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介護(その9)(親の介護で一家離散 2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実、2040年「要介護人口1000万人」時代 介護費用1.4倍と負担さらに重く、東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護 NGワードだった「生活保護」) [社会]

介護については、昨年12月14日に取上げた。今日は、(その9)(親の介護で一家離散 2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実、2040年「要介護人口1000万人」時代 介護費用1.4倍と負担さらに重く、東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護 NGワードだった「生活保護」)である。

先ずは、昨年12月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した株式会社リクシス創業者・代表取締役副社長 CSOの酒井 穣氏による「親の介護で一家離散、2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/332342
・『2025年以降の日本では、団塊世代の親の介護に追われるビジネスケアラーが急速に増加すると予測されている。ビジネスケアラーとは、「働きながら介護する人」「仕事と介護を両立している人」のこと。介護にかかる莫大な費用に終わりの見えない介護期間……働き盛りの介護リスクにあなたは備えているだろうか。本稿は、酒井穣『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『介護で仕事を辞めたら再就職できず できても年収は男性4割、女性5割減少  介護のために仕事を辞めてしまった場合、再就職までにかかる期間はどれくらいだと思いますか? この期間として統計的に最多となっているのは1年以上です(男性の38.5%、女性の52.2%)。1年以上も仕事から離れていて、条件のよい就職先が見つかると思いますか?現実として、運よくあらたな職場を得たとしても、収入は男性で4割減、女性で半減するというデータがあります。 介護を理由に仕事を辞めるなら、まず、1年以上収入が途絶え、再就職できたとしても今の半分程度の年収になっても生きていけるだけの貯金が必要です。貯金が足りないまま辞めてしまえば、親が資産家でもないかぎり、あなたは生活保護を申請することになります。 ご存じのとおり、生活保護は、申請さえすれば簡単に受けられるというものでもありません。仮に住宅ローンや自動車ローンが残っていれば、そうした資産を手放すことになり、一家離散という可能性さえ出てくるのです(脅しではなく、現実です。個人的にも、こうして一家離散したケースを複数聞いています) 介護は、いちど始まると、いつ終わりになるか予想ができません。子育てとは真逆で、介護は、時間とともに負担が増えるという特徴もあります。 介護期間の目安となるのは、平均寿命から健康寿命(心身健康でいられる年数)を引いた年数です。日本でこれは、だいたい10年程度(男性8.7年、女性12.1年/2019年)になります。ですから介護生活は、少なくとも10年は続くことを想定しておく必要があります。) しかも、この期間のうちに、老化をともないながら、親の健康状態は悪化していくのが普通です。はじめは半身不随などの身体的な問題だったところに、認知症(重度化すると意思の疎通ができなくなる)も重なってきたりします。 仕事を辞め年収が半分になって10年も経つと、ビジネスケアラーとして働き続けた場合からは想像もできないほどの貧困になります。 さらに今後の日本は、物価高になっていくと予想されています。いつ終わるともしれない介護に悩まされながら金銭的にも厳しくなると、精神的な余裕がなくなり、虐待にもつながることもあります。 あなたの親は、自分の愛する子どもが、自分の介護のせいで、そうした状態になることを本当に望んでいるでしょうか』、「介護期間の目安となるのは、平均寿命から健康寿命(心身健康でいられる年数)を引いた年数です。日本でこれは、だいたい10年程度(男性8.7年、女性12.1年/2019年)になります。ですから介護生活は、少なくとも10年は続くことを想定しておく必要があります・・・仕事を辞め年収が半分になって10年も経つと、ビジネスケアラーとして働き続けた場合からは想像もできないほどの貧困になります」、なるほど。
・『介護の負担額は平均月7、8万円 介護期間の見積もりは平均14年  金銭的な話をすると「うちの親にはそれなりに資産があるから大丈夫」と考える人もいるかもしれません。しかしそれは、本当でしょうか。先回りしておきますが、介護には相当なお金がかかり、仮に資産が十分にあったとしても、大丈夫ではありません。 そもそも、介護にかかるお金(介護保険でカバーされない自己負担部分)がいくらくらいになるのか、誰もが不安に思っているでしょう。 これを実際のデータで見ると、バリアフリー化や介護ベッド、緊急対応の交通費や宿泊費といった初期費用(一時費用/自己負担)としてかかっているのは、平均で80万~90万円程度でした(この数字はバラツキが大きいため注意も必要です)。また、毎月かかっている費用(自己負担)は、平均で7万~8万円程度になります。 脅しではなく、日本の社会保障は、少子高齢化と税収の低迷を受けて、劣化していくでしょう。ですから、このような介護にかかるお金の平均もまた、今後、必ず上がっていきます。そのうえ、おそらくは物価も上がっていくことになるのです。 冷静に考えれば、これからの介護の費用が実質的に上がっていくことは、想定に入れておく必要があることがわかるでしょう。 それでは実際に、介護をしている人々は、どう考えているのでしょう。) まず、実際に想定されている介護期間の平均は、169.4カ月(14年1カ月)でした。先に10年は想定しておくべきであることを述べましたが、多くの人は、それ以上の期間を想定して準備しているのです。なんとなく、子育てと同じ程度の期間が想定されていることは興味深いですね。 もちろん、実際にこれだけの期間がかかるかどうかは、それぞれに事情が異なるため、なんとも言えないところではあります。ただ、平均的には、それだけの期間の見積もりをしているという点に位は意味があります。 客観的に考えると、毎月の実質的な費用(自己負担)となる平均7万~8万円が、169.4カ月間かかり続けることを想定するのが普通ということです。 ここから介護のランニングコストは、合計で約1186万~1355万円となります。初期費用も考えれば、1266万~1445万円の費用です。 かなりの大金ですが、しかもこれは平均であって、運が悪ければもっとかかることも考えておかなくてはなりません。 さらにこの想定では、介護が必要になる人が1人という計算になっていることにも注意してください。両親同時に介護が必要になるケースも多数あり、その場合は、単純に2倍とはならないものの、2000万円以上の準備が必要になると考えられます。 ピンピンコロリと、介護を必要とせずに亡くなる人(急死)は、全体の5%程度に過ぎません。基本的には、誰もが、何らかの介護を受けながら亡くなっていくと想定しておくべきでしょう。 しかも、ここまでの話は、あくまでも介護にかかる費用に関することに限定されています。このほかにも家賃や住宅ローン、生活費や各種税金などのためのお金も必要になることを忘れないでください。長い闘病生活などがある場合もまた、想定しておくべき費用は大きくなります。 ここで、日本の高齢者の貯蓄額は、世帯平均で1268万円です。この数字だけを見ると、意外と貯蓄があるように感じられるかもしれません。これだけの貯蓄があれば、年金と合わせれば、2000万円程度の介護費用はなんとかなりそうにも感じられます。 しかしこの数字は、富裕層が押し上げているにすぎません。実際に、貯蓄額が1000万円以下の世帯は、全体の過半数(57.9%)になっています。生活費のことを考えれば、約6割の高齢者が、介護のための費用が準備できていないと結論づけることができるのです。) ここまでの話を総括すると、・親に2000万円を超える預貯金があって年金もしっかりもらえている ・両親が同時ではなく、どちらか一方の介護だけが必要 という条件が成立するときだけ、ギリギリではあるものの、親の介護のために子どもがお金を持ち出す必要がない可能性もあります。 ただ、この2つの条件が当てはまる人は少数というのが現実です。仮に、この2つの条件に当てはまる場合でも、生活レベルが高く、毎月の出費も平均以上ということであれば、安心はできません。 親の介護費用は、親の年金や預貯金でやりくりするのが基本です。しかし現実には、親の介護のために子どもがお金を持ち出すというのは、程度問題ではあれ、まず避けられません。 そんなとき、自分が介護で仕事を辞めていたらどうなるでしょう。自分の収入が途絶えていたら、持ち出すお金もありません。そうなれば、親の介護は、介護のプロにお願いすることもできず、自分の手でやらなければならなくなるでしょう。 それでも、なんとか自分の手で介護を乗り切れたとしましょう。しかし将来、いざ自分自身に介護が必要になった場合は、どうするのでしょう。誰かに介護をしてもらう必要が出てきたとき、自分のための貯蓄が不十分であれば、一体、誰に自分の介護をお願いするのでしょう。 親の介護に対してお金を持ち出すためだけでなく、将来の自分自身に必要となる介護のお金のためにも、介護離職という選択肢は、非常に厳しい(とても贅沢な)ものになります』、「ピンピンコロリと、介護を必要とせずに亡くなる人(急死)は、全体の5%程度に過ぎません。基本的には、誰もが、何らかの介護を受けながら亡くなっていくと想定しておくべきでしょう」、誰もが理想とする「ピンピンコロリ」は「全体の5%程度に過ぎません・・・実際に、貯蓄額が1000万円以下の世帯は、全体の過半数(57.9%)になっています。生活費のことを考えれば、約6割の高齢者が、介護のための費用が準備できていないと結論づけることができる・・・親の介護に対してお金を持ち出すためだけでなく、将来の自分自身に必要となる介護のお金のためにも、介護離職という選択肢は、非常に厳しい(とても贅沢な)ものになります」、なるほど。

次に、本年1月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「2040年「要介護人口1000万人」時代、介護費用1.4倍と負担さらに重く」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337375
・『介護地獄はますます深刻化する 介護のための離職者も10万人に近づく  介護が必要な要支援・介護認定者数は、2021年度末で約690 万人 となった(第1号被保険者だけでは約680万人、注1)。公的介護保険制度がスタートした00年度の認定者数約256万人に比べると、約2.7倍だ。 一方で、厚生労働省の雇用動向調査によると、21年に個人的理由で離職した人のうち「介護・看護」を理由とする人は約9.5万人に上った。いったん要介護状態になると、そこから抜け出せないことが多い。家族に要介護者が出れば、その家族は大きな影響を受けざるをえない。 介護は多くの人が直面する深刻な問題となっているが、40年頃には、要介護認定者数は約988万人に達すると推計されている(注2)。 老々介護や介護離職など「介護地獄」は、今後はますます深刻化する。介護問題への対応は社会全体の最重要課題だ』、「介護は多くの人が直面する深刻な問題となっているが、40年頃には、要介護認定者数は約988万人に達すると推計されている」、なるほど。
・『介護認定、65歳以上では全体の2割だが 85歳以上では6割、介護を受けないのは稀なこと  介護保険制度のもとで、介護サービスの対象になっている65歳以上の第1号被保険者のなかで、何らかの介護認定を受けている人は全体の18.9%、つまり2割弱だ。(図表1) 決して低い比率ではないが、それでも、5人に4人は介護・支援が必要にならないような気がする。 (図表1 第1号被保険者の状況 はリンク先参照) しかし、実はそうではない。このことは、データで確かめられる。要支援・介護になる人の比率を年齢階級別に示すと、図表2のとおりだ。 18.9%という数字は、第1号被保険者の全ての年齢階級についての平均値だが、要支援・介護の必要性は年齢が上がると急上昇するからだ。 (図表2 年齢別要支援要介護比率(男女計、単位 %) はリンク先参照) 図表2に示されているように、要支援・介護の比率は、85歳以上になると58.8%にもなる。夫婦が同年齢と仮定すれば、夫婦のどちらも要支援・介護になる確率が34.6%もある。どちらかが要支援・介護になる確率は48.9%と、半分近くになる。どちらも要支援・介護にならない確率は、17.0%でしかない。 85歳以上になると、介護という問題から全く逃れられていられるのはむしろ稀な事態になってしまうのだ。何かの拍子に転んで骨折し、介護が必要な状況になるということなどがごく普通に起きてしまう。 このように、18.9%という数字は大いにミスリーディングだ。介護問題の深刻度は、年齢の差を考慮しない平均値では理解できないものなのだ。 しかも介護は高齢者だけの問題ではない。若くて自分自身は介護が必要なくても、両親が要介護状態になるという問題が起きる。 こう考えると、介護問題は全ての日本人にとって最重要の問題の一つということができる』、「18.9%という数字は、第1号被保険者の全ての年齢階級についての平均値だが、要支援・介護の必要性は年齢が上がると急上昇・・・要支援・介護の比率は、85歳以上になると58.8%にもなる。夫婦が同年齢と仮定すれば、夫婦のどちらも要支援・介護になる確率が34.6%もある。どちらかが要支援・介護になる確率は48.9%と、半分近くになる。どちらも要支援・介護にならない確率は、17.0%でしかない・・・介護問題の深刻度は、年齢の差を考慮しない平均値では理解できないものなのだ。 しかも介護は高齢者だけの問題ではない。若くて自分自身は介護が必要なくても、両親が要介護状態になるという問題が起きる」、なるほど。
・『介護費用、単純計算で2040年に1.4倍 労働人口は8割に減少、負担はより重く  公的介護制度が維持されることを誰もが切実に望んでいる。だが、それは決して容易なことではない。 要介護認定者数は2040年頃ピークになり、「要介護人口1000万人」時代になる。現在、約690 万人が988万人になるのだから、単純に考えれば介護に要する費用は現在の1.43倍になる。 財源の面から制度の維持がこのままでは難しくなるだろう。 現在、介護保険からの給付金に要する費用は、保険料50%、公費50%で分担している。公費のうちの負担割合は国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%だ。この分担割合を変えないとすれば、公費も保険料総額も1.43倍に引き上げる必要がある。 これ自体が極めて困難な課題だが、負担のかなりの部分を背負わなければならない労働年齢人口(15~64歳の人口)が、20年の 7508万人から40年の6213万人へと約82.7%に減るため、労働人口一人当たりでみれば負担率はもっと上がる。 第1号被保険者の保険料の21年の全国平均は1カ月あたり6014円だ。しかし、所得が多ければ、年間保険料は20万円を超えている』、「「要介護人口1000万人」時代になる。現在、約690 万人が988万人になるのだから、単純に考えれば介護に要する費用は現在の1.43倍になる。 財源の面から制度の維持がこのままでは難しくなるだろう・・・労働年齢人口(15~64歳の人口)が、20年の 7508万人から40年の6213万人へと約82.7%に減るため、労働人口一人当たりでみれば負担率はもっと上がる」、なるほど。
・『高所得者の保険料や自己負担 24年度に引き上げの議論  2023年11月6日の社会保障審議会の介護保険部会で、介護保険料の引き上げ案が示された。部会では65歳以上の高齢者について、給与や年金などの年間所得水準が高い人たちの介護保険料を引き上げる案が了承され、24年度の制度改正での実現を目指すこととされた。 厚生労働省は、24年度から引き上げる方針だ。給与や配当、年金など年間の合計所得420万円以上の人を対象に、それぞれ所得に応じて階層を細分化して負担額を上げる。 介護サービスの負担は保険料だけではない。介護保険制度では、介護サービスを受ける人の自己負担がある。自己負担の仕組みは、サービスの種類や本人の所得などによって決まる極めて複雑なものになっているが、基本は次のとおりだ。 自己負担率は基本1割だが、所得が多くなれば2割・3割負担になる。所得が多く、介護費用が多額であれば、自己負担額もかなり高くなる(ただし、「高額介護サービス費における負担限度額」の制度があるため、無制限に増えるわけではない) ただそれでも所得が高い階層では月額4万4400円だから、かなりの額だ。 政府は、24年度に介護サービス利用費の自己負担についても、2割自己負担の対象を広げる方針を示し、少子化対策の財源確保に向けた社会保障改革の計画「改革工程」の素案に盛り込んだ。 改革工程は、23年12月5日の経済財政諮問会議で示され、28年度までに金融所得や資産を考慮した負担の在り方を検討するという。 当初は23年中に自己負担の拡大の具体案をまとめるとされていたが、この問題の検討は24年度以降に引き続き行われることになる。 介護地獄の緩和のためには負担増の問題にきちんと向き合う必要がある。 注1 厚生労働省「令和3年度 介護保険事業状況報告(年報)」。なお、第1号被保険者は65歳以上の人で、第2号保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者。 注2 経済産業省「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」(平成30年3月)』、「自己負担率は基本1割だが、所得が多くなれば2割・3割負担になる。所得が多く、介護費用が多額であれば、自己負担額もかなり高くなる(ただし、「高額介護サービス費における負担限度額」の制度があるため、無制限に増えるわけではない) ただそれでも所得が高い階層では月額4万4400円だから、かなりの額だ・・・28年度までに金融所得や資産を考慮した負担の在り方を検討するという・・・介護地獄の緩和のためには負担増の問題にきちんと向き合う必要がある」、その通りだが、高所得層には高負担を受け入れる覚悟が必要なようだ。 

第三に、1月31日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したNPO法人二十四の瞳・社会福祉士の山崎 宏氏による「東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護、NGワードだった「生活保護」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337898
・『日本では年々、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が増えています。しかし、子育てと違い、何年で終わるか分からない上にだんだん負担が重くなっていく介護を自宅で行うのは本当に大変です。仕事との両立に悩んだり、妻に離婚されてしまったりと、さらなる不幸に襲われることも珍しくありません。筆者のところにも、たくさんのビジネスケアラーから相談が持ちかけられます。今回は、ある東大卒エリートのケースを紹介します』、興味深そうだ。
・『今年、ビジネスケアラーは300万人を超える  2025年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者になり、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が300万人を超える見込みです。そうなると注目されるのが、介護離職問題です。 「人は誰しも、自分は正しいと思っている。特別だ、人とは違う、と思っている。(本気になれば)まだまだ自分はデキると思っている」 何かの本でそんなフレーズを読んだことがあります。長年いろいろな人の相談に応じていると、この傾向がもっとも顕著だと感じるのが高学歴の人です』、「2025年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者になり、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が300万人を超える見込みです。そうなると注目されるのが、介護離職問題です」、なるほど。
・『東大卒ビジネスエリートからの相談  東京大学を卒業し、ビジネス界で活躍してきた60歳の男性、Aさん。学歴が高いことで自己評価が高い彼は、「自分は人とは違う、まだまだデキる」と思っているタイプです。東大を卒業した後、官僚や政治家ではなく、一部上場企業でのキャリアを歩んできた彼は、出世競争に敗れ、年齢とともに困難な状況に直面していました。 Aさんからの相談は、解決に至るまでにかなりの時間を要しました。半年くらいの間に、面談を5回も行いました。というのは、彼にとって都合が悪い事実を小出しにしてくるのです。最初から全て話してくれればいいのに……とも思いましたが、彼が心を整理するためには、それだけの時間が必要だったということなのでしょう。 Aさんの92歳の母親はアルツハイマー型認知症を患い、第二フェーズに突入していました。第二フェーズとは、初期の認知障害フェーズから、徘徊(はいかい)や暴言、不潔行為といった周辺症状(問題行動)へ移行した状態です。 最初に相談を受けたとき、Aさんは、5年以上介護を続けている64歳の妻から離婚を切り出されたと言っていました。半年ほどたち、最終的に義母の介護に限界を覚えた妻は、実家へ帰ってしまいました。八方塞がりになった彼は、ようやく覚悟を決めることができました。プライドの高い彼は、「最後まで母の面倒を見ることができない嫌悪感」「母親を施設に預けることへの罪悪感」「親族や近隣住民への負い目」「福祉へのスティグマ(偏見、蔑視)」に苦しみ、これらの感情を消化するのに半年以上の時間を要したということでしょう』、「一部上場企業でのキャリアを歩んできた彼は、出世競争に敗れ、年齢とともに困難な状況に直面していました。 Aさんからの相談は、解決に至るまでにかなりの時間を要しました。半年くらいの間に、面談を5回も行いました。というのは、彼にとって都合が悪い事実を小出しにしてくるのです。最初から全て話してくれればいいのに……とも思いましたが、彼が心を整理するためには、それだけの時間が必要だったということなのでしょう」、プライドが高いのに、「出世競争に敗れ」た現実を受け入れるのは時間がかかる筈だ。
・『「施設より在宅介護のほうが安い」は間違い  ビジネスケアラーの人たちの中は、Aさんと似た感情を持つ人が多くいます。「親を扶養から外し、生活保護を受給すれば施設に入れられますよ」とアドバイスしても、心の整理がつかず、仕事と家庭、そして介護のバランスを取ろうと苦悩しながら、在宅介護を続けています。 一方、親の側も、「施設はお金がかかるから」と考え、娘や息子の家で介護を受け続けます。実際には、子どもたちが買い物や食事、掃除洗濯、見守りといったコスト(お金や時間)を肩代わりしてくれているので、見かけ上、施設に入るよりも安くなっているに過ぎません。家事代行サービスを利用すれば、月額約10万円はかかるでしょう。 しかし、親の介護状況が悪化したり、認知症の症状が進んでいったりすると、子どもたちの感情は徐々にネガティブなものに変わっていきます。介護はいつ終わるかが分からない上、終結に至るまで7~8年かかるのが当たり前。しかも出産・育児と異なり、どんどん負担は重くなっていくのです。その間、老いて壊れていく親と閉じられた空間で時間を共有し続けるのですから、当初は親孝行と思っていた気持ちに変化が生じるのも自然なことです』、「介護はいつ終わるかが分からない上、終結に至るまで7~8年かかるのが当たり前。しかも出産・育児と異なり、どんどん負担は重くなっていくのです。その間、老いて壊れていく親と閉じられた空間で時間を共有し続けるのですから、当初は親孝行と思っていた気持ちに変化が生じるのも自然なことです」、その通りだ。
・『解決策をアドバイスしても、Aさんが納得しなかった理由は……  こうして家族で在宅介護を行った末に、親の死を迎えたビジネスケアラーたちが感じるのは、悲しみよりもむしろ安堵感です。長年の介護生活を経て、彼らは人生をやり直すことの難しさと、長い期間にわたる自己犠牲の日々を振り返り、亡くなった親に対するネガティブな気持ちを抱えながら生きていくことになるのです。これは悲しいことです。親への感謝や報恩の思いから始まった介護が、最終的には「親のせいで……」という恨みに変わることを意味します。お墓参りをしても、墓前で愚痴をこぼすようになってしまっては、天国の親御さんも浮かばれません。 東大卒のAさんのケースは、この問題の典型例です。私はAさんに、最初の面談のときから伝えてきました。 ・親にとって、(自宅で、介護の素人である嫁に介護してもらうより)施設のほうがはるかに安心・安全で快適 ・配偶者(妻)に義母の介護をする義務はない ・「お金がないから施設に入れない」ということはない。方法はある ・親は、自分のことで子どもの仕事や家庭に支障をきたすことを望んでいない ・ご自身の人生を取り戻してほしいし、配偶者にもそうしてあげてほしい 半年以上にわたる全5回の面談で、私が伝えたことは一貫して同じです。さらにAさんの母親の状態から考えると、個室で過ごさせるよりも、スタッフの出入りが頻繁な(特別養護老人ホーム、もしくは介護老人保健施設の)多床室がベターとも伝えていました。 公的施設だけでなく、最近は民間の施設でも生活保護受給者を受け入れるところが増えてきた、という話もしたのですが、今思うと、Aさん本人から経済事情について言及される前に余計なことを言ってしまったと、反省しています。高学歴でプライドが高い彼にしてみれば、「生活保護」はNGワード、禁句だったのです』、「高学歴でプライドが高い彼にしてみれば、「生活保護」はNGワード、禁句だったのです」、扱い難さでは、並外れているようだ。
・『東大卒の相談者が泣き崩れた瞬間  最終的にAさんは、なぜ母親を施設に入れると決心が付いたのか? そのきっかけは意外なものでした。 よくよく話を聞いてみると、彼は月額14万5000円までなら負担できると言うのです。それであれば生活保護を受けなくても余裕で施設に入れる、と伝えたところ、驚いたことに彼は、声を上げて泣きながらその場に崩れ落ちたのです。号泣も号泣、大号泣でした。いつも彼が行きつけにしているビストロの個室で会っていたのですが、本当に個室でよかったです。 それは、彼がはじめて感情をあらわにした瞬間でした。泣きじゃくりながら、繰り返し繰り返し、自分の情けなさを口にしていました。それから30分は話になりませんでした。でも、涙が枯れた後に今後の進め方についてガイダンスすると、すんなりと納得してもらうことができました。 彼には二つの選択肢を提示しました。具体的には、「都内の(特別養護老人ホームか介護老人保健施設の)多床室施設」と、「遠方にある民間施設、サ高住(医療法人が経営する、サービス付き高齢者向け住宅)の個室」です。結局、彼は南九州のサ高住を見学に行くことにし、同時に母親のショートステイの手配をしました』、「彼は月額14万5000円までなら負担できると言うのです。それであれば生活保護を受けなくても余裕で施設に入れる、と伝えたところ、驚いたことに彼は、声を上げて泣きながらその場に崩れ落ちたのです。号泣も号泣、大号泣でした・・・彼は南九州のサ高住を見学に行くことに」、なるほど。
・『「お金がないから在宅介護しかない」は誤解  しこたま涙を流した後、Aさんはつき物が落ちたように、穏やかな表情と口調になりました。人はこんなにも変わるんだ、とちょっと感動したほどです。「東大卒も人の子だな」なんて思ってしまったのは、私の東大コンプレックスでしょうか……。 涙を流すことで、心にたまっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化されることを「カタルシス」と呼んだのは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスです。東大卒ビジネスエリートの大号泣を目の当たりにして、2000年以上前にこのことを『悲劇論』の中で書き残したアリストテレスは、途方もなく偉大な人物だ……などと考えていたのでした。 冒頭に書いたとおり、ビジネスケアラーはどんどん増えています。ビジネスケアラーの皆さんに伝えたいのは、「自分で介護を行う以外にも選択肢がある」ということです。真の親孝行とは、仕事や家庭に支障をきたしながら、自己犠牲の下で親の介護をすることではありません。仕事を頑張って、幸せな家庭を築いて、毎日を笑顔で過ごしてほしい。心からそう願っています』、「ビジネスケアラーの皆さんに伝えたいのは、「自分で介護を行う以外にも選択肢がある」ということです。真の親孝行とは、仕事や家庭に支障をきたしながら、自己犠牲の下で親の介護をすることではありません。仕事を頑張って、幸せな家庭を築いて、毎日を笑顔で過ごしてほしい。心からそう願っています」、その通りだ。
タグ:酒井 穣氏による「親の介護で一家離散、2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実」 ダイヤモンド・オンライン 「一部上場企業でのキャリアを歩んできた彼は、出世競争に敗れ、年齢とともに困難な状況に直面していました。 Aさんからの相談は、解決に至るまでにかなりの時間を要しました。半年くらいの間に、面談を5回も行いました。というのは、彼にとって都合が悪い事実を小出しにしてくるのです。最初から全て話してくれればいいのに……とも思いましたが、彼が心を整理するためには、それだけの時間が必要だったということなのでしょう」、プライドが高いのに、「出世競争に敗れ」た現実を受け入れるのは時間がかかる筈だ。 「2025年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者になり、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が300万人を超える見込みです。そうなると注目されるのが、介護離職問題です」、なるほど。 山崎 宏氏による「東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護、NGワードだった「生活保護」」 「自己負担率は基本1割だが、所得が多くなれば2割・3割負担になる。所得が多く、介護費用が多額であれば、自己負担額もかなり高くなる(ただし、「高額介護サービス費における負担限度額」の制度があるため、無制限に増えるわけではない) ただそれでも所得が高い階層では月額4万4400円だから、かなりの額だ・・・28年度までに金融所得や資産を考慮した負担の在り方を検討するという・・・介護地獄の緩和のためには負担増の問題にきちんと向き合う必要がある」、その通りだが、高所得層には高負担を受け入れる覚悟が必要なようだ。 「「要介護人口1000万人」時代になる。現在、約690 万人が988万人になるのだから、単純に考えれば介護に要する費用は現在の1.43倍になる。 財源の面から制度の維持がこのままでは難しくなるだろう・・・労働年齢人口(15~64歳の人口)が、20年の 7508万人から40年の6213万人へと約82.7%に減るため、労働人口一人当たりでみれば負担率はもっと上がる」、なるほど。 若くて自分自身は介護が必要なくても、両親が要介護状態になるという問題が起きる」、なるほど。 「18.9%という数字は、第1号被保険者の全ての年齢階級についての平均値だが、要支援・介護の必要性は年齢が上がると急上昇・・・要支援・介護の比率は、85歳以上になると58.8%にもなる。夫婦が同年齢と仮定すれば、夫婦のどちらも要支援・介護になる確率が34.6%もある。どちらかが要支援・介護になる確率は48.9%と、半分近くになる。どちらも要支援・介護にならない確率は、17.0%でしかない・・・介護問題の深刻度は、年齢の差を考慮しない平均値では理解できないものなのだ。 しかも介護は高齢者だけの問題ではない。 「介護は多くの人が直面する深刻な問題となっているが、40年頃には、要介護認定者数は約988万人に達すると推計されている」、なるほど。 野口悠紀雄氏による「2040年「要介護人口1000万人」時代、介護費用1.4倍と負担さらに重く」 護のお金のためにも、介護離職という選択肢は、非常に厳しい(とても贅沢な)ものになります」、なるほど。 「ピンピンコロリと、介護を必要とせずに亡くなる人(急死)は、全体の5%程度に過ぎません。基本的には、誰もが、何らかの介護を受けながら亡くなっていくと想定しておくべきでしょう」、誰もが理想とする「ピンピンコロリ」は「全体の5%程度に過ぎません・・・実際に、貯蓄額が1000万円以下の世帯は、全体の過半数(57.9%)になっています。生活費のことを考えれば、約6割の高齢者が、介護のための費用が準備できていないと結論づけることができる・・・親の介護に対してお金を持ち出すためだけでなく、将来の自分自身に必要となる介 「ビジネスケアラーの皆さんに伝えたいのは、「自分で介護を行う以外にも選択肢がある」ということです。真の親孝行とは、仕事や家庭に支障をきたしながら、自己犠牲の下で親の介護をすることではありません。仕事を頑張って、幸せな家庭を築いて、毎日を笑顔で過ごしてほしい。心からそう願っています」、その通りだ。 「彼は月額14万5000円までなら負担できると言うのです。それであれば生活保護を受けなくても余裕で施設に入れる、と伝えたところ、驚いたことに彼は、声を上げて泣きながらその場に崩れ落ちたのです。号泣も号泣、大号泣でした・・・彼は南九州のサ高住を見学に行くことに」、なるほど。 「高学歴でプライドが高い彼にしてみれば、「生活保護」はNGワード、禁句だったのです」、扱い難さでは、並外れているようだ。 「介護はいつ終わるかが分からない上、終結に至るまで7~8年かかるのが当たり前。しかも出産・育児と異なり、どんどん負担は重くなっていくのです。その間、老いて壊れていく親と閉じられた空間で時間を共有し続けるのですから、当初は親孝行と思っていた気持ちに変化が生じるのも自然なことです」、その通りだ。 「介護期間の目安となるのは、平均寿命から健康寿命(心身健康でいられる年数)を引いた年数です。日本でこれは、だいたい10年程度(男性8.7年、女性12.1年/2019年)になります。ですから介護生活は、少なくとも10年は続くことを想定しておく必要があります・・・仕事を辞め年収が半分になって10年も経つと、ビジネスケアラーとして働き続けた場合からは想像もできないほどの貧困になります」、なるほど。 酒井穣『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) (その9)(親の介護で一家離散 2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実、2040年「要介護人口1000万人」時代 介護費用1.4倍と負担さらに重く、東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護 NGワードだった「生活保護」) 介護
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災害(その15)(“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」、能登半島地震、北陸の観光地から上がる「悲鳴」 風評被害に資金繰り 閉業を考える温泉旅館も、「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”、富士山噴火でこの国が「大打撃」を受ける…火山灰の「意外な恐怖」) [社会]

災害については、2023年6月7日に取上げた。今日は、(その15)(“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」、能登半島地震、北陸の観光地から上がる「悲鳴」 風評被害に資金繰り 閉業を考える温泉旅館も、「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”、富士山噴火でこの国が「大打撃」を受ける…火山灰の「意外な恐怖」)である。

先ずは、先ずは、本年1月2日付けTBSニュースDIGが掲載した「“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」」を紹介しよう。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/538817?display=1
・『元日に石川県能登地方で最大震度7を観測した地震。被災地では大規模火災や津波の被害が徐々に明らかになってきています。珠洲市周辺ではおよそ3年にわたって活発な地震活動が続いていて、珠洲市では2023年5月にも、震度6強を観測していました。 この震度6強の後、研究者の間では大きく分けて2つのシナリオが考えられていました。そのうち「一番怖いシナリオ」と考えていたのが、「流体が活断層の深い所に達して、それがきっかけで大地震が起こる」こと。2023年5月のM6.5の地震が、“珠洲沖セグメント”と呼ばれる活断層でも地震を誘発するという考えです。 京都大学防災研究所の西村卓也教授は「活断層が隣にあるということは、隣で火事が起こっているのと同じような状態。危ない状態であることは間違いない」と指摘していました。2023年6月に取材した解説記事です。 (以下、情報は2023年6月時点のもの) 石川県珠洲市(すずし)周辺では2年半にわたって活発な地震活動が続いています。震度1以上の地震はこれまで400回以上に上り、2023年5月5日にはマグニチュード(M)6.5の地震で最大震度6強の揺れを観測しました。政府の地震調査委員会は、一連の地震活動は「当分続く可能性がある」として、今後も強い揺れに注意するよう呼びかけています。地震はなぜ起こるのか、いつまで続くのか。研究の最前線を取材しました』、「石川県珠洲市(すずし)周辺では2年半にわたって活発な地震活動が続いています。震度1以上の地震はこれまで400回以上に上り、2023年5月5日にはマグニチュード(M)6.5の地震で最大震度6強の揺れを観測しました。政府の地震調査委員会は、一連の地震活動は「当分続く可能性がある」として、今後も強い揺れに注意するよう呼びかけています」、突然ではなく、起こるべくして起きたようだ。
・『能登半島先端にある“本州最少の市”   石川県珠洲市は、県庁所在地の金沢市から車で2時間余り、日本海に突き出た能登半島の先端に位置しています。塩田(えんでん)と呼ばれる砂浜で海水を乾かして作る塩や、市内で産出される珪藻土を使った七輪、独特の黒色に仕上がる「珠洲焼」などが特産品として知られています。一方、人口約1万3000人のうち、半数以上は65歳以上の高齢者で、深刻な過疎化・高齢化に直面しています。 能登半島周辺では過去にも規模の大きな地震が発生しています。1993年2月7日の能登半島沖地震(M6.6)では、当時の震度階級で、輪島市で震度5を観測し、珠洲市を中心に30人がけがをしました。また1人が死亡、338人がけがをした2007年3月25日の能登半島地震(M6.9)では、珠洲市でも震度5強の揺れを記録しました』、どうやら「能登半島」は「地震」の巣のようだ。
・『「震度5弱~6強ありうる」 研究者が2年前から警鐘  珠洲市周辺で地震活動が活発になったのは2020年12月ごろ。当初は、珠洲市南部の飯田地区周辺で活動が活発でしたが、その後、震源が徐々に西側の若山地区や、日本海に面した大谷地区・狼煙(のろし)地区など、北側・東側の領域にも広がっていき、東西南北4つの震源域に分類されるようになりました。 研究者の間では、早い段階から規模の大きな地震への警戒が高まっていました。金沢大学の平松良浩教授は2021年7月の取材に対し「震度5弱、6弱、6強の揺れになることは考えられる」と指摘していました。 2021年9月16日にはM5.1の地震が発生し、珠洲市で最大震度5弱を観測。さらに2022年6月19日にはM5.4(最大震度6弱)、翌20日にはM5.0(5強)の地震が相次いで発生しました。地震活動はその後も収束することなく、震度1以上の地震は2021年は70回、2022年は195回に上りました』、「研究者の間では、早い段階から規模の大きな地震への警戒が高まっていました。金沢大学の平松良浩教授は2021年7月の取材に対し「震度5弱、6弱、6強の揺れになることは考えられる」と指摘していました。 2021年9月16日にはM5.1の地震が発生し、珠洲市で最大震度5弱を観測。さらに2022年6月19日にはM5.4(最大震度6弱)、翌20日にはM5.0(5強)の地震が相次いで発生しました。地震活動はその後も収束することなく、震度1以上の地震は2021年は70回、2022年は195回に上りました」、なるほど。
・『「群発地震」とは 収束まで数年かかるケースも  このように長い期間にわたって続く地震活動を「群発地震」と呼びます。 日本国内で起こる典型は「本震―余震型」と呼ばれるもので、一度大きな地震が発生した後、時間が経過するにつれて余震の回数が少なくなっていくパターンです。これに対し「群発地震」は、明確に本震と呼べる大きな地震がなく、長期間にわたって地震を繰り返していく現象です。収束まで数年かかるケースもあり、1965年から1970年にかけて長野県で発生した「松代群発地震」では震度1以上の有感地震が6万回を超えました。 群発地震は活火山の周辺で多くみられる現象ですが、珠洲市の周辺では活火山は知られていません。なぜ火山がない地域で、これほど長く地震が続いているのでしょうか』、「日本国内で起こる典型は「本震―余震型」と呼ばれるもので、一度大きな地震が発生した後、時間が経過するにつれて余震の回数が少なくなっていくパターンです。これに対し「群発地震」は、明確に本震と呼べる大きな地震がなく、長期間にわたって地震を繰り返していく現象です。収束まで数年かかるケースもあり、1965年から1970年にかけて長野県で発生した「松代群発地震」では震度1以上の有感地震が6万回を超えました。 群発地震は活火山の周辺で多くみられる現象ですが、珠洲市の周辺では活火山は知られていません。なぜ火山がない地域で、これほど長く地震が続いているのでしょうか」、確かに不思議だ。
・『地震とともに始まった“謎の地殻変動”  地震の原因を探るうえで1つの鍵になったのが、地震活動とともに始まった“謎の地殻変動”です。 地殻変動は、地球のマントルを覆う「地殻」に力が加わり、年に数ミリから数センチ程度、ゆっくりと動く現象です。こうした大地のわずかな動きを捉えるために、人工衛星からの電波を受信して地上の位置を正確に測る「GNSS」と呼ばれる仕組みが使われています。GNSSは衛星測位システムの総称で、中でもスマートフォンの位置情報やカーナビゲーションに利用され、広く知られているのがアメリカの「GPS」です。 国土地理院が約20キロ間隔で全国約1300か所に電子基準点を設置しているほか、近年は携帯電話会社も基地局に独自の基準点を設け、精度の高い観測を可能にしています。 断層がずれて地震が発生すると、地表では地殻変動が観測されます。言い換えれば、地殻変動を測ることで、地下で断層がどう動いたかを調べることも可能で、GNSSのデータを地震の予測に役立てようとする研究者もいます。京都大学防災研究所の西村卓也教授は、地殻変動のデータから地下の断層に溜まっているひずみを調べ、地震を予測する研究を20年以上行ってきました。 その西村教授も「前例がない」と話すほど珍しい動きが、珠洲市で起こったのです。 国土地理院が珠洲市内に設置した観測点では、地震活動が始まった2020年12月からの約1年間で、地盤が3センチほど隆起する謎の地殻変動が起こっていました。西村教授は「火山がないところで、これほど顕著な変動がみられることは今までなかった」といいます。 地殻変動の原因を探るため、西村教授や金沢大学などの研究グループは、2021年9月から、珠洲市や能登町に独自のGNSS観測機器を設置。さらにソフトバンクが提供するGNSS観測網のデータも組み合わせることで、研究グループは、2020年11月から2022年12月までに最大で約7センチの隆起を観測しました。また大谷小中学校とみさき小学校の2点間の距離が、観測を始めた2021年秋以降、約3センチ伸びるなど、珠洲市を中心に地盤が膨張する動きも捉えることに成功しました。 地殻変動が地震そのものによって引き起こされたものではないとすると、未知の何かが地盤を押し広げているはず。こうして1つの仮説が浮かび上がりました』、「2020年11月から2022年12月までに最大で約7センチの隆起を観測しました。また大谷小中学校とみさき小学校の2点間の距離が、観測を始めた2021年秋以降、約3センチ伸びるなど、珠洲市を中心に地盤が膨張する動きも捉えることに成功しました」、なるほど。
・『地震の原因は「水」?  研究者が考える群発地震のメカニズムです。2020年11月末から、大量の流体が地下深くから深さ16キロの領域にまで上昇。このとき、南側の領域で小規模な地震が繰り返し発生しました』、「研究者が考える群発地震のメカニズム」で「地震の原因は「水」?」というのは意外性がある。
・『研究者が考える群発地震のメカニズム  珠洲市の地下には、北西から南東方向に向かって傾斜する複数の断層が走っていると考えられています。流体はこの断層の隙間に流れ込み、周りの岩盤を押し広げるだけでなく、深さ14キロから16キロの領域で、地震を伴わないゆっくりとした断層の滑り=「スロースリップ」を引き起こしたと考えられています。流体は断層のさらに浅い部分にも広がり、北側の領域で地震活動が活発になりました。これまでに供給された流体の量は、およそ2900万立方メートル、東京ドーム23個分に上るとみられます。 地下の流体の移動やスロースリップが、長期にわたってこれほど精密に観測できた例は世界的に珍しく、西村教授や平松教授らの研究成果は2023年6月、国際的な学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。 ところで「流体」とはどのようなものなのでしょうか。活火山の近くで群発地震が発生するとき、流体はマグマであることが多いですが、研究者は、地震波の速さなどをもとに、珠洲市のケースでは「水」である可能性が高いと考えています。西村教授は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で海水が日本列島の下に潜り込み、およそ10年かけて上昇してきた可能性もあるといいます。一方、地下深くにある流体を実際に採取するのは困難で、流体が何なのか、その正体は明らかになっていません』、「流体はマグマであることが多いですが、研究者は、地震波の速さなどをもとに、珠洲市のケースでは「水」である可能性が高いと考えています。西村教授は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で海水が日本列島の下に潜り込み、およそ10年かけて上昇してきた可能性もあるといいます」、なるほど。
・『地下には流体の通り道? 「見えない水」を“見える化”  流体のありかを調べる研究も進んでいます。京都大学防災研究所の吉村令慧教授は、電流や磁気をもとに地下の構造を明らかにする研究を行っています。水などの流体は電気を通しやすいため、地下の電気の通しやすさを測ることで、流体がある領域を確認できるというのです。 こうした電気を通しやすい領域は、2007年の能登半島地震でも震源近くにあることが分かっていて、流体が地震を引き起こした可能性が指摘されています。 吉村教授らは2021年11月、珠洲市や能登町、輪島市の合わせて32か所に観測機器を設置し、地表から深さ20キロまでの構造を三次元的に解析しました。その結果、地震活動が始まった南側の領域の地下深くに、電気を通しやすい領域を発見。さらにその領域は、地震活動が活発な北側の領域に向かって続いていました。地下深くから流体が供給され、北側に流れていったとする西村教授らの仮説を裏付ける結果です。 吉村教授は「地震活動と非常に調和的な結果になっている。流体の存在を強く示唆する構造だ」としています。 研究グループは、陸上での観測機器を追加したほか、2022年9月には珠洲市周辺の海底にも機器を設置しました。今後は、連続した観測を行うことで、地震活動の推移予測につなげたいとしています』、「地下には流体の通り道? 」「水などの流体は電気を通しやすいため、地下の電気の通しやすさを測ることで、流体がある領域を確認できる」、なるほど。
・『地殻変動にも変化 収束か…  2023年3月。2年余り続いてきた地震活動の中で、研究者が初めて、収束について言及しました。 このとき、珠洲市北部の一部の地域を除いて、地殻変動も全体的に収束に向かっている様子が確認されていました。また活動の初期に大量の流体が上昇した南側の領域でも、流体の供給が1年以上、落ち着いていました。 平松教授は「変動の様子がやや収まってきている。この傾向がそのまま続くと、地震活動も徐々に落ち着くのではないか」としました。一方で「群発地震の場合、大きな地震がどういうタイミングで起こるかはかなり予測が難しい。地震活動の初期なのか、中期なのか、末期なのか、どこで最大規模の地震が起こるか分からない」として、引き続き強い揺れに注意するよう呼びかけました。 それからわずか1か月余り、震度6強の揺れが珠洲市を襲いました』、「「群発地震の場合、大きな地震がどういうタイミングで起こるかはかなり予測が難しい。地震活動の初期なのか、中期なのか、末期なのか、どこで最大規模の地震が起こるか分からない」として、引き続き強い揺れに注意するよう呼びかけました。 それからわずか1か月余り、震度6強の揺れが珠洲市を襲いました」、なるほど。
・『研究者にも“意外なタイミング”で震度6強  2023年5月5日午後2時42分ごろ、能登半島沖でM6.5の地震が発生。石川県が6月12日までにまとめたところ、1人が死亡、48人がけがをし、全壊34棟を含む944棟の住宅が被害を受けました。 研究者にとっても、この地震は驚きでした。西村教授は「ずっとこういう大きい地震が起こるのではないかという可能性は持っていたが、地震活動も地殻変動も収まってきている状況だった。あのタイミングで来るというのは若干意外だった」と明かしました』、「ずっとこういう大きい地震が起こるのではないかという可能性は持っていたが、地震活動も地殻変動も収まってきている状況だった。あのタイミングで来るというのは若干意外だった」、なるほど。
・『専門家が想定する“良いシナリオ”と“悪いシナリオ”  今後、地震活動は収束に向かうのか。5月5日のM6.5の地震の後、研究者の間では大きく分けて2つのシナリオが考えられています。 1つは、流体によって生じた断層のひずみが解消され、今後、徐々に地震活動が落ち着くという見方です。研究者が2023年3月に示したように、地殻変動は全体的に収束する傾向を見せていて、新たな流体の供給がないこともプラスに働いています。また世界的に見ても、この規模の群発地震は平均的に3年ほどで収束していて、一連の活動は終わりに近づいていると考えることができます。 一方、新たな懸念も浮上しています。5月5日の地震の前までは、震源の大部分は珠洲市北部の海岸近くに集中していました。 ところが、M6.5の地震の後、震源域が急激に北側の海域にも拡大。その震源域を横切るようにして走っているのが「珠洲沖セグメント」と呼ばれる海底活断層です。もし珠洲沖セグメントがずれ動くと、地震の規模はM7クラスに上ると予想されています。 研究者が今、「一番怖いシナリオ」と考えるのが、「流体が珠洲沖セグメントの深い所に達して、それがきっかけで大地震が起こる」こと。M6.5の地震が、珠洲沖セグメントでも地震を誘発するという考えです。西村教授は「活断層が隣にあるということは、隣で火事が起こっているのと同じような状態。危ない状態であることは間違いない」といいます。 そして海底活断層の場合、警戒をしなければならないのが「津波」です。石川県の津波浸水想定では、珠洲市北部の沿岸は地震発生から1分以内に津波が襲来すると予想されています。平松教授は「津波警報が出る前に津波が来ることも十分ありうる。強い揺れを感じたら、まずは津波の危険性を疑って避難行動をとってほしい」と呼びかけます』、「この規模の群発地震は平均的に3年ほどで収束していて、一連の活動は終わりに近づいていると考えることができます・・・新たな懸念も浮上・・・M6.5の地震の後、震源域が急激に北側の海域にも拡大。その震源域を横切るようにして走っているのが「珠洲沖セグメント」と呼ばれる海底活断層です。もし珠洲沖セグメントがずれ動くと、地震の規模はM7クラスに上ると予想されています。 研究者が今、「一番怖いシナリオ」と考えるのが、「流体が珠洲沖セグメントの深い所に達して、それがきっかけで大地震が起こる」こと。M6.5の地震が、珠洲沖セグメントでも地震を誘発するという考えです。西村教授は「活断層が隣にあるということは、隣で火事が起こっているのと同じような状態。危ない状態であることは間違いない」といいます。 そして海底活断層の場合、警戒をしなければならないのが「津波」です。石川県の津波浸水想定では、珠洲市北部の沿岸は地震発生から1分以内に津波が襲来すると予想されています」、「一番怖いシナリオ」が実現しないことを願うほかない。

次に、本年1月15日付け東洋経済オンライン「能登半島地震、北陸の観光地から上がる「悲鳴」 風評被害に資金繰り、閉業を考える温泉旅館も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/727329?display=b
・『加賀百万石――。加賀藩の領地として栄えた石川県。日本三大庭園の兼六園などがある金沢市はもちろん、和倉温泉(七尾市)、輪島朝市(輪島市)、白米千枚田(輪島市)など多くの観光地で知られている。 北陸きっての観光地を襲ったのが1月1日に発生した能登半島地震だ。1月11日時点では死者213人、安否不明者37人となっており、現在も余震がある中で捜索活動が続いている。 今回の大規模地震が観光地に与えた影響はどれほどか、その全貌はいまだ明らかになっていない。現地で宿泊施設を経営する当事者や業界団体への取材を通じて、甚大な被害と早急な支援の必要性が明らかになってきた』、興味深そうだ。
・『「建物の一部が野ざらしになっている」  「旧館と新館をつなぐジョイント部分が崩れて、建物の一部が野ざらしになっている。営業継続は不可能だ」。そう語るのは、宝仙閣グループの帽子山宗氏だ。 同グループは震源地に近い和倉温泉に施設を保有しており、甚大な被害を受けた。帽子山氏は業界団体・全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部の幹部も務めており、北陸地方の被災状況の情報収集に当たっている。 震源地となった能登半島では輪島温泉も有名だが、やはり地震で大きな打撃を受けた。帽子山氏によれば、海岸線の道路は崩落し、ホテルや旅館の中も大きく隆起。その様子は一変してしまったという。) 全旅連にもこうした悲痛の声が多く寄せられている。 「館内設備の破損により一部の客室が浸水、使用不可能になった。復旧には半年程度かかる見通し」(能登半島の宿泊施設) 「外壁がはがれ、上下水道が使用不能になり、営業は不可能」(別の能登半島の宿泊施設) 被害は施設だけではない。風評被害の影響も甚大だ。北陸地方では、地震による被害が比較的少なかった能登半島以外の宿泊施設でもキャンセルが相次いでいる。 帽子山氏が運営している山代温泉(加賀市)の宿泊施設でも、6月まで宿泊予約のキャンセルが発生しており、損失額は600万円だという。同地区は石川県の南西部に位置し、地震の被害は小さかった』、「北陸地方では、地震による被害が比較的少なかった能登半島以外の宿泊施設でもキャンセルが相次いでいる。 帽子山氏が運営している山代温泉(加賀市)の宿泊施設でも、6月まで宿泊予約のキャンセルが発生しており、損失額は600万円だという」、なるほど。
・『風評被害が続けば改装を決断できない  地震が起きた正月休みは宿泊施設にとって「最大の稼ぎ時」。高価な正月限定宿泊プランを販売し、通常より豪華な食事を提供する。売り上げの機会損失も大きかった。福井県の宿からは「越前ガニを仕入れていたため、キャンセルによる損失が大きい」という声が複数上がっている。 石川県内の宿泊施設では、最大1億円を超えるキャンセル損失がすでに発生している。旅館やホテルなどの宿泊施設は固定費が重く、売り上げの減少は経営悪化に直結しやすい。また風評被害が長引けば、3~4月の繁忙期の売り上げも厳しくなる。 震源に近い宿泊施設では建物が大きな被害を受けた。営業再開には建て替えを視野に入れた大規模リニューアルが必要。ただ、風評被害による宿泊キャンセルなどが始まり、先が見通せない中で大規模改装に踏み切るという決断はしづらい。 「コロナ禍が終わり金融機関への返済計画を立てていた。宿泊客も戻ってきたので『これで返していけるぞ』というタイミングだった。かなり厳しい」と、帽子山氏は吐露する。 閉業を選択する宿泊施設が多数出てくることも予想される。) 一方で、能登半島地震の被災者を受け入れる2次避難所として、自治体が宿泊施設を借り上げて提供する動きも広がっている。 被災者はプライベートが担保された衛生的な空間で避難生活を送ることができる。宿泊施設にとっても貴重な収入となる。避難者は無料で宿泊することができ、石川県では自治体から宿泊施設へ1泊当たり最大1万円が支払われるもようだ。 だが支援はこれだけでは不十分だ。被災した宿泊施設の復興はもちろん、風評被害の払拭のためにカギとなるのはインフラだ。 立教大学観光学部の沢柳知彦特任教授は「インフラが復旧しているかどうか、旅情を損ねない程度に景観が復旧しているかが、旅行に行くかどうかの判断材料となる」と指摘する』、「2次避難所として、自治体が宿泊施設を借り上げて提供する動きも広がっている。 被災者はプライベートが担保された衛生的な空間で避難生活を送ることができる。宿泊施設にとっても貴重な収入となる。避難者は無料で宿泊することができ、石川県では自治体から宿泊施設へ1泊当たり最大1万円が支払われるもようだ」、なるほど。
・『一度解雇してしまうと、従業員が集まらない  帽子山氏も「安全に事業を継続していくためにも自治体には海岸整備をしていただきたい。安全と確信できない土地の上にある旅館を、さらに次世代に紡いでいくのはかなり暗い気持ちになる」と強調する。 インフラの整備とともに必要なのが、雇用の維持に対する支援だ。被災し、営業が不可能となっている宿泊施設は建て替えや改装が必要だが、閉業期間は長ければ数年にわたる。 その間、「一度解雇してしまうと、従業員が集まらなくなってしまう。人材確保はリスクになりえる」と沢柳氏は指摘する。 被災した宿泊施設は、施設の破損以外にも資金繰りや風評被害などまさに前途多難な状況に追い込まれている。政府や自治体には矢継ぎ早な対応が求められている』、「インフラの整備とともに必要なのが、雇用の維持に対する支援だ。被災し、営業が不可能となっている宿泊施設は建て替えや改装が必要だが、閉業期間は長ければ数年にわたる。 その間、「一度解雇してしまうと、従業員が集まらなくなってしまう。人材確保はリスクになりえる」と沢柳氏は指摘・・・被災した宿泊施設は、施設の破損以外にも資金繰りや風評被害などまさに前途多難な状況に追い込まれている。政府や自治体には矢継ぎ早な対応が求められている」、難しい問題だ。

第三に、本年1月31日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338152
・『災害への備えは進められるも後手に回った石川県  もちろん、富士山噴火や南海トラフ地震といった災害は、国や自治体が「起こりうること」として準備をしています。いや「はずでした」というべきでしょう。能登半島は昨年すでに大きな地震を経験し、群発地震も起きていました。しかし、地元の石川県は全くと言っていいほど備えをしていなかったことが、地震直後に判明したからです。 石川県は2012年、今回と同じ能登半島北方沖でM8.1の地震が生じうると予測していましたが、政府の有識者会議がM7.6と予測すると、地域防災計画を見直し、地震想定をM7.0へと書き換え、被害は局地的で死者は7人程度という予測に変更しました。 当時の谷本正憲知事は、企業誘致に力を入れていたため「震災が少ない地域をアピールしたかった」という説が有力です。馳浩現知事は2年前に就任。防災計画の見直しを決めましたが、国の調査結果を待っていたこともあり、十分な準備措置はとられていませんでした。 その油断のツケは高くつきました。本来は「災害時に道路のどの部分の復旧を任せる」といった計画と契約が地元の建設業者となされているものですが、石川県や市町村の多くはそれもしていませんでした。東北地方の自治体が災害前からそういう契約を結んでいたからこそ、東日本大震災では、あの大きな揺れの中で、初日から道路復旧計画が決まり、建設業者への発注ができていました。 しかし、石川県では知事が元旦に東京に滞在しており、国に対応を丸投げした形で地元にもどったため、国が派遣したゼネコンと地元建設業者の調整に難航。重要なインフラ機関との話し合いもなかったので、道路に倒れている電柱1本を取り払うにも、電柱を取り除く許可を道路復旧の担当者が北陸電力にとるという、悠長なことが繰り返されていました。これは人災としか言いようがありません。 結局、道路復旧計画の全体像が決まったのは震災から10日目。東日本大震災の教訓は何も生かされていなかったという印象を、国民に与えてしまいました。 これから2月。厳寒の時期に入る被災地では、早急な復旧、仮設住宅の建設こそ住民の生命に関わる事態であるにもかかわらず、この責任を問うメディアは少ないと思うのは私だけでしょうか。) さて、富士山です。日本は火山国で10年から20年に一度は1億立方メートル以上の大きな噴火があると言われますが、すでに30年大噴火がないことも気になります。 噴火は地震と違い、溶岩流、噴石、そして火山灰という厄介な副産物をまき散らします。また、噴火時点での風向きでそれらが飛散する地域は変わり、10日近く噴火が続くことも地震や津波と違うところです。噴火の規模次第では、日本は東西の交通網を分断され、長期間、火山灰による寒冷化と食料不足に悩むという事態に直面しかねません』、「能登半島は昨年すでに大きな地震を経験し、群発地震も起きていました。しかし、地元の石川県は全くと言っていいほど備えをしていなかったことが、地震直後に判明したからです。 石川県は2012年、今回と同じ能登半島北方沖でM8.1の地震が生じうると予測していましたが、政府の有識者会議がM7.6と予測すると、地域防災計画を見直し、地震想定をM7.0へと書き換え、被害は局地的で死者は7人程度という予測に変更しました。 当時の谷本正憲知事は、企業誘致に力を入れていたため「震災が少ない地域をアピールしたかった」という説が有力です。馳浩現知事は2年前に就任。防災計画の見直しを決めましたが、国の調査結果を待っていたこともあり、十分な準備措置はとられていませんでした。 その油断のツケは高くつきました。本来は「災害時に道路のどの部分の復旧を任せる」といった計画と契約が地元の建設業者となされているものですが、石川県や市町村の多くはそれもしていませんでした。東北地方の自治体が災害前からそういう契約を結んでいたからこそ、東日本大震災では、あの大きな揺れの中で、初日から道路復旧計画が決まり、建設業者への発注ができていました。 しかし、石川県では知事が元旦に東京に滞在しており、国に対応を丸投げした形で地元にもどったため、国が派遣したゼネコンと地元建設業者の調整に難航。重要なインフラ機関との話し合いもなかったので、道路に倒れている電柱1本を取り払うにも、電柱を取り除く許可を道路復旧の担当者が北陸電力にとるという、悠長なことが繰り返されていました。これは人災としか言いようがありません。」、今回の「地震」は初動が悪いなと思っていたら、前知事が企業誘致に力を入れていたため「震災が少ない地域をアピール」するべく、「地域防災計画を見直し、地震想定をM7.0へと書き換え、被害は局地的で死者は7人程度という予測に変更」したといった事情は、まさに犯罪的行為で、初めて知った。
・『専門機関がシミュレーション 富士山噴火が及ぼす被害とは  「中央防災会議 広域降灰対策検討ワーキンググループ」(令和2年)のレポートによると、富士山噴火をモデルケースとした首都圏での影響について、以下のように予測しています。その要旨を紹介します。 (1)鉄道/微量の降灰で地上路線の運行停止。地下路線でも、地上路線の停止による需要増大や車両・作業員の不足で能力が低下し、停電で運行は上下ともに完全停止。 (2)道路/乾燥時10センチ、降雨時3センチ以上で二厘駆動車は通行不能。視界不良などで速度低下。大渋滞が発生。 (3)物資/降灰の多いところでは、買い占めなどで食料、飲料水の不足が発生し、道路が通じなくなると、物資の配送、店舗の営業は困難となる。 (4)人の移動/徒歩も含めて帰宅困難者などが発生。空路、海路も制限が生じる。 (5)電力/0.3センチ以上で碍子(がいし)の絶縁低下により停電発生。数センチで火力発電所の吸気フィルターの交換頻度が高くなり、発電量が低下。 (6)通信/降雨時に、基地局の通信アンテナに灰が付着すると通信が阻害。停電エリアの基地局などで、非常用発電機の燃料切れが起こる可能性も。 (7)上水道/水道水は飲用に適さなくなる。停電エリアでは浄水場が停止し、断水発生。 (8)下水道/雨水の閉塞により閉塞上流から、雨水があふれ、下水道の使用も制限。 (9)建物、降雨時30センチの堆積厚で木造家屋は重みで倒壊。体育館などの緩勾配屋根の大型建物も損傷の可能性。5センチ以上の堆積厚で空調設備の室外機に不具合。 (10)健康被害/目・鼻・のど・気管支などに異常を生じることがある。 つまり、電力や道路が耐え切れないほどの降灰があると、首都圏でも完全に活動が止まってしまうのです。このような状態が何日も続き、しかも風向きが変わるごとに被害地域が変わると、救難作業も必要量が読めません。また、東日本大震災時の瓦礫の10倍の火山灰の処理が必要となります。 しかし、さすがに東京都は対応が素早くて、噴火時の火山灰は海中に捨てることもすでに法律で決定済みです。富士山に近い静岡県では、火山灰どころか、噴石、溶岩流で町がなくなるところも出てきます。静岡、山梨といった近隣県では、避難の順番や時期などが細かく決められ、茨城など噴火の影響が少ない自治体に移住地を確保することまで決定されています。 が、これはあくまでも県や国が決めたこと。各市町村が本気でそれに取り組んでいるかどうかは濃淡があると言わざるを得ません。国民は身を守るため、それぞれの市町村が本気で噴火対策をしているのか、常にチェックする必要があるでしょう』、(5)に関連して「火力発電所の吸気フィルターの交換頻度が高くなり、発電量が低下」、する他に、原発や燃料プールの冷却が出来なくなれば、原発が制御できなくなって暴走するという致命的事態になりかねない。
・『災害が起きたときに本当に必要となる発想  そして、さらに気になるのが、復旧のあとの復興についての報道です。日本の災害復興は基本的に「元に戻す」という発想が中心です。しかし今回の能登半島地震の場合、能登湾の海底が隆起して、船の運行が困難になった能登半島の大部分で、漁業が復活できるのでしょうか。町だけ元に戻しても、人が戻らなければ復興とはいえません。東日本大震災でも同様の町がありました。 海底の隆起が一段落し、最新の海図などが完成してから、本当に以前の通り漁業ができるのか、昔通りに復興すべきなのかを十二分に検討するのには、時間がかかるでしょう。その間、被災地の住民を放置しておくことはできません。 一時的には、ホテルなどを借り切っての生活や県外の公営住宅への移住など、何年も生活に耐えられる準備が必要です。私は東日本大震災後の取材で、給付金はあるものの仕事がない状態の避難民が現地で開店していた数少ないパチンコ店に列をなしているのを見ました。幸い、能登半島は農業・漁業従事者が多いので、安全な地域で農地や船を貸すといった発想も必要です』、「能登半島は農業・漁業従事者が多いので、安全な地域で農地や船を貸すといった発想も必要です」、その通りだ。
・『関東大震災を機に生まれ変わった東京の教訓  実は1923年の関東大震災では、発生の4年前には東京市長の後藤新平を中心に東京を大改造する計画が策定されていて、震災直後入閣して内務大臣となった後藤は、それを実行に移そうとしました。 それは、道路の拡張、コンクリート製の小学校建設、公園整備、鉄製の橋梁建設など斬新なものでした。地主の反対などで、当初構想にあった幹線道路幅108メートルは44メートルに縮小されるなどしたものの、それでも区画整理や延焼防止のための公園・ 道路 は、その後大きな役に立ちました。 昭和通り、靖国通り、環状5号線などはその成果です。そして、これが実現できたのは、区画整理に反対する地主などの私権制限を法律化したからでした。以前の記事「被災地をふみにじる『火事場泥棒』は実名公表で抑止できる【馳浩・石川県知事に直言】」でも述べた通り、やはり災害時には、憲法に緊急事態条項を付加して私権制限をする必要があります。 大震災や大噴火というと、我々には悲壮感しか浮かんできません。しかし、それをきっかけに日本列島を大改造し、首都圏に集中しすぎた国づくりを修正するなど、ピンチをチャンスに変えることも可能なはずです。 まずは岸田内閣に、大災害後の日本改造計画を策定していただきたいと思いますが、現状の岸田総理を見ている限り、大がかりなことは望めそうにもありません。未来予見能力と決断力をもつ政治家の出現が待たれます。 「次は富士山噴火か」と巷で不安が囁かれる中で、そんなことを考えました』、「災害時には、憲法に緊急事態条項を付加して私権制限をする必要があります」、私は「憲法改正」自体には反対だが、「災害対応」のための「緊急事態条項を付加」には賛成である。

第四に、2月1日付け現代ビジネス「富士山噴火でこの国が「大打撃」を受ける…火山灰の「意外な恐怖」」を紹介しよう。
・『首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火……過去にも起きた「恐怖の大連動」は、東京・日本をどう壊すのか。 もはや誰もが大地震から逃れられない時代、話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。 (※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)』、興味深そうだ。
・『鉄道が止まり、道路が通れず物流が停滞する  東京大学の藤井敏嗣名誉教授(山梨県富士山科学研究所所長)は「富士山で想定されている大きさの噴火は世界で数年か数十年に一回は起きているが、最近はいずれも僻地で起こっており、交通網や電気通信が発達した巨大都市で起きた例がない。首都圏のような場所では、鉄道が止まり、道路が通れず物流が停滞すること、広域停電も起こり得ることを想定しないといけない」と指摘する。 30センチも積もれば雨を含んだ火山灰の重みで木造家屋が倒壊する可能性も生じる。浄水場は水質が悪化し、浄水施設の処理能力を超えると断水になるおそれがある。東京都の水道局では浄水場に覆いをかける作業を急ピッチで進めた。防災科学技術研究所の「火山灰の健康影響」によれば、ぜんそくや気管支炎、肺気腫など健康面での影響も注意が必要という。 噴火と言えば一時的なものと思われがちだが、前回の「宝永噴火」(1707年)は12月16日から翌年の元日まで約16日間も続いたとされる。火口から東方の地域では大量の火山砂礫や火山灰が降り積もり、厚さは麓で3メートル以上、遠く離れた江戸でも4センチ程度みられたとされる。 仮に同じレベルの噴火だったとしても、令和時代の今日に2週間以上も首都機能が大打撃を受けることになれば、国家としてのマイナスは甚大だ。加えて、江戸時代に起きた巨大地震との「大連動」が生じれば、激しい揺れに襲われて壊滅的な状態に陥ったときに空からの大量の降灰が追い打ちをかけることになる。 そのときに国や自治体、そして国民には何ができるのか。最も大切な命を守るために「最悪」を想定した準備を急ぐ必要があるだろう。 本記事の抜粋元『首都防衛』では、首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山大噴火……過去にも一度起きた「恐怖の大連動」が東京・日本をどう壊すのか、命を守るために何をやるべきか、さらには最新データや数々の専門家の知見から明らかになった「最悪の被害想定・シミュレーション」をわかりやすく解説。専門家が非常時を意識してやっていることなども紹介している。まずはこの一冊で突然の災害に備えましょう。ぜひお買い求めください』、「「宝永噴火」(1707年)は12月16日から翌年の元日まで約16日間も続いたとされる。火口から東方の地域では大量の火山砂礫や火山灰が降り積もり、厚さは麓で3メートル以上、遠く離れた江戸でも4センチ程度」、この記事は短いので、単なる本の紹介になってしまったが、前述の原発被害を抜きにしても、「令和時代の今日に2週間以上も首都機能が大打撃を受けることになれば、国家としてのマイナスは甚大だ」、確かにその通りだ。
タグ:「2020年11月から2022年12月までに最大で約7センチの隆起を観測しました。また大谷小中学校とみさき小学校の2点間の距離が、観測を始めた2021年秋以降、約3センチ伸びるなど、珠洲市を中心に地盤が膨張する動きも捉えることに成功しました」、なるほど。 群発地震は活火山の周辺で多くみられる現象ですが、珠洲市の周辺では活火山は知られていません。なぜ火山がない地域で、これほど長く地震が続いているのでしょうか」、確かに不思議だ。 「日本国内で起こる典型は「本震―余震型」と呼ばれるもので、一度大きな地震が発生した後、時間が経過するにつれて余震の回数が少なくなっていくパターンです。これに対し「群発地震」は、明確に本震と呼べる大きな地震がなく、長期間にわたって地震を繰り返していく現象です。収束まで数年かかるケースもあり、1965年から1970年にかけて長野県で発生した「松代群発地震」では震度1以上の有感地震が6万回を超えました。 「研究者の間では、早い段階から規模の大きな地震への警戒が高まっていました。金沢大学の平松良浩教授は2021年7月の取材に対し「震度5弱、6弱、6強の揺れになることは考えられる」と指摘していました。 2021年9月16日にはM5.1の地震が発生し、珠洲市で最大震度5弱を観測。さらに2022年6月19日にはM5.4(最大震度6弱)、翌20日にはM5.0(5強)の地震が相次いで発生しました。地震活動はその後も収束することなく、震度1以上の地震は2021年は70回、2022年は195回に上りました」、なるほど。 「流体はマグマであることが多いですが、研究者は、地震波の速さなどをもとに、珠洲市のケースでは「水」である可能性が高いと考えています。西村教授は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で海水が日本列島の下に潜り込み、およそ10年かけて上昇してきた可能性もあるといいます」、なるほど。 、どうやら「地震」の巣のようだ。 「ずっとこういう大きい地震が起こるのではないかという可能性は持っていたが、地震活動も地殻変動も収まってきている状況だった。あのタイミングで来るというのは若干意外だった」、なるほど。 「石川県珠洲市(すずし)周辺では2年半にわたって活発な地震活動が続いています。震度1以上の地震はこれまで400回以上に上り、2023年5月5日にはマグニチュード(M)6.5の地震で最大震度6強の揺れを観測しました。政府の地震調査委員会は、一連の地震活動は「当分続く可能性がある」として、今後も強い揺れに注意するよう呼びかけています」、突然ではなく、起こるべくして起きたようだ。 「“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」」 「「宝永噴火」(1707年)は12月16日から翌年の元日まで約16日間も続いたとされる。火口から東方の地域では大量の火山砂礫や火山灰が降り積もり、厚さは麓で3メートル以上、遠く離れた江戸でも4センチ程度」、この記事は短いので、単なる本の紹介になってしまったが、前述の原発被害を抜きにしても、「令和時代の今日に2週間以上も首都機能が大打撃を受けることになれば、国家としてのマイナスは甚大だ」、確かにその通りだ。 木俣正剛氏による「「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”」 ダイヤモンド・オンライン です。馳浩現知事は2年前に就任。防災計画の見直しを決めましたが、国の調査結果を待っていたこともあり、十分な準備措置はとられていませんでした。 その油断のツケは高くつきました。本来は「災害時に道路のどの部分の復旧を任せる」といった計画と契約が地元の建設業者となされているものですが、石川県や市町村の多くはそれもしていませんでした。東北地方の自治体が災害前からそういう契約を結んでいたからこそ、東日本大震災では、あの大きな揺れの中で、初日から道路復旧計画が決まり、建設業者への発注ができていました。 「能登半島は昨年すでに大きな地震を経験し、群発地震も起きていました。しかし、地元の石川県は全くと言っていいほど備えをしていなかったことが、地震直後に判明したからです。 石川県は2012年、今回と同じ能登半島北方沖でM8.1の地震が生じうると予測していましたが、政府の有識者会議がM7.6と予測すると、地域防災計画を見直し、地震想定をM7.0へと書き換え、被害は局地的で死者は7人程度という予測に変更しました。 当時の谷本正憲知事は、企業誘致に力を入れていたため「震災が少ない地域をアピールしたかった」という説が 震想定をM7.0へと書き換え、被害は局地的で死者は7人程度という予測に変更」したといった事情は、まさに犯罪的行為で、初めて知った。 しかし、石川県では知事が元旦に東京に滞在しており、国に対応を丸投げした形で地元にもどったため、国が派遣したゼネコンと地元建設業者の調整に難航。重要なインフラ機関との話し合いもなかったので、道路に倒れている電柱1本を取り払うにも、電柱を取り除く許可を道路復旧の担当者が北陸電力にとるという、悠長なことが繰り返されていました。これは人災としか言いようがありません。」、今回の「地震」は初動が悪いなと思っていたら、前知事が企業誘致に力を入れていたため「震災が少ない地域をアピール」するべく、「地域防災計画を見直し、地 「能登半島は農業・漁業従事者が多いので、安全な地域で農地や船を貸すといった発想も必要です」、その通りだ。 (5)に関連して「火力発電所の吸気フィルターの交換頻度が高くなり、発電量が低下」、する他に、原発や燃料プールの冷却が出来なくなれば、原発が制御できなくなって暴走するという致命的事態になりかねない。 現代ビジネス「富士山噴火でこの国が「大打撃」を受ける…火山灰の「意外な恐怖」」 「災害時には、憲法に緊急事態条項を付加して私権制限をする必要があります」、私は「憲法改正」自体には反対だが、「災害対応」のための「緊急事態条項を付加」には賛成である。 興味深そうだ。 宮地美陽子『首都防衛』 東洋経済オンライン「能登半島地震、北陸の観光地から上がる「悲鳴」 風評被害に資金繰り、閉業を考える温泉旅館も」 そして海底活断層の場合、警戒をしなければならないのが「津波」です。石川県の津波浸水想定では、珠洲市北部の沿岸は地震発生から1分以内に津波が襲来すると予想されています」、「一番怖いシナリオ」が実現しないことを願うほかない。 もし珠洲沖セグメントがずれ動くと、地震の規模はM7クラスに上ると予想されています。 研究者が今、「一番怖いシナリオ」と考えるのが、「流体が珠洲沖セグメントの深い所に達して、それがきっかけで大地震が起こる」こと。M6.5の地震が、珠洲沖セグメントでも地震を誘発するという考えです。西村教授は「活断層が隣にあるということは、隣で火事が起こっているのと同じような状態。危ない状態であることは間違いない」といいます。 「この規模の群発地震は平均的に3年ほどで収束していて、一連の活動は終わりに近づいていると考えることができます・・・新たな懸念も浮上・・・M6.5の地震の後、震源域が急激に北側の海域にも拡大。その震源域を横切るようにして走っているのが「珠洲沖セグメント」と呼ばれる海底活断層です。 「「群発地震の場合、大きな地震がどういうタイミングで起こるかはかなり予測が難しい。地震活動の初期なのか、中期なのか、末期なのか、どこで最大規模の地震が起こるか分からない」として、引き続き強い揺れに注意するよう呼びかけました。 それからわずか1か月余り、震度6強の揺れが珠洲市を襲いました」、なるほど。 「地下には流体の通り道? 」「水などの流体は電気を通しやすいため、地下の電気の通しやすさを測ることで、流体がある領域を確認できる」、なるほど。 TBSニュースDIG (その15)(“能登群発地震”の原因は「東京ドーム23杯分の水」 去年5月の地震後に研究者が指摘していた「一番怖いシナリオ」、能登半島地震、北陸の観光地から上がる「悲鳴」 風評被害に資金繰り 閉業を考える温泉旅館も、「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”、富士山噴火でこの国が「大打撃」を受ける…火山灰の「意外な恐怖」) 災害
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高齢化社会(その25)(65歳以上の4人に1人が「賃貸入居お断り」の衝撃!“高齢住宅難民”はどうしたらいい?、年を重ねて「いい人」では脳の老化が進む…医師・和田秀樹が「理想の高齢者」と太鼓判を押す著名人の名前 大勢の人が聞きたくなる「面白い話」ができる高齢者になるには) [社会]

高齢化社会については、昨年12月27日に取上げた。今日は、(その25)(65歳以上の4人に1人が「賃貸入居お断り」の衝撃!“高齢住宅難民”はどうしたらいい?、年を重ねて「いい人」では脳の老化が進む…医師・和田秀樹が「理想の高齢者」と太鼓判を押す著名人の名前 大勢の人が聞きたくなる「面白い話」ができる高齢者になるには)である。

先ずは、昨年12月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した吉田由紀子氏による「65歳以上の4人に1人が「賃貸入居お断り」の衝撃!“高齢住宅難民”はどうしたらいい?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/335497
・『収入はあるのに家を借りられない…高齢者の“住宅難民”急増  夫婦でハウスクリーニング業を営んでいた70代の女性Aさん。夫の死後、自ら社長になり事業を受け継いできた。当然ながら十分な収入を得ていたが、ある日、大家から自宅(賃貸物件)の立ち退きを告げられてしまう。老朽化が理由だった。 仕方なく不動産屋に行ってみたところ、70代と年齢を告げた瞬間、「うちでは無理」と追い返されてしまった。Aさんは不動産屋を何軒か回ってみるが、どの店も年齢を理由に断られてしまう。住む家が見つからない…。 このような高齢者が、今急増しているのをご存じだろうか。 65歳以上の日本人(国籍保有者)は、2010年時点で約2900万人。それが2020年には約3600万人に増加。単身高齢者は、2010年には479万人だったが、2020年には671万人。2030年には795万人まで増加すると予想されている(内閣府発行の令和5年版高齢社会白書より)』、「不動産屋に行ってみたところ、70代と年齢を告げた瞬間、「うちでは無理」と追い返されてしまった。Aさんは不動産屋を何軒か回ってみるが、どの店も年齢を理由に断られてしまう。住む家が見つからない…・・・65歳以上の日本人(国籍保有者)は、2010年時点で約2900万人。それが2020年には約3600万人に増加。単身高齢者は、2010年には479万人だったが、2020年には671万人。2030年には795万人まで増加すると予想されている」、「高齢者」の住宅探しは困難になってきたようだ。
・『高齢者の住まい探しの一因は「自宅の老朽化」にある  その理由を聞くため、R65不動産に取材を行った。 同社は、不動産会社に勤務していた若手社員が、高齢者の住まい探しが困難なことを知り、2016年に独立して開業した、65歳以上対象の不動産会社である。 「高齢の方が賃貸物件を探す理由はさまざまです。例えば、家族が亡くなり、小さな住まいに引っ越したい。持ち家に住んでいたが、修繕費がかかるため賃貸に住み替えたい。病院の近くに住みたいといった理由が多いです」(R65不動産・代表取締役社長・山本遼さん、以下同) 他にも、子どもの近所に引っ越したい。体が不自由になったので、1階に住みたい、という理由が多い。中でも目立つのが、老朽化のため自宅が取り壊しになってしまうケースだ。 「総務省平成25年住宅・土地統計調査によれば、現在、築40年以上の住宅が、全国に280万棟あります。高度成長期に大量に建てられた物件が、軒並み老朽化していることも、高齢者の物件探しが増えている理由の一つです」』、「高齢の方が賃貸物件を探す理由はさまざまです。例えば、家族が亡くなり、小さな住まいに引っ越したい。持ち家に住んでいたが、修繕費がかかるため賃貸に住み替えたい。病院の近くに住みたいといった理由が多いです」・・・他にも、子どもの近所に引っ越したい。体が不自由になったので、1階に住みたい、という理由が多い。中でも目立つのが、老朽化のため自宅が取り壊しになってしまうケースだ」、なるほど。
・『高齢者の入居を断る主な理由は「孤独死」「家賃滞納」「認知症」  R65不動産が、2023年6月に行った高齢者の住宅に関する実態調査では、「住宅難民」の実態が明らかになった(インターネットによる調査、対象は賃貸物件探しの経験を持つ高齢者500人)。 ・賃貸住宅の部屋探し経験のある高齢者(65歳以上)は、3人に1人以上(全体の35.7%)。最も多い住み替え理由は、家賃の低い物件に住み替えるため(36.6%)。 ・高齢者の4人に1人以上(26.8%)が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験。そのうち、5回以上断られた経験がある人は11.9%で、収入による差はない。 ・賃貸住宅へ入居するまでに不満を感じた点は、 1位:そもそも候補となる物件情報が少なかった(20.2%) 2位:通常よりも経済的負担(初期費用など)が大きかった(10.2%) 3位:条件に合わない物件を紹介された(7.0%) (調査結果から一部抜粋) 高齢者の4人に1人が、年齢を理由に賃貸住宅への入居を断られる現実。それが如実に数字に表れている。 「入居を断られる理由はいろいろありますが、まず、高齢の方の孤独死です。特に一人暮らしの場合、死後何日もたってから見つかるケースが少なくありません。そうなると事故物件になりますが、それを家主は恐れているのです」 加えて家賃滞納や認知症の可能性も、大きな拒否理由になっている』、「高齢者の4人に1人以上(26.8%)が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験・・・入居を断られる理由はいろいろありますが、まず、高齢の方の孤独死です」、やむを得ないことだ。
・『入居者の遺品もトラブルのもと  さらに面倒なのが、入居者の遺品の片付けだ。いわゆる「残置物の処理」である。入居者に身寄りがない場合、遺品は家主が片付けることになるが、実は相当な費用がかかってしまうのだ。 また、残置物と賃貸借契約は相続の対象になるため、勝手に処分すると、トラブルになる可能性もある。これも家主が高齢者の入居に難色を示す一因になっている。 2021年、この問題を解決するため、国土交通省と法務省がある条項を公開した。それは、入居者が亡くなった場合、残置物の処分と賃貸借契約の解除をスムーズに行えるようにするための「モデル契約条項」である。 さらに、今年7月には厚生労働省、国土交通省、法務省が合同で高齢者の住宅確保要配慮者への支援を拡充するための検討会をようやく立ち上げた。遅気に失したといえるが、高齢者の住宅確保に政府も動き出している。 この施策に対し、さまざまな高齢者の住宅探しを経験してきたR65不動産の山本さんは、こうコメントする。 「『残置物の処理等に関するモデル契約条項』は、残念ながら普及が進んでいません。その原因の一つに、残置物の処理を実行する『受任者』に、不動産会社を指定しにくい点があるのです」 不動産会社は、賃貸物件の契約により、収益を上げている。しかし残置物の処理を行うには、手間と費用がかかり、多大な損失を生んでしまうからだ。ちなみに受任者とは、入居者の死後事務委任を受任する人全般を指し、残置物の処理、残置物の換価や指定先への送付、賃貸借契約の解除を担う人を指す』、「残置物の処理を実行する『受任者』に、不動産会社を指定しにくい点があるのです」 不動産会社は、賃貸物件の契約により、収益を上げている。しかし残置物の処理を行うには、手間と費用がかかり、多大な損失を生んでしまうからだ」、「不動産会社」が「残置物の処理」を行う場合に、かける「手間と費用」に上限を付けることでヘッジできるのではなかろうか。
・『家主の負担が減るように契約者との契約体系は解決策の一つになる  この問題に対して、山本さんは、ある解決策を実践している。 その解決策とは、入居者との契約方法に工夫を加えて家主の負担を減らすことだ。「万が一、入居者が亡くなった際は、残地物の処理と残置物の換価や指定先への送付、賃貸借契約の解除を行うことをあらかじめ契約書に盛り込んでいるのです。この契約方法により、家主の負担が軽減し、高齢者の方が入居しやすくなると考えています。実際に弊社ではこの方法を採用していて、自社が仲介した高齢者の残地物の処理等を行う受任者となるパートナーの不動産会社が全国にあります」 さらに同社は「居住支援法人」の指定も受けている。これは、住宅セーフティネット法に基づき自治体が指定した団体のことで、高齢者の賃貸住宅入居に関する情報の提供や、入居後の見守りなどの生活支援を行う団体を指す。以前はNPO法人などに限定されていたが、民間の企業も指定を受けられるよう制度が変わったのである。 また、2023年12月から大手電力会社が出資する会社と共同で「単身高齢者向けの見守りサービス」の実証実験を始める予定だ。 「政府が動き出し、高齢者の住宅難民問題は少しずつ改善されていると感じています。とはいえ、まだ十分ではありません。ですからできるだけ情報を集め、知識を身に付けて準備を整えておくことが、解決への一歩だと考えています」 同社は、他の不動産会社とパートナー制度という形で連携を取っており、全国各地へと支援の輪が広がっている。 「これからも高齢の方が入居可能な賃貸物件を増やし、いくつになっても、好きな場所に住める社会を実現したいと考えています」 ところで、冒頭で紹介したA子さん、その後どうなったかというと――R65不動産の仲介で無事に住まいを見つけ、今は新居で暮らしている。退去期限まで1カ月という切羽詰まった状態ではあったが……。(吉田由紀子/5時から作家塾(R))』、「万が一、入居者が亡くなった際は、残地物の処理と残置物の換価や指定先への送付、賃貸借契約の解除を行うことをあらかじめ契約書に盛り込んでいるのです。この契約方法により、家主の負担が軽減し、高齢者の方が入居しやすくなると考えています。実際に弊社ではこの方法を採用していて、自社が仲介した高齢者の残地物の処理等を行う受任者となるパートナーの不動産会社が全国にあります・・・さらに同社は「居住支援法人」の指定も受けている。これは、住宅セーフティネット法に基づき自治体が指定した団体のことで、高齢者の賃貸住宅入居に関する情報の提供や、入居後の見守りなどの生活支援を行う団体を指す。以前はNPO法人などに限定されていたが、民間の企業も指定を受けられるよう制度が変わったのである」、徐々に制度面でも整備されてきたようだ。

次に、本年2月2日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「年を重ねて「いい人」では脳の老化が進む…医師・和田秀樹が「理想の高齢者」と太鼓判を押す著名人の名前 大勢の人が聞きたくなる「面白い話」ができる高齢者になるには」を紹介しよう。
・『目指すべき高齢者像は何か。医師の和田秀樹さんは「前頭葉は目新しく、珍しいことを行うときに働くもので、これを使わないと脳の老化が進んでしまう。その意味でも私が目標とする『面白い高齢者』として理想的なのはタレントの高田純次さんだ。細かいことにこだわらずテキトーでいることはメンタルヘルスにもいい影響を与える」という――。 ※本稿は、和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『40代から始まる前頭葉萎縮のサイン  老いを遠ざけ、いつまでも元気で若々しくいるためには、「感情」を動かすことが何より大切です。なぜなら、人の老化は「知力」や「体力」よりも、まず「感情」の衰えから始まるからです。 「もの忘れが激しくなった」のは知力の老化。「昔に比べて走れなくなった」のは体力の老化。感情の老化とは「やってみよう!」という意欲やギラギラした欲望、新しいものを生み出す発想力、柔軟性、機動力などが低下する状態を指します。 人間の脳の中で真っ先に縮み始め、機能が低下するのが感情を司つかさどる前頭葉です。早い人では40代から萎縮が画像で目に見えるようになります。 ただし、記憶力や体力の衰えと違って前頭葉の機能低下は気づきにくい。これまでやってきたルーティンの仕事は、特に考えずともサクサクこなせるため自覚しにくいのですが、放っておくと、いずれは新しい物事や突発的な出来事への対処が苦手になっていきます。 徐々に感情が老化し、気づいたときには脳も体も見た目も、すべてがどっと老けてしまっているのです』、「人間の脳の中で真っ先に縮み始め、機能が低下するのが感情を司つかさどる前頭葉です。早い人では40代から萎縮が画像で目に見えるようになります。 ただし、記憶力や体力の衰えと違って前頭葉の機能低下は気づきにくい。これまでやってきたルーティンの仕事は、特に考えずともサクサクこなせるため自覚しにくいのですが、放っておくと、いずれは新しい物事や突発的な出来事への対処が苦手になっていきます。 徐々に感情が老化し、気づいたときには脳も体も見た目も、すべてがどっと老けてしまっているのです」、「前頭葉の機能低下」は恐ろしそうだ。
・『「想定外のこと」を増やせば、脳の老化は防げる  逆にいえば、感情の老化を防げば、かなり若々しさを維持できるということです。 高齢者が体力を維持するために体を使うことが重要なように、脳の機能も「思い、考え続けること」、つまり感情を動かすことが老化予防につながります。そのためには前頭葉を使うことが必要なのです。 前頭葉は「想定外なことへの対応力」という重要な働きを担っているため、「先の読めない不確実なこと」に積極的に取り組むことをおすすめします。平穏な日常生活では、前頭葉を使う機会が減り、その結果、感情が動かず、意欲が湧かなくなり、ますます脳を使わなくなるという悪循環に陥ってしまうのです。 前頭葉の機能は意欲や自発性、創造性につながるだけでなく、思考を切り替える際にも働いています。前頭葉機能が低下すると、一度カッとなると火がついたように怒り出す、いつまでも泣いているなど、感情のブレーキが利きにくくなります。これも前頭葉の機能が衰えたことが原因です。 足腰を衰えさせないために歩くことが大切なように、前頭葉も使うことが感情の老化防止につながります』、「前頭葉は「想定外なことへの対応力」という重要な働きを担っているため、「先の読めない不確実なこと」に積極的に取り組むことをおすすめします。平穏な日常生活では、前頭葉を使う機会が減り、その結果、感情が動かず、意欲が湧かなくなり、ますます脳を使わなくなるという悪循環に陥ってしまうのです」、なるほど。
・『年下に“タメ口”を使われてもいいじゃないか  前頭葉というのは目新しく、珍しいことを行うときに働くものだと私は考えています。逆に前頭葉の機能が落ちてくると生活がルーティン化し、前例踏襲型になっていきます。 早い人ですと40代くらいから前頭葉の老化が始まるわけですが、このくらいの時期からルーティン化、前例踏襲型になる人は珍しくありません。行きつけの店しか行かなくなったり、同じ著者の本しか読まなくなったりするなどです。 前頭葉を使うためには、その逆のことをすればいいことになります。 誰かに何かを誘われたときに、億劫な自分がいても、やってみよう、行ってみようと、いったんは誘いに乗る姿勢が大事。年下に“タメ口”を使われるなど、カチンとくることがあっても、「それでもいいじゃないか」と自分に言い聞かせる。若々しくいるためにお金をかけて見た目をよくしようと努力するように、感情も若々しくしておくことを心がけましょう。 誰かと出かけることが増えれば、思考も柔軟になりますから、体や脳にもいいことなのです』、「前頭葉の機能が落ちてくると生活がルーティン化し、前例踏襲型になっていきます。 早い人ですと40代くらいから前頭葉の老化が始まるわけですが、このくらいの時期からルーティン化、前例踏襲型になる人は珍しくありません」、私の場合、これに気を付ける必要がありそうだ。「誰かに何かを誘われたときに、億劫な自分がいても、やってみよう、行ってみようと、いったんは誘いに乗る姿勢が大事。年下に“タメ口”を使われるなど、カチンとくることがあっても、「それでもいいじゃないか」と自分に言い聞かせる。若々しくいるためにお金をかけて見た目をよくしようと努力するように、感情も若々しくしておくことを心がけましょう。 誰かと出かけることが増えれば、思考も柔軟になりますから、体や脳にもいいことなのです」、なるほど。
・『70代、80代になっても前頭葉は若返らせることができる  自分には誘ってくれる人がいないから、などと悲観することはありません。一人でも前頭葉を使うことはできます。 たとえば、普段行かない店で食事をする。ランチで入る店を毎日変えてみる。普段読まない著者の本を読んでみる。保守系の雑誌しか読まない人は、リベラル系の雑誌を読んでみる(もちろん、逆も同じことです)。 料理で冒険するのも前頭葉を刺激します。新しいレシピを試したり、珍しい食材を使ってみたりするといった具合です。 海外では、大学に入ると教授にけんかを売るような人が優秀とされますが、日本ではノートを一生懸命とって教授が言った通りの内容をテストで書く人が優をもらう傾向があります。会社でも新奇なことをやる人より、上司の言うことを聞く人のほうが出世しやすいようです。 要するに、これまでの人生で前頭葉を使ったことがない人が圧倒的に多いのが、日本という国の特徴だといえます。 だから、ちょっと前頭葉を使う習慣をつけると若い人より前頭葉が働き、面白い高齢者になれるのです。つまり前頭葉は若返るのです。 70代、80代になっても脳を若返らせることは十分可能です。同時に意欲の老化も防げるはずです。ぜひ意識して、前頭葉を使う習慣を続けてみてください』、「ちょっと前頭葉を使う習慣をつけると若い人より前頭葉が働き、面白い高齢者になれるのです。つまり前頭葉は若返るのです。 70代、80代になっても脳を若返らせることは十分可能です。同時に意欲の老化も防げるはずです。ぜひ意識して、前頭葉を使う習慣を続けてみてください」、よし是非、やってみたい。
・『年を重ねても素敵だなと感じる有名人  「老害」という言葉をよく聞くようになり、自分はそうならないように努めているという人は少なくないでしょう。 相手からしたらまったく興味が湧かない話を延々と聞かせたり、昔の自慢話ばかりをしたりする人が老害に当てはまります。 かといって、老害と言われるのを避けるために人の話は聞くだけにするとか、相手に合わせているだけというのでは、いいおじいさん、いいおばあさんと呼ばれるかもしれませんが、脳は老化していくばかりです。それでは面白い人とは思ってもらえません。 私が長年、高齢者を診ていて目標にするようになったのは、「面白い高齢者」になりたいということです。 理想はタレントの高田純次さんです。自由奔放な芸風で人気を集めている高田さんのように、細かいことにこだわらずテキトーでいることはメンタルヘルスにもいい影響を与えます。つまらないことで目くじらを立てる高齢者は若者にうっとうしがられるだけですから。 2021年に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんも理想とする一人です。寂聴さんのように、大勢の人が話を聞きたくなるような高齢者になりたいものです』、「理想はタレントの高田純次さんです。自由奔放な芸風で人気を集めている高田さんのように、細かいことにこだわらずテキトーでいることはメンタルヘルスにもいい影響を与えます。つまらないことで目くじらを立てる高齢者は若者にうっとうしがられるだけですから。 2021年に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんも理想とする一人です。寂聴さんのように、大勢の人が話を聞きたくなるような高齢者になりたいものです」、自分は「高田純次さん」とは対照的な性格だが、この際、理想形として追い求めてみたい。
・『週に4回くらい行列のできるラーメン屋に行けるか  話の面白い高齢者というのは、今の時代であれば、ネットで検索しても出てこないような経験に基づいた話ができる人。 たとえば、週に4回くらい行列のできるようなラーメン屋に行き、実際に食べてみた感想を面白おかしく話せたら、若い人だって、話を聞いてみようという気になるでしょう。70代はまだ体が十分に動く年代ですので、ぜひそうした体験を積んでいただきたい。 昔の高齢者であれば、戦争体験などが若い人が聞きたい話の定番だったでしょうが、今の70代にはそういう話は期待できません。 あるいは、飢えに直面した日本の悲惨な状態を子ども時代に経験して、今の食料安全保障は危険だと論じるには、70代は少し遅い世代かもしれません。 ただ、子ども時代に、親の給料が上がるたびに、次はテレビ、次は自動車と買う喜びを経験した高度成長期の世代なので、給料を上げるほうが景気はよくなるという話を、資本主義の富の不均衡について述べたフランスの経済学者、トマ・ピケティの理論などと結びつければ、説得力のある話が可能でしょう。 あるいは、自分たちが現役だった時代は法人税が高かったので、会社が経費を使うことに積極的で(そのほうが税金は安くなるからです)、給料も上がり続けたし、バブル期にいい思いをした話をして、減税より増税のほうが景気はよくなるという経済の常識と逆の説を展開したら、面白い高齢者と思われるかもしれません』、私の場合、どんな話をすれば、「面白い高齢者と思われる」ようになるかを考えてみたい。
・『世間の常識に囚われず、言いたいことを言ってもいい  話の面白い高齢者を目指すためには、世間一般と違う「一家言」を持つのが近道です。 高齢者から運転免許を取り上げるという風潮が高まっていますが、昔は交通事故で1万人以上も亡くなっていたのは、自動車に大して規制をかけなかったためで、その後の日本の製造業の隆盛があったのは事実です。75歳以上のドライバーによる死亡事故は年間400件もありません。 逆に、高齢者が交通事故の最大の被害者で死者数の5割を超えているなどという話も、今のご時世、興味深いでしょう。 70代というのは、ある程度パソコンを使って仕事をするのが当たり前になった世代の走りでしょう(この年代で電子カルテが使えない医者を見たことがない)。屁理屈と言われても、常識と違うデータを探すことは難しいことではありません。 和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版) 少年犯罪が起こるたびにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの影響で、それが増えているようなニュアンスでコメントする「識者」がたくさんいる中で、ちょっとデータを検索すると2003年くらいから少年非行件数が減っていることくらいすぐわかります。私自身も経験していることですが、昔の不良の怖さは半端ではありませんでした。 こういう経験とデータを交えて話ができるのが70代の強みであり、常識に反することを思いつく、考えるというのは、前頭葉の最高のトレーニングでもあるのです。 少なくとも長く生きてきた経験から、世の中は理屈通りにいかないという立場をとることができます。その強みを活かして、前頭葉を鍛えながら、話の面白い高齢者を目指していきましょう』、私の場合、どんな話をすれば、「話の面白い高齢者」になれるかを考えてみたい。
タグ:「不動産屋に行ってみたところ、70代と年齢を告げた瞬間、「うちでは無理」と追い返されてしまった。Aさんは不動産屋を何軒か回ってみるが、どの店も年齢を理由に断られてしまう。住む家が見つからない…・・・65歳以上の日本人(国籍保有者)は、2010年時点で約2900万人。それが2020年には約3600万人に増加。単身高齢者は、2010年には479万人だったが、2020年には671万人。2030年には795万人まで増加すると予想されている」、「高齢者」の住宅探しは困難になってきたようだ。 和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版) 「人間の脳の中で真っ先に縮み始め、機能が低下するのが感情を司つかさどる前頭葉です。早い人では40代から萎縮が画像で目に見えるようになります。 ただし、記憶力や体力の衰えと違って前頭葉の機能低下は気づきにくい。これまでやってきたルーティンの仕事は、特に考えずともサクサクこなせるため自覚しにくいのですが、放っておくと、いずれは新しい物事や突発的な出来事への対処が苦手になっていきます。 PRESIDENT ONLINE 「ちょっと前頭葉を使う習慣をつけると若い人より前頭葉が働き、面白い高齢者になれるのです。つまり前頭葉は若返るのです。 70代、80代になっても脳を若返らせることは十分可能です。同時に意欲の老化も防げるはずです。ぜひ意識して、前頭葉を使う習慣を続けてみてください」、よし是非、やってみたい。 和田 秀樹氏による「年を重ねて「いい人」では脳の老化が進む…医師・和田秀樹が「理想の高齢者」と太鼓判を押す著名人の名前 大勢の人が聞きたくなる「面白い話」ができる高齢者になるには」 さらに同社は「居住支援法人」の指定も受けている。これは、住宅セーフティネット法に基づき自治体が指定した団体のことで、高齢者の賃貸住宅入居に関する情報の提供や、入居後の見守りなどの生活支援を行う団体を指す。以前はNPO法人などに限定されていたが、民間の企業も指定を受けられるよう制度が変わったのである」、徐々に制度面でも整備されてきたようだ。 私の場合、どんな話をすれば、「話の面白い高齢者」になれるかを考えてみたい。 私の場合、どんな話をすれば、「面白い高齢者と思われる」ようになるかを考えてみたい。 「理想はタレントの高田純次さんです。自由奔放な芸風で人気を集めている高田さんのように、細かいことにこだわらずテキトーでいることはメンタルヘルスにもいい影響を与えます。つまらないことで目くじらを立てる高齢者は若者にうっとうしがられるだけですから。 2021年に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんも理想とする一人です。寂聴さんのように、大勢の人が話を聞きたくなるような高齢者になりたいものです」、自分は「高田純次さん」とは対照的な性格だが、この際、理想形として追い求めてみたい。 若々しくいるためにお金をかけて見た目をよくしようと努力するように、感情も若々しくしておくことを心がけましょう。 誰かと出かけることが増えれば、思考も柔軟になりますから、体や脳にもいいことなのです」、なるほど。 「前頭葉の機能が落ちてくると生活がルーティン化し、前例踏襲型になっていきます。 早い人ですと40代くらいから前頭葉の老化が始まるわけですが、このくらいの時期からルーティン化、前例踏襲型になる人は珍しくありません」、私の場合、これに気を付ける必要がありそうだ。「誰かに何かを誘われたときに、億劫な自分がいても、やってみよう、行ってみようと、いったんは誘いに乗る姿勢が大事。年下に“タメ口”を使われるなど、カチンとくることがあっても、「それでもいいじゃないか」と自分に言い聞かせる。 「前頭葉は「想定外なことへの対応力」という重要な働きを担っているため、「先の読めない不確実なこと」に積極的に取り組むことをおすすめします。平穏な日常生活では、前頭葉を使う機会が減り、その結果、感情が動かず、意欲が湧かなくなり、ますます脳を使わなくなるという悪循環に陥ってしまうのです」、なるほど。 うだ。 「人間の脳の中で真っ先に縮み始め、機能が低下するのが感情を司つかさどる前頭葉です。早い人では40代から萎縮が画像で目に見えるようになります。 ただし、記憶力や体力の衰えと違って前頭葉の機能低下は気づきにくい。これまでやってきたルーティンの仕事は、特に考えずともサクサクこなせるため自覚しにくいのですが、放っておくと、いずれは新しい物事や突発的な出来事への対処が苦手になっていきます。 徐々に感情が老化し、気づいたときには脳も体も見た目も、すべてがどっと老けてしまっているのです」、「前頭葉の機能低下」は恐ろしそ 「万が一、入居者が亡くなった際は、残地物の処理と残置物の換価や指定先への送付、賃貸借契約の解除を行うことをあらかじめ契約書に盛り込んでいるのです。この契約方法により、家主の負担が軽減し、高齢者の方が入居しやすくなると考えています。実際に弊社ではこの方法を採用していて、自社が仲介した高齢者の残地物の処理等を行う受任者となるパートナーの不動産会社が全国にあります・・・ 「残置物の処理を実行する『受任者』に、不動産会社を指定しにくい点があるのです」 不動産会社は、賃貸物件の契約により、収益を上げている。しかし残置物の処理を行うには、手間と費用がかかり、多大な損失を生んでしまうからだ」、「不動産会社」が「残置物の処理」を行う場合に、かける「手間と費用」に上限を付けることでヘッジできるのではなかろうか。 「高齢者の4人に1人以上(26.8%)が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験・・・入居を断られる理由はいろいろありますが、まず、高齢の方の孤独死です」、やむを得ないことだ。 「高齢の方が賃貸物件を探す理由はさまざまです。例えば、家族が亡くなり、小さな住まいに引っ越したい。持ち家に住んでいたが、修繕費がかかるため賃貸に住み替えたい。病院の近くに住みたいといった理由が多いです」・・・他にも、子どもの近所に引っ越したい。体が不自由になったので、1階に住みたい、という理由が多い。中でも目立つのが、老朽化のため自宅が取り壊しになってしまうケースだ」、なるほど。 吉田由紀子氏による「65歳以上の4人に1人が「賃貸入居お断り」の衝撃!“高齢住宅難民”はどうしたらいい?」 ダイヤモンド・オンライン (その25)(65歳以上の4人に1人が「賃貸入居お断り」の衝撃!“高齢住宅難民”はどうしたらいい?、年を重ねて「いい人」では脳の老化が進む…医師・和田秀樹が「理想の高齢者」と太鼓判を押す著名人の名前 大勢の人が聞きたくなる「面白い話」ができる高齢者になるには) 高齢化社会
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情報セキュリティー・サイバー犯罪(その9)(中国ハッカーが日本の防衛機密をハッキング 米国の通報で発覚、中国への情報流出 アプリ以外も危険!日本に普及中「最新中国製品」も要注意、「CISOが不在」日本企業の重大すぎる経営リスク 生成AIによる効率的なセキュリティ対策も課題) [社会]

情報セキュリティー・サイバー犯罪については、2022年5月19日に取上げた。今日は、(その9)(中国ハッカーが日本の防衛機密をハッキング 米国の通報で発覚、中国への情報流出 アプリ以外も危険!日本に普及中「最新中国製品」も要注意、「CISOが不在」日本企業の重大すぎる経営リスク 生成AIによる効率的なセキュリティ対策も課題)である。

先ずは、昨年8月8日付けForbes「中国ハッカーが日本の防衛機密をハッキング、米国の通報で発覚」を紹介しよう。
・『ワシントン・ポストは8月7日、中国の軍事ハッカーが2020年以降、日本の防衛機密ネットワークにアクセスし、米国の同盟国である日本の軍事能力や計画に関する情報にアクセスしていたと報じた。 このハッキングは米国の国家安全保障局(NSA)によって2020年秋に発見されたという。中国の人民解放軍のハッカーらは、日本の自衛隊の計画や能力、軍事的欠点の評価にアクセスするなど、深く執拗な情報収集を行っていたと、複数の米国の元高官がポスト紙に語っている。 報告を受けたNSAと米サイバー軍のトップのポール・ナカソネ陸軍大将と、当時ホワイトハウスの国家安全保障副顧問だったマシュー・ポッティンジャーが東京に急行して防衛大臣に説明を行い、首相にも伝えたとポスト紙は報じている。 このハッキングはトランプ政権下で始まったが、バイデン政権下でも続き、2021年には日本の防衛システムへの侵入が続いていることを示す新たなデータが発見され、情報漏洩が続いていることが発覚した。日米の両国は最終的に、日本の民間企業の手を借りて脆弱性を評価することに合意し、米国のNSAとサイバー軍のチームがその調査結果を確認し、情報漏洩を防ぐ方法について提言を行ったという。 フォーブスは、国務省にコメントを求めたが現時点で回答は得られていない。 「これは衝撃的なほどに酷い情報漏洩だった」とポスト紙の取材に応じた元米軍関係者は語っている。 日本の政府関係者は、ネットワークセキュリティを強化するために、今後5年間で自衛隊のサイバーセキュリティ部隊を4000人規模にすると述べている。さらに、ネットワークを24時間365日監視するサイバー司令部を発足させ、5年間で70億ドル(約1兆円)をサイバーセキュリティに費やす計画だと日本の防衛関係者はポスト紙の取材に語った。 「今回のハッキングにおける日本の当局の対応の遅さは、米国が同盟国である日本と共有する情報の量を減らすことにつながるかもしれない」と米政府関係者はポスト紙に語った』、「日本の防衛当局」の「ハッキングにおける対応の遅さ」は、」、「米国が同盟国である日本と共有する情報の量を減らすことにつながるかもしれない」、全くみっともない限りだ。

次に、昨年8月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村 悠氏による「中国への情報流出、アプリ以外も危険!日本に普及中「最新中国製品」も要注意」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/327406
・『プロパガンダ工作に適したTikTokの危険性  中国企業が運営する動画共有アプリ「TikTok」について、かねてその危険性は指摘されている。 米経済誌「フォーブス」によれば、TikTokは、欧州のユーザーに向けて、中国政府のプロパガンダ機関による広告を大量に配信してきたことが、7月20日に公開された広告ライブラリーから明らかになったという。広告の中には、新疆ウイグル自治区を観光地として宣伝するものや中国によるコロナ政策を賛辞するものなどが含まれているという。 また、プロパガンダ工作に適した動画を意図的に“おすすめ動画”にして多くのユーザーに閲覧させたり、意図的に特定の動画を排除、浮上させるなど、プロパガンダにはうってつけのアプリのようだ。 さらにTikTokユーザーの情報が意図的に中国に収集される危険性も指摘されており、過去には一部のスタッフが、2人のジャーナリストを含むアメリカ市民のユーザーデータに不適切にアクセスしたと、ニューヨーク・タイムズが報じている。 TikTokのプロパガンダ機能やスパイアプリとしての危険性は広く知られつつあるが、注意すべきアプリはTikTokだけではない』、「TikTok」は、「プロパガンダ工作に適した動画を意図的に“おすすめ動画”にして多くのユーザーに閲覧させたり、意図的に特定の動画を排除、浮上させるなど、プロパガンダにはうってつけのアプリのようだ。 さらにTikTokユーザーの情報が意図的に中国に収集される危険性も指摘されており、過去には一部のスタッフが、2人のジャーナリストを含むアメリカ市民のユーザーデータに不適切にアクセスしたと、ニューヨーク・タイムズが報じている」、なるほど。
・『8月に日本でリリースされた格安ECアプリの「Temu」  「ピンドゥオドゥオ(拼多多)」というアプリをご存じだろうか。 ピンドゥオドゥオは、2015年に上海で創業した企業PDDホールディングスがリリースした、月間7億5000万人が利用する中国3位のECアプリであるが、実は、ユーザーの通話記録や文字メッセージ、写真アルバムなどに不正アクセスしていたことが明らかになっている。 CNNは、ピンドゥオドゥオに不正なコードが発見され、グーグルのアンドロイドOSの脆弱(ぜいじゃく)性を利用し、ユーザーの同意なく、携帯電話の使用内容やデータにアクセスしていることが判明したと報じている。 ピンドゥオドゥオのアプリに内蔵された不正なコードは、一度インストールすると、アプリを削除しても、不正なコードを除去することが非常に難しいとみられている。 そして、その「ピンドゥオドゥオ」をリリースしたPDDホールディングスから、格安ECアプリ「Temu」が日本でリリースされ、8月2日現在でAppstoreの無料Appランキングで1位を獲得している。さらに2位は「TikTok Lite」だ。 これらアプリによって、ユーザーの情報が同意なく収集された場合、その情報は中国による諜報(ちょうほう)活動や情報戦、プロパガンダ工作などの各種工作活動に活用されるのは言うまでもない。 仮に、ここまで解説したアプリの運営会社に悪意がなくとも、中国には、善意の企業さえ政府の意図に従わせる法的根拠がある。 中国の国家情報法は、安全保障や治安維持のために、企業も民間人も中国政府の情報収集活動に協力しなければならないと義務づけ、中国政府は企業などが持つデータをいつでも要求できる。要は、中国政府が情報を出せと言えば、企業は従わざるを得ないのだ。同法は、日本をはじめ外国の企業も当然対象となる。 ちなみに、これは運営企業が“善意”で運営していたら、という仮定の話である。アプリの運営会社の中には、中国政府の意向に忠実で、アプリを世界で流行させ、バックドアを仕掛け、日常的に情報を収集する意図を持っている会社もあり得るだろう』、「格安ECアプリ「Temu」が日本でリリースされ、8月2日現在でAppstoreの無料Appランキングで1位を獲得している。さらに2位は「TikTok Lite」だ。 これらアプリによって、ユーザーの情報が同意なく収集された場合、その情報は中国による諜報(ちょうほう)活動や情報戦、プロパガンダ工作などの各種工作活動に活用されるのは言うまでもない」、恐ろしいことだ。
・『アプリだけではない中国製自動車の脅威  注意すべきは、アプリだけではない。 中国製電気自動車(EV)の日本進出が進んでいる。 テスラを抜き、EV販売台数世界一となった中国自動車メーカー「比亜迪(BYD)」が日本に本格進出を開始、既に日本の交通機関にも食い込んでおり、京阪バスが京都市内を走る路線においてBYD製EVバスの運行を始めている。 ちなみに、このBYDであるが、BYDの日本法人社長の劉学亮氏が、東京新聞の取材に対し、「2010年に、金型メーカー・オギハラの館林工場を買収し、この金型企業から日本のものづくりを勉強できた」と話したという。 このオギハラは、当時世界一の金型加工技術を持っていたとされ、まさに、経済安全保障の技術流出例の典型例であった。 さて、BYDを例になぜ中国製自動車が危険なのかを述べてみたい。 中国政府の動きがヒントとなる。 中国はテスラ社製自動車の軍施設や軍関係者の居住地などへの乗り入れを禁止している。 その理由は、自動車のGPS情報による施設内の主要場所の把握や車載カメラの動画情報など多くのデータが収集されることを警戒していることにあるとみられる。 これはつまり、路線バスなどに加え、例えば宅配業者に中国製自動車を普及させ、自衛隊基地に出入りすることが可能になれば、基地内の施設の場所が容易に把握できることを意味している。 また、「動くスマートフォン」といわれる現代の自動車においては、例えばコネクテッドカーにおいては、ハッキングやバックドアによってナビでの検索履歴はもちろん、過去の移動ルート、さらには電子メールやメッセージ、通話履歴にアクセスされる危険性も指摘されている。 中国は各国のインフラに中国製自動車を普及させることにより、自動車を通じて相手国の多大な情報を収集することが可能となる』、「路線バスなどに加え、例えば宅配業者に中国製自動車を普及させ、自衛隊基地に出入りすることが可能になれば、基地内の施設の場所が容易に把握できることを意味している。 また、「動くスマートフォン」といわれる現代の自動車においては、例えばコネクテッドカーにおいては、ハッキングやバックドアによってナビでの検索履歴はもちろん、過去の移動ルート、さらには電子メールやメッセージ、通話履歴にアクセスされる危険性も指摘されている。 中国は各国のインフラに中国製自動車を普及させることにより、自動車を通じて相手国の多大な情報を収集することが可能となる」、大変だ。
・『米フィットネスアプリで暴かれた米軍の秘密基地  EVが位置情報をトラッキングすることで施設内の位置関係が把握できるのと同様の危険性は、GPS情報を取得するスマートフォンアプリにも指摘できる。 スマートフォンなどのGPS情報を使ってジョギングなどのアクティビティーを記録・分析できる米国発のサービスフィットネスアプリ「Strava」に搭載された機能「Heatmap」が、アメリカ軍のトップシークレットであった秘密基地の存在を浮き彫りにした。 このHeatmap機能は、アプリを使っている人がどの場所で多くのアクティビティーを行っているのかを色で示すことができる。Strava社が公開したHeatmapにアクティビティーの情報が色によって示され、米軍基地で任務にあたる兵士などがスマートフォンやスマートウォッチなどのウエアラブル端末のトラッキング機能をオンにしたままにしたことにより、その活動の全てが記録され、基地の場所が暴露されてしまった。 この画像はHeatmapで把握されたニジェールのフランス軍基地である。位置情報を収集し続けることにより、施設の形がくっきりと可視化される。フィットネスアプリにはこのような危険性が潜むのだ。 Stravaは中国製アプリではないが、いずれにせよ、中国製電気自動車も含めた、位置情報をトラッキングできる商品の普及によるリスクはご理解いただけたのではないだろうか』、「中国製電気自動車も含めた、位置情報をトラッキングできる商品の普及によるリスク」、確かに気を付けるべきだ。
・『日本の農業における中国製ドローンの危険性  ドローンについても、位置情報やカメラを通じた施設情報の収集の危険が指摘される。だが、問題はそれだけではない。 韓国では、農業用ドローンのシェアのうち中国製ドローンが7割を超える。 韓国自治体が農業用ドローンの支援事業を進める際、中国企業の製品に合わせた規格で入札を実施していることが背景にある。 この農業用ドローンについて、ドローンの農薬散布手法などの農業の生産性に関わる重要な農業防除データが中国に流れる可能性も指摘されており。食糧安全保障を脅かしている状態だ。 日本においても、日本の農業用ドローンのうち実に7割程度が中国企業であるDJI製だと推定されており、韓国と同様の危険が顕在化している。 ここまで、中国製アプリを代表に、いくつかの中国製品が日本に浸透することによる危険性について例示して解説したが、日本においてどれだけの人がこの危険性を認識しているだろうか。 その危険性に関する認識・意識が甘ければ、その脅威にのみ込まれる未来しかないだろう。 中国製品の全てを疑い、全て忌避しろとは言わないが、せめて各国で指摘されている危険性については認識し、自身で判断できる意識は持っておきたい。そして、国としても明確に危険性が指摘されている製品については、国民に知らせる責務があると考える。 いずれにせよ、カウンターインテリジェンス(防諜)の重要性について、国民の意識や関心を高めることが、迫る脅威に立ち向かう最大の防御策となるだろう』、「日本においても、日本の農業用ドローンのうち実に7割程度が中国企業であるDJI製だと推定されており、韓国と同様の危険が顕在化している・・・日本においても、日本の農業用ドローンのうち実に7割程度が中国企業であるDJI製だと推定されており、韓国と同様の危険が顕在化している・・・カウンターインテリジェンス(防諜)の重要性について、国民の意識や関心を高めることが、迫る脅威に立ち向かう最大の防御策となるだろう」、その通りだ。

次に、8月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村 悠氏による「中国への情報流出、アプリ以外も危険!日本に普及中「最新中国製品」も要注意」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/327406
・『プロパガンダ工作に適したTikTokの危険性  中国企業が運営する動画共有アプリ「TikTok」について、かねてその危険性は指摘されている。 米経済誌「フォーブス」によれば、TikTokは、欧州のユーザーに向けて、中国政府のプロパガンダ機関による広告を大量に配信してきたことが、7月20日に公開された広告ライブラリーから明らかになったという。広告の中には、新疆ウイグル自治区を観光地として宣伝するものや中国によるコロナ政策を賛辞するものなどが含まれているという。 また、プロパガンダ工作に適した動画を意図的に“おすすめ動画”にして多くのユーザーに閲覧させたり、意図的に特定の動画を排除、浮上させるなど、プロパガンダにはうってつけのアプリのようだ。 さらにTikTokユーザーの情報が意図的に中国に収集される危険性も指摘されており、過去には一部のスタッフが、2人のジャーナリストを含むアメリカ市民のユーザーデータに不適切にアクセスしたと、ニューヨーク・タイムズが報じている。 TikTokのプロパガンダ機能やスパイアプリとしての危険性は広く知られつつあるが、注意すべきアプリはTikTokだけではない』、「TikTok」は情報セキュリティ上極めて問題が多い怖いソフトのようだ。
・『8月に日本でリリースされた格安ECアプリの「Temu」  「ピンドゥオドゥオ(拼多多)」というアプリをご存じだろうか。 ピンドゥオドゥオは、2015年に上海で創業した企業PDDホールディングスがリリースした、月間7億5000万人が利用する中国3位のECアプリであるが、実は、ユーザーの通話記録や文字メッセージ、写真アルバムなどに不正アクセスしていたことが明らかになっている。 CNNは、ピンドゥオドゥオに不正なコードが発見され、グーグルのアンドロイドOSの脆弱(ぜいじゃく)性を利用し、ユーザーの同意なく、携帯電話の使用内容やデータにアクセスしていることが判明したと報じている。 ピンドゥオドゥオのアプリに内蔵された不正なコードは、一度インストールすると、アプリを削除しても、不正なコードを除去することが非常に難しいとみられている。 そして、その「ピンドゥオドゥオ」をリリースしたPDDホールディングスから、格安ECアプリ「Temu」が日本でリリースされ、8月2日現在でAppstoreの無料Appランキングで1位を獲得している。さらに2位は「TikTok Lite」だ。 これらアプリによって、ユーザーの情報が同意なく収集された場合、その情報は中国による諜報(ちょうほう)活動や情報戦、プロパガンダ工作などの各種工作活動に活用されるのは言うまでもない。 仮に、ここまで解説したアプリの運営会社に悪意がなくとも、中国には、善意の企業さえ政府の意図に従わせる法的根拠がある。 中国の国家情報法は、安全保障や治安維持のために、企業も民間人も中国政府の情報収集活動に協力しなければならないと義務づけ、中国政府は企業などが持つデータをいつでも要求できる。要は、中国政府が情報を出せと言えば、企業は従わざるを得ないのだ。同法は、日本をはじめ外国の企業も当然対象となる。 ちなみに、これは運営企業が“善意”で運営していたら、という仮定の話である。アプリの運営会社の中には、中国政府の意向に忠実で、アプリを世界で流行させ、バックドアを仕掛け、日常的に情報を収集する意図を持っている会社もあり得るだろう』、「格安ECアプリ「Temu」が日本でリリースされ、8月2日現在でAppstoreの無料Appランキングで1位を獲得している。さらに2位は「TikTok Lite」だ。 これらアプリによって、ユーザーの情報が同意なく収集された場合、その情報は中国による諜報(ちょうほう)活動や情報戦、プロパガンダ工作などの各種工作活動に活用されるのは言うまでもない」、「日本」も大いに注意すべきだ。
・『アプリだけではない中国製自動車の脅威  注意すべきは、アプリだけではない。 中国製電気自動車(EV)の日本進出が進んでいる。 テスラを抜き、EV販売台数世界一となった中国自動車メーカー「比亜迪(BYD)」が日本に本格進出を開始、既に日本の交通機関にも食い込んでおり、京阪バスが京都市内を走る路線においてBYD製EVバスの運行を始めている。 ちなみに、このBYDであるが、BYDの日本法人社長の劉学亮氏が、東京新聞の取材に対し、「2010年に、金型メーカー・オギハラの館林工場を買収し、この金型企業から日本のものづくりを勉強できた」と話したという。 このオギハラは、当時世界一の金型加工技術を持っていたとされ、まさに、経済安全保障の技術流出例の典型例であった。 さて、BYDを例になぜ中国製自動車が危険なのかを述べてみたい。 中国政府の動きがヒントとなる。 中国はテスラ社製自動車の軍施設や軍関係者の居住地などへの乗り入れを禁止している。 その理由は、自動車のGPS情報による施設内の主要場所の把握や車載カメラの動画情報など多くのデータが収集されることを警戒していることにあるとみられる。 これはつまり、路線バスなどに加え、例えば宅配業者に中国製自動車を普及させ、自衛隊基地に出入りすることが可能になれば、基地内の施設の場所が容易に把握できることを意味している。 また、「動くスマートフォン」といわれる現代の自動車においては、例えばコネクテッドカーにおいては、ハッキングやバックドアによってナビでの検索履歴はもちろん、過去の移動ルート、さらには電子メールやメッセージ、通話履歴にアクセスされる危険性も指摘されている。 中国は各国のインフラに中国製自動車を普及させることにより、自動車を通じて相手国の多大な情報を収集することが可能となる』、「「動くスマートフォン」といわれる現代の自動車においては、例えばコネクテッドカーにおいては、ハッキングやバックドアによってナビでの検索履歴はもちろん、過去の移動ルート、さらには電子メールやメッセージ、通話履歴にアクセスされる危険性も指摘されている」、なるほど。
・『米フィットネスアプリで暴かれた米軍の秘密基地  EVが位置情報をトラッキングすることで施設内の位置関係が把握できるのと同様の危険性は、GPS情報を取得するスマートフォンアプリにも指摘できる。 スマートフォンなどのGPS情報を使ってジョギングなどのアクティビティーを記録・分析できる米国発のサービスフィットネスアプリ「Strava」に搭載された機能「Heatmap」が、アメリカ軍のトップシークレットであった秘密基地の存在を浮き彫りにした。 このHeatmap機能は、アプリを使っている人がどの場所で多くのアクティビティーを行っているのかを色で示すことができる。Strava社が公開したHeatmapにアクティビティーの情報が色によって示され、米軍基地で任務にあたる兵士などがスマートフォンやスマートウォッチなどのウエアラブル端末のトラッキング機能をオンにしたままにしたことにより、その活動の全てが記録され、基地の場所が暴露されてしまった。 この画像はHeatmapで把握されたニジェールのフランス軍基地である。位置情報を収集し続けることにより、施設の形がくっきりと可視化される。フィットネスアプリにはこのような危険性が潜むのだ。 Stravaは中国製アプリではないが、いずれにせよ、中国製電気自動車も含めた、位置情報をトラッキングできる商品の普及によるリスクはご理解いただけたのではないだろうか』、「中国製電気自動車も含めた、位置情報をトラッキングできる商品の普及によるリスク」に十分に注意する必要がある。
・『日本の農業における中国製ドローンの危険性  ドローンについても、位置情報やカメラを通じた施設情報の収集の危険が指摘される。だが、問題はそれだけではない。 韓国では、農業用ドローンのシェアのうち中国製ドローンが7割を超える。 韓国自治体が農業用ドローンの支援事業を進める際、中国企業の製品に合わせた規格で入札を実施していることが背景にある。 この農業用ドローンについて、ドローンの農薬散布手法などの農業の生産性に関わる重要な農業防除データが中国に流れる可能性も指摘されており。食糧安全保障を脅かしている状態だ。 日本においても、日本の農業用ドローンのうち実に7割程度が中国企業であるDJI製だと推定されており、韓国と同様の危険が顕在化している。 ここまで、中国製アプリを代表に、いくつかの中国製品が日本に浸透することによる危険性について例示して解説したが、日本においてどれだけの人がこの危険性を認識しているだろうか。 その危険性に関する認識・意識が甘ければ、その脅威にのみ込まれる未来しかないだろう。 中国製品の全てを疑い、全て忌避しろとは言わないが、せめて各国で指摘されている危険性については認識し、自身で判断できる意識は持っておきたい。そして、国としても明確に危険性が指摘されている製品については、国民に知らせる責務があると考える。 いずれにせよ、カウンターインテリジェンス(防諜)の重要性について、国民の意識や関心を高めることが、迫る脅威に立ち向かう最大の防御策となるだろう』、「中国製品の全てを疑い、全て忌避しろとは言わないが、せめて各国で指摘されている危険性については認識し、自身で判断できる意識は持っておきたい。そして、国としても明確に危険性が指摘されている製品については、国民に知らせる責務があると考える」、その通りだ。

第三に、本年1月26日付け東洋経済オンラインが掲載したライター の長谷川 敦氏による「「CISOが不在」日本企業の重大すぎる経営リスク 生成AIによる効率的なセキュリティ対策も課題」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/729787
・『日本はセキュリティ人材の不足が長らく続いているが、現場だけでなく、統括を担う「CISO(Chief Information Security Officer、最高情報セキュリティ責任者)」も足りていない。 NRIセキュアテクノロジーズが2024年1月25日に発表した「企業における情報セキュリティ実態調査 NRI Secure Insight 2023」によれば、CISOを設置している日本企業は、アメリカやオーストラリアの半数以下にとどまっている。 CISO未設置の経営リスクや人材確保のポイントについて、情報セキュリティ実態調査の監修を務めた同社DXセキュリティプラットフォーム事業本部本部長の足立道拡氏に聞いた』、「CISOを設置している日本企業は、アメリカやオーストラリアの半数以下」、致命的な立ち遅れだ。
・『経営とセキュリティの両方がわかる人材が必要  「CISOは、CEO(最高経営責任者)をはじめとする経営層と、現場のセキュリティ担当者をつなぐ『通訳』の役割を担っている」と、足立氏は言う。 経営層は、セキュリティ対策の重要性を認識していても、具体的にどのような対策を打てばよいのか理解していないケースが多い。一方の現場でも、対策の必要性について経営層をどう説得すればよいのかわからず「予算獲得が難しい」と苦しむセキュリティ担当者が多いそうだ) だからこそ、経営とセキュリティの両方を理解しているCISOの存在が不可欠だという。実際、CISOが不在の企業においては、次のようなリスクがあると足立氏は指摘する。 「CISOが不在だと、本来投じるべき予算が確保されない事態が生じやすくなる。その結果、技術的な対策ができず『従業員への注意喚起や周知』といった人的対策にとどまることも多い。 今の時代は、企業規模を問わずサイバー攻撃に遭うリスクがあるので、大企業に限らずサプライチェーンの一翼を担う中小企業も、経営層と現場をつなぐ責任者を置いてほしい。本来なら専任が望ましいが、兼務でもかまわない。現状、CIO(最高情報責任者)やCTO(最高技術責任者)がCISOを兼務する形などが多い」 前述のNRIセキュアテクノロジーズの実態調査によれば、CISOを設置している企業は、アメリカでは95.5%、オーストラリアでは97.4%に達していたのに対して、日本は41.1%と大きな差が確認された。) 従業員数が多いほどCISOの設置率も高い傾向にあるが、なぜ日本企業は海外と比べて遅れているのか。足立氏はこう説明する。 「アメリカでは、2013年に重要インフラのサイバーセキュリティ強化に関する大統領令が出て以降、対策は国の重要なイシューになった。現状、』、「CISOを設置している企業は、アメリカでは95.5%、オーストラリアでは97.4%に達していたのに対して、日本は41.1%と大きな差・・・日本企業においては『セキュリティ対策はコスト』という発想が根強く、対策の必要性が認識され始めたのは2018年頃のことと捉えている。そのためCISOを担える人材が十分には育っておらず、キャリアパスが確立されていないこともあり、設置が進まない状況になっている」、なるほど。
・『「すべての能力を備えた人物」を求めないこと  では、適任者が不足している中で、企業はどのように人材を確保していけばよいのだろうか。 CISOには「セキュリティの知識・技術」「戦略・会計などのビジネススキル」「リーダーシップと意思決定力」「コミュニケーションスキル」など、広範な知識やスキル、能力が求められる。今の日本では、これらをすべて兼ね備えたスーパーマンのような人材を、社内で見つけるのも外部から調達してくるのも容易ではない。 そのため、「1つでも優れた素養を持っている人物を任命し、『経験を積みながら、中長期的にCISOとして育ってもらえばいい』という意識で臨むことが大事」だと足立氏は助言する。 例えばセキュリティに関する知識や技術は不十分でも、高い統率力を備え戦略立案の経験も豊富にある人材を任命しようとすると、人材確保のハードルも下がるのではないだろうか。実際、日本のCISOは、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が多いという。 「元CIOやセキュリティベンダー出身者などを外部から採用し、CISOに任命する動きが出てきた。この流れが浸透すると設置率は高まるのではないか。新任のCISOに不足している部分がある場合には、その分野を得意とするほかのメンバーを補佐役として置くなど、CISOをチームとして機能させていけばいい」 チーム体制を組むことは、次期CISO候補を育成していくうえでも有効だという。例えば外部からビジネススキルが高い人をCISOとして採用してチームを組んだ場合、セキュリティ対策に詳しい若手・中堅の社員が、CISOから優れたリーダーシップや経営視点を間近で学び、「経営とセキュリティの両方の視点を備えた人材」へと成長していくことが期待できる。) またCISOの設置後には、経営トップによるCISOへのバックアップが重要になると足立氏は言う。 「CISOは、普段の業務が賞賛されることはほとんどないうえ、自社がサイバー攻撃を受けて被害が発生した場合、非難を浴びることになりがち。そのためアメリカでもCISOが抱える孤立感やプレッシャーが大きな問題となっている。経営トップがCISOに対して、執行に必要な権限とリソースを与えたうえで、その立場を理解し、支援する姿勢を示さないと、社内にCISOを根づかせることは困難になる」 最近では、CISO同士がさまざまな課題や悩み事について率直に話し合える社外のコミュニティーが生まれている。そうしたつながりをつくることは、CISOの孤立を防ぐうえでも、学びを深めていくうえでも効果があるという』、「これらをすべて兼ね備えたスーパーマンのような人材を、社内で見つけるのも外部から調達してくるのも容易ではない・・・1つでも優れた素養を持っている人物を任命し、『経験を積みながら、中長期的にCISOとして育ってもらえばいい』という意識で臨むことが大事」だと足立氏は助言する」、現実的なアプローチだ。
・『セキュリティ対策をコストと考える企業に人は来ない  今回の調査では、企業規模によらず約9割の企業が「セキュリティ人材が不足している」と回答している。すでに10年以上、同様の傾向が続いているといい、セキュリティ人材が完全な売り手市場になっている中、「セキュリティ対策を単なるコストと考えている企業に人は来ないし定着もしない」と足立氏は警鐘を鳴らす。 「優秀な人材を確保するには、CISOの設置などによって、セキュリティ分野の充実に力を入れており、新しいチャレンジもできるカルチャーであることをアピールできるかが重要になる」 ただし、日本社会全体の労働生産人口が減少し、セキュリティ担当者の業務が増え続けている中では、人材確保の発想だけでは限界があり、限られた人材で業務を回せるよう効率化を図っていくことも大切になる。 今回の調査では、そうした効率化の面でも日本企業に課題があることが浮き彫りになった。生成AIの導入状況を尋ねた項目において、アメリカでは73.5%、オーストラリアでは66.2%の企業が「導入済み」と答えたのに対して、日本は18%に過ぎなかったのだ。) しかも、アメリカやオーストラリアはルールの整備にかかわらず導入率が高いのに対し、日本は従業員数1万人以上の企業で50%が導入しているものの、ほとんどがルールを整備したうえでの導入となっており、慎重さが目立つ結果となった。 (生成AIのルール整備と導入状況 はリンク先参照)』、「「セキュリティ対策を単なるコストと考えている企業に人は来ないし定着もしない」と足立氏は警鐘を鳴らす。 「優秀な人材を確保するには、CISOの設置などによって、セキュリティ分野の充実に力を入れており、新しいチャレンジもできるカルチャーであることをアピールできるかが重要になる」、なるほど。
・『生成AIへの対応が業務効率化のカギとなる  また同調査では、「生成AIサービスの利用を検討するにあたり、懸念や課題となること」についても企業に尋ねているが、目立った差が出たのが「自社業務に応用できる人材の不足」を挙げる企業の割合だった。アメリカが20.4%、オーストラリアが8.0%だったのに対して、日本企業は28.7%に上る。 こうした結果について足立氏は次のように述べる。 「新しい技術のリスクを考慮することは悪いことではないが、慎重すぎるままでは、業務の効率化という点でますます後れを取るだろう。セキュリティ業務の自動化や省力化は、今後生成AIがかなり担えるようになることが考えられ、人材不足を補う有効策となりうる。経営者は、そうしたソリューションの導入にブレーキをかけるべきではない。 また生成AIを自社業務に応用できる人材を確保するには、従業員が生成AIに触れて慣れる機会を奨励することが欠かせない。素養がありそうな人に業務と生成AIの双方を学ぶ環境を提供し、ミニマムルールと共に、中長期視点で育てていく視点も必要だろう」 今後、生成AIサービスを活用したセキュリティ対策が広がっていくであろうことを踏まえても、やはりコストを含めセキュリティ戦略を設計するCISOはキーパーソンとなるだろう。CISOの設置は今、企業にとって喫緊の課題となっている』、「今後、生成AIサービスを活用したセキュリティ対策が広がっていくであろうことを踏まえても、やはりコストを含めセキュリティ戦略を設計するCISOはキーパーソンとなるだろう。CISOの設置は今、企業にとって喫緊の課題となっている」、その通りだ。
タグ:情報セキュリティー・サイバー犯罪 「TikTok」は、「プロパガンダ工作に適した動画を意図的に“おすすめ動画”にして多くのユーザーに閲覧させたり、意図的に特定の動画を排除、浮上させるなど、プロパガンダにはうってつけのアプリのようだ。 さらにTikTokユーザーの情報が意図的に中国に収集される危険性も指摘されており、過去には一部のスタッフが、2人のジャーナリストを含むアメリカ市民のユーザーデータに不適切にアクセスしたと、ニューヨーク・タイムズが報じている」、なるほど。 「中国製電気自動車も含めた、位置情報をトラッキングできる商品の普及によるリスク」、確かに気を付けるべきだ。 集することが可能となる」、大変だ。 「路線バスなどに加え、例えば宅配業者に中国製自動車を普及させ、自衛隊基地に出入りすることが可能になれば、基地内の施設の場所が容易に把握できることを意味している。 また、「動くスマートフォン」といわれる現代の自動車においては、例えばコネクテッドカーにおいては、ハッキングやバックドアによってナビでの検索履歴はもちろん、過去の移動ルート、さらには電子メールやメッセージ、通話履歴にアクセスされる危険性も指摘されている。 中国は各国のインフラに中国製自動車を普及させることにより、自動車を通じて相手国の多大な情報を収 「格安ECアプリ「Temu」が日本でリリースされ、8月2日現在でAppstoreの無料Appランキングで1位を獲得している。さらに2位は「TikTok Lite」だ。 これらアプリによって、ユーザーの情報が同意なく収集された場合、その情報は中国による諜報(ちょうほう)活動や情報戦、プロパガンダ工作などの各種工作活動に活用されるのは言うまでもない」、恐ろしいことだ。 稲村 悠氏による「中国への情報流出、アプリ以外も危険!日本に普及中「最新中国製品」も要注意」 「今後、生成AIサービスを活用したセキュリティ対策が広がっていくであろうことを踏まえても、やはりコストを含めセキュリティ戦略を設計するCISOはキーパーソンとなるだろう。CISOの設置は今、企業にとって喫緊の課題となっている」、その通りだ。 「「セキュリティ対策を単なるコストと考えている企業に人は来ないし定着もしない」と足立氏は警鐘を鳴らす。 「優秀な人材を確保するには、CISOの設置などによって、セキュリティ分野の充実に力を入れており、新しいチャレンジもできるカルチャーであることをアピールできるかが重要になる」、なるほど。 「これらをすべて兼ね備えたスーパーマンのような人材を、社内で見つけるのも外部から調達してくるのも容易ではない・・・1つでも優れた素養を持っている人物を任命し、『経験を積みながら、中長期的にCISOとして育ってもらえばいい』という意識で臨むことが大事」だと足立氏は助言する」、現実的なアプローチだ。 「CISOを設置している企業は、アメリカでは95.5%、オーストラリアでは97.4%に達していたのに対して、日本は41.1%と大きな差・・・日本企業においては『セキュリティ対策はコスト』という発想が根強く、対策の必要性が認識され始めたのは2018年頃のことと捉えている。そのためCISOを担える人材が十分には育っておらず、キャリアパスが確立されていないこともあり、設置が進まない状況になっている」、なるほど。 「CISOを設置している日本企業は、アメリカやオーストラリアの半数以下」、致命的な立ち遅れだ。 長谷川 敦氏による「「CISOが不在」日本企業の重大すぎる経営リスク 生成AIによる効率的なセキュリティ対策も課題」 東洋経済オンライン 「中国製品の全てを疑い、全て忌避しろとは言わないが、せめて各国で指摘されている危険性については認識し、自身で判断できる意識は持っておきたい。そして、国としても明確に危険性が指摘されている製品については、国民に知らせる責務があると考える」、その通りだ。 「中国製電気自動車も含めた、位置情報をトラッキングできる商品の普及によるリスク」に十分に注意する必要がある。 ダイヤモンド・オンライン 「日本の防衛当局」の「ハッキングにおける対応の遅さ」は、」、「米国が同盟国である日本と共有する情報の量を減らすことにつながるかもしれない」、全くみっともない限りだ。 Forbes「中国ハッカーが日本の防衛機密をハッキング、米国の通報で発覚」 「「動くスマートフォン」といわれる現代の自動車においては、例えばコネクテッドカーにおいては、ハッキングやバックドアによってナビでの検索履歴はもちろん、過去の移動ルート、さらには電子メールやメッセージ、通話履歴にアクセスされる危険性も指摘されている」、なるほど。 「格安ECアプリ「Temu」が日本でリリースされ、8月2日現在でAppstoreの無料Appランキングで1位を獲得している。さらに2位は「TikTok Lite」だ。 これらアプリによって、ユーザーの情報が同意なく収集された場合、その情報は中国による諜報(ちょうほう)活動や情報戦、プロパガンダ工作などの各種工作活動に活用されるのは言うまでもない」、「日本」も大いに注意すべきだ。 「TikTok」は情報セキュリティ上極めて問題が多い怖いソフトのようだ。 「日本においても、日本の農業用ドローンのうち実に7割程度が中国企業であるDJI製だと推定されており、韓国と同様の危険が顕在化している・・・日本においても、日本の農業用ドローンのうち実に7割程度が中国企業であるDJI製だと推定されており、韓国と同様の危険が顕在化している・・・カウンターインテリジェンス(防諜)の重要性について、国民の意識や関心を高めることが、迫る脅威に立ち向かう最大の防御策となるだろう」、その通りだ。 (その9)(中国ハッカーが日本の防衛機密をハッキング 米国の通報で発覚、中国への情報流出 アプリ以外も危険!日本に普及中「最新中国製品」も要注意、「CISOが不在」日本企業の重大すぎる経営リスク 生成AIによる効率的なセキュリティ対策も課題)
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大学(その14)(悪質タックル→アメフト部廃部…白日にさらされた「日大」ガバナンス問題 G&I大学対談(4)、<独自>日大病院から入院を拒否され、77歳で死去…「日大のドン」 田中英壽前理事長の「最期の姿」、東北大学・次期総長に冨永悌二氏「今までなかった新しい研究大学に」大学病院長など歴任 宮城県内の新型コロナ対応を指揮 〝もやもや病〟に影響を与える遺伝子を世界で初報告した実績も) [社会]

大学については、昨年12月22日に取上げた。今日は、(その14)(悪質タックル→アメフト部廃部…白日にさらされた「日大」ガバナンス問題 G&I大学対談(4)、<独自>日大病院から入院を拒否され、77歳で死去…「日大のドン」 田中英壽前理事長の「最期の姿」、東北大学・次期総長に冨永悌二氏「今までなかった新しい研究大学に」大学病院長など歴任 宮城県内の新型コロナ対応を指揮 〝もやもや病〟に影響を与える遺伝子を世界で初報告した実績も)である。

先ずは、昨年12月19日付けダイヤモンド・オンライン「悪質タックル→アメフト部廃部…白日にさらされた「日大」ガバナンス問題 G&I大学対談(4)」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/336436
・『本当に子どもの力を伸ばす学校 悪質タックル→アメフト部廃部…白日にさらされた「日大」ガバナンス問題 文理学部キャンパスにある日本大学アメリカンフットボール場。その塀に貼られたスローガンに込められた意味は何だろう(東京・世田谷区) 大学通信の井沢秀さんと教育ジャーナリストの後藤健夫さんによるG&I大学対談。第2回では半世紀以上にわたって私立大出願者数トップの座にあった早稲田大の志願者数がさらに減少すること、第3回では日東駒専のくくりで日本大が沈んでいく様子などを見てきました。2023年の最後に、ガバナンス能力不足にあえぐ日本大の明日がいずこにあるのかを考えてみましょう』、興味深そうだ。
・『「学長と副学長」辞任後の展望は開けたのか  Q:11月15日の理事会で、学長と副学長に辞任勧告が出された日本大。2024年1月9日から学長候補者立候補の受け付けが始まります。副学長の方は1月1日から3月31日まで、23年度内は歯学部の特任教授が就くようです。 後藤 新学長の在任期間は前任者の残り、24年4月1日から26年6月30日までとなります。22年7月に発足した林真理子理事長体制が、後述するアメリカンフットボール部の薬物問題により、わずか1年ほどでそのガバナンス不足を露呈、世間的に追い詰められています。 ヤメ検の弁護士として期待された役割を果たせなかった澤田康広副学長がクビになるのは仕方ないでしょう。酒井健夫学長は田中英壽元理事長(2008~21年)の下で総長を務めた経験(2008~11年)があるものの、第三者委員会から、林理事長とともに「ガバナンスが全く機能しなかった」と切り捨てられました。 井沢 24年も日大はガバナンスを問われることは間違いないと思います。今回、記者会見の質疑で学生新聞(日本大学新聞)の学生が切実な声を発したことが報じられ、そこまで苦しんでいるのかと思いました。今回のガバナンス問題が学生の就職に影響するとは思えないのですが、親や受験生もやはり心配します。 後藤 学長を募集するのではなく、林理事長が兼務する総長パターンでガバナンスを利かせて、その間に学長ではなく新しい理事長を探すのがベストだと思うのだけれど。まず学則を変更して、日大の教授あるいは経験者でなくても学長になれるようにして、外の血を入れることですね。その手始めに林理事長が教授経験なしでも学長になる。林理事長は有識者として十分に学長が務まると思うんです。大組織の運営経験がないのだから、課題が多岐にわたる理事長よりも課題が絞られる学長が適任だと思います。 Q:22年3月、前理事長の時に出された「日本大学再生会議」答申書に沿って、2年前に36人いた理事が現在は22人に、評議員は125人から47人へと大きく削減され、選出母体からの過度の影響を免れるよう、理事の定年制や再任を1回に限る外部人材で理事や評議員の3分の1以上を占めるようにといったガバナンス改革は形にはなってきています。 後藤 前の理事長が組織をつぶしてしまったから、組織の膿(うみ)はまだ残っている。正常な状態に戻す前に、今回の不祥事が起きてしまった。立命館アジア太平洋大学の学長公募では、大学に魅力があったから出口治明さんのような経営者が他薦で就任してくれたけれども、いまの日大で火中の栗を拾う人はいるのだろうか。 井沢 これだけ確固とした組織のガバナンスが崩れて、学校経営の経験が浅い林さんがどこまでできるのでしょう。こういうときこそ、文部科学省が人を出せばいいのにと思います。 後藤 基本的に経営は素人で、林理事長はスナックのママみたいなもの。林さんはむしろ学長にして、代わりに文科省OBを据えて時間稼ぎをしながら人を探すのがいい。でも、日本最大の私立大学であり、組織もでかすぎる。文科省関係者にはやれる人がいないかもしれない。 Q:元文科省高等教育局長が評議員にいることはいます(笑)。 後藤 現理事会だと、和田秀樹専務理事は教育に強い関心があるが、大組織を動かしたことがない。第三者委員会答申検討会議議長として12月4日の会見に出てきた久保利英明弁護士は、総会屋対策で活躍した経験もある一流の企業弁護士です。久保利弁護士のような組織をよく知る人が担ってもらえるなら悪い話ではないかもしれない。理事長は、組織を知っている人、大企業の取締役経験者でないとできないと思う。 Q:政治家には適任者はいませんか。 後藤 一応、OBということであれば古賀誠と小沢一郎がいます。彼らならビシッとやるでしょう。その後のことは知らないけど(笑)』、「林さんはむしろ学長にして、代わりに文科省OBを据えて時間稼ぎをしながら人を探すのがいい。でも、日本最大の私立大学であり、組織もでかすぎる。文科省関係者にはやれる人がいないかもしれない」、「「林さんはむしろ学長にして」、いいアイデアだ。ただ、「代わりに文科省OBを据えて時間稼ぎをしながら人を探すのがいい」、「文科省OB」は逃げ回るだろうし、適任者が果たしているのか疑問だ。
・『悪質タックルが開いたパンドラの箱  Q:悪質タックル問題(2018年5月)から5年半、今回の薬物問題で廃部が決まったアメリカンフットボール部ですが、理事まで務めた元部長が相撲部出身の元理事長の側近で、競技部OBによる学内支配の象徴でした。その後、こうした日大の「パンドラの箱」が開き、背任や脱税事件で逮捕者が出るなど、理事会のガバナンス不足を暴き出す役割を、結果として担う形になりました。 後藤 一時期、日大職員にやたらと相撲部OBがいました。広報もそうでしたが、以前ある業者が、ちょっとした掲載トラブルで就職担当の現場責任者に謝りに行ったことがあります。そうしたら、「うちの金看板に泥を塗る気か」と怒鳴られて、とても恐かったらしいです。ストレスがたまっていたのでしょう(笑)。 井沢 そういうことは、さすがにいまはないですね。今回、アメリカンフットボール部の廃部が決まりました。悪質タックル問題の後、出場停止もありトップではなくなったとはいえ、法政大や早稲田大、関西学院大あたりで選手を引き取ることはないのでしょうか。新しい組織で3部リーグからやり直しでは、いまの3年・4年生ではもう部には戻れませんから。 後藤 閉校が決まって学生募集が停止した大学は、在校生の転学先を探しますが、同情してそこより上位の大学が中途で受け入れてくれるケースもあります。日大のアメフト部対象にドラフトをやるといいかも。悪質タックル問題を受けて、田中体制の5年前に競技部改革をして、「学生ファースト」を掲げているのだから。学生にはアメフトの競技人生を歩める最大限の配慮をしてあげたいですね。 Q:この時、大学付属機関としての位置付けだった「保健体育審議会」と事務組織「保健体育事務局」を廃止しました。再発防止策として、学長によるガバナンスが直接及ぶよう、大学本部に競技スポーツ部を新たに設置しました。しかし、すでに見てきたように、ガバナンスは発揮されませんでした。総務・人事担当で、危機管理総括責任者である村井一吉常務理事は、「体調不良」ということで、12月31日付で常務理事および理事を辞任するそうです。 井沢 他大学では、3年前に部員が寮で大麻を吸って東海大野球部が無期限活動停止になっています。22年に部員が性犯罪を起こし実刑判決となった同志社大アメフト部はやはり無期限活動停止、古くは部員が強盗事件を起こした近畿大ボクシング部が廃部になっています。早稲田大の相撲部は薬物問題が目立たなくなって、日本最大規模の大学である、日大のニュースバリューが大きいということでしょう(笑)。 後藤 成人年齢に達している学生の不祥事で、大学側が謝る必要があるのかと感じることもありますが、それでも合宿所や寮は大学の施設なので、管理責任は生じる。ガバナンス問題はアメフト部だけではない。理事が競技部の監督やコーチを兼任することは禁じられたものの、推薦による入学者選抜とその後に大きな影響力がある。いわゆる田中元理事長派もまだ残っているだろう。 Q:第三者委員会報告書にも、34ある競技部は「法人でも教学でもない第三極を形成しているとの指摘も」と書かれていました。競技部入部式が別途行われ、23年度は470人が新入部員予定者だったそうです。競技部を統括する競技スポーツ部は、学務部、研究推進部、学生部と並ぶ存在ですし』、「競技部入部式が別途行われ、23年度は470人が新入部員予定者だったそうです。競技部を統括する競技スポーツ部は、学務部、研究推進部、学生部と並ぶ存在です」、「競技部」は依然大きな力を持っているようだ。
・『私学助成金不交付はいつまで続くのか  Q:日大は2021年度から3年連続で私立大学等経常費補助金の不交付が決まっています。20年度には90億円ほどもらっていました。不交付の翌年度以降の取扱いというのがあって、改善努力を十分に行っていると認められたとしても、原則として翌年度は全額不交付で、2年後は75%減額、3年後は50%減額、4年後は25%減額、5年後からようやく全額交付になります。こうして見てみると、400億~500億円はもらい損ねることになりそうです。 後藤 そろそろ財務もきつくなってくるし、何よりも世間体が悪いですね。 井沢 日大は総合大学というよりも、強い学部の集合体、カレッジ制という印象です。 後藤 事務長も学部の序列はしっかりあります。付属の併設校を持っている学部の事務長が偉い。日本大学櫻丘高校(世田谷区)の文理学部、日本大学鶴ヶ丘高校(杉並区)と日本大学藤沢小中高(藤沢市)の生物資源科学部、日本大学三島高校の国際関係学部、日本大学習志野高校(船橋市)の理工学部、日本大学東北高校(郡山市)の工学部がそうですね。 井沢 学部の歴史がそのまま職員の序列につながっているようです。 後藤 それでも日大人気は下がらない。以前の記事でも指摘したように、本来、日大は明治大の後塵を拝するようなことは許されないのに。お茶の水地区のキャンパス再開発でも、明治に見下ろされてたまるか、明治よりも高い建物を建てるんだと意気込んでいたとの話も聞きました。日大法学部は中央大の法学部同様に法曹養成では定評があった。理工学部の建築は五大建築学部の一つに数えられた。土木は卒業生が全国で活躍して「社長を日本一出す大学」の基盤になった。 井沢 そもそも、23年度の一般選抜で日大の志願者は増えており、24年度は隔年現象で減る可能性が高い。東洋大が23年度入試で1万人以上志願者を減らしているので、今回の件とは関係なく、ハードルが下がったと感じる受験生が日大から東洋大に流れるケースもあるでしょう。24年度入試で日大の志願者が減少したとしても、その要因のすべてがガバナンス問題とされるのは気の毒な気がしますね。 後藤 日大は本来、面倒見のいい優しい大学です。昔は学生職員という制度があって、相撲部員とかが学生のときから職員になって、定年までいると40年超で退職金がえらい額になったものです。ただ今回は、その優しさを誤ってしまった。 Q:24年度入試がどうなるのか、年明けの次回に再び語っていただきましょう。 「ダイヤモンド社教育情報」では、twitterとfacebookで中高一貫校を中心に、学校・教育・入試に関する多彩な話題をお届けします』、「日大は2021年度から3年連続で私立大学等経常費補助金の不交付が決まっています。20年度には90億円ほどもらっていました。不交付の翌年度以降の取扱いというのがあって、改善努力を十分に行っていると認められたとしても、原則として翌年度は全額不交付で、2年後は75%減額、3年後は50%減額、4年後は25%減額、5年後からようやく全額交付になります。こうして見てみると、400億~500億円はもらい損ねることになりそうです」、「経常費補助金」の「減額」を考慮すると、財務的には苦しいことになりそうだ。

次に、本年1月14日付け現代ビジネス「<独自>日大病院から入院を拒否され、77歳で死去…「日大のドン」 田中英壽前理事長の「最期の姿」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/122866?imp=0
・『日大凋落の元凶  2008年から2021年まで理事長の座に君臨し、「日大のドン」と呼ばれた田中英壽氏が死去したことが13日、わかった。77歳だった。田中氏は複数のがんを抱えており、約1ヵ月前から入院していたという。 田中氏は青森県金木町出身。小学生のときに相撲を始め、日大に進学すると、3年時には学生横綱になった。 「現役時代の田中前理事長はアマチュア最強力士の異名を持ち、日大の一学年下には横綱になった輪島がいましたが、『輪島よりも実力が上だった』という声もあります」(日大関係者A氏) 1983年に日大相撲部の監督に就任すると、数多くの関取を輩出。1999年には日大理事となり、2008年に理事長就任。2021年までトップの座に君臨し、日本オリンピック委員会(JOC)副会長も務めた。 「アメフト部の薬物事件でガバナンス不全が問われている日大ですが、そもそも日本一のマンモス大の信用を地に落とした張本人が、かつて絶大な権力を握っていた田中前理事長です」(前出・日大関係者A氏) 長らく「日大のドン」として権勢を振るってきた田中氏だが、潮目が変わったのは2018年のアメフト部の悪質タックル問題だ。これにきっかけにトップとしての資質を疑問視され、権力の座から転げ落ちていく』、「長らく「日大のドン」として権勢を振るってきた田中氏だが、潮目が変わったのは2018年のアメフト部の悪質タックル問題だ。これにきっかけにトップとしての資質を疑問視され、権力の座から転げ落ちていく」、なるほど。
・『見る影もなかった「かつての威光」  2021年11月には医学部附属板橋病院をめぐる背任事件で、所得税法違反容疑で逮捕され、同年12月に理事長を辞任。2022年4月には有罪判決が確定した。 背任事件で逮捕されたことを受け、日大は田中前理事長と『永久に決別、影響力を排除する』と宣言し、多額の損害賠償を求め、田中前理事長名義の複数の不動産を仮差し押さえしました。 学内にはいまでも田中派の残党がいますが、改革を掲げている現執行部は田中派の一掃を目指しており、田中前理事長にかわいがってもらっていた人物は手のひらを返して現執行部にすり寄っています。 また、田中前理事長が監督を務めた相撲部のOBらも同様であり、田中前理事長と距離を置いています」(前出・日大関係者A氏)。 かつての威光は見る影もない…。それは自宅がある地元の東京・阿佐ヶ谷でも同様だった』、「田中前理事長」の「威光」は、「学内」のみならず、「地元の東京・阿佐ヶ谷」でも「見る影もない…」、なるほど。
・『夫人の親族からも総スカン  「田中さんを公私にわたって支え、『日大の女帝』といわれた征子夫人が経営する『ちゃんこ料理たなか』には毎晩のように出世を目指す日大の幹部職員が訪れ、『影の本部』なんて呼ばれていました。 当時の田中さんは近隣の飲食店にも取り巻きを引き連れて訪れていましたが、逮捕されて以来、パッタリ姿を見せなくなりました。もちろん日大職員も見かけません。 阿佐ヶ谷は征子夫人の地元ですが、田中さんは彼女の身内からも総スカンです。 昨年10月、征子夫人が亡くなって店を閉めることになりましたが、長年田中家に仕えてきた従業員への退職金を出し渋り、トラブルになったこともありました。 あまりにも誠意のない対応に対し、征子夫人を慕っていた従業員は怒り心頭で、店にあった備品を持ち出す騒ぎもありました」(近隣の飲食店経営者) 次々と人が離れていく中、田中氏を支える人物が1人だけいた。田中氏をよく知る別の日大関係者B氏が明かす』、「昨年10月、征子夫人が亡くなって店を閉めることになりましたが、長年田中家に仕えてきた従業員への退職金を出し渋り、トラブルになったこともありました」、そんなことで「トラブル」とは恐れ入る。
・『自宅に居座る謎の中国人  「田中氏は、若いころから支えてくれた奥さんが亡くなり、意気消沈の様子でした。ところが、奥さんが亡くなって1ヵ月もすると、40代の中国人女性が阿佐ヶ谷の自宅に居座るようになり、彼女の娘を含めた3人で暮らすようになりました。 実はこの女性、10年以上関係がある愛人です。水商売風の美人で、奥さんが健在のころは、田中氏が用意した新宿のマンションに娘と住んでいました。 田中氏は体調面で問題を抱えていたため、この中国人女性が身の回りの世話をしていました。昨夏は暑さが厳しく、避暑のため2人で仙台にある別荘に滞在していた時期もありましたね」 この女性は、近隣住民の間では「田中さんの世話をしている謎の中国人」として認識されていたが、取材に訪れた記者もゴミ出しをする女性の姿を何度か目撃したことがあった』、「奥さんが亡くなって1ヵ月もすると、40代の中国人女性が阿佐ヶ谷の自宅に居座るようになり、彼女の娘を含めた3人で暮らすようになりました。 実はこの女性、10年以上関係がある愛人です。水商売風の美人で、奥さんが健在のころは、田中氏が用意した新宿のマンションに娘と住んでいました。 田中氏は体調面で問題を抱えていたため、この中国人女性が身の回りの世話をしていました」、なるほど。
・『中国人女性の言いなりだった  「『ちゃんこ料理たなか』の従業員との退職金トラブルの話は私の耳にも入っていましたが、支払わないと決めたのは中国人女性のようです。 脱税で逮捕された田中氏ですが、素顔は相撲部屋の親方そのもので、気前のよさもありました。少なくともケチではありません。しかし、中国人女性の意向に従うしかなかったのでしょう。 理事長時代の田中氏は学内では敵なしの存在でしたが、面倒を見てもらった奥さんには頭が上がらず、いつも『ママ』『ママ』と頼りっきりでした。財布にしてもしっかり者の奥さんに握られていました。 奥さんの亡きあと、いまは身の回りの世話をしてくれる中国人女性の言いなりでした」(前出・日大関係者B氏) 昨年8月下旬、アロハ姿で自宅近くを散歩する田中氏 上の写真は、昨年8月下旬に田中氏の姿をとらえたものだ。目撃者が言う』、「『ちゃんこ料理たなか』の従業員との退職金トラブルの話は私の耳にも入っていましたが、支払わないと決めたのは中国人女性のようです」、何故、こんなところでケチるのだろうと思ったが、「中国人女性」の差し金だったということで納得した。
・『日大病院は入院拒否  「やたら派手なアロハを着た田中さんを目撃したのは夜19時過ぎです。田中さんよりずいぶん若い女性に手を取られながら、ゆっくりと体を左右に動かし、肩をゆすりながら歩いていました。 衰えは顕著であり、主導権を握っているのは手を取って誘導する女性にあるように見えました」 体調が悪化した田中氏は1ヵ月ほど前から入院していたというが、入院をめぐってはこんなひと幕もあったという。 「1ヵ月ほど前、田中氏から駿河台にある日大病院に『入院したい』との申し出がありましたが、病院側は『入院を認めると、コンプライアンス上の問題になります。残念ながらお受けすることはできません』ときっぱり断り、結局ほかの病院に入院することになりました」(前出・日大関係者B氏) 「日大のドン」と呼ばれた男の最期は、あまりにも悲しいものだった』、「病院側は『入院を認めると、コンプライアンス上の問題になります。残念ながらお受けすることはできません』ときっぱり断り、結局ほかの病院に入院することになりました」、通常であれば、「受け入れてしまう」のに、「コンプライアンス上の問題」で断ったとは大したものだ。断られた「田中氏」はさぞかし腹を立てたことだろう。

第三に、本年1月24日付けミヤテレ「東北大学・次期総長に冨永悌二氏「今までなかった新しい研究大学に」大学病院長など歴任 宮城県内の新型コロナ対応を指揮 〝もやもや病〟に影響を与える遺伝子を世界で初報告した実績も」を紹介しよう。
https://nordot.app/1122825473734083436?c=388701204576175201
・『大野総長の任期満了に伴って、4月から東北大学の総長となるのは、現在の副学長・冨永悌二氏。5人の候補者の中から大学外部を含む12人の委員が決めたもの。 冨永氏は福島県出身の66歳。東北大学医学部を卒業し、原因不明の「もやもや病」に影響を与える遺伝子を世界で初めて報告したほか、東北大学病院長の立場としては県内の新型コロナ対策を指揮したことなどが最大の成果として評価された』、「4月から東北大学の総長となるのは、現在の副学長・冨永悌二氏・・・東北大学病院長」、なるほど。
・『<総長選考・監察会議 小野寺 正 議長> 「大学だけではなく周りを巻き込んで方向性をきっちりと出してやっていけるという指導力。これは国際化に当たって非常に重要。高く評価している」 【日本で唯一「国際卓越研究大学」の候補として】 また、年間100億円の助成を受けて、世界トップレベルの研究を目指す国際卓越研究大学日本で唯一「国際卓越研究大学」の候補として】』、「年間100億円の助成を受けて、世界トップレベルの研究を目指す国際卓越研究大学日本で唯一「国際卓越研究大学」の候補」、なるほど。
・『<次期総長 冨永悌二氏> 「若い研究者が自由に独立して研究できるような環境を整える。日本国内のみならず海外からも優秀な研究者に来てもらい研究を推進して行く。東北大学が今までに我が国になかった新しい研究大学として発展するために力を尽くしたい」 冨永氏の就任は4月1日からで、任期は6年間』、「日本国内のみならず海外からも優秀な研究者に来てもらい研究を推進して行く」、「国際卓越研究大学」の試みは、これまでの「日本型」の公平さを取り払い、メリハリを最大限かけた革命的やり方だ。日本の風土のなかで果たして上手くいくのかに注目したい。
タグ:大学 (その14)(悪質タックル→アメフト部廃部…白日にさらされた「日大」ガバナンス問題 G&I大学対談(4)、<独自>日大病院から入院を拒否され、77歳で死去…「日大のドン」 田中英壽前理事長の「最期の姿」、東北大学・次期総長に冨永悌二氏「今までなかった新しい研究大学に」大学病院長など歴任 宮城県内の新型コロナ対応を指揮 〝もやもや病〟に影響を与える遺伝子を世界で初報告した実績も) ダイヤモンド・オンライン「悪質タックル→アメフト部廃部…白日にさらされた「日大」ガバナンス問題 G&I大学対談(4)」 「林さんはむしろ学長にして、代わりに文科省OBを据えて時間稼ぎをしながら人を探すのがいい。でも、日本最大の私立大学であり、組織もでかすぎる。文科省関係者にはやれる人がいないかもしれない」、「「林さんはむしろ学長にして」、いいアイデアだ。ただ、「代わりに文科省OBを据えて時間稼ぎをしながら人を探すのがいい」、「文科省OB」は逃げ回るだろうし、適任者が果たしているのか疑問だ。 「競技部入部式が別途行われ、23年度は470人が新入部員予定者だったそうです。競技部を統括する競技スポーツ部は、学務部、研究推進部、学生部と並ぶ存在です」、「競技部」は依然大きな力を持っているようだ。 「経常費補助金」の「減額」を考慮すると、財務的には苦しいことになりそうだ。 現代ビジネス「<独自>日大病院から入院を拒否され、77歳で死去…「日大のドン」 田中英壽前理事長の「最期の姿」」 「長らく「日大のドン」として権勢を振るってきた田中氏だが、潮目が変わったのは2018年のアメフト部の悪質タックル問題だ。これにきっかけにトップとしての資質を疑問視され、権力の座から転げ落ちていく」、なるほど。 「田中前理事長」の「威光」は、「学内」のみならず、「地元の東京・阿佐ヶ谷」でも「見る影もない…」、なるほど。 「昨年10月、征子夫人が亡くなって店を閉めることになりましたが、長年田中家に仕えてきた従業員への退職金を出し渋り、トラブルになったこともありました」、そんなことで「トラブル」とは恐れ入る。 「奥さんが亡くなって1ヵ月もすると、40代の中国人女性が阿佐ヶ谷の自宅に居座るようになり、彼女の娘を含めた3人で暮らすようになりました。 実はこの女性、10年以上関係がある愛人です。水商売風の美人で、奥さんが健在のころは、田中氏が用意した新宿のマンションに娘と住んでいました。 田中氏は体調面で問題を抱えていたため、この中国人女性が身の回りの世話をしていました」、なるほど。 「『ちゃんこ料理たなか』の従業員との退職金トラブルの話は私の耳にも入っていましたが、支払わないと決めたのは中国人女性のようです」、何故、こんなところでケチるのだろうと思ったが、「中国人女性」の差し金だったということで納得した。 「病院側は『入院を認めると、コンプライアンス上の問題になります。残念ながらお受けすることはできません』ときっぱり断り、結局ほかの病院に入院することになりました」、通常であれば、「受け入れてしまう」のに、「コンプライアンス上の問題」で断ったとは大したものだ。断られた「田中氏」はさぞかし腹を立てたことだろう。 ミヤテレ「東北大学・次期総長に冨永悌二氏「今までなかった新しい研究大学に」大学病院長など歴任 宮城県内の新型コロナ対応を指揮 〝もやもや病〟に影響を与える遺伝子を世界で初報告した実績も」 「4月から東北大学の総長となるのは、現在の副学長・冨永悌二氏・・・東北大学病院長」、なるほど。 「年間100億円の助成を受けて、世界トップレベルの研究を目指す国際卓越研究大学日本で唯一「国際卓越研究大学」の候補」、なるほど。 「国際卓越研究大学」の試みは、これまでの「日本型」の公平さを取り払い、メリハリを最大限かけた革命的やり方だ。日本の風土のなかで果たして上手くいくのかに注目したい。
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宗教(その12)(旧統一教会の解散請求秒読みで「第2の過払い金バブル」が来る!寄付金・献金が標的に、「自爆テロを見ても、容赦がない」日本の知性・養老孟司(86)がどんな宗教よりも「仏教」を信頼する理由 『生きるとはどういうことか』より、「打つ手は思いつかない」養老孟司(86)が「自殺する若者が絶えない日本」の現状について思うこと 『生きるとはどういうことか』より #2) [社会]

宗教については、昨年7月23日に取上げた。今日は、(その12)(旧統一教会の解散請求秒読みで「第2の過払い金バブル」が来る!寄付金・献金が標的に、「自爆テロを見ても、容赦がない」日本の知性・養老孟司(86)がどんな宗教よりも「仏教」を信頼する理由 『生きるとはどういうことか』より、「打つ手は思いつかない」養老孟司(86)が「自殺する若者が絶えない日本」の現状について思うこと 『生きるとはどういうことか』より #2)である。

先ずは、昨年9月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「旧統一教会の解散請求秒読みで「第2の過払い金バブル」が来る!寄付金・献金が標的に」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/328792
・『「過払い金バブル」再びの機運  「あなたの払い過ぎたお金が戻ってきます!今すぐご確認を」 「ご家族の方でも大丈夫です、いつ払ったのか記憶が曖昧でも大丈夫です、今すぐお電話ください」 今からそう遠くない未来、テレビやラジオ、そしてネットやSNSでは朝から晩までこのような呼びかけが聞こえることになるだろう。弁護士や司法書士を介して払い過ぎたお金を取り戻す、いわゆる「過払い金返還」のCMが大量に流されるのだ。 「おいおい、そんなの今もバリバリ流れているよ」というツッコミが聞こえてきそうだが、未来の「過払金」請求先は、現在のような消費者金融やクレジットカード会社ではない。 日本全国にある宗教団体である。 近い将来、宗教団体に入信していた人が「だまされた」と訴えるだけで、これまで払った献金を過去にさかのぼって、簡単に取り戻せるような法整備がなされるかもしれない。今の「過払い金返還請求」のように、弁護士事務所で簡単な打ち合わせをして、事務員がマニュアルに沿って事務手続きをするだけで、献金やお布施が戻ってくる――。 もしこんな未来になったら、弁護士業界はウハウハだ。利益率が高いため、案件が多ければ多いほどもうかるので、冒頭のようなCMをバンバン流すはずだ。つまり、2010年頃から弁護士業界に巨額の利益をもたらした「過払い金バブル」が、今度は宗教団体をターゲットにして「再現」される可能性があるのだ。 何を根拠にそんな予想をするのかというと、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への解散請求がいよいよ秒読みになってきたからだ。 ●旧統一教会解散、請求の方針 政府、10月中旬で調整 近く過料申し立ても 地裁に(朝日新聞 9月3日) ●10月にも解散請求か 文科省が検討 7回質問権行使の旧統一教会に(FNNプライムオンライン 9月4日) 旧統一教会への解散請求が行われることが、なぜ冒頭で述べたような「過払い献金返還バブル」へとつながっていくのか。 わかりやすく言ってしまうと、「旧統一教会が組織的な違法行為をしていると国がお墨付きを与えると、ほとんどの宗教団体もアウトになる」からだ』、「旧統一教会・・・への解散請求がいよいよ秒読みになってきた・・・旧統一教会が組織的な違法行為をしていると国がお墨付きを与えると、ほとんどの宗教団体もアウトになる」、なるほど。
・『旧統一教会への解散請求が通ると、アウトな団体は他にも続々?  旧統一教会だけが今回の解散請求に該当するのかどうかを、まず冷静に考えてみたい。 わかりやすいのは、元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏の見解だ。氏はかねてから旧統一教会の「組織的な違法性」を立証することが難しいと指摘してきた。 《旧統一教会に解散命令なら、電通も会社法に基づいて解散命令にしないと不公平。でも電通は解散すべきとはほとんどの人は言わないだろう。だから旧統一教会の解散も難しいと言ってきた》(23年2月2日) 《電通を解散させられないなら、民事の違法性、しかもほとんどが使用者責任の旧統一教会を解散することは困難》(同上) これはその通りで、これまでの解散請求は、地下鉄サリン事件を起こした「オウム真理教」と、詐欺罪で幹部が摘発された「明覚寺」の2件だけで、組織や幹部として明確な違法性が立証されている。これらの前例と、旧統一教会のケースはかけ離れている。 これまで旧統一教会幹部の逮捕者が出ていないことからもわかるように、本部が「霊感商法マニュアル」などを作成して、全国の信者に組織的な指示をしていたような証拠はどこにもない。 つまり、問題になっている霊感商法や高額な献金は、それぞれの信者が強すぎる信仰心を“こじらせた”結果であって、それをオウム真理教のような「組織的な違法性」と断罪するのは「拡大解釈」にもほどがあるのだ。 また、旧統一教会はマインドコントロールが悪質だと主張をしている人もいるが、お笑いコンビ・オセロ(現在はコンビ解散)の中島知子さんのことを思い出してみるといいだろう。彼女はかつて「占い師にマインドコントロールされた」とマスコミが大騒ぎをしていたことを振り返って「まったくデタラメ」と笑い話にして今は普通に地方でタレント活動をしている。つまり、マインドコントロールだなんだという批判・炎上は、反論しない人に対して、「言ったもん勝ち」的な側面が多々ある。 そもそも対象に心を奪われて、経済的に破滅するまでカネを突っ込むのは、ホストクラブにハマる女性やアイドルの追っかけでもよく見られる現象だし、創価学会などの他の有名宗教でも信仰のために、多額の献金をしたり、自宅や土地まで信仰のために捧げたりする人もいる。 「他の新興宗教は信仰心だけれど、旧統一教会は悪質なマインドコントロールだ」というのは、被害者などが感情的に訴える主張としてはわからなくもないが、それだけが解散請求の法的要件となるのは、さすがにありえない。 ただ、先ほども申し上げたように、既に政府は「解散請求ありき」で進んでいる』、「霊感商法や高額な献金は、それぞれの信者が強すぎる信仰心を“こじらせた”結果であって、それをオウム真理教のような「組織的な違法性」と断罪するのは「拡大解釈」にもほどがあるのだ・・・既に政府は「解散請求ありき」で進んでいる」、なるほど。
・『宗教団体のビジネスモデル窮地?  森友・加計問題でも明らかになったように日本の官僚は、首相から直接命令を下されなくとも「忖度」をすることで、行政文書を改ざんするくらい優秀だ。だから、今回も「証拠」をこじつけるなど朝飯前だろう。 私の勝手な想像だが、「組織的な違法性の証拠はないけれど、組織的な違法性があると訴える被害者がいるということは、証拠にも匹敵するような証言なので解散請求できる」という方向性の見解が示されるのではないか。 これは世論的に拍手喝采で岸田政権の支持率もちょっぴり上向くかもしれない。しかし、全国の宗教団体からすれば、「死刑宣告」されたにも等しい暴論だ。 宗教団体というものは、神や仏だ、天国だ地獄だという超自然的な説法を信じる人々の寄付や献金によって運営されることが一般的だ。経済的な余裕のある信者や資産家の信者にはより多くの寄付を求める。これが基本的なビジネスモデルなので当然、信仰心をなくした人の中には「これまで金をだまし取りやがって」と被害を訴えることも少なくない。 誤解を恐れず言えば、あらゆる宗教団体には「被害を訴える人」がいる。信仰をやめた人は、その団体に不満や不信感があるからやめている。また、「今の自分」を肯定するには、過去の自分を「だまされていた」と否定しないとやっていられない。 だから、表立って被害者のいない宗教団体も、探して水を向ければ被害を訴えられる可能性がある。そういう被害者は、歴史が長くて信者数が多い教団ほど多いのだ』、「あらゆる宗教団体には「被害を訴える人」がいる。信仰をやめた人は、その団体に不満や不信感があるからやめている。また、「今の自分」を肯定するには、過去の自分を「だまされていた」と否定しないとやっていられない。 だから、表立って被害者のいない宗教団体も、探して水を向ければ被害を訴えられる可能性がある。そういう被害者は、歴史が長くて信者数が多い教団ほど多いのだ」、その通りだ。
・『他の宗教団体の元信者も「被害」を訴える可能性高まる  さて、こういう構造的な問題がある中で、国が旧統一教会を「組織的な違法性あり」と法律的に認定すると、一体どういうことが起きるか。 他の有名宗教団体の元信者たちも「被害」を訴え始めるのではないか。 証拠がなくとも、「被害」を訴えるだけで教団を解散に追い込めると国が太鼓判を押したのだ。こんな心強い話を聞いて、黙っているわけがない。そうなると、弁護士も動く。「勝訴」が約束されているような戦いなので、広告などで「宗教被害者」の募集をかけて、宗教団体を相手どって、過去に払った献金を取り戻すなど集団訴訟を起こすのだ。 そして、判例が積み重なっていくうちに、手続きがもっと簡易になって、書類をやり取りするだけで宗教団体側も支払いに応じるようになる。かくして、冒頭で紹介した「過払い献金返還CM」が朝から晩まで流れるような弁護士業界の黄金時代が再びやってくる――というわけだ。 「宗教被害者を純粋に救済をしている弁護士さんたちが、この問題を過払い金バブルのような金もうけのネタにするわけがないだろ」というお叱りが飛んできそうだ。しかし、なぜ筆者がこのように考えるのかというと、まさしくその「過払い金バブル」がつくられていく時の弁護士業界のアクションや社会のムードが、現代の旧統一教会問題に対するそれらと、うり二つだからだ』、「「過払い金バブル」がつくられていく時の弁護士業界のアクションや社会のムードが、現代の旧統一教会問題に対するそれらと、うり二つだからだ」、不気味なことだ。
・『「過払い金バブル」の前夜と今の空気が似ている  そもそもなぜ「過払い金バブル」が起きたのかというと、2006年に最高裁判決で「グレーゾーン金利」が否定され、その後の貸金業法改正でも「廃止」されたからだ。 かつて消費者金融やカード会社は、利息制限法の上限金利(15〜20%)と出資法の上限金利(29.2%)間の高金利帯で貸し付けを行っていた。しかし、これによって返済ができず、いくつもの業者から借り入れをする多重債務者が増えた。このような「被害者」を救済する弁護士たちが「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」を設立して、国にクレーゾーン金利の廃止を訴えるとともに、消費者金融が多額の貸付ができない「総量規制」の法制化を求めていた。この背景には、消費者金融の武富士などの違法な取り立てが大きな社会問題になっていたことが大きい。 つまり、消費者金融と宗教団体という違いはあれど、「被害者」が社会的に関心を集めて、彼らを救済する弁護士グループが、政府に対して「被害者救済の法整備をせよ」とゴリゴリに求めていたという構図は現代とまったく同じだ。 しかも、「悪をぶっつぶせ」という社会ムードも似ている』、「消費者金融と宗教団体という違いはあれど、「被害者」が社会的に関心を集めて、彼らを救済する弁護士グループが、政府に対して「被害者救済の法整備をせよ」とゴリゴリに求めていたという構図は現代とまったく同じだ。 しかも、「悪をぶっつぶせ」という社会ムードも似ている」、その通りだ。
・『「日本は強盗とか流行しますよ」ヤミ金業者の言った通りに…  実はこの時代、筆者は月刊誌に寄稿したり、講演したりして、消費者金融への過度な規制を控えるべきだと警鐘を鳴らしていた。 当時、筆者は違法ビジネスやヤミ金によく取材をしていた。彼らは口をそろえて、グレーゾーン金利撤廃や総量規制を「ビジネスチャンス」だと語っていた。 年配の方ならわかるが、昔は「街金」と呼ばれる「無担保小口融資」の業者がいた。免許証などの本人確認だけで金を貸す。もちろん、貸す側もリスクがあるので出資法上限金利という高金利だ。ただ、こういう「無担保小口融資」をしているのは小さな業者なので、最高裁判決以降、過払い金返還請求でほとんど絶滅してしまった。 では、ここを利用をしていた人はどこへいくか。プロミスやアコムなどの消費者金融の大手は銀行傘下に入り、審査も厳しく総量規制で年収の3分の1しか借りられない。となると、「闇」に流れるしかないというわけだ。 2008年ごろに話を聞いたあるヤミ金業者は、「総量規制のおかげで大忙し」だとホクホク顔で語っていた。そして利息を払えなくなった者を、オレオレ詐欺の出し子などにあっせんしている、と笑っていた。 「これからの日本は強盗とか流行しますよ。私はやらせないけれど、やばい連中は金さえ回収できればいいんだから何でもやらせますよ。多重債務者の連中は、どこも金を貸してもらえないんだから、逆らえないでしょ」 確かに、彼らの言う通りになっている。昨今、大学生や無職の人がSNSで「闇バイト」に応募をして、詐欺や強盗のメンバーとして参加させられているが、なぜ「闇バイト」に応募をするのかというと、「低信用」でどこも金を貸してくれないからだ。学費や家賃で生活も困窮する中で、仕送りが何かの事情で途絶えたら、「闇バイト」に応募するしかない、というのが現実だ。 そんな話を、筆者は金融庁のヒアリングに呼ばれて報告もしたが、「難しい問題ですねえ」なんて言われて終わった。当時の金融庁幹部を、ヤミ金業者に実際ひき会わせて話を聞いてもらったりしたが、政策は特に変わらなかった。むしろ、そういうことをやればやるほど、「消費者金融からいくらもらっているんだ」とか「サラ金御用達ライター」とか叩かれるので、面倒臭くなってあきらめた。 今回も似た匂いがプンプンしている』、「昨今、大学生や無職の人がSNSで「闇バイト」に応募をして、詐欺や強盗のメンバーとして参加させられているが、なぜ「闇バイト」に応募をするのかというと、「低信用」でどこも金を貸してくれないからだ。学費や家賃で生活も困窮する中で、仕送りが何かの事情で途絶えたら、「闇バイト」に応募するしかない、というのが現実だ」、なるほど。
・『「受け皿」がなくなると、「闇」に飲み込まれる人が増える  旧統一教会の解散請求をして、宗教法人格をはく奪したところで、税制上の優遇を受けられなくなるだけで、信者の多くは「じゃあカトリックに改宗するか」なんてことにはならない。活動が地下に潜るだけなので、被害者救済も難しくなるなどデメリットも多い。 こういう問題が生じる以上、宗教法人として解散すれば、めでたしめでたし…という単純な話ではない。教団改革の行方を見守っていくためにも、もっと慎重に判断したらどうかと言いたいのだが、ここでも「リテラシーのない旧統一教会御用達ライターは引っ込んでろ!」と叩かれる。 問題が指摘される世界の人々を「善」か「悪」でしか判断せず、存在を認めるか、抹殺をするか、という極論がまかり通っているムードが、「多重債務者救済のため、高金利の無担保小口融資を廃業に追い込め」と正義の弁護士が絶叫していたあの時代とそっくりだ。 弁護士業界は再び「過払い献金バブル」到来でうれしいかもしれないが、多くの宗教団体は経営難に追いやられるので、自主的に解散するところも出てくるだろう。しかし、神や仏に救い求める人たちは必ず存在するので、「新たな受け皿」として、「ヤミ宗教」が横行するかもしれない。宗教法人格を持たないので、行政や自治体のチェックも働かない。高額献金も霊感商法もやりたい放題だし、マルチ商法などとかけ合わせることも可能だ。 暴力団を使用者責任で規制したら、盃を受けない半グレが増えて結果、警察が把握しにくい「かたぎを利用した地下ビジネス」が広まったのと同じ構図が、宗教界でも起きるかもしれない。 旧統一教会を解散させたところで、宗教被害者は消えない。むしろ、宗教法人という「受け皿」をつぶしていけばいくほど、「闇」に飲み込まれる被害者が増えることを忘れてはいけない』、「弁護士業界は再び「過払い献金バブル」到来でうれしいかもしれないが、多くの宗教団体は経営難に追いやられるので、自主的に解散するところも出てくるだろう。しかし、神や仏に救い求める人たちは必ず存在するので、「新たな受け皿」として、「ヤミ宗教」が横行するかもしれない。宗教法人格を持たないので、行政や自治体のチェックも働かない。高額献金も霊感商法もやりたい放題だし、マルチ商法などとかけ合わせることも可能だ。 暴力団を使用者責任で規制したら、盃を受けない半グレが増えて結果、警察が把握しにくい「かたぎを利用した地下ビジネス」が広まったのと同じ構図が、宗教界でも起きるかもしれない。 旧統一教会を解散させたところで、宗教被害者は消えない。むしろ、宗教法人という「受け皿」をつぶしていけばいくほど、「闇」に飲み込まれる被害者が増えることを忘れてはいけない」、その通りだ。

次に、昨年11月19日付け文春オンライン「「自爆テロを見ても、容赦がない」日本の知性・養老孟司(86)がどんな宗教よりも「仏教」を信頼する理由 『生きるとはどういうことか』より」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/66991
・『「べつに私は仏教徒ではない。でも外国の書類に宗教を書くときは、仏教徒と書く」 養老孟司さんはなぜほかのどの宗教よりも、仏教に信頼を置くのか? 日本を代表する知性・養老さんの過去20年間に執筆したエッセイを選りすぐった新刊『生きるとはどういうことか』(筑摩書房)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)』、興味深そうだ。
・『人はなぜ生きるのか?  人はなぜ生きるか。こう訊かれると、すぐにいいたくなる。そりゃ、人によって違うでしょうが。 お金のため、名誉のため、権力のため。人生の動機はこれに尽きる。そう考える人もある。それなら男女はどうなる、家族はどうなる。好きな女のために生きる。もうだれも読まないだろうが、井上靖の「射程」はそういう男を描いている。若いころ、この本にすっかり釣り込まれて読んだから、電車で降りるはずの駅を乗り越した。 家族のためというなら、それは生きるためというより、食うため、食わせるためじゃないか。食うのは生きるためで、それなら生きるのは、食うためではない。 そんなこというけど、あたしゃ貧乏人だし、社会的地位もない。金と名誉と権力には縁がない。自分ではそう思っている人も、じつは金・名誉・権力の例外ではない。そういう意見もある。貧乏人の子だくさんとは、そのことだという。それを説明する。 突き詰めれば、人間の欲は権力欲である。気に入ろうが、気に入るまいが、とりあえずここではそう考えることにする。金があれば、それなりに「思うようにできる」。名誉があれば、それなりに人を「思うようにできる」。ともあれ他人が自分の意見に耳を傾けてくれるに違いないからである。権力があれば、むろんのことである。 貧乏人はどうか。どれもない。ところが一つ、残された手段がある。子どもである。子どもにとっては、親は絶対者に近い。父親が変人で、子ども嫌いだったため、赤ん坊のときから中学生の年齢になるまで、一部屋に閉じ込められ、縛られていた子どもがあった。その子はそれでも後に「母が恋しい」と書いた。すべての権力に縁がないなら、人は子どもをつくる。だから貧乏人の子だくさんなのだ、と。) その欲、権力の欲を去れと説いたはずの人を私は一人だけ、知っているような気がする。釈迦である。だから私は釈迦が好きなのである。そりゃ誤解だといわれるかもしれない。そうかもしれないが、ともかくそうだと思うことにしている。 べつに私は仏教徒ではない。でも外国の書類に宗教を書くときは、仏教徒と書く。そう書いたところで、信じる教義を訊かれることはない。でも仮に訊かれたとしたら、「欲を去れ」だという。そう聞きましたという。如是我聞である。 欲を去ったら、人生の目的がないじゃないか。そのとおりである。だからといって、欲をかいていい。そういう結論にはならない。この「欲をかく」は、欲を欠くではない。徹底的に欲望するという俗語である。 他方、欲を欠いたら、たしかに人生は灰色である。しかし欲は中庸でよろしい。理屈が中庸なのではない。中庸なのは欲である。理屈を中庸にすると、理屈が役に立たない。このあたりは高級な議論だから、短くては納得しない人もいるかもしれない。でも説明が面倒くさい。 人はなにごとであれ、思うようにしようとする。それは人の癖だから、どうしようもない。そういうものだと心得ておくしかない。それを説くのが仏教だと、私は勝手に信じている。他の宗教はそれをいわない。いわないと思う。むしろ徹底的にやれという。宗教を信じること自体についても徹底を要求する』、「人はなにごとであれ、思うようにしようとする。それは人の癖だから、どうしようもない。そういうものだと心得ておくしかない。それを説くのが仏教だと、私は勝手に信じている」、なるほど。
・『容赦がない  自爆テロを見ても、それに反対してテロ撲滅に動く人を見ても、そう思う。相手を殺しても、逆に自分が死んでも、ともかく「思うように」しようとする。もう勘弁してよと、体力のなくなってきた老人は思うが、容赦がない。 容赦という言葉は、西洋語やアラビア語になるんだろうか。魯迅だって、「水に落ちた犬を打て」と書いていたはずである。 「世界はイヤなところだと思え」。そう書いていたのは関川夏央氏である。こういう点では、私もそう思う。いまでは世界は人間でできているというしかない。その人間の悪いところを無限に拡大するようなことは、勘弁してほしいと思う。でもそうはいかないといいつつ、欲望は無限に増大するように見える。やっぱりお釈迦様は偉い』、「いまでは世界は人間でできているというしかない。その人間の悪いところを無限に拡大するようなことは、勘弁してほしいと思う。でもそうはいかないといいつつ、欲望は無限に増大するように見える。やっぱりお釈迦様は偉い」、「釈迦様は偉い」については、理解できなかった。

第三に、昨年11月19日付け文春オンライン「「打つ手は思いつかない」養老孟司(86)が「自殺する若者が絶えない日本」の現状について思うこと 『生きるとはどういうことか』より #2」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/66992
・『「若者が死にたがる理由は複雑であろう。とりあえず打つ手は思いつかない」 十代から三十代までの日本の若者の死因のトップが自殺…そんな現状を知った養老孟司さんは何を思ったのか? 日本を代表する知性・養老さんの過去20年間に執筆したエッセイを選りすぐった新刊『生きるとはどういうことか』(筑摩書房)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)』、興味深そうだ。
・『ベストセラー『バカの壁』はなぜ売れたか  自分の人生がほぼ尽きてしまった状態で、なにを言い、なにをすればいいのか。私の恩師は旧制一高の同窓会に出た後、話題は病気と孫と勲章だけだ、と言っておられた。爺さんの話題はその辺に尽きるらしい。 もう一つ。マンガ「ショージ君」の東海林さんが、年寄りの話はほぼ自慢話だと思う、と言われたのが気になっている。病気、孫、勲章に加えて自慢話を排除すると、年寄りにはなにか語ることがあるだろうか。 令和3年の暮から4年の2月までに、自著6冊が出版された。多過ぎやしないかと思うが、出版社の都合でたまたまそうなったので、私が鋭意努力したわけではない。ひとりでにそうなってしまったのである。人生を振り返ってみると「ひとりでにそうなった」「いつの間にかそうなっていた」ことが多いように思う。断固自分の意志でやったことも当然あるが、ほぼ失敗している。自著が多く出たのも、『バカの壁』(新潮新書)の発行部数が昨年末に450万部を超えたということが契機になったのかもしれない。本が売れたのは、間違いなく私のせいじゃない。なにかの都合で売れてしまったから、仕方がないのである。 どうして売れたか、ときどき訊かれる。はかばかしい返事ができるわけがない。それがわかっていれば、どこの出版社も困らないはずだからである。 日常何をしているかというなら、捕まえた虫、もらった虫、買い求めた虫を標本にしている。 これが楽しくてやめられない。なにが楽しいのか、疑問に思う人も多いだろうと思う。子どものころから好きでやっていたことだから、母親にも年中訊かれた。「虫ばかりいじって、何が面白いの」。これにも返答のしようがない。 虫をいじっていれば、人に会うこともない。コロナ下であっても、いつもと変わりはない。ウクライナ問題で、世間は騒いでいるが、ウクライナの虫好きが採ったゾウムシが千頭あまり、いま私の手元にある。知人がネット上で売っているのに気が付いて、私のために買ってくれたのである。これを標本にするのが楽しくてしょうがない。いままで図版でしか見たことがない虫、あるいは想像したこともない虫の現物を手にしていると、ほとんど至福の境地である。 現地ではごく普通種で良く知られた虫であっても、私が知らなかったら、発見である。発見とは本来そ ういうことだと思う。世間に知られていなかった種類、いわゆる新種を見つけることも多いが、それより自分が知らなかった虫を知ることが楽しいのである。発見とは常に自分に関することだというのは、当たり前であろう。自分が無知であるほど、発見の可能性は高い。) 八十代の半ばになって、自分の人生を振り返る。要するに成り行きと発見の連続ではなかったかと思う。成り行きまかせにしておいても、発見だけはある。発見の機会は向こうからやってくる。アメリカ人のように、人生は自分の選択の連続だなどと思ったことはない。それどころか、選択なんてしたくない。人生の暮になって思う。「何事もあなた任せの年の暮」状態だなあ。 こういう考えだから、若者の前で話をさせられると、言うことに窮する。若者はとりあえず「自分」を立てなければならない。それを「自立」という。今では自立というと、給料を稼いで、親から小遣いを貰わないことだと解釈される可能性が高い。そう考える傾向も世間の成り行きだからやむを得ない。人生の全体を通じる一言なんか、あるはずがないのである。若者には若者の、爺さんには爺さんの考えがあり、立場がある』、「私の恩師は旧制一高の同窓会に出た後、話題は病気と孫と勲章だけだ、と言っておられた。爺さんの話題はその辺に尽きるらしい」、私の場合は、さすがに「勲章」は無縁で、「孫」はいない人もいるので控え、専ら「病気」が共通の話題だ。「人生の全体を通じる一言なんか、あるはずがないのである。若者には若者の、爺さんには爺さんの考えがあり、立場がある」、確かにその通りだ。ここまで突き離した言い方が出来るのも養老氏ならではだ。
・『人生は一期一会の連続  生まれてから死ぬまでの一貫した人生、そんな抽象的な、高級なものは私にはない。いまなら百歳にも達しようという「人生」の紆余曲折を、一言で片づけるほど、情報化というのは乱暴なものである。私の人生はまさに一期一会の連続でしかない。 この年齢になると、知人が亡くなることが増える。最後はいつ会ったかなと思うと、意外に遠い過去だったりすることが多い。昨日はNHKの仕事で、鎌倉の小林秀雄の旧宅で、現在の家主、茂木健一郎君に会った。小林秀雄が座っていたという椅子に座って、偉そうにしてしゃべっていると、本当に偉くなったような気がする。高校生のころ、鎌倉市内の本屋で小林秀雄を見かけた覚えがある。要するに白髪の爺さんだった。直接に口をきいたことはない。そのたたずまいがよほど印象的だったのであろう。今でもその一度の邂逅を記憶しているくらいである。 当時私の住んでいた家は、大佛次郎の家の近所だったから、よく猫を見かけた。大佛さん自身は見たことがない。大佛さんが猫好きだということが知れ渡っていて、子猫が生まれると、大佛さんの家の近くに捨てに来る人がいるという噂だった。茂木君が「養老さんも鎌倉文士じゃないですか」という。私は「文士」だなんて思ったこともない。ただある程度の雰囲気は知っていると思う。 小学生のころ、開業医だった母の往診になぜかついて行って、小島政二郎の家に行ったことがある。妙本寺という寺の山門の先の右の山手の坂を上った突き当りだった。小林秀雄の旧宅と場所は離れているが、山の中腹にあって、似た感じのたたずまいである。現在の私の家も似たような環境にある。芥川龍之介や里見弴の住んだのは平地で、鎌倉でももっと人家が多く、より賑やかな市街地だった。以前、大分の三浦梅園の旧宅に行ったことがあるが、やはり小林邸と似たような場所にあった。里山の中腹で小さな谷間を見下ろす位置である。) 小林秀雄の旧宅からは、市街地を超えて海が見える。水平線が凸凹しているのは、私の目のせいである。三日前に東大病院の眼科に行った。右の目がダメだということがしっかり判明した。子どものころから、右目がよく見えていなかった。双眼の実体顕微鏡を使っても、片目しか使わないから双眼の意味がない。望遠鏡やオペラグラスも同じ。立体視ができないのである。 そういえば、若い時から立体視が苦手だったなあと思い当たる。今頃わかっても打つ手がないが、これも人生の「仕方がない」のうちであろう。 現代人は「仕方がない」が苦手である。何事も思うようになると、なんとなく思っている風情である。コロナに関する議論をテレビで聞いていると、しみじみそう思う。ああすればよかったじゃないか、こうすればいいだろう。ほとんどの人が沈む夕日を扇で招き上げたという平清盛みたいになっている。「ああすれば、こうなる」というのは、いわゆるシミュレーションで、ヒトの意識がもっとも得意とする能力である。それがAIの発達を生んだ。これは右に述べてきたような私の人生観と合わない。 私の人生観なんか、どうでもいいが、世間がシミュレーション全盛の方向に進んでいくときに、人生をどう送ればいいのか。その世界では私の人生はおそらくノイズであり、それならどれだけのノイズが許容される世界なのかが問題となる。 そんなことを考えていると、それも一種のシミュレーションじゃないかと思い、面倒くさいなあ、AIに考えてもらいたい、と思ったりする。やっぱり話はいまではAIに尽きるのである』、「「ああすれば、こうなる」というのは、いわゆるシミュレーションで、ヒトの意識がもっとも得意とする能力である。それがAIの発達を生んだ。これは右に述べてきたような私の人生観と合わない。 私の人生観なんか、どうでもいいが、世間がシミュレーション全盛の方向に進んでいくときに、人生をどう送ればいいのか。その世界では私の人生はおそらくノイズであり、それならどれだけのノイズが許容される世界なのかが問題となる。 そんなことを考えていると、それも一種のシミュレーションじゃないかと思い、面倒くさいなあ、AIに考えてもらいたい、と思ったりする」、なるほど。
・『日本の若者の死因のトップは「自殺」  「人生論」などというヘンな主題になったのは、NHKの仕事がらみで、子どもの質問に答えるというのを引き受けたからで、十歳の小学生が「良い人生とは」という質問をしてきたのである。 もう一つは十代から三十代までの日本の若者の死因のトップが自殺だと知ったからである。人生ではなくて、「生き方」の問題だろうと、とりあえず回答したが、「生き方」の指南は私の仕事ではない。古来から宗教家の仕事に決まっている。宗教は衰退しているといわれるが、AIが宗教に変わったという意見もある。未来をもっぱらAIに託すからであろう。AIは碁将棋に勝つだけではない。なんにでも勝つのである。 自殺が多いのは、人生指南のニーズが高いであろうことを示唆している。日本でいうなら、コンビニより多いとされるお寺の前途は洋々である。若者が死にたがる理由は複雑であろう。とりあえず打つ手は思いつかない』、「十代から三十代までの日本の若者の死因のトップが自殺だと知ったからである。人生ではなくて、「生き方」の問題だろうと、とりあえず回答したが、「生き方」の指南は私の仕事ではない。古来から宗教家の仕事に決まっている。宗教は衰退しているといわれるが、AIが宗教に変わったという意見もある・・・自殺が多いのは、人生指南のニーズが高いであろうことを示唆している。日本でいうなら、コンビニより多いとされるお寺の前途は洋々である。若者が死にたがる理由は複雑であろう。とりあえず打つ手は思いつかない」、「お寺の前途は洋々」なのは「自殺が多い」ためというのは、その通りなのだろうが、余りに暗い。「若者が死にたがる理由は複雑であろう。とりあえず打つ手は思いつかない」と突き放しているが、「「生き方」の問題」は「古来から宗教家の仕事に決まっている」ので、やむを得ないことなのだろう。
タグ:「霊感商法や高額な献金は、それぞれの信者が強すぎる信仰心を“こじらせた”結果であって、それをオウム真理教のような「組織的な違法性」と断罪するのは「拡大解釈」にもほどがあるのだ・・・既に政府は「解散請求ありき」で進んでいる」、なるほど。 「旧統一教会・・・への解散請求がいよいよ秒読みになってきた・・・旧統一教会が組織的な違法行為をしていると国がお墨付きを与えると、ほとんどの宗教団体もアウトになる」、なるほど。 窪田順生氏による「旧統一教会の解散請求秒読みで「第2の過払い金バブル」が来る!寄付金・献金が標的に」 ダイヤモンド・オンライン (その12)(旧統一教会の解散請求秒読みで「第2の過払い金バブル」が来る!寄付金・献金が標的に、「自爆テロを見ても、容赦がない」日本の知性・養老孟司(86)がどんな宗教よりも「仏教」を信頼する理由 『生きるとはどういうことか』より、「打つ手は思いつかない」養老孟司(86)が「自殺する若者が絶えない日本」の現状について思うこと 『生きるとはどういうことか』より #2) 宗教 「あらゆる宗教団体には「被害を訴える人」がいる。信仰をやめた人は、その団体に不満や不信感があるからやめている。また、「今の自分」を肯定するには、過去の自分を「だまされていた」と否定しないとやっていられない。 だから、表立って被害者のいない宗教団体も、探して水を向ければ被害を訴えられる可能性がある。そういう被害者は、歴史が長くて信者数が多い教団ほど多いのだ」、その通りだ。 「「過払い金バブル」がつくられていく時の弁護士業界のアクションや社会のムードが、現代の旧統一教会問題に対するそれらと、うり二つだからだ」、不気味なことだ。 「消費者金融と宗教団体という違いはあれど、「被害者」が社会的に関心を集めて、彼らを救済する弁護士グループが、政府に対して「被害者救済の法整備をせよ」とゴリゴリに求めていたという構図は現代とまったく同じだ。 しかも、「悪をぶっつぶせ」という社会ムードも似ている」、その通りだ。 「昨今、大学生や無職の人がSNSで「闇バイト」に応募をして、詐欺や強盗のメンバーとして参加させられているが、なぜ「闇バイト」に応募をするのかというと、「低信用」でどこも金を貸してくれないからだ。学費や家賃で生活も困窮する中で、仕送りが何かの事情で途絶えたら、「闇バイト」に応募するしかない、というのが現実だ」、なるほど。 「弁護士業界は再び「過払い献金バブル」到来でうれしいかもしれないが、多くの宗教団体は経営難に追いやられるので、自主的に解散するところも出てくるだろう。しかし、神や仏に救い求める人たちは必ず存在するので、「新たな受け皿」として、「ヤミ宗教」が横行するかもしれない。宗教法人格を持たないので、行政や自治体のチェックも働かない。高額献金も霊感商法もやりたい放題だし、マルチ商法などとかけ合わせることも可能だ。 暴力団を使用者責任で規制したら、盃を受けない半グレが増えて結果、警察が把握しにくい「かたぎを利用した地下ビジネス」が広まったのと同じ構図が、宗教界でも起きるかもしれない。 旧統一教会を解散させたところで、宗教被害者は消えない。むしろ、宗教法人という「受け皿」をつぶしていけばいくほど、「闇」に飲み込まれる被害者が増えることを忘れてはいけない」、その通りだ。 文春オンライン「「自爆テロを見ても、容赦がない」日本の知性・養老孟司(86)がどんな宗教よりも「仏教」を信頼する理由 『生きるとはどういうことか』より」 『生きるとはどういうことか』(筑摩書房) 「人はなにごとであれ、思うようにしようとする。それは人の癖だから、どうしようもない。そういうものだと心得ておくしかない。それを説くのが仏教だと、私は勝手に信じている」、なるほど。 「いまでは世界は人間でできているというしかない。その人間の悪いところを無限に拡大するようなことは、勘弁してほしいと思う。でもそうはいかないといいつつ、欲望は無限に増大するように見える。やっぱりお釈迦様は偉い」、「釈迦様は偉い」については、理解できなかった。 文春オンライン「「打つ手は思いつかない」養老孟司(86)が「自殺する若者が絶えない日本」の現状について思うこと 『生きるとはどういうことか』より #2」 「私の恩師は旧制一高の同窓会に出た後、話題は病気と孫と勲章だけだ、と言っておられた。爺さんの話題はその辺に尽きるらしい」、私の場合は、さすがに「勲章」は無縁で、「孫」はいない人もいるので控え、専ら「病気」が共通の話題だ。 「人生の全体を通じる一言なんか、あるはずがないのである。若者には若者の、爺さんには爺さんの考えがあり、立場がある」、確かにその通りだ。ここまで突き離した言い方が出来るのも養老氏ならではだ。 「「ああすれば、こうなる」というのは、いわゆるシミュレーションで、ヒトの意識がもっとも得意とする能力である。それがAIの発達を生んだ。これは右に述べてきたような私の人生観と合わない。 私の人生観なんか、どうでもいいが、世間がシミュレーション全盛の方向に進んでいくときに、人生をどう送ればいいのか。 その世界では私の人生はおそらくノイズであり、それならどれだけのノイズが許容される世界なのかが問題となる。 そんなことを考えていると、それも一種のシミュレーションじゃないかと思い、面倒くさいなあ、AIに考えてもらいたい、と思ったりする」、なるほど。 「十代から三十代までの日本の若者の死因のトップが自殺だと知ったからである。人生ではなくて、「生き方」の問題だろうと、とりあえず回答したが、「生き方」の指南は私の仕事ではない。古来から宗教家の仕事に決まっている。宗教は衰退しているといわれるが、AIが宗教に変わったという意見もある・・・ 自殺が多いのは、人生指南のニーズが高いであろうことを示唆している。日本でいうなら、コンビニより多いとされるお寺の前途は洋々である。若者が死にたがる理由は複雑であろう。とりあえず打つ手は思いつかない」、「お寺の前途は洋々」なのは「自殺が多い」ためというのは、その通りなのだろうが、余りに暗い。「若者が死にたがる理由は複雑であろう。とりあえず打つ手は思いつかない」と突き放しているが、「「生き方」の問題」は「古来から宗教家の仕事に決まっている」ので、やむを得ないことなのだろう。
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歴史問題(18)(兵士1591人が「エリートのプライド」の犠牲になった…日本軍の「謹厳実直な武人」が無謀な作戦を立てたワケ 日本の破滅を招いた「恥の文化」、:731部隊 朝鮮人虐殺…不都合な歴史を「なかったことにしたい人たち」に感じた“怖さ”、ハンムラビ法典「目には目を」は「やられたら、やり返せ!」ではなかった…本来の意味は?) [社会]

歴史問題については、昨年4月15日に取上げた。今日は、(18)(兵士1591人が「エリートのプライド」の犠牲になった…日本軍の「謹厳実直な武人」が無謀な作戦を立てたワケ 日本の破滅を招いた「恥の文化」、:731部隊 朝鮮人虐殺…不都合な歴史を「なかったことにしたい人たち」に感じた“怖さ”、ハンムラビ法典「目には目を」は「やられたら、やり返せ!」ではなかった…本来の意味は?)である。

先ずは、昨年5月2日付けPRESIDENT Onlineが掲載sた軍事史研究家の藤井 非三四氏による「兵士1591人が「エリートのプライド」の犠牲になった…日本軍の「謹厳実直な武人」が無謀な作戦を立てたワケ 日本の破滅を招いた「恥の文化」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/69854
・『日本人の「恥の意識」は、非常事態において大変な損害をもたらすことがある。軍事史研究家の藤井非三四さんの著書『太平洋戦争史に学ぶ日本人の戦い方』(集英社新書)より、1941年の第二次長沙作戦で起きた悲劇を紹介しよう――』、興味深そうだ。
・『「恥の文化」は時に国家の破滅をもたらす  日本は「恥の文化」だと語られて久しい。普段は恥を知ることは美徳かもしれないが、戦争などの非常事態となるとそれは国家の破滅をもたらしかねない。 国難に直面した国家の指導者や高級指揮官の多くは、厚顔無恥で融通無碍であるのがごく普通で、勝利を収めさえすればそんな姿勢をあれこれ批判されることもない。ところが日本では、初志貫徹、首尾一貫しなければ恥ずかしく面目ないと凝り固まり、方針転換を渋りに渋って万事手遅れとなる場合が多い。 どうして進んで自縄自縛となったり、意地になって行動の幅を狭めてしまったりするのかと考えると、そこに虚栄心が働いているからだ。自分がいかに意志堅固で、なにかをやり遂げる強い決意があったかを知ってもらい、できれば史書に名前を残してもらいたい、という政治家や高級指揮官の心根が見え隠れする。 太平洋戦争中に限っても、こうした硬直した戦い方をして無意味な損害を被った例は数多くある。まず、昭和16年12月24日からの第二次長沙作戦だ』、「日本では、初志貫徹、首尾一貫しなければ恥ずかしく面目ないと凝り固まり、方針転換を渋りに渋って万事手遅れとなる場合が多い。 どうして進んで自縄自縛となったり、意地になって行動の幅を狭めてしまったりするのかと考えると、そこに虚栄心が働いているからだ。自分がいかに意志堅固で、なにかをやり遂げる強い決意があったかを知ってもらい、できれば史書に名前を残してもらいたい、という政治家や高級指揮官の心根が見え隠れする・・・こうした硬直した戦い方をして無意味な損害を被った例は数多くある。まず、昭和16年12月24日からの第二次長沙作戦だ」、なるほど。
・『日本軍は「不落」の長沙を制圧しにかかった 中国戦線の進攻作戦が一段落した昭和13(1938)年末、支那派遣軍の任務は占領地の治安確立と安定を図ることが主となった。しかし、それだけでは部隊の雰囲気が退嬰的になりかねないとされ、長江沿岸地域で限定的な進攻作戦を行ない、中国軍の戦力を減殺させることとなった。 ところが新たに進攻した地域を確保するだけの戦力がないため、攻め込んでは後退するピストン作戦にならざるを得ない。これを見た中国国民政府は、「またもや日本軍を撃退」と宣伝にこれ努め、日本側を苛立たせていた。 昭和16年9月18日からの「加号」作戦(第一次長沙作戦)もこのピストン作戦だった。実施部隊は4個師団を基幹とする第11軍、軍司令官は阿南惟幾中将(大分、陸士18期、歩兵)だった。目標は中国が「不陥」(攻略不可能)と宣伝してきた湖南省の省都である長沙だ。ここを占領すれば中国に和平の気運が生まれるのではとの淡い期待もあった』、「新たに進攻した地域を確保するだけの戦力がないため、攻め込んでは後退するピストン作戦にならざるを得ない。これを見た中国国民政府は、「またもや日本軍を撃退」と宣伝にこれ努め、日本側を苛立たせていた」、なるほど。
・『軍に広がる「完全占領ではなかった」との噂  第11軍の諸隊は、洞庭湖に注ぐ新墻河の線から一斉に攻勢を発起、100キロ南の長沙を目指した。そして早くも9月27日、先遣隊が長沙市街に突入し、翌日には第4師団(大阪)が入城した。予定していた通り、第11軍は10月1日から反転を始め、11月初旬までにもとの態勢に戻った。 ところがすぐに支那派遣軍の内で妙な話が交わされるようになった。中国が言うように長沙市街の一部には中国軍が残っており、第11軍が主張するように完全占領ではなかったらしいという噂だ。 侍従武官も務め、謹厳実直な武人として知られる阿南軍司令官にとって、これは面目の問題となり、この恥辱を雪がなければと思い詰めたようだ。また、長沙入城を第4師団に譲った形となった第3師団(名古屋)の豊嶋房太郎師団長(山口、陸士22期、歩兵)としても、「俺が長沙に行けば、こんな話にならなかったのに」という気持ちになったかもしれない』、「中国が言うように長沙市街の一部には中国軍が残っており、第11軍が主張するように完全占領ではなかったらしいという噂だ。 侍従武官も務め、謹厳実直な武人として知られる阿南軍司令官にとって、これは面目の問題となり、この恥辱を雪がなければと思い詰めたようだ」、「阿南軍司令官にとって、これは面目の問題となり、この恥辱を雪がなければと思い詰めたようだ」、軍事作戦でこのような捉え方をしたとは、その時代錯誤感に驚かされた。
・『師団が転用される前に再び長沙を叩く  雪辱戦を行なうとなれば急がねばならない。第4師団は長沙入城で花道を飾って、フィリピンに転用された。これで支那派遣軍に残る精強な常設師団は第3師団と第6師団(熊本)だけとなり、これもまたほかの戦線に転用されるのは時間の問題と思われた。 そうなると支那派遣軍は警備師団、治安師団、独立混成旅団からなる治安軍となり、ピストン作戦すらも行なう戦力がなくなる。そこで第3師団と第6師団が残っているうちに、再び長沙作戦を行なわなければならないという話になった。 しかし、ひとたび南方作戦が始まれば、再度の長沙作戦など大本営はもちろん支那派遣軍も難色を示す。そこで阿南軍司令官が唱え出したのが「徳義の作戦」だった。 開戦劈頭、支那派遣軍の第23軍が香港攻略に向かう。これに対応すべく中国軍は広東省正面に圧力を加えるだろう。そこでこの中国軍の動きを牽制するため、第11軍は再度長沙正面で攻勢に出るという構想だ。 だれもがエゴイストになりがちな戦場で、自ら進んで友軍のために動くというのだから、まさに徳義の作戦、「武人阿南」の面目躍如ということになる(佐々木春隆『長沙作戦 緒戦の栄光に隠された敗北』光人社NF文庫、2007年)』、「ひとたび南方作戦が始まれば、再度の長沙作戦など大本営はもちろん支那派遣軍も難色を示す。そこで阿南軍司令官が唱え出したのが「徳義の作戦」だった。 開戦劈頭、支那派遣軍の第23軍が香港攻略に向かう。これに対応すべく中国軍は広東省正面に圧力を加えるだろう。そこでこの中国軍の動きを牽制するため、第11軍は再度長沙正面で攻勢に出るという構想だ」、なるほど。
・『軍司令部は長沙作戦に懐疑的だったが…  まず問題となるのは、この作戦の効果だ。長沙と香港付近の広州とは粤漢線で結ばれているが、直線でも550キロ以上も離れている。長沙に圧力が加えられたからと、すぐさま反応するような敏感さを中国軍が持ち合わせているとは思えない。さらに第4師団がフィリピンに転用されたため、第11軍が投入できる兵力は第一次作戦の歩兵大隊46個基幹から22個基幹にまで減っている。 第11軍司令部でも、再度の長沙進攻には懐疑的な意見が多かった。参謀長の木下勇少将(福井、陸士26期、騎兵)は、もし香港攻略の第23軍が苦戦に陥ったならば、やむなく長沙に行かざるを得ないという程度の認識だった。後方担当の参謀副長だった二見秋三郎少将(神奈川、陸士28期、歩兵、航空転科)は、補給幹線を維持できるのは汨水までという姿勢を崩さなかった。作戦参謀の島村矩康中佐(高知、陸士36期、歩兵)にいたっては、ピストン作戦そのものに批判的だった』、「軍司令部は長沙作戦に懐疑的だったが…」、さらに第一線指揮官の多くも懐疑的だったと、作戦自体に無理があったようだ。
・『「恥ずかしさ」が軍事的合理性を押し退けた  こうして長沙への再進攻はむずかしくなったが、阿南軍司令官は諦めなかった。ここで断念すれば恥ずかしい限りという意識が働いていたのだろう。加えて第3師団長の豊嶋房太郎も積極的だった。 この2人の関係だが、阿南が陸軍次官のときに豊嶋は憲兵司令官で直属の部下という形だった。そして豊嶋が第3師団長に転出すると、追いかける形で阿南が第11軍司令官となった。中央官衙で上司と部下、出征してからは軍司令官と師団長という関係は、そうあることではない。 豊嶋は第3師団長を昭和15年9月から務めているから、そろそろ転属の時期だ。本人としても花道を飾りたいという思いがあっただろうし、上官の阿南としても飾ってやりたいという気持ちになっても不思議ではない。また、第3師団は昭和12年8月以来、長らく中国戦線にあったから内地に帰還するか、ほかの戦線に転用される可能性が高まっていた。これまた大陸戦線の最後に快勝させて送り出してやりたいという気持ちにもなる。このような人情論が出てくると、軍事的な合理性が引っ込むことになりかねない。 友軍のための「徳義の作戦」という話が称賛の声とともに広まってしまった以上、第11軍としてもなにかしなければ格好がつかない。また、太平洋戦争が開戦となって香港攻略戦が始まると、第11軍正面の中国軍が動きだして南下しつつあることが偵知され、これを牽制することになった。具体的には兵力や補給の問題から長沙までは行かないが、屈原(楚の詩人)が入水したことで知られる汨水の南岸まで進出して中国軍を打撃することと決められた。徳義の作戦を屈原で知られる汨水一帯で展開するとなると、ヒロイズムに酔い出すのが当時の日本人だ』、「徳義の作戦を屈原で知られる汨水一帯で展開するとなると、ヒロイズムに酔い出すのが当時の日本人だ」、どういうことなのだろう。
・『軍総司令部には一言もなく独断で作戦を決行  第二次長沙作戦に発展する「さ号」作戦は、香港陥落の前日の昭和16年12月24日に始まった。豊嶋は留守近衛師団長(出征した師団のあとを管理する部隊長)への異動内示を受け取っていたが、これを握り潰して第一線に立った。このときすでに豊嶋は長沙に突進する決心を固めており、阿南との暗黙の合意もあったと見てよいだろう。 作戦は順調に進展し、第11軍主力は12月29日までに汨水の南岸に渡河していた。そしてその日の夕刻、中国軍が長沙に向けて後退中と航空偵察で知った阿南軍司令官は、即刻、長沙への追撃を決心した。支那派遣軍総司令部には一言もなく、阿南のまったくの独断だったという。歩兵大隊22個基幹という戦力で長沙まで押しだせるのかという問題はさておき、そもそも補給幹線の準備は岳州から汨水までであり、汨水から長沙までの70キロには補給の準備がない。 昭和17年1月1日から3日にかけて、第3師団と第6師団は長沙市街に取り付いた。ところが中国軍は長沙死守の構えを見せた。そのため軍旗を集めて保管していた第3師団の指揮所までが戦闘に巻き込まれ、豊嶋師団長自らが旗護中隊長を務めるという難戦に追い込まれた。これでは長沙の完全占領など無理と判断され、1月3日から北上、全軍反転となった』、「補給幹線の準備は岳州から汨水までであり、汨水から長沙までの70キロには補給の準備がない・・・これでは長沙の完全占領など無理と判断され、1月3日から北上、全軍反転となった」、なるほど。
・『1591人の命が不合理な判断で奪われた  第二次長沙作戦の本番は、実はそれからだった。中国軍は退却する日本軍の縦隊を両側から叩き上げた。これを中国では「天炉戦法」という。こちらに十分な火力があれば対応できるのだが、日本軍の第一線に弾薬が補給されたのは1月11日が最初で、それまでは一切補給がなかったというから、天炉戦法の前に苦戦するのも無理はない。その結果、第11軍は戦死1591人、戦傷4412人という大損害を被った(図表1参照)。 「長沙を完全には占領できなかった」「占拠5日で逃げ帰った」といった噂話をまともに受け止めて、これは耐えがたい恥辱、雪辱するとなって強行されたのが第二次長沙作戦であり、その結果がこの大損害だった。高い地位にある者に過剰な恥の意識があると、合理的な判断が阻害され、悲劇が生まれることをこの第二次長沙作戦は物語っている』、「第11軍は戦死1591人、戦傷4412人という大損害を被った・・・「長沙を完全には占領できなかった」「占拠5日で逃げ帰った」といった噂話をまともに受け止めて、これは耐えがたい恥辱、雪辱するとなって強行されたのが第二次長沙作戦であり、その結果がこの大損害だった。高い地位にある者に過剰な恥の意識があると、合理的な判断が阻害され、悲劇が生まれることをこの第二次長沙作戦は物語っている」、信じ難くお粗末極まる軍事作戦だ。

次に、9月5日付け文春オンライン「731部隊、朝鮮人虐殺…不都合な歴史を「なかったことにしたい人たち」に感じた“怖さ”」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/65538
・『あったことを無かったことにしたい人たちがいる。そんな怖さを感じた記事がこの夏にいくつかありました。 まずは「731部隊」についての企画記事を紹介します。信濃毎日新聞の「戦後78年 731部隊の記憶」です(8月11日~17日)。 第1回の記事は『県内元少年隊員2人にネット上で中傷の声 命懸けの証言「嘘」呼ばわり』。 戦時中、満州で細菌兵器開発や人体実験などの残虐行為を実行した731部隊について元隊員が命懸けで証言したら、ネットで「このジジイ、嘘ついてやがる。か、実在しない人物だな」などの誹謗中傷が少なくなかったという』、ネット右翼のいやがらせは、いつもながら自民党政府の意向を代弁した見苦しいものだ。
・『国の姿勢に「まだ隠そうとするのか」と疑問  731部隊の「少年隊」に入隊した清水英男さん(93)は、人体実験で犠牲になった捕虜や、故郷から遠く離れた地で亡くなった仲間のために「命を懸けて証言している」と語る。 同じく元隊員の須永鬼久太さん(95)は部隊の撤退時に上官から「公職に就かない」「部隊について口外しない」「隊員同士連絡を取らない」と3つの禁止命令を受けた。須永さんは証言が積み重ねられているにも関わらず、いまだに部隊の活動実態を認めようとしない国の姿勢に「まだ隠そうとするのか」と疑問を感じている。 そんななか、元隊員(清水さん)の体験談は昨年5月の飯田市平和祈念館のオープン時に展示が見送られた。その理由は「さまざまな意見がある」というものだった。 《「さまざまな意見」とは、細菌戦を示す資料は「現時点で確認されていない」とした2003年の小泉純一郎首相(当時)の国会答弁や、人体実験などの証言が「子どもたちには生々しすぎる」といった指摘を指す。》(8月16日) 「さまざまな意見」というが、清水さんは「みんなが本当のことを話してくれていたら、私の証言の展示が見送られることはなかったと思います」と述べる』、「証言が積み重ねられているにも関わらず、いまだに部隊の活動実態を認めようとしない国の姿勢に「まだ隠そうとするのか」と疑問を感じている」、同感である。
・『「知らない」ままを望む人もいる  取材を終えた記者は、部隊による残虐行為に対する元幹部たちの反省なき態度を感じたと書いている(8月17日)。 そして、 《部隊の実態について証言できる関係者が亡くなり、記録は残されず、部隊の存在そのものが忘れ去られる――。敗戦時に残虐行為の証拠を徹底的に消し去り、戦後も口を閉ざし続けた部隊の元幹部が待ち望んでいたのは、まさにそうした社会だったのだろう。》 ゾッとする。私たちが「知らない」ままを望む人もいるのだ。検証や語り伝えが必要な理由がわかる。新聞やテレビの役割はここにあるのではないか』、「ゾッとする。私たちが「知らない」ままを望む人もいるのだ。検証や語り伝えが必要な理由がわかる。新聞やテレビの役割はここにあるのではないか」、その通りだ。
・『歴史から目を背ける小池知事  731部隊だけではない。先日、関東大震災から100年が経過したが、こんなニュースがあった。 『小池知事、今年も追悼文送らず 関東大震災の朝鮮人慰霊式典 東京』(時事通信9月1日) 《東京都の小池百合子知事は、1日に都内で行われた関東大震災の朝鮮人犠牲者を慰霊する式典に追悼文を送らなかった。送付の取りやめは2017年から7年連続。小池氏は同日の定例記者会見で、理由について「毎年(都慰霊協会が営む)大法要において、都知事として犠牲となった全ての方々への哀悼の意を表している」と述べた。》 朝鮮人による暴動が起きている、などのデマがきっかけで虐殺は起きた。あの石原慎太郎元知事でさえ送っていた追悼文だが、2017年からとりやめている小池都知事。その理由について大法要において「犠牲となった全ての方々へ」哀悼の意を表しているというがこれは話のすり替えだ。朝鮮人犠牲者は地震で亡くなったわけではない。デマによって起きた虐殺で亡くなったからだ。小池都知事は歴史の事実に向き合おうとしなくなったと言える』、「あの石原慎太郎元知事でさえ送っていた追悼文だが、2017年からとりやめている小池都知事・・・その理由について大法要において「犠牲となった全ての方々へ」哀悼の意を表しているというがこれは話のすり替えだ。朝鮮人犠牲者は地震で亡くなったわけではない。デマによって起きた虐殺で亡くなったからだ」、その通りだ。
・『2017年に都議会で起きたこと  では、追悼文を送付しなくなった2017年に何が起きたのか? 3月の都議会でのある自民党都議の質問がきっかけだった。『トリック「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(加藤直樹 著)という本によるとこの自民党都議は、 《私は、小池知事にぜひ目を通してほしい本があります。ノンフィクション作家の工藤美代子さんの『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』であります》 と語ったという。実は『トリック「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』では、工藤美代子・加藤康男夫妻が著した虐殺否定本を取り上げ、どのように間違っているかを検証し、仕掛けられた“トリック”の数々を明らかにしている。しかしネット上で広まる「虐殺は無かった」論は、工藤美代子氏らの言説を鵜呑みにしたものが多いのだ』、『トリック「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』といったデマゴーグを放置している「小池知事」の姿勢には腹が立つ。
・『「さまざまな説がある」と言うが…  先述した「731部隊」の記事でもそうだったが、公的な人間による「さまざまな説がある」という言葉はあたかも両論併記のように聞こえるが、それは事実から目をそらすことにつながる。しかし先週こんなニュースが。 『関東大震災の朝鮮人虐殺、松野官房長官「事実関係把握する記録見当たらない」』(読売新聞オンライン8月31日) 松野官房長官は30日の記者会見で、デマによって起きた朝鮮人虐殺について「政府として調査した限り、事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」と述べた。新たに事実関係を調査する考えはあるかとの問いには否定的な認識を示した。 31日の会見では、過去に政府の会議が報告書で朝鮮人虐殺を認定していることについて「(報告書は)有識者が執筆したものであり、政府の見解を示したものではない」と述べた。 これらは「虐殺はなかった」論を擁護しているとは言わないまでも、野放しに加担してしまわないかという危惧を感じる。むしろ率先しておこなうべきは検証と反省ではないか? 過去の日本人が巨悪で現在の私たちは大丈夫というわけではないからだ。同じ人間だからである。情報不足に不安と興奮、それに偏見と無知が加われば時代は関係ない』、「これらは「虐殺はなかった」論を擁護しているとは言わないまでも、野放しに加担してしまわないかという危惧を感じる。むしろ率先しておこなうべきは検証と反省ではないか?」、その通りだ。
・『差別意識が生んだ悲劇(たとえばこの記事を見ていただきたい。) 『記者の目 関東大震災と朝鮮人虐殺 差別意識を克服できたか=島袋太輔(東京社会部)』(毎日新聞 9月1日)  この記事では沖縄出身の男性ら3人が虐殺された「検見川事件」についても書かれている。沖縄出身の男性が殺された理由について「ウチナーンチュ(沖縄の人)はなまりがあるから、朝鮮人と思い込まれたのでは」と研究者は推測する。残る2人は秋田、三重両県の出身で2人もなまりを理由に殺されたとみる。震災当時に上京していた沖縄出身の歴史学者は「朝鮮人だろう」「言葉が少し違う」と詰問されるなどしたという。 沖縄出身の島袋記者は、 《朝鮮人だから武装蜂起をしようとしている、知らない言葉を使うから、発音が滑らかでないから朝鮮人に違いない――。こんな思い込みは、どれも差別意識の産物に他ならない。》 と書く』、「「検見川事件」についても書かれている。沖縄出身の男性が殺された理由について「ウチナーンチュ(沖縄の人)はなまりがあるから、朝鮮人と思い込まれたのでは」と研究者は推測する。残る2人は秋田、三重両県の出身で2人もなまりを理由に殺されたとみる」、歴史を正しくみる必要があり、「検見川事件」などについても改めて事実の検証を行うべきだ。
・『「無関心が行き着く先は差別だ」  昨年にはこんな出来事があった。 『ひろゆきさん「沖縄の人って文法通りしゃべれない」 配信動画の発言、また物議』(琉球新報10月12日) 『ひろゆき氏「沖縄の人って文法通りしゃべれない」 県民の“日本語”めぐり発言』(沖縄タイムス10月12日) 《辺野古新基地建設に対する抗議行動をやゆしているインターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者のひろゆき(西村博之)氏が、自らのユーチューブ配信で「沖縄の人って文法通りしゃべれない」「きれいな日本語にならない人の方が多い」などとヘイトスピーチをしていたことが分かった。沖縄キリスト教学院大学の新垣誠教授(国際人権論)は「非常に危険だ。日本軍は『標準語』ではない沖縄の言葉を話す住民を虐殺した」と批判した。》(沖縄タイムス、前掲) 100年前は過去ではない。「差別意識がうかがえる出来事は今も散見される」「無関心が行き着く先は差別だ。教訓を学ばないから差別は繰り返されるのではないか」(毎日新聞、前掲)という言葉を考えたい』、「インターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者のひろゆき(西村博之)氏が、自らのユーチューブ配信で「沖縄の人って文法通りしゃべれない」「きれいな日本語にならない人の方が多い」などとヘイトスピーチをしていたことが分かった」、「ひろゆき」氏には心底失望した。

第三に、本年1月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した歴史の謎研究会による「ハンムラビ法典「目には目を」は「やられたら、やり返せ!」ではなかった…本来の意味は?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337335
・『近年、世界を取り巻く状況は目まぐるしく変化しています。現在進行中のウクライナ問題にしても、パレスチナ問題にしても、じつは歴史的背景を知っているかどうかで、理解度は大きく変わってくるのです。世界史はダイナミズムに満ちた壮大な物語、興味深いエピソードの宝庫です。もちろん、「大人の教養」としても、世界史の重要ポイントくらい頭に入れておきたいもの。『読み出したら止まらない 世界史の裏面』(青春出版社)から、興味深い世界史のエピソードをご紹介します』、興味深そうだ。
・『古代ギリシアの彫刻群が大英博物館に大量にそろっている理由  世界最大を誇るロンドンの大英博物館には、「エルギン・マーブル」と呼ばれる古代ギリシアの彫刻群を展示した一角がある。 エルギン・マーブルは、アテネのパルテノン神殿を飾っていた大理石のレリーフや彫刻のコレクションで、大英博物館の超目玉展示物。このコレクションを「エルギン・マーブル」(マーブルは大理石のこと)と呼ぶのは、今から約200年前、これらをアテネからイギリスに持ち込んだのが、エルギン伯(1766~1841)だったからだ。 エルギン伯は、大英帝国の在トルコ大使をつとめていたとき、当時オスマン帝国の支配下にあったギリシアを訪れて、パルテノン神殿を目のあたりにした。パルテノン神殿は、オスマン帝国の弾薬庫として利用されていた関係で、ヴェネチア軍の砲撃を受けて大破していたが、それでもその美しさは失われていなかった。) エルギン伯は、たちまちその建築に魅了され、トルコ政府の許可を得て、神殿の周囲にある大理石の彫像やレリーフの模造品を作った。さらに、1801年、エルギン伯は、トルコ政府要人との人脈を使って「アクロポリスでの測量、調査、発掘、さらに彫刻や碑文の持ち出しを認める」という勅許状を手にし、模造品を作るためといって彫像を掘り起こし、壁面をはぎとった。そして、それらを強引にイギリスまで運んでしまったのだ。 彼のやったことは泥棒同然の行為だったが、トルコ政府は、異民族・異教徒のギリシア文化を重視していなかったため、この略奪行為を黙認した。 しかし、イギリスで「他国の重要な文化遺産を盗むとはけしからん」という声が高まり、エルギン伯はついに議会で非難されるにいたった。 結局、彼は議会に命じられるままに、コレクションを大英博物館に売却せざるをえなくなった。買取価格は、わずか3万5000ポンド。大英博物館は、ずいぶんおトクな買い物をしたことになる。 ちなみに、大英博物館は、このコレクションのほかにも、エジプトのミイラやロゼッタストーンなど、旧植民地などから持ち帰ったものが多数所蔵されている』、「エルギン・マーブル」の帰属問題はまだギリシャ・英国間でもめている。例えば、AFPの2023年11月23日付けでは「英、ギリシャとの首脳会談ドタキャン 大英博物館の遺物返還めぐり」となったようだ。
・『ハンムラビ法典の「目には目を」は「やられたら、やり返せ!」とは違う意味だった?  ハンムラビ法典は「目には目を、歯には歯を」というフレーズで知られる。 この「目には目を」、今は「やられたら、やり返せ!」という意味で使われることが多いが、本来の意味は少しちがう。 紀元前1770年頃のバビロニアでは、暴力行為が互いの報復によってエスカレートすることがしばしばあった。とくに、殺人に対する報復は、むしろ神聖な行為とみなされたので、報復が報復を呼び、互いに当事者がいなくなるまで繰り返された。 そこで、ハンムラビ王は、社会秩序を維持するために、「同害報復」の原則を定めた。報復する相手は当事者のみとし、同等の処罰を与えるというものだ。つまり、「やられたら、やり返せ!」ではなく、「やられても、必要以上にやり返したらダメですよ」というのが、「目には目を」の本来の意味である。) ハンムラビ法典は、すべての条文が完全なかたちでのこっている法典としては、世界最古のものだ。 ということもあって、さぞ立派な法律と思っている人も多いだろうが、それは誤解に近い。なにしろ、4000年も前の社会通念・モラルに基づいて成立した法律、現代の目からみれば、驚くような条文が並んでいる。 たとえば、全237条の第1条は、「人を死刑に価すると訴えて立証されなければ、死刑に処す」。まるで、トランプゲームの「ダウト」のようなシステムだ。しかも、立証する手段がないときは、被告者を水に投げ込んで溺れて死ねば有罪。生きて浮かんでくれば無罪で、逆に原告が死刑になる、というように、現代の目からみれば、乱暴きわまる法律が並んでいる』、「ハンムラビ法典では、「同害報復」の原則を定めた。報復する相手は当事者のみとし、同等の処罰を与えるというものだ。つまり、「やられたら、やり返せ!」ではなく、「やられても、必要以上にやり返したらダメですよ」というのが、「目には目を」の本来の意味である」、なるほど。
・『「黄巾の乱」「赤壁の戦い」…  三国時代の人口を激減させた『三国志』の背景  後漢末から、魏、呉、蜀が分立して晋が統一をはたすまでの三国時代は、大勢のヒーローが登場した時代である。蜀の劉備、魏の曹操、呉の孫権のほか、諸葛孔明、関羽、張飛らの活躍は、『三国志』でおなじみだろう。 彼らが登場した後漢末は、外戚と宦官の勢力が大きくなり、大土地所有が進行して、農民の生活がひじょうに苦しくなった時代だった。そして、184年に「黄巾(こうきん)の乱」と呼ばれる農民反乱が起きると、各地で立て続けに反乱が起こるようになり、地方の治安はメチャクチャになった。 だが、すでに末期症状を呈していた漢王朝には、その反乱を鎮圧するだけの力はなく、兵力をもつ豪族に官位を与えてこの事態を乗り切るしかなかった。 そのなかから、頭角を現したのが魏、呉、蜀の3国である。とくに、華北を支配した魏は3国のうち最大最強で、曹操は天下統一まであと少しのところにいた。 ところが、208年の「赤壁の戦い」で、蜀の劉備と呉の孫権の連合軍に、曹操は大敗を喫する。 もし、曹操がこの戦いに勝っていたら、まちがいなく天下を手にしていただろうが、歴史はそうならなかった。この敗北で曹操は中国統一をあきらめ、中国の分裂は決定的になった。)220年、曹操が没して息子の曹丕(そうひ)が跡を継ぐと、細々とつづいていた後漢の皇帝から帝位を譲られ、魏王朝が成立する。 だが、劉備や孫権はそれを認めず、翌年、劉備は蜀の皇帝に、229年には孫権は呉の皇帝に即位した。以後、三つ巴の戦いが続くが、一国が抜きん出ると、他の二国がそれを阻止する格好になったため、結局この中から天下をとる者は現れなかった。 戦乱が続くなか、飢饉による餓死者があいつぎ、後漢末には約5000万人だった人口が、この頃になると、魏・呉・蜀あわせても500万人までに激減していたという説もある。 三国時代とは、それくらい厳しい時代だったのである』、「後漢末には約5000万人だった人口が、この頃になると、魏・呉・蜀あわせても500万人までに激減していたという説もある」、凄い「飢饉」だったようだ。
・『ロシアの歴史は侵略の歴史か 広大な国のはじまりは北海道ほどの広さのモスクワ大公国  ロシアの国土面積は、約1710万平方キロメートル。日本の国土の約45倍、世界の陸地の8分の1に相当する広さを誇る。 そのロシアの歴史は、面積わずか8万平方キロメートル、北海道ほどの広さのモスクワ大公国からはじまった。 モスクワ大公国は当初、東方から侵攻してきたモンゴルのキプチャク・ハン国の支配下にあったが、イワン1世が他のロシア諸侯国に対する宗主権を獲得し、イワン3世の時代の1480年、キプチャク・ハン国から独立した。 そして、同3世は、東ローマ帝国最後の皇帝の姪と結婚し、自らをローマ帝国の後継者という意味で、「ツァーリ」(皇帝)の称号を用いた。1453年、東ローマ帝国が滅び、ギリシア正教の中心もロシアへ移ってきていた。 このイワン3世の孫にあたるのが、「雷帝(らいてい)」こと、イワン4世だ。彼は「全ロシアのツァーリ」を自認し、東方へ勢力を伸ばし、モンゴルの残存勢力から、シベリアの土地を次々と奪いとっていく。 そして、不凍港を求めて、黒海地方にも進出する。そうして、ロシアは東、そして南へと、国土を拡大していった。いずれも、強力な勢力がいないエリアだったので、かつて東方から攻めこんだモンゴルが大帝国を築いたように、今度はロシアが西から侵略を開始して、世界最大の国を築くことになったのだ』、「イワン3世の孫にあたるのが、「雷帝(らいてい)」こと、イワン4世だ。彼は「全ロシアのツァーリ」を自認し、東方へ勢力を伸ばし、モンゴルの残存勢力から、シベリアの土地を次々と奪いとっていく。 そして、不凍港を求めて、黒海地方にも進出する。そうして、ロシアは東、そして南へと、国土を拡大していった。いずれも、強力な勢力がいないエリアだったので、かつて東方から攻めこんだモンゴルが大帝国を築いたように、今度はロシアが西から侵略を開始して、世界最大の国を築くことになったのだ」、「イワン雷帝」を描いたエイゼンシュタイン監督の映画を観た記憶がある。ロシアの黄金期だったのだろう。
タグ:歴史問題 (18)(兵士1591人が「エリートのプライド」の犠牲になった…日本軍の「謹厳実直な武人」が無謀な作戦を立てたワケ 日本の破滅を招いた「恥の文化」、:731部隊 朝鮮人虐殺…不都合な歴史を「なかったことにしたい人たち」に感じた“怖さ”、「黒船」が日本にきたとき 実は「ペリー」もまた「驚愕」していた…彼が「日本人」について語った「驚くべき内容」) PRESIDENT ONLINE 藤井 非三四氏による「兵士1591人が「エリートのプライド」の犠牲になった…日本軍の「謹厳実直な武人」が無謀な作戦を立てたワケ 日本の破滅を招いた「恥の文化」」 「日本では、初志貫徹、首尾一貫しなければ恥ずかしく面目ないと凝り固まり、方針転換を渋りに渋って万事手遅れとなる場合が多い。 どうして進んで自縄自縛となったり、意地になって行動の幅を狭めてしまったりするのかと考えると、そこに虚栄心が働いているからだ。自分がいかに意志堅固で、なにかをやり遂げる強い決意があったかを知ってもらい、できれば史書に名前を残してもらいたい、という政治家や高級指揮官の心根が見え隠れする・・・こうした硬直した戦い方をして無意味な損害を被った例は数多くある。まず、昭和16年12月24日からの 第二次長沙作戦だ」、なるほど。 「新たに進攻した地域を確保するだけの戦力がないため、攻め込んでは後退するピストン作戦にならざるを得ない。これを見た中国国民政府は、「またもや日本軍を撃退」と宣伝にこれ努め、日本側を苛立たせていた」、なるほど。 「中国が言うように長沙市街の一部には中国軍が残っており、第11軍が主張するように完全占領ではなかったらしいという噂だ。 侍従武官も務め、謹厳実直な武人として知られる阿南軍司令官にとって、これは面目の問題となり、この恥辱を雪がなければと思い詰めたようだ」、「阿南軍司令官にとって、これは面目の問題となり、この恥辱を雪がなければと思い詰めたようだ」、軍事作戦でこのような捉え方をしたとは、その時代錯誤感に驚かされた。 「ひとたび南方作戦が始まれば、再度の長沙作戦など大本営はもちろん支那派遣軍も難色を示す。そこで阿南軍司令官が唱え出したのが「徳義の作戦」だった。 開戦劈頭、支那派遣軍の第23軍が香港攻略に向かう。これに対応すべく中国軍は広東省正面に圧力を加えるだろう。そこでこの中国軍の動きを牽制するため、第11軍は再度長沙正面で攻勢に出るという構想だ」、なるほど。 「軍司令部は長沙作戦に懐疑的だったが…」、さらに第一線指揮官の多くも懐疑的だったと、作戦自体に無理があったようだ。 「徳義の作戦を屈原で知られる汨水一帯で展開するとなると、ヒロイズムに酔い出すのが当時の日本人だ」、どういうことなのだろう。 「補給幹線の準備は岳州から汨水までであり、汨水から長沙までの70キロには補給の準備がない・・・これでは長沙の完全占領など無理と判断され、1月3日から北上、全軍反転となった」、なるほど。 「第11軍は戦死1591人、戦傷4412人という大損害を被った・・・「長沙を完全には占領できなかった」「占拠5日で逃げ帰った」といった噂話をまともに受け止めて、これは耐えがたい恥辱、雪辱するとなって強行されたのが第二次長沙作戦であり、その結果がこの大損害だった。高い地位にある者に過剰な恥の意識があると、合理的な判断が阻害され、悲劇が生まれることをこの第二次長沙作戦は物語っている」、信じ難くお粗末極まる軍事作戦だ。 文春オンライン「731部隊、朝鮮人虐殺…不都合な歴史を「なかったことにしたい人たち」に感じた“怖さ”」 ネット右翼のいやがらせは、いつもながら自民党政府の意向を代弁した見苦しいものだ。 「証言が積み重ねられているにも関わらず、いまだに部隊の活動実態を認めようとしない国の姿勢に「まだ隠そうとするのか」と疑問を感じている」、同感である。 「ゾッとする。私たちが「知らない」ままを望む人もいるのだ。検証や語り伝えが必要な理由がわかる。新聞やテレビの役割はここにあるのではないか」、その通りだ。 「あの石原慎太郎元知事でさえ送っていた追悼文だが、2017年からとりやめている小池都知事・・・その理由について大法要において「犠牲となった全ての方々へ」哀悼の意を表しているというがこれは話のすり替えだ。朝鮮人犠牲者は地震で亡くなったわけではない。デマによって起きた虐殺で亡くなったからだ」、その通りだ。 『トリック「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』といったデマゴーグを放置している「小池知事」の姿勢には腹が立つ。 「これらは「虐殺はなかった」論を擁護しているとは言わないまでも、野放しに加担してしまわないかという危惧を感じる。むしろ率先しておこなうべきは検証と反省ではないか?」、その通りだ。 「「検見川事件」についても書かれている。沖縄出身の男性が殺された理由について「ウチナーンチュ(沖縄の人)はなまりがあるから、朝鮮人と思い込まれたのでは」と研究者は推測する。残る2人は秋田、三重両県の出身で2人もなまりを理由に殺されたとみる」、歴史を正しくみる必要があり、「検見川事件」などについても改めて事実の検証を行うべきだ。 「インターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者のひろゆき(西村博之)氏が、自らのユーチューブ配信で「沖縄の人って文法通りしゃべれない」「きれいな日本語にならない人の方が多い」などとヘイトスピーチをしていたことが分かった」、「ひろゆき」氏には心底失望した。 ダイヤモンド・オンライン 歴史の謎研究会による「ハンムラビ法典「目には目を」は「やられたら、やり返せ!」ではなかった…本来の意味は?」 『読み出したら止まらない 世界史の裏面』(青春出版社) 「エルギン・マーブル」の帰属問題はまだギリシャ・英国間でもめている。例えば、AFPの2023年11月23日付けでは「英、ギリシャとの首脳会談ドタキャン 大英博物館の遺物返還めぐり」となったようだ。 「ハンムラビ法典では、「同害報復」の原則を定めた。報復する相手は当事者のみとし、同等の処罰を与えるというものだ。つまり、「やられたら、やり返せ!」ではなく、「やられても、必要以上にやり返したらダメですよ」というのが、「目には目を」の本来の意味である」、なるほど。 「後漢末には約5000万人だった人口が、この頃になると、魏・呉・蜀あわせても500万人までに激減していたという説もある」、凄い「飢饉」だったようだ。 「イワン3世の孫にあたるのが、「雷帝(らいてい)」こと、イワン4世だ。彼は「全ロシアのツァーリ」を自認し、東方へ勢力を伸ばし、モンゴルの残存勢力から、シベリアの土地を次々と奪いとっていく。 そして、不凍港を求めて、黒海地方にも進出する。そうして、ロシアは東、そして南へと、国土を拡大していった。いずれも、強力な勢力がいないエリアだったので、かつて東方から攻めこんだモンゴルが大帝国を築いたように、今度はロシアが西から侵略を開始して、世界最大の国を築くことになったのだ」、 「イワン雷帝」を描いたエイゼンシュタイン監督の映画を観た記憶がある。ロシアの黄金期だったのだろう。
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教育(その31)(名門・平安女学院の「クーデター事件」が恐ろしすぎる…辞任に追い込まれた名物理事長の告白《女性校長は 中高生までストライキに巻き込んだ》、港区の公立中学「修学旅行はシンガポール」は“格差”の象徴か ネットは炎上も専門家は「評価すべき」、「ロースクールは意味ない」現役学生が断言のワケ 抜け道“予備試験”こそ本命の皮肉) [社会]

教育については、本年7月11日に取上げた。今日は、(その31)(名門・平安女学院の「クーデター事件」が恐ろしすぎる…辞任に追い込まれた名物理事長の告白《女性校長は 中高生までストライキに巻き込んだ》、港区の公立中学「修学旅行はシンガポール」は“格差”の象徴か ネットは炎上も専門家は「評価すべき」、「ロースクールは意味ない」現役学生が断言のワケ 抜け道“予備試験”こそ本命の皮肉)である。

先ずは、8月23日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの井上 久男氏による「名門・平安女学院の「クーデター事件」が恐ろしすぎる…辞任に追い込まれた名物理事長の告白《女性校長は、中高生までストライキに巻き込んだ》」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/115198?imp=0
・『80億円近い累積債務  1875(明治8)年に設立され、日本で最初にセーラー服を制服に導入したと言われる老舗の女子中高を抱え、法人本部が京都御所の向かいにある名門の学校法人・平安女学院(京都市)で、理事長や学院長を長年務めていた山岡景一郎氏(92歳)が今年4月2日付で突如、辞任に追い込まれた。氏は経営破たん寸前の同学院を救済した功労者で、高齢ながらも、頭脳明晰で教育への熱意は衰えることがなく、政財界に太いパイプがある「名物理事長」として知られていた。 辞任の背景には「クーデターがあった」と指摘する声も出ている。なぜなら辞任に至る半年ほど前から一部の幹部らが週刊誌に対し、山岡氏にパワハラがあるかのような情報を流し、氏を追い出そうとしていると見られても仕方ない動きが起こっていたからだ。 学校法人内で起こったクーデターと見られる動きや辞任の経緯などについて山岡氏に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは山岡氏の回答)』、「名物理事長」に対しクーデター」とは穏やかではない。
・『Q:今年4月2日付で辞任した理由を教えてください。 A:「そのことを説明するためには、私が2003年に平安女学院の理事長に就任した経緯からお話しする必要があるでしょう。21年前の2002年当時、私の仕事は経営コンサルタントで、法人を運営していたキリスト教の聖公会の主教と当時の理事長から法人の再建のために理事長就任を要請されましたが、あまりに杜撰な経営体制と負債の多さに驚き、断りました。 しかし、亡妻が聖公会の熱心な信者であったため、見捨てるわけにもいかず、顧問・改革委員長として法人の再建を引き受けたわけですが、実際に法人の経営を目の当たりにすると、80億円近い累積債務があり、事実上、経営は破たんしていました。その債務のうち15億円は理事会の承認を得ていない、ノンバンクからの隠れ債務でした。 杜撰な経営体制だった理由は、教職員組合が学校経営を支配していたからでした。経営破たん寸前なのに教職員の賃金水準は京都府下でトップクラス。その賃金を支払うために、規律のない借り入れを行い、挙句には主要キャンパスまで売却するようなことをしていました。当時の経営陣も教職員の選挙で選ばれるなど、労組が背後から経営を操りやすい状況にありました。 私が自ら交渉し、わずか1年近くで債務整理に目途をつけました。教職員に対しては、いったん退職金を支払ってやめてもらい、新人事制度の下、賃金を30%カットして再雇用しました。同時に経営に対する労組の関与も排除しました。 こうした改革を踏まえて2003年に私は理事長に就任しました。その後、経営上負担となっていた滋賀県・守山キャンパスの廃止なども行い、法人存続のために、リストラを続けましたが、同時に、大学は実学重視で就職率を高め、中・高は教育の質を高めることなどで入学者を増やし、経営を再建しました。私が理事長就任以来、赤字になったことはありません」』、「80億円近い累積債務があり、事実上、経営は破たんしていました。その債務のうち15億円は理事会の承認を得ていない、ノンバンクからの隠れ債務でした・・・杜撰な経営体制だった理由は、教職員組合が学校経営を支配していたからでした。経営破たん寸前なのに教職員の賃金水準は京都府下でトップクラス。その賃金を支払うために、規律のない借り入れを行い、挙句には主要キャンパスまで売却するようなことをしていました。当時の経営陣も教職員の選挙で選ばれるなど、労組が背後から経営を操りやすい状況にありました・・・私が自ら交渉し、わずか1年近くで債務整理に目途をつけました。教職員に対しては、いったん退職金を支払ってやめてもらい、新人事制度の下、賃金を30%カットして再雇用しました。同時に経営に対する労組の関与も排除しました。 こうした改革を踏まえて2003年に私は理事長に就任しました。その後、経営上負担となっていた滋賀県・守山キャンパスの廃止なども行い、法人存続のために、リストラを続けましたが、同時に、大学は実学重視で就職率を高め、中・高は教育の質を高めることなどで入学者を増やし、経営を再建しました。私が理事長就任以来、赤字になったことはありません」、事実上の「破綻」状態から、「再建」したとは大したものだ。
・『元労組委員長の女性校長  「理事長辞任までの間に、私財で現金約1200万円、私が経営していた旅館の備品類約1500万円相当を法人に寄付しています。 また、傘下の平安女学院大学は小規模私学であり、定員が多い大規模私学に学生を奪われる傾向がありましたので、それを是正するために、下村博文・文科相(当時)に事情を詳しく話し、小規模校のハンディキャップを取り除く対策の実現に繋げることができました。 自ら功労者というのは憚られますが、法人を再建した功績は棚の上に上げ、今回のクーデターは20年前の意趣返しと言っても過言ではないでしょう。はっきりと申し上げますが、その首謀者は、平安女学院中・高校の校長を務める今井千和世氏(70歳)です。今井氏は労組委員長を務めていた関係で今でも労組への影響力があります。彼女が中心となって私の追い出し工作を進めました。今井氏の動きに協力したメンバーはほとんどが20年前に労組幹部だった面々です。 私を追い出した後、彼女は法人の理事に就き、理事会を実質支配しているようです。私の後任の理事長に就いた毛利憲一氏はほとんど影響力を持っていないようです。今井氏らは早速、理事の定年を80歳に延長しました。自らが居座るつもりでしょう。さらに、一時金15万円の支給や幹部に対する手当の増額を決め、少子化の影響で23年には経常赤字に転落する可能性がある中で、教職員に大盤振る舞いしている。20年前の悪夢の再来です」 Q:追い出し工作とは、どのようなことがあったのですか。 A:「2021年3月1日に行われた高校の卒業式での私の挨拶の言葉尻をとらえて今井氏が一部の保護者らを巻き込んで私を辞めさせる運動を展開しました。 私は式辞で、「世の中には、どうしてもいて欲しい人、どちらかと言えばいて欲しい人、いてもいなくてもいい人、いたらあまりよくない人、いたら害になる人の5種類のタイプがいる」と語りました。卒業生に世の中で必要とされる人材になってくださいという激励の意味がありました。 私は、拙著『平安女学院の奇跡』(2017年、PHP研究所)でも同じことを言っていますし、文科省が後援するマナー講座の教科書にも同様のことが紹介されています。卒業式の2ヵ月前にあった教職員の研修会でも同じ話をしていますが、何も問題は起こりませんでした」』、「今井氏は労組委員長を務めていた関係で今でも労組への影響力があります。彼女が中心となって私の追い出し工作を進めました。今井氏の動きに協力したメンバーはほとんどが20年前に労組幹部だった面々です。 私を追い出した後、彼女は法人の理事に就き、理事会を実質支配しているようです。私の後任の理事長に就いた毛利憲一氏はほとんど影響力を持っていないようです。今井氏らは早速、理事の定年を80歳に延長しました。自らが居座るつもりでしょう」、なるほど。
・『中高生まで参加したストライキ  「ただ、私の発言が多くの人に誤解や不快感を与えるなら、反省しないといけませんが、常識に照らしてもまっとうなことを言ったつもりです。 しかし、この発言が学院の掲げるキリスト教の教えに反するとして、今井氏らが中心となって私の排斥運動を始めました。私には単なる言いがかりのようにしか見えません。 今井氏は校長という立場を利用して、教職員会議を二度にわたって理事長糾弾の決起集会の場に使ったり、配下の教員を使って勤務時間中に理事長排斥の賛同集めを繰り返したり就業規則などに著しく反する行動を行ったため、2021年6月に法人の懲戒委員会にかけられた結果、懲戒解雇が相当との判断が下されました。 これに対し、今井氏は京都地裁に懲戒処分をしないことを求める仮処分申請を行い、一連の動きをメディアに流しました。私は学校のイメージが悪化することを憂慮して、今井氏と話し合って、懲戒解雇処分の撤回を決めました。 もともと今井氏は、65歳の定年を延長して中高の校長を務めていたので、これを機会に退任し、後任含みで有力な提携校である学校法人立命館から羽田澄氏を副校長で迎え入れる人事が2022年1月に決まりました。約1年かけて今井氏から羽田氏に校長業務が引き継がれるはずでしたが、パソコン内の管理職フォルダが削除され、教職員会議をはじめとする各種の会議での執拗な嫌がらせが続きました。それらの行為について、私は今井氏や組合幹部が行ったものと見ています。その影響で、羽田氏は身心に不調をきたして23年3月に退任しました。羽田氏は文書で、詳細にどのような嫌がらせが行われたのか提出しています。 かつて今井氏は手下の教職員と一緒に「庭を掃除したい」と言って、私の自宅に来たことがあります。彼女は私に対する「二つの顔」を巧みに使い分け、定年後も校長として居座って何とか自分の生き残りを図り、その間に私を引きずり下ろすことを狙っていたのだと思います」 Q:辞任の決定打となるような動きは他にもあったのですか。 A:2023年1月に教職員組合が私の退任を求めてストライキを断行し、理事長退任を求める約5000人の署名が提出されました。ストライキには、中高生まで参加するという異常事態です。今井氏は参加した生徒らに向けて拍手していました。 その署名活動などを調べると、どうも教職員の力だけでできるような規模ではなく、外部と結んだ政治活動の様相を帯びていました。生徒を政治活動に参加させても良いものかと私は疑問を感じています」』、「2023年1月に教職員組合が私の退任を求めてストライキを断行し、理事長退任を求める約5000人の署名が提出されました。ストライキには、中高生まで参加するという異常事態です。今井氏は参加した生徒らに向けて拍手していました。 その署名活動などを調べると、どうも教職員の力だけでできるような規模ではなく、外部と結んだ政治活動の様相を帯びていました。生徒を政治活動に参加させても良いものかと私は疑問を感じています」、「外部と結んだ政治活動の様相」とは穏やかならざる事態だ。
・『率直に言えば、裏切られた 「ただ、今井氏は校長として、進学に関しての推薦や授業料減免で権限を持っているため、生徒や保護者が今井氏の方を向いてしまう現実は仕方ないので、ストライキに参加した学生や署名した保護者を恨む気持ちは全くなく、自分の権力を利用して、法人内の争いに生徒や保護者を巻き込んだ今井氏の手法が許せません。 このストライキと前後して、一部の週刊誌やネットメディアで、今井氏が、私が独裁やパワハラを行っているような発言をする記事が掲載されて世間を騒がし始め、私も心労が重なって体調が崩れかけたため、これ以上、法人に迷惑をかけたくないと思いから辞任を決めました。 自分の名誉のために敢えて申し上げますが、私にパワハラがあった否か法人の監事である弁護士が調査して、2023年3月29日付で報告書が提出されていますが、その中では、パワハラ行為は認められなかったと報告されています。 独裁か否かについては、私はかねてより私の経営手法は「衆議独裁」と法人内でも言ってきました。厳しい経営判断は、経営トップが責任をもって一人で行うが、判断に至るまでのプロセスにおいては意見を吸い上げるという意味です。 また、私が就任当初、影響力を排除した労組の幹部でも活用できる人材は活用してきました。その典型が今井氏でしょう。率直に言えば、裏切られたとの思いもあります。 また、法人監事による調査はそもそも保護者や教員からの要望で行われたものですが、私を追い出した連中にとっては都合の悪い調査結果になったため、非公開の扱いにしてくれと言いました。私は、それはおかしいと思いますので、中高のすべての保護者にそれを送ったところ、その行為に対して、法人の現理事長である毛利憲一氏から内容証明の郵便が届き、名誉理事長職や名誉学院長職をはく奪する可能性があると通告してきました。そもそもこうした報告書を非公開とすることがおかしいし、メディアを使って私にパワハラ行為があることをでっち上げておきながら、よくそんなことが言えるなと思います。私の行為にパワハラがあると吹聴した今井氏に対しては法的措置も検討したいと思っています」 Q:現在も名誉理事長であり、20年近く法人の経営を担ってきた立場として、今後の平安女学院に対して何かメッセージはありますか。 A:「私が理事長に就いた当初、平安女学院高校と言えば、制服の着こなしが乱れ、茶髪もOKで、地元でも評判が悪い学校でした。私はこうした校風の立て直しにも注力しましたが、今井氏は茶髪もOK、スマートフォンの利用も自由というふうに生徒心得を教職員の合意がないまま変えました。以前の平安女学院に戻ってしまうことを危惧しています。 2023年度には、大学の入学者が定員の半分程度になっており、これでは経常赤字に陥る可能性が高く、この少子高齢化で回復させるのは至難の業です。 経営状況の悪化を受けて、理事会は、私が苦心して購入し、法人の迎賓館として、あるいは教養のために茶道を学ぶ場として活用してきた旧有栖川宮邸を売却する方向で動いているようです。売却すれば20億円程度の利益が出るので、その売却益で退職金などを捻出し、一息つく算段であることが透けて見えます。 また、最近発売された『宗教問題』という雑誌で、宗教系学校の経営問題が取り上げられ、そこで今井氏が、2024年に平安女学院大学の募集を停止する可能性に言及し、中高にも大胆な改革が必要になるとか、人員整理が必要だと述べていますが、私から見れば元労組の委員長で雇用を守る立場にあった者が理事になって立場が変わると豹変し、随分勝手なことを言っていると思います」』、「最近発売された『宗教問題』という雑誌で、宗教系学校の経営問題が取り上げられ、そこで今井氏が、2024年に平安女学院大学の募集を停止する可能性に言及し、中高にも大胆な改革が必要になるとか、人員整理が必要だと述べていますが、私から見れば元労組の委員長で雇用を守る立場にあった者が理事になって立場が変わると豹変し、随分勝手なことを言っていると思います」、その通りだ。
・『当の校長本人を直撃すると  山岡氏へのインタビューを受け、筆者は平安女学院の関係者に見解を聞いた。対応したのは、常務理事法人事務局長である栗田康文氏と、理事で中高学校長を務める今井千和世氏。 Q:山岡氏は、自身の辞任はクーデターであり、その首謀者が今井氏であると言っているが、それは事実か。 栗田氏「今井先生は今年5月24日付で理事に就きました。山岡前理事長体制下では理事ではなく、理事長人事を決めることにタッチできる立場ではなかったので、扇動して理事長を降ろしたということはありません」 今井氏「山岡前理事長の辞任は、2021年3月1日の卒業式における式辞の問題が原因です。その発言を聞いた保護者らから抗議があり、校長としてそれに対応せざるを得なかった。山岡前理事長は自らお辞めになったので、私が引きずり下ろしたのではありません」 Q:教職員会議を山岡氏排斥のための決起集会の場などに使ったことはあるか。懲戒解雇処分を受けたことは事実か。 今井氏「卒業式の式辞の問題に関して卒業生・保護者から電話が殺到し、教職員会議で対策を協議したことはありますが、排斥の場にしたことは全くありません。懲戒解雇処分を受けたことは事実ですが、山岡前理事長は騒ぎの拡大を心配したのか処分は撤回されました」 栗田氏「これまでの就業規則では、『上司に逆らえば厳重に処罰する』といった文言が細かく盛り込まれていましたが、それを今年4月3日付で改定しました。これまでも懲戒解雇処分を受けた職員がいますが、過去の労働裁判で法人側が敗訴していたこともあって改定しました。山岡前理事長の法人再建の実績は素晴らしいが、在任期間の晩年は法人が「個人商店化」した面は否めないと思います」 Q:立命館から校長含みで来た羽田澄氏に対して今井氏や組合幹部による嫌がらせが行われたなどと、羽田氏本人が文書で提出しています。 今井氏「校長でありながら私を外して会議が行われるなど、いじめられたのは私の方だと思っています。むしろ私は羽田先生にアドバイスを送り、助けたつもりです。羽田氏より管理職フォルダが消されたと聞きましたが、紙では残っているので、これを見てくださいとお示ししました』、「羽田氏より管理職フォルダが消されたと聞きましたが、紙では残っているので、これを見てくださいとお示ししました」、明らかに「管理職フォルダが消された」のは事実のようだ。「紙では残っている」という言い訳にすぎず、効率が著しく低下するので、明確な嫌がらせだ。

次に、9月6日付けAERAdot「港区の公立中学「修学旅行はシンガポール」は“格差”の象徴か ネットは炎上も専門家は「評価すべき」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/articles/-/200630?page=1
・『9月4日、高級住宅街が多いことで知られる東京・港区が、来年度から全ての区立中学校で修学旅行を海外で実施することを発表した。だが、これに対してネット上では異論や反論が噴出し、なかば炎上に近い状態となっている。 港区の公式サイトによると、最初の対象となるのは、2024年度の区立中3年生の生徒約760人。実施時期は24年6月から9月ごろで3泊5日を予定しており、行き先はシンガポール。事業費として約5億1200万円を計上するという。 教育問題に詳しいライターが言う。 「港区は全国でも屈指の“金持ち自治体”として知られています。修学旅行でシンガポールを訪れる意義として、『異文化を体験して国際理解を深めてもらう』『区立中の魅力向上』などを挙げています。これまで港区立中に通う生徒は修学旅行で京都や奈良を訪れ、約7万円を負担していました。一部報道によると、訪問先をシンガポールに変更しても、1人あたり約68万円を区が支払い、7万円の自己負担分は変わらないとのことです。いずれにしても中学生の修学旅行に5億円を超える予算を計上できる自治体は、そうはないでしょう」) だがこれに対して、X(旧Twitter)では批判の声が圧倒的に多い。「義務教育でわざわざ行く必要があるのか疑問」「地域格差、港区内格差、まぁ〜言えばキリがない。上級国民の子供だけが行けるんやろなー」「今井絵理子や松川るいと発想が同じ」などの声で埋め尽くされている。その理由を前出の教育ライターはこう分析する。 「これが高校や私立中学校の修学旅行なら、全く批判は起きなかったでしょう。しかし公立中学校は義務教育ですし、公教育は全国一律が基本です。財政破綻した北海道夕張市であっても東京都港区であっても、教育の質に違いがあってはいけない。港区の取り組みに対する反対意見を『嫉妬』と一蹴する人も多いですが、『裕福な港区に住む中学生は最高レベルの修学旅行を体験し、貧乏な自治体の中学生は内容に乏しい修学旅行しかできないということを看過していいのか』という本質的な問題提起があることも事実です」(同) その理由は何か。親野氏は「中学生が海外を訪れるメリットは極めて大きい」と述べたうえで、こう語る。 「特にシンガポールは多民族国家であり、世界中から観光客が訪れる人気スポットでもあります。文化資本も充実しており、シンガポールに旅行することは世界を見ることと同義です。教育的な価値は計り知れません。また普通の中学生は英語を『授業だからやる』『受験に必須だからやる』といった受け身の姿勢で学んでいることが多いと思いますが、シンガポールでは実際に英語を使うことができます。英語学習のモチベーションにつながることも期待できます」 Xでは「中学生の修学旅行なのだから、海外の文化に触れるより、伝統的な日本文化を体験するほうが価値がある」という意見も多くみられた。シンガポールより京都、奈良のほうが修学旅行先にはいいという指摘に対してはどうか。 「『日本文化が重要だ』という指摘は正論だと思います。とはいえ、『海外に行ったことで日本文化について何も知らないことを痛感し、帰国してから学ぶようになった』といった経験をした留学生も珍しくはありません。世界を見ることで自国文化の重要性を再認識することもあります」(親野氏) 港区の修学旅行で、自治体間の格差が浮き彫りになったのは事実だろう。とはいえ、その責任は中学生には全くないことは言うまでもない。) 専門家はどう見るのか。教育評論家の親野智可等氏は「ネット上で批判が投稿されるのはとてもよく理解できます」と言う。 「Xを利用する年齢層を考えれば、当事者である中学生が批判の投稿を行っているとは考えにくい。似た年齢層のお子さんをお持ちの保護者が『私たちも一生懸命に働いて税金を納めているのに、港区の修学旅行だけシンガポールというのは不平等で納得できない』と考えて投稿したケースも多いと思います。しかしながら、やはり港区の取り組みは評価すべきですし、むしろ積極的に全国の自治体が参考にする必要があるではないでしょうか」) 「本来なら、全国の中学生が修学旅行で海外に行くぐらいが理想的なのです。とはいえ、実際問題として全国一律を目指していると物事は何も動きません。一種の“悪平等”になってしまうより、財政に余裕がある自治体は独自施策として見切り発車し、修学旅行で海外に向かう公立中学生を増やしていくのが現実的ではないでしょうか。行ける余裕がある自治体なら、どんどん行ったほうがいいのです」(親野氏) 22年10月、経済協力開発機構(OECD)は教育機関における公的支出の割合(2019年時点)を発表した。OECDの加盟国でデータある37カ国のなかで、日本はわずか2・8パーセント(平均4・1%)。順位は36位という低水準だった。 「ノミとガラスの蓋の寓話(ぐうわ)があります。本来ノミは高い跳躍ができるのですが、コップに入れてガラスの蓋をすると跳躍力が下がってしまう。蓋を取っても跳躍力は低いまま。そこに本来の跳躍力のあるノミを新たに入れて高く跳躍する姿を見せる。すると跳躍力が下がっていたノミもまた本来の跳躍ができるようになるという話。つまり、修学旅行で海外に行ける自治体が出れば、それを見た他の自治体も『うちもできるはず』となり、それが広がっていく可能性があるということです。そもそも予算というものは、『あるようでなかったり、ないようであったり』するものです。教育のために公的支出を増やすという意思を強く持てば国レベルでも自治体レベルでもなんとかなるものです」(同・親野氏) 港区の“炎上事例”として終わらせずに、公教育全体の底上げという議論につながることを期待したい。(井荻稔)』、私は義務教育期間中は、こうした格差は望ましくないと思う。「修学旅行で海外に行ける自治体が出れば、それを見た他の自治体も『うちもできるはず』となり、それが広がっていく可能性がある」というのは幻想だ。

第三に、12月22日付けダイヤモンド・オンラインが転載した弁護士ドットコムニュース「「ロースクールは意味ない」現役学生が断言のワケ、抜け道“予備試験”こそ本命の皮肉」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/336255
・『司法制度改革の“目玉”として注目されたロースクール開校から20年。多様な人材を確保しようと未修者コースをもうけたものの、思うように合格率は上がっていない。当初は合格率7~8割との触れ込みで「自分も文系最強資格が得られるのでは?」と夢見た者もいた。 しかし、ふたを開けてみれば合格率は半分にも満たず。3割以下に落ち込んだ2010年代初頭には「国家的詐欺では?」との指摘すら現れた。2011年にローを経ない「予備試験」が始まると、合格率には大きな差が出て、ロースクール離れが加速した。 「ロースクールは意味ない」「予備試験が本命」。現役学生からは、こんな本音も聞こえてくる。ロースクールの存在意義とは』、「当初は合格率7~8割との触れ込みで「自分も文系最強資格が得られるのでは?」と夢見た者もいた。 しかし、ふたを開けてみれば合格率は半分にも満たず。3割以下に落ち込んだ2010年代初頭には「国家的詐欺では?」との指摘すら現れた。2011年にローを経ない「予備試験」が始まると、合格率には大きな差が出て、ロースクール離れが加速した」、なるほど。
・『「ローは受験資格を得るためだけのもの」  (図表1:司法試験の最終合格者数とロー修了者と予備試験の合格率 はリンク先参照) 「ローは受験資格を得るためだけのもの」。国立大ロー既習者コースを修了したAさん(25歳)は、きっぱりと語る。 自主ゼミなど同級生との人脈はできたものの、試験対策はローだけでは不十分だといい、周囲のほとんどが予備校にも通っている。ローにもOBや弁護士が答案を見てくれる制度はあるが、利用している人は少ない。 「予備試験が通れば中退するつもりでした。予備校には予備試験+司法試験対策とセットのコースもあるし、効率がいい」 予備試験が最優先という姿勢は、他のロー生や法学部生からも見える。 早稲田大法学部3年のBさん(20歳)は「予備通った人が9割受かるんだったら、ローって要ります? ローは学生の身分を得るためのもの。在学中に予備試が無理だったら、ローの2年は猶予期間かなというのが、周りの考えとしては定番です」と手厳しい。 できるだけ早く予備試験に通り、会計士資格も取って、ビジネスシーンで使える人になるのが夢だという。 「学部在学中の予備試組が最強で、次がロー在学中の予備試。ローを出て一発合格は3番手と階層ができています」と慶応ロー1年Cさん(23歳)は語る。 事務所訪問をすると、予備試組は優秀さの指標とされていて「市場価値が高い」と感じるという。 2020年に運用が始まった「法曹コース」(通称3+2)については価値を判断しかねている様子。「勉強一辺倒になってしまい、生き急いでいる気がする」(Cさん)「大学で勉強以外のサークル活動もできない。交流したことないですね」(Bさん)』、「「学部在学中の予備試組が最強で、次がロー在学中の予備試。ローを出て一発合格は3番手と階層ができています」と慶応ロー1年Cさん(23歳)は語る。 事務所訪問をすると、予備試組は優秀さの指標とされていて「市場価値が高い」と感じるという」、なるほど。
・『「合格率約7~8割」の幻想  ロースクールは法曹養成に特化した教育をおこなうために2004年に設置された。68校が開校し、翌年の2005年には74校になった。ロースクールの志願者数は減少傾向が続き、2018年度には過去最低となる8058人に落ち込んだ。2011年度からは学生募集の停止や廃止が続き、2023年度はピーク時の半数以下となる34校だった。 法学を学んだ既修者コース(2年)に加え、社会人や他学部出身者などの多様な人材を呼び込むため、未修者コース(3年)がもうけられた。司法制度改革の審議会では修了者のうち「相当程度(例えば約7~8割)の者が新司法試験に合格できる」よう、充実した教育をおこなうべきとされた。 約7~8割が合格できるかもしれない――。新たな制度は注目を集め、開設当初の入学志願者数は7万2800人、倍率は13倍にも上った。2005年度には4万1756人に落ち着いたが、2007年度まで4万人台を維持していた。 2006年に新司法試験が始まったが、期待されていた「約7~8割」どころか、48.3%、翌年は40.2%、その後は20~30%台に落ち込んだ。 既修者と未修者の合格率にも歴然とした差がある。修了後、リミットである5年以内に最終的に合格する割合(司法試験累積合格率)をみても、未修者は7割に届いていない』、「2006年に新司法試験が始まったが、期待されていた「約7~8割」どころか、48.3%、翌年は40.2%、その後は20~30%台に落ち込んだ。 既修者と未修者の合格率にも歴然とした差がある。修了後、リミットである5年以内に最終的に合格する割合(司法試験累積合格率)をみても、未修者は7割に届いていない」、当初の想定と現実のこんな格差が発生した要因を、きちんと分析する必要がある。
・『勢いづく予備試験組、揺らぐ“中核”  そもそも司法制度改革審議会の意見書では、学部や大学院の教育が法曹養成の役割を果たしてきたとは言い難いこと、学生が受験予備校に依存し「ダブルスクール化」「大学離れ」の状況になっていることなどが問題点として指摘されていた。 ロースクールは法曹養成の重要な「プロセス」として位置付けられていた。 ところが、2011年に予備試験がスタートすると、その位置が揺らぎ始める。予備試験は、ロー修了者と「同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定すること」を目的とする試験だ(司法試験法5条)。 意見書には「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保すべき」とされていた。 「予備」という名前通り、本来はローに行けない人のために取られた救済措置だったはずだった。 (図表4:予備試験合格者の司法試験合格率 はリンク先参照) しかし、予備試験組の合格率はロー組を大幅に上回り、人気が集中。レベルが上がり、合格率も上昇した。2012~2018年度には6~7割台だったが、2022年度には97.5%と驚異的な数字を記録。2023年度は在学中受験が始まったこともあり、微減の92.6%だった。法務省によると、これは純粋な予備試験組のみの数字で、在学中かつ予備試験通過の場合は「在学中」にカウントされるという。 2023年11月8日の合格発表会場にも、「在学中かつ予備突破組」の学生が複数いた。中央大と青山学院大から東大ローに入ったという2人は「留学のために学位が欲しいためローを修了する」「ローの学習は試験というより知的好奇心を満たすもの」などと話していた。 20年前、大きな夢の象徴として誕生したロースクールだが、度重なる制度変更を経て、「司法試験の受験資格を得る手段」以外の要素に着目する学生も出てきているようだ』、「「予備」という名前通り、本来はローに行けない人のために取られた救済措置だったはずだった。・・・しかし、予備試験組の合格率はロー組を大幅に上回り、人気が集中。レベルが上がり、合格率も上昇した。2012~2018年度には6~7割台だったが、2022年度には97.5%と驚異的な数字を記録。2023年度は在学中受験が始まったこともあり、微減の92.6%だった。法務省によると、これは純粋な予備試験組のみの数字で、在学中かつ予備試験通過の場合は「在学中」にカウントされるという」、それにしても、「ロースクール」の設立ブームと、その後の廃止騒ぎは官僚主導の限界を如実に示したようだ。 
タグ:現代ビジネス (その31)(名門・平安女学院の「クーデター事件」が恐ろしすぎる…辞任に追い込まれた名物理事長の告白《女性校長は 中高生までストライキに巻き込んだ》、港区の公立中学「修学旅行はシンガポール」は“格差”の象徴か ネットは炎上も専門家は「評価すべき」、「ロースクールは意味ない」現役学生が断言のワケ 抜け道“予備試験”こそ本命の皮肉) 教育 井上 久男氏による「名門・平安女学院の「クーデター事件」が恐ろしすぎる…辞任に追い込まれた名物理事長の告白《女性校長は、中高生までストライキに巻き込んだ》」 「名物理事長」に対しクーデター」とは穏やかではない。 「80億円近い累積債務があり、事実上、経営は破たんしていました。その債務のうち15億円は理事会の承認を得ていない、ノンバンクからの隠れ債務でした・・・杜撰な経営体制だった理由は、教職員組合が学校経営を支配していたからでした。経営破たん寸前なのに教職員の賃金水準は京都府下でトップクラス。その賃金を支払うために、規律のない借り入れを行い、挙句には主要キャンパスまで売却するようなことをしていました。 当時の経営陣も教職員の選挙で選ばれるなど、労組が背後から経営を操りやすい状況にありました・・・私が自ら交渉し、わずか1年近くで債務整理に目途をつけました。教職員に対しては、いったん退職金を支払ってやめてもらい、新人事制度の下、賃金を30%カットして再雇用しました。同時に経営に対する労組の関与も排除しました。 こうした改革を踏まえて2003年に私は理事長に就任しました。 その後、経営上負担となっていた滋賀県・守山キャンパスの廃止なども行い、法人存続のために、リストラを続けましたが、同時に、大学は実学重視で就職率を高め、中・高は教育の質を高めることなどで入学者を増やし、経営を再建しました。私が理事長就任以来、赤字になったことはありません」、事実上の「破綻」状態から、「再建」したとは大したものだ。 「今井氏は労組委員長を務めていた関係で今でも労組への影響力があります。彼女が中心となって私の追い出し工作を進めました。今井氏の動きに協力したメンバーはほとんどが20年前に労組幹部だった面々です。 私を追い出した後、彼女は法人の理事に就き、理事会を実質支配しているようです。私の後任の理事長に就いた毛利憲一氏はほとんど影響力を持っていないようです。今井氏らは早速、理事の定年を80歳に延長しました。自らが居座るつもりでしょう」、なるほど。 「2023年1月に教職員組合が私の退任を求めてストライキを断行し、理事長退任を求める約5000人の署名が提出されました。ストライキには、中高生まで参加するという異常事態です。今井氏は参加した生徒らに向けて拍手していました。 その署名活動などを調べると、どうも教職員の力だけでできるような規模ではなく、外部と結んだ政治活動の様相を帯びていました。 生徒を政治活動に参加させても良いものかと私は疑問を感じています」、「外部と結んだ政治活動の様相」とは穏やかならざる事態だ。 「最近発売された『宗教問題』という雑誌で、宗教系学校の経営問題が取り上げられ、そこで今井氏が、2024年に平安女学院大学の募集を停止する可能性に言及し、中高にも大胆な改革が必要になるとか、人員整理が必要だと述べていますが、私から見れば元労組の委員長で雇用を守る立場にあった者が理事になって立場が変わると豹変し、随分勝手なことを言っていると思います」、その通りだ。 「羽田氏より管理職フォルダが消されたと聞きましたが、紙では残っているので、これを見てくださいとお示ししました」、明らかに「管理職フォルダが消された」のは事実のようだ。「紙では残っている」という言い訳にすぎず、効率が著しく低下するので、明確な嫌がらせだ。 AERAdot「港区の公立中学「修学旅行はシンガポール」は“格差”の象徴か ネットは炎上も専門家は「評価すべき」」 私は義務教育期間中は、こうした格差は望ましくないと思う。「修学旅行で海外に行ける自治体が出れば、それを見た他の自治体も『うちもできるはず』となり、それが広がっていく可能性がある」というのは幻想だ。 ダイヤモンド・オンライン 弁護士ドットコムニュース「「ロースクールは意味ない」現役学生が断言のワケ、抜け道“予備試験”こそ本命の皮肉」 「当初は合格率7~8割との触れ込みで「自分も文系最強資格が得られるのでは?」と夢見た者もいた。 しかし、ふたを開けてみれば合格率は半分にも満たず。3割以下に落ち込んだ2010年代初頭には「国家的詐欺では?」との指摘すら現れた。2011年にローを経ない「予備試験」が始まると、合格率には大きな差が出て、ロースクール離れが加速した」、なるほど。 「「学部在学中の予備試組が最強で、次がロー在学中の予備試。ローを出て一発合格は3番手と階層ができています」と慶応ロー1年Cさん(23歳)は語る。 事務所訪問をすると、予備試組は優秀さの指標とされていて「市場価値が高い」と感じるという」、なるほど。 「2006年に新司法試験が始まったが、期待されていた「約7~8割」どころか、48.3%、翌年は40.2%、その後は20~30%台に落ち込んだ。 既修者と未修者の合格率にも歴然とした差がある。修了後、リミットである5年以内に最終的に合格する割合(司法試験累積合格率)をみても、未修者は7割に届いていない」、当初の想定と現実のこんな格差が発生した要因を、きちんと分析する必要がある。 「「予備」という名前通り、本来はローに行けない人のために取られた救済措置だったはずだった。・・・しかし、予備試験組の合格率はロー組を大幅に上回り、人気が集中。レベルが上がり、合格率も上昇した。2012~2018年度には6~7割台だったが、2022年度には97.5%と驚異的な数字を記録。2023年度は在学中受験が始まったこともあり、微減の92.6%だった。 法務省によると、これは純粋な予備試験組のみの数字で、在学中かつ予備試験通過の場合は「在学中」にカウントされるという」、それにしても、「ロースクール」の設立ブームと、その後の廃止騒ぎは官僚主導の限界を如実に示したようだ。
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高齢化社会(その24)(パーキンソン病との折り合い日記(第1回 「うちのパーちゃん」と呼ばれるまで、第2回 主治医の選び方&付き合い方、第6回 DBS(脳深部刺激療法)手術とその効果) [社会]

高齢化社会については、本年7月25日に取上げた。今日は、(その24)(パーキンソン病との折り合い日記(第1回 「うちのパーちゃん」と呼ばれるまで、第2回 主治医の選び方&付き合い方、第6回 DBS(脳深部刺激療法)手術とその効果)である。

先ずは、本年8月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの原 英次郎氏による「「俺は今やアンドロイド」元経済誌編集長、パーキンソン病との折り合い日記 第1回 「うちのパーちゃん」と呼ばれるまで」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325402
・『『会社四季報』『週刊東洋経済』編集長、そして『ダイヤモンド・オンライン』編集長を歴任した著者が、60歳からパーキンソン病と共に生きるようになった日々を赤裸々に告白する。連載第1回は、発症と初診を振り返る』、興味深そうだ。
・『俺は今やアンドロイドだ  俺は、2016年11月に「パーキンソン病」と診断されました。パーキンソン病は脳の神経伝達物質が減少する病で、静止時の震えや筋肉のこわばりなどの運動障害が起きる(詳細は記事末へ)。 パーキンソン病と聞くと、少し知識のある人は、「だんだん体の自由が利かなくなり、最後は寝たきりに。もう、人生終わりだろう」と、思うかもしれない。 ところがどっこい、患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、パーキンソン病と聞くと、少し知識のある人は、「だんだん体の自由が利かなくなり、最後は寝たきりに。もう、人生終わりだろう」と、思うかもしれない。 ところがどっこい、患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、伝伝えていきたい。 もちろん、治療の結果、何か得ると何かを失うことも往々にして起こる。俺の場合は、診断から6年を経て、DBS(Deep Brain Stimulation)という治療法を決断し、22年9月に手術を受けた。頭に穴を開けて、細い針金状の電極を脳の中心部に刺す手術だ。 その電極からは微弱な電気が流れている。だから今、俺はまるで“アンドロイド”だ。でも、1日の多くを寝たきりだった状態から抜け出せたし、筋肉のこわばりが改善し、動きもずっとスムーズになった。薬の量も3分の2程度に減らせた。 とはいえ、もちろん、病気が完治するわけではない。術後、いいことずくめともいかないものだ。新たに、転倒や腰痛(の激化)、失禁の症状が出るようになった。今はこの治療のデメリットを最小限にしようと悪戦苦闘中である。 しかし、手術の直前、妻が俺を撮影した動画を見返すと、DBSの効果を実感する。だから、手術を受けなければよかったとは全く思わない。 何より、こうしてパソコンに向かって原稿が書ける。周りの協力があれば、仕事ができるようになったのは大きな喜びだ。ちなみに先日、飛行機に乗って田舎に帰省することもできた』、「パーキンソン病と聞くと、少し知識のある人は、「だんだん体の自由が利かなくなり、最後は寝たきりに。もう、人生終わりだろう」と、思うかもしれない。 ところがどっこい、患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、パーキンソン病と聞くと、少し知識のある人は、「だんだん体の自由が利かなくなり、最後は寝たきりに。もう、人生終わりだろう」と、思うかもしれない。 ところがどっこい、患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、伝伝えていきたい」、大いに参考になりそうだ。
・『「あなた、歩き方が変よ。老人みたい」  さて、改めて、パーキンソン病に気づいた経緯を振り返ってみたい。実は、父とその姉(つまり伯母)をパーキンソン病で亡くしている。父は4人姉弟なので、発病率は50%にも達する。だから、俺の兄(医者で専門は精神科)は、この病気に詳しかった。 兄から、「パーキンソン病は遺伝する。兄妹3人のうち誰かがパーキンソン病になる可能性は高い」「けれど現代医学では、寿命が尽きるまで日常生活を送れる」と聞いていた(もちろん個人差もあるし、前述した通りそう簡単ではないのも確かだが)。 あれはちょうど60歳、ダイヤモンド社を定年退職する年の夏だった。妻が、「あなた、歩き方が明らかに変よ。老人みたい」と言う。恐らく、やや腰が曲がって、歩幅の小さい歩き方をしていたのだろう。兄によるパーキンソン病の遺伝の話を、妻も聞いていたから、ピンと来たのかもしれない。 そのとき、ひどい頭痛がしたので、近所の脳内科の医者に紹介状を書いてもらい、近くのT大学病院へ。担当の医者は見たところ30歳代で、すぐにパーキンソン病か見極める主要検査をした。 その結果、さらに2週間ほどの検査入院が必要だと言われた。まだ現役バリバリ(週刊ダイヤモンド編集委員)だったので、検査だけで2週間は長すぎるなと思った。そこで、セカンド・オピニオンを取ることに。少し遠慮がちに、その旨をT大学病院の医者に告げると、嫌な顔一つせずに全ての資料を出してくれた。 当時から、順天堂大学病院(正式には順天堂大学付属順天堂医院という)がパーキンソン病の治療と研究で進んでいると聞いていた。病院のホームページを見ると、H医師だけが3カ月待ちとなっている。パーキンソン病は急速に進行する病気ではないし、きっと人気があるのだろうな、とH医師にセカンド・オピニオンをお願いした』、「父とその姉(つまり伯母)をパーキンソン病で亡くしている。父は4人姉弟なので、発病率は50%にも達する。だから、俺の兄(医者で専門は精神科)は、この病気に詳しかった。 兄から、「パーキンソン病は遺伝する。兄妹3人のうち誰かがパーキンソン病になる可能性は高い」「けれど現代医学では、寿命が尽きるまで日常生活を送れる」と聞いていた(もちろん個人差もあるし、前述した通りそう簡単ではないのも確かだが)、事前に予備知識は十分に持っていたようだ。「順天堂大学病院・・・がパーキンソン病の治療と研究で進んでいると聞いていた。病院のホームページを見ると、H医師だけが3カ月待ちとなっている。パーキンソン病は急速に進行する病気ではないし、きっと人気があるのだろうな、とH医師にセカンド・オピニオンをお願いした」、いい医師を見つけたものだ。
・『茫洋としたH医師の即断、命運を委ねた俺  秋も深まった11月、ようやくH医師との面会の日がやってきた。率直に言うと、ファーストインプレッションは、「本当にこの医者、大丈夫かいな?」――。俺と妻があいさつをしても、パソコンの画面をにらみ続けている。髪の毛は白髪混じりで、肩に届かんばかりに長く伸ばし、茫洋としてつかみどころのない人だと感じた。 一通り手足の動作を点検した後、俺の父と母がいとこの子ども同士であることや出身地の話に及ぶと、H医師の口数も増えていったのが印象的だった。パーキンソン病の中でも遺伝性のパーキンソン病が、H医師の専門だということは後に知ることになる。 そうして、一通り話をし終えるとH医師は、「遺伝性のパーキンソン病ですね」と即断した。俺と妻は目配せすること数秒後、「先生にお世話になりたいのですが…」と伝えた。それは何といっても、H医師が自信を持って「即断」されたからに他ならない。 実は、パーキンソン病を診断するのは非常に難しいといわれている。検査は似たような症状を引き起こす病気が他にないかを調べるために行う。なぜならパーキンソン病は、それを示す指標となるものがないからだ。要するに、症状の原因が他の病気のせいではないと分かった上で、医者が患者の動きを見て判断する。だから、数多くのパーキンソン病の症例を見てきた医者が、判断しやすいということになる。 このように経験の要素が多いとすれば、若い医師はとうていベテラン医師に追いつけない。兄からは、「若い医者を育てるつもりで、そっちを選ぶのも一つの考え方だ」などと言われていたが、俺はそこまで広い度量を持てなかった。名医と呼ばれるH医師を頼り、自分の命運を委ねることにした。 H医師は診察初日、俺に、「お父さまは何歳で亡くなったの? 83歳ですか。じゃあ、その年までは生きましょう」と言った。その後も診察の度、「(パーキンソン病に)なったものは、くよくよしても仕方ない」「何でも前向きに捉えていこう」と聞かされる。 実は昔、兄が寝ているときに体が勝手に動く姿を目撃したことがあり、兄がパーキンソン病を発症するのではと心配していた。だから、60歳のあの夏、「えっ、なんで俺が!?」と恨み節の一つくらいは出た。 けれど結局、兄とH医師のおかげで、パーキンソン病を「恐れず、騒がず、悲観せず」の態度で迎えることができた。さらに、ノリのいい妻は、俺のことを「うちのパーちゃん(パーキンソン病のパ)」と呼ぶことにしたのだった。 連載の次回は、主治医の選び方・付き合い方(セカンド・オピニオンの重要性)について、H医師と俺と妻のやりとりの詳細をさらに書いてみたい』、「パーキンソン病は、それを示す指標となるものがないからだ。要するに、症状の原因が他の病気のせいではないと分かった上で、医者が患者の動きを見て判断する。だから、数多くのパーキンソン病の症例を見てきた医者が、判断しやすいということになる・・・兄とH医師のおかげで、パーキンソン病を「恐れず、騒がず、悲観せず」の態度で迎えることができた」、なるほど。 
・『パーキンソン病とは~  パーキンソン病という名前は、約200年も前に、イギリスのジェームズ・パーキンソン医師が、振戦麻痺(まひ)に関して発表した論文に由来する。パーキンソン病は脳の神経伝達物質であるドパミンが減少することによって起こる。 ドパミンは体をスムーズに動かすために、脳の指令を筋肉に伝える物質(ホルモンの一種)で、脳の中の黒質神経細胞で作られる。この黒質神経細胞が壊れることで、ドパミンの量が減ってしまうのが、パーキンソン病だ。なぜ黒質細胞がより多く死滅するのかについては、まだ明確な原因は特定されていない。 パーキンソン病になると、さまざまな運動障害が出てくる。次の四つが典型的だ。(1)静止時の震え、(2)筋肉が硬くこわばる筋固縮、(3)動きが遅くなる寡動・無動、(4)転びやすくなる姿勢反射障害。 パーキンソン病を発症した有名人では、ボクシング・ヘビー級の偉大なチャンピオンだったモハメド・アリがいる。1996年のアトランタ五輪で、震える腕で聖火をかざす姿を思い出す人も多いだろう。また、人気映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの主演を務めたマイケル・J・フォックスは、発症後も俳優の仕事を長年にわたり続けている』、「パーキンソン病になると、さまざまな運動障害が出てくる。次の四つが典型的だ。(1)静止時の震え、(2)筋肉が硬くこわばる筋固縮、(3)動きが遅くなる寡動・無動、(4)転びやすくなる姿勢反射障害」、なるほど。
・『俺の場合~  静止時の震えは全くなく、筋肉が硬くこわばる筋固縮が症状の中心だった。筋固縮による腰痛にも悩まされていた。それがDBS手術後、全般的に症状は改善し、寝込むこともなくなったものの、姿勢反射障害による転倒がひどくなり、これをどうコントロールするかが目下の課題だ』、「姿勢反射障害による転倒がひどくなり」、これは危険で注意が必要だ。

次に、8月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの原 英次郎氏による「パーキンソン病になった元経済誌編集長、主治医の選び方&付き合い方の大切さを思い知る 第2回 主治医の選び方&付き合い方~セカンド・オピニオンは大事~」を紹介しよう。
・『会社四季報』『週刊東洋経済』編集長、そして『ダイヤモンド・オンライン』編集長を歴任した著者が、60歳からパーキンソン病と共に生きるようになった日々を赤裸々に告白する。連載第2回は、主治医の選び方&付き合い方について』、興味深そうだ。
・『長く付き合う病で大切な主治医の存在(連載第1回の『「俺は今やアンドロイド」元経済誌編集長、パーキンソン病との折り合い日記』では、パーキンソン病の発症と初診を振り返り、俺が「うちのパーちゃん」と妻に呼ばれるまでの顛末を書いた。 俺が60歳で診断されたパーキンソン病は、完治することはない。ゆっくりと病状が進行していく病だ(もちろん、症状や、病の進行度合いには個人差がある)。 パーキンソン病とは「長い付き合い」になるので、主治医との相性はとても重要だ。俺と主治医のH医師は、出会ってもう7年。順天堂大学病院にセカンド・オピニオンを申し込んだとき、H医師に担当をお願いして初診を受け、そのまま主治医となった。 なぜH医師にお願いしたかというと、H医師だけが3カ月待ちと知り、きっと人気があるのだろうな、とその人気に引かれたまでだ。要するに、ミーハー心だった。ふたを開けてみると、H医師はパーキンソン病の権威であり、この病気に関わる人なら誰もが知っているほどの有名人だった。 前回、H医師の第一印象が「茫洋としてつかみどころがない」と書いたが、実はその雰囲気がとても「いい味」を生んでいた。H医師の口癖は、「(パーキンソン病に)なってしまったものは仕方がない。何でも前向きに考えていこう」だ。 「これもできなくなった。あれもできなくなった…」と嘆くのではなく、「あれもまだできる。これもまだまだできる!」と考えるのがいかに大切かは、老いや病に直面するとよく分かる。 俺の場合は発症してしばらくすると、食器棚からコップを取り出したり、冷蔵庫からペットボトルを取り出したりすると9割の確率で床に落とすようになり、イライラするようになった。 けれど、「落ち着いてよくよく注意して取り出しさえすれば、落とすことはないんだ」と思うようにした。H医師の助言を受けての、発想の転換だ。 もちろん、そう思うようになっても往々に失敗するときもある。けれど、そうやって気持ちを切り替えれば、「できることは、まだたくさん残っている」と思える。 パーキンソン病患者の約20パーセントが、「レビー小体型認知症」を発症するといわれている。H医師の思考の習慣に倣えば、「5人に1人も認知症になるんだ…」ではなく、「5人のうち4人は認知症にならないんだ!」と、いうことだ。考える方向を変えるだけで、物事は全く違った見え方をする。 H医師はユーモアのセンスもある。定期診断で患者を歩かせるとき、「かかと、かかと」と号令をかけてくれるのだが、あるときの会話はこんな感じだった。 「かかとから下りないと、転ぶよ」とH医師。 「そういうふうに声をかければいいんですね」と俺の妻。 「奥さんではダメなんだな。いつも聞いている奥さんの声じゃあ、脳の刺激にならないんだ。若い女の子なら、なおいいね」。 なんてやりとりに、その場に居合わせた一同、大笑いだ。なお、俺の場合は妻の声でも大いに助かっている(と、ここでは一応、書いておこう…)』、「パーキンソン病患者の約20パーセントが、「レビー小体型認知症」を発症するといわれている。H医師の思考の習慣に倣えば、「5人に1人も認知症になるんだ…」ではなく、「5人のうち4人は認知症にならないんだ!」と、いうことだ。考える方向を変えるだけで、物事は全く違った見え方をする」、前向きな捉え方が大切なようだ。
・『パーキンソン病で「世界一」目指すH医師  われわれ夫婦が、H医師に大きな信頼を寄せるようになったきっかけは他にもある。初めて会ってから3~4年たった頃、いつものように診断も終わりかけ、会話が漫談のようになってきたとき、妻が単刀直入に「先生はどうしてパーキンソン病を専門にしようと思ったのですか」と、尋ねたのだ。すると、 「先々代も先代の担当教授もパーキンソン病が専門でした。初めは精神科医になりたいと思ったんだけど、もう少し、科学の力で証明できるようなものが好きだったので、パーキンソン病を選んだんです」と、H医師は話し始めた。 「それで、『パーキンソン病なら、Hだ』と言われる存在になりたいなと。実際、自分は世界で一番パーキンソン病に詳しい…(と、言いかけて)、世界一パーキンソン病患者を診ている。だから、臨床と研究の両方やっているんです」 俺と妻はこの話にすっかり感心してしまった。ジャーナリストという職業柄、自分が納得する説明にたどり着くまで満足しないタイプであり、H医師に対してたまに、「やや言葉足らずだな」などと、俺は少し不満を抱いていた。 しかし先の話を聞いた途端、「俺はなんて小さなことにこだわっていたのか…」と反省した。「世界一」という高い目標を掲げて、それを患者に公言するなんて、そうとう覚悟がないとできないことだ。H医師は、強い決心と人並み外れた努力をしたに違いない。 ここで、自分の拙い話をさせてもらう。俺が20代後半に経済誌の記者として金融業を担当していた頃、「スワップ取引」が始まった。今では一般的になった、金融デリバティブ商品のことだ。俺は、「金融の最新テーマに一番詳しい記者になろう」と目標を立て、取材と執筆に精を出した。が、しばらくして担当業種が変わると、あっという間にそのテーマを追うのをやめてしまった。 そんな若き日の俺に比べたら、H医師の志はなんと気高いことだろう。自分が恥ずかしい気持ちになったことは、言うまでもない。そしてこのときから、H医師に全幅の信頼を寄せるようになった』、「「世界一」という高い目標を掲げて、それを患者に公言するなんて、そうとう覚悟がないとできないことだ。H医師は、強い決心と人並み外れた努力をしたに違いない」、その通りだ。
・『主治医の条件は人それぞれだが…  もちろん、どんなタイプの医師が主治医に向いているかは、人それぞれだ。俺にとってのH医師が、他の誰に対しても良き主治医になるとは限らない。相性の良しあしというものがある。 では、主治医の条件とは何だろう。パーキンソン病患者となって思うのは、不治の病だからこそ、自分の病気のこと、つらいことなど、とにかく話を聞いてほしいということだ。しゃべるだけでも、身も心も軽くなるような気がする。 だから、「思いを受け止めてくれている」と患者が感じられること、そして診察が終わる頃には明るい気持ちにしてくれる医者こそ、この種の病の主治医にふさわしいと思う。コミュニケーションの仕方や表現のスタイルは、人それぞれ違って構わない。 俺は、セカンド・オピニオンを行うことで幸運にも、自分にぴったりの主治医を見つけることができた。つい最近も、新聞の見だし風に言えば、「H医師、○年連れ添った熟年夫婦を“離婚の危機”から救う」なんて出来事があったのだが、それはまた改めて書くことにする。 連載の次回は、「人は優しく、街は冷たい」だ。難病になって以降、人々の優しさに触れる機会が多く感動することもしばしば。対して街の作りのなんと冷たいことか。難病者の実体験に基づいた「ここがダメだよ東京のバリアフリー」とでも予告しておこう。乞うご期待』、「パーキンソン病患者となって思うのは、不治の病だからこそ、自分の病気のこと、つらいことなど、とにかく話を聞いてほしいということだ。しゃべるだけでも、身も心も軽くなるような気がする。 だから、「思いを受け止めてくれている」と患者が感じられること、そして診察が終わる頃には明るい気持ちにしてくれる医者こそ、この種の病の主治医にふさわしいと思う」、確かにその通りだろう。

第三に、11月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの原 英次郎氏による「脳の手術後「夫の人格が変わった」「電極を抜いて」と語る妻…本当の闘いはこれからだ 第6回 DBS(脳深部刺激療法)手術とその効果【後編】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/333023
・『60歳で難病の診断を受けた筆者が闘病生活を赤裸々につづる連載。第6回以降は、頭に穴を開けるDBS(脳深部刺激療法)手術とその効果について前・中・後編に分けてお届けしている。今回は、2022年9月30日に手術を受けてから1年をつづる後編』、興味深そうだ。
・『手術が終わってからが治療の始まり そもそも効果の期待できない3things  DBS(脳深部刺激療法)は、「手術が終わってからが治療の始まり」だという。実際、この言葉の通りだというのが1年たった俺の感想だ。得たものも大きかったが、新しく克服しなければならならない課題も生じた。 (図1:DBSシステム はリンク先参照) 得たものは、差が大きくて苦しめられていたオン(薬が効いている時間)とオフ(薬の効いていない時間)の差がなくなり、一日中活動できるようになったことだ。オフの時間に寝込む必要がなくなったのは、本当にうれしい。 一方、新たな課題は、とても転びやすくなったこと、言葉が出にくくなったことだ。 そもそもDBSでは、改善の効果が期待できない3thingsというものがある(図2参照)。俺の新たな課題はこの中にも入っていて、DBSではそもそも改善は期待できない。「新たな」といったが、この1年でいっそう悪化したことといった方がいいだろう。 (図2:効果の期待できない“3 things”はリンク先参照) 2022年9月30日に手術を受け、10月21日に退院、そして同月31日は初めての外来による診察だった。オンとオフがなくなったのは、まさにDBS手術の狙い通りだが、新しい課題については担当医のO先生に相談した(下記は、その時の様子を友人たちへ報告したメールから引用)。 「左後方に倒れやすいこと、足の裏のしびれ、それから私の性欲が強いことについて相談しました。 転倒と足の裏の痺れについては、0.2mmA電流を強くし、性欲についてはやる気を刺激する貼り薬のニュープロバッチを18mgから15.75mgへと減らすことになりました。まだ、脳の腫れが残っており、腫れが引くにつれ、電流を強くし薬を減らして行く予定です」 O先生によれば、退院した後も電極を入れただけで良くなってしまう一時的な効果もあるので、それが落ち着く半年間は、月1回の外来診療で微調整する必要があるという。その後、もちろん医師の指示通り月1ペースで通院したが、転びやすいという姿勢反射障害はなかなか克服されなかった。
 人間の生活は、「無意識」が多い。俺は、無意識に方向転換する時が危ない。牛乳をコップ1杯飲み干したのでもう1杯飲もうと、冷蔵庫のドアを開けた瞬間に後ろにひっくり返る。階段から無事に降りたと思ったのも束の間、左右どちらかに方向転換するとひっくり返るといった具合である。特に、自宅にいる時が危ない。壁までの距離が近い上に、家具なども並べてあるからだ。 どうしたものかと思っていた時、実兄のアイデアで、ラグビーのヘッドキャップをかぶるようにした(俺は、高校時代ラガーマンだった)。これが、いかように転んでも頭を保護してくれて、すごい威力を発揮している。外出時にかぶる時もあるが、ラグビー好きのおじさんくらいにしか思われない(と思う…)。 キャップ姿の写真をこの連載の担当者に送ったら、「似合っていますね、すごく若々しく見えますよ!」なんておだてられてしまい、いつの間にか連載のトップ画像になっていた。>>『元経済誌編集長、パーキンソン病と闘う』』、「転倒と足の裏の痺れについては、0.2mmA電流を強くし、性欲についてはやる気を刺激する貼り薬のニュープロバッチを18mgから15.75mgへと減らすことになりました。まだ、脳の腫れが残っており、腫れが引くにつれ、電流を強くし薬を減らして行く予定です」 O先生によれば、退院した後も電極を入れただけで良くなってしまう一時的な効果もあるので、それが落ち着く半年間は、月1回の外来診療で微調整する必要があるという」、手術しても「電流」の強さの「微調整」などが必要なようだ。
・『母の危篤と死に伴い九州を何度も往復 腰~太ももの裏側を貫く激痛に襲われる  ただ、O先生からは念のため、「自宅キッチン出入り禁止令」を出されてしまった。23年の初め頃には、姿勢反射障害、腰痛、失禁が新たな3大課題となった。 失禁については、外出時は紙おむつを利用することで対応可能だし、街のバリアフリーについて考える良いきっかけにもなった(連載の第3回『ヤマダデンキの「神トイレ」に感激…難病患者が「本当にありがたかった」と語る理由』を参照してほしい)。 腰痛も徐々に和らぎつつあった。問題は、姿勢反射障害だ。そんなとき、思わぬ不幸が俺を襲った。 九州にいる俺の母が危篤に陥り、そのまま帰らぬ人となり、葬儀、四九日法要と何度も九州と自宅(千葉県)を往復することになったのだ。忙しさと長時間の移動で、急激に腰から臀部(でんぶ)、太ももの裏側を貫く激痛に襲われるようになった。 この痛みに対して、持病の脊柱管狭窄(きょうさく)症による神経圧迫と、さらにパーキンソン病による筋肉固縮が血液循環を悪化させ、神経を圧迫し、いっそう痛みが増しているという点では、どの医師の見立ても変わらない。しかし、痛みの期間が長引くにつれ、治療に関しては少しずつ意見が異なるようになってきた。 (図3:DBSの適応基準(一般的な例) はリンク先参照) (表:DBSが効く症状、DBSが効かない症状 はリンク先参照)』、「この痛みに対して、持病の脊柱管狭窄(きょうさく)症による神経圧迫と、さらにパーキンソン病による筋肉固縮が血液循環を悪化させ、神経を圧迫し、いっそう痛みが増しているという点では、どの医師の見立ても変わらない。しかし、痛みの期間が長引くにつれ、治療に関しては少しずつ意見が異なるようになってきた」、痛みの治療法で医者間の意見がまとまらないというのは困ったことだ。
・『手術への期待と現実のギャップ 俺の「人格が変わってきた」という妻  6年間にわたる薬物治療とDBSを通じて感じたのは、パーキンソン病の個別性の高さである。薬物治療は個人の症状の違いに合わせて常に、薬の種類と量を調整していく必要がある(第5回『「高をくくっていた…」難病患者が明かす、“薬がよく効く期間”の後に下した2度の大決断』参照)。 DBS治療の場合は、手術前の検査が何よりも大切だと思う。DBSが効くかどうかを判断するだけでなく、患者が抱いた期待と、その後の現実とのギャップに戸惑うことも多いからだ。 DBSで外来に通っていると、似た境遇の患者と話をする機会がある。ある中年女性はジスキネジア(本人の意思とは関係なく、体の一部が勝手に不規則で異様な動きする現象)がひどい。彼女は「こんなことなら手術なんかするんじゃなかった」とぼやいていた。もちろん、手術によって以前よりジスキネジアが軽くなっているのかもしれない。ただ、本人としては、頭に穴を開けたのだから、もっと良い結果を想像していたのだろう。 我が家の“山の神”も、当初はDBSをとても評価していた。だが、手術から1年たち、DBSによって俺の人格が変わってきた、という。性格が変化する上に、毎朝、痛みで七転八倒している俺を見かねて、「電極を抜いてください」ともう一人の主治医であるH先生に要望するほど、評価が一転してしまった。 かみさんに言わせると、DBS手術で性格が変わり得ること、意思疎通に問題が生じるほど言葉が出にくくなること、手術をしても強烈な腰の痛みがとても長く続く可能性については、「聞いていない」というのだ。 先生方からすれば、一通り説明したということになるが、なにせ専門家と素人である。そこに、誤解や理解の差があって当然だ。問題はその差が明らかになった時、どうやって互いが納得するような対策を見いだせるかだろう。 一方、術後1年してパーキンソン病そのものに対する診断は、病気の進行はほとんど見られない、つまりDBSは有効であるという上々の結果となった。手術現場で起こった視床下核の異常な反応の悪影響は、杞憂(きゆう)に終わったようだ。 では、この結果と痛みに追いまくられる現実をどう考えたらいいのか――。パーキンソン病が主因なのか、脊柱管狭窄症が主因なのか、痛みの原因は複雑に絡んでいて、明確な答えは出ていない。 痛みは、体力のみならず気力までも奪い取る。だから、この痛みさえ取れれば、やれることは大きく広がるはずだ。オンとオフがなくなったメリットはそれだけ大きい。そのメリットを生かすためにも、本当の「闘い」はこれからだと思っている』、「我が家の“山の神”も、当初はDBSをとても評価していた。だが、手術から1年たち、DBSによって俺の人格が変わってきた、という。性格が変化する上に、毎朝、痛みで七転八倒している俺を見かねて、「電極を抜いてください」ともう一人の主治医であるH先生に要望するほど、評価が一転してしまった。 かみさんに言わせると、DBS手術で性格が変わり得ること、意思疎通に問題が生じるほど言葉が出にくくなること、手術をしても強烈な腰の痛みがとても長く続く可能性については、「聞いていない」というのだ・・・痛みの原因は複雑に絡んでいて、明確な答えは出ていない。 痛みは、体力のみならず気力までも奪い取る。だから、この痛みさえ取れれば、やれることは大きく広がるはずだ。オンとオフがなくなったメリットはそれだけ大きい。そのメリットを生かすためにも、本当の「闘い」はこれからだと思っている」、やはり「パ-キンソン病」の手術は術後の対応も大変のようだ。
タグ:原 英次郎氏による「脳の手術後「夫の人格が変わった」「電極を抜いて」と語る妻…本当の闘いはこれからだ 第6回 DBS(脳深部刺激療法)手術とその効果【後編】」 「パーキンソン病患者となって思うのは、不治の病だからこそ、自分の病気のこと、つらいことなど、とにかく話を聞いてほしいということだ。しゃべるだけでも、身も心も軽くなるような気がする。 だから、「思いを受け止めてくれている」と患者が感じられること、そして診察が終わる頃には明るい気持ちにしてくれる医者こそ、この種の病の主治医にふさわしいと思う」、確かにその通りだろう。 「「世界一」という高い目標を掲げて、それを患者に公言するなんて、そうとう覚悟がないとできないことだ。H医師は、強い決心と人並み外れた努力をしたに違いない」、その通りだ。 「パーキンソン病患者の約20パーセントが、「レビー小体型認知症」を発症するといわれている。H医師の思考の習慣に倣えば、「5人に1人も認知症になるんだ…」ではなく、「5人のうち4人は認知症にならないんだ!」と、いうことだ。考える方向を変えるだけで、物事は全く違った見え方をする」、前向きな捉え方が大切なようだ。 原 英次郎氏による「パーキンソン病になった元経済誌編集長、主治医の選び方&付き合い方の大切さを思い知る 第2回 主治医の選び方&付き合い方~セカンド・オピニオンは大事~」 「姿勢反射障害による転倒がひどくなり」、これは危険で注意が必要だ。 「パーキンソン病になると、さまざまな運動障害が出てくる。次の四つが典型的だ。(1)静止時の震え、(2)筋肉が硬くこわばる筋固縮、(3)動きが遅くなる寡動・無動、(4)転びやすくなる姿勢反射障害」、なるほど。 「パーキンソン病は、それを示す指標となるものがないからだ。要するに、症状の原因が他の病気のせいではないと分かった上で、医者が患者の動きを見て判断する。だから、数多くのパーキンソン病の症例を見てきた医者が、判断しやすいということになる・・・兄とH医師のおかげで、パーキンソン病を「恐れず、騒がず、悲観せず」の態度で迎えることができた」、なるほど。 「順天堂大学病院・・・がパーキンソン病の治療と研究で進んでいると聞いていた。病院のホームページを見ると、H医師だけが3カ月待ちとなっている。パーキンソン病は急速に進行する病気ではないし、きっと人気があるのだろうな、とH医師にセカンド・オピニオンをお願いした」、いい医師を見つけたものだ。 「父とその姉(つまり伯母)をパーキンソン病で亡くしている。父は4人姉弟なので、発病率は50%にも達する。だから、俺の兄(医者で専門は精神科)は、この病気に詳しかった。 兄から、「パーキンソン病は遺伝する。兄妹3人のうち誰かがパーキンソン病になる可能性は高い」「けれど現代医学では、寿命が尽きるまで日常生活を送れる」と聞いていた(もちろん個人差もあるし、前述した通りそう簡単ではないのも確かだが)、事前に予備知識は十分に持っていたようだ。 患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、伝伝えていきたい」、大いに参考になりそうだ。 患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、パーキンソン病と聞くと、少し知識のある人は、「だんだん体の自由が利かなくなり、最後は寝たきりに。もう、人生終わりだろう」と、思うかもしれない。 ところがどっこい、患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。 原 英次郎氏による「「俺は今やアンドロイド」元経済誌編集長、パーキンソン病との折り合い日記 第1回 「うちのパーちゃん」と呼ばれるまで」 ダイヤモンド・オンライン (その24)(パーキンソン病との折り合い日記(第1回 「うちのパーちゃん」と呼ばれるまで、第2回 主治医の選び方&付き合い方、第6回 DBS(脳深部刺激療法)手術とその効果) 高齢化社会 「転倒と足の裏の痺れについては、0.2mmA電流を強くし、性欲についてはやる気を刺激する貼り薬のニュープロバッチを18mgから15.75mgへと減らすことになりました。まだ、脳の腫れが残っており、腫れが引くにつれ、電流を強くし薬を減らして行く予定です」 O先生によれば、退院した後も電極を入れただけで良くなってしまう一時的な効果もあるので、それが落ち着く半年間は、月1回の外来診療で微調整する必要があるという」、手術しても「電流」の強さの「微調整」などが必要なようだ。 「この痛みに対して、持病の脊柱管狭窄(きょうさく)症による神経圧迫と、さらにパーキンソン病による筋肉固縮が血液循環を悪化させ、神経を圧迫し、いっそう痛みが増しているという点では、どの医師の見立ても変わらない。しかし、痛みの期間が長引くにつれ、治療に関しては少しずつ意見が異なるようになってきた」、痛みの治療法で医者間の意見がまとまらないというのは困ったことだ。 「我が家の“山の神”も、当初はDBSをとても評価していた。だが、手術から1年たち、DBSによって俺の人格が変わってきた、という。性格が変化する上に、毎朝、痛みで七転八倒している俺を見かねて、「電極を抜いてください」ともう一人の主治医であるH先生に要望するほど、評価が一転してしまった。 かみさんに言わせると、DBS手術で性格が変わり得ること、意思疎通に問題が生じるほど言葉が出にくくなること、手術をしても強烈な腰の痛みがとても長く続く可能性については、「聞いていない」というのだ・・・ 痛みの原因は複雑に絡んでいて、明確な答えは出ていない。 痛みは、体力のみならず気力までも奪い取る。だから、この痛みさえ取れれば、やれることは大きく広がるはずだ。オンとオフがなくなったメリットはそれだけ大きい。そのメリットを生かすためにも、本当の「闘い」はこれからだと思っている」、やはり「パ-キンソン病」の手術は術後の対応も大変のようだ。
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女性活躍(その29)(〈女性総理争い勃発!?〉“味方は杉田水脈”の高市氏VS“軽い神輿”の上川氏 「ポスト岸田レース」有力候補が続々脱落のなか 初の女性総理 誕生なるか?【2023政治記事 5位】、女性管理職が増えた大企業で男性社員の仕事満足度が急降下…経済学の研究が明かす「女性活躍の不都合な真実」 1000人以上の大企業で起きている男性社員の異変、江戸時代の女性は銭湯から裸で歩いて帰った…かつての日本で女性たちが上半身裸でうろついていた理由 何を"恥ずかしい"と感じるかは文化の中で形成される) [社会]

女性活躍については、本年9月9日に取上げた。今日は、(その29)(〈女性総理争い勃発!?〉“味方は杉田水脈”の高市氏VS“軽い神輿”の上川氏 「ポスト岸田レース」有力候補が続々脱落のなか 初の女性総理 誕生なるか?【2023政治記事 5位】、女性管理職が増えた大企業で男性社員の仕事満足度が急降下…経済学の研究が明かす「女性活躍の不都合な真実」 1000人以上の大企業で起きている男性社員の異変、江戸時代の女性は銭湯から裸で歩いて帰った…かつての日本で女性たちが上半身裸でうろついていた理由 何を"恥ずかしい"と感じるかは文化の中で形成される)である。

先ずは、本年11月28日付けgooニュースが集英社オンラインを転載した「〈女性総理争い勃発!?〉“味方は杉田水脈”の高市氏VS“軽い神輿”の上川氏。「ポスト岸田レース」有力候補が続々脱落のなか、初の女性総理、誕生なるか?【2023政治記事 5位】」を紹介しよう。
https://news.goo.ne.jp/article/shueisha/nation/shueisha-182370.html
・『2023年度(1月〜12月)に反響の大きかった政治記事ベスト10をお届けする。第5位は、内閣支持率が急降下している岸田政権の中で注目が集まる2人のベテラン女性議員についての記事だった(初公開日:2023年11月28日)。岸田内閣の支持率が報道各社で軒並み過去最低を記録し、永田町に衝撃が走っている。「政権交代を許した2009年の麻生政権末期に似た雰囲気だ」との悲鳴も上がっており、永田町の関心は一気にポスト岸田に向かっている。悪循環の空気をがらりと変えるための注目が集まっているのが、ベテラン女性議員2人の動向だ。 2023年度(1月〜12月)に反響の大きかった政治記事ベスト10をお届けする。第5位は、内閣支持率が急降下している岸田政権の中で注目が集まる2人のベテラン女性議員についての記事だった。(初公開日:2023年11月28日。記事は公開日の状況。ご注意ください』、興味深そうだ。
・『菅直人政権以来の低支持率も、ポスト岸田の本命不在  「時事通信、毎日新聞、朝日新聞、読売新聞の今月の世論調査は、いずれも内閣支持率25%以下。30%を割り込むと、『危険水域』と言われますが、旧民主党の菅直人政権以来の水準という、あまりに低い支持率に『民主党に政権交代を許した、麻生政権の末期のようだ』『もう何をしてもダメだ』との声が上がっています。 さらに、ここにきて5派閥の政治資金パーティー収入の不記載問題も発覚し、政権はさらにピンチに追い込まれています」(全国紙政治部記者) それゆえに自民党内では「岸田総理のもとでは、衆院選を戦えない」との悲鳴が相次ぎ、ポスト岸田が取りざたされている。 「岸田総理の弱点は、自身の派閥が党内第4派閥で、安倍派や麻生派、茂木派にはしごを外されたら、来年秋の総裁選での再選がかなわなくなることです。それだけに今後、主要派閥が岸田氏を担ぎ続けるのか、新たな総理を誕生させるのかが焦点となります」(同) ただ、現時点でポスト岸田の本命は不在だ。前回2021年の総裁選で次点だった河野太郎デジタル相は、マイナ問題をめぐる迷走もあり、失速中。「次の総理」にふさわしい人物として上位の常連である石破茂氏は無派閥で、党内での支持基盤は築けていないまま。 茂木敏充幹事長も「『私も出る』となれば、『令和の明智光秀』になってしまう」と、岸田氏の対抗馬として総裁選に出るつもりはないと強調する。 前回の総裁選に出馬した野田聖子氏も、前回は推薦人20人を集めるため、二階派に推薦人を出してもらうなど全面的に協力を受けたが、「岸田政権になって非主流派になってしまった二階派が大臣ポストを2つしかとれなかったのに、野田聖子は二階派に大臣ポストを譲ることもせず、こども担当大臣になった。次は支援しない」(二階派ベテラン)と怒りを買っており、苦しい状況だ』、「岸田氏」は本来であれば登場する筈の「対抗馬」がそれぞれの事情で、「登場できない」のは幸運なことかも知れない。
・『「取り巻きのメンバーが過激」勉強会開催の高市氏には冷ややかな声  そんななか、今、永田町の注目を集めているのが、2人のベテラン女性議員だ。 1人目は、いち早く総裁選をにらんだ動きを見せた高市早苗経済安保相。11月15日には安全保障などをテーマにした勉強会「『日本のチカラ』研究会」を開き、派閥横断の13人が参加した。岸田政権を支える閣僚でありながら、事実上の総裁選出馬に向けた準備を始めたとみられ、党内で波紋を呼んでいる。 「高市氏はX(旧Twitter)で『現職閣僚が担務外の政策を同僚議員と一緒に勉強することの何が悪いの、意味が分からん』と投稿していましたが、総裁選出馬について『また戦わせていただく』と明言した高市氏が勉強会を開催すれば、総裁選に向けた地ならしだととらえられるのは、当たり前でしょう」(全国紙政治部記者) ただ、勉強会に参加した顔ぶれを見ると、アイヌ民族などへの人権侵犯発言で物議をかもしている杉田水脈氏ら自民党内でも右派とされる議員が中心だ。「安倍さんの後ろ盾もなくなった今、高市さんが支持を広げるのは難しいのでは。取り巻きのメンバーも過激で、ついていけない」(自民党ベテラン)と冷ややかな声も。 安倍派の世耕弘成参院幹事長も勉強会に「いかがなものか」と苦言を呈し、高市氏が思惑通りに総裁選に向けた党内の支持基盤づくりを進められるかどうかは微妙だ』、「安倍さんの後ろ盾もなくなった今、高市さんが支持を広げるのは難しいのでは。取り巻きのメンバーも過激で、ついていけない・・・と冷ややかな声も。 安倍派の世耕弘成参院幹事長も勉強会に「いかがなものか」と苦言を呈し、高市氏が思惑通りに総裁選に向けた党内の支持基盤づくりを進められるかどうかは微妙」、なるほど。
・『非主流派も、上川氏に太鼓判?  一方、ここにきてポスト岸田として名前が急浮上しているのが、上川陽子外相だ。 上川氏は東大卒業後、三菱総合研究所の研究員を経て、ハーバード大学ケネディ・スクールで政治行政学修士号を取得。2000年に初当選を果たした。これまで男女共同参画相や法務大臣を歴任し、2018年にはオウム真理教の教祖だった麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚ら13人の死刑執行を命令したことでも知られる。 今年9月の内閣改造では、岸田派の林芳正外相が続投するとみられていたが、ノーマークだった上川氏が外相に就任。上川氏も岸田派に所属している。 「上川氏は米国の上院議員の政策スタッフを務めていた経験もあるが、外交手腕は未知数。それでも総理が林氏を交代させ、上川氏を外相にしたのは、自身と同じ岸田派内で総理を狙う林氏の力をそぎたいという思惑があったのでしょう」(自民党関係者) その上川氏について全国紙政治部記者は「能力が高いと言われているが、決まったことをこなす能力には長けていても、新しく自分で何かを作り出したり、決めたりすることは苦手だ」と厳しい見方をする。 ただ、その分、「神輿は軽いほうがいい。茂木幹事長、菅義偉前総理らも、上川さんなら自分たちがグリップできると思っています。女性初の総理を誕生させれば、衆院選も有利に戦える。『岸田では戦えない』と判断したベテランたちが、流れをつくるときは一瞬で動くのでは」(同)とみる。 実際に、自民党内からは「『ポスト岸田は上川外相だといかがでしょう』と聞くと、非主流派の重鎮も笑顔を見せた。2年間冷や飯を食わされ、そろそろ権力を手にしたい非主流派にとっても、上川外相なら乗れるのだろう」(自民党ベテラン議員)との声も漏れる。 あと1年を切ったポスト岸田レース。誰が権力を手にし、誰が冷や飯を食うのか……』、「総理が林氏を交代させ、上川氏を外相にしたのは、自身と同じ岸田派内で総理を狙う林氏の力をそぎたいという思惑があったのでしょう・・・「神輿は軽いほうがいい。茂木幹事長、菅義偉前総理らも、上川さんなら自分たちがグリップできると思っています。女性初の総理を誕生させれば、衆院選も有利に戦える。『岸田では戦えない』と判断したベテランたちが、流れをつくるときは一瞬で動くのでは」(同)とみる。 実際に、自民党内からは「『ポスト岸田は上川外相だといかがでしょう』と聞くと、非主流派の重鎮も笑顔を見せた。2年間冷や飯を食わされ、そろそろ権力を手にしたい非主流派にとっても、上川外相なら乗れるのだろう」、次期「総理」の要件は意外に複雑なようだ。

次に、11月24日付けPRESIDENT BOOKSが掲載した拓殖大学政経学部教授の佐藤 一磨氏による「女性管理職が増えた大企業で男性社員の仕事満足度が急降下…経済学の研究が明かす「女性活躍の不都合な真実」 1000人以上の大企業で起きている男性社員の異変」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/76078
・『2016年の女性活躍推進法施行以降、大企業を中心に女性管理職の数が増えている。それによる男性への影響はあるのか。拓殖大学教授で『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社)を上梓した佐藤一磨さんは「1000人以上の大企業で男子非管理職の仕事満足度がガクッと下がっている。比較的女性管理職が増えた企業で働く男性ほど、昇進機会が制限され仕事満足度が下がってしまったと考えられ、この結果は女性活躍推進法の副作用といえるのかもしれない」という――。 ※本稿は、佐藤一磨『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社)の一部を抜粋し加筆したものです。
https://president.jp/articles/-/76078
・『法律の思わぬ影響を考える  私たちが生きている社会には、さまざまな法律が存在しています。 法律は一定の目的をもって施行されるわけですが、中には思わぬ影響をもたらす場合があります。 今回はその一例として、2016年4月に施行された「女性活躍推進法」を取り上げてみたいと思います。この法律は、国、地方公共団体、労働者数301人以上(2022年からは101人以上)の事業主に女性が活躍できる行動計画を策定・公表するよう義務付けています。 狙いは労働力不足や男女間格差の解消、そして、女性のさらなる社会進出の促進です。 この法律では、管理職に占める女性の割合の把握・公表が義務付けられています。さらに、同法では「女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用」の実施が求められているため、対象となる企業、国、自治体で女性管理職が増加したと考えられます』、「女性活躍推進法」の影響とは興味深そうだ。
・『女性活躍推進法で気になる2つのポイント  さて、ここで気になることが2つあります。 1つ目は、女性活躍推進法によって女性管理職の割合がどの程度増えたのか、という点です。 実は女性活躍推進法は10年間の時限立法であるため、その進捗状況の確認は重要です。女性管理職が増えるぶんにはいいかもしれませんが、女性管理職がぜんぜん増えていなかった場合、制度の見直しが必要となります。はたして法の施行以降、女性管理職割合は順調に増えているのでしょうか。 2つ目は、女性活躍推進法の男性への影響です。 管理職のポスト数は限られているため、女性の数が増えれば男性の数は減少します。つまり、女性活躍推進法の施行以降、非管理職の男性の昇進機会が制限された可能性があるのです。 これは、昇給及び昇進時期の遅れや、そもそも昇進機会の消失につながった恐れもあり、非管理職の男性にとってマイナスの影響があったと予想されます。また、日本の強い性別役割分業意識を考えれば、男性は家庭での稼ぎ頭であることが求められるため、昇進機会の低下は、男性に心理負担をもたらしたとも考えられます。 以上の点を考慮すると、女性活躍推進法の施行は、非管理職男性の満足度、特に仕事満足度を悪化させたのではないでしょうか。この点は気になるところです。 以下でこれら2つの疑問に答えていきたいと思います』、「女性活躍推進法の施行は、非管理職男性の満足度、特に仕事満足度を悪化させたのではないでしょうか・・・以下でこれら2つの疑問に答えていきたい」、なるほど。
・『女性活躍推進法以降、女性管理職は「ちょっとだけ」増えた  まず、女性管理職割合は増えたのかという疑問から検証していきましょう。 図表1は厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を用いて、民間企業における女性管理職割合を見ています。女性活躍推進法は2016年の施行当初、301人以上の企業を対象としていたため、ここでは企業規模で女性管理職割合を分けてみました。なお、データの都合上、就業者が500人より多いか、少ないかで分類しています。 【図表】女性管理職比率の推移図表=筆者作成 この図から、女性活躍推進法の適用対象となっている企業で女性管理職割合が緩やかに増加したことがわかります。500人以上の企業では、女性管理職割合が2015年で7.5%だったのですが、2019年には9.2%へと微増しました。増加幅は1.8%です。これに対して、女性活躍推進法の適用対象外の企業の多い500人未満の企業では女性管理職はほぼ変化していませんでした。 この結果から、女性活躍推進法によって「ちょっとだけ」女性管理職割合が増えたと言えるでしょう』、「女性活躍推進法の適用対象となっている企業・・・500人以上の企業では、女性管理職割合が2015年で7.5%だったのですが、2019年には9.2%へと微増・・・増加幅は1.8%」、確かに「「ちょっとだけ」女性管理職割合が増えた」、ようだ。
・『女性管理職の増加は大企業で  図表1から、女性活躍推進法の適用対象企業で女性管理職割合がやや増えたと言えそうですが、適用対象企業の中には従業員が1000人以上を超える大企業もあれば、中規模の企業も混じっています。これらの企業で法への対応が異なっていてもおかしくありません。特に、大企業は社会の目もあるため、比較的真剣に女性管理職問題に取り組んだ可能性があります。 そこで、図表2では500人以上の企業を500~999人と1000人以上に分けてみました。これを見ると、女性活躍推進法の施行以降に女性管理職割合が増えたのは、1000人以上の大企業だとわかります。 【図表】企業規模別の女性管理職比率の推移図表=筆者作成 1000人以上の企業では、女性管理職割合が2015年で7.1%だったのですが、2019年には9.2%になり、この間に2.1%の増加となっていました。これに対して、500~999人の企業では、この間わずか0.3%しか女性管理職割合が増えていませんでした。 これらの結果から、女性活躍推進法によって女性管理職割合が増えたのは大企業のみであり、他はほぼ影響がなかったといえるでしょう』、「女性活躍推進法の施行以降に女性管理職割合が増えたのは、1000人以上の大企業・・・女性管理職割合が2015年で7.1%だったのですが、2019年には9.2%になり、この間に2.1%の増加となっていました。これに対して、500~999人の企業では、この間わずか0.3%しか女性管理職割合が増えていませんでした」、「大企業」では明確な効果が実証された。
・『男性の仕事満足度は女性活躍推進法の施行によって低下  次に見ていきたいのが女性活躍推進法の男性への影響です。結論から言えば、女性活躍推進法の施行によって、男性の仕事満足度は低下していました(※1)。 図表3は、女性活躍推進法の施行前後の非管理職正社員の男性の仕事満足度の推移を示しています。これを見ると、女性活躍推進法の適用対象であった301人以上の企業及び官公庁で働く男性の仕事満足度は、2016年以降ガクッと下がっていました。これに対して、300人未満の企業で働く男性の仕事満足度は大きな変化を経験しておらず、法の影響がなかったと考えられます。 【図表】非管理職正社員男性の仕事満足度の推移図表=筆者作成 ちなみに、統計的な手法を用いて年齢、学歴、世帯年収といったさまざまな要因の影響を除去しても、女性活躍推進法の適用対象であった男性の仕事満足度が低下するという傾向に変化は見られませんでした。 また、企業規模をさらに分けると、男性の仕事満足度の低下は1000人以上の大企業で働く場合で顕著に見られることもわかりました。やはり比較的女性管理職が増えた企業で働く男性ほど、昇進機会が制限され、仕事満足度が下がってしまったと考えられます。 この結果は、女性活躍推進法の副作用と言えるのかもしれません』、「男性の仕事満足度の低下は1000人以上の大企業で働く場合で顕著に見られることもわかりました。やはり比較的女性管理職が増えた企業で働く男性ほど、昇進機会が制限され、仕事満足度が下がってしまったと考えられます。 この結果は、女性活躍推進法の副作用と言えるのかもしれません」、なるほど。
・『女性の活躍推進は継続すべき  さて、この結果を男性の視点から見た場合、「けしからん!」となるかもしれません。これまで得ていたものを失い、不満が溜まっているからです。ただ、だからといって昔の日本の姿に戻るのは、難しいでしょう。 佐藤一磨『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社) もし企業や官公庁の管理職が男性で占められていた場合、イノベーションが起きないといった経営上の課題が解決されないことに加え、女性の賃金が伸びず、男女間賃金格差が温存されることになります。男女間賃金格差が温存された場合、出産・子育ての際に相対的に賃金の低い女性にその負担が偏る合理的な理由となってしまいます。 出産後に増える家事・育児負担を誰が担うのかと夫婦で話し合う場合、賃金が低くて世帯所得があまり減らないほうが担うのが得策となれば、どうしても女性に負担が偏るでしょう。それは男性の「大黒柱プレッシャー」や「男性のほうがポジションが上であるべき」という価値観が温存し続けることも意味し、結局は男性の仕事満足度へのネガティブな影響が残ることにつながります。 このように夫婦で合理的に考えた結果、女性の負担と男性の心理的プレッシャーが偏る状況が今後も続かないようにするためにも、女性活躍推進策を推し進めることが重要です。 (※1)佐藤一磨, 影山純二(2023)「女性活躍推進法は非管理職男性の主観的厚生にどのような影響を及ぼしたのか」日本人口学会第75回大会(南山大学、2023年6月10日発表). 佐藤 一磨(さとう・かずま)拓殖大学政経学部教授 (略歴はリンク先参照)』、「夫婦で合理的に考えた結果、女性の負担と男性の心理的プレッシャーが偏る状況が今後も続かないようにするためにも、女性活躍推進策を推し進めることが重要です」、同感である。

第三に、12月18日付けPRESIDENT Onlineが掲載した明治大学文学部 非常勤講師の三橋 順子氏による「江戸時代の女性は銭湯から裸で歩いて帰った…かつての日本で女性たちが上半身裸でうろついていた理由 何を"恥ずかしい"と感じるかは文化の中で形成される」を紹介しよう。
・『なぜ日本人男性の多くは「乳房」に性的欲望を覚えるのか。明治大学文学部非常勤講師の三橋順子さんは「かつての日本では乳房に性的な意味はなく、女性が上半身裸で過ごしているのも当たり前だった。人が何に性的欲望を感じるかは文化の中で形成される」という――。 ※本稿は、三橋順子『これからの時代を生き抜くためのジェンダー&セクシュアリティ論入門』(辰巳出版)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『「性的欲望」とはいったい何か セクシュアリティ(Sexuality)の学問的な定義とはなんでしょうか。セクシュアリティとは「性欲、性的欲望」のことです。いちばん短い定義、置き換え(翻訳)ですが、ちょっと露骨ですね。もう少し穏やかな言い方を好む人は「性愛」の言葉で置き換えます。ただこれは「『愛』とは何か?」というそれなりに厄介な問題をはらみます。もっと即物的には「性現象」と置き換えられます。 上野千鶴子さんは、日本におけるフェミニズムの大家ですが、日本のフェミニズム研究者には珍しく、若い頃からセクシュアリティへの関心をはっきりと持っていた方です(その点では尊敬しています)。その上野さんが、セクシュアリティとは「性をめぐる観念と欲望の集合」と定義しています(上野千鶴子「『セクシュアリティの近代』を超えて」)。 おおよそ良いと思うのですが「観念と欲望」だと「行為」が抜け落ちてしまいます。そこで私は、セクシュアリティとは、「性についての欲望と行為に関わる事象の総合」と定義しています。これだと「行為」も入りますし、かなり広い定義になります』、「上野さんが、セクシュアリティとは「性をめぐる観念と欲望の集合」と定義しています・・・おおよそ良いと思うのですが「観念と欲望」だと「行為」が抜け落ちてしまいます。そこで私は、セクシュアリティとは、「性についての欲望と行為に関わる事象の総合」と定義しています。これだと「行為」も入りますし、かなり広い定義になります」、なるほど。
・『ジェンダーとセクシュアリティを分けるのは「他者」の存在  ジェンダーとの区分を意識して、もっと細かく言いますと、「『性』に関わる事象のうち、性的指向(Sexual Orientation)、性的嗜好しこう(Sexual Preference)、性幻想(Sexual Fantasy)、性的技巧(Sexual Technique)などを中心とする概念」になります。ちなみに、普通のセクシュアリティ研究者は性的指向、性的嗜好、性幻想の3つで語ります。私は性的技巧を入れて4つなので、「性的技巧など学問ではない!」と叱られます。 セクシュアリティで重要なことは、基本的に「性的他者」が存在することです。「性的自己」(自分)と「性的他者」の関係性がセクシュアリティなのです。この場合、「性的他者」は実在か非実在かは問いません。また、必ずしも一対一である必要もありません。「性的他者」が非実在だったり、複数であるセクシュアリティを否定する人もいますが、私はその立場はとりません。 「ジェンダーとセクシュアリティの違いは何ですか?」という質問がときどきあります。なかなか良い質問ですが、簡潔に答えるのは難しいです。あえて答えれば、ジェンダーとは、私(性的自己)と社会との関係性です。それに対して、セクシュアリティとは、先ほど述べたように私(性的自己)とあなた(性的他者)の関係性になります。もちろんその背景(環境)として社会はあるのですが、それは第二義的です』、「ジェンダーとは、私(性的自己)と社会との関係性です。それに対して、セクシュアリティとは、先ほど述べたように私(性的自己)とあなた(性的他者)の関係性になります。もちろんその背景(環境)として社会はあるのですが、それは第二義的です」、なるほど。
・『何が欲情装置になるかは歴史と文化によって異なる  つぎに、セクシュアリティの構築性の話です。「ジェンダーが構築される話はまだわかるけど、セクシュアリティは本能でしょう?」と考える人は世の中にたくさんいます。たしかに人間も動物ですから、子孫を残す本能、そのための生殖行動をとる身体機能を持っています。ですから性的欲望の存在そのものは、生物学的な身体に由来する本能的なものと言えます。 しかし、その性的欲望が何に向かうか、何に性的欲望を覚えるかになると、本能的とは言えない多様性を持っています。それは、社会・文化的に構築されたものと考えるのが妥当です。 この点について上野千鶴子さんは、「欲望もまた社会的に構築されるものであるならば、セクシュアリティとはすぐれて文化的なものである」と言っています。私もほぼ同じ見解です。性的欲望、存在そのものは本能に由来するものであっても、その質は社会的・文化的に構築されたものになります。つまり何に対して性的欲望を抱くか、何が欲情装置(欲情の引き金)になるかは、歴史的・文化的に異なるのです』、「性的欲望、存在そのものは本能に由来するものであっても、その質は社会的・文化的に構築されたものになります。つまり何に対して性的欲望を抱くか、何が欲情装置(欲情の引き金)になるかは、歴史的・文化的に異なるのです」、なるほど。
・『「巨乳」も「貧乳」もわずか40年ほど前につくられた  例をあげて解説しましょう。近代日本における女性の乳房への視線の変化について話をします。「乳」の漢字を目にしてニヤニヤする人、もしくは恥ずかしいと感じる人がいます。そういった反応は「乳」の文字から女性の乳房を連想してのことだと考えられます。でも、それは間違いです。 「乳」という漢字の意味は、哺乳類の雌が子どもを養育するために分泌する栄養価の高い液体、つまりミルクです。女性の胸のふくらみといった意味は本来ありません。それを言うなら「乳房」であり、膨らんでいるとか、やや垂れ下がっているの意味は「乳」ではなく、「房」の字のほうにあります。大きな乳房を漢字で表現するなら「巨乳」ではなく「巨房」と言うべきです。 歴史的に見ても「乳」の用例は、「母乳」「授乳」「牛乳」「脱脂粉乳」など、「ミルク」の意味が圧倒的でした。「乳房」もミルクを出すふくらみという意味です。それが、1980年代の後半になって、「巨乳」「爆乳」「美乳」「貧乳」といった言葉がメディアによってつくられ(新造語)、「乳」に「乳房」の意味がつけ加えられました』、「歴史的に見ても「乳」の用例は、「母乳」「授乳」「牛乳」「脱脂粉乳」など、「ミルク」の意味が圧倒的でした。「乳房」もミルクを出すふくらみという意味です。それが、1980年代の後半になって、「巨乳」「爆乳」「美乳」「貧乳」といった言葉がメディアによってつくられ(新造語)、「乳」に「乳房」の意味がつけ加えられました」、なるほど。
・『「女性の乳房は大きいほどエロい」という認識はいつ生まれたか  本来の意味なら「爆乳」は爆発性のあるミルク、「貧乳」は栄養価の低いミルクでしょう。「巨乳」は1983年頃にアダルト系の男性雑誌が使い始めたとする説が有力です。それが1980年代後半に雑誌メディア、とくに写真週刊誌に転用されて広まります。 そもそも日本には、「女性の乳房は大きいほどエロい(性欲刺激的である)」との認識はありません。大きい乳房が好きな男性はいたかもしれませんが、少ないです。女性たちも乳房が大きいことを悩みこそすれ、誇ることはありませんでした。ところが、現代では「女性の乳房は大きいほどエロい」は社会通念化しています。それは、どこかの時点で価値観が変化したことを示しています』、「そもそも日本には、「女性の乳房は大きいほどエロい・・・」との認識はありません。大きい乳房が好きな男性はいたかもしれませんが、少ないです。女性たちも乳房が大きいことを悩みこそすれ、誇ることはありませんでした。ところが、現代では「女性の乳房は大きいほどエロい」は社会通念化しています。それは、どこかの時点で価値観が変化したことを示しています」、確かに言われてみれば、その通りだ。
・『わずか10年弱の間に「性的視線」が変化した  私の友人に、若い頃、モデル・女優をしていた人がいます。一緒に温泉に入っているので知っているのですが、乳房は大きくありません。モデル時代はAカップでしょう。それでも当時、一流の男性週刊誌『週刊プレイボーイ』や『週刊平凡パンチ』のカラーグラビアを飾り、写真集も出せたのです。 現在、そうしたグラビアアイドルは、D、E、Fカップは当たり前、G、Hカップの人もいます。グラビアアイドルは巨乳でないとできないのが社会通念になっています。その彼女に「グラビアモデルの巨乳化の転機はいつだと思う?」と尋ねました。すると「それ以前にも大きな(乳房の)モデルはいたけど、負ける気はしなかった。でも、フーミン(細川ふみえ、1990年デビュー)が出てきて、これはもう私の時代じゃないと思った」との返事でした。「現場」にいた人の証言だけに貴重です。転機は1980年代最末~90年代最初期、30数年前になります。性的視線、セクシュアリティの変化がごく短い間に起きたと言えるでしょう』、「若い頃、モデル・女優をしていた人がいます・・・モデル時代はAカップでしょう。それでも当時、一流の男性週刊誌『週刊プレイボーイ』や『週刊平凡パンチ』のカラーグラビアを飾り、写真集も出せたのです。 現在、そうしたグラビアアイドルは、D、E、Fカップは当たり前、G、Hカップの人もいます。グラビアアイドルは巨乳でないとできないのが社会通念になっています。その彼女に「グラビアモデルの巨乳化の転機はいつだと思う?」と尋ねました。すると「それ以前にも大きな(乳房の)モデルはいたけど、負ける気はしなかった。でも、フーミン(細川ふみえ、1990年デビュー)が出てきて、これはもう私の時代じゃないと思った」との返事でした・・・転機は1980年代最末~90年代最初期、30数年前になります。性的視線、セクシュアリティの変化がごく短い間に起きたと言えるでしょう」、なるほど。
・『「乳房」の意味が変化して人前で授乳しなくなった  さて、そうした「乳」の文字の意味が変化したのと時をほぼ同じくして、公共の場、たとえば、電車の中、公園のベンチ、食堂など、他人(男性を含む)の視線がある場所での授乳行為が急速に見られなくなりました。少なくとも1970年代までの日本では、母親が人前で乳房を出して赤ちゃんにお乳をあげることは珍しいことではありませんでした。 私は1970年代の前半、高校時代に電車通学をしていましたが、車中で何度も目撃しています。隣の席でもありました。乳首こそ赤ちゃんが含んでいるので見えませんが、白く張った大きな乳房は丸見えです。ただ、お母さんの乳房は赤ちゃんのもので、性的な視線で見てはいけない、というマナーは男子高校生でもわかっていました。 そうした授乳行為は性的なものではない、性的視線では見てはいけないものという社会的な認識が崩れていったのは、都会と地方で若干の時間差があると思いますが、だいたい1980年代です。新幹線に「授乳室」ができたのもその頃だと記憶しています。 こうした変化は、男性の女性の乳房に対する欲情が、本能ではなく社会的に構築されたもので、「乳房はエロい」「大きいほどエロい」は一種の「共同幻想」であることを示しています』、「お母さんの乳房は赤ちゃんのもので、性的な視線で見てはいけない、というマナーは男子高校生でもわかっていました。 そうした授乳行為は性的なものではない、性的視線では見てはいけないものという社会的な認識が崩れていったのは、都会と地方で若干の時間差があると思いますが、だいたい1980年代です・・・こうした変化は、男性の女性の乳房に対する欲情が、本能ではなく社会的に構築されたもので、「乳房はエロい」「大きいほどエロい」は一種の「共同幻想」であることを示しています」、その通りだ。
・『混浴を「恥ずかしい」と感じていなかった江戸時代の日本人  その仕組みとして、「男性が性的欲望の視線で見る→女性が恥ずかしいから隠す→男性は隠されるから余計に見たくなる」といった「欲望の視線と羞恥心の往復回路」が存在すると思われます。 男性からすると、「女性が恥ずかしがって隠す→男性は隠されるから見たくなる→女性はますます隠す」と思うかもしれませんが、「鶏が先か卵が先か」のような議論になるので止めておきましょう。つまり、性的欲望と同様に羞恥心もまた、歴史的・文化的に形成されるのです。何が「恥ずかしい」かは、時代・地域によって異なるということです。 20世紀中頃に欧米人女性が恥ずかしいと感じたことを、それより100年前の日本人女性が同じく恥ずかしいと感じていたか? というと必ずしもそうとは言えません。この話については、中野明『裸はいつから恥ずかしくなったか 日本人の羞恥心』がとても参考になります。 以下の図は、アメリカ海軍提督M.C.ペリーの『日本遠征記』(1853〜54年)に記録画家として随行したヴィルヘルム・ハイネが描いた「下田の公衆浴場図」(1854年)です。 画面左手のボックス状に区切られた棚のある場所が脱衣所です。脱衣所は男女別になっているようです(棚の裏側が女性スペース)。しかし、L字形に溝がある洗い場はまったくの男女共用です。中央手前に女性のグループ、その右に男性のグループ、そして奥の壁際にまた女性のグループと分かれていますが、男女混浴です。 そして、女性たちはまったく乳房を隠していません。つまり、男性は女性の乳房を日常的に見慣れていることになります。ちなみに湯舟は左奥の「屋形」がついているところ(入口で屈んでいる)の中にあり、男女一緒です』、「男性からすると、「女性が恥ずかしがって隠す→男性は隠されるから見たくなる→女性はますます隠す」と思うかもしれませんが、「鶏が先か卵が先か」のような議論になるので止めておきましょう。つまり、性的欲望と同様に羞恥心もまた、歴史的・文化的に形成されるのです。何が「恥ずかしい」かは、時代・地域によって異なるということです。 20世紀中頃に欧米人女性が恥ずかしいと感じたことを、それより100年前の日本人女性が同じく恥ずかしいと感じていたか? というと必ずしもそうとは言えません・・・「下田の公衆浴場図」(1854年)・・・男女混浴です。 そして、女性たちはまったく乳房を隠していません。つまり、男性は女性の乳房を日常的に見慣れていることになります」、なるほど。
・『・・・江戸時代の伊豆下田の女性たちは、男性と混浴して全裸を見られても、ほぼ羞恥心を感じなかったのです。ただし注意しなければならないのは、羞恥心がないのではなく、羞恥心の在り方が現代の女性とは違っていたということです。 将軍様のお膝元の江戸では、町奉行所が「男女入り込み湯」(男女混浴)を禁止するお触れを何度も出していて、それに応じて、男湯と女湯を仕切っていました。でも遮蔽はされていません。男湯と女湯を見えないように遮蔽する(しなければならない)発想は、完全に近代(明治時代以降)のものです。 余談ですが、この「下田の公衆浴場図」は、ペリー提督『日本遠征記』の数ある挿絵の中で、最も欧米世界に衝撃を与えた絵でした。反応は大きく2つに分かれ、男女が裸で入浴するなんてなんと淫らで未開な民族だという批判。もうひとつは、すばらしい! 失われたギリシャ・ローマ的世界の習俗が、極東の島国に残っていたという賛美です。後者の人たちの中には、混浴を体験したくてはるばる海を渡って日本に来た人もいたようです。 同時に、こうしたすばらしい習俗も、キリスト教徒の目に触れたら遅かれ早かれ消えるだろうといった予言もありました。その予言は約20年後に現実になります』、「こうしたすばらしい習俗も、キリスト教徒の目に触れたら遅かれ早かれ消えるだろう」との「予言」が「約20年後に現実になります」のは残念なことだ。
・『銭湯から上がったら素裸のまま家まで帰る  さらに傍証になるのは、幕末に来日した外国人の観察です。1858年8月、真夏の長崎に上陸したローレンス・オリファントというイギリス使節の随員は、「女はほとんど胸を覆わず、男は簡単な腰布をまとっているだけである」と記しています(『エルギン卿遣日使節録』)。つまり、庶民の男性は褌一丁、女性は下半身に腰巻を巻いただけの上半身裸体です。 また、1857~62年に日本に滞在し、日本近代医学の始祖になったオランダ人医師ポンペ・ファン・メールデルフォールトは「一風呂浴びたのち、男でも女でも素裸になったまま浴場から街路に出て、近いところならばそのまま自宅に帰ることもしばしばある」(『ポンペ日本滞在見聞記』)と記しています。おそらく夏の湯上りのあと、暑くて汗が引かないので、男性も女性も裸のまま家に帰ってしまうのです(実際には男性は褌、女性は腰巻をしていたと思いますが)』、「夏の湯上りのあと」、「銭湯から上がったら」「男性は褌、女性は腰巻」で「家に帰ってしまうのです」、なるほど。
・『明治でも女性が上半身裸で働いているのは普通の光景だった  ラグーザ・お玉(1861~1939年)という、明治初期に西洋絵画を学んだ女性が旅行先で描いた1880年頃の京都の旅館の光景では、旅館の上がり口で若い女性2人が、もろ肌脱ぎの上半身裸で石臼をまわしています。肉体労働、とくに汗をかく夏の時期に、女性が上半身裸体になるのは、明治期になっても珍しいことではなかったことがわかります。 私も小学生の頃、夏の夕暮れ、往来の縁台で近所のおばさんが、乳房が見える状態で夕涼みをしていた記憶があります。たぶん1963年前後でしょう。「おばさん」と言っても実年齢はおそらく40歳前後、今風に言えばアラフォーの女性です。生活習慣的には、1960年代まで、江戸時代的な羞恥感覚が残っていたのかもしれません』、「明治初期に西洋絵画を学んだ女性が旅行先で描いた1880年頃の京都の旅館の光景では、旅館の上がり口で若い女性2人が、もろ肌脱ぎの上半身裸で石臼をまわしています。肉体労働、とくに汗をかく夏の時期に、女性が上半身裸体になるのは、明治期になっても珍しいことではなかったことがわかります」、なるほど。
・『パンツを履くようになったから「パンチラ」が恥ずかしくなる  今まで述べたような性的視線と羞恥心の構築性、つまり歴史的に変化することを詳細に論じたのが、井上章一『パンツが見える。 羞恥心の現代史』です。書名や表紙からは怪しいエロ本に見えなくもないですが、掛け値なしに名著です。この本の内容を要約すれば、つぎのようになります。 “60年ほど前まで、女性のパンツを見て興奮する「パンチラ」好きの男性はいなかった。なぜなら和装の女性はパンツを履いていなかったから。スカートの下のパンツに男性がときめくようになり、パンツを見られた女性が恥ずかしく思うようになったのは、日本の女性がパンツを履くようになってから。たかが半世紀ほどのこと。男性の性的視線と女性の羞恥心は、歴史の中で形成され、変化するものであることを論証する。” 』、「スカートの下のパンツに男性がときめくようになり、パンツを見られた女性が恥ずかしく思うようになったのは、日本の女性がパンツを履くようになってから。たかが半世紀ほどのこと。男性の性的視線と女性の羞恥心は、歴史の中で形成され、変化するものである」、その通りだ。
・『人間は生殖とセクシュアリティが必ずしも結びつかない  さて、長くなりましたがまとめになります。人間の場合、動物と違って生殖とセクシュアリティとは必ずしも結びつきません。そうした意味で、セクシュアリティは本能だけでは語れないのです。むしろ、生殖とは無縁な性行動、たとえば、同性間の性愛やオナニー(Onanie)などが、しばしば見られます。換言すれば、生殖と関わらない性行動の比重が高いところに、人間のセクシュアリティの特質があると言えるのです。 と、まとめましたが、最新の研究で、人類以外のさまざまな動物にも同性のカップリングが観察されることがわかってきました。同性のカップリングは、生殖に直結しないものの、なんらかの形で生物進化のシステムに寄与している可能性が出てきました。今後の注目点です』、「生殖とは無縁な性行動、たとえば、同性間の性愛やオナニー(Onanie)などが、しばしば見られます。換言すれば、生殖と関わらない性行動の比重が高いところに、人間のセクシュアリティの特質があると言えるのです。 と、まとめましたが、最新の研究で、人類以外のさまざまな動物にも同性のカップリングが観察されることがわかってきました。同性のカップリングは、生殖に直結しないものの、なんらかの形で生物進化のシステムに寄与している可能性が出てきました。今後の注目点です」、「人類以外のさまざまな動物にも同性のカップリングが観察されることがわかってきました」、今後、こうした研究が進み「セクシュアリティ」がより深いレベルで解明されることを期待したい。 
タグ:gooニュース (その29)(〈女性総理争い勃発!?〉“味方は杉田水脈”の高市氏VS“軽い神輿”の上川氏 「ポスト岸田レース」有力候補が続々脱落のなか 初の女性総理 誕生なるか?【2023政治記事 5位】、女性管理職が増えた大企業で男性社員の仕事満足度が急降下…経済学の研究が明かす「女性活躍の不都合な真実」 1000人以上の大企業で起きている男性社員の異変、江戸時代の女性は銭湯から裸で歩いて帰った…かつての日本で女性たちが上半身裸でうろついていた理由 何を"恥ずかしい"と感じるかは文化の中で形成される) 女性活躍 集英社オンライン 「〈女性総理争い勃発!?〉“味方は杉田水脈”の高市氏VS“軽い神輿”の上川氏。「ポスト岸田レース」有力候補が続々脱落のなか、初の女性総理、誕生なるか?【2023政治記事 5位】」 「岸田氏」は本来であれば登場する筈の「対抗馬」がそれぞれの事情で、「登場できない」のは幸運なことかも知れない。 「安倍さんの後ろ盾もなくなった今、高市さんが支持を広げるのは難しいのでは。取り巻きのメンバーも過激で、ついていけない・・・と冷ややかな声も。 安倍派の世耕弘成参院幹事長も勉強会に「いかがなものか」と苦言を呈し、高市氏が思惑通りに総裁選に向けた党内の支持基盤づくりを進められるかどうかは微妙」、なるほど。 「総理が林氏を交代させ、上川氏を外相にしたのは、自身と同じ岸田派内で総理を狙う林氏の力をそぎたいという思惑があったのでしょう・・・「神輿は軽いほうがいい。茂木幹事長、菅義偉前総理らも、上川さんなら自分たちがグリップできると思っています。女性初の総理を誕生させれば、衆院選も有利に戦える。 『岸田では戦えない』と判断したベテランたちが、流れをつくるときは一瞬で動くのでは」(同)とみる。 実際に、自民党内からは「『ポスト岸田は上川外相だといかがでしょう』と聞くと、非主流派の重鎮も笑顔を見せた。2年間冷や飯を食わされ、そろそろ権力を手にしたい非主流派にとっても、上川外相なら乗れるのだろう」、次期「総理」の要件は意外に複雑なようだ。 PRESIDENT BOOKS 佐藤 一磨氏による「女性管理職が増えた大企業で男性社員の仕事満足度が急降下…経済学の研究が明かす「女性活躍の不都合な真実」 1000人以上の大企業で起きている男性社員の異変」 佐藤一磨『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社) 「女性活躍推進法」の影響とは興味深そうだ。 「女性活躍推進法の施行は、非管理職男性の満足度、特に仕事満足度を悪化させたのではないでしょうか・・・以下でこれら2つの疑問に答えていきたい」、なるほど。 「女性活躍推進法の適用対象となっている企業・・・500人以上の企業では、女性管理職割合が2015年で7.5%だったのですが、2019年には9.2%へと微増・・・増加幅は1.8%」、確かに「「ちょっとだけ」女性管理職割合が増えた」、ようだ。 「女性活躍推進法の施行以降に女性管理職割合が増えたのは、1000人以上の大企業・・・女性管理職割合が2015年で7.1%だったのですが、2019年には9.2%になり、この間に2.1%の増加となっていました。これに対して、500~999人の企業では、この間わずか0.3%しか女性管理職割合が増えていませんでした」、「大企業」では明確な効果が実証された。 「男性の仕事満足度の低下は1000人以上の大企業で働く場合で顕著に見られることもわかりました。やはり比較的女性管理職が増えた企業で働く男性ほど、昇進機会が制限され、仕事満足度が下がってしまったと考えられます。 この結果は、女性活躍推進法の副作用と言えるのかもしれません」、なるほど。 「夫婦で合理的に考えた結果、女性の負担と男性の心理的プレッシャーが偏る状況が今後も続かないようにするためにも、女性活躍推進策を推し進めることが重要です」、同感である。 PRESIDENT ONLINE 三橋 順子氏による「江戸時代の女性は銭湯から裸で歩いて帰った…かつての日本で女性たちが上半身裸でうろついていた理由 何を"恥ずかしい"と感じるかは文化の中で形成される」 三橋順子『これからの時代を生き抜くためのジェンダー&セクシュアリティ論入門』(辰巳出版) 「上野さんが、セクシュアリティとは「性をめぐる観念と欲望の集合」と定義しています・・・おおよそ良いと思うのですが「観念と欲望」だと「行為」が抜け落ちてしまいます。そこで私は、セクシュアリティとは、「性についての欲望と行為に関わる事象の総合」と定義しています。これだと「行為」も入りますし、かなり広い定義になります」、なるほど。 「ジェンダーとは、私(性的自己)と社会との関係性です。それに対して、セクシュアリティとは、先ほど述べたように私(性的自己)とあなた(性的他者)の関係性になります。もちろんその背景(環境)として社会はあるのですが、それは第二義的です」、なるほど。 「性的欲望、存在そのものは本能に由来するものであっても、その質は社会的・文化的に構築されたものになります。つまり何に対して性的欲望を抱くか、何が欲情装置(欲情の引き金)になるかは、歴史的・文化的に異なるのです」、なるほど。 「歴史的に見ても「乳」の用例は、「母乳」「授乳」「牛乳」「脱脂粉乳」など、「ミルク」の意味が圧倒的でした。「乳房」もミルクを出すふくらみという意味です。それが、1980年代の後半になって、「巨乳」「爆乳」「美乳」「貧乳」といった言葉がメディアによってつくられ(新造語)、「乳」に「乳房」の意味がつけ加えられました」、なるほど。 「そもそも日本には、「女性の乳房は大きいほどエロい・・・」との認識はありません。大きい乳房が好きな男性はいたかもしれませんが、少ないです。女性たちも乳房が大きいことを悩みこそすれ、誇ることはありませんでした。ところが、現代では「女性の乳房は大きいほどエロい」は社会通念化しています。それは、どこかの時点で価値観が変化したことを示しています」、確かに言われてみれば、その通りだ。 「若い頃、モデル・女優をしていた人がいます・・・モデル時代はAカップでしょう。それでも当時、一流の男性週刊誌『週刊プレイボーイ』や『週刊平凡パンチ』のカラーグラビアを飾り、写真集も出せたのです。 現在、そうしたグラビアアイドルは、D、E、Fカップは当たり前、G、Hカップの人もいます。グラビアアイドルは巨乳でないとできないのが社会通念になっています。その彼女に「グラビアモデルの巨乳化の転機はいつだと思う?」と尋ねました。すると「それ以前にも大きな(乳房の)モデルはいたけど、負ける気はしなかった。でも、フーミ ン(細川ふみえ、1990年デビュー)が出てきて、これはもう私の時代じゃないと思った」との返事でした・・・転機は1980年代最末~90年代最初期、30数年前になります。性的視線、セクシュアリティの変化がごく短い間に起きたと言えるでしょう」、なるほど。 「お母さんの乳房は赤ちゃんのもので、性的な視線で見てはいけない、というマナーは男子高校生でもわかっていました。 そうした授乳行為は性的なものではない、性的視線では見てはいけないものという社会的な認識が崩れていったのは、都会と地方で若干の時間差があると思いますが、だいたい1980年代です・・・ こうした変化は、男性の女性の乳房に対する欲情が、本能ではなく社会的に構築されたもので、「乳房はエロい」「大きいほどエロい」は一種の「共同幻想」であることを示しています」、その通りだ。 「男性からすると、「女性が恥ずかしがって隠す→男性は隠されるから見たくなる→女性はますます隠す」と思うかもしれませんが、「鶏が先か卵が先か」のような議論になるので止めておきましょう。つまり、性的欲望と同様に羞恥心もまた、歴史的・文化的に形成されるのです。何が「恥ずかしい」かは、時代・地域によって異なるということです。 20世紀中頃に欧米人女性が恥ずかしいと感じたことを、それより100年前の日本人女性が同じく恥ずかしいと感じていたか? というと必ずしもそうとは言えません・・・「下田の公衆浴場図」(1854年)・・・男女混浴です。 そして、女性たちはまったく乳房を隠していません。つまり、男性は女性の乳房を日常的に見慣れていることになります」、なるほど。 「こうしたすばらしい習俗も、キリスト教徒の目に触れたら遅かれ早かれ消えるだろう」との「予言」が「約20年後に現実になります」のは残念なことだ。 「夏の湯上りのあと」、「銭湯から上がったら」「男性は褌、女性は腰巻」で「家に帰ってしまうのです」、なるほど。 「明治初期に西洋絵画を学んだ女性が旅行先で描いた1880年頃の京都の旅館の光景では、旅館の上がり口で若い女性2人が、もろ肌脱ぎの上半身裸で石臼をまわしています。肉体労働、とくに汗をかく夏の時期に、女性が上半身裸体になるのは、明治期になっても珍しいことではなかったことがわかります」、なるほど。 「スカートの下のパンツに男性がときめくようになり、パンツを見られた女性が恥ずかしく思うようになったのは、日本の女性がパンツを履くようになってから。たかが半世紀ほどのこと。男性の性的視線と女性の羞恥心は、歴史の中で形成され、変化するものである」、その通りだ。 「生殖とは無縁な性行動、たとえば、同性間の性愛やオナニー(Onanie)などが、しばしば見られます。換言すれば、生殖と関わらない性行動の比重が高いところに、人間のセクシュアリティの特質があると言えるのです。 と、まとめましたが、最新の研究で、人類以外のさまざまな動物にも同性のカップリングが観察されることがわかってきました。同性のカップリングは、生殖に直結しないものの、なんらかの形で生物進化のシステムに寄与している可能性が出てきました。今後の注目点です」、 「人類以外のさまざまな動物にも同性のカップリングが観察されることがわかってきました」、今後、こうした研究が進み「セクシュアリティ」がより深いレベルで解明されることを期待したい。
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