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NHK問題(その8)(「尖閣諸島は中国の領土」「慰安婦を忘れるな」NHKラジオで不適切発言…中国籍スタッフが漏らしていた“NHKへの不満”〈22年前から仕事をしていたが…〉、なぜBBCだけが伝えられるのか?BBCとNHKの決定的な違い) [メディア]

NHK問題については、本年3月27日に取上げた。今日は、(その8)(「尖閣諸島は中国の領土」「慰安婦を忘れるな」NHKラジオで不適切発言…中国籍スタッフが漏らしていた“NHKへの不満”〈22年前から仕事をしていたが…〉、なぜBBCだけが伝えられるのか?BBCとNHKの決定的な違い)である。

先ずは、本年8月28日付け文春オンライン「「尖閣諸島は中国の領土」「慰安婦を忘れるな」NHKラジオで不適切発言…中国籍スタッフが漏らしていた“NHKへの不満”〈22年前から仕事をしていたが…〉」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/73091
・『NHKのラジオ国際放送などで流れた中国人スタッフA氏の発言が波紋を広げている。8月19日、中国語で読み上げられるニュースでのことだった。A氏は、靖国神社の石柱に中国語とみられる落書きがされていたニュースを読み上げたあと、中国語でこう発言した。 〈釣魚島(尖閣諸島・魚釣島の中国語名)と付属の島は古来から中国の領土です。NHKの歴史修正主義宣伝とプロフェッショナルではない業務に抗議します〉 さらに、英語で、 〈南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな〉』、驚くべき番組ジャックだ。放映中の番組をリアルタイムでモニターしている人間はいないのだろうか。
・『NHK会長は「際番組基準に抵触する極めて深刻な事態」  22日に、NHKの稲葉延雄会長は自民党情報通信戦略調査会で陳謝し、報道陣に対し、「国際番組基準に抵触する極めて深刻な事態だと受け止めている」と謝罪』、「NHK会長」の「謝罪」は当然だ。
・『“不適切発言”を繰り返したA氏とは何者なのか  NHKは25日になってA氏が靖国神社のニュースを読む際、〈『軍国主義』『死ね』などの抗議の言葉が書かれていた〉と、発言したことも新たに発表した。さらに、その翌日の26日にはNHK総合で5分間の謝罪番組も放送された。 A氏とは何者なのか。NHK関係者が語る。 「1975年生まれとのことで、中国の山西省出身です。日本に留学し、東京大学大学院総合文化研究科で文学修士となった。英語も流暢で、TOEICでは875点を取っています」』、犯人の「A氏」が「東大で修士」、「TOEICでは875点」とはまずまずだ。
・『目立ったトラブルはなかったが…A氏が近しい知人に漏らしていた不満  そんなA氏が、東大時代から始めた仕事が中国語のナレーションだった。 「在学中の2000年頃からバイトで大手民間企業の中華圏向けのPRビデオのナレーターを行うようになりました。さらにその後、警察庁や経産省、内閣府といった日本の官公庁の中国語動画のナレーション業務も請け負っていた。また、香港のフェニックステレビでもレポーターの仕事をしていました。NHKの仕事は2002年から担当していますが、この22年間、目立ったトラブルはありませんでした」(同前) しかし、以前からA氏は近しい人にこう漏らしていた。 「(NHKの)待遇は不公平だ」 さらにA氏は、尖閣問題についても語っていたという――。 8月28日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」及び8月29日(木)発売の「週刊文春」では、A氏が明かしていた尖閣問題への見解、NHKやフェニックステレビでの勤務実態、そして11年前にも起きていたNHKの外国語放送での尖閣をめぐる“事件”について詳報する』、「NHKの仕事は2002年から担当していますが、この22年間、目立ったトラブルはありませんでした」、とはいうものの、「以前からA氏は近しい人にこう漏らしていた。「(NHKの)待遇は不公平だ」 さらにA氏は、尖閣問題についても語っていた」、こうした不満を正しくキャッチしていたら、未然に防げた可能性もありそうだ。

次に、8月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した在英ジャーナリストの小林恭子氏による「なぜBBCだけが伝えられるのか?BBCとNHKの決定的な違い」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/349015
・『「英国のBBCは日本のNHKに相当する」。英国の公共放送・BBCが日本で紹介される際によく使われる言葉だ。両者とも視聴世帯から徴収する受信料で活動費用を賄う公共放送であるが、実際には何が違うのだろうか?在英ジャーナリストとして長年英国メディアの動きを取材し続けてきた小林恭子氏が両者の共通点と決定的な違いを解説する。※本稿は、小林恭子『なぜBBCだけが伝えられるのか 民意、戦争、王室からジャニーズまで』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです』、確かにNHKでは放送されてないのに、BBCが取上げる例が多い。
・『「国営放送」ではないけれど 公共の利益のために活動する組織  「英国のBBCは日本の公共放送NHKに相当する」 BBCを紹介する時、よくこのような表現が用いられる。どちらも公共放送(BBCは「公共サービス放送」)で、視聴世帯から徴収する放送受信料で活動費用をほぼ賄っている。では、どこが違うのだろう? 基本的な共通点を見ていくと、その誕生はいずれも1920年代である。BBCは1922年に民間企業「英国放送会社」として発足後、1927年に公共組織化され、「英国放送協会」となった。一方のNHKは1926年に社団法人として成立し、1950年に特殊法人化された。いずれの場合も公共組織体として運営され、公共の利益のために活動する。国が国家予算などを主財源として直接運営し、編集方針も決める「国営放送」ではない。  その存立基盤は、BBCの場合は君主の名のもとに約10年ごとに発効される「王立憲章」、NHKは1950年施行の放送法による。BBCの設立目的は「BBCのミッションを実現し、公的目的を振興する」ことで、そのミッションとは「公益のために活動し、不偏不党、独自のアウトプットやサービスを通じてすべての視聴者に仕える」ことである。一方のNHKは「公共の福祉のために、あまねく日本全国で受信できるように豊かで、かつ良い放送番組による国内基幹放送を行うとともに放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び国際衛星放送を行うこと」とされる。 NHKの最高意思決定機関は有識者12人から構成される経営委員会だが、委員の任命は衆参両院の同意を得て首相が行う(委員長は委員の互選によって選ばれる)。重要事項の議決や職務執行の監督、業務執行の責任者となる会長の任免権を持つ。さらに経営委員の一部で構成する監査委員会がNHK役員の職務を監査する。大きな権限を持つ存在と言えよう。 BBCの場合、経営委員会に相当するのがBBC理事会(14人構成)だ。BBCの戦略的方向性を決定する。理事長は公募を経て、政府の助言を得た後に国王の諮問機関である枢密院が指名する。事実上、政府の推薦人物がほぼ就任すると言ってよい。NHKの会長職に相当するのがディレクター・ジェネラルで、BBCが生み出すコンテンツの最終責任者だ。理事会の中の任命委員会が候補者を精査し、決定する。理事会にはディレクター・ジェネラルを含む執行理事が4人含まれ、理事会と執行部との協力体制が強い構成となっている』、「BBCの場合、経営委員会に相当するのがBBC理事会(14人構成)だ。BBCの戦略的方向性を決定する」、なるほど。
・『首相、総務相、国会のチェックを受けるNHKに対してBBCは……?  公共放送局としてのBBCとNHKは、国からの独立性をどう確保しているのだろうか。 NHKのウェブサイトに掲載された「国との関係」についての回答を見ると、首相・政府が決める項目が非常に多い。毎年度の収支予算や事業計画等、決算、業務報告書をまず「総理大臣に提出」したのちに内閣から国会に提出されて審議・承認を受けるなどする。「受信料に関する規定(放送受信規約、放送受信料免除基準)の認可や、放送局の免許等」は総務大臣が行う。 BBCは政府から独立した存在であるために王立憲章を基にして発足したが、憲章の更新、受信料制度の維持や値上げ率などは時の政府との交渉によって決まる。これまでに値上げ凍結はあったものの、前年よりも額面上低い金額が提示された例はない。しかし、日々の運営に最も大きな影響を与える受信料収入の値上げ率が時の政府によって最終的に決められてしまうので、その首根っこは「お金」によって、政府に押さえつけられている。ただ、財政面での救いの一手としてBBCには国際市場での商業活動が認められており、受信料収入の不足分を商業収入で一部補っている。  放送局への規制についての日英の違いは、英国では放送・通信業の監督・規制を独立組織「放送通信庁(オフコム)」が担うのに対し、日本では総務省が所管する形となる。独立組織が規制・監督をする国と政府がその役割を担う国とでは、政治的干渉の面で大きな差が出てくるのではないか。 NHKとBBCの違いについて、メディア研究者に聞いてみた。 中村美子氏は、NHK放送文化研究所で長年にわたりBBCの制度やサービスを調査研究してきた。中村氏によると、法律面で両者に大きな相違はないが、監督と規制という面でみると、BBCはオフコムの権限が確立し、政府の関与が徐々に縮小されてきたが、「日本には独立規制機関はいまだに存在せず、所管の総務大臣の許認可という規制の仕組みが続いている」。「いまだに」というのは、「世界の民主主義国の中で放送通信分野の独立規制機関を有しない国は日本くらい」「日本では放送内容について放送事業者による自主規制機関が活動しているが、独立規制機関が制度化されることは、政府との関係だけでなく、視聴者保護という点でも重要」であるという』、「BBCはオフコムの権限が確立し、政府の関与が徐々に縮小されてきたが、「日本には独立規制機関はいまだに存在せず、所管の総務大臣の許認可という規制の仕組みが続いている・・・政府からの独立性という点では、「BBC」の方が「NHK」よりはるかに上だ」、なるほど。
・『放送業界とは無縁の企業経営者がNHKのコンテンツの最終責任者になる  業務運営の独立性については、NHKでは外部の専門家・有識者で構成される最高意思決定機関が置かれている。  編集上の独立性については、「BBCもNHKも『表現の自由』『編集権の独立』などの重要な原則が法律で保障されている」「政府の直接的管理を避ける目的で設置された最高意思決定機関でさえ、個別の番組内容について干渉することを法律で禁止されている」という。 これがBBCは理事会、NHKは経営委員会に相当する。「この点ではBBCとNHKに大きな相違はない」。 しかし、委員の選出方法には違いが見られると中村氏はいう。「1990年代末以降、英国では独立した公職任命制が導入され、選出過程の透明性が確保された。理事長の任命も公募から始まる。日本の場合は人選にかかわる情報は公開されず、任命に至った経緯は全く分からない」。 BBCのディレクター・ジェネラルは報道畑にいた人が就任する伝統があり、現在この職に就くティム・デイビーも、自分自身はジャーナリストではなかったが、2005年からBBCに勤務しており放送業界での経験が長い。一方、NHKで同等の職となる会長職は、2008年以降、「放送業界とは無縁の民間企業の経営者から選ばれ、3年の任期が終わると交代している」「会長が報道の最高責任者であることを考えると、異常な事態が続いている」(中村氏)。 BBCもNHKも現在では、放送を維持しつつネットにも注力する方向に進んでいる。しかし、実際にはBBCのほうがネットへの展開に迅速だった。この背景として、中村氏はBBCと民放との関係をあげる。 1998年の地上デジタル放送開始以降、英国では「BBCと地上波民放テレビ局の関係が競争から協働へと変化した」「景気に左右されない受信料収入を使って、BBCが新サービスへの道を開き、それに民放も続いていくという関係である」「BBCが民放だけでなく様々な団体と協働することが受信料の価値を最大化するという考えを自ら採った」「公共サービス放送として長い歴史をともに刻んできたテレビ業界のエコロジーが出来上がったのではないかと思う」。一方、日本の場合は、NHKと地上波民放局の対立の構図が続いているという』、「BBCのほうがネットへの展開に迅速だった。この背景として、中村氏はBBCと民放との関係をあげる。 1998年の地上デジタル放送開始以降、英国では「BBCと地上波民放テレビ局の関係が競争から協働へと変化した」「景気に左右されない受信料収入を使って、BBCが新サービスへの道を開き、それに民放も続いていくという関係である」「BBCが民放だけでなく様々な団体と協働することが受信料の価値を最大化するという考えを自ら採った」「公共サービス放送として長い歴史をともに刻んできたテレビ業界のエコロジーが出来上がったのではないかと思う」。一方、日本の場合は、NHKと地上波民放局の対立の構図が続いているという」、「民放」との関係ではBBCの方がはるかに健全だ。
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