金融業界(その22)(【無料公開】メガバンク・地銀出身者の転職事情 バンカーに人気の3業界とは?、「銀行にニーズなんてあるか?」千葉銀行が気付いた“客が本当に望んでいたもの”とは、三菱UFJの幹部OBが激怒する「銀証ルール違反処分」の“恥”) [金融]
金融業界については、本年6月15日に取上げた。今日は、(その22)(【無料公開】メガバンク・地銀出身者の転職事情 バンカーに人気の3業界とは?、「銀行にニーズなんてあるか?」千葉銀行が気付いた“客が本当に望んでいたもの”とは、三菱UFJの幹部OBが激怒する「銀証ルール違反処分」の“恥”)である。
ずは、本年6月21日付けダイヤモンド・オンライン「【無料公開】メガバンク・地銀出身者の転職事情、バンカーに人気の3業界とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/345681
・『「銀行・証券断末魔」特集(全5回)の番外編を上・下に分けてお届けする。テーマは、銀行業界においてその存在感が増す一方となっている、金融とITを融合させたフィンテック。今回の番外編(下)で取り上げるのは、銀行員の転職物語だ。銀行員がエリートだった時代も今は昔。大リストラ時代に突入したことで、銀行から脱出して異業界へと転じる銀行員が急増しているという。どんな業界が人気なのだろうか。メガバンク・地銀出身者の転職事情に迫った。 ※2019年9月22日に公開した有料会員向け記事を、1カ月の期間限定で無料公開します。全ての内容は初出時のまま』、興味深そうだ。
・『鳥取から単身上京、都内ベンチャーへ メガ・地銀出身者の転職事情 「せっかく銀行から出ていくなら、どんどん外部からのインプットが欲しい」 2017年10月、佐藤顕範さん(35歳)は地方銀行を辞めてクラウド会計ソフトのfreeeに転職した。辞めると伝えたときに古巣からもらった激励を、今でも重要な使命だと心に刻んでいる。 佐藤さんの古巣は鳥取銀行。転職後は大阪の関西支社に所属し、その後に東京・五反田の本社に転勤したが、今も家族を地元の鳥取に残したままだ。 地銀は地元志向型の人材が多く、家庭を持ったりマイホームを買ったりした30代以降になると転勤を伴う転職はハードルが高い。この状況を踏まえると、佐藤さんのキャリアチェンジは珍しい例だ。 家族からは「心配はされたが応援してもらっている」と語る佐藤さん。そもそも銀行に就職した当初、「転職は全然考えていませんでした」。 転機が訪訪れたのは、16年8月。鳥取銀の本部で営業企画を担当していたとき、地元の企業に会計ソフトを広めるためにfreeeと仕事をし始めたのがきっかけとなった。 当時、佐藤さんは“大企業病”にかかっていたという。誰でも陥りがちな、仕事をやらされている感覚。それを刺激したのは「本質的に価値があることにこだわる」という企業理念を体現して生き生きと働くfreeeの社員の姿だった。 同時に、もともと持っていた「地元の中小企業を支える」という理想が、freeeのサービスを通して実現できるのではないかとも感じた。だが、地銀にいる限りは「全国に広めるのは難しい」。 こうした事情から、自分の手でサービスを広めようとfreeeに飛び込んだ。そして激励の言葉通り、転職後には「freeeの佐藤」として古巣に出向く。その結果、地元企業のIT導入支援を本格的に進めるコンサルティングチームが鳥取銀で立ち上げられたときに、最初の支援ツールとしてfreeeが選ばれたという。 佐藤さんは今、freee finance labという子会社の取締役に就いている。freeeの金融事業を取りまとめる立場だ。 「銀行は新卒入社がほとんどで、どこの支店で誰と誰がつながっているかなど、人間関係は分かりやすいですね。でもfreeeの人は中途入社やエンジニアなど多種多様。それぞれどんな人物か知る場をつくるなど、気を使っていますよ(笑)」 銀行時代にはなかった新しい苦労を感じつつ、「同質ではない人の意見を聞けるのが、良い頭の体操になります」と、今でも刺激を受け続けている』、「freeeの人は中途入社やエンジニアなど多種多様。それぞれどんな人物か知る場をつくるなど、気を使っていますよ(笑)」 銀行時代にはなかった新しい苦労を感じつつ、「同質ではない人の意見を聞けるのが、良い頭の体操になります」と、今でも刺激を受け続けている」、なるほど。
・『“大リストラ時代”への突入で異業界へ脱出する銀行員が急増 昨今の転職市場は売り手市場で、金融業界でも転職者が増えている。特に増えたのが、佐藤さんのような銀行からの転職者だ。とりわけ近年は、銀行から脱出して異業界へと身を転じるバンカーが目立っている。 異業界への転職者が増えた理由は何か。藤井薫・リクルートキャリアHR統括編集長は、「製造業がサービス業への転換を求められるなど、業界の壁が溶けている中で、求職者側も越境し、求人側も異業界からの受け入れにこだわりがなくなっている」と分析する。 こと銀行業界に限れば、17年11月にみずほフィナンシャルグループが「1.9万人の人員削減」を発表するなど、3メガバンクグループがそろって縮小路線を打ち出したことが理由に挙げられる。本業の不振ぶりと相まって、銀行業界の “大リストラ時代”の到来を印象づけた。 この銀行離れの背景について、人材紹介会社のクライス&カンパニーの丸山貴宏社長は、「今転職を希望する銀行員は、さまざまな視点から将来について不安を抱いている」と指摘する。加えて、「かつて銀行員は、入社してすぐに“金融村”に入り、そのまま卒業した。それが、SNSで情報収集したり外部の人と会う機会が増えたりしており、外向きになった」ことが理由の一つだという。 転職支援サービスのリクルートエージェントの調査によると、09年から18年までの間で、金融にとどまる元銀行員の割合は48.3%から27.3%へと21ポイント減少した。 しかし、いまだに金融業界でキャリアアップを図る人もいる。例えば、中京銀行(愛知県)から外資系生命保険会社のプルデンシャル生命保険に転職した土屋翔平さん(29歳)は、「銀行員だと限界がありました」と語る。 学生時代にCFPというファイナンシャルプランナーの資格を取り、「お金の相談役のプロ」になりたいという気持ちで中京銀に入行。3年間、地元静岡の支店において、金融商品の販売を通じた個人の資産運用の支援を担当していた。 しかし、銀行員にはどうしても組織としてやらなければいけない目標があり、「自身の提案の幅とやるべき仕事量との間で、折り合いがつけられなくなってしまいました」。より幅広い提案ができる環境を求めた結果、成果主義ながら裁量権が大きいプルデンシャル生命の門をたたいた。 現在4年目の土屋さんは、今の仕事のやりがいを「万が一の際の話をするので、お客さまからの信頼を得て任せてもらうことが全て」だと語る。顧客の側に立った提案を続け、入社以来150週間以上にわたり、毎週3件以上の契約を預かり続けるという、支社でも圧倒的な成果を残している』、「09年から18年までの間で、金融にとどまる元銀行員の割合は48.3%から27.3%へと21ポイント減少した・・・いまだに金融業界でキャリアアップを図る人もいる。例えば、中京銀行(愛知県)から外資系生命保険会社のプルデンシャル生命保険に転職した土屋翔平さん(29歳)は、「銀行員だと限界がありました」と語る。 学生時代にCFPというファイナンシャルプランナーの資格を取り、「お金の相談役のプロ」になりたいという気持ちで中京銀に入行。3年間、地元静岡の支店において、金融商品の販売を通じた個人の資産運用の支援を担当していた。 しかし、銀行員にはどうしても組織としてやらなければいけない目標があり、「自身の提案の幅とやるべき仕事量との間で、折り合いがつけられなくなってしまいました」。より幅広い提案ができる環境を求めた結果、成果主義ながら裁量権が大きいプルデンシャル生命の門をたたいた」、なるほど。
・『LINE、メルペイ、ロボアド 増加するフィンテック転職 ただ、土屋さんのような成功事例があるとはいえ、同業界転職は下火だ。反対に、異業界の中ではコンサルティング業界や人材・教育業界、IT通信業界の3業界が人気を博している。 最も転職者数の割合が大きいコンサル業界は、以前から銀行員の人気が高い。最近の特徴は「企業側でマネーロンダリング(資金洗浄)対策やコンプライアンス対応の需要が高まっており、その支援を請け負うコンサル業界が、知見を持った金融機関出身者を採用したがっている」(水谷努・リクルートキャリアの金融領域キャリアコンサルタント)といい、特定のニーズも高まっている。 そして、もう一つの「大きな動き」(同)が、金融とITが融合した分野を示す「フィンテック」と呼ばれる新興企業からの採用ニーズの高まりだ。 銀行からフィンテック企業へ。ここ数年にわたり起こってきた“人材大移動”を読み解く上で、キーワードが三つある。 一つ目は「協業」。前出の佐藤さんのような、フィンテック企業が銀行と提携して新しいサービスをつくるに当たり、当の銀行側から人材を獲得するケースだ。同じく、クラウド会計ソフトや家計簿アプリを提供するマネーフォワードでも、協業を支えるための転職者の入社が増えている。 マネーフォワードは、18年12月に金融機関向けのデジタルサービスをつくる「マネーフォワード X」という部署を立ち上げた。ビジネスパートナーは、各地に点在する地銀がメイン。だからこそ、「東京を中心に事業を行うことに限界を感じていた」(本川大輔・マネーフォワード執行役員)。 そこで、各地方支社で営業部隊をつくったところ、地銀のデジタル化に対する課題を肌で感じ、なおかつ「銀行とのコミュニケーションの取り方」(同)を理解している地銀出身者が集まってきているという。 実際、今年地銀から転職してきた30代の男性は「外部と提携するための折衝を銀行で担当していたので、その経験を生かせるはず」と活躍できる環境に期待を寄せる。 二つ目のキーワードは「領域侵犯」。フィンテックベンチャーとは異なり、IT企業が新たに金融業へ参入しようとする中へ、銀行員が飛び込んでいる動きだ。 「金融機関からの転職者は、18年度から急増しています。それ以前は年間10~20人程度しか入社していませんでしたが、18年度は年間で100人近く採用していて、19年度も同じ傾向にあると感じています」 LINEで採用を担当している中野恵成・LINE Financial経営企画室マネージャーはこう述べる。LINEは、18年1月に金融事業を担うLINE Financialを立ち上げた。LINE証券や立ち上げ準備中の銀行業など、次々と金融に参入していることが大規模な人材流入の背景にある。 特に人材を必要としている部署が、事業としての金融ビジネスをつくり上げる部門や、法務やコンプライアンスなどのコーポレート部門だ。キャッシュレス決済サービスのLINE Payでも、「ある程度の規模の人材に入ってもらっています」という状況だ。 「銀行を辞めると決断したとき、まだ転職先が決まっていなかったので引き留められました」。約4年間勤務していた三菱UFJ銀行を辞めたときのことを、小林豪さん(28歳)はそう振り返る。 就職先に銀行を選んだ理由は、「経営者と接することで経営とは何かを学びたい」という思いからだ。その中で、「よりスピード感のある環境でビジネスに関わりたい」という考えが芽生え、心機一転、職場を変える。 小林さんが「ここしかない」と思って面接を受けたのは、メルカリが提供するQRコード決済サービスのメルペイだった。今では、銀行時代に培った「胆力」を生かして、加盟店営業に励んでいる。 このメルペイや前出のLINE Payといったキャッシュレス決済サービスは、政府のキャッシュレス推進と相まって、多くの事業者による新規参入が続く分野だ。 その人気ぶりを表すかのように「メルカリの社員はグループ全体で1800人ほど。子会社の人数は開示していませんが、メルペイの立ち上げに際して、数十人ほどの金融業界出身の方に参画してもらいました」と、採用担当の松尾彰大マネージャーは打ち明ける。 三つ目のキーワードは「専門性」。銀行で専門分野のスキルを培った人材がフィンテック領域でも重宝されている。 顧客の資産運用をプログラムが自動的に指南するロボアドバイザー。この領域の先駆者であるウェルスナビにおいて、執行役員を務める牛山史朗さん(41歳)は、学生時代に金融工学を修めた理系人材だ。 牛山さんが最初に就職したのが、三菱UFJ信託銀行。支店勤務の後に、2年半にわたり本社で金融商品の開発を担当した。その後、野村證券に転職し、約8年間クオンツの専門部署に所属。デリバティブの分析や投資商品の運用戦略に携わる。 ただ、金融機関の市場部門は、リスクを取りつつ収益をいかに上げられるかが最重要課題だ。片や牛山さんは、ゲーム性が強い金融機関の運用スタイルに従事するより、安定的に収益を積み上げる運用とは何かを突き詰めたいと、学生時代から考えていた。 そんな中、牛山さんはウェルスナビを立ち上げたばかりの柴山和久社長と出会った。前述の思いを持つ牛山さんは、柴山社長が語る「個人が安心して資産運用できる環境の必要性」に共感し、15年12月にウェルスナビに参画した。 今や、ウェルスナビに託された資産額は1700億円を突破した。その運用ロジックの基盤をつくり上げたメンバーの一人が、当の牛山さんである。貴重な金融畑の理系人材が、フィンテック企業を支えている』、「同業界転職は下火だ。反対に、異業界の中ではコンサルティング業界や人材・教育業界、IT通信業界の3業界が人気を博している。 最も転職者数の割合が大きいコンサル業界は、以前から銀行員の人気が高い。最近の特徴は「企業側でマネーロンダリング(資金洗浄)対策やコンプライアンス対応の需要が高まっており、その支援を請け負うコンサル業界が、知見を持った金融機関出身者を採用したがっている・・・牛山さんはウェルスナビを立ち上げたばかりの柴山和久社長と出会った。前述の思いを持つ牛山さんは、柴山社長が語る「個人が安心して資産運用できる環境の必要性」に共感し、15年12月にウェルスナビに参画した。 今や、ウェルスナビに託された資産額は1700億円を突破した。その運用ロジックの基盤をつくり上げたメンバーの一人が、当の牛山さんである。貴重な金融畑の理系人材が、フィンテック企業を支えている」。なるほど。
・『入社直前に仮想通貨不正流出が発生 コインチェックに転職したメガ行員 「最初の仕事は、対応に追われるエンジニアのためにお弁当を買いに行くことでした」 三井住友銀行を辞めた直後、野崎翔吾さん(32歳)はいきなり正念場を迎えた。それは転職先が仮想通貨交換業者のコインチェックであり、転職が決まった直後に、仮想通貨の不正流出が発覚したからだ。 18年1月にコインチェックで起きた、当時の交換レートで約580億円相当の仮想通貨の不正流出事件。野崎さんの同社への参画は、1カ月前の17年12月に決まる。 三井住友銀では、金利や為替などの運用ポジションの管理など、リスク管理に関する業務が長かった。英ロンドン支店に異動して、デリバティブ商品の取引や営業を担当していた時期もあった。 仮想通貨の存在を知ったのは、ロンドンでの勤務時代だ。銀行を介さない送金や決済を可能とする仮想通貨を見て、「実用化されていないが、いつか銀行はなくなるかもしれない」という危機感を覚えた。 帰国後、野崎さんは仮想通貨の国内取引所サービスを利用する。証券会社と違って環境は未成熟であるものの、すでに仮想通貨の取引ができることが「衝撃的だった」という。 大量の人材を抱えるが故に、メガバンクの中で昇進し、大きな仕事をするためには、成果だけではなく運の要素も大きいのではないか。そんなキャリアの悩みを持った野崎さんは転職活動を始め、たまたま興味を持っていたコインチェックからオファーがあったことで、転職を決意した。 2月1日に入社した野崎さんは、当初、仮想通貨の先物などデリバティブ商品の開発をしたいと思っていた。だが、待っていたのは流出事件からの再起に向けた対応だ。金融庁への報告資料をまとめる仕事や、運用モニタリングシステムの見直し、個人顧客に仮想通貨を販売するための仕入れ先の増加などに、日々追われていたという。 こうした経験の中で、「マーケットとは何か、流動性とは何かを理解していたことが役に立っています。また、仮想通貨の仕入れ先となる取引所の良しあしを判断する上で、銀行員として何十社ものバランスシートを見た経験が生きています」と語る。 そんな野崎さんは今、コインチェックからさらに別の仮想通貨交換業者に転職した。今後も、仮想通貨の世界にどっぷり漬かっていくという』、「仮想通貨の存在を知ったのは、ロンドンでの勤務時代だ。銀行を介さない送金や決済を可能とする仮想通貨を見て、「実用化されていないが、いつか銀行はなくなるかもしれない」という危機感を覚えた。 帰国後、野崎さんは仮想通貨の国内取引所サービスを利用する。証券会社と違って環境は未成熟であるものの、すでに仮想通貨の取引ができることが「衝撃的だった」という。 大量の人材を抱えるが故に、メガバンクの中で昇進し、大きな仕事をするためには、成果だけではなく運の要素も大きいのではないか。そんなキャリアの悩みを持った野崎さんは転職活動を始め、たまたま興味を持っていたコインチェックからオファーがあったことで、転職を決意した・・・コインチェックからさらに別の仮想通貨交換業者に転職した。今後も、仮想通貨の世界にどっぷり漬かっていくという」。なるほど。
・『格好の草刈り場になりつつある銀行業界 転職バンカーとの連携が広まるか ここまで、銀行からフィンテック企業に転職した複数の事例を見てきた。銀行は今、金融という知見を組織の中に取り入れたい企業にとっては、格好の草刈り場になりつつある。 ただ、全ての人が銀行を見限って辞めたわけでもない。freeeに転職した佐藤さんのように、転職者が懸け橋となり、銀行のビジネスチャンスにつながった事例もある。 故に、銀行にとって必要なことは、銀行を辞めて異業界に行った元銀行員とリレーションを築くことではないだろうか。 「銀行から出ていった身ではありますが、いつか古巣と一緒に仕事ができないかなと思っています」 こう語るのは、みずほ銀行を辞めて起業した小林巧汰さん(25歳)だ。小林さんは、効率的な練習方法を究めた米国の野球理論を学びたいという思いから、高校卒業後に米カンザス大学に留学。同時に学業として金融学を修めた。 語学と金融の“二刀流”を強みとしていた小林さんは、金融の中で大きな仕事がしたいと考え、みずほ銀の中で配属先が大企業営業や海外部門に限られる「コース別採用」という狭き門を通った。 ただ、野球に関わるビジネスをしたいという気持ちを捨て切れなかった小林さんは、採用面接の段階で、「入社して2~3年で野球の世界に戻りたいと思っていますが、それでもいいですか」と打ち明けた。採用担当からの返事は「それで辞めても構わないから銀行でチャレンジしてほしい」だった。 その言葉に背中を押され、みずほ銀への入行を決意する。ただ、巨大な組織であるメガバンクにおいて、若手のうちから裁量権を持って仕事をするのは容易ではない。その中で、小林さんは自分が設定した「野球に戻る」までの時間と葛藤し、結果的に銀行を去ることを選んだ。 今では、野球やサッカー、陸上など多岐にわたるアスリートの卵たちに、海外で学んだスポーツ理論や英語を教えている。その中で、「アスリートたちに金融の知識を教えることも重要」だと気付き、そのための取り組みをいつか銀行と手を組んでできないかと考えているようだ。 すでに、三井住友銀を辞めた人たちが有志でつくった「SMBCベンチャー会」という会合に、現役の三井住友銀の行員が参加する機会もあるという。こうした銀行員と元銀行員が連携する流れが、銀行界に広まっていくことが期待されているといえそうだ。 「銀行・証券断末魔」番外編 >>(上)「銀行業界でフィンテック企業の挑戦者たちが見いだした商機、freee・LINE…」』、「銀行は今、金融という知見を組織の中に取り入れたい企業にとっては、格好の草刈り場になりつつある。 ただ、全ての人が銀行を見限って辞めたわけでもない。freeeに転職した佐藤さんのように、転職者が懸け橋となり、銀行のビジネスチャンスにつながった事例もある。 故に、銀行にとって必要なことは、銀行を辞めて異業界に行った元銀行員とリレーションを築くことではないだろうか・・・三井住友銀を辞めた人たちが有志でつくった「SMBCベンチャー会」という会合に、現役の三井住友銀の行員が参加する機会もあるという。こうした銀行員と元銀行員が連携する流れが、銀行界に広まっていくことが期待されているといえそうだ」、今後が楽しみだ。
次に、6月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの酒井真弓氏による「「銀行にニーズなんてあるか?」千葉銀行が気付いた“客が本当に望んでいたもの”とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/346041
・『2023年4月、千葉銀行は新たなDX戦略「ちばぎんDX3.0」をスタートした。「面白い銀行」「千葉銀行“で”いいよね」を目指し、アプリの利用者増で振込の取引量が飛躍的に増えたり、独自の人材育成を行ったりと目に見える成果を上げている。同行は2021年からDXに取り組んでいるが、最初の2年は「顧客体験の創造って結局何なんだ?」「千葉銀行のファンになるってどういうこと?」という問いに答えが出ず、暗中模索だったという。頭取や仲間とともに「これで誰が幸せになるの?」とひたすら問い続けた2年間を経て、ブレイクスルーは「銀行に対してニーズなんてあるか? ないわ」と気付いたことだった』、「これで誰が幸せになるの?」とひたすら問い続けた2年間を経て、ブレイクスルーは「銀行に対してニーズなんてあるか? ないわ」と気付いたことだった」、居直ったのがよかったとは・・・。
・『地方銀行のDXが目指すべきものとは? 千葉銀行は「最高の顧客体験の創造」 国内でも、早い段階でDXやオープンイノベーションの必要性が叫ばれ始めたのが、銀行をはじめとする金融機関だ。単なる利便性の追求にとどまらず、顧客のニーズを的確に捉えたサービスの提供、非金融領域への進出も活発化している。 筆者は昨年、熊本の肥後銀行を取材した(https://www.salesforce.com/jp/blog/jp-dx-compass-higoginkou/)。同行は、新たなサービスの一つに「地域企業のDX支援」を掲げ、SIerやITコンサルタントのような役割を担っていくと示唆した。頭取の笠原慶久さんは、「もう金融サービスだけでは世の中のニーズに応えきれない。地域の役に立つことなら、DXから人材の供給、脱炭素まで、何でも取り組んでいこうと思っています」と話してくれた。そして、「その地域にどんな銀行があるかで、地域の未来が変わる」とも。地域に根ざした存在だからこそのDXのあり方。俄然、他の地方銀行の取り組みも知りたくなった。 そんなわけで、今回は千葉銀行に注目したい。2023年4月にスタートした新DX戦略「ちばぎんDX3.0」は、最高の顧客体験の創造を主眼に、大きく2つの骨子から成る。1つ目は「パーソナライズ戦略」。顧客一人ひとりに寄り添い、最適なサービスを提案する。2つ目は「地域エコシステム戦略」。法人や個人、行政を含めた地域のステークホルダーと手を携え、地域経済の発展に貢献する。 これらを実現すべく、千葉銀行では金融事業の進化はもちろん、非金融事業にも挑戦している。人手が足りない地域企業への人材支援やDX支援もその一つだ。また、データを駆使した顧客体験(CX)の創出には、高度なスキルを備えたDX人材の育成が欠かせない。ITベンダーや異業種への出向も織り交ぜた、DXトレーニー制度にも力を入れている』、「新DX戦略「ちばぎんDX3.0」は、最高の顧客体験の創造を主眼に、大きく2つの骨子から成る。1つ目は「パーソナライズ戦略」。顧客一人ひとりに寄り添い、最適なサービスを提案する。2つ目は「地域エコシステム戦略」。法人や個人、行政を含めた地域のステークホルダーと手を携え、地域経済の発展に貢献する。 これらを実現すべく、千葉銀行では金融事業の進化はもちろん、非金融事業にも挑戦している」、なるほど。
・『CXの沼にハマり、2年間は暗中模索していた 軌道に乗りつつある千葉銀行のDXだが、ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。千葉銀行 執行役員 デジタル戦略部長の柴田秀樹さんは、「2021年から2年間は暗中模索していた」と明かす。原因は、CXの追求にあった。 2021年4月にスタートしたデジタル改革部(現デジタル戦略部)は、「ファンになってもらえる銀行になる」を基本路線に、顧客体験の向上を目指した戦略策定に着手した。だが、「それまでは漠然と、お客さまに良い体験を提供することが顧客体験の向上だと考えていたのですが、具体的に何をすればいいのか、明確なビジョンが持てない状況が続いたのです」(柴田さん) コンサルタントの提案も、当時はいまいち腑に落ちなかった。洗練された資料で理屈としては良さそうなのだが、肝心の顧客の実情や心情とマッチしているのか確信が持てなかったという。顧客が銀行に求めているものは何か、「千葉銀行のファンになる」とは一体どういう状態なのか……議論を重ねるほどに混迷を極め、柴田さんらはいつしか、「CXの沼」にはまっていた。 DX部門のジレンマにも陥っていた。DXとは単なるIT化ではなく、ビジネスモデルの変革を指す。そのため当初から「新しいビジネスを始めよう」という方向性は定まっていた。しかし、そこにDXらしい柔軟性や軽やかさはなく、既存のビジネス同等に、しっかりと価値を提供しなければならないと考えていた。 「結局、最初の1年は結論が出ないまま終わってしまいました。資料も数え切れないほど作り倒し、いろんな人に説明しましたが、浮わついた感じで、誰の心にも刺さっていませんでした」(柴田さん)』、「CXの沼にハマり、2年間は暗中模索していた」、さぞかし苦しい「2年間」だったことだろう。
・『「銀行にニーズなんてないわ」と気付き「『面白い』を目指そう」と方針が固まる 2年目、ブレイクスルーは突然訪れた。「銀行に対してニーズなんてあるか? ないわ」と気づいたのだ。「銀行ってむしろ行くのすら面倒くさいですよね。長く使っていただくには、『千葉銀行って、なんか面白いよね』と思ってもらえることのほうが重要なのではないかと」(柴田さん) 「面白い」とは、決して奇をてらうことではない。まずは既存の機能を研ぎ澄まし、より便利で使い勝手のいい銀行を目指すこと。結果、長く使い続けてもらえるようになり、その状態が、「千葉銀行のファンになっていただけた」と言えるのではないかと思い至ったのだ。 非金融事業に進出する根本的な理由も、「面白い」の追求にある。「銀行の本業は、お客さまからの信頼を基盤とした金融サービスの提供ですが、一見すると銀行らしくない事業にも果敢に挑戦することで、『千葉銀行ってこんなこともしているんだ。じゃあ、千葉銀行でいいか』と思ってほしい。それが狙いなんです」(柴田さん) 「千葉銀行“で”いいよね」を目指す、慎ましいCX戦略だが、本質を突いているように思う。「ファンになる」のは、顧客の「いいね」が積み重なった先にもたらされる結果に過ぎない。最初から「ファンになってほしい」「好感を持ってほしい」から始めると、CX戦略もどこかあざとくなってしまうのではないか。それはきっと顧客にも見透かされる』、「まずは既存の機能を研ぎ澄まし、より便利で使い勝手のいい銀行を目指すこと。結果、長く使い続けてもらえるようになり、その状態が、「千葉銀行のファンになっていただけた」と言えるのではないかと思い至った」、なるほど。
・『「これで誰が幸せになるの?」 元DX担当の頭取と、毎週2時間の真剣勝負 「面白い銀行」という指針を得て、柴田さんらはようやくスタートラインに立った。「面白い銀行」とは一体どんな銀行なのか。ここからは、新しい顧客体験の創造に向け、グループCEO(頭取)の米本努さんと毎週2時間に及ぶ議論を重ねた。 米本さんは、グループCDTO(Chief Digital Transformation Officer)として千葉銀行のDXをけん引し、2021年に頭取に就任した。デジタルは有用だが、あくまで手段に過ぎないと身をもって実感してきたからこそ、より顧客に提供できる価値を重視しているという。「トップの深い理解が今の戦略につながっている」と柴田さんは語る。 「頭取との時間は、ふわっとしたところがあると『これで誰が幸せになるの?』と鋭い質問が飛んでくる、膝詰めの真剣勝負でした。一方で、お客さまが幸せになる根拠が示されると、頭取は『いいね、すぐにやろう』と後押ししてくれました。『何か新しいことは考えた?』『まだ1週間なのでできていません』みたいなこともありましたけどね」と、柴田氏は笑う。 議論を重ねる中で 、さまざまなアイデアが生まれた。例えば、顧客が家を買うとする。通常、銀行が関わるのは住宅ローンを組むところからだが、家を買う前からさまざまな提案ができたとしたらどうだろう。従来の金融商品中心の営業スタイら、顧客の本来の目的により近い川上のアプローチへと移行していくことで、新たな顧客体験の形が見えてルかくる』、「元DX担当の頭取と、毎週2時間の真剣勝負」を重ねた蓄積が大きそうだ。「議論を重ねる中で 、さまざまなアイデアが生まれた。例えば、顧客が家を買うとする。通常、銀行が関わるのは住宅ローンを組むところからだが、家を買う前からさまざまな提案ができたとしたらどうだろう。従来の金融商品中心の営業スタイら、顧客の本来の目的により近い川上のアプローチへと移行していくことで、新たな顧客体験の形が見えてルかくる」、なるほど。
・『アプリ振込は手数料が安いのに…… 「日本一速いアプリ」を作ったら収益向上した こうして本格化していったCX向上の取り組み。具体的な成果の一つが、日本一速いアプリを目指した「ちばぎんアプリ」だ。口座登録数が100万件を突破するなど、目に見える成果を上げている。リリース当初は「機能が少ない」など厳しい指摘もあったというが、改善を重ね、App Storeでの評価は、4.5~4.6と高評価を維持している。 現在は、振込の4割近くがアプリ経由だという。実は、アプリ経由の振込手数料は窓口やATMよりも低く設定されており、銀行にとっては減収要因になりかねない。しかし蓋を開けてみれば、振込の取扱量が飛躍的に伸び、収益向上につながった。顧客からも「速くて便利」という声が上がっているという。 柴田さんは、「2021年のスタートから、あっという間の3年間でした」と振り返る。もしかして、文化祭の前のようなワクワク感があったりしたのだろうか。 「いや、焦燥感しかありませんよ(笑)。私たちはKGIとして利益目標を掲げているので、それをどうやって達成するのかも考えなければならない。しかも、営業活動を通してだけでなく、『面白いから使ってみよう』と思ってもらうことで利益を上げていく。難題でしょう」(柴田さん)』、「振込の4割近くがアプリ経由だという。実は、アプリ経由の振込手数料は窓口やATMよりも低く設定されており、銀行にとっては減収要因になりかねない。しかし蓋を開けてみれば、振込の取扱量が飛躍的に伸び、収益向上につながった。顧客からも「速くて便利」という声が上がっているという」、大したものだ。
・『独自のDXトレーニー制度を展開 ITベンダーなど異業種への出向で即戦力化 千葉銀行のDXを語る上でもう一つ欠かせないのが人材育成だ。公募制で5~9カ月ほどITベンダーや異業種に出向してスキルと銀行以外の視点を身につける、独自のDXトレーニー制度を導入している。 以前は人材戦略室長だった柴田さんは、「座学の研修は一時的な効果しかない。実際の業務に携わり、手を動かしてこそ身に付く」と、こだわりを持って取り組んでいる。目下の目標は、100人のDX人材を育てることだが、2024年5月末の取材時点で70人に達している。 データ統合サービスを提供するダイナトレックに出向した窪田禎之さんも、その一人だ。「ダイナトレックを新規導入する地方銀行にうかがい、システムの要件定義から構築、データ分析に携わりました。他行の担当者の方と議論を重ねながら作業を進めていく、密度の濃い5カ月でした」と振り返る。 ITベンダー側の視点を学べたことも大きな収穫だったという。「私たち銀行がどんなふうにオーダーすればスムーズに動きやすいのか、身をもって理解できました」(窪田さん) ダイナトレックの佐伯卓也さんは、「窪田さんには当社のエンジニア同様に働いてもらった」と振り返る。千葉銀行はダイナトレックにとって顧客でもあるのだが忖度はない。厳しい案件も一緒に乗り越えたという。 このDXトレーニーのもう一つの特徴は、千葉銀行に戻った後の業務を決めてから出向先に送り出すことだ。明確な目標があってこそ愚直にスキルを習得し、即戦力となって帰ってくる。窪田さんも、現在はマーケティング戦略グループの一員として、データ分析に従事している』、「DXトレーニーのもう一つの特徴は、千葉銀行に戻った後の業務を決めてから出向先に送り出すことだ。明確な目標があってこそ愚直にスキルを習得し、即戦力となって帰ってくる」、これは人事部はフリーハンドが少なくなるので抵抗するかも知れないが、全体的にはいいことだ。
・『全員参加で描く千葉銀行のDXの未来とは? 千葉銀行のDXは、今後どのような展開を見せるのだろうか。柴田さんは、非金融事業での価値創造を改めて強調する。 「銀行の支店に設置されたサイネージに地域企業の広告を出す取り組みが好評です。これまで140社に活用いただいています。また、2024年1~3月に実施したメタバース空間で住宅展示場を展開するPoCは、1300人が訪れてくれました。これはもっと本格的にやろうと計画中です」(柴田さん) イノベーションの種は、デジタル戦略部以外の職員からも生まれている。全職員と内定者を対象とした初のアイデアピッチコンテストでは、65件に及ぶ新規ビジネスのアイデアが寄せられた。今は銀行が大きく変わっていく過渡期。グループ全体で変革の機運を高めていく考えだ。地域に根ざした銀行が、いかにDXを進め、新たな価値を創造していくのか。千葉銀行の挑戦は、一つの道筋を示唆している』、「今は銀行が大きく変わっていく過渡期。グループ全体で変革の機運を高めていく考えだ。地域に根ざした銀行が、いかにDXを進め、新たな価値を創造していくのか。千葉銀行の挑戦は、一つの道筋を示唆している」、理想形といっても言い過ぎではなさそうだ。
第三に、 6月29日付け日刊ゲンダイ「三菱UFJの幹部OBが激怒する「銀証ルール違反処分」の“恥”」を紹介しよう。
・『政界通(以下=政) 三菱UFJフィナンシャル・グループの三菱UFJ銀行と証券子会社2社が、金融庁から6月24日に業務改善命令の処分を受けたな。どういうことだ? 官界通(同=官) 銀行の幹部が顧客企業の非公開の情報を、その企業の意に反して何度も証券側へ伝えていて、証券ビジネスの材料にしようとしていたというのだから、あきれた。処分は当然だ。 財界通(同=財) それはそうだ。銀行は企業に運転資金や設備投資の資金を貸しているから、優越的な地位にいる。同じグループの証券が銀行だけが知っている極秘情報を使えば、相手が「圧力」を感じて応じざるを得ない可能性があるから、金融商品取引法の銀証ルールで規制している』、「銀行の幹部が顧客企業の非公開の情報を、その企業の意に反して何度も証券側へ伝えていて、証券ビジネスの材料にしようとしていた」、なんでこんな見えすいた違反を起こしたのだろう。気の緩みとしか思えない。
・『かつては当局の嫌がらせにも毅然と対峙 政 三菱UFJといえば、日本を代表する金融機関だ。そんな姑息な手段を使うとは、嘆かわしい。しかも、当時の銀行頭取が知っていながら止めなかったそうじゃないか。 財 銀行の幹部だったOBは「三菱の恥だ」と怒っているし、三菱グループの首脳にも苦い顔が多い。 官 そうだろう。三菱UFJの前身の三菱銀行は、金融庁になる前の大蔵省銀行局が絶大な権力を振るっても、銀行界を代表して正論を突きつけた。銀行局が「嫌がらせ」に新規支店の設置認可の場所を町はずれにしても、毅然と対峙した。幹部OBが怒るのも当然だ。 政 規制違反を知っていた当時の頭取が、いま親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループの会長をしているな。責任を取らないのか? 財 まだ、取ったとは言えない。 官 以前のトップなら、すぐ辞任していただろう。 政 メディアの取材は、受けているのか? 官 いや、報道がないから、取材を避けているのだろう。 財 その会長は経済同友会の副代表幹事を務めてもいるが、処分の事前報道があった後の6月14日に代表幹事と副代表幹事の定例会議を欠席した。記者たちは「逃げたな」と憤慨していたよ。 政 三菱の首脳らしい潔さがないね。OBたちが知れば、怒りが増しそうだな』、「三菱銀行は、金融庁になる前の大蔵省銀行局が絶大な権力を振るっても、銀行界を代表して正論を突きつけた。銀行局が「嫌がらせ」に新規支店の設置認可の場所を町はずれにしても、毅然と対峙した」、嘆かわしい限りだ。「規制違反を知っていた当時の頭取が、いま親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループの会長をしているな。責任を取らないのか? 財 まだ、取ったとは言えない」、お粗末過ぎる。
ずは、本年6月21日付けダイヤモンド・オンライン「【無料公開】メガバンク・地銀出身者の転職事情、バンカーに人気の3業界とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/345681
・『「銀行・証券断末魔」特集(全5回)の番外編を上・下に分けてお届けする。テーマは、銀行業界においてその存在感が増す一方となっている、金融とITを融合させたフィンテック。今回の番外編(下)で取り上げるのは、銀行員の転職物語だ。銀行員がエリートだった時代も今は昔。大リストラ時代に突入したことで、銀行から脱出して異業界へと転じる銀行員が急増しているという。どんな業界が人気なのだろうか。メガバンク・地銀出身者の転職事情に迫った。 ※2019年9月22日に公開した有料会員向け記事を、1カ月の期間限定で無料公開します。全ての内容は初出時のまま』、興味深そうだ。
・『鳥取から単身上京、都内ベンチャーへ メガ・地銀出身者の転職事情 「せっかく銀行から出ていくなら、どんどん外部からのインプットが欲しい」 2017年10月、佐藤顕範さん(35歳)は地方銀行を辞めてクラウド会計ソフトのfreeeに転職した。辞めると伝えたときに古巣からもらった激励を、今でも重要な使命だと心に刻んでいる。 佐藤さんの古巣は鳥取銀行。転職後は大阪の関西支社に所属し、その後に東京・五反田の本社に転勤したが、今も家族を地元の鳥取に残したままだ。 地銀は地元志向型の人材が多く、家庭を持ったりマイホームを買ったりした30代以降になると転勤を伴う転職はハードルが高い。この状況を踏まえると、佐藤さんのキャリアチェンジは珍しい例だ。 家族からは「心配はされたが応援してもらっている」と語る佐藤さん。そもそも銀行に就職した当初、「転職は全然考えていませんでした」。 転機が訪訪れたのは、16年8月。鳥取銀の本部で営業企画を担当していたとき、地元の企業に会計ソフトを広めるためにfreeeと仕事をし始めたのがきっかけとなった。 当時、佐藤さんは“大企業病”にかかっていたという。誰でも陥りがちな、仕事をやらされている感覚。それを刺激したのは「本質的に価値があることにこだわる」という企業理念を体現して生き生きと働くfreeeの社員の姿だった。 同時に、もともと持っていた「地元の中小企業を支える」という理想が、freeeのサービスを通して実現できるのではないかとも感じた。だが、地銀にいる限りは「全国に広めるのは難しい」。 こうした事情から、自分の手でサービスを広めようとfreeeに飛び込んだ。そして激励の言葉通り、転職後には「freeeの佐藤」として古巣に出向く。その結果、地元企業のIT導入支援を本格的に進めるコンサルティングチームが鳥取銀で立ち上げられたときに、最初の支援ツールとしてfreeeが選ばれたという。 佐藤さんは今、freee finance labという子会社の取締役に就いている。freeeの金融事業を取りまとめる立場だ。 「銀行は新卒入社がほとんどで、どこの支店で誰と誰がつながっているかなど、人間関係は分かりやすいですね。でもfreeeの人は中途入社やエンジニアなど多種多様。それぞれどんな人物か知る場をつくるなど、気を使っていますよ(笑)」 銀行時代にはなかった新しい苦労を感じつつ、「同質ではない人の意見を聞けるのが、良い頭の体操になります」と、今でも刺激を受け続けている』、「freeeの人は中途入社やエンジニアなど多種多様。それぞれどんな人物か知る場をつくるなど、気を使っていますよ(笑)」 銀行時代にはなかった新しい苦労を感じつつ、「同質ではない人の意見を聞けるのが、良い頭の体操になります」と、今でも刺激を受け続けている」、なるほど。
・『“大リストラ時代”への突入で異業界へ脱出する銀行員が急増 昨今の転職市場は売り手市場で、金融業界でも転職者が増えている。特に増えたのが、佐藤さんのような銀行からの転職者だ。とりわけ近年は、銀行から脱出して異業界へと身を転じるバンカーが目立っている。 異業界への転職者が増えた理由は何か。藤井薫・リクルートキャリアHR統括編集長は、「製造業がサービス業への転換を求められるなど、業界の壁が溶けている中で、求職者側も越境し、求人側も異業界からの受け入れにこだわりがなくなっている」と分析する。 こと銀行業界に限れば、17年11月にみずほフィナンシャルグループが「1.9万人の人員削減」を発表するなど、3メガバンクグループがそろって縮小路線を打ち出したことが理由に挙げられる。本業の不振ぶりと相まって、銀行業界の “大リストラ時代”の到来を印象づけた。 この銀行離れの背景について、人材紹介会社のクライス&カンパニーの丸山貴宏社長は、「今転職を希望する銀行員は、さまざまな視点から将来について不安を抱いている」と指摘する。加えて、「かつて銀行員は、入社してすぐに“金融村”に入り、そのまま卒業した。それが、SNSで情報収集したり外部の人と会う機会が増えたりしており、外向きになった」ことが理由の一つだという。 転職支援サービスのリクルートエージェントの調査によると、09年から18年までの間で、金融にとどまる元銀行員の割合は48.3%から27.3%へと21ポイント減少した。 しかし、いまだに金融業界でキャリアアップを図る人もいる。例えば、中京銀行(愛知県)から外資系生命保険会社のプルデンシャル生命保険に転職した土屋翔平さん(29歳)は、「銀行員だと限界がありました」と語る。 学生時代にCFPというファイナンシャルプランナーの資格を取り、「お金の相談役のプロ」になりたいという気持ちで中京銀に入行。3年間、地元静岡の支店において、金融商品の販売を通じた個人の資産運用の支援を担当していた。 しかし、銀行員にはどうしても組織としてやらなければいけない目標があり、「自身の提案の幅とやるべき仕事量との間で、折り合いがつけられなくなってしまいました」。より幅広い提案ができる環境を求めた結果、成果主義ながら裁量権が大きいプルデンシャル生命の門をたたいた。 現在4年目の土屋さんは、今の仕事のやりがいを「万が一の際の話をするので、お客さまからの信頼を得て任せてもらうことが全て」だと語る。顧客の側に立った提案を続け、入社以来150週間以上にわたり、毎週3件以上の契約を預かり続けるという、支社でも圧倒的な成果を残している』、「09年から18年までの間で、金融にとどまる元銀行員の割合は48.3%から27.3%へと21ポイント減少した・・・いまだに金融業界でキャリアアップを図る人もいる。例えば、中京銀行(愛知県)から外資系生命保険会社のプルデンシャル生命保険に転職した土屋翔平さん(29歳)は、「銀行員だと限界がありました」と語る。 学生時代にCFPというファイナンシャルプランナーの資格を取り、「お金の相談役のプロ」になりたいという気持ちで中京銀に入行。3年間、地元静岡の支店において、金融商品の販売を通じた個人の資産運用の支援を担当していた。 しかし、銀行員にはどうしても組織としてやらなければいけない目標があり、「自身の提案の幅とやるべき仕事量との間で、折り合いがつけられなくなってしまいました」。より幅広い提案ができる環境を求めた結果、成果主義ながら裁量権が大きいプルデンシャル生命の門をたたいた」、なるほど。
・『LINE、メルペイ、ロボアド 増加するフィンテック転職 ただ、土屋さんのような成功事例があるとはいえ、同業界転職は下火だ。反対に、異業界の中ではコンサルティング業界や人材・教育業界、IT通信業界の3業界が人気を博している。 最も転職者数の割合が大きいコンサル業界は、以前から銀行員の人気が高い。最近の特徴は「企業側でマネーロンダリング(資金洗浄)対策やコンプライアンス対応の需要が高まっており、その支援を請け負うコンサル業界が、知見を持った金融機関出身者を採用したがっている」(水谷努・リクルートキャリアの金融領域キャリアコンサルタント)といい、特定のニーズも高まっている。 そして、もう一つの「大きな動き」(同)が、金融とITが融合した分野を示す「フィンテック」と呼ばれる新興企業からの採用ニーズの高まりだ。 銀行からフィンテック企業へ。ここ数年にわたり起こってきた“人材大移動”を読み解く上で、キーワードが三つある。 一つ目は「協業」。前出の佐藤さんのような、フィンテック企業が銀行と提携して新しいサービスをつくるに当たり、当の銀行側から人材を獲得するケースだ。同じく、クラウド会計ソフトや家計簿アプリを提供するマネーフォワードでも、協業を支えるための転職者の入社が増えている。 マネーフォワードは、18年12月に金融機関向けのデジタルサービスをつくる「マネーフォワード X」という部署を立ち上げた。ビジネスパートナーは、各地に点在する地銀がメイン。だからこそ、「東京を中心に事業を行うことに限界を感じていた」(本川大輔・マネーフォワード執行役員)。 そこで、各地方支社で営業部隊をつくったところ、地銀のデジタル化に対する課題を肌で感じ、なおかつ「銀行とのコミュニケーションの取り方」(同)を理解している地銀出身者が集まってきているという。 実際、今年地銀から転職してきた30代の男性は「外部と提携するための折衝を銀行で担当していたので、その経験を生かせるはず」と活躍できる環境に期待を寄せる。 二つ目のキーワードは「領域侵犯」。フィンテックベンチャーとは異なり、IT企業が新たに金融業へ参入しようとする中へ、銀行員が飛び込んでいる動きだ。 「金融機関からの転職者は、18年度から急増しています。それ以前は年間10~20人程度しか入社していませんでしたが、18年度は年間で100人近く採用していて、19年度も同じ傾向にあると感じています」 LINEで採用を担当している中野恵成・LINE Financial経営企画室マネージャーはこう述べる。LINEは、18年1月に金融事業を担うLINE Financialを立ち上げた。LINE証券や立ち上げ準備中の銀行業など、次々と金融に参入していることが大規模な人材流入の背景にある。 特に人材を必要としている部署が、事業としての金融ビジネスをつくり上げる部門や、法務やコンプライアンスなどのコーポレート部門だ。キャッシュレス決済サービスのLINE Payでも、「ある程度の規模の人材に入ってもらっています」という状況だ。 「銀行を辞めると決断したとき、まだ転職先が決まっていなかったので引き留められました」。約4年間勤務していた三菱UFJ銀行を辞めたときのことを、小林豪さん(28歳)はそう振り返る。 就職先に銀行を選んだ理由は、「経営者と接することで経営とは何かを学びたい」という思いからだ。その中で、「よりスピード感のある環境でビジネスに関わりたい」という考えが芽生え、心機一転、職場を変える。 小林さんが「ここしかない」と思って面接を受けたのは、メルカリが提供するQRコード決済サービスのメルペイだった。今では、銀行時代に培った「胆力」を生かして、加盟店営業に励んでいる。 このメルペイや前出のLINE Payといったキャッシュレス決済サービスは、政府のキャッシュレス推進と相まって、多くの事業者による新規参入が続く分野だ。 その人気ぶりを表すかのように「メルカリの社員はグループ全体で1800人ほど。子会社の人数は開示していませんが、メルペイの立ち上げに際して、数十人ほどの金融業界出身の方に参画してもらいました」と、採用担当の松尾彰大マネージャーは打ち明ける。 三つ目のキーワードは「専門性」。銀行で専門分野のスキルを培った人材がフィンテック領域でも重宝されている。 顧客の資産運用をプログラムが自動的に指南するロボアドバイザー。この領域の先駆者であるウェルスナビにおいて、執行役員を務める牛山史朗さん(41歳)は、学生時代に金融工学を修めた理系人材だ。 牛山さんが最初に就職したのが、三菱UFJ信託銀行。支店勤務の後に、2年半にわたり本社で金融商品の開発を担当した。その後、野村證券に転職し、約8年間クオンツの専門部署に所属。デリバティブの分析や投資商品の運用戦略に携わる。 ただ、金融機関の市場部門は、リスクを取りつつ収益をいかに上げられるかが最重要課題だ。片や牛山さんは、ゲーム性が強い金融機関の運用スタイルに従事するより、安定的に収益を積み上げる運用とは何かを突き詰めたいと、学生時代から考えていた。 そんな中、牛山さんはウェルスナビを立ち上げたばかりの柴山和久社長と出会った。前述の思いを持つ牛山さんは、柴山社長が語る「個人が安心して資産運用できる環境の必要性」に共感し、15年12月にウェルスナビに参画した。 今や、ウェルスナビに託された資産額は1700億円を突破した。その運用ロジックの基盤をつくり上げたメンバーの一人が、当の牛山さんである。貴重な金融畑の理系人材が、フィンテック企業を支えている』、「同業界転職は下火だ。反対に、異業界の中ではコンサルティング業界や人材・教育業界、IT通信業界の3業界が人気を博している。 最も転職者数の割合が大きいコンサル業界は、以前から銀行員の人気が高い。最近の特徴は「企業側でマネーロンダリング(資金洗浄)対策やコンプライアンス対応の需要が高まっており、その支援を請け負うコンサル業界が、知見を持った金融機関出身者を採用したがっている・・・牛山さんはウェルスナビを立ち上げたばかりの柴山和久社長と出会った。前述の思いを持つ牛山さんは、柴山社長が語る「個人が安心して資産運用できる環境の必要性」に共感し、15年12月にウェルスナビに参画した。 今や、ウェルスナビに託された資産額は1700億円を突破した。その運用ロジックの基盤をつくり上げたメンバーの一人が、当の牛山さんである。貴重な金融畑の理系人材が、フィンテック企業を支えている」。なるほど。
・『入社直前に仮想通貨不正流出が発生 コインチェックに転職したメガ行員 「最初の仕事は、対応に追われるエンジニアのためにお弁当を買いに行くことでした」 三井住友銀行を辞めた直後、野崎翔吾さん(32歳)はいきなり正念場を迎えた。それは転職先が仮想通貨交換業者のコインチェックであり、転職が決まった直後に、仮想通貨の不正流出が発覚したからだ。 18年1月にコインチェックで起きた、当時の交換レートで約580億円相当の仮想通貨の不正流出事件。野崎さんの同社への参画は、1カ月前の17年12月に決まる。 三井住友銀では、金利や為替などの運用ポジションの管理など、リスク管理に関する業務が長かった。英ロンドン支店に異動して、デリバティブ商品の取引や営業を担当していた時期もあった。 仮想通貨の存在を知ったのは、ロンドンでの勤務時代だ。銀行を介さない送金や決済を可能とする仮想通貨を見て、「実用化されていないが、いつか銀行はなくなるかもしれない」という危機感を覚えた。 帰国後、野崎さんは仮想通貨の国内取引所サービスを利用する。証券会社と違って環境は未成熟であるものの、すでに仮想通貨の取引ができることが「衝撃的だった」という。 大量の人材を抱えるが故に、メガバンクの中で昇進し、大きな仕事をするためには、成果だけではなく運の要素も大きいのではないか。そんなキャリアの悩みを持った野崎さんは転職活動を始め、たまたま興味を持っていたコインチェックからオファーがあったことで、転職を決意した。 2月1日に入社した野崎さんは、当初、仮想通貨の先物などデリバティブ商品の開発をしたいと思っていた。だが、待っていたのは流出事件からの再起に向けた対応だ。金融庁への報告資料をまとめる仕事や、運用モニタリングシステムの見直し、個人顧客に仮想通貨を販売するための仕入れ先の増加などに、日々追われていたという。 こうした経験の中で、「マーケットとは何か、流動性とは何かを理解していたことが役に立っています。また、仮想通貨の仕入れ先となる取引所の良しあしを判断する上で、銀行員として何十社ものバランスシートを見た経験が生きています」と語る。 そんな野崎さんは今、コインチェックからさらに別の仮想通貨交換業者に転職した。今後も、仮想通貨の世界にどっぷり漬かっていくという』、「仮想通貨の存在を知ったのは、ロンドンでの勤務時代だ。銀行を介さない送金や決済を可能とする仮想通貨を見て、「実用化されていないが、いつか銀行はなくなるかもしれない」という危機感を覚えた。 帰国後、野崎さんは仮想通貨の国内取引所サービスを利用する。証券会社と違って環境は未成熟であるものの、すでに仮想通貨の取引ができることが「衝撃的だった」という。 大量の人材を抱えるが故に、メガバンクの中で昇進し、大きな仕事をするためには、成果だけではなく運の要素も大きいのではないか。そんなキャリアの悩みを持った野崎さんは転職活動を始め、たまたま興味を持っていたコインチェックからオファーがあったことで、転職を決意した・・・コインチェックからさらに別の仮想通貨交換業者に転職した。今後も、仮想通貨の世界にどっぷり漬かっていくという」。なるほど。
・『格好の草刈り場になりつつある銀行業界 転職バンカーとの連携が広まるか ここまで、銀行からフィンテック企業に転職した複数の事例を見てきた。銀行は今、金融という知見を組織の中に取り入れたい企業にとっては、格好の草刈り場になりつつある。 ただ、全ての人が銀行を見限って辞めたわけでもない。freeeに転職した佐藤さんのように、転職者が懸け橋となり、銀行のビジネスチャンスにつながった事例もある。 故に、銀行にとって必要なことは、銀行を辞めて異業界に行った元銀行員とリレーションを築くことではないだろうか。 「銀行から出ていった身ではありますが、いつか古巣と一緒に仕事ができないかなと思っています」 こう語るのは、みずほ銀行を辞めて起業した小林巧汰さん(25歳)だ。小林さんは、効率的な練習方法を究めた米国の野球理論を学びたいという思いから、高校卒業後に米カンザス大学に留学。同時に学業として金融学を修めた。 語学と金融の“二刀流”を強みとしていた小林さんは、金融の中で大きな仕事がしたいと考え、みずほ銀の中で配属先が大企業営業や海外部門に限られる「コース別採用」という狭き門を通った。 ただ、野球に関わるビジネスをしたいという気持ちを捨て切れなかった小林さんは、採用面接の段階で、「入社して2~3年で野球の世界に戻りたいと思っていますが、それでもいいですか」と打ち明けた。採用担当からの返事は「それで辞めても構わないから銀行でチャレンジしてほしい」だった。 その言葉に背中を押され、みずほ銀への入行を決意する。ただ、巨大な組織であるメガバンクにおいて、若手のうちから裁量権を持って仕事をするのは容易ではない。その中で、小林さんは自分が設定した「野球に戻る」までの時間と葛藤し、結果的に銀行を去ることを選んだ。 今では、野球やサッカー、陸上など多岐にわたるアスリートの卵たちに、海外で学んだスポーツ理論や英語を教えている。その中で、「アスリートたちに金融の知識を教えることも重要」だと気付き、そのための取り組みをいつか銀行と手を組んでできないかと考えているようだ。 すでに、三井住友銀を辞めた人たちが有志でつくった「SMBCベンチャー会」という会合に、現役の三井住友銀の行員が参加する機会もあるという。こうした銀行員と元銀行員が連携する流れが、銀行界に広まっていくことが期待されているといえそうだ。 「銀行・証券断末魔」番外編 >>(上)「銀行業界でフィンテック企業の挑戦者たちが見いだした商機、freee・LINE…」』、「銀行は今、金融という知見を組織の中に取り入れたい企業にとっては、格好の草刈り場になりつつある。 ただ、全ての人が銀行を見限って辞めたわけでもない。freeeに転職した佐藤さんのように、転職者が懸け橋となり、銀行のビジネスチャンスにつながった事例もある。 故に、銀行にとって必要なことは、銀行を辞めて異業界に行った元銀行員とリレーションを築くことではないだろうか・・・三井住友銀を辞めた人たちが有志でつくった「SMBCベンチャー会」という会合に、現役の三井住友銀の行員が参加する機会もあるという。こうした銀行員と元銀行員が連携する流れが、銀行界に広まっていくことが期待されているといえそうだ」、今後が楽しみだ。
次に、6月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの酒井真弓氏による「「銀行にニーズなんてあるか?」千葉銀行が気付いた“客が本当に望んでいたもの”とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/346041
・『2023年4月、千葉銀行は新たなDX戦略「ちばぎんDX3.0」をスタートした。「面白い銀行」「千葉銀行“で”いいよね」を目指し、アプリの利用者増で振込の取引量が飛躍的に増えたり、独自の人材育成を行ったりと目に見える成果を上げている。同行は2021年からDXに取り組んでいるが、最初の2年は「顧客体験の創造って結局何なんだ?」「千葉銀行のファンになるってどういうこと?」という問いに答えが出ず、暗中模索だったという。頭取や仲間とともに「これで誰が幸せになるの?」とひたすら問い続けた2年間を経て、ブレイクスルーは「銀行に対してニーズなんてあるか? ないわ」と気付いたことだった』、「これで誰が幸せになるの?」とひたすら問い続けた2年間を経て、ブレイクスルーは「銀行に対してニーズなんてあるか? ないわ」と気付いたことだった」、居直ったのがよかったとは・・・。
・『地方銀行のDXが目指すべきものとは? 千葉銀行は「最高の顧客体験の創造」 国内でも、早い段階でDXやオープンイノベーションの必要性が叫ばれ始めたのが、銀行をはじめとする金融機関だ。単なる利便性の追求にとどまらず、顧客のニーズを的確に捉えたサービスの提供、非金融領域への進出も活発化している。 筆者は昨年、熊本の肥後銀行を取材した(https://www.salesforce.com/jp/blog/jp-dx-compass-higoginkou/)。同行は、新たなサービスの一つに「地域企業のDX支援」を掲げ、SIerやITコンサルタントのような役割を担っていくと示唆した。頭取の笠原慶久さんは、「もう金融サービスだけでは世の中のニーズに応えきれない。地域の役に立つことなら、DXから人材の供給、脱炭素まで、何でも取り組んでいこうと思っています」と話してくれた。そして、「その地域にどんな銀行があるかで、地域の未来が変わる」とも。地域に根ざした存在だからこそのDXのあり方。俄然、他の地方銀行の取り組みも知りたくなった。 そんなわけで、今回は千葉銀行に注目したい。2023年4月にスタートした新DX戦略「ちばぎんDX3.0」は、最高の顧客体験の創造を主眼に、大きく2つの骨子から成る。1つ目は「パーソナライズ戦略」。顧客一人ひとりに寄り添い、最適なサービスを提案する。2つ目は「地域エコシステム戦略」。法人や個人、行政を含めた地域のステークホルダーと手を携え、地域経済の発展に貢献する。 これらを実現すべく、千葉銀行では金融事業の進化はもちろん、非金融事業にも挑戦している。人手が足りない地域企業への人材支援やDX支援もその一つだ。また、データを駆使した顧客体験(CX)の創出には、高度なスキルを備えたDX人材の育成が欠かせない。ITベンダーや異業種への出向も織り交ぜた、DXトレーニー制度にも力を入れている』、「新DX戦略「ちばぎんDX3.0」は、最高の顧客体験の創造を主眼に、大きく2つの骨子から成る。1つ目は「パーソナライズ戦略」。顧客一人ひとりに寄り添い、最適なサービスを提案する。2つ目は「地域エコシステム戦略」。法人や個人、行政を含めた地域のステークホルダーと手を携え、地域経済の発展に貢献する。 これらを実現すべく、千葉銀行では金融事業の進化はもちろん、非金融事業にも挑戦している」、なるほど。
・『CXの沼にハマり、2年間は暗中模索していた 軌道に乗りつつある千葉銀行のDXだが、ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。千葉銀行 執行役員 デジタル戦略部長の柴田秀樹さんは、「2021年から2年間は暗中模索していた」と明かす。原因は、CXの追求にあった。 2021年4月にスタートしたデジタル改革部(現デジタル戦略部)は、「ファンになってもらえる銀行になる」を基本路線に、顧客体験の向上を目指した戦略策定に着手した。だが、「それまでは漠然と、お客さまに良い体験を提供することが顧客体験の向上だと考えていたのですが、具体的に何をすればいいのか、明確なビジョンが持てない状況が続いたのです」(柴田さん) コンサルタントの提案も、当時はいまいち腑に落ちなかった。洗練された資料で理屈としては良さそうなのだが、肝心の顧客の実情や心情とマッチしているのか確信が持てなかったという。顧客が銀行に求めているものは何か、「千葉銀行のファンになる」とは一体どういう状態なのか……議論を重ねるほどに混迷を極め、柴田さんらはいつしか、「CXの沼」にはまっていた。 DX部門のジレンマにも陥っていた。DXとは単なるIT化ではなく、ビジネスモデルの変革を指す。そのため当初から「新しいビジネスを始めよう」という方向性は定まっていた。しかし、そこにDXらしい柔軟性や軽やかさはなく、既存のビジネス同等に、しっかりと価値を提供しなければならないと考えていた。 「結局、最初の1年は結論が出ないまま終わってしまいました。資料も数え切れないほど作り倒し、いろんな人に説明しましたが、浮わついた感じで、誰の心にも刺さっていませんでした」(柴田さん)』、「CXの沼にハマり、2年間は暗中模索していた」、さぞかし苦しい「2年間」だったことだろう。
・『「銀行にニーズなんてないわ」と気付き「『面白い』を目指そう」と方針が固まる 2年目、ブレイクスルーは突然訪れた。「銀行に対してニーズなんてあるか? ないわ」と気づいたのだ。「銀行ってむしろ行くのすら面倒くさいですよね。長く使っていただくには、『千葉銀行って、なんか面白いよね』と思ってもらえることのほうが重要なのではないかと」(柴田さん) 「面白い」とは、決して奇をてらうことではない。まずは既存の機能を研ぎ澄まし、より便利で使い勝手のいい銀行を目指すこと。結果、長く使い続けてもらえるようになり、その状態が、「千葉銀行のファンになっていただけた」と言えるのではないかと思い至ったのだ。 非金融事業に進出する根本的な理由も、「面白い」の追求にある。「銀行の本業は、お客さまからの信頼を基盤とした金融サービスの提供ですが、一見すると銀行らしくない事業にも果敢に挑戦することで、『千葉銀行ってこんなこともしているんだ。じゃあ、千葉銀行でいいか』と思ってほしい。それが狙いなんです」(柴田さん) 「千葉銀行“で”いいよね」を目指す、慎ましいCX戦略だが、本質を突いているように思う。「ファンになる」のは、顧客の「いいね」が積み重なった先にもたらされる結果に過ぎない。最初から「ファンになってほしい」「好感を持ってほしい」から始めると、CX戦略もどこかあざとくなってしまうのではないか。それはきっと顧客にも見透かされる』、「まずは既存の機能を研ぎ澄まし、より便利で使い勝手のいい銀行を目指すこと。結果、長く使い続けてもらえるようになり、その状態が、「千葉銀行のファンになっていただけた」と言えるのではないかと思い至った」、なるほど。
・『「これで誰が幸せになるの?」 元DX担当の頭取と、毎週2時間の真剣勝負 「面白い銀行」という指針を得て、柴田さんらはようやくスタートラインに立った。「面白い銀行」とは一体どんな銀行なのか。ここからは、新しい顧客体験の創造に向け、グループCEO(頭取)の米本努さんと毎週2時間に及ぶ議論を重ねた。 米本さんは、グループCDTO(Chief Digital Transformation Officer)として千葉銀行のDXをけん引し、2021年に頭取に就任した。デジタルは有用だが、あくまで手段に過ぎないと身をもって実感してきたからこそ、より顧客に提供できる価値を重視しているという。「トップの深い理解が今の戦略につながっている」と柴田さんは語る。 「頭取との時間は、ふわっとしたところがあると『これで誰が幸せになるの?』と鋭い質問が飛んでくる、膝詰めの真剣勝負でした。一方で、お客さまが幸せになる根拠が示されると、頭取は『いいね、すぐにやろう』と後押ししてくれました。『何か新しいことは考えた?』『まだ1週間なのでできていません』みたいなこともありましたけどね」と、柴田氏は笑う。 議論を重ねる中で 、さまざまなアイデアが生まれた。例えば、顧客が家を買うとする。通常、銀行が関わるのは住宅ローンを組むところからだが、家を買う前からさまざまな提案ができたとしたらどうだろう。従来の金融商品中心の営業スタイら、顧客の本来の目的により近い川上のアプローチへと移行していくことで、新たな顧客体験の形が見えてルかくる』、「元DX担当の頭取と、毎週2時間の真剣勝負」を重ねた蓄積が大きそうだ。「議論を重ねる中で 、さまざまなアイデアが生まれた。例えば、顧客が家を買うとする。通常、銀行が関わるのは住宅ローンを組むところからだが、家を買う前からさまざまな提案ができたとしたらどうだろう。従来の金融商品中心の営業スタイら、顧客の本来の目的により近い川上のアプローチへと移行していくことで、新たな顧客体験の形が見えてルかくる」、なるほど。
・『アプリ振込は手数料が安いのに…… 「日本一速いアプリ」を作ったら収益向上した こうして本格化していったCX向上の取り組み。具体的な成果の一つが、日本一速いアプリを目指した「ちばぎんアプリ」だ。口座登録数が100万件を突破するなど、目に見える成果を上げている。リリース当初は「機能が少ない」など厳しい指摘もあったというが、改善を重ね、App Storeでの評価は、4.5~4.6と高評価を維持している。 現在は、振込の4割近くがアプリ経由だという。実は、アプリ経由の振込手数料は窓口やATMよりも低く設定されており、銀行にとっては減収要因になりかねない。しかし蓋を開けてみれば、振込の取扱量が飛躍的に伸び、収益向上につながった。顧客からも「速くて便利」という声が上がっているという。 柴田さんは、「2021年のスタートから、あっという間の3年間でした」と振り返る。もしかして、文化祭の前のようなワクワク感があったりしたのだろうか。 「いや、焦燥感しかありませんよ(笑)。私たちはKGIとして利益目標を掲げているので、それをどうやって達成するのかも考えなければならない。しかも、営業活動を通してだけでなく、『面白いから使ってみよう』と思ってもらうことで利益を上げていく。難題でしょう」(柴田さん)』、「振込の4割近くがアプリ経由だという。実は、アプリ経由の振込手数料は窓口やATMよりも低く設定されており、銀行にとっては減収要因になりかねない。しかし蓋を開けてみれば、振込の取扱量が飛躍的に伸び、収益向上につながった。顧客からも「速くて便利」という声が上がっているという」、大したものだ。
・『独自のDXトレーニー制度を展開 ITベンダーなど異業種への出向で即戦力化 千葉銀行のDXを語る上でもう一つ欠かせないのが人材育成だ。公募制で5~9カ月ほどITベンダーや異業種に出向してスキルと銀行以外の視点を身につける、独自のDXトレーニー制度を導入している。 以前は人材戦略室長だった柴田さんは、「座学の研修は一時的な効果しかない。実際の業務に携わり、手を動かしてこそ身に付く」と、こだわりを持って取り組んでいる。目下の目標は、100人のDX人材を育てることだが、2024年5月末の取材時点で70人に達している。 データ統合サービスを提供するダイナトレックに出向した窪田禎之さんも、その一人だ。「ダイナトレックを新規導入する地方銀行にうかがい、システムの要件定義から構築、データ分析に携わりました。他行の担当者の方と議論を重ねながら作業を進めていく、密度の濃い5カ月でした」と振り返る。 ITベンダー側の視点を学べたことも大きな収穫だったという。「私たち銀行がどんなふうにオーダーすればスムーズに動きやすいのか、身をもって理解できました」(窪田さん) ダイナトレックの佐伯卓也さんは、「窪田さんには当社のエンジニア同様に働いてもらった」と振り返る。千葉銀行はダイナトレックにとって顧客でもあるのだが忖度はない。厳しい案件も一緒に乗り越えたという。 このDXトレーニーのもう一つの特徴は、千葉銀行に戻った後の業務を決めてから出向先に送り出すことだ。明確な目標があってこそ愚直にスキルを習得し、即戦力となって帰ってくる。窪田さんも、現在はマーケティング戦略グループの一員として、データ分析に従事している』、「DXトレーニーのもう一つの特徴は、千葉銀行に戻った後の業務を決めてから出向先に送り出すことだ。明確な目標があってこそ愚直にスキルを習得し、即戦力となって帰ってくる」、これは人事部はフリーハンドが少なくなるので抵抗するかも知れないが、全体的にはいいことだ。
・『全員参加で描く千葉銀行のDXの未来とは? 千葉銀行のDXは、今後どのような展開を見せるのだろうか。柴田さんは、非金融事業での価値創造を改めて強調する。 「銀行の支店に設置されたサイネージに地域企業の広告を出す取り組みが好評です。これまで140社に活用いただいています。また、2024年1~3月に実施したメタバース空間で住宅展示場を展開するPoCは、1300人が訪れてくれました。これはもっと本格的にやろうと計画中です」(柴田さん) イノベーションの種は、デジタル戦略部以外の職員からも生まれている。全職員と内定者を対象とした初のアイデアピッチコンテストでは、65件に及ぶ新規ビジネスのアイデアが寄せられた。今は銀行が大きく変わっていく過渡期。グループ全体で変革の機運を高めていく考えだ。地域に根ざした銀行が、いかにDXを進め、新たな価値を創造していくのか。千葉銀行の挑戦は、一つの道筋を示唆している』、「今は銀行が大きく変わっていく過渡期。グループ全体で変革の機運を高めていく考えだ。地域に根ざした銀行が、いかにDXを進め、新たな価値を創造していくのか。千葉銀行の挑戦は、一つの道筋を示唆している」、理想形といっても言い過ぎではなさそうだ。
第三に、 6月29日付け日刊ゲンダイ「三菱UFJの幹部OBが激怒する「銀証ルール違反処分」の“恥”」を紹介しよう。
・『政界通(以下=政) 三菱UFJフィナンシャル・グループの三菱UFJ銀行と証券子会社2社が、金融庁から6月24日に業務改善命令の処分を受けたな。どういうことだ? 官界通(同=官) 銀行の幹部が顧客企業の非公開の情報を、その企業の意に反して何度も証券側へ伝えていて、証券ビジネスの材料にしようとしていたというのだから、あきれた。処分は当然だ。 財界通(同=財) それはそうだ。銀行は企業に運転資金や設備投資の資金を貸しているから、優越的な地位にいる。同じグループの証券が銀行だけが知っている極秘情報を使えば、相手が「圧力」を感じて応じざるを得ない可能性があるから、金融商品取引法の銀証ルールで規制している』、「銀行の幹部が顧客企業の非公開の情報を、その企業の意に反して何度も証券側へ伝えていて、証券ビジネスの材料にしようとしていた」、なんでこんな見えすいた違反を起こしたのだろう。気の緩みとしか思えない。
・『かつては当局の嫌がらせにも毅然と対峙 政 三菱UFJといえば、日本を代表する金融機関だ。そんな姑息な手段を使うとは、嘆かわしい。しかも、当時の銀行頭取が知っていながら止めなかったそうじゃないか。 財 銀行の幹部だったOBは「三菱の恥だ」と怒っているし、三菱グループの首脳にも苦い顔が多い。 官 そうだろう。三菱UFJの前身の三菱銀行は、金融庁になる前の大蔵省銀行局が絶大な権力を振るっても、銀行界を代表して正論を突きつけた。銀行局が「嫌がらせ」に新規支店の設置認可の場所を町はずれにしても、毅然と対峙した。幹部OBが怒るのも当然だ。 政 規制違反を知っていた当時の頭取が、いま親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループの会長をしているな。責任を取らないのか? 財 まだ、取ったとは言えない。 官 以前のトップなら、すぐ辞任していただろう。 政 メディアの取材は、受けているのか? 官 いや、報道がないから、取材を避けているのだろう。 財 その会長は経済同友会の副代表幹事を務めてもいるが、処分の事前報道があった後の6月14日に代表幹事と副代表幹事の定例会議を欠席した。記者たちは「逃げたな」と憤慨していたよ。 政 三菱の首脳らしい潔さがないね。OBたちが知れば、怒りが増しそうだな』、「三菱銀行は、金融庁になる前の大蔵省銀行局が絶大な権力を振るっても、銀行界を代表して正論を突きつけた。銀行局が「嫌がらせ」に新規支店の設置認可の場所を町はずれにしても、毅然と対峙した」、嘆かわしい限りだ。「規制違反を知っていた当時の頭取が、いま親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループの会長をしているな。責任を取らないのか? 財 まだ、取ったとは言えない」、お粗末過ぎる。
タグ:「09年から18年までの間で、金融にとどまる元銀行員の割合は48.3%から27.3%へと21ポイント減少した・・・いまだに金融業界でキャリアアップを図る人もいる。例えば、中京銀行(愛知県)から外資系生命保険会社のプルデンシャル生命保険に転職した土屋翔平さん(29歳)は、「銀行員だと限界がありました」と語る。 学生時代にCFPというファイナンシャルプランナーの資格を取り、「お金の相談役のプロ」になりたいという気持ちで中京銀に入行。 「freeeの人は中途入社やエンジニアなど多種多様。それぞれどんな人物か知る場をつくるなど、気を使っていますよ(笑)」 銀行時代にはなかった新しい苦労を感じつつ、「同質ではない人の意見を聞けるのが、良い頭の体操になります」と、今でも刺激を受け続けている」、なるほど。 「銀行の幹部が顧客企業の非公開の情報を、その企業の意に反して何度も証券側へ伝えていて、証券ビジネスの材料にしようとしていた」、なんでこんな見えすいた違反を起こしたのだろう。気の緩みとしか思えない。 日刊ゲンダイ「三菱UFJの幹部OBが激怒する「銀証ルール違反処分」の“恥”」 「今は銀行が大きく変わっていく過渡期。グループ全体で変革の機運を高めていく考えだ。地域に根ざした銀行が、いかにDXを進め、新たな価値を創造していくのか。千葉銀行の挑戦は、一つの道筋を示唆している」、理想形といっても言い過ぎではなさそうだ。 「DXトレーニーのもう一つの特徴は、千葉銀行に戻った後の業務を決めてから出向先に送り出すことだ。明確な目標があってこそ愚直にスキルを習得し、即戦力となって帰ってくる」、これは人事部はフリーハンドが少なくなるので抵抗するかも知れないが、全体的にはいいことだ。 「振込の4割近くがアプリ経由だという。実は、アプリ経由の振込手数料は窓口やATMよりも低く設定されており、銀行にとっては減収要因になりかねない。しかし蓋を開けてみれば、振込の取扱量が飛躍的に伸び、収益向上につながった。顧客からも「速くて便利」という声が上がっているという」、大したものだ。 「元DX担当の頭取と、毎週2時間の真剣勝負」を重ねた蓄積が大きそうだ。「議論を重ねる中で 、さまざまなアイデアが生まれた。例えば、顧客が家を買うとする。通常、銀行が関わるのは住宅ローンを組むところからだが、家を買う前からさまざまな提案ができたとしたらどうだろう。従来の金融商品中心の営業スタイら、顧客の本来の目的により近い川上のアプローチへと移行していくことで、新たな顧客体験の形が見えてルかくる」、なるほど。 「まずは既存の機能を研ぎ澄まし、より便利で使い勝手のいい銀行を目指すこと。結果、長く使い続けてもらえるようになり、その状態が、「千葉銀行のファンになっていただけた」と言えるのではないかと思い至った」、なるほど。 「CXの沼にハマり、2年間は暗中模索していた」、さぞかし苦しい「2年間」だったことだろう。 「新DX戦略「ちばぎんDX3.0」は、最高の顧客体験の創造を主眼に、大きく2つの骨子から成る。1つ目は「パーソナライズ戦略」。顧客一人ひとりに寄り添い、最適なサービスを提案する。2つ目は「地域エコシステム戦略」。法人や個人、行政を含めた地域のステークホルダーと手を携え、地域経済の発展に貢献する。 これらを実現すべく、千葉銀行では金融事業の進化はもちろん、非金融事業にも挑戦している」、なるほど。 「これで誰が幸せになるの?」とひたすら問い続けた2年間を経て、ブレイクスルーは「銀行に対してニーズなんてあるか? ないわ」と気付いたことだった」、居直ったのがよかったとは・・・。 酒井真弓氏による「「銀行にニーズなんてあるか?」千葉銀行が気付いた“客が本当に望んでいたもの”とは」 ダイヤモンド・オンライン 三井住友銀を辞めた人たちが有志でつくった「SMBCベンチャー会」という会合に、現役の三井住友銀の行員が参加する機会もあるという。こうした銀行員と元銀行員が連携する流れが、銀行界に広まっていくことが期待されているといえそうだ」、今後が楽しみだ。 「銀行は今、金融という知見を組織の中に取り入れたい企業にとっては、格好の草刈り場になりつつある。 ただ、全ての人が銀行を見限って辞めたわけでもない。freeeに転職した佐藤さんのように、転職者が懸け橋となり、銀行のビジネスチャンスにつながった事例もある。 故に、銀行にとって必要なことは、銀行を辞めて異業界に行った元銀行員とリレーションを築くことではないだろうか・・・ 職活動を始め、たまたま興味を持っていたコインチェックからオファーがあったことで、転職を決意した・・・コインチェックからさらに別の仮想通貨交換業者に転職した。今後も、仮想通貨の世界にどっぷり漬かっていくという」。なるほど。 牛山さんはウェルスナビを立ち上げたばかりの柴山和久社長と出会った。前述の思いを持つ牛山さんは、柴山社長が語る「個人が安心して資産運用できる環境の必要性」に共感し、15年12月にウェルスナビに参画した。 今や、ウェルスナビに託された資産額は1700億円を突破した。その運用ロジックの基盤をつくり上げたメンバーの一人が、当の牛山さんである。貴重な金融畑の理系人材が、フィンテック企業を支えている」。なるほど。 「同業界転職は下火だ。反対に、異業界の中ではコンサルティング業界や人材・教育業界、IT通信業界の3業界が人気を博している。 最も転職者数の割合が大きいコンサル業界は、以前から銀行員の人気が高い。最近の特徴は「企業側でマネーロンダリング(資金洗浄)対策やコンプライアンス対応の需要が高まっており、その支援を請け負うコンサル業界が、知見を持った金融機関出身者を採用したがっている・・・ 3年間、地元静岡の支店において、金融商品の販売を通じた個人の資産運用の支援を担当していた。 しかし、銀行員にはどうしても組織としてやらなければいけない目標があり、「自身の提案の幅とやるべき仕事量との間で、折り合いがつけられなくなってしまいました」。より幅広い提案ができる環境を求めた結果、成果主義ながら裁量権が大きいプルデンシャル生命の門をたたいた」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン「【無料公開】メガバンク・地銀出身者の転職事情、バンカーに人気の3業界とは?」 (その22)(【無料公開】メガバンク・地銀出身者の転職事情 バンカーに人気の3業界とは?、「銀行にニーズなんてあるか?」千葉銀行が気付いた“客が本当に望んでいたもの”とは、三菱UFJの幹部OBが激怒する「銀証ルール違反処分」の“恥”) 金融業界 「仮想通貨の存在を知ったのは、ロンドンでの勤務時代だ。銀行を介さない送金や決済を可能とする仮想通貨を見て、「実用化されていないが、いつか銀行はなくなるかもしれない」という危機感を覚えた。 帰国後、野崎さんは仮想通貨の国内取引所サービスを利用する。証券会社と違って環境は未成熟であるものの、すでに仮想通貨の取引ができることが「衝撃的だった」という。 大量の人材を抱えるが故に、メガバンクの中で昇進し、大きな仕事をするためには、成果だけではなく運の要素も大きいのではないか。そんなキャリアの悩みを持った野崎さんは転