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外国人労働者問題(その21)(外国人労働者に選んでもらわないと立ち行かないのに ますます日本が「選ばれない国」に…優柔不断でピンボケの政策判断しかできない岸田政権の「大罪」、日本を去って行く「外国人看護師」のもったいなさ 深刻な人手不足も、受け入れ制度が対応せず) [社会]
外国人労働者問題については、昨年7月21日に取上げた。今日は、(その21)(外国人労働者に選んでもらわないと立ち行かないのに ますます日本が「選ばれない国」に…優柔不断でピンボケの政策判断しかできない岸田政権の「大罪」、日本を去って行く「外国人看護師」のもったいなさ 深刻な人手不足も、受け入れ制度が対応せず)である。
先ずは、昨年11月28日付け現代ビジネスが掲載した経済ジャーナリストの町田 徹氏による「外国人労働者に選んでもらわないと立ち行かないのに、ますます日本が「選ばれない国」に…優柔不断でピンボケの政策判断しかできない岸田政権の「大罪」を取上げよう。
https://gendai.media/articles/-/119885
・『「現代の奴隷制度」との酷評もあった「外国人技能実習制度」などの見直しを検討してきた政府の有識者会議は先週金曜日(11月24日)、この制度を廃止して、新制度「育成就労制度」の創設を求める報告書を取りまとめた。 だが、目玉と言えるのは、最大の焦点だった別の職場への「転籍」の制限期間を現行の「3年」から「1年」に短縮することを原則として打ち出したことぐらいだ。その目玉でさえ、実際には、「経過措置」を設けて、当分の間は1年を超える制限を容認するよう求めるなど、尻抜けの提言にとどまった。 周知の通り、もはや、日本は、賃金水準の低さが響いて、外国人労働者から「選ばれない国」になっている。報告の内容は、経過措置を設けることによって、その日本国内でも賃金の低さや過酷な労働条件が仇となって人材の確保が困難になっている非効率企業の経営を支援する枠組みの存続を訴えていることに他ならない。 これでは、外国人労働者の賃金上昇をテコにして、日本人労働者の賃金を押し上げる効果や、生産性の向上を促す効果、そして国全体の成長を押し上げる効果も期待できないだろう。 優柔不断でピンボケの政策判断しかできない岸田政権らしい、落第点の外国人労働者の受入制度の改革に終始したと言わざるを得ない。 今回の提言をまとめた有識者会議は、「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」が2022年11月に設置を決めたものだ。政府は、今回の提言をもとに、来年(2024年)1月召集の通常国会に関連法案の提出を目指すとしている。 こうした見直しの根底には、現行の「外国人技能実習制度」に設けられている転職制限が「現代の奴隷制度」と酷評されるなど、内外から職業選択の自由を制限することへの批判が強まっていた問題が存在したことと無関係ではない。 加えて、政府に、今なお日本が圧倒的な経済大国という驕りが横たわっていた問題も見逃せない。「外国人技能実習制度」の目的を、「人材育成による国際貢献」と位置付けていた点が、そうした誤認と驕りの象徴になっていた。 半面、政府部内にも、以前から、国際的な労働市場の実情と日本の問題を適格に把握していた部署もある。例えば、経済産業省が2022年4月にまとめた「未来人材ビジョン」は、「日本は、高度外国人から選ばれない国になっている」との問題意識を明確にしたうえで、「外国人から『選ばれる国』になる意味でも、社会システム全体の見直しが迫られている」と正鵠を射た提言を出していた』、「政府に、今なお日本が圧倒的な経済大国という驕りが横たわっていた問題も見逃せない。「外国人技能実習制度」の目的を、「人材育成による国際貢献」と位置付けていた点が、そうした誤認と驕りの象徴になっていた。 半面、政府部内にも、以前から、国際的な労働市場の実情と日本の問題を適格に把握していた部署もある。例えば、経済産業省が2022年4月にまとめた「未来人材ビジョン」は、「日本は、高度外国人から選ばれない国になっている」との問題意識を明確にしたうえで、「外国人から『選ばれる国』になる意味でも、社会システム全体の見直しが迫られている」と正鵠を射た提言を出していた」、そn通りだ。
・『韓国にも水をあけられる 日本の問題の根底にあるのは、日本の賃金水準が決して高いとは言えないことである。経済協力開発機構(OECD)が集計した2021年の各国の平均賃金という統計を見ても、日本は4万1509ドルと、先進37カ国の中で25位という低位に甘んじている。この水準は先進37カ国の平均値(5万3416ドル)を下回っているばかりか、お隣の韓国(19位、4万8922ドル)にも水をあけられている。 発表当時、大きく報じられたことを記憶している人も多いと思うが、前述の「未来人材ビジョン」は、「日本は、課長・部長への昇進が遅い」うえ、「日本企業の部長の年収は、(シンガポールや米国だけでなく)タイよりも低い」といったショッキングな事実も指摘していた。 実際のところ、日本では、「働き手の中心」と考えられる15~64歳の生産年齢人口の減少が続いており、2050年には5540万人と現状より2割以上も減る見通しだ。日本人の婚姻件数や出産数の回復が見込めない中で、経済の立て直しを目指すとすれば、労働生産性の向上だけでは策として不十分で、併せて、積極的な外国人労働者の受け入れ策の構築も急務となっている。 この点に関連しては、厚生労働省が11月24日に公表した人口動態統計の速報値(外国人らを含む)で、今年1~9月の出生数(生まれた赤ちゃんの数)が前年同期比5・0%減の56万9656人にとどまっており、このままのペースだと年間の出生数が70万人台半ばに落ち込み、8年連続で過去最少を更新する可能性が高まっている問題も存在する。出生数低下の背景には婚姻数の減少もあり、立て直しが相当困難だ。そうした事情から、外国人労働者への期待が高まっている。 こうした観点から見れば、今回の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告書には、食い足りない部分が目立つ。 第一は、避けて通れない問題なのに、端から無視した問題の存在があげられる。今回の報告書で「現行制度と同様、新たな制度及び特定技能制度においては認めないものとする」とされた、家族の帯同は、その代表的なポイントだろう。 家族の帯同に対する消極的な対応は、安倍元政権以来、外国人労働者の受け入れ問題が議論の俎上に上がるたびに、継続してきた問題だ。 今なお、この消極的な対応をする裏には、自民党支持層に移民への根強い反発があることへの配慮があるとみられている。とはいえ、諸外国では「外国人労働者の受け入れ」と「移民の受け入れ」は同義の問題だ。このまま無理な使い分けを続けているようでは、外国人労働者から「日本が選ばれる国」になることは覚束ない』、「家族の帯同は、その代表的なポイントだろう。 家族の帯同に対する消極的な対応は、安倍元政権以来、外国人労働者の受け入れ問題が議論の俎上に上がるたびに、継続してきた問題だ。 今なお、この消極的な対応をする裏には、自民党支持層に移民への根強い反発があることへの配慮があるとみられている』、その通りだ。
・『不可思議なこと 第二に改革したふりをしつつも、実態として現状を維持しようという部分もある。新しい制度の名称を「育成就労制度」とし、目的を「人材育成及び人材確保」とすることは一見したところ見直しだ。が、実際は「単純労働者は受け入れない」という表向きの公約に対する抜け道を引き続き維持しようという目論見がミヱミエになっている。 報告書が廃止を打ち出した技能実習制度の下では、6月末時点で35万8千人が就労している。が、目的に記されてきた、学んだ技能を帰国後活かして貰う「国際貢献」はほぼイル―ジョンだった。このため、目的から「国際貢献」という言葉を消し去るというのは理解できる。 とはいえ、目的をなぜ、ストレートに「人材確保」としないのか。不可思議だ。というのは、来日する多くの外国人の目的は「出稼ぎ」であり、雇用する日本の事業者の目的は「人材(労働力)の確保」なのだから、改めるのならば「就労機会の提供と人材確保」が実態に即しているはずである。 あえて「人材育成」を掲げるのは、「育成中だから」という理由で、「自由な転職を認めない」という本音が透けている。 加えて、事実上の人材ビジネスを営む監理団体の既得権を擁護し、存続を容易にする狙いもあるのだろう。 とはいえ、国内事情を優先した姑息な対応にしか映らない。なぜならば、短期的には、国際的な紛争や景気、外為市場の動向などに左右される面が大きいものの、中、長期的な国際労働市場の流動化が止まることは考えにくいからだ。結局のとこと、アジア諸国は経済成長を続けており、日本との国家間で、労働力の奪い合いがこれまでより激化することは避けられないとみるべきだろう。 「人材育成」に名を借りて、引き続き、転職の自由を制限するようなことを続けていけば、外国人労働者にとって、日本は益々「選ばれない国」になっていく。 今回の報告書で、国の制度改革がアテにならないことが明確になった以上、大切なのは個別企業の取り組みだ。それぞれが生産性を向上させつつ、並行して賃金水準を引き上げて「選ばれる企業・事業者」になる以外の生き残り策は考えにくい。 厳しいようだが、全体としての競争力向上や新陳対処の促進を考えれば、対応できない企業や事業者は市場から退出する以外の選択肢はないはずである』、「全体としての競争力向上や新陳対処の促進を考えれば、対応できない企業や事業者は市場から退出する以外の選択肢はないはずである」、その通りだ。
次に、11月30日付け東洋経済オンライン「日本を去って行く「外国人看護師」のもったいなさ 深刻な人手不足も、受け入れ制度が対応せず」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/718138
・『コロナ禍で人手不足があらわになったケア労働者。2040年には医療・介護の担い手は96万人不足すると推計される。外国人を看護師や介護職として受け入れる制度があるが、実情と制度にずれが生じている。 『週刊東洋経済』12月2日号の第1特集は「外国人材が来ない!」。経済大国日本には発展途上国の若い労働者がいくらでもやってくる――そんな時代は終わりつつある。 フィリピン人のAさんは2019年、5年間勤めた日本の病院を辞めて帰国した。「日々の仕事が忙しく、バーンアウトし(燃え尽き)てしまいました」と話す。 Aさんは、EPA(経済連携協定)に基づく外国人ケア労働者の受け入れ制度で来日した。2008年から始まったEPA制度は、インドネシア、フィリピン、ベトナムから看護師・介護福祉士の候補者が来日。候補者たちは施設で働きながら国家試験の合格を目指す。試験に合格すると就労ビザに変わり、定住や家族帯同も可能になる。 民間の人材紹介が介入する技能実習や特定技能といった在留資格に比べ、EPAは公的機関が一元的に受け入れ事務を担うため、候補者に仲介料や前借り金が一切かからないというメリットがある。 しかし近年、看護師候補者は受け入れ定員に及ばず、頭打ちになっている。 最長で4年という在留期間内で、病院で働きながら日本人と同じ条件の国家試験に合格することはハードルが高く、合格率は14%ほど(直近10年間の平均)だ。なぜEPA候補者は減り続け、国家試験の合格者も伸び悩んでいるのだろうか』、「近年、看護師候補者は受け入れ定員に及ばず、頭打ちになっている。 最長で4年という在留期間内で、病院で働きながら日本人と同じ条件の国家試験に合格することはハードルが高く、合格率は14%ほど・・・だ。なぜEPA候補者は減り続け、国家試験の合格者も伸び悩んでいるのだろうか』、「近年、看護師候補者は受け入れ定員に及ばず、頭打ちになっている。 最長で4年という在留期間内で、病院で働きながら日本人と同じ条件の国家試験に合格することはハードルが高く、合格率は14%ほど(直近10年間の平均)だ」、なるほど。
・『不十分な病院でのサポート EPAでの受け入れは経済連携の強化であり、目的は「労働力不足対策ではない」とされている。候補者を受け入れる施設には、資格取得のための支援が義務づけられている。だが、人手不足が深刻化する実際の現場では、十分な勉強時間が与えられていないケースがある。) 冒頭のAさんは2014年に来日し、関西地方の病院で働き始めた。試験対策としては、1日に1時間の勉強時間が与えられるだけだった。「合格者が多い病院では、半日は勉強の時間が取られていた」(Aさん)というように、施設間で支援体制にばらつきがある。 在留期間中に試験に合格できなかったAさんは、看護師よりも試験が易しい准看護師の資格を取得し、同じ病院で働き続けることになった。 EPAは在留期間内に合格できない場合は原則帰国することになっている。だが、准看護師の資格を取得して就労ビザに切り替えることで、さらに最長4年間雇い続けるという施設が現れた。病院からしても、せっかく育てた候補者を帰国させるのは惜しいのだ。 ところが、准看護師になれば日本人と同等の看護人材として雇用するため、病院側のサポート義務もなくなる。Aさんは残業時間が増え、試験勉強の時間がさらに取れなくなる。1年後、病院から引き留められながらも、帰国する道を選んだ。 こうしたことは珍しくない。 「日本人でも難しい医療専門用語を短期間で習得し、働きながら国家試験に合格するのはそうとう難しい。教材と自習時間を与えるだけの施設もあり、こうした独学に近い状態では合格率は低い」と、候補者の試験対策を支援する朝戸サルヴァドール千鶴さんは言う』、「「日本人でも難しい医療専門用語を短期間で習得し、働きながら国家試験に合格するのはそうとう難しい。教材と自習時間を与えるだけの施設もあり、こうした独学に近い状態では合格率は低い」、なるほど。
・『応募条件の緩和が必要 15年前の制度設計が実情にそぐわなくなっているとの指摘もある。EPAの候補者になるための応募条件としては、母国での専門教育や病院での就労経験など、日本人の受験資格では求められない要件までもが課せられている。 例えばフィリピンの場合、看護師候補者として来日するには、本国での看護師資格の取得が必要なうえ、さらに本国の病院でも3年間の就労経験が必要だ。 介護福祉士の候補者になるのも条件が高い。日本人が介護福祉士を受験するには学歴の要件がないが、外国人には本国での看護学校修了や大学の学位などが課せられている。) 過度な学歴や就労経験の要件が課せられたのは、当時「外国人の非熟練労働者の受け入れを認めない」という政府の方針があったからだ。ところがこの間、こうした政府の方針と労働者不足を埋めたい現場とのずれが、しだいにあらわになった。2019年に創設された特定技能は単純労働の業種にも広がっている。 しかし、EPAの要件は見直されないままだ。例えば、EPAの看護師候補者は国家試験の受験が4回までに制限されるなど、厳しい要件がいまだに緩和されていない。 外国人看護師問題に詳しい静岡県立大学国際関係学部の米野みちよ教授は、「コロナ禍を経て、アメリカをはじめ他国では急速に外国人ケア労働者の応募条件を緩めている。日本の応募条件や在留期間を実情に合わせて見直さなければ、他国に取られ、応募者自体がいなくなってしまう」と語る』、「アメリカをはじめ他国では急速に外国人ケア労働者の応募条件を緩めている。日本の応募条件や在留期間を実情に合わせて見直さなければ、他国に取られ、応募者自体がいなくなってしまう」、なるほど。
・『10年がかかりで試験に合格 国家試験に合格した外国人看護師は、医療現場で欠かせない存在になっている。 フィリピン人のBさんは、2011年にEPAの看護師候補者として来日。その後准看護師としても働くも、在留期間中に国家試験に合格できず、2018年にいったん帰国した。帰国後、前出のサルヴァドールさんに出会い、受験のサポートを受けながら試験勉強を続け、2021年についに試験に合格。来日から10年後のことだ。 帰国前に働いていた病院からも戻ってきてほしいと要望があったが、勤務体系が柔軟な有料老人ホームで看護師として働き始めた。Bさんは現在、夫と子どもを日本に招き寄せて家族で暮らしている。 「フィリピンの看護学校の同級生たちはアメリカで働きたいという人が多いけど、私は日本で働きたかった。日本人は優しいし、日本が大好きだったから」とBさんは笑顔で話す。 カナダやアメリカではケア労働者を好条件での受け入れる政策が進み、世界的な人材の奪い合いが加速している。Bさんのようにあきらめずに日本で看護師を目指す人もいるが、魅力的な受け入れ条件のある国に流れていく人もいるだろう。日本で育てた貴重な候補者たちの定着を図るためにも、制度を見直す時だ』、「カナダやアメリカではケア労働者を好条件での受け入れる政策が進み、世界的な人材の奪い合いが加速している。Bさんのようにあきらめずに日本で看護師を目指す人もいるが、魅力的な受け入れ条件のある国に流れていく人もいるだろう。日本で育てた貴重な候補者たちの定着を図るためにも、制度を見直す時だ」、その通りだ。
先ずは、昨年11月28日付け現代ビジネスが掲載した経済ジャーナリストの町田 徹氏による「外国人労働者に選んでもらわないと立ち行かないのに、ますます日本が「選ばれない国」に…優柔不断でピンボケの政策判断しかできない岸田政権の「大罪」を取上げよう。
https://gendai.media/articles/-/119885
・『「現代の奴隷制度」との酷評もあった「外国人技能実習制度」などの見直しを検討してきた政府の有識者会議は先週金曜日(11月24日)、この制度を廃止して、新制度「育成就労制度」の創設を求める報告書を取りまとめた。 だが、目玉と言えるのは、最大の焦点だった別の職場への「転籍」の制限期間を現行の「3年」から「1年」に短縮することを原則として打ち出したことぐらいだ。その目玉でさえ、実際には、「経過措置」を設けて、当分の間は1年を超える制限を容認するよう求めるなど、尻抜けの提言にとどまった。 周知の通り、もはや、日本は、賃金水準の低さが響いて、外国人労働者から「選ばれない国」になっている。報告の内容は、経過措置を設けることによって、その日本国内でも賃金の低さや過酷な労働条件が仇となって人材の確保が困難になっている非効率企業の経営を支援する枠組みの存続を訴えていることに他ならない。 これでは、外国人労働者の賃金上昇をテコにして、日本人労働者の賃金を押し上げる効果や、生産性の向上を促す効果、そして国全体の成長を押し上げる効果も期待できないだろう。 優柔不断でピンボケの政策判断しかできない岸田政権らしい、落第点の外国人労働者の受入制度の改革に終始したと言わざるを得ない。 今回の提言をまとめた有識者会議は、「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」が2022年11月に設置を決めたものだ。政府は、今回の提言をもとに、来年(2024年)1月召集の通常国会に関連法案の提出を目指すとしている。 こうした見直しの根底には、現行の「外国人技能実習制度」に設けられている転職制限が「現代の奴隷制度」と酷評されるなど、内外から職業選択の自由を制限することへの批判が強まっていた問題が存在したことと無関係ではない。 加えて、政府に、今なお日本が圧倒的な経済大国という驕りが横たわっていた問題も見逃せない。「外国人技能実習制度」の目的を、「人材育成による国際貢献」と位置付けていた点が、そうした誤認と驕りの象徴になっていた。 半面、政府部内にも、以前から、国際的な労働市場の実情と日本の問題を適格に把握していた部署もある。例えば、経済産業省が2022年4月にまとめた「未来人材ビジョン」は、「日本は、高度外国人から選ばれない国になっている」との問題意識を明確にしたうえで、「外国人から『選ばれる国』になる意味でも、社会システム全体の見直しが迫られている」と正鵠を射た提言を出していた』、「政府に、今なお日本が圧倒的な経済大国という驕りが横たわっていた問題も見逃せない。「外国人技能実習制度」の目的を、「人材育成による国際貢献」と位置付けていた点が、そうした誤認と驕りの象徴になっていた。 半面、政府部内にも、以前から、国際的な労働市場の実情と日本の問題を適格に把握していた部署もある。例えば、経済産業省が2022年4月にまとめた「未来人材ビジョン」は、「日本は、高度外国人から選ばれない国になっている」との問題意識を明確にしたうえで、「外国人から『選ばれる国』になる意味でも、社会システム全体の見直しが迫られている」と正鵠を射た提言を出していた」、そn通りだ。
・『韓国にも水をあけられる 日本の問題の根底にあるのは、日本の賃金水準が決して高いとは言えないことである。経済協力開発機構(OECD)が集計した2021年の各国の平均賃金という統計を見ても、日本は4万1509ドルと、先進37カ国の中で25位という低位に甘んじている。この水準は先進37カ国の平均値(5万3416ドル)を下回っているばかりか、お隣の韓国(19位、4万8922ドル)にも水をあけられている。 発表当時、大きく報じられたことを記憶している人も多いと思うが、前述の「未来人材ビジョン」は、「日本は、課長・部長への昇進が遅い」うえ、「日本企業の部長の年収は、(シンガポールや米国だけでなく)タイよりも低い」といったショッキングな事実も指摘していた。 実際のところ、日本では、「働き手の中心」と考えられる15~64歳の生産年齢人口の減少が続いており、2050年には5540万人と現状より2割以上も減る見通しだ。日本人の婚姻件数や出産数の回復が見込めない中で、経済の立て直しを目指すとすれば、労働生産性の向上だけでは策として不十分で、併せて、積極的な外国人労働者の受け入れ策の構築も急務となっている。 この点に関連しては、厚生労働省が11月24日に公表した人口動態統計の速報値(外国人らを含む)で、今年1~9月の出生数(生まれた赤ちゃんの数)が前年同期比5・0%減の56万9656人にとどまっており、このままのペースだと年間の出生数が70万人台半ばに落ち込み、8年連続で過去最少を更新する可能性が高まっている問題も存在する。出生数低下の背景には婚姻数の減少もあり、立て直しが相当困難だ。そうした事情から、外国人労働者への期待が高まっている。 こうした観点から見れば、今回の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告書には、食い足りない部分が目立つ。 第一は、避けて通れない問題なのに、端から無視した問題の存在があげられる。今回の報告書で「現行制度と同様、新たな制度及び特定技能制度においては認めないものとする」とされた、家族の帯同は、その代表的なポイントだろう。 家族の帯同に対する消極的な対応は、安倍元政権以来、外国人労働者の受け入れ問題が議論の俎上に上がるたびに、継続してきた問題だ。 今なお、この消極的な対応をする裏には、自民党支持層に移民への根強い反発があることへの配慮があるとみられている。とはいえ、諸外国では「外国人労働者の受け入れ」と「移民の受け入れ」は同義の問題だ。このまま無理な使い分けを続けているようでは、外国人労働者から「日本が選ばれる国」になることは覚束ない』、「家族の帯同は、その代表的なポイントだろう。 家族の帯同に対する消極的な対応は、安倍元政権以来、外国人労働者の受け入れ問題が議論の俎上に上がるたびに、継続してきた問題だ。 今なお、この消極的な対応をする裏には、自民党支持層に移民への根強い反発があることへの配慮があるとみられている』、その通りだ。
・『不可思議なこと 第二に改革したふりをしつつも、実態として現状を維持しようという部分もある。新しい制度の名称を「育成就労制度」とし、目的を「人材育成及び人材確保」とすることは一見したところ見直しだ。が、実際は「単純労働者は受け入れない」という表向きの公約に対する抜け道を引き続き維持しようという目論見がミヱミエになっている。 報告書が廃止を打ち出した技能実習制度の下では、6月末時点で35万8千人が就労している。が、目的に記されてきた、学んだ技能を帰国後活かして貰う「国際貢献」はほぼイル―ジョンだった。このため、目的から「国際貢献」という言葉を消し去るというのは理解できる。 とはいえ、目的をなぜ、ストレートに「人材確保」としないのか。不可思議だ。というのは、来日する多くの外国人の目的は「出稼ぎ」であり、雇用する日本の事業者の目的は「人材(労働力)の確保」なのだから、改めるのならば「就労機会の提供と人材確保」が実態に即しているはずである。 あえて「人材育成」を掲げるのは、「育成中だから」という理由で、「自由な転職を認めない」という本音が透けている。 加えて、事実上の人材ビジネスを営む監理団体の既得権を擁護し、存続を容易にする狙いもあるのだろう。 とはいえ、国内事情を優先した姑息な対応にしか映らない。なぜならば、短期的には、国際的な紛争や景気、外為市場の動向などに左右される面が大きいものの、中、長期的な国際労働市場の流動化が止まることは考えにくいからだ。結局のとこと、アジア諸国は経済成長を続けており、日本との国家間で、労働力の奪い合いがこれまでより激化することは避けられないとみるべきだろう。 「人材育成」に名を借りて、引き続き、転職の自由を制限するようなことを続けていけば、外国人労働者にとって、日本は益々「選ばれない国」になっていく。 今回の報告書で、国の制度改革がアテにならないことが明確になった以上、大切なのは個別企業の取り組みだ。それぞれが生産性を向上させつつ、並行して賃金水準を引き上げて「選ばれる企業・事業者」になる以外の生き残り策は考えにくい。 厳しいようだが、全体としての競争力向上や新陳対処の促進を考えれば、対応できない企業や事業者は市場から退出する以外の選択肢はないはずである』、「全体としての競争力向上や新陳対処の促進を考えれば、対応できない企業や事業者は市場から退出する以外の選択肢はないはずである」、その通りだ。
次に、11月30日付け東洋経済オンライン「日本を去って行く「外国人看護師」のもったいなさ 深刻な人手不足も、受け入れ制度が対応せず」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/718138
・『コロナ禍で人手不足があらわになったケア労働者。2040年には医療・介護の担い手は96万人不足すると推計される。外国人を看護師や介護職として受け入れる制度があるが、実情と制度にずれが生じている。 『週刊東洋経済』12月2日号の第1特集は「外国人材が来ない!」。経済大国日本には発展途上国の若い労働者がいくらでもやってくる――そんな時代は終わりつつある。 フィリピン人のAさんは2019年、5年間勤めた日本の病院を辞めて帰国した。「日々の仕事が忙しく、バーンアウトし(燃え尽き)てしまいました」と話す。 Aさんは、EPA(経済連携協定)に基づく外国人ケア労働者の受け入れ制度で来日した。2008年から始まったEPA制度は、インドネシア、フィリピン、ベトナムから看護師・介護福祉士の候補者が来日。候補者たちは施設で働きながら国家試験の合格を目指す。試験に合格すると就労ビザに変わり、定住や家族帯同も可能になる。 民間の人材紹介が介入する技能実習や特定技能といった在留資格に比べ、EPAは公的機関が一元的に受け入れ事務を担うため、候補者に仲介料や前借り金が一切かからないというメリットがある。 しかし近年、看護師候補者は受け入れ定員に及ばず、頭打ちになっている。 最長で4年という在留期間内で、病院で働きながら日本人と同じ条件の国家試験に合格することはハードルが高く、合格率は14%ほど(直近10年間の平均)だ。なぜEPA候補者は減り続け、国家試験の合格者も伸び悩んでいるのだろうか』、「近年、看護師候補者は受け入れ定員に及ばず、頭打ちになっている。 最長で4年という在留期間内で、病院で働きながら日本人と同じ条件の国家試験に合格することはハードルが高く、合格率は14%ほど・・・だ。なぜEPA候補者は減り続け、国家試験の合格者も伸び悩んでいるのだろうか』、「近年、看護師候補者は受け入れ定員に及ばず、頭打ちになっている。 最長で4年という在留期間内で、病院で働きながら日本人と同じ条件の国家試験に合格することはハードルが高く、合格率は14%ほど(直近10年間の平均)だ」、なるほど。
・『不十分な病院でのサポート EPAでの受け入れは経済連携の強化であり、目的は「労働力不足対策ではない」とされている。候補者を受け入れる施設には、資格取得のための支援が義務づけられている。だが、人手不足が深刻化する実際の現場では、十分な勉強時間が与えられていないケースがある。) 冒頭のAさんは2014年に来日し、関西地方の病院で働き始めた。試験対策としては、1日に1時間の勉強時間が与えられるだけだった。「合格者が多い病院では、半日は勉強の時間が取られていた」(Aさん)というように、施設間で支援体制にばらつきがある。 在留期間中に試験に合格できなかったAさんは、看護師よりも試験が易しい准看護師の資格を取得し、同じ病院で働き続けることになった。 EPAは在留期間内に合格できない場合は原則帰国することになっている。だが、准看護師の資格を取得して就労ビザに切り替えることで、さらに最長4年間雇い続けるという施設が現れた。病院からしても、せっかく育てた候補者を帰国させるのは惜しいのだ。 ところが、准看護師になれば日本人と同等の看護人材として雇用するため、病院側のサポート義務もなくなる。Aさんは残業時間が増え、試験勉強の時間がさらに取れなくなる。1年後、病院から引き留められながらも、帰国する道を選んだ。 こうしたことは珍しくない。 「日本人でも難しい医療専門用語を短期間で習得し、働きながら国家試験に合格するのはそうとう難しい。教材と自習時間を与えるだけの施設もあり、こうした独学に近い状態では合格率は低い」と、候補者の試験対策を支援する朝戸サルヴァドール千鶴さんは言う』、「「日本人でも難しい医療専門用語を短期間で習得し、働きながら国家試験に合格するのはそうとう難しい。教材と自習時間を与えるだけの施設もあり、こうした独学に近い状態では合格率は低い」、なるほど。
・『応募条件の緩和が必要 15年前の制度設計が実情にそぐわなくなっているとの指摘もある。EPAの候補者になるための応募条件としては、母国での専門教育や病院での就労経験など、日本人の受験資格では求められない要件までもが課せられている。 例えばフィリピンの場合、看護師候補者として来日するには、本国での看護師資格の取得が必要なうえ、さらに本国の病院でも3年間の就労経験が必要だ。 介護福祉士の候補者になるのも条件が高い。日本人が介護福祉士を受験するには学歴の要件がないが、外国人には本国での看護学校修了や大学の学位などが課せられている。) 過度な学歴や就労経験の要件が課せられたのは、当時「外国人の非熟練労働者の受け入れを認めない」という政府の方針があったからだ。ところがこの間、こうした政府の方針と労働者不足を埋めたい現場とのずれが、しだいにあらわになった。2019年に創設された特定技能は単純労働の業種にも広がっている。 しかし、EPAの要件は見直されないままだ。例えば、EPAの看護師候補者は国家試験の受験が4回までに制限されるなど、厳しい要件がいまだに緩和されていない。 外国人看護師問題に詳しい静岡県立大学国際関係学部の米野みちよ教授は、「コロナ禍を経て、アメリカをはじめ他国では急速に外国人ケア労働者の応募条件を緩めている。日本の応募条件や在留期間を実情に合わせて見直さなければ、他国に取られ、応募者自体がいなくなってしまう」と語る』、「アメリカをはじめ他国では急速に外国人ケア労働者の応募条件を緩めている。日本の応募条件や在留期間を実情に合わせて見直さなければ、他国に取られ、応募者自体がいなくなってしまう」、なるほど。
・『10年がかかりで試験に合格 国家試験に合格した外国人看護師は、医療現場で欠かせない存在になっている。 フィリピン人のBさんは、2011年にEPAの看護師候補者として来日。その後准看護師としても働くも、在留期間中に国家試験に合格できず、2018年にいったん帰国した。帰国後、前出のサルヴァドールさんに出会い、受験のサポートを受けながら試験勉強を続け、2021年についに試験に合格。来日から10年後のことだ。 帰国前に働いていた病院からも戻ってきてほしいと要望があったが、勤務体系が柔軟な有料老人ホームで看護師として働き始めた。Bさんは現在、夫と子どもを日本に招き寄せて家族で暮らしている。 「フィリピンの看護学校の同級生たちはアメリカで働きたいという人が多いけど、私は日本で働きたかった。日本人は優しいし、日本が大好きだったから」とBさんは笑顔で話す。 カナダやアメリカではケア労働者を好条件での受け入れる政策が進み、世界的な人材の奪い合いが加速している。Bさんのようにあきらめずに日本で看護師を目指す人もいるが、魅力的な受け入れ条件のある国に流れていく人もいるだろう。日本で育てた貴重な候補者たちの定着を図るためにも、制度を見直す時だ』、「カナダやアメリカではケア労働者を好条件での受け入れる政策が進み、世界的な人材の奪い合いが加速している。Bさんのようにあきらめずに日本で看護師を目指す人もいるが、魅力的な受け入れ条件のある国に流れていく人もいるだろう。日本で育てた貴重な候補者たちの定着を図るためにも、制度を見直す時だ」、その通りだ。
タグ:外国人労働者問題 (その21)(外国人労働者に選んでもらわないと立ち行かないのに ますます日本が「選ばれない国」に…優柔不断でピンボケの政策判断しかできない岸田政権の「大罪」、日本を去って行く「外国人看護師」のもったいなさ 深刻な人手不足も、受け入れ制度が対応せず) 現代ビジネス 町田 徹氏による「外国人労働者に選んでもらわないと立ち行かないのに、ますます日本が「選ばれない国」に…優柔不断でピンボケの政策判断しかできない岸田政権の「大罪」 「政府に、今なお日本が圧倒的な経済大国という驕りが横たわっていた問題も見逃せない。「外国人技能実習制度」の目的を、「人材育成による国際貢献」と位置付けていた点が、そうした誤認と驕りの象徴になっていた。 半面、政府部内にも、以前から、国際的な労働市場の実情と日本の問題を適格に把握していた部署もある。例えば、経済産業省が2022年4月にまとめた「未来人材ビジョン」は、 「日本は、高度外国人から選ばれない国になっている」との問題意識を明確にしたうえで、「外国人から『選ばれる国』になる意味でも、社会システム全体の見直しが迫られている」と正鵠を射た提言を出していた」、そn通りだ。 「家族の帯同は、その代表的なポイントだろう。 家族の帯同に対する消極的な対応は、安倍元政権以来、外国人労働者の受け入れ問題が議論の俎上に上がるたびに、継続してきた問題だ。 今なお、この消極的な対応をする裏には、自民党支持層に移民への根強い反発があることへの配慮があるとみられている』、その通りだ。 「全体としての競争力向上や新陳対処の促進を考えれば、対応できない企業や事業者は市場から退出する以外の選択肢はないはずである」、その通りだ。 東洋経済オンライン「日本を去って行く「外国人看護師」のもったいなさ 深刻な人手不足も、受け入れ制度が対応せず」 「近年、看護師候補者は受け入れ定員に及ばず、頭打ちになっている。 最長で4年という在留期間内で、病院で働きながら日本人と同じ条件の国家試験に合格することはハードルが高く、合格率は14%ほど・・・だ。なぜEPA候補者は減り続け、国家試験の合格者も伸び悩んでいるのだろうか』、「近年、看護師候補者は受け入れ定員に及ばず、頭打ちになっている。 最長で4年という在留期間内で、病院で働きながら日本人と同じ条件の国家試験に合格することはハードルが高く、合格率は14%ほど(直近10年間の平均)だ」、なるほど。 「「日本人でも難しい医療専門用語を短期間で習得し、働きながら国家試験に合格するのはそうとう難しい。教材と自習時間を与えるだけの施設もあり、こうした独学に近い状態では合格率は低い」、なるほど。 「アメリカをはじめ他国では急速に外国人ケア労働者の応募条件を緩めている。日本の応募条件や在留期間を実情に合わせて見直さなければ、他国に取られ、応募者自体がいなくなってしまう」、なるほど。 「カナダやアメリカではケア労働者を好条件での受け入れる政策が進み、世界的な人材の奪い合いが加速している。Bさんのようにあきらめずに日本で看護師を目指す人もいるが、魅力的な受け入れ条件のある国に流れていく人もいるだろう。日本で育てた貴重な候補者たちの定着を図るためにも、制度を見直す時だ」、その通りだ。
エネルギー(その14)(「洋上風力汚職」で風力発電協会の残念すぎる検証 検証委員の1人は「秋本議員に個人献金」の過去、市長には土建業者から「多額献金」が…!北海道釧路市「メガソーラー激増」の知られざる背景) [産業動向]
エネルギーについては、昨年12月21日に取上げた。今日は、(その14)(「洋上風力汚職」で風力発電協会の残念すぎる検証 検証委員の1人は「秋本議員に個人献金」の過去、市長には土建業者から「多額献金」が…!北海道釧路市「メガソーラー激増」の知られざる背景)である。
先ずは、8月30日付け東洋経済オンライン「「洋上風力汚職」で風力発電協会の残念すぎる検証 検証委員の1人は「秋本議員に個人献金」の過去」を紹介しよう。「最初から着地点が決まっていた。結論ありきの検証だ」。日本風力発電協会(JWPA)が7月22日に公表した「検証報告書」について、ある会員企業の社員は憤る。 JWPAは風力発電の業界団体で、約500社のメーカーや発電事業者などが加盟。近年は洋上風力に関する政策提言を積極的に行ってきたが、昨年10月に資源エネルギー庁から行政指導を受けた。「第三者の関与の下で協会の意思決定および活動のあり方等を検証するように」という内容だ。 指導のきっかけとなったのは、洋上風力を舞台とした秋本真利衆議院議員と日本風力開発・元社長の受託収賄事件だ。事件前の秋本議員は自民党に所属、再生可能エネルギー普及拡大議員連盟の事務局長を務め、風力発電の普及を推進してきた。 東京地検特捜部は、元社長が国会質問などを依頼し、秋本議員がその見返りに賄賂を受け取ったとして昨年9月に2人を起訴した。秋本議員は起訴内容を否認している』、「東京地検特捜部は、元社長が国会質問などを依頼し、秋本議員がその見返りに賄賂を受け取ったとして昨年9月に2人を起訴した。秋本議員は起訴内容を否認」、「秋本議員が受けた傷。
・『霞が関から「出禁扱い」に この汚職事件には、JWPAも一定の関与があったのではないかと取りざたされてきた。加藤仁代表理事は日本風力開発の副会長(いずれも当時)。ほかにも同社の関係者がJWPAの要職に就いており、日本風力開発の強い影響下にあったからだ。 秋本議員らが起訴された日、JWPAはHP上で贈収賄疑惑への関与を否定するとともに「協会活動が特定の役職員や法人の意向に左右されることはない」と意見表明した。 しかし翌月にエネ庁から指導を受ける。JWPAは、「エネ庁はおろか、環境省など霞が関全体で出禁の扱い」(業界関係者)となった。 このようなことを背景にJWPAは、東京大学先端科学技術研究センターの飯田誠・特任准教授を座長とする検証委員会を立ち上げた。飯田氏は洋上風力に関する国の審議会で委員を務めている。) 同委員会は、JWPAの意思決定および活動のあり方について問題点を検証することを目的に掲げ、「贈収賄事件は検討事項ではない」(JWPA広報)とした。ただ報告書では秋本議員との関わりについても紙幅を割いている。 そこでの結論は「違法性はない」。秋本議員とは交友関係を築いてきたが、JWPAから国会で質問をしてくれるように働きかけた事実は確認されなかったとする。秋本議員のほうから、風力関係の質問をするので質問事項を提出してほしいと要請を受けて対応したときも、なんらかの利益を供与した事実は確認されなかったという。 そのうえで贈収賄事件については、検察の起訴によって協会が潔白だということは明白になったと主張。「特定の会員企業に経済的・人的に依存していたことが特定企業の発言力の大きさにつながった可能性がある」と指摘している。 秋本議員とJWPAとの関係に不適切なものはなかったというわけだが、検証委員会による検証範囲はきわめて狭い』、「秋本議員とJWPAとの関係に不適切なものはなかったというわけだが、検証委員会による検証範囲はきわめて狭い」、なるほど。
・洋上風力汚職の構図 どのような過程で日本風力開発が影響力を強めていったのか。日本風力開発の元社長が自らの思惑を通すためにJWPAに働きかけることはなかったのか等については触れられていない。一部幹部の“暴走”についてもなぜチェック機能が働かなかったのかという視点が弱い内容になっている』、「どのような過程で日本風力開発が影響力を強めていったのか。日本風力開発の元社長が自らの思惑を通すためにJWPAに働きかけることはなかったのか等については触れられていない。一部幹部の“暴走”についてもなぜチェック機能が働かなかったのかという視点が弱い内容になっている」、なるほど。
・『2020年の昼食会での「秋本発言」(2021年12月末、大型洋上風力の事業者公募において、三菱商事などの企業連合が3海域のプロジェクトを独占し「総取り」した。それ以前の動きも検証の対象になっていない。 事業者公募の結果が出た後、JWPAは直ちに入札ルールを変更すべきだと提言。呼応するかのように秋本議員は翌年2月の国会で、事業者公募の際の評価基準の見直しを訴えた。三菱商事陣営の総取りで洋上風力への事業参入の目論見が崩れた企業の1つが日本風力開発だった。 報告書は総取りを受けたJWPAの提言について、「きわめて閉鎖的に取りまとめが行われ、不適切だった」とし、「執行部の自負や思い込みが強すぎたものと考えられる」と総括している。 この公募の結果が出る約1年前の2020年9月。JWPA会員企業と秋本議員の間で昼食会が開かれた。官房長官だった菅義偉氏が出席する予定だったが、首相に就任したため欠席。菅氏の名代として出席したのが秋本議員だった。 その席で秋本議員は、洋上風力の公募入札ルールについて「具体的な“味付け”をエネ庁に指示している」と強調。入札ではベスタス社(デンマーク)製の風車を採用するよう昼食会に出席した企業に繰り返し求めていた。 国内産業への経済波及効果という点では、三菱重工が出資しているベスタスが有望だ。ほかの欧米メーカー製では経済波及効果を得られないと秋本議員は考えていたようだ。 MHIベスタスジャパンの社長は、現在JWPAで副代表理事を務める山田正人氏だ。2020年の昼食会のやり取りについて確認すると、「確かにそうしたやり取りがあった」と認めた一方で、「何の前触れもなくそういう話が出たので他事業者も聞き流した」と述べた。 だが山田氏は、報告書のメディア向け説明会の場で矛盾した発言をしている。秋本議員との間において、入札の方向性や個社の戦略に関わるやり取りは「把握している限りなかった」と言明しているのだ。 昼食会の出席者リストには、山田氏、コスモエネルギーホールディングス(HD)の子会社コスモエコパワーの眞鍋修一氏(JWPA元理事)、中村成人JWPA専務理事の名があった。この3人は今回、検証委員会の委員を務めている。現在の代表理事である秋吉優氏(ユーラスエナジーHD副社長)の名もリストにある。 秋本議員とJWPAの距離が接近する契機になったとみられるのが、2020年に開催された「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」だ。この官民協議会で、アジアでも有数の洋上風力の導入目標を初めて策定した。 秋本議員は官民協議会の発案者を自負し、関係企業に自身への支援を強く求めていた。こうした秋本議員の振る舞いは、検証委員会の検証対象からすっぽりと抜け落ちている。 「(エネ庁からは)官民協議会にさかのぼって秋本先生とどういう付き合いをしてきたかは問題視されていない。さかのぼって議論する必要はないということでこの報告書はまとまっている」(山田氏)』、「こうした秋本議員の振る舞いは、検証委員会の検証対象からすっぽりと抜け落ちている」、なるほど。
・『検証委員会の人選に疑問あり 冒頭に記した会員企業の社員のように最初から検証には期待していなかったという声は少なくない。そもそも検証委員会の人選に問題があるからだという。 問題を起こした当事者やその当事者に近しい人物を排して検証委員会を設置するのがセオリーだが、JWPAは定石に反して委員を選任した。検証対象となるのはJWPAの旧体制における意思決定と活動のあり方だ。ところが3人いる協会側委員のうち、山田氏と中村氏の2人は旧体制の幹部だ。 それだけではない。元代表理事の加藤氏は、山田氏にとって三菱重工時代の上司。同じく旧体制で副代表理事だった祓川清氏(当時は日本風力開発グループ企業の最高顧問)は、中村氏のユーラスエナジーホールディングス時代の部下だ。) 疑問はまだある。検証委員会で「第三者」と位置づけられた委員だ。 6人いる第三者委員の一人が、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業の平尾覚弁護士だ。JWPAは秋本議員の贈収賄事件への対応をめぐり、同弁護士に相談をしていた。 メディア向け説明会で検証委員会座長の飯田氏は、「弁護士の仕事柄、(仕事ごとの)線引きはしっかり引かれている」と強調。説明会から数日後、JWPAの広報担当者から届いたメールには、平尾弁護士との委任契約は委員会設立時には終了しており、「客観性と中立性は保たれている」と記されていた。 利害関係のない第三者だとするJWPAの説明に、納得できる人はどの程度いるのだろうか』、「利害関係のない第三者だとするJWPAの説明に、納得できる人はどの程度いるのだろうか」、なるほど。
・『第三者なのかあやふやな委員 前述した昼食会の出席リストに名があった眞鍋氏も第三者委員だ。ところが旧体制で理事を務めていただけでなく、秋本議員に5年間で60万円を個人献金していた。個人献金自体に法的な問題はないものの、秋本議員の支援者が第三者として委員に就いたことの適切性は問われてしかるべきだ』、「秋本議員の支援者が第三者として委員に就いたことの適切性は問われてしかるべきだ」、その通りだ。
・『日本風力発電協会の旧体制と検証委員会 山田氏は、眞鍋氏が個人献金していた事実は認識しているとし、「協会の過去の経緯や歴史を把握していることから選任したため、第三者としては認識していない」(山田氏)と釈明した。 JWPAからは8月29日時点で平尾氏や眞鍋氏を第三者とする報告書の内容を修正していない。これで報告書の信頼性を確保することができるだろうか。 運営体制改善の取り組みなどをまとめた完了報告書をエネ庁に提出したことをもって、JWPAの「霞が関への出禁」は解除された。JWPAは体制の改革などを進めているが、関係者の処分は行わない。「(運営ルールの不備など)協会自体の問題というのが結論」(秋吉代表理事)だからだ。 検証委員会を通じたJWPAの膿を出し切るチャンスは失われた。こうした対応を会員企業は許容するのか。社会の目は会員企業のガバナンス意識をも問うている』、「社会の目は会員企業のガバナンス意識をも問うている」、その通りだ。
次に、10月21日付け現代ビジネスが掲載した「市長には土建業者から「多額献金」が…!北海道釧路市「メガソーラー激増」の知られざる背景」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/139086?imp=0
・『釧路市内を車で走っていると、雄大な湿原のなかに、突如として太陽光パネルの海が現れる。なぜ、釧路なのか。なぜ、外資系業者の参入を止められないのか。住民、土建業者、市長、徹底取材した。 前編記事『市の職員は「把握しきれない数です」とポツリ…!止まらない「メガソーラー開発」、外資系企業が釧路に群がる「裏事情」』より続く。
・『言い出したのは小泉進次郎 開発によって災害リスクも高まるとして、今年5月には地元住民が2万人の署名と計画中止を求める要望書を市長に提出した。音別町で歯科医院を経営する村上有二氏は、こう怒りを露にする。 「日本海溝・千島海溝沿い地震の想定津波高は20mを超えますが、メガソーラーの計画場所は津波災害警戒区域なのです。もし津波が起きてパネルが湿原に散乱すれば回収はほぼ不可能だし、パネルから火災が起きた場合には消防のアクセス道路がありません。大雨時の増水で湿原の中を走るJR根室線が脱線する危険性もあります。 しかし、開発を進める外資系企業はメガソーラーを投機対象としか考えておらず、さまざまなリスクを考慮していない。しかも、そうして発電された電気を使うのは、都市部の人たちなのです』、「「日本海溝・千島海溝沿い地震の想定津波高は20mを超えますが、メガソーラーの計画場所は津波災害警戒区域なのです。もし津波が起きてパネルが湿原に散乱すれば回収はほぼ不可能だし、パネルから火災が起きた場合には消防のアクセス道路がありません。大雨時の増水で湿原の中を走るJR根室線が脱線する危険性もあります」、なるほど。
・『湿原に30万枚のパネルを敷き詰めた「すずらん釧路町太陽光発電所」 村上氏ら住民たちは、「そもそも国立公園内にメガソーラーを作ると言い出したのは小泉進次郎です」と憤る。進次郎氏が環境大臣だった'20年に、国立公園内で再生可能エネルギー発電所の設置を進める規制緩和を打ち出したことが、開発を加速させたというのだ。 太陽光発電の強引な工事はほかの場所でも起きている。市街地から30kmほど北西にある阿寒町に今年8月に完成したスペイン系事業者のメガソーラーは、事前の住民説明会もないまま民家の近くに建てられてしまい、住民が健康被害を受けた。 現地を訪れると、民家の真後ろに5000枚を超えるパネルが建っていた。住民は憤懣やるかたない様子でこう語る』、「市街地から30kmほど北西にある阿寒町に今年8月に完成したスペイン系事業者のメガソーラーは、事前の住民説明会もないまま民家の近くに建てられてしまい、住民が健康被害を受けた。 現地を訪れると、民家の真後ろに5000枚を超えるパネルが建っていた。住民は憤懣やるかたない様子でこう語る」、「住民説明会」抜きに「メガソーラー」が建てられてしまいというのは酷い話だ。
・『市長と地元土建業者の「関係」 「工事の際に鉄骨を打ち込む音がキンキンとうるさくて右耳が難聴になりました。2階の西側の部屋がパネルからの照り返しで暑くなってしまい、1階の部屋でエアコンをつけて寝ている。文句を言ったら業者から恫喝され、排水路を私たちの家の水路に繋げようとするなどヒドイ嫌がらせを受けました。こんなことがあって良いのでしょうか」 こうした太陽光発電の負の側面を抑えるために釧路市では昨年、「釧路市自然と共生する太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」を作成し、さらに踏み込んだ規制を行うために条例化の作業も進めている。だが、今年9月に公表された条例案の骨子には、太陽光発電の抑制区域に肝心の「市街化調整区域」が含まれていないことがわかり、骨抜きの条例だと批判を浴びている。 背景には何があるのか。 4期目を務める釧路市の蝦名大也市長は、かねてから太陽光発電の規制に及び腰だと地元紙や環境保護関係者から批判されてきた。取材を進めると、市長と開発を進める地元土建業者の「癒着」を指摘する声も聞こえてくる。 「市長は太陽光に関わる地元土建業者のA社から多額の献金を受けていると言われている。そのため、強い姿勢で条例化に踏み切れないと囁かれているのです。こうした状況を地元紙は『支持基盤に配慮か』と報じ、市長が『太陽光を規制する条例を作るならA社の了承を得ないと』と言っているのを聞いた人もいます。 さらにA社と関係の深い市内の古参土地コンサルタント会社のB社が、外資を含めた多くの太陽光工事に絡んでいることも問題です。B社は土地取得に関する申請書類の偽造など、強引な行為を繰り返している」(道の行政関係者)』、「A社と関係の深い市内の古参土地コンサルタント会社のB社が、外資を含めた多くの太陽光工事に絡んでいることも問題です。B社は土地取得に関する申請書類の偽造など、強引な行為を繰り返している」、なるほど。
・『A社から市長への多額の献金 実際、政治資金収支報告書を見ると、'13年以降、A社とその社長から蝦名市長が責任者となっている政治団体などへわたったカネは約700万円。トータルではその数倍が献金されているとも言われている。 またB社の代表者についても、土地登記の際の委任状の名前を勝手に変更して'19年と'20年に法務大臣から戒告処分を受けただけではなく、市役所との協議記録を偽造したことが明らかになっている。 前述した音別町と阿寒町の工事にも2社が絡んでいて、被害を受けた阿寒町の住民を「恫喝」したのはB社の代表だったという。筆者は釧路市とこの住民が交わした記録文書も確認したが、そこには「『お宅の横を道路にしてもいいんだぞ』と(B社の代表から)恫喝された」との一文が残っていた。 市長との「癒着疑惑」についてA社に取材を申し込むと、同社の役員が対応した。 「(献金に関しては)蝦名市長のお父さんがウチの会社にいた縁で長年の付き合いがあります。そのため、蝦名氏が釧路市議会議員になった'93年当時から支援をしているのです。支援は釧路市の発展のためにしているので見返りを求めるものではないし、献金でウチの仕事が増えたということもありません」
・『「電気が必要ないの?」 B社の代表にも話を聞くと、「行政処分を受けた原因はほかの書類とつけ間違えただけ」と釈明したうえで、太陽光発電の現状を話しだした。 うちの会社で扱っている案件には外資も多い。実績があるからどんどん客が来る。とにかく太陽光に関係する仕事が忙しくて昨年は5日しか休めなかった。外資がどんどん入ってくるのは、彼らは太陽光ファンドを作り、売電収入による配当と利回りを見込んで投資家が集まっているから。今や外国企業にとってメガソーラーは完全に投機対象なんです」 そして、メガソーラーのリスクについて聞くと、こう声を荒らげた。 「災害なんてどこででも起きるもの!もし市街化調整区域で太陽光を作らせないと言うのなら国が土地を買い取るべきだ。太陽光に反対する人たちは電気が必要ないの? そんなに嫌なら家のブレーカーを落とせばいい!」 太陽光発電をめぐる様々な問題に、当の蝦名市長はどう答えるのか。質問書を送付すると、概ね次のように回答した』、。
・『市長は「現実的ではない」と語るが 「(太陽光条例で市街化調整区域を抑制区域に含めることに関しては)市街化調整区域内には約4万5000筆の土地があり、膨大な所有者数になる。同区域内に法的な規制を設けるためには地権者等との調整を図ることが必要なため現実的ではありません。 太陽光発電施設の設置については、各法律をはじめ、国で定めたルールがあるため、本市の豊かな自然や、希少な野生生物の保護を検討するには、太陽光発電施設の設置に係る条例の中では規制の限界があり、自然保護を目的とした新たな手法が必要と考えております。そのため、(自然環境を主語とした)新たな条例の制定を視野に環境省とも協議を開始したところです。 (地元土建業者との癒着に関しては)そのような事実は一切なく、市長選に向けた意図的な声や報道と疑わざるを得ません」 北海道教育大学釧路校教授で市の環境審議会の委員を務める伊原禎雄氏は、市長の姿勢にこう疑問を投げかける。 「市街化調整区域で建築物を建てることは法律で規制されていますが、太陽光パネルは非建築物の扱いのため条例で建設を規制できないというのが市の説明です。しかし、他の市町村では規制しているところもある。できるにも関わらず制定中の条例ではやらず、別の条例にわけることは理解できません。そもそもキタサンショウウオを市の文化財として保護する一方、取り締まる法律がないから生息域に太陽光パネルを置いても構わないというのでは矛盾しています。市長には責任を持って欲しい」 さらに、釧路市環境審議会会長の神田房行氏(元北海道教育大学教授)もこう指摘する。 「市が次に進めると言う『自然環境を主語にした条例』は、骨抜きの太陽光条例を批判された市長が市街化調整区域を規制しないかわりに代案として言い出したものです。一見、良い取り組みに聞こえますが、自然環境や希少種の保護条例で土地を保護区に指定するには地権者と契約を締結する必要があって相当ハードルが高く、すでに保護されている公有地や保護団体の保護地くらいしか保護区指定できません。一方、現在制定中の太陽光条例では地権者の同意がなくても、広域で太陽光の規制ができるため、釧路に殺到している外資ソーラーなどから守るには太陽光条例で厳しい規制をかけるのがすぐに取り組めて有効なのです」 市街化調整区域などへの太陽光発電を規制する条例を6年前に設けた大阪府箕面市を取材したところ、地権者からの同意は得ていないと言う。つまり、神田氏が指摘するよう、太陽光条例であれば地権者の同意不要で市街化調整区域への設置規制ができるのだ。 釧路市長選は10月27日に行われ、5期目を目指す蝦名氏と太陽光規制に柔軟な姿勢を見せる他候補との対決が注目される。15万人の市民が行く末を見守っている』、「太陽光条例であれば地権者の同意不要で市街化調整区域への設置規制ができるのだ。 釧路市長選は10月27日に行われ、5期目を目指す蝦名氏と太陽光規制に柔軟な姿勢を見せる他候補との対決が注目される。15万人の市民が行く末を見守っている」、「NHKスペシャルで袴田事件を取り扱った「雪冤の歳月」を観終わったが、真実を追求する難しさを改めて痛感させられた。
タグ:エネルギー (その14)(「洋上風力汚職」で風力発電協会の残念すぎる検証 検証委員の1人は「秋本議員に個人献金」の過去、市長には土建業者から「多額献金」が…!北海道釧路市「メガソーラー激増」の知られざる背景) 「東京地検特捜部は、元社長が国会質問などを依頼し、秋本議員がその見返りに賄賂を受け取ったとして昨年9月に2人を起訴した。秋本議員は起訴内容を否認」、「秋本議員が受けた傷。 「秋本議員とJWPAとの関係に不適切なものはなかったというわけだが、検証委員会による検証範囲はきわめて狭い」、なるほど。 「どのような過程で日本風力開発が影響力を強めていったのか。日本風力開発の元社長が自らの思惑を通すためにJWPAに働きかけることはなかったのか等については触れられていない。一部幹部の“暴走”についてもなぜチェック機能が働かなかったのかという視点が弱い内容になっている」、なるほど。 「(エネ庁からは)官民協議会にさかのぼって秋本先生とどういう付き合いをしてきたかは問題視されていない。さかのぼって議論する必要はないということでこの報告書はまとまっている」(山田氏)』、「こうした秋本議員の振る舞いは、検証委員会の検証対象からすっぽりと抜け落ちている」、なるほど。 「利害関係のない第三者だとするJWPAの説明に、納得できる人はどの程度いるのだろうか」、なるほど。 「秋本議員の支援者が第三者として委員に就いたことの適切性は問われてしかるべきだ」、その通りだ。 「社会の目は会員企業のガバナンス意識をも問うている」、その通りだ。 現代ビジネス 「市長には土建業者から「多額献金」が…!北海道釧路市「メガソーラー激増」の知られざる背景」 「「日本海溝・千島海溝沿い地震の想定津波高は20mを超えますが、メガソーラーの計画場所は津波災害警戒区域なのです。もし津波が起きてパネルが湿原に散乱すれば回収はほぼ不可能だし、パネルから火災が起きた場合には消防のアクセス道路がありません。大雨時の増水で湿原の中を走るJR根室線が脱線する危険性もあります」、なるほど。 「市街地から30kmほど北西にある阿寒町に今年8月に完成したスペイン系事業者のメガソーラーは、事前の住民説明会もないまま民家の近くに建てられてしまい、住民が健康被害を受けた。 現地を訪れると、民家の真後ろに5000枚を超えるパネルが建っていた。住民は憤懣やるかたない様子でこう語る」、「住民説明会」抜きに「メガソーラー」が建てられてしまいというのは酷い話だ。 「A社と関係の深い市内の古参土地コンサルタント会社のB社が、外資を含めた多くの太陽光工事に絡んでいることも問題です。B社は土地取得に関する申請書類の偽造など、強引な行為を繰り返している」、なるほど。 「太陽光条例であれば地権者の同意不要で市街化調整区域への設置規制ができるのだ。 釧路市長選は10月27日に行われ、5期目を目指す蝦名氏と太陽光規制に柔軟な姿勢を見せる他候補との対決が注目される。15万人の市民が行く末を見守っている」、「NHKスペシャルで袴田事件を取り扱った「雪冤の歳月」を観終わったが、真実を追求する難しさを改めて痛感させられた。
防衛問題(その24)(衝撃波で四肢切断 体表面が発火…日本人が知らない「ミサイル爆撃」の恐怖 避難対策は急務だ、【国防崩壊】たった1台の中国スパイドローンが丸裸にした“自衛隊の致命的弱点”、横須賀の護衛艦「いずも」に正体不明のドローンが接近…!自衛隊がそんな事態を防げない「驚きの理由」、ドローンの侵入でニッポンの空が機能不全になる…!脆弱すぎるこの国の「ヤバすぎる現実」、中国が「100機の水中自爆用ドローンを製造」…たった6本の海底ケーブル切断で「沖縄が完全に孤立化」中国軍のヤバすぎる封鎖計画、なぜこれほ
防衛問題については、本年3月27日に取上げた。今日は、(その24)(衝撃波で四肢切断 体表面が発火…日本人が知らない「ミサイル爆撃」の恐怖 避難対策は急務だ、【国防崩壊】たった1台の中国スパイドローンが丸裸にした“自衛隊の致命的弱点”、横須賀の護衛艦「いずも」に正体不明のドローンが接近…!自衛隊がそんな事態を防げない「驚きの理由」、ドローンの侵入でニッポンの空が機能不全になる…!脆弱すぎるこの国の「ヤバすぎる現実」、中国が「100機の水中自爆用ドローンを製造」…たった6本の海底ケーブル切断で「沖縄が完全に孤立化」中国軍のヤバすぎる封鎖計画、なぜこれほどまでの失態が…防衛省の前代未聞「200人大量処分」で明らかになった「組織的犯罪」の根本原因、「ハッキリ言って異常事態」海自掃海艇でまた火災 沈没事故が「起こるべくして起きた」ワケ)である。
先ずは、3月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した国防ジャーナリストで自衛官守る会代表の小笠原理恵氏による「衝撃波で四肢切断、体表面が発火…日本人が知らない「ミサイル爆撃」の恐怖、避難対策は急務だ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339864
・『都営地下鉄・麻布十番駅構内に攻撃に備えた「シェルター」を整備 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻、2023年10月に勃発したイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突。武力行使が行われている現場では病院や学校、教会などが攻撃を受け、女性や子供が犠牲になる事例も起きている。 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、ロシアによる軍事侵攻の開始から2024年1月末までに、ウクライナでは少なくとも市民1万378人が死亡。そのうち579人は18歳未満の子供だという。ひとたび軍事侵攻が始まれば多数の一般市民が犠牲になる。 今年1月26日、東京都の小池百合子都知事が記者会見で、都営地下鉄・麻布十番駅構内に弾道ミサイルに備えた「シェルター」を整備する方針を表明した。この麻布十番駅構内には既に都の防災倉庫も併設されている。2024年の予算案に2億円を計上して今後の構想を詰めていく。会見では、ミサイル攻撃だけでなく、首都圏直下型地震などからも都民を守るための施設として検討する方向性が示された』、「ミサイル攻撃だけでなく、首都圏直下型地震などからも都民を守るための施設として検討する方向性」、望ましいことだ。
・『ミサイルの爆発による具体的な身体への影響とは 首都直下型地震の恐怖は一般に強く認識されている。しかし、弾道ミサイルが着弾した時に人体が受ける損傷(爆傷)について知る人は少ない。ドラマや映画で爆撃シーンを見たことはあっても、現実の爆撃を目の当たりにした人は、日本ではほとんどいない。 ミサイルの爆発による爆傷は、距離、環境、条件によってさまざまに変化する。しかし、爆心に近いほど致命傷になる可能性が高いことは間違いない。 また、弾道ミサイルで起こる爆発の影響は、想像をはるかに超える。反応速度が音速未満の「爆燃」ではなく、音速を超える「爆轟(ばくごう)」の衝撃波はすさまじい。「爆轟」は急激な燃焼速度で熱膨張し、その圧力は10気圧を超える。弾道ミサイルの攻撃はどれほど恐ろしいのか。 『「自衛隊医療」現場の真実』の著者であり、元自衛隊の衛生幹部であったジャーナリストの照井資規氏が作成した下図を見ていただきたい。 図_爆発物と各爆傷との関係 図にある通り、爆心地の直下から順に5段階に分け、身体への影響について説明する。 (1)Primary(一次的要因) 爆心地直下あたりでは、衝撃波・爆風圧が身体の組織(主に肺、耳、消化器官などの空洞となっている場所)に伝わる。食道や胃、腸、気道や肺などの空洞のある内臓と、筋肉などの空洞のない場所では振動数が違う。この振動数の差により組織が引きちぎられる。 (2)Secondary(二次的要因) 爆発時に発生する破片(砲弾の弾殻などの物体)は秒速約4キロメートル以上に到達することもある。これにより、穿通性損傷(外傷により穴が開く損傷)と鈍的損傷(皮膚を貫通しない打撲)の両方が発生する。防弾チョッキやヘルメットがなければ重篤な外傷となる。 (3)Tertiary(三次的要因) 衝撃波による四肢の切断が起きる。爆風によって身体が吹き飛ばされ、地面や壁面へ衝突する。その時の損傷は構造物や路面などによって異なる。例えるなら、交通事故時に車外へ投げ出されたり、高所から転落したりした時の損傷に近い。 (4)Quaternary(四次的要因) 衝撃波による空気圧縮で体表面が発火する。爆風時に発生する火球による熱傷も同時に起きる。一般的熱傷と爆傷燃焼の違いは下図の通りだ。 図_一般的熱傷とIVQuaternary四次的要因爆傷熱傷の違い (照井資規氏提供) 拡大画像表示 この熱傷は爆心地直下の(1)から(3)までの地点で同時に起きる。爆風に伴う熱は3000℃~7000℃となり、吸入により気道や呼吸器に重度の熱傷を負う。その周辺に存在する物が燃焼することで、有毒ガスや煙、粉じんによる空気汚染も同時に発生する。 (5)Quinary(五次的要因) 爆発によって飛散する化学剤、生物剤、放射性物質による汚染(dirty bomb) 弾道ミサイルの燃料にはジメチルヒドラジンという有害物質が含まれている。遠距離引火性があり、蒸気の吸入で灼熱(しゃくねつ)感、吐き気、呼吸困難、胃けいれん、嘔吐(おうと)、息切れ、心不全、呼吸不全、肝臓壊死、肺水腫などを起こす。意図的に核汚染物質が拡散させられる場合もある。また、自爆テロリストが保有するB型肝炎ウイルスが爆発と共に飛散した場合、感染によるパンデミックを引き起こす脅威がある。
・『シェルターが普及するイギリスとイスラエル 地下鉄構内にガスマスクを備える韓国 1月2日のNHK報道によれば、2023年に北朝鮮が発射した弾道ミサイルは18回25発。過去2番目に多い発射回数となった(最多は2022年で、発射は31回59発)。 これほど具体的な軍事行動が続いているにもかかわらず、日本人の危機感は薄い。日本では核シェルターどころか通常能力型の弾道ミサイル攻撃へのシェルター設置がやっと始まったばかりだ。それに対し、他国の状況はどうなっているのだろうか。 イギリスでは1948年当時の民間防衛法に基づき、シェルター建造が地方自治体に義務付けられていた。その後も民間緊急事態法に基づき、防空シェルターや地下鉄シェルターが新たに設置されている。 イスラエルでは1992年改正の市民防衛法に基づき、公共シェルターや個人住宅への退避施設が多数建造されている。公共スペースには多人数収容可能な大型シェルター、個人宅には家庭用セーフルームがある。常にハマスからの軍事攻撃にさらされてきたイスラエルはシェルター設置に余念がない。 韓国では2023年8月、6年ぶりとなる全国一斉の空襲避難訓練が行われた。ソウル中心部でも信号が赤く点滅して交通規制が行われ、緊急車両の経路確保訓練が行われた。6年前までは毎年「民防衛訓練」の日が決められ、空襲サイレンが鳴り、一斉に車が止まり、市民が地下鉄や建物内に移動する。 戦争という緊急事態に備えて、全省庁や自治体、軍、警察、企業、そして市民が、自らの安全のために何をするのかを点検する日である。このような軍事攻撃に対する大がかりな避難訓練は日本にはない。 韓国の地下鉄は緊急時に使用する避難施設として、いつ空襲が起きても、毒ガスが放出されても、心配がないようにガスマスクが駅構内に設置されている(下の写真)。 ソウル市内の地下鉄駅構内にはガスマスクと酸素ボンベなどが置かれている また、空襲で電気が遮断された場合を想定しての懐中電灯、水、鼻や口を覆うコットンタオル、そして酸素ボンベが置かれている(下の写真)。韓国では軍人が中心になって、真っ暗になった地下鉄構内で市民を安全な場所へ誘導する準備ができている。 ソウル市内にある非常用懐中電灯設置棚 このように、当たり前のようにシェルターがある国は少なくない。国によっては、韓国のように、空襲を想定した必要物品を地下鉄や人通りの多い建物内に設置している。救命処置のためにAEDを置くように、武力攻撃時に使う物品を手に取れる場所に常備しなければ国民の命は救えないのだ。
・『ウクライナにある地下鉄駅の深度は実に100メートル超(日本各地でも、東京都に続き、シェルターの設置や武力攻撃時の避難場所として地下鉄などを指定する動きが始まっている。斉藤哲夫国土交通大臣も2月8日、弾道ミサイル攻撃に備えた地下鉄駅シェルター化にむけて鉄道事業者に協力の呼びかけを積極的に行うと述べた。 地下鉄は大半の爆風や衝撃波から身を守れる頑強な構造物だ。専用の地下シェルターを持たない場合は、地下鉄や共同溝など、すでに地下に造られた構造物の中から、想定される危険に対して十分な強度がある場所を選定するしかない。 兵器の進化は著しいが、その進化は建造物を破壊する力の大きさを競う方向ではなくなっている。地下や強固な建造物の中に潜んでいる要人や軍人を効果的に殺害することで戦争を有利に進めることを考えるようになった。 地上にある建造物をどれだけ破壊しても、その国の意思決定をつかさどる人物や軍人が生きていれば、周辺諸国から戦車や航空機、銃弾等が提供される。戦おうとする人がいれば、モノを破壊したところでモノの代わりは手に入るからだ。 そこで考えられたのが中性子爆弾である。中性子爆弾の破壊力は大きくないが、地下深くにいる人間にまでその放射線が到達するため、殺傷能力は高い。地下100メートルに潜む人すら殺害することができる。 (図_日本とウクライナ、地下鉄の深さの比較はリンク先参照) 上図の通り、ウクライナの首都キーウにあるアルセナーリナ駅の深度は実に105.5メートル。日本では大江戸線の六本木駅や千代田線の国会議事堂前駅もかなり深いが、比較にならない。 日本はまだまだ本気度が足りない。やらなければならないことは山ほどある。核兵器に囲まれた日本はリスクが最も高い国の一つだ。爆撃の恐ろしさを知り、それから身を守るために何が必要か、何を準備しなければならないか。私たちは真剣にこの問題に取り組まないといけないところに来ている。 (国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表 小笠原理恵)』、「核兵器に囲まれた日本はリスクが最も高い国の一つだ。爆撃の恐ろしさを知り、それから身を守るために何が必要か、何を準備しなければならないか。私たちは真剣にこの問題に取り組まないといけないところに来ている・・・日本はまだまだ本気度が足りない。やらなければならないことは山ほどある」、時間的にゆとりがある今こそ済々とやるべきおとを整理して、取り組むべきだ。
次に、4月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「【国防崩壊】たった1台の中国スパイドローンが丸裸にした“自衛隊の致命的弱点”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/342295
・『戦争が始まれば、他国のドローン攻撃によって日本の自衛隊はたちどころに機能停止に追い込まれるかもしれないーー。海上自衛隊の護衛艦「いずも」を中国スパイドローンが模擬攻撃する動画が物議を醸した。この記事では、動画の真偽を検証するとともに、本件によって明らかとなった自衛隊の「組織的な欠陥」と「致命的な弱点」について分析した。 海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローン(無人機)で撮影したとされる動画が交流サイト(SNS)上で拡散されている。映像は当初中国の動画共有サービス『Bilibili』に「我开飞机降落日本航母(不是游戏!!!」(私は飛行機を操縦して、日本の空母に着艦した。ゲームにあらず!!!)というタイトルで掲載され、その後、日本に広まった。 動画は19秒ほどで、ドローンが護衛艦いずもを後部甲板から前部甲板へ飛行し、撮影をしている内容だ。 護衛艦「いずも」は、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦、いわゆる「ヘリ空母」と呼ばれているものだ。全長は248メートル、乗員は最大520名。海上自衛隊で1番大型の艦艇(軍艦)であることから、海上自衛隊にとって象徴的な存在になっている。現在、F-35B戦闘機が離着陸できるように改修を進めていて、2026年度中にも実体上は空母になるという。 そんな海上自衛隊のシンボルである「いずも」をドローンで撮影されたことは、中国でも大きな話題になり、日本では「フェイク動画」ではないのかなどと、真贋が取り沙汰されている。もし事実なら、日本の防衛力の実態が中国のスパイドローンによって簡単にいつでも丸裸にされ、攻撃されかねない事実を白日のもとに晒される事態だ。
安全保障アナリストで慶應義塾大学SFC研究所上席所員の部谷直亮(ひだに・なおあき)氏はこう警告する。) 「少量の爆薬でもイージス艦のSPYレーダーといった機能を停止させたり、パトリオットミサイルのレーダーシステムを損傷させることは可能だ。航空自衛隊や民間空港の滑走路にマキビシをバラまいて機能停止に追い込むことも可能だ」 動画が真実ならばその懸念が具体化したことになる。 こうした事態を受け、木原稔防衛相と海上自衛隊の酒井良海上幕僚長は、4月2日の記者会見で、「悪意をもって加工、捏造(ねつぞう)されたものである可能性を含め、現在分析中」(木原防衛大臣)、「不自然な点はあると思うが判断しかねる」(酒井海上幕僚長)と述べた。政府が先頭に立って、動画はフェイクだ、捏造だ、不自然だと印象操作しているわけで、実際、マスメディアの見出しは『護衛艦いずもドローン映像 「捏造の可能性」木原防衛相』というものとなった。だが本当にそうなのだろうか。「そうであってほしい」「そうでなくてはダメだ」などという願望が目を曇らせてはいないだろうか。 フェイク説を唱える有識者が、最大の根拠としているのは、動画に映し出された艦尾の艦番号である。 <軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「いずもの艦番号は183なんですが、船の甲板にはその下2桁の83が必ず記されている。(映像の船には)8はあるが、3は書かれていない」/問題の映像に映った、船の甲板に書かれた「8」という数字。/一方、本物の「いずも」の甲板には「83」と記されていた。/こうしたことから専門家は、AI(人工知能)で作られたものではないかと推測する。/軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「わたしはフェイク…まがいものの可能性が高いとみています」>(FNNプラインオンライン『【物議】海上自衛隊護衛艦「いずも」を“ドローン撮影”か 中国SNSに映像が投稿 映像には“違和感”…AIによるフェイク?』4月1日) その後も彼は艦番号に3がないことを強調し、これをフェイクの根拠としている(Twitter投稿)。 こうした見立てと違う立場をとるのが、先述の部谷氏の文春オンラインの論考での指摘だ。) 「2024年2~3月のいずもを撮影したとされるSNSに流布している画像を確認すると、83の文字は薄くなっているが、8の方が若干濃くなっている。マスメディアが空撮したものでは、管見の限りではもっとも最新となる昨年12月1日時点の朝日新聞社が撮影したいずもも8が若干濃くなっている。『3』の数字が書かれていないというが、これは第1次改装前のいずもであって、改装後に文字は薄れている。ドローンで撮影されたものは、最近の『いずも』の状態に一致している」 部谷氏は、さらに「この指摘は4月14日に一般公開された護衛艦いずもを撮影した一般人の数々の画像をみれば『8』だけが濃い」と指摘する。高橋氏の指摘こそが都合の良い写り方を切り抜いたフェイクだとよくわかるというのだ。X上には、部谷氏の指摘を裏付けるような画像が多い。 例えば、こちらのX上の投稿だ。 他にも、デイリー新潮『中国のスパイドローンが「護衛艦いずも」を撮影? SNSで拡散する動画に専門家は「飛行甲板に注目すべき」』(4月9日)では、ドローンの出す音について着目し、これがフェイクである根拠と指摘している。 <軍事ジャーナリストは「私も動画を見ましたが、フェイク動画の可能性が高いと思います」と言う。/「まず、報道に至るまでの経緯が重要でしょう。ドローンを操縦したことがある人ならご存じだと思いますが、飛行時は結構な音がします。あの動画が実際に撮影されたものなら、いずもの乗組員や基地の隊員は音などの異変に気づいたはずです。さらに航空法違反は明確ですし、海上自衛隊の護衛艦の上を飛んだという事実は看過できませんから、海自か神奈川県警がドローンの飛来を広報し、それを日本のメディアが報じたはずです」> <「私が注目したいのは飛行甲板です。実際の甲板は、もう少し汚れています。動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか。甲板に乗組員の姿が全く映っていないのも疑問です。もし本当にドローンが撮影したのであれば、少なくとも1人か2人の乗組員がドローンに気づく様子が納められたはずです」(同・軍事ジャーナリスト)> 新潮記事に登場する軍事ジャーナリストが誰なのかがわからないが、ドローンは結構な音がする?というのは、筆者は疑問を持つ。ウクライナ戦争において、ドローンがうるさく近づけば気づかれるような代物であったとすれば、あれほどの戦果をあげることなどできるのだろうか。ドローンとAIを活用した課題解決の実績もあり雑誌Wedgeなどにも寄稿しているハッカーの量産型カスタム氏にその点を尋ねた。 「例えば日本でも入手しやすいDJIなど市販ドローンは、ある程度の高度に達すると騒音の少ない山間部でも気が付かないくらい静かに飛行ができます。ましてや市街地に隣接する『いずも』付近は高速道路などがあるためさらに気が付きにくいはずです。ドローンを操縦したことがある人なら、わかるはずなんですが……。『動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか』という指摘も、市販のドローンの性能を理解した上で操縦や空撮の経験があれば、このような疑問は持たないはず」 として、量産型カスタム氏は、筆者に対してDIJドローンの最新機能が検証されたURL(『Vol.59 驚きの飛行性能&高画質!Mavic 3の映像を検証する・中編 [Reviews]』)を示した。そこには、静音性が向上していること、カメラの機能が高く、広角撮影が可能であること、さらに内蔵補正機能やDJIのアプリケーションによる画質や色の補正もできることが示されていた。他にも、 <飛ばしていて気づいたのですが、バッテリーがとにかくモチます!> <着陸がかなわない連続撮影(電車・バス等の撮影待機、30分以内の花火大会など)などで重宝しそうです> <色補正を加えることで通常撮影時よりも表現力の高い映像に仕上げることができます> これらファクトを総合して考えるにやはり動画のフェイク説は説得力に欠ける。 量産型カスタム氏が続ける。「もし生成AIによるフェイク動画と主張するのであれば同じような品質の動画を作り再現する必要があります。自らが再現できないものを出来ると言い張るのは、軍事ジャーナリストだろうと学者だろうと無責任で技術を論ずる資格すらなく信用してはいけません…まあ今回に限らずですけどね」 となれば、今回の問題の本質は何なのか。部谷氏に見解を聞いた。) 「防衛省自衛隊は、情報戦に自滅しています。映像公開から2週間以上が経過しているにもかかわらず、それに対する対応に失敗しています。まず初手で海幕長が4月2日に飛行甲板上に艦番号は必ず記載しているとしながら、翌日には不記載が標準としましたが、これは海幕長と海幕が所属艦艇の状態を把握できないまま、希望的観測で発言したことを示してしまった大失態でした。 しかも、海幕はこの件に関する世論を全くコントロールできていません。犯人を名乗る人物がXアカウントを開設し、次々と高画質の米空母やいずもの写真を公開して真実性を増す中、2週間以上が経過しても「分析中」を繰り返すだけの受け身です。たかが一動画に対してこのありさまでは、自衛隊の分析能力の低さ、そして、もはや一般的でもある生成AIを利用した動画生成への理解にすらないのかと国内外から疑いの目を向けられかねない状況です。 これは今回の動画が仮にフェイクであっても変わらない大きな失点です。戦略3文書では外国からの情報戦に対抗し、戦略的コミュニケーションで対抗すると強調していたのに、それがまったく実践できていないからです。昨年の銃乱射事件でも、能登半島地震でも自衛隊は組織的な不利な言説に対し、逆効果となる個別反論を繰り返すだけで、戦略的及び作戦的な情報戦を展開できていません。有事が近づけば、この手の動画が頻出することは間違いありませんが、その際もこのような対応を取るのでしょうか? そして警備上も大きな問題が示されたことはいうまでもありません。実は自衛隊施設へのドローンの侵入は日常茶飯事となっており、それに対し何ら有効な能力を発揮できていません。電波法によって貧弱な探知及び射程の短い妨害能力しかない対ドローン機材しか持たず、その配備も遅れており、法的権限も不足しています。 韓国は北朝鮮のドローン部隊のソウル侵入を契機に、全軍のドローンを一元指揮するドローン司令部を創設し、ドローン対処訓練を公開で行う等、巻き返しています。日本もこれを奇貨として韓国軍の取り組みに見習うべきです」 現状の日本では、ドローンによる攻撃を受けたとしても、防衛する手段は脆弱だ。このままでは自衛隊は開戦即崩壊という憂き目にあいかねないと危惧している。 今回の動画をすぐにフェイクだと決めつけたり、何も心配する必要がないと主張するのは避けるべきだ。むしろ、この動画を大切な警告として受け止め、自衛隊の警戒を強め、能力を向上させることで、しっかりと対応している姿を見せることが、抑止力を強化する方法である』、「現状の日本では、ドローンによる攻撃を受けたとしても、防衛する手段は脆弱だ。このままでは自衛隊は開戦即崩壊という憂き目にあいかねないと危惧している。 今回の動画をすぐにフェイクだと決めつけたり、何も心配する必要がないと主張するのは避けるべきだ。むしろ、この動画を大切な警告として受け止め、自衛隊の警戒を強め、能力を向上させることで、しっかりと対応している姿を見せることが、抑止力を強化する方法である」、その通りだ。
第三に、
先ずは、3月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した国防ジャーナリストで自衛官守る会代表の小笠原理恵氏による「衝撃波で四肢切断、体表面が発火…日本人が知らない「ミサイル爆撃」の恐怖、避難対策は急務だ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339864
・『都営地下鉄・麻布十番駅構内に攻撃に備えた「シェルター」を整備 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻、2023年10月に勃発したイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突。武力行使が行われている現場では病院や学校、教会などが攻撃を受け、女性や子供が犠牲になる事例も起きている。 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、ロシアによる軍事侵攻の開始から2024年1月末までに、ウクライナでは少なくとも市民1万378人が死亡。そのうち579人は18歳未満の子供だという。ひとたび軍事侵攻が始まれば多数の一般市民が犠牲になる。 今年1月26日、東京都の小池百合子都知事が記者会見で、都営地下鉄・麻布十番駅構内に弾道ミサイルに備えた「シェルター」を整備する方針を表明した。この麻布十番駅構内には既に都の防災倉庫も併設されている。2024年の予算案に2億円を計上して今後の構想を詰めていく。会見では、ミサイル攻撃だけでなく、首都圏直下型地震などからも都民を守るための施設として検討する方向性が示された』、「ミサイル攻撃だけでなく、首都圏直下型地震などからも都民を守るための施設として検討する方向性」、望ましいことだ。
・『ミサイルの爆発による具体的な身体への影響とは 首都直下型地震の恐怖は一般に強く認識されている。しかし、弾道ミサイルが着弾した時に人体が受ける損傷(爆傷)について知る人は少ない。ドラマや映画で爆撃シーンを見たことはあっても、現実の爆撃を目の当たりにした人は、日本ではほとんどいない。 ミサイルの爆発による爆傷は、距離、環境、条件によってさまざまに変化する。しかし、爆心に近いほど致命傷になる可能性が高いことは間違いない。 また、弾道ミサイルで起こる爆発の影響は、想像をはるかに超える。反応速度が音速未満の「爆燃」ではなく、音速を超える「爆轟(ばくごう)」の衝撃波はすさまじい。「爆轟」は急激な燃焼速度で熱膨張し、その圧力は10気圧を超える。弾道ミサイルの攻撃はどれほど恐ろしいのか。 『「自衛隊医療」現場の真実』の著者であり、元自衛隊の衛生幹部であったジャーナリストの照井資規氏が作成した下図を見ていただきたい。 図_爆発物と各爆傷との関係 図にある通り、爆心地の直下から順に5段階に分け、身体への影響について説明する。 (1)Primary(一次的要因) 爆心地直下あたりでは、衝撃波・爆風圧が身体の組織(主に肺、耳、消化器官などの空洞となっている場所)に伝わる。食道や胃、腸、気道や肺などの空洞のある内臓と、筋肉などの空洞のない場所では振動数が違う。この振動数の差により組織が引きちぎられる。 (2)Secondary(二次的要因) 爆発時に発生する破片(砲弾の弾殻などの物体)は秒速約4キロメートル以上に到達することもある。これにより、穿通性損傷(外傷により穴が開く損傷)と鈍的損傷(皮膚を貫通しない打撲)の両方が発生する。防弾チョッキやヘルメットがなければ重篤な外傷となる。 (3)Tertiary(三次的要因) 衝撃波による四肢の切断が起きる。爆風によって身体が吹き飛ばされ、地面や壁面へ衝突する。その時の損傷は構造物や路面などによって異なる。例えるなら、交通事故時に車外へ投げ出されたり、高所から転落したりした時の損傷に近い。 (4)Quaternary(四次的要因) 衝撃波による空気圧縮で体表面が発火する。爆風時に発生する火球による熱傷も同時に起きる。一般的熱傷と爆傷燃焼の違いは下図の通りだ。 図_一般的熱傷とIVQuaternary四次的要因爆傷熱傷の違い (照井資規氏提供) 拡大画像表示 この熱傷は爆心地直下の(1)から(3)までの地点で同時に起きる。爆風に伴う熱は3000℃~7000℃となり、吸入により気道や呼吸器に重度の熱傷を負う。その周辺に存在する物が燃焼することで、有毒ガスや煙、粉じんによる空気汚染も同時に発生する。 (5)Quinary(五次的要因) 爆発によって飛散する化学剤、生物剤、放射性物質による汚染(dirty bomb) 弾道ミサイルの燃料にはジメチルヒドラジンという有害物質が含まれている。遠距離引火性があり、蒸気の吸入で灼熱(しゃくねつ)感、吐き気、呼吸困難、胃けいれん、嘔吐(おうと)、息切れ、心不全、呼吸不全、肝臓壊死、肺水腫などを起こす。意図的に核汚染物質が拡散させられる場合もある。また、自爆テロリストが保有するB型肝炎ウイルスが爆発と共に飛散した場合、感染によるパンデミックを引き起こす脅威がある。
・『シェルターが普及するイギリスとイスラエル 地下鉄構内にガスマスクを備える韓国 1月2日のNHK報道によれば、2023年に北朝鮮が発射した弾道ミサイルは18回25発。過去2番目に多い発射回数となった(最多は2022年で、発射は31回59発)。 これほど具体的な軍事行動が続いているにもかかわらず、日本人の危機感は薄い。日本では核シェルターどころか通常能力型の弾道ミサイル攻撃へのシェルター設置がやっと始まったばかりだ。それに対し、他国の状況はどうなっているのだろうか。 イギリスでは1948年当時の民間防衛法に基づき、シェルター建造が地方自治体に義務付けられていた。その後も民間緊急事態法に基づき、防空シェルターや地下鉄シェルターが新たに設置されている。 イスラエルでは1992年改正の市民防衛法に基づき、公共シェルターや個人住宅への退避施設が多数建造されている。公共スペースには多人数収容可能な大型シェルター、個人宅には家庭用セーフルームがある。常にハマスからの軍事攻撃にさらされてきたイスラエルはシェルター設置に余念がない。 韓国では2023年8月、6年ぶりとなる全国一斉の空襲避難訓練が行われた。ソウル中心部でも信号が赤く点滅して交通規制が行われ、緊急車両の経路確保訓練が行われた。6年前までは毎年「民防衛訓練」の日が決められ、空襲サイレンが鳴り、一斉に車が止まり、市民が地下鉄や建物内に移動する。 戦争という緊急事態に備えて、全省庁や自治体、軍、警察、企業、そして市民が、自らの安全のために何をするのかを点検する日である。このような軍事攻撃に対する大がかりな避難訓練は日本にはない。 韓国の地下鉄は緊急時に使用する避難施設として、いつ空襲が起きても、毒ガスが放出されても、心配がないようにガスマスクが駅構内に設置されている(下の写真)。 ソウル市内の地下鉄駅構内にはガスマスクと酸素ボンベなどが置かれている また、空襲で電気が遮断された場合を想定しての懐中電灯、水、鼻や口を覆うコットンタオル、そして酸素ボンベが置かれている(下の写真)。韓国では軍人が中心になって、真っ暗になった地下鉄構内で市民を安全な場所へ誘導する準備ができている。 ソウル市内にある非常用懐中電灯設置棚 このように、当たり前のようにシェルターがある国は少なくない。国によっては、韓国のように、空襲を想定した必要物品を地下鉄や人通りの多い建物内に設置している。救命処置のためにAEDを置くように、武力攻撃時に使う物品を手に取れる場所に常備しなければ国民の命は救えないのだ。
・『ウクライナにある地下鉄駅の深度は実に100メートル超(日本各地でも、東京都に続き、シェルターの設置や武力攻撃時の避難場所として地下鉄などを指定する動きが始まっている。斉藤哲夫国土交通大臣も2月8日、弾道ミサイル攻撃に備えた地下鉄駅シェルター化にむけて鉄道事業者に協力の呼びかけを積極的に行うと述べた。 地下鉄は大半の爆風や衝撃波から身を守れる頑強な構造物だ。専用の地下シェルターを持たない場合は、地下鉄や共同溝など、すでに地下に造られた構造物の中から、想定される危険に対して十分な強度がある場所を選定するしかない。 兵器の進化は著しいが、その進化は建造物を破壊する力の大きさを競う方向ではなくなっている。地下や強固な建造物の中に潜んでいる要人や軍人を効果的に殺害することで戦争を有利に進めることを考えるようになった。 地上にある建造物をどれだけ破壊しても、その国の意思決定をつかさどる人物や軍人が生きていれば、周辺諸国から戦車や航空機、銃弾等が提供される。戦おうとする人がいれば、モノを破壊したところでモノの代わりは手に入るからだ。 そこで考えられたのが中性子爆弾である。中性子爆弾の破壊力は大きくないが、地下深くにいる人間にまでその放射線が到達するため、殺傷能力は高い。地下100メートルに潜む人すら殺害することができる。 (図_日本とウクライナ、地下鉄の深さの比較はリンク先参照) 上図の通り、ウクライナの首都キーウにあるアルセナーリナ駅の深度は実に105.5メートル。日本では大江戸線の六本木駅や千代田線の国会議事堂前駅もかなり深いが、比較にならない。 日本はまだまだ本気度が足りない。やらなければならないことは山ほどある。核兵器に囲まれた日本はリスクが最も高い国の一つだ。爆撃の恐ろしさを知り、それから身を守るために何が必要か、何を準備しなければならないか。私たちは真剣にこの問題に取り組まないといけないところに来ている。 (国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表 小笠原理恵)』、「核兵器に囲まれた日本はリスクが最も高い国の一つだ。爆撃の恐ろしさを知り、それから身を守るために何が必要か、何を準備しなければならないか。私たちは真剣にこの問題に取り組まないといけないところに来ている・・・日本はまだまだ本気度が足りない。やらなければならないことは山ほどある」、時間的にゆとりがある今こそ済々とやるべきおとを整理して、取り組むべきだ。
次に、4月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「【国防崩壊】たった1台の中国スパイドローンが丸裸にした“自衛隊の致命的弱点”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/342295
・『戦争が始まれば、他国のドローン攻撃によって日本の自衛隊はたちどころに機能停止に追い込まれるかもしれないーー。海上自衛隊の護衛艦「いずも」を中国スパイドローンが模擬攻撃する動画が物議を醸した。この記事では、動画の真偽を検証するとともに、本件によって明らかとなった自衛隊の「組織的な欠陥」と「致命的な弱点」について分析した。 海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローン(無人機)で撮影したとされる動画が交流サイト(SNS)上で拡散されている。映像は当初中国の動画共有サービス『Bilibili』に「我开飞机降落日本航母(不是游戏!!!」(私は飛行機を操縦して、日本の空母に着艦した。ゲームにあらず!!!)というタイトルで掲載され、その後、日本に広まった。 動画は19秒ほどで、ドローンが護衛艦いずもを後部甲板から前部甲板へ飛行し、撮影をしている内容だ。 護衛艦「いずも」は、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦、いわゆる「ヘリ空母」と呼ばれているものだ。全長は248メートル、乗員は最大520名。海上自衛隊で1番大型の艦艇(軍艦)であることから、海上自衛隊にとって象徴的な存在になっている。現在、F-35B戦闘機が離着陸できるように改修を進めていて、2026年度中にも実体上は空母になるという。 そんな海上自衛隊のシンボルである「いずも」をドローンで撮影されたことは、中国でも大きな話題になり、日本では「フェイク動画」ではないのかなどと、真贋が取り沙汰されている。もし事実なら、日本の防衛力の実態が中国のスパイドローンによって簡単にいつでも丸裸にされ、攻撃されかねない事実を白日のもとに晒される事態だ。
安全保障アナリストで慶應義塾大学SFC研究所上席所員の部谷直亮(ひだに・なおあき)氏はこう警告する。) 「少量の爆薬でもイージス艦のSPYレーダーといった機能を停止させたり、パトリオットミサイルのレーダーシステムを損傷させることは可能だ。航空自衛隊や民間空港の滑走路にマキビシをバラまいて機能停止に追い込むことも可能だ」 動画が真実ならばその懸念が具体化したことになる。 こうした事態を受け、木原稔防衛相と海上自衛隊の酒井良海上幕僚長は、4月2日の記者会見で、「悪意をもって加工、捏造(ねつぞう)されたものである可能性を含め、現在分析中」(木原防衛大臣)、「不自然な点はあると思うが判断しかねる」(酒井海上幕僚長)と述べた。政府が先頭に立って、動画はフェイクだ、捏造だ、不自然だと印象操作しているわけで、実際、マスメディアの見出しは『護衛艦いずもドローン映像 「捏造の可能性」木原防衛相』というものとなった。だが本当にそうなのだろうか。「そうであってほしい」「そうでなくてはダメだ」などという願望が目を曇らせてはいないだろうか。 フェイク説を唱える有識者が、最大の根拠としているのは、動画に映し出された艦尾の艦番号である。 <軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「いずもの艦番号は183なんですが、船の甲板にはその下2桁の83が必ず記されている。(映像の船には)8はあるが、3は書かれていない」/問題の映像に映った、船の甲板に書かれた「8」という数字。/一方、本物の「いずも」の甲板には「83」と記されていた。/こうしたことから専門家は、AI(人工知能)で作られたものではないかと推測する。/軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「わたしはフェイク…まがいものの可能性が高いとみています」>(FNNプラインオンライン『【物議】海上自衛隊護衛艦「いずも」を“ドローン撮影”か 中国SNSに映像が投稿 映像には“違和感”…AIによるフェイク?』4月1日) その後も彼は艦番号に3がないことを強調し、これをフェイクの根拠としている(Twitter投稿)。 こうした見立てと違う立場をとるのが、先述の部谷氏の文春オンラインの論考での指摘だ。) 「2024年2~3月のいずもを撮影したとされるSNSに流布している画像を確認すると、83の文字は薄くなっているが、8の方が若干濃くなっている。マスメディアが空撮したものでは、管見の限りではもっとも最新となる昨年12月1日時点の朝日新聞社が撮影したいずもも8が若干濃くなっている。『3』の数字が書かれていないというが、これは第1次改装前のいずもであって、改装後に文字は薄れている。ドローンで撮影されたものは、最近の『いずも』の状態に一致している」 部谷氏は、さらに「この指摘は4月14日に一般公開された護衛艦いずもを撮影した一般人の数々の画像をみれば『8』だけが濃い」と指摘する。高橋氏の指摘こそが都合の良い写り方を切り抜いたフェイクだとよくわかるというのだ。X上には、部谷氏の指摘を裏付けるような画像が多い。 例えば、こちらのX上の投稿だ。 他にも、デイリー新潮『中国のスパイドローンが「護衛艦いずも」を撮影? SNSで拡散する動画に専門家は「飛行甲板に注目すべき」』(4月9日)では、ドローンの出す音について着目し、これがフェイクである根拠と指摘している。 <軍事ジャーナリストは「私も動画を見ましたが、フェイク動画の可能性が高いと思います」と言う。/「まず、報道に至るまでの経緯が重要でしょう。ドローンを操縦したことがある人ならご存じだと思いますが、飛行時は結構な音がします。あの動画が実際に撮影されたものなら、いずもの乗組員や基地の隊員は音などの異変に気づいたはずです。さらに航空法違反は明確ですし、海上自衛隊の護衛艦の上を飛んだという事実は看過できませんから、海自か神奈川県警がドローンの飛来を広報し、それを日本のメディアが報じたはずです」> <「私が注目したいのは飛行甲板です。実際の甲板は、もう少し汚れています。動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか。甲板に乗組員の姿が全く映っていないのも疑問です。もし本当にドローンが撮影したのであれば、少なくとも1人か2人の乗組員がドローンに気づく様子が納められたはずです」(同・軍事ジャーナリスト)> 新潮記事に登場する軍事ジャーナリストが誰なのかがわからないが、ドローンは結構な音がする?というのは、筆者は疑問を持つ。ウクライナ戦争において、ドローンがうるさく近づけば気づかれるような代物であったとすれば、あれほどの戦果をあげることなどできるのだろうか。ドローンとAIを活用した課題解決の実績もあり雑誌Wedgeなどにも寄稿しているハッカーの量産型カスタム氏にその点を尋ねた。 「例えば日本でも入手しやすいDJIなど市販ドローンは、ある程度の高度に達すると騒音の少ない山間部でも気が付かないくらい静かに飛行ができます。ましてや市街地に隣接する『いずも』付近は高速道路などがあるためさらに気が付きにくいはずです。ドローンを操縦したことがある人なら、わかるはずなんですが……。『動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか』という指摘も、市販のドローンの性能を理解した上で操縦や空撮の経験があれば、このような疑問は持たないはず」 として、量産型カスタム氏は、筆者に対してDIJドローンの最新機能が検証されたURL(『Vol.59 驚きの飛行性能&高画質!Mavic 3の映像を検証する・中編 [Reviews]』)を示した。そこには、静音性が向上していること、カメラの機能が高く、広角撮影が可能であること、さらに内蔵補正機能やDJIのアプリケーションによる画質や色の補正もできることが示されていた。他にも、 <飛ばしていて気づいたのですが、バッテリーがとにかくモチます!> <着陸がかなわない連続撮影(電車・バス等の撮影待機、30分以内の花火大会など)などで重宝しそうです> <色補正を加えることで通常撮影時よりも表現力の高い映像に仕上げることができます> これらファクトを総合して考えるにやはり動画のフェイク説は説得力に欠ける。 量産型カスタム氏が続ける。「もし生成AIによるフェイク動画と主張するのであれば同じような品質の動画を作り再現する必要があります。自らが再現できないものを出来ると言い張るのは、軍事ジャーナリストだろうと学者だろうと無責任で技術を論ずる資格すらなく信用してはいけません…まあ今回に限らずですけどね」 となれば、今回の問題の本質は何なのか。部谷氏に見解を聞いた。) 「防衛省自衛隊は、情報戦に自滅しています。映像公開から2週間以上が経過しているにもかかわらず、それに対する対応に失敗しています。まず初手で海幕長が4月2日に飛行甲板上に艦番号は必ず記載しているとしながら、翌日には不記載が標準としましたが、これは海幕長と海幕が所属艦艇の状態を把握できないまま、希望的観測で発言したことを示してしまった大失態でした。 しかも、海幕はこの件に関する世論を全くコントロールできていません。犯人を名乗る人物がXアカウントを開設し、次々と高画質の米空母やいずもの写真を公開して真実性を増す中、2週間以上が経過しても「分析中」を繰り返すだけの受け身です。たかが一動画に対してこのありさまでは、自衛隊の分析能力の低さ、そして、もはや一般的でもある生成AIを利用した動画生成への理解にすらないのかと国内外から疑いの目を向けられかねない状況です。 これは今回の動画が仮にフェイクであっても変わらない大きな失点です。戦略3文書では外国からの情報戦に対抗し、戦略的コミュニケーションで対抗すると強調していたのに、それがまったく実践できていないからです。昨年の銃乱射事件でも、能登半島地震でも自衛隊は組織的な不利な言説に対し、逆効果となる個別反論を繰り返すだけで、戦略的及び作戦的な情報戦を展開できていません。有事が近づけば、この手の動画が頻出することは間違いありませんが、その際もこのような対応を取るのでしょうか? そして警備上も大きな問題が示されたことはいうまでもありません。実は自衛隊施設へのドローンの侵入は日常茶飯事となっており、それに対し何ら有効な能力を発揮できていません。電波法によって貧弱な探知及び射程の短い妨害能力しかない対ドローン機材しか持たず、その配備も遅れており、法的権限も不足しています。 韓国は北朝鮮のドローン部隊のソウル侵入を契機に、全軍のドローンを一元指揮するドローン司令部を創設し、ドローン対処訓練を公開で行う等、巻き返しています。日本もこれを奇貨として韓国軍の取り組みに見習うべきです」 現状の日本では、ドローンによる攻撃を受けたとしても、防衛する手段は脆弱だ。このままでは自衛隊は開戦即崩壊という憂き目にあいかねないと危惧している。 今回の動画をすぐにフェイクだと決めつけたり、何も心配する必要がないと主張するのは避けるべきだ。むしろ、この動画を大切な警告として受け止め、自衛隊の警戒を強め、能力を向上させることで、しっかりと対応している姿を見せることが、抑止力を強化する方法である』、「現状の日本では、ドローンによる攻撃を受けたとしても、防衛する手段は脆弱だ。このままでは自衛隊は開戦即崩壊という憂き目にあいかねないと危惧している。 今回の動画をすぐにフェイクだと決めつけたり、何も心配する必要がないと主張するのは避けるべきだ。むしろ、この動画を大切な警告として受け止め、自衛隊の警戒を強め、能力を向上させることで、しっかりと対応している姿を見せることが、抑止力を強化する方法である」、その通りだ。
第三に、