日中関係(その7)(靖国神社の「放尿テロ」をマスコミが頑なに「落書き事件」と矮小化する あまりにもセコい理由、中国・日本人学校のバス襲撃 事件後に削除された「反日動画」…中国人が「日本人学校バッシング」に走るおぞましい理由、「日本人学校はスパイ養成機関」中国スクールバス襲撃を引き起こした“反日デマ動画”が支持される背景) [外交]
日中関係については、2022年6月9日に取上げた。久しぶりの今日は、(その7)(靖国神社の「放尿テロ」をマスコミが頑なに「落書き事件」と矮小化する あまりにもセコい理由、中国・日本人学校のバス襲撃 事件後に削除された「反日動画」…中国人が「日本人学校バッシング」に走るおぞましい理由、「日本人学校はスパイ養成機関」中国スクールバス襲撃を引き起こした“反日デマ動画”が支持される背景)である。
先ずは、本年6月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「靖国神社の「放尿テロ」をマスコミが頑なに「落書き事件」と矮小化する、あまりにもセコい理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/344959
・『「落書きをする前に放尿」 なぜマスコミは報じないのか ちょっと前、「報道の自由度ランキング」で、日本が世界180カ国中70位と先進国の中でずば抜けて低いということが話題になった。マスコミは「国家からの圧力ガー」と毎度お馴染みのサムい言い訳をしているが、海外の専門家たちはずいぶん昔から「記者クラブという日本独自の制度による自主規制が元凶でしょ」と冷ややかに指摘してきた。 わかりやすく言えば、「政府のおえらいさんがそうおっしゃっているんだから、そういう風に報じますね」という感じで、得意先に出入りする営業マンのようなサラリーマン記者の割合が、他国より多いのだ。 そんな「ムラ社会の自主規制」がこれ以上ないほどわかりやすく表れているのが、今回の「靖国神社の落書き事件」である。東京・靖国神社の石柱に中国人ユーチューバーが「toilet」(トイレ)とスプレーで落書きをした事件だが、実はその前にこの男性は「放尿」をしている。本人も日本テレビのインタビューで、「落書きをする前に、便所でやるべきことをやった」(日テレNEWS 6月4日)と認めているのだ。 しかし、マスコミ報道をご覧になるといい。タイトルは申し合わせたように「落書き事件」「落書き男」「靖国落書き」が圧倒的に多い。「放尿」という見出しが踊るのは、週刊誌メディアや個人の寄稿記事など、かなり少数派だ。これは世界の常識に照らし合わせれば、「異常な自主規制」である。 ご存知のように、靖国神社は宗教施設である。日本人の間でも色々な捉え方の違いがあるにしても、そこには亡くなった人たちの魂があるとされ、多くの人が参拝をしている事実がある。そういう「信仰」や「死者の魂」に対して放尿をするという侮辱行為は、「日本政府への抗議」いう次元とまったく異なる犯罪なのだ。 たとえば2012年、アメリカ海兵隊の兵士が、戦闘で亡くなったタリバン兵の遺体に放尿をする動画が流出、さらに米軍基地でイスラムの聖典コーランや宗教文書100点を焼却していたことがわかると国際社会で大きな批判に晒され、アフガニスタンでは抗議デモやテロが多発して多くの人が亡くなった。これを受けて米軍もこの兵士を処分、オバマ大統領(当時)も謝罪に追い込まれている。 つまり、激しく憎しみ合うような国家・民族間であっても、相手の信仰や尊厳を「放尿」で貶めるというのは、「人として超えてはいけない一線」なのだ。激しい紛争が続く中東でも、エルサレムやメッカで「放尿テロ」があったなどと聞かないではないか。) そんな許されざる行為が日本の宗教施設で起きた。本来ならばマスコミはこの蛮行を国内外に広く発信し、個人の犯罪とはいえ、中国政府に「遺憾」くらい言わせなくてはいけない。 が、現実のマスコミは「落書き事件」ばかりを報じて、「放尿」の事実には目をつぶって鎮火しようとしているようにさえ見える。これはさすがに「自主規制」を通り越して、「偏向報道」と言わざるを得ない。 という話を聞くと、ネットやSNS界隈の皆さんは「親中マスゴミのもとに中南海(中国共産党中央幹部)から報道統制のお達しが出たのだ」というストーリーが頭に浮かぶだろう』、「激しく憎しみ合うような国家・民族間であっても、相手の信仰や尊厳を「放尿」で貶めるというのは、「人として超えてはいけない一線」なのだ。激しい紛争が続く中東でも、エルサレムやメッカで「放尿テロ」があったなどと聞かないではないか。) そんな許されざる行為が日本の宗教施設で起きた。本来ならばマスコミはこの蛮行を国内外に広く発信し、個人の犯罪とはいえ、中国政府に「遺憾」くらい言わせなくてはいけない。 が、現実のマスコミは「落書き事件」ばかりを報じて、「放尿」の事実には目をつぶって鎮火しようとしているようにさえ見える。これはさすがに「自主規制」を通り越して、「偏向報道」と言わざるを得ない」、なるほど。
・『警視庁や外務省の顔色をうかがう セコすぎるサラリーマン意識 しかし、実際にマスコミで働いていた経験から言わせていただくと、現実はそういうダイナミックな話ではなく、もっとセコい。今回、マスコミが「落書き事件」を連呼しているのは、会見やレクで世話になっている警視庁や外務省にトンマナ(注)を合わせているだけなのだ。 日本のマスコミ記者たちは新人時代から、警察や役人への「裏取り取材」を叩き込まれるのだが、そこで彼らが使う用語・呼称も忠実に真似ることも徹底させられる。なぜかと言うと、「役所や警察の言う通りのニュースを流しておけばクレームも入らないし、もし誤報でも役所や警察のせいにできる」からだ。要するに、報道機関としての信頼を守るための「企業防衛」の一環だ。) この手の「従業員テロ」が大炎上するのは日本も中国も変わらない。SNSには「気持ち悪い」「もう一生、青島ビールは飲みたくない」「中国の食品の安全性が改めて問われる事件だな」という批判から、「ライバル会社の妨害工作では」なんて陰謀論まで持ち上がり、大騒動になった。その後、地元当局はこの放尿男を行政勾留処分にして、青島ビールも謝罪に追い込まれた。 さて、ここまで言えばもうおわかりだろう。 もし今回の「靖国放尿テロ」に日本政府が大騒ぎをして、国際社会で注目を集めたら、国内外で起きている「放尿トラブル」も脚光を浴びる。そうなると、「中国人=あたり構わず放尿をする民族」というネガイメージが世界に広がってしまう恐れがあるのだ。 ▽習主席が頭を抱える中国人の放尿トラブル(そう聞くと、「いやいや、確かに不名誉な話ではあるけれど、そんなことくらいで習近平に恩を売れないでしょう」と冷笑する人も多いだろうが、「中国人の放尿問題」をナメてはいけない。実は「中国人=あたり構わず放尿をする」というネガイメージは、習近平主席が今最も頭を痛めている「反中感情」に結びついて、「反中デモ」にまで発展してしまうことがわかっている。 わかりやすいのは香港だ。現在は国家安全維持法などにより中国批判への取り締まりがかなり厳しくなったが、2019年の民主化デモのように、かつては「反中感情」が非常に大きな盛り上がりを見せた。「放尿」がそのトリガーになったこともある。 2014年4月、繁華街で中国人観光客が、尿意を催した子どもに路上で立ちションをさせた。その様子を香港人が撮影した動画がネットで拡散して、「本土の連中はもう来ないでくれ」「文明レベルが違いすぎる」という反中感情に一気に火がついたのだ。しかも、話はそれで終わらない。それからほどなくしてあったメーデーの反中デモで、こんなシュプレヒコールが上がった。 「道路で大便、小便をするな!」(AERA 2014年6月9日) 子どもの路上での立ちション動画ですら、香港人の「反中感情」がここまで高まったという事実がある。つまり、今回の「宗教施設に対する放尿テロ動画」も、やりようによっては国際的な反中運動を仕掛けることもできたのだ。) たとえば今、南シナ海問題で中国と緊張が高まっているフィリピンや、脅威が間近に迫る台湾、そしてかつてないほど反中感情が強まっているアメリカなどと連携して、習近平主席への牽制ネタにすることもできた。 もしトランプ氏だったら、「日本の神聖な場所で放尿をするように、最近中国人はよその国でやりたい放題だ。民主主義を守ためにも南シナ海や台湾海峡でこれ以上勝手に“放尿”することは許さない」なんて意地の悪い挑発をするだろう。そして、緊張を極限まで高めておいてから得意の「ディール」(取引)に持っていくはずだ。 しかし、岸田首相と日本政府はそういう道を選ばず、自ら「落書き」と騒ぎを小さくした。なんの考えもなく、中国共産党をかばうほどのバカではないと信じたいので、やはりこれは「習近平に恩を売った」ということではないか。 ▽日中のトップはハッピーだが国民にとってはこの上なく不幸(いずれにせよ、「靖国放尿テロ」を「落書き」として鎮火してくれた岸田首相に、習近平主席は悪印象を抱かないだろう。夏の首脳会談は現実味を帯びてきた。「ご褒美」として、日本産水産物禁輸解除は無理だとしても、金正恩主席への橋渡しくらいはしてくれるだろう。 今回の対応は、岸田首相も続投が見えてハッピーだし、習近平主席も反中感情が盛り上がらずハッピーだが、日本人にとっては「不幸」なことこの上ない。 「スシローペロペロ少年」やバイトテロ動画を例に出すまでもなく、愚かな動画を撮る人たちは、バズった人のアクションを模倣する。つまり、中国や韓国の迷惑系ユーチューバーのような人たちが「靖国放尿テロ」の動画に触発されて、靖国神社で同様の迷惑行為をする恐れが高いのだ。 本来、このようなことが起きれば、香港人が反中デモをしたように、国民が激しい怒りを見せて、不届者たちに「これはさすがにやりすぎだ」と知らしめなくてはいけない。しかし、今回は日本政府が「落書き」などと率先して火消しをしたこともあって、国民もそれほど怒っていない。 中国や韓国の迷惑系ユーチューバーたちは思いっきりナメるだろう。「放尿してもこれだけってことは、靖国でもっと過激なことやっても、ぜんぜんOKじゃん」――。 これから放尿がかわいく思えるような、侮辱的な迷惑行為を仕掛けてくる恐れもある。かつてあったが、放火騒ぎなども想定すべきだろう。 国を滅ぼすのは、「侵略」だけではない。その国の人々が大切にしている宗教や、先祖への想いを侮辱して、誇りを捨てさせることも国家滅亡につながっていく。そのあたりの危機感が岸田政権にはかなり希薄なようで、残念でならない』、
「日本のマスコミ記者たちは新人時代から、警察や役人への「裏取り取材」を叩き込まれるのだが、そこで彼らが使う用語・呼称も忠実に真似ることも徹底させられる。なぜかと言うと、「役所や警察の言う通りのニュースを流しておけばクレームも入らないし、もし誤報でも役所や警察のせいにできる」からだ。要するに、報道機関としての信頼を守るための「企業防衛」の一環だ」、情けない話だ。「今回の対応は、岸田首相も続投が見えてハッピーだし、習近平主席も反中感情が盛り上がらずハッピーだが、日本人にとっては「不幸」なことこの上ない。 「スシローペロペロ少年」やバイトテロ動画を例に出すまでもなく、愚かな動画を撮る人たちは、バズった人のアクションを模倣する。つまり、中国や韓国の迷惑系ユーチューバーのような人たちが「靖国放尿テロ」の動画に触発されて、靖国神社で同様の迷惑行為をする恐れが高いのだ」、その通りだ。
(注)トンマナ:トーン&マナーの略称で、デザインやスタイル、文言などに一貫性をもたせるルールのこと
次に、6月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した中国アジアITライターの山谷剛史氏による「中国・日本人学校のバス襲撃、事件後に削除された「反日動画」…中国人が「日本人学校バッシング」に走るおぞましい理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/346298
・『中国・蘇州で、日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われ、日本人の親子が怪我を負った。親子を守ろうとした中国人女性は亡くなった。中国人男性がバスを襲った動機は明らかになっていないが、中国国内ではいくつかの説が出てきている。実は中国では昨今、SNSで「日本人学校を叩く動画」が人気を得ており、その影響ではないかというものだ。もちろん襲撃との因果関係が立証されたわけではないが、事件を読み解く手がかりとして、動画の中身や拡散されている背景を解説していきたい』、興味深そうだ。
・『「日本人学校を叩く動画」がバズる!? 中国の異様なネット空間 6月24日午後、中国・上海に近い江蘇省蘇州で、日本人学校のスクールバスが刃物を持った50代男性に襲われ、日本人の親子が負傷する事件があった。そして残念ながら、襲撃を阻止しようと体を張った中国人女性は亡くなってしまった。蘇州市はこの女性に「義勇」の称号を与えて表彰するという。 中国メディアは事件発生当初、この話題について報じなかった。翌25日の午後あたりから報じ始めたが、犯人の動機には言及していないままだ。中国外務省は「偶発的な事件」「外国人を狙ったものではない」と主張しているという。 ただし、こうした襲撃事件が「たまたま起きる」はずがない。中国では先日も、吉林省の公園で米国人が中国人男性に刺される事件が起きたばかりだ。これを踏まえて、経済的な観点から、「不景気による生活苦から襲撃事件が起きたのではないか」という指摘が出てきている。 一方、スクールバス襲撃事件を起こした人物の動機とどこまで関連しているかは分からないが、実は今、一部の中国人や在中日本人の間で「動画を中心とした反日ネット言論が、襲撃者の心理に大きな影響を与えたのではないか」という説が浮上している。 というのも、「TikTok」運営元のByteDanceが中国向けに展開しているショート動画サービス「抖音(ドウイン)」や、その競合サービスに当たる「快手(クワイショウ)」を見てみると、確かに異常な状況になっている。 「中国にある日本人学校」を叩く動画が多数投稿されているのだ』、「一部の中国人や在中日本人の間で「動画を中心とした反日ネット言論が、襲撃者の心理に大きな影響を与えたのではないか」という説が浮上している。 というのも、「TikTok」運営元のByteDanceが中国向けに展開しているショート動画サービス「抖音(ドウイン)」や、その競合サービスに当たる「快手(クワイショウ)」を見てみると、確かに異常な状況になっている。 「中国にある日本人学校」を叩く動画が多数投稿されているのだ」、なるほど。
・『「日本人学校」を叩く動画の阿鼻叫喚のコメント欄とは? そのコメント欄では、今回の襲撃事件を絶賛するコメントや、親子を守って亡くなった中国人女性を非難するコメントが目立つ。もともと反日感情を持っていた人物が、こうした動画を見て恨みを増幅させ、日本人に何らかの危害を加えてもおかしくない状況ではある。 そもそも、なぜ日本人学校が「ネットの中傷」の標的にされているのか。明確なきっかけはないが、まずは2022年9月、ネット上に「日本人学校が中国人の入学を認めていない」ことを批判する動画が投稿された。これは全くといっていいほど反応がなかった。 だが、翌2023年の春節に「日本人学校の運動会の宣誓で、小学生が『上海は我々のもの、浙江省も我々のものだ』と叫んだ」というデマ動画が流れ、大きく拡散された。中国のプラットフォーム側(SNS運営企業など)がデマだと説明して収まったが、それでも一部の中国人は「日本人学校」を不愉快な存在として認識し続けていたのだろう。 その後、悪い意味で行動力のある中国人ネットユーザーが日本人学校を探したり、「日本人学校の前で日本人を倒す」といった趣旨の茶番劇を演じたりするようになった。そして、そうした動画コンテンツにファンがついて盛り上がるようになった。実はスクールバス襲撃事件の10日前にも、日本人学校をネタにする動きが中国のネット上で再燃していた。 もちろん、現時点ではそうした動画と襲撃事件との関連性は立証されていない。だが、ネット上で一連の動きがあった末に、6月24日に痛ましい事件が起きたのは事実である。 それにしても、中国のSNSにおける「日本人学校叩き」には謎が多い。中国での過去の反日運動を振り返ってみると、尖閣諸島の領有権が取り沙汰されたタイミングや、歴代首相が靖国神社に参拝したタイミングで盛り上がっていた。福島第一原子力発電所における「処理水の海洋放出問題」が議論されていた時期も同様だ。このように、何らかのトリガー(きっかけ)があったからこそ反日運動が過熱したと言える。 だが今回は、日本叩きのトリガーになるような出来事はほとんどない。むしろ、Huaweiへの制裁を加速させている米国のほうが、中国人の反感をかき立てるような政策を展開している』、「悪い意味で行動力のある中国人ネットユーザーが日本人学校を探したり、「日本人学校の前で日本人を倒す」といった趣旨の茶番劇を演じたりするようになった。そして、そうした動画コンテンツにファンがついて盛り上がるようになった。実はスクールバス襲撃事件の10日前にも、日本人学校をネタにする動きが中国のネット上で再燃していた。 もちろん、現時点ではそうした動画と襲撃事件との関連性は立証されていない。だが、ネット上で一連の動きがあった末に、6月24日に痛ましい事件が起きたのは事実である・・・今回は、日本叩きのトリガーになるような出来事はほとんどない。むしろ、Huaweiへの制裁を加速させている米国のほうが、中国人の反感をかき立てるような政策を展開している」、なるほど。
・『過激な動画でファンを集めれば ネット通販で稼げる!? 実際、中国のECサイトを見てみても、米国のトランプ前大統領やバイデン現大統領を模したパンチングマシンなど、米国をなじるための商品が多く売られている。その一方で、岸田文雄首相をなじるグッズはほぼない。政策面や政府要人の動きに関して、ここ最近の日本は反日運動のトリガーを引いていないのだ。 にもかかわらず、なぜ「日本人学校」をネタにする動画が拡散されるようになったのか。その一因として考えられるのが、中国の独特なネット空間の在り方である。 中国はスマホ社会だ。新型コロナウイルスの感染が広がっていた時期は、世界でも珍しい「デジタルを徹底活用した監視」によってゼロコロナ政策を持続しようとした。 結局は感染拡大を抑えられずやめてしまったが、このゼロコロナ政策は中国人のスマホ利用を促進する効果を生んだ。スマホユーザーは中高年を中心に都市農村を問わず増え、2023年末時点で11億人弱に達した(CNNIC調べ)。そして、そのほとんどが、前述したドウインやクワイショウ、メッセンジャーアプリの微信(WeChat)を利用するようになった。 ご存じの通り、中国は政府の情報統制によってYouTubeやX(旧Twitter)などの利用が禁じられている。一般読者はこの点について、「中国人はVPNなどを駆使して『ネットの壁』を超え、YouTubeやXを楽しんでいるのでは」と思っているかもしれない。だが実際はそうとは限らず、中国人はあまり「壁の外」に出ようとしない。SNSは知人がいてこそ楽しく、動画サイトも自分たちの趣味嗜好に合うコンテンツがあってこそ楽しめるからだ。 中国国内で満足できるサービスとコンテンツが十分にあるため、特に目的がない限り、「壁の外」に行こうとする人はいないのである。 このガラパゴス化したネット社会では、新たなECの手法が普及しつつある。ドウインなどの動画配信プラットフォームが「ECサイト」としての機能を持ち、動画配信者が商品を販売できるのだ。配信者がドウインで商品を売って儲けるためには、多くの人々に刺さるテーマで面白い動画を配信し、ファン(YouTubeでいうところのチャンネル登録者数)を増やす必要がある』、「ガラパゴス化したネット社会では、新たなECの手法が普及しつつある。ドウインなどの動画配信プラットフォームが「ECサイト」としての機能を持ち、動画配信者が商品を販売できるのだ。配信者がドウインで商品を売って儲けるためには、多くの人々に刺さるテーマで面白い動画を配信し、ファン(YouTubeでいうところのチャンネル登録者数)を増やす必要がある」、なるほど。
・『事件後に動画削除… 人気反日インフルエンサー「凌一」とは 動画を配信してファンを集めれば、単に再生数を稼げるだけでなく、その動画をきっかけに商品を買ってもらえる。この手法がコロナ禍以降(特に去年)から広く知られるようになった。中国のECサイトはAlibabaが手掛ける「淘宝網(タオバオ)」が主流だと思っている人もいるかもしれないが、それは昔の話。今はタオバオのライバルは多数ある。 なぜECの話をしたかというと、ドウイン上で活動している反日系インフルエンサーも、この手法で稼いでいるからだ。特に「凌一」という人物は60万人を超えるフォロワーを獲得し、ファンにとっては痛快な「抗日茶番動画」を出しながら商品を売っていたことが分かっている。 ちなみに、「凌一」は名門である「中央民族大学」の学生だとされている。だが冒頭のスクールバス襲撃事件後、この人物の動画は削除された。 中国政府によるコンテンツ規定では、暴力・ポルノ・ギャンブル・自国(中国)の否定・民族蔑視・誹謗中傷などは禁じられている。ドウインやクワイショウなど、全てのプラットフォームがそれに従っている。年に一度、あらゆるサービスから不良コンテンツを一掃する「浄網」という取り組みも行われ、規定違反の動画は全て消されている。 ところが、この「民族蔑視や誹謗中傷の禁止」は外国には当てはまらないようだ。反日系動画はずっと放置されたままで、このことがファンをさらに喜ばせている。 日本以外の国に関しては「何でもかんでも動画のネタにする」いうわけではなく、イスラエルによるガザ侵攻に心を痛めている中国人も多い。だが困ったことに、反日系コンテンツは動画プラットフォームで受け入れられやすい。 なぜかと言うと、中国人は日本のことを古くからよく知っているからだ。 そもそもSNSが普及する前の時代から、第二次世界大戦などを舞台にした「母国の英雄が日本兵を倒す」という趣旨の作品がテレビドラマでよく流れていた。中国人が日常的に触れてきたものであり、知人との共通の話題にもなりやすい。 また50代以上の人は文化大革命を経験した結果、ハイテクや新しい知識にやや弱いという傾向がある。悪い日本人を倒すというシンプルで分かりやすいストーリーを真に受け、嘘の寸劇を嘘と見抜けないまま、のめり込んでいる人もいるだろう』、「ドウイン上で活動している反日系インフルエンサーも、この手法で稼いでいるからだ。特に「凌一」という人物は60万人を超えるフォロワーを獲得し、ファンにとっては痛快な「抗日茶番動画」を出しながら商品を売っていたことが分かっている・・・反日系コンテンツは動画プラットフォームで受け入れられやすい。 なぜかと言うと、中国人は日本のことを古くからよく知っているからだ。 そもそもSNSが普及する前の時代から、第二次世界大戦などを舞台にした「母国の英雄が日本兵を倒す」という趣旨の作品がテレビドラマでよく流れていた。中国人が日常的に触れてきたものであり、知人との共通の話題にもなりやすい」、なるほど。
・『中国のネット空間で回り続ける「反日動画で稼ぐ」サイクル 今では家電からゲーム・アニメ・ポルノに至るまで、中国では日本のものがよく知られている。だからこそ、日本のネガティブな側面についても、さらに関心を持たれやすくなっている。 インフルエンサーが日本を茶化した動画を作り、視聴者が日本に腹を立てれば立てるほど、反日動画はさらに拡散される。動画が話題になってフォロワーが増えると、商品がさらに売れる。中国の独特なネット社会では今、そうしたサイクルが回っているのだ。 日本では少し前に、靖国神社に落書きして小便をかけた中国人男性「鉄頭」が批判を集めた。この行動は日本人にとっては大迷惑だったかもしれないが、「鉄頭」にとっては、中国のネット社会で一部ユーザーに支持される「悪い国への勧善懲悪」を行ったにすぎない。実は彼もSNSユーザーであり、こうした行動でファンを集めていた。 いわば今の中国人にとって、「カネ」や「フォロワー獲得」が反日運動のトリガーになっているのである。カネ目当てでつくられた動画が、視聴者の問題行動を誘発したとしてもおかまいなしだ。抜本的な対策が講じられない限り、日本は今後も中国人インフルエンサーのネタにされ続けるだろう。 なお中国の主要メディア各社は、日本人親子を体を張って守り抜いた中国人女性が、蘇州市から表彰されたことを報道している。これは彼女の行動が勇敢なものであり、相手が日本人であれ、他人を傷つけるのは間違いだというメッセージを中国のネットユーザーに発信したものだと筆者は解釈している。今回の報道を機に、中国の対日ネット世論の「常識」が少しでも変わることを願うばかりだ』、「いわば今の中国人にとって、「カネ」や「フォロワー獲得」が反日運動のトリガーになっているのである。カネ目当てでつくられた動画が、視聴者の問題行動を誘発したとしてもおかまいなしだ。抜本的な対策が講じられない限り、日本は今後も中国人インフルエンサーのネタにされ続けるだろう」、困ったことだが、覚悟する必要がある。
第三に、7月7日付けYahooニュースが転載したダイヤモンド・オンライン、日中福祉プランニング代表の王 青氏による「「日本人学校はスパイ養成機関」中国スクールバス襲撃を引き起こした“反日デマ動画”が支持される背景」を紹介しよう。
・『中国・蘇州で、日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われる事件があり、犯人の男に立ち向かった中国人女性が亡くなった。この他にも中国では、外国人を対象にした無差別殺傷事件が起きている。背景にあるのは、中国社会の閉塞感や経済不況、そして今も続く反日教育だ。中国では今も反日ドラマや映画がたくさん放映されているほか、SNSも閉鎖的で海外の情報に触れることが難しい。さらに昨今は「日本人学校はスパイを養成している」といったデマ動画が拡散されSNSで人気を集めている。なぜ反日動画は多くの中国人に支持され、デマを信じる人が減らないのか、その理由と実態を紹介したい』、興味深そうだ。
・『日本人学校のスクールバスが襲われ、中国人女性が亡くなった 6月24日、中国の江蘇省蘇州市で、痛ましい事件が起きた。日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子2人が刃物を持った中国人男性に襲われ、怪我を負ったのである。バスの案内係で、身を挺して男の犯行を止めようとした中国人女性・胡友平さんは、男に何度も刺されて2日後に命を落とした。この悲劇的なニュースは、日中両国に大きな衝撃を与えた。 SNSでは胡さんを悼み、たたえる声が溢れた。日本では、「日本の子どもたちを守る勇気と行動に感謝いたします。亡くなられたことは残念でなりません。ご冥福をお祈りします」「日本人をかばい、身を挺して亡くなられた胡さん、あなたの名前は忘れません」といったコメントが殺到した。 中国でも同様に、胡さんへの哀悼と感謝の意を示す書き込みが多数寄せられた。「私のような男でも、あの場面に遭遇したら、胡さんのように身の危険を顧みず、犯人を制止できるか、自信を持って言えない。胡さんの勇気に敬意を表します」「一人の普通の女性が、自分の命で暴徒と戦い、彼女が救ったのは日本の子どもたちだけではなく、わが国の体面も保ったのだ。我が国にも善良で勇気のある人がいるということを世界に示すことができた」といった声が上がっている。また、最近の中国では、高齢者や急病人が道で倒れていても誰も助けないという社会現象もある中で、胡さんの行動は多くの人に感動を与えたというコメントも多く見られた。 このように、日中両国において胡さんへの賛美の声が上がり、涙を誘うような雰囲気が広がっている』、「最近の中国では、高齢者や急病人が道で倒れていても誰も助けないという社会現象もある中で、胡さんの行動は多くの人に感動を与えた」、なるほど。
・『日本人学校についてのデマ動画が拡散、その内容は…… しかし、なぜこのような事件が起きたのか、犯人はどんな心境でどういう目的で犯行に及んだのか、それらを検証しないと、また同じことが繰り返される恐れがある。実際、この事件のわずか2週間前に、中国吉林省の公園で米国人大学講師4人が中国人男性に刃物で刺され負傷する事件が起きている。1か月のうちに2回も似たような事件が発生したことから、これらを単なる「偶発的な事件」とは考えにくい。 今回の事件で標的になったのが日本人学校であることは注目に値する。近年、中国のSNSでは日本を貶める過激な書き込みや動画が増加している。特に一部の人々が閲覧数を稼ぎ、フォロワー数を増やし、最終的にはライブ配信での商品販売につなげるため、手段を選ばず、根拠のない情報を動画に盛り込むケースが目立っている。 約2年前から、日本人学校をめぐって、SNSではさまざまなデマが飛び交うようになっている。それらは主に次のようなものだ。 「日本人学校は実はスパイの養成機関、あるいは軍事基地だ。日本人の学生だけを受け入れ、中国人が入学できないのはなぜだ」 「日本人の学生たちは、中国で測量や地図作成をしている。戦争の準備のためだ」 「日本人学校が制裁対象となった。すべての海外の教育機関が我が国の関連部門によって監督され、学生の愛国心教育を強化することが求められている」 さらに、昨年頃から流布している動画は、上海にある日本人学校と思われる場所の映像で、2人の学生代表が「上海はわれわれのもの、浙江省もわれわれのものだ、もうすぐ中国もわれわれのものだ」と叫んだとされる映像だ。この動画には中国語のナレーションが付けられ、「日本人の学生は我が領土で、われわれの食べ物を食べ、水を飲む。われわれを死なせるがん細胞のようにわれわれの体に寄生している。消滅すべきだ」という内容だった。この動画のアクセス数は1億回に上ったという』、「この事件のわずか2週間前に、中国吉林省の公園で米国人大学講師4人が中国人男性に刃物で刺され負傷する事件が起きている。1か月のうちに2回も似たような事件が発生したことから、これらを単なる「偶発的な事件」とは考えにくい・・・昨年頃から流布している動画は、上海にある日本人学校と思われる場所の映像で、2人の学生代表が「上海はわれわれのもの、浙江省もわれわれのものだ、もうすぐ中国もわれわれのものだ」と叫んだとされる映像だ。この動画には中国語のナレーションが付けられ、「日本人の学生は我が領土で、われわれの食べ物を食べ、水を飲む。われわれを死なせるがん細胞のようにわれわれの体に寄生している。消滅すべきだ」という内容だった。この動画のアクセス数は1億回に上ったという」、デマ動画でも「アクセス数は1億回」とは恐ろしいことだ。
・『デマ動画の元になった動画の投稿者に話を聞いた 今回、このデマ動画の元になった動画の製作者である東京在住の中国人男性インフルエンサー、Aさんに話を聞くことができた。 Aさんは次のように語った。「この動画は、2019年秋に、娘が通う小学校の運動会の一部を撮影したものです。日本の小学校の運動会でよく見られる儀式で、学生代表が先生たちに向かって宣誓するシーンでした。子どもたちの頑張っている姿に感動し、動画をWeChatにアップロードしたのです。その後、現在のように字幕を付けられて、まったく違うものとなってしまいました。夢にも思わなかった。恐ろしすぎて言葉が出ません……」 さらにAさんは、「実は、この動画は別のバージョンにも使われています。いずれも、動画の中の小学生がファシストの敬礼をしているとか、軍国主義思想を植え付けているといった内容です」と付け加え、深くためいきをついた。 その後、Aさんは自分のSNSアカウントにこの経緯を説明する動画を投稿。すると、「そうだったのか!?騙されたところだった」といったコメントがたくさん書き込まれた。 Aさんは、「国内のネットユーザーが、このように歪曲された動画に振り回され、憎悪と恐怖の中で生きるように仕向けられ、やがては暴力へと変貌して、罪の無い人々に害を与える。デマの餌食にならないよう、私は真実を伝えていく」と話している。 このような日本人学校を歪曲する動画は、他にも多数存在している。 周知の通り、中国にある日本人学校は、中国政府の法律規定に従って設立されたものだ。中国に滞在する日系企業駐在員の子どもたちが日本の教育を受けるための場所であり、日本国内の小中高と同等の教育課程が提供されている』、「この動画は、2019年秋に、娘が通う小学校の運動会の一部を撮影したものです。日本の小学校の運動会でよく見られる儀式で、学生代表が先生たちに向かって宣誓するシーンでした。子どもたちの頑張っている姿に感動し、動画をWeChatにアップロードしたのです。その後、現在のように字幕を付けられて、まったく違うものとなってしまいました。夢にも思わなかった。恐ろしすぎて言葉が出ません……・・・このような日本人学校を歪曲する動画は、他にも多数存在している」、本当に困ったことだ。
・『5歳児が「日本に行ったら殺されない?」今も続く反日教育 日本人学校に対する誤った認識が広がる背景には、大多数の中国人がFacebookやYouTubeなどの海外のコンテンツにアクセスできないという事情がある。中国国内では「抖音(ドウイン)」や「快手(クアイショウ)」「WeChat動画」などのプラットフォームしか利用できない。 さらに、中国のテレビでは今でも抗日映画やドラマが日常的に放送されている。中国にいるとき、ホテルの部屋でテレビを付けると、視聴可能な40以上のチャンネルのうち、約半数で抗日をテーマにした長編ドラマが放送されていた。こうした環境に日々さらされれば、人々の反日感情があおられるのも無理はないと感じた。 中国では反日教育が行われてきたことは日本でも広く知られているが、残念ながらそれは過去の話ではなく、今ももちろん続いている。 先日、久しぶりに会った友人の話には考えさせられた。彼女はもともと中国の出身だが、日本国籍を取り、今は中国で仕事をしている。彼女には中国で生まれ育った5歳の娘がいるのだが、日々、抗日戦争の物語や抗日映画などにより、「日本が中国を侵略した歴史」を教えられているという。 今回、彼女は娘を連れて夏休み期間中に日本に一時帰国することにしたのだが、幼稚園のお友だちから「○○ちゃんは、日本に行ったら殺されない?大丈夫?」と心配されたというのだ。彼女はその話を聞いて怖くなってきたと話す。「もう子どもを連れて日本に帰った方がいいかな」と悩んでいた』、「大多数の中国人がFacebookやYouTubeなどの海外のコンテンツにアクセスできないという事情がある・・・中国のテレビでは今でも抗日映画やドラマが日常的に放送されている。中国にいるとき、ホテルの部屋でテレビを付けると、視聴可能な40以上のチャンネルのうち、約半数で抗日をテーマにした長編ドラマが放送されていた。こうした環境に日々さらされれば、人々の反日感情があおられるのも無理はないと感じた」、なるほど。
・『外国人をターゲットに無差別殺傷事件を起こせば注目される コロナ禍が終息しても、中国経済の回復は思うように進んでおらず、失業率は高止まりしたままである。「以前より生活が苦しくなった」という声をよく耳にする。そうした中で、生活苦に陥った人々が一種の「社会への報復」として無差別殺傷事件を起こすケースが、最近中国各地で発生している。 攻撃の対象が同じ中国人であれば、ニュースになってもすぐに消されるし、あまり注目もされない。一方で、「外国人をターゲットにすれば、海外メディアに取り上げられて話題になる」という思惑があるという指摘もある。 蘇州の日本人親子や吉林省の米国人教師への襲撃事件は、中国から外資企業の撤退を加速させてしまう可能性がある。タイミングの悪いことに、蘇州の事件の1週間前、東京のホテルニューオータニでは蘇州市政府による「投資誘致イベント」が開催されたばかりだった。蘇州市副市長が出席し、「多方面にわたる蘇州の優れた投資環境」をアピールしたという。出席した関係者の一人は、「実質的で具体的な内容がほとんどなく、出席した日本企業もそれほど多くなかった。冷めた様子だった」と語っている。 蘇州だけではなく、昨年から中国各地の地方政府が相次いで日本を訪れ、日本の経済界に「我が省・市へ積極的な投資を」と呼びかけている。しかしその一方で、外国人に危害を加える国内の環境は周知の通りである。反米や反日といった言論や動きは、ブーメランのように経済に打撃を与えるスパイラルに陥る可能性があると、中国国内の経済専門家らは危惧している』「外国人に危害を加える国内の環境は周知の通りである。反米や反日といった言論や動きは、ブーメランのように経済に打撃を与えるスパイラルに陥る可能性があると、中国国内の経済専門家らは危惧」、大いに「危惧」すべきだ。
・『中国のIT大手各社が、SNSへの反日的な投稿の規制を始めた こうした動きを受け、6月末、テンセントやウェイポ、ドウインといった中国のIT大手各社が、SNSへの反日投稿の規制を始めたと報じられている。 冒頭で紹介したSNSの声が胡友平さんを悼み、たたえるものが多く、犯人を支持したり日本人の子どもたちを貶めるものが少なくなったのは、その影響もあるのかもしれない。 SNSでは「胡さんは、外資の流出を食い止めてくれた。わが国の雇用に貢献した。ありがとう!」といったコメントも多く見られる。せめて、胡さんの死を無駄にしないよう、日中関係が少しでも改善されることを祈るばかりだ』、「中国のIT大手各社が、SNSへの反日投稿の規制を始めたと報じられている」、「日中関係が少しでも改善されることを祈るばかりだ」、同感である。
先ずは、本年6月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「靖国神社の「放尿テロ」をマスコミが頑なに「落書き事件」と矮小化する、あまりにもセコい理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/344959
・『「落書きをする前に放尿」 なぜマスコミは報じないのか ちょっと前、「報道の自由度ランキング」で、日本が世界180カ国中70位と先進国の中でずば抜けて低いということが話題になった。マスコミは「国家からの圧力ガー」と毎度お馴染みのサムい言い訳をしているが、海外の専門家たちはずいぶん昔から「記者クラブという日本独自の制度による自主規制が元凶でしょ」と冷ややかに指摘してきた。 わかりやすく言えば、「政府のおえらいさんがそうおっしゃっているんだから、そういう風に報じますね」という感じで、得意先に出入りする営業マンのようなサラリーマン記者の割合が、他国より多いのだ。 そんな「ムラ社会の自主規制」がこれ以上ないほどわかりやすく表れているのが、今回の「靖国神社の落書き事件」である。東京・靖国神社の石柱に中国人ユーチューバーが「toilet」(トイレ)とスプレーで落書きをした事件だが、実はその前にこの男性は「放尿」をしている。本人も日本テレビのインタビューで、「落書きをする前に、便所でやるべきことをやった」(日テレNEWS 6月4日)と認めているのだ。 しかし、マスコミ報道をご覧になるといい。タイトルは申し合わせたように「落書き事件」「落書き男」「靖国落書き」が圧倒的に多い。「放尿」という見出しが踊るのは、週刊誌メディアや個人の寄稿記事など、かなり少数派だ。これは世界の常識に照らし合わせれば、「異常な自主規制」である。 ご存知のように、靖国神社は宗教施設である。日本人の間でも色々な捉え方の違いがあるにしても、そこには亡くなった人たちの魂があるとされ、多くの人が参拝をしている事実がある。そういう「信仰」や「死者の魂」に対して放尿をするという侮辱行為は、「日本政府への抗議」いう次元とまったく異なる犯罪なのだ。 たとえば2012年、アメリカ海兵隊の兵士が、戦闘で亡くなったタリバン兵の遺体に放尿をする動画が流出、さらに米軍基地でイスラムの聖典コーランや宗教文書100点を焼却していたことがわかると国際社会で大きな批判に晒され、アフガニスタンでは抗議デモやテロが多発して多くの人が亡くなった。これを受けて米軍もこの兵士を処分、オバマ大統領(当時)も謝罪に追い込まれている。 つまり、激しく憎しみ合うような国家・民族間であっても、相手の信仰や尊厳を「放尿」で貶めるというのは、「人として超えてはいけない一線」なのだ。激しい紛争が続く中東でも、エルサレムやメッカで「放尿テロ」があったなどと聞かないではないか。) そんな許されざる行為が日本の宗教施設で起きた。本来ならばマスコミはこの蛮行を国内外に広く発信し、個人の犯罪とはいえ、中国政府に「遺憾」くらい言わせなくてはいけない。 が、現実のマスコミは「落書き事件」ばかりを報じて、「放尿」の事実には目をつぶって鎮火しようとしているようにさえ見える。これはさすがに「自主規制」を通り越して、「偏向報道」と言わざるを得ない。 という話を聞くと、ネットやSNS界隈の皆さんは「親中マスゴミのもとに中南海(中国共産党中央幹部)から報道統制のお達しが出たのだ」というストーリーが頭に浮かぶだろう』、「激しく憎しみ合うような国家・民族間であっても、相手の信仰や尊厳を「放尿」で貶めるというのは、「人として超えてはいけない一線」なのだ。激しい紛争が続く中東でも、エルサレムやメッカで「放尿テロ」があったなどと聞かないではないか。) そんな許されざる行為が日本の宗教施設で起きた。本来ならばマスコミはこの蛮行を国内外に広く発信し、個人の犯罪とはいえ、中国政府に「遺憾」くらい言わせなくてはいけない。 が、現実のマスコミは「落書き事件」ばかりを報じて、「放尿」の事実には目をつぶって鎮火しようとしているようにさえ見える。これはさすがに「自主規制」を通り越して、「偏向報道」と言わざるを得ない」、なるほど。
・『警視庁や外務省の顔色をうかがう セコすぎるサラリーマン意識 しかし、実際にマスコミで働いていた経験から言わせていただくと、現実はそういうダイナミックな話ではなく、もっとセコい。今回、マスコミが「落書き事件」を連呼しているのは、会見やレクで世話になっている警視庁や外務省にトンマナ(注)を合わせているだけなのだ。 日本のマスコミ記者たちは新人時代から、警察や役人への「裏取り取材」を叩き込まれるのだが、そこで彼らが使う用語・呼称も忠実に真似ることも徹底させられる。なぜかと言うと、「役所や警察の言う通りのニュースを流しておけばクレームも入らないし、もし誤報でも役所や警察のせいにできる」からだ。要するに、報道機関としての信頼を守るための「企業防衛」の一環だ。) この手の「従業員テロ」が大炎上するのは日本も中国も変わらない。SNSには「気持ち悪い」「もう一生、青島ビールは飲みたくない」「中国の食品の安全性が改めて問われる事件だな」という批判から、「ライバル会社の妨害工作では」なんて陰謀論まで持ち上がり、大騒動になった。その後、地元当局はこの放尿男を行政勾留処分にして、青島ビールも謝罪に追い込まれた。 さて、ここまで言えばもうおわかりだろう。 もし今回の「靖国放尿テロ」に日本政府が大騒ぎをして、国際社会で注目を集めたら、国内外で起きている「放尿トラブル」も脚光を浴びる。そうなると、「中国人=あたり構わず放尿をする民族」というネガイメージが世界に広がってしまう恐れがあるのだ。 ▽習主席が頭を抱える中国人の放尿トラブル(そう聞くと、「いやいや、確かに不名誉な話ではあるけれど、そんなことくらいで習近平に恩を売れないでしょう」と冷笑する人も多いだろうが、「中国人の放尿問題」をナメてはいけない。実は「中国人=あたり構わず放尿をする」というネガイメージは、習近平主席が今最も頭を痛めている「反中感情」に結びついて、「反中デモ」にまで発展してしまうことがわかっている。 わかりやすいのは香港だ。現在は国家安全維持法などにより中国批判への取り締まりがかなり厳しくなったが、2019年の民主化デモのように、かつては「反中感情」が非常に大きな盛り上がりを見せた。「放尿」がそのトリガーになったこともある。 2014年4月、繁華街で中国人観光客が、尿意を催した子どもに路上で立ちションをさせた。その様子を香港人が撮影した動画がネットで拡散して、「本土の連中はもう来ないでくれ」「文明レベルが違いすぎる」という反中感情に一気に火がついたのだ。しかも、話はそれで終わらない。それからほどなくしてあったメーデーの反中デモで、こんなシュプレヒコールが上がった。 「道路で大便、小便をするな!」(AERA 2014年6月9日) 子どもの路上での立ちション動画ですら、香港人の「反中感情」がここまで高まったという事実がある。つまり、今回の「宗教施設に対する放尿テロ動画」も、やりようによっては国際的な反中運動を仕掛けることもできたのだ。) たとえば今、南シナ海問題で中国と緊張が高まっているフィリピンや、脅威が間近に迫る台湾、そしてかつてないほど反中感情が強まっているアメリカなどと連携して、習近平主席への牽制ネタにすることもできた。 もしトランプ氏だったら、「日本の神聖な場所で放尿をするように、最近中国人はよその国でやりたい放題だ。民主主義を守ためにも南シナ海や台湾海峡でこれ以上勝手に“放尿”することは許さない」なんて意地の悪い挑発をするだろう。そして、緊張を極限まで高めておいてから得意の「ディール」(取引)に持っていくはずだ。 しかし、岸田首相と日本政府はそういう道を選ばず、自ら「落書き」と騒ぎを小さくした。なんの考えもなく、中国共産党をかばうほどのバカではないと信じたいので、やはりこれは「習近平に恩を売った」ということではないか。 ▽日中のトップはハッピーだが国民にとってはこの上なく不幸(いずれにせよ、「靖国放尿テロ」を「落書き」として鎮火してくれた岸田首相に、習近平主席は悪印象を抱かないだろう。夏の首脳会談は現実味を帯びてきた。「ご褒美」として、日本産水産物禁輸解除は無理だとしても、金正恩主席への橋渡しくらいはしてくれるだろう。 今回の対応は、岸田首相も続投が見えてハッピーだし、習近平主席も反中感情が盛り上がらずハッピーだが、日本人にとっては「不幸」なことこの上ない。 「スシローペロペロ少年」やバイトテロ動画を例に出すまでもなく、愚かな動画を撮る人たちは、バズった人のアクションを模倣する。つまり、中国や韓国の迷惑系ユーチューバーのような人たちが「靖国放尿テロ」の動画に触発されて、靖国神社で同様の迷惑行為をする恐れが高いのだ。 本来、このようなことが起きれば、香港人が反中デモをしたように、国民が激しい怒りを見せて、不届者たちに「これはさすがにやりすぎだ」と知らしめなくてはいけない。しかし、今回は日本政府が「落書き」などと率先して火消しをしたこともあって、国民もそれほど怒っていない。 中国や韓国の迷惑系ユーチューバーたちは思いっきりナメるだろう。「放尿してもこれだけってことは、靖国でもっと過激なことやっても、ぜんぜんOKじゃん」――。 これから放尿がかわいく思えるような、侮辱的な迷惑行為を仕掛けてくる恐れもある。かつてあったが、放火騒ぎなども想定すべきだろう。 国を滅ぼすのは、「侵略」だけではない。その国の人々が大切にしている宗教や、先祖への想いを侮辱して、誇りを捨てさせることも国家滅亡につながっていく。そのあたりの危機感が岸田政権にはかなり希薄なようで、残念でならない』、
「日本のマスコミ記者たちは新人時代から、警察や役人への「裏取り取材」を叩き込まれるのだが、そこで彼らが使う用語・呼称も忠実に真似ることも徹底させられる。なぜかと言うと、「役所や警察の言う通りのニュースを流しておけばクレームも入らないし、もし誤報でも役所や警察のせいにできる」からだ。要するに、報道機関としての信頼を守るための「企業防衛」の一環だ」、情けない話だ。「今回の対応は、岸田首相も続投が見えてハッピーだし、習近平主席も反中感情が盛り上がらずハッピーだが、日本人にとっては「不幸」なことこの上ない。 「スシローペロペロ少年」やバイトテロ動画を例に出すまでもなく、愚かな動画を撮る人たちは、バズった人のアクションを模倣する。つまり、中国や韓国の迷惑系ユーチューバーのような人たちが「靖国放尿テロ」の動画に触発されて、靖国神社で同様の迷惑行為をする恐れが高いのだ」、その通りだ。
(注)トンマナ:トーン&マナーの略称で、デザインやスタイル、文言などに一貫性をもたせるルールのこと
次に、6月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した中国アジアITライターの山谷剛史氏による「中国・日本人学校のバス襲撃、事件後に削除された「反日動画」…中国人が「日本人学校バッシング」に走るおぞましい理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/346298
・『中国・蘇州で、日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われ、日本人の親子が怪我を負った。親子を守ろうとした中国人女性は亡くなった。中国人男性がバスを襲った動機は明らかになっていないが、中国国内ではいくつかの説が出てきている。実は中国では昨今、SNSで「日本人学校を叩く動画」が人気を得ており、その影響ではないかというものだ。もちろん襲撃との因果関係が立証されたわけではないが、事件を読み解く手がかりとして、動画の中身や拡散されている背景を解説していきたい』、興味深そうだ。
・『「日本人学校を叩く動画」がバズる!? 中国の異様なネット空間 6月24日午後、中国・上海に近い江蘇省蘇州で、日本人学校のスクールバスが刃物を持った50代男性に襲われ、日本人の親子が負傷する事件があった。そして残念ながら、襲撃を阻止しようと体を張った中国人女性は亡くなってしまった。蘇州市はこの女性に「義勇」の称号を与えて表彰するという。 中国メディアは事件発生当初、この話題について報じなかった。翌25日の午後あたりから報じ始めたが、犯人の動機には言及していないままだ。中国外務省は「偶発的な事件」「外国人を狙ったものではない」と主張しているという。 ただし、こうした襲撃事件が「たまたま起きる」はずがない。中国では先日も、吉林省の公園で米国人が中国人男性に刺される事件が起きたばかりだ。これを踏まえて、経済的な観点から、「不景気による生活苦から襲撃事件が起きたのではないか」という指摘が出てきている。 一方、スクールバス襲撃事件を起こした人物の動機とどこまで関連しているかは分からないが、実は今、一部の中国人や在中日本人の間で「動画を中心とした反日ネット言論が、襲撃者の心理に大きな影響を与えたのではないか」という説が浮上している。 というのも、「TikTok」運営元のByteDanceが中国向けに展開しているショート動画サービス「抖音(ドウイン)」や、その競合サービスに当たる「快手(クワイショウ)」を見てみると、確かに異常な状況になっている。 「中国にある日本人学校」を叩く動画が多数投稿されているのだ』、「一部の中国人や在中日本人の間で「動画を中心とした反日ネット言論が、襲撃者の心理に大きな影響を与えたのではないか」という説が浮上している。 というのも、「TikTok」運営元のByteDanceが中国向けに展開しているショート動画サービス「抖音(ドウイン)」や、その競合サービスに当たる「快手(クワイショウ)」を見てみると、確かに異常な状況になっている。 「中国にある日本人学校」を叩く動画が多数投稿されているのだ」、なるほど。
・『「日本人学校」を叩く動画の阿鼻叫喚のコメント欄とは? そのコメント欄では、今回の襲撃事件を絶賛するコメントや、親子を守って亡くなった中国人女性を非難するコメントが目立つ。もともと反日感情を持っていた人物が、こうした動画を見て恨みを増幅させ、日本人に何らかの危害を加えてもおかしくない状況ではある。 そもそも、なぜ日本人学校が「ネットの中傷」の標的にされているのか。明確なきっかけはないが、まずは2022年9月、ネット上に「日本人学校が中国人の入学を認めていない」ことを批判する動画が投稿された。これは全くといっていいほど反応がなかった。 だが、翌2023年の春節に「日本人学校の運動会の宣誓で、小学生が『上海は我々のもの、浙江省も我々のものだ』と叫んだ」というデマ動画が流れ、大きく拡散された。中国のプラットフォーム側(SNS運営企業など)がデマだと説明して収まったが、それでも一部の中国人は「日本人学校」を不愉快な存在として認識し続けていたのだろう。 その後、悪い意味で行動力のある中国人ネットユーザーが日本人学校を探したり、「日本人学校の前で日本人を倒す」といった趣旨の茶番劇を演じたりするようになった。そして、そうした動画コンテンツにファンがついて盛り上がるようになった。実はスクールバス襲撃事件の10日前にも、日本人学校をネタにする動きが中国のネット上で再燃していた。 もちろん、現時点ではそうした動画と襲撃事件との関連性は立証されていない。だが、ネット上で一連の動きがあった末に、6月24日に痛ましい事件が起きたのは事実である。 それにしても、中国のSNSにおける「日本人学校叩き」には謎が多い。中国での過去の反日運動を振り返ってみると、尖閣諸島の領有権が取り沙汰されたタイミングや、歴代首相が靖国神社に参拝したタイミングで盛り上がっていた。福島第一原子力発電所における「処理水の海洋放出問題」が議論されていた時期も同様だ。このように、何らかのトリガー(きっかけ)があったからこそ反日運動が過熱したと言える。 だが今回は、日本叩きのトリガーになるような出来事はほとんどない。むしろ、Huaweiへの制裁を加速させている米国のほうが、中国人の反感をかき立てるような政策を展開している』、「悪い意味で行動力のある中国人ネットユーザーが日本人学校を探したり、「日本人学校の前で日本人を倒す」といった趣旨の茶番劇を演じたりするようになった。そして、そうした動画コンテンツにファンがついて盛り上がるようになった。実はスクールバス襲撃事件の10日前にも、日本人学校をネタにする動きが中国のネット上で再燃していた。 もちろん、現時点ではそうした動画と襲撃事件との関連性は立証されていない。だが、ネット上で一連の動きがあった末に、6月24日に痛ましい事件が起きたのは事実である・・・今回は、日本叩きのトリガーになるような出来事はほとんどない。むしろ、Huaweiへの制裁を加速させている米国のほうが、中国人の反感をかき立てるような政策を展開している」、なるほど。
・『過激な動画でファンを集めれば ネット通販で稼げる!? 実際、中国のECサイトを見てみても、米国のトランプ前大統領やバイデン現大統領を模したパンチングマシンなど、米国をなじるための商品が多く売られている。その一方で、岸田文雄首相をなじるグッズはほぼない。政策面や政府要人の動きに関して、ここ最近の日本は反日運動のトリガーを引いていないのだ。 にもかかわらず、なぜ「日本人学校」をネタにする動画が拡散されるようになったのか。その一因として考えられるのが、中国の独特なネット空間の在り方である。 中国はスマホ社会だ。新型コロナウイルスの感染が広がっていた時期は、世界でも珍しい「デジタルを徹底活用した監視」によってゼロコロナ政策を持続しようとした。 結局は感染拡大を抑えられずやめてしまったが、このゼロコロナ政策は中国人のスマホ利用を促進する効果を生んだ。スマホユーザーは中高年を中心に都市農村を問わず増え、2023年末時点で11億人弱に達した(CNNIC調べ)。そして、そのほとんどが、前述したドウインやクワイショウ、メッセンジャーアプリの微信(WeChat)を利用するようになった。 ご存じの通り、中国は政府の情報統制によってYouTubeやX(旧Twitter)などの利用が禁じられている。一般読者はこの点について、「中国人はVPNなどを駆使して『ネットの壁』を超え、YouTubeやXを楽しんでいるのでは」と思っているかもしれない。だが実際はそうとは限らず、中国人はあまり「壁の外」に出ようとしない。SNSは知人がいてこそ楽しく、動画サイトも自分たちの趣味嗜好に合うコンテンツがあってこそ楽しめるからだ。 中国国内で満足できるサービスとコンテンツが十分にあるため、特に目的がない限り、「壁の外」に行こうとする人はいないのである。 このガラパゴス化したネット社会では、新たなECの手法が普及しつつある。ドウインなどの動画配信プラットフォームが「ECサイト」としての機能を持ち、動画配信者が商品を販売できるのだ。配信者がドウインで商品を売って儲けるためには、多くの人々に刺さるテーマで面白い動画を配信し、ファン(YouTubeでいうところのチャンネル登録者数)を増やす必要がある』、「ガラパゴス化したネット社会では、新たなECの手法が普及しつつある。ドウインなどの動画配信プラットフォームが「ECサイト」としての機能を持ち、動画配信者が商品を販売できるのだ。配信者がドウインで商品を売って儲けるためには、多くの人々に刺さるテーマで面白い動画を配信し、ファン(YouTubeでいうところのチャンネル登録者数)を増やす必要がある」、なるほど。
・『事件後に動画削除… 人気反日インフルエンサー「凌一」とは 動画を配信してファンを集めれば、単に再生数を稼げるだけでなく、その動画をきっかけに商品を買ってもらえる。この手法がコロナ禍以降(特に去年)から広く知られるようになった。中国のECサイトはAlibabaが手掛ける「淘宝網(タオバオ)」が主流だと思っている人もいるかもしれないが、それは昔の話。今はタオバオのライバルは多数ある。 なぜECの話をしたかというと、ドウイン上で活動している反日系インフルエンサーも、この手法で稼いでいるからだ。特に「凌一」という人物は60万人を超えるフォロワーを獲得し、ファンにとっては痛快な「抗日茶番動画」を出しながら商品を売っていたことが分かっている。 ちなみに、「凌一」は名門である「中央民族大学」の学生だとされている。だが冒頭のスクールバス襲撃事件後、この人物の動画は削除された。 中国政府によるコンテンツ規定では、暴力・ポルノ・ギャンブル・自国(中国)の否定・民族蔑視・誹謗中傷などは禁じられている。ドウインやクワイショウなど、全てのプラットフォームがそれに従っている。年に一度、あらゆるサービスから不良コンテンツを一掃する「浄網」という取り組みも行われ、規定違反の動画は全て消されている。 ところが、この「民族蔑視や誹謗中傷の禁止」は外国には当てはまらないようだ。反日系動画はずっと放置されたままで、このことがファンをさらに喜ばせている。 日本以外の国に関しては「何でもかんでも動画のネタにする」いうわけではなく、イスラエルによるガザ侵攻に心を痛めている中国人も多い。だが困ったことに、反日系コンテンツは動画プラットフォームで受け入れられやすい。 なぜかと言うと、中国人は日本のことを古くからよく知っているからだ。 そもそもSNSが普及する前の時代から、第二次世界大戦などを舞台にした「母国の英雄が日本兵を倒す」という趣旨の作品がテレビドラマでよく流れていた。中国人が日常的に触れてきたものであり、知人との共通の話題にもなりやすい。 また50代以上の人は文化大革命を経験した結果、ハイテクや新しい知識にやや弱いという傾向がある。悪い日本人を倒すというシンプルで分かりやすいストーリーを真に受け、嘘の寸劇を嘘と見抜けないまま、のめり込んでいる人もいるだろう』、「ドウイン上で活動している反日系インフルエンサーも、この手法で稼いでいるからだ。特に「凌一」という人物は60万人を超えるフォロワーを獲得し、ファンにとっては痛快な「抗日茶番動画」を出しながら商品を売っていたことが分かっている・・・反日系コンテンツは動画プラットフォームで受け入れられやすい。 なぜかと言うと、中国人は日本のことを古くからよく知っているからだ。 そもそもSNSが普及する前の時代から、第二次世界大戦などを舞台にした「母国の英雄が日本兵を倒す」という趣旨の作品がテレビドラマでよく流れていた。中国人が日常的に触れてきたものであり、知人との共通の話題にもなりやすい」、なるほど。
・『中国のネット空間で回り続ける「反日動画で稼ぐ」サイクル 今では家電からゲーム・アニメ・ポルノに至るまで、中国では日本のものがよく知られている。だからこそ、日本のネガティブな側面についても、さらに関心を持たれやすくなっている。 インフルエンサーが日本を茶化した動画を作り、視聴者が日本に腹を立てれば立てるほど、反日動画はさらに拡散される。動画が話題になってフォロワーが増えると、商品がさらに売れる。中国の独特なネット社会では今、そうしたサイクルが回っているのだ。 日本では少し前に、靖国神社に落書きして小便をかけた中国人男性「鉄頭」が批判を集めた。この行動は日本人にとっては大迷惑だったかもしれないが、「鉄頭」にとっては、中国のネット社会で一部ユーザーに支持される「悪い国への勧善懲悪」を行ったにすぎない。実は彼もSNSユーザーであり、こうした行動でファンを集めていた。 いわば今の中国人にとって、「カネ」や「フォロワー獲得」が反日運動のトリガーになっているのである。カネ目当てでつくられた動画が、視聴者の問題行動を誘発したとしてもおかまいなしだ。抜本的な対策が講じられない限り、日本は今後も中国人インフルエンサーのネタにされ続けるだろう。 なお中国の主要メディア各社は、日本人親子を体を張って守り抜いた中国人女性が、蘇州市から表彰されたことを報道している。これは彼女の行動が勇敢なものであり、相手が日本人であれ、他人を傷つけるのは間違いだというメッセージを中国のネットユーザーに発信したものだと筆者は解釈している。今回の報道を機に、中国の対日ネット世論の「常識」が少しでも変わることを願うばかりだ』、「いわば今の中国人にとって、「カネ」や「フォロワー獲得」が反日運動のトリガーになっているのである。カネ目当てでつくられた動画が、視聴者の問題行動を誘発したとしてもおかまいなしだ。抜本的な対策が講じられない限り、日本は今後も中国人インフルエンサーのネタにされ続けるだろう」、困ったことだが、覚悟する必要がある。
第三に、7月7日付けYahooニュースが転載したダイヤモンド・オンライン、日中福祉プランニング代表の王 青氏による「「日本人学校はスパイ養成機関」中国スクールバス襲撃を引き起こした“反日デマ動画”が支持される背景」を紹介しよう。
・『中国・蘇州で、日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われる事件があり、犯人の男に立ち向かった中国人女性が亡くなった。この他にも中国では、外国人を対象にした無差別殺傷事件が起きている。背景にあるのは、中国社会の閉塞感や経済不況、そして今も続く反日教育だ。中国では今も反日ドラマや映画がたくさん放映されているほか、SNSも閉鎖的で海外の情報に触れることが難しい。さらに昨今は「日本人学校はスパイを養成している」といったデマ動画が拡散されSNSで人気を集めている。なぜ反日動画は多くの中国人に支持され、デマを信じる人が減らないのか、その理由と実態を紹介したい』、興味深そうだ。
・『日本人学校のスクールバスが襲われ、中国人女性が亡くなった 6月24日、中国の江蘇省蘇州市で、痛ましい事件が起きた。日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子2人が刃物を持った中国人男性に襲われ、怪我を負ったのである。バスの案内係で、身を挺して男の犯行を止めようとした中国人女性・胡友平さんは、男に何度も刺されて2日後に命を落とした。この悲劇的なニュースは、日中両国に大きな衝撃を与えた。 SNSでは胡さんを悼み、たたえる声が溢れた。日本では、「日本の子どもたちを守る勇気と行動に感謝いたします。亡くなられたことは残念でなりません。ご冥福をお祈りします」「日本人をかばい、身を挺して亡くなられた胡さん、あなたの名前は忘れません」といったコメントが殺到した。 中国でも同様に、胡さんへの哀悼と感謝の意を示す書き込みが多数寄せられた。「私のような男でも、あの場面に遭遇したら、胡さんのように身の危険を顧みず、犯人を制止できるか、自信を持って言えない。胡さんの勇気に敬意を表します」「一人の普通の女性が、自分の命で暴徒と戦い、彼女が救ったのは日本の子どもたちだけではなく、わが国の体面も保ったのだ。我が国にも善良で勇気のある人がいるということを世界に示すことができた」といった声が上がっている。また、最近の中国では、高齢者や急病人が道で倒れていても誰も助けないという社会現象もある中で、胡さんの行動は多くの人に感動を与えたというコメントも多く見られた。 このように、日中両国において胡さんへの賛美の声が上がり、涙を誘うような雰囲気が広がっている』、「最近の中国では、高齢者や急病人が道で倒れていても誰も助けないという社会現象もある中で、胡さんの行動は多くの人に感動を与えた」、なるほど。
・『日本人学校についてのデマ動画が拡散、その内容は…… しかし、なぜこのような事件が起きたのか、犯人はどんな心境でどういう目的で犯行に及んだのか、それらを検証しないと、また同じことが繰り返される恐れがある。実際、この事件のわずか2週間前に、中国吉林省の公園で米国人大学講師4人が中国人男性に刃物で刺され負傷する事件が起きている。1か月のうちに2回も似たような事件が発生したことから、これらを単なる「偶発的な事件」とは考えにくい。 今回の事件で標的になったのが日本人学校であることは注目に値する。近年、中国のSNSでは日本を貶める過激な書き込みや動画が増加している。特に一部の人々が閲覧数を稼ぎ、フォロワー数を増やし、最終的にはライブ配信での商品販売につなげるため、手段を選ばず、根拠のない情報を動画に盛り込むケースが目立っている。 約2年前から、日本人学校をめぐって、SNSではさまざまなデマが飛び交うようになっている。それらは主に次のようなものだ。 「日本人学校は実はスパイの養成機関、あるいは軍事基地だ。日本人の学生だけを受け入れ、中国人が入学できないのはなぜだ」 「日本人の学生たちは、中国で測量や地図作成をしている。戦争の準備のためだ」 「日本人学校が制裁対象となった。すべての海外の教育機関が我が国の関連部門によって監督され、学生の愛国心教育を強化することが求められている」 さらに、昨年頃から流布している動画は、上海にある日本人学校と思われる場所の映像で、2人の学生代表が「上海はわれわれのもの、浙江省もわれわれのものだ、もうすぐ中国もわれわれのものだ」と叫んだとされる映像だ。この動画には中国語のナレーションが付けられ、「日本人の学生は我が領土で、われわれの食べ物を食べ、水を飲む。われわれを死なせるがん細胞のようにわれわれの体に寄生している。消滅すべきだ」という内容だった。この動画のアクセス数は1億回に上ったという』、「この事件のわずか2週間前に、中国吉林省の公園で米国人大学講師4人が中国人男性に刃物で刺され負傷する事件が起きている。1か月のうちに2回も似たような事件が発生したことから、これらを単なる「偶発的な事件」とは考えにくい・・・昨年頃から流布している動画は、上海にある日本人学校と思われる場所の映像で、2人の学生代表が「上海はわれわれのもの、浙江省もわれわれのものだ、もうすぐ中国もわれわれのものだ」と叫んだとされる映像だ。この動画には中国語のナレーションが付けられ、「日本人の学生は我が領土で、われわれの食べ物を食べ、水を飲む。われわれを死なせるがん細胞のようにわれわれの体に寄生している。消滅すべきだ」という内容だった。この動画のアクセス数は1億回に上ったという」、デマ動画でも「アクセス数は1億回」とは恐ろしいことだ。
・『デマ動画の元になった動画の投稿者に話を聞いた 今回、このデマ動画の元になった動画の製作者である東京在住の中国人男性インフルエンサー、Aさんに話を聞くことができた。 Aさんは次のように語った。「この動画は、2019年秋に、娘が通う小学校の運動会の一部を撮影したものです。日本の小学校の運動会でよく見られる儀式で、学生代表が先生たちに向かって宣誓するシーンでした。子どもたちの頑張っている姿に感動し、動画をWeChatにアップロードしたのです。その後、現在のように字幕を付けられて、まったく違うものとなってしまいました。夢にも思わなかった。恐ろしすぎて言葉が出ません……」 さらにAさんは、「実は、この動画は別のバージョンにも使われています。いずれも、動画の中の小学生がファシストの敬礼をしているとか、軍国主義思想を植え付けているといった内容です」と付け加え、深くためいきをついた。 その後、Aさんは自分のSNSアカウントにこの経緯を説明する動画を投稿。すると、「そうだったのか!?騙されたところだった」といったコメントがたくさん書き込まれた。 Aさんは、「国内のネットユーザーが、このように歪曲された動画に振り回され、憎悪と恐怖の中で生きるように仕向けられ、やがては暴力へと変貌して、罪の無い人々に害を与える。デマの餌食にならないよう、私は真実を伝えていく」と話している。 このような日本人学校を歪曲する動画は、他にも多数存在している。 周知の通り、中国にある日本人学校は、中国政府の法律規定に従って設立されたものだ。中国に滞在する日系企業駐在員の子どもたちが日本の教育を受けるための場所であり、日本国内の小中高と同等の教育課程が提供されている』、「この動画は、2019年秋に、娘が通う小学校の運動会の一部を撮影したものです。日本の小学校の運動会でよく見られる儀式で、学生代表が先生たちに向かって宣誓するシーンでした。子どもたちの頑張っている姿に感動し、動画をWeChatにアップロードしたのです。その後、現在のように字幕を付けられて、まったく違うものとなってしまいました。夢にも思わなかった。恐ろしすぎて言葉が出ません……・・・このような日本人学校を歪曲する動画は、他にも多数存在している」、本当に困ったことだ。
・『5歳児が「日本に行ったら殺されない?」今も続く反日教育 日本人学校に対する誤った認識が広がる背景には、大多数の中国人がFacebookやYouTubeなどの海外のコンテンツにアクセスできないという事情がある。中国国内では「抖音(ドウイン)」や「快手(クアイショウ)」「WeChat動画」などのプラットフォームしか利用できない。 さらに、中国のテレビでは今でも抗日映画やドラマが日常的に放送されている。中国にいるとき、ホテルの部屋でテレビを付けると、視聴可能な40以上のチャンネルのうち、約半数で抗日をテーマにした長編ドラマが放送されていた。こうした環境に日々さらされれば、人々の反日感情があおられるのも無理はないと感じた。 中国では反日教育が行われてきたことは日本でも広く知られているが、残念ながらそれは過去の話ではなく、今ももちろん続いている。 先日、久しぶりに会った友人の話には考えさせられた。彼女はもともと中国の出身だが、日本国籍を取り、今は中国で仕事をしている。彼女には中国で生まれ育った5歳の娘がいるのだが、日々、抗日戦争の物語や抗日映画などにより、「日本が中国を侵略した歴史」を教えられているという。 今回、彼女は娘を連れて夏休み期間中に日本に一時帰国することにしたのだが、幼稚園のお友だちから「○○ちゃんは、日本に行ったら殺されない?大丈夫?」と心配されたというのだ。彼女はその話を聞いて怖くなってきたと話す。「もう子どもを連れて日本に帰った方がいいかな」と悩んでいた』、「大多数の中国人がFacebookやYouTubeなどの海外のコンテンツにアクセスできないという事情がある・・・中国のテレビでは今でも抗日映画やドラマが日常的に放送されている。中国にいるとき、ホテルの部屋でテレビを付けると、視聴可能な40以上のチャンネルのうち、約半数で抗日をテーマにした長編ドラマが放送されていた。こうした環境に日々さらされれば、人々の反日感情があおられるのも無理はないと感じた」、なるほど。
・『外国人をターゲットに無差別殺傷事件を起こせば注目される コロナ禍が終息しても、中国経済の回復は思うように進んでおらず、失業率は高止まりしたままである。「以前より生活が苦しくなった」という声をよく耳にする。そうした中で、生活苦に陥った人々が一種の「社会への報復」として無差別殺傷事件を起こすケースが、最近中国各地で発生している。 攻撃の対象が同じ中国人であれば、ニュースになってもすぐに消されるし、あまり注目もされない。一方で、「外国人をターゲットにすれば、海外メディアに取り上げられて話題になる」という思惑があるという指摘もある。 蘇州の日本人親子や吉林省の米国人教師への襲撃事件は、中国から外資企業の撤退を加速させてしまう可能性がある。タイミングの悪いことに、蘇州の事件の1週間前、東京のホテルニューオータニでは蘇州市政府による「投資誘致イベント」が開催されたばかりだった。蘇州市副市長が出席し、「多方面にわたる蘇州の優れた投資環境」をアピールしたという。出席した関係者の一人は、「実質的で具体的な内容がほとんどなく、出席した日本企業もそれほど多くなかった。冷めた様子だった」と語っている。 蘇州だけではなく、昨年から中国各地の地方政府が相次いで日本を訪れ、日本の経済界に「我が省・市へ積極的な投資を」と呼びかけている。しかしその一方で、外国人に危害を加える国内の環境は周知の通りである。反米や反日といった言論や動きは、ブーメランのように経済に打撃を与えるスパイラルに陥る可能性があると、中国国内の経済専門家らは危惧している』「外国人に危害を加える国内の環境は周知の通りである。反米や反日といった言論や動きは、ブーメランのように経済に打撃を与えるスパイラルに陥る可能性があると、中国国内の経済専門家らは危惧」、大いに「危惧」すべきだ。
・『中国のIT大手各社が、SNSへの反日的な投稿の規制を始めた こうした動きを受け、6月末、テンセントやウェイポ、ドウインといった中国のIT大手各社が、SNSへの反日投稿の規制を始めたと報じられている。 冒頭で紹介したSNSの声が胡友平さんを悼み、たたえるものが多く、犯人を支持したり日本人の子どもたちを貶めるものが少なくなったのは、その影響もあるのかもしれない。 SNSでは「胡さんは、外資の流出を食い止めてくれた。わが国の雇用に貢献した。ありがとう!」といったコメントも多く見られる。せめて、胡さんの死を無駄にしないよう、日中関係が少しでも改善されることを祈るばかりだ』、「中国のIT大手各社が、SNSへの反日投稿の規制を始めたと報じられている」、「日中関係が少しでも改善されることを祈るばかりだ」、同感である。
タグ:日中関係 (その7)(靖国神社の「放尿テロ」をマスコミが頑なに「落書き事件」と矮小化する あまりにもセコい理由、中国・日本人学校のバス襲撃 事件後に削除された「反日動画」…中国人が「日本人学校バッシング」に走るおぞましい理由、「日本人学校はスパイ養成機関」中国スクールバス襲撃を引き起こした“反日デマ動画”が支持される背景) ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「靖国神社の「放尿テロ」をマスコミが頑なに「落書き事件」と矮小化する、あまりにもセコい理由」 「激しく憎しみ合うような国家・民族間であっても、相手の信仰や尊厳を「放尿」で貶めるというのは、「人として超えてはいけない一線」なのだ。激しい紛争が続く中東でも、エルサレムやメッカで「放尿テロ」があったなどと聞かないではないか。) そんな許されざる行為が日本の宗教施設で起きた。本来ならばマスコミはこの蛮行を国内外に広く発信し、個人の犯罪とはいえ、中国政府に「遺憾」くらい言わせなくてはいけない。 が、現実のマスコミは「落書き事件」ばかりを報じて、「放尿」の事実には目をつぶって鎮火しようとしているようにさえ見える。これはさすがに「自主規制」を通り越して、「偏向報道」と言わざるを得ない」、なるほど。 「日本のマスコミ記者たちは新人時代から、警察や役人への「裏取り取材」を叩き込まれるのだが、そこで彼らが使う用語・呼称も忠実に真似ることも徹底させられる。なぜかと言うと、「役所や警察の言う通りのニュースを流しておけばクレームも入らないし、もし誤報でも役所や警察のせいにできる」からだ。要するに、報道機関としての信頼を守るための「企業防衛」の一環だ」、情けない話だ。 「今回の対応は、岸田首相も続投が見えてハッピーだし、習近平主席も反中感情が盛り上がらずハッピーだが、日本人にとっては「不幸」なことこの上ない。 「スシローペロペロ少年」やバイトテロ動画を例に出すまでもなく、愚かな動画を撮る人たちは、バズった人のアクションを模倣する。つまり、中国や韓国の迷惑系ユーチューバーのような人たちが「靖国放尿テロ」の動画に触発されて、靖国神社で同様の迷惑行為をする恐れが高いのだ」、その通りだ。 (注)トンマナ:トーン&マナーの略称で、デザインやスタイル、文言などに一貫性をもたせるルールのこと 山谷剛史氏による「中国・日本人学校のバス襲撃、事件後に削除された「反日動画」…中国人が「日本人学校バッシング」に走るおぞましい理由」 「一部の中国人や在中日本人の間で「動画を中心とした反日ネット言論が、襲撃者の心理に大きな影響を与えたのではないか」という説が浮上している。 というのも、「TikTok」運営元のByteDanceが中国向けに展開しているショート動画サービス「抖音(ドウイン)」や、その競合サービスに当たる「快手(クワイショウ)」を見てみると、確かに異常な状況になっている。 「中国にある日本人学校」を叩く動画が多数投稿されているのだ」、なるほど。 「悪い意味で行動力のある中国人ネットユーザーが日本人学校を探したり、「日本人学校の前で日本人を倒す」といった趣旨の茶番劇を演じたりするようになった。そして、そうした動画コンテンツにファンがついて盛り上がるようになった。実はスクールバス襲撃事件の10日前にも、日本人学校をネタにする動きが中国のネット上で再燃していた。 もちろん、現時点ではそうした動画と襲撃事件との関連性は立証されていない。だが、ネット上で一連の動きがあった末に、6月24日に痛ましい事件が起きたのは事実である・・・ 今回は、日本叩きのトリガーになるような出来事はほとんどない。むしろ、Huaweiへの制裁を加速させている米国のほうが、中国人の反感をかき立てるような政策を展開している」、なるほど。 「ガラパゴス化したネット社会では、新たなECの手法が普及しつつある。ドウインなどの動画配信プラットフォームが「ECサイト」としての機能を持ち、動画配信者が商品を販売できるのだ。配信者がドウインで商品を売って儲けるためには、多くの人々に刺さるテーマで面白い動画を配信し、ファン(YouTubeでいうところのチャンネル登録者数)を増やす必要がある」、なるほど。 「ドウイン上で活動している反日系インフルエンサーも、この手法で稼いでいるからだ。特に「凌一」という人物は60万人を超えるフォロワーを獲得し、ファンにとっては痛快な「抗日茶番動画」を出しながら商品を売っていたことが分かっている・・・反日系コンテンツは動画プラットフォームで受け入れられやすい。 なぜかと言うと、中国人は日本のことを古くからよく知っているからだ。 そもそもSNSが普及する前の時代から、第二次世界大戦などを舞台にした「母国の英雄が日本兵を倒す」という趣旨の作品がテレビドラマでよく流れていた。中国人が日常的に触れてきたものであり、知人との共通の話題にもなりやすい」、なるほど。 「いわば今の中国人にとって、「カネ」や「フォロワー獲得」が反日運動のトリガーになっているのである。カネ目当てでつくられた動画が、視聴者の問題行動を誘発したとしてもおかまいなしだ。抜本的な対策が講じられない限り、日本は今後も中国人インフルエンサーのネタにされ続けるだろう」、困ったことだが、覚悟する必要がある。 yahooニュース 王 青氏による「「日本人学校はスパイ養成機関」中国スクールバス襲撃を引き起こした“反日デマ動画”が支持される背景」 「最近の中国では、高齢者や急病人が道で倒れていても誰も助けないという社会現象もある中で、胡さんの行動は多くの人に感動を与えた」、なるほど。 「この事件のわずか2週間前に、中国吉林省の公園で米国人大学講師4人が中国人男性に刃物で刺され負傷する事件が起きている。1か月のうちに2回も似たような事件が発生したことから、これらを単なる「偶発的な事件」とは考えにくい・・・昨年頃から流布している動画は、上海にある日本人学校と思われる場所の映像で、2人の学生代表が「上海はわれわれのもの、浙江省もわれわれのものだ、もうすぐ中国もわれわれのものだ」と叫んだとされる映像だ。 この動画には中国語のナレーションが付けられ、「日本人の学生は我が領土で、われわれの食べ物を食べ、水を飲む。われわれを死なせるがん細胞のようにわれわれの体に寄生している。消滅すべきだ」という内容だった。この動画のアクセス数は1億回に上ったという」、デマ動画でも「アクセス数は1億回」とは恐ろしいことだ。 「この動画は、2019年秋に、娘が通う小学校の運動会の一部を撮影したものです。日本の小学校の運動会でよく見られる儀式で、学生代表が先生たちに向かって宣誓するシーンでした。子どもたちの頑張っている姿に感動し、動画をWeChatにアップロードしたのです。その後、現在のように字幕を付けられて、まったく違うものとなってしまいました。夢にも思わなかった。恐ろしすぎて言葉が出ません……・・・このような日本人学校を歪曲する動画は、他にも多数存在している」、本当に困ったことだ。 「大多数の中国人がFacebookやYouTubeなどの海外のコンテンツにアクセスできないという事情がある・・・中国のテレビでは今でも抗日映画やドラマが日常的に放送されている。中国にいるとき、ホテルの部屋でテレビを付けると、視聴可能な40以上のチャンネルのうち、約半数で抗日をテーマにした長編ドラマが放送されていた。こうした環境に日々さらされれば、人々の反日感情があおられるのも無理はないと感じた」、なるほど。 「外国人に危害を加える国内の環境は周知の通りである。反米や反日といった言論や動きは、ブーメランのように経済に打撃を与えるスパイラルに陥る可能性があると、中国国内の経済専門家らは危惧」、大いに「危惧」すべきだ。 「中国のIT大手各社が、SNSへの反日投稿の規制を始めたと報じられている」、「日中関係が少しでも改善されることを祈るばかりだ」、同感である。