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日本の政治情勢(その72)(苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い「データで政策効果を検証」ができない政党政治、経済学者が「ポスト岸田」に提言!自民党総裁選で誰が勝っても絶対やるべきこと) [国内政治]

日本の政治情勢については、本年5月10日に取上げた。今日は、(その72)(苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い「データで政策効果を検証」ができない政党政治、経済学者が「ポスト岸田」に提言!自民党総裁選で誰が勝っても絶対やるべきこと、「党運営の時代遅れともいえる実態を正す」自民党次世代リーダー福田達夫・大野敬太郎・小倉將信が〈改革試案〉を緊急提言)である。

先ずは、本年7月23日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏による「苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い「データで政策効果を検証」ができない政党政治」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/782209
・『7月19日に開催された経済財政諮問会議で、EBPM(証拠に基づく政策立案)の強化に向けてアクションプランを取りまとめるよう、岸田文雄首相は指示を出した。 同日の会議に提出された民間議員ペーパーによると、重要政策・計画ごとに収集データや検証方法、実効性あるEBPMの体制等を定める「EBPMアクションプラン」を本年内に策定する、としている』、興味深そうだ。
・『EBPMの発端は「GDP推計の改善」  EBPMとは何か。 Evidence-Based Policy Makingの頭字語だが、それを解説した内閣府の説明文が興味深い。EBPMとは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすること、である。 「エピソード・ベース」とは、たまたま見聞きした事例や経験(エピソード)のみに基づき政策を立案してしまい、これだけでは根拠や分析が不十分となる。これに対して、「エビデンス・ベース」は、変化が生じた要因についての事実関係をデータで収集し、どのような要因がその変化をもたらしたかをよく考え、データで検証して政策を立案するものであると位置づける。 日本において、EBPMが意味ある形で初めて政治の俎上に載ったのは、2016年12月に経済財政諮問会議で決定した「統計改革の基本方針」だった。 当時は、GDP(国内総生産)の推計が不安定だったことから、正確な景気判断のためにGDP統計を軸にした経済統計の改善を図ることと合わせて、EBPMの定着と推進を図ろうとするものだった。自民党内にも、この時期にEBPMに期待を寄せる議員が複数いた。) これを受けて、2017年1月に、内閣官房に統計改革推進室(2023年11月以降は同行政改革推進本部事務局に業務移管)を設置するとともに、菅義偉官房長官(当時)を議長とする統計改革推進会議が設けられ、EBPMのための体制構築などが議論された。そして、同年5月「最終取りまとめ」を公表した。 その中では、EBPMを推進する取り組みを総括する政策立案総括審議官などを各府省に設置し、その下で所管する行政に関してEBPMを進める体制整備を行うよう提言された。それに基づき、現在では各府省に政策立案総括審議官などのポストが設けられている。 こうして、EBPMは官邸主導で推進されるものと期待された』、「内閣官房に統計改革推進室(2023年11月以降は同行政改革推進本部事務局に業務移管)を設置するとともに、菅義偉官房長官(当時)を議長とする統計改革推進会議が設けられ、EBPMのための体制構築などが議論』、「EBPMを進める体制整備を行うよう提言・・・現在では各府省に政策立案総括審議官などのポストが設けられている。 こうして、EBPMは官邸主導で推進されるものと期待された」、なるほど。
・『「過ちを認めない」官僚の特性がEBPMを阻む  しかし、コロナ禍での政策立案では、それと逆行する動きさえあった。真にEBPMが推進されていれば、2020年度から2023年度まで10兆円単位の巨額の補正予算が組まれることはなかっただろう。そこでは、エビデンス・ベースというよりエピソード・ベースが跋扈した。 これまで、なぜEBPMが浸透してこなかったのか。 一因として挙げられるのは、官僚の無謬性である。 官僚は行政において誤ったことはしない、とか誤ったことをするはずがない、という認識がある。加えて、国民の側も、官僚は誤ったことをしてはならない、という見方が強い。そうすると、前任者が決定した政策について、誤っていたとしてもそれを否定するように改めることは難しい。 しかし、EBPMの発想は、「過ちては改むるに憚ること勿れ」である。過ちと気づいたならばためらうことなく改めるべきである。官僚の無謬性にこだわりが強いと、「改めたほうがよい」というエビデンスがあっても受け入れられない。政権交代がほぼない日本においては、なおさらである。) もう一つの原因は、EBPMに使えるデータが整備されていなかったり、分析体制が整っていなかったりすることである。EBPMを推進する体制は、外部人材を多く採用しなければ、一朝一夕には構築できない。 そうした経緯もあって、冒頭に記したように、「EBPMアクションプラン」の策定という議論になった。 ただ、今般の「EBPMの強化」には、これまでの「EBPMの推進」と違うニュアンスを感じる。それは、これから求められる霞が関におけるEBPMの取り組みににじみ出ているように思える』、「真にEBPMが推進されていれば、2020年度から2023年度まで10兆円単位の巨額の補正予算が組まれることはなかっただろう。そこでは、エビデンス・ベースというよりエピソード・ベースが跋扈した・・・今般の「EBPMの強化」には、これまでの「EBPMの推進」と違うニュアンスを感じる」、なるほど。
・『政策効果を検証できるデータはあるか  まず、行政改革推進会議は、国の全事業(約5000事業)について、その具体的内容について記載する行政事業レビューシートの改訂を行った。そこでは、行政事業レビューシートを作成する段階から、担当部局にEBPMの発想を浸透させるべく、政策のロジックモデルを記載するよう求めた。 ロジックモデルとは、政策を実現するために投入される資源(インプット)、政策を実施することに伴う活動(アウトプット)と、その結果、期待される成果(アウトカム)について、論理的関係を説明するフローチャートである。 これまでは、政策を講じる際に用いる達成手段(インプット)と期待される成果(アウトカム)の間の因果関係があいまいだったり、こじつけて関係づけてごまかしたりしていた。 今後は、行政事業レビューシートにおいて、政策のロジックモデルに沿った説明を記載することによって、EBPMに向けた端緒となる。 しかし、それだけではEBPMは貫徹しない。最も重要なのは、政策が奏功したか否かを検証できるデータである。しかも、それは、相関関係ではなく因果関係を突き止めるのに資するデータである。単にデータがあったらそれでよいわけではない。) 政策のインプットを表す変数とそのアウトカムを表す変数があって、2つの変数の間にどのような関係があるかについて、一方が増えるときに、他方が増えるとか減るとかという関係を統計学的に確認することはできる。 しかし、それは相関関係であって因果関係ではない。2つの変数の間に正の相関関係があるからといって、一方の変数が原因で、他方の変数が結果という関係にあると断じてはならない。 しかも、2つの変数以外の別の変数が作用して、一見するとその両者には強い相関関係があるように見えても、実は「見せかけの相関関係」にすぎない場合もある』、経済分性でも「見せかけの相関関係」は大いに気を付ける必要がある。
・『政策対象者だけに変化が生じれば「効果アリ」  因果関係を分析するには、そうした分析が可能な形でデータが入手できなければならない。典型的なケースでは、政策の対象となった企業や個人と対象となっていない企業や個人のデータがそれぞれ入手でき、かつ政策を講じる前と後のデータがそれぞれ入手できると、因果関係の分析が可能になるケースがある。 政策の中には、その対象を絞るケースがある。そうしたケースには、政策を講じる前後の変化と対象者と対象外の者との違いに着目して、その政策にしかるべき効果があったか否かを確認できる。 例えば、ある政策を講じる前は、対象者も対象外の者も違いはなかったものの、政策が講じられた後に対象者にだけある変化が生じたのに対して、対象外の者にはそうした変化がまったく生じていなかった、ということなら、その変化はその政策によって引き起こされたと考えられる。 こうした動きをデータで分析できれば、因果関係を確認することができ、当該政策を原因としてしかるべき成果という結果を引き起こしたという立論が可能となる。こうしたケースならば、まさにEBPMといえるものである。) しかし、いつでもこうした形で因果関係を突き止められるとは限らない。特に、全員を対象とした政策は、対象外となる者がいないため、対象者と対象外の者との間の違いが区別できず、当該政策が原因なのか他の要因が原因なのかが判別できない。 今後策定予定の「EBPMアクションプラン」では、前述のように、収集データや検証方法も視野に入れており、さらなるEBPMの強化が期待される。 こうした取り組みは、なぜ今唱えられているのか。官僚の無謬性があって元来不得手であるEBPMを、ここまで強力に推すからにはワケがあろう。 そのワケは、予算において無理筋な政治的要求を断るための効果的な手段だからだとにらむ』、「こうした取り組みは、なぜ今唱えられているのか。官僚の無謬性があって元来不得手であるEBPMを、ここまで強力に推すからにはワケがあろう。 そのワケは、予算において無理筋な政治的要求を断るための効果的な手段だからだとにらむ」、その通りだろう。
・『エビデンスを示せるのは政治家より官僚  コロナ禍では、与党側から過剰な予算要求が横行した。官僚側もそれに悪乗りした面もあるが、無理筋な予算要求を効果的に止める手段がなかった。 しかし、EBPMでは、提案する政策にエビデンスがないなら却下される。EBPMでは、エビデンスを解明する分析を必要とするが、今のところわが国の政党にはそうした機能があまりなく、むしろ中央省庁にその機能がある。 最後の関門は、EBPMについての首相官邸の理解であろう。 官僚がEBPMに則して政策に効果がないと否定しても、「自らの政策に反対するのであれば異動してもらう」などとして聞き入れなかったり、政策の実施を事務方に事前の相談もなく突如決めたりするような首相官邸の姿勢である限り、誰が総理大臣になっても、わが国にEBPMは定着しない。 EBPMによって、国民のためになる政策が選りすぐられてゆくことが、今求められる』、「最後の関門は、EBPMについての首相官邸の理解であろう。 官僚がEBPMに則して政策に効果がないと否定しても、「自らの政策に反対するのであれば異動してもらう」などとして聞き入れなかったり、政策の実施を事務方に事前の相談もなく突如決めたりするような首相官邸の姿勢である限り、誰が総理大臣になっても、わが国にEBPMは定着しない。 EBPMによって、国民のためになる政策が選りすぐられてゆくことが、今求められる』、「最後の関門は、EBPMについての首相官邸の理解であろう。 官僚がEBPMに則して政策に効果がないと否定しても、「自らの政策に反対するのであれば異動してもらう」などとして聞き入れなかったり、政策の実施を事務方に事前の相談もなく突如決めたりするような首相官邸の姿勢である限り、誰が総理大臣になっても、わが国にEBPMは定着しない」、その通りだ。

次に、8月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「経済学者が「ポスト岸田」に提言!自民党総裁選で誰が勝っても絶対やるべきこと」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/348964
・『自民党は岸田首相の後任を選ぶ総裁選挙を、9月12日に告示し27日に投開票を行う方針だと報じられた。立候補者の多さ、告示期間の長さ、共に異例の展開だという。国政がさまざまな課題を抱える中で、人口減少などに端を発して日本経済が「限界」を迎えていることは明らかである。人々の労働意欲を高め、企業の生産性を上げ、経済の持続的な回復を目指すにはどうしたらいいのか』、興味深そうだ。
・『「新卒一括採用、年功序列、終身雇用」 雇用3点セットはなぜ改革できないのか(世界経済が大きく変貌を遂げる中、わが国の雇用慣行はなかなか変わらない。「新卒一括採用、年功序列、終身雇用」の雇用慣行は、かつて高度成長期には労働力の確保に相応の効果をもたらした。しかし現在、人口減少などわが国経済の「限界」は明らかである。必要な分野で必要な人材が働けるよう、労働市場を改革することが経済の活性化に欠かせない。 欧米の主要国でも、古い雇用慣行のせいで経済成長が阻害されるケースがある。それに対して、1980年代の英国やオランダ、90年代以降のドイツは、いずれも痛みを伴う改革を進めて労働市場の流動性を高めた。その結果、人々の就業意欲は自律的に高まり企業の生産性が回復した例もある。 雇用慣行を一朝一夕に改革するのは難しい。わが国の年金の仕組みは、旧来の雇用慣行を前提にしている。人々の労働意欲を高め、経済の持続的な回復を目指すにはどうしたらいいのか。リスキリング(学び直し)に加え、年金のポータビリティー制度を確立し、職を変える人が不利にならないようにすることが大切だ。つまり、労働市場だけでなく社会保障制度の改革も合わせて議論することが肝心なのである』、「労働市場だけでなく社会保障制度の改革も合わせて議論することが肝心なのである」、なるほど。
・『日本人の「働きがい」が125カ国中で最低レベルのワケ  なぜ、わたしたちは働くか。それは、人生を豊かにするためだろう。趣味のために働く、好きなことを仕事にして自己実現を目指す。所得を得るには人生のかなりの時間を仕事に費やす。やりがい、情熱を感じられれば、働きがいは高まるはずだ。その結果、新しいことへの挑戦が増え、新しい商品やサービス(需要)が創出されて経済が成長する期待も高まる。 ところが、過去30年間、わが国の「働きがい」(ワーク・エンゲージメント)は、主要先進国の中で最低水準にある。ワーク・エンゲージメントとは、オランダのユトレヒト大学のウィルマー・シャウフェリ教授が提唱したものだ。「活力」(仕事中にあふれる活力)、「熱意」(仕事を愛している、誇りを感じる)、「没頭」(仕事に夢中になる)の3つで構成される。 また、米国の調査企業によると、22年まで4年連続で、日本の働きがいの水準はデータのある125カ国中で最低レベルだった。主要因は、バブル崩壊後の景気停滞だろう。1990年1月、わが国では株式バブルが崩壊し、景気は減速し、企業の投資活動なども低下した。そして97年、金融システム不安が発生して大手銀行が次々と経営破綻した。この時すでに雇用慣行は事実上、限界を迎えつつあった。 しかし、わが国の政治は雇用の維持を優先し、労働市場の改革を進めて成長期待の高い分野に経営資源を再配分することを行わなかった。この時、日本全体で近視眼的な損失回避の心理が高まったとも言い換えられる。 一方、世界経済はグローバル化した。90年代に米国ではIT革命が起き、先端企業は高付加価値のソフトウエア分野に選択と集中を行った。また、中国は「世界の工場」としての地位を確立し、これにより世界中で工業製品の価格競争が激化した。さらに、台湾と韓国は、半導体やデジタル家電の受託製造体制の整備にまい進した。 翻ってわが国産業界の競争力は低下した。既存分野に人材が固着し、賃金は伸び悩んだ。その結果、わが国のワーク・エンゲージメントは世界最低水準に甘んじることになる。 他方、株主が経営者に改革を求めることを、エンゲージメントと呼ぶこともある(シェアホルダー・エンゲージメント)。わが国企業の経営者は、株主からのエンゲージメント要請にも十分に対応することができなかった』、「97年、金融システム不安が発生して大手銀行が次々と経営破綻した。この時すでに雇用慣行は事実上、限界を迎えつつあった。 しかし、わが国の政治は雇用の維持を優先し、労働市場の改革を進めて成長期待の高い分野に経営資源を再配分することを行わなかった。この時、日本全体で近視眼的な損失回避の心理が高まったとも言い換えられる・・・わが国産業界の競争力は低下した。既存分野に人材が固着し、賃金は伸び悩んだ。その結果、わが国のワーク・エンゲージメントは世界最低水準に甘んじることになる。 他方、株主が経営者に改革を求めることを、エンゲージメントと呼ぶこともある(シェアホルダー・エンゲージメント)。わが国企業の経営者は、株主からのエンゲージメント要請にも十分に対応することができなかった」、なるほど。
・『海外の過去の好例から何を学べるか 人々の就業意欲と生産性を高める方法  海外では、景気の停滞を克服するため、財政や金融政策で目先の景気を支えつつ、中長期の視点で労働市場などの改革を進めた国があった。80年代、サッチャー政権下の英国は、首相のリーダーシップの下で労働市場改革を比較的スピーディーに実行した。 当時のサッチャー首相は、労働組合中心の雇用の慣行を規制し賃金決定を柔軟化した。失業保険の給付に関しても、所得比例から定額方式に修正した。国有企業の民営化も進め経済全体で市場原理は発揮されやすくなった。 また、70年代にオランダ経済は第1次オイルショックなどの影響で停滞した。その後80年代、オランダ政府は労使の協力を前提に、規制緩和や失業給付の引き下げなどを段階的に実現した。景気停滞を克服し、持続的な経済成長の基盤を整備した。 90年代、ドイツは旧東ドイツ統合の負担などで景気停滞に陥った。一時は、「欧州の病人」などとやゆされた。停滞を脱する起爆剤になったのは、2002年から始まったシュレーダー改革だ。ドイツ政府は、経済全体で市場原理を高め、成長が期待できる分野にヒト、モノ、カネの再配分を促進した。そのために、企業の解雇規制を緩和した一方、職業訓練や紹介制度を拡充した。その際、政府系と民間の職業紹介サービス企業の競争も促進した。 同時にドイツは、失業保険の給付期間を短くした。人々の就業意欲は上昇し、自動車や精密機械など主力産業で雇用のマッチングが進んだ。それは、リーマンショック後の欧州財政危機から、ユーロ圏経済の回復をも支えたと考えられる。 いずれも、失業者の増加など一時的な痛みを伴う改革だったが、労働市場全体の流動性を高め、失業保険など社会保障も見直したことが重要だ。職業訓練・紹介制度も整え、人々の就業意識を高めたことで、全体で生産性は高まった。さらに、失業給付の削減は財政健全化にも有効だった。人的資本の強化こそ経済・社会の効率性向上に欠かせない』、英国でも80年代前半、炭鉱ストをサッチャー首相が断固とした姿勢で握り潰し、それ以降は労働運動は大人しくなった。
・『働き方改革と年金改革は両輪 確定拠出型年金の拡充は道半ば  雇用慣行は、人々の生き方を形成する。サッチャー改革以前の英国は、「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれた手厚い社会保障制度があった。これにより、生産性は停滞し、財政も悪化した。労働組合は構成員の雇用維持を優先したことで、新規参入者である若年層の雇用機会を結果的に奪っていた。それが、サッチャー改革によって経済と社会の推進力が高まった。 日本も今、労働慣行やそれに付随する社会の仕組みを改革することが求められている。わが国の企業年金は、あらかじめ給付額の算定方法が決まっている「確定給付企業年金」と、拠出額は決まっており将来の受取額が個人の資金運用の結果で変化する「確定拠出年金」の二つに分かれる。2023年度末時点の加入者数は前者の方が多い(企業年金連合会の報告)。政府は、「個人型確定拠出年金」(iDeCo)など確定拠出型年金の制度を拡充したが、道半ばだ。 確定給付の年金加入者の場合、定年前に転職すると受取額が減少することもある。そのため、確実な受取額をあえて手放したくないと考える人もいるだろう。景気低迷に加え、企業年金の制度面から個人が不利になる部分があることも、労働市場の流動性向上を妨げ、働きがいの低下につながったと考えられる。企業の収益力が低下し、リスクを避けたいという心理に加え、企業年金制度の改革の遅れも、雇用慣行の改革を妨げた可能性は否定できない。 近年では、年功に基づいた評価制度をやめ、年齢、性別に関係なく能力、収益貢献などの実績で人事評価を行う企業が増えている。6月、わが国の実質賃金は27カ月ぶりのプラスだった。賃上げの持続性は、働きがいを感じ、成長を目指す人の増加、それを通した企業の収益の増加と長期存続に不可欠だ。 諸外国とは条件の違いはあるものの、それでもなお日本は、海外の労働・社会保障制度改革を参考に、学び直しや職業紹介サービスを拡充すべきだ。加えて、政府は、成長を目指し勤め先を変える人が不利にならない環境整備を急ぐべきである』、「日本は、海外の労働・社会保障制度改革を参考に、学び直しや職業紹介サービスを拡充すべきだ。加えて、政府は、成長を目指し勤め先を変える人が不利にならない環境整備を急ぐべきである」、その通りだ。
タグ:経済分性でも「見せかけの相関関係」は大いに気を付ける必要がある。 「真にEBPMが推進されていれば、2020年度から2023年度まで10兆円単位の巨額の補正予算が組まれることはなかっただろう。そこでは、エビデンス・ベースというよりエピソード・ベースが跋扈した・・・今般の「EBPMの強化」には、これまでの「EBPMの推進」と違うニュアンスを感じる」、なるほど。 「内閣官房に統計改革推進室(2023年11月以降は同行政改革推進本部事務局に業務移管)を設置するとともに、菅義偉官房長官(当時)を議長とする統計改革推進会議が設けられ、EBPMのための体制構築などが議論』、「EBPMを進める体制整備を行うよう提言・・・現在では各府省に政策立案総括審議官などのポストが設けられている。 こうして、EBPMは官邸主導で推進されるものと期待された」、なるほど。 土居 丈朗氏による「苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い「データで政策効果を検証」ができない政党政治」 東洋経済オンライン (その72)(苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い「データで政策効果を検証」ができない政党政治、経済学者が「ポスト岸田」に提言!自民党総裁選で誰が勝っても絶対やるべきこと) 日本の政治情勢 「こうした取り組みは、なぜ今唱えられているのか。官僚の無謬性があって元来不得手であるEBPMを、ここまで強力に推すからにはワケがあろう。 そのワケは、予算において無理筋な政治的要求を断るための効果的な手段だからだとにらむ」、その通りだろう。 「最後の関門は、EBPMについての首相官邸の理解であろう。 官僚がEBPMに則して政策に効果がないと否定しても、「自らの政策に反対するのであれば異動してもらう」などとして聞き入れなかったり、政策の実施を事務方に事前の相談もなく突如決めたりするような首相官邸の姿勢である限り、誰が総理大臣になっても、わが国にEBPMは定着しない。 EBPMによって、国民のためになる政策が選りすぐられてゆくことが、今求められる』、 「最後の関門は、EBPMについての首相官邸の理解であろう。 官僚がEBPMに則して政策に効果がないと否定しても、「自らの政策に反対するのであれば異動してもらう」などとして聞き入れなかったり、政策の実施を事務方に事前の相談もなく突如決めたりするような首相官邸の姿勢である限り、誰が総理大臣になっても、わが国にEBPMは定着しない」、その通りだ。 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫氏による「経済学者が「ポスト岸田」に提言!自民党総裁選で誰が勝っても絶対やるべきこと」 「労働市場だけでなく社会保障制度の改革も合わせて議論することが肝心なのである」、なるほど。 「97年、金融システム不安が発生して大手銀行が次々と経営破綻した。この時すでに雇用慣行は事実上、限界を迎えつつあった。 しかし、わが国の政治は雇用の維持を優先し、労働市場の改革を進めて成長期待の高い分野に経営資源を再配分することを行わなかった。この時、日本全体で近視眼的な損失回避の心理が高まったとも言い換えられる・・・わが国産業界の競争力は低下した。既存分野に人材が固着し、賃金は伸び悩んだ。その結果、わが国のワーク・エンゲージメントは世界最低水準に甘んじることになる。 他方、株主が経営者に改革を求めることを、エンゲージメントと呼ぶこともある(シェアホルダー・エンゲージメント)。わが国企業の経営者は、株主からのエンゲージメント要請にも十分に対応することができなかった」、なるほど。 英国でも80年代前半、炭鉱ストをサッチャー首相が断固とした姿勢で握り潰し、それ以降は労働運動は大人しくなった。 「日本は、海外の労働・社会保障制度改革を参考に、学び直しや職業紹介サービスを拡充すべきだ。加えて、政府は、成長を目指し勤め先を変える人が不利にならない環境整備を急ぐべきである」、その通りだ。
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