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インバウンド動向(その16)(なぜ日本は外国人観光客にナメられるのか?「おもてなしは文化」というウソの自業自得、「このままでは日本は“パンク”する」後手に回る対策…「オーバーツーリズム」をどうすれば解決できるのか) [経済政策]

インバウンド動向については、本年6月9日に取上げた。今日は、(その16)(なぜ日本は外国人観光客にナメられるのか?「おもてなしは文化」というウソの自業自得、「このままでは日本は“パンク”する」後手に回る対策…「オーバーツーリズム」をどうすれば解決できるのか)である。

先ずは、本年6月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「なぜ日本は外国人観光客にナメられるのか?「おもてなしは文化」というウソの自業自得」を紹介しよう。
・『富士山周辺、京都、全国津々浦々……迷惑外国人が増えすぎていないか?  外国人観光客の迷惑トラブルが毎日のように報じられている。 富士山周辺では、ローソン越しの富士山が撮影できるスポットに観光客が殺到して危険だということで、苦肉の策で道路に黒い目隠し幕が設置された。京都では舞妓が「パパラッチ被害」に遭ったほか、八坂神社では参拝した外国人観光客が、鈴を乱暴に振り回して注意した人と口論になったという。 もちろん、こういうトラブルはかつて日本人観光客も欧州やハワイで山ほどやってきた。現地メディアから「バーバリアン」(野蛮人)などと問題視されたこともあるので「お互いさま」という側面もあるのだが、ここまで外国人観光客がハメを外すのは、別の要素もある。 それは「日本人をナメている」ということだ。 外国人観光客はガイドブッグやネット・SNSで、ある程度日本文化の予備知識を入れてくるのだが、その中で「おもてなし」という言葉とともに日本人は「チップをもらうわけでもないのに、とにかくゲストをもてなすのが大好きなサービス精神の塊のような人たち」とかなり盛った説明をしていることも多い。 つまり、外国人観光客がやりたい放題やっているのは、「日本人っておもてなしの精神があって、外国人観光客が好きで好きでたまらないから、ちょっとくらいハメを外しても怒らないでしょ?」とタカをくくっているところもあるのだ。 それがよくわかるのが、6月10日のニューヨークタイムズ「Japan Likes Tourists, Just Not This Many(日本は観光客が好き。これほど多すぎなければ)」という特集記事だ。 https://www.nytimes.com/2024/06/07/world/asia/japan-mount-fuji-kyoto-tourism.html  タイトルからして、「日本人=外国人観光客に優しい国」というイメージを読者に与えていることは言うまでもないが、さらに注目すべきは記事中では日本のことを「本来は心からゲストを気遣い“おもてなし”の精神を誇りにしている国」と説明していることだ。 ここまで言われたら、日本旅行を検討している外国人たちは思うだろう。「そっか、日本って国には、外国人ゲストのワガママを最大限許してくれる執事のような人たちがたくさんいるんだな」と。) つまり、今日本全国の観光地で問題になっている「観光公害」というのは、世界に対して「お・も・て・な・し」などと言って、日本のホスピタリティの高さを過度にアピールしてしまったことも原因なのだ。 そう聞くと、「アピールも何も“おもてなし”は日本の文化なのだから、しょうがないだろ」と不愉快になられる方も多いだろうが、実はその認識は間違っている』、「外国人観光客がやりたい放題やっているのは、「日本人っておもてなしの精神があって、外国人観光客が好きで好きでたまらないから、ちょっとくらいハメを外しても怒らないでしょ?」とタカをくくっているところもあるのだ・・・ニューヨークタイムズ・・・特集記事・・・日本のことを「本来は心からゲストを気遣い“おもてなし”の精神を誇りにしている国」と説明していることだ・・・日本旅行を検討している外国人たちは思うだろう。「そっか、日本って国には、外国人ゲストのワガママを最大限許してくれる執事のような人たちがたくさんいるんだな」と。 つまり、今日本全国の観光地で問題になっている「観光公害」というのは、世界に対して「お・も・て・な・し」などと言って、日本のホスピタリティの高さを過度にアピールしてしまったことも原因なのだ」、その通りだ。
・『日本にはもともと「おもてなし」の伝統などなかった  日本は伝統的に「おもてなしの精神」を誇りにしているような国ではない。少なくとも、観光業や接客業で「おもてなし」が唱えられたのはせいぜいこの30年程度の話だ。バブル崩壊以降、いわゆる「失われた30年」に突入して、国内観光業が大きく衰退したとき、起死回生のマーケティングとして打ち出したのが「おもてなし」である。 事実として、これまで日本の歴史の中で「おもてなし精神」などというものが語られたことはない。よく「おもてなしは古くは源氏物語にも掲載されている」なんてことが言われるが、それは単に「自宅に客が来たときにもてなす」ということを意味している。だから、近代になると「おもてなし料理」という言葉が生まれた。 それが「外国人を迎える」というニュアンスで使われるようになったのは戦後の「外交の場」である。と言っても、別に日本人の精神性を示すようなものではなく、単なる外交辞令だ。わかりやすいのは、旧ソ連のゴルバチョフ書記長が来日したときのこんなスピーチだ。 「私の妻と私個人から天皇、皇后両陛下、日本政府、日本国民の温かいおもてなしと歓迎に心からお礼を申し上げます。(中略)やはり温かいおもてなしで有名な自国民を代表して、陛下のご都合のよい時機に私たちの国をご訪問頂くよう天皇、皇后両陛下をご招待申し上げます」(読売新聞1991年4月17日) ゴルバチョフ氏が「ソ連国民のおもてなし」を誇らしげに語っているように、ゲストを気遣ってもてなす文化は世界中のどこにでもある。海外でバックパッカーなどをやった人などはわかるだろうが、欧米社会でも外国人の旅行者を温かくもてなすような文化はある。 筆者も若いときに中東を貧乏旅行したが、色々な国で自宅に招待されて泊めてもらった経験がある。つまり、「おもてなし」というのは日本だけの専売特許ではないし、ましてや日本の観光業や接客業の強みとしてアピールされるようなものではなかったのである。) もちろん、高級ホテルや高級レストランでは「王族をおもてなしするような高品質なサービスを提供します」といった感じで、外交辞令で使われる「おもてなし」を宣伝文句に流用することも、なくはなかった。しかし、今のように「おもてなしは日本の文化」というような盛った話を、世界にふれまわることはなかった。 それが大きく変わるのが、バブル崩壊後だ。 1990年代後半から観光業や自治体などが急に「おもてなしの心」を唱え始めるようになる。わかりやすいのは、1998年4月に静岡県熱海市が『おもてなしマニュアル~芸妓・ホステス編』を2000部作成して、芸者置き屋に配布したことだ。 2000年10月には京都商工会議所が中心になって、77の関連団体と設立した「観光サービス向上対策連絡会議」が、同じく接客のノウハウをまとめた『京のおもてなしハンドブック』を作成した。 この頃になると、「おもてなし」は観光業界のバズワードになる。たとえば、2001年6月、静岡県下田市が観光業者を対象にした接客研修「下田市観光おもてなしプログラム」を実施している。 ここまで言えばもうおわかりだろう。今、日本中の観光地で叫ばれている「おもてなしの心」や、IOC総会での東京オリンピック誘致で、滝川クリステルさんがプレゼンした「お・も・て・な・し」というのも、すべてはバブル崩壊後、1990年代後半に誕生した、かなり新しい概念なのだ』、「日本中の観光地で叫ばれている「おもてなしの心」や、IOC総会での東京オリンピック誘致で、滝川クリステルさんがプレゼンした「お・も・て・な・し」というのも、すべてはバブル崩壊後、1990年代後半に誕生した、かなり新しい概念なのだ」、なるほど。
・『「おもてなし」が唱えられたのはせいぜいバブル崩壊後のこと  さて、そこで不思議なのは、なぜこの時機にそれまでは誰も唱えていなかった「おもてなし」が急に叫ばれるようになったのかということだが、実はそれには「国内観光業の低迷」が関係している。 平成24年度の『観光白書』の中に、バブル崩壊後、経済の冷え込みで観光業が厳しい状況に陥ったことが、データで語られているので引用しよう。 《国内宿泊観光旅行1回当たりの国内宿泊観光旅行の平均費用額を見ると、平均費用額が最も高かったのはバブル期であり、20代の1回当たりの旅行の平均費用額は1986年には約4.5万円であったが、バブル崩壊後の1998年には約3.3万円にまで落ち込んだ》) 《若者が国内宿泊観光旅行に行かなくなっている傾向は、国内宿泊観光旅行の平均回数の減少からも見て取れる。全年齢平均では1994年から2010年にかけて1.43回から0.93回に減少しているのに対し、20代は1.86回から0.89回と大幅に減少している。このように若者の国内宿泊観光旅行回数が1990年代半ばから2000年代に急激に減少した背景としては、1990年半ば頃に活発になったスポーツを目的とする旅行、特にスキー旅行が、その後落ち込んだ影響等があると考えられる》 このような背景を知れば、「おもてなし精神」とやらの正体が見えてきたのではないか。バブル崩壊で日本の国内観光は大打撃を受けた。若者がかつてのように泊まり込みでスキーや海水浴などに行かなくなり、海外旅行にも流れてしまっていたからだ。 閑古鳥が鳴くような観光地も出てきた中で、起死回生のマーケティングとして唱えられたのが「おもてなし」だ。観光や接客に関わる人たちが、ホスピタリティが高く、サービス精神があるということをアピールして、離れてしまった日本人観光客を呼び戻そうとしたのである』、「閑古鳥が鳴くような観光地も出てきた中で、起死回生のマーケティングとして唱えられたのが「おもてなし」だ。観光や接客に関わる人たちが、ホスピタリティが高く、サービス精神があるということをアピールして、離れてしまった日本人観光客を呼び戻そうとしたのである」、その通りだ。
・『単なる根性アピールが世界に発信されてしまった悲劇  ちなみに、これは日本社会の「あるある」でもある。苦しくなってくると具体的な問題解決を提示するわけでもなく、「ふわっ」とした精神論を唱えて「スポ根マンガ」のように気合いで乗り切ろうとしがちである。「絆」とか「1億総活躍」などはその典型だ。 つまり、「おもてなし精神」というのはもともと、観光業に携わる日本人が、同じ日本人の観光客へ向けて「我々は死ぬ気でサービスします」と「根性アピール」をしたようなものなのだ。 そんな「おもてなしマーケティング」は観光業者にもてはやされた。「おもてなし精神」というあくまで心の問題なので、特殊技能が必要なわけでもないし設備投資もいらない。単刀直入に言ってしまうと、日本人の「情」に訴えた集客方法なのである。 そういうドメスティックな観光戦略が、東京オリンピック誘致やインバウンド推進もあって世界に発信されてしまったということが、今回の悲劇の始まりだ。) 外国人観光客からすれば、「おもてなし精神」をこんなにアピールするということは、日本はタイなどのような高いホスピタリティの「観光大国」だと思うし、それなりに観光客のワガママも通るはずだと勘違いしてしまう。だから、全国の観光地で好き放題やってしまう。 しかし、現実の日本はまだ「観光大国」にはほど遠い。外国人観光客がここまで増えたのもほんの最近だし、ホスピタリティも高くない。多言語対応も十分ではないし、何よりもオーバーツーリズム対策に必要不可欠な「ゾーニング」(観光客の流れを戦略的に分散をさせること)もできていない。だから、トラブルが雪だるま式に増えていくのだ。 そして、事態をさらに悪化させているのが「安いニッポン」だ。多くの外国人にとって、日本は自国と比べものにならないほど安いカネで遊べる。これが「ハメを外す」ことを助長させるのだ』、「外国人観光客からすれば、「おもてなし精神」をこんなにアピールするということは、日本はタイなどのような高いホスピタリティの「観光大国」だと思うし、それなりに観光客のワガママも通るはずだと勘違いしてしまう。だから、全国の観光地で好き放題やってしまう。 しかし、現実の日本はまだ「観光大国」にはほど遠い。外国人観光客がここまで増えたのもほんの最近だし、ホスピタリティも高くない。多言語対応も十分ではないし、何よりもオーバーツーリズム対策に必要不可欠な「ゾーニング」(観光客の流れを戦略的に分散をさせること)もできていない。だから、トラブルが雪だるま式に増えていくのだ・・・そして、事態をさらに悪化させているのが「安いニッポン」だ。多くの外国人にとって、日本は自国と比べものにならないほど安いカネで遊べる。これが「ハメを外す」ことを助長させるのだ」、その通りだ。
・『外国人にハメを外させた「安い日本」の自業自得  それを誰よりもよくわかっているのが、実は我々日本人だ。 かつて日本が経済大国だった時代、多くの日本人観光客が、自国と比べものにならないほど安いカネで遊べる東南アジアに旅行をして、ハメが外しまくった。経済が衰退して「ハメを外される側」になっただけの話だ。 いずれにせよ、今の外国人観光客の迷惑トラブルが増えているのは、「自業自得」の側面もある。 自分たちで勝手に「我々は世界一のサービス精神があります」とハードルを上げたせいで、それを間に受けてハメを外したい外国人たちが、大挙して押し寄せているのだ。 この状況を変えたいのなら、まずは「おもてなしは日本文化」などという嘘を引っ込めるべきだろう。外国人観光客が異国でハメを外したいのなら、それに見合うだけのサービスを提供してカネをきっちり請求する。そこでルールを破ったり、住民や地域に迷惑をかけるような行為をした外国人は、法律に基づいて厳しく処罰もしていく。 本当に観光立国を目指すのならば、我々日本人は「おもてなし精神」とやらを誇りに思っていないことを明確にすべきだ。サービス精神などではなく、あくまでビジネスとして外国人観光客をもてなしているということを、この際、世界にしっかりと示すべきではないか』、「今の外国人観光客の迷惑トラブルが増えているのは、「自業自得」の側面もある。 自分たちで勝手に「我々は世界一のサービス精神があります」とハードルを上げたせいで、それを間に受けてハメを外したい外国人たちが、大挙して押し寄せているのだ。 この状況を変えたいのなら、まずは「おもてなしは日本文化」などという嘘を引っ込めるべきだろう。外国人観光客が異国でハメを外したいのなら、それに見合うだけのサービスを提供してカネをきっちり請求する。そこでルールを破ったり、住民や地域に迷惑をかけるような行為をした外国人は、法律に基づいて厳しく処罰もしていく。 本当に観光立国を目指すのならば、我々日本人は「おもてなし精神」とやらを誇りに思っていないことを明確にすべきだ。サービス精神などではなく、あくまでビジネスとして外国人観光客をもてなしているということを、この際、世界にしっかりと示すべきではないか」、その通りだ。

次に、8月26日付けデイリー新潮が掲載した九州大学アジア・オセアニア研究教育機構准教授の田中敏徳氏による「「このままでは日本は“パンク”する」後手に回る対策…「オーバーツーリズム」をどうすれば解決できるのか」を紹介しよう。興味深そうだ。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/08260557/?all=1
・『これはもはや全国民共通の“悩み”と言っても差し支えあるまい。混み過ぎで、おちおち旅行も楽しめやしない……。観光立国を目指す日本が直面しているオーバーツーリズム問題。“混雑疲れ”を実感する夏休みだからこそ、専門家による解決案に耳を傾けてみよう。 【写真を見る】「さすがにマナー悪過ぎ…」 “塀の上”に登って電車を撮影する外国人 観光客も 「2030年に(年間)訪日客6000万人を目指す」 今年4月、政府は改めてこうした方針を打ち出しました。訪日外国人観光客の数が増え、日本の素晴らしさが多くの人に伝わり、そして日本経済が潤うことは、観光に関する研究を続けてきた私としても大いに歓迎するところです。 しかし一方で、こうも感じました。 「政府はどれだけ“本気”なのだろうか」 こう話すのは、九州大学アジア・オセアニア研究教育機構准教授の田中俊徳氏だ。 環境政策・ガバナンス論を専門とする田中氏は、ユネスコ本部世界遺産センターなどで研究し、観光のあり方についての論考を重ねてきた。 6月に著書『オーバーツーリズム解決論』を上梓した田中氏が続ける』、興味深そうだ。
・『日本が“パンク”する  なぜ、「6000万人目標」の本気度が気になったのか。それは、もし今のような状況のまま訪日客が増え続けたら、日本が“パンク”してしまうのは目に見えているからです。 オーバーツーリズム。 この問題が解決しない限り、6000万人どころか、3477万人(今年の訪日客の予測値)ですら多すぎると、眉をひそめる人もいるのではないでしょうか。実際、外国人を含む大量の観光客による大混雑に巻き込まれ、不快な思いをした経験がある人は少なくないはずです。 にもかかわらず、入域者数の上限設定や入域料の徴収などを行ってきた諸外国に比べ、日本のオーバーツーリズム対策は後手に回っていると言わざるを得ません』、「外国人を含む大量の観光客による大混雑に巻き込まれ、不快な思いをした経験がある人は少なくないはずです。 にもかかわらず、入域者数の上限設定や入域料の徴収などを行ってきた諸外国に比べ、日本のオーバーツーリズム対策は後手に回っていると言わざるを得ません」、なるほど。
・『観光の「質」を置き去りに その原因としてはさまざまなことが考えられますが、何よりもまず「数ありき」であった点が挙げられます。観光の「質」を置き去りにし、とにかく訪日客の数を増やそうとしてきた結果、今のオーバーツーリズムに至った面は否定できないように感じます。 数ありきの姿勢だったのは国に限りません。自治体も同様です。例えばハワイをライバル視してきた沖縄県は、年間観光客数1000万人を目標に掲げ、現に2017年には、ハワイ州の観光客数938万人に対して沖縄県は939万人と、ハワイを追い抜き、その翌々年には1000万人を突破しました。 しかし、観光客の平均消費額はハワイの3分の1、滞在日数は2分の1にとどまっています。その上、マナーの悪い観光客によってサンゴ礁が踏み荒らされたり、便乗的に観光業に乗り出してきた悪質な事業者がガイドを行ったりと、環境破壊やトラブルが後を絶たず、観光の「質」の面ではハワイに及びません。 つまり日本の観光は、数を求める「開発途上国型」であり、環境を保全しつつ高付加価値を生み出していく「先進国型」にモデルチェンジすることができていないのです』、「2017年には、ハワイ州の観光客数938万人に対して沖縄県は939万人と、ハワイを追い抜き、その翌々年には1000万人を突破しました。 しかし、観光客の平均消費額はハワイの3分の1、滞在日数は2分の1にとどまっています。その上、マナーの悪い観光客によってサンゴ礁が踏み荒らされたり、便乗的に観光業に乗り出してきた悪質な事業者がガイドを行ったりと、環境破壊やトラブルが後を絶たず、観光の「質」の面ではハワイに及びません・・・日本の観光は、数を求める「開発途上国型」であり、環境を保全しつつ高付加価値を生み出していく「先進国型」にモデルチェンジすることができていないのです」、「日本の観光は、数を求める「開発途上国型」、言い得て妙だ。
・『先進国型の観光とは  ハワイでは、2018年に「日焼け止め法」を制定し、21年から、環境を破壊する特定の成分が入った日焼け止めの販売・流通を禁止しています。また、コロナ禍によって観光客がいなくなったことで、海の水質改善や野生動物の増加といった自然にとっての好環境が生まれました。 規制を設け、観光客に“不便さ”を強いる。一見、観光客を排除する措置に映るかもしれません。しかし、ハワイの海の美しさを守ることによって、結果的に高い付加価値が生み出されます。同時に、環境保全に対する意識などのリテラシーが低い観光客は自ずと足が遠のき、魅力的で過ごしやすい観光地としてさらに付加価値が高まる。自然と観光客の滞在日数は増え、お金もたくさん落としてくれる――この好循環を生み出していくことが、まさに先進国型の観光です』、「ハワイの海の美しさを守ることによって、結果的に高い付加価値が生み出されます。同時に、環境保全に対する意識などのリテラシーが低い観光客は自ずと足が遠のき、魅力的で過ごしやすい観光地としてさらに付加価値が高まる。自然と観光客の滞在日数は増え、お金もたくさん落としてくれる――この好循環を生み出していくことが、まさに先進国型の観光です」、その通りだ。
・『安易に行われてきた対策  反対に、観光客をとにかく受け入れるだけ受け入れ、そのために地域住民が迷惑し、自然は破壊され、観光地としての価値が損なわれて観光客が寄り付かなくなる。この「負のスパイラル」を招いてしまうのが開発途上国型の観光です。 今は円安の影響もあって日本への観光は世界でも人気の的になっていますが、先進国型に転換しなければ、いつ「ニッポンに行っても満足度は低い」と飽きられ、見捨てられてしまうか分かりません。従って、観光立国を目指すのであれば、「数」から「質」への転換を図るオーバーツーリズム対策が必要不可欠だと私は考えます。 では、どうすれば質を上げることができるのでしょうか。 オーバーツーリズム対策の基本は、効果が高い順に(1)規制的手法(立ち入り許可などの制限)、(2)経済的手法(課金)、(3)情報的手法(マナー改善の啓発ポスターを掲示するなどの情報戦略)です。 これら三つの対策を組み合わせることによって、質を高めていくわけですが、日本の行政の対策はこれまで(3)がメインでした。(1)や(2)は観光業者など利害関係者との調整が難しい。そのため、効果は薄いものの、とりあえず簡単にできる(3)の対策が取られてきました。その背景には、2~3年もすれば担当の行政官は異動になるため、とりあえずその場しのぎともいえる(3)の対策が、安易に行われてきたという事情もあります』、「オーバーツーリズム対策の基本は、効果が高い順に(1)規制的手法(立ち入り許可などの制限)、(2)経済的手法(課金)、(3)情報的手法(マナー改善の啓発ポスターを掲示するなどの情報戦略)です。 これら三つの対策を組み合わせることによって、質を高めていくわけですが、日本の行政の対策はこれまで(3)がメインでした」、なるほど。
・『「自粛」は通用しない  しかし、拘束力のない自主的ルールや協力金は、コロナ禍での「自粛」がそうであったように、日本人以外には通用しません。強制力を伴った(1)(2)の対策を取らなければ、決してオーバーツーリズムは解決しないのです。 例えば(1)に関して見てみると、富士山と同じクラスの高さの、台湾の玉山(大日本帝国時代は新高山、3952メートル)は、1日あたりの登山者数を200人と厳しく規制しています。 富士山の山梨県側の吉田ルートでも、今年の7月からようやく入山規制が開始されました。そのこと自体は評価できるものの、1日の上限は4000人。玉山とは桁が違う上に、規制が設けられたのは吉田ルートだけで、静岡県側からの登山には現状、人数規制がありません。 また(2)については、パラオでは外国人観光客に限って100ドルの入国税を徴収しています。さらに外国人観光客には、“パラオという美しい島を保全することを誓う”といったことなどが書かれた「パラオ誓約」にもサインをさせています』、「観光客をとにかく受け入れるだけ受け入れ、そのために地域住民が迷惑し、自然は破壊され、観光地としての価値が損なわれて観光客が寄り付かなくなる。この「負のスパイラル」を招いてしまうのが開発途上国型の観光です。 今は円安の影響もあって日本への観光は世界でも人気の的になっていますが、先進国型に転換しなければ、いつ「ニッポンに行っても満足度は低い」と飽きられ、見捨てられてしまうか分かりません。従って、観光立国を目指すのであれば、「数」から「質」への転換を図るオーバーツーリズム対策が必要不可欠だと私は考えます・・・オーバーツーリズム対策の基本は、効果が高い順に(1)規制的手法(立ち入り許可などの制限)、(2)経済的手法(課金)、(3)情報的手法(マナー改善の啓発ポスターを掲示するなどの情報戦略)です。 これら三つの対策を組み合わせることによって、質を高めていくわけですが、日本の行政の対策はこれまで(3)がメインでした。(1)や(2)は観光業者など利害関係者との調整が難しい。そのため、効果は薄いものの、とりあえず簡単にできる(3)の対策が取られてきました」、なるほど。
・『拝観料を7倍に  このように「ハードル」を上げることで、インスタ映えだけを目的にするようなリテラシーの低い観光客を排除する効果が期待できます。同時に、パラオ政府の観光に対する「強い思い」を発信することにもつながっているのです。 台湾にパラオ、さらには先に紹介したハワイの対策を、日本でできない理由はありません。事実、日本でも成功例はあります。 1977年に、今で言うオーバーツーリズムに悩まされていた京都の西芳寺、通称、苔(こけ)寺は、多い日には1日9000人も殺到していた参拝客の数を最大で200人までに制限し、また400円に過ぎなかった拝観料を一気に3000円の参拝冥加(みょうが)料とする値上げを行いました。それだけではなく、往復はがきでしか予約できず、来たら必ず写経をしなければならないといったハードル(不便さ)を設けたのです(現在は、オンラインでも予約可能)。 その結果、良質な参拝客だけが訪れるようになり、1994年にはユネスコの世界文化遺産に登録され、スティーブ・ジョブズに愛されたように、外国人観光客にも広く親しまれるようになりました。 この苔寺の対策は、今後のオーバーツーリズム対策を考える上で、大きな参考になるでしょう』、「「ハードル」を上げることで、インスタ映えだけを目的にするようなリテラシーの低い観光客を排除する効果が期待できます。同時に、パラオ政府の観光に対する「強い思い」を発信することにもつながっているのです。 台湾にパラオ、さらには先に紹介したハワイの対策を、日本でできない理由はありません。事実、日本でも成功例はあります。 1977年に、今で言うオーバーツーリズムに悩まされていた京都の西芳寺、通称、苔(こけ)寺は、多い日には1日9000人も殺到していた参拝客の数を最大で200人までに制限し、また400円に過ぎなかった拝観料を一気に3000円の参拝冥加(みょうが)料とする値上げを行いました。それだけではなく、往復はがきでしか予約できず、来たら必ず写経をしなければならないといったハードル(不便さ)を設けたのです・・・。 その結果、良質な参拝客だけが訪れるようになり、1994年にはユネスコの世界文化遺産に登録され、スティーブ・ジョブズに愛されたように、外国人観光客にも広く親しまれるようになりました。 この苔寺の対策は、今後のオーバーツーリズム対策を考える上で、大きな参考になるでしょう」、なるほど。
・『「行政」に任せるのは限界  では、なぜ苔寺はこのような大胆な対策を取ることができたのでしょうか。それは苔寺が私有地であり、民間だったためです。つまり、苔寺自らの判断だけで、ハードルを設置することが可能だったのです。 これに対して、自然観光地や都市部の観光スポットには、国、自治体、民間と、あらゆる利害関係者が絡んでくるため、思い切った対策に踏み切るのが容易ではないという現実が存在します。利害関係者間の複雑な調整を、「行政」にこれからも任せるのは限界があるように思います。 ならば、今こそ「政治」の出番ではないでしょうか。総理大臣、環境相、国交相、首長。政治家の強いリーダーシップによって複雑な利害関係を調整し、大胆かつ高いハードルを設け、今後も日本が選ばれ続ける良質な観光をつくり出していく。 これができてこそ、初めて「観光立国」と言えると思うのです。それなしで数を追い求めるだけでは、日本の貴重な自然や文化が切り売りされ、大事な成長産業である観光業が「負のスパイラル」に陥りかねません。 本気で6000万人を目指すのであれば、政府は後手後手ではなく、予防的な対策を加速させるべきでしょう。それは、観光に懸ける日本の本気度を世界に示すことにつながるはずです』、「自然観光地や都市部の観光スポットには、国、自治体、民間と、あらゆる利害関係者が絡んでくるため、思い切った対策に踏み切るのが容易ではないという現実が存在します。利害関係者間の複雑な調整を、「行政」にこれからも任せるのは限界があるように思います。 ならば、今こそ「政治」の出番ではないでしょうか。総理大臣、環境相、国交相、首長。政治家の強いリーダーシップによって複雑な利害関係を調整し、大胆かつ高いハードルを設け、今後も日本が選ばれ続ける良質な観光をつくり出していく。 これができてこそ、初めて「観光立国」と言えると思うのです。それなしで数を追い求めるだけでは、日本の貴重な自然や文化が切り売りされ、大事な成長産業である観光業が「負のスパイラル」に陥りかねません。本気で6000万人を目指すのであれば、政府は後手後手ではなく、予防的な対策を加速させるべきでしょう。それは、観光に懸ける日本の本気度を世界に示すことにつながるはずです」、その通りだ。
タグ:インバウンド動向 (その16)(なぜ日本は外国人観光客にナメられるのか?「おもてなしは文化」というウソの自業自得、「このままでは日本は“パンク”する」後手に回る対策…「オーバーツーリズム」をどうすれば解決できるのか) ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「なぜ日本は外国人観光客にナメられるのか?「おもてなしは文化」というウソの自業自得」 「外国人観光客がやりたい放題やっているのは、「日本人っておもてなしの精神があって、外国人観光客が好きで好きでたまらないから、ちょっとくらいハメを外しても怒らないでしょ?」とタカをくくっているところもあるのだ・・・ニューヨークタイムズ・・・特集記事・・・日本のことを「本来は心からゲストを気遣い“おもてなし”の精神を誇りにしている国」と説明していることだ・・・ 日本旅行を検討している外国人たちは思うだろう。「そっか、日本って国には、外国人ゲストのワガママを最大限許してくれる執事のような人たちがたくさんいるんだな」と。 つまり、今日本全国の観光地で問題になっている「観光公害」というのは、世界に対して「お・も・て・な・し」などと言って、日本のホスピタリティの高さを過度にアピールしてしまったことも原因なのだ」、その通りだ。 「日本中の観光地で叫ばれている「おもてなしの心」や、IOC総会での東京オリンピック誘致で、滝川クリステルさんがプレゼンした「お・も・て・な・し」というのも、すべてはバブル崩壊後、1990年代後半に誕生した、かなり新しい概念なのだ」、なるほど。 「閑古鳥が鳴くような観光地も出てきた中で、起死回生のマーケティングとして唱えられたのが「おもてなし」だ。観光や接客に関わる人たちが、ホスピタリティが高く、サービス精神があるということをアピールして、離れてしまった日本人観光客を呼び戻そうとしたのである」、その通りだ。 「外国人観光客からすれば、「おもてなし精神」をこんなにアピールするということは、日本はタイなどのような高いホスピタリティの「観光大国」だと思うし、それなりに観光客のワガママも通るはずだと勘違いしてしまう。だから、全国の観光地で好き放題やってしまう。 しかし、現実の日本はまだ「観光大国」にはほど遠い。外国人観光客がここまで増えたのもほんの最近だし、ホスピタリティも高くない。 多言語対応も十分ではないし、何よりもオーバーツーリズム対策に必要不可欠な「ゾーニング」(観光客の流れを戦略的に分散をさせること)もできていない。だから、トラブルが雪だるま式に増えていくのだ・・・そして、事態をさらに悪化させているのが「安いニッポン」だ。多くの外国人にとって、日本は自国と比べものにならないほど安いカネで遊べる。これが「ハメを外す」ことを助長させるのだ」、その通りだ。 「今の外国人観光客の迷惑トラブルが増えているのは、「自業自得」の側面もある。 自分たちで勝手に「我々は世界一のサービス精神があります」とハードルを上げたせいで、それを間に受けてハメを外したい外国人たちが、大挙して押し寄せているのだ。 この状況を変えたいのなら、まずは「おもてなしは日本文化」などという嘘を引っ込めるべきだろう。外国人観光客が異国でハメを外したいのなら、それに見合うだけのサービスを提供してカネをきっちり請求する。 そこでルールを破ったり、住民や地域に迷惑をかけるような行為をした外国人は、法律に基づいて厳しく処罰もしていく。 本当に観光立国を目指すのならば、我々日本人は「おもてなし精神」とやらを誇りに思っていないことを明確にすべきだ。サービス精神などではなく、あくまでビジネスとして外国人観光客をもてなしているということを、この際、世界にしっかりと示すべきではないか」、その通りだ。 デイリー新潮 田中敏徳氏による「「このままでは日本は“パンク”する」後手に回る対策…「オーバーツーリズム」をどうすれば解決できるのか」 『オーバーツーリズム解決論』 「外国人を含む大量の観光客による大混雑に巻き込まれ、不快な思いをした経験がある人は少なくないはずです。 にもかかわらず、入域者数の上限設定や入域料の徴収などを行ってきた諸外国に比べ、日本のオーバーツーリズム対策は後手に回っていると言わざるを得ません」、なるほど。 「2017年には、ハワイ州の観光客数938万人に対して沖縄県は939万人と、ハワイを追い抜き、その翌々年には1000万人を突破しました。 しかし、観光客の平均消費額はハワイの3分の1、滞在日数は2分の1にとどまっています。その上、マナーの悪い観光客によってサンゴ礁が踏み荒らされたり、便乗的に観光業に乗り出してきた悪質な事業者がガイドを行ったりと、環境破壊やトラブルが後を絶たず、観光の「質」の面ではハワイに及びません・・・ 日本の観光は、数を求める「開発途上国型」であり、環境を保全しつつ高付加価値を生み出していく「先進国型」にモデルチェンジすることができていないのです」、「日本の観光は、数を求める「開発途上国型」、言い得て妙だ。 「ハワイの海の美しさを守ることによって、結果的に高い付加価値が生み出されます。同時に、環境保全に対する意識などのリテラシーが低い観光客は自ずと足が遠のき、魅力的で過ごしやすい観光地としてさらに付加価値が高まる。自然と観光客の滞在日数は増え、お金もたくさん落としてくれる――この好循環を生み出していくことが、まさに先進国型の観光です」、その通りだ。 「観光客をとにかく受け入れるだけ受け入れ、そのために地域住民が迷惑し、自然は破壊され、観光地としての価値が損なわれて観光客が寄り付かなくなる。この「負のスパイラル」を招いてしまうのが開発途上国型の観光です。 今は円安の影響もあって日本への観光は世界でも人気の的になっていますが、先進国型に転換しなければ、いつ「ニッポンに行っても満足度は低い」と飽きられ、見捨てられてしまうか分かりません。従って、観光立国を目指すのであれば、「数」から「質」への転換を図るオーバーツーリズム対策が必要不可欠だと私は考えます・・・ オーバーツーリズム対策の基本は、効果が高い順に(1)規制的手法(立ち入り許可などの制限)、(2)経済的手法(課金)、(3)情報的手法(マナー改善の啓発ポスターを掲示するなどの情報戦略)です。 これら三つの対策を組み合わせることによって、質を高めていくわけですが、日本の行政の対策はこれまで(3)がメインでした。(1)や(2)は観光業者など利害関係者との調整が難しい。そのため、効果は薄いものの、とりあえず簡単にできる(3)の対策が取られてきました」、なるほど。 「「ハードル」を上げることで、インスタ映えだけを目的にするようなリテラシーの低い観光客を排除する効果が期待できます。同時に、パラオ政府の観光に対する「強い思い」を発信することにもつながっているのです。 台湾にパラオ、さらには先に紹介したハワイの対策を、日本でできない理由はありません。事実、日本でも成功例はあります。 事実、日本でも成功例はあります。 1977年に、今で言うオーバーツーリズムに悩まされていた京都の西芳寺、通称、苔(こけ)寺は、多い日には1日9000人も殺到していた参拝客の数を最大で200人までに制限し、また400円に過ぎなかった拝観料を一気に3000円の参拝冥加(みょうが)料とする値上げを行いました。それだけではなく、往復はがきでしか予約できず、来たら必ず写経をしなければならないといったハードル(不便さ)を設けたのです・・・。 その結果、良質な参拝客だけが訪れるようになり、1994年にはユネスコの世界文化遺産に登録され、スティーブ・ジョブズに愛されたように、外国人観光客にも広く親しまれるようになりました。 この苔寺の対策は、今後のオーバーツーリズム対策を考える上で、大きな参考になるでしょう」、なるほど。 「自然観光地や都市部の観光スポットには、国、自治体、民間と、あらゆる利害関係者が絡んでくるため、思い切った対策に踏み切るのが容易ではないという現実が存在します。利害関係者間の複雑な調整を、「行政」にこれからも任せるのは限界があるように思います。 ならば、今こそ「政治」の出番ではないでしょうか。総理大臣、環境相、国交相、首長。政治家の強いリーダーシップによって複雑な利害関係を調整し、大胆かつ高いハードルを設け、今後も日本が選ばれ続ける良質な観光をつくり出していく。 これができてこそ、初めて「観光立国」と言えると思うのです。それなしで数を追い求めるだけでは、日本の貴重な自然や文化が切り売りされ、大事な成長産業である観光業が「負のスパイラル」に陥りかねません。本気で6000万人を目指すのであれば、政府は後手後手ではなく、予防的な対策を加速させるべきでしょう。それは、観光に懸ける日本の本気度を世界に示すことにつながるはずです」、その通りだ。
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健康(その30)(1日3食とっているのに栄養失調?うつ病リスク高める「危険な食生活」とは、認知症や急激な老化を呼ぶ免疫暴走が起こる真因 免疫が処理できないほど体内にゴミが溜まる恐怖) [生活]

健康については、本年8月15日に取上げた。今日は、(その30)(1日3食とっているのに栄養失調?うつ病リスク高める「危険な食生活」とは、認知症や急激な老化を呼ぶ免疫暴走が起こる真因 免疫が処理できないほど体内にゴミが溜まる恐怖)である。

先ずは、8月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した清談社の真島加代氏による「1日3食とっているのに栄養失調?うつ病リスク高める「危険な食生活」とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/347402
・『忙しい毎日を送るなかで“食事は作業”と考えているビジネスパーソンもいるかもしれない。手早く腹を満たすことのみが目的になってしまい、口に入れた食品にどんな栄養があるのか、心身にどんな影響があるのか、までは意識していない人もいるだろう。しかし、乱れた食生活は体の健康を害するだけでなく、仕事のパフォーマンスやメンタルヘルスにも悪影響が及ぶ可能性があるという』、興味ありそうだ。
・『ビタミン・ミネラルが不足しがちな現代のビジネスパーソン  高脂質・高糖質な食べ物を好きなだけ食べる。そんな食生活を送っていると、いずれ健康状態が悪化してしまうが、加えて仕事のパフォーマンスの低下やメンタル面にも悪影響を及ぼすリスクがあるという。 「食事は“ただ三食食べればいい”というものではありません。夜は寝ているはずなのにスッキリ起きられず、日中も頭の中がモヤモヤする……という人は、現代人特有の“栄養失調”に陥っている可能性があります。自分の口に入れるものは、すべて将来の健康という資産を作り上げるための『投資』になるので、ぜひ食材に含まれる栄養素にも目を向けてほしいです」 そう話すのは、満尾クリニック院長の満尾正氏。満尾氏はハーバード大学外科代謝栄養研究室で研究に取り組み、同クリニックでも栄養学に基づいた治療を行っている。 「先日、ある企業に勤務する社員全員の健康診断を行ったところ、若手社員の健康状態がもっとも悪いという結果が出ました。ある人は20代で骨がボロボロだったので、どんな食生活を送っているのか尋ねてみると、忙しい昼はコンビニで買ったおにぎり1つだけで済まし、夕飯はファストフード。自宅でもカップ麺を食べる日が多いと話していました。インスタント食品やファストフードは添加物が多く、ミネラルやビタミン、食物繊維が足りません。外食で糖質を多く摂り、ビタミン・ミネラルが不足すると精神を安定させる神経伝達物質が不足し、うつ状態に陥りやすくなってしまいます」 また、中高年以降も若い頃と同じように不摂生を続けていると、心身の疲れやすさや、便秘、下痢など胃腸の不調に見舞われやすくなるという。 「食生活の乱れから眠りが浅くなったり、落ち込みやすくなったり、といった悩みを抱える中高年も多いです。じつは、当院の患者さんのなかにはコロナ禍の自粛期間に会食が減って暴飲暴食をしなくなり、健康診断の結果が良好になった人もいました。しかし、コロナ禍が落ち着くと夜遅くまで会食をするようになり、せっかく減った内臓脂肪が再び増えてしまったんです。40代になったら、30代とは違う体。暴飲暴食の影響はダイレクトに体調に現れると考えましょう」 そして、自身の食生活に興味がない人には「自らの体調の変化にも無頓着」という共通点がある、と満尾氏。 「人の体調やメンタルは、日々の食生活と密接に関わっています。朝起きたときに疲れを感じているならば、直近数日間の食事が影響を及ぼしている可能性が高いです。今、自分が何を食べているのか、それにより心身にどのような変化が起きているのか、自分自身をセンサーにかけてみてください」 仕事やプライベートで高いパフォーマンスを実現するためにも、まずは自らの心身と向き合うのが先決だ』、「今、自分が何を食べているのか、それにより心身にどのような変化が起きているのか、自分自身をセンサーにかけてみてください」 仕事やプライベートで高いパフォーマンスを実現するためにも、まずは自らの心身と向き合うのが先決だ」、なるほど。
・『プロテインブームでも“摂りすぎ”はNG!  そのほか、筋トレと同じようにブームが到来している“タンパク質”の摂り方にも注意が必要、と満尾氏は話す。 「タンパク質は、適量を摂れば体づくりに役立つ重要な栄養素ですが、昨今は“摂りすぎ”に陥っている人もいます。とくに、通常の食事に加えてプロテインを飲んでいる人は、1日の推奨量を大幅に超えているケースが少なくありません。粗食の時代は低タンパク質食だったので、肉類からタンパク質の摂取が勧められていました。しかし、現代は普通に食事を摂っていれば極端にタンパク質が不足するリスクはほとんどないんです」 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、日本人のタンパク質摂取の推奨量は18~64歳の男性で1日あたり65g、18歳以上の女性で50gとある。この量を超えてタンパク質を摂っている人々が抱えるリスクとは? 「タンパク質には“窒素”が含まれており、それらは腸の中で発がん性物質のアンモニアに変わってしまうんです。体内に入った窒素は肝臓で尿素窒素という成分に変えられ、腎臓を通って体外に排出する“窒素代謝”が行われます。タンパク質を摂りすぎると窒素代謝の頻度が増えて、肝臓と腎臓に大きな負担がかかってしまうのです」 ちなみに、空気に含まれる窒素は無機窒素であるため体内に取り込まれないので問題はないとのこと。何事も“過ぎたるは及ばざるがごとし”だ』、「「タンパク質には“窒素”が含まれており、それらは腸の中で発がん性物質のアンモニアに変わってしまうんです。体内に入った窒素は肝臓で尿素窒素という成分に変えられ、腎臓を通って体外に排出する“窒素代謝”が行われます。タンパク質を摂りすぎると窒素代謝の頻度が増えて、肝臓と腎臓に大きな負担がかかってしまうのです」、なるほど。
・『納豆はスーパーフード 1日1パック摂るのがベスト  乱れた食生活が、体の健康だけでなく心の健康にも害をなす。それらの問題を根本的に解決するには「やはり食生活の改善が必要」と、満尾氏は語る 「食事でストレスケアを行うなら、ビタミンDの摂取が欠かせません。ビタミンDは日光に当たることで皮膚に生成されたり、サケや青魚に豊富に含まれている栄養素です。また、ビタミンDには、うつ病をはじめとした精神疾患の予防・改善に有効という研究結果が多数あります。そのほか、魚に含まれる『オメガ3脂肪酸』にも、メンタルヘルスを適正化する作用が認められているので、ストレス過多なビジネスパーソンにはもっともおすすめの食材です。加えて、近年では小魚などに含まれる『リチウム』という栄養素に関して、眼房水中のリチウム濃度と自殺の関連性を示す研究(*)が話題になっていますね」・・・眼房水とは、眼球内の角膜と水晶体のあいだを循環し、眼圧を一定に保つ液体。自殺で亡くなった人の眼房水は、自殺以外の要因で亡くなった人に比べて“リチウム濃度が低い”との解析結果が出ているという。 「リチウムは、攻撃性や衝動性を抑えて自殺を防ぐ“ハッピーミネラル”として、今後さらに注目を集める可能性が高い。そんなリチウムを補う代表的な食材が、煮干しやアンチョビなどに使われる“カタクチイワシ”です。子どもの頃はおやつとして煮干しを食べていた人も今は縁遠くなっていると思うので、この機会に煮干しを食べる習慣を身に着けましょう。何より、魚介類は優秀なたんぱく源なので、肉類中心の食生活をしている人は、魚を食べる頻度を増やすのがベストです』、「「リチウムは、攻撃性や衝動性を抑えて自殺を防ぐ“ハッピーミネラル”として、今後さらに注目を集める可能性が高い。そんなリチウムを補う代表的な食材が、煮干しやアンチョビなどに使われる“カタクチイワシ”です。子どもの頃はおやつとして煮干しを食べていた人も今は縁遠くなっていると思うので、この機会に煮干しを食べる習慣を身に着けましょう。何より、魚介類は優秀なたんぱく源なので、肉類中心の食生活をしている人は、魚を食べる頻度を増やすのがベストです」、「“ハッピーミネラル”」とは面白い言い方だ。
・『一週間のうち、半分は魚(小魚、カツオ、サバ、イワシ、サバ)を食べ、残りの半分では鶏肉、卵、豆を食べるのが理想的なタンパク質の摂取方法とのこと。バランスよく幅広い食材から摂るのが基本だ。 もしも、忙しさから食事がおろそかになってしまう場合は「1日1パックの納豆」と「ローヤルゼリー」を取り入れてほしい、と満尾氏。 納豆にはビタミンKが豊富に含まれています。ビタミンKには、動脈壁からカルシウムを抜き取って骨に移動させる働きがあり、骨を丈夫にしたり、動脈内でのカルシウム沈着を起こりづらくして動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞を予防したりと、疾患のリスクを下げる効果が期待できるのです。もう一つのローヤルゼリーは、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど40種類以上の栄養素をバランスよく含むほか、近年の研究で、身体中の細胞のもとになる「幹細胞」を活性化させることが分かってきており (※1) 、血液、肌、筋肉など全身の老化予防が期待できます。さらに、腸管免疫を活性化させる (※2) ことで、免疫力を維持するのに役立つ作用もあります。サプリメントのローヤルゼリーならば、手軽に入手できますね」・・・サプリメントや健康食品は、あくまで日々の栄養不足を補うアイテム。食品からの栄養摂取と併せて飲むのがコツだ。 「今日の不摂生が翌日に跳ね返ってくるわけではなく、毎日の食事が10年後、20年後の自分を作ります。逆に言えば、1日暴飲暴食をしたからと言って、すぐに健康を害するわけではありません。金曜は会食で飲み過ぎたから、土曜は体にやさしい和食にしよう、など1週間スパンで食事と体調のコンディションを整えるのが継続のコツ。毎日の食事を厳しく管理しすぎると挫折してしまうので、自分で調整しながら健康資産を積み上げていきましょう」 体と心を健康に保つ“食”によるストレスケア。さっそく今日からはじめてみよう』、「サプリメントや健康食品は、あくまで日々の栄養不足を補うアイテム。食品からの栄養摂取と併せて飲むのがコツだ・・・1週間スパンで食事と体調のコンディションを整えるのが継続のコツ。毎日の食事を厳しく管理しすぎると挫折してしまうので、自分で調整しながら健康資産を積み上げていきましょう」』、なるほど。

次に、9月20日付け東洋経済オンラインが掲載した医学博士・純真学園大学客員教授・日本機能性免疫力研究所代表の飯沼 一茂氏による「認知症や急激な老化を呼ぶ免疫暴走が起こる真因 免疫が処理できないほど体内にゴミが溜まる恐怖」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/827345
・『疲労や衰えを急に強く感じるようになったり、病気や不調、痛みが突然悪化したり種類が増えたりした――。こうした方の体には、一般的な老化とは一線を画した老化現象が起きているおそれがあります。 じつは、このような急速な老化は、免疫の暴走から起きる現象です。輸血による C型肝炎感染撲滅に大きく貢献し、世界的な評価を得た医学博士・飯沼一茂さんは「倍速老化」と名づけました。
倍速老化の原因である免疫の暴走を生み出す要因の一つが、腸内環境の悪化によって体内にたまる老廃物(ゴミ)です。飯沼さんが今後、医学の主役と目される免疫の最新知見をまとめた新著『倍速老化』より一部抜粋、再構成してお届けします』、「倍速老化」とは聞くだけで恐ろしそうだ。
・『腸内環境が悪いと免疫暴走の原因「体内のゴミ」が急増  最大の免疫器官とも呼ばれる腸には、なんと人体の7割もの免疫細胞が集まっています。わずか数キログラムしかない腸に、なぜこれほどの量が集中したのでしょうか。それは食べ物という「体外にある正体不明の異物」を体内に取り込めるのが、腸だけだからです。 腸の内側を「体外」と認識する方は少ないかもしれません。しかし体外にある食べ物が入るのが口で、そこから肛門までが一本の管だと考えれば、その管の内側は「体外」とイメージしやすいのではないでしょうか。 食べ物は口、食道、胃を通過しますが、消化・吸収のほとんどが腸で行われます。生きるために不可欠な食べ物とはいえ「体外のものを取り込む」以上は外敵、つまり病原菌などまで取り込んでしまうリスクもゼロではない。腸は消化・吸収したものを血液に取り込み全身へと送り出す臓器ですから、いわば関所のようなもの。だから外敵をいち早く察知し攻撃する免疫細胞たちが集結しているのです。 これが健康な状態における腸で、いわゆる悪玉菌が優勢になるなどして腸内環境が悪くなると話は変わってきます。腸の表面にある粘膜が傷つき、細胞と細胞のあいだに「すき間」ができてしまうからです。これは体外と体内を分ける関所が破られたということにほかならない、じつにおそろしい状態です。いわゆる腸漏れ(リーキーガット症候群)で、病原菌などの外敵がどんどん体内に入り込むため、体内で悪さをするゴミが急増していきます。) では、どんな食生活が腸内環境を悪くするのでしょうか。真っ先に挙がるのが肉や脂っこい食材を多く摂る、食物繊維を摂らない、アルコールの摂取が多い、などです。耳が痛いという方も多いかもしれませんが、これらが常態化していると体内にゴミが増えて免疫細胞たちの仕事も増え、ますます免疫暴走を加速させることになります。 もちろん、こうした食生活を完全に避けるのは難しいと思いますし、我慢のしすぎでストレスを溜めてしまうと体の機能低下も招きかねません。倍速老化することとストレスを溜めることとを天秤にかけて、適宜選択すべきでしょう』、「最大の免疫器官とも呼ばれる腸には、なんと人体の7割もの免疫細胞が集まっています。わずか数キログラムしかない腸に、なぜこれほどの量が集中したのでしょうか。それは食べ物という「体外にある正体不明の異物」を体内に取り込めるのが、腸だけだからです・・・食べ物は口、食道、胃を通過しますが、消化・吸収のほとんどが腸で行われます。生きるために不可欠な食べ物とはいえ「体外のものを取り込む」以上は外敵、つまり病原菌などまで取り込んでしまうリスクもゼロではない。腸は消化・吸収したものを血液に取り込み全身へと送り出す臓器ですから、いわば関所のようなもの。だから外敵をいち早く察知し攻撃する免疫細胞たちが集結しているのです・・・どんな食生活が腸内環境を悪くするのでしょうか。真っ先に挙がるのが肉や脂っこい食材を多く摂る、食物繊維を摂らない、アルコールの摂取が多い、などです」、なるほど。
・『体内のゴミがさらなるゴミを生み免疫は暴走  体に不要なものがあふれ、ゴミ屋敷と化してしまった体内では二次災害、三次災害とも言えるような、さらにひどいことが起きています。 ①エネルギーをつくる重要器官、ミトコンドリアが破裂(体内のゴミは免疫細胞に負担をかけますが、それ以外の一般の細胞や細胞内器官にももちろん負担をかけています。その最たるものが、ミトコンドリアです。 細胞内のミトコンドリアは、糖や脂質を使って細胞の活動エネルギーとなるATP(アデノシン三リン酸)をつくり、できたエネルギーは免疫細胞の活動にも使われています。ミトコンドリアは活性酸素も生み出しますが、これは体内のゴミ駆除に使われることも。 つまりミトコンドリアは、免疫細胞の手助けをしながら細胞全体の活動も支えている、健気な発電所のような存在ということです。ところが、周囲に活性酸素などのゴミがあまりにも増えると、そのストレスに耐えかねてミトコンドリアは破裂してしまう。破裂する数が多ければ、それだけ糖や脂質を消費してくれる存在が減るため、肥満につながります。) ②エネルギー源を失った細胞は疲れ、仕事を放棄(ミトコンドリアは一つの細胞内に数十個から数千個ありますが、エネルギーを供給してくれていたミトコンドリアが破裂し始めれば、細胞も疲れやすくなります。すると当然、細胞がこなしている、さまざまな仕事の質にも影響が。) たとえば、ある細胞が担っている仕事が、まっすぐな形のタンパク質をつくることだったとしましょう。このタンパク質は、わりと複雑な工程を経ないとまっすぐに伸びてくれないとします。それでも通常であれば、たとえ面倒でも彼らは一つひとつまっすぐに伸ばして一生懸命出荷します。 ところが、ミトコンドリアが減ってエネルギー不足に陥り、細胞自身がすっかり疲れ果ててしまうと「ああ、めんどくさい!もういいや、このままで」と言わんばかりに、手抜き仕事を始めます。つまり曲がったままのタンパク質を出荷してしまう。こうして、タンパク質の不良品工場が出来上がるわけです。 こうなると、その後の工程が詰まります。通常、それぞれのタンパク質にはそれぞれに合った酵素があり、それらによって分解されるのですが、曲がったものが来ると「あれ、これって、どの酵素が扱うんだっけ」と混乱に陥ってしまうのです』、「体に不要なものがあふれ、ゴミ屋敷と化してしまった体内では二次災害、三次災害とも言えるような、さらにひどいことが起きています。 ①エネルギーをつくる重要器官、ミトコンドリアが破裂・・・ミトコンドリアが減ってエネルギー不足に陥り、細胞自身がすっかり疲れ果ててしまうと「ああ、めんどくさい!もういいや、このままで」と言わんばかりに、手抜き仕事を始めます。つまり曲がったままのタンパク質を出荷してしまう。こうして、タンパク質の不良品工場が出来上がるわけです。 こうなると、その後の工程が詰まります・・・②エネルギー源を失った細胞は疲れ、仕事を放棄(ミトコンドリアは一つの細胞内に数十個から数千個ありますが、エネルギーを供給してくれていたミトコンドリアが破裂し始めれば、細胞も疲れやすくなります。すると当然、細胞がこなしている、さまざまな仕事の質にも影響が」、恐ろしいことになってしまうようだ。
・『人体で壊せずどんどん蓄積される状態に  ③不良品もまたゴミに。それが集まってさらには… この不良品は、まさに体内のゴミに。分解できないから使い道もなく、ただただ溜まっていき、大きな塊をつくってしまう。こうなると攻撃免疫にも壊せません。しかも老化が進んだ攻撃免疫では、なおのこと歯が立たない。 タンパク質にはもともと水に溶ける性質があり、変に熱がかかるとグチャグチャのまま固まってしまいます。生卵は水に溶けても、熱して炒り卵にすると溶けませんよね。あのイメージです。この状態になると、もう体内では壊すことができず、どんどん蓄積されるようになっていきます。 その典型的な例が、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβというタンパク質です。アミロイドβは健常な人の脳内にも存在しますが、アルツハイマー患者の脳の血管には、アミロイドβ同士がさらにたくさんくっついて塊になった「アミロイド斑(老人斑)」が溜まっています。脳内に、炒り卵をガチガチに固めて巨大化したようなものがたくさん溜まった状態が、アルツハイマー型認知症なのだとお考えください。) ④疲れた細胞自身もゴミに(疲れた細胞は不良品のタンパク質というゴミをつくるだけでなく、自身も働けなくなりゴミと化してしまいます。真面目に働いていた細胞も環境が悪いと、残念ながらこのような事態に陥るのです。もともと細胞は、加齢によって分裂速度が落ちるなどして老化していきますが、こうした周辺環境が重なると老化が加速してしまう。 老化した細胞からは炎症性サイトカインや「増殖因子」などが分泌されます。増殖因子とは老化細胞を生存させたり、炎症を促進したりするものです。たとえて言うなら腐臭のようなもので、これらは医学的には「細胞老化関連分泌形質(Senescence-Associated Secretory Phenotype =SASP)」と呼ばれています。
SASPが周辺の細胞までどんどん老化させていくのは、腐ったミカンが1つあると、まわりのミカンもどんどん腐っていくのと近いイメージです』、「不良品もまたゴミに。それが集まってさらには… この不良品は、まさに体内のゴミに。分解できないから使い道もなく、ただただ溜まっていき、大きな塊をつくってしまう。こうなると攻撃免疫にも壊せません。しかも老化が進んだ攻撃免疫では、なおのこと歯が立たない・・・この状態になると、もう体内では壊すことができず、どんどん蓄積されるようになっていきます。 その典型的な例が、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβというタンパク質です・・・疲れた細胞は不良品のタンパク質というゴミをつくるだけでなく、自身も働けなくなりゴミと化してしまいます。真面目に働いていた細胞も環境が悪いと、残念ながらこのような事態に陥るのです。もともと細胞は、加齢によって分裂速度が落ちるなどして老化していきますが、こうした周辺環境が重なると老化が加速してしまう。 老化した細胞からは炎症性サイトカインや「増殖因子」などが分泌されます」、なるほど。
・『免疫暴走が脳にまで影響する  ⑤暴走した免疫は全身を駆け巡る(こうして体内のゴミや、ゴミが生み出した新たなゴミによって、体内ではつねに炎症性サイトカインがバンバン出続けている状態になります。もう体中至るところで免疫暴走という地獄絵図が展開されていると思ってください。 さらにこれが怖いのは、暴走した免疫が全身を駆け巡ってしまう点です。血管という全身ネットワークで働く彼らは、行きたいところに行きたい放題。行く先々で新たな免疫暴走を生み出します。おそろしいことに、それは脳も例外ではないのです。 脳という中枢部の手前には「血液脳関門」があり、これまで、いろいろな物質が簡単には入り込めないと考えられてきました。ところが免疫暴走状態になると、その関門が機能しなくなることが近年わかってきたのです。「脳関門」などと言うと脳につながる血管に関所があるようにイメージしがちですが、じつは違います。 神経と血管とは絡み合うように存在するものの、これまでは酸素など生命維持に必要な栄養分だけが血管から神経へ届けられ、それ以外のあらゆるものはブロックされると考えられていました。血液脳関門とはつまり、この血液から神経への、余分なものへのブロック機能を指す言葉なのです。ということは脳に入る部分だけでなく、全身に張り巡らされた神経と血管の接触面すべてが該当箇所ということになります。 神経は大事な部分なので、必要最低限のもの以外はブロックされるようになっていると考えられていたわけですが、免疫暴走状態だとそのブロックが甘くなり、炎症性サイトカインなどが入り込んでしまうというわけです。これは、つまり体で起こった免疫暴走が脳にまで影響するということで、じつにおそろしい話です』、「こうして体内のゴミや、ゴミが生み出した新たなゴミによって、体内ではつねに炎症性サイトカインがバンバン出続けている状態になります。もう体中至るところで免疫暴走という地獄絵図が展開されていると思ってください。 さらにこれが怖いのは、暴走した免疫が全身を駆け巡ってしまう点です。血管という全身ネットワークで働く彼らは、行きたいところに行きたい放題。行く先々で新たな免疫暴走を生み出します。おそろしいことに、それは脳も例外ではないのです。 脳という中枢部の手前には「血液脳関門」があり、これまで、いろいろな物質が簡単には入り込めないと考えられてきました。ところが免疫暴走状態になると、その関門が機能しなくなることが近年わかってきたのです・・・体で起こった免疫暴走が脳にまで影響するということで、じつにおそろしい話です」、その通りだ。
タグ:健康 (その30)(1日3食とっているのに栄養失調?うつ病リスク高める「危険な食生活」とは、認知症や急激な老化を呼ぶ免疫暴走が起こる真因 免疫が処理できないほど体内にゴミが溜まる恐怖) ダイヤモンド・オンライン 真島加代氏による「1日3食とっているのに栄養失調?うつ病リスク高める「危険な食生活」とは」 「今、自分が何を食べているのか、それにより心身にどのような変化が起きているのか、自分自身をセンサーにかけてみてください」 仕事やプライベートで高いパフォーマンスを実現するためにも、まずは自らの心身と向き合うのが先決だ」、なるほど。 「「タンパク質には“窒素”が含まれており、それらは腸の中で発がん性物質のアンモニアに変わってしまうんです。体内に入った窒素は肝臓で尿素窒素という成分に変えられ、腎臓を通って体外に排出する“窒素代謝”が行われます。タンパク質を摂りすぎると窒素代謝の頻度が増えて、肝臓と腎臓に大きな負担がかかってしまうのです」、なるほど。 「「リチウムは、攻撃性や衝動性を抑えて自殺を防ぐ“ハッピーミネラル”として、今後さらに注目を集める可能性が高い。そんなリチウムを補う代表的な食材が、煮干しやアンチョビなどに使われる“カタクチイワシ”です。子どもの頃はおやつとして煮干しを食べていた人も今は縁遠くなっていると思うので、この機会に煮干しを食べる習慣を身に着けましょう。 何より、魚介類は優秀なたんぱく源なので、肉類中心の食生活をしている人は、魚を食べる頻度を増やすのがベストです」、「“ハッピーミネラル”」とは面白い言い方だ。 「サプリメントや健康食品は、あくまで日々の栄養不足を補うアイテム。食品からの栄養摂取と併せて飲むのがコツだ・・・1週間スパンで食事と体調のコンディションを整えるのが継続のコツ。毎日の食事を厳しく管理しすぎると挫折してしまうので、自分で調整しながら健康資産を積み上げていきましょう」』、なるほど。 東洋経済オンライン 飯沼 一茂氏による「認知症や急激な老化を呼ぶ免疫暴走が起こる真因 免疫が処理できないほど体内にゴミが溜まる恐怖」 「倍速老化」とは聞くだけで恐ろしそうだ。 「最大の免疫器官とも呼ばれる腸には、なんと人体の7割もの免疫細胞が集まっています。わずか数キログラムしかない腸に、なぜこれほどの量が集中したのでしょうか。それは食べ物という「体外にある正体不明の異物」を体内に取り込めるのが、腸だけだからです・・・食べ物は口、食道、胃を通過しますが、消化・吸収のほとんどが腸で行われます。生きるために不可欠な食べ物とはいえ「体外のものを取り込む」以上は外敵、つまり病原菌などまで取り込んでしまうリスクもゼロではない。 腸は消化・吸収したものを血液に取り込み全身へと送り出す臓器ですから、いわば関所のようなもの。だから外敵をいち早く察知し攻撃する免疫細胞たちが集結しているのです・・・どんな食生活が腸内環境を悪くするのでしょうか。真っ先に挙がるのが肉や脂っこい食材を多く摂る、食物繊維を摂らない、アルコールの摂取が多い、などです」、なるほど。 「体に不要なものがあふれ、ゴミ屋敷と化してしまった体内では二次災害、三次災害とも言えるような、さらにひどいことが起きています。 ①エネルギーをつくる重要器官、ミトコンドリアが破裂・・・ミトコンドリアが減ってエネルギー不足に陥り、細胞自身がすっかり疲れ果ててしまうと「ああ、めんどくさい!もういいや、このままで」と言わんばかりに、手抜き仕事を始めます。つまり曲がったままのタンパク質を出荷してしまう。こうして、タンパク質の不良品工場が出来上がるわけです。 こうなると、その後の工程が詰まります・・・ ②エネルギー源を失った細胞は疲れ、仕事を放棄(ミトコンドリアは一つの細胞内に数十個から数千個ありますが、エネルギーを供給してくれていたミトコンドリアが破裂し始めれば、細胞も疲れやすくなります。すると当然、細胞がこなしている、さまざまな仕事の質にも影響が」、恐ろしいことになってしまうようだ。 不良品もまたゴミに。それが集まってさらには… この不良品は、まさに体内のゴミに。分解できないから使い道もなく、ただただ溜まっていき、大きな塊をつくってしまう。こうなると攻撃免疫にも壊せません。しかも老化が進んだ攻撃免疫では、なおのこと歯が立たない・・・この状態になると、もう体内では壊すことができず、どんどん蓄積されるようになっていきます。 その典型的な例が、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβというタンパク質です・・・疲れた細胞は不良品のタンパク質というゴミをつくるだけでなく、自身も働けなくなりゴミと化してしまいます。真面目に働いていた細胞も環境が悪いと、残念ながらこのような事態に陥るのです。もともと細胞は、加齢によって分裂速度が落ちるなどして老化していきますが、こうした周辺環境が重なると老化が加速してしまう。 老化した細胞からは炎症性サイトカインや「増殖因子」などが分泌されます」、なるほど。 「こうして体内のゴミや、ゴミが生み出した新たなゴミによって、体内ではつねに炎症性サイトカインがバンバン出続けている状態になります。もう体中至るところで免疫暴走という地獄絵図が展開されていると思ってください。 さらにこれが怖いのは、暴走した免疫が全身を駆け巡ってしまう点です。血管という全身ネットワークで働く彼らは、行きたいところに行きたい放題。行く先々で新たな免疫暴走を生み出します。おそろしいことに、それは脳も例外ではないのです。 脳という中枢部の手前には「血液脳関門」があり、これまで、いろいろな物質が簡単には入り込めないと考えられてきました。ところが免疫暴走状態になると、その関門が機能しなくなることが近年わかってきたのです・・・体で起こった免疫暴走が脳にまで影響するということで、じつにおそろしい話です」、その通りだ。
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警察の重大ミス(その11)(警察庁長官狙撃事件3題:「オウム4人逮捕は公安警察のプロパガンダ」警察庁長官狙撃事件 スナイパーが公安警察に突き付けた挑戦状、警察庁長官狙撃事件を“自白”した男、中村泰受刑者が明かしていた警視庁「公安警察」と「刑事部」の暗闘、中村泰受刑者が“公開の法廷という場”で発言を希望していた理由、) [社会]

警察の重大ミスについては、本年7月4日に取上げた。今日は、(その11)(警察庁長官狙撃事件3題:「オウム4人逮捕は公安警察のプロパガンダ」警察庁長官狙撃事件 スナイパーが公安警察に突き付けた挑戦状、警察庁長官狙撃事件を“自白”した男、中村泰受刑者が明かしていた警視庁「公安警察」と「刑事部」の暗闘、中村泰受刑者が“公開の法廷という場”で発言を希望していた理由)である。

先ずは、7月15日付けデイリー新潮「「オウム4人逮捕は公安警察のプロパガンダ」警察庁長官狙撃事件、スナイパーが公安警察に突き付けた挑戦状」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/07150851/?all=1
・『5月22日、中村泰(ひろし)受刑者(94)が収容先の東日本成人矯正医療センター(東京都昭島市)で死亡した。別の事件で無期懲役中だった中村受刑者は、1995年3月に発生した重大事件への関与を“自白”したことでも知られる。2010年3月末に公訴時効を迎えて未解決事件となった「国松事件」こと、国松孝次・元警察庁長官の狙撃事件だ。 この国松事件について、中村受刑者は「新潮45」に2本の手記を寄せていた。1本目の手記「国松長官狙撃犯と私」は銃撃犯の行動や心理を“推理”する内容。今回公開する2本目の手記は、捜査をめぐる警視庁公安部と警察庁刑事部、大阪府警の“暗闘”などがテーマである。なおその掲載にあたり、当時の編集者は一切手を加えていない。 (全3回の第1回:「新潮45」2005年3月号「総力特集 吉と凶・衝撃の七大独占告白手記 国松長官狙撃事件『スナイパー』から『公安警察』への挑戦状」より。文中の「被告」表記、年齢、役職名、団体名、捜査状況等は掲載当時のものです) 中村泰被告(74)は、本誌2004年4月号に「国松長官狙撃犯と私」と題する手記を寄せた。その約3カ月後の7月7日、「国松孝次・警察庁長官狙撃事件」の捜査は突如、急展開した。 警視庁公安部が、国松氏に対する殺人未遂容疑などで、オウム真理教(現アーレフ)の元信者ら4人を逮捕したのである。事件が発生した1995年3月30日から9年余。新聞は号外まで出した。 逮捕者には、オウム元在家信者の小杉敏行元警視庁巡査長が含まれていた。事件発生の約1年後に「自分が撃った」と明かしたものの、その後の捜査で供述の信用性が疑われ、東京地検がいったん立件を断念した人物である。その小杉元巡査長を再び引っ張り出してきて、「逃走支援役」として逮捕したのだ。 しかし、逮捕後の小杉元巡査長の供述は二転三転。他の逮捕者は皆、容疑を否認した。結局、逮捕の21日後に全員が釈放され、その後、嫌疑不十分で不起訴処分となった。終わってみれば、事件を巡る闇を濃くしただけの結果になったのである。 こうした騒動を横目で眺めながら、地道に捜査を続けていた連中がいる。警視庁刑事部捜査一課の刑事達だ。彼らが「狙撃事件」の“容疑者”と目している人物。それが、今回、再び本誌に手記を寄せた中村被告である。 中村被告は東大教養学部理科二類を中退、警察官射殺事件を起こして逮捕され、服役したという経歴の持ち主だ。昭和51年に出所したが、平成14年11月、名古屋市内にある銀行の支店を襲撃。現金輸送車の警備員に拳銃を発砲し、重傷を負わせて再び逮捕された。 その捜査の過程で、アジトから「国松事件」を“自白”するような内容の散文詩が発見され、銀行の貸し金庫に大量の銃器を隠し持っていたことが判明した。こうして、中村被告は「容疑者」として急浮上。銃刀法違反容疑で警視庁に逮捕された後、別の銀行襲撃事件で大阪府警に再逮捕された。そのため、現在、身柄は大阪拘置所にあるが、警視庁捜査一課の専従班は今も中村被告の周辺捜査を続けている。 獄中から寄せた以下の手記で、中村被告は警視庁公安部による今回の逮捕劇を「関係者」の立場から検証。さらに、これまで報じられたことのない貸し金庫の「開扉記録」を示し、「国松事件」と自らについての“重大な事実”を明かした――』、「逮捕後の小杉元巡査長の供述は二転三転。他の逮捕者は皆、容疑を否認した。結局、逮捕の21日後に全員が釈放され、その後、嫌疑不十分で不起訴処分となった・・・こうした騒動を横目で眺めながら、地道に捜査を続けていた連中がいる。警視庁刑事部捜査一課の刑事達だ。彼らが「狙撃事件」の“容疑者”と目している人物。それが、今回、再び本誌に手記を寄せた中村被告である。 中村被告は東大教養学部理科二類を中退、警察官射殺事件を起こして逮捕され、服役したという経歴の持ち主・・・中村被告は「容疑者」として急浮上。銃刀法違反容疑で警視庁に逮捕された後、別の銀行襲撃事件で大阪府警に再逮捕された。そのため、現在、身柄は大阪拘置所にあるが、警視庁捜査一課の専従班は今も中村被告の周辺捜査を続けている」、なるほど。
・『公安警察のプロパガンダ  昨年7月、世間の耳目を驚かすニュースが流れた。その九年前に起こって未解決のままになっていた國松警察庁長官狙撃事件の容疑者として、突如、オウム関係者四人が逮捕されたのである。ところが、三週間後に、これは全くの空騒ぎとして終った。逮捕者全員があっさり釈放されてしまったのだ。いったい、これは何だったのか。その背後には何かの策謀があったのだろうか。 それ以前に警視庁に逮捕されて厳重な報道管制の下、その長官狙撃事件について、捜査一課の係官を相手に三カ月もの間、連日殆ど休みなしの攻防戦を続けてきた私は、その間に知り得た事実とその後の推移から、ある種の陰謀の存在をはっきり感知したのである。 これからその実体を説き明かすに当たり、警察、検察当局に対する私の個人的感情を抑えて、できるだけ客観的に記述するために、以下は、あえてNという三人称を用いることにする。 7月7日のオウム関係者四人の逮捕が公安警察のプロパガンダであることは、大方の指摘するところなのだが、では、なぜこの時期に、全員が不起訴釈放となって大失態と非難される結果になることを承知のうえで、この無謀ともみえるプロパガンダを強行しなければならなかったのか、その背後の事情を解明してみよう。 今回の逮捕において、唯一の決め手といわれていたのは、拳銃の発射時にコートに付着したとされる金属微粒子の鑑定結果だったのだが、実はこれは逮捕時の一年以上も前に出ていた。その当時は、これはせいぜい「ないよりまし」という程度のものにすぎず、これに基いて立件しようとするような考えはなかったのである。そもそもこの鑑定自体が、警察内部でのプロパガンダに類するものであったとみてよい。 長官狙撃事件の特別捜査本部として、百名ほどの捜査員を擁し公安部の一大拠点となっていた南千住署では、数年前から肝心の狙撃事件の捜査などほとんどやっていなかった。というよりも、もはや、やることがなくなっていたのである。現場の捜査員にしてみれば、数多くのガセネタ(偽情報)に翻弄されながらも、殆どのオウム関係者を洗い抜いていたのだから、「もう逆さにして振っても何も出ないよ」と言いたい気分であっただろう。名ばかりの捜査本部は、少数の者が過去の捜査資料の整理再検討の作業に従事するほかには、ときおり、もたらされる怪しげな情報の裏付け捜査に駆り出されるだけ、という状態になっていた。そのような状況下で、他の大多数の本部員は、本来の狙撃事件の捜査とは無関係な分野の仕事に向けられていたのである。 公安警察は「警察」と称してはいるものの、実際はその上に「秘密」という語をかぶせて「秘密警察」と呼ぶほうがふさわしい特殊な組織である。当然、その活動の大部分は公けにされない秘密のものになる。秘密の活動にも、もちろん、それなりの予算と人員は要る。特別捜査本部という看板は、そのための“裏”(編集部注:原文は傍点、以下同)予算と“裏”人員を生み出すのに利用されていたとみてよい。 公安警察というのは一種の聖域ではあるにせよ、各地の警察での裏金作りが槍玉に上げられている昨今の情勢下では、やはりそれなりの配慮はしなければなるまい。前述のように、コートを「スプリング8」という権威ある研究施設に持ち込んで鑑定を依頼したことも、今なお不断に本来の捜査活動を継続して成果を挙げているというアッピールの一環と受け取れる。 公安部内にも、こうした小手先の糊塗策を続けているだけではまずいのではないか、という危惧はあったに違いない。しかし、官庁というのは、なかなか一気に方針を転換することができにくい組織である。そして、公安警察といえども、また、官庁組織の一員であり、何かの“きっかけ”がなければ簡単には動かないのである。 ところが、03年(平成15年)の後半になって、その“きっかけ”となる異変が生じた。その年の夏、前年末に名古屋で強盗事件を起こして逮捕されていたNという男がアジトにしていた三重県名張市の民家が家宅捜索された際に、思いがけない物が出てきたのである。 その一は、長官狙撃事件に関する記事を掲載した新聞、雑誌、単行本に加えて、英文のものまで含む各種の関連記事のコピーなど、膨大な量の文献資料であった。およそ、この事件に関する刊行物の殆どすべてが集められているといえるほどであった。これはもちろん、この事件に対するNの異常な関心を示している。だが、もともと事件自体が前代未聞の特異なものである以上、特別な関心を抱いた者がいたとしても、それほど不自然ではない。ジャーナリストなどにしても、ある一つの事件を深く掘り下げるために、関連資料を大量に収集する人もいる。というわけで、これは決め手となりうるほどのものではなかった。 その二は、同時に押収されたフロッピー・ディスクに記録された詩編である。数個のディスクに、長短さまざまな一千篇近くの詩が記録されていたが、その中に五、六十篇ほどの狙撃事件を題材にしたものがあった。大半は叙情的あるいは風刺的なものだったが、なかには作者自身を狙撃者として書いている詩もあった。しかし、詩というものは、あくまで創作である。現実の事件を主題にして、いかに真に迫った小説を書いたからといって、その作者を犯人とするわけにはいくまい。ただ、これらの詩の中に、際立って写実的なものが一篇あった。「緊急配備」という題の下に、事件当日の中央線武蔵小金井駅の非常警戒の状況を正確に描写した詩である。だが、これとて作者がたまたまその場面に遭遇したか、あるいは、そこに居合わせた誰かから詳細な話を聞いたもの、といわれればそれまでのことであろう。 というわけで、捜索の当初は、何か訝しいという程度にすぎなかったのだが、そこでの押収物が端緒となって新宿の貸金庫にたどり着いたときから、新たな展開が始まった。まず、最初に注目されたのは、特注品とみられる高性能ライフルだった。高精度を保つための肉厚の銃身、サプレッサー(消音器)をはめ込むためと思われる銃口部のねじ溝、折畳み式の銃床を取り付けてコートの内側に隠し持てるほどのコンパクトな寸法、命中時に先端部が潰れて殺傷効果を大きくするソフト・ポイント型のレミントンBR7という超高速弾(一般に弾速が大きいほど精度が高くなる)を使用するなど、どの点から見てもプロ用の特殊な狙撃銃と判断された。ある捜査員は、まさに(フレデリック・フォーサイスの)「ジャッカルの日」を思い起こさせる、と洩らしたくらいである。そのほかにも、掌に隠れるほどの超小型でありながら強力な22口径マグナム・ホローポイント弾を発射できるミニ・レボルバーなど、要人暗殺等の特殊工作用と思われる銃器が発見された。こうなれば、要人暗殺イコール長官狙撃という連想が生じるのは自然の成行きである』、「未解決のままになっていた國松警察庁長官狙撃事件の容疑者として、突如、オウム関係者四人が逮捕されたのである。ところが、三週間後に、これは全くの空騒ぎとして終った。逮捕者全員があっさり釈放されてしまったのだ・・・百名ほどの捜査員を擁し公安部の一大拠点となっていた南千住署では、数年前から肝心の狙撃事件の捜査などほとんどやっていなかった。というよりも、もはや、やることがなくなっていたのである。現場の捜査員にしてみれば、数多くのガセネタ(偽情報)に翻弄されながらも、殆どのオウム関係者を洗い抜いていたのだから、「もう逆さにして振っても何も出ないよ」と言いたい気分であっただろう・・・前年末に名古屋で強盗事件を起こして逮捕されていたNという男がアジトにしていた三重県名張市の民家が家宅捜索された際に、思いがけない物が出てきたのである。 その一は、長官狙撃事件に関する記事を掲載した新聞、雑誌、単行本に加えて、英文のものまで含む各種の関連記事のコピーなど、膨大な量の文献資料であった・・・同時に押収されたフロッピー・ディスクに記録された詩編である。数個のディスクに、長短さまざまな一千篇近くの詩が記録されていたが、その中に五、六十篇ほどの狙撃事件を題材にしたものがあった。大半は叙情的あるいは風刺的なものだったが、なかには作者自身を狙撃者として書いている詩もあった。しかし、詩というものは、あくまで創作である・・・押収物が端緒となって新宿の貸金庫にたどり着いたときから、新たな展開が始まった。まず、最初に注目されたのは、特注品とみられる高性能ライフルだった。高精度を保つための肉厚の銃身、サプレッサー(消音器)をはめ込むためと思われる銃口部のねじ溝、折畳み式の銃床を取り付けてコートの内側に隠し持てるほどのコンパクトな寸法、命中時に先端部が潰れて殺傷効果を大きくするソフト・ポイント型のレミントンBR7という超高速弾(一般に弾速が大きいほど精度が高くなる)を使用するなど、どの点から見てもプロ用の特殊な狙撃銃と判断された」、なるほど。
・『事件当日の開扉記録  これに加えて、さらに追い打ちをかけるものが見付かった。貸金庫の管理会社に保管されていた個別の金庫の開扉記録である(表参照)。Nにしても、まさか十年も前のそんなものが保存されていたとは思い及ばなかったに違いない。これを見ると、通常は月に一、二回程度であり、全く訪れていない月もあるのに対して、95年(平成7年)3月だけが五回となっている。これは約十年に及ぶ契約期間を通じて最多の記録であり、しかも、そのうちの四回は23日以降に集中しているという異常さが目立つ。 これについての捜査当局の解釈は、次のようなものである。3月22日の山梨県上九一色村のオウム教団施設に対する一斉捜索の結果を知ったN(あるいはその一味)は、早急に行動を起こすことを決意して、そのための銃器弾薬を貸金庫から取り出した。その後の数日間に國松長官の動静を探りながら準備を整えた一味は、28日を暗殺決行の日と定めた。 当日の朝は、春一番か二番かの強風が吹き荒れていた。一般に強風は精密な射撃には好ましくないのだが、この場合は想定射程が30メートルほどであるから、それほど影響はないと判断したのだろう。むしろ、このような天候では外出を控える人が多いから、通行人すなわち目撃者が少なくなるという利点があったといえる。 しかし、ここで全く予想外のことが起こった。長官の居住棟の玄関の前あたりの路上に、コートを着た二人の中年の男が人待ち顔で佇んでいるのが見えたのである。彼らが、あまり動きまわりもせず、周囲を窺うそぶりもみせなかったことからして、SPや所轄署の警戒員でないのは明らかであった。また、もし一般人であれば、その挙動を怪しんだ護衛の警官が、職務質問をするとか何かの対応をしたであろう。そういうことがなく黙認されているからには、彼らの正体は警察関係者と推定するのが妥当である。 やがて、ほぼ定刻になって長官が玄関に現われると、待ちかまえていた二人の男は、足早に近付いて何か話しかけた。コートも着ていない長官は、寒風に吹きさらされながら戸外での立ち話が長引いてはたまったものではない、と思ったのかどうか、その二人を伴って屋内へ引き返した。 狙撃手は完全に出ばなを挫かれたことになる。長官の出勤が阻止されるというのは、明らかに異常事態である。そのような状況で狙撃のチャンスを逸した以上、長居は無用として、ただちに支援車両に引き上げてきた狙撃手は、同志に状況を報告するとともに今後の対策についての協議を始めた。 これは、おそらく警備態勢の変更に関する打ち合わせか連絡のたぐいであろう。変更があるとすれば、まず考えられるのは専任のSP(警護課員)の配備である。そうなると、これまでのように、隣接する建物で待ち伏せるというわけにはいくまい。では、遠方からライフルで一発必中の狙撃といくか。いや、それはSPが盾となる可能性があるから不確実だ。すると、事前検索の範囲外となる五、六十メートル離れた地点から、マシンガンの集中連射で、SPもろとも撃ち倒すほかあるまい。本来は目標を長官だけに限るはずだったのだが、こうなっては止むをえないだろう。それに、SPは迅速に応射するように訓練されているはずだから、自衛のためにも先制攻撃で倒してしまう必要がある―― と、まあ、このような論議が交されたのだろう。そこで、早速、貸金庫へ赴いて、作戦変更に伴って必要となった新たな装備品を取り出した、ということになる。ところが、同じ日の午後にも再び開扉されている。これについては、前述のようなやりとりを経て、最終的な詰めに至ったのは昼頃だったとも考えられるし、あるいは何か不足していた物に気付いて、それを取りに行ったとも推測できる。いずれにしても、予想外の事態に遭遇した直後で、動揺していたのかもしれない。ここで、開扉記録に基いて、もう一歩推理を進めてみると、貸金庫の6051番のケースには、実際に狙撃に使われた長銃身のコルト・パイソン回転式拳銃が、6080番のほうには、新たに携行することになったKG9短機関銃が、それぞれ収められていた、と考えるのが妥当である。 この日から二日後の30日が、実際の狙撃の当日になる。事件の発生時刻直後に、現場から適切な交通機関を利用して新宿へ向かったと仮定すると、記録されている開扉時間にちょうど間に合うということは、捜査員が可能なかぎりのルートを想定して、それをなん度もくり返して実地に試みて得た結論であった。当日、狙撃が決行された直後、Nは使用された銃器類を持って新宿へ急行し、それらを貸金庫に隠してから、当時、小平市にあった自分のアジトへ行く道筋に当たる中央線武蔵小金井駅で下車したところで、警察の警備陣に遭遇した。そのときに実際に見た状況を描写したものが、叙事詩「緊急配備」にほかならない。 以上が貸金庫の異常な開扉状況についての合理的な解釈になる、というのが捜査当局の見解である。少なくとも、Nがそれを否定するに足る矛盾のない弁明を示さないかぎりは。それに、28日の朝、國松長官と警察幹部との間で警備態勢に関する緊急の会談があったことなど、刑事部では、それまで全然知らなかったのである。 貸金庫の開扉状況についての「合理的な解釈」の次は、「窮地に追い込まれた」公安部についての“洞察”が始まる――。第2回【警察庁長官狙撃事件を“自白”した男、中村泰受刑者が明かしていた警視庁「公安警察」と「刑事部」の暗闘】では、小杉元巡査長を含むオウム集団を犯人にせざるを得ない公安部と、「N」のグループによる犯行とみた刑事部の対立が綴られている』、「当日、狙撃が決行された直後、Nは使用された銃器類を持って新宿へ急行し、それらを貸金庫に隠してから、当時、小平市にあった自分のアジトへ行く道筋に当たる中央線武蔵小金井駅で下車したところで、警察の警備陣に遭遇した。そのときに実際に見た状況を描写したものが、叙事詩「緊急配備」にほかならない。 以上が貸金庫の異常な開扉状況についての合理的な解釈になる、というのが捜査当局の見解である」、なるほど。

次に、7月15日付けデイリー新潮「警察庁長官狙撃事件を“自白”した男、中村泰受刑者が明かしていた警視庁「公安警察」と「刑事部」の暗闘」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/07150851/
・『・・・5月22日、中村泰(ひろし)受刑者(94)が収容先の東日本成人矯正医療センター(東京都昭島市)で死亡した。別の事件で無期懲役中だった中村受刑者は、1995年3月に発生した重大事件への関与を“自白“したことでも知られる。それは2010年3月末に公訴時効を迎えて未解決事件となった「国松事件」こと、国松孝次・元警察庁長官の狙撃事件だ。 この国松事件について、中村受刑者は「新潮45」に2本の手記を寄せていた。今回公開する手記は、銃撃犯の行動や心理を“推理”する1本目の「国松長官狙撃犯と私」に続く2本目。この第2回では、公安警察と刑事部が繰り広げた“暗闘”の詳細が綴られている。なお、掲載にあたり、当時の編集者は一切手を加えていない。 (全3回の第2回:「新潮45」2005年3月号「総力特集 吉と凶・衝撃の七大独占告白手記 国松長官狙撃事件『スナイパー』から『公安警察』への挑戦状」より。文中の「被告」表記、年齢、役職名、団体名、捜査状況等は掲載当時のものです)・・・』、
2010年3月末に公訴時効を迎えて未解決事件となった「国松事件」・・・「国松事件について、中村受刑者は「新潮45」に2本の手記を寄せていた」、なるほど。
・『危機感を募らせる公安部  このあたりから雲行きが怪しくなってきた。もしも、Nが真犯人ということにでもなったら、公安部は窮地に追い込まれる。(刑事部という)“とんび”に油揚げをさらわれたどころの話ではない。これまで九年もの歳月を費やし、延べ三十七万人ともいわれる人員を投入して、何をやっていたのだということになる。当初から「犯人はオウム」という先入観に固執して、目隠しされた馬車馬のように盲進を続けるだけだった公安部は、「無能」の烙印を押されて、その存在価値さえ問われることになろう。 公安部は危機感をつのらせていたが、しかし、まだ望みは残されていた。その一つは、目撃者の証言である。狙撃者を直接見ていた数人の証言から得た犯人像は、年齢三、四十歳で身長一七○センチ前後というものであった。これは、六十代半ばで一六○センチのNとは、かなり隔たっている。 さらに、それにもまして重要なのは、その実年齢である。運動能力については、かなり個人差が大きいので一概にはいえないが、誰にとっても不可避なのが視力の劣化である。加齢とともに眼球内の水晶体の硬化が進んで、いわゆる老眼になるのだが、このため必然的に動体視力が低下する。対象物に焦点を合わせる水晶体が伸縮しなくなるのだから、当然の帰結である。拳銃で遠く離れた動く標的を迅速正確に狙撃するためには、十分な動体視力が必要である。長官狙撃事件では、過去の拳銃使用事件には前例がないほどの高度の射撃技量が示されている。他の行動の状況とも併せて、プロの仕事といわれているのもうなずけるところである。動体視力の低下している高齢者にできることではない。 Nのほうでも、そのような事情は百も承知していた。あらかじめ報道各社へ向けた声明文の中で、自分はゴルゴ13(劇画のヒーローで超一流の狙撃手)にはなれない、ティームの一員ぐらいが分相応であると述べている。 そのうちに、またもや、公安部にとって追い打ちになるようなことが起こった。Nが、長官狙撃事件についての手記を「新潮45」(04年4月号)の誌上に発表したのである。筆者は、公開された情報に基いて書いたという体裁をとっていた。しかし、その中には未公開の事実が含まれていたのである。 長官に向けて三発の銃弾が発射された直後に、長官公用車の前方に待機していた護衛車両から、異変に気付いた警戒員が、長官の横たわっている植込みの蔭に駈けつけてきたのだが、狙撃者はその私服警官へ向かって威嚇の発砲をした。これが最後の発砲になったが、銃弾が(狙撃者から見て)前方を横切る形で全力疾走する警官の背後すれすれに通り抜けるという際どい射撃であり、これもまた卓越した技量を示している。多くの拳銃用弾種の中でも、この事件で使われた357マグナム弾は最高速の部類に属するのだが、空気中を超音速で通過する物体からは衝撃波が発生して、これが弾の擦過音となる。当然、この警官は身近に銃弾が通過する音を耳にしている。Nがこの事実を知っていたということは、この警官のものを含めて極秘扱いとなっている関係者の供述書の内容を探り出す手段を持っていたか、あるいは、狙撃者から直接報告を受けていたか、のどちらかであるとしなければならない。 さらに、捜査員の中には、次のような見解を示す者もあった。この文章は一見、ルポ・ライターなどが書くものに似ているが、しかし、彼の場合は状況が全く違う。関連資料はすべて押収されているし、拘禁中の身では新たに参考資料を入手するのは困難であるはずだ。もちろん、取材活動などは全く不可能である。にもかかわらず、九年も前の事件をあれほど克明に記述できるのは、やはり直接関与していたからこそ、鮮明な記憶が残っているからではないか、というのである。 公安部の不安は増大していたが、しかし、まだ望みをつなげるものが残っていた。それは長年の極左過激派に対する捜査経験から確信に近いものになっていたのだが、自己の信念に基いて行動するこの種の確信犯は、損得や感情で動く一般犯罪者と違って、自らの手で同志を敵と見なしている官憲に売り渡すような行為はしない、ということである。この考えが正しければ、Nも自分の口から狙撃者の正体を明かすことはないとみてよい。あとは、刑事部が独自の捜査で、どこまで核心に迫れるかにかかっている。 この間、成行きからして当然のことではあるが、公安部は刑事部の捜査には全く協力しなかった。内心はともかく、表面は否定的に無視するという態度を続けていた。特捜本部として、重要な証拠のすべてを握っている公安部が知らぬ顔を決め込んでいるのだから、刑事部の捜査活動が困難をきわめたことはいうまでもない。しかも、それだけにとどまらず、公安部は妨害工作まで試みたようである。噂ではあるが、事件現場に残されていた朝鮮人民軍の記章と韓国硬貨からNのDNAが検出されないように、薬液で洗浄してしまったともいわれている。なにしろ、何も知らなかった小杉元巡査長を、わざわざ現場に“案内”して十分に観察させた上で、供述書に信憑性を付加するための詳細な見取図を描かせるような工作までしていたことからみても、全くありえないとはいえない。少なくとも、これらの物をオウム関係者の手に触れさせておいて、後日、そのDNAがどうのこうのというための細工ぐらいは試みているかもしれない。これなど、よく知られた(自分で転んでおいて公務執行妨害と言いがかりをつける)「転び公妨」手法の変種といえそうである。こうしてみると、例のコートの鑑定結果なるものも、どこまで真実なのか、疑問が生じてくる。 それでも、依然として公安部の不安感は払拭されなかった。刑事部が何か新しい証拠を見付けはしないか、Nが何か新しい供述を始めはしないか、それで事態が一変する可能性は、あい変わらず存在していた。Nが銃刀法違反事件で起訴された後、三カ月に及んだ取調べ期間中の彼の動静をひそかに窺い続けないではいられなかったのである。 刑事部は、それまでに集めた状況証拠に基いて、Nを立件できるかどうかを東京地検に打診していた。地検の見解は、それを証拠として認めて細部を説明する被疑者の供述書が伴わなければむずかしい、というものであった。これを公安部に対するものと較べてみると、まことに対照的である。一方には、証拠はあってもそれに対応する供述が欠けていると言い、他方には、(小杉元巡査長の)供述はあってもそれを裏付ける証拠が乏しいと難色を示しているからである。もっとも、この小杉供述なるものは、整合性のない不完全なもので、それを「マインド・コントロール」という怪しげな理由付けで補っているといわれているのだが。これに対して、刑事部のほうでは、われわれの集めた証拠は客観的で一貫性のあるものだ、と主張している』、「もしも、Nが真犯人ということにでもなったら、公安部は窮地に追い込まれる。(刑事部という)“とんび”に油揚げをさらわれたどころの話ではない。これまで九年もの歳月を費やし、延べ三十七万人ともいわれる人員を投入して、何をやっていたのだということになる。当初から「犯人はオウム」という先入観に固執して、目隠しされた馬車馬のように盲進を続けるだけだった公安部は、「無能」の烙印を押されて、その存在価値さえ問われることになろう。 公安部は危機感をつのらせていたが、しかし、まだ望みは残されていた。その一つは、目撃者の証言である。狙撃者を直接見ていた数人の証言から得た犯人像は、年齢三、四十歳で身長一七○センチ前後というものであった。これは、六十代半ばで一六○センチのNとは、かなり隔たっている。 さらに、それにもまして重要なのは、その実年齢である。運動能力については、かなり個人差が大きいので一概にはいえないが、誰にとっても不可避なのが視力の劣化である。加齢とともに眼球内の水晶体の硬化が進んで、いわゆる老眼になるのだが、このため必然的に動体視力が低下する。対象物に焦点を合わせる水晶体が伸縮しなくなるのだから、当然の帰結である。拳銃で遠く離れた動く標的を迅速正確に狙撃するためには、十分な動体視力が必要である・・・公安部は妨害工作まで試みたようである。噂ではあるが、事件現場に残されていた朝鮮人民軍の記章と韓国硬貨からNのDNAが検出されないように、薬液で洗浄してしまったともいわれている。なにしろ、何も知らなかった小杉元巡査長を、わざわざ現場に“案内”して十分に観察させた上で、供述書に信憑性を付加するための詳細な見取図を描かせるような工作までしていたことからみても、全くありえないとはいえない。少なくとも、これらの物をオウム関係者の手に触れさせておいて、後日、そのDNAがどうのこうのというための細工ぐらいは試みているかもしれない」、「公安部」の「妨害工作」には心底驚かされた。
・『刑事部対公安部  こうして、事態は、小杉元巡査長を含むオウム集団を犯人とする、というよりも、そうせざるをえない公安部と、Nのグループ――これより以前に彼が特別義勇隊(トクギ)と称する武装地下組織の結成をもくろんでいた当時、行動を共にしていた少数の者の集まり――の仕業と見ている刑事部との対決という形になっていった。シニカルな表現をすれば、小杉元巡査長らオウム一味のスポンサーである公安部と、Nのトクギ残党を推すスポンサーとしての刑事部とが、東京地検を相手に売り込み合戦を演じるという構図である。第三者にとっては面白い見ものかもしれないが、承知の上で行動している元巡査長とNとを除いて、この騒動の巻添えになった人たちには甚だ迷惑なことであった。 公安部としては、なんとか巻返しを図りたいところなのだが、Nという不発弾とも時限爆弾ともいえる厄介者が片付かなければ、うかつには動けなかった。だが、公安部にはもっけの幸いともいえそうな打開策が残されていた。それは、大阪府警が名古屋の事件との類似性から、Nを大阪市内で発生した数件の拳銃強盗事件の容疑者として捜査しているという情報である。 これについては、前年の十月初め頃に一部の日刊紙等に報道されていたのだが、なぜか、その後一向に進展がみられなかった。これというほどの決定的な証拠が出てこなかったからかもしれないが、あるいは、警視庁が長官狙撃事件の捜査を優先するために、府警の介入を抑えていたからとも考えられる。確かに長官狙撃事件は日本警察全体の威信にかかわる重大事で、それに較べれば、死者も出ていない強盗事件などは単なるローカルな雑件にすぎない。しかし、軽視された形になった大阪府警には当然、不満が生じる。それに、もともと府警には警視庁への対抗意識が根強くある。 どうやら公安部は、こうした感情に便乗して、それを煽るような工作を仕かけたらしい。府警は警視庁に対して、Nの身柄引渡しを執拗に求めるようになった。身柄を取り込むための逮捕容疑の対象としては、三件とも四件ともいわれている強盗事件の中から、とりあえず三井住友銀行都島支店の事件が選ばれた。それまでに集められた雑多な証拠らしきものの組合わせを操作してみた結果、都島の件になら、なんとか当てはめられそうに思えたからであろう。 しかし、その件で逮捕状を請求する前の段階で、姑息な小細工が施された。都島の件は、発生以来それまで強盗“致傷”(傷人)事件として捜査が続けられてきた。それを強盗“殺人”(同)未遂に切り換えたのである。別に殺意を裏付けるような新しい証拠が出てきたわけではないから、単なる呼称の変更にすぎないともいえる。だが、これには隠された意図があった。 警視庁が、長期間Nの身柄を独占するための根拠としていた長官狙撃事件の刑法上の罪名は“殺人”未遂である。一方、「ローカルな雑件」として軽視されていた大阪の事件を担当する府警が、容疑者の身柄の奪い合いで警視庁に対抗するためには、強盗“致傷”よりも強盗“殺人”(未遂)に“格上げ”したほうが押しがきく。部外者にとっては、なんともくだらない話のように感じられるかもしれないが、警察組織の中では、肩書や看板は大いにものをいう。単なる事件捜査でなく、捜査本部という看板が掛けられれば、予算も人員も集めやすくなる。これに「特別」が加わればなおさらだ。前述のように、南千住署の特別捜査本部の看板が公安部の予算と人員の捻出に利用されていたこともその一例である。 ともあれ、府警としては、Nの身柄を奪い取った以上、なんとしても立件しなければ面目を失う。もちろん、確固とした決め手になるものがあれば、問題はない。しかし、現実には、少なからず矛盾性を内包した状況証拠の寄せ集めがあるだけだ。これらをつなぎ合わせて、事件全体の構図を描き上げるためには、被疑者の供述が不可欠であり、その供述を得るためには、逮捕後の取調べ方法が重要になる。 都島の事件は、電車内で女性の体に触れたとか触れなかったとかいうような単純な構成のものではない。その細部については、真犯人でなければ知りえない点が数多くある。第三者が犯人を装って、それらの点を明らかにする供述を創作することなど不可能に近い。このことは、小杉元巡査長が、いかに自分が長官を狙撃した犯人だと主張しても、客観的事実に合致する供述はできないでいたという事例によく示されている。その種の供述書を作らせてみたところで、混乱を招くだけにすぎない。 こうした事情を考慮した結果でもあろうか、府警の取調べ方法は、きわめて異例のものであった。否認している被疑者に対しては、次々と証拠を突きつけて言い逃れを封じ、自供に追い込む、というのが取調べの常道であり、最も有効である。しかし、Nの取調べを担当した刑事の姿勢は全く逆であった。捜査段階で集めていた証拠はいっさい示さず、ただ、相手に何か話したいことがあれば述べさせようとするだけで、およそ追及というようなものではなかった。いきおい、連日の取調べとはいっても、その実、事件の核心を外れた雑談に終始していたのである。Nのほうから問いかけを試みても、肝心の点になると言を左右にしてそらしてしまうようなことも多かった。まあ、互いに肚の探り合いを続けていたといえるかもしれない。 そのような状態がえんえんと続くだけで、これという進展もなく、供述調書の作成にも至らないままに時が過ぎていった。思うに、捜査幹部のほうでも、証拠に絡む不自然な点は認識していたので、立件の妨げになりそうな内容の供述調書なら無用である、と指示していたのであろう。上層部と現場担当者との取調べ方針をめぐるあつれきは少なくなかったようで、日頃は愛想よく応対するように努めている刑事が、上司に呼ばれた直後は、不機嫌な表情をあらわにして戻ってきたものである。 それぞれのメンツが複雑に絡み合い、公安部と刑事部、大阪府警の“暗闘”は混沌を極める――。第3回【中村泰受刑者が“公開の法廷という場”で発言を希望していた理由【警察庁長官狙撃事件の闇】】では、「警察史上最大の八百長ドラマ」とNが表現した“オウム集団4人の逮捕”について、そこに至る最後の過程が語られる』、「それぞれのメンツが複雑に絡み合い、公安部と刑事部、大阪府警の“暗闘”は混沌を極める――」、セクショナリズムが余りに酷いようだ。

第三に、7月15日付けデイリー新潮「中村泰受刑者が“公開の法廷という場”で発言を希望していた理由【警察庁長官狙撃事件の闇】」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/07150852/?all=1
・『・・・5月22日、収容先の東日本成人矯正医療センター(東京都昭島市)で死亡した中村泰(ひろし)受刑者(94)。別の事件で無期懲役中だったが、1995年3月に発生した「国松事件」こと、国松孝次・元警察庁長官の狙撃事件への関与を“自白“していたことでも知られる。2010年3月末に公訴時効を迎え、未解決事件となったこの国松事件について、中村受刑者は「新潮45」に2本の手記を寄せていた。なお、掲載にあたり当時の編集者は一切手を加えていない。 今回公開する手記は、銃撃犯の行動や心理を“推理”する1本目の「国松長官狙撃犯と私」に続く2本目。捜査をめぐる警視庁公安部と警察庁刑事部、大阪府警の“暗闘”を描く内容だ。その第3回は、中村受刑者が「警察史上最大の八百長ドラマ」と表現したオウム関係者の逮捕、そこに至る経緯とその後についてである。 (全3回の第3回:「新潮45」2005年3月号「総力特集 吉と凶・衝撃の七大独占告白手記 国松長官狙撃事件『スナイパー』から『公安警察』への挑戦状」より。文中の「被告」表記、年齢、役職名、団体名、捜査状況等は掲載当時のものです)』、興味深そうだ。
・『公安のスペシャリスト  取調べる側にとって、Nは扱いにくい容疑者であったかもしれない。過激派の連中のように、敵対的に黙否を貫くというのとは違うが、互いに波長が異なって噛み合わない、とでもいえばよいか。Nには、長官狙撃事件ならばともかく、単なる強盗事件で、しかも警察間の面子問題が絡んで扱われているとなれば、次元が低くてまともに論議するに価しない、という思いが心底にあったのだろう。刑事が問い詰めようとしても、むきになって弁明することもなく、柳に風と受け流してしまい、とどのつまりは、何か疑問点があればこういう密室の中ではなく、公開の法廷で堂々と解明しましょうや、という抵抗しがたい論理で片付けてしまうのであった。さらに、Nは老い先短い身を自覚しているからか、既に一身の利害得失は超越しているようなところがあって、一般の犯罪者には有効な利益誘導の手法が通用しないことも厄介だったといえる。 もっとも、通常の利害とは異なるが、彼にもそれなりの思惑はあった。妙な言い方だが、せっかく大阪府警が逮捕してくれたのだから、その流れに乗って立件に持ち込まれれば幸い、という気持があったのだ。つまり、法廷という舞台への出場権を得たかったのである。もし、この事件で起訴されなければ、公判の対象は銃刀法違反事件があるだけで、この場合は起訴事実を全面的に認めているので、ほとんど争点もなく、公判は割合い簡単に終ってしまう。したがって、被告人が発言する機会もあまり期待できないということになる。 Nについては、前年の秋以降、新聞、雑誌、テレビ等を通じて多くの報道が流布されてきたが、それらは誇張、歪曲、中傷、虚偽の入り交じった乱雑で不正確きわまるものだった。そんな報道の断片で真実が伝わるはずもない。彼の実像を知りたいと望む人びとに対して、当人が何を考え、何を企て、何を成してきたか、また、それと警察庁長官狙撃事件との関連性についても、できるかぎりの情報を提供することは、残り少ない人生における最後の義務であろう。社会から、あるいはさらに現世から完全に身を退いてしまう前に、その義務を果たすためには、公開の法廷という場が必要なのである。  6月18日、Nの移送を追いかけるようにして、新任の府警本部長が着任した。自他ともに認める公安のスペシャリストで、かつて警視庁公安部長の職にあった米村敏朗警視監である。公安の代理人とも目されているこの人物が、この時期に大阪府警の最高指揮官の地位に就いたことの意義は小さくない。公安部にとっての当面の緊急の課題はNの封じ込めであり、そのためには、大阪での事件をうまく利用することができれば好都合なのだ。もちろん、本部長が表立って指示するような粗雑な手を使うとは考えられないが、裏面から圧力をかけて目的を達するというのは、公安部の得意技でもある。この後あたりから、上層部の雰囲気が変わってきたようで、現場の担当者との摩擦も多くなってきた。 こうした上からの有形無形の圧力にもかかわらず、はかばかしい進展はなく、取調べの刑事にも焦りの色がみられるようになった。このままでは、検察庁が立件を認めないかもしれない、とも言い出した。これには、そうなってはそちらにとっても不都合だろうという含みがある。確かに、府警とNの双方にとって、その魂胆こそ全く別ものではあるにせよ、差し当たっての表向きの目標には共通するところがあった。府警としては、その面目にかけて、さらに背後で糸を引いている公安部の意向も加わって、なんとしても都島の事件を成立させたかったし、一方、Nにとっては、ここで起訴されなければ社会への窓口が閉じられてしまうことになる。 かといって、一時しのぎの供述書を作ったりするわけにはいかない。へたな小細工などすれば、後日、それが一人歩きして、自分の行動を縛ることにもなりかねない。特に、文書というものにはそういう性質がある。で、結局は消極的な対策で間に合わせるほかなかった。主任検事に対面するときには、何ごとについても具体的な反論をするのは控える、という姿勢を保つことにした。つまり、相手に立件をためらわせるような言動は避けよう、ということである。それが功を奏したかどうかはわからないが、少なくとも妨害にはならなかったと思われる。 しかし、そういう些事よりも、はるかに大きく影響したのは、府警が、きわめて重要な事実を検察庁に隠し通していたことである。実は、Nが名古屋で逮捕される直前まで、その身近に密接に連携して行動を共にしてきた人物がいたのである。だが、この事実を突き止めたのは、大阪府警ではなく、警視庁の刑事部であった。もちろん、警視庁に大阪府警の扱っている都島の事件に介入する意図があったわけではない。警視庁が追っていたのは、あくまで長官狙撃事件である。 警察庁長官襲撃は、その実行に必要ないくつもの条件からして、とうてい一個人が独力で遂行できるものではなく、数の多少はともかくとして、複数の人間が関与していることは確実とみられている。Nが関与しているとすれば、まず、その同志というか、仲間を洗い出すことが不可欠である。その後に、初めて事件の全体像が明らかになる。このことは、オウム教団を標的とした場合にも、小杉元巡査長一人だけを検挙してみても、それだけではどうにもならなかったという前例によく現われている。 こうして、Nの身辺を探る緻密で執拗な捜査が続けられた結果、ついにそれに該当する人物の“影”を焙り出した。とはいえ、その人物が特定されたわけではなく、今のところは、あくまで「影」にすぎない。ただし、実体がなければ生じないという意味での「影」であり、その正体が明らかになれば、事態が一変してしまう存在である。大阪府警が、検察庁に対して、この事実をひた隠しにしていたのも当然である。そんなことが暴露されたら、検察庁の描いた事件をNの単独犯行とする構図は覆ってしまうからだ。そうした共犯関係について、一応の目処がつくまでは立件を見送り、継続捜査の扱いにする、という処分になってしまう。紆余曲折はあったものの、勾留満期となった7月2日に、それまでなんとなく“異床同夢”の関係にあった府警とNの望んだとおり、都島の事件は起訴された。しかし、その両者にもまして、この日を待ち構えていたものこそ公安部にほかならない。これで、公安部が企画していた一大プロパガンダ作戦に対する最大の障害物であったNの身柄は大阪の地に封じ込まれ、もはや警視庁(刑事部)の手に戻ることはなくなった。さらに、接見禁止措置によって、その口封じも仕上がった。南千住署の特捜本部員の大半を蚊帳の外に置いたまま、永井力公安一課長が選抜した特別行動班に、GOサインが発せられた。既にこの日を見越して、佐藤英彦警察庁長官まで抱き込む根回し工作が済んでいたし、その他の準備も整っていたから、その後の進行は順調であった。 こうして、ついに7月7日の七夕祭の日、警察史上最大の八百長ドラマ、オウム関係者四人の逮捕劇の幕開けとなったのである。当日の新聞各紙は、第一面と社会面の殆どを挙げて、この報道に当てた。号外まで出した社もあった。警察当局は九年間もの長い地道な努力の結果、ついに難事件の解決にたどり着いた、と讃辞を呈する評者もいた。 だが、多少とも内情を知っている警視庁刑事部の多くの者が、さらに当の公安部門でさえ心ある者は、今日の各紙の大報道が二十二日後の7月29日の紙面では、どのように一変するかを予想して、背筋に寒いものをおぼえたであろう。もちろん、Nも強い衝撃を受けた一人であったが、彼の場合は一般のそれとは全く違っていた。まかり間違えば、あの新聞の大見出しの名前と顔写真は自分のそれと入れ替っていたかもしれない、という戦慄が先行していたのである。 7月29日の各紙朝刊の紙面は、警察内部の者が危惧していた以上のものになった。逮捕を報じたとき以上の紙面を当てた新聞社もあった。「失策」「不信」「悪夢」などの語句を連ねて、警察をこきおろす論調が溢れていた。この時期に、あえて強制捜査に踏み切ったからには、一般に知られている以上の有力な証拠を抑えているのだろうと期待していたのが、いざ蓋を開けてみたら何もない空洞だった、という肩すかしを食らった反動もあろうが、それにもまして、まんまと公安警察のプロパガンダの片棒を担がされてしまったことへの慚愧と憤懣の現われでもあったのだろう。しかし、もしも報道機関が、小杉元巡査長の一人芝居に終ったこの茶番劇は、実はNという男の突然の出現によって自己の権威が失墜する危機感に怯えた公安部が、巻返しのつもりで企てた苦しまぎれの駄作にすぎなかったという真相を知れば、どのような反応を示したであろうか。 佐藤長官を初めとして、伊藤茂男公安部長、この逮捕劇の企画演出を担当したと思われる水元正時参事官に至るまで、今は現場を去ってしまった。二十二日間の興行を終えると、後は野となれ山となれと逃げ出してしまったようにもみえる。だが、はたしてそれで一件落着となるであろうか。大阪の都島の事件は、一見、長官狙撃事件とは関係がないようにみえる。しかし、実際にはその審理の過程で、関連する事柄が次つぎと浮上してきて、新たな火種となるはずなのだ。 それはひとまずおくとして、公安警察が大義(と彼らが信じているもの)のために、オウム関係者の三人や四人は犠牲にしても止むをえないと考えたとしても、それはそれで仕方がないともいえる。元来、どこの国でも秘密警察というのは、そうした性格のものなのだから。しかし、もしも現場の幹部が、小杉元巡査長が長官狙撃事件の犯人だなどということを、保身策以上に本気で信じているとしたら、これはもう救いがたい。無能を証明する以外の何ものでもないからだ。そして、このような無能な指揮官に率いられている公安部に未来はない。 それぞれのメンツが複雑に絡み合い、公安部と刑事部、大阪府警の“暗闘”は混沌を極めた――・・・』、「Nは老い先短い身を自覚しているからか、既に一身の利害得失は超越しているようなところがあって、一般の犯罪者には有効な利益誘導の手法が通用しないことも厄介だったといえる。 もっとも、通常の利害とは異なるが、彼にもそれなりの思惑はあった。妙な言い方だが、せっかく大阪府警が逮捕してくれたのだから、その流れに乗って立件に持ち込まれれば幸い、という気持があったのだ。つまり、法廷という舞台への出場権を得たかったのである・・・勾留満期となった7月2日に、それまでなんとなく“異床同夢”の関係にあった府警とNの望んだとおり、都島の事件は起訴された。しかし、その両者にもまして、この日を待ち構えていたものこそ公安部にほかならない。これで、公安部が企画していた一大プロパガンダ作戦に対する最大の障害物であったNの身柄は大阪の地に封じ込まれ、もはや警視庁(刑事部)の手に戻ることはなくなった。さらに、接見禁止措置によって、その口封じも仕上がった。南千住署の特捜本部員の大半を蚊帳の外に置いたまま、永井力公安一課長が選抜した特別行動班に、GOサインが発せられた・・・7月7日の七夕祭の日、警察史上最大の八百長ドラマ、オウム関係者四人の逮捕劇の幕開けとなったのである。当日の新聞各紙は、第一面と社会面の殆どを挙げて、この報道に当てた。号外まで出した社もあった。警察当局は九年間もの長い地道な努力の結果、ついに難事件の解決にたどり着いた、と讃辞を呈する評者もいた。 だが、多少とも内情を知っている警視庁刑事部の多くの者が、さらに当の公安部門でさえ心ある者は、今日の各紙の大報道が二十二日後の7月29日の紙面では、どのように一変するかを予想して、背筋に寒いものをおぼえたであろう・・・7月29日の各紙朝刊の紙面は、警察内部の者が危惧していた以上のものになった。逮捕を報じたとき以上の紙面を当てた新聞社もあった。「失策」「不信」「悪夢」などの語句を連ねて、警察をこきおろす論調が溢れていた。この時期に、あえて強制捜査に踏み切ったからには、一般に知られている以上の有力な証拠を抑えているのだろうと期待していたのが、いざ蓋を開けてみたら何もない空洞だった、という肩すかしを食らった反動もあろうが、それにもまして、まんまと公安警察のプロパガンダの片棒を担がされてしまったことへの慚愧と憤懣の現われでもあったのだろう。しかし、もしも報道機関が、小杉元巡査長の一人芝居に終ったこの茶番劇は、実はNという男の突然の出現によって自己の権威が失墜する危機感に怯えた公安部が、巻返しのつもりで企てた苦しまぎれの駄作にすぎなかったという真相を知れば、どのような反応を示したであろうか。 佐藤長官を初めとして、伊藤茂男公安部長、この逮捕劇の企画演出を担当したと思われる水元正時参事官に至るまで、今は現場を去ってしまった。二十二日間の興行を終えると、後は野となれ山となれと逃げ出してしまったようにもみえる。だが、はたしてそれで一件落着となるであろうか」、警察内の公安畑と刑事畑の対立は想像以上に酷いようだ。左翼も大人しくなったことから公安畑は大胆に縮小することも検討すべきだ。
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人工知能(AI)(その17)(AIは欧米諸国の「知能劣化」を加速させるのか E・トッド「民主主義」の終わりとその先の希望、豪首相が謝罪「AIの不祥事」に学ぶリスク管理 迫るEU法規制、日本企業も制裁の対象になる、マイクロソフトやインテルにがっかり…有力投資家たちがAI関連企業に失望し始めたワケ) [イノベーション]

人工知能(AI)については、昨年12月3日に取上げた。今日は、(その17)(AIは欧米諸国の「知能劣化」を加速させるのか E・トッド「民主主義」の終わりとその先の希望、豪首相が謝罪「AIの不祥事」に学ぶリスク管理 迫るEU法規制、日本企業も制裁の対象になる、マイクロソフトやインテルにがっかり…有力投資家たちがAI関連企業に失望し始めたワケ)である。

先ずは、本年4月27日付け東洋経済オンラインが掲載した歴史家・文化人類学者・人口学者のエマニュエル・トッド氏による「AIは欧米諸国の「知能劣化」を加速させるのか E・トッド「民主主義」の終わりとその先の希望」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/748985
・『「世界最高の知性」の一人と言われるエマニュエル・トッド氏。「ソ連崩壊」から「金融危機」まで数々の歴史的出来事を予言してきた彼は、近年、急激な発展を見せている生成AIとどのように向き合っているのか。技術という暴走列車に乗り込んだ私たち人類はいったいどこへ向かっているのか。『人類の終着点戦争、AI、ヒューマニティの未来』(朝日新書)に収録されたトッド氏の新たな予言を公開する』、興味深そうだ。
・『人工知能によってもたらされた「知性の劣化」  Q:テクノロジーの話題に移りたいと思います。2020年代、世界で最も大きな変化の一つは「人工知能の進歩」でした。2022年のChatGPTに代表されるようなAIの登場は世界中に急速に広まり、インターネット上に蓄積された膨大な英知を活用して、私たちに瞬時にアイデアや解決策を提供してくれるようになりました。あなたはそれを試してみたことがありますか。また、どう感じましたか。 エマニュエル・トッド:私も試しました。これについて、私は、フランスの新聞『マリアンヌ』にも記事を書きました。そのときの質問に返ってきた答えはとても面白いものでした。 質問は、このように始めました。「エマニュエル・トッドは、本当に親ロシア派なのか?」と。フランスでは、私は「親ロシア派だ」と非難されているからです。 ChatGPTから返ってきたのは、とても良い、至極普通の答えでした。「〝そうだ?と言う人もいます。しかし、彼は独立した知識人であり、彼の意見は個人的なものです。まずはクレムリンにまったく依存していないと証明する必要がある」と。良い答えだと思いました。そして、私の身に覚えがない発言もいくつか付け加えてきました。つまり、真実ではない要素も含まれていました。 それから、私の研究分野である家族システムなどについても質問しました。そしてそのときに、ChatGPTでどのようなものが得られるか、について正確に理解できました。) 私は「ChatGPTは非常に一般的で、かなりしっかりした答えが得られる」と最初の印象を抱きました。そして次に気づいたのは、得られた答えが基本的にウィキペディアにあるような平均的なものであるということです。 その答えはウィキペディアにあるバイアスをもすべて再現します。家族制度研究の分野で見られる標準的な間違いも完全に無批判に再現しました。つまり、基本的かつ平均的知識は得ることはできますが、その知識は非常に不完全です。これに加えて、イデオロギー的な先行事項――英米の世界でジェンダーや性別などについて見られるような特定の事柄――が加わります。たしかに得られる答えは、技術的な観点から見ると、感動的なものかもしれません。 しかし、研究者の立場から見れば、ChatGPTは数秒で平均的な研究者より少し程度の低い答えを出します。つまり、知識としては、やや後進的な段階なんです。私の推測では、世界中の誰もがChatGPTを大量に使用することで、見かけ上の加速は生まれると思います。しかし、実際には減速です。それは研究を減速させるからです。 人工知能に世界中が熱狂しているのは知っています。人工知能が私たちの生活を変えるということですね。そうです、ChatGPTは私たちの生活を変えるでしょう。でも、それは良いことでもなければ、最悪なことでもないのです。しかしもし、ChatGPTが存在しなかったら、私たちはより悪い状況に陥っていたことでしょう。 そして、私がとくに興味を惹かれるのは、人工知能の話がこのタイミングで出てきたことです。今の時点で西洋世界には、生まれつきの知能の低下が見られます。欧米諸国、とくにプロテスタント諸国では、IQが低下しており、高等教育の水準もどんどん下がっています。私が今話しているのは西洋のことです。インドのような国のことではありません。 生まれつきの知能の低下と人工知能の出現が組み合わさって、生来の知能は劣化版となりつつあります。むしろ「悪化版」と言ったほうがいいかもしれません。しかし、これは非常に個人的な見解です。これは私の研究のメインテーマではないからです』、「私は「ChatGPTは非常に一般的で、かなりしっかりした答えが得られる」と最初の印象を抱きました。そして次に気づいたのは、得られた答えが基本的にウィキペディアにあるような平均的なものであるということです。 その答えはウィキペディアにあるバイアスをもすべて再現します。家族制度研究の分野で見られる標準的な間違いも完全に無批判に再現しました。つまり、基本的かつ平均的知識は得ることはできますが、その知識は非常に不完全です・・・今の時点で西洋世界には、生まれつきの知能の低下が見られます。欧米諸国、とくにプロテスタント諸国では、IQが低下しており、高等教育の水準もどんどん下がっています。私が今話しているのは西洋のことです。インドのような国のことではありません。 生まれつきの知能の低下と人工知能の出現が組み合わさって、生来の知能は劣化版となりつつあります。むしろ「悪化版」と言ったほうがいいかもしれません」、「欧米諸国、とくにプロテスタント諸国では、IQが低下」とは初めて知った。
・『人類には、「歴史」の感覚が必要である  Q:もしAIが人間の知性を抑圧したり劣化させたりするものだとしたら、AIが進展した世界の人間社会はどうなっていくでしょうか。また、私たちが追い求めたいと願う、自由で民主的な世界の実現はより困難になると思いますか。) A:どう言えばいいのでしょうか。でも何よりもまず、私たちは謙虚でなければいけません。 私たちは「歴史とは何か」という感覚を取り戻さなければなりません。西洋思想や標準的な西洋イデオロギーの中心的な問題点の一つは、歴史意識の驚くほどの低下です。 私たちは、もはや長期的な視点で物事を考えなくなりました。「自分たちがどこから来たのか」「何を生き延びてきたのか」「何を成し遂げてきたのか」といったことを考えるのをやめてしまいました。 ある種の健忘症のようなもので、おそらく第2次世界大戦以降の貧困状態から裕福になったことのショックが容赦ないほど大きすぎたのでしょう。 まさしく、インターネット通信が可能で、豊かな都市生活への移行はショックが大きすぎました。そのため、私たちはかつての自分たちとの接点を失ってしまったのです。 自由民主主義のような概念は、過去について私たちが思い出す最後のものです。民主主義に向けて出発した国々であるアメリカ、フランスなどに住む人々はナチズムを完全に忘れてしまいました。ロシアの真の全体主義となった共産主義などについても忘れてしまいました。 すべて忘れ去られてしまいましたが、私たちはこれらすべてを生き延びてきました。そして今、私たちはおびえています。「民主主義が崩壊しつつある」あるいは「すでに崩壊している」という感覚があるからです。私たちはみなしごのようになってしまったのです』、「私たちは、もはや長期的な視点で物事を考えなくなりました。「自分たちがどこから来たのか」「何を生き延びてきたのか」「何を成し遂げてきたのか」といったことを考えるのをやめてしまいました。 ある種の健忘症のようなもので、おそらく第2次世界大戦以降の貧困状態から裕福になったことのショックが容赦ないほど大きすぎたのでしょう・・・私たちはかつての自分たちとの接点を失ってしまったのです。 自由民主主義のような概念は、過去について私たちが思い出す最後のものです。民主主義に向けて出発した国々であるアメリカ、フランスなどに住む人々はナチズムを完全に忘れてしまいました。ロシアの真の全体主義となった共産主義などについても忘れてしまいました・・・私たちはみなしごのようになってしまったのです」、なるほど。
・『たとえ「民主主義」が終わろうとも  でも実際のところ、人類の歴史全体を見れば――偉そうに聞こえたり、人間の苦しみに無関心に聞こえたりしなければいいのですが――人類の歴史のほとんどは、民主主義ではありません。民主主義の後にも人生があるのです。その人生が何であるかはわかりません。 新しい何かが現れるでしょう。アメリカにとっては恐ろしいものかもしれません。しかし、世界の他の国々にとっては、むしろ楽観的な未来がやって来るかもしれません。 先進国の出生率の低さは本当に恐ろしく、私にとっては気候危機よりも恐ろしく感じています。というのも、先進国の人口の減少は人間の知性の低下にもつながるからです。 人は知性の担い手です。しかし、この部分には、私の姿勢におけるパラドックスがあります。将来における恐ろしい要素を指摘はしますが、私は悲観していないのです』、「人類の歴史のほとんどは、民主主義ではありません。民主主義の後にも人生があるのです。その人生が何であるかはわかりません・・・先進国の出生率の低さは本当に恐ろしく、私にとっては気候危機よりも恐ろしく感じています。というのも、先進国の人口の減少は人間の知性の低下にもつながるからです」、なるほど。

次に、7月5日付け東洋経済オンラインが掲載したライターの宮内 健氏による「豪首相が謝罪「AIの不祥事」に学ぶリスク管理 迫るEU法規制、日本企業も制裁の対象になる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/757885
・『急速に生成AIの活用が進む一方、リスクやインシデントの懸念も大きくなってきている。海外ではAIの「ミス」によって数十万人に影響が及び、大きな混乱が起こった事例もある。AIのリスクを正しく認識し、対策するにはどうすればよいか。NTTデータのエグゼクティブ・セキュリティ・アナリスト新井悠氏に聞いた』、興味深そうだ。
・『ディープフェイクを使った詐欺が増加  Q:これまでに発生した生成AIによる主なインシデントについて教えてください。 A:2022年の11月にChatGPTが公開されて以降、自然言語だけでなく画像や動画を生成できるAIが、私たちも使えるようになりました。 ID検出サービスSumsubによると、著名人になりすました動画等で相手を騙すディープフェイクが、2023年は前年に比べて全世界で約10倍に増えたそうです。 具体的には、ディープフェイクを使って嘘の投資話を持ちかけ、お金を入金させて騙し取る詐欺が非常に増加しています』、「2022年の11月にChatGPTが公開されて以降、自然言語だけでなく画像や動画を生成できるAIが、私たちも使えるようになりました・・・著名人になりすました動画等で相手を騙すディープフェイクが、2023年は前年に比べて全世界で約10倍に増えたそうです。 具体的には、ディープフェイクを使って嘘の投資話を持ちかけ、お金を入金させて騙し取る詐欺が非常に増加しています」、なるほど。
・『AIが引き起こす「想定外」の事例の数々  Q:企業経営に大きな影響がありそうなものとしては、どんな事例がありますか。 A:生成AIに限らずAI全般に関するものになりますが、オーストラリア政府が生活困窮者への給付金の不正検知にAIを導入したところ、2015年から2019年にかけて約40万人もの人を「あなたは不正に受給している」と誤って選定し、返還請求を行った事件があります。 (新井 悠氏の略歴はリンク先参照) これにより生活困窮者から17億豪ドル(当時のレートで約1554億円)以上を回収してしまい、2020年に当時のモリソン首相は謝罪に追い込まれました。 この事件のようにAIは異常を検出し、警告を与える仕組みによく使われていますが、オランダでもAIを使った検知システムで問題が発生しています。 こちらは児童への給付金申請における詐欺を検出するAIシステムで、誤って推定2万6000件もの家族が告発されてしまったのです。しかもAIが詐欺と判定するために使っていたパラメーターの中に人種差別的な内容が入っていると指摘されました。 これらはAIが意図せず従来の法的な枠組みでは予防や対処ができない事態を起こしてしまった結果、大規模な経済的損失や社会的な混乱がもたらされた事例です。) 企業がAIを使うときも、こうしたリスクがあることが可視化され始めていると言えます』、「オーストラリア政府が生活困窮者への給付金の不正検知にAIを導入したところ、2015年から2019年にかけて約40万人もの人を「あなたは不正に受給している」と誤って選定し、返還請求を行った事件があります・・・これにより生活困窮者から17億豪ドル(当時のレートで約1554億円)以上を回収してしまい、2020年に当時のモリソン首相は謝罪に追い込まれました」、信じ難いようなミスだ。
・『オープンAIが提訴された「著作権侵害」の問題  Q:AIが倫理的に不適切なアウトプットを作ってしまうなど、ほかにも想定外のさまざまな問題が起こっていますが、こうした問題はなぜ発生するのでしょうか。 A:EUでAIを規制する法案が2021年に公表され、この5月に成立しました。2026年に全面適用される見込みで、AI技術の進展に沿って法律が追い付いていく流れはできています。 しかし、法律で守らなければいけない範囲はこれだ、というものがある一方で、倫理的に受け入れられるべき範囲はなかなか白黒つけられていません。 Q:また、企業にとって気になる問題としては著作権侵害があります。2023年にはニューヨーク・タイムズが著作権を侵害しているとしてオープンAIを提訴しました。 AIは、全般的に元ネタとして学習データを読み込んで文書や画像等を作成しますが、現状では元ネタの中にインターネット上の他人の著作物が含まれていることがあります。その著作物を引用する、あるいは原典を明らかにしないまま別のアウトプットを作ることに対して法的に問題となるかは、まだ明らかな判決が出ていません。) ただし、前述のEUの規制法では生成AIの開発元に対し学習データに対する「透明性」、つまりどんな学習データを使っているかについて、できるだけ健全な形を取るよう要求しています。著作権に関する問題は透明性を担保するためにも、今後解決されていくのではと思います』、「EUの規制法では生成AIの開発元に対し学習データに対する「透明性」、つまりどんな学習データを使っているかについて、できるだけ健全な形を取るよう要求しています。著作権に関する問題は透明性を担保するためにも、今後解決されていくのではと思います」、なるほど。
・『専門部署の設立や、相談できる体制を整える重要性  Q:AIに関するさまざまな問題が発生する中、企業にはどんな対策が必要でしょうか。 A:例えば、AIガバナンスの専門部署を立ち上げることが1つの手でしょう。社員からAIに関する相談を受けたり、AIを使うプロジェクトのチェックと判定を行ったりする部署です。これからAIを活用する機会がますます増えていくので、大きな企業であれば自社内に設置したほうがいいでしょう。 Q:EUで本格的な規制が始まる兆しもありますが、日本企業のリスクは。 A:EUにサービスを提供する日本企業であれば、AI法が今後適用されます。制裁金は最大3500万ユーロ、もしくは年間売上高の7%のうちの大きいほうという巨額になるので、法的なリスクは非常に大きい。 部署を立ち上げるのが難しいのであれば、AI関連や国際法に詳しい外部の専門家や弁護士に相談できる体制を整えることをおすすめします。) AIを使っているうちに「他人の権利を侵害してでも自社の利益を追求している」と自社の評判や社会的な信用を落としてしまうリスクもあり、AIの使用に関わるリスクは経営者がきちんと認識しておくべきです』、「EUにサービスを提供する日本企業であれば、AI法が今後適用されます。制裁金は最大3500万ユーロ、もしくは年間売上高の7%のうちの大きいほうという巨額になるので、法的なリスクは非常に大きい。 部署を立ち上げるのが難しいのであれば、AI関連や国際法に詳しい外部の専門家や弁護士に相談できる体制を整えることをおすすめします。) AIを使っているうちに「他人の権利を侵害してでも自社の利益を追求している」と自社の評判や社会的な信用を落としてしまうリスクもあり、AIの使用に関わるリスクは経営者がきちんと認識しておくべきです」、なるほど。
・『生成AIによる詐欺は、生成AIで制す  Q:生成AIに関して、今後警戒すべき脅威とその対策について教えてください。 A:これまではセキュリティ対策として日本語表現のおかしい「怪しいメールに気を付けて」と言われてきましたが、最近の生成AIは日本語として違和感のない文章が作れるようになっています。サイバー攻撃者はこれを悪用して、正しい日本語で攻撃メールを送れるようになりました。 これにより、従来は日本語の壁が阻んでいた攻撃者からのメールを、人間が読んでも怪しいと気付けない状況が生まれています。しかも人間とは異なり生成AIは疲れませんから、大量にメールを作成することができます。こうなると「怪しいメールに気を付けて」といった個人のリテラシーに頼ったサイバー攻撃対策は難しくなります。 Q:では、どのようにすれば見破れるのでしょうか。 A:実は、生成AIに対しては生成AIで対抗するのが有効で、日本語の違和感がない攻撃メールでも検出してくれます。 昨年、ハーバード大学の学生が生成AIを使った詐欺メールを複数の生成AIを使ってどれくらい検知するかを検証した研究があり、だいたい7割、場合によってはほぼ100%検出できました。 今後のサイバー攻撃対策は生成AIを使った装置を使い、攻撃メールのようなものは読ませない、という方向に進むのではないかと思います。 最近のウイルス対策ソフトもAIを使って検出する製品が増え始めていて、さらにはセキュリティに詳しくない人でもAIとの対話形式で対処方法を相談し、アドバイスを受けられるものが出てきています。あたかも専門人材の手を借りられるような解決策が生まれつつあるので、そういったAI製品をうまく活用することも検討するとよいと思います』、「生成AIに対しては生成AIで対抗するのが有効で、日本語の違和感がない攻撃メールでも検出してくれます。 昨年、ハーバード大学の学生が生成AIを使った詐欺メールを複数の生成AIを使ってどれくらい検知するかを検証した研究があり、だいたい7割、場合によってはほぼ100%検出できました・・・最近のウイルス対策ソフトもAIを使って検出する製品が増え始めていて、さらにはセキュリティに詳しくない人でもAIとの対話形式で対処方法を相談し、アドバイスを受けられるものが出てきています。あたかも専門人材の手を借りられるような解決策が生まれつつあるので、そういったAI製品をうまく活用することも検討するとよいと思います」、便利な時代になったものだ。

第三に、8月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「マイクロソフトやインテルにがっかり…有力投資家たちがAI関連企業に失望し始めたワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/348603
・『世界同時株安の背景には、加熱気味だった投資家の誤解や失望がある。マイクロソフトやインテルなど、大手AI関連企業は設備投資を積み増してきたが、その収益化には時間がかかることが分かったのだ。米国の景気減速によって一部の有力投資家は、割高感のある米国株を売り、現金で滞留させたり、一部を金(きん)に振り向けたりしている。株価下落とは対照的に、金価格がリーマンショック後の高値を更新したことは、世界経済の先行き不安を示唆する』、興味深そうだ。
・『株価「乱高下」の根本的要因は?  7月下旬以降、世界的に株式市場が不安定な展開になっている。要因の一つは、米国経済の後退懸念が高まっていることだ。今年5月まで、米国の労働市場はタイトに推移してきた。実質賃金は高止まりし、個人消費は堅調な展開を維持した。米国は世界経済全体のけん引役を果たしてきたといえる。 ところが、6月に入ると、労働市場の改善ペースが少しずつ鈍化し、低所得層など個人消費は徐々に勢いを失い始めている。7月の米雇用統計では、就業者数が予想以下の伸びとなり、失業率が予想以上を上回り景気後退の不安は高まった。 また、株式市場を先導してきた、米IT先端企業の収益の伸び率にも不透明感が出始めた。AI分野での初期投資は一巡したとみられる。問題は、AI関連の投資が多額になる一方、それに見合った収益をすぐには上げられないことだ。4~6月期の米IT企業の決算を確認すると、予想したほどAIビジネスの収益は増えていない。AI分野では今後も多額の追加投資は必要だが、短期的には収益が上がらないことが懸念される。それも、投資家のAI関連銘柄に対する意識を変化させただろう。 政治リスクの上昇も気がかりだ。11月の大統領選挙後も、米国の社会分断は深刻化する可能性がある。政治リスクが高まると、投資家はリスクを取りづらくなり、米国の景気減速が鮮明化する可能性もありそうだ。こうした状況から、株式など価値の変動リスクを削減する投資家が増えている』、「AI分野では今後も多額の追加投資は必要だが、短期的には収益が上がらないことが懸念される。それも、投資家のAI関連銘柄に対する意識を変化させただろう。 政治リスクの上昇も気がかりだ。11月の大統領選挙後も、米国の社会分断は深刻化する可能性がある。政治リスクが高まると、投資家はリスクを取りづらくなり、米国の景気減速が鮮明化する可能性もありそうだ。こうした状況から、株式など価値の変動リスクを削減する投資家が増えている」、なるほど。
・『米国の景気後退リスクが高まっている  2024年の前半まで、米国では消費は堅調で労働市場がタイト気味に推移した。毎月の時間当たりの賃金は、前年同月比で4.0%を上回った。実質賃金は高止まりし、米国の底堅い個人消費と相対的に高い経済成長を支えた。 AI業界の成長期待も上昇し、米株の上昇を支えてきた。22年以降の金融引き締めにも関わらず、世界の金融市場はカネ余り状況が残り、期待先行で米ナスダック上場銘柄や半導体関連の銘柄は上昇してきた。 7月上旬、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「利下げ」の可能性を示唆。FRBが9月にも利下げを行うとの期待が上昇した。金利低下で、一時的に、日米をはじめ世界的に株価上昇にモメンタム(勢い)が付いた。そうして7月10日、ナスダック総合指数が史上最高値の1万8647.45ポイントを付けた。その時点で、年初からの上昇率は24%に達していた。日経平均株価も最高値を更新した。 しかしながら、景気が長期間にわたって回復傾向を維持することはない。7月下旬、米国では予想を下回る経済指標が増えた。住宅の販売の減少、コロナ禍で空室率が上昇したオフィスなど商業用不動産関連の不良債権増加などだ。景況感の軟化で、FRBは金融引き締めを継続すべきと主張した経済の専門家の見解も変化した。 7月30、31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国経済には利下げが必要との主張が増えた。その背景には、所得水準の低い層を中心に個人消費が減少している懸念があった。米国の景気不安は高まり、割高との指摘が多かったナスダック上場銘柄を中心に、米国の株価は調整した。 それに伴い、リスク回避に動く投資家は増え、ドルが円などに対して下落した。7月末、想定外に日銀が利上げを実施したことも円の買戻しにつながった。円高進行で、日本株を売る海外投資家などは増えた』、「米国の景気不安は高まり、割高との指摘が多かったナスダック上場銘柄を中心に、米国の株価は調整した。 それに伴い、リスク回避に動く投資家は増え、ドルが円などに対して下落した。7月末、想定外に日銀が利上げを実施したことも円の買戻しにつながった。円高進行で、日本株を売る海外投資家などは増えた」、なるほど。
・『AI企業は「すぐ」にはもうけられない  8月2日、米労働省が発表した7月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数の伸びは予想を下回った。失業率は4.3%に上昇した。FRBは、物価安定と完全雇用の二つの責務を負っている(デュアル・マンデート)。金融引き締めによって物価は緩やかに2%に向っている。 一方、金融引き締めにより労働市場が軟化している不安は高まった。米国の個人消費が減少に向かうとともに経済成長率は低下し、企業収益の増加ペースも鈍化するとの懸念から雇用統計発表後、米国株は下落した。 それに加えて、大手AI企業の収益増に時間がかかるとの見方も、株の売り材料になった。22年11月末のChatGPTの公開をきっかけに、関連分野で設備投資を積み増す企業は増えている。投資家の多くは前のめり気味に、設備投資は迅速に収益の獲得に貢献すると考えた。その結果、期待先行で米国などのAI関連銘柄は上昇した。 現在、世界的に生成AI関連の初期投資はほぼ一巡した感がある。重要なのは、今後の展開だ。4~6月期の米主要企業の決算を見ると、AI分野で設備投資を増やしたが、収益が予想を下回った企業が多い。特に、マイクロソフトのクラウド事業(アジュール)の増収率が予想に達せず、この結果に投資家は失望した。アルファベット(グーグル)やメタ(Facebook)、アマゾンなどにも同様のことがいえる。 8月1日に決算を発表したインテルは1万5000人(全従業員の15%)の人員削減も含めたリストラクチャリングを進め、今後の成長の基盤を再構築するという。ただ、それには時間がかかるとみられる。 IT先端企業がAI分野で競争力を発揮するため、今後も設備投資は増えるだろう。投資が遅れれば、競争力低下のリスクは高まる。問題は、投資を実行し、収益が増えるまでに時間がかかることだ。投資を増やし、それに伴い短期的にフリー・キャッシュ・フローが増えるビジネスモデルではない。期待先行で高値圏に上昇した銘柄を売りに回る投資家は増えただろう』、「IT先端企業がAI分野で競争力を発揮するため、今後も設備投資は増えるだろう。投資が遅れれば、競争力低下のリスクは高まる。問題は、投資を実行し、収益が増えるまでに時間がかかることだ。投資を増やし、それに伴い短期的にフリー・キャッシュ・フローが増えるビジネスモデルではない。期待先行で高値圏に上昇した銘柄を売りに回る投資家は増えただろう」、なるほど。
・『米国経済の動向と「金」先物価格に注目  今後の世界の実体経済と株式市場の展開を考える上で最重要なのは、何といっても米国経済の動向だ。4~6月期、米国の実質GDP(国内総生産)は前期比年率で2.8%増加。FRBが推計する潜在成長率(1.8%程度)を上回った。需要項目別に、主に個人消費と設備投資が成長に寄与した。 問題は、ここから先、米国経済がどのような展開を辿るかだ。AI事業での収益化に時間がかかること、インテルのリストラ規模などのファクターを考えると、労働市場は緩やかに軟化傾向をたどる可能性がある。 短期的なハード・ランディング(個人消費が腰折れになるなどして景気が急速に悪化すること)は考えにくいが、成長率は少しずつ低下する可能性が高い。飲食、宿泊などサービス業の分野で雇用機会が減少し、景況感がだれる可能性は高まるだろう。米国経済全体で企業業績が伸び悩むことも懸念される。 景気の減速により、政治リスクは上昇する可能性が高い。近年、世界の政治、経済、安全保障の基軸国家である米国の社会分断が深刻だ。海外との連携か、米国ファーストか、為政者への要求も世論も割れている。 11月の米大統領選挙の結果にもよるが、米国政府は有権者の支持獲得に財政支出を増やす可能性がある。財政支出が増えるとドルの減価リスクは高まる。ドル安により、輸入物価の上昇などによって景気が減速する中で、米インフレ懸念が再燃することも想定される。 米国の景気減速によって、世界全体に負の影響が及ぶことを不安視する投資家は増えた。一部の有力投資家は、割高感のある米国株を売り、現金で滞留させたり、一部を金(きん)に振り向けたりしている。8月1日、金先物価格は1トロイオンス当たり2480.80ドルに上昇し、リーマンショック後の高値を更新した。株価の下落と対照的に金価格が上昇したことも、米国経済の先行き不安の高まりを示唆している。当面、リスクの削減を優先する投資家は増加する可能性が高いだろう』、「米国政府は有権者の支持獲得に財政支出を増やす可能性がある。財政支出が増えるとドルの減価リスクは高まる。ドル安により、輸入物価の上昇などによって景気が減速する中で、米インフレ懸念が再燃することも想定される。 米国の景気減速によって、世界全体に負の影響が及ぶことを不安視する投資家は増えた。一部の有力投資家は、割高感のある米国株を売り、現金で滞留させたり、一部を金(きん)に振り向けたりしている。8月1日、金先物価格は1トロイオンス当たり2480.80ドルに上昇し、リーマンショック後の高値を更新した。株価の下落と対照的に金価格が上昇したことも、米国経済の先行き不安の高まりを示唆している。当面、リスクの削減を優先する投資家は増加する可能性が高いだろう」、なるほど、その通りなのかも知れない。

タグ:宮内 健氏による「豪首相が謝罪「AIの不祥事」に学ぶリスク管理 迫るEU法規制、日本企業も制裁の対象になる」 ダイヤモンド・オンライン 決策が生まれつつあるので、そういったAI製品をうまく活用することも検討するとよいと思います」、便利な時代になったものだ。 「生成AIに対しては生成AIで対抗するのが有効で、日本語の違和感がない攻撃メールでも検出してくれます。 昨年、ハーバード大学の学生が生成AIを使った詐欺メールを複数の生成AIを使ってどれくらい検知するかを検証した研究があり、だいたい7割、場合によってはほぼ100%検出できました・・・最近のウイルス対策ソフトもAIを使って検出する製品が増え始めていて、さらにはセキュリティに詳しくない人でもAIとの対話形式で対処方法を相談し、アドバイスを受けられるものが出てきています。あたかも専門人材の手を借りられるような解 株価の下落と対照的に金価格が上昇したことも、米国経済の先行き不安の高まりを示唆している。当面、リスクの削減を優先する投資家は増加する可能性が高いだろう」、なるほど、その通りなのかも知れない。 「米国政府は有権者の支持獲得に財政支出を増やす可能性がある。財政支出が増えるとドルの減価リスクは高まる。ドル安により、輸入物価の上昇などによって景気が減速する中で、米インフレ懸念が再燃することも想定される。 米国の景気減速によって、世界全体に負の影響が及ぶことを不安視する投資家は増えた。一部の有力投資家は、割高感のある米国株を売り、現金で滞留させたり、一部を金(きん)に振り向けたりしている。8月1日、金先物価格は1トロイオンス当たり2480.80ドルに上昇し、リーマンショック後の高値を更新した。 「EUにサービスを提供する日本企業であれば、AI法が今後適用されます。制裁金は最大3500万ユーロ、もしくは年間売上高の7%のうちの大きいほうという巨額になるので、法的なリスクは非常に大きい。 部署を立ち上げるのが難しいのであれば、AI関連や国際法に詳しい外部の専門家や弁護士に相談できる体制を整えることをおすすめします。) AIを使っているうちに「他人の権利を侵害してでも自社の利益を追求している」と自社の評判や社会的な信用を落としてしまうリスクもあり、AIの使用に関わるリスクは経営者がきちんと認識しておく 「IT先端企業がAI分野で競争力を発揮するため、今後も設備投資は増えるだろう。投資が遅れれば、競争力低下のリスクは高まる。問題は、投資を実行し、収益が増えるまでに時間がかかることだ。投資を増やし、それに伴い短期的にフリー・キャッシュ・フローが増えるビジネスモデルではない。期待先行で高値圏に上昇した銘柄を売りに回る投資家は増えただろう」、なるほど。 東洋経済オンライン べきです」、なるほど。 「米国の景気不安は高まり、割高との指摘が多かったナスダック上場銘柄を中心に、米国の株価は調整した。 それに伴い、リスク回避に動く投資家は増え、ドルが円などに対して下落した。7月末、想定外に日銀が利上げを実施したことも円の買戻しにつながった。円高進行で、日本株を売る海外投資家などは増えた」、なるほど。 「人類の歴史のほとんどは、民主主義ではありません。民主主義の後にも人生があるのです。その人生が何であるかはわかりません・・・先進国の出生率の低さは本当に恐ろしく、私にとっては気候危機よりも恐ろしく感じています。というのも、先進国の人口の減少は人間の知性の低下にもつながるからです」、なるほど。 私たちはかつての自分たちとの接点を失ってしまったのです。 自由民主主義のような概念は、過去について私たちが思い出す最後のものです。民主主義に向けて出発した国々であるアメリカ、フランスなどに住む人々はナチズムを完全に忘れてしまいました。ロシアの真の全体主義となった共産主義などについても忘れてしまいました・・・私たちはみなしごのようになってしまったのです」、なるほど。 「私たちは、もはや長期的な視点で物事を考えなくなりました。「自分たちがどこから来たのか」「何を生き延びてきたのか」「何を成し遂げてきたのか」といったことを考えるのをやめてしまいました。 ある種の健忘症のようなもので、おそらく第2次世界大戦以降の貧困状態から裕福になったことのショックが容赦ないほど大きすぎたのでしょう・・・ 「AI分野では今後も多額の追加投資は必要だが、短期的には収益が上がらないことが懸念される。それも、投資家のAI関連銘柄に対する意識を変化させただろう。 政治リスクの上昇も気がかりだ。11月の大統領選挙後も、米国の社会分断は深刻化する可能性がある。政治リスクが高まると、投資家はリスクを取りづらくなり、米国の景気減速が鮮明化する可能性もありそうだ。こうした状況から、株式など価値の変動リスクを削減する投資家が増えている」、なるほど。 真壁昭夫氏による「マイクロソフトやインテルにがっかり…有力投資家たちがAI関連企業に失望し始めたワケ」 今の時点で西洋世界には、生まれつきの知能の低下が見られます。欧米諸国、とくにプロテスタント諸国では、IQが低下しており、高等教育の水準もどんどん下がっています。私が今話しているのは西洋のことです。インドのような国のことではありません。 生まれつきの知能の低下と人工知能の出現が組み合わさって、生来の知能は劣化版となりつつあります。むしろ「悪化版」と言ったほうがいいかもしれません」、「欧米諸国、とくにプロテスタント諸国では、IQが低下」とは初めて知った。 「私は「ChatGPTは非常に一般的で、かなりしっかりした答えが得られる」と最初の印象を抱きました。そして次に気づいたのは、得られた答えが基本的にウィキペディアにあるような平均的なものであるということです。 その答えはウィキペディアにあるバイアスをもすべて再現します。家族制度研究の分野で見られる標準的な間違いも完全に無批判に再現しました。つまり、基本的かつ平均的知識は得ることはできますが、その知識は非常に不完全です・・・ 『人類の終着点戦争、AI、ヒューマニティの未来』(朝日新書) エマニュエル・トッド氏による「AIは欧米諸国の「知能劣化」を加速させるのか E・トッド「民主主義」の終わりとその先の希望」 「EUの規制法では生成AIの開発元に対し学習データに対する「透明性」、つまりどんな学習データを使っているかについて、できるだけ健全な形を取るよう要求しています。著作権に関する問題は透明性を担保するためにも、今後解決されていくのではと思います」、なるほど。 「オーストラリア政府が生活困窮者への給付金の不正検知にAIを導入したところ、2015年から2019年にかけて約40万人もの人を「あなたは不正に受給している」と誤って選定し、返還請求を行った事件があります・・・これにより生活困窮者から17億豪ドル(当時のレートで約1554億円)以上を回収してしまい、2020年に当時のモリソン首相は謝罪に追い込まれました」、信じ難いようなミスだ。 「2022年の11月にChatGPTが公開されて以降、自然言語だけでなく画像や動画を生成できるAIが、私たちも使えるようになりました・・・著名人になりすました動画等で相手を騙すディープフェイクが、2023年は前年に比べて全世界で約10倍に増えたそうです。 具体的には、ディープフェイクを使って嘘の投資話を持ちかけ、お金を入金させて騙し取る詐欺が非常に増加しています」、なるほど。 (その17)(AIは欧米諸国の「知能劣化」を加速させるのか E・トッド「民主主義」の終わりとその先の希望、豪首相が謝罪「AIの不祥事」に学ぶリスク管理 迫るEU法規制、日本企業も制裁の対象になる、マイクロソフトやインテルにがっかり…有力投資家たちがAI関連企業に失望し始めたワケ) 人工知能(AI)
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昨日予告したように本日は更新を見送るので、明日にご期待を!

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日本の政治情勢(その74)(石破首相の勝敗ライン「自公で過半数」の難しさ 党首討論で野田氏と「がっぷり四つの論戦」展開、杉田水脈氏は最初から参院選狙い? 衆院選不出馬の裏で囁かれる“就活”のえげつなさ、旧安倍派メンバー激怒「石破政権をボコボコにしてやる」自民党が「裏ガネ総選挙」で壮絶な仲間割れ…!「落選危機」候補者の「実名」を大公開する、解散日も人事もすべて言いなり…!“仲間がいない”石破が頼った、意外な「長老議員」の名前) [国内政治]

日本の政治情勢については、本年10月10日に取上げたばかりだが、今日は、(その74)(石破首相の勝敗ライン「自公で過半数」の難しさ 党首討論で野田氏と「がっぷり四つの論戦」展開、杉田水脈氏は最初から参院選狙い? 衆院選不出馬の裏で囁かれる“就活”のえげつなさ、旧安倍派メンバー激怒「石破政権をボコボコにしてやる」自民党が「裏ガネ総選挙」で壮絶な仲間割れ…!「落選危機」候補者の「実名」を大公開する、解散日も人事もすべて言いなり…!“仲間がいない”石破が頼った、意外な「長老議員」の名前)である。

先ずは、10月11日付け東洋経済オンラインが掲載した 政治ジャーナリストの泉 宏氏による「石破首相の勝敗ライン「自公で過半数」の難しさ 党首討論で野田氏と「がっぷり四つの論戦」展開」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/833035
・『衆院は9日午後に解散され、15日公示、27日投開票の日程で総選挙が実施される。候補者を擁立する各党、各団体などはすでに選挙準備を整えており、直ちに実質的な選挙戦がスタートした。解散を決めた石破茂首相(自民党総裁)は1日に就任したばかりで、8日後の解散は戦後最短で、まさに「超短期決戦」となる。 解散に先立ち、9日が会期末となった国会は、同日午後1時からの党首討論で、石破首相と野田佳彦・立憲民主党代表、馬場伸幸・日本維新の会代表、田村智子・共産党委員長、玉木雄一郎・国民民主党代表が対峙し、それぞれ突っ込んだ論戦を展開した。 その中で、先陣を切った野田氏は、石破氏と同い年の首相経験者として、持ち時間40分をフルに使い「がっぷり四つの論戦」を展開した。その中で野田氏は、自民党がいわゆる「裏金議員」について「一部を非公認も、大半は比例重複は認めずに公認」との方針を固めたことについて、「公認するというのはお墨付きを与えることだ。脱税まがいのことをやった人たちに、血税が支払われるかもしれない」と厳しく批判した。 これに対し石破首相は「裏金というのは決めつけだ。脱税で誰も立件されていない。脱税というのは決めつけだ」「大変厳正な議論をして決めたもので、あとは国民の皆様の判断にゆだねる」などと反論した』、「野田氏は、自民党がいわゆる「裏金議員」について「一部を非公認も、大半は比例重複は認めずに公認」との方針を固めたことについて、「公認するというのはお墨付きを与えることだ。脱税まがいのことをやった人たちに、血税が支払われるかもしれない」と厳しく批判した。 これに対し石破首相は「裏金というのは決めつけだ。脱税で誰も立件されていない。脱税というのは決めつけだ」などと反論』、なるほど。
・『石破首相、非公認候補らの追加公認を認める  その上で石破首相は、野田氏の「事件に絡んで非公認にした議員が無所属で当選した際、追加公認するか」との質問に「それは仮定の話だが、主権者たる国民が判断をされた場合には、それは公認するということはある」と追加公認する考えを示唆した。 さらに、維新・馬場氏との質疑でも、次期参院選での参院裏金議員への対応について「同じ対応をする」と明言、今回の処分基準に沿って非公認や比例名簿からの除外を決める考えを示した。) 党首討論開催は今年6月以来。特に今回は野党の強い要求も踏まえ、開催時間を従来の45分間からほぼ倍増の80分間に拡大した。これにより、4党首の持ち時間は野田氏40分、馬場氏20分、田村、玉木両氏各10分となり、「従来の言いっ放し、聴きっ放しではない、聞きごたえのある論戦」(政治ジャーナリスト)となった。 さらに、持ち時間拡大を踏まえて「野党4党首も相互に連携して石破首相を攻め立てる戦略を取り、それぞれが国民にアピールするためだけの同趣旨の追及や質問は控えた」(同)ことで、「従来とは一味違った中身の濃い論戦となった」(同)ことは間違いない』、「党首討論」では、「持ち時間拡大を踏まえて「野党4党首も相互に連携して石破首相を攻め立てる戦略を取り、それぞれが国民にアピールするためだけの同趣旨の追及や質問は控えた」(同)ことで、「従来とは一味違った中身の濃い論戦となった」、いいことだ。
・「憲法改正」では馬場氏の注文に“同調”  特に、馬場氏が憲法改正について「衆参両院の憲法審査会で改憲論議が進まない。この壁を突破するために首相がスタートボタンを押すべきだ」と注文をつけると、石破首相も「(改憲は)自民の党是だ。党総裁として改憲が発議され、国民投票をする日が一日も早くなるよう、可能な限り努力する」と応じた。 また、田村氏が「最低賃金の大幅引き上げには、中小企業への直接支援が必要」などと要求したのに対し、石破首相は「全体主義国家ではないので政府が直接お金を払う手法が必ずしも正しいとは思えない」と反論しつつも、「あなたの思いは私とも共通する部分がある」などと、あえて寄り添う姿勢もにじませた。 石破首相は討論の最中には、身を乗り出して相手の主張、要求を聞き、大きくうなずく場面も多かった。その一方で、石破首相の背後に陣取った与党幹部や閣僚たちは総じて複雑な表情で見守る場面も多かった。とりわけ、石破氏の力を込めた反論に苦笑する閣僚もあり、従来の党首討論に比べて与党席からの拍手もまばらだったことが、「石破首相に対する党内の不満の広がりを浮き彫りにした格好」(自民長老)だ。) この党首討論に先立ち、政府は9日午前の臨時閣議で衆院解散を決定。これを受け党首討論から間を置かず、午後3時半に解散のための衆院本会議が設定された。しかし、野党側がその直前に内閣不信任決議案を提出したため、本会議開始が約30分間遅れるという異例の事態ともなった』、「石破氏の力を込めた反論に苦笑する閣僚もあり、従来の党首討論に比べて与党席からの拍手もまばらだったことが、「石破首相に対する党内の不満の広がりを浮き彫りにした格好」」、なるほど。
・『官邸会見で「勝敗ラインは自公で過半数」と明言  こうした解散までの経過も踏まえ、石破首相は9日夜、首相官邸で会見し、“裏金議員”の公認問題も含め、衆院選に臨む自らの姿勢をアピールしたが、その中で今回の解散を「日本創生解散」と命名してみせた。さらに、勝敗ラインについては「自公両党での過半数(233議席)の獲得」と明言した。 この勝敗ラインは、2012年暮れの第2次安倍政権発足以来、安倍晋三(故人)、菅義偉、岸田文雄各首相が掲げたものと同じだ。ただ、「これまでは簡単に超えられるハードルだったが、今回ばかりは身長を超える高さとなる」(自民選対)との見方も多く、多くの選挙専門家の事前予想でも「自公過半数割れの可能性は少なくない」(有力アナリスト)との指摘が出ている。このため、与党内に「自公過半数割れとなったら、石破首相の責任が厳しく問われ、政局が大混乱に陥る」(閣僚経験者)との不穏な臆測も広がる。 そうした状況の中、石破首相は10日午前0時過ぎに政府専用機で飛び立った。就任後初の首脳外交のための外国訪問となるASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議などに出席するためで、10日朝には開催国のラオスに到着した。石破首相は同首脳会議に合わせて、韓国や中国などとの首脳会談も行い、各国の首脳との関係構築を図りたい考えで、帰国は12日朝となる予定。 これに先立ち、石破首相は9日夜、首相官邸で記者団に対し「日本とASEANは信頼のパートナーであり、関係をさらに強化し、安全保障分野などでの協力をさらに進めたい」と石破外交への意欲と自信をアピールした。 ただ、石破首相にとって、衆院解散直後の外国出張となることに加え、帰国後の12日午後には日本記者クラブ主催の「党首討論会」が設定されているなど、「超過密スケジュール」(外務省幹部)を余儀なくされる。党首討論後の衆院本会議ではあくびをかみ殺す場面もあり、疲労の色は隠せなかった。 このため、官邸筋も「帰国直後から遊説日程が詰まっており、体力が続くかどうか」と不安を隠せず、石破首相にとって、自らが決断した「10・27衆院選」までの半月余りは「まさに死に物狂いで戦うしかない」(側近)こととなることは間違いなさそうだ』、「勝敗ラインについては「自公両党での過半数(233議席)の獲得」と明言した。 この勝敗ラインは、2012年暮れの第2次安倍政権発足以来、安倍晋三(故人)、菅義偉、岸田文雄各首相が掲げたものと同じだ。ただ、「これまでは簡単に超えられるハードルだったが、今回ばかりは身長を超える高さとなる」(自民選対)との見方も多く、多くの選挙専門家の事前予想でも「自公過半数割れの可能性は少なくない」(有力アナリスト)との指摘が出ている。このため、与党内に「自公過半数割れとなったら、石破首相の責任が厳しく問われ、政局が大混乱に陥る」(閣僚経験者)との不穏な臆測も広がる・・・官邸筋も「帰国直後から遊説日程が詰まっており、体力が続くかどうか」と不安を隠せず、石破首相にとって、自らが決断した「10・27衆院選」までの半月余りは「まさに死に物狂いで戦うしかない」(側近)こととなることは間違いなさそうだ」、なるほど。

次に、 10月12日付けYahooニュースが転載した日刊ゲンダイ「杉田水脈氏は最初から参院選狙い? 衆院選不出馬の裏で囁かれる“就活”のえげつなさ」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8c67d0d93c0e2d886dc033fa68a95eb46473bc8f
・『衆院選(15日公示、27日投開票)が目前に迫る中、中ぶらりんになっていた自民党の杉田水脈前衆院議員(比例中国ブロック)が不出馬に追い込まれた。自民は11日、第2次公認を公表。そこに旧安倍派の裏金議員である杉田氏、尾身朝子氏(比例北関東)、上杉謙太郎氏(比例東北)の名前はなかった。森山幹事長は「3人とも辞退された。不記載を深く反省をして再起を目指したいとの意向だった」と説明したが、そんな生易しい話ではないようだ。 【一覧表】石破自民は反省ゼロ!「非公認」逃れた“裏金議員”34選挙区はココだ 数々のヘイトスピーチで知られる杉田の初当選は2012年。日本維新の会公認で旧兵庫6区に立ち、比例復活で滑り込んだ。間もなく浪人生活に入り、国連女性差別撤廃委員会の参加者を「アイヌの民族衣装のコスプレおばさん」などとブログで揶揄。ネトウヨ言動が保守層の一部に受け、安倍晋三元首相の声掛けで17年に返り咲き。その後「比例単独は2回まで」の枠を使い切っていた。 「日本会議などのいわゆる岩盤保守層に支えられる杉田氏は、所属する山口県連に公認申請を求めるよう促されたこともあってプッシュ。県連は党内ルールを棚上げして党本部に申請をしたものの、見通しが立っていたわけではなかった。というのも、杉田氏は計1564万円の裏金をつくり、4月に役職停止6カ月の処分まで受けていたし、後押しする理由に乏しい。本人は本人で、衆院がダメなら来夏の参院選に回してほしいと当初から懇願していました」(県連関係者)  杉田はくだんの差別投稿をめぐり、23年に札幌と大阪の法務局に人権侵犯と認定された。LGBTQなどの性的少数者について「生産性がない」と寄稿し、月刊誌を休刊に追い込んだ過去もある。 えげつない差別主義者は、どう考えたって良識の府にふさわしくない』、「ネトウヨ言動が保守層の一部に受け、安倍晋三元首相の声掛けで17年に返り咲き。その後「比例単独は2回まで」の枠を使い切っていた。 「日本会議などのいわゆる岩盤保守層に支えられる杉田氏は、所属する山口県連に公認申請を求めるよう促されたこともあってプッシュ。県連は党内ルールを棚上げして党本部に申請をしたものの、見通しが立っていたわけではなかった。というのも、杉田氏は計1564万円の裏金をつくり、4月に役職停止6カ月の処分まで受けていたし、後押しする理由に乏しい。本人は本人で、衆院がダメなら来夏の参院選に回してほしいと当初から懇願していました」、さて「参院選」の方に潜り込めるか注目点だ。

第三に、10月12日付け現代ビジネス「旧安倍派メンバー激怒「石破政権をボコボコにしてやる」自民党が「裏ガネ総選挙」で壮絶な仲間割れ…!「落選危機」候補者の「実名」を大公開する」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/139056?imp=0
・『東京で「旧安倍派全滅」も:「驚いちゃったよ。ひどいですよ、本当に」 こう憤るのは、元復興大臣の平沢勝栄氏(東京17区)だ。1996年の初当選から9期務めたベテランだが、衆院選で「非公認」の憂き目に遭った。 「石破総理と何回も話をしたんですよ。総理は『先生が問題になるようなことは絶対にしません』とずっと言っていたのに、全部ウソだったんだ」 平沢氏は資金管理団体「勝栄会」に、所属する旧二階派(志帥会)から計1080万円の収入があったにもかかわらず、収支報告書に記載しなかったとして党役職停止1年の処分を受けた。いわゆる「裏金議員」である。 自民党は今回、裏金で「党の役職停止」以上の重い処分を受けた議員を公認しない見通しだ。急転直下の決断によって、どの候補者に赤信号が灯ったのか』、「平沢氏は資金管理団体「勝栄会」に、所属する旧二階派(志帥会)から計1080万円の収入があったにもかかわらず、収支報告書に記載しなかったとして党役職停止1年の処分を受けた。いわゆる「裏金議員」である。 自民党は今回、裏金で「党の役職停止」以上の重い処分を受けた議員を公認しない見通しだ。急転直下の決断によって、どの候補者に赤信号が灯ったのか」、なるほど。
・『【一覧】壮絶な仲間割れ…! 自民党「落選候補者」 24人の実名はこちら…!  落選危機の議員が最も多いのは、首都・東京だ。しかも、大物ばかりである。平沢氏だけでなく、旧安倍派「5人衆」の筆頭として裏金・統一教会問題の中核にいた萩生田光一元政調会長(24区)、同じく旧安倍派ベテランの下村博文元政調会長(11区)も、公認を得られず無所属での出馬となる。萩生田氏は5年間で2728万円、下村氏は476万円の不記載があった』、「旧安倍派「5人衆」の筆頭として裏金・統一教会問題の中核にいた萩生田光一元政調会長(24区)、同じく旧安倍派ベテランの下村博文元政調会長(11区)も、公認を得られず無所属での出馬となる。萩生田氏は5年間で2728万円、下村氏は476万円の不記載があった」、比例復活が見込めないだけに、選挙区での勝敗が大いに注目される。
・『「ポスターを貼らせたくない」  萩生田氏の東京24区には、立憲民主党が「刺客」として前参院議員の有田芳生氏を立てる。野党の候補者調整が成れば萩生田氏の落選も視野に入るが、「有田さんは立憲の中でも共産党に近い議員だから、学会は反有田で動くはず」(自民党東京都連関係者)との見方もある。 「問題は、萩生田さんも下村さんも、仮に当選できたとしても、当面の間は自民党の看板を背負って活動はできない見通しだということ。来年7月の参院選への悪影響を、石破執行部は懸念しているんです」(同前) 彼らのように重い処分を受けたわけではなくとも、東京には「比例復活ナシ」を言い渡された裏金議員が多い。たとえば参院から鞍替えする丸川珠代元五輪担当大臣(東京7区)だ。前出と別の都連関係者が嘆く。 「丸川さんはパー券売り上げのノルマ超過分822万円を、自分の個人口座に入れていた。さすがにイメージが悪すぎます。しかも、東京7区には区割り変更で旧1・2区の港区の一部が入るが、港区の支援者は丸川さんのポスターを貼らせないほど拒否反応が強い」 保守票を丸川氏と維新の小野泰輔氏が取り合う展開になれば、立憲の松尾明弘氏が漁夫の利を得るだろう。さらに東京では1区の山田美樹氏(不記載額76万円)、21区の小田原潔氏(1240万円)も比例復活ができない』、「丸川珠代元五輪担当大臣」は「パー券売り上げのノルマ超過分822万円を、自分の個人口座に入れていた」、飛んでもないことだ。落選させるべきだ。
・『「比例名簿に載せるな」  ここまで名前が出た候補者は、平沢氏を除いて全員が旧安倍派の所属である。いっぽう東京以外の地域でも、とりわけ保守系が弱い北日本や大都市部で窮地に陥る自民党候補が続出しそうだ。 北から見ると、北海道5区の和田義明氏、岩手3区の藤原崇氏、福島3区の菅家一郎氏らが「裏金」「統一教会」の問題で党から名指しされたうえ、旧安倍派所属だ。 「菅家さんは、裏金を自分の名義で政党支部に寄付し、148万円の所得税控除を受けるという荒技をやっていた。裏金の額も1289万円と大きく、前回も僅差で立憲の小熊慎司さんに敗れた」(自民党福島県連関係者) 「藤原さんは、青年局長在任中の『和歌山セクシーダンサー事件』や、自身が擁立した広瀬めぐみ参院議員(当時)の秘書給与詐取などトラブルが続出。裏金は14万円と少額でしたが、今回は(対抗馬で立憲の)小沢一郎さんが頻繁に地元に入っているので、厳しい情勢です」(岩手県連関係者) 関東・北陸では「ヤンキー先生」で知られる神奈川16区の義家弘介氏、埼玉13区の三ッ林裕巳氏、新潟5区の高鳥修一氏の3人が「裏金」「統一教会」「旧安倍派」が揃った候補者だ。さらに福井2区の元党国対委員長・高木毅氏は、統一教会との接点こそなかったとみられるが、1019万円の裏金で半年間の党員資格停止処分を受けており、非公認となる。 「高木さんは処分期間が終わったばかりのため、北陸の各地方本部から『比例全体の得票が減るから、北陸信越ブロックの比例名簿に高木を絶対に載せるな』という要請が党本部に届いていた。これが石破総理の強硬な対応の引き金になった、とも言われています」(前出と別の旧安倍派議員) 以前から野党が優勢な愛知では、安倍元総裁のもと'12年の総選挙で初当選した熊田裕通氏(1区)、青山周平氏(12区)が苦戦を強いられそうだ。 熊田氏の相手は、日本保守党から出馬する名古屋市長・河村たかし氏。 「河村さんは県外では奇人だと思われているが、県民や名古屋市民からは『減税や市職員の人件費カットなどを手堅く進めている』と意外に評価が高い。何より、知名度で熊田さんは全く相手にならない」(愛知県連関係者)』、「「高木さんは処分期間が終わったばかりのため、北陸の各地方本部から『比例全体の得票が減るから、北陸信越ブロックの比例名簿に高木を絶対に載せるな』という要請が党本部に届いていた。これが石破総理の強硬な対応の引き金になった、とも言われています」、「北陸の各地方本部から『比例全体の得票が減るから、北陸信越ブロックの比例名簿に高木を絶対に載せるな』という要請が党本部に届いていた。各地方本部からこんな「要請」が寄せられるようでは、選挙区の得票も期待できず苦戦するだろう。
・『石破をボコボコにする  関西では、維新王国・大阪で自民の議席を死守していた13区の宗清皇一氏、19区の谷川とむ氏がともに前回は比例復活だったこともあり、落選濃厚とみられている。また「旧安倍派5人衆」に名を連ねていた大物、和歌山2区の世耕弘成氏と兵庫9区の西村康稔氏は、無所属でゼロからの再スタートとなる。 今回「非公認」と「比例重複ナシ」の候補者を数えると、自民党全体で40人を超える。うち前回も比例復活で当選した議員は9人で、その全員が旧安倍派の所属だ。 加えて萩生田氏や下村氏、世耕氏、西村氏に高木氏といった重鎮も地べたに突き落とされ、この総選挙で旧安倍派が壊滅することは確実となった。ここまでに名前が挙がった一人の、ある旧安倍派議員が憤慨する。 「すでに処分は一度下されたのに、石破さんや党執行部の一存でそれを蒸し返すなんて、ふざけていますよ。こうなったら、石破さんは安倍さんをさんざん批判してきたんだから、同じことをするまで。今度は僕らが『党内野党』になって石破政権をボコボコにする」 だが、傍流から本流の座を奪い取った石破総理の側も、無傷で選挙を乗り切ることはできなそうだ。政権や執行部の中にも、選挙区で敗れかねない候補者が少なくない。 法務大臣として初入閣した牧原秀樹氏(埼玉5区)、石破総理の推薦人で農水大臣として初入閣した鹿児島3区の小里泰弘氏はいずれも前回、比例復活でかろうじて当選している。牧原氏の相手は立憲の枝野幸男元代表である。 「小里さんは同じ鹿児島出身の森山幹事長が閣内に押し込んだが、2019年に女子大生と『愛人契約』を結んでいたと『週刊新潮』に報じられた件が、まだ地元の女性支援者の間で尾を引いている。復興大臣に抜擢された愛知8区の伊藤忠彦さんは、地元に戻っておらず、前回は次点にわずか1000票差まで詰められた」(自民党閣僚経験者) たとえ旧安倍派や裏金議員を「いけにえ」としても、自民党そのものに対する国民の怒りと落胆が鎮まるわけではない。 「党の最新の調査では、単独過半数の233議席割れは確実。最悪、自公でも過半数に届かない。その時は即、倒閣運動が始まる」(同前)とみる者も党内に多く、石破政権は超短命の「選挙管理内閣」と化すかもしれない。 石破総理が尊敬する田中角栄元総理は「政治は数、数は力だ」と断言していた。いま、総理はその言葉の重みを噛みしめているに違いない』、「今回「非公認」と「比例重複ナシ」の候補者を数えると、自民党全体で40人を超える。うち前回も比例復活で当選した議員は9人で、その全員が旧安倍派の所属だ。 加えて萩生田氏や下村氏、世耕氏、西村氏に高木氏といった重鎮も地べたに突き落とされ、この総選挙で旧安倍派が壊滅することは確実となった・・・「党の最新の調査では、単独過半数の233議席割れは確実。最悪、自公でも過半数に届かない。その時は即、倒閣運動が始まる」(同前)とみる者も党内に多く、石破政権は超短命の「選挙管理内閣」と化すかもしれない」、なるほど。
・『・・・P5以降は「落選危機」自民党議員の選挙区別の一覧があるので、参考にされたい((リンク先参照)

第四に、10月13日付け現代ビジネス「解散日も人事もすべて言いなり…!“仲間がいない”石破が頼った、意外な「長老議員」の名前」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/139053?imp=0
・『総裁選では「解散は予算委員会を開いてから」と主張していたにもかかわらず、突如として「10月27日に総選挙を行いたい」と宣言し、世間を驚かせた石破総理。さらに裏金議員を「原則公認」とする報道が出る。 ところが、直後に裏金議員の一部を公認せず、公認する場合も比例代表との重複立候補を認めない方針を打ち出した。いったい何が起きているのか? 共同通信社特別編集委員の久江雅彦氏と元NHK政治部記者の岩田明子氏が官邸の裏側を語り尽くす!』、興味深そうだ。
・『「進次郎日程」で決められていた総選挙(Qは聞き手の質問)  Q:石破茂総理は10月9日に解散して、衆院選は27日投開票となりました。いずれも総理就任から戦後最短となる日程です。 久江:この総選挙の日程は小泉進次郎さんが総裁になる前提ですでにつくられていました。幹事長に就いた森山裕さんと自民党事務総長の元宿仁さんが、絶対にこの日しかないと決めていたんです。 総裁選翌日に石破さんと森山さんが赤坂の議員宿舎で協議した際、森山さんが10月27日投開票の「進次郎日程」を強く迫ったそうです。 岩田:石破さんは総裁選では予算委員会を開催すると言っていたのに、党首討論だけで解散に踏み切りました。早速、「言行不一致」です。とはいえ仲間の少ない石破さんは、経験値の高い森山さんに頼るしかないのでしょう。 久江:実は遡ること9月24日、国連総会が開かれたニューヨークから帰国した岸田さんが、石破さんと電話で話しています。外交・経済政策の継承や国会の日程について話し合い、石破さんが岸田さんの要望を受け入れることと引き換えの形で、総裁選の支援を取り付けたのです。その際、岸田さんは、森山さんを幹事長にしてくれという趣旨のことを言っています。その後、石破さんは森山さんに党人事を委ねました』、「この総選挙の日程は小泉進次郎さんが総裁になる前提ですでにつくられていました。幹事長に就いた森山裕さんと自民党事務総長の元宿仁さんが、絶対にこの日しかないと決めていたんです。 総裁選翌日に石破さんと森山さんが赤坂の議員宿舎で協議した際、森山さんが10月27日投開票の「進次郎日程」を強く迫ったそうです。 岩田:石破さんは総裁選では予算委員会を開催すると言っていたのに、党首討論だけで解散に踏み切りました。早速、「言行不一致」です。とはいえ仲間の少ない石破さんは、経験値の高い森山さんに頼るしかないのでしょう」、もともとが「進次郎日程」だったとは初めて知った。
・『「お友達じゃない内閣」の誕生  Q:石破内閣の布陣を見て、どう思いますか? 岩田:石破さんは筋金入りの財政規律派だと指摘する声をよく耳にしますが、内閣の布陣を見るとそうでもない。 経済再生担当大臣の赤沢亮正さんは緊縮財政に反対の立場だし、財務大臣の加藤勝信さんも厚生労働大臣時代に財務省の意向をあまり汲まなかったので、財務省からは歓迎されていない。 ただ石破さんにとってはこれが精一杯の人事で、あとは義理がある人など戦力とは思えない人をたくさん入れてしまった。 久江:石破内閣は、総裁選の決選投票で石破さんに入れた人たちで構成されています。石破さんの推薦人や旧岸田派、進次郎さん・菅さんを中心とした3つのグループと、参議院平成研を中心とする旧茂木派の一角、河野太郎さんの推薦人だった麻生派の一部、武田良太さんに付いていた旧二階派の一部です。 ちなみに村上誠一郎さんには最初は別のポストを考えていたけれど、最終段階になって総務大臣を打診しています。石破さんは初めから村上さんを入閣させるつもりだったようですが、過去の安倍さんへの「国賊」発言に対する党内の反発への遠慮から、すんなりと決まらず、最後に決める形となりました。 岩田:そういう決め方だから何をやりたいのか、メッセージが伝わらない内閣になってしまった。 さらに高市早苗さんに総務会長を、小林鷹之さんに広報本部長を打診しましたが、断られて火種を残してしまった、 久江:今回の人事について、一部で「お友達内閣」などと言われているけれど、実は「お友達じゃない内閣」なんです。本当に仲がいいのは、防衛大臣の中谷元さんくらい。防衛大臣経験者の岩屋毅外務大臣や小野寺五典政調会長は国防部会や安全保障調査会で一緒だったけれど、実はそこまで石破さんと親密ではありませんでした。 岩田:友達がいないから岸田さんや森山さんがコントロールしやすい。 久江:おっしゃるとおりで、詰め合わせの幕の内弁当のような感じになって、逆にバランスがいい政権ができあがったと思います(笑)。石破さんはずっと「党内野党」でやってきて、人付き合いも得意ではない。だから官僚も含めて仲間が必ずしも多くないんです』、「岩田:友達がいないから岸田さんや森山さんがコントロールしやすい。 久江:おっしゃるとおりで、詰め合わせの幕の内弁当のような感じになって、逆にバランスがいい政権ができあがったと思います(笑)。石破さんはずっと「党内野党」でやってきて、人付き合いも得意ではない。だから官僚も含めて仲間が必ずしも多くないんです」、なるほど。
・『筆頭の首相秘書官に防衛省出身者がついたワケ  Q:官僚だと、筆頭の政務秘書官に元防衛審議官の槌道明宏さんが充てられました。防衛省出身者が政務秘書官を務めることはどう見ていますか。 岩田:さっそく霞が関では、「防衛省出身者だと、省庁横断的な指示を出すのは難しいのでは」との声が上がっています。 久江:槌道さんは'85年に旧防衛庁に入った。安倍さんが懇意にしていた元防衛事務次官の島田和久さんと同期です。石破さんが防衛庁長官だった時と、防衛大臣の時に2回秘書官を務めています。 一方で、事務方トップの官房副長官には元総務次官の佐藤文俊さんを充てています。総務省内の役人に聞くと誰からも悪評が出ない。菅さんも一目を置いている人物です。事務の官房副長官はかつて「影の総理」と言われたポスト。佐藤さんの影響力や発言力がどこまで強まるかが焦点です』、「官僚だと、筆頭の政務秘書官に元防衛審議官の槌道明宏さんが充てられました。防衛省出身者が政務秘書官を務めることはどう見ていますか。 岩田:さっそく霞が関では、「防衛省出身者だと、省庁横断的な指示を出すのは難しいのでは」との声が上がっています。 久江:槌道さんは'85年に旧防衛庁に入った。安倍さんが懇意にしていた元防衛事務次官の島田和久さんと同期です。石破さんが防衛庁長官だった時と、防衛大臣の時に2回秘書官を務めています。一方で、事務方トップの官房副長官には元総務次官の佐藤文俊さんを充てています。総務省内の役人に聞くと誰からも悪評が出ない。菅さんも一目を置いている人物です。事務の官房副長官はかつて「影の総理」と言われたポスト。佐藤さんの影響力や発言力がどこまで強まるかが焦点です」、「筆頭の政務秘書官」、「事務の官房副長官」とも「無難な人事のようだ。

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保険(その9)(大手損保が断ち切れない代理店への過剰な忖度 いまだ横行する「社員代行」「テリトリー制」、金融庁 「マネードクター」と生保の取引実態を調査 過剰な便宜供与があれば立ち入り検査も視野に) [金融]

保険については、本年2月14日に取上げた。今日は、(その9)(大手損保が断ち切れない代理店への過剰な忖度 いまだ横行する「社員代行」「テリトリー制」、金融庁 「マネードクター」と生保の取引実態を調査 過剰な便宜供与があれば立ち入り検査も視野に)である。

先ずは、本年5月3日付け東洋経済オンライン「大手損保が断ち切れない代理店への過剰な忖度 いまだ横行する「社員代行」「テリトリー制」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/751986
・『「当業界に対する社会からの信頼は毀損した状態にある。(中略)信頼を取り戻すためには、保険会社と代理店の関係や、業界の商習慣を変えていくことが必要だ」 日本損害保険協会の新納啓介会長(あいおいニッセイ同和損害保険社長)は、3月21日の定例記者会見の冒頭で、そう力強く語っていた。中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求問題で、損害保険ジャパンが業務改善計画書を金融庁に提出してから、約1週間後のことだ。 会見では、代理店や募集人(販売担当者)向けに配布する冊子「募集コンプライアンス(法令順守)ガイド」を改定したことなどを説明。悪しき商慣習を見直すため、損保協会内に「業務抜本改革推進PT(プロジェクトチーム)」も設置し、業界を挙げて構造変革に取り組む姿勢を示した』、なるほど。
・『「病巣」を取り除くのは簡単ではない  しかしながら、損保業界の「病巣」を完全に取り除くのは簡単ではなさそうだ。なぜなら、変革に向けた決意を疑いたくなるような事例が、損保の間でいまだに散見されるからだ。 その1つが、「社員代行」と呼ばれている行為だ。社員代行とは、代理店が人件費(出向負担金)を支払わずに、損保会社から社員を事実上出向させて、代理店業務を代行させること。自社商品を優先的に販売してもらおうと、損保が代理店に対してあの手この手で行う過剰な便宜供与の象徴でもある。 損保協会の募集ガイドでは、行ってはならない便宜供与の具体例として「特定の代理店に対して、出向負担金なしで保険会社の社員を出向させ、保険募集を行った」と記載している。2月の改定で追記されたばかりの項目で、対応の優先度は高い。 ところが、損保ジャパンでは昨夏から、関西地域の一部代理店に対して、負担金なしで社員を事実上出向させ、代理店の募集業務などを代行させていた。損保ジャパンは社員代行について、災害対応といった緊急時などに限ると内規で制限していた。にもかかわらず。損保ジャパンの関西地域の支社長や支店長は、代理店の求めに応じるかたちで社員代行を黙認していたという。 損保ジャパンのある社員は「その代理店主は代理店の会員組織の役員を務めており、声が通りやすい。うち(損保ジャパン)の支社長や支店長だけでなく、役員も社員代行の実情を知っていたはずだ」と話す。 損保ジャパンに事実関係を尋ねたところ、担当役員が社員代行を認識していたことは否定したものの、支社長や支店長が「認識していたことを確認した」と回答。また「代理店に対する過度な便宜供与に該当する可能性も含めて調査している」といい、「同様の事案が発生しないよう、社内への注意喚起、徹底を図る」としている。 社員代行をめぐっては、金融庁が3月に設置した損害保険の有識者会議で、取り締まり強化に向けた議論を始めている。今後、金融庁が詳しい実態を調べる中で、損保ジャパンのような事例がほかの損保でも露見する可能性がありそうだ』、「損保ジャパンの関西地域の支社長や支店長は、代理店の求めに応じるかたちで社員代行を黙認していたという・・・社員代行をめぐっては、金融庁が3月に設置した損害保険の有識者会議で、取り締まり強化に向けた議論を始めている。今後、金融庁が詳しい実態を調べる中で、損保ジャパンのような事例がほかの損保でも露見する可能性がありそうだ」、なるほど。
・『自動車ディーラーにおもねる損保  金融庁の有識者会議では、自動車販売店などいわゆる兼業代理店への規制強化策についても議論が進んでいる。中でも耳目を集めているのが、代理店の保険募集における「比較推奨販売」のあり方だ。 比較推奨販売とは、代理店が複数の保険会社の商品を顧客に提示・推奨して販売する際のルールの一つだ。ポイントは大きく2つある。1つは、商品ごとの特性や保険料水準などの客観的な基準や理由について説明して顧客に比較検討させること。2つ目は、特定の商品だけを顧客に提示・推奨する場合は、代理店とその保険会社との資本関係や取引関係などの理由を顧客に説明しなければならない、という規制がある。2016年に施行された改正保険業法によって強化された募集規制の1つだ。 法改正以降、保険募集だけを生業とする専業の乗り合い代理店では、比較推奨販売の規制を満たすための体制整備が徐々に進んだ。その一方で、自動車販売店などの兼業代理店では、金融庁や財務局の監視の目が行き届かず、ほぼ野放しの状態だった。 その結果として起きたのが、ビッグモーター問題だった。) 金融庁は有識者会議の中で、事故車をビッグモーターに斡旋する(入庫紹介)件数に応じて、「保険会社の商品を顧客に推奨していたにもかかわらず、(事務に精通しているといった)別の理由を装っていた」と指摘。そのため「保険業法が求める比較推奨が適切に実施されておらず、顧客の適切な商品選択が歪められていたおそれがある」と総括している。 今後は適切な比較推奨販売を、自動車販売店などの兼業代理店にも徹底させる考えだ』、「「保険業法が求める比較推奨が適切に実施されておらず、顧客の適切な商品選択が歪められていたおそれがある」と総括している。 今後は適切な比較推奨販売を、自動車販売店などの兼業代理店にも徹底させる考えだ」、なるほど。
・『あいおいへのテリトリー変更  ただ足元では、西日本地域のある「トヨタ自動車系ディーラー」と損保大手の間で、比較推奨販売を歪めかねない事態が起きている。 損保による営業協力や便宜供与の度合いによって、推奨する自動車保険を変えるディーラーは依然として多い(記者撮影) そのディーラーは複数の販売店を展開しており、損保大手各社の首脳が定期的に挨拶にうかがうほどの有力企業だ。損保との取引は、トヨタとの関係が深いあいおいを中心に、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社で9割超を占めていた。 しかし今年初めに突如、同ディーラーは約3割の契約シェアを持っていた三井住友海上に対して、事実上の取引打ち切りを宣告した。さらに同ディーラーの代表者は、三井住友海上の自動車保険を優先的に販売する「テリトリー店舗」を、すべてあいおいに変更すると明言したという。 なぜ、あいおいに変更するのか。理由は、ディーラー代表者の「娘の夫(A氏)があいおい出身者」(大手損保幹部)だからだ。A氏は今春、あいおいを退職し同ディーラーに役員として入社。時期を同じくして、あいおいへのテリトリー変更も実施されている。 同ディーラーは今後、三井住友海上の契約者が契約を更新する際は、あいおいを推奨し、乗り換えを促すとみられる。 だが、同ディーラーはあいおいを推奨する理由として、「弊社オーナーの親族が、あいおい出身者のため」や「役員にあいおい出身者がいるため」などと顧客に説明できるのだろうか。一方で、「あいおいの商品性が優れているため」などと誤魔化して説明した場合は、ビッグモーターと同様に別の理由を装っていることになり、比較推奨販売を歪めてしまうわけだ。 そもそも、金融庁が比較推奨販売の旗を10年以上にわたって振ってきたにもかかわらず、依然として顧客の意向を置き去りにし、テリトリー店舗ごとにプッシュする保険会社を自在に変えるという販売方針が、横行していることも問題だ。 損保協会の協会長会社として、悪しき商慣習の見直しを訴えるあいおいが、同ディーラーに対して比較推奨販売をどう実効的に指導し、徹底させていくのか。そこに損保業界としての変革への決意が、はっきりと映し出されることになる』、「比較推奨販売とは、代理店が複数の保険会社の商品を顧客に提示・推奨して販売する際のルールの一つだ。ポイントは大きく2つある。1つは、商品ごとの特性や保険料水準などの客観的な基準や理由について説明して顧客に比較検討させること。2つ目は、特定の商品だけを顧客に提示・推奨する場合は、代理店とその保険会社との資本関係や取引関係などの理由を顧客に説明しなければならない、という規制がある・・・金融庁が比較推奨販売の旗を10年以上にわたって振ってきたにもかかわらず、依然として顧客の意向を置き去りにし、テリトリー店舗ごとにプッシュする保険会社を自在に変えるという販売方針が、横行していることも問題だ。 損保協会の協会長会社として、悪しき商慣習の見直しを訴えるあいおいが、同ディーラーに対して比較推奨販売をどう実効的に指導し、徹底させていくのか。そこに損保業界としての変革への決意が、はっきりと映し出されることになる」、なるほど。

次に、6月18日付け東洋経済オンライン「金融庁、「マネードクター」と生保の取引実態を調査 過剰な便宜供与があれば立ち入り検査も視野に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/764006
・『「マネードクター」の名称で保険代理店事業を展開するFPパートナーと、保険販売(募集)を委託している生命保険各社との取引をめぐって、金融庁が実態調査に乗り出していることがわかった。 調査の対象となっているのは、FPパートナーの代理申請会社(幹事会社)となっている東京海上日動あんしん生命保険のほか、アフラック生命保険、SOMPOひまわり生命保険、メディケア生命保険、はなさく生命保険など。 金融庁が生保各社に報告を求めている項目は、①FPパートナーへの広告料の支払い状況と同広告料が適正と判断した根拠、②営業社員(募集人)候補の紹介数、③リーズ(見込み客)情報の提供数、④出向者の状況、⑤そのほかの本業支援の状況、と大きく5つある。 特に①の広告料については、相場や実態に見合わない不適正な料金を支払っていないか、アフラックやひまわり生命に対して「詳細に報告するよう求めてきている」(ひまわり生命関係者)という。 金融庁は、調査によってFPパートナーへの過剰な便宜供与や実質的な利益供与の疑いが強まった場合は、生保各社やFPパートナーへの立ち入り検査に踏み切ることも視野に入れているもようだ』、「金融庁は、調査によってFPパートナーへの過剰な便宜供与や実質的な利益供与の疑いが強まった場合は、生保各社やFPパートナーへの立ち入り検査に踏み切ることも視野に入れているもようだ」、今回は生保がやり玉に挙がったようだ。
・『生保業界でも過剰な便宜供与  金融庁が調査に急きょ乗り出したのはなぜか。それは昨夏からの「損保不正」問題を受けて、構造要因となった保険会社による過剰な便宜供与を解消しようと、対策を講じている真っ最中だったからだ。) 旧ビッグモーターによる保険金不正請求問題では、損害保険会社が修理の必要な事故車を優先的に紹介(入庫紹介)し、その見返りとして保険契約を旧ビッグモーターから割り振ってもらうという、いびつな取引が背景にあった。 さらに旧ビッグモーターは、保険会社からの出向者による業務支援や、事故査定の簡略化などさまざまな便宜供与、本業支援の実績を基にして、特定の損保の自動車保険を集中的に推奨する店舗を、「テリトリー」として割り振るなどして、損保をアゴで使うような力関係に変わっていったという経緯がある。 損保不正問題を受けて、金融庁が設置した有識者会議の報告書案にはこう書かれている。「(複数の保険会社の商品を取り扱う)乗合代理店が損害保険会社からの便宜供与の実績等の理由により、当該損害保険会社の商品を推奨することを決定しておきながら、顧客に対して『特定の損害保険会社の事務に精通している』といった本来の理由を隠した説明を行っていたなど、比較推奨販売に関する規定が不適切に運用されていたことも明らかになった」』、「比較推奨販売に関する規定が不適切に運用されていたことも明らかになった」、それは由々しいことだ。
・『誠実義務の趣旨も踏まえ、適切な比較推奨販売を  続いて報告書案では、「こうした実態を踏まえ、損害保険会社に対して、自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引するための便宜供与を解消する措置の構築を求める」と記述。 乗り合い代理店に対しては、金融サービス提供法における「顧客等に対する誠実義務の趣旨も踏まえ、適切な比較推奨販売を行うよう求める必要がある」としている。) 金融庁が定義する比較推奨販売とは、「顧客の意向を踏まえ、顧客の最善の利益を勘案しつつ、顧客にとって最適と考えられるものを比較又は推奨提案」することだ。また比較や提案の理由については「単に『経営方針』等のみにとどまるのではなく、顧客の立場に立ち、その顧客にとって提案商品が最適と考えた具体的な理由を分かりやすく説明する」ことを求めている。 この比較推奨販売は、2014年に改正された保険業法で新たに定められたもの。当時は、保険募集を専業とする生保系の乗り合い代理店に照準を合わせており、この10年の間に生保各社と乗り合い代理店では、募集人への教育やシステムの構築といった体制整備が進んだはずだった。 ところが、ふたを開けてみると、金融庁が損保不正問題への対応に注力している間に、生保各社と一部の乗り合い代理店の間で、ルールの潜脱を疑われるような取引が発覚。監視の目を盗むような行為に映ったことで、適正化に向けた調査に急きょ踏み切ることになったわけだ』、「金融庁が定義する比較推奨販売とは、「顧客の意向を踏まえ、顧客の最善の利益を勘案しつつ、顧客にとって最適と考えられるものを比較又は推奨提案」することだ。また比較や提案の理由については「単に『経営方針』等のみにとどまるのではなく、顧客の立場に立ち、その顧客にとって提案商品が最適と考えた具体的な理由を分かりやすく説明する」ことを求めている。 この比較推奨販売は、2014年に改正された保険業法で新たに定められたもの・・・金融庁が損保不正問題への対応に注力している間に、生保各社と一部の乗り合い代理店の間で、ルールの潜脱を疑われるような取引が発覚。監視の目を盗むような行為に映ったことで、適正化に向けた調査に急きょ踏み切ることになったわけだ」、なるほど。
・『金融庁が問題視する広告料支払い  中でも金融庁が問題視しているのが、生保によるFPパートナーへの広告料の支払いだ。ここで言う広告とは、マネードクターのウェブサイトと店舗(5月末で27店舗)のサイネージに、保険会社の広告を表示するというもの。「その程度の規模なら、うちがもし払うとしても月100万円程度が限界かな」(生保役員)という声もある中で、アフラックは年9600万円、ひまわり生命は同6000万円を過年度に支払っていた。) 「広告費(広告料)での支援について申し出てきている保険会社がある。保険各社の当社への支援については、別に時間を設定してご案内させて頂きたい」 ひまわり生命の複数の関係者によると、FPパートナーが株式上場した翌月の2022年10月、FPパートナーの黒木勉社長と会談した際、そうした趣旨の発言がひまわり生命側に対してあったという』、「問題視しているのが、生保によるFPパートナーへの広告料の支払いだ。ここで言う広告とは、マネードクターのウェブサイトと店舗(5月末で27店舗)のサイネージに、保険会社の広告を表示するというもの。「その程度の規模なら、うちがもし払うとしても月100万円程度が限界かな」(生保役員)という声もある中で、アフラックは年9600万円、ひまわり生命は同6000万円を過年度に支払っていた」、なるほど。
・『顧客の意向把握がおざなりになっていないか  ひまわり生命は当時、変額保険の発売を控えていた。取引強化に向けて、FPパートナーへ出資の打診をしたものの、黒木社長からはあえなく断られてしまった。ただ、そこで話は終わらず、あくまで他社の動きとして、広告料で支援する事例が紹介されたわけだ。6000万円の広告料の支払いは、同会談の後に実行されている。 そうした広告料などの支援が奏功したのかは定かではないが、アフラックとひまわり生命の一部商品は、現在実施しているFPパートナーの社内表彰キャンペーンにおいて、獲得保険料を5倍にしてカウント。さらに年末までの半年間における成績優秀者には、300万円から1000万円相当のストックオプション(株式購入権)を付与するとしている。 そうしたキャンペーンが、顧客の意向把握をおざなりにして、5倍でカウントされる商品を強引に勧めることに本当につながらないのか。金融庁の調査によって、そうした検証も今後進んでいくことになりそうだ』、「アフラックとひまわり生命の一部商品は、現在実施しているFPパートナーの社内表彰キャンペーンにおいて、獲得保険料を5倍にしてカウント。さらに年末までの半年間における成績優秀者には、300万円から1000万円相当のストックオプション(株式購入権)を付与するとしている。 そうしたキャンペーンが、顧客の意向把握をおざなりにして、5倍でカウントされる商品を強引に勧めることに本当につながらないのか。金融庁の調査によって、そうした検証も今後進んでいくことになりそうだ」、確かに「顧客の意向把握をおざなりにして、5倍でカウントされる商品を強引に勧めることに本当につながらないのか」は、大きな懸念材料だ。金融庁によく監視してもらいたいところだ。
タグ:確かに「顧客の意向把握をおざなりにして、5倍でカウントされる商品を強引に勧めることに本当につながらないのか」は、大きな懸念材料だ。金融庁によく監視してもらいたいところだ。 「損保ジャパンの関西地域の支社長や支店長は、代理店の求めに応じるかたちで社員代行を黙認していたという・・・社員代行をめぐっては、金融庁が3月に設置した損害保険の有識者会議で、取り締まり強化に向けた議論を始めている。今後、金融庁が詳しい実態を調べる中で、損保ジャパンのような事例がほかの損保でも露見する可能性がありそうだ」、なるほど。 「金融庁が定義する比較推奨販売とは、「顧客の意向を踏まえ、顧客の最善の利益を勘案しつつ、顧客にとって最適と考えられるものを比較又は推奨提案」することだ。また比較や提案の理由については「単に『経営方針』等のみにとどまるのではなく、顧客の立場に立ち、その顧客にとって提案商品が最適と考えた具体的な理由を分かりやすく説明する」ことを求めている。 この比較推奨販売は、2014年に改正された保険業法で新たに定められたもの・・・ 「比較推奨販売に関する規定が不適切に運用されていたことも明らかになった」、それは由々しいことだ。 「金融庁は、調査によってFPパートナーへの過剰な便宜供与や実質的な利益供与の疑いが強まった場合は、生保各社やFPパートナーへの立ち入り検査に踏み切ることも視野に入れているもようだ」、今回は生保がやり玉に挙がったようだ。 保険 東洋経済オンライン「金融庁、「マネードクター」と生保の取引実態を調査 過剰な便宜供与があれば立ち入り検査も視野に」 東洋経済オンライン「大手損保が断ち切れない代理店への過剰な忖度 いまだ横行する「社員代行」「テリトリー制」」 (その9)(大手損保が断ち切れない代理店への過剰な忖度 いまだ横行する「社員代行」「テリトリー制」、金融庁 「マネードクター」と生保の取引実態を調査 過剰な便宜供与があれば立ち入り検査も視野に) 「アフラックとひまわり生命の一部商品は、現在実施しているFPパートナーの社内表彰キャンペーンにおいて、獲得保険料を5倍にしてカウント。さらに年末までの半年間における成績優秀者には、300万円から1000万円相当のストックオプション(株式購入権)を付与するとしている。 そうしたキャンペーンが、顧客の意向把握をおざなりにして、5倍でカウントされる商品を強引に勧めることに本当につながらないのか。金融庁の調査によって、そうした検証も今後進んでいくことになりそうだ」、 「問題視しているのが、生保によるFPパートナーへの広告料の支払いだ。ここで言う広告とは、マネードクターのウェブサイトと店舗(5月末で27店舗)のサイネージに、保険会社の広告を表示するというもの。「その程度の規模なら、うちがもし払うとしても月100万円程度が限界かな」(生保役員)という声もある中で、アフラックは年9600万円、ひまわり生命は同6000万円を過年度に支払っていた」、なるほど。 金融庁が損保不正問題への対応に注力している間に、生保各社と一部の乗り合い代理店の間で、ルールの潜脱を疑われるような取引が発覚。監視の目を盗むような行為に映ったことで、適正化に向けた調査に急きょ踏み切ることになったわけだ」、なるほど。
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積水ハウス事件(その7)(なぜ積水ハウスは「地面師たち」にだまされたのか? 不動産詐欺にだまされないための対策も、「マニキュアで指紋を消せ」用意周到すぎる犯行でも 《逮捕》...地面師グループの主犯たちが気づかなかった《なりすまし役》の致命的すぎる性格) [社会]

積水ハウス事件については、9月27日に取上げたばかりだ。今日は、(その7)(なぜ積水ハウスは「地面師たち」にだまされたのか? 不動産詐欺にだまされないための対策も、「マニキュアで指紋を消せ」用意周到すぎる犯行でも 《逮捕》...地面師グループの主犯たちが気づかなかった《なりすまし役》の致命的すぎる性格)を紹介しよう。

先ずは、10月2日付けYahooニュースが転載したダイヤモンド・オンライン「なぜ積水ハウスは「地面師たち」にだまされたのか? 不動産詐欺にだまされないための対策も」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0f3e0316eb3849665ade3eb24715c126347f2655?page=1
・『「地面師」とは、不動産を不正に売却し、代金をだまし取る犯罪者集団である。偽の書類や複雑な権利関係を悪用し、巧妙に被害者を欺く。2017年、積水ハウスが五反田のマンション用地で地面師たちにだまされ、不動産業界に衝撃を与えた。なぜ大手デベロッパーが被害に遭ったのか、また、一般の土地取引でも起こりうる地面師被害のリスクと、その対策についても解説する』、興味深そうだ。 
・『地面師とは  不動産詐欺に遭うと取り返しのつかないことになる場合がほとんど。 地面師とは、不動産を不正に売却し、その売却代金をだまし取る犯罪者もしくは犯罪集団を指す。その手口は巧妙で、さまざまなパターンがある。 例えば、実在しない土地や、所有権のない土地をあたかも自分のものであるかのように偽装し、売買契約を結ぶもの。このケースにおいては土地の権利関係を故意に複雑化させることで、買い主がその実態を把握できないようにする。身分証明書や登記書類を偽造して不動産取引の手続きを悪用し、架空の取引によって金銭をだまし取る手口が多い。 ちなみに地面師は昭和の頃から存在しており、過去にはさまざまな対策が講じられてきた。しかし、依然として被害が発生している。関係省庁や法務局による不動産登記法の改正・登記制度の見直し、不動産協会や司法書士会も対策を取っているが、地面師の手口は、法整備や情報公開が進んでも巧妙化・多様化の一途をたどっている。 2017年に発生した積水ハウス地面師詐欺事件では55億円の被害額になり、大きな騒ぎとなったが、詐欺は大手デベロッパーに限らず不動産会社や個人といった誰でもが被害者になりうる』、「実在しない土地や、所有権のない土地をあたかも自分のものであるかのように偽装し、売買契約を結ぶもの。このケースにおいては土地の権利関係を故意に複雑化させることで、買い主がその実態を把握できないようにする。身分証明書や登記書類を偽造して不動産取引の手続きを悪用し、架空の取引によって金銭をだまし取る手口が多い」、なるほど。
・『デベロッパーの不動産土地取得の流れと危機管理  積水ハウスのような住宅メーカー・マンションデベロッパーは、マンション分譲を進める際にまずそのための土地を取得しなければならない。デベロッパーの不動産土地取得は、事業の成功を左右する重要なプロセスとなる。土地の種類や性質、デベロッパーによって流れは異なるが、大まかには以下のような流れになる。 1.情報入手……不動産情報の入手。仲介業者や入札情報など 2.現地確認……立地条件、周辺環境、近隣状況、将来的な開発計画などを詳細に調査 3.役調……法務局や役所で用途地域や接道義務、建ぺい・容積率などを確認。公図・図面などを取得して、土地・道路に対する法令上の制限、所有権などを調査 4.権利関係……登記上に示された所有者の他、抵当権など売買にかかわる権利関係の確認 5.ボリュームチェック……建設可能な高さや面積などをチェック、収益性を評価 6.指値……土地の購入費用、開発費用、販売価格などを算定し、坪当たり単価と総額の提示 7.売渡契約……書面上で売買の約束を交わし、手付金(通常売買代金総額の10%)支払い 8.境界確定……官民・民民の隣地境界を画定、ケースにより試掘などで土壌状況・土地に関する隠れた瑕疵(かし)の確認 9.決済、所有権移転……残代金の支払いと登記書類の確認、司法書士により法務局提出  地面師たちが関わる段階は、主に権利関係と売渡契約、そして最後の決済だ。権利関係に不自然な点はないか、などチェックはいくつかあるものの、メインは「本人確認」となる』、「チェックはいくつかあるものの、メインは「本人確認」となる」、なるほど。 
・『不動産売買における「本人確認」とは?  「本人確認」とは、売買しようとしている土地の所有者が当人であるかどうかを確認するプロセスだ。さらに、売買がその本人の意思であるかどうかもチェックする。 基本的に買い主(デベロッパー)が売り主(所有者)に直接会う機会は、お金が動く契約時と決済時(取引内容によっては契約前に意思確認として面談する)となる。買い主側の司法書士が免許証やパスポートをチェックし、いくつか口頭でのプライベートな質問を売り主へ投げかけ、本人であることを確認する。 この本人確認は、一般的に司法書士の仕事とされているが、司法書士にはそれなりのプレッシャーがかかる。というのは、本人と納得できるまで業務を進行してはいけないという職務と、売り主の機嫌を損ねて話をひっくり返されるリスクとで葛藤が生じるためだ。 次で、詳しく見ていく』、「本人確認は、一般的に司法書士の仕事とされているが、司法書士にはそれなりのプレッシャーがかかる。というのは、本人と納得できるまで業務を進行してはいけないという職務と、売り主の機嫌を損ねて話をひっくり返されるリスクとで葛藤が生じるためだ」、なるほど。
・なぜ積水ハウスはだまされたのか  積水ハウスは日本の住宅業界を代表するトップ企業だ。不動産土地取得のリスク管理は、徹底していたはず。特に巨額の取引となるケースではリスク管理が厳しくなることはあっても甘くなることはない。 にもかかわらず、なぜ地面師たちにだまされるに至ったのだろうか。 要因(1)本人確認を行う司法書士へのプレッシャー 結論から言えば、要注意物件と分かりながら通常手続きで進めたことに原因がある。 そもそも五反田のマンション用地は一等地で、マンション開発できれば高値で即完売できることが間違いない立地であることは誰が見ても明らかだった。 その一角だけ古い旅館が立っており、どのデベロッパーも狙っていたのである。当然ながら詐欺じみた噂話なども飛び交っていた。つまりその土地を取得するとしても細心の注意を払わなければならない要注意物件だったのである。 それがゆえに、この事件の地面師グループの手口の巧妙さは、相当なものだったとされている。特に書類の偽造の精密さは公証人役場が本人と認め、本人確認書面(権利証に代わる書面)を発行しているほどだ。パスポートにしても、司法書士がペンライトを当てて確認しても見破られないレベルの偽造を施していたことになる。 しかし、この五反田のマンション用地はもともと要注意物件と分かっていた。どこかで気が付いてもよさそうであるし、気が付かなければならなかったともいえる。 例えば、近隣の住民など売り主を知る人たちに写真を見せて本人かどうか確認するなど、通常とは違うチェック方法はある。現に他のデベロッパーは、この方法で詐欺を疑い交渉をやめたようだ。また、地面師グループの手口は巧妙だが完璧ではない。ずさんと言えるポイントもあったとされている。 特に売主との面接でも見破るチャンスはあったはずだ。売り主である高齢の女性になりすますのは、ニセ地主を演じる高齢の女性だ。いくらシミュレーションして準備してもボロが出ないとは言えない。この時も司法書士による干支や誕生日の確認を間違えて答えたようだが、言い間違いとしてスルーされたとされている。 司法書士は「おかしい」と感じたかもしれない。しかし、前述したとおり、その場の積水ハウス側からのプレッシャーに折れた可能性がある。本人確認の判断は司法書士の責任で下さなければならないが、実際には、積水ハウスから仕事を継続的にもらっているという弱い立場だ。万が一にも疑うことで本物の売り主の機嫌を損ね、破談になってしまった場合は責任の取りようがなくなってしまう。 司法書士には実務に反するプレッシャーがかかるのだ。そして、地面師たちの本当の巧妙さは書類の偽造以上にその点を含んでだましていたことにある』、「地面師グループの手口の巧妙さは、相当なものだったとされている。特に書類の偽造の精密さは公証人役場が本人と認め、本人確認書面(権利証に代わる書面)を発行しているほどだ。パスポートにしても、司法書士がペンライトを当てて確認しても見破られないレベルの偽造を施していたことになる・・・積水ハウスから仕事を継続的にもらっているという弱い立場だ。万が一にも疑うことで本物の売り主の機嫌を損ね、破談になってしまった場合は責任の取りようがなくなってしまう。 司法書士には実務に反するプレッシャーがかかるのだ」、なるほど。
・『要因(2)積水ハウス内における用地獲得のプレッシャー もうひとつの要因は社内でのプレッシャーだ。実はこちらの方が大きいと考えられる。 営業セクションが毎月の数値目標、早い話がノルマを達成するプレッシャーがあるように、用地仕入れのセクションも一定以上の供給を滞らせない仕入れをしなくてはならない。しかも積水ハウスほどの巨大な売り上げを確保するには出た土地を全部買ってもいいほどの供給量になるのだ。 用地がないと営業は売るものがなくなり、売り上げもない。万が一供給不足になれば、用地仕入れのセクションの責任が問われる。とはいえ、あまりにも立地条件が悪い用地まで開発するわけにはいかない。「利は元にあり」というとおり、マンションは立地が命で、トップブランドの大企業が他社から笑われるような立地を開発し在庫の山になるのは避けなければならない。 五反田のマンション用地のケースでは、用地セクション担当役員と社長との特別な決裁をもって進めたという話もあり、であれば積水ハウス特有の事情があったともとれる。ただ、常務や執行役員が特定のセクションの責任者を兼ねていることは一般的で、社内の派閥争いなども含め他のデベロッパーでも似たような事情はある。 トップクラスの大企業だからこそ、常に物件を供給し続けなくてはならない難しさと在庫になるリスクは、他のデベロッパーにも共通することだ。いずれにしてもそれらのプレッシャーのなかで五反田のマンション用地の交渉が進み、要注意物件と分かりながらやるべきことをやらず、引き返せないところまで来てしまった。ここでは心理学でいう「認知バイアス」の「確証バイアス」が働く。自分が正しいと思うこと(バイアス)に都合の良い情報を集めてしまう心理現象で、自分の思い込みや周囲の要因によって非合理的な判断をしてしまう傾向だ。 本物の所有者から届いた警告文書を怪文書としてスルーしてしまった事実がこれに当たる。さらに決済を前倒しした理由も、邪魔が入らないうちに、という心理もあるが、あるいは物件供給不足の中で少しでも早く販売ラインに乗せたいという事情も考えられる。 こうして巨額のお金が地面師たちへ吸い取られた。地面師たちがあえてトップクラスのデベロッパーをターゲットにした狙いが見事に成功してしまったのである。積水ハウスにしてみれば、通常のリスク管理からみれば大きく逸脱していないが、要注意物件に注意しなかったのは供給プレッシャーと確証バイアスが原因といえるだろう。大企業なのになぜだまされたのか?の答えは、大企業だからだまされたとも言える』、「積水ハウス内における用地獲得のプレッシャー 実はこちらの方が大きいと考えられる・・・五反田のマンション用地の交渉が進み、要注意物件と分かりながらやるべきことをやらず、引き返せないところまで来てしまった。ここでは心理学でいう「認知バイアス」の「確証バイアス」が働く。自分が正しいと思うこと(バイアス)に都合の良い情報を集めてしまう心理現象で、自分の思い込みや周囲の要因によって非合理的な判断をしてしまう傾向だ。 本物の所有者から届いた警告文書を怪文書としてスルーしてしまった事実がこれに当たる。さらに決済を前倒しした理由も、邪魔が入らないうちに、という心理もあるが、あるいは物件供給不足の中で少しでも早く販売ラインに乗せたいという事情も考えられる・・・大企業だからだまされたとも言える」、なるほど。
・『個人が地面師にだまされるケースも…その対策は?  地面師たちの標的はもちろん積水ハウスのような大企業だけではない。個人の土地売買においても地面師たちの被害は多く起こっている。 特に地面師にとって、相続などで住んでない空き家が増えるのは好都合だ。管理の届かない遠方の土地を知らないうちに売られるといったケースは増えるかもしれない。善意の第三者という言葉を知っているだろうか。たとえ詐欺によって売却された土地であっても、所有権移転登記がされたうえで事情を知らない第三者に売却されてしまえば、第三者がその土地の所有権を主張できるという考え方だ。 つまりだまされたことが分かっても不動産は戻ってこないことになる。 以前に名古屋市天白区で不法に土地を売却されるという事件があった。高齢の地主が所有していた土地を勝手に売却して、買ったデベロッパーは61戸のマンション1棟と約20棟分の戸建てを建て、分譲した。 独り暮らしだった地主の家に出入りしていた地面師は、権利書や実印を持ち出して地元のデベロッパーに売ってしまった。高齢の地主の相続人たちがそれに気付いた時にはすでに分譲がはじまっていた。数年かけて裁判が行われたが、その土地には全く事情を知らない住民が住んでいるため取り戻すことなどできない。売却代金もほぼなくなっていたという。 では、地面師にだまされないための対策はどうすればいいのだろうか。まず特に気を付けたい物件は以下のようなケースだ。 注意すべき物件高齢者が所有する不動産 高齢者が所有する不動産はターゲットになりやすい。認知能力の低下や最新の詐欺手口への認識が低いなど、総合的に詐欺行為が行いやすいからだ。特に高齢夫婦のみや独り暮らし、特別養護老人ホームなどの施設に入っている物件は要注意だ。 長期間空き家や更地の物件 相続した実家などで住む必要がなく、そのまま空き家になっていたり解体したまま放置されている物件も狙われやすい。管理されていないため、異変に気付きにくいからだ。なかには勝手に家を解体されて売られていたというケースもあるという。特に遠方で目が届かない物件は要注意だ。 抵当権の設定がない 不動産に抵当権などの担保が設定してあると、抹消して売買しなくてはならないため詐欺には狙われにくくなる。抵当権設定がない不動産のほうが狙われやすくなるといえる。 具体的な対策3つ『不正登記防止申出』制度の活用 『不正登記防止申出』は、権利証や印鑑証明書等が紛失や盗難されてしまったなどの事情で不正な登記がされる恐れがある場合、それを防止するために設けられた制度だ。 法務局へ不正登記防止申出書を提出し、本人確認が行われる。申し出対象の不動産に登記申請などの動きがあった場合に本人へ通知される。積水ハウスの事件でも本物の所有者からこの申し出がされていたと推測できる。ただし有効期限は申し出から3カ月しかなく(再度の申し出は何度でも可能)、申し出が必要となった理由に対応する措置(紛失届や盗難届など)を取っていないと受理されない。単に空き家だからという理由だけでは受理されないことが多い。 空き家の対策 空き家の対策として現実的なのは、売却してしまうことだ。売ってお金にしてしまうのが一番なのだが、それができない場合は賃貸に出したり、アパートに建て替える、駐車場にするなど、土地を活用する方向で考えたい。 どうしても一定期間放置する場合は、こまめに現地へ行って管理し、できれば近隣の人にも見ていてもらうなど協力を仰ぎたい。法務局の登記情報は出向かなくても確認できるので定期的にチェックするのもいいだろう。 売却時の対策 不動産を売却する時は、まず仲介業者に気を付けることだ。名古屋のケースでは地面師が免許を持つ仲介業者を装った事件だった。大手の仲介業者か地元で長く営業している仲介業者がよい。 また、司法書士は買い主側ではなく自分で指定したほうがベストだ。そして当然のことながら権利証や実印などの管理は厳重にして、保管場所は他言しないこと。契約などの際はあらかじめ出しておくことだ。内容確認などで必要だからといって権利証や実印を預けたりしてはならない』、「地面師にだまされないための対策はどうすればいいのだろうか。まず特に気を付けたい物件は以下のようなケースだ。 注意すべき物件高齢者が所有する不動産 高齢者が所有する不動産はターゲットになりやすい。認知能力の低下や最新の詐欺手口への認識が低いなど、総合的に詐欺行為が行いやすいからだ。特に高齢夫婦のみや独り暮らし、特別養護老人ホームなどの施設に入っている物件は要注意だ。 長期間空き家や更地の物件 相続した実家などで住む必要がなく、そのまま空き家になっていたり解体したまま放置されている物件も狙われやすい。管理されていないため、異変に気付きにくいからだ・・・空き家の対策として現実的なのは、売却してしまうことだ。売ってお金にしてしまうのが一番なのだが、それができない場合は賃貸に出したり、アパートに建て替える、駐車場にするなど、土地を活用する方向で考えたい。 どうしても一定期間放置する場合は、こまめに現地へ行って管理し、できれば近隣の人にも見ていてもらうなど協力を仰ぎたい・・・不動産を売却する時は、まず仲介業者に気を付けることだ。名古屋のケースでは地面師が免許を持つ仲介業者を装った事件だった。大手の仲介業者か地元で長く営業している仲介業者がよい。 また、司法書士は買い主側ではなく自分で指定したほうがベストだ。そして当然のことながら権利証や実印などの管理は厳重にして、保管場所は他言しないこと。契約などの際はあらかじめ出しておくことだ。内容確認などで必要だからといって権利証や実印を預けたりしてはならない」、その通りだろう。

次に、10月10日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの森 功氏による「『地面師』連載第24回:「マニキュアで指紋を消せ」用意周到すぎる犯行でも、《逮捕》...地面師グループの主犯たちが気づかなかった《なりすまし役》の致命的すぎる性格」を紹介しよう。
・『今Netflixで話題の「地面師」...地主一家全員の死も珍しくなかった終戦直後、土地所有者になりすまし土地を売る彼らは、書類が焼失し役人の数も圧倒的に足りない主要都市を舞台に暗躍し始めた。そして80年がたった今では、さらに洗練された手口で次々と犯行を重ね、警察組織や不動産業界を翻弄している。 そのNetflix「地面師たち」の主要な参考文献となったのが、ノンフィクション作家・森功氏の著書『地面師』だ。小説とは違う、すべて本当にあった話で構成されるノンフィクションだけに、その内容はリアルで緊張感に満ちている。 同書より、時にドラマより恐ろしい、本物の地面師たちの最新手口をお届けしよう・・・』、興味深そうだ。
・『マニキュアで指紋を消して  一瞬で億単位の詐欺を働く地面師グループは、犯行にあたり用意周到に手順を踏み、準備を怠らない。取引の際、指紋を残さない方法もある。 「取引に臨む際、(渡邊たち関係者は全員)指にマニキュアを塗っていた……」 内田の論告求刑では、検事がそう述べていた。指のマニキュアなどは、われわれのあいだでは半ば常識だ、と先の地面師はこう説明してくれた。 「それは、関係書類に指紋を残さないためです。不動産取引をするのにまさか手袋するわけにはいかないでしょ。それで、両手の10本の指の腹すべてに透明のマニキュアを塗っておくわけです。すると書類に指紋が残らない。ただ、逆に警察はまったく指紋のついていない不動産の書類を見ると、地面師たちの犯行を疑いますけどね」 地面師事件では、偽造した免許証や偽造パスポートを使ってなりすまし役を仕立て、その次に仲間内のブローカーと不動産売買をした格好を装う。そこからカモにする買い手を見つけ、土地や建物を転売する形をとるのが常套手段だ。 浜田山の駐車場詐欺のケースでも内田マイクは、仲間の福田尚人が経営する「ジェイ・パートナーズ」なるコンサルタント会社にくだんの駐車場を売却した体裁をとり、と同時に横浜市内の不動産業者に話を持ち掛けた。福田も逮捕され、すでに一審判決で懲役5年の実刑判決が下っている』、「不動産取引をするのにまさか手袋するわけにはいかないでしょ。それで、両手の10本の指の腹すべてに透明のマニキュアを塗っておくわけです。すると書類に指紋が残らない。ただ、逆に警察はまったく指紋のついていない不動産の書類を見ると、地面師たちの犯行を疑いますけどね」、なるほど。
・『仲間のブローカーとの不動産売買を挟む理由  なぜ、そんな面倒な手続きを踏むのか。そこについて、ある都内の中堅不動産業者が解説してくれた。 「この取引は表向き間に入った福田に手数料や転売の利益を落とさせることを装っているが、実際の目的はそこではありません。福田のジェイ社とニセの地主との土地の売買契約書を作成する。それをもとに買い手に信用させる。それともう一つ、あいだに一枚噛ませて、ばれたとき関係者を逃がすことによって事件をうやむやにできる」 この福田尚人という人物も、昨今の地面師事件にしばしば出てくる。福田をよく知る元山口組幹部はこう話した。 「福田はものになりそうな物件を見つけては、われわれのところにタネ銭を無心に来ます。菱(山口組のこと。代紋の山菱からそう呼ばれる)だけやのうて、関東の住吉なんかにも話が行くと聞いとる」 福田はその筋の世界にけっこう評判がいいようだ。こうも言った。 「福田は単なる詐欺師という感じでもなく、カネには綺麗ですわ。不動産ブローカーのなかには、カネを借りたまま、儲けたら逃げるような奴もおるけど、福田だけはけっこう持ってきよるしね。だから、われわれとも長続きするんと違うかな」』、「仲間のブローカーとの不動産売買を挟む理由・・・「この取引は表向き間に入った福田に手数料や転売の利益を落とさせることを装っているが、実際の目的はそこではありません。福田のジェイ社とニセの地主との土地の売買契約書を作成する。それをもとに買い手に信用させる。それともう一つ、あいだに一枚噛ませて、ばれたとき関係者を逃がすことによって事件をうやむやにできる」、なるほど。
・『用意周到な犯行計画に「思わぬ誤算」  福田自身、元暴力団組員でもある。地面師は暴力団を金主にして活動資金を得ているケースが多い。それは言い換えれば、彼らの資金を運用する役割を担っていることにもなる。ときに暴力団の末端組員が犯行に加担する場合もあるが、それはむしろ稀なケースかもしれない。地面師たちの活動資金を用意する暴力団の幹部たちは、あくまで闇金融業者的な役割にとどまる。地面師詐欺に加わることもなければ、その犯行の実態なども敢えて聞かない。 一方、地面師として生き残っていく連中は、何度逮捕されても、その背景について口を割らない。それが信用力にもなり、次の仕事をしやすくなる。 ところが、このときばかりは用意周到に犯行を計画するはずの内田たちにとって、ある誤算が生じた。それがなりすまし役である渡邊の残した思わぬ証拠だ。 渡邊はとても几帳面な性格だった。実は一連の事件に加わった渡邊は、普段のとおりに日常の出来事を日記につけていたのである。犯行直前の2011年6月30日の日記帳には、次のような記載があった。 〈八重森から(本当の地主A)名義で、自分の顔写真が表示された運転免許証、印鑑、偽造の印鑑登録証明書などを受け取った〉 捜査する警察にとっては、これが動かぬ証拠となる。日記が内田や八重森との関係性を立証する物証となり、これが地面師たちの命取りになった。 思いどおりに東京の都心や高級住宅地を蹂躙してきた大物地面師はそうして縄を打たれた。だが、それでおとなしく引っこんだわけでもない・・・』、「地面師たちの活動資金を用意する暴力団の幹部たちは、あくまで闇金融業者的な役割にとどまる。地面師詐欺に加わることもなければ、その犯行の実態なども敢えて聞かない。 一方、地面師として生き残っていく連中は、何度逮捕されても、その背景について口を割らない。それが信用力にもなり、次の仕事をしやすくなる・・・渡邊はとても几帳面な性格だった。実は一連の事件に加わった渡邊は、普段のとおりに日常の出来事を日記につけていたのである。犯行直前の2011年6月30日の日記帳には、次のような記載があった。 〈八重森から(本当の地主A)名義で、自分の顔写真が表示された運転免許証、印鑑、偽造の印鑑登録証明書などを受け取った〉 捜査する警察にとっては、これが動かぬ証拠となる。日記が内田や八重森との関係性を立証する物証となり、これが地面師たちの命取りになった」、「捜査する警察にとっては」、思いもかけない棚ボタ的な「証拠」集めになったようだ。
タグ:ダイヤモンド・オンライン「なぜ積水ハウスは「地面師たち」にだまされたのか? 不動産詐欺にだまされないための対策も」 yahooニュース (その7)(なぜ積水ハウスは「地面師たち」にだまされたのか? 不動産詐欺にだまされないための対策も、「マニキュアで指紋を消せ」用意周到すぎる犯行でも 《逮捕》...地面師グループの主犯たちが気づかなかった《なりすまし役》の致命的すぎる性格) 積水ハウス事件 「地面師グループの手口の巧妙さは、相当なものだったとされている。特に書類の偽造の精密さは公証人役場が本人と認め、本人確認書面(権利証に代わる書面)を発行しているほどだ。パスポートにしても、司法書士がペンライトを当てて確認しても見破られないレベルの偽造を施していたことになる・・・ 「本人確認は、一般的に司法書士の仕事とされているが、司法書士にはそれなりのプレッシャーがかかる。というのは、本人と納得できるまで業務を進行してはいけないという職務と、売り主の機嫌を損ねて話をひっくり返されるリスクとで葛藤が生じるためだ」、なるほど。 「チェックはいくつかあるものの、メインは「本人確認」となる」、なるほど。 「実在しない土地や、所有権のない土地をあたかも自分のものであるかのように偽装し、売買契約を結ぶもの。このケースにおいては土地の権利関係を故意に複雑化させることで、買い主がその実態を把握できないようにする。身分証明書や登記書類を偽造して不動産取引の手続きを悪用し、架空の取引によって金銭をだまし取る手口が多い」、なるほど。 管理されていないため、異変に気付きにくいからだ・・・空き家の対策として現実的なのは、売却してしまうことだ。売ってお金にしてしまうのが一番なのだが、それができない場合は賃貸に出したり、アパートに建て替える、駐車場にするなど、土地を活用する方向で考えたい。 どうしても一定期間放置する場合は、こまめに現地へ行って管理し、できれば近隣の人にも見ていてもらうなど協力を仰ぎたい・・・不動産を売却する時は、まず仲介業者に気を付けることだ。名古屋のケースでは地面師が免許を持つ仲介業者を装った事件だった。大手の仲介業者か地 「地面師にだまされないための対策はどうすればいいのだろうか。まず特に気を付けたい物件は以下のようなケースだ。 注意すべき物件高齢者が所有する不動産 高齢者が所有する不動産はターゲットになりやすい。認知能力の低下や最新の詐欺手口への認識が低いなど、総合的に詐欺行為が行いやすいからだ。特に高齢夫婦のみや独り暮らし、特別養護老人ホームなどの施設に入っている物件は要注意だ。 長期間空き家や更地の物件 相続した実家などで住む必要がなく、そのまま空き家になっていたり解体したまま放置されている物件も狙われやすい。 本物の所有者から届いた警告文書を怪文書としてスルーしてしまった事実がこれに当たる。さらに決済を前倒しした理由も、邪魔が入らないうちに、という心理もあるが、あるいは物件供給不足の中で少しでも早く販売ラインに乗せたいという事情も考えられる・・・大企業だからだまされたとも言える」、なるほど。 「積水ハウス内における用地獲得のプレッシャー 実はこちらの方が大きいと考えられる・・・五反田のマンション用地の交渉が進み、要注意物件と分かりながらやるべきことをやらず、引き返せないところまで来てしまった。ここでは心理学でいう「認知バイアス」の「確証バイアス」が働く。自分が正しいと思うこと(バイアス)に都合の良い情報を集めてしまう心理現象で、自分の思い込みや周囲の要因によって非合理的な判断をしてしまう傾向だ。 積水ハウスから仕事を継続的にもらっているという弱い立場だ。万が一にも疑うことで本物の売り主の機嫌を損ね、破談になってしまった場合は責任の取りようがなくなってしまう。 司法書士には実務に反するプレッシャーがかかるのだ」、なるほど。 「不動産取引をするのにまさか手袋するわけにはいかないでしょ。それで、両手の10本の指の腹すべてに透明のマニキュアを塗っておくわけです。すると書類に指紋が残らない。ただ、逆に警察はまったく指紋のついていない不動産の書類を見ると、地面師たちの犯行を疑いますけどね」、なるほど。 森 功氏による「『地面師』連載第24回:「マニキュアで指紋を消せ」用意周到すぎる犯行でも、《逮捕》...地面師グループの主犯たちが気づかなかった《なりすまし役》の致命的すぎる性格」 現代ビジネス 元で長く営業している仲介業者がよい。 また、司法書士は買い主側ではなく自分で指定したほうがベストだ。そして当然のことながら権利証や実印などの管理は厳重にして、保管場所は他言しないこと。契約などの際はあらかじめ出しておくことだ。内容確認などで必要だからといって権利証や実印を預けたりしてはならない」、その通りだろう。 実は一連の事件に加わった渡邊は、普段のとおりに日常の出来事を日記につけていたのである。犯行直前の2011年6月30日の日記帳には、次のような記載があった。 〈八重森から(本当の地主A)名義で、自分の顔写真が表示された運転免許証、印鑑、偽造の印鑑登録証明書などを受け取った〉 捜査する警察にとっては、これが動かぬ証拠となる。日記が内田や八重森との関係性を立証する物証となり、これが地面師たちの命取りになった」、「捜査する警察にとっては」、思いもかけない棚ボタ的な「証拠」集めになったようだ。 「地面師たちの活動資金を用意する暴力団の幹部たちは、あくまで闇金融業者的な役割にとどまる。地面師詐欺に加わることもなければ、その犯行の実態なども敢えて聞かない。 一方、地面師として生き残っていく連中は、何度逮捕されても、その背景について口を割らない。それが信用力にもなり、次の仕事をしやすくなる・・・渡邊はとても几帳面な性格だった。 「仲間のブローカーとの不動産売買を挟む理由・・・「この取引は表向き間に入った福田に手数料や転売の利益を落とさせることを装っているが、実際の目的はそこではありません。福田のジェイ社とニセの地主との土地の売買契約書を作成する。それをもとに買い手に信用させる。それともう一つ、あいだに一枚噛ませて、ばれたとき関係者を逃がすことによって事件をうやむやにできる」、なるほど。
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イスラエル・パレスチナ(その9)(ヒズボラ指導者の殺害という「勝利の美酒」に酔うネタニヤフ首相だが 政権の足元は「崩壊」寸前、国外から批判の声も…イスラエル・ネタニヤフ政権の右傾化が止まらない「3つの要因」、爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか、「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル 「真の実力」が見えてきた) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、本年10月8日に取上げたばかりだが、今日は、(その9)(ヒズボラ指導者の殺害という「勝利の美酒」に酔うネタニヤフ首相だが 政権の足元は「崩壊」寸前、国外から批判の声も…イスラエル・ネタニヤフ政権の右傾化が止まらない「3つの要因」、爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか、「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル 「真の実力」が見えてきた)である。

先ずは、10月10日付けNewsweek日本版が掲載したイスラエル紙ハーレツの英語版コラムニストのデービッド・ローゼンバーグ氏による「ヒズボラ指導者の殺害という「勝利の美酒」に酔うネタニヤフ首相だが、政権の足元は「崩壊」寸前」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/10/518878_1.php
・『<ヒズボラ最高指導者ナスララの暗殺成功は、危機的状況にあったネタニヤフ政権に一時の勝利をもたらしたが、イスラエル世論の支持はなく経済も悪化の一途> イスラエルがレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師を殺害(9月27日)したことで、胸をなで下ろしたイスラエル人はたくさんいる。だが一番喜んだのは、おそらく首相のベンヤミン・ネタニヤフだ。長い政治家人生で最も困難な1年が過ぎようという時に、降って湧いた歓喜の瞬間だったと言っていい。 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが昨年10月7日に仕掛けた残忍な奇襲攻撃を、彼は防げなかった。そのことの汚点は、いくら頑張っても消せない。一方でレバノンに陣取るヒズボラとの交戦に終わりは見えず、ガザに残る多数の人質を無事に救出できる見込みもないままだ。 世論調査を見ても、ネタニヤフに国を率いる能力ありとする人はほとんどいなかった。総選挙をやれば、彼の率いる宗教右派連立政権は負ける確率が高かった。 しかし9月17日にはポケベルの遠隔操作でヒズボラ構成員多数を殺害するという劇的な成果が上がり、その10日後には指導者ナスララの命も奪えた。自分こそイスラエルの「安全を守る男」だと自負してきたネタニヤフの面目躍如──と言いたいところだろうが、そうはいかない。 ナスララ殺害の成功を受けて右派政党「新たな希望」の党首ギデオン・サールが政権への復帰を表明したおかげで、ネタニヤフ率いる連立与党の議席数は68となり、国会の過半数は維持できた。しかし、安心するのはまだ早い。) ナスララの死を受けてネタニヤフがほくそ笑んだのは当然として、興味深いのはその発言だ。軍と秘密情報機関モサドの功績をたたえるに先立ち、ネタニヤフは言ったものだ。「この間、イスラエル軍はヒズボラに強烈な打撃を与えてきた。しかし私は、まだ不十分だという結論に達した。故に(ナスララ殺害の)命令を下した」と。 何事も自分の手柄にしたがるのは政治家の常だが、それだけではあるまい。この間ずっと、10.7奇襲を防げなかった国軍を非難してきたネタニヤフとしては、ここで軍部やモサドを英雄に仕立てるわけにはいかなかった』、「「この間、イスラエル軍はヒズボラに強烈な打撃を与えてきた。しかし私は、まだ不十分だという結論に達した。故に(ナスララ殺害の)命令を下した」と・・・この間ずっと、10.7奇襲を防げなかった国軍を非難してきたネタニヤフとしては、ここで軍部やモサドを英雄に仕立てるわけにはいかなかった」、なるほど。
・『司法改革で対立激化  軍部との摩擦は、連立政権発足直後の昨年1月に発表した司法改革案にさかのぼる。表向きは司法の民主化策とされていたが、実は政権の政治的な都合に警察や検察、裁判所を従わせ、イスラエルを「自由なき民主国家」につくり替えようとする極右ポピュリスト勢力の構想だった。そしてネタニヤフ政権自身も、こんな改革には軍部も反対するだろうことを予期していた。 この危険な改革案には世論の猛反発があり、実現は難しいとみられていた。しかしそこへハマスとの戦争が起き、極右勢力に時ならぬ追い風が吹いた。極右のベツァレル・スモトリッチ財務相はパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の統治に関する権限を掌握し、ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力を容認した。 国家治安担当相のイタマル・ベングビールも警察に対する支配力を強めている。彼らは口をそろえて、軍部や情報機関は弱腰で敗北主義者だと非難した。国軍幹部が画策し、ネタニヤフを失脚させるためにハマスの急襲を仕組んだという極端な発言まで出ていた。) ネタニヤフ自身は、10.7の責任を誰かに押し付ければ満足だったかもしれない。だが極右の宗教的保守派は、この機会に軍や情報機関から左派(つまり世俗派)を一掃したいと考えていた。 この試みはほぼ失敗に終わった。 同国のシンクタンク「ユダヤ人政策研究所」の調査によれば、ハマスとの戦争が長引くにつれて国軍への信頼は低下し、今年3月時点で75%だった軍部に対する信頼感は7月時点で43%まで落ちていた。 しかし、政府はもっと信用されていない。同じ調査で、政府への信頼感は同じ期間に35%から26%へ低下していた。別の世論調査でも、国民の多くは早期の総選挙を望んでおり、いま選挙が行われたら現政権は敗退するという可能性が示されている。 今のネタニヤフは対ヒズボラ戦勝利の美酒に酔っているが、その戦果をもたらしたのは軍と情報機関の実戦部隊だ。 しかも彼らの多くは予備役の軍人で、招集される前にはネタニヤフ政権の進める司法改革に反対するデモの先頭に立っていた。実際、ナスララの暗殺を敢行したF15飛行隊に所属する予備役兵士の過半数も、招集されるまではデモに参加していた。 それだけではない。9月の劇的な戦果は過去16年間にわたる緻密で執拗な情報収集活動のたまものだが、それを制服組トップとして率いてきたのはベニー・ガンツとガディ・エイゼンコット。いずれも今は野党の有力政治家だ。) つまり、無能だったのは軍や情報機関の指揮官ではなく文民の政治家だった。今の政権は最初の1年を無益な司法改革に費やした。10.7奇襲で多くの国民が犠牲になった後も、自らは地域住民の支援に乗り出さず、ボランティア任せにしていた。 ガザでの戦闘が長引き、アメリカとの関係が悪化しても、ネタニヤフはガザの将来的な統治に関する構想を示せずにいる。そして今も、そこには100人以上の人質がいる』、「司法改革案にさかのぼる。表向きは司法の民主化策とされていたが、実は政権の政治的な都合に警察や検察、裁判所を従わせ、イスラエルを「自由なき民主国家」につくり替えようとする極右ポピュリスト勢力の構想だった。そしてネタニヤフ政権自身も、こんな改革には軍部も反対するだろうことを予期していた。 この危険な改革案には世論の猛反発があり、実現は難しいとみられていた・・・しかしそこへハマスとの戦争が起き、極右勢力に時ならぬ追い風が吹いた。極右のベツァレル・スモトリッチ財務相はパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の統治に関する権限を掌握し、ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力を容認した・・・ハマスとの戦争が長引くにつれて国軍への信頼は低下し、今年3月時点で75%だった軍部に対する信頼感は7月時点で43%まで落ちていた。 しかし、政府はもっと信用されていない。同じ調査で、政府への信頼感は同じ期間に35%から26%へ低下していた。別の世論調査でも、国民の多くは早期の総選挙を望んでおり、いま選挙が行われたら現政権は敗退するという可能性が示されている・・・今のネタニヤフは対ヒズボラ戦勝利の美酒に酔っているが、その戦果をもたらしたのは軍と情報機関の実戦部隊だ。 しかも彼らの多くは予備役の軍人で、招集される前にはネタニヤフ政権の進める司法改革に反対するデモの先頭に立っていた。実際、ナスララの暗殺を敢行したF15飛行隊に所属する予備役兵士の過半数も、招集されるまではデモに参加していた・・・9月の劇的な戦果は過去16年間にわたる緻密で執拗な情報収集活動のたまものだが、それを制服組トップとして率いてきたのはベニー・ガンツとガディ・エイゼンコット。いずれも今は野党の有力政治家だ。) つまり、無能だったのは軍や情報機関の指揮官ではなく文民の政治家だった。今の政権は最初の1年を無益な司法改革に費やした」、なるほど。
・『国の信用格付けが急降下  しかし現政権の最大の汚点は経済だ。戦争が長引けば経済に負担がかかるのは常識で、だからこそ歴代のイスラエル政府はできる限り戦争を避けてきた。 ところが財務相のスモトリッチは戦時予算を組もうともせず、ヨルダン川西岸への入植者や超保守派のユダヤ教徒に対する支援金をばらまいている。結果、今年第2四半期の経済成長率はマイナス0.2%に落ち込んだ。 格付け機関のムーディーズは9月27日、イスラエルの信用度をA2からBaa1へ引き下げ、「地政学的リスクの上昇」次第で評価はさらに下がると警告した。S&Pもイスラエルの格付けをA+からAに引き下げている。 9月後半における軍事的成功が今後のイスラエル政局にどう作用するか、現時点で推し量るのは難しい。直近の世論調査でネタニヤフ率いる与党リクードの支持率が上がったのは事実だが、ヒズボラとの戦争はまだ終わっていない。 10月1日に始まったレバノンへの地上侵攻で死傷者が増えれば、逆に政権批判が強まるだろう。イランの報復が終わる保証もない。 Foreign Policy logoFrom Foreign Policy Magazine』、「現政権の最大の汚点は経済だ。戦争が長引けば経済に負担がかかるのは常識で、だからこそ歴代のイスラエル政府はできる限り戦争を避けてきた。 ところが財務相のスモトリッチは戦時予算を組もうともせず、ヨルダン川西岸への入植者や超保守派のユダヤ教徒に対する支援金をばらまいている。結果、今年第2四半期の経済成長率はマイナス0.2%に落ち込んだ。 格付け機関のムーディーズは9月27日、イスラエルの信用度をA2からBaa1へ引き下げ、「地政学的リスクの上昇」次第で評価はさらに下がると警告した。S&Pもイスラエルの格付けをA+からAに引き下げている」、「格付け機関」の格付は下げられたといっても、水準的には投資適格で依然、高い。「戦時予算を組もうともせず、ヨルダン川西岸への入植者や超保守派のユダヤ教徒に対する支援金をばらまいている」、ようでは、格付の実態は酷く悪化している筈だ。

次に、10月11日付け現代ビジネスが掲載した国際政治学者・放送大学教授の高橋 和夫氏による「国外から批判の声も…イスラエル・ネタニヤフ政権の右傾化が止まらない「3つの要因」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/139045?imp=0
・『2023年10月に発生したハマスによるイスラエル攻撃に端を発し、緊張が高まる一方の中東情勢。国外から批判の声が上がる中、ネタニヤフ政権が強硬姿勢を崩さない理由はどこにあるのだろうか。 国際政治学者の高橋和夫氏は『なぜガザは戦場になるのか』にて、その要因と今後予想されうる事態について詳細に解説している』、興味深そうだ。
・『イスラエル社会が右に振れる要因  イスラエルの政治は、どんどん右に傾いている。中でも2022年末に発足した現在のネタニヤフ政権は、イスラエル史上もっとも右寄りの極右政権である。クネセットで7議席を有する「宗教シオニズム」党と、6議席の「ユダヤの力」党といった極右の少数政党が連立政権に入り、警察行政に関わる閣僚ポストを手に入れたことで、混乱も起きている。こうした極右政党は、パレスチナ人の追放あるいは違法な入植地「アウトポスト」の撤去の停止を主張している。ガザのハマスに対して核兵器の使用も「選択肢の一つ」かと問われ、否定しなかったアミハイ・エリヤフ・エルサレム問題・遺産相も、「ユダヤの力」の議員である。これが国際的に物議を醸した。 なぜイスラエル社会が右に傾いて来たのか。理由のひとつは、和平に対する幻滅である。1993年にラビン首相がオスロ合意を結んで以来、和平のために譲歩をして来たが、パレスチナ側に和平をする気がないという考え方が一般的になっている。イスラエルは最大限に譲っているのに、まだ満足できない強欲な人々という認識である。もちろん、占領されているパレスチナの側から言えば、イスラエル側が最大限に譲ったといっても、占領地の一部しか戻ってこないという話であり、納得のできる条件とは言えないのだが。 理由の2つ目は、1991年に旧ソ連が崩壊して、ロシア移民が100万人単位でやってきた。この人たちは、元からアラブ人に対する人種差別的な意識が強く、妥協しようという考えが少ない傾向がある。ロシア系ユダヤ人は、いまやイスラエル国内で一大勢力となり、「我が家イスラエル」という右派政党も組織し影響力を高めている。 3つ目は、先に述べた占領地ではなく解放地であるとの認識を持つ人が増えていることである。この人たちの人口比を大きくしている人口動態については、次の項で取り上げよう。それにともなって入植者も増えている。そして、イスラエル政府の入植地の拡大やパレスチナ人の追放といった右寄りの政策が、そうした人々の行動を助長している。) イスラエル社会が右に振れる要因は、他にもある。他方で、パレスチナとの和平に踏み出すべきだとの世論を強めるような要因は、残念ながら少ない。イスラエル経済は、ハイテク産業の活況で好調である。社会が右傾化しようと、経済が順調であれば良いと考える人は多い。また占領地で何が起きているかという事実について、興味がないし考えたくないし、見たくもないというイスラエル人は多い。これが、ある意味では最大の問題だろうか。ガザの人々がどれほど苦しんできたかについては、何も知らない。そして“テロ”が起きると、「私たちは平和に暮らしていただけなのになぜ」という反応になる。 そして、イスラエルは国外からのユダヤ人の移民を奨励している。それにより、アメリカなどから移住をして、入植地に住んだりイスラエル軍に入隊したりする熱狂的なユダヤ系の人が増えている。他方でこれだけ社会が右傾化すると、和平を望んでいたイスラエル人にはますます居場所がなくなる。出国してアメリカやヨーロッパに新天地を求める人もいる。そのため、ますますイスラエル社会の右傾化に拍車がかかっている。極右政権の誕生は、その象徴かもしれない』、「2022年末に発足した現在のネタニヤフ政権は、イスラエル史上もっとも右寄りの極右政権である。クネセットで7議席を有する「宗教シオニズム」党と、6議席の「ユダヤの力」党といった極右の少数政党が連立政権に入り、警察行政に関わる閣僚ポストを手に入れたことで、混乱も起きている。こうした極右政党は、パレスチナ人の追放あるいは違法な入植地「アウトポスト」の撤去の停止を主張している・・・なぜイスラエル社会が右に傾いて来たのか。理由のひとつは、和平に対する幻滅である。1993年にラビン首相がオスロ合意を結んで以来、和平のために譲歩をして来たが、パレスチナ側に和平をする気がないという考え方が一般的になっている。イスラエルは最大限に譲っているのに、まだ満足できない強欲な人々という認識である。もちろん、占領されているパレスチナの側から言えば、イスラエル側が最大限に譲ったといっても、占領地の一部しか戻ってこないという話であり、納得のできる条件とは言えないのだが・・・理由の2つ目は、1991年に旧ソ連が崩壊して、ロシア移民が100万人単位でやってきた。この人たちは、元からアラブ人に対する人種差別的な意識が強く、妥協しようという考えが少ない傾向がある。ロシア系ユダヤ人は、いまやイスラエル国内で一大勢力となり、「我が家イスラエル」という右派政党も組織し影響力を高めている。 3つ目は、先に述べた占領地ではなく解放地であるとの認識を持つ人が増えていることである・・・イスラエルは国外からのユダヤ人の移民を奨励している。それにより、アメリカなどから移住をして、入植地に住んだりイスラエル軍に入隊したりする熱狂的なユダヤ系の人が増えている。他方でこれだけ社会が右傾化すると、和平を望んでいたイスラエル人にはますます居場所がなくなる。出国してアメリカやヨーロッパに新天地を求める人もいる。そのため、ますますイスラエル社会の右傾化に拍車がかかっている」、なるほど。
・『ユダヤ教“超正統派”の出生率は6.64  イスラエルの人口は増えている。その人口をおさらいしておこう。イスラエルの総人口は、約1000万人である。その75%がユダヤ人で、アラブ人が20%、そして、その他が5%である。実数にすると、ユダヤ人が750万人になる。そして、イスラエル成立後にその地に踏みとどまったパレスチナ人が、子孫を含めて人口の20%を占める。実数にすると200万人である。そのほかは、ユダヤ人でもアラブ人でもない少数派で、実数にすると50万人である。 イスラエル女性の生涯出生率は3.0程度である。これは、一人の女性が産む子どもの数である。現在の人口を維持するためには、この数値が2.07 必要である。大半の先進工業国では、出生率がこの2.07を切っており、人口の減少を経験している。ちなみに日本の2022年の数値は1.26だった。 イスラエルの出生率の高さの理由は何だろうか。最大の要因は、超正統派と呼ばれる人々の子どもの多さである。第二に、好景気が持続していたという経済的要因があるだろう。第三に移民の流入も指摘できるだろう。第四に不妊治療が広く行われているという医療サービスの水準の高さがあるだろう。 宗教・宗派別では、イスラム教徒の方が出生率は高いものの、爆発的に増えているわけではない。注目すべきは、ユダヤ教徒内での出生率の比較である。ユダヤ教の超正統派と呼ばれる人々の間の出生率が極端に高い。数値が6.64である。ということは長期的には非常に保守的で宗教的な層の人口比が高まっていく。これが、イスラエル国内の世俗的な層との緊張を高めるだろう。また宗教的には改革的な傾向の強いアメリカのユダヤ教徒と、イスラエルとの間の距離をこれまで以上に広げかねない。) ヨルダン川西岸とガザでの人口動態も重要だ。ヨルダン川西岸には約330万人、ガザには約220万人のパレスチナ人が生活している。そして、その生涯出生率は3.5である。 おおざっぱな算数をしよう。国際的に認められたイスラエル国境内、ヨルダン川西岸、ガザの人口を全て合わせると、1550万人になる。そのうち750万人はユダヤ人である。そして760万人はパレスチナ人になる。その他が50万人である。 聖地パレスチナ、つまりイスラエルとガザとヨルダン川西岸を合わせた地域の人口の過半数は、すでにユダヤ人ではない。そして占領地での出生率の高さを考慮すると、パレスチナ人の比率はさらに高まってくる』、「国際的に認められたイスラエル国境内、ヨルダン川西岸、ガザの人口を全て合わせると、1550万人になる。そのうち750万人はユダヤ人である。そして760万人はパレスチナ人になる。その他が50万人である。 聖地パレスチナ、つまりイスラエルとガザとヨルダン川西岸を合わせた地域の人口の過半数は、すでにユダヤ人ではない。そして占領地での出生率の高さを考慮すると、パレスチナ人の比率はさらに高まってくる」、なるほど。
・『アパルトヘイト状態の社会構造  西岸地区では、ほんのわずかな土地がパレスチナ人の自治に委ねられているだけで、大半の地域がイスラエルの支配下にある。つまり占領下にある。その占領下では、パレスチナ人の土地を奪ってユダヤ人の入植活動が行われている。ガザ地区は、イスラエルとエジプトによって封鎖が続いている。220万人のパレスチナ人を、ここまで追い詰める政策に対し、国連などを中心に非難の声が上がってきた。 聖地と呼ばれる土地にユダヤ人が特権階級として君臨し、二級市民としてイスラエル国籍を持つパレスチナ人がいる。さらにその下に占領下のパレスチナ人が生活している。そこでは、重大な人権の蹂躙が日常化している。どこかで見たような社会構造である。そう、かつて少数派の白人が多数派の有色人種を支配した、南アフリカの支配構造と類似している。南アフリカの人種隔離と差別の構造には、つまり人種隔離政策にはアパルトヘイトという名称がつけられていた。このまま占領を続ければ、イスラエルはアパルトヘイト国家としてやっていくことになる。 さらに関連記事【爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか】ではイスラエルが警戒を強める「ヒズボラ」誕生の背景について解説している』、「かつて少数派の白人が多数派の有色人種を支配した、南アフリカの支配構造と類似している。南アフリカの人種隔離と差別の構造には、つまり人種隔離政策にはアパルトヘイトという名称がつけられていた。このまま占領を続ければ、イスラエルはアパルトヘイト国家としてやっていくことになる」、なるほど。

第三に、10月11日付け現代ビジネスが掲載した国際政治学者・放送大学教授の高橋 和夫氏による「爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか」を紹介しよう。
・『2023年10月に発生したハマスによるイスラエル攻撃に端を発し、緊張が高まる一方の中東情勢。ここ数日特にイスラエルと一触即発状態となっているヒズボラという組織はどのように誕生し、イスラム世界ではどのように評価されているのだろうか。国際政治学者の高橋和夫氏の『なぜガザは戦場になるのか』には中東情勢を理解するためにいまこそ知りたい、その歴史的背景が記されている』、興味深そうだ。
・『ヒズボラとは何か?  イスラエルが警戒するヒズボラとは、どのような組織なのだろうか。ヒズボラとは、アラビア語で「神の党」という意味である。1982年に、イランの支援でレバノン南部で創設された。 ヒズボラの支配地域は、レバノンの首都であるベイルートの南から、レバノン南部一帯である。ヒズボラの戦力や戦闘員の能力は、レバノン正規軍を上まわっている。 軍事力だけではない。ヒズボラの政治部門はレバノンの選挙に参加しており、2022年の定数128の国会議員選挙で半数近くの62議席を獲得するなど、大きな政治力を持っている。 また、支配地域では貧困状態の人々に対し、医療や福祉、教育を提供するなど、住民サービスも行っている。先に述べたハマスと同様のNGO的な側面である。また、ヒズボラの戦闘員として、イスラエルとの戦いで負傷した若者や殉教した兵士の家族への支援を行っている。ヒズボラの指導者であるナスララは、息子をイスラエルとの戦闘で亡くしている。「息子が死んで悲しいが、これでやっと殉教者の母親たちの目を見て話すことができる。親としての悲しみを共有できる」と述べている。 本人は、暗殺を恐れて集会に直接に顔を出すことはないが、映像を通じて話しかける。人々の心を掴むのが巧みだ』、「ヒズボラの戦力や戦闘員の能力は、レバノン正規軍を上まわっている。 軍事力だけではない。ヒズボラの政治部門はレバノンの選挙に参加しており、2022年の定数128の国会議員選挙で半数近くの62議席を獲得するなど、大きな政治力を持っている。 また、支配地域では貧困状態の人々に対し、医療や福祉、教育を提供するなど、住民サービスも行っている。先に述べたハマスと同様のNGO的な側面である。また、ヒズボラの戦闘員として、イスラエルとの戦いで負傷した若者や殉教した兵士の家族への支援を行っている」、いわば政府的な役割を果たしているようだ。
・『レバノンは「生きた宗教の博物館」  ヒズボラがなぜ誕生したかという理由を説明するために、少々回り道になるが、レバノンの歴史をたどりたい。レバノンはかつてオスマン帝国の領土であったが、第一次世界大戦後にシリアと共にフランスの支配下に入った。レバノンが独立し、フランスが撤退したのは1943年のことだ。 レバノンは、宗教的にはキリスト教とイスラム教のさまざまな宗派がモザイクのように入り乱れる複雑な社会だ。歴史的に迫害を受けた多くの少数派が、レバノンの山岳地帯に避難して住みついてきたからだ。いわば「生きた宗教の博物館」状態となっている。独立の際に、各宗派の間で権力を分割する協定が結ばれた。大統領はキリスト教マロン派、国会議長はイスラム教スンニー派という具合にである。その基礎になったのが、1932年の人口調査であった。 ところが、キリスト教徒が多数を占めていたころの人口統計に基づいたシステムは、段々と実情に合わなくなってくる。イスラム教徒の方が多産なので、人口増加率が高かった。中でも、南部のイスラム教シーア派の人々は、特に所得が低く、人口増加率も高かった。しかし、人口調査は1932年以降行われず、キリスト教徒優位のシステムが続いた。そして、このシステムへのイスラム教徒の不満が高まった。キリスト教徒の側も、自らの特権を脅かされるのではないかという不安を募らせていく。各宗派は、独自の武装組織を育成し自衛の構えを見せていた。 そんな危うい状況のレバノンに、1970年に乗り込んできたのがアラファト率いるPLO(パレスチナ解放機構)だった。前に触れたヨルダンでの内戦に敗れレバノンに亡命してきたPLOは、レバノンの中で独立国家のように振る舞った。イスラム教徒が多数を占めるPLOの存在は、レバノンの宗派間のバランスをさらに危うくした。そして1975年にレバノンは内戦に突入した。内戦にはシリアも介入した。その後1982年にはイスラエルがレバノンに侵攻して、レバノン情勢は泥沼化していく』、「独立の際に、各宗派の間で権力を分割する協定が結ばれた。大統領はキリスト教マロン派、国会議長はイスラム教スンニー派という具合にである。その基礎になったのが、1932年の人口調査であった。 ところが、キリスト教徒が多数を占めていたころの人口統計に基づいたシステムは、段々と実情に合わなくなってくる。イスラム教徒の方が多産なので、人口増加率が高かった・・・レバノンに、1970年に乗り込んできたのがアラファト率いるPLO(パレスチナ解放機構)だった。前に触れたヨルダンでの内戦に敗れレバノンに亡命してきたPLOは、レバノンの中で独立国家のように振る舞った。イスラム教徒が多数を占めるPLOの存在は、レバノンの宗派間のバランスをさらに危うくした。そして1975年にレバノンは内戦に突入した。内戦にはシリアも介入した。その後1982年にはイスラエルがレバノンに侵攻して、レバノン情勢は泥沼化していく」、なるほど。
・『イランのサポートで誕生したヒズボラ  イスラエルが侵攻した理由は、PLOがレバノン南部を拠点に、イスラエルにゲリラ攻撃を仕掛けていたからだ。迷惑を被っていったのは、レバノン南部に住んでいたイスラム教シーア派の人たちである。当時シーア派は、組織化されておらず、したがって政治力がなく、人口は多くても発言権がなかった。PLOがイスラエルを攻撃すれば、その報復でレバノン南部が攻撃された。そのため、イスラエル軍がアラファトを撃つために南レバノンに侵攻すると、当初シーア派の住民たちは大歓迎をした。その後、アラファト率いるPLOはレバノンからチュニジアに亡命した。しかしPLO撤退後も、イスラエル軍はレバノン南部の占領を続けた。 シーア派の住民はPLOは嫌いだったが、イスラエルの支配下に入りたいと望んだわけではなかった。そして、その組織化をシーア派が多数派を占めるイランがサポートして、ヒズボラが創設された。 ヒズボラが世の注目を集めた最初の事件は、アメリカ軍の海兵隊宿舎の爆破だった。アラファトなどのPLOの戦士たちがチュニジアへと去った後、ベイルートの治安維持を名目にアメリカ軍海兵隊などが進駐した。1983年にヒズボラのメンバーが爆弾を満載したトラックで海兵隊の宿舎に突っ込んで自爆し、多くの米兵を殺害した。それにより海兵隊は撤退した。筆者が知る限り、イスラム教徒による歴史上最初の自爆攻撃である。 またイスラエルが占領していたレバノン南部では、ヒズボラが抵抗運動を強めた。そして2000年までの18年間にわたり戦った。爆弾を巻いて死ぬ気で戦うヒズボラの若者たちに、中東最強とされるイスラエル軍も苦戦した。そして、殉教精神だけでなく、イランの軍事顧問団による訓練と、実戦を積むことにより、ヒズボラは強力な戦闘集団となった』、「イスラエルが占領していたレバノン南部では、ヒズボラが抵抗運動を強めた。そして2000年までの18年間にわたり戦った。爆弾を巻いて死ぬ気で戦うヒズボラの若者たちに、中東最強とされるイスラエル軍も苦戦した。そして、殉教精神だけでなく、イランの軍事顧問団による訓練と、実戦を積むことにより、ヒズボラは強力な戦闘集団となった」、なるほど。
・『イスラム世界全体の英雄となる  ヒズボラは、イスラエル軍の行動パターンを読んで戦った。たとえば、イスラエル軍のパトロール部隊を待ち伏せして包囲すれば、必ず救出部隊が送られてくる。パトロール部隊を全滅させても10人程度だが、救出部隊を待ち伏せすればその何倍も倒すことができる。ヒズボラはパトロール部隊を包囲すると同時に、救出部隊を攻撃する準備をして待ち伏せを行った。そのため、イスラエル軍は救援に行くのが危険になった。ヒズボラよりはるかに強力な兵器で武装しているイスラエルが、苦戦を強いられた。何より士気が違う。ヒズボラは自らの土地を取り返すために死をも恐れず戦う。イスラエル兵は、他人の土地を占領して、こんなところで死にたくないと思って戦う。士気が上がるはずもない。最終的には2000年に、イスラエル軍がレバノンから撤退した。 アラブ側が戦ってイスラエル軍を撤退させた例は少ない。イスラエルが建国されてから、アラブ側は負け続けていた。ヒズボラは、その憎っくきイスラエル軍を撤退に追い込んだ。そのためレバノンでは、ヒズボラが英雄となった。もちろん、レバノンにはシーア派やヒズボラが大嫌いという人は多い。それでも、対イスラエルに関しては、ヒズボラはよく戦ったとの評価である。またレバノンを越えてイスラム世界全体でヒズボラは英雄となった。 そして、このヒズボラのイスラエル軍に対する善戦は、占領下で苦しむ多くのパレスチナ人にとっても刺激となった。それが後にパレスチナ人自身による抵抗運動、インティファーダ(1987年)につながった。また、ハマスをはじめとする抵抗組織の設立につながった。そして自爆、つまり殉教攻撃という戦術がイスラム世界全体に広がった。「殉教者こそ神の友」という叫び声が広くこだまするようになった。 さらに、イスラエルが脅威を抱く「ヒズボラのミサイル」について関連記事【「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル、「真の実力」が見えてきた】で解説する』、「ヒズボラは、イスラエル軍の行動パターンを読んで戦った。たとえば、イスラエル軍のパトロール部隊を待ち伏せして包囲すれば、必ず救出部隊が送られてくる。パトロール部隊を全滅させても10人程度だが、救出部隊を待ち伏せすればその何倍も倒すことができる。ヒズボラはパトロール部隊を包囲すると同時に、救出部隊を攻撃する準備をして待ち伏せを行った。そのため、イスラエル軍は救援に行くのが危険になった。ヒズボラよりはるかに強力な兵器で武装しているイスラエルが、苦戦を強いられた。何より士気が違う。ヒズボラは自らの土地を取り返すために死をも恐れず戦う。イスラエル兵は、他人の土地を占領して、こんなところで死にたくないと思って戦う。士気が上がるはずもない。最終的には2000年に、イスラエル軍がレバノンから撤退した・・・このヒズボラのイスラエル軍に対する善戦は、占領下で苦しむ多くのパレスチナ人にとっても刺激となった。それが後にパレスチナ人自身による抵抗運動、インティファーダ(1987年)につながった。また、ハマスをはじめとする抵抗組織の設立につながった。そして自爆、つまり殉教攻撃という戦術がイスラム世界全体に広がった。「殉教者こそ神の友」という叫び声が広くこだまするようになった」、なるほど。

第四に、10月11日付け現代ビジネスが掲載した国際政治学者・放送大学教授の高橋 和夫氏による「「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル、「真の実力」が見えてきた」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/138993?imp=0
・『2023年10月に発生したハマスによるイスラエル攻撃に端を発し、緊張が高まる一方の中東情勢。ここへ来て動きが活発化しているイランはなぜハマスを支援するのだろうか。そしてイスラエルが警戒するもう一つの勢力・ヒズボラの実力とは。国際政治学者の高橋和夫氏は『なぜガザは戦場になるのか』にて、その構造を分かりやすく解説している』、興味深そうだ。
・『なぜイランはハマスを支援するのか?  ガザ情勢の展開で大きな役割を担っているのが、アメリカとイランである。一方でアメリカはイスラエルを支援している。その背景については前の章で論じた。他方でイランはハマスを支持し、軍事的な援助を与えてきた。またヒズボラや、さらにはイエメンのフーシ派の支援を行っている。その上、シリアやイラクではシーア派の民兵組織を支えている。ハマス以外は全てシーア派である。同じ宗派ならば、支援しても不思議ではない。しかし、なぜイランはハマスを支援するのだろうか。ハマスはスンニー派の組織である。 背景には、イランの革命政権の発想がある。イランの革命はすばらしいものだから、アラブ世界にも広めていきたいという認識である。ただ、アラブ諸国の大半がスンニー派が多数派である。しかも、ペルシア人のイランとは民族が違う。そこで、イランがアラブ世界に影響力を浸透させるテコとしたのがパレスチナ問題である。民族や宗派は違っても同じイスラム教徒としてである。イスラムの聖地であるエルサレムが、イスラエルに占領されている。それなのにアラブ諸国は、何もしていない。黙って見ている。それに比べてイランは、イスラエルと戦うハマスを支援しているという構図である』、「イスラムの聖地であるエルサレムが、イスラエルに占領されている。それなのにアラブ諸国は、何もしていない。黙って見ている。それに比べてイランは、イスラエルと戦うハマスを支援しているという構図である」、「イラン」の立場がよく理解できた。
・『イランはシーア派、ハマスはスンニー派  イランはシーア派でハマスはスンニー派だが、それがイラン革命の正しさは宗派を超えるとの宣伝になる。イランには、革命防衛隊というイスラム革命体制を守るための軍隊がある。その中で対外工作などを担当する部隊の名称はアル・クッズ部隊である。アル・クッズはエルサレムを意味する。この部隊名こそ、イランがイスラム教の聖地であるエルサレムのイスラエルからの解放を錦の御旗にしている証である。 なおシーア派の民兵組織についても説明しておこう。まずイラクやシリアにはシーア派の民兵組織がある。フセイン体制が倒れて以来、イラクではイランの支援を受けた民兵組織が自由に活動できるようになった。IS(イスラム国)との戦闘にも貢献したこうした組織は、必ずしもイラク政府のコントロール下になく、イランの影響下にある。 同じようにシリアでも、2011年の人々が民主化を求めた「アラブの春」以降の内戦下でシーア派の民兵組織がイランの支援を受けて活動し始めた。両者は、イラクとシリアにあるアメリカ軍基地をドローンで攻撃するなど、ガザへのイスラエル軍の侵攻以来、微妙な動きを見せている。 微妙というよりは鮮明過ぎるくらいなのが、イエメンのフーシ派である。フーシ派はこの戦争への参戦を表明してイスラエルへのミサイルやドローンの攻撃を行った。また紅海を航行する船舶を攻撃したり、捕獲したりした。捕獲された船は日本郵船がチャーターしていた。これはイスラエル資本が一部を所有する船だった。紅海での交通が妨げられると、アジアとヨーロッパを結ぶ貿易は大きな影響を受ける。このフーシ派の動向が注目される。 このフーシ派とは何者なのか。フーシ派はシーア派の組織が、やはり2011年の「アラブの春」以降の混乱の中で台頭してきた。サウジアラビアなどが支援する「イエメン政府」との内戦で優勢に立ち、首都サナアなどを支配している。同じシーア派ということでイランの支援を受けてきたのは確かなのだが、どのくらいイランの意向に沿って行動しているかは、不明である。 以下に述べるようにイランは明らかに戦争の拡大を望んでいないにもかかわらず、フーシ派は活発にイスラエルを攻撃している。 他のアラブ・イスラム世界の国々は、ガザの人々の支援を口にしながら、実際には何もしていない。それに比べ、フーシ派は敢然として立ちイスラエルに打撃を与えている――そうした姿勢である。 イエメンでは大規模なハマス支援のデモが行われている。イスラエル攻撃は、そうした世論を踏まえてのフーシ派の独自の軍事作戦の色彩が濃い。アメリカが、あれだけイスラエルに援助を与えながら同国をコントロールできないように、イランもフーシ派に援助を与えながら制御はできていないのだろうか』、「他のアラブ・イスラム世界の国々は、ガザの人々の支援を口にしながら、実際には何もしていない。それに比べ、フーシ派は敢然として立ちイスラエルに打撃を与えている――そうした姿勢である。 イエメンでは大規模なハマス支援のデモが行われている。イスラエル攻撃は、そうした世論を踏まえてのフーシ派の独自の軍事作戦の色彩が濃い」、なるほど。
・『ヒズボラのミサイル  民兵組織、フーシ派、ヒズボラなどの軍事組織とシリアとイランを合わせて「抵抗の枢軸」というような表現が使われる。その中心は、もちろんイランであるが、その次に軍事的に強力なのは、おそらく内戦で分裂したシリアではなくヒズボラだろうか。ヒズボラはレバノン南部を拠点としている。イスラエルとアメリカが、そのミサイル戦力を特に警戒している。 ハマスもミサイルを持っているが、その多くは花火が進化した程度である。スピードが遅く遠くまで飛ばない。また限られた数の長距離ミサイルも精確な誘導装置を持っていない。ところがヒズボラは十数万発のミサイルを保有している。その中には精密誘導の弾道ミサイルも数多く含まれる。つまりハマスとはケタ違いに強大な戦力を保有している。イスラエルとハマスとヒズボラの軍事力を野球で例えるとすると、イスラエルはメジャーリーグで、ハマスはリトルリーグくらいだろう。ヒズボラは日本のプロ野球くらいの実力がある。ヒズボラと戦争をすれば、イスラエルの主要都市のハイファやテルアビブの街にミサイルの雨が降る。 ヒズボラのミサイルはイラン製である。そして、イラン製のミサイルは非常に命中率が高い。その例を紹介しよう。2020年に、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官がアメリカ軍に暗殺された。数日後に、イランは報復として、イラクにあるアメリカ軍基地に10数発の弾道ミサイルを撃ち込んだ。このとき、ミサイルはことごとく目標に命中した。ただし、一人の死者も出なかった。その理由は、何だろうか。二つの説が流布している。最初の説によれば、アメリカ軍がイランが民間の衛星会社からアメリカ軍基地の衛星写真を買っていることを知っていたからだ。イランが最新の写真を購入した直後に、兵士を移動させたため死者が出なかった。イランのミサイルが正確に兵士の元いた場所に着弾したからだ。 第二の説はイラン軍はアメリカの将兵の居場所を知っていたが、正確に目標を外した。これによって、アメリカ軍基地へのミサイル攻撃という強い措置を取ったとして報復を求める内外世論を納得させ、同時にアメリカとの戦争を避けた。要するにイランとアメリカの八百長であった。だが、いずれにしろミサイルの精確さが証明された・・・』、「ヒズボラは十数万発のミサイルを保有している。その中には精密誘導の弾道ミサイルも数多く含まれる。つまりハマスとはケタ違いに強大な戦力を保有している・・・イランは報復として、イラクにあるアメリカ軍基地に10数発の弾道ミサイルを撃ち込んだ。このとき、ミサイルはことごとく目標に命中した。ただし、一人の死者も出なかった。その理由は、何だろうか。二つの説が流布している。最初の説によれば、アメリカ軍がイランが民間の衛星会社からアメリカ軍基地の衛星写真を買っていることを知っていたからだ。イランが最新の写真を購入した直後に、兵士を移動させたため死者が出なかった。イランのミサイルが正確に兵士の元いた場所に着弾したからだ。 第二の説はイラン軍はアメリカの将兵の居場所を知っていたが、正確に目標を外した。これによって、アメリカ軍基地へのミサイル攻撃という強い措置を取ったとして報復を求める内外世論を納得させ、同時にアメリカとの戦争を避けた。要するにイランとアメリカの八百長であった」、中東問題での真相解明は本当に難しいようだ。
タグ:東問題での真相解明は本当に難しいようだ。 最初の説によれば、アメリカ軍がイランが民間の衛星会社からアメリカ軍基地の衛星写真を買っていることを知っていたからだ。イランが最新の写真を購入した直後に、兵士を移動させたため死者が出なかった。イランのミサイルが正確に兵士の元いた場所に着弾したからだ。 第二の説はイラン軍はアメリカの将兵の居場所を知っていたが、正確に目標を外した。これによって、アメリカ軍基地へのミサイル攻撃という強い措置を取ったとして報復を求める内外世論を納得させ、同時にアメリカとの戦争を避けた。要するにイランとアメリカの八百長であった」、中 「ヒズボラは十数万発のミサイルを保有している。その中には精密誘導の弾道ミサイルも数多く含まれる。つまりハマスとはケタ違いに強大な戦力を保有している・・・イランは報復として、イラクにあるアメリカ軍基地に10数発の弾道ミサイルを撃ち込んだ。このとき、ミサイルはことごとく目標に命中した。ただし、一人の死者も出なかった。その理由は、何だろうか。二つの説が流布している。 「他のアラブ・イスラム世界の国々は、ガザの人々の支援を口にしながら、実際には何もしていない。それに比べ、フーシ派は敢然として立ちイスラエルに打撃を与えている――そうした姿勢である。 イエメンでは大規模なハマス支援のデモが行われている。イスラエル攻撃は、そうした世論を踏まえてのフーシ派の独自の軍事作戦の色彩が濃い」、なるほど。 「イスラムの聖地であるエルサレムが、イスラエルに占領されている。それなのにアラブ諸国は、何もしていない。黙って見ている。それに比べてイランは、イスラエルと戦うハマスを支援しているという構図である」、「イラン」の立場がよく理解できた。 高橋 和夫氏による「「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル、「真の実力」が見えてきた」 また、ハマスをはじめとする抵抗組織の設立につながった。そして自爆、つまり殉教攻撃という戦術がイスラム世界全体に広がった。「殉教者こそ神の友」という叫び声が広くこだまするようになった」、なるほど。 何より士気が違う。ヒズボラは自らの土地を取り返すために死をも恐れず戦う。イスラエル兵は、他人の土地を占領して、こんなところで死にたくないと思って戦う。士気が上がるはずもない。最終的には2000年に、イスラエル軍がレバノンから撤退した・・・このヒズボラのイスラエル軍に対する善戦は、占領下で苦しむ多くのパレスチナ人にとっても刺激となった。それが後にパレスチナ人自身による抵抗運動、インティファーダ(1987年)につながった。 「ヒズボラは、イスラエル軍の行動パターンを読んで戦った。たとえば、イスラエル軍のパトロール部隊を待ち伏せして包囲すれば、必ず救出部隊が送られてくる。パトロール部隊を全滅させても10人程度だが、救出部隊を待ち伏せすればその何倍も倒すことができる。ヒズボラはパトロール部隊を包囲すると同時に、救出部隊を攻撃する準備をして待ち伏せを行った。そのため、イスラエル軍は救援に行くのが危険になった。ヒズボラよりはるかに強力な兵器で武装しているイスラエルが、苦戦を強いられた。 「イスラエルが占領していたレバノン南部では、ヒズボラが抵抗運動を強めた。そして2000年までの18年間にわたり戦った。爆弾を巻いて死ぬ気で戦うヒズボラの若者たちに、中東最強とされるイスラエル軍も苦戦した。そして、殉教精神だけでなく、イランの軍事顧問団による訓練と、実戦を積むことにより、ヒズボラは強力な戦闘集団となった」、なるほど。 レバノンに、1970年に乗り込んできたのがアラファト率いるPLO(パレスチナ解放機構)だった。前に触れたヨルダンでの内戦に敗れレバノンに亡命してきたPLOは、レバノンの中で独立国家のように振る舞った。イスラム教徒が多数を占めるPLOの存在は、レバノンの宗派間のバランスをさらに危うくした。そして1975年にレバノンは内戦に突入した。内戦にはシリアも介入した。その後1982年にはイスラエルがレバノンに侵攻して、レバノン情勢は泥沼化していく」、なるほど。 「独立の際に、各宗派の間で権力を分割する協定が結ばれた。大統領はキリスト教マロン派、国会議長はイスラム教スンニー派という具合にである。その基礎になったのが、1932年の人口調査であった。 ところが、キリスト教徒が多数を占めていたころの人口統計に基づいたシステムは、段々と実情に合わなくなってくる。イスラム教徒の方が多産なので、人口増加率が高かった・・・ また、ヒズボラの戦闘員として、イスラエルとの戦いで負傷した若者や殉教した兵士の家族への支援を行っている」、いわば政府的な役割を果たしているようだ。 「ヒズボラの戦力や戦闘員の能力は、レバノン正規軍を上まわっている。 軍事力だけではない。ヒズボラの政治部門はレバノンの選挙に参加しており、2022年の定数128の国会議員選挙で半数近くの62議席を獲得するなど、大きな政治力を持っている。 また、支配地域では貧困状態の人々に対し、医療や福祉、教育を提供するなど、住民サービスも行っている。先に述べたハマスと同様のNGO的な側面である。 高橋 和夫氏による「爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか」 「かつて少数派の白人が多数派の有色人種を支配した、南アフリカの支配構造と類似している。南アフリカの人種隔離と差別の構造には、つまり人種隔離政策にはアパルトヘイトという名称がつけられていた。このまま占領を続ければ、イスラエルはアパルトヘイト国家としてやっていくことになる」、なるほど。 「国際的に認められたイスラエル国境内、ヨルダン川西岸、ガザの人口を全て合わせると、1550万人になる。そのうち750万人はユダヤ人である。そして760万人はパレスチナ人になる。その他が50万人である。 聖地パレスチナ、つまりイスラエルとガザとヨルダン川西岸を合わせた地域の人口の過半数は、すでにユダヤ人ではない。そして占領地での出生率の高さを考慮すると、パレスチナ人の比率はさらに高まってくる」、なるほど。 イスラエルは国外からのユダヤ人の移民を奨励している。それにより、アメリカなどから移住をして、入植地に住んだりイスラエル軍に入隊したりする熱狂的なユダヤ系の人が増えている。他方でこれだけ社会が右傾化すると、和平を望んでいたイスラエル人にはますます居場所がなくなる。出国してアメリカやヨーロッパに新天地を求める人もいる。そのため、ますますイスラエル社会の右傾化に拍車がかかっている」、なるほど。 理由の2つ目は、1991年に旧ソ連が崩壊して、ロシア移民が100万人単位でやってきた。この人たちは、元からアラブ人に対する人種差別的な意識が強く、妥協しようという考えが少ない傾向がある。ロシア系ユダヤ人は、いまやイスラエル国内で一大勢力となり、「我が家イスラエル」という右派政党も組織し影響力を高めている。 3つ目は、先に述べた占領地ではなく解放地であるとの認識を持つ人が増えていることである・・・ なぜイスラエル社会が右に傾いて来たのか。理由のひとつは、和平に対する幻滅である。1993年にラビン首相がオスロ合意を結んで以来、和平のために譲歩をして来たが、パレスチナ側に和平をする気がないという考え方が一般的になっている。イスラエルは最大限に譲っているのに、まだ満足できない強欲な人々という認識である。もちろん、占領されているパレスチナの側から言えば、イスラエル側が最大限に譲ったといっても、占領地の一部しか戻ってこないという話であり、納得のできる条件とは言えないのだが・・・ 「2022年末に発足した現在のネタニヤフ政権は、イスラエル史上もっとも右寄りの極右政権である。クネセットで7議席を有する「宗教シオニズム」党と、6議席の「ユダヤの力」党といった極右の少数政党が連立政権に入り、警察行政に関わる閣僚ポストを手に入れたことで、混乱も起きている。こうした極右政党は、パレスチナ人の追放あるいは違法な入植地「アウトポスト」の撤去の停止を主張している・・・ 『なぜガザは戦場になるのか』 高橋 和夫氏による「国外から批判の声も…イスラエル・ネタニヤフ政権の右傾化が止まらない「3つの要因」」 現代ビジネス A+からAに引き下げている」、「格付け機関」の格付は下げられたといっても、水準的には投資適格で依然、高い。「戦時予算を組もうともせず、ヨルダン川西岸への入植者や超保守派のユダヤ教徒に対する支援金をばらまいている」、ようでは、格付の実態は酷く悪化している筈だ。 「現政権の最大の汚点は経済だ。戦争が長引けば経済に負担がかかるのは常識で、だからこそ歴代のイスラエル政府はできる限り戦争を避けてきた。 ところが財務相のスモトリッチは戦時予算を組もうともせず、ヨルダン川西岸への入植者や超保守派のユダヤ教徒に対する支援金をばらまいている。結果、今年第2四半期の経済成長率はマイナス0.2%に落ち込んだ。 格付け機関のムーディーズは9月27日、イスラエルの信用度をA2からBaa1へ引き下げ、「地政学的リスクの上昇」次第で評価はさらに下がると警告した。S&Pもイスラエルの格付けを 9月の劇的な戦果は過去16年間にわたる緻密で執拗な情報収集活動のたまものだが、それを制服組トップとして率いてきたのはベニー・ガンツとガディ・エイゼンコット。いずれも今は野党の有力政治家だ。) つまり、無能だったのは軍や情報機関の指揮官ではなく文民の政治家だった。今の政権は最初の1年を無益な司法改革に費やした」、なるほど。 今のネタニヤフは対ヒズボラ戦勝利の美酒に酔っているが、その戦果をもたらしたのは軍と情報機関の実戦部隊だ。 しかも彼らの多くは予備役の軍人で、招集される前にはネタニヤフ政権の進める司法改革に反対するデモの先頭に立っていた。実際、ナスララの暗殺を敢行したF15飛行隊に所属する予備役兵士の過半数も、招集されるまではデモに参加していた・・・ 権限を掌握し、ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力を容認した・・・ハマスとの戦争が長引くにつれて国軍への信頼は低下し、今年3月時点で75%だった軍部に対する信頼感は7月時点で43%まで落ちていた。 しかし、政府はもっと信用されていない。同じ調査で、政府への信頼感は同じ期間に35%から26%へ低下していた。別の世論調査でも、国民の多くは早期の総選挙を望んでおり、いま選挙が行われたら現政権は敗退するという可能性が示されている・・・ 「司法改革案にさかのぼる。表向きは司法の民主化策とされていたが、実は政権の政治的な都合に警察や検察、裁判所を従わせ、イスラエルを「自由なき民主国家」につくり替えようとする極右ポピュリスト勢力の構想だった。そしてネタニヤフ政権自身も、こんな改革には軍部も反対するだろうことを予期していた。 この危険な改革案には世論の猛反発があり、実現は難しいとみられていた・・・しかしそこへハマスとの戦争が起き、極右勢力に時ならぬ追い風が吹いた。極右のベツァレル・スモトリッチ財務相はパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の統治に関する 「「この間、イスラエル軍はヒズボラに強烈な打撃を与えてきた。しかし私は、まだ不十分だという結論に達した。故に(ナスララ殺害の)命令を下した」と・・・この間ずっと、10.7奇襲を防げなかった国軍を非難してきたネタニヤフとしては、ここで軍部やモサドを英雄に仕立てるわけにはいかなかった」、なるほど。 デービッド・ローゼンバーグ氏による「ヒズボラ指導者の殺害という「勝利の美酒」に酔うネタニヤフ首相だが、政権の足元は「崩壊」寸前」 Newsweek日本版 (その9)(ヒズボラ指導者の殺害という「勝利の美酒」に酔うネタニヤフ首相だが 政権の足元は「崩壊」寸前、国外から批判の声も…イスラエル・ネタニヤフ政権の右傾化が止まらない「3つの要因」、爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか、「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル 「真の実力」が見えてきた) イスラエル・パレスチナ
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