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米中経済戦争(その17)(知らぬ間に中国の国民抑圧に加担する 日米欧の民間企業、池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する、「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』 #3) [外交]

米中経済戦争については、昨年8月6日に取上げた。今日は、(その17)(知らぬ間に中国の国民抑圧に加担する 日米欧の民間企業、池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する、「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』 #3)である。

先ずは、昨年10月12日付け日経ビジネスオンラインが掲載した元アメリカ国家安全保障担当大統領補佐のH・R・マクマスター氏による「知らぬ間に中国の国民抑圧に加担する、日米欧の民間企業」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00373/100400002/
・『中国側と技術開発などで協業している日本や欧米の企業は数多いが、いつの間にか技術を転用され、中国共産党が国民を監視したり人民解放軍の能力を向上させたりするために利用されているケースがある。また、新技術の開発や投資でも、日米欧は中国に後れをとっている。対抗するためにはどのような政策が必要なのか。 トランプ政権の国家安全保障担当大統領補佐官を務め、歴史的な対中政策の転換を主導したH・R・マクマスター氏の著作『戦場としての世界 自由世界を守るための闘い』から一部抜粋して紹介する。 ※本記事の内容は本書からの抜粋で著者個人の見解。タイトル、見出し、写真選定は編集部によるもの。写真はイメージ』、「歴史的な対中政策の転換を主導した」人物の著作とは興味深そうだ。
・『開かれた社会に付け入ろうとする中国共産党  中国共産党は、自分たちの中央集権型の国家主義的な経済システムには優位性が備わっていて、特に官、産、学、軍を巧みに調整する能力で並ぶものはないと自負している。そして、アメリカなどの分権的で自由市場を中心とする経済システムは中央から指令を下す中国の戦略、例えば「中国製造2025」の産業政策や「一帯一路」構想、軍民融合の政策に太刀打ちできないと見る。 これに対抗するため、アメリカをはじめとする自由市場型の経済システムを持つ国々は、中国からの侵略の手をはねのけつつ、分権的な構造と制約のない起業家精神の発露こそが競争上、優位にあることを示さなければならない。 ここで大きなカギを握るのは民間セクターである。新しい技術の開発と実用化の最前線にいる企業や学術機関にとって、中国に対する油断は禁物であり、彼らがルールを破ってでも、開かれた社会と自由市場型の経済に付け入ろうと企(たくら)んでいることを認識する必要がある。 競争上の優位性を維持するための最初のステップは、中国による我々の技術の窃盗を取り締まることである。海外からの対米投資の影響を国家安全保障上の観点から検証する作業を経て大がかりな改革が実現したものの、効果的な防御策を継続的に追加していくことが求められる。 具体的には、アメリカ企業に対して、中国に関連した法人から投資を受け入れたり、中国側から技術移転の要請があったり、また、自らが中国共産党の中核的な技術の開発や人民解放軍の近代化のプログラムに参加したりする場合には報告させることである。 中国は国家資本主義のモデルを広めることだけでなく、監視警察国家の完成を目指してアメリカ経済の開放性に乗じようとしている。それを防ぐ取り組みには改善の余地が大いにある。 法の支配と個人の権利を重視する国々では、多くの大学、研究機関、そして企業が承知の上で、あるいは知らないうちに中国側に加担し、中国共産党が国民を抑圧する技術を実際に使い、また、人民解放軍が自らの能力を引き上げることに手を貸している。これらは軍民両用の技術があるために生じている。 民間セクターは新たな協力先を探し、自由市場型の経済や代議制、法の支配を尊重する姿勢を共有できる相手と組むべきである。多くの企業が監視技術、人工知能(AI)、遺伝子工学などの分野で中国側と合弁や提携を進め、結果的に中国共産党が国内の治安対策に適した技術を開発することを助けている。他にも複数の企業が中国からの投資を受け入れ、中国共産党はそれらを糸口に必要な技術にアクセスしている。 多くの事例からもう一つ挙げれば、マサチューセッツ州に本社を置くある企業が提供した遺伝子抽出装置は、中国共産党が新疆でウイグル族の住民を追跡するのに役立った。また、グーグルは中国からハッカー攻撃を受け、中国共産党によって国民が情報にアクセスできないようにサービスを遮断されたが、同社はアメリカの国防総省とのAIでの協業は拒んだ。 中国の国民を抑圧するための取り組みだと分かった上で、あるいは、いつの日にか同じアメリカ市民に対して行使されかねない軍事能力を構築する計画だと分かった上で中国共産党に協力する企業は、罰せられなければならない』、「民間セクターは新たな協力先を探し、自由市場型の経済や代議制、法の支配を尊重する姿勢を共有できる相手と組むべきである。多くの企業が監視技術、人工知能(AI)、遺伝子工学などの分野で中国側と合弁や提携を進め、結果的に中国共産党が国内の治安対策に適した技術を開発することを助けている。他にも複数の企業が中国からの投資を受け入れ、中国共産党はそれらを糸口に必要な技術にアクセスしている」、「中国の国民を抑圧するための取り組みだと分かった上で、あるいは、いつの日にか同じアメリカ市民に対して行使されかねない軍事能力を構築する計画だと分かった上で中国共産党に協力する企業は、罰せられなければならない」、その通りだ。
・『新しい技術の採用で優位に立つ中国  アメリカ、ヨーロッパ、日本の資本市場での審査の厳格化も、企業が中国共産党の権威主義的な目標に向けた動きに加担することを制限する上で役立つだろう。国内での人権侵害や国際条約への違反行為に直接的に、あるいは間接的に関与している多くの中国企業がアメリカの証券取引所に上場している。これらの企業は、アメリカおよび他の西側諸国の投資家たちからの恩恵に与っている。 上場中国企業は全部で700社余り。このうちニューヨーク証券取引所に86社、ナスダック市場に62社が上場し、規制の緩い店頭市場では500を超す銘柄が取引されている。上場廃止の候補の1社がハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)だ。ウイグル族の住民たちを特定し、行動を監視するための顔認証技術を持ち、同社が生産する監視カメラは新疆の強制収容所の壁に並んでいる。 同社は、親会社で国有の中国電子科技集団と共にアメリカの商務省のエンティティ・リスト(多くの人々が「ブラック・リスト」と呼ぶもの)に掲載されている。我々が持つ自由市場型の経済は世界の資本の大半を管理しているという意味では、中国の経済よりもはるかに大きな影響力がある。 しかし、防衛のための態勢はまだ不十分だ。自由で開かれた国々は、改革と投資を通じて装備面での競争力をテコ入れする必要がある。中国のほうが新しい技術の採用という点では明らかに優勢だ。上意下達型の意思決定システム、政府の補助金の存在、リスクを恐れない姿勢、アメリカやその他の民主主義の国々でよく見られるような規制や官僚制度の壁が比較的少ないこと、倫理的な障害がないこと(例えば遺伝子工学や自立型兵器の分野で)など、これらすべてが民生分野と人民解放軍の現場での技術の迅速な利用を促している。 アメリカもその他の国々も倫理面で妥協してはならないが、中国と比べた場合の弱点の多くは、実は自分で作り出したものだ。一例を示せば、アメリカの国家安全保障にかかわる機関には官僚的な硬直性という病状が長年、表れていた。国防関連の予算計上と装備の調達が遅くて柔軟性に欠ける点も長らく対策が検討されてきたが、効果のある見直しはほとんど実現していない。今度も改革を実現できなかった場合、代償はあまりに大きい。 装備の調達計画を複数年の継続予算に組み入れて予測可能性を持たせることができずにいることや、込み入ったままになっている装備調達の仕組み、そして防衛近代化策が先送りになっていることはもはや許容できないほどだ。 また、国防総省と取引を始めることは本当に難しく、それが最も革新的な中小企業にこの国の防衛能力への貢献を思いとどまらせ、ひいては新しい技術が日の目を見ずに終わる結果をもたらしている。何年も時間をかけて研究開発を進め、能力を一つずつ設計・検証していくやり方はもはや通用しない。 人民解放軍はこれまで続いたアメリカの軍事的優位を無効にするべく、新たな能力や対抗手段を開発している。つまり、国防総省と米軍は優雅に存在感を失っていくリスクに直面している。民間セクターと国家安全保障に関連した機関・産業との間の障壁を減らせば、この重要な分野での自由市場型のイノベーションの可能性を解き放てるだろう』、「民間セクターと国家安全保障に関連した機関・産業との間の障壁を減らせば、この重要な分野での自由市場型のイノベーションの可能性を解き放てるだろう」、「障壁を減ら」してもらいたいものだ。
・『先端技術分野での投資が重要になる  官僚的なやり方を合理化しても、中国の巨額の投資に対抗するにはまだ足りない。中国は新興の軍民両用の技術に投資して、データ主導の経済と軍事力を前進させている。アメリカが一段と能力を高め、攻撃的になる人民解放軍に対して格の違いを見せつけるほどの優位性を保つには、政府と民間セクターによるAIやロボット工学、拡張・仮想現実、材料工学といった技術分野への投資が重要となるだろう。 インド太平洋地域にまたがる多国間の防衛協力も焦点であり、将来をにらんだ防衛能力の共同開発にまで広げる必要がある。その最終的なゴールは、武力の行使によって目的を達成することは不可能だと中国共産党を納得させることである。宇宙やサイバー空間を防衛する能力の開発における多国間協力も、これらのせめぎ合いの対象となっている領域(ドメイン)への中国の侵略を食い止める効果が期待される。 また、台湾の防衛能力は中国を遠ざけておくのに十分なほど強固でなければならない。中国が台湾に対して抱く計画は多くの犠牲をもたらす戦争につながりかねず、戦火は東アジアの大部分に広がる可能性もある』、「アメリカが一段と能力を高め、攻撃的になる人民解放軍に対して格の違いを見せつけるほどの優位性を保つには、政府と民間セクターによるAIやロボット工学、拡張・仮想現実、材料工学といった技術分野への投資が重要となるだろう」、「台湾の防衛能力は中国を遠ざけておくのに十分なほど強固でなければならない」、その通りだ。
・『「法の支配」を民主主義国の弱みと捉える中国  我々の自由市場を劣後した経済システムだとみなす中国共産党は、アメリカやその他の民主主義の国々における法の支配という原理も我々の相対的な弱みだと位置づけている。中国共産党にとって法を至上なものとする考え方は受け入れがたい障害物であり、法の前ではすべての人々を平等に扱うという要件も、法の適用にあたっては主観を排して公平にあたるという基準も中国共産党は退ける。 しかし、ここでも中国が相手の弱みと捉えているものは、実際には自由で開かれた国々の優位性の基盤をなしており、我々はそれを中国共産党との競争に適用しなければならない。 例えば、中国のスパイ行為に対抗するために必要な情報を各国の国民や企業、政府に与えるのも法の支配であり、具体的には法的に適正な手続きの下で行われる捜査(その結果は公表される)である。 2019年になって、中国製の通信機器で構築されたインフラと、持続的なサイバー攻撃によるスパイ活動の組み合わせは、経済の安定や国家の安全保障に深刻な脅威となることが判明した。そこで、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、台湾はそろって中国の通信関連企業のファーウェイ(華為技術)を自らの通信網から排除し、他の国々も追随するようにと訴えた。 2020年2月になると、アメリカの司法省はファーウェイとその複数の子会社が謀議の上で企業秘密を盗み出し、不当な利益を得たとして起訴した。法執行機関による捜査は引き続き重要な役割を果たすだろう。ただし、中国共産党はあまりに多くの大学や研究機関、企業に浸透しており、中国の産業スパイの全容を暴くには、調査報道のジャーナリストたちを含めた総がかりの対応が求められる。 表現の自由、起業の自由、そして法の下での保護は互いに欠かせない関係にある。そして、これらが一体となって我々に競争上の優位性を与える。それは、中国の産業スパイやその他の中国からの経済的な攻勢に対抗する上で役立つばかりか、中国共産党の政策への批判を控えさせ、逆に支持させることを狙って仕掛けてくる影響力拡大のための活動を打ち負かす際にも有効だ』、「表現の自由、起業の自由、そして法の下での保護は互いに欠かせない関係にある。そして、これらが一体となって我々に競争上の優位性を与える。それは、中国の産業スパイやその他の中国からの経済的な攻勢に対抗する上で役立つばかりか、中国共産党の政策への批判を控えさせ、逆に支持させることを狙って仕掛けてくる影響力拡大のための活動を打ち負かす際にも有効だ」、その通りである。

次に、本年5月9日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの池上 彰氏による「池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/584132
・『今、アメリカと中国の関係がここ数十年で一番険悪になっているといわれています。米中対立はアメリカのトランプ前大統領の時代に激しくなりましたが、バイデン大統領に代わってからも一向に収まる気配がありません。 「2つの大国がもめてるだけ。自分には関係ないや」と思っている人がいるかもしれませんが、それは違います。世界は「米中新冷戦」の時代に入ったともいわれています。両国の厳しい対立は日本にも大きく関係してくるのです。 そもそもこんな事態になったのはなぜでしょうか。米中の対立で、日本はどうなるのか?『20歳の自分に教えたい現代史のきほん』(池上彰+「池上彰のニュースそうだったのか!!」スタッフ・著)より、一部を紹介します』、興味深そうだ。
・『台湾有事で米中戦争が勃発!?  2021年1月、中国側からこんな発言が飛び出しました。「台湾独立を目指す勢力に本気で告げる。(中略)台湾独立は戦争を意味する」。 極めて稀なことですが、中国国防省の呉謙報道官が「戦争」に言及しました。台湾は独立したほうがいいのではないかと言っている人も台湾の中にはいます。しかし、もしそんなことをやろうとしたら戦争になるぞと中国が脅したわけです。 中国と台湾が戦争になったら台湾を助けに駆けつけるのはアメリカです。 ①アメリカは台湾を守るために様々な武器を台湾に売ることができる。 ②台湾が軍事攻撃などを受けた場合、アメリカはそれに適切に対応する。 アメリカが1979年に制定した台湾関係法という法律に、こういった内容が盛り込まれています。これは条約ではありませんが、この法律ができたことでアメリカと台湾の関係は事実上の軍事同盟になったのです。 したがって、いざというときは、アメリカは国内の法律に基づいて台湾を助けようとします。そうなれば必然的に台湾をめぐってアメリカと中国が衝突することになり、米中間の戦争になりかねないということです。 2021年3月、アメリカ軍の司令官が「今後6年以内に中国が台湾を侵攻する恐れがある」と発言してニュースになりました。侵攻するとは、軍事攻撃を行うということ。もし中国が台湾に軍事攻撃を仕掛けたら、アメリカはどう動くでしょうか』、国交がないので、条約を結ぶことが出来ず、代わりに「台湾関係法という法律」で定めたようだ。
・『日本にある米軍基地から出動  アメリカ軍が台湾を応援するために出動するとなると、どこから出動すると思いますか?台湾に一番近い沖縄や佐世保、横須賀などの米軍基地から出動するはずです。 今、沖縄からアメリカ軍の船が台湾に向かって出動したとします。中国から見たとき、台湾を攻める上でアメリカの船は邪魔になるため、おそらくこれを攻撃するでしょう。もし沖縄から出港した直後にアメリカの船が中国から攻撃されたら、日本の自衛隊はどうしますか?黙って見ていますか? 別のシナリオも考えられます。沖縄からアメリカ軍が出動するということになれば、中国はその前に沖縄の基地にいるアメリカ軍を叩こうとするかもしれない。そのときは沖縄の基地にミサイルが飛んでくることもあり得ます。 この例からもわかるように、私たちは「これはアメリカと中国の台湾をめぐる対立だ」と何となく他人事のように思っているところがありますが、台湾で軍事衝突が起きたら日本も巻き込まれるのです。 そこで近年、日本や世界の国々である取り組みが進んでいます。それが中国包囲網の形成です。 まず、ファイブアイズというのがあります。文字通り「5つの目」のことで、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが機密情報を共有するために結んだ協定です。この5カ国がお互いに情報を交換しながらスパイ活動での連携を取り合っています。 もう1つが、最近よくニュースに出てくるクアッドです。 クアッド(quad)は英語で「4つの」を意味する言葉。日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国で中国に対抗していこうという枠組みです。ただ、4カ国のうちインドの立場は特殊です。 というのは、伝統的にインドは「非同盟主義」といって、特定の陣営に肩入れしない、いわば全方位外交をとってきたからです。中国は脅威ではあるけれども、できれば敵対したくないと考えています。 そこでアメリカは21年9月、イギリス、オーストラリアと3カ国でオーカスという枠組みを発足させました。それぞれの国(「Australia」「United Kingdom」「UnitedStates」)の頭文字を取ってオーカス(AUKUS)です。 日本は憲法上の制約から軍事面での協力には限度があり、インドは非同盟主義です。この点を考慮して、中国の動きを抑えるため3カ国で軍事同盟を作ったのです』、「ファイブアイズ」は「5カ国がお互いに情報を交換しながらスパイ活動での連携を取り合っています」、「クアッド」は「4カ国で中国に対抗していこうという枠組み」、「AUKUS」は「中国の動きを抑えるため3カ国で軍事同盟」、対中国では3つの枠組みが出来たようだ。
・『一連の動きに中国も反応し始めている  一連の動きに中国も反応し、早速新たな動きを見せ始めました。 アメリカが中国包囲網を作るというなら、その中国包囲網をさらに外側から包囲するような新たな包囲網を作ろうということで、反米ネットワーク作りに余念がありません。 ロシアとの関係を強化し、トルコやイラン、さらに中東のアラブ諸国の中でバイデン政権になってからアメリカとの関係がギクシャクしている国などを取り込んで、アメリカ包囲網を作ろうとしています。 世界を舞台にアメリカと中国がそれぞれ包囲網を作ろうと動いていて、地球レベルで今、それぞれが陣地の取り合いをしている。それが現在の状況です。そういうなかで日本はどう行動するのかが今まさに問われているのです』、「中国」は南太平洋諸島に王毅外相を派遣して安保条約を結ぼうとしたが、ギリギリになって米豪が巻き返したことで、不発に終わった。このように米中間の摩擦は極度に緊張しつぁ段階にあるようだ。

第三に、5月30日付け文春オンラインが掲載した国際ジャーナリストの山田敏弘氏による「「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』 #3」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/54499
・『中国への情報漏えいを恐れて、本格的な「ファーウェイ排除」を進めるのがアメリカだ。2018年から同盟国に対し、5G通信機器などでファーウェイ製品の排除を要請している。ところが、この問題に対して日本はいまだに明確な対策を打てていない。 危機意識の低いこの国はどうなってしまうのか? 国際ジャーナリストの山田敏弘氏による新刊『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』より一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目/#1、#2を読む)』、興味深そうだ。
・『世界が進める「ファーウェイ排除」  ここまで見てきたアメリカとロシア・中国の争い。そしてそこに巻き込まれる欧州。もちろん日本も他人事ではない。世界規模の覇権争いが続く中で、日本はどういう立場を取るべきなのか。実は日本は非常に中途半端な姿勢を見せている。 その一例が、ファーウェイ排除である。アメリカは2018年成立の国防権限法により本格的にファーウェイ排除措置がとられるようになってから、同盟国に5G通信機器などでファーウェイ製品の排除を要請した。10年も前から米政府はファーウェイを安全保障のリスクだと結論づけて警戒しており、国防権限法の前から国防総省などは米軍基地での使用禁止措置などをとっていた。 オーストラリアはすぐに反応し、同年のうちに安全保障への脅威からファーウェイを禁止にする予定であると発表した。 では、日本はどう対応したのか。米政府のファーウェイ排除要請の直後、「読売新聞」など大手メディアは、日本政府もファーウェイなどの製品を政府調達から排除すると報じた。 ロイター通信や香港の「サウス・チャイナ・モーニングポスト」、オーストラリアの「シドニー・モーニング・ヘラルド」など海外のメディアでも大きく報じられている。この動きを受けて、中国商務省は日本政府に対して、「日中関係に悪影響を及ぼす可能性がある」と脅しもかけてきた。 こうした動きをみれば、多くの人が日本政府もファーウェイ製品を排除したと考えるだろう。 ところが、である』、「中国商務省は日本政府に対して、「日中関係に悪影響を及ぼす可能性がある」と脅しもかけてきた」、初めて知った。
・『自衛隊に中国系PCが支給される始末  先日、日本のサイバーセキュリティの司令塔である内閣サイバーセキュリティセンター(NISC=ニスク)の関係者に話を聞いたところ、「各省庁の調達時に、ある特定メーカーを名指しして排除はしていない」と言うのだ。さらに2020年12月に平井卓也デジタル改革担当相(当時)も記者会見で「我が国のこの申し合わせでは、特定の事業者とか機器を名指しで排除するような記載はしていません」と発言している。 防衛省関係者もこう話す。 「機会均等という観点で、調達にも特定の企業を排除するということはしないのが防衛省。さらに備品などもなるべく安く購入できるならそちらを選ぶこともあり、セキュリティがトッププライオリティになっていない現実がある」 さる自衛隊関係者も最近、「これだけ(スパイ疑惑が)言われているのに、職員に中国系のメーカーのノートパソコンが配られて唖然とした」と嘆いていた。 日本政府の危機意識は欧米に比べて圧倒的に低いのが現実なのだ。 あらためてファーウェイの日本語公式サイトをチェックしてみた(2022年3月22日閲覧)。すると、Q&Aの項目にこんな記述が掲載されていた。 Q:ファーウェイは日本の5Gネットワーク構築から排除されているのですか? A:日本政府が発表した調達ガイドラインは、特定の国や会社について詳細を述べたものではありません。 この記述を見ると日本からは、ファーウェイ製品が排除されていないとしか読めない。 ファーウェイについては、さらにこんな話もある。 中国には「国家情報法」という、個人も企業もスパイ組織に協力しなければいけない法律がある。実はこれが思いがけず、日本人にも影響を及ぼす問題が発生しているのだ』、「自衛隊に中国系PCが支給される始末」、「備品などもなるべく安く購入できるならそちらを選ぶこともあり、セキュリティがトッププライオリティになっていない現実がある」、とんでもないことだ。
・『「LINEのユーザーデータ」も中国にダダ漏れ  それが、2021年3月に「朝日新聞」の報道で発覚した、無料通信アプリLINEのサーバー問題である。通信アプリとして国内最大の8600万人のユーザーをもつLINEのユーザーデータが、中国の関連企業で閲覧可能になっていたと判明し、大きな騒ぎになった。実際に中国人4人がLINEの技術開発に関わる際にデータにアクセスできていたと、LINE側は認めている。 もともと韓国ネイバー社の下に作られたLINEだが、本国の韓国よりも日本で人気のアプリになった。 LINEの運営会社幹部は筆者にこう話す。 「LINEの開発部門を韓国側が担ってきた。日本の運営会社からは開発をコントロールしづらい環境にありました。その韓国側が中国法人に下請けさせ、そこで働く中国人たちが日本人のデータにアクセスできるようになっていたのが実態です」 言うまでもなく、中国の国家情報法によれば、こうした中国法人の扱うデータも政府が手に入れることが可能になる。 ただこの幹部はこれまで明らかになっていなかった事実をこう暴露する。 「LINEの開発部門はAIの開発も進めており、できる限りのデータを蓄積させたがっていたのです。そのために、LINEを使う大勢の日本人の写真や動画、ファイルといったデータを韓国に置いているサーバーに保存していました。今回、批判を浴びたことから、現在はすべて日本で保存するように変わりました。ですがそれよりも問題なのは、日本人のデータを保存していた韓国側のサーバーなどの機器が、中国のファーウェイ製だったことです」 ここまで見てきたように、ファーウェイへの疑惑を顧みると、この事実の重みがわかるだろう。我々、個人がファーウェイ製品を使わないと決めていても、世界がインターネットでつながっている現在、どこで情報が把握されているのかわからないのだ』、「LINE」は「サーバー」を「韓国」から「日本」に移したが、「サーバーなどの機器が、中国のファーウェイ製だった」、とはどこまでいっても安さ優先の企業のようだ。
タグ:米中経済戦争 (その17)(知らぬ間に中国の国民抑圧に加担する 日米欧の民間企業、池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する、「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』 #3) 日経ビジネスオンライン H・R・マクマスター氏による「知らぬ間に中国の国民抑圧に加担する、日米欧の民間企業」 「歴史的な対中政策の転換を主導した」人物の著作とは興味深そうだ。 「民間セクターは新たな協力先を探し、自由市場型の経済や代議制、法の支配を尊重する姿勢を共有できる相手と組むべきである。多くの企業が監視技術、人工知能(AI)、遺伝子工学などの分野で中国側と合弁や提携を進め、結果的に中国共産党が国内の治安対策に適した技術を開発することを助けている。他にも複数の企業が中国からの投資を受け入れ、中国共産党はそれらを糸口に必要な技術にアクセスしている」、「中国の国民を抑圧するための取り組みだと分かった上で、あるいは、いつの日にか同じアメリカ市民に対して行使されかねない軍事能力を構 「民間セクターと国家安全保障に関連した機関・産業との間の障壁を減らせば、この重要な分野での自由市場型のイノベーションの可能性を解き放てるだろう」、「障壁を減ら」してもらいたいものだ。 「アメリカが一段と能力を高め、攻撃的になる人民解放軍に対して格の違いを見せつけるほどの優位性を保つには、政府と民間セクターによるAIやロボット工学、拡張・仮想現実、材料工学といった技術分野への投資が重要となるだろう」、「台湾の防衛能力は中国を遠ざけておくのに十分なほど強固でなければならない」、その通りだ。 「表現の自由、起業の自由、そして法の下での保護は互いに欠かせない関係にある。そして、これらが一体となって我々に競争上の優位性を与える。それは、中国の産業スパイやその他の中国からの経済的な攻勢に対抗する上で役立つばかりか、中国共産党の政策への批判を控えさせ、逆に支持させることを狙って仕掛けてくる影響力拡大のための活動を打ち負かす際にも有効だ」、その通りである。 東洋経済オンライン 池上 彰氏による「池上氏解説「米国vs中国が険悪」日本はどうなる? 両国の厳しい対立は日本にも大きく関係する」 国交がないので、条約を結ぶことが出来ず、代わりに「台湾関係法という法律」で定めたようだ。 「ファイブアイズ」は「5カ国がお互いに情報を交換しながらスパイ活動での連携を取り合っています」、「クアッド」は「4カ国で中国に対抗していこうという枠組み」、「AUKUS」は「中国の動きを抑えるため3カ国で軍事同盟」、対中国では3つの枠組みが出来たようだ。 「中国」は南太平洋諸島に王毅外相を派遣して安保条約を結ぼうとしたが、ギリギリになって米豪が巻き返したことで、不発に終わった。このように米中間の摩擦は極度に緊張しつぁ段階にあるようだ。 文春オンライン 山田敏弘氏による「「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』 #3」 「中国商務省は日本政府に対して、「日中関係に悪影響を及ぼす可能性がある」と脅しもかけてきた」、初めて知った。 「自衛隊に中国系PCが支給される始末」、「備品などもなるべく安く購入できるならそちらを選ぶこともあり、セキュリティがトッププライオリティになっていない現実がある」、とんでもないことだ。 「LINE」は「サーバー」を「韓国」から「日本」に移したが、「サーバーなどの機器が、中国のファーウェイ製だった」、とはどこまでいっても安さ優先の企業のようだ。
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