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百貨店業界(その6)(「そごう・西武売却」セブン&アイの2大誤算…経営陣は「逃げ得」できるのか?、セブン そごう・西武売却完了でも残る後味の悪さ 「実質売却額8500万円」は想定の範囲内だった、「西武池袋本店は切り売りされるのか」会社売却報道の真偽を問うと セブン&アイ井阪社長の答えは—— 決断 そごう・西武61年目のストライキ⑧、ヴィトンやエルメスを失ってしまう…セブン&アイに売られた名門百貨店の悲しき末路) [産業動向]

百貨店業界については、昨年5月17日に取上げた。今日は、(その6)(「そごう・西武売却」セブン&アイの2大誤算…経営陣は「逃げ得」できるのか?、セブン そごう・西武売却完了でも残る後味の悪さ 「実質売却額8500万円」は想定の範囲内だった、「西武池袋本店は切り売りされるのか」会社売却報道の真偽を問うと セブン&アイ井阪社長の答えは—— 決断 そごう・西武61年目のストライキ⑧、ヴィトンやエルメスを失ってしまう…セブン&アイに売られた名門百貨店の悲しき末路)である。

先ずは、昨年9月4日付け東洋経済オンライン「セブン、そごう・西武売却完了でも残る後味の悪さ 「実質売却額8500万円」は想定の範囲内だった」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/699144
・『セブン&アイ・ホールディングス(HD)は9月1日、百貨店子会社のそごう・西武をアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループに売却した。売却先をフォートレスに決めたのが昨年11月。長期に渡った売却交渉がようやく完了した。 売却額は2200億円と一見高額。しかし売却日当日、セブン&アイは単体で1457億円の特別損失計上を発表、連結の最終利益の予想を下方修正している。 セブン&アイはなぜ損失計上を迫られたのか』、興味深そうだ。
・『2200億円は有利子負債を含めた評価  その理由は極めて単純。そごう・西武の企業価値の評価が、極めて低かったからだ。 2200億円は確かに実際の売却額だが、これは有利子負債を含めた企業価値がベースとなっている。そごう・西武はこれまで約3000億円と多額の有利子負債を抱えていた。売却に伴ってセブン&アイが自社の貸付金のうち916億円を債権放棄しており、残る有利子負債は単純計算で約2100億円。つまり、2200億円という企業価値の大部分は、有利子負債で占められていたことになる。 セブン&アイは損失計上と同時に公表したリリースで、「そごう・西武株式の譲渡価額は(中略)85百万円を見込んでおります」としているが、まさにこのことを指している。有利子負債のほかに運転資本の減少分などを考慮した「実質的な」譲渡価額が、8500万円だったということだ。 セブン&アイはこの実質的な譲渡価額と簿価との差を、株式譲渡関連特損411億円として損失計上した。そごう・西武の企業価値は当初2500億円とされていたが、売却交渉の長期化や売却後の西武池袋本店(池袋西武)のフロアプランの見直しなどに伴って、300億円減額されたことも、損失計上の要因となっている。 ただ、セブン&アイからすれば、譲渡価額8500万円は完全に想定内だったようだ。「損失を出さずに売るのは超ウルトラC」。そごう・西武の売却の過程で、セブン&アイの関係者はこう漏らしていた。 セブン&アイ側も、買収したフォートレス側も、当初から百貨店事業についてはほとんど価値を見出していなかった。逆に実質評価がマイナスにならずに売却できたことで、セブン&アイの担当者は胸をなで下ろしているかもしれない。) 損失計上には別の要因もある。売却に伴ってセブン&アイが損失補填を余儀なくされたことだ。損失補填のほとんどは前述した債権放棄額916億円だが、もう一つの理由がある。 テナントの移転・撤退に伴う「クリーニング費用」の負担だ。今後、池袋西武にはフォートレスと組む家電量販店の「ヨドバシカメラ」が出店する計画だ。そうなれば、既存のテナントは移転を強いられ、場合によっては撤退を余儀なくされる。 まだ移転が決まっていない一部の高級ブランドなど、今後新たに必要となる移転費用は新オーナーであるフォートレスが負担するが、「すでに大枠が決まっているテナントの移動については、セブン&アイ側が負担する」(ディール関係者)。損失補填の中には、このクリーニング費用の負担が含まれている模様だ。 売却スキームではヨドバシの入居によって多くのテナントの移転・撤退が見込まれ、その費用を誰が負担するかも1つの焦点だった。セブン&アイの実際の負担額は非公開だが、「今回で株式譲渡にかかわる損失は出しつくした」(セブン&アイ広報担当者)。売却後の追加負担も懸念されていたが、それは回避されたようだ。 しかし、終わったのはあくまで会計上の処理だけだ。セブン&アイの経営陣には、今後対峙しなければならない課題がなお残されている』、「今後、池袋西武にはフォートレスと組む家電量販店の「ヨドバシカメラ」が出店する計画だ。そうなれば、既存のテナントは移転を強いられ、場合によっては撤退を余儀なくされる。 まだ移転が決まっていない一部の高級ブランドなど、今後新たに必要となる移転費用は新オーナーであるフォートレスが負担するが、「すでに大枠が決まっているテナントの移動については、セブン&アイ側が負担する」、なるほど。
・『法廷の場で明らかになる取締役の責任  一つは株主対応だ。セブン&アイの株主であるそごう・西武の元社員らは、昨年11月の売却公表時に算定された同社の企業価値2500億円が不透明であるとして、井阪隆一社長らセブン&アイHD取締役に損害賠償を求める株主代表訴訟を東京地裁に提訴している。 問題は、売却先を決定する際に、井阪社長ら取締役が善管注意義務を果たしたといえるかどうかだ。今回の売却経緯を巡っては、入札の際に複数のファンドが手を挙げたものの、途中からフォートレスありきで交渉が進んだとする指摘がある。 また、売却直前になって企業価値が減額されたり、債権放棄を余儀なくされたりしたことを考えると、当初2500億円とされた企業価値の算定根拠が正当なものだったのかが、今後争点となりそうだ。) もう一つはそごう・西武の従業員の雇用問題だ。同社の労働組合は、ヨドバシの入居で百貨店の売り場面積が大きく縮小し、「雇用継続の確証が得られない」と反発。8月31日には、池袋西武で大手百貨店として61年ぶりのストライキを決行した。 この問題はフォートレスに売却された後も、くずぶり続ける。セブン&アイはかねてから「(ヨドバシの入居で)従業員の働く場所が物理的になくなり、社内での配置転換も難しい場合、当社も受け入れる用意はある」(広報担当者)としている。 しかし、セブン&アイの主力業態であるコンビニはフランチャイズビジネスであり、それほど多くの社員が必要なわけではない。さらにイトーヨーカ堂などのスーパー事業は構造改革の真っただ中。事業会社の再編に取り組んでおり、「とても人を受け入れられる状況ではない」(セブン&アイ関係者)。十分な雇用の受け皿となるかは不透明だ』、「問題は、売却先を決定する際に、井阪社長ら取締役が善管注意義務を果たしたといえるかどうかだ。今回の売却経緯を巡っては、入札の際に複数のファンドが手を挙げたものの、途中からフォートレスありきで交渉が進んだとする指摘がある。 また、売却直前になって企業価値が減額されたり、債権放棄を余儀なくされたりしたことを考えると、当初2500億円とされた企業価値の算定根拠が正当なものだったのかが、今後争点となりそうだ。) もう一つはそごう・西武の従業員の雇用問題だ」、なるほど。
・『終盤は「孤軍奮闘」状態だった井阪社長  今回、ここまで事態が混乱したのは、労組との関係が象徴するように、「最初から正直に話し合って納得を得るのではなく、ごまかしながら進めた」(ディールの関係者)からだ。 井阪社長は「事業と雇用を継続する」と主張し続ける一方、「直接の雇用者ではない」として労使交渉には応じてこなかった。初めて交渉の席についたのは8月序盤で、そこから売却完了までは1カ月にも満たない。池袋西武の地元である豊島区や駅前商店街との合意もとれないままで、説明責任を果たしたとは到底いえない。 今回の売却のプロセスでは、従業員や地元、さらに消費者というステークホルダーに対する配慮があまりに欠けていた。そして日本の小売業最大手として、百貨店をどう再生するか、そのために最大のシナジーを発揮できる売却先はどこかといった視点が、ほとんどなかったようにみえる。 責任は井阪社長にだけあるのではない。セブン&アイの関係者によると、首脳陣の一部はそごう・西武売却に際し、「『大変ですね』などと発言するだけで、井阪さんの言う『真摯な対応』をしようという姿勢ではなかった」という。この関係者は売却劇終盤の井阪社長を「孤軍奮闘していた」と哀れむ。 株式譲渡の契約から実行まで、セブン&アイは井阪体制におけるガバナンスのもろさを露呈した。今回セブン&アイが失ったものは、決して少なくないように思える』、「今回の売却のプロセスでは、従業員や地元、さらに消費者というステークホルダーに対する配慮があまりに欠けていた。そして日本の小売業最大手として、百貨店をどう再生するか、そのために最大のシナジーを発揮できる売却先はどこかといった視点が、ほとんどなかったようにみえる。 責任は井阪社長にだけあるのではない」との見方もあるが、私は、「井阪社長」の「責任は」重大だと思う。

次に、本年7月26日付け現代ビジネスが掲載した労組委員長の寺岡 泰博氏による「「西武池袋本店は切り売りされるのか」会社売却報道の真偽を問うと、セブン&アイ井阪社長の答えは—— 決断 そごう・西武61年目のストライキ⑧」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/133790?imp=0
・『「池袋の街に、百貨店を残そう!」「西武池袋本店を守ろう」 2023年8月31日、西武百貨店は終日シャッターを下ろして店を閉じ、300人を超える社員が池袋の街をデモ行進しました。 このストライキを決断し、実行したのがそごう・西武労組の寺岡泰博・中央執行委員長です。 寺岡氏は2016年に中央執行委員長に就任、待っていたのは、外資系ファンドへの新たな「会社売却」交渉でした。しかも、そごう・西武を支える中核店舗の池袋店の不動産をヨドバシカメラに売却し、店舗の半分を家電量販店に改装するというのです。 自分たちはこれまで、百貨店人としてのプライドを胸に働いてきた。会社売却しても「雇用を守る」と経営者は言うが、百貨店で働くことと、ヨドバシカメラやコンビニで働くことはまったく意味が違う。「雇用」ではなく、「雇用の場」を守ってほしい。百貨店人としてのプライドを知ってほしい――。 5000人の社員の先頭に立ち、闘いつづけた熱い男の魂の記録、寺岡氏の著書『決断 そごう・西武61年目のストライキ』より、一部を抜粋してお届けします』、「百貨店で働くことと、ヨドバシカメラやコンビニで働くことはまったく意味が違う。「雇用」ではなく、「雇用の場」を守ってほしい。百貨店人としてのプライドを知ってほしい――」、確かにその通りだろう。
・『「報道は寝耳に水」  偶然にも春闘を前にセブン&アイ労連と経営側の労使協議が予定されていた。イトーヨーカドー労組、そごう・西武労組、セブン&アイ・フードシステムズ労組などセブン&アイ各社の労組幹部が、井阪社長らセブン&アイ経営陣と賃上げについて事前協議する。 この年、われわれそごう・西武労組は春闘で具体的な賃上げを含む労働条件改定を要求提案する方針を固め、最終調整の段階に入っていたが、株式売却という衝撃のニュースが流れ、方針転換するかどうかの判断を迫られることになった。 さらにこの労使協議機会で、私はそごう・西武売却報道について井阪社長に現場の声を伝え、要望を届けようと考えていた。 私が主張したのは、「雇用の維持」と「事業の継続」、そして「情報開示」の3つである。以後2023年8月のストライキまで、この3点をブレずに一貫して言いつづけることになる。 「自分たちの店はどうなるのか、お客さま対応は、など不安の声が上がっています。事業会社が(交渉の)主語ではないとなれば、どこまでが事実なのか知りたいというのが現場の本音です。少なくとも報道が先行して混乱しないように事前に情報共有していただきたい。また、売却にあたっては百貨店価値というよりも不動産価値を打ち出しているようにも映ります。百貨店ブランドを守る、雇用を守るということは胸に留めていただきたい」 井阪社長の回答は、相変わらずとらえどころがないものだった。 「かしこまりました。ただ、報道は寝耳に水で私どもが発信したものではないということは理解していただきたい。そごう・西武は駅前立地の資産価値以外にも顧客基盤、取引先さま、優秀な社員などポテンシャルがある会社です。ベストオーナーと組めばもっとバリューが発揮できるはずです。そう考えていただきたい」 報道を肯定するわけでもないが、「絶対に売らない」というわけでもない。「報道は寝耳に水」という言葉にも、違和感があった。セブン&アイという会社は身内には秘密主義なのに、なぜかメディアには容易に経営情報が漏れる。2月7日発売の経済誌でも、セブン&アイの内部資料を入手したとして、DX戦略の頓挫の詳細を報じていた。本当に不思議な話だ』、「セブン&アイという会社は身内には秘密主義なのに、なぜかメディアには容易に経営情報が漏れる。2月7日発売の経済誌でも、セブン&アイの内部資料を入手したとして、DX戦略の頓挫の詳細を報じていた。本当に不思議な話だ」、なるほど。
・『「もう百貨店ではなくなるかもしれない」  そごう・西武の売却を検討していることを、井阪社長がはじめて公に認めたのはこの2ヵ月後、4月7日のセブン&アイの決算発表の場である。 その間、セブン&アイからはなんの発表もないにもかかわらず、「売却先」をめぐる報道は過熱していた。 〈そごう・西武、入札締め切り 売却先、セブンが絞り込みへ〉(朝日新聞2月22日付) セブン&アイ・ホールディングスは21日、傘下で百貨店を運営するそごう・西武の売却先を募る1次入札を締め切った。 〈1次入札、複数応募か〉(読売新聞2月22日付) 投資ファンドなど複数の応札があったとみられ、今後、売却額など条件面の本格的な交渉に入る。 〈1次入札に複数応募 そごう・西武売却〉(共同通信2月22日付) 三井不動産や三菱地所も入札への参加を検討していたが、見送ったもようだ。再開発による収益性を考慮しても、従業員の引き受けなどの負荷が重荷だったとみられる。 〈そごう・西武売却、魅力は? 駅近の一等地 多い「借り物」複数陣営が応札〉(朝日新聞2月25日付) 複数陣営が応札したとみられる背景にあるのが「不動産」としての魅力。国内有数の一等地に主要店を構える一方、(中略)店舗の土地や建物は「借り物」が目立つ。同社によると、西武池袋本店は建物の大半を自社で持つ一方、地権者は複数いる。 〈「そごう・西武売却」、次入札で残った顔ぶれ〉(東洋経済オンライン2月28日付) 1次入札は2月21日に締め切られ、ゴールドマン・サックスをはじめとする外資系投資銀行や、多数の投資ファンドなどが応札。その結果、米大手投資ファンドのブラックストーン・グループ、米ローン・スター、米フォートレス・インベストメント・グループ、そしてシンガポール政府投資公社(GIC)の4社が残り、2次入札に進んだという。 私たちに見えないところで、事態が激しく動いていた。 東洋経済オンラインの記事では、匿名のそごう・西武幹部が「彼らに売却されたら店舗を単なる不動産として扱われ、切り売りされて終わるのではないか。もう百貨店ではなくなるかもしれない」と語っている。たしかに、応札したのがすべて投資ファンドだということが懸念材料だった。 その後の報道によると、2次入札に進んだ4社からブラックストーンが降り、5月に行われた2次入札にはローン・スター、シンガポール政府投資公社、そしてフォートレスの3社が参加したという。 3社のうち、どこが選ばれるのか――。それも結局、日経新聞による報道が先行した。 続きは<池袋西武がヨドバシHDに買われたらどうなるか 社員と労組が恐れた「最悪の展開」>にて公開中。 百貨店人としてのプライドを守るため、5000人の社員の先頭に立ち、闘いつづけた熱い男の魂の記録『決断 そごう・西武61年目のストライキ』が絶賛発売中!』、「応札したのがすべて投資ファンドだということが懸念材料だった」、なるほど。

第三に、9月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したそごう・西武労働組合 中央執行委員長の寺岡泰博氏による「ヴィトンやエルメスを失ってしまう…セブン&アイに売られた名門百貨店の悲しき末路」を紹介しよう。
・『大手デパート「そごう・西武」の旗艦店・西武池袋本店で大改装作業が進んでいる。セブン&アイ傘下だったそごう・西武の株式を2023年9月に買収した米投資運用会社・フォートレスは、西武池袋本店の不動産を3000億円でヨドバシカメラに売った。その結果、2025年夏のグランドオープン後は、売り場面積の半分弱をヨドバシカメラが占めるようになる。こうしたM&Aの意思決定プロセスにおいて、一貫して蚊帳の外に置かれていた従業員たちの不安と苦悩を、当時の労組トップが赤裸々に語った。※本稿は、寺岡泰博『決断 そごう・西武61年目のストライキ』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『労働組合の知らぬ間にニュースで自社の重要発表が  NHKのニュース速報が流れた。 「セブン&アイの取締役会が、2023年2月1日を契約実行日とするフォートレスへのそごう・西武株式譲渡を決議」 これから労組への説明というタイミングでまたもリークかーーこれで何度目だろう。つくづく溜め息が出た。 報道によると、セブン&アイはフォートレスにそごう・西武の株式を譲渡する契約を締結することを2022年11月11日の臨時取締役会で決議し、フォートレスのビジネスパートナーとしてヨドバシホールディングスが加わるという。2023年2月1日の株式譲渡の完了(クロージング)まで、「今後の協議で詰めていく」とされていた。 あとになって分かったことだが、売却後の池袋本店の大まかなフロアプランも11日の臨時取締役会で示されていた。それによると、西武池袋本店本館の北ゾーンにヨドバシカメラが入る計画だという。 池袋本店は細長い廊下のような建物で、本館は北、中央、南の3ゾーンに分かれている。池袋駅は南より北側の人流が多く、北ゾーンがもっとも集客力がある。ルイ・ヴィトン、グッチなどのハイブランドも1階北ゾーンに入居している。 フォートレスのプランでは、この北ゾーンからハイブランドを立ち退かせ、すべてヨドバシカメラにするというのである』、「池袋駅は南より北側の人流が多く、北ゾーンがもっとも集客力がある。ルイ・ヴィトン、グッチなどのハイブランドも1階北ゾーンに入居している。 フォートレスのプランでは、この北ゾーンからハイブランドを立ち退かせ、すべてヨドバシカメラにする」、なるほど。
・『労働組合としてのいらだち おカネを出す人が一番強い  ヨドバシが北ゾーンに入居することにこだわっているのは、もうひとつ理由があった。池袋本店から北側に向かって歩くと左にビックカメラ、右にヤマダデンキの大型店が並ぶ。仮に現在の池袋本店の北ゾーンにヨドバシカメラが入ると、ビックカメラ、ヤマダデンキに向かう人たちをその手前でせき止めてしまうことになる。ライバルのビックカメラ、ヤマダに強力な打撃を与えることができる立地なのだ。 ヨドバシはさらに手を打っていた。 池袋本店の地下街から東側に広がる約1200坪にわたるショッピングセンター「池袋ショッピングパーク(ISP)」の株式をヨドバシホールディングスが取得する方向だというのだ。 ISPには現在約60のアパレルや飲食店、食料品店が入居するが、ここにもヨドバシカメラが入れば、さらにビックカメラ、ヤマダデンキへの人流は細ることになる。 井阪隆一社長(セブン&アイHD)に近いと見られていた社外取締役の伊藤邦雄氏でさえ、「気がついたら『ヨドバシ百貨店』になっているようなことは、やってはだめだ。あくまでそごう・西武が、百貨店として成長できるプランでなければだめなんだ」と言っていたと聞く。 しかし、「結局、おカネを出す人が一番強い」とあるアナリストが言っていたように、2000億円を出資する予定のヨドバシカメラに発言権があるのは間違いなかった。) これほど重要な決定が、労働組合にいっさいなんの説明も連絡もなく、抜き打ちのような形で実行されてしまったことに、大きな衝撃を受けた。 2022年11月11日午後の臨時中央経営協議会でそごう・西武の林拓二社長は冒頭突如立ち上がり、「申し訳ありません」とわれわれに頭を下げた。 「前日から様々な報道が先行し、当社で働く従業員の皆さまやステークホルダー(利害関係者)、お客さまに多大な不安を与えたことについて、大変申し訳なく、あらためてお詫びを申し上げます」』、「池袋本店の北ゾーンにヨドバシカメラが入ると、ビックカメラ、ヤマダデンキに向かう人たちをその手前でせき止めてしまうことになる。ライバルのビックカメラ、ヤマダに強力な打撃を与えることができる立地なのだ。 ヨドバシはさらに手を打っていた。 池袋本店の地下街から東側に広がる約1200坪にわたるショッピングセンター「池袋ショッピングパーク(ISP)」の株式をヨドバシホールディングスが取得する方向だというのだ。 ISPには現在約60のアパレルや飲食店、食料品店が入居するが、ここにもヨドバシカメラが入れば、さらにビックカメラ、ヤマダデンキへの人流は細ることになる・・・井阪隆一社長(セブン&アイHD)に近いと見られていた社外取締役の伊藤邦雄氏でさえ、「気がついたら『ヨドバシ百貨店』になっているようなことは、やってはだめだ。あくまでそごう・西武が、百貨店として成長できるプランでなければだめなんだ」と言っていたと聞く。 しかし、「結局、おカネを出す人が一番強い」とあるアナリストが言っていたように、2000億円を出資する予定のヨドバシカメラに発言権があるのは間違いなかった」、なるほど。
・『いったいどういうことなのか 労働組合の頭越しの決定  しかし、林社長に謝られても、結果は覆らない。組合側からは当然、厳しい言葉をぶつけた。 「秘密保持の観点やインサイダー取引に抵触するとの懸念から情報開示が難しい状況とのことでしたが、これだけ外部には情報漏洩をしながら、当社で働く従業員には『決定事項は何もない』とは、いったいどういうことなのか。あまりにも、働く従業員や労働組合を置き去りにした対応なのではないでしょうか」 「今後どんなにきれいなメッセージを並べられても真正面から受け止めることができません。労働組合は個人の私利私欲のために動いているわけではありません」 11月11日の中央経営協議会で「申し訳ない」と頭を下げた林社長は、その後、ある決意を固める。) 社長自ら各店舗に出向いて説明行脚する、「店舗ラウンド」をするというのである。 様々な偶然も重なって社長に抜擢されたが、林さんは本来現場の社員に非常に近い心情を持つ人である。今回の株式売却で従業員に不安が広がっていることは「謝っても謝りきれない」ので、11月16日から全10店舗を回って社員に直接思いを伝えたいという』、「様々な偶然も重なって社長に抜擢されたが、林さんは本来現場の社員に非常に近い心情を持つ人である。今回の株式売却で従業員に不安が広がっていることは「謝っても謝りきれない」ので、11月16日から全10店舗を回って社員に直接思いを伝えたいという」、なるほど。
・『社長の全店舗行脚でも拭えきれない不安  林社長はそごう神戸店、西武高槻店がエイチ・ツー・オーリテイリングに営業譲渡された際にも、現地を回って従業員と直接対話をしたことがある。経営幹部からは「かえって混乱を招く」と止められたが、林社長の意思で強行した。林氏はかつて神戸店の店長を務めた経験があり、とくに思い入れが強いということもあった。 神戸店ではかつての部下らに対し、「申し訳ありません」と深々と頭を下げたと聞いている。 11月16日から始めた全店舗行脚で、社長は営業時間前の部課長会などに参加した。 「今回のディールはそごう・西武を再成長させるためのものです。私は、セブン&アイ・ホールディングスと井阪社長を信じています。従って悪いようにはならない、させない。だから安心して目の前の業務、繁忙期を乗り切ってください」) しかし、私はその話を聞いても不安を拭いきれなかった。 林社長の気持ちは本物だろう。さもなければ、この混乱期に10店舗を回って直接現場の社員に謝罪するという行動に出るはずがない。しかしセブン&アイは、本当に「悪いようにしない」だろうか。 ちょうどこの時期、そごう広島店では本館を改装し、新館から退去して本館にまとめる作業に入っていた。今後もこのまま営業を続けていけるのか、不安が広がっていた。そしてその不安は、そごう・西武の社員すべてが共有する不安でもあった』、「しかしセブン&アイは、本当に「悪いようにしない」だろうか」、妥当な疑問だ。
・『百貨店らしくない店で高級品を買いたくない  2022年11月21日に行われたそごう・西武労働組合の臨時中央大会では、組合の各支部から厳しい声が寄せられた。 「1月末の報道(編集部注/2022年1月31日に日経新聞が報じた)以降、お取引先さまから『先の案件は依頼できない』など厳しいお言葉を頂戴することが続き、普段の営業活動に支障が出ている。事業の特性上、交渉期間や取引納入期間が長い案件が多いことも鑑み、お取引先さまに根拠のある説明ができる安心材料が早くほしいと感じている」(商事支部の組合代議員)) 「お客さまから、『百貨店らしくないお店では高級品を買いたくない』というリアルなお声を頂戴することもあります。そのような中で、当社株式売却の報道があり、実際に納品が先になる高級家具の販売がキャンセルになるといった事案も発生しました。営業体制はなにも変わらなくても、すでに報道だけでブランド毀損は始まっているのだと感じています」(池袋支部の組合代議員) お客さまからの声も報告された。 「そごう・西武は百貨店ではなくなってしまうのかという不安」 「ハレの日需要や継続的なメンテナンスが必要な高額品の買い控え」 「問い合わせに対し曖昧な受け答えしか返ってこない現状」 こうした意見は「ブランド毀損」「信用・信頼の低下」「当社および従業員への不信」という3つに集約し、経営陣に伝えた。 11月22日には、労働組合としてアメリカのフォートレス本社に意見書を送付し、事業継続や従業員の雇用維持に影響が出るプランが提示された場合、「労働組合として明確に反対する」ことを伝えた。 11月24日には、フォートレスからそごう・西武経営陣に池袋本店のフロアプランが提示されている。それによると、低層階を中心に全面積の5割がヨドバシカメラ、残った部分で百貨店を展開するという』、「実際に納品が先になる高級家具の販売がキャンセルになるといった事案も発生しました。営業体制はなにも変わらなくても、すでに報道だけでブランド毀損は始まっている・・・「ハレの日需要や継続的なメンテナンスが必要な高額品の買い控え」・・・池袋本店のフロアプランが提示されている。それによると、低層階を中心に全面積の5割がヨドバシカメラ、残った部分で百貨店を展開するという」、私は「ヨドバシカメラ」の会員だが、同社が大きく存在感を増す「西武」で買い物をしたいとは思わない。
・『ルイ・ヴィトンやエルメスを失ってしまうかもしれない  2022年11月11日のセブン&アイ臨時取締役会で示されたのは北ゾーンを中心に3割をヨドバシにする案だったようだが、結局、中央ゾーンも低層階を中心にヨドバシが入るとされていた。 フォートレス陣営は「話し合いの余地はない。これで決定です」と話したという。 もしこのプランが実行されれば、もっとも集客力のある北ゾーンと、中央ゾーンの低層階を失い、池袋本店の大きな魅力のひとつであるルイ・ヴィトン、エルメスなどのハイブランドも失うことになるかもしれない。 井阪社長から4者会談の場で「ヨドバシカメラが入るにしても低層階を占めるなどということはありません。組合員の皆さまにも、機関紙を通じてぜひそれを伝えてください」と言われていたが、この話も結果的に事実とは違った。「現時点で決定事項はない」という言い方で、その後どうなっても言い訳できるように逃げ道を残していたのだ。 「日本第3位」のデパートの座から転落し、お取引先さまから見た魅力も半減どころではないだろう。影響は他店にも及ぶ。2016年にそごう神戸店を営業譲渡したあと、大津店や西神店、徳島店など関西の店舗は軒並み営業力を落とし、結果的に営業終了に追い込まれた。) 基幹店が倒れれば、周辺も巻き込まれる。それはすでに経験済みだった。まして池袋本店は神戸店よりさらに大きな巨艦店である。その北、中央ゾーンを失うことで、そごう・西武という会社自体が今後、立ち行かなくなる可能性もありうる。 さらに、フォートレスからはじめて示されたそのフロアプランに林社長はその場では反論できず、そのまま持ち帰らざるを得なかったという。それを聞いてまた腰が抜けそうになった。 しかもこの時点で、われわれ労働組合にはいまだフロアプランが正式に提示されていない。2022年12月14日に行われた4度目の4者会談でも、井阪社長は「フロアプランは未定」と言い張った』、ここまでみえみえの嘘をつくとは驚かされた。
・『そごう・西武労組には余計な情報は与えない  「フロアプランはどうなるんですか、もう決まっているんですか」 「決まっていません。むしろそれはこれからです」 「普通に考えたら、ヨドバシがお金を出して買った土地で、自らも営業しようとすれば、自分の土地なんだから当然一番いい場所を自分が使いますよね。そうなればわれわれそごう・西武は、百貨店として生き残れなくなるんじゃないですか」) 「このディールの『主語』はあくまでそごう・西武だから、もっと言うと百貨店を知っているのはそごう・西武なんだから、ヨドバシとフォートレスと、われわれセブンではなくてそごう・西武とで誠実に協議して、リースラインを決めればいいんですよ」 「表向きはそうかもしれませんが。自分の土地は、まずは自分がここを使うと決め、残りを君らが使っていいよ、とするのが普通じゃないですか」 「そんな話ではないですから」 「株式譲渡契約が締結されましたね。その契約の中身は知りませんが、ヨドバシが西武池袋本店のどこからどこまで使うというのは、すでに契約書に盛り込まれているんですか」 「そんな契約はありません。むしろヨドバシとそごう・西武とフォートレスが誠実協議をして、面積を決めるという話になっているんだから。それはまさに、これからの話し合い次第です」 フォートレスはすでに「決定事項」としてフロアプランをそごう・西武経営陣に提示しているというのに、井阪社長は「まだ決まっていない」と言う。労組には余計な情報を与えないという姿勢がありありと感じられた。 何が真実なのか。 苛立ちと不満が募った』、「フォートレスはすでに「決定事項」としてフロアプランをそごう・西武経営陣に提示しているというのに、井阪社長は「まだ決まっていない」と言う」、百貨店ビジネスが理解できない「井阪社長」は本当に無責任だ。これまで物言う株主の圧力をかわすために、「西武」を血祭に挙げたのであれば、「西武」は浮かばれないだろう。外部株主の「伊藤邦雄」氏にも頑張ってもらいたいところだ。  
タグ:ダイヤモンド・オンライン 寺岡泰博氏による「ヴィトンやエルメスを失ってしまう…セブン&アイに売られた名門百貨店の悲しき末路」 寺岡泰博『決断 そごう・西武61年目のストライキ』(講談社) 「池袋駅は南より北側の人流が多く、北ゾーンがもっとも集客力がある。ルイ・ヴィトン、グッチなどのハイブランドも1階北ゾーンに入居している。 フォートレスのプランでは、この北ゾーンからハイブランドを立ち退かせ、すべてヨドバシカメラにする」、なるほど。 「池袋本店の北ゾーンにヨドバシカメラが入ると、ビックカメラ、ヤマダデンキに向かう人たちをその手前でせき止めてしまうことになる。ライバルのビックカメラ、ヤマダに強力な打撃を与えることができる立地なのだ。 ヨドバシはさらに手を打っていた。 池袋本店の地下街から東側に広がる約1200坪にわたるショッピングセンター「池袋ショッピングパーク(ISP)」の株式をヨドバシホールディングスが取得する方向だというのだ。 ISPには現在約60のアパレルや飲食店、食料品店が入居するが、ここにもヨドバシカメラが入れば、さらにビックカメラ、ヤマダデンキへの人流は細ることになる・・・井阪隆一社長(セブン&アイHD)に近いと見られていた社外取締役の伊藤邦雄氏でさえ、「気がついたら『ヨドバシ百貨店』になっているようなことは、やってはだめだ。あくまでそごう・西武が、百貨店として成長できるプランでなければだめなんだ」と言っていたと聞く。 しかし、「結局、おカネを出す人が一番強い」とあるアナリストが言っていたように、2000億円を出資する予 定のヨドバシカメラに発言権があるのは間違いなかった」、なるほど。 「様々な偶然も重なって社長に抜擢されたが、林さんは本来現場の社員に非常に近い心情を持つ人である。今回の株式売却で従業員に不安が広がっていることは「謝っても謝りきれない」ので、11月16日から全10店舗を回って社員に直接思いを伝えたいという」、なるほど。 「しかしセブン&アイは、本当に「悪いようにしない」だろうか」、妥当な疑問だ。 「実際に納品が先になる高級家具の販売がキャンセルになるといった事案も発生しました。営業体制はなにも変わらなくても、すでに報道だけでブランド毀損は始まっている・・・「ハレの日需要や継続的なメンテナンスが必要な高額品の買い控え」・・・池袋本店のフロアプランが提示されている。それによると、低層階を中心に全面積の5割がヨドバシカメラ、残った部分で百貨店を展開するという」、私は「ヨドバシカメラ」の会員だが、同社が大きく存在感を増す「西武」で買い物をしたいとは思わない。 ここまでみえみえの嘘をつくとは驚かされた。 「フォートレスはすでに「決定事項」としてフロアプランをそごう・西武経営陣に提示しているというのに、井阪社長は「まだ決まっていない」と言う」、百貨店ビジネスが理解できない「井阪社長」は本当に無責任だ。これまで物言う株主の圧力をかわすために、「西武」を血祭に挙げたのであれば、「西武」は浮かばれないだろう。外部株主の「伊藤邦雄」氏にも頑張ってもらいたいところだ。
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