ホテル(その8)(桜の季節を襲う「ホテル価格高騰」、3つの裏事情 東京や京都は1年で5割上昇、「値上げの弊害」も、アパホテル 「客室数日本一」を支える"経営哲学" 「Much Better」ではなく「Even Better」の強さ) [産業動向]
ホテルについては、本年3月14日に取上げた。今日は、(その8)(桜の季節を襲う「ホテル価格高騰」、3つの裏事情 東京や京都は1年で5割上昇、「値上げの弊害」も、アパホテル 「客室数日本一」を支える"経営哲学" 「Much Better」ではなく「Even Better」の強さ)である。
先ずは、3月24日付け東洋経済オンライン「桜の季節を襲う「ホテル価格高騰」、3つの裏事情 東京や京都は1年で5割上昇、「値上げの弊害」も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/742727?display=b
・『東京でも桜が開花しはじめるなど、春の行楽シーズンがやってきた。 子どもの春休みなどが重なるこの時期は、日本人観光客が国内旅行に出かけるほか、多くの外国人観光客も日本を訪れ、観光地は賑わいを見せる。 一方、ホテルの客室単価が近年急激に上昇しており、旅行需要に水を差す可能性が出てきた。 ホテルにとっても桜の観光シーズンは、夏休みなどに並ぶ「稼ぎ時」だ。2023年にはパレスホテル東京(千代田区)の3?4月の平均客室単価が10万円を超えた。284室を有する大型日系ホテルとしては異例の価格だ』。「パレスホテル東京(千代田区)の3?4月の平均客室単価が10万円を超えた」、それほどエポックメ-キングなことなのだろうか。
・『ドーミーインはコロナ前より約35%上昇 「東京や京都などの平均客室単価は去年の同時期と比べて5割程度上昇している」。全国展開するビジネスホテル大手の関係者は3~4月の見通しをそう語る。インバウンド客が殺到している観光地のホテルは、2024年も価格が高騰することになりそうだ。 ホテル価格の高騰が顕著になったのはコロナ禍が明けてからだ。例えば、共立メンテナンスが運営をしているドーミーインの2023年10~12月の平均客室単価は1万4400円と2019年同時期と比べると約35%上昇している。 単価が高騰しているのはビジネスホテルだけではない。大手ホテル予約サイトを見ると、オークラ東京(港区)は約11万8000円(4月8日から1泊の素泊まり料金、48平米)、パーク ハイアット 東京は約19万8000円(同、55平米)とラグジュアリーホテルも強気の価格設定をしていることがわかる。) ホテルの価格が上がり続ける背景には3つの事情がある。 1つ目がインバウンド観光客の急増だ。水際対策が緩和された2022年10月以降、インバウンド客回復のペースが加速した。 日本政府観光局が発表している「訪日外客統計」によれば、2023年10月に訪日外国人が251万人とコロナ前(249万人)を超えて以降、足元ではコロナ前を超える水準が続いている。 ホテルは自社の客室稼働率や競合の価格などを分析して客室単価を決めている。インバウンド客が増えたことで、東京や大阪など都市部の稼働率が上昇した』、「ホテル価格の高騰が顕著になったのはコロナ禍が明けてからだ。例えば、共立メンテナンスが運営をしているドーミーインの2023年10~12月の平均客室単価は1万4400円と2019年同時期と比べると約35%上昇している・・・ホテルの価格が上がり続ける背景には3つの事情がある。 1つ目がインバウンド観光客の急増だ。水際対策が緩和された2022年10月以降、インバウンド客回復のペースが加速」、なるほど。
・『「稼働率」よりも「客室単価」を重視した販売戦略に 2つ目がコストアップの転嫁である。ホテルはフロントや調理など多くのスタッフを必要とする。 コロナ禍で多くのホテルは経営を維持するために人員削減を行ったが、宿泊客が一気に戻ったことで人手不足が深刻となっている。そのためホテルは新卒社員の初任給増額など待遇改善を進めている。 そのほかにも水道光熱費の上昇や客室清掃やリネン会社など委託先への支払い料金の増加などもある。客室の販売価格にこうしたコスト増加分が転嫁されている。 3つ目がホテル会社の経営戦略の変化である。コロナ前までは、客室をどれだけ埋めるかという「稼働率」を重視してきたが、コロナ禍を経て「客室単価」を重視した販売戦略をとるようになった。 ホテルニューオータニの清水肇総支配人も1月に行った東洋経済のインタビューで「無理をして客室を埋めるよりも、売れる日に単価を上げれば収益性は高くなる。(コロナ禍を経て)売り方が変わってきたと思う」と述べている。 同じ売上高だとすれば、「稼働率が高い」よりも「客室単価が高い」ほうがホテルが獲得する利益が多くなる。ホテルでは、一般的に客室1室を販売するごとに客室清掃費用、アメニティ代などが発生する。だが客室単価が上がればこうしたコストは抑制できる。) インバウンドの増加やコストアップという外部環境の要因はすぐに収まりそうにない。ホテル各社はコロナ禍で行った借入金の返済があるため、しばらくは利益重視の販売を続けることになりそうだ。つまり当面の間、ホテルの価格高騰は止まらないという訳だ。 こうした追い風を受けホテル各社の業績も絶好調だ。ホテル椿山荘東京を運営する藤田観光は2023年の業績は売上高645億円(前年同期比47.5%増)、営業利益66億円(前年度は40億円の赤字)と営業利益は2019年の2.8億円を大きく上回った。そのほかの企業も業績の急回復を予想している。 一方で、値上げによる弊害も徐々に現れ始めている。観光庁が発表をしている宿泊旅行統計調査によれば、2023年10~12月の日本人の延べ宿泊者数(宿泊人数×宿泊数)は、2022年の同期間を下回った。 延べ宿泊者数が前年同期を下回るのは、コロナ禍以降では、GoToトラベルキャンペーンの反動減があった2021年11月以来のことである。「ホテルの客室価格が上昇したため、日本人旅行者が減少する傾向は去年の後半から顕著に出ている」と業界幹部は指摘する』、「2つ目がコストアップの転嫁である。ホテルはフロントや調理など多くのスタッフを必要とする。 コロナ禍で多くのホテルは経営を維持するために人員削減を行ったが、宿泊客が一気に戻ったことで人手不足が深刻となっている。そのためホテルは新卒社員の初任給増額など待遇改善を進めている・・・3つ目がホテル会社の経営戦略の変化である。コロナ前までは、客室をどれだけ埋めるかという「稼働率」を重視してきたが、コロナ禍を経て「客室単価」を重視した販売戦略をとるようになった。 ホテルニューオータニの清水肇総支配人も1月に行った東洋経済のインタビューで「無理をして客室を埋めるよりも、売れる日に単価を上げれば収益性は高くなる。(コロナ禍を経て)売り方が変わってきたと思う」と述べている。 同じ売上高だとすれば、「稼働率が高い」よりも「客室単価が高い」ほうがホテルが獲得する利益が多くなる・・・ホテル各社はコロナ禍で行った借入金の返済があるため、しばらくは利益重視の販売を続けることになりそうだ。つまり当面の間、ホテルの価格高騰は止まらないという訳だ・・・宿泊旅行統計調査によれば、2023年10~12月の日本人の延べ宿泊者数(宿泊人数×宿泊数)は、2022年の同期間を下回った。 延べ宿泊者数が前年同期を下回るのは、コロナ禍以降では、GoToトラベルキャンペーンの反動減があった2021年11月以来のことである。「ホテルの客室価格が上昇したため、日本人旅行者が減少する傾向は去年の後半から顕著に出ている」と業界幹部は指摘する」、なるほど。
・『旅行を敬遠し、ほかのレジャーを選ぶ動きも 東洋大学・国際観光学部の徳江順一郎准教授は、「ホテルの客室単価上昇が続くと、消費者が旅行に近い喜びを得られる代替財に流れる可能性もある」とみる。 高すぎる旅行を敬遠し、テーマパークや映画などほかのレジャーを選ぶということだ。実際、円安と物価高の影響で海外旅行が高騰したため、国内旅行を選ぶ動きはすでに起きている。 足元で起きているホテルの客室単価の上昇の多くは、体験価値の向上ではなく、市場の需給逼迫によって起きている。 徳江准教授は「値上がりをしても、泊まり続けてくれるファンの育成が大前提。会員向けの値下げや客室のグレードアップをするなど、顧客満足度の向上を続ける必要がある」と指摘する。 直近ではコロナ禍で行えていなかった大型改装に踏み切るホテルなども増えている。ホテル各社には消費者に客室単価上昇を納得してもらうための、体験価値の向上が求められる』。「「ホテルの客室単価上昇が続くと、消費者が旅行に近い喜びを得られる代替財に流れる可能性もある」とみる。 高すぎる旅行を敬遠し、テーマパークや映画などほかのレジャーを選ぶということだ。実際、円安と物価高の影響で海外旅行が高騰したため、国内旅行を選ぶ動きはすでに起きている・・・「徳江准教授は「値上がりをしても、泊まり続けてくれるファンの育成が大前提。会員向けの値下げや客室のグレードアップをするなど、顧客満足度の向上を続ける必要がある」と指摘する。 直近ではコロナ禍で行えていなかった大型改装に踏み切るホテルなども増えている。ホテル各社には消費者に客室単価上昇を納得してもらうための、体験価値の向上が求められる」、なるほど。
次に、3月22日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライター・編集者 の笹間 聖子氏による「アパホテル、「客室数日本一」を支える"経営哲学" 「Much Better」ではなく「Even Better」の強さ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/741933
・『男性はもちろん、昨今は女性や外国人観光客など、多くの人が利用しているビジネスホテル。各ホテルはそれぞれに、代名詞とも言えるサービスや設備を持っている。けれど昨今のホテル選びでは価格ばかりが注目され、提供側がこだわっているポイントにはスポットライトが当たっていないこともしばしばだ。 この連載、「ビジネスホテル、言われてみればよく知らない話」では、各ビジネスホテルの代名詞的なサービス・設備を紹介し、さらにその奥にある経営哲学や歴史、ホスピタリティまでをひもといていく。連載第5回からは、全国1位の客室数を誇る王者・アパホテルの代表的なサービスと経営哲学を、全3回にわたりお届けする』、「アパホテル」はこのところTVコマーシャルも派手に打っている。
・『過去最高益を記録。全国客室数の8%がアパ 1971年の創業から52期連続黒字。2023年11月期のグループ連結決算では、売上高1912億円、経常利益553億円を叩き出し、過去最高益を更新した巨大ホテルチェーンがある。アパグループ(以下、アパ)だ。 過去最高益の理由について社長兼CEOを務める元谷一志氏は、「客室数の増大と、インバウンドが客室を高単価で購入していることにあります」と分析する。 実際、現在の客室数は直営、FC合わせて11万7000室。これは全国に約150万室あるホテル、旅館のほぼ8%を占める数値だ。アパはさらに、2027年3月期に15万室、10%の寡占化を目指して増設を続けている。) アパの成功の1つの要因になっているのが、代名詞とも言える、「トリプルワンシステム」だ。「トリプルワンシステム」とはその名の通り、「3つの1」を実現するシステムのこと。内訳は、「1ステップ予約、1秒チェックイン、1秒チェックアウト」だ。どんな内容か、ここで簡単に説明しよう。 まず「1ステップ予約」は、予約専用の「アパアプリ」をインストールして目当てのホテルを登録しておけば、ホテル、宿泊日、到着時間を選択するだけで予約が完了するサービスだ。 次に「1秒チェックイン」とは、到着前、アプリでチェックインボタンをクリックし、QRコードを発行。到着後に、「1秒チェックイン専用機」にスマホをかざせばルームキーが発行され、チェックインが完了する。 最後の「1秒チェックアウト」は宿泊後、返却ポストにキーを入れるだけでチェックアウトができる。 いずれも現在はそう珍しいものではないが、アパがオンライン決済とアプリ予約サービスを開始した時期は2017年4月。コロナ禍より前の話だ』、「現在の客室数は直営、FC合わせて11万7000室。これは全国に約150万室あるホテル、旅館のほぼ8%を占める数値」、思いのほか大規模だ。「アパの成功の1つの要因になっているのが・・・「トリプルワンシステム」だ。「トリプルワンシステム」とはその名の通り、「3つの1」を実現するシステムのこと。内訳は、「1ステップ予約、1秒チェックイン、1秒チェックアウト」だ。どんな内容か、ここで簡単に説明しよう・・・「1ステップ予約」は、予約専用の「アパアプリ」をインストールして目当てのホテルを登録しておけば、ホテル、宿泊日、到着時間を選択するだけで予約が完了するサービスだ。 次に「1秒チェックイン」とは、到着前、アプリでチェックインボタンをクリックし、QRコードを発行。到着後に、「1秒チェックイン専用機」にスマホをかざせばルームキーが発行され、チェックインが完了する。 最後の「1秒チェックアウト」は宿泊後、返却ポストにキーを入れるだけでチェックアウトができる」、先進的だ。
・『アプリを開発した背景は? 導入した理由について元谷氏は、「オンライン決済は、スマホとルームキーがつながる未来を見据えての開発でした。またアプリ開発のきっかけは、GAFAが『検索表示からの予約成立時に一定のコミッションを取る』方式に転換したことです。コミッションを削減して個人を囲い込むには、アプリしかないと考えました」と振り返る。 当初はまだQRコードの発行はなく、チェックイン機での入力が必要だった。だが2020年6月、コロナ禍を受け、QRコードでルームキーを発行できる「1秒チェックイン専用機」の順次導入がスタートする。狙いは、さらなるスピードアップと非接触にあった。) それから4年。2024年現在、アパアプリのダウンロード数は500万を超えている。OTA(オンライン旅行代理店)からの予約をのぞき、自社システムでの予約は7割以上がアプリからだ。 理由は、指先一つでできる手軽さ。そして、予約成立時にアパが8~15%の手数料を取られるOTAよりも、自社システムからの予約を最安値とする「ベストレート宣言」をしていることにある』、「2024年現在、アパアプリのダウンロード数は500万を超えている。OTA(オンライン旅行代理店)からの予約をのぞき、自社システムでの予約は7割以上がアプリからだ。 理由は、指先一つでできる手軽さ。そして、予約成立時にアパが8~15%の手数料を取られるOTAよりも、自社システムからの予約を最安値とする「ベストレート宣言」をしていることにある」、「自社システムでの予約は7割以上がアプリからだ」とは凄く強力な武器だ。
・『顧客満足度向上とDXによる省人化、2兎を追う 2023年5月には、新たなアプリも誕生した。滞在者専用アプリ『APA Stay Here』だ。 ノーマルの『アパホテル』以外の4ブランド、『アパホテル&リゾート』『アパホテルステイ』『アパホテルエクセレント』『アパホテルプライド』への導入が順次始まっている。 新アプリのコンセプトは「1Guest,1Digital Concierge」。滞在の延長やマッサージの予約、レストランの食券購入など14の機能を備えている。 「APA Atay Here」のトップ画面 こちらのアプリの開発目的は、ゲストからの内線コールを極力減らすとともに、「かゆいところに手が届く」コンシェルジュのようなサービスをデジタルで実現することにあるそうだ。 2つのアプリから見えてくるのは、「顧客満足度の向上」と「DXによる省人化」、一見相反する両者を、同時に追求するアパの姿勢だ。 アパアプリは、利便性と「忙しいゲストの時間を奪わない」スピード感で、『APA Stay Here』は、デジタルながらも手厚いコンシェルジュのようなサービスで、それぞれに顧客満足度を向上。その裏で、どちらも煩雑な顧客とのやりとりを減らし、従業員の作業を軽減している。 元谷氏は、「日本の人口がどんどん減っていくなか、人員確保は難しくなりつつあり、これからさらに省人化が必要になります。そこで大きな役割を果たすのが、アプリをはじめとするDX化です。アパでは今後もDX化による顧客満足度の向上を推進していきたいですね」と話す。) もう1つ、アパ成功の要因として元谷氏自身が上げるのが、「1ホテル、1イノベーション」の姿勢だ。その意味は、次々に誕生する新しいホテルに必ず1つ以上、改善や新たな機能を付加するというもの。 例えば、2018年3月にオープンした『アパホテル&リゾート〈西新宿五丁目駅タワー〉』では、入眠スピードにこだわってシーリー社と共同開発したオリジナルベッド「クラウドフィット」の快適性はそのままに、厚みを減らした新ベッド「クラウドフィットグラン」を採用。以後、他ホテルへも導入を進めている。 新ベッド開発の理由はインバウンドの多くが持つ、大型トランクが入るベッド下収納を確保するため。コンパクトな客室を、トランクが占拠するのを防ぐ狙いだ』、「「APA Atay Here」のトップ画面 こちらのアプリの開発目的は、ゲストからの内線コールを極力減らすとともに、「かゆいところに手が届く」コンシェルジュのようなサービスをデジタルで実現することにあるそうだ。 2つのアプリから見えてくるのは、「顧客満足度の向上」と「DXによる省人化」、一見相反する両者を、同時に追求するアパの姿勢だ」、「「顧客満足度の向上」と「DXによる省人化」」、を「同時に追求するアパの姿勢」、こんな素晴らしい先進性があったとは、初めて知った。
・『「ユニットバスのバスタブを5度傾ける」理由とは? 同様のインバウンド客への配慮で言えば、2023年11月にオープンした『アパホテル〈茅場町八丁堀駅前〉』からは、ユニットバスのバスタブを5度傾けて設置している。「用を足す際にバスタブに膝が当たる」という声を受け、膝が当たらない角度に変更したのだ。 同ホテルではまた、それまで1m60cmあったシャワーホースも1m20cmに改良。短縮することで操作性を上げるとともに、湯を張った際にホースが浸からず、カビを防ぐ狙いだ。 加えて、洗面ボールもサイズアップし、形状も変更。これは、蛇口から湯沸かしポットに水を注ぐ際に、しっかりボール内にポットを入れ、水を注ぎやすくするために行われた改良だ。排水口に付けているヘアキャッチャーの網目も、万一コンタクトを落としても流れない目の大きさに変更された。) ほかにも、改良はひっきりなしだ。例えば、2022年10月に開業した『アパホテル&リゾート〈六本木駅東〉』からは、枕元に「おやすみスイッチ(GOOD NIGHT スイッチ)」を設置している。 「おやすみスイッチ(GOOD NIGHT スイッチ)」とは、冷蔵庫、空調、ユニットバス、テレビ以外の電気がすべて1カ所で切れるスイッチのこと。ユニットバスやテレビが含められていないのは、複数人で泊まっている場合に誰かが使っている可能性を考えてのことだ。なんとも、きめ細かな配慮……。 『おやすみスイッチ 開発理由について元谷氏は、「海外出張の際に、あちこち点在するスイッチの場所がわからず、あきらめて寝たことがストレスだったんです。それで、一括で全部切れるスイッチを思い立ちました」と説明する』、「GOOD NIGHT スイッチ」に「ユニットバスやテレビが含められていないのは、複数人で泊まっている場合に誰かが使っている可能性を考えてのことだ」、「きめ細かな配慮」はさすがだ。
・『アパは「良いものを、さらに良くする」ラボである 通常、商品でもホテルでも、「同じものを大量に作る」ほうがコストメリットは大きいものだ。「1ホテル、1イノベーション」はコスト的にはかなりマイナスとなるが、その姿勢を追求し続けているのはなぜなのか。元谷氏は以下のように説明する。 「一番は、何度も訪れる方への配慮です。経済原論に関する考え方に、『カレーライスの法則』というものがあります。人は同じ味のカレーを食べると、1杯目は満足するけれど、2杯目は満足度が下がる。3杯目以降はもっと下がり、いつか見向きもされなくなるというものです。ホテルも同様で、同じサービスを提供し続けると、満足度はどんどん低減するのです。 と同時に、テクノロジーも日進月歩で進化します。かつては貴重だったWi-Fiだって、今では当たり前ですよね。だからつねに新開発を続け、世に受け入れられるサービスだけを残していく必要があるのです』、「テクノロジーも日進月歩で進化します。かつては貴重だったWi-Fiだって、今では当たり前ですよね。だからつねに新開発を続け、世に受け入れられるサービスだけを残していく必要があるのです』、「つねに新開発を続け、世に受け入れられるサービスだけを残していく必要があるのです』、「アパ」の躍進の背後には、こんなに「テクノロジー」への注力があったとは初めて知った。「アパ」の成功は、一過性のものではなく、ビルトインされたもののようだ。
先ずは、3月24日付け東洋経済オンライン「桜の季節を襲う「ホテル価格高騰」、3つの裏事情 東京や京都は1年で5割上昇、「値上げの弊害」も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/742727?display=b
・『東京でも桜が開花しはじめるなど、春の行楽シーズンがやってきた。 子どもの春休みなどが重なるこの時期は、日本人観光客が国内旅行に出かけるほか、多くの外国人観光客も日本を訪れ、観光地は賑わいを見せる。 一方、ホテルの客室単価が近年急激に上昇しており、旅行需要に水を差す可能性が出てきた。 ホテルにとっても桜の観光シーズンは、夏休みなどに並ぶ「稼ぎ時」だ。2023年にはパレスホテル東京(千代田区)の3?4月の平均客室単価が10万円を超えた。284室を有する大型日系ホテルとしては異例の価格だ』。「パレスホテル東京(千代田区)の3?4月の平均客室単価が10万円を超えた」、それほどエポックメ-キングなことなのだろうか。
・『ドーミーインはコロナ前より約35%上昇 「東京や京都などの平均客室単価は去年の同時期と比べて5割程度上昇している」。全国展開するビジネスホテル大手の関係者は3~4月の見通しをそう語る。インバウンド客が殺到している観光地のホテルは、2024年も価格が高騰することになりそうだ。 ホテル価格の高騰が顕著になったのはコロナ禍が明けてからだ。例えば、共立メンテナンスが運営をしているドーミーインの2023年10~12月の平均客室単価は1万4400円と2019年同時期と比べると約35%上昇している。 単価が高騰しているのはビジネスホテルだけではない。大手ホテル予約サイトを見ると、オークラ東京(港区)は約11万8000円(4月8日から1泊の素泊まり料金、48平米)、パーク ハイアット 東京は約19万8000円(同、55平米)とラグジュアリーホテルも強気の価格設定をしていることがわかる。) ホテルの価格が上がり続ける背景には3つの事情がある。 1つ目がインバウンド観光客の急増だ。水際対策が緩和された2022年10月以降、インバウンド客回復のペースが加速した。 日本政府観光局が発表している「訪日外客統計」によれば、2023年10月に訪日外国人が251万人とコロナ前(249万人)を超えて以降、足元ではコロナ前を超える水準が続いている。 ホテルは自社の客室稼働率や競合の価格などを分析して客室単価を決めている。インバウンド客が増えたことで、東京や大阪など都市部の稼働率が上昇した』、「ホテル価格の高騰が顕著になったのはコロナ禍が明けてからだ。例えば、共立メンテナンスが運営をしているドーミーインの2023年10~12月の平均客室単価は1万4400円と2019年同時期と比べると約35%上昇している・・・ホテルの価格が上がり続ける背景には3つの事情がある。 1つ目がインバウンド観光客の急増だ。水際対策が緩和された2022年10月以降、インバウンド客回復のペースが加速」、なるほど。
・『「稼働率」よりも「客室単価」を重視した販売戦略に 2つ目がコストアップの転嫁である。ホテルはフロントや調理など多くのスタッフを必要とする。 コロナ禍で多くのホテルは経営を維持するために人員削減を行ったが、宿泊客が一気に戻ったことで人手不足が深刻となっている。そのためホテルは新卒社員の初任給増額など待遇改善を進めている。 そのほかにも水道光熱費の上昇や客室清掃やリネン会社など委託先への支払い料金の増加などもある。客室の販売価格にこうしたコスト増加分が転嫁されている。 3つ目がホテル会社の経営戦略の変化である。コロナ前までは、客室をどれだけ埋めるかという「稼働率」を重視してきたが、コロナ禍を経て「客室単価」を重視した販売戦略をとるようになった。 ホテルニューオータニの清水肇総支配人も1月に行った東洋経済のインタビューで「無理をして客室を埋めるよりも、売れる日に単価を上げれば収益性は高くなる。(コロナ禍を経て)売り方が変わってきたと思う」と述べている。 同じ売上高だとすれば、「稼働率が高い」よりも「客室単価が高い」ほうがホテルが獲得する利益が多くなる。ホテルでは、一般的に客室1室を販売するごとに客室清掃費用、アメニティ代などが発生する。だが客室単価が上がればこうしたコストは抑制できる。) インバウンドの増加やコストアップという外部環境の要因はすぐに収まりそうにない。ホテル各社はコロナ禍で行った借入金の返済があるため、しばらくは利益重視の販売を続けることになりそうだ。つまり当面の間、ホテルの価格高騰は止まらないという訳だ。 こうした追い風を受けホテル各社の業績も絶好調だ。ホテル椿山荘東京を運営する藤田観光は2023年の業績は売上高645億円(前年同期比47.5%増)、営業利益66億円(前年度は40億円の赤字)と営業利益は2019年の2.8億円を大きく上回った。そのほかの企業も業績の急回復を予想している。 一方で、値上げによる弊害も徐々に現れ始めている。観光庁が発表をしている宿泊旅行統計調査によれば、2023年10~12月の日本人の延べ宿泊者数(宿泊人数×宿泊数)は、2022年の同期間を下回った。 延べ宿泊者数が前年同期を下回るのは、コロナ禍以降では、GoToトラベルキャンペーンの反動減があった2021年11月以来のことである。「ホテルの客室価格が上昇したため、日本人旅行者が減少する傾向は去年の後半から顕著に出ている」と業界幹部は指摘する』、「2つ目がコストアップの転嫁である。ホテルはフロントや調理など多くのスタッフを必要とする。 コロナ禍で多くのホテルは経営を維持するために人員削減を行ったが、宿泊客が一気に戻ったことで人手不足が深刻となっている。そのためホテルは新卒社員の初任給増額など待遇改善を進めている・・・3つ目がホテル会社の経営戦略の変化である。コロナ前までは、客室をどれだけ埋めるかという「稼働率」を重視してきたが、コロナ禍を経て「客室単価」を重視した販売戦略をとるようになった。 ホテルニューオータニの清水肇総支配人も1月に行った東洋経済のインタビューで「無理をして客室を埋めるよりも、売れる日に単価を上げれば収益性は高くなる。(コロナ禍を経て)売り方が変わってきたと思う」と述べている。 同じ売上高だとすれば、「稼働率が高い」よりも「客室単価が高い」ほうがホテルが獲得する利益が多くなる・・・ホテル各社はコロナ禍で行った借入金の返済があるため、しばらくは利益重視の販売を続けることになりそうだ。つまり当面の間、ホテルの価格高騰は止まらないという訳だ・・・宿泊旅行統計調査によれば、2023年10~12月の日本人の延べ宿泊者数(宿泊人数×宿泊数)は、2022年の同期間を下回った。 延べ宿泊者数が前年同期を下回るのは、コロナ禍以降では、GoToトラベルキャンペーンの反動減があった2021年11月以来のことである。「ホテルの客室価格が上昇したため、日本人旅行者が減少する傾向は去年の後半から顕著に出ている」と業界幹部は指摘する」、なるほど。
・『旅行を敬遠し、ほかのレジャーを選ぶ動きも 東洋大学・国際観光学部の徳江順一郎准教授は、「ホテルの客室単価上昇が続くと、消費者が旅行に近い喜びを得られる代替財に流れる可能性もある」とみる。 高すぎる旅行を敬遠し、テーマパークや映画などほかのレジャーを選ぶということだ。実際、円安と物価高の影響で海外旅行が高騰したため、国内旅行を選ぶ動きはすでに起きている。 足元で起きているホテルの客室単価の上昇の多くは、体験価値の向上ではなく、市場の需給逼迫によって起きている。 徳江准教授は「値上がりをしても、泊まり続けてくれるファンの育成が大前提。会員向けの値下げや客室のグレードアップをするなど、顧客満足度の向上を続ける必要がある」と指摘する。 直近ではコロナ禍で行えていなかった大型改装に踏み切るホテルなども増えている。ホテル各社には消費者に客室単価上昇を納得してもらうための、体験価値の向上が求められる』。「「ホテルの客室単価上昇が続くと、消費者が旅行に近い喜びを得られる代替財に流れる可能性もある」とみる。 高すぎる旅行を敬遠し、テーマパークや映画などほかのレジャーを選ぶということだ。実際、円安と物価高の影響で海外旅行が高騰したため、国内旅行を選ぶ動きはすでに起きている・・・「徳江准教授は「値上がりをしても、泊まり続けてくれるファンの育成が大前提。会員向けの値下げや客室のグレードアップをするなど、顧客満足度の向上を続ける必要がある」と指摘する。 直近ではコロナ禍で行えていなかった大型改装に踏み切るホテルなども増えている。ホテル各社には消費者に客室単価上昇を納得してもらうための、体験価値の向上が求められる」、なるほど。
次に、3月22日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライター・編集者 の笹間 聖子氏による「アパホテル、「客室数日本一」を支える"経営哲学" 「Much Better」ではなく「Even Better」の強さ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/741933
・『男性はもちろん、昨今は女性や外国人観光客など、多くの人が利用しているビジネスホテル。各ホテルはそれぞれに、代名詞とも言えるサービスや設備を持っている。けれど昨今のホテル選びでは価格ばかりが注目され、提供側がこだわっているポイントにはスポットライトが当たっていないこともしばしばだ。 この連載、「ビジネスホテル、言われてみればよく知らない話」では、各ビジネスホテルの代名詞的なサービス・設備を紹介し、さらにその奥にある経営哲学や歴史、ホスピタリティまでをひもといていく。連載第5回からは、全国1位の客室数を誇る王者・アパホテルの代表的なサービスと経営哲学を、全3回にわたりお届けする』、「アパホテル」はこのところTVコマーシャルも派手に打っている。
・『過去最高益を記録。全国客室数の8%がアパ 1971年の創業から52期連続黒字。2023年11月期のグループ連結決算では、売上高1912億円、経常利益553億円を叩き出し、過去最高益を更新した巨大ホテルチェーンがある。アパグループ(以下、アパ)だ。 過去最高益の理由について社長兼CEOを務める元谷一志氏は、「客室数の増大と、インバウンドが客室を高単価で購入していることにあります」と分析する。 実際、現在の客室数は直営、FC合わせて11万7000室。これは全国に約150万室あるホテル、旅館のほぼ8%を占める数値だ。アパはさらに、2027年3月期に15万室、10%の寡占化を目指して増設を続けている。) アパの成功の1つの要因になっているのが、代名詞とも言える、「トリプルワンシステム」だ。「トリプルワンシステム」とはその名の通り、「3つの1」を実現するシステムのこと。内訳は、「1ステップ予約、1秒チェックイン、1秒チェックアウト」だ。どんな内容か、ここで簡単に説明しよう。 まず「1ステップ予約」は、予約専用の「アパアプリ」をインストールして目当てのホテルを登録しておけば、ホテル、宿泊日、到着時間を選択するだけで予約が完了するサービスだ。 次に「1秒チェックイン」とは、到着前、アプリでチェックインボタンをクリックし、QRコードを発行。到着後に、「1秒チェックイン専用機」にスマホをかざせばルームキーが発行され、チェックインが完了する。 最後の「1秒チェックアウト」は宿泊後、返却ポストにキーを入れるだけでチェックアウトができる。 いずれも現在はそう珍しいものではないが、アパがオンライン決済とアプリ予約サービスを開始した時期は2017年4月。コロナ禍より前の話だ』、「現在の客室数は直営、FC合わせて11万7000室。これは全国に約150万室あるホテル、旅館のほぼ8%を占める数値」、思いのほか大規模だ。「アパの成功の1つの要因になっているのが・・・「トリプルワンシステム」だ。「トリプルワンシステム」とはその名の通り、「3つの1」を実現するシステムのこと。内訳は、「1ステップ予約、1秒チェックイン、1秒チェックアウト」だ。どんな内容か、ここで簡単に説明しよう・・・「1ステップ予約」は、予約専用の「アパアプリ」をインストールして目当てのホテルを登録しておけば、ホテル、宿泊日、到着時間を選択するだけで予約が完了するサービスだ。 次に「1秒チェックイン」とは、到着前、アプリでチェックインボタンをクリックし、QRコードを発行。到着後に、「1秒チェックイン専用機」にスマホをかざせばルームキーが発行され、チェックインが完了する。 最後の「1秒チェックアウト」は宿泊後、返却ポストにキーを入れるだけでチェックアウトができる」、先進的だ。
・『アプリを開発した背景は? 導入した理由について元谷氏は、「オンライン決済は、スマホとルームキーがつながる未来を見据えての開発でした。またアプリ開発のきっかけは、GAFAが『検索表示からの予約成立時に一定のコミッションを取る』方式に転換したことです。コミッションを削減して個人を囲い込むには、アプリしかないと考えました」と振り返る。 当初はまだQRコードの発行はなく、チェックイン機での入力が必要だった。だが2020年6月、コロナ禍を受け、QRコードでルームキーを発行できる「1秒チェックイン専用機」の順次導入がスタートする。狙いは、さらなるスピードアップと非接触にあった。) それから4年。2024年現在、アパアプリのダウンロード数は500万を超えている。OTA(オンライン旅行代理店)からの予約をのぞき、自社システムでの予約は7割以上がアプリからだ。 理由は、指先一つでできる手軽さ。そして、予約成立時にアパが8~15%の手数料を取られるOTAよりも、自社システムからの予約を最安値とする「ベストレート宣言」をしていることにある』、「2024年現在、アパアプリのダウンロード数は500万を超えている。OTA(オンライン旅行代理店)からの予約をのぞき、自社システムでの予約は7割以上がアプリからだ。 理由は、指先一つでできる手軽さ。そして、予約成立時にアパが8~15%の手数料を取られるOTAよりも、自社システムからの予約を最安値とする「ベストレート宣言」をしていることにある」、「自社システムでの予約は7割以上がアプリからだ」とは凄く強力な武器だ。
・『顧客満足度向上とDXによる省人化、2兎を追う 2023年5月には、新たなアプリも誕生した。滞在者専用アプリ『APA Stay Here』だ。 ノーマルの『アパホテル』以外の4ブランド、『アパホテル&リゾート』『アパホテルステイ』『アパホテルエクセレント』『アパホテルプライド』への導入が順次始まっている。 新アプリのコンセプトは「1Guest,1Digital Concierge」。滞在の延長やマッサージの予約、レストランの食券購入など14の機能を備えている。 「APA Atay Here」のトップ画面 こちらのアプリの開発目的は、ゲストからの内線コールを極力減らすとともに、「かゆいところに手が届く」コンシェルジュのようなサービスをデジタルで実現することにあるそうだ。 2つのアプリから見えてくるのは、「顧客満足度の向上」と「DXによる省人化」、一見相反する両者を、同時に追求するアパの姿勢だ。 アパアプリは、利便性と「忙しいゲストの時間を奪わない」スピード感で、『APA Stay Here』は、デジタルながらも手厚いコンシェルジュのようなサービスで、それぞれに顧客満足度を向上。その裏で、どちらも煩雑な顧客とのやりとりを減らし、従業員の作業を軽減している。 元谷氏は、「日本の人口がどんどん減っていくなか、人員確保は難しくなりつつあり、これからさらに省人化が必要になります。そこで大きな役割を果たすのが、アプリをはじめとするDX化です。アパでは今後もDX化による顧客満足度の向上を推進していきたいですね」と話す。) もう1つ、アパ成功の要因として元谷氏自身が上げるのが、「1ホテル、1イノベーション」の姿勢だ。その意味は、次々に誕生する新しいホテルに必ず1つ以上、改善や新たな機能を付加するというもの。 例えば、2018年3月にオープンした『アパホテル&リゾート〈西新宿五丁目駅タワー〉』では、入眠スピードにこだわってシーリー社と共同開発したオリジナルベッド「クラウドフィット」の快適性はそのままに、厚みを減らした新ベッド「クラウドフィットグラン」を採用。以後、他ホテルへも導入を進めている。 新ベッド開発の理由はインバウンドの多くが持つ、大型トランクが入るベッド下収納を確保するため。コンパクトな客室を、トランクが占拠するのを防ぐ狙いだ』、「「APA Atay Here」のトップ画面 こちらのアプリの開発目的は、ゲストからの内線コールを極力減らすとともに、「かゆいところに手が届く」コンシェルジュのようなサービスをデジタルで実現することにあるそうだ。 2つのアプリから見えてくるのは、「顧客満足度の向上」と「DXによる省人化」、一見相反する両者を、同時に追求するアパの姿勢だ」、「「顧客満足度の向上」と「DXによる省人化」」、を「同時に追求するアパの姿勢」、こんな素晴らしい先進性があったとは、初めて知った。
・『「ユニットバスのバスタブを5度傾ける」理由とは? 同様のインバウンド客への配慮で言えば、2023年11月にオープンした『アパホテル〈茅場町八丁堀駅前〉』からは、ユニットバスのバスタブを5度傾けて設置している。「用を足す際にバスタブに膝が当たる」という声を受け、膝が当たらない角度に変更したのだ。 同ホテルではまた、それまで1m60cmあったシャワーホースも1m20cmに改良。短縮することで操作性を上げるとともに、湯を張った際にホースが浸からず、カビを防ぐ狙いだ。 加えて、洗面ボールもサイズアップし、形状も変更。これは、蛇口から湯沸かしポットに水を注ぐ際に、しっかりボール内にポットを入れ、水を注ぎやすくするために行われた改良だ。排水口に付けているヘアキャッチャーの網目も、万一コンタクトを落としても流れない目の大きさに変更された。) ほかにも、改良はひっきりなしだ。例えば、2022年10月に開業した『アパホテル&リゾート〈六本木駅東〉』からは、枕元に「おやすみスイッチ(GOOD NIGHT スイッチ)」を設置している。 「おやすみスイッチ(GOOD NIGHT スイッチ)」とは、冷蔵庫、空調、ユニットバス、テレビ以外の電気がすべて1カ所で切れるスイッチのこと。ユニットバスやテレビが含められていないのは、複数人で泊まっている場合に誰かが使っている可能性を考えてのことだ。なんとも、きめ細かな配慮……。 『おやすみスイッチ 開発理由について元谷氏は、「海外出張の際に、あちこち点在するスイッチの場所がわからず、あきらめて寝たことがストレスだったんです。それで、一括で全部切れるスイッチを思い立ちました」と説明する』、「GOOD NIGHT スイッチ」に「ユニットバスやテレビが含められていないのは、複数人で泊まっている場合に誰かが使っている可能性を考えてのことだ」、「きめ細かな配慮」はさすがだ。
・『アパは「良いものを、さらに良くする」ラボである 通常、商品でもホテルでも、「同じものを大量に作る」ほうがコストメリットは大きいものだ。「1ホテル、1イノベーション」はコスト的にはかなりマイナスとなるが、その姿勢を追求し続けているのはなぜなのか。元谷氏は以下のように説明する。 「一番は、何度も訪れる方への配慮です。経済原論に関する考え方に、『カレーライスの法則』というものがあります。人は同じ味のカレーを食べると、1杯目は満足するけれど、2杯目は満足度が下がる。3杯目以降はもっと下がり、いつか見向きもされなくなるというものです。ホテルも同様で、同じサービスを提供し続けると、満足度はどんどん低減するのです。 と同時に、テクノロジーも日進月歩で進化します。かつては貴重だったWi-Fiだって、今では当たり前ですよね。だからつねに新開発を続け、世に受け入れられるサービスだけを残していく必要があるのです』、「テクノロジーも日進月歩で進化します。かつては貴重だったWi-Fiだって、今では当たり前ですよね。だからつねに新開発を続け、世に受け入れられるサービスだけを残していく必要があるのです』、「つねに新開発を続け、世に受け入れられるサービスだけを残していく必要があるのです』、「アパ」の躍進の背後には、こんなに「テクノロジー」への注力があったとは初めて知った。「アパ」の成功は、一過性のものではなく、ビルトインされたもののようだ。
タグ:「2つ目がコストアップの転嫁である。ホテルはフロントや調理など多くのスタッフを必要とする。 コロナ禍で多くのホテルは経営を維持するために人員削減を行ったが、宿泊客が一気に戻ったことで人手不足が深刻となっている。そのためホテルは新卒社員の初任給増額など待遇改善を進めている・・・3つ目がホテル会社の経営戦略の変化である。コロナ前までは、客室をどれだけ埋めるかという「稼働率」を重視してきたが、コロナ禍を経て「客室単価」を重視した販売戦略をとるようになった。 「つねに新開発を続け、世に受け入れられるサービスだけを残していく必要があるのです』、「アパ」の躍進の背後には、こんなに「テクノロジー」への注力があったとは初めて知った。「アパ」の成功は、一過性のものではなく、ビルトインされたもののようだ。 「GOOD NIGHT スイッチ」に「ユニットバスやテレビが含められていないのは、複数人で泊まっている場合に誰かが使っている可能性を考えてのことだ」、「きめ細かな配慮」はさすがだ。 笹間 聖子氏による「アパホテル、「客室数日本一」を支える"経営哲学" 「Much Better」ではなく「Even Better」の強さ」 東洋経済オンライン 直近ではコロナ禍で行えていなかった大型改装に踏み切るホテルなども増えている。ホテル各社には消費者に客室単価上昇を納得してもらうための、体験価値の向上が求められる」、なるほど。 「「ホテルの客室単価上昇が続くと、消費者が旅行に近い喜びを得られる代替財に流れる可能性もある」とみる。 高すぎる旅行を敬遠し、テーマパークや映画などほかのレジャーを選ぶということだ。実際、円安と物価高の影響で海外旅行が高騰したため、国内旅行を選ぶ動きはすでに起きている・・・「徳江准教授は「値上がりをしても、泊まり続けてくれるファンの育成が大前提。会員向けの値下げや客室のグレードアップをするなど、顧客満足度の向上を続ける必要がある」と指摘する。 一見相反する両者を、同時に追求するアパの姿勢だ」、「「顧客満足度の向上」と「DXによる省人化」」、を「同時に追求するアパの姿勢」、こんな素晴らしい先進性があったとは、初めて知った。 「「APA Atay Here」のトップ画面 こちらのアプリの開発目的は、ゲストからの内線コールを極力減らすとともに、「かゆいところに手が届く」コンシェルジュのようなサービスをデジタルで実現することにあるそうだ。 2つのアプリから見えてくるのは、「顧客満足度の向上」と「DXによる省人化」、 「自社システムでの予約は7割以上がアプリからだ」とは凄く強力な武器だ。 日、到着時間を選択するだけで予約が完了するサービスだ。 次に「1秒チェックイン」とは、到着前、アプリでチェックインボタンをクリックし、QRコードを発行。到着後に、「1秒チェックイン専用機」にスマホをかざせばルームキーが発行され、チェックインが完了する。 最後の「1秒チェックアウト」は宿泊後、返却ポストにキーを入れるだけでチェックアウトができる」、先進的だ。 「現在の客室数は直営、FC合わせて11万7000室。これは全国に約150万室あるホテル、旅館のほぼ8%を占める数値」、思いのほか大規模だ。「アパの成功の1つの要因になっているのが・・・「トリプルワンシステム」だ。「トリプルワンシステム」とはその名の通り、「3つの1」を実現するシステムのこと。内訳は、「1ステップ予約、1秒チェックイン、1秒チェックアウト」だ。どんな内容か、ここで簡単に説明しよう・・・「1ステップ予約」は、予約専用の「アパアプリ」をインストールして目当てのホテルを登録しておけば、ホテル、宿泊 「アパホテル」はこのところTVコマーシャルも派手に打っている。 宿泊旅行統計調査によれば、2023年10~12月の日本人の延べ宿泊者数(宿泊人数×宿泊数)は、2022年の同期間を下回った。 延べ宿泊者数が前年同期を下回るのは、コロナ禍以降では、GoToトラベルキャンペーンの反動減があった2021年11月以来のことである。「ホテルの客室価格が上昇したため、日本人旅行者が減少する傾向は去年の後半から顕著に出ている」と業界幹部は指摘する」、なるほど。 ホテルニューオータニの清水肇総支配人も1月に行った東洋経済のインタビューで「無理をして客室を埋めるよりも、売れる日に単価を上げれば収益性は高くなる。(コロナ禍を経て)売り方が変わってきたと思う」と述べている。 同じ売上高だとすれば、「稼働率が高い」よりも「客室単価が高い」ほうがホテルが獲得する利益が多くなる・・・ホテル各社はコロナ禍で行った借入金の返済があるため、しばらくは利益重視の販売を続けることになりそうだ。つまり当面の間、ホテルの価格高騰は止まらないという訳だ・・・ 「ホテル価格の高騰が顕著になったのはコロナ禍が明けてからだ。例えば、共立メンテナンスが運営をしているドーミーインの2023年10~12月の平均客室単価は1万4400円と2019年同時期と比べると約35%上昇している・・・ホテルの価格が上がり続ける背景には3つの事情がある。 1つ目がインバウンド観光客の急増だ。水際対策が緩和された2022年10月以降、インバウンド客回復のペースが加速」、なるほど。 「パレスホテル東京(千代田区)の3?4月の平均客室単価が10万円を超えた」、それほどエポックメ-キングなことなのだろうか。 東洋経済オンライン「桜の季節を襲う「ホテル価格高騰」、3つの裏事情 東京や京都は1年で5割上昇、「値上げの弊害」も」 (その8)(桜の季節を襲う「ホテル価格高騰」、3つの裏事情 東京や京都は1年で5割上昇、「値上げの弊害」も、アパホテル 「客室数日本一」を支える"経営哲学" 「Much Better」ではなく「Even Better」の強さ) ホテル