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今日は更新を休むので、明日にご期待を!

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マイナンバー制度(その10)(介護保険証も紙廃止→マイナ一本化へ厚労省方針…業界から案の定あがった「時期尚早」の声、「ダメだよ。保険証廃止は」デジタル庁幹部は断言していた マイナ一本化になぜ転換?協議の記録がない不可解) [経済政策]

マイナンバー制度については、本年7月6日に取上げた。今日は、(その10)(介護保険証も紙廃止→マイナ一本化へ厚労省方針…業界から案の定あがった「時期尚早」の声、「ダメだよ。保険証廃止は」デジタル庁幹部は断言していた マイナ一本化になぜ転換?協議の記録がない不可解)である。

先ずは、本年7月10日付け日刊ゲンダイ「介護保険証も紙廃止→マイナ一本化へ厚労省方針…業界から案の定あがった「時期尚早」の声」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/357392
・『またもや「任意」ではなく事実上の「義務化」になるのか……。 9日の日経新聞の朝刊によると、厚労省が現行の介護保険証を廃止し、マイナンバーカードに一本化する方針を示したという。 厚労省は日刊ゲンダイの取材に対し「廃止するとは明言していない。各方面に配慮して、デジタル化を進めていく」と回答するなど、早急な改革は否定している。 しかし、6月21日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」でも、「介護 保険証等をマイナンバーカードと一体化する」ことで、「医療DX」を進めていくとしているから、政府にとって現行の介護保険証の廃止は既定路線なのだろう。  紙の健康保険証は年内に廃止されマイナカードに一本化されることになっており、国民の声を無視したデジタル化が進められている。これに続き、現行の介護保険証も廃止され、マイナカードに一本化される可能性はゼロではない』、「閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」でも、「介護 保険証等をマイナンバーカードと一体化する」ことで、「医療DX」を進めていくとしているから、政府にとって現行の介護保険証の廃止は既定路線なのだろう。  紙の健康保険証は年内に廃止されマイナカードに一本化されることになっており、国民の声を無視したデジタル化が進められている。これに続き、現行の介護保険証も廃止され、マイナカードに一本化される可能性はゼロではない」、このような重要な決定が、個々の決定事項ごとではなく、パッケージ化されて一括で決定されるのは、手続き的におかしい。
・『高齢者、現場の負担は大きい  介護保険証が廃止されれば、介護現場では混乱が予測される。一般社団法人「全国介護事業者連盟」の斉藤正行理事長はこう話す。 「まず、マイナカードを取得してもらうのが大変です。介護サービスの利用者には、認知症の方や、身寄りがなく周囲のサポートが受けられない方など、さまざまな人がいます。そうした人たちには、マイナ関係の手続きは負担が大きい。現場のトラブルも予想され、マイナに一本化するのは時期尚早ではないかと」 セキュリティー上の懸念もある。東京都高齢者福祉施設協議会の田中雅英会長はこう言う。 「保険証の保管が大変になるという問題があります。介護施設は利用者の介護保険証を預かるケースが多い。現行の介護保険証でも保管には神経を使いますが、個人情報が詰まったマイナカードと介護保険証では、紛失した際の責任が全く異なります。預ける利用者にとっても、預かる事業者にとっても、心理的な負担は大きくなるでしょう」 国民の命にかかわることだけに、強引に事を進めるのはいただけない。前出の斉藤理事長は言う。)「デジタル化がうまく進めば、現場の負担は削減できます。周知を徹底したうえで、もう少し時間をかけて導入を進めてもらいたい」 岸田政権のやり方では、医療や介護の現場に混乱が広がるばかりだ。・『関連記事【もっと読む】武見厚労相が薬局視察の茶番…マイナ保険証「利用増」報告にご満悦、意義説明には“台本”使用…も必読だ』』、「介護施設は利用者の介護保険証を預かるケースが多い。現行の介護保険証でも保管には神経を使いますが、個人情報が詰まったマイナカードと介護保険証では、紛失した際の責任が全く異なります。預ける利用者にとっても、預かる事業者にとっても、心理的な負担は大きくなるでしょう・・・周知を徹底したうえで、もう少し時間をかけて導入を進めてもらいたい」 岸田政権のやり方では、医療や介護の現場に混乱が広がるばかりだ」、もっと丁寧に説明するなどの努力が必要なようだ。

次に、9月25日付け東京新聞「「ダメだよ。保険証廃止は」デジタル庁幹部は断言していた マイナ一本化になぜ転換?協議の記録がない不可解」を紹介しよう』、興味深そうだ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/354841
・『<シリーズ「検証マイナ保険証」> いつ、どんな議論を経て、誰が決めたのか。 現行の健康保険証の廃止がどのようにして決まったのか、その経緯が分かる記録を政府は残していなかった。 決定に至るまでの手続きも異例で唐突だった。国民が納得するだけの説明もない。 医療に欠かせない保険証を「人質」に、マイナンバーカードの利用を迫る政府の姿勢が、かえって国民の不信を増幅させている。(マイナ保険証取材班・戎野文菜)』、「現行の健康保険証の廃止がどのようにして決まったのか、その経緯が分かる記録を政府は残していなかった。 決定に至るまでの手続きも異例で唐突だった。国民が納得するだけの説明もない」、「河野太郎デジタル相」も肝心な説明は一切なしだ。
・『「なぜ廃止」「なぜ強制」…相次ぐ疑問  現行保険証の廃止を巡っては、河野太郎デジタル相が2022年10月13日、「24年度秋に現在の保険証の廃止を目指す」と表明。その後、政府は2024年12月廃止と決定した。 東京新聞は、厚生労働省とデジタル庁に、現行保険証の廃止を決めた経緯が分かる文書の開示を求めたが、開示文書からは政府内の決定経緯は判然としなかった。 「現行の保険証で不都合はないのに、なぜ廃止を決めたのか」(静岡市の派遣社員54歳女性) 「任意のものをなぜ強制するのかについての説明が不足している」(広島市の65歳女性) 東京新聞をはじめ18の地方紙が8月に行った合同アンケートでは、現行保険証廃止について政府に説明を求める声が相次いだ。 マイナ保険証の利用率は8月時点で12.43%にとどまる。 廃止表明から2年近くたっても、「マイナ保険証のごり押しに不信感しかない」(川崎市43歳主婦)、「極めて強引であり強権的」(仙台市65歳男性)などと政府への反発が目立つ』、「マイナ保険証の利用率は8月時点で12.43%にとどまる。 廃止表明から2年近くたっても、「マイナ保険証のごり押しに不信感しかない」・・・、「極めて強引であり強権的」・・・などと政府への反発が目立つ」、なるほど。
・『「権力的な目線だよ」  そもそも河野太郎デジタル相が2022年10月に表明するまで、政府は現行保険証を完全に廃止する方針ではなかった。 廃止表明の1年前、デジタル庁幹部に本紙記者が、マイナンバーカード普及のため保険証を使えなくする考えがないのか尋ねると、即座に否定し、こう答えた。 「使えなくなると言えば普及するってのは権力的な目線だよ。ダメだよ。保険証は(なくなれば人が)死ぬんだから」 政府は2022年6月の「骨太の方針」で「24年度中をめどに(マイナ保険証と現行保険証の)選択制の導入を目指す」と閣議決定。期限は設けず、普及状況などを考慮して「原則廃止を目指す」としていた。 たとえ廃止になっても、申請があれば現行保険証を交付する方針だった』、「廃止表明の1年前・・・「使えなくなると言えば普及するってのは権力的な目線だよ。ダメだよ。保険証は(なくなれば人が)死ぬんだから」と廃止に反対していたにも拘らず、1年後には「廃止」に踏み切るとは唐突だ。
・『異例の審議会飛ばし  ところが、たった4カ月で保険証は「完全廃止」への切り替わった。 政府は、国民に意見を問うどころか、国の医療政策を審議する社会保障審議会の部会にすら事後報告で済ました。 異例の審議会飛ばしに、部会の委員の1人は「「部会で議論もしていないのに厚労省から決まったと言われ、びっくりした」と振り返る。 マイナ保険証の問題を追及してきた立憲民主党の山井和則衆院議員は、「病気の人や高齢者にとって紙の保険証は命綱なのに正当な手続きも踏まず、政策決定が非常に乱暴だ」と指摘する』、「異例の審議会飛ばしに、部会の委員の1人は「「部会で議論もしていないのに厚労省から決まったと言われ、びっくりした」と振り返る」、唐突な「完全廃止」への「切り替え」の理由は何なのだろう。
・『河野氏が見ていたものは  関係省庁によると、保険証廃止は、水面下の大臣間の協議で決まったという。 ただし、協議の中身や大臣から担当部署に指示した記録はないとする。 公文書管理法の趣旨をないがしろにするような対応にも取れるが、関係省庁は「開示請求で示した通り」と答えるだけだった。 公文書管理法 公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と定義。軽微な場合を除き、行政の意思決定過程や事業実績を検証することができるよう、文書の作成を義務付けている。閣議や閣僚らで構成される会議の決定経緯のほか、法令の制定や改廃、その経緯などが対象となっている。 不可解な点はそれだけではない。 「…こうした報告を総理に申し上げたところで、大きく二つ総理からご指示がありました」 2022年10月13日の廃止表明の会見。河野氏は冒頭、岸田文雄首相への報告内容と首相から受けた指示について、手元の資料を見ながら7分近くかけて説明している。 デジタル庁は、首相への報告や首相からの指示を記録した文書も作成していないという。河野氏が会見で見ていた資料も開示されることはなかった』、「2022年10月13日の廃止表明の会見。河野氏は冒頭、岸田文雄首相への報告内容と首相から受けた指示について、手元の資料を見ながら7分近くかけて説明している。 デジタル庁は、首相への報告や首相からの指示を記録した文書も作成していないという。河野氏が会見で見ていた資料も開示されることはなかった」、「デジタル庁」など官庁の怠慢だ。
・『情報共有は「口頭ベース」?  記録がないのに、関係省庁はどのように首相の指示を把握し、作業できたのだろうか。 実務を担う厚生労働省の担当者は、「情報共有は口頭ベースで行っている」と断言している。 不透明な決定経緯に、総務省出身で官僚経験の長い幸田雅治・神奈川大教授は首をかしげる。 「官僚は大臣の意向を踏まえて仕事をしている。そのための大臣間の協議や大臣からの指示は通常、記録を取って省内で共有している。口頭で伝えるというのは考えにくい」 あわせて読みたい 「保険証廃止」一体誰がどう決めたのか 「記録はない」と判明…首相報告や閣僚間のやりとり 経緯は闇の中へ  <シリーズ「検証マイナ保険証」> 現行の健康保険証の廃止には、いまだに不安や疑問の声が聞こえます。東京新聞は「検証マイナ保険証」と題して、マイナ保険証一本化への課題や利用者の声を伝えていきます。 マイナ保険証に関するご意見や情報をお寄せください。メールはtdigital@chunichi.co.jp、郵便は〒100 8505(住所不要)東京新聞デジタル編集部「マイナ保険証取材班」』、「実務を担う厚生労働省の担当者は、「情報共有は口頭ベースで行っている」と断言している。 不透明な決定経緯に、総務省出身で官僚経験の長い幸田雅治・神奈川大教授は首をかしげる。 「官僚は大臣の意向を踏まえて仕事をしている。そのための大臣間の協議や大臣からの指示は通常、記録を取って省内で共有している。口頭で伝えるというのは考えにくい」、確かに、「厚生労働省の担当者は、「情報共有は口頭ベースで行っている」と断言」、というのは余りに不自然だ。「公文書管理法」の趣旨を改めて徹底させるべきだ。 
タグ:「閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」でも、「介護 保険証等をマイナンバーカードと一体化する」ことで、「医療DX」を進めていくとしているから、政府にとって現行の介護保険証の廃止は既定路線なのだろう。  紙の健康保険証は年内に廃止されマイナカードに一本化されることになっており、国民の声を無視したデジタル化が進められている。 日刊ゲンダイ「介護保険証も紙廃止→マイナ一本化へ厚労省方針…業界から案の定あがった「時期尚早」の声」 東京新聞「「ダメだよ。保険証廃止は」デジタル庁幹部は断言していた マイナ一本化になぜ転換?協議の記録がない不可解」 (その10)(介護保険証も紙廃止→マイナ一本化へ厚労省方針…業界から案の定あがった「時期尚早」の声、「ダメだよ。保険証廃止は」デジタル庁幹部は断言していた マイナ一本化になぜ転換?協議の記録がない不可解) 「マイナ保険証の利用率は8月時点で12.43%にとどまる。 廃止表明から2年近くたっても、「マイナ保険証のごり押しに不信感しかない」・・・、「極めて強引であり強権的」・・・などと政府への反発が目立つ」、なるほど。 「現行の健康保険証の廃止がどのようにして決まったのか、その経緯が分かる記録を政府は残していなかった。 決定に至るまでの手続きも異例で唐突だった。国民が納得するだけの説明もない」、「河野太郎デジタル相」も肝心な説明は一切なしだ。 「介護施設は利用者の介護保険証を預かるケースが多い。現行の介護保険証でも保管には神経を使いますが、個人情報が詰まったマイナカードと介護保険証では、紛失した際の責任が全く異なります。預ける利用者にとっても、預かる事業者にとっても、心理的な負担は大きくなるでしょう・・・周知を徹底したうえで、もう少し時間をかけて導入を進めてもらいたい」 岸田政権のやり方では、医療や介護の現場に混乱が広がるばかりだ」、もっと丁寧に説明するなどの努力が必要なようだ。 マイナンバー制度 「公文書管理法」の趣旨を改めて徹底させるべきだ。 「実務を担う厚生労働省の担当者は、「情報共有は口頭ベースで行っている」と断言している。 不透明な決定経緯に、総務省出身で官僚経験の長い幸田雅治・神奈川大教授は首をかしげる。 「官僚は大臣の意向を踏まえて仕事をしている。そのための大臣間の協議や大臣からの指示は通常、記録を取って省内で共有している。口頭で伝えるというのは考えにくい」、確かに、「厚生労働省の担当者は、「情報共有は口頭ベースで行っている」と断言」、というのは余りに不自然だ。 これに続き、現行の介護保険証も廃止され、マイナカードに一本化される可能性はゼロではない」、このような重要な決定が、個々の決定事項ごとではなく、パッケージ化されて一括で決定されるのは、手続き的におかしい。 「2022年10月13日の廃止表明の会見。河野氏は冒頭、岸田文雄首相への報告内容と首相から受けた指示について、手元の資料を見ながら7分近くかけて説明している。 デジタル庁は、首相への報告や首相からの指示を記録した文書も作成していないという。河野氏が会見で見ていた資料も開示されることはなかった」、「デジタル庁」など官庁の怠慢だ。 「異例の審議会飛ばしに、部会の委員の1人は「「部会で議論もしていないのに厚労省から決まったと言われ、びっくりした」と振り返る」、唐突な「完全廃止」への「切り替え」の理由は何なのだろう。 「廃止表明の1年前・・・「使えなくなると言えば普及するってのは権力的な目線だよ。ダメだよ。保険証は(なくなれば人が)死ぬんだから」と廃止に反対していたにも拘らず、1年後には「廃止」に踏み切るとは唐突だ。
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認知症(その5)(認知症患者が一番多い日本 改善すべき2つの悪習慣、アメリカではアルツハイマー型認知症が半減!日本では減らない驚きの理由、糖尿病で「脳が老化」するリスク…認知症の早期警告サインか【3万人の脳MRIデータで判明】) [生活]

認知症については、本年8月26日に取上げた。今日は、(その5)(認知症患者が一番多い日本 改善すべき2つの悪習慣、アメリカではアルツハイマー型認知症が半減!日本では減らない驚きの理由、糖尿病で「脳が老化」するリスク…認知症の早期警告サインか【3万人の脳MRIデータで判明】)である。

先ずは、本年8月31日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した山中恵美子氏による「認知症患者が一番多い日本。改善すべき2つの悪習慣」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/349703#:~:text=%E3%80%8C%E9%A0%AD%E3%81%AE%E5%9B%9E%E8%BB%A2%E3%81%8C%E9%80%9F%E3%81%8F,%E9%A3%9B%E8%BA%8D%E7%9A%84%E3%81%AB%E4%BC%B8%E3%81%B3%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
・『「頭の回転が速くなる」「誰でも脳の機能が向上しそう」「脳の老化防止に使える」「ゲーム感覚で小学生でも楽しめる」「たとえるなら、脳のストレッチ」「集中力や記憶力が伸びた」などの声が届いた、くり返し楽しんで使える『1分間瞬読ドリル』は、何歳からでも6つの力が飛躍的に伸びます。間違ってもOK。1分間で与えられた課題を見ていくだけで、「記憶力」「思考力」「判断力」「読解力」「集中力」「発想力」が抜群にあがります。 子どもには、これから必要とされる「考える力」や勉強脳が磨かれ、覚えに不安があるシニアはボケ防止に使える、そして、大人は脳機能を高めていくことができるのです。10歳から100歳まで、誰でも簡単に続けられる『1分間瞬読ドリル』で、脳をよくしていきましょう!』、興味深そうだ。
・『日本人特有の認知症になりやすい悪習慣  高齢化で一番気になるのが「認知症」。認知症患者の割合も、日本は海外と比べて、多いことはご存じでしょうか。OECD加盟国で、人口1000人あたりの認知症患者数が最も多いのは、日本なのです。先進国の平均は1000人あたり14.8人ですが、日本の平均は23.3人と、1.5倍以上。世界一、認知症になりやすい国と言えるかもしれません。 今回は、日本人特有の認知症になりやすい悪習慣について、お伝えします』、「OECD加盟国で、人口1000人あたりの認知症患者数が最も多いのは、日本なのです。先進国の平均は1000人あたり14.8人ですが、日本の平均は23.3人と、1.5倍以上。世界一、認知症になりやすい国と言えるかもしれません」、初めて知った。
・『悪習慣1:自己成長のために何も取り組んでいない  読書や、セミナー・勉強会の参加、もしくは独学など、どんなことでも構いませんが、仕事以外の時間で自己成長のために、何か取り組んでいますか?世界18カ国で行なわれた調査(パーソル総合研究所「グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)」)では、日本は、「とくに何も行っていない」という回答が50%超。その他の国々で、「とくに何も行っていない」という回答の平均は18%。日本人は、大人になってから一番学ばない国民なのです。 何かを学ぶことは、自分で考える機会が増えるので、一番の認知症予防です。認知症になる原因は、様々ありますが、自分で物事を考える機会が減少し、脳の働きが低下すると、認知症が進行しやすくなります。30代、40代の頃から、学習習慣をつけていると、60代、70代になってからも自然と学び続け、脳の健康を保つことができます』、「日本人は、大人になってから一番学ばない国民なのです。 何かを学ぶことは、自分で考える機会が増えるので、一番の認知症予防です」、これでは「日本人が認知症になり易い」のもやむを得ない。
・『悪習慣2:定期的に運動していない  日本人の生活習慣の中で、運動不足も認知症リスクを高める要因の一つです。高齢者の多くが、体を動かす機会が少ないことから、運動不足に陥りがちです。適度な運動は、血流を改善し、脳への酸素供給を促進するため、認知機能の維持に重要です。また、運動はストレスを軽減し、精神的な健康を保つ効果もあります。しかし、日本の高齢者は他国と比較して運動に対する意識が低い傾向にあり、これが認知症リスクを高める一因となっています。 まずは、数分間ラジオ体操を真剣に取り組んでみる、階段があるときは階段を使う、少し遠回りをして帰るようにするなど、今の生活において、無理なくできるところから、「運動」を意識してみましょう。 認知症予防に重要な学習と運動。重要なことは分かっても、忙しくてなかなか取り組めないという人にオススメしたいのが、『1分間瞬読ドリル』。時間をかけたら、誰でも解ける問題を、1問1秒という時間制限付きで行なうことで、脳がフル回転、活性化します。1分間から取り組めるので、スキマ時間で行なうにはぴったりの認知症予防です。 *本記事は、『1分間瞬読ドリル』の著者による書き下ろしです。) (山中恵美子氏の略歴はリンク先参照)』、「日本人の生活習慣の中で、運動不足も認知症リスクを高める要因の一つです。高齢者の多くが、体を動かす機会が少ないことから、運動不足に陥りがちです。適度な運動は、血流を改善し、脳への酸素供給を促進するため、認知機能の維持に重要です。また、運動はストレスを軽減し、精神的な健康を保つ効果もあります。しかし、日本の高齢者は他国と比較して運動に対する意識が低い傾向にあり、これが認知症リスクを高める一因となっています・・・まずは、数分間ラジオ体操を真剣に取り組んでみる、階段があるときは階段を使う、少し遠回りをして帰るようにするなど、今の生活において、無理なくできるところから、「運動」を意識してみましょう。 認知症予防に重要な学習と運動。重要なことは分かっても、忙しくてなかなか取り組めないという人にオススメしたいのが、『1分間瞬読ドリル』。時間をかけたら、誰でも解ける問題を、1問1秒という時間制限付きで行なうことで、脳がフル回転、活性化します。1分間から取り組めるので、スキマ時間で行なうにはぴったりの認知症予防です」、なるほど。

次に、9月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した脳神経外科医の中冨浩文氏による「アメリカではアルツハイマー型認知症が半減!日本では減らない驚きの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/348454
・『2025年には日本の65歳以上の認知症患者数は約700万人にものぼると言われ、およそ5人に1人が認知症になると予測されている。一方で、米国やヨーロッパでは、近年認知症の発症率は減少傾向にあるようだ。日本で認知症が減らない背景と若い脳を維持するための方法を、脳外科医の中冨浩文氏が解説する。本稿は、中冨浩文『脳は何歳からでもよみがえる』(アチーブメント出版)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
https://diamond.jp/articles/-/348454
・『アルツハイマー型認知症が日本で減少しないのはなぜか  私たちはよく「脳が若い」「脳が老ける」という表現をします。脳は組織としては新陳代謝がなされているのに、これは一体どういうことなのでしょうか? 情報を分解して出力する脳の働きを認知機能と言います。これをある側面で切り取ったときに、言葉による言語性のIQや視覚性IQなどに分かれます。これら言語課題や視覚課題を理解し、アウトプットする能力を総称してIQと呼んでいます。 認知機能は遺伝的要素の関与が大きいと言われます。つまり、生まれつき頭のよい人がいるのです。スコットランドの研究では、11歳のときにIQを測定し、75歳のときに再度調べた結果、元々IQが高い人は75歳でも高いことがわかりました。 ただし、元々のIQの高さが単純に比例したわけではなく、人生・経験・環境によって75歳時のIQには大きなばらつきがありました。 純粋な遺伝的要因だけでなく、その人がどのように生きてきたのか、環境因子が認知機能に与える影響のほうが大きいのです。 若いころの教育、経験、環境によって鍛えられた認知機能は、年齢を経ても衰えにくいことは間違いありません。 30年以上前まで、脳は大人になると新生しないと言われていました。しかし、記憶を司る海馬と大脳辺縁系に関連する嗅神経の嗅球は、持続的に神経新生が起きていると、1990年代にわかりました。 アルツハイマー型認知症とは神経細胞が死滅して増えないことだと考えられがちですが、アルツハイマー型認知症の人も神経細胞だけがなくなっているのではなく、神経細胞の周りに張り巡らされているシナプスというネットワークの力が落ちているのです。 脳は神経活動によって構造が変化します。とくにシナプスの結びつきは頻繁に変わっていて、これを脳の可塑性と言います。小中高で脳の可塑性がもっとも高くなりますが、成人期や老年期でも起こることが知られています。 2005年に米国でアルツハイマー型認知症発生率が減少に向かっていることが発表され、世界を驚かせました。1982年から1999年までの重症のアルツハイマー型認知症発生率と比較すると、ほぼ半減していたというのです。その後、同様の報告がヨーロッパからも続きました。 しかし、日本ではいまだに減少に転じたという報告はありません。日本では重症のアルツハイマー型認知症の好発年齢となっているのが、成長期に敗戦後の苦境をまともに受けた世代のため、裕福な教育環境や経済的な状況が欧米と比較して劣っていたためだと言われています』、「米国でアルツハイマー型認知症発生率が減少に向かっていることが発表され、世界を驚かせました。1982年から1999年までの重症のアルツハイマー型認知症発生率と比較すると、ほぼ半減していたというのです。その後、同様の報告がヨーロッパからも続きました。 しかし、日本ではいまだに減少に転じたという報告はありません。日本では重症のアルツハイマー型認知症の好発年齢となっているのが、成長期に敗戦後の苦境をまともに受けた世代のため、裕福な教育環境や経済的な状況が欧米と比較して劣っていたためだと言われています』、「成長期に敗戦後の苦境をまともに受けた世代」、敗戦の影響が「認知症発生率」にまで影響しているとは驚きだ。
・『老いがすすむ物質「フリーラジカル」  認知機能に負の影響を与える第一因子は加齢です。年齢とともに人は遺伝子の転写精度が落ちて、遺伝子発現が不正確となり、有害なたんぱくが増加します。遺伝子レベルでの分子障害が起こるというメカニズムです。 もっともよく知られているのは、加齢により体内で酸化反応が起こり、フリーラジカルという攻撃物質ができてくると、脂質、たんぱく、DNAを障害します。これらは結果的に慢性炎症症候群を引き起こすので、老いが進むと言われています。フリーラジカルが増える原因としては、大気汚染、アルコール、電磁波、タバコ、ストレスなどの有害因子が言われています。 老いは、これらの有害因子に一生にわたってどれほど毒されてきたのかの現れであり、その程度は個人の状態、生きてきた環境により異なるので、高齢者ほど認知機能を含めた身体機能の個人差が大きくなります。これは生活環境と習慣を注意深く改善すれば、加齢の影響を相当軽減できることを意味します。 人が年齢とともに認知機能が落ちるのは神経細胞が減るからではありません。神経細胞が加齢だけでは減らないことは定説となっていて、20歳と90歳を比較すると、神経細胞の数そのものの差は10パーセント以内だったという研究があります。 とくに脳の加齢により減少が目立ったのは、神経の脇に出ている神経線維です。若い人のニューロンはよく葉の茂った樹木のようで、老化が高度に進んだニューロンは晩秋の幹しかない落葉樹のような状態です。 老けないためには生活上、環境上の有害因子を避けながら、シナプスが育つ生活を送ることがよいのです。たとえば、ファイトケミカルと言われる物質が知られていて、細胞の修復、免疫力アップ、活性酸素の排除に役立つと言われています。 さらに活性酸素を減らす生活習慣として、身体を冷やさない、運動、よく咀嚼することも言われています。 認知機能については、若くから衰えやすいところと意外に衰えないところがあります。最近の調査では、年齢による衰えがもっとも早く表れる検査はDigit Symbol Codingという図形に1、2、3と番号をつけ、数字を見せただけで図形をできるだけ早く答えさせる脳機能の検査だと言われています。 脳機能を測る検査は多数あります。そのなかでもこの検査はワーキングメモリーと処理スピードの要素が混ざったもので、関連性を瞬時に思い出す作業です。いちばん成績がよいのは小学校低学年くらいの子どもです。早くも20歳台後半からこの検査で測れる脳機能は落ちていくことがわかっています』、「加齢により体内で酸化反応が起こり、フリーラジカルという攻撃物質ができてくると、脂質、たんぱく、DNAを障害します。これらは結果的に慢性炎症症候群を引き起こすので、老いが進むと言われています。フリーラジカルが増える原因としては、大気汚染、アルコール、電磁波、タバコ、ストレスなどの有害因子が言われています」、なるほど。
・『アルツハイマー型認知症 その特徴とは  記憶には大きく分けて、短期記憶(数日)、言葉で表現できる長期記憶、言葉で表現できない長期記憶(手続き記憶)があります。 さらにはそれよりも短い情報を保持・処理する能力ワーキングメモリーがあります。ワーキングメモリーの容量には限界があり、さまざまな出来事から命にとって脳が大事だと判断した記憶を優先的に残していると言われます。 数字や視覚に関するワーキングメモリーは40歳から下降していきます。トランプによる神経衰弱などが苦手になってきます。一方で言葉、語彙、知識などの固定化した記憶は60~70歳まで衰えないと言われています。司会者や解説者、コメンテーターが高齢でも活躍できているのは、この脳機能が比較的長く維持できるからです。 アルツハイマー型認知症の特徴は、手続き記憶を忘れることです。料理をする、トイレへ行くといった手続きが連続して必要なタスクそのものをすべて忘れてしまうのです。トイレの前で立ち止まって何をするかわからなくなるので、一般の人が物忘れと言っている程度であればほとんど問題はありません。 今ではMRIを使った検査で脳の中の線維(白質)だけを画像化することができます。これをディフュージョン・テンソール・イメージ:(DTI)と言います。DTIを見れば、脳内の白質線維量、すなわち神経線維の結合がどのくらいあるかがわかります。 神経線維である白質の変化は年齢に相関します。ただ、脳血流の落ちている人のほうが白質も変化しやすいことがわかってきています。脳血管の老化がミクロなレベルで始まっている人は、脳血流が先に落ちます。次的に脳内のシナプスの結びつきである白質の量が減ってくると、脳内のネットワークがダウンしてしまうので、認知機能が落ちてくるという概念が提唱され始めています。 つまり、若い脳を維持するとは、脳のネットワークが円滑になるように、血管を含めて病気を予防したらよいというのが結論です』、「脳血管の老化がミクロなレベルで始まっている人は、脳血流が先に落ちます。次的に脳内のシナプスの結びつきである白質の量が減ってくると、脳内のネットワークがダウンしてしまうので、認知機能が落ちてくるという概念が提唱され始めています。 つまり、若い脳を維持するとは、脳のネットワークが円滑になるように、血管を含めて病気を予防したらよいというのが結論」、なるほど。

第三に、9月21日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「糖尿病で「脳が老化」するリスク…認知症の早期警告サインか【3万人の脳MRIデータで判明】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/350804
・『糖尿病は脳を老化させるが 生活習慣次第で抑制も可能  脳MRIに基づく新たな研究により、糖尿病が脳を老化させる可能性のあることが分かった。特に、血糖コントロールが良くない場合には、実際の年齢に比べて平均4歳、脳の老化が進んでいた。一方、健康的なライフスタイルにより、脳の若さを保つことができることも示唆された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のAbigail Dove氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に8月28日掲載された。 論文の筆頭著者であるDove氏は、「画像所見上、糖尿病患者の脳が実年齢に比べて高齢に見えるということは、通常の加齢プロセスからの逸脱を意味しており、認知症の早期警告サインと見なせる可能性がある」と述べている。 同氏の指摘どおり、以前から2型糖尿病は認知症のリスク因子の一つとして認識されてきた。しかし、認知症発症前の人の脳に、糖尿病や前糖尿病がどのような影響を与えているのかという詳細については、不明点が少なくない。 この研究では、英国の一般住民対象大規模疫学研究「UKバイオバンク」の参加者のうち、認知症でなく脳MRIデータのある40~70歳の成人3万1229人が解析対象とされた。参加者は11年間の追跡調査中に最大2回の脳MRIスキャンを受けており、そのデータを基にAI技術によって1079パターンの表現型を特定して、「脳年齢」が推定された。) その結果、前糖尿病の診断の記録がある人(43.3%)の脳年齢は、実際の年齢よりも平均0.5歳高齢と判定された。また、糖尿病患者(3.7%)の脳は、平均2.3歳高齢であった。 さらに、HbA1c(※)で層別化すると、HbA1c8%以上でコントロール不良の患者では平均4.2歳高齢と判定された。その一方、HbA1c7%未満でコントロール良好な患者の脳年齢は、1.7歳の差にとどまっていた。HbA1c7%以上8%未満の人の脳年齢の差は2.5歳だった。なお、糖尿病患者のうち男性や心血管代謝リスク因子を二つ以上持っている人は、脳年齢と実年齢との差がより顕著だった。 喫煙・飲酒習慣のない人の脳年齢は?(他方、この研究では、身体的に活発で喫煙・飲酒習慣のない人は、脳年齢が若いことも明らかになった。その差は、糖尿病や前糖尿病でない群(P<0.001)と、糖尿病患者群(P=0.003)で有意であった。前糖尿病群については、生活習慣による脳年齢の差が有意ではなかった(P=0.110)。 Dove氏はカロリンスカ研究所発のリリースの中で、「2型糖尿病の有病率は高く、さらに増加傾向にある。われわれの研究結果が、糖尿病や前糖尿病の人々の認知機能障害や認知症の予防に役立つことを願っている」と述べている。(HealthDay News 2024年8月28日) ※赤血球の中にある色素・ヘモグロビンのうち、どのくらいの割合が糖と結合しているかを示す値
https://www.healthday.com/health-news/diabetes/diabetes-can-age-your-brain-but-lifestyle-change-can-reverse-that
Copyright [コピーライト] 2024 HealthDay. All rights reserved.)』、「血糖コントロールが良くない場合には、実際の年齢に比べて平均4歳、脳の老化が進んでいた」、「糖尿病」が「脳の老化」にも影響するとは恐ろしい病気だ。「英国の一般住民対象大規模疫学研究」でも、「前糖尿病の診断の記録がある人(43.3%)の脳年齢は、実際の年齢よりも平均0.5歳高齢と判定された。また、糖尿病患者(3.7%)の脳は、平均2.3歳高齢であった」、この 「英国の一般住民対象大規模疫学研究」はサンプル数が多いだけに、信頼性が高そうだ。
タグ:(その5)(認知症患者が一番多い日本 改善すべき2つの悪習慣、アメリカではアルツハイマー型認知症が半減!日本では減らない驚きの理由、糖尿病で「脳が老化」するリスク…認知症の早期警告サインか【3万人の脳MRIデータで判明】) ど。 「血糖コントロールが良くない場合には、実際の年齢に比べて平均4歳、脳の老化が進んでいた」、「糖尿病」が「脳の老化」にも影響するとは恐ろしい病気だ。「英国の一般住民対象大規模疫学研究」でも、「前糖尿病の診断の記録がある人(43.3%)の脳年齢は、実際の年齢よりも平均0.5歳高齢と判定された。また、糖尿病患者(3.7%)の脳は、平均2.3歳高齢であった。 まずは、数分間ラジオ体操を真剣に取り組んでみる、階段があるときは階段を使う、少し遠回りをして帰るようにするなど、今の生活において、無理なくできるところから、「運動」を意識してみましょう。 認知症予防に重要な学習と運動。重要なことは分かっても、忙しくてなかなか取り組めないという人にオススメしたいのが、『1分間瞬読ドリル』。時間をかけたら、誰でも解ける問題を、1問1秒という時間制限付きで行なうことで、脳がフル回転、活性化します。1分間から取り組めるので、スキマ時間で行なうにはぴったりの認知症予防です」、なるほ 「日本人の生活習慣の中で、運動不足も認知症リスクを高める要因の一つです。高齢者の多くが、体を動かす機会が少ないことから、運動不足に陥りがちです。適度な運動は、血流を改善し、脳への酸素供給を促進するため、認知機能の維持に重要です。また、運動はストレスを軽減し、精神的な健康を保つ効果もあります。しかし、日本の高齢者は他国と比較して運動に対する意識が低い傾向にあり、これが認知症リスクを高める一因となっています・・・ 認知症 中冨浩文『脳は何歳からでもよみがえる』(アチーブメント出版) 「脳血管の老化がミクロなレベルで始まっている人は、脳血流が先に落ちます。次的に脳内のシナプスの結びつきである白質の量が減ってくると、脳内のネットワークがダウンしてしまうので、認知機能が落ちてくるという概念が提唱され始めています。 つまり、若い脳を維持するとは、脳のネットワークが円滑になるように、血管を含めて病気を予防したらよいというのが結論」、なるほど。 悪習慣1:自己成長のために何も取り組んでいない 悪習慣2:定期的に運動していない 「成長期に敗戦後の苦境をまともに受けた世代」、敗戦の影響が「認知症発生率」にまで影響しているとは驚きだ。 ダイヤモンド・オンライン 「日本人は、大人になってから一番学ばない国民なのです。 何かを学ぶことは、自分で考える機会が増えるので、一番の認知症予防です」、これでは「日本人が認知症になり易い」のもやむを得ない。 「血糖コントロールが良くない場合には、実際の年齢に比べて平均4歳、脳の老化が進んでいた」、「糖尿病」が「脳の老化」にも影響するとは恐ろしい病気だ。「英国の一般住民対象大規模疫学研究」でも、「前糖尿病の診断の記録がある人(43.3%)の脳年齢は、実際の年齢よりも平均0.5歳高齢と判定された。また、糖尿病患者(3.7%)の脳は、平均2.3歳高齢であった」、この 「英国の一般住民対象大規模疫学研究」はサンプル数が多いだけに、信頼性が高そうだ。 「加齢により体内で酸化反応が起こり、フリーラジカルという攻撃物質ができてくると、脂質、たんぱく、DNAを障害します。これらは結果的に慢性炎症症候群を引き起こすので、老いが進むと言われています。フリーラジカルが増える原因としては、大気汚染、アルコール、電磁波、タバコ、ストレスなどの有害因子が言われています」、なるほど。 中冨浩文氏による「アメリカではアルツハイマー型認知症が半減!日本では減らない驚きの理由」 ヘルスデーニュース「糖尿病で「脳が老化」するリスク…認知症の早期警告サインか【3万人の脳MRIデータで判明】」 山中恵美子氏による「認知症患者が一番多い日本。改善すべき2つの悪習慣」 「OECD加盟国で、人口1000人あたりの認知症患者数が最も多いのは、日本なのです。先進国の平均は1000人あたり14.8人ですが、日本の平均は23.3人と、1.5倍以上。世界一、認知症になりやすい国と言えるかもしれません」、初めて知った。
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積水ハウス事件(その6)(5題:“積水ハウス地面師事件”の犯人は有名デベロッパーの「元財務部長」…犯人の知人が語るその巧妙な詐欺テクニックとは、“積水ハウス地面師事件”はうれしい誤算だった…当初の計画「融資詐欺」が取引総額70億円の「大規模地面師事件」に変貌したワケ、ニセ地主の「ひとこと」で地面師詐欺が発覚…「積水ハウス事件」を間一髪で回避した不動産会社が気が付いた「違和感」、登場人物のほとんどは騙された「被害者」…“地面師事件”の捜査を難航させる「複雑すぎる」手口、「地面師」グループ内での取引先をめぐる [社会]

積水ハウス事件については、本年8月16日に取上げた。今日は、(その6)(5題:“積水ハウス地面師事件”の犯人は有名デベロッパーの「元財務部長」…犯人の知人が語るその巧妙な詐欺テクニックとは、“積水ハウス地面師事件”はうれしい誤算だった…当初の計画「融資詐欺」が取引総額70億円の「大規模地面師事件」に変貌したワケ、ニセ地主の「ひとこと」で地面師詐欺が発覚…「積水ハウス事件」を間一髪で回避した不動産会社が気が付いた「違和感」、登場人物のほとんどは騙された「被害者」…“地面師事件”の捜査を難航させる「複雑すぎる」手口、「地面師」グループ内での取引先をめぐる対立…有名デベロッパーの元財務部長が「積水ハウスなんてちょろい」と言い切ったワケ)である。

先ずは、本年9月25日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの森 功氏による「“積水ハウス地面師事件”の犯人は有名デベロッパーの「元財務部長」…犯人の知人が語るその巧妙な詐欺テクニックとは」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/135551?imp=0
・『ハウスメーカー、デベロッパーとして国内最大手の積水ハウスが、50億円以上ものカネを騙し取られた2018年の「地面師詐欺」事件は、いまも多くの謎に包まれている。15人以上の逮捕者を出す大捕物になったものの、不起訴になった容疑者も多数いて、公判でもすべてが明らかになったとは言い難い。 このたび、事件をモデルにしたドラマ「地面師たち」(原作・新庄耕)の配信がNetflixでスタートし、大反響を呼んでいる。ノンフィクション作家・森功氏の文庫『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』には、ドラマでは描かれなかった数々の知られざる事実が記されており、その内容を10回連続で公開する。 『地面師』連載第6回 『巧妙すぎる手口…業界にその名を轟かす「大物地面師」がターゲットの物件横の「駐車場」を借りた衝撃の理由』より続く』、興味深そうだ。
・『国税局に太いパイプを持つ漢  不動産業界のみならず、企業社会が驚愕した積水ハウスの地面師事件の捜査は、2018年が明けて間もなく開始された。被害総額55億5000万円という大事件だけに、警視庁の捜査は慎重にならざるを得ない。。 警視庁はその捜査ターゲットに小山操を据えた。のちにカミンスカス操として国際手配された小山は、2000年代初頭にマンションデベロッパーとして名を馳せたABCホームの財務部長を務めたこともある。国税当局に太いパイプをもつと自称し、この世界に身を投じたとされる。積水ハウス事件における主役の1人である。事件の内幕に詳しい小山の知人と出会うことができた。 「専門学校、東京音楽アカデミーの扱いを小山に任せたのが、あの北田でした。彼らにとっては、積水ハウスに触手を伸ばす前のいきがけの駄賃のような感覚だったのかもしれません。東京音楽アカデミーの土地は富ヶ谷にあり、マンション用地としてうってつけでもあった。そこで北田や小山は東京音楽アカデミーの代表者のなりすましを仕立て、買い手を探した。そして、うっかり彼らに乗せられた不動産会社に手付金を振り込ませます」 事件の概要をそう明かしてくれた。北田とは、先に紹介した北田文明のことであり、積水ハウス事件でも内田マイクとともにその影が見え隠れしてきた。東京音楽アカデミーを巡る手口は以下の通りだという』、「積水ハウスに触手を伸ばす前のいきがけの駄賃のような感覚だったのかもしれません。東京音楽アカデミーの土地は富ヶ谷にあり、マンション用地としてうってつけでもあった。そこで北田や小山は東京音楽アカデミーの代表者のなりすましを仕立て、買い手を探した。そして、うっかり彼らに乗せられた不動産会社に手付金を振り込ませます」、そんな関連事件があったとは初めて知った。
・『社名を変えて、なりきる  「まず小山は、旧知の不動産業者仲間から名古屋の休眠会社を買い取り、そこの代表に就任しました。それを『東京音楽アカデミー』と社名変更し、都内に音楽アカデミー名義の銀行口座をつくった。銀行は富ヶ谷に近い渋谷駅前支店を選び、いかにもそれらしく見せかけています。そうしておいて、買い手の不動産会社になりすましを紹介し、ニセの口座に売買代金の手付金を振り込ませたのです」 一口に「音楽アカデミー」といっても、その名称のついた通信教育の音楽学校は全国に数多く存在する。なかでも東京にある「東京音楽アカデミー」は、複数あるので紛らわしい。つまり、数ある東京音楽アカデミーのうち、どこが富ヶ谷の地主なのか、そもそもわかりづらいので、勘違いしやすい。 というより北田や小山たちは、そこに目を付けたといえる。休眠会社を買い取って「東京音楽アカデミー」という社名に変更すれば、いかにもそれらしく見える。前述したように通信教育などしていない休眠のペーパー会社なのだが、買い手の不動産業者も、銀行の口座名が同じなのでニセモノだとは疑わない。そうしてまんまと手付金を振り込ませたのだ。再び小山の知人が次のようなエピソードを明かした。 「彼らにしてみたら、積水を手掛ける前なので手持ち資金に困っていたのかもしれません。手付金が振り込まれたすぐあと、小山が渋谷駅前支店のATMに現れ、そこで現金300万円を引き出しています。それが銀行の防犯カメラにばっちり映っており、動かぬ証拠となっているといいますから、刑事も捜査しやすかったのでは……」 警視庁捜査二課は捜査を進めた。東京音楽アカデミーと積水ハウスという二段構えの事件捜査といえる。そして捜査二課は東京音楽アカデミーの捜査を進めながら、そのネタをもったまま本丸の積水ハウス事件に切り込んだ。 10月に入ると、積水ハウス事件における主犯として、元ABCホームの小山操の逮捕状を東京地裁に請求した。もっとも、警視庁が本格捜査に乗り出すまでには、紆余曲折もあった。それは事件の計画・立案者が小山ではなく、内田や北田という大物地面師だったからでもある。 『“積水ハウス地面師事件”はうれしい誤算だった…当初の計画「融資詐欺」が取引総額70億円の「大規模地面師事件」に変貌したワケ』へ続く』、「東京にある「東京音楽アカデミー」は、複数あるので紛らわしい。つまり、数ある東京音楽アカデミーのうち、どこが富ヶ谷の地主なのか、そもそもわかりづらいので、勘違いしやすい。 というより北田や小山たちは、そこに目を付けたといえる。休眠会社を買い取って「東京音楽アカデミー」という社名に変更すれば、いかにもそれらしく見える。前述したように通信教育などしていない休眠のペーパー会社なのだが、買い手の不動産業者も、銀行の口座名が同じなのでニセモノだとは疑わない。そうしてまんまと手付金を振り込ませたのだ」、なるほど。

次に、9月25日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの森 功氏による「“積水ハウス地面師事件”はうれしい誤算だった…当初の計画「融資詐欺」が取引総額70億円の「大規模地面師事件」に変貌したワケ」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/135550?imp=0
・『・・・『地面師』連載第7回 『“積水ハウス地面師事件”の犯人は有名デベロッパーの「元財務部長」…犯人の知人が語るその巧妙な詐欺テクニックとは』より続く』、興味深そうだ。
・『はじめは積水ハウスがターゲットではなかった  実は、積水ハウス事件の計画立案者と目される内田や北田たちは、はじめから積水ハウスを騙そうとしていたわけではないようだ。55億円以上を騙し取った取引総額70億円の大掛かりな売買になるとも、考えていなかったフシがある。 駐車場の契約を使い、海老澤佐妃子の個人情報を得た内田らが次に計画したのは、金融業者からの融資詐欺だった。犯行グループと接点がある先の不動産業者は、そのあたりの事情にもやたら詳しい。 「内田たちはまず、いつものようにニセ海老澤佐妃子を手配しました。ただ、なりすましの出来としてはあまりよくなかったのかもしれません。内田たちは、ニセ佐妃子が取引で矢面に立つとバレてしまうのではないか、と心配したのでしょう。さらに佐妃子の内縁の夫と称する前野という男まで用意し、取引では前野にしゃべらせるようにしたといいます。なりすまし役の手配師は、『池袋の女芸能プロダクション社長』と呼ばれる秋葉紘子です」 秋葉によって佐妃子のなりすまし役に抜擢されたのが羽毛田正美(63)であり、内縁の夫役の前野が常世田吉弘(67)だ。ともに10月16日、逮捕された。 内田たちは当初、銀座のアパレル業者Eを融資の受け皿となるよう誘い込んだ。E社が彼らから犯行計画を知らされていたか、単純に取引に使われただけなのか、そこは判然としない。だが現実にE社は金融業者から融資を引き出すための窓口役として機能した。不動産業者がこう付け加える。 「E社が融資話を持ち込んだ相手が、関西の食肉グループ系の高利貸しでした。年が明けた2017年、ニセ海老澤佐妃子が海喜館を担保に高利貸しから2億円を引き出した」』、「E社が彼らから犯行計画を知らされていたか、単純に取引に使われただけなのか、そこは判然としない。だが現実にE社は金融業者から融資を引き出すための窓口役として機能した。不動産業者がこう付け加える。 「E社が融資話を持ち込んだ相手が、関西の食肉グループ系の高利貸しでした。年が明けた2017年、ニセ海老澤佐妃子が海喜館を担保に高利貸しから2億円を引き出した」、なるほど。
・『融資詐欺をした相手が悪すぎた.  当初の計画は、パスポートや実印を偽造して不動産の所有者になりすまし、融資書類を準備して借金をする融資詐欺である。不動産業者の説明によれば、こうだ。 「ただし、高利貸しもタダモノではありません。2億円は、2倍の4億円にして返す条件だったといいますから、かなり際どい取引でもあります。融資はするが、焦げ付けばE社には強烈な追い込み(取り立て)がかかる。だから内田たちはE社を窓口に融資を受けるにあたり、借金した2億円を元手にして他の詐欺で稼いで返すつもりだった」 つまりまずはなりすましを使った融資詐欺でひと稼ぎした。そこで高利貸しを騙して2億円を借りたものの、相手が悪く4億円を返済しなければならなくなったという話のようだ。そのため内田たちは別の新たな貸し主からもっと大きく資金を引き出そうとしたのだという。海喜館の不動産登記簿を見ても、融資の窓口となったE社や高利貸しは出てこないが、それは初めの段階で足跡を残さないようにするためだったのだろう。 この間の取材で、ニセ海老澤佐妃子の代理人だった弁護士が書き残したとされる〈事実経過報告〉を入手した。そこにはくだんのアパレル業者E社も登場する。 〈E(原文は実名)が、この物件で融資先を捜していた。「50億円から55億円で、形式は融資だが、返済できなければ、売買に変更になることは構わない」という話を小山氏が聞いた。これが平成29年3月くらいのことだった〉』、「ニセ海老澤佐妃子の代理人だった弁護士が書き残したとされる〈事実経過報告〉を入手した。そこにはくだんのアパレル業者E社も登場する。 〈E(原文は実名)が、この物件で融資先を捜していた。「50億円から55億円で、形式は融資だが、返済できなければ、売買に変更になることは構わない」という話を小山氏が聞いた。これが平成29年3月くらいのことだった」、なるほど。
・『地面師詐欺の本格始動  金に困ったE社が小山に相談し、ここから犯行計画が融資から売買に変わっていったという。とどのつまり融資詐欺のようなまどろっこしいことをするより、いっそのこと「売買に変更」してしまおうと発想を切り替えたわけである。それを提案したのは内田や北田ではなく、小山なのだという。 小山の登場により、内田たちの計画した融資詐欺は、売買を前提とした地面師事件に変わっていった。取引を調査してきた不動産業者ははっきりこう言う。 「いわば最初の段階は、マイクや北田たちが仕組んだ融資詐欺で、そこに小山が乗っかってきたのでしょう。高利貸しに金を返すには、手っ取り早くどこかに海喜館を売ってしまえばいい。そこで、ターゲットに選んだのが、積水ハウスだった。小山が積水の担当者と懇意だといい、内田たちに提案して今回の件が計画されていったわけです」 再開発すれば、優に100億円を超える価値になる。五反田の海喜館は、不動産業者のあいだでそう評価されていた。それほどの大きな不動産開発事業となると、積水ハウスクラスの大手デベロッパーが手掛けないと実現できない。それも事実だ。 小山は内田たちに発破をかけ、積水ハウスが犯行グループのターゲットに選ばれたという。そして事態は海老澤佐妃子の入院を待っていたかのように、急展開していく。むろん海喜館の売り先として話を持ち込まれたのは、積水ハウスだけではなかったが、結果的にこの大手デベロッパーが煮え湯を飲まされる。 『ニセ地主の「ひとこと」で地面師詐欺が発覚…「積水ハウス事件」を間一髪で回避した不動産会社が気が付いた「違和感」』へ続く』、「犯行計画が融資から売買に変わっていったという。とどのつまり融資詐欺のようなまどろっこしいことをするより、いっそのこと「売買に変更」してしまおうと発想を切り替えたわけである・・・再開発すれば、優に100億円を超える価値になる。五反田の海喜館は、不動産業者のあいだでそう評価されていた。それほどの大きな不動産開発事業となると、積水ハウスクラスの大手デベロッパーが手掛けないと実現できない。それも事実だ。 小山は内田たちに発破をかけ、積水ハウスが犯行グループのターゲットに選ばれたという・・・結果的にこの大手デベロッパーが煮え湯を飲まされる」、なるほど。

第三に、9月25日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの森 功氏による「ニセ地主の「ひとこと」で地面師詐欺が発覚…「積水ハウス事件」を間一髪で回避した不動産会社が気が付いた「違和感」」を紹介しよう。
・『・・・『地面師』連載第8回 『“積水ハウス地面師事件”はうれしい誤算だった…当初の計画「融資詐欺」が取引総額70億円の「大規模地面師事件」に変貌したワケ』より続く』、興味深そうだ。
・『内部事情にも詳しい地面師たち  「たしか佐妃子さんの入院は4月だと聞きましたけど、地面師たちはそのあたりの内部事情にも詳しかったのでしょう。ちょうどその頃から、僕のところにも海喜館を買いたいという不動産業者が5〜6社、訪ねてきました」 町内会の役員は、記憶の断片をつないでそう語ったが、正確には彼女が入院したのは2月のことだった。実は海老澤佐妃子には、母親の異なる名取弘人、㓛という2人の弟がいる。両親が別れたあと、父親が別の女性に産ませた息子たちだ。つまり2人には旅館の相続権がある。事態に気づいた名取兄弟は2017年の7月、慌てて相続手続きを済ませた。と同時に、地面師一味を相手取り民事訴訟を起こした。 その裁判資料によれば、幽門前庭部に癌を患い、床に伏せっていた海老澤佐妃子の容態が悪化したのは、2017年2月13日のことだという。彼女は急遽、東京・広尾の日本赤十字社医療センター7階の7A病棟702号室に入院した。そこは末期の癌患者に対するケアー病棟で、彼女はすでに延命治療も断っていたものとみられる。 そしてこのあたりから、地面師グループの作成したニセ海老澤佐妃子のパスポートや印鑑証明が、不動産業者に持ち込まれる。町内会の役員は、こうも話した』、「内部事情にも詳しい地面師たち」、驚くほど「内部事情」に通じているようだ。
・『営業マンの会話でニセモノと判明  「ニセ佐妃子さんの写真付きのパスポートのコピーを持ち歩いていた不動産業者は何社かありましたね。ある不動産会社の営業マンたちが手にしていたのは、2008年に作成されたパスポートでした。パスポートの写真を持ってきて『これは海老澤佐妃子さん本人ですか』と確認して歩いていました。またなかには、弁護士事務所の会議室で撮影されたという彼女の写真まで持ちまわって本人かどうか確認してほしいという会社もありました。もちろんそれらの写真は佐妃子さんとはまったく似てない。それで『ぜんぜん違うよ』と言ってやってね。実はそれでおかしいと気づいた業者も多かったんだよ」 町内会の役員は、「ニセ地主を面接した不動産業者までいたんだよ」と次のような裏話までしてくれた。 ある不動産会社は、仮契約寸前までいって、実際、写真の女性とも会った、と言っていました。指示どおり、ビルの会議室に連れて行かれると、佐妃子さんを名乗る女性には、白髪の弁護士と10人ほどのいかつい男が付き添っていたらしい。女性はほとんど口を開かなかったので、その場の会話はなかったみたい。ところが、不動産会社の営業マンが、たまたま帰りのエレベーターで、佐妃子さんを名乗る女性と乗り合わせたようなんだよ、それでねぇ……」 くだんの不動産会社の営業マンが、ニセ海老澤佐妃子の嘘に気付いたきっかけが、エレベーターでの会話だった。以下のようなやり取りをしたという。 「私の田舎の茨城県には、桜のすごく綺麗な場所があるのです。ちょうどこれからが見ごろになるので、たまには田舎に帰ってあの桜が見たいな」』、「エレベーターでの会話」はやはりガードが緩くなりやすいようだ。
・『積水ハウスは見抜けなかった  本物の海老澤佐妃子は五反田の旅館育ちであり、他に故郷はない。このひと言のおかげでくだんの不動産会社は仮契約寸前のところで思いとどまったという。「それでことなきをえたんだよ」と町内会の役員は、こう笑った。 「営業マンが会社に戻ったあとでその話になって、怪しいと気づいたんだ。でも、積水ハウスは違ったんだな」 海喜館の取引は、すでにこの段階で計画した内田らから小山らにバトンが渡されていたものと思われる。そこで小山たちは、手当たり次第に開発できそうな不動産会社に話を持ち込んだ。他の会社は不審に感じて契約までいかなかったようだ。こうして最後に残ったのが、積水ハウスだったのである。 『登場人物のほとんどは騙された「被害者」…“地面師事件”の捜査を難航させる「複雑すぎる」手口』へ続く』、「他の会社は不審に感じて契約までいかなかったようだ。こうして最後に残ったのが、積水ハウスだったのである」、「積水ハウス」としては見っともない限りだ。

第四に、9月25日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの森 功氏による「登場人物のほとんどは騙された「被害者」…“地面師事件”の捜査を難航させる「複雑すぎる」手口」を紹介しよう。
・『・・・『地面師』連載第9回 『ニセ地主の「ひとこと」で地面師詐欺が発覚…「積水ハウス事件」を間一髪で回避した不動産会社が気が付いた「違和感」』より続く」』、興味深そうだ。
・『全員が被害者を主張  海喜館の不動産登記簿で確認すると、そこには小山本人やその関係先とすぐにわかる会社は出てこない。「IKUTA HOLDINGS」という会社が、持ち主の海老澤佐妃子から海喜館を買い取り、積水ハウスに売却を仲介した形になっている。 まずIKUTA社が17年4月24日、ニセの海老澤佐妃子と売買予約という形で所有権移転の仮登記をし、さらに同じ日付で、積水ハウスがIKUTAと売買予約契約を結んでいる。IKUTAが海喜館の売買の仲介窓口として、積水ハウスに売り渡す契約を交わしたわけである。なぜそんな手間を踏んだのか。 地面師詐欺では、はじめに不動産ブローカーや事件師が蠢き、そのあと小さな仲介業者が出てきて実際に開発を手掛ける大手不動産業者に物件を売り渡すパターンが多い。中間業者がいくつも登場するケースも少なくない。最初の不動産ブローカーを含めたそのなかの誰かが、なりすまし犯を仕立て上げる地面師である。 もっともいざ事件として発覚すると、そこにかかわった登場人物の多くは、自分たちもニセ地主だと気づかずに騙された被害者だと主張する。それも捜査が難航する理由だ。登場人物のほとんどは騙された「被害者」…“地面師事件”の捜査を難航させる「複雑すぎる」手口 前述したように、海老澤佐妃子には名取弘人、㓛という異母弟の法定相続人が存在した。佐妃子自身が異母弟の存在を知っていたかどうか、そこはいま一つ定かではないが、2人には海喜館を相続する権利がある。そこへ降って湧いたように起きたのが、今度の事件だ』、「地面師詐欺では、はじめに不動産ブローカーや事件師が蠢き、そのあと小さな仲介業者が出てきて実際に開発を手掛ける大手不動産業者に物件を売り渡すパターンが多い。中間業者がいくつも登場するケースも少なくない。最初の不動産ブローカーを含めたそのなかの誰かが、なりすまし犯を仕立て上げる地面師である。 もっともいざ事件として発覚すると、そこにかかわった登場人物の多くは、自分たちもニセ地主だと気づかずに騙された被害者だと主張する。それも捜査が難航する理由だ」、なるほど。
・『「仮登記抹消」の請求訴訟  繰り返すまでもなく、ニセの海老澤佐妃子と海喜館の売買予約契約を交わし、法務局で登記簿に仮登記したのが、IKUTAである。登記簿上、売買予約を済ませ、取引窓口になったIKUTAは、近藤久美(35)という女社長が代表取締役となっているが、会社のオーナーは生田剛(46)という。この2人もまた、偽造有印私文書行使などの容疑で逮捕された。取引の直接窓口となった中間業者である。 佐妃子の異母弟として海喜館を相続したはずの名取兄弟は、IKUTAに所有権移転の仮登記を外してもらわなければ、海喜館を自由にできない。が、善意の第三者を主張するIKUTA側は、なりすましの事実が判明してなお、「当時はニセ佐妃子が真の所有者だと信じていた」と仮登記の抹消手続きに応じなかった。 そこで名取兄弟は売買予約の「仮登記抹消」の請求訴訟を起こしたのである。訴訟は彼らが逮捕されるまで続いた。もとよりIKUTA側の主張はでたらめだが、現場で何があったか、裁判によりことの経緯を知ることはできる。 この民事裁判資料を参考にしながら、海喜館がいかにして地面師たちの手に落ちたのか、その詳細を追ってみた。 『「地面師」グループ内での取引先をめぐる対立…有名デベロッパーの元財務部長が「積水ハウスなんてちょろい」と言い切ったワケ』へ続く』、「この民事裁判資料を参考にしながら、海喜館がいかにして地面師たちの手に落ちたのか、その詳細を追ってみた」、興味深そうだ。

第五に、9月25日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの森 功氏による「「地面師」グループ内での取引先をめぐる対立…有名デベロッパーの元財務部長が「積水ハウスなんてちょろい」と言い切ったワケ」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/135563?imp=0
・『・・・『地面師』連載第10回 『登場人物のほとんどは騙された「被害者」…“地面師事件”の捜査を難航させる「複雑すぎる」手口』より続く」、興味深そうだ。
・『偽造書類で本人確認  ことは佐妃子が日赤医療センターに入院したひと月後の2017年3月10日にさかのぼる。IKUTA側が作成した準備書面によれば、生田剛は佐妃子の知人を称した木村隆司なる人物から海喜館の件を紹介されたという。その2週間後の3月25日、ニセ佐妃子側の弁護士事務所で最初の打ち合わせが設定された。そこには、佐妃子の体調がすぐれないという理由で、弁護士を加えた3人の代理人が現れた。 「そのうちの1人が、小山だった」 生田自身はそう主張している。つまり、生田は小山のことを事前に知っていたわけではないという。したがってなりすましなどについて承知しているわけがないという理屈である。また生田は、その打ち合わせの場で、小山たちから海老澤佐妃子の委任状を見せられ、すっかり信用したのだと言い張ってきたが、そこはかなり怪しい。 関係者たちの2度目の打ち合わせは、それから1週間ほど後の4月3日だ。日比谷の帝国ホテル一階のロビーラウンジで、小山と小山が連れてきたニセ佐妃子の羽毛田、彼女の内縁の夫と称する前野こと常世田、生田と生田側の弁護士たちが落ち合った。このとき小山たちは偽造したパスポートや印鑑証明を用意していた。 小山はその日のうちに生田を連れ、帝国ホテルから銀座の公証役場に向かい、公証人に偽造書類を使って佐妃子の本人確認をさせた。少なくともこの時点から、生田が海喜館の売買に関する権利を握り、取引の窓口役を担うことになる』、「小山はその日のうちに生田を連れ、帝国ホテルから銀座の公証役場に向かい、公証人に偽造書類を使って佐妃子の本人確認をさせた。少なくともこの時点から、生田が海喜館の売買に関する権利を握り、取引の窓口役を担うことになる」、手際が余りに良過ぎ、プロの手口だ。
・『積水ハウスはちょろい  裁判資料によれば、このときはまだ積水ハウス以外の不動産業者も海喜館の取引に乗り気だったという。が、10日後の4月13日には、他の業者が手を引いたとしている。町内会役員たちの話とつき合わせれば、この10日間のあいだに不動産業者に声をかけていき、残ったのが積水ハウスだったという結果なのだろう。 「実は当初、マイクたちは積水ハウスのような大企業が話に乗ってくるわけがない、とむしろ慎重だったそうです。それを説き伏せたのが小山でした」 この間の出来事について、地面師グループと親しい事業家はそう話した。くだんの事業家が聞いたという彼らのやりとりはこうだ。 「積水みたいな上場企業じゃなく、別をあたってみたらどうか」 歴戦の内田が、小山を頭ごなしに止めようとした。すると小山は笑いながら反論した。 「いやいや、積水なんてちょろいもんです。マイクさんは知らないだろうけど」内田が言った。 「上場企業はそれなりの体制があるから、取引の審査が厳しい。無理だろう」 そう言われてもなお、小山は食い下がった。 いやいや、マイクさんは街の不動産屋しか知らないから、融資詐欺みたいなしょぼい発想しかできないのと違いますか。俺は積水の人間も知っているからね」 その場にいた犯行グループのメンバーは、あの内田マイクにそこまで言い切る小山に対し、目を白黒させたという。だが、結局、小山が押し切った』、
「小山」の自信はどこから来るものなのだろう。
・『とんとん拍子に話は進む  もっとも実際に積水ハウスの担当者と懇意だったのは、小山ではなく生田だった。くだんの裁判資料には、生田は以前から解体事業などで積水ハウスの営業担当部長代理と知り合っていた、とも記されている。 4月13日、その部長代理を通じ、小山らはシャーウッド住宅支店に出向き、上司である部長の決裁を仰いだ。シャーウッド支店は木造建築を扱う部署であり、マンション事業部門ではないが、当日はたまたま部長がそこにいたからだという。部長はすんなり取引を決め、ここから取引がとんとん拍子に進むことになる』、(「小山」)「生田は以前から解体事業などで積水ハウスの営業担当部長代理と知り合っていた」、よほど親しいのだろう。
タグ:森 功氏による「「地面師」グループ内での取引先をめぐる対立…有名デベロッパーの元財務部長が「積水ハウスなんてちょろい」と言い切ったワケ」 「小山」の自信はどこから来るものなのだろう。 (「小山」)「生田は以前から解体事業などで積水ハウスの営業担当部長代理と知り合っていた」、よほど親しいのだろう。 「E社が彼らから犯行計画を知らされていたか、単純に取引に使われただけなのか、そこは判然としない。だが現実にE社は金融業者から融資を引き出すための窓口役として機能した。不動産業者がこう付け加える。 「E社が融資話を持ち込んだ相手が、関西の食肉グループ系の高利貸しでした。年が明けた2017年、ニセ海老澤佐妃子が海喜館を担保に高利貸しから2億円を引き出した」、なるほど。 森 功氏による「ニセ地主の「ひとこと」で地面師詐欺が発覚…「積水ハウス事件」を間一髪で回避した不動産会社が気が付いた「違和感」」 「エレベーターでの会話」はやはりガードが緩くなりやすいようだ。 小山は内田たちに発破をかけ、積水ハウスが犯行グループのターゲットに選ばれたという・・・結果的にこの大手デベロッパーが煮え湯を飲まされる」、なるほど。 森 功氏による「“積水ハウス地面師事件”の犯人は有名デベロッパーの「元財務部長」…犯人の知人が語るその巧妙な詐欺テクニックとは」 森 功氏による「“積水ハウス地面師事件”はうれしい誤算だった…当初の計画「融資詐欺」が取引総額70億円の「大規模地面師事件」に変貌したワケ」 「地面師詐欺では、はじめに不動産ブローカーや事件師が蠢き、そのあと小さな仲介業者が出てきて実際に開発を手掛ける大手不動産業者に物件を売り渡すパターンが多い。中間業者がいくつも登場するケースも少なくない。最初の不動産ブローカーを含めたそのなかの誰かが、なりすまし犯を仕立て上げる地面師である。 「東京にある「東京音楽アカデミー」は、複数あるので紛らわしい。つまり、数ある東京音楽アカデミーのうち、どこが富ヶ谷の地主なのか、そもそもわかりづらいので、勘違いしやすい。 というより北田や小山たちは、そこに目を付けたといえる。休眠会社を買い取って「東京音楽アカデミー」という社名に変更すれば、いかにもそれらしく見える。前述したように通信教育などしていない休眠のペーパー会社なのだが、買い手の不動産業者も、銀行の口座名が同じなのでニセモノだとは疑わない。そうしてまんまと手付金を振り込ませたのだ」、なるほど。 ドラマ「地面師たち」(原作・新庄耕)の配信がNetflixで 「積水ハウスに触手を伸ばす前のいきがけの駄賃のような感覚だったのかもしれません。東京音楽アカデミーの土地は富ヶ谷にあり、マンション用地としてうってつけでもあった。そこで北田や小山は東京音楽アカデミーの代表者のなりすましを仕立て、買い手を探した。そして、うっかり彼らに乗せられた不動産会社に手付金を振り込ませます」、そんな関連事件があったとは初めて知った。 もっともいざ事件として発覚すると、そこにかかわった登場人物の多くは、自分たちもニセ地主だと気づかずに騙された被害者だと主張する。それも捜査が難航する理由だ」、なるほど。 森 功氏による「登場人物のほとんどは騙された「被害者」…“地面師事件”の捜査を難航させる「複雑すぎる」手口」 「他の会社は不審に感じて契約までいかなかったようだ。こうして最後に残ったのが、積水ハウスだったのである」、「積水ハウス」としては見っともない限りだ。 「内部事情にも詳しい地面師たち」、驚くほど「内部事情」に通じているようだ。 現代ビジネス 「この民事裁判資料を参考にしながら、海喜館がいかにして地面師たちの手に落ちたのか、その詳細を追ってみた」、興味深そうだ。 (その6)(5題:“積水ハウス地面師事件”の犯人は有名デベロッパーの「元財務部長」…犯人の知人が語るその巧妙な詐欺テクニックとは、“積水ハウス地面師事件”はうれしい誤算だった…当初の計画「融資詐欺」が取引総額70億円の「大規模地面師事件」に変貌したワケ、ニセ地主の「ひとこと」で地面師詐欺が発覚…「積水ハウス事件」を間一髪で回避した不動産会社が気が付いた「違和感」、登場人物のほとんどは騙された「被害者」…“地面師事件”の捜査を難航させる「複雑すぎる」手口、「地面師」グループ内での取引先をめぐる 積水ハウス事件 「小山はその日のうちに生田を連れ、帝国ホテルから銀座の公証役場に向かい、公証人に偽造書類を使って佐妃子の本人確認をさせた。少なくともこの時点から、生田が海喜館の売買に関する権利を握り、取引の窓口役を担うことになる」、手際が余りに良過ぎ、プロの手口だ。 「犯行計画が融資から売買に変わっていったという。とどのつまり融資詐欺のようなまどろっこしいことをするより、いっそのこと「売買に変更」してしまおうと発想を切り替えたわけである・・・再開発すれば、優に100億円を超える価値になる。五反田の海喜館は、不動産業者のあいだでそう評価されていた。それほどの大きな不動産開発事業となると、積水ハウスクラスの大手デベロッパーが手掛けないと実現できない。それも事実だ。 「ニセ海老澤佐妃子の代理人だった弁護士が書き残したとされる〈事実経過報告〉を入手した。そこにはくだんのアパレル業者E社も登場する。 〈E(原文は実名)が、この物件で融資先を捜していた。「50億円から55億円で、形式は融資だが、返済できなければ、売買に変更になることは構わない」という話を小山氏が聞いた。これが平成29年3月くらいのことだった」、なるほど。
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日中関係(その8)(「反日テロ」の時代がついに引き起こした深圳日本人学校児童刺殺…いま中国で渦巻く「不満と怨念」 続発する「反日乱行」の異常事態、中国の開き直りに唖然…「日本人男児死亡事件」のごまかしを許さない たった一つの“切り札”とは、《中国・10歳男子刺殺事件》借金苦でブラックリスト入り…前科2犯・鍾容疑者44歳が育んだ「日本人に対する歪んだ憎悪」) [外交]

日中関係については、本年7月19日に取上げた。今日は、(その8)(「反日テロ」の時代がついに引き起こした深圳日本人学校児童刺殺…いま中国で渦巻く「不満と怨念」 続発する「反日乱行」の異常事態、中国の開き直りに唖然…「日本人男児死亡事件」のごまかしを許さない たった一つの“切り札”とは、《中国・10歳男子刺殺事件》借金苦でブラックリスト入り…前科2犯・鍾容疑者44歳が育んだ「日本人に対する歪んだ憎悪」)である。

先ずは、本年9月22日付け現代ビジネスが掲載した評論家の石 平氏による「「反日テロ」の時代がついに引き起こした深圳日本人学校児童刺殺…いま中国で渦巻く「不満と怨念」、続発する「反日乱行」の異常事態」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/137920?imp=0
・『▽深圳刺殺事件、この5カ月で3件目の凶行(9月18日、中国大都会の深圳市で、通学中の10歳の日本人学校の児童が男に凶器で刺されて死亡したという痛ましい事件が起きた。 凶行に及んだ男の動機は「不明」とされており、中国当局は永遠にそれを開示しないと思われる。だが、この9月18日という日は、満洲事変の発端となった「柳条湖事件」発生の日で、中国政府が大いに喧騒している「反日記念日」である。この日の犯行が、日本人を狙った確信犯的な性格を持つものであることは明々白々である。 周知のように、6月28日、江蘇省蘇州でも類似する凶悪事件が起きた。一人の男が凶器を手にして日本人学校のスクールバスを狙って危害を及ぼうそうとしたところ、バスに同乗の中国人スタッフが阻止。しかし、中国人女性は不幸にも刺されて死亡。子供を迎えに来た日本人母と子の2人も負傷した。 また、今年4月、同じ蘇州でも日本人旅行者が何者に刺されて負傷した事件があった。 このようにして、今年春に入ってからの5ヶ月間で、日本人が中国で凶悪犯に襲われる事件が3件も起き、2人の人間の尊い命が奪われた。これは、日中国交正常化以来初めての異常事態の発生であり、中国在留の日本人の安全を大いに脅かすような未曾有の「新局面」の出現である』、「9月18日という日は、満洲事変の発端となった「柳条湖事件」発生の日で、中国政府が大いに喧騒している「反日記念日」である。この日の犯行が、日本人を狙った確信犯的な性格を持つものであることは明々白々である・・・6月28日、江蘇省蘇州でも類似する凶悪事件が起きた。一人の男が凶器を手にして日本人学校のスクールバスを狙って危害を及ぼうそうとしたところ、バスに同乗の中国人スタッフが阻止。しかし、中国人女性は不幸にも刺されて死亡。子供を迎えに来た日本人母と子の2人も負傷した。 また、今年4月、同じ蘇州でも日本人旅行者が何者に刺されて負傷した事件があった。 このようにして、今年春に入ってからの5ヶ月間で、日本人が中国で凶悪犯に襲われる事件が3件も起き、2人の人間の尊い命が奪われた。これは、日中国交正常化以来初めての異常事態の発生であり、中国在留の日本人の安全を大いに脅かすような未曾有の「新局面」の出現である」、なるほど。
・『日本国内でも中国人の反日乱行続発  そしてその一方で、中国人が国境を超えて日本にやってきて広い意味での「テロ行為」を展開する事件が同時期に多発している。 5月31日、中国国内からやってきた中国人男性が、日本在住の中国人と共謀して、靖国神社の石柱に赤いスプレーで「Toilet(トイレ)」と書き、さらに放尿する行為に及んだ。主犯の男は犯行後に早速に中国に逃げ帰ったが、共犯の中国人は後に警視庁によって逮捕された。 8月19日未明、またもや中国人による靖国神社標的の犯罪行為が行われた。前回の事件の標的となった石柱に、今度は、黒いフェルトペンのようなもので、漢字で「厠所」といった、トイレを意味する中国語に似た字など複数の文字が書かれていたことが発見された。犯人は犯行後にはSNSで落書きの画像を投稿し、翌19日に中国に向けて出国したという。 そしてこの同じ8月19日、NHKの国際放送番組で、中国籍の契約キャスターが突如、原稿とは無関係の日本攻撃の妄言・暴言を22秒にもわたって放ち、日本の公共放送を乗っ取っての「言論テロ」を行った。 このように、5月末からのわずか数ヶ月間、中国人たちは中国国内で日本人に対するテロ的犯行を頻繁に行う一方、日本国内でも彼らはいっせいに、日本に対する様々な攻撃行為を展開している。 これはかつて見たことのない、全く新しい「危機的な局面」の出現である。そして、中国人の日本に対する様々な「テロ行為」が、これから頻繁に起こっていく恐ろしい時代の幕開けであるとも捉えられる』、「5月31日、中国国内からやってきた中国人男性が、日本在住の中国人と共謀して、靖国神社の石柱に赤いスプレーで「Toilet(トイレ)」と書き、さらに放尿する行為に及んだ。主犯の男は犯行後に早速に中国に逃げ帰ったが、共犯の中国人は後に警視庁によって逮捕された。 8月19日未明、またもや中国人による靖国神社標的の犯罪行為が行われた。前回の事件の標的となった石柱に、今度は、黒いフェルトペンのようなもので、漢字で「厠所」といった、トイレを意味する中国語に似た字など複数の文字が書かれていたことが発見された。犯人は犯行後にはSNSで落書きの画像を投稿し、翌19日に中国に向けて出国したという。 そしてこの同じ8月19日、NHKの国際放送番組で、中国籍の契約キャスターが突如、原稿とは無関係の日本攻撃の妄言・暴言を22秒にもわたって放ち、日本の公共放送を乗っ取っての「言論テロ」を行った。 このように、5月末からのわずか数ヶ月間、中国人たちは中国国内で日本人に対するテロ的犯行を頻繁に行う一方、日本国内でも彼らはいっせいに、日本に対する様々な攻撃行為を展開している。 これはかつて見たことのない、全く新しい「危機的な局面」の出現である』、「これはかつて見たことのない、全く新しい「危機的な局面」の出現である。そして、中国人の日本に対する様々な「テロ行為」が、これから頻繁に起こっていく恐ろしい時代の幕開けであるとも捉えられる」、なるほど。
・『深圳凶行犯人は江沢民の反日教育世代  このような状況が生じてくる背景にあるのはまず、中国共産党政権が長年に行ってきた反日洗脳教育である。 1989年の天安門事件後に成立した江沢民政権は、若者たちを虐殺したことへの国民の恨みをよその「敵」へと転化していくために、そして事件で失われた共産党政権の求心力を取り戻すために、愛国主義教育とセットした反日洗脳教育を国家的プロジェクトとして全力的に進めた。以来の35年間、中国では根強い反日感情を植え付けられた「反日世代」が生まれた。深圳での日本人児童殺害の犯人は44歳だと発表されているが、天安門事件では9歳、まさに反日教育の中で育った典型的な「反日世代」である。 反日教育の効果が大々的に現れたのは、2005年に中国でおきた全国規模の反日デモ、そしてデモがやがて群衆的な反日暴動にエスカレートした。 2008年の四川大地震で、日本が官民を挙げて震災地を大いに支援したことで、そしてその後、中国人観光客が大勢日本にやってきて日本の実態をその目で見たことで、中国人の反日感情は幾分薄まった時期もある』、「愛国主義教育とセットした反日洗脳教育を国家的プロジェクトとして全力的に進めた。以来の35年間、中国では根強い反日感情を植え付けられた「反日世代」が生まれた。深圳での日本人児童殺害の犯人は44歳だと発表されているが、天安門事件では9歳、まさに反日教育の中で育った典型的な「反日世代」である・・・2008年の四川大地震で、日本が官民を挙げて震災地を大いに支援したことで、そしてその後、中国人観光客が大勢日本にやってきて日本の実態をその目で見たことで、中国人の反日感情は幾分薄まった時期もある」、なるほど。
・『「日本と日本人には何をしてもいい」  しかし2012年から始まった今の習近平政権下では、反米・反日が中国外交の基本戦略となり、好戦的な「戦狼外交」が基本姿勢となっている中で、反日教育と反日宣伝は以前よりも増して盛んになり、「日本敵視」「日本憎悪」が中国社会に蔓延して社会心理の底流となっている。 そしてこの数年間、習近平政権はまた、日本の福島処理水を「核汚染」だと決めづけて日本を徹底的に攻撃し、中国人の反日感情と日本憎悪をさらに強め、新たな反日ブームを作り出した。 こうした中で、中国の「戦狼外交官」たちがいっせいに日本に対する攻撃・恫喝を始めた。その典型例は今年5月20日、中国の呉江浩駐日大使が、台湾問題などとの関連で、「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言したことがあるが、それは中国人の反日感情をより一層刺激するだけでなく、「日本人をぶっ殺しても良い」との暗示的なメッセージを送ることとなった。 この発言の直後の6月に蘇州で日本人母子襲撃事件が起きたのも、今回の殺人事件が起きたのも、決して偶然ではない。まさにこの一連の流れの中で起きたものである。 そして今年になって「反日テロ」が集中的に起きたことの背景にはもう一つの要素がある。近年で起きた中国経済崩壊・大恐慌の中で失業が広がり、貧困層・中間層は生活が破壊されて社会的不満と怨念が高まった中で、こうした不満と怨念を「愛国無罪」を盾に、日本人に向かって発散するのが流行りとなってきている状況である』、「今の習近平政権下では、反米・反日が中国外交の基本戦略となり、好戦的な「戦狼外交」が基本姿勢となっている中で、反日教育と反日宣伝は以前よりも増して盛んになり、「日本敵視」「日本憎悪」が中国社会に蔓延して社会心理の底流となっている。 そしてこの数年間、習近平政権はまた、日本の福島処理水を「核汚染」だと決めづけて日本を徹底的に攻撃し、中国人の反日感情と日本憎悪をさらに強め、新たな反日ブームを作り出した。 こうした中で、中国の「戦狼外交官」たちがいっせいに日本に対する攻撃・恫喝を始めた。その典型例は今年5月20日、中国の呉江浩駐日大使が、台湾問題などとの関連で、「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言したことがあるが、それは中国人の反日感情をより一層刺激するだけでなく、「日本人をぶっ殺しても良い」との暗示的なメッセージを送ることとなった・・・近年で起きた中国経済崩壊・大恐慌の中で失業が広がり、貧困層・中間層は生活が破壊されて社会的不満と怨念が高まった中で、こうした不満と怨念を「愛国無罪」を盾に、日本人に向かって発散するのが流行りとなってきている状況である」、なるほど。
・『中国政府は「反日テロ行為」を容認した  このような状況は今後も続くのかとなると、残念ながら答えはやはりYesである。第一に、中国政府には再発防止に取り込むつもりは全くないこと。19日、中国外務省報道官は事件について、「どこの国でも起こりうること」だと強弁したが、その言わんとするところは要するに、「どこの国でも起こりうることだから中国政府の責任ではない」ということだ。 その一方、報道官は亡くなった日本人学校の男子に対して「追悼」の意を表しながらも、犯行自体を非難する言葉は一つも出なかった。政府の意向の忖度に長ける中国人からすれば、それは要するに、中国政府は本心においてはこうした「反日テロ行為」を基本的に容認しているということになっている。 さらに言えば、反日感情が多くの中国国民に蔓延している状況が根底にある以上、経済崩壊に伴う社会的不安の拡大は今後も続くから、そういう構造的な問題に変化がない限り、日本人に対する色な形でのテロ行為は今後も絶えることはないと断言できよう。 こうした中で中国在住の日本人の安全をどう守るかは大きな課題となっているが、中国国内では、どこから起きてくるか全く予測もできない散発的な「反日テロ」に対して満足な防備策はやはり無理。中国で生活している約10万人の日本人とその家族手たちが大使館員のように全く閉鎖された環境の中で暮らすことはできない。「街に出れば危険がある」というのは今後の現状である。 したがって、今にすでに始まった「反日テロの時代」においては、中国在住日本人の安全を守る唯一の最善策とは、日本人全員がこの「テロ国家」から引き上げることである』、「反日感情が多くの中国国民に蔓延している状況が根底にある以上、経済崩壊に伴う社会的不安の拡大は今後も続くから、そういう構造的な問題に変化がない限り、日本人に対する色な形でのテロ行為は今後も絶えることはないと断言できよう・・・すでに始まった「反日テロの時代」においては、中国在住日本人の安全を守る唯一の最善策とは、日本人全員がこの「テロ国家」から引き上げることである』、その通りだ。

次に、
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電気自動車(EV)(その15)(ニデック(上)在籍2年のソニーグループ出身・岸田光哉副社長を社長に起用した理由、ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた、真逆じゃん!「シャープのEV」と「ソニーのEV」比べてわかった歴然の違い) [産業動向]

電気自動車(EV)については、本年3月31日に取上げた。今日は、その(15)(ニデック(上)在籍2年のソニーグループ出身・岸田光哉副社長を社長に起用した理由、ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた、真逆じゃん!「シャープのEV」と「ソニーのEV」比べてわかった歴然の違い)である。

先ずは、本年4月10日付け日刊ゲンダイが掲載した経済ジャーナリストの有森隆氏による「ニデック(上)在籍2年のソニーグループ出身・岸田光哉副社長を社長に起用した理由」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/338681
・『ニデックの長年の課題だった後継者問題は決着するのだろうか。2月14日、4月1日付で副社長の岸田光哉(64)が社長に就く人事を発表した。最高経営責任者(CEO)の座も、創業者の永守重信(79)から岸田に譲る。 永守は今後も代表権を持ち、新設されたグローバルグループ代表として成長の要となるM&A(合併・買収)を主導する。 永守の番頭を自任する社長の小部博志(75)は代表権のない会長になった。後継者問題は今度こそ決着を見るのか。 永守は1973年、プレハブ小屋で日本電産(現ニデック)を4人で創業。これまで70件以上のM&Aを重ね、売上高2兆2000億円、グループ社員数10万7000人の大企業に育て上げたカリスマ経営者だ。 それでも80歳を目前にした永守の後継者選びは迷走した。内部からの昇格ではなく、外部から優秀な経営者を招くことにこだわった。2013年のカルソニックカンセイ(現マレリ)元社長の呉文精に始まり、シャープ元社長の片山幹雄、日産自動車出身の吉本浩之を次々と招聘してきたが、いずれもお眼鏡にかなわず、社を去った。) 特に日産自動車の元副COO(最高執行責任者)関潤(62)については、社長に加えてCEO職も譲ったことから本命とみられていたが、永守が首を縦に振ることはなく、22年に退任した。 創業期からの補佐役の小部がショートリリーフとして社長を務めたが、世代交代が進まない状況を不安視する声が社内外から強まっていた。 日本電産からニデックに社名変更した23年4月1日、5人の副社長を指名。このうちの1人を1年後の24年4月に社長に昇格させることになった。 副社長になったのはプロパー社員ではない。全員が中途入社組。北尾宣久(12年入社)と西本達也(同09年)は三井住友銀行出身。大塚俊之(同04年)は埼玉銀行(現りそな銀行)出身。小関敏彦(同18年)は東京大学の副学長を務めた研究者で、永守が理事長を務める京都先端科学大学の副学長に納まっている。 ソニー(現ソニーグループ=G)出身の岸田は、日本電産への入社が22年1月で、社歴は5人の中で最も短い。 選ばれたのは在籍が2年余という岸田だった。岸田は香川県出身で、京都大学教育学部卒業後、83年ソニー入社。生産本部長やスマートフォンの事業子会社の社長などを歴任。赤字だったスマホ事業の立て直しで辣腕を振るった。日本電産に入社すると不振が続く車載事業の本部長として再建にあたってきた。 一流企業のエリートを引っ張ってきて後継候補に据えるという手法は、これまでのやり方とまったく変わらない。 「真の生え抜き社長が誕生するのは早くて4年後。岸田の次の社長候補として、28年にはプロパーの社長候補が出てくる。次を担えそうな人材を早く育てていきたい」と永守は今後の展望を語る。 昨年3月の時点では「新体制発表に伴って代表権を返上する」と言明していたが、この約束を完全に反故にし、永守は代表権を持ち続けることになった。これではニデックの表紙はまったく変わらないことになる。「海外のM&Aには代表権が必要」というのが代表権を持ち続ける理由だが、説得力に乏しい。ニデックのドン、永守体制は不変なのだ。 「業績を上げてくれ。株価を上げてくれ。言いたいことはそれだけだ」としているが、思い通りにいかなければ、いつでも強権を発動できる。 業績&株価という2つの課題を達成できなければ、前任者たちと同じで、あっさり見切りをつけられることになる。 =敬称略、つづく』、「80歳を目前にした永守の後継者選びは迷走した。内部からの昇格ではなく、外部から優秀な経営者を招くことにこだわった。2013年のカルソニックカンセイ(現マレリ)元社長の呉文精に始まり、シャープ元社長の片山幹雄、日産自動車出身の吉本浩之を次々と招聘してきたが、いずれもお眼鏡にかなわず、社を去った。) 特に日産自動車の元副COO(最高執行責任者)関潤(62)については、社長に加えてCEO職も譲ったことから本命とみられていたが、永守が首を縦に振ることはなく、22年に退任・・・ニデックに社名変更した23年4月1日、5人の副社長を指名。このうちの1人を1年後の24年4月に社長に昇格させることになった。 副社長になったのはプロパー社員ではない。全員が中途入社組。北尾宣久(12年入社)と西本達也(同09年)は三井住友銀行出身。大塚俊之(同04年)は埼玉銀行(現りそな銀行)出身。小関敏彦(同18年)は東京大学の副学長を務めた研究者で、永守が理事長を務める京都先端科学大学の副学長に納まっている。 ソニー(現ソニーグループ=G)出身の岸田は、日本電産への入社が22年1月で、社歴は5人の中で最も短い。 選ばれたのは在籍が2年余という岸田だった。岸田は香川県出身で、京都大学教育学部卒業後、83年ソニー入社。生産本部長やスマートフォンの事業子会社の社長などを歴任。赤字だったスマホ事業の立て直しで辣腕を振るった。日本電産に入社すると不振が続く車載事業の本部長として再建にあたってきた。 一流企業のエリートを引っ張ってきて後継候補に据えるという手法は、これまでのやり方とまったく変わらない。 「真の生え抜き社長が誕生するのは早くて4年後。岸田の次の社長候補として、28年にはプロパーの社長候補が出てくる。次を担えそうな人材を早く育てていきたい」と永守は今後の展望を語る。 昨年3月の時点では「新体制発表に伴って代表権を返上する」と言明していたが、この約束を完全に反故にし、永守は代表権を持ち続けることになった」、今度は「代表権を持ち続ける」ので、余り変わりばえしないようだ。

次に、4月11日付け日刊ゲンダイが掲載した経済ジャーナリストの有森隆氏による「ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/338733
・『永守重信グローバルグループ代表の現状を一言で言うなら、カリスマ経営者が自動車メーカーのEV(電気自動車)シフトを読み違えて大きくつまずいたということだろう。 1月24日に2024年3月期の第3四半期決算(国際会計基準)を発表。これに併せて24年3月期通期の売上高を2兆3000億円(前期比2.5%増)と従来計画比1000億円上方修正する一方、営業利益は同400億円減の1800億円(同80.1%増)、純利益は同300億円減の1350億円(同3倍増)に下方修正した。2年ぶりに最高益を更新することもなくなった。 (EV向けの 電動) 駆動部品「イーアクスル」事業が振るわず、450億円の構造改革費用を計上することが利益を下方修正した原因だ。中国のEV市場の価格競争が激化し、同社が主力とする高性能品では採算を取ることが難しく、同事業は赤字が続いている。 第3四半期での下方修正は2年連続だ。ちょうど1年前に23年3月期の業績見通しを営業利益で1000億円、当期利益で1050億円下方修正した。) 昨年、創業50周年を迎え、4月には社名を日本電産からニデックに変更した。大きな節目を前に、経営が岐路に立っていることを数字が物語っていた。 創業者の永守重信会長の怒りは凄まじかった。 「外部からみえた方々(前経営陣を指す)が非常に好き放題の経営をやられて、大きな負の遺産を作って去っていった。それにより生じたゴミを今期中に全てきれいにする」 決算の大幅な下方修正に踏み切った原因を前社長の関潤など外部から登用した幹部に押し付けた格好だ。 永守はEV向け 電動駆動装置「イーアクスル」事業の戦略を従来のシェア重視から収益重視に転換した。営業利益1000億円の下方修正は「一過性の出来事だと思ってよい。来期(24年3月期)は成長していく。特に大きく転換するのが車載事業だ。500億円の構造改革費を計上したイーアクスルは来期は確実に利益が出るようになる」と自信満々に語っていた。 ところが、永守の読みは大きく外れた。全てのイーアクスル製品が営業赤字。それだけでは済まず、同事業で再び構造改革(450億円を再計上)を余儀なくされた。) 今回の下方修正により、通期の売上高営業利益率の予想は修正前の10%から7.8%まで低下する。永守はかねて「営業利益率が10%を下回る事業は赤字だ」と語ってきた。イーアクスル事業が会社全体の足を引っ張るほどの不調ぶりであることが浮き彫りになった。 車載事業を統括し、EV向けイーアクスル事業を担当する岸田を、「社歴2年にすぎない。大丈夫なのか」と不安視する声があることを承知の上で社長に起用した。 これまでの永守は、自分は最終責任を負わず、「任せたよ」と言って社長にした人物に全責任を押し付けてきた。だが、もう、そんな逃げ道はない。 30年度に売上高10兆円という壮大な目標を掲げている。車載事業で高水準の世界シェアを取る必要がある。 「ソニー出身の岸田を後継社長に指名したのは、ソニーとホンダが共同開発しているEVとの連携を考えているからかもしれない。ソニー・ホンダが、はたしてニデックの技術を高く評価しているのかどうかだ。越えなければならないハードルは高くて遠い」(証券アナリスト)) 創業者は焦っている。株価(4月9日終値6157円)を昨年高値の8706円(23年7月24日)に戻すことだ。客観的に見て、経営者(=永守)の信用が失墜してしまった今は、この目標の達成はかなり難しい。 会員制情報誌は「岸田はイーアクスルの後始末のために据えたのではないか」との外部の声を拾っているが、永守の胸の内は誰も知らない。=敬称略』、「これまでの永守は、自分は最終責任を負わず、「任せたよ」と言って社長にした人物に全責任を押し付けてきた。だが、もう、そんな逃げ道はない。 30年度に売上高10兆円という壮大な目標を掲げている。車載事業で高水準の世界シェアを取る必要がある」、「逃げ道」を失った「永守」は、目標が達成できなかった場合、どう言い訳をするのだろう。

第三に、9月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「真逆じゃん!「シャープのEV」と「ソニーのEV」比べてわかった歴然の違い」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/350744
・『9月17日、家電大手のシャープが親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業と組んで開発するEVの試作車を発表しました。家電メーカーの自動車業界への参入という点では、ホンダと合弁企業をつくったソニーが先行しています。「シャープ×鴻海」と「ホンダ×ソニー」両者のEVの開発コンセプトは真逆です。どちらが未来を見据えているのでしょうか? ▽シャープのEV、ソニーのEV 比べて分かった歴然の違い(家電大手のシャープが9月17日、親会社の鴻海精密工業と組んで開発するEVの試作車を発表しました。 ミニバンタイプの車で名称は「LDK+(エルディーケープラス)」というのですが、この名称には自宅のリビングの拡張空間という意味合いがあるそうです。 近年、家電メーカーやスマホメーカーが自動車業界に参入するという動きが強まっています。 中国ではスマホ大手のシャオミが発売するEVのスポーツカーが売れています。鴻海はEV事業についてはMIHというコンソーシアムを立ち上げ、EVのプラットフォームを提供するビジネスモデルでこの領域に参入しています。 鴻海のプラットフォームは、すでに台湾の自動車メーカーがこれを活用したEVを発売しています。シャープについてもこのプラットフォームを活用し、車のインテリア部分の開発がシャープ、車台(プラットフォーム)と製造を鴻海が担当することになりそうです。 さて、同じく家電メーカーの参入という点では、ホンダと合弁企業「ソニー・ホンダモビリティ」をつくったソニーが先行しています。 2025年に高級車アフィーラの受注を始める計画で、車のプラットフォームはホンダのEVと共通化、先進運転支援システムもホンダが提供し、車内を「感動空間」にする役割をソニーが担当しています。 両社の動きを眺めると非常に興味深いのが、ふたつの陣営で開発コンセプトが真逆だという点です。3つの視点でその違いを比較してみたいと思います』、「ふたつの陣営で開発コンセプトが真逆だ」、とは興味深そうだ。
・『違い1 外見重視か居住性重視か?  今回発表されたシャープのLDK+はワンボックスカーです。未来的な外観デザインではありますが、形は四角い箱で、雰囲気は業務用の商用車そのものです。 一方で、これまで何回かメディアの前で披露されてきたソニーの試作車はどれもスポーティーな外観のデザインでした。 どちらが売れそうかというとソニーですが、どちらが発想が突き抜けて新しいかというとシャープだと思います。というのも、シャープのLDK+のコンセプトは「居住性」に振り切っているからです。 車内でガンガン音楽をかけながら夜のハイウェイを疾走するならソニーのほうが断然イケているのでしょう。ただ、乗り心地だけを考えると、外見がイケてなくても真四角の直方体の方が居住性は断然いいものです。 これは旧来のクラウンのタクシーと、最近主流の箱型のジャパンタクシーのどちらの居住性がいいかを思い浮かべていただけると実感できるのではないでしょうか。 車を流線形にするか箱型にするか?これは未来の車がどのような使われ方をするかを想像する視点の違いで考えが分かれます。少なくともソニーとシャープはこの視点がはっきりと別方向に分かれている点が面白いのです』、「車を流線形にするか箱型にするか?これは未来の車がどのような使われ方をするかを想像する視点の違いで考えが分かれます」、なるほど。
・『違い2 先進国市場か中国アジア市場か?  実際に発売される時期が近付いているソニー・ホンダと、まだコンセプトカー段階のシャープを比較するのは若干早計かもしれませんが、両者のコンセプトを比較すると想定している市場がどうやら違いそうです。 ソニーの場合、2026年に日米欧の先進国でのユーザーをターゲットにした売り方を想定しているように感じます。 ソニーが提供する車内空間での「感動」の一例としては、先ごろ世界10万局のラジオを聴くことができるアメリカのTuneIn(チューンイン)というサービスを採用することを発表しました。 ソニーの強みを考えると、今後、ソニーグループの音楽、映画、ゲームなどとの連携に加えて、スマートスピーカーを通じたAIサービスなどが搭載されることが予想されます。あくまでイメージですが、アマゾンが提供するオーディブルのような音声読書サービスや、DAZNの提供するスポーツコンテンツなどが搭載された車が登場することになるでしょう。 一方でシャープの場合、車を売ろうとするメーカーが普通に考える「需要」をあまり気にしていないように感じます。 車の場合、ドライバー=購入者になるケースが多いのですが、シャープのLDK+はドライバーが販売上のターゲットには見えません。なにしろシャープが取材協力したニュースの映像でも運転席は映されず、リビングの部分しかハイライトされていません。 ではこのシャープの試作車のような車を利用するのはどのようなユーザーなのでしょうか?普通に考えると3種類のユーザーが想定できます。) ひとつは運転手を抱えている利用者です。これは企業のオーナーをイメージするとわかりやすいかもしれません。誰かに運転させて自分は車内で仕事をしたり映画をみたりするような利用者です。 ふたつめに考えられるのがタクシーの乗客で、これはひとつめの利用形態と似ています。 そして3つめは出かけた先の駐車場で停車中にリビングを利用するシーンです。キャンピングカーのベッドがないような利用イメージというとわかりやすいでしょうか? 営業マンが休憩したり、商談の合間に仮オフィスとしてパソコンに向かって見積書を作ったりリモート会議に出席するイメージです。 ただこの3つめの利用イメージだと、すでに商業用のワンボックスが似た使われ方をしています。そして実際のビジネスでの利用シーンでは営業なら荷台に大量の商品やサンプルが、工事関係者なら大量の機材が置かれるので、コンセプトカーのようにリビングでくつろぐ余裕はそれほどないかもしれません。 だとすればシャープの車の主たる用途は1と2の「誰かに運転させて自分はくつろぐ」という用途になるのでしょう。 これは市場の大きさとしては圧倒的に新興国や途上国向けです。なにしろ運転手の人件費が安いので、ちょっとした中小企業の経営者は、普通に運転手を雇えるわけです。 鴻海が考えるMIHのプラットフォームでは、いずれNVIDIAが供給する自動運転プラットフォームも搭載されることが視野に入っていると思われますが、その場合でも規制緩和の観点で真っ先に販売される市場はおそらく中国でしょう。 ちなみに、面白い予測があります。 先進国では今、いったんEVシフトの流れがスローダウンしています。もともと日本はEV化が遅れているのですが、欧米の推進派だった大手メーカーが計画を見直したりしているのです。 結果として2030年頃までの世界のEV需要を引っ張るのは中国とアジア、南米になるのではないかという予測があります。 だとすれば市場成長の恩恵にあずかるのは意外とソニーよりもシャープだということになるかもしれません』、「シャープの車の主たる用途は1と2の「誰かに運転させて自分はくつろぐ」という用途になるのでしょう。 これは市場の大きさとしては圧倒的に新興国や途上国向けです。なにしろ運転手の人件費が安いので、ちょっとした中小企業の経営者は、普通に運転手を雇えるわけです・・・2030年頃までの世界のEV需要を引っ張るのは中国とアジア、南米になるのではないかという予測があります。 だとすれば市場成長の恩恵にあずかるのは意外とソニーよりもシャープだということになるかもしれません」、なるほど。
・『違い3 それぞれの潜在的な競争相手  ソニーもシャープも、既存の自動車メーカーのコンセプトとは違う視点で、未来のモビリティのブルーオーシャン的な領域を狙っているように思えます。 しかしそのブルーオーシャンにはそれぞれ異なる競争相手がいそうです。さらに、それぞれの競争相手は自動車メーカーではなさそうです。 ソニーが目指す車内の感動空間は大手自動車メーカーの中では独自性がありますが、中国の新興EVメーカーは同じ方向で競っています。 同時にコンテンツプロバイダーも同じ方向での車内体験向上を目指しています。たとえば私が所有するBYDのコンパクトカーには音楽配信のSpotifyが標準装備されています。 EVで「運転をしながらコンテンツを楽しむ」という制約があるうちは動画ではなく音楽コンテンツ中心のサービスに頼ることになり、その観点での競争ではソニーと競合には差がつきにくいという制約を感じます。 これが自動運転のレベルが進んだ場合、たとえばレベル4になって基本的にドライバーに運転手としての責任が生じなくなった未来では、車内でドライバーが映像コンテンツを楽しむようになります。その未来は意外と近いかもしれません。 その場合には実はソニーのアフィーラよりも、シャープの試作車のように65インチのテレビを車内に搭載して、利用者が後ろ向きに座るような車の方が、優れたエンタメ体験を受けられるようになるかもしれません。 だったらソニーも65インチを搭載すればいいと思うかもしれませんが、進化はそこで止まらない可能性もあります。車の車内で本格的な感動体験を想定するのであれば、大画面テレビよりもアップルビジョンプロのようなヘッドセット型のハードウェアを装着したほうがよりイマーシブの度合いは高くなります。 そして、そのような未来になると車の車種は何でもよくなってしまいます。 要するに来たるべき自動運転の時代になると、感動体験は車内でも、自宅でも、場合によっては飲食店の席に座っていても同じようにGAFAMから提供されるかもしれないのです。 このようにソニーが目指す方向では、結局のところコンテンツプロバイダーが未来の本当の競争相手になるかもしれません』、「来たるべき自動運転の時代になると、感動体験は車内でも、自宅でも、場合によっては飲食店の席に座っていても同じようにGAFAMから提供されるかもしれないのです。 このようにソニーが目指す方向では、結局のところコンテンツプロバイダーが未来の本当の競争相手になるかもしれません」、なるほど。
・『シャープのEVの「未来の競争相手」は家電メーカーかもしれない  さて、シャープの進化の方向についてはどうでしょう? 実はEVの居住性についてはシャープが考えているように家電との親和性が非常に高いものがあります。日常的にEVを使う立場で、ガソリン車時代と違って便利になったのが乗る前にスマホでエアコンが始動できることです。そしてエアコンはシャープの主力取扱商品のひとつです。 さらにテスラに搭載されている機能で意外と役立つのが、空気清浄機能です。うっかりひどい排ガスのトラックの後ろにつけてしまったときなど、素早く車内の空気を入れ替えることができます。実はこれもシャープの得意領域でしょう。 シャープが目指すリビングの拡張というコンセプトをつきつめると、結局は家電と家具の搭載勝負になっていきます。 駐車場で仕事をするだけでなく移動中にテレビを見ながらコーラとハンバーガーとポテトチップスで飲食をするシーンまでを考えると、冷蔵庫に加えて、軽く手を洗う水回りぐらいまでは欲しいところです。 そうなると究極には、車のオーナー個々人の興味にあわせて必要な家電を車載する未来がやってきそうです。 世の中の進化によっては、車も自宅のリビングと同じで、購入直後は空室の状態でよいわけです。結局のところ、シャープの未来の競争相手は既に競合している家電メーカーということになるかもしれません。 さて、このようにシャープとソニーのEV参入について未来予測の視点で比較をしてみましたが、基本的には家電メーカーにもビジネスチャンスがあるという点は間違いないでしょう。 懸念点はこの記事で述べさせていただきましたが、先行参入することでブランドを確立できるメリットは当然あるわけで、この後に参入してくる家電メーカーよりも戦いやすいことは事実でしょう。 むしろEV計画を遅らせている日米欧の大手自動車メーカー各社の方が、ソニーとシャープの動きを脅威に感じるべきなのかもしれません』、「基本的には家電メーカーにもビジネスチャンスがあるという点は間違いないでしょう。 懸念点はこの記事で述べさせていただきましたが、先行参入することでブランドを確立できるメリットは当然あるわけで、この後に参入してくる家電メーカーよりも戦いやすいことは事実でしょう。 むしろEV計画を遅らせている日米欧の大手自動車メーカー各社の方が、ソニーとシャープの動きを脅威に感じるべきなのかもしれません」、その通りなのかも知れない。
タグ:電気自動車(EV) (その15)(ニデック(上)在籍2年のソニーグループ出身・岸田光哉副社長を社長に起用した理由、ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた、真逆じゃん!「シャープのEV」と「ソニーのEV」比べてわかった歴然の違い) 日刊ゲンダイ 有森隆氏による「ニデック(上)在籍2年のソニーグループ出身・岸田光哉副社長を社長に起用した理由」 「80歳を目前にした永守の後継者選びは迷走した。内部からの昇格ではなく、外部から優秀な経営者を招くことにこだわった。2013年のカルソニックカンセイ(現マレリ)元社長の呉文精に始まり、シャープ元社長の片山幹雄、日産自動車出身の吉本浩之を次々と招聘してきたが、いずれもお眼鏡にかなわず、社を去った。) 特に日産自動車の元副COO(最高執行責任者)関潤(62)については、社長に加えてCEO職も譲ったことから本命とみられていたが、永守が首を縦に振ることはなく、22年に退任・・・ニデックに社名変更した23年4月1日 、5人の副社長を指名。このうちの1人を1年後の24年4月に社長に昇格させることになった。 副社長になったのはプロパー社員ではない。全員が中途入社組。北尾宣久(12年入社)と西本達也(同09年)は三井住友銀行出身。大塚俊之(同04年)は埼玉銀行(現りそな銀行)出身。小関敏彦(同18年)は東京大学の副学長を務めた研究者で、永守が理事長を務める京都先端科学大学の副学長に納まっている。 ソニー(現ソニーグループ=G)出身の岸田は、日本電産への入社が22年1月で、社歴は5人の中で最も短い。 選ばれたのは在籍が2年余 という岸田だった。岸田は香川県出身で、京都大学教育学部卒業後、83年ソニー入社。生産本部長やスマートフォンの事業子会社の社長などを歴任。赤字だったスマホ事業の立て直しで辣腕を振るった。日本電産に入社すると不振が続く車載事業の本部長として再建にあたってきた。 一流企業のエリートを引っ張ってきて後継候補に据えるという手法は、これまでのやり方とまったく変わらない。 「真の生え抜き社長が誕生するのは早くて4年後。岸田の次の社長候補として、28年にはプロパーの社長候補が出てくる。次を担えそうな人材を早く育てていきたい」と永守は今後の展望を語る。 昨年3月の時点では「新体制発表に伴って代表権を返上する」と言明していたが、この約束を完全に反故にし、永守は代表権を持ち続けることになった」、今度は「代表権を持ち続ける」ので、余り変わりばえしないようだ。 有森隆氏による「ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた」 「これまでの永守は、自分は最終責任を負わず、「任せたよ」と言って社長にした人物に全責任を押し付けてきた。だが、もう、そんな逃げ道はない。 30年度に売上高10兆円という壮大な目標を掲げている。車載事業で高水準の世界シェアを取る必要がある」、「逃げ道」を失った「永守」は、目標が達成できなかった場合、どう言い訳をするのだろう。 ダイヤモンド・オンライン 鈴木貴博氏による「真逆じゃん!「シャープのEV」と「ソニーのEV」比べてわかった歴然の違い」 「ふたつの陣営で開発コンセプトが真逆だ」、とは興味深そうだ。 「車を流線形にするか箱型にするか?これは未来の車がどのような使われ方をするかを想像する視点の違いで考えが分かれます」、なるほど。 「シャープの車の主たる用途は1と2の「誰かに運転させて自分はくつろぐ」という用途になるのでしょう。 これは市場の大きさとしては圧倒的に新興国や途上国向けです。なにしろ運転手の人件費が安いので、ちょっとした中小企業の経営者は、普通に運転手を雇えるわけです・・・2030年頃までの世界のEV需要を引っ張るのは中国とアジア、南米になるのではないかという予測があります。 だとすれば市場成長の恩恵にあずかるのは意外とソニーよりもシャープだということになるかもしれません」、なるほど。 ・『違い3 それぞれの潜在的な競争相手  ソニーもシャープも、既存の自動車メーカーのコンセプトとは違う視点で、未来のモビリティのブルーオーシャン的な領域を狙っているように思えます。 しかしそのブルーオーシャンにはそれぞれ異なる競争相手がいそうです。さらに、それぞれの競争相手は自動車メーカーではなさそうです。 ソニーが目指す車内の感動空間は大手自動車メーカーの中では独自性がありますが、中国の新興EVメーカーは同じ方向で競っています。 同時にコンテンツプロバイダーも同じ方向での車内体験向上を目指しています。たとえば私が所有するBYDのコンパクトカーには音楽配信のSpotifyが標準装備されています。 EVで「運転をしながらコンテンツを楽しむ」という制約があるうちは動画ではなく音楽コンテンツ中心のサービスに頼ることになり、その観点での競争ではソニーと競合には差がつきにくいという制約を感じます。 これが自動運転のレベルが進んだ場合、たとえばレベル4になって基本的にドライバーに運転手としての責任が生じなくなった未来では、車内でドライバーが映像コンテンツを楽しむようになります。その未来は意外と近いかもしれません。 その場合には実はソニーのアフィーラよりも、シャープの試作車のように65インチのテレビを車内に搭載して、利用者が後ろ向きに座るような車の方が、優れたエンタメ体験を受けられるようになるかもしれません。 だったらソニーも65インチを搭載すればいいと思うかもしれませんが、進化はそこで止まらない可能性もあります。車の車内で本格的な感動体験を想定するのであれば、大画面テレビよりもアップルビジョンプロのようなヘッドセット型のハードウェアを装着したほうがよりイマーシブの度合いは高くなります。 そして、そのような未来になると車の車種は何でもよくなってしまいます。 要するに来たるべき自動運転の時代になると、感動体験は車内でも、自宅でも、場合によっては飲食店の席に座っていても同じようにGAFAMから提供されるかもしれない のです。 このようにソニーが目指す方向では、結局のところコンテンツプロバイダーが未来の本当の競争相手になるかもしれません』、「来たるべき自動運転の時代になると、感動体験は車内でも、自宅でも、場合によっては飲食店の席に座っていても同じようにGAFAMから提供されるかもしれないのです。 このようにソニーが目指す方向では、結局のところコンテンツプロバイダーが未来の本当の競争相手になるかもしれません」、なるほど。 「基本的には家電メーカーにもビジネスチャンスがあるという点は間違いないでしょう。 懸念点はこの記事で述べさせていただきましたが、先行参入することでブランドを確立できるメリットは当然あるわけで、この後に参入してくる家電メーカーよりも戦いやすいことは事実でしょう。 むしろEV計画を遅らせている日米欧の大手自動車メーカー各社の方が、ソニーとシャープの動きを脅威に感じるべきなのかもしれません」、その通りなのかも知れない。
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JR一般(その2)(「とんでもない変節漢で人間のクズ」…JR東海・葛西敬之が、ここまで「誹謗中傷」された理由、東海道新幹線があるのに、本当にリニアが必要なのか? JR東海の天皇・葛西敬之なき今だからこそすべき議論、JR貨物 不正を起こした「不適切な風土」の深層 データ不正が「現場の知恵」と化していた可能性) [企業経営]

JR一般については、2022年4月24日に取上げた。今日は、(その2)(「とんでもない変節漢で人間のクズ」…JR東海・葛西敬之が、ここまで「誹謗中傷」された理由、東海道新幹線があるのに、本当にリニアが必要なのか? JR東海の天皇・葛西敬之なき今だからこそすべき議論、JR貨物 不正を起こした「不適切な風土」の深層 データ不正が「現場の知恵」と化していた可能性)である。

先ずは、昨年2月6日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの森 功氏による「「とんでもない変節漢で人間のクズ」…JR東海・葛西敬之が、ここまで「誹謗中傷」された理由【牧久×森功対談】」を紹介しよう。
・『「国商」という耳慣れない言葉がいま話題になっている。ジャーナリスト森功氏の最新刊『国商 最後のフィクサー葛西敬之』に由来する言葉だ。 日本有数とはいえ、一企業のトップにすぎない葛西氏がなぜ、フィクサーとして長きにわたり安倍政権を裏で操ることができたのか。『国商』はその理由を膨大な取材とともに精緻に描き出している。同書にも出てくるが、葛西氏がJR内で大きな力を持てた源泉は、「国鉄分割民営化」を先頭に立って進めたことにある。「国鉄改革三人組」と呼ばれた男たちがいる。葛西氏、JR東日本元会長・社長の松田昌士氏、JR西日本元会長・社長の井手正敬氏の三人だ。 「国鉄改革」は、当時組合の第二勢力だった「動労」の協力なくしては果たせなかった。動労とはすなわち革マル勢力であり、そのトップが松崎明だった。 松崎と改革三人組の関係は、これまでも様々に論じられてきた。だが、本当のところはいまひとつよくわからない。 今回、森氏と、『暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』著者の牧久氏が、松崎と三人組の「本当の関係」についてとことん語り合う。 前回記事【ばら撒かれた不倫写真…「革マル」松崎明が、自分を裏切ったJR東海・葛西敬之への復讐と、「国鉄改革三人組」との本当の関係 牧久×森功対談】』、興味深そうだ。
・『松崎は葛西をどうしても許せなかった  牧 葛西氏はね、国鉄改革の際に、あまりにもいいように松崎を使ってしまったんです。それがあったから、裏切ったあとの反動も大きかった。 森 労使共同宣言ですね。国鉄改革のときに葛西たちが松崎に協力を仰ぎ、動労が分割民営化賛成に回った。それは労働界を牛耳りたい松崎にとって最大勢力の労働組合だった国労が邪魔だったという裏返しなのでしょうね。 牧 はい。とにかく最大労組の国労を潰すためには、それ以外の労組と手を組まなければならない。そこで、国労に対する意地悪な動きを全部やるわけです。国労が分裂するように持っていくんだね。その総仕上げとも言えるのが、労使共同宣言です。 森 松崎は「膨大な余剰人員の雇用をどう確保するのか。まず労使の決意を示し、世間にお願いするほかない。雇用確保のためなら、蛇といわれ仏といわれようが、この姿勢は貫く」と声明を出し、労使共同宣言に調印します』、「最大労組の国労を潰すためには、それ以外の労組と手を組まなければならない。そこで、国労に対する意地悪な動きを全部やるわけです。国労が分裂するように持っていくんだね。その総仕上げとも言えるのが、労使共同宣言です。 森 松崎は「膨大な余剰人員の雇用をどう確保するのか。まず労使の決意を示し、世間にお願いするほかない。雇用確保のためなら、蛇といわれ仏といわれようが、この姿勢は貫く」と声明を出し、労使共同宣言に調印します」、労組としてライバルの「国労」に「対する意地悪な動きを全部やるわけです。国労が分裂するように持っていくんだね。その総仕上げとも言えるのが、労使共同宣言です」、なるほど。
・『JR東の初代社長はこうして革マルに絡めとられた  牧 葛西氏は当時、職員局次長という立場でしたが、あれは見事でした。国労を含め動労、鉄労、全施労など主要組合の委員長を国鉄総裁室まで呼び入れて、「労使共同宣言にお前、ハンコつけ」って迫ったわけです。 森 労使共同宣言は、「これからはもうストやりません」という内容だったわけで、国労には呑めないですよね。 牧 葛西氏がうまかったのは、国労にも分裂する要素があったんです。いくつかの派閥に分かれていて、労使共同宣言に調印すべき、という穏健派もあった。しかし、共産党系や、社会党系のなかでも向坂派と呼ばれる強硬派は反対だった。 森 そういう背景をわかっていたからこそ、「ハンコをつけ」と無理やり迫ったら、国労が分裂することも読めていたんですね。当時、葛西氏は40そこそこだったことを考えると、相当の策謀家だと認めざるをえない。 牧 策謀は過激派の専売特許ですから、葛西にいいように利用され操られた挙げ句、裏切られたとなっては、松崎としても革マル内での立場を失う。そこで、「葛西はとんでもない変節漢で人間のクズのような男である」と言いふらし、嫌がらせを始めたというわけです。 森 井手さんは松崎を最初から最後まで信用していなくて、葛西はおそらく、一度は本気で手を組んだけど、手に負えなくて裏切った。これまでの話を総合するとそういうことになりますが、では、JR東日本(元会長・社長)の松田昌士さんはどうだったのでしょう。 牧 かつて週刊文春が「JR東日本に巣食う革マル」というキャンペーンをやってキオスクから排除されたり、その後もジャーナリストの西岡研介氏が『マングローブ テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』という本を出版し、革マルにいちばんやられたのはJR東日本、というイメージが一般的にはあります。しかし私は、改革三人組の中で松田氏こそが、松崎と本当に人間として付き合い、最後まで一定の信頼関係を築いていた人だったと思うのです。 森 ほう、それは非常に興味深い。松田さんと松崎の関係については、巷間伝えられるほど単純ではない気がしてなりません。古手のJR東日本元役員たちに取材すると、「松崎に抱き込まれたというのは東海の葛西が意図的に流しているだけだ」と口をそろえて言いました。そこは不明な点が今も多い。 牧 松田さんの話に入る前に、まずはJR東日本初代社長の住田正二氏の話をしなければなりません。) 国鉄改革を進めた中曽根康弘に非常に近く、旧運輸省の元事務次官として、JR東日本の初代社長に収まった住田氏ですね。 牧 そもそも住田氏が運輸次官として国鉄分割民営化にあそこまで協力したのは、国鉄官僚たちが嫌いだったからです。運輸省から国鉄が公共事業体として分かれた時に、優秀な官僚はみんな国鉄に行ったと言われた。そこで運輸省に残された住田氏には、国鉄官僚に対する強烈なコンプレックスがあったんです。 森 なるほど、それもあって、中曽根は住田氏を分割民営化に利用したわけですね。そしてJR東の初代社長となった住田氏は、まんまと松崎に籠絡されてしまう。最初に松崎と関係を築いたのは松田ではなく住田だったわけですね。 牧 そうです。松崎は組合大会に住田氏を呼ぶんです。そうして、これからの労使関係はどうあるべきかということを、松崎がぶつわけです。労使はある意味対等だ、「ニアリーイコールだ」とね。 森 対決ではなくニアリーイコールだ、というのは、労使関係を曖昧にする松崎のうまい戦略です。 牧 組合員の前で、「それでよろしいですね、住田さん」とまず先にやられて、住田氏は「その通りだ」と言っちゃって、後戻りができなくなるわけです・・・「運輸省から国鉄が公共事業体として分かれた時に、優秀な官僚はみんな国鉄に行ったと言われた。そこで運輸省に残された住田氏には、国鉄官僚に対する強烈なコンプレックスがあったんです・・・JR東の初代社長となった住田氏は、まんまと松崎に籠絡されてしまう。最初に松崎と関係を築いたのは松田ではなく住田だったわけですね・・・松崎は組合大会に住田氏を呼ぶんです。そうして、これからの労使関係はどうあるべきかということを、松崎がぶつわけです。労使はある意味対等だ、「ニアリーイコールだ」とね。 森 対決ではなくニアリーイコールだ、というのは、労使関係を曖昧にする松崎のうまい戦略です。 牧 組合員の前で、「それでよろしいですね、住田さん」とまず先にやられて、住田氏は「その通りだ」と言っちゃって、後戻りができなくなるわけです」、住田氏の戦術は実に巧みだ。

次に、昨年2月6日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの森 功氏による「東海道新幹線があるのに、本当にリニアが必要なのか? JR東海の天皇・葛西敬之なき今だからこそすべき議論【牧久×森功対談】」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/105637?imp=0
・『「国商」という耳慣れない言葉がいま話題になっている。ジャーナリスト森功氏の最新刊『国商 最後のフィクサー葛西敬之』に由来する言葉だ。 日本有数とはいえ、一企業のトップにすぎない葛西氏がなぜ、フィクサーとして長きにわたり安倍政権を裏で操ることができたのか。『国商』はその理由を膨大な取材とともに精緻に描き出している。同書にも出てくるが、葛西氏がJR内で大きな力を持てた源泉は、「国鉄分割民営化」を先頭に立って進めたことにある。「国鉄改革三人組」と呼ばれた男たちがいる。葛西氏、JR東日本元会長・社長の松田昌士氏、JR西日本元会長・社長の井手正敬氏の三人だ。 「国鉄改革」は、当時組合の第二勢力だった「動労」の協力なくしては果たせなかった。動労とはすなわち革マル勢力であり、そのトップが松崎明だった。 松崎と改革三人組の関係は、これまでも様々に論じられてきた。だが、本当のところはいまひとつよくわからない。 今回、森氏と、『暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』著者の牧久氏が、松崎と三人組の「本当の関係」についてとことん語り合う。 『国商 最後のフィクサー葛西敬之』連載第13回(4)・・・』、「最新刊『国商 最後のフィクサー葛西敬之』に由来する言葉だ。 日本有数とはいえ、一企業のトップにすぎない葛西氏がなぜ、フィクサーとして長きにわたり安倍政権を裏で操ることができたのか。『国商』はその理由を膨大な取材とともに精緻に描き出している・・・葛西氏がJR内で大きな力を持てた源泉は、「国鉄分割民営化」を先頭に立って進めたことにある。「国鉄改革三人組」と呼ばれた男たちがいる。葛西氏、JR東日本元会長・社長の松田昌士氏、JR西日本元会長・社長の井手正敬氏の三人だ」、なるほど。
・『松田昌士が死の間際に残した証言  牧 話が少し逸れましたが、それで肝心の、松田さんの話です。僕が『暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』を書いていたとき、松田さんはもうかなり身体を悪くしていました。だから、これが最後の取材になるかも、という思いでハッキリと聞いたんです。 「結局、松崎とあなたの関係は、いつからどうだったんですか。みんな、あなたが脅されていたと言うけれど、本当のところはどうだったんですか」と。 森 ほう、それに松田さんは答えたのでしょうか。 牧 彼は、鉄労の志摩委員長を裏切ったあとに、松崎明と二人きりで酒を酌み交わした、と明かしてから、こんな話をしました。 「松崎に革マル疑惑を単刀直入に問い質したら、『自分は今でも革マル派である』と率直に告白をした。そのうえで、『あなたは住田のあと社長になるんだ。社長になった時に、我々(革マル)はあなたに迷惑は一切かけない。ストもやらない。あなたに協力する。だからあなたも我々の言うことを聞いてくれ』と言うから、お互いに協力し合おうということで手を結んだんだ。 だから、俺が社長のときに、彼らが俺に大きな迷惑をかけるような大闘争をやったこともないし、俺が聞いてくれって言ったら聞いてくれるところもたくさんあった。だから、俺はそれから松崎を信用して、手を結んだんだ。松崎が死んだときには、俺は花束を持ってたった一人で松崎の墓参りに行ってきたんだ」)森 それはすごい証言です。牧さんの本にも、そこまでは書いてませんでしたね。 牧 あのときは松田さんは存命だったからここまで詳しくは書けなかったけれども、松崎を人間として信頼していたという肝になる部分を文章にして、松田さんに持って行って、確認までしているんです。「松田さん、こう書きますけどよろしいですか」って。そうすると松田さんは「この通りだ。これはこの通りだから。俺はあそこでお互いに信用して、手を結んだんだ」と。 森 死の間際にそこまで言うのなら、真実味があります。 牧 改革三人組の、松崎に対するスタンスの違いを見てもわかるように、葛西氏は「謀略家」の側面があり、権力欲が非常に強く、森さんの「国商」という表現はとても的を射ていると思う。彼がこれまでやってきたことは礼讃されるばかりではなく、きちんと検証されなければなりません。 森 そうですね、本人も『未完の国鉄改革』という本を書いていますが、国鉄分割民営化はあくまで「組合潰し」を目的にやったことで、経営を突き詰めて考えてやったわけじゃない。その歪が、JR本州3社以外の経営の逼迫に如実に表れています。 牧 もう一つの問題が、リニア(中央新幹線)です。葛西氏がいなくなった今、リニア本当にやるんですかって話にまでいくんじゃないかと思ってますけどね。 森 そうですね、これから人口も減って、リモートワークも当たり前になる中で、東海道新幹線のほかにリニアが必要ですか、という声が上がるのは当然です。葛西さんはリニアのような国家プロジェクトは俺がやらなければ他にできない、とまで言ってきた自信家でした。 その葛西氏が「国商」として最後に見ていた夢が、リニアでした。彼が天皇として君臨していた間にはできなかった本質的な議論を、いまこそすべきでしょうし、今年はリニアの検証元年になる気がします。 連載第1回【安倍晋三を裏で操った「最後のフィクサー」JR東海・葛西敬之の知られざる正体…安倍が「国士」と称えた男が最期に抱えていた“爆弾”】から読む 発売即重版の問題作! 『国商 最後のフィクサー葛西敬之』 講談社より絶賛発売中! 国鉄分割民営化で革マルと手を組み、右派・日本会議の黒幕として安倍晋三を裏で操ったJR東海「総帥」の実像…巨大広告主ゆえに週刊誌ですら触れられなかった「タブー」が開く――。購入はこちら  『暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』 小学館より発売中!   国鉄民営化に「コペルニクス的転換」といわれる方針転換により全面的に協力し、JR発足後は組合にシンパを浸透させて巨大な影響力を持った男・松崎明の評伝 。購入はこちら』、「牧 彼(松田)は、鉄労の志摩委員長を裏切ったあとに、松崎明と二人きりで酒を酌み交わした、と明かしてから、こんな話をしました。 「松崎に革マル疑惑を単刀直入に問い質したら、『自分は今でも革マル派である』と率直に告白をした。そのうえで、『あなたは住田のあと社長になるんだ。社長になった時に、我々(革マル)はあなたに迷惑は一切かけない。ストもやらない。あなたに協力する。だからあなたも我々の言うことを聞いてくれ』と言うから、お互いに協力し合おうということで手を結んだんだ。 だから、俺が社長のときに、彼らが俺に大きな迷惑をかけるような大闘争をやったこともないし、俺が聞いてくれって言ったら聞いてくれるところもたくさんあった。だから、俺はそれから松崎を信用して、手を結んだんだ。松崎が死んだときには、俺は花束を持ってたった一人で松崎の墓参りに行ってきたんだ」」、「松田」と「松崎」の結び付きは本当に強かったようだ。「もう一つの問題が、リニア(中央新幹線)です。葛西氏がいなくなった今、リニア本当にやるんですかって話にまでいくんじゃないかと思ってますけどね。 森 そうですね、これから人口も減って、リモートワークも当たり前になる中で、東海道新幹線のほかにリニアが必要ですか、という声が上がるのは当然です。葛西さんはリニアのような国家プロジェクトは俺がやらなければ他にできない、とまで言ってきた自信家でした。 その葛西氏が「国商」として最後に見ていた夢が、リニアでした。彼が天皇として君臨していた間にはできなかった本質的な議論を、いまこそすべきでしょうし、今年はリニアの検証元年になる気がします」、これでは「リニア」に強く反対してきた鈴岡県の川勝知事も辞任し、後任知事は容認姿勢だ。

第三に、本年9月20日付け東洋経済オンライン「JR貨物、不正を起こした「不適切な風土」の深層 データ不正が「現場の知恵」と化していた可能性」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/828517
・『輪軸データの不正問題は、東京メトロ(東京地下鉄)や京王電鉄でも発覚するなど鉄道業界全体へと飛び火した。国土交通省は全鉄道事業者に対して緊急点検を指示、9月30日までに結果の報告を求めている。さらなる広がりを見せそうなこの問題の端緒となったのがJR貨物だった。 「コンプライアンスへの意識、教育が不十分だった。社員がコスト削減のために今回の行為に至ったとすれば、それを是正する教育をしっかり進めなければならない」 9月11日にJR貨物が開いた会見。犬飼新社長は深々と頭を下げた。 機関車や貨車の車輪や歯車を車軸にはめ込む際、圧入力値が基準の上限値を超えていたにもかかわらず、データを書き換えるなどして検査記録を作成していた。基準値の上限値超えは最大10%だった。 不正行為には広島、川崎、北海道の3つの車両所で計11人が関与し、機関車4両、貨車627両で検査データに問題があることがわかった。不正は2014年頃から行われていたという』、最近の報道では、問題はJR貨物から、JR全般、さらには「東京メトロ(東京地下鉄)や京王電鉄でも発覚するなど鉄道業界全体へと飛び火」。
・『7月の脱線事故を機に表面化  問題発覚のきっかけは、今年7月に起きた山陽線新山口駅での脱線事故だ。事故をめぐる社内調査で広島車両所の社員がデータ改ざんを告白した。 車輪や歯車を無理に押し込むと、車軸に「かじり」と言われる傷ができ、それが広がって車軸が折れてしまう危険があるという。7月の脱線事故では機関車の車軸が折れていた。折損との因果関係はまだ不明だが、当該車両ではデータの改ざんが行われていた。 9月10日に問題を発表した後、同日深夜になって未確認データがあったことが判明。確認作業のため11日午前中から全国で運行していた248本すべての列車を順次停止させた。この影響で、物流網は大混乱となった。) 宅配便各社は代替トラックの手配に追われ、ヤマト運輸は成田空港から北九州に臨時の貨物便を出した。それでも荷物の到着が遅れ、引っ越しの日程に影響が出た。北海道からの農産物も道内各地でトラックへの積み替えを余儀なくされ、フェリーで本州に向かうことになった。 「天候不順でしょっちゅう貨物列車は止まる。今回も粛々と代替輸送に切り替えて影響はほとんどなかった」。あるメーカーの担当者は皮肉交じりにそう話したが、利用者からは不満の声が噴出している。 代替輸送の手配に追われた運送事業者は「発生した費用は今後JR貨物と協議する」と憤る。貨物鉄道を利用しているというメーカーの担当者は、「安定輸送はメーカーにとっていちばん大事。JR貨物にはこうしたことが二度と起きないよう早急に対策を講じてほしい」と注文をつける』、「代替輸送の手配に追われた運送事業者は「発生した費用は今後JR貨物と協議する」と憤る。貨物鉄道を利用しているというメーカーの担当者は、「安定輸送はメーカーにとっていちばん大事。JR貨物にはこうしたことが二度と起きないよう早急に対策を講じてほしい」と注文をつける」、なるほど。
・『3つの車両所での「不正」  先述したように問題が起きていたのは3つの車両所だ。ただそれぞれで「不正」の実態が異なる。 検査記録がデジタル化されていた広島車両所では、基準値内の圧入力値を入力しなければシステム上、検査表が作成できなかった。そのため、過去の正常値を入力し、データを改ざんしていた。 川崎車両所では上限値を超えた際、機械的に上限値を入力していた。北海道の輪西車両所に至っては、上限値を超えた波形データを無邪気にそのまま検査表に添付していた。 車両所の助役や主任もこうしたデータを目にしていたが、「不正」は黙殺されていた。それも無理はない。圧入力値の上限を超えた際の扱いをどうするか、社内にルールがなかったのだ。作業員らには不正を働いている認識すらなかった可能性が高い。 車軸は、それを通す車輪の穴よりわずかに太くつくられている。圧力をかけて車輪を車軸に通すことで車輪が固定される仕組みだ。 「不正」に関与した社員は、圧入力値の下限を下回ると固定に不具合が起きると認識していた一方、「上限を少し超えても問題はないと思っていた」などと話しているという。こうした認識はJR貨物特有のものではなかった。) 国交省が全鉄道事業者に車輪の緊急点検を指示した後、早速、JR北海道の旭川運転所所属の普通列車2両で圧入力値の「目安」超えのデータが見つかった。 JR東海でも在来線の11の車軸で最大圧入力値を超えていた。JR貨物と同様、超過した際の扱いについてルールがなかったことが目安超過の原因だった。 これらの2社は、圧入力値の波形データや「締め代」(車軸の太さと車輪の穴の寸法差。車輪の穴より車軸がわずかに太い)を管理しており、安全は確保されているとする。 波形データがなだらかであれば「かじり」のような傷は生じていないと判断され、締め代が管理されていれば「車輪はしっかり固定されている」ことになるのだという』、「圧入力値の上限を超えた際の扱いをどうするか、社内にルールがなかったのだ。作業員らには不正を働いている認識すらなかった可能性が高い」、「社内にルールがなかった」とは驚くべきことだ。
・『「超過」への意識は希薄  ただ、国交省は2社に対して「なぜ、締め代の管理ができていることなどで安全が確保されると言えるのか、さらに詳細を報告するよう求めている」(鉄道局技術企画課)。 JR貨物も「締め代」の管理は行っていた。同社は「締め代の管理だけで安全が確保できているとは考えていない」(広報部)とする。しかし、「車輪がきっちり締まって取り付けられてさえいれば問題ない」という認識が現場で共通していたようだ。 圧入力値の「超過」の危険性はあまり意識されていなかったことがうかがえる。 JR貨物において「不正」はむしろ「現場の知恵」であり、ゆがんだ技術継承が行われていたのではないか。こうした運用に疑問をもった社員はいなかったのか。また、疑問をもった社員が声をあげることができていたか。こうした点は今後の原因究明の中で重要なポイントになるだろう。) 犬飼社長は会見翌日の9月12日、社員向けに文書を発出した。その中で、「今回の不正行為は、これまでの不適切な風土が顕在化したコンプライアンス違反であり、貨物鉄道事業者への信頼を揺るがす事態となっている」と断罪している。 しかし、現場の問題以上に経営の責任は重い。看過できないのは、不正に関与した作業員が「作業工程(が遅れること)を気にしていた」「部品が廃棄になることを恐れていた」などと社内調査に答えていることだ。 直近3期は最終赤字が続いているJR貨物では、「トライ・コスト削減運動」を打ち出し、犬飼社長が現場を巡回して徹底的なコスト削減を説いている。コスト削減の「ターゲット費用科目」には車両修繕費などもあげられ、本社の現業部門には「トライ・コスト削減担当」も置かれている』、「看過できないのは、不正に関与した作業員が「作業工程(が遅れること)を気にしていた」「部品が廃棄になることを恐れていた」などと社内調査に答えていることだ。 直近3期は最終赤字が続いているJR貨物では、「トライ・コスト削減運動」を打ち出し、犬飼社長が現場を巡回して徹底的なコスト削減を説いている。コスト削減の「ターゲット費用科目」には車両修繕費などもあげられ、本社の現業部門には「トライ・コスト削減担当」も置かれている」、これは確かに深刻な問題だ。
・『企業風土を改められるか  行き過ぎたコスト削減はなかったか。会見でそう問われた犬飼社長は、「無理なコスト削減は決してやっておらず、安全への投資は計画的に進めている」と答えた。 そのうえで経営責任について「社長として重い責任を感じている。原因究明や対策を早急に進めることに注力したい」と述べた。 今回の不正発覚でコスト削減のあり方は見直しが必要になるだろう。そしてコスト削減以前に、社員が疑問に思ったことを気軽に声に出せる企業風土づくりが急務だ。犬飼社長の言う「不適切な風土」は経営のあり方によって醸成されたものであり、それを改めるのも経営者の責任となる』、「コスト削減以前に、社員が疑問に思ったことを気軽に声に出せる企業風土づくりが急務だ。犬飼社長の言う「不適切な風土」は経営のあり方によって醸成されたものであり、それを改めるのも経営者の責任となる」、その通りだ。
タグ:森 そうですね、これから人口も減って、リモートワークも当たり前になる中で、東海道新幹線のほかにリニアが必要ですか、という声が上がるのは当然です。葛西さんはリニアのような国家プロジェクトは俺がやらなければ他にできない、とまで言ってきた自信家でした。 その葛西氏が「国商」として最後に見ていた夢が、リニアでした。彼が天皇として君臨していた間にはできなかった本質的な議論を、いまこそすべきでしょうし、今年はリニアの検証元年になる気がします」、これでは「リニア」に強く反対してきた鈴岡県の川勝知事も辞任し、後任知事は容 だから、俺が社長のときに、彼らが俺に大きな迷惑をかけるような大闘争をやったこともないし、俺が聞いてくれって言ったら聞いてくれるところもたくさんあった。だから、俺はそれから松崎を信用して、手を結んだんだ。松崎が死んだときには、俺は花束を持ってたった一人で松崎の墓参りに行ってきたんだ」」、「松田」と「松崎」の結び付きは本当に強かったようだ。「もう一つの問題が、リニア(中央新幹線)です。葛西氏がいなくなった今、リニア本当にやるんですかって話にまでいくんじゃないかと思ってますけどね。 「牧 彼(松田)は、鉄労の志摩委員長を裏切ったあとに、松崎明と二人きりで酒を酌み交わした、と明かしてから、こんな話をしました。 「松崎に革マル疑惑を単刀直入に問い質したら、『自分は今でも革マル派である』と率直に告白をした。そのうえで、『あなたは住田のあと社長になるんだ。社長になった時に、我々(革マル)はあなたに迷惑は一切かけない。ストもやらない。あなたに協力する。だからあなたも我々の言うことを聞いてくれ』と言うから、お互いに協力し合おうということで手を結んだんだ。 国鉄民営化に「コペルニクス的転換」といわれる方針転換により全面的に協力し、JR発足後は組合にシンパを浸透させて巨大な影響力を持った男・松崎明の評伝 。購入はこちら 元年になる気がします。 連載第1回【安倍晋三を裏で操った「最後のフィクサー」JR東海・葛西敬之の知られざる正体…安倍が「国士」と称えた男が最期に抱えていた“爆弾”】から読む 発売即重版の問題作! 『国商 最後のフィクサー葛西敬之』 講談社より絶賛発売中! 国鉄分割民営化で革マルと手を組み、右派・日本会議の黒幕として安倍晋三を裏で操ったJR東海「総帥」の実像…巨大広告主ゆえに週刊誌ですら触れられなかった「タブー」が開く――。購入はこちら  『暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』 小学館より発売中! 葛西氏がいなくなった今、リニア本当にやるんですかって話にまでいくんじゃないかと思ってますけどね。 森 そうですね、これから人口も減って、リモートワークも当たり前になる中で、東海道新幹線のほかにリニアが必要ですか、という声が上がるのは当然です。葛西さんはリニアのような国家プロジェクトは俺がやらなければ他にできない、とまで言ってきた自信家でした。 その葛西氏が「国商」として最後に見ていた夢が、リニアでした。彼が天皇として君臨していた間にはできなかった本質的な議論を、いまこそすべきでしょうし、今年はリニアの検証 森 功氏による「「とんでもない変節漢で人間のクズ」…JR東海・葛西敬之が、ここまで「誹謗中傷」された理由【牧久×森功対談】」 現代ビジネス 「結局、松崎とあなたの関係は、いつからどうだったんですか。みんな、あなたが脅されていたと言うけれど、本当のところはどうだったんですか」と。 森 ほう、それに松田さんは答えたのでしょうか。 牧 彼は、鉄労の志摩委員長を裏切ったあとに、松崎明と二人きりで酒を酌み交わした、と明かしてから、こんな話をしました。 「松崎に革マル疑惑を単刀直入に問い質したら、『自分は今でも革マル派である』と率直に告白をした。そのうえで、『あなたは住田のあと社長になるんだ。社長になった時に、我々(革マル)はあなたに迷惑は一切かけない。 「国鉄改革三人組」と呼ばれた男たちがいる。葛西氏、JR東日本元会長・社長の松田昌士氏、JR西日本元会長・社長の井手正敬氏の三人だ」、なるほど。 ・『松田昌士が死の間際に残した証言  牧 話が少し逸れましたが、それで肝心の、松田さんの話です。僕が『暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』を書いていたとき、松田さんはもうかなり身体を悪くしていました。だから、これが最後の取材になるかも、という思いでハッキリと聞いたんです。 「最新刊『国商 最後のフィクサー葛西敬之』に由来する言葉だ。 日本有数とはいえ、一企業のトップにすぎない葛西氏がなぜ、フィクサーとして長きにわたり安倍政権を裏で操ることができたのか。『国商』はその理由を膨大な取材とともに精緻に描き出している・・・葛西氏がJR内で大きな力を持てた源泉は、「国鉄分割民営化」を先頭に立って進めたことにある。 森 功氏による「東海道新幹線があるのに、本当にリニアが必要なのか? JR東海の天皇・葛西敬之なき今だからこそすべき議論【牧久×森功対談】」 松崎は組合大会に住田氏を呼ぶんです。そうして、これからの労使関係はどうあるべきかということを、松崎がぶつわけです。労使はある意味対等だ、「ニアリーイコールだ」とね。 森 対決ではなくニアリーイコールだ、というのは、労使関係を曖昧にする松崎のうまい戦略です。 牧 組合員の前で、「それでよろしいですね、住田さん」とまず先にやられて、住田氏は「その通りだ」と言っちゃって、後戻りができなくなるわけです」、住田氏の戦術は実に巧みだ。 牧 組合員の前で、「それでよろしいですね、住田さん」とまず先にやられて、住田氏は「その通りだ」と言っちゃって、後戻りができなくなるわけです・・・「運輸省から国鉄が公共事業体として分かれた時に、優秀な官僚はみんな国鉄に行ったと言われた。そこで運輸省に残された住田氏には、国鉄官僚に対する強烈なコンプレックスがあったんです・・・JR東の初代社長となった住田氏は、まんまと松崎に籠絡されてしまう。最初に松崎と関係を築いたのは松田ではなく住田だったわけですね・・・ 森 松崎は「膨大な余剰人員の雇用をどう確保するのか。まず労使の決意を示し、世間にお願いするほかない。雇用確保のためなら、蛇といわれ仏といわれようが、この姿勢は貫く」と声明を出し、労使共同宣言に調印します」、労組としてライバルの「国労」に「対する意地悪な動きを全部やるわけです。国労が分裂するように持っていくんだね。その総仕上げとも言えるのが、労使共同宣言です」、なるほど。 「最大労組の国労を潰すためには、それ以外の労組と手を組まなければならない。そこで、国労に対する意地悪な動きを全部やるわけです。国労が分裂するように持っていくんだね。その総仕上げとも言えるのが、労使共同宣言です。 く、森さんの「国商」という表現はとても的を射ていると思う。彼がこれまでやってきたことは礼讃されるばかりではなく、きちんと検証されなければなりません。 森 そうですね、本人も『未完の国鉄改革』という本を書いていますが、国鉄分割民営化はあくまで「組合潰し」を目的にやったことで、経営を突き詰めて考えてやったわけじゃない。その歪が、JR本州3社以外の経営の逼迫に如実に表れています。 牧 もう一つの問題が、リニア(中央新幹線)です。 牧 あのときは松田さんは存命だったからここまで詳しくは書けなかったけれども、松崎を人間として信頼していたという肝になる部分を文章にして、松田さんに持って行って、確認までしているんです。「松田さん、こう書きますけどよろしいですか」って。そうすると松田さんは「この通りだ。これはこの通りだから。俺はあそこでお互いに信用して、手を結んだんだ」と。 森 死の間際にそこまで言うのなら、真実味があります。 牧 改革三人組の、松崎に対するスタンスの違いを見てもわかるように、葛西氏は「謀略家」の側面があり、権力欲が非常に強 ストもやらない。あなたに協力する。だからあなたも我々の言うことを聞いてくれ』と言うから、お互いに協力し合おうということで手を結んだんだ。 だから、俺が社長のときに、彼らが俺に大きな迷惑をかけるような大闘争をやったこともないし、俺が聞いてくれって言ったら聞いてくれるところもたくさんあった。だから、俺はそれから松崎を信用して、手を結んだんだ。松崎が死んだときには、俺は花束を持ってたった一人で松崎の墓参りに行ってきたんだ」)森 それはすごい証言です。牧さんの本にも、そこまでは書いてませんでしたね。 「コスト削減以前に、社員が疑問に思ったことを気軽に声に出せる企業風土づくりが急務だ。犬飼社長の言う「不適切な風土」は経営のあり方によって醸成されたものであり、それを改めるのも経営者の責任となる」、その通りだ。 「看過できないのは、不正に関与した作業員が「作業工程(が遅れること)を気にしていた」「部品が廃棄になることを恐れていた」などと社内調査に答えていることだ。 直近3期は最終赤字が続いているJR貨物では、「トライ・コスト削減運動」を打ち出し、犬飼社長が現場を巡回して徹底的なコスト削減を説いている。コスト削減の「ターゲット費用科目」には車両修繕費などもあげられ、本社の現業部門には「トライ・コスト削減担当」も置かれている」、これは確かに深刻な問題だ。 「圧入力値の上限を超えた際の扱いをどうするか、社内にルールがなかったのだ。作業員らには不正を働いている認識すらなかった可能性が高い」、「社内にルールがなかった」とは驚くべきことだ。 「代替輸送の手配に追われた運送事業者は「発生した費用は今後JR貨物と協議する」と憤る。貨物鉄道を利用しているというメーカーの担当者は、「安定輸送はメーカーにとっていちばん大事。JR貨物にはこうしたことが二度と起きないよう早急に対策を講じてほしい」と注文をつける」、なるほど。 最近の報道では、問題はJR貨物から、JR全般、さらには「東京メトロ(東京地下鉄)や京王電鉄でも発覚するなど鉄道業界全体へと飛び火」。 東洋経済オンライン「JR貨物、不正を起こした「不適切な風土」の深層 データ不正が「現場の知恵」と化していた可能性」 認姿勢だ。 JR一般 (その2)(「とんでもない変節漢で人間のクズ」…JR東海・葛西敬之が、ここまで「誹謗中傷」された理由、東海道新幹線があるのに、本当にリニアが必要なのか? JR東海の天皇・葛西敬之なき今だからこそすべき議論、JR貨物 不正を起こした「不適切な風土」の深層 データ不正が「現場の知恵」と化していた可能性)
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農畜産林業(その4)(ついに支店長が自爆営業を強要…職員が決死の覚悟で明かす「JAのノルマ地獄」のヤバすぎる実態、「令和のコメ騒動」不足解消でも楽観できない事情 人口減少社会で「農地改革」が進まない本当の理由) [産業動向]

農畜産林業については、2020年3月17日に取上げた。久しぶりの今日は、(その4)(ついに支店長が自爆営業を強要…職員が決死の覚悟で明かす「JAのノルマ地獄」のヤバすぎる実態、「令和のコメ騒動」不足解消でも楽観できない事情 人口減少社会で「農地改革」が進まない本当の理由)である。

先ずは、昨年5月19日付け現代ビジネス「ついに支店長が自爆営業を強要…職員が決死の覚悟で明かす「JAのノルマ地獄」のヤバすぎる実態」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/110260?imp=0
・『共済の過大なノルマ達成のため、JA職員が何十万円もの自腹支払いを強制される「自爆営業」。農水省による監督指針の改正で、少なからず改善したかと思われたが、実はある「抜け道」が存在していた。 前編記事「「顧客をダマして契約獲得」「隠ぺい工作も行われた」JA職員が告発する「いまだに続くヤバすぎる農協のノルマ」の実態」に引き続き紹介する』、興味深そうだ。
・『支店長が「自爆」を強要  「監督指針が改正されたおかげなのか、従来よりも(ノルマの)ポイントは減りました。ただ、それでも負担は大きく、自爆するしかありません」 共済の知識や営業の経験を蓄える場が一般職に設けられていない点も昨年度までと変わらない。毎年度初めに1回開催される1時間程度の研修会があるだけだ。 「これだけの研修で新商品の中身を理解し、顧客に合った売り方を身に着けるなんて無理。一般職は、共済の営業に関しては素人同然なんです」 既述の事業推進部長による一斉メールには、職員が共済の知識や営業の経験が乏しい場合には、当人からの相談に応じてそれらを補う機会を設ける旨が記されていた。 「ただ、普段の仕事が忙しくて、とても上司に相談して研修を受ける余裕はないし、誰もやっていません」 より深刻なのは、今年度に入ってからも支店長が自爆を強要してきたことだ。 「さすがに以前のように職員を別室に呼んで詰問するという、あからさまなことはしなくなりました。 ただ、達成の見込みがなさそうな職員の机の上に日別の『実績報告書』を置いてノルマがこなせていないことについてプレッシャーをかけたり、その職員に『期日までの日数はわずかしかないが、ちゃんとこなせるんだろうな』と脅したりしてきたんです」』、「さすがに以前のように職員を別室に呼んで詰問するという、あからさまなことはしなくなりました。 ただ、達成の見込みがなさそうな職員の机の上に日別の『実績報告書』を置いてノルマがこなせていないことについてプレッシャーをかけたり、その職員に『期日までの日数はわずかしかないが、ちゃんとこなせるんだろうな』と脅したりしてきたんです」、なるほど
・『正直には答えられない「事前チェックシート」  以上の事態は、既述した「不祥事件」の扱いとなる三つの要因のうち、(1)と(2)に該当する疑いがある。さらに、(3)の要因に相当する事態も起きているという。 渡辺さんがその証拠だというのが、同JAが新たに作成した「職員契約にかかる事前チェックシート」だ。これは、職員や生計を同じくするその家族が新たに共済の契約をする場合、それが「不必要な共済契約」でないことを対外的に証明するための文書である。 文書には、「はい」か「いいえ」のいずれかを記載する項目が3つある。 その内容をかいつまんで説明すると、「ノルマを達成するための契約ではない」「『不必要な共済契約』に該当しない」「不祥事件扱いになる要因に該当しない」だ。これらすべてに「はい」とチェックされたことが確認されなければ共済契約は結べないとされる。これとは別に契約理由を書く欄もある。 ただ、自爆を強要している張本人である支店長らの確認が入るというのに、職員がチェック項目に正直に答えられるはずがない。実際にはノルマを達成するための不必要な契約であるにもかかわらず、そうは答えられないのだ。 おまけに契約理由の欄に書く文章は、あらかじめ決められているという』、「自爆を強要している張本人である支店長らの確認が入るというのに、職員がチェック項目に正直に答えられるはずがない。実際にはノルマを達成するための不必要な契約であるにもかかわらず、そうは答えられないのだ。 おまけに契約理由の欄に書く文章は、あらかじめ決められているという」、全く形式だけで実質的な中身がない。
・『何の意味もない「解約新規」という抜け道  「LAが自爆と見なされないような書き方を教えてきます」 こう証言する渡辺さん自身、今年度になってからも不本意ながらも自爆した。そのために差し出したのは、家族の名義で契約していた、自然災害や火災など建物に関する損害を保障する「建物更生共済」だ。 同JAでは、この共済で次のような手順を踏んで「解約新規」をすれば、保障内容を変えずにノルマのポイントを稼げるという。すなわち、契約者の名義をいったん第三者にしてから解約し、その日のうちに元の名義で新たに入り直すのだ。 渡辺さんは今年度のノルマをこなせそうになかった。そこで、この手順に従って家族の名義をいったん自分名義に変更してから解約し、その日のうちに保障額を従来通りにして家族の名義で再び入り直した。ただ、当初契約した時より予定利率が下がっているので、掛け金は少しだけ上がった。 「ノルマのためという以外に何の意味もない『解約新規』ですから、家族は納得していないようでした」 チェックシートの契約理由の欄には、LAからの指示に従って次のように書いた。 〈見直しをする際に保障額に不安を覚えた。転換もできない内容だったので、改めて加入し直すことにした〉 「保障額は新旧の契約ともに同額なのに、矛盾した文章ですよね。でもLAによれば、これで『不必要な契約』とみなされないそうです。私と同じ方法で建物更生共済の解約新規をした職員は何人もいます。彼らの解約理由の欄を見れば、きっとみんな同じ文章ですよ。農協を挙げて、自爆の隠蔽が行われているんです」』、『解約新規』は私がかって金融機関に勤務していた当時もあった慣行で、懐かしい。
・『ノルマに追われ、公民館の契約更新を「放置」  職員がノルマを達成するため、顧客に不利益をもたらす事態も変わらずに続いているという。 渡辺さんがその一例として挙げたのは、あるLAが行政機関を騙した次の手口だ。このLAは公民館を保障対象にする建物更生共済の契約を得ていた。それが昨年末か年明けかに満期を迎えることになった。常識的なLAなら、すぐに契約の更新を打診するはずだ。 ところが、このLAは意図的に放置したという。'22年度のノルマを達成済みだったため、それ以上にポイントを稼ぐ必要がなかったからだ。むしろゼロスタートになる新年度に入ってから新たに契約してもらったほうがLAにとってはありがたい。そうした利己的な理由から、このLAは公民館が2ヵ月ほど無共済のままであることを見て見ぬふりをしたという。 関東地方のあるJAのLAによると、「ノルマに追われたLAがよく使う手です」という』、「'22年度のノルマを達成済みだったため、それ以上にポイントを稼ぐ必要がなかったからだ。むしろゼロスタートになる新年度に入ってから新たに契約してもらったほうがLAにとってはありがたい。そうした利己的な理由から、このLAは公民館が2ヵ月ほど無共済のままであることを見て見ぬふりをしたという」、「2ヵ月ほど無共済の」期間に事故がなかったのは幸運だ。 
・『渡辺さんによる一連の証言についてJA山梨みらいに取材したものの、「一切回答しない」(共済部)とのことだった。 渡辺さんは「少なくとも山梨県では、ほかのJAでもノルマや自爆がなくなっていないようです」と語る。筆者の元には他県の複数のJA職員からの「新年度になってむしろノルマが増えた」という声も聞こえてくる。 農水省は「今も自爆営業をしているなら監督官庁である都道府県に届け出てほしい」(協同組織課)と呼びかけている。JAの「ノルマ地獄」が是正される日は来るのか』、「農水省」などの監督官庁の自粛呼びかけが空虚に響くようだ。

次に、本年9月20日付け東洋経済オンラインが掲載した経済ジャーナリストの岩崎 博充氏による「「令和のコメ騒動」不足解消でも楽観できない事情 人口減少社会で「農地改革」が進まない本当の理由」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/827633
・『コメの品薄が話題になっている中で、いまその原因についてさまざまな分析や検証が進んでいる。インバウンドの外国人によるコメの消費量が増えたとか、気候変動の影響などが指摘されているが、問題の本質は日本の農業政策そのものにある、という指摘も数多い。 地方の農家の数は、毎年すさまじい勢いで減少し続けており、耕作面積も年々確実に減少している。とりわけ、ロシアによるウクライナ侵攻以来、世界的な食料不足が叫ばれ、今や食料政策は軍事力同様に重要な防衛要因となっている。 そんな状況の中で、今年の5月に改正された「食料・農業・農村基本法」(以下、基本法)が注目されている。今後の日本の食料行政、農業行政に大きな影響を与える改正と言っていいだろう。にもかかわらず、マスコミではあまり注目されていない。日本の食料事情や農業行政の根幹に関わる大きなターニングポイントとなるのか……。基本法の概要と我々への影響を考える』、興味深そうだ。
・『輸入頼りの食料政策から自給自足へ転換?  日本の農業が窮地に立たされていることはよく知られている。コメの品薄もその一端と言っていいだろう。今のところ今年のコメは豊作であり、深刻なコメ不足には至っていないものの、日本の農業政策は大きな軌道修正を求められていると言っても過言ではない。 実際に2000年の「基幹的農業従事者(専業農家)」は2000年には240万人いたのが、2023年には116万人に減少。農地面積も2023年は430万ヘクタールだが、ピーク時の1961年と比較すると約3割減少したことになる。 とりわけ、深刻なのが農業従事者の高齢化だ。75歳以上の基幹的農業従事者数は、2000年には全体の13%だったのが、2023年には36%に増加している。人口減少とともに進んできた地方の過疎化が、農業に深刻な影響を与えていると言っていいだろう。) 耕地面積の利用率という面でも、430万ヘクタールのうち91%しか利用されていない。1割は放置されているのが現状だ。そんな状況の中で、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、日本の農業政策は大きな転換点を迎えている。食料自給率の低下を放置して、アメリカなどの食料輸出国から輸入すれば賄えるという基本方針が、ここにきて輸入だけでは賄い切れない現実が見えてきたからだ。 そんな状況の中で、今年5月に成立したのが日本の農業行政の憲法とも言われる「食料・農業・農村基本法」の改正だ。現代の時代に即したものにしようと、政府が戦後続けてきた政策を大きく転換させるものになろうとしている。ちなみに、今回の基本法改正に基づいた農業政策の指針となる基本計画作りを、2025年3月をめどに作成し閣議決定する予定になっている』、「今年5月に成立したのが日本の農業行政の憲法とも言われる「食料・農業・農村基本法」の改正だ。現代の時代に即したものにしようと、政府が戦後続けてきた政策を大きく転換させるものになろうとしている」、なるほど。
・『食料安保の強化目指した基本法改正?  今回の基本法改正では、多岐にわたって修正や新設を行っているのだが、その最大のポイントは「食料安保の強化」に取り組んでいることだ。農林水産省がまとめている「食料・農業・農村基本法改正のポイント令和6年8月」を見ると、次のような4つの点に集約される。 ①食料安全保障を基本理念に食料輸送手段の確保、食料の寄附促進の環境整備、持続可能な食料供給の促進を図ると同時に、海外における事業展開の促進、農産物の輸入に関する措置の拡大、農産物の輸出の促進など、海外からの食料輸入基盤を強固なものにする。 ②環境と調和の取れた食料システム 食品産業の健全な発展、農業における環境への影響を低減することを促進する。異常気象などに対するための食料確保をシステム化する。 ③人口減少下での農業生産性向上 農業の担い手の育成と確保を図り、農地の確保に受けて農業経営の基盤強化を図ることで、農地の確保および有効利用を推進する。さらに、先端技術(スマート農法)を活用した生産・加工・流通方式の導入、農産物の付加価値の向上などを図り、生産性向上を目指す。 ④農村や農業のインフラの整備 農地の保全を目的とした共同活動の促進、地域の資源を活用した事業活動の促進、鳥獣対策など。 単に、農業生産に関する法改正ではなく、包括的に食料を国民の手に届けるためのシステム作りを図ることで、食料安保の強化を整備しようという考えのようだ。実際に、基本法の改正とともに「食料供給困難事態対策法」を2024年6月に成立させている。戦争や大災害など有事の際の食料供給体制を整えるための法律だ。) これまでの日本の農業行政は、コメを除く穀物や肥料など、その大半を輸入に頼ってきた。今回の基本法改正では、90~100%を輸入に頼ってきた化学肥料なども、国内での生産基盤を整備する方向に転換しており、ここにきてやっと輸入だけに頼った農業政策だけではダメであることを政府が認めたといっても過言ではないだろう。食料自給率を何とか高めるための方向に舵を切り始めたと言っていい。 その背景には、従来は高い円に依存して食料は輸入さえすれば何とかなる、と考えていた政府が、1ドル=160円台にまで進んだ円安を見て、食料を輸入できなくなる時代がやってくるかもしれない……、という現実に気付いたと言っていいのかもしれない』、「90~100%を輸入に頼ってきた化学肥料なども、国内での生産基盤を整備する方向に転換しており、ここにきてやっと輸入だけに頼った農業政策だけではダメであることを政府が認めたといっても過言ではないだろう。食料自給率を何とか高めるための方向に舵を切り始めたと言っていい」、なるほど。
・『農業生産の効率向上を阻害する「農地法」の改正は?  もっとも、食料の安全保障は、農業政策だけで解決できるような問題ではない。農地の効率的利用を現在よりも大幅に引き上げていく方法を考えなければならない。そのためには、現在の農業生産の向上を阻害している農地法の大幅な改正が必要だと指摘されている。 例えば、現在でも農地を取得するには、年間150日以上農作業を行う農業従事者でなければならないといった厳しい規制が存在する。市町村などが農業委員会などと共同で実施する「農用地利用集積計画」などを使えば、農業従事者以外でも農地を購入することが可能になったものの、地域の農業委員会の許可が必要になるなど、まだまだ数多くの規制が残っている。農地の流動性はまったく進んでいない。 一方、法人の農地取得も同じような状況だ。一定の要件を満たした法人である「農地所有適格法人」にならなければ、農地を取得できないことになっている。一般の株式会社は農地が取得できずに、現在のところ賃貸しか認められていない。法人が農業を始めるにあたっては基盤整備などの長期投資が不可欠だが、賃貸では限界がある。 要するに、現在の農地法では、原則として耕作する人しか農地を所有できないと言うことになっており、幅広い事業を展開する商社などが、農業生産事業に進出しようとしても、農地の確保が日本ではいまだにできないことになる。これでは日本の食料安保を守ることができない。) 実際のところ、農地を相続した人間が、簡単に農地を売却することができないのが現実だ。場所によっては「地目」の変更が可能な場合もあるが、大半の農地は農地のまま売却しようとすると、地域の農業政策委員会や都道府県知事の許可が必要になる。簡単に売却できないとなると、農地を相続した人間にとっては、管理が不十分になったり、耕作放棄の状態に陥ってしまったりする。人口減少に伴って、日本の耕作地が十分に活用されていない理由の1つと言っていい。 ちなみに、農地の売却には「2022年問題」というのもある。1992年に定められた生産緑地法によって、その期限である30年後の2022年に、農地が大量に売却されるのではないかと懸念されていた。農地として活用されていれば、生産緑地法によって固定資産税の減免措置が受けられる状況にあったのだが、その期限が2022年だったわけだ。ただ再申請によって10年延長になっているが、いずれは大量の農地が売却に向かうと予想されている。 ところが、農地法の壁によって農地の流動性はほとんど向上していない。それどころか、年々耕作放棄した農地が増え続けている。こうした現状を改めていこうというのが、今回の食料・農業・農村基本法の改正だが、農地法の抜本的な改正を予想させるような法改正には至っていない。結局のところは、農地を減らさないための農地法でしかなく、農業を活性化させるための農地法になっていない。) この法律には罰則規定もあり、出荷販売業者や輸入業者、生産業者等に対して食料確保の「計画」を届け出る指示を出すことができる。届け出の指示に従わなかった場合には、罰金が科せられ、さらに立ち会い検査等によって特定食料等の在庫を把握することも可能だ。報告の拒否や拒否の報告をした場合にも過料が適用されることになっている。 罰則規定のある法律になったことで、有事の際の食料不足をコントロールする効果を発揮できそうだが、実際にそういう事態になってみないとわからない。重要なことは、これまで輸入だけで何とかなるとしていた政府が、ロシア・ウクライナ戦争などの地政学リスクや気候変動などに直面したことで、海外から食料や肥料、エネルギーが調達できない可能性が出てきたこと。 さらに、海外から輸入できたとしても、国内にすさまじいインフレをもたらす「超円安」が発生したときには、これまでのシステムでは国民を飢えさせてしまうことに気付いたことには高く評価すべきなのかもしれない』、「現在の農地法では、原則として耕作する人しか農地を所有できないと言うことになっており、幅広い事業を展開する商社などが、農業生産事業に進出しようとしても、農地の確保が日本ではいまだにできないことになる。これでは日本の食料安保を守ることができない・・・海外から食料や肥料、エネルギーが調達できない可能性が出てきたこと。 さらに、海外から輸入できたとしても、国内にすさまじいインフレをもたらす「超円安」が発生したときには、これまでのシステムでは国民を飢えさせてしまうことに気付いたことには高く評価すべきなのかもしれない」、なるほど。
・『国際的には高い評価の日本の食料安保?  日本の農業政策は、海外に比べれば、確かに食料自給率は低いものの、今回の「米騒動」のような事態はほとんどこれまでなかった。例えば、英誌エコノミストの調査部門であるエコノミスト・インパクトが2022年9月に発表した「食料安全保障指数(GFSI)」によると、日本は調査対象の113カ国の中で6位となっている。 食料安全保障指数は、食料安保という観点から価格の手頃さ、物理的な入手のしやすさ、品質・安全性、持続可能性、適応性といった項目で数値化したものだ。そのランキングを見ると、次のようになっている。 1、フィンランド 2、アイルランド 3、ノルウェー 4、フランス 5、オランダ 6、日本 7、スウェーデン 8、カナダ 日本の食料安保は、国際的には非常に高いレベルにあると言っていい。日本の農業政策は食料自給率の低さばかりがクローズアップされてしまうが、そういう意味ではエネルギー政策に似たものがある。日本のエネルギーは、ほぼ海外に依存しているわけだが、一時的なものを覗いて、エネルギー不足に陥ったことはほとんどない。 とはいえ、近年のインフレは農業生産にも大きな影響を与えている、例えば「農業物価統計指数」よると、2023年平均の「肥料」の価格指数は147.0(2020年=100)と約5割上昇しており、家畜の餌である飼料も145.8(同)となり5割近く上昇している(日本農業新聞「23年資材価格が過去最高飼・肥料3年で1.5倍農産物へ転嫁限定的」2024年1月31日)。 そんな中で農家の出荷価格は野菜が2023年の平均で113.3(生産者価格指数、2020年=100)と1割の上昇にとどまっている。農産物全体でも107.8にとどまっており、コストを価格転嫁できていないのが現状だ。 人口減少や流動性の少ない農地売買の実態を考えると、日本の農業生産の現場は、持続可能な事業というにはほど遠い。政治家は簡単に世襲が可能だが、日本の農家は世襲すら許されない。それが、現在の日本の農業現場と言っていいだろう』、「日本の食料安保は、国際的には非常に高いレベルにあると言っていい」、意外な結果で驚いた。「コストを価格転嫁できていないのが現状だ。 人口減少や流動性の少ない農地売買の実態を考えると、日本の農業生産の現場は、持続可能な事業というにはほど遠い。政治家は簡単に世襲が可能だが、日本の農家は世襲すら許されない。それが、現在の日本の農業現場と言っていいだろう」、その通りだ。
・『緊急時には農業事業者に計画書の提出を義務化?  一方、同基本法の改正に合わせて6月に成立した「食料供給困難事態対策法」だが、政府が重要とする食料品や物資をあらかじめ指定し、世界的な不作などで供給が大きく減少した場合など、生産者に増産や備蓄を求めるという法律だ。いわば有事に備えた食料安全保障体制の整備と言っていいだろう。今までにも食料の安全確保については、さまざまな政策が存在していたが、既存の体制だけでは対応しきれない事態に備えて、例えばコメや小麦、大豆、その他の植物油脂原料、畜産物、砂糖、といった物資を特定食料として指定し、有事の際には、事業者に対して出荷・販売の調整、輸入の促進、生産・製造の促進を要請することになっている』、「既存の体制だけでは対応しきれない事態に備えて、例えばコメや小麦、大豆、その他の植物油脂原料、畜産物、砂糖、といった物資を特定食料として指定し、有事の際には、事業者に対して出荷・販売の調整、輸入の促進、生産・製造の促進を要請することになっている」、素晴らしいことだ。
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イスラエル・パレスチナ(その7)(パレスチナへの支援金額 アラブ諸国はたった2割…意外な「最大の支援国家」とは?、なぜイスラエルは「テック大国」になれたのか...戦闘だけではない「徴兵制」に隠された目的とは?) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、本年8月21日に取上げた。今日は、(その7)(パレスチナへの支援金額 アラブ諸国はたった2割…意外な「最大の支援国家」とは?、なぜイスラエルは「テック大国」になれたのか...戦闘だけではない「徴兵制」に隠された目的とは?)である。

先ずは、本年8月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したテレビ東京WBS(ワールドビジネスサテライト)メインキャスターの豊島晋作氏による「パレスチナへの支援金額、アラブ諸国はたった2割…意外な「最大の支援国家」とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/349187
・『昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルに大規模攻撃を仕掛けてから、1年近くが経つ。当初は国際世論を味方につけていたイスラエルだが、ハマスの支配するパレスチナ自治区ガザ地区を爆撃する報復に出たことで、今や世界から非難を浴びている。長く両者が血を流し続けるイスラエル・パレスチナ問題の根源をたどる。※本稿は、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のメインキャスター、豊島晋作『日本人にどうしても伝えたい 教養としての国際政治 戦争というリスクを見通す力をつける』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『過去においてハマスによる攻撃やテロが国際的な非難を浴びやすかったワケ  世界の反応について考えると、過去においてはハマスによる攻撃やテロの方が、イスラエル軍の攻撃よりも国際的な非難を浴びやすかったと思います。これはなぜでしょうか。 1つ目の理由は、イスラエルが、国際政治で最も影響力と発信力のあるアメリカと緊密な関係にあることでしょう。2つ目はイスラエル軍が国家の軍隊である一方、ハマスがそうではないことです。 イスラエルは民主的に統制された正規軍(イスラエル国防軍)が暴力を行使します。一方でパレスチナ人は国家を設立できておらず、また民主的な統制がないハマスなどの武装組織が暴力を行使しています。明らかな犯罪行為である民間人を標的にした自爆テロも行ってきました。 国際法などのルールに照らすと、イスラエル軍の攻撃は国家の武力行使なので国際法上はより正当化されやすい可能性があり、一方で国家の軍隊ではない武装組織ハマスの攻撃は、犯罪的と見なされる可能性が高いと言えます。 前者は暴力行使への民主的な監視と手続きが存在し、軍事法廷も含め結果への説明責任が果たされる余地があります。しかし、後者はそうした暴力の行使に対する抑制メカニズムがないと見なされ、批判を受けやすいのです。 しかし、発生する結果は同じです。イスラエル軍の攻撃もハマスの攻撃も、ともに無実の民間人を数多く殺害してきました。もちろん、10月7日のハマスによる殺人や拉致は重大犯罪であり処罰は必要です。 同じくイスラエル軍の民間人への攻撃と殺害も犯罪行為であり処罰が必要です。戦争には、攻撃の際は民間目標を避けるなど、かつて戦時国際法とも呼ばれた武力国際法(国際人道法)のルールがあり、2023年10月以降の状況はそれが守られているとは言えません。 こうした議論の場合は「どちらも悪い」などという雑多な結論ではなく、個別の殺人行為、個別の軍事行動、攻撃行為を細かく見ていくしか方法がありません。 この点については、事実上、機能する国家を設立できていないパレスチナ人側、つまりハマス側が説得力の面で劣勢にあると言えるでしょう。やはり国家を設立できたか、できなかったかで世界へのメッセージの発信力を含め政治的な優劣が出ています』、「国際法などのルールに照らすと、イスラエル軍の攻撃は国家の武力行使なので国際法上はより正当化されやすい可能性があり、一方で国家の軍隊ではない武装組織ハマスの攻撃は、犯罪的と見なされる可能性が高いと言えます。 前者は暴力行使への民主的な監視と手続きが存在し、軍事法廷も含め結果への説明責任が果たされる余地があります。しかし、後者はそうした暴力の行使に対する抑制メカニズムがないと見なされ、批判を受けやすいのです。 しかし、発生する結果は同じです。イスラエル軍の攻撃もハマスの攻撃も、ともに無実の民間人を数多く殺害してきました。もちろん、10月7日のハマスによる殺人や拉致は重大犯罪であり処罰は必要です・・・こうした議論の場合は「どちらも悪い」などという雑多な結論ではなく、個別の殺人行為、個別の軍事行動、攻撃行為を細かく見ていくしか方法がありません。 この点については、事実上、機能する国家を設立できていないパレスチナ人側、つまりハマス側が説得力の面で劣勢にあると言えるでしょう。やはり国家を設立できたか、できなかったかで世界へのメッセージの発信力を含め政治的な優劣が出ています」、なるほど。
・『パレスチナの最大の支援者はアラブ諸国ではない  ただ、2024年に入り、イスラエルへの批判が世界中でかつてない規模で広がった結果、パレスチナを国家として承認する動きも広がりました。2024年5月28日、スペイン、アイルランド、ノルウェーの欧州3カ国が、パレスチナを国家として正式承認したのです。 アイルランドはかつてイギリスと独立戦争を戦った歴史があり、独立国家になるための苦闘を経験した国でもあります。実はパレスチナ自治政府に対しては、これら3カ国が承認する前の時点でも、アラブ諸国やアフリカ諸国を含め世界の139カ国が既に国家として承認していました。 ただ、日本やアメリカ、イギリス、フランス、イタリアなど国際政治で影響力の大きいG7諸国は承認しておらず、パレスチナにとっては、これが大きな課題となっているのです。 では、パレスチナ人たちは誰かに頼れるのでしょうか。やはりアラブ諸国でしょうか。パレスチナの人々はアラブ諸国の資金援助に頼っていると思われがちですが、実はそうでもありません。アラブ国家の合計の支援金額は全体の20%程度に過ぎません。その大部分がサウジアラビアの9.9%とアラブ首長国連邦の5.2%です。 実は、1994年から2020年までのパレスチナ支援総額400億ドルのうち最大の支援者はヨーロッパ(EU)で全体の約18.9%です。次にアメリカの14.2%、日本は約2.9%となっています。軍事援助や政治的なスタンスではイスラエル寄りの姿勢が目立つアメリカですが、単独国家としては最大の資金を拠出しています。最大の支援者は欧米なのです。 なお、イランなどの武器支援は公式の統計にはほぼ出てこないので把握は困難ですが、少なくとも公式統計に出てくる支援国の上位にいないことは明らかです』、「1994年から2020年までのパレスチナ支援総額400億ドルのうち最大の支援者はヨーロッパ(EU)で全体の約18.9%です。次にアメリカの14.2%、日本は約2.9%となっています。軍事援助や政治的なスタンスではイスラエル寄りの姿勢が目立つアメリカですが、単独国家としては最大の資金を拠出しています。最大の支援者は欧米なのです・・・スペイン、アイルランド、ノルウェーの欧州3カ国が、パレスチナを国家として正式承認したのです。 アイルランドはかつてイギリスと独立戦争を戦った歴史があり、独立国家になるための苦闘を経験した国でもあります。実はパレスチナ自治政府に対しては、これら3カ国が承認する前の時点でも、アラブ諸国やアフリカ諸国を含め世界の139カ国が既に国家として承認していました。 ただ、日本やアメリカ、イギリス、フランス、イタリアなど国際政治で影響力の大きいG7諸国は承認しておらず、パレスチナにとっては、これが大きな課題となっているのです」、なるほど。 
・『アラブ諸国に見捨てられた状態のパレスチナ人  パレスチナの人々は心のどこかで、アラブ諸国は最後には頼りにならないことが分かっています。どの国の軍隊も戦闘能力は低く、ともに戦った過去4回の戦争は全て敗北しましたし、先ほど書いた通り資金援助の合計は欧米の方が多いのです。) そもそも、アラブ諸国はスンニ派のサウジアラビアとシーア派のイランを中心に対立しており、団結できていません。かつて「パレスチナ問題が解決するまではイスラエルは認めない」という“アラブの大義”を掲げ、対イスラエル戦争を戦った同胞のエジプトは、今やパレスチナ難民の流入を恐れて国境を封鎖してしまいました。 もともと、アラブ諸国の指導者たちは、自分の権力の維持こそが最も重要だと考えるリアリスト集団です。パレスチナ問題に関しては、パレスチナ人に同情する世論に配慮して一定の行動をとっているに過ぎません。 最大の資金援助国サウジアラビアも、去年までパレスチナ人の宿敵であるイスラエルとの国交正常化に動いていましたし、2020年にはパレスチナ自治政府への支援金を80%以上も削減しています。またUAE(アラブ首長国連邦)やバーレーンもイスラエルと国交を正常化し、パレスチナへの支援金を同じく削減したと見られています。 パレスチナ人にとって、もはや“アラブの大義”は失われ、アラブ諸国には見捨てられた、裏切られた状態だったのです。 過去にアラブ諸国の指導者でパレスチナ人の支持を集めたのが、イラクのサダム・フセイン大統領でした。イスラエルにスカッドミサイルを何発も打ち込み、パレスチナ人たちから「実際に行動を起こした」と称賛されました。 フセイン大統領といえば1990年に隣国クウェートに軍事侵攻したことで知られ、アメリカ主導の有志連合軍によって撃退され、最終的には2003年のイラク戦争後に殺害された独裁者です。そういう人物でも、パレスチナ人の一部は英雄だと考えていたのです。 実際、サダム・フセインのイスラエルへのミサイル発射が、欧米を含め他国にパレスチナ問題の解決を急がせ、その後の1993年のオスロ合意へと向かう要因になったとも指摘されています』、「もともと、アラブ諸国の指導者たちは、自分の権力の維持こそが最も重要だと考えるリアリスト集団です。パレスチナ問題に関しては、パレスチナ人に同情する世論に配慮して一定の行動をとっているに過ぎません。 最大の資金援助国サウジアラビアも、去年までパレスチナ人の宿敵であるイスラエルとの国交正常化に動いていましたし、2020年にはパレスチナ自治政府への支援金を80%以上も削減しています。またUAE(アラブ首長国連邦)やバーレーンもイスラエルと国交を正常化し、パレスチナへの支援金を同じく削減したと見られています・・・過去にアラブ諸国の指導者でパレスチナ人の支持を集めたのが、イラクのサダム・フセイン大統領でした。イスラエルにスカッドミサイルを何発も打ち込み、パレスチナ人たちから「実際に行動を起こした」と称賛されました・・・サダム・フセインのイスラエルへのミサイル発射が、欧米を含め他国にパレスチナ問題の解決を急がせ、その後の1993年のオスロ合意へと向かう要因になったとも指摘されています」、なるほど。
・『「何度も建国のチャンスはあったはず」パレスチナ政府に対する批判も  この1993年のオスロ合意=パレスチナ暫定自治合意は、パレスチナに自治区を立ち上げ、いずれはパレスチナとイスラエルの2国家共存を目指すという合意でした。その後の中東和平の基礎となりました。) しかし、合意の当事者だったイスラエルのラビン首相は1995年、イスラエル国民で和平に反対するユダヤ人青年によって射殺されました。その後、2000年に後に首相となるアリエル・シャロンがイスラム教徒の聖地である岩のドームを訪問してパレスチナ人の怒りに火を付け、和平の流れは崩れていきました。 パレスチナ人から見れば、アラブ諸国は頼れず、イスラエル側は和平に本気ではないと結論付けざるを得ませんでした。 一方で、パレスチナ側への批判もあるでしょう。ハマスなどのテロ組織は、民間人を狙ったテロを何度も起こしてきました。民間人が乗るバスなどを自爆テロで爆破し、大勢の市民を殺害してきました。 確かに、1947年の国連決議ではアラブ国家の樹立も認められ、アラブやアフリカ諸国など多くの国がパレスチナ政府を国家として承認しています。 しかし、半世紀以上たった今も、パレスチナ人はG7諸国が認めるような、機能する国家を建設できていません。これはイスラエルが事実上、建国を認めず、妨害しているためですが、一方において、パレスチナ人たちも自分たちをうまく組織化できず、社会を統治できていないのです。「これまで何度も建国のチャンスはあったはずだ」との批判もあります。 パレスチナ自治政府の権力は腐敗しており、腐敗を除去する政治メカニズム、つまり、チェックアンドバランス機能を持っていません。カリスマ的指導者とされたPLOのヤーセル・アラファト議長の権力もかなり腐敗していたことが指摘され、後を継いだアッバス議長も、同じく腐敗や統治能力の欠如が批判されてきました。2006年以来、一度も選挙を実施していないため、パレスチナの人々の民意を代表していないという批判もあります』、「1993年のオスロ合意=パレスチナ暫定自治合意は、パレスチナに自治区を立ち上げ、いずれはパレスチナとイスラエルの2国家共存を目指すという合意でした。その後の中東和平の基礎となりました。) しかし、合意の当事者だったイスラエルのラビン首相は1995年、イスラエル国民で和平に反対するユダヤ人青年によって射殺されました・・・パレスチナ人から見れば、アラブ諸国は頼れず、イスラエル側は和平に本気ではないと結論付けざるを得ませんでした・・・1947年の国連決議ではアラブ国家の樹立も認められ、アラブやアフリカ諸国など多くの国がパレスチナ政府を国家として承認しています。 しかし、半世紀以上たった今も、パレスチナ人はG7諸国が認めるような、機能する国家を建設できていません。これはイスラエルが事実上、建国を認めず、妨害しているためですが、一方において、パレスチナ人たちも自分たちをうまく組織化できず、社会を統治できていないのです・・・パレスチナ自治政府の権力は腐敗しており、腐敗を除去する政治メカニズム、つまり、チェックアンドバランス機能を持っていません。カリスマ的指導者とされたPLOのヤーセル・アラファト議長の権力もかなり腐敗していたことが指摘され、後を継いだアッバス議長も、同じく腐敗や統治能力の欠如が批判されてきました。2006年以来、一度も選挙を実施していないため、パレスチナの人々の民意を代表していないという批判もあります」、なるほど。
・『イスラエルの「強者の論理」とパレスチナ人の「弱者の論理」の対立  また、パレスチナ社会、つまりガザやヨルダン川西岸地区では言論の自由がないとの批判もあります。オスロ合意前後では、パレスチナには一定の言論の自由があったとされますが、近年はそうではなく、ハマスへの批判などはできない状態だったと言われます。) 確かにこうした批判は一定の説得力を持つかもしれません。しかし、抑圧された人間集団に言論の自由などを要求することに何の意味があるのかとも考えてしまいます。様々な批判があるとしても「パレスチナ人がここまで苛烈な運命を背負わなければならないのか」という大きな疑問はやはり残ります。 一方的に土地を奪われ、爆弾と砲弾で家を破壊され、街を破壊され、家族を殺されなければならないのか、イスラエルの行為をそこまで許容するのか。そんな“再反論”も当然大きな説得力を持つわけです。 パレスチナ人たちは、ユダヤ人という組織力が強く、かつ強い生存本能を持った民族が「住みたい」と言った場所に、偶然、住んでいただけです。ただそれだけで、苛烈な運命を背負わされているのです。 ユダヤ人はかつて歴史的に迫害を受け続ける「弱者」とされてきましたが、今や、経済的・軍事的な「強者」になっています。つまり対立の根源は、強力な軍事力と経済力を持つイスラエルの「強者の論理」と、ゲリラ戦やテロ攻撃で報復するしかないパレスチナ人の「弱者の論理」の対立でもあるのです。 確かに国際政治は「強者の論理」が支配する世界ですが、現代に生きる私たちが、それをただ肯定することはできません。日本としても当然すべきではないでしょう。これは綺麗事ではなく、もし日本より軍事力の大きな国が武力で日本の領土を奪った場合、それを認めることはできませんし、認めるべきではないからです。現代の国際秩序が壊れてしまうからです。 もし日本人がパレスチナ人のような状況に置かれたらどうするでしょうか。宗教に救いを求めずにいられるでしょうか。家族や子供を殺されて冷静でいられるでしょうか。 この問いに答えはありませんが、パレスチナの人々は多くが石を投げて抵抗し、イスラムの教えを拠り所にしました。 そして、イスラエル人たちがいるショッピングセンターで自爆ベルトを起爆させて散るようになりました。民間人に対する非道な攻撃、自爆テロをも行う人々が現れたのです。過激な手段をとる武装集団=ハマスの登場です』、「対立の根源は、強力な軍事力と経済力を持つイスラエルの「強者の論理」と、ゲリラ戦やテロ攻撃で報復するしかないパレスチナ人の「弱者の論理」の対立でもあるのです・・・パレスチナの人々は多くが石を投げて抵抗し、イスラムの教えを拠り所にしました。 そして、イスラエル人たちがいるショッピングセンターで自爆ベルトを起爆させて散るようになりました。民間人に対する非道な攻撃、自爆テロをも行う人々が現れたのです。過激な手段をとる武装集団=ハマスの登場です」、「イスラエル」は現在、「ハマス」潰しに血道を挙げているが、まだまだ時間がかかりそうだ。

次に、9月11日付けNewsweek日本版「なぜイスラエルは「テック大国」になれたのか...戦闘だけではない「徴兵制」に隠された目的とは?」を紹介しよう。<日本の四国ほどの面積、常に戦争とも隣り合わせの国が最新ITを牽引する背景には、男性にも女性にも義務づけられた「徴兵制」の存在が──> 今年2月、イスラエルのテルアビブ大学で、最先端AI(人工知能)技術の進化や課題、最新トレンドを議論するイベント「AI Day」が開催された。 【関連動画】イスラエルで開発された「乗用ドローンタクシー」飛行の様子 もともとこのイベントは1週間の日程で行われる予定だったが、昨年10月7日にイスラム組織ハマスが大規模テロを起こし、イスラエルが戦争状態に入っていたために開催が危ぶまれていた。だが、イスラエルのテクノロジー分野はテロに屈服しない、という意思を世界に示すため、1日限定でイベントは開催された。 筆者はこのイベントを取材するためにイスラエルを訪れていた。大学内の講堂で行われたイベントの冒頭には、進行役のテルアビブ大学関係者が「空襲警報が鳴ったら速やかに避難していただく」とステージ上でアナウンスし、戦時下の緊張状態にあることを再認識させた。 ただ、常に戦争と隣り合わせのこの日常こそが、まさに世界のIT業界を支えるテック大国イスラエルの礎になっていると言えるだろう。 ユダヤ人国家であるイスラエルが、世界の名だたるテック企業を牽引していることはよく知られている。 2024年現在の世界的企業の時価総額ランキングを見ると、トップ企業の多くは創業者や経営者がユダヤ系だ。アップル、マイクロソフト、アルファベット、メタ、インテル、オラクルなど、現代の世界を支える企業が名を連ねている。 またユダヤ系企業でなくとも、イスラエルの優れた技術を開発するスタートアップ(新興)企業を買収するなどしてイスラエル発のテクノロジーを獲得している世界的企業も数多い。その規模は22年に総額169億ドルにも上っている。 過去の有名なケースでは、06年に記録媒体で有名なサンディスクがイスラエル企業が開発したUSBドライブ技術を買収している。17年にはインテルが自動運転技術を開発するイスラエルのモービルアイを買収し、大きな話題になった。 時価総額でアップルを抜いて話題になった半導体メーカーNVIDIA(エヌビディア)も今年、AI管理ソフトを開発するイスラエル企業を買収した。 そもそもイスラエルには、有能なテック人材が多い。そのため、世界中の企業が買収を視野にスタートアップに注目しているだけでなく、こぞってイスラエルにR&D(研究開発)の拠点を置いている。 その数は現在、433企業にもなり、マイクロソフトやIBM、インテル、シスコ、クアルコム、シティバンク、シーメンスなど枚挙にいとまがない』、「そもそもイスラエルには、有能なテック人材が多い。そのため、世界中の企業が買収を視野にスタートアップに注目しているだけでなく、こぞってイスラエルにR&D(研究開発)の拠点を置いている。 その数は現在、433企業にもなり、マイクロソフトやIBM、インテル、シスコ、クアルコム、シティバンク、シーメンスなど枚挙にいとまがない」、なるほど。
・『技術と科学に生存を懸けて  なぜイスラエルは技術力の高いテクノロジーを開発する有能なテック人材を輩出できるのか。その背景には、イスラエル独特の国家型エコシステムがある。その鍵を握るのが「徴兵制」で、つまり軍事部門が重要な要素となっている。 このエコシステムを理解するのには、まず国の成り立ちを知る必要がある。日本の四国ほどの面積のイスラエルには現在、約955万人が暮らす。イスラエルは、宗教対立を抱え、領土をめぐって長く争うアラブ諸国に囲まれている。北はレバノンやシリア、東にはヨルダン、南にはエジプトが存在する。 1948年の独立から現在まで、周辺のアラブ諸国とは4度も戦火を交えている。イスラエルには3大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の聖地エルサレムがあり、その帰属をめぐって、パレスチナ人が暮らすパレスチナ自治区とも敵対。 特にイスラエル南部のガザ地区を拠点とするハマスとは、何度も軍事的な衝突が起きている。 昨年10月に、ハマスの戦闘員らがイスラエルに侵入して約1200人が殺害されたテロ事件は記憶に新しい。イスラエル政府はハマス殲滅を掲げて今もガザ地区に報復攻撃を続けており、これまでに民間人を含めて4万人以上が死亡している。 ハマスなど反イスラエル勢力による攻撃も、これまで何度も繰り返されてきた。イスラエルの背後には地中海が広がり、まさに背水の陣の様相で生存を懸けて戦ってきた。 そうした現実から、イスラエルは早い段階から自国を守るための軍事力に力を入れ、独自のエコシステムを確立してきた。 テルアビブ大学教授でイスラエルのIT部門を政府内で牽引してきたアイザック・ベンイスラエル少将は、「イスラエルは建国前から、天然資源のない国がいかに生き残れるのかを真剣に考えてきた。そこで必要なのは、教育や科学、テクノロジーの分野で他国に抜きんでることだとの認識を持つようになった」と話す。 そして建国後の貧しい時代にも、政府は、周辺の敵から身を守るための防衛技術につながる科学的な研究やテクノロジー開発を重要視して投資を行ってきた。現在では「デュアルユース(軍民両用)」と呼ばれる技術の開発だ』、「イスラエル独特の国家型エコシステムがある。その鍵を握るのが「徴兵制」で、つまり軍事部門が重要な要素となっている・・・日本の四国ほどの面積のイスラエルには現在、約955万人が暮らす。イスラエルは、宗教対立を抱え、領土をめぐって長く争うアラブ諸国に囲まれている。北はレバノンやシリア、東にはヨルダン、南にはエジプトが存在する。 1948年の独立から現在まで、周辺のアラブ諸国とは4度も戦火を交えている。イスラエルには3大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の聖地エルサレムがあり、その帰属をめぐって、パレスチナ人が暮らすパレスチナ自治区とも敵対。 特にイスラエル南部のガザ地区を拠点とするハマスとは、何度も軍事的な衝突が起きている・・・天然資源のない国がいかに生き残れるのかを真剣に考えてきた。そこで必要なのは、教育や科学、テクノロジーの分野で他国に抜きんでることだとの認識を持つようになった」と話す。 そして建国後の貧しい時代にも、政府は、周辺の敵から身を守るための防衛技術につながる科学的な研究やテクノロジー開発を重要視して投資を行ってきた。現在では「デュアルユース(軍民両用)」と呼ばれる技術の開発だ」、なるほど。
・『1967年のフランスショック  大きな転機が訪れたのは67年。イスラエルと、エジプトやシリア、ヨルダンなどアラブ諸国の間で、第3次中東戦争、いわゆる6日間戦争が勃発した。それまで武器調達で依存していたフランスがアラブ諸国に肩入れすることを決め、イスラエルに対する武器禁輸措置に踏み切った。 このフランスの動きにショックを受けたイスラエルは、軍事部門における他国への依存度を減らす必要があると悟る。そこで国内の防衛分野やそれに関わるテクノロジー分野への投資を強化するようになり、そこから目覚ましい急成長を遂げることになった。 さらに、自分たちの戦力を高めるだけでなく、開発した技術を輸出する知識集約型のハイテク分野の構築に焦点を置いた。アラブ諸国に対する地政学的な劣勢を埋め合わせるために、IT技術に傾倒していったというわけだ。 ベンイスラエルは、「そのおかげで70年代には、低賃金で雇える有能な科学者やエンジニアが数多く育っていた」と言う。80年代には既にIBMやインテル、モトローラなどが次々とイスラエルに研究開発センターを設置するようになっていた。 90年代半ばにパコソンや携帯電話が一般にも普及するようになると、イスラエルのそれまでの投資も実り、世界有数のIT国家として知られるようになった。防衛意識から生まれたイスラエルのIT分野は順調に成長を遂げ、スタートアップも数多く生まれている。 IT分野の成長を支える重要な要素が、イスラエル軍の徴兵制度だ。ベンイスラエルは、「意外に思うだろうが、徴兵制こそがイスラエルの技術的な革新を可能にしている」と言う。 「端的に言えば、イスラエルがテック分野で成功した秘訣は『大規模な戦略』が根底にある。その戦略は、イスラエルの置かれている過酷な地政学的環境から生まれた。その戦略の大事な要素は、質で優位に立つことと、大規模な研究開発の取り組みを推進することだ」 イスラエルでは、18歳になれば国民はイスラエル軍に入隊する義務がある(アラブ系など一部免除あり)。男性は2年8カ月、女性は2年、イスラエル軍に所属して、国防の現場で勤務する必要がある。また、40歳までは予備役として登録される。 実はこの徴兵制は武器を持って戦闘をすることだけが目的ではない。優秀な人材を育成するための重要な役割を担っている。 イスラエル軍の人事部は、19歳のイスラエル人の若者を全て、入隊前にスクリーニングする。 その際に、科学やエンジニア部門で秀でた人材を青田買いして、軍が学費を負担して徴兵時期を延期するなどの支援をしながら専門的な分野に送り込む。実際に毎年、1000人ほどの優秀な高校生が軍に入隊する前に大学へ送り込まれる』、「1967年のフランスショック・・・それまで武器調達で依存していたフランスがアラブ諸国に肩入れすることを決め、イスラエルに対する武器禁輸措置に踏み切った。 このフランスの動きにショックを受けたイスラエルは、軍事部門における他国への依存度を減らす必要があると悟る。そこで国内の防衛分野やそれに関わるテクノロジー分野への投資を強化するようになり、そこから目覚ましい急成長を遂げることになった」、初めて知った。
・『「8200部隊」の出身者とは  そうした学生は大学を卒業した時点で軍に入隊し、有給の職務経験を軍で積み、能力を磨くことになる。 イスラエル外務省のイノベーション開発部門を率いるラン・ナタンゾンによれば、軍ではスタートアップなどで革新的な開発を行うための「リーダーシップ」「チームワーク」「共同ミッション」「ネットワーキング力」を学ぶという。 また優秀なエンジニアなどは、イスラエル軍の「シギント」活動を担う「8200部隊」に配属され、国防の最前線でその腕を磨く。シギント活動とは、シグナルインテリジェンスの略で、通信の傍受や監視、ハッキングやサイバー攻撃などを指す。 筆者が知るエンジニア出身のスタートアップ経営者などは、この8200部隊の出身者が少なくない。軍の実戦で身に付けた経験から、本当に民間が求める民生技術のアイデアを練り出す。 軍から最長5年で除隊すると、一般社会に出る時点で立派な即戦力になっている。イスラエルはこうしてエンジニアやプログラマーなどを育てており、世界的に見ても能力の高いエンジニア人材の宝庫となっている。 そのイスラエルの技術力が、シリコンバレーをはじめとする世界的なテック業界を支えているのである。 先端技術を生み出すスタートアップ国家という立ち位置を生き残りの一つの手段として推し進めるイスラエル政府は、この「エコシステム」を全面的にバックアップする。 政府はイノベーション庁などを通して、スタートアップに多額の投資を行っている。イスラエル政府は現在、R&Dへの投資にGDPの6%(約170億ドル)を投資しており、この割合は世界で最も高い。 加えて、イスラエル外務省のナタンゾンによれば、「テック業界が盛り上がる環境が整っている」と言う。「スタートアップに投資を行うベンチャーキャピタルファンドも400近く活動している。 また企業をいろいろな側面から支援するインキュベーターも19組織あり、起業家たちはビジネスに集中できる」 そんなイスラエルが今、最も注目しているのがAI分野だ。世界のAI投資を「投資」「革新」「導入」で評価した「グローバルAI指標」によれば、イスラエルは現在、世界第7位にランクしている。ちなみに日本は12位だ。 「いま政府は、今後何年かにわたってこの分野でのイスラエルの継続的なリーダーシップを確保することを目的とし、省庁横断でAI開発のための国家プログラムに約27億ドルを投資している」と、ナタンゾンは言う。) 必要に迫られた国防意識から始まった、世界に先駆けた革新技術の開発によって、今では世界から一目置かれる存在になったイスラエル。 その長年培ってきたエコシステムによって、昨年10月のハマスによる大規模テロとその後の戦争状態の中でも、イスラエルのテック分野は足踏みすることなく投資を呼び込んだ。 テロ以降、イスラエルのテック人材の15%は戦争に招集されたが、スタートアップなどはテロ後の6カ月で総額31億ドルの投資を呼び込んでいる。テロの脅威の前にも止まらないイスラエルのイノベーション部門の強靭さが確認されたことになる。 それもまた、世界のテック企業がイスラエルを信頼する理由だ』、「優秀なエンジニアなどは、イスラエル軍の「シギント」活動を担う「8200部隊」に配属され、国防の最前線でその腕を磨く。シギント活動とは、シグナルインテリジェンスの略で、通信の傍受や監視、ハッキングやサイバー攻撃などを指す。 筆者が知るエンジニア出身のスタートアップ経営者などは、この8200部隊の出身者が少なくない。軍の実戦で身に付けた経験から、本当に民間が求める民生技術のアイデアを練り出す・・・「テック業界が盛り上がる環境が整っている」・・・「スタートアップに投資を行うベンチャーキャピタルファンドも400近く活動している。 また企業をいろいろな側面から支援するインキュベーターも19組織あり、起業家たちはビジネスに集中できる」・・・「グローバルAI指標」によれば、イスラエルは現在、世界第7位にランクしている。ちなみに日本は12位・・・イスラエルのテック人材の15%は戦争に招集されたが、スタートアップなどはテロ後の6カ月で総額31億ドルの投資を呼び込んでいる。テロの脅威の前にも止まらないイスラエルのイノベーション部門の強靭さが確認されたことになる。 それもまた、世界のテック企業がイスラエルを信頼する理由だ」、大したものだ。「戦争」という緊張状態のなかで、「ベンチャーキャピタルファンド」や「インキュベーション組織」などを整備することで、「起業家たちはビジネスに集中できる」仕組みは「イスラエル」ならではの強味だ。
タグ:イスラエル・パレスチナ (その7)(パレスチナへの支援金額 アラブ諸国はたった2割…意外な「最大の支援国家」とは?、なぜイスラエルは「テック大国」になれたのか...戦闘だけではない「徴兵制」に隠された目的とは?) ダイヤモンド・オンライン 豊島晋作氏による「パレスチナへの支援金額、アラブ諸国はたった2割…意外な「最大の支援国家」とは?」 豊島晋作『日本人にどうしても伝えたい 教養としての国際政治 戦争というリスクを見通す力をつける』(KADOKAWA) 「国際法などのルールに照らすと、イスラエル軍の攻撃は国家の武力行使なので国際法上はより正当化されやすい可能性があり、一方で国家の軍隊ではない武装組織ハマスの攻撃は、犯罪的と見なされる可能性が高いと言えます。 前者は暴力行使への民主的な監視と手続きが存在し、軍事法廷も含め結果への説明責任が果たされる余地があります。しかし、後者はそうした暴力の行使に対する抑制メカニズムがないと見なされ、批判を受けやすいのです。 しかし、発生する結果は同じです。イスラエル軍の攻撃もハマスの攻撃も、ともに無実の民間人を数多く殺害 してきました。もちろん、10月7日のハマスによる殺人や拉致は重大犯罪であり処罰は必要です・・・こうした議論の場合は「どちらも悪い」などという雑多な結論ではなく、個別の殺人行為、個別の軍事行動、攻撃行為を細かく見ていくしか方法がありません。 この点については、事実上、機能する国家を設立できていないパレスチナ人側、つまりハマス側が説得力の面で劣勢にあると言えるでしょう。やはり国家を設立できたか、できなかったかで世界へのメッセージの発信力を含め政治的な優劣が出ています」、なるほど。 「1994年から2020年までのパレスチナ支援総額400億ドルのうち最大の支援者はヨーロッパ(EU)で全体の約18.9%です。次にアメリカの14.2%、日本は約2.9%となっています。軍事援助や政治的なスタンスではイスラエル寄りの姿勢が目立つアメリカですが、単独国家としては最大の資金を拠出しています。最大の支援者は欧米なのです・・・ スペイン、アイルランド、ノルウェーの欧州3カ国が、パレスチナを国家として正式承認したのです。 アイルランドはかつてイギリスと独立戦争を戦った歴史があり、独立国家になるための苦闘を経験した国でもあります。実はパレスチナ自治政府に対しては、これら3カ国が承認する前の時点でも、アラブ諸国やアフリカ諸国を含め世界の139カ国が既に国家として承認していました。 ただ、日本やアメリカ、イギリス、フランス、イタリアなど国際政治で影響力の大きいG7諸国は承認しておらず、パレスチナにとっては、これが大きな課題となっているの です」、なるほど。 「もともと、アラブ諸国の指導者たちは、自分の権力の維持こそが最も重要だと考えるリアリスト集団です。パレスチナ問題に関しては、パレスチナ人に同情する世論に配慮して一定の行動をとっているに過ぎません。 最大の資金援助国サウジアラビアも、去年までパレスチナ人の宿敵であるイスラエルとの国交正常化に動いていましたし、2020年にはパレスチナ自治政府への支援金を80%以上も削減しています。 またUAE(アラブ首長国連邦)やバーレーンもイスラエルと国交を正常化し、パレスチナへの支援金を同じく削減したと見られています・・・過去にアラブ諸国の指導者でパレスチナ人の支持を集めたのが、イラクのサダム・フセイン大統領でした。イスラエルにスカッドミサイルを何発も打ち込み、パレスチナ人たちから「実際に行動を起こした」と称賛されました・・・サダム・フセインのイスラエルへのミサイル発射が、欧米を含め他国にパレスチナ問題の解決を急がせ、その後の1993年のオスロ合意へと向かう要因になったとも指摘されています」、な るほど。 「1993年のオスロ合意=パレスチナ暫定自治合意は、パレスチナに自治区を立ち上げ、いずれはパレスチナとイスラエルの2国家共存を目指すという合意でした。その後の中東和平の基礎となりました。) しかし、合意の当事者だったイスラエルのラビン首相は1995年、イスラエル国民で和平に反対するユダヤ人青年によって射殺されました・・・ パレスチナ人から見れば、アラブ諸国は頼れず、イスラエル側は和平に本気ではないと結論付けざるを得ませんでした・・・1947年の国連決議ではアラブ国家の樹立も認められ、アラブやアフリカ諸国など多くの国がパレスチナ政府を国家として承認しています。 しかし、半世紀以上たった今も、パレスチナ人はG7諸国が認めるような、機能する国家を建設できていません。 これはイスラエルが事実上、建国を認めず、妨害しているためですが、一方において、パレスチナ人たちも自分たちをうまく組織化できず、社会を統治できていないのです・・・パレスチナ自治政府の権力は腐敗しており、腐敗を除去する政治メカニズム、つまり、チェックアンドバランス機能を持っていません。カリスマ的指導者とされたPLOのヤーセル・アラファト議長の権力もかなり腐敗していたことが指摘され、後を継いだアッバス議長も、同じく腐敗や統治能力の欠如が批判されてきました。 2006年以来、一度も選挙を実施していないため、パレスチナの人々の民意を代表していないという批判もあります」、なるほど。 「対立の根源は、強力な軍事力と経済力を持つイスラエルの「強者の論理」と、ゲリラ戦やテロ攻撃で報復するしかないパレスチナ人の「弱者の論理」の対立でもあるのです・・・パレスチナの人々は多くが石を投げて抵抗し、イスラムの教えを拠り所にしました。 そして、イスラエル人たちがいるショッピングセンターで自爆ベルトを起爆させて散るようになりました。民間人に対する非道な攻撃、自爆テロをも行う人々が現れたのです。過激な手段をとる武装集団=ハマスの登場です」、「イスラエル」は現在、「ハマス」潰しに血道を挙げているが、まだまだ 時間がかかりそうだ。 Newsweek日本版「なぜイスラエルは「テック大国」になれたのか...戦闘だけではない「徴兵制」に隠された目的とは?
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GAFA(その7)(GAFAの株価が低調 「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由、フェイスブックの次はVR離れ…1兆円超えの大赤字を垂れ流す「メタ社」の悲惨な末路 ザッカーバーグ氏は従業員から見放された) [イノベーション]

GAFAについては、2022年2月11日に取上げた。久しぶりの今日は、(その7)(GAFAの株価が低調 「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由、フェイスブックの次はVR離れ…1兆円超えの大赤字を垂れ流す「メタ社」の悲惨な末路 ザッカーバーグ氏は従業員から見放された)である。

先ずは、2022年5月10日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「GAFAの株価が低調、「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302879
・『「GAFA」の株価が下落基調にある。これまで注目されてきたビジネスモデルに、行き詰まりの兆しが見え始めているからだ。その軌跡を基本から振り返ると共に、現在のリスク要因を分析し、今後の展開を予測する』、興味深そうだ。
・『GAFAの成長期待が鈍化 ビジネスモデルに行き詰まりの兆し  このところ、「GAFA」(グーグル、アップル、旧フェイスブック・現メタ、アマゾン)の株価が下落基調にある。2022年1~3月期決算が出そろった後も、各社の株価は上昇していない。 最大のポイントは、各社の成長期待が鈍化していることだ。これまで注目されてきたITプラットフォーマーとしてのビジネスモデルに、行き詰まりの兆しが見え始めている。加えて、米国内の人手不足や、「ディ・グローバリズム」(グローバル化に逆行する動き)に伴うコストアップ要因がGAFA各社を直撃している。 今後の展開として、GAFAの成長期待は一段と低下することも想定される。それが現実味を帯びると、各社の株価は下落する可能性が高い。ウクライナ危機や中国のゼロコロナ政策をきっかけに、グローバル化の加速を前提としたアップルの事業運営の効率性は、低下する恐れが強くなっている。主要先進国における個人データ保護規制の強化なども、メタやグーグル、アマゾンの成長期待を低下させるだろう。 米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、“インフレ退治”のため周囲の予想を上回るペースで金融引き締めを進めている。それはGAFAの事業運営には逆風となり、株価の下落懸念を高める要因だ』、「「GAFA」(グーグル、アップル、旧フェイスブック・現メタ、アマゾン)の株価が下落基調にある。2022年1~3月期決算が出そろった後も、各社の株価は上昇していない。 最大のポイントは、各社の成長期待が鈍化していることだ。これまで注目されてきたITプラットフォーマーとしてのビジネスモデルに、行き詰まりの兆しが見え始めている。加えて、米国内の人手不足や、「ディ・グローバリズム」(グローバル化に逆行する動き)に伴うコストアップ要因がGAFA各社を直撃している」、なるほど。
・『これまでのビジネスモデルが神通力を失うGAFA  過去1年間のGAFAの株価の推移を確認すると、大まかな傾向として21年12月前半まで各社の株価は高値圏で推移した。しかし、その後は株価が上昇していない。それが意味することは、各社が高い成長を維持するのが難しくなっているということだ。 まず、アップルの成長期待の鈍化を考えてみよう。1990年代以降の米国経済において、アップルはグローバル化を追い風に高成長を実現した企業の象徴である。97年、同社は経営破綻寸前にまで追い込まれていたが、その状況を救ったのが創業者の一人だった故スティーブ・ジョブズだ。ジョブズは高付加価値なソフトウエアの創出に集中し、iPodやiPhoneなどのデバイスや、iTunesなどのサービスの設計と開発に注力した。 それと同時にアップルは世界各国から優れた部材や部品を集め、完成品のユニット組み立て型生産を、台湾の鴻海精密工業の中国子会社であるフォックスコンに委託した。こうした国際分業によって、製造ラインを自社保有する負担から解放され、高付加価値なソフトウエア創出に集中し、高い収益性を実現したのだ。同社がリーマンショック後の世界経済のデジタル化を加速し、米国および世界経済の成長に与えた影響は計り知れない。 しかし、近年、こうしたビジネスモデルに行き詰まりが見えている。まず、中国の生産年齢人口が減少し、労働コストが上昇したことは大きい。加えて、米中対立によって世界のサプライチェーンが混乱。さらに、新型コロナウイルスの感染再拡大やウクライナ危機など複合的な要因が重なり、供給制約は深刻化し続けている。 そうした環境の変化によって、国際分業体制の強化で高成長を実現してきたアップルが、需要を取りこぼし始めているのだ』、「97年、同社は経営破綻寸前にまで追い込まれていたが、その状況を救ったのが創業者の一人だった故スティーブ・ジョブズだ。ジョブズは高付加価値なソフトウエアの創出に集中し、iPodやiPhoneなどのデバイスや、iTunesなどのサービスの設計と開発に注力した。 それと同時にアップルは世界各国から優れた部材や部品を集め、完成品のユニット組み立て型生産を、台湾の鴻海精密工業の中国子会社であるフォックスコンに委託した。こうした国際分業によって、製造ラインを自社保有する負担から解放され、高付加価値なソフトウエア創出に集中し、高い収益性を実現したのだ。同社がリーマンショック後の世界経済のデジタル化を加速し、米国および世界経済の成長に与えた影響は計り知れない。 しかし、近年、こうしたビジネスモデルに行き詰まりが見えている。まず、中国の生産年齢人口が減少し、労働コストが上昇したことは大きい。加えて、米中対立によって世界のサプライチェーンが混乱。さらに、新型コロナウイルスの感染再拡大やウクライナ危機など複合的な要因が重なり、供給制約は深刻化し続けている」、なるほど。
・『SNSへの規制強化、労働組合の結成 逆風強まるITプラットフォーマー  動画や検索、SNSサービスの提供で広告収入を得てきたグーグルやメタ、ネット通販やクラウドコンピューティングなどのサービスを提供してきたアマゾンの成長期待も鈍化している。 グーグルとメタは、ユーザーである個人の検索や動画視聴、知人関係(ネットワーク)、モノやサービスの購入履歴といった膨大なデータ(ビッグデータ)を優先的に手に入れて、それを販売したり、新しいビジネスに用いたりすることによって急速に収益を増やした。 しかし、ロシアがフェイスブックを用いて2016年の米大統領選挙に介入した疑惑が浮上したことなどにより、SNSへの規制が強化されている。メタは人海戦術でフェイクニュースの摘発を強化しなければならなくなり、コストが増加した。また、公正さへの懸念から一時、フェイスブックのユーザーが減少した。 メタの22年1~3月期決算は、売上高の伸び率が上場来で最低となり、同社への懸念は高まっている。同様のことが、検索サービスの強化によって広告収入を増やしてきたグーグルにも当てはまる部分が多い。 アマゾンは世界に「物流革命」を起こした。同社は、積極的な設備投資によって世界各国で効率的な配送網を整備し、自力でラストワンマイルを構築した。さらに消費者一人ひとりの好みを突くアルゴリズムを開発して消費意欲をかき立て、クラウドサービスも提供することによって有力ITプラットフォーマーとしての地位を確立した。 しかし、物流施設での過酷な労働環境への反発から労働組合が結成されるなど、成長力には翳りが出始めている。加えて、米国をはじめ世界的な人手不足を背景に、物流センターでの人員やドライバーの確保が難しくなっているようだ。 倉庫の建設やEV新興メーカーへの投資も業績の重荷になっている。原油などエネルギー資源価格の高騰は燃料費の増加につながり、収益を圧迫している。このようにGAFA各社はこれまでの高い成長スピードを維持することが難しくなっている』、「ロシアがフェイスブックを用いて2016年の米大統領選挙に介入した疑惑が浮上したことなどにより、SNSへの規制が強化されている。メタは人海戦術でフェイクニュースの摘発を強化しなければならなくなり、コストが増加した。また、公正さへの懸念から一時、フェイスブックのユーザーが減少した。 メタの22年1~3月期決算は、売上高の伸び率が上場来で最低となり、同社への懸念は高まっている。同様のことが、検索サービスの強化によって広告収入を増やしてきたグーグルにも当てはまる部分が多い・・・アマゾンは・・・物流施設での過酷な労働環境への反発から労働組合が結成されるなど、成長力には翳りが出始めている。加えて、米国をはじめ世界的な人手不足を背景に、物流センターでの人員やドライバーの確保が難しくなっているようだ。 倉庫の建設やEV新興メーカーへの投資も業績の重荷になっている」、なるほど。
・中長期的なGAFA株の下落懸念 業績拡大ペースは鈍化  GAFA各社は正念場を迎えている。今後の展開として、GAFAの業績拡大ペースは鈍化し、株価が下落する可能性は高まっている。各社ともグローバル化の加速を前提にビジネスモデルを構築してきたからだ。 しかし、ウクライナ危機によって世界経済はグローバル化からブロック化に向かい始めた。世界経済の先行き見通しは悪化したため、広告主の企業はコスト削減を優先しなければならず、SNSや動画サイトでの広告出稿は減少するだろう。また、データ保護やフェイクニュースなどの取り締まりのためのコストも増える。 世界的な供給制約の長期化によって半導体の不足が長引き、スマホなどITデバイスの生産が計画を下回る可能性も高まっている。中国では経済成長の低下傾向が鮮明だ。IT機器やサービスの需要の低下に加えて、生産年齢人口の減少によって労働コストも上昇するだろう。いずれもGAFAの事業運営の効率性向上を阻害する要因だ。 加えて、米国をはじめ世界的に物価が急騰している。FRBは金融政策の正常化を急がなければならない。世界的に金利は上昇するだろう。金利上昇によって、企業が永続的に生み出すと考えられるフリー・キャッシュ・フローの「割引現在価値」(将来得られる価値を現在受け取るとしたらどの程度の価値になるかを計算したもの)は小さくなる。GAFAのように成長期待が高い企業ほど、そのインパクトは大きくなり株価の下落懸念は高まりやすい。 FRBが追加利上げやバランスシート縮小を急ぐ姿勢を一段と強める場合、米国の金利は急速に上昇し、GAFAなどIT先端企業の株価の低下傾向が一段と鮮明化する恐れがある。また、米金利の上昇によって新興国からは資金が流出し、世界経済全体で成長率は低下する展開も想定される。それはGAFAの収益減少要因になるだろう。 言い換えれば、GAFA各社がこれまでの発想にとらわれることなく新しいモノやサービスを生み出し、需要を創出することが出来るか否か、その実力が問われている』、「GAFA各社がこれまでの発想にとらわれることなく新しいモノやサービスを生み出し、需要を創出することが出来るか否か、その実力が問われている」、事業基盤はそれほど脆弱ではない。まだしぶとく生き残りを図るだろう。

次に、2022年5月20日付けPRESIDENT Onlineが掲載したフリーライター・翻訳者の青葉 やまと氏による「フェイスブックの次はVR離れ…1兆円超えの大赤字を垂れ流す「メタ社」の悲惨な末路 ザッカーバーグ氏は従業員から見放された」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/69634
・『メタバースで大失敗…ザッカーバーグに向けられた従業員の不信感  マーク・ザッカーバーグ率いる米Meta社(旧Facebook社)が、従業員の深刻な士気の低下にあえいでいる。 Facebook、Instagram、WhatsAppなどを運営する同社は昨年、業績が急激に低下。ニューヨーク・タイムズ紙は、ザッカーバーグ氏が2023年を「効率化の年」にすると宣言したと報じている。過去半年で2回のレイオフに踏み切ったほか、今後もさらに2回の実施を予定している。合計で2万1000人規模の削減となる見込みだ。 米デジタルメディアのVoxは、「Metaはまず間違いなく、過去最も厳しい部類に入る年を過ごした」と指摘。18年間ノンストップで成長を遂げたが、株価は昨年、前年比で65%急落したと指摘する。 米IT大手は一様に厳しい時代を迎えているが、MetaはGAFAMと呼ばれる大手5社のなかでも一段と厳しい状況に立たされている。Facebookで一時代を築いた同社が凋落した原因はいくつも指摘されているが、なかでもトップのビジョンの迷走が大きく災いしたようだ。 IT他社が人工知能(AI)の開発に資金を投じるなか、同社はここ数年、「メタバース」と呼ばれるオンライン空間の提供に全力を傾けている。ユーザーが仮想の人物「アバター」の姿を借り、交流を図る仮想の世界だ。だが、現実には過疎化が過疎化を呼ぶ悪循環に陥っている』、「2023年のレイオフは、「合計で2万1000人規模の削減となる見込みだ・・・18年間ノンストップで成長を遂げたが、株価は昨年、前年比で65%急落したと指摘する。 米IT大手は一様に厳しい時代を迎えているが、MetaはGAFAMと呼ばれる大手5社のなかでも一段と厳しい状況に立たされている。Facebookで一時代を築いた同社が凋落した原因はいくつも指摘されているが、なかでもトップのビジョンの迷走が大きく災いしたようだ。 IT他社が人工知能(AI)の開発に資金を投じるなか、同社はここ数年、「メタバース」と呼ばれるオンライン空間の提供に全力を傾けている。ユーザーが仮想の人物「アバター」の姿を借り、交流を図る仮想の世界だ。だが、現実には過疎化が過疎化を呼ぶ悪循環に陥っている」、なるほど。
・『社内チャットでは不満が渦を巻いている  芽生える気配のないメタバースの開発に大金を注ぎながら、カリフォルニア州メンローパークのMeta本社内では解雇の嵐が吹き荒れる。Metaの従業員たちは、ザッカーバーグ氏らトップへの不信を深めて▽いる。 米ワシントン・ポスト紙は、「マーク・ザッカーバーグはいかにしてMetaの労働力を破壊したか」との記事を掲載。従業員たちは、いつ自身を襲うとも知れないレイオフの波に翻弄ほんろうされており、ザッカーバーグ氏はビジョンと従業員からの信頼を失ったとの見方を取り上げた。) 同紙はまた、「MetaはVR開発者に最高100万ドル(約1億3000万円)の年俸を支払っていた」が、同社が「今となっては財政難に陥っている」と指摘する。VRヘッドセットのQuestなどを手がける同社のVR/AR部門「Reality Labs」は、昨年137億ドル(約1兆8000万円)以上の損失を出し、赤字額は年を追うごとに増加傾向にあるという。 ニューヨーク・タイムズ紙は、「少し前までシリコンバレーで最も魅力的な職場のひとつだったMeta社だが、社員はいま、時がたつほどに不安定になる未来に直面している」と述べ、「士気の危機」が訪れていると報じている。 社内チャットでは、殺伐とした空気が流れているようだ。チャットの履歴を入手した同紙によると、ある従業員は「大惨事だと思う人は、炎の絵文字を」と呼びかけた。同僚たちからは数十個もの炎の絵文字が寄せられたという。 従業員たちはボーナスの減少に不満を抱き、持ち株の時価減損に胃を痛め、目に見えて悪化する社内の福利厚生に士気を削がれているようだ。同紙は、誰が生き残るとも知れない疑心暗鬼に陥り、オフィスは殺伐とした雰囲気に包まれていると報じている』、「Meta社」では、「誰が生き残るとも知れない疑心暗鬼に陥り、オフィスは殺伐とした雰囲気に包まれている」、深刻だ。
・『仮想空間の「出会いの場」には誰もいなかった  コミュニケーションがすっかり希薄になったのに加え、これまで従業員たちに無料で提供されていたランドリーサービスや夕食などの複利厚生は縮小した。自身にレイオフが迫るとの噂を聞いた従業員は、親しい従業員との個人や職場のチャットでドクロと骨の絵文字を使った暗喩で連絡を取り合い、情報交換に奔走しているという。 Metaの人事部はレイオフに怯える従業員たちに配慮を寄せるばかりか、こうした会話の規制に乗り出した。Voxは、会社側が「コミュニティ・エンゲージメントへの期待」と題するガイドラインを打ち出したと報じている。ネガティブな会話を禁止し、チームや個人に対して「適切なフィードバックをする」よう求める内容だ。 だが、口を封じたところで従業員の不満が消えるわけではない。同記事によるとある従業員は、「この会社は総じて、社員を失望させるようなことをせずに1週間たりとも過ごすことはできないようです」と不満を露わにしている。 同社肝煎りで普及に努めるメタバースだが、その集客数はほぼゼロと言っていいほどだ。 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、41歳男性ユーザーの体験を取り上げている。彼は「パンデミック期間中、社会との交流を求めて」VRヘッドセットを購入し、買ったその日に意気揚々と仮想空間に飛び込んだ。だが、メインとなる出会いのスペースに行くと、「そこには誰もいなかった」との悲しい体験が待っていたという。 同紙によると、Facebook、Instagram、WhatsAppなどMeta社のソーシャルメディアには、合計で月間35億人以上のユーザーがいる。これに対し、同社のVRオンラインゲーム・プラットフォーム「Horizon Worlds」は、月間20万人以下であるという。比率にしてわずか0.0057%という惨状だ』、「同社肝煎りで普及に努めるメタバースだが、その集客数はほぼゼロと言っていいほどだ・・・Facebook、Instagram、WhatsAppなどMeta社のソーシャルメディアには、合計で月間35億人以上のユーザーがいる。これに対し、同社のVRオンラインゲーム・プラットフォーム「Horizon Worlds」は、月間20万人以下であるという。比率にしてわずか0.0057%という惨状だ」、なるほど。
・『VRヘッドセットは半年以内でガラクタに…  Horizon Worldsは、VRヘッドセットの「Quest」を装着して利用する。エントリーモデルでも約400ドル(国内価格はQuest 2の場合5万9400円から)と高価な機器だが、同紙が参照した調査によると、飽きは早いようだ。購入後半年以内に、半数以上の個体が使用されなくなるという。 同社の社内文書が「空っぽの世界は悲しい世界である」と内省するように、原因は過疎化にある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「(Horizon内のコンテンツである)『ホットガール・サマー・ルーフトップ・パーティー』には女の子がほとんどいないし、『マーダー・ビレッジ』には殺すべき人がいないことが多い」と指摘する。ユーザーの性別についても男性2:女性1と、大きな偏りがある模様だ。 課題は多い。Meta社が実施した調査によると、ユーザーからは、「気に入ったメタバース・ワールドがない」「一緒に遊べる仲間が見つからない」「人がリアルでない」などの不満が聞かれたという。 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記者は、VR空間で開催された「ハウスパーティー」の会場へ赴いた際の悲しい記憶を記事にしている。ユーザーとの交流を期待したが、さびしい現実が待っていたようだ。出席者は記者を含め、2人しかいなかったという。 同記者はボクシングなどをして時間を潰したというが、パーティーの盛り上がりとはほど遠かったようだ。「もう一人のアバターは一言もしゃべらず、10分ほどで試合は終了した。その後、記者自身のアバターはプールに落ち、出る方法がわからなくなった。助けてくれる人は辺りに誰もいなかった」』、「出席者は記者を含め、2人しかいなかったという。 同記者はボクシングなどをして時間を潰したというが、パーティーの盛り上がりとはほど遠かったようだ。「もう一人のアバターは一言もしゃべらず、10分ほどで試合は終了した。その後、記者自身のアバターはプールに落ち、出る方法がわからなくなった。助けてくれる人は辺りに誰もいなかった」、なるほど。
・『Meta社だけがメタバースの普及に社運を賭けている  ユーザーの興味が薄れているにもかかわらず、Metaは普及に躍起だ。ニューヨーク・タイムズ紙は、これこそが同社従業員がトップに不信感を抱く原因になっていると指摘する。テック企業の多くがAI開発に乗り出すなか、Meta社だけがメタバースの普及に社運を賭けている状況だ。 ザッカーバーグ氏は2021年10月、VRの重視を鮮明に打ち出し、社名をMetaに変更した。ワシントン・ポスト紙は、「このとき、従業員はこの動きを不安な気持ちで受け止めた」と振り返る。2014年にVR企業のOculusを買収後、ハードウエアの研究開発費は「爆発的に増加」したと同紙は指摘する。) 2018年からはビデオ通話デバイス「Portal」を売り出したが、同紙は「ユーザーにとって魅力的でないことが明らかになった後も、長い間この製品にこだわってきた」と厳しい評価を下している。サンフランシスコのニュースサイトであるSFゲートは、Portalがすでに2022年に製造中止になったと指摘している』、「テック企業の多くがAI開発に乗り出すなか、Meta社だけがメタバースの普及に社運を賭けている状況だ。 ザッカーバーグ氏は2021年10月、VRの重視を鮮明に打ち出し、社名をMetaに変更した。ワシントン・ポスト紙は、「このとき、従業員はこの動きを不安な気持ちで受け止めた」と振り返る」、早い見切りも必要なようだ。
・『社内で囁かれる「マーク・ザッカーバーグのご機嫌取り」の隠語  過疎化の悪循環に加え、製品の扱いにくさもユーザー離れの原因となっているようだ。皮肉にも、ザッカーバーグ氏主催の社内ミーティングがそれを証明する形となった。ニューヨーク・タイムズ紙によると氏は昨年、バーチャルの会議室を提供する「Horizon Workrooms」内での社内ミーティングを呼びかけた。 だが、多くの従業員はVRヘッドセットを持っておらず、設定にも手こずったと同紙は伝えている。従業員らは上司に知られる前にヘッドセットを入手し、ユーザー登録を済ませるなど、あたかも以前からのユーザーであるように振る舞うのに苦心したという。 ある従業員は同紙に対し、「Horizon Workrooms」上での別のミーティングもうまくいかなかったと明かしている。記事によると「技術的な不具合で会議は中断され、結局のところこのチームはZoomを使うことになった」という。 メタバースの有用性について、社内からも疑問が噴出している。情報筋は同紙に対し、メタバースのプロジェクトが社内の一部では「MMK」と呼ばれていると明かした。「Make Mark Happy(マーク・ザッカーバーグのご機嫌取り)」を意味する隠語なのだという』、「Make Mark Happy」とは言い得て妙だ。
・『TikTokへの流出が止まらない  過去であればMeta(当時のFacebook社)は、時代の波を見据えた舵取りを行ってきた。デスクトップ版が主流だった主力サービス・Facebookは、2000年代前半にモバイル対応に成功。Facebook一本槍からの脱却を企図し、2012年にInstagramの買収を通じて若年層を取り込んだところまでは先見の明があった。 しかし近年、VR事業を別にしても、同社を取り巻くビジネス環境は一段と過酷になっている。ネット上にコンテンツが溢あふれるようになった現在、ユーザーはより短時間で消費できる短編動画を求めており、TikTokへの流出は深刻な課題だ。 TikTokにも弱みはあり、中国企業のByteDanceによる運営という立場上、プライバシー問題には懸念が世界から寄せられている。だが、この点でMeta社は決してリードを保っているとは言い難がたい。 もともとFacebookユーザーのプライバシーを収益源としていた同社には、ユーザー保護の視点が欠如しているとの批判が絶えなかった。AppleがiOS上での個人情報の追跡を困難にしてからは、広告収入の明らかな減少に見舞われている』、「Facebookユーザーのプライバシーを収益源としていた同社には、ユーザー保護の視点が欠如しているとの批判が絶えなかった。AppleがiOS上での個人情報の追跡を困難にしてからは、広告収入の明らかな減少に見舞われている」、当然の報いだ。
・『仮想空間は一過性のブームだった  こうしたなかザッカーバーグ氏が希望の光とみるのがメタバースだが、ユーザーの心とは大きな乖離かいりがみられるのが現状だ。VRについては確かに一部ゲームなどで、他社製デバイスも含め、一定のユーザーを獲得している。 だが、Meta社はVRコンテンツのなかでも、ユーザー同士の交流空間であるメタバースの普及に骨を折っている。現在のところ十分な興味を引いているとはいえず、ブームの到来が予言されつつも本格的な普及に至ることなく消えた「セカンドライフ」の後追いだとする否定的な意見さえ聞かれる。 セカンドライフはその名の通り、コンピューター内で「第2の人生」を生きる理想空間を追求したサービスだ。一時は高額で仮想の土地を購入するユーザーが相次ぐなどブームを生んだが、一過性の現象に終わった。 Meta社のHorizon Worldsについては、そもそも一時的なブームにすら至っていない。肝心のユーザーが集まらず、VRヘッドセットを購入した希少なユーザーでさえ、半年とたたずに離脱する悪循環が生じている』、「Meta社のHorizon Worldsについては、そもそも一時的なブームにすら至っていない。肝心のユーザーが集まらず、VRヘッドセットを購入した希少なユーザーでさえ、半年とたたずに離脱する悪循環が生じている」、やれやれだ。
・『いつまでもメタバースに固執するべきではない  セカンドライフの衰退をみるに、人々がバーチャル空間での交流を求めているという考えは、サービスを提供する側の幻想にすぎないのだろう。MetaのVR事業についても、例えばゲーム用ヘッドセットのハードウエア販売に特化し、仮想ワールドのサービスからは撤退するなど、思い切った事業の整理が求められているように思われる。 FacebookやInstagramで「いいね」を送るだけで温かい気持ちが伝わるいま、ゴーグルを装着しアバターを操作して他人と触れ合うというアイデアは、必ずしも多くのユーザーの賛同を得るに至っていないようだ』、FacebookやInstagramで「いいね」を送るだけで温かい気持ちが伝わるいま、ゴーグルを装着しアバターを操作して他人と触れ合うというアイデアは、必ずしも多くのユーザーの賛同を得るに至っていないようだ」、その通りだ。「マーク・ザッカーバーグ」氏はいつ気づくのだろうか。
タグ:GAFA (その7)(GAFAの株価が低調 「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由、フェイスブックの次はVR離れ…1兆円超えの大赤字を垂れ流す「メタ社」の悲惨な末路 ザッカーバーグ氏は従業員から見放された) ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫氏による「GAFAの株価が低調、「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由」 「「GAFA」(グーグル、アップル、旧フェイスブック・現メタ、アマゾン)の株価が下落基調にある。2022年1~3月期決算が出そろった後も、各社の株価は上昇していない。 最大のポイントは、各社の成長期待が鈍化していることだ。これまで注目されてきたITプラットフォーマーとしてのビジネスモデルに、行き詰まりの兆しが見え始めている。加えて、米国内の人手不足や、「ディ・グローバリズム」(グローバル化に逆行する動き)に伴うコストアップ要因がGAFA各社を直撃している」、なるほど。 「97年、同社は経営破綻寸前にまで追い込まれていたが、その状況を救ったのが創業者の一人だった故スティーブ・ジョブズだ。ジョブズは高付加価値なソフトウエアの創出に集中し、iPodやiPhoneなどのデバイスや、iTunesなどのサービスの設計と開発に注力した。 それと同時にアップルは世界各国から優れた部材や部品を集め、完成品のユニット組み立て型生産を、台湾の鴻海精密工業の中国子会社であるフォックスコンに委託した。 こうした国際分業によって、製造ラインを自社保有する負担から解放され、高付加価値なソフトウエア創出に集中し、高い収益性を実現したのだ。同社がリーマンショック後の世界経済のデジタル化を加速し、米国および世界経済の成長に与えた影響は計り知れない。 しかし、近年、こうしたビジネスモデルに行き詰まりが見えている。まず、中国の生産年齢人口が減少し、労働コストが上昇したことは大きい。加えて、米中対立によって世界のサプライチェーンが混乱。さらに、新型コロナウイルスの感染再拡大やウクライナ危機など複合的な要因が重なり、供給 制約は深刻化し続けている」、なるほど。 「ロシアがフェイスブックを用いて2016年の米大統領選挙に介入した疑惑が浮上したことなどにより、SNSへの規制が強化されている。メタは人海戦術でフェイクニュースの摘発を強化しなければならなくなり、コストが増加した。また、公正さへの懸念から一時、フェイスブックのユーザーが減少した。 メタの22年1~3月期決算は、売上高の伸び率が上場来で最低となり、同社への懸念は高まっている。同様のことが、検索サービスの強化によって広告収入を増やしてきたグーグルにも当てはまる部分が多い・・・ アマゾンは・・・物流施設での過酷な労働環境への反発から労働組合が結成されるなど、成長力には翳りが出始めている。加えて、米国をはじめ世界的な人手不足を背景に、物流センターでの人員やドライバーの確保が難しくなっているようだ。 倉庫の建設やEV新興メーカーへの投資も業績の重荷になっている」、なるほど。 「GAFA各社がこれまでの発想にとらわれることなく新しいモノやサービスを生み出し、需要を創出することが出来るか否か、その実力が問われている」、事業基盤はそれほど脆弱ではない。まだしぶとく生き残りを図るだろう。 PRESIDENT ONLINE 青葉 やまと氏による「フェイスブックの次はVR離れ…1兆円超えの大赤字を垂れ流す「メタ社」の悲惨な末路 ザッカーバーグ氏は従業員から見放された」 「2023年のレイオフは、「合計で2万1000人規模の削減となる見込みだ・・・18年間ノンストップで成長を遂げたが、株価は昨年、前年比で65%急落したと指摘する。 米IT大手は一様に厳しい時代を迎えているが、MetaはGAFAMと呼ばれる大手5社のなかでも一段と厳しい状況に立たされている。Facebookで一時代を築いた同社が凋落した原因はいくつも指摘されているが、なかでもトップのビジョンの迷走が大きく災いしたようだ。 IT他社が人工知能(AI)の開発に資金を投じるなか、同社はここ数年、「メタバース」と呼ばれるオンライン空間の提供に全力を傾けている。ユーザーが仮想の人物「アバター」の姿を借り、交流を図る仮想の世界だ。だが、現実には過疎化が過疎化を呼ぶ悪循環に陥っている」、なるほど。 「Meta社」では、「誰が生き残るとも知れない疑心暗鬼に陥り、オフィスは殺伐とした雰囲気に包まれている」、深刻だ。 「同社肝煎りで普及に努めるメタバースだが、その集客数はほぼゼロと言っていいほどだ・・・Facebook、Instagram、WhatsAppなどMeta社のソーシャルメディアには、合計で月間35億人以上のユーザーがいる。これに対し、同社のVRオンラインゲーム・プラットフォーム「Horizon Worlds」は、月間20万人以下であるという。比率にしてわずか0.0057%という惨状だ」、なるほど。 「出席者は記者を含め、2人しかいなかったという。 同記者はボクシングなどをして時間を潰したというが、パーティーの盛り上がりとはほど遠かったようだ。「もう一人のアバターは一言もしゃべらず、10分ほどで試合は終了した。その後、記者自身のアバターはプールに落ち、出る方法がわからなくなった。助けてくれる人は辺りに誰もいなかった」、なるほど。 「テック企業の多くがAI開発に乗り出すなか、Meta社だけがメタバースの普及に社運を賭けている状況だ。 ザッカーバーグ氏は2021年10月、VRの重視を鮮明に打ち出し、社名をMetaに変更した。ワシントン・ポスト紙は、「このとき、従業員はこの動きを不安な気持ちで受け止めた」と振り返る」、早い見切りも必要なようだ。 「Make Mark Happy」とは言い得て妙だ。 「Facebookユーザーのプライバシーを収益源としていた同社には、ユーザー保護の視点が欠如しているとの批判が絶えなかった。AppleがiOS上での個人情報の追跡を困難にしてからは、広告収入の明らかな減少に見舞われている」、当然の報いだ。 「Meta社のHorizon Worldsについては、そもそも一時的なブームにすら至っていない。肝心のユーザーが集まらず、VRヘッドセットを購入した希少なユーザーでさえ、半年とたたずに離脱する悪循環が生じている」、やれやれだ。 FacebookやInstagramで「いいね」を送るだけで温かい気持ちが伝わるいま、ゴーグルを装着しアバターを操作して他人と触れ合うというアイデアは、必ずしも多くのユーザーの賛同を得るに至っていないようだ」、その通りだ。「マーク・ザッカーバーグ」氏はいつ気づくのだろうか。
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