高齢化社会(その20)(「70代以降は1カ月でも油断したらアウト…」急に要介護になる人に共通する"ある失敗" 「ダラダラ生活」「前頭葉の萎縮」「意欲の低下」負のスパイラルの怖さ、和田秀樹氏が「認知症は病気ではない」と断言する納得の理由「病気なら薬で改善したり進行を止められるが…」 『老人入門 - いまさら聞けない必須知識20講 -』より #1) [社会]
高齢化社会については、9月1日に取上げた。今日は、(その20)(「70代以降は1カ月でも油断したらアウト…」急に要介護になる人に共通する"ある失敗" 「ダラダラ生活」「前頭葉の萎縮」「意欲の低下」負のスパイラルの怖さ、和田秀樹氏が「認知症は病気ではない」と断言する納得の理由「病気なら薬で改善したり進行を止められるが…」 『老人入門 - いまさら聞けない必須知識20講 -』より #1)である。
先ずは、9月3日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の和田 秀樹氏による「「70代以降は1カ月でも油断したらアウト…」急に要介護になる人に共通する"ある失敗" 「ダラダラ生活」「前頭葉の萎縮」「意欲の低下」負のスパイラルの怖さ」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60656
・『80歳や90歳になっても活動的で元気いっぱいの高齢者が増えている。一方で、現役時代はやり手だったのに、まるで“抜け殻”にでもなったかのように意欲が減退してしまう人もいる。老年医学の専門家である和田秀樹さんは「脳機能、運動機能の維持は、実は70代の過ごし方がカギを握っています」と指摘する。新著『70歳から一気に老化する人しない人』より、70歳からの「生き方戦略」を特別公開する──。(第2回/全2回) ※本稿は、和田秀樹『70歳から一気に老化する人しない人』(プレジデント社)の一部を再編集したものです』、「70歳からの「生き方戦略」とは興味深そうだ。
・『「70代の過ごし方」がその後の元気を左右する 人生100年時代の「長い老い」の期間を健やかに過ごすためには、まずは脳の機能をいかに保つかが重要です。あわせて、70代の時点で持っている運動機能を、80代以降もいかに長持ちさせるかが大切になってきます。 カギとなるのは「70代の過ごし方」です。 70代前半までであれば、認知症や要介護になっている人は、まだ1割もいません。けがをしたり、大病を患わずらったりしなければ、中高年時代のように、たいていのことはできるはずです。 この人生最終盤の活動期にしっかり意識して過ごすことで、脳も体も、若さを保つことができますし、その後、要介護になる時期を遅らせることも可能になるのです。元気な80代へとソフトランディングしていくためには、とても大切な時期といえます』、「70代」、「この人生最終盤の活動期にしっかり意識して過ごすことで、脳も体も、若さを保つことができますし、その後、要介護になる時期を遅らせることも可能になるのです。元気な80代へとソフトランディングしていくためには、とても大切な時期といえます」、現在の「70代」が「大切な時期」のようだ。
・『「老いと闘う時期」と「老いを受け入れる時期」 今後は、「老い」を2つの時期に分けて考えることが求められていると私は考えています。それは、70代の「老いと闘う時期」と、80代以降の「老いを受け入れる時期」です。 どんなに抗あらがおうと、老いを受け入れざるをえない時期が、80代以降に必ずやってきます。そのときを迎えてもなお、若さを求めて老いと闘っていては、結局、挫折感に苛さいなまれるだけです。 80代になり、85歳を過ぎたくらいからは、誰かの手を借りることも多くなっていきます。そのときこそ、ありのままの自分の老いを受け入れる時期と考えたほうがいいでしょう。 だからといって、80歳を過ぎて老いた自分に失望したり、「老い」を嫌悪したりする必要はありません。むしろ、大病で命を落とすこともなく、事故にあうこともなく、天寿をまっとうしていく途中だからこそ、老いに直面している──そう考えてもいいのではないでしょうか』、「80歳を過ぎて」、「大病で命を落とすこともなく、事故にあうこともなく、天寿をまっとうしていく途中だからこそ、老いに直面している──そう考えてもいいのではないでしょうか」、このように前向きに捉えるようにしたいものだ。
・『老化の最大の“敵”は「意欲の低下」 70代においては、人々はより元気になり、まだまだ老いと闘うことのできる時期になった、といえるでしょう。元気でいようと努力することは、70代においては効果もありますし、大いに意味があることだと私は考えます。 いまの70代は若々しくなってきたとはいえ、この年代ならではのリスクもたくさん抱えています。その最たるものが「意欲の低下」です。 脳機能、運動機能の維持には「使い続ける」ことが重要です。たとえば、40代、50代の人が何もせずにゴロゴロと寝て暮らすような生活をしたとしても、ただちに脳機能や足腰が衰えることはまずありませんが、70代の人がそれをやるとすぐに衰えてしまいます。 70代というのは、意欲的に身体を動かしたり、頭を使ったりしないと、すぐに要介護になってしまうリスクを抱えているのです』、「70代というのは、意欲的に身体を動かしたり、頭を使ったりしないと、すぐに要介護になってしまうリスクを抱えている」、そういうリスクを抱えていることを前提に行動する必要があるようだ。
・『身体も頭も「使い続ける」こと これは多くの高齢者自身もわかっていることですが、しかし実際に「使い続ける」ことを実践できる人はそう多くありません。 なぜなら、頭では理解していても、70代になってくると意欲の低下が進み、活動レベルが低下してくるからです。何事にもやる気が湧かず、興味が持てなくなって、人に会うのも億劫おっくうになり、出不精になる傾向も出てきます。 実は、この「意欲の低下」こそ、老化でいちばん怖いことなのです。病気やけがをきっかけに老け込んでいくということもありますが、加齢とともに意欲の減退が要因となって一気に年老いていくのです。 こうした「意欲の低下」が顕著になるのが、まさに70代といえます。つまり、70代から80代に向けて元気に過ごすことができるかどうかは、「70代においていかに意欲の低下を防ぐか」にかかっているのです』、「70代から80代に向けて元気に過ごすことができるかどうかは、「70代においていかに意欲の低下を防ぐか」にかかっている」、やはり「70代」が重要なようだ。
・『70代は「引退」などしてはいけない 定年延長や定年後の再雇用など、高齢者になっても働く環境が整備されつつありますが、それでも70代ともなれば、現役時代に長年勤めていた会社を退職している人が多いのではないでしょうか。 70代に一気に老け込む人の典型は、仕事をリタイアしたときから、あらゆる活動をいっぺんにやめてしまうというケースです。 これまで懸命に働いてきたのだから、退職したらもう何もせず家でゴロゴロ過ごしたいと、退職の日を指折り数えて待っている人までいます。 しかし、70歳まで現役で仕事をしていた人が、退職後の生活で何をするか考えることなくリタイアすると、一気に老け込んでしまうことが多いのです。 働いていれば、日々、それなりの知的活動や他者とのコミュニケーションがあり、さまざまな出来事にも遭遇することになります。しかし、ただ家で過ごしているだけでは、そういった脳の活動はなくなり、認知症のリスクが高まるだけです』、「70歳まで現役で仕事をしていた人が、退職後の生活で何をするか考えることなくリタイアすると、一気に老け込んでしまうことが多いのです」、「ただ家で過ごしているだけでは、そういった脳の活動はなくなり、認知症のリスクが高まるだけです」、その通りのようだ。
・『70代は油断すると1カ月で衰える 働いているときは、デスクワークのような仕事であっても、通勤などで思っている以上に体を使っているものです。 ところが、退職してから家にこもりがちになってしまうと、70代の人なら1カ月もすれば、運動機能がずいぶんと落ちてしまいます。 それが前頭葉の老化を加速させ、前頭葉が萎縮いしゅくすると意欲がなくなる──。まさしく負のスパイラルに陥おちいってしまいます。 そうならないためにも、退職を迎えたら、これまでの仕事の代わりに次に何をやるのか考えて、事前に準備をしておくことが大切です。 「退職して、しばらくゆっくりしてから次のことを考えよう」などと思っていると、ダラダラと時間を過ごす生活にいつの間にか流されて、それが習慣になってしまいかねません。 寿命が延びて、90歳、100歳まで生きるこれからの時代は、「引退する」という考え方自体が、老後生活のリスクになりえます。引退など考えずに、いつまでも現役の市民であろうとすることが、老化を遅らせて、長い老後を元気に過ごす秘訣ひけつです』、「退職してから家にこもりがちになってしまうと、70代の人なら1カ月もすれば、運動機能がずいぶんと落ちてしまいます。 それが前頭葉の老化を加速させ、前頭葉が萎縮いしゅくすると意欲がなくなる──。まさしく負のスパイラルに陥おちいってしまいます」、「負のスパイラル」とは恐ろしい。
・『できる範囲で一生続ける、新しいことを始める 現在は年金も少ないですから、何か新しい仕事を始めることも1つの選択でしょう。金銭的な面だけでなく、老化を遅らせるという面から見ても、退職後に、また新しい職場で働き始めるのはとてもいいことです。 臨床心理士になって第2のキャリアを得ようとするようなケースもあるでしょうし、昔から夢だった喫茶店やバーのマスターになるなどということもありうるでしょう。私の場合は、残りの人生を映画監督として生きていけないかと模索しています。 何かの商店主をやっている人、建築士や税理士など資格を取得して70代まで仕事を続けてきたような人が、「××歳を機に仕事をやめる」と宣言することがよくありますが、そのような選択はけっして得策ではありません。 農業や漁業、また職人のような仕事もそうですが、自分が「やめる」と決めない限り、続けられるような仕事であるならば、身体がもつ限り、できる範囲で一生続けることが老化を遅らせるためのいい方法です。 勤め人であっても、役職からは外されるかもしれませんが、「働く」ということからは引退する必要などありません。アルバイトや契約社員など、どのような形態であっても、「仕事」を通して社会との関わりを持ち続けることが、活動レベルを落とさず、若々しくいるための秘訣だと私は思います』、「どのような形態であっても、「仕事」を通して社会との関わりを持ち続けることが、活動レベルを落とさず、若々しくいるための秘訣だ」、綿の場合は、現役退職後は、数年前まで大学で非常勤講師をしていたが、現在は社会とのつながりは、私的な勉強会とこのブログ程度だ。
・『「定年後の起業」も選択肢になる 定年後に損をしない範囲で起業に挑戦することも、70代をアクティブに過ごすうえではよい手段です。さまざまなハードルがあった昔とは違い、いまでは資本金1円からでも株式会社を設立できるようになりました。 また、いまはインターネットの時代ですから、優れたアイディアさえあれば、やりたいことは何でもできる環境が整っています。 ただし、私が定年後起業の指南を専門に行っているコンサルタントに聞いたところ、定年後に起業して成功する人は、40代から50代のうちに計画をスタートさせた人にほぼ限られるそうです。定年のタイミングで計画を立て始める人はまず成功しないという話でした。 やはり、ある程度は前頭葉が若く、柔軟な思考ができるうちに計画を立てることが大切で、そうでないと現実のビジネスの世界では通用しない、ということなのでしょうか。 さらに、40代、50代から起業を考えている人の場合は、在職中に起業後に役立つ人脈作りに勤しみ、仕事で知り合う人たちとのつき合い方もそれなりに考えたものにするのでしょう。定年後に起業計画を立て始めたところで、もはやその遅れを取り戻せないという要因も大きいようです』、「定年後に起業して成功する人は、40代から50代のうちに計画をスタートさせた人にほぼ限られるそうです。定年のタイミングで計画を立て始める人はまず成功しないという話でした」、その通りだろう。
・『社会と関わる方法は「仕事」だけではない 退職後も社会と関わっていくという意味では、もちろん「仕事」がすべてではありません。 町内会の役員や、マンションの管理組合の役員、趣味の集まりの役職などでもいいのです。ボランティア活動も、退職後の社会参加としては1つの選択です。 誰かと協働し、誰かの役に立ったり、誰かに必要とされていると感じたりすることは、いつまでも現役意識を維持することに大いに役立つはずです。 70代になったら、ことさら「引退」などということは考えず、現役意識を維持することが大切です。それが、一気に老け込むことを防いでくれます』、「70代になったら、ことさら「引退」などということは考えず、現役意識を維持することが大切です。それが、一気に老け込むことを防いでくれます」、その通りだ。
・『「脳の萎縮」には要注意 よく「頑固な年寄り」という言い方をすることがあります。年をとって融通が利かなくなり、いつもムスッとしているような老人がいるとしたら、まさに前頭葉の萎縮が進んでいるのかもしれません。 この前頭葉の萎縮は、実は40代からすでに始まっています。医学の教科書に載っている脳の解説図のような、頭蓋骨の内側に隙間なく脳の組織が詰め込まれている「きれいな」脳の状態を、とくに努力もせず維持できるのは30代が限界です。 萎縮がどんどん進んでいくと、50代、60代くらいから「思い込みが激しくなった」「頑固になった」「怒りっぽくなった」といった傾向が少しずつ出てきます。 70代になるとこの傾向がさらに強くなるばかりか、何事にもやる気が出なくなります。これまでやっていたこともやらなくなり、会っていた人にも会わなくなり、家にこもりがちで不活発な生活になっていきます。 そうならないためにも、前頭葉の老化を防ぎ、意欲レベルを維持することが重要です』、「前頭葉の老化を防ぎ、意欲レベルを維持することが重要です」、さもないと「萎縮がどんどん進」むという恐ろしいことになるようだ。
・『「変化のある生活」を心がける 前頭葉の老化を防ぐには、「変化のある生活」をすることがいちばんです。前頭葉とは、想定外のことに対処するときに活性化する部位だからです。逆にいえば、毎日、単調な生活を繰り返していると、前頭葉は活性化せず、衰えてしまいます。 仕事やボランティア、趣味の集まりなど、外に出かける用事を生活の中に組み込むことが、単調な生活を送らないためにもっとも簡単な解決策です。用事で外出すれば誰か人に会いますし、思いがけない出来事に遭遇することもありますから、必然的に前頭葉を使います。 それ以外にも、日々の生活にどうすれば「変化」を取り入れられるか、常に考えて実践に移してみることです。 手間がかかるもの、大掛かりな準備が必要なものなどは避けて、まずはちょっとしたことから、生活に変化を作ってください。簡単なものであれば、いくつになっても新しい体験を生活に組み入れられるはずです』、「手間がかかるもの、大掛かりな準備が必要なものなどは避けて、まずはちょっとしたことから、生活に変化を作ってください。簡単なものであれば、いくつになっても新しい体験を生活に組み入れられるはずです」、同感である。
次に、9月15日付け文春オンラインが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の和田 秀樹氏による「和田秀樹氏が「認知症は病気ではない」と断言する納得の理由「病気なら薬で改善したり進行を止められるが…」 『老人入門 - いまさら聞けない必須知識20講 -』より #1」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/57328
・『人は誰もが老いるのだが、「老い」とか「老化」についてはよくわからない、よく知らないという人も多いのではないだろうか? 老いに対する正しい知識がないと過度に不安になったりして、不幸な老い方をしてしまう可能性もある。 ここでは、老年医学の専門家・和田秀樹氏が「これだけは知っておかないともったいない」という必須知識をまとめた『老人入門 - いまさら聞けない必須知識20講 -』(ワニブックス)から一部を抜粋。「認知症は病気ではない」と話す和田氏の“認知症の捉え方”を紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)』、興味深そうだ。
・『認知症は老化現象のひとつで病気ではない 「認知症にだけはなりたくない」と考えている人は多いと思います。 「歳を取るのも身体が弱ってくるのも仕方ない。でも認知症になって何もできなくなるのだけは厭だ」「家族にも迷惑をかけるし誰からも相手にされなくなる。晩年が認知症じゃ、幸せな人生とは思えない」 そういう不安に捕まってしまうと、ますます高齢になっていくことへの心細さが膨らんでくるでしょう。 そこでまず、持たなくていい不安に振り回されないためにも、認知症についての正しい知識をいまのうちにしっかりと身につけておきましょう。ポイントはふたつです。 (1)認知症は老化現象の1つである (2)老化だからゆっくり進み、個人差も大きい 認知症を恐れる人は徘徊したり妄想がひどくなって暴れるような高齢者を想像してしまいます。あるいは何もわからなくなって身のまわりのこともできないような状態です。 「ああいうふうになったらおしまいだな」と思えば、どんなによぼよぼになっても認知症にだけはなりたくないと考えてしまいます。 でも認知症は病気ではないとするのが私の考え方です。症状は現れるけど、あくまで老化現象のひとつであって、高齢になれば筋肉が落ちて足腰が弱るとか、視力や聴力が衰えるのと同じです。病気なら薬で改善したり進行を止めることもできますが、老化現象となれば薬では治せません。 徘徊や妄想は認知症の周辺症状と呼ばれます。認知症になれば全員に徘徊や妄想が現れるのでなく、まったく現れない人もいれば現れてもすぐに収まる人もいます。置かれている環境や周囲の接し方、あるいは本人の受け止め方によっても違ってくるのです。 そのかわり老化現象ですから、高齢になればほとんどの人が認知症になります。ざっくばらんに言ってしまうと、テストをすると、 80代後半でおよそ4割、90歳を超えると6割の人は認知症と診断されてしまいます。 私は高齢者専門の病院に長く勤務して数多くの解剖結果を見てきましたが、85歳以上の高齢者で脳にアルツハイマー型認知症の変性(神経原線維変化や老人斑)がない人はいませんでした。つまり老化現象として脳の変性は避けられません。あとは症状が現れるか、現れないかの違いだけです。 「いずれはボケるとしても、85歳までは逃げ切りたいものだな」 逃げ切りましょう。ボケても少しぐらいなら自分で気がつかないときもありますから、90代でもニコニコしていれば周囲は気がつきません。「覚えてないの」と言われたら「認知症かな?」ととぼけ、覚えていることは「わかった、わかった」と言われるまで説明してあげましょう。結局、認知症なのか正常なのかウヤムヤのままに逃げ切ることができます』、「老化現象ですから、高齢になればほとんどの人が認知症になります。ざっくばらんに言ってしまうと、テストをすると、 80代後半でおよそ4割、90歳を超えると6割の人は認知症と診断されてしまいます」、「逃げ切りましょう。ボケても少しぐらいなら自分で気がつかないときもありますから、90代でもニコニコしていれば周囲は気がつきません。「覚えてないの」と言われたら「認知症かな?」ととぼけ、覚えていることは「わかった、わかった」と言われるまで説明してあげましょう。結局、認知症なのか正常なのかウヤムヤのままに逃げ切ることができます」、「逃げ切」るとは面白い考え方だ。
・『「なったらどうしよう」という不安が認知症の大敵 たとえ認知症の症状が現れたとしても、いきなり家族の顔もわからなくなるようなことはありません。よく「キャッシュカードも使えなくなる」と心配する人がいますが、暗証番号を忘れるようなことはかなり症状が進んだ状態でなければ起こりません。 もちろんもの忘れは認知症の初期のころでも起こります。 同時にもの忘れは誰にでもあります。 認知症のテストで最初に「桜、電車、鉛筆」とか3つの言葉を言われて「あとで質問しますから答えてください」というのがありますね。その後いろいろ質問されて、しばらく経ってから「3つの言葉は何でしたか」と聞かれれば「えーと」と答えたきり考え込む経験はたいていの人にあるはずです。ひとつは思い出せても残りが出てこないなんてザラにあることです。 それで日常生活に不便を感じたり支障があるかと言えばとくにありません。「さっき何か頼まれたけど何だっけ?」と思ったら「もう1回言ってくれ」で済むのです。 学者や弁護士のような知的な職業に就いている人でも、じつは認知症だったということがあります。自分の専門領域のことや過去から積み重ねて学習してきたことは忘れないからです。政治家でも認知症だったと後でわかったケースがあります。) たとえばロナルド・レーガン元アメリカ大統領は退任して5年後に自らのアルツハイマー病を告白しましたが、そのときのとんちんかんな症状を見る限り、大統領在任中にすでに記憶障害くらいは発症していたと思われます。初期のころならアルツハイマー病でも大統領が務まるのです。「記憶にございません」を連発する日本の政治家だって、あとで認知症がわかって「ああ、やっぱり」ということになるかもしれません。 つまり認知症というのは、初期のころならそれがただのもの忘れなのか記憶障害の症状なのか、本人も周囲も判別できない程度の軽い症状に過ぎず、しかもそういう状態が長く続きながらゆっくりと進行していくものだと受け止めてください。恐れたり慌てることはありません。 むしろ「認知症だったらどうしよう」と不安になって、思い出せないことや忘れてしまうことだけを気にしていると、前頭葉の老化が加速されたり不安に包まれて感情の老化も進んでしまいます。 最悪、気持ちが落ち込んでうつ状態になりかねません。後述しますが、高齢になると認知症よりうつ病のほうが怖いのです』、「認知症というのは、初期のころならそれがただのもの忘れなのか記憶障害の症状なのか、本人も周囲も判別できない程度の軽い症状に過ぎず、しかもそういう状態が長く続きながらゆっくりと進行していくものだと受け止めてください」、「むしろ「認知症だったらどうしよう」と不安になって、思い出せないことや忘れてしまうことだけを気にしていると、前頭葉の老化が加速されたり不安に包まれて感情の老化も進んでしまいます。 最悪、気持ちが落ち込んでうつ状態になりかねません。後述しますが、高齢になると認知症よりうつ病のほうが怖いのです」、「高齢になると認知症よりうつ病のほうが怖い」というのは、意外だ。
・『老いればだれでもボケる、ボケを飼い慣らしながら老いていこう 「やはりおかしい」と自分でも不安になったり、家族にも勧められて医者に診てもらい、はっきり認知症と診断されたとしても落ち込まなくて大丈夫です。 「私もとうとう」とショックを受けるかもしれませんが、認知症で寝込んだり体調が悪くなることはありません。急にできないことが増えるわけでもないし、相手の話を理解できなくなるわけでもないのです。 初期のうちはせいぜい、直近のことを忘れるという程度です。何年も前のことは覚えていても、ちょっと前のことを思い出せなくなります。細部を思い出せないのでなく、全体の記憶がスポッと抜けてしまいます。よく例に出されるのが昨日の夕食です。 「昨日の夕食には何を食べたか」と訊かれて思い出せないことは誰にでもあります。「何食べたっけ?」と必死で考えて「ああ、昨夜は自宅で久しぶりに妻の手作りの餃子を食べたんだ」と納得します』、「初期のうちはせいぜい、直近のことを忘れるという程度です。何年も前のことは覚えていても、ちょっと前のことを思い出せなくなります」、なるほど。
・『初期の認知症で困ることは何もない ところが認知症がある程度進んだ後のもの忘れでは夕食を食べたことを忘れています。 全体の記憶がなくなっているのです。 「オレ、昨日晩ご飯食べたっけ?」となります。 「何言ってんの、私が餃子を手作りしたでしょ」と妻は機嫌悪くなりますが、「そうだった、美味しかったなあ」と思い出せなくても頷いていればいいのです。 道がわからなくなってもスマホのナビがあります。 待ち合わせの約束を忘れても相手が電話をかけてきます。 壁やカレンダーに予定を書き込んでおけばたいていのことは思い出します。 買い物に出るときにリストを作るのは誰でもやっていることです。初期の認知症で困ることは何もないし、ふつうの人と同じように生活できるのです。 そして認知症はゆっくり進行していきます。いつ発症したか周囲の人にも気がつかないくらいゆっくり始まり、「ほんとに認知症なの?」と疑う人がいるくらいしっかりした論理性や思考力を保ちながらも本人だけは「やっぱり以前とは違うな」と気がつきます。その程度です。 つまり認知症とはっきりわかっても慌てることはないし、悲観することもありません。 むしろ老いれば誰にでも訪れる症状のひとつに過ぎないのですから、老いを受け入れるつもりで認知症も受け入れてしまっていいと思います。悠然と構えて、ボケを飼い慣らしながら老いを楽しんでみる。嫌なことや都合の悪いことはとぼけてしまう。そういう割り切った暮らし方を心がけてください』、「老いれば誰にでも訪れる症状のひとつに過ぎないのですから、老いを受け入れるつもりで認知症も受け入れてしまっていいと思います。悠然と構えて、ボケを飼い慣らしながら老いを楽しんでみる。嫌なことや都合の悪いことはとぼけてしまう。そういう割り切った暮らし方を心がけてください」、そんな「割り切った暮らし方」が出来ればいいと願っている。
先ずは、9月3日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の和田 秀樹氏による「「70代以降は1カ月でも油断したらアウト…」急に要介護になる人に共通する"ある失敗" 「ダラダラ生活」「前頭葉の萎縮」「意欲の低下」負のスパイラルの怖さ」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60656
・『80歳や90歳になっても活動的で元気いっぱいの高齢者が増えている。一方で、現役時代はやり手だったのに、まるで“抜け殻”にでもなったかのように意欲が減退してしまう人もいる。老年医学の専門家である和田秀樹さんは「脳機能、運動機能の維持は、実は70代の過ごし方がカギを握っています」と指摘する。新著『70歳から一気に老化する人しない人』より、70歳からの「生き方戦略」を特別公開する──。(第2回/全2回) ※本稿は、和田秀樹『70歳から一気に老化する人しない人』(プレジデント社)の一部を再編集したものです』、「70歳からの「生き方戦略」とは興味深そうだ。
・『「70代の過ごし方」がその後の元気を左右する 人生100年時代の「長い老い」の期間を健やかに過ごすためには、まずは脳の機能をいかに保つかが重要です。あわせて、70代の時点で持っている運動機能を、80代以降もいかに長持ちさせるかが大切になってきます。 カギとなるのは「70代の過ごし方」です。 70代前半までであれば、認知症や要介護になっている人は、まだ1割もいません。けがをしたり、大病を患わずらったりしなければ、中高年時代のように、たいていのことはできるはずです。 この人生最終盤の活動期にしっかり意識して過ごすことで、脳も体も、若さを保つことができますし、その後、要介護になる時期を遅らせることも可能になるのです。元気な80代へとソフトランディングしていくためには、とても大切な時期といえます』、「70代」、「この人生最終盤の活動期にしっかり意識して過ごすことで、脳も体も、若さを保つことができますし、その後、要介護になる時期を遅らせることも可能になるのです。元気な80代へとソフトランディングしていくためには、とても大切な時期といえます」、現在の「70代」が「大切な時期」のようだ。
・『「老いと闘う時期」と「老いを受け入れる時期」 今後は、「老い」を2つの時期に分けて考えることが求められていると私は考えています。それは、70代の「老いと闘う時期」と、80代以降の「老いを受け入れる時期」です。 どんなに抗あらがおうと、老いを受け入れざるをえない時期が、80代以降に必ずやってきます。そのときを迎えてもなお、若さを求めて老いと闘っていては、結局、挫折感に苛さいなまれるだけです。 80代になり、85歳を過ぎたくらいからは、誰かの手を借りることも多くなっていきます。そのときこそ、ありのままの自分の老いを受け入れる時期と考えたほうがいいでしょう。 だからといって、80歳を過ぎて老いた自分に失望したり、「老い」を嫌悪したりする必要はありません。むしろ、大病で命を落とすこともなく、事故にあうこともなく、天寿をまっとうしていく途中だからこそ、老いに直面している──そう考えてもいいのではないでしょうか』、「80歳を過ぎて」、「大病で命を落とすこともなく、事故にあうこともなく、天寿をまっとうしていく途中だからこそ、老いに直面している──そう考えてもいいのではないでしょうか」、このように前向きに捉えるようにしたいものだ。
・『老化の最大の“敵”は「意欲の低下」 70代においては、人々はより元気になり、まだまだ老いと闘うことのできる時期になった、といえるでしょう。元気でいようと努力することは、70代においては効果もありますし、大いに意味があることだと私は考えます。 いまの70代は若々しくなってきたとはいえ、この年代ならではのリスクもたくさん抱えています。その最たるものが「意欲の低下」です。 脳機能、運動機能の維持には「使い続ける」ことが重要です。たとえば、40代、50代の人が何もせずにゴロゴロと寝て暮らすような生活をしたとしても、ただちに脳機能や足腰が衰えることはまずありませんが、70代の人がそれをやるとすぐに衰えてしまいます。 70代というのは、意欲的に身体を動かしたり、頭を使ったりしないと、すぐに要介護になってしまうリスクを抱えているのです』、「70代というのは、意欲的に身体を動かしたり、頭を使ったりしないと、すぐに要介護になってしまうリスクを抱えている」、そういうリスクを抱えていることを前提に行動する必要があるようだ。
・『身体も頭も「使い続ける」こと これは多くの高齢者自身もわかっていることですが、しかし実際に「使い続ける」ことを実践できる人はそう多くありません。 なぜなら、頭では理解していても、70代になってくると意欲の低下が進み、活動レベルが低下してくるからです。何事にもやる気が湧かず、興味が持てなくなって、人に会うのも億劫おっくうになり、出不精になる傾向も出てきます。 実は、この「意欲の低下」こそ、老化でいちばん怖いことなのです。病気やけがをきっかけに老け込んでいくということもありますが、加齢とともに意欲の減退が要因となって一気に年老いていくのです。 こうした「意欲の低下」が顕著になるのが、まさに70代といえます。つまり、70代から80代に向けて元気に過ごすことができるかどうかは、「70代においていかに意欲の低下を防ぐか」にかかっているのです』、「70代から80代に向けて元気に過ごすことができるかどうかは、「70代においていかに意欲の低下を防ぐか」にかかっている」、やはり「70代」が重要なようだ。
・『70代は「引退」などしてはいけない 定年延長や定年後の再雇用など、高齢者になっても働く環境が整備されつつありますが、それでも70代ともなれば、現役時代に長年勤めていた会社を退職している人が多いのではないでしょうか。 70代に一気に老け込む人の典型は、仕事をリタイアしたときから、あらゆる活動をいっぺんにやめてしまうというケースです。 これまで懸命に働いてきたのだから、退職したらもう何もせず家でゴロゴロ過ごしたいと、退職の日を指折り数えて待っている人までいます。 しかし、70歳まで現役で仕事をしていた人が、退職後の生活で何をするか考えることなくリタイアすると、一気に老け込んでしまうことが多いのです。 働いていれば、日々、それなりの知的活動や他者とのコミュニケーションがあり、さまざまな出来事にも遭遇することになります。しかし、ただ家で過ごしているだけでは、そういった脳の活動はなくなり、認知症のリスクが高まるだけです』、「70歳まで現役で仕事をしていた人が、退職後の生活で何をするか考えることなくリタイアすると、一気に老け込んでしまうことが多いのです」、「ただ家で過ごしているだけでは、そういった脳の活動はなくなり、認知症のリスクが高まるだけです」、その通りのようだ。
・『70代は油断すると1カ月で衰える 働いているときは、デスクワークのような仕事であっても、通勤などで思っている以上に体を使っているものです。 ところが、退職してから家にこもりがちになってしまうと、70代の人なら1カ月もすれば、運動機能がずいぶんと落ちてしまいます。 それが前頭葉の老化を加速させ、前頭葉が萎縮いしゅくすると意欲がなくなる──。まさしく負のスパイラルに陥おちいってしまいます。 そうならないためにも、退職を迎えたら、これまでの仕事の代わりに次に何をやるのか考えて、事前に準備をしておくことが大切です。 「退職して、しばらくゆっくりしてから次のことを考えよう」などと思っていると、ダラダラと時間を過ごす生活にいつの間にか流されて、それが習慣になってしまいかねません。 寿命が延びて、90歳、100歳まで生きるこれからの時代は、「引退する」という考え方自体が、老後生活のリスクになりえます。引退など考えずに、いつまでも現役の市民であろうとすることが、老化を遅らせて、長い老後を元気に過ごす秘訣ひけつです』、「退職してから家にこもりがちになってしまうと、70代の人なら1カ月もすれば、運動機能がずいぶんと落ちてしまいます。 それが前頭葉の老化を加速させ、前頭葉が萎縮いしゅくすると意欲がなくなる──。まさしく負のスパイラルに陥おちいってしまいます」、「負のスパイラル」とは恐ろしい。
・『できる範囲で一生続ける、新しいことを始める 現在は年金も少ないですから、何か新しい仕事を始めることも1つの選択でしょう。金銭的な面だけでなく、老化を遅らせるという面から見ても、退職後に、また新しい職場で働き始めるのはとてもいいことです。 臨床心理士になって第2のキャリアを得ようとするようなケースもあるでしょうし、昔から夢だった喫茶店やバーのマスターになるなどということもありうるでしょう。私の場合は、残りの人生を映画監督として生きていけないかと模索しています。 何かの商店主をやっている人、建築士や税理士など資格を取得して70代まで仕事を続けてきたような人が、「××歳を機に仕事をやめる」と宣言することがよくありますが、そのような選択はけっして得策ではありません。 農業や漁業、また職人のような仕事もそうですが、自分が「やめる」と決めない限り、続けられるような仕事であるならば、身体がもつ限り、できる範囲で一生続けることが老化を遅らせるためのいい方法です。 勤め人であっても、役職からは外されるかもしれませんが、「働く」ということからは引退する必要などありません。アルバイトや契約社員など、どのような形態であっても、「仕事」を通して社会との関わりを持ち続けることが、活動レベルを落とさず、若々しくいるための秘訣だと私は思います』、「どのような形態であっても、「仕事」を通して社会との関わりを持ち続けることが、活動レベルを落とさず、若々しくいるための秘訣だ」、綿の場合は、現役退職後は、数年前まで大学で非常勤講師をしていたが、現在は社会とのつながりは、私的な勉強会とこのブログ程度だ。
・『「定年後の起業」も選択肢になる 定年後に損をしない範囲で起業に挑戦することも、70代をアクティブに過ごすうえではよい手段です。さまざまなハードルがあった昔とは違い、いまでは資本金1円からでも株式会社を設立できるようになりました。 また、いまはインターネットの時代ですから、優れたアイディアさえあれば、やりたいことは何でもできる環境が整っています。 ただし、私が定年後起業の指南を専門に行っているコンサルタントに聞いたところ、定年後に起業して成功する人は、40代から50代のうちに計画をスタートさせた人にほぼ限られるそうです。定年のタイミングで計画を立て始める人はまず成功しないという話でした。 やはり、ある程度は前頭葉が若く、柔軟な思考ができるうちに計画を立てることが大切で、そうでないと現実のビジネスの世界では通用しない、ということなのでしょうか。 さらに、40代、50代から起業を考えている人の場合は、在職中に起業後に役立つ人脈作りに勤しみ、仕事で知り合う人たちとのつき合い方もそれなりに考えたものにするのでしょう。定年後に起業計画を立て始めたところで、もはやその遅れを取り戻せないという要因も大きいようです』、「定年後に起業して成功する人は、40代から50代のうちに計画をスタートさせた人にほぼ限られるそうです。定年のタイミングで計画を立て始める人はまず成功しないという話でした」、その通りだろう。
・『社会と関わる方法は「仕事」だけではない 退職後も社会と関わっていくという意味では、もちろん「仕事」がすべてではありません。 町内会の役員や、マンションの管理組合の役員、趣味の集まりの役職などでもいいのです。ボランティア活動も、退職後の社会参加としては1つの選択です。 誰かと協働し、誰かの役に立ったり、誰かに必要とされていると感じたりすることは、いつまでも現役意識を維持することに大いに役立つはずです。 70代になったら、ことさら「引退」などということは考えず、現役意識を維持することが大切です。それが、一気に老け込むことを防いでくれます』、「70代になったら、ことさら「引退」などということは考えず、現役意識を維持することが大切です。それが、一気に老け込むことを防いでくれます」、その通りだ。
・『「脳の萎縮」には要注意 よく「頑固な年寄り」という言い方をすることがあります。年をとって融通が利かなくなり、いつもムスッとしているような老人がいるとしたら、まさに前頭葉の萎縮が進んでいるのかもしれません。 この前頭葉の萎縮は、実は40代からすでに始まっています。医学の教科書に載っている脳の解説図のような、頭蓋骨の内側に隙間なく脳の組織が詰め込まれている「きれいな」脳の状態を、とくに努力もせず維持できるのは30代が限界です。 萎縮がどんどん進んでいくと、50代、60代くらいから「思い込みが激しくなった」「頑固になった」「怒りっぽくなった」といった傾向が少しずつ出てきます。 70代になるとこの傾向がさらに強くなるばかりか、何事にもやる気が出なくなります。これまでやっていたこともやらなくなり、会っていた人にも会わなくなり、家にこもりがちで不活発な生活になっていきます。 そうならないためにも、前頭葉の老化を防ぎ、意欲レベルを維持することが重要です』、「前頭葉の老化を防ぎ、意欲レベルを維持することが重要です」、さもないと「萎縮がどんどん進」むという恐ろしいことになるようだ。
・『「変化のある生活」を心がける 前頭葉の老化を防ぐには、「変化のある生活」をすることがいちばんです。前頭葉とは、想定外のことに対処するときに活性化する部位だからです。逆にいえば、毎日、単調な生活を繰り返していると、前頭葉は活性化せず、衰えてしまいます。 仕事やボランティア、趣味の集まりなど、外に出かける用事を生活の中に組み込むことが、単調な生活を送らないためにもっとも簡単な解決策です。用事で外出すれば誰か人に会いますし、思いがけない出来事に遭遇することもありますから、必然的に前頭葉を使います。 それ以外にも、日々の生活にどうすれば「変化」を取り入れられるか、常に考えて実践に移してみることです。 手間がかかるもの、大掛かりな準備が必要なものなどは避けて、まずはちょっとしたことから、生活に変化を作ってください。簡単なものであれば、いくつになっても新しい体験を生活に組み入れられるはずです』、「手間がかかるもの、大掛かりな準備が必要なものなどは避けて、まずはちょっとしたことから、生活に変化を作ってください。簡単なものであれば、いくつになっても新しい体験を生活に組み入れられるはずです」、同感である。
次に、9月15日付け文春オンラインが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の和田 秀樹氏による「和田秀樹氏が「認知症は病気ではない」と断言する納得の理由「病気なら薬で改善したり進行を止められるが…」 『老人入門 - いまさら聞けない必須知識20講 -』より #1」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/57328
・『人は誰もが老いるのだが、「老い」とか「老化」についてはよくわからない、よく知らないという人も多いのではないだろうか? 老いに対する正しい知識がないと過度に不安になったりして、不幸な老い方をしてしまう可能性もある。 ここでは、老年医学の専門家・和田秀樹氏が「これだけは知っておかないともったいない」という必須知識をまとめた『老人入門 - いまさら聞けない必須知識20講 -』(ワニブックス)から一部を抜粋。「認知症は病気ではない」と話す和田氏の“認知症の捉え方”を紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)』、興味深そうだ。
・『認知症は老化現象のひとつで病気ではない 「認知症にだけはなりたくない」と考えている人は多いと思います。 「歳を取るのも身体が弱ってくるのも仕方ない。でも認知症になって何もできなくなるのだけは厭だ」「家族にも迷惑をかけるし誰からも相手にされなくなる。晩年が認知症じゃ、幸せな人生とは思えない」 そういう不安に捕まってしまうと、ますます高齢になっていくことへの心細さが膨らんでくるでしょう。 そこでまず、持たなくていい不安に振り回されないためにも、認知症についての正しい知識をいまのうちにしっかりと身につけておきましょう。ポイントはふたつです。 (1)認知症は老化現象の1つである (2)老化だからゆっくり進み、個人差も大きい 認知症を恐れる人は徘徊したり妄想がひどくなって暴れるような高齢者を想像してしまいます。あるいは何もわからなくなって身のまわりのこともできないような状態です。 「ああいうふうになったらおしまいだな」と思えば、どんなによぼよぼになっても認知症にだけはなりたくないと考えてしまいます。 でも認知症は病気ではないとするのが私の考え方です。症状は現れるけど、あくまで老化現象のひとつであって、高齢になれば筋肉が落ちて足腰が弱るとか、視力や聴力が衰えるのと同じです。病気なら薬で改善したり進行を止めることもできますが、老化現象となれば薬では治せません。 徘徊や妄想は認知症の周辺症状と呼ばれます。認知症になれば全員に徘徊や妄想が現れるのでなく、まったく現れない人もいれば現れてもすぐに収まる人もいます。置かれている環境や周囲の接し方、あるいは本人の受け止め方によっても違ってくるのです。 そのかわり老化現象ですから、高齢になればほとんどの人が認知症になります。ざっくばらんに言ってしまうと、テストをすると、 80代後半でおよそ4割、90歳を超えると6割の人は認知症と診断されてしまいます。 私は高齢者専門の病院に長く勤務して数多くの解剖結果を見てきましたが、85歳以上の高齢者で脳にアルツハイマー型認知症の変性(神経原線維変化や老人斑)がない人はいませんでした。つまり老化現象として脳の変性は避けられません。あとは症状が現れるか、現れないかの違いだけです。 「いずれはボケるとしても、85歳までは逃げ切りたいものだな」 逃げ切りましょう。ボケても少しぐらいなら自分で気がつかないときもありますから、90代でもニコニコしていれば周囲は気がつきません。「覚えてないの」と言われたら「認知症かな?」ととぼけ、覚えていることは「わかった、わかった」と言われるまで説明してあげましょう。結局、認知症なのか正常なのかウヤムヤのままに逃げ切ることができます』、「老化現象ですから、高齢になればほとんどの人が認知症になります。ざっくばらんに言ってしまうと、テストをすると、 80代後半でおよそ4割、90歳を超えると6割の人は認知症と診断されてしまいます」、「逃げ切りましょう。ボケても少しぐらいなら自分で気がつかないときもありますから、90代でもニコニコしていれば周囲は気がつきません。「覚えてないの」と言われたら「認知症かな?」ととぼけ、覚えていることは「わかった、わかった」と言われるまで説明してあげましょう。結局、認知症なのか正常なのかウヤムヤのままに逃げ切ることができます」、「逃げ切」るとは面白い考え方だ。
・『「なったらどうしよう」という不安が認知症の大敵 たとえ認知症の症状が現れたとしても、いきなり家族の顔もわからなくなるようなことはありません。よく「キャッシュカードも使えなくなる」と心配する人がいますが、暗証番号を忘れるようなことはかなり症状が進んだ状態でなければ起こりません。 もちろんもの忘れは認知症の初期のころでも起こります。 同時にもの忘れは誰にでもあります。 認知症のテストで最初に「桜、電車、鉛筆」とか3つの言葉を言われて「あとで質問しますから答えてください」というのがありますね。その後いろいろ質問されて、しばらく経ってから「3つの言葉は何でしたか」と聞かれれば「えーと」と答えたきり考え込む経験はたいていの人にあるはずです。ひとつは思い出せても残りが出てこないなんてザラにあることです。 それで日常生活に不便を感じたり支障があるかと言えばとくにありません。「さっき何か頼まれたけど何だっけ?」と思ったら「もう1回言ってくれ」で済むのです。 学者や弁護士のような知的な職業に就いている人でも、じつは認知症だったということがあります。自分の専門領域のことや過去から積み重ねて学習してきたことは忘れないからです。政治家でも認知症だったと後でわかったケースがあります。) たとえばロナルド・レーガン元アメリカ大統領は退任して5年後に自らのアルツハイマー病を告白しましたが、そのときのとんちんかんな症状を見る限り、大統領在任中にすでに記憶障害くらいは発症していたと思われます。初期のころならアルツハイマー病でも大統領が務まるのです。「記憶にございません」を連発する日本の政治家だって、あとで認知症がわかって「ああ、やっぱり」ということになるかもしれません。 つまり認知症というのは、初期のころならそれがただのもの忘れなのか記憶障害の症状なのか、本人も周囲も判別できない程度の軽い症状に過ぎず、しかもそういう状態が長く続きながらゆっくりと進行していくものだと受け止めてください。恐れたり慌てることはありません。 むしろ「認知症だったらどうしよう」と不安になって、思い出せないことや忘れてしまうことだけを気にしていると、前頭葉の老化が加速されたり不安に包まれて感情の老化も進んでしまいます。 最悪、気持ちが落ち込んでうつ状態になりかねません。後述しますが、高齢になると認知症よりうつ病のほうが怖いのです』、「認知症というのは、初期のころならそれがただのもの忘れなのか記憶障害の症状なのか、本人も周囲も判別できない程度の軽い症状に過ぎず、しかもそういう状態が長く続きながらゆっくりと進行していくものだと受け止めてください」、「むしろ「認知症だったらどうしよう」と不安になって、思い出せないことや忘れてしまうことだけを気にしていると、前頭葉の老化が加速されたり不安に包まれて感情の老化も進んでしまいます。 最悪、気持ちが落ち込んでうつ状態になりかねません。後述しますが、高齢になると認知症よりうつ病のほうが怖いのです」、「高齢になると認知症よりうつ病のほうが怖い」というのは、意外だ。
・『老いればだれでもボケる、ボケを飼い慣らしながら老いていこう 「やはりおかしい」と自分でも不安になったり、家族にも勧められて医者に診てもらい、はっきり認知症と診断されたとしても落ち込まなくて大丈夫です。 「私もとうとう」とショックを受けるかもしれませんが、認知症で寝込んだり体調が悪くなることはありません。急にできないことが増えるわけでもないし、相手の話を理解できなくなるわけでもないのです。 初期のうちはせいぜい、直近のことを忘れるという程度です。何年も前のことは覚えていても、ちょっと前のことを思い出せなくなります。細部を思い出せないのでなく、全体の記憶がスポッと抜けてしまいます。よく例に出されるのが昨日の夕食です。 「昨日の夕食には何を食べたか」と訊かれて思い出せないことは誰にでもあります。「何食べたっけ?」と必死で考えて「ああ、昨夜は自宅で久しぶりに妻の手作りの餃子を食べたんだ」と納得します』、「初期のうちはせいぜい、直近のことを忘れるという程度です。何年も前のことは覚えていても、ちょっと前のことを思い出せなくなります」、なるほど。
・『初期の認知症で困ることは何もない ところが認知症がある程度進んだ後のもの忘れでは夕食を食べたことを忘れています。 全体の記憶がなくなっているのです。 「オレ、昨日晩ご飯食べたっけ?」となります。 「何言ってんの、私が餃子を手作りしたでしょ」と妻は機嫌悪くなりますが、「そうだった、美味しかったなあ」と思い出せなくても頷いていればいいのです。 道がわからなくなってもスマホのナビがあります。 待ち合わせの約束を忘れても相手が電話をかけてきます。 壁やカレンダーに予定を書き込んでおけばたいていのことは思い出します。 買い物に出るときにリストを作るのは誰でもやっていることです。初期の認知症で困ることは何もないし、ふつうの人と同じように生活できるのです。 そして認知症はゆっくり進行していきます。いつ発症したか周囲の人にも気がつかないくらいゆっくり始まり、「ほんとに認知症なの?」と疑う人がいるくらいしっかりした論理性や思考力を保ちながらも本人だけは「やっぱり以前とは違うな」と気がつきます。その程度です。 つまり認知症とはっきりわかっても慌てることはないし、悲観することもありません。 むしろ老いれば誰にでも訪れる症状のひとつに過ぎないのですから、老いを受け入れるつもりで認知症も受け入れてしまっていいと思います。悠然と構えて、ボケを飼い慣らしながら老いを楽しんでみる。嫌なことや都合の悪いことはとぼけてしまう。そういう割り切った暮らし方を心がけてください』、「老いれば誰にでも訪れる症状のひとつに過ぎないのですから、老いを受け入れるつもりで認知症も受け入れてしまっていいと思います。悠然と構えて、ボケを飼い慣らしながら老いを楽しんでみる。嫌なことや都合の悪いことはとぼけてしまう。そういう割り切った暮らし方を心がけてください」、そんな「割り切った暮らし方」が出来ればいいと願っている。
タグ:文春オンライン 「退職してから家にこもりがちになってしまうと、70代の人なら1カ月もすれば、運動機能がずいぶんと落ちてしまいます。 それが前頭葉の老化を加速させ、前頭葉が萎縮いしゅくすると意欲がなくなる──。まさしく負のスパイラルに陥おちいってしまいます」、「負のスパイラル」とは恐ろしい。 高齢化社会 (その20)(「70代以降は1カ月でも油断したらアウト…」急に要介護になる人に共通する"ある失敗" 「ダラダラ生活」「前頭葉の萎縮」「意欲の低下」負のスパイラルの怖さ、和田秀樹氏が「認知症は病気ではない」と断言する納得の理由「病気なら薬で改善したり進行を止められるが…」 『老人入門 - いまさら聞けない必須知識20講 -』より #1) 「80歳を過ぎて」、「大病で命を落とすこともなく、事故にあうこともなく、天寿をまっとうしていく途中だからこそ、老いに直面している──そう考えてもいいのではないでしょうか」、このように前向きに捉えるようにしたいものだ。 和田 秀樹氏による「「70代以降は1カ月でも油断したらアウト…」急に要介護になる人に共通する"ある失敗" 「ダラダラ生活」「前頭葉の萎縮」「意欲の低下」負のスパイラルの怖さ」 PRESIDENT ONLINE 「70代」、「この人生最終盤の活動期にしっかり意識して過ごすことで、脳も体も、若さを保つことができますし、その後、要介護になる時期を遅らせることも可能になるのです。元気な80代へとソフトランディングしていくためには、とても大切な時期といえます」、現在の「70代」が「大切な時期」のようだ。 「70歳からの「生き方戦略」とは興味深そうだ。 『70歳から一気に老化する人しない人』より、70歳からの「生き方戦略」 「70歳まで現役で仕事をしていた人が、退職後の生活で何をするか考えることなくリタイアすると、一気に老け込んでしまうことが多いのです」、「ただ家で過ごしているだけでは、そういった脳の活動はなくなり、認知症のリスクが高まるだけです」、その通りのようだ。 「70代から80代に向けて元気に過ごすことができるかどうかは、「70代においていかに意欲の低下を防ぐか」にかかっている」、やはり「70代」が重要なようだ。 「70代というのは、意欲的に身体を動かしたり、頭を使ったりしないと、すぐに要介護になってしまうリスクを抱えている」、そういうリスクを抱えていることを前提に行動する必要があるようだ。 「手間がかかるもの、大掛かりな準備が必要なものなどは避けて、まずはちょっとしたことから、生活に変化を作ってください。簡単なものであれば、いくつになっても新しい体験を生活に組み入れられるはずです」、同感である。 「前頭葉の老化を防ぎ、意欲レベルを維持することが重要です」、さもないと「萎縮がどんどん進」むという恐ろしいことになるようだ。 「70代になったら、ことさら「引退」などということは考えず、現役意識を維持することが大切です。それが、一気に老け込むことを防いでくれます」、その通りだ。 「定年後に起業して成功する人は、40代から50代のうちに計画をスタートさせた人にほぼ限られるそうです。定年のタイミングで計画を立て始める人はまず成功しないという話でした」、その通りだろう。 「どのような形態であっても、「仕事」を通して社会との関わりを持ち続けることが、活動レベルを落とさず、若々しくいるための秘訣だ」、綿の場合は、現役退職後は、数年前まで大学で非常勤講師をしていたが、現在は社会とのつながりは、私的な勉強会とこのブログ程度だ。 「老化現象ですから、高齢になればほとんどの人が認知症になります。ざっくばらんに言ってしまうと、テストをすると、 80代後半でおよそ4割、90歳を超えると6割の人は認知症と診断されてしまいます」、 最悪、気持ちが落ち込んでうつ状態になりかねません。後述しますが、高齢になると認知症よりうつ病のほうが怖いのです」、「高齢になると認知症よりうつ病のほうが怖い」というのは、意外だ。 「認知症というのは、初期のころならそれがただのもの忘れなのか記憶障害の症状なのか、本人も周囲も判別できない程度の軽い症状に過ぎず、しかもそういう状態が長く続きながらゆっくりと進行していくものだと受け止めてください」、「むしろ「認知症だったらどうしよう」と不安になって、思い出せないことや忘れてしまうことだけを気にしていると、前頭葉の老化が加速されたり不安に包まれて感情の老化も進んでしまいます。 老人入門 - いまさら聞けない必須知識20講 -』(ワニブックス) 和田 秀樹氏による「和田秀樹氏が「認知症は病気ではない」と断言する納得の理由「病気なら薬で改善したり進行を止められるが…」 『老人入門 - いまさら聞けない必須知識20講 -』より #1」 「逃げ切りましょう。ボケても少しぐらいなら自分で気がつかないときもありますから、90代でもニコニコしていれば周囲は気がつきません。「覚えてないの」と言われたら「認知症かな?」ととぼけ、覚えていることは「わかった、わかった」と言われるまで説明してあげましょう。結局、認知症なのか正常なのかウヤムヤのままに逃げ切ることができます」、「逃げ切」るとは面白い考え方だ。 「老いれば誰にでも訪れる症状のひとつに過ぎないのですから、老いを受け入れるつもりで認知症も受け入れてしまっていいと思います。悠然と構えて、ボケを飼い慣らしながら老いを楽しんでみる。嫌なことや都合の悪いことはとぼけてしまう。そういう割り切った暮らし方を心がけてください」、そんな「割り切った暮らし方」が出来ればいいと願っている。 「初期のうちはせいぜい、直近のことを忘れるという程度です。何年も前のことは覚えていても、ちょっと前のことを思い出せなくなります」、なるほど。