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人工知能(AI)(その17)(AIは欧米諸国の「知能劣化」を加速させるのか E・トッド「民主主義」の終わりとその先の希望、豪首相が謝罪「AIの不祥事」に学ぶリスク管理 迫るEU法規制、日本企業も制裁の対象になる、マイクロソフトやインテルにがっかり…有力投資家たちがAI関連企業に失望し始めたワケ) [イノベーション]

人工知能(AI)については、昨年12月3日に取上げた。今日は、(その17)(AIは欧米諸国の「知能劣化」を加速させるのか E・トッド「民主主義」の終わりとその先の希望、豪首相が謝罪「AIの不祥事」に学ぶリスク管理 迫るEU法規制、日本企業も制裁の対象になる、マイクロソフトやインテルにがっかり…有力投資家たちがAI関連企業に失望し始めたワケ)である。

先ずは、本年4月27日付け東洋経済オンラインが掲載した歴史家・文化人類学者・人口学者のエマニュエル・トッド氏による「AIは欧米諸国の「知能劣化」を加速させるのか E・トッド「民主主義」の終わりとその先の希望」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/748985
・『「世界最高の知性」の一人と言われるエマニュエル・トッド氏。「ソ連崩壊」から「金融危機」まで数々の歴史的出来事を予言してきた彼は、近年、急激な発展を見せている生成AIとどのように向き合っているのか。技術という暴走列車に乗り込んだ私たち人類はいったいどこへ向かっているのか。『人類の終着点戦争、AI、ヒューマニティの未来』(朝日新書)に収録されたトッド氏の新たな予言を公開する』、興味深そうだ。
・『人工知能によってもたらされた「知性の劣化」  Q:テクノロジーの話題に移りたいと思います。2020年代、世界で最も大きな変化の一つは「人工知能の進歩」でした。2022年のChatGPTに代表されるようなAIの登場は世界中に急速に広まり、インターネット上に蓄積された膨大な英知を活用して、私たちに瞬時にアイデアや解決策を提供してくれるようになりました。あなたはそれを試してみたことがありますか。また、どう感じましたか。 エマニュエル・トッド:私も試しました。これについて、私は、フランスの新聞『マリアンヌ』にも記事を書きました。そのときの質問に返ってきた答えはとても面白いものでした。 質問は、このように始めました。「エマニュエル・トッドは、本当に親ロシア派なのか?」と。フランスでは、私は「親ロシア派だ」と非難されているからです。 ChatGPTから返ってきたのは、とても良い、至極普通の答えでした。「〝そうだ?と言う人もいます。しかし、彼は独立した知識人であり、彼の意見は個人的なものです。まずはクレムリンにまったく依存していないと証明する必要がある」と。良い答えだと思いました。そして、私の身に覚えがない発言もいくつか付け加えてきました。つまり、真実ではない要素も含まれていました。 それから、私の研究分野である家族システムなどについても質問しました。そしてそのときに、ChatGPTでどのようなものが得られるか、について正確に理解できました。) 私は「ChatGPTは非常に一般的で、かなりしっかりした答えが得られる」と最初の印象を抱きました。そして次に気づいたのは、得られた答えが基本的にウィキペディアにあるような平均的なものであるということです。 その答えはウィキペディアにあるバイアスをもすべて再現します。家族制度研究の分野で見られる標準的な間違いも完全に無批判に再現しました。つまり、基本的かつ平均的知識は得ることはできますが、その知識は非常に不完全です。これに加えて、イデオロギー的な先行事項――英米の世界でジェンダーや性別などについて見られるような特定の事柄――が加わります。たしかに得られる答えは、技術的な観点から見ると、感動的なものかもしれません。 しかし、研究者の立場から見れば、ChatGPTは数秒で平均的な研究者より少し程度の低い答えを出します。つまり、知識としては、やや後進的な段階なんです。私の推測では、世界中の誰もがChatGPTを大量に使用することで、見かけ上の加速は生まれると思います。しかし、実際には減速です。それは研究を減速させるからです。 人工知能に世界中が熱狂しているのは知っています。人工知能が私たちの生活を変えるということですね。そうです、ChatGPTは私たちの生活を変えるでしょう。でも、それは良いことでもなければ、最悪なことでもないのです。しかしもし、ChatGPTが存在しなかったら、私たちはより悪い状況に陥っていたことでしょう。 そして、私がとくに興味を惹かれるのは、人工知能の話がこのタイミングで出てきたことです。今の時点で西洋世界には、生まれつきの知能の低下が見られます。欧米諸国、とくにプロテスタント諸国では、IQが低下しており、高等教育の水準もどんどん下がっています。私が今話しているのは西洋のことです。インドのような国のことではありません。 生まれつきの知能の低下と人工知能の出現が組み合わさって、生来の知能は劣化版となりつつあります。むしろ「悪化版」と言ったほうがいいかもしれません。しかし、これは非常に個人的な見解です。これは私の研究のメインテーマではないからです』、「私は「ChatGPTは非常に一般的で、かなりしっかりした答えが得られる」と最初の印象を抱きました。そして次に気づいたのは、得られた答えが基本的にウィキペディアにあるような平均的なものであるということです。 その答えはウィキペディアにあるバイアスをもすべて再現します。家族制度研究の分野で見られる標準的な間違いも完全に無批判に再現しました。つまり、基本的かつ平均的知識は得ることはできますが、その知識は非常に不完全です・・・今の時点で西洋世界には、生まれつきの知能の低下が見られます。欧米諸国、とくにプロテスタント諸国では、IQが低下しており、高等教育の水準もどんどん下がっています。私が今話しているのは西洋のことです。インドのような国のことではありません。 生まれつきの知能の低下と人工知能の出現が組み合わさって、生来の知能は劣化版となりつつあります。むしろ「悪化版」と言ったほうがいいかもしれません」、「欧米諸国、とくにプロテスタント諸国では、IQが低下」とは初めて知った。
・『人類には、「歴史」の感覚が必要である  Q:もしAIが人間の知性を抑圧したり劣化させたりするものだとしたら、AIが進展した世界の人間社会はどうなっていくでしょうか。また、私たちが追い求めたいと願う、自由で民主的な世界の実現はより困難になると思いますか。) A:どう言えばいいのでしょうか。でも何よりもまず、私たちは謙虚でなければいけません。 私たちは「歴史とは何か」という感覚を取り戻さなければなりません。西洋思想や標準的な西洋イデオロギーの中心的な問題点の一つは、歴史意識の驚くほどの低下です。 私たちは、もはや長期的な視点で物事を考えなくなりました。「自分たちがどこから来たのか」「何を生き延びてきたのか」「何を成し遂げてきたのか」といったことを考えるのをやめてしまいました。 ある種の健忘症のようなもので、おそらく第2次世界大戦以降の貧困状態から裕福になったことのショックが容赦ないほど大きすぎたのでしょう。 まさしく、インターネット通信が可能で、豊かな都市生活への移行はショックが大きすぎました。そのため、私たちはかつての自分たちとの接点を失ってしまったのです。 自由民主主義のような概念は、過去について私たちが思い出す最後のものです。民主主義に向けて出発した国々であるアメリカ、フランスなどに住む人々はナチズムを完全に忘れてしまいました。ロシアの真の全体主義となった共産主義などについても忘れてしまいました。 すべて忘れ去られてしまいましたが、私たちはこれらすべてを生き延びてきました。そして今、私たちはおびえています。「民主主義が崩壊しつつある」あるいは「すでに崩壊している」という感覚があるからです。私たちはみなしごのようになってしまったのです』、「私たちは、もはや長期的な視点で物事を考えなくなりました。「自分たちがどこから来たのか」「何を生き延びてきたのか」「何を成し遂げてきたのか」といったことを考えるのをやめてしまいました。 ある種の健忘症のようなもので、おそらく第2次世界大戦以降の貧困状態から裕福になったことのショックが容赦ないほど大きすぎたのでしょう・・・私たちはかつての自分たちとの接点を失ってしまったのです。 自由民主主義のような概念は、過去について私たちが思い出す最後のものです。民主主義に向けて出発した国々であるアメリカ、フランスなどに住む人々はナチズムを完全に忘れてしまいました。ロシアの真の全体主義となった共産主義などについても忘れてしまいました・・・私たちはみなしごのようになってしまったのです」、なるほど。
・『たとえ「民主主義」が終わろうとも  でも実際のところ、人類の歴史全体を見れば――偉そうに聞こえたり、人間の苦しみに無関心に聞こえたりしなければいいのですが――人類の歴史のほとんどは、民主主義ではありません。民主主義の後にも人生があるのです。その人生が何であるかはわかりません。 新しい何かが現れるでしょう。アメリカにとっては恐ろしいものかもしれません。しかし、世界の他の国々にとっては、むしろ楽観的な未来がやって来るかもしれません。 先進国の出生率の低さは本当に恐ろしく、私にとっては気候危機よりも恐ろしく感じています。というのも、先進国の人口の減少は人間の知性の低下にもつながるからです。 人は知性の担い手です。しかし、この部分には、私の姿勢におけるパラドックスがあります。将来における恐ろしい要素を指摘はしますが、私は悲観していないのです』、「人類の歴史のほとんどは、民主主義ではありません。民主主義の後にも人生があるのです。その人生が何であるかはわかりません・・・先進国の出生率の低さは本当に恐ろしく、私にとっては気候危機よりも恐ろしく感じています。というのも、先進国の人口の減少は人間の知性の低下にもつながるからです」、なるほど。

次に、7月5日付け東洋経済オンラインが掲載したライターの宮内 健氏による「豪首相が謝罪「AIの不祥事」に学ぶリスク管理 迫るEU法規制、日本企業も制裁の対象になる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/757885
・『急速に生成AIの活用が進む一方、リスクやインシデントの懸念も大きくなってきている。海外ではAIの「ミス」によって数十万人に影響が及び、大きな混乱が起こった事例もある。AIのリスクを正しく認識し、対策するにはどうすればよいか。NTTデータのエグゼクティブ・セキュリティ・アナリスト新井悠氏に聞いた』、興味深そうだ。
・『ディープフェイクを使った詐欺が増加  Q:これまでに発生した生成AIによる主なインシデントについて教えてください。 A:2022年の11月にChatGPTが公開されて以降、自然言語だけでなく画像や動画を生成できるAIが、私たちも使えるようになりました。 ID検出サービスSumsubによると、著名人になりすました動画等で相手を騙すディープフェイクが、2023年は前年に比べて全世界で約10倍に増えたそうです。 具体的には、ディープフェイクを使って嘘の投資話を持ちかけ、お金を入金させて騙し取る詐欺が非常に増加しています』、「2022年の11月にChatGPTが公開されて以降、自然言語だけでなく画像や動画を生成できるAIが、私たちも使えるようになりました・・・著名人になりすました動画等で相手を騙すディープフェイクが、2023年は前年に比べて全世界で約10倍に増えたそうです。 具体的には、ディープフェイクを使って嘘の投資話を持ちかけ、お金を入金させて騙し取る詐欺が非常に増加しています」、なるほど。
・『AIが引き起こす「想定外」の事例の数々  Q:企業経営に大きな影響がありそうなものとしては、どんな事例がありますか。 A:生成AIに限らずAI全般に関するものになりますが、オーストラリア政府が生活困窮者への給付金の不正検知にAIを導入したところ、2015年から2019年にかけて約40万人もの人を「あなたは不正に受給している」と誤って選定し、返還請求を行った事件があります。 (新井 悠氏の略歴はリンク先参照) これにより生活困窮者から17億豪ドル(当時のレートで約1554億円)以上を回収してしまい、2020年に当時のモリソン首相は謝罪に追い込まれました。 この事件のようにAIは異常を検出し、警告を与える仕組みによく使われていますが、オランダでもAIを使った検知システムで問題が発生しています。 こちらは児童への給付金申請における詐欺を検出するAIシステムで、誤って推定2万6000件もの家族が告発されてしまったのです。しかもAIが詐欺と判定するために使っていたパラメーターの中に人種差別的な内容が入っていると指摘されました。 これらはAIが意図せず従来の法的な枠組みでは予防や対処ができない事態を起こしてしまった結果、大規模な経済的損失や社会的な混乱がもたらされた事例です。) 企業がAIを使うときも、こうしたリスクがあることが可視化され始めていると言えます』、「オーストラリア政府が生活困窮者への給付金の不正検知にAIを導入したところ、2015年から2019年にかけて約40万人もの人を「あなたは不正に受給している」と誤って選定し、返還請求を行った事件があります・・・これにより生活困窮者から17億豪ドル(当時のレートで約1554億円)以上を回収してしまい、2020年に当時のモリソン首相は謝罪に追い込まれました」、信じ難いようなミスだ。
・『オープンAIが提訴された「著作権侵害」の問題  Q:AIが倫理的に不適切なアウトプットを作ってしまうなど、ほかにも想定外のさまざまな問題が起こっていますが、こうした問題はなぜ発生するのでしょうか。 A:EUでAIを規制する法案が2021年に公表され、この5月に成立しました。2026年に全面適用される見込みで、AI技術の進展に沿って法律が追い付いていく流れはできています。 しかし、法律で守らなければいけない範囲はこれだ、というものがある一方で、倫理的に受け入れられるべき範囲はなかなか白黒つけられていません。 Q:また、企業にとって気になる問題としては著作権侵害があります。2023年にはニューヨーク・タイムズが著作権を侵害しているとしてオープンAIを提訴しました。 AIは、全般的に元ネタとして学習データを読み込んで文書や画像等を作成しますが、現状では元ネタの中にインターネット上の他人の著作物が含まれていることがあります。その著作物を引用する、あるいは原典を明らかにしないまま別のアウトプットを作ることに対して法的に問題となるかは、まだ明らかな判決が出ていません。) ただし、前述のEUの規制法では生成AIの開発元に対し学習データに対する「透明性」、つまりどんな学習データを使っているかについて、できるだけ健全な形を取るよう要求しています。著作権に関する問題は透明性を担保するためにも、今後解決されていくのではと思います』、「EUの規制法では生成AIの開発元に対し学習データに対する「透明性」、つまりどんな学習データを使っているかについて、できるだけ健全な形を取るよう要求しています。著作権に関する問題は透明性を担保するためにも、今後解決されていくのではと思います」、なるほど。
・『専門部署の設立や、相談できる体制を整える重要性  Q:AIに関するさまざまな問題が発生する中、企業にはどんな対策が必要でしょうか。 A:例えば、AIガバナンスの専門部署を立ち上げることが1つの手でしょう。社員からAIに関する相談を受けたり、AIを使うプロジェクトのチェックと判定を行ったりする部署です。これからAIを活用する機会がますます増えていくので、大きな企業であれば自社内に設置したほうがいいでしょう。 Q:EUで本格的な規制が始まる兆しもありますが、日本企業のリスクは。 A:EUにサービスを提供する日本企業であれば、AI法が今後適用されます。制裁金は最大3500万ユーロ、もしくは年間売上高の7%のうちの大きいほうという巨額になるので、法的なリスクは非常に大きい。 部署を立ち上げるのが難しいのであれば、AI関連や国際法に詳しい外部の専門家や弁護士に相談できる体制を整えることをおすすめします。) AIを使っているうちに「他人の権利を侵害してでも自社の利益を追求している」と自社の評判や社会的な信用を落としてしまうリスクもあり、AIの使用に関わるリスクは経営者がきちんと認識しておくべきです』、「EUにサービスを提供する日本企業であれば、AI法が今後適用されます。制裁金は最大3500万ユーロ、もしくは年間売上高の7%のうちの大きいほうという巨額になるので、法的なリスクは非常に大きい。 部署を立ち上げるのが難しいのであれば、AI関連や国際法に詳しい外部の専門家や弁護士に相談できる体制を整えることをおすすめします。) AIを使っているうちに「他人の権利を侵害してでも自社の利益を追求している」と自社の評判や社会的な信用を落としてしまうリスクもあり、AIの使用に関わるリスクは経営者がきちんと認識しておくべきです」、なるほど。
・『生成AIによる詐欺は、生成AIで制す  Q:生成AIに関して、今後警戒すべき脅威とその対策について教えてください。 A:これまではセキュリティ対策として日本語表現のおかしい「怪しいメールに気を付けて」と言われてきましたが、最近の生成AIは日本語として違和感のない文章が作れるようになっています。サイバー攻撃者はこれを悪用して、正しい日本語で攻撃メールを送れるようになりました。 これにより、従来は日本語の壁が阻んでいた攻撃者からのメールを、人間が読んでも怪しいと気付けない状況が生まれています。しかも人間とは異なり生成AIは疲れませんから、大量にメールを作成することができます。こうなると「怪しいメールに気を付けて」といった個人のリテラシーに頼ったサイバー攻撃対策は難しくなります。 Q:では、どのようにすれば見破れるのでしょうか。 A:実は、生成AIに対しては生成AIで対抗するのが有効で、日本語の違和感がない攻撃メールでも検出してくれます。 昨年、ハーバード大学の学生が生成AIを使った詐欺メールを複数の生成AIを使ってどれくらい検知するかを検証した研究があり、だいたい7割、場合によってはほぼ100%検出できました。 今後のサイバー攻撃対策は生成AIを使った装置を使い、攻撃メールのようなものは読ませない、という方向に進むのではないかと思います。 最近のウイルス対策ソフトもAIを使って検出する製品が増え始めていて、さらにはセキュリティに詳しくない人でもAIとの対話形式で対処方法を相談し、アドバイスを受けられるものが出てきています。あたかも専門人材の手を借りられるような解決策が生まれつつあるので、そういったAI製品をうまく活用することも検討するとよいと思います』、「生成AIに対しては生成AIで対抗するのが有効で、日本語の違和感がない攻撃メールでも検出してくれます。 昨年、ハーバード大学の学生が生成AIを使った詐欺メールを複数の生成AIを使ってどれくらい検知するかを検証した研究があり、だいたい7割、場合によってはほぼ100%検出できました・・・最近のウイルス対策ソフトもAIを使って検出する製品が増え始めていて、さらにはセキュリティに詳しくない人でもAIとの対話形式で対処方法を相談し、アドバイスを受けられるものが出てきています。あたかも専門人材の手を借りられるような解決策が生まれつつあるので、そういったAI製品をうまく活用することも検討するとよいと思います」、便利な時代になったものだ。

第三に、8月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「マイクロソフトやインテルにがっかり…有力投資家たちがAI関連企業に失望し始めたワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/348603
・『世界同時株安の背景には、加熱気味だった投資家の誤解や失望がある。マイクロソフトやインテルなど、大手AI関連企業は設備投資を積み増してきたが、その収益化には時間がかかることが分かったのだ。米国の景気減速によって一部の有力投資家は、割高感のある米国株を売り、現金で滞留させたり、一部を金(きん)に振り向けたりしている。株価下落とは対照的に、金価格がリーマンショック後の高値を更新したことは、世界経済の先行き不安を示唆する』、興味深そうだ。
・『株価「乱高下」の根本的要因は?  7月下旬以降、世界的に株式市場が不安定な展開になっている。要因の一つは、米国経済の後退懸念が高まっていることだ。今年5月まで、米国の労働市場はタイトに推移してきた。実質賃金は高止まりし、個人消費は堅調な展開を維持した。米国は世界経済全体のけん引役を果たしてきたといえる。 ところが、6月に入ると、労働市場の改善ペースが少しずつ鈍化し、低所得層など個人消費は徐々に勢いを失い始めている。7月の米雇用統計では、就業者数が予想以下の伸びとなり、失業率が予想以上を上回り景気後退の不安は高まった。 また、株式市場を先導してきた、米IT先端企業の収益の伸び率にも不透明感が出始めた。AI分野での初期投資は一巡したとみられる。問題は、AI関連の投資が多額になる一方、それに見合った収益をすぐには上げられないことだ。4~6月期の米IT企業の決算を確認すると、予想したほどAIビジネスの収益は増えていない。AI分野では今後も多額の追加投資は必要だが、短期的には収益が上がらないことが懸念される。それも、投資家のAI関連銘柄に対する意識を変化させただろう。 政治リスクの上昇も気がかりだ。11月の大統領選挙後も、米国の社会分断は深刻化する可能性がある。政治リスクが高まると、投資家はリスクを取りづらくなり、米国の景気減速が鮮明化する可能性もありそうだ。こうした状況から、株式など価値の変動リスクを削減する投資家が増えている』、「AI分野では今後も多額の追加投資は必要だが、短期的には収益が上がらないことが懸念される。それも、投資家のAI関連銘柄に対する意識を変化させただろう。 政治リスクの上昇も気がかりだ。11月の大統領選挙後も、米国の社会分断は深刻化する可能性がある。政治リスクが高まると、投資家はリスクを取りづらくなり、米国の景気減速が鮮明化する可能性もありそうだ。こうした状況から、株式など価値の変動リスクを削減する投資家が増えている」、なるほど。
・『米国の景気後退リスクが高まっている  2024年の前半まで、米国では消費は堅調で労働市場がタイト気味に推移した。毎月の時間当たりの賃金は、前年同月比で4.0%を上回った。実質賃金は高止まりし、米国の底堅い個人消費と相対的に高い経済成長を支えた。 AI業界の成長期待も上昇し、米株の上昇を支えてきた。22年以降の金融引き締めにも関わらず、世界の金融市場はカネ余り状況が残り、期待先行で米ナスダック上場銘柄や半導体関連の銘柄は上昇してきた。 7月上旬、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「利下げ」の可能性を示唆。FRBが9月にも利下げを行うとの期待が上昇した。金利低下で、一時的に、日米をはじめ世界的に株価上昇にモメンタム(勢い)が付いた。そうして7月10日、ナスダック総合指数が史上最高値の1万8647.45ポイントを付けた。その時点で、年初からの上昇率は24%に達していた。日経平均株価も最高値を更新した。 しかしながら、景気が長期間にわたって回復傾向を維持することはない。7月下旬、米国では予想を下回る経済指標が増えた。住宅の販売の減少、コロナ禍で空室率が上昇したオフィスなど商業用不動産関連の不良債権増加などだ。景況感の軟化で、FRBは金融引き締めを継続すべきと主張した経済の専門家の見解も変化した。 7月30、31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国経済には利下げが必要との主張が増えた。その背景には、所得水準の低い層を中心に個人消費が減少している懸念があった。米国の景気不安は高まり、割高との指摘が多かったナスダック上場銘柄を中心に、米国の株価は調整した。 それに伴い、リスク回避に動く投資家は増え、ドルが円などに対して下落した。7月末、想定外に日銀が利上げを実施したことも円の買戻しにつながった。円高進行で、日本株を売る海外投資家などは増えた』、「米国の景気不安は高まり、割高との指摘が多かったナスダック上場銘柄を中心に、米国の株価は調整した。 それに伴い、リスク回避に動く投資家は増え、ドルが円などに対して下落した。7月末、想定外に日銀が利上げを実施したことも円の買戻しにつながった。円高進行で、日本株を売る海外投資家などは増えた」、なるほど。
・『AI企業は「すぐ」にはもうけられない  8月2日、米労働省が発表した7月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数の伸びは予想を下回った。失業率は4.3%に上昇した。FRBは、物価安定と完全雇用の二つの責務を負っている(デュアル・マンデート)。金融引き締めによって物価は緩やかに2%に向っている。 一方、金融引き締めにより労働市場が軟化している不安は高まった。米国の個人消費が減少に向かうとともに経済成長率は低下し、企業収益の増加ペースも鈍化するとの懸念から雇用統計発表後、米国株は下落した。 それに加えて、大手AI企業の収益増に時間がかかるとの見方も、株の売り材料になった。22年11月末のChatGPTの公開をきっかけに、関連分野で設備投資を積み増す企業は増えている。投資家の多くは前のめり気味に、設備投資は迅速に収益の獲得に貢献すると考えた。その結果、期待先行で米国などのAI関連銘柄は上昇した。 現在、世界的に生成AI関連の初期投資はほぼ一巡した感がある。重要なのは、今後の展開だ。4~6月期の米主要企業の決算を見ると、AI分野で設備投資を増やしたが、収益が予想を下回った企業が多い。特に、マイクロソフトのクラウド事業(アジュール)の増収率が予想に達せず、この結果に投資家は失望した。アルファベット(グーグル)やメタ(Facebook)、アマゾンなどにも同様のことがいえる。 8月1日に決算を発表したインテルは1万5000人(全従業員の15%)の人員削減も含めたリストラクチャリングを進め、今後の成長の基盤を再構築するという。ただ、それには時間がかかるとみられる。 IT先端企業がAI分野で競争力を発揮するため、今後も設備投資は増えるだろう。投資が遅れれば、競争力低下のリスクは高まる。問題は、投資を実行し、収益が増えるまでに時間がかかることだ。投資を増やし、それに伴い短期的にフリー・キャッシュ・フローが増えるビジネスモデルではない。期待先行で高値圏に上昇した銘柄を売りに回る投資家は増えただろう』、「IT先端企業がAI分野で競争力を発揮するため、今後も設備投資は増えるだろう。投資が遅れれば、競争力低下のリスクは高まる。問題は、投資を実行し、収益が増えるまでに時間がかかることだ。投資を増やし、それに伴い短期的にフリー・キャッシュ・フローが増えるビジネスモデルではない。期待先行で高値圏に上昇した銘柄を売りに回る投資家は増えただろう」、なるほど。
・『米国経済の動向と「金」先物価格に注目  今後の世界の実体経済と株式市場の展開を考える上で最重要なのは、何といっても米国経済の動向だ。4~6月期、米国の実質GDP(国内総生産)は前期比年率で2.8%増加。FRBが推計する潜在成長率(1.8%程度)を上回った。需要項目別に、主に個人消費と設備投資が成長に寄与した。 問題は、ここから先、米国経済がどのような展開を辿るかだ。AI事業での収益化に時間がかかること、インテルのリストラ規模などのファクターを考えると、労働市場は緩やかに軟化傾向をたどる可能性がある。 短期的なハード・ランディング(個人消費が腰折れになるなどして景気が急速に悪化すること)は考えにくいが、成長率は少しずつ低下する可能性が高い。飲食、宿泊などサービス業の分野で雇用機会が減少し、景況感がだれる可能性は高まるだろう。米国経済全体で企業業績が伸び悩むことも懸念される。 景気の減速により、政治リスクは上昇する可能性が高い。近年、世界の政治、経済、安全保障の基軸国家である米国の社会分断が深刻だ。海外との連携か、米国ファーストか、為政者への要求も世論も割れている。 11月の米大統領選挙の結果にもよるが、米国政府は有権者の支持獲得に財政支出を増やす可能性がある。財政支出が増えるとドルの減価リスクは高まる。ドル安により、輸入物価の上昇などによって景気が減速する中で、米インフレ懸念が再燃することも想定される。 米国の景気減速によって、世界全体に負の影響が及ぶことを不安視する投資家は増えた。一部の有力投資家は、割高感のある米国株を売り、現金で滞留させたり、一部を金(きん)に振り向けたりしている。8月1日、金先物価格は1トロイオンス当たり2480.80ドルに上昇し、リーマンショック後の高値を更新した。株価の下落と対照的に金価格が上昇したことも、米国経済の先行き不安の高まりを示唆している。当面、リスクの削減を優先する投資家は増加する可能性が高いだろう』、「米国政府は有権者の支持獲得に財政支出を増やす可能性がある。財政支出が増えるとドルの減価リスクは高まる。ドル安により、輸入物価の上昇などによって景気が減速する中で、米インフレ懸念が再燃することも想定される。 米国の景気減速によって、世界全体に負の影響が及ぶことを不安視する投資家は増えた。一部の有力投資家は、割高感のある米国株を売り、現金で滞留させたり、一部を金(きん)に振り向けたりしている。8月1日、金先物価格は1トロイオンス当たり2480.80ドルに上昇し、リーマンショック後の高値を更新した。株価の下落と対照的に金価格が上昇したことも、米国経済の先行き不安の高まりを示唆している。当面、リスクの削減を優先する投資家は増加する可能性が高いだろう」、なるほど、その通りなのかも知れない。

タグ:宮内 健氏による「豪首相が謝罪「AIの不祥事」に学ぶリスク管理 迫るEU法規制、日本企業も制裁の対象になる」 ダイヤモンド・オンライン 決策が生まれつつあるので、そういったAI製品をうまく活用することも検討するとよいと思います」、便利な時代になったものだ。 「生成AIに対しては生成AIで対抗するのが有効で、日本語の違和感がない攻撃メールでも検出してくれます。 昨年、ハーバード大学の学生が生成AIを使った詐欺メールを複数の生成AIを使ってどれくらい検知するかを検証した研究があり、だいたい7割、場合によってはほぼ100%検出できました・・・最近のウイルス対策ソフトもAIを使って検出する製品が増え始めていて、さらにはセキュリティに詳しくない人でもAIとの対話形式で対処方法を相談し、アドバイスを受けられるものが出てきています。あたかも専門人材の手を借りられるような解 株価の下落と対照的に金価格が上昇したことも、米国経済の先行き不安の高まりを示唆している。当面、リスクの削減を優先する投資家は増加する可能性が高いだろう」、なるほど、その通りなのかも知れない。 「米国政府は有権者の支持獲得に財政支出を増やす可能性がある。財政支出が増えるとドルの減価リスクは高まる。ドル安により、輸入物価の上昇などによって景気が減速する中で、米インフレ懸念が再燃することも想定される。 米国の景気減速によって、世界全体に負の影響が及ぶことを不安視する投資家は増えた。一部の有力投資家は、割高感のある米国株を売り、現金で滞留させたり、一部を金(きん)に振り向けたりしている。8月1日、金先物価格は1トロイオンス当たり2480.80ドルに上昇し、リーマンショック後の高値を更新した。 「EUにサービスを提供する日本企業であれば、AI法が今後適用されます。制裁金は最大3500万ユーロ、もしくは年間売上高の7%のうちの大きいほうという巨額になるので、法的なリスクは非常に大きい。 部署を立ち上げるのが難しいのであれば、AI関連や国際法に詳しい外部の専門家や弁護士に相談できる体制を整えることをおすすめします。) AIを使っているうちに「他人の権利を侵害してでも自社の利益を追求している」と自社の評判や社会的な信用を落としてしまうリスクもあり、AIの使用に関わるリスクは経営者がきちんと認識しておく 「IT先端企業がAI分野で競争力を発揮するため、今後も設備投資は増えるだろう。投資が遅れれば、競争力低下のリスクは高まる。問題は、投資を実行し、収益が増えるまでに時間がかかることだ。投資を増やし、それに伴い短期的にフリー・キャッシュ・フローが増えるビジネスモデルではない。期待先行で高値圏に上昇した銘柄を売りに回る投資家は増えただろう」、なるほど。 東洋経済オンライン べきです」、なるほど。 「米国の景気不安は高まり、割高との指摘が多かったナスダック上場銘柄を中心に、米国の株価は調整した。 それに伴い、リスク回避に動く投資家は増え、ドルが円などに対して下落した。7月末、想定外に日銀が利上げを実施したことも円の買戻しにつながった。円高進行で、日本株を売る海外投資家などは増えた」、なるほど。 「人類の歴史のほとんどは、民主主義ではありません。民主主義の後にも人生があるのです。その人生が何であるかはわかりません・・・先進国の出生率の低さは本当に恐ろしく、私にとっては気候危機よりも恐ろしく感じています。というのも、先進国の人口の減少は人間の知性の低下にもつながるからです」、なるほど。 私たちはかつての自分たちとの接点を失ってしまったのです。 自由民主主義のような概念は、過去について私たちが思い出す最後のものです。民主主義に向けて出発した国々であるアメリカ、フランスなどに住む人々はナチズムを完全に忘れてしまいました。ロシアの真の全体主義となった共産主義などについても忘れてしまいました・・・私たちはみなしごのようになってしまったのです」、なるほど。 「私たちは、もはや長期的な視点で物事を考えなくなりました。「自分たちがどこから来たのか」「何を生き延びてきたのか」「何を成し遂げてきたのか」といったことを考えるのをやめてしまいました。 ある種の健忘症のようなもので、おそらく第2次世界大戦以降の貧困状態から裕福になったことのショックが容赦ないほど大きすぎたのでしょう・・・ 「AI分野では今後も多額の追加投資は必要だが、短期的には収益が上がらないことが懸念される。それも、投資家のAI関連銘柄に対する意識を変化させただろう。 政治リスクの上昇も気がかりだ。11月の大統領選挙後も、米国の社会分断は深刻化する可能性がある。政治リスクが高まると、投資家はリスクを取りづらくなり、米国の景気減速が鮮明化する可能性もありそうだ。こうした状況から、株式など価値の変動リスクを削減する投資家が増えている」、なるほど。 真壁昭夫氏による「マイクロソフトやインテルにがっかり…有力投資家たちがAI関連企業に失望し始めたワケ」 今の時点で西洋世界には、生まれつきの知能の低下が見られます。欧米諸国、とくにプロテスタント諸国では、IQが低下しており、高等教育の水準もどんどん下がっています。私が今話しているのは西洋のことです。インドのような国のことではありません。 生まれつきの知能の低下と人工知能の出現が組み合わさって、生来の知能は劣化版となりつつあります。むしろ「悪化版」と言ったほうがいいかもしれません」、「欧米諸国、とくにプロテスタント諸国では、IQが低下」とは初めて知った。 「私は「ChatGPTは非常に一般的で、かなりしっかりした答えが得られる」と最初の印象を抱きました。そして次に気づいたのは、得られた答えが基本的にウィキペディアにあるような平均的なものであるということです。 その答えはウィキペディアにあるバイアスをもすべて再現します。家族制度研究の分野で見られる標準的な間違いも完全に無批判に再現しました。つまり、基本的かつ平均的知識は得ることはできますが、その知識は非常に不完全です・・・ 『人類の終着点戦争、AI、ヒューマニティの未来』(朝日新書) エマニュエル・トッド氏による「AIは欧米諸国の「知能劣化」を加速させるのか E・トッド「民主主義」の終わりとその先の希望」 「EUの規制法では生成AIの開発元に対し学習データに対する「透明性」、つまりどんな学習データを使っているかについて、できるだけ健全な形を取るよう要求しています。著作権に関する問題は透明性を担保するためにも、今後解決されていくのではと思います」、なるほど。 「オーストラリア政府が生活困窮者への給付金の不正検知にAIを導入したところ、2015年から2019年にかけて約40万人もの人を「あなたは不正に受給している」と誤って選定し、返還請求を行った事件があります・・・これにより生活困窮者から17億豪ドル(当時のレートで約1554億円)以上を回収してしまい、2020年に当時のモリソン首相は謝罪に追い込まれました」、信じ難いようなミスだ。 「2022年の11月にChatGPTが公開されて以降、自然言語だけでなく画像や動画を生成できるAIが、私たちも使えるようになりました・・・著名人になりすました動画等で相手を騙すディープフェイクが、2023年は前年に比べて全世界で約10倍に増えたそうです。 具体的には、ディープフェイクを使って嘘の投資話を持ちかけ、お金を入金させて騙し取る詐欺が非常に増加しています」、なるほど。 (その17)(AIは欧米諸国の「知能劣化」を加速させるのか E・トッド「民主主義」の終わりとその先の希望、豪首相が謝罪「AIの不祥事」に学ぶリスク管理 迫るEU法規制、日本企業も制裁の対象になる、マイクロソフトやインテルにがっかり…有力投資家たちがAI関連企業に失望し始めたワケ) 人工知能(AI)
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