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電気自動車(EV)(その15)(ニデック(上)在籍2年のソニーグループ出身・岸田光哉副社長を社長に起用した理由、ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた、真逆じゃん!「シャープのEV」と「ソニーのEV」比べてわかった歴然の違い) [産業動向]

電気自動車(EV)については、本年3月31日に取上げた。今日は、その(15)(ニデック(上)在籍2年のソニーグループ出身・岸田光哉副社長を社長に起用した理由、ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた、真逆じゃん!「シャープのEV」と「ソニーのEV」比べてわかった歴然の違い)である。

先ずは、本年4月10日付け日刊ゲンダイが掲載した経済ジャーナリストの有森隆氏による「ニデック(上)在籍2年のソニーグループ出身・岸田光哉副社長を社長に起用した理由」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/338681
・『ニデックの長年の課題だった後継者問題は決着するのだろうか。2月14日、4月1日付で副社長の岸田光哉(64)が社長に就く人事を発表した。最高経営責任者(CEO)の座も、創業者の永守重信(79)から岸田に譲る。 永守は今後も代表権を持ち、新設されたグローバルグループ代表として成長の要となるM&A(合併・買収)を主導する。 永守の番頭を自任する社長の小部博志(75)は代表権のない会長になった。後継者問題は今度こそ決着を見るのか。 永守は1973年、プレハブ小屋で日本電産(現ニデック)を4人で創業。これまで70件以上のM&Aを重ね、売上高2兆2000億円、グループ社員数10万7000人の大企業に育て上げたカリスマ経営者だ。 それでも80歳を目前にした永守の後継者選びは迷走した。内部からの昇格ではなく、外部から優秀な経営者を招くことにこだわった。2013年のカルソニックカンセイ(現マレリ)元社長の呉文精に始まり、シャープ元社長の片山幹雄、日産自動車出身の吉本浩之を次々と招聘してきたが、いずれもお眼鏡にかなわず、社を去った。) 特に日産自動車の元副COO(最高執行責任者)関潤(62)については、社長に加えてCEO職も譲ったことから本命とみられていたが、永守が首を縦に振ることはなく、22年に退任した。 創業期からの補佐役の小部がショートリリーフとして社長を務めたが、世代交代が進まない状況を不安視する声が社内外から強まっていた。 日本電産からニデックに社名変更した23年4月1日、5人の副社長を指名。このうちの1人を1年後の24年4月に社長に昇格させることになった。 副社長になったのはプロパー社員ではない。全員が中途入社組。北尾宣久(12年入社)と西本達也(同09年)は三井住友銀行出身。大塚俊之(同04年)は埼玉銀行(現りそな銀行)出身。小関敏彦(同18年)は東京大学の副学長を務めた研究者で、永守が理事長を務める京都先端科学大学の副学長に納まっている。 ソニー(現ソニーグループ=G)出身の岸田は、日本電産への入社が22年1月で、社歴は5人の中で最も短い。 選ばれたのは在籍が2年余という岸田だった。岸田は香川県出身で、京都大学教育学部卒業後、83年ソニー入社。生産本部長やスマートフォンの事業子会社の社長などを歴任。赤字だったスマホ事業の立て直しで辣腕を振るった。日本電産に入社すると不振が続く車載事業の本部長として再建にあたってきた。 一流企業のエリートを引っ張ってきて後継候補に据えるという手法は、これまでのやり方とまったく変わらない。 「真の生え抜き社長が誕生するのは早くて4年後。岸田の次の社長候補として、28年にはプロパーの社長候補が出てくる。次を担えそうな人材を早く育てていきたい」と永守は今後の展望を語る。 昨年3月の時点では「新体制発表に伴って代表権を返上する」と言明していたが、この約束を完全に反故にし、永守は代表権を持ち続けることになった。これではニデックの表紙はまったく変わらないことになる。「海外のM&Aには代表権が必要」というのが代表権を持ち続ける理由だが、説得力に乏しい。ニデックのドン、永守体制は不変なのだ。 「業績を上げてくれ。株価を上げてくれ。言いたいことはそれだけだ」としているが、思い通りにいかなければ、いつでも強権を発動できる。 業績&株価という2つの課題を達成できなければ、前任者たちと同じで、あっさり見切りをつけられることになる。 =敬称略、つづく』、「80歳を目前にした永守の後継者選びは迷走した。内部からの昇格ではなく、外部から優秀な経営者を招くことにこだわった。2013年のカルソニックカンセイ(現マレリ)元社長の呉文精に始まり、シャープ元社長の片山幹雄、日産自動車出身の吉本浩之を次々と招聘してきたが、いずれもお眼鏡にかなわず、社を去った。) 特に日産自動車の元副COO(最高執行責任者)関潤(62)については、社長に加えてCEO職も譲ったことから本命とみられていたが、永守が首を縦に振ることはなく、22年に退任・・・ニデックに社名変更した23年4月1日、5人の副社長を指名。このうちの1人を1年後の24年4月に社長に昇格させることになった。 副社長になったのはプロパー社員ではない。全員が中途入社組。北尾宣久(12年入社)と西本達也(同09年)は三井住友銀行出身。大塚俊之(同04年)は埼玉銀行(現りそな銀行)出身。小関敏彦(同18年)は東京大学の副学長を務めた研究者で、永守が理事長を務める京都先端科学大学の副学長に納まっている。 ソニー(現ソニーグループ=G)出身の岸田は、日本電産への入社が22年1月で、社歴は5人の中で最も短い。 選ばれたのは在籍が2年余という岸田だった。岸田は香川県出身で、京都大学教育学部卒業後、83年ソニー入社。生産本部長やスマートフォンの事業子会社の社長などを歴任。赤字だったスマホ事業の立て直しで辣腕を振るった。日本電産に入社すると不振が続く車載事業の本部長として再建にあたってきた。 一流企業のエリートを引っ張ってきて後継候補に据えるという手法は、これまでのやり方とまったく変わらない。 「真の生え抜き社長が誕生するのは早くて4年後。岸田の次の社長候補として、28年にはプロパーの社長候補が出てくる。次を担えそうな人材を早く育てていきたい」と永守は今後の展望を語る。 昨年3月の時点では「新体制発表に伴って代表権を返上する」と言明していたが、この約束を完全に反故にし、永守は代表権を持ち続けることになった」、今度は「代表権を持ち続ける」ので、余り変わりばえしないようだ。

次に、4月11日付け日刊ゲンダイが掲載した経済ジャーナリストの有森隆氏による「ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/338733
・『永守重信グローバルグループ代表の現状を一言で言うなら、カリスマ経営者が自動車メーカーのEV(電気自動車)シフトを読み違えて大きくつまずいたということだろう。 1月24日に2024年3月期の第3四半期決算(国際会計基準)を発表。これに併せて24年3月期通期の売上高を2兆3000億円(前期比2.5%増)と従来計画比1000億円上方修正する一方、営業利益は同400億円減の1800億円(同80.1%増)、純利益は同300億円減の1350億円(同3倍増)に下方修正した。2年ぶりに最高益を更新することもなくなった。 (EV向けの 電動) 駆動部品「イーアクスル」事業が振るわず、450億円の構造改革費用を計上することが利益を下方修正した原因だ。中国のEV市場の価格競争が激化し、同社が主力とする高性能品では採算を取ることが難しく、同事業は赤字が続いている。 第3四半期での下方修正は2年連続だ。ちょうど1年前に23年3月期の業績見通しを営業利益で1000億円、当期利益で1050億円下方修正した。) 昨年、創業50周年を迎え、4月には社名を日本電産からニデックに変更した。大きな節目を前に、経営が岐路に立っていることを数字が物語っていた。 創業者の永守重信会長の怒りは凄まじかった。 「外部からみえた方々(前経営陣を指す)が非常に好き放題の経営をやられて、大きな負の遺産を作って去っていった。それにより生じたゴミを今期中に全てきれいにする」 決算の大幅な下方修正に踏み切った原因を前社長の関潤など外部から登用した幹部に押し付けた格好だ。 永守はEV向け 電動駆動装置「イーアクスル」事業の戦略を従来のシェア重視から収益重視に転換した。営業利益1000億円の下方修正は「一過性の出来事だと思ってよい。来期(24年3月期)は成長していく。特に大きく転換するのが車載事業だ。500億円の構造改革費を計上したイーアクスルは来期は確実に利益が出るようになる」と自信満々に語っていた。 ところが、永守の読みは大きく外れた。全てのイーアクスル製品が営業赤字。それだけでは済まず、同事業で再び構造改革(450億円を再計上)を余儀なくされた。) 今回の下方修正により、通期の売上高営業利益率の予想は修正前の10%から7.8%まで低下する。永守はかねて「営業利益率が10%を下回る事業は赤字だ」と語ってきた。イーアクスル事業が会社全体の足を引っ張るほどの不調ぶりであることが浮き彫りになった。 車載事業を統括し、EV向けイーアクスル事業を担当する岸田を、「社歴2年にすぎない。大丈夫なのか」と不安視する声があることを承知の上で社長に起用した。 これまでの永守は、自分は最終責任を負わず、「任せたよ」と言って社長にした人物に全責任を押し付けてきた。だが、もう、そんな逃げ道はない。 30年度に売上高10兆円という壮大な目標を掲げている。車載事業で高水準の世界シェアを取る必要がある。 「ソニー出身の岸田を後継社長に指名したのは、ソニーとホンダが共同開発しているEVとの連携を考えているからかもしれない。ソニー・ホンダが、はたしてニデックの技術を高く評価しているのかどうかだ。越えなければならないハードルは高くて遠い」(証券アナリスト)) 創業者は焦っている。株価(4月9日終値6157円)を昨年高値の8706円(23年7月24日)に戻すことだ。客観的に見て、経営者(=永守)の信用が失墜してしまった今は、この目標の達成はかなり難しい。 会員制情報誌は「岸田はイーアクスルの後始末のために据えたのではないか」との外部の声を拾っているが、永守の胸の内は誰も知らない。=敬称略』、「これまでの永守は、自分は最終責任を負わず、「任せたよ」と言って社長にした人物に全責任を押し付けてきた。だが、もう、そんな逃げ道はない。 30年度に売上高10兆円という壮大な目標を掲げている。車載事業で高水準の世界シェアを取る必要がある」、「逃げ道」を失った「永守」は、目標が達成できなかった場合、どう言い訳をするのだろう。

第三に、9月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「真逆じゃん!「シャープのEV」と「ソニーのEV」比べてわかった歴然の違い」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/350744
・『9月17日、家電大手のシャープが親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業と組んで開発するEVの試作車を発表しました。家電メーカーの自動車業界への参入という点では、ホンダと合弁企業をつくったソニーが先行しています。「シャープ×鴻海」と「ホンダ×ソニー」両者のEVの開発コンセプトは真逆です。どちらが未来を見据えているのでしょうか? ▽シャープのEV、ソニーのEV 比べて分かった歴然の違い(家電大手のシャープが9月17日、親会社の鴻海精密工業と組んで開発するEVの試作車を発表しました。 ミニバンタイプの車で名称は「LDK+(エルディーケープラス)」というのですが、この名称には自宅のリビングの拡張空間という意味合いがあるそうです。 近年、家電メーカーやスマホメーカーが自動車業界に参入するという動きが強まっています。 中国ではスマホ大手のシャオミが発売するEVのスポーツカーが売れています。鴻海はEV事業についてはMIHというコンソーシアムを立ち上げ、EVのプラットフォームを提供するビジネスモデルでこの領域に参入しています。 鴻海のプラットフォームは、すでに台湾の自動車メーカーがこれを活用したEVを発売しています。シャープについてもこのプラットフォームを活用し、車のインテリア部分の開発がシャープ、車台(プラットフォーム)と製造を鴻海が担当することになりそうです。 さて、同じく家電メーカーの参入という点では、ホンダと合弁企業「ソニー・ホンダモビリティ」をつくったソニーが先行しています。 2025年に高級車アフィーラの受注を始める計画で、車のプラットフォームはホンダのEVと共通化、先進運転支援システムもホンダが提供し、車内を「感動空間」にする役割をソニーが担当しています。 両社の動きを眺めると非常に興味深いのが、ふたつの陣営で開発コンセプトが真逆だという点です。3つの視点でその違いを比較してみたいと思います』、「ふたつの陣営で開発コンセプトが真逆だ」、とは興味深そうだ。
・『違い1 外見重視か居住性重視か?  今回発表されたシャープのLDK+はワンボックスカーです。未来的な外観デザインではありますが、形は四角い箱で、雰囲気は業務用の商用車そのものです。 一方で、これまで何回かメディアの前で披露されてきたソニーの試作車はどれもスポーティーな外観のデザインでした。 どちらが売れそうかというとソニーですが、どちらが発想が突き抜けて新しいかというとシャープだと思います。というのも、シャープのLDK+のコンセプトは「居住性」に振り切っているからです。 車内でガンガン音楽をかけながら夜のハイウェイを疾走するならソニーのほうが断然イケているのでしょう。ただ、乗り心地だけを考えると、外見がイケてなくても真四角の直方体の方が居住性は断然いいものです。 これは旧来のクラウンのタクシーと、最近主流の箱型のジャパンタクシーのどちらの居住性がいいかを思い浮かべていただけると実感できるのではないでしょうか。 車を流線形にするか箱型にするか?これは未来の車がどのような使われ方をするかを想像する視点の違いで考えが分かれます。少なくともソニーとシャープはこの視点がはっきりと別方向に分かれている点が面白いのです』、「車を流線形にするか箱型にするか?これは未来の車がどのような使われ方をするかを想像する視点の違いで考えが分かれます」、なるほど。
・『違い2 先進国市場か中国アジア市場か?  実際に発売される時期が近付いているソニー・ホンダと、まだコンセプトカー段階のシャープを比較するのは若干早計かもしれませんが、両者のコンセプトを比較すると想定している市場がどうやら違いそうです。 ソニーの場合、2026年に日米欧の先進国でのユーザーをターゲットにした売り方を想定しているように感じます。 ソニーが提供する車内空間での「感動」の一例としては、先ごろ世界10万局のラジオを聴くことができるアメリカのTuneIn(チューンイン)というサービスを採用することを発表しました。 ソニーの強みを考えると、今後、ソニーグループの音楽、映画、ゲームなどとの連携に加えて、スマートスピーカーを通じたAIサービスなどが搭載されることが予想されます。あくまでイメージですが、アマゾンが提供するオーディブルのような音声読書サービスや、DAZNの提供するスポーツコンテンツなどが搭載された車が登場することになるでしょう。 一方でシャープの場合、車を売ろうとするメーカーが普通に考える「需要」をあまり気にしていないように感じます。 車の場合、ドライバー=購入者になるケースが多いのですが、シャープのLDK+はドライバーが販売上のターゲットには見えません。なにしろシャープが取材協力したニュースの映像でも運転席は映されず、リビングの部分しかハイライトされていません。 ではこのシャープの試作車のような車を利用するのはどのようなユーザーなのでしょうか?普通に考えると3種類のユーザーが想定できます。) ひとつは運転手を抱えている利用者です。これは企業のオーナーをイメージするとわかりやすいかもしれません。誰かに運転させて自分は車内で仕事をしたり映画をみたりするような利用者です。 ふたつめに考えられるのがタクシーの乗客で、これはひとつめの利用形態と似ています。 そして3つめは出かけた先の駐車場で停車中にリビングを利用するシーンです。キャンピングカーのベッドがないような利用イメージというとわかりやすいでしょうか? 営業マンが休憩したり、商談の合間に仮オフィスとしてパソコンに向かって見積書を作ったりリモート会議に出席するイメージです。 ただこの3つめの利用イメージだと、すでに商業用のワンボックスが似た使われ方をしています。そして実際のビジネスでの利用シーンでは営業なら荷台に大量の商品やサンプルが、工事関係者なら大量の機材が置かれるので、コンセプトカーのようにリビングでくつろぐ余裕はそれほどないかもしれません。 だとすればシャープの車の主たる用途は1と2の「誰かに運転させて自分はくつろぐ」という用途になるのでしょう。 これは市場の大きさとしては圧倒的に新興国や途上国向けです。なにしろ運転手の人件費が安いので、ちょっとした中小企業の経営者は、普通に運転手を雇えるわけです。 鴻海が考えるMIHのプラットフォームでは、いずれNVIDIAが供給する自動運転プラットフォームも搭載されることが視野に入っていると思われますが、その場合でも規制緩和の観点で真っ先に販売される市場はおそらく中国でしょう。 ちなみに、面白い予測があります。 先進国では今、いったんEVシフトの流れがスローダウンしています。もともと日本はEV化が遅れているのですが、欧米の推進派だった大手メーカーが計画を見直したりしているのです。 結果として2030年頃までの世界のEV需要を引っ張るのは中国とアジア、南米になるのではないかという予測があります。 だとすれば市場成長の恩恵にあずかるのは意外とソニーよりもシャープだということになるかもしれません』、「シャープの車の主たる用途は1と2の「誰かに運転させて自分はくつろぐ」という用途になるのでしょう。 これは市場の大きさとしては圧倒的に新興国や途上国向けです。なにしろ運転手の人件費が安いので、ちょっとした中小企業の経営者は、普通に運転手を雇えるわけです・・・2030年頃までの世界のEV需要を引っ張るのは中国とアジア、南米になるのではないかという予測があります。 だとすれば市場成長の恩恵にあずかるのは意外とソニーよりもシャープだということになるかもしれません」、なるほど。
・『違い3 それぞれの潜在的な競争相手  ソニーもシャープも、既存の自動車メーカーのコンセプトとは違う視点で、未来のモビリティのブルーオーシャン的な領域を狙っているように思えます。 しかしそのブルーオーシャンにはそれぞれ異なる競争相手がいそうです。さらに、それぞれの競争相手は自動車メーカーではなさそうです。 ソニーが目指す車内の感動空間は大手自動車メーカーの中では独自性がありますが、中国の新興EVメーカーは同じ方向で競っています。 同時にコンテンツプロバイダーも同じ方向での車内体験向上を目指しています。たとえば私が所有するBYDのコンパクトカーには音楽配信のSpotifyが標準装備されています。 EVで「運転をしながらコンテンツを楽しむ」という制約があるうちは動画ではなく音楽コンテンツ中心のサービスに頼ることになり、その観点での競争ではソニーと競合には差がつきにくいという制約を感じます。 これが自動運転のレベルが進んだ場合、たとえばレベル4になって基本的にドライバーに運転手としての責任が生じなくなった未来では、車内でドライバーが映像コンテンツを楽しむようになります。その未来は意外と近いかもしれません。 その場合には実はソニーのアフィーラよりも、シャープの試作車のように65インチのテレビを車内に搭載して、利用者が後ろ向きに座るような車の方が、優れたエンタメ体験を受けられるようになるかもしれません。 だったらソニーも65インチを搭載すればいいと思うかもしれませんが、進化はそこで止まらない可能性もあります。車の車内で本格的な感動体験を想定するのであれば、大画面テレビよりもアップルビジョンプロのようなヘッドセット型のハードウェアを装着したほうがよりイマーシブの度合いは高くなります。 そして、そのような未来になると車の車種は何でもよくなってしまいます。 要するに来たるべき自動運転の時代になると、感動体験は車内でも、自宅でも、場合によっては飲食店の席に座っていても同じようにGAFAMから提供されるかもしれないのです。 このようにソニーが目指す方向では、結局のところコンテンツプロバイダーが未来の本当の競争相手になるかもしれません』、「来たるべき自動運転の時代になると、感動体験は車内でも、自宅でも、場合によっては飲食店の席に座っていても同じようにGAFAMから提供されるかもしれないのです。 このようにソニーが目指す方向では、結局のところコンテンツプロバイダーが未来の本当の競争相手になるかもしれません」、なるほど。
・『シャープのEVの「未来の競争相手」は家電メーカーかもしれない  さて、シャープの進化の方向についてはどうでしょう? 実はEVの居住性についてはシャープが考えているように家電との親和性が非常に高いものがあります。日常的にEVを使う立場で、ガソリン車時代と違って便利になったのが乗る前にスマホでエアコンが始動できることです。そしてエアコンはシャープの主力取扱商品のひとつです。 さらにテスラに搭載されている機能で意外と役立つのが、空気清浄機能です。うっかりひどい排ガスのトラックの後ろにつけてしまったときなど、素早く車内の空気を入れ替えることができます。実はこれもシャープの得意領域でしょう。 シャープが目指すリビングの拡張というコンセプトをつきつめると、結局は家電と家具の搭載勝負になっていきます。 駐車場で仕事をするだけでなく移動中にテレビを見ながらコーラとハンバーガーとポテトチップスで飲食をするシーンまでを考えると、冷蔵庫に加えて、軽く手を洗う水回りぐらいまでは欲しいところです。 そうなると究極には、車のオーナー個々人の興味にあわせて必要な家電を車載する未来がやってきそうです。 世の中の進化によっては、車も自宅のリビングと同じで、購入直後は空室の状態でよいわけです。結局のところ、シャープの未来の競争相手は既に競合している家電メーカーということになるかもしれません。 さて、このようにシャープとソニーのEV参入について未来予測の視点で比較をしてみましたが、基本的には家電メーカーにもビジネスチャンスがあるという点は間違いないでしょう。 懸念点はこの記事で述べさせていただきましたが、先行参入することでブランドを確立できるメリットは当然あるわけで、この後に参入してくる家電メーカーよりも戦いやすいことは事実でしょう。 むしろEV計画を遅らせている日米欧の大手自動車メーカー各社の方が、ソニーとシャープの動きを脅威に感じるべきなのかもしれません』、「基本的には家電メーカーにもビジネスチャンスがあるという点は間違いないでしょう。 懸念点はこの記事で述べさせていただきましたが、先行参入することでブランドを確立できるメリットは当然あるわけで、この後に参入してくる家電メーカーよりも戦いやすいことは事実でしょう。 むしろEV計画を遅らせている日米欧の大手自動車メーカー各社の方が、ソニーとシャープの動きを脅威に感じるべきなのかもしれません」、その通りなのかも知れない。
タグ:電気自動車(EV) (その15)(ニデック(上)在籍2年のソニーグループ出身・岸田光哉副社長を社長に起用した理由、ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた、真逆じゃん!「シャープのEV」と「ソニーのEV」比べてわかった歴然の違い) 日刊ゲンダイ 有森隆氏による「ニデック(上)在籍2年のソニーグループ出身・岸田光哉副社長を社長に起用した理由」 「80歳を目前にした永守の後継者選びは迷走した。内部からの昇格ではなく、外部から優秀な経営者を招くことにこだわった。2013年のカルソニックカンセイ(現マレリ)元社長の呉文精に始まり、シャープ元社長の片山幹雄、日産自動車出身の吉本浩之を次々と招聘してきたが、いずれもお眼鏡にかなわず、社を去った。) 特に日産自動車の元副COO(最高執行責任者)関潤(62)については、社長に加えてCEO職も譲ったことから本命とみられていたが、永守が首を縦に振ることはなく、22年に退任・・・ニデックに社名変更した23年4月1日 、5人の副社長を指名。このうちの1人を1年後の24年4月に社長に昇格させることになった。 副社長になったのはプロパー社員ではない。全員が中途入社組。北尾宣久(12年入社)と西本達也(同09年)は三井住友銀行出身。大塚俊之(同04年)は埼玉銀行(現りそな銀行)出身。小関敏彦(同18年)は東京大学の副学長を務めた研究者で、永守が理事長を務める京都先端科学大学の副学長に納まっている。 ソニー(現ソニーグループ=G)出身の岸田は、日本電産への入社が22年1月で、社歴は5人の中で最も短い。 選ばれたのは在籍が2年余 という岸田だった。岸田は香川県出身で、京都大学教育学部卒業後、83年ソニー入社。生産本部長やスマートフォンの事業子会社の社長などを歴任。赤字だったスマホ事業の立て直しで辣腕を振るった。日本電産に入社すると不振が続く車載事業の本部長として再建にあたってきた。 一流企業のエリートを引っ張ってきて後継候補に据えるという手法は、これまでのやり方とまったく変わらない。 「真の生え抜き社長が誕生するのは早くて4年後。岸田の次の社長候補として、28年にはプロパーの社長候補が出てくる。次を担えそうな人材を早く育てていきたい」と永守は今後の展望を語る。 昨年3月の時点では「新体制発表に伴って代表権を返上する」と言明していたが、この約束を完全に反故にし、永守は代表権を持ち続けることになった」、今度は「代表権を持ち続ける」ので、余り変わりばえしないようだ。 有森隆氏による「ニデック(下)カリスマ経営者が自動車メーカーのEVシフトを読み違えて大きく躓いた」 「これまでの永守は、自分は最終責任を負わず、「任せたよ」と言って社長にした人物に全責任を押し付けてきた。だが、もう、そんな逃げ道はない。 30年度に売上高10兆円という壮大な目標を掲げている。車載事業で高水準の世界シェアを取る必要がある」、「逃げ道」を失った「永守」は、目標が達成できなかった場合、どう言い訳をするのだろう。 ダイヤモンド・オンライン 鈴木貴博氏による「真逆じゃん!「シャープのEV」と「ソニーのEV」比べてわかった歴然の違い」 「ふたつの陣営で開発コンセプトが真逆だ」、とは興味深そうだ。 「車を流線形にするか箱型にするか?これは未来の車がどのような使われ方をするかを想像する視点の違いで考えが分かれます」、なるほど。 「シャープの車の主たる用途は1と2の「誰かに運転させて自分はくつろぐ」という用途になるのでしょう。 これは市場の大きさとしては圧倒的に新興国や途上国向けです。なにしろ運転手の人件費が安いので、ちょっとした中小企業の経営者は、普通に運転手を雇えるわけです・・・2030年頃までの世界のEV需要を引っ張るのは中国とアジア、南米になるのではないかという予測があります。 だとすれば市場成長の恩恵にあずかるのは意外とソニーよりもシャープだということになるかもしれません」、なるほど。 ・『違い3 それぞれの潜在的な競争相手  ソニーもシャープも、既存の自動車メーカーのコンセプトとは違う視点で、未来のモビリティのブルーオーシャン的な領域を狙っているように思えます。 しかしそのブルーオーシャンにはそれぞれ異なる競争相手がいそうです。さらに、それぞれの競争相手は自動車メーカーではなさそうです。 ソニーが目指す車内の感動空間は大手自動車メーカーの中では独自性がありますが、中国の新興EVメーカーは同じ方向で競っています。 同時にコンテンツプロバイダーも同じ方向での車内体験向上を目指しています。たとえば私が所有するBYDのコンパクトカーには音楽配信のSpotifyが標準装備されています。 EVで「運転をしながらコンテンツを楽しむ」という制約があるうちは動画ではなく音楽コンテンツ中心のサービスに頼ることになり、その観点での競争ではソニーと競合には差がつきにくいという制約を感じます。 これが自動運転のレベルが進んだ場合、たとえばレベル4になって基本的にドライバーに運転手としての責任が生じなくなった未来では、車内でドライバーが映像コンテンツを楽しむようになります。その未来は意外と近いかもしれません。 その場合には実はソニーのアフィーラよりも、シャープの試作車のように65インチのテレビを車内に搭載して、利用者が後ろ向きに座るような車の方が、優れたエンタメ体験を受けられるようになるかもしれません。 だったらソニーも65インチを搭載すればいいと思うかもしれませんが、進化はそこで止まらない可能性もあります。車の車内で本格的な感動体験を想定するのであれば、大画面テレビよりもアップルビジョンプロのようなヘッドセット型のハードウェアを装着したほうがよりイマーシブの度合いは高くなります。 そして、そのような未来になると車の車種は何でもよくなってしまいます。 要するに来たるべき自動運転の時代になると、感動体験は車内でも、自宅でも、場合によっては飲食店の席に座っていても同じようにGAFAMから提供されるかもしれない のです。 このようにソニーが目指す方向では、結局のところコンテンツプロバイダーが未来の本当の競争相手になるかもしれません』、「来たるべき自動運転の時代になると、感動体験は車内でも、自宅でも、場合によっては飲食店の席に座っていても同じようにGAFAMから提供されるかもしれないのです。 このようにソニーが目指す方向では、結局のところコンテンツプロバイダーが未来の本当の競争相手になるかもしれません」、なるほど。 「基本的には家電メーカーにもビジネスチャンスがあるという点は間違いないでしょう。 懸念点はこの記事で述べさせていただきましたが、先行参入することでブランドを確立できるメリットは当然あるわけで、この後に参入してくる家電メーカーよりも戦いやすいことは事実でしょう。 むしろEV計画を遅らせている日米欧の大手自動車メーカー各社の方が、ソニーとシャープの動きを脅威に感じるべきなのかもしれません」、その通りなのかも知れない。
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