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暗号資産(仮想通貨)(その22)(ビットコイン採掘のエネルギー消費 米環境運動の標的に、混沌のビットフライヤー ファンド買収の行方 創業者の加納氏に迫られる「全株売却」の決断、ビットコインの「悪魔的仕組み」とは?人間の本質を突いた設計の妙 【國光宏尚、尾原和啓、入山章栄 特別鼎談(2)】) [金融]

暗号資産(仮想通貨)については、3月21日に取上げた。今日は、(その22)(ビットコイン採掘のエネルギー消費 米環境運動の標的に、混沌のビットフライヤー ファンド買収の行方 創業者の加納氏に迫られる「全株売却」の決断、ビットコインの「悪魔的仕組み」とは?人間の本質を突いた設計の妙 【國光宏尚、尾原和啓、入山章栄 特別鼎談(2)】)である。

先ずは、5月1日付けロイター「アングル:ビットコイン採掘のエネルギー消費、米環境運動の標的に」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/usa-tech-climate-change-crypto-currency-idJPKCN2MH0BG
・『中国が昨年、暗合資産(仮想通貨)ビットコインのマイニング(採掘)を禁止すると、米国で採掘を始める「ゴールドラッシュ」が起こり、ニューヨーク、ケンタッキー、ジョージアなど米国の州がたちまち主要なマイニング拠点となった。 中国が昨年、ビットコインのマイニング(採掘)を禁止すると、米国で採掘を始める「ゴールドラッシュ」が起こり、ニューヨーク、ケンタッキー、ジョージアなど米国の州がたちまち主要なマイニング拠点となった。写真はイメージ。2021年8月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic) ニューヨーク州議会のクライド・バネル議員にとって、これほどうれしいことはない。地元で雇用が生まれて「幸いだ」と語る。 一方で、アンナ・ケルズ議員は、電力を大量消費するマイニングを同州で厳しく規制する法案を推進中だ。「われわれの気候変動目標をすぐに脱線させてしまう産業がやってきた」と警鐘を鳴らした。 米国ではビットコインのマイニングによる環境への影響を巡る議論が活発化し、主要な環境団体が化石燃料の使用を批判する運動を全米で展開し始めた。 マイニングによるエネルギー消費量と温室効果ガスの排出量を正確に測定するのは難しい。 業界団体コインシェアが2021年に出した推計では、排出量は世界全体の1000分の1に満たないが、ニューヨーク・デジタル・インベストメント・グループの報告によると、2030年までに最大1%に達する見通しだ。 ビットコインのエネルギー消費を一貫して批判してきたエコノミスト、アレックス・ドゥ・ブリー氏は今年3月にエネルギー誌で発表した論文で、マイニングによってギリシャ1国分の二酸化炭素(CO2)が排出されたとの推計を示した。 ビットコインの推進派は、例えば、クリスマスの照明などもマイニングとほぼ同量のエネルギーを消費しているし、ビットコインの社会的機能を考えればエネルギーを消費するだけの価値がある、と主張する。 しかし、ニューヨークやペンシルベニアなどの州では、一部のマイナーが閉鎖された化石燃料発電所を復活させて電力を確保し、地元住民の抗議に遭う事例もあった。 環境団体・グリーンピースUSAの最高プログラム責任者、テフェレ・ゲーブル氏は、最近の記者会見で「今は気候変動危機の渦中だ」と指摘。ビットコインのマイニングは「われわれを間違った時期に間違った方向へと押し進めている」と批判した』、「中国が昨年、ビットコインのマイニング(採掘)を禁止すると、米国で採掘を始める「ゴールドラッシュ」が起こり、ニューヨーク、ケンタッキー、ジョージアなど米国の州がたちまち主要なマイニング拠点となった」、さすが目ざとい行動だ。
・『<NY州の法案>  ニューヨーク州議会のケルズ議員が策定した法案では、化石燃料を電源とするビットコインの新事業にモラトリアム(一時停止措置)を課すことが盛り込まれている。 同州のビットコイン・コンサルティング会社、ファウンドリーのディレクター、カイル・シュネプス氏は、法案が可決されれば「ニューヨークはこの事業に門戸を閉ざしたというシグナルになる」と反発する。 シュネプス氏は、再生可能エネルギーを利用しているマイナーもある上に、マイニング事業は地元に経済的な恩恵ももたらすと主張する。同社自体、ニューヨークで115人を雇用している。 法案に反対するバネル議員は、モラトリアムを導入すればマイナーが逃げかねないとし、議会は業界と協力して環境面の懸念に対処すべきだと話した。 ニューヨークで起こったことが全米に影響を及ぼすだろうという点では、賛成派と反対派の考えが一致している』、地元議員にとっては、「マイナー」の「雇用」も無視できない要素だ。
・『<コード変更を巡る対立>  エンバイロメンタル・ワーキング・グループやグリーンピースUSAなど主要な環境団体は、全米でビットコインによる環境への影響に注意を喚起する運動を展開している。 これらの団体は、ビットコインのソフトウエアコードを変更し、エネルギーを大量消費する「プルーフ・オブ・ワーク」方式から、消費量の少ない「プルーフ・オブ・ステーク」と呼ばれる新方式に切り替えるよう求めている。 新方式を使った暗合資産・リップルの共同創設者、クリス・ラーセン氏は、この運動に500万ドルを寄付した。 だが、ビットコイン推進派は、エネルギー集約型の設計こそが、ビットコインの安全性と分散化を維持する上で重要だと主張する。 これに対してラーセン氏は、ビットコインに投資する大手金融機関が増えるにつれ、ソフトウエア開発者に環境、社会、統治(ESG)目標に沿うよう求める圧力が増すと予想。「この圧力によって、中核的な開発者らは(コードの)変更を行うだろう。それがゴールだ」と述べた』、「プルーフ・オブ・ワーク」は「エネルギーを大量消費」するが、「消費量の少ない「プルーフ・オブ・ステーク」と呼ばれる新方式」で安全性が確保されるかどうかがカギである。

次に、5月14日付け東洋経済オンライン「混沌のビットフライヤー、ファンド買収の行方 創業者の加納氏に迫られる「全株売却」の決断」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/588664
・『国内最大手の暗号通貨交換所ビットフライヤー。創業者・加納裕三氏の決断次第では、日本の暗号資産業界における歴史の転換点になる。 暗号資産交換所で国内最大手のbitFlyer(ビットフライヤー)が揺れている。 5月中にも、ビットフライヤーを傘下にする持株会社でビットフライヤーホールディングス(未上場)の約6割に当たる株式をICT業界などの案件に実績のある投資ファンド、ACAグループが買収する。「このゴールデンウィーク中に大筋の合意が得られた」と、事情に詳しい関係者が東洋経済の取材に対して明らかにした。 ビットフライヤーHDの約4割の株式を握る共同創業者の加納裕三氏は、同社株式をまだ持ち続ける見通し。加納氏の持ち分を除く全株式がACAグループに渡り、加納氏とACAグループが4対6で株を分け合う新たな資本構成となる。ビットフライヤーHDの評価額は最大450億円と一部で報じられていたが、「その後ACAグループ以外の入札も加わり、それよりも高くなった」(前出関係者)もようだ』、なるほど。
・『転機は4年前の「退場勧告」  2014年1月創業のビットフライヤーは、暗号資産取引の預かり資産や会員数でコインチェックと国内で双璧をなす。2022年3月時点の預かり資産は5803億円で、本人確認済みの会員数は推定約170万人。2021年12月期の決算は、ビットコインやイーサリアムなど暗号資産の相場が上昇した恩恵で、営業収益275億円(前期比3.6倍)、営業利益178億円(同11倍)だった。 順調に見える同社が、なぜファンドに買収されるのか。その理由は2018年にさかのぼる。 2018年1月、暗号資産(当時の呼称は仮想通貨)業界を震撼させたのが、コインチェックによる約580億円相当の資産流出だ。この事件により、それまで暗号資産取引所の育成に前向きだった金融庁は姿勢を一転させ、コインチェックのみならずビットフライヤーなど多くの暗号資産交換所に業務改善命令を下した。 なかでも厳しく指弾されたのがビットフライヤーだった。 金融庁は「経営陣はコストを抑えることを優先して内部管理態勢を整備していない」「登録審査等に関して当局等へ事実と異なる説明等を行うといった企業風土」などと他社より踏み込んだ形で問題を指摘し、当時社長だった加納氏に事実上の退場を迫った』、「ビットフライヤー」に対する「金融庁」の指摘は極めて厳しかったようだ。
・『社長人事をめぐり株主間に亀裂  社内の混乱が始まったのは、加納氏が社長を退いた2019年1月以降だ。銀行や外資系証券会社など伝統的な金融機関からトップを招いたが、4年間で3回社長が交代している。いずれも筆頭株主である加納氏と対立したことが原因とみられ、「早期のエグジット(新規株式公開やM&A)を求める他の株主と加納氏との間に亀裂が生まれた」(関係者)。 実際にフリマアプリのメルカリや中国系の暗号資産交換所Huobi(フォビ)などへの売却交渉がまとまりかけたこともあったが、条件面で加納氏が首を縦に振らず、いずれも破談に終わった。今回のACAグループによる買収は、加納氏の関与を避ける形で話が進められたようだ。 コインチェック事件以降一連の出来事について加納氏は、2021年12月の東洋経済のインタビューで「(これまで好意的だった)金融庁側の姿勢の変化には驚きを禁じ得なかった。直近3カ年のセキュリティーやコンプライアンスなど内部体制への投資は300億円に上るが、これによって必要な成長投資ができず、世界と差が開いてしまった」と恨み節を語っている。 社長の交代が相次いだ点については、「ベンチャーとは言えない大企業のような組織風土になってしまっていて、見るに堪えなかった。(メルカリやフォビなど)株式売却の話が勝手に進められていることも不愉快だった」という趣旨の発言している。 加納氏はホールディングスの社長を外れて以降、ブロックチェーン事業を営む子会社や海外子会社の社長を務める。 ただし、ブロックチェーン事業は不振が続く。2017年4月には、積水ハウスと共同でブロックチェーン技術を活用した不動産情報管理システムの構築を開始すると発表したが、目立った成果を出せずに協業関係は解消した。積水ハウスはビットフライヤーと協業する前に同社への出資を行っており、現在も第3位の株主(保有比率は推定13%)として残る。 海外事業については赤字から脱せず、ビットフライヤーは2019年12月期にアメリカ子会社、2020年12月期には欧州子会社の株式を減損処理している。事業面で成果を出せていない加納氏が本体の人事に重ねて口を挟むことも、その他株主にとっては不満が募る原因となった可能性が高い』、「加納氏」は「事業面で成果を出せていない」くせに、「本体の人事に重ねて口を挟む」、やっかいな人物だ。
・『ファンドは短期売却という見方も  ファンド買収後のビットフライヤーはどうなるのか。暗号資産業界の浮き沈みは激しい。2021年を通じて、大手各社はいずれも好業績を叩き出したが、2022年に入って以降は暗号資産の相場が再び低迷して取引量が減少、コインチェックの第4四半期(2022年1~3月期)は営業赤字となった。ビットフライヤーもその例外ではなく、足元は厳しい業績になっているようだ。 「投資ファンドが交換所の株を持ち、企業価値を上げるのは容易ではない」と暗号資産業界の関係者は口を揃える。資産の漏洩やマネーロンダリングのリスクがつきまとう暗号資産交換業のコストは膨らむ一方で、ファンドが得意とするコストを抑えて収益を改善するという手法も通用しづらい。「ACAグループによる株式の保有は短期的で、すぐにほかへ転売するだろう」(同関係者)と見る向きもある。 そうした中、ACAの転売先として受け皿になり得るのが、一度買収交渉を行ったメルカリをはじめ、楽天グループやヤフーといった大手IT企業だ。 インターネット業界は現在、「ウェブ3.0」と呼ばれる大きな転機を迎えている。ブロックチェーンを用いて、ユーザーが暗号資産やNFT(非代替性トークン)といったデータの所有権を持てるウェブ3.0の仕組みは、巨大資本GAFAMの牙城を崩す可能性を秘めると言われる。 日本のIT企業もこのウェブ3.0への投資に関心を持ち始めており、ブロックチェーン技術を兼ね備えたビットフライヤーのような大手交換所の買収は、ウェブ3.0へ参入する格好の足がかりになる。 メルカリは東洋経済の取材に対し、「子会社を通じた暗号資産交換業のライセンス取得を最優先に目指しているが、(登録済みの交換業を買収することを含め)あらゆる可能性を排除せず検討している」と回答した』、米国の金融政策転換により「暗号資産」価格は低迷に転じ、「ウェブ3.0」の熱も冷めたようだ。
・『暗号資産業界における歴史の転換  焦点となるのは加納氏が持つ株式の行方だ。買収観測が浮上して以降、メディアに口を閉ざしていた加納氏に記者は5月11日、株式保有の意向について対面で真意を問うた。すると同氏は「今は答えられない」といらだちの様相を見せ、足早に去った。 暗号資産交換所はすでに再編淘汰の時代に突入している。2019年の改正資金決済法でデリバティブ取引が金融商品取引法の対象になるなど規制が強まった結果、「かつて100社以上あったFX(外国為替証拠金取引)の業者が半減以下になった現象と同じようなことが起きている」(SBI VCトレードの森本逸史代表取締役専務)。 そこで浮上してきた業界最大手ビットフライヤーの買収劇。2008年にビットコインが誕生して、交換所ビジネスが花開き、そして今ウェブ3.0の波が押し寄せてきている。将来的に、加納氏の持ち分も含めた全株が売却されることになれば、日本の暗号資産業界における歴史の転換点になるだろう』、現在の停滞する「暗号資産」市場からは考えられないような熱気を感じさせる文章だ。もっと冷静に考えるべきだ。

第三に、6月2日付けダイヤモンド・オンライン「ビットコインの「悪魔的仕組み」とは?人間の本質を突いた設計の妙 【國光宏尚、尾原和啓、入山章栄 特別鼎談(2)】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304022
・『これから世界はどこに向かっていくのか、そして時代の波に乗るためのビジネスチャンスのヒントを書いた『メタバースとWeb3』の著者である國光宏尚氏と、IT批評家でフューチャリストの尾原和啓氏、『世界標準の経営理論』の著者で早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏の鼎談を実施。2回目は人間の本質からビジネスと社会貢献の両立について迫ります』、興味深そうだ。
・『通貨の「フォーク(分裂)」には、メリットもある?(入山章栄(以下、入山) DAOはプロジェクトであり組織であると思うんですが、だんだん盛り上がらなくなると終息してなくなっていく感じなんですか? 國光宏尚(以下、國光) 一時期、ビットコインの分裂が話題になったことがありますよね? あの時「通貨が分裂ってなんのこと?」という声が多かったと思います。でも、ビットコインやイーサリアムは技術的に言うとオープンソースのプロジェクトで、フォーク(分裂)自体はよくあることなんです。 尾原和啓(以下、尾原) ビットコインの分裂ってありましたね。 國光 ビットコインコミュニティーの中で、意見が真っ二つに分かれた事件がありました。ビットコインの本質的な価値というのは、ゴールドと同じ、変わらない「価値の保存」なのか、決済や送金などの「ユーティリティー(利便性)」なのかという議論です。 しかし、ユーティリティーに使おうと思うと、このままのビットコインでは効率も悪く無理なので、ビットコイン自体を変えていかないとダメだった。しかし、変えていくとするとハックされるリスクもある。ビットコインは、14〜15年間ハックされなかったことこそが変わらない価値だった。 だから、やるべきか否かでコミュニティーが完全に対立して、そのときにフォークしたんです。 入山 なるほど。 國光 フォークさせた上でビットコインとビットコインキャッシュに分かれたんですけど、それぞれが互いの信念におもむくままやった結果、よりいいものになったほうが主流になり、よくなかったほうが消えていった。 尾原 結局、ゴールド側が勝って通貨側が弱くなっていったんですね。 國光 それぞれが、それぞれのビジョンどおりにやって、よりいいことをやったほうが主流になって、そうじゃないところが消えていく。そういうイメージですね』、「ゴールド側」、「通貨側」はどういう意味なのだろう。「ビットコインは、14〜15年間ハックされなかったことこそが変わらない価値だった」、とあるが、これまでハッキングされた事件もあったように記憶しているが、本当のところはどうなのだろう。
・『DAOと経営学の意外な共通点とは?  入山 興味深いですね。僕は著書『世界標準の経営理論』の中で、個人と組織の新しいかたちを提示した「ティール組織」の世界観は、これからの未来にありえると書いていました。 ティール組織は組織を生命体として捉えるという考え方なんですが、DAO(注)に似てますよね。種として分裂をし、進化する方が生き残っていくように、「組織が生物的になっていく」イメージですね。 尾原 中央集権でやるケースもあるけれども、うまくいかない場合はフォークすればいいじゃないか、と生命が分裂していくみたいに意思決定の仕組みそのものが進化、淘汰を簡単にできるようになる世界というのがティールに合いやすい。 入山 この世界では、人類が400年間使っていた株式会社という仕組みをある意味で根底から変えるので、めちゃめちゃおもしろいですよね。400年越しの大革命ですよ。  國光 一方で、人は性善説では動きません。みんなが自分の利益のために動くことがひとつの自律型組織のベースだと思っています。 たとえば、私が投資しているTHETA(シータ)という動画配信のP2P(ピア・ツー・ピア)ネットワークを提供する会社では、ネットワークに参加すると報酬としてトークンが得られるようになっています。 THETAは、VR版の動画投稿やeスポーツ配信プラットフォームを、クラウドサービスをベースに実現しているのですが、将来、4K/8Kといったように動画の解像度が上がり、さらにフルVRになったら、いまの100倍もの通信容量が必要になります。その対策として考えたのが、一般ユーザーのパソコンやスマートフォンの空いている通信帯域を共有して大量のデータをやりとりするP2Pネットワークです。 でも、誰も無償では他人にネットワークを貸したがらないものです。そこでTHETAでは、ネットワークに参加するとビットコインのマイニングと同じように、トークンがもらえるといったインセンティブを付けることで自律性を確保しています。 尾原 勝手にトークンがチャリンチャリン入ってくるとなると、つなぎっぱなしのほうが得だと感じますよね。 國光 ビットコインのマイニングも一緒だと思っています。みんな「新しい時代の通貨をつくる」とか、そんな大きなこと考えていないんですよ。ビットコインが欲しいだけで、自分の利益のためだけに動いた結果ネットワークが回っている。 ここが、サトシ・ナカモト(ビットコインの創始者とされる人物)の悪魔的なところです。) 國光「ビジョンに共感してできたコミュニティーがあり、そのビジョンの実現のためにみんなが頑張る」という、性善説的なことを言っている一方で、ビジョンを実現させると報酬としてトークンがもらえる利己的な仕組みがある。性善説と利己的な仕組みの組み合わせなんです。 結局、僕は、最終的に人が動くのって「夢と金」なんじゃないかと思っています。 入山 おっしゃるとおりですね。人間の本質は「夢と金」ですよ。本当に。 経営やビジネスって結局は人間がやっているものです。だから、僕が専門にしている経営学とは結局、「人間の本質は何なんだ」を突き詰める学問だと思っています。そういうことをまとめたのが、『世界標準の経営理論』なんです。 例えば、心理学ベースの経営学だと人の本質は共感とかいろいろあります。一方で経済学のほうは合理性であり、その第一目的は当然「金」ですよね。みんな豊かになりたい。 このように、人というのは複雑で、スパッと性善とか性悪に分かれない。でも、それを突き詰めると大まかには「世の中に良いことをしたいけれども、お金もたくさんもうけてリッチになりたい」となりますよね。DAOには、その仕組みがあるということですよね。 國光 まさに。このあたりがおもしろい仕組みなのかなと思います。 入山 うん。おもしろい。 國光 僕はDAOがはやってきても、株式会社はなくならないとみています。株式会社が向いている点と、DAOが向いている点がそれぞれありますし、株式会社ができた理由はシンプルに資本の集積が必要だったからだと思うんですね。株式会社のひとつの業(ごう)はVCから投資が入った時点で売り上げと利益の成長というのが求められることなんですが。 入山 そうですね。 國光 これが、すさまじい業という感じで。ただ、今の時代でいくと売り上げ・利益や生産性じゃ語れない価値っていうのが出てきていて、そういうところはDAOが向いていると思っています。 尾原 事務所に所属するクリエイターやYouTuberも、DAOに向いていますよね? 國光 事務所から独立してVCの投資が入ると、そのタイミングで売り上げ・利益の最大化を求められます。一人で運営していくには限界があるから人を採用して育てなきゃいけない。 でも、クリエイターとして一流の人が人材育成が得意とは限らない。自分のコンテンツをつくる時間は減り、ファンの期待に応えられなくなることだってある。ならば株式市場からお金を集めるのではなく、ファンから直接、お金を集めたほうがいいじゃないかと。 その時にファンが求めているのは売り上げ・利益の成長ではなくて、おもしろいコンテンツを追い続けることが報酬なんじゃないかなと思うんです。すると、直接ファンから集めた方がよい、となります。一方で売り上げ・利益・生産性で語れる部分は株式会社のほうが効率はよいのではないでしょうか』、「マイニング」は、「ビットコインが欲しいだけで、自分の利益のためだけに動いた結果ネットワークが回っている。 ここが、サトシ・ナカモト・・・の悪魔的なところです」、その通りだ。
(注)DAO:「 Decentralized Autonomous Organization 」の略称で、「自律分散型組織」、ブロックチェーン上に構築(Cloud Ace)。
・『ビジネスと社会貢献の両立に必要なこととは?  入山 僕はいま、北海道の生活協同組合「コープさっぽろ」の理事をやっているんですね。理事長である大見英明(おおみひであき)さんがトップで、大見さんは経営者としてもたいへん素晴らしいので、今はとても成功しています。そして、興味深いのは生協の仕組みです。 “生協”は組合組織です。組合員が出資者となりますから、いわゆる株式会社ではないんです。株主もいません。 株式会社って、「株主」と「顧客」が違いますよね? そして株主は、株価を上げてほしいから企業に成長を求めるけれども、一方で顧客のためにもいいことをやらないといけない、というのが株式会社の難しいところです。 しかし、生協はそのコンフリクトがないんです。「出資者=顧客」なので、そういう意味ではちょっとDAOに近いと思います。 尾原 難しい点はないのですか? 入山「出資者=顧客」に生協の経営をモニタリングするインセンティブが弱いため、ガバナンスが効きづらい点ですね。とはいえ、北欧などヨーロッパの多くの国の小売りでは、かなりの部分が実は生協なんです。 國光 そうなんですね。 入山 日本が今後お手本にしたいといわれているフィンランドやデンマーク、スウェーデンなど北欧経済圏の小売業は、かなりの部分が生協です。だから、本当に日本が北欧を目指すなら、「生協を増やそう」というのが僕の主張なんです。 もうひとつ生協の難しい点は、ある意味で性善説で成り立っているところです。 例えば生協の理事って報酬があるものの、報酬委員会はないから株主が監視せず、理事たちの自制心で給料を抑えている。社員の平均給料の6倍を超えてはいけない、といった暗黙のルールが北欧の生協にあることはあります。それで無理やり抑えている。ただ、根底にあるのは人間の善意なので、いわゆる「民度」が上がらないと生協モデルの普及は無理、というのが僕の理解です。 尾原 北欧で生協が成り立つのは、民度が高いからなんですね。 入山 人間は欲もあるのでみんなが自制できるわけではないですし、自制できないところで、当然対価が欲しくなるものです。他方で、今日の國光さんと尾原さんの話を聞いていると、DAOの仕組みはうまくやると、その両方が取れるんだなと。 國光 アメリカやドイツ、フランスでも生協は成立していないんですか? 入山 アメリカは成立していないですね。ドイツはちょっとあったと思いますけど。基本はフィンラインド、デンマーク、スウェーデン、スイスあたり。 國光 やはり福祉国家を延々とやってきた中での、民度の積み上げがあったということですよね。 入山 だからDAOはいい意味での民主化的なものをやりつつ、インセンティブをみんなに幅広く与えることが可能になる。コミュニティーを作れてみんながハッピーで、お金の面でも得をする世界というところが、すごくおもしろいですよね』、「日本が今後お手本にしたいといわれているフィンランドやデンマーク、スウェーデンなど北欧経済圏の小売業は、かなりの部分が生協です。だから、本当に日本が北欧を目指すなら、「生協を増やそう」というのが僕の主張なんです」、「根底にあるのは人間の善意なので、いわゆる「民度」が上がらないと生協モデルの普及は無理」、なるほど。
・『必要なのは「応援した人が報われる」仕組み  國光 DAOはスポーツとすごく相性がいいなと感じています。インフルエンサーやアイドル、クリエイターなどさまざま試しているんですが、なかでも特にスポーツがハマっています。 スポーツチームのビジョンは、極めてはっきりしていて大半のチームが「スポーツを通して地元を盛り上げる」と地域貢献を挙げているんです。スポーツを通して地元を盛り上げたいといったビジョンがはっきりしているから、共感してコミュニティーになりやすい。みんなでそれをやっていこうと、力も湧きやすい。 でも、これまでのスポーツビジネスには大きな欠点が二つあった。ひとつは応援したファンにメリットがないことです。 入山 ですね。ただただ、応援していく。 國光 さらにもうひとつ。近くのチームの人しか応援しないケースが多く、商圏が狭まりがちなことです。 ただ、DAOを通じて、オーナーやコミュニティーの人たちが頑張っていることを知ると、ちょっと離れたところにいるけれども応援したい、サポートしたいといったことが起こる。これまでのスポーツビジネスやエンタメビジネスはファンしか応援しないため、ほぼNPOに近いと思っているんです。 今までもYouTubeとかTikTokのような広告モデルや「投げ銭」、サブスクなどありますが、一方的にファンが貢いでいるだけなんです。応援した人たちが有名になっていくのに、見返りがない。DAOで重要なのは、ただファンということだけではありません。「応援したらメリットもある=みんなが応援したい、サポートしたい」といった仕組みが必要なんだと思います。 入山 めちゃめちゃいいですね。地方創生と言っても、どこもお金がないので「ふるさと納税」に使っていることが多い。 國光 僕は今、大きく三つのことをやっているんですね。ひとつがThirdverseという会社で、ここはVR、メタバースのゲームをつくっている会社です。あとはFiNANCiEといってブロックチェーンベースの、誰でも簡単にDAOがつくれてトークンを発行してコミュニティーがつくれるサービス。あとはgumi Cryptos Capitalという、これはWeb3に特化したファンドで1号ファンドが23億くらい、2号ファンドが130億くらいです。 入山 えっ。すごい。 國光 その中のFiNANCiEがまさに、簡単にトークンやNFTを発行して資金を調達してコミュニティーを形成できるサービスなんですけど、スポーツチームで湘南ベルマーレさんやアビスパ福岡さんなどサッカー、野球、卓球などを展開し、60チームにトークンやNFTを発行してもらっています。 尾原 DAOとスポーツ、すごく相性がいいですね』、「DAO」は「スポーツ」と「相性」がよく、ずいぶんひろがりが出てきそうだ。今後の展開が注目される。 
タグ:「ビットフライヤー」に対する「金融庁」の指摘は極めて厳しかったようだ。 東洋経済オンライン「混沌のビットフライヤー、ファンド買収の行方 創業者の加納氏に迫られる「全株売却」の決断」 「プルーフ・オブ・ワーク」は「エネルギーを大量消費」するが、「消費量の少ない「プルーフ・オブ・ステーク」と呼ばれる新方式」で安全性が確保されるかどうかがカギである。 地元議員にとっては、「マイナー」の「雇用」も無視できない要素だ。 「中国が昨年、ビットコインのマイニング(採掘)を禁止すると、米国で採掘を始める「ゴールドラッシュ」が起こり、ニューヨーク、ケンタッキー、ジョージアなど米国の州がたちまち主要なマイニング拠点となった」、さすが目ざとい行動だ。 ロイター「アングル:ビットコイン採掘のエネルギー消費、米環境運動の標的に」 暗号資産(仮想通貨) (その22)(ビットコイン採掘のエネルギー消費 米環境運動の標的に、混沌のビットフライヤー ファンド買収の行方 創業者の加納氏に迫られる「全株売却」の決断、ビットコインの「悪魔的仕組み」とは?人間の本質を突いた設計の妙 【國光宏尚、尾原和啓、入山章栄 特別鼎談(2)】) 「加納氏」は「事業面で成果を出せていない」くせに、「本体の人事に重ねて口を挟む」、やっかいな人物だ。 米国の金融政策転換により「暗号資産」価格は低迷に転じ、「ウェブ3.0」の熱も冷めたようだ。 現在の停滞する「暗号資産」市場からは考えられないような熱気を感じさせる文章だ。もっと冷静に考えるべきだ。 ダイヤモンド・オンライン「ビットコインの「悪魔的仕組み」とは?人間の本質を突いた設計の妙 【國光宏尚、尾原和啓、入山章栄 特別鼎談(2)】」 「ゴールド側」、「通貨側」はどういう意味なのだろう。「ビットコインは、14〜15年間ハックされなかったことこそが変わらない価値だった」、とあるが、これまでハッキングされた事件もあったように記憶しているが、本当のところはどうなのだろう。 「マイニング」は、「ビットコインが欲しいだけで、自分の利益のためだけに動いた結果ネットワークが回っている。 ここが、サトシ・ナカモト・・・の悪魔的なところです」、その通りだ。 (注)DAO:「 Decentralized Autonomous Organization 」の略称で、「自律分散型組織」、ブロックチェーン上に構築(Cloud Ace)。 「日本が今後お手本にしたいといわれているフィンランドやデンマーク、スウェーデンなど北欧経済圏の小売業は、かなりの部分が生協です。だから、本当に日本が北欧を目指すなら、「生協を増やそう」というのが僕の主張なんです」、「根底にあるのは人間の善意なので、いわゆる「民度」が上がらないと生協モデルの普及は無理」、なるほど。 「DAO」は「スポーツ」と「相性」がよく、ずいぶんひろがりが出てきそうだ。今後の展開が注目される
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