喫煙問題(その4)(喫煙、肥満…「不健康な人が排除される社会」はなぜ生きづらいのか?【人気ナンバーワンSFブロガーが選ぶすごい本】、日本は異常な“加熱式たばこ先進国”に…「紙巻きたばこより健康的」に潜む欺瞞、高齢者の「今さら禁煙しても意味ない」はホント?→65歳で禁煙した人の「寿命」への影響が判明) [社会]
喫煙問題については、昨年12月13日に取上げた。今日は、(その4)(喫煙、肥満…「不健康な人が排除される社会」はなぜ生きづらいのか?【人気ナンバーワンSFブロガーが選ぶすごい本】、日本は異常な“加熱式たばこ先進国”に…「紙巻きたばこより健康的」に潜む欺瞞、高齢者の「今さら禁煙しても意味ない」はホント?→65歳で禁煙した人の「寿命」への影響が判明)である。
先ずは、昨年12月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した書評家・「HONZ」レビュアーの冬木 糸一氏による「喫煙、肥満…「不健康な人が排除される社会」はなぜ生きづらいのか?【人気ナンバーワンSFブロガーが選ぶすごい本】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325886
・『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』著者の冬木糸一さんは、SF、つまり物語を現実が追い越した状況を「現実はSF化した」と表現し、すべての人にSFが必要だと述べている。 なぜ今、私たちはSFを読むべきなのか。そして、どの作品から読んだらいいのか。この連載では、本書を特別に抜粋しながら紹介していく(※一部、ネタバレを含みます)。 『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』の著者の冬木糸一です。エンジニアとして働きながら、ブログ「基本読書」などにSFやらノンフィクションについての記事を、15年くらい書き続けています。 僕はSFを「現代を生きるサバイバル本」と位置付けています。理由は、イーロン・マスクを代表とする起業家たちのインスピレーションの源が、SFだからです。彼らは文字通り、今ビジネス、そして世界を動かしています。頭のいい人ほど、フィクションから発想を得ていると考えることもできます。 今回は本書のなかから「不死・医療」関連の本を紹介します。 どんな作品か:個人の肉体が「公共の資源」になった社会 『ハーモニー』 ─「不健康」が許されない息苦しさ 喫煙、肥満…「不健康な人が排除される社会」はなぜ生きづらいのか?【人気ナンバーワンSFブロガーが選ぶすごい本】 伊藤計劃著/早川書房、2014年(単行本初版刊行2008年) 大量殺戮を引き起こす「虐殺の器官」が存在する世界を舞台に、未来の戦争を描いたSF長編『虐殺器官』(2007)でデビュー。そのわずか2年後に、34歳の若さで没した作家、伊藤計劃。その彼が、がんで亡くなる直前に病床で書き上げた長編第二作が、未来の医療社会をテーマにした『ハーモニー』だ。 この作品が描き出すのは、何よりも健康が最優先され、「不健康」でいることが許されなくなった社会。もちろん、かかりたくない病気にかからないでいることができるのは幸せなことだ。あえてがんを患い、苦しい闘病生活を経験したい人などそういないだろう。だが、「健康」とはどこまで強制されるべきものなのか? タバコなど、体に有毒なものを入れるのも、個人の自由といえば自由である。体はあなた一人のものなのだから。 本作に登場するのは、「体の自由を取り上げられた人々」だ。不健康は悪とされ、治療されなければならないという社会規範の中で、自分の体を自分のものとして取り返したいと切実に願う少女たちの姿が描かれる。 舞台となっているのは、〈大災禍〉と呼ばれる世界的な核戦争と、その余波が引き起こした災害によって大きく変質してしまった未来の社会。世界中に核弾頭が落ちた結果、放射能汚染によるがん発症が増え、突然変異による未知のウイルスも蔓延した。その反動として、政府を単位とする資本主義的消費社会から、人間の健康を第一に考える医療福祉社会へと世界は舵を切ることになる。 そのために用いられるのが、体内をかけめぐる医療用ナノマシンの存在だ。Watch Meと呼ばれる体内監視システムが、体の中で起こるRNA転写エラーや免疫異常のチェックを行い、問題があれば即座に治してしまう。 世界的な少子化による人口減少に伴い、この未来の世界における人間の肉体は希少なリソースとなっており、その人自身のものというよりも、もはや公共の所有物と見なされている。命と健康が大切にされすぎた社会では、自分の体を傷つけたり、ましてや自死を選んだりすることは許されない。それ以前に、システム上でエラーが出るので実行は困難だ。 だが、当然そうした状況に不満を抱き、反旗をひるがえす人間も存在する。本作の中心人物である、霧慧トァン、御冷ミァハ、零下堂キアンの学生3人組がそうだ。現状にとりわけ大きな不満を抱くミァハの主導で、3人は自死を決行しようとする。それは単純に自分の死を望んでというよりも、健康を至上とする社会へのテロリズムのような計画だった。 「わたしたちが奴らにとって大事だから、わたしたちの将来の可能性が奴らにとって貴重だから。わたしたち自身が奴らのインフラだから。だから、奴らの財産となってしまったこの身体を奪い去ってやるの。この身体はわたし自身のものなんだって、セカイに宣言するために。奴らのインフラを傷つけようとしたら、それがたまたまこのカラダだった。ただそれだけよ」(p46-47) 少女たちが自死のためにとった手法は、消化器官の栄養吸収を阻害する特殊な錠剤を服用するというもの。しかし、そのプロセスを完遂できたのはミァハのみで、トァンとキアンは途中で人に止められるか、怖くなって自発的に思いとどまることで、ミァハに罪の意識を感じながらもその後の人生を生きていくことになる。 物語の主要な部分は、生き残った13年後のトァンの視点で進行していくが、その世界では健康への強迫性がさらに増している。そして、なぜか人々が突然操られたかのように自死を遂げ、社会全体が大きな混乱に陥っていく』、「舞台となっているのは、〈大災禍〉と呼ばれる世界的な核戦争と、その余波が引き起こした災害によって大きく変質してしまった未来の社会。世界中に核弾頭が落ちた結果、放射能汚染によるがん発症が増え、突然変異による未知のウイルスも蔓延した。その反動として、政府を単位とする資本主義的消費社会から、人間の健康を第一に考える医療福祉社会へと世界は舵を切ることになる。 そのために用いられるのが、体内をかけめぐる医療用ナノマシンの存在だ。Watch Meと呼ばれる体内監視システムが、体の中で起こるRNA転写エラーや免疫異常のチェックを行い、問題があれば即座に治してしまう。 世界的な少子化による人口減少に伴い、この未来の世界における人間の肉体は希少なリソースとなっており、その人自身のものというよりも、もはや公共の所有物と見なされている。命と健康が大切にされすぎた社会では、自分の体を傷つけたり、ましてや自死を選んだりすることは許されない・・・そうした状況に不満を抱き、反旗をひるがえす人間も存在する。本作の中心人物である、霧慧トァン、御冷ミァハ、零下堂キアンの学生3人組がそうだ。現状にとりわけ大きな不満を抱くミァハの主導で、3人は自死を決行しようとする。それは単純に自分の死を望んでというよりも、健康を至上とする社会へのテロリズムのような計画だった・・・少女たちが自死のためにとった手法は、消化器官の栄養吸収を阻害する特殊な錠剤を服用するというもの。しかし、そのプロセスを完遂できたのはミァハのみで、トァンとキアンは途中で人に止められるか、怖くなって自発的に思いとどまることで、ミァハに罪の意識を感じながらもその後の人生を生きていくことになる。 物語の主要な部分は、生き残った13年後のトァンの視点で進行していくが、その世界では健康への強迫性がさらに増している。そして、なぜか人々が突然操られたかのように自死を遂げ、社会全体が大きな混乱に陥っていく」、なるほど。
・『どこがスゴいのか:行きすぎた「健康社会」の未来を予見 本作が、いまも切実さをもって読者にせまるのは、われわれが生きている社会がまさに、ここで描かれているような世界に近づきつつあるからだろう。 肥満体型の人間はだらしないとされ、痩せていることが素晴らしいとされる。喫煙者の存在は「わざわざ自分の健康を害する人々」として駆逐されつつある。『ハーモニー』の社会では肉体が徹底的な管理下に置かれているため、肥満状態の人間はおらず、デブという言葉も死語になっている。いかにもありそうな話ではないか。 本作で描かれる健康社会は、肉体ばかりでなく精神に対しても細かいケアを行う。生活の中では健康保護アプリケーションが活用されており、日々の行動からユーザーの嗜好を分析している。もし、文学や絵画などのコンテンツにユーザーが傷つきそうな表現があれば、勝手にフィルタリングするか、事前に警告してくれる。「この作品はあなたの心的外傷に触れる危険性があります」というように。生活態度だけでなく表現にまで、より潔癖さが求められるのだ。適切なフィルタリングが与えられることは素晴らしいことではある。一方、フィルタリングが適用され、「肉体も精神も健康でいることを強いられる」状況は息苦しいものだ。 ここで描かれていく社会は極端な形だが、われわれの社会がこうなってもおかしくはないのだ、ということは常に意識する必要がある。『ハーモニー』は、その事実を認識させてくれる作品だ。 (伊藤計劃氏の略歴はリンク先参照)』、「われわれが生きている社会がまさに、ここで描かれているような世界に近づきつつあるからだろう。 肥満体型の人間はだらしないとされ、痩せていることが素晴らしいとされる。喫煙者の存在は「わざわざ自分の健康を害する人々」として駆逐されつつある。『ハーモニー』の社会では肉体が徹底的な管理下に置かれているため、肥満状態の人間はおらず、デブという言葉も死語になっている。いかにもありそうな話ではないか。 本作で描かれる健康社会は、肉体ばかりでなく精神に対しても細かいケアを行う。生活の中では健康保護アプリケーションが活用されており、日々の行動からユーザーの嗜好を分析している。もし、文学や絵画などのコンテンツにユーザーが傷つきそうな表現があれば、勝手にフィルタリングするか、事前に警告してくれる・・・文学や絵画などのコンテンツにユーザーが傷つきそうな表現があれば、勝手にフィルタリングするか、事前に警告してくれる。「この作品はあなたの心的外傷に触れる危険性があります」というように。生活態度だけでなく表現にまで、より潔癖さが求められるのだ。適切なフィルタリングが与えられることは素晴らしいことではある。一方、フィルタリングが適用され、「肉体も精神も健康でいることを強いられる」状況は息苦しいものだ。 ここで描かれていく社会は極端な形だが、われわれの社会がこうなってもおかしくはないのだ、ということは常に意識する必要がある。『ハーモニー』は、その事実を認識させてくれる作品だ」、究極の管理者愛で、ぞっとする。
次に、本年3月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「日本は異常な“加熱式たばこ先進国”に…「紙巻きたばこより健康的」に潜む欺瞞」を紹介しよう、
https://diamond.jp/articles/-/340074
・『禁煙進まず?「加熱式たばこ先進国」になった日本 「加熱式たばこ」の勢いが止まらない。 一般社団法人日本たばこ協会によると、加熱式たばこの販売数量(2023年4〜12月累計)は、前年比11.8%増の435億本だった。紙巻きたばこ販売実績を100として、加熱式たばこの販売数量を比較をすると、2年前は47.8だったものが64.1にまで増えている。今のペースなら紙巻きたばこを追い抜くのも時間の問題だろう。 そんな「加熱式たばこフィーバー」にメーカー側も驚いている。紙巻きたばこから将来的な撤退を表明して、加熱式たばこ「アイコス」に力を入れている、米フィリップモリスインターナショナル(PMI)のヤチェック・オルザックCEOも昨年10月の自社イベントでこう述べている。 「日本ではこの10年で、35%の20歳以上の喫煙者を煙のない製品に切り替えることができた。こんなにも急速に煙のない製品に切り替わった国は他になく、規制当局にとってもPMIにとっても大きな成功だ。今後はまだ切り替えていない喫煙者に切り替えを促進し、完全に煙のない社会をめざしたい」(産経新聞、24年2月29日) では、なぜ日本は世界トップレベルの「加熱式たばこ先進国」になったのか。よく言われるのは、煙や臭いの問題が指摘されるようになり、紙巻きたばこが吸える場所が減ったことで切り替えたという説。もしくは、加熱式たばこも併用するという、いわゆる「デュアルユース」が進んだことだ。 ただ、たばこ企業も驚くほどの成功をおさめたのは、加熱式たばこが、喫煙者たちが抱える、次のような「悩み」の解決策になったことが大きい。 「最近、体の調子も悪いからたばこやめたいんだけど、これまで禁煙に成功したことないし、どうしたもんかねえ…」 つまり、「健康」を気にし始めたけれど、どうしてもやめられないというニコチン依存症ともいうべき人々の「受け皿」になっているのだ。それがうかがえる調査もある』、「なぜ日本は世界トップレベルの「加熱式たばこ先進国」になったのか。よく言われるのは、煙や臭いの問題が指摘されるようになり、紙巻きたばこが吸える場所が減ったことで切り替えたという説。もしくは、加熱式たばこも併用するという、いわゆる「デュアルユース」が進んだことだ。 ただ、たばこ企業も驚くほどの成功をおさめたのは、加熱式たばこが、喫煙者たちが抱える、次のような「悩み」の解決策になったことが大きい。 「最近、体の調子も悪いからたばこやめたいんだけど、これまで禁煙に成功したことないし、どうしたもんかねえ…」 つまり、「健康」を気にし始めたけれど、どうしてもやめられないというニコチン依存症ともいうべき人々の「受け皿」になっているのだ。それがうかがえる調査もある」、なるほど。
・『「加熱式」増税に待ったをかける「ハームリダクション」 リサーチ会社のネットエイジアが、20歳~69歳の男女1000名を対象に、加熱式たばこを吸うようになったきっかけを調べたところ、「紙巻たばこを吸える場所が減った」(25.1%)、「友人・知人・家族から勧められた」(24.5%)という、「でしょうね」という回答があった。さらに、「健康を気にするようになった」(23.2%)という声もそれなりにあるのだ。 このような「健康目的」の加熱式たばこへのスイッチはさらに進んでいく。なぜかというと、たばこメーカー、マスコミ、さらには政治までが一丸となって、この動きを後押しているからだ。 わかりやすいのは、フィリップモリスジャパン合同会社のホームページに掲げられる、シェリー・ゴー社長のこんなメッセージだ。 社会全体で害の低減を目指すハーム・リダクションの概念を公衆衛生政策の重要な要素と捉え、紙巻たばこを喫煙し続けることより、より良い選択肢への切替えを促すような規制と税制を支持しています》 ハームリダクション」とは、薬物やアルコールがもたらす害(ハーム)を減らす(リダクション)ことによって、リスクや健康被害を防ぐという取り組みだ。海外では依存症治療や薬物対策のひとつの柱となっているが、どういうわけか日本では「喫煙」の文脈で使われる場面が多い。 例えば、産経新聞社は、人生100年時代を据えた企画「100歳時代プロジェクト」の中で、昨年11月から今年2月まで3回にわたって「ハームリダクションの現在地」というシリーズを掲載している。そこで論じられているのも「喫煙のハームリダクション」、つまり「加熱式たばこへのスイッチ」だ。 政治家や有識者も同様だ。昨年6月、自民党議員からなる「国民の健康を考えるハームリダクション議員連盟」が設立された。彼らが訴えているのは、加熱式たばこの税優遇の堅持だ。現在、加熱式たばこは紙巻きたばこに比べて税金が安い。これに対して防衛増税の財源のひとつとして、紙巻きと同水準に引き上げるべきだという意見があるのだが、議連としては「ハームリダクション」の観点から反対しているのだ。 一般社団法人・新時代戦略研究所が立ち上げた「国民の健康とハームリダクションを考える研究会」も同様で加熱式たばこの増税に反対をしているほか、紙巻きたばこから加熱式たばこなどへの切り替えを促す「たばこハームリダクションの法制化」を掲げている。 このような動きを見る限り、世界トップレベルの「加熱式たばこ大国」の成長はしばらく続くだろう。ただ、不安材料は多い』、「「健康目的」の加熱式たばこへのスイッチはさらに進んでいく。なぜかというと、たばこメーカー、マスコミ、さらには政治までが一丸となって、この動きを後押しているからだ・・・「国民の健康とハームリダクションを考える研究会」も同様で加熱式たばこの増税に反対をしているほか、紙巻きたばこから加熱式たばこなどへの切り替えを促す「たばこハームリダクションの法制化」を掲げている。 このような動きを見る限り、世界トップレベルの「加熱式たばこ大国」の成長はしばらく続くだろう。ただ、不安材料は多い」、なるほど。
・『日本医師会も「忠告」!加熱式たばこは「害を低減」するのか? まずもっとも脅威なのは、「医療業界からの反発」だ。 『加熱式たばこを巡って“炎上”続出、「水蒸気だから迷惑かけない」の大誤解』(22年10月13日)の中で、加熱式たばこに詳しい、国立がん研究センター・データサイエンス研究部の片野田耕太部長に解説していただいたが、「加熱式たばこ」もたばこ葉を熱している以上、有害物質は出る。そして、周囲の人間は「受動喫煙リスク」にさらされるという。「実は紙巻きたばこの有害物質は異常に高い数値なので、それが加熱式たばこで大幅に減っても、日常生活でありえないレベルの有害物質が含まれていることは変わりありません。例えば、居酒屋で加熱式たばこを吸うということは、店内にいる全員で発がん物質を“共有”しているようなものなのです」(片野田氏) つまり、加熱式たばこでハーム(害)のリダクション(低減)というのはかなり眉つばな話だというのだ。実際、海外で「紙巻きたばこからのハームリダクション」という取り組みの中で用いられるのはもっぱら「電子たばこ」だ。こちらは加熱式たばこのように「たばこの葉」は入っておらず、抽出したニコチンを吸引するだけなので有害物質が出ない。そのため、イギリスでは、日本の厚労省にあたるナショナル・ヘルス・サービスが、禁煙治療に「電子たばこ」を推奨している。 日本の医療政策に大きな影響力を持つ日本医師会も「たばこハームリダクション」に否定的だ。昨年2月に開催した「知ってほしい!新型たばこの危険性」というシンポジウムにも参加した黒瀬巌常任理事は、こう述べた。 「一部で加熱式たばこなどに切り替えることで、禁煙に繋がっていくんだという考えの方がいらっしゃるようですが、私たちとしては『喫煙の種類を変える』ということと、『喫煙を止める』という行動はまったく違うと考えています。そもそも、紙巻きたばこよりも害が低減されるからいいんだ、という話ではありません。例えば、これまで時速200キロで飛ばしていたけれど、時速150キロに減速したので安全運転だなんて話は通じませんよね」』、「海外で「紙巻きたばこからのハームリダクション」という取り組みの中で用いられるのはもっぱら「電子たばこ」だ。こちらは加熱式たばこのように「たばこの葉」は入っておらず、抽出したニコチンを吸引するだけなので有害物質が出ない。そのため、イギリスでは、日本の厚労省にあたるナショナル・ヘルス・サービスが、禁煙治療に「電子たばこ」を推奨している。 日本の医療政策に大きな影響力を持つ日本医師会も「たばこハームリダクション」に否定的だ」、なるほど。
・『加熱式たばこの「税優遇」より健康寿命を伸ばすことが大事 防衛費などの財源確保のために「たばこ増税」が検討されている中で、ハームリダクションの観点から加熱式たばこに関しては、従来通り「税優遇」を維持すべきという意見が盛り上がっている今の状況に対しても、苦言を呈した。 「財源というのなら、国が喫煙対策をしっかりやってもらった方が、COPD(喫煙などで肺に持続的な炎症が生じる病気)になる方が減るわけですから、その分、健康寿命が延伸し、現役で働き続けられる人も増えるわけで国の税収も増える。しかも、禁煙をする人が増えれば当然、医療費の削減につながります。 また、健康寿命の延伸は、これから日本で起きる医療従事者の減少と不足への対応策となっていく。つまり、喫煙者も周囲にいる人も健康で働き続けられるし、国民の健康と命を支える医療の負担も減る。しかも、国は税収が増える。これが、私が喫煙対策を“三方良し”と呼んでいる所以です」(黒瀬常任理事) このようにハームリダクションをめぐって政治や企業と大きな溝があるのだ。ただ、こういう思想の対立は、何も日本だけに限った話ではない。 例えば、アメリカ政府の食品医薬品局(FDA)は、加熱式たばこを「暴露低減たばこ製品」と認めているが、世界保健機関(WHO)は認めていない。また、160カ国以上の医師、医療専門職、科学者などが参加する呼吸器分野の国際学会「欧州呼吸器学会」(ERS)も「たばこハームリダクション」に否定的な声明を出している。 コロナ禍でも起きた現象だが、ハームリダクションに関しても今後は「医療vs.政治」の主導権争いが激化していく様相なのだ。 そこに加えて、我らが日本の場合、「ムラ社会」ならではの利……ではなく、さまざまなオトナの事情が複雑に絡み合って、さらに問題をややこしくしている。 わかりやすいのは「電子たばこ」だ。世界保健機関(WHO)事務局長のシニアアドバイザーも務めた東京財団政策研究所の渋谷健司研究主幹によれば、「日本はニコチンを含む電子たばこが規制されている世界でも珍しい国だ」(産経新聞23年11月8日)という。 ハームリダクションを推進する人たちは「世界的な潮流に背を向けるな」と勇ましいことをおっしゃるが、それであれば、加熱式たばこより害の少ない電子たばこの規制を見直すというのが定石のはずだ。だが、なぜかそういう話にはならない。 世界の潮流に合わせて、電子たばこを普及させてしまうと誰が困るのか。日本の喫煙者たちがこぞって「加熱式たばこ」へスイッチすることで得をするのは誰なのか――。 あまり深く突っ込みすぎると、また多方面からきついおしかりを受けるので、この辺でやめておくが、「たばこハームリダクション」とやらの前に、まずはこういう「前時代的なムラ社会」からのハームリダクションを進めていただきたい』、「加熱式たばこより害の少ない電子たばこの規制を見直すというのが定石のはずだ。だが、なぜかそういう話にはならない。 世界の潮流に合わせて、電子たばこを普及させてしまうと誰が困るのか。日本の喫煙者たちがこぞって「加熱式たばこ」へスイッチすることで得をするのは誰なのか――。 あまり深く突っ込みすぎると、また多方面からきついおしかりを受けるので、この辺でやめておくが、「たばこハームリダクション」とやらの前に、まずはこういう「前時代的なムラ社会」からのハームリダクションを進めていただきたい」、その通りだ。
第三に、10月27日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「高齢者の「今さら禁煙しても意味ない」はホント?→65歳で禁煙した人の「寿命」への影響が判明」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/352740
・『禁煙開始が「遅すぎる」ことはない 喫煙習慣のある高齢者の中には、「今さら禁煙しても意味がない」と考えている人がいるかもしれない。しかし、実際はそんなことはなく、高齢期に入ってから禁煙したとしても、タバコを吸い続けた場合よりも長い寿命を期待できることが明らかになった。 例えば75歳で禁煙した場合、喫煙を続けた人よりも1年以上長く生きられる確率が14.2%に上るという。米ミシガン大学のThuy Le氏らが、禁煙によるメリットを禁煙開始時の年齢別に解析した結果であり、詳細は「American Journal of Preventive Medicine」に6月25日掲載された。 この研究には、米国で行われている国民健康調査やがん予防研究、国勢調査、死亡統計などのデータが用いられた。35~75歳の間のさまざまな時点の喫煙状況で対象者を3種類(喫煙歴なし、喫煙継続、禁煙)に分類し、平均余命を割り出して比較した。) その結果、若いうちに禁煙したほうがメリットは大きいものの、高齢になってから禁煙した場合にも、喫煙を続けた人より寿命が延びることが示された。詳細は以下のとおり。 まず、35歳の一般人口の平均余命は45.4年、喫煙歴のない人は47.8年、喫煙者は38.7年、35歳で禁煙した人は46.7年。35歳時点で禁煙することにより、喫煙を続けた場合に比べて平均余命が8.0年延長し、1年長く生きられる確率が52.8%、4年長く生きられる確率が45.4%、6年長く生きられる確率が40.6%、8年長く生きられる確率が36.0%であることが示された』、私もー昨年に禁煙したが、今さらという感じもあったが、やはりやってよかったということを知って、嬉しくなった。
・『65歳で禁煙した人は平均余命がどのくらい延びる? 一方、65歳の一般人口の平均余命は19.5年、喫煙歴のない人は20.9年、喫煙者は15.1年、65歳で禁煙した人は16.8年。65歳時点で禁煙することにより、喫煙を続けた場合に比べて平均余命が1.7年延長し、1年長く生きられる確率が23.4%、4年長く生きられる確率が16.3%、6年長く生きられる確率が12.4%、8年長く生きられる確率が9.3%だった。 また、75歳の一般人口の平均余命は12.3年、喫煙歴のない人は13.4年、喫煙者は9.0年、75歳で禁煙した人は9.7年。75歳時点で禁煙することにより、喫煙を続けた場合に比べて平均余命が0.7年延長し、1年長く生きられる確率が14.2%、4年長く生きられる確率が7.9%、6年長く生きられる確率が5.1%、8年長く生きられる確率が3.1%だった。 論文の筆頭著者であるLe氏は、「過去10年間で、若者の喫煙率は著しく低下した。しかし、高齢者の喫煙率は変化が少ない」と述べるとともに、「われわれが知る限り、禁煙が高齢者にもメリットをもたらすことを立証した研究は過去にない。われわれは、喫煙をやめることがどの年齢でも有益であることを示し、喫煙習慣のある高齢者に禁煙の動機付けとしてほしかった」と研究背景を語っている。 論文の上席著者である同大学のKenneth Warner氏も、「高齢になってから禁煙することで得られるメリットは、絶対値としては低いように思えるかもしれないが、残されている寿命に大きな影響を与える」と述べている。(HealthDay News 2024年10月10日)』、私の禁煙はCOPD(慢性閉塞性肺疾患のためだったので、寿命が延びるのは副次的なメリットでしかない。もっとも、外出時にタバオが喫える場所を探すストレスがなくなったのも副次的なメリットの1つだ。
先ずは、昨年12月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した書評家・「HONZ」レビュアーの冬木 糸一氏による「喫煙、肥満…「不健康な人が排除される社会」はなぜ生きづらいのか?【人気ナンバーワンSFブロガーが選ぶすごい本】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325886
・『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』著者の冬木糸一さんは、SF、つまり物語を現実が追い越した状況を「現実はSF化した」と表現し、すべての人にSFが必要だと述べている。 なぜ今、私たちはSFを読むべきなのか。そして、どの作品から読んだらいいのか。この連載では、本書を特別に抜粋しながら紹介していく(※一部、ネタバレを含みます)。 『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』の著者の冬木糸一です。エンジニアとして働きながら、ブログ「基本読書」などにSFやらノンフィクションについての記事を、15年くらい書き続けています。 僕はSFを「現代を生きるサバイバル本」と位置付けています。理由は、イーロン・マスクを代表とする起業家たちのインスピレーションの源が、SFだからです。彼らは文字通り、今ビジネス、そして世界を動かしています。頭のいい人ほど、フィクションから発想を得ていると考えることもできます。 今回は本書のなかから「不死・医療」関連の本を紹介します。 どんな作品か:個人の肉体が「公共の資源」になった社会 『ハーモニー』 ─「不健康」が許されない息苦しさ 喫煙、肥満…「不健康な人が排除される社会」はなぜ生きづらいのか?【人気ナンバーワンSFブロガーが選ぶすごい本】 伊藤計劃著/早川書房、2014年(単行本初版刊行2008年) 大量殺戮を引き起こす「虐殺の器官」が存在する世界を舞台に、未来の戦争を描いたSF長編『虐殺器官』(2007)でデビュー。そのわずか2年後に、34歳の若さで没した作家、伊藤計劃。その彼が、がんで亡くなる直前に病床で書き上げた長編第二作が、未来の医療社会をテーマにした『ハーモニー』だ。 この作品が描き出すのは、何よりも健康が最優先され、「不健康」でいることが許されなくなった社会。もちろん、かかりたくない病気にかからないでいることができるのは幸せなことだ。あえてがんを患い、苦しい闘病生活を経験したい人などそういないだろう。だが、「健康」とはどこまで強制されるべきものなのか? タバコなど、体に有毒なものを入れるのも、個人の自由といえば自由である。体はあなた一人のものなのだから。 本作に登場するのは、「体の自由を取り上げられた人々」だ。不健康は悪とされ、治療されなければならないという社会規範の中で、自分の体を自分のものとして取り返したいと切実に願う少女たちの姿が描かれる。 舞台となっているのは、〈大災禍〉と呼ばれる世界的な核戦争と、その余波が引き起こした災害によって大きく変質してしまった未来の社会。世界中に核弾頭が落ちた結果、放射能汚染によるがん発症が増え、突然変異による未知のウイルスも蔓延した。その反動として、政府を単位とする資本主義的消費社会から、人間の健康を第一に考える医療福祉社会へと世界は舵を切ることになる。 そのために用いられるのが、体内をかけめぐる医療用ナノマシンの存在だ。Watch Meと呼ばれる体内監視システムが、体の中で起こるRNA転写エラーや免疫異常のチェックを行い、問題があれば即座に治してしまう。 世界的な少子化による人口減少に伴い、この未来の世界における人間の肉体は希少なリソースとなっており、その人自身のものというよりも、もはや公共の所有物と見なされている。命と健康が大切にされすぎた社会では、自分の体を傷つけたり、ましてや自死を選んだりすることは許されない。それ以前に、システム上でエラーが出るので実行は困難だ。 だが、当然そうした状況に不満を抱き、反旗をひるがえす人間も存在する。本作の中心人物である、霧慧トァン、御冷ミァハ、零下堂キアンの学生3人組がそうだ。現状にとりわけ大きな不満を抱くミァハの主導で、3人は自死を決行しようとする。それは単純に自分の死を望んでというよりも、健康を至上とする社会へのテロリズムのような計画だった。 「わたしたちが奴らにとって大事だから、わたしたちの将来の可能性が奴らにとって貴重だから。わたしたち自身が奴らのインフラだから。だから、奴らの財産となってしまったこの身体を奪い去ってやるの。この身体はわたし自身のものなんだって、セカイに宣言するために。奴らのインフラを傷つけようとしたら、それがたまたまこのカラダだった。ただそれだけよ」(p46-47) 少女たちが自死のためにとった手法は、消化器官の栄養吸収を阻害する特殊な錠剤を服用するというもの。しかし、そのプロセスを完遂できたのはミァハのみで、トァンとキアンは途中で人に止められるか、怖くなって自発的に思いとどまることで、ミァハに罪の意識を感じながらもその後の人生を生きていくことになる。 物語の主要な部分は、生き残った13年後のトァンの視点で進行していくが、その世界では健康への強迫性がさらに増している。そして、なぜか人々が突然操られたかのように自死を遂げ、社会全体が大きな混乱に陥っていく』、「舞台となっているのは、〈大災禍〉と呼ばれる世界的な核戦争と、その余波が引き起こした災害によって大きく変質してしまった未来の社会。世界中に核弾頭が落ちた結果、放射能汚染によるがん発症が増え、突然変異による未知のウイルスも蔓延した。その反動として、政府を単位とする資本主義的消費社会から、人間の健康を第一に考える医療福祉社会へと世界は舵を切ることになる。 そのために用いられるのが、体内をかけめぐる医療用ナノマシンの存在だ。Watch Meと呼ばれる体内監視システムが、体の中で起こるRNA転写エラーや免疫異常のチェックを行い、問題があれば即座に治してしまう。 世界的な少子化による人口減少に伴い、この未来の世界における人間の肉体は希少なリソースとなっており、その人自身のものというよりも、もはや公共の所有物と見なされている。命と健康が大切にされすぎた社会では、自分の体を傷つけたり、ましてや自死を選んだりすることは許されない・・・そうした状況に不満を抱き、反旗をひるがえす人間も存在する。本作の中心人物である、霧慧トァン、御冷ミァハ、零下堂キアンの学生3人組がそうだ。現状にとりわけ大きな不満を抱くミァハの主導で、3人は自死を決行しようとする。それは単純に自分の死を望んでというよりも、健康を至上とする社会へのテロリズムのような計画だった・・・少女たちが自死のためにとった手法は、消化器官の栄養吸収を阻害する特殊な錠剤を服用するというもの。しかし、そのプロセスを完遂できたのはミァハのみで、トァンとキアンは途中で人に止められるか、怖くなって自発的に思いとどまることで、ミァハに罪の意識を感じながらもその後の人生を生きていくことになる。 物語の主要な部分は、生き残った13年後のトァンの視点で進行していくが、その世界では健康への強迫性がさらに増している。そして、なぜか人々が突然操られたかのように自死を遂げ、社会全体が大きな混乱に陥っていく」、なるほど。
・『どこがスゴいのか:行きすぎた「健康社会」の未来を予見 本作が、いまも切実さをもって読者にせまるのは、われわれが生きている社会がまさに、ここで描かれているような世界に近づきつつあるからだろう。 肥満体型の人間はだらしないとされ、痩せていることが素晴らしいとされる。喫煙者の存在は「わざわざ自分の健康を害する人々」として駆逐されつつある。『ハーモニー』の社会では肉体が徹底的な管理下に置かれているため、肥満状態の人間はおらず、デブという言葉も死語になっている。いかにもありそうな話ではないか。 本作で描かれる健康社会は、肉体ばかりでなく精神に対しても細かいケアを行う。生活の中では健康保護アプリケーションが活用されており、日々の行動からユーザーの嗜好を分析している。もし、文学や絵画などのコンテンツにユーザーが傷つきそうな表現があれば、勝手にフィルタリングするか、事前に警告してくれる。「この作品はあなたの心的外傷に触れる危険性があります」というように。生活態度だけでなく表現にまで、より潔癖さが求められるのだ。適切なフィルタリングが与えられることは素晴らしいことではある。一方、フィルタリングが適用され、「肉体も精神も健康でいることを強いられる」状況は息苦しいものだ。 ここで描かれていく社会は極端な形だが、われわれの社会がこうなってもおかしくはないのだ、ということは常に意識する必要がある。『ハーモニー』は、その事実を認識させてくれる作品だ。 (伊藤計劃氏の略歴はリンク先参照)』、「われわれが生きている社会がまさに、ここで描かれているような世界に近づきつつあるからだろう。 肥満体型の人間はだらしないとされ、痩せていることが素晴らしいとされる。喫煙者の存在は「わざわざ自分の健康を害する人々」として駆逐されつつある。『ハーモニー』の社会では肉体が徹底的な管理下に置かれているため、肥満状態の人間はおらず、デブという言葉も死語になっている。いかにもありそうな話ではないか。 本作で描かれる健康社会は、肉体ばかりでなく精神に対しても細かいケアを行う。生活の中では健康保護アプリケーションが活用されており、日々の行動からユーザーの嗜好を分析している。もし、文学や絵画などのコンテンツにユーザーが傷つきそうな表現があれば、勝手にフィルタリングするか、事前に警告してくれる・・・文学や絵画などのコンテンツにユーザーが傷つきそうな表現があれば、勝手にフィルタリングするか、事前に警告してくれる。「この作品はあなたの心的外傷に触れる危険性があります」というように。生活態度だけでなく表現にまで、より潔癖さが求められるのだ。適切なフィルタリングが与えられることは素晴らしいことではある。一方、フィルタリングが適用され、「肉体も精神も健康でいることを強いられる」状況は息苦しいものだ。 ここで描かれていく社会は極端な形だが、われわれの社会がこうなってもおかしくはないのだ、ということは常に意識する必要がある。『ハーモニー』は、その事実を認識させてくれる作品だ」、究極の管理者愛で、ぞっとする。
次に、本年3月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「日本は異常な“加熱式たばこ先進国”に…「紙巻きたばこより健康的」に潜む欺瞞」を紹介しよう、
https://diamond.jp/articles/-/340074
・『禁煙進まず?「加熱式たばこ先進国」になった日本 「加熱式たばこ」の勢いが止まらない。 一般社団法人日本たばこ協会によると、加熱式たばこの販売数量(2023年4〜12月累計)は、前年比11.8%増の435億本だった。紙巻きたばこ販売実績を100として、加熱式たばこの販売数量を比較をすると、2年前は47.8だったものが64.1にまで増えている。今のペースなら紙巻きたばこを追い抜くのも時間の問題だろう。 そんな「加熱式たばこフィーバー」にメーカー側も驚いている。紙巻きたばこから将来的な撤退を表明して、加熱式たばこ「アイコス」に力を入れている、米フィリップモリスインターナショナル(PMI)のヤチェック・オルザックCEOも昨年10月の自社イベントでこう述べている。 「日本ではこの10年で、35%の20歳以上の喫煙者を煙のない製品に切り替えることができた。こんなにも急速に煙のない製品に切り替わった国は他になく、規制当局にとってもPMIにとっても大きな成功だ。今後はまだ切り替えていない喫煙者に切り替えを促進し、完全に煙のない社会をめざしたい」(産経新聞、24年2月29日) では、なぜ日本は世界トップレベルの「加熱式たばこ先進国」になったのか。よく言われるのは、煙や臭いの問題が指摘されるようになり、紙巻きたばこが吸える場所が減ったことで切り替えたという説。もしくは、加熱式たばこも併用するという、いわゆる「デュアルユース」が進んだことだ。 ただ、たばこ企業も驚くほどの成功をおさめたのは、加熱式たばこが、喫煙者たちが抱える、次のような「悩み」の解決策になったことが大きい。 「最近、体の調子も悪いからたばこやめたいんだけど、これまで禁煙に成功したことないし、どうしたもんかねえ…」 つまり、「健康」を気にし始めたけれど、どうしてもやめられないというニコチン依存症ともいうべき人々の「受け皿」になっているのだ。それがうかがえる調査もある』、「なぜ日本は世界トップレベルの「加熱式たばこ先進国」になったのか。よく言われるのは、煙や臭いの問題が指摘されるようになり、紙巻きたばこが吸える場所が減ったことで切り替えたという説。もしくは、加熱式たばこも併用するという、いわゆる「デュアルユース」が進んだことだ。 ただ、たばこ企業も驚くほどの成功をおさめたのは、加熱式たばこが、喫煙者たちが抱える、次のような「悩み」の解決策になったことが大きい。 「最近、体の調子も悪いからたばこやめたいんだけど、これまで禁煙に成功したことないし、どうしたもんかねえ…」 つまり、「健康」を気にし始めたけれど、どうしてもやめられないというニコチン依存症ともいうべき人々の「受け皿」になっているのだ。それがうかがえる調査もある」、なるほど。
・『「加熱式」増税に待ったをかける「ハームリダクション」 リサーチ会社のネットエイジアが、20歳~69歳の男女1000名を対象に、加熱式たばこを吸うようになったきっかけを調べたところ、「紙巻たばこを吸える場所が減った」(25.1%)、「友人・知人・家族から勧められた」(24.5%)という、「でしょうね」という回答があった。さらに、「健康を気にするようになった」(23.2%)という声もそれなりにあるのだ。 このような「健康目的」の加熱式たばこへのスイッチはさらに進んでいく。なぜかというと、たばこメーカー、マスコミ、さらには政治までが一丸となって、この動きを後押しているからだ。 わかりやすいのは、フィリップモリスジャパン合同会社のホームページに掲げられる、シェリー・ゴー社長のこんなメッセージだ。 社会全体で害の低減を目指すハーム・リダクションの概念を公衆衛生政策の重要な要素と捉え、紙巻たばこを喫煙し続けることより、より良い選択肢への切替えを促すような規制と税制を支持しています》 ハームリダクション」とは、薬物やアルコールがもたらす害(ハーム)を減らす(リダクション)ことによって、リスクや健康被害を防ぐという取り組みだ。海外では依存症治療や薬物対策のひとつの柱となっているが、どういうわけか日本では「喫煙」の文脈で使われる場面が多い。 例えば、産経新聞社は、人生100年時代を据えた企画「100歳時代プロジェクト」の中で、昨年11月から今年2月まで3回にわたって「ハームリダクションの現在地」というシリーズを掲載している。そこで論じられているのも「喫煙のハームリダクション」、つまり「加熱式たばこへのスイッチ」だ。 政治家や有識者も同様だ。昨年6月、自民党議員からなる「国民の健康を考えるハームリダクション議員連盟」が設立された。彼らが訴えているのは、加熱式たばこの税優遇の堅持だ。現在、加熱式たばこは紙巻きたばこに比べて税金が安い。これに対して防衛増税の財源のひとつとして、紙巻きと同水準に引き上げるべきだという意見があるのだが、議連としては「ハームリダクション」の観点から反対しているのだ。 一般社団法人・新時代戦略研究所が立ち上げた「国民の健康とハームリダクションを考える研究会」も同様で加熱式たばこの増税に反対をしているほか、紙巻きたばこから加熱式たばこなどへの切り替えを促す「たばこハームリダクションの法制化」を掲げている。 このような動きを見る限り、世界トップレベルの「加熱式たばこ大国」の成長はしばらく続くだろう。ただ、不安材料は多い』、「「健康目的」の加熱式たばこへのスイッチはさらに進んでいく。なぜかというと、たばこメーカー、マスコミ、さらには政治までが一丸となって、この動きを後押しているからだ・・・「国民の健康とハームリダクションを考える研究会」も同様で加熱式たばこの増税に反対をしているほか、紙巻きたばこから加熱式たばこなどへの切り替えを促す「たばこハームリダクションの法制化」を掲げている。 このような動きを見る限り、世界トップレベルの「加熱式たばこ大国」の成長はしばらく続くだろう。ただ、不安材料は多い」、なるほど。
・『日本医師会も「忠告」!加熱式たばこは「害を低減」するのか? まずもっとも脅威なのは、「医療業界からの反発」だ。 『加熱式たばこを巡って“炎上”続出、「水蒸気だから迷惑かけない」の大誤解』(22年10月13日)の中で、加熱式たばこに詳しい、国立がん研究センター・データサイエンス研究部の片野田耕太部長に解説していただいたが、「加熱式たばこ」もたばこ葉を熱している以上、有害物質は出る。そして、周囲の人間は「受動喫煙リスク」にさらされるという。「実は紙巻きたばこの有害物質は異常に高い数値なので、それが加熱式たばこで大幅に減っても、日常生活でありえないレベルの有害物質が含まれていることは変わりありません。例えば、居酒屋で加熱式たばこを吸うということは、店内にいる全員で発がん物質を“共有”しているようなものなのです」(片野田氏) つまり、加熱式たばこでハーム(害)のリダクション(低減)というのはかなり眉つばな話だというのだ。実際、海外で「紙巻きたばこからのハームリダクション」という取り組みの中で用いられるのはもっぱら「電子たばこ」だ。こちらは加熱式たばこのように「たばこの葉」は入っておらず、抽出したニコチンを吸引するだけなので有害物質が出ない。そのため、イギリスでは、日本の厚労省にあたるナショナル・ヘルス・サービスが、禁煙治療に「電子たばこ」を推奨している。 日本の医療政策に大きな影響力を持つ日本医師会も「たばこハームリダクション」に否定的だ。昨年2月に開催した「知ってほしい!新型たばこの危険性」というシンポジウムにも参加した黒瀬巌常任理事は、こう述べた。 「一部で加熱式たばこなどに切り替えることで、禁煙に繋がっていくんだという考えの方がいらっしゃるようですが、私たちとしては『喫煙の種類を変える』ということと、『喫煙を止める』という行動はまったく違うと考えています。そもそも、紙巻きたばこよりも害が低減されるからいいんだ、という話ではありません。例えば、これまで時速200キロで飛ばしていたけれど、時速150キロに減速したので安全運転だなんて話は通じませんよね」』、「海外で「紙巻きたばこからのハームリダクション」という取り組みの中で用いられるのはもっぱら「電子たばこ」だ。こちらは加熱式たばこのように「たばこの葉」は入っておらず、抽出したニコチンを吸引するだけなので有害物質が出ない。そのため、イギリスでは、日本の厚労省にあたるナショナル・ヘルス・サービスが、禁煙治療に「電子たばこ」を推奨している。 日本の医療政策に大きな影響力を持つ日本医師会も「たばこハームリダクション」に否定的だ」、なるほど。
・『加熱式たばこの「税優遇」より健康寿命を伸ばすことが大事 防衛費などの財源確保のために「たばこ増税」が検討されている中で、ハームリダクションの観点から加熱式たばこに関しては、従来通り「税優遇」を維持すべきという意見が盛り上がっている今の状況に対しても、苦言を呈した。 「財源というのなら、国が喫煙対策をしっかりやってもらった方が、COPD(喫煙などで肺に持続的な炎症が生じる病気)になる方が減るわけですから、その分、健康寿命が延伸し、現役で働き続けられる人も増えるわけで国の税収も増える。しかも、禁煙をする人が増えれば当然、医療費の削減につながります。 また、健康寿命の延伸は、これから日本で起きる医療従事者の減少と不足への対応策となっていく。つまり、喫煙者も周囲にいる人も健康で働き続けられるし、国民の健康と命を支える医療の負担も減る。しかも、国は税収が増える。これが、私が喫煙対策を“三方良し”と呼んでいる所以です」(黒瀬常任理事) このようにハームリダクションをめぐって政治や企業と大きな溝があるのだ。ただ、こういう思想の対立は、何も日本だけに限った話ではない。 例えば、アメリカ政府の食品医薬品局(FDA)は、加熱式たばこを「暴露低減たばこ製品」と認めているが、世界保健機関(WHO)は認めていない。また、160カ国以上の医師、医療専門職、科学者などが参加する呼吸器分野の国際学会「欧州呼吸器学会」(ERS)も「たばこハームリダクション」に否定的な声明を出している。 コロナ禍でも起きた現象だが、ハームリダクションに関しても今後は「医療vs.政治」の主導権争いが激化していく様相なのだ。 そこに加えて、我らが日本の場合、「ムラ社会」ならではの利……ではなく、さまざまなオトナの事情が複雑に絡み合って、さらに問題をややこしくしている。 わかりやすいのは「電子たばこ」だ。世界保健機関(WHO)事務局長のシニアアドバイザーも務めた東京財団政策研究所の渋谷健司研究主幹によれば、「日本はニコチンを含む電子たばこが規制されている世界でも珍しい国だ」(産経新聞23年11月8日)という。 ハームリダクションを推進する人たちは「世界的な潮流に背を向けるな」と勇ましいことをおっしゃるが、それであれば、加熱式たばこより害の少ない電子たばこの規制を見直すというのが定石のはずだ。だが、なぜかそういう話にはならない。 世界の潮流に合わせて、電子たばこを普及させてしまうと誰が困るのか。日本の喫煙者たちがこぞって「加熱式たばこ」へスイッチすることで得をするのは誰なのか――。 あまり深く突っ込みすぎると、また多方面からきついおしかりを受けるので、この辺でやめておくが、「たばこハームリダクション」とやらの前に、まずはこういう「前時代的なムラ社会」からのハームリダクションを進めていただきたい』、「加熱式たばこより害の少ない電子たばこの規制を見直すというのが定石のはずだ。だが、なぜかそういう話にはならない。 世界の潮流に合わせて、電子たばこを普及させてしまうと誰が困るのか。日本の喫煙者たちがこぞって「加熱式たばこ」へスイッチすることで得をするのは誰なのか――。 あまり深く突っ込みすぎると、また多方面からきついおしかりを受けるので、この辺でやめておくが、「たばこハームリダクション」とやらの前に、まずはこういう「前時代的なムラ社会」からのハームリダクションを進めていただきたい」、その通りだ。
第三に、10月27日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「高齢者の「今さら禁煙しても意味ない」はホント?→65歳で禁煙した人の「寿命」への影響が判明」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/352740
・『禁煙開始が「遅すぎる」ことはない 喫煙習慣のある高齢者の中には、「今さら禁煙しても意味がない」と考えている人がいるかもしれない。しかし、実際はそんなことはなく、高齢期に入ってから禁煙したとしても、タバコを吸い続けた場合よりも長い寿命を期待できることが明らかになった。 例えば75歳で禁煙した場合、喫煙を続けた人よりも1年以上長く生きられる確率が14.2%に上るという。米ミシガン大学のThuy Le氏らが、禁煙によるメリットを禁煙開始時の年齢別に解析した結果であり、詳細は「American Journal of Preventive Medicine」に6月25日掲載された。 この研究には、米国で行われている国民健康調査やがん予防研究、国勢調査、死亡統計などのデータが用いられた。35~75歳の間のさまざまな時点の喫煙状況で対象者を3種類(喫煙歴なし、喫煙継続、禁煙)に分類し、平均余命を割り出して比較した。) その結果、若いうちに禁煙したほうがメリットは大きいものの、高齢になってから禁煙した場合にも、喫煙を続けた人より寿命が延びることが示された。詳細は以下のとおり。 まず、35歳の一般人口の平均余命は45.4年、喫煙歴のない人は47.8年、喫煙者は38.7年、35歳で禁煙した人は46.7年。35歳時点で禁煙することにより、喫煙を続けた場合に比べて平均余命が8.0年延長し、1年長く生きられる確率が52.8%、4年長く生きられる確率が45.4%、6年長く生きられる確率が40.6%、8年長く生きられる確率が36.0%であることが示された』、私もー昨年に禁煙したが、今さらという感じもあったが、やはりやってよかったということを知って、嬉しくなった。
・『65歳で禁煙した人は平均余命がどのくらい延びる? 一方、65歳の一般人口の平均余命は19.5年、喫煙歴のない人は20.9年、喫煙者は15.1年、65歳で禁煙した人は16.8年。65歳時点で禁煙することにより、喫煙を続けた場合に比べて平均余命が1.7年延長し、1年長く生きられる確率が23.4%、4年長く生きられる確率が16.3%、6年長く生きられる確率が12.4%、8年長く生きられる確率が9.3%だった。 また、75歳の一般人口の平均余命は12.3年、喫煙歴のない人は13.4年、喫煙者は9.0年、75歳で禁煙した人は9.7年。75歳時点で禁煙することにより、喫煙を続けた場合に比べて平均余命が0.7年延長し、1年長く生きられる確率が14.2%、4年長く生きられる確率が7.9%、6年長く生きられる確率が5.1%、8年長く生きられる確率が3.1%だった。 論文の筆頭著者であるLe氏は、「過去10年間で、若者の喫煙率は著しく低下した。しかし、高齢者の喫煙率は変化が少ない」と述べるとともに、「われわれが知る限り、禁煙が高齢者にもメリットをもたらすことを立証した研究は過去にない。われわれは、喫煙をやめることがどの年齢でも有益であることを示し、喫煙習慣のある高齢者に禁煙の動機付けとしてほしかった」と研究背景を語っている。 論文の上席著者である同大学のKenneth Warner氏も、「高齢になってから禁煙することで得られるメリットは、絶対値としては低いように思えるかもしれないが、残されている寿命に大きな影響を与える」と述べている。(HealthDay News 2024年10月10日)』、私の禁煙はCOPD(慢性閉塞性肺疾患のためだったので、寿命が延びるのは副次的なメリットでしかない。もっとも、外出時にタバオが喫える場所を探すストレスがなくなったのも副次的なメリットの1つだ。
タグ:喫煙問題 (その4)(喫煙、肥満…「不健康な人が排除される社会」はなぜ生きづらいのか?【人気ナンバーワンSFブロガーが選ぶすごい本】、日本は異常な“加熱式たばこ先進国”に…「紙巻きたばこより健康的」に潜む欺瞞、高齢者の「今さら禁煙しても意味ない」はホント?→65歳で禁煙した人の「寿命」への影響が判明) ダイヤモンド・オンライン 冬木 糸一氏による「喫煙、肥満…「不健康な人が排除される社会」はなぜ生きづらいのか?【人気ナンバーワンSFブロガーが選ぶすごい本】」 「舞台となっているのは、〈大災禍〉と呼ばれる世界的な核戦争と、その余波が引き起こした災害によって大きく変質してしまった未来の社会。世界中に核弾頭が落ちた結果、放射能汚染によるがん発症が増え、突然変異による未知のウイルスも蔓延した。その反動として、政府を単位とする資本主義的消費社会から、人間の健康を第一に考える医療福祉社会へと世界は舵を切ることになる。 そのために用いられるのが、体内をかけめぐる医療用ナノマシンの存在だ。Watch Meと呼ばれる体内監視システムが、体の中で起こるRNA転写エラーや免疫異常の チェックを行い、問題があれば即座に治してしまう。 世界的な少子化による人口減少に伴い、この未来の世界における人間の肉体は希少なリソースとなっており、その人自身のものというよりも、もはや公共の所有物と見なされている。命と健康が大切にされすぎた社会では、自分の体を傷つけたり、ましてや自死を選んだりすることは許されない・・・そうした状況に不満を抱き、反旗をひるがえす人間も存在する。本作の中心人物である、霧慧トァン、御冷ミァハ、零下堂キアンの学生3人組がそうだ。現状にとりわけ大きな不満を抱くミァハの主導で、3人は 自死を決行しようとする。それは単純に自分の死を望んでというよりも、健康を至上とする社会へのテロリズムのような計画だった・・・少女たちが自死のためにとった手法は、消化器官の栄養吸収を阻害する特殊な錠剤を服用するというもの。しかし、そのプロセスを完遂できたのはミァハのみで、トァンとキアンは途中で人に止められるか、怖くなって自発的に思いとどまることで、ミァハに罪の意識を感じながらもその後の人生を生きていくことになる。 物語の主要な部分は、生き残った13年後のトァンの視点で進行していくが、その世界では健康への強迫 性がさらに増している。そして、なぜか人々が突然操られたかのように自死を遂げ、社会全体が大きな混乱に陥っていく」、なるほど。 「われわれが生きている社会がまさに、ここで描かれているような世界に近づきつつあるからだろう。 肥満体型の人間はだらしないとされ、痩せていることが素晴らしいとされる。喫煙者の存在は「わざわざ自分の健康を害する人々」として駆逐されつつある。『ハーモニー』の社会では肉体が徹底的な管理下に置かれているため、肥満状態の人間はおらず、デブという言葉も死語になっている。いかにもありそうな話ではないか。 本作で描かれる健康社会は、肉体ばかりでなく精神に対しても細かいケアを行う。生活の中では健康保護アプリケーションが活用さ ており、日々の行動からユーザーの嗜好を分析している。もし、文学や絵画などのコンテンツにユーザーが傷つきそうな表現があれば、勝手にフィルタリングするか、事前に警告してくれる・・・文学や絵画などのコンテンツにユーザーが傷つきそうな表現があれば、勝手にフィルタリングするか、事前に警告してくれる。「この作品はあなたの心的外傷に触れる危険性があります」というように。生活態度だけでなく表現にまで、より潔癖さが求められるのだ。適切なフィルタリングが与えられることは素晴らしいことではある。一方、フィルタリングが適用され、 「肉体も精神も健康でいることを強いられる」状況は息苦しいものだ。 ここで描かれていく社会は極端な形だが、われわれの社会がこうなってもおかしくはないのだ、ということは常に意識する必要がある。『ハーモニー』は、その事実を認識させてくれる作品だ」、究極の管理者愛で、ぞっとする。 窪田順生氏による「日本は異常な“加熱式たばこ先進国”に…「紙巻きたばこより健康的」に潜む欺瞞」 「なぜ日本は世界トップレベルの「加熱式たばこ先進国」になったのか。よく言われるのは、煙や臭いの問題が指摘されるようになり、紙巻きたばこが吸える場所が減ったことで切り替えたという説。もしくは、加熱式たばこも併用するという、いわゆる「デュアルユース」が進んだことだ。 ただ、たばこ企業も驚くほどの成功をおさめたのは、加熱式たばこが、喫煙者たちが抱える、次のような「悩み」の解決策になったことが大きい。 「最近、体の調子も悪いからたばこやめたいんだけど、これまで禁煙に成功したことないし、どうしたもんかねえ…」 つまり、「健康」を気にし始めたけれど、どうしてもやめられないというニコチン依存症ともいうべき人々の「受け皿」になっているのだ。それがうかがえる調査もある」、なるほど。 「「健康目的」の加熱式たばこへのスイッチはさらに進んでいく。なぜかというと、たばこメーカー、マスコミ、さらには政治までが一丸となって、この動きを後押しているからだ・・・「国民の健康とハームリダクションを考える研究会」も同様で加熱式たばこの増税に反対をしているほか、紙巻きたばこから加熱式たばこなどへの切り替えを促す「たばこハームリダクションの法制化」を掲げている。 このような動きを見る限り、世界トップレベルの「加熱式たばこ大国」の成長はしばらく続くだろう。ただ、不安材料は多い」、なるほど。 「海外で「紙巻きたばこからのハームリダクション」という取り組みの中で用いられるのはもっぱら「電子たばこ」だ。こちらは加熱式たばこのように「たばこの葉」は入っておらず、抽出したニコチンを吸引するだけなので有害物質が出ない。そのため、イギリスでは、日本の厚労省にあたるナショナル・ヘルス・サービスが、禁煙治療に「電子たばこ」を推奨している。 日本の医療政策に大きな影響力を持つ日本医師会も「たばこハームリダクション」に否定的だ」、なるほど。 「加熱式たばこより害の少ない電子たばこの規制を見直すというのが定石のはずだ。だが、なぜかそういう話にはならない。 世界の潮流に合わせて、電子たばこを普及させてしまうと誰が困るのか。日本の喫煙者たちがこぞって「加熱式たばこ」へスイッチすることで得をするのは誰なのか――。 あまり深く突っ込みすぎると、また多方面からきついおしかりを受けるので、この辺でやめておくが、「たばこハームリダクション」とやらの前に、まずはこういう「前時代的なムラ社会」からのハームリダクションを進めていただきたい」、その通りだ。 ヘルスデーニュース「高齢者の「今さら禁煙しても意味ない」はホント?→65歳で禁煙した人の「寿命」への影響が判明」 私もー昨年に禁煙したが、今さらという感じもあったが、やはりやってよかったということを知って、嬉しくなった。 私の禁煙はCOPD(慢性閉塞性肺疾患のためだったので、寿命が延びるのは副次的なメリットでしかない。もっとも、外出時にタバオが喫える場所を探すストレスがなくなったのも副次的なメリットの1つだ。