イーロン・マスク(その2)(Twitter→Xの変更も失敗を想定?マスクが「9割失敗」と思いながらテスラを起業したワケ、Xを破滅に追いやるイーロン・マスクの「破壊衝動」、イーロン・マスクはなぜトランプを支持するのか? 問題児2人の不思議な「蜜月関係」) [イノベーション]
イーロン・マスクについては、昨年8月30日に取上げた。今日は、(その2)(Twitter→Xの変更も失敗を想定?マスクが「9割失敗」と思いながらテスラを起業したワケ、Xを破滅に追いやるイーロン・マスクの「破壊衝動」、イーロン・マスクはなぜトランプを支持するのか? 問題児2人の不思議な「蜜月関係」)である。
先ずは、昨年9月1日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家・ポッドキャスターのジュリア・ガレフ氏と英日翻訳者の児島 修氏による「Twitter→Xの変更も失敗を想定?マスクが「9割失敗」と思いながらテスラを起業したワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/327732
・『Twitterを「X」に名称変更したイーロン・マスク。彼が成功に導いた電機自動車メーカーのテスラは、20年で時価総額世界第9位にまで成長した。しかし、彼は意外にも「自分の会社は失敗するのではないか」と考えていたという。成功の確率をわずか1割だと見積もったにもかかわらず、起業に踏み切った背景には、イーロン・マスク流の「価値ある賭け」への見極め方があった――。 ※本稿は、全世界17言語で翻訳されたジュリア・ガレフ著『マッピング思考 人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」』(東洋経済新報社)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『“突拍子もない夢”を追い求めるイーロン・マスク イーロン・マスクは、宇宙飛行会社を設立すると決意したとき、友人たちから頭がおかしくなったと思われた。 マスクは、自身が手がけた2番目の事業である「ペイパル」の売却によって手に入れたばかりの1億8000万ドルの多くを、後の「スペースX」となる会社に投じようとしていた。 「きっと失敗する。せっかくペイパルを売って稼いだ金が、ごっそり消えてしまうぞ」と周囲は忠告した。 ある友人は、ロケットが爆発する映像をつなぎあわせた動画を編集し、マスクに「頼むからこれを見てくれ。バカな真似はよせ」と伝えた。 ちまたによくある“突拍子もない夢”を追い求めた成功者の物語では、ここで「だが、彼は思いとどまったりはしなかった。心のなかで、自分を疑う人たちが間違っているのを知っているからだ――」という展開になるはずだ。 しかし、マスクの場合はそうはならなかった。友人たちから「きっと失敗する」と言われたときも、こう答えている。 「ああ、僕もそう思う。おそらく失敗するだろうね」 実際、マスクはスペースXの宇宙船が宇宙飛行を成功させる確率を、1割程度と見積もっていた。 2年後、マスクはペイパルを売却して得た残りの資金を、電動自動車の「テスラ」に投じると決めた。マスクはこのときも、成功の確率は1割程度と見積もっていた。 本人が自身のプロジェクトが成功する確率を低く見積もっていることに、周囲は首をかしげた。 2014年にテレビ番組の『60ミニッツ』に出演した際にも、そのロジックを理解しようとするインタビュアーのスコット・ペリーから、次のように尋ねられている。 マスク「テスラが成功するとは思っていませんでした。おそらく失敗するだろう、と」 ペリー「成功しないと見込んでいたのに、なぜ挑戦したんです?」 マスク「挑戦するだけの価値があるのなら、やってみるべきだと判断したからですよ」 マスクの成功に対する期待値の低さは、周りを困惑させた。 なぜなら、人は「誰かが何かに挑むのは、成功する可能性が高いから」と考えるからだ。 しかし、マスクのような人は、必ずしも「これは成功する」と思っているから行動するのではない。彼らは「賭ける価値がある」という考えによってモチベーションを高めるのだ。) 誰でもある程度は、目の前の行動を取るかどうかを「賭ける価値があるかどうか」という基準で判断しているものだ。 簡単な例として、一般的な6面体のサイコロを振る賭けをする場合のことを考えてみよう。この賭けでは、6が出れば200ドルの賞金がもらえるが、それ以外の目が出た場合は10ドルを失うことになっている。 賭ける価値があるだろうか。 (サイコロを振る賭けに価値はある? はリンク先参照) そう、これは賭ける価値があるといえる。 この賭けにどれくらいの価値があるのかは、「期待値」を計算することで具体的に知ることができる。 期待値とは、その賭けを際限なく行った場合に平均的に得られる値のことだ。賭けの期待値は、各結果の確率と価値を掛け、その結果を合計することで導ける。この賭けでは、次のようになる。 {(勝つ確率=1/6)×200ドル}+{(負ける確率=5/6)× -10ドル}=33.33ドル - 8.33ドル=25ドル つまり、この賭けを際限なくり返した場合、平均の獲得額は約25ドル。サイコロを振っただけで得られるのなら、悪くはない額だ。 負ける確率は6分の5と高いものの、十分に「賭ける価値がある」賭けだといえるだろう』、「マスクのような人は、必ずしも「これは成功する」と思っているから行動するのではない。彼らは「賭ける価値がある」という考えによってモチベーションを高めるのだ。) 誰でもある程度は、目の前の行動を取るかどうかを「賭ける価値があるかどうか」という基準で判断しているものだ・・・この賭けにどれくらいの価値があるのかは、「期待値」を計算することで具体的に知ることができる」、なるほど。
・『「たとえ『テスラ』が失敗しても…」 とはいえ、起業のような対象を賭けにして正確な確率を導こうとするのは、より複雑で主観的な試みになる。 その価値には、お金以外のさまざまな要素も含まれている。 たとえば、「会社を経営することで、どれだけの楽しみが得られるか?」「たとえ失敗したとしても、その後で役に立つ人脈やスキルを手に入れられるか?」「自分の時間がどれだけ奪われるか?」「社会的な信用度(または汚名)はどれくらい得られるか?」といったことだ。 とはいえ、たいていの場合、大まかな見積もりをすることならできる。 これまで見てきたように、イーロン・マスクはテスラが成功する確率を1割、失敗する確率を9割と見積もっていた。) それでも、成功して得られる価値はとてつもなく大きいと思えた。電気自動車という(当時は)夢物語のような概念を実現することは、現代社会が化石燃料依存から脱却するための大きな一歩になる。 (マスクのテスラとスペースXへの賭け はリンク先参照) マスクは、たとえ失敗したとしてもテスラは価値あることを少なくとも1つ成し遂げられる、と考えた。 「“電気自動車はゴルフカートのように格好悪くて、遅くて、退屈なものだ”という人々の誤った認識を変えられると思ったのです」と語っている。 マスクがスペースXを立ち上げた理由もこれに似ている。 マスクはテスラのときと同じようにスペースXが成功する確率を1割、失敗する確率を9割と見込んでいた。だが、成功したときに得られる価値は計りしれない。 安く宇宙飛行ができる手段を開発すれば将来的に人類が移り住めるようになるかもしれないし、地球上で起こり得る壊滅的なリスクから人類を守れるかもしれない。 また、仮にスペースXが失敗したとしても、宇宙飛行技術を少しでも進歩させられるのなら、それはまったくの無駄にはならないはずだ。 わずかであれボールを前に動かせるのなら、たとえ僕たちの会社が倒産したとしてもどこかの会社がバトンタッチしてそのボールをさらに前に運んでくれるかもしれない。だとすればなおさら挑戦する価値はある』、「「“電気自動車はゴルフカートのように格好悪くて、遅くて、退屈なものだ”という人々の誤った認識を変えられると思ったのです」と語っている・・・マスクはテスラのときと同じようにスペースXが成功する確率を1割、失敗する確率を9割と見込んでいた。だが、成功したときに得られる価値は計りしれない。 安く宇宙飛行ができる手段を開発すれば将来的に人類が移り住めるようになるかもしれないし、地球上で起こり得る壊滅的なリスクから人類を守れるかもしれない。 また、仮にスペースXが失敗したとしても、宇宙飛行技術を少しでも進歩させられるのなら、それはまったくの無駄にはならないはずだ。 わずかであれボールを前に動かせるのなら、たとえ僕たちの会社が倒産したとしてもどこかの会社がバトンタッチしてそのボールをさらに前に運んでくれるかもしれない。だとすればなおさら挑戦する価値はある」、その通りだ。
・『「就職、起業、投資、人間関係 あらゆることに応用可能」 全体としてみれば、テスラもスペースXも、失敗する可能性は高かったものの、マスクにとってはいい賭けだったようだ。 期待値は、その賭けを何度もくり返すことを想像することによってもとらえやすくなる。そのとき、成功によって得られる価値は、失敗によって失う価値を上回るだろうか? イーロン・マスクのようなスケールの大きな起業家なら、一生のうちにテスラやスペースXのような会社を10社はつくる時間と財力があるだろう。 もしその10社のうち9社が失敗するのだとすれば、最大の問題「1回の大きな成功と引き換えに、9回失敗する価値はあるか?」ということになる。) 現実的には、まったく同じ賭けを何度もくり返すことはめったにない。それでも、人生にさまざまな賭けをする機会があるのはたしかだ。 就職や企業、投資はもちろん、他人を信頼する、難しい頼みごとをする、安全地帯から抜け出してなにかに挑戦する、といったことまで含めれば、賭けの機会は無数にある。 そのなかで、期待値を正しく見極めて賭けをすればするほど、ここの賭けに失敗したとしても、全体としては利益が得られるという確信が持てるようになる』、「就職や企業、投資はもちろん、他人を信頼する、難しい頼みごとをする、安全地帯から抜け出してなにかに挑戦する、といったことまで含めれば、賭けの機会は無数にある。 そのなかで、期待値を正しく見極めて賭けをすればするほど、ここの賭けに失敗したとしても、全体としては利益が得られるという確信が持てるようになる」、なるほど。
・『覚悟のうえで、運命に任す 「自信があれば成功できる」という発想でモチベーションを高めようとする人たちは、失敗の可能性を認めれば、やる気が削がれ、リスクを取ろうとしなくなると見なす。 そして「絶対に失敗しない」と固く信じることが、最大限の努力をして成功を目指す秘訣だと考える。 だが現実には、それとは逆であることが多い。 つまり、事前に失敗の可能性を受け入れるからこそ、さまざまな縛りから解放されて、目標に向かって邁進できるようになるのだ。 「失敗する可能性だってある」とわかっているからこそ、臆病ではなく大胆になれる。必要なリスクを取る理由が得られる。 マスクは「他人がクレイジーだと思うような会社を恐れずに起業した」と称賛されると、「実は、強い恐怖を感じている」と答えている。 恐怖を感じていないのではなく、失敗の確率とうまく折り合いをつけることで、その恐怖を手なずける術を学んだだけだ、と。 「それが運命だと思えば、気が楽になります。」失敗の確率を納得して受け入れれば、恐怖心は薄れます。スペースXを立ち上げたときも、成功率は1割以下だと思っていました。当然、すべてを失うかもしれないと覚悟のうえで』、「マスクは「他人がクレイジーだと思うような会社を恐れずに起業した」と称賛されると、「実は、強い恐怖を感じている」と答えている。 恐怖を感じていないのではなく、失敗の確率とうまく折り合いをつけることで、その恐怖を手なずける術を学んだだけだ、と。 「それが運命だと思えば、気が楽になります。」失敗の確率を納得して受け入れれば、恐怖心は薄れます。スペースXを立ち上げたときも、成功率は1割以下だと思っていました。当然、すべてを失うかもしれないと覚悟のうえで」、なるほど。
次に、昨年12月8日付けForbes「Xを破滅に追いやるイーロン・マスクの「破壊衝動」」を紹介しよう。
https://forbesjapan.com/articles/detail/67803
・『:あまり大げさなことを言いたくはないが、イーロン・マスクが先日、Xから広告を引き揚げた企業を「くたばれ」と罵倒したことは、かつてツイッターと呼ばれたプラットフォームの棺桶に最後の釘を打ったようなものだと、筆者は思っている。 筆者がしばしば「お気に入りのソーシャルメディア・アプリ」と呼んできたものから、先週より大手の広告主が次々と逃げ出している。事の発端は、イーロン・マスクが反ユダヤ主義的なツイートに賛同したことだった。そのツイートを正当化し、その過程で明らかにツイッターを葬り去ろうとしたマスクの破壊衝動については、他のライターや本の著者がすでに書いているので、ここでは詳しく分析しようとは思わない。 とはいえ、私はこれが悪い方向に向かっているという事実を嘆いている。反ユダヤ主義的なツイートと広告主からの予想通りの反撃の後に、マスクは暴言を吐いた。一部の報道によれば、この暴言は取り返しのつかないダメージをXの事業に与えたという。 私たち全員がマスクに問うべきは、「なぜ自分の会社を潰そうとするのか?」という質問だが、私はその答えを知っているつもりだ。 多くのオピニオン記事や、マスクに関する最近の書籍(ウォルター・アイザックソンによるやや肯定的な伝記や、あからさまな暴露本でかなり面白い『Breaking Twitter』など)を読んだ筆者は、このソーシャルメディアで初期の頃から自身が経験したことを振り返った結果、マスクは自分を制御できないのだという結論に達した。彼はトラブルに首を突っ込むのが好きなのだ。首を突っ込んだために、彼はツイッターの買収で440億ドル(約6.5兆円)を失った。 『Breaking Twitter』の著者が書いたように、Xの収益の90%は広告主からのものだという主張が正しければ、すべてが塵と消えるのは時間の問題だ。Twitter Blueや他のサブスクリプションは、確かに何の助けにもならないだろう。マスクはつい最近、会社の倒産をほのめかした。アイザックソンが著書で詳しく説明しているように、マスクは破壊的な衝動を精神の中に抱えている。 また、『Breaking Twitter』を読めば、著者が(著作に書いている人物と同様に)どこまで本気なのかは定かではないものの、マスクが全人類を大規模なシミュレーションの一部に過ぎないと考えているフシがあることがわかる。マスクは、現実世界を『グランド・セフト・オート』のようなゲームだと考えているのかもしれない。ルールに従って、決められたコースを進むことができる一方で、完全にレールから外れて走り回り、物を破壊しまくることもできるのだ』、「イーロン・マスクが先日、Xから広告を引き揚げた企業を「くたばれ」と罵倒したことは、かつてツイッターと呼ばれたプラットフォームの棺桶に最後の釘を打ったようなものだと、筆者は思っている・・・マスクは自分を制御できないのだという結論に達した。彼はトラブルに首を突っ込むのが好きなのだ。首を突っ込んだために、彼はツイッターの買収で440億ドル(約6.5兆円)を失った・・・マスクはつい最近、会社の倒産をほのめかした。アイザックソンが著書で詳しく説明しているように、マスクは破壊的な衝動を精神の中に抱えている」、天才的な能力を持った半面で、「破壊的な衝動を精神の中に抱えている」とは困ったことだ。
・『すべてはゲームの中の出来事 マスクは、そのうちの後者をやっているようだ。すべてがシミュレーションに過ぎないのであれば、たとえ会社を破壊し、その過程で何十億ドルもの損失を被ったとしても、いずれにせよ何の問題もない。 「有名なブランドで本当に間違った決断を繰り返し、そのブランドが完全に崩壊してしまったらどうなるだろう? クールだろ?」マスクはそう語りかけているように見える。NPC(プレイヤーが操作しないキャラクター)はソーシャルメディアのフォロワーのようなもので、消耗品だ。マスクは彼らのことをそれほど気にかけていない。 しかし、問題は、それがクールなんかではないことだ。彼の発言によってXの社員は、次に何が起こるかわからないというギリギリの状態で毎日を過ごしている。広告主は何百万ドルも費やし、それがすべて無駄だったことに気づく。筆者にとっては、Xを使い続ける意味が徐々に失われていることを意味する。だからといって、良い代替品もあまり見当たらない。 Xはどのように最期を迎えるのだろうか? すぐにゲームオーバーの画面が見られるかどうかは分からないが、マスクの破壊計画が最終段階に入ったことは確かなようだ。それはとても残念なことだ。(forbes.com 原文)』、「Xはどのように最期を迎えるのだろうか? すぐにゲームオーバーの画面が見られるかどうかは分からないが、マスクの破壊計画が最終段階に入ったことは確かなようだ」、悲劇的なのはXの社員なのではないだろうか。
第三に、本年6月22日付けNewsweek日本版「イーロン・マスクはなぜトランプを支持するのか? 問題児2人の不思議な「蜜月関係」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/06/post-104889.php
・『<環境技術の旗手だったはずのイーロン・マスク。パリ協定からのアメリカの離脱を受け、一度はトランプと決別したはずだった。そんな二人が今、急速に距離を縮める> ウォール・ストリート・ジャーナル紙は5月末、テスラやスペースXのCEOを務めるイーロン・マスクと、ドナルド・トランプ前米大統領との関係が深まっていると報じた。 2人の親密さは「月に何度も電話で話をする」ほどで、大統領への返り咲きを狙うトランプの選挙運動や、「次期」トランプ政権の下でマスクが手にできるかもしれないビジネスチャンスについて語り合っているという。 再選された暁には政策顧問にならないかとトランプがマスクに打診したともウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている(マスクは否定)。確かに最近のマスクの振る舞いは、甘い汁を吸うためにトランプの歓心を買おうとしている一部の人々とまるで変わらない。 トランプが不倫の口止め料をめぐる裁判で有罪評決を受けた際の、マスクのX(旧ツイッター)への投稿がいい例だ。 セコイア・キャピタル(シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル)の幹部が、評決の直後に30万ドルをトランプ陣営に寄付したことをたたえたり、「(評決は)アメリカの司法システムへの社会の信頼を大きく傷つけた」と主張したり。 右派風刺メディア「バビロン・ビー」がこの評決をネタにした記事へのリンクを投稿すると、爆笑の絵文字と共にリツイートもした。 インターネットで目立つのが大好きで、おまけに世界は自分を中心に回っていると考えがちな2人が手を組んだのは、状況を考えれば当然の成り行きだったのかもしれない』、「インターネットで目立つのが大好きで、おまけに世界は自分を中心に回っていると考えがちな2人が手を組んだのは、状況を考えれば当然の成り行きだったのかもしれない」、なるほど。
・『トランプ不倫裁判の表決を受けてのマスクの投稿 個人としても選挙資金としても喉から手が出るほどカネを欲しているトランプ。あからさまな人種差別や極右的な陰謀論への肩入れがやめられないマスク。 両者の間では、個人的にもビジネス面でも人的ネットワークの重なる部分が広がっている。トランプは大口献金を狙って、有罪評決に反発する富豪たちに擦り寄っているからなおさらだ。 トランプとの関係強化により、マスクの実業家として、そして著名人としてのアイデンティティーの根っこにあったものは行き場を失った。マスクは今後の自分のブランディングや行動をどうしていくかという点で、明らかな転換点に立っている。 マスクが「政治家や企業経営者らに顔が利くテクノロジー業界の超大物」として世界に名をとどろかせるとともに、ベンチャー企業の創業で巨万の富を得た他の人々とは一線を画する存在になったのは、アメリカの産業を気候変動との戦いにおける武器にするという一見不可能な使命に向けて熱意を持って取り組んだ故だった』、「ウォール・ストリート・ジャーナル紙は5月末・・・イーロン・マスクと、ドナルド・トランプ前米大統領との関係が深まっていると報じた。 2人の親密さは「月に何度も電話で話をする」ほどで、大統領への返り咲きを狙うトランプの選挙運動や、「次期」トランプ政権の下でマスクが手にできるかもしれないビジネスチャンスについて語り合っているという。 再選された暁には政策顧問にならないかとトランプがマスクに打診したともウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている(マスクは否定)」、「トランプ」にとっては、政治資金の面でも心強いスポンサーなのだろう。ただ、Xなどメディアに近い会社を保有する者としては、もっと中立性を維持してほしいものだ。
先ずは、昨年9月1日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家・ポッドキャスターのジュリア・ガレフ氏と英日翻訳者の児島 修氏による「Twitter→Xの変更も失敗を想定?マスクが「9割失敗」と思いながらテスラを起業したワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/327732
・『Twitterを「X」に名称変更したイーロン・マスク。彼が成功に導いた電機自動車メーカーのテスラは、20年で時価総額世界第9位にまで成長した。しかし、彼は意外にも「自分の会社は失敗するのではないか」と考えていたという。成功の確率をわずか1割だと見積もったにもかかわらず、起業に踏み切った背景には、イーロン・マスク流の「価値ある賭け」への見極め方があった――。 ※本稿は、全世界17言語で翻訳されたジュリア・ガレフ著『マッピング思考 人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」』(東洋経済新報社)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『“突拍子もない夢”を追い求めるイーロン・マスク イーロン・マスクは、宇宙飛行会社を設立すると決意したとき、友人たちから頭がおかしくなったと思われた。 マスクは、自身が手がけた2番目の事業である「ペイパル」の売却によって手に入れたばかりの1億8000万ドルの多くを、後の「スペースX」となる会社に投じようとしていた。 「きっと失敗する。せっかくペイパルを売って稼いだ金が、ごっそり消えてしまうぞ」と周囲は忠告した。 ある友人は、ロケットが爆発する映像をつなぎあわせた動画を編集し、マスクに「頼むからこれを見てくれ。バカな真似はよせ」と伝えた。 ちまたによくある“突拍子もない夢”を追い求めた成功者の物語では、ここで「だが、彼は思いとどまったりはしなかった。心のなかで、自分を疑う人たちが間違っているのを知っているからだ――」という展開になるはずだ。 しかし、マスクの場合はそうはならなかった。友人たちから「きっと失敗する」と言われたときも、こう答えている。 「ああ、僕もそう思う。おそらく失敗するだろうね」 実際、マスクはスペースXの宇宙船が宇宙飛行を成功させる確率を、1割程度と見積もっていた。 2年後、マスクはペイパルを売却して得た残りの資金を、電動自動車の「テスラ」に投じると決めた。マスクはこのときも、成功の確率は1割程度と見積もっていた。 本人が自身のプロジェクトが成功する確率を低く見積もっていることに、周囲は首をかしげた。 2014年にテレビ番組の『60ミニッツ』に出演した際にも、そのロジックを理解しようとするインタビュアーのスコット・ペリーから、次のように尋ねられている。 マスク「テスラが成功するとは思っていませんでした。おそらく失敗するだろう、と」 ペリー「成功しないと見込んでいたのに、なぜ挑戦したんです?」 マスク「挑戦するだけの価値があるのなら、やってみるべきだと判断したからですよ」 マスクの成功に対する期待値の低さは、周りを困惑させた。 なぜなら、人は「誰かが何かに挑むのは、成功する可能性が高いから」と考えるからだ。 しかし、マスクのような人は、必ずしも「これは成功する」と思っているから行動するのではない。彼らは「賭ける価値がある」という考えによってモチベーションを高めるのだ。) 誰でもある程度は、目の前の行動を取るかどうかを「賭ける価値があるかどうか」という基準で判断しているものだ。 簡単な例として、一般的な6面体のサイコロを振る賭けをする場合のことを考えてみよう。この賭けでは、6が出れば200ドルの賞金がもらえるが、それ以外の目が出た場合は10ドルを失うことになっている。 賭ける価値があるだろうか。 (サイコロを振る賭けに価値はある? はリンク先参照) そう、これは賭ける価値があるといえる。 この賭けにどれくらいの価値があるのかは、「期待値」を計算することで具体的に知ることができる。 期待値とは、その賭けを際限なく行った場合に平均的に得られる値のことだ。賭けの期待値は、各結果の確率と価値を掛け、その結果を合計することで導ける。この賭けでは、次のようになる。 {(勝つ確率=1/6)×200ドル}+{(負ける確率=5/6)× -10ドル}=33.33ドル - 8.33ドル=25ドル つまり、この賭けを際限なくり返した場合、平均の獲得額は約25ドル。サイコロを振っただけで得られるのなら、悪くはない額だ。 負ける確率は6分の5と高いものの、十分に「賭ける価値がある」賭けだといえるだろう』、「マスクのような人は、必ずしも「これは成功する」と思っているから行動するのではない。彼らは「賭ける価値がある」という考えによってモチベーションを高めるのだ。) 誰でもある程度は、目の前の行動を取るかどうかを「賭ける価値があるかどうか」という基準で判断しているものだ・・・この賭けにどれくらいの価値があるのかは、「期待値」を計算することで具体的に知ることができる」、なるほど。
・『「たとえ『テスラ』が失敗しても…」 とはいえ、起業のような対象を賭けにして正確な確率を導こうとするのは、より複雑で主観的な試みになる。 その価値には、お金以外のさまざまな要素も含まれている。 たとえば、「会社を経営することで、どれだけの楽しみが得られるか?」「たとえ失敗したとしても、その後で役に立つ人脈やスキルを手に入れられるか?」「自分の時間がどれだけ奪われるか?」「社会的な信用度(または汚名)はどれくらい得られるか?」といったことだ。 とはいえ、たいていの場合、大まかな見積もりをすることならできる。 これまで見てきたように、イーロン・マスクはテスラが成功する確率を1割、失敗する確率を9割と見積もっていた。) それでも、成功して得られる価値はとてつもなく大きいと思えた。電気自動車という(当時は)夢物語のような概念を実現することは、現代社会が化石燃料依存から脱却するための大きな一歩になる。 (マスクのテスラとスペースXへの賭け はリンク先参照) マスクは、たとえ失敗したとしてもテスラは価値あることを少なくとも1つ成し遂げられる、と考えた。 「“電気自動車はゴルフカートのように格好悪くて、遅くて、退屈なものだ”という人々の誤った認識を変えられると思ったのです」と語っている。 マスクがスペースXを立ち上げた理由もこれに似ている。 マスクはテスラのときと同じようにスペースXが成功する確率を1割、失敗する確率を9割と見込んでいた。だが、成功したときに得られる価値は計りしれない。 安く宇宙飛行ができる手段を開発すれば将来的に人類が移り住めるようになるかもしれないし、地球上で起こり得る壊滅的なリスクから人類を守れるかもしれない。 また、仮にスペースXが失敗したとしても、宇宙飛行技術を少しでも進歩させられるのなら、それはまったくの無駄にはならないはずだ。 わずかであれボールを前に動かせるのなら、たとえ僕たちの会社が倒産したとしてもどこかの会社がバトンタッチしてそのボールをさらに前に運んでくれるかもしれない。だとすればなおさら挑戦する価値はある』、「「“電気自動車はゴルフカートのように格好悪くて、遅くて、退屈なものだ”という人々の誤った認識を変えられると思ったのです」と語っている・・・マスクはテスラのときと同じようにスペースXが成功する確率を1割、失敗する確率を9割と見込んでいた。だが、成功したときに得られる価値は計りしれない。 安く宇宙飛行ができる手段を開発すれば将来的に人類が移り住めるようになるかもしれないし、地球上で起こり得る壊滅的なリスクから人類を守れるかもしれない。 また、仮にスペースXが失敗したとしても、宇宙飛行技術を少しでも進歩させられるのなら、それはまったくの無駄にはならないはずだ。 わずかであれボールを前に動かせるのなら、たとえ僕たちの会社が倒産したとしてもどこかの会社がバトンタッチしてそのボールをさらに前に運んでくれるかもしれない。だとすればなおさら挑戦する価値はある」、その通りだ。
・『「就職、起業、投資、人間関係 あらゆることに応用可能」 全体としてみれば、テスラもスペースXも、失敗する可能性は高かったものの、マスクにとってはいい賭けだったようだ。 期待値は、その賭けを何度もくり返すことを想像することによってもとらえやすくなる。そのとき、成功によって得られる価値は、失敗によって失う価値を上回るだろうか? イーロン・マスクのようなスケールの大きな起業家なら、一生のうちにテスラやスペースXのような会社を10社はつくる時間と財力があるだろう。 もしその10社のうち9社が失敗するのだとすれば、最大の問題「1回の大きな成功と引き換えに、9回失敗する価値はあるか?」ということになる。) 現実的には、まったく同じ賭けを何度もくり返すことはめったにない。それでも、人生にさまざまな賭けをする機会があるのはたしかだ。 就職や企業、投資はもちろん、他人を信頼する、難しい頼みごとをする、安全地帯から抜け出してなにかに挑戦する、といったことまで含めれば、賭けの機会は無数にある。 そのなかで、期待値を正しく見極めて賭けをすればするほど、ここの賭けに失敗したとしても、全体としては利益が得られるという確信が持てるようになる』、「就職や企業、投資はもちろん、他人を信頼する、難しい頼みごとをする、安全地帯から抜け出してなにかに挑戦する、といったことまで含めれば、賭けの機会は無数にある。 そのなかで、期待値を正しく見極めて賭けをすればするほど、ここの賭けに失敗したとしても、全体としては利益が得られるという確信が持てるようになる」、なるほど。
・『覚悟のうえで、運命に任す 「自信があれば成功できる」という発想でモチベーションを高めようとする人たちは、失敗の可能性を認めれば、やる気が削がれ、リスクを取ろうとしなくなると見なす。 そして「絶対に失敗しない」と固く信じることが、最大限の努力をして成功を目指す秘訣だと考える。 だが現実には、それとは逆であることが多い。 つまり、事前に失敗の可能性を受け入れるからこそ、さまざまな縛りから解放されて、目標に向かって邁進できるようになるのだ。 「失敗する可能性だってある」とわかっているからこそ、臆病ではなく大胆になれる。必要なリスクを取る理由が得られる。 マスクは「他人がクレイジーだと思うような会社を恐れずに起業した」と称賛されると、「実は、強い恐怖を感じている」と答えている。 恐怖を感じていないのではなく、失敗の確率とうまく折り合いをつけることで、その恐怖を手なずける術を学んだだけだ、と。 「それが運命だと思えば、気が楽になります。」失敗の確率を納得して受け入れれば、恐怖心は薄れます。スペースXを立ち上げたときも、成功率は1割以下だと思っていました。当然、すべてを失うかもしれないと覚悟のうえで』、「マスクは「他人がクレイジーだと思うような会社を恐れずに起業した」と称賛されると、「実は、強い恐怖を感じている」と答えている。 恐怖を感じていないのではなく、失敗の確率とうまく折り合いをつけることで、その恐怖を手なずける術を学んだだけだ、と。 「それが運命だと思えば、気が楽になります。」失敗の確率を納得して受け入れれば、恐怖心は薄れます。スペースXを立ち上げたときも、成功率は1割以下だと思っていました。当然、すべてを失うかもしれないと覚悟のうえで」、なるほど。
次に、昨年12月8日付けForbes「Xを破滅に追いやるイーロン・マスクの「破壊衝動」」を紹介しよう。
https://forbesjapan.com/articles/detail/67803
・『:あまり大げさなことを言いたくはないが、イーロン・マスクが先日、Xから広告を引き揚げた企業を「くたばれ」と罵倒したことは、かつてツイッターと呼ばれたプラットフォームの棺桶に最後の釘を打ったようなものだと、筆者は思っている。 筆者がしばしば「お気に入りのソーシャルメディア・アプリ」と呼んできたものから、先週より大手の広告主が次々と逃げ出している。事の発端は、イーロン・マスクが反ユダヤ主義的なツイートに賛同したことだった。そのツイートを正当化し、その過程で明らかにツイッターを葬り去ろうとしたマスクの破壊衝動については、他のライターや本の著者がすでに書いているので、ここでは詳しく分析しようとは思わない。 とはいえ、私はこれが悪い方向に向かっているという事実を嘆いている。反ユダヤ主義的なツイートと広告主からの予想通りの反撃の後に、マスクは暴言を吐いた。一部の報道によれば、この暴言は取り返しのつかないダメージをXの事業に与えたという。 私たち全員がマスクに問うべきは、「なぜ自分の会社を潰そうとするのか?」という質問だが、私はその答えを知っているつもりだ。 多くのオピニオン記事や、マスクに関する最近の書籍(ウォルター・アイザックソンによるやや肯定的な伝記や、あからさまな暴露本でかなり面白い『Breaking Twitter』など)を読んだ筆者は、このソーシャルメディアで初期の頃から自身が経験したことを振り返った結果、マスクは自分を制御できないのだという結論に達した。彼はトラブルに首を突っ込むのが好きなのだ。首を突っ込んだために、彼はツイッターの買収で440億ドル(約6.5兆円)を失った。 『Breaking Twitter』の著者が書いたように、Xの収益の90%は広告主からのものだという主張が正しければ、すべてが塵と消えるのは時間の問題だ。Twitter Blueや他のサブスクリプションは、確かに何の助けにもならないだろう。マスクはつい最近、会社の倒産をほのめかした。アイザックソンが著書で詳しく説明しているように、マスクは破壊的な衝動を精神の中に抱えている。 また、『Breaking Twitter』を読めば、著者が(著作に書いている人物と同様に)どこまで本気なのかは定かではないものの、マスクが全人類を大規模なシミュレーションの一部に過ぎないと考えているフシがあることがわかる。マスクは、現実世界を『グランド・セフト・オート』のようなゲームだと考えているのかもしれない。ルールに従って、決められたコースを進むことができる一方で、完全にレールから外れて走り回り、物を破壊しまくることもできるのだ』、「イーロン・マスクが先日、Xから広告を引き揚げた企業を「くたばれ」と罵倒したことは、かつてツイッターと呼ばれたプラットフォームの棺桶に最後の釘を打ったようなものだと、筆者は思っている・・・マスクは自分を制御できないのだという結論に達した。彼はトラブルに首を突っ込むのが好きなのだ。首を突っ込んだために、彼はツイッターの買収で440億ドル(約6.5兆円)を失った・・・マスクはつい最近、会社の倒産をほのめかした。アイザックソンが著書で詳しく説明しているように、マスクは破壊的な衝動を精神の中に抱えている」、天才的な能力を持った半面で、「破壊的な衝動を精神の中に抱えている」とは困ったことだ。
・『すべてはゲームの中の出来事 マスクは、そのうちの後者をやっているようだ。すべてがシミュレーションに過ぎないのであれば、たとえ会社を破壊し、その過程で何十億ドルもの損失を被ったとしても、いずれにせよ何の問題もない。 「有名なブランドで本当に間違った決断を繰り返し、そのブランドが完全に崩壊してしまったらどうなるだろう? クールだろ?」マスクはそう語りかけているように見える。NPC(プレイヤーが操作しないキャラクター)はソーシャルメディアのフォロワーのようなもので、消耗品だ。マスクは彼らのことをそれほど気にかけていない。 しかし、問題は、それがクールなんかではないことだ。彼の発言によってXの社員は、次に何が起こるかわからないというギリギリの状態で毎日を過ごしている。広告主は何百万ドルも費やし、それがすべて無駄だったことに気づく。筆者にとっては、Xを使い続ける意味が徐々に失われていることを意味する。だからといって、良い代替品もあまり見当たらない。 Xはどのように最期を迎えるのだろうか? すぐにゲームオーバーの画面が見られるかどうかは分からないが、マスクの破壊計画が最終段階に入ったことは確かなようだ。それはとても残念なことだ。(forbes.com 原文)』、「Xはどのように最期を迎えるのだろうか? すぐにゲームオーバーの画面が見られるかどうかは分からないが、マスクの破壊計画が最終段階に入ったことは確かなようだ」、悲劇的なのはXの社員なのではないだろうか。
第三に、本年6月22日付けNewsweek日本版「イーロン・マスクはなぜトランプを支持するのか? 問題児2人の不思議な「蜜月関係」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/06/post-104889.php
・『<環境技術の旗手だったはずのイーロン・マスク。パリ協定からのアメリカの離脱を受け、一度はトランプと決別したはずだった。そんな二人が今、急速に距離を縮める> ウォール・ストリート・ジャーナル紙は5月末、テスラやスペースXのCEOを務めるイーロン・マスクと、ドナルド・トランプ前米大統領との関係が深まっていると報じた。 2人の親密さは「月に何度も電話で話をする」ほどで、大統領への返り咲きを狙うトランプの選挙運動や、「次期」トランプ政権の下でマスクが手にできるかもしれないビジネスチャンスについて語り合っているという。 再選された暁には政策顧問にならないかとトランプがマスクに打診したともウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている(マスクは否定)。確かに最近のマスクの振る舞いは、甘い汁を吸うためにトランプの歓心を買おうとしている一部の人々とまるで変わらない。 トランプが不倫の口止め料をめぐる裁判で有罪評決を受けた際の、マスクのX(旧ツイッター)への投稿がいい例だ。 セコイア・キャピタル(シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル)の幹部が、評決の直後に30万ドルをトランプ陣営に寄付したことをたたえたり、「(評決は)アメリカの司法システムへの社会の信頼を大きく傷つけた」と主張したり。 右派風刺メディア「バビロン・ビー」がこの評決をネタにした記事へのリンクを投稿すると、爆笑の絵文字と共にリツイートもした。 インターネットで目立つのが大好きで、おまけに世界は自分を中心に回っていると考えがちな2人が手を組んだのは、状況を考えれば当然の成り行きだったのかもしれない』、「インターネットで目立つのが大好きで、おまけに世界は自分を中心に回っていると考えがちな2人が手を組んだのは、状況を考えれば当然の成り行きだったのかもしれない」、なるほど。
・『トランプ不倫裁判の表決を受けてのマスクの投稿 個人としても選挙資金としても喉から手が出るほどカネを欲しているトランプ。あからさまな人種差別や極右的な陰謀論への肩入れがやめられないマスク。 両者の間では、個人的にもビジネス面でも人的ネットワークの重なる部分が広がっている。トランプは大口献金を狙って、有罪評決に反発する富豪たちに擦り寄っているからなおさらだ。 トランプとの関係強化により、マスクの実業家として、そして著名人としてのアイデンティティーの根っこにあったものは行き場を失った。マスクは今後の自分のブランディングや行動をどうしていくかという点で、明らかな転換点に立っている。 マスクが「政治家や企業経営者らに顔が利くテクノロジー業界の超大物」として世界に名をとどろかせるとともに、ベンチャー企業の創業で巨万の富を得た他の人々とは一線を画する存在になったのは、アメリカの産業を気候変動との戦いにおける武器にするという一見不可能な使命に向けて熱意を持って取り組んだ故だった』、「ウォール・ストリート・ジャーナル紙は5月末・・・イーロン・マスクと、ドナルド・トランプ前米大統領との関係が深まっていると報じた。 2人の親密さは「月に何度も電話で話をする」ほどで、大統領への返り咲きを狙うトランプの選挙運動や、「次期」トランプ政権の下でマスクが手にできるかもしれないビジネスチャンスについて語り合っているという。 再選された暁には政策顧問にならないかとトランプがマスクに打診したともウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている(マスクは否定)」、「トランプ」にとっては、政治資金の面でも心強いスポンサーなのだろう。ただ、Xなどメディアに近い会社を保有する者としては、もっと中立性を維持してほしいものだ。
タグ:(その2)(Twitter→Xの変更も失敗を想定?マスクが「9割失敗」と思いながらテスラを起業したワケ、Xを破滅に追いやるイーロン・マスクの「破壊衝動」、イーロン・マスクはなぜトランプを支持するのか? 問題児2人の不思議な「蜜月関係」) イーロン・マスク ダイヤモンド・オンライン ジュリア・ガレフ氏 児島 修氏による「Twitter→Xの変更も失敗を想定?マスクが「9割失敗」と思いながらテスラを起業したワケ」 ジュリア・ガレフ著『マッピング思考 人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」』(東洋経済新報社) 「マスクのような人は、必ずしも「これは成功する」と思っているから行動するのではない。彼らは「賭ける価値がある」という考えによってモチベーションを高めるのだ。) 誰でもある程度は、目の前の行動を取るかどうかを「賭ける価値があるかどうか」という基準で判断しているものだ・・・この賭けにどれくらいの価値があるのかは、「期待値」を計算することで具体的に知ることができる」、なるほど。 「「“電気自動車はゴルフカートのように格好悪くて、遅くて、退屈なものだ”という人々の誤った認識を変えられると思ったのです」と語っている・・・マスクはテスラのときと同じようにスペースXが成功する確率を1割、失敗する確率を9割と見込んでいた。だが、成功したときに得られる価値は計りしれない。 安く宇宙飛行ができる手段を開発すれば将来的に人類が移り住めるようになるかもしれないし、地球上で起こり得る壊滅的なリスクから人類を守れるかもしれない。 また、仮にスペースXが失敗したとしても、宇宙飛行技術を少しでも進歩させられるのなら、それはまったくの無駄にはならないはずだ。 わずかであれボールを前に動かせるのなら、たとえ僕たちの会社が倒産したとしてもどこかの会社がバトンタッチしてそのボールをさらに前に運んでくれるかもしれない。だとすればなおさら挑戦する価値はある」、その通りだ。 「就職や企業、投資はもちろん、他人を信頼する、難しい頼みごとをする、安全地帯から抜け出してなにかに挑戦する、といったことまで含めれば、賭けの機会は無数にある。 そのなかで、期待値を正しく見極めて賭けをすればするほど、ここの賭けに失敗したとしても、全体としては利益が得られるという確信が持てるようになる」、なるほど。 「マスクは「他人がクレイジーだと思うような会社を恐れずに起業した」と称賛されると、「実は、強い恐怖を感じている」と答えている。 恐怖を感じていないのではなく、失敗の確率とうまく折り合いをつけることで、その恐怖を手なずける術を学んだだけだ、と。 「それが運命だと思えば、気が楽になります。」失敗の確率を納得して受け入れれば、恐怖心は薄れます。スペースXを立ち上げたときも、成功率は1割以下だと思っていました。当然、すべてを失うかもしれないと覚悟のうえで」、なるほど。 Forbes「Xを破滅に追いやるイーロン・マスクの「破壊衝動」」 「イーロン・マスクが先日、Xから広告を引き揚げた企業を「くたばれ」と罵倒したことは、かつてツイッターと呼ばれたプラットフォームの棺桶に最後の釘を打ったようなものだと、筆者は思っている・・・マスクは自分を制御できないのだという結論に達した。彼はトラブルに首を突っ込むのが好きなのだ。首を突っ込んだために、彼はツイッターの買収で440億ドル(約6.5兆円)を失った・・・ マスクはつい最近、会社の倒産をほのめかした。アイザックソンが著書で詳しく説明しているように、マスクは破壊的な衝動を精神の中に抱えている」、天才的な能力を持った半面で、「破壊的な衝動を精神の中に抱えている」とは困ったことだ。 「Xはどのように最期を迎えるのだろうか? すぐにゲームオーバーの画面が見られるかどうかは分からないが、マスクの破壊計画が最終段階に入ったことは確かなようだ」、悲劇的なのはXの社員なのではないだろうか。 Newsweek日本版「イーロン・マスクはなぜトランプを支持するのか? 問題児2人の不思議な「蜜月関係」」 「インターネットで目立つのが大好きで、おまけに世界は自分を中心に回っていると考えがちな2人が手を組んだのは、状況を考えれば当然の成り行きだったのかもしれない」、なるほど。 「ウォール・ストリート・ジャーナル紙は5月末・・・イーロン・マスクと、ドナルド・トランプ前米大統領との関係が深まっていると報じた。 2人の親密さは「月に何度も電話で話をする」ほどで、大統領への返り咲きを狙うトランプの選挙運動や、「次期」トランプ政権の下でマスクが手にできるかもしれないビジネスチャンスについて語り合っているという。 再選された暁には政策顧問にならないかとトランプがマスクに打診したともウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている(マスクは否定)」、 「トランプ」にとっては、政治資金の面でも心強いスポンサーなのだろう。