携帯・スマホ(その13)(ついにトンネル抜けた?楽天の未来占う3つの焦点 連続赤字でも株価急騰 モバイルは黒字間近か、底を脱した楽天、株主たちが語った「安堵と不満」 株主総会での注目点はモバイルから財務戦略に、[新連載]楽天 泥沼の5期連続赤字に見えた光明 総力戦で開く血路) [産業動向]
携帯・スマホについては、昨年9月30日に取上げた。今日は、(その13)(ついにトンネル抜けた?楽天の未来占う3つの焦点 連続赤字でも株価急騰 モバイルは黒字間近か、底を脱した楽天、株主たちが語った「安堵と不満」 株主総会での注目点はモバイルから財務戦略に、[新連載]楽天 泥沼の5期連続赤字に見えた光明 総力戦で開く血路)である。
先ずは、本年2月21日付け東洋経済オンライン「ついにトンネル抜けた?楽天の未来占う3つの焦点 連続赤字でも株価急騰、モバイルは黒字間近か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/735773
・『トンネルを抜ける日は、いよいよ近いのか。 2月14日に発表された楽天グループの2023年12月期決算は、売上高が前期比7.8%増の2兆0713億円、営業損益が2128億円の赤字(前期は3716億円の赤字)だった。 営業赤字が大幅に縮まったのは、モバイル事業の採算改善が主因だ。セグメント単体では3375億円の赤字と、前期から1400億円余り縮小している。売上高の増加に加え、コスト削減や基地局整備の一巡が大きく貢献した。 楽天市場を中心としたインターネットサービス、楽天カードなどのフィンテックのセグメントでも、取扱高が順調に拡大したことなどから増益を達成している』、最悪期は脱しつつあるようだ。
・『5期連続赤字、無配でも株価は急騰 5期連続赤字を受け、配当は過去20年で初めての無配としたものの、楽天グループの株価は749円(2月20日終値)と、2月14日比で19%高にまで急騰。「サプライズはなかったが、(懸案だったモバイル事業の)進捗に安心感がある」(アナリスト)と、ポジティブな受け止めが目立った。 楽天は2024年12月期の業績予想を公表していない。ただし、モバイル事業については2024年12月までにEBITDA(利払い前、税引き前、減価償却前利益)ベースで単月黒字化を目指すとし、2025年12月期には通期黒字化を計画している。 モバイル事業への本格参入以来、長らく続いていた低迷期を抜け出し、ついに浮上のときを迎えるのか。楽天の未来を占ううえでは、3つの指標が重要になってくる。) 第1に、モバイルの契約数だ。2023年12月末の契約数(MVNO・BCPを除く)は596万と、10~12月の3カ月で84万回線増えた。 四半期ごとの増え幅としては、300万人まで月額使用料を1年間に限って無料とするキャンペーンなどでユーザーを急拡大させていた2021年1~3月期(純増数は123万)に次ぐ水準となった』、「モバイルの契約数」は順調なようだ。
・『(楽天モバイルの契約数と顧客単価推移の図はリンク先参照) 楽天は、2024年中に契約数を800万から1000万まで押し上げることを目標に掲げる。ユーザー1人当たりの平均単価を2500円~3000円と仮定した場合、この契約数がモバイル事業を黒字化できる水準とみているからだ。 直近四半期の増加ペースを2024年末まで維持できれば、単純計算で契約数は932万に達し、黒字化の下限として示した800万を大きく上回ることになる』、「直近四半期の増加ペースを2024年末まで維持できれば、単純計算で契約数は932万に達し、黒字化の下限として示した800万を大きく上回ることになる」、なるほど。
・『足元の伸びは法人向けが牽引 ただ、目標達成に向けては課題もある。個人ユーザーの開拓だ。 足元の契約数の伸びを牽引しているのは、楽天が2023年1月からサービス提供を始めた法人向けが中心とみられる。実際、決算資料では「B2Bは(中略)年末にかけてパイプラインの獲得が大幅に進み、第4四半期の契約回線数が顕著に増加」と記されている。 料金の割安感を訴求し、従来取引のある約90万社の顧客基盤を中心に新規獲得を続けているもようだが、楽天の取引先は従業員数の少ない中小企業が大半を占める。競合キャリアが先行して長らくサービスを提供している領域でもあり、この1年の勢いを持続したまま乗り換えを促す難易度は高いだろう。 さらに言えば、業務用の法人向け携帯の契約数は、国内市場全体の1~2割程度とされる。法人頼みのままでは、早晩伸びが鈍化しかねない。 昨年末に法人向けの契約が急増したことで、ユーザーの単価にも影響が出ている。2023年9~12月期の平均単価は1986円と、前の四半期比で3%低下した。個人向けより単価が低い傾向にある法人向けの比率が高まったことが響いたようだ。 先述の通り、契約数800万~1000万での黒字化の前提条件として、会社側はユーザー単価を2500~3000円と設定している。現状比で2割以上引き上げる必要がある。) こうした背景から、楽天は個人向けの開拓に向けた施策を相次いで打ち出してきた。 2月1日から、モバイルユーザーが別の人を紹介した場合、楽天ポイントを1人につき7000ポイント還元するなどのキャンペーン施策を開始。2月21日からは家族で契約した場合、ユーザー1人当たり100円割引を受けられる家族割プランの提供を始める。 楽天の三木谷浩史会長兼社長は2月14日の決算会見で、「(単価を引き上げるために)追加の施策が必要だ。とくに(楽天モバイルユーザー向けのアプリ内に掲載する)広告収入が増えていくだろう」と展望を語った。 データトラフィックが多く、高単価な個人向けを拡大できれば、収益力向上にもつながる。今後登場してくる追加施策の具体的中身に注目したい』、「法人向けの契約が急増したことで、ユーザーの単価にも影響が出ている。2023年9~12月期の平均単価は1986円と、前の四半期比で3%低下した。個人向けより単価が低い傾向にある法人向けの比率が高まったことが響いたようだ」、なるほど。
・『モバイルへの設備投資は大幅減を見込む 楽天の未来を占う第2の指標は、赤字の元凶となってきたモバイルへの設備投資の額だ。 2024年12月期の計画は約1000億円と、前期の1776億円から4割減を見込む。年間数千億円を投じてきた2~3年前と比べると、山は越えたといえる。 楽天はモバイル事業の参入当初、約6000億円で全国に4G用の基地局網を整備できると見込んでいた。しかし必要となる基地局数の見通しが甘かったことなどから、結果的に累計の設備投資額は1兆円を超える規模にまで膨らんだ。 こうした過去の経緯を踏まえると、先行きに不安も残る。 楽天は2023年末、屋内でもつながりやすいとされる周波数帯「プラチナバンド」の700MHz(メガヘルツ)帯の割り当てを総務省から受けた。2024年5月をメドに利用を始める予定だという。) 割り当てを受ける際に総務省へ提出した資料では、プラチナバンド整備に伴う追加の設備投資額を10年間で500億円強と試算。整備期間の後半にその比重が大きくなるとしている。 ただ、楽天にとってプラチナバンドの獲得は初めてのこと。競合からは「500億円の投資でできるとはさすがに思わない」(ソフトバンクの宮川潤一社長)といぶかしむ声も上がっていた。仮に設備投資の見通しに再び狂いが生じれば、財務面では手痛い打撃となる。 とくに懸念されるのが、社債・劣後債の償還への影響である。今後2年で償還を控えた社債・劣後債の規模は約7000億円に上り、これが第3の指標だ』、「プラチナバンド整備に伴う追加の設備投資額を10年間で500億円強と試算。整備期間の後半にその比重が大きくなるとしている・・・競合からは「500億円の投資でできるとはさすがに思わない」・・・といぶかしむ声も」、「設備投資額」はもっと多くなりそうだ。
・『今後2年で償還時期を迎える楽天グループ債 モバイル事業への投資原資を確保するため社債の発行を続けてきた楽天では、その償還が2024年から2025年にかけてピークを迎える。楽天本体の総額では、2024年に2200億円強、2025年は4800億円弱に達する見通しだ(編集部注・ドル建て債は1ドル150円で計算)。 2月6日には約2700億円のドル建て社債(利率11%)を発行するなど、資金の調達に邁進している。会社側は「2024年のリファイナンス(負債の借り換え)リスクは解消した」と強調する』、「リファイナンス・・・リスクは解消」、というのは言い過ぎで、やはり「リスク」は残っていると考えるべきだ。
・『リファイナンスは可能だと確信 2025年に満期を迎える償還分についても、国内の個人向け債券(リテール債)の新規発行による借り換えや、楽天証券を傘下に抱える楽天証券ホールディングスの株式上場といった資本性資金の調達で乗り切る方針だ。 楽天によれば、2022年と2023年にそれぞれ国内向けで1500億円(利率0.72%)、2500億円(同3.3%)ずつ発行したリテール債は好評を博し、たちまち完売したという。「日本のリテール債市場は厚みがあり、当社の認知度も高いことから、リファイナンスは可能であると確信」(楽天)しているようだ。ただ、S&Pグローバル・レーティングなどの格付け会社はここ1~2年の間で楽天の格付けを相次ぎ引き下げている。 資本性資金の調達にも不透明感が漂う。楽天証券HDは2023年7月に東京証券取引所へ株式上場を申請していたが、同年11月にみずほ証券が楽天証券に追加出資を決定したことを踏まえていったん申請を取り下げていた。現時点で上場のメドは立っていない。 今なおリスク要素を複数抱える楽天だが、1年前と比べれば、浮上に向けた道筋が見えてきたことも確か。3つの指標の進捗を追うことで、同社が今後たどるシナリオの解像度を高められるだろう』、「今なおリスク要素を複数抱える楽天だが、1年前と比べれば、浮上に向けた道筋が見えてきたことも確か」、今後の「楽天」を注視したい。
次に、4月2日付け東洋経済オンライン「底を脱した楽天、株主たちが語った「安堵と不満」 株主総会での注目点はモバイルから財務戦略に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/745100
・『東京郊外の多摩川沿いに位置し、「都会と自然が調和する街」として知られる世田谷の二子玉川。曇天となった3月28日の朝、都内を代表するセレブタウンは、駅前にプラカードを手にした大勢の楽天グループ関係者が立ち並び、いつもと異なる雰囲気が漂っていた。 改札から出た人々の多くがプラカードに目をやりながら、近くにそびえ立つ高層ビルへと列をなすように吸い込まれていく。 楽天は同日午前10時から、この地に構える本社「楽天クリムゾンハウス」で27回目の定時株主総会を開いた。会場は昨年までの「グランドプリンスホテル新高輪」(東京都港区)から一変し、初の本社開催となった』、「定時株主総会を」、「これまでのホテルから」、「初の本社開催となった」、なるほど。
・『株価は年初から約4割上昇 「500円くらいのときに底値だと思って買ったら上がってきたので、結果的にラッキーだった。結局モバイルが赤字なだけで、他は好調だ」。総会開始前、約1年前に楽天株を購入したという50代の株主の男性は取材にそう話した。 楽天が2月に発表した2023年12月期決算は、売上高が前期比7.8%増の2兆0713億円、営業損益が2128億円の赤字(前期は3716億円の赤字)だった。営業赤字は4期連続となったが、懸案のモバイル事業がコスト削減や基地局整備の一巡などで改善し、前年より赤字幅は大幅に縮小した(詳細はこちら)。 23年ぶりの無配を決めた一方、モバイルの契約数が順調に増えたことや、注目されていた財務面で「2024年のリファイナンス(負債の借り換え)リスクは解消した」と説明したこともあり、その後の株価は急騰。足元では800円台後半と、年初から約4割上昇している。 コロナ後では最多となる465人の株主が来場したという、今回の株主総会。三木谷浩史会長兼社長は何を語ったのか。ここからは、出席株主への取材などを基に、総会の様子を紹介していこう。) この日、議長を務めた三木谷氏は、楽天モバイルの代名詞である「ショッキングピンク」を連想させる明るい色のネクタイに、スーツ姿で登場した。総会では、前期の事業実績をビデオで報告後、株主からの関心がとくに高い「財務戦略」「モバイル」「AI(人工知能)」の3つのテーマが個別に説明されたという』、「モバイルの契約数が順調に増えたことや、注目されていた財務面で「2024年のリファイナンス(負債の借り換え)リスクは解消した」と説明したこともあり、その後の株価は急騰。足元では800円台後半と、年初から約4割上昇している」、なるほど。
・『楽天グループの株主総会当日の様子 総会当日、本社周辺の様子。コロナ後では最多となる465人の株主が来場したという(記者撮影) 3つのテーマのうち、最も長い時間が割かれたのがモバイル事業だった。三木谷氏は、モバイルが巨額の投資一巡後は利益率が大きく上昇する「固定費型ビジネス」であることや、ECや金融といった他事業とのシナジー効果が期待できることなどを説明した。 そのうえで、「損益分岐点を超えるのが今年の目標だ。それを達成した暁には、最終的にナンバーワンモバイルキャリアへの道、そこから派生するソフトウェア技術による世界への進出を行っていきたい」と、強気の姿勢を崩さなかった。 楽天モバイルは2月以降、家族や学生向けの新料金プログラムを相次いで投入している。三木谷氏は「3月の申し込みが大変順調だ」と述べ、足元の契約数を「650万」と明らかにしたという。過去最多を更新した昨年末(596万、MVNO・BCPを除く)から、約50万件増えた計算となる。今後も楽天経済圏の利用者や取引先の法人を中心に契約拡大を目指す考えを示した』、「三木谷氏」は当時から強気だったようだ。
・『財務戦略については“強気”の説明 その後の質疑応答では約30分かけ、株主からの質問に答えた。過去数年、恒例にもなっていたモバイル関連の問いはなく、株主の注目は今後の財務戦略に移ったようだった』、。
・『今後2年で償還期限を迎える楽天グループ債 楽天は2024年の社債償還のメドがたったとする一方で、2025年にも約4800億円の償還を控えている。総会に約20年出席しているという株主からは、「金利負担が確実に増えていく中で、社債償還や借入金返済に向けたロードマップの詳細を説明してほしい」という質問があった。 この質問には財務担当役員ではなく、三木谷氏自ら、「金利はコントロールできないが、市場の楽天モバイルに関する信頼レベルが上がり、株価も回復基調だ。これに応じて、債券市場も信頼を戻している」と説明した。 三木谷氏は、楽天モバイルへの大型投資が一服したことに加え、キャッシュフローの改善や運転資金の効率化を理由に、「現在の社債や銀行借り入れの返済はまったく問題なく行える」と断言。「返済計画や将来的な無借金経営への布石は、しっかりした中期的プランを作ってある」とまで言い切ったという。) 一方、楽天が今回無配を決めたことに不満の声も上がった。今期以降の配当の見通しを問われた三木谷氏は、「財務強化を行い、株価を上げていくことが、株主の皆様にとって1番だ」と述べるにとどめ、具体的なコメントは避けた。 10人の株主からの質疑応答を終えた後、総会は大きな波乱もなく、1時間24分で幕を閉じた。 総会では、提案された3つの議案がすべて承認された。今後の資金調達に向け、議決権や普通株式への転換権のない「社債型種類株式」を新たに発行するために定款を変更し、取締役と監査役の選任も決まった。 他方で総会後に開示された臨時報告書によると、三木谷氏の取締役再任への賛成率は82.16%と、昨年(89.50%)より7ポイント余り低下した。楽天は昨年5月に公募増資と第三者割当増資で3000億円規模の資金調達を実施している。翌月に開示された変更報告書では、直前まで34.21%だった三木谷氏による楽天の実質的な株式保有率が28.01%まで低下しており、今回の結果にも影響したとみられる』、「楽天モバイルへの大型投資が一服したことに加え、キャッシュフローの改善や運転資金の効率化を理由に、「現在の社債や銀行借り入れの返済はまったく問題なく行える」と断言。「返済計画や将来的な無借金経営への布石は、しっかりした中期的プランを作ってある」とまで言い切ったという」、なるほど。
・『株主が吐露した会社説明に対する不安 会社側の説明に対し、株主たちはどんな印象を持ったのか。総会終了後、50代の株主は、「モバイルは質問もなく、厳しい声はなくなりつつある。業績が改善したことで安心感が出てきている」と語った。 ただ、先行きへの不安が払拭されたわけではないという。「キャッシュフローについて質疑や説明があったが、中長期的に本当に大丈夫なのか、確信を持てない内容だった。社債償還も2025年については、説明がフワっとしていて、見えてこなかった」(同株主)。 同じく財務戦略に最も関心があったという60代の株主は、「2025年の社債償還も全然問題ないとまで言い切って、全体的に自信がみなぎっていて非常にびっくりした」と振り返る一方、「そうした姿勢とは裏腹に配当は苦しそうだし、総会の会場を本社に移したのも、経費削減ということだと思う。そういうところに、何となく財務の不安定さを感じる」とも漏らした。 山梨県から訪れたという70代の株主は「配当がゼロなら来年までに株価を1000円くらいまで上げてほしい。三木谷氏のビジョンはわかったので成果を見せてほしい」とまくしたてた。) 株主らの前で、三木谷氏が言及した財務戦略の「中期的なプラン」。その一端は、総会の直後に明らかになった。 楽天は4月1日、金融事業の大規模な再編に向けた協議を始めたと公表した。今年10月を目標に、銀行、証券、クレジットカードなどの金融子会社を1つのグループへと集約することを想定しており、経営の効率化や連携の強化を進める。 業績堅調な金融事業を一体運営することで収益力をより一層高め、財務基盤の改善につなげる狙いもあるとみられる』、「60代の株主は、「2025年の社債償還も全然問題ないとまで言い切って、全体的に自信がみなぎっていて非常にびっくりした」と振り返る一方、「そうした姿勢とは裏腹に配当は苦しそうだし、総会の会場を本社に移したのも、経費削減ということだと思う。そういうところに、何となく財務の不安定さを感じる」とも漏らした」、なるほど。
・『挑戦する姿勢に応援の声も 「国内で頑張る会社だから応援しているし、無配でももう少し我慢する。アマゾンなど海外企業にやられると税金が日本に落ちなくなる」。総会に参加した株主からは、国内のIT企業として新事業に挑戦する姿勢に対し、純粋に期待する声も聞かれた。 「将来的な大きな成長について、大変大きな自信とそれを実現する覚悟がある」と胸を張ったという三木谷氏に対し、期待と不満が入り混じる様子を見せた株主たち。長かった暗闇の先に一筋の光が見え始めた楽天は、本当にトンネルから抜け出すことができるのか。その確信度合いをめぐる両者の隔たりに、煮え切らなさも感じさせられる総会だった』、「「将来的な大きな成長について、大変大きな自信とそれを実現する覚悟がある」と胸を張ったという三木谷氏に対し、期待と不満が入り混じる様子を見せた株主たち。長かった暗闇の先に一筋の光が見え始めた楽天は、本当にトンネルから抜け出すことができるのか。その確信度合いをめぐる両者の隔たりに、煮え切らなさも感じさせられる総会だった」、なるほど。
第三に、7月8日付け日経ビジネスオンライン「[新連載]楽天、泥沼の5期連続赤字に見えた光明 総力戦で開く血路」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00655/070400001/
・『「契約者数1000万人に向けた最重要戦略が、つながりやすさだ」 6月27日、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長はつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」の商用サービス開始を宣言し、満面の笑みを浮かべた。 三木谷氏が意気込むのも無理はない。今の楽天Gは業績だけを見れば危機的状況。その原因こそ、楽天モバイルだったからだ。 楽天Gの2023年12月期における連結決算(国際会計基準)は最終損益が3394億円の赤字。最終赤字は5期連続で、直近の24年1~3月期も423億円の最終赤字だ』、土俵際まで追い詰められた「楽天」にとって、救いの神が「「プラチナバンド」の商用サービス開始」だ。
・『グループの売り上げは2兆円を突破 +2023年12月期の連結決算(国際会計基準) 莫大な設備投資を要するモバイル事業に参入した以上、初期に赤字がかさむのは当然のことではある。とはいえモバイルの収益が想定より伸び悩み、黒字化の目標時期は年単位で先送りになっている。 「楽天は本当にダメかもしれない」。あるアナリストは23年春、冷や汗をかいていた。巨額の赤字を計上しながら、数千億円単位の社債を毎年のように償還していく必要に迫られるという、極めて苦しい状況に楽天Gは直面してきた』、「莫大な設備投資を要するモバイル事業に参入した以上、初期に赤字がかさむのは当然のことではある。とはいえモバイルの収益が想定より伸び悩み、黒字化の目標時期は年単位で先送りになっている。 「楽天は本当にダメかもしれない」。あるアナリストは23年春、冷や汗をかいていた」、なるほど。
・■本連載のラインアップ(予定) ・楽天、泥沼の5期連続赤字に見えた光明 総力戦で開く血路(今回) ・楽天流、3つの財務危機回避術 調達・ポイント・資金環流 ・楽天に迫る延命治療の副作用 迫る2027年の崖 ・楽天モバイル、総力戦で700万契約 実名勧誘社員のお手本は三木谷氏 ・楽天に救いの手差し伸べたKDDIの深慮遠謀 モバイルに待つ3つの未来 ・楽天の金融部門、潜在価値「5兆円」 挑戦と成長のカギに ・「楽天の全てに絡みたい」 みずほ、連携深める三木谷・木原ライン ・楽天OBに聞く、異業種でも生きる楽天流 「知的体育会系」で果たす目標 ・楽天流の暗部 止められなかった幹部の不正、肝いり事業も撤退へ ・「破壊的実業家」三木谷氏の軌跡 楽天が最終決戦でつかみ取る果実 しかし24年現在、評価は徐々に変わりつつある。モバイルの回線数はようやく軌道に乗って伸び始め、様々な資金調達手段を駆使することで足元の社債償還にもめどがついた。一部の証券会社は目標株価を上方修正し、投資家たちの注目を集め始めている。 当初計画よりもはるかに多くの資金をモバイル事業につぎ込むことになり、途中で倒れてもおかしくない危機を救ったのは、楽天流の徹底的なKPI(重要業績評価指標)マネジメントだ。 どんな泥臭い手段を使ってでも目標の数字を果たそうとする、三木谷氏のリーダーシップと楽天Gの体育会系的な「必達の文化」が、楽天をぎりぎりのところで踏ん張らせてきた』、「途中で倒れてもおかしくない危機を救ったのは、楽天流の徹底的なKPI(重要業績評価指標)マネジメントだ。 どんな泥臭い手段を使ってでも目標の数字を果たそうとする、三木谷氏のリーダーシップと楽天Gの体育会系的な「必達の文化」が、楽天をぎりぎりのところで踏ん張らせてきた」、なるほど。
・『始まった最終決戦 現状を冷静に評価すれば「当面、生き延びるめどがついた」というところだろう。危機が一服した今、経営を一気に立て直せるかが楽天Gの今後を左右する。 お手並み拝見の構えだったNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが、ここにきて楽天モバイルを「本物のライバル」と見なし始めた。価格競争力のある楽天モバイルに対抗して、料金プランの見直しを始めている』、「お手並み拝見の構えだったNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが、ここにきて楽天モバイルを「本物のライバル」と見なし始めた」、ライバルたちの動きは、何よりの心強い証拠だ。
・『エコシステムでは圧倒的1位 ●通信各社のエコシステムの規模 注:2023年度実績値 出所:シティグループ証券 グループ全体の収益を支えてきた金融事業に対しては、PayPayやSBIホールディングス、三井住友フィナンシャルグループなどが攻勢を強めている。 電子商取引(EC)で競合するアマゾンジャパンは今年に入って、NTTドコモやリクルートとポイントで協業を始めた』、。
・『Eコマースもアマゾンに食らいつく ●日本のEコマース流通総額の推移 注:2023年は推計値 出所:シティグループ証券 楽天モバイルは本当に稼げるようになるのか。巨額の社債は返せるのか。堅調なECと金融の盤石さは保てるのか。これらの問いに、楽天Gは答えていかねばならない。 直近ではモバイル投資を極端に抑制しつつ、社債を新規発行した資金で既発債を早期償還するなどして、楽天Gは財務リスクをコントロールしている。設備投資再開を余儀なくされ、再び社債償還期限が相次いで訪れるのは27年以降。勝負の結果が明らかになるのはそのタイミングだろう。 「モバイルに注ぎ込んだ資金を考えれば、単純撤退という選択肢は失われている」(アナリスト)。グループ経営は、モバイルと一蓮托生(いちれんたくしょう)の状況だ。楽天が直面する最終決戦の行方は、日本の金融分野やモバイル分野の形にも大きな影響を与えることになる。 巨額債務の返済を迫られる楽天は、いかにして財務危機を乗り越えようとしているのか。次回、その詳細に迫る。 この記事はシリーズ「楽天 最終決戦で開く血路」に収容されています。フォローすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます』、「 巨額債務の返済を迫られる楽天は、いかにして財務危機を乗り越えようとしているのか。次回、その詳細に迫る」、今後も興味深いものがあれば、適宜、紹介してゆきたい。
先ずは、本年2月21日付け東洋経済オンライン「ついにトンネル抜けた?楽天の未来占う3つの焦点 連続赤字でも株価急騰、モバイルは黒字間近か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/735773
・『トンネルを抜ける日は、いよいよ近いのか。 2月14日に発表された楽天グループの2023年12月期決算は、売上高が前期比7.8%増の2兆0713億円、営業損益が2128億円の赤字(前期は3716億円の赤字)だった。 営業赤字が大幅に縮まったのは、モバイル事業の採算改善が主因だ。セグメント単体では3375億円の赤字と、前期から1400億円余り縮小している。売上高の増加に加え、コスト削減や基地局整備の一巡が大きく貢献した。 楽天市場を中心としたインターネットサービス、楽天カードなどのフィンテックのセグメントでも、取扱高が順調に拡大したことなどから増益を達成している』、最悪期は脱しつつあるようだ。
・『5期連続赤字、無配でも株価は急騰 5期連続赤字を受け、配当は過去20年で初めての無配としたものの、楽天グループの株価は749円(2月20日終値)と、2月14日比で19%高にまで急騰。「サプライズはなかったが、(懸案だったモバイル事業の)進捗に安心感がある」(アナリスト)と、ポジティブな受け止めが目立った。 楽天は2024年12月期の業績予想を公表していない。ただし、モバイル事業については2024年12月までにEBITDA(利払い前、税引き前、減価償却前利益)ベースで単月黒字化を目指すとし、2025年12月期には通期黒字化を計画している。 モバイル事業への本格参入以来、長らく続いていた低迷期を抜け出し、ついに浮上のときを迎えるのか。楽天の未来を占ううえでは、3つの指標が重要になってくる。) 第1に、モバイルの契約数だ。2023年12月末の契約数(MVNO・BCPを除く)は596万と、10~12月の3カ月で84万回線増えた。 四半期ごとの増え幅としては、300万人まで月額使用料を1年間に限って無料とするキャンペーンなどでユーザーを急拡大させていた2021年1~3月期(純増数は123万)に次ぐ水準となった』、「モバイルの契約数」は順調なようだ。
・『(楽天モバイルの契約数と顧客単価推移の図はリンク先参照) 楽天は、2024年中に契約数を800万から1000万まで押し上げることを目標に掲げる。ユーザー1人当たりの平均単価を2500円~3000円と仮定した場合、この契約数がモバイル事業を黒字化できる水準とみているからだ。 直近四半期の増加ペースを2024年末まで維持できれば、単純計算で契約数は932万に達し、黒字化の下限として示した800万を大きく上回ることになる』、「直近四半期の増加ペースを2024年末まで維持できれば、単純計算で契約数は932万に達し、黒字化の下限として示した800万を大きく上回ることになる」、なるほど。
・『足元の伸びは法人向けが牽引 ただ、目標達成に向けては課題もある。個人ユーザーの開拓だ。 足元の契約数の伸びを牽引しているのは、楽天が2023年1月からサービス提供を始めた法人向けが中心とみられる。実際、決算資料では「B2Bは(中略)年末にかけてパイプラインの獲得が大幅に進み、第4四半期の契約回線数が顕著に増加」と記されている。 料金の割安感を訴求し、従来取引のある約90万社の顧客基盤を中心に新規獲得を続けているもようだが、楽天の取引先は従業員数の少ない中小企業が大半を占める。競合キャリアが先行して長らくサービスを提供している領域でもあり、この1年の勢いを持続したまま乗り換えを促す難易度は高いだろう。 さらに言えば、業務用の法人向け携帯の契約数は、国内市場全体の1~2割程度とされる。法人頼みのままでは、早晩伸びが鈍化しかねない。 昨年末に法人向けの契約が急増したことで、ユーザーの単価にも影響が出ている。2023年9~12月期の平均単価は1986円と、前の四半期比で3%低下した。個人向けより単価が低い傾向にある法人向けの比率が高まったことが響いたようだ。 先述の通り、契約数800万~1000万での黒字化の前提条件として、会社側はユーザー単価を2500~3000円と設定している。現状比で2割以上引き上げる必要がある。) こうした背景から、楽天は個人向けの開拓に向けた施策を相次いで打ち出してきた。 2月1日から、モバイルユーザーが別の人を紹介した場合、楽天ポイントを1人につき7000ポイント還元するなどのキャンペーン施策を開始。2月21日からは家族で契約した場合、ユーザー1人当たり100円割引を受けられる家族割プランの提供を始める。 楽天の三木谷浩史会長兼社長は2月14日の決算会見で、「(単価を引き上げるために)追加の施策が必要だ。とくに(楽天モバイルユーザー向けのアプリ内に掲載する)広告収入が増えていくだろう」と展望を語った。 データトラフィックが多く、高単価な個人向けを拡大できれば、収益力向上にもつながる。今後登場してくる追加施策の具体的中身に注目したい』、「法人向けの契約が急増したことで、ユーザーの単価にも影響が出ている。2023年9~12月期の平均単価は1986円と、前の四半期比で3%低下した。個人向けより単価が低い傾向にある法人向けの比率が高まったことが響いたようだ」、なるほど。
・『モバイルへの設備投資は大幅減を見込む 楽天の未来を占う第2の指標は、赤字の元凶となってきたモバイルへの設備投資の額だ。 2024年12月期の計画は約1000億円と、前期の1776億円から4割減を見込む。年間数千億円を投じてきた2~3年前と比べると、山は越えたといえる。 楽天はモバイル事業の参入当初、約6000億円で全国に4G用の基地局網を整備できると見込んでいた。しかし必要となる基地局数の見通しが甘かったことなどから、結果的に累計の設備投資額は1兆円を超える規模にまで膨らんだ。 こうした過去の経緯を踏まえると、先行きに不安も残る。 楽天は2023年末、屋内でもつながりやすいとされる周波数帯「プラチナバンド」の700MHz(メガヘルツ)帯の割り当てを総務省から受けた。2024年5月をメドに利用を始める予定だという。) 割り当てを受ける際に総務省へ提出した資料では、プラチナバンド整備に伴う追加の設備投資額を10年間で500億円強と試算。整備期間の後半にその比重が大きくなるとしている。 ただ、楽天にとってプラチナバンドの獲得は初めてのこと。競合からは「500億円の投資でできるとはさすがに思わない」(ソフトバンクの宮川潤一社長)といぶかしむ声も上がっていた。仮に設備投資の見通しに再び狂いが生じれば、財務面では手痛い打撃となる。 とくに懸念されるのが、社債・劣後債の償還への影響である。今後2年で償還を控えた社債・劣後債の規模は約7000億円に上り、これが第3の指標だ』、「プラチナバンド整備に伴う追加の設備投資額を10年間で500億円強と試算。整備期間の後半にその比重が大きくなるとしている・・・競合からは「500億円の投資でできるとはさすがに思わない」・・・といぶかしむ声も」、「設備投資額」はもっと多くなりそうだ。
・『今後2年で償還時期を迎える楽天グループ債 モバイル事業への投資原資を確保するため社債の発行を続けてきた楽天では、その償還が2024年から2025年にかけてピークを迎える。楽天本体の総額では、2024年に2200億円強、2025年は4800億円弱に達する見通しだ(編集部注・ドル建て債は1ドル150円で計算)。 2月6日には約2700億円のドル建て社債(利率11%)を発行するなど、資金の調達に邁進している。会社側は「2024年のリファイナンス(負債の借り換え)リスクは解消した」と強調する』、「リファイナンス・・・リスクは解消」、というのは言い過ぎで、やはり「リスク」は残っていると考えるべきだ。
・『リファイナンスは可能だと確信 2025年に満期を迎える償還分についても、国内の個人向け債券(リテール債)の新規発行による借り換えや、楽天証券を傘下に抱える楽天証券ホールディングスの株式上場といった資本性資金の調達で乗り切る方針だ。 楽天によれば、2022年と2023年にそれぞれ国内向けで1500億円(利率0.72%)、2500億円(同3.3%)ずつ発行したリテール債は好評を博し、たちまち完売したという。「日本のリテール債市場は厚みがあり、当社の認知度も高いことから、リファイナンスは可能であると確信」(楽天)しているようだ。ただ、S&Pグローバル・レーティングなどの格付け会社はここ1~2年の間で楽天の格付けを相次ぎ引き下げている。 資本性資金の調達にも不透明感が漂う。楽天証券HDは2023年7月に東京証券取引所へ株式上場を申請していたが、同年11月にみずほ証券が楽天証券に追加出資を決定したことを踏まえていったん申請を取り下げていた。現時点で上場のメドは立っていない。 今なおリスク要素を複数抱える楽天だが、1年前と比べれば、浮上に向けた道筋が見えてきたことも確か。3つの指標の進捗を追うことで、同社が今後たどるシナリオの解像度を高められるだろう』、「今なおリスク要素を複数抱える楽天だが、1年前と比べれば、浮上に向けた道筋が見えてきたことも確か」、今後の「楽天」を注視したい。
次に、4月2日付け東洋経済オンライン「底を脱した楽天、株主たちが語った「安堵と不満」 株主総会での注目点はモバイルから財務戦略に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/745100
・『東京郊外の多摩川沿いに位置し、「都会と自然が調和する街」として知られる世田谷の二子玉川。曇天となった3月28日の朝、都内を代表するセレブタウンは、駅前にプラカードを手にした大勢の楽天グループ関係者が立ち並び、いつもと異なる雰囲気が漂っていた。 改札から出た人々の多くがプラカードに目をやりながら、近くにそびえ立つ高層ビルへと列をなすように吸い込まれていく。 楽天は同日午前10時から、この地に構える本社「楽天クリムゾンハウス」で27回目の定時株主総会を開いた。会場は昨年までの「グランドプリンスホテル新高輪」(東京都港区)から一変し、初の本社開催となった』、「定時株主総会を」、「これまでのホテルから」、「初の本社開催となった」、なるほど。
・『株価は年初から約4割上昇 「500円くらいのときに底値だと思って買ったら上がってきたので、結果的にラッキーだった。結局モバイルが赤字なだけで、他は好調だ」。総会開始前、約1年前に楽天株を購入したという50代の株主の男性は取材にそう話した。 楽天が2月に発表した2023年12月期決算は、売上高が前期比7.8%増の2兆0713億円、営業損益が2128億円の赤字(前期は3716億円の赤字)だった。営業赤字は4期連続となったが、懸案のモバイル事業がコスト削減や基地局整備の一巡などで改善し、前年より赤字幅は大幅に縮小した(詳細はこちら)。 23年ぶりの無配を決めた一方、モバイルの契約数が順調に増えたことや、注目されていた財務面で「2024年のリファイナンス(負債の借り換え)リスクは解消した」と説明したこともあり、その後の株価は急騰。足元では800円台後半と、年初から約4割上昇している。 コロナ後では最多となる465人の株主が来場したという、今回の株主総会。三木谷浩史会長兼社長は何を語ったのか。ここからは、出席株主への取材などを基に、総会の様子を紹介していこう。) この日、議長を務めた三木谷氏は、楽天モバイルの代名詞である「ショッキングピンク」を連想させる明るい色のネクタイに、スーツ姿で登場した。総会では、前期の事業実績をビデオで報告後、株主からの関心がとくに高い「財務戦略」「モバイル」「AI(人工知能)」の3つのテーマが個別に説明されたという』、「モバイルの契約数が順調に増えたことや、注目されていた財務面で「2024年のリファイナンス(負債の借り換え)リスクは解消した」と説明したこともあり、その後の株価は急騰。足元では800円台後半と、年初から約4割上昇している」、なるほど。
・『楽天グループの株主総会当日の様子 総会当日、本社周辺の様子。コロナ後では最多となる465人の株主が来場したという(記者撮影) 3つのテーマのうち、最も長い時間が割かれたのがモバイル事業だった。三木谷氏は、モバイルが巨額の投資一巡後は利益率が大きく上昇する「固定費型ビジネス」であることや、ECや金融といった他事業とのシナジー効果が期待できることなどを説明した。 そのうえで、「損益分岐点を超えるのが今年の目標だ。それを達成した暁には、最終的にナンバーワンモバイルキャリアへの道、そこから派生するソフトウェア技術による世界への進出を行っていきたい」と、強気の姿勢を崩さなかった。 楽天モバイルは2月以降、家族や学生向けの新料金プログラムを相次いで投入している。三木谷氏は「3月の申し込みが大変順調だ」と述べ、足元の契約数を「650万」と明らかにしたという。過去最多を更新した昨年末(596万、MVNO・BCPを除く)から、約50万件増えた計算となる。今後も楽天経済圏の利用者や取引先の法人を中心に契約拡大を目指す考えを示した』、「三木谷氏」は当時から強気だったようだ。
・『財務戦略については“強気”の説明 その後の質疑応答では約30分かけ、株主からの質問に答えた。過去数年、恒例にもなっていたモバイル関連の問いはなく、株主の注目は今後の財務戦略に移ったようだった』、。
・『今後2年で償還期限を迎える楽天グループ債 楽天は2024年の社債償還のメドがたったとする一方で、2025年にも約4800億円の償還を控えている。総会に約20年出席しているという株主からは、「金利負担が確実に増えていく中で、社債償還や借入金返済に向けたロードマップの詳細を説明してほしい」という質問があった。 この質問には財務担当役員ではなく、三木谷氏自ら、「金利はコントロールできないが、市場の楽天モバイルに関する信頼レベルが上がり、株価も回復基調だ。これに応じて、債券市場も信頼を戻している」と説明した。 三木谷氏は、楽天モバイルへの大型投資が一服したことに加え、キャッシュフローの改善や運転資金の効率化を理由に、「現在の社債や銀行借り入れの返済はまったく問題なく行える」と断言。「返済計画や将来的な無借金経営への布石は、しっかりした中期的プランを作ってある」とまで言い切ったという。) 一方、楽天が今回無配を決めたことに不満の声も上がった。今期以降の配当の見通しを問われた三木谷氏は、「財務強化を行い、株価を上げていくことが、株主の皆様にとって1番だ」と述べるにとどめ、具体的なコメントは避けた。 10人の株主からの質疑応答を終えた後、総会は大きな波乱もなく、1時間24分で幕を閉じた。 総会では、提案された3つの議案がすべて承認された。今後の資金調達に向け、議決権や普通株式への転換権のない「社債型種類株式」を新たに発行するために定款を変更し、取締役と監査役の選任も決まった。 他方で総会後に開示された臨時報告書によると、三木谷氏の取締役再任への賛成率は82.16%と、昨年(89.50%)より7ポイント余り低下した。楽天は昨年5月に公募増資と第三者割当増資で3000億円規模の資金調達を実施している。翌月に開示された変更報告書では、直前まで34.21%だった三木谷氏による楽天の実質的な株式保有率が28.01%まで低下しており、今回の結果にも影響したとみられる』、「楽天モバイルへの大型投資が一服したことに加え、キャッシュフローの改善や運転資金の効率化を理由に、「現在の社債や銀行借り入れの返済はまったく問題なく行える」と断言。「返済計画や将来的な無借金経営への布石は、しっかりした中期的プランを作ってある」とまで言い切ったという」、なるほど。
・『株主が吐露した会社説明に対する不安 会社側の説明に対し、株主たちはどんな印象を持ったのか。総会終了後、50代の株主は、「モバイルは質問もなく、厳しい声はなくなりつつある。業績が改善したことで安心感が出てきている」と語った。 ただ、先行きへの不安が払拭されたわけではないという。「キャッシュフローについて質疑や説明があったが、中長期的に本当に大丈夫なのか、確信を持てない内容だった。社債償還も2025年については、説明がフワっとしていて、見えてこなかった」(同株主)。 同じく財務戦略に最も関心があったという60代の株主は、「2025年の社債償還も全然問題ないとまで言い切って、全体的に自信がみなぎっていて非常にびっくりした」と振り返る一方、「そうした姿勢とは裏腹に配当は苦しそうだし、総会の会場を本社に移したのも、経費削減ということだと思う。そういうところに、何となく財務の不安定さを感じる」とも漏らした。 山梨県から訪れたという70代の株主は「配当がゼロなら来年までに株価を1000円くらいまで上げてほしい。三木谷氏のビジョンはわかったので成果を見せてほしい」とまくしたてた。) 株主らの前で、三木谷氏が言及した財務戦略の「中期的なプラン」。その一端は、総会の直後に明らかになった。 楽天は4月1日、金融事業の大規模な再編に向けた協議を始めたと公表した。今年10月を目標に、銀行、証券、クレジットカードなどの金融子会社を1つのグループへと集約することを想定しており、経営の効率化や連携の強化を進める。 業績堅調な金融事業を一体運営することで収益力をより一層高め、財務基盤の改善につなげる狙いもあるとみられる』、「60代の株主は、「2025年の社債償還も全然問題ないとまで言い切って、全体的に自信がみなぎっていて非常にびっくりした」と振り返る一方、「そうした姿勢とは裏腹に配当は苦しそうだし、総会の会場を本社に移したのも、経費削減ということだと思う。そういうところに、何となく財務の不安定さを感じる」とも漏らした」、なるほど。
・『挑戦する姿勢に応援の声も 「国内で頑張る会社だから応援しているし、無配でももう少し我慢する。アマゾンなど海外企業にやられると税金が日本に落ちなくなる」。総会に参加した株主からは、国内のIT企業として新事業に挑戦する姿勢に対し、純粋に期待する声も聞かれた。 「将来的な大きな成長について、大変大きな自信とそれを実現する覚悟がある」と胸を張ったという三木谷氏に対し、期待と不満が入り混じる様子を見せた株主たち。長かった暗闇の先に一筋の光が見え始めた楽天は、本当にトンネルから抜け出すことができるのか。その確信度合いをめぐる両者の隔たりに、煮え切らなさも感じさせられる総会だった』、「「将来的な大きな成長について、大変大きな自信とそれを実現する覚悟がある」と胸を張ったという三木谷氏に対し、期待と不満が入り混じる様子を見せた株主たち。長かった暗闇の先に一筋の光が見え始めた楽天は、本当にトンネルから抜け出すことができるのか。その確信度合いをめぐる両者の隔たりに、煮え切らなさも感じさせられる総会だった」、なるほど。
第三に、7月8日付け日経ビジネスオンライン「[新連載]楽天、泥沼の5期連続赤字に見えた光明 総力戦で開く血路」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00655/070400001/
・『「契約者数1000万人に向けた最重要戦略が、つながりやすさだ」 6月27日、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長はつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」の商用サービス開始を宣言し、満面の笑みを浮かべた。 三木谷氏が意気込むのも無理はない。今の楽天Gは業績だけを見れば危機的状況。その原因こそ、楽天モバイルだったからだ。 楽天Gの2023年12月期における連結決算(国際会計基準)は最終損益が3394億円の赤字。最終赤字は5期連続で、直近の24年1~3月期も423億円の最終赤字だ』、土俵際まで追い詰められた「楽天」にとって、救いの神が「「プラチナバンド」の商用サービス開始」だ。
・『グループの売り上げは2兆円を突破 +2023年12月期の連結決算(国際会計基準) 莫大な設備投資を要するモバイル事業に参入した以上、初期に赤字がかさむのは当然のことではある。とはいえモバイルの収益が想定より伸び悩み、黒字化の目標時期は年単位で先送りになっている。 「楽天は本当にダメかもしれない」。あるアナリストは23年春、冷や汗をかいていた。巨額の赤字を計上しながら、数千億円単位の社債を毎年のように償還していく必要に迫られるという、極めて苦しい状況に楽天Gは直面してきた』、「莫大な設備投資を要するモバイル事業に参入した以上、初期に赤字がかさむのは当然のことではある。とはいえモバイルの収益が想定より伸び悩み、黒字化の目標時期は年単位で先送りになっている。 「楽天は本当にダメかもしれない」。あるアナリストは23年春、冷や汗をかいていた」、なるほど。
・■本連載のラインアップ(予定) ・楽天、泥沼の5期連続赤字に見えた光明 総力戦で開く血路(今回) ・楽天流、3つの財務危機回避術 調達・ポイント・資金環流 ・楽天に迫る延命治療の副作用 迫る2027年の崖 ・楽天モバイル、総力戦で700万契約 実名勧誘社員のお手本は三木谷氏 ・楽天に救いの手差し伸べたKDDIの深慮遠謀 モバイルに待つ3つの未来 ・楽天の金融部門、潜在価値「5兆円」 挑戦と成長のカギに ・「楽天の全てに絡みたい」 みずほ、連携深める三木谷・木原ライン ・楽天OBに聞く、異業種でも生きる楽天流 「知的体育会系」で果たす目標 ・楽天流の暗部 止められなかった幹部の不正、肝いり事業も撤退へ ・「破壊的実業家」三木谷氏の軌跡 楽天が最終決戦でつかみ取る果実 しかし24年現在、評価は徐々に変わりつつある。モバイルの回線数はようやく軌道に乗って伸び始め、様々な資金調達手段を駆使することで足元の社債償還にもめどがついた。一部の証券会社は目標株価を上方修正し、投資家たちの注目を集め始めている。 当初計画よりもはるかに多くの資金をモバイル事業につぎ込むことになり、途中で倒れてもおかしくない危機を救ったのは、楽天流の徹底的なKPI(重要業績評価指標)マネジメントだ。 どんな泥臭い手段を使ってでも目標の数字を果たそうとする、三木谷氏のリーダーシップと楽天Gの体育会系的な「必達の文化」が、楽天をぎりぎりのところで踏ん張らせてきた』、「途中で倒れてもおかしくない危機を救ったのは、楽天流の徹底的なKPI(重要業績評価指標)マネジメントだ。 どんな泥臭い手段を使ってでも目標の数字を果たそうとする、三木谷氏のリーダーシップと楽天Gの体育会系的な「必達の文化」が、楽天をぎりぎりのところで踏ん張らせてきた」、なるほど。
・『始まった最終決戦 現状を冷静に評価すれば「当面、生き延びるめどがついた」というところだろう。危機が一服した今、経営を一気に立て直せるかが楽天Gの今後を左右する。 お手並み拝見の構えだったNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが、ここにきて楽天モバイルを「本物のライバル」と見なし始めた。価格競争力のある楽天モバイルに対抗して、料金プランの見直しを始めている』、「お手並み拝見の構えだったNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが、ここにきて楽天モバイルを「本物のライバル」と見なし始めた」、ライバルたちの動きは、何よりの心強い証拠だ。
・『エコシステムでは圧倒的1位 ●通信各社のエコシステムの規模 注:2023年度実績値 出所:シティグループ証券 グループ全体の収益を支えてきた金融事業に対しては、PayPayやSBIホールディングス、三井住友フィナンシャルグループなどが攻勢を強めている。 電子商取引(EC)で競合するアマゾンジャパンは今年に入って、NTTドコモやリクルートとポイントで協業を始めた』、。
・『Eコマースもアマゾンに食らいつく ●日本のEコマース流通総額の推移 注:2023年は推計値 出所:シティグループ証券 楽天モバイルは本当に稼げるようになるのか。巨額の社債は返せるのか。堅調なECと金融の盤石さは保てるのか。これらの問いに、楽天Gは答えていかねばならない。 直近ではモバイル投資を極端に抑制しつつ、社債を新規発行した資金で既発債を早期償還するなどして、楽天Gは財務リスクをコントロールしている。設備投資再開を余儀なくされ、再び社債償還期限が相次いで訪れるのは27年以降。勝負の結果が明らかになるのはそのタイミングだろう。 「モバイルに注ぎ込んだ資金を考えれば、単純撤退という選択肢は失われている」(アナリスト)。グループ経営は、モバイルと一蓮托生(いちれんたくしょう)の状況だ。楽天が直面する最終決戦の行方は、日本の金融分野やモバイル分野の形にも大きな影響を与えることになる。 巨額債務の返済を迫られる楽天は、いかにして財務危機を乗り越えようとしているのか。次回、その詳細に迫る。 この記事はシリーズ「楽天 最終決戦で開く血路」に収容されています。フォローすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます』、「 巨額債務の返済を迫られる楽天は、いかにして財務危機を乗り越えようとしているのか。次回、その詳細に迫る」、今後も興味深いものがあれば、適宜、紹介してゆきたい。
タグ:「 巨額債務の返済を迫られる楽天は、いかにして財務危機を乗り越えようとしているのか。次回、その詳細に迫る」、今後も興味深いものがあれば、適宜、紹介してゆきたい。 「お手並み拝見の構えだったNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが、ここにきて楽天モバイルを「本物のライバル」と見なし始めた」、ライバルたちの動きは、何よりの心強い証拠だ。 「途中で倒れてもおかしくない危機を救ったのは、楽天流の徹底的なKPI(重要業績評価指標)マネジメントだ。 どんな泥臭い手段を使ってでも目標の数字を果たそうとする、三木谷氏のリーダーシップと楽天Gの体育会系的な「必達の文化」が、楽天をぎりぎりのところで踏ん張らせてきた」、なるほど。 本連載のラインアップ(予定) 「莫大な設備投資を要するモバイル事業に参入した以上、初期に赤字がかさむのは当然のことではある。とはいえモバイルの収益が想定より伸び悩み、黒字化の目標時期は年単位で先送りになっている。 「楽天は本当にダメかもしれない」。あるアナリストは23年春、冷や汗をかいていた」、なるほど。 土俵際まで追い詰められた「楽天」にとって、救いの神が「「プラチナバンド」の商用サービス開始」だ。 日経ビジネスオンライン「[新連載]楽天、泥沼の5期連続赤字に見えた光明 総力戦で開く血路」 「「将来的な大きな成長について、大変大きな自信とそれを実現する覚悟がある」と胸を張ったという三木谷氏に対し、期待と不満が入り混じる様子を見せた株主たち。長かった暗闇の先に一筋の光が見え始めた楽天は、本当にトンネルから抜け出すことができるのか。その確信度合いをめぐる両者の隔たりに、煮え切らなさも感じさせられる総会だった」、なるほど。 「60代の株主は、「2025年の社債償還も全然問題ないとまで言い切って、全体的に自信がみなぎっていて非常にびっくりした」と振り返る一方、「そうした姿勢とは裏腹に配当は苦しそうだし、総会の会場を本社に移したのも、経費削減ということだと思う。そういうところに、何となく財務の不安定さを感じる」とも漏らした」、なるほど。 「楽天モバイルへの大型投資が一服したことに加え、キャッシュフローの改善や運転資金の効率化を理由に、「現在の社債や銀行借り入れの返済はまったく問題なく行える」と断言。「返済計画や将来的な無借金経営への布石は、しっかりした中期的プランを作ってある」とまで言い切ったという」、なるほど。 「三木谷氏」は当時から強気だったようだ。 「モバイルの契約数が順調に増えたことや、注目されていた財務面で「2024年のリファイナンス(負債の借り換え)リスクは解消した」と説明したこともあり、その後の株価は急騰。足元では800円台後半と、年初から約4割上昇している」、なるほど。 「定時株主総会を」、「これまでのホテルから」、「初の本社開催となった」、なるほど。 け東洋経済オンライン「底を脱した楽天、株主たちが語った「安堵と不満」 株主総会での注目点はモバイルから財務戦略に」 「今なおリスク要素を複数抱える楽天だが、1年前と比べれば、浮上に向けた道筋が見えてきたことも確か」、今後の「楽天」を注視したい。 「リファイナンス・・・リスクは解消」、というのは言い過ぎで、やはり「リスク」は残っていると考えるべきだ。 「プラチナバンド整備に伴う追加の設備投資額を10年間で500億円強と試算。整備期間の後半にその比重が大きくなるとしている・・・競合からは「500億円の投資でできるとはさすがに思わない」・・・といぶかしむ声も」、「設備投資額」はもっと多くなりそうだ。 「法人向けの契約が急増したことで、ユーザーの単価にも影響が出ている。2023年9~12月期の平均単価は1986円と、前の四半期比で3%低下した。個人向けより単価が低い傾向にある法人向けの比率が高まったことが響いたようだ」、なるほど。 「直近四半期の増加ペースを2024年末まで維持できれば、単純計算で契約数は932万に達し、黒字化の下限として示した800万を大きく上回ることになる」、なるほど。 「モバイルの契約数」は順調なようだ。 最悪期は脱しつつあるようだ。 (その13)(ついにトンネル抜けた?楽天の未来占う3つの焦点 連続赤字でも株価急騰 モバイルは黒字間近か、底を脱した楽天、株主たちが語った「安堵と不満」 株主総会での注目点はモバイルから財務戦略に、[新連載]楽天 泥沼の5期連続赤字に見えた光明 総力戦で開く血路) 携帯・スマホ 東洋経済オンライン「ついにトンネル抜けた?楽天の未来占う3つの焦点 連続赤字でも株価急騰、モバイルは黒字間近か」