トランプ(その54)(トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?、トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅、衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに) [世界情勢]
トランプについては、本年7月30日に取上げた。今日は、(その54)(トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?、トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅、衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに)である。
先ずは、本年8月6日付けNewsweek日本版が掲載したパックン(パトリック・ハーラン)による「トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/pakkun/2024/08/post-97_1.php
・『<米連邦最高裁によると、トランプら歴代大統領の「公的行為」は刑事責任に問えない。それってバイデン現大統領は実質やり放題ってこと?と米出身芸人パックンは指摘します> このコラムを、バイデン米大統領は読んでいる。僕はそれを確信している。証拠は、前回僕がこのコラムで「バイデンは病気を理由に1週間ぐらい休みを取り大統領選から撤退して、その後職務に復帰する」というシナリオを描いたら、現実世界でそのとおりの流れになったこと! 新型コロナではなく胃痙攣の仮病が僕のおすすめだったけど、まあ細かいことは気にしない。 偶然だと思えない。絶対にチャットGPTで翻訳してこのコラムを読んでいるのだ、バイデンは。 ということで、今回はドナルド・トランプが絶対に大統領に返り咲かないようにする「決め手」をバイデンにお伝えしよう。みなさんも読んでいいけど、これはバイデンさん宛のメッセージだ。 へ?バイデン用ならなぜ英語で書かないの~? という疑問が浮かぶだろうけど、まあ、細かいことは気にしない』、興味深そうだ。
・『政敵の暗殺もおとがめなし? 実はバイデンは今までの大統領になかった、とんでもない必殺技を手に入れている。それも保守派判事が牛耳る連邦最高裁のおかげだ。7月、最高裁は大統領が「公的な行為」に関して刑事責任を負わないとする判決を出した。 以前から現役大統領は逮捕・訴追されないことになっていたが、この判決でさらに退任してからもずっと免責される新世界が開かれた。バイデン、チャンス! 幸い、大統領の職務の幅はとても広い。一番分かりやすいのは、憲法に定められている軍の最高司令官という立場。特殊部隊に指令を出すことは「公的な行為」に当たるから、政敵の暗殺を命じても司法上のおとがめはないようだ。 つまり、必殺技はまさに必「殺」技になり得る。リベラル派のソニア・ソトマイヨール判事も、先の判決の反対意見書でも実際にこのような危険性を指摘している。 もちろん、僕は暗殺もどんな暴力も一切推薦も擁護もしない。だが判決発表の数日後にトランプが「耳一髪」で暗殺を免れた事件が起きたことで、世の中では暗殺はバイデンが仕組んだとする陰謀論が出回っている。) 最高裁判決で免責を受けたことで、反対意見書で危惧されていたシナリオを実現させたという荒唐無稽な主張だ。もちろん僕はそんなことは信じない。そもそもバイデンのシナリオライターはソトマイヨールではなく、僕だからね。 とにかく、えぐすぎるから暗殺は忘れよう。暴力以外にも「公的な行為」としてできることは沢山ある。 例えば、大統領は行政府の長なので、財務省を通じて政府の予算を使うのも仕事だ。トランプ当選を防ぐため、与党民主党のカマラ・ハリス陣営にお金を大量に回すこともできるはず。選挙CMを大量に制作して放送できる!税金で! そういえば、放送・通信を管轄する米連邦通信委員会(FCC)も行政府に属する機関だ。公共の電波はバイデンの手中にある。 トランプのCMを流さないようにすることも、保守派大手のFOXニュースの放送認可を取り消すことも可能だ。トランプ派のスローガン「MAGA」を放送禁止用語に設定できる!そうなれば逆に反抗期の若者は口に出したくなるだろうけど』、「7月、最高裁は大統領が「公的な行為」に関して刑事責任を負わないとする判決を出した。 以前から現役大統領は逮捕・訴追されないことになっていたが、この判決でさらに退任してからもずっと免責される新世界が開かれた・・・大統領の職務の幅はとても広い。一番分かりやすいのは、憲法に定められている軍の最高司令官という立場。特殊部隊に指令を出すことは「公的な行為」に当たるから、政敵の暗殺を命じても司法上のおとがめはないようだ。 つまり、必殺技はまさに必「殺」技になり得る」、なるほど。
・『不正な捜査も免責? なんだったら、司法省も大統領の管轄。トランプもその側近も、邪魔してくるヤツを逮捕させることもできる!やろうと思えば、トランプ支持者を全員捕まえて、国外に追放することができる。不法移民全員をそうすると、トランプ本人が公約しているぐらい、国外追放はれっきとした「公的行為」だ。 ここで、このコラムを読んでいるバイデンは「ドワハハハハ!」と、高笑いし始めていることだろう。映画『アラジン』の最後に、悪党のジャファーが無限の力を手に入れ、巨人化していくシーンを思い出してください。あんな感じだ。 もちろん、上記のような権力乱用は法律違反であって、憲法違反でもある。公的な行為でも、権限を不正な目的で利用した場合、横領、背任、人権侵害などの犯罪に当たり、犯人は取り締まられてしかるべきだ。本来は。 だが最高裁の判決によると、その犯人が大統領である場合「目的」も審査することができない! 判決文の中で「たとえ捜査がでっち上げであったり、不正な目的で行われたりしたとしても、それは司法省の捜査や起訴機能に対する大統領の独占的権限を奪うものではない」と指摘。大統領が行政府をどう利用しても「絶対的な免責」があると、はっきりと結論付けている。 どんな悪業でも「公的な行為」であれば罪に問われないのだ。しかも、トランプを止めるのはむしろ善行でしょう、バイデンさん? おそらくいくつかの疑問が浮かんでいることでしょう。それにも答えておこう。) Q:例え大統領が免責されても、不正な命令を実行する公務員は逮捕・訴追されるのではないか? A:大統領が司法省に取り締まらないように命令すればいいし、たとえ有罪になっても(トランプが側近に対して何度もやったように)恩赦もできる! Q:自分の良心が働いて、部下の公務員が命令を断った場合は? A:更迭すればいい。逮捕もできる! Q:上下両院に弾劾されないのか? A:そんな動きがあるときも打つ手はある。大統領には(両院の意見が一致しないとき)議会を休会させる権限も憲法で規定されている。あと、何度も言うけど、議員たちを逮捕や国外追放できるぞ。 Q:国民が反発しない? A:国民なんか知るもんか。大統領が全能だ!ドワハハハハ! バイデン大統領は再び笑い始め、天に向かって指先から雷を放ち始めているだろう。究極のパワー!全宇宙を支配するのだ!と、叫んでいて、下半身が竜巻になっているはずだ。 僕、映画の見すぎかな......? まあ、『アラジン』のランプの精、ジーニーになることはなくても、均衡も抑制もなしに「公的な行為」で政敵を仕留められる大統領が独裁者になる危険性を今回の判決がはらんでいることは心から懸念している。 実は、バイデンも既にこのことに気づいている。判決が発表された日にテレビ会見で「この判決は、大統領のできることには実質的に制限がないことをほぼ確実に意味している」と指摘している。 しかし、それに気づいていても、権力を乱用しないのがバイデン。ハリスもきっとそうだと信じる。だが、万が一トランプになった場合はどうなのでしょうか......。 このコラムを、トランプが読んでいないことを祈ろう』、「トランプもその側近も、邪魔してくるヤツを逮捕させることもできる!やろうと思えば、トランプ支持者を全員捕まえて、国外に追放することができる。不法移民全員をそうすると、トランプ本人が公約しているぐらい、国外追放はれっきとした「公的行為」だ・・・最高裁の判決によると、その犯人が大統領である場合「目的」も審査することができない! 判決文の中で「たとえ捜査がでっち上げであったり、不正な目的で行われたりしたとしても、それは司法省の捜査や起訴機能に対する大統領の独占的権限を奪うものではない」と指摘。大統領が行政府をどう利用しても「絶対的な免責」があると、はっきりと結論付けている。 どんな悪業でも「公的な行為」であれば罪に問われないのだ・・・均衡も抑制もなしに「公的な行為」で政敵を仕留められる大統領が独裁者になる危険性を今回の判決がはらんでいることは心から懸念している」、現在の最高裁判事の殆どはトランプの息がかかっているとはいえ、飛んでもない判断を下すものだ。
次に、7月18日付け野村総合研究所の刊行物NRIに同研究所 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏が寄稿した「トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅:ドル高・円安が緩やかに修正されるのであれば日本経済にプラスだが。。。」を紹介しよう。
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2024/fis/kiuchi/0718
・『トランプ再選は「ドル高、株高要因」か「ドル安、株安要因」か? 7月13日に起きた襲撃事件を受けて、米国大統領選はトランプ前大統領が優勢との見方が一段と強まっている。しかし、それを受けた金融市場の反応は概して薄い(コラム「金融市場はトランプ再選をどう織り込むか:トランプトレードの再来も」、2024年7月5日)。 見方は分かれるところではあるが、トランプ前大統領が再選を果たし、同氏の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」が実施されれば、それは、世界経済、米国経済にマイナスとなり、世界的な株安とドル安を生じさせると筆者は考えている。ただしそれがどの程度の規模になるのかは、今後の米国経済の行方次第だろう。「トランポノミクス2.0」は、米国経済・金融が抱える問題を増幅する役割を果たすことになるのではないか。 トランプ再選については、「ドル高、株高要因」との見方と、筆者のように「ドル安、株安要因」との見方の双方がある。実際、「トランポノミクス2.0」の経済・金融への影響には両面があることは確かである。 トランプ氏が公約に掲げる追加関税は、国内物価を押し上げ、金利上昇要因となる。それはドル高要因にもなる。また、大型減税の延長や社会保障支出の抑制などを行わない姿勢は、財政悪化をもたらし、これも金利上昇を通じてドル高要因になり得る。また、大型減税の延長や規制緩和は景気にプラス効果を生む。それは株高要因であり、ドル高要因ともなる』、「トランプ再選については、「ドル高、株高要因」との見方と、筆者のように「ドル安、株安要因」との見方の双方がある・・・トランプ氏が公約に掲げる追加関税は、国内物価を押し上げ、金利上昇要因となる。それはドル高要因にもなる。また、大型減税の延長や社会保障支出の抑制などを行わない姿勢は、財政悪化をもたらし、これも金利上昇を通じてドル高要因になり得る。また、大型減税の延長や規制緩和は景気にプラス効果を生む。それは株高要因であり、ドル高要因ともなる」、なるほど。
・『「トランポノミクス2.0」は経済に逆風で「ドル安、株安要因」か 他方で、中国に加えてすべての貿易相手国に対して追加関税を導入するとするトランプ氏の政策では、輸入を減らして米国内の生産、雇用を拡大させる効果よりも、経済を悪化させる効果の方が勝るだろう(コラム「ノーベル賞受賞の経済学者16人がトランプ再選に警鐘」、2024年7月3日)。 追加関税は貿易相手側の報復措置を引き出し、世界貿易を縮小させる。また、追加関税は、国内消費者に輸入品をより高く買わせる増税策にも等しく、個人消費を悪化させる。こうした追加関税など保護主義的な政策がもたらす経済の悪影響は、大型減税の延長や規制緩和のプラス効果を大きく上回るものと考える。さらに、財政悪化による金利上昇も、景気に逆風となる。景気悪化は株安要因である。 また、トランプ氏はドル安政策を標榜している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関与する考えや財政悪化も、通貨の信認の低下を通じてドル安要因となる。保護主義的な政策などを通じて経済が悪化すれば、最終的には金利は大きく下がり、ドル安が進むだろう。 大統領選でのトランプ優勢の流れを金融市場は比較的静観し、反応が薄いのは、上記のようにトランプ再選がもたらす経済、金融市場への影響が両面あるなど、複雑であることも関係しているだろう』、「中国に加えてすべての貿易相手国に対して追加関税を導入するとするトランプ氏の政策では、輸入を減らして米国内の生産、雇用を拡大させる効果よりも、経済を悪化させる効果の方が勝るだろう・・・追加関税は貿易相手側の報復措置を引き出し、世界貿易を縮小させる。また、追加関税は、国内消費者に輸入品をより高く買わせる増税策にも等しく、個人消費を悪化させる。こうした追加関税など保護主義的な政策がもたらす経済の悪影響は、大型減税の延長や規制緩和のプラス効果を大きく上回るものと考える。さらに、財政悪化による金利上昇も、景気に逆風となる・・・トランプ氏はドル安政策を標榜している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関与する考えや財政悪化も、通貨の信認の低下を通じてドル安要因となる。保護主義的な政策などを通じて経済が悪化すれば、最終的には金利は大きく下がり、ドル安が進むだろう・・・金融市場は比較的静観し、反応が薄いのは、上記のようにトランプ再選がもたらす経済、金融市場への影響が両面あるなど、複雑であることも関係しているだろう」、なるほど。
・『トランプ前政権時と現在とでは経済・金融情勢は大きく異なる さらに、トランプ前政権時には、極端な保護主義的な政策がとられたものの、米国及び世界経済は深刻な悪化を免れた。また、トランプ氏はFRBへの緩和要請を強めつつドル安志向を明言したが、実際にはドルは大きく下落しなかった。 恐らくこうした経験を踏まえて、トランプが再選しても、経済、金融には大きな影響をもたらさないという楽観論が金融市場に広まっているのではないか。いわば「トランプ慣れ」したのである。 しかし、留意しておきたいのは、トランプ前政権時と現在とでは、米国経済及び世界経済と金融情勢は大きく異なるという点だ。第1に、バイデン政権になってから、物価は大きく上昇し、それを受けてFRBは大幅な利上げを行った。米国経済は金融引き締めの影響を受けて既に脆弱であり、この先大きく減速する可能性がある。この点から、保護主義的な政策が米国経済を悪化させるリスクは、現在の方が高いのである。また、当時と比べて中国経済の減速が強まっていることも、保護主義的な政策が世界経済を悪化させるリスクを高めるだろう。 第2に、財政面で積極的なコロナ対策を行った結果、現在の財政環境はトランプ前政権時よりも悪化しており、また金融市場は財政環境の悪化をより警戒するようになっている。そのもとで財政拡張的な政策がとられれば、金利上昇あるいは金利高止まりが経済を悪化させるだろう。また、財政の悪化は通貨の信認を損ねることから、ドル安のリスクも高める。 ドルは歴史的な高水準でこの先は大幅下落のリスクもある 第3に、FRBの大幅利上げによって、現在のドルの水準は、トランプ前政権時よりもかなり高くなった。実質実効ドル指数は、2022年10月には、1985年2月のプラザ合意前の歴史的ドル高水準に3%程度にまで迫った(図表)。大幅に高くなったドルは、経済、金融環境の変化や為替政策の変化によって、急速に下落するリスクも高まっている可能性がある。 (図表 実質実効ドル指数はリンク先参照) 以上の点から、トランプ再選時の経済、金融への影響を、トランプ前政権時の経験に基づいて予想するのはリスクがある。米国経済、金融が抱える問題は当時と比べてより大きくなっているのである。 それらの問題が顕在化していく中、トランプ再選後の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」は、それらを増幅する役割を果たすだろう。トランプ再選がもたらす経済や通貨への悪影響が非常に大きなものになるのか、そこまでには至らないのかは、大幅利上げを受けた今後の米国経済のパフォーマンスに大きく依存するだろう。 ただしその点も含めて、経済悪化のリスクは比較的高く、金融市場での株安、ドル安リスクを相応に高めるものと見ておきたい』、「米国経済、金融が抱える問題は当時と比べてより大きくなっている・・・トランプ再選後の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」は、それらを増幅する役割を果たすだろう。トランプ再選がもたらす経済や通貨への悪影響が非常に大きなものになるのか、そこまでには至らないのかは、大幅利上げを受けた今後の米国経済のパフォーマンスに大きく依存するだろう。 ただしその点も含めて、経済悪化のリスクは比較的高く、金融市場での株安、ドル安リスクを相応に高めるものと見ておきたい」、なるほど。
・『急速な円高と輸出環境悪化が日本経済に打撃となる可能性 トランプ再選が日本経済や金融市場に与える影響は、米国経済の減速、ドル安、米国株安を通じたものとなるだろう。日本では現在、急速な円安による物価高懸念が、個人消費を悪化させている。この点から、トランプ再選によって緩やかにドル高円安が修正されるのであれば、日本経済にとってはプラスであり歓迎すべきこととなるだろう。 しかし、ドル高円安の調整が緩やかに進むことは保証されるものではない。実質実効ドルが歴史的高水準にある中で、米国の政権が事実上の基軸通貨であるドルの価値を引き下げることを正式に掲げることは、世界経済や金融市場に大きな打撃を与えうるリスクの高い施策だ。その結果、ドル高円安の調整が急速なものになることは十分に考えられる。 急速な円高となれば、輸出企業の収益を悪化させ、また株価を大きく下落させることを通じて、日本経済にも打撃となる。それに米国の保護主義政策と米国経済の大幅減速による輸出環境の悪化が重なれば、日本は景気後退に陥る可能性が高まるだろう。 こうした点から、トランプ再選の影響については、日本としては慎重に見ておく必要がある』、「ドル高円安の調整が急速なものになることは十分に考えられる。 急速な円高となれば、輸出企業の収益を悪化させ、また株価を大きく下落させることを通じて、日本経済にも打撃となる。それに米国の保護主義政策と米国経済の大幅減速による輸出環境の悪化が重なれば、日本は景気後退に陥る可能性が高まるだろう。 こうした点から、トランプ再選の影響については、日本としては慎重に見ておく必要がある」、なるほど。
第三に、10月17日付けNewsweek日本版が掲載したフォーリン・ポリシー誌コラムニストのマイケル・ハーシュ氏による「衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに」を紹介しよう。
・『・ウッドワードの新著『戦争』には、11月の米大統領選の選挙結果を左右しかねない暴露話が多数収録されている──> あまりに対照的な光景だ。そして、アメリカの政治システムが外交分野においてさえ機能不全に陥っている現状の表れでもある。 過去数年間、ジョー・バイデン米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と対峙していたのとほぼ同じ期間にわたって、前任のドナルド・トランプは秘密裏にプーチンと対話をし、アメリカのウクライナへの軍事支援に反対していた──ワシントン・ポスト紙の著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードが新著『戦争』でそう明かしたのだ。 この本には衝撃的な暴露話が多数ある。 10月15日の発売日を前にフォーリン・ポリシー誌が入手した同書の中で、ウッドワードはトランプが大統領退任後にプーチンと最大7回電話で話したと書いた。 また今年のある時点では、フロリダ州の別荘マールアラーゴに滞在していたトランプが、ロシア指導者との「プライベートな電話」のために側近に部屋から出るよう命じたという。 それ以外の電話が、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月24日より前だったのか後だったのか、詳細は不明だ。 それでも、今回の暴露は トランプがローガン法──米国民が連邦政府の許可なく外国の高官と通信したり、アメリカと対立する「外国政府の措置や行動に影響を与える」行為を禁じる法──に違反していたとの疑惑をかき立てる。 この疑惑は、トランプが17年1月の大統領就任以前から側近を通じてロシアと接触していたという指摘にも通じるものだ。) 米大統領選の投票日まで1カ月を切るなか、この本はトランプとプーチンの関係、ビジネスや財政面でのトランプとロシアとのつながりをめぐる不穏な疑惑を再燃させている。 なかでも改めて注目されるのが、なぜトランプはやたらとプーチンを持ち上げるのかという謎だ。トランプは自分が大統領選に勝利すれば、ウクライナ戦争を交渉によって「24時間以内」に終結させると約束。ウクライナに対し、ロシアに国土を譲渡してNATO加盟を断念するよう迫るとほのめかしている(これはプーチンの要求の一部でもある)。) 22年の侵攻開始のわずか2日前、トランプはプーチンの侵略を称賛するような行動に出た。右派のラジオ番組に出演し、プーチンによるウクライナ東部の独立承認を「天才的」と評したのだ』、「過去数年間、ジョー・バイデン米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と対峙していたのとほぼ同じ期間にわたって、前任のドナルド・トランプは秘密裏にプーチンと対話をし、アメリカのウクライナへの軍事支援に反対していた──ワシントン・ポスト紙の著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードが新著『戦争』でそう明かしたのだ。 この本には衝撃的な暴露話が多数ある。 10月15日の発売日を前にフォーリン・ポリシー誌が入手した同書の中で、ウッドワードはトランプが大統領退任後にプーチンと最大7回電話で話したと書いた。 また今年のある時点では、フロリダ州の別荘マールアラーゴに滞在していたトランプが、ロシア指導者との「プライベートな電話」のために側近に部屋から出るよう命じたという・・・それでも、今回の暴露は トランプがローガン法──米国民が連邦政府の許可なく外国の高官と通信したり、アメリカと対立する「外国政府の措置や行動に影響を与える」行為を禁じる法──に違反していたとの疑惑をかき立てる。・・・22年の侵攻開始のわずか2日前、トランプはプーチンの侵略を称賛するような行動に出た。右派のラジオ番組に出演し、プーチンによるウクライナ東部の独立承認を「天才的」と評したのだ」、「プーチンと最大7回電話で話した」、というのは衝撃的だ。
・『側近も戸惑う蜜月ぶり 新著は「トランプがプーチンを批判しようとしないのは1回限りの出来事ではなく、一貫した性格的特徴だ」と指摘している。 ウッドワードによれば、トランプが大統領退任後もプーチンと電話しているという情報のソースは、トランプ側近の匿名の1人のみ。ただし現在もトランプの最側近であるジェーソン・ミラーもウッドワードの話を完全には否定せず、「異議を唱えたい」と答えたという。 さらに、トランプは本当に電話1本でウクライナ戦争を解決できるのかという質問に対し、ミラーはこう答えた。 「できると思う。彼は相手の弱点を知っていて、双方を動かせる要素を分かっている。(プーチンとウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に)それぞれ1本電話するだけで実現できるだろう」) ウッドワードは、トランプ政権で国家情報長官を務めたダニエル・コーツが、トランプとプーチンの関係に長年困惑していたとも指摘している。コーツは、トランプは「プーチンに手を差し伸べ、決して彼を悪く言わない。私にとっては‥...恐ろしいことだ」と語っている。 一方、トランプ陣営の広報担当者スティーブン・チョンは、新著は嘘だらけの作り話だとしてウッドワードへの個人攻撃を展開。「彼は精神を病んだごろつきだ。頭の回転が遅く無気力で無能、全体的に個性のない退屈な人間だ」と述べた。 新著では、22年にバイデンが直面した「10月ミサイル危機」の恐ろしい詳細も記されている。ロシアの侵攻開始から半年ほどがたち、ウクライナの反転攻勢が始まった同年秋、バイデン政権の元に、プーチンが戦場での苦境に絶望を募らせているという危険な情報が届き始めた。 米情報機関は、ロシアが戦術核を使用する可能性を50%と判断したという(侵攻初期の5%およびその後の10%と比べると劇的な上昇だ)。 著書によれば、バイデンはジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)に、「あらゆるチャンネルを使ってロシアと連絡を取り、われわれがどう反応するかを伝えろ」と即座に指示した。 バイデンは「直接的な脅し文句ではない威圧的な言葉」を使うようチームに命じ、「ウクライナとの交渉のためではなく、米ロが大惨事を回避するためにチャンネルを開く必要がある」と語ったという。) ロイド・オースティン米国防長官は22年10月21日の電話会談で、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(当時)にこう警告した。 「われわれの指導者も、そちらの指導者も、核戦争には勝者は存在せず、絶対に手を出してはならないと繰り返し述べてきた。(核を使用すれば)双方にとって存続を脅かす対立の道に踏み出すことになる。滑りやすい坂道に足を踏み入れるな」 オースティンはまた、もし核兵器が使われたら「ウクライナにおけるわれわれの作戦行動を縛ってきた制限を全て見直すことになるだろう」と述べたという。「これによりロシアは、あなた方ロシア人には想像できないレベルで国際舞台で孤立することになるだろう」 これに対し、脅迫されるのは気に入らないとショイグが答えると、オースティンはこう返したという。「私は世界史上最も強力な軍隊の指導者だ。脅迫などするものか」 2日後、ショイグは電話をかけてきて、ウクライナ側に「汚い爆弾」を使う計画があるとの虚偽の主張をした。核兵器使用の口実にするために嘘を持ち出したというのがアメリカ側の見立てだ。 あなたの言うことは信じられない」とオースティンは答えたとウッドワードは書いている。「そうした兆候は見つかっていないし、世界にもすぐに見抜かれるはずだ。やめておきなさい」。ショイグはこれに対し、「分かった」と答えたという』、「オースティン米国防長官は22年10月21日の電話会談で、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(当時)にこう警告した。 「われわれの指導者も、そちらの指導者も、核戦争には勝者は存在せず、絶対に手を出してはならないと繰り返し述べてきた。(核を使用すれば)双方にとって存続を脅かす対立の道に踏み出すことになる。滑りやすい坂道に足を踏み入れるな」、「2日後、ショイグは電話をかけてきて、ウクライナ側に「汚い爆弾」を使う計画があるとの虚偽の主張をした。核兵器使用の口実にするために嘘を持ち出したというのがアメリカ側の見立てだ。 あなたの言うことは信じられない」とオースティンは答えたとウッドワードは書いている。「そうした兆候は見つかっていないし、世界にもすぐに見抜かれるはずだ。やめておきなさい」。ショイグはこれに対し、「分かった」と答えたという」、いずれもずいぶんギリギリの発言で驚かされた。
・『「オバマの対応は失敗だった」 ウッドワードによれば、当時、国防総省の幹部を務めていたコリン・カールは後になって、ウクライナ侵攻が始まって以降で22年秋がたぶん「最も背筋が凍る思いをした」時期だったと語ったという。 一方でこの時期、バイデンは世界の指導者として、1962年のキューバ・ミサイル危機でソ連に立ち向かったジョン・F・ケネディ大統領ばりの気概を見せたのかもしれない。かつて副大統領として仕えたバラク・オバマ元大統領についてバイデンが述べたという、批判的な発言は注目に値する。 ロシアは14年、ウクライナ東部の一部を「占領」するとともにクリミア半島をロシアに併合した。この時、オバマは比較的穏やかな対応を取ったが、それは大きな過ちだったとバイデンは言ったのだ。 「おかげでこんなことになってしまった。われわれの大失敗だ」とバイデンは述べたという。「バラクはプーチン(のやること)をまともに取り合おうとしなかった。プーチンにそのまま続けていいと許可を出してしまったんだ。で、私がそのいまいましい許可を取り消そうとしているわけだ!」 ウクライナ侵攻が始まって2年半というもの、バイデンは「対応が煮え切らない」とか、「ウクライナ防衛のための十分な武器をすぐに送らなかった」といった批判を浴びてきた。 確かにバイデンは、M1A1エイブラムズといった主力の戦車や精度の高い長距離砲、F16などのジェット戦闘機の供与には二の足を踏んだ(最終的には供与したが)。) そしてウクライナがハルキウ州で反攻を始めた後の22年10月、バイデンはアメリカ国民に対し、ロシアが核兵器を使用すれば「アルマゲドン(最終戦争)」に発展する可能性もあると警告を発した。 そんな事態は、核兵器が使われる「直接的な脅威」が存在したキューバ・ミサイル危機以来初めてだとも彼は述べた。 当時、核兵器の使用などプーチンのはったりではと考える人もいた。だがウッドワードが引用したアメリカの情報機関の分析は、侵攻前のプーチンの意図を驚くほど正確に見抜いていたのと同様に、この場合もまさに慧眼というべき内容だった。 実際、後になってプーチンは、何がロシアの戦術核使用のきっかけになり得るかを具体的に説明している。 プーチンは9月、ウクライナが西側から供与された長距離ミサイルでロシア領の奥深くまで攻撃するのを西側諸国が認めるなら、核兵器による反撃は正当化されるかもしれないと述べたのだ』、「ロシアは14年、ウクライナ東部の一部を「占領」するとともにクリミア半島をロシアに併合した。この時、オバマは比較的穏やかな対応を取ったが、それは大きな過ちだったとバイデンは言ったのだ。 「おかげでこんなことになってしまった。われわれの大失敗だ」とバイデンは述べたという。「バラクはプーチン(のやること)をまともに取り合おうとしなかった。プーチンにそのまま続けていいと許可を出してしまったんだ。で、私がそのいまいましい許可を取り消そうとしているわけだ!」、「オバマ」がこんな失敗をしたとは初めて知った。尻拭いさせられる「バイデン」には同情したくなる。
・『「10月ミサイル危機」の対応 ウクライナの抵抗ゆえに、ロシア側に何十万人もの犠牲が出ていることも、見方によっては大きな危険をはらんでいる。 本書には米統合参謀本部議長(当時)のマーク・ミリーとロシアのバレリー・ゲラシモフ参謀総長の会話が出てくるが、そこでゲラシモフは、ロシア側の核兵器使用の条件の1つとして「戦場において壊滅的な損害を受けた」場合を挙げている。それに対しミリーは「そんなことはあり得ない」と述べた。) 一方で、そう遠くない未来にそうした事態が起こらないとは限らない。 「10月ミサイル危機」で──それも トランプとプーチンの関係に対する疑惑が拡大していくなかで──バイデンが取った行動の理由は、今となってはよく分かる。 政治家として台頭するなかで、トランプは繰り返し、自分とプーチンの間には、プーチンの言いなりにならなければならないような関係は存在しないと主張してきた。その一方で、トランプはプーチンへの批判を拒んでもきた。 ウッドワードは、9月にロシアで開催されたある経済会議でのこんなプーチンの言葉を取り上げている。「トランプ氏は、ウクライナ危機を含むあらゆる火急の問題を数日で解決すると述べている。喜ばしい話だと言うほかない」 ちなみに、トランプが大統領選に出馬するよりもっと前、彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていたことについては、本書以外でも調査や報道が何度もされている』、「ウッドワードは、9月にロシアで開催されたある経済会議でのこんなプーチンの言葉を取り上げている。「トランプ氏は、ウクライナ危機を含むあらゆる火急の問題を数日で解決すると述べている。喜ばしい話だと言うほかない」 ちなみに、トランプが大統領選に出馬するよりもっと前、彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていたことについては、本書以外でも調査や報道が何度もされている」、「数日で解決する」、とは「ウクライナ」に和平を飲ませるという意味だろうか。「彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていた」、「トランプ」系企業が「ロシア」への「依存の度を深めていた」というのは、事実であれば、飛んでもないことだ。私的な利益のために、「ウクライナ」支援という米国の国益を犠牲にすることになる。米国の法律に違反する可能性はないのだろうか。
先ずは、本年8月6日付けNewsweek日本版が掲載したパックン(パトリック・ハーラン)による「トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/pakkun/2024/08/post-97_1.php
・『<米連邦最高裁によると、トランプら歴代大統領の「公的行為」は刑事責任に問えない。それってバイデン現大統領は実質やり放題ってこと?と米出身芸人パックンは指摘します> このコラムを、バイデン米大統領は読んでいる。僕はそれを確信している。証拠は、前回僕がこのコラムで「バイデンは病気を理由に1週間ぐらい休みを取り大統領選から撤退して、その後職務に復帰する」というシナリオを描いたら、現実世界でそのとおりの流れになったこと! 新型コロナではなく胃痙攣の仮病が僕のおすすめだったけど、まあ細かいことは気にしない。 偶然だと思えない。絶対にチャットGPTで翻訳してこのコラムを読んでいるのだ、バイデンは。 ということで、今回はドナルド・トランプが絶対に大統領に返り咲かないようにする「決め手」をバイデンにお伝えしよう。みなさんも読んでいいけど、これはバイデンさん宛のメッセージだ。 へ?バイデン用ならなぜ英語で書かないの~? という疑問が浮かぶだろうけど、まあ、細かいことは気にしない』、興味深そうだ。
・『政敵の暗殺もおとがめなし? 実はバイデンは今までの大統領になかった、とんでもない必殺技を手に入れている。それも保守派判事が牛耳る連邦最高裁のおかげだ。7月、最高裁は大統領が「公的な行為」に関して刑事責任を負わないとする判決を出した。 以前から現役大統領は逮捕・訴追されないことになっていたが、この判決でさらに退任してからもずっと免責される新世界が開かれた。バイデン、チャンス! 幸い、大統領の職務の幅はとても広い。一番分かりやすいのは、憲法に定められている軍の最高司令官という立場。特殊部隊に指令を出すことは「公的な行為」に当たるから、政敵の暗殺を命じても司法上のおとがめはないようだ。 つまり、必殺技はまさに必「殺」技になり得る。リベラル派のソニア・ソトマイヨール判事も、先の判決の反対意見書でも実際にこのような危険性を指摘している。 もちろん、僕は暗殺もどんな暴力も一切推薦も擁護もしない。だが判決発表の数日後にトランプが「耳一髪」で暗殺を免れた事件が起きたことで、世の中では暗殺はバイデンが仕組んだとする陰謀論が出回っている。) 最高裁判決で免責を受けたことで、反対意見書で危惧されていたシナリオを実現させたという荒唐無稽な主張だ。もちろん僕はそんなことは信じない。そもそもバイデンのシナリオライターはソトマイヨールではなく、僕だからね。 とにかく、えぐすぎるから暗殺は忘れよう。暴力以外にも「公的な行為」としてできることは沢山ある。 例えば、大統領は行政府の長なので、財務省を通じて政府の予算を使うのも仕事だ。トランプ当選を防ぐため、与党民主党のカマラ・ハリス陣営にお金を大量に回すこともできるはず。選挙CMを大量に制作して放送できる!税金で! そういえば、放送・通信を管轄する米連邦通信委員会(FCC)も行政府に属する機関だ。公共の電波はバイデンの手中にある。 トランプのCMを流さないようにすることも、保守派大手のFOXニュースの放送認可を取り消すことも可能だ。トランプ派のスローガン「MAGA」を放送禁止用語に設定できる!そうなれば逆に反抗期の若者は口に出したくなるだろうけど』、「7月、最高裁は大統領が「公的な行為」に関して刑事責任を負わないとする判決を出した。 以前から現役大統領は逮捕・訴追されないことになっていたが、この判決でさらに退任してからもずっと免責される新世界が開かれた・・・大統領の職務の幅はとても広い。一番分かりやすいのは、憲法に定められている軍の最高司令官という立場。特殊部隊に指令を出すことは「公的な行為」に当たるから、政敵の暗殺を命じても司法上のおとがめはないようだ。 つまり、必殺技はまさに必「殺」技になり得る」、なるほど。
・『不正な捜査も免責? なんだったら、司法省も大統領の管轄。トランプもその側近も、邪魔してくるヤツを逮捕させることもできる!やろうと思えば、トランプ支持者を全員捕まえて、国外に追放することができる。不法移民全員をそうすると、トランプ本人が公約しているぐらい、国外追放はれっきとした「公的行為」だ。 ここで、このコラムを読んでいるバイデンは「ドワハハハハ!」と、高笑いし始めていることだろう。映画『アラジン』の最後に、悪党のジャファーが無限の力を手に入れ、巨人化していくシーンを思い出してください。あんな感じだ。 もちろん、上記のような権力乱用は法律違反であって、憲法違反でもある。公的な行為でも、権限を不正な目的で利用した場合、横領、背任、人権侵害などの犯罪に当たり、犯人は取り締まられてしかるべきだ。本来は。 だが最高裁の判決によると、その犯人が大統領である場合「目的」も審査することができない! 判決文の中で「たとえ捜査がでっち上げであったり、不正な目的で行われたりしたとしても、それは司法省の捜査や起訴機能に対する大統領の独占的権限を奪うものではない」と指摘。大統領が行政府をどう利用しても「絶対的な免責」があると、はっきりと結論付けている。 どんな悪業でも「公的な行為」であれば罪に問われないのだ。しかも、トランプを止めるのはむしろ善行でしょう、バイデンさん? おそらくいくつかの疑問が浮かんでいることでしょう。それにも答えておこう。) Q:例え大統領が免責されても、不正な命令を実行する公務員は逮捕・訴追されるのではないか? A:大統領が司法省に取り締まらないように命令すればいいし、たとえ有罪になっても(トランプが側近に対して何度もやったように)恩赦もできる! Q:自分の良心が働いて、部下の公務員が命令を断った場合は? A:更迭すればいい。逮捕もできる! Q:上下両院に弾劾されないのか? A:そんな動きがあるときも打つ手はある。大統領には(両院の意見が一致しないとき)議会を休会させる権限も憲法で規定されている。あと、何度も言うけど、議員たちを逮捕や国外追放できるぞ。 Q:国民が反発しない? A:国民なんか知るもんか。大統領が全能だ!ドワハハハハ! バイデン大統領は再び笑い始め、天に向かって指先から雷を放ち始めているだろう。究極のパワー!全宇宙を支配するのだ!と、叫んでいて、下半身が竜巻になっているはずだ。 僕、映画の見すぎかな......? まあ、『アラジン』のランプの精、ジーニーになることはなくても、均衡も抑制もなしに「公的な行為」で政敵を仕留められる大統領が独裁者になる危険性を今回の判決がはらんでいることは心から懸念している。 実は、バイデンも既にこのことに気づいている。判決が発表された日にテレビ会見で「この判決は、大統領のできることには実質的に制限がないことをほぼ確実に意味している」と指摘している。 しかし、それに気づいていても、権力を乱用しないのがバイデン。ハリスもきっとそうだと信じる。だが、万が一トランプになった場合はどうなのでしょうか......。 このコラムを、トランプが読んでいないことを祈ろう』、「トランプもその側近も、邪魔してくるヤツを逮捕させることもできる!やろうと思えば、トランプ支持者を全員捕まえて、国外に追放することができる。不法移民全員をそうすると、トランプ本人が公約しているぐらい、国外追放はれっきとした「公的行為」だ・・・最高裁の判決によると、その犯人が大統領である場合「目的」も審査することができない! 判決文の中で「たとえ捜査がでっち上げであったり、不正な目的で行われたりしたとしても、それは司法省の捜査や起訴機能に対する大統領の独占的権限を奪うものではない」と指摘。大統領が行政府をどう利用しても「絶対的な免責」があると、はっきりと結論付けている。 どんな悪業でも「公的な行為」であれば罪に問われないのだ・・・均衡も抑制もなしに「公的な行為」で政敵を仕留められる大統領が独裁者になる危険性を今回の判決がはらんでいることは心から懸念している」、現在の最高裁判事の殆どはトランプの息がかかっているとはいえ、飛んでもない判断を下すものだ。
次に、7月18日付け野村総合研究所の刊行物NRIに同研究所 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏が寄稿した「トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅:ドル高・円安が緩やかに修正されるのであれば日本経済にプラスだが。。。」を紹介しよう。
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2024/fis/kiuchi/0718
・『トランプ再選は「ドル高、株高要因」か「ドル安、株安要因」か? 7月13日に起きた襲撃事件を受けて、米国大統領選はトランプ前大統領が優勢との見方が一段と強まっている。しかし、それを受けた金融市場の反応は概して薄い(コラム「金融市場はトランプ再選をどう織り込むか:トランプトレードの再来も」、2024年7月5日)。 見方は分かれるところではあるが、トランプ前大統領が再選を果たし、同氏の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」が実施されれば、それは、世界経済、米国経済にマイナスとなり、世界的な株安とドル安を生じさせると筆者は考えている。ただしそれがどの程度の規模になるのかは、今後の米国経済の行方次第だろう。「トランポノミクス2.0」は、米国経済・金融が抱える問題を増幅する役割を果たすことになるのではないか。 トランプ再選については、「ドル高、株高要因」との見方と、筆者のように「ドル安、株安要因」との見方の双方がある。実際、「トランポノミクス2.0」の経済・金融への影響には両面があることは確かである。 トランプ氏が公約に掲げる追加関税は、国内物価を押し上げ、金利上昇要因となる。それはドル高要因にもなる。また、大型減税の延長や社会保障支出の抑制などを行わない姿勢は、財政悪化をもたらし、これも金利上昇を通じてドル高要因になり得る。また、大型減税の延長や規制緩和は景気にプラス効果を生む。それは株高要因であり、ドル高要因ともなる』、「トランプ再選については、「ドル高、株高要因」との見方と、筆者のように「ドル安、株安要因」との見方の双方がある・・・トランプ氏が公約に掲げる追加関税は、国内物価を押し上げ、金利上昇要因となる。それはドル高要因にもなる。また、大型減税の延長や社会保障支出の抑制などを行わない姿勢は、財政悪化をもたらし、これも金利上昇を通じてドル高要因になり得る。また、大型減税の延長や規制緩和は景気にプラス効果を生む。それは株高要因であり、ドル高要因ともなる」、なるほど。
・『「トランポノミクス2.0」は経済に逆風で「ドル安、株安要因」か 他方で、中国に加えてすべての貿易相手国に対して追加関税を導入するとするトランプ氏の政策では、輸入を減らして米国内の生産、雇用を拡大させる効果よりも、経済を悪化させる効果の方が勝るだろう(コラム「ノーベル賞受賞の経済学者16人がトランプ再選に警鐘」、2024年7月3日)。 追加関税は貿易相手側の報復措置を引き出し、世界貿易を縮小させる。また、追加関税は、国内消費者に輸入品をより高く買わせる増税策にも等しく、個人消費を悪化させる。こうした追加関税など保護主義的な政策がもたらす経済の悪影響は、大型減税の延長や規制緩和のプラス効果を大きく上回るものと考える。さらに、財政悪化による金利上昇も、景気に逆風となる。景気悪化は株安要因である。 また、トランプ氏はドル安政策を標榜している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関与する考えや財政悪化も、通貨の信認の低下を通じてドル安要因となる。保護主義的な政策などを通じて経済が悪化すれば、最終的には金利は大きく下がり、ドル安が進むだろう。 大統領選でのトランプ優勢の流れを金融市場は比較的静観し、反応が薄いのは、上記のようにトランプ再選がもたらす経済、金融市場への影響が両面あるなど、複雑であることも関係しているだろう』、「中国に加えてすべての貿易相手国に対して追加関税を導入するとするトランプ氏の政策では、輸入を減らして米国内の生産、雇用を拡大させる効果よりも、経済を悪化させる効果の方が勝るだろう・・・追加関税は貿易相手側の報復措置を引き出し、世界貿易を縮小させる。また、追加関税は、国内消費者に輸入品をより高く買わせる増税策にも等しく、個人消費を悪化させる。こうした追加関税など保護主義的な政策がもたらす経済の悪影響は、大型減税の延長や規制緩和のプラス効果を大きく上回るものと考える。さらに、財政悪化による金利上昇も、景気に逆風となる・・・トランプ氏はドル安政策を標榜している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関与する考えや財政悪化も、通貨の信認の低下を通じてドル安要因となる。保護主義的な政策などを通じて経済が悪化すれば、最終的には金利は大きく下がり、ドル安が進むだろう・・・金融市場は比較的静観し、反応が薄いのは、上記のようにトランプ再選がもたらす経済、金融市場への影響が両面あるなど、複雑であることも関係しているだろう」、なるほど。
・『トランプ前政権時と現在とでは経済・金融情勢は大きく異なる さらに、トランプ前政権時には、極端な保護主義的な政策がとられたものの、米国及び世界経済は深刻な悪化を免れた。また、トランプ氏はFRBへの緩和要請を強めつつドル安志向を明言したが、実際にはドルは大きく下落しなかった。 恐らくこうした経験を踏まえて、トランプが再選しても、経済、金融には大きな影響をもたらさないという楽観論が金融市場に広まっているのではないか。いわば「トランプ慣れ」したのである。 しかし、留意しておきたいのは、トランプ前政権時と現在とでは、米国経済及び世界経済と金融情勢は大きく異なるという点だ。第1に、バイデン政権になってから、物価は大きく上昇し、それを受けてFRBは大幅な利上げを行った。米国経済は金融引き締めの影響を受けて既に脆弱であり、この先大きく減速する可能性がある。この点から、保護主義的な政策が米国経済を悪化させるリスクは、現在の方が高いのである。また、当時と比べて中国経済の減速が強まっていることも、保護主義的な政策が世界経済を悪化させるリスクを高めるだろう。 第2に、財政面で積極的なコロナ対策を行った結果、現在の財政環境はトランプ前政権時よりも悪化しており、また金融市場は財政環境の悪化をより警戒するようになっている。そのもとで財政拡張的な政策がとられれば、金利上昇あるいは金利高止まりが経済を悪化させるだろう。また、財政の悪化は通貨の信認を損ねることから、ドル安のリスクも高める。 ドルは歴史的な高水準でこの先は大幅下落のリスクもある 第3に、FRBの大幅利上げによって、現在のドルの水準は、トランプ前政権時よりもかなり高くなった。実質実効ドル指数は、2022年10月には、1985年2月のプラザ合意前の歴史的ドル高水準に3%程度にまで迫った(図表)。大幅に高くなったドルは、経済、金融環境の変化や為替政策の変化によって、急速に下落するリスクも高まっている可能性がある。 (図表 実質実効ドル指数はリンク先参照) 以上の点から、トランプ再選時の経済、金融への影響を、トランプ前政権時の経験に基づいて予想するのはリスクがある。米国経済、金融が抱える問題は当時と比べてより大きくなっているのである。 それらの問題が顕在化していく中、トランプ再選後の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」は、それらを増幅する役割を果たすだろう。トランプ再選がもたらす経済や通貨への悪影響が非常に大きなものになるのか、そこまでには至らないのかは、大幅利上げを受けた今後の米国経済のパフォーマンスに大きく依存するだろう。 ただしその点も含めて、経済悪化のリスクは比較的高く、金融市場での株安、ドル安リスクを相応に高めるものと見ておきたい』、「米国経済、金融が抱える問題は当時と比べてより大きくなっている・・・トランプ再選後の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」は、それらを増幅する役割を果たすだろう。トランプ再選がもたらす経済や通貨への悪影響が非常に大きなものになるのか、そこまでには至らないのかは、大幅利上げを受けた今後の米国経済のパフォーマンスに大きく依存するだろう。 ただしその点も含めて、経済悪化のリスクは比較的高く、金融市場での株安、ドル安リスクを相応に高めるものと見ておきたい」、なるほど。
・『急速な円高と輸出環境悪化が日本経済に打撃となる可能性 トランプ再選が日本経済や金融市場に与える影響は、米国経済の減速、ドル安、米国株安を通じたものとなるだろう。日本では現在、急速な円安による物価高懸念が、個人消費を悪化させている。この点から、トランプ再選によって緩やかにドル高円安が修正されるのであれば、日本経済にとってはプラスであり歓迎すべきこととなるだろう。 しかし、ドル高円安の調整が緩やかに進むことは保証されるものではない。実質実効ドルが歴史的高水準にある中で、米国の政権が事実上の基軸通貨であるドルの価値を引き下げることを正式に掲げることは、世界経済や金融市場に大きな打撃を与えうるリスクの高い施策だ。その結果、ドル高円安の調整が急速なものになることは十分に考えられる。 急速な円高となれば、輸出企業の収益を悪化させ、また株価を大きく下落させることを通じて、日本経済にも打撃となる。それに米国の保護主義政策と米国経済の大幅減速による輸出環境の悪化が重なれば、日本は景気後退に陥る可能性が高まるだろう。 こうした点から、トランプ再選の影響については、日本としては慎重に見ておく必要がある』、「ドル高円安の調整が急速なものになることは十分に考えられる。 急速な円高となれば、輸出企業の収益を悪化させ、また株価を大きく下落させることを通じて、日本経済にも打撃となる。それに米国の保護主義政策と米国経済の大幅減速による輸出環境の悪化が重なれば、日本は景気後退に陥る可能性が高まるだろう。 こうした点から、トランプ再選の影響については、日本としては慎重に見ておく必要がある」、なるほど。
第三に、10月17日付けNewsweek日本版が掲載したフォーリン・ポリシー誌コラムニストのマイケル・ハーシュ氏による「衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに」を紹介しよう。
・『・ウッドワードの新著『戦争』には、11月の米大統領選の選挙結果を左右しかねない暴露話が多数収録されている──> あまりに対照的な光景だ。そして、アメリカの政治システムが外交分野においてさえ機能不全に陥っている現状の表れでもある。 過去数年間、ジョー・バイデン米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と対峙していたのとほぼ同じ期間にわたって、前任のドナルド・トランプは秘密裏にプーチンと対話をし、アメリカのウクライナへの軍事支援に反対していた──ワシントン・ポスト紙の著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードが新著『戦争』でそう明かしたのだ。 この本には衝撃的な暴露話が多数ある。 10月15日の発売日を前にフォーリン・ポリシー誌が入手した同書の中で、ウッドワードはトランプが大統領退任後にプーチンと最大7回電話で話したと書いた。 また今年のある時点では、フロリダ州の別荘マールアラーゴに滞在していたトランプが、ロシア指導者との「プライベートな電話」のために側近に部屋から出るよう命じたという。 それ以外の電話が、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月24日より前だったのか後だったのか、詳細は不明だ。 それでも、今回の暴露は トランプがローガン法──米国民が連邦政府の許可なく外国の高官と通信したり、アメリカと対立する「外国政府の措置や行動に影響を与える」行為を禁じる法──に違反していたとの疑惑をかき立てる。 この疑惑は、トランプが17年1月の大統領就任以前から側近を通じてロシアと接触していたという指摘にも通じるものだ。) 米大統領選の投票日まで1カ月を切るなか、この本はトランプとプーチンの関係、ビジネスや財政面でのトランプとロシアとのつながりをめぐる不穏な疑惑を再燃させている。 なかでも改めて注目されるのが、なぜトランプはやたらとプーチンを持ち上げるのかという謎だ。トランプは自分が大統領選に勝利すれば、ウクライナ戦争を交渉によって「24時間以内」に終結させると約束。ウクライナに対し、ロシアに国土を譲渡してNATO加盟を断念するよう迫るとほのめかしている(これはプーチンの要求の一部でもある)。) 22年の侵攻開始のわずか2日前、トランプはプーチンの侵略を称賛するような行動に出た。右派のラジオ番組に出演し、プーチンによるウクライナ東部の独立承認を「天才的」と評したのだ』、「過去数年間、ジョー・バイデン米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と対峙していたのとほぼ同じ期間にわたって、前任のドナルド・トランプは秘密裏にプーチンと対話をし、アメリカのウクライナへの軍事支援に反対していた──ワシントン・ポスト紙の著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードが新著『戦争』でそう明かしたのだ。 この本には衝撃的な暴露話が多数ある。 10月15日の発売日を前にフォーリン・ポリシー誌が入手した同書の中で、ウッドワードはトランプが大統領退任後にプーチンと最大7回電話で話したと書いた。 また今年のある時点では、フロリダ州の別荘マールアラーゴに滞在していたトランプが、ロシア指導者との「プライベートな電話」のために側近に部屋から出るよう命じたという・・・それでも、今回の暴露は トランプがローガン法──米国民が連邦政府の許可なく外国の高官と通信したり、アメリカと対立する「外国政府の措置や行動に影響を与える」行為を禁じる法──に違反していたとの疑惑をかき立てる。・・・22年の侵攻開始のわずか2日前、トランプはプーチンの侵略を称賛するような行動に出た。右派のラジオ番組に出演し、プーチンによるウクライナ東部の独立承認を「天才的」と評したのだ」、「プーチンと最大7回電話で話した」、というのは衝撃的だ。
・『側近も戸惑う蜜月ぶり 新著は「トランプがプーチンを批判しようとしないのは1回限りの出来事ではなく、一貫した性格的特徴だ」と指摘している。 ウッドワードによれば、トランプが大統領退任後もプーチンと電話しているという情報のソースは、トランプ側近の匿名の1人のみ。ただし現在もトランプの最側近であるジェーソン・ミラーもウッドワードの話を完全には否定せず、「異議を唱えたい」と答えたという。 さらに、トランプは本当に電話1本でウクライナ戦争を解決できるのかという質問に対し、ミラーはこう答えた。 「できると思う。彼は相手の弱点を知っていて、双方を動かせる要素を分かっている。(プーチンとウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に)それぞれ1本電話するだけで実現できるだろう」) ウッドワードは、トランプ政権で国家情報長官を務めたダニエル・コーツが、トランプとプーチンの関係に長年困惑していたとも指摘している。コーツは、トランプは「プーチンに手を差し伸べ、決して彼を悪く言わない。私にとっては‥...恐ろしいことだ」と語っている。 一方、トランプ陣営の広報担当者スティーブン・チョンは、新著は嘘だらけの作り話だとしてウッドワードへの個人攻撃を展開。「彼は精神を病んだごろつきだ。頭の回転が遅く無気力で無能、全体的に個性のない退屈な人間だ」と述べた。 新著では、22年にバイデンが直面した「10月ミサイル危機」の恐ろしい詳細も記されている。ロシアの侵攻開始から半年ほどがたち、ウクライナの反転攻勢が始まった同年秋、バイデン政権の元に、プーチンが戦場での苦境に絶望を募らせているという危険な情報が届き始めた。 米情報機関は、ロシアが戦術核を使用する可能性を50%と判断したという(侵攻初期の5%およびその後の10%と比べると劇的な上昇だ)。 著書によれば、バイデンはジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)に、「あらゆるチャンネルを使ってロシアと連絡を取り、われわれがどう反応するかを伝えろ」と即座に指示した。 バイデンは「直接的な脅し文句ではない威圧的な言葉」を使うようチームに命じ、「ウクライナとの交渉のためではなく、米ロが大惨事を回避するためにチャンネルを開く必要がある」と語ったという。) ロイド・オースティン米国防長官は22年10月21日の電話会談で、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(当時)にこう警告した。 「われわれの指導者も、そちらの指導者も、核戦争には勝者は存在せず、絶対に手を出してはならないと繰り返し述べてきた。(核を使用すれば)双方にとって存続を脅かす対立の道に踏み出すことになる。滑りやすい坂道に足を踏み入れるな」 オースティンはまた、もし核兵器が使われたら「ウクライナにおけるわれわれの作戦行動を縛ってきた制限を全て見直すことになるだろう」と述べたという。「これによりロシアは、あなた方ロシア人には想像できないレベルで国際舞台で孤立することになるだろう」 これに対し、脅迫されるのは気に入らないとショイグが答えると、オースティンはこう返したという。「私は世界史上最も強力な軍隊の指導者だ。脅迫などするものか」 2日後、ショイグは電話をかけてきて、ウクライナ側に「汚い爆弾」を使う計画があるとの虚偽の主張をした。核兵器使用の口実にするために嘘を持ち出したというのがアメリカ側の見立てだ。 あなたの言うことは信じられない」とオースティンは答えたとウッドワードは書いている。「そうした兆候は見つかっていないし、世界にもすぐに見抜かれるはずだ。やめておきなさい」。ショイグはこれに対し、「分かった」と答えたという』、「オースティン米国防長官は22年10月21日の電話会談で、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(当時)にこう警告した。 「われわれの指導者も、そちらの指導者も、核戦争には勝者は存在せず、絶対に手を出してはならないと繰り返し述べてきた。(核を使用すれば)双方にとって存続を脅かす対立の道に踏み出すことになる。滑りやすい坂道に足を踏み入れるな」、「2日後、ショイグは電話をかけてきて、ウクライナ側に「汚い爆弾」を使う計画があるとの虚偽の主張をした。核兵器使用の口実にするために嘘を持ち出したというのがアメリカ側の見立てだ。 あなたの言うことは信じられない」とオースティンは答えたとウッドワードは書いている。「そうした兆候は見つかっていないし、世界にもすぐに見抜かれるはずだ。やめておきなさい」。ショイグはこれに対し、「分かった」と答えたという」、いずれもずいぶんギリギリの発言で驚かされた。
・『「オバマの対応は失敗だった」 ウッドワードによれば、当時、国防総省の幹部を務めていたコリン・カールは後になって、ウクライナ侵攻が始まって以降で22年秋がたぶん「最も背筋が凍る思いをした」時期だったと語ったという。 一方でこの時期、バイデンは世界の指導者として、1962年のキューバ・ミサイル危機でソ連に立ち向かったジョン・F・ケネディ大統領ばりの気概を見せたのかもしれない。かつて副大統領として仕えたバラク・オバマ元大統領についてバイデンが述べたという、批判的な発言は注目に値する。 ロシアは14年、ウクライナ東部の一部を「占領」するとともにクリミア半島をロシアに併合した。この時、オバマは比較的穏やかな対応を取ったが、それは大きな過ちだったとバイデンは言ったのだ。 「おかげでこんなことになってしまった。われわれの大失敗だ」とバイデンは述べたという。「バラクはプーチン(のやること)をまともに取り合おうとしなかった。プーチンにそのまま続けていいと許可を出してしまったんだ。で、私がそのいまいましい許可を取り消そうとしているわけだ!」 ウクライナ侵攻が始まって2年半というもの、バイデンは「対応が煮え切らない」とか、「ウクライナ防衛のための十分な武器をすぐに送らなかった」といった批判を浴びてきた。 確かにバイデンは、M1A1エイブラムズといった主力の戦車や精度の高い長距離砲、F16などのジェット戦闘機の供与には二の足を踏んだ(最終的には供与したが)。) そしてウクライナがハルキウ州で反攻を始めた後の22年10月、バイデンはアメリカ国民に対し、ロシアが核兵器を使用すれば「アルマゲドン(最終戦争)」に発展する可能性もあると警告を発した。 そんな事態は、核兵器が使われる「直接的な脅威」が存在したキューバ・ミサイル危機以来初めてだとも彼は述べた。 当時、核兵器の使用などプーチンのはったりではと考える人もいた。だがウッドワードが引用したアメリカの情報機関の分析は、侵攻前のプーチンの意図を驚くほど正確に見抜いていたのと同様に、この場合もまさに慧眼というべき内容だった。 実際、後になってプーチンは、何がロシアの戦術核使用のきっかけになり得るかを具体的に説明している。 プーチンは9月、ウクライナが西側から供与された長距離ミサイルでロシア領の奥深くまで攻撃するのを西側諸国が認めるなら、核兵器による反撃は正当化されるかもしれないと述べたのだ』、「ロシアは14年、ウクライナ東部の一部を「占領」するとともにクリミア半島をロシアに併合した。この時、オバマは比較的穏やかな対応を取ったが、それは大きな過ちだったとバイデンは言ったのだ。 「おかげでこんなことになってしまった。われわれの大失敗だ」とバイデンは述べたという。「バラクはプーチン(のやること)をまともに取り合おうとしなかった。プーチンにそのまま続けていいと許可を出してしまったんだ。で、私がそのいまいましい許可を取り消そうとしているわけだ!」、「オバマ」がこんな失敗をしたとは初めて知った。尻拭いさせられる「バイデン」には同情したくなる。
・『「10月ミサイル危機」の対応 ウクライナの抵抗ゆえに、ロシア側に何十万人もの犠牲が出ていることも、見方によっては大きな危険をはらんでいる。 本書には米統合参謀本部議長(当時)のマーク・ミリーとロシアのバレリー・ゲラシモフ参謀総長の会話が出てくるが、そこでゲラシモフは、ロシア側の核兵器使用の条件の1つとして「戦場において壊滅的な損害を受けた」場合を挙げている。それに対しミリーは「そんなことはあり得ない」と述べた。) 一方で、そう遠くない未来にそうした事態が起こらないとは限らない。 「10月ミサイル危機」で──それも トランプとプーチンの関係に対する疑惑が拡大していくなかで──バイデンが取った行動の理由は、今となってはよく分かる。 政治家として台頭するなかで、トランプは繰り返し、自分とプーチンの間には、プーチンの言いなりにならなければならないような関係は存在しないと主張してきた。その一方で、トランプはプーチンへの批判を拒んでもきた。 ウッドワードは、9月にロシアで開催されたある経済会議でのこんなプーチンの言葉を取り上げている。「トランプ氏は、ウクライナ危機を含むあらゆる火急の問題を数日で解決すると述べている。喜ばしい話だと言うほかない」 ちなみに、トランプが大統領選に出馬するよりもっと前、彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていたことについては、本書以外でも調査や報道が何度もされている』、「ウッドワードは、9月にロシアで開催されたある経済会議でのこんなプーチンの言葉を取り上げている。「トランプ氏は、ウクライナ危機を含むあらゆる火急の問題を数日で解決すると述べている。喜ばしい話だと言うほかない」 ちなみに、トランプが大統領選に出馬するよりもっと前、彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていたことについては、本書以外でも調査や報道が何度もされている」、「数日で解決する」、とは「ウクライナ」に和平を飲ませるという意味だろうか。「彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていた」、「トランプ」系企業が「ロシア」への「依存の度を深めていた」というのは、事実であれば、飛んでもないことだ。私的な利益のために、「ウクライナ」支援という米国の国益を犠牲にすることになる。米国の法律に違反する可能性はないのだろうか。
タグ:Newsweek日本版 (その54)(トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?、トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅、衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに) トランプ パックン(パトリック・ハーラン)による「トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?」 「7月、最高裁は大統領が「公的な行為」に関して刑事責任を負わないとする判決を出した。 以前から現役大統領は逮捕・訴追されないことになっていたが、この判決でさらに退任してからもずっと免責される新世界が開かれた・・・大統領の職務の幅はとても広い。一番分かりやすいのは、憲法に定められている軍の最高司令官という立場。特殊部隊に指令を出すことは「公的な行為」に当たるから、政敵の暗殺を命じても司法上のおとがめはないようだ。 つまり、必殺技はまさに必「殺」技になり得る」、なるほど。 「トランプもその側近も、邪魔してくるヤツを逮捕させることもできる!やろうと思えば、トランプ支持者を全員捕まえて、国外に追放することができる。不法移民全員をそうすると、トランプ本人が公約しているぐらい、国外追放はれっきとした「公的行為」だ・・・最高裁の判決によると、その犯人が大統領である場合「目的」も審査することができない! 判決文の中で「たとえ捜査がでっち上げであったり、不正な目的で行われたりしたとしても、それは司法省の捜査や起訴機能に対する大統領の独占的権限を奪うものではない」と指摘。 大統領が行政府をどう利用しても「絶対的な免責」があると、はっきりと結論付けている。 どんな悪業でも「公的な行為」であれば罪に問われないのだ・・・均衡も抑制もなしに「公的な行為」で政敵を仕留められる大統領が独裁者になる危険性を今回の判決がはらんでいることは心から懸念している」、現在の最高裁判事の殆どはトランプの息がかかっているとはいえ、飛んでもない判断を下すものだ。 野村総合研究所の刊行物NRI 木内登英氏が寄稿した「トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅:ドル高・円安が緩やかに修正されるのであれば日本経済にプラスだが。。。」 「トランプ再選については、「ドル高、株高要因」との見方と、筆者のように「ドル安、株安要因」との見方の双方がある・・・トランプ氏が公約に掲げる追加関税は、国内物価を押し上げ、金利上昇要因となる。それはドル高要因にもなる。また、大型減税の延長や社会保障支出の抑制などを行わない姿勢は、財政悪化をもたらし、これも金利上昇を通じてドル高要因になり得る。また、大型減税の延長や規制緩和は景気にプラス効果を生む。それは株高要因であり、ドル高要因ともなる」、なるほど。 「中国に加えてすべての貿易相手国に対して追加関税を導入するとするトランプ氏の政策では、輸入を減らして米国内の生産、雇用を拡大させる効果よりも、経済を悪化させる効果の方が勝るだろう・・・追加関税は貿易相手側の報復措置を引き出し、世界貿易を縮小させる。また、追加関税は、国内消費者に輸入品をより高く買わせる増税策にも等しく、個人消費を悪化させる。 こうした追加関税など保護主義的な政策がもたらす経済の悪影響は、大型減税の延長や規制緩和のプラス効果を大きく上回るものと考える。さらに、財政悪化による金利上昇も、景気に逆風となる・・・トランプ氏はドル安政策を標榜している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関与する考えや財政悪化も、通貨の信認の低下を通じてドル安要因となる。保護主義的な政策などを通じて経済が悪化すれば、最終的には金利は大きく下がり、ドル安が進むだろう・・・金融市場は比較的静観し、反応が薄いのは、上記のようにトランプ再選がもたらす経済、 金融市場への影響が両面あるなど、複雑であることも関係しているだろう」、なるほど。 「米国経済、金融が抱える問題は当時と比べてより大きくなっている・・・トランプ再選後の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」は、それらを増幅する役割を果たすだろう。トランプ再選がもたらす経済や通貨への悪影響が非常に大きなものになるのか、そこまでには至らないのかは、大幅利上げを受けた今後の米国経済のパフォーマンスに大きく依存するだろう。 ただしその点も含めて、経済悪化のリスクは比較的高く、金融市場での株安、ドル安リスクを相応に高めるものと見ておきたい」、なるほど。 「ドル高円安の調整が急速なものになることは十分に考えられる。 急速な円高となれば、輸出企業の収益を悪化させ、また株価を大きく下落させることを通じて、日本経済にも打撃となる。それに米国の保護主義政策と米国経済の大幅減速による輸出環境の悪化が重なれば、日本は景気後退に陥る可能性が高まるだろう。 こうした点から、トランプ再選の影響については、日本としては慎重に見ておく必要がある」、なるほど。 マイケル・ハーシュ氏による「衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに」 「過去数年間、ジョー・バイデン米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と対峙していたのとほぼ同じ期間にわたって、前任のドナルド・トランプは秘密裏にプーチンと対話をし、アメリカのウクライナへの軍事支援に反対していた──ワシントン・ポスト紙の著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードが新著『戦争』でそう明かしたのだ。 この本には衝撃的な暴露話が多数ある。 10月15日の発売日を前にフォーリン・ポリシー誌が入手した同書の中で、ウッドワードはトランプが大統領退任後にプーチンと最大7回電話で話したと書いた。 また今年のある時点では、フロリダ州の別荘マールアラーゴに滞在していたトランプが、ロシア指導者との「プライベートな電話」のために側近に部屋から出るよう命じたという・・・それでも、今回の暴露は トランプがローガン法──米国民が連邦政府の許可なく外国の高官と通信したり、アメリカと対立する「外国政府の措置や行動に影響を与える」行為を禁じる法──に違反していたとの疑惑 をかき立てる。・・・22年の侵攻開始のわずか2日前、トランプはプーチンの侵略を称賛するような行動に出た。右派のラジオ番組に出演し、プーチンによるウクライナ東部の独立承認を「天才的」と評したのだ」、「プーチンと最大7回電話で話した」、というのは衝撃的だ。 「オースティン米国防長官は22年10月21日の電話会談で、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(当時)にこう警告した。 「われわれの指導者も、そちらの指導者も、核戦争には勝者は存在せず、絶対に手を出してはならないと繰り返し述べてきた。(核を使用すれば)双方にとって存続を脅かす対立の道に踏み出すことになる。滑りやすい坂道に足を踏み入れるな」、「2日後、ショイグは電話をかけてきて、ウクライナ側に「汚い爆弾」を使う計画があるとの虚偽の主張をした。 核兵器使用の口実にするために嘘を持ち出したというのがアメリカ側の見立てだ。 あなたの言うことは信じられない」とオースティンは答えたとウッドワードは書いている。「そうした兆候は見つかっていないし、世界にもすぐに見抜かれるはずだ。やめておきなさい」。ショイグはこれに対し、「分かった」と答えたという」、いずれもずいぶんギリギリの発言で驚かされた。 「ロシアは14年、ウクライナ東部の一部を「占領」するとともにクリミア半島をロシアに併合した。この時、オバマは比較的穏やかな対応を取ったが、それは大きな過ちだったとバイデンは言ったのだ。 「おかげでこんなことになってしまった。われわれの大失敗だ」とバイデンは述べたという。「バラクはプーチン(のやること)をまともに取り合おうとしなかった。プーチンにそのまま続けていいと許可を出してしまったんだ。で、私がそのいまいましい許可を取り消そうとしているわけだ!」、「オバマ」がこんな失敗をしたとは初めて知った。 尻拭いさせられる「バイデン」には同情したくなる。 「ウッドワードは、9月にロシアで開催されたある経済会議でのこんなプーチンの言葉を取り上げている。「トランプ氏は、ウクライナ危機を含むあらゆる火急の問題を数日で解決すると述べている。喜ばしい話だと言うほかない」 ちなみに、トランプが大統領選に出馬するよりもっと前、彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていたことについては、本書以外でも調査や報道が何度もされている」、 「数日で解決する」、とは「ウクライナ」に和平を飲ませるという意味だろうか。「彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていた」、「トランプ」系企業が「ロシア」への「依存の度を深めていた」というのは、事実であれば、飛んでもないことだ。私的な利益のために、「ウクライナ」支援という米国の国益を犠牲にすることになる。米国の法律に違反する可能性はないのだろうか。