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マイナンバー制度(その9)(マイナカード利用ゴリ押しのえげつなさ…医療機関への一時金倍増 携帯契約まで“人質”に、まるで“マイナ徴兵”…薬剤師ら1万人を「デジタル推進委員」に任命した河野大臣の厚顔と強権、携帯契約での「読み取り義務化」は マイナンバーカードの「基本概念」を根本的にひっくり返す悪手だ) [経済政策]

マイナンバー制度については、本年5月12日に取上げたばかりだ。今日は、(その9)(マイナカード利用ゴリ押しのえげつなさ…医療機関への一時金倍増 携帯契約まで“人質”に、まるで“マイナ徴兵”…薬剤師ら1万人を「デジタル推進委員」に任命した河野大臣の厚顔と強権、携帯契約での「読み取り義務化」は マイナンバーカードの「基本概念」を根本的にひっくり返す悪手だ)である。

先ずは、本年6月21日付け日刊ゲンダイ「マイナカード利用ゴリ押しのえげつなさ…医療機関への一時金倍増、携帯契約まで“人質”に」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/341925
・『もはやゴリ押しの上を行く強権ぶりだ。厚労省は20日、12月2日に予定している現行の健康保険証廃止に向け、マイナカードの利用促進の一環として利用率を増やした医療機関に支給する一時金を倍増する方針を固めた。さらに当初5~7月末だった「利用促進強化月間」を8月末まで延長するという。 現時点の一時金は最大で病院が20万円、診療所や薬局が10万円。それが倍になるのだから、先月時点で利用率7%台にとどまるマイナ保険証を何としてでも使わせたい厚労省のやり口たるや、えげつないにも程がある。 現行の保険証の存続を訴える全国保険医団体連合会(保団連)事務局次長の本並省吾氏がこう言う。 「病院や薬局でマイナ保険証への切り替えを呼びかけるために厚労省がつくった『台本』が原因で、患者が『マイナ保険証しか使えない』と誤解する事例が発生しています。厚労省は窓口説明の不備のせいにしていますが、一時金を倍増したら、『早くマイナ保険証をつくらないと大変ですよ』といった詐術が一層はびこるのではないか」』、「厚労省がつくった『台本』が原因で、患者が『マイナ保険証しか使えない』と誤解する事例が発生しています。厚労省は窓口説明の不備のせいにしていますが、一時金を倍増したら、『早くマイナ保険証をつくらないと大変ですよ』といった詐術が一層はびこるのではないか」、なるほど。
・『携帯電話を人質にマイナ利用は義務だと思わせる詐術  若年層よりも医療機関を受診する機会が多い高齢者はなおのこと勘違いする可能性が高い。お年寄りを狙い撃ちにした利用促進策は他にもある。 河野デジタル相は18日の会見で、携帯電話を「対面」で契約する際に「マイナカードなど」に搭載されているICチップの読み取りを本人確認の方法として事業者に義務付ける方針を説明。「など」には一体何が含まれるのか。デジタル庁に聞くと、「現段階では運転免許証や在留カードであり、これからさらに具体化していく」(広報担当)との回答だった。 運転免許証の保有率は、原付免許を取得できる16歳以上の適齢人口(1億936万人)あたり74.8%。高齢者は65~69歳が82.8%、70~74歳が70.2%、75~79歳が54.8%、80歳以上が22.8%と、当然ながら年を重ねるにつれて激減していく。 「高齢者ほど携帯契約は対面を望むと考えられる。そもそも免許を持っていなかったり、返納したりした方は、ほぼマイナカードでの本人確認を強いられることになるでしょう。これも生活に欠かせない携帯電話を人質に取ってマイナ利用は義務だと思わせる詐術です。医療機関にかかる蓋然性の高い高齢者にマイナカードを持たせれば、マイナ保険証の利用促進につながるという政府側の魂胆も透けて見えます」(本並省吾氏) 情報に疎い高齢者をターゲットにするとは、とことん意地が悪い』、「そもそも免許を持っていなかったり、返納したりした方は、ほぼマイナカードでの本人確認を強いられることになるでしょう。これも生活に欠かせない携帯電話を人質に取ってマイナ利用は義務だと思わせる詐術です。医療機関にかかる蓋然性の高い高齢者にマイナカードを持たせれば、マイナ保険証の利用促進につながるという政府側の魂胆も透けて見えます・・・情報に疎い高齢者をターゲットにするとは、とことん意地が悪い」、その通りだ。

次に、6月28日付け日刊ゲンダイ「まるで“マイナ徴兵”…薬剤師ら1万人を「デジタル推進委員」に任命した河野大臣の厚顔と強権」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/356823
・『「どの河野さん? 面白い小説だと思う」──。人を食ったような返事しかできないのか。9月の自民党総裁選への出馬が取り沙汰されている河野太郎デジタル大臣(61)のことだ。 26日夜、所属派閥の会長である麻生副総裁と会食。その際に総裁選出馬の意向を伝えたのかどうかをきのうの会見で問われ、スットボケた。「総裁選の話は出なかったのか」と食い下がる記者に、「飯を食っている時に何の話をしたか言ったことはない」「勘弁してください」とハグらかしたが、思わずほころんだ表情を見るに、まんざらでもない様子。麻生氏の反応については「良かった」と周囲に漏らしているという。 河野氏が総裁選に出たのは2009年と21年の2回。「3度目の正直」で悲願達成を狙うようだが、健康保険証の廃止に伴うマイナ保険証への一本化をゴリ押しする強権ぶりが目に余る。マイナ保険証の利用を促すため、薬剤師ら1万人を「デジタル推進委員」に任命したのがいい例だ。 「デジタル推進委員はマイナカードやマイナポータルの利用方法などをサポートするボランティアです。政府はマイナ保険証の利用を増やした医療機関に最大20万円の支援金を出してハッパをかけていますが、予算を使い切ったら利用促進キャンペーンは終わる見込み。キャンペーンが終わる7月末以降も続けたいから、原則無報酬の推進委員を無理やり薬剤師に担わせたのが実態ではないか」(永田町関係者)) デジタル庁がきのう開催した任命状授与式で、日本薬剤師会と日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会の3団体の各会長に河野大臣が任命状を手渡した。都内の薬局でマイナ保険証の利用を促された患者が「マイナ保険証がないと薬をもらえない」と誤解するトラブルなどが発生したにもかかわらず、河野大臣は「どんどん声かけをやってもらいたい」と反省ゼロだった。現行の保険証の存続を訴える全国保険医団体連合会事務局次長の本並省吾氏はこう憤る。 「薬剤師ら1万人を駆り出すとは、まるで“マイナ徴兵”です。デジタルサポートは薬剤師の業務とは関係ありません。デジタル庁は『誰一人取り残されないデジタル化』を掲げていますが、『マイナ保険証を持たない人を誰一人残さない』ではないか」 現行の保険証の廃止撤回を求める声に耳を貸さず、ひたすらマイナ保険証をゴリ押しする河野大臣は、総理たる器ではない』、「薬剤師ら1万人を駆り出すとは、まるで“マイナ徴兵”です・・・現行の保険証の廃止撤回を求める声に耳を貸さず、ひたすらマイナ保険証をゴリ押しする河野大臣は、総理たる器ではない」、後半はその通りだ。

第三に、7月4日付けNewsweek日本版が掲載した経済評論家の加谷珪一氏による「携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカードの「基本概念」を根本的にひっくり返す悪手だ」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2024/07/post-285_1.php
・『<政府は当初、マイナンバーは厳格な意味でのIDではなく取得は任意としていたが、すでにそうした説明は完全に破綻してしまった> 携帯電話契約時(対面の場合)の本人確認に当たって、マイナンバーカードに搭載されているICチップの読み取りが必須となる。携帯電話がなければ社会生活を送るのが極めて困難という現実を考えた場合、これは政府による事実上のマイナンバーカード義務化といえる。 マイナンバー制度については、無理にカードを使わせようとする政府のスタンスや、セキュリティー面での不備などに対して数多くの批判が寄せられてきた。 だが、これまで指摘されてきた事象は、あくまで個別の問題であると見なすこともできたが、今回の措置は、任意取得という基本概念を根本的にひっくり返すものといえる。制度の根幹が揺らいでいる以上、解体的な出直しが必要である。 マイナンバー制度に対しては、当初からいくつかの疑問点あるいは問題点が指摘されてきた。 1つ目は、マイナンバーカードは厳格なID(身分証明書)なのか、そうでないのか、はっきりしていないというもの。2つ目は、物理的なカードの導入に政府が過度に固執している理由が不明瞭であること。3つ目は、民間での商業利用が大前提となっていること、である』、確かに「疑問点あるいは問題点が」明確でないまま実践が先走りしている。
・『なぜ政府は「カード」を絶対視しているのか?  政府は当初、マイナンバーは厳格な意味でのIDではなく、「IDカードとしても利用できる」との説明にとどめており、そうであればこそ取得は任意であり、民間企業にも開放するとの流れだった。 厳格なIDでなく、より便利になるツールという程度の位置付けであるなら、セキュリティーも絶対である必要はなく、民間企業に事業を開放し、ポイントなどを使って取得を促すことも許容されるだろう。 だが、紙の健康保険証の廃止に続き、携帯契約時の読み取り義務化が実施されれば、マイナンバーカードはユニーク(唯一の)な身分証明手段とならざるを得ない。そうなると、これはれっきとしたIDであり、もしそうであるならば、気軽に持ち歩くようなものではないし、民間への自由な開放など危険極まりない。 筆者は今でも政府が物理的なカードを絶対視している理由がよく分からない。一部の論者はカードや読み取り機を製造するメーカーの利権が関係していると指摘している。そうした面があるのは事実かもしれないが、それだけの理由でカードの導入をここまでゴリ押しするというのは、他の政治利権との比較で考えても不自然である』、「紙の健康保険証の廃止に続き、携帯契約時の読み取り義務化が実施されれば、マイナンバーカードはユニーク(唯一の)な身分証明手段とならざるを得ない。そうなると、これはれっきとしたIDであり、もしそうであるならば、気軽に持ち歩くようなものではないし、民間への自由な開放など危険極まりない・・・筆者は今でも政府が物理的なカードを絶対視している理由がよく分からない。一部の論者はカードや読み取り機を製造するメーカーの利権が関係していると指摘している。そうした面があるのは事実かもしれないが、それだけの理由でカードの導入をここまでゴリ押しするというのは、他の政治利権との比較で考えても不自然である」、確かに何故なのだろう。
・『これまでの政府の説明は完全に破綻してしまった  改めて説明するまでもなく、マイナンバーそのものとマイナンバーカードは不可分ではなく、カードがなくても、制度は問題なく機能する。実際、韓国では類似の制度を既に導入しており、行政手続きは日本では考えられないほど便利になっているが、手続きに際してカードの提示は必須ではない。 筆者は、政府内部で制度設計に携わった担当者や、カード導入を強く主張した関係者の多くが、カードという物理的なツールが存在しないと本人確認ができないと、本気で誤解していたのではないかと疑っている。 いずれにせよ、これまでの政府の説明は完全に破綻しており、到底、国民の信頼を得ることはできないばかりか、大規模な情報漏洩など取り返しのつかない事故を引き起こすリスクについても考える必要が出てきた。マイナンバー制度はゼロベースで見直す必要があるだろう』、「筆者は、政府内部で制度設計に携わった担当者や、カード導入を強く主張した関係者の多くが、カードという物理的なツールが存在しないと本人確認ができないと、本気で誤解していたのではないかと疑っている」、その疑いは確かにその通りだ。「これまでの政府の説明は完全に破綻しており、到底、国民の信頼を得ることはできないばかりか、大規模な情報漏洩など取り返しのつかない事故を引き起こすリスクについても考える必要が出てきた。マイナンバー制度はゼロベースで見直す必要があるだろう」、同感である。
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