電子政府(その7)(デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ、そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり、あまりに異常なデジタル庁 「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣) [経済政治動向]
電子政府については、昨年7月14日に取上げた。今日は、(その7)(デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ、そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり、あまりに異常なデジタル庁 「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣)である。
先ずは、昨年8月17日付けダイヤモンド・オンラインが記載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/327733
・『マイナンバー騒動が「人為的ミス」で片付けられる怪しさ マイナンバーカード問題が、岸田政権の存続の可能性まで揺さぶっています。 断っておきますが、私はマイナンバー制度一本化に基本的に賛成しています。これが全国民に普及すれば、時として差別につながりかねない戸籍制度などを撤廃できます。本人が住んでもいないところに知らない人の住民票が置かれたままになっているといったこともなくなるでしょう。何よりも、コロナ禍のときのような緊急事態に、国家的補償をする時間が短縮されるはずです。 しかし、残念ながら、現行のマイナンバーカード制度は一度白紙に戻すべきではないか、と考えます。 毎日のように、誤作動や間違った紐付けのケースが報道されます。カード擁護論者は、「そんなことは大きなシステムでは0.01%以下の誤差の範囲内」などと弁明しますが、果たしてそうなのでしょうか。 私はこうしたシステムの事故が人為的ミスとして片づけられることが、まず怪しいと思います。人為的ミスが起こらないように設計することこそ、巨大システムの根本的な設計思想のはずだからです。 たとえば、前の人物がナンバーを打ち込んでいて途中で止めたところ、それが次の登録者のナンバーになってしまったといったミスを人為的ミスとしていますが、次の人物が登録作業に入った瞬間に、前の数字を自動的に消去するシステムにしておくことなどは、巨大システムの常識でしょう。 そして、一番政府に真剣に考えてほしいのは、マイナポイントなどの特典をつけても、なぜ国民の多数が参加しないのか、ということです。この事態こそ、政治家、官僚は胸に手を当てて深刻に考える必要があります。 私に言わせれば、国民が政府を信用していないからです。もし事故が起こって、個人情報が流出し、それによって自分の預金が盗まれたり、病気などの個人情報が漏れたりしたとき、政府はどんな補償をしてくれるのでしょうか。いや、その情報漏れが政府によって起きたことを認めるのでしょうか。 なぜ、そんな疑問を持つかというと、政府や自治体で個人情報漏洩事件が起きても、官僚や政治家が処分を受けたり、逮捕されたりしたなどという話を聞いたことがないからです。) たとえばA元総理の自宅で、突然、押し入れの扉が壊れて中身が飛び出してきた。それが、全部札束だった……。B元幹事長には、業者からの陳情が多く、国会の議員会館に送られてくる贈り物が自室には入り切らず、別室を借りて、荷物部屋になっている……。 こんなケースを山のように私は聞いてきました。そして多くの日本人も、程度の差こそあれ、議員への口利きの話を耳に挟んでいるはずです。安倍晋三・菅義偉と、国会審議を重視せず、司法にまで介入するような政権が長く続き、国政選挙にさえ勝てば何をしてもいいという状態が続きました。 それを否定し、二階幹事長を厳しく批判してスタートしたはずの岸田政権も同じ道をたどっています。日本国民のほとんどは、特に若い人ほど報道の力を信じません。選挙でこの国が変えられるとも思っていません。私は大学で若い学生と接する度に、彼ら、彼女らのこの国への不信感を感じ続けてきました』、「私はこうしたシステムの事故が人為的ミスとして片づけられることが、まず怪しいと思います。人為的ミスが起こらないように設計することこそ、巨大システムの根本的な設計思想のはずだからです。 たとえば、前の人物がナンバーを打ち込んでいて途中で止めたところ、それが次の登録者のナンバーになってしまったといったミスを人為的ミスとしていますが、次の人物が登録作業に入った瞬間に、前の数字を自動的に消去するシステムにしておくことなどは、巨大システムの常識でしょう」、当然だがその通りだ。
・『真のデジタル化を進めるなら「デジタル監視庁」を創設せよ せめて、報道機関がしっかりして、マイナンバーカードの欠陥を糾すことはできないのでしょうか。私は、財務省の力を抑えるために金融庁を設けたように、デジタル化を進めるために「デジタル監視庁」のような組織を設け、国や政権から完全に独立した捜査機関として、個人情報漏洩を厳しく追及するべきだと思います。 マイナンバーで大失敗や隠蔽をやっている人間たちを律し、法で裁けるようにすれば、国民は安心して、マイナンバーに登録すると考えます。たとえば、アメリカでは大量の個人情報流出があって、連邦政府のキャサリン・アーチュレタ人事管理局長が辞任しています。中国のサイバー攻撃により政府職員などの大量の個人情報が盗まれた事件の責任を取り、辞任という形を取りましたが、実際には野党やマスコミの追及が激しく、辞任させるしか鎮静化の方法がなかったからでした。日本にも、こうした厳正さが必要です。 どうして自民党政府は、こんな簡単なことがわからないのでしょうか。それはそうでしょう。戦後の政権のほとんどは自民党政権でした。つまりは行政と立法が同じ人間に支配され、安倍政権では司法さえ支配しようとして、検察のトップ人事にまで介入しかけていました(黒川検事長事件)。 それがいけないことだという自覚さえない議員が多いことに、国民は気付いています。野党は、国民のこの気持ちに配慮した国会運営、選挙戦略を立てるべきなのです。揚げ足取りだけでは、選挙で絶対勝てません』、「アメリカでは大量の個人情報流出があって、連邦政府のキャサリン・アーチュレタ人事管理局長が辞任しています。中国のサイバー攻撃により政府職員などの大量の個人情報が盗まれた事件の責任を取り、辞任という形を取りましたが、実際には野党やマスコミの追及が激しく、辞任させるしか鎮静化の方法がなかったからでした。日本にも、こうした厳正さが必要」、その通りだ。
次に、昨年12月3日付け現代ビジネスが掲載した一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/120082?imp=0
・『デジタル庁が発足して2年以上たつが、脱印鑑は、進んでいない。それどころか、アナログとデジタルの手段が入り乱れて、事態は悪化している。デジタル庁の存在意義を見直すべきではないか?』、どういうことなのだろう。
・『その昔、「脱印鑑」と言われたことがあった 「脱印鑑」ということが言われたことがある。ずいぶん昔のことだったような気がするので、おそらく、ほとんどの人は忘れてしまっただろう。 そこで改めて説明すると、コロナ禍において在宅勤務が奨励されたが、書類に印鑑を押す必要がある。それだけのために出社しなければならないという事態が頻発して、印鑑を廃止しようという声が高まったのだ。 印鑑が無意味だとは、多くの人がそれまでも日々の仕事の中で嫌というほど感じさせられていたことだ。 印鑑といっても、誰でも手に入る三文判。それを押したところで本人証明にはならないと思うのだが、しかし、規則なので、それがないと書類を受け取ってもらえない。受け取るほうも、一体何のためにこんなことが必要なのかと疑問に思いながらやっていたことなので、脱印鑑は多くの人の賛同を集めた。 そこで、政府も脱印鑑を重要な政策目標として掲げることとした。そして、デジタル庁という役所を新設して、この動きを実現することにした』、「デジタル庁」が「脱印鑑」を「重要な政策目標」としたのは初めて知った。
・『アナログだけより複雑化し悪化している では、脱印鑑は達成されたか? 少なくとも私が見聞きするかぎり、達成されたなどということは、全くない。依然として三文判の押印がなければ、書類を受け付けてくれない。 では、デジタル庁はどうなったのだろうか? コロナ期において、役に立たないアプリを作ったりして話題になったことは覚えているのだが、脱印鑑で何かやったようなことは聞いたことがない。 いや、脱印鑑どころか、事務手続きは、昔より煩雑化したような気がする。 私の場合、次に述べることが、最近ほぼ同時に起きたので、とりわけ強くそれを感じさせられた。 第1は、原稿料を受け取るために、恐ろしく面倒な請求書の作成・送付を要求されたことだ。先方がメールに添付して送ってきた指定形式の請求書に、自筆で署名して押印し、それをPDFにしてメールで返送せよというのだ。 様式自由の請求書に自筆で署名して押印し、郵便で送るのならまだましなのだが、手続きをメールでやりとりしているので、PDFをプリントしたり、それに押印してまたPDFにしたりして、ややこしい。 メールやPDFというデジタルの手段と、自筆署名や押印というアナログな手続きが絡んでいるので、面倒なことになっている。つまり、アナログだけだった時代より、事務手続きがさらに複雑化し、事態が悪化しているのだ。 世の中は依然として何も変わっていない、と言うのではない。繰り返すが、悪化しているのだ』、「メールやPDFというデジタルの手段と、自筆署名や押印というアナログな手続きが絡んでいるので、面倒なことになっている。つまり、アナログだけだった時代より、事務手続きがさらに複雑化し、事態が悪化しているのだ。 世の中は依然として何も変わっていない、と言うのではない。繰り返すが、悪化しているのだ」、事態が「悪化」しているとは酷い。
・『マイナンバーカードで事務負担が増えた もう一つは、やはり原稿料を受け取るために、マイナンバーカードのコピーを送れという要請だ。 この要請自体は、昔からある。そもそも、私がマイナンバーカードを取得したのは、出版社からのこの要請に応じるためだ。 ここでは、つぎのことを要請される。まず、マイナンバーカードの裏表のコピーを取る。それに加え、マイナンバーカードの写真が本人であることを証明する写真付きの証明書(例えば、運転免許証)のコピーを添付せよと要請される。 私は、1980年代にはファックス機、プリンター、コピー機を使っていた。しかし、その後メールを使うようになって、これらはすべて処分してしまった。それからずいぶん時間が経ってからこの手続きを要求されるようになったので、再びプリンターを買わざるをえなくなった。 そもそも、マイナンバーカードは、本人証明をデジタル化するためのものである。ところが。実際には、逆になっている。つまり、マイナンバーカードは信用できないから、他の手段によって、その写真が正しいものであることを証明せよと言うのだ。 そこで、写真付き証明書、コピー機などのアナログ手段を総動員して、デジタル手段であるマイナンバーカードの信憑性を証明することになる。本末転倒もはなはだしい。 それに、マイナンバーカードが信頼できないのなら、そもそも、なぜマイナンバーカードのコピーを要求するのだろうか? これを聞いても、「規則でそうなっているから」という答しか返ってこない。 ここでも、事態は、アナログだけだった時代より、明らかに悪化している。私にとって、マイナンバーカードとは、「面倒なだけで、何の役にも立たないもの」の代名詞だ。 それでも、これまでは、何とか対応してきた。ところが、今回は、返信を書留郵便で送れという要請だった。そのために、わざわざ郵便局まで足を運ばなければならない。 何のためにこういう無駄なことをしなければならないのだろう。送るほうも大変だが、受け取って処理するほうも大変だろう。 こんな馬鹿げたことをやっていて、日本の生産性が上昇するはずがない。 そして、生産性が上がらなければ、日本の賃金が上がらないのも当然のことだ。政府は、賃上げ税制などということを考えるのではなく、無駄に満ちた日本の仕事の現状を合理化することに努めるべきだ。 デジタル庁は、こうした事態をどうして放置しているのだろう? こうしたことがはびこる社会は、デジタル庁の設置趣旨にもとるのではないだろうか?』、「筆者」がマイナンバーカードを取得したのは、出版社からのこの要請に応じるためだ。 ここでは、つぎのことを要請される。まず、マイナンバーカードの裏表のコピーを取る。それに加え、マイナンバーカードの写真が本人であることを証明する写真付きの証明書(例えば、運転免許証)のコピーを添付せよと要請される」、これは「出版社」の手続きが、「マイナンバーカード」を「マイナンバーカード」として、認めてないのと同じだ。私は、「マイナンバーカード」を納税手続きで使っているだけなので、民間企業の利用ではこうしたことがあり得るのかも知れない。本当に馬鹿げたことだ。
・『日本の警察はメール、ネットに手も足も出ない もう一つの例を挙げよう。 前回の本欄で、詐欺サイトについて警察に対処を求めたことを書いた。その際、詐欺広告サイトのURLを通知したいと思い、メールで伝えたいと言った。 ところが、メールの連絡は受け付けないと断られた。警察は、同一署内の各部局間の連絡だけにメールを使っていて、外部との連絡にはメールを使っていないのだそうだ。 そこでやむを得ず、数百字にもなる非常に長いURLを、紙に印刷して郵送することにした。 しかし、これを受け取っても、使うことはできないだろう。何百字もの文字や記号を正しく入力できるなどとは、とても考えられない。 警察はこの件に関して対処できないと言ったが、相手のサイトも開けないのでは、対処できないのは当然のことだ。「日本の警察は、メールやインターネットという手段が使われる世界では、手も足もでない」ということだ。 改めて考え直してみると、これは当たり前のことなのかもしれない。数年前、私は税務署に1枚の書類を送るために、メールで写真を添付しても良いかと尋ねて、断られたことがある。税務署はメールの連絡を受け付けないのだそうだ。 日本政府のこのような信じられない現状に対して、デジタル庁は黙っていてよいのだろうか?』、民間でも、確か銀行や証券会社は、「メール」は受け付けないというクローズドな対応をしていた筈だ。もっとも最近は改善されたのかも知れない。
・『日本のデジタル化とはデジタル庁を作ることなのか? 結局のところ、日本のデジタル化とは、デジタル庁という役所を作ることだけだったのではないかという気がしてくる。 会計検査院は、細かい会計手続きだけを問題にするのでなく、そもそもデジタル庁を作ることが必要だったのか、デジタル庁を作って何が変わったのかを調査すべきだ。 当たり前のことだが、デジタル庁を作ったことが重要なのではなく、作ったデジタル庁が何をしたかが重要なのだ。設立後もう2年以上経つのだから、どんな成果があったかを明らかにするのは当然のことだ。誰もこのことを問題にしないのは、何とも不思議なことだ』、マイナンバーカードの利用促進策は初めに創設した省庁がやれば済むことだ。
・『 日本は1980年代の技術で止まった ファックスを使えるようになって、なんと便利になったのだろうと感じたのは、1980年代のことである。なんと、今から40年以上も前のことだ。日本の事務処理の合理化は、その頃でストップしてしまって、その後、何も進んでない。それどころか、後退している。 これでは、急速に進歩する世界の動きについていけないのは、当然のことだ。世界の中で日本の地位が目に見えて低下していくのは当たり前のことと、絶望的な気持ちになる』、同感であるが、先述の情報セキュリティ上の問題が残ったままでは、一向に改善しない。情報セキュリティ問題と、オープンシステムの在り方として、掘り下げる必要がありそうだ。
第三に、本年1月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「あまりに異常なデジタル庁、「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣:国や地方自治体などの公的機関が、その行政業務を行うために必要なコンピューターシステムを共有するための仕組みである「政府(ガバメント)クラウド」。昨年11月、その提供事業者に初めて国内企業が選ばれたが、デジタル庁関係者は「日本企業の参入を妨害する」障壁があるという』、どういうことなのだろう。
・『米IT大手の独壇場に日本企業がついに参入 日本のデジタル産業に、ものすごく大きなニュースが飛び込んできた。「政府(ガバメント)クラウンド」のシステム提供事業者に、国内企業「さくらインターネット」が初めて選定されたのだ。2025年度末までに技術要件をすべて満たすという条件付きでの選定となる。 「ガバメントクラウド」とは、国や地方自治体のような公的機関が、その行政業務を行うために必要なコンピューターシステムを共有するための仕組みのことである。現在、それぞれの行政機関が自分たちだけの個別のコンピューターシステムを持っているが、ガバメントクラウドを利用することで、これらの機関はシステムの運用にかかる費用を減らすことができる。普通のクラウドサービスとは異なり、ガバメントクラウドは特にセキュリティーが高く設計されている点が特徴である。 これまで、このガバメントクラウドの提供事業者は、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を中心とする米IT大手の独壇場(というかほぼAWS1社の独壇場)で、〈多額の費用を米側に支払い、国際収支を1.6兆円も悪化させる要因になっていた〉(産経新聞・2023年12月5日)という』、経済安全保障の観点からは、「ガバメントクラウド」は米国の「AWS」ではなく、日本のIT企業とするべきだ。日系業者が準備が出来ていないようであれば、それを待つべきだ。
・『国家機密にあたる情報をアメリカ企業が握る危うさ 貿易の収支だけではない。安全保障上の観点からも、いくらアメリカが同盟国だとはいえ、国家機密にあたる情報をアメリカ企業に握られてしまうのは、非常に危険だとされている。 例えば、ヨーロッパ(EU)では、ガバメントクラウドを2種類に分けて、公開情報などの比較的セキュリティーを考えなくてもいい情報については、自由競争に任せて安い運営会社を選定している。結果として、AWS、マイクロソフト、グーグル、オラクルなどのアメリカ企業が、そのセキュリティーの低い分野でのガバメントクラウドを運用している。しかし、個人情報、国防、外交機密などセキュリティーを高くしないといけない情報については各国が自国企業を選んでいる実態がある。 日本は、アメリカと同じように、というとかなりの誤解を生むのだが、セキュリティーの高い分野も低い分野もアメリカ企業がガバメントクラウドを運営してきた。しかし、いくら「同じ」といっても、日本はアメリカではない。アメリカの企業は当然ながら日本よりもアメリカの法律や行政に従う実態がある』、「日本」も「EU諸国」並に「個人情報、国防、外交機密などセキュリティーを高くしないといけない情報については」「自国企業を選ぶ」ようにすべきだ。
・『アメリカの裁判所が令状を発行するとデータの提供を強制できる アメリカには、米国クラウド法(Clarifying Lawful Overseas Use of Data Act: CLOUD Act)という法律がある。米国クラウド法は、電子データに関する国際的な法的問題について取り決められている。具体的には、アメリカの裁判所によって令状が発行された場合、アメリカの警察や政府機関は直接的に海外の企業にデータの提供を要求できるようになった。これには、メール、ドキュメント、写真などのデジタルデータが含まれている。 この法律は、AWSなどの持っているデジタルデータを、例えば日本やEU諸国のプライバシー関連の法律を超えて、アメリカの都合で、いくらでも見られてしまうという懸念が根強い。日本政府は、デジタル庁(地方公共団体情報システムの ガバメントクラウドの利用に関する基準 【第1.0版】など)がその懸念払拭に努めているが、相当怪しい。やはり機密性の高いデータについては、日本独自の法律が通用する企業が独占的に選定されるように進めていくのが、安全保障上の脅威を取り除くことにつながる。 その意味で、この「さくらインターネット」のガバメントクラウドの選定は、大変歓迎すべきニュースということになる。他にも今回は選定されなかったものの、IIJやソフトバンクも手を挙げていたとされ、今後の参入を期待していよう』、「さくらインターネット」の他、「IIJやソフトバンクも手を挙げていた」のであれば、望ましいことだ。
・『DXの取材のはずがトラクターを補助金で手に入れた話に… しかし、こうした「国産クラウド」を手掛ける会社からは、日本におけるガバメントクランドについての「歪み」を指摘する声が相次いだのも確かだ。 もし、ガバメントクラウドの利用が日本中に増えることになると、過疎地域の地方自治体のDXが進むきっかけになる。最近、岩手県のとある町、過疎を絵に描いたような町へ取材をしに行ったが、町役場においてDXを担える人材など、はっきり言っていない印象だった。筆者はDXの状況を説明してほしいと聞いたが、話の途中で、農薬をまくトラクターを補助金で手に入れた話になっていた…。これは全国の自治体でも同様だろう。 鳥取県庁に至っては、チャットGPTの使用すら禁止してしまった。県知事いわく「ちゃんとじーみーちーに」として、効率化はしないと宣言した。トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙。鳥取県民に対し心の底から同情を禁じ得ない(現在は暫定利用を開始したらしい。さっさと積極利用すべきだ)が、どこの自治体もDXというと顔を背ける職員は多いだろう。この記事にあっても、2文目に「政府(ガバメント)クラウド」と出てきた時点で、読むのをやめている人もたくさんいるはずだ。私も似たような人種だ。カタカナは日本人の集中力を削いでいると思う』、「鳥取県庁に至っては、チャットGPTの使用すら禁止してしまった。県知事いわく「ちゃんとじーみーちーに」として、効率化はしないと宣言した。トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙」、「トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙」には心底驚かされた。
・『デジタル庁には多くの元アマゾン社員がいる 話がそれたが、このガバメントクラウドが活用されれば、中央官庁(総務省など)が最新のDXを駆使することで、地方行政のDXが勝手に最新のものへと更新されていくようになる可能性はある。今は、どこもバラバラですべて使い勝手の悪いものばかりだ。セキュリティーの高いクラウドという概念がないために、インターネットから遮断されたパソコンで個人情報などはバラバラに管理されている。 こうしたバラバラの情報を統合する動きが、法律で義務付けられたことを契機にはじまっているのだが、読売新聞(2023年12月4日)によれば、2025年度末までに完了できないとした自治体は全体の31%にも上っている。アンケートによれば、財政負担が重いのもそうだが、やはりデジタル人材の確保の難しさを挙げている自治体が多かった。 そしてまた、こうした個人情報を統合して預ける先が、米国企業というのは、自治体にとっても恐怖だろう。 この「歪み」、つまり国内企業がガバメントクラウドに参入できにくくしている理由がある。それは「デジタル庁がアマゾンに乗っ取られているからだ」とする関係者は多い。 「デジタル庁と初代デジタル庁大臣だった平井卓也氏とアマゾンの関係は深い。デジタル庁には多くの民間出身職員に元アマゾン社員がいて、幅を利かせている。今回のガバメントクラウドの技術要件はアマゾンの提供するAWSに準拠したものだが、約8割は日本の自治体に必要のないものだ。この無意味な技術要件が、日本企業の参入を妨害しているのは間違いない。当然、コストも上がる」(デジタル庁関係者) 実際に、日経新聞などの取材(2022年4月20日)でも〈「これじゃ米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のプレゼン資料そのものだ」。2021年10月、行政向けシステム基盤「ガバメントクラウド」の先行事業の公募で、デジタル庁が求める要件を見たIT(情報技術)企業関係者らは絶句した〉という声が上がっている。猪瀬直樹参議院議員も「ガバメントクラウド担当にアマゾン出身者がいたりする」(note・2023年7月18日)と、デジタル庁にアマゾンが強い影響力を持っているということをうかがわせるエピソードには事欠かない。 国産クラウドの登場を阻んでいるのは、アマゾン出身のデジタル庁職員によるアマゾンルールの適用の押し付けだ。こんな無駄な要件を突きつける、河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう』、「デジタル庁と初代デジタル庁大臣だった平井卓也氏とアマゾンの関係は深い。デジタル庁には多くの民間出身職員に元アマゾン社員がいて、幅を利かせている。今回のガバメントクラウドの技術要件はアマゾンの提供するAWSに準拠したものだが、約8割は日本の自治体に必要のないものだ。この無意味な技術要件が、日本企業の参入を妨害しているのは間違いない。当然、コストも上がる」(デジタル庁関係者) 実際に、日経新聞などの取材(2022年4月20日)でも〈「これじゃ米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のプレゼン資料そのものだ」。2021年10月、行政向けシステム基盤「ガバメントクラウド」の先行事業の公募で、デジタル庁が求める要件を見たIT(情報技術)企業関係者らは絶句した〉という声が上がっている。猪瀬直樹参議院議員も「ガバメントクラウド担当にアマゾン出身者がいたりする」(note・2023年7月18日)と、デジタル庁にアマゾンが強い影響力を持っているということをうかがわせるエピソードには事欠かない。 国産クラウドの登場を阻んでいるのは、アマゾン出身のデジタル庁職員によるアマゾンルールの適用の押し付けだ。こんな無駄な要件を突きつける、河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう」、「河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう」、飛んでもないことだ。「アマゾン」と「デジタル庁」の関係は、もっと深く掘り下げて追及すべきだ。
先ずは、昨年8月17日付けダイヤモンド・オンラインが記載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/327733
・『マイナンバー騒動が「人為的ミス」で片付けられる怪しさ マイナンバーカード問題が、岸田政権の存続の可能性まで揺さぶっています。 断っておきますが、私はマイナンバー制度一本化に基本的に賛成しています。これが全国民に普及すれば、時として差別につながりかねない戸籍制度などを撤廃できます。本人が住んでもいないところに知らない人の住民票が置かれたままになっているといったこともなくなるでしょう。何よりも、コロナ禍のときのような緊急事態に、国家的補償をする時間が短縮されるはずです。 しかし、残念ながら、現行のマイナンバーカード制度は一度白紙に戻すべきではないか、と考えます。 毎日のように、誤作動や間違った紐付けのケースが報道されます。カード擁護論者は、「そんなことは大きなシステムでは0.01%以下の誤差の範囲内」などと弁明しますが、果たしてそうなのでしょうか。 私はこうしたシステムの事故が人為的ミスとして片づけられることが、まず怪しいと思います。人為的ミスが起こらないように設計することこそ、巨大システムの根本的な設計思想のはずだからです。 たとえば、前の人物がナンバーを打ち込んでいて途中で止めたところ、それが次の登録者のナンバーになってしまったといったミスを人為的ミスとしていますが、次の人物が登録作業に入った瞬間に、前の数字を自動的に消去するシステムにしておくことなどは、巨大システムの常識でしょう。 そして、一番政府に真剣に考えてほしいのは、マイナポイントなどの特典をつけても、なぜ国民の多数が参加しないのか、ということです。この事態こそ、政治家、官僚は胸に手を当てて深刻に考える必要があります。 私に言わせれば、国民が政府を信用していないからです。もし事故が起こって、個人情報が流出し、それによって自分の預金が盗まれたり、病気などの個人情報が漏れたりしたとき、政府はどんな補償をしてくれるのでしょうか。いや、その情報漏れが政府によって起きたことを認めるのでしょうか。 なぜ、そんな疑問を持つかというと、政府や自治体で個人情報漏洩事件が起きても、官僚や政治家が処分を受けたり、逮捕されたりしたなどという話を聞いたことがないからです。) たとえばA元総理の自宅で、突然、押し入れの扉が壊れて中身が飛び出してきた。それが、全部札束だった……。B元幹事長には、業者からの陳情が多く、国会の議員会館に送られてくる贈り物が自室には入り切らず、別室を借りて、荷物部屋になっている……。 こんなケースを山のように私は聞いてきました。そして多くの日本人も、程度の差こそあれ、議員への口利きの話を耳に挟んでいるはずです。安倍晋三・菅義偉と、国会審議を重視せず、司法にまで介入するような政権が長く続き、国政選挙にさえ勝てば何をしてもいいという状態が続きました。 それを否定し、二階幹事長を厳しく批判してスタートしたはずの岸田政権も同じ道をたどっています。日本国民のほとんどは、特に若い人ほど報道の力を信じません。選挙でこの国が変えられるとも思っていません。私は大学で若い学生と接する度に、彼ら、彼女らのこの国への不信感を感じ続けてきました』、「私はこうしたシステムの事故が人為的ミスとして片づけられることが、まず怪しいと思います。人為的ミスが起こらないように設計することこそ、巨大システムの根本的な設計思想のはずだからです。 たとえば、前の人物がナンバーを打ち込んでいて途中で止めたところ、それが次の登録者のナンバーになってしまったといったミスを人為的ミスとしていますが、次の人物が登録作業に入った瞬間に、前の数字を自動的に消去するシステムにしておくことなどは、巨大システムの常識でしょう」、当然だがその通りだ。
・『真のデジタル化を進めるなら「デジタル監視庁」を創設せよ せめて、報道機関がしっかりして、マイナンバーカードの欠陥を糾すことはできないのでしょうか。私は、財務省の力を抑えるために金融庁を設けたように、デジタル化を進めるために「デジタル監視庁」のような組織を設け、国や政権から完全に独立した捜査機関として、個人情報漏洩を厳しく追及するべきだと思います。 マイナンバーで大失敗や隠蔽をやっている人間たちを律し、法で裁けるようにすれば、国民は安心して、マイナンバーに登録すると考えます。たとえば、アメリカでは大量の個人情報流出があって、連邦政府のキャサリン・アーチュレタ人事管理局長が辞任しています。中国のサイバー攻撃により政府職員などの大量の個人情報が盗まれた事件の責任を取り、辞任という形を取りましたが、実際には野党やマスコミの追及が激しく、辞任させるしか鎮静化の方法がなかったからでした。日本にも、こうした厳正さが必要です。 どうして自民党政府は、こんな簡単なことがわからないのでしょうか。それはそうでしょう。戦後の政権のほとんどは自民党政権でした。つまりは行政と立法が同じ人間に支配され、安倍政権では司法さえ支配しようとして、検察のトップ人事にまで介入しかけていました(黒川検事長事件)。 それがいけないことだという自覚さえない議員が多いことに、国民は気付いています。野党は、国民のこの気持ちに配慮した国会運営、選挙戦略を立てるべきなのです。揚げ足取りだけでは、選挙で絶対勝てません』、「アメリカでは大量の個人情報流出があって、連邦政府のキャサリン・アーチュレタ人事管理局長が辞任しています。中国のサイバー攻撃により政府職員などの大量の個人情報が盗まれた事件の責任を取り、辞任という形を取りましたが、実際には野党やマスコミの追及が激しく、辞任させるしか鎮静化の方法がなかったからでした。日本にも、こうした厳正さが必要」、その通りだ。
次に、昨年12月3日付け現代ビジネスが掲載した一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/120082?imp=0
・『デジタル庁が発足して2年以上たつが、脱印鑑は、進んでいない。それどころか、アナログとデジタルの手段が入り乱れて、事態は悪化している。デジタル庁の存在意義を見直すべきではないか?』、どういうことなのだろう。
・『その昔、「脱印鑑」と言われたことがあった 「脱印鑑」ということが言われたことがある。ずいぶん昔のことだったような気がするので、おそらく、ほとんどの人は忘れてしまっただろう。 そこで改めて説明すると、コロナ禍において在宅勤務が奨励されたが、書類に印鑑を押す必要がある。それだけのために出社しなければならないという事態が頻発して、印鑑を廃止しようという声が高まったのだ。 印鑑が無意味だとは、多くの人がそれまでも日々の仕事の中で嫌というほど感じさせられていたことだ。 印鑑といっても、誰でも手に入る三文判。それを押したところで本人証明にはならないと思うのだが、しかし、規則なので、それがないと書類を受け取ってもらえない。受け取るほうも、一体何のためにこんなことが必要なのかと疑問に思いながらやっていたことなので、脱印鑑は多くの人の賛同を集めた。 そこで、政府も脱印鑑を重要な政策目標として掲げることとした。そして、デジタル庁という役所を新設して、この動きを実現することにした』、「デジタル庁」が「脱印鑑」を「重要な政策目標」としたのは初めて知った。
・『アナログだけより複雑化し悪化している では、脱印鑑は達成されたか? 少なくとも私が見聞きするかぎり、達成されたなどということは、全くない。依然として三文判の押印がなければ、書類を受け付けてくれない。 では、デジタル庁はどうなったのだろうか? コロナ期において、役に立たないアプリを作ったりして話題になったことは覚えているのだが、脱印鑑で何かやったようなことは聞いたことがない。 いや、脱印鑑どころか、事務手続きは、昔より煩雑化したような気がする。 私の場合、次に述べることが、最近ほぼ同時に起きたので、とりわけ強くそれを感じさせられた。 第1は、原稿料を受け取るために、恐ろしく面倒な請求書の作成・送付を要求されたことだ。先方がメールに添付して送ってきた指定形式の請求書に、自筆で署名して押印し、それをPDFにしてメールで返送せよというのだ。 様式自由の請求書に自筆で署名して押印し、郵便で送るのならまだましなのだが、手続きをメールでやりとりしているので、PDFをプリントしたり、それに押印してまたPDFにしたりして、ややこしい。 メールやPDFというデジタルの手段と、自筆署名や押印というアナログな手続きが絡んでいるので、面倒なことになっている。つまり、アナログだけだった時代より、事務手続きがさらに複雑化し、事態が悪化しているのだ。 世の中は依然として何も変わっていない、と言うのではない。繰り返すが、悪化しているのだ』、「メールやPDFというデジタルの手段と、自筆署名や押印というアナログな手続きが絡んでいるので、面倒なことになっている。つまり、アナログだけだった時代より、事務手続きがさらに複雑化し、事態が悪化しているのだ。 世の中は依然として何も変わっていない、と言うのではない。繰り返すが、悪化しているのだ」、事態が「悪化」しているとは酷い。
・『マイナンバーカードで事務負担が増えた もう一つは、やはり原稿料を受け取るために、マイナンバーカードのコピーを送れという要請だ。 この要請自体は、昔からある。そもそも、私がマイナンバーカードを取得したのは、出版社からのこの要請に応じるためだ。 ここでは、つぎのことを要請される。まず、マイナンバーカードの裏表のコピーを取る。それに加え、マイナンバーカードの写真が本人であることを証明する写真付きの証明書(例えば、運転免許証)のコピーを添付せよと要請される。 私は、1980年代にはファックス機、プリンター、コピー機を使っていた。しかし、その後メールを使うようになって、これらはすべて処分してしまった。それからずいぶん時間が経ってからこの手続きを要求されるようになったので、再びプリンターを買わざるをえなくなった。 そもそも、マイナンバーカードは、本人証明をデジタル化するためのものである。ところが。実際には、逆になっている。つまり、マイナンバーカードは信用できないから、他の手段によって、その写真が正しいものであることを証明せよと言うのだ。 そこで、写真付き証明書、コピー機などのアナログ手段を総動員して、デジタル手段であるマイナンバーカードの信憑性を証明することになる。本末転倒もはなはだしい。 それに、マイナンバーカードが信頼できないのなら、そもそも、なぜマイナンバーカードのコピーを要求するのだろうか? これを聞いても、「規則でそうなっているから」という答しか返ってこない。 ここでも、事態は、アナログだけだった時代より、明らかに悪化している。私にとって、マイナンバーカードとは、「面倒なだけで、何の役にも立たないもの」の代名詞だ。 それでも、これまでは、何とか対応してきた。ところが、今回は、返信を書留郵便で送れという要請だった。そのために、わざわざ郵便局まで足を運ばなければならない。 何のためにこういう無駄なことをしなければならないのだろう。送るほうも大変だが、受け取って処理するほうも大変だろう。 こんな馬鹿げたことをやっていて、日本の生産性が上昇するはずがない。 そして、生産性が上がらなければ、日本の賃金が上がらないのも当然のことだ。政府は、賃上げ税制などということを考えるのではなく、無駄に満ちた日本の仕事の現状を合理化することに努めるべきだ。 デジタル庁は、こうした事態をどうして放置しているのだろう? こうしたことがはびこる社会は、デジタル庁の設置趣旨にもとるのではないだろうか?』、「筆者」がマイナンバーカードを取得したのは、出版社からのこの要請に応じるためだ。 ここでは、つぎのことを要請される。まず、マイナンバーカードの裏表のコピーを取る。それに加え、マイナンバーカードの写真が本人であることを証明する写真付きの証明書(例えば、運転免許証)のコピーを添付せよと要請される」、これは「出版社」の手続きが、「マイナンバーカード」を「マイナンバーカード」として、認めてないのと同じだ。私は、「マイナンバーカード」を納税手続きで使っているだけなので、民間企業の利用ではこうしたことがあり得るのかも知れない。本当に馬鹿げたことだ。
・『日本の警察はメール、ネットに手も足も出ない もう一つの例を挙げよう。 前回の本欄で、詐欺サイトについて警察に対処を求めたことを書いた。その際、詐欺広告サイトのURLを通知したいと思い、メールで伝えたいと言った。 ところが、メールの連絡は受け付けないと断られた。警察は、同一署内の各部局間の連絡だけにメールを使っていて、外部との連絡にはメールを使っていないのだそうだ。 そこでやむを得ず、数百字にもなる非常に長いURLを、紙に印刷して郵送することにした。 しかし、これを受け取っても、使うことはできないだろう。何百字もの文字や記号を正しく入力できるなどとは、とても考えられない。 警察はこの件に関して対処できないと言ったが、相手のサイトも開けないのでは、対処できないのは当然のことだ。「日本の警察は、メールやインターネットという手段が使われる世界では、手も足もでない」ということだ。 改めて考え直してみると、これは当たり前のことなのかもしれない。数年前、私は税務署に1枚の書類を送るために、メールで写真を添付しても良いかと尋ねて、断られたことがある。税務署はメールの連絡を受け付けないのだそうだ。 日本政府のこのような信じられない現状に対して、デジタル庁は黙っていてよいのだろうか?』、民間でも、確か銀行や証券会社は、「メール」は受け付けないというクローズドな対応をしていた筈だ。もっとも最近は改善されたのかも知れない。
・『日本のデジタル化とはデジタル庁を作ることなのか? 結局のところ、日本のデジタル化とは、デジタル庁という役所を作ることだけだったのではないかという気がしてくる。 会計検査院は、細かい会計手続きだけを問題にするのでなく、そもそもデジタル庁を作ることが必要だったのか、デジタル庁を作って何が変わったのかを調査すべきだ。 当たり前のことだが、デジタル庁を作ったことが重要なのではなく、作ったデジタル庁が何をしたかが重要なのだ。設立後もう2年以上経つのだから、どんな成果があったかを明らかにするのは当然のことだ。誰もこのことを問題にしないのは、何とも不思議なことだ』、マイナンバーカードの利用促進策は初めに創設した省庁がやれば済むことだ。
・『 日本は1980年代の技術で止まった ファックスを使えるようになって、なんと便利になったのだろうと感じたのは、1980年代のことである。なんと、今から40年以上も前のことだ。日本の事務処理の合理化は、その頃でストップしてしまって、その後、何も進んでない。それどころか、後退している。 これでは、急速に進歩する世界の動きについていけないのは、当然のことだ。世界の中で日本の地位が目に見えて低下していくのは当たり前のことと、絶望的な気持ちになる』、同感であるが、先述の情報セキュリティ上の問題が残ったままでは、一向に改善しない。情報セキュリティ問題と、オープンシステムの在り方として、掘り下げる必要がありそうだ。
第三に、本年1月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「あまりに異常なデジタル庁、「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣:国や地方自治体などの公的機関が、その行政業務を行うために必要なコンピューターシステムを共有するための仕組みである「政府(ガバメント)クラウド」。昨年11月、その提供事業者に初めて国内企業が選ばれたが、デジタル庁関係者は「日本企業の参入を妨害する」障壁があるという』、どういうことなのだろう。
・『米IT大手の独壇場に日本企業がついに参入 日本のデジタル産業に、ものすごく大きなニュースが飛び込んできた。「政府(ガバメント)クラウンド」のシステム提供事業者に、国内企業「さくらインターネット」が初めて選定されたのだ。2025年度末までに技術要件をすべて満たすという条件付きでの選定となる。 「ガバメントクラウド」とは、国や地方自治体のような公的機関が、その行政業務を行うために必要なコンピューターシステムを共有するための仕組みのことである。現在、それぞれの行政機関が自分たちだけの個別のコンピューターシステムを持っているが、ガバメントクラウドを利用することで、これらの機関はシステムの運用にかかる費用を減らすことができる。普通のクラウドサービスとは異なり、ガバメントクラウドは特にセキュリティーが高く設計されている点が特徴である。 これまで、このガバメントクラウドの提供事業者は、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を中心とする米IT大手の独壇場(というかほぼAWS1社の独壇場)で、〈多額の費用を米側に支払い、国際収支を1.6兆円も悪化させる要因になっていた〉(産経新聞・2023年12月5日)という』、経済安全保障の観点からは、「ガバメントクラウド」は米国の「AWS」ではなく、日本のIT企業とするべきだ。日系業者が準備が出来ていないようであれば、それを待つべきだ。
・『国家機密にあたる情報をアメリカ企業が握る危うさ 貿易の収支だけではない。安全保障上の観点からも、いくらアメリカが同盟国だとはいえ、国家機密にあたる情報をアメリカ企業に握られてしまうのは、非常に危険だとされている。 例えば、ヨーロッパ(EU)では、ガバメントクラウドを2種類に分けて、公開情報などの比較的セキュリティーを考えなくてもいい情報については、自由競争に任せて安い運営会社を選定している。結果として、AWS、マイクロソフト、グーグル、オラクルなどのアメリカ企業が、そのセキュリティーの低い分野でのガバメントクラウドを運用している。しかし、個人情報、国防、外交機密などセキュリティーを高くしないといけない情報については各国が自国企業を選んでいる実態がある。 日本は、アメリカと同じように、というとかなりの誤解を生むのだが、セキュリティーの高い分野も低い分野もアメリカ企業がガバメントクラウドを運営してきた。しかし、いくら「同じ」といっても、日本はアメリカではない。アメリカの企業は当然ながら日本よりもアメリカの法律や行政に従う実態がある』、「日本」も「EU諸国」並に「個人情報、国防、外交機密などセキュリティーを高くしないといけない情報については」「自国企業を選ぶ」ようにすべきだ。
・『アメリカの裁判所が令状を発行するとデータの提供を強制できる アメリカには、米国クラウド法(Clarifying Lawful Overseas Use of Data Act: CLOUD Act)という法律がある。米国クラウド法は、電子データに関する国際的な法的問題について取り決められている。具体的には、アメリカの裁判所によって令状が発行された場合、アメリカの警察や政府機関は直接的に海外の企業にデータの提供を要求できるようになった。これには、メール、ドキュメント、写真などのデジタルデータが含まれている。 この法律は、AWSなどの持っているデジタルデータを、例えば日本やEU諸国のプライバシー関連の法律を超えて、アメリカの都合で、いくらでも見られてしまうという懸念が根強い。日本政府は、デジタル庁(地方公共団体情報システムの ガバメントクラウドの利用に関する基準 【第1.0版】など)がその懸念払拭に努めているが、相当怪しい。やはり機密性の高いデータについては、日本独自の法律が通用する企業が独占的に選定されるように進めていくのが、安全保障上の脅威を取り除くことにつながる。 その意味で、この「さくらインターネット」のガバメントクラウドの選定は、大変歓迎すべきニュースということになる。他にも今回は選定されなかったものの、IIJやソフトバンクも手を挙げていたとされ、今後の参入を期待していよう』、「さくらインターネット」の他、「IIJやソフトバンクも手を挙げていた」のであれば、望ましいことだ。
・『DXの取材のはずがトラクターを補助金で手に入れた話に… しかし、こうした「国産クラウド」を手掛ける会社からは、日本におけるガバメントクランドについての「歪み」を指摘する声が相次いだのも確かだ。 もし、ガバメントクラウドの利用が日本中に増えることになると、過疎地域の地方自治体のDXが進むきっかけになる。最近、岩手県のとある町、過疎を絵に描いたような町へ取材をしに行ったが、町役場においてDXを担える人材など、はっきり言っていない印象だった。筆者はDXの状況を説明してほしいと聞いたが、話の途中で、農薬をまくトラクターを補助金で手に入れた話になっていた…。これは全国の自治体でも同様だろう。 鳥取県庁に至っては、チャットGPTの使用すら禁止してしまった。県知事いわく「ちゃんとじーみーちーに」として、効率化はしないと宣言した。トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙。鳥取県民に対し心の底から同情を禁じ得ない(現在は暫定利用を開始したらしい。さっさと積極利用すべきだ)が、どこの自治体もDXというと顔を背ける職員は多いだろう。この記事にあっても、2文目に「政府(ガバメント)クラウド」と出てきた時点で、読むのをやめている人もたくさんいるはずだ。私も似たような人種だ。カタカナは日本人の集中力を削いでいると思う』、「鳥取県庁に至っては、チャットGPTの使用すら禁止してしまった。県知事いわく「ちゃんとじーみーちーに」として、効率化はしないと宣言した。トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙」、「トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙」には心底驚かされた。
・『デジタル庁には多くの元アマゾン社員がいる 話がそれたが、このガバメントクラウドが活用されれば、中央官庁(総務省など)が最新のDXを駆使することで、地方行政のDXが勝手に最新のものへと更新されていくようになる可能性はある。今は、どこもバラバラですべて使い勝手の悪いものばかりだ。セキュリティーの高いクラウドという概念がないために、インターネットから遮断されたパソコンで個人情報などはバラバラに管理されている。 こうしたバラバラの情報を統合する動きが、法律で義務付けられたことを契機にはじまっているのだが、読売新聞(2023年12月4日)によれば、2025年度末までに完了できないとした自治体は全体の31%にも上っている。アンケートによれば、財政負担が重いのもそうだが、やはりデジタル人材の確保の難しさを挙げている自治体が多かった。 そしてまた、こうした個人情報を統合して預ける先が、米国企業というのは、自治体にとっても恐怖だろう。 この「歪み」、つまり国内企業がガバメントクラウドに参入できにくくしている理由がある。それは「デジタル庁がアマゾンに乗っ取られているからだ」とする関係者は多い。 「デジタル庁と初代デジタル庁大臣だった平井卓也氏とアマゾンの関係は深い。デジタル庁には多くの民間出身職員に元アマゾン社員がいて、幅を利かせている。今回のガバメントクラウドの技術要件はアマゾンの提供するAWSに準拠したものだが、約8割は日本の自治体に必要のないものだ。この無意味な技術要件が、日本企業の参入を妨害しているのは間違いない。当然、コストも上がる」(デジタル庁関係者) 実際に、日経新聞などの取材(2022年4月20日)でも〈「これじゃ米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のプレゼン資料そのものだ」。2021年10月、行政向けシステム基盤「ガバメントクラウド」の先行事業の公募で、デジタル庁が求める要件を見たIT(情報技術)企業関係者らは絶句した〉という声が上がっている。猪瀬直樹参議院議員も「ガバメントクラウド担当にアマゾン出身者がいたりする」(note・2023年7月18日)と、デジタル庁にアマゾンが強い影響力を持っているということをうかがわせるエピソードには事欠かない。 国産クラウドの登場を阻んでいるのは、アマゾン出身のデジタル庁職員によるアマゾンルールの適用の押し付けだ。こんな無駄な要件を突きつける、河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう』、「デジタル庁と初代デジタル庁大臣だった平井卓也氏とアマゾンの関係は深い。デジタル庁には多くの民間出身職員に元アマゾン社員がいて、幅を利かせている。今回のガバメントクラウドの技術要件はアマゾンの提供するAWSに準拠したものだが、約8割は日本の自治体に必要のないものだ。この無意味な技術要件が、日本企業の参入を妨害しているのは間違いない。当然、コストも上がる」(デジタル庁関係者) 実際に、日経新聞などの取材(2022年4月20日)でも〈「これじゃ米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のプレゼン資料そのものだ」。2021年10月、行政向けシステム基盤「ガバメントクラウド」の先行事業の公募で、デジタル庁が求める要件を見たIT(情報技術)企業関係者らは絶句した〉という声が上がっている。猪瀬直樹参議院議員も「ガバメントクラウド担当にアマゾン出身者がいたりする」(note・2023年7月18日)と、デジタル庁にアマゾンが強い影響力を持っているということをうかがわせるエピソードには事欠かない。 国産クラウドの登場を阻んでいるのは、アマゾン出身のデジタル庁職員によるアマゾンルールの適用の押し付けだ。こんな無駄な要件を突きつける、河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう」、「河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう」、飛んでもないことだ。「アマゾン」と「デジタル庁」の関係は、もっと深く掘り下げて追及すべきだ。
タグ:電子政府 ダイヤモンド・オンライン (その7)(デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ、そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり、あまりに異常なデジタル庁 「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣) 木俣正剛氏による「デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ」 「私はこうしたシステムの事故が人為的ミスとして片づけられることが、まず怪しいと思います。人為的ミスが起こらないように設計することこそ、巨大システムの根本的な設計思想のはずだからです。 たとえば、前の人物がナンバーを打ち込んでいて途中で止めたところ、それが次の登録者のナンバーになってしまったといったミスを人為的ミスとしていますが、次の人物が登録作業に入った瞬間に、前の数字を自動的に消去するシステムにしておくことなどは、巨大システムの常識でしょう」、当然だがその通りだ。 「アメリカでは大量の個人情報流出があって、連邦政府のキャサリン・アーチュレタ人事管理局長が辞任しています。中国のサイバー攻撃により政府職員などの大量の個人情報が盗まれた事件の責任を取り、辞任という形を取りましたが、実際には野党やマスコミの追及が激しく、辞任させるしか鎮静化の方法がなかったからでした。日本にも、こうした厳正さが必要」、その通りだ。 現代ビジネス 野口 悠紀雄氏による「そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり」 「デジタル庁」が「脱印鑑」を「重要な政策目標」としたのは初めて知った。 「メールやPDFというデジタルの手段と、自筆署名や押印というアナログな手続きが絡んでいるので、面倒なことになっている。つまり、アナログだけだった時代より、事務手続きがさらに複雑化し、事態が悪化しているのだ。 世の中は依然として何も変わっていない、と言うのではない。繰り返すが、悪化しているのだ」、事態が「悪化」しているとは酷い。 「筆者」がマイナンバーカードを取得したのは、出版社からのこの要請に応じるためだ。 ここでは、つぎのことを要請される。まず、マイナンバーカードの裏表のコピーを取る。それに加え、マイナンバーカードの写真が本人であることを証明する写真付きの証明書(例えば、運転免許証)のコピーを添付せよと要請される」、これは「出版社」の手続きが、「マイナンバーカード」を「マイナンバーカード」として、認めてないのと同じだ。私は、「マイナンバーカード」を納税手続きで使っているだけなので、民間企業の利用ではこうしたことがあり得るのかも 知れない。本当に馬鹿げたことだ。 民間でも、確か銀行や証券会社は、「メール」は受け付けないというクローズドな対応をしていた筈だ。もっとも最近は改善されたのかも知れない。 マイナンバーカードの利用促進策は初めに創設した省庁がやれば済むことだ。 同感であるが、先述の情報セキュリティ上の問題が残ったままでは、一向に改善しない。情報セキュリティ問題と、オープンシステムの在り方として、掘り下げる必要がありそうだ。 小倉健一氏による「あまりに異常なデジタル庁、「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣:国や地方自治体などの公的機関が、その行政業務を行うために必要なコンピューターシステムを共有するための仕組みである「政府(ガバメント)クラウド」。 経済安全保障の観点からは、「ガバメントクラウド」は米国の「AWS」ではなく、日本のIT企業とするべきだ。日系業者が準備が出来ていないようであれば、それを待つべきだ。 「日本」も「EU諸国」並に「個人情報、国防、外交機密などセキュリティーを高くしないといけない情報については」「自国企業を選ぶ」ようにすべきだ。 「さくらインターネット」の他、「IIJやソフトバンクも手を挙げていた」のであれば、望ましいことだ。 「鳥取県庁に至っては、チャットGPTの使用すら禁止してしまった。県知事いわく「ちゃんとじーみーちーに」として、効率化はしないと宣言した。トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙」、「トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙」には心底驚かされた。 「デジタル庁と初代デジタル庁大臣だった平井卓也氏とアマゾンの関係は深い。デジタル庁には多くの民間出身職員に元アマゾン社員がいて、幅を利かせている。今回のガバメントクラウドの技術要件はアマゾンの提供するAWSに準拠したものだが、約8割は日本の自治体に必要のないものだ。この無意味な技術要件が、日本企業の参入を妨害しているのは間違いない。 当然、コストも上がる」(デジタル庁関係者) 実際に、日経新聞などの取材(2022年4月20日)でも〈「これじゃ米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のプレゼン資料そのものだ」。2021年10月、行政向けシステム基盤「ガバメントクラウド」の先行事業の公募で、デジタル庁が求める要件を見たIT(情報技術)企業関係者らは絶句した〉という声が上がっている。 猪瀬直樹参議院議員も「ガバメントクラウド担当にアマゾン出身者がいたりする」(note・2023年7月18日)と、デジタル庁にアマゾンが強い影響力を持っているということをうかがわせるエピソードには事欠かない。 国産クラウドの登場を阻んでいるのは、アマゾン出身のデジタル庁職員によるアマゾンルールの適用の押し付けだ。こんな無駄な要件を突きつける、河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう」、 「河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう」、飛んでもないことだ。「アマゾン」と「デジタル庁」の関係は、もっと深く掘り下げて追及すべきだ。