防衛問題(その24)(衝撃波で四肢切断 体表面が発火…日本人が知らない「ミサイル爆撃」の恐怖 避難対策は急務だ、【国防崩壊】たった1台の中国スパイドローンが丸裸にした“自衛隊の致命的弱点”、横須賀の護衛艦「いずも」に正体不明のドローンが接近…!自衛隊がそんな事態を防げない「驚きの理由」、ドローンの侵入でニッポンの空が機能不全になる…!脆弱すぎるこの国の「ヤバすぎる現実」、中国が「100機の水中自爆用ドローンを製造」…たった6本の海底ケーブル切断で「沖縄が完全に孤立化」中国軍のヤバすぎる封鎖計画、なぜこれほ
防衛問題については、本年3月27日に取上げた。今日は、(その24)(衝撃波で四肢切断 体表面が発火…日本人が知らない「ミサイル爆撃」の恐怖 避難対策は急務だ、【国防崩壊】たった1台の中国スパイドローンが丸裸にした“自衛隊の致命的弱点”、横須賀の護衛艦「いずも」に正体不明のドローンが接近…!自衛隊がそんな事態を防げない「驚きの理由」、ドローンの侵入でニッポンの空が機能不全になる…!脆弱すぎるこの国の「ヤバすぎる現実」、中国が「100機の水中自爆用ドローンを製造」…たった6本の海底ケーブル切断で「沖縄が完全に孤立化」中国軍のヤバすぎる封鎖計画、なぜこれほどまでの失態が…防衛省の前代未聞「200人大量処分」で明らかになった「組織的犯罪」の根本原因、「ハッキリ言って異常事態」海自掃海艇でまた火災 沈没事故が「起こるべくして起きた」ワケ)である。
先ずは、3月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した国防ジャーナリストで自衛官守る会代表の小笠原理恵氏による「衝撃波で四肢切断、体表面が発火…日本人が知らない「ミサイル爆撃」の恐怖、避難対策は急務だ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339864
・『都営地下鉄・麻布十番駅構内に攻撃に備えた「シェルター」を整備 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻、2023年10月に勃発したイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突。武力行使が行われている現場では病院や学校、教会などが攻撃を受け、女性や子供が犠牲になる事例も起きている。 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、ロシアによる軍事侵攻の開始から2024年1月末までに、ウクライナでは少なくとも市民1万378人が死亡。そのうち579人は18歳未満の子供だという。ひとたび軍事侵攻が始まれば多数の一般市民が犠牲になる。 今年1月26日、東京都の小池百合子都知事が記者会見で、都営地下鉄・麻布十番駅構内に弾道ミサイルに備えた「シェルター」を整備する方針を表明した。この麻布十番駅構内には既に都の防災倉庫も併設されている。2024年の予算案に2億円を計上して今後の構想を詰めていく。会見では、ミサイル攻撃だけでなく、首都圏直下型地震などからも都民を守るための施設として検討する方向性が示された』、「ミサイル攻撃だけでなく、首都圏直下型地震などからも都民を守るための施設として検討する方向性」、望ましいことだ。
・『ミサイルの爆発による具体的な身体への影響とは 首都直下型地震の恐怖は一般に強く認識されている。しかし、弾道ミサイルが着弾した時に人体が受ける損傷(爆傷)について知る人は少ない。ドラマや映画で爆撃シーンを見たことはあっても、現実の爆撃を目の当たりにした人は、日本ではほとんどいない。 ミサイルの爆発による爆傷は、距離、環境、条件によってさまざまに変化する。しかし、爆心に近いほど致命傷になる可能性が高いことは間違いない。 また、弾道ミサイルで起こる爆発の影響は、想像をはるかに超える。反応速度が音速未満の「爆燃」ではなく、音速を超える「爆轟(ばくごう)」の衝撃波はすさまじい。「爆轟」は急激な燃焼速度で熱膨張し、その圧力は10気圧を超える。弾道ミサイルの攻撃はどれほど恐ろしいのか。 『「自衛隊医療」現場の真実』の著者であり、元自衛隊の衛生幹部であったジャーナリストの照井資規氏が作成した下図を見ていただきたい。 図_爆発物と各爆傷との関係 図にある通り、爆心地の直下から順に5段階に分け、身体への影響について説明する。 (1)Primary(一次的要因) 爆心地直下あたりでは、衝撃波・爆風圧が身体の組織(主に肺、耳、消化器官などの空洞となっている場所)に伝わる。食道や胃、腸、気道や肺などの空洞のある内臓と、筋肉などの空洞のない場所では振動数が違う。この振動数の差により組織が引きちぎられる。 (2)Secondary(二次的要因) 爆発時に発生する破片(砲弾の弾殻などの物体)は秒速約4キロメートル以上に到達することもある。これにより、穿通性損傷(外傷により穴が開く損傷)と鈍的損傷(皮膚を貫通しない打撲)の両方が発生する。防弾チョッキやヘルメットがなければ重篤な外傷となる。 (3)Tertiary(三次的要因) 衝撃波による四肢の切断が起きる。爆風によって身体が吹き飛ばされ、地面や壁面へ衝突する。その時の損傷は構造物や路面などによって異なる。例えるなら、交通事故時に車外へ投げ出されたり、高所から転落したりした時の損傷に近い。 (4)Quaternary(四次的要因) 衝撃波による空気圧縮で体表面が発火する。爆風時に発生する火球による熱傷も同時に起きる。一般的熱傷と爆傷燃焼の違いは下図の通りだ。 図_一般的熱傷とIVQuaternary四次的要因爆傷熱傷の違い (照井資規氏提供) 拡大画像表示 この熱傷は爆心地直下の(1)から(3)までの地点で同時に起きる。爆風に伴う熱は3000℃~7000℃となり、吸入により気道や呼吸器に重度の熱傷を負う。その周辺に存在する物が燃焼することで、有毒ガスや煙、粉じんによる空気汚染も同時に発生する。 (5)Quinary(五次的要因) 爆発によって飛散する化学剤、生物剤、放射性物質による汚染(dirty bomb) 弾道ミサイルの燃料にはジメチルヒドラジンという有害物質が含まれている。遠距離引火性があり、蒸気の吸入で灼熱(しゃくねつ)感、吐き気、呼吸困難、胃けいれん、嘔吐(おうと)、息切れ、心不全、呼吸不全、肝臓壊死、肺水腫などを起こす。意図的に核汚染物質が拡散させられる場合もある。また、自爆テロリストが保有するB型肝炎ウイルスが爆発と共に飛散した場合、感染によるパンデミックを引き起こす脅威がある。
・『シェルターが普及するイギリスとイスラエル 地下鉄構内にガスマスクを備える韓国 1月2日のNHK報道によれば、2023年に北朝鮮が発射した弾道ミサイルは18回25発。過去2番目に多い発射回数となった(最多は2022年で、発射は31回59発)。 これほど具体的な軍事行動が続いているにもかかわらず、日本人の危機感は薄い。日本では核シェルターどころか通常能力型の弾道ミサイル攻撃へのシェルター設置がやっと始まったばかりだ。それに対し、他国の状況はどうなっているのだろうか。 イギリスでは1948年当時の民間防衛法に基づき、シェルター建造が地方自治体に義務付けられていた。その後も民間緊急事態法に基づき、防空シェルターや地下鉄シェルターが新たに設置されている。 イスラエルでは1992年改正の市民防衛法に基づき、公共シェルターや個人住宅への退避施設が多数建造されている。公共スペースには多人数収容可能な大型シェルター、個人宅には家庭用セーフルームがある。常にハマスからの軍事攻撃にさらされてきたイスラエルはシェルター設置に余念がない。 韓国では2023年8月、6年ぶりとなる全国一斉の空襲避難訓練が行われた。ソウル中心部でも信号が赤く点滅して交通規制が行われ、緊急車両の経路確保訓練が行われた。6年前までは毎年「民防衛訓練」の日が決められ、空襲サイレンが鳴り、一斉に車が止まり、市民が地下鉄や建物内に移動する。 戦争という緊急事態に備えて、全省庁や自治体、軍、警察、企業、そして市民が、自らの安全のために何をするのかを点検する日である。このような軍事攻撃に対する大がかりな避難訓練は日本にはない。 韓国の地下鉄は緊急時に使用する避難施設として、いつ空襲が起きても、毒ガスが放出されても、心配がないようにガスマスクが駅構内に設置されている(下の写真)。 ソウル市内の地下鉄駅構内にはガスマスクと酸素ボンベなどが置かれている また、空襲で電気が遮断された場合を想定しての懐中電灯、水、鼻や口を覆うコットンタオル、そして酸素ボンベが置かれている(下の写真)。韓国では軍人が中心になって、真っ暗になった地下鉄構内で市民を安全な場所へ誘導する準備ができている。 ソウル市内にある非常用懐中電灯設置棚 このように、当たり前のようにシェルターがある国は少なくない。国によっては、韓国のように、空襲を想定した必要物品を地下鉄や人通りの多い建物内に設置している。救命処置のためにAEDを置くように、武力攻撃時に使う物品を手に取れる場所に常備しなければ国民の命は救えないのだ。
・『ウクライナにある地下鉄駅の深度は実に100メートル超(日本各地でも、東京都に続き、シェルターの設置や武力攻撃時の避難場所として地下鉄などを指定する動きが始まっている。斉藤哲夫国土交通大臣も2月8日、弾道ミサイル攻撃に備えた地下鉄駅シェルター化にむけて鉄道事業者に協力の呼びかけを積極的に行うと述べた。 地下鉄は大半の爆風や衝撃波から身を守れる頑強な構造物だ。専用の地下シェルターを持たない場合は、地下鉄や共同溝など、すでに地下に造られた構造物の中から、想定される危険に対して十分な強度がある場所を選定するしかない。 兵器の進化は著しいが、その進化は建造物を破壊する力の大きさを競う方向ではなくなっている。地下や強固な建造物の中に潜んでいる要人や軍人を効果的に殺害することで戦争を有利に進めることを考えるようになった。 地上にある建造物をどれだけ破壊しても、その国の意思決定をつかさどる人物や軍人が生きていれば、周辺諸国から戦車や航空機、銃弾等が提供される。戦おうとする人がいれば、モノを破壊したところでモノの代わりは手に入るからだ。 そこで考えられたのが中性子爆弾である。中性子爆弾の破壊力は大きくないが、地下深くにいる人間にまでその放射線が到達するため、殺傷能力は高い。地下100メートルに潜む人すら殺害することができる。 (図_日本とウクライナ、地下鉄の深さの比較はリンク先参照) 上図の通り、ウクライナの首都キーウにあるアルセナーリナ駅の深度は実に105.5メートル。日本では大江戸線の六本木駅や千代田線の国会議事堂前駅もかなり深いが、比較にならない。 日本はまだまだ本気度が足りない。やらなければならないことは山ほどある。核兵器に囲まれた日本はリスクが最も高い国の一つだ。爆撃の恐ろしさを知り、それから身を守るために何が必要か、何を準備しなければならないか。私たちは真剣にこの問題に取り組まないといけないところに来ている。 (国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表 小笠原理恵)』、「核兵器に囲まれた日本はリスクが最も高い国の一つだ。爆撃の恐ろしさを知り、それから身を守るために何が必要か、何を準備しなければならないか。私たちは真剣にこの問題に取り組まないといけないところに来ている・・・日本はまだまだ本気度が足りない。やらなければならないことは山ほどある」、時間的にゆとりがある今こそ済々とやるべきおとを整理して、取り組むべきだ。
次に、4月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「【国防崩壊】たった1台の中国スパイドローンが丸裸にした“自衛隊の致命的弱点”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/342295
・『戦争が始まれば、他国のドローン攻撃によって日本の自衛隊はたちどころに機能停止に追い込まれるかもしれないーー。海上自衛隊の護衛艦「いずも」を中国スパイドローンが模擬攻撃する動画が物議を醸した。この記事では、動画の真偽を検証するとともに、本件によって明らかとなった自衛隊の「組織的な欠陥」と「致命的な弱点」について分析した。 海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローン(無人機)で撮影したとされる動画が交流サイト(SNS)上で拡散されている。映像は当初中国の動画共有サービス『Bilibili』に「我开飞机降落日本航母(不是游戏!!!」(私は飛行機を操縦して、日本の空母に着艦した。ゲームにあらず!!!)というタイトルで掲載され、その後、日本に広まった。 動画は19秒ほどで、ドローンが護衛艦いずもを後部甲板から前部甲板へ飛行し、撮影をしている内容だ。 護衛艦「いずも」は、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦、いわゆる「ヘリ空母」と呼ばれているものだ。全長は248メートル、乗員は最大520名。海上自衛隊で1番大型の艦艇(軍艦)であることから、海上自衛隊にとって象徴的な存在になっている。現在、F-35B戦闘機が離着陸できるように改修を進めていて、2026年度中にも実体上は空母になるという。 そんな海上自衛隊のシンボルである「いずも」をドローンで撮影されたことは、中国でも大きな話題になり、日本では「フェイク動画」ではないのかなどと、真贋が取り沙汰されている。もし事実なら、日本の防衛力の実態が中国のスパイドローンによって簡単にいつでも丸裸にされ、攻撃されかねない事実を白日のもとに晒される事態だ。
安全保障アナリストで慶應義塾大学SFC研究所上席所員の部谷直亮(ひだに・なおあき)氏はこう警告する。) 「少量の爆薬でもイージス艦のSPYレーダーといった機能を停止させたり、パトリオットミサイルのレーダーシステムを損傷させることは可能だ。航空自衛隊や民間空港の滑走路にマキビシをバラまいて機能停止に追い込むことも可能だ」 動画が真実ならばその懸念が具体化したことになる。 こうした事態を受け、木原稔防衛相と海上自衛隊の酒井良海上幕僚長は、4月2日の記者会見で、「悪意をもって加工、捏造(ねつぞう)されたものである可能性を含め、現在分析中」(木原防衛大臣)、「不自然な点はあると思うが判断しかねる」(酒井海上幕僚長)と述べた。政府が先頭に立って、動画はフェイクだ、捏造だ、不自然だと印象操作しているわけで、実際、マスメディアの見出しは『護衛艦いずもドローン映像 「捏造の可能性」木原防衛相』というものとなった。だが本当にそうなのだろうか。「そうであってほしい」「そうでなくてはダメだ」などという願望が目を曇らせてはいないだろうか。 フェイク説を唱える有識者が、最大の根拠としているのは、動画に映し出された艦尾の艦番号である。 <軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「いずもの艦番号は183なんですが、船の甲板にはその下2桁の83が必ず記されている。(映像の船には)8はあるが、3は書かれていない」/問題の映像に映った、船の甲板に書かれた「8」という数字。/一方、本物の「いずも」の甲板には「83」と記されていた。/こうしたことから専門家は、AI(人工知能)で作られたものではないかと推測する。/軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「わたしはフェイク…まがいものの可能性が高いとみています」>(FNNプラインオンライン『【物議】海上自衛隊護衛艦「いずも」を“ドローン撮影”か 中国SNSに映像が投稿 映像には“違和感”…AIによるフェイク?』4月1日) その後も彼は艦番号に3がないことを強調し、これをフェイクの根拠としている(Twitter投稿)。 こうした見立てと違う立場をとるのが、先述の部谷氏の文春オンラインの論考での指摘だ。) 「2024年2~3月のいずもを撮影したとされるSNSに流布している画像を確認すると、83の文字は薄くなっているが、8の方が若干濃くなっている。マスメディアが空撮したものでは、管見の限りではもっとも最新となる昨年12月1日時点の朝日新聞社が撮影したいずもも8が若干濃くなっている。『3』の数字が書かれていないというが、これは第1次改装前のいずもであって、改装後に文字は薄れている。ドローンで撮影されたものは、最近の『いずも』の状態に一致している」 部谷氏は、さらに「この指摘は4月14日に一般公開された護衛艦いずもを撮影した一般人の数々の画像をみれば『8』だけが濃い」と指摘する。高橋氏の指摘こそが都合の良い写り方を切り抜いたフェイクだとよくわかるというのだ。X上には、部谷氏の指摘を裏付けるような画像が多い。 例えば、こちらのX上の投稿だ。 他にも、デイリー新潮『中国のスパイドローンが「護衛艦いずも」を撮影? SNSで拡散する動画に専門家は「飛行甲板に注目すべき」』(4月9日)では、ドローンの出す音について着目し、これがフェイクである根拠と指摘している。 <軍事ジャーナリストは「私も動画を見ましたが、フェイク動画の可能性が高いと思います」と言う。/「まず、報道に至るまでの経緯が重要でしょう。ドローンを操縦したことがある人ならご存じだと思いますが、飛行時は結構な音がします。あの動画が実際に撮影されたものなら、いずもの乗組員や基地の隊員は音などの異変に気づいたはずです。さらに航空法違反は明確ですし、海上自衛隊の護衛艦の上を飛んだという事実は看過できませんから、海自か神奈川県警がドローンの飛来を広報し、それを日本のメディアが報じたはずです」> <「私が注目したいのは飛行甲板です。実際の甲板は、もう少し汚れています。動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか。甲板に乗組員の姿が全く映っていないのも疑問です。もし本当にドローンが撮影したのであれば、少なくとも1人か2人の乗組員がドローンに気づく様子が納められたはずです」(同・軍事ジャーナリスト)> 新潮記事に登場する軍事ジャーナリストが誰なのかがわからないが、ドローンは結構な音がする?というのは、筆者は疑問を持つ。ウクライナ戦争において、ドローンがうるさく近づけば気づかれるような代物であったとすれば、あれほどの戦果をあげることなどできるのだろうか。ドローンとAIを活用した課題解決の実績もあり雑誌Wedgeなどにも寄稿しているハッカーの量産型カスタム氏にその点を尋ねた。 「例えば日本でも入手しやすいDJIなど市販ドローンは、ある程度の高度に達すると騒音の少ない山間部でも気が付かないくらい静かに飛行ができます。ましてや市街地に隣接する『いずも』付近は高速道路などがあるためさらに気が付きにくいはずです。ドローンを操縦したことがある人なら、わかるはずなんですが……。『動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか』という指摘も、市販のドローンの性能を理解した上で操縦や空撮の経験があれば、このような疑問は持たないはず」 として、量産型カスタム氏は、筆者に対してDIJドローンの最新機能が検証されたURL(『Vol.59 驚きの飛行性能&高画質!Mavic 3の映像を検証する・中編 [Reviews]』)を示した。そこには、静音性が向上していること、カメラの機能が高く、広角撮影が可能であること、さらに内蔵補正機能やDJIのアプリケーションによる画質や色の補正もできることが示されていた。他にも、 <飛ばしていて気づいたのですが、バッテリーがとにかくモチます!> <着陸がかなわない連続撮影(電車・バス等の撮影待機、30分以内の花火大会など)などで重宝しそうです> <色補正を加えることで通常撮影時よりも表現力の高い映像に仕上げることができます> これらファクトを総合して考えるにやはり動画のフェイク説は説得力に欠ける。 量産型カスタム氏が続ける。「もし生成AIによるフェイク動画と主張するのであれば同じような品質の動画を作り再現する必要があります。自らが再現できないものを出来ると言い張るのは、軍事ジャーナリストだろうと学者だろうと無責任で技術を論ずる資格すらなく信用してはいけません…まあ今回に限らずですけどね」 となれば、今回の問題の本質は何なのか。部谷氏に見解を聞いた。) 「防衛省自衛隊は、情報戦に自滅しています。映像公開から2週間以上が経過しているにもかかわらず、それに対する対応に失敗しています。まず初手で海幕長が4月2日に飛行甲板上に艦番号は必ず記載しているとしながら、翌日には不記載が標準としましたが、これは海幕長と海幕が所属艦艇の状態を把握できないまま、希望的観測で発言したことを示してしまった大失態でした。 しかも、海幕はこの件に関する世論を全くコントロールできていません。犯人を名乗る人物がXアカウントを開設し、次々と高画質の米空母やいずもの写真を公開して真実性を増す中、2週間以上が経過しても「分析中」を繰り返すだけの受け身です。たかが一動画に対してこのありさまでは、自衛隊の分析能力の低さ、そして、もはや一般的でもある生成AIを利用した動画生成への理解にすらないのかと国内外から疑いの目を向けられかねない状況です。 これは今回の動画が仮にフェイクであっても変わらない大きな失点です。戦略3文書では外国からの情報戦に対抗し、戦略的コミュニケーションで対抗すると強調していたのに、それがまったく実践できていないからです。昨年の銃乱射事件でも、能登半島地震でも自衛隊は組織的な不利な言説に対し、逆効果となる個別反論を繰り返すだけで、戦略的及び作戦的な情報戦を展開できていません。有事が近づけば、この手の動画が頻出することは間違いありませんが、その際もこのような対応を取るのでしょうか? そして警備上も大きな問題が示されたことはいうまでもありません。実は自衛隊施設へのドローンの侵入は日常茶飯事となっており、それに対し何ら有効な能力を発揮できていません。電波法によって貧弱な探知及び射程の短い妨害能力しかない対ドローン機材しか持たず、その配備も遅れており、法的権限も不足しています。 韓国は北朝鮮のドローン部隊のソウル侵入を契機に、全軍のドローンを一元指揮するドローン司令部を創設し、ドローン対処訓練を公開で行う等、巻き返しています。日本もこれを奇貨として韓国軍の取り組みに見習うべきです」 現状の日本では、ドローンによる攻撃を受けたとしても、防衛する手段は脆弱だ。このままでは自衛隊は開戦即崩壊という憂き目にあいかねないと危惧している。 今回の動画をすぐにフェイクだと決めつけたり、何も心配する必要がないと主張するのは避けるべきだ。むしろ、この動画を大切な警告として受け止め、自衛隊の警戒を強め、能力を向上させることで、しっかりと対応している姿を見せることが、抑止力を強化する方法である』、「現状の日本では、ドローンによる攻撃を受けたとしても、防衛する手段は脆弱だ。このままでは自衛隊は開戦即崩壊という憂き目にあいかねないと危惧している。 今回の動画をすぐにフェイクだと決めつけたり、何も心配する必要がないと主張するのは避けるべきだ。むしろ、この動画を大切な警告として受け止め、自衛隊の警戒を強め、能力を向上させることで、しっかりと対応している姿を見せることが、抑止力を強化する方法である」、その通りだ。
第三に、
先ずは、3月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した国防ジャーナリストで自衛官守る会代表の小笠原理恵氏による「衝撃波で四肢切断、体表面が発火…日本人が知らない「ミサイル爆撃」の恐怖、避難対策は急務だ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339864
・『都営地下鉄・麻布十番駅構内に攻撃に備えた「シェルター」を整備 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻、2023年10月に勃発したイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突。武力行使が行われている現場では病院や学校、教会などが攻撃を受け、女性や子供が犠牲になる事例も起きている。 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、ロシアによる軍事侵攻の開始から2024年1月末までに、ウクライナでは少なくとも市民1万378人が死亡。そのうち579人は18歳未満の子供だという。ひとたび軍事侵攻が始まれば多数の一般市民が犠牲になる。 今年1月26日、東京都の小池百合子都知事が記者会見で、都営地下鉄・麻布十番駅構内に弾道ミサイルに備えた「シェルター」を整備する方針を表明した。この麻布十番駅構内には既に都の防災倉庫も併設されている。2024年の予算案に2億円を計上して今後の構想を詰めていく。会見では、ミサイル攻撃だけでなく、首都圏直下型地震などからも都民を守るための施設として検討する方向性が示された』、「ミサイル攻撃だけでなく、首都圏直下型地震などからも都民を守るための施設として検討する方向性」、望ましいことだ。
・『ミサイルの爆発による具体的な身体への影響とは 首都直下型地震の恐怖は一般に強く認識されている。しかし、弾道ミサイルが着弾した時に人体が受ける損傷(爆傷)について知る人は少ない。ドラマや映画で爆撃シーンを見たことはあっても、現実の爆撃を目の当たりにした人は、日本ではほとんどいない。 ミサイルの爆発による爆傷は、距離、環境、条件によってさまざまに変化する。しかし、爆心に近いほど致命傷になる可能性が高いことは間違いない。 また、弾道ミサイルで起こる爆発の影響は、想像をはるかに超える。反応速度が音速未満の「爆燃」ではなく、音速を超える「爆轟(ばくごう)」の衝撃波はすさまじい。「爆轟」は急激な燃焼速度で熱膨張し、その圧力は10気圧を超える。弾道ミサイルの攻撃はどれほど恐ろしいのか。 『「自衛隊医療」現場の真実』の著者であり、元自衛隊の衛生幹部であったジャーナリストの照井資規氏が作成した下図を見ていただきたい。 図_爆発物と各爆傷との関係 図にある通り、爆心地の直下から順に5段階に分け、身体への影響について説明する。 (1)Primary(一次的要因) 爆心地直下あたりでは、衝撃波・爆風圧が身体の組織(主に肺、耳、消化器官などの空洞となっている場所)に伝わる。食道や胃、腸、気道や肺などの空洞のある内臓と、筋肉などの空洞のない場所では振動数が違う。この振動数の差により組織が引きちぎられる。 (2)Secondary(二次的要因) 爆発時に発生する破片(砲弾の弾殻などの物体)は秒速約4キロメートル以上に到達することもある。これにより、穿通性損傷(外傷により穴が開く損傷)と鈍的損傷(皮膚を貫通しない打撲)の両方が発生する。防弾チョッキやヘルメットがなければ重篤な外傷となる。 (3)Tertiary(三次的要因) 衝撃波による四肢の切断が起きる。爆風によって身体が吹き飛ばされ、地面や壁面へ衝突する。その時の損傷は構造物や路面などによって異なる。例えるなら、交通事故時に車外へ投げ出されたり、高所から転落したりした時の損傷に近い。 (4)Quaternary(四次的要因) 衝撃波による空気圧縮で体表面が発火する。爆風時に発生する火球による熱傷も同時に起きる。一般的熱傷と爆傷燃焼の違いは下図の通りだ。 図_一般的熱傷とIVQuaternary四次的要因爆傷熱傷の違い (照井資規氏提供) 拡大画像表示 この熱傷は爆心地直下の(1)から(3)までの地点で同時に起きる。爆風に伴う熱は3000℃~7000℃となり、吸入により気道や呼吸器に重度の熱傷を負う。その周辺に存在する物が燃焼することで、有毒ガスや煙、粉じんによる空気汚染も同時に発生する。 (5)Quinary(五次的要因) 爆発によって飛散する化学剤、生物剤、放射性物質による汚染(dirty bomb) 弾道ミサイルの燃料にはジメチルヒドラジンという有害物質が含まれている。遠距離引火性があり、蒸気の吸入で灼熱(しゃくねつ)感、吐き気、呼吸困難、胃けいれん、嘔吐(おうと)、息切れ、心不全、呼吸不全、肝臓壊死、肺水腫などを起こす。意図的に核汚染物質が拡散させられる場合もある。また、自爆テロリストが保有するB型肝炎ウイルスが爆発と共に飛散した場合、感染によるパンデミックを引き起こす脅威がある。
・『シェルターが普及するイギリスとイスラエル 地下鉄構内にガスマスクを備える韓国 1月2日のNHK報道によれば、2023年に北朝鮮が発射した弾道ミサイルは18回25発。過去2番目に多い発射回数となった(最多は2022年で、発射は31回59発)。 これほど具体的な軍事行動が続いているにもかかわらず、日本人の危機感は薄い。日本では核シェルターどころか通常能力型の弾道ミサイル攻撃へのシェルター設置がやっと始まったばかりだ。それに対し、他国の状況はどうなっているのだろうか。 イギリスでは1948年当時の民間防衛法に基づき、シェルター建造が地方自治体に義務付けられていた。その後も民間緊急事態法に基づき、防空シェルターや地下鉄シェルターが新たに設置されている。 イスラエルでは1992年改正の市民防衛法に基づき、公共シェルターや個人住宅への退避施設が多数建造されている。公共スペースには多人数収容可能な大型シェルター、個人宅には家庭用セーフルームがある。常にハマスからの軍事攻撃にさらされてきたイスラエルはシェルター設置に余念がない。 韓国では2023年8月、6年ぶりとなる全国一斉の空襲避難訓練が行われた。ソウル中心部でも信号が赤く点滅して交通規制が行われ、緊急車両の経路確保訓練が行われた。6年前までは毎年「民防衛訓練」の日が決められ、空襲サイレンが鳴り、一斉に車が止まり、市民が地下鉄や建物内に移動する。 戦争という緊急事態に備えて、全省庁や自治体、軍、警察、企業、そして市民が、自らの安全のために何をするのかを点検する日である。このような軍事攻撃に対する大がかりな避難訓練は日本にはない。 韓国の地下鉄は緊急時に使用する避難施設として、いつ空襲が起きても、毒ガスが放出されても、心配がないようにガスマスクが駅構内に設置されている(下の写真)。 ソウル市内の地下鉄駅構内にはガスマスクと酸素ボンベなどが置かれている また、空襲で電気が遮断された場合を想定しての懐中電灯、水、鼻や口を覆うコットンタオル、そして酸素ボンベが置かれている(下の写真)。韓国では軍人が中心になって、真っ暗になった地下鉄構内で市民を安全な場所へ誘導する準備ができている。 ソウル市内にある非常用懐中電灯設置棚 このように、当たり前のようにシェルターがある国は少なくない。国によっては、韓国のように、空襲を想定した必要物品を地下鉄や人通りの多い建物内に設置している。救命処置のためにAEDを置くように、武力攻撃時に使う物品を手に取れる場所に常備しなければ国民の命は救えないのだ。
・『ウクライナにある地下鉄駅の深度は実に100メートル超(日本各地でも、東京都に続き、シェルターの設置や武力攻撃時の避難場所として地下鉄などを指定する動きが始まっている。斉藤哲夫国土交通大臣も2月8日、弾道ミサイル攻撃に備えた地下鉄駅シェルター化にむけて鉄道事業者に協力の呼びかけを積極的に行うと述べた。 地下鉄は大半の爆風や衝撃波から身を守れる頑強な構造物だ。専用の地下シェルターを持たない場合は、地下鉄や共同溝など、すでに地下に造られた構造物の中から、想定される危険に対して十分な強度がある場所を選定するしかない。 兵器の進化は著しいが、その進化は建造物を破壊する力の大きさを競う方向ではなくなっている。地下や強固な建造物の中に潜んでいる要人や軍人を効果的に殺害することで戦争を有利に進めることを考えるようになった。 地上にある建造物をどれだけ破壊しても、その国の意思決定をつかさどる人物や軍人が生きていれば、周辺諸国から戦車や航空機、銃弾等が提供される。戦おうとする人がいれば、モノを破壊したところでモノの代わりは手に入るからだ。 そこで考えられたのが中性子爆弾である。中性子爆弾の破壊力は大きくないが、地下深くにいる人間にまでその放射線が到達するため、殺傷能力は高い。地下100メートルに潜む人すら殺害することができる。 (図_日本とウクライナ、地下鉄の深さの比較はリンク先参照) 上図の通り、ウクライナの首都キーウにあるアルセナーリナ駅の深度は実に105.5メートル。日本では大江戸線の六本木駅や千代田線の国会議事堂前駅もかなり深いが、比較にならない。 日本はまだまだ本気度が足りない。やらなければならないことは山ほどある。核兵器に囲まれた日本はリスクが最も高い国の一つだ。爆撃の恐ろしさを知り、それから身を守るために何が必要か、何を準備しなければならないか。私たちは真剣にこの問題に取り組まないといけないところに来ている。 (国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表 小笠原理恵)』、「核兵器に囲まれた日本はリスクが最も高い国の一つだ。爆撃の恐ろしさを知り、それから身を守るために何が必要か、何を準備しなければならないか。私たちは真剣にこの問題に取り組まないといけないところに来ている・・・日本はまだまだ本気度が足りない。やらなければならないことは山ほどある」、時間的にゆとりがある今こそ済々とやるべきおとを整理して、取り組むべきだ。
次に、4月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「【国防崩壊】たった1台の中国スパイドローンが丸裸にした“自衛隊の致命的弱点”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/342295
・『戦争が始まれば、他国のドローン攻撃によって日本の自衛隊はたちどころに機能停止に追い込まれるかもしれないーー。海上自衛隊の護衛艦「いずも」を中国スパイドローンが模擬攻撃する動画が物議を醸した。この記事では、動画の真偽を検証するとともに、本件によって明らかとなった自衛隊の「組織的な欠陥」と「致命的な弱点」について分析した。 海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローン(無人機)で撮影したとされる動画が交流サイト(SNS)上で拡散されている。映像は当初中国の動画共有サービス『Bilibili』に「我开飞机降落日本航母(不是游戏!!!」(私は飛行機を操縦して、日本の空母に着艦した。ゲームにあらず!!!)というタイトルで掲載され、その後、日本に広まった。 動画は19秒ほどで、ドローンが護衛艦いずもを後部甲板から前部甲板へ飛行し、撮影をしている内容だ。 護衛艦「いずも」は、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦、いわゆる「ヘリ空母」と呼ばれているものだ。全長は248メートル、乗員は最大520名。海上自衛隊で1番大型の艦艇(軍艦)であることから、海上自衛隊にとって象徴的な存在になっている。現在、F-35B戦闘機が離着陸できるように改修を進めていて、2026年度中にも実体上は空母になるという。 そんな海上自衛隊のシンボルである「いずも」をドローンで撮影されたことは、中国でも大きな話題になり、日本では「フェイク動画」ではないのかなどと、真贋が取り沙汰されている。もし事実なら、日本の防衛力の実態が中国のスパイドローンによって簡単にいつでも丸裸にされ、攻撃されかねない事実を白日のもとに晒される事態だ。
安全保障アナリストで慶應義塾大学SFC研究所上席所員の部谷直亮(ひだに・なおあき)氏はこう警告する。) 「少量の爆薬でもイージス艦のSPYレーダーといった機能を停止させたり、パトリオットミサイルのレーダーシステムを損傷させることは可能だ。航空自衛隊や民間空港の滑走路にマキビシをバラまいて機能停止に追い込むことも可能だ」 動画が真実ならばその懸念が具体化したことになる。 こうした事態を受け、木原稔防衛相と海上自衛隊の酒井良海上幕僚長は、4月2日の記者会見で、「悪意をもって加工、捏造(ねつぞう)されたものである可能性を含め、現在分析中」(木原防衛大臣)、「不自然な点はあると思うが判断しかねる」(酒井海上幕僚長)と述べた。政府が先頭に立って、動画はフェイクだ、捏造だ、不自然だと印象操作しているわけで、実際、マスメディアの見出しは『護衛艦いずもドローン映像 「捏造の可能性」木原防衛相』というものとなった。だが本当にそうなのだろうか。「そうであってほしい」「そうでなくてはダメだ」などという願望が目を曇らせてはいないだろうか。 フェイク説を唱える有識者が、最大の根拠としているのは、動画に映し出された艦尾の艦番号である。 <軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「いずもの艦番号は183なんですが、船の甲板にはその下2桁の83が必ず記されている。(映像の船には)8はあるが、3は書かれていない」/問題の映像に映った、船の甲板に書かれた「8」という数字。/一方、本物の「いずも」の甲板には「83」と記されていた。/こうしたことから専門家は、AI(人工知能)で作られたものではないかと推測する。/軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「わたしはフェイク…まがいものの可能性が高いとみています」>(FNNプラインオンライン『【物議】海上自衛隊護衛艦「いずも」を“ドローン撮影”か 中国SNSに映像が投稿 映像には“違和感”…AIによるフェイク?』4月1日) その後も彼は艦番号に3がないことを強調し、これをフェイクの根拠としている(Twitter投稿)。 こうした見立てと違う立場をとるのが、先述の部谷氏の文春オンラインの論考での指摘だ。) 「2024年2~3月のいずもを撮影したとされるSNSに流布している画像を確認すると、83の文字は薄くなっているが、8の方が若干濃くなっている。マスメディアが空撮したものでは、管見の限りではもっとも最新となる昨年12月1日時点の朝日新聞社が撮影したいずもも8が若干濃くなっている。『3』の数字が書かれていないというが、これは第1次改装前のいずもであって、改装後に文字は薄れている。ドローンで撮影されたものは、最近の『いずも』の状態に一致している」 部谷氏は、さらに「この指摘は4月14日に一般公開された護衛艦いずもを撮影した一般人の数々の画像をみれば『8』だけが濃い」と指摘する。高橋氏の指摘こそが都合の良い写り方を切り抜いたフェイクだとよくわかるというのだ。X上には、部谷氏の指摘を裏付けるような画像が多い。 例えば、こちらのX上の投稿だ。 他にも、デイリー新潮『中国のスパイドローンが「護衛艦いずも」を撮影? SNSで拡散する動画に専門家は「飛行甲板に注目すべき」』(4月9日)では、ドローンの出す音について着目し、これがフェイクである根拠と指摘している。 <軍事ジャーナリストは「私も動画を見ましたが、フェイク動画の可能性が高いと思います」と言う。/「まず、報道に至るまでの経緯が重要でしょう。ドローンを操縦したことがある人ならご存じだと思いますが、飛行時は結構な音がします。あの動画が実際に撮影されたものなら、いずもの乗組員や基地の隊員は音などの異変に気づいたはずです。さらに航空法違反は明確ですし、海上自衛隊の護衛艦の上を飛んだという事実は看過できませんから、海自か神奈川県警がドローンの飛来を広報し、それを日本のメディアが報じたはずです」> <「私が注目したいのは飛行甲板です。実際の甲板は、もう少し汚れています。動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか。甲板に乗組員の姿が全く映っていないのも疑問です。もし本当にドローンが撮影したのであれば、少なくとも1人か2人の乗組員がドローンに気づく様子が納められたはずです」(同・軍事ジャーナリスト)> 新潮記事に登場する軍事ジャーナリストが誰なのかがわからないが、ドローンは結構な音がする?というのは、筆者は疑問を持つ。ウクライナ戦争において、ドローンがうるさく近づけば気づかれるような代物であったとすれば、あれほどの戦果をあげることなどできるのだろうか。ドローンとAIを活用した課題解決の実績もあり雑誌Wedgeなどにも寄稿しているハッカーの量産型カスタム氏にその点を尋ねた。 「例えば日本でも入手しやすいDJIなど市販ドローンは、ある程度の高度に達すると騒音の少ない山間部でも気が付かないくらい静かに飛行ができます。ましてや市街地に隣接する『いずも』付近は高速道路などがあるためさらに気が付きにくいはずです。ドローンを操縦したことがある人なら、わかるはずなんですが……。『動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか』という指摘も、市販のドローンの性能を理解した上で操縦や空撮の経験があれば、このような疑問は持たないはず」 として、量産型カスタム氏は、筆者に対してDIJドローンの最新機能が検証されたURL(『Vol.59 驚きの飛行性能&高画質!Mavic 3の映像を検証する・中編 [Reviews]』)を示した。そこには、静音性が向上していること、カメラの機能が高く、広角撮影が可能であること、さらに内蔵補正機能やDJIのアプリケーションによる画質や色の補正もできることが示されていた。他にも、 <飛ばしていて気づいたのですが、バッテリーがとにかくモチます!> <着陸がかなわない連続撮影(電車・バス等の撮影待機、30分以内の花火大会など)などで重宝しそうです> <色補正を加えることで通常撮影時よりも表現力の高い映像に仕上げることができます> これらファクトを総合して考えるにやはり動画のフェイク説は説得力に欠ける。 量産型カスタム氏が続ける。「もし生成AIによるフェイク動画と主張するのであれば同じような品質の動画を作り再現する必要があります。自らが再現できないものを出来ると言い張るのは、軍事ジャーナリストだろうと学者だろうと無責任で技術を論ずる資格すらなく信用してはいけません…まあ今回に限らずですけどね」 となれば、今回の問題の本質は何なのか。部谷氏に見解を聞いた。) 「防衛省自衛隊は、情報戦に自滅しています。映像公開から2週間以上が経過しているにもかかわらず、それに対する対応に失敗しています。まず初手で海幕長が4月2日に飛行甲板上に艦番号は必ず記載しているとしながら、翌日には不記載が標準としましたが、これは海幕長と海幕が所属艦艇の状態を把握できないまま、希望的観測で発言したことを示してしまった大失態でした。 しかも、海幕はこの件に関する世論を全くコントロールできていません。犯人を名乗る人物がXアカウントを開設し、次々と高画質の米空母やいずもの写真を公開して真実性を増す中、2週間以上が経過しても「分析中」を繰り返すだけの受け身です。たかが一動画に対してこのありさまでは、自衛隊の分析能力の低さ、そして、もはや一般的でもある生成AIを利用した動画生成への理解にすらないのかと国内外から疑いの目を向けられかねない状況です。 これは今回の動画が仮にフェイクであっても変わらない大きな失点です。戦略3文書では外国からの情報戦に対抗し、戦略的コミュニケーションで対抗すると強調していたのに、それがまったく実践できていないからです。昨年の銃乱射事件でも、能登半島地震でも自衛隊は組織的な不利な言説に対し、逆効果となる個別反論を繰り返すだけで、戦略的及び作戦的な情報戦を展開できていません。有事が近づけば、この手の動画が頻出することは間違いありませんが、その際もこのような対応を取るのでしょうか? そして警備上も大きな問題が示されたことはいうまでもありません。実は自衛隊施設へのドローンの侵入は日常茶飯事となっており、それに対し何ら有効な能力を発揮できていません。電波法によって貧弱な探知及び射程の短い妨害能力しかない対ドローン機材しか持たず、その配備も遅れており、法的権限も不足しています。 韓国は北朝鮮のドローン部隊のソウル侵入を契機に、全軍のドローンを一元指揮するドローン司令部を創設し、ドローン対処訓練を公開で行う等、巻き返しています。日本もこれを奇貨として韓国軍の取り組みに見習うべきです」 現状の日本では、ドローンによる攻撃を受けたとしても、防衛する手段は脆弱だ。このままでは自衛隊は開戦即崩壊という憂き目にあいかねないと危惧している。 今回の動画をすぐにフェイクだと決めつけたり、何も心配する必要がないと主張するのは避けるべきだ。むしろ、この動画を大切な警告として受け止め、自衛隊の警戒を強め、能力を向上させることで、しっかりと対応している姿を見せることが、抑止力を強化する方法である』、「現状の日本では、ドローンによる攻撃を受けたとしても、防衛する手段は脆弱だ。このままでは自衛隊は開戦即崩壊という憂き目にあいかねないと危惧している。 今回の動画をすぐにフェイクだと決めつけたり、何も心配する必要がないと主張するのは避けるべきだ。むしろ、この動画を大切な警告として受け止め、自衛隊の警戒を強め、能力を向上させることで、しっかりと対応している姿を見せることが、抑止力を強化する方法である」、その通りだ。
第三に、