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中国での日本人拘束問題 スパイ(?)(その4)(習近平が「拘束した日本人」と引き換えに突きつけてくる「ヤバい解放条件」 その裏側にある思惑、中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」 元公安捜査官が解説、「中国の産業スパイ」なぜ日本は拘束できない?スマート農業の情報流出で露呈、外国人を簡単に拘束する中国 中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ) [外交・防衛]

中国での日本人拘束問題 スパイ(?)については、2019年10月28日に取上げた。久しぶりの今日は、(その4)(習近平が「拘束した日本人」と引き換えに突きつけてくる「ヤバい解放条件」 その裏側にある思惑、中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」 元公安捜査官が解説、「中国の産業スパイ」なぜ日本は拘束できない?スマート農業の情報流出で露呈、外国人を簡単に拘束する中国 中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ)である。

先ずは、本年3月31日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの長谷川 幸洋氏による「習近平が「拘束した日本人」と引き換えに突きつけてくる「ヤバい解放条件」 その裏側にある思惑」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108348
・『林外相、念願の訪中(林芳正外相が4月1日にも中国を訪問し、秦剛外相と会談する見通しだ。このタイミングで中国が訪中を受け入れたのは、なぜか。拘束した日本人の釈放問題をテコに、日本と米国の分断を図るためだろう。そもそも、拘束自体が「最初から仕組まれたワナ」だった可能性もある。 林氏の訪中が実現すれば、2019年12月の茂木敏充外相(当時)の訪中以来、3年3カ月ぶりだ。林氏にとっては、外相就任以来の念願が叶ったかたちである。日中友好議員連盟会長を務めるなど、自民党きっての「親中派」である林氏は小躍りして喜んだに違いない。 同氏がどれほど訪中を心待ちにしていたかは、外相就任直後のエピソードが物語っている。2021年11月、林氏は中国の王毅外相(当時)と電話で会談した。その際、王氏から中国に招待されたことを、中国側が公表していないのに、テレビ番組で一方的に発表してしまった。 本来なら、招待した側が相手の意向を確認したうえで、公表するのが外交儀礼だ。相手が承諾していないのに、公表すれば、無礼極まりない。逆に、招かれた側が相手の了解を得ずに公表しても、失礼な話になる。相手にも事情や都合があるからだ。 それを一方的にテレビで喋ってしまうなど、ありえない話だった。それだけではない。林氏は番組で「米国と中国の双方に話ができるところが日本の強み」などと語り、米中の橋渡しをする意欲も得意げに語っていた。米国が「日本は同盟国ではないのか」と不快感を抱いたとしても、当然だ。そのせいか結局、訪中は実現しなかった。) 2022年8月にカンボジアで東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が開かれたときにも、日中外相会談が予定されたが、ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に対する中国の対応について、日本を含む先進7カ国外相が批判したことに中国が逆上して、一方的にキャンセルされてしまった。 同年12月にも日中外相会談がセットされたが、中国で新型コロナの感染が拡大し、死者が激増するなど混乱したため、このときも先送りされた。つまり、今回の会談は「4度目の正直」なのだ。 以上を見れば、会談を強く望んできたのは、親中派が外相を務める日本側である。では、なぜ今回、中国は外相訪中を受け入れたのか。謎を解く鍵は「日本人拘束」問題にある』、「林氏は・・・王氏から中国に招待されたことを、中国側が公表していないのに、テレビ番組で一方的に発表してしまった」、外交のプロの割にはお粗末だ。「今回の会談は「4度目の正直」」とは初めて知った。
・『親中派を応援したい中国  中国外務省の報道官が記者会見で、日本人の拘束を正式に認めたのは3月27日だった。林外相の訪中が報じられたのは、その翌日28日だ。政府関係者は訪中理由の一つに「拘束された日本人の早期釈放を働きかける」という事情を挙げた。これだけみると、一見、もっともらしい。 私は、この素早さにこそ「不自然さ」を感じる。いかにも「外相はよくやっている、という印象をえたい」という意図を感じるからだ。だれの意図か。中国側だ。中国は親中派の林氏を応援したいのだ。 もう一度、確認しておこう。 訪中を受け入れるかどうかを決めるのは中国側であって、いくら日本側が「行きたい」と言っても、相手が「No」と言えば、実現できない。日本人を拘束したのも、それを認めたのも、そのうえで「早く釈放してくれ」と頼み込んでくるに違いない林外相の話を聞いてやることにしたのも、すべて中国の決定である。一連の経過は、完全に中国が主導権を握っている』、「一連の経過は、完全に中国が主導権を握っている」、その通りなのだろう。
・『中国側の思惑  その中国がいま、日本に対して圧力を強めている「最大の戦略的課題」は何か。 それは「日米分断」だ。米国が展開している「対中包囲網」から、日本を引き剥がしたがっている。日本は米国とともに、たとえば日米豪印4カ国の戦略的枠組み、クアッド(QUAD)を形成した。フィリピンとも連携を強化しつつある。 日本は北大西洋条約機構(NATO)と連携を強め、中国は「いずれ、日米はアジア版NATOを作るつもりではないか」と疑っている。とりわけ、米中対立の鍵を握る半導体問題で、米国は日本とオランダに対中輸出規制の連携を求めている。中国は、そんな日本と米国の仲を割きたいのだ。 そのために、中国が仕掛けた工作が日本人拘束だった可能性がある。 日本人を拘束した後で、日中外相会談に応じれば、日本側は必ず「早期釈放してくれ」と要求してくるはずだ。それに対して、中国側は「日本は米国の対中半導体輸出規制に、どう対応するつもりか」と問い質す。 そういう展開になれば、互いの要求を相打ちにして、輸出規制を完全に断念させるのは難しくても「風穴を開ける」くらいはできるかもしれない。そう読んで、日本人拘束という荒業に打って出たのではないか。「釈放してほしいなら、輸出規制に同調するな」という構図に持ち込みたいのだ』、「「釈放してほしいなら、輸出規制に同調するな」という構図に持ち込みたいのだ」、汚いやり方だ。
・『絶好のタイミングだった  そもそも、中国のような独裁国が外国人を拘束するのに「政治的思惑がない」と考える方がおかしい。 中国は2018年12月、通信機器最大手、ファーウエイの最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕された後、カナダの企業家と元外交官の2人を拘束した。2人が釈放されたのは、CFOが釈放された後の21年9月だった。 半導体問題では、オランダが3月8日、米国に同調して、中国向け半導体の輸出規制計画を発表した。日本はどうかといえば、この時点で西村康稔経済産業相は「何も方針を決めていない」と、ロイター通信が報じている。 つまり、日本に輸出規制の回避を迫るなら、いまが中国にとって絶好のタイミングだったのだ。取引の結果がどうなるかは分からないが、少なくとも、日本人釈放問題と半導体輸出規制問題が議題に上るのは間違いない。双方の最重要関心事項であるからだ』、「日本に輸出規制の回避を迫るなら、いまが中国にとって絶好のタイミングだったのだ。取引の結果がどうなるかは分からないが、少なくとも、日本人釈放問題と半導体輸出規制問題が議題に上るのは間違いない」、「中国にとって絶好のタイミング」、小憎らしいほど悪どいやり方だ。
・『躍起になっている中国  中国はこのところ、立て続けに外交攻勢に出ている。宿敵同士だったサウジアラビアとイランの国交正常化を仲介したかと思えば、ロシアと首脳会談を開き、ウラジーミル・プーチン体制のロシアを事実上、中国に従属させることに成功した。 ホンジュラスと国交を開く一方、台湾との国交は断絶させた。台湾の馬英九前総統(国民党)を訪中させる一方、蔡英文現総統(民進党)の米国訪問をけん制している。対日外交でも、大きな成果を見込めないまま、外相訪中を受け入れるわけがない。それが半導体問題だった。 ただ、林外相はいくら中国の圧力を受けても、一存で判断できない。半導体問題を所管するメインの官庁は経済産業省であり、外務省は日中、日米関係を所管する立場で横から口を出す程度だ。最終的には、岸田文雄首相の判断になる。首相の腹が固まるまで、事態は大きく動かないだろう。 それでも、日中両国が会談終了後に出す発表などを見ていれば、感触は分かる。日本人拘束問題で中国が態度を軟化する兆しがあれば、林氏が妥協策を示した可能性がある。林氏と外務省の動きに注目したい。 3月29、30日に配信した「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」は、いずれも私の1人語りで「日本人拘束と林外相訪中問題」について解説しました。 28日に放送したニコ生番組の「長谷川幸洋Tonight」は、講談社特別編集委員の近藤大介さんをゲストにお招きして「中ロ関係の真実」をめぐって議論しました。いずれも、ぜひご覧ください』、「中国」が「スパイ容疑」で「拘束した」「日本人」の釈放を「日本の外相」が交渉しようとするのは、私の記憶が正しければ、初めてだ。4月2日の日中外相会談は、4時間も協議、懸案巡り応酬したようだ。今後の交渉の行方を注目したい。

次に、4月1日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元警視庁公安部外事課警部補で日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村 悠氏による「中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」、元公安捜査官が解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/320540
・『スパイ容疑により多くの日本人を摘発  大手製薬メーカー、アステラス製薬の社員である50代日本人男性が「反スパイ法」に違反した疑いがあるとして、中国国家安全局によって、日本への帰国直前に拘束され、中国外務省がその事実を認めた。 この男性は、中国に進出する日系企業の団体「中国日本商会」の幹部を務めたこともあるベテラン駐在員であるという。 この件に関し、中国の外務省報道官は、「本人はどのような違法行為をしたのかよく知っているはず。日本国民の類似事件がしばしば発生しており、日本は自国民に対する教育や注意を強化すべきだ」とコメントしている。日本政府としては、林芳正外相が4月1~2日に急きょ訪中することを予定しており、日中での解決に向けた動きが速やかに進展することが望まれる。 中国は2014年に「反スパイ法」を制定。これまでに17人の日本人がスパイ活動への関与を疑われ拘束された。そのうち1人が病死し、11人は刑期を終えるなどして帰国しているが、今回拘束された日本人男性を含め5人がいまだに拘束されている。 いずれも、具体的な容疑は謎のままである。というのも、スパイ事案において、中国は「国家機密」を理由に容疑内容や裁判などの司法手続きを非公開にする場合が多い。 今回もその容疑内容は不明であり、スパイ容疑という性質上、中国は非常に抽象的な発表に終始しており、中国政府による“恣意的”な法運用であったと推認される』、「中国は非常に抽象的な発表に終始しており、中国政府による“恣意的”な法運用であったと推認される」、これでは日本人駐在員は仕事にならなくなる。中国はそれでもいいのだろうか。
・『スパイ行為の摘発に関する中国側の三つの思惑  中国の思惑として、三つ考えられる。 一つ目は、中国による正当なスパイ行為の摘発だ。 これは国家安全保障上も非常に重要な活動(=カウンターインテリジェンス)であり、国家として当然の思考・行動である(日本においても捜査機関が懸命に既存法を駆使して対応しているが、しっかり定義付けされた、拡大解釈のできないスパイ防止法の制定が望まれる)』、「中国による正当なスパイ行為の摘発」説は、帰国前日の逮捕から見て不自然な気がする。
・『二つ目は、見せしめである。 ただし、この見せしめにも二つの側面がある。 一つ目は外交カードとしての側面だ。 本件拘束の報道があった前日に、日本政府が2月末に帰国した中国の孔鉉佑前駐日大使からの岸田文雄首相に対する離任あいさつの申請を断っていたことが判明している。これは、日本政府の対応としては異例であり、世論を考慮し、慎重な対中姿勢が示された結果である。 これに対し、中国は、日本への報復措置として、日頃から本件アステラス製薬の社員の動向は把握しつつも、いつでも反スパイ法が適用できるように泳がせ続け、日本政府への見せしめとして検挙・拘束した可能性もある。 実は、このような手法はウラジオストクの日本総領事館領事が安倍元首相の国葬の前日にロシア連邦保安局(FSB)によって身柄を拘束された件と類似している。その拘束のタイミングと拘束された際の行為自体を見ても、ウクライナ侵攻を巡る日本への報復措置・見せしめと同様の趣旨が垣間見える。 ただし、これまで中国によってスパイ容疑で日本人が摘発されたタイミングを見ると、必ずしもそのタイミングが報復や外交的見せしめとなっておらず、線としては薄いだろう。 また、広島県におけるG7が控えている中でのけん制としている可能性はある。 いずれにせよ、外交カードの一つとして、反スパイ法が有効に活用される手段であることは認識しておかなければならない。) もう一つの側面は、中国による姿勢の誇示である。 中国は、元来メンツを気にする国であり、さらに政権として国内秩序の安定を強く望み、秩序の不安定化につながる要因を非常に嫌う。それが、国内要因だろうが国外要因だろうが関係ない。 そのような中で、通常の国家であればスパイ容疑に当たらないような行為も、中国から見て秩序を乱す要因であると判断されてしまえば摘発され、その強硬な姿勢を内外に示すことで、中国におけるスパイ活動のリスクを知らしめるのだ(裏を返せば、国内秩序の不安定化を極度に恐れる中国の思考の表れでもある)。 中国の強い姿勢を示し、日本政府を含む日本のインテリジェンスコミュニティーへ圧力をかけた可能性が高い。 そして中国の思惑の三つ目が、中国が欲しい情報を収集するために反スパイ法で摘発した可能性である。 現在、中国が自国で強化したい分野として医療領域がよく挙げられている。それは、中国政府が発表している外商投資奨励産業目録(外国投資家による投資の奨励および誘致に関連する特定の分野、地区などが明記されたリスト)や在中国欧州商工会議所が公表した報告書からも読み取れるが、そのような環境の中でアステラス製薬の男性社員が狙われた可能性もある。 そして、帰国直前というタイミングを図った理由もそこにある。 筆者のスパイ捜査の経験から話をすれば、まず証拠を固めて構成要件を満たした段階で共犯者の有無等の捜査とともに検挙に着手する。だが、例えばスパイが本国に帰国してしまえば、スパイの所属国家・組織に自国の情報が持ち出されてしまうため、帰国を検知した段階で検挙することも考えうる。 しかし、中国による日本企業の情報収集が目的だった場合を想定すると、例えば中国に定期的に訪問する立場の日本人が帰国する際には、ビジネスでの機密情報などが入ったパソコンや資料を日本に持ち帰り、日本の本社に共有しようと思うだろう。そのため、帰国時には重要な情報を欠かさず持った状態となる(もちろん、データで本社へ送付している可能性もあるが、中国データ3法の恣意的運用を恐れて送付していない可能性もあるし、拘束後に使用端末を解析すれば、中国による情報収集は可能だろう。 中国当局として、日本人が働く企業(今回はアステラス製薬)の情報が欲しかった場合、あえて帰国時に拘束することで、重要な情報を持った状態で日本人の身体を拘束し、所有物を差し押さえできるため、非常に“良い情報”が“効率的”に収集できる。 一方、帰国直前ではなく中国国内の自宅や企業にいた場合では、ガサなどの強制捜査を行ったところで、口を割らなければ、機密情報のありかを探すのに苦労してしまうのだ。 ただし、この医療分野に関する情報収集の筋は、中国の外資企業に対する厚待遇政策(後に技術やノウハウを吸収し、中国市場から締め出す)や複合機問題(中国現地での設計・生産を外資企業に要求)を始めとした、これまでの中国による半強制的な技術移転の手法などを見ても、やや疑問が残るだろう。 むしろ、日本人男性が所属した経済団体や在中日本人コミュニティーの情報が欲しかった線が想定される。 以上、中国の思惑について論じたが、今回の反スパイ法による摘発は、これらのどれか一つというより、複合的に判断されていると考えられる』、「通常の国家であればスパイ容疑に当たらないような行為も、中国から見て秩序を乱す要因であると判断されてしまえば摘発され、その強硬な姿勢を内外に示すことで、中国におけるスパイ活動のリスクを知らしめるのだ・・・中国の強い姿勢を示し、日本政府を含む日本のインテリジェンスコミュニティーへ圧力をかけた可能性が高い」、「中国による日本企業の情報収集が目的だった場合を想定すると、例えば中国に定期的に訪問する立場の日本人が帰国する際には、ビジネスでの機密情報などが入ったパソコンや資料を日本に持ち帰り、日本の本社に共有しようと思うだろう。そのため、帰国時には重要な情報を欠かさず持った状態となる(もちろん、データで本社へ送付している可能性もあるが、中国データ3法の恣意的運用を恐れて送付していない可能性もあるし、拘束後に使用端末を解析すれば、中国による情報収集は可能だろう」、「日本人男性が所属した経済団体や在中日本人コミュニティーの情報が欲しかった線が想定される」、どの説も大いにありそうだ。
・『反スパイ法改正によりスパイ行為の対象拡大の可能性  そもそも、この反スパイ法は14年11月1日の第12回全国人民代表大会常務委員会第11回会議で可決され、施行された。 同法のスパイ行為の定義は、すべての機構、組織、個人によるスパイ行為はもとより、その任務受託、ほう助、情報収集、金銭授受などは、すべてスパイ罪とみなされ、その定義は非常に広範で曖昧だ。 さらに懸念すべきは同法改正の動きだ。 2022年末には改正案が公表され、40条の現行法から71条編成へと大幅に内容が加えられた。 この改正案は、現行法にある“国家機密の提供“に加え、「そのほかの国家安全と利益に関係する文書、データ、資料、物品」を対象に含むと定義し、さらに「重要な情報インフラの脆弱(ぜいじゃく)性に関する情報」もスパイ行為の対象であると規定している。 また、改正案では、スパイ行為が疑われる人物・組織が所有・使用する電子機器やプログラム、設備などの調査権限も規定している。 これらを見てもわかるように、スパイ行為の定義自体が非常に幅広く、例えば中国国営に近しい中国企業との取引で発生したデータさえ抵触する恐れがあるし、疑いがあれば企業施設内に当局が入り込み、調査と称してあらゆる機器を差し押さえ、当該機器内の機密情報は筒抜けとなるだろう。 これまで、日本企業として相手先企業のデューデリジェンスは当然のごとく行われてきているが、中国の恣意的な法運用や昨今の国際情勢を鑑みて、よりハイレベルで中国の恣意的法運用リスクを含む地政学的要素を盛り込んだ対応が実施されなければならず、今回のように日本大手企業の中国法人幹部が不透明な容疑により反スパイ法で摘発されたとなれば、よりその必要性を感じさせることとなる』、「改正案では」、「スパイ行為の定義自体が非常に幅広く、例えば中国国営に近しい中国企業との取引で発生したデータさえ抵触する恐れがあるし、疑いがあれば企業施設内に当局が入り込み、調査と称してあらゆる機器を差し押さえ、当該機器内の機密情報は筒抜けとなるだろう」、大変なことだ。
・『会食中の政治的な会話が国家機密の収集とされる例も  中国におけるリスクの最大の要因は、法の曖昧さと恣意的運用である。 中国では、施設の写真を撮れば、軍事関連や国家として重要な施設の写真を撮っただろうと言いがかりをつけられ、検挙されることがある。 また、会食の場で政治的な話をすれば、中国の国家機密を探っているとして検挙されてしまう。 北京外国語大学で教員を務め、「日中青年交流協会」を設立するなど、日本と中国の友好事案を進めていたほか、衆議院の客員調査員を務めていた鈴木英司氏は、16年7月に国家安全局に突如スパイ容疑で拘束され、懲役6年の実刑判決を受け、22年10月に刑期を終え釈放された。 この鈴木氏に関するスパイ容疑は、同氏が13年12月4日に中国高官との会食中、その前日に北朝鮮の金正恩の伯父(張成沢氏)が失脚したことをうけ、どうなのかという会話をしたことだという。会話内容は、既に公開されている情報であったにもかかわらず、これが国家機密の収集に当たるとされ検挙されたとのことである。 今回のアステラス製薬の男性も、「中国日本商会」の幹部を務めたこともあることから、中国での人脈は相当広いだろう。その中で、会食中に政治的な話をしてしまったのかもしれない。 仮にそうであったとしても、反スパイ法によってスパイ容疑でその身体を拘束されるような理由にはならず、反スパイ法の定義の曖昧さと恣意的運用が中国におけるリスクを顕著に示している』、「北京外国語大学で教員を務め、「日中青年交流協会」を設立するなど、日本と中国の友好事案を進めていたほか、衆議院の客員調査員を務めていた鈴木英司氏は、16年7月に国家安全局に突如スパイ容疑で拘束され、懲役6年の実刑判決を受け、22年10月に刑期を終え釈放」、「スパイ容疑は、同氏が13年12月4日に中国高官との会食中、その前日に北朝鮮の金正恩の伯父(張成沢氏)が失脚したことをうけ、どうなのかという会話をしたことだという。会話内容は、既に公開されている情報であったにもかかわらず、これが国家機密の収集に当たるとされ検挙されたとのことである」、そんなことで「懲役6年の実刑判決」とは酷い話だ。
・『反スパイ法だけではない中国の法運用リスク  中国という国を考えれば、幾多ものリスクが存在する。 例えば、国家安全法や国家情報法、国防動員法だ。 特に、国防動員法は中国政府が有事と判断すれば、中国に進出している日本企業も含めて、中国のあらゆる組織の人的資本や金、アセットの徴用が合法化され、戦時統制下におかれることが可能となってしまう。この有事の定義はやはり曖昧であり、台湾有事に限らず、南シナ海で偶発的な衝突が起きた際に、中国が“有事”と判断すれば、国防動員法が適用される。 また、先述の複合機問題や合弁会社による技術流出リスクなどの中国による半強制的な技術移転、さらに視座を高くすれば、反外国制裁法などがあり、いずれも中国政府による恣意的な運用が懸念されるものばかりである。 先述したように、中国で活動をするならば、 “中国の実態”を深く理解した上で、中国のリスクを深く・正しく捉えた対応が強く求められる。少なくとも、これらリスクを許容した上で中国と付き合うべきである。 最後に、拘束された男性の適切な処遇と身の安全を心から祈る』、「反スパイ法」以外にも、「国家安全法や国家情報法、国防動員法」、「反外国制裁法」などがあり、「いずれも中国政府による恣意的な運用が懸念されるものばかり」、「中国で活動をするならば、 “中国の実態”を深く理解した上で、中国のリスクを深く・正しく捉えた対応が強く求められる。少なくとも、これらリスクを許容した上で中国と付き合うべきである」、その通りだ。

第三に、この続きを、4月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村 悠氏による「「中国の産業スパイ」なぜ日本は拘束できない?スマート農業の情報流出で露呈」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/320753
・『中国人技術者が日本からスマート農業情報を流出  先日、中国国内で日本の大手企業アステラス製薬の社員である50代日本人男性がスパイ活動を行った疑いがあるとして、中国国家安全局によって、反スパイ法違反容疑で帰国直前に拘束された。 そして、すぐに林芳正外相が訪中し、本件を含む中国国内での日本人の拘束に抗議して早期解放を強く申し入れたが、中国からは「法律に基づき処理する」との回答を得たのみであり、早期釈放に暗雲が立ち込めている。 このように、中国によって不透明かつ曖昧もしくは恣意(しい)的に法が運用され、多くの日本人が拘束されている。彼らは極めて厳しい環境下に置かれていると想像されるが、ご本人とそのご家族・関係者を思うと憤りが隠せない。また、既に釈放され帰国された方々も同様に非常に苦しく厳しい時間であっただろう。 このような状況下で、今度は国内電子機器メーカーに勤務していた中国人男性技術者が昨年、スマート農業の情報を日本から不正に持ち出したとして、警察当局が不正競争防止法違反容疑で捜査していたことが報じられた。 報道によれば、同中国人男性は、中国共産党員かつ中国人民解放軍と接点があり、SNSを通じて、中国にある企業の知人2人に情報を送信していたという。 この男性は別の事件で浮上し、捜査側から国内電子機器メーカーに連絡が入り発覚。その中で事情聴取などするなどの捜査を進めていたということである。 この中国人男性は既に出国済みであり、今後の捜査は極めて難しく、中国に渡った技術はもう日本に戻ってこない。捜査機関も当然尽力したと思われ、極めて無念の思いであろう』、「中国人技術者が日本からスマート農業情報を流出」、これは明白な国内法違反だが、「この中国人男性は既に出国済み。今後の捜査は極めて難しく、中国に渡った技術はもう日本に戻ってこない」、とはお粗末だ。
・『正当に入社した社員が情報流出に関与するリスク  今回の国内電子機器メーカーの事件では、どのように情報が持ち出しされたのか。 本件の中国人技術者は、クラウド上で管理された「スマート農業」の情報について、社内でも正当にアクセスする権利を持っており、平素から問題なく勤務していたと思われる。 実は、スパイ事件というと、ロシアによるスパイ事件を例に、人的ルートを通じて日本人エージェントを使い、不正に情報を窃取するという方法がよく思い浮かべられる。例えば、ロシア対外情報庁(SVR)の「ラインX」によるソフトバンク事件だ。同事件では、ラインXの一員であるロシア通商代表部の外交官がソフトバンク元社員に接触し、同社の営業秘密である機密情報を不正に取得した。 だが、実態はそればかりではない。 本件の中国人技術者は、国内電子機器メーカーに技術者として正当に入社し、正当な業務の中で、正当なアクセス権を持って日頃から勤勉に働いていた。ところが、実は国家の指揮命令下にあり、アンダーでは技術情報を持ち出し、国外に送信していた。 入社当初から中国共産党の影響下にあるケースだけではなく、入社後に影響下に入るパターンもある。 過去の事件では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの約200の団体・組織が2016年6月から大規模なサイバー攻撃を受け、その一連のサイバー攻撃に使用された日本国内のレンタルサーバーを偽名で契約・使用していたとして、2021年12月、捜査機関が2人の中国人を私電磁的記録不正作出・同供用容疑で書類送検した。 この書類送検された中国人の一人は中国人の元留学生「王建彬」容疑者であり、彼はレンタルサーバーの契約を人民解放軍のサイバー攻撃部隊「61419部隊(第3部技術偵察第4局)」所属の軍人の女から頼まれたという。 なんと、王容疑者が以前勤めていた中国国営企業の元上司が王容疑者とその女をつないだという。 この事件の恐ろしいところは、善意の中国人男性が、中国共産党に利用されたということである』、「本件の中国人技術者は、国内電子機器メーカーに技術者として正当に入社し、正当な業務の中で、正当なアクセス権を持って日頃から勤勉に働いていた。ところが、実は国家の指揮命令下にあり、アンダーでは技術情報を持ち出し、国外に送信していた」、なるほど。
・『合併会社を設立して合法的に情報を流出  もちろん、中国共産党の指揮命令下にある中国人技術者が当初からその身分を隠して企業に入社する場合もある。 さらに、公安調査庁のHPにも掲載されているが、合法的な経済活動による技術流出も当然存在する。 例えば、合弁会社の設立である。 中国企業との合弁では、日本企業が最新の技術は合弁先に共有しないという立場を取る場合が多い。 しかし、日本企業のガバナンスが弱いため、現地への技術指導を目的に日本人社員が機微情報(図面等)を持ち出してしまい、その結果、現地に技術情報が共有されてしまい、合弁解消後も技術情報は現地に残ったままという事例もある。 米国が世界に警鐘を鳴らしているように、中国による諜報活動・技術流出は違法な手法のみではない。 中国の千粒の砂戦略(※1)を例に、悪意・善意問わずビジネスパーソンや留学生が日本で知見を蓄えて帰国する手法(こうした人々は「海亀族」といわれる)や、調達などの合法的な経済活動によって、日本の知的財産が侵食されている点には極めて留意しなければならない。 また、中国に進出する企業では、中国国産化政策(現地設計・現地生産が求められ、拒否すれば市場から締め出されるような政策)や在中国欧州商工会議所が2021年1月に公表した報告書が示している半強制的な技術移転に留意しなければならない。 ※1 千粒の砂戦略:ロシアのようにスパイによる典型的な諜報活動ではなく、人海戦術のごとく、ビジネスパーソン・留学生・研究者など多種多様なチャネルを使用し、情報を砂浜の砂をかき集めるように、情報が断片的であろうとも広大に収集する戦略』、「中国企業との合弁では、日本企業が最新の技術は合弁先に共有しないという立場を取る場合が多い。 しかし、日本企業のガバナンスが弱いため、現地への技術指導を目的に日本人社員が機微情報(図面等)を持ち出してしまい、その結果、現地に技術情報が共有されてしまい、合弁解消後も技術情報は現地に残ったままという事例もある」、「ガバナンスが弱い」「日本企業」の責任だが、困ったことだ。
・『スマート農業の情報がなぜ中国に狙われたのか  今回の国内電子機器メーカーの事件では、ビニールハウスの室温や土壌の水分量等を最適に保つ機器のプログラムに関する情報が不正に持ち出されたという。 中国では、かねて自国の農業近代化を掲げているが、中国政府が発表している外商投資奨励産業目録(外国投資家による投資の奨励および誘致に関連する特定の分野、地区等が明記されたリスト)の最初には農業関連が掲げられており、その中には、以下のように今回の事件にひも付く内容もある。 一.農業、林業、牧畜業および漁業 20.スマート農業(ソフトウェア技術および設備の統合活用、農業生産・経営管理のデジタル改造) (中華人民共和国商務部「外商投資奨励産業目録2022」より一部抜粋、翻訳JETRO) 企業関係者などは、ぜひ参考として当目録に目を通していただき、自社に関連する技術・情報・ノウハウがないか確認していただきたい』、「日本企業」は秘密の防衛に無頓着なところが多いので、この際に、「外商投資奨励産業目録2022」をチェックしてみるべきだろう。
・『経済安全保障におけるスパイ防止法の必要性  経済安全保障という言葉がトレンドになって以降、中国による技術窃取の問題がクローズアップされてきた。日本においても、これまでも存在していたリスクが正しく捉えられ始め、社会の認知は広まってきたといえる。 一方で、前述のように事件化や表面化した諜報事件・技術流出事件は、ほんの氷山の一角であると断言できる。 このような極めて厳しい状況下にもかかわらず、我が国にはスパイ防止法がなく、スパイ活動を取り締まる法的根拠がないため、捜査機関としては、法定刑がさほど重くない窃盗として、もしくは不正競争防止法等の適用を駆使しながら何とか対応している。 そこで、検討されるべきが、スパイ防止法である。 スパイ防止法は、中国の反スパイ法を反面教師に、その定義が決して曖昧であってはならず、恣意的な運用の余地を一切なくさなければならない。 また、日本弁護士連合会による1985年の「『国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案』に反対する決議」(LINK)にもあるように、スパイ行為自体が、日々の生活に非常に密接であり、スパイ行為の処罰が基本的人権を侵害する恐れもあるため、法案内容の検討には十分かつ慎重な議論がなされる必要がある。 しかし、現在、世界は変動期にある。今一度、日本のカウンターインテリジェンス(防諜活動)を考え、スパイ防止法の本格的な検討をするときが来たのではないだろか』、「今一度、日本のカウンターインテリジェンス(防諜活動)を考え、スパイ防止法の本格的な検討をするときが来た」、同感である。

第四に、4月3日付けJBPressが掲載した作家・ジャーナリストの青沼 陽一郎氏による「外国人を簡単に拘束する中国、中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74633
・『中国の首都・北京で先月、アステラス製薬の50代の日本人男性が拘束された。 中国外務省は3月27日の記者会見で「この日本人はスパイ活動に関わり、中国の刑法と反スパイ法に違反した疑いがある」として、司法当局が拘束して取り調べていることを認めている。 中国では2014年に反スパイ法が施行された。その後、少なくとも17人の日本人が拘束され、11人が刑期を終えるなどして帰国。1人は服役中に病死。2人が服役中、1人が公判中、1人は逮捕されたまま。そして、先月にもう1人だ。 ところが、具体的にどういう行為が法律に違反するのか、反スパイ法の規定が曖昧で、今回も中国政府は詳しい内容を明らかにしていない。 それどころか、27日の会見で中国外務省の報道官は、「ここ数年、日本人が同様の事件をたびたび起こしており、日本側は、国民への教育と注意喚起を強化すべきだ」とまで吐き捨てている。 ならば、いい機会なので私が中国国内で受けた“仕打ち”について、いま一度披露しよう』、「私が中国国内で受けた“仕打ち”」を「披露」するとは興味深そうだ。
・『カドミウムで汚染されたコメ  私は中国で田んぼの写真を撮っていただけで、公安(警察)に同行を求められ、執拗な取り調べを受けたことがある。湖南省でのことだ。 湖南省といえば、省都の長沙で2019年7月に50代の日本人男性が拘束され、今年2月8日にスパイ活動に関わったとして、懲役12年の判決が言い渡されている。また、先月27日から中国を訪れている、台湾の馬英九前総統が先祖の墓参りに訪れたばかりだ。そして、毛沢東の出生地として知られる。 長沙から車で約2時間。衡陽市衡東県大浦鎮を訪れたのは、2015年7月のことだった。 その当時、ここから隣の広東省広州市圏に出荷された米から、許容量を超えるカドミウムが検出されて問題となっていた。その前年には子どもたちの血中鉛濃度が国の基準値を最大で3倍以上にもなっていたことを、国営の新華社通信やAFP通信が伝えている。地元の化学工場から排出された汚染物質が原因とみられ、この工場は捜査のため一時閉鎖されたとされる』、「カドミウムで汚染されたコメ」、「中国」ではあり得る話だ。
・『田んぼの風景を撮影しただけで警官が  その大浦で高速道路を降りたあたりから、車窓に黒いフィルムを貼ったセダンが私の車のあとをずっとつけてきていた。最初は白で、しばらくすると黒い車体に代わった。 監視されていることはわかった。目立つことはしないほうがいい。だから、工場跡地や田園をまわりながらも、写真は車の中から撮った。その度に車を停めると、セダンも一定の距離を保って停まった。 そして、そのまま帰路に着こうと高速道路の入口に近づいたところで、「ここなら、大丈夫でしょう」と通訳の青年が言った(あとから振り返ると、彼も中国当局と結託していたのかも知れない)。 揚子江より南の地域では二期作が主流で、当時も田植えの済んだ隣の田圃で収穫作業が行われていた。そんな珍しい風景を、はじめて車から降りて写真に撮っていると、背後から声がした。「中国公安」と文字の入ったパトカーが止まっていて、2人の制服の警官が立っていた。 「外国人が写真を撮っているという通報がありました。通報を受けた以上、住民に説明をしなければならない。手続きのため、ご同行いただけませんか」 初老の警官に言われて、断る術もなく、連れていかれたのは町の中心を少し外れた場所にある古びた地元警察の建物だった』、「初老の警官」から丁寧に言われたら、従うしかなさそうだ。
・『まるでチンピラのような共産党書記  そこの会議室のような場所で、入口から一番遠い壁際の机の向こうに座らされると、初老の警官に続いて、スマートフォンだけを持ってビーチサンダルを履いた男が入ってきた。痩身に張り付くような派手なシャツやパンツからして、チンピラのようにしか見えないこの男が、地区の共産党書記だった。さらにパソコンやビデオカメラを持った私服の男たちが入って来る。 まずパスポートの提示を求められた。それから、「録音機器や、他に小型のカメラがないか、確認させてください」と言って、手荷物のすべてを隣の部屋に持っていってしまった。 扉の隙間から、所持品を写真に撮るシャッター音がする。私の目に見えないところで、全てがいじくられる。あとで返された時には、財布のクレジットカードまで抜き取られて、配置が変わっていた。 「ここへ来た目的はなんだ?」 ビデオを回しながらの尋問がはじまった。口調がきつくなっている。 「観光」と答える。観光ビザで入国していたからだ。 「観光なら、その旅費はどうした? 渡航費用は? 滞在費は? 誰が出している?」 費用は自分で用意している、と答える。そもそも、そんなことまで答える必要がどこにあるのか  すると警官はすぐに、「あなたは、長沙市内の○○というホテルに宿泊している」と言い当て、さらにこう続けた。 「あなたの年収では、あのホテルに泊まるのは無理だ」 そして彼の次の言葉に驚かされた。 「東京にある出版社から、中国の旅行代理店に送金があったことを我々は知っている」 「代理店の担当者は、その資金で旅程を組んでいることを認めている!」 東京からの送金実績まで事前に把握しているとは思いもよらなかった。当局によって自分が裸にされている不気味さと恐怖を実感する』、「あなたの年収では、あのホテルに泊まるのは無理だ」、「東京からの送金実績まで事前に把握」、田舎の「警官」が「共産党書記」の指示があるにしても、ここまで調べていたとは私も驚かされた。
・『堂々巡りの押し問答  「そこから依頼を受けて、調査活動が目的でここへやって来たのだろう!?」 反スパイ法のことは知っていた。調査活動、すなわちスパイの容疑をかけているのだとすれば、認めるわけにはいかない。調査ではない、取材だ。 「取材なら、なぜ取材申請をしなかった」 「なぜ、観光と嘘をついて入国したのか」 ここへ来るまでに、私は吉林省の長春で、入場料を払って満洲国の皇帝だった溥儀の皇宮と資料館を見てきた。陝西省の「梁家河」という寒村も訪ねた。習近平が若い頃、下放されて暮らしていた“聖地”と呼ばれる場所だ。そこはすでに観光地化して入場料をとっている。習近平の生い立ち調査が目的とはいえ、これを観光ではないと言い張る中国人がいるだろうか。 その旨を伝えると警官は黙った。ところが、それまで黙っていた共産党書記が蒸し返す。 「だけど、わからないな。出版社からの送金でここまで来ているのなら、それは調査だろう!」 「そうだ。どうなんだ」 そこから堂々巡りと押し問答が続く。 中国側は執拗に同じ質問を繰り返す。繰り返しの説明は、疲労を伴う。なるほど、こうしてイライラと疲れの蓄積で、罪を認めさせようという魂胆か。 取り調べ中も開け放たれたままの扉から、入れ替わり立ち替わり室内を覗きにきた地元の住人がスマートフォンでこちらの写真を撮る。まるで動物園のサルを見るような目つきだった。不愉快だった。これが正当な司法手続きと言えるのか』、「正当な司法手続き」など中国には存在しないのだろう。
・『「帰れないのは誰のせいなのか」  やがて何時間も経過し、とっくに日が暮れて食事も与えられないでいると、肥った私服の中年男性が部屋に入ってきた。この警察の署長だった。私の正面に机を挟んで座ると言った。 「私が制服から私服に着替えて、まだ帰れないのは誰のせいだと思いますか」 主張を曲げない私を責めた。そうやって威圧する。 「先生、まだこんなことを続けますか」 では、どうしたらいいのか、こちらから訊ねた。 すると、真っ白なA4サイズの紙とボールペンを出してきて、これから言うことを日本語で書くように指示された。とにかく「事情説明」と題された、いわば中国共産党が好む「自己批判」を書かせようとする。 彼らとしても面子を保たなければ、私を解放できなかったのだろう。とはいえ、相手の都合のいいことばかりでは、どんな罪に問われるか、わかったものではない。そこで相手の意向と妥協点を探りながら文章を構成する。異様な労力に屈辱感が胸元から湧き上がる。この屈辱に先行きの見えない恐怖が私のトラウマに変わる。 この直筆の書面と尋問形式の調書に指印させられて、ようやく解放された。カメラにあった写真データは全て消去された。外には街灯らしいものもなく、あたり一面が真っ暗だった』、「警察署長」に「どうしたらいいのか、こちらから訊ねた」、「「事情説明」と題された、いわば中国共産党が好む「自己批判」」直筆の書面と尋問形式の調書に指印させられて、ようやく解放された」、「警察署長」と渡り合っただけでも大したものだ。
・『中国は信用できるか  写真を撮る自由さえない中国。執拗に罪を認めさせようとする地元警察。土壌汚染の事実など、都合の悪いことは黙らせたい。中国共産党の言論封殺の本性がそこにある。 解放されたとはいえ、一時的に拘束された立場からすれば、法律に違反した取り調べというより、嫌がらせだった。地方の小さな村にまで浸透した権威主義のゴリ押しと、外国人の粛清。 日本のパスポートを開けば、最初に外務大臣の名前でこういう記載がある。 【日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。】 中国の外務省が表明したように「日本側は、国民への教育と注意喚起を強化すべきだ」とするのなら、それはたった一言で済む。「中国は、およそ信用に値する国ではない」 それだけのことだ』、「中国は、およそ信用に値する国ではない」言い得て妙だ。
タグ:ダイヤモンド・オンライン 「反スパイ法」以外にも、「国家安全法や国家情報法、国防動員法」、「反外国制裁法」などがあり、「いずれも中国政府による恣意的な運用が懸念されるものばかり」、「中国で活動をするならば、 “中国の実態”を深く理解した上で、中国のリスクを深く・正しく捉えた対応が強く求められる。少なくとも、これらリスクを許容した上で中国と付き合うべきである」、その通りだ。 「日本企業」は秘密の防衛に無頓着なところが多いので、この際に、「外商投資奨励産業目録2022」をチェックしてみるべきだろう。 JBPRESS 青沼 陽一郎氏による「外国人を簡単に拘束する中国、中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ」 「「釈放してほしいなら、輸出規制に同調するな」という構図に持ち込みたいのだ」、汚いやり方だ。 「初老の警官」から丁寧に言われたら、従うしかなさそうだ。 れ検挙されたとのことである」、そんなことで「懲役6年の実刑判決」とは酷い話だ。 「私が中国国内で受けた“仕打ち”」を「披露」するとは興味深そうだ。 イヤモンド・オンライン 「中国による日本企業の情報収集が目的だった場合を想定すると、例えば中国に定期的に訪問する立場の日本人が帰国する際には、ビジネスでの機密情報などが入ったパソコンや資料を日本に持ち帰り、日本の本社に共有しようと思うだろう。そのため、帰国時には重要な情報を欠かさず持った状態となる(もちろん、データで本社へ送付している可能性もあるが、中国データ3法の恣意的運用を恐れて送付していない可能性もあるし、拘束後に使用端末を解析すれば、中国による情報収集は可能だろう」、「日本人男性が所属した経済団体や在中日本人コミュニティ 「警察署長」に「どうしたらいいのか、こちらから訊ねた」、「「事情説明」と題された、いわば中国共産党が好む「自己批判」」直筆の書面と尋問形式の調書に指印させられて、ようやく解放された」、「警察署長」と渡り合っただけでも大したものだ。 現代ビジネス 「本件の中国人技術者は、国内電子機器メーカーに技術者として正当に入社し、正当な業務の中で、正当なアクセス権を持って日頃から勤勉に働いていた。ところが、実は国家の指揮命令下にあり、アンダーでは技術情報を持ち出し、国外に送信していた」、なるほど。 「正当な司法手続き」など中国には存在しないのだろう。 「今一度、日本のカウンターインテリジェンス(防諜活動)を考え、スパイ防止法の本格的な検討をするときが来た」、同感である。 「中国は非常に抽象的な発表に終始しており、中国政府による“恣意的”な法運用であったと推認される」、これでは日本人駐在員は仕事にならなくなる。中国はそれでもいいのだろうか。 (その4)(習近平が「拘束した日本人」と引き換えに突きつけてくる「ヤバい解放条件」 その裏側にある思惑、中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」 元公安捜査官が解説、「中国の産業スパイ」なぜ日本は拘束できない?スマート農業の情報流出で露呈、外国人を簡単に拘束する中国 中国公安の取り調べを受けて感じたその傲慢さ) 「中国人技術者が日本からスマート農業情報を流出」、これは明白な国内法違反だが、「この中国人男性は既に出国済み。今後の捜査は極めて難しく、中国に渡った技術はもう日本に戻ってこない」、とはお粗末だ。 稲村 悠氏による「中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」、元公安捜査官が解説」 「中国は、およそ信用に値する国ではない」言い得て妙だ。 「カドミウムで汚染されたコメ」、「中国」ではあり得る話だ。 長谷川 幸洋氏による「習近平が「拘束した日本人」と引き換えに突きつけてくる「ヤバい解放条件」 その裏側にある思惑」 「中国による正当なスパイ行為の摘発」説は、帰国前日の逮捕から見て不自然な気がする。 稲村 悠氏による「「中国の産業スパイ」なぜ日本は拘束できない?スマート農業の情報流出で露呈」 「日本に輸出規制の回避を迫るなら、いまが中国にとって絶好のタイミングだったのだ。取引の結果がどうなるかは分からないが、少なくとも、日本人釈放問題と半導体輸出規制問題が議題に上るのは間違いない」、「中国にとって絶好のタイミング」、小憎らしいほど悪どいやり方だ。 「北京外国語大学で教員を務め、「日中青年交流協会」を設立するなど、日本と中国の友好事案を進めていたほか、衆議院の客員調査員を務めていた鈴木英司氏は、16年7月に国家安全局に突如スパイ容疑で拘束され、懲役6年の実刑判決を受け、22年10月に刑期を終え釈放」、「スパイ容疑は、同氏が13年12月4日に中国高官との会食中、その前日に北朝鮮の金正恩の伯父(張成沢氏)が失脚したことをうけ、どうなのかという会話をしたことだという。会話内容は、既に公開されている情報であったにもかかわらず、これが国家機密の収集に当たるとさ 中国での日本人拘束問題 スパイ(?) 「中国」が「スパイ容疑」で「拘束した」「日本人」の釈放を「日本の外相」が交渉しようとするのは、私の記憶が正しければ、初めてだ。4月2日の日中外相会談は、4時間も協議、懸案巡り応酬したようだ。今後の交渉の行方を注目したい。 「あなたの年収では、あのホテルに泊まるのは無理だ」、「東京からの送金実績まで事前に把握」、田舎の「警官」が「共産党書記」の指示があるにしても、ここまで調べていたとは私も驚かされた。 「中国企業との合弁では、日本企業が最新の技術は合弁先に共有しないという立場を取る場合が多い。 しかし、日本企業のガバナンスが弱いため、現地への技術指導を目的に日本人社員が機微情報(図面等)を持ち出してしまい、その結果、現地に技術情報が共有されてしまい、合弁解消後も技術情報は現地に残ったままという事例もある」、「ガバナンスが弱い」「日本企業」の責任だが、困ったことだ。 「改正案では」、「スパイ行為の定義自体が非常に幅広く、例えば中国国営に近しい中国企業との取引で発生したデータさえ抵触する恐れがあるし、疑いがあれば企業施設内に当局が入り込み、調査と称してあらゆる機器を差し押さえ、当該機器内の機密情報は筒抜けとなるだろう」、大変なことだ。 「一連の経過は、完全に中国が主導権を握っている」、その通りなのだろう。 「林氏は・・・王氏から中国に招待されたことを、中国側が公表していないのに、テレビ番組で一方的に発表してしまった」、外交のプロの割にはお粗末だ。「今回の会談は「4度目の正直」」とは初めて知った。 「通常の国家であればスパイ容疑に当たらないような行為も、中国から見て秩序を乱す要因であると判断されてしまえば摘発され、その強硬な姿勢を内外に示すことで、中国におけるスパイ活動のリスクを知らしめるのだ・・・中国の強い姿勢を示し、日本政府を含む日本のインテリジェンスコミュニティーへ圧力をかけた可能性が高い」、
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