日本郵政(その19)(民のカネを投入してまで維持する意味があるのか」組織に根付いた"郵便局体質"の害悪 民間企業で十分カバーできるのに、ゆうちょ銀行 「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう、ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること) [国内政治]
日本郵政については、昨年3月26日に取上げた。今日は、(その19)(民のカネを投入してまで維持する意味があるのか」組織に根付いた"郵便局体質"の害悪 民間企業で十分カバーできるのに、ゆうちょ銀行 「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう、ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること)である。
先ずは、昨年6月5日付け現代ビジネス「日本国民は気づいていない「郵便局長組織」のヤバすぎる実態…毎年40億円が吸い上げられていく」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/111188?imp=0
・『「全特」とも呼ばれる郵便局の裏組織・全国郵便局長会。各地方、地区の郵便局長会を土台とした郵便局長たちによる上意下達のピラミッド型組織だが、その実態は明らかになっていない。そのような組織の“闇”を暴き出した新刊『郵便局の裏組織』より、内部での異様なカネの流れを明らかにしていこう』、興味深そうだ。
・『マンション投資にまで乗り出した 広島駅から歩いて10分ほどの国の名勝「縮景園」。広島藩の初代藩主・浅野長晟が造らせた大名庭園を見下ろすように、地上13階建てのマンションは隣接している。 2016年築で、ワンルーム24戸と2LDK12戸の計36戸。賃料は30平米台のワンルームが7万〜9万円台。60平米弱の2LDKで14万〜15万円台が中心で、典型的な投資用1棟マンションだ。 所有しているのは、一般財団法人である中国地方郵便局長協会だ。所在地や役員は、任意団体である中国地方郵便局長会とほぼ同じで、法人格のない局長会に代わり、不動産保有や積立金運用などによる収益事業を行っている。いわゆる「サイフ」役の組織である。 マンションの登記簿謄本によると、中国地方郵便局長協会が山口銀行から、計7億円を年0.7%の金利で借りていた。2021年末時点では満室で、賃料収入は年間4837万円。借入利息や管理委託費、固定資産税で年1千万円超の出費があるものの、法人による不動産投資としては十分な利回りが見込めそうだ。 中国地方郵便局長協会がマンション経営に乗り出したのは、「10年後の収益事業に資する目的」だと内部文書に記されている。協会自体の目的は「郵便局の業務の円滑な運営及び会員相互の扶助に関する事業」によって「郵政事業の発展に寄与・地域貢献活動を推進」すると定款で定めている。 マンション投資が郵政事業にどう資するかは不明だが、超低金利環境が続くなか、局長向けの融資だけでは稼ぎにくくなったため、新たな収益源の開拓を「不動産投資」に見いだしたとみられる。) マンション投資に乗り出した事例は、ほかにもある。 九州郵便局長協会も、熊本市の中心部にある熊本大学病院のそばに、投資用マンション1棟を保有している。2001年築の6階建てで、九州郵便局長協会が2019年9月に無担保で購入したものだ。 1階には歯科クリニックが入居、40平米台の1LDKを中心に十数戸あり、2021年3月期には計1460万円の家賃収入があった。修繕費などの371万円を引いても1089万円の利益があり、不動産投資としては好調だ。 自社ビルでのテナント経営は、古くから続く。全国郵便局長会(全特)が財団法人を介して東京・六本木に全特ビルを所有するように、全国に12ある地方会のうち、少なくとも四つの地方会がそれぞれの拠点に自前のビルを建てて保有している。ビル内には郵便局を入居させるなどして、賃料収入を得ている。 中国地方郵便局長協会の場合、冒頭のマンションからもほど近い一等地に6階建ての自社ビル「中特会館」を持ち、1階に入居する郵便局も含めて、年4千万円超のテナント収入を得ていた。1970年竣工で電気系統機器の故障や漏水が続発したため、2023年に解体して「中特ビル(仮称)」を建て直す。新たなビルにも郵便局を置こうと画策しており、中長期の安定収益を見込んでいる。 局長組織の潤沢な投資マネー。元手となるのは、会員たちの身銭である』、「全国に12ある地方会のうち、少なくとも四つの地方会がそれぞれの拠点に自前のビルを建てて保有している・・・元手となるのは、会員たちの身銭である」、なるほど。
・『酷熱の河川敷でソフトボール 2019年9月7日、40度近い残暑が続いた東京・八王子の河川敷。青空にときおり打ち上がる白球を追いかけながら、ユニフォーム姿の男たちが歓声を上げていた。 都内16のソフトボールチームが全国大会への出場をかけて争うトーナメント戦。六つの野球グラウンドで、敗者復活や3位決定戦も含めて1日で22試合の熱戦が繰り広げられた。試合の参加者だけで200人規模。応援団や審判も入れると300人以上が週末の河川敷に集まり、汗を流した。ほぼ全員が局長である。 ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く。 1990年から続く恒例行事で、最近は新型コロナの影響で中止されてきたが、2022年から徐々に再開し、秋には沖縄県で全国大会を催した(試合は雨に見舞われ、ジャンケン大会に代わった)。 2019年の東京地方会では、出場者はみな地区会の名前が入ったユニフォームを身にまとい、運営スタッフのTシャツも地方大会のためにデザインされたものだ。計6面の野球グラウンドにそれぞれ数人の審判員を配置し、バットやグローブといった備品もそろえる。 ソフトボール大会にかかる費用は、局長限定のお遊びだけに、さすがに日本郵便の経費をあてるわけにもいかず、会員から徴収するお金が元手になる。うっかり全国大会に勝ち抜くと、臨時の遠征費まで払わされる。こうして費用を積み上げていくと、会員の負担がいかに重たいかが浮かび上がる』、「ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く・・・ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く」、なるほど。
・『巨額の集金システム 局長1人が組織のために払わされる費用の総額は、ヒラの局長でも年20万円を優に超える。積立金や保険の支払いなどを足せば、金額はもっと大きい。臨時の出費も少なくなく、部会長や地区役員といった役職に就くと徴収額はさらに増える。局長の数で単純計算すれば、少なく見積もっても年40億円超が全国で安定的に吸い上げられるシステムになっている。 年収が額面ベースで800万円程度の40代の局長を事例に、局長会活動の費用負担を概算で示すと、下記の表のようになる。 局長が負担するお金はピラミッド組織の各階層から徴収される会費だけで、年20万円前後に上る。多くの局長は就任してまもなく、局長会主催の「新任局長研修」といった場で銀行口座の引き落とし伝票を書かされる。勝手がわからないうちに「そういうものだ」と思い込ませ、自動引き落としのシステムに局長の口座をはめ込んでおく。 任意団体である郵便局長会には法人格がないため、契約を交わしたり、不動産物件を保有したりするときには、一般財団法人の地方郵便局長協会が使われる。局長から集めた積立金を元手に、局長向けの融資で利息を稼ぎ、会館やマンションといった不動産事業によって賃料収入を得る。積立金は、局長の退職時や局舎の建設時などに払い出される。 局長協会が提供する団体共済も、各地の地方会、地区会でノルマ化されている例が多い。) 局長1人につき自動車と火災、生命共済などで1件ずつ加入させるのが鉄則で、地方会事務局が地区会ごとの達成率をまとめた「推進管理表」や「未加入者リスト」を作成。総務担当の局長会役員が部会長を通じて未加入の局長に圧力をかけて回る。新米の局長には、郵便局の提携保険を解約させてでも乗り換えさせる。財政難の協会ほどノルマや進捗管理が厳しくなる。 郵政退職者連盟は、地域ごとで異なる名前の地方組織があり、現役の局長も加入させられる。選挙で協力してもらうOBへの義理立てで、毎年恒例の総会や旅行、マージャンなどに付き合う。旅行や総会に一定数の局長を参加させ、積立金や臨時出費を請求されるケースもある。 全特の元幹部が役員を務める法人が扱う地方の名産品を、郵便局の物販サービスで扱わせたり、組織を通じて局長に買わせたりしている例もある。元全特会長の個人会社が扱う青森のリンゴジュース、元副会長が手がける北海道の夕張メロンあたりが典型だ。 局長会では「防災士」の資格取得も推進している。毎年一定数の局長が1人数万円をかけて資格を得ている。費用の一部を部会費などで補助する場合もあるが、多くが局長の負担であることに変わりはない。 さらに、全特が例年5月に開く総会に参加させられるときも、そのつど10万〜20万円の臨時出費が課せられる。 部会や地区会レベルでは、強制参加の懇親行事や飲み会が数多い。局長会の会員として組織のために負担する費用は、ことのほか重い』、「局長1人につき自動車と火災、生命共済などで1件ずつ加入させるのが鉄則で、地方会事務局が地区会ごとの達成率をまとめた「推進管理表」や「未加入者リスト」を作成。総務担当の局長会役員が部会長を通じて未加入の局長に圧力をかけて回る。新米の局長には、郵便局の提携保険を解約させてでも乗り換えさせる。財政難の協会ほどノルマや進捗管理が厳しくなる」、さすがノルマと「進捗管理」に長けた組織だ。「部会や地区会レベルでは、強制参加の懇親行事や飲み会が数多い。局長会の会員として組織のために負担する費用は、ことのほか重い」、想像以上に負担が重そうだ。
次に、3月6日付け東洋経済オンライン「ゆうちょ銀行、「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/738905
・『ゆうちょ銀行は2月28日、8年ぶりとなる社長交代を発表した。 池田憲人社長は3月31日付で取締役と社長を退任し、4月1日付で笠間貴之副社長が昇格する。約200兆円もの貯金を抱える巨大金融機関の舵取りを任されたのは、長年ゆうちょの運用部隊を率いてきた人物だ』、「長年ゆうちょの運用部隊を率いてきた人物」だが、「2015年11月。当時、ゆうちょはゴールドマン・サックス証券」から移ってきたようだ。
・『「中で見つめてきた人がいい」 「(外部登用ではなく、ゆうちょを)中で見つめてきた人がいいだろうと。指名委員会ではかなりの議論をした」。3月1日に開いた記者会見で、池田社長は社長人事の経緯をこう述べた。 2007年の民営化以後、ゆうちょは5人の社長を迎えてきた。いずれも国内の行政や金融機関、事業会社での勤務経験が長い。対照的に、笠間氏はゴールドマン・サックス証券などの外資系証券会社で債券や証券化商品の運用を担ってきた。) 笠間氏がゆうちょに参画したのは2015年11月。当時、ゆうちょはゴールドマン・サックス証券やバークレイズ証券といった外資系企業から、株式や債券、デリバティブなど各部門の運用担当者を相次いで起用した。 「ゴールドマン・サックス証券時代の先輩が(ゆうちょに)入社し、『運用改革をするから、一緒に携わってくれないか』と誘いがあった」(笠間氏)。笠間氏を含めて当初7人だった外資系出身のトレーダーを、当時の長門正貢社長は「七人の侍」と称した』、給与は触れられてないが、きっと高かったのだろう。
・『外国証券・投信が国債残高を逆転 背景にあるのが、ゆうちょが推し進めてきた「脱国債」だ。銀行の名を冠しながら融資業務をほとんど認められていないゆうちょは、収益の大部分を有価証券運用に依存する。民営化当初は貯金の大半を日本国債で運用していたが、低金利政策で国債の利ザヤは潰れる一方だった。 そこでゆうちょは、ハイリスク・ハイリターンな金融商品の運用へと軸足を移す。民営化直後の2008年3月末と株式上場直前の2015年3月末における有価証券運用残高を比較すると、150兆円あった国債が3分の2に減った一方、残高がほとんどなかった外国証券や投資信託は30兆円超にまで膨らんだ。 2015年11月に株式上場を果たすと、ゆうちょ銀行はいっそうの利益成長を求められる。「侍」たちの引き抜きは、有価証券運用でさらなる収益を上げる必要に迫られる中で行われた。) 「国内の金利低下に対応して、運用資産を日本国債からリスク性資産に大きくシフトしてきた。運用のパラダイムシフトと呼び、PE(プライベートエクイティー)などのオルタナティブ投資を含めて多様化・分散化してきた」と、笠間氏は語る。 2023年12月末時点で、外国証券や投信の運用残高は83.3兆円と国債の41.6兆円にダブルスコアをつけ、PEや不動産といったオルタナティブ資産の残高も10兆円に達している。 市場部門のマネジメント職を歴任してきた笠間氏を新社長に据えるゆうちょにとって、目下の経営課題は2つある。1つは、有価証券運用やリテール業務と並ぶ、新たな収益柱の育成だ。 新社長発表と同日、ゆうちょはPE投資を担う子会社「ゆうちょキャピタルパートナーズ」の設立を金融庁に申請した。同社は2016年度からPE投資を始めたが、投資先はもっぱら海外企業だ。加えて、ゆうちょは投資家として出資するだけで、ファンドの組成や運用には携わっていなかった。 新会社では、ゆうちょ自らファンドマネジャーの役割を担い、国内企業へのPE投資を推進する。郵便局の店舗網や地域金融機関のネットワークを活用し、地域で活動する中小企業を発掘する』、「新会社では、ゆうちょ自らファンドマネジャーの役割を担い、国内企業へのPE投資を推進する。郵便局の店舗網や地域金融機関のネットワークを活用し、地域で活動する中小企業を発掘する」、目利きの能力はどう磨くのだろう。
・『金利上昇局面で問われる次の一手 もう1つは、金利上昇局面でのポートフォリオ構築だ。折からの海外金利の上昇を受けて、これまで収益を下支えしてきた外債では外貨調達コストが膨らみ、一部の北米オフィスビル向けローンでも引き当てが生じている。 同様に、金利に先高観がある国内では国債への回帰が焦点となりそうだ。ゆうちょの国債運用残高は2022年末の37兆円を底に、足元では反転している。日本銀行による金融緩和政策の修正で長期金利が上昇し、日本国債の投資妙味が増しているためだ。 「今まで日銀当座預金に60兆円程度を置いていたが、これからは日本国債の投資に振り向けたい」と、笠間氏は意気込む。 金融庁や大手銀行などからの「落下傘社長」が続いたゆうちょにとって、笠間氏は民営化後初の内部昇格でもある。有価証券運用やリテールなど、社内で業務経験を積んだ人物の社長就任が今後も続けば、人事面でも「民営化」に近づくことになりそうだ』、「人事面でも「民営化」に近づくことになりそうだ」とは、どう考えても、羅漢的に過ぎるようだ。
第三に、7月8日付け現代ビジネス「ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること」を紹介しよう。
・『放っておけば「経営が持たない」 日本郵政の経営が迷走している。祖業である郵便事業の赤字を主因に、2024年3月期連結決算は2期連続の最終減益に沈んだ。 今年10月には郵便料金の大幅な引き上げに踏み切るが、「2年後には赤字に逆戻りする」(日本郵便幹部)という危機的な状況。郵便事業の立て直しは焦眉の急だが、増田寛也社長(1977年旧建設省、元総務相)をはじめ、日本郵政経営陣は明確な手立てを見出せていない。 それどころか、令和国民会議(令和臨調)の共同代表や財政制度審議会の会長代理など公職をいくつも抱える増田氏は、人口減少問題への対応や財政健全化に関する提言など“副業”に熱心な様子。 「放置すれば、経営が持たなくなる」と危惧した総務省は水面下でポスト増田の人選を探るが、「政治銘柄」の日本郵政のトップを引き受けようなどという奇特な財界人はそうそう現れそうにない。 内閣支持率の低迷で岸田文雄政権のレームダック化が進む中、自民党の郵政族議員の間では郵政民営化法を改正して、日本郵政やグループ3社(日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)に対する国の経営関与を強める「先祖返り」を目指す動きまで出ており、経営の先行きは混迷を極めている』、「自民党の郵政族議員の間では郵政民営化法を改正して、日本郵政やグループ3社(日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)に対する国の経営関与を強める「先祖返り」を目指す動きまで出ており、経営の先行きは混迷を極めている」、「先祖返り」とは飛んでもない話だ。
・『自民党「族議員」と「集票マシーン」「このままでは数年で郵便事業はやっていけなくなる。郵政民営化法の)改正が急がれる」 自民党の郵政族議員らでつくる「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」が4月下旬に開いた総会。会長の山口俊一・衆院議院運営委員長(元総務副大臣)は約170人の参加議員を前にこう気勢を上げた。 議連が検討する郵政民営化法の改正案は、国政選挙における自民党の「集票マシーン」全国郵便局長会(全特)の意向を全面的に反映したものだ。 慢性赤字の日本郵便を、国の3分の1超の出資が残る親会社の日本郵政と一体化して経営基盤を強化するとともに、ゆうちょ銀行(日本郵政が現在約61%出資)と、かんぽ生命(同約49%出資)の株式の完全売却方針を撤回、日本郵政が株式3分の1超を持ち続けるのが柱となっている。 小泉純一郎政権以降の政府の郵政民営化方針を覆すような内容だが、全特にとっては政治力の源泉である地方の小規模な郵便局(旧特定郵便局)も含め全国2万4000の郵便ネットワークを確実に維持する道筋が付く』、「自民党の郵政族議員らでつくる「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」が「慢性赤字の日本郵便を、国の3分の1超の出資が残る親会社の日本郵政と一体化して経営基盤を強化するとともに、ゆうちょ銀行(日本郵政が現在約61%出資)と、かんぽ生命(同約49%出資)の株式の完全売却方針を撤回、日本郵政が株式3分の1超を持ち続けるのが柱』、業務の自由化は郵政民営化が条件だったので、従来の認可制に戻ることになる。
・『ゆうちょ銀行の「郵便局離れ」 山口会長ら議連幹部は当初、この改正案を議員立法で通常国会に提出する構えだった。ただ、自民党の派閥裏金事件を受けた政治資金改正法改正案に多くの審議時間が取られたこともあり、「臨時国会への提出を目指す方針に仕切り直しした」(同議連幹部)。 関係筋によると、郵政族議員や全特が将来の郵便局削減への危機感をにわかに高めた背景には、ゆうちょ銀行の郵便局離れの動きがあったとされる。 他の民間金融機関と同様に、窓口業務をネットバンキングサービスに置き換えて経営効率化を図りたいゆうちょ銀は今年に入り、この意向を日本郵便に正式に伝達した。 これに、ゆうちょ銀から受け取る業務委託手数料(年間3200億円弱)が減ることを恐れた日本郵便が猛反発。ゆうちょ銀社長が今春、日本郵便の経営に理解があった横浜銀行出身の池田憲人氏から、合理主義経営で鳴らすゴールドマン・サックス証券出身の笠間貴之氏に交代したこともあり、両社の関係は抜き差しならない状況となったという。 本来なら、親会社の日本郵政が調整すべき問題だが、増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ。代わって全特や自民党族議員が、日本郵政やゆうちょ銀に銀行窓口業務を縮小しないように圧力をかける動きを強め、法改正論議にまで発展した』、「窓口業務をネットバンキングサービスに置き換えて経営効率化を図りたいゆうちょ銀は今年に入り、この意向を日本郵便に正式に伝達した。 これに、ゆうちょ銀から受け取る業務委託手数料(年間3200億円弱)が減ることを恐れた日本郵便が猛反発。ゆうちょ銀社長が今春、日本郵便の経営に理解があった横浜銀行出身の池田憲人氏から、合理主義経営で鳴らすゴールドマン・サックス証券出身の笠間貴之氏に交代したこともあり、両社の関係は抜き差しならない状況となったという。 本来なら、親会社の日本郵政が調整すべき問題だが、増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ。代わって全特や自民党族議員が、日本郵政やゆうちょ銀に銀行窓口業務を縮小しないように圧力をかける動きを強め、法改正論議にまで発展した』、「増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ」、無責任ぶりもここに極まれりだ。
・『先が思いやられる 情けないのは、グループ総帥である増田社長のこの間の言動だ。 本来、「一丁目一番地」の任務であるはずの郵便事業立て直しの有効策を打ち出せないばかりか、自民党議連に対して「法改正で郵便局の位置付けが明確になれば、抜本的な財政支援につながる期待がある」などと迎合したという。 周辺筋は「元全特会長の柘植芳文氏(元総務副大臣)ら自民党の先生の機嫌を損ねないための方便」などと庇うが、民営化推進のリーダー役のトップがこんな体たらくでは、先が思いやられるというものだ。 2020年に社長に就任した増田氏は、鳴り物入りで「物流・デジタルの協業」をぶち上げた楽天グループへの1500億円もの出資が目ぼしい成果を生まないまま、楽天株価の急落で巨額の減損処理を食らう羽目になるなど、経営手腕自体も疑問視されている。 「官僚上がりのトップでは日本郵政グループの経営改革はやはり無理」と見切りを付けた総務省は、前事務次官の内藤尚志氏(1984年旧自治省)や前官房長の竹村晃一氏(1989年旧郵政省)を中心に水面下でポスト増田の社長候補を探ってきた。 ただ、初代の西川善文氏(元三井住友銀行頭取)をはじめ歴代社長は、政治と対立したり、不祥事で引責辞任を迫られたりして、ことごとく財界人としての晩節を汚している。自民党族議員や全特による“経営介入”も日常茶飯事だ。 このため「火中の栗を拾う人物が容易に見つかるとは思えない」(霞が関の経済官庁幹部)のが実情だ。かくして増田氏は6月19日の株主総会で再任され、社長5年目に突入したが、郵政民営化の先行きには暗雲が広がる』、「官僚上がりのトップでは日本郵政グループの経営改革はやはり無理」ではあっても、「民間」には「火中の栗を拾う人物が容易に見つかるとは思えない」ため、「増田氏は・・・再任され」たようだが、このままでは「日本郵政」は古い形のまま塩漬けとなり、日本経済の効率性を阻害する懸念も強い。
先ずは、昨年6月5日付け現代ビジネス「日本国民は気づいていない「郵便局長組織」のヤバすぎる実態…毎年40億円が吸い上げられていく」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/111188?imp=0
・『「全特」とも呼ばれる郵便局の裏組織・全国郵便局長会。各地方、地区の郵便局長会を土台とした郵便局長たちによる上意下達のピラミッド型組織だが、その実態は明らかになっていない。そのような組織の“闇”を暴き出した新刊『郵便局の裏組織』より、内部での異様なカネの流れを明らかにしていこう』、興味深そうだ。
・『マンション投資にまで乗り出した 広島駅から歩いて10分ほどの国の名勝「縮景園」。広島藩の初代藩主・浅野長晟が造らせた大名庭園を見下ろすように、地上13階建てのマンションは隣接している。 2016年築で、ワンルーム24戸と2LDK12戸の計36戸。賃料は30平米台のワンルームが7万〜9万円台。60平米弱の2LDKで14万〜15万円台が中心で、典型的な投資用1棟マンションだ。 所有しているのは、一般財団法人である中国地方郵便局長協会だ。所在地や役員は、任意団体である中国地方郵便局長会とほぼ同じで、法人格のない局長会に代わり、不動産保有や積立金運用などによる収益事業を行っている。いわゆる「サイフ」役の組織である。 マンションの登記簿謄本によると、中国地方郵便局長協会が山口銀行から、計7億円を年0.7%の金利で借りていた。2021年末時点では満室で、賃料収入は年間4837万円。借入利息や管理委託費、固定資産税で年1千万円超の出費があるものの、法人による不動産投資としては十分な利回りが見込めそうだ。 中国地方郵便局長協会がマンション経営に乗り出したのは、「10年後の収益事業に資する目的」だと内部文書に記されている。協会自体の目的は「郵便局の業務の円滑な運営及び会員相互の扶助に関する事業」によって「郵政事業の発展に寄与・地域貢献活動を推進」すると定款で定めている。 マンション投資が郵政事業にどう資するかは不明だが、超低金利環境が続くなか、局長向けの融資だけでは稼ぎにくくなったため、新たな収益源の開拓を「不動産投資」に見いだしたとみられる。) マンション投資に乗り出した事例は、ほかにもある。 九州郵便局長協会も、熊本市の中心部にある熊本大学病院のそばに、投資用マンション1棟を保有している。2001年築の6階建てで、九州郵便局長協会が2019年9月に無担保で購入したものだ。 1階には歯科クリニックが入居、40平米台の1LDKを中心に十数戸あり、2021年3月期には計1460万円の家賃収入があった。修繕費などの371万円を引いても1089万円の利益があり、不動産投資としては好調だ。 自社ビルでのテナント経営は、古くから続く。全国郵便局長会(全特)が財団法人を介して東京・六本木に全特ビルを所有するように、全国に12ある地方会のうち、少なくとも四つの地方会がそれぞれの拠点に自前のビルを建てて保有している。ビル内には郵便局を入居させるなどして、賃料収入を得ている。 中国地方郵便局長協会の場合、冒頭のマンションからもほど近い一等地に6階建ての自社ビル「中特会館」を持ち、1階に入居する郵便局も含めて、年4千万円超のテナント収入を得ていた。1970年竣工で電気系統機器の故障や漏水が続発したため、2023年に解体して「中特ビル(仮称)」を建て直す。新たなビルにも郵便局を置こうと画策しており、中長期の安定収益を見込んでいる。 局長組織の潤沢な投資マネー。元手となるのは、会員たちの身銭である』、「全国に12ある地方会のうち、少なくとも四つの地方会がそれぞれの拠点に自前のビルを建てて保有している・・・元手となるのは、会員たちの身銭である」、なるほど。
・『酷熱の河川敷でソフトボール 2019年9月7日、40度近い残暑が続いた東京・八王子の河川敷。青空にときおり打ち上がる白球を追いかけながら、ユニフォーム姿の男たちが歓声を上げていた。 都内16のソフトボールチームが全国大会への出場をかけて争うトーナメント戦。六つの野球グラウンドで、敗者復活や3位決定戦も含めて1日で22試合の熱戦が繰り広げられた。試合の参加者だけで200人規模。応援団や審判も入れると300人以上が週末の河川敷に集まり、汗を流した。ほぼ全員が局長である。 ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く。 1990年から続く恒例行事で、最近は新型コロナの影響で中止されてきたが、2022年から徐々に再開し、秋には沖縄県で全国大会を催した(試合は雨に見舞われ、ジャンケン大会に代わった)。 2019年の東京地方会では、出場者はみな地区会の名前が入ったユニフォームを身にまとい、運営スタッフのTシャツも地方大会のためにデザインされたものだ。計6面の野球グラウンドにそれぞれ数人の審判員を配置し、バットやグローブといった備品もそろえる。 ソフトボール大会にかかる費用は、局長限定のお遊びだけに、さすがに日本郵便の経費をあてるわけにもいかず、会員から徴収するお金が元手になる。うっかり全国大会に勝ち抜くと、臨時の遠征費まで払わされる。こうして費用を積み上げていくと、会員の負担がいかに重たいかが浮かび上がる』、「ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く・・・ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く」、なるほど。
・『巨額の集金システム 局長1人が組織のために払わされる費用の総額は、ヒラの局長でも年20万円を優に超える。積立金や保険の支払いなどを足せば、金額はもっと大きい。臨時の出費も少なくなく、部会長や地区役員といった役職に就くと徴収額はさらに増える。局長の数で単純計算すれば、少なく見積もっても年40億円超が全国で安定的に吸い上げられるシステムになっている。 年収が額面ベースで800万円程度の40代の局長を事例に、局長会活動の費用負担を概算で示すと、下記の表のようになる。 局長が負担するお金はピラミッド組織の各階層から徴収される会費だけで、年20万円前後に上る。多くの局長は就任してまもなく、局長会主催の「新任局長研修」といった場で銀行口座の引き落とし伝票を書かされる。勝手がわからないうちに「そういうものだ」と思い込ませ、自動引き落としのシステムに局長の口座をはめ込んでおく。 任意団体である郵便局長会には法人格がないため、契約を交わしたり、不動産物件を保有したりするときには、一般財団法人の地方郵便局長協会が使われる。局長から集めた積立金を元手に、局長向けの融資で利息を稼ぎ、会館やマンションといった不動産事業によって賃料収入を得る。積立金は、局長の退職時や局舎の建設時などに払い出される。 局長協会が提供する団体共済も、各地の地方会、地区会でノルマ化されている例が多い。) 局長1人につき自動車と火災、生命共済などで1件ずつ加入させるのが鉄則で、地方会事務局が地区会ごとの達成率をまとめた「推進管理表」や「未加入者リスト」を作成。総務担当の局長会役員が部会長を通じて未加入の局長に圧力をかけて回る。新米の局長には、郵便局の提携保険を解約させてでも乗り換えさせる。財政難の協会ほどノルマや進捗管理が厳しくなる。 郵政退職者連盟は、地域ごとで異なる名前の地方組織があり、現役の局長も加入させられる。選挙で協力してもらうOBへの義理立てで、毎年恒例の総会や旅行、マージャンなどに付き合う。旅行や総会に一定数の局長を参加させ、積立金や臨時出費を請求されるケースもある。 全特の元幹部が役員を務める法人が扱う地方の名産品を、郵便局の物販サービスで扱わせたり、組織を通じて局長に買わせたりしている例もある。元全特会長の個人会社が扱う青森のリンゴジュース、元副会長が手がける北海道の夕張メロンあたりが典型だ。 局長会では「防災士」の資格取得も推進している。毎年一定数の局長が1人数万円をかけて資格を得ている。費用の一部を部会費などで補助する場合もあるが、多くが局長の負担であることに変わりはない。 さらに、全特が例年5月に開く総会に参加させられるときも、そのつど10万〜20万円の臨時出費が課せられる。 部会や地区会レベルでは、強制参加の懇親行事や飲み会が数多い。局長会の会員として組織のために負担する費用は、ことのほか重い』、「局長1人につき自動車と火災、生命共済などで1件ずつ加入させるのが鉄則で、地方会事務局が地区会ごとの達成率をまとめた「推進管理表」や「未加入者リスト」を作成。総務担当の局長会役員が部会長を通じて未加入の局長に圧力をかけて回る。新米の局長には、郵便局の提携保険を解約させてでも乗り換えさせる。財政難の協会ほどノルマや進捗管理が厳しくなる」、さすがノルマと「進捗管理」に長けた組織だ。「部会や地区会レベルでは、強制参加の懇親行事や飲み会が数多い。局長会の会員として組織のために負担する費用は、ことのほか重い」、想像以上に負担が重そうだ。
次に、3月6日付け東洋経済オンライン「ゆうちょ銀行、「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/738905
・『ゆうちょ銀行は2月28日、8年ぶりとなる社長交代を発表した。 池田憲人社長は3月31日付で取締役と社長を退任し、4月1日付で笠間貴之副社長が昇格する。約200兆円もの貯金を抱える巨大金融機関の舵取りを任されたのは、長年ゆうちょの運用部隊を率いてきた人物だ』、「長年ゆうちょの運用部隊を率いてきた人物」だが、「2015年11月。当時、ゆうちょはゴールドマン・サックス証券」から移ってきたようだ。
・『「中で見つめてきた人がいい」 「(外部登用ではなく、ゆうちょを)中で見つめてきた人がいいだろうと。指名委員会ではかなりの議論をした」。3月1日に開いた記者会見で、池田社長は社長人事の経緯をこう述べた。 2007年の民営化以後、ゆうちょは5人の社長を迎えてきた。いずれも国内の行政や金融機関、事業会社での勤務経験が長い。対照的に、笠間氏はゴールドマン・サックス証券などの外資系証券会社で債券や証券化商品の運用を担ってきた。) 笠間氏がゆうちょに参画したのは2015年11月。当時、ゆうちょはゴールドマン・サックス証券やバークレイズ証券といった外資系企業から、株式や債券、デリバティブなど各部門の運用担当者を相次いで起用した。 「ゴールドマン・サックス証券時代の先輩が(ゆうちょに)入社し、『運用改革をするから、一緒に携わってくれないか』と誘いがあった」(笠間氏)。笠間氏を含めて当初7人だった外資系出身のトレーダーを、当時の長門正貢社長は「七人の侍」と称した』、給与は触れられてないが、きっと高かったのだろう。
・『外国証券・投信が国債残高を逆転 背景にあるのが、ゆうちょが推し進めてきた「脱国債」だ。銀行の名を冠しながら融資業務をほとんど認められていないゆうちょは、収益の大部分を有価証券運用に依存する。民営化当初は貯金の大半を日本国債で運用していたが、低金利政策で国債の利ザヤは潰れる一方だった。 そこでゆうちょは、ハイリスク・ハイリターンな金融商品の運用へと軸足を移す。民営化直後の2008年3月末と株式上場直前の2015年3月末における有価証券運用残高を比較すると、150兆円あった国債が3分の2に減った一方、残高がほとんどなかった外国証券や投資信託は30兆円超にまで膨らんだ。 2015年11月に株式上場を果たすと、ゆうちょ銀行はいっそうの利益成長を求められる。「侍」たちの引き抜きは、有価証券運用でさらなる収益を上げる必要に迫られる中で行われた。) 「国内の金利低下に対応して、運用資産を日本国債からリスク性資産に大きくシフトしてきた。運用のパラダイムシフトと呼び、PE(プライベートエクイティー)などのオルタナティブ投資を含めて多様化・分散化してきた」と、笠間氏は語る。 2023年12月末時点で、外国証券や投信の運用残高は83.3兆円と国債の41.6兆円にダブルスコアをつけ、PEや不動産といったオルタナティブ資産の残高も10兆円に達している。 市場部門のマネジメント職を歴任してきた笠間氏を新社長に据えるゆうちょにとって、目下の経営課題は2つある。1つは、有価証券運用やリテール業務と並ぶ、新たな収益柱の育成だ。 新社長発表と同日、ゆうちょはPE投資を担う子会社「ゆうちょキャピタルパートナーズ」の設立を金融庁に申請した。同社は2016年度からPE投資を始めたが、投資先はもっぱら海外企業だ。加えて、ゆうちょは投資家として出資するだけで、ファンドの組成や運用には携わっていなかった。 新会社では、ゆうちょ自らファンドマネジャーの役割を担い、国内企業へのPE投資を推進する。郵便局の店舗網や地域金融機関のネットワークを活用し、地域で活動する中小企業を発掘する』、「新会社では、ゆうちょ自らファンドマネジャーの役割を担い、国内企業へのPE投資を推進する。郵便局の店舗網や地域金融機関のネットワークを活用し、地域で活動する中小企業を発掘する」、目利きの能力はどう磨くのだろう。
・『金利上昇局面で問われる次の一手 もう1つは、金利上昇局面でのポートフォリオ構築だ。折からの海外金利の上昇を受けて、これまで収益を下支えしてきた外債では外貨調達コストが膨らみ、一部の北米オフィスビル向けローンでも引き当てが生じている。 同様に、金利に先高観がある国内では国債への回帰が焦点となりそうだ。ゆうちょの国債運用残高は2022年末の37兆円を底に、足元では反転している。日本銀行による金融緩和政策の修正で長期金利が上昇し、日本国債の投資妙味が増しているためだ。 「今まで日銀当座預金に60兆円程度を置いていたが、これからは日本国債の投資に振り向けたい」と、笠間氏は意気込む。 金融庁や大手銀行などからの「落下傘社長」が続いたゆうちょにとって、笠間氏は民営化後初の内部昇格でもある。有価証券運用やリテールなど、社内で業務経験を積んだ人物の社長就任が今後も続けば、人事面でも「民営化」に近づくことになりそうだ』、「人事面でも「民営化」に近づくことになりそうだ」とは、どう考えても、羅漢的に過ぎるようだ。
第三に、7月8日付け現代ビジネス「ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること」を紹介しよう。
・『放っておけば「経営が持たない」 日本郵政の経営が迷走している。祖業である郵便事業の赤字を主因に、2024年3月期連結決算は2期連続の最終減益に沈んだ。 今年10月には郵便料金の大幅な引き上げに踏み切るが、「2年後には赤字に逆戻りする」(日本郵便幹部)という危機的な状況。郵便事業の立て直しは焦眉の急だが、増田寛也社長(1977年旧建設省、元総務相)をはじめ、日本郵政経営陣は明確な手立てを見出せていない。 それどころか、令和国民会議(令和臨調)の共同代表や財政制度審議会の会長代理など公職をいくつも抱える増田氏は、人口減少問題への対応や財政健全化に関する提言など“副業”に熱心な様子。 「放置すれば、経営が持たなくなる」と危惧した総務省は水面下でポスト増田の人選を探るが、「政治銘柄」の日本郵政のトップを引き受けようなどという奇特な財界人はそうそう現れそうにない。 内閣支持率の低迷で岸田文雄政権のレームダック化が進む中、自民党の郵政族議員の間では郵政民営化法を改正して、日本郵政やグループ3社(日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)に対する国の経営関与を強める「先祖返り」を目指す動きまで出ており、経営の先行きは混迷を極めている』、「自民党の郵政族議員の間では郵政民営化法を改正して、日本郵政やグループ3社(日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)に対する国の経営関与を強める「先祖返り」を目指す動きまで出ており、経営の先行きは混迷を極めている」、「先祖返り」とは飛んでもない話だ。
・『自民党「族議員」と「集票マシーン」「このままでは数年で郵便事業はやっていけなくなる。郵政民営化法の)改正が急がれる」 自民党の郵政族議員らでつくる「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」が4月下旬に開いた総会。会長の山口俊一・衆院議院運営委員長(元総務副大臣)は約170人の参加議員を前にこう気勢を上げた。 議連が検討する郵政民営化法の改正案は、国政選挙における自民党の「集票マシーン」全国郵便局長会(全特)の意向を全面的に反映したものだ。 慢性赤字の日本郵便を、国の3分の1超の出資が残る親会社の日本郵政と一体化して経営基盤を強化するとともに、ゆうちょ銀行(日本郵政が現在約61%出資)と、かんぽ生命(同約49%出資)の株式の完全売却方針を撤回、日本郵政が株式3分の1超を持ち続けるのが柱となっている。 小泉純一郎政権以降の政府の郵政民営化方針を覆すような内容だが、全特にとっては政治力の源泉である地方の小規模な郵便局(旧特定郵便局)も含め全国2万4000の郵便ネットワークを確実に維持する道筋が付く』、「自民党の郵政族議員らでつくる「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」が「慢性赤字の日本郵便を、国の3分の1超の出資が残る親会社の日本郵政と一体化して経営基盤を強化するとともに、ゆうちょ銀行(日本郵政が現在約61%出資)と、かんぽ生命(同約49%出資)の株式の完全売却方針を撤回、日本郵政が株式3分の1超を持ち続けるのが柱』、業務の自由化は郵政民営化が条件だったので、従来の認可制に戻ることになる。
・『ゆうちょ銀行の「郵便局離れ」 山口会長ら議連幹部は当初、この改正案を議員立法で通常国会に提出する構えだった。ただ、自民党の派閥裏金事件を受けた政治資金改正法改正案に多くの審議時間が取られたこともあり、「臨時国会への提出を目指す方針に仕切り直しした」(同議連幹部)。 関係筋によると、郵政族議員や全特が将来の郵便局削減への危機感をにわかに高めた背景には、ゆうちょ銀行の郵便局離れの動きがあったとされる。 他の民間金融機関と同様に、窓口業務をネットバンキングサービスに置き換えて経営効率化を図りたいゆうちょ銀は今年に入り、この意向を日本郵便に正式に伝達した。 これに、ゆうちょ銀から受け取る業務委託手数料(年間3200億円弱)が減ることを恐れた日本郵便が猛反発。ゆうちょ銀社長が今春、日本郵便の経営に理解があった横浜銀行出身の池田憲人氏から、合理主義経営で鳴らすゴールドマン・サックス証券出身の笠間貴之氏に交代したこともあり、両社の関係は抜き差しならない状況となったという。 本来なら、親会社の日本郵政が調整すべき問題だが、増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ。代わって全特や自民党族議員が、日本郵政やゆうちょ銀に銀行窓口業務を縮小しないように圧力をかける動きを強め、法改正論議にまで発展した』、「窓口業務をネットバンキングサービスに置き換えて経営効率化を図りたいゆうちょ銀は今年に入り、この意向を日本郵便に正式に伝達した。 これに、ゆうちょ銀から受け取る業務委託手数料(年間3200億円弱)が減ることを恐れた日本郵便が猛反発。ゆうちょ銀社長が今春、日本郵便の経営に理解があった横浜銀行出身の池田憲人氏から、合理主義経営で鳴らすゴールドマン・サックス証券出身の笠間貴之氏に交代したこともあり、両社の関係は抜き差しならない状況となったという。 本来なら、親会社の日本郵政が調整すべき問題だが、増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ。代わって全特や自民党族議員が、日本郵政やゆうちょ銀に銀行窓口業務を縮小しないように圧力をかける動きを強め、法改正論議にまで発展した』、「増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ」、無責任ぶりもここに極まれりだ。
・『先が思いやられる 情けないのは、グループ総帥である増田社長のこの間の言動だ。 本来、「一丁目一番地」の任務であるはずの郵便事業立て直しの有効策を打ち出せないばかりか、自民党議連に対して「法改正で郵便局の位置付けが明確になれば、抜本的な財政支援につながる期待がある」などと迎合したという。 周辺筋は「元全特会長の柘植芳文氏(元総務副大臣)ら自民党の先生の機嫌を損ねないための方便」などと庇うが、民営化推進のリーダー役のトップがこんな体たらくでは、先が思いやられるというものだ。 2020年に社長に就任した増田氏は、鳴り物入りで「物流・デジタルの協業」をぶち上げた楽天グループへの1500億円もの出資が目ぼしい成果を生まないまま、楽天株価の急落で巨額の減損処理を食らう羽目になるなど、経営手腕自体も疑問視されている。 「官僚上がりのトップでは日本郵政グループの経営改革はやはり無理」と見切りを付けた総務省は、前事務次官の内藤尚志氏(1984年旧自治省)や前官房長の竹村晃一氏(1989年旧郵政省)を中心に水面下でポスト増田の社長候補を探ってきた。 ただ、初代の西川善文氏(元三井住友銀行頭取)をはじめ歴代社長は、政治と対立したり、不祥事で引責辞任を迫られたりして、ことごとく財界人としての晩節を汚している。自民党族議員や全特による“経営介入”も日常茶飯事だ。 このため「火中の栗を拾う人物が容易に見つかるとは思えない」(霞が関の経済官庁幹部)のが実情だ。かくして増田氏は6月19日の株主総会で再任され、社長5年目に突入したが、郵政民営化の先行きには暗雲が広がる』、「官僚上がりのトップでは日本郵政グループの経営改革はやはり無理」ではあっても、「民間」には「火中の栗を拾う人物が容易に見つかるとは思えない」ため、「増田氏は・・・再任され」たようだが、このままでは「日本郵政」は古い形のまま塩漬けとなり、日本経済の効率性を阻害する懸念も強い。
タグ:現代ビジネス「日本国民は気づいていない「郵便局長組織」のヤバすぎる実態…毎年40億円が吸い上げられていく」 (その19)(民のカネを投入してまで維持する意味があるのか」組織に根付いた"郵便局体質"の害悪 民間企業で十分カバーできるのに、ゆうちょ銀行 「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう、ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること) 「官僚上がりのトップでは日本郵政グループの経営改革はやはり無理」ではあっても、「民間」には「火中の栗を拾う人物が容易に見つかるとは思えない」ため、「増田氏は・・・再任され」たようだが、このままでは「日本郵政」は古い形のまま塩漬けとなり、日本経済の効率性を阻害する懸念も強い。 「増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ」、無責任ぶりもここに極まれりだ。 業務の自由化は郵政民営化が条件だったので、従来の認可制に戻ることになる。 「自民党の郵政族議員の間では郵政民営化法を改正して、日本郵政やグループ3社(日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)に対する国の経営関与を強める「先祖返り」を目指す動きまで出ており、経営の先行きは混迷を極めている」、「先祖返り」とは飛んでもない話だ。 現代ビジネス「ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること」 日本郵政 「人事面でも「民営化」に近づくことになりそうだ」とは、どう考えても、羅漢的に過ぎるようだ。 目利きの能力はどう磨くのだろう。 給与は触れられてないが、きっと高かったのだろう。 「長年ゆうちょの運用部隊を率いてきた人物」だが、「2015年11月。当時、ゆうちょはゴールドマン・サックス証券」から移ってきたようだ。 東洋経済オンライン「ゆうちょ銀行、「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう」 以上に負担が重そうだ。 「局長1人につき自動車と火災、生命共済などで1件ずつ加入させるのが鉄則で、地方会事務局が地区会ごとの達成率をまとめた「推進管理表」や「未加入者リスト」を作成。総務担当の局長会役員が部会長を通じて未加入の局長に圧力をかけて回る。新米の局長には、郵便局の提携保険を解約させてでも乗り換えさせる。財政難の協会ほどノルマや進捗管理が厳しくなる」、さすがノルマと「進捗管理」に長けた組織だ。「部会や地区会レベルでは、強制参加の懇親行事や飲み会が数多い。局長会の会員として組織のために負担する費用は、ことのほか重い」、想像 「ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く・・・ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く」、なるほど。 「全国に12ある地方会のうち、少なくとも四つの地方会がそれぞれの拠点に自前のビルを建てて保有している・・・元手となるのは、会員たちの身銭である」、なるほど。 『郵便局の裏組織』
小池都知事問題(その13)(「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない.」、都知事選 小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す) [国内政治]
小池都知事問題については、本年6月23日に取上げた。投開票日の今日は、(その13)(「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない」、都知事選 小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す)である。
先ずは、7月6日付けデイリー新潮「「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない」」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/07060558/?all=1
・『都幹部14人が三井不動産グループに天下り(神宮外苑、築地市場跡地、五輪選手村を改修した「晴海フラッグ」。東京都内で進められるこれら三つの「巨額再開発事業」を、同じ企業が主導している事実をご存じだろうか。都庁OB14人の天下りを受け入れる三井不動産グループと都の、「癒着の構図」とは――。【前後編の前編】 「週刊新潮」7月4日号では、小池百合子都知事(71)がついぞメスを入れられなかった都の「暗部」、都庁OBの外郭団体への天下りの実態について詳報した。小池氏に尽くして出世すれば「東京地下鉄株式会社」(東京メトロ)社長などの天下り先が用意され、1500万円以上の年収が保障される。庶民感覚からかけ離れた「天下り天国」。それと同等、いやそれ以上に闇が深いのが、民間企業への天下りである』、都庁幹部の「民間企業への天下り」とはいい着眼点だ。
・『〈都幹部14人 三井不天下り〉(6月16日、そんな見出しで都庁OBの三井不動産グループ2社への天下りについて報じたのは「しんぶん赤旗」だ。記事によると都市整備局(旧都市計画局)元局長や同局元参事ら12人が三井不動産に、同局元所長ら2人が三井不動産レジデンシャルに天下っていたという。同社グループへの天下りが特に問題視されるのは、都の大型再開発事業を同社が複数主導しているからである。具体的には、神宮外苑、築地市場跡地、東京五輪・パラの選手村を改修した「晴海フラッグ」の三つだ。「元総理の影」「疑惑の都技監」――再開発事業の背景にちらつくキーワードを踏まえながら闇の奥に光をあてたい』、出所が「しんぶん赤旗」とは、さすがよく調べている。
・『坂本龍一、桑田佳祐も再開発に反対 まずは神宮外苑。ここで進められている「神宮外苑地区まちづくり」の事業者は三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事の4社である。老朽化が進む神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えた上でそれぞれ建て直し、新しい神宮球場の近くに三井不動産や伊藤忠商事が超高層ビルを建てる――というのが再開発計画の中身だ。 外苑内の樹木が伐採されることに対する批判の声が広がるにつれて注目を集めるようになったこの再開発計画。特に都が再開発を認可した直後の昨年3月、がん闘病中だった音楽家の故・坂本龍一氏が再開発見直しを訴える手紙を小池氏らに送ったことの影響は大きかった。同年9月には歌手の桑田佳祐氏も再開発を憂える曲を発表し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が緊急声明を発する事態に。こうした動きの末、小池氏は事業者に対して、樹木保全の具体策を、伐採開始前に報告することを求めた。つまり小池氏が伐採に「待った」をかけたわけである。 「都合が悪くなったらこっちのせいにしてくると思っていた」 「小池都知事はデベロッパーに責任を押し付けているみたいだけど、彼女のことだから都合が悪くなったらこっちのせいにしてくるとは思っていたよ」 恨み節を述べるのは、さる三井不動産OBである。 「神宮外苑の再開発地域の土地の所有者は明治神宮やJSCでしょ。自分たちのものではない樹木の伐採で、なぜ三井不動産が批判され、悪者にされなければならないのか……」 今回の都知事選でも取り沙汰されることになった神宮外苑の再開発計画に都がゴーサインを出すまでの経緯をたどっていくと、ある人物に行き当たる。森喜朗元総理だ』、「森喜朗元総理」が黒幕とはあり得る話だ。
・『「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 「神宮外苑の再開発計画は、故・石原慎太郎都知事の時代にスタートしています。そして、オリンピック招致に失敗した後、森元総理が石原さんを“もう一度オリンピック招致に挑戦しよう”と説得するあたりから本格化します」 元都庁幹部の澤章氏はそう語る。 「明治神宮外苑は都市公園で風致地区でもあるので元々、いろいろな規制がかかっています。その規制をかけているのが、都の都市整備局です。そこが神宮外苑の規制を取っ払う手続きをして、容積率をバーンと上げて、三井不動産などが高層ビルを建てて儲けられるようにお膳立てをしてきたわけです」 石原元知事がオリンピック招致への再挑戦を表明したのは東日本大震災から4カ月後の2011年7月。翌12年5月、当時の東京都副知事の佐藤広氏と都市整備局幹部の安井順一氏の二人が、議員会館に森元総理を訪ねた時の興味深いやり取りが都の内部記録に残されている。 神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て直すという、まさに今現在進んでいる再開発計画と同じ構想を安井氏が示すと、森元総理は次のように応じたという』、「「明治神宮外苑は都市公園で風致地区でもあるので元々、いろいろな規制がかかっています。その規制をかけているのが、都の都市整備局です。そこが神宮外苑の規制を取っ払う手続きをして、容積率をバーンと上げて、三井不動産などが高層ビルを建てて儲けられるようにお膳立てをしてきたわけです」、やはり東京都側の規制緩和が大きな役割を果たしたようだ。
・『〈素晴らしい案じゃないか。長生きしないと〉 構想を示した安井氏はその後、役人として副知事に次ぐナンバー2の地位「都技監」に昇進している。 都議も「これほど怪しい話はない」 三井不動産などがこの構想に沿う形で再開発に向けた協議を始めたのは13年ごろ。当時の都知事は石原氏の後継の猪瀬直樹氏である。その後、都知事の座は舛添要一氏を経て小池氏に移り、21年12月、都は再開発の詳細な内容を示した都市計画案を公表。翌22年8月には、再開発で建て替えられる新秩父宮ラグビー場を整備、運営する事業者を選ぶ一般競争入札が行われている。 入札に臨んだのは以下の三つの企業グループだ。「楽天、清水建設、TBS」「鹿島建設、三井不動産、東京ドーム」「三菱地所、大成建設、電通」。選ばれたのは、「鹿島建設、三井不動産、東京ドーム」のグループだった。入札価格は清水建設のグループが約226億円、三菱地所のグループが約358億円だったのに対し、三井不動産のグループは1桁少ない約82億円だった。 この再開発の問題点を都議会で追及してきた日本共産党の原田あきら都議が言う。 「そもそも神宮外苑の再開発は、三井不動産が主導している事業です。その企業が、新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札していく。これほど怪しい話はありません」 出来レース。そう批判する声が聞こえてくるのも無理からぬことだが、やはり同様のささやき声が聞こえてくるのが、築地市場跡地の再開発事業「築地地区まちづくり事業」である。 後編「『“松井秀喜監督誕生”と築地への本拠地移転を狙う読売』『晴海フラッグは9割引きで投げ売りされた』 東京都と三井不動産の“癒着”、驚愕の裏側とは」では、「築地地区まちづくり事業」「晴海フラッグ」など三井不動産が再開発を手がける案件について紹介しながら、都政と同社の“癒着”の裏側について徹底取材をしている。 週刊新潮 2024年7月11日号掲載 特集「『巨額再開発事業』の本丸に『幹部14人が天下り』『小池知事』が肥大させる『東京都』と『三井不動産』癒着の伏魔殿」より』、「そもそも神宮外苑の再開発は、三井不動産が主導している事業です。その企業が、新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札していく。これほど怪しい話はありません」 出来レース。そう批判する声が聞こえてくるのも無理からぬことだが、やはり同様のささやき声が聞こえてくるのが、築地市場跡地の再開発事業「築地地区まちづくり事業」である」、叩けばホコリがいくらでも出てきそうだが、小池都知事の当選で闇に葬られるのだろう。
次に、7月7日20:02付け日経新聞「都知事選、小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す」を紹介しよう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC036MD0T00C24A7000000/
・『任期満了に伴う東京都知事選挙が7日投開票され、現職の小池百合子氏(71)が3選を確実にした。子育て世帯への支援拡大や医療体制の充実といった2期8年の実績を掲げ、前参院議員の蓮舫氏(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)らを破った。 小池氏は自民、公明両党、蓮舫氏は立憲民主党や共産党がそれぞれ支援した。 選挙戦の序盤から小池氏が一歩先行し、蓮舫氏や石丸氏が追う展開だった。小池氏は政治資金問題を抱える自民党への逆風などを意識し、選挙運動では政党色を抑えた。支援を受ける政党のほか無党派層も取り込み、リードを守った。 公約に保育料無償化の拡大、無痛分娩への助成といった子育て支援策のほか、認知症専門病院の新設などを掲げ、支持を集めた。日本経済新聞の情勢調査では小池都政を「評価する」と答えた有権者が「評価しない」を上回り、2期8年の実績への評価も安定した戦いにつながった。 自民党は4月の衆院3補欠選挙の全敗に続き、地方選挙での敗北が目立っていた。独自候補ではないものの、自主的に支援した小池氏の勝利を党内では前向きに受け止める声が多い。 連敗は止めた格好だが、都知事選と同日投開票の都議補選では苦戦している選挙区が多い。都知事選の勝利がどこまで党勢回復につながるか不透明感が残る。 蓮舫氏が告示直前まで所属した立民は都知事選での勝利を次期衆院選の弾みにする狙いだったが、思惑通りにならなかった。蓮舫氏は立民、共産両党の支持層には浸透したものの、無党派層への広がりを欠いた。次期衆院選での「野党共闘」に影響する可能性がある。 石丸氏は敗れたものの、主要政党の支援を受けずに支持層を拡大し、小池氏や蓮舫氏と並んで注目された。既成政党への不満や政治不信を抱える有権者の一定の受け皿になったとみられる。元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)は支持層が広がらず伸び悩んだ。 都知事選には過去最多の56人が立候補した。ポスター掲示板の枠が足りなくなったり、候補者と関係のないポスターが多数張られたりと混乱やトラブルが相次いだ。政見放送でも都政とは無関係の主張やパフォーマンスが目立ち、選挙をめぐる現行制度のあり方が問われた。 東京都選挙管理委員会によると7日午後6時時点の投票率は33.07%だった。2020年の前回選挙の同時刻に比べて0.43ポイント低かった。期日前の投票者数は215万1251人で投票率は18.65%だった』、開票直後に当確が出るとは余程大差がついたのだろう。「蓮舫氏は立民、共産両党の支持層には浸透したものの、無党派層への広がりを欠いた。次期衆院選での「野党共闘」に影響する可能性がある」、「蓮舫」陣営は運動が上滑り気味だった。選挙運動などについての詳細な分析は今後出てきた段階で紹介したい。
先ずは、7月6日付けデイリー新潮「「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない」」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/07060558/?all=1
・『都幹部14人が三井不動産グループに天下り(神宮外苑、築地市場跡地、五輪選手村を改修した「晴海フラッグ」。東京都内で進められるこれら三つの「巨額再開発事業」を、同じ企業が主導している事実をご存じだろうか。都庁OB14人の天下りを受け入れる三井不動産グループと都の、「癒着の構図」とは――。【前後編の前編】 「週刊新潮」7月4日号では、小池百合子都知事(71)がついぞメスを入れられなかった都の「暗部」、都庁OBの外郭団体への天下りの実態について詳報した。小池氏に尽くして出世すれば「東京地下鉄株式会社」(東京メトロ)社長などの天下り先が用意され、1500万円以上の年収が保障される。庶民感覚からかけ離れた「天下り天国」。それと同等、いやそれ以上に闇が深いのが、民間企業への天下りである』、都庁幹部の「民間企業への天下り」とはいい着眼点だ。
・『〈都幹部14人 三井不天下り〉(6月16日、そんな見出しで都庁OBの三井不動産グループ2社への天下りについて報じたのは「しんぶん赤旗」だ。記事によると都市整備局(旧都市計画局)元局長や同局元参事ら12人が三井不動産に、同局元所長ら2人が三井不動産レジデンシャルに天下っていたという。同社グループへの天下りが特に問題視されるのは、都の大型再開発事業を同社が複数主導しているからである。具体的には、神宮外苑、築地市場跡地、東京五輪・パラの選手村を改修した「晴海フラッグ」の三つだ。「元総理の影」「疑惑の都技監」――再開発事業の背景にちらつくキーワードを踏まえながら闇の奥に光をあてたい』、出所が「しんぶん赤旗」とは、さすがよく調べている。
・『坂本龍一、桑田佳祐も再開発に反対 まずは神宮外苑。ここで進められている「神宮外苑地区まちづくり」の事業者は三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事の4社である。老朽化が進む神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えた上でそれぞれ建て直し、新しい神宮球場の近くに三井不動産や伊藤忠商事が超高層ビルを建てる――というのが再開発計画の中身だ。 外苑内の樹木が伐採されることに対する批判の声が広がるにつれて注目を集めるようになったこの再開発計画。特に都が再開発を認可した直後の昨年3月、がん闘病中だった音楽家の故・坂本龍一氏が再開発見直しを訴える手紙を小池氏らに送ったことの影響は大きかった。同年9月には歌手の桑田佳祐氏も再開発を憂える曲を発表し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が緊急声明を発する事態に。こうした動きの末、小池氏は事業者に対して、樹木保全の具体策を、伐採開始前に報告することを求めた。つまり小池氏が伐採に「待った」をかけたわけである。 「都合が悪くなったらこっちのせいにしてくると思っていた」 「小池都知事はデベロッパーに責任を押し付けているみたいだけど、彼女のことだから都合が悪くなったらこっちのせいにしてくるとは思っていたよ」 恨み節を述べるのは、さる三井不動産OBである。 「神宮外苑の再開発地域の土地の所有者は明治神宮やJSCでしょ。自分たちのものではない樹木の伐採で、なぜ三井不動産が批判され、悪者にされなければならないのか……」 今回の都知事選でも取り沙汰されることになった神宮外苑の再開発計画に都がゴーサインを出すまでの経緯をたどっていくと、ある人物に行き当たる。森喜朗元総理だ』、「森喜朗元総理」が黒幕とはあり得る話だ。
・『「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 「神宮外苑の再開発計画は、故・石原慎太郎都知事の時代にスタートしています。そして、オリンピック招致に失敗した後、森元総理が石原さんを“もう一度オリンピック招致に挑戦しよう”と説得するあたりから本格化します」 元都庁幹部の澤章氏はそう語る。 「明治神宮外苑は都市公園で風致地区でもあるので元々、いろいろな規制がかかっています。その規制をかけているのが、都の都市整備局です。そこが神宮外苑の規制を取っ払う手続きをして、容積率をバーンと上げて、三井不動産などが高層ビルを建てて儲けられるようにお膳立てをしてきたわけです」 石原元知事がオリンピック招致への再挑戦を表明したのは東日本大震災から4カ月後の2011年7月。翌12年5月、当時の東京都副知事の佐藤広氏と都市整備局幹部の安井順一氏の二人が、議員会館に森元総理を訪ねた時の興味深いやり取りが都の内部記録に残されている。 神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て直すという、まさに今現在進んでいる再開発計画と同じ構想を安井氏が示すと、森元総理は次のように応じたという』、「「明治神宮外苑は都市公園で風致地区でもあるので元々、いろいろな規制がかかっています。その規制をかけているのが、都の都市整備局です。そこが神宮外苑の規制を取っ払う手続きをして、容積率をバーンと上げて、三井不動産などが高層ビルを建てて儲けられるようにお膳立てをしてきたわけです」、やはり東京都側の規制緩和が大きな役割を果たしたようだ。
・『〈素晴らしい案じゃないか。長生きしないと〉 構想を示した安井氏はその後、役人として副知事に次ぐナンバー2の地位「都技監」に昇進している。 都議も「これほど怪しい話はない」 三井不動産などがこの構想に沿う形で再開発に向けた協議を始めたのは13年ごろ。当時の都知事は石原氏の後継の猪瀬直樹氏である。その後、都知事の座は舛添要一氏を経て小池氏に移り、21年12月、都は再開発の詳細な内容を示した都市計画案を公表。翌22年8月には、再開発で建て替えられる新秩父宮ラグビー場を整備、運営する事業者を選ぶ一般競争入札が行われている。 入札に臨んだのは以下の三つの企業グループだ。「楽天、清水建設、TBS」「鹿島建設、三井不動産、東京ドーム」「三菱地所、大成建設、電通」。選ばれたのは、「鹿島建設、三井不動産、東京ドーム」のグループだった。入札価格は清水建設のグループが約226億円、三菱地所のグループが約358億円だったのに対し、三井不動産のグループは1桁少ない約82億円だった。 この再開発の問題点を都議会で追及してきた日本共産党の原田あきら都議が言う。 「そもそも神宮外苑の再開発は、三井不動産が主導している事業です。その企業が、新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札していく。これほど怪しい話はありません」 出来レース。そう批判する声が聞こえてくるのも無理からぬことだが、やはり同様のささやき声が聞こえてくるのが、築地市場跡地の再開発事業「築地地区まちづくり事業」である。 後編「『“松井秀喜監督誕生”と築地への本拠地移転を狙う読売』『晴海フラッグは9割引きで投げ売りされた』 東京都と三井不動産の“癒着”、驚愕の裏側とは」では、「築地地区まちづくり事業」「晴海フラッグ」など三井不動産が再開発を手がける案件について紹介しながら、都政と同社の“癒着”の裏側について徹底取材をしている。 週刊新潮 2024年7月11日号掲載 特集「『巨額再開発事業』の本丸に『幹部14人が天下り』『小池知事』が肥大させる『東京都』と『三井不動産』癒着の伏魔殿」より』、「そもそも神宮外苑の再開発は、三井不動産が主導している事業です。その企業が、新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札していく。これほど怪しい話はありません」 出来レース。そう批判する声が聞こえてくるのも無理からぬことだが、やはり同様のささやき声が聞こえてくるのが、築地市場跡地の再開発事業「築地地区まちづくり事業」である」、叩けばホコリがいくらでも出てきそうだが、小池都知事の当選で闇に葬られるのだろう。
次に、7月7日20:02付け日経新聞「都知事選、小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す」を紹介しよう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC036MD0T00C24A7000000/
・『任期満了に伴う東京都知事選挙が7日投開票され、現職の小池百合子氏(71)が3選を確実にした。子育て世帯への支援拡大や医療体制の充実といった2期8年の実績を掲げ、前参院議員の蓮舫氏(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)らを破った。 小池氏は自民、公明両党、蓮舫氏は立憲民主党や共産党がそれぞれ支援した。 選挙戦の序盤から小池氏が一歩先行し、蓮舫氏や石丸氏が追う展開だった。小池氏は政治資金問題を抱える自民党への逆風などを意識し、選挙運動では政党色を抑えた。支援を受ける政党のほか無党派層も取り込み、リードを守った。 公約に保育料無償化の拡大、無痛分娩への助成といった子育て支援策のほか、認知症専門病院の新設などを掲げ、支持を集めた。日本経済新聞の情勢調査では小池都政を「評価する」と答えた有権者が「評価しない」を上回り、2期8年の実績への評価も安定した戦いにつながった。 自民党は4月の衆院3補欠選挙の全敗に続き、地方選挙での敗北が目立っていた。独自候補ではないものの、自主的に支援した小池氏の勝利を党内では前向きに受け止める声が多い。 連敗は止めた格好だが、都知事選と同日投開票の都議補選では苦戦している選挙区が多い。都知事選の勝利がどこまで党勢回復につながるか不透明感が残る。 蓮舫氏が告示直前まで所属した立民は都知事選での勝利を次期衆院選の弾みにする狙いだったが、思惑通りにならなかった。蓮舫氏は立民、共産両党の支持層には浸透したものの、無党派層への広がりを欠いた。次期衆院選での「野党共闘」に影響する可能性がある。 石丸氏は敗れたものの、主要政党の支援を受けずに支持層を拡大し、小池氏や蓮舫氏と並んで注目された。既成政党への不満や政治不信を抱える有権者の一定の受け皿になったとみられる。元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)は支持層が広がらず伸び悩んだ。 都知事選には過去最多の56人が立候補した。ポスター掲示板の枠が足りなくなったり、候補者と関係のないポスターが多数張られたりと混乱やトラブルが相次いだ。政見放送でも都政とは無関係の主張やパフォーマンスが目立ち、選挙をめぐる現行制度のあり方が問われた。 東京都選挙管理委員会によると7日午後6時時点の投票率は33.07%だった。2020年の前回選挙の同時刻に比べて0.43ポイント低かった。期日前の投票者数は215万1251人で投票率は18.65%だった』、開票直後に当確が出るとは余程大差がついたのだろう。「蓮舫氏は立民、共産両党の支持層には浸透したものの、無党派層への広がりを欠いた。次期衆院選での「野党共闘」に影響する可能性がある」、「蓮舫」陣営は運動が上滑り気味だった。選挙運動などについての詳細な分析は今後出てきた段階で紹介したい。
タグ:小池都知事問題 (その13)(「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない.」、都知事選 小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す) デイリー新潮「「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない」」 都庁幹部の「民間企業への天下り」とはいい着眼点だ。 出所が「しんぶん赤旗」とは、さすがよく調べている。 「森喜朗元総理」が黒幕とはあり得る話だ。 「「明治神宮外苑は都市公園で風致地区でもあるので元々、いろいろな規制がかかっています。その規制をかけているのが、都の都市整備局です。そこが神宮外苑の規制を取っ払う手続きをして、容積率をバーンと上げて、三井不動産などが高層ビルを建てて儲けられるようにお膳立てをしてきたわけです」、やはり東京都側の規制緩和が大きな役割を果たしたようだ。 「そもそも神宮外苑の再開発は、三井不動産が主導している事業です。その企業が、新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札していく。これほど怪しい話はありません」 出来レース。そう批判する声が聞こえてくるのも無理からぬことだが、やはり同様のささやき声が聞こえてくるのが、築地市場跡地の再開発事業「築地地区まちづくり事業」である」、叩けばホコリがいくらでも出てきそうだが、小池都知事の当選で闇に葬られるのだろう。 日経新聞「都知事選、小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す」 開票直後に当確が出るとは余程大差がついたのだろう。「蓮舫氏は立民、共産両党の支持層には浸透したものの、無党派層への広がりを欠いた。次期衆院選での「野党共闘」に影響する可能性がある」、「蓮舫」陣営は運動が上滑り気味だった。選挙運動などについての詳細な分析は今後出てきた段階で紹介したい。
維新の会(その9)(維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO、維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」、吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」、迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及) [国内政治]
維新の会については、昨年12月28日に取上げた。今日は、(その9)(維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO、維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」、吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」、迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及)である。
先ずは、本年4月23日付け日刊ゲンダイ「維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/339291
・『勢いに陰りか。「維新の会」が隆盛を誇るはずの大阪で、大東市長選(21日投開票)が維新公認候補の敗北に終わった。同市を含む衆院大阪12区は日本維新の会の藤田幹事長の地元。何があったのか。 今回の市長選は、3期務めた現職の東坂浩一市長が4選不出馬を表明したことで、新人3人が争う構図に。維新は大東市長選で初の公認候補として石垣直紀前市議を擁立。無所属新人の逢坂伸子元市課長と、無所属新人の松浦哲朗元中学校教諭(共産推薦)としのぎを削った。結局、1万7204票を獲得した逢坂氏が石垣氏に約2000票差をつけて接戦を制した。 維新内部はまさかの敗北に激震が走るが、無理もない。大阪12区は幹事長の地元でありながら、四條畷市長選(2020年)と寝屋川市長選(23年)も落としているからだ。 来年4月に開幕を控える大阪・関西万博の準備をめぐるゴタゴタも“維新離れ”に拍車をかけている感は否めないが、地元の政界関係者は次のように解説する。 「藤田幹事長の“お膝元”なので、当然、市長候補を出さないわけにはいかないし、事前の調査では維新が候補を立てれば他の候補にダブルスコアをつけられるとの見立てすら出ていた。楽観視されていたものの、肝心の人選がまったく進まず、候補者が正式に決まったのは告示の1週間前。『維新の看板なら勝てるやろ』ということで急きょ、市議の石垣さんに白羽の矢が立ったのです。いくら幹事長の地元でも、急ごしらえの候補者では勝てませんよ」』、「大阪12区は幹事長の地元でありながら」、「今回の「大東市市長選」だけでなく、「四條畷市長選(2020年)と寝屋川市長選(23年)も落としているからだ」、しかも「候補者が正式に決まったのは告示の1週間前」、これでは勝てる選挙も落とすのは必死だ。
・『■人選が良ければ勝てる戦いだった 市長選は調子に乗って痛い目を見るダサい敗北だったわけだが、面白いことに市議選は維新が1議席増。計17議席のうち5議席を占めた。 「維新に対する風当たりは、強くないとはいえ、党勢拡大の数字にとらわれたやり口は市長選を通じて市民に見透かされたと思います。逆に人選が良ければ勝てる戦いだったわけですから」(前出の関係者) 有権者は候補者をちゃんと見ている。ノリでイケると思ったら、また痛い目に遭うで』、「有権者は候補者をちゃんと見ている。ノリでイケると思ったら、また痛い目に遭うで」、その通りだ。
次に、6月4日付け日刊ゲンダイ「維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/341074
・『まさか、こんな簡単にパクッと食いつくとは──。自民党議員も驚いているらしい。 自民党が新たに提示した「政治資金規正法改正案」に賛成すると決めた「日本維新の会」。維新の馬場代表は、自民党の岸田総裁と「合意書」までかわしている。 馬場代表は「一歩でも二歩でも改革を進めていくのが維新だ」「100%我が党の考え方が通った」と満足げだったが、さすがに、維新の議員からは「次期衆院選にマイナスだ」と嘆きの声があがっている。自民党案は、実際にはほぼ「ゼロ回答」だからだ。 もともと維新は主要野党と一緒に、+企業・団体献金の禁止+政策活動費の廃止または領収書の全面公開+議員が会計責任者と同等の責任を負う「連座制」の導入--の3点セットを自民党に求めていたが、自民党の修正案にはまったく入っていない。 しかも、自民党と「合意」した、①旧文通費の使途公開②政策活動費の領収書などの10年後の公開--も、実行される保証がない。維新が自民とかわした「合意文書」は、旧文通費をめぐって維新が求めていた「今国会で結論を得る」ことに触れていない。さらに、政策活動費の公開についても、領収書の公開のあり方は「細部はこれから詰めていく」という。) これには、維新を創設した橋下徹弁護士も「当初は(自民党が)維新の案を丸のみしたのかと思ったが、(改正案の)文面を見てみると、全部『検討』ばかり」「検討すると言って結局やっていないのが、いまの自民党政治だ」「維新が『検討』のままで(改革案に)賛成したら、国民から総スカンを食らうんじゃないのか」と疑問視していたほどだ。 なのに、どうして馬場代表は、自民党が差し出した餌にパクッと食いついたのか。政界では、馬場代表の「入閣説」が囁かれている。 「もともと自民党の地方議員だった馬場さんは、自民党と連立を組むことにまったく抵抗がないのだと思う。5月17日に配信されたラジオNIKKEIのポッドキャスト番組に出演した時、『政策が実現するなら与党に入る選択肢は排除しないのか』と問われ、『そういうことです』と答えただけでなく、その後、吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている。『万博担当大臣』として入閣する“密約”があるのではないか、という見方もでています」(政界関係者) 「維新は第2自民党」と公言している馬場代表。連立入りした方が、有権者もスッキリするのではないか』、「橋下徹弁護士も「当初は(自民党が)維新の案を丸のみしたのかと思ったが、(改正案の)文面を見てみると、全部『検討』ばかり」「検討すると言って結局やっていないのが、いまの自民党政治だ」「維新が『検討』のままで(改革案に)賛成したら、国民から総スカンを食らうんじゃないのか」と疑問視していたほどだ。 なのに、どうして馬場代表は、自民党が差し出した餌にパクッと食いついたのか。政界では、馬場代表の「入閣説」が囁かれている。 「もともと自民党の地方議員だった馬場さんは、自民党と連立を組むことにまったく抵抗がないのだと思う。5月17日に配信されたラジオNIKKEIのポッドキャスト番組に出演した時、『政策が実現するなら与党に入る選択肢は排除しないのか』と問われ、『そういうことです』と答えただけでなく、その後、吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている。衆院では自民党案に賛成、参院では反対するというみっともない行動を取った裏には、「馬場代表の「入閣説」」があったというのは説得的だ。「吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている」、これは確信犯だ。
第三に、6月12日付けNEWSポストセブン「吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20240612_1970112.html?DETAIL
・『2023年の大阪府知事選で70%超の得票率で当選した吉村洋文・知事には、メディアを通じた歯切れの良い発言で“改革派”のイメージが強い。そこに実態は伴っているのか。ノンフィクション作家・広野真嗣氏が追った。 5月31日、吉村知事は「“期限を定めない検討”って何なんですか」と、吐き捨てるように言った。その前日、自家用車を使って客を運ぶ「ライドシェア(RS)」の全面解禁の判断を先送りした政府をこきおろしたのである。 政府は4月以降、東京都や大阪府などの主要都市で地域と時間を限定した「日本版RS」を解禁したが、吉村氏は「極めて不十分」と批判し、返す刀で大阪万博期間中の大幅な緩和を要求する。 だが、この吉村氏の主張には、「派手な“改革”に飛びつくが、国民の切実な課題は後回し」という姿勢が端的に現われてはいないか──。 日本国際博覧会協会(以下、万博協会)は、2025年4月の開幕から184日間で、延べ2820万人の来場を見込む。最大で1日22.7万人が足を運ぶという。東京ディズニーリゾートの1日平均の来場者8万9000人(過去最多の2018年)の3倍近い数字だ。 “そんなに来るのか”というのが率直な感想だが、府の局長経験者は「見込み通りだと輸送がパンクしかねない」と話した。 「本来、輸送を牽引するのは鉄道ですが、万博開催までに会場の夢洲につながるのは、東西を結ぶ大阪メトロ中央線1本だけ。梅田に直結してないから不便だし、通勤と重なる時間帯に大量の乗り換えが生じる。客だけやなしに、数万人の万博スタッフも運ぶわけで、えらい混雑になる」 JRや京阪電鉄にも夢洲延伸案はあるが、IR実現を見極めているのか進んでいない。前出・府の局長経験者が続ける。 「中央線の増便や主要駅からのシャトルバスが頼りですが、水上交通や自転車ルートも打ち出して、もう必死ですわ」 そんななか吉村氏が横山英幸・大阪市長とともにRS推進をぶち上げたのは昨年10月のこと。小泉進次郎・元環境相らに協力を求めつつ、次のような主張を明らかにした。 〈1日あたり最大で約2300台のタクシーが足りなくなる。解消のためRSを府内全域で24時間運行可能にすべき〉 在阪メディアは吉村氏の政府への対抗姿勢を好意的に報じるが、中身を吟味すると、いくつもの疑問が湧く』、「1日あたり最大で約2300台のタクシーが足りなくなる。解消のためRSを府内全域で24時間運行可能にすべき」との主張には違和感がある。輸送力の観点からはシャトルバスの増発が本筋だ。万博期間中の一時的問題に、「ライドシェア(RS)」のような構造的対策を当てるのも筋違いだ。
・『「厳しい問いですね」 第1に、そもそも〈2300台不足する〉という予測は本当なのか。 大阪府のタクシー車両数は約1万7100台で、東京都の約4万1000台に次ぐ第2位(2022年)。 人口あたりの数字だと順位は10位になるが、鉄道が乏しく、タクシーに頼らざるをえない沖縄や北海道を入れてのことだ。 府ライドシェア事業推進グループの担当者に訊くと2300台の不足は「万博協会が昨年11月20日に発表した『大阪・関西万博来場者輸送具体方針(以下、輸送方針)』に基づく試算」と強調する。 ただ、吉村氏のRS推進が唐突だったためか、ちぐはぐなのは輸送方針そのものにRSの一文字も書いていないことだ。府担当者が続ける。 「輸送方針は、鉄道やタクシーなど各移動手段で分担すればピーク時も運べるとの内容になっています。ただ、ことタクシーを見ると、万博需要だけでなく、単純なインバウンドの増加もある。これらを合わせると、現在のタクシーの稼働状況では足りなくなる」 ここで浮かぶのが第2の疑問。それはRSで解決することなのか──。 そもそも混雑対策は、交通体系全体で考えるのが普通で、タクシーはその一部。しかも輸送方針のタクシー部分は、来場者2820万人のうちたった45万人分に過ぎない。 まずは他県のタクシーの増援を求めたり、動かせるところから議論し直すのが王道だろう。 しかし、府担当者から返ってきたのは、「輸送全体のことは万博協会に聞いてください」と縦割り丸出しの回答。これでは派手なRS推進で「改革」を打ち出すのが目的で、万博の輸送対策というのは口実にさえ見える。) 第3は、かえって渋滞を深刻化させるリスクだ。 吉村氏はRS車の会場乗り入れに前向きだが、夢洲へのルートは1本の通り抜け道路のみ(別掲図)。車両数を増やして混雑を助長したら本末転倒ではないか。 そう疑問をぶつけると、府担当者は「2000台程度増えても、数百万台が走る大阪で、インパクトはありますか?」との返事だったが、万博協会交通局の部長のニュアンスはより実際的だ。 「渋滞要因になるかはボリューム次第ですね。一気に2300台が増えれば交通に負荷が生じるかもしれないし、日々の変動量の範囲に収まる可能性もある。国と大阪の協議の結論により影響は変わりますが、まだそこは見えていません」 万博協会は府市からの出向のみならず、国や民間からも人が入った混成部隊。その知恵を結集した輸送方針を読み直すと、発見もあった。 客が偏らないよう、予約制を取り入れ、企業にも通勤時間の変更を要請する。需要を「均す」という“引き算”の戦略が貫かれている。他方、吉村氏のRS施策は供給を増やす“足し算”である。 「思想が逆ですね」と聞くと、前出・部長は「うーん、なかなか厳しい問いですね」と独り言ちた』、「客が偏らないよう、予約制を取り入れ、企業にも通勤時間の変更を要請する。需要を「均す」という“引き算”の戦略が貫かれている。他方、吉村氏のRS施策は供給を増やす“足し算”である。 「思想が逆ですね」と聞くと、前出・部長は「うーん、なかなか厳しい問いですね」と独り言ちた」、なるほど。
・『本当に深刻な課題は後回し 吉村氏の打ち出す“改革”が現場の助けになるのか、交通分野の行政改革の実務家も首を傾げる。 関空、南紀白浜空港の民営化に携わり、現在は南紀白浜エアポート(和歌山県)の社長を務める岡田信一郎氏は「規制に風穴を空ける構えでしょうが、世の中の切実な課題とはミスマッチがある」と苦言を呈する。 地方では、タクシー運転手が高齢化。観光地の乗り場に行列ができ、住民の通院・買い物にも支障を来す「移動難民」が深刻化している。) 本来、タクシーの規制を緩和して自家用車を活用する制度は約20年前、そうした地方の「交通空白地」のために始まった。が、制度は十分に活用されず「地方の変革」が進まずに、現在に至る。 昨年8月、菅義偉・前首相の解禁を求める発言から、都市を中心に日本版RSが動き出したが、より切実な「地方」ではこれからの話になる。前全国知事会長の平井伸治氏(鳥取県知事)は語る。 「大都市と違って地方は生活や命がかかっている深刻な状況で、大きな目で見た交通政策の仕組みが必要です。空白があるからと軽々に新規参入者を認めると、これまで支えてきた担い手が撤退するような事例もある。どうネットワークを守るかを考える必要がある」 RS推進のような“派手な改革”だけでは本当の課題は解決しないのだ。 大阪府下でも昨年12月、富田林市など4市町の足だった金剛バスが破綻。一部は他社が引き受けたものの、多くの枝線が消えた。この破綻を受け、吉村氏が「解決策」として言及したのは“万博印”の自動運転バスだった。万博会場外周などで使う技術を転用するという。海外では自動運転タクシーの相次ぐ事故などが絶えないなかで、本気で言っているのだろうか。 “派手な改革”に内実は伴っているのか──「高校完全無償化」や「0歳児選挙権」など、ぶち上げた政策が、その空疎さを指弾される事例が続く。こうしたことを繰り返す吉村氏の心中を前出・府の局長経験者が読み解く。 「“ババをつかまされた”という思いではないか。IRも万博も橋下徹・松井一郎の維新の創業者が風呂敷を広げるだけ広げた後の尻拭いです。せめて負でない正のレガシーを、と焦っているのでは」 吉村氏が派手な「改革」を求めるほど、その空疎さは際立つ。地味でも本丸の課題に向き合わなければ、流れは止まらない』、「IRも万博も橋下徹・松井一郎の維新の創業者が風呂敷を広げるだけ広げた後の尻拭いです。せめて負でない正のレガシーを、と焦っているのでは」 吉村氏が派手な「改革」を求めるほど、その空疎さは際立つ。地味でも本丸の課題に向き合わなければ、流れは止まらない」、その通りだ。
第四に、7月3日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/770408
・『「大阪から全国政党へ」を合言葉に躍進してきた日本維新の会が、ここにきて、党内の「東西対立」の深刻化などで、馬場伸幸代表の指導力が厳しく問われ、近い将来の党崩壊の危機すらささやかれる事態となっている。 与野党の思惑が複雑に交錯した “裏金国会”最終盤での改正政治資金規正法を巡る維新の対応迷走や、維新主導で進む大阪・関西万博開催を巡る国民的批判拡大などで、永田町では「“落ち目”の三度笠」と揶揄する声も広がるからだ。 特に、通常国会閉幕後、同党「大阪組」を代表する吉村洋文共同代表(大阪府知事)や、創業者の橋下徹元大阪市長が、馬場氏らの最近の党運営について口を極めて批判。これを受け、今後の政治路線を巡って党内で「大阪組」と「東京組」による対立が激化している。 加えて、東京都知事選(7月7日投開票)でも、同党の推薦を拒否した石丸伸二・前安芸高田市長に対し、馬場氏らが党内に「反石丸」での選挙活動を通達したのに対し、「東京維新」の石丸氏支持派の造反も表面化した。 このため、永田町では「すべてが支離滅裂で、国政政党としての存在意義すら問われかねない」(政治ジャーナリスト)との厳しい指摘が相次ぎ、維新内部からも「このままでは遠からず党崩壊の危機を迎える」(若手地方議員)との声が出始めている』、「維新内部からも「このままでは遠からず党崩壊の危機を迎える」(若手地方議員)との声が出始めている」、なるほど。
・『馬場氏「ぬるま湯につかっている」 毎日新聞の記事によると、こうした窮状に対し、馬場氏は6月27日の地方講演で、「自民、立憲民主の両党がもたれ合い、ぬるま湯につかっている」「熱湯を入れて震え上がるくらい活を入れないと日本の政治は良くならない」と断じ、改めて次期衆院選で野党第1党を目指す方針を強調したという。 併せて、岸田文雄首相(自民総裁)との党首会談で合意したはずの調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の見直しを自民が先送りしたことについても、「『だまされたほうが悪い』という理屈が通るのであれば夢も希望もない」と反論した。) その一方で、政治資金パーティーの禁止を訴える立憲民主の最高幹部が、パーティーを計画していたことについて、「有言不実行だ」と非難するなど、「非自民・反立憲」の立場も改めてアピールした』、「『だまされたほうが悪い』という理屈が通るのであれば夢も希望もない」、酷い居直りだ。「立憲民主の最高幹部が、パーティーを計画していた」のは、「「立憲民主」の完全な落ち度だ。
・『吉村氏らの政策活動費廃止要求で方針転換 これに先立ち、馬場氏ら党執行部は6月26日、党所属の首長や地方議員らを交えたオンライン説明会を開催した。吉村氏らが、前通常国会終盤の改正政治資金規正法への対応などでの同党迷走の「総括」を求めたことを受けたもので、馬場氏は、「仲間を後ろから撃つということだけは控えてほしい」と党内からの突き上げを強い言葉で牽制した。 しかし、一連の国会対応についての馬場氏や藤田文武幹事長の説明には、出席者から批判が噴出。特に、温存された形の政策活動費については吉村氏が廃止を強く要求し、多くの地方議員らも同調。これを受け、藤田氏は説明会後に記者団に対し、「党としても政策活動費の支出をなくす」と述べるなど、従来の方針の転換を余儀なくされた。 そもそも維新は、与野党協議が始まった段階では、政党の支出に機密性を持たせることにも一定の理解を示していた。そのうえで、自民党に政策活動費領収書の10年後公開案を提案し、岸田首相(自民総裁)との党首会談で合意が得られたとして、衆院では政治資金規正法の改正案に賛成した経緯がある。 それだけに、説明会での吉村氏らの批判を受けての、政策活動費支出廃止への方針転換については、すぐさま泉健太・立憲民主代表が6月28日の会見で「対応が支離滅裂で政党の体をなしていない。国民があきれる形で妥結し、今になって廃止では済まない。岸田文雄政権への最大の助け舟を出した罪はものすごく大きい」と厳しく批判。そのうえで、維新との連携についても「自民党と戦う決意がないなら一緒にできない」と断言した。) 一連の党内混乱と同時進行となったのが、都知事選での「東京組」の“造反”の動き。維新の支援を拒否した石丸氏に怒った馬場氏らが、党内に「反石丸を明確にしたうえでの他候補支援への禁止令」を通達したのに対し、「東京維新」の複数の地方幹部議員が「自由な支援活動の容認」を要求したからだ。 同幹部議員らは「東京維新の地方議員の多くは支援者から『維新は不祥事ばかり』『維新なんかやめたほうがいい』と突き上げられており、禁止令を破ってでも石丸さんを支援しようという動きがある」と執行部の対応に反発。多数の地方議員らが公然と石丸氏支援に動いている。 一連の党内対立や混乱を踏まえ、今も党内に強い影響力を持つとされる橋下氏が、6月27日に自らのX(旧ツイッター)を更新。その中で、まず旧文通費を巡る自民・維新党首会談を取り上げ、「自民党が嘘をついたわけでなく、単純に馬場さんや維新執行部の確認ミス」と指摘。さらに次期衆院選への対応についても「今なんとなくある支持率に乗っかって比例復活議員を増やす戦略なら、どの道維新はなくなる」と指弾した』、「旧文通費を巡る自民・維新党首会談を取り上げ、「自民党が嘘をついたわけでなく、単純に馬場さんや維新執行部の確認ミス」と指摘。さらに次期衆院選への対応についても「今なんとなくある支持率に乗っかって比例復活議員を増やす戦略なら、どの道維新はなくなる」と指弾した」、その通りだ。
・『“馬場首相”説に、他野党は「誇大妄想」と冷笑 こうした橋下氏の言動について、永田町では「創業者が、党運営への不満から近い将来の党崩壊にまで言及するのは極めて異常な事態」(政治ジャーナリスト)との声が拡大。自民党内でも「もはや、維新の取り込みによる連立政権の組み直しなどは無理筋」(国対幹部)との見方も広がり始めている。 その中で、馬場氏周辺は「岸田内閣の支持率が最低レベルから抜け出せない状況なのに、立憲民主への国民の不信感が政権交代への大きな障害となっている」と指摘したうえで、「次期衆院選で自公の過半数獲得を阻止し、自民が維新に協力を求めざるを得ない状況に追い込めば、『馬場首相』だってあり得る」となお強気だが、他野党は「誇大妄想の類」(立憲民主幹部)と冷笑するばかりだ』、「「次期衆院選で自公の過半数獲得を阻止し、自民が維新に協力を求めざるを得ない状況に追い込めば、『馬場首相』だってあり得る」となお強気だが、他野党は「誇大妄想の類」(立憲民主幹部)と冷笑するばかりだ」』、「誇大妄想の類」とは笑うに笑えない批判だ。
先ずは、本年4月23日付け日刊ゲンダイ「維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/339291
・『勢いに陰りか。「維新の会」が隆盛を誇るはずの大阪で、大東市長選(21日投開票)が維新公認候補の敗北に終わった。同市を含む衆院大阪12区は日本維新の会の藤田幹事長の地元。何があったのか。 今回の市長選は、3期務めた現職の東坂浩一市長が4選不出馬を表明したことで、新人3人が争う構図に。維新は大東市長選で初の公認候補として石垣直紀前市議を擁立。無所属新人の逢坂伸子元市課長と、無所属新人の松浦哲朗元中学校教諭(共産推薦)としのぎを削った。結局、1万7204票を獲得した逢坂氏が石垣氏に約2000票差をつけて接戦を制した。 維新内部はまさかの敗北に激震が走るが、無理もない。大阪12区は幹事長の地元でありながら、四條畷市長選(2020年)と寝屋川市長選(23年)も落としているからだ。 来年4月に開幕を控える大阪・関西万博の準備をめぐるゴタゴタも“維新離れ”に拍車をかけている感は否めないが、地元の政界関係者は次のように解説する。 「藤田幹事長の“お膝元”なので、当然、市長候補を出さないわけにはいかないし、事前の調査では維新が候補を立てれば他の候補にダブルスコアをつけられるとの見立てすら出ていた。楽観視されていたものの、肝心の人選がまったく進まず、候補者が正式に決まったのは告示の1週間前。『維新の看板なら勝てるやろ』ということで急きょ、市議の石垣さんに白羽の矢が立ったのです。いくら幹事長の地元でも、急ごしらえの候補者では勝てませんよ」』、「大阪12区は幹事長の地元でありながら」、「今回の「大東市市長選」だけでなく、「四條畷市長選(2020年)と寝屋川市長選(23年)も落としているからだ」、しかも「候補者が正式に決まったのは告示の1週間前」、これでは勝てる選挙も落とすのは必死だ。
・『■人選が良ければ勝てる戦いだった 市長選は調子に乗って痛い目を見るダサい敗北だったわけだが、面白いことに市議選は維新が1議席増。計17議席のうち5議席を占めた。 「維新に対する風当たりは、強くないとはいえ、党勢拡大の数字にとらわれたやり口は市長選を通じて市民に見透かされたと思います。逆に人選が良ければ勝てる戦いだったわけですから」(前出の関係者) 有権者は候補者をちゃんと見ている。ノリでイケると思ったら、また痛い目に遭うで』、「有権者は候補者をちゃんと見ている。ノリでイケると思ったら、また痛い目に遭うで」、その通りだ。
次に、6月4日付け日刊ゲンダイ「維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/341074
・『まさか、こんな簡単にパクッと食いつくとは──。自民党議員も驚いているらしい。 自民党が新たに提示した「政治資金規正法改正案」に賛成すると決めた「日本維新の会」。維新の馬場代表は、自民党の岸田総裁と「合意書」までかわしている。 馬場代表は「一歩でも二歩でも改革を進めていくのが維新だ」「100%我が党の考え方が通った」と満足げだったが、さすがに、維新の議員からは「次期衆院選にマイナスだ」と嘆きの声があがっている。自民党案は、実際にはほぼ「ゼロ回答」だからだ。 もともと維新は主要野党と一緒に、+企業・団体献金の禁止+政策活動費の廃止または領収書の全面公開+議員が会計責任者と同等の責任を負う「連座制」の導入--の3点セットを自民党に求めていたが、自民党の修正案にはまったく入っていない。 しかも、自民党と「合意」した、①旧文通費の使途公開②政策活動費の領収書などの10年後の公開--も、実行される保証がない。維新が自民とかわした「合意文書」は、旧文通費をめぐって維新が求めていた「今国会で結論を得る」ことに触れていない。さらに、政策活動費の公開についても、領収書の公開のあり方は「細部はこれから詰めていく」という。) これには、維新を創設した橋下徹弁護士も「当初は(自民党が)維新の案を丸のみしたのかと思ったが、(改正案の)文面を見てみると、全部『検討』ばかり」「検討すると言って結局やっていないのが、いまの自民党政治だ」「維新が『検討』のままで(改革案に)賛成したら、国民から総スカンを食らうんじゃないのか」と疑問視していたほどだ。 なのに、どうして馬場代表は、自民党が差し出した餌にパクッと食いついたのか。政界では、馬場代表の「入閣説」が囁かれている。 「もともと自民党の地方議員だった馬場さんは、自民党と連立を組むことにまったく抵抗がないのだと思う。5月17日に配信されたラジオNIKKEIのポッドキャスト番組に出演した時、『政策が実現するなら与党に入る選択肢は排除しないのか』と問われ、『そういうことです』と答えただけでなく、その後、吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている。『万博担当大臣』として入閣する“密約”があるのではないか、という見方もでています」(政界関係者) 「維新は第2自民党」と公言している馬場代表。連立入りした方が、有権者もスッキリするのではないか』、「橋下徹弁護士も「当初は(自民党が)維新の案を丸のみしたのかと思ったが、(改正案の)文面を見てみると、全部『検討』ばかり」「検討すると言って結局やっていないのが、いまの自民党政治だ」「維新が『検討』のままで(改革案に)賛成したら、国民から総スカンを食らうんじゃないのか」と疑問視していたほどだ。 なのに、どうして馬場代表は、自民党が差し出した餌にパクッと食いついたのか。政界では、馬場代表の「入閣説」が囁かれている。 「もともと自民党の地方議員だった馬場さんは、自民党と連立を組むことにまったく抵抗がないのだと思う。5月17日に配信されたラジオNIKKEIのポッドキャスト番組に出演した時、『政策が実現するなら与党に入る選択肢は排除しないのか』と問われ、『そういうことです』と答えただけでなく、その後、吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている。衆院では自民党案に賛成、参院では反対するというみっともない行動を取った裏には、「馬場代表の「入閣説」」があったというのは説得的だ。「吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている」、これは確信犯だ。
第三に、6月12日付けNEWSポストセブン「吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20240612_1970112.html?DETAIL
・『2023年の大阪府知事選で70%超の得票率で当選した吉村洋文・知事には、メディアを通じた歯切れの良い発言で“改革派”のイメージが強い。そこに実態は伴っているのか。ノンフィクション作家・広野真嗣氏が追った。 5月31日、吉村知事は「“期限を定めない検討”って何なんですか」と、吐き捨てるように言った。その前日、自家用車を使って客を運ぶ「ライドシェア(RS)」の全面解禁の判断を先送りした政府をこきおろしたのである。 政府は4月以降、東京都や大阪府などの主要都市で地域と時間を限定した「日本版RS」を解禁したが、吉村氏は「極めて不十分」と批判し、返す刀で大阪万博期間中の大幅な緩和を要求する。 だが、この吉村氏の主張には、「派手な“改革”に飛びつくが、国民の切実な課題は後回し」という姿勢が端的に現われてはいないか──。 日本国際博覧会協会(以下、万博協会)は、2025年4月の開幕から184日間で、延べ2820万人の来場を見込む。最大で1日22.7万人が足を運ぶという。東京ディズニーリゾートの1日平均の来場者8万9000人(過去最多の2018年)の3倍近い数字だ。 “そんなに来るのか”というのが率直な感想だが、府の局長経験者は「見込み通りだと輸送がパンクしかねない」と話した。 「本来、輸送を牽引するのは鉄道ですが、万博開催までに会場の夢洲につながるのは、東西を結ぶ大阪メトロ中央線1本だけ。梅田に直結してないから不便だし、通勤と重なる時間帯に大量の乗り換えが生じる。客だけやなしに、数万人の万博スタッフも運ぶわけで、えらい混雑になる」 JRや京阪電鉄にも夢洲延伸案はあるが、IR実現を見極めているのか進んでいない。前出・府の局長経験者が続ける。 「中央線の増便や主要駅からのシャトルバスが頼りですが、水上交通や自転車ルートも打ち出して、もう必死ですわ」 そんななか吉村氏が横山英幸・大阪市長とともにRS推進をぶち上げたのは昨年10月のこと。小泉進次郎・元環境相らに協力を求めつつ、次のような主張を明らかにした。 〈1日あたり最大で約2300台のタクシーが足りなくなる。解消のためRSを府内全域で24時間運行可能にすべき〉 在阪メディアは吉村氏の政府への対抗姿勢を好意的に報じるが、中身を吟味すると、いくつもの疑問が湧く』、「1日あたり最大で約2300台のタクシーが足りなくなる。解消のためRSを府内全域で24時間運行可能にすべき」との主張には違和感がある。輸送力の観点からはシャトルバスの増発が本筋だ。万博期間中の一時的問題に、「ライドシェア(RS)」のような構造的対策を当てるのも筋違いだ。
・『「厳しい問いですね」 第1に、そもそも〈2300台不足する〉という予測は本当なのか。 大阪府のタクシー車両数は約1万7100台で、東京都の約4万1000台に次ぐ第2位(2022年)。 人口あたりの数字だと順位は10位になるが、鉄道が乏しく、タクシーに頼らざるをえない沖縄や北海道を入れてのことだ。 府ライドシェア事業推進グループの担当者に訊くと2300台の不足は「万博協会が昨年11月20日に発表した『大阪・関西万博来場者輸送具体方針(以下、輸送方針)』に基づく試算」と強調する。 ただ、吉村氏のRS推進が唐突だったためか、ちぐはぐなのは輸送方針そのものにRSの一文字も書いていないことだ。府担当者が続ける。 「輸送方針は、鉄道やタクシーなど各移動手段で分担すればピーク時も運べるとの内容になっています。ただ、ことタクシーを見ると、万博需要だけでなく、単純なインバウンドの増加もある。これらを合わせると、現在のタクシーの稼働状況では足りなくなる」 ここで浮かぶのが第2の疑問。それはRSで解決することなのか──。 そもそも混雑対策は、交通体系全体で考えるのが普通で、タクシーはその一部。しかも輸送方針のタクシー部分は、来場者2820万人のうちたった45万人分に過ぎない。 まずは他県のタクシーの増援を求めたり、動かせるところから議論し直すのが王道だろう。 しかし、府担当者から返ってきたのは、「輸送全体のことは万博協会に聞いてください」と縦割り丸出しの回答。これでは派手なRS推進で「改革」を打ち出すのが目的で、万博の輸送対策というのは口実にさえ見える。) 第3は、かえって渋滞を深刻化させるリスクだ。 吉村氏はRS車の会場乗り入れに前向きだが、夢洲へのルートは1本の通り抜け道路のみ(別掲図)。車両数を増やして混雑を助長したら本末転倒ではないか。 そう疑問をぶつけると、府担当者は「2000台程度増えても、数百万台が走る大阪で、インパクトはありますか?」との返事だったが、万博協会交通局の部長のニュアンスはより実際的だ。 「渋滞要因になるかはボリューム次第ですね。一気に2300台が増えれば交通に負荷が生じるかもしれないし、日々の変動量の範囲に収まる可能性もある。国と大阪の協議の結論により影響は変わりますが、まだそこは見えていません」 万博協会は府市からの出向のみならず、国や民間からも人が入った混成部隊。その知恵を結集した輸送方針を読み直すと、発見もあった。 客が偏らないよう、予約制を取り入れ、企業にも通勤時間の変更を要請する。需要を「均す」という“引き算”の戦略が貫かれている。他方、吉村氏のRS施策は供給を増やす“足し算”である。 「思想が逆ですね」と聞くと、前出・部長は「うーん、なかなか厳しい問いですね」と独り言ちた』、「客が偏らないよう、予約制を取り入れ、企業にも通勤時間の変更を要請する。需要を「均す」という“引き算”の戦略が貫かれている。他方、吉村氏のRS施策は供給を増やす“足し算”である。 「思想が逆ですね」と聞くと、前出・部長は「うーん、なかなか厳しい問いですね」と独り言ちた」、なるほど。
・『本当に深刻な課題は後回し 吉村氏の打ち出す“改革”が現場の助けになるのか、交通分野の行政改革の実務家も首を傾げる。 関空、南紀白浜空港の民営化に携わり、現在は南紀白浜エアポート(和歌山県)の社長を務める岡田信一郎氏は「規制に風穴を空ける構えでしょうが、世の中の切実な課題とはミスマッチがある」と苦言を呈する。 地方では、タクシー運転手が高齢化。観光地の乗り場に行列ができ、住民の通院・買い物にも支障を来す「移動難民」が深刻化している。) 本来、タクシーの規制を緩和して自家用車を活用する制度は約20年前、そうした地方の「交通空白地」のために始まった。が、制度は十分に活用されず「地方の変革」が進まずに、現在に至る。 昨年8月、菅義偉・前首相の解禁を求める発言から、都市を中心に日本版RSが動き出したが、より切実な「地方」ではこれからの話になる。前全国知事会長の平井伸治氏(鳥取県知事)は語る。 「大都市と違って地方は生活や命がかかっている深刻な状況で、大きな目で見た交通政策の仕組みが必要です。空白があるからと軽々に新規参入者を認めると、これまで支えてきた担い手が撤退するような事例もある。どうネットワークを守るかを考える必要がある」 RS推進のような“派手な改革”だけでは本当の課題は解決しないのだ。 大阪府下でも昨年12月、富田林市など4市町の足だった金剛バスが破綻。一部は他社が引き受けたものの、多くの枝線が消えた。この破綻を受け、吉村氏が「解決策」として言及したのは“万博印”の自動運転バスだった。万博会場外周などで使う技術を転用するという。海外では自動運転タクシーの相次ぐ事故などが絶えないなかで、本気で言っているのだろうか。 “派手な改革”に内実は伴っているのか──「高校完全無償化」や「0歳児選挙権」など、ぶち上げた政策が、その空疎さを指弾される事例が続く。こうしたことを繰り返す吉村氏の心中を前出・府の局長経験者が読み解く。 「“ババをつかまされた”という思いではないか。IRも万博も橋下徹・松井一郎の維新の創業者が風呂敷を広げるだけ広げた後の尻拭いです。せめて負でない正のレガシーを、と焦っているのでは」 吉村氏が派手な「改革」を求めるほど、その空疎さは際立つ。地味でも本丸の課題に向き合わなければ、流れは止まらない』、「IRも万博も橋下徹・松井一郎の維新の創業者が風呂敷を広げるだけ広げた後の尻拭いです。せめて負でない正のレガシーを、と焦っているのでは」 吉村氏が派手な「改革」を求めるほど、その空疎さは際立つ。地味でも本丸の課題に向き合わなければ、流れは止まらない」、その通りだ。
第四に、7月3日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/770408
・『「大阪から全国政党へ」を合言葉に躍進してきた日本維新の会が、ここにきて、党内の「東西対立」の深刻化などで、馬場伸幸代表の指導力が厳しく問われ、近い将来の党崩壊の危機すらささやかれる事態となっている。 与野党の思惑が複雑に交錯した “裏金国会”最終盤での改正政治資金規正法を巡る維新の対応迷走や、維新主導で進む大阪・関西万博開催を巡る国民的批判拡大などで、永田町では「“落ち目”の三度笠」と揶揄する声も広がるからだ。 特に、通常国会閉幕後、同党「大阪組」を代表する吉村洋文共同代表(大阪府知事)や、創業者の橋下徹元大阪市長が、馬場氏らの最近の党運営について口を極めて批判。これを受け、今後の政治路線を巡って党内で「大阪組」と「東京組」による対立が激化している。 加えて、東京都知事選(7月7日投開票)でも、同党の推薦を拒否した石丸伸二・前安芸高田市長に対し、馬場氏らが党内に「反石丸」での選挙活動を通達したのに対し、「東京維新」の石丸氏支持派の造反も表面化した。 このため、永田町では「すべてが支離滅裂で、国政政党としての存在意義すら問われかねない」(政治ジャーナリスト)との厳しい指摘が相次ぎ、維新内部からも「このままでは遠からず党崩壊の危機を迎える」(若手地方議員)との声が出始めている』、「維新内部からも「このままでは遠からず党崩壊の危機を迎える」(若手地方議員)との声が出始めている」、なるほど。
・『馬場氏「ぬるま湯につかっている」 毎日新聞の記事によると、こうした窮状に対し、馬場氏は6月27日の地方講演で、「自民、立憲民主の両党がもたれ合い、ぬるま湯につかっている」「熱湯を入れて震え上がるくらい活を入れないと日本の政治は良くならない」と断じ、改めて次期衆院選で野党第1党を目指す方針を強調したという。 併せて、岸田文雄首相(自民総裁)との党首会談で合意したはずの調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の見直しを自民が先送りしたことについても、「『だまされたほうが悪い』という理屈が通るのであれば夢も希望もない」と反論した。) その一方で、政治資金パーティーの禁止を訴える立憲民主の最高幹部が、パーティーを計画していたことについて、「有言不実行だ」と非難するなど、「非自民・反立憲」の立場も改めてアピールした』、「『だまされたほうが悪い』という理屈が通るのであれば夢も希望もない」、酷い居直りだ。「立憲民主の最高幹部が、パーティーを計画していた」のは、「「立憲民主」の完全な落ち度だ。
・『吉村氏らの政策活動費廃止要求で方針転換 これに先立ち、馬場氏ら党執行部は6月26日、党所属の首長や地方議員らを交えたオンライン説明会を開催した。吉村氏らが、前通常国会終盤の改正政治資金規正法への対応などでの同党迷走の「総括」を求めたことを受けたもので、馬場氏は、「仲間を後ろから撃つということだけは控えてほしい」と党内からの突き上げを強い言葉で牽制した。 しかし、一連の国会対応についての馬場氏や藤田文武幹事長の説明には、出席者から批判が噴出。特に、温存された形の政策活動費については吉村氏が廃止を強く要求し、多くの地方議員らも同調。これを受け、藤田氏は説明会後に記者団に対し、「党としても政策活動費の支出をなくす」と述べるなど、従来の方針の転換を余儀なくされた。 そもそも維新は、与野党協議が始まった段階では、政党の支出に機密性を持たせることにも一定の理解を示していた。そのうえで、自民党に政策活動費領収書の10年後公開案を提案し、岸田首相(自民総裁)との党首会談で合意が得られたとして、衆院では政治資金規正法の改正案に賛成した経緯がある。 それだけに、説明会での吉村氏らの批判を受けての、政策活動費支出廃止への方針転換については、すぐさま泉健太・立憲民主代表が6月28日の会見で「対応が支離滅裂で政党の体をなしていない。国民があきれる形で妥結し、今になって廃止では済まない。岸田文雄政権への最大の助け舟を出した罪はものすごく大きい」と厳しく批判。そのうえで、維新との連携についても「自民党と戦う決意がないなら一緒にできない」と断言した。) 一連の党内混乱と同時進行となったのが、都知事選での「東京組」の“造反”の動き。維新の支援を拒否した石丸氏に怒った馬場氏らが、党内に「反石丸を明確にしたうえでの他候補支援への禁止令」を通達したのに対し、「東京維新」の複数の地方幹部議員が「自由な支援活動の容認」を要求したからだ。 同幹部議員らは「東京維新の地方議員の多くは支援者から『維新は不祥事ばかり』『維新なんかやめたほうがいい』と突き上げられており、禁止令を破ってでも石丸さんを支援しようという動きがある」と執行部の対応に反発。多数の地方議員らが公然と石丸氏支援に動いている。 一連の党内対立や混乱を踏まえ、今も党内に強い影響力を持つとされる橋下氏が、6月27日に自らのX(旧ツイッター)を更新。その中で、まず旧文通費を巡る自民・維新党首会談を取り上げ、「自民党が嘘をついたわけでなく、単純に馬場さんや維新執行部の確認ミス」と指摘。さらに次期衆院選への対応についても「今なんとなくある支持率に乗っかって比例復活議員を増やす戦略なら、どの道維新はなくなる」と指弾した』、「旧文通費を巡る自民・維新党首会談を取り上げ、「自民党が嘘をついたわけでなく、単純に馬場さんや維新執行部の確認ミス」と指摘。さらに次期衆院選への対応についても「今なんとなくある支持率に乗っかって比例復活議員を増やす戦略なら、どの道維新はなくなる」と指弾した」、その通りだ。
・『“馬場首相”説に、他野党は「誇大妄想」と冷笑 こうした橋下氏の言動について、永田町では「創業者が、党運営への不満から近い将来の党崩壊にまで言及するのは極めて異常な事態」(政治ジャーナリスト)との声が拡大。自民党内でも「もはや、維新の取り込みによる連立政権の組み直しなどは無理筋」(国対幹部)との見方も広がり始めている。 その中で、馬場氏周辺は「岸田内閣の支持率が最低レベルから抜け出せない状況なのに、立憲民主への国民の不信感が政権交代への大きな障害となっている」と指摘したうえで、「次期衆院選で自公の過半数獲得を阻止し、自民が維新に協力を求めざるを得ない状況に追い込めば、『馬場首相』だってあり得る」となお強気だが、他野党は「誇大妄想の類」(立憲民主幹部)と冷笑するばかりだ』、「「次期衆院選で自公の過半数獲得を阻止し、自民が維新に協力を求めざるを得ない状況に追い込めば、『馬場首相』だってあり得る」となお強気だが、他野党は「誇大妄想の類」(立憲民主幹部)と冷笑するばかりだ」』、「誇大妄想の類」とは笑うに笑えない批判だ。
タグ:維新の会 (その9)(維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO、維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」、吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」、迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及) 日刊ゲンダイ「維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO」 「大阪12区は幹事長の地元でありながら」、「今回の「大東市市長選」だけでなく、「四條畷市長選(2020年)と寝屋川市長選(23年)も落としているからだ」、しかも「候補者が正式に決まったのは告示の1週間前」、これでは勝てる選挙も落とすのは必死だ。 「有権者は候補者をちゃんと見ている。ノリでイケると思ったら、また痛い目に遭うで」、その通りだ。 日刊ゲンダイ「維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」」 「橋下徹弁護士も「当初は(自民党が)維新の案を丸のみしたのかと思ったが、(改正案の)文面を見てみると、全部『検討』ばかり」「検討すると言って結局やっていないのが、いまの自民党政治だ」「維新が『検討』のままで(改革案に)賛成したら、国民から総スカンを食らうんじゃないのか」と疑問視していたほどだ。 なのに、どうして馬場代表は、自民党が差し出した餌にパクッと食いついたのか。政界では、馬場代表の「入閣説」が囁かれている。 「もともと自民党の地方議員だった馬場さんは、自民党と連立を組むことにまったく抵抗がないのだと思う。 5月17日に配信されたラジオNIKKEIのポッドキャスト番組に出演した時、『政策が実現するなら与党に入る選択肢は排除しないのか』と問われ、『そういうことです』と答えただけでなく、その後、吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている。衆院では自民党案に賛成、参院では反対するというみっともない行動を取った裏には、「馬場代表の「入閣説」」があったというのは説得的だ。 「吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている」、これは確信犯だ。 NEWSポストセブン「吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」」 「1日あたり最大で約2300台のタクシーが足りなくなる。解消のためRSを府内全域で24時間運行可能にすべき」との主張には違和感がある。輸送力の観点からはシャトルバスの増発が本筋だ。万博期間中の一時的問題に、「ライドシェア(RS)」のような構造的対策を当てるのも筋違いだ。 「IRも万博も橋下徹・松井一郎の維新の創業者が風呂敷を広げるだけ広げた後の尻拭いです。せめて負でない正のレガシーを、と焦っているのでは」 吉村氏が派手な「改革」を求めるほど、その空疎さは際立つ。地味でも本丸の課題に向き合わなければ、流れは止まらない」、その通りだ。 東洋経済オンライン 泉 宏氏による「迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及」 「維新内部からも「このままでは遠からず党崩壊の危機を迎える」(若手地方議員)との声が出始めている」、なるほど。 「『だまされたほうが悪い』という理屈が通るのであれば夢も希望もない」、酷い居直りだ。「立憲民主の最高幹部が、パーティーを計画していた」のは、「「立憲民主」の完全な落ち度だ。 「旧文通費を巡る自民・維新党首会談を取り上げ、「自民党が嘘をついたわけでなく、単純に馬場さんや維新執行部の確認ミス」と指摘。さらに次期衆院選への対応についても「今なんとなくある支持率に乗っかって比例復活議員を増やす戦略なら、どの道維新はなくなる」と指弾した」、その通りだ。 「「次期衆院選で自公の過半数獲得を阻止し、自民が維新に協力を求めざるを得ない状況に追い込めば、『馬場首相』だってあり得る」となお強気だが、他野党は「誇大妄想の類」(立憲民主幹部)と冷笑するばかりだ」』、「誇大妄想の類」とは手痛い批判だ。 「誇大妄想の類」とは笑うに笑えない批判だ。
小池都知事問題(その12)(ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア、「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し、都知事選に出馬する蓮舫氏の実態 「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】、《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は) [国内政治]
小池都知事問題については、本年6月13日に取上げた。今日は、(その12)(ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア、「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し、都知事選に出馬する蓮舫氏の実態 「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】、《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は)である。
先ずは、本年6月20日付けdmenuニュースが転載した日刊ゲンダイ「ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア」を紹介しよう。
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nikkangendai/life/nikkangendai-1051491
・『予想通り、消化不良だった。東京都知事選の告示前日の19日、日本記者クラブで行われた候補者の公開討論。呼ばれたのは、学歴詐称疑惑の再燃をものともせずに3選を目指す小池百合子知事(71)、「反自民党、非小池都政」を掲げる前参院議員の蓮舫氏(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)の4人。セットされたのは1時間だけ。議論はちっとも煮詰まらず、ドッチラケだった。 今夏の首都決戦には史上最多の50人ほどが名乗り。これまで過去最多だった4年前の22人から倍増だ。そうした事情もあって、討論に「どこまで呼ぶか」でひと悶着あったという。 「今回の構図は小池氏と蓮舫氏による事実上の与野党対決。小池氏が逃げ切るか、蓮舫氏が追い上げるか。三つ巴の戦いは想定されていません。有権者の投票行動に資することを第一に考えれば、2人の1対1討論で問題点をあぶり出すべきだという意見があった。一方で、候補者に対する公平性を担保するため、首長経験のある石丸氏らも呼ぶべきだとの声もあり、網が広げられた」(大手紙記者) 田母神氏は「普通の保守系の都民が投票する人がいない」という理由で2度目の挑戦。もっとも、2014年の選挙をめぐり、公職選挙法違反(買収)で有罪が確定し、5年間の公民権停止を食らっている。だったら、知名度のあるタレントの清水国明氏(73)はなぜはじかれたのか。災害支援活動を生かした減災政策の充実を訴えている。陣営関係者は「勝敗に絡む得票数が見込めないと軽く見られたのでしょう」と寂しげだ。 政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。 「このクラブ討論はむしろフェアじゃない。争点のひとつと言っていい小池氏の公選法違反(虚偽事項公表罪=学歴詐称)疑惑を深掘りさせないために、人数を増やしたのではないか。そんな印象が拭えません。小池氏を応援する自民党や公明党の支持者は高齢者が多く、NHKなどの大手メディアしか見ていない人が少なくないですから、今回も小池氏にまんまとだまされてしまうかもしれない。カイロ大の元幹部が学歴詐称を打ち消すために表に出てきたり、イカサマのにおいがますます強まっている。小池3選を許せば、民主主義の根幹をなす選挙は台無しです」 蓮舫はこの4人による討論会の継続開催を求めていたが、どうなるか』、「「今回の構図は小池氏と蓮舫氏による事実上の与野党対決。小池氏が逃げ切るか、蓮舫氏が追い上げるか。三つ巴の戦いは想定されていません。有権者の投票行動に資することを第一に考えれば、2人の1対1討論で問題点をあぶり出すべきだという意見があった。一方で、候補者に対する公平性を担保するため、首長経験のある石丸氏らも呼ぶべきだとの声もあり、網が広げられた」(大手紙記者) 田母神氏は「普通の保守系の都民が投票する人がいない」と・・・「政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。 このクラブ討論はむしろフェアじゃない。争点のひとつと言っていい小池氏の公選法違反(虚偽事項公表罪=学歴詐称)疑惑を深掘りさせないために、人数を増やしたのではないか。そんな印象が拭えません。小池氏を応援する自民党や公明党の支持者は高齢者が多く、NHKなどの大手メディアしか見ていない人が少なくないですから、今回も小池氏にまんまとだまされてしまうかもしれない。カイロ大の元幹部が学歴詐称を打ち消すために表に出てきたり、イカサマのにおいがますます強まっている。小池3選を許せば、民主主義の根幹をなす選挙は台無しです」 蓮舫はこの4人による討論会の継続開催を求めていたが、どうなるか」、「本澤二郎氏」の解釈は説得的だ。それにしても、「蓮舫氏」が「この4人による討論会の継続開催を求めていた」とは残念だ。本来の「与野党対決」に持ち込むべきなのに、すっかり小池側の手のなかにあるようだ。まだまだ未熟のようだ。
次に、6月20日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/764944
・『都民だけでなく全国民が注目する東京都知事選が6月20日に告示され、56人という過去最多の立候補者による多彩な選挙活動がスタートした。7月7日投開票の「七夕決戦」となり、「その結果は、支持率低迷にあえぐ岸田文雄首相の政権運営にも大きな影響を及ぼす」(政治ジャーナリスト)ことは間違いない。 話題満載の首都決戦の“主役”は、やはり3選に挑む小池百合子知事(71)と立憲民主党参院議員だった蓮舫氏(56)という「政治家としての知名度や実績が群を抜く二人の女傑」(政治ジャーナリスト)だ。ただ、“脇役陣”もこれまで以上に多士済々で、「巨大都市・東京」の次の顔を巡る選挙戦は、「異例づくめで、異様さも際立つ展開」(同)が想定される。このため、岸田首相をはじめ、与野党首脳らはそれぞれの立場から「固唾をのんで結末を見守る」(自民幹部)ことになりそうだ』、どうもマスコミには、「二人の女傑」の争いを他の多くの候補者にかまけて薄めようとの狙いがありそうだ。
・『注目集める「似た者同士」の闘い 告示前から、主要メディアが「どちらが勝つか」と煽り立てている「小池vs蓮舫」だが、そもそも、「首相とも比肩される都知事が“女の闘い”となるのは史上初」(自民幹部)となる。しかも、小池、蓮舫両氏は「いずれも民放テレビのキャスターを経て中央政界に華々しくデビューし、主要政党の党首も経験して初の女性首相候補と目されてきた似た者同士」(政治ジャーナリスト)だけに、「注目度の高さは過去最高」(選挙アナリスト)とみる向きが多い。 その一方で、今回都知事選には、前安芸高田市長・石丸伸二氏(41)、元航空幕僚長・田母神俊雄氏(75)、有名タレント・清水国明氏(73)らが参戦。さらに、先の衆院東京15区補欠選挙での度を超えた他候補攻撃で警視庁に公職選挙法違反容疑で逮捕され、現在も拘置中のつばさの党代表・黒川敦彦氏(45)も立候補している。) これら知名度の高い各候補は、黒川氏以外は政党色のない無所属で、メディアや各関連団体の「候補者討論会」にはそれぞれの立場で参加する構えだ。その一方で、近年急速に拡大しているいわゆる「SNS選挙」として、ネット上でも独自のアピールを展開する候補も多く、選挙アナリストの間では、「ネット選挙がどれだけ得票に結びつくかを検証できる絶好のチャンス」(有力アナリスト)とも言われている。 さらに、今回の「小池vs蓮舫」の政治的位置づけでは、両氏とも無所属での出馬だが、小池氏は自民、公明両党と地域政党「都民ファーストの会」に加え、連合や国民民主党が支持する構え。対する蓮舫氏は、立憲民主、共産、社民の各党が前面に出て支援する方針のため、「事実上の保革対決の構図」(選挙アナリスト)となっている。 東京都選挙管理委員会によると、19日現在の選挙人名簿登録者数は1153万3132人。前回都知事選の告示日前日に比べ約6万4000人多い。その上、「巨大都市・東京はその経済規模でも欧州の中堅国会に比肩する」(政治ジャーナリスト)こともあり、「世界でも例の少ない空前の大都市選挙」(同)であることは間違いない』、「事実上の保革対決の構図」が候補者乱立のため、「「主要4氏」が候補者討論会で舌戦」と形を変えたのは「蓮舫氏」には不利に作用したようだ。
・『「主要4氏」が候補者討論会で舌戦 こうした状況を踏まえ、告示前日の19日夕刻には、多くのメディアが「主要候補」と位置づけている小池、蓮舫、石丸、田母神の4氏が、恒例の「日本記者クラブ候補者討論会」で舌戦を展開。NHKの完全中継だけでなく、民放各局も定時ニュースや情報番組などで「ハイライト」として報じた。また、ネット上でも各媒体が生中継し、X(旧ツイッター)での書き込みでも「候補者討論会」がトレンド上位となった。 討論会は合計1時間余と短かく、候補者同士の質疑応答と、クラブ側からの代表質問の二部構成で進行。冒頭には4氏がボードで「政治屋の一掃」(石丸氏)、「首都防衛・大改革3.0」(小池氏)、「若者の手取り増・ガラス張りの都政」(蓮舫氏)、「結果を出す政治」(田母神氏)と掲げて所信を熱い口調でアピールした。) さらに、代表質問を軸に、少子化対策、原発とエネルギー政策という重要課題から、神宮外苑の再開発の是非や小池氏の学歴詐称疑惑まで、多岐にわたる論戦を展開。4氏とも20日からの選挙戦本番での街頭演説や各種討論会でも連日相まみえることになりそうだ』、「多くのメディアが「主要候補」と位置づけている小池、蓮舫、石丸、田母神の4氏が、恒例の「日本記者クラブ候補者討論会」で舌戦を展開。NHKの完全中継だけでなく、民放各局も定時ニュースや情報番組などで「ハイライト」として報じた。また、ネット上でも各媒体が生中継し、X(旧ツイッター)での書き込みでも「候補者討論会」がトレンド上位となった。 討論会は合計1時間余と短かく、候補者同士の質疑応答と、クラブ側からの代表質問の二部構成で進行。冒頭には4氏がボードで「政治屋の一掃」(石丸氏)、「首都防衛・大改革3.0」(小池氏)、「若者の手取り増・ガラス張りの都政」(蓮舫氏)、「結果を出す政治」(田母神氏)と掲げて所信を熱い口調でアピールした」、主要メディアはすっかり小池氏の狙いに乗せられたようだ。
・『半世紀前の「美濃部vs石原」と同様の競り合いか そこで、改めて都知事選の歴史などを振り返ると、現職が立候補した場合はすべて勝利しており、もし小池氏が敗れれば史上初の事態となる。また、投票率の推移をみると、1971年の72.36%が最高で、1987年の43.19%が最低。小池氏が出馬した2016年は59.73%、2020年は55.00%と近年では高率となっており、「話題性が高い今回は60%を超える可能性がある」(選挙アナリスト)との指摘も多い。 そうした中、今回と対比されるのが、現職と新人の大接戦となった1975年の美濃部亮吉知事(3選出馬)と石原慎太郎前参院議員(いずれも当時)の対決。結果的に美濃部氏268万余、石原氏233万余の得票で美濃部氏が3選に成功したが、「史上初の200万票台の競り合いという構図は今回にも当てはまる」(同)との見方も少なくない。 その一方で、注目度が高い都知事選だけにこれまでも「売名目的の立候補者の多さ」(同)が話題となってきたが、今回の立候補者数は、過去最多だった前回2020年の22人を大幅に上回る56人に激増。このため都内各所に設置される候補者の選挙ポスターを貼る掲示板も前回の倍以上となる大きさの48人分を用意していたが、それでも8人分不足し、都選管は49人目以降の届け出候補者分については当該各候補者にクリアファイルなどを支給し、それぞれが自ら掲示板に固定するよう求めることにした。こうした一連の作業のあおりで本来の都選管の業務遂行にも支障が出る事態ともなった。) さらに、政治団体「NHKから国民を守る党」(立花孝志党首)がなんと24人もの候補者を立て、現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」(同)も表面化した』、「政治団体「NHKから国民を守る党」(立花孝志党首)がなんと24人もの候補者を立て、現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」(同)も表面化した」、こんな「現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」」を許すべきではない。
・『「何でもありのカオス」にどう対応? こうした選挙の本質とかけ離れた騒動は「次回以降もさらに拡大するのは確実」(都選管)で、その先駆けとして「今回都知事選はすべて異例ずくめで、しかも、選挙の在り方自体が問われかねない、まさに何でもありのカオス」(選挙アナリスト)となり、関係者の頭痛の種は増すばかりだ。 このため、政界関係者の間では「今後の国政選挙や地方選挙のルールの歪みを正すため、政府や与野党が早急に公選法改正などに取り組む必要がある」(自民選対)との声が高まっている。 ただ、「基本的人権の1つである立候補の自由とどう折り合いをつけるか」(選挙アナリスト)など難題が多く、1年後の次期参院選や2025年秋までには確実に実施される次期衆院選までに法改正などにこぎつけられるかどうかは極めて不透明だ』、「まさに何でもありのカオス」(選挙アナリスト)となり、関係者の頭痛の種は増すばかりだ。 このため、政界関係者の間では「今後の国政選挙や地方選挙のルールの歪みを正すため、政府や与野党が早急に公選法改正などに取り組む必要がある」(自民選対)との声が高まっている」、なるほど。
第三に、6月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家・元外務省主任分析官の佐藤 優氏による「都知事選に出馬する蓮舫氏の実態、「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】」を紹介しよう。
・『6月20日に告示、7月7日に投開票が行われる今回の都知事選挙には40人以上が立候補の意向を表明。蓮舫氏は国政レベルでの政権交代を目指している?今回の都知事選は、共産党を含む政治勢力が都の権力を握ることの是非が争点に…。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が読み解く』、興味深そうだ。
・『今回の選挙で鍵を握る日本共産党は、蓮舫氏の支持を表明 東京都の小池百合子知事(71)がようやく、3期目を目指して出馬することを明らかにしました。6月20日に告示、7月7日に投開票が行われる今回の都知事選挙には40人以上が立候補の意向を表明、過去最多だった前回の22人を大きく更新する見通しです。 しかし事実上、現職の小池知事と、無所属で立候補する立憲民主党参議院議員の蓮舫氏(56)、広島県安芸高田市の石丸伸二・前市長(41)らの間で争われることになります。 蓮舫氏は、5月27日に立候補の記者会見を開きました。同日の「日本経済新聞」電子版は、こう伝えています。 〈「反自民党政治、非小池都政の姿勢で都知事選に臨みたい」と明言した。 自民党派閥の政治資金問題を受け、衆院3補欠選挙で立憲民主党が3勝し、26日投開票の静岡県知事選でも立民が推薦した候補が勝利したと強調した。「国民の声ははっきりしている。自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットしてほしい。その先頭に立つのが私の使命だ」と強調した』、「立憲民主党」が前面に立つのは当然だ。
・『共産党との共闘は国の体制転換にまで関わる 大企業の利益を代表する経団連は、共産党だけは絶対に支持しません。立憲民主党の有力な支持母体である連合傘下に労働組合を持つ企業も、ほとんどが経団連に加盟する大企業です。 共産党との共闘をここまで明確にした蓮舫氏を、連合はどこまで支持してくれるのか。連合の芳野友子会長は「連合は共産党とは考え方が全く違う。そこの考え方を再度、立憲民主党には申し上げることになる」と述べています。 前回の都知事選で、連合東京が小池知事を支持したことも忘れてはなりません。蓮舫氏は共産党を除いて“反自民”だけ打ち出した方が、よほど票になったのではないでしょうか。 蓮舫氏の姿勢を、マスメディアは「反自公、非小池都政」と表現しています。しかしこれでは、最重要事項が隠れてしまいます。実態は「親共産、反自民、非小池都政」なのです。 ようやく、国民民主党の榛葉賀津也幹事長が5月31日に、「共産党と連携する人が東京の知事では困る」と述べましたが、今回の都知事選は、共産党を含む政治勢力が都の権力を握ることの是非が争点になります。 ここまでけんかを売られた以上、自民党は小池知事を応援せざるを得ません。見返りとして、都知事選と同じ日に行われる八つの都議の補選で、小池知事側の支援を得たいという思惑もあります。公明党の支持母体である創価学会も、蓮舫氏を都知事にしないために全力を挙げます。 その上で蓮舫氏が国政レベルでの政権交代を目指していることは、以下の発言から明白です。 〈(蓮舫氏は)「日本の政治の行方と都民の命、暮らしがかかった大事な選挙だ」と強調。「首都東京から日本の政治の流れを変え、岸田自公政権に審判を下していく」と述べました。 小池(晃)氏は「同時に小池都政は財界の目先の利益だけを最優先にしている自民党政治そのものだ。2期8年間の小池都政の転換を実現するという立場で選挙戦に臨み、必ず勝利したい」と語りました〉(5月27日「しんぶん赤旗」) 東京都には都政独自の課題があり、都民の生活を良くしてくれる知事を選ぶために行われるのが都知事選です。にもかかわらず蓮舫氏は、「首都東京から日本の政治の流れを変え、岸田自公政権に審判を下していく」と述べました。都知事になることは手段にすぎず、真の目的は自公連立政権を打倒することだと述べたのです。 筆者の臆測が現実にならないことを願うばかりですが、ここで参院議員を辞任して都知事選に出馬し、仮に落選したならば次は衆議院選に打って出て、総理の座を目指す。そんな考えがあるとしたら、東京都民を愚弄していることになります。 しかし一般の新聞を読んでいるだけでは、そんな臆測もできません。ここに紹介したように蓮舫氏の発言を最も詳しく説明している「しんぶん赤旗」を丁寧に読まなければ、真意はつかめないのです。 一連の発言からみて、「蓮舫氏は共産党を、未来の政権のパートナーとして考えている」というのが筆者の受け止めです。共産党の田村智子委員長も同調するように、5月29日に「蓮舫さんを全力で応援する。都政を変え、国政を大きく転換する流れを東京から全国へ広げていきたい」と宣言しました。 どうやら今回の都知事選は、国政並みの意味合いを帯びてきたようです。政権交代どころか、国の体制転換まで内包した大きな選挙になったといえます。) 今回の選挙で鍵を握るのが、日本共産党です。共産党は早々と、蓮舫氏への支持を表明しました。5月27日の「しんぶん赤旗」は、次のように報じています。〈(共産党初期局長の)小池(晃)氏は選定委後の記者会見で、蓮舫氏が都知事選への立候補を表明したことについて「最強・最良の候補者が名乗りを上げてくれた。日本共産党として、勝利のために全力を尽くしたい」と表明しました〉 蓮舫氏も、共産党との協力に意欲的です。出馬会見で、支援を受ける意思を明確にしました。 〈これまでの市民と野党の共闘をベースに「反自民、非小池都政のオール東京の枠組みで支援いただきたい」と述べ、「共産党も含めた野党共闘をやらなければ勝てないのでは」という記者の質問に対して「いまおっしゃった方たちとの信頼関係ももちろん大事にしていきたい」と答えた〉(同前)
29日には都議会の共産党控室を訪れ、「一緒に明るい温かな東京をつくらせていただきたい」とあいさつして、大山とも子・都議団長から花束を受け取っています。 蓮舫氏は、共産党の組織票を計算しているはずです。しかし、人気がないだけの立憲民主党と違い、共産党に対しては忌避反応を示す個人や組織がどれだけ多いかを、考えているでしょうか』、「共産党」はここは一歩引いて、「蓮舫氏」を裏面から支持する形とすれば、「連合」や「国民民主党」も「蓮舫氏」を支持し易かった筈だ。「蓮舫氏」も残念ながら考えが浅いようだ。
第四に、6月21日付けNEWSポストセブン「《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は」を紹介しよう。
・『東京都知事選(7月7日投開票)が6月20日に告示され、過去最多となる56人もの立候補者が出たことが話題となっている。都内各地に設置されたポスター掲示場では、「NHKから国民を守る党」が大量に同一のポスターを貼っていることなどが騒ぎとなっているが、そうした中で異例の動きがあったのが「ほぼ裸」の女性の姿を大写しにしたポスターの問題だった。 白塗りメイクで“ジョーカー議員”を自称する河合悠祐候補(43)が貼ったもので、「子どもが見る場所にこんなものを貼るな」と批判が殺到。警視庁にも苦情が寄せられた。 これを受けて警視庁は告示当日の夜に河合候補を呼び出し、東京都迷惑防止条例違反(ひわいな言動)に当たるとして口頭で警告。みだらな姿の女性の裸体が強調されていることが条例違反に当たる可能性があると指摘されたという。 同候補は警視庁前で報道陣の取材に応じ、「都迷惑防止条例に違反する可能性があるということで警告をいただいた。速やかに剥がすように求められた。それに従って剥がしていく」と語ったうえで、「合法の範囲だと思っていた」「性的な表現の自由も強く保障するべきと思っている」とも主張した。 問題となったポスターの上部には「モデル:桜井MIU」と記されており、実際に彼女が河合候補と一緒にポスター掲示場に貼る場面もSNSで拡散された』、全く呆れ果てるほどの悪ノリだ。公職選挙法の改正も検討すべきだろう。
先ずは、本年6月20日付けdmenuニュースが転載した日刊ゲンダイ「ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア」を紹介しよう。
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nikkangendai/life/nikkangendai-1051491
・『予想通り、消化不良だった。東京都知事選の告示前日の19日、日本記者クラブで行われた候補者の公開討論。呼ばれたのは、学歴詐称疑惑の再燃をものともせずに3選を目指す小池百合子知事(71)、「反自民党、非小池都政」を掲げる前参院議員の蓮舫氏(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)の4人。セットされたのは1時間だけ。議論はちっとも煮詰まらず、ドッチラケだった。 今夏の首都決戦には史上最多の50人ほどが名乗り。これまで過去最多だった4年前の22人から倍増だ。そうした事情もあって、討論に「どこまで呼ぶか」でひと悶着あったという。 「今回の構図は小池氏と蓮舫氏による事実上の与野党対決。小池氏が逃げ切るか、蓮舫氏が追い上げるか。三つ巴の戦いは想定されていません。有権者の投票行動に資することを第一に考えれば、2人の1対1討論で問題点をあぶり出すべきだという意見があった。一方で、候補者に対する公平性を担保するため、首長経験のある石丸氏らも呼ぶべきだとの声もあり、網が広げられた」(大手紙記者) 田母神氏は「普通の保守系の都民が投票する人がいない」という理由で2度目の挑戦。もっとも、2014年の選挙をめぐり、公職選挙法違反(買収)で有罪が確定し、5年間の公民権停止を食らっている。だったら、知名度のあるタレントの清水国明氏(73)はなぜはじかれたのか。災害支援活動を生かした減災政策の充実を訴えている。陣営関係者は「勝敗に絡む得票数が見込めないと軽く見られたのでしょう」と寂しげだ。 政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。 「このクラブ討論はむしろフェアじゃない。争点のひとつと言っていい小池氏の公選法違反(虚偽事項公表罪=学歴詐称)疑惑を深掘りさせないために、人数を増やしたのではないか。そんな印象が拭えません。小池氏を応援する自民党や公明党の支持者は高齢者が多く、NHKなどの大手メディアしか見ていない人が少なくないですから、今回も小池氏にまんまとだまされてしまうかもしれない。カイロ大の元幹部が学歴詐称を打ち消すために表に出てきたり、イカサマのにおいがますます強まっている。小池3選を許せば、民主主義の根幹をなす選挙は台無しです」 蓮舫はこの4人による討論会の継続開催を求めていたが、どうなるか』、「「今回の構図は小池氏と蓮舫氏による事実上の与野党対決。小池氏が逃げ切るか、蓮舫氏が追い上げるか。三つ巴の戦いは想定されていません。有権者の投票行動に資することを第一に考えれば、2人の1対1討論で問題点をあぶり出すべきだという意見があった。一方で、候補者に対する公平性を担保するため、首長経験のある石丸氏らも呼ぶべきだとの声もあり、網が広げられた」(大手紙記者) 田母神氏は「普通の保守系の都民が投票する人がいない」と・・・「政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。 このクラブ討論はむしろフェアじゃない。争点のひとつと言っていい小池氏の公選法違反(虚偽事項公表罪=学歴詐称)疑惑を深掘りさせないために、人数を増やしたのではないか。そんな印象が拭えません。小池氏を応援する自民党や公明党の支持者は高齢者が多く、NHKなどの大手メディアしか見ていない人が少なくないですから、今回も小池氏にまんまとだまされてしまうかもしれない。カイロ大の元幹部が学歴詐称を打ち消すために表に出てきたり、イカサマのにおいがますます強まっている。小池3選を許せば、民主主義の根幹をなす選挙は台無しです」 蓮舫はこの4人による討論会の継続開催を求めていたが、どうなるか」、「本澤二郎氏」の解釈は説得的だ。それにしても、「蓮舫氏」が「この4人による討論会の継続開催を求めていた」とは残念だ。本来の「与野党対決」に持ち込むべきなのに、すっかり小池側の手のなかにあるようだ。まだまだ未熟のようだ。
次に、6月20日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/764944
・『都民だけでなく全国民が注目する東京都知事選が6月20日に告示され、56人という過去最多の立候補者による多彩な選挙活動がスタートした。7月7日投開票の「七夕決戦」となり、「その結果は、支持率低迷にあえぐ岸田文雄首相の政権運営にも大きな影響を及ぼす」(政治ジャーナリスト)ことは間違いない。 話題満載の首都決戦の“主役”は、やはり3選に挑む小池百合子知事(71)と立憲民主党参院議員だった蓮舫氏(56)という「政治家としての知名度や実績が群を抜く二人の女傑」(政治ジャーナリスト)だ。ただ、“脇役陣”もこれまで以上に多士済々で、「巨大都市・東京」の次の顔を巡る選挙戦は、「異例づくめで、異様さも際立つ展開」(同)が想定される。このため、岸田首相をはじめ、与野党首脳らはそれぞれの立場から「固唾をのんで結末を見守る」(自民幹部)ことになりそうだ』、どうもマスコミには、「二人の女傑」の争いを他の多くの候補者にかまけて薄めようとの狙いがありそうだ。
・『注目集める「似た者同士」の闘い 告示前から、主要メディアが「どちらが勝つか」と煽り立てている「小池vs蓮舫」だが、そもそも、「首相とも比肩される都知事が“女の闘い”となるのは史上初」(自民幹部)となる。しかも、小池、蓮舫両氏は「いずれも民放テレビのキャスターを経て中央政界に華々しくデビューし、主要政党の党首も経験して初の女性首相候補と目されてきた似た者同士」(政治ジャーナリスト)だけに、「注目度の高さは過去最高」(選挙アナリスト)とみる向きが多い。 その一方で、今回都知事選には、前安芸高田市長・石丸伸二氏(41)、元航空幕僚長・田母神俊雄氏(75)、有名タレント・清水国明氏(73)らが参戦。さらに、先の衆院東京15区補欠選挙での度を超えた他候補攻撃で警視庁に公職選挙法違反容疑で逮捕され、現在も拘置中のつばさの党代表・黒川敦彦氏(45)も立候補している。) これら知名度の高い各候補は、黒川氏以外は政党色のない無所属で、メディアや各関連団体の「候補者討論会」にはそれぞれの立場で参加する構えだ。その一方で、近年急速に拡大しているいわゆる「SNS選挙」として、ネット上でも独自のアピールを展開する候補も多く、選挙アナリストの間では、「ネット選挙がどれだけ得票に結びつくかを検証できる絶好のチャンス」(有力アナリスト)とも言われている。 さらに、今回の「小池vs蓮舫」の政治的位置づけでは、両氏とも無所属での出馬だが、小池氏は自民、公明両党と地域政党「都民ファーストの会」に加え、連合や国民民主党が支持する構え。対する蓮舫氏は、立憲民主、共産、社民の各党が前面に出て支援する方針のため、「事実上の保革対決の構図」(選挙アナリスト)となっている。 東京都選挙管理委員会によると、19日現在の選挙人名簿登録者数は1153万3132人。前回都知事選の告示日前日に比べ約6万4000人多い。その上、「巨大都市・東京はその経済規模でも欧州の中堅国会に比肩する」(政治ジャーナリスト)こともあり、「世界でも例の少ない空前の大都市選挙」(同)であることは間違いない』、「事実上の保革対決の構図」が候補者乱立のため、「「主要4氏」が候補者討論会で舌戦」と形を変えたのは「蓮舫氏」には不利に作用したようだ。
・『「主要4氏」が候補者討論会で舌戦 こうした状況を踏まえ、告示前日の19日夕刻には、多くのメディアが「主要候補」と位置づけている小池、蓮舫、石丸、田母神の4氏が、恒例の「日本記者クラブ候補者討論会」で舌戦を展開。NHKの完全中継だけでなく、民放各局も定時ニュースや情報番組などで「ハイライト」として報じた。また、ネット上でも各媒体が生中継し、X(旧ツイッター)での書き込みでも「候補者討論会」がトレンド上位となった。 討論会は合計1時間余と短かく、候補者同士の質疑応答と、クラブ側からの代表質問の二部構成で進行。冒頭には4氏がボードで「政治屋の一掃」(石丸氏)、「首都防衛・大改革3.0」(小池氏)、「若者の手取り増・ガラス張りの都政」(蓮舫氏)、「結果を出す政治」(田母神氏)と掲げて所信を熱い口調でアピールした。) さらに、代表質問を軸に、少子化対策、原発とエネルギー政策という重要課題から、神宮外苑の再開発の是非や小池氏の学歴詐称疑惑まで、多岐にわたる論戦を展開。4氏とも20日からの選挙戦本番での街頭演説や各種討論会でも連日相まみえることになりそうだ』、「多くのメディアが「主要候補」と位置づけている小池、蓮舫、石丸、田母神の4氏が、恒例の「日本記者クラブ候補者討論会」で舌戦を展開。NHKの完全中継だけでなく、民放各局も定時ニュースや情報番組などで「ハイライト」として報じた。また、ネット上でも各媒体が生中継し、X(旧ツイッター)での書き込みでも「候補者討論会」がトレンド上位となった。 討論会は合計1時間余と短かく、候補者同士の質疑応答と、クラブ側からの代表質問の二部構成で進行。冒頭には4氏がボードで「政治屋の一掃」(石丸氏)、「首都防衛・大改革3.0」(小池氏)、「若者の手取り増・ガラス張りの都政」(蓮舫氏)、「結果を出す政治」(田母神氏)と掲げて所信を熱い口調でアピールした」、主要メディアはすっかり小池氏の狙いに乗せられたようだ。
・『半世紀前の「美濃部vs石原」と同様の競り合いか そこで、改めて都知事選の歴史などを振り返ると、現職が立候補した場合はすべて勝利しており、もし小池氏が敗れれば史上初の事態となる。また、投票率の推移をみると、1971年の72.36%が最高で、1987年の43.19%が最低。小池氏が出馬した2016年は59.73%、2020年は55.00%と近年では高率となっており、「話題性が高い今回は60%を超える可能性がある」(選挙アナリスト)との指摘も多い。 そうした中、今回と対比されるのが、現職と新人の大接戦となった1975年の美濃部亮吉知事(3選出馬)と石原慎太郎前参院議員(いずれも当時)の対決。結果的に美濃部氏268万余、石原氏233万余の得票で美濃部氏が3選に成功したが、「史上初の200万票台の競り合いという構図は今回にも当てはまる」(同)との見方も少なくない。 その一方で、注目度が高い都知事選だけにこれまでも「売名目的の立候補者の多さ」(同)が話題となってきたが、今回の立候補者数は、過去最多だった前回2020年の22人を大幅に上回る56人に激増。このため都内各所に設置される候補者の選挙ポスターを貼る掲示板も前回の倍以上となる大きさの48人分を用意していたが、それでも8人分不足し、都選管は49人目以降の届け出候補者分については当該各候補者にクリアファイルなどを支給し、それぞれが自ら掲示板に固定するよう求めることにした。こうした一連の作業のあおりで本来の都選管の業務遂行にも支障が出る事態ともなった。) さらに、政治団体「NHKから国民を守る党」(立花孝志党首)がなんと24人もの候補者を立て、現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」(同)も表面化した』、「政治団体「NHKから国民を守る党」(立花孝志党首)がなんと24人もの候補者を立て、現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」(同)も表面化した」、こんな「現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」」を許すべきではない。
・『「何でもありのカオス」にどう対応? こうした選挙の本質とかけ離れた騒動は「次回以降もさらに拡大するのは確実」(都選管)で、その先駆けとして「今回都知事選はすべて異例ずくめで、しかも、選挙の在り方自体が問われかねない、まさに何でもありのカオス」(選挙アナリスト)となり、関係者の頭痛の種は増すばかりだ。 このため、政界関係者の間では「今後の国政選挙や地方選挙のルールの歪みを正すため、政府や与野党が早急に公選法改正などに取り組む必要がある」(自民選対)との声が高まっている。 ただ、「基本的人権の1つである立候補の自由とどう折り合いをつけるか」(選挙アナリスト)など難題が多く、1年後の次期参院選や2025年秋までには確実に実施される次期衆院選までに法改正などにこぎつけられるかどうかは極めて不透明だ』、「まさに何でもありのカオス」(選挙アナリスト)となり、関係者の頭痛の種は増すばかりだ。 このため、政界関係者の間では「今後の国政選挙や地方選挙のルールの歪みを正すため、政府や与野党が早急に公選法改正などに取り組む必要がある」(自民選対)との声が高まっている」、なるほど。
第三に、6月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家・元外務省主任分析官の佐藤 優氏による「都知事選に出馬する蓮舫氏の実態、「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】」を紹介しよう。
・『6月20日に告示、7月7日に投開票が行われる今回の都知事選挙には40人以上が立候補の意向を表明。蓮舫氏は国政レベルでの政権交代を目指している?今回の都知事選は、共産党を含む政治勢力が都の権力を握ることの是非が争点に…。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が読み解く』、興味深そうだ。
・『今回の選挙で鍵を握る日本共産党は、蓮舫氏の支持を表明 東京都の小池百合子知事(71)がようやく、3期目を目指して出馬することを明らかにしました。6月20日に告示、7月7日に投開票が行われる今回の都知事選挙には40人以上が立候補の意向を表明、過去最多だった前回の22人を大きく更新する見通しです。 しかし事実上、現職の小池知事と、無所属で立候補する立憲民主党参議院議員の蓮舫氏(56)、広島県安芸高田市の石丸伸二・前市長(41)らの間で争われることになります。 蓮舫氏は、5月27日に立候補の記者会見を開きました。同日の「日本経済新聞」電子版は、こう伝えています。 〈「反自民党政治、非小池都政の姿勢で都知事選に臨みたい」と明言した。 自民党派閥の政治資金問題を受け、衆院3補欠選挙で立憲民主党が3勝し、26日投開票の静岡県知事選でも立民が推薦した候補が勝利したと強調した。「国民の声ははっきりしている。自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットしてほしい。その先頭に立つのが私の使命だ」と強調した』、「立憲民主党」が前面に立つのは当然だ。
・『共産党との共闘は国の体制転換にまで関わる 大企業の利益を代表する経団連は、共産党だけは絶対に支持しません。立憲民主党の有力な支持母体である連合傘下に労働組合を持つ企業も、ほとんどが経団連に加盟する大企業です。 共産党との共闘をここまで明確にした蓮舫氏を、連合はどこまで支持してくれるのか。連合の芳野友子会長は「連合は共産党とは考え方が全く違う。そこの考え方を再度、立憲民主党には申し上げることになる」と述べています。 前回の都知事選で、連合東京が小池知事を支持したことも忘れてはなりません。蓮舫氏は共産党を除いて“反自民”だけ打ち出した方が、よほど票になったのではないでしょうか。 蓮舫氏の姿勢を、マスメディアは「反自公、非小池都政」と表現しています。しかしこれでは、最重要事項が隠れてしまいます。実態は「親共産、反自民、非小池都政」なのです。 ようやく、国民民主党の榛葉賀津也幹事長が5月31日に、「共産党と連携する人が東京の知事では困る」と述べましたが、今回の都知事選は、共産党を含む政治勢力が都の権力を握ることの是非が争点になります。 ここまでけんかを売られた以上、自民党は小池知事を応援せざるを得ません。見返りとして、都知事選と同じ日に行われる八つの都議の補選で、小池知事側の支援を得たいという思惑もあります。公明党の支持母体である創価学会も、蓮舫氏を都知事にしないために全力を挙げます。 その上で蓮舫氏が国政レベルでの政権交代を目指していることは、以下の発言から明白です。 〈(蓮舫氏は)「日本の政治の行方と都民の命、暮らしがかかった大事な選挙だ」と強調。「首都東京から日本の政治の流れを変え、岸田自公政権に審判を下していく」と述べました。 小池(晃)氏は「同時に小池都政は財界の目先の利益だけを最優先にしている自民党政治そのものだ。2期8年間の小池都政の転換を実現するという立場で選挙戦に臨み、必ず勝利したい」と語りました〉(5月27日「しんぶん赤旗」) 東京都には都政独自の課題があり、都民の生活を良くしてくれる知事を選ぶために行われるのが都知事選です。にもかかわらず蓮舫氏は、「首都東京から日本の政治の流れを変え、岸田自公政権に審判を下していく」と述べました。都知事になることは手段にすぎず、真の目的は自公連立政権を打倒することだと述べたのです。 筆者の臆測が現実にならないことを願うばかりですが、ここで参院議員を辞任して都知事選に出馬し、仮に落選したならば次は衆議院選に打って出て、総理の座を目指す。そんな考えがあるとしたら、東京都民を愚弄していることになります。 しかし一般の新聞を読んでいるだけでは、そんな臆測もできません。ここに紹介したように蓮舫氏の発言を最も詳しく説明している「しんぶん赤旗」を丁寧に読まなければ、真意はつかめないのです。 一連の発言からみて、「蓮舫氏は共産党を、未来の政権のパートナーとして考えている」というのが筆者の受け止めです。共産党の田村智子委員長も同調するように、5月29日に「蓮舫さんを全力で応援する。都政を変え、国政を大きく転換する流れを東京から全国へ広げていきたい」と宣言しました。 どうやら今回の都知事選は、国政並みの意味合いを帯びてきたようです。政権交代どころか、国の体制転換まで内包した大きな選挙になったといえます。) 今回の選挙で鍵を握るのが、日本共産党です。共産党は早々と、蓮舫氏への支持を表明しました。5月27日の「しんぶん赤旗」は、次のように報じています。〈(共産党初期局長の)小池(晃)氏は選定委後の記者会見で、蓮舫氏が都知事選への立候補を表明したことについて「最強・最良の候補者が名乗りを上げてくれた。日本共産党として、勝利のために全力を尽くしたい」と表明しました〉 蓮舫氏も、共産党との協力に意欲的です。出馬会見で、支援を受ける意思を明確にしました。 〈これまでの市民と野党の共闘をベースに「反自民、非小池都政のオール東京の枠組みで支援いただきたい」と述べ、「共産党も含めた野党共闘をやらなければ勝てないのでは」という記者の質問に対して「いまおっしゃった方たちとの信頼関係ももちろん大事にしていきたい」と答えた〉(同前)
29日には都議会の共産党控室を訪れ、「一緒に明るい温かな東京をつくらせていただきたい」とあいさつして、大山とも子・都議団長から花束を受け取っています。 蓮舫氏は、共産党の組織票を計算しているはずです。しかし、人気がないだけの立憲民主党と違い、共産党に対しては忌避反応を示す個人や組織がどれだけ多いかを、考えているでしょうか』、「共産党」はここは一歩引いて、「蓮舫氏」を裏面から支持する形とすれば、「連合」や「国民民主党」も「蓮舫氏」を支持し易かった筈だ。「蓮舫氏」も残念ながら考えが浅いようだ。
第四に、6月21日付けNEWSポストセブン「《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は」を紹介しよう。
・『東京都知事選(7月7日投開票)が6月20日に告示され、過去最多となる56人もの立候補者が出たことが話題となっている。都内各地に設置されたポスター掲示場では、「NHKから国民を守る党」が大量に同一のポスターを貼っていることなどが騒ぎとなっているが、そうした中で異例の動きがあったのが「ほぼ裸」の女性の姿を大写しにしたポスターの問題だった。 白塗りメイクで“ジョーカー議員”を自称する河合悠祐候補(43)が貼ったもので、「子どもが見る場所にこんなものを貼るな」と批判が殺到。警視庁にも苦情が寄せられた。 これを受けて警視庁は告示当日の夜に河合候補を呼び出し、東京都迷惑防止条例違反(ひわいな言動)に当たるとして口頭で警告。みだらな姿の女性の裸体が強調されていることが条例違反に当たる可能性があると指摘されたという。 同候補は警視庁前で報道陣の取材に応じ、「都迷惑防止条例に違反する可能性があるということで警告をいただいた。速やかに剥がすように求められた。それに従って剥がしていく」と語ったうえで、「合法の範囲だと思っていた」「性的な表現の自由も強く保障するべきと思っている」とも主張した。 問題となったポスターの上部には「モデル:桜井MIU」と記されており、実際に彼女が河合候補と一緒にポスター掲示場に貼る場面もSNSで拡散された』、全く呆れ果てるほどの悪ノリだ。公職選挙法の改正も検討すべきだろう。
タグ:dmenuニュース (その12)(ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア、「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し、都知事選に出馬する蓮舫氏の実態 「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】、《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は) 小池都知事問題 日刊ゲンダイ「ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア」 「「今回の構図は小池氏と蓮舫氏による事実上の与野党対決。小池氏が逃げ切るか、蓮舫氏が追い上げるか。三つ巴の戦いは想定されていません。有権者の投票行動に資することを第一に考えれば、2人の1対1討論で問題点をあぶり出すべきだという意見があった。一方で、候補者に対する公平性を担保するため、首長経験のある石丸氏らも呼ぶべきだとの声もあり、網が広げられた」(大手紙記者) 田母神氏は「普通の保守系の都民が投票する人がいない」と・・・「政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。 このクラブ討論はむしろフェアじゃない。 争点のひとつと言っていい小池氏の公選法違反(虚偽事項公表罪=学歴詐称)疑惑を深掘りさせないために、人数を増やしたのではないか。そんな印象が拭えません。小池氏を応援する自民党や公明党の支持者は高齢者が多く、NHKなどの大手メディアしか見ていない人が少なくないですから、今回も小池氏にまんまとだまされてしまうかもしれない。カイロ大の元幹部が学歴詐称を打ち消すために表に出てきたり、イカサマのにおいがますます強まっている。小池3選を許せば、民主主義の根幹をなす選挙は台無しです」 蓮舫はこの4人による討論会の継続開催を求めていたが、どうなるか」、「本澤二郎氏」の解釈は説得的だ。それにしても、「蓮舫氏」が「この4人による討論会の継続開催を求めていた」とは残念だ。本来の「与野党対決」に持ち込むべきなのに、すっかり小池側の手のなかにあるようだ。まだまだ未熟のようだ。 東洋経済オンライン 泉 宏氏による「「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し」 どうもマスコミには、「二人の女傑」の争いを他の多くの候補者にかまけて薄めようとの狙いがありそうだ。 「事実上の保革対決の構図」が候補者乱立のため、「「主要4氏」が候補者討論会で舌戦」と形を変えたのは「蓮舫氏」には不利に作用したようだ。 「多くのメディアが「主要候補」と位置づけている小池、蓮舫、石丸、田母神の4氏が、恒例の「日本記者クラブ候補者討論会」で舌戦を展開。NHKの完全中継だけでなく、民放各局も定時ニュースや情報番組などで「ハイライト」として報じた。また、ネット上でも各媒体が生中継し、X(旧ツイッター)での書き込みでも「候補者討論会」がトレンド上位となった。 討論会は合計1時間余と短かく、候補者同士の質疑応答と、クラブ側からの代表質問の二部構成で進行。 冒頭には4氏がボードで「政治屋の一掃」(石丸氏)、「首都防衛・大改革3.0」(小池氏)、「若者の手取り増・ガラス張りの都政」(蓮舫氏)、「結果を出す政治」(田母神氏)と掲げて所信を熱い口調でアピールした」、主要メディアはすっかり小池氏の狙いに乗せられたようだ。 こんな「現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」」を許すべきではない。 「まさに何でもありのカオス」(選挙アナリスト)となり、関係者の頭痛の種は増すばかりだ。 このため、政界関係者の間では「今後の国政選挙や地方選挙のルールの歪みを正すため、政府や与野党が早急に公選法改正などに取り組む必要がある」(自民選対)との声が高まっている」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン 佐藤 優氏による「都知事選に出馬する蓮舫氏の実態、「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】」 「立憲民主党」が前面に立つのは当然だ。 「共産党」はここは一歩引いて、「蓮舫氏」を裏面から支持する形とすれば、「連合」や「国民民主党」も「蓮舫氏」を支持し易かった筈だ。「蓮舫氏」も残念ながら考えが浅いようだ。 NEWSポストセブン「《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は」 「ほぼ裸」の女性の姿を大写しにしたポスターの問題 全く呆れ果てるほどの悪ノリだ。公職選挙法の改正も検討すべきだろう。
小池都知事問題(その12)(【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】、都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に、蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決、小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」) [国内政治]
小池都知事問題については、本年4月24日に取上げた。今日は、(その12)(【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】、都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に、蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決、小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」)である。
先ずは、本年4月24日付けJBPressが掲載した作家の黒木 亮氏による「【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】」を鍾愛しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/80469
・『元側近が「文藝春秋」5月号に発表した手記をきっかけに、小池百合子・東京都知事の学歴問題が再びクローズアップされています。この問題の詳細について人気作家、黒木亮氏がJBpressでレポートした連載(全6回)をもう一度お届けします。(初出:2020年1月19日)※内容は掲載当時のものです。 これまでたびたび週刊誌などでも取り上げられながら、決定的な証拠を突き付けるまでには至らなかった小池百合子・東京都知事の「学歴詐称疑惑」。アラビア語やエジプト事情に疎い日本のメディアは小池氏の学歴詐称疑惑の追及に消極的で、このままでは、この疑惑は、永遠に疑惑のまま終わってしまうかもしれない。 小池氏の「お使い」レベルのアラビア語を聞けば、カイロ大学卒業という学歴は即座におかしいと分かる。筆者はアラビア語を学び、エジプトの大学(カイロ・アメリカン大学大学院中東研究科)を卒業した者の責務として、複数回の現地取材を含む調査で疑惑を徹底検証した。その結果、小池氏がカイロ大学の卒業要件を満たして卒業したという証拠、印象、片鱗は何一つ見出せなかった。 これまで他のメディアが報じてこなかった小池氏の「学歴詐称」を徹底検証するレポートの最終回をお届けする』、「筆者はアラビア語を学び、エジプトの大学(カイロ・アメリカン大学大学院中東研究科)を卒業した者の責務として、複数回の現地取材を含む調査で疑惑を徹底検証」、これは信頼性が高そうだ。
・『限られたメディアにチラ見せしただけの卒業証書 小池氏の学歴詐称疑惑は、すでに述べた通り、単なる書類の問題ではなく、入学の実態および卒業に必要な学業実態の有無である。もし学長、学部長などが関与して作られた“不正卒業証書”なら、成績表など大学内の書類も正規の卒業生同様に捏造されているので、いくらペーパーを出しても説得力がない。 ただ念のために、小池氏がテレビで“チラ見せ”している卒業証明書、卒業証書について、気づいた点を指摘しておく。 カイロ大学をはじめとするエジプトの国立大学において、卒業を証明する書類は3種類ある。卒業後1カ月以内程度で発行される「卒業証明書」、もう少し後に発行される「卒業証書」、科目別の成績が記載されている「成績証明書」である。 卒業証明書は、収入印紙が貼られた、実務色の強い書類である。卒業証書のほうは、それよりも大きなサイズで、日本の卒業証書や賞状あるいは免状に似た書類である。前者は基本的に全部の卒業生が取得し、後者は特に希望する学生が大学に申請して入手する。成績証明書は、外国の大学院などに進むときに必要になる。) 小池氏は、政治家になって27年経つが、この間、卒業証明書や卒業証書を見せたのは、「週刊ポスト」やフジテレビなど、ごく限られたメディアに対してのみで、都議会での公開要請にも応じていない(しかも「週刊ポスト」・・・の画像はごく小さなもので、文字はまったく判読不能)。また成績証明書は公開していない』、「卒業証明書や卒業証書を見せたのは、「週刊ポスト」やフジテレビなど、ごく限られたメディアに対してのみで、都議会での公開要請にも応じていない」、なるほど。
・『不鮮明な印影 小池氏が卒業関係書類を、明瞭な形で一般に公開していないため、それらが本物かどうかは、唯一文字が判読できるフジテレビのスクリーンショットで検討するしかない(2016年6月30日放送の「とくダネ!」)。
・『小池氏がフジテレビの番組で公開した卒業証明書 この検討にあたって筆者は、現地で会ったカイロ大学の卒業生やインターネット・サイトから20通ほどの卒業証明書を集め、小池氏のものと比較してみた。それらは1973年から2015年の間に、文学部、工学部、政経学部、商学部、医学部、薬学部、法学部などを卒業した人々のものである。 カイロ大学の卒業証明書は、学部や発行年度によって署名者、スタンプ、用紙の形が少しずつ違っている。署名者は、1つの卒業証明書に3~5人で、ムハッタス(specialist)、ムサッジル(registrar)、ムラーキブ(controller)、ムラージウ(checker)などがサインし、その下に、ムディール・アーンム・アッ・シュウーニ・タアリーミーヤ(general director for educational matters)やアミード・ル・クッリーヤ(学部長)などのサインがあるものが多い。また収入印紙が貼られ、大学の総合管理部(アル・イダーラト・ル・アーンマ)や学部のスタンプが、収入印紙の割り印を含め、1~5カ所に押されている。用紙は正方形に近いものもあるが、縦長の長方形が多い。 小池氏の卒業証明書はスクリーンショットで見る限り、証明書として通用しない代物である。なぜなら、最重要要件である大学のスタンプの印影がいずれも判読不明だからだ。 日本の銀行でも払い戻し請求書の印影が不鮮明だと、お金を下ろすことができないのと同じである。小池氏の卒業証明書には、3つのスタンプが押してあるが、右下の1つだけが、かろうじて鷲のマークがあるように見え、残り2つは何のスタンプか判然としない。筆者が集めた他の20通ほどの卒業証明書はいずれもスタンプが鮮明で、鷲のマークも、その周囲に書いてある学部名や大学の総合管理部というアラビア語の文字も鮮明に読める。 筆者はカイロ大学文学部の教授や日本の援助機関に管理職として勤務するカイロ大学工学部出身者に小池氏の卒業証明書を見せたが「これでは卒業証明書として通用しない」と言われた。前述の“不正卒業証書”作成業者を潜入取材したダリヤ・シェブル氏は「当時は優れた偽造技術を持った業者はいなかったと思うので、小池氏の卒業証明書は大学内部の人間が関与して作成した物だろう」とコメントした』、「ダリヤ・シェブル氏は「当時は優れた偽造技術を持った業者はいなかったと思うので、小池氏の卒業証明書は大学内部の人間が関与して作成した物だろう」とコメントした」、ここまで専門家に調べられたら、不自然な点は明確にならざるを得ない。
・『小池氏の卒業証書にある「乱れ」 スタンプ以外にも、小池氏の卒業証明書には、他の正規の卒業生のものと異なる「乱れ」がある。 第1に、小池氏の卒業証明書の文章が男性形で書かれていることだ。すなわち敬称に「サイイダ」(Ms.)ではなくサイイド(Mr.)が、生年月日を示す「生まれ」にも「マウルーダ(女性形)」ではなく「マウルード(男性形)」が、学位を「取得した」という語にも「ハサルト(女性形)」ではなく「ハサラ(男性形)」が、「(~の)求め」にも「タラブハー(彼女の求め)」ではなく「タラブフ(彼の求め)」と、すべて男性形で書かれている。 アラビア語では書類に男女の別を記載しなくても、語形でそれが分かるのである。他の卒業証明書でこのような性別の不一致があるものは1枚もなく、2通ある女性のものもきちんと女性形で書かれている。 「乱れ」の第2は、4人の署名者のうち、スクリーンショットでは、2人の署名しか確認できないことだ。同氏の卒業証明書の署名者の肩書は、右から「ムハッタス(specialist)」「ムラーキブ(controller)」「ムラーキブ・アーンム(general controller)」のサインの欄があり、サインがあると確実に言えるのは、真ん中の「ムラーキブ」のみである(そのさらに下には学部長のサインがある)。他の20通ほどの卒業証明書では、4つの署名のうち1つだけが欠けているものが1通だけあるが、それ以外はすべての署名者の欄にサインがある。 「乱れ」の3点目は、小池氏の卒業証明書には大学の収入印紙が逆さまに貼られていることだ。他の卒業証明書には、そういう例は1つもない。スペースの都合上やむなく、収入印紙を横に貼ったものはあるが、小池氏のものは、スペース確保とは関係なく逆さまに貼ってある。 第4に小池氏の写真がピンで留めてあることだ。筆者が集めた他の卒業証明書の写真はすべて糊付けかホッチキスである。就職活動等に使う大切な書類なので、しっかり留めるのは当然だろう。小池氏のものは別ルートで作られたという印象を受ける。 全体として、小池氏以外の卒業証明書は、スタンプの押し方、署名、収入印紙の貼り方など、非常に丁寧に作成されている点が印象的である。これで就職活動等をする重要な書類なので、当然だと言える。ところが、小池氏が卒業証明書だとしているものは、ずいぶんと杜撰に作られた印象を受ける。 小池氏が、卒業証明書と卒業証書はごく一部のメディアにしか見せず、成績証明書はいまだ誰にも見せていないというのも奇妙である。 筆者が取材で会ったカイロ大学の卒業生たちは、依頼すれば、全員、卒業証明書や卒業証書の画像を送ってくれたし、小笠原良治氏や中田考氏(1992年、カイロ大学から博士号を取得)の卒業証明書はネット上で公開されている。 本当に正規ルートで卒業したというのなら、これは実に奇妙な態度である。もし筆者自身がカイロ・アメリカン大学の卒業(大学院中東研究科修士課程)を疑われたら、即座に、卒業証書、成績表、卒業生名簿、卒業式の写真、同ビデオ(業者が撮影し、各卒業生に売っていた)、派遣元である当時の勤務先(三和銀行)に毎月送っていた研修報告書の控え、当時の講義ノートなどを公開し、場合によっては名誉棄損訴訟を提起する。これは誰しも同じだろう。ましてや小池氏は公人で、かつ気に入らないことには強硬に反論する性格の人物である。ひたすら逃げの姿勢に終始しているのは、下手に喋れば卒論の件のようにボロが出ると思っているのかもしれない』、「卒業証書にある」、「乱れの第1に、小池氏の卒業証明書の文章が男性形で書かれていること・・・他の卒業証明書でこのような性別の不一致があるものは1枚もなく、2通ある女性のものもきちんと女性形で書かれている・・・第2は、4人の署名者のうち、スクリーンショットでは、2人の署名しか確認できないことだ・・・3点目は、小池氏の卒業証明書には大学の収入印紙が逆さまに貼られていることだ。他の卒業証明書には、そういう例は1つもない・・・第4に小池氏の写真がピンで留めてあることだ。筆者が集めた他の卒業証明書の写真はすべて糊付けかホッチキスである。就職活動等に使う大切な書類なので、しっかり留めるのは当然だろう」、しっかりして信頼に足る検証だ。特に第一の「卒業証明書の文章が男性形で書かれていること」は致命t機な欠陥だ。小池氏は公人で、かつ気に入らないことには強硬に反論する性格の人物である。ひたすら逃げの姿勢に終始しているのは、下手に喋れば卒論の件のようにボロが出ると思っているのかもしれない」、その通りだろう。
・『「卒業証書」についても、フジテレビのスクリーンショットで見る限り、正式な文書である要件のいくつかを欠いている。また裏面の記載も見ないと、真贋は判断できない。この点については、裏面も含めてきちんと公開された時点で指摘する。なお、石井妙子氏は文春オンラインに寄稿した「小池百合子都知事のカイロ大学『卒業証書』画像を徹底検証する」で、『振り袖、ピラミッドを登る』の扉に掲載された卒業証書のロゴとフジテレビで放送された卒業証書のロゴが異なることを指摘している。 筆者も2つの画像をカイロ大学の文学部の教授に見せたが「確かにロゴが違う!」と驚いていた。小池氏は定例会見で「卒業証書は1枚しかない。大学が正式に発行した唯一のもので、それ以上のものはない」と答えたが、そのようには思えない。 (参考記事)https://bunshun.jp/articles/-/8551』、「「卒業証書」についても、フジテレビのスクリーンショットで見る限り、正式な文書である要件のいくつかを欠いている」、これも十分におかしな事実だ。
・『小池氏への質問と回答 これらの疑問点について、筆者は小池氏に書面で質したことがある。 2018年11月にある雑誌の編集部を通じて小池氏に送った質問とそれに対する小池氏の回答は以下の通りである。 ①貴殿は著書『振り袖、ピラミッドを登る』の奥付で、「1971年カイロ・アメリカ大学・東洋学科入学(翌年終了)」と書かれていますが、私どもの調査では当時(現在も)東洋学科というものは同大学に存在せず、貴殿が在籍したのはCASA(Center for Arabic Study Abroad=海外アラビア語学習センター)の初級(未修者)アラビア語コースであると理解していますが、この理解は違っているでしょうか? また同アラビア語コースでは各コース(レベル)の修了者に修了証と成績表を与えていますので、もし修了されたのでしたら、それらを拝見・写真撮影させて頂きたく存じます。 ②カイロ大学に入学したのは1972年10月でしょうか。 それとも1973年10月でしょうか? ③カイロ大学を卒業したのは事実でしょうか。卒業された場合、それは何年何月でしょうか? ④カイロ大学を卒業された場合、首席だったというのは事実でしょうか? ⑤カイロ大学の貴卒業証明書には、テレビのスクリーンショットで見る限り、署名者欄にサインがない箇所があり、スタンプの印影がいずれも不鮮明で、貴殿に関わる敬称・動詞・形容詞・人称代名詞がすべて男性形で書かれているようですが、この証明書はいつ、どのような経緯で取得したものでしょうか? また上記の諸点を考慮した場合、卒業証明書としての有効性に疑義があるように思われますが、どのようにお考えでしょうか? ⑥カイロ大学の卒業証明書、卒業証書、成績証明書を拝見して、写真撮影をさせて頂けないでしょうか? ⑦カイロ大学卒業後、貴殿は大協石油などで「アラビア語の通訳をされていた」というインタビューの記事がありますが、「アラビア語の通訳」というのは事実でしょうか? 果たして小池氏は、これに対してどう応じたのか。) 同年11月9日付で、小池氏から弁護士を通じて次のような回答があった。 「小池氏は、カイロ・アメリカン大学にてアラビア語を学んだ後、1976年10月にカイロ大学を卒業しました。同氏は、帰国後、官庁はじめ、企業の依頼により、アラビア語通訳を務めておりました。以上」 結論 以上述べた諸点の評価を踏まえ、小池氏がカイロ大学を卒業していないという同居女性の証言を疑う理由はないと筆者は考える。弁護士を通じて卒論がなかったと回答しているのは、同居女性が証言するとおり、4年生になれていなかったので、卒論の存在を知らなかったのだろう。 小池氏は学歴に関する嘘が非常に多い。都議会で、教授の一人から成績はトップなので大学院に進んだらどうかと言われたので、著書に首席卒業と書いたと答弁しているが、仮にチラ見せしている卒業証書が本物であったとしても、成績は合格点の下から2番目の「ジャイイド(good)」なので、明らかに嘘である。 小池氏は、24歳でカイロから帰国したとき、政治家になるなどとは思っておらず、マスコミが物珍しさで飛びついてきたので、調子に乗って嘘の経歴を話したというのが事の始まりなのかもしれない。その後、テレビキャスターになるにあたり、大学を出ていないのでは恰好がつかないと思い、嘘を上塗りし、政治家になってからは後戻りできなくなって、卒業したと強弁しているように見える。 もちろん許される話ではない。事実なら犯罪である。小池氏がアラブ諸国の大使などが集まった席で、一言か二言初歩的なアラビア語で話し、「今のは〇〇という意味のアラビア語です」と日本のメディアに向けて得意げに語っている姿には赤面を禁じ得ない。このような人物がカイロ大学を卒業したと自称するのは、懸命にアラビア語やアラブ文化を学び、きちんと試験を受け、卒論を提出してカイロ大学を卒業した人々に対する冒とくであろう。 取材で会った小池氏を知る複数の日本人は「小池さんは自分の利益になる人としか付き合わない」と言う。石井妙子氏による『小池百合子「虚飾の履歴書」』(「文藝春秋」2018年7月号)にも一時期結婚していた男性が「はじめから利用されるとわかっていた」と顔をこわばらせたという同居女性の証言がある。その小池氏が、今もエジプトに出かけ、ターリク・ハーテム氏とのコンタクトを続け、来日したエジプトの高官やカイロ大学関係者に会うのは「ほら、彼らも何も言わないでしょ? だから私はカイロ大学を出ているのよ」と言っているように見える(事実、都議会でそういう趣旨の答弁をしている)。小池氏は、東京とカイロの友好都市協定30周年の行事にも乗り気で、昨年11月頃、その調査のためなどに都職員をカイロに派遣しているが、これもそうしたデモンストレーションを兼ねてのことのようにも感じられる。 筆者には小池氏がカイロ大学の条件を満たして卒業したとは到底思えない。 小池氏は本件につき、公人として事情を詳しく説明する責任があるのは当然だ。繰り返しになるが、手紙やメモという証拠にもとづいた同居女性の証言が存在し、”不正入学”と"不正卒業"の可能性がある限り、「卒業証明書も卒業証書もある。カイロ大学も認めている」では、誰も永遠に納得しない。疑惑を払拭したいのなら、疑問点にきちんと答えるべきである。そういう基本的なこともできないのなら、学歴詐称をしているということだ。(了)』、「東京とカイロの友好都市協定30周年の行事にも乗り気で、昨年11月頃、その調査のためなどに都職員をカイロに派遣しているが、これもそうしたデモンストレーションを兼ねてのことのようにも感じられる・・・「手紙やメモという証拠にもとづいた同居女性の証言が存在し、”不正入学”と"不正卒業"の可能性がある限り、「卒業証明書も卒業証書もある。カイロ大学も認めている」では、誰も永遠に納得しない。疑惑を払拭したいのなら、疑問点にきちんと答えるべきである。そういう基本的なこともできないのなら、学歴詐称をしているということだ」、これはまさに決定打だ。
次に、5月29日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/757401
・『首都の顔を選ぶ東京都知事選(7月7日投開票)が6月20日の告示まで4週間足らずとなる中、3選を目指して5月29日にも出馬宣言する見通しの小池百合子知事(71)に先んじて、立憲民主の蓮舫参院議員(56)が27日に出馬表明した。これにより、4年に1度の首都決戦は「小池VS蓮舫」という女性同士の“頂上決戦”の構図が固まった格好だ。 蓮舫氏は27日午後、党本部で記者会見。冒頭に都知事選出馬を宣言したうえで「『反自民・非小池』を掲げて、広範な都民の支援を得る」との理由から、無所属で戦う考えを示した。もちろん、蓮舫氏を担ぎ出した立憲民主と共産両党は、「事実上の統一候補」として全面支援する構えで、これまで小池氏支持を模索してきた連合も、蓮舫氏支援に回るとみられる。 対する小池氏は3選出馬にあたり、表向きは無所属だが、自らが率いる地域政党・都民ファーストを推薦母体とし、現在の都議会運営で協力関係にある公明党に加え、自民党の協力も受ける構えだ。このため、今回の首都決戦は「小池、蓮舫両氏を与野党それぞれが支援する『与野党対決』の構図」となる見通しだ。 都知事選にはすでに、広島県安芸高田市の石丸伸二市長(41)ら20人以上が出馬を表明するなど、候補者数は過去最多となりそうだ。ただ、いずれも「初の女性総理候補」に名前が挙がってきた小池、蓮舫両氏の“2強対決”となることで、維新や新興勢力の日本保守党など他陣営が、「影が薄れるため、候補擁立を見送る可能性」(選挙アナリスト)も出てきた』、昨日、小池氏も都議会の最終日に正式に出馬表明した。
・『互いに「戦闘モード」、本番前にも舌戦激化へ 蓮舫氏は出馬会見の中で、「小池氏が公約に掲げた電柱ゼロや満員電車ゼロといった『七つのゼロ』は何も達成できていない」と厳しく批判。ここにきての小池氏の自民への接近についても「自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする先頭に立つ」と高らかに“打倒小池”を宣言した。 蓮舫氏は青山学院大在学中にグラビアアイドルとして活躍。その後、民放テレビの情報番組のキャスターを務め、2004年参院選東京選挙区に旧民主党から出馬して初当選し、現在4期目。2009年に誕生した民主党政権では、行政刷新担当相などを務め、野党転落後は、民進党代表などを務めた。) 蓮舫氏は2028年参院選東京選挙区の改選組だが、改選定数6の同区では現時点で補選対象にならず、2025年夏の参院通常選挙に併せて非改選組の欠員を補う「合併選挙」が実施される見通しだ。 蓮舫氏の挑戦に対し、小池氏は27日、視察先の八丈島で記者団に対し「報道で伺ってそれ以上の詳しいことは存じ上げていない」とことさら平静を装った。ただ、周辺には「絶対に負けられない。過去8年の実績には都民の評価もあり、(蓮舫氏の)批判のための批判は論破する」(側近)と対決姿勢を鮮明にしているとされる。 その一方で小池氏は28日午前に都庁で記者団に「29日から都議会が始まる。現職知事としてしっかり取り組みたい」と出馬は明言しなかった。その後、都民ファーストの会と公明党から、さらに都内の自治体トップの有志らから、相次いで出馬要請されたが「重く受け止める」と語った。小池氏としては29日の都議会定例会開会時に出馬宣言するとみられている』、前述の通り都議会の最終日に正式に出馬表明した。
・『静岡知事選や目黒都議補選で出馬決断 今回の蓮舫氏出馬決断について、立憲幹部は「26日の2つの選挙での立憲勝利がある」と解説する。その1つは、事実上の与野党対決だった静岡県知事選で、立憲と国民民主党が推薦した鈴木康友前浜松市長(66)が接戦を制したこと。もう1つは、同じ26日実施の都議補選(目黒区=欠員2)で、立憲の候補が激戦を勝ち抜き、小池氏が支援した自民候補が落選したことだ。 蓮舫氏自身は出馬会見で決断の時期について「ごく最近」ととぼけたが、「最近の各種選挙での自民不振を受け、今の政治状況なら当選のチャンスがあると判断した」(立憲幹部)のは間違いない。同氏は永田町だけでなく全国的知名度でも小池氏に引けはとらない。ここ数年の国会論戦でも、岸田首相や主要閣僚らへの鋭い追及の場面は、情報番組を軸に各メディアが大きく取り上げるケースが目立っている。) そうした状況も踏まえ、現段階での「小池VS蓮舫」を予測すると、「過去に例のない200万票台の競り合い」(選挙アナリスト)とみる向きが多い。というのも、蓮舫氏は、前回2022年参院選では、改選議席6の東京選挙区で、約67万票の4位当選。その一方で、民主党政権だった2010年参院選東京選挙区では2位の倍以上の約171万票でトップ当選している。このため、「今回、立憲、共産両党に下支えと無党派層の取り込みに成功すれば200万票の大台に手が届く」(同)可能性は十分だ。 これに対し小池氏は、2020年の前回都知事選では366万票超の記録的大勝。初出馬で、自民も含め各党が有力候補を擁立した2016年選挙でも約291万票を獲得、2位の自民支持候補に100万票以上の大差で圧勝している。しかも、最新の世論調査でも都民の5割以上が「小池都政を評価」しており、「どんなに逆風が吹いても、200万票を下回る事態は想定できない」(同)との見方が支配的だ』、「最新の世論調査でも都民の5割以上が「小池都政を評価」しており、「どんなに逆風が吹いても、200万票を下回る事態は想定できない」(同)との見方が支配的だ」、なるほど。
・『過去に例のない「200万票台の大勝負」に 過去の都知事選の「数字的構造」からみても、東京の有権者は約1100万人で、投票率50%と仮定すれば、総投票数は550万。その場合、小池、蓮舫両氏を除く今回予想される候補者の顔ぶれからみて、「その他候補の得票総数は100万票前後」(同)となることが想定される。とすれば、「小池、蓮舫両氏は450万票を取り合うことになり、まさに200万票台の大勝負」(同)となるわけだ。 そこで問題となるのが、小池、蓮舫両氏がそれぞれ抱える「負の要因」の影響。まず、小池氏については前回も大きな話題となった「カイロ大卒」を巡る学歴詐称疑惑。今回も月刊『文藝春秋』が5月号で、元小池氏側近で都民ファーストの事務局も仕切ってきた人物と小池氏のエジプト留学時代の同居人女性の「実名告発」を掲載、疑惑が再燃したが、「その内容は、これまで以上に信憑性が高い」(政治ジャーナリスト)とみられている。 この点については、蓮舫氏の出馬会見でも「小池氏の疑惑をどう見ているか」との質問が相次いだが、蓮舫氏は「報道内容はすべて読んだが、まずはご本人(小池氏)が説明すべきだ」と繰り返した。もちろん、同氏周辺は「候補者討論で、厳しく追及する」としており、日本記者クラブや各テレビ局、さらには関係団体主催の候補者討論会でのメインテーマとなることは確実だ。 その一方で、蓮舫氏も過去に「二重国籍」疑惑で追及された経緯もある。同氏陣営は「すでに決着した問題」(立憲幹部)と胸を張るが、最近急拡大し、選挙戦にも一定の影響を及ぼすとみられているSNSでも「学歴詐称疑惑と二重国籍疑惑の対決」などの口さがない書き込みも目立つ』、「「カイロ大卒」を巡る学歴詐称疑惑」は、第一の記事で「黒木 亮」氏が決定的な内容で報じている。
・『SNSには「緑のタヌキと白いキツネ」の書き込みも 蓮舫氏は出馬会見にトレードマークの白のスーツに黒のインナーで登場した。一方の小池氏はこれまで通り「緑」をメインとしたいでたちで選挙戦に臨むとみられる。これについてSNSでは、有名な食品コマーシャルをもじって「今回は緑のタヌキと白いキツネ」と揶揄する書き込みが目立つ。 まさに、「小池が勝か蓮舫が勝つかで、関係者だけでなく都民の多くが手に汗を握る戦い」(閣僚経験者)になりそうだ。ただ、冷静な有権者の間では「派手なアピール合戦やけなし合いより、都政の今後の在り方について地に足の着いた政策論争をしてほしい」との切実な声も広がっている』、「蓮舫氏」には神宮外苑再開発問題を取上げてもらいたいものだ。
第三に、6月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決」』、「「姑目線」で斬る」とは興味深そうだ。
・『もしもあなたが蓮舫氏と小池百合子氏の“姑”だったら? 東京都知事選は、現職の小池百合子氏と東京都選出参院議員の蓮舫氏の一騎打ちになりそうです。二人とも、熱烈なファンとアンチファンがいること、大きなスキャンダルを抱えていることが共通しています。前者はカイロ大学卒業疑惑、後者は台湾との二重国籍問題です。 その双方の疑惑報道に私も文春時代に関わってきましたが、今回は視点を変えて、「姑目線」で二人の女性候補を見てみましょう。もちろん、都知事選は小さな国家なみの首長選挙ですから、「姑目線」だけで決めていいとは思いません。しかし、口先の公約や演説が得意な人ほど、実際の私生活は真逆というのもよくある政治家の姿です。やはり私生活でも「公約」に近い暮らしをしている政治家の方が信用できます。 一応、議員の息子だった私も、父の「公約」によって家族の私生活が縛られました。私の父の公約は「麻雀、競馬、パチンコ、ゴルフはやりません」。そんな公約を掲げた政治家の息子が、これらの遊戯をするわけにはいきません。落選したら議員はただの人、家族の生活も零落します。だから、必死で父の公約を守りました。おかげで、いまだに賭け事もゴルフもできません(笑)。 小池氏も蓮舫氏も、今は独身ですが、二人とも結婚していた時代も恋人がいた時代もあります。残念ながら、二人の姑はともにメディアで発言していないので、息子のお相手をどう思っていたのかわかりませんが、姑が気になりそうな話をいくつかご紹介したいと思います。 まず、私が若いころをよく知っている蓮舫氏から始めましょう。クラリオンガールとしてモデルデビューした蓮舫氏は、週刊文春のグラビアにも登場。当時編集部員で、のちにエッセイストとなった故勝谷誠彦氏が惚れ込んで、マニラで撮影するグラビアまで企画していました。その後、キャスターとなってからも、私は記者仲間として付き合いがありました。 飲み会も何度もやりましたが、彼女が興味を持つのは「解散」がいつか。つまり政局ばかりで、政策やこの国をどうするのかといった議論には全然興味を示しません。私は、「ああ、彼女はこの国の政治記者、いや実際には政局記者になりたい人で、そのうち政治家になるのだろうけど、大成しないだろうな」と思っていました』、「(蓮舫氏)彼女が興味を持つのは「解散」がいつか。つまり政局ばかりで、政策やこの国をどうするのかといった議論には全然興味を示しません。私は、「ああ、彼女はこの国の政治記者、いや実際には政局記者になりたい人で、そのうち政治家になるのだろうけど、大成しないだろうな」と思っていました」、なるほど。
・『「お小遣い」は仕分けの必要さえなし? 蓮舫氏「びっくり格差婚」の顛末 しかし一番驚いたのが、リベラル系雑誌『インサイダー』の編集長・高野孟さんのスタッフだった村田信之記者と唐突に結婚したことでした。村田氏自身も週刊文春に出入りしていた記者でしたが、地味な存在で、記者というより高野氏や田原総一朗氏のスタッフという感じでした。そんな若者とニュース番組『ステーションEYE』でメインキャスターを勤める美人キャスターの結婚(当時は番組スタッフでもありました)ですから、格差婚としか言いようがありません。 プロポーズの言葉は「芥川賞をとるから結婚してくれ」だったらしいのですが、結婚している間はいつも「いつとるの?」といじられ、ついにはテレビで「ペット以下」と言われてしまいました。これには、世間から猛烈な批判が沸き起こりましたが、本人は「ふざけあっているだけ」と鷹揚な対応。いかにも、実質「ヒモ」というか「妻の七光」生活に浸りきっていたように見えました。 蓮舫氏が政治家になる前、北京大学に留学するため夫婦で中国にわたり、子供も授かりますが、大学に行く彼女を支えて主夫業を果たすのは、妻から「ムラ」と呼ばれていた彼ばかり。その後議員になり、民主党政権で有名な「仕分け」を仕切り、「2位じゃダメなんでしょうか?」と有名なセリフを吐いた時期も、夫の村田さんは「家庭内でも仕分けはあるんですか?」と問われ、「お小遣いも『仕分けしている』と言うんですが、もらった記憶もないんで(笑)」と自嘲していました。 1993年早稲田大学政治経済学部卒業、2005〜2006年早稲田大学大学院公共経営研究科で修士号を取得、鳩山由紀夫内閣で内閣官房専門調査員に就任と経歴は立派そうですが、妻と高野・田原人脈の影を感じます。 そして、2011年目黒区議選に出馬するも惨敗。妻の蓮舫氏も応援しましたが、彼女の持つ基礎票さえ獲得できませんでした。二人には双子の男女の子どもがいて、息子さんの方はタレントを経験したあと、なぜか自民党に入党して糸山英太郎氏の養子となり、政治の勉強をしているそうです。 蓮舫氏は議員になってからも、さまざまなトラブルを起こしました。ファッション雑誌『VOGUE NIPPON』2010年11月号に、国会議事堂の中央階段などで撮影した写真を掲載し、「議事堂内での撮影について、私的な宣伝や営利目的に当たる行為は許可されていない」と厳しく糾弾されました。 結局2020年に「価値観が違う」を理由に村田氏と離婚。彼はその後、釜石市の市議会議員に当選して、現在は東北で活動中です。 私は「主夫業」を否定はしません。が、蓮舫氏の場合、いかにも金持ちのお嬢様が、都合よく男性をこき使っている感があります。子育てについても、保育所は利用せず、村田氏と彼の友人のベビーシッターと本人の3人で分担。彼女は「私も主人も仕事がフリーランスですから、自由に行動できます。ベビーシッターは元保育士の男性で、彼は基本的に私と考え方が似ているし、子どもたちもなついてる。いろんな子を見てますから、私たちより子どものことがわかっていて、彼の判断やアドバイスは正しいですね」と自信満々に子育てを語ります。これが一般庶民の女性層の共感を得られるのか。私には「上から目線」発言が気になります。 そして、最初から気になっていた「政治ではなく政局好き」は今も変わりません。都知事出馬宣言でも、小池都政攻撃の舌鋒は説得力のあるものでしたが、彼女が東京をどうしたいのか、具体的な政策は何もありませんでした』、「具体的な政策」はこれから公表する政策に盛り込まれる予定だ。
・『小池百合子氏も出馬確実? 周囲を戸惑わせる「ある言動」 一方、挑戦を受けて立つ形になった(まだ出馬しない可能性も10%程度はあるという人もいますが)小池氏は、高飛車なお嬢様「蓮舫」と比べると、苦労して成り上がった老練さが特徴です。もっとも彼女も政策型ではなく、政局型。機を見るに敏な政治行動でここまで登りつめました。 ただ、実際に小池氏に仕えた官僚たちの評判は必ずしも悪くありません。官僚の提案をよく聞いて実行してくれるという評価が多いです。ただ、「パーティのスピーチを始めるとき、必ず『今日は日本語ですか?英語でやりますか?』と聞くのが厭味……」なのだそうです。 さて、大学卒業疑惑ばかりが話題になる小池氏ですが、実は結婚歴があります。その詳細は今でも不明ですが、彼女自身の著書『振り袖、ピラミッドを登る』のあとがきに、お世話になった人として登場する男性がその人です。かなり激烈な離婚騒動があったらしく、それ以外は彼女の著書には一言も彼のことは出てきません。また、小池氏が結婚を望んだと言われる男性の恋人も存在しました。 では、「姑目線」で見た小池氏はどんな女性なのか。カイロ大学の卒業疑惑については、ここでは触れません。ただ、彼女のカイロ大学での生活ぶりは、小池氏という人物のことがよくわかるエピソードに満ちています。ここからは、ほとんどをベストセラー『女帝 小池百合子』(石井妙子著)から、ご紹介します(一応、私は取材の協力もしたので、石井さんには長い引用をお許しいただけると幸いです)。) (1)アラビア語の勉強はせず、カイロの日本人商社マンの相手ばかりしていました。小池氏の父がエジプトで利権漁りをするため、カイロを訪れるたびに娘と商談の席にホステス代わりに連れ出されます。カタコトのアラビア語を話し、振り袖の彼女はモテたそうで、口の悪い日本人留学生はゲイシャガールと呼んでいたそうです。 (2)彼女はルームメイトとともに、アラビア語を勉強するために部屋をシェアしていました。しかし、ルームメイトによると次々と男性客が訪れてきます。ルームメイトはお茶を出したり、料理を作ったりで勉強などするヒマがなく、小池氏が日本の商社の男性に誘われて、ゴルフやテニスに出かけるとき、集中的に勉強したということです。 (3)仕送りは全くなく、どうやって生計を立てていたかは、友人もよくわからなかったそうですが、あるとき強烈な体験をします。父親がカイロに来てヒルトンホテルに宿泊。小池は父親に会った後に大きな巾着袋を持って帰ってきました。中から出てきたのは、ヒルトンの備品であるコーヒーカップ、皿、ナイフ、フォーク、シュガーポット。白い巾着袋に見えたのは、テーブルクロスでした。最初は悪戯だと思っていたルームメイトも、同じことが度重なるのを見て、小池氏の生活が厳しいことがわかったといいます。 (4)結局、全然アラビア語を勉強しないまま、パリ短期留学などをしている彼女を、ルームメイトが心配し、一度アラビア語のノートを見たことがありました。そこには、あまりに拙いアラビア語が書かれてあり、英語でいえば「This is a pen 」にあたるような言葉がぎこちなく上下していました。「大学入学は大丈夫なのか」と聞いても、本人は「父がドクター・ハーテムという実力者と親しいから、頼んでくれる」と言うばかり。実際、少し時間はかかったものの、ハーテムルートで2年生からの編入入学が実現したそうです』、「ハーテムルートで2年生からの編入入学が実現」、なるほど。
・『敵を作り出すのがうまい 「オヤジキラー」の選挙戦 こうしたカイロ生活の果てに、前述の男性との結婚生活が始まり、ルームメイトとの生活は終わりました。その男性がその後彼女にアラビア語を教える係になったようですが、彼も彼女を支え切れず、短い期間で離婚しました。うまく利用されたとも言えるでしょう。 その後、帰国してからの親父キラーぶりと出世ぶりは、みなさんもご存じの通りです。オヤジキラーは敵を創り出して選挙をするのがうまく、郵政選挙では兵庫から東京に鞍替えして小泉政権大勝の大功労者となり、都知事選では都議会のドンを徹底的に攻撃して大勝しました。一方の蓮舫氏は、お嬢さん育ちですが、同じく敵を作り叩きのめす言葉が売りものです。 今回は「姑目線」で2人の私生活から浮かび上がる人物像を見てきましたが、一体どんな罵り合いが始まるのか、ある意味面白い選挙になるのは間違いないでしょう。(元週刊文春・月刊文芸春秋編集長 木俣正剛)』、「小池氏」は、「帰国してからの親父キラーぶりと出世ぶりは、みなさんもご存じの通りです。オヤジキラーは敵を創り出して選挙をするのがうまく、郵政選挙では兵庫から東京に鞍替えして小泉政権大勝の大功労者となり、都知事選では都議会のドンを徹底的に攻撃して大勝しました」、「蓮舫氏は、お嬢さん育ちですが、同じく敵を作り叩きのめす言葉が売りものです」、「一体どんな罵り合いが始まるのか」、大いに楽しみだ。
第四に、6月8日付け文春オンライン「小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/71228
・『小池百合子都知事が2020年の再選時に公約に掲げ、2022年3月から運用が開始された東京都のドクターヘリ。そのドクターヘリ事業において、キャンセル率が約8割という異常事態に陥っていることがジャーナリストの赤石晋一郎氏の取材で分かった。 「誰もが、どんな時にでも、症状に応じた適切な医療を迅速に受けられる体制作りというのが救急医療の基本です。ドクターヘリの運用を開始することで、さらに都民の医療支援を拡充させていきたい!」 2022年3月30日、杏林大学医学部付属病院で開かれた東京都ドクターヘリ就航式。主賓として登壇した小池都知事は高揚した様子でこう語った』、興味深そうだ。
・『「このままでは救える命も救えなくなる」 ドクターヘリとは、医師や看護師を乗せて傷病者のもとへ向かう救急医療用ヘリコプターのことである。 小池都知事は2020年の2度目の出馬の際に政策集「東京大改革2・0」を発表。そのなかで、街づくりの一環として「ドクターヘリの強化」を明記したのだ。 「かねてからドクターヘリ事業については都議会公明党が推進を働きかけてきました。小池氏は2期目の出馬に際し、公明党案を丸呑みし、自らの肝煎り政策として掲げるようになった。都のドクターヘリ事業は、杏林大学医学部付属病院が医師・看護師を派遣する『基地病院』となり、ヘリの運航は入札の結果、学校法人ヒラタ学園に委託された。現在は多摩地区などの西東京エリアのみで運航されています」(都政関係者) ドクターヘリの就航から2年。都内の医療関係者は「小池政策は穴だらけ。このままでは救える命も救えなくなるのではないか」と危機感を募らせる。 都のドクターヘリ事業が抱える大きな問題のひとつが「異常なキャンセル率の高さ」である』、「異常なキャンセル率の高さ」はどうしてなのだろう。
・『東京だけ異常に高いキャンセル率 都道府県ごとの運航データが明記されている「2023年度ドクターヘリ事業運航実績」(全日本航空事業連合会作成)によれば、都のドクターヘリの運航回数1360回のうち、患者を運んだ回数は306回、患者を運ばずに戻ってきたキャンセルの回数は1054回だという。 計算するとキャンセル率は77%、実に約8割となっている。前年度における東京都のキャンセル率を調べてみると、やはり78%と高い数字である。 隣県の数字をみると、埼玉県は10.7%、千葉県は27.9%。東京都を除いた全国平均を調べると、18%と低い水準で収まっており、東京都の数字がいかに異常であるかが判る。 これには日本航空医療学会のトップである猪口貞樹理事長も首をかしげる。 「東京都のキャンセル率はあり得ない数字です。他の都道府県の数字を見ても、通常のキャンセル率は20%、高くて50%程度です。ドクターヘリは、症状を重めに判断し、出動のハードルを低くするオーバートリアージという考え方で運用されますが、それはどの都道府県も同じ。なぜ東京都だけが8割近いキャンセル率になるのか不可解です」 6月5日(水)配信の「週刊文春 電子版」および6月6日(木)発売の「週刊文春」では、赤石氏による東京都のドクターヘリに関するレポートを3ページにわたって掲載する。不透明な落札経緯、国交省が運航事業者であるヒラタ学園に出した「事業改善命令」と「警告書」の中身、医師・看護師を派遣する杏林学園の理事長が「委託会社の変更を真剣に検討する」と語ったインタビューなどを詳しく報じる。 ※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください』、「患者を運ばずに戻ってきたキャンセルの回数は1054回だという。 計算するとキャンセル率は77%、実に約8割となっている。前年度における東京都のキャンセル率を調べてみると、やはり78%と高い数字である。 隣県の数字をみると、埼玉県は10.7%、千葉県は27.9%。東京都を除いた全国平均を調べると、18%と低い水準で収まっており、東京都の数字がいかに異常であるかが判る」、「キャンセル率」の異常な高さはやはり未解決のままだ。
先ずは、本年4月24日付けJBPressが掲載した作家の黒木 亮氏による「【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】」を鍾愛しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/80469
・『元側近が「文藝春秋」5月号に発表した手記をきっかけに、小池百合子・東京都知事の学歴問題が再びクローズアップされています。この問題の詳細について人気作家、黒木亮氏がJBpressでレポートした連載(全6回)をもう一度お届けします。(初出:2020年1月19日)※内容は掲載当時のものです。 これまでたびたび週刊誌などでも取り上げられながら、決定的な証拠を突き付けるまでには至らなかった小池百合子・東京都知事の「学歴詐称疑惑」。アラビア語やエジプト事情に疎い日本のメディアは小池氏の学歴詐称疑惑の追及に消極的で、このままでは、この疑惑は、永遠に疑惑のまま終わってしまうかもしれない。 小池氏の「お使い」レベルのアラビア語を聞けば、カイロ大学卒業という学歴は即座におかしいと分かる。筆者はアラビア語を学び、エジプトの大学(カイロ・アメリカン大学大学院中東研究科)を卒業した者の責務として、複数回の現地取材を含む調査で疑惑を徹底検証した。その結果、小池氏がカイロ大学の卒業要件を満たして卒業したという証拠、印象、片鱗は何一つ見出せなかった。 これまで他のメディアが報じてこなかった小池氏の「学歴詐称」を徹底検証するレポートの最終回をお届けする』、「筆者はアラビア語を学び、エジプトの大学(カイロ・アメリカン大学大学院中東研究科)を卒業した者の責務として、複数回の現地取材を含む調査で疑惑を徹底検証」、これは信頼性が高そうだ。
・『限られたメディアにチラ見せしただけの卒業証書 小池氏の学歴詐称疑惑は、すでに述べた通り、単なる書類の問題ではなく、入学の実態および卒業に必要な学業実態の有無である。もし学長、学部長などが関与して作られた“不正卒業証書”なら、成績表など大学内の書類も正規の卒業生同様に捏造されているので、いくらペーパーを出しても説得力がない。 ただ念のために、小池氏がテレビで“チラ見せ”している卒業証明書、卒業証書について、気づいた点を指摘しておく。 カイロ大学をはじめとするエジプトの国立大学において、卒業を証明する書類は3種類ある。卒業後1カ月以内程度で発行される「卒業証明書」、もう少し後に発行される「卒業証書」、科目別の成績が記載されている「成績証明書」である。 卒業証明書は、収入印紙が貼られた、実務色の強い書類である。卒業証書のほうは、それよりも大きなサイズで、日本の卒業証書や賞状あるいは免状に似た書類である。前者は基本的に全部の卒業生が取得し、後者は特に希望する学生が大学に申請して入手する。成績証明書は、外国の大学院などに進むときに必要になる。) 小池氏は、政治家になって27年経つが、この間、卒業証明書や卒業証書を見せたのは、「週刊ポスト」やフジテレビなど、ごく限られたメディアに対してのみで、都議会での公開要請にも応じていない(しかも「週刊ポスト」・・・の画像はごく小さなもので、文字はまったく判読不能)。また成績証明書は公開していない』、「卒業証明書や卒業証書を見せたのは、「週刊ポスト」やフジテレビなど、ごく限られたメディアに対してのみで、都議会での公開要請にも応じていない」、なるほど。
・『不鮮明な印影 小池氏が卒業関係書類を、明瞭な形で一般に公開していないため、それらが本物かどうかは、唯一文字が判読できるフジテレビのスクリーンショットで検討するしかない(2016年6月30日放送の「とくダネ!」)。
・『小池氏がフジテレビの番組で公開した卒業証明書 この検討にあたって筆者は、現地で会ったカイロ大学の卒業生やインターネット・サイトから20通ほどの卒業証明書を集め、小池氏のものと比較してみた。それらは1973年から2015年の間に、文学部、工学部、政経学部、商学部、医学部、薬学部、法学部などを卒業した人々のものである。 カイロ大学の卒業証明書は、学部や発行年度によって署名者、スタンプ、用紙の形が少しずつ違っている。署名者は、1つの卒業証明書に3~5人で、ムハッタス(specialist)、ムサッジル(registrar)、ムラーキブ(controller)、ムラージウ(checker)などがサインし、その下に、ムディール・アーンム・アッ・シュウーニ・タアリーミーヤ(general director for educational matters)やアミード・ル・クッリーヤ(学部長)などのサインがあるものが多い。また収入印紙が貼られ、大学の総合管理部(アル・イダーラト・ル・アーンマ)や学部のスタンプが、収入印紙の割り印を含め、1~5カ所に押されている。用紙は正方形に近いものもあるが、縦長の長方形が多い。 小池氏の卒業証明書はスクリーンショットで見る限り、証明書として通用しない代物である。なぜなら、最重要要件である大学のスタンプの印影がいずれも判読不明だからだ。 日本の銀行でも払い戻し請求書の印影が不鮮明だと、お金を下ろすことができないのと同じである。小池氏の卒業証明書には、3つのスタンプが押してあるが、右下の1つだけが、かろうじて鷲のマークがあるように見え、残り2つは何のスタンプか判然としない。筆者が集めた他の20通ほどの卒業証明書はいずれもスタンプが鮮明で、鷲のマークも、その周囲に書いてある学部名や大学の総合管理部というアラビア語の文字も鮮明に読める。 筆者はカイロ大学文学部の教授や日本の援助機関に管理職として勤務するカイロ大学工学部出身者に小池氏の卒業証明書を見せたが「これでは卒業証明書として通用しない」と言われた。前述の“不正卒業証書”作成業者を潜入取材したダリヤ・シェブル氏は「当時は優れた偽造技術を持った業者はいなかったと思うので、小池氏の卒業証明書は大学内部の人間が関与して作成した物だろう」とコメントした』、「ダリヤ・シェブル氏は「当時は優れた偽造技術を持った業者はいなかったと思うので、小池氏の卒業証明書は大学内部の人間が関与して作成した物だろう」とコメントした」、ここまで専門家に調べられたら、不自然な点は明確にならざるを得ない。
・『小池氏の卒業証書にある「乱れ」 スタンプ以外にも、小池氏の卒業証明書には、他の正規の卒業生のものと異なる「乱れ」がある。 第1に、小池氏の卒業証明書の文章が男性形で書かれていることだ。すなわち敬称に「サイイダ」(Ms.)ではなくサイイド(Mr.)が、生年月日を示す「生まれ」にも「マウルーダ(女性形)」ではなく「マウルード(男性形)」が、学位を「取得した」という語にも「ハサルト(女性形)」ではなく「ハサラ(男性形)」が、「(~の)求め」にも「タラブハー(彼女の求め)」ではなく「タラブフ(彼の求め)」と、すべて男性形で書かれている。 アラビア語では書類に男女の別を記載しなくても、語形でそれが分かるのである。他の卒業証明書でこのような性別の不一致があるものは1枚もなく、2通ある女性のものもきちんと女性形で書かれている。 「乱れ」の第2は、4人の署名者のうち、スクリーンショットでは、2人の署名しか確認できないことだ。同氏の卒業証明書の署名者の肩書は、右から「ムハッタス(specialist)」「ムラーキブ(controller)」「ムラーキブ・アーンム(general controller)」のサインの欄があり、サインがあると確実に言えるのは、真ん中の「ムラーキブ」のみである(そのさらに下には学部長のサインがある)。他の20通ほどの卒業証明書では、4つの署名のうち1つだけが欠けているものが1通だけあるが、それ以外はすべての署名者の欄にサインがある。 「乱れ」の3点目は、小池氏の卒業証明書には大学の収入印紙が逆さまに貼られていることだ。他の卒業証明書には、そういう例は1つもない。スペースの都合上やむなく、収入印紙を横に貼ったものはあるが、小池氏のものは、スペース確保とは関係なく逆さまに貼ってある。 第4に小池氏の写真がピンで留めてあることだ。筆者が集めた他の卒業証明書の写真はすべて糊付けかホッチキスである。就職活動等に使う大切な書類なので、しっかり留めるのは当然だろう。小池氏のものは別ルートで作られたという印象を受ける。 全体として、小池氏以外の卒業証明書は、スタンプの押し方、署名、収入印紙の貼り方など、非常に丁寧に作成されている点が印象的である。これで就職活動等をする重要な書類なので、当然だと言える。ところが、小池氏が卒業証明書だとしているものは、ずいぶんと杜撰に作られた印象を受ける。 小池氏が、卒業証明書と卒業証書はごく一部のメディアにしか見せず、成績証明書はいまだ誰にも見せていないというのも奇妙である。 筆者が取材で会ったカイロ大学の卒業生たちは、依頼すれば、全員、卒業証明書や卒業証書の画像を送ってくれたし、小笠原良治氏や中田考氏(1992年、カイロ大学から博士号を取得)の卒業証明書はネット上で公開されている。 本当に正規ルートで卒業したというのなら、これは実に奇妙な態度である。もし筆者自身がカイロ・アメリカン大学の卒業(大学院中東研究科修士課程)を疑われたら、即座に、卒業証書、成績表、卒業生名簿、卒業式の写真、同ビデオ(業者が撮影し、各卒業生に売っていた)、派遣元である当時の勤務先(三和銀行)に毎月送っていた研修報告書の控え、当時の講義ノートなどを公開し、場合によっては名誉棄損訴訟を提起する。これは誰しも同じだろう。ましてや小池氏は公人で、かつ気に入らないことには強硬に反論する性格の人物である。ひたすら逃げの姿勢に終始しているのは、下手に喋れば卒論の件のようにボロが出ると思っているのかもしれない』、「卒業証書にある」、「乱れの第1に、小池氏の卒業証明書の文章が男性形で書かれていること・・・他の卒業証明書でこのような性別の不一致があるものは1枚もなく、2通ある女性のものもきちんと女性形で書かれている・・・第2は、4人の署名者のうち、スクリーンショットでは、2人の署名しか確認できないことだ・・・3点目は、小池氏の卒業証明書には大学の収入印紙が逆さまに貼られていることだ。他の卒業証明書には、そういう例は1つもない・・・第4に小池氏の写真がピンで留めてあることだ。筆者が集めた他の卒業証明書の写真はすべて糊付けかホッチキスである。就職活動等に使う大切な書類なので、しっかり留めるのは当然だろう」、しっかりして信頼に足る検証だ。特に第一の「卒業証明書の文章が男性形で書かれていること」は致命t機な欠陥だ。小池氏は公人で、かつ気に入らないことには強硬に反論する性格の人物である。ひたすら逃げの姿勢に終始しているのは、下手に喋れば卒論の件のようにボロが出ると思っているのかもしれない」、その通りだろう。
・『「卒業証書」についても、フジテレビのスクリーンショットで見る限り、正式な文書である要件のいくつかを欠いている。また裏面の記載も見ないと、真贋は判断できない。この点については、裏面も含めてきちんと公開された時点で指摘する。なお、石井妙子氏は文春オンラインに寄稿した「小池百合子都知事のカイロ大学『卒業証書』画像を徹底検証する」で、『振り袖、ピラミッドを登る』の扉に掲載された卒業証書のロゴとフジテレビで放送された卒業証書のロゴが異なることを指摘している。 筆者も2つの画像をカイロ大学の文学部の教授に見せたが「確かにロゴが違う!」と驚いていた。小池氏は定例会見で「卒業証書は1枚しかない。大学が正式に発行した唯一のもので、それ以上のものはない」と答えたが、そのようには思えない。 (参考記事)https://bunshun.jp/articles/-/8551』、「「卒業証書」についても、フジテレビのスクリーンショットで見る限り、正式な文書である要件のいくつかを欠いている」、これも十分におかしな事実だ。
・『小池氏への質問と回答 これらの疑問点について、筆者は小池氏に書面で質したことがある。 2018年11月にある雑誌の編集部を通じて小池氏に送った質問とそれに対する小池氏の回答は以下の通りである。 ①貴殿は著書『振り袖、ピラミッドを登る』の奥付で、「1971年カイロ・アメリカ大学・東洋学科入学(翌年終了)」と書かれていますが、私どもの調査では当時(現在も)東洋学科というものは同大学に存在せず、貴殿が在籍したのはCASA(Center for Arabic Study Abroad=海外アラビア語学習センター)の初級(未修者)アラビア語コースであると理解していますが、この理解は違っているでしょうか? また同アラビア語コースでは各コース(レベル)の修了者に修了証と成績表を与えていますので、もし修了されたのでしたら、それらを拝見・写真撮影させて頂きたく存じます。 ②カイロ大学に入学したのは1972年10月でしょうか。 それとも1973年10月でしょうか? ③カイロ大学を卒業したのは事実でしょうか。卒業された場合、それは何年何月でしょうか? ④カイロ大学を卒業された場合、首席だったというのは事実でしょうか? ⑤カイロ大学の貴卒業証明書には、テレビのスクリーンショットで見る限り、署名者欄にサインがない箇所があり、スタンプの印影がいずれも不鮮明で、貴殿に関わる敬称・動詞・形容詞・人称代名詞がすべて男性形で書かれているようですが、この証明書はいつ、どのような経緯で取得したものでしょうか? また上記の諸点を考慮した場合、卒業証明書としての有効性に疑義があるように思われますが、どのようにお考えでしょうか? ⑥カイロ大学の卒業証明書、卒業証書、成績証明書を拝見して、写真撮影をさせて頂けないでしょうか? ⑦カイロ大学卒業後、貴殿は大協石油などで「アラビア語の通訳をされていた」というインタビューの記事がありますが、「アラビア語の通訳」というのは事実でしょうか? 果たして小池氏は、これに対してどう応じたのか。) 同年11月9日付で、小池氏から弁護士を通じて次のような回答があった。 「小池氏は、カイロ・アメリカン大学にてアラビア語を学んだ後、1976年10月にカイロ大学を卒業しました。同氏は、帰国後、官庁はじめ、企業の依頼により、アラビア語通訳を務めておりました。以上」 結論 以上述べた諸点の評価を踏まえ、小池氏がカイロ大学を卒業していないという同居女性の証言を疑う理由はないと筆者は考える。弁護士を通じて卒論がなかったと回答しているのは、同居女性が証言するとおり、4年生になれていなかったので、卒論の存在を知らなかったのだろう。 小池氏は学歴に関する嘘が非常に多い。都議会で、教授の一人から成績はトップなので大学院に進んだらどうかと言われたので、著書に首席卒業と書いたと答弁しているが、仮にチラ見せしている卒業証書が本物であったとしても、成績は合格点の下から2番目の「ジャイイド(good)」なので、明らかに嘘である。 小池氏は、24歳でカイロから帰国したとき、政治家になるなどとは思っておらず、マスコミが物珍しさで飛びついてきたので、調子に乗って嘘の経歴を話したというのが事の始まりなのかもしれない。その後、テレビキャスターになるにあたり、大学を出ていないのでは恰好がつかないと思い、嘘を上塗りし、政治家になってからは後戻りできなくなって、卒業したと強弁しているように見える。 もちろん許される話ではない。事実なら犯罪である。小池氏がアラブ諸国の大使などが集まった席で、一言か二言初歩的なアラビア語で話し、「今のは〇〇という意味のアラビア語です」と日本のメディアに向けて得意げに語っている姿には赤面を禁じ得ない。このような人物がカイロ大学を卒業したと自称するのは、懸命にアラビア語やアラブ文化を学び、きちんと試験を受け、卒論を提出してカイロ大学を卒業した人々に対する冒とくであろう。 取材で会った小池氏を知る複数の日本人は「小池さんは自分の利益になる人としか付き合わない」と言う。石井妙子氏による『小池百合子「虚飾の履歴書」』(「文藝春秋」2018年7月号)にも一時期結婚していた男性が「はじめから利用されるとわかっていた」と顔をこわばらせたという同居女性の証言がある。その小池氏が、今もエジプトに出かけ、ターリク・ハーテム氏とのコンタクトを続け、来日したエジプトの高官やカイロ大学関係者に会うのは「ほら、彼らも何も言わないでしょ? だから私はカイロ大学を出ているのよ」と言っているように見える(事実、都議会でそういう趣旨の答弁をしている)。小池氏は、東京とカイロの友好都市協定30周年の行事にも乗り気で、昨年11月頃、その調査のためなどに都職員をカイロに派遣しているが、これもそうしたデモンストレーションを兼ねてのことのようにも感じられる。 筆者には小池氏がカイロ大学の条件を満たして卒業したとは到底思えない。 小池氏は本件につき、公人として事情を詳しく説明する責任があるのは当然だ。繰り返しになるが、手紙やメモという証拠にもとづいた同居女性の証言が存在し、”不正入学”と"不正卒業"の可能性がある限り、「卒業証明書も卒業証書もある。カイロ大学も認めている」では、誰も永遠に納得しない。疑惑を払拭したいのなら、疑問点にきちんと答えるべきである。そういう基本的なこともできないのなら、学歴詐称をしているということだ。(了)』、「東京とカイロの友好都市協定30周年の行事にも乗り気で、昨年11月頃、その調査のためなどに都職員をカイロに派遣しているが、これもそうしたデモンストレーションを兼ねてのことのようにも感じられる・・・「手紙やメモという証拠にもとづいた同居女性の証言が存在し、”不正入学”と"不正卒業"の可能性がある限り、「卒業証明書も卒業証書もある。カイロ大学も認めている」では、誰も永遠に納得しない。疑惑を払拭したいのなら、疑問点にきちんと答えるべきである。そういう基本的なこともできないのなら、学歴詐称をしているということだ」、これはまさに決定打だ。
次に、5月29日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/757401
・『首都の顔を選ぶ東京都知事選(7月7日投開票)が6月20日の告示まで4週間足らずとなる中、3選を目指して5月29日にも出馬宣言する見通しの小池百合子知事(71)に先んじて、立憲民主の蓮舫参院議員(56)が27日に出馬表明した。これにより、4年に1度の首都決戦は「小池VS蓮舫」という女性同士の“頂上決戦”の構図が固まった格好だ。 蓮舫氏は27日午後、党本部で記者会見。冒頭に都知事選出馬を宣言したうえで「『反自民・非小池』を掲げて、広範な都民の支援を得る」との理由から、無所属で戦う考えを示した。もちろん、蓮舫氏を担ぎ出した立憲民主と共産両党は、「事実上の統一候補」として全面支援する構えで、これまで小池氏支持を模索してきた連合も、蓮舫氏支援に回るとみられる。 対する小池氏は3選出馬にあたり、表向きは無所属だが、自らが率いる地域政党・都民ファーストを推薦母体とし、現在の都議会運営で協力関係にある公明党に加え、自民党の協力も受ける構えだ。このため、今回の首都決戦は「小池、蓮舫両氏を与野党それぞれが支援する『与野党対決』の構図」となる見通しだ。 都知事選にはすでに、広島県安芸高田市の石丸伸二市長(41)ら20人以上が出馬を表明するなど、候補者数は過去最多となりそうだ。ただ、いずれも「初の女性総理候補」に名前が挙がってきた小池、蓮舫両氏の“2強対決”となることで、維新や新興勢力の日本保守党など他陣営が、「影が薄れるため、候補擁立を見送る可能性」(選挙アナリスト)も出てきた』、昨日、小池氏も都議会の最終日に正式に出馬表明した。
・『互いに「戦闘モード」、本番前にも舌戦激化へ 蓮舫氏は出馬会見の中で、「小池氏が公約に掲げた電柱ゼロや満員電車ゼロといった『七つのゼロ』は何も達成できていない」と厳しく批判。ここにきての小池氏の自民への接近についても「自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする先頭に立つ」と高らかに“打倒小池”を宣言した。 蓮舫氏は青山学院大在学中にグラビアアイドルとして活躍。その後、民放テレビの情報番組のキャスターを務め、2004年参院選東京選挙区に旧民主党から出馬して初当選し、現在4期目。2009年に誕生した民主党政権では、行政刷新担当相などを務め、野党転落後は、民進党代表などを務めた。) 蓮舫氏は2028年参院選東京選挙区の改選組だが、改選定数6の同区では現時点で補選対象にならず、2025年夏の参院通常選挙に併せて非改選組の欠員を補う「合併選挙」が実施される見通しだ。 蓮舫氏の挑戦に対し、小池氏は27日、視察先の八丈島で記者団に対し「報道で伺ってそれ以上の詳しいことは存じ上げていない」とことさら平静を装った。ただ、周辺には「絶対に負けられない。過去8年の実績には都民の評価もあり、(蓮舫氏の)批判のための批判は論破する」(側近)と対決姿勢を鮮明にしているとされる。 その一方で小池氏は28日午前に都庁で記者団に「29日から都議会が始まる。現職知事としてしっかり取り組みたい」と出馬は明言しなかった。その後、都民ファーストの会と公明党から、さらに都内の自治体トップの有志らから、相次いで出馬要請されたが「重く受け止める」と語った。小池氏としては29日の都議会定例会開会時に出馬宣言するとみられている』、前述の通り都議会の最終日に正式に出馬表明した。
・『静岡知事選や目黒都議補選で出馬決断 今回の蓮舫氏出馬決断について、立憲幹部は「26日の2つの選挙での立憲勝利がある」と解説する。その1つは、事実上の与野党対決だった静岡県知事選で、立憲と国民民主党が推薦した鈴木康友前浜松市長(66)が接戦を制したこと。もう1つは、同じ26日実施の都議補選(目黒区=欠員2)で、立憲の候補が激戦を勝ち抜き、小池氏が支援した自民候補が落選したことだ。 蓮舫氏自身は出馬会見で決断の時期について「ごく最近」ととぼけたが、「最近の各種選挙での自民不振を受け、今の政治状況なら当選のチャンスがあると判断した」(立憲幹部)のは間違いない。同氏は永田町だけでなく全国的知名度でも小池氏に引けはとらない。ここ数年の国会論戦でも、岸田首相や主要閣僚らへの鋭い追及の場面は、情報番組を軸に各メディアが大きく取り上げるケースが目立っている。) そうした状況も踏まえ、現段階での「小池VS蓮舫」を予測すると、「過去に例のない200万票台の競り合い」(選挙アナリスト)とみる向きが多い。というのも、蓮舫氏は、前回2022年参院選では、改選議席6の東京選挙区で、約67万票の4位当選。その一方で、民主党政権だった2010年参院選東京選挙区では2位の倍以上の約171万票でトップ当選している。このため、「今回、立憲、共産両党に下支えと無党派層の取り込みに成功すれば200万票の大台に手が届く」(同)可能性は十分だ。 これに対し小池氏は、2020年の前回都知事選では366万票超の記録的大勝。初出馬で、自民も含め各党が有力候補を擁立した2016年選挙でも約291万票を獲得、2位の自民支持候補に100万票以上の大差で圧勝している。しかも、最新の世論調査でも都民の5割以上が「小池都政を評価」しており、「どんなに逆風が吹いても、200万票を下回る事態は想定できない」(同)との見方が支配的だ』、「最新の世論調査でも都民の5割以上が「小池都政を評価」しており、「どんなに逆風が吹いても、200万票を下回る事態は想定できない」(同)との見方が支配的だ」、なるほど。
・『過去に例のない「200万票台の大勝負」に 過去の都知事選の「数字的構造」からみても、東京の有権者は約1100万人で、投票率50%と仮定すれば、総投票数は550万。その場合、小池、蓮舫両氏を除く今回予想される候補者の顔ぶれからみて、「その他候補の得票総数は100万票前後」(同)となることが想定される。とすれば、「小池、蓮舫両氏は450万票を取り合うことになり、まさに200万票台の大勝負」(同)となるわけだ。 そこで問題となるのが、小池、蓮舫両氏がそれぞれ抱える「負の要因」の影響。まず、小池氏については前回も大きな話題となった「カイロ大卒」を巡る学歴詐称疑惑。今回も月刊『文藝春秋』が5月号で、元小池氏側近で都民ファーストの事務局も仕切ってきた人物と小池氏のエジプト留学時代の同居人女性の「実名告発」を掲載、疑惑が再燃したが、「その内容は、これまで以上に信憑性が高い」(政治ジャーナリスト)とみられている。 この点については、蓮舫氏の出馬会見でも「小池氏の疑惑をどう見ているか」との質問が相次いだが、蓮舫氏は「報道内容はすべて読んだが、まずはご本人(小池氏)が説明すべきだ」と繰り返した。もちろん、同氏周辺は「候補者討論で、厳しく追及する」としており、日本記者クラブや各テレビ局、さらには関係団体主催の候補者討論会でのメインテーマとなることは確実だ。 その一方で、蓮舫氏も過去に「二重国籍」疑惑で追及された経緯もある。同氏陣営は「すでに決着した問題」(立憲幹部)と胸を張るが、最近急拡大し、選挙戦にも一定の影響を及ぼすとみられているSNSでも「学歴詐称疑惑と二重国籍疑惑の対決」などの口さがない書き込みも目立つ』、「「カイロ大卒」を巡る学歴詐称疑惑」は、第一の記事で「黒木 亮」氏が決定的な内容で報じている。
・『SNSには「緑のタヌキと白いキツネ」の書き込みも 蓮舫氏は出馬会見にトレードマークの白のスーツに黒のインナーで登場した。一方の小池氏はこれまで通り「緑」をメインとしたいでたちで選挙戦に臨むとみられる。これについてSNSでは、有名な食品コマーシャルをもじって「今回は緑のタヌキと白いキツネ」と揶揄する書き込みが目立つ。 まさに、「小池が勝か蓮舫が勝つかで、関係者だけでなく都民の多くが手に汗を握る戦い」(閣僚経験者)になりそうだ。ただ、冷静な有権者の間では「派手なアピール合戦やけなし合いより、都政の今後の在り方について地に足の着いた政策論争をしてほしい」との切実な声も広がっている』、「蓮舫氏」には神宮外苑再開発問題を取上げてもらいたいものだ。
第三に、6月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決」』、「「姑目線」で斬る」とは興味深そうだ。
・『もしもあなたが蓮舫氏と小池百合子氏の“姑”だったら? 東京都知事選は、現職の小池百合子氏と東京都選出参院議員の蓮舫氏の一騎打ちになりそうです。二人とも、熱烈なファンとアンチファンがいること、大きなスキャンダルを抱えていることが共通しています。前者はカイロ大学卒業疑惑、後者は台湾との二重国籍問題です。 その双方の疑惑報道に私も文春時代に関わってきましたが、今回は視点を変えて、「姑目線」で二人の女性候補を見てみましょう。もちろん、都知事選は小さな国家なみの首長選挙ですから、「姑目線」だけで決めていいとは思いません。しかし、口先の公約や演説が得意な人ほど、実際の私生活は真逆というのもよくある政治家の姿です。やはり私生活でも「公約」に近い暮らしをしている政治家の方が信用できます。 一応、議員の息子だった私も、父の「公約」によって家族の私生活が縛られました。私の父の公約は「麻雀、競馬、パチンコ、ゴルフはやりません」。そんな公約を掲げた政治家の息子が、これらの遊戯をするわけにはいきません。落選したら議員はただの人、家族の生活も零落します。だから、必死で父の公約を守りました。おかげで、いまだに賭け事もゴルフもできません(笑)。 小池氏も蓮舫氏も、今は独身ですが、二人とも結婚していた時代も恋人がいた時代もあります。残念ながら、二人の姑はともにメディアで発言していないので、息子のお相手をどう思っていたのかわかりませんが、姑が気になりそうな話をいくつかご紹介したいと思います。 まず、私が若いころをよく知っている蓮舫氏から始めましょう。クラリオンガールとしてモデルデビューした蓮舫氏は、週刊文春のグラビアにも登場。当時編集部員で、のちにエッセイストとなった故勝谷誠彦氏が惚れ込んで、マニラで撮影するグラビアまで企画していました。その後、キャスターとなってからも、私は記者仲間として付き合いがありました。 飲み会も何度もやりましたが、彼女が興味を持つのは「解散」がいつか。つまり政局ばかりで、政策やこの国をどうするのかといった議論には全然興味を示しません。私は、「ああ、彼女はこの国の政治記者、いや実際には政局記者になりたい人で、そのうち政治家になるのだろうけど、大成しないだろうな」と思っていました』、「(蓮舫氏)彼女が興味を持つのは「解散」がいつか。つまり政局ばかりで、政策やこの国をどうするのかといった議論には全然興味を示しません。私は、「ああ、彼女はこの国の政治記者、いや実際には政局記者になりたい人で、そのうち政治家になるのだろうけど、大成しないだろうな」と思っていました」、なるほど。
・『「お小遣い」は仕分けの必要さえなし? 蓮舫氏「びっくり格差婚」の顛末 しかし一番驚いたのが、リベラル系雑誌『インサイダー』の編集長・高野孟さんのスタッフだった村田信之記者と唐突に結婚したことでした。村田氏自身も週刊文春に出入りしていた記者でしたが、地味な存在で、記者というより高野氏や田原総一朗氏のスタッフという感じでした。そんな若者とニュース番組『ステーションEYE』でメインキャスターを勤める美人キャスターの結婚(当時は番組スタッフでもありました)ですから、格差婚としか言いようがありません。 プロポーズの言葉は「芥川賞をとるから結婚してくれ」だったらしいのですが、結婚している間はいつも「いつとるの?」といじられ、ついにはテレビで「ペット以下」と言われてしまいました。これには、世間から猛烈な批判が沸き起こりましたが、本人は「ふざけあっているだけ」と鷹揚な対応。いかにも、実質「ヒモ」というか「妻の七光」生活に浸りきっていたように見えました。 蓮舫氏が政治家になる前、北京大学に留学するため夫婦で中国にわたり、子供も授かりますが、大学に行く彼女を支えて主夫業を果たすのは、妻から「ムラ」と呼ばれていた彼ばかり。その後議員になり、民主党政権で有名な「仕分け」を仕切り、「2位じゃダメなんでしょうか?」と有名なセリフを吐いた時期も、夫の村田さんは「家庭内でも仕分けはあるんですか?」と問われ、「お小遣いも『仕分けしている』と言うんですが、もらった記憶もないんで(笑)」と自嘲していました。 1993年早稲田大学政治経済学部卒業、2005〜2006年早稲田大学大学院公共経営研究科で修士号を取得、鳩山由紀夫内閣で内閣官房専門調査員に就任と経歴は立派そうですが、妻と高野・田原人脈の影を感じます。 そして、2011年目黒区議選に出馬するも惨敗。妻の蓮舫氏も応援しましたが、彼女の持つ基礎票さえ獲得できませんでした。二人には双子の男女の子どもがいて、息子さんの方はタレントを経験したあと、なぜか自民党に入党して糸山英太郎氏の養子となり、政治の勉強をしているそうです。 蓮舫氏は議員になってからも、さまざまなトラブルを起こしました。ファッション雑誌『VOGUE NIPPON』2010年11月号に、国会議事堂の中央階段などで撮影した写真を掲載し、「議事堂内での撮影について、私的な宣伝や営利目的に当たる行為は許可されていない」と厳しく糾弾されました。 結局2020年に「価値観が違う」を理由に村田氏と離婚。彼はその後、釜石市の市議会議員に当選して、現在は東北で活動中です。 私は「主夫業」を否定はしません。が、蓮舫氏の場合、いかにも金持ちのお嬢様が、都合よく男性をこき使っている感があります。子育てについても、保育所は利用せず、村田氏と彼の友人のベビーシッターと本人の3人で分担。彼女は「私も主人も仕事がフリーランスですから、自由に行動できます。ベビーシッターは元保育士の男性で、彼は基本的に私と考え方が似ているし、子どもたちもなついてる。いろんな子を見てますから、私たちより子どものことがわかっていて、彼の判断やアドバイスは正しいですね」と自信満々に子育てを語ります。これが一般庶民の女性層の共感を得られるのか。私には「上から目線」発言が気になります。 そして、最初から気になっていた「政治ではなく政局好き」は今も変わりません。都知事出馬宣言でも、小池都政攻撃の舌鋒は説得力のあるものでしたが、彼女が東京をどうしたいのか、具体的な政策は何もありませんでした』、「具体的な政策」はこれから公表する政策に盛り込まれる予定だ。
・『小池百合子氏も出馬確実? 周囲を戸惑わせる「ある言動」 一方、挑戦を受けて立つ形になった(まだ出馬しない可能性も10%程度はあるという人もいますが)小池氏は、高飛車なお嬢様「蓮舫」と比べると、苦労して成り上がった老練さが特徴です。もっとも彼女も政策型ではなく、政局型。機を見るに敏な政治行動でここまで登りつめました。 ただ、実際に小池氏に仕えた官僚たちの評判は必ずしも悪くありません。官僚の提案をよく聞いて実行してくれるという評価が多いです。ただ、「パーティのスピーチを始めるとき、必ず『今日は日本語ですか?英語でやりますか?』と聞くのが厭味……」なのだそうです。 さて、大学卒業疑惑ばかりが話題になる小池氏ですが、実は結婚歴があります。その詳細は今でも不明ですが、彼女自身の著書『振り袖、ピラミッドを登る』のあとがきに、お世話になった人として登場する男性がその人です。かなり激烈な離婚騒動があったらしく、それ以外は彼女の著書には一言も彼のことは出てきません。また、小池氏が結婚を望んだと言われる男性の恋人も存在しました。 では、「姑目線」で見た小池氏はどんな女性なのか。カイロ大学の卒業疑惑については、ここでは触れません。ただ、彼女のカイロ大学での生活ぶりは、小池氏という人物のことがよくわかるエピソードに満ちています。ここからは、ほとんどをベストセラー『女帝 小池百合子』(石井妙子著)から、ご紹介します(一応、私は取材の協力もしたので、石井さんには長い引用をお許しいただけると幸いです)。) (1)アラビア語の勉強はせず、カイロの日本人商社マンの相手ばかりしていました。小池氏の父がエジプトで利権漁りをするため、カイロを訪れるたびに娘と商談の席にホステス代わりに連れ出されます。カタコトのアラビア語を話し、振り袖の彼女はモテたそうで、口の悪い日本人留学生はゲイシャガールと呼んでいたそうです。 (2)彼女はルームメイトとともに、アラビア語を勉強するために部屋をシェアしていました。しかし、ルームメイトによると次々と男性客が訪れてきます。ルームメイトはお茶を出したり、料理を作ったりで勉強などするヒマがなく、小池氏が日本の商社の男性に誘われて、ゴルフやテニスに出かけるとき、集中的に勉強したということです。 (3)仕送りは全くなく、どうやって生計を立てていたかは、友人もよくわからなかったそうですが、あるとき強烈な体験をします。父親がカイロに来てヒルトンホテルに宿泊。小池は父親に会った後に大きな巾着袋を持って帰ってきました。中から出てきたのは、ヒルトンの備品であるコーヒーカップ、皿、ナイフ、フォーク、シュガーポット。白い巾着袋に見えたのは、テーブルクロスでした。最初は悪戯だと思っていたルームメイトも、同じことが度重なるのを見て、小池氏の生活が厳しいことがわかったといいます。 (4)結局、全然アラビア語を勉強しないまま、パリ短期留学などをしている彼女を、ルームメイトが心配し、一度アラビア語のノートを見たことがありました。そこには、あまりに拙いアラビア語が書かれてあり、英語でいえば「This is a pen 」にあたるような言葉がぎこちなく上下していました。「大学入学は大丈夫なのか」と聞いても、本人は「父がドクター・ハーテムという実力者と親しいから、頼んでくれる」と言うばかり。実際、少し時間はかかったものの、ハーテムルートで2年生からの編入入学が実現したそうです』、「ハーテムルートで2年生からの編入入学が実現」、なるほど。
・『敵を作り出すのがうまい 「オヤジキラー」の選挙戦 こうしたカイロ生活の果てに、前述の男性との結婚生活が始まり、ルームメイトとの生活は終わりました。その男性がその後彼女にアラビア語を教える係になったようですが、彼も彼女を支え切れず、短い期間で離婚しました。うまく利用されたとも言えるでしょう。 その後、帰国してからの親父キラーぶりと出世ぶりは、みなさんもご存じの通りです。オヤジキラーは敵を創り出して選挙をするのがうまく、郵政選挙では兵庫から東京に鞍替えして小泉政権大勝の大功労者となり、都知事選では都議会のドンを徹底的に攻撃して大勝しました。一方の蓮舫氏は、お嬢さん育ちですが、同じく敵を作り叩きのめす言葉が売りものです。 今回は「姑目線」で2人の私生活から浮かび上がる人物像を見てきましたが、一体どんな罵り合いが始まるのか、ある意味面白い選挙になるのは間違いないでしょう。(元週刊文春・月刊文芸春秋編集長 木俣正剛)』、「小池氏」は、「帰国してからの親父キラーぶりと出世ぶりは、みなさんもご存じの通りです。オヤジキラーは敵を創り出して選挙をするのがうまく、郵政選挙では兵庫から東京に鞍替えして小泉政権大勝の大功労者となり、都知事選では都議会のドンを徹底的に攻撃して大勝しました」、「蓮舫氏は、お嬢さん育ちですが、同じく敵を作り叩きのめす言葉が売りものです」、「一体どんな罵り合いが始まるのか」、大いに楽しみだ。
第四に、6月8日付け文春オンライン「小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/71228
・『小池百合子都知事が2020年の再選時に公約に掲げ、2022年3月から運用が開始された東京都のドクターヘリ。そのドクターヘリ事業において、キャンセル率が約8割という異常事態に陥っていることがジャーナリストの赤石晋一郎氏の取材で分かった。 「誰もが、どんな時にでも、症状に応じた適切な医療を迅速に受けられる体制作りというのが救急医療の基本です。ドクターヘリの運用を開始することで、さらに都民の医療支援を拡充させていきたい!」 2022年3月30日、杏林大学医学部付属病院で開かれた東京都ドクターヘリ就航式。主賓として登壇した小池都知事は高揚した様子でこう語った』、興味深そうだ。
・『「このままでは救える命も救えなくなる」 ドクターヘリとは、医師や看護師を乗せて傷病者のもとへ向かう救急医療用ヘリコプターのことである。 小池都知事は2020年の2度目の出馬の際に政策集「東京大改革2・0」を発表。そのなかで、街づくりの一環として「ドクターヘリの強化」を明記したのだ。 「かねてからドクターヘリ事業については都議会公明党が推進を働きかけてきました。小池氏は2期目の出馬に際し、公明党案を丸呑みし、自らの肝煎り政策として掲げるようになった。都のドクターヘリ事業は、杏林大学医学部付属病院が医師・看護師を派遣する『基地病院』となり、ヘリの運航は入札の結果、学校法人ヒラタ学園に委託された。現在は多摩地区などの西東京エリアのみで運航されています」(都政関係者) ドクターヘリの就航から2年。都内の医療関係者は「小池政策は穴だらけ。このままでは救える命も救えなくなるのではないか」と危機感を募らせる。 都のドクターヘリ事業が抱える大きな問題のひとつが「異常なキャンセル率の高さ」である』、「異常なキャンセル率の高さ」はどうしてなのだろう。
・『東京だけ異常に高いキャンセル率 都道府県ごとの運航データが明記されている「2023年度ドクターヘリ事業運航実績」(全日本航空事業連合会作成)によれば、都のドクターヘリの運航回数1360回のうち、患者を運んだ回数は306回、患者を運ばずに戻ってきたキャンセルの回数は1054回だという。 計算するとキャンセル率は77%、実に約8割となっている。前年度における東京都のキャンセル率を調べてみると、やはり78%と高い数字である。 隣県の数字をみると、埼玉県は10.7%、千葉県は27.9%。東京都を除いた全国平均を調べると、18%と低い水準で収まっており、東京都の数字がいかに異常であるかが判る。 これには日本航空医療学会のトップである猪口貞樹理事長も首をかしげる。 「東京都のキャンセル率はあり得ない数字です。他の都道府県の数字を見ても、通常のキャンセル率は20%、高くて50%程度です。ドクターヘリは、症状を重めに判断し、出動のハードルを低くするオーバートリアージという考え方で運用されますが、それはどの都道府県も同じ。なぜ東京都だけが8割近いキャンセル率になるのか不可解です」 6月5日(水)配信の「週刊文春 電子版」および6月6日(木)発売の「週刊文春」では、赤石氏による東京都のドクターヘリに関するレポートを3ページにわたって掲載する。不透明な落札経緯、国交省が運航事業者であるヒラタ学園に出した「事業改善命令」と「警告書」の中身、医師・看護師を派遣する杏林学園の理事長が「委託会社の変更を真剣に検討する」と語ったインタビューなどを詳しく報じる。 ※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください』、「患者を運ばずに戻ってきたキャンセルの回数は1054回だという。 計算するとキャンセル率は77%、実に約8割となっている。前年度における東京都のキャンセル率を調べてみると、やはり78%と高い数字である。 隣県の数字をみると、埼玉県は10.7%、千葉県は27.9%。東京都を除いた全国平均を調べると、18%と低い水準で収まっており、東京都の数字がいかに異常であるかが判る」、「キャンセル率」の異常な高さはやはり未解決のままだ。
タグ:小池都知事問題 (その12)(【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】、都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に、蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決、小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」) JBPRESS 黒木 亮氏による「【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】」 「筆者はアラビア語を学び、エジプトの大学(カイロ・アメリカン大学大学院中東研究科)を卒業した者の責務として、複数回の現地取材を含む調査で疑惑を徹底検証」、これは信頼性が高そうだ。 「卒業証明書や卒業証書を見せたのは、「週刊ポスト」やフジテレビなど、ごく限られたメディアに対してのみで、都議会での公開要請にも応じていない」、なるほど。 「ダリヤ・シェブル氏は「当時は優れた偽造技術を持った業者はいなかったと思うので、小池氏の卒業証明書は大学内部の人間が関与して作成した物だろう」とコメントした」、ここまで専門家に調べられたら、不自然な点は明確にならざるを得ない。 「卒業証書にある」、「乱れの第1に、小池氏の卒業証明書の文章が男性形で書かれていること・・・他の卒業証明書でこのような性別の不一致があるものは1枚もなく、2通ある女性のものもきちんと女性形で書かれている・・・第2は、4人の署名者のうち、スクリーンショットでは、2人の署名しか確認できないことだ・・・3点目は、小池氏の卒業証明書には大学の収入印紙が逆さまに貼られていることだ。他の卒業証明書には、そういう例は1つもない・・・ 第4に小池氏の写真がピンで留めてあることだ。筆者が集めた他の卒業証明書の写真はすべて糊付けかホッチキスである。就職活動等に使う大切な書類なので、しっかり留めるのは当然だろう」、しっかりして信頼に足る検証だ。特に第一の「卒業証明書の文章が男性形で書かれていること」は致命t機な欠陥だ。小池氏は公人で、かつ気に入らないことには強硬に反論する性格の人物である。ひたすら逃げの姿勢に終始しているのは、下手に喋れば卒論の件のようにボロが出ると思っているのかもしれない」、その通りだろう。 「「卒業証書」についても、フジテレビのスクリーンショットで見る限り、正式な文書である要件のいくつかを欠いている」、これも十分におかしな事実だ。 「東京とカイロの友好都市協定30周年の行事にも乗り気で、昨年11月頃、その調査のためなどに都職員をカイロに派遣しているが、これもそうしたデモンストレーションを兼ねてのことのようにも感じられる・・・「手紙やメモという証拠にもとづいた同居女性の証言が存在し、”不正入学”と"不正卒業"の可能性がある限り、「卒業証明書も卒業証書もある。カイロ大学も認めている」では、誰も永遠に納得しない。疑惑を払拭したいのなら、疑問点にきちんと答えるべきである。そういう基本的なこともできないのなら、学歴詐称をしているということだ」 、これはまさに決定打だ。 東洋経済オンライン 泉 宏氏による「都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に」 昨日、小池氏も都議会の最終日に正式に出馬表明した。 前述の通り都議会の最終日に正式に出馬表明した。 「最新の世論調査でも都民の5割以上が「小池都政を評価」しており、「どんなに逆風が吹いても、200万票を下回る事態は想定できない」(同)との見方が支配的だ」、なるほど。 「「カイロ大卒」を巡る学歴詐称疑惑」は、第一の記事で「黒木 亮」氏が決定的な内容で報じている。 「蓮舫氏」には神宮外苑再開発問題を取上げてもらいたいものだ。 ダイヤモンド・オンライン 木俣正剛氏による「蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決」』 「「姑目線」で斬る」とは興味深そうだ。 「(蓮舫氏)彼女が興味を持つのは「解散」がいつか。つまり政局ばかりで、政策やこの国をどうするのかといった議論には全然興味を示しません。私は、「ああ、彼女はこの国の政治記者、いや実際には政局記者になりたい人で、そのうち政治家になるのだろうけど、大成しないだろうな」と思っていました」、なるほど。 「具体的な政策」はこれから公表する政策に盛り込まれる予定だ。 「ハーテムルートで2年生からの編入入学が実現」、なるほど。 「小池氏」は、「帰国してからの親父キラーぶりと出世ぶりは、みなさんもご存じの通りです。オヤジキラーは敵を創り出して選挙をするのがうまく、郵政選挙では兵庫から東京に鞍替えして小泉政権大勝の大功労者となり、都知事選では都議会のドンを徹底的に攻撃して大勝しました」、「蓮舫氏は、お嬢さん育ちですが、同じく敵を作り叩きのめす言葉が売りものです」、「一体どんな罵り合いが始まるのか」、大いに楽しみだ。 文春オンライン「小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」」 「異常なキャンセル率の高さ」はどうしてなのだろう。 「患者を運ばずに戻ってきたキャンセルの回数は1054回だという。 計算するとキャンセル率は77%、実に約8割となっている。前年度における東京都のキャンセル率を調べてみると、やはり78%と高い数字である。 隣県の数字をみると、埼玉県は10.7%、千葉県は27.9%。東京都を除いた全国平均を調べると、18%と低い水準で収まっており、東京都の数字がいかに異常であるかが判る」、「キャンセル率」の異常な高さはやはり未解決のままだ。
キシダノミクス(その10)(岸田首相 いつの間にか「一強体制」に…!裏ガネ問題がまさかの追い風、「鈍感力」が「突破力」に化けた裏側、岸田首相が訪米で真に交渉すべき「リアル日本有事」への日米大軍事連携、外交敗北…!岸田総理は訪米後、バイデン大統領から思いっきりはしごを外されていた、習近平とバイデンが結託…!?完全にはしごを外された岸田総理の「超外交敗北」の舞台裏) [国内政治]
キシダノミクスについては、本年1月30日に取上げた。今日は、(その10)(岸田首相 いつの間にか「一強体制」に…!裏ガネ問題がまさかの追い風、「鈍感力」が「突破力」に化けた裏側、岸田首相が訪米で真に交渉すべき「リアル日本有事」への日米大軍事連携、外交敗北…!岸田総理は訪米後、バイデン大統領から思いっきりはしごを外されていた、習近平とバイデンが結託…!?完全にはしごを外された岸田総理の「超外交敗北」の舞台裏)である。
先ずは、本年3月28日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの伊藤 博敏氏による「岸田首相、いつの間にか「一強体制」に…!裏ガネ問題がまさかの追い風、「鈍感力」が「突破力」に化けた裏側」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/126593?imp=0
・『岸田の鈍感力が、まさかの突破力に 岸田文雄首相の「安倍派潰し」が、いよいよ“仕上げ”に入ってきた。26,27両日には自ら安倍派幹部4人の再聴取を行って、処分への道筋をつけた。 その先触れのように、二階俊博元党幹事長が次の衆院選での不出馬を表明した。記者会見での「ばかやろう」発言は自制の効かない老いを感じさせたが、党に処分される前での発表は影響力を残すギリギリの決断で、さすがの老練さを感じさせた。 岸田氏に再聴取を受けた塩谷立、下村博文、西村康稔、世耕弘成の4氏は追い込まれた。22年8月に開かれた裏ガネ還流への対応協議幹部会に出席した4人は、政治倫理審査会で説明責任を果たしておらず、「非公認など重い処分は避けられない」と見られていたが、二階氏の決断がそれを後押しする。 結果として「岸田一強体制」が固まった。 振り返ってみれば、岸田首相は派閥政治資金パーティー裏ガネ化事件を最も効果的に使った人である。岸田氏の人の思惑を気にしない鈍感力は、突破力となって自民党は再出発を余儀なくされている。 事件の始まりは『しんぶん赤旗』のスクープとそれを受けて調査した上脇博之・神戸学院大学教授の告発だった。5派4000万円の不記載だったが、その時から最も悪質だったのが安倍派だった。赤旗編集部が政治資金収支報告書を読み込み、辻褄の合わない部分について執拗に問い合わせた。その回数は、22年6月13日から同年11月14日までに64件に及んだ。安倍派は不承不承、訂正に応じた。 これは何を意味するか。単なる記載漏れなどのミスではないということだ。「訂正は罪の自白」というのは上脇氏の持論だが、安倍派は書かずに裏ガネ化する確信犯だった。それがわかったので、上脇氏の告発を受理した検察が襲いかかった。 そこに検察と朝日新聞の思惑があったことを、筆者は「現代ビジネス」で<「安倍派つぶし」に本腰を入れた特捜部と「朝日新聞」…従軍慰安婦報道で信頼を失った「高級紙」の執念>(23年12月14日)と題して報じた』、「裏ガネ還流への対応協議幹部会に出席した4人は、政治倫理審査会で説明責任を果たしておらず、「非公認など重い処分は避けられない」と見られていたが、二階氏の決断がそれを後押しする。 結果として「岸田一強体制」が固まった。 振り返ってみれば、岸田首相は派閥政治資金パーティー裏ガネ化事件を最も効果的に使った人である。岸田氏の人の思惑を気にしない鈍感力は、突破力となって自民党は再出発を余儀なくされている・・・安倍派は書かずに裏ガネ化する確信犯だった。それがわかったので、上脇氏の告発を受理した検察が襲いかかった。 そこに検察と朝日新聞の思惑があったことを、筆者は「現代ビジネス」で<「安倍派つぶし」に本腰を入れた特捜部と「朝日新聞」…従軍慰安婦報道で信頼を失った「高級紙」の執念>(23年12月14日)と題して報じた」、なるほど。
・『三者の思惑が重なった 内閣人事局を発足させた安倍政権が「官僚支配」を強めるなか、「権力の監視役」を以て任ずる検察の総長人事にまで手を入れてきたことを検察総体が恐れた。官邸が望む黒川弘務・東京高検検事長の検事総長就任は阻止したが、その時、検察OBが提出した「政権の意に添わない検察の動きを封じ込め、検察の力を削ぐことを意図している」という意見書に危機感は表われている。 そこに「反安倍」を社論とする朝日新聞が、スクープを連発してマスメディアをリードした。朝日は社説で、<この政権は、民主主義をどこまで壊していくのだろう>(19年12月30日)と断罪し、その安倍派を狙った検察捜査に連帯した。 一方、上脇氏は「日本に議会制民主主義はいまだに実現していない」として、それを阻んでいる「政治とカネ」を告発し続けている憲法学者である。2000年に97年12月の新進党分裂に絡む政党助成金の告発を行って以来、20年以上にわたって告発を続けてきた。「政治とカネ」を告発する第一人者であり、その分、告発状は精緻に構成され、提出されれば検察は受理せざるを得ない。 派閥政治資金パーティーの裏ガネ化は、そんな三者の思惑と諸条件が重なって自民党を揺るがす事件となった。秩序を崩壊させ結果的に「岸田一強」に持って行ったのは岸田氏自身である。 岸田氏は安倍、二階派に続き、岸田派も元会計責任者が立件されるのが明らかになった1月18日、解散を決めて記者団に伝えた。政権を支える麻生派領袖の麻生太郎、茂木派領袖の茂木敏充の両氏には事後通告。2人は激しく反発するが政局は動き始め、安倍派、二階派が解散を決め、茂木派も政策勉強会に衣替えして派閥政治は幕を下ろした』、なるほど。
・『「検審地獄」に苦しむ議員が出る 事件を受けて行なわれた衆参政治倫理審査会を経て、焦点は誰をどう処分するかに迫られた。処分を避けて領袖の二階氏が不出馬を迫られた二階派、「重い処分」を幹部4人が通告された安倍派の不満は大きいが、裏ガネ事件が終結したわけではない。 事件を受けて3月11日までに90人の国会議員らが政治資金収支報告書を訂正した。「罪の自白」であり告発はやりやすくなる。既に上脇氏は、3月22日までに安倍派5人衆のひとりである萩生田光一氏と、同じく5人衆で前出の世耕氏の2人を告発した。派閥還流資金を記載しなかったというもので、萩生田分が2278万円、世耕分が1542万円である。 これまでに現職国会議員3人を含む10人が起訴あるいは略式起訴されたが、それは検察判断による立件であり、「訂正」という形で証拠が提示され還流の事件構図が明らかになっている以上、今後も告発は可能だ。 もちろん90人すべては現実的ではないものの、国民感覚で1000万円以上の裏ガネ化は脱税と感覚的には同義。悪質さの兼ね合いもあるだろうが、1000万円以上の20人が告発予定者といえよう。うち二階派が4名で16名が安倍派である。「事件を風化させてはならない。準備はしている」(上脇氏)ということで、萩生田、世耕両氏以降も告発は続き、受理して捜査の流れとなる。25日までに安倍派の三ツ林裕巳氏を2592万円の「不記載」で告発した。 捜査の結果がたとえ不起訴処分でも、その後は検察審査会が待ち受ける。告発人が「不起訴不当」を申し立て、11人の市民が処分の妥当性を審査し、「起訴すべき」という議決が2度、出れば強制起訴となる。そこまで行くケースは稀だが、再捜査での不起訴という最終結論が出るまで、告発を受けた政治家の活動に支障が生じるのは間違いなく、「検審地獄」に苦しむ議員が出てこよう』、「これまでに現職国会議員3人を含む10人が起訴あるいは略式起訴されたが、それは検察判断による立件であり、「訂正」という形で証拠が提示され還流の事件構図が明らかになっている以上、今後も告発は可能だ。 もちろん90人すべては現実的ではないものの、国民感覚で1000万円以上の裏ガネ化は脱税と感覚的には同義。悪質さの兼ね合いもあるだろうが、1000万円以上の20人が告発予定者といえよう。うち二階派が4名で16名が安倍派である。「事件を風化させてはならない。準備はしている」(上脇氏)ということで、萩生田、世耕両氏以降も告発は続き、受理して捜査の流れとなる。25日までに安倍派の三ツ林裕巳氏を2592万円の「不記載」で告発した」、なるほど。
・『党内と国民のフラストレーションは… 岸田氏は、事件に絡めて派閥を解消、処分を断行して党内の支配体制を強化した。事件を終らせまいとする告発の動きと、いつまた連動するかわからない検察の思惑、そして国民の厳しい目を思えば、党内の不満分子も動きにくい。 だが、処分へ向けた岸田氏の「安倍派聴取」など、「どの口がいう」と断罪してしかるべきものだ。 上脇氏は、裏ガネ化事件の告発を続ける一方、岸田氏の首相就任を祝う会を主催した任意団体が、収益の一部を岸田氏の関連団体に寄付していた問題で、3月4日、岸田氏らを政治資金規正法違反で告発した。 22年6月に行なわれた祝う会は、会の司会進行は地元秘書で連絡先は岸田事務所という誰が考えても事務所主導の政治資金パーティーだった。だが、岸田氏サイドは「地元有志の純粋な祝賀会だった」として、政治資金収支報告書に記載していなかった。そこで上脇氏は「不記載」で告発した。 この「人と自分は違う」という姿勢は岸田氏に一貫している。裏ガネ化問題でも、自らの処分については「派閥全体での還付の不記載とはまったく次元が違う」と述べ、不記載は「事務疎漏によるもので、支出にはなんら問題がない」と強調した。仮にそうであっても元会計責任者は立件されており道義的責任はあり、処分の対象となってしかるべきだが、「自民党の歴史のなかでも現職の総裁が処分された例はない」と開き直った。 首相公邸で忘年会を開いていた長男で政務担当秘書官だった翔太郎氏を更迭する際の遅さや、最側近の木原誠二補佐官が妻の元夫不審死事件に関わったとして「文春砲」を浴びても使い続けたことと合わせ、岸田氏は「聞く力」を標榜しながら、外部の意見をまったく聞かず気にしない。 この鈍感力を突破力に変えて、政権の不支持率は高いのに党内に敵がいない状態を作り上げた。これまでにない首相タイプだが、自民党内だけでなく国民のフラストレーションも高まる一方であるのは指摘しておかねばなるまい』、「岸田氏は「聞く力」を標榜しながら、外部の意見をまったく聞かず気にしない。 この鈍感力を突破力に変えて、政権の不支持率は高いのに党内に敵がいない状態を作り上げた。これまでにない首相タイプだが、自民党内だけでなく国民のフラストレーションも高まる一方であるのは指摘しておかねばなるまい」、その通りだ。
次に、4月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「岸田首相が訪米で真に交渉すべき「リアル日本有事」への日米大軍事連携」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341946
・『北のミサイルを乗っ取るスゴイ兵器が日本にはある 今回は『リアル 日本有事』(麻生幾著/角川春樹事務所」という本を紹介したいと思います。これは小説ですが、小説というよりも軍事・外交機密を調査報道できる日本で屈指の記者による「機密暴露」の本と言えます。 たとえば、「NEWS」という兵器を日本が持っていることをご存じでしょうか。宇宙・サイバー空間を防衛するためのシステムで、米国とも一部を共有していますが、なんと北朝鮮がミサイルを発射する兆候を掴めば、このシステムが稼働し、北のミサイルが発信している電波をキャッチアップして、誘導そのものを乗っ取り、日米が自由に北のミサイルの方向を変えられる機能を備えています。 こんなSFみたいな話をすると、眉唾と思う読者もおられるでしょう。しかし、著者の麻生幾氏が小説家になった経緯を知る私は、この小説に登場する大量の軍事機密はすべて事実だと思っています。 麻生氏はもともと『週刊文春』時代の私の部下でした。入社数年で、公安や自衛隊など機密保持が厳重な組織の重要情報を手に入れる凄腕記者になりました。拉致被害者として認定された有本恵子さんなど3人の失踪留学生の存在を明らかにしたのは、麻生氏のスクープです。 しかし、軍事・外交機密の取材には、公務員の守秘義務違反の問題が存在します。記者はニュースソースの秘匿が認められていますが、公務員は守秘義務違反で馘首の可能性さえあり、特に軍事機密となると、彼らを巻き込む危険があります。 実際麻生氏も、治安組織から取材源を特定するため尾行されることが多くなり、記者としての活動が困難になりました。家宅捜索を受けて、資料などで公務員に迷惑をかける可能性を考え、取材資料は弁護士事務所か麻生氏とは無関係と思われる私が預かっていたほどです。 これが、彼がノンフィクションから小説家に転身した理由です。第一作は50万部以上のベストセラーになった『宣戦布告』。1996年、北朝鮮の小型潜水艦が韓国海岸に座礁しましたが、これをヒントに、もし北朝鮮の潜水艦が日本の海岸に座礁した場合、どういう展開になるか取材して小説にしようと提案したのが私でした。当時は現在より、有事法制の整備はさらに遅れていて、日本防衛の脆弱性がこの小説で明らかになり、話題を呼びました。) 以降、ドラマ化された『外事警察』や特殊部隊の実態を描いた『瀕死のライオン』など、事実に基づくリアルな描写が特徴の作品を書いていますが、今回は日本が中国と武力衝突する可能性を描いた、軍事機密満載の作品に挑みました。ストーリーを紹介するのはネタバレになるので多くは語りませんが、舞台は宮古島。台湾侵攻の前哨戦として宮古島の占拠を企てる作戦がテーマとだけ言っておきます』、「宇宙・サイバー空間を防衛するためのシステムで、米国とも一部を共有していますが、なんと北朝鮮がミサイルを発射する兆候を掴めば、このシステムが稼働し、北のミサイルが発信している電波をキャッチアップして、誘導そのものを乗っ取り、日米が自由に北のミサイルの方向を変えられる機能を備えています。 こんなSFみたいな話をすると、眉唾と思う読者もおられるでしょう。しかし、著者の麻生幾氏が小説家になった経緯を知る私は、この小説に登場する大量の軍事機密はすべて事実だと思っています」、やはり架空の話なのではないだろうか。
「「NEWS」という兵器・・・宇宙・サイバー空間を防衛するためのシステムで、米国とも一部を共有していますが、なんと北朝鮮がミサイルを発射する兆候を掴めば、このシステムが稼働し、北のミサイルが発信している電波をキャッチアップして、誘導そのものを乗っ取り、日米が自由に北のミサイルの方向を変えられる機能を備えています。 こんなSFみたいな話をすると、眉唾と思う読者もおられるでしょう。しかし、著者の麻生幾氏が小説家になった経緯を知る私は、この小説に登場する大量の軍事機密はすべて事実だと思っています。 麻生氏はもともと『週刊文春』時代の私の部下でした。入社数年で、公安や自衛隊など機密保持が厳重な組織の重要情報を手に入れる凄腕記者になりました。拉致被害者として認定された有本恵子さんなど3人の失踪留学生の存在を明らかにしたのは、麻生氏のスクープです。 しかし、軍事・外交機密の取材には、公務員の守秘義務違反の問題が存在します。記者はニュースソースの秘匿が認められていますが、公務員は守秘義務違反で馘首の可能性さえあり、特に軍事機密となると、彼らを巻き込む危険があります。 実際麻生氏も、治安組織から取材源を特定するため尾行されることが多くなり、記者としての活動が困難になりました。家宅捜索を受けて、資料などで公務員に迷惑をかける可能性を考え、取材資料は弁護士事務所か麻生氏とは無関係と思われる私が預かっていたほどです」、「取材資料は弁護士事務所か麻生氏とは無関係と思われる私が預かっていたほど」、そこまでやるのかと驚かされた。
・『日米同盟による台湾防衛の鍵となる「極秘の防衛システム」とは が、この作品に登場する新兵器、あるいは新事実こそ、読者は知っておくべきだと思います。たとえば、先ほどのNEWS以外に秘密裏に開発されている兵器として、米国が開発を断念した戦略ミサイルを撃墜できるレーザービーム兵器(三菱重工が、米国が持っていない大電力充電装置を開発し、米国と共同で完成させる予定)とか、すでに世界最初の実射実験を開始したレールガン(電磁兵器で超高速弾を発射して、超高速ミサイルに対抗する)といったゲームの世界のような兵器が登場します。 また、COPシステム(日米同盟の根幹となる通信ネットワークシステム)からの様々な情報は日本も完全に共有していて、陸上自衛隊などは戦闘時、タブレット端末に共通作戦状況図が指揮官に細かく伝えられ、攻撃するか防御をとるかといった指示が送られます。 さらに、驚くシステムが登場します。新兵器だけで戦争に勝てるわけではありません。現代戦は情報戦。宇宙空間の衛星監視、早期警戒機の遠距離レーダー偵察が、勝敗を決めます。ロシアが簡単にウクライナを占領できると目論んだのに阻止されたのも、米軍とNATOによる偵察情報が正確で、その情報を提供されたウクライナ軍がロシア軍の配置を見切って防衛陣地を構築したからこそ撃退できました。 つまり、情報を米欧と共有することこそ、日米同盟が台湾を防衛できるか否かの鍵となります。そのために必要な秘密のシステムが存在します。どれも、メディアが一度も書いたことがない極秘インテリジェンスネットワークシステムです。 ・セントリックス-J ・JICPAC(ジックパック) ・JSECRE それぞれ米国が日本と情報を共有するシステムで、「セントリックス-J」は、潜在的なターゲットの部隊配置や能力を常に最新のものに更新して共有します。「JICPAC」は、各自衛隊に提供されている情報で、北朝鮮のすべての港からの出入港状況などは毎朝、最新のものが自衛隊の情報担当幹部に届けられ、警察庁とも連携していて、北朝鮮の工作船の動向や要人の動向、核実験施設の動向などの情報も提供されています(もちろん北朝鮮だけではなく、中国やロシアについてもです)。 「JSECRE」は、共同で作戦する場合に共通して見る作戦図です。敵の位置、火力、規模、状況などが示され、日米の部隊の配置も示されます。これをもとに日米共同作戦は行われるのです。これらの情報は米軍の卓越した軍事衛星や早期警戒管制機などから集められたものですが、日本も米国には多大な貢献をしています。 まず、日本列島に北から南まで「NEWS」システムを配置することで、列島そのものが巨大なレーダーアンテナとなり、北朝鮮や中国の情報を米軍側に提供できます。また、防衛省情報本部・電波部の大刀洗通信所ではアメリカ国家安全保障局(NSA)と共同運用する衛星通信傍受システムで、中国の通信衛星200基を同時に傍受できます。1時間で50万個のeメールとSNSを探知し、個人情報を収集してビッグデータに変換、大衆の動向を探るとともに、世論操作も試みています。 小説風にわかりやすく書くと、最新の護衛艦「まや」が、中国の軍艦による巡航ミサイルの攻撃を受けたとします。これを米海軍の早期警戒機E2Dのレーダーが探知したなら、瞬時に「まや」の防空システムに情報が共有され、「まや」のレーダーが探知していなくても、米軍からのデータで対空ミサイルを発射し、中国のミサイルを撃墜できるのです。もちろん、日本側の早期警戒機も「まや」自身のレーダーも優秀ですが、自軍のレーダー探知圏外でも交戦できるデータリンクネットワークが、護衛艦や航空機にも備えられているということになります』、「小説風にわかりやすく書くと、最新の護衛艦「まや」が、中国の軍艦による巡航ミサイルの攻撃を受けたとします。これを米海軍の早期警戒機E2Dのレーダーが探知したなら、瞬時に「まや」の防空システムに情報が共有され、「まや」のレーダーが探知していなくても、米軍からのデータで対空ミサイルを発射し、中国のミサイルを撃墜できるのです。もちろん、日本側の早期警戒機も「まや」自身のレーダーも優秀ですが、自軍のレーダー探知圏外でも交戦できるデータリンクネットワークが、護衛艦や航空機にも備えられているということになります」、架空の話だろうが、仮に本当であれば素晴らしい。
・『トランプリスクを前に日米安保の深化は喫緊の課題 日米安保は今、重大な岐路を迎えています。対中国、台湾有事を想定した場合、もっと連携を強化する必要があるのです。米国の新大統領にトランプ氏が就任した場合、忠実に日米安保条約を守るかどうかには不安が残るだけに、今のうちに国家間の協定により、縛りを入れなければなりません。 実際、米政策研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」は4日、超党派の有識者による日米同盟への提言『アーミテージ・ナイ報告書』で、威圧的な動きを強める中国の抑止を念頭に日米安保の「より統合された同盟関係への移行」を提唱しています。アーミテージもナイも、党派の違いはあってもアジア外交の専門家として影響力を持つ人物です』、「米国の新大統領にトランプ氏が就任した場合、忠実に日米安保条約を守るかどうかには不安が残るだけに、今のうちに国家間の協定により、縛りを入れなければなりません。 実際、米政策研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」は4日、超党派の有識者による日米同盟への提言『アーミテージ・ナイ報告書』で、威圧的な動きを強める中国の抑止を念頭に日米安保の「より統合された同盟関係への移行」を提唱」、なるほど。
・『岸田首相が訪米で本当に話し合うべきこと そして、この提言を現実化する動きはすでに始まっています。まず、日米安保で重要な役割を果たす米国太平洋軍の司令部はハワイにあります。ハワイと日本本国で連携するのは、実際かなり不便です。今すぐ太平洋軍の司令部を日本に前進させようという主張も日米双方にありますが、現在検討されているのは、太平洋軍の司令官は大将であるものの、中将クラスの高位の将官が日本に常駐し、実質上の同盟軍司令部を日本に作るという案です。 それに応じる形で日本側は、米軍と共同作戦を行うために、従来の縦割り司令部を改め、陸海空の自衛隊を束ねる「統合作戦司令部」を24年末には創設することを決定しました。ただ、日本の統合作戦司令部のトップは海将、陸将などと特殊な呼称で、国際的には中将とも大将ともとれます。米軍も中将がトップとなると、日米共同作戦の指揮をどちらが執るかという問題が起きます(通常、階級が上の軍人がトップとなりますが、同格となる場合、米軍が日本軍を指揮下に置くという可能性もあるのです)。 4月8日から14日までの岸田総理訪米は、日本では半導体問題やUSスティールの買収問題ばかりがクローズアップされていますが、米太平洋軍の司令部の実質的前進という重大な外交的選択を行う交渉が、秘かに行われていることを報じる日本メディアは少ないはずです。 さて、小説では宮古島に上陸するための海図を中国の諜報員が日本の民間人から買い取ることから「侵攻の端緒」が描かれます。日本がどんな武器で、思いもよらない中国の侵攻を防ぐかは小説を読んでのお楽しみです。 ここまでの日米の軍事的連携を読んで、「とんでもない本」「とんでもない事態」と感じる人もいるでしょう。しかし、国民が何も知らぬまま、日米軍事同盟が勝手に深化してゆくことこそ問題があります。だからこそ、小説という形でリアルな日本有事を考えた上で、日本はどうすべきか考える。そういう本質的な議論が必要な時期がきました。 そのために、知り得た軍事機密を思い切り暴露したのが、この「小説」なのです。守秘義務の壁を破るため、麻生氏はいったん首都圏から出て、別の携帯電話でニュースソースと連絡をとって取材をするなど、大変な努力を続けてきました。その成果がこの作品であり、昨年、実施された日米秘密演習「ヤマサクラ」がモデルとなっているとのことです』、「岸田総理訪米は、日本では半導体問題やUSスティールの買収問題ばかりがクローズアップされていますが、米太平洋軍の司令部の実質的前進という重大な外交的選択を行う交渉が、秘かに行われていることを報じる日本メディアは少ないはずです・・・国民が何も知らぬまま、日米軍事同盟が勝手に深化してゆくことこそ問題があります。だからこそ、小説という形でリアルな日本有事を考えた上で、日本はどうすべきか考える。そういう本質的な議論が必要な時期がきました。 そのために、知り得た軍事機密を思い切り暴露したのが、この「小説」なのです」、なるほど。
第三に、5月9日付け現代ビジネス「外交敗北…!岸田総理は訪米後、バイデン大統領から思いっきりはしごを外されていた」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/129074?imp=0
・『訪米によって「強固な日米関係」を世界にアピールしたつもりの岸田総理。しかしアメリカと中国は急接近をはじめ、日本の対中強硬路線に怒った習近平は前代未聞の対日政策を繰り出そうとしている』、成功とばかり思っていたが、失敗だったとは驚かされた。
・『帰国後顔色がずっと悪い 4月28日の補選で3つの惨敗を喫した岸田政権だが、実はもうひとつの大敗を喫していた。「外交敗戦」である。 4月8日から14日まで、国賓待遇で訪米した岸田総理。自身が「この3年間の政治活動のなかでも最大のハイライト」と位置づける力の入れようで、ホワイトハウスで行われた晩餐会でのジョークと自虐を盛り込んだスピーチを中心に、日本のメディアも「外交の岸田、ここにあり」と好意的に取り上げた。総理もお得意の英語でアメリカ高官たちを笑わせることができ、米国滞在中はずっとご満悦だったという。 ところが、帰国後の岸田総理の顔色は思わしくなく、「なんのための訪米だったのか……」と苦虫を噛みつぶしたような様子だったという。外務省の関係者が明かす。 「実は、総理は『バイデン大統領にはしごを外された』と落胆しているのです。せっかく自分が中国に向かって上げられるだけ拳を振り上げたのに、バイデン政権は岸田総理の帰国後、総理をあざ笑うかのように中国に急接近を始めたからです」 一体どういうことか。 日本のメディアでは晩餐会の様子ばかりが報じられたが、今回の岸田訪米で国際的に注目を集めたのは、4月10日、ホワイトハウスでの日米首脳会談の終了後に発表された「日米首脳共同声明」だ。 この首脳会談は、日米同盟の深化を強調すると同時に「共通の仮想敵国」である中国への対抗をこれまで以上に鮮明にしたものとなった。共同会見で、岸田総理はこう力説した。 「力、または威圧による一方的な現状変更の試みは、世界のいかなる場所でも断じて許容できない。そのような観点からも、中国をめぐる諸課題への対応にあたり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました」 もうひとつ注目されたのが、翌11日に行われた岸田総理のアメリカ連邦議会での演説だ。安倍元総理が'15年4月に行って以来9年ぶりとなる日本の総理の演説だったが、そのなかでも総理は力強く「反中」を宣言、民主党・共和党両党の議員から拍手が送られた。日本では経験したことのない万雷の拍手に包み込まれ、岸田総理は天にも昇る心地だったという。 この岸田総理の挑発的な宣言に、中国は猛反発した。まだ岸田総理がアメリカ滞在中だというのに、翌12日に中国外交部の劉勁松・アジア局長が北京の日本大使館の横地晃・首席公使を呼び出して、厳正な申し入れ、深刻な懸念、強烈な不満を表明したのだ。 「さらに同日の中国外交部の定例会見でも、毛寧報道官が日本を名指しして吠えました。『アメリカと日本は仲間を引っ張り込んでミニグループを作り、集団的な対抗を策動している。それこそが地域の平和と安定を脅かしている』と、激しい口調で非難したのです」(前出・外務省関係者)』、「岸田総理の挑発的な宣言に、中国は猛反発した。まだ岸田総理がアメリカ滞在中だというのに、翌12日に中国外交部の劉勁松・アジア局長が北京の日本大使館の横地晃・首席公使を呼び出して、厳正な申し入れ、深刻な懸念、強烈な不満を表明した」、なるほど。
・『秘密の夕食会の内側 しかし、この反応は岸田総理の想定内だった。先の共同声明では「日米の防衛関係をかつてないレベルに引き上げる」と謳い、「陸・海・空の自衛隊を統合した作戦司令部を発足させること」「日本にトマホークミサイルを配備すること」などを宣言している。ここまで踏み込めば、中国の反発を招くのは当然だ。 それをわかってなお、岸田総理が日米の結束をアピールし、これまで以上に踏み込んだ「対中防衛強化」を宣言したのはなぜか。 「実はその答えが9日の夜に行われた、バイデン夫妻と岸田夫妻との非公式夕食会にあるのです」 日本の政府高官の一人が明かす。 後編記事『習近平とバイデンが結託…!?完全にはしごを外された岸田総理の「超外交敗北」の舞台裏』ヘ続く』、「非公式夕食会」の内容を見てみよう。
第四に、5月9日付け現代ビジネス「習近平とバイデンが結託…!?完全にはしごを外された岸田総理の「超外交敗北」の舞台裏」を紹介しよう。
・『訪米によって「強固な日米関係」を世界にアピールしたつもりの岸田総理。しかしアメリカと中国は急接近をはじめ、日本の対中強硬路線に怒った習近平は前代未聞の対日政策を繰り出そうとしている。 前編記事『外交敗北…!岸田総理は訪米後、バイデン大統領から思いっきりはしごを外されていた』より続く』、興味深そうだ。
・『事態の急変 「この夕食会は、シーフードレストラン『ブラックソルト』で行われました。ここはバイデン大統領にとって最も思い入れのあるレストラン。なぜなら、'18年暮れに大統領選出馬を決めたのがこの場所だったからです。 その決意の場で大統領と総理が話し合ったのは『トランプの再選防止対策』でした。なんとしても次の選挙で勝ちたい大統領は、岸田総理に『あなたは私の息子のようだ。ともにあと4年、頑張ろう。君にもきっと長い未来がある』とおだて倒し、バイデン政権への忠誠強化を呼びかけたのです。 岸田総理も、トランプ再選を歓迎していません。そもそもトランプ氏とウマが合うわけがないし、トランプ政権が誕生すれば、麻生太郎さんがトランプ氏を利用して『岸田降ろし』をはじめるかもしれない。 総理は大統領のこの言葉を聞いて、バイデン-岸田ラインが今後も続くと確信。大統領のために自分ができることはなにかを考えたのです」 あと4年、総理としてバイデンを支えたい。4年というスパンで考えれば、中国をどう押さえ込むかが日米最大の外交課題となるだろう。日米で対中強硬姿勢を示せば、トランプ陣営もバイデン陣営を「中国に弱腰」と批判できなくなる。バイデン-岸田ラインで、長期的に中国を押さえ込む、今日はその始まりの日なのだ。 そんな使命感を抱きながら、総理はあの日米首脳共同声明を力強く読み上げたのだ。 ところが、渾身の「反中演説」からわずか数日後に、急転直下の事態が起こった。 「総理がアメリカから帰国するや、バイデン政権が習近平政権に急接近したのです。 まず16日にオースティン国防長官が中国の董軍・国防部長とオンライン会談を行い、『信頼関係をもう一度構築すべきだ』と確認しあいました。1年半ぶりとなったこの米中国防相会談が、日本側が想定していたより友好的な会談になったことに総理は驚き戸惑い、国会の合間に官邸に岡野正敬外務次官を二度も呼び出して事情を聞いていました」(同前) さらに追い打ちを掛けるように、24日から26日にかけてブリンケン国務長官が中国を電撃訪問。上海・北京を訪れ、王毅外相らと会談した。 「この国務長官の訪中も、上海の市街を楽しそうに歩き小籠包をほおばるなど友好ムードに満ちていて、岸田総理は『あれだけ対中強硬姿勢で結束したはずなのに、私の演説は一体何のためだったんだ……』と卒倒せんばかりでした」(同)』、「総理がアメリカから帰国するや、バイデン政権が習近平政権に急接近したのです。 まず16日にオースティン国防長官が中国の董軍・国防部長とオンライン会談・・・24日から26日にかけてブリンケン国務長官が中国を電撃訪問。上海・北京を訪れ、王毅外相らと会談した。 「この国務長官の訪中も、上海の市街を楽しそうに歩き小籠包をほおばるなど友好ムードに満ちていて、岸田総理は『あれだけ対中強硬姿勢で結束したはずなのに、私の演説は一体何のためだったんだ……』と卒倒せんばかりでした」、岸田は外交は得意といわれているのに、どうなっているのだろう。
・『恐怖の体験 大統領との4年間を夢見て対中強硬路線を打ち出した総理を見捨てるかのような「米中急接近」。バイデン側にも狙いはある。皮肉にも、岸田総理にも呼びかけた「トランプ再選阻止」だ。外務省の幹部が明かす。 「習近平主席もまた、トランプを大の苦手としています。というのも、習氏とトランプ大統領との最初の米中首脳会談となった'17年4月、フロリダの大統領の別荘で、習氏は在任中でもトップクラスの『恐怖の体験』をしたからです。 円満な雰囲気で進んだディナーが終わる頃、大統領が突然『今夜のデザートはトマホークミサイルだ!』と告げました。その直前に地中海東部に展開する米海軍の駆逐艦から、シリアに向けて59発のトマホークミサイルが発射された報告を受けて、快哉を叫んだのです。まるで、当時シリア紛争を巡って立場を異にしていた中国を威嚇するかのように、です」 このときの体験がトラウマとなった習主席にとって、トランプ再選は悪夢そのもの。トランプは「再選されたら中国に60%の関税をかける」と公言しているが、そんなことをされたら、中国経済は崩壊する。それはすなわち、習近平政権の崩壊をも意味する。 「なんとしてもトランプ再選を阻止したいという点で、習主席とバイデン大統領は利害が一致している。そこで、大統領選まで米中でハイレベルの交流を継続して行い、お互いに譲るところは譲って『どうすれば天敵・トランプの再選を防げるか』を協議することにしたのです。 岸田総理はバイデン政権が中国に接近したことで、はしごを外されてしまった。結局、アメリカからいままで以上に重い軍事的な責務を負わされたうえ、中国の逆鱗に触れただけだった、とも言えます」(同)』、「なんとしてもトランプ再選を阻止したいという点で、習主席とバイデン大統領は利害が一致している。そこで、大統領選まで米中でハイレベルの交流を継続して行い、お互いに譲るところは譲って『どうすれば天敵・トランプの再選を防げるか』を協議することにしたのです。 岸田総理はバイデン政権が中国に接近したことで、はしごを外されてしまった。結局、アメリカからいままで以上に重い軍事的な責務を負わされたうえ、中国の逆鱗に触れただけだった、とも言えます」、「岸田」は自分が「バイデン」からどう思われているかを理解していなかったようだ。外務省スタッフも無能だ。同行記者団も提灯記事ばかりでなく、この記事のような内容でも報告すべきだ。
・『中国の恐るべき一手 外交の岸田と呼ばれた私が、アメリカにハメられるとは___。「バイデンショック」とも言うべき事態を前に、岸田総理はいま茫然自失状態だという。それを見計らったように、中国は厳しい一手を打ってきた。外務省幹部が続ける。 「中国の元慰安婦の遺族が、中国で日本政府を提訴し謝罪と賠償を求めたのです。中国人の元慰安婦をめぐって日本政府を提訴するのは、中国では初めてのこと。習近平は急接近している日韓の引きはがしを図って、この『慰安婦カード』を切ってきたのです」 実に厄介な問題で、今回の日米共同声明に対する中国の怒りが伝わってくる一手だ、とこの外務省幹部は解説する。 それでも、バイデン大統領が再選されれば「フミオ、あのときの約束を覚えているかい? もう中国への歩み寄りは終わりだ。これからの4年間、君とともに歩もう」と再度「強固な日米関係」が示されるかもしれない。 しかし総理は今回の訪米を通じて密かに感じ取っているはずなのだ。「アメリカ全土がトランプ再選の熱気に包まれていて、それは避けられそうにもない」ということを。つまり、バイデン大統領との強固な関係など、あと1年もすれば意味をなさないものになってしまうということを……』、「総理は今回の訪米を通じて密かに感じ取っているはずなのだ。「アメリカ全土がトランプ再選の熱気に包まれていて、それは避けられそうにもない」ということを。つまり、バイデン大統領との強固な関係など、あと1年もすれば意味をなさないものになってしまうということを……」、それが分かっていながら、「バイデン大統領との強固な関係」作りに精を出して、「中国」を怒らせたのでは、どうしようもない外交下手だ。
先ずは、本年3月28日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの伊藤 博敏氏による「岸田首相、いつの間にか「一強体制」に…!裏ガネ問題がまさかの追い風、「鈍感力」が「突破力」に化けた裏側」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/126593?imp=0
・『岸田の鈍感力が、まさかの突破力に 岸田文雄首相の「安倍派潰し」が、いよいよ“仕上げ”に入ってきた。26,27両日には自ら安倍派幹部4人の再聴取を行って、処分への道筋をつけた。 その先触れのように、二階俊博元党幹事長が次の衆院選での不出馬を表明した。記者会見での「ばかやろう」発言は自制の効かない老いを感じさせたが、党に処分される前での発表は影響力を残すギリギリの決断で、さすがの老練さを感じさせた。 岸田氏に再聴取を受けた塩谷立、下村博文、西村康稔、世耕弘成の4氏は追い込まれた。22年8月に開かれた裏ガネ還流への対応協議幹部会に出席した4人は、政治倫理審査会で説明責任を果たしておらず、「非公認など重い処分は避けられない」と見られていたが、二階氏の決断がそれを後押しする。 結果として「岸田一強体制」が固まった。 振り返ってみれば、岸田首相は派閥政治資金パーティー裏ガネ化事件を最も効果的に使った人である。岸田氏の人の思惑を気にしない鈍感力は、突破力となって自民党は再出発を余儀なくされている。 事件の始まりは『しんぶん赤旗』のスクープとそれを受けて調査した上脇博之・神戸学院大学教授の告発だった。5派4000万円の不記載だったが、その時から最も悪質だったのが安倍派だった。赤旗編集部が政治資金収支報告書を読み込み、辻褄の合わない部分について執拗に問い合わせた。その回数は、22年6月13日から同年11月14日までに64件に及んだ。安倍派は不承不承、訂正に応じた。 これは何を意味するか。単なる記載漏れなどのミスではないということだ。「訂正は罪の自白」というのは上脇氏の持論だが、安倍派は書かずに裏ガネ化する確信犯だった。それがわかったので、上脇氏の告発を受理した検察が襲いかかった。 そこに検察と朝日新聞の思惑があったことを、筆者は「現代ビジネス」で<「安倍派つぶし」に本腰を入れた特捜部と「朝日新聞」…従軍慰安婦報道で信頼を失った「高級紙」の執念>(23年12月14日)と題して報じた』、「裏ガネ還流への対応協議幹部会に出席した4人は、政治倫理審査会で説明責任を果たしておらず、「非公認など重い処分は避けられない」と見られていたが、二階氏の決断がそれを後押しする。 結果として「岸田一強体制」が固まった。 振り返ってみれば、岸田首相は派閥政治資金パーティー裏ガネ化事件を最も効果的に使った人である。岸田氏の人の思惑を気にしない鈍感力は、突破力となって自民党は再出発を余儀なくされている・・・安倍派は書かずに裏ガネ化する確信犯だった。それがわかったので、上脇氏の告発を受理した検察が襲いかかった。 そこに検察と朝日新聞の思惑があったことを、筆者は「現代ビジネス」で<「安倍派つぶし」に本腰を入れた特捜部と「朝日新聞」…従軍慰安婦報道で信頼を失った「高級紙」の執念>(23年12月14日)と題して報じた」、なるほど。
・『三者の思惑が重なった 内閣人事局を発足させた安倍政権が「官僚支配」を強めるなか、「権力の監視役」を以て任ずる検察の総長人事にまで手を入れてきたことを検察総体が恐れた。官邸が望む黒川弘務・東京高検検事長の検事総長就任は阻止したが、その時、検察OBが提出した「政権の意に添わない検察の動きを封じ込め、検察の力を削ぐことを意図している」という意見書に危機感は表われている。 そこに「反安倍」を社論とする朝日新聞が、スクープを連発してマスメディアをリードした。朝日は社説で、<この政権は、民主主義をどこまで壊していくのだろう>(19年12月30日)と断罪し、その安倍派を狙った検察捜査に連帯した。 一方、上脇氏は「日本に議会制民主主義はいまだに実現していない」として、それを阻んでいる「政治とカネ」を告発し続けている憲法学者である。2000年に97年12月の新進党分裂に絡む政党助成金の告発を行って以来、20年以上にわたって告発を続けてきた。「政治とカネ」を告発する第一人者であり、その分、告発状は精緻に構成され、提出されれば検察は受理せざるを得ない。 派閥政治資金パーティーの裏ガネ化は、そんな三者の思惑と諸条件が重なって自民党を揺るがす事件となった。秩序を崩壊させ結果的に「岸田一強」に持って行ったのは岸田氏自身である。 岸田氏は安倍、二階派に続き、岸田派も元会計責任者が立件されるのが明らかになった1月18日、解散を決めて記者団に伝えた。政権を支える麻生派領袖の麻生太郎、茂木派領袖の茂木敏充の両氏には事後通告。2人は激しく反発するが政局は動き始め、安倍派、二階派が解散を決め、茂木派も政策勉強会に衣替えして派閥政治は幕を下ろした』、なるほど。
・『「検審地獄」に苦しむ議員が出る 事件を受けて行なわれた衆参政治倫理審査会を経て、焦点は誰をどう処分するかに迫られた。処分を避けて領袖の二階氏が不出馬を迫られた二階派、「重い処分」を幹部4人が通告された安倍派の不満は大きいが、裏ガネ事件が終結したわけではない。 事件を受けて3月11日までに90人の国会議員らが政治資金収支報告書を訂正した。「罪の自白」であり告発はやりやすくなる。既に上脇氏は、3月22日までに安倍派5人衆のひとりである萩生田光一氏と、同じく5人衆で前出の世耕氏の2人を告発した。派閥還流資金を記載しなかったというもので、萩生田分が2278万円、世耕分が1542万円である。 これまでに現職国会議員3人を含む10人が起訴あるいは略式起訴されたが、それは検察判断による立件であり、「訂正」という形で証拠が提示され還流の事件構図が明らかになっている以上、今後も告発は可能だ。 もちろん90人すべては現実的ではないものの、国民感覚で1000万円以上の裏ガネ化は脱税と感覚的には同義。悪質さの兼ね合いもあるだろうが、1000万円以上の20人が告発予定者といえよう。うち二階派が4名で16名が安倍派である。「事件を風化させてはならない。準備はしている」(上脇氏)ということで、萩生田、世耕両氏以降も告発は続き、受理して捜査の流れとなる。25日までに安倍派の三ツ林裕巳氏を2592万円の「不記載」で告発した。 捜査の結果がたとえ不起訴処分でも、その後は検察審査会が待ち受ける。告発人が「不起訴不当」を申し立て、11人の市民が処分の妥当性を審査し、「起訴すべき」という議決が2度、出れば強制起訴となる。そこまで行くケースは稀だが、再捜査での不起訴という最終結論が出るまで、告発を受けた政治家の活動に支障が生じるのは間違いなく、「検審地獄」に苦しむ議員が出てこよう』、「これまでに現職国会議員3人を含む10人が起訴あるいは略式起訴されたが、それは検察判断による立件であり、「訂正」という形で証拠が提示され還流の事件構図が明らかになっている以上、今後も告発は可能だ。 もちろん90人すべては現実的ではないものの、国民感覚で1000万円以上の裏ガネ化は脱税と感覚的には同義。悪質さの兼ね合いもあるだろうが、1000万円以上の20人が告発予定者といえよう。うち二階派が4名で16名が安倍派である。「事件を風化させてはならない。準備はしている」(上脇氏)ということで、萩生田、世耕両氏以降も告発は続き、受理して捜査の流れとなる。25日までに安倍派の三ツ林裕巳氏を2592万円の「不記載」で告発した」、なるほど。
・『党内と国民のフラストレーションは… 岸田氏は、事件に絡めて派閥を解消、処分を断行して党内の支配体制を強化した。事件を終らせまいとする告発の動きと、いつまた連動するかわからない検察の思惑、そして国民の厳しい目を思えば、党内の不満分子も動きにくい。 だが、処分へ向けた岸田氏の「安倍派聴取」など、「どの口がいう」と断罪してしかるべきものだ。 上脇氏は、裏ガネ化事件の告発を続ける一方、岸田氏の首相就任を祝う会を主催した任意団体が、収益の一部を岸田氏の関連団体に寄付していた問題で、3月4日、岸田氏らを政治資金規正法違反で告発した。 22年6月に行なわれた祝う会は、会の司会進行は地元秘書で連絡先は岸田事務所という誰が考えても事務所主導の政治資金パーティーだった。だが、岸田氏サイドは「地元有志の純粋な祝賀会だった」として、政治資金収支報告書に記載していなかった。そこで上脇氏は「不記載」で告発した。 この「人と自分は違う」という姿勢は岸田氏に一貫している。裏ガネ化問題でも、自らの処分については「派閥全体での還付の不記載とはまったく次元が違う」と述べ、不記載は「事務疎漏によるもので、支出にはなんら問題がない」と強調した。仮にそうであっても元会計責任者は立件されており道義的責任はあり、処分の対象となってしかるべきだが、「自民党の歴史のなかでも現職の総裁が処分された例はない」と開き直った。 首相公邸で忘年会を開いていた長男で政務担当秘書官だった翔太郎氏を更迭する際の遅さや、最側近の木原誠二補佐官が妻の元夫不審死事件に関わったとして「文春砲」を浴びても使い続けたことと合わせ、岸田氏は「聞く力」を標榜しながら、外部の意見をまったく聞かず気にしない。 この鈍感力を突破力に変えて、政権の不支持率は高いのに党内に敵がいない状態を作り上げた。これまでにない首相タイプだが、自民党内だけでなく国民のフラストレーションも高まる一方であるのは指摘しておかねばなるまい』、「岸田氏は「聞く力」を標榜しながら、外部の意見をまったく聞かず気にしない。 この鈍感力を突破力に変えて、政権の不支持率は高いのに党内に敵がいない状態を作り上げた。これまでにない首相タイプだが、自民党内だけでなく国民のフラストレーションも高まる一方であるのは指摘しておかねばなるまい」、その通りだ。
次に、4月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「岸田首相が訪米で真に交渉すべき「リアル日本有事」への日米大軍事連携」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341946
・『北のミサイルを乗っ取るスゴイ兵器が日本にはある 今回は『リアル 日本有事』(麻生幾著/角川春樹事務所」という本を紹介したいと思います。これは小説ですが、小説というよりも軍事・外交機密を調査報道できる日本で屈指の記者による「機密暴露」の本と言えます。 たとえば、「NEWS」という兵器を日本が持っていることをご存じでしょうか。宇宙・サイバー空間を防衛するためのシステムで、米国とも一部を共有していますが、なんと北朝鮮がミサイルを発射する兆候を掴めば、このシステムが稼働し、北のミサイルが発信している電波をキャッチアップして、誘導そのものを乗っ取り、日米が自由に北のミサイルの方向を変えられる機能を備えています。 こんなSFみたいな話をすると、眉唾と思う読者もおられるでしょう。しかし、著者の麻生幾氏が小説家になった経緯を知る私は、この小説に登場する大量の軍事機密はすべて事実だと思っています。 麻生氏はもともと『週刊文春』時代の私の部下でした。入社数年で、公安や自衛隊など機密保持が厳重な組織の重要情報を手に入れる凄腕記者になりました。拉致被害者として認定された有本恵子さんなど3人の失踪留学生の存在を明らかにしたのは、麻生氏のスクープです。 しかし、軍事・外交機密の取材には、公務員の守秘義務違反の問題が存在します。記者はニュースソースの秘匿が認められていますが、公務員は守秘義務違反で馘首の可能性さえあり、特に軍事機密となると、彼らを巻き込む危険があります。 実際麻生氏も、治安組織から取材源を特定するため尾行されることが多くなり、記者としての活動が困難になりました。家宅捜索を受けて、資料などで公務員に迷惑をかける可能性を考え、取材資料は弁護士事務所か麻生氏とは無関係と思われる私が預かっていたほどです。 これが、彼がノンフィクションから小説家に転身した理由です。第一作は50万部以上のベストセラーになった『宣戦布告』。1996年、北朝鮮の小型潜水艦が韓国海岸に座礁しましたが、これをヒントに、もし北朝鮮の潜水艦が日本の海岸に座礁した場合、どういう展開になるか取材して小説にしようと提案したのが私でした。当時は現在より、有事法制の整備はさらに遅れていて、日本防衛の脆弱性がこの小説で明らかになり、話題を呼びました。) 以降、ドラマ化された『外事警察』や特殊部隊の実態を描いた『瀕死のライオン』など、事実に基づくリアルな描写が特徴の作品を書いていますが、今回は日本が中国と武力衝突する可能性を描いた、軍事機密満載の作品に挑みました。ストーリーを紹介するのはネタバレになるので多くは語りませんが、舞台は宮古島。台湾侵攻の前哨戦として宮古島の占拠を企てる作戦がテーマとだけ言っておきます』、「宇宙・サイバー空間を防衛するためのシステムで、米国とも一部を共有していますが、なんと北朝鮮がミサイルを発射する兆候を掴めば、このシステムが稼働し、北のミサイルが発信している電波をキャッチアップして、誘導そのものを乗っ取り、日米が自由に北のミサイルの方向を変えられる機能を備えています。 こんなSFみたいな話をすると、眉唾と思う読者もおられるでしょう。しかし、著者の麻生幾氏が小説家になった経緯を知る私は、この小説に登場する大量の軍事機密はすべて事実だと思っています」、やはり架空の話なのではないだろうか。
「「NEWS」という兵器・・・宇宙・サイバー空間を防衛するためのシステムで、米国とも一部を共有していますが、なんと北朝鮮がミサイルを発射する兆候を掴めば、このシステムが稼働し、北のミサイルが発信している電波をキャッチアップして、誘導そのものを乗っ取り、日米が自由に北のミサイルの方向を変えられる機能を備えています。 こんなSFみたいな話をすると、眉唾と思う読者もおられるでしょう。しかし、著者の麻生幾氏が小説家になった経緯を知る私は、この小説に登場する大量の軍事機密はすべて事実だと思っています。 麻生氏はもともと『週刊文春』時代の私の部下でした。入社数年で、公安や自衛隊など機密保持が厳重な組織の重要情報を手に入れる凄腕記者になりました。拉致被害者として認定された有本恵子さんなど3人の失踪留学生の存在を明らかにしたのは、麻生氏のスクープです。 しかし、軍事・外交機密の取材には、公務員の守秘義務違反の問題が存在します。記者はニュースソースの秘匿が認められていますが、公務員は守秘義務違反で馘首の可能性さえあり、特に軍事機密となると、彼らを巻き込む危険があります。 実際麻生氏も、治安組織から取材源を特定するため尾行されることが多くなり、記者としての活動が困難になりました。家宅捜索を受けて、資料などで公務員に迷惑をかける可能性を考え、取材資料は弁護士事務所か麻生氏とは無関係と思われる私が預かっていたほどです」、「取材資料は弁護士事務所か麻生氏とは無関係と思われる私が預かっていたほど」、そこまでやるのかと驚かされた。
・『日米同盟による台湾防衛の鍵となる「極秘の防衛システム」とは が、この作品に登場する新兵器、あるいは新事実こそ、読者は知っておくべきだと思います。たとえば、先ほどのNEWS以外に秘密裏に開発されている兵器として、米国が開発を断念した戦略ミサイルを撃墜できるレーザービーム兵器(三菱重工が、米国が持っていない大電力充電装置を開発し、米国と共同で完成させる予定)とか、すでに世界最初の実射実験を開始したレールガン(電磁兵器で超高速弾を発射して、超高速ミサイルに対抗する)といったゲームの世界のような兵器が登場します。 また、COPシステム(日米同盟の根幹となる通信ネットワークシステム)からの様々な情報は日本も完全に共有していて、陸上自衛隊などは戦闘時、タブレット端末に共通作戦状況図が指揮官に細かく伝えられ、攻撃するか防御をとるかといった指示が送られます。 さらに、驚くシステムが登場します。新兵器だけで戦争に勝てるわけではありません。現代戦は情報戦。宇宙空間の衛星監視、早期警戒機の遠距離レーダー偵察が、勝敗を決めます。ロシアが簡単にウクライナを占領できると目論んだのに阻止されたのも、米軍とNATOによる偵察情報が正確で、その情報を提供されたウクライナ軍がロシア軍の配置を見切って防衛陣地を構築したからこそ撃退できました。 つまり、情報を米欧と共有することこそ、日米同盟が台湾を防衛できるか否かの鍵となります。そのために必要な秘密のシステムが存在します。どれも、メディアが一度も書いたことがない極秘インテリジェンスネットワークシステムです。 ・セントリックス-J ・JICPAC(ジックパック) ・JSECRE それぞれ米国が日本と情報を共有するシステムで、「セントリックス-J」は、潜在的なターゲットの部隊配置や能力を常に最新のものに更新して共有します。「JICPAC」は、各自衛隊に提供されている情報で、北朝鮮のすべての港からの出入港状況などは毎朝、最新のものが自衛隊の情報担当幹部に届けられ、警察庁とも連携していて、北朝鮮の工作船の動向や要人の動向、核実験施設の動向などの情報も提供されています(もちろん北朝鮮だけではなく、中国やロシアについてもです)。 「JSECRE」は、共同で作戦する場合に共通して見る作戦図です。敵の位置、火力、規模、状況などが示され、日米の部隊の配置も示されます。これをもとに日米共同作戦は行われるのです。これらの情報は米軍の卓越した軍事衛星や早期警戒管制機などから集められたものですが、日本も米国には多大な貢献をしています。 まず、日本列島に北から南まで「NEWS」システムを配置することで、列島そのものが巨大なレーダーアンテナとなり、北朝鮮や中国の情報を米軍側に提供できます。また、防衛省情報本部・電波部の大刀洗通信所ではアメリカ国家安全保障局(NSA)と共同運用する衛星通信傍受システムで、中国の通信衛星200基を同時に傍受できます。1時間で50万個のeメールとSNSを探知し、個人情報を収集してビッグデータに変換、大衆の動向を探るとともに、世論操作も試みています。 小説風にわかりやすく書くと、最新の護衛艦「まや」が、中国の軍艦による巡航ミサイルの攻撃を受けたとします。これを米海軍の早期警戒機E2Dのレーダーが探知したなら、瞬時に「まや」の防空システムに情報が共有され、「まや」のレーダーが探知していなくても、米軍からのデータで対空ミサイルを発射し、中国のミサイルを撃墜できるのです。もちろん、日本側の早期警戒機も「まや」自身のレーダーも優秀ですが、自軍のレーダー探知圏外でも交戦できるデータリンクネットワークが、護衛艦や航空機にも備えられているということになります』、「小説風にわかりやすく書くと、最新の護衛艦「まや」が、中国の軍艦による巡航ミサイルの攻撃を受けたとします。これを米海軍の早期警戒機E2Dのレーダーが探知したなら、瞬時に「まや」の防空システムに情報が共有され、「まや」のレーダーが探知していなくても、米軍からのデータで対空ミサイルを発射し、中国のミサイルを撃墜できるのです。もちろん、日本側の早期警戒機も「まや」自身のレーダーも優秀ですが、自軍のレーダー探知圏外でも交戦できるデータリンクネットワークが、護衛艦や航空機にも備えられているということになります」、架空の話だろうが、仮に本当であれば素晴らしい。
・『トランプリスクを前に日米安保の深化は喫緊の課題 日米安保は今、重大な岐路を迎えています。対中国、台湾有事を想定した場合、もっと連携を強化する必要があるのです。米国の新大統領にトランプ氏が就任した場合、忠実に日米安保条約を守るかどうかには不安が残るだけに、今のうちに国家間の協定により、縛りを入れなければなりません。 実際、米政策研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」は4日、超党派の有識者による日米同盟への提言『アーミテージ・ナイ報告書』で、威圧的な動きを強める中国の抑止を念頭に日米安保の「より統合された同盟関係への移行」を提唱しています。アーミテージもナイも、党派の違いはあってもアジア外交の専門家として影響力を持つ人物です』、「米国の新大統領にトランプ氏が就任した場合、忠実に日米安保条約を守るかどうかには不安が残るだけに、今のうちに国家間の協定により、縛りを入れなければなりません。 実際、米政策研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」は4日、超党派の有識者による日米同盟への提言『アーミテージ・ナイ報告書』で、威圧的な動きを強める中国の抑止を念頭に日米安保の「より統合された同盟関係への移行」を提唱」、なるほど。
・『岸田首相が訪米で本当に話し合うべきこと そして、この提言を現実化する動きはすでに始まっています。まず、日米安保で重要な役割を果たす米国太平洋軍の司令部はハワイにあります。ハワイと日本本国で連携するのは、実際かなり不便です。今すぐ太平洋軍の司令部を日本に前進させようという主張も日米双方にありますが、現在検討されているのは、太平洋軍の司令官は大将であるものの、中将クラスの高位の将官が日本に常駐し、実質上の同盟軍司令部を日本に作るという案です。 それに応じる形で日本側は、米軍と共同作戦を行うために、従来の縦割り司令部を改め、陸海空の自衛隊を束ねる「統合作戦司令部」を24年末には創設することを決定しました。ただ、日本の統合作戦司令部のトップは海将、陸将などと特殊な呼称で、国際的には中将とも大将ともとれます。米軍も中将がトップとなると、日米共同作戦の指揮をどちらが執るかという問題が起きます(通常、階級が上の軍人がトップとなりますが、同格となる場合、米軍が日本軍を指揮下に置くという可能性もあるのです)。 4月8日から14日までの岸田総理訪米は、日本では半導体問題やUSスティールの買収問題ばかりがクローズアップされていますが、米太平洋軍の司令部の実質的前進という重大な外交的選択を行う交渉が、秘かに行われていることを報じる日本メディアは少ないはずです。 さて、小説では宮古島に上陸するための海図を中国の諜報員が日本の民間人から買い取ることから「侵攻の端緒」が描かれます。日本がどんな武器で、思いもよらない中国の侵攻を防ぐかは小説を読んでのお楽しみです。 ここまでの日米の軍事的連携を読んで、「とんでもない本」「とんでもない事態」と感じる人もいるでしょう。しかし、国民が何も知らぬまま、日米軍事同盟が勝手に深化してゆくことこそ問題があります。だからこそ、小説という形でリアルな日本有事を考えた上で、日本はどうすべきか考える。そういう本質的な議論が必要な時期がきました。 そのために、知り得た軍事機密を思い切り暴露したのが、この「小説」なのです。守秘義務の壁を破るため、麻生氏はいったん首都圏から出て、別の携帯電話でニュースソースと連絡をとって取材をするなど、大変な努力を続けてきました。その成果がこの作品であり、昨年、実施された日米秘密演習「ヤマサクラ」がモデルとなっているとのことです』、「岸田総理訪米は、日本では半導体問題やUSスティールの買収問題ばかりがクローズアップされていますが、米太平洋軍の司令部の実質的前進という重大な外交的選択を行う交渉が、秘かに行われていることを報じる日本メディアは少ないはずです・・・国民が何も知らぬまま、日米軍事同盟が勝手に深化してゆくことこそ問題があります。だからこそ、小説という形でリアルな日本有事を考えた上で、日本はどうすべきか考える。そういう本質的な議論が必要な時期がきました。 そのために、知り得た軍事機密を思い切り暴露したのが、この「小説」なのです」、なるほど。
第三に、5月9日付け現代ビジネス「外交敗北…!岸田総理は訪米後、バイデン大統領から思いっきりはしごを外されていた」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/129074?imp=0
・『訪米によって「強固な日米関係」を世界にアピールしたつもりの岸田総理。しかしアメリカと中国は急接近をはじめ、日本の対中強硬路線に怒った習近平は前代未聞の対日政策を繰り出そうとしている』、成功とばかり思っていたが、失敗だったとは驚かされた。
・『帰国後顔色がずっと悪い 4月28日の補選で3つの惨敗を喫した岸田政権だが、実はもうひとつの大敗を喫していた。「外交敗戦」である。 4月8日から14日まで、国賓待遇で訪米した岸田総理。自身が「この3年間の政治活動のなかでも最大のハイライト」と位置づける力の入れようで、ホワイトハウスで行われた晩餐会でのジョークと自虐を盛り込んだスピーチを中心に、日本のメディアも「外交の岸田、ここにあり」と好意的に取り上げた。総理もお得意の英語でアメリカ高官たちを笑わせることができ、米国滞在中はずっとご満悦だったという。 ところが、帰国後の岸田総理の顔色は思わしくなく、「なんのための訪米だったのか……」と苦虫を噛みつぶしたような様子だったという。外務省の関係者が明かす。 「実は、総理は『バイデン大統領にはしごを外された』と落胆しているのです。せっかく自分が中国に向かって上げられるだけ拳を振り上げたのに、バイデン政権は岸田総理の帰国後、総理をあざ笑うかのように中国に急接近を始めたからです」 一体どういうことか。 日本のメディアでは晩餐会の様子ばかりが報じられたが、今回の岸田訪米で国際的に注目を集めたのは、4月10日、ホワイトハウスでの日米首脳会談の終了後に発表された「日米首脳共同声明」だ。 この首脳会談は、日米同盟の深化を強調すると同時に「共通の仮想敵国」である中国への対抗をこれまで以上に鮮明にしたものとなった。共同会見で、岸田総理はこう力説した。 「力、または威圧による一方的な現状変更の試みは、世界のいかなる場所でも断じて許容できない。そのような観点からも、中国をめぐる諸課題への対応にあたり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました」 もうひとつ注目されたのが、翌11日に行われた岸田総理のアメリカ連邦議会での演説だ。安倍元総理が'15年4月に行って以来9年ぶりとなる日本の総理の演説だったが、そのなかでも総理は力強く「反中」を宣言、民主党・共和党両党の議員から拍手が送られた。日本では経験したことのない万雷の拍手に包み込まれ、岸田総理は天にも昇る心地だったという。 この岸田総理の挑発的な宣言に、中国は猛反発した。まだ岸田総理がアメリカ滞在中だというのに、翌12日に中国外交部の劉勁松・アジア局長が北京の日本大使館の横地晃・首席公使を呼び出して、厳正な申し入れ、深刻な懸念、強烈な不満を表明したのだ。 「さらに同日の中国外交部の定例会見でも、毛寧報道官が日本を名指しして吠えました。『アメリカと日本は仲間を引っ張り込んでミニグループを作り、集団的な対抗を策動している。それこそが地域の平和と安定を脅かしている』と、激しい口調で非難したのです」(前出・外務省関係者)』、「岸田総理の挑発的な宣言に、中国は猛反発した。まだ岸田総理がアメリカ滞在中だというのに、翌12日に中国外交部の劉勁松・アジア局長が北京の日本大使館の横地晃・首席公使を呼び出して、厳正な申し入れ、深刻な懸念、強烈な不満を表明した」、なるほど。
・『秘密の夕食会の内側 しかし、この反応は岸田総理の想定内だった。先の共同声明では「日米の防衛関係をかつてないレベルに引き上げる」と謳い、「陸・海・空の自衛隊を統合した作戦司令部を発足させること」「日本にトマホークミサイルを配備すること」などを宣言している。ここまで踏み込めば、中国の反発を招くのは当然だ。 それをわかってなお、岸田総理が日米の結束をアピールし、これまで以上に踏み込んだ「対中防衛強化」を宣言したのはなぜか。 「実はその答えが9日の夜に行われた、バイデン夫妻と岸田夫妻との非公式夕食会にあるのです」 日本の政府高官の一人が明かす。 後編記事『習近平とバイデンが結託…!?完全にはしごを外された岸田総理の「超外交敗北」の舞台裏』ヘ続く』、「非公式夕食会」の内容を見てみよう。
第四に、5月9日付け現代ビジネス「習近平とバイデンが結託…!?完全にはしごを外された岸田総理の「超外交敗北」の舞台裏」を紹介しよう。
・『訪米によって「強固な日米関係」を世界にアピールしたつもりの岸田総理。しかしアメリカと中国は急接近をはじめ、日本の対中強硬路線に怒った習近平は前代未聞の対日政策を繰り出そうとしている。 前編記事『外交敗北…!岸田総理は訪米後、バイデン大統領から思いっきりはしごを外されていた』より続く』、興味深そうだ。
・『事態の急変 「この夕食会は、シーフードレストラン『ブラックソルト』で行われました。ここはバイデン大統領にとって最も思い入れのあるレストラン。なぜなら、'18年暮れに大統領選出馬を決めたのがこの場所だったからです。 その決意の場で大統領と総理が話し合ったのは『トランプの再選防止対策』でした。なんとしても次の選挙で勝ちたい大統領は、岸田総理に『あなたは私の息子のようだ。ともにあと4年、頑張ろう。君にもきっと長い未来がある』とおだて倒し、バイデン政権への忠誠強化を呼びかけたのです。 岸田総理も、トランプ再選を歓迎していません。そもそもトランプ氏とウマが合うわけがないし、トランプ政権が誕生すれば、麻生太郎さんがトランプ氏を利用して『岸田降ろし』をはじめるかもしれない。 総理は大統領のこの言葉を聞いて、バイデン-岸田ラインが今後も続くと確信。大統領のために自分ができることはなにかを考えたのです」 あと4年、総理としてバイデンを支えたい。4年というスパンで考えれば、中国をどう押さえ込むかが日米最大の外交課題となるだろう。日米で対中強硬姿勢を示せば、トランプ陣営もバイデン陣営を「中国に弱腰」と批判できなくなる。バイデン-岸田ラインで、長期的に中国を押さえ込む、今日はその始まりの日なのだ。 そんな使命感を抱きながら、総理はあの日米首脳共同声明を力強く読み上げたのだ。 ところが、渾身の「反中演説」からわずか数日後に、急転直下の事態が起こった。 「総理がアメリカから帰国するや、バイデン政権が習近平政権に急接近したのです。 まず16日にオースティン国防長官が中国の董軍・国防部長とオンライン会談を行い、『信頼関係をもう一度構築すべきだ』と確認しあいました。1年半ぶりとなったこの米中国防相会談が、日本側が想定していたより友好的な会談になったことに総理は驚き戸惑い、国会の合間に官邸に岡野正敬外務次官を二度も呼び出して事情を聞いていました」(同前) さらに追い打ちを掛けるように、24日から26日にかけてブリンケン国務長官が中国を電撃訪問。上海・北京を訪れ、王毅外相らと会談した。 「この国務長官の訪中も、上海の市街を楽しそうに歩き小籠包をほおばるなど友好ムードに満ちていて、岸田総理は『あれだけ対中強硬姿勢で結束したはずなのに、私の演説は一体何のためだったんだ……』と卒倒せんばかりでした」(同)』、「総理がアメリカから帰国するや、バイデン政権が習近平政権に急接近したのです。 まず16日にオースティン国防長官が中国の董軍・国防部長とオンライン会談・・・24日から26日にかけてブリンケン国務長官が中国を電撃訪問。上海・北京を訪れ、王毅外相らと会談した。 「この国務長官の訪中も、上海の市街を楽しそうに歩き小籠包をほおばるなど友好ムードに満ちていて、岸田総理は『あれだけ対中強硬姿勢で結束したはずなのに、私の演説は一体何のためだったんだ……』と卒倒せんばかりでした」、岸田は外交は得意といわれているのに、どうなっているのだろう。
・『恐怖の体験 大統領との4年間を夢見て対中強硬路線を打ち出した総理を見捨てるかのような「米中急接近」。バイデン側にも狙いはある。皮肉にも、岸田総理にも呼びかけた「トランプ再選阻止」だ。外務省の幹部が明かす。 「習近平主席もまた、トランプを大の苦手としています。というのも、習氏とトランプ大統領との最初の米中首脳会談となった'17年4月、フロリダの大統領の別荘で、習氏は在任中でもトップクラスの『恐怖の体験』をしたからです。 円満な雰囲気で進んだディナーが終わる頃、大統領が突然『今夜のデザートはトマホークミサイルだ!』と告げました。その直前に地中海東部に展開する米海軍の駆逐艦から、シリアに向けて59発のトマホークミサイルが発射された報告を受けて、快哉を叫んだのです。まるで、当時シリア紛争を巡って立場を異にしていた中国を威嚇するかのように、です」 このときの体験がトラウマとなった習主席にとって、トランプ再選は悪夢そのもの。トランプは「再選されたら中国に60%の関税をかける」と公言しているが、そんなことをされたら、中国経済は崩壊する。それはすなわち、習近平政権の崩壊をも意味する。 「なんとしてもトランプ再選を阻止したいという点で、習主席とバイデン大統領は利害が一致している。そこで、大統領選まで米中でハイレベルの交流を継続して行い、お互いに譲るところは譲って『どうすれば天敵・トランプの再選を防げるか』を協議することにしたのです。 岸田総理はバイデン政権が中国に接近したことで、はしごを外されてしまった。結局、アメリカからいままで以上に重い軍事的な責務を負わされたうえ、中国の逆鱗に触れただけだった、とも言えます」(同)』、「なんとしてもトランプ再選を阻止したいという点で、習主席とバイデン大統領は利害が一致している。そこで、大統領選まで米中でハイレベルの交流を継続して行い、お互いに譲るところは譲って『どうすれば天敵・トランプの再選を防げるか』を協議することにしたのです。 岸田総理はバイデン政権が中国に接近したことで、はしごを外されてしまった。結局、アメリカからいままで以上に重い軍事的な責務を負わされたうえ、中国の逆鱗に触れただけだった、とも言えます」、「岸田」は自分が「バイデン」からどう思われているかを理解していなかったようだ。外務省スタッフも無能だ。同行記者団も提灯記事ばかりでなく、この記事のような内容でも報告すべきだ。
・『中国の恐るべき一手 外交の岸田と呼ばれた私が、アメリカにハメられるとは___。「バイデンショック」とも言うべき事態を前に、岸田総理はいま茫然自失状態だという。それを見計らったように、中国は厳しい一手を打ってきた。外務省幹部が続ける。 「中国の元慰安婦の遺族が、中国で日本政府を提訴し謝罪と賠償を求めたのです。中国人の元慰安婦をめぐって日本政府を提訴するのは、中国では初めてのこと。習近平は急接近している日韓の引きはがしを図って、この『慰安婦カード』を切ってきたのです」 実に厄介な問題で、今回の日米共同声明に対する中国の怒りが伝わってくる一手だ、とこの外務省幹部は解説する。 それでも、バイデン大統領が再選されれば「フミオ、あのときの約束を覚えているかい? もう中国への歩み寄りは終わりだ。これからの4年間、君とともに歩もう」と再度「強固な日米関係」が示されるかもしれない。 しかし総理は今回の訪米を通じて密かに感じ取っているはずなのだ。「アメリカ全土がトランプ再選の熱気に包まれていて、それは避けられそうにもない」ということを。つまり、バイデン大統領との強固な関係など、あと1年もすれば意味をなさないものになってしまうということを……』、「総理は今回の訪米を通じて密かに感じ取っているはずなのだ。「アメリカ全土がトランプ再選の熱気に包まれていて、それは避けられそうにもない」ということを。つまり、バイデン大統領との強固な関係など、あと1年もすれば意味をなさないものになってしまうということを……」、それが分かっていながら、「バイデン大統領との強固な関係」作りに精を出して、「中国」を怒らせたのでは、どうしようもない外交下手だ。
タグ:キシダノミクス (その10)(岸田首相 いつの間にか「一強体制」に…!裏ガネ問題がまさかの追い風、「鈍感力」が「突破力」に化けた裏側、岸田首相が訪米で真に交渉すべき「リアル日本有事」への日米大軍事連携、外交敗北…!岸田総理は訪米後、バイデン大統領から思いっきりはしごを外されていた、習近平とバイデンが結託…!?完全にはしごを外された岸田総理の「超外交敗北」の舞台裏) 現代ビジネス 伊藤 博敏氏による「岸田首相、いつの間にか「一強体制」に…!裏ガネ問題がまさかの追い風、「鈍感力」が「突破力」に化けた裏側」 「裏ガネ還流への対応協議幹部会に出席した4人は、政治倫理審査会で説明責任を果たしておらず、「非公認など重い処分は避けられない」と見られていたが、二階氏の決断がそれを後押しする。 結果として「岸田一強体制」が固まった。 振り返ってみれば、岸田首相は派閥政治資金パーティー裏ガネ化事件を最も効果的に使った人である。岸田氏の人の思惑を気にしない鈍感力は、突破力となって自民党は再出発を余儀なくされている・・・安倍派は書かずに裏ガネ化する確信犯だった。 それがわかったので、上脇氏の告発を受理した検察が襲いかかった。 そこに検察と朝日新聞の思惑があったことを、筆者は「現代ビジネス」で<「安倍派つぶし」に本腰を入れた特捜部と「朝日新聞」…従軍慰安婦報道で信頼を失った「高級紙」の執念>(23年12月14日)と題して報じた」、なるほど。 「これまでに現職国会議員3人を含む10人が起訴あるいは略式起訴されたが、それは検察判断による立件であり、「訂正」という形で証拠が提示され還流の事件構図が明らかになっている以上、今後も告発は可能だ。 もちろん90人すべては現実的ではないものの、国民感覚で1000万円以上の裏ガネ化は脱税と感覚的には同義。悪質さの兼ね合いもあるだろうが、1000万円以上の20人が告発予定者といえよう。うち二階派が4名で16名が安倍派である。「事件を風化させてはならない。準備はしている」(上脇氏)ということで、萩生田、世耕両氏以 降も告発は続き、受理して捜査の流れとなる。25日までに安倍派の三ツ林裕巳氏を2592万円の「不記載」で告発した」、なるほど。 「岸田氏は「聞く力」を標榜しながら、外部の意見をまったく聞かず気にしない。 この鈍感力を突破力に変えて、政権の不支持率は高いのに党内に敵がいない状態を作り上げた。これまでにない首相タイプだが、自民党内だけでなく国民のフラストレーションも高まる一方であるのは指摘しておかねばなるまい」、その通りだ。 ダイヤモンド・オンライン 木俣正剛氏による「岸田首相が訪米で真に交渉すべき「リアル日本有事」への日米大軍事連携」 「取材資料は弁護士事務所か麻生氏とは無関係と思われる私が預かっていたほど」、そこまでやるのかと驚かされた。 「小説風にわかりやすく書くと、最新の護衛艦「まや」が、中国の軍艦による巡航ミサイルの攻撃を受けたとします。これを米海軍の早期警戒機E2Dのレーダーが探知したなら、瞬時に「まや」の防空システムに情報が共有され、「まや」のレーダーが探知していなくても、米軍からのデータで対空ミサイルを発射し、中国のミサイルを撃墜できるのです。もちろん、日本側の早期警戒機も「まや」自身のレーダーも優秀ですが、自軍のレーダー探知圏外でも交戦できるデータリンクネットワークが、護衛艦や航空機にも備えられているということになります」、架 空の話だろうが、仮に本当であれば素晴らしい。 「米国の新大統領にトランプ氏が就任した場合、忠実に日米安保条約を守るかどうかには不安が残るだけに、今のうちに国家間の協定により、縛りを入れなければなりません。 実際、米政策研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」は4日、超党派の有識者による日米同盟への提言『アーミテージ・ナイ報告書』で、威圧的な動きを強める中国の抑止を念頭に日米安保の「より統合された同盟関係への移行」を提唱」、なるほど。 「岸田総理訪米は、日本では半導体問題やUSスティールの買収問題ばかりがクローズアップされていますが、米太平洋軍の司令部の実質的前進という重大な外交的選択を行う交渉が、秘かに行われていることを報じる日本メディアは少ないはずです・・・国民が何も知らぬまま、日米軍事同盟が勝手に深化してゆくことこそ問題があります。だからこそ、小説という形でリアルな日本有事を考えた上で、日本はどうすべきか考える。そういう本質的な議論が必要な時期がきました。 そのために、知り得た軍事機密を思い切り暴露したのが、この「小説」なのです」、なるほど。 現代ビジネス「外交敗北…!岸田総理は訪米後、バイデン大統領から思いっきりはしごを外されていた」 成功とばかり思っていたが、失敗だったとは驚かされた。 「岸田総理の挑発的な宣言に、中国は猛反発した。まだ岸田総理がアメリカ滞在中だというのに、翌12日に中国外交部の劉勁松・アジア局長が北京の日本大使館の横地晃・首席公使を呼び出して、厳正な申し入れ、深刻な懸念、強烈な不満を表明した」、なるほど。 「非公式夕食会」の内容を見てみよう。 現代ビジネス「習近平とバイデンが結託…!?完全にはしごを外された岸田総理の「超外交敗北」の舞台裏」 「総理がアメリカから帰国するや、バイデン政権が習近平政権に急接近したのです。 まず16日にオースティン国防長官が中国の董軍・国防部長とオンライン会談・・・24日から26日にかけてブリンケン国務長官が中国を電撃訪問。上海・北京を訪れ、王毅外相らと会談した。 「この国務長官の訪中も、上海の市街を楽しそうに歩き小籠包をほおばるなど友好ムードに満ちていて、岸田総理は『あれだけ対中強硬姿勢で結束したはずなのに、私の演説は一体何のためだったんだ……』と卒倒せんばかりでした」、岸田は外交は得意といわれているのに、どうな っているのだろう。 「なんとしてもトランプ再選を阻止したいという点で、習主席とバイデン大統領は利害が一致している。そこで、大統領選まで米中でハイレベルの交流を継続して行い、お互いに譲るところは譲って『どうすれば天敵・トランプの再選を防げるか』を協議することにしたのです。 岸田総理はバイデン政権が中国に接近したことで、はしごを外されてしまった。結局、アメリカからいままで以上に重い軍事的な責務を負わされたうえ、中国の逆鱗に触れただけだった、とも言えます」、 「岸田」は自分が「バイデン」からどう思われているかを理解していなかったようだ。外務省スタッフも無能だ。同行記者団も提灯記事ばかりでなく、この記事のような内容でも報告すべきだ。 「総理は今回の訪米を通じて密かに感じ取っているはずなのだ。「アメリカ全土がトランプ再選の熱気に包まれていて、それは避けられそうにもない」ということを。つまり、バイデン大統領との強固な関係など、あと1年もすれば意味をなさないものになってしまうということを……」、それが分かっていながら、「バイデン大統領との強固な関係」作りに精を出して、「中国」を怒らせたのでは、どうしようもない外交下手だ。
日本の政治情勢(その71)(岸田首相 支持率低迷なのに「無敵」なのはなぜ?今後の“最悪シナリオ”とは…、政治資金問題を政倫審でガス抜き、「証人喚問」ができない理由【池上彰・増田ユリヤ】、自民党裏金問題は「監査」の問題ではない? 会計士協会がわざわざ「会長声明」を出して責任逃れ) [国内政治]
日本の政治情勢については、本年2月21日に取上げた。今日は、(その71)(岸田首相 支持率低迷なのに「無敵」なのはなぜ?今後の“最悪シナリオ”とは…、政治資金問題を政倫審でガス抜き、「証人喚問」ができない理由【池上彰・増田ユリヤ】、自民党裏金問題は「監査」の問題ではない? 会計士協会がわざわざ「会長声明」を出して責任逃れ)である。
先ずは、本年3月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「岸田首相、支持率低迷なのに「無敵」なのはなぜ?今後の“最悪シナリオ”とは…」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/340296
・『岸田文雄首相の支持率低下が止まらない。本来であれば党内で「岸田降ろし」の動きが起きてもおかしくない状況だ。にもかかわらず、岸田首相は「政治倫理審査会」への出席とフルオープン化や、異例の「土曜国会」を強行できるほど権力を強めている。その背景には何があるのか。今後想定される“最悪シナリオ”とは――。政治学者が考察する』、興味深そうだ。
・『「支持率急降下」の岸田首相が権力を強める理由 自民党派閥の「政治資金パーティー裏金事件」に関して、議員が弁明を行う場である「政治倫理審査会(政倫審)」が2月29日~3月1日に開催された。このうち2月29日の政倫審には、岸田文雄首相が現職首相として史上初めて出席した。 自民党は当初、政倫審を「完全非公開」で行う予定であり、これに野党が強く反発していた。そこから一転、岸田首相は「マスコミにフルオープン」とする方針に転換。その方針の下で開催に踏み切った。 現首相の出席という「奇策」の裏側では、国民の政治不信を和らげ、低迷する支持率の回復を狙っていたことは容易に想像できる。だが、岸田首相の政倫審での説明は、疑惑の解明につながらなかった。結果、共同通信が3月9~10日に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は20.1%となり、同内閣として過去最低を更新した。 狙いが外れる形となったが、岸田首相はこの低支持率を意に介していないように見える。というのも、岸田首相は政倫審の開催後に衆議院の「土曜審議」を強行し、予算案を衆院通過させて年度内の成立を決めた。今国会では他にも、機密情報を扱える人を政府が認定する「セキュリティ・クリアランス制度」や「税制改正法案」といった重要案件について審議している。 岸田首相は「支持率低下」という苦境に置かれながらも、山積する重要議案を前に進めるための強い意欲を失っていない。それどころか、先述した「政倫審出席とフルオープン化」「異例の土曜国会」を強行できるほど、今の岸田首相には強い権力・権限が集中している印象だ。 その背景には、「政治資金パーティー裏金事件」の発覚を巡る「派閥解体」がある』、「岸田首相は「マスコミにフルオープン」とする方針に転換。その方針の下で開催に踏み切った。 現首相の出席という「奇策」の裏側では、国民の政治不信を和らげ、低迷する支持率の回復を狙っていたことは容易に想像できる。だが、岸田首相の政倫審での説明は、疑惑の解明につながらなかった。結果、共同通信が3月9~10日に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は20.1%となり、同内閣として過去最低を更新・・・岸田首相は「支持率低下」という苦境に置かれながらも、山積する重要議案を前に進めるための強い意欲を失っていない。それどころか、先述した「政倫審出席とフルオープン化」「異例の土曜国会」を強行できるほど、今の岸田首相には強い権力・権限が集中している印象だ。 その背景には、「政治資金パーティー裏金事件」の発覚を巡る「派閥解体」がある」、なるほど。
・『派閥解体によって岸田首相の「牽制役」が不在に 少し時を戻すと、東京地検特捜部は1月、安倍派・二階派の会計責任者を虚偽記載の罪で在宅起訴。岸田派の元会計責任者も略式起訴した。それを受けて、岸田首相は自らの岸田派の解散を表明し、安倍派、二階派も解散せざるを得なくなった。 疑惑と直接関係がない森山派、茂木派、谷垣グループも新たな政策集団へと移行した。麻生派だけが存続することとなったが、派閥の影響力は大きく失われた(本連載第347回)。 ただ、それまでの自民党では、岸田派だけでなく安倍派・麻生派・茂木派が党内主流派を形成し、首相の権力・権限を牽制(けんせい)してきた(第286回)。そして「パー券事件」を機に、「牽制役」を担ってきた派閥のほとんどが事実上消滅した。中でも、最大派閥である安倍派の解散は大きい。「安倍派幹部5人衆」など、岸田内閣で多くの要職を占めていた人物は全員が失脚したからだ(第344回)。 政策集団として存続することとなった茂木派からも、離脱者が次々と出ている。政倫審の開催に際しても、茂木幹事長は主導権を発揮できず、存在感が薄れている。岸田首相を牽制できる存在が、自民党内から消滅しているといえる。 そのため、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっているという、不思議な状況が起きているのだ。 なお余談だが、派閥存続を決めた麻生派は、故・池田勇人元首相が立ち上げた池田派(旧・宏池会)を源流としている。解散前の岸田派や谷垣グループも同様だ。このことから、解散した岸田派と谷垣グループが麻生派を頼って合流し、旧・宏池会を復活させるのではないかという「大宏池会構想」がまことしやかにささやかれている。現段階ではあくまで臆測にすぎないが、実現した場合は、岸田首相の強力な後ろ盾となる可能性もある。 いずれにせよ、岸田首相への「権力集中」は当面続くとみられる。この現象を、本連載では「低支持率首相による独裁体制」と呼びたい』、「岸田首相を牽制できる存在が、自民党内から消滅しているといえる。 そのため、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっているという、不思議な状況が起きているのだ」、なるほど。
・『次期総裁選への期待感も低下の一途 従来の自民党であれば、首相の支持率が低下すると、党内で首相交代を求める声が高まり「首相降ろし」が起きた。その結果、首相が任期途中に退陣するなどして自民党総裁選が行われてきた。 この自民党総裁選は、党の窮地を救う「最終兵器」だった。総裁選を行い、国民の関心を自民党に集中させれば、党への注目度や期待感が一時的に回復したからだ(第285回)。 そもそも自民党は、政策的に何でもありの「キャッチ・オール・パーティー(包括政党)」だ。デジタル化・社会保障・少子化対策・女性の社会進出・マイノリティーの権利保障など、多種多様なテーマを扱う「政策のデパート」である(第294回・p3)。 人材的にも多士済々(たしせいせい)で、かつての自民党総裁選では、そうそうたる候補者による政策論争が活発に展開されてきた。その中から新たなリーダーが選出されると、党そのものが生まれ変わり、まるで「疑似政権交代」が起こったかのような錯覚を国民に起こさせた。結局はその効果も長続きせず、首相交代後に何らかの問題が浮上するわけだが、とにかく自民党総裁選の影響力は大きく、そのたびに野党は「蚊帳の外」となった。 だが、今後は自民党総裁選が「疑似政権交代」として機能しなくなる可能性がある。あくまで筆者による仮説だが、「低支持率首相による独裁体制」が強固になった今、岸田首相は強力な人事権・公認権・資金配分権を行使し、「ポスト岸田」の出現を抑え込むことができるからだ。 支持率低迷を憂慮し、自民党内で「岸田降ろし」が起きそうになっても、岸田首相は水面下で人事での冷遇・政治資金の配分での冷遇・公認の取り消し・対立候補の擁立――といった圧力をかけることが可能だ。 また、今は政治資金に対する国民の視線が厳しくなっており、当面は政治資金パーティーを開催できない状況だ。そうすると、選挙に弱い若手だけでなく、ベテラン自民党員の体制も貧弱になり得る。その中で、政治資金を豊富に配分してもらえるか否かは「首相のさじ加減次第」となる。 だからこそ、首相に対して誰もはっきりと異議を唱えられない「独裁体制」が加速する可能性が十分にある。どれだけ支持率が低下しても健全な競争が起きず、9月の総裁任期まで、首相が辞任せず居座ることも考えられる。 万が一、岸田首相が支持率低迷の責任を重く受け止めて、9月の総裁選を待たずに辞任した場合も、「反岸田」の候補が総裁選に勝つのは難しいかもしれない』、「政治資金を豊富に配分してもらえるか否かは「首相のさじ加減次第」となる。 だからこそ、首相に対して誰もはっきりと異議を唱えられない「独裁体制」が加速する可能性が十分にある。どれだけ支持率が低下しても健全な競争が起きず、9月の総裁任期まで、首相が辞任せず居座ることも考えられる。 万が一、岸田首相が支持率低迷の責任を重く受け止めて、9月の総裁選を待たずに辞任した場合も、「反岸田」の候補が総裁選に勝つのは難しいかもしれない」、なるほど。
・『「大宏池会」が復活し「上川首相」を担いで院政を敷く? それでも、自民党総裁選には石破茂元幹事長、高市早苗経済安全保障担当相、野田聖子元総務相らが出馬を検討するはずだ。とはいえ、先述の通り岸田首相に権力・権限が集中し、表向きは派閥がなくなった今、立候補に必要な「20人の推薦人」を集めるのは大物政治家といえども至難の業ではないだろうか。 一方で、上記の候補者に女性が2人含まれているように、岸田体制の閉塞(へいそく)感を打破する唯一の方法として「日本初の女性首相」の就任が期待されているのも確かだ。 この点について、実は高市氏・野田氏の対抗馬として、岸田派に所属していた上川陽子外相が急浮上している。 上川外相を巡っては、麻生太郎副総裁が今年1月に「おばさん」「そんなに美しい方ではない」などと発言して批判を呼んだ。だが実は、上川外相の功績を「高評価」する文脈の中での発言であり、その実力を買っているのは確かだ。岸田氏が首相の座を降り、麻生氏と共に上川外相を次期首相候補として担ぐ可能性もゼロではない。 岸田氏・麻生氏が手を組むとなると、先述した「大宏池会」の復活が現実味を帯びる。総裁選で対立候補を推した議員は、両名の権力・権限を通じて徹底的に干されるかもしれない。 また、上川内閣が誕生した暁には、上川氏が首相として「政策立案」を手掛ける裏で、政局を左右する意思決定は「キングメーカー」である岸田氏・麻生氏が掌握するケースも考えられる。いわば「院政」を敷くわけだ。これが、「低支持率首相による独裁体制」によって今後起こり得る最悪の事態である。 岸田首相はかつて18年の総裁選に出馬せず、故・安倍晋三元首相からの「首相禅譲」に望みを託したことがある。だが、目論見(もくろみ)通りに禅譲は起きず、安倍元首相が3選を果たした。20年の総裁選には出馬したものの、菅義偉前首相に惨敗した。21年の総裁選においても、1回目の投票ではどの候補者も過半数に届かず、決選投票によって首相の座をつかんだ。 そうした経緯に鑑みても、岸田首相は圧倒的なカリスマ性を持っているわけではなく、どこか頼りない印象だ。だからこそ、派閥解体によって「棚ぼた的」に強めた権力を、簡単には手放さないとみられる。この動きが加速し、岸田首相が本当に「独裁化」しないよう、国民は注視していくべきである』、「岸田体制の閉塞・・・感を打破する唯一の方法として「日本初の女性首相」の就任が期待されているのも確かだ。 この点について、実は高市氏・野田氏の対抗馬として、岸田派に所属していた上川陽子外相が急浮上している・・・岸田氏が首相の座を降り、麻生氏と共に上川外相を次期首相候補として担ぐ可能性もゼロではない。 岸田氏・麻生氏が手を組むとなると、先述した「大宏池会」の復活が現実味を帯びる。総裁選で対立候補を推した議員は、両名の権力・権限を通じて徹底的に干されるかもしれない・・・上川内閣が誕生した暁には、上川氏が首相として「政策立案」を手掛ける裏で、政局を左右する意思決定は「キングメーカー」である岸田氏・麻生氏が掌握するケースも考えられる。いわば「院政」を敷くわけだ。これが、「低支持率首相による独裁体制」によって今後起こり得る最悪の事態である・・・岸田首相は圧倒的なカリスマ性を持っているわけではなく、どこか頼りない印象だ。だからこそ、派閥解体によって「棚ぼた的」に強めた権力を、簡単には手放さないとみられる。この動きが加速し、岸田首相が本当に「独裁化」しないよう、国民は注視していくべきである」、最後の部分は同感である。
次に、3月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの池上 彰氏と増田ユリヤ氏による対談「政治資金問題を政倫審でガス抜き、「証人喚問」ができない理由【池上彰・増田ユリヤ】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/340474
・『真相解明は遠い政治資金問題 池上 自民党を巡る政治資金問題で、2月29日と3月1日に衆議院政治倫理審査会(政倫審)が開かれました。1日目には岸田文雄首相と、二階派の事務総長だった武田良太氏、2日目には安倍派の西村康稔氏、松野博一氏、塩谷立氏、高木毅氏の4人が出席しました。 政倫審とは、〈政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関〉のことです。 増田 開催されるか否か、誰が出席するのか、非公開とするかなど、直前までもめていました。 ただ、出席した自民党議員たちの“弁解”を聞いても、自分たちの行いが「法令に著しく違反し、政治的道義的に責任がある」と認識しているとは思えない内容でした。本来であれば政倫審ではなく、虚偽の答弁を行うと偽証罪に問われる証人喚問にすべきだったと思います。 池上 野党は当初から証人喚問を求めていましたし、政倫審後にも「真相解明には遠い。やはり証人喚問しかない」との声も出ています。しかし証人喚問を実施するかどうかを決めるのは国会対策委員会で、委員のメンバーは議席に比例して決まりますから、議会で多数を占める自民党が反対すれば実施できません。 増田 数は力ですから、やはりもう少し野党の議席数を増やさなければ与党に対抗できません。結局、政倫審はガス抜きにすぎないのでしょう。 池上 政倫審でも質問者側から「国民の納得を得られていない」と繰り返し指摘されていましたが、誰も彼も「政治資金報告書は訂正した」「誰がパーティー券の売り上げの還流再開を決めたのかは知らない」と言うばかりで、「自ら真相を明らかにし、国民に納得してもらえるまで説明を尽くす」という態度には見えませんでした』、「野党は当初から証人喚問を求めていましたし、政倫審後にも「真相解明には遠い。やはり証人喚問しかない」との声も出ています。しかし証人喚問を実施するかどうかを決めるのは国会対策委員会で、委員のメンバーは議席に比例して決まりますから、議会で多数を占める自民党が反対すれば実施できません。 増田 数は力ですから、やはりもう少し野党の議席数を増やさなければ与党に対抗できません。結局、政倫審はガス抜きにすぎないのでしょう・・・誰も彼も「政治資金報告書は訂正した」「誰がパーティー券の売り上げの還流再開を決めたのかは知らない」と言うばかりで、「自ら真相を明らかにし、国民に納得してもらえるまで説明を尽くす」という態度には見えませんでした」、その通りだ。
・『会社員なら追徴課税か脱税の罪に問われるが… 増田 そもそも悪いことだと思っていないんでしょうね。政倫審の時期はちょうど、確定申告期間に当たります。岸田首相がSNSで「納税を」と国民に呼び掛け、「どの口が言う」と批判されていました。私も池上さんも確定申告をしなければならない立場ですが、もし申告漏れがあった場合には、修正申告をした上で、必要に応じて納税します。複数箇所から収入があるので、間違えることもあるからです。でも仮に意図的に隠していた所得が発覚したら、追徴税が課されるか、場合によっては、脱税の罪にさえ問われかねません。 会社員だとなかなか実感が持てないかもしれませんが、確定申告は本当に毎年大変なんですよ。 池上 ところが政治資金となると、これがまかり通ってしまう。議員たちは「ノルマ超過分は派閥から事務所に還流され、現金で事務所の金庫に置いていました。が、後から精査したら、会合費など政治資金として使っていたと判明したので、政治資金報告書は訂正しております」と、こんな言い訳で乗り切ろうとしているわけです。 増田 そうした「会合」も、政治資金報告書や領収書を見る限りホテルや有名レストランでの高額な食事のようです。しかし、そういうところに頻繁に出入りして食事しながらでないと「政治活動」ができないわけではありません。国会議事堂でも議員会館でも話はできるし、割安なランチミーティングだっていいはずです。 池上 キャバクラや高級クラブなどの高額の領収書が見つかると、秘書のせいにしますからね。 それでも昔よりはずいぶん良くなりました。1993年に細川内閣になった途端に「料亭政治文化」が廃れ、東京の赤坂や紀尾井町周辺の料亭がつぶれました。料亭は個室が多いため、それまでは密談するのに使い勝手が良かったのです。 例えば総理大臣が番記者を引き連れて料亭を訪れ、ある人物との会合だと言って店に入る。でも実際には中抜けして別の部屋に行くんです。そして名前を表に出したくない人と別室で密談を交わして、また元の部屋に戻り、そこから店を出る。こうすると、間で会っている人の存在が表に出ないんです』、「議員たちは「ノルマ超過分は派閥から事務所に還流され、現金で事務所の金庫に置いていました。が、後から精査したら、会合費など政治資金として使っていたと判明したので、政治資金報告書は訂正しております」と、こんな言い訳で乗り切ろうとしているわけです・・・そうした「会合」も、政治資金報告書や領収書を見る限りホテルや有名レストランでの高額な食事のようです。しかし、そういうところに頻繁に出入りして食事しながらでないと「政治活動」ができないわけではありません。国会議事堂でも議員会館でも話はできるし、割安なランチミーティングだっていいはずです・・・昔よりはずいぶん良くなりました。1993年に細川内閣になった途端に「料亭政治文化」が廃れ、東京の赤坂や紀尾井町周辺の料亭がつぶれました。料亭は個室が多いため、それまでは密談するのに使い勝手が良かったのです」、なるほど。
・『二階俊博元幹事長の「書籍代」は約3500万円 増田 結局、それは密談政治、密室政治ということですよね。 池上 そう。「次の総裁は大野伴睦」なんて念書をこっそり作っていたような時代もありましたから。料亭に関しても田中角栄の頃はもっとあからさまで、脱いだ靴を預かる下足番や、部屋に食事を運ぶ仲居さんに毎度、1万円を渡して「誰と会ったか、記者に言わないように」と口止めしていたんです。当時の1万円といえば、今の5万円くらいの価値があります。 そもそも政倫審も田中角栄が関与したロッキード事件を機に設置されるようになったものです。追及されたくない自民党が、証人喚問に代わるものとして作った制度ですからね。 増田 パーティー券の売り上げを還流しながら政治資金報告書に記載がなかった二階俊博元幹事長の場合は、約3500万円を「書籍代」として使っていたことを後から公表しています。「一体、本を何冊買ったら3500万円にもなるのか」と驚きましたが、その後、内訳が公表されました。 それによると、『ナンバー2の美学 二階俊博の本心』が5000冊、大下英治著の『政権奪取秘史 二階幹事長・菅総理と田中角栄』と『小池百合子の大義と共感』がそれぞれ3000冊。これらが積み上がって計3500万円だと。 池上 支持者に配る名目で自分の本を買う。出版社も企画段階から「5000部の買い取りがある」という前提で出版しているんです。 増田 これが政治活動だ、と言われても納得できません。本来はきちんと全容を明らかにした上で、再発防止を徹底してもらいたい。しかし政倫審に出席した議員らの態度を見る限り、全く反省していませんし、改善しようという姿勢すら見いだせません。この問題に落としどころはあるのでしょうか。 池上 落としどころは、「そういう連中は次の選挙で落とそう」。やはり、それしかないのではないでしょうか』、「そもそも政倫審も田中角栄が関与したロッキード事件を機に設置されるようになったものです。追及されたくない自民党が、証人喚問に代わるものとして作った制度ですからね」、思い出した。「これが政治活動だ、と言われても納得できません。本来はきちんと全容を明らかにした上で、再発防止を徹底してもらいたい。しかし政倫審に出席した議員らの態度を見る限り、全く反省していませんし、改善しようという姿勢すら見いだせません。この問題に落としどころはあるのでしょうか。 池上 落としどころは、「そういう連中は次の選挙で落とそう」。やはり、それしかないのではないでしょうか」、同感である。
第三に、4月17日付け現代ビジネスが掲載した経済ジャーナリスト千葉商科大学教授の磯山 友幸氏による「自民党裏金問題は「監査」の問題ではない? 会計士協会がわざわざ「会長声明」を出して責任逃れ」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/128023?imp=0
・『誰が気づくべきだったか 自民党の派閥を巡るいわゆる「裏金」問題は、真相が明らかになったとは言えないまま、手続き上のミスということで関係者の処分だけが行われて幕引きがされようとしている。本当にミスならば、誰も気が付く人はいなかったのか。 実は、政党や政治家が代表を務める政治資金団体などには「外部監査」の制度が導入されている。では、その監査を行っていた「監査人」にはまったく責任がないのだろうか。政党はれっきとした監査法人が担当、政治資金団体は法律の定めによって公認会計士や税理士、弁護士が監査することになっている。会計のプロが報酬をもらった上で「監査」を行っているのだから、問題が起きれば本来、責任が問われるべきだ。 例えば、上場企業である東芝の粉飾決算が表面化した際には、東芝の歴代社長は罪に問われなかった一方で、監査を行っていた会計士は業務停止処分を受けている。粉飾で業務停止を受けた会計士がその後、監査の現場に戻るのは難しいので、かなり厳しい処分だったと言える。プロとしての責任が明確に問われたわけだ。 ではこれだけ世間を騒がせている政党や政治資金団体に対する「監査」で、なぜ会計のプロの責任は問われないのか』、「政党や政治家が代表を務める政治資金団体などには「外部監査」の制度が導入されている。では、その監査を行っていた「監査人」にはまったく責任がないのだろうか。政党はれっきとした監査法人が担当、政治資金団体は法律の定めによって公認会計士や税理士、弁護士が監査することになっている。会計のプロが報酬をもらった上で「監査」を行っているのだから、問題が起きれば本来、責任が問われるべきだ・・・これだけ世間を騒がせている政党や政治資金団体に対する「監査」で、なぜ会計のプロの責任は問われないのか」、確かに大きな疑問だ。
・『「あれは会計監査ではない」 4月12日になって日本公認会計士協会が茂木哲也会長名で、「会長声明」なるものを出した。タイトルは「国会における政治改革に関する特別委員会の設置について」。国会で特別委員会が設置され、政治資金規制法の強化が議論されるタイミングで出したのは分かるとして、議論されている外部監査の拡充や徹底を求めるという会計士らしい声明にはまったくなっていない。 声明では、「今般の自由民主党の一部の派閥における政治資金収支報告書の一連の問題は、そもそも収支記録の帳簿への記載という会計の極めて基本的な部分が行われなかったもの」だとして、会計の不備が大きな原因であることを認めているが、会計のプロとしての責任については「会計の専門家である公認会計士から見て誠に遺憾であります」と述べるに留まっている。その上で、「政治資金規正法に基づく政治資金監査は、ガバナンスをその前提とせずに会計事務に対して外形的・定型的に確認を行う業務」だとしている。 ちょっと分かりにくいが、どういうことか。 要は政治資金監査は本当の意味での監査ではない、と言っているのだ。ベテラン会計士の多くは「政治資金監査はあれは監査ではありません。なんちゃって監査ですよ」と異口同音に言う。収入の記載に漏れがないかチェックする義務はなく、それに付随する支出があって記載されていなくても問題にしない。提示された領収書と帳簿を付きわせるだけで、民間企業の監査なら当然行う銀行預金の残高調査も行っていないケースがほとんど。資金の流れや財産の状況を把握する「監査」とは到底呼べない代物なのだ。 だったら、会長声明で「あれは監査ではない」「きちんとした監査を行うべきだ」と主張すれば良いように思うが、そうはしない。そもそもガバナンスが悪いのだから会計士に責任はない、と言っているのが前出の声明の読み方だ。つまり、責任逃れである』、「4月12日になって日本公認会計士協会が茂木哲也会長名で、「会長声明」なるものを出した。タイトルは「国会における政治改革に関する特別委員会の設置について」・・・要は政治資金監査は本当の意味での監査ではない、と言っているのだ。ベテラン会計士の多くは「政治資金監査はあれは監査ではありません。なんちゃって監査ですよ」と異口同音に言う。収入の記載に漏れがないかチェックする義務はなく、それに付随する支出があって記載されていなくても問題にしない。提示された領収書と帳簿を付きわせるだけで、民間企業の監査なら当然行う銀行預金の残高調査も行っていないケースがほとんど。資金の流れや財産の状況を把握する「監査」とは到底呼べない代物なのだ。 だったら、会長声明で「あれは監査ではない」「きちんとした監査を行うべきだ」と主張すれば良いように思うが、そうはしない。そもそもガバナンスが悪いのだから会計士に責任はない、と言っているのが前出の声明の読み方だ。つまり、責任逃れである」、なるほど。
・『「監査まがい」を放置する理由 さらに今後特別委員会で議論される外部監査の拡充についても先手を打って責任回避をしている。声明では続けてこう述べているのだ。 「政治資金監査の対象範囲や対象項目を拡大したとしても、ルールの逸脱を未然に防止又は発見することを可能とする各団体における内部統制やガバナンスの整備が不十分な状況では、今回のような事案を防止できるというものではないと考えます」 つまり、監査じゃない監査まがいをいくら広げても無駄です。このままでは同じ問題が繰り返されますよ、と言っているわけだ。その上で、「組織のガバナンスを強化するための方策について議論すべきと考えます」としている。監査じゃなくてガバナンスの問題だというのだ。 そこまで言うなら、不正をまったく防げない監査じゃない監査など我々プロの会計士は認めない、上場企業や公益財団法人などに義務付けられているフルスペックの監査導入を求めれば良いと思うのだが、会計士協会では会長といえどもそこまで言えないという。 なぜならば、政治資金監査で報酬を得ている会員会計士がたくさんいるので、そんなことを言えば、食いっぱぐれる会員から突き上げを食うからだ、と会計士協会の関係者は明かす。 政党監査を上場企業並みにやれば各議員のポケットになっている政党支部にも監査が及ぶから、一気に資金の流れが透明化できるはずだが、そこにも会計士協会は踏み込まない。大手の監査法人が政党監査を受注して利益を得ているからだ。会計のプロが聞いて呆れる。 国会は遠慮なく、政党や政治資金団体に上場企業並みのフルスペックの監査導入を決めれば良い。その上で、不正を見逃した会計士を資格剥奪など厳しく処分すればよい。そうなれば、監査法人も会計士も本気になって監査を行うし、ガバナンスに不備があれば監査人として修正を求めることになる。 しかし、残念ながら、国会議員の多くも厳しい監査に縛られるのは嫌だから、本気で本物の監査の導入などは俎上に上げないだろう。結局、外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる』、「監査じゃない監査まがいをいくら広げても無駄です。このままでは同じ問題が繰り返されますよ、と言っているわけだ。その上で、「組織のガバナンスを強化するための方策について議論すべきと考えます」としている。監査じゃなくてガバナンスの問題だというのだ。そこまで言うなら、不正をまったく防げない監査じゃない監査など我々プロの会計士は認めない、上場企業や公益財団法人などに義務付けられているフルスペックの監査導入を求めれば良いと思うのだが、会計士協会では会長といえどもそこまで言えないという。 なぜならば、政治資金監査で報酬を得ている会員会計士がたくさんいるので、そんなことを言えば、食いっぱぐれる会員から突き上げを食うからだ、と会計士協会の関係者は明かす。政党監査を上場企業並みにやれば各議員のポケットになっている政党支部にも監査が及ぶから、一気に資金の流れが透明化できるはずだが、そこにも会計士協会は踏み込まない。大手の監査法人が政党監査を受注して利益を得ているからだ。会計のプロが聞いて呆れる。国会は遠慮なく、政党や政治資金団体に上場企業並みのフルスペックの監査導入を決めれば良い。その上で、不正を見逃した会計士を資格剥奪など厳しく処分すればよい。そうなれば、監査法人も会計士も本気になって監査を行うし、ガバナンスに不備があれば監査人として修正を求めることになる。 しかし、残念ながら、国会議員の多くも厳しい監査に縛られるのは嫌だから、本気で本物の監査の導入などは俎上に上げないだろう。結局、外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる』、「国会議員の多くも厳しい監査に縛られるのは嫌だから、本気で本物の監査の導入などは俎上に上げないだろう。結局、外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる」、「国会議員」の現実的選択から判断すると、「外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる」、極めて望ましくない姿だ。
先ずは、本年3月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「岸田首相、支持率低迷なのに「無敵」なのはなぜ?今後の“最悪シナリオ”とは…」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/340296
・『岸田文雄首相の支持率低下が止まらない。本来であれば党内で「岸田降ろし」の動きが起きてもおかしくない状況だ。にもかかわらず、岸田首相は「政治倫理審査会」への出席とフルオープン化や、異例の「土曜国会」を強行できるほど権力を強めている。その背景には何があるのか。今後想定される“最悪シナリオ”とは――。政治学者が考察する』、興味深そうだ。
・『「支持率急降下」の岸田首相が権力を強める理由 自民党派閥の「政治資金パーティー裏金事件」に関して、議員が弁明を行う場である「政治倫理審査会(政倫審)」が2月29日~3月1日に開催された。このうち2月29日の政倫審には、岸田文雄首相が現職首相として史上初めて出席した。 自民党は当初、政倫審を「完全非公開」で行う予定であり、これに野党が強く反発していた。そこから一転、岸田首相は「マスコミにフルオープン」とする方針に転換。その方針の下で開催に踏み切った。 現首相の出席という「奇策」の裏側では、国民の政治不信を和らげ、低迷する支持率の回復を狙っていたことは容易に想像できる。だが、岸田首相の政倫審での説明は、疑惑の解明につながらなかった。結果、共同通信が3月9~10日に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は20.1%となり、同内閣として過去最低を更新した。 狙いが外れる形となったが、岸田首相はこの低支持率を意に介していないように見える。というのも、岸田首相は政倫審の開催後に衆議院の「土曜審議」を強行し、予算案を衆院通過させて年度内の成立を決めた。今国会では他にも、機密情報を扱える人を政府が認定する「セキュリティ・クリアランス制度」や「税制改正法案」といった重要案件について審議している。 岸田首相は「支持率低下」という苦境に置かれながらも、山積する重要議案を前に進めるための強い意欲を失っていない。それどころか、先述した「政倫審出席とフルオープン化」「異例の土曜国会」を強行できるほど、今の岸田首相には強い権力・権限が集中している印象だ。 その背景には、「政治資金パーティー裏金事件」の発覚を巡る「派閥解体」がある』、「岸田首相は「マスコミにフルオープン」とする方針に転換。その方針の下で開催に踏み切った。 現首相の出席という「奇策」の裏側では、国民の政治不信を和らげ、低迷する支持率の回復を狙っていたことは容易に想像できる。だが、岸田首相の政倫審での説明は、疑惑の解明につながらなかった。結果、共同通信が3月9~10日に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は20.1%となり、同内閣として過去最低を更新・・・岸田首相は「支持率低下」という苦境に置かれながらも、山積する重要議案を前に進めるための強い意欲を失っていない。それどころか、先述した「政倫審出席とフルオープン化」「異例の土曜国会」を強行できるほど、今の岸田首相には強い権力・権限が集中している印象だ。 その背景には、「政治資金パーティー裏金事件」の発覚を巡る「派閥解体」がある」、なるほど。
・『派閥解体によって岸田首相の「牽制役」が不在に 少し時を戻すと、東京地検特捜部は1月、安倍派・二階派の会計責任者を虚偽記載の罪で在宅起訴。岸田派の元会計責任者も略式起訴した。それを受けて、岸田首相は自らの岸田派の解散を表明し、安倍派、二階派も解散せざるを得なくなった。 疑惑と直接関係がない森山派、茂木派、谷垣グループも新たな政策集団へと移行した。麻生派だけが存続することとなったが、派閥の影響力は大きく失われた(本連載第347回)。 ただ、それまでの自民党では、岸田派だけでなく安倍派・麻生派・茂木派が党内主流派を形成し、首相の権力・権限を牽制(けんせい)してきた(第286回)。そして「パー券事件」を機に、「牽制役」を担ってきた派閥のほとんどが事実上消滅した。中でも、最大派閥である安倍派の解散は大きい。「安倍派幹部5人衆」など、岸田内閣で多くの要職を占めていた人物は全員が失脚したからだ(第344回)。 政策集団として存続することとなった茂木派からも、離脱者が次々と出ている。政倫審の開催に際しても、茂木幹事長は主導権を発揮できず、存在感が薄れている。岸田首相を牽制できる存在が、自民党内から消滅しているといえる。 そのため、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっているという、不思議な状況が起きているのだ。 なお余談だが、派閥存続を決めた麻生派は、故・池田勇人元首相が立ち上げた池田派(旧・宏池会)を源流としている。解散前の岸田派や谷垣グループも同様だ。このことから、解散した岸田派と谷垣グループが麻生派を頼って合流し、旧・宏池会を復活させるのではないかという「大宏池会構想」がまことしやかにささやかれている。現段階ではあくまで臆測にすぎないが、実現した場合は、岸田首相の強力な後ろ盾となる可能性もある。 いずれにせよ、岸田首相への「権力集中」は当面続くとみられる。この現象を、本連載では「低支持率首相による独裁体制」と呼びたい』、「岸田首相を牽制できる存在が、自民党内から消滅しているといえる。 そのため、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっているという、不思議な状況が起きているのだ」、なるほど。
・『次期総裁選への期待感も低下の一途 従来の自民党であれば、首相の支持率が低下すると、党内で首相交代を求める声が高まり「首相降ろし」が起きた。その結果、首相が任期途中に退陣するなどして自民党総裁選が行われてきた。 この自民党総裁選は、党の窮地を救う「最終兵器」だった。総裁選を行い、国民の関心を自民党に集中させれば、党への注目度や期待感が一時的に回復したからだ(第285回)。 そもそも自民党は、政策的に何でもありの「キャッチ・オール・パーティー(包括政党)」だ。デジタル化・社会保障・少子化対策・女性の社会進出・マイノリティーの権利保障など、多種多様なテーマを扱う「政策のデパート」である(第294回・p3)。 人材的にも多士済々(たしせいせい)で、かつての自民党総裁選では、そうそうたる候補者による政策論争が活発に展開されてきた。その中から新たなリーダーが選出されると、党そのものが生まれ変わり、まるで「疑似政権交代」が起こったかのような錯覚を国民に起こさせた。結局はその効果も長続きせず、首相交代後に何らかの問題が浮上するわけだが、とにかく自民党総裁選の影響力は大きく、そのたびに野党は「蚊帳の外」となった。 だが、今後は自民党総裁選が「疑似政権交代」として機能しなくなる可能性がある。あくまで筆者による仮説だが、「低支持率首相による独裁体制」が強固になった今、岸田首相は強力な人事権・公認権・資金配分権を行使し、「ポスト岸田」の出現を抑え込むことができるからだ。 支持率低迷を憂慮し、自民党内で「岸田降ろし」が起きそうになっても、岸田首相は水面下で人事での冷遇・政治資金の配分での冷遇・公認の取り消し・対立候補の擁立――といった圧力をかけることが可能だ。 また、今は政治資金に対する国民の視線が厳しくなっており、当面は政治資金パーティーを開催できない状況だ。そうすると、選挙に弱い若手だけでなく、ベテラン自民党員の体制も貧弱になり得る。その中で、政治資金を豊富に配分してもらえるか否かは「首相のさじ加減次第」となる。 だからこそ、首相に対して誰もはっきりと異議を唱えられない「独裁体制」が加速する可能性が十分にある。どれだけ支持率が低下しても健全な競争が起きず、9月の総裁任期まで、首相が辞任せず居座ることも考えられる。 万が一、岸田首相が支持率低迷の責任を重く受け止めて、9月の総裁選を待たずに辞任した場合も、「反岸田」の候補が総裁選に勝つのは難しいかもしれない』、「政治資金を豊富に配分してもらえるか否かは「首相のさじ加減次第」となる。 だからこそ、首相に対して誰もはっきりと異議を唱えられない「独裁体制」が加速する可能性が十分にある。どれだけ支持率が低下しても健全な競争が起きず、9月の総裁任期まで、首相が辞任せず居座ることも考えられる。 万が一、岸田首相が支持率低迷の責任を重く受け止めて、9月の総裁選を待たずに辞任した場合も、「反岸田」の候補が総裁選に勝つのは難しいかもしれない」、なるほど。
・『「大宏池会」が復活し「上川首相」を担いで院政を敷く? それでも、自民党総裁選には石破茂元幹事長、高市早苗経済安全保障担当相、野田聖子元総務相らが出馬を検討するはずだ。とはいえ、先述の通り岸田首相に権力・権限が集中し、表向きは派閥がなくなった今、立候補に必要な「20人の推薦人」を集めるのは大物政治家といえども至難の業ではないだろうか。 一方で、上記の候補者に女性が2人含まれているように、岸田体制の閉塞(へいそく)感を打破する唯一の方法として「日本初の女性首相」の就任が期待されているのも確かだ。 この点について、実は高市氏・野田氏の対抗馬として、岸田派に所属していた上川陽子外相が急浮上している。 上川外相を巡っては、麻生太郎副総裁が今年1月に「おばさん」「そんなに美しい方ではない」などと発言して批判を呼んだ。だが実は、上川外相の功績を「高評価」する文脈の中での発言であり、その実力を買っているのは確かだ。岸田氏が首相の座を降り、麻生氏と共に上川外相を次期首相候補として担ぐ可能性もゼロではない。 岸田氏・麻生氏が手を組むとなると、先述した「大宏池会」の復活が現実味を帯びる。総裁選で対立候補を推した議員は、両名の権力・権限を通じて徹底的に干されるかもしれない。 また、上川内閣が誕生した暁には、上川氏が首相として「政策立案」を手掛ける裏で、政局を左右する意思決定は「キングメーカー」である岸田氏・麻生氏が掌握するケースも考えられる。いわば「院政」を敷くわけだ。これが、「低支持率首相による独裁体制」によって今後起こり得る最悪の事態である。 岸田首相はかつて18年の総裁選に出馬せず、故・安倍晋三元首相からの「首相禅譲」に望みを託したことがある。だが、目論見(もくろみ)通りに禅譲は起きず、安倍元首相が3選を果たした。20年の総裁選には出馬したものの、菅義偉前首相に惨敗した。21年の総裁選においても、1回目の投票ではどの候補者も過半数に届かず、決選投票によって首相の座をつかんだ。 そうした経緯に鑑みても、岸田首相は圧倒的なカリスマ性を持っているわけではなく、どこか頼りない印象だ。だからこそ、派閥解体によって「棚ぼた的」に強めた権力を、簡単には手放さないとみられる。この動きが加速し、岸田首相が本当に「独裁化」しないよう、国民は注視していくべきである』、「岸田体制の閉塞・・・感を打破する唯一の方法として「日本初の女性首相」の就任が期待されているのも確かだ。 この点について、実は高市氏・野田氏の対抗馬として、岸田派に所属していた上川陽子外相が急浮上している・・・岸田氏が首相の座を降り、麻生氏と共に上川外相を次期首相候補として担ぐ可能性もゼロではない。 岸田氏・麻生氏が手を組むとなると、先述した「大宏池会」の復活が現実味を帯びる。総裁選で対立候補を推した議員は、両名の権力・権限を通じて徹底的に干されるかもしれない・・・上川内閣が誕生した暁には、上川氏が首相として「政策立案」を手掛ける裏で、政局を左右する意思決定は「キングメーカー」である岸田氏・麻生氏が掌握するケースも考えられる。いわば「院政」を敷くわけだ。これが、「低支持率首相による独裁体制」によって今後起こり得る最悪の事態である・・・岸田首相は圧倒的なカリスマ性を持っているわけではなく、どこか頼りない印象だ。だからこそ、派閥解体によって「棚ぼた的」に強めた権力を、簡単には手放さないとみられる。この動きが加速し、岸田首相が本当に「独裁化」しないよう、国民は注視していくべきである」、最後の部分は同感である。
次に、3月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの池上 彰氏と増田ユリヤ氏による対談「政治資金問題を政倫審でガス抜き、「証人喚問」ができない理由【池上彰・増田ユリヤ】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/340474
・『真相解明は遠い政治資金問題 池上 自民党を巡る政治資金問題で、2月29日と3月1日に衆議院政治倫理審査会(政倫審)が開かれました。1日目には岸田文雄首相と、二階派の事務総長だった武田良太氏、2日目には安倍派の西村康稔氏、松野博一氏、塩谷立氏、高木毅氏の4人が出席しました。 政倫審とは、〈政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関〉のことです。 増田 開催されるか否か、誰が出席するのか、非公開とするかなど、直前までもめていました。 ただ、出席した自民党議員たちの“弁解”を聞いても、自分たちの行いが「法令に著しく違反し、政治的道義的に責任がある」と認識しているとは思えない内容でした。本来であれば政倫審ではなく、虚偽の答弁を行うと偽証罪に問われる証人喚問にすべきだったと思います。 池上 野党は当初から証人喚問を求めていましたし、政倫審後にも「真相解明には遠い。やはり証人喚問しかない」との声も出ています。しかし証人喚問を実施するかどうかを決めるのは国会対策委員会で、委員のメンバーは議席に比例して決まりますから、議会で多数を占める自民党が反対すれば実施できません。 増田 数は力ですから、やはりもう少し野党の議席数を増やさなければ与党に対抗できません。結局、政倫審はガス抜きにすぎないのでしょう。 池上 政倫審でも質問者側から「国民の納得を得られていない」と繰り返し指摘されていましたが、誰も彼も「政治資金報告書は訂正した」「誰がパーティー券の売り上げの還流再開を決めたのかは知らない」と言うばかりで、「自ら真相を明らかにし、国民に納得してもらえるまで説明を尽くす」という態度には見えませんでした』、「野党は当初から証人喚問を求めていましたし、政倫審後にも「真相解明には遠い。やはり証人喚問しかない」との声も出ています。しかし証人喚問を実施するかどうかを決めるのは国会対策委員会で、委員のメンバーは議席に比例して決まりますから、議会で多数を占める自民党が反対すれば実施できません。 増田 数は力ですから、やはりもう少し野党の議席数を増やさなければ与党に対抗できません。結局、政倫審はガス抜きにすぎないのでしょう・・・誰も彼も「政治資金報告書は訂正した」「誰がパーティー券の売り上げの還流再開を決めたのかは知らない」と言うばかりで、「自ら真相を明らかにし、国民に納得してもらえるまで説明を尽くす」という態度には見えませんでした」、その通りだ。
・『会社員なら追徴課税か脱税の罪に問われるが… 増田 そもそも悪いことだと思っていないんでしょうね。政倫審の時期はちょうど、確定申告期間に当たります。岸田首相がSNSで「納税を」と国民に呼び掛け、「どの口が言う」と批判されていました。私も池上さんも確定申告をしなければならない立場ですが、もし申告漏れがあった場合には、修正申告をした上で、必要に応じて納税します。複数箇所から収入があるので、間違えることもあるからです。でも仮に意図的に隠していた所得が発覚したら、追徴税が課されるか、場合によっては、脱税の罪にさえ問われかねません。 会社員だとなかなか実感が持てないかもしれませんが、確定申告は本当に毎年大変なんですよ。 池上 ところが政治資金となると、これがまかり通ってしまう。議員たちは「ノルマ超過分は派閥から事務所に還流され、現金で事務所の金庫に置いていました。が、後から精査したら、会合費など政治資金として使っていたと判明したので、政治資金報告書は訂正しております」と、こんな言い訳で乗り切ろうとしているわけです。 増田 そうした「会合」も、政治資金報告書や領収書を見る限りホテルや有名レストランでの高額な食事のようです。しかし、そういうところに頻繁に出入りして食事しながらでないと「政治活動」ができないわけではありません。国会議事堂でも議員会館でも話はできるし、割安なランチミーティングだっていいはずです。 池上 キャバクラや高級クラブなどの高額の領収書が見つかると、秘書のせいにしますからね。 それでも昔よりはずいぶん良くなりました。1993年に細川内閣になった途端に「料亭政治文化」が廃れ、東京の赤坂や紀尾井町周辺の料亭がつぶれました。料亭は個室が多いため、それまでは密談するのに使い勝手が良かったのです。 例えば総理大臣が番記者を引き連れて料亭を訪れ、ある人物との会合だと言って店に入る。でも実際には中抜けして別の部屋に行くんです。そして名前を表に出したくない人と別室で密談を交わして、また元の部屋に戻り、そこから店を出る。こうすると、間で会っている人の存在が表に出ないんです』、「議員たちは「ノルマ超過分は派閥から事務所に還流され、現金で事務所の金庫に置いていました。が、後から精査したら、会合費など政治資金として使っていたと判明したので、政治資金報告書は訂正しております」と、こんな言い訳で乗り切ろうとしているわけです・・・そうした「会合」も、政治資金報告書や領収書を見る限りホテルや有名レストランでの高額な食事のようです。しかし、そういうところに頻繁に出入りして食事しながらでないと「政治活動」ができないわけではありません。国会議事堂でも議員会館でも話はできるし、割安なランチミーティングだっていいはずです・・・昔よりはずいぶん良くなりました。1993年に細川内閣になった途端に「料亭政治文化」が廃れ、東京の赤坂や紀尾井町周辺の料亭がつぶれました。料亭は個室が多いため、それまでは密談するのに使い勝手が良かったのです」、なるほど。
・『二階俊博元幹事長の「書籍代」は約3500万円 増田 結局、それは密談政治、密室政治ということですよね。 池上 そう。「次の総裁は大野伴睦」なんて念書をこっそり作っていたような時代もありましたから。料亭に関しても田中角栄の頃はもっとあからさまで、脱いだ靴を預かる下足番や、部屋に食事を運ぶ仲居さんに毎度、1万円を渡して「誰と会ったか、記者に言わないように」と口止めしていたんです。当時の1万円といえば、今の5万円くらいの価値があります。 そもそも政倫審も田中角栄が関与したロッキード事件を機に設置されるようになったものです。追及されたくない自民党が、証人喚問に代わるものとして作った制度ですからね。 増田 パーティー券の売り上げを還流しながら政治資金報告書に記載がなかった二階俊博元幹事長の場合は、約3500万円を「書籍代」として使っていたことを後から公表しています。「一体、本を何冊買ったら3500万円にもなるのか」と驚きましたが、その後、内訳が公表されました。 それによると、『ナンバー2の美学 二階俊博の本心』が5000冊、大下英治著の『政権奪取秘史 二階幹事長・菅総理と田中角栄』と『小池百合子の大義と共感』がそれぞれ3000冊。これらが積み上がって計3500万円だと。 池上 支持者に配る名目で自分の本を買う。出版社も企画段階から「5000部の買い取りがある」という前提で出版しているんです。 増田 これが政治活動だ、と言われても納得できません。本来はきちんと全容を明らかにした上で、再発防止を徹底してもらいたい。しかし政倫審に出席した議員らの態度を見る限り、全く反省していませんし、改善しようという姿勢すら見いだせません。この問題に落としどころはあるのでしょうか。 池上 落としどころは、「そういう連中は次の選挙で落とそう」。やはり、それしかないのではないでしょうか』、「そもそも政倫審も田中角栄が関与したロッキード事件を機に設置されるようになったものです。追及されたくない自民党が、証人喚問に代わるものとして作った制度ですからね」、思い出した。「これが政治活動だ、と言われても納得できません。本来はきちんと全容を明らかにした上で、再発防止を徹底してもらいたい。しかし政倫審に出席した議員らの態度を見る限り、全く反省していませんし、改善しようという姿勢すら見いだせません。この問題に落としどころはあるのでしょうか。 池上 落としどころは、「そういう連中は次の選挙で落とそう」。やはり、それしかないのではないでしょうか」、同感である。
第三に、4月17日付け現代ビジネスが掲載した経済ジャーナリスト千葉商科大学教授の磯山 友幸氏による「自民党裏金問題は「監査」の問題ではない? 会計士協会がわざわざ「会長声明」を出して責任逃れ」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/128023?imp=0
・『誰が気づくべきだったか 自民党の派閥を巡るいわゆる「裏金」問題は、真相が明らかになったとは言えないまま、手続き上のミスということで関係者の処分だけが行われて幕引きがされようとしている。本当にミスならば、誰も気が付く人はいなかったのか。 実は、政党や政治家が代表を務める政治資金団体などには「外部監査」の制度が導入されている。では、その監査を行っていた「監査人」にはまったく責任がないのだろうか。政党はれっきとした監査法人が担当、政治資金団体は法律の定めによって公認会計士や税理士、弁護士が監査することになっている。会計のプロが報酬をもらった上で「監査」を行っているのだから、問題が起きれば本来、責任が問われるべきだ。 例えば、上場企業である東芝の粉飾決算が表面化した際には、東芝の歴代社長は罪に問われなかった一方で、監査を行っていた会計士は業務停止処分を受けている。粉飾で業務停止を受けた会計士がその後、監査の現場に戻るのは難しいので、かなり厳しい処分だったと言える。プロとしての責任が明確に問われたわけだ。 ではこれだけ世間を騒がせている政党や政治資金団体に対する「監査」で、なぜ会計のプロの責任は問われないのか』、「政党や政治家が代表を務める政治資金団体などには「外部監査」の制度が導入されている。では、その監査を行っていた「監査人」にはまったく責任がないのだろうか。政党はれっきとした監査法人が担当、政治資金団体は法律の定めによって公認会計士や税理士、弁護士が監査することになっている。会計のプロが報酬をもらった上で「監査」を行っているのだから、問題が起きれば本来、責任が問われるべきだ・・・これだけ世間を騒がせている政党や政治資金団体に対する「監査」で、なぜ会計のプロの責任は問われないのか」、確かに大きな疑問だ。
・『「あれは会計監査ではない」 4月12日になって日本公認会計士協会が茂木哲也会長名で、「会長声明」なるものを出した。タイトルは「国会における政治改革に関する特別委員会の設置について」。国会で特別委員会が設置され、政治資金規制法の強化が議論されるタイミングで出したのは分かるとして、議論されている外部監査の拡充や徹底を求めるという会計士らしい声明にはまったくなっていない。 声明では、「今般の自由民主党の一部の派閥における政治資金収支報告書の一連の問題は、そもそも収支記録の帳簿への記載という会計の極めて基本的な部分が行われなかったもの」だとして、会計の不備が大きな原因であることを認めているが、会計のプロとしての責任については「会計の専門家である公認会計士から見て誠に遺憾であります」と述べるに留まっている。その上で、「政治資金規正法に基づく政治資金監査は、ガバナンスをその前提とせずに会計事務に対して外形的・定型的に確認を行う業務」だとしている。 ちょっと分かりにくいが、どういうことか。 要は政治資金監査は本当の意味での監査ではない、と言っているのだ。ベテラン会計士の多くは「政治資金監査はあれは監査ではありません。なんちゃって監査ですよ」と異口同音に言う。収入の記載に漏れがないかチェックする義務はなく、それに付随する支出があって記載されていなくても問題にしない。提示された領収書と帳簿を付きわせるだけで、民間企業の監査なら当然行う銀行預金の残高調査も行っていないケースがほとんど。資金の流れや財産の状況を把握する「監査」とは到底呼べない代物なのだ。 だったら、会長声明で「あれは監査ではない」「きちんとした監査を行うべきだ」と主張すれば良いように思うが、そうはしない。そもそもガバナンスが悪いのだから会計士に責任はない、と言っているのが前出の声明の読み方だ。つまり、責任逃れである』、「4月12日になって日本公認会計士協会が茂木哲也会長名で、「会長声明」なるものを出した。タイトルは「国会における政治改革に関する特別委員会の設置について」・・・要は政治資金監査は本当の意味での監査ではない、と言っているのだ。ベテラン会計士の多くは「政治資金監査はあれは監査ではありません。なんちゃって監査ですよ」と異口同音に言う。収入の記載に漏れがないかチェックする義務はなく、それに付随する支出があって記載されていなくても問題にしない。提示された領収書と帳簿を付きわせるだけで、民間企業の監査なら当然行う銀行預金の残高調査も行っていないケースがほとんど。資金の流れや財産の状況を把握する「監査」とは到底呼べない代物なのだ。 だったら、会長声明で「あれは監査ではない」「きちんとした監査を行うべきだ」と主張すれば良いように思うが、そうはしない。そもそもガバナンスが悪いのだから会計士に責任はない、と言っているのが前出の声明の読み方だ。つまり、責任逃れである」、なるほど。
・『「監査まがい」を放置する理由 さらに今後特別委員会で議論される外部監査の拡充についても先手を打って責任回避をしている。声明では続けてこう述べているのだ。 「政治資金監査の対象範囲や対象項目を拡大したとしても、ルールの逸脱を未然に防止又は発見することを可能とする各団体における内部統制やガバナンスの整備が不十分な状況では、今回のような事案を防止できるというものではないと考えます」 つまり、監査じゃない監査まがいをいくら広げても無駄です。このままでは同じ問題が繰り返されますよ、と言っているわけだ。その上で、「組織のガバナンスを強化するための方策について議論すべきと考えます」としている。監査じゃなくてガバナンスの問題だというのだ。 そこまで言うなら、不正をまったく防げない監査じゃない監査など我々プロの会計士は認めない、上場企業や公益財団法人などに義務付けられているフルスペックの監査導入を求めれば良いと思うのだが、会計士協会では会長といえどもそこまで言えないという。 なぜならば、政治資金監査で報酬を得ている会員会計士がたくさんいるので、そんなことを言えば、食いっぱぐれる会員から突き上げを食うからだ、と会計士協会の関係者は明かす。 政党監査を上場企業並みにやれば各議員のポケットになっている政党支部にも監査が及ぶから、一気に資金の流れが透明化できるはずだが、そこにも会計士協会は踏み込まない。大手の監査法人が政党監査を受注して利益を得ているからだ。会計のプロが聞いて呆れる。 国会は遠慮なく、政党や政治資金団体に上場企業並みのフルスペックの監査導入を決めれば良い。その上で、不正を見逃した会計士を資格剥奪など厳しく処分すればよい。そうなれば、監査法人も会計士も本気になって監査を行うし、ガバナンスに不備があれば監査人として修正を求めることになる。 しかし、残念ながら、国会議員の多くも厳しい監査に縛られるのは嫌だから、本気で本物の監査の導入などは俎上に上げないだろう。結局、外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる』、「監査じゃない監査まがいをいくら広げても無駄です。このままでは同じ問題が繰り返されますよ、と言っているわけだ。その上で、「組織のガバナンスを強化するための方策について議論すべきと考えます」としている。監査じゃなくてガバナンスの問題だというのだ。そこまで言うなら、不正をまったく防げない監査じゃない監査など我々プロの会計士は認めない、上場企業や公益財団法人などに義務付けられているフルスペックの監査導入を求めれば良いと思うのだが、会計士協会では会長といえどもそこまで言えないという。 なぜならば、政治資金監査で報酬を得ている会員会計士がたくさんいるので、そんなことを言えば、食いっぱぐれる会員から突き上げを食うからだ、と会計士協会の関係者は明かす。政党監査を上場企業並みにやれば各議員のポケットになっている政党支部にも監査が及ぶから、一気に資金の流れが透明化できるはずだが、そこにも会計士協会は踏み込まない。大手の監査法人が政党監査を受注して利益を得ているからだ。会計のプロが聞いて呆れる。国会は遠慮なく、政党や政治資金団体に上場企業並みのフルスペックの監査導入を決めれば良い。その上で、不正を見逃した会計士を資格剥奪など厳しく処分すればよい。そうなれば、監査法人も会計士も本気になって監査を行うし、ガバナンスに不備があれば監査人として修正を求めることになる。 しかし、残念ながら、国会議員の多くも厳しい監査に縛られるのは嫌だから、本気で本物の監査の導入などは俎上に上げないだろう。結局、外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる』、「国会議員の多くも厳しい監査に縛られるのは嫌だから、本気で本物の監査の導入などは俎上に上げないだろう。結局、外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる」、「国会議員」の現実的選択から判断すると、「外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる」、極めて望ましくない姿だ。
タグ:日本の政治情勢 (その71)(岸田首相 支持率低迷なのに「無敵」なのはなぜ?今後の“最悪シナリオ”とは…、政治資金問題を政倫審でガス抜き、「証人喚問」ができない理由【池上彰・増田ユリヤ】、自民党裏金問題は「監査」の問題ではない? 会計士協会がわざわざ「会長声明」を出して責任逃れ) ダイヤモンド・オンライン 上久保誠人氏による「岸田首相、支持率低迷なのに「無敵」なのはなぜ?今後の“最悪シナリオ”とは…」 「岸田首相は「マスコミにフルオープン」とする方針に転換。その方針の下で開催に踏み切った。 現首相の出席という「奇策」の裏側では、国民の政治不信を和らげ、低迷する支持率の回復を狙っていたことは容易に想像できる。だが、岸田首相の政倫審での説明は、疑惑の解明につながらなかった。結果、共同通信が3月9~10日に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は20.1%となり、同内閣として過去最低を更新・・・ 岸田首相は「支持率低下」という苦境に置かれながらも、山積する重要議案を前に進めるための強い意欲を失っていない。それどころか、先述した「政倫審出席とフルオープン化」「異例の土曜国会」を強行できるほど、今の岸田首相には強い権力・権限が集中している印象だ。 その背景には、「政治資金パーティー裏金事件」の発覚を巡る「派閥解体」がある」、なるほど。 「岸田首相を牽制できる存在が、自民党内から消滅しているといえる。 そのため、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっているという、不思議な状況が起きているのだ」、なるほど。 「政治資金を豊富に配分してもらえるか否かは「首相のさじ加減次第」となる。 だからこそ、首相に対して誰もはっきりと異議を唱えられない「独裁体制」が加速する可能性が十分にある。どれだけ支持率が低下しても健全な競争が起きず、9月の総裁任期まで、首相が辞任せず居座ることも考えられる。 万が一、岸田首相が支持率低迷の責任を重く受け止めて、9月の総裁選を待たずに辞任した場合も、「反岸田」の候補が総裁選に勝つのは難しいかもしれない」、なるほど。 「岸田体制の閉塞・・・感を打破する唯一の方法として「日本初の女性首相」の就任が期待されているのも確かだ。 この点について、実は高市氏・野田氏の対抗馬として、岸田派に所属していた上川陽子外相が急浮上している・・・岸田氏が首相の座を降り、麻生氏と共に上川外相を次期首相候補として担ぐ可能性もゼロではない。 岸田氏・麻生氏が手を組むとなると、先述した「大宏池会」の復活が現実味を帯びる。総裁選で対立候補を推した議員は、両名の権力・権限を通じて徹底的に干されるかもしれない・・・ 上川内閣が誕生した暁には、上川氏が首相として「政策立案」を手掛ける裏で、政局を左右する意思決定は「キングメーカー」である岸田氏・麻生氏が掌握するケースも考えられる。いわば「院政」を敷くわけだ。これが、「低支持率首相による独裁体制」によって今後起こり得る最悪の事態である・・・岸田首相は圧倒的なカリスマ性を持っているわけではなく、どこか頼りない印象だ。だからこそ、派閥解体によって「棚ぼた的」に強めた権力を、簡単には手放さないとみられる。この動きが加速し、岸田首相が本当に「独裁化」しないよう、国民は注視していく べきである」、最後の部分は同感である。 池上 彰氏と増田ユリヤ氏による対談「政治資金問題を政倫審でガス抜き、「証人喚問」ができない理由【池上彰・増田ユリヤ】」 「野党は当初から証人喚問を求めていましたし、政倫審後にも「真相解明には遠い。やはり証人喚問しかない」との声も出ています。しかし証人喚問を実施するかどうかを決めるのは国会対策委員会で、委員のメンバーは議席に比例して決まりますから、議会で多数を占める自民党が反対すれば実施できません。 増田 数は力ですから、やはりもう少し野党の議席数を増やさなければ与党に対抗できません。結局、政倫審はガス抜きにすぎないのでしょう・・・ 誰も彼も「政治資金報告書は訂正した」「誰がパーティー券の売り上げの還流再開を決めたのかは知らない」と言うばかりで、「自ら真相を明らかにし、国民に納得してもらえるまで説明を尽くす」という態度には見えませんでした」、その通りだ。 「議員たちは「ノルマ超過分は派閥から事務所に還流され、現金で事務所の金庫に置いていました。が、後から精査したら、会合費など政治資金として使っていたと判明したので、政治資金報告書は訂正しております」と、こんな言い訳で乗り切ろうとしているわけです・・・そうした「会合」も、政治資金報告書や領収書を見る限りホテルや有名レストランでの高額な食事のようです。しかし、そういうところに頻繁に出入りして食事しながらでないと「政治活動」ができないわけではありません。国会議事堂でも議員会館でも話はできるし、割安なランチミーティ ングだっていいはずです・・・昔よりはずいぶん良くなりました。1993年に細川内閣になった途端に「料亭政治文化」が廃れ、東京の赤坂や紀尾井町周辺の料亭がつぶれました。料亭は個室が多いため、それまでは密談するのに使い勝手が良かったのです」、なるほど。 「そもそも政倫審も田中角栄が関与したロッキード事件を機に設置されるようになったものです。追及されたくない自民党が、証人喚問に代わるものとして作った制度ですからね」、思い出した。「これが政治活動だ、と言われても納得できません。本来はきちんと全容を明らかにした上で、再発防止を徹底してもらいたい。しかし政倫審に出席した議員らの態度を見る限り、全く反省していませんし、改善しようという姿勢すら見いだせません。この問題に落としどころはあるのでしょうか。 池上 落としどころは、「そういう連中は次の選挙で落とそう」。やは り、それしかないのではないでしょうか」、同感である。 現代ビジネス 磯山 友幸氏による「自民党裏金問題は「監査」の問題ではない? 会計士協会がわざわざ「会長声明」を出して責任逃れ」 「政党や政治家が代表を務める政治資金団体などには「外部監査」の制度が導入されている。では、その監査を行っていた「監査人」にはまったく責任がないのだろうか。政党はれっきとした監査法人が担当、政治資金団体は法律の定めによって公認会計士や税理士、弁護士が監査することになっている。会計のプロが報酬をもらった上で「監査」を行っているのだから、問題が起きれば本来、責任が問われるべきだ・・・これだけ世間を騒がせている政党や政治資金団体に対する「監査」で、なぜ会計のプロの責任は問われないのか」、確かに大きな疑問だ。 「4月12日になって日本公認会計士協会が茂木哲也会長名で、「会長声明」なるものを出した。タイトルは「国会における政治改革に関する特別委員会の設置について」・・・要は政治資金監査は本当の意味での監査ではない、と言っているのだ。ベテラン会計士の多くは「政治資金監査はあれは監査ではありません。なんちゃって監査ですよ」と異口同音に言う。収入の記載に漏れがないかチェックする義務はなく、それに付随する支出があって記載されていなくても問題にしない。提示された領収書と帳簿を付きわせるだけで、民間企業の監査なら当然行う銀行 預金の残高調査も行っていないケースがほとんど。資金の流れや財産の状況を把握する「監査」とは到底呼べない代物なのだ。 だったら、会長声明で「あれは監査ではない」「きちんとした監査を行うべきだ」と主張すれば良いように思うが、そうはしない。そもそもガバナンスが悪いのだから会計士に責任はない、と言っているのが前出の声明の読み方だ。つまり、責任逃れである」、なるほど。 「監査じゃない監査まがいをいくら広げても無駄です。このままでは同じ問題が繰り返されますよ、と言っているわけだ。その上で、「組織のガバナンスを強化するための方策について議論すべきと考えます」としている。監査じゃなくてガバナンスの問題だというのだ。そこまで言うなら、不正をまったく防げない監査じゃない監査など我々プロの会計士は認めない、上場企業や公益財団法人などに義務付けられているフルスペックの監査導入を求めれば良いと思うのだが、会計士協会では会長といえどもそこまで言えないという。 なぜならば、政治資金監査で報 酬を得ている会員会計士がたくさんいるので、そんなことを言えば、食いっぱぐれる会員から突き上げを食うからだ、と会計士協会の関係者は明かす。政党監査を上場企業並みにやれば各議員のポケットになっている政党支部にも監査が及ぶから、一気に資金の流れが透明化できるはずだが、そこにも会計士協会は踏み込まない。大手の監査法人が政党監査を受注して利益を得ているからだ。会計のプロが聞いて呆れる。国会は遠慮なく、政党や政治資金団体に上場企業並みのフルスペックの監査導入を決めれば良い。その上で、不正を見逃した会計士を資格剥奪など など厳しく処分すればよい。そうなれば、監査法人も会計士も本気になって監査を行うし、ガバナンスに不備があれば監査人として修正を求めることになる。 しかし、残念ながら、国会議員の多くも厳しい監査に縛られるのは嫌だから、本気で本物の監査の導入などは俎上に上げないだろう。結局、外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる』、 「国会議員の多くも厳しい監査に縛られるのは嫌だから、本気で本物の監査の導入などは俎上に上げないだろう。結局、外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる」、「国会議員」の現実的選択から判断すると、「外部監査の拡充だとして今のなんちゃって監査を拡大、会計士など「自称会計のプロ」たちは、ますます報酬で潤うことになる」、極めて望ましくない姿だ。
小池都知事問題(その11)(小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代、小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき、消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起、小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ) [国内政治]
小池都知事問題については、本年4月13日に取上げた。今日は、(その11)(小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代、小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき、消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起、小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ)である。
先ずは、本年4月18日付け東洋経済オンラインが掲載した神奈川大学 名誉教授の的場 昭弘氏による「小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/748576
・『東京都知事の小池百合子氏の学歴詐称疑惑が再燃している。2020年に一度収束していた問題が再浮上したわけだ。 学歴によって社会の能力を測る学歴社会において、学歴詐称が悪いことは当然のことだが、学歴という問題にはつねに複雑な問題がついて回ることも確かである。 筆者は2017年、スペインで開催されたEAIE(ヨーロッパ国際教育協会)に、当時勤務していた大学の国際センター所長として出席したが、そこでカイロ大学の関係者からもらったパンフレットの、いの一番に小池百合子氏の写真と名前があったことを記憶している』、興味深そうだ。
・『カイロ大学のパンフレットに小池氏の写真と名前 カイロ大学のスタッフからもらったパンフレットである。カイロ大学も卒業を認めているのかもしれない。もっとも大学への何らかの貢献によって取得した「名誉」卒業生である可能性もある。 もちろん日本でもあることだが、卒業していなくとも有名になるとその大学や学校のために卒業扱いになることもままある。大学ではなく、その途中の高校や中学の場合、みなし卒業として扱われたりもする。もちろん本当の卒業ではない。 かつての旧制高校や大学予科の場合、戦後そうした学校が存在しないことで、履歴上は大学卒になってしまうこともしばしばある。また昭和18年(1943年)の学徒動員によって、国家の命令で本来の卒業年数に届かない形で繰り上げ卒業した場合もある。 松本清張の『砂の器』の主人公のように、空襲で焼けてしまった市役所などの戸籍を偽装する場合のように、戦後のどさくさのなか勝手に大学を卒業した例も多くあった。 『東大ニセ学部―虚像と虚栄の記録』(桑原宗一郎著、講談社、1969年)という本がある。そこには、東京大学生になりすまし卒業までしてしまった例が書かれている。これはすべて実際にあった話をまとめたものだという。 気軽に女性にもてるために偽ったものから、受験失敗の苦労から勝手に学生になったものまで、そして助教授になりすました狂人までいろいろと出てくる。東大ブランドの借用だけでなく、それによって就職を得たものまでいるからおそろしい。 日本は学歴偏重社会である、もっと正確にいうと大学のブランド偏重社会である。有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会ともいえる。有名大学に入学した18歳の学力で、一生食っていける社会など日本以外にはないと思われる』、「大学のブランド偏重社会である。有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会ともいえる」、「ブランド偏重社会」はともかく、「有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会」とは誇張が過ぎるようだ。
・『海外では大学歴ではなく学位重視 海外で学歴の高さというのは、どの大学を出たかではなく、大学院の修士、博士といった高度な知識と学位を持っているかである。在学中に外交官試験にパスし、東京大学を中退した外交官が海外で落ち込むのは、赴任先で海外の外交官が博士号を持っていたりする場合だ。 不思議なことに、日本では東大卒で外交官になるより、中退でなったほうが優秀だとされるのだが、世界では大学院までいったほうが能力が高いとされている。 大学という世界に私も40年も暮らしてきたのだが、国によって大学がまちまちであることをずいぶん経験してきた。それは卒業ということにもいえる。 日本は、入学すればよほどのことがない限り卒業できる。だからこそ入学試験がすべてだといってもいいかもしれない。 大学入試の試験科目として全員に哲学の試験を課すフランスの入試問題は、4時間2問の論文形式である。日本人の高校生は哲学など無視するから、おそらくだれも解けまい。もっともバカロレアの合格率は80%を超えているので、答案の質のほうは疑問であるが。 バカロレアに通ればどこでも一応行けるので、医学部などは低学年でバサバサと落とす。日本では医学部に入学したというだけで優秀だということになる、フランスでは何の意味もない。) 私は大学院の博士課程の頃、政府給費留学生としてユーゴスラビアのザグレブ大学の大学院に留学したのだが、卒業などしていない。だからそのことを示す何の証明もない。日本の文部省が派遣したという証明書があるだけだ。もっともユーゴスラビアという国でさえ今では存在していない。 またその後、フランスのEHESS(国立社会科学高等研究院)にもいたが、勝手な聴講生なので証明書はない。もちろんこんなことは履歴に書かないほうがいい。博士課程に在学中であればそれだけで済むからだ。 しかし、見栄を張ってつい書いてしまうと大変なことになる。最初の就職先の一橋大学社会科学古典資料センターに正直にこの経歴を提出してしまったのだ。 国立大学のチェックは厳しく、この証明を得るため聴講していた教授に頼んで証明書を書いてもらった。自分で文面を書いて、教授にサインしてもらったのだ』、「最初の就職先の一橋大学社会科学古典資料センターに正直にこの経歴を提出してしまったのだ。 国立大学のチェックは厳しく、この証明を得るため聴講していた教授に頼んで証明書を書いてもらった。自分で文面を書いて、教授にサインしてもらったのだ」、海外の大学院などなら手間も大変だろうが、国内で済んだだけ幸運だった。
・『小池氏個人にとどまらない問題 教員になって外国人留学生の入試を担当すると、海外の高校や大学の卒業証明書を見ることが多くなる。中国などの留学生の高校卒業の証明書や、大学の卒業証明書が本当であるかどうかチェックするのだ。 これもさまざまな点で怪しいなと思うものがあるが、チェックしようがない。チェックすれば、膨大な手間と時間がかかるからだ。 さて、小池百合子氏の場合は問題が複雑である。それは彼女の卒業は、たんに個人的な問題にとどまらないからだ。日本とエジプトとの関係を考えれば、エジプト政府およびカイロ大学は卒業というだろう。 日本とエジプト、そして当時のサダト政権と田中角栄政権の複雑な関係を考える場合、卒業を問題とするよりも、どうやって卒業という事実を獲得したのかということを問題にしたほうがいいだろう。 しかし、これはとても勇気のいることかもしれない。卒業というものが国家権力と関係していた場合、真実を知ることは簡単ではないし、とても危険なことだからである。 小池氏が在学していた1972年から1976年までは、彼女と同年齢の私の学生時代とかぶる時代である。 なんといってもナセル大統領(1918~1970年)の後を継いだサダト大統領(1918~1981年)の時代であり、彼女がカイロ大学の2年に入学したとされるのは、1973年10月6日に勃発したイスラエルとの第4次中東戦争が始まった戦乱の時代だった。) 高齢者なら誰もが思い出すのは、東京・銀座からネオンが消え、主婦がトイレットペーパーを求めてさまよったことである。その理由は石油価格の高騰であり、日本は、OPEC(石油輸出国機構)の原油生産量削減にともなってアメリカの独占的メジャーの原油割り当てを下げられたからである。 小池氏の父親である小池勇二郎氏(1922~2013年)は実業家として海外との取引関係の仕事をしていた人物であり、日本の多くの黒幕とのつながりがあった人物だとされている。作家の黒木亮氏が書いた短い文章がネットで公開されている』、「小池氏の父親である小池勇二郎氏・・・は実業家として海外との取引関係の仕事をしていた人物であり、日本の多くの黒幕とのつながりがあった人物」、なるほど。
・『小池氏の父とエジプトの要人との関係 それによると、彼女の面倒をエジプトで見たのは、勇二郎氏と懇意にしていたエジプトの要人アベル・カデル・ハテムという人物だという。1913年生まれの政治家でナセルの革命に参加し、その後エジプトの要職を得て、日本とエジプトの友好協会の理事長を務めていたという。 1974年にサダト時代の副首相だったハテムは日本を訪問し、田中角栄や三木武夫にも会ったことがある。日本からの勲章旭日大綬章を授かったという。1974年といえば、石油ショックの翌年である。その勲功がこの受賞につながったのだろう。 日本は、長い間エネルギー資源の独立を探ってきた。多くの石油会社は欧米のメジャー系から割り当てられる原油を買ってきたことで燃料資源を欧米に握られていた。この独占を覆そうとしたのが出光興産だが、日本政府は石油ショックの際、困窮に陥った。 欧米の割り当てのみならず、中東諸国から敵国扱いを受けたからである。それがあの狂乱の石油ショックを生み出した。 石油不足を懸念した政府は、アラブの友人を頼って奔走した。ナイジェリアやアルジェリア、イランなどと交渉したのはそのときである。田中角栄が送った三木武夫を団長とする代表団はカイロに向かう。エジプトとの関係改善のためだ。 関西経済同友会の幹事だった小池勇二郎氏のところには当然話があったはずである。日本の中枢部と関係を持つ彼は、エジプトにも多くの知人がいたからである。その知人の一人がハテムであった。 小池百合子氏がエジプトで大学に入学したのは、まさに日本政府が派遣団を送った時期である。やがてエジプト政府は日本を敵国からはずし、日本はアメリカが提案する決議に反対することになる。) その決議は、中東諸国が提起したイスラエルの1967年の占領地域からの即時撤退という提案である。日本はなんとこれを暗に支持したのである。これはアメリカをいたく怒らせた。 やがてアメリカの国務長官だったキッシンジャーがやってきて、日本政府に苦言を呈するが、それがやがてアメリカの報復、すなわちロッキード事件となるというのはかなり知られた話である。 田中角栄の背後にいたのが、岸信介、小佐野賢治、児玉誉士夫、中曽根康弘といわれており、当然ながらハテムとサダトは、日本に対して恩を売り、日本も中東諸国の恩を返したということになる。 サダトは1981年10月の閲兵式で暗殺される。それによって政権は崩壊するが、黒木亮氏によるとサダト政権は腐敗にまみれていたという。とりわけ国内の経済悪化の改善のための日本政府からの援助を望んだのである。 こうした関係の中で、小池百合子氏の卒業は在学と無関係に認定されていったのかもしれない。サダトのナンバー2であったハテムにそれが不可能なはずはなく、政治的配慮の中でことは進んでいったのかもしれない。あくまで想像である』、「彼女の面倒をエジプトで見たのは、勇二郎氏と懇意にしていたエジプトの要人アベル・カデル・ハテムという人物だという。1913年生まれの政治家でナセルの革命に参加し、その後エジプトの要職を得て、日本とエジプトの友好協会の理事長を務めていたという・・・中東諸国が提起したイスラエルの1967年の占領地域からの即時撤退という提案である。日本はなんとこれを暗に支持したのである。これはアメリカをいたく怒らせた。 やがてアメリカの国務長官だったキッシンジャーがやってきて、日本政府に苦言を呈するが、それがやがてアメリカの報復、すなわちロッキード事件となるというのはかなり知られた話である」、自主外交の限界を示した出来事だった。
・『カイロ大学はなぜ無言なのか もしこれが事実だとすれば、現在のエジプト政府が日本政府に対して話を蒸し返し、卒業はなかったといえるかどうか、国立大学であるカイロ大学が学問の自由のために本当のことを言う勇気があるかどうかである。 日本人にとっても話は複雑だ。小池氏の卒業だけに問題が絞られているが、当時の政治的流れの中でそうなったのだとすれば、日本政府の問題とも絡んでくる。とりわけそれは、アメリカからの石油資源の独立の問題であり、アメリカからの政治的自由の問題である。 右翼といわれている面々が、日本を守るためにそれを行ったのだとすれば、そこにメスを入れる勇気があるかどうかということだ。もしそうだとすれば、小池氏がこれを暴露することは当然できないだろうし、日本政府もアメリカとの関係にまで発展させたくないであろう。 だからこそマスコミは、小池氏の卒業詐称という個人的な問題に終始し、その当時の日本とエジプトとの関係、そして小池氏の父親にさかのぼる、日本のドンとの関係に触れたくないのである。 もちろん、この学歴詐称問題が小池氏による自作自演の詐称行為ならば、この話と関係ないことになろう。その場合、この「わらしべ王女」の野心が打ち砕かれるだけのことである。 本当にそれだけなのだろうか。話題のもう1つの中心であるカイロ大学が、正式な発表をしないのはなぜなのか。私にはそれが気になる』、「日本政府もアメリカとの関係にまで発展させたくないであろう。 だからこそマスコミは、小池氏の卒業詐称という個人的な問題に終始し、その当時の日本とエジプトとの関係、そして小池氏の父親にさかのぼる、日本のドンとの関係に触れたくないのである」、その通りだ。
次に、4月18日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの伊藤 博敏氏による「小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/128085
・『「爆弾告発」のウラで 「告発状といえば、こんなのも送られてきたんですが……」 旧知の千代田区議からこう声をかけられ、A4版5枚の文書を見せられたのは、昨年11月初旬のことだった。 文書は2021年1月の千代田区長選で樋口高顕氏が、小池百合子都知事の圧倒的な支援を受け、38歳の若さで初当選したカラクリを明かすもので、こう綴られていた。 <小池知事の学歴問題を隠蔽するために樋口氏が多大なる貢献をしたからです。ご承知の通り、カイロ大学は2020年6月9日、駐日エジプト大使館のFacebook上で声明を発し、小池知事の卒業を正規のものと認めただけでなく、それに疑問を呈することは大学への名誉毀損であり、エジプトの法令に基づいて対応を検討すると警告しました。(中略)実はこの声明の原案は樋口氏が作成を主導したものです> 結果として文書は、約5ヵ月後の4月10日、“日の目”を見ることになる。『文藝春秋』5月号で小島敏郎・元都民ファーストの会事務総長が、「私は学歴詐称工作に加担してしまった」とする爆弾告発を行った。 そのなかでは、元ジャーナリストのA氏が作成したという「駐日エジプト大使館のフェイスブックに上げられたカイロ大学声明文の文案」が示されており、それとほぼ同じものが千代田区議会に出回った告発文にも掲載されていた。「ほぼ」というのは、小島氏の記事にあるA氏作成の文案が日本語で、千代田区告発文が英語の違いだ。インパクトは同じである。 日付は令和4(2022)年5月24日だった。黒鉄喜久蔵(ペンネーム)と記され、続報も示唆されていたが、それはなかった。当時、千代田区では「もうひとつの告発文」が話題だった』、「もうひとつの告発文」とはどういうことなのだろう。
・『メール文章の信憑性 千代田区で公共工事に影響力を行使する自民党の嶋崎秀彦区議に関するもので、「千代田区元契約課職員有志」が差出人となり警視庁捜査2課に次のような告発文を送った。 <嶋崎秀彦区議は、歴代の契約担当の幹部職員に対し、公共施設建設に伴う管工事にかかわる部分について、入札業者名を聞き出し、その情報を自身と関係のある管工事事業者に伝え、便宜供与を行なっています> 告発状の日付は令和4(22)年8月30日。これを受けて警視庁の捜査は始まり、嶋崎区議は今年2月から3月にかけて、官製談合防止法違反罪やあっせん収賄罪で逮捕、起訴され被告となった。 筆者はこの事件取材を行い、「現代ビジネス」で<江東区長の「選挙違反」だけでなく、千代田区でも…「不正とカネ」まみれの都政に巣食う「しがらみ政治」>と題して23年11月16日に配信した。 同時に、樋口氏が加担したとされる、小池氏の学歴詐称の隠蔽工作疑惑についても取材を進めた。文書に残されたメールの履歴と当時の小池氏や樋口氏、都議会の動きを照合、当時を知る議会関係者や都庁担当記者に話を聞いたが、メールに記載された文書の信憑性は確認できなかった。 なにより記載されていたメールは印刷された文書のコピーである。メールがアドレスを含め、いくらでも改ざんできるのは、06年に発覚した「偽メール事件」で明らかであり、怪文書の存在を表にすることはできなかった。偽メール事件は告発した代議士の辞職(その後自殺)につながり、前原誠司民主党代表の引責辞任を引き起こした』、「記載されていたメールは印刷された文書のコピーである。メールがアドレスを含め、いくらでも改ざんできるのは、06年に発覚した「偽メール事件」で明らかであり、怪文書の存在を表にすることはできなかった」、なるほど。
・『小島氏の結論 だが、告発状の意味するところは大きい。小島氏が指摘しているように、A氏が書いた原案とフェイスブックに掲載された「カイロ大声明文」との違いは、小池氏が「最も気にしていた部分」である。 小島氏は、「卒業名簿にその記載がある」という部分が削られた理由として、卒業名簿に名前があるかどうかに疑念が残るからではないかと推察し、「公正な審理と手続きを経てなされた」が削除されたのは、実際には審理も手続きもしていなかったから、と読む。 また、二つ目の変更点として、A氏案の「日本、エジプト双方の法令に基づき適切な対応を検討している」から日本が削られて、「エジプト法令に則り」となっていることに関し、仮に日本で裁く場合、裁判所が小池氏に証言などの協力を依頼する可能性があるからではないか、と推察した。 小島氏の結論はこうだ。 <いずれにせよ声明文は、図らずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた> それをもとにこう結論付けた。 <大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです>』、「声明文は、図らずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた> それをもとにこう結論付けた。 <大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです」、なるほど。
・『逃げ切りはありえない 小島氏は取材依頼のあった記者を集めて、4月12日に弁護士会館で説明会を開き、17日には日本外国特派員協会で記者会見を行なって詳細に説明した。環境庁の官僚として水俣病問題に真剣に取り組んだ小島氏は、「詐称は許されず、小池氏のような都知事にして首相候補でもある有力政治家が、エジプトに弱味を握られてはならない」という強い思いで告発に及んだ。 隠蔽工作に図らずも絡んだという忸怩たる思いもあり、告発は続けるだろうし、今は匿名のAさんが表に出ることも考えられよう。 全ての責任を負うべきは小池氏だが、千代田区長という公職にある樋口氏の責任も重い。告発文が指摘するまでもなく、コロナ禍の緊急事態宣言下にも関わらず小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある。 筆者は樋口氏のアドレスに改めて「取材依頼」のメールを送ったが返事はない。なにより樋口氏は、発売日以降、騒動を避けるように、この件に関して情報を発信していない。もちろん逃げ切りはありえない――。 筆者連載〈【実名告発】「そういうことにしちゃったの?」「うん」と…小池百合子「虚飾の履歴」を50年間秘めていた「カイロ時代の同居人」の思い〉も、合わせてお読みください』、「全ての責任を負うべきは小池氏だが、千代田区長という公職にある樋口氏の責任も重い。告発文が指摘するまでもなく、コロナ禍の緊急事態宣言下にも関わらず小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある」。「小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある」、その通りである。
第三に、4月20日付け日刊ゲンダイ「消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起」を紹介しよう。
・『“女帝”の神通力もここまでか。元側近の告発で、学歴詐称疑惑が再燃している小池都知事。疑惑払拭に至らず、焦燥感を募らせている。 2020年の都知事選直前にエジプトのカイロ大学が小池氏の卒業を証明する声明文を公表したが、元側近の小島敏郎氏は声明文について「小池知事が作成に関与した」と告発。声明文の書きぶりを巡って、小池氏と側近らが相談していたメールを提示した上で、小池氏がカイロ大卒業の事実を偽装したと訴えている。 先週に続き、19日の小池都知事の定例会見でもこの問題に質問は及んだ。小池氏は「私自身が関知しているものではない」と声明文作成への関与を否定したが、側近らと相談したか否かについては触れずじまい。疑惑払拭とは程遠い内容で、当分はこの問題を引きずることになる』、「元側近の小島敏郎氏は声明文について「小池知事が作成に関与した」と告発。声明文の書きぶりを巡って、小池氏と側近らが相談していたメールを提示した上で、小池氏がカイロ大卒業の事実を偽装したと訴えている」、なるほど。
・『「命の危険を感じる」と対立候補を批判 小池氏は相変わらずのニヤケ顔だったとはいえ、内心では焦りを募らせているようだ。小池氏は28日投開票の衆院東京15区補欠選挙で作家・乙武洋匡氏を支援。情勢を聞かれると、「選挙活動の範囲を逸脱している」とし、16日の告示日に乙武陣営のすぐ隣で大音量で演説をぶった対立候補への批判を展開した。) 確かに当日は、小池氏が「選挙スタッフが命の危険を感じるような場面があった」と言うのも大袈裟ではないほどだった。ただ、そんな妨害の影響を差し引いても、乙武陣営の情勢は絶望的。全面支援する乙武氏が落選すれば、小池氏への大ダメージは必至だ。 「複数の情勢調査によると、立憲民主党の候補がリード。乙武さんは日本維新の会の候補の後塵を拝し、沈んでいます。過去の不倫スキャンダルが響いているようです。知事の学歴詐称疑惑再燃の影響も否めません」(地元関係者)』、「乙武陣営の情勢は絶望的。全面支援する乙武氏が落選すれば、小池氏への大ダメージは必至だ」、なるほど。
・『目黒区長選の応援演説でも聴衆わずか 小池氏には、もうひとつ落とせない選挙がある。21日投開票の東京・目黒区長選だ。 最終盤の情勢は、小池氏率いる「都民ファーストの会」(都ファ)推薦の元都議・伊藤悠氏と現職で無所属の青木英二氏の大接戦である。2人はもともと民主党所属で支持層がかぶる状況の中、他にも立憲推薦の元都議・西崎翔氏も出馬したことで「票が割れかねない」(区政関係者)ことが原因だという。 小池氏は19日、子飼いの伊藤氏の街宣に応援入り。14日の告示日に続き2度目だ。JR目黒駅前で「伊藤さんを押し上げてください!」と懸命に訴えたが、聴衆は300人程度で、足を止める人はごくわずか。かつては小池氏が街頭に立てば、1000人ほどの聴衆が集まったものだが、動員力はガタ落ち。疑惑再燃の影響か、神通力の凋落は明らかだった。) 伊藤氏までが当選を逃せば、小池氏の求心力は地に落ちてもおかしくない。都ファ関係者はこう言う。 「知事は、昨年末の江東区長選で都ファ推薦の候補を当選させ、年明けの八王子市長選では自公推薦の候補を支援して勝利に導き、勢いをつけた。さらに、目黒区長選、東京15区で勝ちを重ねることで、今年7月の知事3選にこぎ着ける絵を描いている。この2つの選挙は何としても勝たなければ、と思っているはずです」 疑惑がくすぶり続ける中、女帝は面目を保てるだろうか』、「目黒区長選」は現職が勝利し、「小池氏」の支持候補は落選、「女帝は面目」を潰したことになる。
第四に、4月23日付け日刊ゲンダイ「小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/339292
・『“子飼い”の落選に、さぞ焦っているに違いない。28日投開票の衆院3補欠選挙で、東京15区から出馬した作家・乙武洋匡候補を支援する小池都知事が窮地だ。21日に投開票された東京・目黒区長選で全面バックアップした「都民ファーストの会(都ファ)」の伊藤悠元都議が落選。小池知事自身の求心力低下は必至だ。 区長選は、無所属現職の青木英二区長が約2万5000票を獲得して当選。 伊藤氏は約2万票を得たが、次点に沈んだ。小池知事は選挙期間中に再三、伊藤氏の街宣に駆けつけ「目黒には3つの名物がある。目黒のサクラ、目黒のサンマ、伊藤悠だ」などと応援していたが、あえなく“撃沈”した格好である。 「青木、伊藤両氏はもともと民主党所属で、支持層がかぶる。そこに、立憲民主党推薦の元都議も出馬。いわゆる『民主系』支持層の票が割れた結果、伊藤氏は当選に届かなかった」(地元関係者) 敗因は他にもある。小池知事と良好な関係にある公明党が伊藤支援に動かなかったことだ。都ファ関係者は「公明票が青木陣営に流れてしまった」とこぼす。) 公明関係者はこう言う。 「定数3の都議選(目黒区選挙区)で、伊藤さんと公明候補はしのぎを削ってきた経緯があり、伊藤さんを支援する理由はない。今回は完全な自主投票だった」』、「定数3の都議選(目黒区選挙区)で、伊藤さんと公明候補はしのぎを削ってきた経緯があり、伊藤さんを支援する理由はない。今回は完全な自主投票だった」、これでは当選はおぼつかない。
・『狂った都知事3選のシナリオ 小池知事は、これまでの都政運営で公明の提案を“丸のみ”し、友好関係を築いてきた。その結果、2020年の前回知事選では支援を得るに至った。加えて、公明の支持母体・創価学会の女性部には「小池ファン」も多いとされる。それにもかかわらず、今回は公明にソッポを向かれてしまったわけだ。 「東京15区補選を巡っては、公明が毛嫌いする不倫スキャンダルを抱えた乙武さんの擁立を、小池知事が主導。一時、浮上した相乗り推薦が立ち消えになりました。さらに、小池知事自身も学歴詐称疑惑が再燃。公明が小池知事と距離を取り始めてもおかしくありません」(永田町関係者) 前出の公明関係者は「我々の支持層は小池さんへの好き嫌いで票を投じるわけではない」と言い切った。今回の一件で、小池氏の知事3選シナリオに狂いが生じかねない。) 「知事は、昨年末の江東区長選で都ファ推薦の候補を勝たせ、年明けの八王子市長選では自公推薦の候補を支援して当選に導きました。さらに、目黒区長選、東京15区で勝ちを重ねることで、今年7月の知事3選につなげる思惑があった。そう考えると、目黒区長選の負けはかなり痛い。東京15区の情勢も絶望的で、『連敗』濃厚です。さらに、公明まで離れれば、知事3選も遠のくでしょう」(都政関係者) さしもの“女帝”も政治生命の危機だ』、「東京15区補選を巡っては、公明が毛嫌いする不倫スキャンダルを抱えた乙武さんの擁立を、小池知事が主導。一時、浮上した相乗り推薦が立ち消えになりました。さらに、小池知事自身も学歴詐称疑惑が再燃。公明が小池知事と距離を取り始めてもおかしくありません・・・目黒区長選の負けはかなり痛い。東京15区の情勢も絶望的で、『連敗』濃厚です。さらに、公明まで離れれば、知事3選も遠のくでしょう」、首相の座など夢のまた夢になったようだ。いよいよ「女帝」の最後の時が近づいたようだ。
先ずは、本年4月18日付け東洋経済オンラインが掲載した神奈川大学 名誉教授の的場 昭弘氏による「小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/748576
・『東京都知事の小池百合子氏の学歴詐称疑惑が再燃している。2020年に一度収束していた問題が再浮上したわけだ。 学歴によって社会の能力を測る学歴社会において、学歴詐称が悪いことは当然のことだが、学歴という問題にはつねに複雑な問題がついて回ることも確かである。 筆者は2017年、スペインで開催されたEAIE(ヨーロッパ国際教育協会)に、当時勤務していた大学の国際センター所長として出席したが、そこでカイロ大学の関係者からもらったパンフレットの、いの一番に小池百合子氏の写真と名前があったことを記憶している』、興味深そうだ。
・『カイロ大学のパンフレットに小池氏の写真と名前 カイロ大学のスタッフからもらったパンフレットである。カイロ大学も卒業を認めているのかもしれない。もっとも大学への何らかの貢献によって取得した「名誉」卒業生である可能性もある。 もちろん日本でもあることだが、卒業していなくとも有名になるとその大学や学校のために卒業扱いになることもままある。大学ではなく、その途中の高校や中学の場合、みなし卒業として扱われたりもする。もちろん本当の卒業ではない。 かつての旧制高校や大学予科の場合、戦後そうした学校が存在しないことで、履歴上は大学卒になってしまうこともしばしばある。また昭和18年(1943年)の学徒動員によって、国家の命令で本来の卒業年数に届かない形で繰り上げ卒業した場合もある。 松本清張の『砂の器』の主人公のように、空襲で焼けてしまった市役所などの戸籍を偽装する場合のように、戦後のどさくさのなか勝手に大学を卒業した例も多くあった。 『東大ニセ学部―虚像と虚栄の記録』(桑原宗一郎著、講談社、1969年)という本がある。そこには、東京大学生になりすまし卒業までしてしまった例が書かれている。これはすべて実際にあった話をまとめたものだという。 気軽に女性にもてるために偽ったものから、受験失敗の苦労から勝手に学生になったものまで、そして助教授になりすました狂人までいろいろと出てくる。東大ブランドの借用だけでなく、それによって就職を得たものまでいるからおそろしい。 日本は学歴偏重社会である、もっと正確にいうと大学のブランド偏重社会である。有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会ともいえる。有名大学に入学した18歳の学力で、一生食っていける社会など日本以外にはないと思われる』、「大学のブランド偏重社会である。有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会ともいえる」、「ブランド偏重社会」はともかく、「有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会」とは誇張が過ぎるようだ。
・『海外では大学歴ではなく学位重視 海外で学歴の高さというのは、どの大学を出たかではなく、大学院の修士、博士といった高度な知識と学位を持っているかである。在学中に外交官試験にパスし、東京大学を中退した外交官が海外で落ち込むのは、赴任先で海外の外交官が博士号を持っていたりする場合だ。 不思議なことに、日本では東大卒で外交官になるより、中退でなったほうが優秀だとされるのだが、世界では大学院までいったほうが能力が高いとされている。 大学という世界に私も40年も暮らしてきたのだが、国によって大学がまちまちであることをずいぶん経験してきた。それは卒業ということにもいえる。 日本は、入学すればよほどのことがない限り卒業できる。だからこそ入学試験がすべてだといってもいいかもしれない。 大学入試の試験科目として全員に哲学の試験を課すフランスの入試問題は、4時間2問の論文形式である。日本人の高校生は哲学など無視するから、おそらくだれも解けまい。もっともバカロレアの合格率は80%を超えているので、答案の質のほうは疑問であるが。 バカロレアに通ればどこでも一応行けるので、医学部などは低学年でバサバサと落とす。日本では医学部に入学したというだけで優秀だということになる、フランスでは何の意味もない。) 私は大学院の博士課程の頃、政府給費留学生としてユーゴスラビアのザグレブ大学の大学院に留学したのだが、卒業などしていない。だからそのことを示す何の証明もない。日本の文部省が派遣したという証明書があるだけだ。もっともユーゴスラビアという国でさえ今では存在していない。 またその後、フランスのEHESS(国立社会科学高等研究院)にもいたが、勝手な聴講生なので証明書はない。もちろんこんなことは履歴に書かないほうがいい。博士課程に在学中であればそれだけで済むからだ。 しかし、見栄を張ってつい書いてしまうと大変なことになる。最初の就職先の一橋大学社会科学古典資料センターに正直にこの経歴を提出してしまったのだ。 国立大学のチェックは厳しく、この証明を得るため聴講していた教授に頼んで証明書を書いてもらった。自分で文面を書いて、教授にサインしてもらったのだ』、「最初の就職先の一橋大学社会科学古典資料センターに正直にこの経歴を提出してしまったのだ。 国立大学のチェックは厳しく、この証明を得るため聴講していた教授に頼んで証明書を書いてもらった。自分で文面を書いて、教授にサインしてもらったのだ」、海外の大学院などなら手間も大変だろうが、国内で済んだだけ幸運だった。
・『小池氏個人にとどまらない問題 教員になって外国人留学生の入試を担当すると、海外の高校や大学の卒業証明書を見ることが多くなる。中国などの留学生の高校卒業の証明書や、大学の卒業証明書が本当であるかどうかチェックするのだ。 これもさまざまな点で怪しいなと思うものがあるが、チェックしようがない。チェックすれば、膨大な手間と時間がかかるからだ。 さて、小池百合子氏の場合は問題が複雑である。それは彼女の卒業は、たんに個人的な問題にとどまらないからだ。日本とエジプトとの関係を考えれば、エジプト政府およびカイロ大学は卒業というだろう。 日本とエジプト、そして当時のサダト政権と田中角栄政権の複雑な関係を考える場合、卒業を問題とするよりも、どうやって卒業という事実を獲得したのかということを問題にしたほうがいいだろう。 しかし、これはとても勇気のいることかもしれない。卒業というものが国家権力と関係していた場合、真実を知ることは簡単ではないし、とても危険なことだからである。 小池氏が在学していた1972年から1976年までは、彼女と同年齢の私の学生時代とかぶる時代である。 なんといってもナセル大統領(1918~1970年)の後を継いだサダト大統領(1918~1981年)の時代であり、彼女がカイロ大学の2年に入学したとされるのは、1973年10月6日に勃発したイスラエルとの第4次中東戦争が始まった戦乱の時代だった。) 高齢者なら誰もが思い出すのは、東京・銀座からネオンが消え、主婦がトイレットペーパーを求めてさまよったことである。その理由は石油価格の高騰であり、日本は、OPEC(石油輸出国機構)の原油生産量削減にともなってアメリカの独占的メジャーの原油割り当てを下げられたからである。 小池氏の父親である小池勇二郎氏(1922~2013年)は実業家として海外との取引関係の仕事をしていた人物であり、日本の多くの黒幕とのつながりがあった人物だとされている。作家の黒木亮氏が書いた短い文章がネットで公開されている』、「小池氏の父親である小池勇二郎氏・・・は実業家として海外との取引関係の仕事をしていた人物であり、日本の多くの黒幕とのつながりがあった人物」、なるほど。
・『小池氏の父とエジプトの要人との関係 それによると、彼女の面倒をエジプトで見たのは、勇二郎氏と懇意にしていたエジプトの要人アベル・カデル・ハテムという人物だという。1913年生まれの政治家でナセルの革命に参加し、その後エジプトの要職を得て、日本とエジプトの友好協会の理事長を務めていたという。 1974年にサダト時代の副首相だったハテムは日本を訪問し、田中角栄や三木武夫にも会ったことがある。日本からの勲章旭日大綬章を授かったという。1974年といえば、石油ショックの翌年である。その勲功がこの受賞につながったのだろう。 日本は、長い間エネルギー資源の独立を探ってきた。多くの石油会社は欧米のメジャー系から割り当てられる原油を買ってきたことで燃料資源を欧米に握られていた。この独占を覆そうとしたのが出光興産だが、日本政府は石油ショックの際、困窮に陥った。 欧米の割り当てのみならず、中東諸国から敵国扱いを受けたからである。それがあの狂乱の石油ショックを生み出した。 石油不足を懸念した政府は、アラブの友人を頼って奔走した。ナイジェリアやアルジェリア、イランなどと交渉したのはそのときである。田中角栄が送った三木武夫を団長とする代表団はカイロに向かう。エジプトとの関係改善のためだ。 関西経済同友会の幹事だった小池勇二郎氏のところには当然話があったはずである。日本の中枢部と関係を持つ彼は、エジプトにも多くの知人がいたからである。その知人の一人がハテムであった。 小池百合子氏がエジプトで大学に入学したのは、まさに日本政府が派遣団を送った時期である。やがてエジプト政府は日本を敵国からはずし、日本はアメリカが提案する決議に反対することになる。) その決議は、中東諸国が提起したイスラエルの1967年の占領地域からの即時撤退という提案である。日本はなんとこれを暗に支持したのである。これはアメリカをいたく怒らせた。 やがてアメリカの国務長官だったキッシンジャーがやってきて、日本政府に苦言を呈するが、それがやがてアメリカの報復、すなわちロッキード事件となるというのはかなり知られた話である。 田中角栄の背後にいたのが、岸信介、小佐野賢治、児玉誉士夫、中曽根康弘といわれており、当然ながらハテムとサダトは、日本に対して恩を売り、日本も中東諸国の恩を返したということになる。 サダトは1981年10月の閲兵式で暗殺される。それによって政権は崩壊するが、黒木亮氏によるとサダト政権は腐敗にまみれていたという。とりわけ国内の経済悪化の改善のための日本政府からの援助を望んだのである。 こうした関係の中で、小池百合子氏の卒業は在学と無関係に認定されていったのかもしれない。サダトのナンバー2であったハテムにそれが不可能なはずはなく、政治的配慮の中でことは進んでいったのかもしれない。あくまで想像である』、「彼女の面倒をエジプトで見たのは、勇二郎氏と懇意にしていたエジプトの要人アベル・カデル・ハテムという人物だという。1913年生まれの政治家でナセルの革命に参加し、その後エジプトの要職を得て、日本とエジプトの友好協会の理事長を務めていたという・・・中東諸国が提起したイスラエルの1967年の占領地域からの即時撤退という提案である。日本はなんとこれを暗に支持したのである。これはアメリカをいたく怒らせた。 やがてアメリカの国務長官だったキッシンジャーがやってきて、日本政府に苦言を呈するが、それがやがてアメリカの報復、すなわちロッキード事件となるというのはかなり知られた話である」、自主外交の限界を示した出来事だった。
・『カイロ大学はなぜ無言なのか もしこれが事実だとすれば、現在のエジプト政府が日本政府に対して話を蒸し返し、卒業はなかったといえるかどうか、国立大学であるカイロ大学が学問の自由のために本当のことを言う勇気があるかどうかである。 日本人にとっても話は複雑だ。小池氏の卒業だけに問題が絞られているが、当時の政治的流れの中でそうなったのだとすれば、日本政府の問題とも絡んでくる。とりわけそれは、アメリカからの石油資源の独立の問題であり、アメリカからの政治的自由の問題である。 右翼といわれている面々が、日本を守るためにそれを行ったのだとすれば、そこにメスを入れる勇気があるかどうかということだ。もしそうだとすれば、小池氏がこれを暴露することは当然できないだろうし、日本政府もアメリカとの関係にまで発展させたくないであろう。 だからこそマスコミは、小池氏の卒業詐称という個人的な問題に終始し、その当時の日本とエジプトとの関係、そして小池氏の父親にさかのぼる、日本のドンとの関係に触れたくないのである。 もちろん、この学歴詐称問題が小池氏による自作自演の詐称行為ならば、この話と関係ないことになろう。その場合、この「わらしべ王女」の野心が打ち砕かれるだけのことである。 本当にそれだけなのだろうか。話題のもう1つの中心であるカイロ大学が、正式な発表をしないのはなぜなのか。私にはそれが気になる』、「日本政府もアメリカとの関係にまで発展させたくないであろう。 だからこそマスコミは、小池氏の卒業詐称という個人的な問題に終始し、その当時の日本とエジプトとの関係、そして小池氏の父親にさかのぼる、日本のドンとの関係に触れたくないのである」、その通りだ。
次に、4月18日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの伊藤 博敏氏による「小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/128085
・『「爆弾告発」のウラで 「告発状といえば、こんなのも送られてきたんですが……」 旧知の千代田区議からこう声をかけられ、A4版5枚の文書を見せられたのは、昨年11月初旬のことだった。 文書は2021年1月の千代田区長選で樋口高顕氏が、小池百合子都知事の圧倒的な支援を受け、38歳の若さで初当選したカラクリを明かすもので、こう綴られていた。 <小池知事の学歴問題を隠蔽するために樋口氏が多大なる貢献をしたからです。ご承知の通り、カイロ大学は2020年6月9日、駐日エジプト大使館のFacebook上で声明を発し、小池知事の卒業を正規のものと認めただけでなく、それに疑問を呈することは大学への名誉毀損であり、エジプトの法令に基づいて対応を検討すると警告しました。(中略)実はこの声明の原案は樋口氏が作成を主導したものです> 結果として文書は、約5ヵ月後の4月10日、“日の目”を見ることになる。『文藝春秋』5月号で小島敏郎・元都民ファーストの会事務総長が、「私は学歴詐称工作に加担してしまった」とする爆弾告発を行った。 そのなかでは、元ジャーナリストのA氏が作成したという「駐日エジプト大使館のフェイスブックに上げられたカイロ大学声明文の文案」が示されており、それとほぼ同じものが千代田区議会に出回った告発文にも掲載されていた。「ほぼ」というのは、小島氏の記事にあるA氏作成の文案が日本語で、千代田区告発文が英語の違いだ。インパクトは同じである。 日付は令和4(2022)年5月24日だった。黒鉄喜久蔵(ペンネーム)と記され、続報も示唆されていたが、それはなかった。当時、千代田区では「もうひとつの告発文」が話題だった』、「もうひとつの告発文」とはどういうことなのだろう。
・『メール文章の信憑性 千代田区で公共工事に影響力を行使する自民党の嶋崎秀彦区議に関するもので、「千代田区元契約課職員有志」が差出人となり警視庁捜査2課に次のような告発文を送った。 <嶋崎秀彦区議は、歴代の契約担当の幹部職員に対し、公共施設建設に伴う管工事にかかわる部分について、入札業者名を聞き出し、その情報を自身と関係のある管工事事業者に伝え、便宜供与を行なっています> 告発状の日付は令和4(22)年8月30日。これを受けて警視庁の捜査は始まり、嶋崎区議は今年2月から3月にかけて、官製談合防止法違反罪やあっせん収賄罪で逮捕、起訴され被告となった。 筆者はこの事件取材を行い、「現代ビジネス」で<江東区長の「選挙違反」だけでなく、千代田区でも…「不正とカネ」まみれの都政に巣食う「しがらみ政治」>と題して23年11月16日に配信した。 同時に、樋口氏が加担したとされる、小池氏の学歴詐称の隠蔽工作疑惑についても取材を進めた。文書に残されたメールの履歴と当時の小池氏や樋口氏、都議会の動きを照合、当時を知る議会関係者や都庁担当記者に話を聞いたが、メールに記載された文書の信憑性は確認できなかった。 なにより記載されていたメールは印刷された文書のコピーである。メールがアドレスを含め、いくらでも改ざんできるのは、06年に発覚した「偽メール事件」で明らかであり、怪文書の存在を表にすることはできなかった。偽メール事件は告発した代議士の辞職(その後自殺)につながり、前原誠司民主党代表の引責辞任を引き起こした』、「記載されていたメールは印刷された文書のコピーである。メールがアドレスを含め、いくらでも改ざんできるのは、06年に発覚した「偽メール事件」で明らかであり、怪文書の存在を表にすることはできなかった」、なるほど。
・『小島氏の結論 だが、告発状の意味するところは大きい。小島氏が指摘しているように、A氏が書いた原案とフェイスブックに掲載された「カイロ大声明文」との違いは、小池氏が「最も気にしていた部分」である。 小島氏は、「卒業名簿にその記載がある」という部分が削られた理由として、卒業名簿に名前があるかどうかに疑念が残るからではないかと推察し、「公正な審理と手続きを経てなされた」が削除されたのは、実際には審理も手続きもしていなかったから、と読む。 また、二つ目の変更点として、A氏案の「日本、エジプト双方の法令に基づき適切な対応を検討している」から日本が削られて、「エジプト法令に則り」となっていることに関し、仮に日本で裁く場合、裁判所が小池氏に証言などの協力を依頼する可能性があるからではないか、と推察した。 小島氏の結論はこうだ。 <いずれにせよ声明文は、図らずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた> それをもとにこう結論付けた。 <大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです>』、「声明文は、図らずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた> それをもとにこう結論付けた。 <大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです」、なるほど。
・『逃げ切りはありえない 小島氏は取材依頼のあった記者を集めて、4月12日に弁護士会館で説明会を開き、17日には日本外国特派員協会で記者会見を行なって詳細に説明した。環境庁の官僚として水俣病問題に真剣に取り組んだ小島氏は、「詐称は許されず、小池氏のような都知事にして首相候補でもある有力政治家が、エジプトに弱味を握られてはならない」という強い思いで告発に及んだ。 隠蔽工作に図らずも絡んだという忸怩たる思いもあり、告発は続けるだろうし、今は匿名のAさんが表に出ることも考えられよう。 全ての責任を負うべきは小池氏だが、千代田区長という公職にある樋口氏の責任も重い。告発文が指摘するまでもなく、コロナ禍の緊急事態宣言下にも関わらず小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある。 筆者は樋口氏のアドレスに改めて「取材依頼」のメールを送ったが返事はない。なにより樋口氏は、発売日以降、騒動を避けるように、この件に関して情報を発信していない。もちろん逃げ切りはありえない――。 筆者連載〈【実名告発】「そういうことにしちゃったの?」「うん」と…小池百合子「虚飾の履歴」を50年間秘めていた「カイロ時代の同居人」の思い〉も、合わせてお読みください』、「全ての責任を負うべきは小池氏だが、千代田区長という公職にある樋口氏の責任も重い。告発文が指摘するまでもなく、コロナ禍の緊急事態宣言下にも関わらず小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある」。「小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある」、その通りである。
第三に、4月20日付け日刊ゲンダイ「消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起」を紹介しよう。
・『“女帝”の神通力もここまでか。元側近の告発で、学歴詐称疑惑が再燃している小池都知事。疑惑払拭に至らず、焦燥感を募らせている。 2020年の都知事選直前にエジプトのカイロ大学が小池氏の卒業を証明する声明文を公表したが、元側近の小島敏郎氏は声明文について「小池知事が作成に関与した」と告発。声明文の書きぶりを巡って、小池氏と側近らが相談していたメールを提示した上で、小池氏がカイロ大卒業の事実を偽装したと訴えている。 先週に続き、19日の小池都知事の定例会見でもこの問題に質問は及んだ。小池氏は「私自身が関知しているものではない」と声明文作成への関与を否定したが、側近らと相談したか否かについては触れずじまい。疑惑払拭とは程遠い内容で、当分はこの問題を引きずることになる』、「元側近の小島敏郎氏は声明文について「小池知事が作成に関与した」と告発。声明文の書きぶりを巡って、小池氏と側近らが相談していたメールを提示した上で、小池氏がカイロ大卒業の事実を偽装したと訴えている」、なるほど。
・『「命の危険を感じる」と対立候補を批判 小池氏は相変わらずのニヤケ顔だったとはいえ、内心では焦りを募らせているようだ。小池氏は28日投開票の衆院東京15区補欠選挙で作家・乙武洋匡氏を支援。情勢を聞かれると、「選挙活動の範囲を逸脱している」とし、16日の告示日に乙武陣営のすぐ隣で大音量で演説をぶった対立候補への批判を展開した。) 確かに当日は、小池氏が「選挙スタッフが命の危険を感じるような場面があった」と言うのも大袈裟ではないほどだった。ただ、そんな妨害の影響を差し引いても、乙武陣営の情勢は絶望的。全面支援する乙武氏が落選すれば、小池氏への大ダメージは必至だ。 「複数の情勢調査によると、立憲民主党の候補がリード。乙武さんは日本維新の会の候補の後塵を拝し、沈んでいます。過去の不倫スキャンダルが響いているようです。知事の学歴詐称疑惑再燃の影響も否めません」(地元関係者)』、「乙武陣営の情勢は絶望的。全面支援する乙武氏が落選すれば、小池氏への大ダメージは必至だ」、なるほど。
・『目黒区長選の応援演説でも聴衆わずか 小池氏には、もうひとつ落とせない選挙がある。21日投開票の東京・目黒区長選だ。 最終盤の情勢は、小池氏率いる「都民ファーストの会」(都ファ)推薦の元都議・伊藤悠氏と現職で無所属の青木英二氏の大接戦である。2人はもともと民主党所属で支持層がかぶる状況の中、他にも立憲推薦の元都議・西崎翔氏も出馬したことで「票が割れかねない」(区政関係者)ことが原因だという。 小池氏は19日、子飼いの伊藤氏の街宣に応援入り。14日の告示日に続き2度目だ。JR目黒駅前で「伊藤さんを押し上げてください!」と懸命に訴えたが、聴衆は300人程度で、足を止める人はごくわずか。かつては小池氏が街頭に立てば、1000人ほどの聴衆が集まったものだが、動員力はガタ落ち。疑惑再燃の影響か、神通力の凋落は明らかだった。) 伊藤氏までが当選を逃せば、小池氏の求心力は地に落ちてもおかしくない。都ファ関係者はこう言う。 「知事は、昨年末の江東区長選で都ファ推薦の候補を当選させ、年明けの八王子市長選では自公推薦の候補を支援して勝利に導き、勢いをつけた。さらに、目黒区長選、東京15区で勝ちを重ねることで、今年7月の知事3選にこぎ着ける絵を描いている。この2つの選挙は何としても勝たなければ、と思っているはずです」 疑惑がくすぶり続ける中、女帝は面目を保てるだろうか』、「目黒区長選」は現職が勝利し、「小池氏」の支持候補は落選、「女帝は面目」を潰したことになる。
第四に、4月23日付け日刊ゲンダイ「小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/339292
・『“子飼い”の落選に、さぞ焦っているに違いない。28日投開票の衆院3補欠選挙で、東京15区から出馬した作家・乙武洋匡候補を支援する小池都知事が窮地だ。21日に投開票された東京・目黒区長選で全面バックアップした「都民ファーストの会(都ファ)」の伊藤悠元都議が落選。小池知事自身の求心力低下は必至だ。 区長選は、無所属現職の青木英二区長が約2万5000票を獲得して当選。 伊藤氏は約2万票を得たが、次点に沈んだ。小池知事は選挙期間中に再三、伊藤氏の街宣に駆けつけ「目黒には3つの名物がある。目黒のサクラ、目黒のサンマ、伊藤悠だ」などと応援していたが、あえなく“撃沈”した格好である。 「青木、伊藤両氏はもともと民主党所属で、支持層がかぶる。そこに、立憲民主党推薦の元都議も出馬。いわゆる『民主系』支持層の票が割れた結果、伊藤氏は当選に届かなかった」(地元関係者) 敗因は他にもある。小池知事と良好な関係にある公明党が伊藤支援に動かなかったことだ。都ファ関係者は「公明票が青木陣営に流れてしまった」とこぼす。) 公明関係者はこう言う。 「定数3の都議選(目黒区選挙区)で、伊藤さんと公明候補はしのぎを削ってきた経緯があり、伊藤さんを支援する理由はない。今回は完全な自主投票だった」』、「定数3の都議選(目黒区選挙区)で、伊藤さんと公明候補はしのぎを削ってきた経緯があり、伊藤さんを支援する理由はない。今回は完全な自主投票だった」、これでは当選はおぼつかない。
・『狂った都知事3選のシナリオ 小池知事は、これまでの都政運営で公明の提案を“丸のみ”し、友好関係を築いてきた。その結果、2020年の前回知事選では支援を得るに至った。加えて、公明の支持母体・創価学会の女性部には「小池ファン」も多いとされる。それにもかかわらず、今回は公明にソッポを向かれてしまったわけだ。 「東京15区補選を巡っては、公明が毛嫌いする不倫スキャンダルを抱えた乙武さんの擁立を、小池知事が主導。一時、浮上した相乗り推薦が立ち消えになりました。さらに、小池知事自身も学歴詐称疑惑が再燃。公明が小池知事と距離を取り始めてもおかしくありません」(永田町関係者) 前出の公明関係者は「我々の支持層は小池さんへの好き嫌いで票を投じるわけではない」と言い切った。今回の一件で、小池氏の知事3選シナリオに狂いが生じかねない。) 「知事は、昨年末の江東区長選で都ファ推薦の候補を勝たせ、年明けの八王子市長選では自公推薦の候補を支援して当選に導きました。さらに、目黒区長選、東京15区で勝ちを重ねることで、今年7月の知事3選につなげる思惑があった。そう考えると、目黒区長選の負けはかなり痛い。東京15区の情勢も絶望的で、『連敗』濃厚です。さらに、公明まで離れれば、知事3選も遠のくでしょう」(都政関係者) さしもの“女帝”も政治生命の危機だ』、「東京15区補選を巡っては、公明が毛嫌いする不倫スキャンダルを抱えた乙武さんの擁立を、小池知事が主導。一時、浮上した相乗り推薦が立ち消えになりました。さらに、小池知事自身も学歴詐称疑惑が再燃。公明が小池知事と距離を取り始めてもおかしくありません・・・目黒区長選の負けはかなり痛い。東京15区の情勢も絶望的で、『連敗』濃厚です。さらに、公明まで離れれば、知事3選も遠のくでしょう」、首相の座など夢のまた夢になったようだ。いよいよ「女帝」の最後の時が近づいたようだ。
タグ:「最初の就職先の一橋大学社会科学古典資料センターに正直にこの経歴を提出してしまったのだ。 国立大学のチェックは厳しく、この証明を得るため聴講していた教授に頼んで証明書を書いてもらった。自分で文面を書いて、教授にサインしてもらったのだ」、海外の大学院などなら手間も大変だろうが、国内で済んだだけ幸運だった。 「大学のブランド偏重社会である。有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会ともいえる」、「ブランド偏重社会」はともかく、「有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会」とは誇張が過ぎるようだ。 的場 昭弘氏による「小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代」 東洋経済オンライン (その11)(小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代、小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき、消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起、小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ) 小池都知事問題 「小池氏の父親である小池勇二郎氏・・・は実業家として海外との取引関係の仕事をしていた人物であり、日本の多くの黒幕とのつながりがあった人物」、なるほど。 「彼女の面倒をエジプトで見たのは、勇二郎氏と懇意にしていたエジプトの要人アベル・カデル・ハテムという人物だという。1913年生まれの政治家でナセルの革命に参加し、その後エジプトの要職を得て、日本とエジプトの友好協会の理事長を務めていたという・・・中東諸国が提起したイスラエルの1967年の占領地域からの即時撤退という提案である。 日本はなんとこれを暗に支持したのである。これはアメリカをいたく怒らせた。 やがてアメリカの国務長官だったキッシンジャーがやってきて、日本政府に苦言を呈するが、それがやがてアメリカの報復、すなわちロッキード事件となるというのはかなり知られた話である」、自主外交の限界を示した出来事だった。 「日本政府もアメリカとの関係にまで発展させたくないであろう。 だからこそマスコミは、小池氏の卒業詐称という個人的な問題に終始し、その当時の日本とエジプトとの関係、そして小池氏の父親にさかのぼる、日本のドンとの関係に触れたくないのである」、その通りだ。 現代ビジネス 伊藤 博敏氏による「小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき」 「もうひとつの告発文」とはどういうことなのだろう。 「記載されていたメールは印刷された文書のコピーである。メールがアドレスを含め、いくらでも改ざんできるのは、06年に発覚した「偽メール事件」で明らかであり、怪文書の存在を表にすることはできなかった」、なるほど。 「声明文は、図らずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた> それをもとにこう結論付けた。 <大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです」、なるほど。 「全ての責任を負うべきは小池氏だが、千代田区長という公職にある樋口氏の責任も重い。告発文が指摘するまでもなく、コロナ禍の緊急事態宣言下にも関わらず小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある」。 「小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある」、その通りである。 日刊ゲンダイ「消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起」 「元側近の小島敏郎氏は声明文について「小池知事が作成に関与した」と告発。声明文の書きぶりを巡って、小池氏と側近らが相談していたメールを提示した上で、小池氏がカイロ大卒業の事実を偽装したと訴えている」、なるほど。 「乙武陣営の情勢は絶望的。全面支援する乙武氏が落選すれば、小池氏への大ダメージは必至だ」、なるほど。 「目黒区長選」は現職が勝利し、「小池氏」の支持候補は落選、「女帝は面目」を潰したことになる。 日刊ゲンダイ「小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ」 「定数3の都議選(目黒区選挙区)で、伊藤さんと公明候補はしのぎを削ってきた経緯があり、伊藤さんを支援する理由はない。今回は完全な自主投票だった」、これでは当選はおぼつかない。 「東京15区補選を巡っては、公明が毛嫌いする不倫スキャンダルを抱えた乙武さんの擁立を、小池知事が主導。一時、浮上した相乗り推薦が立ち消えになりました。さらに、小池知事自身も学歴詐称疑惑が再燃。公明が小池知事と距離を取り始めてもおかしくありません・・・目黒区長選の負けはかなり痛い。 東京15区の情勢も絶望的で、『連敗』濃厚です。さらに、公明まで離れれば、知事3選も遠のくでしょう」、首相の座など夢のまた夢になったようだ。いよいよ「女帝」の最後の時が近づいたようだ。
小池都知事問題(その10)(神宮外苑の再開発 日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々、「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ、女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…) [国内政治]
小池都知事問題については、本年3月11日に取上げた。今日は、(その10)(神宮外苑の再開発 日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々、「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ、女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…)である。
先ずは、本年4月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長のロッシェル・カップ氏による「神宮外苑の再開発、日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341423
・『100年近く都心の緑を守ってきた明治神宮外苑だが、大規模再開発によって多くの樹木が伐採されることになり、昨年から論争を巻き起こしている。故・坂本龍一氏や作家の村上春樹氏ら各界の有識者が声明を出したり、ロックバンド・サザンオールスターズが再開発に異を唱える歌を発表したりするなど、世論の反発が波及している。それにもかかわらず、再開発工事が強行されているのはなぜなのか。夏の東京都知事選挙の争点にもなるといわれ、改めてこの問題を考える』、興味深そうだ。
・『なぜ日本人でもないのに「再開発」に必死にこだわるのか 私は米国人で、30年間日本と米国を行き来して、経営コンサルタントとして働く一方、2年前から神宮外苑再開発計画の見直しを求める運動を率先して行っています。 日本人でもないのに、なぜ神宮外苑を守るために、これほど必死に闘うのかと多くの人に聞かれます。 きっかけは、偶然見たニュースでした。2022年2月、東京都の都市計画審議会が神宮外苑再開発計画を承認したというニュースです。約1000本の樹木が伐採されることをはじめ、問題の多い再開発が、十分な周知もディスカッションもないまま、決定されたことに大きな驚きと疑問を覚えました。 神宮外苑再開発は、本来できないはずの地域に、制度や条例をねじ曲げてでも強引に再開発を可能にしようという、異常な手法の計画だと考えています。何よりも都民、市民の利益を優先すべき東京都が、どうしてこれほど事業者のために献身的に動くのかは大きな疑問です。歴史的価値の高い都市資産である神宮外苑に、もっと敬意を払うべきなのではと思います。 ショックを受けた私は、すぐにオンライン署名を立ち上げ、計画について住民とオープンに意見交換や議論することを求めました。 私はこのように社会にコミットすることに国籍は関係ないと思っています。「Think global, act local(グローバルに考え、ローカルに行動する)」が私の信念です。世界のどこであろうと、自分が住む愛着のある街、地域社会に問題を感じたら、情報を集め、議論し、解決に向かって貢献しようとするのは自然なことだと思っています。 日本では、なぜか環境や社会の問題について発言を控えたがる経営者もいるようですが、米国や欧州では、重要な社会問題について発言し関与することは、ビジネスリーダーとしての社会的責務だと考えられています』、「東京都の都市計画審議会が神宮外苑再開発計画を承認・・・約1000本の樹木が伐採されることをはじめ、問題の多い再開発が、十分な周知もディスカッションもないまま、決定されたことに大きな驚きと疑問を覚えました」、同感である。
・『再開発で何が失われるのか 〈低下する緑の質と環境〉 今回の計画を、事業者(三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター〈JSC〉、伊藤忠商事)や都知事は、「緑の更新」という言葉を使います。しかし、古木は不要だと切り捨て、若木に取り換えればいいという考えは、短絡的で、サステナブルな時代の感覚に合っているとはいえません。 また「開発後に緑の割合は増える」と言いますが、それは葉の密度の濃い古木と、そうではない若木や芝生を均一に扱う面積比から割り出した、巧妙に錯覚をもたらす作為的な数字といえます。 再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです。 また、改修して保存活用可能な建物を壊して建て替えるスクラップ・アンド・ビルドは、膨大な二酸化炭素を排出することになり、脱炭素化が進む世界の潮流に全く逆行しています』、「再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです」、「「開発後に緑の割合は増える」と言いますが、それは葉の密度の濃い古木と、そうではない若木や芝生を均一に扱う面積比から割り出した、巧妙に錯覚をもたらす作為的な数字といえます。 再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです」、なるほど。
・『〈問われる民主性〉 過剰な高度利用による高層ビルと巨大施設の建て替えという、無謀な再開発の犠牲になるのは、樹木だけではありません。 スポーツクラスター(一帯をスポーツ施設の集積地にすること)」という目標を掲げておきながら、既存の軟式野球場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる公益性の高い施設が全て廃止されるのは大きな矛盾です。 小池百合子都知事は、情報開示と民主的な都政を掲げていますが、このプロジェクトの進め方は真逆です。21年12月に開かれた住民説明会でも、一方的に計画内容の説明をした上で、計画はすでに決まったことであり、変更は認められないと告げるだけでした。十分な周知もないまま、22年2月の都市計画審議会において「議論は十分尽くされた」と採決を強行し可決。事業者ありき、再開発推進が前提の住民不在の決定でした。それから約2年がたった今も、情報の少なさ、住民や専門家の意見を顧みない決定プロセスは変わっていません。 そのため、景観・環境破壊を含め、風害、騒音、あるいは長期の工事期間中の災害時の避難対策の不備など、深刻な住民被害の問題を抱えたまま、非民主的な再開発は進んでいます』、「スポーツクラスター・・・」という目標を掲げておきながら、既存の軟式野球場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる公益性の高い施設が全て廃止されるのは大きな矛盾です・・・住民説明会でも、一方的に計画内容の説明をした上で、計画はすでに決まったことであり、変更は認められないと告げるだけでした。十分な周知もないまま、22年2月の都市計画審議会において「議論は十分尽くされた」と採決を強行し可決。事業者ありき、再開発推進が前提の住民不在の決定でした・・・景観・環境破壊を含め、風害、騒音、あるいは長期の工事期間中の災害時の避難対策の不備など、深刻な住民被害の問題を抱えたまま、非民主的な再開発は進んでいます」、由々しいことだ。
・『再開発を不公平に先導する東京都の責任 小池都知事は、再開発は民間事業として進められているのであり、都として介入することはできないと言います。しかし、この再開発事業は都が発案したことに始まっています(参照:東京都都市整備局「岸記念体育会館の移転等に関する主な経緯」)。「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」にかなう市街地再開発として、都知事が施行を認可したからこそ、実施されているのです。その事実を無視し、責任から逃れようとするのは不誠実です。 東京都は、再開発事業を進めるに当たり、まずオリンピック・パラリンピック開催のための国立競技場建て替えを機に、建築物の高さ制限を、外苑一帯にまでエリアを広げ、大幅に緩和しました。そして、都が独自に作った「公園まちづくり制度」という名の「要綱」により、3.4ヘクタールの区域を都市計画公園から削除するという前代未聞の荒技を用いて、高層ビル建設の敷地を確保しました。その際、ラグビー場は「公園として利用されていないスペース」だからという理屈をつけています。その上、「再開発等促進区」という土地の高度利用を目的とした手法を駆使し、容積率を極限まで拡大して積み上げ、本来この地区には建てられないはずの超高層ビルの建設を可能にしてしまいました。 それだけではありません。 神宮外苑は創建時より、その景観や環境が保護されるべきものとして風致地区に指定されています。 しかし20年、東京都は、風致地区条例の許可権を持つ新宿区に対し、市街地再開発エリアについて最も保全の厳しい基準から一番緩い基準へと変更するよう依頼し、区議会や都市計画審議会などに諮ることなく決裁しました。これにより、樹木伐採や建築の高さ基準は、事業者にとって都合のいいように、大幅に緩和されてしまいました。 また、神宮外苑再開発の環境アセスメント(影響評価)に提出された評価書には重大な誤りや虚偽があり、正しい判断とは認められないことを、日本イコモス国内委員会など専門家が厳しく指摘してきました。 しかし、23年1月の環境アセスメントの最終プロセスにおいて、東京都は審議会委員からの懸念意見を「助言」という制限をかけて無力化しました。そして、審議会会長が「虚偽と指摘された評価書に基づいた着工届に、ゴーサインを出すことは難しい」と明言したにもかかわらず、この時点で審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました。このような都の横暴なやり方に対して、環境アセスメントの世界的な学会「国際影響評価学会(IAIA)」や、国内の権威ある「日本弁護士連合会(日弁連)」からも、公式声明により非難されたことは、恥ずべき事態です。 事業者も都も、口をそろえて「法的にも、手続きにも問題はない」と言いますが、そもそも両者が結託し、事業計画に合わせてガイドラインを作り、無理やりな解釈で制度に当てはめたり、区域を削除したり、条例の方を変更したり、あるいは審議会運営を操作したりしているのです。このようにゆがめられた都市計画行政は実に不公平であり、非民主的であると言わざるを得ません』、「小池都知事は、再開発は民間事業として進められているのであり、都として介入することはできないと言います。しかし、この再開発事業は都が発案したことに始まっています・・・都知事が施行を認可したからこそ、実施されているのです。その事実を無視し、責任から逃れようとするのは不誠実です・・・オリンピック・パラリンピック開催のための国立競技場建て替えを機に、建築物の高さ制限を、外苑一帯にまでエリアを広げ、大幅に緩和しました。そして、都が独自に作った「公園まちづくり制度」という名の「要綱」により、3.4ヘクタールの区域を都市計画公園から削除するという前代未聞の荒技を用いて、高層ビル建設の敷地を確保・・・風致地区条例の許可権を持つ新宿区に対し、市街地再開発エリアについて最も保全の厳しい基準から一番緩い基準へと変更するよう依頼し、区議会や都市計画審議会などに諮ることなく決裁しました。これにより、樹木伐採や建築の高さ基準は、事業者にとって都合のいいように、大幅に緩和・・・環境アセスメントの最終プロセスにおいて、東京都は審議会委員からの懸念意見を「助言」という制限をかけて無力化しました。そして、審議会会長が「虚偽と指摘された評価書に基づいた着工届に、ゴーサインを出すことは難しい」と明言したにもかかわらず、この時点で審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました。このような都の横暴なやり方に対して、環境アセスメントの世界的な学会「国際影響評価学会(IAIA)」や、国内の権威ある「日本弁護士連合会(日弁連)」からも、公式声明により非難されたことは、恥ずべき事態です」、特に「環境アセスメント」の「審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました」、乱暴極まりないやり方だ。
・『明治神宮への疑問、利用される「内苑の護持」 当初、最大の地権者である明治神宮をはじめとした事業者は「老朽化した神宮球場の建て替え」を再開発の主な理由としていましたが、だんだんと都知事までも口裏を合わせ「内苑の護持のため」と言い始めるようになります。 つまり、広大な内苑の維持管理費用が明治神宮の財政を圧迫し、その救済のため、より収益を上げるよう外苑の施設の更新・増設が必要だというのです。内苑を支えるため、外苑はもっと稼がなくてはならないという主張です。 しかし、一宗教法人の利益の便宜を図るために、公益を損ねるような再開発が進められていいのでしょうか。「内苑の護持」という言い分は、再開発を正当化するために利用される口実のように思えます。 最近の報道で、今から20年も前の03年に、明治神宮の依頼を受け、都市計画や造園学の専門家がまとめた「神宮外苑の整備構想」があったことが分かりました。それは創建の理念を尊重した「外苑の環境を壊さないよう、神宮の維持のための必要最小限の計画」であり、造営当時のように住民から行政までを巻き込んで事業を進める民主的な構想でした。しかし、この構想は当時のゼネコンやデベロッパー、都などに説明したものの、賛同者が集まらず実現には至りませんでした。 その後、オリンピック・パラリンピック招致を機に、現在のデベロッパー主導の大規模再開発計画が浮上したのですが、明治神宮がどのようにして、計画に同意したのかは明らかではありません。 たしかに内苑の維持は重要なことですが、そのために外苑を犠牲にするような現在の計画が唯一の選択肢だとは思えません。03年の構想がそうであったように、もっと環境に配慮した計画に見直すこともできるのではないでしょうか。 あるいは、内苑の社殿を囲む森は神域として明治神宮が守り、宝物殿前の風景式庭園などは都市公園として国や都などが公的に管理することで、経済的負担を軽減することも可能だと思います』、「内苑の維持は重要なことですが、そのために外苑を犠牲にするような現在の計画が唯一の選択肢だとは思えません。03年の構想がそうであったように、もっと環境に配慮した計画に見直すこともできるのではないでしょうか」、なるほど。
・『緑の更新でも老朽化でもない再開発の理由 樹木伐採に対する批判を受け、再開発は「緑の更新に必要」「木を切らずにこの計画は成り立たない」と明治神宮は説明しています。しかし、それならば、木を切らずにできる計画に見直せばいいのではないでしょうか。 野球場とラグビー場の用地を入れ替えず、そして高層ビルを建設しなければ、大量の樹木伐採をすることなく景観も破壊されず、周辺住民の被害も軽減するのです。 建築の専門家は、2つのスタジアムの改修による保存活用は可能であると指摘しています。日本イコモス国内委員会も、新建築家技術者集団も、樹木伐採を必要としない改修による代替案を出していますが、受け入れたくない事業者は、それを無視し続けています。 実際に、神宮球場より古い甲子園球場は、シーズンオフを利用し試合を継続しながら改修工事を行い、次の100年に向かって見事に再生を果たしています。なぜ神宮球場はそうしないのでしょう。なぜ現在の計画が唯一無二のプランであると言い張るのでしょうか。 事業者は、表向きは「老朽化」による施設の建て替え、その際の「競技の継続性」を理由に、野球場とラグビー場の用地を入れ替えて新設するのだとしていますが、ではなぜ「3棟もの超高層ビル」の建設が必要なのかという疑問には答えていません。 再開発の真の狙いが、都市計画公園の中に無理やりスペースを確保し、異常なまでに容積率を拡大した高層ビル建設によってもたらされる莫大(ばくだい)な利益にあるとしか思えません』、「野球場とラグビー場の用地を入れ替えず、そして高層ビルを建設しなければ、大量の樹木伐採をすることなく景観も破壊されず、周辺住民の被害も軽減するのです。 建築の専門家は、2つのスタジアムの改修による保存活用は可能であると指摘しています。日本イコモス国内委員会も、新建築家技術者集団も、樹木伐採を必要としない改修による代替案を出していますが、受け入れたくない事業者は、それを無視し続けています。 実際に、神宮球場より古い甲子園球場は、シーズンオフを利用し試合を継続しながら改修工事を行い、次の100年に向かって見事に再生を果たしています。なぜ神宮球場はそうしないのでしょう・・・ではなぜ「3棟もの超高層ビル」の建設が必要なのかという疑問には答えていません。 再開発の真の狙いが、都市計画公園の中に無理やりスペースを確保し、異常なまでに容積率を拡大した高層ビル建設によってもたらされる莫大(ばくだい)な利益にあるとしか思えません」、なるほど。
・『一人の市民として声を上げていく この頃よく「環境アクティビストになりましたね」といわれますが、自分では「民主主義アクティビスト」だと感じています。 この活動を通じて、神宮外苑を守りたいという多くの人たちとつながり、情報を共有して知れば知るほど疑問は拡大していくばかりです。開発の環境への悪影響は言うまでもなく、計画の進め方についても多くの問題があること、その根本的な問題は民主主義の欠如だと気付きました。 そして、これは神宮外苑だけの問題ではなく、都内や日本中の多くの公園や緑地が開発事業によって脅かされている現実を知りました。皆同じように企業の利益、政治家の利権、それに癒着する行政が一体となって、公益性や民主性をないがしろにし、市民が大切にしてきた場所や景観を奪い、結果として環境へのダメージや樹木伐採という形で顕在化しています。 神宮外苑を巡る議論は、再開発による環境破壊の典型として広がりを見せ、過剰な再開発に抵抗する市民にとって励みになっているといわれています。コモンスペースである公園や街の景観が、市民が皆で考える課題であることは、もっと注目されるべきです。これからも、一人の市民として、多くの同じ思いの人たちと共に声を上げていきたいと思います』、「神宮外苑を巡る議論は、再開発による環境破壊の典型として広がりを見せ、過剰な再開発に抵抗する市民にとって励みになっているといわれています。コモンスペースである公園や街の景観が、市民が皆で考える課題であることは、もっと注目されるべきです。これからも、一人の市民として、多くの同じ思いの人たちと共に声を上げていきたいと思います」、大いに頑張ってもらいたいものだ。
次に、4月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341830
・『政治資金パーティーを巡る「裏金問題」を受けて、安倍派と二階派の議員に処分が下された。その中には、小池百合子東京都知事の「国政復帰の後ろ盾」と目された大物議員も含まれる。これによって、小池知事の自民党復帰や総裁選出馬は先送りになったと見る向きは多い。だが、本当にそうなのか――。政治学者が大胆な説を展開する』、興味深そうだ。
・『裏金議員の処分は不公平!? 岸田首相に自民党内から批判の声 自民党は4月4日、政治資金パーティーを巡る「裏金問題」を受けて、安倍派と二階派の議員ら39人を処分した。このうち、安倍派の座長を務めていた塩谷立(しおのやりゅう)元文部科学相と、安倍派で参議院側のトップだった世耕弘成前参院幹事長には「離党勧告」が出された。 このほか、下村博文元政務調査会長と西村康稔前経済産業相には「1年間の党員資格停止処分」が科された。ただし、2018年からの5年間において、収支報告書への不記載額が「3526万円」と最も多かった二階俊博元幹事長は処分の対象外となった。二階氏が次の衆議院選挙に立候補しない考えを表明し、事実上の「政界引退」宣言をしたためである。 一方、処分の対象となった39人には岸田派議員が含まれず、岸田文雄首相「本人」への処分もなかった。党内から「不公平だ」との声が上がったが、岸田首相はそうした批判を気にしていないようだ。国民からの支持率も低下しているものの、今の岸田首相には、上記の処分を断行できるほど強い権力・権限が集中しているといえる。 裏金問題が発覚する前の岸田内閣では、岸田派・安倍派・麻生派・茂木派が党内の主流派を形成していた。そして、岸田派を除く3つの派閥が首相の権力・権限を牽制(けんせい)および制限してきた(本連載第286回)。だが現在は、その派閥のほとんどが事実上消滅した。 麻生派だけは存続を決めたが、この派閥は岸田派と同じく、故・池田勇人元首相が立ち上げた池田派(旧宏池会)を源流としている。このことから、解散した岸田派が麻生派を頼って合流し、旧宏池会を復活させるのではないかという「大宏池会構想」がまことしやかにささやかれている。現段階ではあくまで臆測にすぎないが、実現した場合は、岸田首相の強力な後ろ盾となる可能性もある。 そのため厳密に言えば、現在の麻生派は「岸田首相の強力な牽制役」だとは言い切れない。こうした要因によって、今の岸田首相にはヒト・モノ・カネが集中している。結果、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっている。この不思議な状況を、本連載では「低支持率首相による独裁体制」と呼んでいる(第349回)』、「現在の麻生派は「岸田首相の強力な牽制役」だとは言い切れない。こうした要因によって、今の岸田首相にはヒト・モノ・カネが集中している。結果、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっている」、確かに不思議だ。
・『「首相交代」を阻止するべく強権振るう岸田首相 岸田首相の「強権」は今、9月の自民党総裁選での再選に向けた、自らの権力基盤の強化に向けて振るわれている。 従来の総裁選では、不人気な首相がその座を降りて新たなリーダーが就任すると、まるで政権交代が起きたかのようなフレッシュな印象を国民に与えた。この「疑似政権交代」は、旧体制での閉塞感を忘れさせる「最終兵器」として機能してきた(第285回)。 昨今の岸田首相は、この「疑似政権交代」が起きて新たなリーダーが誕生しないよう、着々と手を打っている。 最大派閥・安倍派は解散に追い込まれ、幹部はことごとく処分された。「ポスト岸田」と目されていた西村康稔前経済産業相には1年間の党員資格停止処分が下された。同じく萩生田光一前政調会長は1年間にわたって「党の役職停止」となった。 高市早苗経済安全保障担当相は無派閥であり、裏金とは無縁だとみられる。しかし、彼女を支持する議員の多くは、安倍派を中核とする保守派だ。 高市氏の支持者の中には、何らかの処分を受けた者もいる。処分の対象となった議員は、関係各所への説明・謝罪に追われる。次の選挙で落選の危機にあり、地元での政治活動に専念せねばならない。 当然、次の総裁選で誰を担ぐかを考える余裕はない。高市氏は総裁選出馬への意欲を隠さないが、「みこしを担ぐ人」が減ってしまうと総裁を目指すのは難しくなる。 また、現在は自民党の外にいる「最強の総裁候補」こと小池百合子東京都知事も、その動向が不透明になっている。詳しくは後述するが、その裏側でも岸田首相が「強権」を振るった可能性がある。 小池知事を巡っては、近く国政に復帰して自民党に入り、「日本初の女性首相」の座に就くための最後の挑戦として、総裁選に打って出るのではないかとうわさされてきた。 その挑戦の一歩目として、小池知事が衆議院東京15区補選(4月16日告示・28日投開票)に出馬する可能性が取り沙汰されてきた。この選挙区は、かつて自民党議員が汚職で二度辞職したことがあり、「自民党政治の腐敗の象徴」として注目を集めてきたエリアだ。 ところが、この衆議院東京15区補選に、作家で政治団体「ファーストの会」(*)副代表の乙武洋匡氏が出馬表明した。幅広く支持を得るため無所属として出馬するが、元々は小池知事が、ファーストの会の公認候補として擁立するために、乙武氏を副代表に迎えた経緯がある。小池知事の出馬の可能性は消滅し、国政復帰も断念したとみられている。 ※小池知事自身が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が、国政進出に向けて立ち上げた政治団体』、「衆議院東京15区補選に、作家で政治団体「ファーストの会」(*)副代表の乙武洋匡氏が出馬表明・・・小池知事の出馬の可能性は消滅し、国政復帰も断念したとみられている」、なるほど。
・『小池知事が出馬断念の裏で岸田首相が暗躍!? 小池知事はかねて、今回処分された萩生田前政調会長と親密な関係を築いてきた。今年1月には、萩生田氏のお膝元である東京都八王子市の市長選に小池知事が駆け付け、自民党推薦の初宿(しやけ)和夫氏を応援したこともある。 すでに萩生田氏が裏金問題の渦中にあったことから、選挙は異例の大苦戦となっていた。そこに小池知事が応援に入り、形勢を逆転させて初宿氏は辛勝できた。小池知事は萩生田氏の窮地を救い、恩を売った形となった。 そのため、小池知事が国政復帰して首相を目指すならば、萩生田前政調会長を中心に安倍派が担ぐ形になると思われた。しかし「派閥解散」によって、このシナリオは難しくなった。 萩生田氏だけでなく、事実上の政界引退を発表した二階氏も、小池知事とは親しい間柄にある。小池知事が政界入りした90年代から、両者は新進党、保守党、そして自民党で行動を共にしてきた。小池知事が自民党とたもとを分かっても、その関係は続いてきた。 したがって、二階氏が小池知事の「最後の挑戦」の後ろ盾になる可能性もあった。しかし、二階氏に政界引退によって、そのシナリオも雲散霧消した。 一部報道によると、その背後で“暗躍”していたのが岸田首相だという。 もともと二階氏は、自身の三男を後継者とし、和歌山の選挙区(衆議院新2区)を継がせるつもりでいた。しかし、冒頭で触れた世耕前参院幹事長は、将来の首相就任を目指していることから、二階氏の引退後は衆議院新2区を引き継いで衆議院へのくら替えを狙っていたとされる。衆議院選挙区を巡って、二階・世耕の両氏は「戦争状態」にあった。 そこに、岸田首相が「裏取引」を持ちかけたというのだ。二階氏が政界を引退すれば、裏金問題で処分はしない。その選挙区の後継を三男とする。世耕氏には「離党勧告」を出し、衆議院にくら替えする芽を摘む。さらに、世耕氏の参議院選挙区には、二階氏の長男を公認候補として擁立することを検討する――。二階氏はその取引を受けたというのだ。 (参考記事)・息子二人を国会議員に…二階元幹事長「引退会見」のウラにあった、岸田首相との「裏取引」の中身(『現代ビジネス』2024年4月2日掲載) ・絶体絶命!世耕弘成氏をさらに追い込む二階俊博氏の「息子2人を国会議員に」構想…関係者は「好き勝手にさせない」と激昂(『SmartFLASH』2024年4月4日掲載) 結果、岸田首相は「強権」を牽制し得る二階氏と世耕氏を自民党から追い出した。それだけでなく、最大のライバルとなり得る小池知事の国政復帰の芽も摘んだ。「一石三鳥」の効果を得たといえる。) 今後も岸田首相は、強力な「人事権」「公認権」「資金配分権」を行使して政敵をつぶし、自らの権力基盤を盤石にしていくだろう。 9月の自民党総裁選には、石破茂元幹事長、野田聖子元総務相など、実績ある政治家が出馬を検討すると思われる。しかし、岸田首相に権力・権限が集中し、派閥がなくなった今、立候補に必要な「20人の推薦人」を集めるのは大物政治家といえども至難の業だといえる。 総裁選で対立候補を推した議員は、岸田首相の権力・権限によって徹底的に干されるかもしれない。また、岸田首相は国民からの支持率がどんなに下がっても、心が折れて退陣することはないだろう。絶対に延命して、9月の総裁選で勝利するために、どんなことでもする。それが「低支持率首相による独裁体制」による、当面の目的である』、「萩生田氏が裏金問題の渦中にあったことから、選挙は異例の大苦戦となっていた。そこに小池知事が応援に入り、形勢を逆転させて初宿氏は辛勝できた。小池知事は萩生田氏の窮地を救い、恩を売った形となった・・・二階氏が小池知事の「最後の挑戦」の後ろ盾になる可能性もあった。しかし、二階氏に政界引退によって、そのシナリオも雲散霧消した。 一部報道によると、その背後で“暗躍”していたのが岸田首相だという・・・今後も岸田首相は、強力な「人事権」「公認権」「資金配分権」を行使して政敵をつぶし、自らの権力基盤を盤石にしていくだろう」、「小池知事」もなかなかの策士のようだ。
・『政治学者が大胆提言! 小池都知事が首相になるための「奥の手」 小池知事は今後、こうした状況を黙って見ているのだろうか――。あくまで筆者による仮説だが、本稿では彼女の将来について、大胆なプランを提言してみたい。 筆者を除いたほとんどの識者が、自民党に戻る可能性をつぶされた小池知事の国政復帰は「ない」とみているようだ。だが、本当にそうなのか。 小池知事が立憲民主党や日本維新の会をはじめとする野党を取りまとめ、政権交代を目指しても面白いのではないか。掲げる公約はもちろん、自民党の「中央集権」に対抗した「地方主権」である。「希望の党」を率いて敗れた17年の総選挙のリベンジを目指すのだ(第169回)。 改革と地方主権を掲げる馬場伸幸・日本維新の会代表。消費増税を封印し、安全保障政策などで現実路線を志向する泉健太・立憲民主党代表。「中道路線」を貫く玉木雄一郎・国民民主党代表。そして、かつて民進党を希望の党に合流させて政権交代を狙った前原誠司氏(新党「教育無償化を実現する会」代表)。 彼らには過去のさまざまな因縁がある。それらを乗り越えて、「シン・野党連合」といえる一大勢力をまとめ上げる才覚を持つのは小池知事ではないか。 小池知事は、日本新党からの政界参入、自民党入り、都知事への転身、希望の党を結成しての総選挙挑戦など、常識外れな行動で数々の修羅場を生き抜いてきた人物だ(第137回)。 それだけの実績と経験を持つ人物が、最後にして最大の目標である「日本初の女性首相」になる上で、自民党に担がれる必要はどこにあるのか。諦めるのはまだ早い。それよりも「シン・野党連合」をまとめ切って自民党を倒すという、小池知事らしい常識外れな挑戦に期待したい』、「シン・野党連合」といえる一大勢力をまとめ上げる才覚を持つのは小池知事ではないか」、しかし、これは、第三の記事のように東京15区の補欠選挙で担いだ候補が予想外の不人気だったことで、実現の可能性は薄らいだ。
第三に、4月12日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの宮原 健太氏による「女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/127723?page=1&imp=0
・『きわめて厳しい数字 女帝、小池百合子都知事の思惑は大きく外れてしまったのかもしれない。 4月28日に行われる衆議院の3つの補欠選挙のうちの1つ、東京15区補選に満を持して作家の乙武洋匡氏を擁立した小池氏だが、与野党各党の情勢調査で既に厳しい数字が叩きつけられている。 都知事から国政に戻ってくることも噂され、補選はその足掛かりとも見られていたが、元側近による文藝春秋への告発によって学歴詐称疑惑も再燃しており、早くも窮地に立たされている』、興味深そうだ。
・『「乙武氏にここまで悪い数字が出るとは」 永田町に出回っている情勢調査の結果を見て、自民党関係者は絶句した。 日本維新の会が実施したとされる東京15区補選の情勢調査によると、立憲民主党の酒井菜摘氏が15.6ポイントで首位となり、維新の金澤結衣氏が次点の10.2ポイント、日本保守党の飯山陽氏が9.2ポイント、共産党の小堤東氏が7.8ポイントと続き、乙武洋匡氏は7.5ポイントと遅れをとっている。 すでに共産党は小堤氏の出馬を取り下げ、酒井氏を支援することを表明しており、酒井氏のポイントはさらに上積みされていく可能性が高い。 また、自民が実施したとされる情勢調査でも、立憲・酒井氏18ポイント、維新・金澤氏15ポイント、乙武氏11ポイントとなっており、乙武氏の劣勢が伝えられている。 そもそも東京15区補選は、昨年4月に実施された江東区長選で自民の柿沢未途元衆院議員が選挙買収を行い、公職選挙法違反の罪で逮捕、起訴(すでに懲役2年、執行猶予5年の有罪判決が確定)された「政治とカネ」の問題が発端になっている。 裏金問題が自民を揺るがす大逆風の中で、同党は候補者擁立もままならない状態だったが、小池氏は乙武氏の擁立を内々に自民幹部に伝達。選挙に強い小池氏が、乙武氏という知名度抜群の候補を立てるという「助け舟」に自民は飛びつき、推薦を出す方向で調整していた。 しかし、乙武氏は自民の裏金問題に関する悪評を懸念してか、出馬会見で「政策を見て推薦したいという思いをいただけるのであれば1つ1つの政党とお話をしたいが、現時点では私自身から推薦依頼を出している事実はない」と発言。 一方の自民も、予想以上に伸び悩んでいる乙武氏の情勢を見て「惨敗するなら推薦を出さないほうがいいのではないか」(関係者)という声が出ている』、もともと女性問題を抱えていた「乙武氏」を担ぎ上げたことが問題だ。
・『構想はすでに瓦解 もともと厳しい情勢になる懸念はあった。 2016年参院選では自民党が乙武氏を擁立する予定だったが、不倫などの女性問題が週刊新潮で報じられて出馬を断念。 乙武氏は2022年参院選にも、無所属で東京選挙区(定数6)に出馬したが、9位となり及ばなかった。 それでも都内の選挙で圧倒的な強さを見せる小池氏がバックアップする体制に自民は勝機を見出していたが、創価学会女性部(旧婦人部)の影響が大きい公明党は女性問題に難色を示し、都民ファーストの会と連携してきた国民民主党も「自民党が推薦を出すような人は応援できない」(榛葉賀津也幹事長)と述べるなど、思い描いていた構想はすでに瓦解しつつある。 そうした中でさらに小池氏を追い込んでいるのが、都民ファーストの会で事務総長をしていた小池氏の元側近、小島敏郎氏が文藝春秋に寄せた「告発」だ。 2020年に小池氏の「カイロ大学卒業」に関する学歴詐称疑惑に迫った『女帝 小池百合子』(ノンフィクション作家・石井妙子著)が発売されたのに対して、駐日エジプト大使館がFacebookに小池氏の卒業を認めるカイロ大学声明を掲載して沈静化を図ったが、この声明は小池氏の依頼によってジャーナリストが執筆したという内容になっている。 学歴詐称を払拭するための声明に小池氏自身が深く関わっていたことを示すもので、その正当性は大きく揺らいでいる。 乙武氏の補選勝利を足掛かりに国政に戻り、総理大臣の座を狙うのではないかとまで言われていた小池氏だが、情勢調査による厳しい数字、再燃する学歴詐称疑惑で状況は一変してしまったと言えよう。 候補者が乱立して混戦模様の東京15区補選。そこに小池氏や自民の思惑、疑惑が重なって、より状況は混沌としている』、「乙武氏の補選勝利を足掛かりに国政に戻り、総理大臣の座を狙うのではないかとまで言われていた小池氏だが、情勢調査による厳しい数字、再燃する学歴詐称疑惑で状況は一変してしまったと言えよう。 候補者が乱立して混戦模様の東京15区補選。そこに小池氏や自民の思惑、疑惑が重なって、より状況は混沌としている」、やはり「小池」氏自身が立候補していれば、当選し、総理大臣になる可能性もあったが、「乙武氏」を持ち出したことで、致命的なミズを犯したようだ。
先ずは、本年4月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長のロッシェル・カップ氏による「神宮外苑の再開発、日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341423
・『100年近く都心の緑を守ってきた明治神宮外苑だが、大規模再開発によって多くの樹木が伐採されることになり、昨年から論争を巻き起こしている。故・坂本龍一氏や作家の村上春樹氏ら各界の有識者が声明を出したり、ロックバンド・サザンオールスターズが再開発に異を唱える歌を発表したりするなど、世論の反発が波及している。それにもかかわらず、再開発工事が強行されているのはなぜなのか。夏の東京都知事選挙の争点にもなるといわれ、改めてこの問題を考える』、興味深そうだ。
・『なぜ日本人でもないのに「再開発」に必死にこだわるのか 私は米国人で、30年間日本と米国を行き来して、経営コンサルタントとして働く一方、2年前から神宮外苑再開発計画の見直しを求める運動を率先して行っています。 日本人でもないのに、なぜ神宮外苑を守るために、これほど必死に闘うのかと多くの人に聞かれます。 きっかけは、偶然見たニュースでした。2022年2月、東京都の都市計画審議会が神宮外苑再開発計画を承認したというニュースです。約1000本の樹木が伐採されることをはじめ、問題の多い再開発が、十分な周知もディスカッションもないまま、決定されたことに大きな驚きと疑問を覚えました。 神宮外苑再開発は、本来できないはずの地域に、制度や条例をねじ曲げてでも強引に再開発を可能にしようという、異常な手法の計画だと考えています。何よりも都民、市民の利益を優先すべき東京都が、どうしてこれほど事業者のために献身的に動くのかは大きな疑問です。歴史的価値の高い都市資産である神宮外苑に、もっと敬意を払うべきなのではと思います。 ショックを受けた私は、すぐにオンライン署名を立ち上げ、計画について住民とオープンに意見交換や議論することを求めました。 私はこのように社会にコミットすることに国籍は関係ないと思っています。「Think global, act local(グローバルに考え、ローカルに行動する)」が私の信念です。世界のどこであろうと、自分が住む愛着のある街、地域社会に問題を感じたら、情報を集め、議論し、解決に向かって貢献しようとするのは自然なことだと思っています。 日本では、なぜか環境や社会の問題について発言を控えたがる経営者もいるようですが、米国や欧州では、重要な社会問題について発言し関与することは、ビジネスリーダーとしての社会的責務だと考えられています』、「東京都の都市計画審議会が神宮外苑再開発計画を承認・・・約1000本の樹木が伐採されることをはじめ、問題の多い再開発が、十分な周知もディスカッションもないまま、決定されたことに大きな驚きと疑問を覚えました」、同感である。
・『再開発で何が失われるのか 〈低下する緑の質と環境〉 今回の計画を、事業者(三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター〈JSC〉、伊藤忠商事)や都知事は、「緑の更新」という言葉を使います。しかし、古木は不要だと切り捨て、若木に取り換えればいいという考えは、短絡的で、サステナブルな時代の感覚に合っているとはいえません。 また「開発後に緑の割合は増える」と言いますが、それは葉の密度の濃い古木と、そうではない若木や芝生を均一に扱う面積比から割り出した、巧妙に錯覚をもたらす作為的な数字といえます。 再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです。 また、改修して保存活用可能な建物を壊して建て替えるスクラップ・アンド・ビルドは、膨大な二酸化炭素を排出することになり、脱炭素化が進む世界の潮流に全く逆行しています』、「再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです」、「「開発後に緑の割合は増える」と言いますが、それは葉の密度の濃い古木と、そうではない若木や芝生を均一に扱う面積比から割り出した、巧妙に錯覚をもたらす作為的な数字といえます。 再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです」、なるほど。
・『〈問われる民主性〉 過剰な高度利用による高層ビルと巨大施設の建て替えという、無謀な再開発の犠牲になるのは、樹木だけではありません。 スポーツクラスター(一帯をスポーツ施設の集積地にすること)」という目標を掲げておきながら、既存の軟式野球場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる公益性の高い施設が全て廃止されるのは大きな矛盾です。 小池百合子都知事は、情報開示と民主的な都政を掲げていますが、このプロジェクトの進め方は真逆です。21年12月に開かれた住民説明会でも、一方的に計画内容の説明をした上で、計画はすでに決まったことであり、変更は認められないと告げるだけでした。十分な周知もないまま、22年2月の都市計画審議会において「議論は十分尽くされた」と採決を強行し可決。事業者ありき、再開発推進が前提の住民不在の決定でした。それから約2年がたった今も、情報の少なさ、住民や専門家の意見を顧みない決定プロセスは変わっていません。 そのため、景観・環境破壊を含め、風害、騒音、あるいは長期の工事期間中の災害時の避難対策の不備など、深刻な住民被害の問題を抱えたまま、非民主的な再開発は進んでいます』、「スポーツクラスター・・・」という目標を掲げておきながら、既存の軟式野球場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる公益性の高い施設が全て廃止されるのは大きな矛盾です・・・住民説明会でも、一方的に計画内容の説明をした上で、計画はすでに決まったことであり、変更は認められないと告げるだけでした。十分な周知もないまま、22年2月の都市計画審議会において「議論は十分尽くされた」と採決を強行し可決。事業者ありき、再開発推進が前提の住民不在の決定でした・・・景観・環境破壊を含め、風害、騒音、あるいは長期の工事期間中の災害時の避難対策の不備など、深刻な住民被害の問題を抱えたまま、非民主的な再開発は進んでいます」、由々しいことだ。
・『再開発を不公平に先導する東京都の責任 小池都知事は、再開発は民間事業として進められているのであり、都として介入することはできないと言います。しかし、この再開発事業は都が発案したことに始まっています(参照:東京都都市整備局「岸記念体育会館の移転等に関する主な経緯」)。「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」にかなう市街地再開発として、都知事が施行を認可したからこそ、実施されているのです。その事実を無視し、責任から逃れようとするのは不誠実です。 東京都は、再開発事業を進めるに当たり、まずオリンピック・パラリンピック開催のための国立競技場建て替えを機に、建築物の高さ制限を、外苑一帯にまでエリアを広げ、大幅に緩和しました。そして、都が独自に作った「公園まちづくり制度」という名の「要綱」により、3.4ヘクタールの区域を都市計画公園から削除するという前代未聞の荒技を用いて、高層ビル建設の敷地を確保しました。その際、ラグビー場は「公園として利用されていないスペース」だからという理屈をつけています。その上、「再開発等促進区」という土地の高度利用を目的とした手法を駆使し、容積率を極限まで拡大して積み上げ、本来この地区には建てられないはずの超高層ビルの建設を可能にしてしまいました。 それだけではありません。 神宮外苑は創建時より、その景観や環境が保護されるべきものとして風致地区に指定されています。 しかし20年、東京都は、風致地区条例の許可権を持つ新宿区に対し、市街地再開発エリアについて最も保全の厳しい基準から一番緩い基準へと変更するよう依頼し、区議会や都市計画審議会などに諮ることなく決裁しました。これにより、樹木伐採や建築の高さ基準は、事業者にとって都合のいいように、大幅に緩和されてしまいました。 また、神宮外苑再開発の環境アセスメント(影響評価)に提出された評価書には重大な誤りや虚偽があり、正しい判断とは認められないことを、日本イコモス国内委員会など専門家が厳しく指摘してきました。 しかし、23年1月の環境アセスメントの最終プロセスにおいて、東京都は審議会委員からの懸念意見を「助言」という制限をかけて無力化しました。そして、審議会会長が「虚偽と指摘された評価書に基づいた着工届に、ゴーサインを出すことは難しい」と明言したにもかかわらず、この時点で審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました。このような都の横暴なやり方に対して、環境アセスメントの世界的な学会「国際影響評価学会(IAIA)」や、国内の権威ある「日本弁護士連合会(日弁連)」からも、公式声明により非難されたことは、恥ずべき事態です。 事業者も都も、口をそろえて「法的にも、手続きにも問題はない」と言いますが、そもそも両者が結託し、事業計画に合わせてガイドラインを作り、無理やりな解釈で制度に当てはめたり、区域を削除したり、条例の方を変更したり、あるいは審議会運営を操作したりしているのです。このようにゆがめられた都市計画行政は実に不公平であり、非民主的であると言わざるを得ません』、「小池都知事は、再開発は民間事業として進められているのであり、都として介入することはできないと言います。しかし、この再開発事業は都が発案したことに始まっています・・・都知事が施行を認可したからこそ、実施されているのです。その事実を無視し、責任から逃れようとするのは不誠実です・・・オリンピック・パラリンピック開催のための国立競技場建て替えを機に、建築物の高さ制限を、外苑一帯にまでエリアを広げ、大幅に緩和しました。そして、都が独自に作った「公園まちづくり制度」という名の「要綱」により、3.4ヘクタールの区域を都市計画公園から削除するという前代未聞の荒技を用いて、高層ビル建設の敷地を確保・・・風致地区条例の許可権を持つ新宿区に対し、市街地再開発エリアについて最も保全の厳しい基準から一番緩い基準へと変更するよう依頼し、区議会や都市計画審議会などに諮ることなく決裁しました。これにより、樹木伐採や建築の高さ基準は、事業者にとって都合のいいように、大幅に緩和・・・環境アセスメントの最終プロセスにおいて、東京都は審議会委員からの懸念意見を「助言」という制限をかけて無力化しました。そして、審議会会長が「虚偽と指摘された評価書に基づいた着工届に、ゴーサインを出すことは難しい」と明言したにもかかわらず、この時点で審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました。このような都の横暴なやり方に対して、環境アセスメントの世界的な学会「国際影響評価学会(IAIA)」や、国内の権威ある「日本弁護士連合会(日弁連)」からも、公式声明により非難されたことは、恥ずべき事態です」、特に「環境アセスメント」の「審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました」、乱暴極まりないやり方だ。
・『明治神宮への疑問、利用される「内苑の護持」 当初、最大の地権者である明治神宮をはじめとした事業者は「老朽化した神宮球場の建て替え」を再開発の主な理由としていましたが、だんだんと都知事までも口裏を合わせ「内苑の護持のため」と言い始めるようになります。 つまり、広大な内苑の維持管理費用が明治神宮の財政を圧迫し、その救済のため、より収益を上げるよう外苑の施設の更新・増設が必要だというのです。内苑を支えるため、外苑はもっと稼がなくてはならないという主張です。 しかし、一宗教法人の利益の便宜を図るために、公益を損ねるような再開発が進められていいのでしょうか。「内苑の護持」という言い分は、再開発を正当化するために利用される口実のように思えます。 最近の報道で、今から20年も前の03年に、明治神宮の依頼を受け、都市計画や造園学の専門家がまとめた「神宮外苑の整備構想」があったことが分かりました。それは創建の理念を尊重した「外苑の環境を壊さないよう、神宮の維持のための必要最小限の計画」であり、造営当時のように住民から行政までを巻き込んで事業を進める民主的な構想でした。しかし、この構想は当時のゼネコンやデベロッパー、都などに説明したものの、賛同者が集まらず実現には至りませんでした。 その後、オリンピック・パラリンピック招致を機に、現在のデベロッパー主導の大規模再開発計画が浮上したのですが、明治神宮がどのようにして、計画に同意したのかは明らかではありません。 たしかに内苑の維持は重要なことですが、そのために外苑を犠牲にするような現在の計画が唯一の選択肢だとは思えません。03年の構想がそうであったように、もっと環境に配慮した計画に見直すこともできるのではないでしょうか。 あるいは、内苑の社殿を囲む森は神域として明治神宮が守り、宝物殿前の風景式庭園などは都市公園として国や都などが公的に管理することで、経済的負担を軽減することも可能だと思います』、「内苑の維持は重要なことですが、そのために外苑を犠牲にするような現在の計画が唯一の選択肢だとは思えません。03年の構想がそうであったように、もっと環境に配慮した計画に見直すこともできるのではないでしょうか」、なるほど。
・『緑の更新でも老朽化でもない再開発の理由 樹木伐採に対する批判を受け、再開発は「緑の更新に必要」「木を切らずにこの計画は成り立たない」と明治神宮は説明しています。しかし、それならば、木を切らずにできる計画に見直せばいいのではないでしょうか。 野球場とラグビー場の用地を入れ替えず、そして高層ビルを建設しなければ、大量の樹木伐採をすることなく景観も破壊されず、周辺住民の被害も軽減するのです。 建築の専門家は、2つのスタジアムの改修による保存活用は可能であると指摘しています。日本イコモス国内委員会も、新建築家技術者集団も、樹木伐採を必要としない改修による代替案を出していますが、受け入れたくない事業者は、それを無視し続けています。 実際に、神宮球場より古い甲子園球場は、シーズンオフを利用し試合を継続しながら改修工事を行い、次の100年に向かって見事に再生を果たしています。なぜ神宮球場はそうしないのでしょう。なぜ現在の計画が唯一無二のプランであると言い張るのでしょうか。 事業者は、表向きは「老朽化」による施設の建て替え、その際の「競技の継続性」を理由に、野球場とラグビー場の用地を入れ替えて新設するのだとしていますが、ではなぜ「3棟もの超高層ビル」の建設が必要なのかという疑問には答えていません。 再開発の真の狙いが、都市計画公園の中に無理やりスペースを確保し、異常なまでに容積率を拡大した高層ビル建設によってもたらされる莫大(ばくだい)な利益にあるとしか思えません』、「野球場とラグビー場の用地を入れ替えず、そして高層ビルを建設しなければ、大量の樹木伐採をすることなく景観も破壊されず、周辺住民の被害も軽減するのです。 建築の専門家は、2つのスタジアムの改修による保存活用は可能であると指摘しています。日本イコモス国内委員会も、新建築家技術者集団も、樹木伐採を必要としない改修による代替案を出していますが、受け入れたくない事業者は、それを無視し続けています。 実際に、神宮球場より古い甲子園球場は、シーズンオフを利用し試合を継続しながら改修工事を行い、次の100年に向かって見事に再生を果たしています。なぜ神宮球場はそうしないのでしょう・・・ではなぜ「3棟もの超高層ビル」の建設が必要なのかという疑問には答えていません。 再開発の真の狙いが、都市計画公園の中に無理やりスペースを確保し、異常なまでに容積率を拡大した高層ビル建設によってもたらされる莫大(ばくだい)な利益にあるとしか思えません」、なるほど。
・『一人の市民として声を上げていく この頃よく「環境アクティビストになりましたね」といわれますが、自分では「民主主義アクティビスト」だと感じています。 この活動を通じて、神宮外苑を守りたいという多くの人たちとつながり、情報を共有して知れば知るほど疑問は拡大していくばかりです。開発の環境への悪影響は言うまでもなく、計画の進め方についても多くの問題があること、その根本的な問題は民主主義の欠如だと気付きました。 そして、これは神宮外苑だけの問題ではなく、都内や日本中の多くの公園や緑地が開発事業によって脅かされている現実を知りました。皆同じように企業の利益、政治家の利権、それに癒着する行政が一体となって、公益性や民主性をないがしろにし、市民が大切にしてきた場所や景観を奪い、結果として環境へのダメージや樹木伐採という形で顕在化しています。 神宮外苑を巡る議論は、再開発による環境破壊の典型として広がりを見せ、過剰な再開発に抵抗する市民にとって励みになっているといわれています。コモンスペースである公園や街の景観が、市民が皆で考える課題であることは、もっと注目されるべきです。これからも、一人の市民として、多くの同じ思いの人たちと共に声を上げていきたいと思います』、「神宮外苑を巡る議論は、再開発による環境破壊の典型として広がりを見せ、過剰な再開発に抵抗する市民にとって励みになっているといわれています。コモンスペースである公園や街の景観が、市民が皆で考える課題であることは、もっと注目されるべきです。これからも、一人の市民として、多くの同じ思いの人たちと共に声を上げていきたいと思います」、大いに頑張ってもらいたいものだ。
次に、4月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341830
・『政治資金パーティーを巡る「裏金問題」を受けて、安倍派と二階派の議員に処分が下された。その中には、小池百合子東京都知事の「国政復帰の後ろ盾」と目された大物議員も含まれる。これによって、小池知事の自民党復帰や総裁選出馬は先送りになったと見る向きは多い。だが、本当にそうなのか――。政治学者が大胆な説を展開する』、興味深そうだ。
・『裏金議員の処分は不公平!? 岸田首相に自民党内から批判の声 自民党は4月4日、政治資金パーティーを巡る「裏金問題」を受けて、安倍派と二階派の議員ら39人を処分した。このうち、安倍派の座長を務めていた塩谷立(しおのやりゅう)元文部科学相と、安倍派で参議院側のトップだった世耕弘成前参院幹事長には「離党勧告」が出された。 このほか、下村博文元政務調査会長と西村康稔前経済産業相には「1年間の党員資格停止処分」が科された。ただし、2018年からの5年間において、収支報告書への不記載額が「3526万円」と最も多かった二階俊博元幹事長は処分の対象外となった。二階氏が次の衆議院選挙に立候補しない考えを表明し、事実上の「政界引退」宣言をしたためである。 一方、処分の対象となった39人には岸田派議員が含まれず、岸田文雄首相「本人」への処分もなかった。党内から「不公平だ」との声が上がったが、岸田首相はそうした批判を気にしていないようだ。国民からの支持率も低下しているものの、今の岸田首相には、上記の処分を断行できるほど強い権力・権限が集中しているといえる。 裏金問題が発覚する前の岸田内閣では、岸田派・安倍派・麻生派・茂木派が党内の主流派を形成していた。そして、岸田派を除く3つの派閥が首相の権力・権限を牽制(けんせい)および制限してきた(本連載第286回)。だが現在は、その派閥のほとんどが事実上消滅した。 麻生派だけは存続を決めたが、この派閥は岸田派と同じく、故・池田勇人元首相が立ち上げた池田派(旧宏池会)を源流としている。このことから、解散した岸田派が麻生派を頼って合流し、旧宏池会を復活させるのではないかという「大宏池会構想」がまことしやかにささやかれている。現段階ではあくまで臆測にすぎないが、実現した場合は、岸田首相の強力な後ろ盾となる可能性もある。 そのため厳密に言えば、現在の麻生派は「岸田首相の強力な牽制役」だとは言い切れない。こうした要因によって、今の岸田首相にはヒト・モノ・カネが集中している。結果、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっている。この不思議な状況を、本連載では「低支持率首相による独裁体制」と呼んでいる(第349回)』、「現在の麻生派は「岸田首相の強力な牽制役」だとは言い切れない。こうした要因によって、今の岸田首相にはヒト・モノ・カネが集中している。結果、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっている」、確かに不思議だ。
・『「首相交代」を阻止するべく強権振るう岸田首相 岸田首相の「強権」は今、9月の自民党総裁選での再選に向けた、自らの権力基盤の強化に向けて振るわれている。 従来の総裁選では、不人気な首相がその座を降りて新たなリーダーが就任すると、まるで政権交代が起きたかのようなフレッシュな印象を国民に与えた。この「疑似政権交代」は、旧体制での閉塞感を忘れさせる「最終兵器」として機能してきた(第285回)。 昨今の岸田首相は、この「疑似政権交代」が起きて新たなリーダーが誕生しないよう、着々と手を打っている。 最大派閥・安倍派は解散に追い込まれ、幹部はことごとく処分された。「ポスト岸田」と目されていた西村康稔前経済産業相には1年間の党員資格停止処分が下された。同じく萩生田光一前政調会長は1年間にわたって「党の役職停止」となった。 高市早苗経済安全保障担当相は無派閥であり、裏金とは無縁だとみられる。しかし、彼女を支持する議員の多くは、安倍派を中核とする保守派だ。 高市氏の支持者の中には、何らかの処分を受けた者もいる。処分の対象となった議員は、関係各所への説明・謝罪に追われる。次の選挙で落選の危機にあり、地元での政治活動に専念せねばならない。 当然、次の総裁選で誰を担ぐかを考える余裕はない。高市氏は総裁選出馬への意欲を隠さないが、「みこしを担ぐ人」が減ってしまうと総裁を目指すのは難しくなる。 また、現在は自民党の外にいる「最強の総裁候補」こと小池百合子東京都知事も、その動向が不透明になっている。詳しくは後述するが、その裏側でも岸田首相が「強権」を振るった可能性がある。 小池知事を巡っては、近く国政に復帰して自民党に入り、「日本初の女性首相」の座に就くための最後の挑戦として、総裁選に打って出るのではないかとうわさされてきた。 その挑戦の一歩目として、小池知事が衆議院東京15区補選(4月16日告示・28日投開票)に出馬する可能性が取り沙汰されてきた。この選挙区は、かつて自民党議員が汚職で二度辞職したことがあり、「自民党政治の腐敗の象徴」として注目を集めてきたエリアだ。 ところが、この衆議院東京15区補選に、作家で政治団体「ファーストの会」(*)副代表の乙武洋匡氏が出馬表明した。幅広く支持を得るため無所属として出馬するが、元々は小池知事が、ファーストの会の公認候補として擁立するために、乙武氏を副代表に迎えた経緯がある。小池知事の出馬の可能性は消滅し、国政復帰も断念したとみられている。 ※小池知事自身が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が、国政進出に向けて立ち上げた政治団体』、「衆議院東京15区補選に、作家で政治団体「ファーストの会」(*)副代表の乙武洋匡氏が出馬表明・・・小池知事の出馬の可能性は消滅し、国政復帰も断念したとみられている」、なるほど。
・『小池知事が出馬断念の裏で岸田首相が暗躍!? 小池知事はかねて、今回処分された萩生田前政調会長と親密な関係を築いてきた。今年1月には、萩生田氏のお膝元である東京都八王子市の市長選に小池知事が駆け付け、自民党推薦の初宿(しやけ)和夫氏を応援したこともある。 すでに萩生田氏が裏金問題の渦中にあったことから、選挙は異例の大苦戦となっていた。そこに小池知事が応援に入り、形勢を逆転させて初宿氏は辛勝できた。小池知事は萩生田氏の窮地を救い、恩を売った形となった。 そのため、小池知事が国政復帰して首相を目指すならば、萩生田前政調会長を中心に安倍派が担ぐ形になると思われた。しかし「派閥解散」によって、このシナリオは難しくなった。 萩生田氏だけでなく、事実上の政界引退を発表した二階氏も、小池知事とは親しい間柄にある。小池知事が政界入りした90年代から、両者は新進党、保守党、そして自民党で行動を共にしてきた。小池知事が自民党とたもとを分かっても、その関係は続いてきた。 したがって、二階氏が小池知事の「最後の挑戦」の後ろ盾になる可能性もあった。しかし、二階氏に政界引退によって、そのシナリオも雲散霧消した。 一部報道によると、その背後で“暗躍”していたのが岸田首相だという。 もともと二階氏は、自身の三男を後継者とし、和歌山の選挙区(衆議院新2区)を継がせるつもりでいた。しかし、冒頭で触れた世耕前参院幹事長は、将来の首相就任を目指していることから、二階氏の引退後は衆議院新2区を引き継いで衆議院へのくら替えを狙っていたとされる。衆議院選挙区を巡って、二階・世耕の両氏は「戦争状態」にあった。 そこに、岸田首相が「裏取引」を持ちかけたというのだ。二階氏が政界を引退すれば、裏金問題で処分はしない。その選挙区の後継を三男とする。世耕氏には「離党勧告」を出し、衆議院にくら替えする芽を摘む。さらに、世耕氏の参議院選挙区には、二階氏の長男を公認候補として擁立することを検討する――。二階氏はその取引を受けたというのだ。 (参考記事)・息子二人を国会議員に…二階元幹事長「引退会見」のウラにあった、岸田首相との「裏取引」の中身(『現代ビジネス』2024年4月2日掲載) ・絶体絶命!世耕弘成氏をさらに追い込む二階俊博氏の「息子2人を国会議員に」構想…関係者は「好き勝手にさせない」と激昂(『SmartFLASH』2024年4月4日掲載) 結果、岸田首相は「強権」を牽制し得る二階氏と世耕氏を自民党から追い出した。それだけでなく、最大のライバルとなり得る小池知事の国政復帰の芽も摘んだ。「一石三鳥」の効果を得たといえる。) 今後も岸田首相は、強力な「人事権」「公認権」「資金配分権」を行使して政敵をつぶし、自らの権力基盤を盤石にしていくだろう。 9月の自民党総裁選には、石破茂元幹事長、野田聖子元総務相など、実績ある政治家が出馬を検討すると思われる。しかし、岸田首相に権力・権限が集中し、派閥がなくなった今、立候補に必要な「20人の推薦人」を集めるのは大物政治家といえども至難の業だといえる。 総裁選で対立候補を推した議員は、岸田首相の権力・権限によって徹底的に干されるかもしれない。また、岸田首相は国民からの支持率がどんなに下がっても、心が折れて退陣することはないだろう。絶対に延命して、9月の総裁選で勝利するために、どんなことでもする。それが「低支持率首相による独裁体制」による、当面の目的である』、「萩生田氏が裏金問題の渦中にあったことから、選挙は異例の大苦戦となっていた。そこに小池知事が応援に入り、形勢を逆転させて初宿氏は辛勝できた。小池知事は萩生田氏の窮地を救い、恩を売った形となった・・・二階氏が小池知事の「最後の挑戦」の後ろ盾になる可能性もあった。しかし、二階氏に政界引退によって、そのシナリオも雲散霧消した。 一部報道によると、その背後で“暗躍”していたのが岸田首相だという・・・今後も岸田首相は、強力な「人事権」「公認権」「資金配分権」を行使して政敵をつぶし、自らの権力基盤を盤石にしていくだろう」、「小池知事」もなかなかの策士のようだ。
・『政治学者が大胆提言! 小池都知事が首相になるための「奥の手」 小池知事は今後、こうした状況を黙って見ているのだろうか――。あくまで筆者による仮説だが、本稿では彼女の将来について、大胆なプランを提言してみたい。 筆者を除いたほとんどの識者が、自民党に戻る可能性をつぶされた小池知事の国政復帰は「ない」とみているようだ。だが、本当にそうなのか。 小池知事が立憲民主党や日本維新の会をはじめとする野党を取りまとめ、政権交代を目指しても面白いのではないか。掲げる公約はもちろん、自民党の「中央集権」に対抗した「地方主権」である。「希望の党」を率いて敗れた17年の総選挙のリベンジを目指すのだ(第169回)。 改革と地方主権を掲げる馬場伸幸・日本維新の会代表。消費増税を封印し、安全保障政策などで現実路線を志向する泉健太・立憲民主党代表。「中道路線」を貫く玉木雄一郎・国民民主党代表。そして、かつて民進党を希望の党に合流させて政権交代を狙った前原誠司氏(新党「教育無償化を実現する会」代表)。 彼らには過去のさまざまな因縁がある。それらを乗り越えて、「シン・野党連合」といえる一大勢力をまとめ上げる才覚を持つのは小池知事ではないか。 小池知事は、日本新党からの政界参入、自民党入り、都知事への転身、希望の党を結成しての総選挙挑戦など、常識外れな行動で数々の修羅場を生き抜いてきた人物だ(第137回)。 それだけの実績と経験を持つ人物が、最後にして最大の目標である「日本初の女性首相」になる上で、自民党に担がれる必要はどこにあるのか。諦めるのはまだ早い。それよりも「シン・野党連合」をまとめ切って自民党を倒すという、小池知事らしい常識外れな挑戦に期待したい』、「シン・野党連合」といえる一大勢力をまとめ上げる才覚を持つのは小池知事ではないか」、しかし、これは、第三の記事のように東京15区の補欠選挙で担いだ候補が予想外の不人気だったことで、実現の可能性は薄らいだ。
第三に、4月12日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの宮原 健太氏による「女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/127723?page=1&imp=0
・『きわめて厳しい数字 女帝、小池百合子都知事の思惑は大きく外れてしまったのかもしれない。 4月28日に行われる衆議院の3つの補欠選挙のうちの1つ、東京15区補選に満を持して作家の乙武洋匡氏を擁立した小池氏だが、与野党各党の情勢調査で既に厳しい数字が叩きつけられている。 都知事から国政に戻ってくることも噂され、補選はその足掛かりとも見られていたが、元側近による文藝春秋への告発によって学歴詐称疑惑も再燃しており、早くも窮地に立たされている』、興味深そうだ。
・『「乙武氏にここまで悪い数字が出るとは」 永田町に出回っている情勢調査の結果を見て、自民党関係者は絶句した。 日本維新の会が実施したとされる東京15区補選の情勢調査によると、立憲民主党の酒井菜摘氏が15.6ポイントで首位となり、維新の金澤結衣氏が次点の10.2ポイント、日本保守党の飯山陽氏が9.2ポイント、共産党の小堤東氏が7.8ポイントと続き、乙武洋匡氏は7.5ポイントと遅れをとっている。 すでに共産党は小堤氏の出馬を取り下げ、酒井氏を支援することを表明しており、酒井氏のポイントはさらに上積みされていく可能性が高い。 また、自民が実施したとされる情勢調査でも、立憲・酒井氏18ポイント、維新・金澤氏15ポイント、乙武氏11ポイントとなっており、乙武氏の劣勢が伝えられている。 そもそも東京15区補選は、昨年4月に実施された江東区長選で自民の柿沢未途元衆院議員が選挙買収を行い、公職選挙法違反の罪で逮捕、起訴(すでに懲役2年、執行猶予5年の有罪判決が確定)された「政治とカネ」の問題が発端になっている。 裏金問題が自民を揺るがす大逆風の中で、同党は候補者擁立もままならない状態だったが、小池氏は乙武氏の擁立を内々に自民幹部に伝達。選挙に強い小池氏が、乙武氏という知名度抜群の候補を立てるという「助け舟」に自民は飛びつき、推薦を出す方向で調整していた。 しかし、乙武氏は自民の裏金問題に関する悪評を懸念してか、出馬会見で「政策を見て推薦したいという思いをいただけるのであれば1つ1つの政党とお話をしたいが、現時点では私自身から推薦依頼を出している事実はない」と発言。 一方の自民も、予想以上に伸び悩んでいる乙武氏の情勢を見て「惨敗するなら推薦を出さないほうがいいのではないか」(関係者)という声が出ている』、もともと女性問題を抱えていた「乙武氏」を担ぎ上げたことが問題だ。
・『構想はすでに瓦解 もともと厳しい情勢になる懸念はあった。 2016年参院選では自民党が乙武氏を擁立する予定だったが、不倫などの女性問題が週刊新潮で報じられて出馬を断念。 乙武氏は2022年参院選にも、無所属で東京選挙区(定数6)に出馬したが、9位となり及ばなかった。 それでも都内の選挙で圧倒的な強さを見せる小池氏がバックアップする体制に自民は勝機を見出していたが、創価学会女性部(旧婦人部)の影響が大きい公明党は女性問題に難色を示し、都民ファーストの会と連携してきた国民民主党も「自民党が推薦を出すような人は応援できない」(榛葉賀津也幹事長)と述べるなど、思い描いていた構想はすでに瓦解しつつある。 そうした中でさらに小池氏を追い込んでいるのが、都民ファーストの会で事務総長をしていた小池氏の元側近、小島敏郎氏が文藝春秋に寄せた「告発」だ。 2020年に小池氏の「カイロ大学卒業」に関する学歴詐称疑惑に迫った『女帝 小池百合子』(ノンフィクション作家・石井妙子著)が発売されたのに対して、駐日エジプト大使館がFacebookに小池氏の卒業を認めるカイロ大学声明を掲載して沈静化を図ったが、この声明は小池氏の依頼によってジャーナリストが執筆したという内容になっている。 学歴詐称を払拭するための声明に小池氏自身が深く関わっていたことを示すもので、その正当性は大きく揺らいでいる。 乙武氏の補選勝利を足掛かりに国政に戻り、総理大臣の座を狙うのではないかとまで言われていた小池氏だが、情勢調査による厳しい数字、再燃する学歴詐称疑惑で状況は一変してしまったと言えよう。 候補者が乱立して混戦模様の東京15区補選。そこに小池氏や自民の思惑、疑惑が重なって、より状況は混沌としている』、「乙武氏の補選勝利を足掛かりに国政に戻り、総理大臣の座を狙うのではないかとまで言われていた小池氏だが、情勢調査による厳しい数字、再燃する学歴詐称疑惑で状況は一変してしまったと言えよう。 候補者が乱立して混戦模様の東京15区補選。そこに小池氏や自民の思惑、疑惑が重なって、より状況は混沌としている」、やはり「小池」氏自身が立候補していれば、当選し、総理大臣になる可能性もあったが、「乙武氏」を持ち出したことで、致命的なミズを犯したようだ。
タグ:「東京都の都市計画審議会が神宮外苑再開発計画を承認・・・約1000本の樹木が伐採されることをはじめ、問題の多い再開発が、十分な周知もディスカッションもないまま、決定されたことに大きな驚きと疑問を覚えました」、同感である。 ロッシェル・カップ氏による「神宮外苑の再開発、日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々」 ダイヤモンド・オンライン (その10)(神宮外苑の再開発 日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々、「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ、女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…) 小池都知事問題 「「開発後に緑の割合は増える」と言いますが、それは葉の密度の濃い古木と、そうではない若木や芝生を均一に扱う面積比から割り出した、巧妙に錯覚をもたらす作為的な数字といえます。 再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです」、なるほど。 「再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです」、 上久保誠人氏による「「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ」 そして、審議会会長が「虚偽と指摘された評価書に基づいた着工届に、ゴーサインを出すことは難しい」と明言したにもかかわらず、この時点で審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました。このような都の横暴なやり方に対して、環境アセスメントの世界的な学会「国際影響評価学会(IAIA)」や、国内の権威ある「日本弁護士連合会(日弁連)」からも、公式声明により非難されたことは、恥ずべき事態です」、特に「環境アセスメント」の「審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました」、乱暴極まりないやり方だ。 都市計画公園から削除するという前代未聞の荒技を用いて、高層ビル建設の敷地を確保・・・風致地区条例の許可権を持つ新宿区に対し、市街地再開発エリアについて最も保全の厳しい基準から一番緩い基準へと変更するよう依頼し、区議会や都市計画審議会などに諮ることなく決裁しました。これにより、樹木伐採や建築の高さ基準は、事業者にとって都合のいいように、大幅に緩和・・・環境アセスメントの最終プロセスにおいて、東京都は審議会委員からの懸念意見を「助言」という制限をかけて無力化しました。 「小池都知事は、再開発は民間事業として進められているのであり、都として介入することはできないと言います。しかし、この再開発事業は都が発案したことに始まっています・・・都知事が施行を認可したからこそ、実施されているのです。その事実を無視し、責任から逃れようとするのは不誠実です・・・オリンピック・パラリンピック開催のための国立競技場建て替えを機に、建築物の高さ制限を、外苑一帯にまでエリアを広げ、大幅に緩和しました。そして、都が独自に作った「公園まちづくり制度」という名の「要綱」により、3.4ヘクタールの区域を 「衆議院東京15区補選に、作家で政治団体「ファーストの会」(*)副代表の乙武洋匡氏が出馬表明・・・小池知事の出馬の可能性は消滅し、国政復帰も断念したとみられている」、なるほど。 「現在の麻生派は「岸田首相の強力な牽制役」だとは言い切れない。こうした要因によって、今の岸田首相にはヒト・モノ・カネが集中している。結果、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっている」、確かに不思議だ。 景観・環境破壊を含め、風害、騒音、あるいは長期の工事期間中の災害時の避難対策の不備など、深刻な住民被害の問題を抱えたまま、非民主的な再開発は進んでいます」、由々しいことだ。 「スポーツクラスター・・・」という目標を掲げておきながら、既存の軟式野球場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる公益性の高い施設が全て廃止されるのは大きな矛盾です・・・住民説明会でも、一方的に計画内容の説明をした上で、計画はすでに決まったことであり、変更は認められないと告げるだけでした。十分な周知もないまま、22年2月の都市計画審議会において「議論は十分尽くされた」と採決を強行し可決。事業者ありき、再開発推進が前提の住民不在の決定でした・・・ 「神宮外苑を巡る議論は、再開発による環境破壊の典型として広がりを見せ、過剰な再開発に抵抗する市民にとって励みになっているといわれています。コモンスペースである公園や街の景観が、市民が皆で考える課題であることは、もっと注目されるべきです。これからも、一人の市民として、多くの同じ思いの人たちと共に声を上げていきたいと思います」、大いに頑張ってもらいたいものだ。 実際に、神宮球場より古い甲子園球場は、シーズンオフを利用し試合を継続しながら改修工事を行い、次の100年に向かって見事に再生を果たしています。なぜ神宮球場はそうしないのでしょう・・・ではなぜ「3棟もの超高層ビル」の建設が必要なのかという疑問には答えていません。 再開発の真の狙いが、都市計画公園の中に無理やりスペースを確保し、異常なまでに容積率を拡大した高層ビル建設によってもたらされる莫大(ばくだい)な利益にあるとしか思えません」、なるほど。 「野球場とラグビー場の用地を入れ替えず、そして高層ビルを建設しなければ、大量の樹木伐採をすることなく景観も破壊されず、周辺住民の被害も軽減するのです。 建築の専門家は、2つのスタジアムの改修による保存活用は可能であると指摘しています。日本イコモス国内委員会も、新建築家技術者集団も、樹木伐採を必要としない改修による代替案を出していますが、受け入れたくない事業者は、それを無視し続けています。 「内苑の維持は重要なことですが、そのために外苑を犠牲にするような現在の計画が唯一の選択肢だとは思えません。03年の構想がそうであったように、もっと環境に配慮した計画に見直すこともできるのではないでしょうか」、なるほど。 一部報道によると、その背後で“暗躍”していたのが岸田首相だという・・・今後も岸田首相は、強力な「人事権」「公認権」「資金配分権」を行使して政敵をつぶし、自らの権力基盤を盤石にしていくだろう」、「小池知事」もなかなかの策士のようだ。 「萩生田氏が裏金問題の渦中にあったことから、選挙は異例の大苦戦となっていた。そこに小池知事が応援に入り、形勢を逆転させて初宿氏は辛勝できた。小池知事は萩生田氏の窮地を救い、恩を売った形となった・・・二階氏が小池知事の「最後の挑戦」の後ろ盾になる可能性もあった。しかし、二階氏に政界引退によって、そのシナリオも雲散霧消した。 「乙武氏の補選勝利を足掛かりに国政に戻り、総理大臣の座を狙うのではないかとまで言われていた小池氏だが、情勢調査による厳しい数字、再燃する学歴詐称疑惑で状況は一変してしまったと言えよう。 候補者が乱立して混戦模様の東京15区補選。そこに小池氏や自民の思惑、疑惑が重なって、より状況は混沌としている」、やはり「小池」氏自身が立候補していれば、当選し、総理大臣になる可能性もあったが、「乙武氏」を持ち出したことで、致命的なミズを犯したようだ。 もともと女性問題を抱えていた「乙武氏」を担ぎ上げたことが問題だ。 宮原 健太氏による「女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…」 現代ビジネス 「シン・野党連合」といえる一大勢力をまとめ上げる才覚を持つのは小池知事ではないか」、しかし、これは、第三の記事のように東京15区の補欠選挙で担いだ候補が予想外の不人気だったことで、実現の可能性は薄らいだ。
大阪万博(その4)(大阪万博「国費負担1兆円超」でかすむ経済効果…“逃げ”姿勢の吉村知事は「国開催」強調のトホホ、大阪・関西万博はどう考えても延期するしかない これだけの理由【岸田首相に直言】、関係ないから」》、大阪万博の経済効果 本当は「大幅なマイナス」繰り返される過大評価の罪深さ、大阪万博に“目玉”爆誕!2億円トイレは税金ムダ遣いの極み…政治家こぞって「高くない」主張) [国内政治]
大阪万博については、昨年12月17日に取上げた。今日は、(その4)(大阪万博「国費負担1兆円超」でかすむ経済効果…“逃げ”姿勢の吉村知事は「国開催」強調のトホホ、大阪・関西万博はどう考えても延期するしかない これだけの理由【岸田首相に直言】、大阪万博の経済効果 本当は「大幅なマイナス」繰り返される過大評価の罪深さ、大阪万博に“目玉”爆誕!2億円トイレは税金ムダ遣いの極み…政治家こぞって「高くない」主張)である。
先ずは、昨年12月18日付け日刊ゲンダイ「大阪万博「国費負担1兆円超」でかすむ経済効果…“逃げ”姿勢の吉村知事は「国開催」強調のトホホ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/333536
・『めっちゃカネかかるやん──。2025年大阪・関西万博の開催費用の全体像が判明した。会場建設費や「日本館」の整備など、国費負担の総額は1647億円。万博に直接関係するインフラ整備費は国費負担を含め計8390億円にも上る。あわせて1兆円超の負担を背負わされる国民にしてみれば、「ふざけた話」である。 1647億円の内訳は、+国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担する会場建設費783億円 +日本館の整備費360億円▽途上国の出展支援240億円 +警備費199億円 +機運醸成費38億円 +誘致費用27億円。インフラ整備費8390億円のうち「会場周辺の整備費」が810億円、「会場へのアクセス向上費用」が7580億円を占める。 こうした直接経費に加えて間接経費もひっくるめると、インフラ関連費用は計9.7兆円に達する。さらに会場内で運航予定の「空飛ぶクルマ」の実証など、各省庁の万博関連の事業費は3.4兆円と見込まれている。 政府は近く関連事業を含めた費用の全体像を示す方針で、透明性を確保するために第三者委員会の設置を調整中。しかし、いくら取り繕おうと、肝心の盛り上がり感は皆無に等しい。 毎日新聞の世論調査(16、17日実施)によると、万博のチケットについて「購入したいと思う」がわずか10%だったのに対し、「購入したいとは思わない」がナント79%。共同通信の世論調査では、万博を「計画通り実施するべきだ」が18.8%にとどまった。』、「毎日新聞の世論調査・・・によると、万博のチケットについて「購入したいと思う」がわずか10%だったのに対し、「購入したいとは思わない」がナント79%」、こんなに人気がない割に、「事業費」が膨大というのは、無駄遣いの典型だ。
・『やたら「国主催の事業」と強調で経済効果の試算額にも触れず… 赤字必至の状況に、旗振り役の吉村大阪府知事は“逃げ”の姿勢だ。「最後まで責任を持って(万博を)やりたい」とテレビで豪語してきたのに、先週14日の会見では、赤字に陥った際の対応について「万博は国主催の事業ですから、国主催の事業で国が赤字を補填しないと言っている運営費を大阪府・市が負担するのは明らかにおかしい」などと主張。やたら「国の事業」と強調した。 一時は自身のX(旧ツイッター)に頻繁に投稿していた万博による経済効果の試算額(2.4兆~2.8兆円)にも触れなくなった。 膨大な国費負担を前に頼みの経済効果もかすむばかりだ。 吉村知事は自身のインスタグラムで、「ミヤネ屋」の宮根誠司氏と橋下徹元大阪府知事とのスリーショットを公開。〈おっさん筋トレ同好会、やで。無理しない範囲でほどほどにやらなあかんわ〉と感想を添えた。そんなことより、万博は「無理しない範囲」をとっくに超えとるけどな!』、「直接経費に加えて間接経費もひっくるめると、インフラ関連費用は計9.7兆円に達する。さらに会場内で運航予定の「空飛ぶクルマ」の実証など、各省庁の万博関連の事業費は3.4兆円と見込まれている」、信じ難いような膨大な無駄遣いだ。
次に、本年1月9日付け東洋経済オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「大阪・関西万博はどう考えても延期するしかない、これだけの理由【岸田首相に直言】」を紹介しよう。
・『東日本大震災では、震災当日に道路復旧計画が決まっていた 元旦の日本を揺るがした能登半島大地震。岸田首相は「被災者の救命・救助はまさに時間との戦いだ。人命第一の方針のもとに救出に全力をあげる」と宣言し、そのために救助犬を増やすことや道路の復旧を急ぐことなどを指示したと、いかにも政府が全力をあげているような発言を繰り返しています。 しかしこの対応、すでに2011年の東日本大震災時と比べて大幅に遅れているのです。1月4日の時点で、能登半島の道路は寸断されており、各地で渋滞が起こっています。 東日本大震災ではどうだったのでしょうか。実は当時、『月刊文春』で取材していた私は、国土交通省の素早い対応を知りました。震災が起こった11日の翌日には、被災地に向けて11ルートの道路がすでに開かれ、被災地救援物資と機材のみの通過が許され、すでに復興への戦力がどんどん現場に入りつつありました。 現地の指揮官にあたる徳山日出男・東北地方整備局長(のち、国土交通省次官)が、震災直後に、人命救助と捜索のための道路を開くことを決断。津波のために松島空港が全滅。津波がくる寸前に日本で唯一飛ばすことができた国土交通省のヘリの情報から、太平洋岸の被害が激しいと判断し、その日のうちに復興計画の第一弾を作成していたのです。 海寄りの道路を諦め、東北の中心部の無事な道路から海岸に向けて、「くしの歯」のような形で道路を啓開することを計画し、あの揺れに揺れている震災当日に、地元建設業者と連絡をとり、道路啓開部隊を52チームに細かく分けて結成しました。 これが震災当日の話なのです。そして、道路はガタガタでもいいから、とにかく通れるようにしようと奮闘しました。国道事務所の職員、地元建設会社のパワーショベルと操作員、そして土嚢やアスファルトの合同チームが協力して、遺体までかき分けるような作業を重ねて、海岸にむけて前進。地震発生4日目までにさらに40ルートが確保されていました。 地震発生から4日目ということは、今回の能登半島地震でいえば、1月4日までにこうした体制を整えていたことになります。) 足もとでは、1月4日時点でテレビでは記者たちが、「能登半島は海岸沿いの道路しかないので、道路事情が悪く、渋滞でなかなか現地にたどりつけない」などとレポートしていました。東日本大震災時は、当初マスコミの車両などは通行不可で、彼らは現地にヘリで入るしかなかったのですが、この決断と大規模な人員、資材、重機の集中投入が、その後の人名救助において大きな助けとなったことは言うまでもありません。 当時、大畠章宏・国土交通大臣は、「現場の徳山局長の判断を私の判断と考え、国土交通省の所掌に囚われず、予算も考えずに判断せよ」と大幅な権限委譲を行いました。福島原発問題という、いまだすべてが解決しない事故のせいで、国民から大きな評価はされていませんが、これは英断でした。あの大震災では、今回とまったく違うスピードで復旧と人命救助の作業が行われていたことを忘れてはいけません。 もちろん、貢献したのは現地の建設業者だけではありません。大きな道が開けば、復旧のために全国の建設会社が動員され、大量の作業員が努力したことも、世界が驚く復旧の速さに貢献しました。 それに比べて、今回の復旧作業は遅すぎるのではないでしょうか。復旧が遅れれば遅れるほど、被災者の健康も心身の状態も蝕まれていきます。能登半島だけでなく、富山、新潟といった日本の穀物産業を支える地域の労働力が蝕まれてゆくのです。 私には、今回、官邸も国土交通省も統一的な復旧計画を持っていないように思えます。(東日本大震災の場合は、東北整備局と本省を結ぶ回線で、毎日緊密な打ち合わせが行われ、それが危機管理の能力を固めていました)』、「震災が起こった11日の翌日には、被災地に向けて11ルートの道路がすでに開かれ、被災地救援物資と機材のみの通過が許され、すでに復興への戦力がどんどん現場に入りつつありました。 現地の指揮官にあたる徳山日出男・東北地方整備局長・・・が、震災直後に、人命救助と捜索のための道路を開くことを決断。津波のために松島空港が全滅。津波がくる寸前に日本で唯一飛ばすことができた国土交通省のヘリの情報から、太平洋岸の被害が激しいと判断し、その日のうちに復興計画の第一弾を作成していたのです・・・それに比べて、今回の復旧作業は遅すぎるのではないでしょうか。復旧が遅れれば遅れるほど、被災者の健康も心身の状態も蝕まれていきます。能登半島だけでなく、富山、新潟といった日本の穀物産業を支える地域の労働力が蝕まれてゆくのです。 私には、今回、官邸も国土交通省も統一的な復旧計画を持っていないように思えます・・・(東日本大震災の場合は、東北整備局と本省を結ぶ回線で、毎日緊密な打ち合わせが行われ、それが危機管理の能力を固めていました)』、確かに今回の遅れは顕著だ。
・『死者と行方不明者はこれからも増える可能性 1月7日時点では、石川県だけで死者126名、安否不明者242名。東日本大震災時と比べて、被害規模が小さいということも、政府の腰がいまひとつ重い原因の一つかもしれません。しかし、今回の地震は能登だけでなく、北海道から鹿児島まで広範囲の被害をもたらしました。被害の全容が把握されたら、今報道されているような規模でなくなることは確実です』、「被害の全容が把握されたら、今報道されているような規模でなくなることは確実です」、なるほど。
・『熊本地震と比べてわかる「復興への労力」 今こそ岸田首相に求めたい英断 ここで、今度こそ岸田首相の英断を望みたいところです。いや、その英断によって、現在の復旧の遅れを一気に取り戻すほどの気合と希望を、国民全体に与えてほしいと思うのは私だけでしょうか。 決断すべきことは簡単です。まず、建設業者など復旧のための労働力を増やし、予算を十二分に投下するための手段を講じることです。そのために最も簡単な方法があります。それは2025年に開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博/以下「大阪万博」と記述)の延期です。 もちろん、関係者が反対することは目に見えています。しかし、それは冷厳に復興費用にかかる数字を公開すれば、説得できるはずです。能登半島地震の被害規模はまだ確定できませんが、2016年に起こった熊本地震の例を「消防白書」のデータから見てみると、大体似通った数字になるであろうことは予想できます。 熊本地震は2016年10月27日時点で、死者139人 、重症者957人。そのうち震災の直接被害による死者が50人、負傷の悪化や避難生活の負担による死者は84人といいますから、死者数は現時点で判明している能登半島地震のそれと似ています。 また、住居の被害は同期間で全壊8298棟、半壊31249棟。その他国道や県道の亀裂、陥没、落石、地方公共団体の庁舎の被災などといった、建物やインフラの被害状況も大体似ています。 避難民の数は熊本県だけで18万3882人。現在報じられている能登半島地震の避難民数は石川、富山、新潟で3万4000人強(読売新聞調べ)ですが、日本海側全県に及んだ被害を考えると、避難民の数は熊本ほどではなくとも、かなりの規模になるでしょう。 こうした中、熊本県は仮設住宅だけで110団地4303戸を建設しました。そして、その復旧に要した予算は概算で500億円にのぼりました。 東日本大震災の場合は復興税という形で予算を確保しました。今回もまた、そういう手段もありえます。しかし、問題は復興・復旧に要する建設業者の数です。) 大阪万博はただでさえ、工事が遅れています。その原因の一つが業者の労働力不足です。 建築ジャーナリストの千葉利弘氏が執筆した記事「大阪万博『工事遅れ』背景に施行能力不足」(東洋経済オンライン)によると、大阪圏(大阪、京都、兵庫、奈良)の建築着工床面積の数字は17年前には年間2500万平方メートルだったのに対し、2022年度には1600平方メートルを切るほどに落ち込んでおり、そのうち住宅が55%を占めているので、産業用建築は700万平方メートルにすぎないとのことです。 つまり、現状でも年間700万平方メートルのビルなどをフル稼働で作っているところに、突然、大阪・関西万博の会場面積155万平方メートルに相当する建設工事が加わっているのです。「いや、これは会場面積であり、その全てがパビリオンになるわけではないだろう」という反論もあるでしょうが、会場だけでなく周辺道路を含めたインフラ整備の負担もあります』、「現状でも年間700万平方メートルのビルなどをフル稼働で作っているところに、突然、大阪・関西万博の会場面積155万平方メートルに相当する建設工事が加わっているのです」、やはり「大阪万博」の延期が最も治まりがよさそうだ。
・『万博会場にはまだ水道も電気も通っていない 万博会場となる夢州(ゆめしま)には、まだ水道も電気も通っていないという報道もありました(2023年12月4日付朝日新聞)。会場近くで送電を担う変電所との契約もまだという状態です。万博に直接関係するインフラ整備費は国費負担を含め計8390億円、会場建設費など万博に直接資する国費負担は計1647億円で、総事業費が1兆円を超えるという試算も報道されているほどの大規模工事ですが、現状でもフル稼働の大阪圏の建設業者だけで、この建設に立ち向かうのは不可能といっても過言ではありません。 実際、建設業界からは「本当に間に合うのか」という疑問が万博協会に寄せられていたそうです。結局、現状で期待されているのは、大阪圏以外の建設業者と外国人労働者ということになります。 しかし、国策事業ではあっても、2024年4月からは建設業に時間外労働の上限規制も適用されるため、施行能力の削減は避けられません。その上、もともと太平洋岸の大都市群の建設を支えていたのは、東北や日本海側からの出稼ぎ労働者でした。 今回、能登半島地震の復興作業で彼らのニーズが急増することが考えられ、彼ら自身も故郷を守る行動をとるはずです。「東日本大震災では、全国から労働者を集められたではないか」という反論もあるでしょう。 しかし、これも数字が冷徹に物語っています。) 当時の東北6県の建設投資額は3.1兆円程度だったのに対し、総額22兆円の復旧復興工事費用が投入されました。しかし、日本全体の建設投資額は年41兆円程度まで落ちていました。阪神淡路大震災の1995年当時は年間79兆円あった建設投資が半減していたため、全国の建設業者を動員しても、そう簡単に22兆円の建設工事はできず、復旧工事が完了するのに10年も時間がかかりました(前出・千葉氏)』、「国策事業ではあっても、2024年4月からは建設業に時間外労働の上限規制も適用されるため、施行能力の削減は避けられません」、やはり「大阪万博」の延期が最も治まりがよさそうだ。
・『全国から業者を動員しても万博工事と能登半島復旧の両立は厳しい つまり、全国から建設業者を動員しても、大阪万博の工事と能登半島の復旧を同時に短時間で可能とすることなど、不可能なのです。だからこそ、一旦大阪万博を延期して、そこに必要とされる労働力と予算を日本海側の被災地に集中すれば、復旧も復興も確実に早まるでしょう。 当面、日本海側の諸都市では、道路の啓開、倒壊した住宅の撤去や整理、仮設住宅の建設といった多大な建設業者の労働力と予算が必要になります。正直、万博などと言っている場合でしょうか。ただでさえ準備が遅れ、プレハブ方式での突貫工事が揶揄されている大阪万博ですが、1年延期した方が、むしろ内容のあるものが開催できるはずです。 能登半島救援のためという大義名分があれば、大阪万博の最大の推進者である「日本維新の会」も、延期を強くは反対できないはずです。それこそ、決断力も実現力もないと言われる岸田総理の評価を一変させる行動だと思います。 総理が早期に決断を下すために、野党や産業界、そして大メディアにも、大阪万博延期の大合唱をお願いしたいものです』、「大阪万博の工事と能登半島の復旧を同時に短時間で可能とすることなど、不可能なのです。だからこそ、一旦大阪万博を延期して、そこに必要とされる労働力と予算を日本海側の被災地に集中すれば、復旧も復興も確実に早まるでしょう・・・能登半島救援のためという大義名分があれば、大阪万博の最大の推進者である「日本維新の会」も、延期を強くは反対できないはずです。それこそ、決断力も実現力もないと言われる岸田総理の評価を一変させる行動だと思います。 総理が早期に決断を下すために、野党や産業界、そして大メディアにも、大阪万博延期の大合唱をお願いしたいものです」、同感である。
第三に、2月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「大阪万博の経済効果、本当は「大幅なマイナス」繰り返される過大評価の罪深さ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338334
・『大阪万博の経済効果は2兆~3兆円に上るという試算が、ある組織から発表された。そして、メディアがその数字を拡散しているが、これをうのみにしてはいけない数多くの理由をお伝えしたい』、興味深そうだ。
・『大阪万博の経済効果は3兆円超の試算も 「開催にはメリット」は本当なのか? 大阪・関西万博を巡って、高騰するコストを打ち消すように、莫大(ばくだい)な経済効果が発表されている。これまでも東京オリンピック・パラリンピックやさまざまな大型イベントなどで「ムダ遣い」という批判が起きるたびに「多大なる経済効果のメリット」を前提にプロジェクトは推進されていった。 一般財団法人アジア太平洋研究所が、1月24日に発表した「大阪・関西万博の経済波及効果」によれば、経済波及効果が「基準ケース」で2兆7457億円になるという。さらに、夢洲会場以外のイベントによる追加的な参加(泊数増加)を想定し、リピーター増を考慮した「拡張万博ケース2」では3兆3667億円まで膨らむという試算結果を発表している。 他方、NHK『大阪・関西万博 国費総額1647億円 今後追加費用も 全体像公表』(2023年12月19日)によると、政府が発表した大阪万博の費用の内訳は以下の通りだ。) ・会場建設費の国の負担分が783億円 ・政府が出展するパビリオン建設費などが837億円 ・過去に誘致などにかかった費用が27億円 など直接的な費用の総額は最大で1647億円。 さらに、関連事業として ・道路や鉄道を含むインフラ整備事業費など、およそ9兆7000億円 ・「空飛ぶクルマ」の実証実験など万博に向けた各府省庁の事業の実施費用、およそ3兆4000億円 などの費用が公表された。 政府は「関連事業は、万博開催の有無にかかわらず計画されていたもので、万博のみに資する金額の算出は困難だとする一方、透明性の観点からあえて合計額を示した」と説明している、と前述のNHKの記事は報じている。 政府、大阪府・市、万博の運営側としては、直接経費の1647億円よりも経済効果が上回っているのだから、開催にはメリットがあると信じたいのだろう。 本当なのだろうか』、「政府、大阪府・市、万博の運営側としては、直接経費の1647億円よりも経済効果が上回っているのだから、開催にはメリットがあると信じたいのだろう」、検証が必要だ。
・『経済効果を発表→メディアが拡散 大イベント開催のお決まりパターン これまで、大きなイベントの開催が決定されると、民間団体がこぞって「経済効果」を発表し、それをうのみにしたメディアによってその数字が拡散されていった。 しかし、事前の影響調査(=経済効果)は、利益を過大評価し、関連するコストを過小評価してしまうということは、研究の分野では広く知られていることだ。莫大な税金を投入する事業において、国民、住民を最も説得しやすいのが、莫大な「経済効果」ということなのだろう。) また政治家の多くは、大きなイベントの開催について、交通網のインフラなどを拡張、改善する機会として捉えることも多い。 今回の大阪万博では、最先端の技術が紹介されるという宣伝がされているようだ。コンセプトは「未来社会の実験場」ということらしい。 過去にオリンピックが開催された都市でも、経済効果がうまく上がらなそうなことが分かってくると、開催の目的が「(経済的発展を見せつける)国威発揚の場」などと論点がすり替えられていった。日本においても東京オリンピックは「(東日本大震災からの)復興のシンボル」と位置付けられた。東京オリンピックのどこが復興のシンボルだったのか、覚えている人はあまりいないかもしれない。 今回の大阪万博には、そんな壮大なテーマはない。朝日新聞(2023年11月6日)の記事でインタビューを受けていた万博の研究者である京都大学大学院の佐野真由子教授(文化政策学)によれば、「時代を活写するのが万博の役割で、日本をアピールし、経済を上向かせる巨大イベントと考えるのは『目的違い』」だという。そして、「万博の期間中に『いのち』について考え、ものの見方が変わった――。来場者らがそんな経験をできれば、万博は成功したと言えると思います」と語っている。 この教授の言っていることはさっぱり訳が分からないが、一人の納税者としては、まずは投じた税金を上回る経済的な利益を得られるかどうかが最大の争点だと考えている』、「一人の納税者としては、まずは投じた税金を上回る経済的な利益を得られるかどうかが最大の争点だ」、なるほど。
・『大阪万博の経済効果を算出するのに「ふさわしい組織か?」という疑問符 それを考える上での第一の問題として、経済効果の算出では、負の要素があることは一切取り扱わないということだ。 それっぽい研究団体や研究者が、経済効果を測定するケースが目立つが、経済効果の額を多めに発表した方が、イベントを開催する既得権益者たちにとって歓迎されることを考えても、中立性の問題が取り沙汰されるべきだ。今回のアジア太平洋研究所のホームページで会員名簿を見ると、大阪万博にカネを出す企業たちが会員として名を連ねているのが分かる。この組織は、公平な経済効果を算出するにふさわしいといえるのだろうか。) 経済効果の測定では、例えば、神戸在住の家族が、沖縄への旅行を中止して大阪万博へ行った場合、旅行への支出は減ってしまうことが予想されるが、万博の経済効果では「プラス」と判断されてしまう。万博ほどの大きなイベントになると、遠距離旅行などの特別な旅行をキャンセルして向かう可能性もあり、純粋に万博の経済効果として計上するには無理がある。 今、「無理がある」と指摘したが、そう感じているのは、私だけでなく、多くの学者が認めているところだ。興味がある人は論文を検索してみてほしい。 また、冒頭の政府の説明(「関連事業は、万博開催の有無にかかわらず計画されていたもので、万博のみに資する金額の算出は困難だ」)では、関連事業はあたかも別立てで計算すべきかのような指摘をしている。だったら、関連事業の経済効果と言われるようなものも全て排除して比較しなくては公正さを欠く。 今回、アジア太平洋研究所が推定した「大阪万博の経済効果」は、万博の有無にかかわらず計上されるものがほとんどと言っていい』、「それっぽい研究団体や研究者が、経済効果を測定するケースが目立つが、経済効果の額を多めに発表した方が、イベントを開催する既得権益者たちにとって歓迎されることを考えても、中立性の問題が取り沙汰されるべきだ。今回のアジア太平洋研究所のホームページで会員名簿を見ると、大阪万博にカネを出す企業たちが会員として名を連ねているのが分かる。この組織は、公平な経済効果を算出するにふさわしいといえるのだろうか・・・今回、アジア太平洋研究所が推定した「大阪万博の経済効果」は、万博の有無にかかわらず計上されるものがほとんどと言っていい」、つまり過大推計をしていることを意味する。
・『万博があろうとなかろうと建設の経済効果は発生したはずだ 例えば、建設工事によって発生する経済効果について考えてみよう。 ジョナサン・バークレー『巨大スポーツイベントの費用と利益の予測』(※1)によれば、大きなイベントの開催に伴う大型の建設工事の経済効果への影響について疑問があるとしている。 「多くの学者の著作において、スポーツスタジアムを建設することと経済発展の間には相関関係が認められないとされている。それにもかかわらず、多くの『経済効果』の測定では、建設をコストではなく便益であると見なしている。建設は経済活動を活発化させるかもしれないが、そのようなプロジェクトへの公共支出は、他の公共サービスの減少、政府の借り入れの増加、または増税を意味するため、膨大な機会費用も考慮する必要もある」という。 万博に半ば強制的にお金を上納させられ、チケットを買わされている企業たちは内部留保を取り崩すことになるが、当然、そのしわ寄せは、企業の成長戦略や社員の給料、消費者に来る。そのデメリットは、経済効果に一切考慮されていない。 さらに、現在の日本は建設需要がひっ迫していることが考慮されていない。つまり、建設会社にとって仕事が溢れかえっている状況だ。単に、多くのお金(税金)を払って、他の工事に先駆けて前倒しをお願いしている状況なのである。万博の建設がなかったとしても影響は限定的ということになる。 他の工事をするよりも多額のお金を支払うという意味で、経済効果は発生している可能性がわずかにあるが、それとて、原資は私たちの税金である。家計へのダメージが及ぼす経済効果は計上されていない。 さらには「混雑を避ける地元民」という頭の痛い問題もある。万博へ思惑通りにたくさんの観光客が訪れたとすれば、大阪の街は人でごった返す事態が考えられる。一部の地元民が混雑を嫌い、これまで大阪府下で落としてきた消費支出を県外へ差し向けることは、当然想定しなくてはいけない事態だ。 「South African Journal of Economics」に掲載された論文(※2)によると、サッカーの日韓ワールドカップ(2002年)が開催された韓国では「韓国を訪れる欧州からの観光客の数は通常より多かったが、この増加は、日本から通常訪れる観光客が同規模減少したことによって相殺された」という。 また同論文では、2002年に米誌「フォーブズ」と米紙「USAトゥデイ」が報じた以下の記事を引用している。 「2002年のワールドカップ期間中に韓国を訪れた外国人観光客の総数は46万人と推定され、これは前年同期の外国人観光客数と同じ数字だった」(フォーブズ) 「テレビやスポーツ用品などの消費財はよく売れたが、一部のカジノやホテルでは、常連客や出張者がワールドカップの混雑を避けたため、売り上げが落ち込んだ」(USAトゥデイ) 訪日客が支出を増やしていることが万博の経済効果を増やすという主張もあるが、これも万博の開催の有無に関係がなく、日本がもともと受けられるメリットである。当然、差し引くべきだ。 経済効果があるのは、例えば、台湾や他の国へ行く予定だった人が、万博があるから旅行地を大阪へと変更したようなケースだ。国内旅行先の切り替えでは、日本全体で考えたときにまるで経済効果になっていない。消費先がスライドしているだけである』、「経済効果があるのは、例えば、台湾や他の国へ行く予定だった人が、万博があるから旅行地を大阪へと変更したようなケースだ。国内旅行先の切り替えでは、日本全体で考えたときにまるで経済効果になっていない。消費先がスライドしているだけである」、その通りだ。
・『関連事業まで経済効果に含めるならコストも同じ土俵で比べるべきだ 文字量がかさんできたのでまとめるが、大阪万博の経済効果には2種類ある。厳密な意味での経済効果と関連事業も含めた経済効果だ。 厳密な意味での経済効果では、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果は全て排除されなければならない。となれば「沖縄旅行へ行くはずだったが、大阪へ行った」「お昼ご飯を神戸ではなく万博の敷地内で食べた」「建設工事の順番において大阪万博を優先した」では、経済効果にはならないのである。現在の試算より限定的なものにとどまることが、お分かりいただけるだろうか。 そして、間接的な関連事業まで経済効果に含めるのであれば、道路や鉄道を含むインフラ整備事業費などにかかる約9兆7000億円、「空飛ぶクルマ」の実証実験など万博に向けた各府省庁の事業の実施費用である約3兆4000億円も、コストに含めなければならない。 アジア太平洋研究所が算出した拡張ケース2の経済効果である「3兆3667億円」でも、到底足りないことになる。大幅なマイナスだ。 経済効果の算定は、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果を全て排除して計算し直すべきだ』、「厳密な意味での経済効果と関連事業も含めた経済効果だ。 厳密な意味での経済効果では、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果は全て排除されなければならない。となれば「沖縄旅行へ行くはずだったが、大阪へ行った」「お昼ご飯を神戸ではなく万博の敷地内で食べた」「建設工事の順番において大阪万博を優先した」では、経済効果にはならないのである。現在の試算より限定的なものにとどまることが、お分かりいただけるだろうか。 そして、間接的な関連事業まで経済効果に含めるのであれば、道路や鉄道を含むインフラ整備事業費などにかかる約9兆7000億円、「空飛ぶクルマ」の実証実験など万博に向けた各府省庁の事業の実施費用である約3兆4000億円も、コストに含めなければならない。 アジア太平洋研究所が算出した拡張ケース2の経済効果である「3兆3667億円」でも、到底足りないことになる。大幅なマイナスだ。 経済効果の算定は、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果を全て排除して計算し直すべきだ」、同感である。
第四に、2月21日付け日刊ゲンダイ「大阪万博に“目玉”爆誕!2億円トイレは税金ムダ遣いの極み…政治家こぞって「高くない」主張」を紹介しよう。
・『2025年大阪・関西万博の目玉として350億円もの巨額建設費が投じられた大屋根(リング)に続き、新たな“見どころ”が爆誕だ。「2億円トイレ」である。 万博会場にはトイレが約40カ所設置される予定。うち8カ所は若手建築家がデザインする「デザイナーズトイレ」なのだが、ベラボーに高いのだ。 日本国際博覧会協会(万博協会)の契約情報によれば、デザイナーズトイレ8カ所のうち3カ所は入札が「取止め・不調」。落札が決まった5カ所の設置費用は計6億6000万円に上る。うち2カ所が各2億円を占め、「高すぎやろ!」と総ツッコミをくらっている。 万博を所管する経産省の斎藤大臣は20日の会見で、「2億円トイレ」について「便器が数十個設置される大規模な設備」「一般的な公衆トイレの建設費用と比べ、取り立てて高額であるとは言えない」などと強弁。自見万博相も同日の会見で、50~60台の便器を備えているとして「規模から考えれば必ずしも高額とは言えない」と言い張った。 大阪府の吉村知事もきのう、「平米単価にすると、一般の公共施設のトイレと値段は大きく変わらないというのが事実」などと主張。「建築家が万博会場で新しい建築技術や価値観というのをトイレに、ある意味、魂も吹き込んでいます」との見解を示した』、「2億円トイレ」は「50~60台の便器を備えている」ので、「規模から考えれば必ずしも高額とは言えない」、なるほど。
・『渋谷区のデザイナーズトイレは1.2億円 そもそも、万博のデザイナーズトイレには1平方メートル当たり174万円のものもある。吉村のように「平米単価」を引き合いに出して「高くない」と言い張ること自体、ナンセンス極まりない。 東京都内で話題を呼んだデザイナーズトイレと比べても、2億円は高い。 渋谷区と日本財団が建築家やクリエーター16人と組んで区内17カ所にオシャレな公衆トイレを設置した「THE TOKYO TOILET」プロジェクトは、整備費用が1カ所当たり約1.2億円だった。ちなみに、17カ所目をデザインしたのは、万博会場のデザインプロデューサーを務める建築家の藤本壮介氏だ。 「魂の2億円トイレ」が後世に残るのならまだしも、万博会場は閉幕後に取り壊される。トイレの利活用について万博協会に尋ねると、「デザイナーの方にはコストや機能性、閉幕後のリサイクル面などを考慮していただいております」(広報担当)とのこと。イマイチ判然としない。 万博のテーマのひとつは「SDGs」だが、半年間しか使われないトイレに2億円をつぎ込む「持続可能性」とは一体、何なのか。まずは税金のムダ遣いをやめるべきだ』、「万博のテーマのひとつは「SDGs」だが、半年間しか使われないトイレに2億円をつぎ込む「持続可能性」とは一体、何なのか。まずは税金のムダ遣いをやめるべきだ」、同感である。
先ずは、昨年12月18日付け日刊ゲンダイ「大阪万博「国費負担1兆円超」でかすむ経済効果…“逃げ”姿勢の吉村知事は「国開催」強調のトホホ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/333536
・『めっちゃカネかかるやん──。2025年大阪・関西万博の開催費用の全体像が判明した。会場建設費や「日本館」の整備など、国費負担の総額は1647億円。万博に直接関係するインフラ整備費は国費負担を含め計8390億円にも上る。あわせて1兆円超の負担を背負わされる国民にしてみれば、「ふざけた話」である。 1647億円の内訳は、+国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担する会場建設費783億円 +日本館の整備費360億円▽途上国の出展支援240億円 +警備費199億円 +機運醸成費38億円 +誘致費用27億円。インフラ整備費8390億円のうち「会場周辺の整備費」が810億円、「会場へのアクセス向上費用」が7580億円を占める。 こうした直接経費に加えて間接経費もひっくるめると、インフラ関連費用は計9.7兆円に達する。さらに会場内で運航予定の「空飛ぶクルマ」の実証など、各省庁の万博関連の事業費は3.4兆円と見込まれている。 政府は近く関連事業を含めた費用の全体像を示す方針で、透明性を確保するために第三者委員会の設置を調整中。しかし、いくら取り繕おうと、肝心の盛り上がり感は皆無に等しい。 毎日新聞の世論調査(16、17日実施)によると、万博のチケットについて「購入したいと思う」がわずか10%だったのに対し、「購入したいとは思わない」がナント79%。共同通信の世論調査では、万博を「計画通り実施するべきだ」が18.8%にとどまった。』、「毎日新聞の世論調査・・・によると、万博のチケットについて「購入したいと思う」がわずか10%だったのに対し、「購入したいとは思わない」がナント79%」、こんなに人気がない割に、「事業費」が膨大というのは、無駄遣いの典型だ。
・『やたら「国主催の事業」と強調で経済効果の試算額にも触れず… 赤字必至の状況に、旗振り役の吉村大阪府知事は“逃げ”の姿勢だ。「最後まで責任を持って(万博を)やりたい」とテレビで豪語してきたのに、先週14日の会見では、赤字に陥った際の対応について「万博は国主催の事業ですから、国主催の事業で国が赤字を補填しないと言っている運営費を大阪府・市が負担するのは明らかにおかしい」などと主張。やたら「国の事業」と強調した。 一時は自身のX(旧ツイッター)に頻繁に投稿していた万博による経済効果の試算額(2.4兆~2.8兆円)にも触れなくなった。 膨大な国費負担を前に頼みの経済効果もかすむばかりだ。 吉村知事は自身のインスタグラムで、「ミヤネ屋」の宮根誠司氏と橋下徹元大阪府知事とのスリーショットを公開。〈おっさん筋トレ同好会、やで。無理しない範囲でほどほどにやらなあかんわ〉と感想を添えた。そんなことより、万博は「無理しない範囲」をとっくに超えとるけどな!』、「直接経費に加えて間接経費もひっくるめると、インフラ関連費用は計9.7兆円に達する。さらに会場内で運航予定の「空飛ぶクルマ」の実証など、各省庁の万博関連の事業費は3.4兆円と見込まれている」、信じ難いような膨大な無駄遣いだ。
次に、本年1月9日付け東洋経済オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「大阪・関西万博はどう考えても延期するしかない、これだけの理由【岸田首相に直言】」を紹介しよう。
・『東日本大震災では、震災当日に道路復旧計画が決まっていた 元旦の日本を揺るがした能登半島大地震。岸田首相は「被災者の救命・救助はまさに時間との戦いだ。人命第一の方針のもとに救出に全力をあげる」と宣言し、そのために救助犬を増やすことや道路の復旧を急ぐことなどを指示したと、いかにも政府が全力をあげているような発言を繰り返しています。 しかしこの対応、すでに2011年の東日本大震災時と比べて大幅に遅れているのです。1月4日の時点で、能登半島の道路は寸断されており、各地で渋滞が起こっています。 東日本大震災ではどうだったのでしょうか。実は当時、『月刊文春』で取材していた私は、国土交通省の素早い対応を知りました。震災が起こった11日の翌日には、被災地に向けて11ルートの道路がすでに開かれ、被災地救援物資と機材のみの通過が許され、すでに復興への戦力がどんどん現場に入りつつありました。 現地の指揮官にあたる徳山日出男・東北地方整備局長(のち、国土交通省次官)が、震災直後に、人命救助と捜索のための道路を開くことを決断。津波のために松島空港が全滅。津波がくる寸前に日本で唯一飛ばすことができた国土交通省のヘリの情報から、太平洋岸の被害が激しいと判断し、その日のうちに復興計画の第一弾を作成していたのです。 海寄りの道路を諦め、東北の中心部の無事な道路から海岸に向けて、「くしの歯」のような形で道路を啓開することを計画し、あの揺れに揺れている震災当日に、地元建設業者と連絡をとり、道路啓開部隊を52チームに細かく分けて結成しました。 これが震災当日の話なのです。そして、道路はガタガタでもいいから、とにかく通れるようにしようと奮闘しました。国道事務所の職員、地元建設会社のパワーショベルと操作員、そして土嚢やアスファルトの合同チームが協力して、遺体までかき分けるような作業を重ねて、海岸にむけて前進。地震発生4日目までにさらに40ルートが確保されていました。 地震発生から4日目ということは、今回の能登半島地震でいえば、1月4日までにこうした体制を整えていたことになります。) 足もとでは、1月4日時点でテレビでは記者たちが、「能登半島は海岸沿いの道路しかないので、道路事情が悪く、渋滞でなかなか現地にたどりつけない」などとレポートしていました。東日本大震災時は、当初マスコミの車両などは通行不可で、彼らは現地にヘリで入るしかなかったのですが、この決断と大規模な人員、資材、重機の集中投入が、その後の人名救助において大きな助けとなったことは言うまでもありません。 当時、大畠章宏・国土交通大臣は、「現場の徳山局長の判断を私の判断と考え、国土交通省の所掌に囚われず、予算も考えずに判断せよ」と大幅な権限委譲を行いました。福島原発問題という、いまだすべてが解決しない事故のせいで、国民から大きな評価はされていませんが、これは英断でした。あの大震災では、今回とまったく違うスピードで復旧と人命救助の作業が行われていたことを忘れてはいけません。 もちろん、貢献したのは現地の建設業者だけではありません。大きな道が開けば、復旧のために全国の建設会社が動員され、大量の作業員が努力したことも、世界が驚く復旧の速さに貢献しました。 それに比べて、今回の復旧作業は遅すぎるのではないでしょうか。復旧が遅れれば遅れるほど、被災者の健康も心身の状態も蝕まれていきます。能登半島だけでなく、富山、新潟といった日本の穀物産業を支える地域の労働力が蝕まれてゆくのです。 私には、今回、官邸も国土交通省も統一的な復旧計画を持っていないように思えます。(東日本大震災の場合は、東北整備局と本省を結ぶ回線で、毎日緊密な打ち合わせが行われ、それが危機管理の能力を固めていました)』、「震災が起こった11日の翌日には、被災地に向けて11ルートの道路がすでに開かれ、被災地救援物資と機材のみの通過が許され、すでに復興への戦力がどんどん現場に入りつつありました。 現地の指揮官にあたる徳山日出男・東北地方整備局長・・・が、震災直後に、人命救助と捜索のための道路を開くことを決断。津波のために松島空港が全滅。津波がくる寸前に日本で唯一飛ばすことができた国土交通省のヘリの情報から、太平洋岸の被害が激しいと判断し、その日のうちに復興計画の第一弾を作成していたのです・・・それに比べて、今回の復旧作業は遅すぎるのではないでしょうか。復旧が遅れれば遅れるほど、被災者の健康も心身の状態も蝕まれていきます。能登半島だけでなく、富山、新潟といった日本の穀物産業を支える地域の労働力が蝕まれてゆくのです。 私には、今回、官邸も国土交通省も統一的な復旧計画を持っていないように思えます・・・(東日本大震災の場合は、東北整備局と本省を結ぶ回線で、毎日緊密な打ち合わせが行われ、それが危機管理の能力を固めていました)』、確かに今回の遅れは顕著だ。
・『死者と行方不明者はこれからも増える可能性 1月7日時点では、石川県だけで死者126名、安否不明者242名。東日本大震災時と比べて、被害規模が小さいということも、政府の腰がいまひとつ重い原因の一つかもしれません。しかし、今回の地震は能登だけでなく、北海道から鹿児島まで広範囲の被害をもたらしました。被害の全容が把握されたら、今報道されているような規模でなくなることは確実です』、「被害の全容が把握されたら、今報道されているような規模でなくなることは確実です」、なるほど。
・『熊本地震と比べてわかる「復興への労力」 今こそ岸田首相に求めたい英断 ここで、今度こそ岸田首相の英断を望みたいところです。いや、その英断によって、現在の復旧の遅れを一気に取り戻すほどの気合と希望を、国民全体に与えてほしいと思うのは私だけでしょうか。 決断すべきことは簡単です。まず、建設業者など復旧のための労働力を増やし、予算を十二分に投下するための手段を講じることです。そのために最も簡単な方法があります。それは2025年に開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博/以下「大阪万博」と記述)の延期です。 もちろん、関係者が反対することは目に見えています。しかし、それは冷厳に復興費用にかかる数字を公開すれば、説得できるはずです。能登半島地震の被害規模はまだ確定できませんが、2016年に起こった熊本地震の例を「消防白書」のデータから見てみると、大体似通った数字になるであろうことは予想できます。 熊本地震は2016年10月27日時点で、死者139人 、重症者957人。そのうち震災の直接被害による死者が50人、負傷の悪化や避難生活の負担による死者は84人といいますから、死者数は現時点で判明している能登半島地震のそれと似ています。 また、住居の被害は同期間で全壊8298棟、半壊31249棟。その他国道や県道の亀裂、陥没、落石、地方公共団体の庁舎の被災などといった、建物やインフラの被害状況も大体似ています。 避難民の数は熊本県だけで18万3882人。現在報じられている能登半島地震の避難民数は石川、富山、新潟で3万4000人強(読売新聞調べ)ですが、日本海側全県に及んだ被害を考えると、避難民の数は熊本ほどではなくとも、かなりの規模になるでしょう。 こうした中、熊本県は仮設住宅だけで110団地4303戸を建設しました。そして、その復旧に要した予算は概算で500億円にのぼりました。 東日本大震災の場合は復興税という形で予算を確保しました。今回もまた、そういう手段もありえます。しかし、問題は復興・復旧に要する建設業者の数です。) 大阪万博はただでさえ、工事が遅れています。その原因の一つが業者の労働力不足です。 建築ジャーナリストの千葉利弘氏が執筆した記事「大阪万博『工事遅れ』背景に施行能力不足」(東洋経済オンライン)によると、大阪圏(大阪、京都、兵庫、奈良)の建築着工床面積の数字は17年前には年間2500万平方メートルだったのに対し、2022年度には1600平方メートルを切るほどに落ち込んでおり、そのうち住宅が55%を占めているので、産業用建築は700万平方メートルにすぎないとのことです。 つまり、現状でも年間700万平方メートルのビルなどをフル稼働で作っているところに、突然、大阪・関西万博の会場面積155万平方メートルに相当する建設工事が加わっているのです。「いや、これは会場面積であり、その全てがパビリオンになるわけではないだろう」という反論もあるでしょうが、会場だけでなく周辺道路を含めたインフラ整備の負担もあります』、「現状でも年間700万平方メートルのビルなどをフル稼働で作っているところに、突然、大阪・関西万博の会場面積155万平方メートルに相当する建設工事が加わっているのです」、やはり「大阪万博」の延期が最も治まりがよさそうだ。
・『万博会場にはまだ水道も電気も通っていない 万博会場となる夢州(ゆめしま)には、まだ水道も電気も通っていないという報道もありました(2023年12月4日付朝日新聞)。会場近くで送電を担う変電所との契約もまだという状態です。万博に直接関係するインフラ整備費は国費負担を含め計8390億円、会場建設費など万博に直接資する国費負担は計1647億円で、総事業費が1兆円を超えるという試算も報道されているほどの大規模工事ですが、現状でもフル稼働の大阪圏の建設業者だけで、この建設に立ち向かうのは不可能といっても過言ではありません。 実際、建設業界からは「本当に間に合うのか」という疑問が万博協会に寄せられていたそうです。結局、現状で期待されているのは、大阪圏以外の建設業者と外国人労働者ということになります。 しかし、国策事業ではあっても、2024年4月からは建設業に時間外労働の上限規制も適用されるため、施行能力の削減は避けられません。その上、もともと太平洋岸の大都市群の建設を支えていたのは、東北や日本海側からの出稼ぎ労働者でした。 今回、能登半島地震の復興作業で彼らのニーズが急増することが考えられ、彼ら自身も故郷を守る行動をとるはずです。「東日本大震災では、全国から労働者を集められたではないか」という反論もあるでしょう。 しかし、これも数字が冷徹に物語っています。) 当時の東北6県の建設投資額は3.1兆円程度だったのに対し、総額22兆円の復旧復興工事費用が投入されました。しかし、日本全体の建設投資額は年41兆円程度まで落ちていました。阪神淡路大震災の1995年当時は年間79兆円あった建設投資が半減していたため、全国の建設業者を動員しても、そう簡単に22兆円の建設工事はできず、復旧工事が完了するのに10年も時間がかかりました(前出・千葉氏)』、「国策事業ではあっても、2024年4月からは建設業に時間外労働の上限規制も適用されるため、施行能力の削減は避けられません」、やはり「大阪万博」の延期が最も治まりがよさそうだ。
・『全国から業者を動員しても万博工事と能登半島復旧の両立は厳しい つまり、全国から建設業者を動員しても、大阪万博の工事と能登半島の復旧を同時に短時間で可能とすることなど、不可能なのです。だからこそ、一旦大阪万博を延期して、そこに必要とされる労働力と予算を日本海側の被災地に集中すれば、復旧も復興も確実に早まるでしょう。 当面、日本海側の諸都市では、道路の啓開、倒壊した住宅の撤去や整理、仮設住宅の建設といった多大な建設業者の労働力と予算が必要になります。正直、万博などと言っている場合でしょうか。ただでさえ準備が遅れ、プレハブ方式での突貫工事が揶揄されている大阪万博ですが、1年延期した方が、むしろ内容のあるものが開催できるはずです。 能登半島救援のためという大義名分があれば、大阪万博の最大の推進者である「日本維新の会」も、延期を強くは反対できないはずです。それこそ、決断力も実現力もないと言われる岸田総理の評価を一変させる行動だと思います。 総理が早期に決断を下すために、野党や産業界、そして大メディアにも、大阪万博延期の大合唱をお願いしたいものです』、「大阪万博の工事と能登半島の復旧を同時に短時間で可能とすることなど、不可能なのです。だからこそ、一旦大阪万博を延期して、そこに必要とされる労働力と予算を日本海側の被災地に集中すれば、復旧も復興も確実に早まるでしょう・・・能登半島救援のためという大義名分があれば、大阪万博の最大の推進者である「日本維新の会」も、延期を強くは反対できないはずです。それこそ、決断力も実現力もないと言われる岸田総理の評価を一変させる行動だと思います。 総理が早期に決断を下すために、野党や産業界、そして大メディアにも、大阪万博延期の大合唱をお願いしたいものです」、同感である。
第三に、2月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「大阪万博の経済効果、本当は「大幅なマイナス」繰り返される過大評価の罪深さ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338334
・『大阪万博の経済効果は2兆~3兆円に上るという試算が、ある組織から発表された。そして、メディアがその数字を拡散しているが、これをうのみにしてはいけない数多くの理由をお伝えしたい』、興味深そうだ。
・『大阪万博の経済効果は3兆円超の試算も 「開催にはメリット」は本当なのか? 大阪・関西万博を巡って、高騰するコストを打ち消すように、莫大(ばくだい)な経済効果が発表されている。これまでも東京オリンピック・パラリンピックやさまざまな大型イベントなどで「ムダ遣い」という批判が起きるたびに「多大なる経済効果のメリット」を前提にプロジェクトは推進されていった。 一般財団法人アジア太平洋研究所が、1月24日に発表した「大阪・関西万博の経済波及効果」によれば、経済波及効果が「基準ケース」で2兆7457億円になるという。さらに、夢洲会場以外のイベントによる追加的な参加(泊数増加)を想定し、リピーター増を考慮した「拡張万博ケース2」では3兆3667億円まで膨らむという試算結果を発表している。 他方、NHK『大阪・関西万博 国費総額1647億円 今後追加費用も 全体像公表』(2023年12月19日)によると、政府が発表した大阪万博の費用の内訳は以下の通りだ。) ・会場建設費の国の負担分が783億円 ・政府が出展するパビリオン建設費などが837億円 ・過去に誘致などにかかった費用が27億円 など直接的な費用の総額は最大で1647億円。 さらに、関連事業として ・道路や鉄道を含むインフラ整備事業費など、およそ9兆7000億円 ・「空飛ぶクルマ」の実証実験など万博に向けた各府省庁の事業の実施費用、およそ3兆4000億円 などの費用が公表された。 政府は「関連事業は、万博開催の有無にかかわらず計画されていたもので、万博のみに資する金額の算出は困難だとする一方、透明性の観点からあえて合計額を示した」と説明している、と前述のNHKの記事は報じている。 政府、大阪府・市、万博の運営側としては、直接経費の1647億円よりも経済効果が上回っているのだから、開催にはメリットがあると信じたいのだろう。 本当なのだろうか』、「政府、大阪府・市、万博の運営側としては、直接経費の1647億円よりも経済効果が上回っているのだから、開催にはメリットがあると信じたいのだろう」、検証が必要だ。
・『経済効果を発表→メディアが拡散 大イベント開催のお決まりパターン これまで、大きなイベントの開催が決定されると、民間団体がこぞって「経済効果」を発表し、それをうのみにしたメディアによってその数字が拡散されていった。 しかし、事前の影響調査(=経済効果)は、利益を過大評価し、関連するコストを過小評価してしまうということは、研究の分野では広く知られていることだ。莫大な税金を投入する事業において、国民、住民を最も説得しやすいのが、莫大な「経済効果」ということなのだろう。) また政治家の多くは、大きなイベントの開催について、交通網のインフラなどを拡張、改善する機会として捉えることも多い。 今回の大阪万博では、最先端の技術が紹介されるという宣伝がされているようだ。コンセプトは「未来社会の実験場」ということらしい。 過去にオリンピックが開催された都市でも、経済効果がうまく上がらなそうなことが分かってくると、開催の目的が「(経済的発展を見せつける)国威発揚の場」などと論点がすり替えられていった。日本においても東京オリンピックは「(東日本大震災からの)復興のシンボル」と位置付けられた。東京オリンピックのどこが復興のシンボルだったのか、覚えている人はあまりいないかもしれない。 今回の大阪万博には、そんな壮大なテーマはない。朝日新聞(2023年11月6日)の記事でインタビューを受けていた万博の研究者である京都大学大学院の佐野真由子教授(文化政策学)によれば、「時代を活写するのが万博の役割で、日本をアピールし、経済を上向かせる巨大イベントと考えるのは『目的違い』」だという。そして、「万博の期間中に『いのち』について考え、ものの見方が変わった――。来場者らがそんな経験をできれば、万博は成功したと言えると思います」と語っている。 この教授の言っていることはさっぱり訳が分からないが、一人の納税者としては、まずは投じた税金を上回る経済的な利益を得られるかどうかが最大の争点だと考えている』、「一人の納税者としては、まずは投じた税金を上回る経済的な利益を得られるかどうかが最大の争点だ」、なるほど。
・『大阪万博の経済効果を算出するのに「ふさわしい組織か?」という疑問符 それを考える上での第一の問題として、経済効果の算出では、負の要素があることは一切取り扱わないということだ。 それっぽい研究団体や研究者が、経済効果を測定するケースが目立つが、経済効果の額を多めに発表した方が、イベントを開催する既得権益者たちにとって歓迎されることを考えても、中立性の問題が取り沙汰されるべきだ。今回のアジア太平洋研究所のホームページで会員名簿を見ると、大阪万博にカネを出す企業たちが会員として名を連ねているのが分かる。この組織は、公平な経済効果を算出するにふさわしいといえるのだろうか。) 経済効果の測定では、例えば、神戸在住の家族が、沖縄への旅行を中止して大阪万博へ行った場合、旅行への支出は減ってしまうことが予想されるが、万博の経済効果では「プラス」と判断されてしまう。万博ほどの大きなイベントになると、遠距離旅行などの特別な旅行をキャンセルして向かう可能性もあり、純粋に万博の経済効果として計上するには無理がある。 今、「無理がある」と指摘したが、そう感じているのは、私だけでなく、多くの学者が認めているところだ。興味がある人は論文を検索してみてほしい。 また、冒頭の政府の説明(「関連事業は、万博開催の有無にかかわらず計画されていたもので、万博のみに資する金額の算出は困難だ」)では、関連事業はあたかも別立てで計算すべきかのような指摘をしている。だったら、関連事業の経済効果と言われるようなものも全て排除して比較しなくては公正さを欠く。 今回、アジア太平洋研究所が推定した「大阪万博の経済効果」は、万博の有無にかかわらず計上されるものがほとんどと言っていい』、「それっぽい研究団体や研究者が、経済効果を測定するケースが目立つが、経済効果の額を多めに発表した方が、イベントを開催する既得権益者たちにとって歓迎されることを考えても、中立性の問題が取り沙汰されるべきだ。今回のアジア太平洋研究所のホームページで会員名簿を見ると、大阪万博にカネを出す企業たちが会員として名を連ねているのが分かる。この組織は、公平な経済効果を算出するにふさわしいといえるのだろうか・・・今回、アジア太平洋研究所が推定した「大阪万博の経済効果」は、万博の有無にかかわらず計上されるものがほとんどと言っていい」、つまり過大推計をしていることを意味する。
・『万博があろうとなかろうと建設の経済効果は発生したはずだ 例えば、建設工事によって発生する経済効果について考えてみよう。 ジョナサン・バークレー『巨大スポーツイベントの費用と利益の予測』(※1)によれば、大きなイベントの開催に伴う大型の建設工事の経済効果への影響について疑問があるとしている。 「多くの学者の著作において、スポーツスタジアムを建設することと経済発展の間には相関関係が認められないとされている。それにもかかわらず、多くの『経済効果』の測定では、建設をコストではなく便益であると見なしている。建設は経済活動を活発化させるかもしれないが、そのようなプロジェクトへの公共支出は、他の公共サービスの減少、政府の借り入れの増加、または増税を意味するため、膨大な機会費用も考慮する必要もある」という。 万博に半ば強制的にお金を上納させられ、チケットを買わされている企業たちは内部留保を取り崩すことになるが、当然、そのしわ寄せは、企業の成長戦略や社員の給料、消費者に来る。そのデメリットは、経済効果に一切考慮されていない。 さらに、現在の日本は建設需要がひっ迫していることが考慮されていない。つまり、建設会社にとって仕事が溢れかえっている状況だ。単に、多くのお金(税金)を払って、他の工事に先駆けて前倒しをお願いしている状況なのである。万博の建設がなかったとしても影響は限定的ということになる。 他の工事をするよりも多額のお金を支払うという意味で、経済効果は発生している可能性がわずかにあるが、それとて、原資は私たちの税金である。家計へのダメージが及ぼす経済効果は計上されていない。 さらには「混雑を避ける地元民」という頭の痛い問題もある。万博へ思惑通りにたくさんの観光客が訪れたとすれば、大阪の街は人でごった返す事態が考えられる。一部の地元民が混雑を嫌い、これまで大阪府下で落としてきた消費支出を県外へ差し向けることは、当然想定しなくてはいけない事態だ。 「South African Journal of Economics」に掲載された論文(※2)によると、サッカーの日韓ワールドカップ(2002年)が開催された韓国では「韓国を訪れる欧州からの観光客の数は通常より多かったが、この増加は、日本から通常訪れる観光客が同規模減少したことによって相殺された」という。 また同論文では、2002年に米誌「フォーブズ」と米紙「USAトゥデイ」が報じた以下の記事を引用している。 「2002年のワールドカップ期間中に韓国を訪れた外国人観光客の総数は46万人と推定され、これは前年同期の外国人観光客数と同じ数字だった」(フォーブズ) 「テレビやスポーツ用品などの消費財はよく売れたが、一部のカジノやホテルでは、常連客や出張者がワールドカップの混雑を避けたため、売り上げが落ち込んだ」(USAトゥデイ) 訪日客が支出を増やしていることが万博の経済効果を増やすという主張もあるが、これも万博の開催の有無に関係がなく、日本がもともと受けられるメリットである。当然、差し引くべきだ。 経済効果があるのは、例えば、台湾や他の国へ行く予定だった人が、万博があるから旅行地を大阪へと変更したようなケースだ。国内旅行先の切り替えでは、日本全体で考えたときにまるで経済効果になっていない。消費先がスライドしているだけである』、「経済効果があるのは、例えば、台湾や他の国へ行く予定だった人が、万博があるから旅行地を大阪へと変更したようなケースだ。国内旅行先の切り替えでは、日本全体で考えたときにまるで経済効果になっていない。消費先がスライドしているだけである」、その通りだ。
・『関連事業まで経済効果に含めるならコストも同じ土俵で比べるべきだ 文字量がかさんできたのでまとめるが、大阪万博の経済効果には2種類ある。厳密な意味での経済効果と関連事業も含めた経済効果だ。 厳密な意味での経済効果では、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果は全て排除されなければならない。となれば「沖縄旅行へ行くはずだったが、大阪へ行った」「お昼ご飯を神戸ではなく万博の敷地内で食べた」「建設工事の順番において大阪万博を優先した」では、経済効果にはならないのである。現在の試算より限定的なものにとどまることが、お分かりいただけるだろうか。 そして、間接的な関連事業まで経済効果に含めるのであれば、道路や鉄道を含むインフラ整備事業費などにかかる約9兆7000億円、「空飛ぶクルマ」の実証実験など万博に向けた各府省庁の事業の実施費用である約3兆4000億円も、コストに含めなければならない。 アジア太平洋研究所が算出した拡張ケース2の経済効果である「3兆3667億円」でも、到底足りないことになる。大幅なマイナスだ。 経済効果の算定は、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果を全て排除して計算し直すべきだ』、「厳密な意味での経済効果と関連事業も含めた経済効果だ。 厳密な意味での経済効果では、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果は全て排除されなければならない。となれば「沖縄旅行へ行くはずだったが、大阪へ行った」「お昼ご飯を神戸ではなく万博の敷地内で食べた」「建設工事の順番において大阪万博を優先した」では、経済効果にはならないのである。現在の試算より限定的なものにとどまることが、お分かりいただけるだろうか。 そして、間接的な関連事業まで経済効果に含めるのであれば、道路や鉄道を含むインフラ整備事業費などにかかる約9兆7000億円、「空飛ぶクルマ」の実証実験など万博に向けた各府省庁の事業の実施費用である約3兆4000億円も、コストに含めなければならない。 アジア太平洋研究所が算出した拡張ケース2の経済効果である「3兆3667億円」でも、到底足りないことになる。大幅なマイナスだ。 経済効果の算定は、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果を全て排除して計算し直すべきだ」、同感である。
第四に、2月21日付け日刊ゲンダイ「大阪万博に“目玉”爆誕!2億円トイレは税金ムダ遣いの極み…政治家こぞって「高くない」主張」を紹介しよう。
・『2025年大阪・関西万博の目玉として350億円もの巨額建設費が投じられた大屋根(リング)に続き、新たな“見どころ”が爆誕だ。「2億円トイレ」である。 万博会場にはトイレが約40カ所設置される予定。うち8カ所は若手建築家がデザインする「デザイナーズトイレ」なのだが、ベラボーに高いのだ。 日本国際博覧会協会(万博協会)の契約情報によれば、デザイナーズトイレ8カ所のうち3カ所は入札が「取止め・不調」。落札が決まった5カ所の設置費用は計6億6000万円に上る。うち2カ所が各2億円を占め、「高すぎやろ!」と総ツッコミをくらっている。 万博を所管する経産省の斎藤大臣は20日の会見で、「2億円トイレ」について「便器が数十個設置される大規模な設備」「一般的な公衆トイレの建設費用と比べ、取り立てて高額であるとは言えない」などと強弁。自見万博相も同日の会見で、50~60台の便器を備えているとして「規模から考えれば必ずしも高額とは言えない」と言い張った。 大阪府の吉村知事もきのう、「平米単価にすると、一般の公共施設のトイレと値段は大きく変わらないというのが事実」などと主張。「建築家が万博会場で新しい建築技術や価値観というのをトイレに、ある意味、魂も吹き込んでいます」との見解を示した』、「2億円トイレ」は「50~60台の便器を備えている」ので、「規模から考えれば必ずしも高額とは言えない」、なるほど。
・『渋谷区のデザイナーズトイレは1.2億円 そもそも、万博のデザイナーズトイレには1平方メートル当たり174万円のものもある。吉村のように「平米単価」を引き合いに出して「高くない」と言い張ること自体、ナンセンス極まりない。 東京都内で話題を呼んだデザイナーズトイレと比べても、2億円は高い。 渋谷区と日本財団が建築家やクリエーター16人と組んで区内17カ所にオシャレな公衆トイレを設置した「THE TOKYO TOILET」プロジェクトは、整備費用が1カ所当たり約1.2億円だった。ちなみに、17カ所目をデザインしたのは、万博会場のデザインプロデューサーを務める建築家の藤本壮介氏だ。 「魂の2億円トイレ」が後世に残るのならまだしも、万博会場は閉幕後に取り壊される。トイレの利活用について万博協会に尋ねると、「デザイナーの方にはコストや機能性、閉幕後のリサイクル面などを考慮していただいております」(広報担当)とのこと。イマイチ判然としない。 万博のテーマのひとつは「SDGs」だが、半年間しか使われないトイレに2億円をつぎ込む「持続可能性」とは一体、何なのか。まずは税金のムダ遣いをやめるべきだ』、「万博のテーマのひとつは「SDGs」だが、半年間しか使われないトイレに2億円をつぎ込む「持続可能性」とは一体、何なのか。まずは税金のムダ遣いをやめるべきだ」、同感である。
タグ:大阪万博 (その4)(大阪万博「国費負担1兆円超」でかすむ経済効果…“逃げ”姿勢の吉村知事は「国開催」強調のトホホ、大阪・関西万博はどう考えても延期するしかない これだけの理由【岸田首相に直言】、関係ないから」》、大阪万博の経済効果 本当は「大幅なマイナス」繰り返される過大評価の罪深さ、大阪万博に“目玉”爆誕!2億円トイレは税金ムダ遣いの極み…政治家こぞって「高くない」主張) 日刊ゲンダイ「大阪万博「国費負担1兆円超」でかすむ経済効果…“逃げ”姿勢の吉村知事は「国開催」強調のトホホ」 「毎日新聞の世論調査・・・によると、万博のチケットについて「購入したいと思う」がわずか10%だったのに対し、「購入したいとは思わない」がナント79%」、こんなに人気がない割に、「事業費」が膨大というのは、無駄遣いの典型だ。 「直接経費に加えて間接経費もひっくるめると、インフラ関連費用は計9.7兆円に達する。さらに会場内で運航予定の「空飛ぶクルマ」の実証など、各省庁の万博関連の事業費は3.4兆円と見込まれている」、信じ難いような膨大な無駄遣いだ。 東洋経済オンライン 木俣正剛氏による「大阪・関西万博はどう考えても延期するしかない、これだけの理由【岸田首相に直言】」 「震災が起こった11日の翌日には、被災地に向けて11ルートの道路がすでに開かれ、被災地救援物資と機材のみの通過が許され、すでに復興への戦力がどんどん現場に入りつつありました。 現地の指揮官にあたる徳山日出男・東北地方整備局長・・・が、震災直後に、人命救助と捜索のための道路を開くことを決断。津波のために松島空港が全滅。津波がくる寸前に日本で唯一飛ばすことができた国土交通省のヘリの情報から、太平洋岸の被害が激しいと判断し、その日のうちに復興計画の第一弾を作成していたのです・・・ それに比べて、今回の復旧作業は遅すぎるのではないでしょうか。復旧が遅れれば遅れるほど、被災者の健康も心身の状態も蝕まれていきます。能登半島だけでなく、富山、新潟といった日本の穀物産業を支える地域の労働力が蝕まれてゆくのです。 私には、今回、官邸も国土交通省も統一的な復旧計画を持っていないように思えます・・・(東日本大震災の場合は、東北整備局と本省を結ぶ回線で、毎日緊密な打ち合わせが行われ、それが危機管理の能力を固めていました)』、確かに今回の遅れは顕著だ。 「被害の全容が把握されたら、今報道されているような規模でなくなることは確実です」、なるほど。 「現状でも年間700万平方メートルのビルなどをフル稼働で作っているところに、突然、大阪・関西万博の会場面積155万平方メートルに相当する建設工事が加わっているのです」、やはり「大阪万博」の延期が最も治まりがよさそうだ。 「国策事業ではあっても、2024年4月からは建設業に時間外労働の上限規制も適用されるため、施行能力の削減は避けられません」、やはり「大阪万博」の延期が最も治まりがよさそうだ。 「大阪万博の工事と能登半島の復旧を同時に短時間で可能とすることなど、不可能なのです。だからこそ、一旦大阪万博を延期して、そこに必要とされる労働力と予算を日本海側の被災地に集中すれば、復旧も復興も確実に早まるでしょう・・・能登半島救援のためという大義名分があれば、大阪万博の最大の推進者である「日本維新の会」も、延期を強くは反対できないはずです。それこそ、決断力も実現力もないと言われる岸田総理の評価を一変させる行動だと思います。 総理が早期に決断を下すために、野党や産業界、そして大メディアにも、大阪万博延期の大合唱をお願いしたいものです」、同感である。 「政府、大阪府・市、万博の運営側としては、直接経費の1647億円よりも経済効果が上回っているのだから、開催にはメリットがあると信じたいのだろう」、検証が必要だ。 「一人の納税者としては、まずは投じた税金を上回る経済的な利益を得られるかどうかが最大の争点だ」、なるほど。 「それっぽい研究団体や研究者が、経済効果を測定するケースが目立つが、経済効果の額を多めに発表した方が、イベントを開催する既得権益者たちにとって歓迎されることを考えても、中立性の問題が取り沙汰されるべきだ。今回のアジア太平洋研究所のホームページで会員名簿を見ると、大阪万博にカネを出す企業たちが会員として名を連ねているのが分かる。 この組織は、公平な経済効果を算出するにふさわしいといえるのだろうか・・・今回、アジア太平洋研究所が推定した「大阪万博の経済効果」は、万博の有無にかかわらず計上されるものがほとんどと言っていい」、つまり過大推計をしていることを意味する。 「経済効果があるのは、例えば、台湾や他の国へ行く予定だった人が、万博があるから旅行地を大阪へと変更したようなケースだ。国内旅行先の切り替えでは、日本全体で考えたときにまるで経済効果になっていない。消費先がスライドしているだけである」、その通りだ。 「厳密な意味での経済効果と関連事業も含めた経済効果だ。 厳密な意味での経済効果では、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果は全て排除されなければならない。となれば「沖縄旅行へ行くはずだったが、大阪へ行った」「お昼ご飯を神戸ではなく万博の敷地内で食べた」「建設工事の順番において大阪万博を優先した」では、経済効果にはならないのである。現在の試算より限定的なものにとどまることが、お分かりいただけるだろうか。 そして、間接的な関連事業まで経済効果に含めるのであれば、道路や鉄道を含むインフラ整備事業費などにかかる約9兆7000億円、「空飛ぶクルマ」の実証実験など万博に向けた各府省庁の事業の実施費用である約3兆4000億円も、コストに含めなければならない。 アジア太平洋研究所が算出した拡張ケース2の経済効果である「3兆3667億円」でも、到底足りないことになる。大幅なマイナスだ。 経済効果の算定は、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果を全て排除して計算し直すべきだ」、同感である。 日刊ゲンダイ「大阪万博に“目玉”爆誕!2億円トイレは税金ムダ遣いの極み…政治家こぞって「高くない」主張」 「2億円トイレ」は「50~60台の便器を備えている」ので、「規模から考えれば必ずしも高額とは言えない」、なるほど。 「万博のテーマのひとつは「SDGs」だが、半年間しか使われないトイレに2億円をつぎ込む「持続可能性」とは一体、何なのか。まずは税金のムダ遣いをやめるべきだ」、同感である。