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韓国(文在寅大統領)(その7)(「韓国は詐欺共和国」主要紙に罵倒される文在寅政権 「願望」を「現実」のように語る指導者が招いた再びのコロナ危機、韓国・文大統領が仕掛けた検察改革の危険性 国家情報院の権限も制約 その政治的意図とは) [世界情勢]

韓国(文在寅大統領)については、11月4日に取上げた。今日は、(その7)(「韓国は詐欺共和国」主要紙に罵倒される文在寅政権 「願望」を「現実」のように語る指導者が招いた再びのコロナ危機、韓国・文大統領が仕掛けた検察改革の危険性 国家情報院の権限も制約 その政治的意図とは)である。

先ずは、12月22日付けJBPressが掲載した元・在韓国特命全権大使の武藤 正敏氏による「「韓国は詐欺共和国」主要紙に罵倒される文在寅政権 「願望」を「現実」のように語る指導者が招いた再びのコロナ危機」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63383
・『韓国の主要紙「朝鮮日報」が「我らの在寅がそんなはずない」というコラムを掲載した。極めて歯切れよく、文在寅(ムン・ジェイン)政権の本質を突いている論評なので、まずはその一部を紹介しよう』、タイトルは傑作だ。
・『「我らの大統領がそんなはずない」  「『大韓民国は詐欺共和国』という説は少なくない統計で裏付けられている。国ごとに違いはあるが、世界的に見て最も多く起こる犯罪は窃盗だ。ところが、韓国だけは詐欺犯罪が1位だ」 「金を借りたが返済できなかったり、約束を守らなかったりしても詐欺とは言わない。人を故意にだまして利益を得た時、詐欺だという。大統領は『公正と正義の国を作る』と約束して政権を発足させたが、守られていない。4年過ぎた今、考えてみると、当初から守る考えもないのにああ言ったようだ。大統領は『住宅価格には自信がある』と声高に叫んだが、住宅価格は高騰しており、庶民はため息ばかりついている」 「検察総長(日本の検事総長に相当)に任命状を渡し、『生きている権力に厳正に対処せよ』と言ったのに、権力不正を捜査する検察総長をやり玉に挙げた。過去の為政者たちのどんな口先だけの言葉もかなわない歴史に残る虚言だ」 「世論調査会社・韓国ギャラップの先日の世論調査で、大統領支持率は38%になった。同社の調査は、支持するかどうかを尋ねた後、『なぜそう思うのか、理由を一つだけ挙げてください』という記述式の問いがある。支持者の30%以上は理由を『一生懸命やっている』『全般的にうまくやっている』『分からない』と書いた。いくら考えても、うまくやっていることが見つからないため、支持理由を書けと言われて『一生懸命やっている』としか答えられなかったのだ」 「そんな悲しい回答をしなければならない政権支持者たちを見つつ、20年以上前に詐欺の被害を受けた遠い親族のぼうぜん自失とした表情が頭に浮かんだ。その親族は詐欺師だと発覚した人物に向かって最後まで『あの人がそんなはずない』と言っていた。詐欺の被害者は最後まで詐欺師を信じたがる傾向がある。大統領を支持した人たちもこう言うだろう。『我らのイニ(文大統領の愛称)がそんなはずない』」 国内の主要紙から「我が国は詐欺共和国」と酷評されるというのは、文政権が世論から見放されつつある証拠と見るべきであろう』、「国ごとに違いはあるが、世界的に見て最も多く起こる犯罪は窃盗だ。ところが、韓国だけは詐欺犯罪が1位だ」、初めて知った。
・『「支持率40%回復」をどう読み解くか  文在寅政権の現状を思い浮かべながらこれを読んでみると、「なるほど」と思った。私がテレビに出ている時に一緒に解説していた韓国出身の方は、今でも文在寅氏が40%近い支持を得ていることを尊重すべきだという。私も一般的な指導者についてはそう思う。しかし、前記のコラムを読んでいると、文在寅氏の場合にはそれが当てはまらないのではないかと本当に思えてくるのだ。 ちなみにギャラップによる調査で支持率が38%から40%に回復した際(調査期間:12月15~17日)では、「支持しない」と回答した人は全体の52%(2ポイント低下)であり、「支持する」とした割合をまだ12%も上回っている。 支持の理由について、「ハンギョレ新聞」が報じたところによれば、「新型コロナウイルスへの対応」(29%)や「検察改革」(11%)、「全般的にうまくやっている」(7%)などが挙げられている。 一方で、不支持の理由は、「不動産政策」(20%)や「全般的に不足」(12%)、「新型コロナへの対応の不備」(11%)、「法務部と検察の対立」(8%)だ。 支持と不支持、それぞれの理由を比較してみてどう感じるだろうか。現在の文政権の取り組みの中で、コロナ対策や検察改革の現状を見るに、これらが「うまく行っている」と韓国の国民が本気で評価しているとは到底思えない。実際、コロナ対策や検察問題を不支持の理由に挙げている人も多いのだから。 つまりこういうことだろう。文在寅政権の体質にそもそも問題があり、さらに政策がことごとく失敗していることを多くの国民は感じ始めている。しかし、それでも文在寅氏の岩盤支持層は文在寅氏支持から離脱できない。そのため、無理やり支持の理由を考えている、ということではないだろうか。 妄信的な文在寅大統領への支持は、ある日、国民がはっと目を醒ましたら、一気に雲散霧消する可能性もある。それほど現在の支持率は脆いものと受け止めたほうが良いのかもしれない』、「妄信的な文在寅大統領への支持は、ある日、国民がはっと目を醒ましたら、一気に雲散霧消する可能性もある」、「武藤」氏の希望的観測なのかも知れない。
・『K防疫を過信しすぎてコロナ対策に失敗  文政権は自身の体質の問題、政策の失敗を「K防疫」で隠し続けてきた。昨年秋から今年年頭くらいにかけては、曺国(チョ・グク)前法相のスキャンダルによって、政権に対する信頼も急低下し、4月の総選挙での与党の勝利はかなり微妙になっていた。 そこにコロナがやってきた。当初は感染拡大に手を焼く場面もあったが、その後はPCR検査の大規模な実施、クレジットカードの決済情報や携帯電話の位置情報などによる感染経路の特定、隔離治療などによって封じ込めに成功。一時はこの「K防疫」は国際的にも高く評価された。 そのため、このこと自体をもって、冒頭に紹介した朝鮮日報のコラムのように「大統領による詐欺だ」とは言えないが、政権の体質の問題、政策の問題を「K防疫」で覆い隠そうとすることは、詐欺の一種といえるだろう。加えて「K防疫」を自画自賛し、そこだけに国民の目を向けさせたのは、虚偽宣伝と非難を受けても当然であろう。 というのも、ここにきて韓国では新型コロナの感染が急拡大しているのだ。そのためマスコミでも、「文政権のK防疫成功は誤りだった」との論評が増えている。 文大統領は、新型コロナの問題について楽観的発言を繰り返してきたが、現実にはそのたびに悲観的状況が広がっていた。コロナは「遠からず終息する。K防疫は模範事例」という言葉を何度も繰り返した。最近も「長いトンネルの先が見える」と述べていたが、実際はどうかと言えば、12月15日以降、5日連続で一日の感染者が1000人を突破。第1波当時を大きく上回る感染者を日々記録している。「トンネルの先が見える」は文大統領特有の虚偽宣伝であろう。 病床確保も問題になってきた。17日の「中央日報」はソウル市で新型コロナ感染者が空き病床を待つ間に死亡する事例が発生したと報じた。この感染者は病状が急速に悪化したため、保健所を通じて2回もソウル市に緊急病床の配分を要請したのだが、結局ベッドは用意されず、自宅で亡くなっているのが発見された。 ソウル市の医療体制はそれほど逼迫している。 16日午後8時の時点でソウル市の感染専門病院の病床稼働率は86.1%。重症患者治療用の病床は計80で、使用中の病床は79、入院可能な病床は1床だけである。ソウル市は急遽専門病院を年末までに5カ所追加で指定するというが、対応の遅れは否定できない。文大統領は、これでも「K防疫の成功」を主張するつもりだろうか』、「ソウル市の医療体制はそれほど逼迫している」にも拘わらず、「「K防疫の成功」を主張」するとは、さすが「詐欺犯罪が1位」の国だけある。
・『ワクチン確保に失敗したことを謝罪しない文在寅  文大統領は10月、就任3年を迎えた際に行った演説で「K防疫が世界の標準になった」と胸を張ったが、今般の感染者急増で、大量の検査・疫学調査・隔離治療を中心とするK防疫は医療体制に負担をかけているという批判も相次いでいるようである。 もう一つ、批判が高まっているのが「ワクチン確保の遅れ」についてだ。 文大統領は12月9日、首都圏の防疫状況を点検するための会議で、「わが国にワクチンが入ってくるまでに外国で多くの接種事例が蓄積されるため、効果や副作用などを十分にモニタリングして、迅速に接種が始められるよう計画を前倒しして準備してほしい」と述べた。まるでワクチン確保が遅れたのは、政府がワクチンの安全性に慎重な姿勢で臨んでいるからだと言い訳しているように聞こえる。 18日、韓国政府は、4400万人分の海外製ワクチンを確保したと発表したが、購入契約を終えたのはアストラゼネカの1000万人分だけだという。それも導入時期さえ契約書に明記されていない。ファイザーなど製薬3社とはいつ契約できるか不透明な状況のようである。 丁世均(チョン・セギュン)首相はアストラゼネカのワクチンについて「早ければ2月」に接種が始まるとしているが、安全性検証が長期化すれば、実際のワクチン導入はそれよりさらに遅れる可能性が指摘されている。文政権はワクチン確保の問題について国民に真実を伝えているとは言えない状況だ。 ワクチン確保にこれだけ遅れた原因について丁首相はこう述べた。 「(ワクチン購入交渉に乗り出した)7月には国内の確定患者が100人程度であったため、ワクチンへの依存度を高めることを想定できなかった面がある」 「K防疫」の成功に慢心してしまい、その後の備えのために必要な手を打たなかったということだ。この失態に関して、文大統領は自らの責任をまだ認めていない。 この間、韓国政府は何をしていたのか。国内状況が安定的に維持されるだろうと判断し、来年登場する国産ワクチンと治療剤だけを頼りにしたのが実態であるという。文大統領自ら「K防疫に続きKバイオが我々にとってもう一度希望と誇りになるだろうと信じている」などと語っていたのだ。 文大統領の発言には、希望や期待と現実の間に乖離があることは日常茶飯事である。しかし、国民にとって最も緊急で重要な問題にこうした「虚言」を弄するのはもはや「詐欺」と言わざるを得まい。 文政権はコロナが急拡大する中でも対応を変えなかった。感染の急拡大に伴い、世論の批判も高まる中で慌てている』、「国内状況が安定的に維持されるだろうと判断し、来年登場する国産ワクチンと治療剤だけを頼りにしたのが実態」、とは致命的な判断ミスだ。
・『目に余る「強引な国会運営」  文政権は、一時的な「K防疫の成功」で、4月の総選挙で圧倒的な勝利を収め、その数をもって国会で強制採決を繰り返し、「公正と正義の国を作る」という文大統領の以前の発言とは真っ向から対立する「非民主的な国会」を作り上げてしまった。 その因果だろうが、文大統領の支持率が急落した。朝鮮日報が指摘するところによれば、これに慌てた与党は12月初めに、「支持層を再結集し、多くの国民と対決する粗悪な陣営政治」を解消することを解決策に挙げたという。要するに、支持率下落の原因を読み間違えているというのだ。 文陣営では、支持率の下落が、「公捜処(高位公職者犯罪捜査処)設置を強行し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長を攻撃せよ」というシグナルと解釈したのだという。 <今なお総選挙での勝利に酔い、「『180議席を与えたのに、今何をやっているのか』と民心が叱責している」との錯覚に陥っている。民心についての深刻な誤読だ>(12月20日付・朝鮮日報) 民心の誤読は公捜処や尹検事総長に関することだけではない。「不動産政策」「コロナへの対応」「経済・民生問題への対応」など政策面での失敗が支持率急落の原因であることも認めようとしていない。さらに「法務部と検察の対立」「対北朝鮮ビラ散布禁止法」などで強引な立法措置を続けたことが文政権への不支持を増やしていることにも気づいていない。 米国は韓国政府が強引に国会を通した「対北朝鮮ビラ散布禁止法」を批判し、来年早々米議会で聴聞会を開催するといった。また、トマス・オヘア・キンタナ国連北朝鮮人権状況特別報告者が「民主的機関が適切な手続きにより改正法を見直すことを勧告する」とメディアとのインタビューで語った。 これに対し韓国統一部は「国会で憲法と法律が定めた手続きにより法律を改正したことに対してこのような言及が出て遺憾」と反論した。 しかし、この法律は野党が大反対する中、強引な多数決原理で成立したものである。また、この改正の目的として「多数の境界地域の国民の生命安全保護のために」と言っているが、現実には金正恩氏の妹の金与正氏の恫喝にしり込みしたものである。 文政権の国際社会に向けた発信もこのように欺瞞に満ちている。 今の韓国国内政治は、「自分たち与党はすべて正しい、野党はすべて間違っている」との前提から出発しているのが実情だ。そうでなければ、国会でまともに審議もせずに自らの政策を通すことなど考えられない。これが「公正と正義の国」なのか』、「野党が大反対する中、強引な多数決原理で成立」、日本の自民党政治とも類似している。
・『「公正と正義の国を作る」との発言こそ最大の詐欺  「曺国黒書」と呼ばれる政権批判の書『一度も経験したことのない国』は、ジャーナリスト、弁護士、会計士ら5人の著者によるベストセラーだが、さすがにこの著者たちの指摘は厳しい。同書の10万部突破を記念して開かれたオンラインイベントでも「現政権では民主主義が事実上蒸発した」と嘆いている。 著者の一人、陳重権(チン・ジュングォン)元東洋大学教授は「今の政権の人たちが信じる民主主義と、我々が知っている民主主義は言葉は同じだが、その内容は違う」、「今の政権の人間たちは運動圏(左派の市民学生運動勢力)的な民衆民主主義の観念を持っており、民主主義を単なる多数決と考え、自分たちの考えを少数に強要し、それが善であると錯覚している」と指摘。 壇国大学医学部の徐珉(ソ・ミン)教授は、「今の政権のすべてを示すのが尹美香(ユン・ミヒャン)議員だ」、「かつての政権であれば、とっくの昔に追い出されていたはずだが、現政権では尹美香氏は今も国会議員をしている。このことが、現政権がいかなる政権か示していると思う」と述べている。 慰安婦支援運動の中心にいた尹美香氏は、寄り添っていたはずの元慰安婦からそっぽを向かれ、厳しい批判に晒されている。言うなれば尹美香氏は、元慰安婦に対し最大の詐欺を働いたと言うことができよう。その人が国会議員を続けている。大統領や与党は、彼女を一生懸命擁護している。公正も正義もあったものではない。韓国国民はそれをどのように考えているのだろうか』、「元慰安婦に対し最大の詐欺を働いた」「尹美香氏」が、いまだに「国会議員を続けている」というのにも驚かされた。さすが「詐欺犯罪が1位」の面目躍如だ。

次に、12月24日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋大学教授の薬師寺 克行氏による「韓国・文大統領が仕掛けた検察改革の危険性 国家情報院の権限も制約、その政治的意図とは」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/398679
・『12月に入って韓国の国会で国の根幹を揺るがすような重要な法律が次々と成立している。文在寅大統領はこれらを「権力機関改革三法」と呼び自画自賛しているが、その内容をみると、韓国という国家が向かっている方向性に危うさを覚える。 成立した法律の一つは「高位公職者犯罪捜査処法」(以下「公捜処」)だ。名前の通り、大統領をはじめ政府高官らの不正を捜査する独立機関の設置を定めている。既存の検察組織が政府高官らを勝手に捜査しないよう、捜査権を公捜処に移してしまう。 ところが公捜処の長は大統領が任命するとされているため、大統領はこの人事権を使って自分や側近らに都合の悪い捜査を実質的に止めてしまうことができる』、「高位公職者犯罪捜査処法」は「長は大統領が任命するとされているため、大統領はこの人事権を使って自分や側近らに都合の悪い捜査を実質的に止めてしまうことができる」、みえみえの悪法だ。
・『法相と検事総長が激しく対立  残る2つは「改正国家情報院法」と「改正警察庁法」で、北朝鮮絡みの事件や国内のスパイ事件などの捜査権を国家情報院から警察に移す。その結果、国情院が専門とする北朝鮮についての情報収集も大きく制約されることになる。南北関係改善に力を入れる文大統領にとって、国情院が大きな障害になっていると考えたうえでの改正のようだ。 この他にも北朝鮮を批判するビラを風船などで散布することを禁じる「改正南北関係発展法」も成立した。北朝鮮に批判的な脱北者らの団体が風船を使い、金正恩体制を批判するビラを北朝鮮に飛ばしたことに北朝鮮が激しく反発。それを受けての対応だ。保守勢力は「北の脅しに屈した」と批判するが、韓国政府は「国境付近の韓国住民の生命を守るため」と強調している。 新法の成立だけではない。同時進行で政権内では秋美愛(チュミエ)法相と尹錫悦(ユン・ソギョル)検事総長の対立がすさまじい様相を呈している。刑事事件捜査に積極的と言われる尹総長が文政権の中枢や与党関係者の捜査を始めると、秋法相がそれを抑え込もうとし、尹総長が対抗措置を打つ。秋法相はとうとう、検事総長に対する懲戒処分を決定し、それに尹総長が異議を唱えるなど混乱が続いているのだ。 法律の内容から想像できる通り、文大統領は検察と国情院という組織を徹底的に嫌っている。それには長い歴史的背景がある。 文大統領は2019年2月、政府の会議で検察について次のように語っている。 「日本帝国の強占期(強制的に占領した時期)、検事と検察は日本帝国の強圧と植民地統治を下支えする機関だった。独立運動家を弾圧し、国民の考えと思想まで監視し、統制した。われわれはゆがんだ権力機関の姿を完全に捨て去らなければならない」 そして、今回の改革関連法成立後には、「民主主義の長年の宿願だった権力機関改革の制度化がいよいよ完成された」「検察はこれまで聖域であり、全能の権限を持っていた。公捜処は検察に対する民主的統制手段である」と述べた』、「文大統領は検察と国情院という組織を徹底的に嫌っている。それには長い歴史的背景がある」、文政権の「検事総長」に対する職務停止命令は、裁判所により24日付けで無効となった。
・『検察組織は「権力の侍女」  韓国は1987年に民主化し、独裁政権時代に圧倒的な権力を振り回していた陸軍を中心とする軍部の力は完全に消えた。ところが、検察と国情院(かつては大韓民国中央情報部=KCIAと呼ばれていた)の2つの組織は形を変えながら今も力を維持したまま残っている。 文大統領の言葉に示されているように、進歩派勢力にとって検察組織は保守政権の「権力の侍女」であり、かつて自分たちを弾圧してきた組織である。そして、民主化後も国民の手の届かない権力組織として生き残り、歴代政権の命運を左右してきた。特に文大統領は、師と仰ぐ廬武鉉・元大統領が大統領退任後、検察の厳しい捜査によって自殺に追い込まれた経験があり、検察にことさら厳しい見方をしている。 一方の国情院の前身は朴正煕政権時代の悪名高いKCIAであり、民主化活動家ら反政府勢力を厳しく取り締まり、命まで奪ってきた組織だ。いまは対北の諜報活動などを行い、北朝鮮の脅威を強調する組織である。したがって南北関係の改善を重視する文大統領にとっては、政権の足を引っ張る組織でしかない。 つまり、進歩勢力から見れば、検察と国情院は、韓国の民主化実現までの独裁体制を支えた組織であり、民主化後もそのまま残り、今度は保守勢力を支える組織となっている。当然、文大統領のいう「積弊清算」の代表的な対象となる。 ろうそくデモによって幅広い国民の支持を得て政権を獲得した文大統領にすれば、こうした積弊を解消し、保守勢力を弱体化させ、進歩勢力=民主勢力が政権を維持する「永久政権論」は当然のことであり、正義であるということになる。 しかし、事はそう単純ではない。 韓国では民主化後、保守派、進歩派を問わず、歴代大統領は全員、本人あるいは家族が逮捕されたり自殺するなど悲劇的な運命をたどっている。検察の捜査対象は表面的にはいずれか一方に偏っているわけではない。 秋法相と対立している現在の尹総長も、保守勢力の李明博、朴槿恵大統領に対する捜査を積極的に進め、「積弊清算に貢献した」として文大統領自身が検事総長に抜擢した人物だ。その尹総長が現政権関係者の捜査に乗り出した途端、政権は一転して尹総長の排除に血道をあげている』、「文政権」も「尹総長」に対する姿勢の急変はずいぶん勝手なようだ。
・『検察の民主的統制をどう担保するか  気に入らない捜査を進める検事総長を排除する政権が、捜査の指揮権を握る公捜処を手に入れた時、はたして政治的中立性を担保した捜査を期待できるだろうか。 大統領がトップを任命する組織が高位公職者だけを捜査するという仕組み自体に、大統領の言う民主的統制との間でそもそも矛盾がある。 検察組織の民主的統制はどの国にとっても重い課題である。そのためには捜査の政治的中立性を確保し、人事が政治から独立し、自律性を持っていることなどが必要となる。そのうえで地道に実績を積み重ねることで、権力の不正を公平、公正に摘発する機関として国民に支持され、信頼されていく。 にもかかわらず、公捜処にはこうした政治的中立性や自律性を担保する仕組みが備わっていない。 文大統領に言わせると、国民に選ばれた自分たちが検察の権力を弱め、統制するのであるから、国民の望む正義が実現できるというであろうが、これはあまりにも自己中心的すぎる。このままでは公捜処が進歩勢力にとっての「権力の侍女」になりかねない。 さらに仮に政権交代して保守勢力が権力を握ったときには、公捜処が進歩勢力を弾圧するための道具になってしまう可能性さえ秘めている。 国情院の改革についても疑問がある』、安部政権も検事総長の定年延長問題が問題化、結局は当の検事総長の賭けマージャン問題で、辞任追い込まれたように、検事総長に政権が影響力を及ぼそうとする誘因は強いようだ。
・『独裁時代と変わらぬ政治手法  改革によって北朝鮮に対する韓国の情報収集力などが格段に落ちる可能性が指摘されている。北朝鮮は核兵器やミサイルの開発を継続しており、韓国だけでなく、日本やアメリカなどの関係国にとって軍事的脅威である。この現実を文政権はどう認識しているのであろうか。 南北関係改善を重視することは選択肢の1つであるだろう。だからといって厳しい安保環境を脇においてしまうことは、韓国のみならず日本を含む北東アジア、さらには世界にとっても危険なことである。 文大統領の権力機関改革がこのようにさまざまな矛盾や問題を抱えている最大の原因は、改革の目的が純粋に政策的なものではなく、保守勢力を否定し、弱体化するという極めて政治的なものであることにある。こうした政治的目的を達成するために、国家にとって極めて重要な司法制度や安全保障政策を動員してしまった。その手法は進歩勢力が批判する独裁体制時代の政権と変わるところがない。 その結果、司法制度の政治的中立性がゆがみ、国民の信頼がゆらぐ。また、安全保障政策上のリスクが高まる可能性がある。さらには保守と進歩の対立が一層激化し、社会の分断が深刻化するであろう』、「最大の原因は、改革の目的が純粋に政策的なものではなく、保守勢力を否定し、弱体化するという極めて政治的なものであることにある。こうした政治的目的を達成するために、国家にとって極めて重要な司法制度や安全保障政策を動員してしまった」、全く飛んでもないような政策割当だ。党派色を離れて、もっと冷静に議論できないものなのだろうか。
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中国情勢(軍事・外交)(その10)(こんなに危うい中国の前のめり「ワクチン外交」 衛生領域のシルクロードで新たな世界秩序構築を目論む中国、オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声、中国を封じ込める「海の長城」構築が始まった) [世界情勢]

中国情勢(軍事・外交)については、10月28日に取上げた。今日は、(その10)(こんなに危うい中国の前のめり「ワクチン外交」 衛生領域のシルクロードで新たな世界秩序構築を目論む中国、オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声、中国を封じ込める「海の長城」構築が始まった)である。

先ずは、12月10日付けJBPressが掲載した元産経新聞北京特派員でジャーナリストの福島 香織氏による「こんなに危うい中国の前のめり「ワクチン外交」 衛生領域のシルクロードで新たな世界秩序構築を目論む中国」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63219
・『新型コロナウイルスワクチンの接種が英国でいよいよ始まった。米ファイザーと独ビオンテックの開発したワクチンで、最初の接種者は90歳の女性だった。アメリカでも年内に接種が開始される見通しだという。ロシアでも「スプートニクV」の大規模接種が始まっており、中国シノバック・バイオテック製ワクチンもインドネシアでの大規模接種にむけて第1便の120万回分が到着したことが報じられている。 ワクチン接種が始まったことは、コロナ禍にあえぐ各国にとってとりあえず朗報ではあるが、やはり気になるのは、世界のコロナワクチン市場をどこの国が制するか、ということだろう。なぜならコロナをワクチンによって制した国が、ポストコロナの国際社会のルールメーカーになる可能性があるとみられているからだ。 気になるのは、やはり中国だ。中国のシノファーム傘下のシノバック・バイオテックなどが開発する不活化ワクチンは、マイナス70度以下という厳しい温度管理が必要なファイザー製などと違い、2~8度の温度での輸送が可能なため通常のコールドサプライチェーンを利用でき、途上国でも取り扱いやすい。しかも年内に6億回分のワクチンを承認する予定であり、その流通性と量産で世界の途上国市場を圧倒しそうな勢いだ。 だが世界は、本当に中国製ワクチンに依存してよいのだろうか』、「中国製ワクチン」は「2~8度の温度での輸送が可能なため通常のコールドサプライチェーンを利用でき、途上国でも取り扱いやすい」、「途上国」にとっては魅力的だ。
・『年内に6億回分のワクチンを市場に供給  中国の王毅外相は、習近平国家主席の名代として出席した12月3日の新型コロナ対応の特別国連総会の場で、「中国が新型コロナワクチンを積極的に途上国に提供し、主要な大国としての影響力を発揮する」と強調した。中国は年内に6億回分の新型コロナワクチンを市場に供給することを12月4日に当局者が明らかにしている。要は、中国のワクチン外交宣言である。 中国の孫春蘭副首相は12月2日に北京の新型コロナウイルスワクチン研究開発生準備工作の会合の場で、今年(2020年)中に空港や港湾の職員および第一線の監督管理人員などハイリスクに分類される職業から緊急使用を認めていく、としている。軍や医療関係者にはすでに投与が始まっている。 中国工程院の王軍志院士によれば「中国の不活化ワクチンの主な特性は天然ウイルスの構造と最も近く、注射後の人体の免疫反応が比較的強く、安全性もコントロール可能」という。ファイザーやモデルナのワクチンはマイナス70度やマイナス20度といった非常に低温での厳密な温度管理が必要だが、中国の不活化ワクチンは2~8度での輸送が可能で、通常のクール便で問題ないほど手軽だ、と主張していた。 米ニューズウィーク誌サイト(12月4日付)によれば、トルコは12月後半から中国製ワクチンの接種を開始する予定である。一部南米国家でも数カ月内に中国製ワクチンの接種を開始するという。また、モロッコでは年内に国内8割の成人に中国製ワクチンを投与する準備を進めている。 さらにアラブ首長国連邦も12月9日に、正式にシノバックの不活化ワクチンを導入することを表明。同国ではシノバック・ワクチンの第3期治験を実施していたが、その結果として86%の有効性が確認されたという。明らかな副作用もなく安全性も保障された、とした。すでに閣僚たちはこのワクチンの接種を受けている』、「中国のワクチン外交宣言」とは本音丸出しだ。
・『中国製ワクチンの効果に疑問符も  一方で、中国製ワクチンに対して、中国人自身が根深い不信感を抱いていることも確かだ。たとえばウガンダの中国大使館によれば、現地のインド企業が請け負っている建設プロジェクトに従事している中国従業員47人が新型コロナ肺炎検査で陽性を示していた。このうち一部の患者は発熱、咳、倦怠感、下痢などの症状が出ている。台湾紙自由時報によれば、この47人はすでに中国製ワクチンを接種していたはずだという。だとするとワクチンの効果はなかった、ということになる。 中国の公式報道によれば、シノバックのワクチンは、海外に出国した中国人労働者に6月から優先的に投与されていた。特に中央機関直属の労務従事者およそ5.6万人には接種済みと発表されている。ウガンダのプロジェクトの従業員も当然接種済のはずだという。中国側はこの点について正式に確認はしていない。 また10月にブラジルで行われていたシノバック製ワクチンの治験が、治験者の深刻な不良反応を引き起こし死亡したという理由で一時中断されたこともあった。中国側は、この不良反応とワクチンの安全性は無関係であると主張しており、ブラジルの治験中断は多分に政治的判断である、としている。 医学誌「ランセット」に寄稿された治験結果によれば、シノバックのワクチンは1回目の接種から28日以内に新型コロナウイルスへの抗体を作り出したが、その抗体レベルは新型コロナに感染したことがある人より低い、とあり、レベルが不十分ではないか、という見方もある』、「中国側は・・・ブラジルの治験中断は多分に政治的判断である、としている」、ボルソナロ大統領が「政治的判断」をするというのは、考え難く、やはり安全性の問題なのではなかろうか。
・『ワクチンメーカー康泰生物のスキャンダル  中国のワクチンに対するネガティブなイメージは、中国の製薬業界の伝統的な不透明さのせいもある。たとえば深センの大手ワクチンメーカー、康泰生物の会長、杜偉民にまつわるスキャンダルである。 ニューヨーク・タイムズ(12月7日付)が改めて特集していた。康泰生物は自社独自で新型コロナワクチン開発を行うと同時に、英アストラゼネカ開発の新型コロナワクチン2億回分の中国国内製造を請け負うことになっている。 だが、康泰生物と杜偉民はかねてからワクチン利権の中心としてスキャンダルにまみれ、2013年に、康泰製のB型肝炎ワクチン接種後に17人の乳幼児が死んだ事件も引き起こしている。ワクチンと乳幼児の死の因果関係は科学的に証明されていないが、それは父母ら批判的言論を行う人々に当局が圧力をかけて世論をコントロールしたからだとみられており、中国社会における杜偉民とワクチンメーカーに対する不信感はずっとくすぶり続けている。 ちなみに杜偉民が関わったワクチンによる健康被害事件は2010年にも起きている。狂犬病ワクチン18万人分について効果がないことが監督管理機関の調べで分かり、大きく告知されたのだが、このワクチンを生産した当時の製薬企業は杜偉民の所有企業だった。杜偉民はこのスキャンダルから逃げるために、問題の製薬企業株を別の製薬企業に譲渡した、という。 また同じ年に、康泰製のB型肝炎ワクチンを接種した広東省の小学生数十人が嘔吐、頭痛などを訴える事件もあった。当局はこれを「集団性心因反応」とし、ワクチンの品質が原因だとはしなかった。だがその3年後に康泰製B型肝炎ワクチンを接種した乳幼児の集団死亡事件があり、庶民の心象としてはワクチンの品質が怪しい、とみている。だが、当局も報道も、ワクチンに問題があったとはせず、ワクチンに問題があるとして訴え続けた保護者や記者、学者らは、「挑発罪」「秩序擾乱罪」などの容疑で逮捕されたりデマ拡散や名誉棄損などで逆に訴えられたりして、沈黙させられた。 杜偉民は2016年に自社のワクチンの承認を早期に得るために関連部門の官僚に賄賂を贈り、その官僚は収賄罪で有罪判決を受けた。しかし、杜偉民自身は起訴されていない。ニューヨーク・タイムズもその真の理由については触れていないが、杜偉民が特別な背景を持つ人物であるとみられている。ちなみに出身は江西省の貧農の出で、苦学して衛生専門学校で学び、地元衛生官僚になったあと、改革開放の波に乗って「下海(官僚をやめて起業)」し、中国ワクチン業界のドンとなっていたことは、メディアなどでも報じられている。 これだけスキャンダルにまみれているにもかかわらず、康泰生物は、ビル・ゲイツ財団の元中国担当責任者の葉雷氏から「中国最先端のワクチン企業の1つ」と絶賛され、新型コロナワクチンでも不活化ワクチンを開発、9月には臨床に入っている。同時に、英アストラゼネカ製ワクチンの生産も請け負うことになり、深セン市政府から2万平方メートルの土地を譲渡され、新型コロナワクチン用の新しい生産工場を建設している』、「当局も報道も、ワクチンに問題があったとはせず、ワクチンに問題があるとして訴え続けた保護者や記者、学者らは、「挑発罪」「秩序擾乱罪」などの容疑で逮捕されたりデマ拡散や名誉棄損などで逆に訴えられたりして、沈黙させられた」、やはり報道の自由がない中国では、問題を隠蔽され易いようだ。
・『中国のワクチン外交に対抗せよ  こうした問題を、中国の製薬会社の地元政府との癒着体質、という一言で受け流していいのだろうか。中国製ワクチンが中国国内で使われるだけであれば、それは中国の内政問題だが、新型コロナワクチンは世界中で使用される。しかも、世界のワクチン市場をどこの国のワクチンが制するかによって、国際社会の枠組みも影響を受けることになる。 南ドイツ新聞は「中国のワクチン外交」というタイトルで次のような論評を掲載している。 「中国は各国にマスク外交を展開し、ウイルスの起源(が中国だという)議論を封じ込めようとした。現在はワクチン外交を展開中で、その目的は単なる象徴的な勝利を獲得することだけではない。今後、何カ月後かに、中国が将来的にどのような世界を想像しているかはっきりと見えてくるだろう。南米とカリブ海諸国はすでに北京から十数億ドルの借金をして中国のワクチンを購入することにしている。メキシコも3500回分のワクチン代金を支払い、ブラジル衛生相はあちこちに頭を下げまわって中国のワクチンに対する不信を打ち消そうとしている。すでに多くのアジア諸国が北京からワクチンを購入したいという意向を伝え、少なくとも16カ国が中国ワクチンの臨床試験計画に参加している。ワクチン戦略は中国指導者に言わせれば衛生領域の“シルクロード”だ」 つまり、中国が目論んでいるのは衛生版シルクロード構想、ワクチン一帯一路戦略である。中国に従順な国には優先的にワクチンを供与し、中国がゲームのルールを作る。WHOが中国に従順になってしまったように、中国からワクチンを与えらえた国々が皆、中国に従順になってしまう、という予測があると南ドイツ新聞は論じる。 民主主義国が、こうした中国のワクチン外交に対抗するために、合理的な価格で途上国でも扱いやすいワクチンを開発できなければ、結局世界の大半は中国ワクチンの生産量に高度に依存する羽目になってしまう。こうして中国は新たな政治秩序を打ち立てようと考えているのだ、という。 こんな状況を考えると、ワクチン実用化をただ、ただ喜ぶわけにはいかないだろう。日本は来年の東京五輪を実現するためになんとしてもワクチンを確保したいと考えているところだろうが、ここで中国製ワクチンに頼ろうとすることだけは避けてほしいと思う。 それよりも、日本は少し遅れてでも、やはり自前のワクチン開発を成功させなければならない。それは自国民の健康と安全のためだけでなく、ポストコロナの世界秩序にも影響するのだという意識も必要だ』、「南米とカリブ海諸国はすでに北京から十数億ドルの借金をして中国のワクチンを購入することにしている。メキシコも3500回分のワクチン代金を支払い・・・すでに多くのアジア諸国が北京からワクチンを購入したいという意向を伝え、少なくとも16カ国が中国ワクチンの臨床試験計画に参加」、「ワクチン外交」はタダではなく、しっかり「代金」を取ったり、「ツケ」払いで「借金」させているようだ。

次に、12月2日付けNewsweek日本版「オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声」を紹介しよう』、どういうことだろう。
・『<楽園のような島を買ってビーチや滑走路へのアクセスさえ禁じたのは、中国人専用の観光地にするためか?>  オーストラリアの島の土地を買い上げた中国の不動産開発業者が、オーストラリア人の立ち入りを禁じて、地元住民や観光客が不満を募らせている。 問題のケズウィック島は、人気の観光スポットとなる可能性を秘めた島だが、チャイナ・ブルームという企業がその一部を買った。島の住民は、同社が楽園のようなこの島の一部地域への立ち入りを禁じていると訴えている。住民によればチャイナ・ブルームは、住民のビーチへの立ち入りや、ボートでの着岸を禁止。滑走路へのアクセスまでも禁じたという。 島に住む複数の家族はさらに、チャイナ・ブルームはこの島の観光業を死に追いやろうとしていると訴える。住民が所有する物件をAirbnbで観光客に貸し出したり宣伝したりすることも禁じられたというのだ。 「彼らは、オーストラリア人を島から追い出したいのだと思う」と、元住民のジュリー・ウィリスは、オーストラリアのニュース番組「カレント・アフェア」に語った。「彼らはこの島を、中国人向け観光専用の島として使いたいのだろう」』、「島の一部を買った」だけなのに、「チャイナ・ブルームは、住民のビーチへの立ち入りや、ボートでの着岸を禁止。滑走路へのアクセスまでも禁じたという」、こんな勝手なことが許されるのだろうか。
・『インフラ投資を歓迎する当局  ウィリスとパートナーのロバート・リーによると、2人が抱えた問題はさらに深刻だったという。というのも、2人は2月になって、それまで6年間にわたって借りていた不動産から3日以内に退去するようチャイナ・ブルームから言い渡されたからだ。2人は物件を購入しようとしたが、チャイナ・ブルームから、物件に不具合が生じた場合の修理にあてる費用として、保証金10万オーストラリアドル(約770万円)を要求された。 ウィリスはこう語る。「彼ら(チャイナ・ブルーム)は、私たちが物件を買うのをあきらめるよう仕向けていたのだと思う。私たちにここにいて欲しくないのだ」 ケズウィック島は、ウィットサンデー諸島に属する島の1つで、オーストラリア北東部にあるクイーンズランド州の海岸線の中ほどの沖合に位置する。 ケズウィック島の大部分は国立公園に指定されている。クイーンズランド州資源局の広報担当者は、チャイナ・ブルームと住民の間に存在するいかなる問題も、解決されることを望んでいると述べた。 広報担当者は、チャイナ・ブルームが道路やボート用のスロープ、桟橋や港湾関連など島のインフラ改善に取り組んでいる点にも留意する必要があると指摘。少数の住民が申し立てている問題の大半は当事者同士で解決されるべき問題だと語った。 中国とオーストラリアの間では最近緊張が高まっている。中国政府当局者が、オーストラリア軍の兵士がアフガニスタン人の子どもを殺そうとしているように見える偽画像をツイートした件では、オーストラリア政府が中国政府に謝罪を要求している。 オーストラリアは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生源に関する調査を要求する動きの先頭に立っているほか、中国政府によるオーストラリアへの内政干渉にも神経をとがらせており、両国の関係は悪化の一途をたどっている』、「州資源局の広報担当者は、チャイナ・ブルームが道路やボート用のスロープ、桟橋や港湾関連など島のインフラ改善に取り組んでいる点にも留意する必要があると指摘」、地方自治体にとっては、「インフラ投資を歓迎」なのだろうが、「オーストラリア政府」は地方自治体の行き過ぎに目を光らせるようだ。

第三に、12月16日付けNewsweek日本版が掲載した 中国出身で日本に帰化した評論家の石平氏による「中国を封じ込める「海の長城」構築が始まった」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/sekihei/2020/12/post-13_1.php
・『<今年10月からのわずか2カ月あまりの間に、人権と安全保障をめぐる西側先進国による対中包囲網の構築が本格化した。地政学的な大変動が東アジアで起き始めている> 今年の10月初旬から12月中旬にかけて、この地球上では「中国」との関連で一連の目まぐるしい出来事が起きている。筆者の目からすればそれらは全て、今後の世界の対立構造を強く予感させるものだ。 まず10月1日、日本の茂木敏充外相が外遊先のフランスでルドリアン外相と会談。同日、ドイツのマース外相ともテレビ会議形式で協議した。この2つの会談を通じて日仏独3カ国の外相は東シナ海や南シナ海情勢について、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携強化で一致したという。 10月6日には日米豪印の外相が東京で一堂に集まり、第2回の4カ国外相会議を開いた。上述の日仏独外相会談と同様、この会議の中心テーマはやはり「自由で開かれたインド太平洋の実現」である。会談で4か国の外相は海洋進出を進める中国を念頭に、日本が提唱している「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進し、より多くの国々へ連携を広げていくことが重要だとの認識で一致した。 このように、日本の主導で欧州の主要国であるフランスとドイツ、そして環太平洋地域の主要国であるアメリカとインドと豪州が団結し、中国の覇権主義的な海洋進出を封じ込めようとする姿勢を鮮明にした。誰が見ても「中国包囲網」の構築を意味するものだ。 中国の王毅外相は同13日、外遊先のマレーシアの記者会見で日米豪印外相会議に触れ、「インド太平洋版の新たなNATO(北大西洋条約機構)の構築を企てている」「東アジアの平和と発展の将来を損なう」と批判し警戒心を露わにした。日米豪印4カ国の戦略的意図を一番分かっているのはやはり中国自身で、自分たちが包囲されつつあることに危機感を募らせているのであろう』、「日本の主導で欧州の主要国であるフランスとドイツ、そして環太平洋地域の主要国であるアメリカとインドと豪州が団結し、中国の覇権主義的な海洋進出を封じ込めようとする姿勢を鮮明にした。誰が見ても「中国包囲網」の構築を意味するものだ」、「中国」としては面白くないだろう。ただ、日本としては、インドもRCEP(東アジア地域包括的経済連携)に入れようとしたが、インドは自由化に耐えられないとして参加しなかった。
・『ニューヨークで起きたもう1つの動き  前述の東京会議が開かれた当日の10月6日、太平洋を越えたニューヨークではもう1つ、中国に矛先を向ける重要な動きがあった。この日に開かれた人権を担当する国連総会第3委員会の会合で、ドイツのホイスゲン国連大使が日米英仏を含む39カ国を代表して中国の人権問題を批判する声明を発表したのだ。 声明は新疆ウイグル自治区における人権侵害の問題として、宗教に対する厳しい制限、広範で非人道的な監視システム、強制労働、非自発的な不妊手術を取り上げた。声明はまた、7月に中国共産党政権が香港で国家安全維持法を施行後、政治的抑圧が強まっていることも非難した。39カ国は、中国政府が香港住民の権利と自由を守るよう要求。チベットにおける人権侵害についても言及した。 この声明に賛同した国々は上述の日米英仏以外にも、イタリアやカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどが名を連ねている。G7のメンバー国の全て、そしてEUの加盟国の大半がその中に入っている。つまり、少なくとも人権問題に関していえば今、世界の先進国全体が一致団結して中国を批判する立場をとり、そして中国と対立しているのである』、「少なくとも人権問題に関していえば今、世界の先進国全体が一致団結して中国を批判する立場をとり、そして中国と対立している」、「中国」が強面の姿勢を強めていることも影響しているようだ。
・『西側先進国vs「ならず者国家」の構図  一方の中国はどのように西側先進国に対抗しているのか。実は10月5日、同じ国連総会の第3委員会において、中国は一部の国々を束ねて西側に対する「先制攻撃」を仕掛けた。その日、中国の張軍・国連大使はアンゴラ、北朝鮮、イラン、キューバ、ジンバブエ、南スーダン含む26か国を代表して、アメリカと西側諸国による「人権侵害」を批判した。 中国自身を含めて、上述の国々に「人権」を語る資格があるのか疑問だが、それにしても世界の「問題児国家」「ならず者国家」あるいは化石のような独裁国家が中国の旗下に馳せ参じ、「反欧米」で結束したこの構図は実に興味深い。それはそのまま、「中国を基軸とした独裁国家群vs西側民主主義先進国群」という、新しい冷戦構造の成立を予兆するものではないか。 11月に入ってからも中国と西側諸国との「衝突」が絶えない。11月18日、イギリス、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、カナダの外相は、中国が香港での批判的な声を封じ込めるために組織的活動を行い、国際的な義務に違反していると非難する共同声明を発表した。それに対し、と、外交儀礼上では普段あり得ないような暴言を吐いて5カ国を批判した』、「「中国を基軸とした独裁国家群vs西側民主主義先進国群」という、新しい冷戦構造の成立を予兆するものではないか」、「中国側の国々はロクなところがないようだ。「中国外務省の趙立堅報道官は翌19日、「(5カ国は)気をつけないと、目玉を引き抜かれるだろう」」、との「批判」には、外交でこんな言葉を使っていいのかと、驚かされた。
・『オーストラリアに喧嘩を売った中国外交官  そして11月30日、今度は趙立堅報道官が5カ国の中のオーストラリアに喧嘩を仕掛けた。彼は豪兵士がアフガニスタン人の子どもの喉元にナイフを突きつけているように見える偽の合成画像をツイッターに投稿。豪州のモリソン首相は激怒して当日のうちに記者会見を開き、画像は偽造されたものだと指摘した上で、「非常に攻撃的だ。中国政府はこの投稿を恥じるべきだ」と批判。中国政府に謝罪と即時の削除を求めた。 もちろん中国政府はこうした削除と謝罪の要求にはいっさい応じない。趙報道官の投稿した映像は今でもツイッターにアップされたままであり、彼の上司にあたる華春瑩報道局長もオーストラリア政府に反論し、趙報道官の投稿を擁護した。 しかし中国側のこのような横暴な態度はさすがに先進国一部の怒りを買った。フランス外務省の報道官は同日30日、「投稿された画像は特にショッキングで、コメントは偏っており、侮辱的だ」「中国のような国の外交に期待される手法として不適当だ」と批判した。12月1日、ニュージーランドのアーダーン首相は記者団に対してこの一件に触れ、「事実として正しくない画像が使われた」と指摘した上で、中国に懸念を直接伝えたと明らかにした。 12月2日、今度はアメリカ国務省がこの件に関する態度を表明した。ブラウン報道官代理は「(中国共産党がオーストラリアに対して取った行動は)精査なしの誤情報流布と威圧的外交の一例」と厳しく批判。合成画像の投稿について「共産党であることを考えても、さらにレベルの低い行動だ」と、矛先を中国共産党に向けた。 このように、中国外務省の報道官がオーストラリアを攻撃するためにツイートした画像は、オートスラリアだけでなくその友好国からの反撃を招くこととなった。そしてこの一件はまた、中国と欧米世界との対立を浮き彫りにした』、「中国」「外交」のネジが外れてしまったようだ。
・『西太平洋上に現れた新たなプレーヤー  12月5日、産経新聞のネット版である産経ニュースは、独自の報道として重大な意味を持つ動きの1つを伝えた。日本の自衛隊と米軍、フランス軍が来年5月、尖閣諸島(沖縄県石垣市)など離島の防衛・奪回作戦に通じる水陸両用の共同訓練を日本の離島で初めて実施することとなったというのである。 産経の記事は、「日米仏の艦艇と陸上部隊が結集し、南西方面の無人島で着上陸訓練を行う」と伝えた上で、「東シナ海と南シナ海で高圧的な海洋進出を強める中国の面前で牽制のメッセージを発信する訓練に欧州の仏軍も加わり、対中包囲網の強化と拡大を示す狙いがある」と解説した。 ここでもっとも重大な意味を持つのは、フランスがアメリカとともに参加することである。アメリカは日本の同盟国だから、日米合同で尖閣防備の軍事訓練を行うのは当たり前だが、フランスの参加は意外だ。フランスはすでに意を決して、自分たちの国益とは直接に関係のない東シナ海の紛争に首を突っ込み、中国と対抗する日米同盟に加わろうとしているのだ。もちろん中国からすれば自国に対する敵対行為であるが、フランスは一向に構わない。 実は欧州のもう一つの大国イギリスもフランスと同じような計画を考えている。共同通信は12月5日、「英海軍、空母を日本近海に派遣へ 香港問題で中国けん制」という以下のニュース記事を配信した。 「英海軍が、最新鋭空母『クイーン・エリザベス』を中核とする空母打撃群を沖縄県などの南西諸島周辺を含む西太平洋に向けて来年初めにも派遣し、長期滞在させることが5日分かった。在日米軍の支援を受けるとみられる。三菱重工業の小牧南工場(愛知県)で艦載のF35Bステルス戦闘機を整備する構想も浮上している。複数の日本政府関係者が明らかにした」』、「イギリス」はともかく、「フランス」までが乗り出してきたのには驚かされた。狙いは何なのだろう。
・『英海軍が日本近海に現れる本当の狙い  1人の日本国民として中国の軍事的膨張を真剣に憂慮している筆者は、ネット上でこの記事に接した時には大きな感動を覚えた。大英帝国としてかつて世界の海を制覇したイギリスが、空母打撃群を派遣して日本周辺の海に長期滞在させるのである。「長期滞在」だから、パフォーマンスのためでもなければ単なる示威行動でもない。イギリスは日米同盟と連携してアジアの秩序維持に加わろうとしている。その矛先の向かうところは言うまでもなく中国である。 共同通信の記事は、空母打撃群派遣の狙いについて「香港問題で中国けん制」とも解説しているが、イギリスがいまさら武力を用いてかつての植民地の香港を奪還するようなことはありえない。ロンドンの戦略家たちの目線にあるのは当然、日本周辺の海域で軍事的紛争がもっとも起きやすい場所、尖閣や台湾海峡、そして南シナ海であろう。 もちろん、老練な外交大国・軍事強国のイギリスは、一時的な思いつきでこのような意思決定を行う国ではない。むしろ、深慮遠謀の上での長期戦略だと見ていい。かつての世界の覇主だったイギリスはどうやら中国を戦略的敵国だと認定し、この新覇権国家の膨張を封じ込める陣営に加わろうとしている。 そして、この原稿を書いている12月16日、大ニュースがまた飛んできた。産経新聞の報じたところによると、ドイツのクランプカレンバウアー国防相は15日、日本の岸信夫防衛相とのオンライン対談で、独連邦軍の艦船を来年、インド太平洋に派遣する方針を表明。南シナ海での中国の強引な権益拡大をけん制するため、「自由で開かれたインド太平洋」に協力する姿勢を明確にした。 戦後は軍の対外派遣に慎重だったドイツもつい重い腰を上げて、対中国包囲網の構築に参加することになった。来年、英仏独3カ国の海軍に米海軍と日本の海上自衛隊が加わり、世界トップクラスの海戦能力を持つ5カ国海軍が日本周辺の海、すなわち中国周辺の海に集まって中国封じ込めのための「海の長城」を築こうとしているのである』、「戦後は軍の対外派遣に慎重だったドイツもつい重い腰を上げて、対中国包囲網の構築に参加することになった」、というのも驚きだ。
・『人権と安全保障という「2つの戦線」  以上、今年10月初旬から12月中旬までの2カ月間あまりにおける世界の主要国の動きを概観したが、これらの動きをつなげて考えると、世界の主な民主主義国家は今、2つの戦線において対中国包囲戦を展開していることがよく分かる。 戦線の1つは人権問題の領域である。中国共産党政権が国内で行なっている人権侵害と民族弾圧に対し、欧米諸国はもはや黙っていない。中国に「NO」を突きつけそのやりたい放題と悪行をやめさせようとして、多くの国々がすでに立ち上がっている。ドイツの国連代表が国連総会の場で、39カ国を束ねて中国の人権抑圧を厳しく批判したのはその最たる例だが、民主主義国家のリーダー格のアメリカも、香港自治法やウイグル人権法などの国内法をつくって人権抑圧に関わった中国政府の高官に制裁を加えている。 人権問題の背後にあるのは当然、人権を大事にする民主主義的価値観と人権抑圧の全体主義的価値観の対立である。今の世界で人権問題を巡って起きている「先進国vs中国」の対立はまさにイデオロギーのぶつかり合い、そして価値観の戦いである。世界史を概観すれば分かるが、価値観の戦いあるいはイデオロギーの対立には妥協の余地はあまりない。双方が徹底的に戦うのが一般的である。 欧米諸国と中国が戦うもう1つの戦線はすなわち安全保障、とりわけアジアと「インド太平洋」地域の安全保障の領域である。東シナ海と南シナ海、そして尖閣周辺や台湾海峡などで軍事的拡張を進め、この広大な地域の安全保障と秩序を破壊しようとする中国に対し、アメリカと日本、イギリスとフランスドイツ、そしてオーストラリアとニュージーランド、さらにアジアの大国のインドまでが加わって、政治的・軍事的対中国包囲網を構築している。 逆に言えば、今の中国は人権・民主主義など普遍的な価値観の大敵、世界の平和秩序とりわけインド・太平洋地域の平和秩序の破壊者となっている。今や世界の民主主義陣営の主要国であり、世界のトップクラスの軍事強国である米・英・仏・独・日・印・豪が連携して、まさに文明世界の普遍的価値を守るために、そして世界とアジアの平和秩序を守るために立ち上がろうとしている』、どうも筆者は、「中国」との対立に焦点を当てるの余り、経済面での「中国」の魅力を無視しているが、現実にはその経済力に魅せられる面も大きい。
・『世界の歴史がまさに今、動いている  しかし、2020年秋からの数カ月間で、上記2つの戦線において対中国包囲網が突如姿を現し迅速に形成されたのは一体なぜなのか。去年までは中国との経済連携に関心を集中させていたドイツやフランスは一体どうして、軍事力まで動員してはるかインド・太平洋地域に乗り込んで中国と対抗することにしたのか。そして、形が見え始めた西側諸国と中国との対立構造は、今後の世界に一体何をもたらすのか。 こういった大問題については稿を改めて論じてみたいが、2020年の秋、われわれの住むこの世界でとてつもなく大きな地殻変動が起きていることは確実であろう。歴史は今、まさに動いているのである』、確かに「対中国包囲網が突如姿を現し迅速に形成された」のは事実であるが、それは前述の通り、「対立」だけではない。協力・協調もあることを忘れるべきではないだろう。
タグ:石平 JBPRESS Newsweek日本版 中国情勢 福島 香織 軍事・外交 (その10)(こんなに危うい中国の前のめり「ワクチン外交」 衛生領域のシルクロードで新たな世界秩序構築を目論む中国、オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声、中国を封じ込める「海の長城」構築が始まった) 「こんなに危うい中国の前のめり「ワクチン外交」 衛生領域のシルクロードで新たな世界秩序構築を目論む中国」 「中国製ワクチン」は「2~8度の温度での輸送が可能なため通常のコールドサプライチェーンを利用でき、途上国でも取り扱いやすい」、「途上国」にとっては魅力的だ 「中国のワクチン外交宣言」とは本音丸出しだ 中国製ワクチンの効果に疑問符も ワクチンメーカー康泰生物のスキャンダル 「当局も報道も、ワクチンに問題があったとはせず、ワクチンに問題があるとして訴え続けた保護者や記者、学者らは、「挑発罪」「秩序擾乱罪」などの容疑で逮捕されたりデマ拡散や名誉棄損などで逆に訴えられたりして、沈黙させられた」、やはり報道の自由がない中国では、問題を隠蔽され易いようだ 中国のワクチン外交に対抗せよ 南米とカリブ海諸国はすでに北京から十数億ドルの借金をして中国のワクチンを購入することにしている。メキシコも3500回分のワクチン代金を支払い すでに多くのアジア諸国が北京からワクチンを購入したいという意向を伝え、少なくとも16カ国が中国ワクチンの臨床試験計画に参加 「ワクチン外交」はタダではなく、しっかり「代金」を取ったり、「ツケ」払いで「借金」させているようだ 「オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声」を紹介しよう』 オーストラリアの島の土地を買い上げた中国の不動産開発業者が、オーストラリア人の立ち入りを禁じて、地元住民や観光客が不満を募らせている 島の一部を買った」だけなのに 「チャイナ・ブルームは、住民のビーチへの立ち入りや、ボートでの着岸を禁止。滑走路へのアクセスまでも禁じたという」、こんな勝手なことが許されるのだろうか インフラ投資を歓迎する当局 州資源局の広報担当者は、チャイナ・ブルームが道路やボート用のスロープ、桟橋や港湾関連など島のインフラ改善に取り組んでいる点にも留意する必要があると指摘」、地方自治体にとっては、「インフラ投資を歓迎」なのだろうが、「オーストラリア政府」は地方自治体の行き過ぎに目を光らせるようだ。 「中国を封じ込める「海の長城」構築が始まった」 今年10月からのわずか2カ月あまりの間に、人権と安全保障をめぐる西側先進国による対中包囲網の構築が本格化した。地政学的な大変動が東アジアで起き始めている 日本の主導で欧州の主要国であるフランスとドイツ、そして環太平洋地域の主要国であるアメリカとインドと豪州が団結し、中国の覇権主義的な海洋進出を封じ込めようとする姿勢を鮮明にした。誰が見ても「中国包囲網」の構築を意味するものだ 「中国」としては面白くないだろう。ただ、日本としては、インドもRCEP(東アジア地域包括的経済連携)に入れようとしたが、インドは自由化に耐えられないとして参加しなかった ニューヨークで起きたもう1つの動き 少なくとも人権問題に関していえば今、世界の先進国全体が一致団結して中国を批判する立場をとり、そして中国と対立している」 西側先進国vs「ならず者国家」の構図 「中国を基軸とした独裁国家群vs西側民主主義先進国群」という、新しい冷戦構造の成立を予兆するものではないか 中国外務省の趙立堅報道官は翌19日、「(5カ国は)気をつけないと、目玉を引き抜かれるだろう」」、との「批判」には、外交でこんな言葉を使っていいのかと、驚かされた オーストラリアに喧嘩を売った中国外交官 「中国」「外交」のネジが外れてしまったようだ 西太平洋上に現れた新たなプレーヤー 「イギリス」はともかく、「フランス」までが乗り出してきたのには驚かされた。狙いは何なのだろう 英海軍が日本近海に現れる本当の狙い 戦後は軍の対外派遣に慎重だったドイツもつい重い腰を上げて、対中国包囲網の構築に参加することになった」、というのも驚きだ 人権と安全保障という「2つの戦線」 どうも筆者は、「中国」との対立に焦点を当てるの余り、経済面での「中国」の魅力を無視しているが、現実にはその経済力に魅せられる面も大きい 世界の歴史がまさに今、動いている 確かに「対中国包囲網が突如姿を現し迅速に形成された」のは事実であるが、それは前述の通り、「対立」だけではない。協力・協調もあることを忘れるべきではないだろう
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トランプ VS バイデン(その2)(2021年正月 米国を最大の危機が襲う 最大600万世帯に退去命令 ホームレス激増でコロナ大爆発の恐れ、日本人が世界の新秩序を理解できない意外な理由、バイデン新政権でも続く「アメリカ・ファースト」の破壊力) [世界情勢]

トランプ VS バイデンについては、11月19日に取上げた。今日は、(その2)(2021年正月 米国を最大の危機が襲う 最大600万世帯に退去命令 ホームレス激増でコロナ大爆発の恐れ、日本人が世界の新秩序を理解できない意外な理由、バイデン新政権でも続く「アメリカ・ファースト」の破壊力)である。

先ずは、11月30日付けJBPressが掲載したジャーナリストの堀田 佳男氏による「2021年正月、米国を最大の危機が襲う 最大600万世帯に退去命令、ホームレス激増でコロナ大爆発の恐れ」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63070
・『新型コロナウイルスの感染者と死亡者が世界一多い米国。医療分野だけでも多くの問題を抱えているが、コロナに関連した深刻な社会問題も浮上してきている。 その一つが、家賃を支払えない賃借人が数百万の単位で、年明け早々に住まいを追い出されかねない問題である。 投資銀行業務やコンサルティングを手がける米スタウト社がまとめた資料によると、最大で647万世帯が住まいを退去せざるを得なくなるという。 家族を考慮すると1000万人を超えるとも言われる。どういうことかご説明したい。 コロナの感染拡大により米経済が大きな打撃を受け、春から失業者が増え始めた。4月の米失業率は14.7%にまで跳ね上がった。 以後、少しずつ改善して10月には6.9%まで落ち着いてきたが、それでもコロナ前の3%台には至っていない。 失業率が高止まりすることで再就職は簡単ではなく、解雇された人たちは収入減に見舞われた。 失職したすべての人たちが失業手当を受けられるわけではない。 首都ワシントンにある経済政策研究所(EPI)の試算では、何らかの理由で失業手当を受けられない人が、夏の段階で最大1390万人にのぼったという。 仕事を失って給与が入らなくなり、貯蓄も不十分で失業手当も受けられないと、家賃の支払いが滞る。 手持ちの限られた資金はまず食費などに当てられるため、生活は困窮する。 米国ではこうした境遇から、コロナ禍で家賃を滞納する人たちが増えてきている。日本でも家賃の滞納者はいるが、米国では日本と比較すると冷酷なまでに強制的な退去が行われたりする』、「647万世帯が住まいを退去せざるを得なくなるという。 家族を考慮すると1000万人を超えるとも言われる」、総統な規模な人々が家を失うようだ。
・『それでも米政府は滞納者にまず、定められた期限内に自主的に引っ越すように促す。それでも立ち退かない場合、裁判所に強制撤去を求めて退去命令が出される。 日本では賃借人の権利が保護されているため、家賃の支払いが数カ月滞っても追い出されることはまずない。 だが日米で法の執行に対する意識の違いと、賃借人と賃貸人の立場が違うことから、米国では強制退去が執行されてしまう。 ドナルド・トランプ政権はコロナ禍という事情を考慮して、家賃滞納者に対する強制退去の執行停止を命じるなど、方策を講じてきた。 だがそれで賃借人を一時的には救済できたとても、今度は家賃が入ってこないことで家主側は減収となり、本質的な問題解決にはいたらないのだ。 それでも、家賃を支払えない人たちの救済がまず優先されるべきとの理由から、トランプ政権の保険福祉省(HHS)内の疾病予防管理センター(CDC)は9月4日、特例措置を出した。 それは今年12月末日まで、住まいからの強制退去が猶予・禁止される(立ち退きモラトリアム)というものだった。 ここで注目したいのは、同措置を発令したのがCDCという点だ。 CDCは感染症対策の総合研究所であり、医療機関である。国交省のような役所ではない。 つまり、強制退去によって住む所を失った市民たちが増えることで、コロナ感染リスクがこれまで以上に高まるということである。 強制退去させられた人たちは、現実的には親族や知人・友人のところに移るか、シェルターや福祉施設、最悪の場合はホームレスになることもあり得る』、「立ち退きモラトリアム」を本来はお門違いの「CDC」が「発令した」のは、放置すれば、家を追い出された人々への感染拡大が懸念される以上、ある意味で当然だ。
・『医療関係者が憂慮するのは、強制退去させられた人たちが密集した場所で寝起きすることで、今以上にコロナウイルスの感染者・死亡者が増加することなので、CDCが分野違いとも言える措置を出したのだ。 幸い、年内は強制退去が執行されないので、支払いの滞った賃借人もいまの住居にいられるが、年明け早々、退去せざるを得なくなる人たちがでるのは間違いない。 11月末、米「ファスト・カンパニー」誌は「米600万世帯が1月1日に強制退去されるかもしれない」というタイトルの記事を出し、深刻な社会問題が待ち受けうけていると警鐘を鳴らした。 トランプ政権が1月1日以降にさらなるモラトリアムを出すことはありそうもない。いま米国では、バイデン新政権が別枠で温情を示せるかに焦点が移っている。 ただ新政権誕生は1月20日であり、年明けから20日間、バイデン政権は何もできない。その間に強制退去が施行されて、家を追われる人が出てしまう恐れがあるのだ。 強制退去を命じられた人たちを救うことはできるのか。同問題に詳しいウェイク・フォレスト大学法律大学院のエミリー・ベンファー教授はこう述べる。 「バイデン氏が退去を求められている人たちを救済することは十分に考えられます。年明けから3週間以内に滞納している賃貸者を追い出すかどうかは家主にかかっていますが、当面の解決策としては、政府が直接的な財政援助に動くかどうかです」 さらなる問題がある。 9月初旬にCDCが発令した強制退去の猶予・禁止は家賃の支払いを一時的に棚上げにしたが、それは逆に、過去から積み重なった滞納分を含めて、支払うべき金額が増えることにつながった。 強制退去の対象になっている数百万世帯の多くは低所得者層の人たちであるため、さらに支払いが難しくなる。 トランプ政権が今月中に新たな手立てを示さず、連邦議会も救済策の法案を通過できない場合、バイデン政権が誕生するまで州を含めた地方自治体が負担を背負うことになる可能性が高い。 米国勢調査局が11月初旬にまとめた報告書によると、約1160万人が来月の家賃・住宅ローンの支払いができない状況であるという数字がでている。 最初に示した647万世帯という数字は「最悪の場合」という設定ではあるが、バイデン政権が発足から荊の道を歩まざるを得ないことが明らかである。 米国の住宅事情とコロナ禍による感染状況は悪化の一途を辿ることになりそうだ』、新大統領就任直前の空白期間にどう対処するのか、大いに注目される。

次に、12月18日付けダイヤモンドオンラインが掲載した元日銀でトランプ陣営の大統領選挙アドバイザリーボード、中部大学経営情報学部教授の酒井吉廣氏による「日本人が世界の新秩序を理解できない意外な理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/256812
・『混迷を極めた米国大統領選挙。過去にない接戦の結果、バイデン勝利の確率が高まっています(トランプ陣営は負けを認めておらず、1876年以来の下院での投票に持ち込まれる可能性がわずかに残っています)。私は2001年からホワイトハウスや国務省、財務省など、米国の政権の中枢で政策の立案・実施を担う現役官僚やOB/OGたちと仕事をしてきました。主に共和党の立場で、大統領選挙などの分析や応援もしてきました。トランプ陣営の大統領選挙アドバイザリーボードも務め、米国人のリアルな思考を理解し、米国と世界を動かす原理原則や、彼らが実践しようとしている新しい世界のルールについて日頃から肌で感じています。これら先、世界はどう変わるのか、本連載では私の著書『NEW RULES――米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』で紹介した米国と中国、世界、そして日本の2021年以降の行く末についてご紹介しましょう。連載1回目となる本記事でお伝えするのは、なぜ日本のメディアやビジネスパーソンが、米国の実情を理解できていないかという問題について。その裏側には構造的な課題があります。 私たちがこれまで生きてきた世界のルールが、根底から変わりつつある――。 今、世界の大きなうねりを肌で感じている人は、決して少なくはないはずです。 それにもかかわらず、日本ではピント外れの議論ばかりが繰り返され、なぜ米国と世界がこのように変わっているのか、明瞭に説明できる人がほとんどいないように感じています。 日本国内で報じられる情報は、リベラルな立場を支持するCNNなど、民主党寄りのメディアの翻訳ばかりです。ドナルド・トランプ第45代大統領を支持する保守的な立場のFOXニュースなど、共和党寄りのメディアがどのように米国や世界を報じているのか、ほとんど日本で語られることがありません。 つまり日本人は、米国の世論のうちの「片側」しか知らないままなのです。そんな状況で、日本人が米国や世界の本音を知ることはまずできません。 私は2001年からホワイトハウスや国務省、財務省など、米国の政権の中枢で政策の立案・実施を担う現役官僚やOB/OGたちと仕事をしてきました。主に共和党の立場で、大統領選挙などの分析や応援もしてきました。 米国人のリアルな思考を理解し、米国と世界を動かす原理原則や、彼らが実践しようとしている新しい世界のルールについて日頃から肌で感じています。 だからこそ、私に伝えられることがあるに違いないと思い至りました。 日本の政府や企業、ビジネスパーソンの多くが、世界を動かす新しいルールを知ることなく、古い価値観にとらわれたままだと、この先の国際競争に大きく劣後する可能性がある――。 そんな危機感を強く抱いています』、「ホワイトハウスや国務省、財務省など、米国の政権の中枢で政策の立案・実施を担う現役官僚やOB/OGたちと仕事をしてきました。主に共和党の立場で、大統領選挙などの分析や応援もしてきました」、とは日本人としては極めて珍しい存在だ。
・『米国と世界の新しいルールとは何か  なぜ、米国と世界が変わったのか。そして新しいルールとは何か。 著書『NEW RULES 米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』では、なるべく中立的な立場で解説しましたが、中にはこれまでほとんど日本で報じられることのなかった視点や切り口も多分に含まれています。そのため、読者のみなさんに戸惑いを与えてしまうかもしれません。 しかし最後まで読み進めていただければ、新しいルールで動き出した先に世界がどうなるのかがクリアに見えてくるはずです。 +なぜ米国民は、あんな下品な不動産王を世界の大国の大統領に選んでいたのか。 +米国はどうして繁栄の象徴でもあるグローバリゼーションを止めたのか。 +バラク・フセイン・オバマ第44代大統領は抑圧されてきた人々を優遇したのに、トランプ大統領は残酷だ。 +米国が自分たちの事情だけを考えて“世界の警察官”を辞めるのは都合が良すぎる。 +世界一の経済大国が、どうしてポピュリズムに転じたのか。 +欧州連合(EU)から離脱することを選んだ英国民は愚かなんじゃないか。 +EUの各国でポピュリズム政党が存在感を高めているのが理解できない。 2020年、米国や英国、EUは自国優先の経済政策を推し進めています。 トランプ大統領が米国で実践してきた所得税や法人税の大幅減税やインフラ投資の強化、大規模な規制緩和などを打ち出して強い米国を取り戻そうとする政策は、今では「トランプノミクス」と呼ばれ、世界の主要な国々も実践するようになりました。 トランプノミクスは、絶対王政時代の利益優先の経済とも共通しているということで、「新重商主義」とも表現されます。 第二次世界大戦以降、国際社会は互いに協調しながらグローバリゼーションを進め、共に発展し、米ソ冷戦の終結でそれは加速しました。 トランプノミクスは、これまで長く続いたグローバリゼーションと正反対の動きである―。トランプが大統領に就任してからは、こんな批判をよく受けます。グローバリゼーションを止めるのは世界全体の経済発展の持続性にとってマイナスである、というのです』、「トランプノミクスは、絶対王政時代の利益優先の経済とも共通しているということで、「新重商主義」とも表現されます」、「新重商主義」とは大げさな感もあるが、「利益優先の経済」であれば、やむを得ないだろう。
・『トランプノミクスが生まれた背景  過去50年間の米国と世界の中心となった経済学は「レーガノミクス」でした。 ロナルド・レーガン第40代大統領が1980年代前半に実践した経済政策で、トランプノミクスはこれを復活させようと考えたものです。 しかしレーガノミクスも、発表した当時は、のちの副大統領のブッシュ(父)でさえ、魔術的な経済学だと批判したような政策でした。レーガノミクスを立案したジャック・ケンプ元下院議員は2002年4月、私にこう打ち明けてくれました。 「レーガノミクスでは、減税をすると税収が増えます。一見すると論理矛盾があるように感じるので反対者が多いのは当然のことでした。レーガノミクスを実施する前の1979年には在イラン米国大使館人質事件などがあり、景気低迷を含めて米国全体が沈滞ムードに覆われていました。そんな状況なのにレーガノミクスを実践して国民の勤労意欲を駆り立てようとしていたのだから、夢物語と批判されるのも覚悟の上でした」 なぜトランプノミクスが生まれたのか。 背景にあったのは、国際経済学の基本でもある比較優位の原則が成立しにくくなってきたことでした。低コストの労働力を豊富に持つ国が増え、世界全体の貿易バランスを保つことが難しくなっていったのです。しかも米国のほかに、国際連合や世界銀行といった国際的な機関からも支援を受ける後進国は、それらの支援をうまく生かして先進国を追い抜くきっかけを模索するようになっていきました。米国が今、猛烈に中国を意識して批判する原点にも、このしこりが横たわっています』、「レーガノミクスも、発表した当時は、のちの副大統領のブッシュ(父)でさえ、魔術的な経済学だと批判したような政策でした」、「魔術的な経済学だと批判」は知っていたが、それを「ブッシュ(父)」が言ったとは初めて知った。
・『ファンドの台頭で加速した繁栄の終わり  こうした動きを加速させたのが、株式市場で徹底して利益を求めるファンドの台頭でした。ファンドは、世界が力を合わせて技術開発などの恩恵に浴することよりも、利益を極大化してコストダウンを突きつめることを企業に求めてきました。 この影響で、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は急成長し、従来型の製造業や小売業などは大規模化や合理化を進めていきました。人々の生活はより便利になりましたが、一方では富の偏在も加速していったのです。 AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)は、私たちに新たな生活様式や働き方に変化を迫ると同時に、最新技術についていけるか否かによって、職業格差を生み出しつつあります。それも新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界を覆う変化のスピードは加速度的に速まっています。 恐らくあと30年もすれば、世界経済は今から想像もできない変化を遂げているはずです。しかもこの流れは、能力のある者とそれ以外の者を残酷に選別します。 2020年5月、米国ミネソタ州ミネアポリスで白人警官が黒人のジョージ・フロイド氏を殺したことで、全米のみならず世界中に広がった人種差別の抗議活動も、急激な変化にさらされる中で常に「負け組」の側に取り残される人々の反抗と言えます。 トランプ大統領が声高に叫ぶ「米国への製造業の回帰」は、徹底したコストダウンのために国外に出ていった米国企業への対応であり、ブルーカラーと言われる人々を含めて、米国全体の経済を底上げしようと狙ったものでした。 そう考えると、「アメリカ・ファースト」は歴史の必然でもあります。米国企業が安心して自国に回帰して経営できるよう、所得税や法人税を減税しようと考えたわけです。 だからこそトランプ大統領は、かつてレーガン大統領が米国を復活させるとの思いを込めて、「Make America Great Again」と繰り返し訴えているのです』、「海外に出ていった「米国企業」が戻ってきた例はどの程度あるのだろう。
・『日本人が米国と世界を理解できないワケ  私のキャリアは、日本銀行からスタートしました。金融政策部署(営業局=現金融市場局)とプルーデンス部署(考査局=現金融機構局)などで働いた後、野村ホールディングスに転じ、ワシントンやニューヨーク、ロンドンやシンガポール、香港、北京といった世界の金融都市で働き、主に金融や証券などの事業に携わってきました。その後は日本政策投資銀行のほか、ワシントンや北京のシンクタンクや大学で、エコノミストや政治外交アナリストのような仕事をしてきました。現在も米国の政府関係などで仕事をし、世界の政治経済を分析しています。 私は幸運にも、金融経済業界を軸にしながら、世界の主要都市で幅広い業界の人々と知己を得ました。その中で、私が出会った米国人の多くが共和党員か共和党支持者であったことから、私自身も自然に共和党員に近い考え方で物事を理解するようになりました。 米国での最初の仕事は、日本銀行で不良債権の処理について、米国のかつての処理策を調べて日本に早期の直接処理を提案することでした。ここで日本と米国の考え方や商慣習の違いについて理解を深めることができました。 そして米国人の発想方法がより深く理解できるようになるほど、冒頭で触れたように、私の中での違和感が大きく膨らんでいったのです。 日本に住むみなさんに、世界を動かす人々のリアルな本音と思考方法を伝えたい。 米国や中国、そして世界の主要国が何を考え、どのようなルールに基づいて政策を決定しているのか。著書『NEW RULES 米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』では、世界を動かす新しいルールがどういったものなのか、みなさんに分かりやすくお伝えしようと試みました。 願わくは、近視眼的な観点で私の予測を評価するのではなく、大きなうねりの根底に何があるのかというところから見渡せる米国と世界、そして日本の未来をみなさんと共有できれば、これに勝る幸せはありません。 次回からは米国と中国、そして世界と日本が2021年以降、どのように変わっていくのか予測した内容を、みなさんにお伝えしていきます。 (酒井氏略歴はリンク先参照)』、惜しむらくは、「トランプ」退陣ではなく、登場の時であれば、もっと役立ったろう。
・『本書の見どころ  混迷の大統領選を経て、2021年1月には民主党のバイデン政権がスタートします。世界はこの先、未曾有の大混乱に突入していきます。日本人がこれまで尊んできた平和な世界はもう終わりました。 グローバル経済や民主主義、自由主義など、これまで世界の経済発展と平和をけん引してきたルールが変わったのです。では、新しいルールは何か。 米大統領選挙でトランプ陣営のアドバイザリーボードを務め、共和党と民主党の両陣営に詳しい著者が「米国の中枢の内側」から、新しい世界を支配するルールについて解説します』、興味深そうだ。
・『本書のポイント  (1)米国と中国、世界をめぐる「なぜ」が、どの本よりも分かりやすく理解できます。 +なぜ、あんな下品な男が大統領だったのか +なぜ、米国はグローバリゼーションを止めたのか +なぜ、世界はポピュリズムに転じるのか +なぜ、米国は中国を目の敵にするのか +EUから離脱する英国は、愚かなんじゃないか +一体、いつから世界の主要国は自分勝手になったんだ リベラル層やリベラル寄りのメディアの情報だけでは分からない、米国の中枢の思考法や意思決定について、トランプ陣営の大統領選挙選アドバイザリーボードの一員でもある著者が、「中の日本人」として分かりやすく解説します。 (2)新しい世界を動かすルールと、その原理原則が、いちはやく理解できます。 +米国VS中国、21世紀の新冷戦、2020年以降の世界を動かす原動力に +コロナ禍を踏み台に、米国経済はさらに伸びる +米国の頭脳は旧来のエスタブリッシュメントから「新たなエリート」の手にわたる +近い未来に朝鮮半島は統一し、そして米国と中国の緩衝地帯になる +気候変動でアフリカから大量の難民が欧州へわたり、欧州経済はひっ迫 +財政基盤まで統合して、ついにEUは一つの国になる +日本は「米国隷従」を続け、米国と中国の間を取りもつように』、なるほど。
・『主な目次  第1章 トランプに至る米国の必然 第2章 トランプ政権、絶大なパワーの源泉 第3章 トランプ大統領は愚者か賢者か 第4章 新しい「重商主義」に舵を切った米国 第5章 ついに始まった米中新冷戦 第6章 中国弱体化を仕掛ける米国 第7章 本格的に「一つの国」へ向かうEU 第8章 世界を動かす新しい10のルール』、ヒマが出来たら読んでみたい。

第三に、この続きを、同じ酒井吉廣氏による12月20日付けダイヤモンドオンライン「バイデン新政権でも続く「アメリカ・ファースト」の破壊力」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/256824
・『過去にない大統領選挙の結果、バイデン勝利の確率が非常に高まっています  しかしトランプ陣営はまだ負けを認めておらず、1876年以来の下院での投票に持ち込まれる可能性もわずかに残っています)。私は2001年からホワイトハウスや国務省、財務省など、米国の政権の中枢で政策の立案・実施を担う現役官僚やOB/OGたちと仕事をしてきました。主に共和党の立場で、大統領選挙などの分析や応援もしてきました。トランプ陣営の大統領選挙アドバイザリーボードも務め、米国人のリアルな思考を理解し、米国と世界を動かす原理原則や、彼らが実践しようとしている新しい世界のルールについて日頃から肌で感じています。これら先、世界はどう変わるのか、本連載では私の著書『NEW RULES――米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』で紹介した米国と中国、世界、そして日本の2021年以降の行く末についてご紹介しましょう。連載3回目となる今回は、2021年から始まるであろうバイデン新政権でも続く「アメリカ・ファースト」が世界に与える影響についてご紹介します』、「アメリカ・ファースト」が「バイデン新政権でも続く」、とはやれやれだ。
・『米国は新しい重商主義で世界を変える  「米国支配による平和」を意味する「パックス・アメリカーナ」という言葉は、歴史的には第二次世界大戦が終わった1945年に使われ始めました。 当時の米国は戦後の復興援助計画「マーシャル・プラン」を実施して欧州を援助する一方で、太平洋戦争に負けた日本の戦後復興はアジア諸国の中でも最後に回しました。 米国が戦争で傷んだ世界各国の中から復興させる国や地域を選び、優先順位を付けて支援をしていったのです。まさに米国の力によって世界平和が保たれているということで、「パックス・アメリカーナ」という言葉が使われていました。 歴史を振り返れば、古くはジュリアス・シーザーなどが活躍したローマ時代を指して「パックス・ロマーナ」、あるいはチンギス・カンの子孫がユーラシア大陸のかなりの部分を支配したことを指して「パックス・タタリカ」と呼ばれてきました。 「パックス・アメリカーナ」とは世界史においてはローマ帝国、モンゴル帝国に続く3回目の世界の支配者が米国であるということを意識した言葉です。もっとも、その後は米国とソ連の間で冷戦構造が誕生したことで、「パックス・アメリカーナ」は形を変えていきました。 1945年に英国の作家ジョージ・オーウェル氏は『あなたと原子爆弾』という作品の中で「冷戦」という言葉を出し、1946年には英国の首相も務めたウィンストン・チャーチル氏がかの有名な「鉄のカーテン」の演説をしました。 これと前後して米外交官のジョージ・ケナン氏が勤務先のモスクワ大使館から長文の「ソ連封じ込め戦略」を打電し、その戦略がトルーマン政権内で本格的に検討されるようになりました。 1947年になると、ハリー・トルーマン第33代大統領は、第二次世界大戦で国力を消耗した英国に変わり、米国がギリシャとトルコを守ると宣言しました。同じ年には欧州の戦後復興計画「マーシャル・プラン」も発表されました。 いずれも、背景にあったのはソ連を中心とした共産主義勢力の台頭です。 最終的に1949年にソ連が核実験を成功させたところで、世界は「パックス・アメリカーナ」が終わったことを理解しました。そして「パックス・ルソ・アメリカーナ」(ソ連の存在を認めながらの米国支配による平和)という時代に入ったのです。 米ソ冷戦時代を含めたパックス・ルソ・アメリカーナ時代、米国は世界の安全保障や経済の安定に積極的に関与する強い意志を持っていました。 米国は日本の経済復興はアジア諸国の中でも最後にするという方針でしたが、1950年に始まった朝鮮動乱で状況は一変しました。日本に朝鮮特需の恩恵を与えると同時に独立国としての国連加盟を認め、日本を共産主義に対する極東の防波堤とすべく、日米安全保障条約を締結して西側陣営に組み込みました。 日本は西太平洋における米国の“代貸”となり、日本列島そのものが米軍基地の役割を果たすようになったのです。同時に米国の肝入りで経済復興を加速し、やがて世界第2位の経済大国に成長しました』、「米国は日本の経済復興はアジア諸国の中でも最後にするという方針でしたが、1950年に始まった朝鮮動乱で状況は一変しました」、「朝鮮動乱」は日本には有利に作用したようだ。
・『戦後75年続いた秩序をひっくり返す  20世紀初めに新興勢力だった米国は当時の既存勢力だった英国の覇権に挑み、そして勝利しました。背景には第一次世界大戦への米国の参戦、第一次世界大戦で主役となった英国とフランスに対する借款の棒引き、第二次世界大戦への参戦がありました。 ただ、米国の勢いは徐々に衰えています。 為替の面では1971年にドルと金の兌換停止を決め(ニクソン・ショック)、為替相場もそこからは対円でドル安が進みました。それ以降、世界は市場に価格決定機能を委ねる変動相場制に移行しました。安全保障面を見ても1989年に米ソ冷戦が終結しましたが、2001年にはテロとの戦いが始まり、結果的にそれが中国の台頭を招いてしまいました。 1975年に始まった主要国首脳会議(当時はG5サミット)は1993年の欧州連合(EU)の誕生以降、協調を強めながら世界の政治経済を運営する考え方が強まりました。EU全体は世界経済の発展は目指したものの、米国に貢献することはありませんでした。 やや前置きが長くなりましたが、「パックス・アメリカーナ」から米ソ冷戦時代の間に構築され、その後の30年間で進化した国際秩序、言い換えれば第二次世界大戦後からおよそ75年続いた世界のルールをひっくり返そうとしているのが、現在の米国です』、「テロとの戦いが始まり、結果的にそれが中国の台頭を招いてしまいました」、初めて知った。
・『米国は、もう世界を救わない  トランプ大統領はしばしば、北大西洋条約機構(NATO)に対する拠出金の削減を求めてきました。NATO加盟国が相応の防衛費の負担をしていないことでも批判を繰り返してきています。 こうした米国のNATO軽視を批判する声もあります。しかし、第二次世界大戦以降75年が経過し、NATOの役割が変わってきていることを無視してはいけません。 NATOはソ連を中心とする共産圏に対抗するための西側陣営として誕生したものです。大前提となったソ連のワルシャワ条約機構(ソ連と東欧8カ国が結成した軍事同盟)は、ソ連の解体で消滅し、東欧諸国は競ってEUとNATOに加盟しています。 米ソ冷戦終結前には、デンマークの首都コペンハーゲン近くの基地からソ連の旧都サンクトペテルブルク(冷戦当時はレニングラード)まで3000キロもあった距離が、今ではNATOに加盟するバルト三国の一つであるエストニア共和国のロシア国境沿いの都市から、サンクトペテルブルクまでの距離はたった140キロしかありません。つまりNATOはもう、中長距離ミサイルや長距離爆撃機などを前提とした軍備の必要がなくなったのです。本来なら必要な予算は見直されてもいいはずです。 現在、NATOの海軍はインド洋で海賊退治をしていますが、果たしてそれが本来のNATOの役割なのかということも再考すべきでしょう。 NATO加盟国の拡大に伴って中距離ミサイルは不要になりましたが、その結果、中距離ミサイルの開発で米国は中国やロシアに後れを取りました。対中国という観点で中距離ミサイルの開発は不可欠です。現在、米国はその後れを取り戻すために必死で中距離ミサイルを開発しています。 米国はNATO加盟国に対して経済力に応じた分担をすべきだと主張していますが、その背後には現状の予算規模に対する疑問がありました。世界の構造そのものが変わったのに、なぜ旧来通りの考え方を変えないのかと問うているわけです。 同じことは、在韓米軍の維持経費についても起こっています。米国が韓国に対して、在韓米軍に対する支出を5倍に引き上げるよう求めるのも、仮に韓国が地続きの北朝鮮と戦うことになったとしても、海軍がないに等しい北朝鮮を攻めるのに軍艦を増やす必要はなく、そんなムダ遣いをするくらいなら駐留経費を支払ってほしいと主張したまでのことです。 EUは、コロナ禍で経済が疲弊した加盟国を支援すると決めました。 恐らくEUの経済が元の状態に戻る数年後まで、EUは本格的な国際競争力を削がれた状態が続くはずです。それでも今回、米国が第二次世界大戦後のように復興支援計画を用意して欧州を支えることはないでしょう。 この先、米国は何よりも自分たちの復興と繁栄を優先させるはずです。世界をまんべんなく栄えさせるよりも、EUを離脱した英国や日本との二国間の自由貿易協定(FTA)を前提に仲間内で繁栄を分かち合うことを選ぶはずです。 そもそも今回の新型コロナウイルスは、第二次世界大戦のように欧州全土を焦土としたわけではありません。財政規律を守る北欧の国々は自力での復興に成功しつつあります。 問題は緊縮財政を取らずにEUが求めた財政赤字の対GDP比率を守らなかったポピュリズムの国々ですが、彼らを米国が助ける義理はありません。 一方でユーロ共同債の発行を決めるなど、ドイツは自国民の税金をこうした国々に使うことを決断しました。EUの盟主であり続けるための対価を支払おうと決断したわけです。 第二次世界大戦後の75年、米国は自分たちの国を最優先するよりも世界の秩序を守るために動いてきました。しかし、もう旧来型の構図は限界を迎えたようです。 これから米国が軸に据えるのは「アメリカ・ファースト」です。 その上で、米国が合意できる相手とだけ合意できる点で手を結び、新しい「パックス・アメリカーナ」を構築することになるのでしょう。先に例を挙げたNATOや韓国だけでなく、日本もこの先は米国の要求に驚くことがあるはずです。 米国の要求の根底にある思想は何なのか。米国の腹づもりが事前に分かっていれば、きっと私たち日本人が無茶な米国の要求に振り回されることは減るでしょう。 戦後75年続いた平和な時代は終わりました。 自国の事情を何よりも優先する米国とうまく交渉する胆力が求められます。 (この後は、上記記事と同じなので、省略)』、「NATOに加盟するバルト三国の一つであるエストニア共和国のロシア国境沿いの都市から、サンクトペテルブルクまでの距離はたった140キロしかありません。つまりNATOはもう、中長距離ミサイルや長距離爆撃機などを前提とした軍備の必要がなくなったのです」、確かに政治的環境が激変すれば、軍事戦略も大きく変わる筈だ。「ユーロ共同債の発行を決めるなど、ドイツは自国民の税金をこうした国々に使うことを決断しました。EUの盟主であり続けるための対価を支払おうと決断した」、「これから米国が軸に据えるのは「アメリカ・ファースト」です」、「(日本は)自国の事情を何よりも優先する米国とうまく交渉する胆力が求められます」、「日本」の外交力が問われる時代になったようだ。
タグ:ダイヤモンドオンライン JBPRESS 堀田 佳男 トランプ VS バイデン (その2)(2021年正月 米国を最大の危機が襲う 最大600万世帯に退去命令 ホームレス激増でコロナ大爆発の恐れ、日本人が世界の新秩序を理解できない意外な理由、バイデン新政権でも続く「アメリカ・ファースト」の破壊力) 「2021年正月、米国を最大の危機が襲う 最大600万世帯に退去命令、ホームレス激増でコロナ大爆発の恐れ」 647万世帯が住まいを退去せざるを得なくなるという。 家族を考慮すると1000万人を超えるとも言われる トランプ政権はコロナ禍という事情を考慮して、家賃滞納者に対する強制退去の執行停止を命じるなど、方策を講じてきた 「立ち退きモラトリアム」を本来はお門違いの「CDC」が「発令した」のは、放置すれば、家を追い出された人々への感染拡大が懸念される以上、ある意味で当然だ 新大統領就任直前の空白期間にどう対処するのか、大いに注目される。 酒井吉廣 「日本人が世界の新秩序を理解できない意外な理由」 トランプ陣営の大統領選挙アドバイザリーボードも務め ホワイトハウスや国務省、財務省など、米国の政権の中枢で政策の立案・実施を担う現役官僚やOB/OGたちと仕事をしてきました。主に共和党の立場で、大統領選挙などの分析や応援もしてきました 米国と世界の新しいルールとは何か トランプノミクスは、絶対王政時代の利益優先の経済とも共通しているということで、「新重商主義」とも表現されます トランプノミクスが生まれた背景 レーガノミクスも、発表した当時は、のちの副大統領のブッシュ(父)でさえ、魔術的な経済学だと批判したような政策 なぜトランプノミクスが生まれたのか。 背景にあったのは、国際経済学の基本でもある比較優位の原則が成立しにくくなってきたことでした ファンドの台頭で加速した繁栄の終わり 「海外に出ていった「米国企業」が戻ってきた例はどの程度あるのだろう 日本人が米国と世界を理解できないワケ 惜しむらくは、「トランプ」退陣ではなく、登場の時であれば、もっと役立ったろう 本書の見どころ 主な目次 「バイデン新政権でも続く「アメリカ・ファースト」 アメリカ・ファースト」が「バイデン新政権でも続く」、とはやれやれだ 米国は新しい重商主義で世界を変える 米国は日本の経済復興はアジア諸国の中でも最後にするという方針でしたが、1950年に始まった朝鮮動乱で状況は一変しました 戦後75年続いた秩序をひっくり返す 「テロとの戦いが始まり、結果的にそれが中国の台頭を招いてしまいました」、初めて知った 米国は、もう世界を救わない NATOに加盟するバルト三国の一つであるエストニア共和国のロシア国境沿いの都市から、サンクトペテルブルクまでの距離はたった140キロしかありません。つまりNATOはもう、中長距離ミサイルや長距離爆撃機などを前提とした軍備の必要がなくなったのです ユーロ共同債の発行を決めるなど、ドイツは自国民の税金をこうした国々に使うことを決断しました。EUの盟主であり続けるための対価を支払おうと決断した これから米国が軸に据えるのは「アメリカ・ファースト」です (日本は)自国の事情を何よりも優先する米国とうまく交渉する胆力が求められます」、「日本」の外交力が問われる時代になったようだ。
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環境問題(その8)(政府が「2030年ガソリン車禁止」を打ち出した訳 方針急転換でメーカーの戦略修正は必須に、「2030年ガソリン車禁止」政府が探る落とし所 政府基本案のたたき台から読めた日本の方針、「水素」「EV」で急速に国策が動き出したワケ 橘川教授が語る「日本版脱炭素化の見取り図」) [世界情勢]

環境問題については、10月20日に取上げた。今日は、(その8)(政府が「2030年ガソリン車禁止」を打ち出した訳 方針急転換でメーカーの戦略修正は必須に、「2030年ガソリン車禁止」政府が探る落とし所 政府基本案のたたき台から読めた日本の方針、「水素」「EV」で急速に国策が動き出したワケ 橘川教授が語る「日本版脱炭素化の見取り図」)である。

先ずは、12月8日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの桃田 健史氏による「政府が「2030年ガソリン車禁止」を打ち出した訳 方針急転換でメーカーの戦略修正は必須に」を紹介しよう。
・『-2030年前半、ガソリン車販売禁止- 日本人にとって衝撃的なニュースが、2020年12月3日に流れた。これは、政府が進める「2050年カーボンニュートラル」の一環だ。 しかし、これは政府が正式に発表したものではなく、先に開催された第5回成長戦略会議を受けて、経済産業省を中心とした自動車産業変革の施策の一部がメディアに漏れたというのが事実のようだ。 2030年前半ではなく「半ば」をめどとするとの情報もあり、それについて小泉進次郎環境大臣が閣議後の会見で「2035年と明記するべき」という持論を述べている。 どちらにしても、日本が世界の潮流に乗って、自動車の電動化に関する規制強化を加速させていくことに間違いはないだろう。 海外での電動車関連の規定では、1990年施行のアメリカ・カリフォルニア州ZEV法(ゼロ・エミッション・ヴィークル規制法)における「2035年までにICE(内燃機関車)新車販売禁止」を筆頭に、中国のNEV(新エネルギー車)政策、そしてCO2規制を念頭としたヨーロッパ各国でも電動車シフト政策がある』、「2030年前半、ガソリン車販売禁止」のニュースには、いきなりだったこともあって驚かされた。
・『「達成目標」から「義務」へ  日本の電動車を含む次世代車の普及目標については、経済産業省が2018年に産学官の有識者による自動車新時代戦略会議として取りまとめている。 それによると、2030年は従来車(ガソリン車、ディーゼル車)が市場全体の30~50%。残りの50~70%が次世代車となっている。 次世代車の内訳は、市場全体の30~40%がHV(ハイブリッド車)、20~30%がEV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)が3%程度、そしてクリーンディーゼル車が5~10%とみる。 ただし、未達の場合でも自動車メーカーにペナルティを課すような規制ではなく、あくまでも達成目標にすぎない。 これに対して、今回進める2035年までのガソリン車廃止を規制として義務化すれば、従来車が完全になくなるため、次世代車の普及台数は一気に倍増する計算だ。 一連の報道では「ガソリン車禁止」という表現が多いが、これはディーセル車を含む内燃機関車を指す可能性が高い。2020年9月にカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事の発言での「インターナルコンバッションエンジン(ICE:内燃機関)」を多くのメディアが日本語で「ガソリン車」と訳したからだ。 では、2018年の達成目標設定を、なぜ今になって規制化する必要があるのか。背景にあるのは、世界的なESG(環境、社会性、ガバナンス)投資の急激な拡大だ。 従来、多くの自動車開発者が描いてきたクルマの電動化の将来像は、ガソリン車やディーゼル車からHV、PHEV、EV……と、搭載する駆動用バッテリーの大きさが徐々に増えていき、最終的には長距離移動向けの究極の次世代車として、FCVに到達するというイメージを描いてきた』、「世界的なESG・・・投資の急激な拡大」は事実としても、いきなり「義務化」とは何か理由があったのだろう。
・『日本政府が電動化対応をしてこなかった訳  その中で、EVの普及を前倒ししたのが、日産だ。2010年市場導入の「リーフ」は、自動車産業史において大手メーカーによる初めての大量生産型EVとなった。 また、フォルクスワーゲングループは、2016年に発表した中期経営計画「トゥギャザー・ストラテジー2025」で、大々的なEVシフトを掲げた。前年に発覚したディーゼル車制御装置の違法によって失墜したブランドイメージを、V字回復させるための事業戦略である。 このほか、世界各国の富裕層に対して、テスラがプレミアムEV市場を拡大していった。こうした各社の電動化戦略に対して、一喜一憂するような対応を日本政府はこれまでとってこなかった。 なぜならば、前述の自動車新時代戦略会議での議論でも、電動化の基盤となるHVの普及比率は、2017年時点で日本が31.6%と、アメリカの4.0%、ドイツの3.0%、フランスの4.8%、タイの2.7%、インドの0.03%と比べて圧倒的に高かったからだ。 ところが、この2年間ほどの間に、ESG投資という文脈で電動化に関する潮流が一気に変わり、そこに各国政府の施策として規制強化につながった。急激な市場変化について警戒する声もある。 スズキの鈴木俊宏社長は新型「ソリオ」のオンライン会見で、筆者からの電動化戦略の現状と今後の方針に関する質問に対して「(ソリオに搭載の)マイルドハイブリッド、プラグインハイブリッド、そしてEVへとステップを踏むべきだが、昨今のEV化(の潮流)については、スピードが加速気味かと思う」と答えている。 そのうえで、将来的にはEV化は当然であり、現行車と比べてのコスト上昇、充電インフラ整備や電池の再利用など、社会全体として考えるべき課題として、スズキ社内で冷静な姿勢で協議を進めるべきだとの考えを示した。 さらには、コストメリットを考えて「トヨタから電動化部品の供給を受けて、スズキ独自の電動車開発をする可能性もある」という発言もあった。 また、マツダの丸本明社長にもオンライン会見で、筆者が電動化戦略の今後を聞いたが「国や地域によってエネルギー供給体制など社会背景は大きく違う。それぞれの社会環境にあったソリューションを提供していく」として、マツダが進める各種SKYACTIVユニットの仕向け地別の最適化を強調した』、「HVの普及比率は、2017年時点で日本が31.6%と、アメリカの4.0%、ドイツの3.0%、フランスの4.8%、タイの2.7%、インドの0.03%と比べて圧倒的に高かった」、これにあぐらをかいていたのは事実だ。
・『トヨタの舵取りはいかに?  前出の“従来車”の実情を考えると、スズキのほか、スバルとマツダの電動車比率が低い。これら各社はトヨタとの各領域で協業をすでに行っており、今後はトヨタと電動化における関係が一気に深まりそうだ。 そのトヨタも、2017年12月に「電動車普及のマイルストーン」としてグラフ化しているが、その後に「計画(2017年12月)を上回るペースで電動化が加速」として、計画を前倒ししている。今回の政府による「2030年代での規制強化」に合わせて、同計画のさらなる大幅な前倒しは必須だ。周知の通り、日本の自動車産業界におけるトヨタの発言力と実行力が他メーカーを大きく凌ぐというのが実情である。 トヨタが今期末の決算発表あたりに、大胆な電動車シフト戦略を公表する可能性は十分にあり、それにより日本自動車産業界が全体として大きく電動化シフトに舵を取ることになるのではないだろうか』、さてガリバー「トヨタ」はどう出るのだろうか。

次に、同じ桃田 健史氏による12月12日付け東洋経済オンライン「「2030年ガソリン車禁止」政府が探る落とし所 政府基本案のたたき台から読めた日本の方針」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/395473
・『日本での「クルマの電動化シフト」が今、大きな局面を迎えている。 2020年12月2日、「2030年代半ばメドにガソリン車禁止で政府が最終調整」というニュースが流れ、また12月8日には東京都の小池百合子知事が都議会での代表質問を受けて「2030年に“純ガソリン車”100%禁止」を打ち出した。 このタイミングで、政府による“クルマの電動化シフト”の動きが活発化している背景については、「政府が『2030年ガソリン車禁止』を打ち出した訳」に詳しい。 同記事が公開された2日後の2020年12月10日。経済産業省は、「第3回 モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会」を開催した』、なるほど。
・『「2050年に目指すべき姿」を議論  この中で同省が提示した事務局参考資料では、政府方式が“ほぼ固まった”状態で記載されており、検討会に参加した有識者による“ダメ出し”を踏まえて、年内には正式な政府方針として公表される予定だ。 この参考資料、および事務局資料(議論用)では、議論の目的を「2050年に目指すべき姿」としている。これは、2020年12月1日開催の「第5回成長戦略会議」を受けて公表された2050年カーボンニュートラルを目指した「グリーン成長戦略の実行計画の早期策定」に直結する。 今回、公表された参考資料でも「電動化推進のための取組について」との題目の冒頭、グリーン成長戦略の実行計画について、以下のように下線を引いた記載がある。 カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な、水素、自動車・蓄電池、カーボンリサイクル、洋上風力、半導体・情報通信などの分野について、①年限を明確化した目標、②研究開発・実証、③規制改革・標準化などの制度整備、④国際協調などを盛り込んだグリーン成長戦略の実行計画を早期に策定し、関係省庁が一体となって、全政府的に取組を拡大する(本文ママ) ①の年限については、12月初旬の一部報道で「2030年代前半」といわれ、本稿執筆時点(12月11日)では「2030年代半ば」という報道が主流だが、小池都知事の「2030年発言」を受けて、最終的に2030年、または2035年とするのかが自動車産業界にとって、また一般ユーザーにとっても極めて重要なポイントだ。 ③の規制改革等の制度整備については、ゼロベースで新規法案とするのではなく、まずは省エネ法・グリーン購入法・温対法など既存の法律の一部改正によって対応する可能性を示唆している。早期の実効性という意味ではベターチョイスに思える。 市場拡大に向けた補助金制度についても、既存のCEV補助金制度などの改定によって、早期の実効性を担保できるはずだ。そして、④の国際協調という名の世界における“日本の立ち位置”または“東京の立ち位置”をどのように“落とし込むのか”が、大きなポイントとなりそうだ。 資料の中でイギリス、フランス、中国、ドイツ、アメリカ、そして日本それぞれについて「内燃機関の扱い」「電動車義務化」「燃費規制」「乗り入り規制」「BEV/PHEV/FCEV導入目標」という5つの項目で比較一覧としている。 ここで重要なのは「電動車義務化」で、ここには「義務付ける」「規制はなし」という表記があり、中国(NEV規制)とアメリカ・カリフォルニア州(ZEV規制)で「販売を義務化」と分類している点だ』、アメリカ大統領がバイデンに代わることで、アメリカの規制も強化される方向だ。
・『各国政策を踏まえての“落としどころ”  こうした一覧表を改めて眺めていると、年内という短いスパンで日本政府(経済産業省)が方針を取りまとめることを考えると、今回の発表では日本版のZEV規制法やNEV規制法ではなく、イギリス、フランス、ドイツに近い形で、内燃機関の扱いを“2030年、または2035年”とする政策になる可能性が高いと思われる。 イギリスでは、ガソリン車を2030年販売禁止とすると同時にハイブリッド車も2035年販売禁止としているが、日本は直近でハイブリッド車の販売比率が約3割と欧米と比べて高いこともあり、ハイブリッド車以外を考慮した“備考”という“落としどころ”を探ることも考えられる。 また、化石燃料や電気の原材料の採取、製造、使用、廃棄に至るLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の観点についても同資料では強調しており、ここに日本のグリーン成長戦略の特長を持たせることも重要だ。 そのほか、東京都の立ち位置については、同資料の一覧表にある「乗り入れ規制」という項目の判断を応用する形で、政府目標を前提としながら東京都がロンドン、パリ、ベルリンなどと“よきバランス”を取ることが想定される。 こうして今、世間で大きな話題となっている政府による電動化シフト政策だが、現実的な目的はグローバルにおける日本の産業力強化にある。つまり、運輸・電機・エネルギー・ITなどの企業目線での議論が主体だ。 一方で、社会全体を考えた、これからのクルマや交通のあり方を同時に考えていく必要がある。というより、社会全体の動きを優先し、その一部でクルマの電動化を“活用する”ことが、これからの日本を考えるうえでの議論のあるべき姿だと思う』、その通りだ。
・『変わるべきはクルマだけではない  今回の検討会・参考資料では、最初に「移動制約ゼロのための取組について」として、地域交通の現状と今後について紹介している。その次が「電動化」の記載である。 また、検討会の事務局資料(議論用)で、「『世界中の誰もが、便利で快適に、カーボンフリーのモビリティサービスを享受できる社会』を目指すには、以下の2つの変化が重要」として、「社会の変化」と「自動車の変化」を挙げている。 自動車というハードウェア・ソフトウェアについては、技術革新や規制対応などの目標が定まれば、日本がこれまで培ってきた知見や人材をフル活用することが可能であろう。他方、社会の変化については、地域社会の担い手不足や、継続な事業として成立させることの難しさなどあり、政府が目標と定めたからといって順調に社会課題が解決できるとは限らない。 実際、筆者は福井県永平寺町の政策の協議に関わる永平寺町エボリューション大使という立場で、経済産業省の施策「スマートモビリティチャレンジ」や同省および国土交通省による「ラストマイル自動走行」の社会実証や社会実装を主として、国、県、周辺自治体、地元の企業や各種団体、そして住民の皆さんと社会変化について議論を進めているが、社会変化の現状と、これから町として進むべき道に関する情報共有をすることは、とても難しいと実感している。 今、日本で大きく動きだした、クルマの電動化シフト。社会全体の中での電動化のあるべき姿を、国民ひとりひとりが他人事ではなく、“わたくし事”として捉えることが大切だと強く思う』、「国民ひとりひとりが他人事ではなく、“わたくし事”として捉えることが大切だ」、理念的にはその通りだが、判断材料となるデータも示さずに、要求するのは筋違いだ。

第三に、12月11日付け東洋経済オンライン「「水素」「EV」で急速に国策が動き出したワケ 橘川教授が語る「日本版脱炭素化の見取り図」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/395122
・『政府が打ち出した2030年代半ばの純ガソリン車の新車販売禁止方針、水素を燃料とした新エネルギー戦略――。政官財が連動した脱炭素化のニュースが連日のように飛び出している。 脱炭素化や水素戦略が急速に国策化した裏には何があるのか。欧州に遅ればせながら、ようやく日本でも起こりそうなグリーン革命の見取り図はどうなっているのか。関連業界や投資家にとって不可欠な情報を、エネルギー政策に詳しい国際大学大学院の橘川武郎教授に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは橘川氏の回答)』、興味深そうだ。
・『Q:菅義偉首相は10月26日の所信表明演説で、2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル宣言」を行いました。それ以降、脱炭素化に向けて政官財が一気に動き出した感があります。 A:日本がカーボンニュートラル宣言を出したのはギリギリのタイミングだった。すでに中国は2060年までのカーボンニュートラル宣言を出していたし、グリーンニューディール政策を掲げるアメリカ・バイデン政権の誕生が確実になった11月以降に日本が宣言を行っていたら、「世界の後追いだ」と言われて評価されなかっただろう』、「日本がカーボンニュートラル宣言を出したのはギリギリのタイミングだった」、なるほど納得できた。
・『急に動き出した最大の要因は「アンモニア火力発電」  しかもこれが最も重要な部分だが、菅政権は苦しまぎれでカーボンニュートラル宣言を出したのではない。2050年までの実質排出ゼロは単なる絵空事ではない。菅首相の演説の直前、10月13日に火力発電最大手のJERA(東京電力と中部電力の火力発電事業統合会社)がアンモニアを活用して火力発電でも二酸化炭素(CO2)を実質排出させないロードマップを打ち出している。この動きこそが、菅首相のカーボンニュートラル宣言に現実味を持たせ、状況を察知した産業界の多くがどっと動き出す要因になった。 Q:確かに、蓄電池などの技術開発は漸進的でこの間にブレークスルーがあったわけではありません。今回のゲームチェンジャーは、火力発電のカーボンニュートラル化なのですね。 A:そうだ。JERAはすでにNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの受託事業として、アンモニア混焼の火力発電のフィージビリティスタディを行っている。2030年代前半にアンモニアの混焼率を20%程度とし、その後混焼率を拡大させて、2040年代にはアンモニア100%の専焼化に移行、それによってCO2排出をゼロにするというロードマップを打ち出している(アンモニアはNH3のため、燃やしてもCO2を発生しない)。 JERAと同様、水素とCO2を合成してメタンガス(天然ガスの主成分)を作る技術などを活用したカーボンニュートラル構想は昨年11月に東京ガスが発表していた。内閣府が所管する国家プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)でアンモニア直接燃焼の研究が進められてきたという経緯もある。もともとこの技術はトヨタ自動車発だといわれている。 Q:火力発電がCO2フリー化すると、電力全体の構造はどう変わりますか。 電力の脱炭素化の基盤となるのは、もちろん再生可能エネルギーで、こちらも今後間違いなく拡大する。ただ、再エネの発電は天候や時間帯に左右される。それをバックアップし、安定した電力を供給する調整用電源が必要になる。蓄電池はその候補だが、容量拡大やコストなど技術的課題を突破できる時期は見通せない。火力発電はこれまでも調整用電源を担っていたが、CO2を排出するため、バツが付いていた。しかし、アンモニアの活用により、火力発電はCO2フリーの調整用電源としての裏付けができた。 一部には、菅政権のカーボンニュートラル宣言は原子力発電の復活を狙っているとの声があるが、それは違う。菅政権は依然としてリプレース(建て替え)は行わないなど原発に対しては踏み込んでおらず、逆に火力発電の脱炭素化が実現するなら、CO2を出さない電源としての原発の必要性は薄れる。菅政権は安倍晋三政権時代と同様に原発をそっとしておくつもりだと思う』、「10月13日に火力発電最大手のJERA(東京電力と中部電力の火力発電事業統合会社)がアンモニアを活用して火力発電でも二酸化炭素(CO2)を実質排出させないロードマップを打ち出している。この動きこそが、菅首相のカーボンニュートラル宣言に現実味を持たせ、状況を察知した産業界の多くがどっと動き出す要因になった」、「アンモニアの活用により、火力発電はCO2フリーの調整用電源としての裏付けができた」、これらが技術的根拠になったようだ。
・『CO2の回収・貯留が最大の課題  Q:ただ、脱炭素化で先頭を走る欧州は、再生可能エネルギーで水を電気分解した水素・アンモニアを「グリーン」、天然ガスなど化石燃料から取り出した水素・アンモニアを「ブルー」と呼んで、後者の脱炭素化への効果に懐疑的な声を上げています。天然ガスから水素・アンモニアを作る過程で生じるCO2はどうするのでしょうか。 A:最終的な方向としてはもちろん、日本も再エネ由来の水素・アンモニアになるのだろう。しかし、再エネ価格が大幅に低下し、コストメリットで再エネ導入が進む欧州と、まだまだ再エネのコストメリットが見いだしにくい日本では事情が違う。現在の政府や民間のロードマップを見ても、日本はまず移行期として天然ガス由来の水素・アンモニアを想定している。 この部分は、非常に大きな課題だ。というのも、天然ガスから水素・アンモニアを作るときに発生するCO2を分離回収・貯留するCCS(二酸化炭素回収・貯留)の技術や装置で日本のメーカーは競争力を持つものの、CO2の貯留場所をいかに確保していくかについてはいまだ不確実なところがあるからだ。 天然ガス由来の水素やアンモニアを日本にどう持ちこむかについては、①資源国の設備において天然ガスから水素・アンモニアを作って、それを日本へ輸入するやり方と、②資源国からLNG(液化天然ガス)の形で輸入して、日本国内で水素・アンモニアを取り出すやり方の2つが想定されている。その際、資源国や日本国内でCO2を安全に貯留できる場所を確保する必要がある。 Q:CCSは容易ではない? A:世界を見ても、CCSを商用稼働しているのはアメリカ、オーストラリア、ノルウェイだけだ。海外では、枯渇してきた油田にCO2を押し込んで、その圧力で石油を取り出す形で利用されることが多い。石油生産の経済性を増すため、CO2は「商品」となっている。だが原油価格が一定以下に下落すると、不採算になるため、将来的な持続可能性は不明だ。 スウェーデンとノルウェイのエネルギー会社が主導するオランダの水素火力発電は2025年の稼働を予定し、既存の天然ガス火力発電から水素へ転換するものだ。天然ガスから水素を作るときに発生するCO2は、船舶でノルウェイへ送り、同国でCCSを行う方法が計画されている。ちなみにこの水素火力発電のタービンは三菱パワー製だ。日本勢はこうしたプロジェクトも参考にして、日本向けの構想を練っている』、「水素火力発電のタービンは三菱パワー製だ」、しかし全体としてのシステム構築は遅れているようだ。
・『水素社会は水素とアンモニアのすみ分けに  Q:政府の発表や報道では、「水素」という言葉が使われており、一般の人たちはアンモニアと水素の違いなどで頭が混乱しやすいと思います。全体を整理すると、どうなりますか。 A:水素と空気中の窒素を合成すればアンモニアができるし、アンモニアを水素化することもできる。水素とアンモニアが近い関係にあることは事実だ。 ただし、経済産業省の中にも、燃料電池自動車(FCV)などを念頭に水素を中心に考えるグループと、電力を念頭にアンモニアを中心に考えるグループに分かれているようだ。水素とアンモニアをまとめて「水素社会」と呼んでごまかしているところはある。だが、当面はそれでもあまりまずいことにはならないだろう。 おおざっぱに言うと、日本の電力業界はみんなアンモニアによる火力発電へ突き進んでいる。アンモニアは毒性(強い刺激性)があり、コンシューマ用途には向かないが、工業や肥料用などで長年使用されてきたため、発電所や工場などではハンドリングしやすい。 一方、水素にはFCVに代表される自動車分野や家庭用のエネファームなどの用途があるが、貯蔵・運搬面で技術的課題がある。運搬方法では大きく2つの候補があり、1つはマイナス253℃まで水素を冷却して液化する方法、もう1つは水素にトルエンを混ぜてメチルシクロヘキサン(MCH)にして輸送・貯蔵する方法だ。MCHなら普通のコンテナで運ぶことができ、低コストだが、最後に水素を分離する際に約400℃の熱を加える必要がある。液体水素、MCHともに冷却や加熱によるコストの課題などを抱える。 Q:なるほど。発電はアンモニア、自動車など輸送機器は水素というすみ分けですね。しかし、発電所自体がアンモニア活用でCO2フリーになるなら、自動車業界が長年力説してきた「Well to Wheel」(油井から車輪まで)で見ても、全部EVでいいということになりますね』、なるほど。
・『自家用車はEV、大型など商用車はFCV  EVは電池容量の関係で航続距離が短いこと、充電に30分以上かかることがネックとしてあるが、一般的な自家用車の利用としては問題ない。一方、トラックやバスなど大型車やフォークリフトといった商用分野では、航続距離や充時間(水素なら約3分)という要素が重要であり、水素が活用されるだろう。つまり、自家用車はEV、商用車はFCVというすみ分けだ。 インテグラル(すり合わせ)型に強い日本車メーカーは、モジュラー型(組み合わせ型)のEVに消極的だといわれてきた。しかし、実際にはトヨタなどは火力発電のCO2フリーというゲームチェンジャー登場を受けて、EVとFCVにがぜん力を入れ始めていると思う。 歴史を見るまでもなく、エネルギー政策は、安全保障と不可分一体です。日本が水素社会の方向へ舵を切るとすれば、外交にも影響は及びそうですね。 日本の外交戦略である「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)は、日米とインド、オーストラリアがカギを握るといわれている。こうした中で、水素戦略によって日本で大幅な需要拡大が予想される水素・アンモニアの調達先としては、オーストラリアが注目されている。米中対立の余波を受けて、中国がオーストラリアからの輸入を減らす方向だが、代わりに日本がオーストラリアからの天然ガスないし水素・アンモニアの輸入を増やすことはFOIPにとってもプラスという考え方だ。 日本はLNG(液化天然ガス)などの貿易や物流のノウハウで強みを持っている。その強みを発揮して、アジア地域での水素社会化やエネルギー輸送などで主導権を発揮することが期待される。また、CO2フリーの火力発電建設の輸出も期待できる。一方、中国も水素関連技術に強い関心を持っており、対中政策でも交渉カードの1つになるかもしれない』、「中国がオーストラリアからの輸入を減らす方向だが、代わりに日本がオーストラリアからの天然ガスないし水素・アンモニアの輸入を増やすことはFOIPにとってもプラスという考え方だ」、「日本」、「オーストラリア」両国にとってWinWinのいいアイデアだ。さらに「対中政策でも交渉カードの1つになるかもしれない」、とのおまけまでついてくるとは、対中政策でも交渉カードの1つになるかもしれない申し分なさそうだ。
タグ:環境問題 東洋経済オンライン 橘川武郎 (その8)(政府が「2030年ガソリン車禁止」を打ち出した訳 方針急転換でメーカーの戦略修正は必須に、「2030年ガソリン車禁止」政府が探る落とし所 政府基本案のたたき台から読めた日本の方針、「水素」「EV」で急速に国策が動き出したワケ 橘川教授が語る「日本版脱炭素化の見取り図」) 桃田 健史 「政府が「2030年ガソリン車禁止」を打ち出した訳 方針急転換でメーカーの戦略修正は必須に」 「2030年前半、ガソリン車販売禁止」のニュース 「達成目標」から「義務」へ 世界的なESG 投資の急激な拡大」は事実としても、いきなり「義務化」とは何か理由があったのだろう 日本政府が電動化対応をしてこなかった訳 HVの普及比率は、2017年時点で日本が31.6%と、アメリカの4.0%、ドイツの3.0%、フランスの4.8%、タイの2.7%、インドの0.03%と比べて圧倒的に高かった」、これにあぐらをかいていた トヨタの舵取りはいかに? 「「2030年ガソリン車禁止」政府が探る落とし所 政府基本案のたたき台から読めた日本の方針」 「2050年に目指すべき姿」を議論 アメリカ大統領がバイデンに代わることで、アメリカの規制も強化される方向だ 各国政策を踏まえての“落としどころ 変わるべきはクルマだけではない 「国民ひとりひとりが他人事ではなく、“わたくし事”として捉えることが大切だ」、理念的にはその通りだが、判断材料となるデータも示さずに、要求するのは筋違いだ 「「水素」「EV」で急速に国策が動き出したワケ 橘川教授が語る「日本版脱炭素化の見取り図」」 「日本がカーボンニュートラル宣言を出したのはギリギリのタイミングだった」、なるほど納得できた 急に動き出した最大の要因は「アンモニア火力発電」 10月13日に火力発電最大手のJERA(東京電力と中部電力の火力発電事業統合会社)がアンモニアを活用して火力発電でも二酸化炭素(CO2)を実質排出させないロードマップを打ち出している。この動きこそが、菅首相のカーボンニュートラル宣言に現実味を持たせ、状況を察知した産業界の多くがどっと動き出す要因になった アンモニアの活用により、火力発電はCO2フリーの調整用電源としての裏付けができた CO2の回収・貯留が最大の課題 水素火力発電のタービンは三菱パワー製だ しかし全体としてのシステム構築は遅れている 水素社会は水素とアンモニアのすみ分けに 自家用車はEV、大型など商用車はFCV 「中国がオーストラリアからの輸入を減らす方向だが、代わりに日本がオーストラリアからの天然ガスないし水素・アンモニアの輸入を増やすことはFOIPにとってもプラスという考え方だ」、「日本」、「オーストラリア」両国にとってWinWinのいいアイデアだ さらに「対中政策でも交渉カードの1つになるかもしれない」、とのおまけまでついてくるとは、対中政策でも交渉カードの1つになるかもしれない申し分なさそうだ
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米中経済戦争(その14)(バイデン政権で極めて微妙な新米中関係 中国メディア「3つの予測」、米国が「敵」認定で中国SMICに全工場停止の危機 米国防総省 SMICを人民解放軍支援企業としてブラックリストに、米国で投資家を騙しまくった中国企業「排除法」可決 従わなければ中国企業の大半が米国で「上場廃止」に) [世界情勢]

米中経済戦争については、8月24日に取上げた。今日は、(その14)(バイデン政権で極めて微妙な新米中関係 中国メディア「3つの予測」、米国が「敵」認定で中国SMICに全工場停止の危機 米国防総省 SMICを人民解放軍支援企業としてブラックリストに、米国で投資家を騙しまくった中国企業「排除法」可決 従わなければ中国企業の大半が米国で「上場廃止」に)である。

先ずは、11月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「バイデン政権で極めて微妙な新米中関係、中国メディア「3つの予測」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/254089
・『米国の大統領選挙で共和党から民主党への政権交代がほぼ確実となった。すでに中国では、バイデン政権下の米中関係をめぐるさまざまな臆測が飛び交っている。中国メディアの報道を取りまとめると、「好転はするが対中政策の基本路線は変わらない」という、極めて微妙な米中関係が見えてくる』、興味深そうだ。
・『バイデン政権で米中関係はどうなる?  共和党によるトランプ政権の4年間は、全米が反中スローガンに沸いた。2017年にトランプ氏が大統領に就任すると、タカ派の政治戦略家たちがブレーンに起用され、中国は同政権にとっての最大の敵となった。さらに、大統領選を控えた今年は、新型コロナウイルスを「チャイナウイルスだ」と連呼し、「世界は2つに割れるのか」といわれるほど対立がエスカレートした。 2020年11月9日、中国外交部の定例記者会でスポークスマンの汪文斌氏は「対話を強化し、相互に尊重し、協力を拡大し、健全で安定した発展を促進することは常に中国が主張してきたことであり、米国の新政府には同じ目標に向かって歩み寄ることを希望する」と述べ、すべては米国次第だというニュアンスをにじませた。 米中関係が歴史的な冷え込みをたどる中で、中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」も淡々と選挙過程を伝えるにとどまったが、電子メディアを中心に、中国ではバイデン政権下の米中関係についてさまざまな予想が報じられている。  中国の経済紙「21世紀経済報道」は8日、「米国の対中政策は、強硬路線からだいぶ緩まるのではないか」と報じた。その理由の1つが、「中国チームの顔触れ」だ。トランプ政権の発足時、首席戦略官にはスティーブン・バノン氏が、政策アドバイザーにはピーター・ナヴァロ氏が就任し、主要なポストはタカ派で固められた。それに対して、バイデン氏の対中チームはアントニー・ブリンケン氏、カート・キャンベル氏、ジェイク・サリバン氏など「比較的理性的な顔触れになる」と伝えている。 バイデン氏のシニア外交顧問であり、また大統領選挙キャンペーンの外交政策顧問であるアントニー・ブリンケン氏は、9月22日に開催された米国商工会議所のイベントで「中国との完全なデカップリング(切り離し)は非現実的で、結果的には逆効果だ」と述べ、バイデン氏の施策については「不公正な慣行を取り締まり、米国の貿易法を執行しながら、中国との経済的関係と技術的関係をリセットするだろう」と語った。 また、東アジア・太平洋担当国務次官補を経験した外交官のカート・キャンベル氏も「冷戦思想は米国の長期的競争力を失わせ、中国の封じ込めには効果がない」と指摘した』、「アントニー・ブリンケン氏
」は国務長官の候補といわれている。
・『中国台頭の抑え込みは変わらない  中国は封じ込めるべき最大の競争相手だとみなす一方で、ロシアとの関係緩和を目指すトランプ氏とは対照的に、バイデン氏はロシアこそが米国第一の脅威だと強調している。バイデン政権下では、「米中の直接的な対立は緩和され、これまで取られた強硬政策もソフトなものになるだろう」というのが、中国のメディアに共通する現時点の見解だ。  「だからといって油断はできない」という論調も、中国の各メディアに共通している。「民主党、共和党ともに米国の対中政策の基本は共通しており、これまでトランプ氏が行ってきた対中政策が否定されることは現実的ではない」とシビアに受け止めているのだ。中国のメディア報道をまとめると、バイデン政権下で予測される米中関係は、およそ以下の3点に集約される。 (1)米国は西側先進諸国と連携を強化し、透明性の高い、ルールある市場を形成しようという動きをより強める (2)貿易面では緩和が期待できるが、中国の技術面、産業面での台頭を抑え込むという方向性は変わらず、依然として対中強硬策を取る (3)気候変動、核不拡散、反テロ活動、ウイルス対策などの国際的な共通課題については、中国と協調して動く  中国の地方紙「新京報」は11月8日、「中米関係はトランプ政権時代より緩和されるかもしれないが、多国間の枠組みにおいては、貿易ルールをめぐり西側諸国が連携を強める」と報じた。 バイデン氏は9月の米国商工会議所のイベントで「同盟国との関係再構築やテクノロジーに関する国際標準の設定などを通じ、米国の戦略的影響の拡大に注力していく」と述べているが、ここから読み取れるのは、オバマ政権時代のアジアのリバランス戦略(注)やインド太平洋戦略という2つの主要な戦略を統合して、日本、オーストラリア、インドその他の同盟国の役割を強調し、携帯電話の国際規格も中国には譲らないという可能性だ。 中国の民間シンクタンクのアナリストは、「軍事、地政学、外交、イデオロギーなどの分野において、米国と摩擦が起こる可能性があり、米国は東アジア地域での軍事力配備を強化し、中国と周辺国との関係を激化させる可能性がある」としている。 ちなみに、民主党の外交政策は「民主主義や人権の尊重などを価値として共有する国家と関係強化をしよう」という価値観外交を継承している』、「中国台頭の抑え込みは変わらない」、一安心だ。
(注)アジアのリバランス戦略:アジア重視の戦略(産経新聞2006年1月30日)
・『製造業の米国内回帰も進める  2点目の、中国の技術面、産業面での台頭を抑え込む動きは、中国が最も注目するところだが、これについてはどのような観測があるのだろうか。 自由貿易の思想を持つ民主党の方針のもと、バイデン氏は「政権発足後に対中関税を撤廃させる」と主張している。一方で、バイデン氏は7月に「米国人を雇い、米国の商品を買う」という経済政策スピーチを行っている。 復旦大学米国研究センターの研究者は「トランプ政権が関税で中国経済に圧力をかけたのとは異なり、バイデン政権では多種多様な手段で米中関係を調整するだろう。サプライチェーンのセキュリティを重視するバイデン氏は、中国への依存を減らすための新たな対策を講じるはずだ」としている。 主要国間の先端技術産業の競争激化に伴い、トランプ政権は国家安全保障の名の下に「サプライチェーンのセキュリティ」という名目で、ファーウェイに圧力を加えるなど戦略的管理を強化したが、バイデン政権もやり方は異なれど、そこへの対策は取り続けるという見方だ。 また、前出のアナリストは「バイデン政権発足後、中米関係は転換を迎えるだろうが、バイデン氏にとっても製造業の労働者がその票田であるため、製造業を国内回帰させることを積極的に主張している」という。 その一方で、政策によるサプライチェーンの分断は現実的ではないことが見えてきた。米中は2018~19年にかけて激しい貿易戦争を繰り広げたが、米コンサルティングファームのATカーニーは、「結果として2019年は中国を含むアジア14カ国の低コスト生産国からの対米輸入額は7570億ドル(約80.6兆円)となり、前年の8160億ドル(約86.9兆円)から7.2%、金額にして590億ドル(約6.4兆円)が減少し、中国からの総輸入額は900億ドル(約9.7兆円)が減少した」としている。 しかし、ATカーニーが「米中貿易戦争で、米国企業はアジアやメキシコからの輸入を増やして中国からの輸入を急激に減らしたが、貿易戦争が終われば元に戻るともささやかれていた」とレポートしているように、そこにはかなりの無理があったことがうかがえる。コロナ禍での米中貿易でも、脱中国を激しく主張するトランプ政権の意に反し、医療用品を中心に中国からの輸入を急伸させた。 中国の政治学者である鄭永年氏は、米大統領選が中国に与える危機として、中国メディアのインタビューに以下のように回答している。 「バイデン氏が最終的に米大統領に就任しても、米国の対中強硬の大きな傾向は変化しない。対中関係において、トランプ氏は非合理的な強硬を示し、バイデン氏は理性的な強硬を示すだろう」 米中関係には南シナ海への海洋進出問題や台湾問題のほか、香港問題や中印国境問題など、いくつもの火種が存在する。現時点ではっきり言えるのは、「4年前のトランプ政権以前の米中関係に戻ることは難しい」ということだ』、「トランプ政権が関税で中国経済に圧力をかけたのとは異なり、バイデン政権では多種多様な手段で米中関係を調整するだろう」、「対中関係において、トランプ氏は非合理的な強硬を示し、バイデン氏は理性的な強硬を示すだろう」、さて、「バイデン政権」が現実にどう出てくるのか、要注目だ。

次に、12月8日付けJBPressが掲載した技術経営コンサルタントの湯之上 隆氏による「米国が「敵」認定で中国SMICに全工場停止の危機 米国防総省、SMICを人民解放軍支援企業としてブラックリストに」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63137
・『とうとう軍事企業に指定されたSMIC  米国防総省は2020年12月3日、中国人民解放軍と関係が深い中国企業として、半導体製造専門のファンドリー(受託生産)である中国SMICを指定すると発表した(ロイター、12月4日)。米投資家の株式購入の禁止対象となるほか、同社と米企業の取引も禁止されることになる。 SMICについては、米商務省がすでに9月25日付の書簡で、同社にApplied Materials(AMAT)、Lam Research(以下、Lam)、KLAなど米国製の製造装置を輸出する場合は、同省に申請することを義務化していた(ブルームバーグ、9月27日)。 そのSMICが、とうとう中国人民解放軍の軍事企業に指定された。SMICは、中国が半導体の自給率を向上するための国家政策「中国製造2025」の中核的な半導体メーカーである。そのSMICが軍事企業に指定されたため、半導体の自給率を2020年に40%(推定20%弱で未達)、2025年に70%に向上させるという目標は、ほぼ不可能になった。 これに対してSMICは、ブラックリスト入りを見越して、米製の製造装置を使わずに、2020年中に40nm、2023年までに28nmの量産を計画していた。これらについては、日本と欧州が協力すれば実現できるかもしれないということを本コラムで解説した(「中国製造業を根底から壊す米国のファーウェイ攻撃」、2020年10月3日)。 しかし、SMICが軍事企業に指定されたため、事態はもっと深刻になる。まず、SMICは半導体工場を拡張したり新設する場合、米製の製造装置を入手できない。それだけでなく、現在稼働している工場においても、既存装置のメンテナンスが受けられなくなる。 本稿では、まず、軍事企業に指定されたSMICが、(前掲拙著記事の復習になるが)半導体工場を拡張したり新設することが不可能になることを説明する。その上で、SMICが、現在稼働中の全ての半導体工場が停止する危機に直面していることを論じる』、「SMIC」が「とうとう軍事企業に指定された」、とは大変なことのようだ。
・『SMICの半導体工場の月産キャパシティ  図1に、SMICの半導体工場の月産キャパシティを示す。2015年5月に国家政策「中国製造2025」が制定された後に、8インチも12インチも、その月産キャパシティが急拡大していることが分かる。恐らく、中国政府からの助成金を得て、工場を拡張したのだろう。そして、2020年第2四半期時点で、8インチが月産23.4枚、12インチが月産24.6枚のキャパシティを持つに至っている。 (図1 SMICの8インチと12インチの月産キャパシティ(~2020年Q2)リンク先参照) 8インチについては、図2に示す通り、主力が上海(Shanghai)メガファブで月産約11.5万枚、加えて、天津(Tianjin)ファブが約7.3万枚、深圳(Shenzhen)ファブが4.6万枚となっている(月産キャパシティは2020年第2四半期時点)。一方、約4万枚のキャパシティがあったイタリアのAvezzanoファブは、2019年第3四半期以降、決算報告書から姿を消している。 (図2 SMICの8インチ工場の月産キャパシティ(~2020年Q2)リンク先参照)) この結果、8インチは、上海、天津、深圳の3つの工場合計で23.4万枚の月産キャパシティがあり、これらのファブで、0.35~0.11μmの半導体を製造している(図3)。 (図3 SMICの微細化別の出荷額の割合(~2020年Q1) リンク先参照)) 一方、12インチでは図4に示す通り、2020年第2四半期時点で、北京(Beijing)メガファブが11.7万枚、北京の子会社(Beijing Majority-Owned)のファブが11.3万枚の2拠点が主力である。他には、上海工場が最盛期に4.5万枚あったが、2020年第2四半期に3000枚まで月産キャパシティが低下している。また、2017年第4四半期以降、7000枚の月産キャパシティがあった深圳ファブは、2019年第4四半期以降、姿を消した。 (図4 SMICの12インチ工場の月産キャパシテイ(~2020年Q2)リンク先参照)) これに対して、上海の子会社の工場が2019年第4四半期以降、立ち上がってきており、2020年第2四半期には1.4万枚の月産キャパシティとなっている。この上海の子会社を除けば、12インチの主要な拠点は、北京に集中している。そして12インチの合計キャパシティは24.6万枚であり、これらの工場で90~14nmの半導体を量産していると考えられる』、なるほど。
・『SMICが半導体工場を拡張・新設する場合の障害  SMICが8インチ工場を拡張したり新設する場合は、もしかしたら、中国製の製造装置だけで何とかなるかもしれない。というのは、露光装置では、中国のSMEE(Shanghai Micro Electronics Equipment Co. Ltd.)が、既にi線、KrF、ArFドライの露光装置を販売している。また、NAURAが、ドライエッチング装置、成膜のCVD装置やスパッタ装置、熱処理装置、洗浄装置を販売している。加えて、AMATに在籍していた中国人が創業したAMECが、ドライエッチング装置とCVD装置をリリースしている。 SMEEは、恐らくASMLの露光装置をデッドコピーしており、NAURAやAMECは、AMAT、Lam、東京エレクトロン(TEL)などの装置をデッドコピーしていると考えられる。半導体プロセスは、ハードウエアをコピーしただけでは実現できないが、100nmレベルまでの半導体ならば、なんとか製造が可能かもしれない。 しかし、12インチ用の装置で90nm以降の微細性の半導体を製造するのは、ハードウエアをデッドコピーしただけの中国製の装置では困難だと思われる。したがって、12インチ工場を拡張したり新設する場合は、日米欧の装置の導入がどうしても必要である(図5)。 (図5 半導体製造装置の企業別シェア(2019年)/黄色:欧州、緑:米国、青:日本 (図はリンク先参照)) ここで、軍事企業に指定されたSMICに対しては、米製の装置の導入が禁止されるが、日本と欧州が協力すれば、40nmの半導体の製造も、相当苦しい分野はあるが不可能ではない。したがって、SMICが米製の装置を使わずに2023年までに28nmを量産すると計画したのは良い読みと言える。 ところが、米商務省がSMICに対する米製の装置の輸出申請を義務づけた9月末以降、TEL、SCREEN、Nikonなど日本の装置メーカーがSMICへの装置輸出にブレーキをかけ始めた気配がある。これは、米政府が日本政府に対して何らかの圧力をかけたのかもしれないし、または、日本の装置メーカーが米政府に睨まれたくないために忖度しているのかもしれない。 いずれにせよ、軍事企業に指定されたSMICは、米製の装置の輸出が禁止される上に、日本や欧州の装置も出荷停止になる可能性がある。したがって、SMICは、12インチの工場を拡張したり新設することが極めて困難になる』、「軍事企業に指定されたSMICは、米製の装置の輸出が禁止される上に、日本や欧州の装置も出荷停止になる可能性がある。したがって、SMICは、12インチの工場を拡張したり新設することが極めて困難になる」、日欧も「出荷停止になる可能性がある」、とすれば影響は深刻だ。
・『現在稼働中のSMICの半導体工場はどうなる?  ここまで述べたように、SMICは、12インチ工場を拡張したり新設することが難しくなった。しかし、SMICが直面している事態はもっと深刻である。というのは、SMICは、8インチも12インチも、全ての工場が停止する危機に直面することになってしまったからだ。その理由を以下で説明する。 各種の半導体製造装置は、工場に導入した後、定期的にメンテナンスを行う必要がある上、消耗部品を交換しなくてはならない。しかし、軍事企業に指定されたSMICは、米製の装置の消耗部品を交換できなくなる。 まず、ASMLがトップシェアの露光装置では、KrFやArFのエキシマレーザー光源を定期的にメンテナンスしなくてはならない。その光源メーカーには、米サイマーと日本のギガフォトンの2社がある。もし、米サイマー製の光源の場合は、SMICからサイマーに光源を搬送し、そこで必要なメンテナンスを受けることになる。場合によっては、光源をそっくり取り換えることもある。しかし、SMICが軍事企業に指定されたため、このようなメンテナンスや交換ができなくなる可能性が高い。そこで、サイマー製の光源をギガフォトンに交換する手段が考えられる。これは、不可能ではないが、相当の手間とコストがかかる。その上、米政府が同盟国の日本政府に圧力をかけ、このような代替案を禁止させる可能性が高い。 次に、LamやAMATのドライエッチング装置およびCVD装置については、それぞれ、ウエハが載るステージとして、静電チャックおよびセラミックヒーターが搭載されており、定期的にメンテナンスしたり、交換が必要な重要部品となっている。これらの部品は日本製が多いが、メンテナンスや交換はLamやAMATの技術者が行う。たとえSMICの技術者が行うとしても、その部品はLamおよびAMATがSMICに販売する。ところが、軍事企業に指定されたSMICに対しては、この部品の販売が禁止されることになる』、「SMICが軍事企業に指定されたため、このようなメンテナンスや交換ができなくなる可能性が高い」、深刻だ。
・『SMICの全ての半導体工場が停止する  露光装置、ドライエッチング装置、CVD装置の保守メンテナンスや部品の交換が不可能になることを説明したが、この事情は、AMATのスパッタ装置やCMP装置、KLAの各種検査装置など、他の装置でも同じである。加えて、12インチ用だけでなく、8インチ用の装置でも、事情は変わらない。 つまり、軍事企業に指定されたSMICは、工場の拡張・新設が困難になるだけでなく、現在稼働している月産23.4万枚の8インチ工場および月産24.6万枚の12インチ工場も、全て停止する危機に直面していることになる。。 過去には、2018年10月29日に、中国でDRAMを製造しようとしていたJHICCがELに掲載された。その後、JHICCは6000億円を投じたDRAM工場が2019年3月に停止し、同社は解散(倒産?)した。また、2018年5月16日にELに掲載されたファーウェイが窮地に陥っているのは、ご承知の通りである。 しかし、SMICが軍事企業に指定されたことのインパクトは、JHICCやファーウェイの比ではない。中国のエレクトロニクス産業にとって、そして中国政府にとって、想像を絶する甚大なダメージを与えることになる。 懸念されるのは、中国政府による対抗措置である。したがって、米国がSMICを軍事企業に指定したことは、新たな、そしてより過激化した米中ハイテク戦争の幕開けに他ならない。 (追記) 筆者が以上の原稿を書き終えてから、SMICが米国のブラックリストに掲載された翌日(12月4日)、中国政府系ファンドと共同出資会社を設立し、76億ドル(約7900億円)を投じて、12インチで月産10万枚の半導体工場を北京に建設すると発表した(日経新聞、12月4日)。しかし筆者は、このSMICの新工場は、米製の製造装置を導入することができず、日欧の装置の導入も難しいと思われるため、実質的に製造ラインを構築することができないと考えている』、「軍事企業に指定されたSMICは、工場の拡張・新設が困難になるだけでなく、現在稼働している月産23.4万枚の8インチ工場および月産24.6万枚の12インチ工場も、全て停止する危機に直面している」、影響は致命的だ。アメリカもいいところに目を付けたものだ。

第三に、12月8日付けJBPressが掲載した作家の黒木 亮氏による「米国で投資家を騙しまくった中国企業「排除法」可決 従わなければ中国企業の大半が米国で「上場廃止」に」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63167
・『さる12月2日、米下院で「外国企業説明責任法(The Holding Foreign Companies Accountable Act)」が全会一致で可決された。これは、外国政府によってコントロールされるような額の出資を受けているか、役員に中国共産党のメンバーがいるかなどの情報を企業に求めるほか、米当局による会計監査状況の調査を3年連続で拒否した会社を上場廃止にするものだ。 法案には「外国企業」と名がついているが、実質的には「中国企業」を狙い撃ちにしたもの。法律が施行されれば、米国で上場している217社のうち少なくない数の中国企業が上場廃止となり、米国市場から追い出されるとも言われている。 すでに上院は5月に全会一致で可決しており、近々、トランプ大統領がサインして法律となる見通しである。 法案は一見すると、トランプ政権の対中強硬策の一環に思える。しかし、それだけではない根深い長年の問題がある。それゆえ、民主党が過半数を占める下院でも全会一致で可決されたのだ。問題を一言でいうと、中国企業が10年以上にわたって、米国の証券市場で滅茶苦茶をやってきたことである』、「中国企業が10年以上にわたって、米国の証券市場で滅茶苦茶をやってきた」、とはどういうことだろう。
・『リバース・テークオーバーと裏口上場  話は2005年前後にさかのぼる。この頃から中国企業は、体力の弱った米国の上場企業をリバース・テークオーバー(逆買収)して、米国での上場ステータスを手に入れる「裏口上場(back door listing)」を盛んにやった。中国企業であれば、上海や深圳の証券取引所に上場するのが普通だが、中国の上場審査が厳しく、かつ手続きも遅く、最長で2年半を要していた。これに対し、裏口上場なら手続きは半年程度で済み、米国での上場審査もバイパスできる。こうして2012年頃までに300を超える中国企業が米国の上場企業になった。 米国のほうでも中国企業を歓迎した。買収を仲介する投資銀行には巨額のアドバイザー手数料が入るし、米国市場で株式を発行した際には引受手数料も入る。やればやるほど儲かるので、資金調達をしたい中国企業や金持ちになりたい中国企業の経営者にアプローチし、「裏口上場という手があるよ」と囁いた。案件に関わる法律事務所や会計事務所も儲かった。米国の投資家も、急成長する中国の企業に投資したい一心で、こぞって株を買った。 米国の証券取引所も中国企業の上場に積極的に手を貸した。米国では、上場企業数が1996年のピーク時の8090社から半分程度に減ったので、取引所は手数料収入の減少に頭を悩ませていた。上場企業減少の原因は、上場しなくてもベンチャーキャピタルから容易に資金を調達できるようになったことや、エンロン事件を契機に制定されたサーベンス・オクスリー法が上場企業に厳格な財務内容の開示や内部統制を求めたため、企業が嫌がったことが挙げられる』、「裏口上場」は、当該の「中国企業」、「米国」の「投資銀行」などの関係者や「証券取引所」にはメリットがあったが、投資家はババを掴まされたことになる。規制は遅きに失したきらいがある。
・『米国市場で不正のオンパレード  こうして米国の上場企業となった中国企業は何をしたか? 売り上げや利益を水増しし、米国の投資家を騙して資金調達をした。そうやって私腹を肥やした経営者は、事件が発覚すると中国で雲隠れした。 たとえば、大連市に本社を置く、廃水・排煙処理設備の製造・サービス提供会社である「リノ・インターナショナル」(ナスダック上場)は、米国のカラ売り専業ファンド「マディ・ウォーターズ」から、架空の取引先を捏造して売り上げを膨らませていることや、中国当局に対して売り上げは1100万ドルと報告する一方、米国の有価証券報告書では約18倍の1億9260万ドルと報告していること、会社が1億ドルの資金調達をした日に、会社幹部がその金で350万ドル(約3億6000万円)の家を購入したことなど、様々な不正を指摘された。同社は2010年12月に上場廃止となった。 北京に本社を置く、水や廃水処理装置メーカー「デュオヤン・グローバル・ウォーター」(多元環球水務、ニューヨーク証券取引所上場)は、同じくマディ・ウォーターズから、売り上げは1億5400万ドルではなく約200分の1の80万ドルで、2009年の監査報告書は偽造されたものであると指摘された。また同ファンドは5回にわたって工場を観察し、製品の搬出も材料の搬入もまったくないことや、デュオヤン社が同社の会長が所有している北京の印刷会社に不正な支払いを行っていることなども指摘した。同社の株式は2011年10月に上場廃止になった。 その他、売り上げや現預金の額を水増ししていた、ソフトウェア開発会社「ロングトップ・フィナンシャル・テクノロジーズ」(2011年、上場廃止)、売り上げを水増ししていた肥料製造会社「チャイナ・グリーン・アグリカルチャー」(株価が200ドル台から2ドル台まで下落)、売り上げや現預金の額を水増しし、会計士に賄賂を渡してそれを隠ぺいしようとした広告会社「チャイナ・メディア・エクスプレス」(2011年、上場廃止)、売り上げを水増しした目論見書で資金調達をしていた旅行会社「ユニバーサル・トラベル・グループ」(2012年、廃業)、二重帳簿を作成し、豚の販売頭数や売り上げを膨らませていた家畜用飼料と豚の生産会社「アグフィード・インダストリーズ」(2012年、上場廃止)など、不正は枚挙にいとまがない。 かくして、2012年までに実に52の中国企業がカラ売り専業ファンドから不正を指摘され、そのうち32社が上場廃止になり、6社がSEC(米証券取引委員会)の登録抹消(株主数や取引量が極端に少なくなった時の扱いで、上場廃止に近い)となった。 その後も毎年のように複数の中国企業が不正会計で上場廃止となっており、累計すると100社を超えるまでになっている。今年に入ってからも、スターバックスの向こうを張って急成長し、中国全土に6912の店舗網を張り巡らし、一時は127億ドル(約1兆3208億円)の時価総額を誇った「ラッキン・コーヒー」(瑞幸珈琲)が、売り上げ水増しの発覚で、ナスダックに上場してから1年1カ月で上場廃止となっている。 当然のことながら、これらの会社や経営者は、検察、SEC、投資家などから刑事、民事で訴えられた。しかし、上場廃止になるような会社には資産らしい資産は残っていないので、民事ではほとんど何も取れないし、そもそも会社が中国にあるので、強制執行も容易ではない。経営者のほうも最初から中国にいる中国人で、米中間には犯罪人引渡条約がないので、米国に引き渡されることはない。レバノンに逃亡したカルロス・ゴーンのようなものだ』、確かに信じられないような「米国市場で不正のオンパレード」だ。
・『誰も監督しない“無法地帯”  株が上場廃止になって無価値になり、多大な損害をこうむった米国の投資家からは、「SECは何をやっているんだ」という怒りの声が上がった。 しかし、それら中国企業は、米国に上場してはいるが、会社も経営者も最初から最後まで中国にいるし、米国のSECが中国に乗り込んで行って監督するなどということは不可能である。また中国は企業の経営や財務に関する情報を国家機密に近いものとみなし、関係書類を国外に持ち出すことを禁じているので、中国企業は、中国の法律を盾にして書類の提出を拒否する。 一方で、中国当局はといえば、中国企業から税金くらいは徴収するが、上場は米国なので、米国の投資家保護など知ったことではなく、中国の上場企業に対して行うような監督をするつもりはさらさらない。 かくしてこれら中国企業は、米国のSECからも中国当局からも監督されない“無法地帯”にいるのをよいことに、やりたい放題をやったのである』、「これら中国企業は、米国のSECからも中国当局からも監督されない“無法地帯”にいるのをよいことに、やりたい放題をやったのである」、外国企業の「証券取引所」「上場」には投資家にとって想像以上のリスクがあるようだ。
・『板挟みになる監査法人  先に述べたロングトップ・フィナンシャル・テクノロジーズのケースでは、SECは同社の監査を行ったデロイト・トウシュ・トーマツの上海法人「デロイト・トウシュ・トーマツCPA Ltd.」(略称・D&T上海)に、「監査関係の書類を提出しないのは、サーベンス・オクスリー法と証券取引法違反である」として、米連邦裁判所に訴えた。 しかし、D&T上海は、「文書を提出すると中国の国家機密法違反になるので、両国政府で話し合ってほしい」と裁判で主張。裁判は2年近く続き、最終的にSECは、D&T上海から満足のいく書類が提出されたとして、2014年に訴えを取り下げた。 またSECは、別の複数の中国企業のケースに関し、D&T上海を含む世界4大会計事務所の各中国法人を連邦裁判所で訴え、2015年に裁判所の支持を得て、それぞれに50万ドルの罰金を科し、監査関係書類を提出させた。 このように連邦裁判所に訴えれば、監査書類は何とか出てくることは出てくるが、毎回監査法人に中国の法律を盾に抵抗され、しかも2年くらいの時間がかかって手遅れになることもある。こんな状態ではかなわんということで、今般の法案提出がなされたわけだ』、「D&T上海は、「文書を提出すると中国の国家機密法違反になるので、両国政府で話し合ってほしい」と裁判で主張」、「中国企業」にとっては、「中国の国家機密法」がガードしてくれていることになるようだ。
・『法案は中国を利するだけ?  今回の法案によって、米国での上場を取りやめる中国企業が少なからず出てくる可能性がある。特に、国有企業で株式の一部を米国に上場している、チャイナ・モバイル(中国移動通信)、ペトロチャイナ(中国石油天然気)、シノペック(中国石油化工)など、国家の中枢に関与している企業は、財務の詳細や政府との関係の実態を知られるのを嫌うはずだ。 すでに米中対立や今回の法案の影響を見越し、アリババ集団、ネットイース(網易)、JD.com(京東商城)などの大手企業が、香港市場に重複上場を済ませている。昨年11月以来、米国に上場している中国企業で新たに香港に重複上場した会社は10社に上る。 今後、上海、深圳を含め、中国市場に重複上場ないしは、米国を撤退して中国市場だけに上場する中国企業が増えることも予想される。 これまで中国企業に騙されてきた米国の投資家にとって朗報かもしれないが、米国の株式市場からみれば、巨額の時価総額が消失する可能性も意味する。 それとは逆に、自国の証券市場を強化していきたい中国政府はそうした動きを歓迎している。今般の法案で、米国の投資家保護が高まるのは間違いないが、皮肉なことに、中国を利することになるのかもしれない』、しかし、「中国企業」にとっては、資金調達の場が狭まるといったデメリットもありそうだ。
タグ:ダイヤモンド・オンライン JBPRESS 黒木 亮 湯之上 隆 姫田小夏 米中経済戦争 (その14)(バイデン政権で極めて微妙な新米中関係 中国メディア「3つの予測」、米国が「敵」認定で中国SMICに全工場停止の危機 米国防総省 SMICを人民解放軍支援企業としてブラックリストに、米国で投資家を騙しまくった中国企業「排除法」可決 従わなければ中国企業の大半が米国で「上場廃止」に) 「バイデン政権で極めて微妙な新米中関係、中国メディア「3つの予測」」 「好転はするが対中政策の基本路線は変わらない」 バイデン政権で米中関係はどうなる? アントニー・ブリンケン氏 」は国務長官の候補といわれている 中国台頭の抑え込みは変わらない 製造業の米国内回帰も進める トランプ政権が関税で中国経済に圧力をかけたのとは異なり、バイデン政権では多種多様な手段で米中関係を調整するだろう 対中関係において、トランプ氏は非合理的な強硬を示し、バイデン氏は理性的な強硬を示すだろう 「バイデン政権」が現実にどう出てくるのか、要注目だ 「米国が「敵」認定で中国SMICに全工場停止の危機 米国防総省、SMICを人民解放軍支援企業としてブラックリストに」 とうとう軍事企業に指定されたSMIC SMICの半導体工場の月産キャパシティ 「中国製造2025」 SMICが半導体工場を拡張・新設する場合の障害 軍事企業に指定されたSMICは、米製の装置の輸出が禁止される上に、日本や欧州の装置も出荷停止になる可能性がある。したがって、SMICは、12インチの工場を拡張したり新設することが極めて困難になる 日欧も「出荷停止になる可能性がある 現在稼働中のSMICの半導体工場はどうなる? SMICが軍事企業に指定されたため、このようなメンテナンスや交換ができなくなる可能性が高い」、深刻だ SMICの全ての半導体工場が停止する 軍事企業に指定されたSMICは、工場の拡張・新設が困難になるだけでなく、現在稼働している月産23.4万枚の8インチ工場および月産24.6万枚の12インチ工場も、全て停止する危機に直面している」、影響は致命的だ 「米国で投資家を騙しまくった中国企業「排除法」可決 従わなければ中国企業の大半が米国で「上場廃止」に」 外国企業説明責任法 外国政府によってコントロールされるような額の出資を受けているか、役員に中国共産党のメンバーがいるかなどの情報を企業に求めるほか、米当局による会計監査状況の調査を3年連続で拒否した会社を上場廃止にするもの 中国企業が10年以上にわたって、米国の証券市場で滅茶苦茶をやってきた リバース・テークオーバーと裏口上場 中国企業は、体力の弱った米国の上場企業をリバース・テークオーバー(逆買収)して、米国での上場ステータスを手に入れる「裏口上場(back door listing)」を盛んにやった 買収を仲介する投資銀行には巨額のアドバイザー手数料が入る 引受手数料も入る。やればやるほど儲かる 米国の証券取引所も中国企業の上場に積極的に手を貸した 裏口上場」は、当該の「中国企業」、「米国」の「投資銀行」などの関係者や「証券取引所」にはメリットがあったが、投資家はババを掴まされたことになる。規制は遅きに失したきらいがある 米国市場で不正のオンパレード 誰も監督しない“無法地帯” これら中国企業は、米国のSECからも中国当局からも監督されない“無法地帯”にいるのをよいことに、やりたい放題をやったのである 外国企業の「証券取引所」「上場」には投資家にとって想像以上のリスクがあるようだ 板挟みになる監査法人 D&T上海は、「文書を提出すると中国の国家機密法違反になるので、両国政府で話し合ってほしい」と裁判で主張 「中国企業」にとっては、「中国の国家機密法」がガードしてくれていることに 法案は中国を利するだけ? 「中国企業」にとっては、資金調達の場が狭まるといったデメリットもありそうだ
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中国国内政治(その10)(ウイグル チベット モンゴルで中国政府がしつこく宗教を弾圧するワケ 政策と法律に見る当局の「深い恐れ」、駐日中国大使館も警鐘 地下活動を続ける「邪教」法輪功とは?) [世界情勢]

中国国内政治については、10月5日に取上げた。今日は、(その10)(ウイグル チベット モンゴルで中国政府がしつこく宗教を弾圧するワケ 政策と法律に見る当局の「深い恐れ」、駐日中国大使館も警鐘 地下活動を続ける「邪教」法輪功とは?)である。

先ずは、10月21日付けPRESIDENT Onlineが掲載した著作家の宇山 卓栄氏による「ウイグル、チベット、モンゴルで中国政府がしつこく宗教を弾圧するワケ 政策と法律に見る当局の「深い恐れ」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/39632
・『広大な領土に多数の少数民族を抱える中国は、一方で各民族独自の文化や宗教を弾圧している。著述家の宇山卓栄氏は、「宗教は古今東西、対外工作と支配のツールとして利用されてきた。中国共産党は、国外の敵対勢力が国内の宗教団体をテコにして、反政府の動きを強めることを恐れている」と指摘する——。 ※本稿は、宇山卓栄『「宗教」で読み解く世界史』(日本実業出版社)の一部を加筆・再編集したものです』、興味深そうだ。
・『「モンゴル語教育制限」はなぜ始まったか  中国政府の宗教や民族の弾圧は、ウイグルやチベットだけではなく、南モンゴルにも及んでいます。中国政府は内モンゴル自治区において、学校での中国語教育を強制し、モンゴル語やモンゴル文化を教えることを制限しています。 モンゴル人は民族のアイデンティティを学ぶこともできません。行政や経済を取り仕切っているのは中国人であるため、中国語ができないと就職もできないようになっています。中国政府は「モンゴル語は先進的な科学技術や中国流の思想道徳を教えるのに不向き」などと理不尽な説明をしています。 今日、モンゴル民族は南北に分断され、北部は「モンゴル国」、南部は中国領の「内モンゴル自治区」と呼ばれます。モンゴル国の人口は約330万人、内モンゴル自治区の人口は約2800万人です。 この「内モンゴル」という言い方は中国に近い側を「内」と呼び、離れた側を「外」と呼ぶ中国本位の呼び方です。従って、モンゴル人たちは「南モンゴル」と呼びます。南モンゴル人はモンゴル人としての独自の言語や宗教文化を持っています。モンゴル人はチベット仏教を信奉しています』、「内モンゴル自治区」は「人口」では「モンゴル国」の8.5倍と圧倒的比重のようだ。「学校での中国語教育を強制し、モンゴル語やモンゴル文化を教えることを制限・・・モンゴル人は民族のアイデンティティを学ぶこともできません」、とは過酷な支配だ。
・『チベット仏教指導者が考案したモンゴル文字  13世紀、チベット仏教の教主パスパはモンゴルのフビライ・ハンの参謀として活躍しました。パスパはモンゴル帝国の国師として迎えられ、チベット語を基に、モンゴルの公用文字パスパ文字をつくったことで知られます。パスパの影響で、モンゴル人のチベット仏教信奉が定着し、それが今日まで続いています』、「モンゴル文字」は「フビライ・ハンの参謀」により作られたとは初めて知った。
・『抗議デモに参加すれば逮捕  中国政府はこうした民族の文化教育を制限して、民族のアイデンティティを喪失させようとしているのです。そもそも、中国は宗教などの文化・文明が異なる他民族の生存圏に対し、何の正当な根拠もなく、不法な統治を続けています。 中国政府の教育強制に反発し、抗議デモを行うモンゴル人は逮捕されています。公安当局は抗議デモに参加した住民の顔写真を張り出し、逮捕に協力をした者には懸賞金を与えると布告しています。 ウイグルでも同じですが、逮捕者は刑務所から出て来られず、思想教育の名の下、強制労働を強いられます。刑務所で死亡し、家族が遺体を持ち帰りたいと懇願しても、当局は引き渡しを拒否します。中国政府は強硬政策で、反対者を一気に炙り出し、一網打尽に彼らを捕らえ、刑務所に送ろうとしています』、「そもそも、中国は宗教などの文化・文明が異なる他民族の生存圏に対し、何の正当な根拠もなく、不法な統治を続けています。 中国政府の教育強制に反発し、抗議デモを行うモンゴル人は逮捕されています」、確かに「中国」のやり方は不当だ。
・『習近平が強調する「中華民族の共同体意識」  中国政府はこのような民族弾圧を、中国が一体化することのできる「正しい道」であると信じており、罪悪感をまるで感じていません。むしろモンゴル人に「科学的な言語」を与えて、文明化を支援しているとさえ考えています。 習近平指導部は9月24日と25日の2日間、「新疆工作座談会」という最高指導部会議を開き、この中で、習主席はイスラム教を信仰するウイグル族について、「中華民族の共同体意識を心に深く植え付けるべきだ」と述べ、思想や宗教の統制を徹底していくことを表明しています。また10月17日に終了した全国人民代表大会(全人代)の常務委員会では、「国旗法」の改正が可決され、少数民族の伝統的な祝日でも、来年1月から中国国旗の掲揚が義務づけられることになりました。 民族の言語や宗教を長期的に封殺し、気が付けば漢民族に完全同化し、皆が民族のアイデンティティを忘れてしまう、こうした目に見えない民族浄化が確実に進んでいます。このままでは、いずれ、ウイグルの問題、モンゴル問題、チベット問題そのものがなくなります。これこそ、中国が狙う「合理的な解決法」です。21世紀の現在において、このような露骨な民族浄化政策が許されるかどうか、国際社会はこの問題に真剣に向き合わなければなりません』、「中国政府は・・・モンゴル人に「科学的な言語」を与えて、文明化を支援しているとさえ考えています」、まるで厚かましい植民地主義者の主張だ。「民族の言語や宗教を長期的に封殺し、気が付けば漢民族に完全同化し、皆が民族のアイデンティティを忘れてしまう、こうした目に見えない民族浄化が確実に進んでいます」、「民族浄化」がこのような形で行われるとは狡猾だ。
・『ウイグル人弾圧に冷淡な中央アジア諸国  新疆ウイグル自治区のウイグル人は本来、民族や宗教、文化の上で、中央アジア諸国の文明圏に属し、中国の一部に組み込まれるべき地域ではありません。「新疆ウイグル自治区」などと呼ぶのではなく、「東トルキスタン」と呼ばれるべきでしょう。 中国の不当な支配をウイグル人は被っていますが、中央アジア諸国は同胞のウイグル人を助けようとしません。中央アジア5カ国のうち、新疆に隣接するのはカザフスタン・キルギス・タジキスタンの3カ国ですが、これらの国は中国から経済支援を受けています。1996年、中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタンの5カ国による上海協力機構(上海ファイブ体制)を結成し、中国からの経済支援と引き換えに、ウイグル人の分離独立運動に介入しないと約束しています。 5カ国の中でも、カザフスタンは最大の人口規模(約3000万人)を擁し、近年、中国と連携を強め、中国マネーが流入し、急激に経済発展しています。中国は現代版シルクロード「一帯一路」の経済圏を強固に結び付けるため、デジタル人民元をグローバル決済の手段として流通させようとしています。 カザフスタンは石油を中国に輸出しています。決済はドルで行われるため、取引はアメリカに筒抜けになっています。デジタル人民元はドル決済を避けることのできる有効なツールであり、カザフスタンはその導入に最も熱心な国です。 こうした「一帯一路」の経済圏の形成に、カザフスタンをはじめ中央アジア諸国は積極協力し、同胞のウイグル人の苦しみを見て見ぬふりをしています。中国はカネの力で、民族の文明を分断しているのです』、「カザフスタンをはじめ中央アジア諸国」が、「一帯一路」に「積極協力し、同胞のウイグル人の苦しみを見て見ぬふりをしています。中国はカネの力で、民族の文明を分断している」、「ウイグル人」がここまで孤立しているのであれば、「中国」のたりたい放題だ。
・『宗教の「中国化」を国家的に推進  改訂版「宗教事務条例」(2017年8月26日公布)には、「憲法、法律、法規と規制を遵守し、社会主義核心価値観を履践し、国家統一、民族団結、宗教の和睦と社会の安定を擁護しなければならない」(第4条)と規定され、宗教が共産主義に適応するよう努めることが義務化されるとともに、国家による宗教管理の法治化が打ち出されています。これがいわゆる「宗教の中国化」と呼ばれるものです。 かつて毛沢東は「マルクス主義の中国化」を唱え、中国の社会実態に適合するようにマルクス主義の原理を修正しました。本来、中国のような農村社会はマルクス主義とは相入れないものであるにも関わらず、無理矢理に適合させようとしたのです。これと同じように、宗教は本質的に共産主義的唯物論の国家体制とは相入れないものですが、強引に適合させて「宗教の中国化」を推進しようとしているのです。これにより、仏教寺院で中国国旗が掲揚されるなど、「愛国宗教団体」なるものが昨今、多く生まれています。 また、この「宗教事務条例」には、「各宗教は独立自主と自弁の原則を堅持し、宗教団体、宗教学校、宗教活動場所と宗教事務は外国勢力の支配を受けない」(第36条)と規定されています。中国共産党が最も恐れているのは、国外の敵対勢力が国内の宗教団体をテコにして、反政府の動きを強めていくことです。宗教団体が工作活動に利用されることを警戒し、監視を強めているのです』、「宗教の中国化」とは巧妙な支配方法だ。
・『ローマ教皇庁も中国当局と「妥協」  2018年、ローマ教皇庁は中国当局が任命した7人の中国国内の司教を正式に承認することで合意しました。かつて、11世紀に、ヨーロッパで聖職叙任権闘争というものがあり、司教などの人事任命権を巡って、教皇と神聖ローマ皇帝が激しく争いました。今日、中国における聖職叙任権は中国当局にあることを、バチカンがあっさりと認めて妥協したのです。 およそ1000万人はいるとされる中国のカトリック信者は事実上、中国当局の監督下に置かれています。因みに中国当局が認めない聖職者を立てるキリスト教会は「宗教への外国勢力の支配」の排除を規定した「宗教事務条例」第36条に基づき、閉鎖させられています』、「ローマ教皇庁も」「1000万人はいるとされる中国のカトリック信者」の存在を前に妥協せざるを得なかったのだろう。
・『宗教は安全保障に直結する政治課題である  宗教は古今東西、公然性を伴った対外工作と支配のツールとして、政治的に利用されてきました。宗教は安全保障問題に直結する政治課題です。中国などは宗教が持つ力をよく認識しているからこそ、上記のような宗教に関する法整備を徹底し、また、宗教的異分子を過酷に弾圧するのです。 たとえば日本には、こうした「宗教への外国勢力の支配」を排除する法規制がありません。そのため、日本と敵対するような国に本拠を置く宗教勢力も日本国内に入り込み、政界などに影響力を行使しています。 私自身の経験でもこんなことがありました。国会議員の選挙の手伝いをしていると、ある集団が現れて、ポスター貼りやビラ配りを協力してくれ、演説会場では椅子並べや荷物運びを手際よくこなします。ずいぶんと選挙に慣れている集団だなと思い、彼らに、あなたたちは何者なのかと問いました。某国に本拠を置く宗教団体でした。国会議員の中には、こうした宗教団体の支援を受けている者が与野党問わず、少なくありません。 日本人の多くが宗教を個人の内心の問題と考える傾向がありますが、世界の歴史の過酷さを振り返ると、そのような性善説的な認識で弱肉強食の国際社会を生き残れるのか、少々心配になります』、「国会議員の中には、こうした宗教団体の支援を受けている者が与野党問わず、少なくありません」、困ったことだ。
・『党の方針に従う宗教団体は優遇  ウイグル人やモンゴル人、そして、チベット人らにとって、宗教こそが自分たちの文明を維持し、中国に抵抗する最後の砦です。これを失えば、中国に服属する以外にありません。 今日の中国政府の宗教政策は従来のようなマルクス主義の無神論に基づき、宗教を弾圧するばかりではなく、積極的に懐柔して利用しようとする「飴と鞭」の巧みさも兼ね備えています。共産党の方針に従わない宗教やその団体への弾圧を強める一方、方針に従う宗教団体を国家公認に指定し、法人格を付与して補助金などで支援優遇しています』、「宗教を弾圧するばかりではなく、積極的に懐柔して利用しようとする「飴と鞭」の巧みさも兼ね備えています」、これでは欧米がせいぜい注文を付ける以外に手はなさそうだ。

次に、11月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した筑前サンミゲル氏による「駐日中国大使館も警鐘、地下活動を続ける「邪教」法輪功とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/254116
・『法輪功は中国の「オウム真理教」? 中華人民共和国駐日本国大使館が説明  「『法輪功』とは、いったい何か。一口で言えば、中国の『オウム真理教』です」と、1ページを割いて説明するのは「中華人民共和国駐日本国大使館」の公式サイト だ。その文末には、「法に基づいてカルト教団である『法輪功』を取り締まり、厳しく打撃を与えることは、国民の生活と生命安全を守り、正常な社会秩序を維持するためなのです」と結ぶ。 著者は、香港で盛んに行われていた法輪功弾圧への抗議活動を見て、「香港へ来たな」と実感していた。この10年を振り返っても香港の街中で広東語がメインだったのが、いわゆる北京語(中国の共通語)が通じる場所が年々増えていたり、本土から訪れている中国人を頻繁に目にするようになり、中国化が着実に進んでいることは感じていたが、法輪功のデモ活動を見ると、「ここは中国本土とは違う」という香港らしさを感じていたのだ。 今年6月30日に成立、即日施行された国家安全維持法(国安法)後も法輪功の活動は継続されており、「ツイッター」を見ると10月にもデモが行われたことが確認できる。しかし今後は、中国本土同様に法輪功の活動やデモも全面禁止される日は近いとみられる』、「法輪功」とは、「中国古来の精神修養法です。仏教の伝統に根ざし、道徳的な教えと瞑想と4つのゆったりとした動作から構成され、独自の効果的な方法で心身の向上を促します」(法輪功ホームページ)。
https://jp.faluninfo.net/what-is-falun-gong-falun-dafa/
・『法輪功愛好者の反政府勢力化を恐れ 中国政府は1999年に「邪教」認定  法輪功、彼らが主張する正式呼称は「法輪大法」で、その実践者を「学習者」と呼ぶとしている。法輪功は1992年に中国吉林省出身の李洪志氏が開いた気功を実践する会としてスタートし、短期間で愛好者を増やす。当初は中国政府も健康促進に寄与するとして全面的に称賛し推奨していた。 しかし、愛好者が激増し7000万人ほどに達したため、中国政府は脅威となると判断したのか、江沢民時代の1999年に「邪教」として認定し、全面禁止となった。 中国政府が法輪功を禁止した理由は諸説あるが、愛好者の人数である7000万人は中国共産党の党員とほぼ同数で、愛好者が団結し結束力を発揮して反政府勢力になることを危惧したことが有力とされる。 そもそも、中国では原則デモは禁止。不特定多数の集会も規制されている。集会規制は緩く運用されているので表面的には自由に行われているようにみえる。しかし、いつでも集会を理由に拘束できるという国なのだ。 ここで注目したいのが、中国政府が法輪功を「カルト宗教」扱いにして禁止した点だ。中国では中国政府が認める5宗教――道教、仏教、プロテスタント、カトリック、イスラム――を公認しているが、法輪功は禁止(宗教活動せず信仰するだけなら新興宗教も含め私的信仰は容認)しているので宗教扱いしたほうが禁止する理由にしやすかったのだろう。 そのような経緯があるため、法輪功は江沢民元国家主席を恨んでおり、印字する文言には江沢民批判の言葉がよく並ぶ』、「法輪功を禁止した理由」では、「愛好者の人数である7000万人は中国共産党の党員とほぼ同数で、愛好者が団結し結束力を発揮して反政府勢力になることを危惧したことが有力とされる」、なるほど。
・『中国政府の監視下でタブーとされる法輪功  法輪功について中国本土では言葉にすることも避けられる状態で、誰も話題にしない。中国のSNSや検索エンジン「百度(バイドゥ)」で法輪功と調べると、検索結果なしと一切の情報が表示されない。強力な検閲対象となっているからだ。中国滞在中に同キーワードで調べると、アラートが飛びIP情報が特定されて疑念を持たれるので注意したい。 それでも中国国内ではひそかに法輪功愛好者たちの活動は続いており、法輪功の理念や「中共(中国共産党)滅亡」「中共へ天罰を」などの政府批判を1元札や10元札など小額紙幣を中心に印字して流通させている。 この印字入り紙幣を中国人に見せると、印字しているのは法輪功関係者だと多くの中国人は知っているが、もし手にしたら優先的に使って手元に残らないようにする。 中国政府は人間を使ったアナログ監視からITや監視カメラ等を駆使したデジタル監視へ移行させて監視を年々強化させているので、うかつなことを口にできないと用心している中国人も少なくない。 さらに、中国では、紙幣以外にも法輪功のスローガンを書いた紙などを確認することができる。いずれも目立たないところに添付されていることが多く、監視カメラの死角を狙っている可能性もある』、「政府批判を1元札や10元札など小額紙幣を中心に印字して流通させている」、本来は違法な筈だが、違法ついでにやっているのだろうか。
・『中国以外で法輪功の活動を禁じている国は少ない  中国以外でも、タイの観光地で同じような張り紙を見つけた。中国語(簡体字)で書かれているので、訴えたい相手は中国人なのだろうか。 他にも、米ロサンゼルス国際空港の到着エリアで、アジア人乗客と見るや紙面を配布していた。受け取ると法輪功系の新聞『大紀元』だった。配布していた若い女性に、「これは大紀元ですよね?」と日本人であることを最初に伝えて中国語で尋ねると、「そうだ」と答えて、自分たちの活動についてマシンガントークで説明してくれた。 法輪功が、中国政府が主張するようなカルト集団、危険な宗教かはここでは言及しないが、事実として言えることは、中国以外で活動が禁じられている国が少ないということだ。 公式サイトを見ると、アジアで活動拠点がないのは、カンボジア、ラオス、ミャンマーくらいで、いずれも中国資本が多く入り経済的な依存度が高い親中国家である。中国に配慮して規制しているとみられる。 反セクト法(注)を持つフランスでも、活動者数が少ないのか、法輪功には適応されていない。日本では2004年に「日本法輪大法学会」がNPO法人格を取得している』、(注)反セクト法:セクトと看做される団体の違法かつ悪質な活動に一定の活動制限や処罰を与える裁判を開くことを可能にした法律。統一教会、創価学会も指定されている(Wikipedia)
・『法輪功が運営するメディアからは中国政府批判する記事も  この問題で注意したいのは、「法輪功」で検索して見つかる、「弾圧される法輪大法」「学習者の人権が蹂躙(じゅうりん)」や中国政府批判、中国を厳しく糾弾する記事は法輪功が運営するメディアが中心ということだ。 日本でも知られる大紀元、「新唐人テレビ」などがメディアの代表で、これらが法輪功関連ニュースのソースであることが多い。両メディアとも中国共産党を批判する内容が多いため、近年は“ネトウヨホイホイ”的な、中国をよく思っていない人たちを歓喜させるメディアとしても知られる。そのため、偏りを少なくするためにもソースをチェックしつつ報道に接する必要がある。 もっとも中国政府が正式発表することの正反対が事実であることが多い。「法治国家」「責任ある大国」「ウイグルやチベットを弾圧してはいない」など枚挙にいとまがない。 最近のより強くなるこの傾向を鑑みると、“法輪功はオウム、危険なカルト教団”という中国の主張は、実はまったくの逆なのではないかと勘繰りたくなる』、日本では「オウム」を引き合いに出せば、「危険なカルト教団」との印象を与えられるが、「中国」の為にする主張に過ぎないようだ。
タグ:カザフスタン ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 中国国内政治 宇山 卓栄 (その10)(ウイグル チベット モンゴルで中国政府がしつこく宗教を弾圧するワケ 政策と法律に見る当局の「深い恐れ」、駐日中国大使館も警鐘 地下活動を続ける「邪教」法輪功とは?) 「ウイグル、チベット、モンゴルで中国政府がしつこく宗教を弾圧するワケ 政策と法律に見る当局の「深い恐れ」」 「宗教」で読み解く世界史 「モンゴル語教育制限」はなぜ始まったか モンゴル人は民族のアイデンティティを学ぶこともできません。行政や経済を取り仕切っているのは中国人であるため、中国語ができないと就職もできないようになっています 北部は「モンゴル国」 南部は中国領の「内モンゴル自治区」 モンゴル国の人口は約330万人、内モンゴル自治区の人口は約2800万人 チベット仏教指導者が考案したモンゴル文字 チベット仏教の教主パスパはモンゴルのフビライ・ハンの参謀として活躍 モンゴルの公用文字パスパ文字をつくった 抗議デモに参加すれば逮捕 そもそも、中国は宗教などの文化・文明が異なる他民族の生存圏に対し、何の正当な根拠もなく、不法な統治を続けています。 中国政府の教育強制に反発し、抗議デモを行うモンゴル人は逮捕されています 習近平が強調する「中華民族の共同体意識」 モンゴル人に「科学的な言語」を与えて、文明化を支援しているとさえ考えています」、まるで厚かましい植民地主義者の主張だ。「民族の言語や宗教を長期的に封殺し、気が付けば漢民族に完全同化し、皆が民族のアイデンティティを忘れてしまう、こうした目に見えない民族浄化が確実に進んでいます ウイグル人弾圧に冷淡な中央アジア諸国 中央アジア5カ国のうち、新疆に隣接するのはカザフスタン・キルギス・タジキスタンの3カ国 中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタンの5カ国による上海協力機構(上海ファイブ体制)を結成し、中国からの経済支援と引き換えに、ウイグル人の分離独立運動に介入しないと約束 「一帯一路」に「積極協力し、同胞のウイグル人の苦しみを見て見ぬふりをしています。中国はカネの力で、民族の文明を分断している 「ウイグル人」がここまで孤立しているのであれば、「中国」のたりたい放題だ 宗教の「中国化」を国家的に推進 ローマ教皇庁も中国当局と「妥協」 「ローマ教皇庁も」「1000万人はいるとされる中国のカトリック信者」の存在を前に妥協せざるを得なかったのだろう 宗教は安全保障に直結する政治課題である 国会議員の中には、こうした宗教団体の支援を受けている者が与野党問わず、少なくありません 党の方針に従う宗教団体は優遇 宗教を弾圧するばかりではなく、積極的に懐柔して利用しようとする「飴と鞭」の巧みさも兼ね備えています 筑前サンミゲル 「駐日中国大使館も警鐘、地下活動を続ける「邪教」法輪功とは?」 法輪功は中国の「オウム真理教」? 中華人民共和国駐日本国大使館が説明 「法輪功」とは 法輪功愛好者の反政府勢力化を恐れ 中国政府は1999年に「邪教」認定 愛好者の人数である7000万人は中国共産党の党員とほぼ同数で、愛好者が団結し結束力を発揮して反政府勢力になることを危惧したことが有力とされる 中国政府の監視下でタブーとされる法輪功 政府批判を1元札や10元札など小額紙幣を中心に印字して流通させている 中国以外で法輪功の活動を禁じている国は少ない 反セクト法 法輪功が運営するメディアからは中国政府批判する記事も 日本では「オウム」を引き合いに出せば、「危険なカルト教団」との印象を与えられるが、「中国」の為にする主張に過ぎないようだ
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中東情勢(その15)(その他)(爆発起きた「レバノン」の手が付けられない惨状 政治的怠慢のツケを国民が払わされている、混迷のレバノン 米仏の最後通牒でも進展しない理由) [世界情勢]

中東情勢(その15)(その他)については、5月18日に取上げた。今日は、(爆発起きた「レバノン」の手が付けられない惨状 政治的怠慢のツケを国民が払わされている、混迷のレバノン 米仏の最後通牒でも進展しない理由)である。

先ずは、8月9日付け東洋経済オンラインが掲載した中東ジャーナリストの池滝 和秀氏による「爆発起きた「レバノン」の手が付けられない惨状 政治的怠慢のツケを国民が払わされている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/367972
・『内戦での市街戦や自動車爆弾テロによる要人暗殺、イスラエルによる空爆に見舞われてきたレバノン国民も、首都ベイルートの港で8月4日起きた大規模な爆発には度肝を抜かれたはずだ。 港の倉庫で発生した火災が、近くで保管されていた硝酸アンモニウム約2750トンの爆発を引き起こしたこの事件。そもそも、爆発物にも化学肥料にもなる大量の危険物質が人口密集地と接する重要インフラの港に放置されてきた政府の怠慢に、レバノン市民の怒りは頂点に達している』、はじめに「レバノン」の歴史を簡単にみておくと、フェニキア人にとって3000年栄えた海洋文化の拠点。第二次大戦後、フランス支配から独立、自由経済を採用し、金融や観光などの分野で国際市場に進出して経済を急成長させ、首都ベイルートは中東経済の中心地となり、また地中海有数の国際的リゾート地として、数多くのホテルが立ち並ぶなど大いに賑わい、「中東のパリ」と呼ばれるようになった。その後、中東戦争に伴うPLOの流入によって、国内の微妙な宗派間のバランスが崩れ、1975年に内戦が勃発(Wikipedia)。爆発後は「中東のパリ」など見る影もない。
・『1975年〜90年の内戦よりひどい状況  レバノンでは昨年10月以降、政治腐敗や経済失政への不満から反政府デモが続いており、今年3月には償還期限を迎えた外貨建て国債の支払いができずに初めてデフォルト(債務不履行)に。政府の債務は3月にはGDP比約170%に達しており、通貨レバノン・ポンドは大幅下落。金融機関は外貨引き出しを制限するなど、国民は日々の食事にも苦労する困窮状態に陥っている。 さらに、新型コロナウイルスの影響も加わり、失業率は高止まり。停電が長時間に及ぶなど、「1975〜90年の内戦時よりも状況はひどい」との声も漏れてくる。 爆発の衝撃は、ベイルートの広範囲に及び、最大30万人が家を追われ、日本円に換算して3000億円を超す被害が出たもようだ。今後の焦点や市民の関心は、事件のきっかけをつくった人物が司法の裁きを受けるかどうか。 だが、政府主導の調査では、有力政治家の責任を問うのは困難と言える。レバノンでは18の宗派が権力を分け合い、宗派の政治指導者が利権や利益を宗派内に配分する利益誘導型政治が続いており、国民的な視点の欠如は目に余る。今回もこうした政治体質によって国民の安全がないがしろにされた形で、問題の根深さが浮かび上がる。 レバノンでの爆発と聞けば、テロの可能性も疑われるが、現時点ではその可能性は低いと言えそうだ。7月には、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラとイスラエルの衝突が相次ぎ、イスラエルの攻撃により、シリアの首都ダマスカス近郊でヒズボラ戦闘員が死亡。月末にはヒズボラ戦闘員がイスラエル領内に侵入し、イスラエル軍が撃退している。 こうした中での大規模爆発だが、イスラエル軍は関与を否定。大勢の無実の市民を巻き込んでいることからも、ピンポイントで標的を狙うイスラエルの手口とは異なる。 いずれにしても、首都にTNT火薬数百トン相当の爆発物を放置していた怠慢が爆発の原因であり、レバノンの失政ぶりを象徴している。そもそも、こんな危険物がなぜ、放置されることになったのか。ことは2013年9月までさかのぼる。 ロシアの船会社が所有していたモルドバ船籍の貨物船がトラブルでベイルートの港に寄港し、手続き上の問題が重なり、積荷の硝酸アンモニウム約2750トンがレバノン税関によって押収された。船主は、船の所有権を放棄し、この積荷も行き場を失った。 ツイッターに投稿された画像によると、硝酸アンモニウム約2750トンはがら袋に入られて積み上げられ、安全に管理されていたとは言い難い。危険性は、港湾当局や税関当局も認識しており、税関トップから司法当局に5〜6回の対応を促す書簡が送られたとされるが、対処されなかった。書簡では、海外輸出やレバノン軍への供与、ダイナマイトを扱う民間会社への売却が提案されていたという』、危険物の「硝酸アンモニウム約2750トン」が放置されていたとは、統治能力を欠いた政府らしい。
・『早くも責任のなすり合い  ディアブ首相は、司法相や内相、防衛相、軍など4つの治安部門トップによる調査委員会を設置し、数日中に内閣に調査結果を報告するよう命じた。ただ、中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、早くも責任のなすり合いが始まっている。 港湾当局を所管するナッジャール公共事業・運輸相は、危険物の存在は爆発の11日前に知ったと主張し、「倉庫やコンテナに何が入っているのか知っている大臣は存在しない。それを知ることはわたしの職務ではない」と言い切った。 公共事業・運輸省は、司法当局に対応を求める書簡を何度も送ったといい、ナッジャール氏は「司法当局は何も対応しなかった。職務怠慢だ」と主張。これに対し、司法関係者は「主要な法的責任は港を監督している港湾当局やそれを管轄する公共事業・運輸省のほか、税関当局にある」と反論する。 このように責任の押し付け合いが熱を帯びているほか、前述したように、レバノンは宗派による権力配分型政治が続いており、特定の人物や勢力を批判したり、やり玉に上げたりすると、宗派間対立を招いてしまうことから責任追及はあいまいになりがちだ。 レバノンが金融危機に見舞われているのも、政治腐敗による組織的な経済失政の色合いが濃い。政治家や財界重鎮が金融機関を牛耳るレバノンの金融システムは、金融機関が国家に貸し付けて得た利子で、政治家や有力一族ら大口顧客に法外な利息を提供するなど「巨大なポンジ・スキーム」と揶揄されている。 詐欺師チャールズ・ポンジの名に由来するこのスキームとは、実際には資金を運用せずに自転車操業的に行う詐欺行為の一種。レバノンでは、最終的に国家が債務を返済できずに国民がツケを支払わされている。 経済失政を招いた政治腐敗は、今回指摘されるような政府や行政の機能不全の原因ともなる。政治家や省庁の人材登用は、能力よりも宗派や派閥を重視する縁故採用や情実人事という、レバノン政治の上から末端まで浸透する政治体質に基づいて行われているとの不満が多い。だから、政府や行政の仕事は、国民の利益や安全が軽視され、宗派や派閥、個人の利益や利害が優先されがち。 政府組織の中でも、ベイルートの港や税関は、違法な武器も含めて非合法的に動くことがあり、「多くの派閥やヒズボラ系を含めた政治家らが支配する、レバノンの中でも最も腐敗した、うまみのある組織の1つとして知られている」(レバノン紙アンナハール)。 民営化や資金調達の一貫として、港の管理権を海外の企業に売却する可能性も浮上していたとされるが、今回の事件で改革に向けた海外からの投資はますます停滞しそうだ。 政治家や派閥は、港など国のインフラや設備、組織を、利益を吸い上げるために利用するうえ、インフラの劣化も激しい。電力供給や安全性の高い水道の維持などの公的なサービスもままならず、国民は発電機を買うといった自衛策で猛暑を乗り切るしかない。独占的な通信事業によって携帯電話代は高く、利益は有力一族や財界重鎮に吸い上げられる。 政治腐敗に反発したデモでハリリ首相が昨年10月に辞任したものの、その後も改革が進む気配はない。経済危機打開へ国際通貨基金(IMF)に支援を仰いでいるものの、国際支援を受けるための改革は進まず、爆発が起きた前日の3日には、政治家同士の足の引っ張り合いに辟易したとして、ヒッティ外相が辞任している』、これでは「IMF」も手をつけようもなさそうだ。
・『コロナ禍で海外移住の道も閉ざされる  レバノンの政治腐敗は構造的な問題があり、一朝一夕には解決しない。このため、最近のデモでは、銀行が襲撃されるなどデモ隊が暴徒化する様相も呈している。 レバノン政治に詳しい専門家は「レバノン政治は構造的問題を抱えており、政治腐敗や宗派のボスを批判しても問題は解決しない。実際にデモ隊が求めるものを実行するにしても、どこから行っていいか分からない状況だ。銀行襲撃に走るなど明確な批判の対象が見えなくなっている」と分析する。 レバノン人たちは歴史的に、困難に直面した時には海外に活路を見出してきた。日本から逃亡したカルロス・ゴーン被告の先祖も、こうした経緯でブラジルに渡っている。レバノンでは海外に移民した国民が自国に住む国民の数よりも多いが、新型コロナウイルスの感染拡大による移動制限や世界的な景気後退により、移住という選択肢も今は取りづらい。 こうした中でも、レバノン国民は、爆発によって家を追われた人々に空き家や別荘、空き部屋を提供するなど、政府に頼れないために宗派を越えた結束力を見せている。ある市民は「今回の事件の背後に政治腐敗や怠慢があるのは明らか。まずは調査結果を見守りたい」と冷静を努める。ただ、レバノンの政治構造や体質は容易に変わらないとの見方が強い。レバノンの危機は、ますます深刻化することになりそうだ』、事実上、破綻した国家の再建は誰が、どのようにして進めるのだろう。

次に、11月22日付けロイター「アングル:混迷のレバノン、米仏の最後通牒でも進展しない理由」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/lebanon-crisis-idJPKBN27Z0EL
・『 混乱に陥ったレバノン経済の救済を模索する西側有力諸国は、同国指導部に対して最後通牒を突きつけた。財政破綻した国家の全面改革を進める信頼性の高い政府が樹立されない限り、それも迅速に実現しない限り、今後の救済はない──と。 1975─90年のレバノン内戦以来、フランス、米国をはじめとする支援国は、繰り返しレバノンに救いの手を差しのべてきた。だが、レバノンが経済危機に陥る間、政権を担当していた「おなじみの顔ぶれ」を多く含む同国の政界に対し、こうした諸国も愛想を尽かし始めている。 昨年来、レバノンでは支配層に対する大規模な抗議行動が発生している。抗議参加者たちは、国家債務が積み上がっていく一方で、支配層は自らの既得権ばかり追い求めていると非難。COVID-19のパンデミックにより、さらに国内のリソースは窮迫し、8月にベイルートの港湾地区で発生した大規模な爆発事故により、市街は大きな被害を被った。 外貨準備が減っていくなかで、一部の医薬品を含む基本的な商品の供給は不足し、貧困ライン以下に沈むレバノン国民も増加している。 かつての宗主国としてレバノンへの支援が当然視されるフランスは、爆発事故を受けてマクロン大統領が現地に駆けつけ、非常事態に対応するため、少なくとも部分的な改革を導入するよう現地の政治家らの説得に努めた。 だが、対立する党派が泥沼の勢力争いを続ける中で、爆発事故とその余波を受けて前政権が倒れて以来、レバノンでは新たな政府が成立していない。これまでも見られたこう着状態のときと同様に、各党派は組閣不能の責任をお互いに押しつけあっている。 ベイルートで先週行われた協議の席上、デュレル仏大統領補佐官(中東・北アフリカ担当)が、フランス政府はレバノンへの関与を続けるものの「改革が行われない限り救済はない」と明言した。協議に参加していた2人の関係者が明らかにした。「改革なしに救済が行われていた時代は終った」とデュレル補佐官は言った。 西側外交官の1人によれば、フランスは引き続きベイルート復興に関して予定されている会議を11月末までに開催しようと努めているが、なお予断を許さない状況だという。 「全く進展が見られない」と、この外交官は言う。「レバノンの政治家は従来通りの流儀に戻ってしまったし、憂慮すべきことに、国民のことは完全に視野に入っていない」──』、旧「宗主国」「フランス」は・・・マクロン大統領が現地に駆けつけ、非常事態に対応するため、少なくとも部分的な改革を導入するよう現地の政治家らの説得に努めた」、しかし、「フランス」の工作は実を結んでないようだ。
・<「ただ乗りは不可」>  米国のシア駐レバノン大使は13日、ワシントンのシンクタンクCSISによるオンラインカンファレンスにおける発言で「(米国は)レバノンが重要」「国家の破綻を回避することが、何よりも最優先であると認識している」と語った。 、デュレル仏大統領補佐官はヒズボラに対し、友好関係にあるバシル氏を説得して態度を軟化させるよう求めたが、ヒズボラはバシル氏への圧力を強めて同氏の立場をさらに弱めることに消極的だったという。
・<厳しくなる状況>  複数の情報提供者は、外貨準備を急速に使い尽くしつつあるレバノンにとって、現在のようなこう着状態は自殺行為だと話している。現在のレバノンの外貨準備高は、わずか179億ドルと推定されている。 米国による制裁は、退任が迫っているトランプ政権による対イラン「最大の圧力」作戦の一環であることをシア駐レバノン大使が認めており、イラン政府及びその連携勢力は、トランプ大統領の退任まで時機を待つ姿勢を見せている。 だが、レバノンの当局者の間には、こうした模様眺めの戦術について懸念する声もある。 組閣協議に詳しいベテランの政界関係者は「今やフランスが発しているメッセージは明確だ。政権が樹立されず、改革も進まなければ、はい、さようならということだ」と語る。「フランスが手を引いてしまえば、誰がそれ以降、この国を気に掛けてくれるのか。湾岸諸国、米国も含めどこも期待できない」と話す。 「結局のところ、今日のような例外的な時期・課題にどう対応すべきか、分かっている国はない」「それなのに私たちは、平穏な時期と同じように組閣のゴタゴタを演じている」という。 シア大使は「(支援国が)強い信念を持たなければならない」と話す。さもなければ、レバノンの政治エリートは真剣になってくれないからだ。「政権確立を急がなければという切迫感を彼らが持ってくれなければ、どうやって圧力をかけられようか」とシア大使は言う。「彼らは私たちに向かって、我々に改革をさせるとは面白い。お手並み拝見だと言うだろう」と語った』、さて、どうなることやら。亡命中のゴーン氏も、さぞかしハラハラしていることだろう。
タグ:ロイター 東洋経済オンライン 中東情勢 池滝 和秀 (その15)(その他)(爆発起きた「レバノン」の手が付けられない惨状 政治的怠慢のツケを国民が払わされている、混迷のレバノン 米仏の最後通牒でも進展しない理由) 「爆発起きた「レバノン」の手が付けられない惨状 政治的怠慢のツケを国民が払わされている」 「レバノン」の歴史 フェニキア人にとって3000年栄えた海洋文化の拠点 第二次大戦後、フランス支配から独立、自由経済を採用し、金融や観光などの分野で国際市場に進出して経済を急成長させ、首都ベイルートは中東経済の中心地となり、また地中海有数の国際的リゾート地として、数多くのホテルが立ち並ぶなど大いに賑わい、「中東のパリ」と呼ばれるようになった 中東戦争に伴うPLOの流入によって、国内の微妙な宗派間のバランスが崩れ、1975年に内戦が勃発 1975年〜90年の内戦よりひどい状況 首都にTNT火薬数百トン相当の爆発物を放置していた怠慢が爆発の原因であり、レバノンの失政ぶりを象徴 早くも責任のなすり合い 宗派による権力配分型政治 金融機関が国家に貸し付けて得た利子で、政治家や有力一族ら大口顧客に法外な利息を提供するなど「巨大なポンジ・スキーム」と揶揄 国際通貨基金(IMF)に支援を仰いでいるものの、国際支援を受けるための改革は進まず コロナ禍で海外移住の道も閉ざされる 事実上、破綻した国家の再建は誰が、どのようにして進めるのだろう 「アングル:混迷のレバノン、米仏の最後通牒でも進展しない理由」 フランス、米国をはじめとする支援国は、繰り返しレバノンに救いの手を差しのべてきた 一部の医薬品を含む基本的な商品の供給は不足し、貧困ライン以下に沈むレバノン国民も増加している フランスは、爆発事故を受けてマクロン大統領が現地に駆けつけ、非常事態に対応するため、少なくとも部分的な改革を導入するよう現地の政治家らの説得に努めた ただ乗りは不可 厳しくなる状況
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トランプ VS バイデン(その1)(敗北を認めないトランプを共和党議員団が支持し続ける理由、共和党はトランプ離れができるのか?、トランプが去っても「トランプ政治」はアメリカを破壊し続ける、バイデン「手に入らないものがたくさんある」 政権移行を承認しない一般調達局に不満表明) [世界情勢]

これまでトランプ大統領として10月21日に取上げた。大統領選挙は終了したが、トランプが負けを認めないという異例の展開を踏まえた今日は、「トランプ VS バイデン(その1)(敗北を認めないトランプを共和党議員団が支持し続ける理由、共和党はトランプ離れができるのか?、トランプが去っても「トランプ政治」はアメリカを破壊し続ける、バイデン「手に入らないものがたくさんある」 政権移行を承認しない一般調達局に不満表明)である。

先ずは、11月12日付けNewsweek日本版が掲載した在米作家の冷泉彰彦氏による「敗北を認めないトランプを共和党議員団が支持し続ける理由」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2020/11/post-1200_1.php
・『<年明けに予定されているジョージア州上院選の決選投票が、トランプを支持せざるを得ない状況を生んでいる> トランプ大統領は、大統領選の結果について依然として沈黙しています。今週11日は「ベテランズデー(退役軍人記念日)」でしたが、公式セレモニーには出席したものの、特にコメントは出していません。とにかく選挙における敗北を認めないので、バイデン次期大統領は引き継ぎ作業ができずに困っています。 けれども、負けず嫌いで奇手を好むトランプ大統領のことですから、起死回生を狙って法廷闘争に訴えるなどの抵抗を続ける姿勢についても、特に不自然とは思えません。問題は、共和党の主要な政治家たちが同じように沈黙していることです。 報道では、共和党の中でもバイデン氏を次期大統領として認め、トランプに敗北を受け入れるように勧告を始めた議員も出てきてはいます。ですが、その多くは、ミット・ロムニー上院議員(ユタ州選出)など、以前からトランプ大統領に批判的で「トランプ票」に依存する必要のない強固な選挙区での地盤を持っている政治家です。 一方で、それ以外の議会共和党の議員団は、ボス格のミッチ・マコネル上院院内総務(ケンタッキー州選出)をはじめ、多くを語らない中ではありますが、トランプの「敗北を認めない姿勢」を支持しています。 考えてみれば、おかしな話です。というのは、今回の選挙における議会共和党は、上下両院で事前の予想を完全に覆す善戦を見せているわけで、党勢の後退を食い止めることに成功しました。ということは、番狂わせによって落選の憂き目にあって怒っている議員はほとんどゼロ、反対に多くの議員が僅差で当選してきています』、「今回の選挙における議会共和党は、上下両院で事前の予想を完全に覆す善戦を見せているわけで、党勢の後退を食い止めることに成功しました」、にも拘らず、「トランプの「敗北を認めない姿勢」を支持」、どんな背景がるのだろう。
・『鍵になるのはジョージア州の上院選  ということは、議会共和党には「今回の選挙結果をひっくり返す」ことへのメリットはありません。むしろ「ひっくり返されては困る」のです。何故ならば、大統領選と上下両院の議会選の投票用紙は、多くの州で同一の1枚となっているからです。本音の部分では共和党議員団としては「再集計」とか「法廷闘争」などの動きに乗る動機はないのです。 それにもかかわらず、議会共和党の大多数が依然としてトランプへの支持を続けているのには、理由があります。それは「ジョージア州の上院選決選投票」です。 議会上院の現時点での状況ですが、時間がかかっていたノースカロライナ州とアラスカ州の集計がほぼ完了したことで、定員100名のうち、共和党は50議席、民主党は48議席をほぼ確実にしました。残るは2議席で、これは年明け早々、1月5日に予定されているジョージア州での決選投票に持ち越されることとなっています。 憲法の規定により、50の各州は2名の上院議員を選出することができ、任期はそれぞれ6年ですが、2名の議員の改選時期が重ならないように設定されています。ですが、ジョージア州の場合は欠員の補選があるため、今回は本選挙と補欠選挙の2議席について民意の審判を受けることになっています。 選挙は行われましたが、2議席のどちらも「50%を超える当選者」が出ない見込みです。ということは、ジョージア州の規定では決選投票になります。この決選投票で、共和党は1議席でも獲得すれば上院の過半数を制することができます。一方の民主党は2議席の双方を取れば50対50のタイに持ち込めます。その場合は、上院議長を兼ねるハリス次期副大統領が最終の1票を投じることができますから、民主党としては上院をコントロールできるのです。 共和党が上院の多数派を維持すれば、まずは1月20日の就任式の直後から始まるバイデン政権の閣僚人事において、自分たちの同意できない候補は拒否できることになります。最高裁判事の人事もそうですし、民主党内にある「最高裁判事の定員を増員してリベラル派を送り込む」作戦も潰すことができます。 そのためには、トランプ派の票が「面倒だから棄権」ということにならないよう、11月3日と同じような勢いを維持する必要があります。共和党議員団の多くの政治家が、バイデン当選を認めず、トランプ派と同じように証拠もないままに「選挙不正」を叫んだり、不自然なまでに沈黙を貫いているのはそのためです。 では、この不自然な状況はジョージア再選挙の投票日、つまり1月5日まで続くのかというと、必ずしもそうではないという見方もあります。節目としてはもう一つの日付、12月7日というタイミングがあるからです。 この日は、ジョージア州の再選挙における「有権者登録の手続き」の締切となっています。民主党では、前回の知事選で惜敗したステイシー・エイブラムズ前州議会議員などが組織的に「市民の有権者登録」を徹底する運動をしており、今回の大統領選挙ではそれが同州におけるバイデン氏の躍進(結果は僅差、現在再集計中)につながっています。 これに対抗するためには、共和党としては何が何でも「トランプ旋風」の熱気を維持して、共和党支持者の選挙人登録に漏れのないようにしなければなりません。そのためにはワシントンの共和党議員団としては、当面はトランプの「敗北を認めない」姿勢に同調していかなければならないというわけです。 一つの可能性としては、もしかすると12月7日という日付を過ぎた時点で、その束縛が緩むということはあり得ると思います。そこが共和党議員団としてバイデン勝利を認めるきっかけになるかもしれません。それでトランプの抵抗が孤立して立ち往生となれば、大統領選の選挙人投票にも間に合い、政治空白は回避されます。ジョージア州の情勢が、ワシントンの政局にもリンクしているのです』、「ジョージア州の上院選決選投票」を控えて、「共和党としては何が何でも「トランプ旋風」の熱気を維持して、共和党支持者の選挙人登録に漏れのないようにしなければなりません。そのためにはワシントンの共和党議員団としては、当面はトランプの「敗北を認めない」姿勢に同調していかなければならない」、「ジョージア州の再選挙における「有権者登録の手続き」の締切」である「12月7日」、「を過ぎた時点で、その束縛が緩むということはあり得ると思います」、いずれにしても、中途半端な状態が続きそうだ。

次に、同じ冷泉氏が11月14日付けメールマガジンJMMに掲載した「共和党はトランプ離れができるのか?」を紹介しよう。
・大統領選については、11月3日(火)が投票日でしたが、日本でも報道されているように開票に時間がかかる一方で、11月7日(土)になって各メディアが一斉に、ジョー・バイデン候補の当確を報じました。その晩にバイデン、ハリスのコンビは大規模な勝利宣言集会を行って「次期大統領・副大統領」としての存在感を見せました。 一方で、トランプ大統領に関しては敗北宣言を行うというアメリカ憲政の伝統を無視して、あくまで負けを認めず法廷闘争を続けると宣言しています。こちらについては、歴史的に見ても異例の状況となっています。 いずれにしても、現時点での米政局は「トランプが一体どのタイミングで敗北を認めるのか?」「新旧政権で必要な業務引き継ぎはできるのか?」というスケジュール上の問題が当面の課題となっています。これに、上院の過半数をどちらが制するかという問題が重なっており、具体的には1月5日のジョージア州における上院議員の再選挙(2名の枠)の行方が注目されているわけです』、。
・『現時点では色々なことが言われています。例えば、本稿の時点(11月13日・金)では、ホワイトハウスにおいては「2021年から24年の二期目における政権構想」の立案が進んでいる、などという報道もあります。そんな中で、かねてより確執の報じられていたエスパー国防長官が更迭されたというニュースは、かなりの衝撃をもって受け止められました。このエスパー更迭ですが、うがった見方をすれば様々な憶測は可能です。 例えばですが「イエスマンを置いて証拠隠滅を図りたい」「亡命が容易な体制を整えたい」というような、やや荒唐無稽な説も成り立ちますが、「公約実現のため、タリバン承認によるアフガン撤兵、更には朝鮮戦争終結による在韓米軍の引き揚げ」などを進めようとしているのかもしれません。そうであれば、国際社会はかなり警戒をしなくてはいけないと思います。ただ、本当のところは、イエスマンにならない部下を切り、そのことで様々な憶測を引き出すことで政治的な求心力を維持しようとしているのでしょう。 一方でここ数日、徐々に共和党関係者から「バイデン氏を次期大統領として認めよ」という声が出てきているのも事実です。ただ、そのように「王様は裸だ」と言えるのは、自力で当選できる地盤のある政治家(例えばミット・ロムニー上院議員)、支持者の中に中間層を多く抱えている政治家(例えばマイク・デワイン、オハイオ州知事)、選挙のプロとして訴訟戦術の限界を理解している人物(例えば、ブッシュ政権の選挙参謀だったカール・ローブ)などに限られています。 そんな中で、11月13日(金)の夕刻、トランプ大統領は久々にホワイトハウスの「ローズガーデン」で会見を行いました。題目としては「ワープ速度プロジェクト」つまり、新型コロナのワクチン開発について政府が支援して「SFに出てくるワープの速度」で行うプロジェクトがあったということで、今回90%の効果が確認されたファイザー社のワクチンについて、まるで自分の功績のようなことを言っていました。ちなみに、ワクチンが完成してもNY州に関してはクオモ知事が「ワクチンのスピード開発にケチをつけた」ので反省して承認するまで供給しないなどと、子供のケンカのようなことを喋っていました。 案の定というべきか、あるいは驚くべきというべきか分かりませんが、この会見では「バイデン当選」という事実は、まったく無かったかのように扱われていたのです。トランプ大統領はまるで自分の政権が1月20日以降も続くかのように、「自分の政権は今後も一切ロックダウンはしない」と強い口調で宣言していたのでした。 またホワイトハウスのマクナニー報道官は、FOXビジネスニュースのインタビューで、「トランプはバイデンの就任式に出るのか?」と問われると「大統領は1月には自分の就任式に出る」と言明し、キャスターは困惑していました。 というわけで、大統領とホワイトハウスは一切「敗北を認めない」という姿勢ですし、共和党、特に議会共和党の多くは「敗北を認めないトランプ」に対して、沈黙しつつ同調するという異様な状況が続いています。 そんな中で、遅れていた開票作業はほぼ最終段階となり、アリゾナ州はバイデン勝利で各局が当確、そしてジョージア州も一部再集計作業がおこなわれているものの、各局がバイデン当確を出しました。アラスカとノースカロライナはトランプが取って、暫定的ですがメディア各局の当確を総合すると「バイデン306、トランプ232」となって、選挙人獲得数としては丁度4年前の結果の正反対になっています。 そんなわけで、トランプを取り巻く状況はどんどん狭まっているわけです。ところで、大統領自身が「意地になっている」のはともかく、共和党の側が同じようにこの「意地の張り合い」に、消極的であるにせよ同調していることは、どう説明したら良いのでしょうか? この不思議な状態ですが、一つのファクターとしては、ジョージア州の「再選挙」という問題があります。上院議員の選挙というのは、1つの州の場合、6年のサイクルで3回ある議会選挙のタイミングについて1議席改選が2回、改選議席なしが1回というローテーションになっています。ですが、ジョージア州の場合は欠員の補選があるため、今回は本選挙と補欠選挙の2議席について民意の審判を受けることになっています。 また、ジョージアの選挙法制では「50%を超える当選者」が出ないと再選挙を行わねばなりません。そこで今回の2議席については、11月の選挙では僅差のため「誰も50%を越えなかった」ために1月5日に再選挙となる見込みです。この再選挙で、民主党は2議席の双方を取れば50対50のタイに持ち込めます。与党の場合は、上院議長を兼ねる副大統領(2021年からはハリス氏)が最終の1票を投じることができますから、50対50となれば民主党としては上院をコントロールできるのです。 反対に共和党としては、1議席でも取れば「51対49」となって、上院の多数派を維持することができます。そうなれば、バイデン新政権の閣僚人事において、自分たちの同意がなくては選任ができなくなります。最高裁判事の人事もそうです。ですから、投票日の1月5日まで、仮にそうでなくても「選挙人登録の締切」である12月8日までは「共和党とトランプ派の結束」は崩せないということになるのかもしれません。 ここまでは直近の話ですが、問題はその先です。トランプは、12月までに敗北を認めるかもしれませんし、認めないとしても1月20日が来れば大統領ではなくなります。その場合に、共和党としては「トランプ後の党勢再建」を目指すはずであり、トランプは「過去の人」になるはずでした。また、多くの報道がされているように、様々な違法行為について、あるいは民事上のトラブルに関して訴訟を受ける立場、あるいは巨額の個人負債、そして企業の債務などに苦しむことも予想されていました。 けれども、事態は少し違って来ているのを感じます。というのは、今回の選挙結果が圧倒的だったからです。大統領選の勝敗ということでは、現時点ではバイデン次期大統領が全体の50.9%、トランプ大統領が47.3%という差で勝っています。ですが、負けたトランプ陣営も7295万票(「クック・ポリティカル・レポート」による。11月13日時点)を獲得しています。 この空前の票数は、巨大な同時選挙であった上下両院の選挙に大きな影響を与えました。共和党として、恐らく10月中旬には「過半数を民主党が制している下院では、議席数の差を拡大される」だろうし、「上院の過半数も民主党に簡単に奪取される」という予想をしていたはずです。 また、大統領が「郵送投票は不正の温床」だと吠えるたびに、「民主党のライバルが郵送投票でどんどん得票していく」勢いに「自分たちは離されていく」として困惑をしていたに違いありません。 ですが、蓋を開けてみれば「トランプが7千3百万という巨大な票を引っ張ってきた」のです。議会選挙ということでは、勿論、全部をトランプが持ってきたわけではなく、各候補の基礎票というのはあるでしょう。ですが、もしかしたら落ちるかもしれないという恐怖に駆られていた共和党の候補たちが、結果的にトランプの担いできた票で通ってきた、これは否定できない事実だと思います。 勿論、彼らは百戦錬磨の政治のプロですから、去りゆくトランプに恩義などは感じていないでしょう。ですが、仮にトランプ現象がなく、「保守的な浮動票」が投票所に来なかったのであれば、自分は選挙に落ちていたのです。 このトランプ現象を別にすると、共和党の党勢ということでは、全国レベルでは退潮の気配があります。今回の大統領選でジョージアを落としたのには様々な複合要因があると思われますが、辛勝したノースカロライナやテキサスについては、巨大な民主党支持者が東北部や西海岸から「ニュー・エコノミーのフロンティア」を求めて移動してきているのは否定できません。 特にテキサスは、2018年の中間選挙でも、今回の大統領選でも基礎票では民主党に肉薄されており、トランプによる「上乗せ」がなければ番狂わせが起きていたのです。このトランプによる集票ですが、誤解のないように申し上げておけば、この7千3百万票がすべて「白人至上主義」や「排外主義」というわけではありません。その半分は恐らくは「コロナによるロックダウンへの忌避票」だったと思われます。 そうではあるのですが、共和党としては、消極的な保守票を投票所へ引っ張ってきた求心力として、ドナルド・トランプという存在の大きさを改めて実感しているのは間違いないと思います』、「トランプによる「上乗せ」・・・この7千3百万票がすべて「白人至上主義」や「排外主義」というわけではありません。その半分は恐らくは「コロナによるロックダウンへの忌避票」だったと思われます。 そうではあるのですが、共和党としては、消極的な保守票を投票所へ引っ張ってきた求心力として、ドナルド・トランプという存在の大きさを改めて実感しているのは間違いない」、やはり「トランプ」氏は非凡な力を持っているようだ。
・『ここまでの集票力を見せつけたことで、もしかしたらトランプは2021年以降も有効な政治的資産を獲得してしまったのかもしれません。確かに、「タダの人」となれば刑事・民事双方の訴追の危険はあります。ですが、7千3百万という有権者の支持があれば、この人を収監してオレンジの囚人服のまま晩年を送らせるというのは難しくなるかもしれません。 また、例えば「自分を裏切ったFOXニュース」に対抗して「トランプ・チャンネル」のようなものを、ケーブルもしくはストリーミングで立上げて行けば、巨大な影響力と共に、カネも集めることが可能になるかもしれないわけです。そうなれば、噂されている多額の債務についても、何とか借り換えて乗り切ることができるかもしれません。 もしかしたら、トランプはこの7千3百万という有権者に対して、中核にいるコア支持層だけでなく、「ふわっとした民意」で彼に従った票についても、「1月20日以降」の世界で、どのように支持をつなぎとめるかを計算しているのかもしれません。 この点に関しては、例えば、トランプが2024年の大統領選に出馬するかどうかという問題が、あれこれと取り沙汰されています。確かに2期目に挑戦して敗北した前大統領は、まだ4年しか大統領の座にいないわけですから、合衆国憲法の規定により4年後に出馬することは可能です。過去には、19世紀末に、4年の「浪人期間」をはさんで第24代と26代の2期にわたって大統領職にあったグローバー・クリーブランド(民主)という前例があります。 但し、2024年に出るということは、今回の2020年については「敗北を認めることになる」ということで、大統領の周辺では今のところは不評のようです。ですが、仮に1月20日に下野したとしても、2024年を意識することで、政治的な影響力を行使し続けることは可能です。 例えばですが、2008年に副大統領候補として「落選」したサラ・ペイリンは、2010年に本格化した「ティーパーティー(茶会)」運動においては、そのシンボルとなって行きました。ペイリンと比較すると、トランプの影響力は遥かに大きなものとなる可能性があるわけです。いわば「闇将軍トランプ」として政界への影響力を続けるということです。そう考えると、議会共和党が「トランプ離れ」をするのには、かなりの困難が伴うということが分かります。 民主党のバイデン次期大統領は、分断からの癒やし(ヒーリング)を強く主張しています。政治的にはバイデンは民主党の穏健派ですから、共和党の穏健派との相性は良いわけです。そして民主党の穏健派と共和党の穏健派が連携して、超党派の体制で「コロナ禍からの社会と経済の再生」を進めていくというのが、バイデン新政権の方針であると思います。 ですが、共和党の側にそのような姿勢が出てくるのかというと、この「闇将軍トランプ」が隠然たる権力を維持するとなると、難しくなるかもしれません。いずれにしても、これからの2ヶ月間、敗北をなかなか認めないトランプとその周辺、早く新政権の基盤を固めたいバイデンとその周辺が、様々な形で政治的に競っていくのだと思います。それと並行する形で、共和党における「トランプ離れ」の難しさという問題が当分の間は続くて行くのではないかと考えます』、「バイデン次期大統領」に安全保障上のブリーフィングは行われてないようだが、「トランプ」が負けを認めない限り、安全保障上の権力の空白が生じ、そこに付け込む動きが出た場合には、大変なことになる。困ったことだ。

第三に、11月17日付けNewsweek日本版が掲載した元CIA諜報員のグレン・カール氏による「トランプが去っても「トランプ政治」はアメリカを破壊し続ける」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/glenn/2020/11/post-55.php
・『<全世界が驚いた共和党のしぶとさ──民主主義の土台を蝕み始めたアメリカ文化に潜む「悪魔」とバイデンは戦うことになる。本誌「米大統領選2020 アメリカの一番長い日」特集より> アメリカでは誰もが固唾をのんで大統領選の開票状況を見守り、ドナルド・トランプ大統領の──そして連邦議会選での共和党の──思わぬ強さに驚きを感じずにいられなかった。 最終的にどのような決着を見るにせよ、この選挙のダメージは後々までアメリカをさいなむだろう。だが、問題は今回の選挙で生まれたわけではない。アメリカの文化に潜む「悪魔」が社会と政治システムをむしばみつつあるのだ。この国の文化と政治でゆっくり進んできた変化にテクノロジーの影響が相まって、社会と政治が半ば機能不全に陥っている。 トランプが破壊を強力に推し進めてきたことは確かだが、アメリカの社会と政治が機能不全に陥った直接的な要因は、少なくとも約60年前、見方によっては240年前の建国時から存在していた。たとえトランプが退場しても、政治の麻痺と社会の退廃が解消されるわけではない。 共和党が現在のような政治姿勢を取るようになったのは1964年のこと。極右が党内の主導権を握り、この年の大統領選でバリー・ゴールドウォーターを大統領候補に選んだ(本選挙では現職のリンドン・ジョンソンに敗北)。その指名受諾演説でゴールドウォーターが述べた言葉はあまりに有名だ。「自由を守るための急進主義は、全く悪ではない。正義を追求するための穏健主義は、全く美徳ではない」 これ以降、共和党はひたすら右へ右へと歩み続けてきた。今では、妥協することを民主主義の重要な原則と考えるのではなく、原理原則への裏切りと見なす傾向が強まっている。 その後60年近くの間に、共和党は連邦政府への敵意を強めていった。ロナルド・レーガンは1981年の大統領就任演説で、「政府こそが問題だ」と述べた。「政府」と妥協への敵意は、これ以降も強まる一方だった。 トランプも4年前、政治のアウトサイダーとして大統領選の勝者になった。政界の腐敗と癒着を大掃除し、利己的な政治家と官僚を一掃するという期待を担っていたのだ。 私は数年前、カリフォルニアで結婚披露宴に出席したとき、トランプ支持者の考え方を痛感した。このパーティーで、隣席の男性から職業を尋ねられた。そういうとき、私はたいてい「CIAで働いています」とは答えない。その日も「ワシントンで政府の仕事をしています」と答えた。すると、男性は私をまじまじと見て「あなたは敵だ」と言った。 「いや、違いますよ。私は公僕です。国民が望む仕事をしているのです」と反論したが、男性の態度は変わらなかった。「いや、あなたたちは私たちの自由を奪おうとしている」 このような発想は共和党と、草の根保守連合ティーパーティー、そして「QAnon(Qアノン)」と呼ばれるトランプ支持の陰謀論者たちの間に広まっている。) ティーパーティーやQアノンの活動が政府の機能麻痺を生むことは、ほぼ避けられない。ティーパーティーはこれまでも連邦政府をたびたび一時閉鎖に追い込み、新しい法律や政府の行動をことごとく阻止しようとしてきた。そうした先には確実に、社会の混乱が待っている』、「共和党が現在のような政治姿勢を取るようになったのは1964年のこと。極右が党内の主導権を握り、この年の大統領選でバリー・ゴールドウォーターを大統領候補に選んだ・・・共和党はひたすら右へ右へと歩み続けてきた。今では、妥協することを民主主義の重要な原則と考えるのではなく、原理原則への裏切りと見なす傾向が強まっている。 その後60年近くの間に、共和党は連邦政府への敵意を強めていった」、「共和党」に反「連邦政府」の長い歴史があるとは初めて知った。
・『国民に政府を憎ませた共和党  私の大学時代の同級生で共和党に絶大な影響力を持つ全米税制改革協議会会長のグローバー・ノークイストはこの40年間、連邦政府の規模を半分に減らすことを共和党の主要な長期目標の1つと位置付けてきた。社会保障・福祉制度をほぼ全廃し、連邦政府の役割を国防と国境警備に限定しようというのだ。 共和党の政治家が選挙でノークイストのグループの支援を受けるためには、「誓約書」に署名しなくてはならない。決して増税に賛成しないことと、連邦政府の規模の半減を目指すことを約束させられるのだ。 当然、民主党や多くの国民はこうした動きに反対する。その結果、イデオロギー対立が深刻化し、互いに妥協しようとしなくなる。それが政治の麻痺を生み出し、社会を大混乱に陥れてきた。いま大統領選をめぐって起きていることはその典型だ。 それでも、ノークイストと共和党は、多くのアメリカ人に「政府」への脊髄反射的な敵意を持たせることにかなりの成功を収めてきた。トランプを支持し、「民兵組織」の一員として、「法と秩序」を守るためと称し街頭に繰り出す膨大な数のアメリカ人は、政府を文字どおり敵と見なしている。 1995年には、民兵組織とつながりのある男がオクラホマ州の連邦政府ビルを爆破し、168人の命を奪う事件が起きた。FBIとCIAは長年にわたり、アメリカ国内の安全を脅かす最大の脅威は(イスラム過激派のテロ以上に)民兵組織だと警鐘を鳴らしてきた。しかし、共和党のリーダーたちは、そうした警告を年次報告書に記さないようにと、FBIとCIAに指示していた(私は報告書の執筆を数回担当したことがあるので、それをよく知っている)。 トランプに至っては、2017年にバージニア州シャーロッツビルの極右集会で人種差別的・ユダヤ人差別的なスローガンを掲げたグループや、この10月にミシガン州知事の誘拐を企てたグループを擁護するような発言を繰り返している。 いまアメリカ人の25~40%は、民主主義と相いれない考え方を持っている。政治的取引と妥協を嫌悪する彼らは、ワシントンの腐敗した政治家と官僚のせいで正しい政策が阻まれていると考えているのだ。そこで、「政治家」ではない「アウトサイダー」に期待を寄せる。支持者はトランプをそのような存在と位置付け、トランプ自身も4年前、アメリカの課題を解決できるのは自分しかいないと胸を張った。 問題は、それがファシズムの温床になりかねないことだ。腐敗したエリートと官僚機構から人々を守るためには強力なリーダーが必要だという発想は、民主主義の土台を揺るがし、政府を機能不全に陥れて、社会不安と暴力を生む危険がある。) だがアメリカの危機は、人々のファシスト的・反政府的傾向よりも深刻だ。建国以来240年、アメリカの偉大さの源泉だった文化的特性が今では政治的・社会的動脈硬化の原因に変わり、このままアメリカを衰退に導く恐れがある。 アメリカが自国の統治に苦労する背景には、少なくとも5つの人的・文化的要因がある。アメリカ人の考え方、「部族」主義、テクノロジーと政治の変化、社会的「調整役」の消滅、そしてアメリカ文化に内在する「悪魔」の存在だ』、「共和党の政治家が選挙でノークイストのグループの支援を受けるためには、「誓約書」に署名しなくてはならない。決して増税に賛成しないことと、連邦政府の規模の半減を目指すことを約束させられるのだ。 当然、民主党や多くの国民はこうした動きに反対する。その結果、イデオロギー対立が深刻化し、互いに妥協しようとしなくなる。それが政治の麻痺を生み出し、社会を大混乱に陥れてきた」、強力な右派バネだ。「トランプを支持し、「民兵組織」の一員として、「法と秩序」を守るためと称し街頭に繰り出す膨大な数のアメリカ人は、政府を文字どおり敵と見なしている」、「FBIとCIAは長年にわたり、アメリカ国内の安全を脅かす最大の脅威は・・・民兵組織だと警鐘を鳴らしてきた。しかし、共和党のリーダーたちは、そうした警告を年次報告書に記さないようにと、FBIとCIAに指示していた」、かなり危険な右派の暴力組織を抱えているようだ。
・『「集団的真実」に縛られて  私はCIAの「高度尋問テクニック」(つまり拷問)を通じて、不本意にも人間の本性について学ぶことになった。おそらく最も重要な発見は、拘束者ではなくCIAの同僚たちに関するものだった。 同僚は上官に拷問を命令され、疑問を抱かず実行した。いったん集団にとっての「真実」が決まると、ほとんどの人間が無意識に上からの影響を受けるため、「真実」に反するあらゆる事実を否定しようとする。 私たちは観察した出来事をそのまま認知すると思っている。自分では理性的に考え、行動していると考えている。だが、実はそうではない。 私たちは自分の先入観に合わせて物事を認知する。私たちの「理性」とは、両親や指導者、社会から無意識に刷り込まれた思い込みや信念に合致する選択的認知の集まりだ。 私たちはまた、「部族的」な存在でもある。私たちが所属する集団の「真実」が、自分の真実になる。 私たちは無意識に、所属する「部族」によって設定された枠組みの中で考えている。リーダーの思想や、何度も繰り返し聞かされたことが、私たちの信念を形作る。 個人がこの認識や信念の壁を乗り越えることは、ほぼ不可能だ。共和党の指導者が「政府は敵だ」と言えば、やがてそれが多くの人にとって現実の枠組みになる。こうして受け入れられた「真実」に事実が勝つことはほとんどない』、「私たちは自分の先入観に合わせて物事を認知する。私たちの「理性」とは、両親や指導者、社会から無意識に刷り込まれた思い込みや信念に合致する選択的認知の集まりだ。 私たちはまた、「部族的」な存在でもある。私たちが所属する集団の「真実」が、自分の真実になる」、その通りなのだろう。
・『建国の理想が生んだ皮肉  テクノロジーの進歩もアメリカの政治的危機の一因だ。新聞、雑誌、放送は、世界をどう認識するか、真実は何かを伝える媒介者の役割をソーシャルメディアに奪われた。メディアの中にいる社会的「調整役」と呼ばれる専門家は、もはや現実という物語の主要な語り手ではない。 「真実」は多様化し、存在しなくなったことさえある。「見るもの、読んだものを信じるな」と、トランプは言った。何が真実であり現実かは自分が決めるというわけだ。 今や指導者や集団の好みに合わない事実は「フェイク」。テクノロジーは人々の信条や信念を細分化させ、この国の政治システムを破壊する危険性がある。 こうした現象はどの国にもある。だが、アメリカの個人主義は米社会の決定的な特徴であり、アメリカに特有の課題を生み出す。受け入れられた「真実」や部族主義、テクノロジーの変化、社会的「調整役」の消滅と相まって、社会のゆがみを悪化させている。 選挙権の拡大を通じて民主主義と個人の権利を広め、全ての社会階層を平等に近づけ、指導者を選ぶプロセスを民主化する──アメリカはこの建国の理念を誇りにしてきた。 だがリーダーシップの民主化は、リーダーの仕事を飛躍的に難しくする。かつて政党指導者は同僚政治家の選挙区向けに予算を振り向けることで(あるいは逆に予算の割り当てを拒否することで)、党内をコントロールできたが、もはやそれは不可能だ。政党は数十年前よりはるかに弱く、選挙で選ばれた議員は今ではほぼ独立したプレーヤーとなっている。 同様に意見や行動の形成を助ける社会的「調整役」が誰なのかについて、アメリカ人の意見はもはや一致しない。この変化がアメリカの「共通の物語」を摩耗させ、民主主義の機能を弱体化させている。 この歴史的なエリートの凋落と、倫理観と事実に関する相対主義の蔓延は、ある意味で「全ての人間は平等に造られた」と1776年の独立宣言でうたわれたアメリカの理想の究極の姿でもある。だが、合衆国憲法に大きな影響を与えたフランスの思想家モンテスキューはこう警告していた。 「民主主義の原理は、平等の精神を失ったときだけでなく、極端な平等に走り、一人一人が指導者として選んだ人間と平等な存在になりたいと願ったときにも堕落する」 トランプ時代はこの予言どおりの麻痺と混沌をもたらした。現代アメリカでは、政治における専門知とヒエラルキーが破壊され、意見の多様性と客観的事実を確認するための社会的「調整役」が機能していない。 この傾向はトランプ個人に限った話ではない。「バイデン大統領」と全てのアメリカ人は、建国の理念の行き過ぎと、テクノロジーと現代の社会規範が生み出した社会と政治の断片化によって麻痺した社会に対処しなければならない。 アメリカは今も活気にあふれ、ダイナミックで、常に変化し続けている。しかし、建国の理念の行き過ぎによって麻痺あるいは衰退していく社会は、少なくとも1つの重要な意味で退廃的と呼ぶしかない』、「現代アメリカでは、政治における専門知とヒエラルキーが破壊され、意見の多様性と客観的事実を確認するための社会的「調整役」が機能していない。 この傾向はトランプ個人に限った話ではない。「バイデン大統領」と全てのアメリカ人は、建国の理念の行き過ぎと、テクノロジーと現代の社会規範が生み出した社会と政治の断片化によって麻痺した社会に対処しなければならない」、「バイデン大統領」も極めて困難な課題に挑戦することになりそうだ。

第四に、11月19日付けNewsweek日本版「「バイデン「手に入らないものがたくさんある」 政権移行を承認しない一般調達局に不満表明」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/11/post-95031.php
・『米大統領選で勝利を確実にした民主党候補バイデン氏は18日、一般調達局(GSA)が政権移行を正式承認しないことが、新型コロナウイルス対策を遂行する上で最大の妨げになっていると不満を表明した。 バイデン氏は「われわれの手に入らないものがたくさんある」と語り、新型コロナのワクチン配布計画などを挙げた。 GSAのマーフィー長官が大統領選の勝者を認定しない限り、バイデン氏と政権移行チームに予算や政府施設、国家機密情報などが提供されないが、マーフィー氏はまだ認定を下していない。 バイデン氏は、医療従事者などとのオンラインイベントで、そうした資源をすぐ利用できないと次期政権のコロナ対策が数週間から数カ月遅れると指摘。政権準備の面で目下、GSAの対応だけが問題になっていると強調した。 マーフィー氏の姿勢を巡っては、選挙監視団体や民主党だけでなく、共和党内からも批判の声が増えつつある。GSAの広報担当者はバイデン氏の発言に先立ち、「長官は合衆国憲法の規定に則り、勝者がはっきりすればそれを認定するだろう」とコメントした。 トランプ政権のある高官は、ホワイトハウスがマーフィー氏にバイデン氏の勝利認定を控えるよう圧力をかけてはいないと言明した。 ニュージャージー州のフィル・マーフィー知事(民主党)は18日、CNNに対して、毎日ホワイトハウスのコロナウイルス専門家と話しをする一方で、バイデン氏の諮問委員会とは別に新型コロナに関してコミュニケーションを取っているという「バカげた状況」にあると説明した。 知事は「双方の陣営は話をしていない。そしてそのことは大きな問題だ」と指摘し、「今後のワクチン供給を危険にさらし、さらには、命も危険にさらす恐れがある大きな問題だ」と懸念を示した』、「GSAのマーフィー長官」に対し、職務怠慢で訴えを起こせばよいとも思えるが、そんな簡単なものではないのだろう。トランプの居直り戦術も困ったものだ。
タグ:トランプ 冷泉彰彦 Newsweek日本版 JMM VS バイデン (その1)(敗北を認めないトランプを共和党議員団が支持し続ける理由、共和党はトランプ離れができるのか?、トランプが去っても「トランプ政治」はアメリカを破壊し続ける、バイデン「手に入らないものがたくさんある」 政権移行を承認しない一般調達局に不満表明) 「敗北を認めないトランプを共和党議員団が支持し続ける理由」 年明けに予定されているジョージア州上院選の決選投票が、トランプを支持せざるを得ない状況を生んでいる 今回の選挙における議会共和党は、上下両院で事前の予想を完全に覆す善戦を見せているわけで、党勢の後退を食い止めることに成功しました トランプの「敗北を認めない姿勢」を支持 鍵になるのはジョージア州の上院選 トランプ派の票が「面倒だから棄権」ということにならないよう、11月3日と同じような勢いを維持する必要があります。共和党議員団の多くの政治家が、バイデン当選を認めず、トランプ派と同じように証拠もないままに「選挙不正」を叫んだり、不自然なまでに沈黙を貫いているのはそのため ジョージア州の再選挙における「有権者登録の手続き」の締切」である「12月7日」、「を過ぎた時点で、その束縛が緩むということはあり得ると思います 「共和党はトランプ離れができるのか?」 ジョージア州における上院議員の再選挙(2名の枠)の行方が注目 共和党、特に議会共和党の多くは「敗北を認めないトランプ」に対して、沈黙しつつ同調するという異様な状況が続いています 投票日の1月5日まで 「選挙人登録の締切」である12月8日まで 「共和党とトランプ派の結束」は崩せない 「トランプが7千3百万という巨大な票を引っ張ってきた」 この7千3百万票がすべて「白人至上主義」や「排外主義」というわけではありません。その半分は恐らくは「コロナによるロックダウンへの忌避票」だった 共和党としては、消極的な保守票を投票所へ引っ張ってきた求心力として、ドナルド・トランプという存在の大きさを改めて実感しているのは間違いない トランプは2021年以降も有効な政治的資産を獲得してしまったのかもしれません 刑事・民事双方の訴追の危険 トランプが2024年の大統領選に出馬するかどうか 共和党における「トランプ離れ」の難しさという問題が当分の間は続く グレン・カール 「トランプが去っても「トランプ政治」はアメリカを破壊し続ける」 共和党が現在のような政治姿勢を取るようになったのは1964年のこと。極右が党内の主導権を握り、この年の大統領選でバリー・ゴールドウォーターを大統領候補に選んだ 共和党はひたすら右へ右へと歩み続けてきた。今では、妥協することを民主主義の重要な原則と考えるのではなく、原理原則への裏切りと見なす傾向が強まっている。 その後60年近くの間に、共和党は連邦政府への敵意を強めていった 国民に政府を憎ませた共和党 FBIとCIAは長年にわたり、アメリカ国内の安全を脅かす最大の脅威は 民兵組織だと警鐘を鳴らしてきた。しかし、共和党のリーダーたちは、そうした警告を年次報告書に記さないようにと、FBIとCIAに指示していた 「集団的真実」に縛られて 私たちは自分の先入観に合わせて物事を認知する。私たちの「理性」とは、両親や指導者、社会から無意識に刷り込まれた思い込みや信念に合致する選択的認知の集まりだ。 私たちはまた、「部族的」な存在でもある。私たちが所属する集団の「真実」が、自分の真実になる 建国の理想が生んだ皮肉 現代アメリカでは、政治における専門知とヒエラルキーが破壊され、意見の多様性と客観的事実を確認するための社会的「調整役」が機能していない。 この傾向はトランプ個人に限った話ではない。「バイデン大統領」と全てのアメリカ人は、建国の理念の行き過ぎと、テクノロジーと現代の社会規範が生み出した社会と政治の断片化によって麻痺した社会に対処しなければならない 「「バイデン「手に入らないものがたくさんある」 政権移行を承認しない一般調達局に不満表明」 GSAのマーフィー長官が大統領選の勝者を認定しない限り、バイデン氏と政権移行チームに予算や政府施設、国家機密情報などが提供されないが、マーフィー氏はまだ認定を下していない
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中南米(その2)(なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか、暴走するボルソナロ大統領 ブラジルに忍び寄る軍事独裁政権の足音、元国防相逮捕!メキシコ麻薬組織のヤバい実態 「まるでゴッドファーザーの世界」と話題) [世界情勢]

中南米については、昨年11月7日に取上げた。今日は、(その2)(なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか、暴走するボルソナロ大統領 ブラジルに忍び寄る軍事独裁政権の足音、元国防相逮捕!メキシコ麻薬組織のヤバい実態 「まるでゴッドファーザーの世界」と話題)である。

先ずは、5月31日付けNewsweek日本版がロイター記事を転載した「なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93551_1.php
・『3月中旬、ブラジルは感染の足音が聞こえ始めていた新型コロナウイルスに先制攻撃を加えた。保健省はクルーズ船の運航停止を命じ、地方自治体に大規模イベントの中止を要請した。海外からの旅行者には1週間の自主隔離を呼びかけた。 世界保健機構(WHO)がパンデミック(世界的大流行)を宣言してからわずか2日後、3月13日のことだった。この時点でブラジルでは新型コロナウイルスによる死者は1人も報告されていなかった。公衆衛生当局は、先手先手を打とうとしているように見えた。 だが、それから24時間も経たないうちに、保健省は各地の自治体から「批判と提言」があったとして、自らの勧告を骨抜きにしてしまった。 当時の状況に詳しい関係者4人によると、この変化の背景にはボルソナロ大統領の首席補佐官室の介入があったという。 「軌道修正は圧力によるものだ」と、保健省の免疫・感染症局長だった疫学者ジュリオ・クロダ氏は語る。 当時、この方針転換が関心を集めることはあまりなかった。しかし、この関係者4によると、ブラジル政府の危機対応の転機になった。ウイルス対応の主導権は、公衆衛生に責任を持つ保健省から、「カーサ・シビル」と呼ばれる大統領首席補佐官室へと移っていたという。同室を率いるのは、ウォルター・スーザ・ブラガ・ネット陸軍大将である。 ブラジルではこの6週間で2人の保健相が職を去った。1人は解任、もう1人は辞任である。いずれも、ウイルス対応を巡り、大統領と公然と意見が対立したためだ。現在、暫定的に保健相となっているのは、これまた陸軍の将軍である。 ブラジル政府の方針変更は、「経済活動を止させないことが至上命題」というボルソナロ大統領の頑な態度の表れだ。陸軍大尉だった極右のボルソナロ氏は、3月中旬の重要な数日間にこうした姿勢を固めてからというもの、ブレる様子が全くない。その間も、ブラジルの新型コロナウイルス対策は国内外から批判を浴び、死者数は膨れ上がっている。 ブラジルの感染の深刻さは、今や米国に次ぐ。感染者数は確認されているだけでも37万4000人以上。死者は2万3000人を超えた。 ボルソナロ氏はさきごろ、「犠牲者の増大について質問した記者たちに対し、「それがどうした」と応じた。「私にどうしろというのか」 首席補佐官室は、3月13日の指針変更は、各州・自治体からの意見を受けて保健省が決定したものだとしている。一方で保健省は、全国の州・都市の状況がそれぞれに異なることから意見の相違が生まれたとしている。その上で保健省は、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)を確保するための措置は、地方の保健当局の責任だとしている。「ブラジルの新型コロナウイルス対策は、いつの時点においても妨害されたことはない」と、同省は見解を示している。 ロイターはこの記事を配信するに当たり、大統領府にコメントを求めたが、応じることはなかった。 ロイターは、ブラジルが世界最悪の感染国に転落した背景を探るため、現職の政府当局者、元当局者、医療研究の専門家、医療産業の関係者、医師、合わせて20人以上を取材した。浮かび上がってきたのは、大統領と保健省などの対立により、好スタートを切ったはずの新型コロナ対策が崩れていく様子だった。 保健省を始めとした行政は、公衆衛生問題の観点から対応することが、結果的にブラジル経済にとって重要になると説得を試みたが、失敗に終わった。医療研究の専門家は第一線から外され、ボルソナロ大統領は裏付けのない治療法を支持したと、取材に応じた関係者は語る。 全国レベルでの調整は停滞し、各州知事は独自の感染抑制策の策定を迫れられた。ボルソナロ氏にとって州知事は、次期大統領選のライバルでもある。その一方で、はびこる官僚主義が検査体制の整備の遅れにつながった』、「死者は1人も報告されていなかった」「3月中旬」「保健省は」「新型コロナウイルスに先制攻撃・・・クルーズ船の運航停止を命じ、地方自治体に大規模イベントの中止を要請した。海外からの旅行者には1週間の自主隔離を呼びかけた」、当初は万全の準備をした上で、しっかり対応したようだが、「ボルソナロ大統領の首席補佐官室の介入」により「自らの勧告を骨抜きにしてしまった」ようだ。
・『「冷蔵庫が空では」  ブラジルで初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは2月26日だ。実は保健省は、この2カ月近くも前から対策を練っていた。 複数の関係者によれば、同省の職員は州・地方自治体の当局者と協力しつつ、自宅待機指示の時期や方法を探ろうとシミュレーションを重ねていた。省庁を横断した連邦レベルの対応を調整する緊急委員会の司令塔が保健省だった。 ブラジルの広大な国土、公立病院の資金不足、貧困の広がりといった弱点はあった。それでも、この国の医療研究の専門家は質が高く、民間の医療セクターも優れていた。すでに中国やイタリアなどででウイルス感染が広がっていたため、警戒を強化する時間的な余裕もあった。最前線に立つ人々は、万全の状態にあると考えていた。 しかし、取材に応じた人たちによると、事態は2つの側面で破綻しはじめたという。保健省が支持していた封鎖措置にボルソナロ大統領が反対したこと、そして検査体制の拡充に向けて政府が無能だったことだ。 政権内の協議を直接知る関係者によると、閣僚らは全国的なロックダウン(都市封鎖)に同意するよう、何度となくボルソナロ大統領の説得を試みた。だが大統領は、ウイルスはじきに消滅すると信じ、保健省当局者は他国で効果を発揮していたソーシャル・ディスタンシングの必要性を誇張しているとして、拒絶したという。 ボルソナロ大統領は4月20日、ブラジリアにある大統領公邸の外で、メディアに対し「冷蔵庫が空では、人々が自宅に閉じこもることなど不可能だ」と語った。 ボルソナロ氏が経済を優先した理由について、大統領府はコメントを拒んでいる。とはいえ、ボルソナロ氏にこうした決断を強いるプレッシャーもあった。支持基盤である保守層は、ボルソナロ氏の公約である経済成長の回復を危うくさせるロックダウンに反対し、ブラジル各地の都市で抗議行動を行った。 一方で、ボルソナロ大統領の経済顧問たちは危機の規模をなかなか把握できなかったようだ。自由市場主義者であるパウロ・グエデス経済相は3月中旬、現地のCNNに対し、2020年のブラジル経済について「(新型コロナウイルスで)世界各国が不振に沈むなかで、2%ないし2.5%の成長があっても不思議はない」と語った。 この予想は大外れとなった。製造業は総崩れ、失業率は上昇している。通貨レアルは今年に入り、対ドルで約30%下落した。英金融バークレイズは5月15日、2020年のブラジルの国内総生産(GDP)成長率予測をマイナス3.0%からマイナス5.7%に下方修正した。理由として、ブラジルのパンデミック対応策が「無効」であることが挙げられている。 ブラジル経済省は現在、今年の成長率をマイナス4.7%と予想。電子メール(注:正しくは「経済省」?)は電子メールによる声明で、事態の深刻さに合わせて予想が変化してきた、と述べている。以前の予想についてグエデス経済相にコメントを求めたが、回答は得られなかった』、「保健省」の「事前準備」はずいぶんしっかりしたものだ。大統領府に邪魔されずに、このままやっていれば、被害ははるかに小さなもので済んだ可能性がありそうだ。
・『検査件数も伸びず  ボルソナロ大統領がソーシャル・ディスタンシングに反対し、ロックダウンに傾く地方自治体への支援を拒んでいるために、制限措置の順守状況も芳しくない、と専門家は指摘する。 スマートフォンの位置情報を元にグーグルが提供している人の移動データをロイターが分析し、パンデミック前の基準値と比較したところ、外出制限措置が施行されているイタリアやフランス、英国といった欧州諸国に比べ、ブラジル国内では、(鉄道駅など)交通の拠点や職場に出入りする人たちの減少数がはるかに小幅にとどまっていた。 また米国などと同様、ブラジルも必要な検査数を確保するのに苦労している。一部の疫学者は、こうした検査不足が、ブラジルにおけるウイルス感染の追跡・抑制を難しくし、大きな弱点になっていると言う。 検査不足の1つの要因は、保健省が単一の機関に依存しすぎたためでもある。 ロイターが閲覧した保健省の内部文書によると、同省は1月から2月にかけて、著名な公衆衛生研究所であるオズワルド・クルーズ財団を通じて診断検査キットの購入を開始した。だが、4月7日までに納品された検査キットは10万4872個で、保健省が発注した約300万個の3.5%にすぎない。 前出のクロダ氏などによれば、必要不可欠な試薬を財団が国際市場でなかなか確保できなかったという。業界関係者によれば、何年にもわたる予算削減も1つの要因になった可能性があるという。 ある情報提供者は、保健省が官民問わず幅広く研究所とのネットワークを築いておくべきだったと指摘する。そうしたネットワークがあれば試薬を確保し、検査を処理する能力も改善されていただろうという。 同財団は、4月13日までに当初の目標であった22万個を納品し、4月最終週までに130万個近い検査キットを納めたとしている。9月までに1170万個の検査キットを提供できる見込みだという。「この種の検査をめぐる世界的な競争は非常に激しく、検査キットの不足が生じた」と、財団は釈明している。 さらに、官僚主義もブラジルの対応ををむしばんでいる。サンパウロのグアリューロス国際空港では、ウイルス感染履歴を判定するために使われる抗体検査薬50万件分が9日間にわたり滞留した。事情に詳しい関係者2人によると、保健当局がポルトガル語の表記無しで流通を認める特例措置を処理するのに時間を要したという。 保健省は検査能力を強化しており、4620万件の検査を行う予定だと述べているが、そのスケジュールは明らかにしていない。「この試みは、国内・国際市場において新たに(検査キットを)購入するための取組みの一環だ」と同省は言う。 しかし、ブラジルにおける検査件数は5月12日の時点で48万2743件にとどまる。新型コロナウイルスによる死者の多い世界上位10カ国のうち、ブラジルより検査数が少ないのはオランダだけ。その人口はブラジルの12分の1だ』、「検査件数は5月12日の時点で48万2743件にとどまる」、日本もなかなか増えないようだが、ブラジルも苦労しているようだ。まして「ボルソナロ大統領」は、次の記事にあるようにコロナ問題では本当に酷いようだ。

次に、6月5日付けYahooニュースがHARBOR BUSINESS Onlineを転載したスペイン在住の貿易コンサルタントの白石和幸氏による「暴走するボルソナロ大統領。ブラジルに忍び寄る軍事独裁政権の足音」を紹介しよう。
・『無礼な大統領にメディアが会見ボイコット  5月25日、ブラジル最大メディアの「Globo」はアルボラダ大統領官邸での取材には今後出席しないことを決めたと発表した。取材班が赴いてもボルソナロの支持者から罵声や怒声が浴びせられて、取材業務を安全に遂行する保障がないからだとした。 それにすぐに追随したのがブラジルで最大の発行部数を持つフォーリャ・デ・サンパウロ紙だった。他のメディアも同様の姿勢を取るか否か検討中だという。(参照:「Infobae」) メディアが今回の決定を下したのも、ボルソナロ自身のメディアへの誹謗がある。例えば、5月6日に起きた出来事だ。彼に同行しての取材で、ある記者がボルソナロが連邦警察の長官を変えようとしていることについて質問すると、ボルソナロは「口をつむげ!そのような質問は受けない」と憤りながら返答をした。それも彼の支持者に囲まれた中での彼からの無礼な返答であるが故に支持者がそれに便乗して記者に危害を加えるのも容易な状況にあったという。(参照:「El Mundo」』、「無礼な大統領にメディアが会見ボイコット」、とは驚かされた。
・『越権行為を繰り返す大統領に最高裁判事も鉄槌  ボルソナロにとってメディアは敵でしかない。4月22日の閣議の様子を録画したビデオを最高裁判事セルソ・デ・メロは一般公開することを許可した。ブラジルの誰でもそれをテレビで見ることができるようになった。このビデオでボルソナロは「連邦警察の長官を変えることが出来ないのなら、大臣を変えてやる」と言っているのが明らかにされている。大統領の権力の乱用と越権行為が明らかにされたビデオである。 それに対しても、ボルソナロはツイッターとファイスブックを介してセルソ・デ・メロ判事がこのビデオの公開を許したのは違法行為で逮捕するに値するものだと述べたのである。ボルソナロの見解に賛成するかのようにウエイントゥラウブ教育相も最高裁判事は刑務所に送られるべきだと表明。 ボルソナロからの批判に対してセルソ・デ・メロ判事はビデオの内容は明らかに犯罪に繋がる内容のもので、セルジオ・モロ前法相の弁護にはその公開は正当づけられるものだとした。そして、ボルソナロが指摘していたビデオの公開は国家の安全を損なうものだという見解を退けた。(参照:「El Pais」』、「ボルソナロが指摘していたビデオの公開は国家の安全を損なうものだという見解」、なぜ犯罪組織をかばうのだろう。
・『ボルソナロの独善的行動に軍部が同調  更に、ボルソナロは攻撃を緩めることなく、次の標的を下院議長ロドリゴ・マイアに向けた。  ボルソナロを罷免させようとする嘆願書をすべて却下させるためである。今のところ罷免できるだけの十分なる議席は確保されていない。次に最高裁のアレクサンドゥレ・モラエス判事への批判だ。というのは、連邦警察長官にボルソナロが信頼しているアレクサンドゥレ・ラマゲンの任命を却下したからであった。 最高裁への批判は大統領府安全保障相アウグスト・エレノ将軍からも上がった。最高裁が捜査の対象物件として大統領の携帯電話の引渡しを要請するのは国家の安定を損なうのに計り知れないものがあると指摘したのである。それに共鳴するかのように国防相フェルナンド・アゼベド将軍もそれにに同意を表明した。 更に、退役した89人の軍人も先月24日、ボルソナロに味方して、最高裁のこの要請を批判。(参照:「El Pais」) ボルソナロの閣僚22人の中で軍人が9人もいるというのは脅威である。ボルソナロ自身も昨年11月に左翼の勢いが活発になった時に軍事政権を望んでいることを表明したことがあった。(参照:「HispanTV」) ブラジルは20年余り軍事政権が続いたことがある。その後、1985年から民主政権が誕生して、その10年後にブラジルの発展の基盤を築いたフェルナンド・エンリケ・カルドゾ元大統領だった。彼は「今のところ軍人が政権に就くことを望んでいるとは思わない」と指摘している。(参照:「El Pais」) 一方、ルラ元大統領はそれとは見解を異にして「(軍人)クーデター遂行者は既に我々のバルコニーに一つ足を突っ込んでいる。それに反応がない場合は、我々の扉を取り除くだろう」と述べている。(参照:「HispanTV」) 仮にボルソナロを罷免しても、現副大統領のハミルトン・モウランは将軍だ。彼が大統領に昇格すれば自ずと軍事政権の成立を容易にさせてしまう。 カルドゾ元大統領が指摘しているように、ボルソナロは大統領のポスト遂行できるだけの資格はない。だから、大統領のポストを担い切れない時が来るはずである。それが2022年の大統領選挙の前までに来れば、モウラン将軍が大統領に就任して必然的に軍事政権の樹立への道が開かれることになる。 ブラジルは非常に危険な方向に向かっている』、「ボルソナロの閣僚22人の中で軍人が9人もいる」、殆ど軍政に近いようだ。反軍部の労働党や中道右派社会民主党などの勢力は汚職問題で衰退してしまったのだろうか。困ったことだ。アメリカ大統領選挙で、トランプが再選されなかったことが、ボルソナロの命運にも影響するかも知れない。
タグ:ロイター 中南米 yahooニュース 白石和幸 Newsweek日本版 (その2)(なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか、暴走するボルソナロ大統領 ブラジルに忍び寄る軍事独裁政権の足音、元国防相逮捕!メキシコ麻薬組織のヤバい実態 「まるでゴッドファーザーの世界」と話題) 「なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか」 「死者は1人も報告されていなかった」「3月中旬」「保健省は」「新型コロナウイルスに先制攻 クルーズ船の運航停止を命じ、地方自治体に大規模イベントの中止を要請した。海外からの旅行者には1週間の自主隔離を呼びかけた」、当初は万全の準備をした上で、しっかり対応したようだが、「ボルソナロ大統領の首席補佐官室の介入」により「自らの勧告を骨抜きにしてしまった」ようだ 「冷蔵庫が空では」 「保健省」の「事前準備」はずいぶんしっかりしたものだ。大統領府に邪魔されずに、このままやっていれば、被害ははるかに小さなもので済んだ可能性がありそうだ 検査件数は5月12日の時点で48万2743件にとどまる HARBOR BUSINESS Online 「暴走するボルソナロ大統領。ブラジルに忍び寄る軍事独裁政権の足音」 無礼な大統領にメディアが会見ボイコット 越権行為を繰り返す大統領に最高裁判事も鉄槌 ボルソナロの独善的行動に軍部が同調 ボルソナロの閣僚22人の中で軍人が9人もいる トランプが再選されなかったことが、ボルソナロの命運にも影響するかも知れない。
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韓国(文在寅大統領)(その6)(韓国・文在寅大統領、支持率急降下でも「日本叩き」に走らない理由、韓国文大統領は米韓同盟が邪魔なのか?「南北終戦宣言」を元駐韓大使が解説、WTO事務局長選で劣勢の韓国「日本がネガキャン」 次々と毀損していく国益 韓国に回ってきた反日政策の「ツケ」) [世界情勢]

韓国(文在寅大統領)については、8月13日に取上げた。今日は、(その6)(韓国・文在寅大統領、支持率急降下でも「日本叩き」に走らない理由、韓国文大統領は米韓同盟が邪魔なのか?「南北終戦宣言」を元駐韓大使が解説、WTO事務局長選で劣勢の韓国「日本がネガキャン」 次々と毀損していく国益 韓国に回ってきた反日政策の「ツケ」)である。

先ずは、8月16日付け現代ビジネス「韓国・文在寅大統領、支持率急降下でも「日本叩き」に走らない理由」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74923?imp=0
・『意外にも「日本批判」を展開せず  8月15日、韓国は日本の朝鮮半島地からの解放を祝う75回目の光復節を迎えた。ソウル・東大門(トンデムン)で行われた記念式典で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が演説を行った。 演説の大半は、新型コロナの感染拡大や、最近韓国各地で起きた大規模な水害など、市民生活を気遣ったものだった。 相変わらず関係改善の糸口がつかめない日本に対しては、口ぶりに変化はなかった。「国民とともに、日本の輸出規制という危機に打ち勝った」「むしろ、何者も揺るがすことのできない国に跳躍する機会になった」などと語り、日本の輸出管理措置の解除を求める企業関係者らの声は紹介しなかった。 徴用工判決に基づいて差し押さえられた日本企業資産の現金化への対応について、文大統領が何を述べるかが注目されていたが、「判決は韓国の領土内で最高の法的権威と執行力を持つ。政府は判決を尊重し、被害者が同意できる円満な解決策を日本政府と協議してきたし、現在も協議の門を広く開けている。いつでも日本政府と向き合う準備ができている」と語っただけだった。 一見対話の姿勢は見せているものの、中身をみれば、日本政府が、韓国側に責任を持って解決するよう求めていることには何も答えていない。むしろ、日本を激しく批判しない分、解決への熱意が乏しいようにさえ見えた。 その前日の14日は、国が定める記念日「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」だった。文大統領は記念式典に寄せた映像メッセージで「問題解決の最も重要な原則は被害者中心主義だ」と語ったが、日本に対する直接の批判や要求はなかった。 14日、15日の文大統領の演説やメッセージを聴く限り、ただでさえ低かった日韓関係に対する関心が、ほとんど消えかけているようだ。この姿勢は、一部の専門家には意外な動きと受け止められた。韓国の歴代政権は任期後半になって支持率が下がってくると、日本批判を展開して世論の関心を集めようとする傾向があるからだ』、「文在寅大統領」が「日本批判」に走らないのは確かに不思議だ。
・『与野党「支持率逆転」の衝撃  実際、文在寅大統領の支持率は下がり続けている。韓国ギャラップが14日に発表した支持率は、同社調査では2017年5月の就任以来最低値に並ぶ39%まで下がった。韓国の世論調査会社リアルメーターが13日に発表した世論調査でも、支持率43.3%と、不支持の52.5%から10ポイント近く水を空けられた。新型コロナ対策で成果を上げて、7割前後の支持率を誇った春先の勢いは全くない。 また、リアルメーターの調査は、日本の永田町にあたるソウル・汝矣島(ヨイド)に衝撃を与えた。調査によれば、韓国の政権与党、進歩系の「共に民主党」の支持率は33.4%。第1野党で保守系の「未来統合党」が36.5%で、ついに進歩系と保守系の支持率が逆転したからだ。 同社の週間世論調査で、保守系政党が支持率トップに立ったのは、朴槿恵(パク・クネ)政権が側近による専横疑惑で火だるまになり始めた2016年10月以来、3年10ヵ月ぶりの出来事だ。保守系政党はこの間、朴政権の崩壊を経て、全く反攻の機会を見いだせず、「市民の怒りが冷めることは当分ないだろう」というあきらめの声すら出ていた。それだけに、今回の支持率逆転が関係者に与えた衝撃は大きかった。 韓国の与党関係者は、政府与党の支持率急落について「原因は何と言っても不動産問題だろう」と語る。 韓国ギャラップの世論調査結果では、文大統領を支持しない理由として、不動産価格の高騰を挙げた人が33%にのぼり、6週連続で最も多かった。リアルメーターの調査では、支持率の下落幅は年齢別では30代(60%から43%)、地域別ではソウル(48%から35%)が大きかった。いずれも、マンションを買いたくても買えない世代、そして最もマンション不足が叫ばれている地域だ。それは、文在寅政権を支持する中心層でもある』、「不動産価格の高騰」が「支持率下落」の主因とは、政策ミスが背景にあるのだろう。
・『もう一生、家なんて買えない  韓国の市民団体「経済正義を実践する市民連合」が6月に公表した「ソウルの平均アパート(マンション)価格」は、9億2000万ウォン(約8200万円)。あくまで平均値で、高級住宅街のソウル南部・江南(カンナム)地域のマンションは2億円、3億円が当たり前という状況だ。この団体によれば、ソウルのマンションの平均価格は文在寅政権発足時の2017年5月時点の価格6億600万ウォン(約5400万円)から3億ウォン以上も値上がりした。 この問題が、文在寅政権を苦しめている。とりわけ不動産の高騰に反発しているのが若年層だ。若年層には元々、「弱者に寄り添う」という文政権の姿勢に共感した人が多かった。だが、最近3年間のマンション価格の値上がりは、自分たちがその間に稼いだ収入を大きく超えてしまっている。ソウルで働く若者たちは、「もう一生、家など買えない」と言って嘆き合っているという。 実際、リアルメーターの8月13日付調査結果によれば、文大統領の中心支持層のひとつだった20代の支持率は、5.7ポイント下落して34.6%。不支持の54.8%と20ポイント以上の差がついた。職業別では学生の支持率が19ポイントも落ちて27.8%。不支持はその2倍以上の57.9%に達した。 文在寅政権も、不動産問題を放置しているわけではない。2017年5月の政権発足以降、20回以上も対策を発表してきた。ただ、その対策が空回りしている。 文政権の不動産対策の中心は、投機を抑える規制策だ。韓国ではマンション価格が右肩上がりで上昇しているため、不動産投資は「個人が簡単にできる財テク手段のナンバー1」とされている。文政権は、マンションを投資の手段とすることを防ぐため、2戸以上マンションを所有する「多住宅者」と呼ばれる人々への課税強化と、マンション購入のためのローン貸与額の抑制などを進めてきた。韓国市民の間では、「マンションを1戸だけでも購入できたら、それを担保に次々とマンションを購入して稼ぐ」というやり方が流行っているのだ。 ただ、この政策が若者に嫌われた。昔は、自己資金が全体の1割もあれば、残りを職場ローンや銀行ローンでまかなってマンションを購入できた。しかし、今ではローンで補える額はマンション価格の半分にも満たないという。文政権の政策は、かえって自己資金に乏しい若者たちのマンション購入の道を閉ざす結果になった』、「不動産価格の高騰」は韓国だけでなく、主要先進国共通の現象だが、韓国の「高騰」ぶりは突出しているようだ。
・『中間・富裕層の支持離れ  これに対し、保守系野党は、マンションの供給量を増やす政策を主張している。ソウルの場合、全体の住宅供給率は100%を超えているが、韓国人が好む大規模な団地群を形成するアパート(マンション)の供給率は、需要の半分程度しかないとされるからだ。 ソウルには、すでにアパートを建てる土地がほとんど残っていない。一部には、米軍から返還された後に公園になる予定のソウル中心部・龍山(ヨンサン)基地の一部をマンション用地として提供すべきだという声がある。ソウル周辺のグリーンベルト(環境保全のための開発制限区域)を指定解除し、マンション用地に回す案も浮上している。 しかし、いずれも環境破壊を招くという声もあって、実現は簡単ではない。このため保守系野党の間では、国費を一部投入し、老朽化が目立つ江南地域の低層マンション群を取り壊して、高層マンションとして再生することを進める案が浮上しているという。 だが、文在寅政権と与党はこの政策には慎重な姿勢を崩さない。与党関係者は「江南地区は富裕層が多い。富裕層は不動産投機で大もうけしているのに、何でさらに助けてやらなければいけないんだ、という理念的な抵抗感があるからだ」と語る。実際、江南地区の低層マンション群には築30年以上といった物件も珍しくないが、うらぶれた外観とは裏腹に、内部に入ってみると、リモデリングして現代の高級マンションと遜色ない造りになっているケースが珍しくない。 ただ、普通に考えれば、やはり規制中心の与党の政策は分が悪い。また、江南地区は「江南左派」と呼ばれるインテリ左翼が多く住むことでも知られる。前回の大統領選挙では、朴槿恵政権の腐敗に絶望し、文在寅氏に投票した人々も少なくない。今回の不動産問題は、若年層に加え、文在寅政権を支持してくれた中間・富裕層の支持離れも引き起こしている』、「やはり規制中心の与党の政策は分が悪い」、政策ミスも影響しているようだ。
・『「与大野小」の状況で  では、今なぜ文在寅政権はこうした支持率の低下に直面しながら、歴代の政権が取ってきた「日本叩き」の姿勢を強めないのだろうか。 理由の一つは、文政権にとっての「日本叩き」は、日本の経済支援をバックに政権を維持してきた保守勢力を批判するための道具である、という事情がある。 文在寅政権は従来、対日関係を含む外交にほとんど関心の無い政権と言われてきた。関心があるのは、保守との政治闘争と南北関係だけだった。文在寅政権が日本を批判するのは、もっぱら「日本や米国の支持を背景に政権を維持してきた保守勢力」を批判する文脈で使われることが多かったのだ。 文大統領が2019年3月1日、日本統治下の朝鮮半島で1919年に起きた「3・1独立運動」から100年を記念したソウルでの式典で、「親日残滓の清算はあまりに長く先送りされた宿題だ」と語ったのがその典型だった。韓国でいう「親日」とは、日本の統治に積極的に協力した人たちを指す言葉だ。言葉だけ見れば、日本を批判しているように見えるが、実際は「保守叩き」に日本を使っていただけのことだった。 今回、支持率で保守系野党の後塵を拝したとはいえ、国会をみれば、4月の総選挙で与党は大勝しており、全議席の6割を占める「与大野小」の状況である。「共に民主党」には、野党に目配りする動機はまだ薄い。 韓国大統領府の盧英敏(ノ・ヨンミン)秘書室長らは8月7日、「政治責任を取る」として辞表を提出。文大統領は10日、大統領府の新たな政務首席秘書官に「共に民主党」の崔宰誠(チェ・ジェソン)前議員を指名するなど、首席秘書官3人の交代を決めた。これも韓国政界では、文政権は野党が眼中にないことの証拠だと受け止められている。政界関係筋の1人は「崔前議員は、政治的妥協よりも対決を好む政治スタイルで知られる。保守勢力と妥協する必要に迫られていたら、あり得ない人事だった」と語る』、議会での多数派確保で、「保守勢力と妥協する必要」はないのだろう。
・『任期末までの1年半をどう乗り切るか  文政権は今、支持率の繫ぎ留め策として、日本叩きカードは使わず、もっぱら人事を駆使したテコ入れを目指している。上述した大統領府人事や、韓国法務省が今月発表した検事長クラスの検察幹部26人の人事では、「湖南(ホナム)サラム=共に民主党の強固な地盤である半島西部の全羅道(チョルラド)出身者」が多く含まれているからだ。 新たな国家情報院長に就任した朴智元(パク・チウォン)前議員も、全羅道を根拠地とする政界の大物だ。別の韓国政界関係筋は、「湖南エリートたちは、文政権が完全に自分たちの味方だと信じている。政権末期に湖南と衝突して支持率が10%台まで落ちた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権のような失敗は繰り返さないだろう」と語る。 もちろん「今は、自分たちの勢力の立て直しで精いっぱいで、保守との対決など考えている余裕はない」と語る与党関係者もいるが、いずれにしても、文在寅大統領の頭の中には日本は入っていないというのが共通の見方のようだ。 2022年5月の、文在寅大統領の任期末まであと1年半。任期が残り1年を切ればレイムダックに陥るのが、韓国の歴代政権がたどってきた道だった。 日本製鉄(旧新日鉄住金)は今月、韓国司法が差し押さえた韓国内資産の現金化を阻止するための即時抗告を行ったが、それも年末ぐらいまでの時間稼ぎにとどまるだろう。現金化が実現し、日韓が報復合戦に踏み切るころ、文在寅政権はどうなっているのだろうか』、「文在寅大統領の任期末まであと1年半。任期が残り1年を切ればレイムダックに陥る」、残された期間は意外に短いようだ。

第二に、9月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元・在韓国特命全権大使の武藤正敏氏による「韓国文大統領は米韓同盟が邪魔なのか?「南北終戦宣言」を元駐韓大使が解説」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/249842
・『文在寅大統領が米国と相談なく国連演説で南北終戦宣言に言及  文在寅大統領は9月22日、テレビ会議形式で開かれた国連一般演説で、南北終戦宣言を提案した。 終戦宣言を提案したのは今回が初めてではなく、北朝鮮もいったんは合意していたが、南北関係が緊張すると、同宣言には見向きもしなくなった。これを再度よみがえらせようとするのが今回の演説であり、その関連部分は次の通り。 「今年は朝鮮戦争が勃発して70年になる年」であり、「もう朝鮮半島では戦争は完全に、そして永久的に収束されなければならない」「朝鮮半島の平和は北東アジアの平和を保障して世界秩序の変化に肯定的に作用するだろう」「その始まりが終息宣言だ」「国際社会の支持と協力が続けば朝鮮半島の非核化と恒久的平和が実現できると、変わりなく信じる」』、「終戦宣言を提案したのは今回が初めてではなく」、とは初めて知った。
・『終結宣言は米国と事前調整がない文在寅大統領の独り相撲  中央日報によれば、文大統領のこうした国連演説に対して、韓国政府筋は「文大統領の終戦宣言提案は(朝鮮戦争の休戦協定の当事者である米国と)事前の調整がなかった」と語ったようである。 同紙は社説で、「非核化に向かった有意義な措置がないまま終戦宣言を締結すれば、致命的な安保空白を招きかねない。終戦宣言を結べば、北朝鮮にとって在韓米軍の撤収を主張する名分になる。1950年の北朝鮮の侵略で韓国を守るため作られたのが国連司令部であるが、その存立の根拠もなくなる」として懸念を表明している。 米国の反応は厳しいものがある。 かつてホワイトハウス安全保障会議で補佐官を務めたマイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長は、「韓国大統領が国連で米国議会や政府の立場とこれほど一致しない演説をするのをほぼ見たことがない」「平和を宣布することで、そのように(朝鮮半島平和の実現)できるわけではない」と強い口調で批判した。 米国務省報道官は「我々は北朝鮮に対し、統一された対応を行うため緊密に調整している」として即答を避けた。逆説的にこれは文発言に対する不満の表明とも取れるものとみられている』、「終結宣言は米国と事前調整がない」、「米国」は苦々しく思っているのだろう。
・『韓国ペースで南北関係の実績を作り米国を動かすのが狙いか  米韓共同で北朝鮮に対処するというのがこれまで韓国政府のやり方であった。 しかし、文政権になってから、特に最近の動きを見ると、新しい方針を確定する前に米国の意向を尊重するよりも、韓国のペースでまず南北協力を進めて実績を作り、米国をこれに引きずり込む方針に徐々に転換しつつあるように思われる。 これは北朝鮮の非核化を優先し、それに応じて北朝鮮を支援していくという国際社会の方針とは一線を画すものであり、北朝鮮にいいとこ取りをさせかねない危険な行動である。 しかし、韓国の行動がこれまで実を結ばなかったのは、北朝鮮が韓国に対し反発しているからである。北朝鮮が韓国の提案を受け入れるようになれば、朝鮮半島の構図が大きく変わりかねない危険性をはらんでいる。 文大統領にとって終戦宣言は、2017年7月のベルリン宣言など、朝鮮半島の平和プロセスの出発点だ。2018年4月の第1回南北首脳会談で「停戦協定65周年となる今年、終戦を宣言して停戦協定を平和協定に切り替えることを積極的に推進したい」と合意した。 しかし、米国は北朝鮮の核申告を終戦宣言の条件に掲げたため、こうした試みは失敗に終わっている。 韓国は今回、米国との協議なく、非核化の条件のない終戦宣言を提案したという訳である。魏聖洛(ウィ・ソンナク)元朝鮮半島平和交渉本部長は、「これを本当に推進しようとすれば、条件付きに変えられないよう事前に米国を説得すべきだった」と述べたが、こうした調整なしに動くのが文政権のやり方でもある』、「韓国の行動がこれまで実を結ばなかったのは、北朝鮮が韓国に対し反発しているからである。北朝鮮が韓国の提案を受け入れるようになれば、朝鮮半島の構図が大きく変わりかねない危険性をはらんでいる」、恐ろしいことだ。「こうした調整なしに動くのが文政権のやり方でもある」、困ったものだ。
・『文在寅大統領の南北関係閣僚人事は単独でも「協力実行の決意」の表れ  李仁栄(イ・イニョン)統一相は7日、統一省主催の「朝鮮半島国際平和フォーラムで挨拶し、「南北は互恵的な協力を通じて一つの共同体として生きられる可能性を示すことになるだろう」とし、「朝鮮半島平和プロセスの進展と非核化を巡る朝米対話の大きな流れも引き寄せることができると信じている」と語った。 李統一相は「『小さな企画』を通じて人道協力と交流協力を再開し、再び南北対話を始め、約束したものを一つずつ履行していきたい」「これが保健医療、共同防疫、気候環境などの生活の問題から共生と平和の窓口を見いだせる実質的な協力になる」との認識を表明した。 さらに「南北が主導して国際社会と協力し、完全かつ検証可能で不可逆的な平和時代を切り開かなければならない」と述べた。 これは、対北朝鮮政策を米国と調整しながら進めるよりもまず南北で進め、これに米国も引きずり込むことを念頭に置いた発言であろう。 李統一相は16日、板門店を訪問し、「2017年、朝鮮半島で戦争が取り沙汰された一触即発の状況に比べると、今は軍事的緊張が緩和し、国民が平和を体感できる状況になった」「南北首脳の歴史的決断は高く評価されるべきだ」「軍事的な対立を防ぐ装置として平壌共同宣言と南北軍事合意が重要な機能を果たした」と述べた。  李統一相は、最近の北朝鮮による反発は、韓国がこの合意に基づく協力をないがしろにしているとの不満があるとみている。その元凶となっているのが、南北間の協力問題を扱う米韓ワーキンググループであり、この協議体をバイパスして北朝鮮と協力していこうと模索している。これが平壌共同宣言に戻る道であり、従って、李統一相の言動は文在寅大統領の意向を反映したものでもあろう。 文在寅大統領は、北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破した後、7月3日に外交安保チームを再編したが、そこで任命された統一相長官、国家情報院長、国家安全保障室長、外交安保特別補佐官は、いずれも北朝鮮と親しい活動をしてきた人々である。 こうした閣僚等を従え文政権が目指すのは一層北朝鮮に寄り添った姿勢であり、金正恩氏へのご機嫌取り政策になるだろう』、「文政権が目指すのは一層北朝鮮に寄り添った姿勢であり、金正恩氏へのご機嫌取り政策になるだろう」、やれやれだ。
・『文在寅大統領はなぜ今終戦宣言が必要なのか  19日は、文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が平壌で首脳会談を行い「平壌共同宣言」に署名してから丸2年となる記念日である。 しかし、当時の南北融和ムードはすっかり消え、文大統領は停滞する南北関係の再活性化に焦っている。 文大統領の任期は残り2年を切った。また、米朝首脳会談に応じたトランプ大統領は11月に大統領選挙を控え、今後の米朝会談にも不透明感が漂っている。 そこで、文大統領は新しい閣僚と共に、南北関係改善の最後のカードを切ったのではないだろうか』、「停滞する南北関係の再活性化に焦っている」、焦ってやる場合には、上手くいかないのが通例だが、この場合はどうなるのだろう。
・『北朝鮮への協力は保健など人道分野から  国連の一般討論演説で、文大統領は「ポストコロナの朝鮮半島問題も、包容性を強化した国際協力の観点から考えることを期待する」と述べた。 その中で防疫協力体関連部分は、「さまざまな国が共に生命を守り安全を保障する協力体は、北朝鮮が国際社会との多者間協力で安保を保証される土台となるだろう」と強調した。 韓国の情報機関・国家情報院のシンクタンク、国家安保戦略研究院は17日の報告書で、北朝鮮経済について、制裁、新型コロナウイルス、水害の三重苦により防疫・産業・財政・市場が同時に崩壊または混乱に陥る「パーフェクトストーム(未曽有の大嵐)」に至る可能性が高まっているとの見方を示した。 そのため、人道的危機が安全保障の危機へとつながらないよう大規模な支援プログラムを速やかに実施する必要があるとした。また、人道支援のための物資輸送、金融取引などについては一時的に制裁の猶予を検討する必要があると指摘した。 本来こうした提案は北朝鮮にとってありがたいはずである。しかし、北朝鮮がこれに応じる可能性はそれほど高くないだろう。北朝鮮は何度も談話を通じて文在寅政権に露骨な非難を繰り返しているばかりでなく、南北協力の象徴である、開城の共同連絡事務所を爆破している。 北朝鮮の立場からすれば、そもそも北朝鮮の苦境は経済制裁からきており、保健分野の協力は末梢的な分野であって、これだけでは喜べないということであろう。 ただ、最近明らかになった南北首脳の親書の交換や、韓国人射殺と焼却の意図や金正恩氏が何を考えているのかはもう少し分析してみる必要はあるかもしれない。 また、文政権の提案は周辺国との調整も行っておらず、周辺各国の協力も見通せない。北朝鮮が非核化に前向きな姿勢を示さない限り、しかも北朝鮮が保健分野への協力に積極的姿勢を見せない限り、これに協力する国はほとんど見当たらないのではないか。 この提案は文在寅大統領の独り相撲で終わるのか。北朝鮮の対応によって文政権は追い詰められている。これを打開するため、ますます北朝鮮にすり寄っていくのだろうか。米国の意向を無視し、北朝鮮の歓心を買おうとすれば、北朝鮮に対する制裁のなし崩し的な違反になることが懸念される。 いずれにせよ、文在寅政権の対北朝鮮政策は北朝鮮の非核化への障害とならないよう望みたいものである』、同感である。
・『日米韓防衛相会談に韓国国防相が姿を見せなかった訳  今年の春ごろまで、日米韓防衛相会談に積極的だったのは韓国だそうである。5月ごろから日米両国に働きかけていたという。 米国も東シナ海、南シナ海で中国の活動が活発になったほか、香港の民主化問題、新型コロナウイルスの中国からの拡散問題、中国の技術覇権挑戦問題などで米中の対立が激しくなったことから、この動きを歓迎して調整を進めていた。そこに新型コロナウイルスの影響で人的往来が制限されたことから調整が難航していた。 そうした中、米国は8月29日にグアムで会談することを提案したが、韓国は鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相の参加は困難だと回答してきた。8月に韓国で米韓合同軍事演習が行われること、国防相交代の人事が行われることが理由である。 しかし、米韓合同軍事演習は前日の28日までだし、国防相が必ずしも韓国にいる必要はない。また、文大統領は28日に後任の国防相を指名したが、鄭国防相は国会の聴聞会が終わるまで現職である。 韓国が防衛相会談に不参加を表明したのは、南北共同連絡事務所を破壊した北朝鮮を刺激したくなかったことと米中間でうまく立ち回りたい文政権の意向が反映されているとの見方が強い。 こうした中、米国は日程の再調整は行わず、日米だけで会談を行うことに踏み切った。これまで日米韓が連携して北朝鮮問題に立ち向かってきたにもかかわらず、この重要な局面で日米韓防衛相会談を欠席することの重要性を理解しているのか。 また、米中対立で、欧州、オーストラリアも中国との距離を置こうとしている中、米中の間でうまく立ち回るというのは何を意味するのか文政権は理解しているのであろうか。米国が重視するインド太平洋戦略の中で韓国の影は薄くなるばかりである』、「日米韓防衛相会談」に「韓国」が参加しなかったというのは、象徴的だ。「インド太平洋戦略」はもともと「中国」封じ込めのためのもので、韓国は消極的だ。
・『韓国は米国とは距離を置き同盟関係を置き去りにする  文政権は米国が韓国抜きで日米だけの防衛相会談に踏み切った意味を改めて考える必要がある。 韓国の李秀赫(イ・スヒョク)駐米大使は「今や韓国は米中の間で選択を強要されるのではなく、選択できる国」と発言したそうである。 この発言を米国はどう受け止めたであろうか。米国が韓国に対し中国との関係で厳しい要求を突き付けてくれば「中国を選択する余地もある」との趣旨に聞こえたのではないだろうか。 また、韓米同盟がいつの間にか南北関係改善の足かせのような扱いを受けるようになってきている。文政権は、自由民主主義という価値を共有してきた米国と離れ、中国や北朝鮮にすり寄っている。米韓同盟は韓国の安全保障の基盤であることを今一度かみしめる必要があるだろう』、同感である。

第三に、10月30日付けJBPressが掲載した先の記事と同じ武藤 正敏氏による「WTO事務局長選で劣勢の韓国「日本がネガキャン」 次々と毀損していく国益、韓国に回ってきた反日政策の「ツケ」」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62711
・『EU27カ国がWTO事務局長選挙で、韓国の兪明希(ユ・ミョンヒ)産業通商資源部通商交渉本部長ではなく、ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ元財務相を支持することで合意したとの報道が流れている。 これに関し韓国では、「選挙終盤に日本が韓国に対する『ネガティブキャンペーン(落選運動)』に乗り出し、形成が不利になってきている」との憶測が出ている。そして外交関係者の間では「(韓国)政府が韓日関係を管理さえしていれば、このような状況にはならなかっただろう」という声が上がっているそうである。 韓国は、日本に関することとなると過剰なまでに反応する。日本と韓国の国力の格差があった頃は、日本人はまだ韓国の言動を大目に見る傾向にあったが、今は日本人がこうした韓国の反応に忍耐力をなくしている。そうした要因が相まって日韓関係は過去にないほど険悪になっている。 そこに加えて、韓国は「菅政権になってからの日本の対韓姿勢も冷めたものとなっている」と受け止めている。そのため韓国の反日的行動はますます強まるだろうし、そのことは日本からの反発を招くことになる。いったい韓国は、日韓関係をどこまで悪くするつもりなのだろうか』、「菅政権」の冷淡な姿勢にも問題があると思う。
・『菅総理の所信表明で韓国への言及はわずか2行  韓国の「中央日報」は、10月26日に行われた菅義偉総理の所信表明演説について、「初めて国会演説をした菅首相、安倍氏よりもひどかった・・・韓国への言及はたったの2行」と題する記事を掲載している。その記事では「韓国は極めて重要な隣国」「健全な日韓関係に戻すべく、わが国の一貫した立場に基づいて、適切な対応を強く求めていく」と述べたと紹介している。 この発言に関し中央日報は、「『適切な対応は』は、韓国が司法府の賠償判決を覆すか、これに準ずる前向きな態度を先制的に見せるべきという意味だ」、「韓国の態度変化を『強く求める』ということだ」と解説している。その指摘は、実に的を射ていると評するべきだろう。 さらに同紙は、韓国関係部分は「外交安保領域の最後で、たった2行」で触れたのみであり、「『極めて重要な隣国』と韓国を表現したことも、安倍前首相が今年1月の国会演説で韓国を『基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国』と表現したことに比べると、むしろ後退したという評価だ」としている。 そして、この演説を巡り、「韓日関係は安倍政権時よりも悪化するのではないかという予想も出てきた」と論評したばかりか、時事通信によって、菅政権は「全体として同国(=韓国)に冷淡な印象となった」と伝えられた事実にも触れている。 所信表明演説における菅総理の言葉は、簡潔に日韓関係の本質を表していると思う。 「韓国は極めて重要な隣国」である。だからこれまで日韓関係が悪化した時には、これをこじれないように修復するため、日本は相当な譲歩を重ねてきたのである。しかし、今回の問題は、日韓請求権協定で合意した取り決めを韓国が一方的に覆し、国際法に違反する状態を作ったことに原因がある。これを修復するためには、韓国が適切な措置をとる以外にない。 これまで韓国側から様々な解決案を提示されてきたが、一度として日本側が受け入れ可能な案は提示されて来なかった。この問題の解決策となり得るのは、韓国が国際法違反の状況をいかに解決するかであり、韓国側が適切な措置をとることである。これは問題の本質である。 中央日報は、日本側の立場を適切に分析しているが、「国際法違反の状態を是正する適切な措置をとるべき」とまでは論じていない。おそらく、そのような立場をとれば国内で「親日」とのバッシングを受けることになるから、そこまで踏み込むことは不可能なのであろう。それでも、菅演説から日本側の立場を理解した解説を載せたことは、一歩前進なのかもしれない。 ただ、それにしても日韓関係の一層の悪化を予言し、その責任を菅総理の立場に押し付けるのは妥当ではない。関係悪化は、文在寅政権が元徴用工の問題で請求権協定に反する行動を取ったからである。韓国の一方的な論理で反日的態度をとり、それを当然視するツケが回ってきたということである』、「今回の問題は、日韓請求権協定で合意した取り決めを・・・」といった考え方の部分は、「所信表明」のなかでも簡単に触れるべきだったと思う。あえて「韓国への言及はわずか2行」と冷淡にするのも分からないでもないが、言うべきことはハッキリ言っておくことが必要なのではなかろうか。
・『菅政権にとり文在寅政権は優先度が低い相手  中央日報はまた、菅総理の就任直後、「韓国が菅義偉首相との電話会談を真っ先に提案したが、日本政府が意図的に韓国の順序を後回しにしたという主張が出てきた」と報じている。さらに産経新聞の報道を受ける形で、「日本政府が文大統領との電話会談の順序を後回しにしたことには、菅首相の意向もあった」と伝えている。 ある国で新たな大統領や首相が誕生した場合、多くの場合、新たに就任した方から国交の深い国の指導者に会談を申し入れるものである。それが国際儀礼に従ったやり方であろう。しかし今回の日韓首脳電話会談について、日本から申し入れではなく、韓国から申し入れて実現したということになると、日本側が文在寅氏との電話会談に熱心でなかった、と解釈されてもやむを得まい。 もちろん日韓が価値観を共有し、東アジアの安全保障に協力していく国であれば、真っ先に電話会談を行っていたであろう。しかし、今の韓国は米韓同盟からも徐々に遠ざかり、日本に対しては、日韓請求権協定に違反し日韓関係の基本を踏みにじっている。そればかりか、日本について一方的な決めつけで悪者にし、非難を繰り返している。日本から見て、このような韓国とは協力の優先順位が下がるのは当然であろう。 韓国は、日本を悪者扱いすることが多い。しかし、日本も韓国もそれぞれ独立した外国である。歴史問題を持ち出していつまでも日本非難、反日を繰り返していれば日本人の気持ちは韓国から離れていかざるを得ない。いつまでも非難を繰り返す国と友好関係を結んだ国の例はついぞ聞いたことがない。 いつまでも日本が譲歩することを前提とした日本非難・反日を繰り返すことは、韓国の国益を損なうものである。それは、WTO事務局長選でも、後述する日中韓サミットを巡る問題でも見て取れるだろう』、「菅政権にとり文在寅政権は優先度が低い相手」、は当然としても、「日本政府が意図的に韓国の順序を後回しにした」、というのはやり過ぎなのではなかろうか。
・『開催危ぶまれる韓国で予定の日中韓サミット  10月29日に滝崎成樹アジア大洋州局長が韓国を訪問し、局長級会談が開かれると報じられている。日本は元朝鮮半島出身労働者(元徴用工)に関連し、韓国が日本企業の資産売却を行わないことを約束しなければ、韓国が求めている日中韓首脳会談のための菅総理の韓国訪問はないと韓国側に伝えているといわれる。 NHKは、滝崎局長は今回の会談において「(徴用工問題)で韓国が適切な対応を取らなければ、菅総理は訪問に応じられないとする立場を伝えるものとみられる」と報じている。 韓国が適切な措置を取らなければ総理の訪韓がないのは、最悪の事態を避ける意味でも妥当なことである。なぜなら、今の韓国であれば、総理の訪韓後に日本企業の資産を現金化しかねないからだ。韓国は菅総理が訪韓すれば、「日本が韓国に対し極端な対応をやめ、譲歩してきた」と受け止めかねない国である。その機をうかがって資産の現金化をやりかねない。 もちろん、そんな事態になれば日本国民から猛烈な反発が起こるのは必至だ。そして菅総理に対しても強い批判が沸き上がるだろう。日本による対韓報復措置はより厳しいものにならざるを得ない。 菅総理が韓国を訪問するときには日韓関係を改善させることが求められる。しかし、資産の現金化が行われれば、それは逆効果であり、日韓関係にとって最も悪いシナリオとなってしまう。そのリスクを考えれば、「資産の現金化をしない」との確約なしに菅総理が韓国を訪問するのはあり得ない選択となる。 ところが韓国の反日行動は、自制が効かず、感情に任せてやることが多い。「日本はかつて韓国を併合し、韓国に迷惑をかけたのであるから、多少のことであれば許される」と思い込んでいるように思われる。あるいは、中国や北朝鮮に対して我慢している不満を、日本にぶつけてうっぷんを晴らしているのではないかとさえ思われる。 実際には、韓国は日本と協力することで、これまで国連での活動の場を広げ、国際的なプレゼンスも高めてきた。なのに、現在のような反日行動を続けていたら、今後の韓国の外交力をどうなるのであろうかと心配になるほどだ』、「外交力」では「韓国」は「日本」を大きく上回っているのではなかろうか。批判を受けつつも国連事務総長職をこなしたのは大したものだ。慰安婦問題を米国の自治体に売り込み、効果を上げたのも記憶に新しいところだ。
・『WTO事務局長選で文在寅大統領が各国に異例の支援要請  そこで改めて考えたいのが、WTOの事務局長選である。 文在寅大統領は、この4カ月の間に、14回の電話会談、73カ国への親書で、韓国の兪明希・産業通商資源部通商交渉本部長への支持を要請した。首脳会談が行われる機会に自国から国際機関の長への立候補している人物への支持を要請するのは一般的に行われていることだが、それだけのために電話や親書の発出を行うという異例な熱の入れようだ。 選挙の序盤において劣勢だった兪明希氏は、青瓦台の全面的支援に支えられ、最終決戦に進出した。ところが、選挙戦の終盤になり再び劣勢が伝えられている。「朝鮮日報」によれば、「WTOで影響力が強い日本が最近になって『兪明希反対運動』を展開、雰囲気が変わったと伝えられている」のだという。 同紙はこれまでの取材を総合し、「日本はオコンジョイウェアラ氏についても親中性向を持っており、必ずしも好ましいと思っていない」としている。 「菅内閣は、兪明希氏が次期WTO事務局長になることは日本の世論と国益に良くないと判断したとみられる。兪明希氏は、徴用賠償判決に対する報復措置として日本が昨年、輸出規制を実施すると、これをWTOに提訴する責任者となった。このため、同氏がWTOのトップになることを容認してはならない、という論理だ。兪明希氏が当選すれば、輸出規制訴訟はもちろん、ほかの紛争解決手続きでも日本が不利な状況に置かれる可能性があるとの判断も作用したという」 「日本の外務省は今回のWTO事務局長選挙戦で重要な変数になるヨーロッパや中南米、アジア諸国に対して、兪明希氏を支持しないでほしいと要請していたことが分かった」 さらに朝鮮日報は別の記事で、日本の立場が「今回のEUの支持候補決定にも一部影響を及ぼしたとの分析がある」と伝えている。あくまで兪氏の劣勢は、日本によるネガティブキャンペーンのせいだとしたいようだ。しかし、FTやブルームバーグの報道によれば、EUがオコンジョイウェアラ氏を支持するのはアフリカとの関係強化を希望し、彼女が幅広い経験を持っているためである、という理由のようだ。 ことほど左様に、韓国では日本の影響力を過大評価する傾向にあり、また日本に対しては性善説ではなく性悪説で見る傾向がある。それが、朝鮮日報と外信の見方の違いに表れているのだろう。) では、日本のメディアはどう報じているのか。共同通信は、日本はオコンジョイウェアラ氏支持を決定した、と報じているが、実際にはどの国でも、公式的には国際機関の投票態度は外交上の理由から明らかにされていない。また、日本から候補者が出ているのならばともかく、韓国候補の落選運動を積極的にやっているかについては疑問だ』、「あくまで兪氏の劣勢は、日本によるネガティブキャンペーンのせいだとしたいようだ」、外交力がない日本にそんな芸当が出来るとは到底思えないが、事情の分からない韓国国内向けなので、しょうがない。
・『「大々的な反日・不買運動のツケが来た」  いずれにせよ、WTO事務局長選挙は164カ国の支持率調査を経たのち、この結果に基づき合意を導き出す方式だ。事務局長は加盟国による全会一致で決定されるため、支持率の高い候補が必ずしも当選するわけではないが、一人の候補が圧倒的な支持を集めた場合には、WTOは支持率の低い候補に辞退を勧告することができる。 実際、10月29日付の中央日報に寄れば、「局長選出過程を主管しているデービッド・ウォーカーWTO一般理事会議長は28日夜、兪氏に『ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏が選好度調査で多くの得票があり、オコンジョイウェアラ氏を推戴することにした』と公式通知した」という。これが事実上の辞退勧告だ。 だが、兪氏の劣勢が明らかになっても、韓国は最後まであきらめず、アメリカなどの支持を取り付けて逆転勝利を狙う構えを崩さない方針のようだ。 国内で支持率が下落している文在寅大統領にとって、WTO事務局長選挙で日本を押しのけての勝利という実績は、支持率回復のためにも是が非でもほしいものだ。一方で元外交部の幹部は朝鮮日報に対して「予想に反して(兪明希氏を)最終投票まで進出させたのは鼓舞的だが、日本のヴィートー(veto=拒否)で当選できなければ、対日外交責任論が浮上するだろう」と述べている。 政府周辺でも「昨年、与党が大々的な反日・不買運動の先頭に立ったのが痛い」との声も上がっているそうである。 このため、兪氏が落選した場合には、しばらく小康状態だった政府の対日強硬路線が復活するだろうとの見通しも伝えている。 だが29日の報道によれば、WTOのメンバー国164カ国のうち、104カ国がオコンジョイウェアラ氏を支持を表明しており、60カ国の支持にとどまる兪氏が逆転するのは極めて難しいと言える。 今韓国は、福島第一原発の汚染処理水の海洋放出についても激しく日本に食って掛かっている。東日本大震災の後の2011年5月、日中韓首脳会談を日本で開催したが、その際、当時の韓国の李明博大統領は、日本の要請に快諾し福島視察を受け入れてくれた。そればかりか、福島での農産物の試食にも応じてくれた。この時、中国の温家宝首相(当時)は消極的であったが、李大統領にならいしぶしぶ応じてくれた。その後、竹島に上陸するなど、反日的な姿勢を急速に強めていった李明博大統領も、この頃までは日本と協力関係を作り上げていこうという態度で接してくれていた。 日本に対し理性的に接してくれる韓国であれば、日本の対応は全く違ったものになるだろう。しかし現在の韓国は、日本に対して感情的、非理性的な態度が過ぎる。日本を性悪説ではなく客観的に、現実的に判断してくれる韓国となることを願っている。それが韓国にとっても国益につながるものである』、同感である。
タグ:韓国 ダイヤモンド・オンライン JBPRESS 現代ビジネス 武藤正敏 武藤 正敏 (文在寅大統領) (その6)(韓国・文在寅大統領、支持率急降下でも「日本叩き」に走らない理由、韓国文大統領は米韓同盟が邪魔なのか?「南北終戦宣言」を元駐韓大使が解説、WTO事務局長選で劣勢の韓国「日本がネガキャン」 次々と毀損していく国益 韓国に回ってきた反日政策の「ツケ」) 「韓国・文在寅大統領、支持率急降下でも「日本叩き」に走らない理由」 意外にも「日本批判」を展開せず 与野党「支持率逆転」の衝撃 「不動産価格の高騰」が「支持率下落」の主因 もう一生、家なんて買えない 中間・富裕層の支持離れ やはり規制中心の与党の政策は分が悪い 「与大野小」の状況で 任期末までの1年半をどう乗り切るか 文在寅大統領の任期末まであと1年半。任期が残り1年を切ればレイムダックに陥る 「韓国文大統領は米韓同盟が邪魔なのか?「南北終戦宣言」を元駐韓大使が解説」 文在寅大統領が米国と相談なく国連演説で南北終戦宣言に言及 終戦宣言を提案したのは今回が初めてではなく 終結宣言は米国と事前調整がない文在寅大統領の独り相撲 終結宣言は米国と事前調整がない 韓国ペースで南北関係の実績を作り米国を動かすのが狙いか 韓国の行動がこれまで実を結ばなかったのは、北朝鮮が韓国に対し反発しているからである。北朝鮮が韓国の提案を受け入れるようになれば、朝鮮半島の構図が大きく変わりかねない危険性をはらんでいる こうした調整なしに動くのが文政権のやり方でもある 文在寅大統領の南北関係閣僚人事は単独でも「協力実行の決意」の表れ 文政権が目指すのは一層北朝鮮に寄り添った姿勢であり、金正恩氏へのご機嫌取り政策になるだろう 文在寅大統領はなぜ今終戦宣言が必要なのか 停滞する南北関係の再活性化に焦っている 北朝鮮への協力は保健など人道分野から 日米韓防衛相会談に韓国国防相が姿を見せなかった訳 「日米韓防衛相会談」に「韓国」が参加しなかったというのは、象徴的だ 韓国は米国とは距離を置き同盟関係を置き去りにする 「WTO事務局長選で劣勢の韓国「日本がネガキャン」 次々と毀損していく国益、韓国に回ってきた反日政策の「ツケ」」 菅総理の所信表明で韓国への言及はわずか2行 菅政権にとり文在寅政権は優先度が低い相手 日本政府が意図的に韓国の順序を後回しにした 開催危ぶまれる韓国で予定の日中韓サミット 「外交力」では「韓国」は「日本」を大きく上回っているのではなかろうか WTO事務局長選で文在寅大統領が各国に異例の支援要請 「大々的な反日・不買運動のツケが来た」 現在の韓国は、日本に対して感情的、非理性的な態度が過ぎる。日本を性悪説ではなく客観的に、現実的に判断してくれる韓国となることを願っている。それが韓国にとっても国益につながるものである
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