加わった形だ。
・『6月末の株主総会が最大の焦点  実は、綿引氏が問題視しているのは、この2名の選任だけではない。指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ氏に対しても、意見を表明した。その意見は、招集通知と共に公表された「第183期報告書」の中に、監査委員の橋本勝則氏との連名で掲載されている。 ゼイジ氏は今年3月の臨時株主総会直前、3Dインベストメント・パートナーズから受けた株主提案に、ツイッター上で個人的に「賛成」を表明した。取締役会が全会一致で決めた「反対」と真逆の意見を発信したのだ。 これについて綿引氏らは、「善管注意義務に反するとまでは言えない」としつつ「ガバナンス不全につながりかねない」と指摘している。東芝の取締役会はまさに内紛状態にあるわけだ。これを株主はどう判断するだろうか。 昨年の定時株主総会では、永山治取締役会議長と小林伸行監査委員の再任が否決された。ほかの取締役についても、ワイズマン廣田綾子氏が56.31%、畠澤守氏が66.26%と、低い賛成率でなんとか選任された候補者が少なくない。 経営方針の実践やスポンサー探しの話をするにも、まずは体制が安定する必要がある。株主推薦の2人やゼイジ氏は無事に承認され、東芝が描く経営体制は敷けるのか。まずは6月28日が最大の焦点となる』、「東芝の取締役会はまさに内紛状態にある」、「経営方針の実践やスポンサー探しの話をするにも、まずは体制が安定する必要」、さて、「6月28日」の「株主総会」ではどうなるだろうか。
タグ:「発行済株式の50.44%を「外国法人等」が保有」、こうした混乱はかねてから予想されていたものだ。 磯山 友幸氏による「「東芝の混乱は、日本の原子力政策の混乱を象徴している」東芝を"崩壊"させた経産省の罪深さ 選挙に響くから…元凶は国が原子力事業への方針を定めなかったこと」 PRESIDENT ONLINE 東芝問題 (その43)(「東芝の混乱は 日本の原子力政策の混乱を象徴している」東芝を"崩壊"させた経産省の罪深さ 選挙に響くから…元凶は国が原子力事業への方針を定めなかったこと、東芝迷走の原因はメディアと有識者にある、東芝 再建策に影を落とす「取締役選任への異論」 ファンド推薦の候補者2人は賛同を得られるか) 「現経営陣は、海外ファンドなどが選ぶ社外取締役が経営の実権を握ることに強く抵抗している。投資ファンドの多くは、短期的な資金回収を狙っており、東芝が持つ事業の売却などで利益を得ようとしているという」、「投資ファンド」に屈する必要はない。 「2016年の段階で、いったん会社更生法を申請し、債務処理を行っていれば、再生できていたかもしれない」、「破綻処理をすれば債権放棄などが求められる銀行主導で再建策が作られたことが大きい。 極め付けは資本不足を補って上場維持をするために2017年末に大規模な第三者割当増資を実施。海外機関投資家を呼び込んだことだ。これによって会社は存続し、上場も維持されたが、その後、投資ファンドに翻弄されることになった」、無茶な「大規模な第三者割当増資」が元凶になったようだ。 「裏で存続を支えていた経済産業省の責任も大きい」、むしろ「経済産業省の責任」の方が「大きい」が適切だと思う。 「経産省の一部には原発をすべて国有会社に集約すべきだという意見もあるが、政治が議論を避けている中で、一向に方向が定まらない」、「政治」の無責任さは余りに酷い。 「本来は、会社を分割するなど東芝が事業形態を見直す前段階として、国が今後の原発事業をどうしていくのか、方向性を明確にする必要がある。さもなければ、東芝の持つ原子力事業や技術を将来にわたってどうしていくのか、より国の管理に近い事業体に変えていくのか。あるいは日立などに集約していくのか、議論が進まない」、「東芝」だけに押し付けず、本来、国が前面に立ってリーダシップを取ってゆくべきだろう。 アゴラ 小幡 績氏による「東芝迷走の原因はメディアと有識者にある」 「経営陣および社員は・・・東芝と命運をともにするから、会社の長期的利益を最大化しようとする」、「潜在的な株主は・・・長期的な企業価値を大事にする」、しかし、「現在の株主の利益だけを考える取締役は、現在の株価を優先に考えるから、長期の企業価値を最大化しない可能性がある」、確かに問題だ。 「ファンドという大株主の代理人を取締役にするのは、もっともガバナンスが悪い会社なのである。 しかしこれを誰も指摘せず、いままで経営陣側がファンドという大株主の言うことを聞かないのがガバナンスの悪い会社だと批判してきた、有識者、メディア。 こんな無知どころか経済や企業を破壊する有識者とメディアがはびこっている国は、日本だけなのである」、確かに「有識者、メディア」による「批判」は真逆だ。どうしてこのようなことが起こるのだろう。恐らく、批判の対象としては、最も弱小な「東芝」を血祭にあげ、政府という巨悪には目をつ 東洋経済オンライン「東芝、再建策に影を落とす「取締役選任への異論」 ファンド推薦の候補者2人は賛同を得られるか」 やはり、第二の記事で問題にしたファンドが「スポンサー候補」になっているようだ。 「ファンドの考える時間軸は、島田社長が描く中長期の視点と合わない可能性が高い。選ぶスポンサーによっては、経営戦略の前提となる事業そのものが変わってしまう懸念もある」、当然だろう。 「外為法について、「バイヤー(買い手)がクリアするハードルだと考えている」と述べた。あくまでその問題をクリアした提案の中から、1つを「選ぶ」というスタンスだ」、「外為法」「の問題をクリア」する必要があるとは、難題が加わった形だ。 「東芝の取締役会はまさに内紛状態にある」、「経営方針の実践やスポンサー探しの話をするにも、まずは体制が安定する必要」、さて、「6月28日」の「株主総会」ではどうなるだろうか。
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アメリカ(除く大統領)(その6)(「科学最先端国アメリカ」に見る特異な後進性、アメリカの警察官は どうしてワクチンを嫌がるのか?、銃乱射事件の容疑者が妄信した陰謀論 FOXニュースの人気司会者はトンズラ) [世界情勢]

アメリカ(除く大統領)については、2019年9月30日に取上げた。久しぶりの今日は、(その6)(「科学最先端国アメリカ」に見る特異な後進性、アメリカの警察官は どうしてワクチンを嫌がるのか?、銃乱射事件の容疑者が妄信した陰謀論 FOXニュースの人気司会者はトンズラ)である。これまで除くトランプ大統領としていたのを、除く大統領に変えた。

先ずは、昨年5月24日付けWedgeが掲載したジャーナリストで元読売新聞アメリカ総局長の斎藤 彰氏による「「科学最先端国アメリカ」に見る特異な後進性」を紹介しよう。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/23070
・『医療技術の最先端を行くアメリカで、安全面の不安と宗教上の理由からコロナ・ワクチン接種を拒否・躊躇し続ける市民が全体の35%にも達していることがわかった。バイデン政権は「ワクチン接種の徹底こそがコロナ収束の最重要措置」だとして、積極的に接種に応じるようPRや説得に腐心している。 新型コロナ感染が国境を越え「パンデミック」(世界的大流行)となった昨年春以来、各国は一斉にワクチン開発にしのぎを削り始めた。その中で、最も信頼性の高いワクチン開発で他国をリードしたのが、アメリカの各大手薬品メーカーだった。 実用化に向けて先陣を切ったのが、米ファイザー社であり、独ビオンテック社との共同開発チームは、すでに昨年11月30日に後期臨床試験データを全面公表、94.1%の高い有効性を提示した。 そのすぐ後を追う形で米モデルナ社が続き、今年初めからは米ジョンソンエンドジョンソン(J&J)も開発にこぎつけ、量産化を発表している。 このほか、英製薬大手アストラゼネカ、仏製薬大手サノフィ、英製薬大手グラクソスミスクラインなどが続く。 中国、インド、ロシア、イスラエルなどでも開発ずみとされているが、安全性、有効性などの面で国際的評価は定着しておらず、今のところ、アメリカが他国に大きく水を開けていることだけは確かだ。 わが国政府も大規模ワクチン接種開始にあたり、ファイザー社から真っ先に大量買い付けに乗り出した。 アメリカは医学面のみならず、航空宇宙、物理・化学などサイエンスのあらゆる分野でも先端を走り続け、今日に至っている。ノーベル賞受賞者もこれまで、文学、平和、経済部門以外の各サイエンス分野合わせ約300人にも達し、世界断トツ1位をキープしている。その背景に、アメリカ人特有の旺盛な探求心、失敗を恐れない不屈の開拓精神の伝統、惜しみない研究開発資金投入などがあることも衆知の事実だ。 しかし、先月末までの各種世論調査結果によると、米政府のワクチン供給が急ピッチで進む一方、一般市民の間ではいまだに「接種躊躇者vaccination hesitater」が全体の20%、接種拒否者vaccination refuser」が15%にも達していることが明らかにされた。この結果、州によってはワクチンが余る地域もあり、いまだに届けられていない医療施設に州をまたぎ転送されるケースも出てきているという。 とくに、「拒否者」の中には、宗教上の理由を挙げる市民も少なくない。際立つのが、「キリスト教伝道派」信者たちの反応だ。 去る2月下旬の「PewResarch」世論調査によると、全米の白人伝道派信者white evangelists4100万人のうち、45%がワクチン接種を拒否しており、イリノイ州のイートンカレッジ「人道災害研究所」のジェイミー・アテン所長は「とにかく、彼ら白人信者たちに何とか接種を受けるよう説得できないかぎり、パンデミックとの格闘はさらに続くことになる」と懸念を表明している(4月5日付けニューヨークタイムズ紙) 依然接種に応じていないことについて、信者たちは同紙に対し「コロナ・ワクチンには胎児の細胞が含まれる」「完全治癒は神のみができるのであって、ワクチンは救済者saviorになれない」「神が創造した人間には本来、自然治癒能力が備わっており、十分な栄養と休養により克服できる」などと、いずれも科学的根拠を欠く理由を挙げている。 このほか、一般市民の常識では理解しにくい宗教組織として、キリスト教から派生した全米信者数130万人の「エホバの証人Jehovah’s Witnesses」があり、信者たちは今日も輸血を拒否するほか、ワクチンについて「神の意志に反する」として躊躇する人も少なくないという。 20世紀半ばの全盛期には信者数も100万人近くにまで達した「クリスチャン・サイエンス」組織は、「キリスト教信仰そのものが科学」だとの立場から、不治の病も祈祷により克服できるとの信念を布教してきたことで知られる』、「医療技術の最先端を行くアメリカで」、「全米の白人伝道派信者white evangelists4100万人のうち、45%がワクチン接種を拒否」、「キリスト教から派生した全米信者数130万人の「エホバの証人Jehovah’s Witnesses」があり、信者たちは今日も輸血を拒否するほか、ワクチンについて「神の意志に反する」として躊躇する人も少なくない」、米国とは本当に多様性に富んだ国だ。
・『非科学的価値観  アメリカでは、非科学的価値観が他の先進諸国にくらべ一般市民の日常生活の中でも、ことのほか大きなウェイトを占めている側面も見逃せない。 その最たるものが、人間がサルから進化したことを科学的に論じたダーウインの「進化論」の否定だ。 有力誌「The New Yorker」はすでに2012年6月に「なぜ、われわれは科学を信用しないのかWhy We Don’t Believe in Science」と題するエッセイを掲載、アメリカの一般市民生活の中に見られる非科学性について論じているが、その中で以下の点を指摘している: 最近の「ギャラップ」世論調査によると、アメリカ人の成人のうち45%が「今から1万年ほど前に神が人類を創造した」と信じ、対照的に「聖なる力の導きとは無関係に進化し今日の形の人間になった」と回答した人はわずか15%にとどまった。 驚くべきことに「ギャラップ」社は30年前にも同じ質問をしているが、当時も44%のアメリカ人が「進化論」ではなく「天地創造」説を支持しており、実態は以前からほとんど変わっていない。 メリーランド大学のケブン・ダンバー博士(心理学)はなぜこのように多くの人が非科学的な考えを持つかを調べるため、一般教養の学部生と物理学専攻の学部生を対象にした実験で、大きさと重さの異なる二つの鉄玉を比較し、上から同時に落とした場合どちらが早く地面に落下するかを尋ねた。物理学専攻の学生たちは全員が「二つとも同時落下」と正しく回答したが、一般教養の学生たちは「より大きい鉄玉が先に着地する」と答えた。 脳の働きを詳しく調べたところ、一般教養の学生たちには予めプログラムされた「思い込み」「直感」が支配し、科学的発想を阻害していることが分かった。 このことは、早くから染みついた宗教的思想や偏見が後々まで残り、コペルニクスの「地動説」が広く受け入れられるようになるまで長い時間がかかったのと同様に、ダーウインの「進化論」がアメリカにあまねく普及するにはまだ相当の時間を要することを例示している。 この記事も指摘している通り、アメリカでは子供のころから日曜日に家族で教会に出かけ、「神の子イエス・キリスト」の教えに対する信仰が根付いており、そのことが「進化論」否定につながっているとする指摘もある。 また、アラバマ、ミシシッピーなど南部諸州では今なお、理科の時間に生徒に「進化論」ではなく「天地創造」説を教える小中学校が少なくない。 一般市民の世論調査でも、回答者の16%が学校で「天地創造」説を教えるべきだと回答している( People for the American Way poll, 2000)』、「「ギャラップ」世論調査によると、アメリカ人の成人のうち45%が「今から1万年ほど前に神が人類を創造した」と信じ、対照的に「聖なる力の導きとは無関係に進化し今日の形の人間になった」と回答した人はわずか15%にとどまった」、「アメリカでは子供のころから日曜日に家族で教会に出かけ、「神の子イエス・キリスト」の教えに対する信仰が根付いており、そのことが「進化論」否定につながっているとする指摘もある。 また、アラバマ、ミシシッピーなど南部諸州では今なお、理科の時間に生徒に「進化論」ではなく「天地創造」説を教える小中学校が少なくない」、最も先進的な文明国で、このような非科学的潮流があるとは心底驚いた。
・『気候変動も否定  さらには、他のほとんどの先進国で受け入れられている「地球温暖化」「気候変動」の原因についても、アメリカでは人為的要因との関係を否認する人が少なくない。 米エール大学「気候変動コミュニケーション・プロジェクト」が今年初め実施した世論調査によると、回答者の16%が、気候変動が起こっていること自体は認めたものの、その原因は「自然現象によるもの」と答えたほか、10%が、気候変動の存在そのものを認めなかった。国民の4人に1人が、自動車排気ガスや工場排煙と地球温暖化との関係を否定していることを示唆している。 さらに「ギャラップ」社が4月初め、政党支持別の意識調査を実施したところ、民主党支持者の82%が「地球温暖化は始まっている」と回答したのに対し、温暖化の現実を認めた共和党支持者はわずか29%にとどまった。ただ、共和党支持者のうち、18-29歳のヤング世代の場合、75%近くが温暖化の存在を認める一方、50-64歳代で14%、65歳以上では11%と、年齢が上がるにつれて温暖化問題への正しい認識が極端に低下していることもわかった』、「民主党支持者の82%が「地球温暖化は始まっている」と回答したのに対し、温暖化の現実を認めた共和党支持者はわずか29%」、「共和党支持者のうち、18-29歳のヤング世代の場合、75%近くが温暖化の存在を認める一方、50-64歳代で14%、65歳以上では11%と、年齢が上がるにつれて温暖化問題への正しい認識が極端に低下」、「「共和党支持者のうち」高齢者の「認識」は確かに「低い」ようだ。
・『政治家たちの偏見  しかし、こうした一般市民の意識以上に、社会に及ぼす影響という点で深刻なのが、政治家たちの偏見だろう。 とくに、トランプ大統領は在任中、「温暖化には科学的根拠がない」との非科学的主張を一貫して繰り返してきたことで知られているほか、それにひけをとらないのが、連邦議員たちのかたくなな態度だ。 在ワシントン有力シンクタンク「The Center for American Progress」は去る3月30日、これまで連邦議員たちが環境問題について本会議、委員会などを通じ発言してきた内容分析結果を公表した。 それによると、上下両院議員合わせ535人中、139人が「人間活動とは無関係」だとして「地球温暖化」に疑念を表明、または問題そのものを否定していることが明らかになった。内訳は下院議員109人、上院議員30人となっている。 これを党派別に見ると、下院109人の52%、上院30人の60%が共和党議員だった。 また、両党合わせこれら議員たちのほぼ全員が、これまで石炭、石油、天然ガス業界から政治献金を受けてきており、受け取った総額は6100万ドル以上に達していることも明らかにされている。 科学以外の分野でも、政治家たちが、法支配そして社会的通念を踏みにじり深刻な問題となったのが、トランプ陣営による2020年大統領選の結果否認であり、今年1月6日の、トランプ支持暴徒たちによる連邦議事堂襲撃事件だった。 各州における選挙開票結果は、超党派の選挙管理委員会により最終的に認定されたのみならず、司法省が刑事捜査含め徹底調査の結果「選挙不正はなかった」と結論づけ、共和党系判事が多数を占める連邦最高裁も「バイデン大統領当選」の正当性をダメ押しする裁定を下している。 それにもかかわらず、大統領選から半年以上たった今もなお、上下両院共和党議員の実に70%近くが「選挙の不当性」を主張し続けている。 教会で「進化論」を認めず、「地球温暖化」をフィクションだと主張する白人キリスト教徒たちと、まったく理不尽な「選挙不正」説を撤回しようとしない共和党議員たち―。両者の間に共通する部分は決して少なくない。 ついでに、迷信“感染者”が多いのも、アメリカの特異性のひとつだろう。昨年1月のIpsos世論調査で、UFOが実在すると回答した人が、全体の45%にも達していることが明らかにされた。国民の半数近くがUFO信者ということになる。毎年、UFO「目撃者報告」も年間5800件に上っているという(「全米UFO報告センターNational UFO Reporting Center・2019年データ」) 科学最先端国は、同時に“迷信先進国”でもあるようだ』、「上下両院議員合わせ535人中、139人が「人間活動とは無関係」だとして「地球温暖化」に疑念を表明、または問題そのものを否定している・・・これを党派別に見ると、下院109人の52%、上院30人の60%が共和党議員・・・両党合わせこれら議員たちのほぼ全員が、これまで石炭、石油、天然ガス業界から政治献金を受けてきており、受け取った総額は6100万ドル以上に達している」、彼らは純粋に信じているよりも、「政治献金」が効いているようだ。「科学最先端国は、同時に“迷信先進国”でもあるようだ」、「“迷信先進国”」とは言い得て妙だ。

次に、昨年10月23日付けNewsweek日本版が掲載した在米作家の冷泉彰彦氏による「アメリカの警察官は、どうしてワクチンを嫌がるのか?」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2021/10/post-1246_1.php
・<リベラルな地域でも警察官の意識は非常に保守的で、根強い政治不信もある> アメリカでは、2021年の2月以来、新型コロナウイルスの予防ワクチンの接種に「猛烈な」勢いで取り組んできました。ですが、7月以降はどんどん接種のスピードがダウンする中で、デルタ株の感染拡大を許すことで「第4波」が猛威を振るうことにもなりました。 最新の接種率ですが、モデルナ/ファイザーの2回接種、もしくはJ&Jの1回接種を受けて接種を「完了した」人の全人口に占める割合は、57.62%に過ぎず、日本の67.21%と比べると、10ポイントも低いという恐ろしい状況になっています。 中でも、最悪はワイオミング州の42.44%で、下から順にアラバマ、ミシシッピ、ノースダコタ、ルイジアナ、アーカンソー、アイダホ、ウェストバージニア、ジョージア、テネシー、オクラホマ、ミズーリ、サウスカロライナ、インディアナ、モンタナと、15州が50%を下回っています。同時にこれらの州では、「第4波」における深刻な医療崩壊と多くの死者を出すことになりました。 その一方で、現在アメリカで社会問題となっているのは、ワクチン接種を拒否する警察官の問題です』、「警察官」による「黒人」の虐殺事件が長年続いているのも、彼らの保守性に基づいているのかも知れない。
・『シカゴ市警では3分の1が拒否  特にシカゴ市警では、10月15日を期限として接種証明の提出を義務付けたところ、全体の約3分の1に当たる4500人が提出を拒否して問題になっています。接種義務化を宣言しながら、ここまで粘り強く現場の説得に当たっていたライトフット市長も、これ以上の妥協は不可能だとしてこれらの警官には無給の自宅待機を命じました。それでも、多くの警官は接種を受けないというのです。 シカゴ市に関しては、当面の治安確保が問題になります。市長としては当面は状況を静観するものの、万が一要員不足により市内の安全が確保できない場合は、州兵の動員も辞さないとしています。 同様の状況は、全国的に問題となっており、少なくともニューヨーク市警、ロサンゼルス市警、シアトル市警では相当数の警官が接種を拒否することにより、現場から外される模様です。現在ニューヨークと、サンフランシスコでは万引き犯の激増という治安悪化に苦しんでいますが、警察力の弱体化がこれに拍車をかけている格好です。) では、警官はコロナに強いのかというと、全くそんなことはありません。シカゴ市警では、2020年には245人、2021年には228人がコロナで死亡しており、合計473人というのは市警全体の3.5%であり、28人に1人がコロナで死んでいる計算になります。アメリカ全体では、3億人の中で70万人の死亡、つまり死亡率は人口比で0.2%ですから、シカゴ市警の死亡率は17倍というわけです。 どういうことなのか、多くの政治家や識者が首を傾げており、色々な分析がされていますが、決定的なものはありません。ただ、どうやら次の3点の説明はできそうです。 1つ目は、ニューヨークやシカゴといったリベラルな風土の地域でも、警察官の意識は非常に保守的だということです。本当は、南部や中西部の考え方が合っており、心情的にはトランプ派に近い人々が、高い給料に吸い寄せられて大都市に来ているだけだというのです』、「シカゴ市警では・・・接種証明の提出を義務付けたところ、全体の約3分の1に当たる4500人が提出を拒否」、「シカゴ市長は」、「これらの警官には無給の自宅待機を命じました。それでも、多くの警官は接種を受けないというのです」、「ニューヨークやシカゴといったリベラルな風土の地域でも、警察官の意識は非常に保守的だということです。本当は、南部や中西部の考え方が合っており、心情的にはトランプ派に近い人々が、高い給料に吸い寄せられて大都市に来ているだけ」、なるほど。
・『「自分の身体は自分が守る」  2つ目は、保守とリベラルを問わず、アメリカの警官の間には根深い政治不信、政府不信があるという問題です。大衆の人気取りをするような政治家は、右も左も腐敗しており、命をかけてコミュニティを守っているのは自分たち警官だけ。だから、政治家から「ワクチン義務化」などと命令されるのは気に入らないというのです。 また、アメリカの警察は、その多くが地域の自治警察であり、日本のように国家公安委員会の監督を受ける下部組織では「ない」という問題があります。ですから、シカゴ警察は独立組織であり、例えばワシントンDCのバイデン政権や、シカゴの属するイリノイ州の州政府の命令は受けないというのです。同時に、ネットの間で今でも飛び交っているワクチン陰謀説などに警官の多くが影響を受けているという報道もあります。 3つ目は、これは保守派が医療保険の義務化に反対する心情に似た感覚で、自分の身体は自分が守るという強い意識です。ですから、健康に自信がある場合は、保険への強制加入に反発するわけです。同じように警官の場合は、身体を張って任務に当たっている中で、健康について根拠のない自信があるので、ワクチンを受けたくないというのです。 アメリカの警察には、いい意味での自治の気概があり、多くの警察官は誇りをもって任務にあたっているのは事実だと思います。ですが、その気概や誇りが、今回はワクチン忌避という誤った方向に大きく流れているわけで、これは各地方自治体で極めて頭の痛い問題となっているのです』、「アメリカの警察には、いい意味での自治の気概があり、多くの警察官は誇りをもって任務にあたっているのは事実だと思います。ですが、その気概や誇りが、今回はワクチン忌避という誤った方向に大きく流れているわけで、これは各地方自治体で極めて頭の痛い問題となっているのです」、よく状況が理解できた。

第三に、本年6月6日付けNewsweek日本版が掲載した風刺漫画家のロブ・ロジャース氏とコラムニスト・タレントのパックン氏による「銃乱射事件の容疑者が妄信した陰謀論、FOXニュースの人気司会者はトンズラ」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/satire_usa/2022/06/fox.php
・『<FOXニュースの人気司会者が過去6年で400回も連呼してきた陰謀論を、ニューヨーク州バファローのスーパー銃乱射事件の容疑者が信奉。銃乱射の裏にでたらめ陰謀論あり> 大置換理論(Great Replacement Theory)って分かるかな? まあ、アメリカで最も人気の司会者、FOXニュースのタッカー・カールソン(Tucker Carlson)も5月17日にはっきりと「僕らもまだ把握していない」と言っていたから、知らなくても大丈夫だよ。 では、説明しよう。これはフランス発祥の極右陰謀論だが、アメリカでは「ユダヤ教徒やリベラル派が移民を大勢わが国に受け入れ、白人を追い出して権力を確保しようとしている!」という解釈が人気だ。 例えば「民主党が(現在の)有権者を、途上国からの従順な有権者と入れ替えようとしている」「わが国は外国から侵略されている」といった荒唐無稽な主張を......カールソンの番組でよく聞く。というか、全部彼本人の発言だ! ニューヨーク・タイムズによると彼は2016年以降、こうした発言を400回もしている。ということは「分からない」のは考え方ではなく、正式名称のことかも? いや「政治用語でこれは大置換と呼ばれる。従来のアメリカ人を、遠くの国から来たもっと従順な人と入れ替える政策だ」と、カールソンは用語の説明まで番組中でしている。......分かってるじゃん! では、カールソンはなぜ自分もよく説く、名称もきちんと把握している陰謀説を知らないふりをしたのか。それは5月14日、ニューヨーク州バファローのスーパーで10人が殺害された銃乱射事件の容疑者が、この説の信奉者だった可能性が明らかになったからだ。銃乱射の動機となるような陰謀論を広めていると、彼もさすがに思われたくないのだろう。 こうした関係性が問われたのは初めてではない。23人が死亡したテキサス州エルパソでの銃乱射事件の容疑者も、女性がひき殺されたバージニア州シャーロッツビルの集会での白人至上主義者たちも、似た主張をしていた。 でたらめで、危険な陰謀論。昔なら差別主義的な主張は顔を隠してやるものだったが、今は集会やテレビで彼らは顔も思想も隠そうとしない。カールソンも番組で「分からない」と言い張った直後にも同じ主張を繰り返した。 人を入れ替えさせる力を持つ人がいるなら、まずはこの人からお願いします』、「大置換理論」は「フランス発祥の極右陰謀論だが、アメリカでは「ユダヤ教徒やリベラル派が移民を大勢わが国に受け入れ、白人を追い出して権力を確保しようとしている!」という解釈が人気」、「「民主党が(現在の)有権者を、途上国からの従順な有権者と入れ替えようとしている」「わが国は外国から侵略されている」といった荒唐無稽な主張」、「全部彼本人の発言だ!」、「ニューヨーク州バファローのスーパーで10人が殺害された銃乱射事件の容疑者が、この説の信奉者だった可能性が明らかになったからだ。銃乱射の動機となるような陰謀論を広めていると、彼もさすがに思われたくないのだろう。 こうした関係性が問われたのは初めてではない。23人が死亡したテキサス州エルパソでの銃乱射事件の容疑者も、女性がひき殺されたバージニア州シャーロッツビルの集会での白人至上主義者たちも、似た主張をしていた。 でたらめで、危険な陰謀論。昔なら差別主義的な主張は顔を隠してやるものだったが、今は集会やテレビで彼らは顔も思想も隠そうとしない。カールソンも番組で「分からない」と言い張った直後にも同じ主張を繰り返した」、「陰謀論」で人々を焚きつける割には、責任を回避するとは卑怯だ。「アメリカで最も人気の司会者」とあっては、「FOXニュース」も処分はできないだろう。
タグ:アメリカ(除く大統領) (その6)(「科学最先端国アメリカ」に見る特異な後進性、アメリカの警察官は どうしてワクチンを嫌がるのか?、銃乱射事件の容疑者が妄信した陰謀論 FOXニュースの人気司会者はトンズラ) WEDGE 斎藤 彰氏による「「科学最先端国アメリカ」に見る特異な後進性」 「医療技術の最先端を行くアメリカで」、「全米の白人伝道派信者white evangelists4100万人のうち、45%がワクチン接種を拒否」、「キリスト教から派生した全米信者数130万人の「エホバの証人Jehovah’s Witnesses」があり、信者たちは今日も輸血を拒否するほか、ワクチンについて「神の意志に反する」として躊躇する人も少なくない」、米国とは本当に多様性に富んだ国だ。 「「ギャラップ」世論調査によると、アメリカ人の成人のうち45%が「今から1万年ほど前に神が人類を創造した」と信じ、対照的に「聖なる力の導きとは無関係に進化し今日の形の人間になった」と回答した人はわずか15%にとどまった」、「アメリカでは子供のころから日曜日に家族で教会に出かけ、「神の子イエス・キリスト」の教えに対する信仰が根付いており、そのことが「進化論」否定につながっているとする指摘もある。 また、アラバマ、ミシシッピーなど南部諸州では今なお、理科の時間に生徒に「進化論」ではなく「天地創造」説を教える小 「民主党支持者の82%が「地球温暖化は始まっている」と回答したのに対し、温暖化の現実を認めた共和党支持者はわずか29%」、「共和党支持者のうち、18-29歳のヤング世代の場合、75%近くが温暖化の存在を認める一方、50-64歳代で14%、65歳以上では11%と、年齢が上がるにつれて温暖化問題への正しい認識が極端に低下」、「「共和党支持者のうち」高齢者の「認識」は確かに「低い」ようだ。 「上下両院議員合わせ535人中、139人が「人間活動とは無関係」だとして「地球温暖化」に疑念を表明、または問題そのものを否定している・・・これを党派別に見ると、下院109人の52%、上院30人の60%が共和党議員・・・両党合わせこれら議員たちのほぼ全員が、これまで石炭、石油、天然ガス業界から政治献金を受けてきており、受け取った総額は6100万ドル以上に達している」、彼らは純粋に信じているよりも、「政治献金」が効いているようだ。「科学最先端国は、同時に“迷信先進国”でもあるようだ」、「“迷信先進国”」とは言 Newsweek日本版 冷泉彰彦氏による「アメリカの警察官は、どうしてワクチンを嫌がるのか?」 「警察官」による「黒人」の虐殺事件が長年続いているのも、彼らの保守性に基づいているのかも知れない。 「シカゴ市警では・・・接種証明の提出を義務付けたところ、全体の約3分の1に当たる4500人が提出を拒否」、「シカゴ市長は」、「これらの警官には無給の自宅待機を命じました。それでも、多くの警官は接種を受けないというのです」、「ニューヨークやシカゴといったリベラルな風土の地域でも、警察官の意識は非常に保守的だということです。本当は、南部や中西部の考え方が合っており、心情的にはトランプ派に近い人々が、高い給料に吸い寄せられて大都市に来ているだけ」、なるほど。 「アメリカの警察には、いい意味での自治の気概があり、多くの警察官は誇りをもって任務にあたっているのは事実だと思います。ですが、その気概や誇りが、今回はワクチン忌避という誤った方向に大きく流れているわけで、これは各地方自治体で極めて頭の痛い問題となっているのです」、よく状況が理解できた。 ロブ・ロジャース氏とコラムニスト・タレントのパックン氏による「銃乱射事件の容疑者が妄信した陰謀論、FOXニュースの人気司会者はトンズラ」 「大置換理論」は「フランス発祥の極右陰謀論だが、アメリカでは「ユダヤ教徒やリベラル派が移民を大勢わが国に受け入れ、白人を追い出して権力を確保しようとしている!」という解釈が人気」、「「民主党が(現在の)有権者を、途上国からの従順な有権者と入れ替えようとしている」「わが国は外国から侵略されている」といった荒唐無稽な主張」、「全部彼本人の発言だ!」、「ニューヨーク州バファローのスーパーで10人が殺害された銃乱射事件の容疑者が、この説の信奉者だった可能性が明らかになったからだ。銃乱射の動機となるような陰謀論を広
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働き方改革(その38)(在宅は出世に影響?近くにいるほど「高評価」の謎 日本人の有休消化率はなぜこれほど悪いのか、ホンダがテレワークやめ原則出社に踏み切る真意 「三現主義」重視する社内文書 疑問の声も、年功序列はもう限界 ジョブ型雇用は日本経済再生の突破口になるか 衰退の元凶 日本型雇用からの脱却を) [経済政策]

働き方改革については、3月18日に取上げた。今日は、(その38)(在宅は出世に影響?近くにいるほど「高評価」の謎 日本人の有休消化率はなぜこれほど悪いのか、ホンダがテレワークやめ原則出社に踏み切る真意 「三現主義」重視する社内文書 疑問の声も、年功序列はもう限界 ジョブ型雇用は日本経済再生の突破口になるか 衰退の元凶 日本型雇用からの脱却を)である。

先ずは、5月16日付け東洋経済オンラインが掲載した同志社大学教授の太田 肇氏による「在宅は出世に影響?近くにいるほど「高評価」の謎 日本人の有休消化率はなぜこれほど悪いのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/586476
・『コロナ感染拡大から3年目の春。街中では、外食を楽しむ人々が少しずつ増えてきた。それまでテレワークを推奨していた企業でも、通常出勤を命じるところが増えている。もともと日本企業では、「在宅では生産性が上がらない」という意見が多く、テレワーク推進の声も一時のものにとどまった印象だ。太田肇・同志社大学政策学部教授(組織研究)は、ここに「日本型」企業に特有の「承認欲求」が潜んでいるという。以下、太田氏の新刊『日本人の承認欲求テレワークがさらした深層』から抜粋・再構築して紹介する。 前々回:『あなたの上司がムダに出社させたがる本当の理由』 前回:『上司が「仕切りのない」オフィスにこだわる深い訳』』、「「日本型」企業に特有の「承認欲求」」とはどういうことだろう。
・『日本人は休暇の半分を捨てている  少なくとも2020年春にコロナの感染が蔓延する前まで、日本人の年次有給休暇取得率はほぼ5割程度で推移してきた。つまり与えられた休暇の半分は労働者が捨ててきたわけである。 ちなみに欧米では比較的取得率の低いアメリカでも7割程度、欧州諸国は100%近く取得する。また日本人の年間総労働時間も短縮の必要性が叫ばれながら、正社員についてはコロナ禍が訪れるまで主要国のなかで突出して長い状態が続いてきた。その大きな要因が恒常的な残業の存在である。 欧米に比べて年休取得率が低いことや、残業が恒常的に行われていることについては、いくつかの原因が指摘されている。 例えば欧米諸国のなかには取得しなかった休暇を会社が買い取るよう法律で義務づけているところがあるし、以前から企業が時期を指定して休暇を取得させている国も多い。また日本では雇用調整が難しいので、代わりに残業で労働投入量を調整せざるをえないという事情もある。 しかし、それだけでない。労働政策研究・研修機構が2010年に行った調査(「年次有給休暇の取得に関する調査」)では有給休暇を残す理由について聞いている。 結果をみると、「休むと職場の他の人に迷惑になるから」「職場の周囲の人が取らないので年休が取りにくいから」「上司がいい顔をしないから」という回答が上位にあがっている。また同機構が2005年に実施した調査(「働き方の現状と意識に関するアンケート調査」では所定労働時間を超えて働く理由について聞いているが、10.3%の人が「上司や仲間が残業しているので、先に帰りづらいから」と回答している。いわゆる「つきあい残業」である。 注目してほしいのは、わが国では有給休暇を残しても買い取られないし、時間外労働賃金の割増率も欧米に比べて低い(欧米など海外ではおおむね50%以上であるのに対し、わが国では25%以上)ということである。さらに手当が支払われない「サービス残業」が半ば公然と行われているのも周知の事実である』、「日本」の労働者は、権利を余り要求でず、聞き分けがいいようだ。
・『「労働を献上する」ことで承認を得る  いったいなぜ、日本人の働き方はこうなるのか。そもそも経済学の常識では、人間は金銭的利益が最大限になるよう効率的に行動するものであり、残った有給休暇を買い取ってもらえないなら、権利としてすべて余さず取得するはずなのだ。時間外労働をしても大して割り増しがないどころか、サービス残業扱いでタダ働きなら残業などしなくて当然だろう。 ところが多くの日本人は強制されなくても休暇を残し、当たり前のように残業をする。彼らは休暇を残し、少ない手当か無給で残業することで会社に自らの労働を献上する。ただ、それは純粋な愛社精神や勤勉さの表れなどではなく、見返りに会社や上司・同僚から承認を得ようとしていると考えられる。 金銭の代わりに承認を受け取っているという見方もできる。実際、いくら仕事ができても休暇をめいっぱい取得し、まったく残業をしない人は奇異な目で見られたり、陰口をたたかれたりすることがある。人事評価に響く可能性もある。 それだけ共同体のメンバーにとって、共同体のなかで承認されること(あるいは承認を失わないこと)が重要なわけである。 このような視点から考えても、超過的な貢献や忠誠心をアピールしづらいテレワークや裁量労働制、ワーケーションなどが思うように普及しないのは納得がいく(全社員いっせいに導入するなら話は別だが)。 ここでまた少し視点を変え、承認欲求の独特な性質に注目してみよう。 承認欲求は自力だけでは充足することができず、相手の自由意思に依存するという受動的な性質がある。テレワークで出社しないと不安になるという理由には、そうした承認欲求の性質も関わっていると考えられる。 いくら仕事ができても、それを評価するのは上司である。とくにテレワークの場合、仕事ぶりが周囲から見えにくいので、仕事の出来不出来は上司に評価されるか否かにかかっているといってもよい。しかも日本企業では仕事の分担が不明確なので一人ひとりの成果を捕捉しにくく、そのぶん評価者の感情や利害関係が評価に入り込みやすい』、「承認欲求は自力だけでは充足することができず、相手の自由意思に依存するという受動的な性質がある。テレワークで出社しないと不安になるという理由には、そうした承認欲求の性質も関わっていると考えられる」、「とくにテレワークの場合、仕事ぶりが周囲から見えにくいので、仕事の出来不出来は上司に評価されるか否かにかかっているといってもよい。しかも日本企業では仕事の分担が不明確なので一人ひとりの成果を捕捉しにくく、そのぶん評価者の感情や利害関係が評価に入り込みやすい」、その通りだ。
・『約2割の人が個人的感情で評価をつけている  それを裏づけるデータがある。日本企業と欧米企業のホワイトカラーを対象とした2001年に行われたある調査(回答数計1406)によると、感じのよい部下に対して「甘い人事評価をつけることはない」という回答は欧米企業で75%、日本企業で29%、逆に「甘い人事評価をつけることがある」という回答は欧米企業で6%、日本企業で20%と大きな差がある(佐久間賢『問題解決型リーダーシップ』講談社、2003年)。 それにしても2割の人が、個人的感情で評価をゆがめていると自白しているのは驚くべきことではないか。 一般に個人的なつながりが深いほど特別扱いしやすいことは「内集団ひいき」や「ネポティズム」などとして知られているが、物理的な近接性も感情や利害関係を左右する。互いに近接しているほど相手に対する情報も、また承認の機会も多い。もちろんそこには正の承認だけでなく、負の承認も含まれるが。 そのため近接しているほど承認するにしろ、しないにしろ、相手に対するインパクトが大きくなる。つまり離れている人なら自分を認めてくれるか否かはさほど問題でなくても、ふだん接している人から認められるか否かには無関心でいられないわけである』、「「甘い人事評価をつけることがある」という回答は欧米企業で6%、日本企業で20%と大きな差がある」、「互いに近接しているほど相手に対する情報も、また承認の機会も多い。もちろんそこには正の承認だけでなく、負の承認も含まれるが。 そのため近接しているほど承認するにしろ、しないにしろ、相手に対するインパクトが大きくなる」、これではリモートワークの普及にはやはり限界があるのは、やむを得ないのかも知れない。

次に、5月21日付け東洋経済オンライン「ホンダがテレワークやめ原則出社に踏み切る真意 「三現主義」重視する社内文書、疑問の声も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/589390
・『「Hondaとして本来目指していた働き方を通じて変革期を勝ち抜くために、『三現主義(注)で物事の本質を考え、更なる進化をうみ出すための出社/対面(リアル)を基本にした働き方』にシフトしていきます」。ホンダは2022年4月、国内営業部門の従業員向けに以上のようなメールを送付した。 出社を前提とした働き方へと転換する意義を強調する内容だ。ホンダの三現主義とは「現場、現実、現物」からなり、創業者の本田宗一郎氏の時代から受け継がれてきた、いわば企業理念。対面でのコミュニケーションを重視した働き方で、社員にホンダらしさを発揮してほしいというわけだ。 ホンダや関係者への取材などによると、一部の経営陣の提案をきっかけに2021年末の時点ですでに出社を基本とする業務ルールを設計していた。 しかし、2022年初めから新型コロナウイルスの感染状況が悪化し日本では蔓延防止措置が取られたため、導入を延期。同措置が解除されたことに合わせて、改めて今回の制度導入に乗り出した。 全社が制度の対象で、3回目のワクチン接種が完了する時期を見定めて5月から段階的に始めるという。ホンダ広報は「部門ごとに対応は異なる」とするが、「対面のコミュニケーションを活性化するとともに、イノベーションの創出を促すことが狙いだ」と理由を説明した。 たとえば、日本本部などの営業部門が集まり、数千人単位が働く埼玉県和光市の和光ビルや白子ビルは5月下旬にも段階的にこの制度を導入する。介護や病気、育児などの事情があり、所属長が承認した場合を除き、原則週5日間すべてで出社を求める』、いまどき「三現主義」で「対面でのコミュニケーションを重視」、とはテレワークとは真逆の考え方であり、違和感もある。
(注)三現主義:「現場」に足を運び、「現物」を直接手に取り、「現実」を見て確認した上で、問題解決を図ることが重要という考え方。ホンダやトヨタ自動車が有名(グロービス経営大学院)。
・『「経営陣は現場を理解していない」  新型コロナの流行が長引く中で、テレワークを基本とする働き方を徐々に変える企業は増えている。 ただ、従来の出社を前提とした働き方へ戻すことについて、社内では不安の声が上がっている。あるホンダ社員は「働き方改革が進みテレワークの定着も進む中、ホンダは真逆に動くのか」と疑問を投げかける。 別のホンダの中堅社員は「在宅による日々の効率化と対面の合わせ技なら理解できるが、経営陣は現場を理解していない。優秀な学生の中からホンダを希望リストから外す人が増えてしまう」と嘆く。 同じ業界の日産自動車は「在宅勤務や時差出勤などを活用して感染対策をとっている」と回答。トヨタ自動車も「コロナ禍では在宅勤務が可能な職場でのより一層の在宅勤務を推進している」といい、東京や名古屋での4月末時点での出社率は4割以下にとどまるという。こうして見ても、ライバルたちと比べてホンダの選択は異質ともいえる。 ホンダは現在、三部敏宏社長の指揮の下、2040年に世界で売る新車をすべて電気自動車(EV)か燃料電池車(FCV)にする「脱エンジン」目標を掲げる。カーボンニュートラルや自動車の知能化などへの対応を迫られている。 「100年に一度の大変革期」と言われる自動車業界での生き残りを図る中、目標達成に向けて社内の意思統一が求められるところだ』、「中堅社員は「在宅による日々の効率化と対面の合わせ技なら理解できるが、経営陣は現場を理解していない。優秀な学生の中からホンダを希望リストから外す人が増えてしまう」と嘆く」、「トヨタ自動車も「コロナ禍では在宅勤務が可能な職場でのより一層の在宅勤務を推進している」といい、東京や名古屋での4月末時点での出社率は4割以下にとどまる」、「三部社長」の真意はどこにあるのだろう。

第三に、5月22日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「年功序列はもう限界、ジョブ型雇用は日本経済再生の突破口になるか 衰退の元凶、日本型雇用からの脱却を」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95391?imp=0
・『「年功序列と終身雇用」という日本型雇用形態から脱却しようとする「ジョブ型雇用」が広がっている。従来の日本型雇用は、日本経済を衰退させた大きな原因だ。ジョブ型雇用がこれを打破することが期待される。 ただし、その導入は簡単なことではない』、興味深そうだ。
・『ジョブ型雇用の導入企業が広がる  「ジョブ型雇用」は、期待する貢献や責任範囲を従業員ごとに明記した「ジョブディスクリプション(職務記述書)」を作成し、報酬を職責に応じて決める仕組みだ。従業員は自ら応募して、より高い職責に挑戦する。 日立製作所や富士通などの大手電機メーカーが導入している。富士通は4月21日、ジョブ型雇用の対象を全従業員の約9割に拡大すると発表した。日立製作所は、7月にも「ジョブ型雇用」を本体の全社員に広げる計画だ。 経団連が2020年夏に行なった調査では、419社のうち約100社が、検討中も含めてジョブ型に着手していた』、「419社のうち約100社が、検討中も含めてジョブ型に着手」、「2020年夏」段階で既に相当進んでいるようだ。
・『年功序列的な給与体系が日本を衰退させた  日本では、年齢が上がるほど、自動的に給与が上がる年功序列的な給与体系を採用している企業が多い。 それに対して、「ジョブ型雇用」では、職務ごとに異なる給与体系になる。技能が認められれば、年齢が若くても高い給料を得られる。逆に、年齢があがっても、自動的に給与があがるわけではない。 また一定期間の雇用が自動的に保障されるわけでもない。職務を要求通りに遂行できなかったり、職務そのものがなくなったりすれば、解雇されることもある。 ジョブ型は、外国ではごく普通の雇用体系だ。むしろ、日本型雇用のほうが、世界的に見れば特異だ。 現在の日本経済の停滞は、日本の雇用・給与体制が硬直的であり、技術や社会の大きな変化に適応できないことが大きな原因になっている。 ジョブ型雇用がこれを変える可能性がある。変化の大きい時代には、企業も労働者も、新しい働き方を切り拓く必要がある』、「日本型雇用」も高度成長期には日本経済の強さを支えたが、「変化の大きい時代」には、そぐわなくなったということなのだろうか。
・『エンジニアやIT専門家だけではない  エンジニアやIT専門家のように専門技能で仕事を進める職務にとっては、もともとジョブ型の雇用形態のほうが望ましい。 それだけではない。一般には事務系と考えられる仕事についても、この形態が必要とされる場合が多い。 例えば、金融の仕事がそうだ。日本の金融機関では、定型的な事務作業をする場合が多く、とりわけ専門的な知識が必要とされることが少なかった。 しかし、先端的な金融業務は極めて専門性の高いものであり、ジョブ型雇用にあったものだ』、確かに「先端的な金融業務は極めて専門性の高いものであり、ジョブ型雇用にあったものだ」、その通りだ。
・『経営者も本来はジョブ型であるべきだ  それだけではない。実は、経営者も本来は専門的な職業だ。したがって専門的な訓練を受け、それを活用して、1つの組織に固定されることなく、様々な企業の経営を経験することができる。 アメリカでは、経営者は経営の専門家として様々な企業を渡り歩くのがむしろ普通になっている。 これは、雇用統計にも反映されている。アメリカの雇用統計には、製造業や流通業などと並んで、「経営者」という産業分類がある。「経営」は、どの産業にも必要とされる、独立した産業なのである。 それに対して、日本の経営者(オーナー経営者を除く大企業の経営者)は、その組織に長年いる人のことだ。そして、組織の出世の階段を上り、トップに上り詰めた人だ。 出世の階段を上るためには、特定の職務の専門家になるのではなく、ジェネラリストになることが必要と考えられていた。 このような人たちが、激変する世界の中で、新しいビジネスモデルを開拓できるかどうかは、大きな疑問だと言わざる得ない。 日本の電機メーカーが衰退したのは、2000年頃にビジネスモデルを選択を誤ったからだ』、「日本の電機メーカーが衰退したのは、2000年頃にビジネスモデルを選択を誤ったからだ」、「組織の出世の階段を上り、トップに上り詰めた人」の限界なのかも知れない。
・『日本の雇用体制は戦時中に確立された1940年体制  日本の雇用形態は、昔から終身雇用・年功序列型であったと考えられている。確かに、戦後の日本では、この形態が一般的だった。 しかし、第2次世界大戦以前の日本においては、そうではなかった。とくに技能者は、企業間を転々と動くのがむしろ普通だった。 ところが重化学工業の発展に伴い、労働者を1つの企業に定着させ、企業内訓練によって技術を高める必要が生じた。 このために、終身雇用・年功序列型の仕組みを導入し、労働者の企業定着を図ったのである。労働組合も、職業別ではなく、企業別に形成された。 私は、こうした経済体制を「1940年体制」と呼んでいる。 第2次世界大戦後の高度成長期には、この仕組みがうまく機能した。それは、日本が先進国へのキャッチアップ過程にあったからだ。先進国のモデルがあったので、どのようなビジネスモデルを採択したら良いかは、明らかだった。 それに向かって、企業の従業員は、あたかも家族のように一致団結するという体制が必要だった。 しかし、1990年代頃から世界が大きく変わり、状況の大きな変化に対応することが必要になった。その局面で、日本型雇用体制は、大きな障害になってきたのである』、なるほど。
・『さまざまな制度改革が必要  ジョブ型雇用はこれまでの雇用体制とは大きく違うので、簡単に導入できるものではない。 とくに重要なのは、一部の企業だけがジョブ型雇用を導入しても、うまく機能しないことだ。なぜなら、ジョブ型は、労働者が一つの企業にとどまらず、別の企業に移ることが前提になっているからだ。したがって、多くの企業がこのようなこの体制を導入しないと、機能しない。 企業間の労働力の流動性を進めていくためには、様々な制度の整備が必要だ。とくに重要なのは、退職金制度である。 日本の場合には、一定の勤務年数にならないと満額を得られない場合が多い。これが、企業間流動性の大きな障害になっていると思われる。 確定拠出型年金がこれを解決するが、まだ十分に普及しているとは言えない』、「退職金制度」や「年金」制度が変化するのは、相当長い時間が必要だ。
・『目的は「もらいすぎ中高年」対策?  ジョブ型雇用の導入には、制度を変える必要があるだけでなく、人々の考え方をも変える必要がある。実際には、年功序列的賃金と終身雇用に頼りたいと考える人が多いかもしれない。 事実、この制度には、さまざまな批判がある。企業がこれを導入するのは、労働コストの高い中高年従業員(いわゆる「もらいすぎ中高年」)の賃金を抑えたいからだという見方もある。 ただし、いまの日本の雇用は、「終身雇用的」とはいっても、文字どおり生涯の雇用を保障しているわけではない。50代の後半になれば、次の職場を探さなければならない。そして、転職できても、元の企業に残れても、賃金が大幅に下がる。 平均寿命が伸びて人生100年時代になってくると、むしろジョブ型のほうが長期間の所得稼得を可能にする可能性がある。 企業別労働組合である日本の労働組合が、これに対してどのような評価をするかが注目される』、「ジョブ型のほうが長期間の所得稼得を可能にする可能性がある」、かどうかはまだ分からない。何回もの法人税減税を賃上げでなく、内部留保増加に回すだけの経営陣の姿勢からみる限り、残念ながら「所得稼得」には期待できそうもない。
タグ:「日本」の労働者は、権利を余り要求でず、聞き分けがいいようだ。 「承認欲求は自力だけでは充足することができず、相手の自由意思に依存するという受動的な性質がある。テレワークで出社しないと不安になるという理由には、そうした承認欲求の性質も関わっていると考えられる」、「とくにテレワークの場合、仕事ぶりが周囲から見えにくいので、仕事の出来不出来は上司に評価されるか否かにかかっているといってもよい。しかも日本企業では仕事の分担が不明確なので一人ひとりの成果を捕捉しにくく、そのぶん評価者の感情や利害関係が評価に入り込みやすい」、その通りだ。 「「甘い人事評価をつけることがある」という回答は欧米企業で6%、日本企業で20%と大きな差がある」、「互いに近接しているほど相手に対する情報も、また承認の機会も多い。もちろんそこには正の承認だけでなく、負の承認も含まれるが。 そのため近接しているほど承認するにしろ、しないにしろ、相手に対するインパクトが大きくなる」、これではリモートワークの普及にはやはり限界があるのは、やむを得ないのかも知れない。 「「日本型」企業に特有の「承認欲求」」とはどういうことだろう。 太田 肇氏による「在宅は出世に影響?近くにいるほど「高評価」の謎 日本人の有休消化率はなぜこれほど悪いのか」 東洋経済オンライン 「日本の電機メーカーが衰退したのは、2000年頃にビジネスモデルを選択を誤ったからだ」、「組織の出世の階段を上り、トップに上り詰めた人」の限界なのかも知れない。 野口 悠紀雄氏による「年功序列はもう限界、ジョブ型雇用は日本経済再生の突破口になるか 衰退の元凶、日本型雇用からの脱却を」 「419社のうち約100社が、検討中も含めてジョブ型に着手」、「2020年夏」段階で既に相当進んでいるようだ。 「日本型雇用」も高度成長期には日本経済の強さを支えたが、「変化の大きい時代」には、そぐわなくなったということなのだろうか。 確かに「先端的な金融業務は極めて専門性の高いものであり、ジョブ型雇用にあったものだ」、その通りだ。 現代ビジネス 「中堅社員は「在宅による日々の効率化と対面の合わせ技なら理解できるが、経営陣は現場を理解していない。優秀な学生の中からホンダを希望リストから外す人が増えてしまう」と嘆く」、「トヨタ自動車も「コロナ禍では在宅勤務が可能な職場でのより一層の在宅勤務を推進している」といい、東京や名古屋での4月末時点での出社率は4割以下にとどまる」、「三部社長」の真意はどこにあるのだろう。 (注)三現主義:「現場」に足を運び、「現物」を直接手に取り、「現実」を見て確認した上で、問題解決を図ることが重要という考え方。ホンダやトヨタ自動車が有名(グロービス経営大学院)。 いまどき「三現主義」で「対面でのコミュニケーションを重視」、とはテレワークとは真逆の考え方であり、違和感もある。 東洋経済オンライン「ホンダがテレワークやめ原則出社に踏み切る真意 「三現主義」重視する社内文書、疑問の声も」 「ジョブ型のほうが長期間の所得稼得を可能にする可能性がある」、かどうかはまだ分からない。何回もの法人税減税を賃上げでなく、内部留保増加に回すだけの経営陣の姿勢からみる限り、残念ながら「所得稼得」には期待できそうもない。 「退職金制度」や「年金」制度が変化するのは、相当長い時間が必要だ。 (その38)(在宅は出世に影響?近くにいるほど「高評価」の謎 日本人の有休消化率はなぜこれほど悪いのか、ホンダがテレワークやめ原則出社に踏み切る真意 「三現主義」重視する社内文書 疑問の声も、年功序列はもう限界 ジョブ型雇用は日本経済再生の突破口になるか 衰退の元凶 日本型雇用からの脱却を) 働き方改革
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