健康(その29)(「食物繊維は体に良い」とは限らない?最新研究で分かった腸内細菌との意外なカンケイ、医師・和田秀樹が教える 若くて元気な中高年がよく食べる「意外なもの」とは?、人体の「ツボ」って何?「高血圧のネズミ」実験でわかってきた「ツボの正体」) [生活]
健康については、本園7月22日に取上げた。今日は、(その29)(「食物繊維は体に良い」とは限らない?最新研究で分かった腸内細菌との意外なカンケイ、医師・和田秀樹が教える 若くて元気な中高年がよく食べる「意外なもの」とは?、人体の「ツボ」って何?「高血圧のネズミ」実験でわかってきた「ツボの正体」)である。
先ずは、本年7月21日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「「食物繊維は体に良い」とは限らない?最新研究で分かった腸内細菌との意外なカンケイ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/347185
・『最適な食物繊維は人それぞれ これまで長い間、食物繊維の摂取量を増やすべきとするアドバイスがなされてきているが、食物繊維摂取による健康上のメリットは人それぞれ異なることが報告された。単に多く摂取しても、あまり恩恵を受けられない人もいるという。米コーネル大学のAngela Poole氏らの研究によるもので、詳細は「Gut Microbes」に6月24日掲載された。 食物繊維は消化・吸収されないため、かつては食品中の不要な成分と位置付けられていた。しかし、整腸作用があること、および腸内細菌による発酵・利用の過程で、健康の維持・増進につながる有用菌(善玉菌)や短鎖脂肪酸の増加につながることなどが明らかになり、現在では「第六の栄養素」と呼ばれることもある。 また糖尿病との関連では、食物繊維が糖質の吸収速度を抑え、食後の急激な血糖上昇を抑制するように働くと考えられている。そのほかにも、満腹感の維持に役立つことや、血圧・血清脂質に対する有益な作用があることも知られている。) 本研究では、食物繊維の一種である難消化性でんぷんresistantstarch;RS)を摂取した場合に、腸内細菌叢の組成や糞便中の短鎖脂肪酸の量などに、どのような変化が現れるかを検討した。 59人の被験者に対するクロスオーバーデザインで行われ、試行条件として、バナナなどに含まれている難消化性でんぷん(RS2と呼ばれるタイプ)と化学的に合成された難消化性でんぷん(RS4と呼ばれるタイプ)、および易消化性でんぷんという3条件を設定。5日間のウォッシュアウト期間を挟んで、それぞれ10日間摂取してもらった』、「本研究では、食物繊維の一種である難消化性でんぷんresistantstarch;RS)を摂取した場合に、腸内細菌叢の組成や糞便中の短鎖脂肪酸の量などに、どのような変化が現れるかを検討した。 59人の被験者に対するクロスオーバーデザインで行われ、試行条件として、バナナなどに含まれている難消化性でんぷん(RS2と呼ばれるタイプ)と化学的に合成された難消化性でんぷん(RS4と呼ばれるタイプ)、および易消化性でんぷんという3条件を設定。5日間のウォッシュアウト期間を挟んで、それぞれ10日間摂取してもらった」、なるほど。
・『腸内細菌叢の組成や多様性と関連 解析の結果、難消化性でんぷんの摂取によって腸内細菌叢や短鎖脂肪酸などに大きな変化が生じた人もいれば、あまり変化がない人、または全く変化がない人もいた。それらの違いは、腸内細菌叢の組成や多様性と関連があることが示唆された。 研究者らは、「結局のところ、ある人の健康状態を腸内細菌叢へのアプローチを介して改善しようとする場合、どのような種類の食物繊維の摂取を推奨すべきか個別にアドバイスしなければならない」と述べている。 論文の上席著者であるPoole氏は、「過去何十年もの間、全ての人々に対して一律に食物繊維の摂取を推奨するというメッセージが送られてきた。しかし今日では、個人個人にどのような食物繊維の摂取を推奨すべきかを決定する上で役立つであろう、精密栄養学という新しい学問領域が発展してきている」と述べている。 今回の研究でも、食物繊維の摂取によって短鎖脂肪酸の産生が増えるか否かは、その人の腸内細菌叢によって左右される可能性が浮かび上がった。また意外なことに、難消化性でんぷんではなく易消化性でんぷんの摂取によって、短鎖脂肪酸が最も増加していた。短鎖脂肪酸は、血糖値やコレステロールの改善に寄与することが明らかになりつつある。 研究者らは、個人の腸内細菌叢の組成を把握することで、その人がどのようなタイプの食物繊維に反応するのかを事前に予測でき、その結果を栄養指導に生かせるようになるのではないかと考えている。「食物繊維や炭水化物にはさまざまなタイプがある。一人一人のデータに基づき最適なアドバイスを伝えられるようになればよい」とPoole氏は語っている。(HealthDayNews 2024年6月27日)』、「研究者らは、個人の腸内細菌叢の組成を把握することで、その人がどのようなタイプの食物繊維に反応するのかを事前に予測でき、その結果を栄養指導に生かせるようになるのではないかと考えている」、なるほど。
次に、8月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した精神科医:医師の和田秀樹氏による「和田秀樹が教える、若くて元気な中高年がよく食べる「意外なもの」とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/347910
・『50代からは積極的に肉を食べよう──うつ症状を引き起こす要因は、神経伝達物質であるセロトニンの不足。これを補うにはタンパク質が必要なのだという。「うつ」も「がん」も遠ざける、肉食生活のすすめとは。本稿は、和田秀樹『50代うつよけレッスン』(朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『若さと健康を保つ秘訣は栄養+運動+ときめき 更年期障害と診断されたときは、不足している性ホルモンを補うホルモン補充治療を行います。更年期症状から解放され、若さと健康の両方を保つことができます。 しかし、医療機関でホルモン補充療法を受けない人でも、普段からホルモンバランスを整える生活を心がけることで心身を若々しく保つことができます。 意識してプラスしていきたいのが、栄養、運動、ときめき(性的活動)です。 年をとってくると食事の量が減って栄養が不足してきたり、男性ホルモンの分泌が減少したり、運動量も少なくなりがちですから、日常生活で補うことが重要です。 なかでも一番改善しやすいのが、食生活です。 脳内の神経伝達物質のセロトニンの不足がうつ症状を引き起こす要因と言われていますが、セロトニンは年齢を重ねるにつれて減少していくため、補う必要があります。 このセロトニンの材料となるのは「トリプトファン」と呼ばれる必須アミノ酸の一種です。「必須」というのは、体にとってなくてはならない大切な成分ということ。この必須アミノ酸は人間の体内でつくり出せないので、食べ物から補給するしかありませんが、トリプトファンの材料はタンパク質です。 ですから、タンパク質が豊富な食べ物を摂る必要があります。 大豆やナッツもいいのですが、セロトニンを脳に運ぶ役割をしているのがコレステロールなので、タンパク質とコレステロールの両方が豊富な肉が最適なのです』、「年をとってくると食事の量が減って栄養が不足してきたり、男性ホルモンの分泌が減少したり、運動量も少なくなりがちですから、日常生活で補うことが重要です。 なかでも一番改善しやすいのが、食生活です。 脳内の神経伝達物質のセロトニンの不足がうつ症状を引き起こす要因と言われていますが、セロトニンは年齢を重ねるにつれて減少していくため、補う必要があります」、なるほど。
・『五十路になったら積極的に肉を食うべし 数あるタンパク質のなかでも、動物性タンパク質の宝庫である肉は男性ホルモンを活性化させ、人を行動的にする働きがあるため、50代以降は特に肉を積極的に食べることをお勧めします。 セロトニンは精神を安定させるため、肉食はストレスの緩和にも役立ちます。 また、年を重ねるごとに筋肉はどんどん落ちていき、いくら筋トレで鍛えても、一度落ちた筋肉は簡単にはもとに戻りません。タンパク質は筋肉や臓器、骨格などをつくる材料にもなりますから、特に50代以降は意識的に摂取したほうがいいのです。) その他にもタンパク質は免疫機能を維持する物質の材料にもなっており、不足すると免疫機能がどんどん衰えていきます。風邪をこじらせて肺炎で亡くなる高齢者が多いのは、タンパク質が不足しているために免疫機能が弱っている可能性があるからです。 健康な老後を送るためには、アミノ酸を多く含むタンパク質を摂取することが何より大事ですが、そのための理想的な食べ物が、肉なのです。 そういえば、100歳以上の高齢者を「百寿者」と呼びますが、百寿者には肉を好んで食べる人が多い傾向があります。 たとえば、105歳までご存命で100歳以降も医師として医療現場の最前線に立ち続けた日野原重明さんは肉が好きで、100歳以降も肉を食べ続けていたそうです。冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんも大の肉好きです。90代の現在も、よくステーキを食べていると言います。 その他にも、99歳までご存命だった作家の瀬戸内寂聴さんも肉好きだったことが知られています。 私の知る長生きでパワフルな高齢者にも肉好きな人が多い傾向がありますが、若々しい体を維持するためにも、肉を食べてタンパク質の摂取を心がけることが大事です』、「冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんも大の肉好きです。90代の現在も、よくステーキを食べていると言います。 その他にも、99歳までご存命だった作家の瀬戸内寂聴さんも肉好きだったことが知られています。 私の知る長生きでパワフルな高齢者にも肉好きな人が多い傾向がありますが、若々しい体を維持するためにも、肉を食べてタンパク質の摂取を心がけることが大事です」、なるほど。
・『食べる順番も大事 タンパク質から食べよう ただし、うつ症状が出ている人は食欲が落ちるだけでなく、肉類をあまり受け付けなくなることがあります。うつ病の患者さんのなかには、「肉なんてムリ、あっさりしたものしか食べられない」という人も多いです。 しかし、そのために余計うつ症状が進んでしまうこともあるのです。 ですから、うつ症状が出る前からしっかり肉類を摂っておいたほうがいいでしょう。 それでも、やはり肉が苦手という人や、もうすでにうつ症状が出ていて肉を食べられないという人は、動物性タンパク質の豊富な牛乳や卵でも構いません。 他にも、ホルモンを活性化させる食品はたくさんあります。 以下に少し列記しますので、なるべく積極的に食べることをお勧めします。 牡蠣:男性ホルモンを合成するために必要な亜鉛を豊富に含んでおり、ホルモンバランスを整えます。) ナッツ類:強い抗酸化作用があり、老化防止に効果があります。またホルモン分泌の指令を出す脳の視床下部の働きを良くするビタミンEを豊富に含むため、ホルモンバランスを整える働きもあります。うなぎの蒲焼きやオイルサーディンなどもビタミンEが豊富です。 ニンニク:男性ホルモンの分泌を増やす働きが認められていますが、この作用はタンパク質と一緒に摂ることでさらに促進されて分泌量が増加するため、肉類と一緒に食べると効果倍増です。 アボカド:ビタミンE、マグネシウム、カリウム、葉酸などを含み、男性ホルモンと女性ホルモンを両方とも活性化して、ホルモンバランスを維持する効果が期待されています。 玉ねぎ:男性ホルモンを増やす作用があります。 大豆:良質の植物性タンパク質を摂取できるだけでなく、脳内の神経伝達物質の原料となるレシチンを豊富に含むため、脳の働きを活性化する効果があります。大豆にはポリフェノールの一種である大豆イソフラボンが多く含まれていますが、これは女性ホルモンとよく似た働きをするとされ、高齢女性には特にお勧めです。 ザクロ:女性の更年期障害の改善や動脈硬化、骨粗しょう症の予防にも一定の効果が見られます。 食事の際には、食べる順番も大事です。 ポイントは、「タンパク質から食べる」ことです。 始めに炭水化物を摂ると、血糖値が大きく上がってインスリンが大量分泌されます。血糖値が乱高下するため、内臓に負担を与えて細胞の炎症を起こして老化を促進してしまうのです。 ですから、まずは肉や魚、大豆製品などのタンパク質から先に食べて、その後に野菜、そしてご飯やパン、最後にデザートという流れにすると、血糖値の上昇が穏やかになり、内臓への負担が少なくなります』、「やはり肉が苦手という人や、もうすでにうつ症状が出ていて肉を食べられないという人は、動物性タンパク質の豊富な牛乳や卵でも構いません。 他にも、ホルモンを活性化させる食品はたくさんあります・・・うなぎの蒲焼きやオイルサーディンなどもビタミンEが豊富です。 ニンニク:男性ホルモンの分泌を増やす働きが認められていますが、この作用はタンパク質と一緒に摂ることでさらに促進されて分泌量が増加するため、肉類と一緒に食べると効果倍増です・・・アボカド:ビタミンE、マグネシウム、カリウム、葉酸などを含み、男性ホルモンと女性ホルモンを両方とも活性化して、ホルモンバランスを維持する効果が期待されています。 玉ねぎ:男性ホルモンを増やす作用があります。 大豆:良質の植物性タンパク質を摂取できるだけでなく、脳内の神経伝達物質の原料となるレシチンを豊富に含むため、脳の働きを活性化する効果があります・・・ザクロ:女性の更年期障害の改善や動脈硬化、骨粗しょう症の予防にも一定の効果が見られます。 食事の際には、食べる順番も大事です。 ポイントは、「タンパク質から食べる」ことです」、なるほど。
・『コレステロール値は高いほうががんやうつ病になりにくい 先ほどタンパク質とコレステロールの両方が豊富な肉食の良さに触れましたが、このコレステロールについてはかなり誤解されているようです。 コレステロールは人の体の脂質の一つで、ホルモンや細胞膜、胆汁酸などをつくる原料にもなっていますが、コレステロールの多い食品を食べるとメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)になるとか、コレステロールが高いと心筋梗塞になりやすくなると思っている人も少なくありません。) 確かに、コレステロール値の高い人のほうが心筋梗塞のような虚血性心疾患による死亡率は高くなりますが、日本では急性心筋梗塞で亡くなる人はがんで亡くなる人の12分の1程度しかいません。がんで亡くなる人のほうが圧倒的に多いのです。自殺で亡くなる人も、心筋梗塞で亡くなる人と大して変わりません。 そして、コレステロール値の高い人のほうが、がんやうつ病になりにくいことがわかっています。 コレステロール値を減らすと、体の免疫機能が低下して、がんを発症しやすくなります。またコレステロールは男性ホルモンの材料になるため、コレステロールを減らしてしまうと、男性ホルモンが不足してうつ病になりやすくなります。 ですから、中高年以降はむしろコレステロール値を下げないほうがいいのです。 アメリカではがんで亡くなる人と同じくらい心筋梗塞で亡くなる人がいるので、コレステロール値を減らしたほうがいいと言われるのもわかりますが、がんや自殺で亡くなる人が多い日本では、その説は通用しないということです』、「コレステロール値の高い人のほうが心筋梗塞のような虚血性心疾患による死亡率は高くなりますが、日本では急性心筋梗塞で亡くなる人はがんで亡くなる人の12分の1程度しかいません。がんで亡くなる人のほうが圧倒的に多いのです。自殺で亡くなる人も、心筋梗塞で亡くなる人と大して変わりません・・・アメリカではがんで亡くなる人と同じくらい心筋梗塞で亡くなる人がいるので、コレステロール値を減らしたほうがいいと言われるのもわかりますが、がんや自殺で亡くなる人が多い日本では、その説は通用しないということです」、私は「コレステロール値」が高目と注意を長いこと受けてきたが、今後は余り心配しないようにしたい。
・『食べる肉の量の目安は1日120~150グラム 食生活でも日米には大きな違いがあります。アメリカでは肉を大量に食べる人が多く、心筋梗塞で亡くなる人が多かったため、1980年代に「肉を食べすぎると体に良くない」というキャンペーンが展開され、1日当たり平均約300グラム食べていた肉を200グラムに減らそうという動きがありました。 しかし、その当時(1980年当時)の日本人の肉の平均摂取量は約68グラムでした。そもそも肉を食べる量が日米ではまったく違うのです。 結果的に虚血性心疾患が少ない日本では、わざわざコレステロール値を減らす意味はありません。むしろコレステロール値を減らせば、がんやうつ病の患者さんを増やしてしまうリスクがあるのです。 現在の日本人が1日に摂る肉の量は平均100グラム程度ですが、これ以上、その量を減らすことはありませんし、私はがん予防やうつ病予防のためには1日120~150グラムくらいまでは増やしたほうがいいと考えています』、「現在の日本人が1日に摂る肉の量は平均100グラム程度ですが、これ以上、その量を減らすことはありませんし、私はがん予防やうつ病予防のためには1日120~150グラムくらいまでは増やしたほうがいいと考えています」、その通りだ。
第三に、8月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したNHKメディア総局 第2制作センター チーフ・ディレクターの山本高穂氏と島根大学医学部附属病院 臨床研究センター長・教授の大野 智氏による「人体の「ツボ」って何?「高血圧のネズミ」実験でわかってきた「ツボの正体」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/347502
・『謎の多い人体の「ツボ」。内臓の疾患がもたらす肩や腕などの「関連痛」にまつわる体のメカニズムがツボの正体に関係しているとも言われる。実際、ある実験によってツボの「解剖学的な証拠」も示され、世界中で反響を呼んだ。本稿は、山本高穂、大野 智『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『内臓の不調から起きる「関連痛」と「ツボ」の関係 体の内部(内臓)と末梢(手足など)のふしぎな関係から見えるツボの正体に迫っていきます。 皆さんは、関連痛という症状をご存知でしょうか。西洋医学の診断では、「原因となる場所だけでなく、隣接する場所や離れた場所にも生じる痛み」とされています。 具体的には、心臓への血流障害が原因である狭心症の際に、胸だけでなく左肩周辺に痛みを感じるケースや、肝炎などの影響で右肩が痛くなったりするケースなどが知られています。 でも、どうしてこのような現象が起こるのでしょうか。その秘密は、脊髄にあると考えられています。通常、狭心症が起こると、心臓で発生した痛み信号は、感覚神経を通って脊髄に到達し、脳へと伝わって「(胸が)痛い!」と感じます。 この心臓からの感覚神経がつながる脊髄後角には、左腕(左肩)、胃などからの感覚神経もつながっています。そのため、痛みの信号が別の部位からの感覚神経(狭心症の場合は、左腕からの感覚神経)に伝播してしまうことがあり、関連痛が生じると考えられています。つまり、脊髄が持つ構造的な“エラー”によって、心臓の痛みが肩や腕の痛みとなってしまうのです。 さらに、このような内臓からの痛み信号が脊髄で別の感覚神経に伝播した結果、痛み信号がその感覚神経を逆行して末端に到達し、周辺(皮膚下)で神経性の炎症が起こるという現象も確認されています。 少しアプローチが長くなりましたが、この関連痛にまつわる体のメカニズムがツボの正体に関係しているのではないか、という実験が韓国の研究チームによって2017年に発表されています』、「関連痛という症状をご存知でしょうか。西洋医学の診断では、「原因となる場所だけでなく、隣接する場所や離れた場所にも生じる痛み」とされています。 具体的には、心臓への血流障害が原因である狭心症の際に、胸だけでなく左肩周辺に痛みを感じるケースや、肝炎などの影響で右肩が痛くなったりするケースなどが知られています・・・内臓からの痛み信号が脊髄で別の感覚神経に伝播した結果、痛み信号がその感覚神経を逆行して末端に到達し、周辺(皮膚下)で神経性の炎症が起こるという現象も確認されています・・・この関連痛にまつわる体のメカニズムがツボの正体に関係しているのではないか、という実験が韓国の研究チームによって2017年に発表されています」、なるほど。
・『神経性の炎症スポットか? ツボの正体が見えてきた 実験では、高血圧の症状と大腸炎の症状があるラットが、それぞれ準備されました。研究チームでは、これらのラットの静脈から特殊な色素を注入しました。 すると、体表のいくつかの場所で血管から色素が漏れ出て、直径数ミリメートルのスポット(小さな点)が出現したのです。これは、先ほど紹介した内臓の痛み信号(ここでは、高血圧と大腸炎による炎症信号)が脊髄を介して別の感覚神経を逆行し、末端周辺(皮膚下)で神経性の炎症が発生したためと考えられています。 より詳しく説明すると、その炎症の影響で神経末端から分泌されたCGRP(生理活性物質)などのはたらきによって血管の透過性が高まり、色素が漏れ出てしまったからだと考えられるのです。 実験データを平均すると、1匹あたり高血圧ラットでは7つ、大腸炎ラットでは4つのスポットが見られました。また、すべてのラット(高血圧18匹、大腸炎13匹)のスポットの位置を詳しく調べたところ、高血圧ラットでは、67%が内関、大陵(編集部注/どちらも手首付近に位置する)などのツボと一致し、大腸炎ラットでは75%が衝陽、内庭(編集部注/どちらも足の甲に位置する)などのツボと一致したというのです。 さらに、研究チームが高血圧ラットに出現したスポットの一部に鍼治療を行ったところ、血圧の上昇が抑えられることが確認できました。同じように大腸炎ラットのスポットへの鍼治療でも、体重減少の改善などが認められました。 この研究では、東洋医学で古くから考えられてきた、ツボは心身の不調を示す反応点であり、心身の不調を改善する治療点でもある、という特徴を実験的に検証しており、ある一定のツボの正体が、内臓の病態を原因とした神経性の炎症スポットであることを示唆しています』、「東洋医学で古くから考えられてきた、ツボは心身の不調を示す反応点であり、心身の不調を改善する治療点でもある、という特徴を実験的に検証しており、ある一定のツボの正体が、内臓の病態を原因とした神経性の炎症スポットであることを示唆しています」、なるほど。
・『世界で初めて示されたツボの「解剖学的な証拠」 最後に紹介するのは、2021年にNature誌で発表された、世界で初めてツボに特徴的な神経構造があることを精緻に確認した画期的な研究です。) 足三里(編集部注/膝のお皿から外側に少し下がった場所に位置する)のツボは、足三里──迷走神経──副腎髄質を介して抗炎症作用をもたらす、ツボの中でも特異的な存在でした。そこで、アメリカのハーバード大学と中国の復旦大学の共同研究チームが、足三里のツボにどのような解剖学的な秘密があるのかを詳しく調べました。 実験は一部の神経細胞の遺伝子を改変したマウスを用いて、オプトジェネティクス(光遺伝学)や、逆行性トレーサーなど、分子生物学の研究で用いられる最新解析技術を駆使して行われました。 まず研究チームは、脊髄後角と足三里を結ぶ感覚神経を調べ、たくさんの神経線維の中から迷走神経を介した抗炎症作用をもたらす特定の感覚神経を発見しました。その神経は、足三里のツボの深部で多く分岐し、シグナルを受け取りやすい分布構造になっていました。 人体の「ツボ」って何?「高血圧のネズミ」実験でわかってきた「ツボの正体」 さらに、同様の抗炎症作用に関わる感覚神経は、お腹にある天枢というツボにも確認されましたが、その分布密度を比べると10倍も低かったのです。また、この感覚神経を切断したマウスの足三里や、この感覚神経が分布していない部分に鍼通電を行っても、炎症を抑制する効果は見られませんでした。 つまり、足三里には抗炎症作用をもたらす独特の神経構造があり、ツボの周辺や他のツボ(天枢)とも異なることが示されたのです。この発見は、世界で初めて精緻に示されたツボの「解剖学的な証拠」として、中国をはじめ世界中で大きな反響を呼びました。 ツボにはまだ多くの謎が残されていますが、こうした最先端の科学的手法によって、他のツボの構造がどうなっているのか、ツボにはどのようなタイプがあるのかなど、その正体が次々と明らかになってくるのではと筆者(編集部注/山本高穂)は期待しています』、「足三里には抗炎症作用をもたらす独特の神経構造があり、ツボの周辺や他のツボ(天枢)とも異なることが示されたのです。この発見は、世界で初めて精緻に示されたツボの「解剖学的な証拠」として、中国をはじめ世界中で大きな反響を呼びました」、確かに画期的な発見だ。今後も研究がより広く、深く発展することを期待したい。
先ずは、本年7月21日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「「食物繊維は体に良い」とは限らない?最新研究で分かった腸内細菌との意外なカンケイ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/347185
・『最適な食物繊維は人それぞれ これまで長い間、食物繊維の摂取量を増やすべきとするアドバイスがなされてきているが、食物繊維摂取による健康上のメリットは人それぞれ異なることが報告された。単に多く摂取しても、あまり恩恵を受けられない人もいるという。米コーネル大学のAngela Poole氏らの研究によるもので、詳細は「Gut Microbes」に6月24日掲載された。 食物繊維は消化・吸収されないため、かつては食品中の不要な成分と位置付けられていた。しかし、整腸作用があること、および腸内細菌による発酵・利用の過程で、健康の維持・増進につながる有用菌(善玉菌)や短鎖脂肪酸の増加につながることなどが明らかになり、現在では「第六の栄養素」と呼ばれることもある。 また糖尿病との関連では、食物繊維が糖質の吸収速度を抑え、食後の急激な血糖上昇を抑制するように働くと考えられている。そのほかにも、満腹感の維持に役立つことや、血圧・血清脂質に対する有益な作用があることも知られている。) 本研究では、食物繊維の一種である難消化性でんぷんresistantstarch;RS)を摂取した場合に、腸内細菌叢の組成や糞便中の短鎖脂肪酸の量などに、どのような変化が現れるかを検討した。 59人の被験者に対するクロスオーバーデザインで行われ、試行条件として、バナナなどに含まれている難消化性でんぷん(RS2と呼ばれるタイプ)と化学的に合成された難消化性でんぷん(RS4と呼ばれるタイプ)、および易消化性でんぷんという3条件を設定。5日間のウォッシュアウト期間を挟んで、それぞれ10日間摂取してもらった』、「本研究では、食物繊維の一種である難消化性でんぷんresistantstarch;RS)を摂取した場合に、腸内細菌叢の組成や糞便中の短鎖脂肪酸の量などに、どのような変化が現れるかを検討した。 59人の被験者に対するクロスオーバーデザインで行われ、試行条件として、バナナなどに含まれている難消化性でんぷん(RS2と呼ばれるタイプ)と化学的に合成された難消化性でんぷん(RS4と呼ばれるタイプ)、および易消化性でんぷんという3条件を設定。5日間のウォッシュアウト期間を挟んで、それぞれ10日間摂取してもらった」、なるほど。
・『腸内細菌叢の組成や多様性と関連 解析の結果、難消化性でんぷんの摂取によって腸内細菌叢や短鎖脂肪酸などに大きな変化が生じた人もいれば、あまり変化がない人、または全く変化がない人もいた。それらの違いは、腸内細菌叢の組成や多様性と関連があることが示唆された。 研究者らは、「結局のところ、ある人の健康状態を腸内細菌叢へのアプローチを介して改善しようとする場合、どのような種類の食物繊維の摂取を推奨すべきか個別にアドバイスしなければならない」と述べている。 論文の上席著者であるPoole氏は、「過去何十年もの間、全ての人々に対して一律に食物繊維の摂取を推奨するというメッセージが送られてきた。しかし今日では、個人個人にどのような食物繊維の摂取を推奨すべきかを決定する上で役立つであろう、精密栄養学という新しい学問領域が発展してきている」と述べている。 今回の研究でも、食物繊維の摂取によって短鎖脂肪酸の産生が増えるか否かは、その人の腸内細菌叢によって左右される可能性が浮かび上がった。また意外なことに、難消化性でんぷんではなく易消化性でんぷんの摂取によって、短鎖脂肪酸が最も増加していた。短鎖脂肪酸は、血糖値やコレステロールの改善に寄与することが明らかになりつつある。 研究者らは、個人の腸内細菌叢の組成を把握することで、その人がどのようなタイプの食物繊維に反応するのかを事前に予測でき、その結果を栄養指導に生かせるようになるのではないかと考えている。「食物繊維や炭水化物にはさまざまなタイプがある。一人一人のデータに基づき最適なアドバイスを伝えられるようになればよい」とPoole氏は語っている。(HealthDayNews 2024年6月27日)』、「研究者らは、個人の腸内細菌叢の組成を把握することで、その人がどのようなタイプの食物繊維に反応するのかを事前に予測でき、その結果を栄養指導に生かせるようになるのではないかと考えている」、なるほど。
次に、8月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した精神科医:医師の和田秀樹氏による「和田秀樹が教える、若くて元気な中高年がよく食べる「意外なもの」とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/347910
・『50代からは積極的に肉を食べよう──うつ症状を引き起こす要因は、神経伝達物質であるセロトニンの不足。これを補うにはタンパク質が必要なのだという。「うつ」も「がん」も遠ざける、肉食生活のすすめとは。本稿は、和田秀樹『50代うつよけレッスン』(朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『若さと健康を保つ秘訣は栄養+運動+ときめき 更年期障害と診断されたときは、不足している性ホルモンを補うホルモン補充治療を行います。更年期症状から解放され、若さと健康の両方を保つことができます。 しかし、医療機関でホルモン補充療法を受けない人でも、普段からホルモンバランスを整える生活を心がけることで心身を若々しく保つことができます。 意識してプラスしていきたいのが、栄養、運動、ときめき(性的活動)です。 年をとってくると食事の量が減って栄養が不足してきたり、男性ホルモンの分泌が減少したり、運動量も少なくなりがちですから、日常生活で補うことが重要です。 なかでも一番改善しやすいのが、食生活です。 脳内の神経伝達物質のセロトニンの不足がうつ症状を引き起こす要因と言われていますが、セロトニンは年齢を重ねるにつれて減少していくため、補う必要があります。 このセロトニンの材料となるのは「トリプトファン」と呼ばれる必須アミノ酸の一種です。「必須」というのは、体にとってなくてはならない大切な成分ということ。この必須アミノ酸は人間の体内でつくり出せないので、食べ物から補給するしかありませんが、トリプトファンの材料はタンパク質です。 ですから、タンパク質が豊富な食べ物を摂る必要があります。 大豆やナッツもいいのですが、セロトニンを脳に運ぶ役割をしているのがコレステロールなので、タンパク質とコレステロールの両方が豊富な肉が最適なのです』、「年をとってくると食事の量が減って栄養が不足してきたり、男性ホルモンの分泌が減少したり、運動量も少なくなりがちですから、日常生活で補うことが重要です。 なかでも一番改善しやすいのが、食生活です。 脳内の神経伝達物質のセロトニンの不足がうつ症状を引き起こす要因と言われていますが、セロトニンは年齢を重ねるにつれて減少していくため、補う必要があります」、なるほど。
・『五十路になったら積極的に肉を食うべし 数あるタンパク質のなかでも、動物性タンパク質の宝庫である肉は男性ホルモンを活性化させ、人を行動的にする働きがあるため、50代以降は特に肉を積極的に食べることをお勧めします。 セロトニンは精神を安定させるため、肉食はストレスの緩和にも役立ちます。 また、年を重ねるごとに筋肉はどんどん落ちていき、いくら筋トレで鍛えても、一度落ちた筋肉は簡単にはもとに戻りません。タンパク質は筋肉や臓器、骨格などをつくる材料にもなりますから、特に50代以降は意識的に摂取したほうがいいのです。) その他にもタンパク質は免疫機能を維持する物質の材料にもなっており、不足すると免疫機能がどんどん衰えていきます。風邪をこじらせて肺炎で亡くなる高齢者が多いのは、タンパク質が不足しているために免疫機能が弱っている可能性があるからです。 健康な老後を送るためには、アミノ酸を多く含むタンパク質を摂取することが何より大事ですが、そのための理想的な食べ物が、肉なのです。 そういえば、100歳以上の高齢者を「百寿者」と呼びますが、百寿者には肉を好んで食べる人が多い傾向があります。 たとえば、105歳までご存命で100歳以降も医師として医療現場の最前線に立ち続けた日野原重明さんは肉が好きで、100歳以降も肉を食べ続けていたそうです。冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんも大の肉好きです。90代の現在も、よくステーキを食べていると言います。 その他にも、99歳までご存命だった作家の瀬戸内寂聴さんも肉好きだったことが知られています。 私の知る長生きでパワフルな高齢者にも肉好きな人が多い傾向がありますが、若々しい体を維持するためにも、肉を食べてタンパク質の摂取を心がけることが大事です』、「冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんも大の肉好きです。90代の現在も、よくステーキを食べていると言います。 その他にも、99歳までご存命だった作家の瀬戸内寂聴さんも肉好きだったことが知られています。 私の知る長生きでパワフルな高齢者にも肉好きな人が多い傾向がありますが、若々しい体を維持するためにも、肉を食べてタンパク質の摂取を心がけることが大事です」、なるほど。
・『食べる順番も大事 タンパク質から食べよう ただし、うつ症状が出ている人は食欲が落ちるだけでなく、肉類をあまり受け付けなくなることがあります。うつ病の患者さんのなかには、「肉なんてムリ、あっさりしたものしか食べられない」という人も多いです。 しかし、そのために余計うつ症状が進んでしまうこともあるのです。 ですから、うつ症状が出る前からしっかり肉類を摂っておいたほうがいいでしょう。 それでも、やはり肉が苦手という人や、もうすでにうつ症状が出ていて肉を食べられないという人は、動物性タンパク質の豊富な牛乳や卵でも構いません。 他にも、ホルモンを活性化させる食品はたくさんあります。 以下に少し列記しますので、なるべく積極的に食べることをお勧めします。 牡蠣:男性ホルモンを合成するために必要な亜鉛を豊富に含んでおり、ホルモンバランスを整えます。) ナッツ類:強い抗酸化作用があり、老化防止に効果があります。またホルモン分泌の指令を出す脳の視床下部の働きを良くするビタミンEを豊富に含むため、ホルモンバランスを整える働きもあります。うなぎの蒲焼きやオイルサーディンなどもビタミンEが豊富です。 ニンニク:男性ホルモンの分泌を増やす働きが認められていますが、この作用はタンパク質と一緒に摂ることでさらに促進されて分泌量が増加するため、肉類と一緒に食べると効果倍増です。 アボカド:ビタミンE、マグネシウム、カリウム、葉酸などを含み、男性ホルモンと女性ホルモンを両方とも活性化して、ホルモンバランスを維持する効果が期待されています。 玉ねぎ:男性ホルモンを増やす作用があります。 大豆:良質の植物性タンパク質を摂取できるだけでなく、脳内の神経伝達物質の原料となるレシチンを豊富に含むため、脳の働きを活性化する効果があります。大豆にはポリフェノールの一種である大豆イソフラボンが多く含まれていますが、これは女性ホルモンとよく似た働きをするとされ、高齢女性には特にお勧めです。 ザクロ:女性の更年期障害の改善や動脈硬化、骨粗しょう症の予防にも一定の効果が見られます。 食事の際には、食べる順番も大事です。 ポイントは、「タンパク質から食べる」ことです。 始めに炭水化物を摂ると、血糖値が大きく上がってインスリンが大量分泌されます。血糖値が乱高下するため、内臓に負担を与えて細胞の炎症を起こして老化を促進してしまうのです。 ですから、まずは肉や魚、大豆製品などのタンパク質から先に食べて、その後に野菜、そしてご飯やパン、最後にデザートという流れにすると、血糖値の上昇が穏やかになり、内臓への負担が少なくなります』、「やはり肉が苦手という人や、もうすでにうつ症状が出ていて肉を食べられないという人は、動物性タンパク質の豊富な牛乳や卵でも構いません。 他にも、ホルモンを活性化させる食品はたくさんあります・・・うなぎの蒲焼きやオイルサーディンなどもビタミンEが豊富です。 ニンニク:男性ホルモンの分泌を増やす働きが認められていますが、この作用はタンパク質と一緒に摂ることでさらに促進されて分泌量が増加するため、肉類と一緒に食べると効果倍増です・・・アボカド:ビタミンE、マグネシウム、カリウム、葉酸などを含み、男性ホルモンと女性ホルモンを両方とも活性化して、ホルモンバランスを維持する効果が期待されています。 玉ねぎ:男性ホルモンを増やす作用があります。 大豆:良質の植物性タンパク質を摂取できるだけでなく、脳内の神経伝達物質の原料となるレシチンを豊富に含むため、脳の働きを活性化する効果があります・・・ザクロ:女性の更年期障害の改善や動脈硬化、骨粗しょう症の予防にも一定の効果が見られます。 食事の際には、食べる順番も大事です。 ポイントは、「タンパク質から食べる」ことです」、なるほど。
・『コレステロール値は高いほうががんやうつ病になりにくい 先ほどタンパク質とコレステロールの両方が豊富な肉食の良さに触れましたが、このコレステロールについてはかなり誤解されているようです。 コレステロールは人の体の脂質の一つで、ホルモンや細胞膜、胆汁酸などをつくる原料にもなっていますが、コレステロールの多い食品を食べるとメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)になるとか、コレステロールが高いと心筋梗塞になりやすくなると思っている人も少なくありません。) 確かに、コレステロール値の高い人のほうが心筋梗塞のような虚血性心疾患による死亡率は高くなりますが、日本では急性心筋梗塞で亡くなる人はがんで亡くなる人の12分の1程度しかいません。がんで亡くなる人のほうが圧倒的に多いのです。自殺で亡くなる人も、心筋梗塞で亡くなる人と大して変わりません。 そして、コレステロール値の高い人のほうが、がんやうつ病になりにくいことがわかっています。 コレステロール値を減らすと、体の免疫機能が低下して、がんを発症しやすくなります。またコレステロールは男性ホルモンの材料になるため、コレステロールを減らしてしまうと、男性ホルモンが不足してうつ病になりやすくなります。 ですから、中高年以降はむしろコレステロール値を下げないほうがいいのです。 アメリカではがんで亡くなる人と同じくらい心筋梗塞で亡くなる人がいるので、コレステロール値を減らしたほうがいいと言われるのもわかりますが、がんや自殺で亡くなる人が多い日本では、その説は通用しないということです』、「コレステロール値の高い人のほうが心筋梗塞のような虚血性心疾患による死亡率は高くなりますが、日本では急性心筋梗塞で亡くなる人はがんで亡くなる人の12分の1程度しかいません。がんで亡くなる人のほうが圧倒的に多いのです。自殺で亡くなる人も、心筋梗塞で亡くなる人と大して変わりません・・・アメリカではがんで亡くなる人と同じくらい心筋梗塞で亡くなる人がいるので、コレステロール値を減らしたほうがいいと言われるのもわかりますが、がんや自殺で亡くなる人が多い日本では、その説は通用しないということです」、私は「コレステロール値」が高目と注意を長いこと受けてきたが、今後は余り心配しないようにしたい。
・『食べる肉の量の目安は1日120~150グラム 食生活でも日米には大きな違いがあります。アメリカでは肉を大量に食べる人が多く、心筋梗塞で亡くなる人が多かったため、1980年代に「肉を食べすぎると体に良くない」というキャンペーンが展開され、1日当たり平均約300グラム食べていた肉を200グラムに減らそうという動きがありました。 しかし、その当時(1980年当時)の日本人の肉の平均摂取量は約68グラムでした。そもそも肉を食べる量が日米ではまったく違うのです。 結果的に虚血性心疾患が少ない日本では、わざわざコレステロール値を減らす意味はありません。むしろコレステロール値を減らせば、がんやうつ病の患者さんを増やしてしまうリスクがあるのです。 現在の日本人が1日に摂る肉の量は平均100グラム程度ですが、これ以上、その量を減らすことはありませんし、私はがん予防やうつ病予防のためには1日120~150グラムくらいまでは増やしたほうがいいと考えています』、「現在の日本人が1日に摂る肉の量は平均100グラム程度ですが、これ以上、その量を減らすことはありませんし、私はがん予防やうつ病予防のためには1日120~150グラムくらいまでは増やしたほうがいいと考えています」、その通りだ。
第三に、8月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したNHKメディア総局 第2制作センター チーフ・ディレクターの山本高穂氏と島根大学医学部附属病院 臨床研究センター長・教授の大野 智氏による「人体の「ツボ」って何?「高血圧のネズミ」実験でわかってきた「ツボの正体」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/347502
・『謎の多い人体の「ツボ」。内臓の疾患がもたらす肩や腕などの「関連痛」にまつわる体のメカニズムがツボの正体に関係しているとも言われる。実際、ある実験によってツボの「解剖学的な証拠」も示され、世界中で反響を呼んだ。本稿は、山本高穂、大野 智『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『内臓の不調から起きる「関連痛」と「ツボ」の関係 体の内部(内臓)と末梢(手足など)のふしぎな関係から見えるツボの正体に迫っていきます。 皆さんは、関連痛という症状をご存知でしょうか。西洋医学の診断では、「原因となる場所だけでなく、隣接する場所や離れた場所にも生じる痛み」とされています。 具体的には、心臓への血流障害が原因である狭心症の際に、胸だけでなく左肩周辺に痛みを感じるケースや、肝炎などの影響で右肩が痛くなったりするケースなどが知られています。 でも、どうしてこのような現象が起こるのでしょうか。その秘密は、脊髄にあると考えられています。通常、狭心症が起こると、心臓で発生した痛み信号は、感覚神経を通って脊髄に到達し、脳へと伝わって「(胸が)痛い!」と感じます。 この心臓からの感覚神経がつながる脊髄後角には、左腕(左肩)、胃などからの感覚神経もつながっています。そのため、痛みの信号が別の部位からの感覚神経(狭心症の場合は、左腕からの感覚神経)に伝播してしまうことがあり、関連痛が生じると考えられています。つまり、脊髄が持つ構造的な“エラー”によって、心臓の痛みが肩や腕の痛みとなってしまうのです。 さらに、このような内臓からの痛み信号が脊髄で別の感覚神経に伝播した結果、痛み信号がその感覚神経を逆行して末端に到達し、周辺(皮膚下)で神経性の炎症が起こるという現象も確認されています。 少しアプローチが長くなりましたが、この関連痛にまつわる体のメカニズムがツボの正体に関係しているのではないか、という実験が韓国の研究チームによって2017年に発表されています』、「関連痛という症状をご存知でしょうか。西洋医学の診断では、「原因となる場所だけでなく、隣接する場所や離れた場所にも生じる痛み」とされています。 具体的には、心臓への血流障害が原因である狭心症の際に、胸だけでなく左肩周辺に痛みを感じるケースや、肝炎などの影響で右肩が痛くなったりするケースなどが知られています・・・内臓からの痛み信号が脊髄で別の感覚神経に伝播した結果、痛み信号がその感覚神経を逆行して末端に到達し、周辺(皮膚下)で神経性の炎症が起こるという現象も確認されています・・・この関連痛にまつわる体のメカニズムがツボの正体に関係しているのではないか、という実験が韓国の研究チームによって2017年に発表されています」、なるほど。
・『神経性の炎症スポットか? ツボの正体が見えてきた 実験では、高血圧の症状と大腸炎の症状があるラットが、それぞれ準備されました。研究チームでは、これらのラットの静脈から特殊な色素を注入しました。 すると、体表のいくつかの場所で血管から色素が漏れ出て、直径数ミリメートルのスポット(小さな点)が出現したのです。これは、先ほど紹介した内臓の痛み信号(ここでは、高血圧と大腸炎による炎症信号)が脊髄を介して別の感覚神経を逆行し、末端周辺(皮膚下)で神経性の炎症が発生したためと考えられています。 より詳しく説明すると、その炎症の影響で神経末端から分泌されたCGRP(生理活性物質)などのはたらきによって血管の透過性が高まり、色素が漏れ出てしまったからだと考えられるのです。 実験データを平均すると、1匹あたり高血圧ラットでは7つ、大腸炎ラットでは4つのスポットが見られました。また、すべてのラット(高血圧18匹、大腸炎13匹)のスポットの位置を詳しく調べたところ、高血圧ラットでは、67%が内関、大陵(編集部注/どちらも手首付近に位置する)などのツボと一致し、大腸炎ラットでは75%が衝陽、内庭(編集部注/どちらも足の甲に位置する)などのツボと一致したというのです。 さらに、研究チームが高血圧ラットに出現したスポットの一部に鍼治療を行ったところ、血圧の上昇が抑えられることが確認できました。同じように大腸炎ラットのスポットへの鍼治療でも、体重減少の改善などが認められました。 この研究では、東洋医学で古くから考えられてきた、ツボは心身の不調を示す反応点であり、心身の不調を改善する治療点でもある、という特徴を実験的に検証しており、ある一定のツボの正体が、内臓の病態を原因とした神経性の炎症スポットであることを示唆しています』、「東洋医学で古くから考えられてきた、ツボは心身の不調を示す反応点であり、心身の不調を改善する治療点でもある、という特徴を実験的に検証しており、ある一定のツボの正体が、内臓の病態を原因とした神経性の炎症スポットであることを示唆しています」、なるほど。
・『世界で初めて示されたツボの「解剖学的な証拠」 最後に紹介するのは、2021年にNature誌で発表された、世界で初めてツボに特徴的な神経構造があることを精緻に確認した画期的な研究です。) 足三里(編集部注/膝のお皿から外側に少し下がった場所に位置する)のツボは、足三里──迷走神経──副腎髄質を介して抗炎症作用をもたらす、ツボの中でも特異的な存在でした。そこで、アメリカのハーバード大学と中国の復旦大学の共同研究チームが、足三里のツボにどのような解剖学的な秘密があるのかを詳しく調べました。 実験は一部の神経細胞の遺伝子を改変したマウスを用いて、オプトジェネティクス(光遺伝学)や、逆行性トレーサーなど、分子生物学の研究で用いられる最新解析技術を駆使して行われました。 まず研究チームは、脊髄後角と足三里を結ぶ感覚神経を調べ、たくさんの神経線維の中から迷走神経を介した抗炎症作用をもたらす特定の感覚神経を発見しました。その神経は、足三里のツボの深部で多く分岐し、シグナルを受け取りやすい分布構造になっていました。 人体の「ツボ」って何?「高血圧のネズミ」実験でわかってきた「ツボの正体」 さらに、同様の抗炎症作用に関わる感覚神経は、お腹にある天枢というツボにも確認されましたが、その分布密度を比べると10倍も低かったのです。また、この感覚神経を切断したマウスの足三里や、この感覚神経が分布していない部分に鍼通電を行っても、炎症を抑制する効果は見られませんでした。 つまり、足三里には抗炎症作用をもたらす独特の神経構造があり、ツボの周辺や他のツボ(天枢)とも異なることが示されたのです。この発見は、世界で初めて精緻に示されたツボの「解剖学的な証拠」として、中国をはじめ世界中で大きな反響を呼びました。 ツボにはまだ多くの謎が残されていますが、こうした最先端の科学的手法によって、他のツボの構造がどうなっているのか、ツボにはどのようなタイプがあるのかなど、その正体が次々と明らかになってくるのではと筆者(編集部注/山本高穂)は期待しています』、「足三里には抗炎症作用をもたらす独特の神経構造があり、ツボの周辺や他のツボ(天枢)とも異なることが示されたのです。この発見は、世界で初めて精緻に示されたツボの「解剖学的な証拠」として、中国をはじめ世界中で大きな反響を呼びました」、確かに画期的な発見だ。今後も研究がより広く、深く発展することを期待したい。
タグ:健康 (その29)(「食物繊維は体に良い」とは限らない?最新研究で分かった腸内細菌との意外なカンケイ、医師・和田秀樹が教える 若くて元気な中高年がよく食べる「意外なもの」とは?、人体の「ツボ」って何?「高血圧のネズミ」実験でわかってきた「ツボの正体」) ダイヤモンド・オンライン ヘルスデーニュース「「食物繊維は体に良い」とは限らない?最新研究で分かった腸内細菌との意外なカンケイ」 「本研究では、食物繊維の一種である難消化性でんぷんresistantstarch;RS)を摂取した場合に、腸内細菌叢の組成や糞便中の短鎖脂肪酸の量などに、どのような変化が現れるかを検討した。 59人の被験者に対するクロスオーバーデザインで行われ、試行条件として、バナナなどに含まれている難消化性でんぷん(RS2と呼ばれるタイプ)と化学的に合成された難消化性でんぷん(RS4と呼ばれるタイプ)、および易消化性でんぷんという3条件を設定。5日間のウォッシュアウト期間を挟んで、それぞれ10日間摂取してもらった」、な るほど。 「研究者らは、個人の腸内細菌叢の組成を把握することで、その人がどのようなタイプの食物繊維に反応するのかを事前に予測でき、その結果を栄養指導に生かせるようになるのではないかと考えている」、なるほど。 和田秀樹氏による「和田秀樹が教える、若くて元気な中高年がよく食べる「意外なもの」とは?」 和田秀樹『50代うつよけレッスン』(朝日新書) 「年をとってくると食事の量が減って栄養が不足してきたり、男性ホルモンの分泌が減少したり、運動量も少なくなりがちですから、日常生活で補うことが重要です。 なかでも一番改善しやすいのが、食生活です。 脳内の神経伝達物質のセロトニンの不足がうつ症状を引き起こす要因と言われていますが、セロトニンは年齢を重ねるにつれて減少していくため、補う必要があります」、なるほど。 「冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんも大の肉好きです。90代の現在も、よくステーキを食べていると言います。 その他にも、99歳までご存命だった作家の瀬戸内寂聴さんも肉好きだったことが知られています。 私の知る長生きでパワフルな高齢者にも肉好きな人が多い傾向がありますが、若々しい体を維持するためにも、肉を食べてタンパク質の摂取を心がけることが大事です」、なるほど。 「やはり肉が苦手という人や、もうすでにうつ症状が出ていて肉を食べられないという人は、動物性タンパク質の豊富な牛乳や卵でも構いません。 他にも、ホルモンを活性化させる食品はたくさんあります・・・うなぎの蒲焼きやオイルサーディンなどもビタミンEが豊富です。 ニンニク:男性ホルモンの分泌を増やす働きが認められていますが、この作用はタンパク質と一緒に摂ることでさらに促進されて分泌量が増加するため、肉類と一緒に食べると効果倍増です・・・ アボカド:ビタミンE、マグネシウム、カリウム、葉酸などを含み、男性ホルモンと女性ホルモンを両方とも活性化して、ホルモンバランスを維持する効果が期待されています。 玉ねぎ:男性ホルモンを増やす作用があります。 大豆:良質の植物性タンパク質を摂取できるだけでなく、脳内の神経伝達物質の原料となるレシチンを豊富に含むため、脳の働きを活性化する効果があります・・・ ザクロ:女性の更年期障害の改善や動脈硬化、骨粗しょう症の予防にも一定の効果が見られます。 食事の際には、食べる順番も大事です。 ポイントは、「タンパク質から食べる」ことです」、なるほど。 「コレステロール値の高い人のほうが心筋梗塞のような虚血性心疾患による死亡率は高くなりますが、日本では急性心筋梗塞で亡くなる人はがんで亡くなる人の12分の1程度しかいません。がんで亡くなる人のほうが圧倒的に多いのです。自殺で亡くなる人も、心筋梗塞で亡くなる人と大して変わりません・・・アメリカではがんで亡くなる人と同じくらい心筋梗塞で亡くなる人がいるので、コレステロール値を減らしたほうがいいと言われるのもわかりますが、がんや自殺で亡くなる人が多い日本では、その説は通用しないということです」、私は「コレステロー ル値」が高目と注意を長いこと受けてきたが、今後は余り心配しないようにしたい。 「現在の日本人が1日に摂る肉の量は平均100グラム程度ですが、これ以上、その量を減らすことはありませんし、私はがん予防やうつ病予防のためには1日120~150グラムくらいまでは増やしたほうがいいと考えています」、その通りだ。 山本高穂氏 大野 智氏 「人体の「ツボ」って何?「高血圧のネズミ」実験でわかってきた「ツボの正体」」 山本高穂、大野 智『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』(講談社) 「関連痛という症状をご存知でしょうか。西洋医学の診断では、「原因となる場所だけでなく、隣接する場所や離れた場所にも生じる痛み」とされています。 具体的には、心臓への血流障害が原因である狭心症の際に、胸だけでなく左肩周辺に痛みを感じるケースや、肝炎などの影響で右肩が痛くなったりするケースなどが知られています・・・ 内臓からの痛み信号が脊髄で別の感覚神経に伝播した結果、痛み信号がその感覚神経を逆行して末端に到達し、周辺(皮膚下)で神経性の炎症が起こるという現象も確認されています・・・この関連痛にまつわる体のメカニズムがツボの正体に関係しているのではないか、という実験が韓国の研究チームによって2017年に発表されています」、なるほど。 「東洋医学で古くから考えられてきた、ツボは心身の不調を示す反応点であり、心身の不調を改善する治療点でもある、という特徴を実験的に検証しており、ある一定のツボの正体が、内臓の病態を原因とした神経性の炎症スポットであることを示唆しています」、なるほど。 「足三里には抗炎症作用をもたらす独特の神経構造があり、ツボの周辺や他のツボ(天枢)とも異なることが示されたのです。この発見は、世界で初めて精緻に示されたツボの「解剖学的な証拠」として、中国をはじめ世界中で大きな反響を呼びました」、確かに画期的な発見だ。今後も研究がより広く、深く発展することを期待したい。