SSブログ

防衛問題(その17)(自衛隊とは大違い 米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない、コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…) [国内政治]

防衛問題については5月11日に取上げた。今日は、(その17)(自衛隊とは大違い 米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない、コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…)である。

先ずは、5月6日付けJBPressが掲載した軍事社会学者の北村 淳氏による「自衛隊とは大違い、米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65176
・『トランプ政権時代にアメリカの国防戦略が大転換され、中国とロシアを筆頭とする軍事強国がアメリカ軍にとっての主たる仮想敵として位置づけられた。 それを受けてアメリカ海兵隊も、基本戦略の徹底的な見直しを基に昨年(2020年)3月末に公表された「フォースデザイン2030」というガイドラインに準拠して、組織全体にわたる抜本的大改革を開始した』、「国防戦略が大転換」に伴って、「海兵隊も、基本戦略の徹底的な見直し」をしたのは、さすがだ。日本のように古びた戦略にしがみつくのはいただけない。
・『順調に進展し始めた大改革  このほどこの組織改革努力が1年経過したため、その進捗具合と修正検討事項などが公表された(『フォースデザイン2030 年次更新』)。) それによると、戦車部隊(M1戦車を400両ほど保有していた)の全廃、重砲(M777 155mm牽引式榴弾砲)部隊の大削減、憲兵隊の全廃、といった大削減計画は順調に進展しており、すでに米海兵隊から戦車は姿を消してしまった。 自ら身を切る大削減の一方で、全く新しい部隊の編成と育成も急ピッチで進んでいる。 それは「海兵沿岸連隊」と呼ばれる戦闘部隊で、地上から沖合の艦艇を攻撃する長射程ロケット砲システムや地対艦ミサイルシステムを保有し、自らを敵のミサイル攻撃や航空機攻撃から守るための防空ミサイルシステムも備えた、海兵隊にとっては全く新機軸の部隊である。今なおハワイで実験的育成中であるが、順調に建設が進んでおり、間もなく本格的に部隊を追加していき、沖縄を中心に実戦配備が開始されることになる。 米海兵隊でこのような大改革が進められているのは、海兵隊の主たる仮想敵がこれまで四半世紀にわたって戦闘を続けてきたテロリスト集団から「中国人民解放軍の海洋戦力」という先進兵器で武装した正規軍へと転換され、想定される戦域が南シナ海や東シナ海の島嶼や第一列島線上の沿岸地帯ということになったためである。つまりこれまでの海兵隊では戦闘にならなくなってしまったということだ』、「主たる仮想敵が」、「テロリスト集団から「中国人民解放軍の海洋戦力」という先進兵器で武装した正規軍へと転換」、確かに大きな「転換」だ。
・『海兵隊の伝統的イメージと現実  これまで長きにわたってアメリカ海兵隊といえば、最も危険な軍事作戦の1つである強襲上陸作戦に代表される水陸両用戦を“表看板”に掲げる軍隊と一般的にはみなされてきた。また自らもそのように宣伝してきた。強襲上陸作戦とは、敵が待ち構えている海岸線に殺到して沿岸域の敵を撃破し、橋頭堡を確保する作戦である。 しかしながら米海兵隊が戦闘を交えながらの強襲上陸作戦を最後に実施したのは朝鮮戦争における仁川上陸(クロマイト作戦、ただし米海兵隊だけではなく米陸軍、韓国陸軍、韓国海兵隊も参加)である。もしくはかろうじて強襲上陸作戦とみなしうる戦闘を経験したのは、グレナダ侵攻(1983年10月)が最後である。1995年にソマリアで上陸作戦が実施されたが、これは戦闘が生起しない地点への単なる上陸であった。 そして、湾岸戦争(1991年1月)以後これまで30年にわたって海兵隊が戦闘を繰り広げてきたのは、イラクやアフガニスタンでのサダムフセイン軍閥やテロリスト集団相手の戦闘であった。 要するに、アメリカ海兵隊は一般に流布している“表看板”とは違って、実際に実戦経験を積み重ねてきたのは、米陸軍と同じく砂漠地帯や山岳荒地での地上戦や市街地での近接戦が中心となっている。強襲作戦や襲撃作戦といった水陸両用戦闘の実戦経験は持ち合わせていないのだ』、「海兵隊」といっても、「強襲作戦や襲撃作戦といった水陸両用戦闘の実戦経験は持ち合わせていない」、というのは意外だが、言われてみればその通りなのだろう。
・『対中戦に適合できない伝統的水陸両用戦  これまで80年以上にわたって海兵隊が“表看板”に掲げてきた水陸両用戦は、強襲上陸作戦を主軸に据えた軍事作戦である。その基本的コンセプトは、1920年代から1930年代にかけて「来たるべき日本との太平洋の島嶼をめぐっての攻防戦に備えるために」海兵隊の鬼才と言われたアール・ハンコック・エリス中佐が策定した作戦計画(『マイクロネシアにおける前進基地作戦』)に起源を持つ“時代物”の作戦概念ということができる。 もちろん、ヘリコプター、強襲揚陸艦、VTOL攻撃機、ホバークラフトやオスプレイなど新兵器の誕生によって作戦概念に修正が加えられてはいるものの、水陸両用戦の基本的アイデアそのものは極めて伝統的なコンセプトに立脚しているのである。 ところが、中国海洋戦力を相手に実際に水陸両用戦を準備することになるや、伝統的な水陸両用戦のアイデア自体を抜本的に見直さなければならなくなってしまった。というのは、中国軍の接近阻止戦力が予想をはるかに上回るスピードで充実してしまったため、そもそも海兵隊上陸侵攻部隊を積載した艦隊が、作戦目的地沖合に接近することすら不可能に近い状況になってしまったからである』、「海兵隊上陸侵攻部隊を積載した艦隊が、作戦目的地沖合に接近することすら不可能に近い状況になってしまった」ほど、「中国軍の接近阻止戦力」が「充実」したとは驚かされた。
・『接近阻止戦闘が新たな水陸両用戦  そこで海兵隊首脳陣が打ち出した新機軸の水陸両用戦は、 +中国軍の手に落ちていない島嶼や第1列島線上の沿岸地域に海兵沿岸連隊を展開させて、中国艦隊や航空戦力が接近するのを迎撃する態勢を固める、+そして中国側の隙を突いて、さらに前方の島嶼などに海兵沿岸連隊を急展開させて対中国軍接近阻止エリアを拡大する、 +こうして中国軍が南シナ海や東シナ海を自由自在に動き回れる範囲を狭めることにより、中国による海洋侵出政策を封じ込める一助となる、 というものである。 一言で言うと、太平洋側から中国大陸に向けて侵攻してくるアメリカ軍を、強力な接近阻止戦力によって南シナ海や東シナ海で釘付けにしてしまう中国軍の対米接近阻止戦略と真逆の態勢をとることにより、中国軍が南シナ海や東シナ海の中国より海域から第一列島線に向けて接近することを阻止する戦略を実施しようというわけである。 そのため大改革を進めている米海兵隊は、少なくとも南シナ海の島嶼環礁や第1列島線周辺における中国海洋戦力相手の戦闘においては、中国軍が防御を固めている島嶼や海岸線に上陸作戦を敢行するなどという伝統的水陸両用戦のようなアイデアは捨て去ってしまったのである(そのアイデアの典型例が陸上自衛隊が固執している島嶼奪還作戦である)』、「アメリカ」が「伝統的水陸両用戦のようなアイデアは捨て去ってしまった」のであれば、「陸上自衛隊が固執している島嶼奪還作戦」も早急に組み直す必要がある。

次に、5月22日付け現代ビジネスが掲載した防衛ジャーナリストの半田 滋氏による「コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83353
・『新型コロナウイルス対策に5兆円の予備費を計上した日本政府。医療資源の不足から無駄なカネは1円も使いたくないはずである。 その政府がイージス・システム搭載艦の建造に巨額の国費を投入する。1隻あたりの建造費は2500億円以上と既存のイージス護衛艦よりはるかに高いばかりでなく、30年間使い続けた場合の総費用が4500億円に上ることが新たに判明した。 建造を予定する2隻で合計9000億円。総費用は地上配備型のイージス・アショアの2倍となり、巨大なカネ食い虫となることが確定した。 イージス・システム搭載艦は、秋田市と山口県萩市に配備する予定だったイージス・アショアの代替策。政府は昨年6月、イージス・アショアの推進装置「ブースター」を安全に落下させるには2400億円の追加費用が必要になるとして導入断念を決め、昨年12月、菅義偉首相がイージス・システム搭載艦2隻の新規建造を閣議決定した。 防衛省は2隻の建造費について「2400億円~2500億円以上」と発表し、最新のイージス護衛艦「はぐろ」の建造費より最大で766億円以上、つまり汎用護衛艦1隻分の建造費と同じくらい高いことがわかっていた。 総費用については「お示しすることは困難」(2月9日衆院予算委員会、岸信夫防衛相)と非公表としてきたが、30年間の維持、整備にかかる総費用は「3792億~3842億円+α」と21日、朝日新聞が報じて明らかになった。 イージス・システム搭載艦が高額になるのは、地上に置くべきイージス・アショアの大型レーダーをイージス護衛艦に搭載することから船体が大型化し、推進性能、船体構造、重量重心などの見直しが必要になり、建造費が跳ね上がるからだ。 いわば天守閣を船に載せるがごとき、珍妙なアイデアをひねり出した末の無駄遣いといえる』、「イージス・アショア」導入時も大きな問題があったが、代替策はそれ以上に問題が大きいようだ。
・『米国製兵器の「爆買い」  昨年6月、国家安全保障会議で正式にイージス・アショアの導入断念を決めたにもかかわらず、防衛省は米政府との契約を解除せず、「地上イージス」を海に移して「洋上イージス」に変える検討を始めた。 そもそもイージス・アショアは、安倍晋三前首相がトランプ前米大統領に迫られて購入を約束した米国製兵器の「爆買い」のひとつだ。 政府が導入を決めるまでの経緯について、防衛省の事務方ナンバー2だった真部朗元防衛審議官が今年3月、元文官らが運営するサイトに記事を投稿したが、すぐに削除されるドタバタ騒ぎが起きた。 寄稿の中で真部氏は2018年度防衛費の概算要求に「事項要求」として金額未定のまま「イージス・アショアを中心に検討」と書き込まれたことを疑問視し、「主要な防衛装備品を導入するにしては行政実務的にあまりに性急で、当初から政治主導案件であった」と批判した。 つまりイージス・アショアは、安全保障上の必要性からではなく、政治案件として予算化されたことを指摘し、これに異を唱えたのである。 皮肉にも真部氏の投稿を削除し、「洋上イージス」として蘇らせて製造元の米国にカネを払い続ける仕組みを維持して、安倍前首相の顔が立つよう尽力したのは真部氏の同僚たちである』、「イージス・アショアは、安全保障上の必要性からではなく、政治案件として予算化された」、まさに「安倍前首相」のための案件だったようだ。
・『安倍路線を継承する官僚人事  政府が「地上イージス」の導入断念を決めた当時の防衛事務次官は、第2次安倍政権で内閣府審議官を務めた高橋憲一氏。ナンバー2の官房長は島田和久氏だ。 島田氏は安倍首相の秘書官を7年近くも務め、安倍氏の「大のお気に入り」とされた。2019年7月、島田氏が首相官邸から防衛省へ戻るのに合わせて、官房長になって1年も経たない武田博史氏が防衛装備庁長官に異動し、同長官だった深山延暁氏は定年まで1年を残し、就任1年未満で退職した。 島田氏のためにポストを空ける玉突き人事が行われたのである。これらは内閣承認人事にあたり内閣の意に沿わなければ差し戻される。防衛省が安倍氏の意向を忖度して人事案を提出したのは間違いない。 そして高橋事務次官、島田官房長のナンバー1、2コンビのもとで防衛省は「地上イージス」を「洋上イージス」に置き換える荒技を進めた。 その途中の昨年8月には島田氏が事務次官に昇格し、高橋氏は内閣副官房長官補に栄転した。事務次官経験者がこのポストに就くのは初めてであり、防衛省同期の前田哲内閣副官房長官補を退任させての内閣官房入りである。 省内では「イージス・アショアをつなぎ止めた論功行賞」と見られた。これにより、安倍路線を継承する防衛省関連の官僚人事が完成した』、「イージス・アショアをつなぎ止め」るために、膨大な費用が必要になったことは本来、財務省が指摘すべきだが、財務省もいち早く忖度官庁になっているので、期待できない。野党は防衛予算には余り詳しくないので、期待薄だ。
・『兄の期待に応え続ける岸防衛相  支えるのは官僚だけではない。菅内閣のもとで安倍氏実弟の岸信夫氏が初入閣し、防衛相の職に就いた。 岸氏は就任してすぐに電話やオンラインで各国との協議や大使との対面会談を繰り返した。その中で安倍氏が打ち出した「自由で開かれたインド太平洋」を強調し、兄の期待通りの活動を続けている。 昨年9月25日、防衛省であった記者会見で「洋上イージスとする場合、(イージス・アショアのレーダーの)SPY7を活用するのか」と問われた岸氏は「契約済みのレーダーを活用することが合理的ではないか。契約を維持していく」と述べ、安倍路線の忠実な継承者を印象づけている。 安倍氏は首相辞任するタイミングで実弟を防衛相として送り込み、気心の知れた官僚に防衛政策を任せた。米国と約束した「爆買い」路線を破綻させない政官の枠組みがつくられたことになる。 防衛省が従順なのは人事を通じて権力の恐さを見せつけられたことだけではない。安倍氏を守れば、自らの「失策」を隠すことにもつながるからだ』、「安倍氏は首相辞任するタイミングで実弟を防衛相として送り込み、気心の知れた官僚に防衛政策を任せた。米国と約束した「爆買い」路線を破綻させない政官の枠組みがつくられたことになる」、トランプからバイデンに変わったことで、「爆買い」の「約束」を守る必要は薄れたにも拘わらず、これだけ大掛かりな「政官の枠組み」をつくった背景には何があるのだろうか。
・『レーダー選定のナゾ  イージス・アショアのレーダーは当初、米国のレイセオン社で開発中の「SPY6」が有力視されたが、突然、ロッキード・マーチン社が米本土防衛用にアラスカで建造中の長距離識別レーダー「LRDR」をイージス・アショア向けに転用する「LMSSR(後のSPY7)」を提案し、2社の競合となった。 防衛省で比較検討した結果、基本性能、整備性などの後方支援、経費の3点で「LMSSR」に軍配が上がったとされる。 防衛省の選定時点で、米イージス艦への採用が決まり、開発が先行した「SPY6」に対し、「LMSSR」は構想段階に過ぎなかった。現物がないのだから性能を確かめようがない。本来なら比較できない2つのレーダーをカタログ性能だけで1つに絞ったことになる。 最大の選定理由は、米国防総省の「いち推し」が「LMSSR」だったからである。そのナゾは後になって判明する。 2019年になって米国防総省は「LMSSR」を「SPY7」と命名して制式化した。これに伴い「SPY7」の派生型レーダーをカナダとスペインに売却し、両国の新型戦闘艦に搭載することが決まった。 一方、防衛省が「SPY7」を選定した理由のひとつに富士通のレーダー素子を採用する国内企業参画を挙げていたが、米側から納期遅れと価格高騰を指摘され、参画を断念した。 実はロッキード・マーチン社はスペインのインドラ社のレーダー素子を採用しており、「SPY7」を売買する米国とスペイン間のオフセット取引によって富士通は排除された疑いが濃厚になっている。 防衛省が「LMSSR」を選定した後になって米国防総省は、当初の日米協議にはなかった模擬ミサイルを発射してレーダーの性能を確認する実射試験の費用負担を求めた。防衛省は応じることを決め、約6億ドル(約660億円)の支払いが見込まれている。 つまり、米国は日本のカネで「SPY7」を開発しながらも日本の企業は排除し、日本のカネで実射試験まで行って性能を確かめ、その結果、完成したレーダーを海外に売ってもうけようというのだ。日本はまんまと米国の罠にはまったのである。) 米国で開発中のイージス艦専用レーダー「SPY6」ならそのまま「まや」型に搭載できるため、船体の大型化は不要となるうえ、米政府の保証も受けられる。 それでも「SPY7」の採用にこだわるのは、2019年度の防衛費でイージス・アショア2基の取得費などに1757億円を計上し、米政府との間で支払い契約を済ませていることが大きい。 契約破棄となれば、巨額の違約金を求められる。その結果、責任問題に発展して、イージス・アショアの導入が安倍氏主導の政治案件であることや防衛省によるレーダー選定の異様が一気に表面化する。 元を正せば、安倍氏がトランプ氏の求めるままに購入を約束したことが間違いだった。そこに防衛官僚によるレーダー選定の「誤り」が重なった。誤解を恐れずにいえば、安倍氏と防衛省は「共犯関係」に等しく、防衛省と岸氏は今、「臭いものに蓋」をしているのではないだろうか』、「安倍氏と防衛省は「共犯関係」に等しく、防衛省と岸氏は今、「臭いものに蓋」をしているのではないだろうか」、恥ずべき行為だ。
・『海上自衛隊OBも痛烈批判!  当然ながら海上自衛隊は反対し、OBからも計画の撤回を求める声が上がっている。 元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は「現在の防衛省は、善意に解釈しても、わが国防衛と予算取得上の根本的な疑問や問題を残したまま、見切り発車的に代替案の実現に驀進しているように映る。厳しい言い方になるが、この姿勢はわが国の防衛力整備の体をなしていないといわざるを得ない」(『正論』1月号)と痛烈に批判している。 地上配備を前提に設計したレーダーを艦艇に載せる愚は犯すべきではない。真に国益を考えるならば、しがらみを振り払い、米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう』、「海上自衛隊OBも痛烈批判」、「真に国益を考えるならば、しがらみを振り払い、米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべき」、同感である。
タグ:防衛問題 JBPRESS 現代ビジネス 北村 淳 半田 滋 (その17)(自衛隊とは大違い 米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない、コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…) 「自衛隊とは大違い、米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない」 「国防戦略が大転換」に伴って、「海兵隊も、基本戦略の徹底的な見直し」をしたのは、さすがだ。日本のように古びた戦略にしがみつくのはいただけない。 「主たる仮想敵が」、「テロリスト集団から「中国人民解放軍の海洋戦力」という先進兵器で武装した正規軍へと転換」、確かに大きな「転換」だ。 「海兵隊」といっても、「強襲作戦や襲撃作戦といった水陸両用戦闘の実戦経験は持ち合わせていない」、というのは意外だが、言われてみればその通りなのだろう。 「海兵隊上陸侵攻部隊を積載した艦隊が、作戦目的地沖合に接近することすら不可能に近い状況になってしまった」ほど、「中国軍の接近阻止戦力」が「充実」したとは驚かされた。 「アメリカ」が「伝統的水陸両用戦のようなアイデアは捨て去ってしまった」のであれば、「陸上自衛隊が固執している島嶼奪還作戦」も早急に組み直す必要がある。 「コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…」 「イージス・アショア」導入時も大きな問題があったが、代替策はそれ以上に問題が大きいようだ。 「イージス・アショアは、安全保障上の必要性からではなく、政治案件として予算化された」、まさに「安倍前首相」のための案件だったようだ。 「イージス・アショアをつなぎ止め」るために、膨大な費用が必要になったことは本来、財務省が指摘すべきだが、財務省もいち早く忖度官庁になっているので、期待できない。野党は防衛予算には余り詳しくないので、期待薄だ。 「安倍氏は首相辞任するタイミングで実弟を防衛相として送り込み、気心の知れた官僚に防衛政策を任せた。米国と約束した「爆買い」路線を破綻させない政官の枠組みがつくられたことになる」、トランプからバイデンに変わったことで、「爆買い」の「約束」を守る必要は薄れたにも拘わらず、これだけ大掛かりな「政官の枠組み」をつくった背景には何があるのだろうか。 「安倍氏と防衛省は「共犯関係」に等しく、防衛省と岸氏は今、「臭いものに蓋」をしているのではないだろうか」、恥ずべき行為だ。 「海上自衛隊OBも痛烈批判」、「真に国益を考えるならば、しがらみを振り払い、米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべき」、同感である。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

東京オリンピック(五輪)(その17)(IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか 腐敗した「五輪貴族」が資金を分配する悪循環を断つべき、東京五輪の「要人接遇費43億円」は外務省内でも禁句!?予算内訳について直撃取材、「東京五輪の日当は35万円」 国会で暴露された東急エージェンシー パソナへの“厚遇”、五輪無観客はスポンサー許さず…批判の矛先は安倍前首相に) [国内政治]

東京オリンピック(五輪)については、5月4日に取上げた。今日は、(その17)(IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか 腐敗した「五輪貴族」が資金を分配する悪循環を断つべき、東京五輪の「要人接遇費43億円」は外務省内でも禁句!?予算内訳について直撃取材、「東京五輪の日当は35万円」 国会で暴露された東急エージェンシー パソナへの“厚遇”、五輪無観客はスポンサー許さず…批判の矛先は安倍前首相に)である。

先ずは、5月28日付けJBPressが掲載した元NHK職員で経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長の池田 信夫氏による「IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか 腐敗した「五輪貴族」が資金を分配する悪循環を断つべき」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65470
・『昨年(2020年)の延期から新型コロナに翻弄されてきた東京オリンピックが、いよいよ瀬戸際に追い詰められている。野党がそろって「オリンピック反対」を打ち出し、公式スポンサーの朝日新聞も中止を求める社説を出し、世論調査でも「中止か延期」を求める意見が8割を超えた。 そんな中でIOC(国際オリンピック委員会)の委員が、無神経な発言を繰り返している。「緊急事態宣言が出ても大会は決行する」とか「首相が中止するといっても開催する」という発言は、日本の国家主権を侵害するものだ。今のところ日本政府は沈黙しているが、この状況でオリンピックは開催できるのか』、「公式スポンサーの朝日新聞も中止を求める社説を出し」、「世論調査」結果も踏まえたのだろうが、「公式スポンサー」としてはずいぶん思い切った主張をしたものだ。IOC委員の相次ぐ「無神経な発言」には腹が立つ。
・『「首相が中止を求めても開催する」  今年も東京オリンピック・パラリンピックは、開催が危ぶまれていた。新型コロナの感染が収まらず、緊急事態宣言が出される状況で、今年7月23日に開催できる条件がそろうとは思えないからだ。普通ならそれに対して、日本国民の健康に配慮して協力を求めるのが(外交辞令としても)常識だが、IOCのコメントは常識外れだった。 5月21日の記者会見で、IOCのジョン・コーツ副会長は「緊急事態宣言が出ていてもオリンピックは開催できるのか」という質問に「絶対できる」(absolutely yes)と答えた。 24日には、IOCのトーマス・バッハ会長が、ビデオメッセージで「東京大会を実現するために、われわれはいくつかの犠牲(sacrifice)を払わなければならない」と述べたが、この「われわれ」は「日本国民のことではない」と後に説明した。 そして27日発売の文春オンラインでは、ディック・パウンド元副会長が「菅首相が中止を求めたとしても、それは個人的な意見に過ぎない。大会は開催される」と答えた。 この一連のIOC幹部の発言で特徴的なのは「開催に日本政府の協力をお願いする」というのではなく、「われわれが開催する」とIOCを主語にして語っていることだ。IOCはなぜこのように強気になれるのだろうか?』、知りたいところだ。
・『不平等な「開催都市契約」  この背景には、開催都市契約という特殊な契約がある。ここでは大会の開催はIOCが各都市に「委任」するもので、主催者はIOCだけである。したがってその中止を決定する権限をもつのもIOCだけだ。 契約には「IOCによる本大会の中止またはIOCによる本契約の解除が生じた場合、開催都市、NOC(各国オリンピック委員会)およびOCOG(オリンピック組織委員会)は、いかなる形態の補償、損害賠償の権利も放棄」すると書かれている。 だから日本政府も東京都も中止を決定できる当事者ではない、という人がいるが、それは誤りである。これは国家間の条約ではないので、日本政府はそれを履行する国際法上の義務を負わない。IOCは国際機関ではなく、放映権料やスポンサー料などの収入で運営される民間団体なので、この契約を執行する権限は日本政府にあるのだ。 たとえば国立競技場をオリンピックに使わせるかどうかは、文部科学省が決定できる。そのためには法改正は必要なく、「新型コロナの感染拡大を防ぐため国立競技場の利用を禁止する」という閣議決定で十分である。 それに対してIOCが異議を申し立てて行政訴訟を起こすことができるが、7月末までには間に合わない。IOCが日本政府に違約金の支払いを求めて訴訟を起こすこともできるが、それも日本の裁判所に起こすしかない。内閣の正式決定に対して裁判所が賠償を認めることは考えられない。 この場合に大事なのは契約上だれが決めるかではなく、中止の決定が妥当かどうかである。もし開会式の段階で緊急事態宣言が発令されており、デパートや映画館に休業要請しているとすれば、国立競技場だけをIOCに使わせることは不当である。IOCが「選手には特別に安全対策を講じたので例外にしてほしい」と東京都に要求しても都は拒否できる。 最終決定権はIOCではなく、日本政府と東京都にあるのだ。それなのにIOCが無神経な発言を続ける背景には、もっと複雑な事情がある』、「開催都市契約」は「国家間の条約ではないので、日本政府はそれを履行する国際法上の義務を負わない」、言われてみればその通りなのかも知れないが、「日本政府」もそれに署名しているので、契約順守義務がありそうな気もする。ここは「池田」氏の説を信じることにしよう。
・『日本政府はIOCの「腐敗のサイクル」を断て  その理由は、IOCが日本政府に報復する手段をもっているからだ。東京都がIOCから委任されたオリンピックを中止したら、日本は二度とオリンピックを開催できないだろう。IOCは今後の大会で日本の選手団を拒否するかもしれない。 さらにIOCはオリンピックの放映権料を各競技団体に配分する権限をもっている。これはサッカーやバスケットボールなどのプロスポーツでは問題ではないが、大部分のアマチュアスポーツはIOCの分配する放送権料が最大の資金源である。 IOCの資料によれば、2013年から2016年までのIOCの収入は約57億ドル(約6200億円)で、その73%が放映権料である。収入の90%が世界各国に、アマチュアスポーツの強化費用として分配されている。JOC(日本オリンピック委員会)も年間112億円を受け取っている。 オリンピック開催地を決めるとき、賄賂でIOC委員を買収しないと当選できないことは、周知の事実である。JOCの竹田恒和前会長は、IOCの委員を280万シンガポールドル(約2億2000万円)で買収した容疑でフランス司法当局の追及を受け、竹田会長もJOCも金を払った事実は認めた。 要するにIOCが企業から集めた放映権料が各国に分配され、それが賄賂としてIOCの「五輪貴族」に環流する腐敗のサイクルができているのだ。しかもJOCがIOC委員に金を贈っても、日本の刑法では贈賄罪に問われない。IOCは国際機関ではなく、その委員は「外国公務員」ではないからだ。竹田前会長の容疑も、曖昧なまま終わった。 IOCが異常に強気の発言を続けるのは、このような歪んだガバナンスを利用して、日本政府や東京都が中止したら、今後オリンピック利権は分配しないと脅しているのだ。 こんな脅しでIOCのいうことを聞いたら、菅政権は世界から「IOCのようなヤクザに屈服したのか」と笑い物になる。緊急事態宣言の中でオリンピックだけを特別扱いしたら、国民は自粛要請にも従わないだろう。 IOCは「再延期は認めない」としているので、日本政府の選択肢は開催か中止かの二択である。開催するなら政府は緊急事態宣言を解除し、国民生活を正常に戻すべきだ。 それと同時にIOCと交渉して暴言を撤回させ、ガバナンス改革を要求すべきだ。法的正統性のない五輪貴族に私物化されている組織を、法にもとづく国際機関に変える必要がある』、説得力溢れた主張で、全面的に同意する。ただ、今夕、オーストラリアの選手が外国人として初めて来日、このままだとどんどん来日してしまい、「中止」は出来なくなるので、「中止」するのであれば、早目に決断する必要がある。

次に、5月24日付けAERAdot.「東京五輪の「要人接遇費43億円」は外務省内でも禁句!?予算内訳について直撃取材」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2021052300007.html?page=1
・『3度目の緊急事態宣言の解除の目途が立たない中、東京五輪・パラリンピック開催ありきで突っ走る菅政権。 全世界でパンデミックの収束がみえない状況下、訪日する首脳たちをおもてなしするため、外務省は「要人接遇関係経費」として43億6100万円を確保している。開催まで2カ月を切った時点で、訪日が公表されているのは、2024年にパリ五輪を控えるフランスのマクロン大統領くらいだ。アメリカのバイデン大統領は招待されているものの、明確な回答は出していない。国際ジャーナリストの高橋浩祐さんはこう指摘する。 「外務省関係者によると、要人接遇関係費をなくせば予算が大幅に削減できるのに、そうしたことは省内で禁句とされているようです。外務省に関わらず、オリンピックを錦の御旗に掲げて予算をぶんどった所がたくさんあるのです。オリンピックを口実に予算を取って、組織存続のために勢力争いをしているようなものです」 要人接遇関係経費43.6億円には、菅義偉首相主催の「晩さん会」が含まれているとされる。 「関係者からは、赤坂迎賓館に各国の賓客を呼んで歓迎パーティーをする費用が入っていると聞きました。先日も医師会がパーティーをしていたことが問題になったように、世論的には難しいでしょう。そもそも、外からみても日本のワクチン接種率は低い。こうしたホスト国に首脳たちは来ようと思うのでしょうか」(高橋さん) 外交の名目で東京五輪の「晩さん会」が通用したのはコロナ前のことであろう。海外から首脳を招き、「人類がコロナに打ち勝った証し」として杯を交わすなど、世論を逆なでするようなもので、「晩さん会」開催は現実的ではない。半ば宙に浮いた43.6億円を何に使うつもりでいるのだろうか。 AERA dot.では、外務省の要人接遇事務局に43.6億円の使途を問い合わせた。 「大統領、国王、首相といった首脳級の人たちの接遇に必要なものとして予算を計上しています。例えば、外務省から賓客に車両の提供や、空港での接遇など。細かいことを言うと、赤じゅうたんを敷くとか、空港に要人が来た時のVIPルームといったらいいのか、出発前にちょっと待っていただく部屋も確保する必要がありますので、そのあたりでかかってくる経費が主に含まれています」(要人接遇事務局)』、「外務省に関わらず、オリンピックを錦の御旗に掲げて予算をぶんどった所がたくさんあるのです」、「要人接遇関係費をなくせば予算が大幅に削減できるのに、そうしたことは省内で禁句とされているようです」、こんな例は他の省庁にもあるのだろう。
・『東京五輪に何カ国、何人の要人が訪日するかについても質問したが、明確な回答はなかった。 「各国のオリンピック委員会が、その国の要人として誰を呼ぶかを決めて、IOC(国際オリンピック委員会)が承認すれば、要人として開会式に出席したり、競技を観戦したりすることができる仕組みになっておりまます。日本政府が招待するわけではないため、日本側から何人とは言いにくいです。コロナ禍での開催となるので、普段よりは要人の数は少なくなるかと思います」(要人接遇事務局) 接遇費の試算は、過去の五輪開会式に出席した要人の数と、2年前に開催したG20や即位の礼を参考にしたという。 「リオに約40名、ロンドンと北京には約80名の首脳級の要人が開会式に出席したと把握しております。1カ国当たりの予算は2年前に開催したG20や即位の礼を踏まえながら考えております。その時にかかった車両の経費などを参考にしています。同じ接遇をするわけではないのですが、細かい予算の積み上げがあり、国の数と掛け合わせて予算を要求しています」(要人接遇事務局) 1カ国当たりの予算を繰り返し尋ねたが、回答を濁した。 「そこはちょっと……。予算には、事務局の運営費も含まれているので、単純に1カ国当たりいくらという話にはならないのです」(要人接遇事務局) ちなみに要人接遇事務局の運営費とは、臨時組織として借りた机や、大会期間中に空港に設ける連絡室の経費だと言い、「全体の単位から見ればそれほど大きくはないが、無視できない金額」と説明していた。 要人の宿泊費は、外務省の予算43.6億円には含まれていないという。 「費用は各国側でみてもらうことになっております。大会組織委員会が宿泊先を斡旋しますが、必ず指定のホテルに泊まるわけではないかと思います。ただ、別途部屋をとる場合にもちゃんとホテル側に動線を分けるなどの相談してもらうよう、各国にお願いをしているところです」(要人接遇事務局)』、なるほど。
・『その他にも、要人の隔離期間やPCR検査を選手たちと同じように扱うかは「検討中」だという。ワクチン接種については、「義務化されていないので、考慮する要素にはならない」と回答した。 長野冬季五輪(1998年)の時、要人接待費を巡って使途不明金が発生し、招致委員会の会計名簿が廃棄されたことが問題となった。前出の高橋さんは言う。 「この時は何人ものIOC委員が京都に行って芸者接待を受けていました。英BBCの調査報道記者らが執筆した『黒い輪』に<成金の日本円が行き来し、芸者がIOC委員に密着するものであった>と記しています」 IOC調整委員会と大会組織委員会などによる合同会議の終了後の21日、記者会見したコーツ副委員長は「五輪パラの開催期間中に緊急事態宣言が発令された場合、大会を開催するのか」との質問に、「答えはイエスだ」と断言。日本中でひんしゅくを買った。IOCの強硬姿勢は「ぼったくり男爵」などと海外でも批判を浴びている。 使途が不透明になっている外務省の要人接待費をこの際、きちんと見直したらどうか』、同感である。

第三に、5月30日付け日刊ゲンダイ「五輪無観客はスポンサー許さず…批判の矛先は安倍前首相に」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/289867
・『「対応できると思っている」――。観客入りの五輪開催について問われた菅首相は、28日の会見でこう意気込みを語った。プロ野球など国内のスポーツイベントが観客を入れて開催していることを念頭にしたのだろうが、野球やサッカーと五輪は規模が全然違う。開催する場合、最低でも「無観客」は必須だが、「有観客」に執着するのには理由があった。 「無観客だと組織委が見込む900億円の入場料収入が消え、国の負担になる恐れがある。政府は負担を避けたいのでしょうが、それ以上に大きいのが大会スポンサー企業の意向です。無観客開催になると、スポンサーは競技観戦の“優待チケット”を失うことになる。通常、スポンサーは取引先の幹部などに“チケット”を提供し、『家族の方とご一緒にどうぞ』などと誘って、後々のビジネスにつなげるのです。スポンサーにとってこの機会を失うのは、なにより痛い」(大会関係者)) 「無観客」に対するスポンサーの怒りについて、報道サイト「Tansa」が、組織委によるスポンサー全81社への説明会の議事録を入手し、28日付の記事「『開催中の中止』にまで言及した迷走の五輪組織委 パートナー企業は驚愕」で詳細に報じている。IOC(国際オリンピック委員会)らによる「5者協議」後に開催された説明会で組織委が「無観客」の可能性に触れると、スポンサーからはこんな批判が出たという。 〈なぜ今、無観客といい始めるのか。驚愕している。釈然としない〉〈昨年3月の時点で専門家はコロナの収束には2、3年はかかるといっていたのに、なぜ今頃最悪のシナリオが出てくるのか〉』、「スポンサーは取引先の幹部などに“チケット”を提供し、『家族の方とご一緒にどうぞ』などと誘って、後々のビジネスにつなげるのです。スポンサーにとってこの機会を失うのは、なにより痛い」、確かに「スポンサー」にとっては、「無観客」は大打撃のようだ。
・『「1年延期」を強行したのは安倍前首相  「有観客」へのこだわりがいかに強いかが分かるが、今、スポンサーや組織委の批判の矛先は「有観客」の機会を潰した安倍前首相に向かいつつあるという。) 「延期決定前、専門家からは『1年延期では短い』という声が上がっていました。組織委の森前会長も安倍氏に『2年延期』を進言。IOCも、2年延期を容認する構えだった。なのに、総理として五輪の旗を振ることを切望した安倍氏が『1年延期』を強行。初めからコロナ収束を想定し、2年延期にしていれば、完全な形での開催も可能だったかもしれない。組織委もコロナ対策にここまで頭を悩ます必要はなかったでしょう」(前出の大会関係者) スポンサーの意向で「有観客」を強行していいのか』、「組織委の森前会長も安倍氏に『2年延期』を進言。IOCも、2年延期を容認する構えだった。なのに、総理として五輪の旗を振ることを切望した安倍氏が『1年延期』を強行」、こんな内幕があったとは初めて知った。「安倍氏」の罪は本当に深いようだ。

第四に、5月30日付けAERAdot「「東京五輪の日当は35万円」 国会で暴露された東急エージェンシー、パソナへの“厚遇”」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/photoarticle/2021053000010.html?page=1
・『東京五輪・パラリンピックの大会運営に当たるディレクターなどの日当がなんと35万円―-。 驚くような金額が明かされたのは5月26日に開かれた国会の衆議院文部科学委員会だ。立憲民主党の斉木武志衆院議員が委員会に示した東京五輪・パラリンピック組織委員会と大手広告代理店「東急エージェンシー」が交わした業務委託契約書にそう明記されていたのだ。 大会期間中、武蔵野の森総合スポーツプラザでの準備・運営にかかわるディレクター、サブディレクター、アシスタントディレクター、サービススタッフらのマネジメントなどの業務を委託するという内容で、契約が締結されたのは2019年12月17日。 当初の予定だった2020年7月の五輪開催からみれば、半年ほど前になる。業務委託契約書に添付された<内訳書>によれば、<本大会に向けての準備業務>のディレクターが最高額で1人日当、35万円。40日間で2人とされ、計上された予算が2800万円。 続いて<大会準備期間における会場運営計画策定業務>のディレクターが一人、日当25万円。40日間で1人、1000万円。 <大会期間中における会場運営業務>の運営統括、ディレクター、スーパーバイザーが日当、20万円。サブディレクターが13万5千円、アシスタントディレクター10万円、マネージャー5万円。日当の最低金額はサービススタッフ2万7千円となっている。人数は約800人で契約金額の合計は約6億2300万円(消費税込み)だ。 だが、記された金額を単純計算すると、5億1千万円ほどだ。 <仕様書>では<営業管理費11%>が計上され、そこに消費税を加えると契約金額相当となる。 斉木議員は委員会で日給35万円のディレクターを例にしてこう訴えた。 「2020年に開催されていれば、営業管理費、つまり東急エージェンシーの儲けが11%でした。それが1年延期されたところ、9%もアップして営業管理費が20%となった。東急エージェンシーはその分を上乗せして、42万円で組織委員会に請求している。週休二日制にしてみれば(月給)924万円、1000万円近い、高すぎませんか」』、「1年延期」だけで、「9%もアップして営業管理費が20%となった」、ただ単にふっかけているとしか思えない。
・『答弁に立った組織委の布村幸彦副事務総長は業務委託契約書と内訳書が「五輪組織委員会と民間事業者の契約書の一部。当事者が適切に保管すべきもので外部流出は遺憾です」と組織委と東急エージェンシーで締結された書面のコピーだと認めた。 そして、なぜ業務委託契約費が高騰しているのか。斉木議員はその理由を問いただした。 そこで登場したのが、人材派遣サービス大手「パソナグループ」だ。同社のホームページによれば、<東京オリンピック・パラリンピックでは「人材サービス」カテゴリーにおける『東京2020オフィシャルサポーター』契約を締結>と記されている。 斉木議員がさらに委員会で内部資料<TOKYO2020 パートナーカテゴリー>に基づいてスポンサー保護の項目が定められている、と暴露。次のように質問した。 「例えばソフトドリンクはオフィシャルスポンサーのコカ・コーラ。アルコールはアサヒビールと縛りがあります。人材サービス分野はパソナグループとリクルートホールディングス。人材派遣はパソナにだけというパートナー契約ではないか」 組織委の布村氏は「一般論としてはその通りです」とアッサリ認め、こう答えた。 「組織委の約4000人の3分の2の職員は、国や東京都、スポンサー企業などからの出向であります。残りの3分の1はパソナから優先的に派遣されています。しかし、大会運営業務委託は専門性もあり、パソナ以外のところからも派遣してもらっている」 パソナグループは五輪スポンサーで、人材派遣サービスとして優先されているという。大会運営業務委託は43会場で契約されており、契約者として東急エージェンシー以外にも、電通や博報堂など大手広告代理店が名を連ねる。 組織委がパソナグループ以外から人材派遣サービスを受ける場合、「パソナグループでないところから派遣を受ける旨、組織委に書面で承諾を受けないといけない」と斉木議員が明かした。 委託費が高騰する理由もこう語った。) 「大会運営業務委託が入札ではなく、随意契約、1社独占になっているからではないか」 パソナグループの<パソナから東京2020で働く>という、人材募集のホームページを見ると、選手村運営、メディカル、トランスポートなどと並んで、競技会場運営という分野が記されている。時給は1650円、1日あたり実働7時間45分とあり、日給約12700円となる。斉木議員はこう語った。 「そういう業務をパソナが時給1650円でスタッフ募集しているものを東急エージェンシーはディレクター一人、日給20万円で請求。管理費、諸経費を入れると24万6千円。中抜き率は95%。こんなに抜いている。まさに五輪ビジネス、随意契約の弊害だ」 それに対して組織委の布村氏は「人件費単価で契約しているのではない。記載の単価は業務やバックヤードなど関係部門の経費も含む」と反論したが、民間事業者との契約だと詳細な説明は拒んだ。 パソナグループの会長は、小泉政権時代に総務相などを歴任した竹中平蔵氏だ。菅義偉首相は竹中氏が総務相時代に副大臣を務めており、竹中氏は現在、菅首相の有力ブレーンの一人だ。組織委員会の幹部はこう語る』、「パソナが時給1650円でスタッフ募集しているものを東急エージェンシーはディレクター一人、日給20万円で請求。管理費、諸経費を入れると24万6千円。中抜き率は95%。こんなに抜いている。まさに五輪ビジネス、随意契約の弊害だ」、「随意契約」とはいえ、信じられないような「中抜き」だ。
・『また竹中さんのパソナグループ、政府御用達の電通かと叩かれるとやりにくいね。限られた準備期間で、しかも1年延期となっている。そこをつつがなく運営をやってくれとお願いするには、手慣れた電通やパソナグループなどに頼るしかない。手数料やマージンがアップして、契約金額が高くなっても、成功することが最優先なので仕方ない。このような契約書が表に出て金額が露出してしまうと頭が痛い」 竹中氏は防衛省が5月24日から運営しているワクチン大規模接種センター(東京)の予約システムを手掛けたマーソ社の経営顧問も務めている。斉木議員はこう疑問を投げかける。 「コロナ禍における持続化給付金の事務手続き業務の時も、実質的には電通が主導して、最終的な現場仕事はパソナグループがやっていた。東京五輪も同じような構図で、民間ボランティアや国民を馬鹿にしている』、「政府」がらみの仕事を骨までしゃぶり尽くす「竹中」はまさに現代の政商だ。
タグ:東京オリンピック 日刊ゲンダイ JBPRESS 池田 信夫 (五輪) AERAdot (その17)(IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか 腐敗した「五輪貴族」が資金を分配する悪循環を断つべき、東京五輪の「要人接遇費43億円」は外務省内でも禁句!?予算内訳について直撃取材、「東京五輪の日当は35万円」 国会で暴露された東急エージェンシー パソナへの“厚遇”、五輪無観客はスポンサー許さず…批判の矛先は安倍前首相に) 「IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか 腐敗した「五輪貴族」が資金を分配する悪循環を断つべき」 「世論調査」結果も踏まえたのだろうが、「公式スポンサー」としてはずいぶん思い切った主張をしたものだ。IOC委員の相次ぐ「無神経な発言」には腹が立つ。 IOCはなぜこのように強気になれるのだろうか?』、知りたいところだ 「開催都市契約」は「国家間の条約ではないので、日本政府はそれを履行する国際法上の義務を負わない」、言われてみればその通りなのかも知れないが、「日本政府」もそれに署名しているので、契約順守義務がありそうな気もする。ここは「池田」氏の説を信じることにしよう。 説得力溢れた主張で、全面的に同意する。 ただ、今夕、オーストラリアの選手が外国人として初めて来日、このままだとどんどん来日してしまい、「中止」は出来なくなるので、「中止」するのであれば、早目に決断する必要がある。 「東京五輪の「要人接遇費43億円」は外務省内でも禁句!?予算内訳について直撃取材」 「外務省に関わらず、オリンピックを錦の御旗に掲げて予算をぶんどった所がたくさんあるのです」、「要人接遇関係費をなくせば予算が大幅に削減できるのに、そうしたことは省内で禁句とされているようです」、こんな例は他の省庁にもあるのだろう。 「五輪無観客はスポンサー許さず…批判の矛先は安倍前首相に」 「スポンサーは取引先の幹部などに“チケット”を提供し、『家族の方とご一緒にどうぞ』などと誘って、後々のビジネスにつなげるのです。スポンサーにとってこの機会を失うのは、なにより痛い」、確かに「スポンサー」にとっては、「無観客」は大打撃のようだ。 「組織委の森前会長も安倍氏に『2年延期』を進言。IOCも、2年延期を容認する構えだった。なのに、総理として五輪の旗を振ることを切望した安倍氏が『1年延期』を強行」、こんな内幕があったとは初めて知った。「安倍氏」の罪は本当に深いようだ。 「「東京五輪の日当は35万円」 国会で暴露された東急エージェンシー、パソナへの“厚遇”」 「1年延期」だけで、「9%もアップして営業管理費が20%となった」、ただ単にふっかけているとしか思えない。 「パソナが時給1650円でスタッフ募集しているものを東急エージェンシーはディレクター一人、日給20万円で請求。管理費、諸経費を入れると24万6千円。中抜き率は95%。こんなに抜いている。まさに五輪ビジネス、随意契約の弊害だ」、「随意契約」とはいえ、信じられないような「中抜き」だ。 「政府」がらみの仕事を骨までしゃぶり尽くす「竹中」はまさに現代の政商だ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

リーダーシップ(その1)(信頼されるリーダーと「変異株」を言い訳にする人々、もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由 「決定的に欠如している」根本原因は、これだ!) [国内政治]

今日は、リーダーシップ(その1)(信頼されるリーダーと「変異株」を言い訳にする人々、もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由 「決定的に欠如している」根本原因は、これだ!)を取上げよう。

先ずは、4月27日付け日経ビジネスオンラインが掲載した健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏による「信頼されるリーダーと「変異株」を言い訳にする人々」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00127/
・『今回は「リーダーシップ」についてあれこれ考えてみる。 先日、「ついに!」というか、「あらら~」というべきか、新型コロナウイルス感染疑惑が私事となる“事件”が起きた。 私自身は、かなり徹底した感染防止策を1年以上続けているのだが、たまたま先週会った友人から、「昨夜から体がだるく、熱が38度もあるので、コロナに感染しているかもしれない」と連絡が来たのである』、顔の広い「河合氏」ならありそうな話だ。
・『初のPCR検査、だが結果が来ない…  友人と会ったときには二人ともマスクはしていたのだが、その後、私のクルマに乗せたりしたので、感染の可能性はゼロではない。私は、自宅から徒歩2分のところにあるマンションに住む母と頻繁に接しているので、万が一感染していたら母の命が危なくなると、一気に青ざめた。 その後、友人はかかりつけ医のところに行き、熱以外に疑わしき症状はないし、レントゲン検査も受けたところ「大丈夫でしょう」との診断だったそうだ。ところが、夕方からさらに熱が上がり、「自費でPCR検査を受けに行くことにした」と連絡がきた。 一応、私も研究者の端くれなので、「コロナ感染リスク」の知識は国内外の論文でチェックして蓄積しているけど、改めて、信頼できる医師たちに確認したところ、「発症2日前から感染させるリスクあり」「症状なしでも陽性になり、2~3日以内に症状が出る」ということで、「やはりそうなのか」と不安が増した。 そこで、とりあえず発熱外来に電話して状況を伝えたところ、近所のコロナ対応ができる病院を紹介され、相談するようにと指示を受けた。で、電話を切るや否や即行で電話をかけたが、18時半をギリギリ過ぎてしまっていたので、どこもかしこも「明日、ご連絡ください」の音声が流れるばかりだった。 翌日まで待とうかとも思ったが、仕事もあるし、関係する人に迷惑をかけることもできない。そこであれこれ調べたところ、近所に22時までPCR検査をやってくれる病院を発見! “猛ダッシュ”で電話し、人生初のPCR検査を受け、「結果は明日の午前中にメールで送ります。万が一、陽性の場合は、電話で連絡します」と言われた。 で、翌朝。友人からは「陰性! 熱も下がった」と連絡がきたのに、私には待てど暮らせどメールがこない。「友人が陰性」と聞いても、SNSを見ると「陰性になった2日後に発熱し、陽性が確認された」との書き込みも見つかるので全く安心できない。 結局、昼を過ぎてもメールがこないので、病院に電話したところ、なんと送信ミス! 「陰性」だったことが無事確認され、やっと、本当にやっとフツーに息をすることができ、平常心を取り戻せた。 しかしながら、PCR検査にかかった費用は、3万3000円だ! べらぼうに高い! おまけに「送信ミス」って……、トホホ。) コロナ前なら熱が出ても「知恵熱!」と笑えたのに、今は発熱した途端に「コロナの疑い」になる。「周りに感染させていたら……」と心配になるので、とにもかくにも検査をしたい。なのに、医師に「コロナの可能性がある」と診断された場合にしかPCR検査はしてもらえないのだ。 なぜ、こんなにPCR検査のハードルが高いんだ? 「無症状の人から感染が拡大している」「発症2日前から人に感染させる」ことが、1年以上にわたるコロナ禍により蓄積されたデータ分析でわかっているのに、なぜ、検査を拡充しない? 米国や欧州に住む知人たちは、「PCR検査は簡単に受けられる」と口をそろえるのに、いったい日本はなぜ、こうなのか? “謎”としか言いようがない』、私は検査入院する際に、病院の手配と費用負担で「PCR検査」を受けたが、唾液で検査する方式で、唾液がなかなか出てこないので苦労した記憶がある。
・『データに基づく対策を実行する米国  先月、米保健福祉省が、全米の学校で新型コロナウイルスのサーベイランス検査の実施を支援するため、各州向けに100億ドル(約1兆788億円)の予算を確保したと発表した(資料)。バイデン大統領は就任100日以内に大半の学校で対面授業を再開させるとの目標を掲げており、幼稚園年長から高校3年生までを対象にサーベイランス検査を実施することで、目標を実現させたいと考えているのだという。 日本では米国の“感染対策のゆるさ”ばかりが伝えられるが、実は昨年のかなり早い段階から、大学で週1~2回の頻度でPCR検査を徹底し、無症状の感染者を早期に隔離して感染を防ぐサーベイランス検査を実施している。その詳細は朝日新聞の記者が3月29日付の夕刊で報じているが、米ボストン大学の研究者グループが、昨年2月に大型クルーズ船で起きた感染者のデータを解析し、その結果に基づく施策だという。 研究者らは分析結果から、「無症状の人が後から感染したことが判明し、感染を拡大させた」としてサーベイランス検査の重要性を訴えた。そこで同大学は「感染予測モデル」を構築するとともに、短時間で検査結果がわかる体制を整備。「エビデンスに基づく政策実行」が根付いているだけに、多くの大学がサーベイランス検査を実施し、それぞれの大学がその都度「対策の検証」を行い、論文でその結果を発表するなど、「成果」の蓄積を行っている。 日本ではPCR検査で偽陽性や偽陰性が出ることから、「検査をやたらめったら実施するのは良策ではない」といった指摘があるが、サーベイランス検査の結果から、その確率は極めて低いことがわかっている。 つまり、「データ分析→仮説→モデル構築→実証研究→データ分析→モデル改善→実証研究」という流れの対策を講じることで、「何が必要で、何が必要じゃないか」の情報共有を行い、国も予算をつけ、米疾病対策センター(CDC)がサーベイランス検査の適切な運用の指針や技術的支援を提供するなど、協働作業が行われているのである。 かたや日本はどうだろうか? 研究者たちが検証作業やシミュレーションを行うなど、科学的にわかったことをその都度発信しているのに、“リーダー”が会見で語るのは、「1年やってきたから、感染対策はわかっている」だの「マスク会食を」だの「不要不急の外出を控える」だのといった、科学的根拠に基づくものかどうかもわからない対策ばかりだ。 「無症状の感染者を早期に発見し、隔離する」という科学的根拠に基づく「感染対策」に予算を投じ、実効性のある政策を進める気配が、“リーダー”から全く伝わってこない。 ワクチンについても、“リーダー”は「確保できた!」と胸を張るけど、ワクチンさえ打てば感染がゼロになるわけじゃない。そのことは、感染症の専門家や医師たちが口を酸っぱくして言っている。ましてや、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンで血栓が生じる事例が報告されたことで、欧米では集団免疫が獲得されるスケジュールの修正が行われ、欧州連合(EU)では当初の9月30日から12月8日に、米国では7月22日から9月17日にずれ込むと予想されている(資料)』、「昨年のかなり早い段階から、大学で週1~2回の頻度でPCR検査を徹底し、無症状の感染者を早期に隔離して感染を防ぐサーベイランス検査を実施・・・米ボストン大学の研究者グループが、昨年2月に大型クルーズ船で起きた感染者のデータを解析し、その結果に基づく施策」、なんとアメリカは「クルーズ船」「感染」から正しく学んだのに、日本は「“リーダー”が会見で語るのは、「1年やってきたから、感染対策はわかっている」だの「マスク会食を」だの「不要不急の外出を控える」だのといった、科学的根拠に基づくものかどうかもわからない対策ばかりだ」、やれやれだ。
・『今も見えない「リーダーの仕事」  昨年末、英医療調査会社エアフィニティーが公表した、各国の「集団免疫獲得時期の予測」で、日本は先進国の中でビリ。主要先進国がいずれも21年内だったのに対し、日本は22年4月。来年の春だ。先のJ&Jの事例や、今の日本の状況を鑑みれば、22年4月より遅れると考えたほうがいいであろう。 問題はそれだけではない。 ドイツに赴任中の知人が、昨年末に日本に帰国した際に、「冗談でしょ?」という事態に遭遇したと教えてくれた。なんと14日間にわたる隔離中の連絡先を登録するときに、ドイツの携帯電話番号は桁数が多すぎて登録できなかったというのだ。 まあ、4カ月前の話なので、今は改善されているかもしれない。だが、他にも「冗談?」のような案件があるかもしれないとの疑念は払えず、これってオリンピックやるやらない以前の問題では? と思ったりする。 いずれにせよ、新型コロナウイルスの感染拡大という、災害レベルの事態で、首相や都道府県の知事など、“リーダー”の役割は極めて重大なのに、“リーダーのお仕事”が全く見えてこない。 リーダーが明確なメッセージを迅速、かつ具体的に発信するから「私たち」は安心する。「ああ、このリーダーが言うなら」とリーダーを信頼し、「お願い」に精いっぱい協力しようという気持ちになる。にもかかわらず、科学的根拠に基づいた先手の対策もせず、検証もせず、ひたすら1年前と同じ「出るな、動くな、接するな!」のお願いばかりだ。 そもそも“リーダーのお仕事”は、「宣言を出すかどうか」の決断だけではない。 優れた決断には、準備、判断、実行という3つのフェーズからなる意思決定のプロセスが存在する。 第1フェーズの「準備」とは、解決しなければならない問題を見極め、「その問題を解決するための判断が、なぜ必要なのか?」をチームのメンバー全員に理解させる段階である。当然ながら、意味ある準備を行うには、「目指すべきゴール」を明確にし、メンバーと共有しなくてはならない。 もし、メンバーに理解を求める過程で反対意見が相次いだら、「問題の本質」をリーダーが見落としている可能性がある。なので、ここでは繰り返し、「今、何をすべきか? 何が求められているのか?」を周りの意見や置かれている状況、取り巻く環境から包括的、かつ具体的に再考する必要がある』、菅首相は頻繁にコロナ対応の記者会見を開いているが、およそ政策決定の理由などを殆ど説明せず、結論だけなので、およそ説得力がない。まるで大本営発表だ。
・『危機のときこそ、適切な軌道修正  ここで手を抜くと、完全に判断を誤る。3つのフェーズの中で、最も大切で、手間暇がかかるフェーズが「準備」なのだ。 そして、メンバーへの理解が徹底され、メンバーが「よし、やってみよう!」と熱意をかき立てられたところで、次のフェーズの「判断」を下す。判断は明快で、具体性のある中身を伴っていなくてはならない。 最後のフェーズ、「実行」では、自らが積極的に関わり、絶えずフィードバックと検証とができる環境を整え、問題があれば軌道修正を行う。 「一度決めたことを軌道修正するなんて……」とかたくなに拒むリーダーもいるが、優れたリーダーほど結果を最優先に考え、迅速かつ柔軟に対応する。特に緊急時においては、最優先事項が時間とともに変わる可能性もあり、適切な軌道修正が要求される。 こういった一連のプロセスが、「腑(ふ)に落ちる流れ」で行われたとき、初めてリーダーシップを発揮したと評価されるのだ。 ドイツではコロナ感染拡大が始まった当初から、メルケル首相の手腕が評価されていたが、実際に「準備が徹底されていた」のだという。 「10万人当たりの新規感染者数によって、発動する対策メニューがすでに決まっているので、日本のように、その都度、政府がうんうんうなりながら、緊急事態宣言出そうかな、どうしようかな? なんて考えなくて済むシステムになっている。我々も3日移動平均の新規感染者数を見て、来週からこのメニューかな、と予想がつくので、私なんかは、お天気チェックみたいな感覚になってきました」 ドイツ在住の知人はこう教えてくれた。 現在は、「第3波を抑制するための措置」として、「過去7日間で、新規感染者が3日連続で人口10万人当たり100人を超えた場合」という基準値が、テレビや新聞、企業や地域のメルマガなどを通じて4月21日付で通達されたため、基準値ごとに決められた対策メニューに沿って、市民は行動するそうだ。 メニューの項目は、「私的な集まり」「店舗・サービス業等」「レストラン、ホテル、娯楽・文化」「外出制限」「学校・保育施設」「ホームオフィス」に分かれていて、実に具体的に記されている。 例えば、基準値である10万人当たり100人を超えた場合、「レストラン、ホテル、娯楽、文化施設は閉鎖、スポーツは自身のみ、または2人、あるいは自身の家族のみと行うことができる」「午後10時から午前5時までの間は、仕事や医療など、正当な理由がある者だけが外出できる。午前0時までは、1人でのジョギングや散歩は認められる」といった具合に、「できないこと」だけではなく、「できること」もきちんと具体的に示されている。 以前、メルケル首相の感染拡大防止に協力してほしいと国民に訴える「熱弁」が注目を集めたけれど、これだけちゃんと「準備」し、その準備した基準に基づき「判断」したからこそ、熱く、ときに怒りをにじませながらも国民に訴えることができた。徹底的に準備したからこそ、リーダーというポジションについた人だけが手に入れることができる、「言葉の力」という最高の武器を行使できたのだ』、菅首相の場合、「準備」もしておらず、「言葉の力」は全く感じられない。
・『精神論は不要、してほしいのは「仕事」  ドイツではワクチン入手に手間取ったこともあり、接種の遅れが指摘されているが、4月22日現在、ワクチン接種率は21%。2回目終了が6.8%。一方、日本は4月21日時点で、少なくとも1回接種した人は1.2%で、先進国では驚くほど極端に低い水準だ。 3回目の緊急事態宣言が発令され、“リーダー”は「変異ウイルスが~」という文言を繰り返している。 だが、前回の緊急事態宣言が解除されるとき、すでに「変異ウイルスのリスク」は伝えられていた。誰もがそのことを案じていた。なのに、菅義偉首相は「新規感染者数が8割以上減少し、病床使用率も改善されている」と解除の根拠を説明するばかりで、「問題の本質をリーダーが見落としている可能性」を1ミリも考えなかった。 つまるところ、無策のまま1年以上が過ぎ、経済が疲弊し、多くの人たちが生活に困窮し、医療現場が逼迫し、“現場”の人たちが涙する事態が続いている。「人の命か経済か」と散々いわれてきたけど、命でもなければ経済でもない。「選挙のことしか考えてないのでは?」などと、思ったりする。 リーダーがリーダーシップを発揮するには、メンバーたちからの「信頼」が必要不可欠なのに、リーダーが信頼できない。自分たちの無策を「変異ウイルス」のせいにしないでほしい。 だいたい「医療崩壊」という4文字が、どれだけ重いものなのか? “リーダー”たちは本当にわかっているのだろうか。現場にいるのは「人」、「人」なのだ。 目の前の人を救うことができない、電話の向こうで命の危険にさらされている人に病院を案内することもできない人たち……。 この国のリーダーには、そんな「人」たちのことが見えていない。精神論はいらない。リーダーの仕事をしてほしい。ただ、それだけだ』、「菅義偉首相は・・・解除の根拠を説明するばかりで、「問題の本質をリーダーが見落としている可能性」を1ミリも考えなかった。 つまるところ、無策のまま1年以上が過ぎ、経済が疲弊し、多くの人たちが生活に困窮し、医療現場が逼迫し、“現場”の人たちが涙する事態が続いている」、「目の前の人を救うことができない、電話の向こうで命の危険にさらされている人に病院を案内することもできない人たち……。 この国のリーダーには、そんな「人」たちのことが見えていない。精神論はいらない。リーダーの仕事をしてほしい。ただ、それだけだ」、同感である。

次に、5月3日付け東洋経済オンラインが掲載したコミュニケーション・ストラテジストの岡本 純子氏による「もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由 「決定的に欠如している」根本原因は、これだ!」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/426143
・『日本を代表する一部上場企業の社長や企業幹部、政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチなどのプライベートコーチング」に携わり、これまでに1000人の話し方を変えてきた岡本純子氏。 たった2時間のコーチングで、「棒読み・棒立ち」のエグゼクティブを、会場を「総立ち」にさせるほどの堂々とした話し手に変える「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれ、好評を博している。 その岡本氏が、全メソッドを初公開した『世界最高の話し方1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』は発売後、たちまち12万部を突破するベストセラーになっている。 コミュニケーション戦略研究家でもある岡本氏が「日本人がもう心底『日本政府のコロナ対策』にウンザリしている根本理由」について解説する』、「コミュニケーション戦略研究家」の見方とは興味深そうだ。
・『「モヤモヤ」が拭えない3回目の「緊急事態宣言」  3回目の「緊急事態宣言」が発令されました。しかし、緊張感のあった2020年の1回目とは大分、様相が違うようです。 多くの国民が、「もんもん」とし、「モヤモヤ」し、「イライラ」しています。街の人出はそれほど減っている印象もないし、都内でも酒を提供している店や夜遅くまで開いている飲食店もあります。 「マンボウ?」「宣言?」いったい何が違って、何をしてはいけないのかももはや、わかりません。 「防疫体制」「医療体制の構築」「ワクチン接種の体制整備」……。日本の新型コロナ対策は何をとっても、泥縄的な印象が拭えません。 4月28日の時点で、あれだけ、感染者が激増しているインドが流行国に指定されておらず、水際対策は「ザルどころか、底が割れた鍋だ」と自民党内から声が出ました。 後手後手で、つぎはぎだらけの対策。国民はもはやサジを投げたというか、諦めムードさえ漂っています。 この「モヤモヤ感の根源」にあるものは何でしょうか。今回は今、この国に絶望的に欠如している「リーダーシップ」と「信頼」について考えてみましょう。 ロイター通信によれば、日本のワクチン接種は、主に「ロジスティックの問題」で進んでおらず、日本の接種率はまだわずか1.6%で先進国随一の低さ。日本より遅く接種が始まった韓国でさえ、人口の4.7%の接種が済んでいるのだそうです。 巨大な会場での大規模接種の話が出ていますが、報道によれば、先週ぐらいに浮上したアイディアだとか。他国は1年も前から接種体制について入念に準備を進めてきたというのに、いったいどういうことなのでしょう。もう開いた口がふさがりません。 次から次へと明らかになるポンコツぶり。いやいや、大変なのは、日本だけではないかもしれない。そう思って、私は海外に住む友人たちに現在の各国のコロナ対策について尋ねてみました』、「日本の新型コロナ対策は何をとっても、泥縄的な印象が拭えません」、「水際対策は「ザルどころか、底が割れた鍋だ」」、「日本のワクチン接種は、主に「ロジスティックの問題」で進んでおらず」、「開いた口がふさがりません」もその通りだ。
・『「海外在住」の日本人に「コロナ対策」を聞く
【アメリカ】(カリフォルニア州在住) +住民の37%がワクチン接種を完了し、20.3%は1回目の接種を済ませている。 +レストランはすでにインドア、アウトドアとも条件付きで再開。学校の再開も進む。このまま順調に行けば6月15日に経済活動の全面再開の予定。ただしマスク着用義務は残る。 【ドイツ】(ベルリン市在住) +2回接種済みは7.4%、1回接種済みは24.7%。 +スーパーかドラッグストア等生活必需品を取り扱うお店ぐらいしかオープンしていない。小学校は分散登校、中学校以上は原則オンライン授業、公共空間および屋内はN95相当のマスク着用義務(布マスクや医療用マスクは不可)、夜間外出禁止。
【イギリス】(ロンドン在住) +収束しつつある +国民の約半数が1回目の接種を終わった。 
【オーストラリア】(シドニー在住) +ずっと感染者ゼロが続いている。 +ワクチン接種は全人口の7%ぐらい。しかし感染者もいないので、特に急ぐ必要がない。 +レストランもジムも普通に営業。日常生活に制約はほぼなし 
【シンガポール】 +3月後半より45-59歳、6月1日からは16‐45歳もワクチン接種の対象に。
【ロシア】(モスクワ在住) +人口の7%(1回接種が8.3%)と聞いている
 いずれも「ワクチン接種」は日本よりは進んでいるようです。 一方で、ドイツの状況はずいぶん厳しく、「半年以上ロックダウン」という状態が続いていますし、他の多くのヨーロッパの国々も状況は厳しいままです。 アメリカもイギリスも大変な数の犠牲者を出し、長らく厳しい規制下に置かれていたことを考えると、日本の状況は「比べ物にならないぐらいいい」(ベルリン市在住の冨永真実子さん)とも言えるわけですが、そういった評価にもかかわらず、日本人の怒りは沸点に達しています。 今回、10人の海外在住の日本人に話を聞きましたが、8人が「感染は収束している」と回答。驚いたのは、9人が「その国の政権やリーダーを信頼している」と答えたことでした。ひどい状況の続くドイツでさえ、メルケル首相への支持率はそれほど下がっていないというのです。 その理由を冨永さんは「少なくとも『説明責任を果たしている』と認識されている」と分析しています。 「トップのメッセージがクリアで、市民にはリーダーシップがあると映る」「メディアとの関係が良好で、政権の方針に対して、国民も社会もメディアも協力的。結果、滞っていたいろいろなことがスムーズに流れている」(アメリカ)、「首相が定期的に状況のアップデートを3カ国語で会見。国民目線に立って語りかけ、一体感を感じさせてくれた」(シンガポール)と手放しの評価です』、「日本の状況は「比べ物にならないぐらいいい」・・・そういった評価にもかかわらず、日本人の怒りは沸点に達しています」、その通りだ。
・『「国と国民との信頼関係」が欠如している日本  日本人のモヤモヤポイントはたくさんあるわけですが、根本にあるのは「国」と「国民」との間の「コミュニケーション」、そしてそこから生まれるはずの「信頼関係」が「決定的に欠如している」ということではないでしょうか。 「信頼(Trust)の欠如」。これは今の日本の多くの問題の根幹にあるのかもしれません。 「組織の運営や企業の経営において特に重要なもの。それが信頼である」。アメリカの神経経済学者で、クレアモント大学院大学のポール・ザック教授は、こうした学説を唱え、「信頼」についての多くの学術的研究を発表しています。 「リーダーや社員間の信頼関係が高い企業」は低い企業に比べて、ストレスが74%減り、生産性は50%、人生への満足度が29%上がったそうです。 そこには「幸せホルモン」と言われる「オキシトシン」が深く関係していると彼は指摘します。 「信頼」は「幸せホルモン」「オキシトシン」の分泌を促進し、「人生の幸福感」「満足度」を高め、オキシトシンは「共感力」を高め、他人を信頼することへの「恐怖心を削ぐ」という相乗効果があるそうです。 他方、日本ではこの「信頼」の度合いが世界的に見ても圧倒的に低いという現実があります。PR会社エデルマンが毎年行っている「信頼」に関する世界調査によると、日本人で「政府を信頼する」という人の割合は37%で、サウジアラビアの82%、シンガポールの76%などの半分以下で、28カ国中22番目。「ビジネスへの信頼度」は28カ国中27番目、「メディアへの信頼度」も28カ国中27番目と惨憺たる結果でした。 「日本の安倍政権だけが『コロナ危機で支持率低下』という残念さ」(「プレジデントオンライン」2020年4月17日)でも指摘したように、危機下では政権の支持率は一般的に上昇しやすいのですが、日本とブラジルだけは支持率を下げました(2020年4月時点)』、「「信頼」に関する世界調査によると、日本人で「政府を信頼する」という人の割合は37%で、サウジアラビアの82%、シンガポールの76%などの半分以下で、28カ国中22番目。「ビジネスへの信頼度」は28カ国中27番目、「メディアへの信頼度」も28カ国中27番目と惨憺たる結果」、「危機下では政権の支持率は一般的に上昇しやすいのですが、日本とブラジルだけは支持率を下げました」、日本は酷いものだ。「メディアへの信頼度」が低いのも政府広報的になったことも影響しているのかも知れない。
・『日本はあらゆる組織で「リーダーシップ不在」  こうした不信感の源泉のひとつに「リーダーの資質」や「コミュニケーション不全」といった要素があるように感じます。 「納得のいく説明が何ひとつない」。これは我々がとみに感じるところでしょう。 「なぜ、医療体制が整備されてこなかったのか」 「なぜ、水際対策がこれほどまでに遅く、ゆるゆるなのか」「ワクチン接種体制の構築がなぜこれほど遅いのか」「オリンピックは安全に開くことができるのか」などなど、国民は尽きぬ不安と疑問に溺れかけています。 菅義偉首相ひとりを責めて片付く問題ではないでしょう。大臣、政治家、官僚、医師会、あらゆる組織において「リーダーシップ不在」であり、何も動かない。国民はただただ、「自制」し、「自己防衛」をしていくしかないということです。 ザック教授は、「信頼」を醸成し、「オキシトシン」を高める方法として、以下の8つを推奨しています。 ①(人々の)働きや努力を認める ②難しいけれど、達成可能なチャレンジを与え、適度なストレスを誘発する ③仕事のやり方について自主裁量権を与える ④自分でやりたいと思う仕事ができるようにする ⑤広く情報を共有する ⑥意識的に関係性を強化する ⑦人格的な成長を促す ⑧(リーダーが)弱さを認め、人々に助けを乞う これらの方策はすべて、「国のコミュニケーション」に応用ができそうですよね。結局のところ、医療体制も接種体制も防疫体制も、意思疎通や指示伝達などが機能しなければ、変わりようはないわけで、コロナ対策のすべての場面において、「戦略的なコミュニケーション」が絶対的に必要ということです』、同感である。
・『日本人にはもっと「きっちり言語化し伝える力」が必要だ  一つひとつのパーツはいいのに、全体となるとなぜかぐだぐだ。これが日本の「あるある」です。それはそうしたパーツをつなぐ役割を果たす「コミュニケーション」が機能していないからかもしれません。 「以心伝心」「忖度」「阿吽の呼吸」といったお家芸に頼っているから、物事は進まない。この視界不良の社会においては、「きっちりと言語化し伝える」という、血のにじむ「コミュニケーションの努力」「話し方の技術」が、どのリーダーや組織にも求められている――いまのコロナ禍は、この真実を私たち日本人につきつけているのです』、菅首相や官邸には「コミュニケーション」の専門家もついている筈だが、一体、何をやっているのだろう。「きっちり言語化し伝える力」は確かに求められているようだ。
タグ:リーダーシップ 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン 河合 薫 岡本 純子 (その1)(信頼されるリーダーと「変異株」を言い訳にする人々、もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由 「決定的に欠如している」根本原因は、これだ!) 「信頼されるリーダーと「変異株」を言い訳にする人々」 顔の広い「河合氏」ならありそうな話だ 私は検査入院する際に、病院の手配と費用負担で「PCR検査」を受けたが、唾液で検査する方式で、唾液がなかなか出てこないので苦労した記憶がある。 「昨年のかなり早い段階から、大学で週1~2回の頻度でPCR検査を徹底し、無症状の感染者を早期に隔離して感染を防ぐサーベイランス検査を実施・・・米ボストン大学の研究者グループが、昨年2月に大型クルーズ船で起きた感染者のデータを解析し、その結果に基づく施策」、なんとアメリカは「クルーズ船」「感染」から正しく学んだのに、日本は「“リーダー”が会見で語るのは、「1年やってきたから、感染対策はわかっている」だの「マスク会食を」だの「不要不急の外出を控える」だのといった、科学的根拠に基づくものかどうかもわからない対策 菅首相は頻繁にコロナ対応の記者会見を開いているが、およそ政策決定の理由などを殆ど説明せず、結論だけなので、およそ説得力がない。まるで大本営発表だ。 菅首相の場合、「準備」もしておらず、「言葉の力」は全く感じられない。 「菅義偉首相は・・・解除の根拠を説明するばかりで、「問題の本質をリーダーが見落としている可能性」を1ミリも考えなかった。 つまるところ、無策のまま1年以上が過ぎ、経済が疲弊し、多くの人たちが生活に困窮し、医療現場が逼迫し、“現場”の人たちが涙する事態が続いている」、「目の前の人を救うことができない、電話の向こうで命の危険にさらされている人に病院を案内することもできない人たち……。 この国のリーダーには、そんな「人」たちのことが見えていない。精神論はいらない。リーダーの仕事をしてほしい。ただ、それだけだ」、 「もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由 「決定的に欠如している」根本原因は、これだ!」 「コミュニケーション戦略研究家」の見方とは興味深そうだ。 「日本の新型コロナ対策は何をとっても、泥縄的な印象が拭えません」、「水際対策は「ザルどころか、底が割れた鍋だ」」、「日本のワクチン接種は、主に「ロジスティックの問題」で進んでおらず」、「開いた口がふさがりません」もその通りだ。 「海外在住」の日本人に「コロナ対策」を聞く 「日本の状況は「比べ物にならないぐらいいい」・・・そういった評価にもかかわらず、日本人の怒りは沸点に達しています」、その通りだ。 「「信頼」に関する世界調査によると、日本人で「政府を信頼する」という人の割合は37%で、サウジアラビアの82%、シンガポールの76%などの半分以下で、28カ国中22番目。「ビジネスへの信頼度」は28カ国中27番目、「メディアへの信頼度」も28カ国中27番目と惨憺たる結果」、「危機下では政権の支持率は一般的に上昇しやすいのですが、日本とブラジルだけは支持率を下げました」、日本は酷いものだ。「メディアへの信頼度」が低いのも政府広報的になったことも影響しているのかも知れない。 コロナ対策のすべての場面において、「戦略的なコミュニケーション」が絶対的に必要ということです』、同感である。 菅首相や官邸には「コミュニケーション」の専門家もついている筈だが、一体、何をやっているのだろう。「きっちり言語化し伝える力」は確かに求められているようだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

日本の政治情勢(その55)(【独自】渦中の高須克弥氏と河村名古屋市長を直撃 リコール署名偽造事件の真相は?、河井事件の1.5億円 うごめく「二階降ろし」の策動 二階幹事長の「不関与発言」が党内外で大炎上、日本の政治家があまりにひどすぎる「3つの理由」 ワクチン接種で考えざるをえない「深刻な問題」) [国内政治]

日本の政治情勢については、4月2日に取上げた。今日は、(その55)(【独自】渦中の高須克弥氏と河村名古屋市長を直撃 リコール署名偽造事件の真相は?、河井事件の1.5億円 うごめく「二階降ろし」の策動 二階幹事長の「不関与発言」が党内外で大炎上、日本の政治家があまりにひどすぎる「3つの理由」 ワクチン接種で考えざるをえない「深刻な問題」)である。

先ずは、5月6日付けAERAdot「【独自】渦中の高須克弥氏と河村名古屋市長を直撃 リコール署名偽造事件の真相は?〈dot.〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2021050500012.html
・『愛知県の大村秀章知事のリコール運動をめぐる偽造署名事件で、大きな進展があった。 これまで関与を否定してきた活動団体の事務局長だった田中孝博氏が一転し、名古屋市内の広告関連会社へ「署名集め」を依頼したことを認めたのだ。だが、田中氏は合法的な「署名集め」の業務を依頼したと主張。「偽造署名の作成」は否定している。 その理由について田中氏は、リコール活動の代表だった高須クリニックの高須克弥院長が、SNSなどで「目標数に達する見込み」と発信していたことを上げ、「高須氏に恥をかかせるわけにいかなかった」などと説明しているという。 これまで業者への発注自体を否定し、佐賀市での書き写しも知らないと関与を否認してきた田中氏。なぜ、前言を翻したのか。活動団体の代表だった高須氏が記者の取材に応じた。 「田中さんが私に恥をかかせられないという発言をしていると、報じられたことは知っています。ああ、そうかねというくらいしか、(感想は)ありませんね。偽造署名に私が関与することなどありません。田中さんは、私が任命した司令官です。信頼を置いている」 4月25日に名古屋市選挙で勝利し、4選目を果たした河村たかし市長に対し、高須氏は自身のSNSで「河村市長は友達から外します」と発信。マスコミには「絶交します」とコメントした。これまで「盟友」とみられていた2人に何があったのか? 高須氏に真意を尋ねた。 「リコールの話は河村さんから電話があって『リコールをしようと思う。手伝ってくれんかね』ということでした。私は『全力でお手伝いをします』とお答えした。しかし、リコールの記者発表をするので、会見場に行くと河村さんがいない。まわりに愛知県の人間がおらず、私が代表になりました。そして市長選がはじまると、わしゃ知らんがねという内容を河村さんがおっしゃった。逃げちゃった。そういう人とは、友達付き合いに値しないので、絶交です」』、「高須氏」が「河村市長」と「絶交」したとはさもありなんだ。「田中氏」の取り調べは順調に進んでいるようだ。
・『高須氏にリコール活動の偽造署名の問題への関与をついても質問した。 「偽造署名のことはすでに私も記者会見で話した通り、まったく知りません。しかし、私は会長ですから、責任はとります、逃げたりしません」 そして名古屋市長選挙に絡む、驚きの話も披露してくれた。 「私がなぜ今のタイミングで(河村氏への決別を)公表したのかと言えば、河村さんに対抗して名古屋市長選に出た横井利明さん。実は、以前から麻雀友達です。選挙でも応援をと言われたこともありますが、応じませんでした。河村さんと横井さんの票差は4万票ちょっとでしょう。私は義理があるから選挙中は河村さん、横井さんのどちらにもつきませんでした。選挙も終わったので河村さんとの義理はもう果たしました。もし、河村さんが市長選で負けていたら、このような話はできません」 一方、河村たかし名古屋市長は記者に対し、こう語った。 「田中氏はこれまで署名集めを依頼した業者など知らんと記者会見で言っとったがね。思い当たるのは、田中氏から署名がなかなか集まらないと相談されたことはあった。署名活動は選挙とは違うので、業者に有料で依頼する方法もあるという話になったことがあった。だが、田中氏から実際に業者に依頼すると連絡、報告もなかった。偽造署名なんて知らないし、ワシが頼むことも絶対ない。田中氏は何が本当なのか、きちんと話さないといけない」 高須氏の説明とは食い違う経緯を河村市長は主張した。 「最初、田中氏が『高須先生がリコールをやりたがっている』と言ってきたので、ワシから高須先生に電話をしてぜひと言いました。田中氏が記者会見の案内のチラシを持参してきた時に高須先生が代表予定者とあり、そうなったのかと思っていた。もともと、高須先生は田中氏の支援者とも親しいと聞いておりました。高須先生のご指摘の記者会見ですが、最初から出席できないと言ってありました」』、「偽造署名」の責任をめぐる泥仕合はみっともない。
・『高須氏の絶交宣言を報道で知ったと明かした河村氏。 「その後、何度か電話をしていますが、つながっていません」(同前) リコール活動でツートップだった高須氏と河村氏の食い違いで、ますます混迷する偽造署名の問題。愛知県警はすでに地方自治法違反容疑で捜査を進めている。 愛知県に提出されたリコール署名の8割が偽造の疑いとされる43万5千人分の名簿は、現在、愛知県警に押収されている。本誌が入手した署名簿のコピーにも明らかに同一の筆跡と思われるものが多くあった。 「偽造署名と報じられているが、それは住所、名前を書き写しという意味でしょう。署名は本人のものだが、拇印は別人というものもある。これまでの捜査から拇印の偽造には10人くらいの人物が組織的に関与しているとみられる。実際に拇印を押すように頼まれ、押したという証言もある。偽造されたものが、書き写しだけでなく、拇印も含まれていることから捜査に時間がかかっている」(捜査関係者) 名古屋市長選挙の争点ともなったリコール署名偽造事件。ゴールデンウイーク明けにも「Xデー」が囁かれている。真相が明らかになるのだろうか?(今西憲之)』、「ゴールデンウイーク明けにも「Xデー」」とは5月18日の事務局長ら4名の逮捕だった。「真相」解明には時間がかかりそうだ。

次に、5月22日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「河井事件の1.5億円、うごめく「二階降ろし」の策動 二階幹事長の「不関与発言」が党内外で大炎上」を紹介しよう。
・『河井案里元参院議員の巨額買収事件の買収原資とも指摘されている自民党本部からの1億5000万円について、二階俊博幹事長の「関与していない」発言が大炎上している。 「相場の10倍」(自民選対)とされる巨額の選挙資金が幹事長の決裁もなく支出されたとすれば、そのずさんさは国民の税金から政党助成金を受け取る公党としての資格も問われかねない。 しかも、選挙資金支出の決裁に関わる立場だった当時の安倍晋三総裁(前首相)や甘利明選対委員長(党税調会長)も、そろって関与を否定している。このため、自民党内でも「党本部はまるで伏魔殿」(若手)との声が噴出し、コロナ対応で求心力低下が際立つ菅義偉首相にとっても「政権を揺さぶる悪材料となる」(閣僚経験者)ことは不可避の状況だ』、「1億5000万円」もの巨額資金の支出経緯が不明とは、あり得ない話だ。
・『甘利氏は選挙資金問題を強く否定  二階氏の発言は5月17日の定例記者会見で飛び出した。1億5000万円問題を質された二階氏は「その支出について、私は関与していない」と記者団をにらみつけるように言い切った。同席した二階氏最側近の林幹雄幹事長代理も、甘利氏が当時、選対委員長として広島選挙区を担当していたと補足説明した。 二階氏らはこれまで、元法相の河井克行被告(公判中)と妻の案里氏への巨額の選挙資金支出の経緯について踏み込んだ言及を避けてきた。しかし、17日の会見で林氏は「当時の選対委員長が広島を担当していた。細かいことについて幹事長はよくわからない」と述べ、甘利氏が決裁した可能性をあえて示唆した。 これに対して甘利氏は18日、国会内で「(選対委員長として)1ミリも、正確にいえば1ミクロンも関わっていない。関与していない以前に、党から給付された事実を知らなかった」と強い口調で自らの関与を否定した。 この1億5000万円問題では、広島県連会長の岸田文雄前政調会長が12日、早急な使途解明と国民への説明を党執行部に申し入れた。その際、林氏は「検察から書類が戻れば報告書を作成し、総務省に届ける」と従来の説明を繰り返した。 そもそも、買収事件発覚後には、甘利氏から選対委員長を引き継いだ下村博文政調会長が「党本部(からの振り込み)ということであれば、幹事長、あるいは総裁の判断ということになる」と指摘していた。) ただ、安倍政権下で1億5000万円支出が確認された際には、党内で「甘利氏が安倍首相や菅義偉官房長官の意向を受けて支出を決めた」とうわさも流れた。林氏の説明はそれを踏まえたものともみえる。 買収事件を引き起こした河井夫妻は、克行被告が安倍、菅両氏と極めて近く、案里氏は当選後、二階派に入会していた。案里氏の選挙応援に駆け付けたのは当時の菅官房長官で、選挙期間中の案里氏との「ツーショット写真」が話題となるほど肩入れしていた』、なんとも無責任な責任のなすり合いだ。
・『二階発言で「疑惑」が表舞台に  案里氏とともに自民公認で広島選挙区に立候補して落選した岸田派重鎮の溝手顕正・元参院議員会長に対する党本部からの選挙資金は案里氏の10分の1の1500万円だった。この党本部の露骨な対応に、党内には「安倍さんに批判的だった溝手氏の追い落としを狙った策謀」(岸田派幹部)との声も出ていた。 だからこそ、1億5000万円支出の経緯と使途が、一連の河井夫妻の公判とも絡んで注目の的となった。今回の二階氏の不関与発言は、これまでくすぶってきた疑惑を表舞台に上げる結果となり、「政局絡みの権力闘争の材料」(同)と深読みする向きもある。 二階氏の発言については、自民党広島県連会長代理の中本隆志県会議長が18日、「無責任で情けない。これほど県民を侮辱した言葉はない。(4月の)再選挙で(自民候補が)敗北したのはやはりこの1億5000万円が一番大きな原因だ」と怒りを爆発させた。 県連会長の岸田氏も同夜のBS情報番組で「送金に誰が関与したかではなく、金が何に使われたかだ。論点をごちゃまぜにするとおかしなことになる」と二階氏や林氏の対応に苦言を呈し、きちんとした使途の説明を求めた。 一方、国会会期末の政権攻撃を狙う立憲民主党の安住淳国対委員長は18日、「圧倒的な金銭をなぜ河井さんにだけ渡したのか。原資が政党交付金など国民の金である以上、説明する必要がある」と国会で徹底追及する考えを強調。共産党の志位和夫委員長も「二階氏は執行部だ。こんな無責任な発言はない」と厳しく批判した。 国政選挙における自民党幹事長の持つ権限は絶大とされる。行政府の長である首相となる党総裁に代わって、選挙での公認権や党資金の配分などを自在に決めることができるからだ。特に、在任期間歴代最長を更新し続けている二階氏は「これまで以上に、党運営のすべてを支配している」(閣僚経験者)とみられている。) それだけに党内でも「二階氏が1億5000万円もの支出を知らないことなどありえない」(幹事長経験者)との声が支配的で、「二階氏があえて関与を否定した裏には、何かしたたかな計算があるはず」(自民長老)と受け止める向きが多い。 「決裁は総裁か幹事長」と指摘した下村氏は安倍前首相の最側近で、岸田氏も安倍氏と親しいことで知られる。このため、二階氏サイドは党内の動きについて「安倍氏の周辺が幹事長に責任を押し付けようとする、『二階降ろし』の画策だ」と身構える』、「二階氏があえて関与を否定した裏には、何かしたたかな計算があるはず」、「二階氏」の「計算」とはどんなものなのだろうか。
・『沈静化に追い込まれた二階陣営  18日に林氏が「根掘り葉掘り、党の内部のことまで踏み込まないでもらいたい」と記者団を牽制したのも、そうした党内の不穏な空気を意識したものとみられている。ただ、「その対応自体が火に油を注ぎ、国民の疑惑も拡大させるだけ」との批判も広がる。 こうした状況に二階氏サイドも沈静化に乗り出さざるをえず、林氏は18日に甘利氏に電話で「他意はなかった」と陳謝した。二階氏も事態の展開を見極めたうえで、週明けの24日の会見の際に、改めて党本部の対応を説明する構えだ。 そうした中、克行被告の東京地裁での公判は18日に結審した。検察側の求刑は懲役4年、追徴金150万円。弁護側は執行猶予付きの判決を求め、克行被告は意見陳述で声を震わせながら「十字架を背負って歩く」などと悔悟と反省の弁を述べた。ただ、1億5000万円については「買収には1円も使わなかった」と繰り返した。 判決言い渡しは6月18日で、2020年の河井夫妻の逮捕の日と同じだ。現状では実刑は免れないとみられているが、「起訴内容の大半を認め、自らの行動を謝罪し、衆院議員も辞職したことで、執行猶予の可能性も出てきた」(司法関係者)との見方もある。 もし、判決で執行猶予となれば、意見陳述で「どうか一刻も早く、ふるさとの土を踏ませていただき、有権者の皆様に謝罪をさせていただきたい」と涙まじりに訴えた克行被告は控訴しない可能性が大きい。その場合、捜査当局が自民党本部から押収した資金支出に関する書類も早期に返還されることになる。 二階氏らはこれまで、「書類が戻れば公認会計士などのチェックを受けて、1億5000万円の使途についてもきちんと説明する」と繰り返してきた。しかし、党内には「結局、誰が決裁したかはあいまいにしたまま幕引きを図る魂胆では」(閣僚経験者)と勘繰る向きが多い。 「政局絡みでの責任のなすりつけあい」にみえる今回の騒動は、「安倍・菅政権特有のおごりと隠蔽体質」(首相経験者)を浮き彫りにしたことは間違いない。「次期衆院選勝利による疑惑帳消しを狙っても、かえって有権者から厳しいしっぺ返しにつながる」(自民長老)と、自民党内の不安は広がるばかりだ』、「誰が決裁したかはあいまいにしたまま幕引きを図る魂胆」、こんなことを許すべきではない。政治記者も腕の見せ所と、奮闘してもらいたい。

第三に、5月23日付け東洋経済オンラインが掲載した財務省出身で慶応義塾大学准教授の小幡 績氏による「 日本の政治家があまりにひどすぎる「3つの理由」 ワクチン接種で考えざるをえない「深刻な問題」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/430023
・『新型コロナウイルス対策の迷走、ワクチン接種をめぐる混乱で、政治家への不信がより一層高まっている。 しかし、私が危惧しているのは、それが不信から軽蔑へ、「ただの馬鹿なのか?」という疑問に変わっていることである』、「小幡 績氏」らしい鋭い指摘だ。
・『短期間の宣言を「主張」、権力自体も失いかねない菅首相  新型コロナ対策では明らかに矛盾したことを言っている。それが背後にある利害関係からならば、それは不信にすぎない。 もし「旅行業界とつながっているんじゃないか」「医師会との癒着ではないか」といった類のものなら、戦後、いや人類が誕生してから政治というものが生まれたときから存在しているものであり、問題はあるが、既知のことである。それよりも深刻なのは、利害関係がないにもかかわらず、子供でもわかるようなおかしなことをしていることである。 今回の緊急事態宣言の延長(5月31日まで)も、4月25日の開始時から5月11日までの17日間で終了することなど無理だとわかっていたことだった。延長しても、その効果はまったくといっていいほどなく、「最初から長くやっておいたほうが良かった」と言われることは100%確実だったはずだ。 なのに、菅義偉首相はむきになって短期間を主張したようだ。しかも菅首相は自分の言葉を「バナナのたたき売り」のように安売りし続け、自分の言葉の力どころか、大好きな権力自体も失うことは明白だったにもかかわらずだ。 ワクチン接種の予約も、混乱するのはわかり切っていたのに、事実上、市町村に丸投げし、しかも案の定、またもやひどい予約システムと来ている。間抜けなことに、このタイミングでデジタル庁設置法案が可決、成立。「あのさー、デジタル庁を作る前に、まともな予約システムか何かを国で作っておけよ」と多くの人が思っている。 振り返れば、マスクを国民に配るという発想もほとんど効果がなさそうだということはうすうすわかっていたし、病床がひっ迫するのもわかっていたはずだ。だが、ワクチンの準備では、英米を中心とした各国では、あれだけ死者が激増して政府もパニック状態になっていたにもかかわらず、ワクチン接種の段階になったときの準備を着々と進めていた。 なのに、日本は「Go To」などをやって、ワクチン接種の準備は遅れに遅れ、役に立たないような準備ばかりをしていたことになる』、これだけ菅政権の無策ぶりを列挙するとは、さぞかしスッキリすることだろう。
・『政治家が愚かである「3つの仮説」  政治家はやっぱり馬鹿なのか? という疑問が出てくるのは当然だろう。恐ろしいのは、私ですら疑問にとどめているのに、国民の多く、特に若年層にとっては、それは疑問ではなく、結論である。いや結論どころか、常識、空気になっている。大前提となっているのである。 しかし、ここで改めて考えてみよう。本当に政治家は馬鹿なのか? 事実から行こう。一連の政治家の振る舞いは愚か(おろか)である。これは動かしがたい。では、次に「なぜ愚か」なのか? 3つの仮説がある。 (仮説1)愚かな人が政治家になっているから (仮説2)政治家になると愚かになってしまうから (仮説3)政治家になると愚かに行動することになるから  仮説1については、さらに2つの仮説に分けられる。 仮説1-1愚かな人が政治家になりたがる 仮説1-2愚かな人が政治家に選ばれている まず、仮説1は、政治家の能力、生まれつきの問題であるが、解決策は「愚かでない人」を政治家に選ぶことである。では、どうすれば愚かでない人を政治家に選ぶことができるだろうか?一般的には、それは民主主義であり、民主主義の徹底を追求することで実現することになっている。 しかし、現実はどうであろうか? 「民主主義とは何か」という問題は置いておき、普通選挙を徹底し、それを公正に行うということを追求することで、現実の世界はこれを実現しようとしてきたし、有識者の多くもそれを当然の大前提としている。 アメリカのドナルド・トランプ前大統領が愚かかどうか、ブレグジット(英国のEU離脱)が誤った決定かどうかなどはさておき、こうした考え方に対して疑問を持つ人々は、この5年で増大した。 一方、中国の習近平国家主席が優れたリーダーかどうか、目標が正しいかどうかの議論はさておき、実力者であることは間違いがない。民主的な選挙と言われるものでは実力者が出てこず、独裁制の下で生まれてきているという考え方もありうる。もちろん、共産党内の激しい競争がこれを実現しており、競争こそが重要だという考え方もありうる』、「民主的な選挙と言われるものでは実力者が出てこず」、には違和感がある。ドイツのメルケル首相、アメリカのケネディ大統領など、「実力者」も少なからずいる。
・『愚かな政治家が選ばれる「2つの理由」  世界的に見て、優秀な国家元首が民主的な選挙で選ばれる確率は低下しているように見える。ここでは独裁制との優劣比較は論点ではなく、なぜ民主的な選挙で愚かな政治家が選ばれるか、という問題であるから、その理由を考えよう。 形式的には2つ考えられるだろう。 1つは、愚かな人しか立候補しないので、愚かでない人を選べない、という可能性である。もう1つは、愚かな人が「より得票力がある」という説である。 前者は、政治家という仕事(職業? しかし、職業政治家と一時的に政治家になる人とがいるし、兼業も許されているから、仕事と言ったほうがいいだろう)が馬鹿馬鹿しくて、まともな人は立候補する気にならない、ということである。後者は、有権者がなぜか愚かな人に投票してしまう、という現象である。 なぜ政治家になるのは馬鹿馬鹿しいのか?これは仮説2「政治家になると愚かになってしまうから」の問題ともつながる。 政治家になると、もともと愚かでない人でも、愚かに行動するようになってしまう、というストーリーである。この現象が生じる可能性は、2つある。まず、漫画的にありそうなのは、政治家になると先生になり、傲慢になり、人の言うことを聞かなくなるから、ということである。経営者ならガバナンスが効かない状態であり、先生と呼ばれる職業には必ず起こることらしい。私も先生と呼ばれることに慣れてしまった。 しかし、もっと可能性が高いのは、愚かに行動することを強いられるという現象である。ガバナンス(統治のシステム)が効きすぎて、愚かになる、という行動である。これはヘッジファンドやいわゆるモノ言う株主と称するアクティビストファンドに振り回される経営者と同じである。つまり、「プリンシパル=エージェント関係の議論」でいえば、主人が馬鹿なら、家来も馬鹿にふるまわないと生き残れない、ということである』、有権者が「馬鹿なら」、「政治家」も「馬鹿にふるまわないと生き残れない」、ありそうだ。
・『「主人」のために馬鹿になる?  これも、仮説3の「政治家になると愚かに行動することになるから」につながる。先に言っておくと、仮説2は、主人が馬鹿なために生き残るためには、心から馬鹿にならないとダメ、あるいはそうでないとつらいので、馬鹿になりきっているうちに本当に馬鹿になってしまう、ということである。「政治家は鈍感でないと、やってられない」とよく言うから、この可能性は高いかもしれない。 一方、仮説3のほうは、馬鹿になり切れない、つまり鈍感ではなく感度は高いままだが、だからこそ「主人の意向を敏感にかぎ取り、主人の望むように“気の利いた”行動をし続ける」ということである。 これは、サラリーマンで出世するには必須条件だ。日本でもアメリカでも実は変わらない。「気が利く」「かゆいところに手が届く」「間合いの良いお世辞がうまい行動をとる」「部下などに圧力をかけブラックな行動をとり上司にだけいい顔をする」「とにかく利益を上げ、株価にプラスになることをする」……。こうしたことはすべて主人の好みによる。その主人にしても何らかの意味での出世、あるいは所得、資産を増やしたいだけだから、「主人にとっての主人」が株式市場か、世間体か、勲章をもらうことか、という違いがあるだけである。 むしろ興味深いのは、主人が1人の場合と、いろいろな人がいろいろな意見を言う集合体と、どちらがやりやすいか、という話である。もちろん、それは前者が一般的には楽でわかりやすく割り切りやすいが、後者は極めてしんどい、ということである。 ここまで明示して来なかったが、民主主義の民主的な選挙で選ばれた、そして次の選挙でも選ばれたい政治家にとっての主人は有権者であり、それは群集であり、いろいろなことを言う。これは難しい。 さらに、アメリカのように、イエスかノーか、あるいは弱肉強食主義者と弱肉救済主義者といったように、主義主張が両極端に明示的に分かれていれば、極端に言えば半分だけでもいいが、日本のようなコンセンサス社会、格差といいつつも、価値観はわりと一体となっているところでは、全方位外交をしなくてはならず、八方美人になってしまう。2012年の途中まで続いた民主党政権の最大の問題は、政権をとったら、事業仕分けをすると同時にバラまきもして、業界団体にも労組にも、すべて支援をもらおうとした全方位外交、八方美人になってしまったことである。 そして、自民党も「民主党よりましだ」ということで圧倒的な支持率を獲得してきた。どんなに安倍晋三前首相への批判、今の菅首相への批判が出ても、意外なほど支持率が一定水準を保っているのは、民主党の「悲惨な末路」のおかげである。だが、逆にその結果、自民党は民主党の八方美人を受け継ぐことになった。業界にも消費者にもいい顔をするから、結局うまくいくはずがない』、「民主党政権の最大の問題は・・・業界団体にも労組にも、すべて支援をもらおうとした全方位外交、八方美人になってしまったことである」、「自民党は民主党の八方美人を受け継ぐことになった」、なるほど。
・『公平の厳密性に縛られる日本  さらに日本の問題は、いわゆるサイレントマジョリティの傾向が強すぎる結果、声を上げる一部のクレーマーが世論的なものを形成してしまうことである。 総会屋というものが生まれたのもしかり。陰湿ないじめの問題がなくならず、悪意のない多数のサイレントな追随者が一部のいじめの重さを増大させているのも、日本的な現象だ。だから、ワクチンの一部の問題でも攻撃され、それを防止するために、誰からも不満が出ないように万全な行動をとろうとする。公平にワクチンを配ろうとして、かえって公平性の厳密性に縛られ、迅速に配るということが誰に対してもできない、という愚かな結果に終わる。これが日本である。 蛇足かもしれないが、先日東洋経済オンラインに、ワクチンに関するあまりに愚かな政府およびそのほかの人々の行動に業を煮やしたのか、著名な経済学者たちが連名で、緊急提言を行った(「進まないワクチン予約の劇的改善求める緊急提言」)。 このメンバーには知り合いが多く、親しい人もいる。提言の内容は極めてまっとうである。だが今までにも経済学者の意見を聞く機会はごまんとあったはずで、政治や官邸が今耳を傾ける姿勢があるくらいなら、もっと早い段階、つまり、ワクチン実施案を練っていたときに盛り込まれているはずだからだ。実際、政権の公式なアドバイザーの学者も提言メンバーに入っている。 しかし、簡単なことすらできておらず、かつさまざまな提言を聞こうとしなかった政治家たちが、いまさら聞くわけがないのである。まあ、だから、政治家よりも各自治体の担当職員へ向けて発表しているのかもしれない。それは賢明だ。 しかし、繰り返しになるが、政治家たちがワクチン接種プロジェクトに対してこんなに出遅れて愚かに行動しているのは(担当大臣まで設置し、デジタル庁という組織の法律まで作り上げたのに)、それ以外のことを彼らの主人たちが求め続けてきたからだと私は見る。だから、いまさら提言しても、どうかと思うのである。 さて、日本の政治家が愚かに見える理由をいろいろ考えてきたが、上記に掲げた仮説1から3のどれがもっとも当てはまるだろうか。それは各読者の判断に委ねたいと思う。競馬の予想と一緒で、見方はそれぞれだ(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)』、「公平の厳密性に縛られる日本」とは愚かなことだ、もっと柔軟に対応すべきだろう。「仮説」のうち、私が最も「当てはまる」と思ったのは、3の「政治家になると愚かに行動することになるから」であるが、2の「政治家になると愚かになってしまうから」も捨て難い。
タグ:東洋経済オンライン 小幡 績 AERAdot 日本の政治情勢 泉 宏 (その55)(【独自】渦中の高須克弥氏と河村名古屋市長を直撃 リコール署名偽造事件の真相は?、河井事件の1.5億円 うごめく「二階降ろし」の策動 二階幹事長の「不関与発言」が党内外で大炎上、日本の政治家があまりにひどすぎる「3つの理由」 ワクチン接種で考えざるをえない「深刻な問題」) 「【独自】渦中の高須克弥氏と河村名古屋市長を直撃 リコール署名偽造事件の真相は?〈dot.〉」 「高須氏」が「河村市長」と「絶交」したとはさもありなんだ。「田中氏」の取り調べは順調に進んでいるようだ。 「偽造署名」の責任をめぐる泥仕合はみっともない。 「ゴールデンウイーク明けにも「Xデー」」とは5月18日の事務局長ら4名の逮捕だった。「真相」解明には時間がかかりそうだ。 「河井事件の1.5億円、うごめく「二階降ろし」の策動 二階幹事長の「不関与発言」が党内外で大炎上」 「1億5000万円」もの巨額資金の支出経緯が不明とは、あり得ない話だ。 なんとも無責任な責任のなすり合いだ。 「二階氏があえて関与を否定した裏には、何かしたたかな計算があるはず」、「二階氏」の「計算」とはどんなものなのだろうか。 「誰が決裁したかはあいまいにしたまま幕引きを図る魂胆」、こんなことを許すべきではない。政治記者も腕の見せ所と、奮闘してもらいたい。 「 日本の政治家があまりにひどすぎる「3つの理由」 ワクチン接種で考えざるをえない「深刻な問題」」 「小幡 績氏」らしい鋭い指摘だ これだけ菅政権の無策ぶりを列挙するとは、さぞかしスッキリすることだろう。 政治家が愚かである「3つの仮説」 (仮説1)愚かな人が政治家になっているから (仮説2)政治家になると愚かになってしまうから (仮説3)政治家になると愚かに行動することになるから 「民主的な選挙と言われるものでは実力者が出てこず」、には違和感がある。ドイツのメルケル首相、アメリカのケネディ大統領など、「実力者」も少なからずいる。 有権者が「馬鹿なら」、「政治家」も「馬鹿にふるまわないと生き残れない」、ありそうだ。 「民主党政権の最大の問題は・・・業界団体にも労組にも、すべて支援をもらおうとした全方位外交、八方美人になってしまったことである」、「自民党は民主党の八方美人を受け継ぐことになった」、なるほど。 「仮説」のうち、私が最も「当てはまる」と思ったのは、3の「政治家になると愚かに行動することになるから」であるが、2の「政治家になると愚かになってしまうから」も捨て難い。 「公平の厳密性に縛られる日本」とは愚かなことだ、もっと柔軟に対応すべきだろう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

防衛問題(その16)(「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観”、防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」、日本の自衛隊「最悪の事態」の備えが不可欠な訳 軍事危機にどう使うか コンセンサスが必要だ) [国内政治]

防衛問題については、1月30日に取上げた。今日は、(その16)(「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観”、防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」、日本の自衛隊「最悪の事態」の備えが不可欠な訳 軍事危機にどう使うか コンセンサスが必要だ)である。

先ずは、2月1日付け文春オンラインが掲載した近現代史研究者の辻田 真佐憲氏による「「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観”」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/43141
・『「別にコロナ怖くないけど/マスメディアはゴミだと知ってる/そのダルさはプロパガンダから来る/憔悴のせいだよ」 男性がギターを弾きながら満面の笑みで歌う。2019年にリリースされた、瑛人の「香水」の替え歌だ。この不穏な動画をフェイスブックでシェアしたのは、荒谷卓。陸上自衛隊の特殊作戦群(2004年に発足した特殊部隊)の初代群長である。 荒谷は先日、メディアを騒がせた。OBとなった現在も、毎年、現役自衛官や予備自衛官を募って、三重県で私的に戦闘訓練を指導していると報道されたからである。 それに加えて、同人は「作家の故三島由紀夫が唱えた自衛隊を天皇の軍隊にする考え方に同調するなど保守的主張を繰り返しており、隊内への過激な政治思想の浸透を危惧する声も出ている」という(「陸自OBが私的に戦闘訓練『楯の会に酷似』三島信奉」)』、ウルトラ右翼が「特殊部隊の初代群長」、で退任後も活動を主導しているとは・・・。
・『陰謀論者ご用達の「ディープステート」も登場  しかし、実態はより深刻なようだ。荒谷がフェイスブックでときおりシェアする動画の内容は、三島云々どころではない。 いわく、新型コロナウイルスが危険なのではなく、ステイホームとマスク着用こそが人間の免疫力を落としている。いわく、新型コロナウイルスのワクチンは人間の体に未知の遺伝子変化を引き起こす。いわく、メディアはコントロールされており、世界の真実を伝えない――。 果ては、陰謀論者ご用達のワード、「ディープステート」まで出てくる。この世界には、裏から人類を支配しようとする、権力者や資産家たちによる「闇の政府」が存在するらしい。 さきに紹介した「香水」の替え歌も、ここで意味がはっきりする。ようするに、ひとびとが体のダルさを訴えているのは、コロナのせいではなく、むしろ「ディープステート」に支配された、マスメディアの情報操作のせいだと言うわけである。 OBとはいえ、陸自の特殊部隊元トップがこの認識? さすがになにかの間違いでは。そう信じたいところだが、残念ながら、荒谷の著作を読むとその思いは微塵に打ち砕かれる』、「陰謀論者ご用達の「ディープステート」も登場」、現役時代はどうだったのだろう。
・『「社会の破壊と人間の奴隷化」が始まった?  荒谷のデビュー作は『戦う者たちへ』(2010年)だが、昨年その第3版が出た。そこで増補された部分には、コロナ騒動を受けたところがある。そしてこれが、たいへんきな臭い内容なのである。 令和二年、世界では重要な出来事が起こった。いわゆる『コロナ騒動』だ。コロナウイルスそのものは全く問題ないにもかかわらず、コロナを利用して世界中を脅迫し、自分たちの利益獲得と支配体制を目論む極悪非道の連中がメディアを使って、社会の破壊と人間の奴隷化を開始した。 ここでも「ディープステート」的な世界観が明確に出ていて、頭を抱えてしまう。とはいえ、本書の“暴走”はこれで止まらない。 荒谷はさらに、「新しい生活スタイル」を推し進めて、神社の祭りやお盆の帰省などを阻み、日本の歴史・文化・伝統を根本から破壊しようとする者たちを「日本の真の敵」と断定。そして「これと戦うことが、真の国防である」と主張し、「真の日本の戦闘者」にたいして「行動する時が来た」と訴えかけるのである』、妄想たくましいウルトラ右翼だが、現実を重視する必要がある職業軍人にもこんな人物がいるとは、恐ろしいことだ。
・『「靖国の英霊と初めて会話ができる」  ずいぶん物騒になってきた。とはいえ、その具体的な戦い方を聞くと、いささか拍子抜けする。 日本中に有り余っている休耕田を起こして田んぼを再生する。お祭りに参加する。世のため人のために働く。家族的経営の会社運営をする。お金やネット情報に依存しない。テレビは観ない。メディアの情報を無視する。コロナ騒動を扇動する悪人のもとでは働かない。奴らが振りまくリスクを無視する等々、日本文化防衛のためにできることはいっぱいある。(前掲書) 農業や祭りなどはともかく、後半は典型的な「ネットで真実を知った」者の考え方だ。ネット情報に依存しないと言いながら、フェイスブックを見るかぎり、ネット情報にはそれなりに影響を受けているのではないか。 ところが、本書を読み進めると、そのような合理性が一刀両断されてしまう。 その上で、奴らが強制力をもって戦いを仕掛けてきたら断固として戦う。有効性など考える必要はない。合理性を一切排するところに日本文化の輝きが生まれる。『敵は幾万ありとても我行かん』の気概で戦う。身体の保全より心の保全を優先する。そうすれば靖国の英霊と初めて会話ができる。(前掲書) それはなにか別のものと会話しているのでは――。しかし、こんなツッコミも荒谷には届かないだろう。「マスメディアはゴミだと知ってる」のだから』、とうてい正気とは思えないような発想だ。
・『もともと保守的な思想の持ち主だったが……  たしかに荒谷は、本人も語るように、自衛隊でもともと保守的な“問題児”だった。 入隊前より三島由紀夫を信奉し、尊敬する合気道の島田和繁武学師範より「自衛隊に行け!」と言われたときは、「三島由紀夫を罵倒して、誰もついていかなかった自衛隊か」と思いながらも、「自分が入るなら自衛隊を全部変えなきゃいかんな」という意気込みで、幹部自衛官の道に進んだという。そのため、歴史観で同意できなければ教官にも反論。調査隊の監視対象になっても、構わず制服姿で憂国忌(三島の追悼集会)に参加し、靖国神社の清掃奉仕に加わったほどだった(荒谷卓『自分を強くする動じない力』)。 そのような人物が、特殊部隊の責任者となり、「国を守るとは」「部下の生命を預かるとは」と突き詰めて考えた結果、スピリチュアル系の保守思想にたどり着くのは、それほど不自然なことではない。 とはいえ、昨今の発言はそれまでの著作の内容にくらべても、明らかに一線を越えている。神武天皇や八紘一宇あたりはともかく、ディープステートはやりすぎだ。 したがってこの問題は、保守思想や自衛隊云々よりも、もっと広く捉えなければならない』、「自衛隊でもともと保守的な“問題児”だった」、辞めた時の階級を書いてないが、「幹部自衛官の道に進んだ」、「調査隊の監視対象」、「自衛隊」としても扱いには頭を痛めたことだろう。
・『5点の陰謀論を防ぐ65点の物語を  現在、ネットでは、コロナ禍やアメリカ大統領をめぐって、以上と大同小異の陰謀論が渦巻いている。 「ネットで真実を知った」者の成れの果てと、かれらを笑うのはたやすい。だが「もっと確かな情報源を」という指摘自体が「マスゴミ批判」で封じられている以上、事態は深刻である。 そもそもかれらは、一般的な知性をもち、それどころかとても勉強熱心で、平均的な日本人よりも本を読み、そして自分の頭でよく考えている。にもかかわらず、このような世界観に陥ってしまう。そこでなお既存の権威を振りかざすのはあまりに虚しい。 では、どうすればよいか。ひとつの提案として、メディア上に(オンライン記事でも、ウェブ動画でも)、考えるヒントになるような、よりまともな物語を流していくことが考えられるのではないだろうか。具体的には、「ディープステート」を「農業を通じて国に貢献」などで上書きしていくということである。 あえてざっくり言えば、5点の陰謀論よりも、65点の愛国の物語のほうがまだマシだということである』、この部分は筆者の主張は分かり難い。
・『“100点満点主義者”が壊滅させたもの  SNSには、1点の間違いも許さない、リゴリスティックな100点満点主義者がすっかり多くなってしまった。そこで65点の物語はよく血祭りに挙げられている(「国に貢献」というが、そもそも近代国民国家の枠組みを自明視していることが暴力的であり、思慮が浅く云々)。とはいえ、65点の物語を壊滅させたあとにやってくるのは、100点満点主義者が尊敬される世界ではなく、逆に批判などまったく意に介さない、5点の陰謀論が蔓延する世界ではないだろうか。現状はむしろそうなっているように思えてならない。 われわれは不完全な存在である。100点満点主義者も、自分の得意分野以外ではしばしばデタラメなことを言っている。であれば、65点ぐらいの物語を公共財として鍛えていくことが、5点の陰謀論を防ぐ防波堤になると筆者は考える。 今回のニュースについても、ただ笑い、嘆き、蔑んで消費してしまうよりも、このような代替案を考えたほうが生産的で有益だと思うのだが、いかがだろうか』、「65点の物語を壊滅させたあとにやってくるのは、100点満点主義者が尊敬される世界ではなく、逆に批判などまったく意に介さない、5点の陰謀論が蔓延する世界ではないだろうか」、筆者の単なる思い込みなのではなかろうか。後半部分を除けば、興味深い内容だった。

次に、2月11日付け現代ビジネスが掲載した防衛ジャーナリストの現代ビジネス氏による「防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80138?imp=0
・『国会で2021年度予算案の審議が始まった。防衛費は過去最大の5兆3422億円となり、新型コロナウイルス感染症対策の予備費5兆円よりも多い。 武器購入や23万人いる自衛隊の人件・糧食費に多額のカネがかかるとされるが、目に余るのはその無駄遣いぶりだ。 イージス・アショア代替策としてのイージス・システム搭載艦2隻の建造、開発した米国と日本以外どの国も買わないオスプレイの導入、米国でも評判の悪い滞空型無人機「グローバルホーク」の輸入は、まさに「無駄遣い3点セット」。 オスプレイとグローバルホークは、米政府への支払いが進み、実際に導入中止を決断できるのは新たに建造するイージス・システム搭載艦だけ、ということになる。 限られた予算を有効活用すべきなのは言うまでもないが、なぜか野党の中にも防衛費は「聖域」と見なす向きがあり、追及の手は緩い』、「野党の中にも防衛費は「聖域」と見なす向きがあり、追及の手は緩い」、困ったことだ。
・『問題が多すぎるイージス・システム搭載艦  まず、イージス・システム搭載艦の導入過程から振り返ろう。 昨年6月、当時の河野太郎防衛相が配備停止を公表した後、国家安全保障会議で正式に導入断念を決定した。ところが、トランプ米大統領にイージス・アショアを含む米国製武器の「爆買い」を約束した安倍晋三首相は収まらず、「イージス・アショア代替策」と「敵基地攻撃能力の保有」の検討を求める安倍談話を出して退陣した。 「安倍政権の継承」を明言する菅義偉首相は昨年12月、イージス・システム搭載艦2隻の建造と敵基地攻撃に転用できる12式地対艦誘導弾能力向上型の開発を閣議決定し、21年度予算案にこれらの関連費用が計上されている。 イージス・システム搭載艦の問題は多い。そのひとつは巨額の費用がかかることだ。 地上配備を前提に設計されたイージス・アショアの大型レーダー「SPY7」を船に載せることにより、イージス護衛艦「まや」型を大型化する必要が生まれ、1隻あたりの建造費は2500億円以上と「まや」型と比べて766億円以上も高騰。この差額だけで汎用護衛艦が1隻建造できるほどだ。 米国で開発中のイージス艦専用レーダー「SPY6」ならそのまま「まや」型に搭載できることから船体の大型化に伴う出費は不要となるうえ、「米政府御用達」の保証も受けられる。 だが、防衛省はイージス・アショアのレーダー転用にこだわった。 結局、SPY7を搭載するイージス・システム搭載艦は、米政府にとって未知の艦艇となり、防衛省はレーダーの性能を確認する実射試験費や人材育成費を負担することになる。運用開始後も米政府の支援が欠かせず、バカ高い費用を請求される可能性が出てきた。) 「まや」型は乗員310人なので、イージス・システム搭載艦も同数と仮定すれば、2隻で620人の要員が必要だ。人員増が人件費の増加につながるのは言うまでもない。 海上自衛隊は予算不足と人員不足から汎用護衛艦の建造を見合せ、2年前から小型で安い護衛艦の建造を始めている。この小型艦は、多機能護衛艦(FFM)と呼ばれ、1隻495億円、乗員100人とすべてがコンパクトだ。 FFMと比べ、1隻2500億円以上、乗員310人というイージス・システム搭載艦2隻の建造は、組織の実情を無視した「巨大なカネ食い虫」というほかない。 防衛省が天守閣を海に浮かべるのに等しい珍妙なアイデアにこだわるのは、イージス・アショアの配備断念により、米政府から多額の違約金が請求されるのを避けるためだ。 イージス・アショアをめぐり、米政府との間で2018年度6億円、19年度1757億円の契約を締結しており、配備断念となれば、そっくり違約金として没収されるおそれがある。モノが手に入らないにもかかわらず、2000億円近いカネが米政府に取られるのだ。 そうなれば政治問題に発展し、安倍前政権や菅政権が野党に追及されるのは必至。そうした事態を回避するため、防衛省は青天井の支払いになりかねないイージス・システム搭載艦を何食わぬ顔で建造しようとしている。) 振り返れば、安倍前首相がトランプ前大統領の求めるままに購入を約束したことが間違いの元だった。 ミサイル迎撃に対応するイージス護衛艦は4隻から8隻に倍増され、迎撃ミサイルの射程も2倍に延びることが決まった後のイージス・アショアの追加購入は過剰であり、不要だ。ここは米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう』、「安倍晋三首相は収まらず、「イージス・アショア代替策」と「敵基地攻撃能力の保有」の検討を求める安倍談話を出して退陣」、とんでもない遺言を残したものだ。「米国で開発中のイージス艦専用レーダー「SPY6」ならそのまま「まや」型に搭載できることから船体の大型化に伴う出費は不要となるうえ、「米政府御用達」の保証も受けられる。 だが、防衛省はイージス・アショアのレーダー転用にこだわった」、「防衛省」がこだわった理由は何なのだろう。「イージス護衛艦は4隻から8隻に倍増され、迎撃ミサイルの射程も2倍に延びることが決まった後のイージス・アショアの追加購入は過剰であり、不要だ。ここは米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう」、財務省ももっと厳しく査定すべきだ。
・『値上げされ、それを買わされ…  次にグローバルホークを見てみよう。 グローバルホークは2万メートルの高高度から偵察する無人機だ。米空軍が63機を調達する予定だったが、開発の遅れと価格高騰により、45機に削減、またドイツが導入をキャンセルするなど、売れ行きはよくない。 防衛省は2014年、米政府との間で3機を合計510億円で購入する契約を結んだ。ところが、米側は17年4月になって、追加部品の開発に費用がかかるとして119億円高い合計629億円に値上げすると通告してきた。 一方の防衛省には武器の価格が25%上昇した場合、購入中止を検討するルールがあるが、米側が示した値上げ幅はそれより少ない23%。図ったような「寸止め」に防衛省は中止を検討したが、最後は首相官邸の「予定通り買え」との声に押し切られた』、「イージス護衛艦は4隻から8隻に倍増され、迎撃ミサイルの射程も2倍に延びることが決まった後のイージス・アショアの追加購入は過剰であり、不要だ。ここは米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう」、財務省ももっと厳しく査定すべきだ。
・『米人技術者の生活費「約30億円」も負担  だが、問題は終わらない。 防衛省は、尖閣諸島上空から中国公船の監視に活用する予定だったが、その後「陸上偵察用なので海上偵察には不向き」と判明。巨費を投じて使えない偵察機を買うことになったのである。 さらに追い討ちを掛けたのは、再び米政府だ。 防衛省が負担するのは機体価格だけではない。遠隔操作に必要な地上装置や整備用器材などを含めると導入にかかる初期費用は実に1000億円にもなる。 この負担とは別に維持管理のための費用が毎年約100億円もかかる。驚くべきことに、この費用の中に3機が配備される青森県の三沢基地に滞在することになる米人技術者40人の生活費約30億円が含まれているのだ。 一人あたり、年間7500万円の生活費を負担する計算。どれだけ優雅な暮らしをさせようというのか。「なぜ生活費の負担までするのか」との防衛省側の問いに米側は「彼らは米国での生活を捨てて日本のために働くのだ」と「さも当然」と言わんばかりの回答だったという』、「陸上偵察用なので海上偵察には不向き」なのであれば、周囲を海に囲まれた日本では無用の長物だ。そもそも買う目的は何だったのだろう。
・『オスプレイ問題とは何だったのか  最後はオスプレイだ。 自衛隊のオスプレイ導入は、異例の経過をたどった。本来、武器類はユーザーである自衛隊が選定する。だが、10年先の安全保障環境を見通して策定する「陸上自衛隊長期防衛見積り」にオスプレイの名前はなかったとされる。 陸上自衛隊はオスプレイの2倍以上の人員や物資を空輸できるCH47大型ヘリコプターを55機も保有していたからだ。 導入することになったのは、米軍が沖縄配備を進めた2012年当時、沖縄から上がった配備反対の声に対し、民主党政権の玄葉光一郎外相が「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案、当時の森本敏防衛相が同調して調査費を計上、これを安倍晋三政権が引き継いだことによる。 「沖縄の民意」より「米軍の意向」を優先した政治判断である。 オスプレイは滑走路がいらない、夢の航空機とされるが、開発段階から墜落事故が相次ぎ、米国ではすでに40人以上が墜落事故で亡くなっている。 陸上自衛隊には17機配備される。自衛隊版海兵隊と呼ばれる「水陸機動団」(長崎県佐世保市)が運用することから、防衛省は佐世保に近い佐賀空港への配備を決めたが、地権者の有明海漁協の反対により、実現できず、千葉県の木更津駐屯地に暫定配備されることになった。今後、首都圏の空をオスプレイが飛び回ることになる。 こうして見てくると「無駄遣い3点セット」は、いずれも米国からの武器導入であり、政治家が関与したことがわかる。文民である政治家が「これを使え」と軍事のプロである自衛隊の武器を選んだのだ。その結果の「無駄遣い」である。 2021年度予算に盛り込まれるコロナ対策費は、どれほど多くても困るという話ではない。不要不急な武器なら購入は見送り、その分を国民の安全安心のために使うべきだろう』、「オスプレイの2倍以上の人員や物資を空輸できるCH47大型ヘリコプターを55機も保有」しているのであれば、不要なのに、「民主党政権の玄葉光一郎外相が「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案」、完全に政治的に決定されたようだ。どうも無駄遣いは、やはり「官邸主導」のようだ。

第三に、3月16日付け東洋経済オンラインが掲載した元空将でアジア・パシフィック・イニシアティブ シニアフェローの尾上 定正氏による「日本の自衛隊「最悪の事態」の備えが不可欠な訳 軍事危機にどう使うか、コンセンサスが必要だ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/416209
・『米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。 独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく』、興味深そうだ。
・『今できないことは最悪の状況では確実にできない  東日本大震災・福島原発事故から10年が経ち、日本はパンデミックの最中にある。多くの貴重な教訓は活かされているのだろうか。 APIの前身の日本再建イニシアティブは、2013年に「日本最悪のシナリオ9つの死角」で、尖閣衝突、サイバーテロ、北朝鮮崩壊、核テロなど9つの国家危機を想定し、最悪の事態をシミュレーションした。自衛隊は過去の災害派遣活動が評価され、国民から最も信頼される組織となり、これら最悪の事態でも最後の砦となることを期待されている。 だが、自衛隊は危機対処の手段の1つであり、外交・経済・情報などほかの手段を統合する政治指導が、最悪の事態では最も重要となる。最悪のシナリオに沿って危機管理体制を検証し、そのとき自衛隊をどう使うのか。国としてのコンセンサス作りが必要だ。 地震や台風など自然災害が多発する日本は、過酷な実体験に基づき、国の危機管理体制から国民一人ひとりの防災意識に至るまで、逐次強化してきた。一方、未経験の危機については、最悪の事態を想像することを忌避するあまり、危機そのものを否定する罠に陥っているように見える。 最悪の事態に向き合うことは大きなストレスを伴うため、実際に起きるかどうかわからない事態に備え、今ある通常の規範や制度を変えるには大きな抵抗がある。だが、今できないことは、最悪の状況では確実にできない。例えば、「危機に法は沈黙する」と言われる。東日本大震災・福島原発事故で、自衛隊は自衛隊法の任務規定にないご遺体の捜索・収容、ヘリ・地上からの放水などを実施した。 現場では警察・消防などの「指揮」を命じられる場面もあったが、行政法の「運用の幅」で自衛隊に付与できる任務には、限界がある。原発事故が止められなくなったとき、命を懸けて原子炉をコンクリート詰めにする組織はいまだ定められていないが、それを自衛隊に命じることは「運用の幅」でできることではない。また、自衛隊の能力を過信し、いざとなれば自衛隊に命じれば何とかなるという誤った認識が生まれかねない。 職業軍人でない文民が、軍隊に対して最高の指揮権を持つ「シビリアンコントロール」(Civilian Control)の確保のためにも、最悪事態を想像する作業を通じ、憲法の国家緊急事態条項の欠落を含め、有事の視点からすべての法制のあり方を再検討する必要がある』、「未経験の危機については、最悪の事態を想像することを忌避するあまり、危機そのものを否定する罠に陥っているように見える。 最悪の事態に向き合うことは大きなストレスを伴うため、実際に起きるかどうかわからない事態に備え、今ある通常の規範や制度を変えるには大きな抵抗がある。だが、今できないことは、最悪の状況では確実にできない」、「今できないことは、最悪の状況では確実にできない」、とは言い得て妙だ。
・『サイバーテロ、北朝鮮崩壊、核テロの複合事態さえ想定  日本が備えておかなければならないシナリオは深刻化かつ複雑化している。北朝鮮の核弾頭搭載ミサイルは日本を射程に入れ、サイバー攻撃能力も侮れない。場合によっては、サイバーテロ、北朝鮮崩壊、核テロの3つが複合する事態すら想定される。 中国は海軍力や法執行機関の能力を著しく強化し、尖閣諸島に対する侵害を常態化させた。2月1日から施行された海警法は、中国の定義する管轄海域において外国の軍艦や公船に対する武器使用を認めている。明らかな国際法違反だが、尖閣諸島周辺海域における中国の施政権を主張する布石であろう。 尖閣衝突危機は、緩慢だが、確実に進行している。尖閣事態と連動する恐れの強い中国の台湾侵攻の事態にも備えは必要だが、実は、最悪の事態をリアルに想定すること自体、困難な作業なのだ。これらの危機は自然災害やパンデミックと異なり、関係国の意図と行動が相互に影響するため、対応次第で事態を収められることもあれば拡大することもある。 関係国の国益が複雑に交錯する状況において、日本の主権と国民を守るため自衛隊にどのような任務を付与するのか、さらにはその結果としての犠牲をどこまで受容するのか、高度の政治判断と政府全体の対応、そして国としての覚悟が要求される問題である。) 従ってこれらの最悪事態の考証は、対応に当たる主要関係者全員が参加し、公式に実施することが重要となる。その理由は、緩慢に進行する危機の痛みや最悪の状況の怖さを実感し、危機感を共有すると同時に、関係者全体で想像することで、組織間の齟齬や隙間などの具体的な問題点を確認できるからだ。 また、要職者個人の危機管理能力を向上させることで、政府全体の対応の質が高められる。例えば、刻々と変化する状況に対し事態をどう認定するのか、究極の決断を限られた時間内に求められるため、有事や危機は普段とまったく違う法則が支配することを肌で経験できる。 千差万別の、あるいは複合的な危機に際し、確保すべき国益や目標の何を優先するのか、どの手段をどう使うのか、首相はどこに位置して指揮するのか。首相に事故があった場合の自衛隊の指揮権は誰が継承するのか、内閣の危機管理関係局室と防衛省・統合幕僚監部はどのように役割分担・連携するのか、通信連絡・情報共有の手段・手続きは機能するのかなど、確認する必要があることは多い』、「これらの最悪事態の考証は、対応に当たる主要関係者全員が参加し、公式に実施することが重要となる」、理屈の上ではその通りだが、実際には難しそうだ。
・『必要なら新たな法制やインフラ整備、国民への説明を  まず、現行体制を検証し、その運用に習熟しなければならない。そして、必要があれば新たな法制やインフラを整備するとともに、考証の結果を適切に国民に説明し、定期的な訓練などにつなげることが必要だ。 東日本大震災で自衛隊とアメリカ軍は初めて日米共同作戦を実施した。災害救助のトモダチ作戦では従来の共同訓練の成果が遺憾なく発揮されたが、原発事故対応では日米の国益の違いに根差す同盟の限界や放射線に関する行動基準の相違を認識させられた。 その後、日米ガイドラインが更新され、平和安全法制も制定されたが、北朝鮮や中国に関わる最悪の事態を想定した日米政府間の検討は未了である。自衛隊とアメリカ軍は、日米共同統合演習(実動または指揮所)を毎年実施し、有事における軍事面での共同対処能力の向上を図っている。だが、原発事故対応で問題となった日米政府間の協議については、「同盟調整グループ」が組織されたものの、全省庁の恒常的な参加と政治家の関与の仕方は決まっていない。) 武力攻撃事態に至る可能性のある危機は、状況に即した事態認定と自衛隊への任務付与という政治と軍事の接際部、また、戦略的メッセージの発信や地経学的な対応など政府全体のアプローチが重要となる。同時に、日米間の利害調整と共通目標の設定が不可欠であり、それによって自衛隊とアメリカ軍の共同作戦は方向づけられなければならない。 アメリカは、核戦争を筆頭にあらゆる最悪の事態が起きるという前提で体制を整えているが、パンデミックによって加速した相対的な国力の低下のため、同盟国に対する役割分担の増加を求めざるをえなくなっている。外交問題評議会の最新報告書「アメリカ・中国・台湾:戦争抑止の戦略」は、アメリカの台湾防衛戦略には日本の参加と同意が不可欠だと明記している。 台湾有事は、日米同盟にとって最も重要かつ困難な試練となろう。実戦で試される前に、そのとき何が起きるかを合理的に問い詰めていくアメリカ式の想像と思考によって、日本の戦略を考えなければならない。バイデン政権は国防省に中国タスク・フォースを設置し、対中戦略を練り直している。日本は今からでもその作業に関与し、最悪シナリオに基づく同盟戦略をすり合わせる必要がある』、確かに「バイデン政権」の「対中戦略」への関与は重要だ。
・『いざというときの実力を高めなければならない  自衛隊は究極の危機である戦争に備える組織である。災害派遣の実績が評価され、自衛隊に期待する役割の1位は「災害派遣」(79.2%)であり、「国の安全の確保」は2位の60.9%にとどまる。実際、自衛隊はさまざまな災害などに駆り出されており、最後の砦が普段から前線で活動する状況になっている。だが、自衛隊が最後の砦となるべき防衛事態は、自衛隊を含め政府も国民もまだ誰も経験していない。 北朝鮮の核ミサイルや中国の圧倒的な軍事力を相手に、自衛隊が必ず国と国民を守れるという保証はないのだ。政府は、武力攻撃事態の危機管理体制の再点検と修正を急がなければならない。自衛隊に必要な資源と時間を与え、いざというときのための実力を高めなければならない。 そして、最悪の事態を想定したリアリティのある訓練によって、政府全体の危機対処能力を向上させるとともに、国民の理解を深めなければならない。未経験の危機で自衛隊をどう使うか、そのコンセンサスが最悪の事態の備えには不可欠である』、「政府は、武力攻撃事態の危機管理体制の再点検と修正を急がなければならない。自衛隊に必要な資源と時間を与え、いざというときのための実力を高めなければならない」、その通りだ。
タグ:東洋経済オンライン 防衛問題 現代ビジネス 辻田 真佐憲 文春オンライン (その16)(「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観”、防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」、日本の自衛隊「最悪の事態」の備えが不可欠な訳 軍事危機にどう使うか コンセンサスが必要だ) 「「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観”」 ウルトラ右翼が「特殊部隊の初代群長」、で退任後も活動を主導しているとは・・・。 「陰謀論者ご用達の「ディープステート」も登場」、現役時代はどうだったのだろう。 妄想たくましいウルトラ右翼だが、現実を重視する必要がある職業軍人にもこんな人物がいるとは、恐ろしいことだ。 とうてい正気とは思えないような発想だ。 「自衛隊でもともと保守的な“問題児”だった」、辞めた時の階級を書いてないが、「幹部自衛官の道に進んだ」、「調査隊の監視対象」、「自衛隊」としても扱いには頭を痛めたことだろう。 この部分は筆者の主張は分かり難い。 「65点の物語を壊滅させたあとにやってくるのは、100点満点主義者が尊敬される世界ではなく、逆に批判などまったく意に介さない、5点の陰謀論が蔓延する世界ではないだろうか」、筆者の単なる思い込みなのではなかろうか。後半部分を除けば、興味深い内容だった。 「防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」」 「野党の中にも防衛費は「聖域」と見なす向きがあり、追及の手は緩い」、困ったことだ。 「安倍晋三首相は収まらず、「イージス・アショア代替策」と「敵基地攻撃能力の保有」の検討を求める安倍談話を出して退陣」、とんでもない遺言を残したものだ 「米国で開発中のイージス艦専用レーダー「SPY6」ならそのまま「まや」型に搭載できることから船体の大型化に伴う出費は不要となるうえ、「米政府御用達」の保証も受けられる。 だが、防衛省はイージス・アショアのレーダー転用にこだわった」、「防衛省」がこだわった理由は何なのだろう。 「イージス護衛艦は4隻から8隻に倍増され、迎撃ミサイルの射程も2倍に延びることが決まった後のイージス・アショアの追加購入は過剰であり、不要だ。ここは米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう」、財務省ももっと厳しく査定すべきだ。 「陸上偵察用なので海上偵察には不向き」なのであれば、周囲を海に囲まれた日本では無用の長物だ。そもそも買う目的は何だったのだろう。 「オスプレイの2倍以上の人員や物資を空輸できるCH47大型ヘリコプターを55機も保有」しているのであれば、不要なのに、「民主党政権の玄葉光一郎外相が「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案」、完全に政治的に決定されたようだ。どうも無駄遣いは、やはり「官邸主導」のようだ。 尾上 定正 「日本の自衛隊「最悪の事態」の備えが不可欠な訳 軍事危機にどう使うか、コンセンサスが必要だ」 「未経験の危機については、最悪の事態を想像することを忌避するあまり、危機そのものを否定する罠に陥っているように見える。 最悪の事態に向き合うことは大きなストレスを伴うため、実際に起きるかどうかわからない事態に備え、今ある通常の規範や制度を変えるには大きな抵抗がある。だが、今できないことは、最悪の状況では確実にできない」、「今できないことは、最悪の状況では確実にできない」、とは言い得て妙だ 「これらの最悪事態の考証は、対応に当たる主要関係者全員が参加し、公式に実施することが重要となる」、理屈の上ではその通りだが、実際には難しそうだ。 確かに「バイデン政権」の「対中戦略」への関与は重要だ。 「政府は、武力攻撃事態の危機管理体制の再点検と修正を急がなければならない。自衛隊に必要な資源と時間を与え、いざというときのための実力を高めなければならない」、その通りだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

原発問題(その17)(原子力発電所の中央制御室が「時代遅れのメーター」ばかりである根本的理由 ITを導入したくでもできないワケ、麻生大臣の原発処理水「飲んでも何てことはない」発言に決定的に欠けていたもの、なぜ原発処理水の海洋放出に反対するのか 専門家が指摘する5つの理由) [国内政治]

原発問題については、3月15日に取上げた。今日は、(その17)(原子力発電所の中央制御室が「時代遅れのメーター」ばかりである根本的理由 ITを導入したくでもできないワケ、麻生大臣の原発処理水「飲んでも何てことはない」発言に決定的に欠けていたもの、なぜ原発処理水の海洋放出に反対するのか 専門家が指摘する5つの理由)である。

先ずは、本年4月5日付けPRESIDENT Onlineが掲載したイギリスの科学・経済啓蒙家で貴族院議員(子爵)のマット・リドレー氏による「原子力発電所の中央制御室が「時代遅れのメーター」ばかりである根本的理由 ITを導入したくでもできないワケ」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/44699
・『かつて夢の技術といわれた原子力発電は、いまや斜陽産業だ。発電所の新設より閉鎖のほうが多く、出力電力は減っている。科学啓蒙家のマット・リドレー氏は「原子力発電は試行錯誤が許されない。『やってみて学習する』というイノベーション実践の決定的要素に合わないテクノロジーだ。だからテクノロジーとして失速してしまった」という――。 ※本稿は、マット・リドレー『人類とイノベーション 世界は「自由」と「失敗」で進化する』(NewsPicksパブリッシング)の一部を再編集したものです』、マット・リドレー氏の略歴は、1958年、英国生まれ。オックスフォード大学で動物学の博士号を取得。「エコノミスト」誌の科学記者を経て、英国国際生命センター所長、コールド・スプリング・ハーバー研究所客員教授を歴任。オックスフォード大学モードリン・カレッジ名誉フェロー。
・『原子力の民間開発は応用科学の勝利だった  20世紀に現れた革新的なエネルギー源はただひとつ、「原子力」だ(風力と太陽光もはるかに改良され、将来的に有望だが、まだ世界的なエネルギー源としての割合は2%に満たない)。 エネルギー密度の点からすると、原子力に並ぶものはない。スーツケースサイズの物体が、適切に配管されれば、ひとつの町や空母にほぼ永久に電力を供給できる。 原子力の民間開発は応用科学の勝利だった。その道は核分裂とその連鎖反応の発見から始まり、マンハッタン計画によって理論から爆弾になり、制御された核分裂反応とそれを水の沸騰に応用する段階的な工学設計へとつながった。 1933年に早くもレオ・シラードが連鎖反応の将来性に気づいたこと、レズリー・グローヴズ中将が1940代にマンハッタン計画の指揮をとったこと、あるいはハイマン・リッコーヴァー海軍大将が1950年代に最初の原子炉を開発し、それを潜水艦や空母に合わせて改良したことを除けば、この物語で目立つ個人はいない。 しかしこれらの名前から明らかなように、それは軍事産業と国家事業に民間業者を加えた「チームの努力」であり、1960年代までについに、少量の濃縮ウランを使って膨大な量の水を確実に、継続的に、安全に沸騰させる設備を、世界中に建設する巨大計画ができあがった』、「原子炉」は確かに超小型の「エネルギー源」だ。
・『「実験する機会の不足」で進化が止まった  それでも現在の状況は、新しい発電所が開かれるより古いものが閉鎖されるペースのほうが速いために、出力電力が減っている斜陽産業であり、時機をすぎたイノベーション、あるいは失速したテクノロジーだ。 その理由は「アイデア不足」ではまったくない。「実験する機会の不足」だ。 原子力の物語は、イノベーションは「進化」できなければいかに行きづまるか、そして後もどりさえするか、その教訓である』、研究用の原子炉もあるが、やはり本番用では「実験」は不可能で、これが「進化」の障害になっているようだ。
・『安全規制強化によるコストの高騰  問題はコストの膨張だ。原子力発電所は数十年にわたって、容赦ないコストの高騰を経験している。そのおもな理由は、安全性への警戒が高まっていることにある。そしてこの産業はいまだに、確実にコストを下げるプロセス、つまり「試行錯誤」とまったく無縁である。 原子力の場合、錯誤は影響があまりに甚大になるおそれがあるうえ、試行にはとんでもなくコストがかかるので、試行錯誤を再始動させることができない。そのため私たちは、加圧水型原子炉という未熟で効率の悪いテクノロジーで行きづまり、原発反対運動に反応して不安がる人たちのために働く規制機関の要求によって、そのテクノロジーさえしだいに抑制されつつある。 しかも、きちんと準備ができる前に政府によって世間に押しつけられるテクノロジーは、もう少しゆっくり進行することを許されたなら、もっとうまくやっていたかもしれないところで、つまずく場合もある。アメリカの大陸横断鉄道はすべて失敗し、個人出資の1例をのぞいて結果的に破産している。原子力がこれほど急がず、軍事用の副産物ではないかたちで開発されていたら、もっとうまくいっていたかもしれないと考えずにはいられない』、「アメリカの大陸横断鉄道はすべて失敗し、個人出資の1例をのぞいて結果的に破産している」、初めて知った。「加圧水型原子炉という未熟で効率の悪いテクノロジーで行きづまり・・・そのテクノロジーさえしだいに抑制されつつある」、困ったことだ
・『従来の軽水炉とは異なるアイデアもあった  1990年に出版された『私はなぜ原子力を選択するか』(邦訳:ERC出版)のなかで、原子物理学者のバーナード・コーエンは、1980年代に原発の建設がほとんどの西側諸国で中止された理由は、事故や放射能漏れ、あるいは核廃棄物急増への不安ではなく、規制強化による止まらないコストの高騰だった、と述べている。その後、彼のこの分析はさらに真実味を帯びている。 これは新式の原子力のアイデアが足りないせいではない。エンジニアのパワーポイントによるプレゼンには、核分裂原子炉の異なる設計が盛りだくさんで、なかには過去に実用レベルの試作機の設計までたどり着き、従来の軽水炉と同じくらいの財政支援があれば、さらに先に進めたと思われるものもある。 大別すると「液体金属原子炉」と「溶融塩原子炉」のふたつだ。後者はトリウムまたはフッ化ウランの塩を、おそらくリチウム、ベリリウム、ジルコニウム、ナトリウムのようなほかの元素と一緒に使って機能する』、「新式の原子」炉では「試作機の設計までたどり着き、従来の軽水炉と同じくらいの財政支援があれば、さらに先に進めたと思われるものもある」、惜しいことをしたものだ。
・『原理的にメルトダウンしない溶融塩原子炉  その設計のおもな利点は、燃料が固体の棒ではなく液体で入るため、冷却が均一で、廃棄物の除去が容易なことだ。高圧で稼働させる必要がないので、リスクが減る。溶融塩は燃料であるだけでなく冷却剤でもあり、熱くなると反応速度が落ちるというすぐれた特性があるため、メルトダウンは不可能になる。 加えて、その設計には一定温度以上で溶けるプラグが含まれ、燃料が区切られた室に排出され、そこで分裂を止めるという第2の安全装置もある。たとえばチェルノブイリとくらべると、こちらのほうがはるかに安全だ。 トリウムはウランより豊富で、ウラン233を生成することによって、事実上ほぼ無限に増殖できる。同じ量の燃料から約100倍の発電をすることが可能で、核分裂性プルトニウムを生まず、半減期が短くて廃棄物が少ない』、この「溶融塩原子炉」は、確かに安全で素晴らしいアイデアだったようだ。
・『最大の欠点は「試行錯誤」ができないこと  ところが、1950年代にナトリウム冷却剤を積んだ潜水艦が進水し、1960年代に2基の実験的なトリウム溶融塩原子炉がアメリカで建設されたにもかかわらず、資金、教育、そして関心がすべて軽水ウラン炉の設計に注がれたため、プロジェクトはやがて終了した。さまざまな国がこの決定を覆す方法を検討しているが、実際に思いきって実行する国はまだない。 たとえそうしたとしても、1960年代に言われた「原子力はいずれ、メーターがいらないほど安価になる」という、よく知られた見通しが実現することはなさそうだ。問題は単純で、原子力はイノベーション実践の決定的要素に合わないテクノロジーである。 その要素とは「やってみて学習する」だ。 発電所はあまりにも大きくて費用がかかるので、実験でコストを下げるのは不可能だとわかっている。建設前に設計を通さなくてはならない複雑な規制が膨大にあるため、建設途中で設計を変更することも不可能だ。物事をあらかじめ設計し、その設計に忠実にやるか、振り出しにもどるかしなくてはならない。 このやり方ではどんなテクノロジーであれ、コストを下げて性能を上げることはできない。コンピュータチップも1960年の段階に置き去りにされるだろう。原発はエジプトのピラミッドのように、単発プロジェクトとして建設されるのだ』、「発電所はあまりにも大きくて費用がかかるので、実験でコストを下げるのは不可能だとわかっている。建設前に設計を通さなくてはならない複雑な規制が膨大にあるため、建設途中で設計を変更することも不可能だ。物事をあらかじめ設計し、その設計に忠実にやるか、振り出しにもどるかしなくてはならない」、これでは確かに試行錯誤は困難だ。
・『福島原発事故の根本的な原因はなにか  1979年のスリーマイル島および1986年のチェルノブイリの事故のあと、活動家と市民はより厳しい安全基準を要求した。そして手に入れた。 ある推定によると、電力1単位につき、石炭は原子力のほぼ2000倍の死者を出すという。バイオ燃料は50倍、ガスは40倍、水力は15倍、太陽光は5倍(パネルを設置するときに屋根から落ちる人がいる)、そして風力でも原子力の2倍の死者を出す。この数字にはチェルノブイリと福島の事故も入っている。追加の安全要件は原子力をごくごく安全なシステムから、ごくごくごく安全なシステムにしただけだ。 あるいは、ひょっとすると安全性を低下させたのかもしれない。 2011年の福島の大惨事を考えてみよう。福島原発の設計には安全性に大きな欠陥があった。ポンプが高波で浸水しやすい地下にあったのだ。もっと新しい設計では繰り返されそうもない、単純な設計ミスだ。 それは古い原子炉であり、もし日本がまだ新しい原子炉を建設していたら、ずっと前に廃止されていただろう。コストの高い過剰規制によって核の普及とイノベーションが抑制されていたせいで、福島原発は稼働時間が長すぎたために、システムの安全性が低下したのだ』、「福島原発の設計には安全性に大きな欠陥があった。ポンプが高波で浸水しやすい地下にあったのだ」、電力のプロがこんな基本的な設計ミスを見逃すとは、ヒューマンエラーはやはり不可避なようだ。
・『必要以上の安全性は高くつく  規制機関が要求する必要以上の安全性は高くつく。原発建設に携わる労働者は大幅に増えているが、とくに書類にサインするホワイトカラーの仕事が膨大だ。 ある研究によると、1970年代、新しい規制のせいでメガワットあたりの鋼鉄の量は41%、コンクリートは27%、配管は50%、電線は36%増加したという。 実際、規制の歯止めが強まると、プロジェクトでは、されることさえないルール変更を予想して機能を加え始めた。きわめて重要なことだが、この規制環境のせいで原発の建設業者は、規制の修正につながることを心配して、予想外の問題を解決するための現場イノベーションの実践をやめるしかなく、それがさらにコストを押し上げた。 解決法はもちろん、原子力発電をモジュラーシステムにすることだ。工場組み立ての小さな原子炉ユニットを大量に生産ラインで生産し、各発電所の現場で、木箱に卵を詰めるように設置する。これならフォード社の「モデルT」と同じようにコストを削減できる。 問題は、新しい原子炉の設計を認可するのに3年かかり、小型だからといって抜け道はほとんど、またはまったくないので、小型の設計には認可の費用がより重くのしかかることだ』、なるほど。
・『核融合では同じ失敗を避けるべきだ  一方、核融合、すなわち水素原子の融合からエネルギーを放出させてヘリウム原子を生成するプロセスは、ようやく約束を果たし、これから数十年以内に、ほぼ無限のエネルギーを供給するようになる可能性が高い。 いわゆる高温超伝導体の発見と、いわゆる球状トカマクの設計でようやく、核融合発電は30年先だという、30年言われ続けた古いジョークがジョークでなくなったかもしれない。核融合発電は1基につきおそらく400メガワットを発電する比較的小さな原子炉がたくさんというかたちで、商業ベースで結実するかもしれない。 爆発やメルトダウンのリスクがほぼゼロ、放射性廃棄物は非常に少なく、兵器の材料を提供する心配もないテクノロジーだ。燃料はおもに水素であり、水から自分の電気で生成できるので、地球環境への悪影響は小さいだろう。 それでも核融合が解決しなくてはならない大きな問題は、核分裂と同じように、原子炉の大量生産によってコストを下げる方法だ。そしてコスト削減の教訓を得るためには、試行錯誤が許され、途中で設計し直すことができなくてはならない』、「核融合」炉については、2025年の運転開始を目指し、日本を含む各国が協力して国際熱核融合実験炉ITERのフランスでの建設に向けて関連技術を開発中(Wikipedia)。ただ、「2025年の運転開始を目指し」という割には具体的な進捗の報道はまだ余りないようだ。

次に、4月16日付け現代ビジネスが掲載した筑波大学教授の原田 隆之氏による「麻生大臣の原発処理水「飲んでも何てことはない」発言に決定的に欠けていたもの」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82293?imp=0
・『麻生大臣の発言  定期的に問題発言を繰り返す麻生大臣が、今回は福島原発の処理水海洋放出をめぐって物議を醸す発言をした。 「科学的根拠に基づいて、もうちょっと早くやったらと思っていた。飲んでも何てことはないそうだ」というのが、その発言の要旨である。 最初に断っておくが、私が本稿で述べたいのは、処理水の海洋放出の是非についてではなく、「科学的根拠」についての理解のあり方についてである』、興味深そうだ。
・『科学的根拠に基づくとはどういうことか  今回の発言だけでなく、最近は新型コロナウイルス感染症対策をめぐっても、「科学的根拠」「エビデンス」という言葉が広く使われるようになった。 もともと、医療などヒューマンサービスに携わる研究者や実務家の専門用語であったこれらの用語が、広く一般にも使われるようになったのは喜ばしいことである。ただ、麻生大臣の発言は、科学的根拠(エビデンス)の使い方に重大な問題がある。 エビデンスという用語が広く用いられるようになったのは、1991年にカナダの疫学者ゴードン・ガイヤットが、その論文のなかで「エビデンスに基づく医療」(Evidence-Based Medicine: EBM)という用語を用いてからである。医療現場の意思決定は、それまで科学的な根拠よりも、ともすれば経験、印象、直観、権威などの主観的なものに基づいてなされることが少なくなかった。 たとえば、ある薬を使うかどうかというときに、「過去に何例かの患者に処方して効果があったから」(経験)、「効果がありそうだから」(印象、直観)、「有名な医師が勧めていたから」(権威)などに基づいて、その薬を使うという意思決定をすることが少なくなかったのである。 それで思い出すのは、昨年のアビガンをめぐる論争である。テレビによく出てくる専門家は「とにかく早くアビガンを使って」と連呼し、ノーベル賞受賞者までもが治験前であるにもかかわらずアビガンを特例承認することを当時の首相に直談判していた。 たしかに何人かの患者にアビガンが効いたという事例はあったかもしれないが、それは科学的根拠ではなく、臨床経験にすぎず、それを根拠とするのは危険である。なぜなら、その患者に固有の理由(体質や症状の程度など)で効いたのかもしれないし、アビガン服用とは関係なく、もう治癒するところであったのかもしれない。さらに、効果にばかり目が行きがちだが、副作用などの害があるかもしれない。 したがって、このような主観的なものに頼らず、厳密な研究によって得られた科学的データ、すなわちエビデンスに基づいて薬を投与するなどの意思決定をしようというのがEBMである。薬の例であれば、治験の結果がエビデンスということになる』、確かに「アビガン」をめぐっては、様々な雑音があったが、これに屈しなかった厚労省は大したものだ。
・『EBMの3要素  EBMというとき、ともすればエビデンスばかりが前面に出るが、実はEBMには3つの重要な要素がある。それは、「エビデンス」「患者の背景」「臨床技能」である。この3つの交わったところにEBMがある。 まずエビデンスであるが、これは最新最善のエビデンスであることが重要だ。科学的データであれば何でもエビデンスになるわけではない。質の低い研究からは、質の低いエビデンスしか出てこない。それはバイアスに汚染されているリスクが大きく、結果そのエビデンスを用いても判断がゆがめられてしまう。現在のところ、ランダム化比較試験のメタアナリシスが最も質の高いエビデンスであると言われている(詳しくは「コロナ薬『アビガンの安全性・効果のデータはそろっている』は本当か」参照)。 患者の背景というのは、患者側の体質、症状、価値観、好みなどのことを指す。よく誤解されるが、EBMとは、エビデンスがあれば有無を言わさずそれを適用しようというものではない。それはEBMからは最も乖離した態度であり、こういう態度を「エビデンスで殴る」という。 そうではなく、エビデンスと患者の背景の融合したところにEBMがある。つまり、エビデンスのある治療法や薬があれば、それを個々の患者に適用してもよいものかどうかよく吟味するだけでなく、患者にも誠実かつ丁寧に説明して同意を得たうえで最終的な意思決定をすべきなのである。たとえば、手術か投薬かという選択肢があるときに、患者の重症度によってどれを適用すべきかは異なってくるし、患者の価値観や希望によっても異なってくる。医療提供者側は、エビデンスに基づいて最適な方法を丁寧に説明して推奨するべきだが、それでも患者側が拒否すれば次善の策を取るということになるだろう。 最後の「臨床技能」は、純粋に医療提供者側の問題である。どれだけ良い治療法があっても、それを実践する技能がなければならないし、論文を読みこなす技能、患者に説明する技能なども求められる。 このように医療の分野で誕生したEBMであるが、現在は他の多くの領域にも浸透している。医療以外の分野で、物事の意思決定をするときに、エビデンスに基づいて意思決定をすること、そしてそれに基づいて実践をすることをエビデンスに基づいた実践(エビデンス・ベイスト・プラクティス)(Evidence-based Practice: EBP)という。その1つが政策決定の分野である。今回のように汚染水を海洋放出するかどうかという政策決定においても、エビデンスが重視されたことは間違いないし、その点に限ればそれは望ましいことである』、「EBP」は、日本政府が最も不得手とするものだ。
・『麻生発言の何が問題か  さて、ここまで読んでいただいた方は、麻生発言の何が問題かがもうお分かりいただいたのではないかと思う。 あの発言は、たしかにエビデンスを重視しており、一見EBPを実践しているように見える。しかし、実はEBPとは最も乖離した態度であり、まさに「エビデンスで殴る」ような発言なのである。 この場合、殴られたのは福島の人々、漁業関係者、そして不安を抱く一般の国民などである。科学的根拠に基づけば、たしかに処理水は安全なレベルなのだろう。国際原子力機関(IAEA)もそのことは強調しており、今回の日本政府の意思決定を支持している。また、海洋放出に強く反対している韓国や中国も、実は同レベル以上の原発処理水を海洋放出している。しかし、何も問題は発生していない。 だからといって、エビデンスを錦の御旗のように振りかざし、関係者の気持ちや不安に対して聞く耳を持たないような態度は決して許容されるべきものではない。科学的にはどれだけ安全であっても、風評被害が生じれば漁業は甚大な打撃を受けるだろう。風評被害というのは、まさにその名のとおり、実害はなくても人間の不安な心理に基づく被害である。エビデンスだけでは物事は解決しないのだ。 だとすると、やはりエビデンスは重要であるが、それだけを振りかざすのではなく、不安を抱える人々に丁寧に説明を繰り返し、その気持ちを汲み取ったうえで最終的な意思決定をする必要があるだろう。つまり、そこで問われるのは「臨床技能」である。政治家で言えば、国民と誠実に対話したり、説明したりするコミュニケーションの技能が求められる』、「そこで問われるのは「臨床技能」である」、その通りだ。
・『復興庁のゆるキャラに批判集中  麻生発言と同時期にトリチウムのゆるキャラも問題になった。これは、復興庁が処理水の安全性などをPRするポスターや動画に用いられたものである。 復興庁はゆるキャラを作ったことについて、「放射線やトリチウムというテーマは専門性が高く、分かりづらいため、できるだけ多くの方に関心を持ってもらうことが必要です。それと正しい情報を知っていただくことを合わせて全体的にイラストを用いてわかりやすく解説しました」とその理由を述べている。 ここにも関係者の心情や背景を軽視した独善的で一方的な態度が指摘できる。当然の前提として、人々が処理水に不安を抱き、脅威を感じているということへの共感がない。それがあれば、不安の対象であるトリチウムをゆるキャラ化しようという発想はまず浮かばないはずだ。 ゆるキャラ化したところで、脅威であることは変わらないし、そんなことで不安が払しょくされると考えていたのであれば、人々をバカにしているのもいいところだ。これは麻生発言の「飲んでも何てことはない」という表現に通じるところがある。 批判が集中したのを受けて、復興庁はゆるキャラを用いたポスターの配布をとりやめ、PR方法を再検討するようだが、数百万かけたという税金をドブに捨てることになるのだろう。 麻生発言もゆるキャラ問題も、その根っこは同じである。いずれもエビデンスに基づいているところはたしかかもしれない。しかし、それを伝えるときに、エビデンスを振りかざしたり、子どもだましのゆるキャラを用いたりするところに、人々の価値観や心情を著しく軽視していたというところが共通しているのである。これを一言で言えば、「心がない」ということに尽きる。 エビデンスというものは、それさえ用いれば難題をいとも簡単に解決してくれる魔法の杖ではない。エビデンスという科学の力に頼るときにこそ、丁寧なコミュニケーションやきめ細やかな対応など、人間的な心配りが必要なのである』、「批判が集中したのを受けて、復興庁はゆるキャラを用いたポスターの配布をとりやめ、PR方法を再検討するようだが、数百万かけたという税金をドブに捨てることになるのだろう」、何にでも「ゆるキャラを用い」ようとする「復興庁」の姿勢には、呆れ果てた。「エビデンスという科学の力に頼るときにこそ、丁寧なコミュニケーションやきめ細やかな対応など、人間的な心配りが必要なのである」、同感である。

第三に、4月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「中国はなぜ原発処理水の海洋放出に反対するのか、専門家が指摘する5つの理由」を紹介しよう。なお、本文中の付注は省略。
・『日本政府が4月13日に発表した「処理水の海洋放出」の決定は、中国にも波紋が広がった。中国の専門家らも反発の声を上げているが、中国の原発も放射性物質を排出している。それでも、なぜ日本の対応は不安視されているのか。複数のレポートから客観的にその不安の原因を探った』、興味深そうだ。
・『中国の専門家らも批判する5つの根拠  福島第一原発におけるデブリの冷却などで発生した放射性物質を含む汚染水を処理し、2年後をめどに海洋放出するという決定を日本政府が発表した。これに、中国の一般市民から強い反対の声が上がった。 中国の原発も環境中にトリチウムを放出している。にもかかわらず、日本政府の決定には、中国の政策提言にも関わる専門家や技術者も声を上げた。その主な理由として、下記の要因を挙げている。 (1)10年前(2011年3月)の福島第一原発事故が、チェルノブイリ原発事故(1986年4月)に相当する「レベル7」の事故であること (2)排出される処理水が、通常の稼働下で排出される冷却水とは質が異なること (3)事故の翌年(2012年)に導入した多核種除去設備(ALPS)が万全ではなかったこと (4)日本政府と東京電力が情報やデータの公開が不十分であること (5)国内外の反対にもかかわらず、近隣諸国や国際社会と十分な協議もなく一方的に処分を決定したこと  さらに、復旦大学の国際政治学者である沈逸教授はネット配信番組で、国際原子力機関(IAEA)が公表した2020年4月の報告書を取り上げた。 報告書によると、IAEAの評価チームは「『多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(ALPS小委員会)』の報告は、十分に包括的な分析と科学的および技術的根拠に基づいていると考えている」としている。しかし、同教授は「それだけで、IAEAが処理水の海洋放出に対して“通行証”を与えたわけではない」とし、この報告書に記載されている次の点について注目した。) 「IAEAの評価チームは、ALPS処理水の処分の実施は、数十年にわたる独特で複雑な事例であり、継続的な注意と安全性に対する再評価、規制監督、強力なコミュニケーションによって支持され、またすべての利害関係者との適切な関与が必要であると考えている」(同レポート6ページ) つまりIAEAは、ALPS技術が理論上は基準をクリアしていたとしても、実践となれば「独特で複雑な事例」なので、しっかりとこれを監督し、“すべての利害関係者”との調整が必要だとしている。IAEAは原子力技術の平和的利用の促進を目的とする機関であり、「原発推進の立場で、日本とも仲がいい」(環境問題に詳しい専門家)という側面を持つものの、今回の海洋放出を「複雑なケース」として捉えているのだ。 同教授は「果たして日本は、中国を含む周辺国と強力なコミュニケーションができるのだろうか」と不安を抱く。 他方、日本の政府関係者は取材に対し、「あくまで個人的な考え」としながら、「中国のネット世論は以前から過激な部分もあるが、処理水の海洋放出について疑義が持たれるのは自然なこと」と一定の理解を示した』、なるほど。
・『放射性物質の総量は依然不明のまま  今回の処理水放出の発表をめぐっては、日本政府の説明もメディアの報道も、トリチウムの安全性に焦点を当てたものが多かった。東京電力はトリチウムについて「主に水として存在し、自然界や水道水のほか、私たちの体内にも存在する」という説明を行っている。 原子力問題に取り組む認定NPO・原子力資料情報室の共同代表の伴英幸氏は、取材に対し「トリチウムの健康への影響がないとも、海洋放出が安全ともいえない」とコメントしている。その理由として、海洋放出した場合に環境中で生物体の中でトリチウムの蓄積が起き、さらに食物連鎖によって濃縮が起きる可能性があること、仮にトリチウムがDNAに取り込まれ、DNAが損傷した場合、将来的にがん細胞に進展する恐れがあること、潮の流れが複雑なため放出しても均一に拡散するとは限らないこと、などを挙げている。 ちなみに中国でも「人体に取り込まれたトリチウムがDNAを断裂させ、遺伝子変異を引き起こす」(国家衛生健康委員会が主管する専門媒体「中国放射能衛生」の掲載論文)ため、環境放射能モニタリングの重要な対象となっている。 国際的な環境NGOのFoE Japanで事務局長を務める満田夏花さんは「トリチウムは規制の対象となる放射性物質であるにもかかわらず、日本政府は『ゆるキャラ』まで登場させ、処理水に対する議論を単純化させてしまいました」と語る。同時に、「私たちが最も気にするべきは『処理水には何がどれだけ含まれているか』であり、この部分の議論をもっと発展させるべき」だと指摘する。 「ALPS処理水には、除去しきれないまま残留している長寿命の放射性物質がある」とスクープしたのは共同通信社(2018年8月19日)だった。これは、東京電力が従来説明してきた「トリチウム以外の放射性物質は除去し、基準を下回る」との説明を覆すものとなった。 このスクープを受けて東京電力は「セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129などの放射性物質が残留し、タンク貯留水の約7割で告示濃度比総和1を上回っている」と修正し、「二次処理して、基準以下にする」という計画を打ち出した。 現在、東京電力のホームページには、トリチウム以外の放射性物質が示されているものの、公開データはタンクごとに測定した濃度(中には1万9909倍の濃度を示すタンクもある)にとどまり、いったいどれだけの量があるのかについては不明、わかっているのは「トリチウムが860兆ベクレルある」ということだけだ』、「共同通信社」の「スクープ」で、「ALPS処理水」の実態が漸く明らかになるといった「東京電力」や「政府」の隠蔽体質が事態を一層混乱させているようだ。
・『海洋放出以外の代替案が選ばれなかった理由  一方、海洋放出以外の代替案には、(1)地層注入、(2)海洋放出、(3)水蒸気放出、(4)水素放出、(5)地下埋設、の5案が検討されていた。ALPS小委員会の報告書(2020年2月10日)は、それぞれが必要とする期間とコストを次のように説明している。 (1)地層注入  期間:104+20nカ月(n=実際の注入期間)+912カ月(減衰するまでの監視期間) コスト:180億円+6.5n億円(n=実際の注入期間) (2)海洋放出  期間:91カ月 コスト:34億円  (3)水蒸気放出  期間:120カ月 コスト:349億円  (4)水素放出  期間:106カ月 コスト:1000億円  (5)地下埋設 期間:98カ月+912カ月(減衰するまでの監視期間) コスト:2431億円  上記からは、(2)の「海洋放出」が最も短時間かつ低コストであることが見て取れる。これ以外にも、原子力市民委員会やFoE Japanが、原則として環境中に放出しないというスタンスで、「大型タンク貯留案」や「モルタル固化処分案」の代替案を提案していた。 これについてALPS小委員会に直接尋ねると「タンクが大容量になっても、容量効率は大差がない」との立場を示し、原子力市民委員会やFoE Japanの「タンクが大型化すれば、単位面積当たりの貯蔵量は上がるはず」とする主張と食い違いを見せた。この2つの代替案は事実上ALPS小委員会の検討対象から除外され、(2)の「海洋放出」の一択に絞られた』、「海洋放出」が「コスト:34億円」、と桁外れに易いのが採択された理由だろう。
・『日中の国民の利害は共通 環境問題と中国問題は切り離して  対立する米中が気候変動でも協力姿勢を見せたこともあるのか、今回の取材では「中国に脅威を感じているが、海洋放出をめぐっては日本の国民と中国の国民は利害が共通する」という日本の市民の声も聞かれた。 実は中国側も同じ意識を持っている。海洋放出について、中国の国家核安全局の責任者は「日本政府は自国民や国際社会に対して責任ある態度で調査と実証を行うべき」とメディアにコメントしていることから、中国側が“日本の国民と国際社会は利害が共通するステークホルダー”とみなしていることがうかがえる。 原子力市民委員会の座長代理も務める満田氏は、「海洋放出についての中韓の反応に注意が向き、論点がナショナリスティックかつイデオロギー的なものに傾斜していますが、もっと冷静な議論が必要です」と呼びかけている。 そのためには、国民と国際社会が共有できる自由で開かれた議論の場が必要だ。日本政府と東京電力にはよりいっそう丁寧な対応が求められている』、同感である。
タグ:原発問題 マット・リドレー PRESIDENT ONLINE 現代ビジネス 原田 隆之 (その17)(原子力発電所の中央制御室が「時代遅れのメーター」ばかりである根本的理由 ITを導入したくでもできないワケ、麻生大臣の原発処理水「飲んでも何てことはない」発言に決定的に欠けていたもの、なぜ原発処理水の海洋放出に反対するのか 専門家が指摘する5つの理由) 「原子力発電所の中央制御室が「時代遅れのメーター」ばかりである根本的理由 ITを導入したくでもできないワケ」 『人類とイノベーション 世界は「自由」と「失敗」で進化する』(NewsPicksパブリッシング) 原子力の民間開発は応用科学の勝利だった 「原子炉」は確かに超小型の「エネルギー源」だ 研究用の原子炉もあるが、やはり本番用では「実験」は不可能で、これが「進化」の障害になっているようだ。 「アメリカの大陸横断鉄道はすべて失敗し、個人出資の1例をのぞいて結果的に破産している」、初めて知った 「加圧水型原子炉という未熟で効率の悪いテクノロジーで行きづまり・・・そのテクノロジーさえしだいに抑制されつつある」、困ったことだ 「新式の原子」炉では「試作機の設計までたどり着き、従来の軽水炉と同じくらいの財政支援があれば、さらに先に進めたと思われるものもある」、惜しいことをしたものだ。 この「溶融塩原子炉」は、確かに安全で素晴らしいアイデアだったようだ。 「発電所はあまりにも大きくて費用がかかるので、実験でコストを下げるのは不可能だとわかっている。建設前に設計を通さなくてはならない複雑な規制が膨大にあるため、建設途中で設計を変更することも不可能だ。物事をあらかじめ設計し、その設計に忠実にやるか、振り出しにもどるかしなくてはならない」、これでは確かに試行錯誤は困難だ 「福島原発の設計には安全性に大きな欠陥があった。ポンプが高波で浸水しやすい地下にあったのだ」、電力のプロがこんな基本的な設計ミスを見逃すとは、ヒューマンエラーはやはり不可避なようだ。 核融合では同じ失敗を避けるべきだ 「核融合」炉については、2025年の運転開始を目指し、日本を含む各国が協力して国際熱核融合実験炉ITERのフランスでの建設に向けて関連技術を開発中(Wikipedia)。ただ、「2025年の運転開始を目指し」という割には具体的な進捗の報道はまだ余りないようだ。 「麻生大臣の原発処理水「飲んでも何てことはない」発言に決定的に欠けていたもの」
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

東京オリンピック(五輪)(その16)(大逆風の東京五輪 「中止カード」を先に切るのは菅首相か小池都知事か、コロナが炙り出す「菅政権のための東京五輪」) [国内政治]

東京オリンピック(五輪)については、3月29日に取上げた。今日は、(その16)(大逆風の東京五輪 「中止カード」を先に切るのは菅首相か小池都知事か、コロナが炙り出す「菅政権のための東京五輪」ピック)である。

先ずは、4月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「大逆風の東京五輪、「中止カード」を先に切るのは菅首相か小池都知事か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/269612
・『東京五輪が1番!一般市民は後回しで反発高まる   今から4カ月前の2021年1月、菅義偉首相は東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)について「人類が新型コロナウィルスに打ち勝った証」「東日本大震災からの復興を世界に発信する機会」だと胸を張っていた。しかし、残念ながら今の調子でいけば、苦しむ自国民を見殺しにしながら「負け戦」へとつき進む「日本の狂気」を全世界に見せつけるだけになりそうだ。 アスリートやその家族、関係者、そして五輪ファンの方たちには大変申し訳ないが、東京五輪への「逆風」がシャレにならないところまできている。 まず、槍玉にあげられているのが、緊急事態宣言が、IOCのバッハ会長の来日予定日の前にピタッと終了するといういわゆる「バッハシフト」だ。五輪開催のための露骨な「東京は大丈夫ですよ」アピールに、休業や自粛を余儀なくされている国民の間で批判の声があがっている。 また、「聖火リレー」への疑問の声も少なくない。緊急事態宣言の対象となっている自治体が「命を守るために出かけるな」「外で騒ぐな」「越境するな」と喉を枯らして呼びかけている。にもかかわらず、その横を、聖火をもった著名人が大量のスタッフの引き連れて練り歩くという矛盾を指摘する声が後を絶たない。 既に炎上状態になっているが、さらに灯油をぶっかけた形になったのが、「看護師500人動員」と「選手用病院確保」だ。4月9日、東京五輪組織委員会(組織委)が日本看護協会に「大会にご活躍頂く看護職の確保に関するご協力について」という文書を送って、500人の看護師確保の協力を要請したという。また、JNN(TBS系列のニュースネットワーク)が報じたところによれば、組織委はアスリートが感染した際に収容できる指定病院の確保に動いているというのだ。 国民に対してはさまざまな我慢を強いているにもかかわらず、東京五輪には医療資源をしっかりと動員する。まるで「五輪が1番、医療が2番、3、4がなくて、5に政治家、6、7くらいで国民」というかのようだ。そんな日本社会の「序列」があらためて明らかになったことで、国民の怒りが爆発しているのだ。 東京五輪への風当たりが強くなっていく中で、永田町界隈ではある「暗闘」に注目が集まっている。菅義偉首相と、小池百合子東京都知事のどちらが先に「五輪中止」をぶち上げるのかというバトルだ』、「緊急事態宣言が、IOCのバッハ会長の来日予定日の前にピタッと終了するといういわゆる「バッハシフト」」は見え見えだ。「「看護師500人動員」と「選手用病院確保」」も医療崩壊を一層悪化させるもので、正気の沙汰とは思えない。
・『菅首相と小池都知事、どちらが先に「五輪中止」を叫べるかという競争  4月12日の共同通信世論調査によると、東京五輪について「中止するべきだ」は39.2%。「再延期するべきだ」(32.8%)を合わせると、72%が通常開催に否定的だ。時事通信の世論調査もだいたい同じで65.4%が開催に後ろ向きだという。 これだけ圧倒的な「民意」が存在するということは裏を返せば、国民のフラストレーションが極限まで高まったタイミングで「五輪中止・再延期」のフラッグを掲げた政治家は、圧倒的な支持を得られるかもしれない、ということなのだ。 では、そんな「掟破りの五輪中止カード」を一体誰が切るのかというと、ともに「負けられない戦い」が間近に控え、互いに主導権争いでバトルを展開しているあの2人しかいない。 そう、7月4日に東京都議会議員選挙(都議選)が控えている小池百合子東京都知事と、秋までに衆議院議員選挙をしなくてはいけない菅義偉首相である。  「おいおい、どちらも五輪をゴリ押ししている当事者じゃないか」と思うかもしれないが、政治家というのは選挙のためならどんなモラルの欠いた行為でもできてしまうものなのだ。また、今回は「民意」という強い後ろ盾もある。 実際、政治家にとって選挙がどれほど重要なのかを熟知している、元大阪市長の橋下徹氏も4月27日の「ゴゴスマ」(TBS系)に出演した際、小池都知事が状況を見て「五輪中止」と言い出す可能性を示唆して、下記のように話していた。 「コロナの状況を見ていると出来るのか?とみんな思っている。それが頂点に達したところをとらえて、小池さんはいち早く無理だという発言をされるんじゃないか。そういうのは天才的能力があると思っている」 まったく同感である。さらに言わせていただくと、この五輪中止カードがミソなのは、あくまで「政治利用」なので本当に「中止」をしなくてもいいという点だ。例えば、「国民のために五輪は中止すべき」という公約を掲げて選挙に勝ったとしても、「いろいろ交渉をしましたがIOCとの契約もあるので無理でした」というような感じでウヤムヤにできてしまう。そんな無責任が許されるわけがないと思うかもしれないが、これまでの日本の選挙を振り返ってみるといい。公約やらマニフェストが律儀に守られたケースの方が圧倒的に少ない。 つまり、IOCと「国民の不満が高まっているので一度、中止議論をしますけど、そのままちゃんと開催しますから」という風に、裏で握ってさえいれば、小池都知事にとっても、菅首相にとっても「五輪中止」は支持率爆上げの政治カードになり得るということだ』、「「国民のために五輪は中止すべき」という公約を掲げて選挙に勝ったとしても、「いろいろ交渉をしましたがIOCとの契約もあるので無理でした」というような感じでウヤムヤにできてしまう」、こんな騙しの「政治利用」は願い下げだが、見え見えのトリックに騙されるほど有権者が馬鹿とは信じたくない。
・『「天才・小池百合子」の巧みな戦略  では、いったいどちらが先に「五輪中止」を掲げるのか。大方の予想では、「天才・小池百合子」に軍配が上がると見られている。 これまでも小池都知事は、政府のコロナ対策の「先手」を打つというスピンコントロール(情報操作)で、「頼りにならない政府と比べると、小池さんは頑張っているなあ」というブランディングに成功し、昨年6月時点では7割という高い支持率も得ている。 また、女性蔑視発言で森喜朗氏への国民の批判が高まった絶妙なタイミングで、四者会談を拒否することを表明するなど、小池氏の国民の不満の方向性、ピークを捉える「選球眼」に関しては、その辺の政治家は足元にも及ばない。 例えば、菅政権が「アスリートにワクチンを優先的に接種させるべきか」などとじっくり検討しているうちに、小池都知事が「本日、コロナ感染状況を踏まえて、東京都としては五輪を中止すべきだとバッハ会長に申し上げました」などと不意打ちを喰らわせる可能性はゼロではない。 ただでさえ「感染拡大を防ぐために何もしていない」なんて叩かれる菅政権の評価は地に落ちるだろう。 本当は誰よりも通常開催したいという気持ちがありながらも、国民の命を守るために、苦渋の「英断」を果たした女性リーダーとして小池都知事は評価され、「日本初の女性首相」という野望にまたひとつ近づく。一方、菅首相は「決断できないリーダー」「五輪に固執する既得権益おじさん」というようなネガティブイメージが定着するかもしれない。 そうなれば、実際に五輪が中止になるかどうかはさておき、菅政権の支持率はガクンと落ちる。現時点で有力視されている9月の解散選挙の結果もかなり厳しいものとなり、「菅おろし」がスタート。有力な「ポスト菅」も見当たらないなかで、安倍晋三元首相の「復権」も現実味を増しそうだ』、「菅首相」サイドでも、「小池都知事」に対する「ネガティブ」キャンペーンを張り、泥仕合になる可能性もあるだろう。
・『菅首相が小池都知事に「負けない」ためにはどうすれば良いか  もちろん、このような「菅政権終焉シナリオ」というのは当然、菅首相側も意識している。派閥の後ろ盾もない菅首相が「中継ぎ」で終わることなく延命し、権力の座に座り続けるには、「天才・小池百合子」の裏をかくしかない。 では、どうするのか。 選択肢のひとつとしてあるのは、小池都知事よりも早く「五輪中止」のカードを切って、「国民の信を問う」と解散、都議選とのダブル選である。 今言われているような「9月解散」では正直、菅首相に未来はない。ワクチン接種が劇的に進み、感染が収束するなどの奇跡でも起きない限り、じわじわと支持率を下げたまま衆院選に突入して、過半数は守れたとしても、議席を大きく減らす可能性もある。選挙の弱い総裁を担ぐほど、自民党は優しくない。 だったら、一か八かで逆転の東京五輪中止のカードを切るという可能性もあるのではないか。 実際、それを思わせるような動きが続いている。 4月15日、菅政権の後ろ盾である二階俊博幹事長がTBSのCSの番組で、「これ以上無理ということなら、すぱっとやめないといけない」と与党トップとしてはじめて東京五輪中止の可能性に言及した。しかもこの発言を受けて、丸川珠代五輪相は「ある意味当たり前のことだ」と肯定をしているのだ。 普通に考えれば、これは世論の反応を伺う「観測気球」ではないだろうか。 さらに気になるのは、この5日後、多忙を極める小池氏が二階氏に会いに行っていたことだ。会談内容は、緊急事態宣言とワクチン接種についてだというがタイミング的にも、二階氏の五輪中止発言の真意を探りにいったと考えるべきだ。やはりこれは「Xデー」に向けて、狐と狸のばかしあいが始まっていそうだ。 もちろん、これらはすべて筆者の推測に過ぎない。ただ、一つだけ断言できるのは、もはや東京五輪は、アスリートのためでもなければ、国民のためにもなっていない。ましてや、「平和でより良い社会をつくることに貢献」なんて理念ともかけ離れてしまっている。 なんのための五輪なのか。この原点に立ち戻れば、政治カードにされる前におのずと答えは見えてくるだろう』、確かに「二階氏の五輪中止発言」を考えると、「菅首相側」から「中止」カードを切る可能性もあるが、この場合には本当に中止にしないと恰好がつなかいので、続行させたいIOCとのバトルになるかも知れない。

次に、4月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したデモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員の山田厚史氏による「コロナが炙り出す「菅政権のための東京五輪」」を紹介しよう。
・『3度目の緊急事態宣言下「補選全敗」が示すもの  コロナ禍は、日頃、気付きにくい「弱点」をあぶりだす、という。 ワクチン開発の遅れや医療崩壊に象徴される安心の基盤の脆弱さや、在宅勤務も選べない余裕のない働き方などもそうだが、菅義偉内閣が露呈することになったのは、統治能力の無さと身勝手な五輪利用だ。 東京・大阪など4都府県で3度目の緊急事態宣言が出された25日、北海道、長野、広島県での国政の補欠選挙で与党は全敗した。 異例の事態に首相は、「謙虚に受け止め、正すべき点はしっかり正していきたい」と語ったが、用意された文言を、ただなぞるだけ。 正すべき点とは何か、は語らず、「謙虚に受け止めている」のか疑いたくなるほど心がこもらない発言だった。) 週明けの東京・大阪では、通勤電車は密のまま。宣言が出ても「人流抑制」の効果は薄い。「緊急事態慣れ」と言われるが、人々は政府の言うことなど聞かず、そっぽを向いている』、確かに「緊急事態慣れ」の広がりは、深刻だ。
・『政府は何をしたのか? 感染源対策は「やっているフリ」  新型コロナウイルスによる死者は、26日で1万人を超えた。この2月以降、急ピッチで増えている。 東京では新規感染者が27日は800人を超えた。大阪では1231人。第4波は勢いを増している。感染力が強い変異株へと置き換わり、若年層や子どもの感染も増えている。 この間、政権は何をしてきたのか。 コロナが問題化して1年余り、「3密回避」「ステイホーム」「マスク会食」…。政府は行動を縛ることばかりしてきた。 感染が広がると「緊急事態」を宣言し、人々に不便・不利益を強いる。それが政府のコロナ対策だ。 人々は未知のウイルスを恐れ、言われるまでもなく自粛し、医療の現場や売り上げが蒸発してしまった事業者は命を削るようにして頑張ってきた。 その一方で政治家は夜の街で女性と会食を重ね、まともな対応をしてこなかった。 補選の結果も、緊急事態の空振りも、政権の無策に愛想が尽きた人々の「静かな反乱」ではないか。 感染症対策には、外してはいけない以下の「3原則」がある。 (1)感染源の隔離(徹底した検査で感染者を見つけ収容する) (2)感染経路の遮断(ロックダウンなどで人の接触を減らす) (3)社会的免疫の獲得(ワクチン接種) これらは政府の分科会の報告書に載っている項目だが、実際に政府がやっているのは、(2)「感染経路の遮断」だけだ。 それも自粛するのは国民で、政府は「ベカラズ集」を作って尻をたたくだけだ。 (3)のワクチンはこれから。そして真っ先にやるべき(1)感染源対策は、「体制を整えてやります」と安倍晋三前政権のころから言われているが、できていない。 新型コロナは無症状の感染者がウイルスをまき散らす。病院に来ない隠れた患者を見つけるには、PCR検査や抗体の検査が欠かせない。 感染率の高い地域を中心に一般の人を対象にした大規模な検査をして「隠れ感染者」を探し出し、健康な人と分離することが基本だ。) こうした徹底した感染源対策が、武漢を“制圧”した中国だけでなく、米国でもNYは郵便番号で分けられた地域ごとにモニタリング調査が行われている。 検査で感染実態を掌握することはコロナ対策の一丁目一番地とされ、多くの国では第一に行われている。 3月の国会で、立憲民主党の早稲田ゆき衆院議員の質問に厚労省は、「1日1万件を検査するモニタリング体制を整備中」と答弁した。 前回の緊急事態宣言が終わった後、政府は感染状況を把握するといって11都府県の街頭で検査キッドを配っている。やっと重い腰を上げた、ともいえるが、問題は取り組む姿勢だ。 これまでの検査数を聞かれた政府の担当者の答えは「これまで2万件配布し、回収できたのは1万1500件、陽性反応は7件」だった。まだ「2日分」の検査しかできていない。 西村康稔経済再生(コロナ対策)担当相によると、4月4日までに配布した検査キッドは2万6905件、回収したのは1万8312件、陽性反応が確認されたのはわずか11件だった。 こんな少ないサンプリングで、感染実態をつかめるのだろうか。1年も前から検査の必要性を認めながら「やっているフリ」である』、「1年も前から検査の必要性を認めながら「やっているフリ」である」、腹立しいことだ。
・『指導力がないから失敗を自己修正できない  政府は初期対応を誤った。 政府の専門家会議は当初、新型コロナは8割以上が軽症か無症状、重症化した患者に対応すればいい、と楽観的なことを言った。 検査を増やして陽性反応が出た感染者が病院に殺到したら、ベッドは足らず医療崩壊が起きることを口実に、「検査抑制」へと傾いた。 背景には医系技官や保健所など、従来の保険行政の枠組みのもと、いわば「コロナ村」で感染実態を抱え込んで対応しようとしたことがあるといわれる。 未知のウイルスが相手だ。専門家が判断を誤ることもある。大事なのは、誤りと気づいた時に直ちに修正することだ。バッサリ切り替えるのはリーダーの仕事だ。 ところが安倍・菅政権は、うやむやにした。 「間違えました。これからはPCR検査を徹底してやります。協力お願いします」と言えばよかった。専門家のなかにもPCR検査の徹底を言う人もいたが、政策の失敗と見られることを恐れてか、方針転換ができなかった。 日本の民間企業には、PCR検査が大量にできる機器や一般の人が自分でやれる簡易検査キットなど、世界で使われる優れた製品や技術がある。 だが、国立感染症研究所を中心とする厚労省の医系技官たちは「精度に問題がある」などと理由をつけ、民間の受け入れを阻む方向に動いた。 菅首相は、口では「検査拡充」をかかげたが、結局、リーダーシップを取れず、「感染源を断つ」という責任を放棄してしまった。 その結果、責任を国民に転嫁する「自粛」へと傾斜した。 世界の常識である感染源対策を怠ったため、「人と人の接触を断つ」ことに逃げ込んだ。その限界がいま表れている』、「ベッドは足らず医療崩壊が起きることを口実に、「検査抑制」へと傾いた。 背景には医系技官や保健所など、従来の保険行政の枠組みのもと、いわば「コロナ村」で感染実態を抱え込んで対応しようとしたことがある」、「専門家が判断を誤ることもある。大事なのは、誤りと気づいた時に直ちに修正することだ。バッサリ切り替えるのはリーダーの仕事だ。 ところが安倍・菅政権は、うやむやにした」、「責任を国民に転嫁する「自粛」へと傾斜した。 世界の常識である感染源対策を怠ったため、「人と人の接触を断つ」ことに逃げ込んだ。その限界がいま表れている」、政府の「コロナ対策」の誤りを見事に指摘している。
・『政権の本気度は首相や閣僚の発言ににじみ出る  3回目の緊急事態宣言の発令を決めた23日の記者会見で、菅首相は、「欧米に比べ感染者ははるかに少ないのに医療体制が逼迫(ひっぱく)している。首相がコロナ患者の病床数を増やすといっても増えないのはなぜか」と聞かれた。 だが「現状は(病床数を増やすのは民間病院に)お願い、要請しかできない」としか答えられず、聞かれてもいないワクチンの話をしゃべり出した。 田村憲久厚生労働相はNHKの番組で、「自粛でなくロックダウンなどもっと強い措置は取れないのか」と聞かれ、「国民に強制できる法律がない」と答えた。 首相も担当相も「法的権限がない」ことをできない理由に挙げる。気は確かか、と首をかしげたくなる。 内閣や国会は法律を作るのが仕事だ。必要な政策を進める権限がないのなら法制化して実現するのが首相や閣僚の責任だ。 「権限がない」は言い訳でしかない。 やる気がないのか、国民を説得する自信がないのか。いずれにせよ統治者として自覚と能力に欠けることを白状したようなものだ』、憲法改正に非常事態を入れ込むjため、現在はあえて何もしないのかも知れない。
・『東京五輪開催の思惑で宣言の解除や期間を決めた?  その一方で菅首相が身を乗り出したのは、政局や東京五輪が絡む政治案件だった。 緊急事態宣言の期間や対象業種など、本来なら役人や専門家に任せる課題に首を突っ込んだ。 今回の緊急事態宣言発令でも、専門家が3週間必要と主張した宣言の期間を5月11日までの17日間にしたのは、5月中旬に予定されるIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長の来日を意識したため、とみられている。 前回の緊急事態宣言を感染が収まりきらないうちに解除したのは、聖火リレーのスタートが迫っていたからだといわれる。 検査はしない、強い措置も取らない、病床は確保できない。そんな中で、首相は「東京五輪はやる」と言う。 23日の会見でも「五輪開催はIOCの権限。IOCは既にやると決めている」と、IOCの方針を前面に立てて開催を主張した。 東京五輪組織員会は、入国者に義務づけられている「2週間の隔離」を免除し、その日から練習できるようにすると言う。 小池百合子都知事は、緊急事態宣言で「東京に来ないで」と訴えているが、1万人規模でやってくる五輪選手の水際対策は当然、甘くなる。2週間も隔離されたらベストコンディションで臨めない、と考える選手は少なくないだろう。 通常の検疫体制では参加者は減る、だから甘くして参加しやすくするということのようだ。 入国者に義務づけられている「2週間の隔離」を免除し、その日から練習できるようにするということなのか。東京五輪は、感染対策より上位にあるということなのか』、「入国者に義務づけられている「2週間の隔離」を免除し、その日から練習できるようにする」、「東京五輪は、感染対策より上位にあるということなのか」、酷い話だ。
・『医療人材をひっぺがす五輪 ワクチ接種は「机上のプラン」  組織委は、500人の看護師派遣を日本看護師協会に依頼した。ボランティアとして、選手村の発熱外来などで働いてもらうのだという。医師も日に400人が必要とされている。 だが、医療が逼迫している時、どうやって人繰りをつけるのか。五輪に割かれる人材が医療現場に更なる負担を押し付けるのは明らかだ。 一方で、コロナ対策で唯一希望とされるワクチン情報は、意図的と思えるほど楽観的だ。 根拠のない見通しを意識的に流し、一種の世論誘導をしている。 医療関係者のワクチン接種は3月中に終え、高齢者は4月から始めて6月までに、その後、特定の疾病のある人が接種し、一般への提供も7月中に可能などと、机上のプランがあたかも実現するかのように喧伝(けんでん)されている。 プラン通り進めばオリンピック前に接種は山を超え、多くの人は免疫を獲得し、ひと安心となっているだろう。それなら東京五輪は大丈夫か、と多くの人は思いたくなる。 だが、そうはならない現実が見えてきている。 4月から始まった高齢者の接種はまだ対象者の1%にも満たない(27日現在)。それどころか、医療関係者の接種もまだ終わっておらず、ワクチン接種をできていない医師が接種に訪れる人に対応している。 自民党内部からは「ワクチン接種が完了するのは、来年になってから」などの声も出ている。 担当の河野太郎行革相は「首相が自ら交渉しファイザー社から追加供給のめどが立った。国民全てが接種できる数量が確保された」と言うが、現場にいつ届くのか。円滑な接種が行われる体制を自治体が取れるのか、疑わしい。 現実に、接種の始まった自治体ではワクチン接種券が届いても予約の電話がつながらない混乱が起きている。医療は物流だけでは解決しない。 政府は、自衛隊に出動を要請し、東京などで医官・看護官が大規模会場で接種に当たることをあわてて決めた。東京五輪を前に「背水の陣」ということだろう』、「首相が自ら交渉しファイザー社から追加供給のめどが立った」は、どうもPR臭が強く、実際には具体的約束はなかったようだ。「ワクチ接種は「机上のプラン」」を意図的に流すというマスコミ対策は悪質だ。
・『五輪は「パンとサーカス」か 利害一致の菅首相とIOC  政府の思惑は、感染拡大が和らげば緊急事態宣言を解除しバッハ会長を迎えて、「開催」を世界に発信し一気に突き進むという筋書きだ。 一方でIOCにとっても、無観客で行われたところで米国NBCのテレビ放映権で収入は確保できる。組織を維持するためにも中止はあり得ない。 感染対策や観客受け入れなど面倒な問題は、開催地の責任だ。「非常宣言は関係ない」というバッハ発言は「何をおいても開催」というIOCの身勝手が表れている。 国民が生命の危機にさらされている時、五輪を開催することにどれほどの意味があるのか。 多くの人は「こんな時に五輪か」と考えるが、「こんな時だから五輪で」というのが政権の思惑だろう。 補選で3連敗したことで、政権与党はまますます東京五輪にすがる。 菅首相にとって秋の自民党総裁で再選されることと、その前後にある総選挙で議席を守り抜くことが第一だ。そのために東京五輪は不可欠と考えている。 与党内にも、五輪の熱戦をメディアが連日伝えれば、世の中の気分はいっぺんに変わる、と期待する政治家は少なくない。 ローマの時代から為政者は統治の要諦を「パンとサーカス」と心得ていた。「腹を満たす食べ物」と「心を喜ばす娯楽」を与えられた市民は政治に目をつむると、詩人ユウェナリスは指摘した。 組織維持のため開催を主張するバッハ会長と政権延命のため五輪を必要とする菅首相は、固く結ばれている。 誰のためにオリンピックはあるのか。新型コロナの蔓延(まんえん)は隠れている構造をあぶり出す』、「組織維持のため開催を主張するバッハ会長と政権延命のため五輪を必要とする菅首相は、固く結ばれている」、同感である。いずれにしろ、ワクチン入手に主要国のなかでも大幅に遅れを取り、日本としては安全に運営できる保証がなくなった以上、IOCが米国のTV放映権確保のため開催に固執しても、恥をしのんででも開催中止を申し出るべきだろう。
タグ:東京オリンピック ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 山田厚史 (五輪) (その16)(大逆風の東京五輪 「中止カード」を先に切るのは菅首相か小池都知事か、コロナが炙り出す「菅政権のための東京五輪」) 「大逆風の東京五輪、「中止カード」を先に切るのは菅首相か小池都知事か」 「緊急事態宣言が、IOCのバッハ会長の来日予定日の前にピタッと終了するといういわゆる「バッハシフト」」は見え見えだ 「「看護師500人動員」と「選手用病院確保」」も医療崩壊を一層悪化させるもので、正気の沙汰とは思えない。 「「国民のために五輪は中止すべき」という公約を掲げて選挙に勝ったとしても、「いろいろ交渉をしましたがIOCとの契約もあるので無理でした」というような感じでウヤムヤにできてしまう」、こんな騙しの「政治利用」は願い下げだが、見え見えのトリックに騙されるほど有権者が馬鹿とは信じたくない。 「菅首相」サイドでも、「小池都知事」に対する「ネガティブ」キャンペーンを張り、泥仕合になる可能性もあるだろう。 確かに「二階氏の五輪中止発言」を考えると、「菅首相側」から「中止」カードを切る可能性もあるが、この場合には本当に中止にしないと恰好がつなかいので、続行させたいIOCとのバトルになるかも知れない。 「コロナが炙り出す「菅政権のための東京五輪」」 確かに「緊急事態慣れ」の広がりは、深刻だ。 「1年も前から検査の必要性を認めながら「やっているフリ」である」、腹立しいことだ。 「ベッドは足らず医療崩壊が起きることを口実に、「検査抑制」へと傾いた。 背景には医系技官や保健所など、従来の保険行政の枠組みのもと、いわば「コロナ村」で感染実態を抱え込んで対応しようとしたことがある」、「専門家が判断を誤ることもある。大事なのは、誤りと気づいた時に直ちに修正することだ。バッサリ切り替えるのはリーダーの仕事だ。 ところが安倍・菅政権は、うやむやにした」、「責任を国民に転嫁する「自粛」へと傾斜した。 世界の常識である感染源対策を怠ったため、「人と人の接触を断つ」ことに逃げ込んだ。その限界がいま表れている」、政府の「コロナ対策」の誤りを見事に指摘している。 憲法改正に非常事態を入れ込むjため、現在はあえて何もしないのかも知れない。 「入国者に義務づけられている「2週間の隔離」を免除し、その日から練習できるようにする」、「東京五輪は、感染対策より上位にあるということなのか」、酷い話だ。 「首相が自ら交渉しファイザー社から追加供給のめどが立った」は、どうもPR臭が強く、実際には具体的約束はなかったようだ。 「ワクチ接種は「机上のプラン」」を意図的に流すというマスコミ対策は悪質だ。 「組織維持のため開催を主張するバッハ会長と政権延命のため五輪を必要とする菅首相は、固く結ばれている」、同感である いずれにしろ、ワクチン入手に主要国のなかでも大幅に遅れを取り、日本としては安全に運営できる基盤がなくなった以上、IOCが米国のTV放映権確保のため開催に固執しても、開催国として断固として開催中止を申し出るべきだろう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

日本郵政(その17)(政府も身構える「テンセント・リスク」 楽天への出資案が飛び火、内部通報者が次々と休職…「告発したら潰される」日本郵政の腐敗しきった“コンプライアンス”、郵便局員をざわつかせる「研修用DVD」のお粗末 これで保険営業の再スタートに役立つのか) [国内政治]

日本郵政については、2月11日に取上げた。今日は、(その17)(政府も身構える「テンセント・リスク」 楽天への出資案が飛び火、内部通報者が次々と休職…「告発したら潰される」日本郵政の腐敗しきった“コンプライアンス”、郵便局員をざわつかせる「研修用DVD」のお粗末 これで保険営業の再スタートに役立つのか)である。

先ずは、3月28日付け日経ビジネスオンラインが掲載した明星大学経営学部教授(元経経済産業省中部経済産業局長)の細川昌彦氏による「政府も身構える「テンセント・リスク」 楽天への出資案が飛び火」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00056/
・『3月12日に発表された楽天と日本郵政、テンセントの資本業務提携に動きがあった。25⽇、楽天は中国ネット⼤⼿の騰訊控股(テンセント)⼦会社からの657億円の出資に ついて、急遽これまでの発表を一部変更すると発表した。「外国為替及び外国貿易法に基づく手続の関係により、割当予定先とは異なる日に行われる可能性がある」との内容だ。テンセントからの払込日は29日を予定していたが、延びる可能性がある。これにはどういう意味が込められているのか。 本連載でこれまで「楽天への日本郵政・テンセントの出資に浮かび上がる深刻な懸念」、「楽天・日本郵政の提携を揺さぶる『テンセント・リスク』の怖さ」と2回にわたり指摘した通り、楽天の「テンセント・リスク」は日本政府にまで飛び火しつつある(Qは聞き手の質問)。 Q:テンセントからの出資、振込日の直前になって、急遽それが延びる可能性を楽天が発表しました。異例の展開ですが、どういう背景でしょうか。 細川昌彦・明星大学経営学部教授(以下、細川):楽天が当初予定していなかった想定外の事態が起こったということだ。外為法について、初めて楽天が言及した。当初からわかっていれば、本来、出資を受ける発表の時点で、この提携事業でのリスク事項として開示する義務がある。 外為法は、外国企業が国防や通信などの一定業種において、国内企業の株式を1%以上取得するときには事前の届け出が必要というもの。ただ、テンセントは国有企業ではなく”民間企業”なので、一定の条件を満たせば、届け出義務が免除される規定がある。 楽天もテンセントも、届け出は必要ないと理解していたのだろう。私も、その理解は正しいと思う。 Q:なぜ今になって出てきたのでしょう。 細川:おそらく、免除されるものであっても、自主的に出してほしいという要請が規制当局からあったのではないか。「外為法に基づく手続きがなされる可能性がある」と楽天は公表している。これは、水面下で規制当局とやり取りがあることを明確に示している。届け出を出す可能性もある。だが、それは急にはできず時間がかかる。また、規制当局も条件の縛りを付けてくるだろう。当初予定していた29日の振込期限には間に合わない可能性が高いということだ。 Q:当局が動いたのはなぜでしょう。 細川:やはり出資元がテンセントというのが大きい。同社は米国政府がアリババ集団とともに米国民からの投資禁止を検討した企業だ。メッセージアプリの微信(ウィーチャット)などを通じて、米国内のユーザーデータが中国政府に流出する可能性を懸念して、使用禁止の大統領令まで出している。トランプ政権の手法はともかく、こうした懸念はバイデン政権でも払拭されていない。米政権に個人情報の扱いで懸念あり、と名指しされた企業が、通信や金融など個人情報やデータを握る楽天に出資する。ここを問題視したのではないだろうか。 しかも日米の法律では、規制当局の間で情報交換する規定もあることから、この件も当然ワシントンとも既に連絡を取り合っているだろう。事前届け出がなければ規制当局は詳細な内容も把握できず、米国に情報提供することもできない。日本の規制は甘いと、米国から批判されないようにしたいだろう』、「楽天」はどうも脇が甘過ぎるようだ。
・『楽天の米国事業への影響は’  Q:今後、規制当局はどう対応するとみていますか。 細川:実は外為法の制度の下では、規制に限界がある。テンセントが金を払い込んでしまったら止められない。唯一やれることは条件を付けること。例えば、「楽天が持つ個人情報にアクセスしない」といった条件を付ける。ただ、条件を付けても、それがきちんと履行されているかのチェックはできない。 一方、米国はインテリジェンス(諜報)機能があるので、調べることができる点は前稿で説明した通りだ。問題が発覚すれば、取引の事後であってもさかのぼって取引を無効にできる強力な権限を持つ。楽天は米国でも事業展開をしているため、こうした規制の対象になる。 Q:そうなると、楽天の米国事業への影響も出てきかねません。 細川:むしろ楽天にとっては、日本の規制よりもその方が深刻だろう。これまで楽天は米国では一応信頼できるプレーヤーとして、5G絡みのプロジェクトにも参画できていた。今後、楽天は米国との関係で大変なリスクをいつまでも背負うことになってしまった。米国の怖さを考えて、虎の尾を踏まないようにしなければいけない。ただ、テンセントの出資を受け入れるに当たって、こうした米国事業に伴うリスクを楽天がどこまで理解していたかはわからない』、「これまで楽天は米国では一応信頼できるプレーヤーとして、5G絡みのプロジェクトにも参画できていた」、「米国の怖さを考えて、虎の尾を踏まないようにしなければいけない」、「楽天」は英語を社内公用語にしたことで有名だが、語学よりも重要な国際的センスをこれほど欠いていたとは心底、驚いた。
・『「テンセントからは出資を受けるだけ」はあり得ない  Q:そういう懸念に対して、楽天はどのように説明しているのでしょうか。 細川:楽天は日米の当局や関係者に対して、「テンセントからは出資を受けるだけ」と説明しているようだ。だが、投資会社ではないテンセントが、事業での協業などの見返りもなく純投資だけで657億円も払うわけがない。事実、3月12日の会見では、テンセントとの協業についてEコマースなどの提携を例に挙げて、「4月以降に協議する」と楽天の三木谷浩史会長兼社長は前向きに語っていた。そしてテンセント側もそうした事業提携を追求するとコメントしている。テンセントによる影響を問題視されて、「テンセントは出資だけ」という説明をするのは極めて不自然で、二枚舌と言われても仕方がない。特にテンセントの場合、これまでも少額の出資でも自らの広範な事業の力をバックに出資先企業に影響力を行使するケースはたくさん指摘されているのだから』、「テンセントによる影響を問題視されて、「テンセントは出資だけ」という説明をするのは極めて不自然で、二枚舌と言われても仕方がない。特にテンセントの場合、これまでも少額の出資でも自らの広範な事業の力をバックに出資先企業に影響力を行使するケースはたくさん指摘されている」、「楽天」にはビジネス上の良心はないのだろうか。
・『日本郵政の保有データの扱いどうなる  Q:日本郵政にとってはどうでしょうか。株式価値の希薄化もあるので、テンセントの出資について知らかったとは考えにくいですね。 細川:当然、楽天から説明は受けているだろう。ではなぜ1500億円も出資するのか。単純に、テンセントが出資するという事実だけは知っていても、それが抱えるリスクまで考えが及ばなかったということだろう。米国がテンセントに対する懸念からどう動いているかという「テンセント・リスク」に対する安全保障の感度が鈍い、と批判されても仕方がない。 Q:日本郵政による出資の払込期限は3月29日と迫っています。 細川:今後、米国の規制当局がどう対応するか、楽天の米国事業にどのような影響出てくるか、などリスクがある。これが顕在化した場合、経営判断の是非が厳しく問われることまで飛び火しかねない。深刻な「テンセント・リスク」が判明した今、政府が過半を出資する会社(56.87%を政府・⾃治体が保有)として、どう対応するのかも注目される。単なる事業提携とは意味が違うからだ。 Q:日本郵政には膨大な個人情報・データがありますが、その点についてはどうでしょうか。 細川:その点も極めて重要だ。日本郵政と楽天の提携は、物流を中心に金融にも広がる可能性がある。楽天からデジタル人材を受け入れて「楽天社員から学びたい」と日本郵政の増田寛也社長が記者会見で話している。同社が持つ個人のデータを楽天と共有したり、分析したりする可能性をどう考えているのか、明確に説明する必要があるだろう。楽天とテンセントの提携内容によって、日本郵政が保有するデータにリスクが及ぶことがあってはならない』、「日本郵政」「が持つ個人のデータを楽天と共有したり、分析したりする可能性をどう考えているのか、明確に説明する必要があるだろう」、その通りだ。
・『LINE問題で情報流出への関心高まる  LINEのデータ管理問題もありました。グローバル企業の在り方など、今後の展開をどう見ますか。 細川:LINEの件で、個人情報の海外流出についての国民の関心が、目覚める効果はあった。特に中国については2017年に国家情報法が制定されて、企業も共産党政権の求めに応じて、情報提供など協力する義務があることに、経営者自身が無頓着であったことは驚きだ。情報・データに関わる中国ビジネスに対する姿勢の在り方が問われている。今回のテンセントの出資も「画期的な提携だ」と、持てはやしているだけではいけない。 Q: 4⽉には⽶国で⽇⽶⾸脳会談も予定されています。 細川:通常、⾸脳会談では個別案件は取り上げない。ただ、菅内閣の中国との向き合い⽅のリトマス試験紙になりかねない。外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)において、中国を名指しで批判する共 同声明を出している。これは「⽇本もきちんと腰を据えて中国に向き合うべきだ」という、⽶国から菅政権に対する暗黙のメッセージでもある。楽天だけでなく、⽇本郵政、 そして⽇本政府の対処の仕⽅を⽶国は注視するだろう。「テンセント・リスク」は楽天だけの問題ではなく、⽇本郵政や⽇本政府にまで波及する問題だ。 この記事はシリーズ「細川昌彦の「深層・世界のパワーゲーム」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます』、「「テンセント・リスク」は楽天だけの問題ではなく、⽇本郵政や⽇本政府にまで波及する問題だ」、大いに注目したい。

次に、4月18日付け文春オンライン「内部通報者が次々と休職…「告発したら潰される」日本郵政の腐敗しきった“コンプライアンス”」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/44855
・『かんぽ生命の不正販売、ゆうちょ銀行の不正引き出し、NHKへの報道弾圧……。従業員40万人を超える巨大組織「日本郵政グループ」の、信じられないような不祥事が次々と明らかになっている。 そうした“腐敗の構造”の裏には一体何があるのか。その正体に迫った藤田知也氏(朝日新聞記者)の著書『郵政腐敗』(光文社新書)より、内部通報制度の崩壊から浮かび上がる“いびつな組織構造”について紹介する』、興味深そうだ。
・『除名される通報者たち  “特定局の鉄則”を振りかざす冒頭の郵便局長は、地区郵便局長会の会長であり、九州地方郵便局長会の副会長でもあった。そして、当然のように、日本郵便の地区統括局長と、日本郵便九州支社副主幹統括局長も兼任していた。 そんな“大物局長”が常識外れの「通報者捜し」に動いていたことは、日本郵便九州支社コンプライアンス室にも連絡が入っていた。 2019年1月24日に不当な通報者捜しが起きてから1週間後。部会のメンバーが再び同じ公民館に集められ、当の副主幹統括局長が登場して土下座して謝るという一幕があった。本社コンプライアンス担当役員から注意されたためだとみられ、同年春には懲戒戒告処分も受け、統括局長などの役職も降りてヒラ局長となり、出世は見込めなくなった。通報者捜しに加担した部会長への処分の有無は不明だが、まもなく別の地域の郵便局に転勤していった。組織として最低限の対応はとられたのかもしれない。 しかし、通報者と疑われた局長たちには、その後も「嫌がらせ」や「腹いせ」としか思えない攻撃が続いた。 問題の副主幹統括局長は、地区郵便局長会の会長の座も急きょ降りたものの、単なるヒラ局長に戻ったのではなく、「相談役」に据えられた。 その地区局長会長の後任を決める2019年3月の会合では、地区会の理事だった郵便局長が「内部通報者捜しがあって引責するようだ」と報告したところ、ほかのメンバーから「中傷だ」「名誉毀損にあたる」と非難を浴び、局長会を「除名処分」された。別の局長も、判然としない理由で除名になった。2人はいずれも、通報者捜しが繰り広げられた部会に属していた。 地区郵便局長会のメンバーらはその後、除名した2人の局長に対し、日本郵便の役職も降りるよう迫ったり、九州支社の人事部門に役職を解くよう掛け合ったりもした。同じ部会に属するほかの局長も、会合で厳しい言葉をぶつけられ、役職を降りるよう求められた。 通報者らは次第に孤立を深め、うつ状態と診断されて休職する者が相次いだ。こうした情報も九州支社コンプライアンス室に届き、九州支社総務人事部が調査したこともあるが、業務中の言動でパワハラが認定されることはなく、任意団体である局長会の活動での言動は業務外だと突き放した。 結局、6人の通報者を含む計7人の郵便局長が2019年秋、元副主幹統括局長と複数の幹部局長を相手取り、通報者捜しとその後の不利益などで精神的苦痛を受けたとして、損害賠償を求める訴訟を起こすまでに至った。 福岡県警も同時期から捜査に乗り出し、2020年1月には、元副主幹統括局長が一部の局長に通報者と認めるよう迫ったとして、強要未遂罪の疑いで福岡地検に書類送検した(福岡地検は今年4月5日、元副主幹統括局長を強要未遂罪で福岡地裁に在宅起訴したと発表した)』、「任意団体である局長会の活動での言動は業務外だと突き放した」、形式上は「任意団体」であったとしても、実質的には重要な役割を果たしている組織で、そのでの活動は「業務」そのものの筈だ。「元副主幹統括局長が一部の局長に通報者と認めるよう迫ったとして、強要未遂罪の疑いで福岡地検に書類送検」、悪質だ。
・『通報者捜しは「指導の一環」  郵便局長7人が元副主幹統括局長を含む3人の有力局長に慰謝料を求める訴訟は、福岡地裁で続いている。被告となった元副主幹統括局長側は、請求棄却を求めて争っている。 元副主幹統括局長は裁判所に提出した書面で、一連の発言をしたことは認めつつ、こう主張している。 〈被告(元副主幹統括局長)の性格等を知り尽くす原告が、あえて激怒する態度・発言をとり、不穏当な言辞を引き出したのではないか〉 〈原告と被告は親子のような関係。被告自身、原告を実の息子のようにかわいがり、強い絆を築いていた。何でも腹を割って言い合える仲だった〉 〈厳しい口調で叱責することはあったが、どこの会社にも見られる程度のもの〉 〈原告は被告が怖くて(息子である局長の行為を)報告できずに内部通報したと主張するが、およそ信用できない〉 内部通報制度については、独特の考えを披露している。 〈内部通報したのが郵便局長なら、被告が最も重視する郵便局長同士の絆・結束にひびが入り、修復できなくなるのではないかと考えた〉 〈(通報内容が)不処分となったため、絆・結束を取り戻そうと考えた。内部通報者捜しをするつもりは毛頭なかった〉 そして、一連の通報者捜しは〈あくまで指導のつもりだった〉と強調した。 被告側は、ほかの地区郵便局長会幹部らが降職を求めた行為も認めつつ、「あくまで任意の相談・お願いに過ぎない」と主張している。 元副主幹統括局長の言葉は、音声を配信した朝日新聞デジタルなどで聞くことができる。その迫力あるやりとりが「どこの会社にも見られる」と本気で考えているのなら、彼らの“常識”はやはり世間のそれとはかけ離れているのではないか。 被告側の弁護士には書面と電話で何度か取材を申し込んだが、コメントを得ることはできなかった』、「一連の通報者捜しは〈あくまで指導のつもりだった〉と強調した」、強弁にもほどがある。「迫力あるやりとりが「どこの会社にも見られる」と本気で考えているのなら、彼らの“常識”はやはり世間のそれとはかけ離れているのではないか」、同感だ。
・『無視されたガイドライン  日本郵便の組織としての対応にも欠陥がある。 消費者庁が取りまとめた内部通報制度の民間向けガイドラインには、内部通報制度の通報窓口を整備して広く周知するだけでなく、通報者を守ることが制度を機能させるために重要だと、明確に書かれている。 ガイドラインでは、通報者が特定されないよう配慮を尽くすのはもちろん、通報内容の共有範囲は最小限とし、通報を受けて調査に乗り出すときは、調査の端緒が通報だと知られないよう工夫することも求めている。定期的な調査に紛れ込ませたり、複数の郵便局に抜き打ちを仕掛けたりする手法も紹介されている。 通報者の探索や通報者への不利益な取り扱いを禁止し、不利益な取り扱いをしたり通報を漏らしたりした場合は当事者を処分し、不利益の救済・回復を図ることが必要だとしている。 では、福岡での事例はどうだったか。 前述の通り、通報を受けた本社コンプライアンス担当役員が、調査対象者の父親に連絡を入れ、「複数からの通報」を知らせていた。たとえ相手が管理責任者でも、通報があったと調査開始前に知らせたことは、結果から見ても、ガイドラインの趣旨に背くのではないか。 さらに、日本郵便本社には全国郵便局長会の元会長である専務(当時)がおり、統括局長とも親しいとみられていたため、内部通報文書には「専務には言わないで」とも明確に書かれていた。それにもかかわらず、この専務も早い段階で情報を共有し、通報者の一部に連絡していたことが判明している。 通報者が「秘密にして」と懇願する相手でも、通報者の同意を得ることもなく、通報の事実や通報者の情報を即座に明かしていたのだ。これでは、通報制度の意味がないばかりか、通報は決してしないほうがいいと知らしめているようなものだ。 通報者捜しに対しては、懲戒処分を出して統括局長の役職も解いてはいる。だが、処分の事実や降職の理由を社内でも明かしていない。通報者のほうは一部が局長会で除名となり、会社の役職を降りるよう迫られて心を患い、降職や休職に追いやられた者もいたが、そうした「不利益」を回復しようとした形跡はない。 日本郵便は筆者の取材に対し、「(内部通報制度は)ガイドラインに沿って運用し、通報には適切に対応している」と回答した。ただし、個別の事例についてはコメントできないとし、非を認めることはなかった。日本郵便は元副主幹統括局長を含む7人に今年3月末、停職などの懲戒処分を出したが、組織としての課題はまだ検証中だとしている』、「通報者のほうは一部が局長会で除名となり、会社の役職を降りるよう迫られて心を患い、降職や休職に追いやられた者もいたが、そうした「不利益」を回復しようとした形跡はない」、とすると、「日本郵便は筆者の取材に対し、「(内部通報制度は)ガイドラインに沿って運用し、通報には適切に対応している」と回答」、は完全なウソになる。「通報者」が民事訴訟を提訴する余地もあるのではなかろうか。
・『「告発したら潰される」  日本郵政グループの内部通報制度に重大な欠陥があることは、かんぽ生命の不正問題でも浮き彫りになっていた。 2019年9月から立ち入り検査を実施した金融庁は、不正な保険営業などで社員の通報がありながら、それをコンプライアンス部門が積極的には調べず、担当部署に情報を横流しする例がある、などと指摘していた。 たとえば、中部地方で保険営業に携わっていた郵便局員は2018年、不正を繰り返している疑いが濃い同僚の情報を、日本郵便の内部通報窓口に届けた。 問題の社員は営業推進指導役という肩書で、地域の郵便局を回って保険営業の成績が上がるように指導する立場だった。だが、指導を名目に出向いた先の郵便局で、高齢客を相手にいい加減な説明で契約件数を伸ばす一方、相談を受けた家族からの抗議や申し込みの撤回が相次いだ。地元密着で働く郵便局員にとっては、指導役が契約件数だけ荒稼ぎして顧客の信頼関係を壊していくのは迷惑でしかない。 通報した郵便局員は、コンプライアンス担当者から連絡を受け、不正な勧誘を目撃した状況や顧客の名前などを詳しく聞かれ、局員も保険の契約番号に至るまで詳細な情報を伝えたようだ。ところが、知りうる限りのことを伝えたあとに、こう言われた。 「我々が調査すると、通報者が捜されて特定される可能性もあるが、それでも大丈夫ですか」 大丈夫なわけがない。通報した局員が「それは困る」と答えると、そこから話はうやむやになったと、悔しそうに職場でこぼしていた。不正の疑いがある同僚はその後も野放しで営業を続け、好成績で昇格もしていったという。 この事例は、氷山の一角に過ぎない。通報制度に関する現場からの訴えは、ほかにも少なからず聞かれた。単に「調べてもらえなかった」ということにとどまらず、「通報者が特定されて恫喝された」「人事で飛ばされた」という趣旨の話もある。彼らが口をそろえて言うのは「告発したら潰される」ということだ』、「日本郵政」の「コンプライアンス」体制は抜本的に見直す必要がありそうだ。国会で野党が取上げる意味もあるのではなかろうか。

第三に、4月22日付け東洋経済Plus「郵便局員をざわつかせる「研修用DVD」のお粗末 これで保険営業の再スタートに役立つのか」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26791
・『2019年に大量発覚した保険の不適正募集。2021年4月からようやく保険営業の再スタートを切ったが課題は尽きない。 「この通りに営業活動をすれば、また社内処分を受けるのではないか」「法令違反になるのでは……」――。複数の郵便局員から不安の声があがっている研修用資料がある。日本郵便が使っている保険営業に関する社内研修用のDVDだ。 これは、かんぽの不適正募集が発覚した後、募集人資格を取り上げられた局員向けの研修用資料として2019年9月下旬から導入された。作成したのは日本郵便に生保商品の販売を委託しているかんぽ生命だ。 DVD研修を受けた局員は、レポートを提出しなければ次の研修に進めない(DVDの使用期間は2019年9月27日~2022年3月31日)。東洋経済ではこの研修用DVDの映像を確認した。 映像は「はじめに」「守り続けるもの」「私とかんぽ」という3部構成で計25分間強。局員たちが冒頭のように不安視しているのは、「私とかんぽ」の部分だ』、どういうことだろう。
・『学資保険の「メリット」を強調  たとえば、小学校6年生の「彼女」が交通事故で足を骨折し、1カ月入院するシーン。「学資保険と特約に加入していたおかげで、ケガの治療費はそれでまかなうことができます」というナレーションが流れる。 ある中堅局員は、「(保険の契約時から)入院までに支払ってきた保険料に対する費用対効果と各自治体における医療費補助の制度とを照らし合わせると、現在、入院特約加入の必要性は非現実的」と指摘する。 学資保険をすすめることへの疑問もある。「超低金利の下で各社の学資保険が元本割れしており、(かんぽの学資保険は)どこの会社の商品よりも『掛けオーバー』の金額が大きいからだ」(ベテラン局員)。「元本割れ」「掛けオーバー」とは、支払った掛け金の総額が、受け取る満期保険金額よりも大きいことを指す。 日本生命出身で保険営業の弊害に詳しい「保険相談室」の後田亨代表は、「元本割れが確実な学資保険を勧めることに罪悪感はないのだろうか」と苦言を呈する。 DVDにはほかにも疑問点がいくつもある』、確かに「元本割れが確実な学資保険を勧めることに罪悪感はないのだろうか」、客に損をさせるのはやはり問題だ。
・『現場のことを知らないシーン  入院日数の短期化が進んでいる中、足の骨折で1カ月間入院するという設定や、小学生の医療費が自治体の補助で無料になって久しい中、ケガの治療費は特約で賄えるとナレーションし、母親が「保険に加入していてよかった」と話すところだ。 ある局員は「医療費が(自治体の補助で)無料でも、個室の差額ベッド代や交通費など公的に保障されない費用は少なくない。それが特約でカバーできる」と、入院特約の必要性を一定程度認める。 だが、後田代表は「『保険に加入していてよかった』というのは結果論。生命保険文化センターのサイトで確認すると、0~14歳の骨折による平均在院日数は6.1日。入院日額1万円として給付額は約6万円。(保険料の一部は保険会社の経費になるため)契約者にとっては、特約による給付額を上回る保険料を支払う”痛い仕組み”であると認識したい」と指摘する。 そして、DVDには親子で学資保険の満期金を取りに来るシーンがある。前出のベテラン局員は、「そもそも、子どもを連れて学資保険の満期金を受け取りくる親に会ったことがない。研修用DVDの作成者は現場を知らなすぎるのではないか」とあきれ顔だ』、いかにも嘘っぽい作りものでは、客へアピールする筈もない。
・『社会人なんだから「生命保険」  DVDで、「彼女」は無事に大学を卒業し、夢だった高校教師として働くことになる。 独身の「彼女」に対して父親が「そろそろ自分で生命保険に入ったらどうだ?」と進める。「考えたこともなかったわ」と「彼女」が答えると、父親は「社会人なんだから、いざというときのことも考えないと」と言う。 このやり取りも、「社会人なら、まずは公的な保障である社会保険や勤務先の健康保険組合の付加給付制度など調べたり、学んだりすべき」(後田代表)。 しかし、DVDは「どっちがいいんだろう」と「彼女」が局員の前で悩むというシーンに移る。局員は「でしたら、まずは保障(額)が大きな特別養老保険をお勧めします」と応じる。 だが、このやり取りにも複数の局員から疑問の声が聞かれる。 「資産形成層には、将来を考えると今は保障部分を小さく、資産形成を大きくすべき、という基本説明がいっさいない」(前出の中堅局員)。「DVDには、顧客ニーズを見極めるプロセスがまるでない。これでは後から『ニーズのない商品を契約させられた』と不適正募集にされてしまう」(別の局員)。「特別養老保険は(局員に対する)募集手当が大きく、局員からすると勧めやすい商品なので、研修用DVDでもこの商品が登場しているのだろう」(元局員)。「特別養老保険は、死亡保険金と満期金が同額である養老保険に、さらに死亡保障の上乗せがある保険。子どもがいる世帯主でもない独身女性に勧めてはいけない。満期金がうれしいと言われても『死亡保障にも費用がかかり、お金が増えにくい』と説明すべき」(後田代表)』、「特別養老保険は・・・子どもがいる世帯主でもない独身女性に勧めてはいけない」、その通りだ。
・『顧客ニーズ無視の提案  局員の間で最も異論が多いのが、特別養老保険が10年の満期を迎えて郵便局を訪れた「彼女」に対する局員の対応だ。具体的にはこんなやり取りだ。 局員「満期保険金のお手続きは完了です。長い間ご利用いただき、ありがとうございました。ところで生命保険について、改めてご提案したいプランがあるのですが、本日、もう少しお時間よろしいですか」 彼女「ええ」 局員「本日、ご提案したいのは終身保険です」 彼女「満期保険金を受け取る喜びがあるし、今回も養老保険でいいんじゃない?」 局員「でも、歳を取るにつれて、入院する確率も高くなります。この機会に一生涯の保障をご検討されてみてはいかがでしょうか」 彼女「そうねー。入院で家族に心配をかけさせたくないわねー」 局員「では、詳しいプランをご説明させていただきます」 このやり取りについて局員たちから「顧客の意向を無視している」「不適正募集そのものだ」という声が多い。 「DVDで一番気になる部分。こういう(単一の)セールスをやってはいけない、ということで『総合的なコンサルティングサービス』への脱皮を目指してきたのではなかったのか」(前出のベテラン局員)。「『彼女』に対して終身保険しか選択肢がないかのような説明も問題だ」(別の局員)というのは真っ当な指摘だろう』、研修用DVDが「不適正募集」用DVDになってはどうしようもない。
・『保険金が「ラストラブレター」  DVDのラストシーンでは、「彼女」が局員に感謝の手紙を書く場面が出てくる。 「私も歳をとり、今回入院したことで、本当に終身保険に加入していてよかった」「最後には娘が私の死亡保険金、『ラスト・ラブレター』を受け取ってくれるのでしょう」などと綴っている。 最後に「私たちの使命」というテロップが出て、ナレーションで「真剣にお客さまのことを思ったご提案は、きっとお客さまの心に響くはずです」と訴えている。 前出の元局員は「『真剣にご提案』というのは実態と違う。もし真剣に提案するならば局員の転勤を少なくして担当者の交代を減らすべきだし、募集手当に比重をおいた営業を改めて、固定給にすべきだ」と指摘する。 前出の中堅局員は「支払総額や受取金額の多寡はさておき、会社はこれまで『保険金を受け取ってもらうことがお客さまにとってのメリットになる』という誤った教育をしてきた。社員もそう思い込んで営業をしてきた。そのことが(保険金額に対応した手当を目当てにした)不適正募集の大量発生につながったのだが、『ラスト・ラブレター』というナレーションからは、これまでの反省が微塵も感じられない」と手厳しい。 後田代表は「保険金がラスト・ラブレターという文言は久々に目にした。保険に入る前提でも、かんぽ生命に他社より優れた商品は現状存在しない。真剣にお客さまのことを考える局員には、かんぽの商品を勧める理由が見つからないのではないか」と指摘する』、「かんぽ生命に他社より優れた商品は現状存在しない」のであれば、利益相当部分を圧縮してでも、何とか作り出すべきではなかろうか。
・『これが新しい営業スタイル?  かんぽ生命保険の不適正募集が大量発覚した2019年6月末以降、全国の郵便局は保険営業を自粛してきた。不適正募集で募集人資格を失った局員に対し、この研修用DVDを見せると、いったいどんな効果があるのか。 DVDで説明されていることを営業で忠実に実践すれば、子どもを持つ親には学資保険、次は特別養老保険、その次は終身保険という従来の型にはまった、顧客ニーズを無視した営業が繰り返されるのではないだろうか。 不適正募集の大量発覚によって、営業現場の社員が次々と処分された。だが、ある局員は「研修用DVDの作成に携わったかんぽ生命の社員は、『これが新しい営業スタイルの起点になる』と経営幹部にアピールし、出世している」と指摘する。 その局員はこうも述べた。 「突っ込みどころが満載のDVD作成者が出世している現実こそが、日本郵政グループの暗い未来を暗示している』、「「突っ込みどころが満載のDVD作成者が出世している現実こそが、日本郵政グループの暗い未来を暗示している」、これでは「不適正募集が大量発覚した2019年6月末以降、全国の郵便局は保険営業を自粛」してきたのが、全く無駄になり、再び問題を生み出すリスクが高いことになる。日本郵政の増田社長は何を考えているのだろう。
タグ:日本郵政 日経ビジネスオンライン 細川昌彦 文春オンライン 東洋経済Plus (その17)(政府も身構える「テンセント・リスク」 楽天への出資案が飛び火、内部通報者が次々と休職…「告発したら潰される」日本郵政の腐敗しきった“コンプライアンス”、郵便局員をざわつかせる「研修用DVD」のお粗末 これで保険営業の再スタートに役立つのか) 「政府も身構える「テンセント・リスク」 楽天への出資案が飛び火」 楽天と日本郵政、テンセントの資本業務提携 当初からわかっていれば、本来、出資を受ける発表の時点で、この提携事業でのリスク事項として開示する義務がある 免除されるものであっても、自主的に出してほしいという要請が規制当局からあったのではないか 「楽天」はどうも脇が甘過ぎるようだ 「これまで楽天は米国では一応信頼できるプレーヤーとして、5G絡みのプロジェクトにも参画できていた」、「米国の怖さを考えて、虎の尾を踏まないようにしなければいけない」、「楽天」は英語を社内公用語にしたことで有名だが、語学よりも重要な国際的センスをこれほど欠いていたとは心底、驚いた 「テンセントによる影響を問題視されて、「テンセントは出資だけ」という説明をするのは極めて不自然で、二枚舌と言われても仕方がない。特にテンセントの場合、これまでも少額の出資でも自らの広範な事業の力をバックに出資先企業に影響力を行使するケースはたくさん指摘されている」、「楽天」にはビジネス上の良心はないのだろうか 「日本郵政」「が持つ個人のデータを楽天と共有したり、分析したりする可能性をどう考えているのか、明確に説明する必要があるだろう」、その通りだ 「「テンセント・リスク」は楽天だけの問題ではなく、⽇本郵政や⽇本政府にまで波及する問題だ」、大いに注目したい。 「内部通報者が次々と休職…「告発したら潰される」日本郵政の腐敗しきった“コンプライアンス”」 『郵政腐敗』(光文社新書) 除名される通報者たち 「任意団体である局長会の活動での言動は業務外だと突き放した」、形式上は「任意団体」であったとしても、実質的には重要な役割を果たしている組織で、そのでの活動は「業務」そのものの筈だ 「元副主幹統括局長が一部の局長に通報者と認めるよう迫ったとして、強要未遂罪の疑いで福岡地検に書類送検」、悪質だ 「一連の通報者捜しは〈あくまで指導のつもりだった〉と強調した」、強弁にもほどがある。 「迫力あるやりとりが「どこの会社にも見られる」と本気で考えているのなら、彼らの“常識”はやはり世間のそれとはかけ離れているのではないか」、同感だ。 「通報者のほうは一部が局長会で除名となり、会社の役職を降りるよう迫られて心を患い、降職や休職に追いやられた者もいたが、そうした「不利益」を回復しようとした形跡はない」、とすると、「日本郵便は筆者の取材に対し、「(内部通報制度は)ガイドラインに沿って運用し、通報には適切に対応している」と回答」、は完全なウソになる。「通報者」が民事訴訟を提訴する余地もあるのではなかろうか 「日本郵政」の「コンプライアンス」体制は抜本的に見直す必要がありそうだ。国会で野党が取上げる意味もあるのではなかろうか。 「郵便局員をざわつかせる「研修用DVD」のお粗末 これで保険営業の再スタートに役立つのか」 いかにも嘘っぽい作りものでは、客へアピールする筈もない。 「特別養老保険は・・・子どもがいる世帯主でもない独身女性に勧めてはいけない」、その通りだ。 研修用DVDが「不適正募集」用DVDになってはどうしようもない。 「かんぽ生命に他社より優れた商品は現状存在しない」のであれば、利益相当部分を圧縮してでも、何とか作り出すべきではなかろうか。 「「突っ込みどころが満載のDVD作成者が出世している現実こそが、日本郵政グループの暗い未来を暗示している」、これでは「不適正募集が大量発覚した2019年6月末以降、全国の郵便局は保険営業を自粛」してきたのが、全く無駄になり、再び問題を生み出すリスクが高いことになる。日本郵政の増田社長は何を考えているのだろう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

スガノミクス(その7)(日本人が全然知らなかった菅義偉「家の事情」…決して姿を見せない妻と突如浮上した“問題長男”、「東北新社はNGで、フジテレビはOK」恣意的な判断が許される日本社会のヤバさ 立法の趣旨が平気で無視されている、前代未聞の「法案ミス」問題 菅政権になってから続出した理由) [国内政治]

スガノミクスについては、3月11日に取上げた。今日は、(その7)(日本人が全然知らなかった菅義偉「家の事情」…決して姿を見せない妻と突如浮上した“問題長男”、「東北新社はNGで、フジテレビはOK」恣意的な判断が許される日本社会のヤバさ 立法の趣旨が平気で無視されている、前代未聞の「法案ミス」問題 菅政権になってから続出した理由)である。

先ずは、4月5日付け現代ビジネス「日本人が全然知らなかった菅義偉「家の事情」…決して姿を見せない妻と突如浮上した“問題長男”」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81894?imp=0
・『「叩き上げ」の一語には、菅義偉という男の業と欲望が、菅を支えた妻の忍耐が、そして父の背中を求めた息子の葛藤が刻まれていた。国民に衝撃を与えた不祥事の「淵源」を、総力取材で明らかにする』、興味深そうだ。
・『家族は話題にしたくない  横浜港と「みなとみらい」を一望するタワーマンション。その上層階の一室で、総理夫人・菅真理子は起居している。 赤坂の議員宿舎住まいを続ける菅総理が、この私邸に戻ることはめったにない。そして真理子が政府や自民党関係者の前に姿を見せることも、公務を除いて一切ない。 「去年の総裁選で、総理を支持する議員が『奥さんも前面に出たほうがいい』と真理子さんを担ぎ出そうとした。 しかし選対幹部は『菅さんの奥さんはタブーなんだ。総理になってからも表に出ないことになっているから、総裁選の最中も絶対に話題に出すな。これは菅さんの意向だ』と諭したのです」(自民党関係者) 真理子自身、決して積極的に人前へ出たがる性格ではない。しかし現職の総理が自らの妻を、まるでその存在すら秘するかのように扱うのは、いささか異様と言っていい。 菅と真理子の長男・正剛が関与した、東北新社による総務省幹部接待疑惑が2月に発覚してから、菅内閣の支持率は低迷を続けている。 「総理の息子」がその威光を利用し、まして中央省庁に便宜供与を求めるなど、前代未聞の不祥事である。 なぜ事件は起きたのか。問題のありかは、ただ接待の中身や顔ぶればかりを追及してもわからない。 菅義偉という政治家の半生と、これまで決して書かれてこなかった、菅の家族が抱える「家の事情」を考察しなければ、真の原因は見えてこない。 真理子の住むマンションから南へ進むと、横浜最大の問屋街、そしてかつては「青線地帯」として知られた日ノ出町がある。46年前、菅は政治家としての第一歩をこの下町で踏み出した。 「菅義偉です。よろしくお願いいたします……」 '75年春、俯き加減で神妙に話す菅の姿を、ある横浜市政関係者は鮮明に覚えている。一帯を地盤とする衆議院議員・小此木彦三郎の私設秘書として挨拶にやってきたのだ。 「当時、小此木事務所には『秘書』の肩書で出入りする若者が男女10人近くいて、菅さんは後ろから数えて2番目くらいの末席でした。当時は、地味で暗い奴だな、という印象だったね」 秋田からの上京物語は、すでに多くのメディアで菅が自ら語っている。板橋の段ボール工場や喫茶店でのアルバイトを2年ほど転々とし、法政大学法学部に入学。 卒業後はいったん一般企業に就職するが、一念発起し議員秘書に志願した。大学時代をともに過ごした、同級生の寺田修一氏が言う。 「ある時、ヨシ(当時の菅の愛称)が突然『なあ、小此木彦三郎って知ってる?』と言い出したんです。 もちろんウチは横浜だから知ってるよ、と言ったら『俺、そこの秘書になったよ』って。政治家になりたいなんて、聞いたこともなかったのに」』、「現職の総理が自らの妻を、まるでその存在すら秘するかのように扱うのは、いささか異様と言っていい」、安部前首相夫人とは好対照だ。「衆議院議員・小此木彦三郎の私設秘書・・・『秘書』の肩書で出入りする若者が男女10人近くいて、菅さんは後ろから数えて2番目くらいの末席」だったようだ。
・『女房を三歩下がらせて  法政大の学生課を介して小此木事務所入りした菅は、秘書たちの最下層に組み込まれ、雑巾掛けの日々を送った。 小此木事務所の一角にある3畳間で寝起きし、来る日も来る日も雑用をこなす。 鞄や荷物持ち、車の運転、屋敷の掃除に郵便整理、出前の受け取り……。車の後部座席に座る小此木に足蹴にされ、「出ていけ!」と怒鳴られることもしばしばだった。 だが、つらい日々の中にも唯一、救いがあった。菅の後に事務所入りした、5歳年下の女性との出会いである。 小此木家の家事をしたり、当時小学生だった彦三郎の息子・八郎(現在は衆院議員・国家公安委員長)らの面倒を見ていたこの女性こそ、真理子である。 当時の小此木家は、秘書らも揃って朝食をとる慣わしだった。真理子はその朝食作りを担当するようになった。 独身男の胃袋に、熱い味噌汁が沁みた。アプローチをかけたのは菅のほうだったという。当時を知る横浜自民党関係者が語る。 「真理子さんは余計なことは言わず、朝一番に事務所に来て黙々と働いているような清楚な人だった。秋田弁が抜けずに口下手な菅さんにも、優しく接していた」 出会いから3年ほどが経った'80年5月、菅と真理子は結婚する。だが当時、小此木事務所の内部や横浜の自民党関係者らの間では、こんな噂が立つようにもなっていた。 「真理子さんは再婚らしい」) 本誌は真理子が生まれ育った静岡市清水区(旧清水市)を訪ねた。以下は真理子の実兄・隆さん(仮名)との一問一答だ。 Q:そもそも真理子さんは、なぜ小此木事務所に入ったのですか。 A:「最初のきっかけは偶然です。母と真理子、妹の久美(仮名、末の妹)が、久美の就職先探しをかねて横浜へ旅行しました。 その時、元町で開催されていたバザーに立ち寄ったら、小此木彦三郎さんの義理のお母さんが露店を開いていたんです。 立ち話をしているうち、『うちは孫がたくさんいて大変なんです。よかったら面倒を見てくれませんか』と言われ、久美が小此木さんの世話になることになりました。その後、真理子も呼んでもらったわけです」 Q:真理子さんは横浜に行く前、地元で結婚していたとも聞きました。それは本当でしょうか。 A:「若い頃のことですから……向こう(前の夫の家)にも迷惑がかかるし、話したくないですね」 Q:大学を出て、すぐに嫁いだのですか。 A:「ええ。就職はしていません。いずれにしてもこの件は、真理子も『先方に迷惑をかけてはいけない』と心配しているので(勘弁してほしい)」 隆さんや事情を知る地元住民の話を総合すると、真理子は'75~'76年ごろ、いちごの名産地として知られる、駿河湾沿いの久能街道近くのいちご農家に嫁いだ。 しかし、姑や夫の姉妹との折り合いが悪く、半年ほどで実家へ戻ったという。) '53年、清水市内の食料品卸店に生まれた真理子は、県内有数の進学校・清水東高校に進んだのち、静岡女子大学を卒業している。 大卒女性が農家に嫁入りすること自体が異例の当時、「農家の金目当てで結婚して失敗した」と言いふらす、口さがない人もいた。 横浜という新天地で得た菅との出会いは、彼女にとっても大きな励みとなっただろう。 真理子の目に菅はどう映っていたのか。少なくとも彼女が選んだ伴侶は、平凡な議員秘書で終わるのをよしとしない、権力を渇望する男だった。 菅は小此木事務所の先輩秘書らをごぼう抜きし、小此木が通産大臣に就任すると、'84年に大臣秘書官の座を射止める。以後、'87年の横浜市議選で初出馬初当選、'96年には国政に打って出た。 「女房と手を繋いで歩くなんて、男じゃねえ。女房は三歩下がらせて歩かせるんだ」 議員バッジを得た菅は、自民党の市会議員らにそう言うようになったという。 選挙となれば、一日に数百軒の挨拶回りをこなし、あらゆる家の郵便受けに一筆加えた名刺を入れるのが菅流だ。 しかし菅が真理子に要求したのは、自身の傍らで笑顔を振りまくのではなく、ひたすら陰で地道に菅を支える役割だった。 「真理子さんが朝早く選挙事務所で掃除をしているのにスタッフが誰も気が付かないとか、一般のスタッフだと勘違いされて買い出しに行かされる、ということもありました。 それでも不満は一切口にしないし、とにかく目立たない。菅さんのためなら『無私』になれる、真理子さんはそういう人です」(自民党神奈川県連の関係者)』、「法政大の学生課を介して小此木事務所入りした」、とは初耳だが、驚かされた。「真理子さんは余計なことは言わず、朝一番に事務所に来て黙々と働いているような清楚な人だった。秋田弁が抜けずに口下手な菅さんにも、優しく接していた」、「口下手な菅」にとっては救いの女神だったに違いない。「不満は一切口にしないし、とにかく目立たない。菅さんのためなら『無私』になれる、真理子さんはそういう人です」、「菅」にとってまさに理想の妻だったのだろう。
・『長男・正剛がこぼした言葉  政治家となってからの菅は、真理子を極力目立つ場所に置かないようにしてきた。そして総理となった現在でも、冒頭で見たように、議員らに真理子を「禁忌」扱いさせている。 その背景には、真理子と家庭を築くまでの、こうした「複雑な事情」があったのだ。 そしてその事情は、菅家にまつわる、また別の憶測を招くことにもなった。国政を揺るがした長男・正剛は、菅と真理子の子ではない―具体的には真理子の連れ子である、というものだった。 菅をよく知る関係者によれば、噂の発端は正剛自身の言葉だったという。 「正剛さんの弟にあたる次男は東大を出て三井物産、三男は大成建設に入社して立派に社会人をやっている。 一方、正剛さんは明治学院大学を卒業するとバンド活動に明け暮れ、事実上フリーターとなり、見かねた菅さんが総務大臣秘書官をやらせた。 それで自虐を込めてでしょうか、正剛さんが『俺は(弟達とは)親が違うから』と口走ることがあったのです」 菅夫妻の間には、'81年に長男の正剛が、'84年に次男が、そして'86年には三男が生まれている。とりわけ正剛は、父である菅が秘書から市議へ、そして市議から代議士へと地歩を固めていく渦中に、多感な時期を過ごした。 正剛誕生のあと、菅は本格的に小此木事務所の「番頭」への道を歩み始めていた。愛車のトヨタ・マーク2で早朝出かけ、深夜に戻る。 昼も夜も土日もなく働き、いつも両目は充血していた。身を粉にして働く菅を小此木も重用した。前出と別の横浜市政関係者が言う。 「当時、こんな話を聞きました。小此木事務所の秘書たちは、夜は各担当地区の会合に顔を出して、そのまま直帰していた。 でも菅さんは必ず夜中に事務所に戻り、ひとりで灯りをつけて座っていた。小此木さんのスケジュールを把握して、帰宅時間を見計らっていたんです。 それを見て小此木さんは『遅くまでよくやってるな』と感心するんですが、他の秘書は『あの野郎、点数稼ぎしやがって』とこぼしていた」 一方、仕事にのめり込む菅を横目に、真理子はひとり正剛のお守りをする日々を送った。) 当時、実家が所有するアパートを格安で菅一家に貸していたという、前出の友人・寺田氏が証言する。 「正剛くんはよく泣く子で、夜泣きも多かったので、真理子さんが育児ノイローゼにならないか心配でした。 ヨシのお姉さんが訪ねてきた時、『ヨシも小さい時はよく泣いてた。菅家の血ね』と言っていたのを覚えています」』、「菅さんは必ず夜中に事務所に戻り、ひとりで灯りをつけて座っていた。小此木さんのスケジュールを把握して、帰宅時間を見計らっていたんです」、使い勝手のいい有能な秘書だったようだ。「正剛くんはよく泣く子で、夜泣きも多かった」、「ヨシも小さい時はよく泣いてた。菅家の血ね」、微笑ましい。
・『因果な商売のツケ  そして三男が誕生した直後の'87年、横浜市議選で菅は初当選を果たす。3人息子をほぼ女手ひとつで育てることになった真理子は、子どもたちを連れて清水の実家に身を寄せることもあった。 成長した正剛は、地元の少年野球チームに入った。だが、菅が練習に付き合ったり、試合を見に来たりすることはなかった。横浜市議の清水富雄氏が証言する。 「最初の市議選で選挙戦をお手伝いしてからご縁が続いていますが、当時の真理子さんは子育てで大変そうでしたね。 『明日、正剛の少年野球の試合があるんだけど、お父さんがいないからキャッチボールしてあげてくれませんか?』と言われて、相手をしたことも何度かあります」 自身の野望のために、家庭を顧みようとしない父の姿は、少年・正剛の心に傷を刻んだ。) 家庭を、母を、自分を軽んずる父への反発だろうか。名門の逗子開成中高に進学した正剛は、「政治家の息子」として扱われることに強い嫌悪を示すようになったという。 こうして積み重なった菅への不信と疎外感が、正剛に「俺は親父の子じゃない」という思いを抱かせたのかもしれない。 今回、前出の真理子の兄・隆さんをはじめ、事情を知る清水や横浜の関係者を取材した限りでは、正剛が菅の実子ではない、真理子の連れ子である可能性は低い。 真理子は大学を出てすぐの'75~'76年に前夫と結婚したが、遅くとも'77年までには実家に戻っている。正剛は'81年生まれなので、時期が合わない。 菅は正剛の接待疑惑が報じられたあと、国会で「(息子は)完全に別人格」と述べた。 しかし菅はこれまで、前述のように正剛を自身の大臣秘書官にし、正剛が東北新社で「総理の息子」の威光を利用することも黙認してきた。 それは菅の中に「家族を打ち捨て出世に邁進した結果、わが子の人生を台無しにしてしまった」という罪の意識があったからではないか。その贖罪のために、菅は大人になった正剛を甘やかしてきたのではないか。 かつて、菅の母・タツは横浜のある支援者に、こうこぼしたという。 「義偉は、因果な商売についてしまったねぇ」 叩き上げを謳い、「底辺」から「頂点」へ成り上がるには、他人を蹴落とすだけでなく、家族をも犠牲にしなければならなかった。 その「因果」が、いま巡り巡って菅自身にはね返って来ている―。そして総理の抱える業は、最後は国民が引き受けることになる。(文中一部敬称略)』、「「底辺」から「頂点」へ成り上がるには、他人を蹴落とすだけでなく、家族をも犠牲にしなければならなかった。 その「因果」が、いま巡り巡って菅自身にはね返って来ている―。そして総理の抱える業は、最後は国民が引き受けることになる」、「業」を「引き受け」させられるとは、困ったことだ。

次に、4月12日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「「東北新社はNGで、フジテレビはOK」恣意的な判断が許される日本社会のヤバさ 立法の趣旨が平気で無視されている」を紹介しよう。
・『フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(HD)が、過去に放送法の外資規制に違反していた問題で、4月9日、武田良太総務相は認定取り消しはできないという認識を示した。経済評論家の加谷珪一氏は「東北新社の外資規制違反では、衛星放送事業の認定が取り消されている。これはダブルスタンダードの可能性が否定できず、総務省の法律運用には問題がある」という――』、興味深そうだ。
・『東北新社に端を発した「外資規制違反」問題  フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(HD)が、過去に放送法の外資規制に違反していた問題で、4月9日、武田良太総務相は認定取り消しはできないという認識を示した。 総務省は、同じく外資規制に違反したとして東北新社の衛星放送事業の認定取り消しを発表したばかりだ。同じ理屈でいけばフジ・メディアHDも持株会社認定を取り消さなければならない。フジについては、その必要はないと判断したということだが、これはダブルスタンダードの可能性がある。 日本社会は法の運用が十分に成熟しておらず、杓子定規な解釈が横行したり、逆に恣意的な運用が行われることも多い。今回の一件をきっかけに、なぜ法規制を行うのか、その運用方法はどうあるべきなのか、あらためて議論する必要があるだろう。 フジ・メディアHDは2021年4月8日、2012年9月末から2014年3月末までにかけて、放送法が定める外国人議決権比率の制限である20%を超えていたと発表した。 放送法では外国人株主による報道機関の支配を防止するという観点から、持株会社や基幹放送事業者における外国人株主の議決権比率を20%未満にするよう求めている。規制の対象となるのは保有株数ではなく議決権数なので、単純に株数で計算することはできない。 いわゆる株式の持ち合いという形で相互に株式を保有している場合、互いに議決権を行使することができてしまうため、株式会社のガバナンスが適切に運用されない可能性がある。このため持ち合い分については議決権から控除しなければならない』、「議決権数」でやるのは当然だ。
・『なぜフジテレビは見逃されたのか  同社は、制作会社であるネクステップを2012年4月に完全子会社化しているが、ネクステップの関連会社であるディ・コンプレックスがフジ・メディア(HD)の株式を保有していた。本来であれば、完全子会社化に伴って議決権を控除する必要があったが、同社は一連の状況について完全に把握できていなかったという。 ディ・コンプレックスが持つ議決権を除外すると、当時の外国人議決権比率は20%を超えてしまう。法律上、外国人比率が20%を超えた場合には持株会社の認定を取り消す必要があり、実際、総務省は放送法の外資規制に違反したとして東北新社の衛星放送事業の認定取り消しを発表している。 フジ・メディアHDは、2014年秋に違法状態に気付き、同年12月に総務省に報告したと説明している。総務省は同社を口頭で厳重注意したが、報告を受けた時点ではすでに違法状態が解消されていたことから、認定を取り消すという判断はしなかったという。 現実問題としてキー局を傘下に抱える同社の持株会社認定を取り消すことの影響は大きく、ごくわずかでも規制を超えれば問答無用で認定取り消しということになると、業界が大混乱に陥るのは確実である。したがって、当時の総務省の判断にはそれなりに妥当性があったと考えてよいだろう』、その通りだ。
・『総務省の対応はダブルスタンダードなのか  一方で、東北新社は外資規制違反を理由にあっけなく認定が取り消されている。フジ・メディアHDと東北新社の違いは、過去に違反があったか、申請時に違反があったかでしかなく、フジ・メディアHDには現実的な対応が行われ、東北新社には杓子定規な対応ということでは、まさにダブルスタンダードとなってしまう。 こうした曖昧な法の運用というのは日本社会では特段珍しいことではなく、これを放置する社会風潮が、いわゆるグローバルスタンダードとの摩擦を生み出す原因にもなっている。 日本社会は法の運用について、条文に書いてあることや、行政府による解釈がすべてであるとする価値観が極めて強い。 法学の世界では形式的法治主義とも言われるが、これは現代民主国家における法の運用としては適切とは言えない。法律には条文以前の話として、その法律が示す理念や価値観というものがある。法の条文がいかなる時も、現実と合致するとは限らないので、現実との乖離が生じた場合には、法が持つ根本的な理念(あるいは憲法など上位に位置する法)にしたがって解釈する必要がある』、同感である。
・『重要なのは議決権比率だけではない  フジ・メディアHDと東北新社で対応が違ったことについて、武田総務大臣は1981年の内閣法制局の見解を根拠に説明を行っている。 政府は法運用の根拠として内閣法制局の見解を持ち出すことが多く、メディアも同局について「法の番人」など、国民に誤解を生じさせる報道を行っているが、内閣法制局はあくまで行政組織の一部であって司法ではない。 いくら行政組織として独立性が高いと説明したところで、日本が民主国家である以上、行政組織が法解釈に妥当性を与えることは原理的に不可能である。放送法が示す理念は、「報道を外国に支配されないようにする」ということであり、理由の如何を問わず、議決権が20%未満かどうか、あるいはいつの時点で発覚したのかという時系列の問題ではない。 同じ20%超えという違反行為があった場合でも、経営陣が意図的にそれを放置あるいは受け入れたケースと、計算ミスなどによって一時的に違反が発生したケースでは本質的な意味が異なる。 実は放送法には、外国人議決権比率が20%を超えた場合でも、会社側が該当する外国人株主の株主名簿への記載を拒否できる(つまり外国人株主の議決権行使を事実上、拒否できる)という規定もある。つまり会社側がその気になれば、20%未満の状態を維持するのは簡単なことなのだ。 要するにこの法律は、「会社側に外資を排除するという意思がある限り、放送事業者を外国人投資家が買収することはできない」という趣旨と判断してよい。そうなってくると、重要なのは会社側に意図的に外国人支配を受け入れる意思があったかどうかである』、「放送法には、外国人議決権比率が20%を超えた場合でも、会社側が該当する外国人株主の株主名簿への記載を拒否できる・・・という規定もある。つまり会社側がその気になれば、20%未満の状態を維持するのは簡単なことなのだ」、初めて知った。フジ・メディアHDの場合は、会社側の怠慢だ。
・『東北新社の認定取り消しは妥当ではない  東北新社は、外資規制に抵触しているという状況を認識していなかったと説明しており、額面通りに受け取れば単純ミスの可能性が高い。また、東北新社側に積極的に外国人の支配を受け入れようとの意思があったとは到底、思えない。一連の放送法の趣旨を考えた場合、東北新社についてもフジと同様、厳重注意で済ませるのが妥当ではないだろうか。 ところが東北新社については厳しい対応が行われ、しかも同社と総務省との間では意見の食い違いまで生じている。同社は2017年に外資規制に抵触していることに気付き、幹部が総務省の担当者と会い、状況を報告したと説明しているが、当時の総務省担当者は「報告を受けた記憶はまったくない」と完全否定しているのだ。 もし東北新社の説明が正しければ、総務省は放送法違反の事実を知っていたことになる。 それでも同社が問答無用で認定を取り消されるというのであれば、まったく不可解なことであり、この対応を是とするならばフジ・メディアHDにも同じ対応を取らない限り、行政としての整合性が確保できなくなる。逆に東北新社が虚偽の説明をしているのであれば、公共の電波を利用する事業者として、到底、許されることではない。 多くの人は、すでに認識していると思うが、東北新社の認定取り消しには別の理由が存在している可能性が否定できない。別の目的を達成するために、当該問題とは直接関係ない法律を適用するというのは、本来あってはならないことであり、もしそれが事実であれば、法の恣意的な運用にあたる』、「当時の総務省担当者は「報告を受けた記憶はまったくない」と完全否定している」、役人が都合が悪くなると否定するのはいつものことだ。「東北新社の認定取り消しには別の理由が存在している可能性が否定できない」、どういうことだろう。
・『外資規制違反で明らかになった総務省の恣意的な法律運用  単純ミスだから良いという話にはならないものの、今回の一件で議決権比率が一時、20%を超えていたこと自体はそれほど重大なことではない。 放送法の規定上、仮に外国人投資家が経営に介入した場合には、即座に株主名簿の書き換えを拒否すればよく、会社側に意図がない限り、現実問題として放送会社が外国に支配されることはあり得ないからである。 むしろ、一連の事案において注目すべきなのは、メディア業界を管掌する総務省が、放送法をどのように運用してきたのかという部分だろう。 特に、東北新社と総務省の見解が食い違っていることは注目に値する。法がどのような趣旨で存在し、その運用はどうあるべきなのか、しっかりとしたコンセンサスを得た上で、行政府が明確な説明責任を果たさない限り、法によって国益を守ることはできない。総務省は、東北新社の認定取り消しについて、詳細を明らかにすべきだろう』、強く同意する。

第三に、4月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した室伏政策研究室代表・政策コンサルタントの室伏謙一氏による「前代未聞の「法案ミス」問題、菅政権になってから続出した理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/268274
・『政権の目玉政策であるデジタル化の推進や中小企業再編、地方銀行再編のためのデジタル改革関連法案や産業競争力強化法等改正案、銀行法改正案について、法律案と併せて作成される要綱、新旧対照表および参照条文に多くの誤記が見つかったことに端を発した、いわゆる「法案ミス」問題。3法案1条約の12カ所で条文にも誤記が見つかるに至り、霞が関・永田町における静かな大問題となっている。ちなみに法文以外での誤記などがあったのは22法案122カ所である。これほどの法案ミスがなぜ起きたのか。元官僚である筆者が解説する』、私も不思議に思っていたので、興味深そうだ。
・『ここまでの法案ミスは前代未聞  ここまでの誤記などの法案ミス続出は、まさに前代未聞であり、与党側は陳謝する一方、野党側は一時的に審議拒否に出た。 これについては、「審議拒否なんて!」と批判する向きもあるようだが、法文も含めこれだけ多くの誤記などが見つかったということは、法案である以上「単なる誤字脱字の範囲」では済まされるものではないのだから、対象となる法案がないに等しく、審議自体ができないのであって、審議拒否もありうべしである。 政府側は再発防止策うんぬんとは言うが、これまで発生したことがない大規模な「法案ミス」、単なる再発防止体制整備でどうにかなる話ではないだろう。 そもそも改正案も含め、法案作成過程はいくえにもわたる審査体制が整備されている。私の経験に基づき、少々単純化して解説すると、まず法令はそれぞれ所管府省があるが、各府省内においても所管部局があり、法令改正を例に取ると、改正案は所管部局の個別の法令の担当課が作成する。 論点整理から始まって、さまざまな観点から検討が加えられ案が作成されるわけであるが、改正の方向性を取りまとめるために研究会を設置して検討を行う場合もある。また改正する法令の中の改正する条文を引用している他の法令についても機械的な改正案が作成されるが、引用条文に漏れがないか、e-Govの法令検索システムも活用して丁寧な確認が行われる。 その後、部局内で審査が行われ、部局として案を決定、府省の官房総務課(役所によっては文書課)で審査が行われ、府省としての改正案が決定される。この途中で、関係府省との連絡会議のようなものを開催し、意見聴取、調整等が行われることがほとんどである。また、関係審議会へ諮問する場合もある。 その上で、内閣法制局の審査を受ける。閣議に付される前には必ず審査を受けるので、この段階での審査は予備審査である(といっても実質的には本審査である)。この審査、担当するのは法制局に設置された第一部から第三部の参事官である。 府省によって担当の部は分かれており、参事官は各府省からの出向者である。非常に厳しい審査で、参事官によっては非常に細かく審査が行われる場合もある(筆者の経験・記憶で言うと、例えば警察庁からの参事官は、上司が「まるで取調べだ」というぐらい細かく、厳しかった)。 当然、差し戻しはあり、その度に修文が行われる。何度も法制局に出向かなければならないということもありうる。 法制局の予備審査が終了すると各府省への協議(法令協議)にかけられ、質問や意見という形でやりとりが行われ、改正法案が確定する。そして閣議に付すための閣議請議が行われ、閣議前の法制局審査が行われる。 筆者の経験した法案作成過程を、記憶をたどりながら、単純化して記載しているので、現行の手続き等とは多少異なるところもあるかもしれない。それはご容赦いただくとして、いずれにせよ、これだけ重層的な過程、手続きを経て法案は作成されるので、まず「法案ミス」のようなことは考えられないはずなのである。 繰り返しとなるが、今回の一件がいかに「前代未聞であるか」ということがご理解いただけたのではないだろうか』、このような厳重な手続きを踏んでいれば、「法案ミス」が起こるとは考え難い。
・『なぜ今回のような「法案ミス」が発生したのか  問題は、なぜ今回のような「法案ミス」が発生したのかである。 考えられるのは、(1)このような厚い体制をも機能不全にさせるほどに法案の作成を急がせた可能性、(2)法案の検討段階で十分な時間を確保する余裕が与えられなかった可能性、(3)一時的なものも含めた職員の能力の低下の可能性、(4)政治の側の法案作成に対する理解度が低下している可能性、といったものである。 筆者の推測では、今回の一件は、(1)と(4)が複合的に絡み合って起きた可能性が高い。 具体的には、まず、官邸がとにかく法案の作成を急かす一方、全体の方針や改正の重要な部分についての考え方が右往左往するか、「伝言ゲーム」のように正確に伝わらず、細部にわたる確認・審査がおろそかになったことが考えられる。 次に、官邸、特に総理や総理周辺の意向をおもんばかるあまり、政務レベルが法案作成に過剰に介入し、法案作成現場を混乱させたことが考えられる。 これは別の言い方をすれば、政と官の上手な役割分担がゆがめられて、政が官の領域に入り込みすぎた、知見もないのに官の領域に口を出しすぎた、しかし政からの干渉に正面から抵抗することもできず、表面上は唯々諾々と従わざるを得ず、余計な労力が割かれてしまう。その一方、肝腎要な法案審査がおろそかになってしまった…ということではないだろうか。 各府省の長は確かに大臣であるし、それを政務として直接的に支えるのは副大臣であり政務官であるが、この政務三役を、上手な役割分担で支えるのが事務方である各府省の職員、いわゆる官僚である。 この役割分担は両者の信頼関係がなければ成り立たないが、交替が頻繁にある政務三役をはなから信頼しろというのは無理な話。官僚の側は政務のクセを調査し、それに合わせるしかない。従って、政務の方こそ官僚を信頼し、信任することが重要なのである。なんといってもその府省の所管事項に関しては、余程のことがない限り、政務よりは長けているのであるから…』、なるほど。
・『菅政権になって「法案ミス」が続出した理由  良くも悪くも安倍政権は、経産省内閣と言われたほどに経産省が官邸を仕切り、霞が関を仕切っていた。安倍前首相もそれを信任していたというか、それに頼っていたわけだが、そこでは今回のような大規模な「法案ミス」は発生していない。 これも良くも悪くもその方向では政策の企画立案、法案作成はうまく回っていたということだろう。 菅政権でそれがなくなり、今度は財務省内閣と言われてはいるが、財務省はこれまでの経産省ほどに細部にわたる政策の企画立案にまで口も手も出さない。 その一方、幹部人事権を振りかざして霞が関の人事を意のままにするのは上手だが、政策の企画立案は不得手な菅首相は、ある種ワンマンに物事を決めようとする傾向が強いようであり、それも「法案ミス」を生む大きな原因となったのだろう。 かつて田中角栄大蔵大臣(当時)が、大臣就任時に大蔵省幹部を前にして、信頼関係の重要性を説き、「できることはやるが、できないことはやらない。全ての責任は自分が負う」と言ったそうだ。 政の側は政の側としての「分」をわきまえること、そして任せるべきことは官の側に任せること、今回の一件の再発防止には、この認識を新たにすることがまず求められるのではないか』、「政策の企画立案は不得手な菅首相は、ある種ワンマンに物事を決めようとする傾向が強いようであり、それも「法案ミス」を生む大きな原因となったのだろう」、ありそうなシナリオで、謎が解けた。
タグ:ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 現代ビジネス 加谷 珪一 室伏謙一 スガノミクス (その7)(日本人が全然知らなかった菅義偉「家の事情」…決して姿を見せない妻と突如浮上した“問題長男”、「東北新社はNGで、フジテレビはOK」恣意的な判断が許される日本社会のヤバさ 立法の趣旨が平気で無視されている、前代未聞の「法案ミス」問題 菅政権になってから続出した理由) 「日本人が全然知らなかった菅義偉「家の事情」…決して姿を見せない妻と突如浮上した“問題長男”」 家族は話題にしたくない 「現職の総理が自らの妻を、まるでその存在すら秘するかのように扱うのは、いささか異様と言っていい」、安部前首相夫人とは好対照だ 「衆議院議員・小此木彦三郎の私設秘書・・・『秘書』の肩書で出入りする若者が男女10人近くいて、菅さんは後ろから数えて2番目くらいの末席」だったようだ。 女房を三歩下がらせて 「法政大の学生課を介して小此木事務所入りした」、とは初耳だが、驚かされた。 「真理子さんは余計なことは言わず、朝一番に事務所に来て黙々と働いているような清楚な人だった。秋田弁が抜けずに口下手な菅さんにも、優しく接していた」、「口下手な菅」にとっては救いの女神だったに違いない 「不満は一切口にしないし、とにかく目立たない。菅さんのためなら『無私』になれる、真理子さんはそういう人です」、「菅」にとってまさに理想の妻だったのだろう。 「菅さんは必ず夜中に事務所に戻り、ひとりで灯りをつけて座っていた。小此木さんのスケジュールを把握して、帰宅時間を見計らっていたんです」、使い勝手のいい有能な秘書だったようだ。「正剛くんはよく泣く子で、夜泣きも多かった」、「ヨシも小さい時はよく泣いてた。菅家の血ね」、微笑ましい。 「「底辺」から「頂点」へ成り上がるには、他人を蹴落とすだけでなく、家族をも犠牲にしなければならなかった。 その「因果」が、いま巡り巡って菅自身にはね返って来ている―。そして総理の抱える業は、最後は国民が引き受けることになる」、「業」を「引き受け」させられるとは、困ったことだ。 「「東北新社はNGで、フジテレビはOK」恣意的な判断が許される日本社会のヤバさ 立法の趣旨が平気で無視されている」 東北新社に端を発した「外資規制違反」問題 「議決権数」でやるのは当然だ なぜフジテレビは見逃されたのか 総務省の対応はダブルスタンダードなのか 法の条文がいかなる時も、現実と合致するとは限らないので、現実との乖離が生じた場合には、法が持つ根本的な理念(あるいは憲法など上位に位置する法)にしたがって解釈する必要がある』、同感である 重要なのは議決権比率だけではない 「放送法には、外国人議決権比率が20%を超えた場合でも、会社側が該当する外国人株主の株主名簿への記載を拒否できる という規定もある。つまり会社側がその気になれば、20%未満の状態を維持するのは簡単なことなのだ」、初めて知った。フジ・メディアHDの場合は、会社側の怠慢だ 東北新社の認定取り消しは妥当ではない 「当時の総務省担当者は「報告を受けた記憶はまったくない」と完全否定している」、役人が都合が悪くなると否定するのはいつものことだ 「東北新社の認定取り消しには別の理由が存在している可能性が否定できない」、どういうことだろう。 外資規制違反で明らかになった総務省の恣意的な法律運用 法がどのような趣旨で存在し、その運用はどうあるべきなのか、しっかりとしたコンセンサスを得た上で、行政府が明確な説明責任を果たさない限り、法によって国益を守ることはできない。総務省は、東北新社の認定取り消しについて、詳細を明らかにすべきだろう』、強く同意する。 「前代未聞の「法案ミス」問題、菅政権になってから続出した理由」 ここまでの法案ミスは前代未聞 このような厳重な手続きを踏んでいれば、「法案ミス」が起こるとは考え難い。 なぜ今回のような「法案ミス」が発生したのか (1)このような厚い体制をも機能不全にさせるほどに法案の作成を急がせた可能性 (2)法案の検討段階で十分な時間を確保する余裕が与えられなかった可能性 (3)一時的なものも含めた職員の能力の低下の可能性 (4)政治の側の法案作成に対する理解度が低下している可能性 今回の一件は、(1)と(4)が複合的に絡み合って起きた可能性が高い 菅政権になって「法案ミス」が続出した理由 「政策の企画立案は不得手な菅首相は、ある種ワンマンに物事を決めようとする傾向が強いようであり、それも「法案ミス」を生む大きな原因となったのだろう」、ありそうなシナリオで、謎が解けた。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

日本の政治情勢(その54)(リコール不正刑事告発でも陰謀論主張の高須院長を批判できないマスコミ 『スッキリ』では高須に擁護的コメント 番組中にクリニックのCM、河井元法相が「無罪主張から一転」 買収を認めた理由、政治資金規正法 「ザル法」の真ん中に“大穴”が空いたままで良いのか) [国内政治]

日本の政治情勢については、2月2日に取上げた。今日は、(その54)(リコール不正刑事告発でも陰謀論主張の高須院長を批判できないマスコミ 『スッキリ』では高須に擁護的コメント 番組中にクリニックのCM、河井元法相が「無罪主張から一転」 買収を認めた理由、政治資金規正法 「ザル法」の真ん中に“大穴”が空いたままで良いのか)である。

先ずは、2月15日付けLITERA「リコール不正刑事告発でも陰謀論主張の高須院長を批判できないマスコミ 『スッキリ』では高須に擁護的コメント 番組中にクリニックのCM」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2021/02/post-5796.html
・『愛知県の大村秀章知事のリコール署名をめぐって、本日、愛知県選挙管理委員会は被疑者不詳というかたちで地方自治法違反容疑で刑事告発する方針を決めた。 当然だろう。昨年末から運動の内部関係者より大村知事のリコール署名に不正があるという告発が相次ぎ、県選挙管理委員会が調査していたが、2月1日、その選管が提出された約43万人分の署名約83%に不正の疑いがあることを発表している。 選管によると、約36万人分の署名が無効で、そのうち筆跡などから同一人物が書いたと疑われる署名が90%、選挙人名簿に登録のない署名が48%、活動の受任者が選挙人名簿に登録されていないものが24%もあったという。 これだけ不正が多いとなると、ケアレスミスや個人の問題ではなく、組織的不正の可能性も疑われても仕方ない。民主主義を冒涜する事態であり、徹底解明が必要だ。県選管が刑事告発を決めたことは前述したが、それ以前にリコール署名運動を主導してきた高須クリニックの高須克弥院長や河村たかし・名古屋市長の説明責任が厳しく問われるべきだろう。 このリコール署名は、2019年の「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」をめぐる、ネット右翼や極右安倍応援団による“大村知事バッシング”の延長線上で始まったもの。なかでも、「お辞め下さい大村秀章愛知県知事 愛知100万人リコールの会」なる団体を設立するなどして中心的役割を担ってきたのが、高須クリニックの高須院長だ。そして、河村市長は、名古屋市長という公職にありながらコロナ対策もおざなりにし、街頭演説などでリコール運動を支援してきた。その署名が不正だらけだったのだから、少なくとも2人には調査解明と説明の責任があるはずだ。 ところが、である。不正8割超という選管の発表にも、河村市長は「僕は被害者、怒りに震える」などと被害者ヅラ。高須院長にいたっては、今月1日、取材に対し「無効な署名には気付かなかった。票を増やそうとした人もいるかもしれないが、活動を妨害するため、わざと問題になる署名を書いた人がいるかもしれない」などと主張。その後も、ツイッターで選管や不正を報じるメディアを批判しまくっている。 〈一人の受任者は複数の署名を集めますから7万人しか有効な署名がなく、残りは全部不正署名だと言う選管の発表はおかしな話しだと思います〉 〈「不正署名の90%は同一人の筆跡」という発表をうけての答えです。そんな神業ができるのはこの世の人ではありません。〉 〈些細な記入記載の誤りも厳密に見つけて無効にしたに間違いありません〉(2月2日)〈選管は無効署名と発表していますが、不正署名と変換されて報道しています〉 〈悔しいです。「ほとんどが不正署名」と辱しめを受けて怒りに震えております〉(2月3日) さらに、高須院長は12日、何者かが運動を妨害するために偽の署名を紛れ込ませたなどとして、地方自治法違反容疑での告発状を名古屋地検に郵送した』、「河村市長」や「高須院長」の居直りは驚くべき破廉恥さだ。
・『高須院長が「印象操作のトリックがわかった」と言ったエクセルファイルは何の証拠にもならないもの  高須院長はもともと、昨年末に不正告発が相次いだときから、リコール潰しの策謀であるかのような主張を繰り返し、今年に入ってからも〈たぶん敵は「印象操作の刑事告発」をやってきます〉(1月29日)〈僕は大村愛知県知事リコールを統括する最高責任者です。正面から敵の攻撃と謀略を受け止め戦います。僕が全てを引き受けます〉(1月30日)と、悲劇のヒーロー気取りの闘争宣言を繰り返していた。 そして、選管が不正を発表したことで、こうした“陰謀論を駆使した闘争”をさらにエスカレートさせているということらしい。 しかし、高須院長の主張は議会襲撃を「ANTIFAの仕業だ!」と叫ぶトランプ支持者たちと同じで(そういえば、高須院長は〈愛知県は利権で繋がっている田舎のディープステートに完璧に支配されてる号泣〉ともツイートしていた)、ほとんど中身や根拠のない陰謀論だ。そのことを雄弁に物語っていたのが、4日に高須院長が開いた会見だった。 高須院長はこのところ、リコール潰し・陰謀の証拠を見つけたと言い出し、それを明らかにすると息巻いていた。 〈いま足跡を追って証拠を押さえつつあります。捕まえて刑事告訴します。〉(1月30日) 〈独自調査で大量不正署名のトリックの全貌が見えてきました。数日中に発表します。〉(2月2日) 〈調査報告のエクセルファイルを入手しました。印象操作のトリックがわかってきました。まもなく記者発表します。〉(2月3日) しかし、4日の会見では、「選管があら探しをした結果だ」「選管は無効を増やすのが仕事だと思ってやった」などと選管の調査に難癖をつけ、「誰かが、活動を傷物にしようと妨害したのだろう」「大村知事と津田大介は早くから不正が8割を超えることを知っていた」などと荒唐無稽な陰謀論を強調するだけで、「証拠」「トリックの全貌」は説得力のあるものを何ひとつ示すことができなかった。 ツイッターであれほど息巻いていた、トリックがわかったという「エクセルファイル」とやらについても、同席した自分たちの弁護士に否定される始末だった。 弁護士は「エクセルの表はですね、高須先生のツイッターを見ると、なんか秘密兵器みたいなことが書いてありますけど(笑)、そうじゃなくて」と半笑いでその重要性を否定。「受領書にある署名総数やナンバリングした番号とかを整理したもの」にすぎないと説明した。弁護士は「エクセルだから並べ替えができ」、どこの選管で多かったか傾向がわかるなどとも話していたが、高須院長はよくそんなもので「印象操作のトリックがわかってきました」などと言ったものだ』、「高須院長」は「トリックがわかったという「エクセルファイル」」、については、やがて真相がバレることは承知の上で、とりあえずその場しのぎのウソをついたようだ。
・『無効票の約4分の1は名簿に登録のない受任者が集めた署名だった  しかも、会見では逆に運動事務局のずさんな実態が露わになる一幕もあった。 署名集めを担う「受任者」は自治体の選挙人名簿に登録されている必要があるが、無効票の約4分の1は名簿に登録のない受任者が集めた署名だった。同席した田中孝博事務局長によると、受任者はインターネットやはがきを通じて募集し資格の確認はしていなかったと明かしたのだ。これについても、高須院長は「リコールを成功させようと応募した人は、お互いを信じ合おうとの考えだった」と精神論でごまかすことしかできなかった。 しかも、会見の最後には、高須院長が病気を理由に撤退を宣言した後も率先して署名集めを続けていたという事務局関係者の実名をあげ、「大村知事から金をもらってる」「明確に敵」などと一方的に糾弾したのだ。 どうみても、説明責任を果たしているとはいいがたいが、しかし、今回のリコール不正をめぐっては、高須院長らの無責任な姿勢以外に問題はもうひとつある。 それは、こうしたリコール不正問題や高須院長の言動をメディアがまったく批判しないことだ。 地方都市のことだからと言い訳するかもしれないが、もっと小さい市町村の議員の細かい不祥事でもワイドショーはよく取り上げているし、それこそ高須院長の話題は「高須院長が全身がん告白」「高須院長がツイッターで○○にコメント」「高須院長が××を太っ腹支援」「高須院長が野党議員に抗議」などとしょっちゅう取り上げている。『バイキングMORE』(フジテレビ)や『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)などは単なる近況報告のような特集をやることだってある。 しかし、この問題についてはほとんどのワイドショーやニュース番組がまったくと言っていいほど取り上げていない。そして、取り上げた数少ない報道も明らかに及び腰なのだ。 一体なぜか。ひとつはこのリコールが「あいちトリエンナーレ」の展示をめぐる歴史修正主義の動きと連動したものであることだろう。高須院長らを批判してネトウヨの攻撃を受けることを恐れている可能性もある。そして、もうひとつはやはり高須クリニックがテレビ局にとって大スポンサーだからだろう』、いくら「高須クリニックがテレビ局にとって大スポンサー」とはいえ、「リコール不正問題や高須院長の言動をメディアがまったく批判しない」という姿勢は社会の公器にあるまじきことだ。
・『『スッキリ』では高須院長に擁護的なコメントも 番組中に高須クリニックのCMが  その構図が垣間見えたのが、1日放送の『スッキリ』(日本テレビ)だった。同番組はめずらしくこの問題を取り上げ、元受任者や勝手に名前を使われた地元議員の証言を紹介したのだが、同時に高須院長の「僕は不正が大嫌いですから。正々堂々と法律通りにやってる。不正とはまったく無関係」などという主張を放送。MCの加藤浩次や橋本五郎・読売新聞特別編集委員がこれを受けて「高須さんの名誉を考えたら、調べた上でちゃんとやるのが大事」「選挙管理委員会は説明が必要」などと、選管に苦言を呈したのだ。 いやいや、説明しなくてはいけないのは、高須氏のほうだろう。選管はすでに不正の告発を受け、異例の全数調査をし、その結果を発表している。いかにして不正が起きたかは刑事告発し捜査に委ねるか、署名を集めた人間のほうが説明する責任があるのは明白だ。 にもかかわらず「高須院長の名誉を守るために選管が説明しろ」という加藤や橋本。まさかこの人たちは、選管の管理のもと署名がなされたとでも勘違いしているのだろうか。あるいは選管へ提出後に不正が発覚したなどという陰謀論まがいのことが起きたとでも考えているのだろうか。 と首をひねっていたら、この日の『スッキリ』の合間にはなんと、おなじみの高須クリニックのCMが流れたのである。 この日の『スッキリ』で加藤らが高須院長に擁護的な発言をしたことが、番組中に高須クリニックのCMが流れたことと関係があるかどうかはわからないが、しかし、テレビ局がこの問題をまともに取り上げなかったり、両論併記的に高須院長の支離滅裂な言い分を垂れ流したりする背景に、高須院長がテレビ局にとって大スポンサーであるということが関係しているのは間違いないだろう。 実際、これまでも、ワイドショーは高須院長に対して、明らかに配慮しているとしか思えない報道を繰り返してきた。民進党(当時)の大西健介衆院議員が国会で美容整形CMを問題にした発言を名誉毀損で訴えた際、『ミヤネ屋』でコメンテーターが「名誉毀損に当たらない」旨の発言をしたことについて、高須院長は「明確な名誉毀損」などと猛抗議。問題のコメントはごく真っ当な指摘であり、そもそも論評にしかすぎず名誉毀損などあり得なかったにもかかわらず、『ミヤネ屋』は翌日の放送でひれ伏すように謝罪したこともある。高須院長のナチス礼賛発言が国際的な大問題になった際もまともに取り上げず、同時期に爆破予告されたことだけを取り上げたこともあった』、「『スッキリ』・・・MCの加藤浩次や橋本五郎・読売新聞特別編集委員がこれを受けて「高須さんの名誉を考えたら、調べた上でちゃんとやるのが大事」「選挙管理委員会は説明が必要」などと、選管に苦言を呈した」、みえみえの援護姿勢には驚かされる。
・『リコールを後押ししながら不正発覚にだんまりの百田尚樹、有本香、吉村知事  金を持っているためいくらでも裁判でも起こすことができるうえ、大スポンサーで、ネトウヨのファンもついている高須院長は、テレビにとっては一種のタブーになってしまっているのだ。 そのため、高須院長は、これまでも金の力を盾に、差別発言や歴史修正発言でも撤回も謝罪もなく開き直ってきた。 しかし高須院長は、ただの美容クリニック経営者ではなく、歴史修正主義、政権支持を盛んに発信しているきわめて政治的な存在だ。ましてや、今回のリコール運動では市民運動を率いて現実政治にコミットし、そこで前代未聞の不正が起きたのだ。言っておくが、リコールは単なるアンケートなどではなく、民主主義において選挙と同等の価値が置かれ、署名偽造には懲役刑も課される重大な違反だ。いくらスポンサーだからといって、このまま放置することは許されない。 いや、高須院長だけではない。いまは他人事を決め込んでいる百田尚樹氏、竹田恒泰氏、有本香氏らネトウヨ文化人や、吉村洋文・大阪府知事ら維新の会(ちなみに田中事務局長は維新の次期衆院選公認候補予定者でもある)など、この運動をバックアップしてきた連中の責任もきちんと追及すべきだろう』、「リコールは単なるアンケートなどではなく、民主主義において選挙と同等の価値が置かれ、署名偽造には懲役刑も課される重大な違反だ。いくらスポンサーだからといって、このまま放置することは許されない」。幸い捜査当局も捜査を開始したようだ。捜査の進展と、マスコミによる真相解明に期待したい。

次に、3月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した事件ジャーナリストの戸田一法氏による「河井元法相が「無罪主張から一転」、買収を認めた理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/266751
・『2019年7月施行の参院選広島選挙区を巡る選挙違反事件で、公職選挙法違反(買収)の罪に問われた元法相の衆院議員、河井克行被告(58)は、東京地裁の公判で23日から始まった被告人質問で、これまでの無罪主張を撤回し、買収を認める姿勢に転じた。さらに「衆院議員を辞する」と表明、25日には大島理森衆院議長に辞職願を提出した。検察側の主張に対して一部に争いは残したものの、完全に白旗を上げた格好だが、狙いは何か、背景を探ってみた』、興味深そうだ。
・『選挙違反で「実刑」の前例はなし  「全般的に買収罪の事実は争わない」――。 参院選後の10月に妻の案里前参院議員(47)=辞職、有罪が確定=の秘書による疑惑が報じられ、法相を辞任。その後、自身に対する疑惑が浮上、逮捕、起訴され、公判でも一貫して買収の事実を否認していた河井被告。新聞やテレビの報道によると、被告人質問でこう述べたとされる。 20年8月25日に迎えた初公判で、案里氏とともに罪状認否で全面的に起訴内容を否認して以来、初めて自らの意思表示が可能となる被告人質問。どういうロジックで今後の公判を進めていくか、弁護人と綿密に調整してきたはずだ。その結果が、買収追認と議員辞職の表明だった。 これまでの検察側の主張を全面的に受け入れ、屈服した格好だが、これは誰の目にも、反省の意を示すことで情状酌量を取りに行ったというのは明らかだ。では、なぜここで方針転換したのだろうか。 いわゆる「識者」「評論家」と言われる方々がメディアで「実刑もあり得る」とコメントしたり、SNSなどで投稿したりしているが、実は国会議員が選挙違反事件で実刑判決を受けた例はこれまでない。 かつて当選した議員本人が選挙違反で立件されたのは、03年11月の衆院選を巡り公選法違反(買収)容疑で、愛知県警が自民党の近藤浩衆院議員(当時)、埼玉県警が新井正則衆院議員(同)をそれぞれ逮捕したぐらいだ。いずれも起訴されたが、執行猶予判決だった。筆者が調べた限り、55年にも公選法違反で有罪が確定し失職したケースはあるが、こちらも執行猶予だった(選挙違反は執行猶予でも判決確定で失職)。 日本の司法は「判例主義」と言われる。であれば前例踏襲で執行猶予となる可能性が高いのだから、判決が確定するまで国会議員としての歳費や手当を受け取り続ければいいのではないかという見方もできるが、今回は少し事情が違う』、「前例踏襲」とはいっても、買収金額がケタ違いに大きく、政治的影響力も大きいことを考慮すれば、「実刑」の可能性も否定できないだろう。
・『驚きの「仲間が欲しかった」  起訴状によると、河井被告は地元の議員や有力者100人に対し、計約2900万円を配ったとされる。筆者は全国紙社会部記者時代、国会議員に限らず政治家の選挙違反事件の解説記事などを執筆するため、過去のデータを調べたことが何度かあった。 記憶にある限り、被買収の人数と金額が「100人」「2900万円」までの数字は出てこない。そう、「判例」では判断できない「悪質さ」が審理され、判決に反映される可能性が高いのだ。識者や評論家が「実刑」の可能性に言及してもおかしくはない。 当初は河井被告が、自身の「名誉」「面子」のため、徹底抗戦の構えだったというのは理解できる。しかし、既に外堀が埋まっているのは認識しているはずであり、このまま突っ張ったら「囚人服」を着用する可能性があることを弁護人がサジェストしたかもしれない。 象徴的だったのは被告人質問2日目として報道された発言だ。 「長年、独りぼっちだった。地元政界に仲間が欲しかった」「当選7回目でも自民党広島県連会長になれず疎外感があった」「会長就任の布石として金を差し上げた」「主目的は私自身の孤立感の解消だった」 うーん、と唸った。案里氏を当選させるための「買収工作」の色を薄めるためなのか、動機を自身の広島県連における低評価や孤独に持って行った。「妻をだしに使い、申し訳なかった」とも言った。ある意味で本音の印象も受けるし、これならば「100%買収の意図」ではなく、裁判官に「自身の地位を上げるためで、選挙の意図がすべてではなかった」と訴える効果はある。 芝居がかってはいるが、親交のあるカトリックの神父から「神の前で誠実であることが大事。自分に向き合いなさい」と助言されたと語ったことも、心証としては悪くない。なかなかのテクニックと思う』、「なかなかのテクニック」とはさすが前法務大臣だ。
・『重罪も執行猶予の可能性  では、まだ続くとみられる公判だが、結論はどうなるのだろうか。 実は、河井被告が実刑になるかどうかは別として、有罪は揺るぎないとみられる。案里氏は単独行為ではなく、河井被告と共謀(共同正犯)したとして5件の罪に問われ、うち被買収とされた1人が公判で被買収の意図を否認し無罪となったが、4件については有罪とされたからだ。そして、この確定判決は河井被告の公判に反映されないはずがない。 つまり、既に詰んだのだ。 証人尋問で、金を受け取った関係者が「集票依頼と思った」「違法な金」などと述べた。被買収とされた人物が追認すれば、今回の事件は事実認定されるのだ。公判では被買収とされた100人のうち、94人が買収であったと認めた。 であれば、6件が無罪になる可能性はあるが、94件は有罪になる可能性が濃厚ということだ。 「判例」については前述した通りだが、被告人質問で買収を全面的に認める陳述をした23日、衆院議員バッジを着用していたのに、翌日24日、着けていなかったのは、情状酌量をアピールする意図があったのだろう。 では、結論として河井被告の司法的な処分は、どうなのるか。この記事を読んでいただいている方々の最大の関心だろうが、結論から言うと、筆者の予想では執行猶予が付く。 意外かもしれないが、刑事裁判というのはシンプルだ。検察側は「犯行は計画的で悪質、かつ重大で、民主主義の根幹を揺るがす行為」として懲役4年を求刑するだろう。 そして判決で裁判官は「犯行は悪質だが、反省している。議員を辞職し、既に社会的制裁を受けている」として、検察側の主張を追認し求刑通り懲役4年、執行猶予が最大の5年という流れになるはずだ。 しかし、夫妻は逮捕された20年6月以降、国会に出席していないが、毎月103万5200円と約628万円の期末手当、月額100万円の文書通信交通滞在費が支給されていた。国会議員としての職務を全うしていないのに、総額約2600万円を2人で5200万円を受領していたことになる。 日本国民には誰もが裁判を受ける権利がある。だから、この夫妻が推定無罪の上で裁判を受ける権利を有することは当然のことだ。司法の判断は「前例」を踏襲した然るべき結果になるだろう。 しかし、この1年数カ月、新型コロナウイルス感染拡大で日本国民の生活が困窮した。巨額の歳費と手当てを受け取っていたこの夫婦に、同情する日本国民がいるとは思えない』、「判決で裁判官は「犯行は悪質だが、反省している。議員を辞職し、既に社会的制裁を受けている」として、検察側の主張を追認し求刑通り懲役4年、執行猶予が最大の5年という流れになるはずだ」、「執行猶予」を得るために「議員を辞職」、とは頷ける。

第三に、2月15日付けYahooニュースが掲載した元東京地検特捜部検事で郷原総合コンプライアンス法律事務所代表弁護士の郷原信郎 氏による「政治資金規正法、「ザル法」の真ん中に“大穴”が空いたままで良いのか」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20210215-00222620/
・『平成から令和に時代が変わっても、政治家、とりわけ国会議員の「政治とカネ」の問題は後を絶たない。「桜を見る会問題」では、安倍前首相側の地元有権者を集めた前夜祭の費用補填問題で、安倍氏の公設第一秘書が政治資金規正法違反で略式命令を受けた。河井克行元法務大臣とその妻の河井案里元参議院議員が、同議員の参議院議員選挙での、多額の現金買収で逮捕・起訴されたが、その多くは、広島県内の首長・地方議員等の政治家に渡されたものだった。 そして、その事件に関連して、鶏卵業界のドンと言われるアキタフーズ会長から、いわゆる農水族の国会議員が多額の現金を受領した事件が表面化、吉川貴盛元農水大臣は、大臣在職中に、大臣室等で500万円の現金を受領していた事件で在宅起訴された。 これらの「政治とカネ」をめぐる問題の多くで、「政治資金規正法違反」が、マスコミで取り上げられるが、実際に、法違反が処罰につながる例は少なく、そのことへの違和感が、国民の政治に対する不信を高めることにつながってきた。 私自身も、現職検事だった時代に、「政治とカネ」の問題に関する捜査に積極的に取り組んできた。1990年代末には、広島地検特別刑事部長として、県政界の政治家をめぐる事件の捜査に取り組んだ。2001年から2003年にかけての長崎地検次席検事時代も、公共工事をめぐる政治資金の流れに関する事件の捜査に取り組んだ。 その際、捜査の武器として政治資金規正法を積極的に活用してきた。しかし、この法律は、法律上の概念が曖昧である上に、法の性格や違反行為の要件が世の中に正しく理解されておらず、また、法による義務付けの内容と政治家の政治資金処理の実情とに大きな乖離があることなど、罰則適用に関して、様々な問題があった。そのような構造的な問題は、世の中に正しく理解されているとは到底言えない。 私自身の検察の現場での経験に基づき、「政治とカネ」問題の背景となっている政治資金規正法の構造的な問題を指摘し、抜本的な改革案を提示することとしたい』、「「政治とカネ」をめぐる問題の多くで・・・法違反が処罰につながる例は少なく、そのことへの違和感が、国民の政治に対する不信を高めることにつながってきた」、いつも腹立たしい思いをしてきた。
・『「ザル法」の真ん中に空いた“大穴”  「政治とカネ」の重大問題が発生する度に、政治家が世の中の批判を受け、政治家や政党自身が「その場凌ぎ」的に、議員立法で改正を繰り返してきたのが政治資金規正法だ。そのため、罰則は相当重い(最大で「禁錮5年以下」)が、実際に政治家に同法の罰則を適用して処罰することは容易ではない。それが「ザル法」と言われてきた所以である。 しかし、実は、政治資金規正法は、単に「ザル法」だというだけでなく、ザルの真ん中に「大穴」が空いているというのが現実だ。 「政治とカネ」の典型例が、政治家が、業者等から直接「ヤミ献金」を受け取る事例である。それは「水戸黄門」のドラマで、悪代官が悪徳商人から、「越後屋、おぬしも悪よのう」などと言いながら「小判」の入った菓子折りを受け取るシーンを連想させるものであり、まさに政治家の腐敗の象徴である。 しかし、国会議員の政治家の場合、「ヤミ献金」を贈収賄罪に問うのは容易ではない。そこでは、国会議員の職務権限との関係が問題となる。国会議員の法律上の権限は、国会での質問・評決、国政調査権の行使等に限られている。与党議員の場合、いわゆる族議員としての「政治的権力」を背景に、各省庁や自治体等に何らかの「口利き」をすることが多いが、その場合、「ヤミ献金」のやり取りがあっても、職務権限に関連しているとは言えず、贈収賄罪の適用は困難だ。 だからこそ政治資金規正法という法律があり、政治家が業者から直接現金で受領する「ヤミ献金」こそ、政治資金規正法の罰則で重く処罰されるのが当然と思われるであろう。しかし、実際には、そういう「ヤミ献金」の殆どは、政治資金規正法の罰則の適用対象とはならない。「ザル法」と言われる政治資金規正法の真ん中に「大穴」が空いているのである。 政治資金規正法は、政治団体や政党の会計責任者等に、政治資金収支報告書への記載等の政治資金の処理・公開に関する義務を課すことを中心としている。ヤミ献金の授受が行われた場合も、その「授受」そのものが犯罪なのではない。献金を受領しながら政治資金収支報告書に記載しないこと、つまり、そのヤミ献金受領の事実を記載しない収支報告書を作成・提出する行為が不記載罪・虚偽記入罪等の犯罪とされ、処罰の対象とされているのである。 国会議員の場合、個人の資金管理団体のほかに、代表を務める政党支部があり、そのほかにも後援会など複数の政治団体があるのが一般的だ。このような政治家が、企業側から直接、現金で政治献金を受け取ったのに、領収書も渡さず、政治資金収支報告書にもまったく記載しなかったという場合に、政治資金規正法の罰則を適用するためには、どの政治団体・政党支部宛ての献金かが特定されないと、どの「政治資金収支報告書」に記載すべきなのかがわからない。 もし、その献金が政治家「個人」に宛てた「寄附」だとすれば、「公職の候補者」本人に対する寄附は政治資金規正法で禁止されているので(21条の2)、その規定に違反して寄附をした側も、寄附を受け取った政治家本人も処罰の対象となる。しかし、国会議員たる政治家の場合、資金管理団体・政党支部等の複数の「政治資金の財布」がある。その献金がそれらに宛てた寄附だとすれば、その団体や政党支部の政治資金収支報告書に記載しないことが犯罪となる。いずれにせよ、ヤミ献金を政治資金規正法違反に問うためには、その「宛先」を特定することが不可欠なのである。 しかし、政治家が直接現金で受け取る「ヤミ献金」というのは、「裏金」でやり取りされ、領収書も交わさないものだからこそ「ヤミ献金」なのであり、受け取った側が、「・・・宛ての政治資金として受け取りました」と自白しない限り、「宛先」が特定できない。「ヤミ献金」というのは、それを「表」に出すことなく、裏金として使うために受け取るのであるから、政治家個人宛てのお金か、どの団体宛てかなどということは、通常、考えていない。結局、どれだけ多額の現金を受け取っていても、それが「ヤミ献金」である限り、政治資金規正法違反の犯罪事実が特定できず、刑事責任が問えないことになるのだ』、「どれだけ多額の現金を受け取っていても、それが「ヤミ献金」である限り、政治資金規正法違反の犯罪事実が特定できず、刑事責任が問えないことになるのだ」というのでは、確かに「「ザル法」の真ん中に空いた“大穴”」というのは言い得て妙だ。
・『「金丸5億円ヤミ献金問題」での「上申書決着」  平成に入って間もない90年代初頭、検察に対する世の中の不満が爆発したのが、1992年の東京佐川急便事件だった。この事件では、東京佐川急便から多数の政治家に巨額の金が流れたことが報道され、同社の社長が特別背任罪で逮捕されたことで大規模な疑獄事件に発展するものとの期待が高まった。しかし、いくら巨額の資金が政治家に流れていても、国会議員の職務権限に関連する金銭の授受は明らかにならず、結局、政治家の贈収賄事件の摘発は全くなかった。 そして、佐川側から5億円のヤミ献金を受領したことが報道され、衆議院議員辞職に追い込まれた自民党経世会会長の金丸信氏が政治資金規正法違反に問われたが、東京地検特捜部は、その容疑に関して金丸氏に上申書を提出させ、事情聴取すらせずに罰金20万円の略式命令で決着させた。 検察庁合同庁舎前で背広姿の中年の男が、突然、「検察庁に正義はあるのか」などと叫んで、ペンキの入った小瓶を建物に投げ、検察庁の表札が黄色く染まるという事件があったが、それは多くの国民の声を代表するものだった。東京佐川急便事件における金丸氏の事件の決着は、国民から多くの批判を浴び、「検察の危機」と言われる事態にまで発展した。 しかし、政治家本人が巨額の「ヤミ献金」を受領したという金丸氏の事件も、政治資金規正法の罰則を適用して重く処罰すること自体が、もともと困難だった。 当時は、政治家本人に対する政治資金の寄附自体が禁止されているのではなく、政治家個人への寄附の量的制限が設けられているだけだった。しかも、その法定刑は「罰金20万円以下」という極めて低いものであった。しかも、そのヤミ献金が「政治家本人に対する寄附」であることを、本人が認めないと、その罰金20万円以下の罰則すら適用できない。そのような微罪で政治家を逮捕することは到底無理であり、任意で呼び出しても出頭を拒否されたら打つ手がない。そこで、弁護人と話をつけて、金丸氏本人に、自分個人への寄附であることを認める上申書を提出させて、略式命令で法定刑の上限の罰金20万円という処分に持ち込んだのであった。 検察の行ったことは何も間違ってはいなかった。政治資金収支報告書の作成の義務がない政治家本人への献金の問題について極めて軽い罰則しか定められていなかった以上、検察が当時、法律上行えることは、その程度のものでしかなかった。しかも、それを行うことについて、本人の上申書が不可欠だったのである。 金丸ヤミ献金事件の後、政治資金規正法が改正されて、「政治家本人への寄附」が禁止され、「一年以下の禁錮」の罰則の対象となった。しかし、政治家本人が直接受領したヤミ献金については、違法な個人あての献金か、あるいは団体・政党支部宛ての献金かが特定できないと、政治資金規正法違反としての犯罪事実も特定できず、適用する罰則も特定できないという、「政治資金規正法の大穴」は解消されておらず、その後も、政治家個人が「ヤミ献金」で処罰された例はない。 2009年3月、民主党小沢一郎代表の公設第一秘書が、収支報告書に記載された「表」の献金に関する政治資金規正法違反(他人名義の寄附)の容疑で東京地検特捜部に逮捕された際に、西松建設の社長が、自民党の二階俊博議員側に「ヤミ献金」をしていたこと、そのうちの一部は二階氏に直接手渡されていたという「年間500万円の裏金供与疑惑」が報じられた。しかし、刑事事件としての立件には至らなかった。 また、吉川元農水大臣の事件でも、アキタフーズ会長から、農水大臣在任中に500万円を受領したほかに、大臣在任中以外の期間にも合計1300万円の現金を受領していた事実が報じられている。これも、政治家本人が直接受領した「ヤミ献金」のはずだが、刑事事件として立件され、起訴されたのは、大臣在任中の500万円だけであり、それ以外は刑事立件すらされていない。 それは、政治家側に直接裏金による政治献金が渡った場合に、政治資金規正法違反で立件・処罰することができないという、「政治資金規正法の大穴」によるものなのである』、「政治資金規正法」は議員立法で、議員たちがアリバイ作りのためにお茶を濁したものらしい。
・『「ヤミ献金」が刑事事件化された事例  一方、ヤミ献金が刑事事件として立件され処罰された事例がある。 その初の事例となったのが、私が長崎地検次席検事として捜査を指揮した2003年の「自民党長崎県連事件」(拙著【検察の正義】(ちくま新書)「最終章 長崎の奇跡」)である。 この事件では、自民党長崎県連の幹事長と事務局長が、ゼネコン各社から、県の公共工事の受注額に応じた金額の寄附を受け取っていた。そして、幹事長の判断で、一部の寄附については、領収書を交付して「表の献金」として収支報告書に記載して処理し、一部は「裏の献金」として、領収書を交付せず、政治資金収支報告書にも記載しなかった(この「裏の献金」が、幹事長が自由に使える「裏金」に回されていた)。 この事件では、正規に処理される「表の献金」と同じような形態で「裏の献金」が授受されていたので、「自民党長崎県連宛ての寄附」として収支報告書に記載すべき寄附であるのに、その記載をしなかったことの立証が容易だった。「ヤミ献金」事件を、初めて政治資金収支報告書の虚偽記入罪(裏献金分、収入が過少記載されていた事実)で正式起訴することが可能だったのである。 2004年7月には、日本歯科医師会から平成研究会(橋本派)に対する1億円の政治献金に対して、橋本派側が幹部会で領収書を出さず収支報告書に記載しないことを決めた事実について、政治資金規正法違反(収支報告書の虚偽記入)の罰則を適用され、村岡兼造元官房長官と平成研の事務局長が起訴された。この事件も、平成研という政治団体に対する寄附であることが外形上明白で、それについて領収書を交付するかどうかが検討された末に、領収書を交付しないで「裏の献金」で処理することが決定されたからこそ、政治資金規正法違反の罰則適用が可能だったのである。 これらのように、「ヤミ献金」を政治資金規正法違反に問い得る事例というのは稀であり、政治家本人が直接現金を受け取るような事例には、政治資金規正法の罰則は全く歯が立たないという深刻な現実を理解する必要がある』、「「ヤミ献金」を政治資金規正法違反に問い得る事例というのは稀であり、政治家本人が直接現金を受け取るような事例には、政治資金規正法の罰則は全く歯が立たないという深刻な現実を理解する必要がある」、なるほど。
・『政治資金の逐次処理の実効性に関する問題  もう一つの問題は、政治資金についての収入・支出の透明化に関して、政治資金規正法上は、「会計帳簿の作成・備付け」と「7日以内の明細書の作成・提出」が義務付けられ、政治資金処理の迅速性が求められているが、ルールが形骸化しているということである。 政治資金規正法は、政治団体・政党等の会計責任者等に、各年分の政治資金収支報告書の作成・提出を義務付けているが、それに関して、収支報告書とほぼ同一の記載事項について、会計帳簿の作成・備付けを会計責任者等に義務付けるとともに、「政治団体の代表者若しくは会計責任者と意思を通じて当該政治団体のために寄附を受け、又は支出をした者」に対して、会計責任者への明細書の提出を義務付けている。 つまり、会計責任者は年に1回、政治資金収支報告書を作成・提出するだけでなく、その記載の根拠となる会計帳簿を、政治団体・政党等の事務所に常時備え付けている。これは、記載事項となる政治資金の収支が発生する都度、会計帳簿に記載することを前提としている。そして、会計責任者が知らないところで収支が発生することがないよう、政治団体の代表者等が、寄附を受けたり、支出をしたりした場合に、7日以内に明細書を作成して会計責任者に提出することを義務付けていて、会計責任者等が、その明細書に基づいて会計帳簿への記載をすることができるようにしている。 これは、政治資金の収支を発生の都度、逐次処理することを求める規定なのであるが、実際には、このような明細書の作成・提出の期限に関するルールは形骸化し、会計帳簿の記載、明細書の作成は、収支報告書の作成の時期にまとめて行われているようである。 逐次・迅速に収支を把握して処理する政治資金規正法のルールは、その記録化についてのルールがないために、収支報告書の作成・提出と併せてまとめて会計帳簿、明細書の処理をしても、提出する収支報告書上は証拠が残らず、明細書の提出義務違反等で処罰されることもない。それが、逐次・迅速処理のルールの形骸化につながっているのである』、由々しい問題だ。
・『安倍事務所における政治資金と個人資金の混同  安倍晋三前首相は、「桜を見る会」前夜祭での費用補填問題に関して、 私の預金からおろしたものを、例えば食費、会合費、交通費、宿泊費、私的なものですね。私だけじゃなくて妻のものもそうなんですが、公租公課等も含めてそうした支出一般について事務所に請求書がまいります。そして事務所で支払いを行いますので、そうした手持ち資金としてですね、事務所に私が合わせているものの中から、支出をしたということであります。 つまり、安倍事務所では、安倍氏の個人預金から一定金額を預かって、安倍夫妻の個人的な支出についても支払をしており、そのような個人預金から、後援会が主催する前夜祭の費用補填の資金を捻出したと説明したのである。 しかし、安倍氏の個人預金が補填の原資だと説明すると、安倍氏個人による公職選挙法の寄附の禁止に違反することになりかねない。そこで、補填は、秘書が無断で行ったと弁解するとともに、もう一つの補填の正当化事由として「専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費の補償」は、公選法が禁止する寄附に当たらないという理屈を持ち出してきたのである。 会場費の支出が寄附に当たらないとすると、「政治上の主義」や「政治教育」のためということになるので、当然、「政治資金としての支出」のはずだ。それを、安倍氏個人の資金から支出していたということは、安倍事務所においては、政治資金と安倍氏個人の資金が混同して処理されていたということなのである。 政治資金規正法の会計帳簿と明細書に関するルールから言えば、本来、政治献金や党からの交付金等の政治に関する収入と、安倍氏の個人資金とは明確に区別すべきであり、政治資金としての支出をした場合には、7日以内に会計責任者に明細書を提出し、それについて会計帳簿の記載が行われることになるはずだ。 ところが、前首相の安倍氏の事務所においてすら、政治資金の逐次・迅速処理のルールは守られず、政治資金と個人資金が混同されて処理されていた。おそらく、多くの国会議員の政治家が同様の政治資金処理を行っているのであろう。 このようなことがまかり通るのは、政治資金規正法で、会計帳簿の備付・記載と明細書の作成・提出が義務付けられているのに、開示されるのが年に1回提出される政治資金収支報告書だけなので、法の趣旨どおりに逐次記載されているのか、収支報告書提出時にまとめて記載しているのかを、証拠上確認する手立てがないからである』、「前首相の安倍氏の事務所においてすら、政治資金の逐次・迅速処理のルールは守られず、政治資金と個人資金が混同されて処理されていた」、恐るべきズサンさだ。
・『河井夫妻多額現金買収事件における政治資金と選挙資金の混同  河井夫妻が買収(公選法違反)とされて逮捕・起訴された事実の多くは、2019年4月頃、つまり、選挙の3か月前頃から、広島県内の議員や首長などの有力者に、参議院選挙での案里氏への支持を呼び掛けて多額の現金を渡していたというものだ。 従来は、公選法違反としての買収罪の適用は、選挙運動期間中やその直近に、直接的に投票や選挙運動の対価として金銭等を供与する行為が中心であり、選挙の公示・告示から離れた時期の金銭の供与が買収罪として摘発されることはあまりなかった。 このような「選挙期間から離れた時期の支持拡大に向けての活動」というのは、選挙運動というより、政治活動の性格が強く、それに関して金銭が授受されても、政治資金収支報告書に記載されていれば、それによって「政治資金の寄附」として法律上扱われ、公選法の罰則は適用しないというのが一般的な考え方であった。 しかし、公選法上は、「当選を得る(得しめる)目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益を供与する」ことで違反が成立する。県政界有力者も「選挙人」であり、「案里氏を当選させる目的」で「供与」した以上、形式的には違反が成立することは否定できないように思える。問題は、形式的には違反に該当しても、「政治資金の寄附」として合法化される余地があるかどうかだ。ここで重要なのは、河井夫妻の場合、現金で供与したから買収になるように言われているが、そうではないということだ。仮に、銀行振込であったとしても、使途を限定せずに提供するのであれば「供与」であることに違いはない。 結局、問題は、その「供与」が「政治活動」のためか、「選挙運動」のためか、ということである。事後的に、政治資金か選挙資金かが問題にならないようにするためには、政治活動とそのための政治資金の支出が、政治資金の処理を通じて明確に区別され、収支が発生した時点で、明細書や会計帳簿に政治資金として記載されることが必要だ。しかし、既に述べているように、会計帳簿の備付・記載、明細書の提出という、政治資金の逐次処理のルールは形骸化しており、年に1回の政治資金収支報告書の提出の時点までは、選挙資金と政治資金とが明確に区別されないまま処理されることがあり得る。 実際に、河井夫妻の公選法違反事件では、家宅捜索等の強制捜査が行われたのは、2020年1月であり、この時点では、2019年分の政治資金の収支については、政治資金収支報告書の提出期限の前だった。河井夫妻から現金を受領した広島県内の首長・議員の中には、家宅捜索を受けた後に提出した政治資金収支報告書に、河井夫妻からの寄附の受領を記載した者もいるようだ。 政治資金の1年分一括処理が事実上許されていることが、政治資金と選挙資金の区別を曖昧にし、それが、政治活動と選挙運動の境目が不明確になることの背景にもなっている』、なるほど。
・『「政治とカネ」問題根絶のための“2つの提言”  以上述べてきたように、現行の政治資金規正法には、政治資金透明化という法目的に著しく反する政治家個人が直接受領する「ヤミ献金」に対して罰則適用できないこと、政治資金の逐次処理のルールが形骸化していること、という二つの大きな問題があり、それが「政治とカネ」の問題が後を絶たないことの背景となっている。 そこで、このような状況を抜本的に是正する方法として、国会議員についての政治資金収支報告書の「総括化」と、会計帳簿・明細書のデジタルデータの「法的保存義務化」を導入してはどうか。 まず、政治資金規正法は、国会議員について、「国会議員関係政治団体」、すなわち、従来の資金管理団体・政党支部等の国会議員と密接な関係を有する政治団体について、1万円以上の支出の使途の公開、登録政治資金監査人による監査の義務付け、1円以上の領収書の開示が義務付けられているが(19条の7)、「国会議員関係政治団体」を含めて、当該国会議員の政治活動に関連する政治資金の収支を総括する「国会議員政治資金収支総括報告書」の作成提出を、義務付けるのである。それによって、当該国会議員たる政治家が、業者から、特定の団体・政党支部への紐づけが明確になっていない献金を受領した場合も、その総括報告書には記載しなければならないことになる。 政治資金収支総括報告書の作成・提出については、当該国会議員が、「総括会計責任者」を選任し、総括報告書を作成・提出させる。国会議員が、政治資金の寄附を受けた際には、7日以内に、その旨を記載した明細書を総括会計責任者に対して提出しなければならないと規定するのである。 これにより、政治家本人が「政治資金」と認識して受領したのに、会計責任者に明細書を提出せず、総括報告書に記載しない場合であれば、政治資金収支総括報告書不記載罪の罰則が適用できることになる。それによって、国家議員たる政治家個人が直接「ヤミ献金」を受領した場合に、政治家個人宛てか団体、政党支部宛てかが特定できないために処罰することができないという「政治資金規正法の大穴」は塞がれることになる。 もう一つは、政治資金規正法上の備付けを義務付けられた会計帳簿と、7日以内の作成・提出を義務付けられている明細書について、データの作成日が記録されたデジタルデータの保存と政治資金収支報告書に添付して提出することを義務付けることである。それによって、政治資金の収入、支出について、7日以内には必ず明細書を提出し、会計帳簿に記載しなければならないことになり、処理を未定にしておいて、政治資金収支報告書を作成・提出する時期に、政治資金と個人資金の振り分けや、政治資金と選挙資金等の振り分けを決める一括処理は違法となる。 もっとも、実際の政治資金の収支の中には、発生した時点では、どの団体・政党支部に帰属させるかが判然としないものも少なくないものと思われる。そこで、従来の各団体・政党支部ごとの会計帳簿とは別に、当該国会議員に関連する政治資金の収支であることは間違いないが、帰属先が定まっていない収支を含めて記載する「総括会計帳簿」の備付け・記載を会計責任者に義務付けることにする。「総括会計帳簿」に記載しておけば、収支の具体的な帰属先は、個別の政治資金収支報告書の作成・提出時までに確定させればよいことにする。それでも、政治資金としての収支であることは、収支が発生した時点で、個人の収支や、選挙に関する収支とは区別して、総括会計帳簿に明確に記載されることになる。 それによって、政治資金の処理が、迅速に収支の都度逐次行われることになり、政治資金・選挙資金・個人資金の相互の関係を明確にすることも可能となる』、「総括会計責任者」、「総括会計帳簿」はいいアイデアだ。
・『真の「政治資金の透明化」を  政治資金規正法が基本理念とする「政治資金の収支の公開」は、健全な政治活動と民主主義の基盤を確保していくために不可欠なものである。しかし、法律のルールと現実の政治資金処理の実態との間に大きな乖離があって「違法行為」が恒常化している場合、その中の特定の違法行為だけが取り上げられると、「魔女狩り」的な不毛な中傷・告発合戦の常態化を招くことになる。 現実的に可能な政治資金処理のルールを構築することで、通常の政治資金の処理を行っていれば「政治とカネ」の問題で騒がれることがなく、意図的に政治資金処理のルールに反して政治資金を不透明化したり、私物化したりした事例だけが厳正な処罰の対象になるということにしていく必要がある。 まず、国会議員について、政治資金規正法における政治資金処理のルールを、現実的かつ実効性のあるものに改善する必要がある。それが「政治とカネ」の問題を根絶し、真の「政治資金の透明化」を実現することにつながるのではないだろうか』、議員立法である限り、自分たちの自由を束縛するものは避けようとするだろう。法務省の所管にして、法制審議会などに委ねるのが最も有効なのではあるまいか。
タグ:yahooニュース 郷原信郎 ダイヤモンド・オンライン litera 日本の政治情勢 戸田一法 (その54)(リコール不正刑事告発でも陰謀論主張の高須院長を批判できないマスコミ 『スッキリ』では高須に擁護的コメント 番組中にクリニックのCM、河井元法相が「無罪主張から一転」 買収を認めた理由、政治資金規正法 「ザル法」の真ん中に“大穴”が空いたままで良いのか) 「リコール不正刑事告発でも陰謀論主張の高須院長を批判できないマスコミ 『スッキリ』では高須に擁護的コメント 番組中にクリニックのCM」 愛知県の大村秀章知事のリコール署名 約43万人分の署名約83%に不正の疑い 「河村市長」や「高須院長」の居直りは驚くべき破廉恥さだ。 「高須院長」は「トリックがわかったという「エクセルファイル」」、については、やがて真相がバレることは承知の上で、とりあえずその場しのぎのウソをついたようだ。 いくら「高須クリニックがテレビ局にとって大スポンサー」とはいえ、「リコール不正問題や高須院長の言動をメディアがまったく批判しない」という姿勢は社会の公器にあるまじきことだ 「『スッキリ』 MCの加藤浩次や橋本五郎・読売新聞特別編集委員がこれを受けて「高須さんの名誉を考えたら、調べた上でちゃんとやるのが大事」「選挙管理委員会は説明が必要」などと、選管に苦言を呈した」、みえみえの援護姿勢には驚かされる 「リコールは単なるアンケートなどではなく、民主主義において選挙と同等の価値が置かれ、署名偽造には懲役刑も課される重大な違反だ。いくらスポンサーだからといって、このまま放置することは許されない」。幸い捜査当局も捜査を開始したようだ。捜査の進展と、マスコミによる真相解明に期待したい 「河井元法相が「無罪主張から一転」、買収を認めた理由」 「前例踏襲」とはいっても、買収金額がケタ違いに大きく、政治的影響力も大きいことを考慮すれば、「実刑」の可能性も否定できないだろう 「なかなかのテクニック」とはさすが前法務大臣だ 「判決で裁判官は「犯行は悪質だが、反省している。議員を辞職し、既に社会的制裁を受けている」として、検察側の主張を追認し求刑通り懲役4年、執行猶予が最大の5年という流れになるはずだ」、「執行猶予」を得るために「議員を辞職」、とは頷ける 「政治資金規正法、「ザル法」の真ん中に“大穴”が空いたままで良いのか」 「政治とカネ」をめぐる問題の多くで 法違反が処罰につながる例は少なく、そのことへの違和感が、国民の政治に対する不信を高めることにつながってきた」、いつも腹立たしい思いをしてきた。 「どれだけ多額の現金を受け取っていても、それが「ヤミ献金」である限り、政治資金規正法違反の犯罪事実が特定できず、刑事責任が問えないことになるのだ」というのでは、確かに「「ザル法」の真ん中に空いた“大穴”」というのは言い得て妙だ 「政治資金規正法」は議員立法で、議員たちがアリバイ作りのためにお茶を濁したものらしい。 「「ヤミ献金」を政治資金規正法違反に問い得る事例というのは稀であり、政治家本人が直接現金を受け取るような事例には、政治資金規正法の罰則は全く歯が立たないという深刻な現実を理解する必要がある 政治資金の逐次処理の実効性に関する問題 「前首相の安倍氏の事務所においてすら、政治資金の逐次・迅速処理のルールは守られず、政治資金と個人資金が混同されて処理されていた」、恐るべきズサンさだ 「政治とカネ」問題根絶のための“2つの提言” 「総括会計責任者」、「総括会計帳簿」はいいアイデアだ 真の「政治資金の透明化」を 議員立法である限り、自分たちの自由を束縛するものは避けようとするだろう。法務省の所管にして、法制審議会などに委ねるのが最も有効なのではあるまいか。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感