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イスラエル・パレスチナ(その8)(3000人以上を殺傷したヒズボラへの「ポケベル爆弾攻撃」がヤバすぎる!一斉に鳴り出し 5秒後に突然爆発...イスラエルが見せつけた「驚きの手口」、問題の源流を読み解く、イスラエルの「最も危険な男」を誰が止めるのか 見捨てられないアメリカを無視するネタニヤフ首相) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、本年9月22日に取上げた。今日は、(その8)(3000人以上を殺傷したヒズボラへの「ポケベル爆弾攻撃」がヤバすぎる!一斉に鳴り出し 5秒後に突然爆発...イスラエルが見せつけた「驚きの手口」、イスラエルの「最も危険な男」を誰が止めるのか 見捨てられないアメリカを無視するネタニヤフ首相)である。

先ずは、本年10月1日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の朝香 豊氏による「3000人以上を殺傷したヒズボラへの「ポケベル爆弾攻撃」がヤバすぎる!一斉に鳴り出し、5秒後に突然爆発...イスラエルが見せつけた「驚きの手口」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/138352
・『ポケベル、トランシーバーの爆発  中東のレバノンで、イスラム教シーア派組織ヒズボラのメンバーらが所持していたポケベルやトランシーバーが次々と爆発し、周辺にいた人たちを含め多数の死傷者が出るという事件が起こった。 その後もイスラエルはヒズボラへの攻撃の手を緩めず、9月23日にはレバノン各地で1600カ所を標的にした大規模な空爆を実施し、9月27日にはヒズボラの本部の空爆も行った。 こうした事態を受けて、中東で全面戦争が起こるかもしれないとの懸念が広がっている。 しかし恐らくそういう事態に発展することはなく、イスラエルの一方的な勝利で終わると見るのが妥当だと私は考えている。 イスラエルが強気でヒズボラ攻勢を強めているのは、その自信がイスラエルにはあるからだ』、「ヒズボラのメンバーらが所持していたポケベルやトランシーバーが次々と爆発し、周辺にいた人たちを含め多数の死傷者が出る」、「イスラエル」の諜報機関の鮮やかな手口だ。
・『2回の爆発で37人の死者  ところで、ヒズボラが通信手段としてポケベルとかトランシーバーを使っていたと聞いて、随分とローテクなものを使っているんだなと、不思議に思った人もいるだろう。スマホを使った方がずっと便利じゃないかといえばそのとおりだが、スマホに頼るわけにはいかない事情がある。スマホだと電源をいれれば、位置を簡単に特定できてしまう上に、通信内容も傍受されやすいからだ。 こうしたことを避けるために、あえて一昔前のローテクなものを使うようにしたわけだ。 爆発の1回目は2024年9月17日で、ヒズボラのメンバーらが持っていたポケベルがメッセージを受信して一斉に鳴り出し、その5秒後に突然爆発した。5秒というのは、ポケベルが鳴って通信内容を確認しようとして顔に近づける時間を計算に入れ、「最大効果」を発揮するのがこのタイミングだと考えたからのようだ。 これにより、12人が死亡し約2700人が負傷したと報じられた。中には、鳴り出した卓上のポケベルを取って父親に渡そうとした9歳の女の子が爆発で死亡したケースもあったようだ。 爆発の2回目は翌9月18日で、今度は無線で会話ができるトランシーバーが爆発し、20人が死亡、約450人が負傷したと報じられた。 その後両爆発での死者は合わせて37人に達した模様だ』、「スマホだと電源をいれれば、位置を簡単に特定できてしまう上に、通信内容も傍受されやすいからだ。 こうしたことを避けるために、あえて一昔前のローテクなものを使うようにしたわけだ・・・メッセージを受信して一斉に鳴り出し、その5秒後に突然爆発した。5秒というのは、ポケベルが鳴って通信内容を確認しようとして顔に近づける時間を計算に入れ、「最大効果」を発揮するのがこのタイミングだと考えたからのようだ。 これにより、12人が死亡し約2700人が負傷したと報じられた」、なるほど。
・『イスラエルの様々な手口  ポケベルは台湾のメーカーのもの、トランシーバーは日本のメーカーのものだが、台湾のメーカーも日本のメーカーも爆発には無関係だと主張している。 流通段階のどこかでマルウェアと爆発物が仕掛けられ、マルウェアに信号が送られたと見られている。マルウェアだけでリチウムイオンバッテリーを暴走させたという説もある。 どちらにせよ、仕掛けを行ったのは、報道されているとおり、イスラエルであるのは間違いないだろう。 多数の通信機器を同時に爆破させるには、高度な技術力が必要だ。これを持っていて、現在ヒズボラ攻撃を行おうとするのはイスラエルしかない。 また過去にもイスラエルは敵対勢力に物品を送って、これによる殺害をたびたび実行してきたと見られている。 例えば、様々なテロ事件を引き起こした日本赤軍を暖かく迎えたことで知られるパレスチナ解放人民戦線(PFLP)の指導者のワディ・ハダドは、イスラエル側が仕掛けた毒入り歯磨きを毎日使用する中で、体内に毒物がどんどん溜まっていき、それが原因で1978年に亡き者にされたと言われている。 普段使っている歯磨き粉の銘柄と見た目は全く同じ毒入り歯磨き粉を用意し、タイミングを見計らってすり替えたのではないかという。 またイスラエルの諜報機関のシン・ベト(イスラエル総保安庁)は、1996年に携帯電話を起爆させて、ハマスの幹部であるヤヒヤ・アヤシュを殺害している。アヤシュが携帯電話で通話中であることを確認して、そのタイミングで携帯電話を爆破した。 アヤシュはハマスの爆弾製造の専門家で、ハマスの行う自爆テロの手法を発展させた人物であり、イスラエルにとっては最大級の危険人物だった。 こうした過去の手口との類似から、今回についてもイスラエルが行った可能性は高いとされる。 そもそもイスラエルがやったことが当然疑われるこの攻撃について、イスラエルは否定も肯定もしない立場を貫いている。当然疑われるのに否定していない以上、イスラエルがやったとみなしてよいのではないか』、「イスラエルの諜報機関のシン・ベト(イスラエル総保安庁)は、1996年に携帯電話を起爆させて、ハマスの幹部であるヤヒヤ・アヤシュを殺害している。アヤシュが携帯電話で通話中であることを確認して、そのタイミングで携帯電話を爆破した。 アヤシュはハマスの爆弾製造の専門家で、ハマスの行う自爆テロの手法を発展させた人物であり、イスラエルにとっては最大級の危険人物だった」、「爆弾製造の専門家」が「イスラエルの諜報機関」が仕掛けた「携帯電話」「爆弾」で殺害されたとは皮肉だ。
・『イラン、ヒズボラ、ハマスに報復は無理  さて、ヒズボラはイスラエルと敵対しているハマスを支援しており、今回のイスラエルによるガザ地区への攻撃に対して強く反発し、イスラエルにロケット攻撃をたびたび仕掛けてきていた。 ハマスとヒズボラの背後にはイランが控えていて、イランからの様々な援助を受けて、ハマスとヒズボラは活動を続けてきた。 イスラエルはイランが賓客として招いたハマス最高幹部のイスマイル・ハニヤ政治局長を、イラン滞在中に亡き者にし、イランのメンツを丸つぶれにした。これにより、イランの現体制に不満を持ち、イスラエルに協力する国内勢力がイラン国内にいることが露呈した。イランはまた、イスラエルの高度な技術力・諜報力に驚愕したのも間違いない。口先ではイスラエルへの報復を誓いながらも、イランはその後イスラエルに対して何もできない状態が続いてきた。 この状況に安心したイスラエルは、ヒズボラを徹底的に叩く動きに出たと見ればいい。いくらヒズボラを叩いても、イランが出てくる心配は事実上ないだろう。 ヒズボラの最高指導者のナスララ師は、「敵は超えてはならない一線をすべて超えた」として、イスラエルに対する報復を宣言したが、私はイラン同様に、大したことは何もできないのではないかと見ている』、「イスラエルはイランが賓客として招いたハマス最高幹部のイスマイル・ハニヤ政治局長を、イラン滞在中に亡き者にし、イランのメンツを丸つぶれにした・・・イランはその後イスラエルに対して何もできない状態が続いてきた。 この状況に安心したイスラエルは、ヒズボラを徹底的に叩く動きに出たと見ればいい。いくらヒズボラを叩いても、イランが出てくる心配は事実上ないだろう」。なるほど。
・『ヒズボラ内部で幹部への不信高まる  そもそもヒズボラは、今回のイスラエルのものと見られる通信機器への攻撃で、多くの幹部級の戦闘員が亡くなったり怪我を負ったりしている状態だ。ヒズボラの戦闘力は大きく低下したはずだ。 また、通信機器を使うことへの恐怖心をヒズボラのメンバーに与え、戦闘員同士の通信に大きな支障が出たのも間違いない。仮に今後新たにポケベルが支給されようとしても、戦闘員たちは素直に受け取れないだろう。今度はマルウェアが仕込まれていないという絶対的な保証などないからだ。通信手段が確保できなければ、ヒズボラからイスラエルへの本格的な報復は事実上できなくなったと見ればいいだろう。 さらに、イスラエルが仕込みをやった通信機器を、それとは知らず戦闘員たちに配布していたヒズボラの幹部たちへの不信感も、当然大きく高まっているはずだ。 そもそも、ポケベルやトランシーバーに爆発物を仕掛けることができたのは、こうしたものをヒズボラが戦闘員に配布することを、イスラエルが事前に掴んでいたことを示している。 ひょっとしたら、イスラエルの工作員が「スマホでは位置もバレるし、盗聴のおそれも高いから、ローテクのポケベルやトランシーバーにした方がいいんじゃないですか」なんて進言して、ナスララ師らヒズボラの幹部たちがこれをいい提案だと承認したことすら考えられる。実際にどうだったのかはわからないが、いずれにせよ、ヒズボラの情報がイスラエル側にダダ漏れ状態で漏れているのは間違いない。 実際、これらの爆発事件が起こった後の9月20日に、イスラエルはレバノンの首都・ベイルートを空爆してヒズボラ幹部の殺害に成功している。殺された中には、ヒズボラの精鋭部隊「ラドワン部隊」のアキル司令官を含む、複数のヒズボラの幹部たちが含まれていると報じられた。 レバノン保健省によると、死者は少なくとも31人に上るとのことだ。このうちの何人がヒズボラの幹部なのかはわからないが、かなり多いと見られている。ポケベルを使っての通信ができないために、ヒズボラの幹部たちはわざわざ集まってミーティングせざるをえなくなった。このタイミングを狙った攻撃であるのは間違いない。これは、ヒズボラの内部情報がイスラエル側に漏れまくりであることを示している。 但し、この時にヒズボラの幹部たちが集まっていたのは、民間の集合住宅の地下なので、民間人の死傷者もかなり出ているのも間違いない』、「ポケベルを使っての通信ができないために、ヒズボラの幹部たちはわざわざ集まってミーティングせざるをえなくなった。このタイミングを狙った攻撃であるのは間違いない。これは、ヒズボラの内部情報がイスラエル側に漏れまくりであることを示している」、」なるほど。
・『見せつけた力の差、ナスララ師をついに排除  イスラエル軍はその後ヒズボラへの空爆をエスカレートさせ、23日にはレバノン各地で1600カ所を標的にした大規模な空爆を実施した。これにより、ヒズボラが所有するロケット弾数千発が破壊されたと、イスラエルは発表している。レバノン政府は、犠牲者は子ども50人を含む550人以上に達したとして、イスラエルを強く非難した。 9月27日には、イスラエルはレバノン南部にあるヒズボラのロケット弾の発射台や武器庫などに加え、さらにヒズボラ本部までをも空爆した。これにより、ヒズボラ最高指導者のナスララ師排除に成功した。イスラエルは2006年のレバノン侵攻の際に、ヒズボラの兵力を温存した決着を求められたことが、その後のイスラエルの安全保障に重大な脅威をもたらしたと認識しており、今回は世界が何を言おうが、ヒズボラの完全解体を目指すのであろう。 イスラエル側による容赦ないヒズボラへの攻撃により、中東がいっきに不安定化することへの懸念が、マスメディアでは報じられているが、それはありえないと見ていいと思う。 すでに見たように、ヒズボラの幹部クラスの多くが一気に死傷した。有効な通信手段が失われた。イスラエルとヒズボラの圧倒的な技術力の差、諜報力の差がここまで明らかになった。ヒズボラ内部で幹部への不信感が否応なく高まってもいる。この中でヒズボラの側にイスラエルに対する効果的な対抗手段が取れる余地はないと見るべきだ。 イランが大人しくなったように、ヒズボラも大人しくならざるをえないのではないか』、「ヒズボラの幹部クラスの多くが一気に死傷した。有効な通信手段が失われた。イスラエルとヒズボラの圧倒的な技術力の差、諜報力の差がここまで明らかになった。ヒズボラ内部で幹部への不信感が否応なく高まってもいる。この中でヒズボラの側にイスラエルに対する効果的な対抗手段が取れる余地はないと見るべきだ。 イランが大人しくなったように、ヒズボラも大人しくならざるをえないのではないか」、その通りなのかも知れない。

次に、9月26日付けNewsweek日本版が掲載した曽我太一氏による「イスラエルへの「ダブルスタンダード」に、今こそ国際社会が向き合うべき理由」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/soga/2024/09/post-5.php
・『<各国はなぜイスラエルをそこまで擁護するのか? 歴史を振り返ると「甘い姿勢」ばかりではなかった...> イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの終わりの見えない攻撃は、国際社会が今後イスラエルとどう向き合っていくのかという、大きな問いを突き付けている。 2023年10月7日のハマスによる大規模なテロ攻撃で、イスラエル史上、最長の戦争が始まった。欧米各国はすぐさまイスラエルへの全面的な支持を表明。アメリカのバイデン大統領や欧州各国首脳が相次いで緊急訪問し、連帯を示した。 しかし、ガザへの苛烈な攻撃が続くと、その論調はすぐに変化。ワシントン・ポスト紙が「西側諸国のウクライナでの道徳主義を損なう」と、ロシアに対する厳しい姿勢とイスラエルに対する姿勢の違いを批判するなど、内外から「ダブルスタンダード」との批判を呼ぶことになった。 人権や人道主義という理念を掲げる欧米各国がなぜイスラエルをそこまで擁護するのか。 背景には、歴史的なユダヤ人迫害やホロコーストに端を発する罪の意識に加え、必ずしも全ユダヤ系人口の意見を反映しているとは言えないが、政治的影響力を持つユダヤ系・非ユダヤ系団体によるアメリカの「イスラエル・ロビー」の存在がある。AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)はその最たる例だ。 しかし、歴史を振り返れば、アメリカがイスラエルに厳しい姿勢を示したこともある。共和党は今でこそロビー団体の影響を受け、イスラエル支持一辺倒となっているが、かつてはユダヤ人入植地の建設を凍結させるため、貸付保証の停止という制裁をちらつかせて圧力をかけたこともある。 ホロコーストという負の歴史を持つドイツでは近年、いかなるイスラエル批判も許されない風潮が強化されている。08年、国内での議論なしにメルケル首相がイスラエルの国会で行った演説で、イスラエルの安全保障を「国是」としたことから流れが変わった。 イスラエル出身のホロコースト研究者で米ブラウン大学のオメル・バルトフ教授は「イスラエル側からの働きかけもあり、一切批判できなくなった」と指摘。ユダヤ系研究者の反対にもかかわらず、19年にはイスラエルに対するボイコット活動を反ユダヤ主義と見なす決議がドイツ連邦議会で採択された。 ただ、各国政府の姿勢は世論をそのまま反映しているわけではない。論議を呼んでいる国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状請求をめぐっては、イギリスで54%、フランスで49%、ドイツでも44%が、イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状が発行されるべきと回答。「発行されるべきではない」は各国とも20%前後だった。 イスラエル観の違いは特に若い世代で顕著だ。) 昨年10月のCNNの世論調査では、イスラエルの反撃が正当化されると回答した人は65歳以上では81%に上ったが、35〜49歳では44%、18〜34歳では27%。熱烈なイスラエル支持で知られるキリスト教福音派ですら、若い世代ではイスラエル支持の割合が減っているという調査もある。 若い世代にとってはホロコーストよりも、第3次中東戦争の1967年から現在にまで続くパレスチナ占領のほうが現在進行形の記憶としてイスラエルの見方を左右している。市民の冷ややかな目と、政府レベルの姿勢には深いギャップがあるのが実情なのだ。 今回露呈したダブルスタンダードは、法の支配や人道主義で国際社会をリードしてきた欧米諸国の説得力を損なうだけでなく、イスラエルの将来的な孤立を深めかねない。 今や国内でも戦争を止めるために外国の介入を求める声が上がるのをよそに、さらなる右傾化がイスラエルで進むとどうなるのか。過激派が核のボタンを握ってからでは遅いのだ』、「イスラエル出身のホロコースト研究者で米ブラウン大学のオメル・バルトフ教授は「イスラエル側からの働きかけもあり、一切批判できなくなった」と指摘。ユダヤ系研究者の反対にもかかわらず、19年にはイスラエルに対するボイコット活動を反ユダヤ主義と見なす決議がドイツ連邦議会で採択された・・・国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状請求をめぐっては、イギリスで54%、フランスで49%、ドイツでも44%が、イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状が発行されるべきと回答。「発行されるべきではない」は各国とも20%前後だった。 イスラエル観の違いは特に若い世代で顕著だ・・・今回露呈したダブルスタンダードは、法の支配や人道主義で国際社会をリードしてきた欧米諸国の説得力を損なうだけでなく、イスラエルの将来的な孤立を深めかねない。 今や国内でも戦争を止めるために外国の介入を求める声が上がるのをよそに、さらなる右傾化がイスラエルで進むとどうなるのか。過激派が核のボタンを握ってからでは遅いのだ」、確かに「イスラエル」は既に核兵器を秘密裏に保有しているだけに、「過激派が核のボタンを」握る懸念は大きな脅威だ。

第三に、10月7日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋大学教授の薬師寺 克行氏による「イスラエルの「最も危険な男」を誰が止めるのか 見捨てられないアメリカを無視するネタニヤフ首相」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/832215
・『パレスチナのガザ地区に始まり、イスラエル北部からレバノン南部でのヒズボラ、さらにはイランへと、イスラエルの戦線は日ごとに拡大し続けている。 1年前、ハマスの急襲攻撃で多数の死者と人質を出し失脚の瀬戸際に立たされたイスラエルのネタニヤフ首相は見事に復活し、今や向かうところ敵なしの状況だ。 ガザでのハマスとの戦いでイスラエルは大量の地上軍を投入し、4万人以上のパレスチナ人の命を奪うとともにハマスを壊滅状態に追い込んだ。北の敵であるヒズボラに対しては、彼らが使用するポケベルを一斉に爆破するという奇策に続き、最高指導者のナスララ師をはじめほとんどの幹部の殺害にも成功した。 現在はレバノンへの地上侵攻と首都ベイルートなどへの激しい空爆を続けるなど「第2のガザ」を目指している』、「失脚の瀬戸際に立たされたイスラエルのネタニヤフ首相は見事に復活し、今や向かうところ敵なしの状況だ。 ガザでのハマスとの戦いでイスラエルは大量の地上軍を投入し、4万人以上のパレスチナ人の命を奪うとともにハマスを壊滅状態に追い込んだ。北の敵であるヒズボラに対しては、彼らが使用するポケベルを一斉に爆破するという奇策に続き、最高指導者のナスララ師をはじめほとんどの幹部の殺害にも成功」、なるほど。
・『戦線拡大を続ける思惑とは  こうした状況を前に、ハマスやヒズボラを裏で操っているイランがついにイスラエルに対するミサイル攻撃に踏み切った。イラン攻撃の口実を求めていたネタニヤフ首相にしてみれば、まさに思うつぼである。ハマス、ヒズボラ、イランという敵対勢力との戦いは、これまでのところネタニヤフ首相の思惑通り進んでいるようだ。 もちろんアメリカなどはイスラエルに対し停戦合意の働きかけを繰り返したが、ネタニヤフ首相はまったく聞く耳を持たなかった。 彼が戦線を拡大し続ける意図はなにか。8月のアメリカの雑誌『TIMES』 のインタビューでその一端が語られている。) まずイスラエルが置かれている今の状況についてネタニヤフ首相は、「ハマス、フーシ派、ヒズボラ、シリアとイラクのシーア派民兵を含む、より広範なイランのテロ枢軸に直面している」と語り、それらの脅威を取り除かなければならないと強調している。 また、イスラエルがかつて合意したパレスチナ国家との共存を目的とする「二国家解決案」については、「パレスチナ人がすべての権限を持つパレスチナ国家が仮に誕生しても、軍事面はイスラエルが実権を握る不完全国家しか認めるつもりはない」として、パレスチナ国家が誕生してもイスラエルによる軍事的支配は続けるとしている。 その理由は、「パレスチナの地から軍事的権限を放棄すれば、イランの代理組織が直ちに入ってきて、ハマスの奇襲のようなことが繰り返されるからだ」としている』、「ネタニヤフ首相は、「ハマス、フーシ派、ヒズボラ、シリアとイラクのシーア派民兵を含む、より広範なイランのテロ枢軸に直面している」と語り、それらの脅威を取り除かなければならないと強調・・・パレスチナ国家との共存を目的とする「二国家解決案」については、「パレスチナ人がすべての権限を持つパレスチナ国家が仮に誕生しても、軍事面はイスラエルが実権を握る不完全国家しか認めるつもりはない・・・パレスチナの地から軍事的権限を放棄すれば、イランの代理組織が直ちに入ってきて、ハマスの奇襲のようなことが繰り返されるからだ」、なるほど。
・『「二国家解決案」を否定し、軍事手段のみ  つまりネタニヤフ首相は、パレスチナ問題の最終的解決策として世界が期待している「二国家解決案」は、イランが影響力を持つ勢力が新たに生まれイスラエルを攻撃してくるため認めないというのである。そればかりかイスラエルの平和を実現するためには、イランの息のかかったすべての勢力を軍事的に倒すしかないと考えているのだ。 ネタニヤフ首相の頭には、かつてのイスラエルの首相が苦しみながらも挑戦した話し合いによる合意形成で平和的秩序を構築するという考えはまったくない。軍事的手段でしか平和は実現しないという極めて単純な発想で戦線を拡大しているのである。そして、それが同時に彼の権力維持の手段でもある。 昨年10月のハマスの奇襲はネタニヤフ首相にとっては屈辱的なことであったが、責任を取って辞任するのではなく、この危機を逆に生かして戦時内閣を作り、ガザ侵攻に踏み切った。国民の間に恐怖心をあおり、戦闘を正当化していった。 ガザの戦闘が落ち着き始めると新たにヒズボラという標的を作り出し求心力を維持した。一方で連立政権のパートナーである極右勢力をひきつけておくためには、彼らが主張する「停戦拒否」を受け入れるとともに、ヨルダン川西岸の入植地拡大を続けパレスチナ人に対する弾圧を緩めなかった。) もちろんネタニヤフ流の戦線拡大や権力維持に対する強い批判はある。 アメリカ政治史上、ユダヤ人として最高位の上院院内総務に就いたチャック・シューマー議員はネタニヤフ首相について、「自らの政治的生き残りをイスラエルの最善の利益よりも優先させて、道を見失った。ネタニヤフ首相が、暴力の連鎖を断ち切り、国際舞台でイスラエルの信用を維持し、二国家解決に向けて取り組むと期待する人は誰もいない」と厳しく非難している。 またイスラエルとの関係正常化の動きが取りざたされているサウジアラビアのサウード外相も「イスラエルの真の安全はパレスチナ人の正当な権利を認めることから生まれる。占領と恨みの土台の上に平和を築くことはできない」と語る。 残念ながら、こうしたまっとうな主張がネタニヤフ首相の耳に届くことはなさそうだ』、「ネタニヤフ首相の頭には、かつてのイスラエルの首相が苦しみながらも挑戦した話し合いによる合意形成で平和的秩序を構築するという考えはまったくない。軍事的手段でしか平和は実現しないという極めて単純な発想で戦線を拡大しているのである。そして、それが同時に彼の権力維持の手段でもある。 昨年10月のハマスの奇襲はネタニヤフ首相にとっては屈辱的なことであったが、責任を取って辞任するのではなく、この危機を逆に生かして戦時内閣を作り、ガザ侵攻に踏み切った。国民の間に恐怖心をあおり、戦闘を正当化していった。 ガザの戦闘が落ち着き始めると新たにヒズボラという標的を作り出し求心力を維持した。一方で連立政権のパートナーである極右勢力をひきつけておくためには、彼らが主張する「停戦拒否」を受け入れるとともに、ヨルダン川西岸の入植地拡大を続けパレスチナ人に対する弾圧を緩めなかった・・・ユダヤ人として最高位の上院院内総務に就いたチャック・シューマー議員はネタニヤフ首相について、「自らの政治的生き残りをイスラエルの最善の利益よりも優先させて、道を見失った。ネタニヤフ首相が、暴力の連鎖を断ち切り、国際舞台でイスラエルの信用を維持し、二国家解決に向けて取り組むと期待する人は誰もいない」と厳しく非難している。 またイスラエルとの関係正常化の動きが取りざたされているサウジアラビアのサウード外相も「イスラエルの真の安全はパレスチナ人の正当な権利を認めることから生まれる。占領と恨みの土台の上に平和を築くことはできない」と語る。 残念ながら、こうしたまっとうな主張がネタニヤフ首相の耳に届くことはなさそうだ」、なるほど。
・『もはやアメリカの要求も無視  1948年のイスラエル独立後、中東和平問題で大きな役割を果たしてきたのはアメリカだった。 1978年にはカーター大統領が動き、エジプトのサダト大統領とイスラエルのベギン首相が、国交を結ぶキャンプデービッド合意を締結した。 1993年にはクリントン大統領が間に入り、イスラエルのラビン首相とPLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長が、イスラエル国家とパレスチナ自治政府を相互に認めるオスロ合意を締結した。国際社会においてアメリカが圧倒的な力を持っていた時代だったからこそ実現した交渉だった。 アメリカの衰退とともにイスラエルに対する力も落ちていった。 残り任期がわずかとなったバイデン大統領は、中東和平実現をレガシー(政治的遺産)とすべく積極的に動いている。ガザでの停戦、ヒズボラとの停戦を繰り返しイスラエルに提起しブリンケン国務長官らが活発に動いた。しかし、ネタニヤフ首相はアメリカの要求を無視し、裏切り続けている。) ネタニヤフ首相は首相在職期間が通算で18年に及び、これまで4人のアメリカ大統領と付き合ってきた。アメリカ政府の要求をいくら無視してもアメリカはイスラエル支持を変えることができないと見切っている。 アメリカは歴代政権が民主、共和両党を問わずイスラエルを支持し、ハマスやヒズボラをテロ組織に指定している。またイランに対しても経済制裁を続けている。国民の多くもイスラエル支持を当然視している。 仮にバイデン大統領がネタニヤフ首相を批判し武器の提供などをストップすれば、共和党はもちろん民主党の中からも、そして多くの国民から「イスラエルを見捨ててテロ組織を支援するのか」などと批判されることは避けられない。 まして今は大統領選の終盤という微妙なタイミングである。イスラエル批判が民主党候補のカマラ・ハリス副大統領に不利に働くことは明らかである。 そればかりかアメリカは、イスラエルの戦線拡大を前に地中海やオマーン湾など中東地域への米軍の増派を進めており、和平推進とは真逆の行動を強いられているのである』、「ネタニヤフ首相は首相在職期間が通算で18年に及び、これまで4人のアメリカ大統領と付き合ってきた。アメリカ政府の要求をいくら無視してもアメリカはイスラエル支持を変えることができないと見切っている。 アメリカは歴代政権が民主、共和両党を問わずイスラエルを支持し、ハマスやヒズボラをテロ組織に指定している。またイランに対しても経済制裁を続けている。国民の多くもイスラエル支持を当然視している・・・まして今は大統領選の終盤という微妙なタイミングである。イスラエル批判が民主党候補のカマラ・ハリス副大統領に不利に働くことは明らかである。 そればかりかアメリカは、イスラエルの戦線拡大を前に地中海やオマーン湾など中東地域への米軍の増派を進めており、和平推進とは真逆の行動を強いられているのである」、なるほど。
・『欧州も国連も、身動きが取れない  では、次々と新たな脅威を作り出し戦闘を継続するネタニヤフ首相を誰が止めることができるのか。 世界各地でネタニヤフ首相を批判するデモが繰り広げられている。しかし、ユダヤ人のホロコーストという歴史を抱えるドイツをはじめ欧州主要国は、イスラエル批判を鮮明にすることができないまま、身動きが取れないでいる。 ウクライナ戦争をめぐって欧米主要国と中ロが決定的に対立する国連は完全な機能不全に陥っている。 その結果、イランとの戦闘が本格化し戦乱が湾岸諸国まで巻き込むようなことになれば、中東からの原油供給がストップするなど国際社会も世界経済も大混乱に陥ることは必至である。 世界の主要プレーヤーが何もできない中、ネタニヤフ首相は自分の好きなように中東の危機を演出し権力を維持し続けるのであろうか。 今やネタニヤフ首相は世界で最も危険な男の一人になりつつある』、「ユダヤ人のホロコーストという歴史を抱えるドイツをはじめ欧州主要国は、イスラエル批判を鮮明にすることができないまま、身動きが取れないでいる。 ウクライナ戦争をめぐって欧米主要国と中ロが決定的に対立する国連は完全な機能不全に陥っている・・・世界の主要プレーヤーが何もできない中、ネタニヤフ首相は自分の好きなように中東の危機を演出し権力を維持し続けるのであろうか。 今やネタニヤフ首相は世界で最も危険な男の一人になりつつある」、トランプが仮に大統領選で勝利すれば、「ネタニヤフ」を抑えるどころか、けしかけかねない。「「ネタニヤフ」を抑え込める勢力は当面、出てこないとすれば、軍事面で失敗しない限り、「ネタニヤフ」の天下はまだ続くことになるだろう。やれやれだ。
タグ:「イスラエル出身のホロコースト研究者で米ブラウン大学のオメル・バルトフ教授は「イスラエル側からの働きかけもあり、一切批判できなくなった」と指摘。ユダヤ系研究者の反対にもかかわらず、19年にはイスラエルに対するボイコット活動を反ユダヤ主義と見なす決議がドイツ連邦議会で採択された・・・国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状請求をめぐっては、イギリスで54%、フランスで49%、ドイツでも44%が、イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状が発行されるべきと回答。 曽我太一氏による「イスラエルへの「ダブルスタンダード」に、今こそ国際社会が向き合うべき理由」 「「ネタニヤフ」を抑え込める勢力は当面、出てこないとすれば、軍事面で失敗しない限り、「ネタニヤフ」の天下はまだ続くことになるだろう。やれやれだ。 「ユダヤ人のホロコーストという歴史を抱えるドイツをはじめ欧州主要国は、イスラエル批判を鮮明にすることができないまま、身動きが取れないでいる。 ウクライナ戦争をめぐって欧米主要国と中ロが決定的に対立する国連は完全な機能不全に陥っている・・・世界の主要プレーヤーが何もできない中、ネタニヤフ首相は自分の好きなように中東の危機を演出し権力を維持し続けるのであろうか。 今やネタニヤフ首相は世界で最も危険な男の一人になりつつある」、トランプが仮に大統領選で勝利すれば、「ネタニヤフ」を抑えるどころか、けしかけかねない。 まして今は大統領選の終盤という微妙なタイミングである。イスラエル批判が民主党候補のカマラ・ハリス副大統領に不利に働くことは明らかである。 そればかりかアメリカは、イスラエルの戦線拡大を前に地中海やオマーン湾など中東地域への米軍の増派を進めており、和平推進とは真逆の行動を強いられているのである」、なるほど。 「ネタニヤフ首相は首相在職期間が通算で18年に及び、これまで4人のアメリカ大統領と付き合ってきた。アメリカ政府の要求をいくら無視してもアメリカはイスラエル支持を変えることができないと見切っている。 アメリカは歴代政権が民主、共和両党を問わずイスラエルを支持し、ハマスやヒズボラをテロ組織に指定している。またイランに対しても経済制裁を続けている。国民の多くもイスラエル支持を当然視している・・・ くことはできない」と語る。 残念ながら、こうしたまっとうな主張がネタニヤフ首相の耳に届くことはなさそうだ」、なるほど。 ユダヤ人として最高位の上院院内総務に就いたチャック・シューマー議員はネタニヤフ首相について、「自らの政治的生き残りをイスラエルの最善の利益よりも優先させて、道を見失った。ネタニヤフ首相が、暴力の連鎖を断ち切り、国際舞台でイスラエルの信用を維持し、二国家解決に向けて取り組むと期待する人は誰もいない」と厳しく非難している。 またイスラエルとの関係正常化の動きが取りざたされているサウジアラビアのサウード外相も「イスラエルの真の安全はパレスチナ人の正当な権利を認めることから生まれる。占領と恨みの土台の上に平和を築 国民の間に恐怖心をあおり、戦闘を正当化していった。 ガザの戦闘が落ち着き始めると新たにヒズボラという標的を作り出し求心力を維持した。一方で連立政権のパートナーである極右勢力をひきつけておくためには、彼らが主張する「停戦拒否」を受け入れるとともに、ヨルダン川西岸の入植地拡大を続けパレスチナ人に対する弾圧を緩めなかった・・・ 「ネタニヤフ首相の頭には、かつてのイスラエルの首相が苦しみながらも挑戦した話し合いによる合意形成で平和的秩序を構築するという考えはまったくない。軍事的手段でしか平和は実現しないという極めて単純な発想で戦線を拡大しているのである。そして、それが同時に彼の権力維持の手段でもある。 昨年10月のハマスの奇襲はネタニヤフ首相にとっては屈辱的なことであったが、責任を取って辞任するのではなく、この危機を逆に生かして戦時内閣を作り、ガザ侵攻に踏み切った。 パレスチナの地から軍事的権限を放棄すれば、イランの代理組織が直ちに入ってきて、ハマスの奇襲のようなことが繰り返されるからだ」、なるほど。 「ネタニヤフ首相は、「ハマス、フーシ派、ヒズボラ、シリアとイラクのシーア派民兵を含む、より広範なイランのテロ枢軸に直面している」と語り、それらの脅威を取り除かなければならないと強調・・・パレスチナ国家との共存を目的とする「二国家解決案」については、「パレスチナ人がすべての権限を持つパレスチナ国家が仮に誕生しても、軍事面はイスラエルが実権を握る不完全国家しか認めるつもりはない・・・ 「失脚の瀬戸際に立たされたイスラエルのネタニヤフ首相は見事に復活し、今や向かうところ敵なしの状況だ。 ガザでのハマスとの戦いでイスラエルは大量の地上軍を投入し、4万人以上のパレスチナ人の命を奪うとともにハマスを壊滅状態に追い込んだ。北の敵であるヒズボラに対しては、彼らが使用するポケベルを一斉に爆破するという奇策に続き、最高指導者のナスララ師をはじめほとんどの幹部の殺害にも成功」、なるほど。 薬師寺 克行氏による「イスラエルの「最も危険な男」を誰が止めるのか 見捨てられないアメリカを無視するネタニヤフ首相」 Newsweek日本版 東洋経済オンライン ってからでは遅いのだ」、確かに「イスラエル」は既に核兵器を秘密裏に保有しているだけに、「過激派が核のボタンを」握る懸念は大きな脅威だ。 「発行されるべきではない」は各国とも20%前後だった。 イスラエル観の違いは特に若い世代で顕著だ・・・今回露呈したダブルスタンダードは、法の支配や人道主義で国際社会をリードしてきた欧米諸国の説得力を損なうだけでなく、イスラエルの将来的な孤立を深めかねない。 今や国内でも戦争を止めるために外国の介入を求める声が上がるのをよそに、さらなる右傾化がイスラエルで進むとどうなるのか。過激派が核のボタンを握ってからでは遅いのだ」、確かに「イスラエル」は既に核兵器を秘密裏に保有しているだけに、「過激派が核のボタンを」握 「ヒズボラの幹部クラスの多くが一気に死傷した。有効な通信手段が失われた。イスラエルとヒズボラの圧倒的な技術力の差、諜報力の差がここまで明らかになった。ヒズボラ内部で幹部への不信感が否応なく高まってもいる。この中でヒズボラの側にイスラエルに対する効果的な対抗手段が取れる余地はないと見るべきだ。 イランが大人しくなったように、ヒズボラも大人しくならざるをえないのではないか」、その通りなのかも知れない。 「ポケベルを使っての通信ができないために、ヒズボラの幹部たちはわざわざ集まってミーティングせざるをえなくなった。このタイミングを狙った攻撃であるのは間違いない。これは、ヒズボラの内部情報がイスラエル側に漏れまくりであることを示している」、」なるほど。 「イスラエルはイランが賓客として招いたハマス最高幹部のイスマイル・ハニヤ政治局長を、イラン滞在中に亡き者にし、イランのメンツを丸つぶれにした・・・イランはその後イスラエルに対して何もできない状態が続いてきた。 この状況に安心したイスラエルは、ヒズボラを徹底的に叩く動きに出たと見ればいい。いくらヒズボラを叩いても、イランが出てくる心配は事実上ないだろう」。なるほど。 「イスラエルの諜報機関のシン・ベト(イスラエル総保安庁)は、1996年に携帯電話を起爆させて、ハマスの幹部であるヤヒヤ・アヤシュを殺害している。アヤシュが携帯電話で通話中であることを確認して、そのタイミングで携帯電話を爆破した。 アヤシュはハマスの爆弾製造の専門家で、ハマスの行う自爆テロの手法を発展させた人物であり、イスラエルにとっては最大級の危険人物だった」、「爆弾製造の専門家」が「イスラエルの諜報機関」が仕掛けた「携帯電話」「爆弾」で殺害されたとは皮肉だ。 5秒というのは、ポケベルが鳴って通信内容を確認しようとして顔に近づける時間を計算に入れ、「最大効果」を発揮するのがこのタイミングだと考えたからのようだ。 これにより、12人が死亡し約2700人が負傷したと報じられた」、なるほど。 「スマホだと電源をいれれば、位置を簡単に特定できてしまう上に、通信内容も傍受されやすいからだ。 こうしたことを避けるために、あえて一昔前のローテクなものを使うようにしたわけだ・・・メッセージを受信して一斉に鳴り出し、その5秒後に突然爆発した。 「ヒズボラのメンバーらが所持していたポケベルやトランシーバーが次々と爆発し、周辺にいた人たちを含め多数の死傷者が出る」、「イスラエル」の諜報機関の鮮やかな手口だ。 朝香 豊氏による「3000人以上を殺傷したヒズボラへの「ポケベル爆弾攻撃」がヤバすぎる!一斉に鳴り出し、5秒後に突然爆発...イスラエルが見せつけた「驚きの手口」」 現代ビジネス (その8)(3000人以上を殺傷したヒズボラへの「ポケベル爆弾攻撃」がヤバすぎる!一斉に鳴り出し 5秒後に突然爆発...イスラエルが見せつけた「驚きの手口」、問題の源流を読み解く、イスラエルの「最も危険な男」を誰が止めるのか 見捨てられないアメリカを無視するネタニヤフ首相) イスラエル・パレスチナ
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イスラエル・パレスチナ(その7)(パレスチナへの支援金額 アラブ諸国はたった2割…意外な「最大の支援国家」とは?、なぜイスラエルは「テック大国」になれたのか...戦闘だけではない「徴兵制」に隠された目的とは?) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、本年8月21日に取上げた。今日は、(その7)(パレスチナへの支援金額 アラブ諸国はたった2割…意外な「最大の支援国家」とは?、なぜイスラエルは「テック大国」になれたのか...戦闘だけではない「徴兵制」に隠された目的とは?)である。

先ずは、本年8月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したテレビ東京WBS(ワールドビジネスサテライト)メインキャスターの豊島晋作氏による「パレスチナへの支援金額、アラブ諸国はたった2割…意外な「最大の支援国家」とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/349187
・『昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルに大規模攻撃を仕掛けてから、1年近くが経つ。当初は国際世論を味方につけていたイスラエルだが、ハマスの支配するパレスチナ自治区ガザ地区を爆撃する報復に出たことで、今や世界から非難を浴びている。長く両者が血を流し続けるイスラエル・パレスチナ問題の根源をたどる。※本稿は、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のメインキャスター、豊島晋作『日本人にどうしても伝えたい 教養としての国際政治 戦争というリスクを見通す力をつける』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『過去においてハマスによる攻撃やテロが国際的な非難を浴びやすかったワケ  世界の反応について考えると、過去においてはハマスによる攻撃やテロの方が、イスラエル軍の攻撃よりも国際的な非難を浴びやすかったと思います。これはなぜでしょうか。 1つ目の理由は、イスラエルが、国際政治で最も影響力と発信力のあるアメリカと緊密な関係にあることでしょう。2つ目はイスラエル軍が国家の軍隊である一方、ハマスがそうではないことです。 イスラエルは民主的に統制された正規軍(イスラエル国防軍)が暴力を行使します。一方でパレスチナ人は国家を設立できておらず、また民主的な統制がないハマスなどの武装組織が暴力を行使しています。明らかな犯罪行為である民間人を標的にした自爆テロも行ってきました。 国際法などのルールに照らすと、イスラエル軍の攻撃は国家の武力行使なので国際法上はより正当化されやすい可能性があり、一方で国家の軍隊ではない武装組織ハマスの攻撃は、犯罪的と見なされる可能性が高いと言えます。 前者は暴力行使への民主的な監視と手続きが存在し、軍事法廷も含め結果への説明責任が果たされる余地があります。しかし、後者はそうした暴力の行使に対する抑制メカニズムがないと見なされ、批判を受けやすいのです。 しかし、発生する結果は同じです。イスラエル軍の攻撃もハマスの攻撃も、ともに無実の民間人を数多く殺害してきました。もちろん、10月7日のハマスによる殺人や拉致は重大犯罪であり処罰は必要です。 同じくイスラエル軍の民間人への攻撃と殺害も犯罪行為であり処罰が必要です。戦争には、攻撃の際は民間目標を避けるなど、かつて戦時国際法とも呼ばれた武力国際法(国際人道法)のルールがあり、2023年10月以降の状況はそれが守られているとは言えません。 こうした議論の場合は「どちらも悪い」などという雑多な結論ではなく、個別の殺人行為、個別の軍事行動、攻撃行為を細かく見ていくしか方法がありません。 この点については、事実上、機能する国家を設立できていないパレスチナ人側、つまりハマス側が説得力の面で劣勢にあると言えるでしょう。やはり国家を設立できたか、できなかったかで世界へのメッセージの発信力を含め政治的な優劣が出ています』、「国際法などのルールに照らすと、イスラエル軍の攻撃は国家の武力行使なので国際法上はより正当化されやすい可能性があり、一方で国家の軍隊ではない武装組織ハマスの攻撃は、犯罪的と見なされる可能性が高いと言えます。 前者は暴力行使への民主的な監視と手続きが存在し、軍事法廷も含め結果への説明責任が果たされる余地があります。しかし、後者はそうした暴力の行使に対する抑制メカニズムがないと見なされ、批判を受けやすいのです。 しかし、発生する結果は同じです。イスラエル軍の攻撃もハマスの攻撃も、ともに無実の民間人を数多く殺害してきました。もちろん、10月7日のハマスによる殺人や拉致は重大犯罪であり処罰は必要です・・・こうした議論の場合は「どちらも悪い」などという雑多な結論ではなく、個別の殺人行為、個別の軍事行動、攻撃行為を細かく見ていくしか方法がありません。 この点については、事実上、機能する国家を設立できていないパレスチナ人側、つまりハマス側が説得力の面で劣勢にあると言えるでしょう。やはり国家を設立できたか、できなかったかで世界へのメッセージの発信力を含め政治的な優劣が出ています」、なるほど。
・『パレスチナの最大の支援者はアラブ諸国ではない  ただ、2024年に入り、イスラエルへの批判が世界中でかつてない規模で広がった結果、パレスチナを国家として承認する動きも広がりました。2024年5月28日、スペイン、アイルランド、ノルウェーの欧州3カ国が、パレスチナを国家として正式承認したのです。 アイルランドはかつてイギリスと独立戦争を戦った歴史があり、独立国家になるための苦闘を経験した国でもあります。実はパレスチナ自治政府に対しては、これら3カ国が承認する前の時点でも、アラブ諸国やアフリカ諸国を含め世界の139カ国が既に国家として承認していました。 ただ、日本やアメリカ、イギリス、フランス、イタリアなど国際政治で影響力の大きいG7諸国は承認しておらず、パレスチナにとっては、これが大きな課題となっているのです。 では、パレスチナ人たちは誰かに頼れるのでしょうか。やはりアラブ諸国でしょうか。パレスチナの人々はアラブ諸国の資金援助に頼っていると思われがちですが、実はそうでもありません。アラブ国家の合計の支援金額は全体の20%程度に過ぎません。その大部分がサウジアラビアの9.9%とアラブ首長国連邦の5.2%です。 実は、1994年から2020年までのパレスチナ支援総額400億ドルのうち最大の支援者はヨーロッパ(EU)で全体の約18.9%です。次にアメリカの14.2%、日本は約2.9%となっています。軍事援助や政治的なスタンスではイスラエル寄りの姿勢が目立つアメリカですが、単独国家としては最大の資金を拠出しています。最大の支援者は欧米なのです。 なお、イランなどの武器支援は公式の統計にはほぼ出てこないので把握は困難ですが、少なくとも公式統計に出てくる支援国の上位にいないことは明らかです』、「1994年から2020年までのパレスチナ支援総額400億ドルのうち最大の支援者はヨーロッパ(EU)で全体の約18.9%です。次にアメリカの14.2%、日本は約2.9%となっています。軍事援助や政治的なスタンスではイスラエル寄りの姿勢が目立つアメリカですが、単独国家としては最大の資金を拠出しています。最大の支援者は欧米なのです・・・スペイン、アイルランド、ノルウェーの欧州3カ国が、パレスチナを国家として正式承認したのです。 アイルランドはかつてイギリスと独立戦争を戦った歴史があり、独立国家になるための苦闘を経験した国でもあります。実はパレスチナ自治政府に対しては、これら3カ国が承認する前の時点でも、アラブ諸国やアフリカ諸国を含め世界の139カ国が既に国家として承認していました。 ただ、日本やアメリカ、イギリス、フランス、イタリアなど国際政治で影響力の大きいG7諸国は承認しておらず、パレスチナにとっては、これが大きな課題となっているのです」、なるほど。 
・『アラブ諸国に見捨てられた状態のパレスチナ人  パレスチナの人々は心のどこかで、アラブ諸国は最後には頼りにならないことが分かっています。どの国の軍隊も戦闘能力は低く、ともに戦った過去4回の戦争は全て敗北しましたし、先ほど書いた通り資金援助の合計は欧米の方が多いのです。) そもそも、アラブ諸国はスンニ派のサウジアラビアとシーア派のイランを中心に対立しており、団結できていません。かつて「パレスチナ問題が解決するまではイスラエルは認めない」という“アラブの大義”を掲げ、対イスラエル戦争を戦った同胞のエジプトは、今やパレスチナ難民の流入を恐れて国境を封鎖してしまいました。 もともと、アラブ諸国の指導者たちは、自分の権力の維持こそが最も重要だと考えるリアリスト集団です。パレスチナ問題に関しては、パレスチナ人に同情する世論に配慮して一定の行動をとっているに過ぎません。 最大の資金援助国サウジアラビアも、去年までパレスチナ人の宿敵であるイスラエルとの国交正常化に動いていましたし、2020年にはパレスチナ自治政府への支援金を80%以上も削減しています。またUAE(アラブ首長国連邦)やバーレーンもイスラエルと国交を正常化し、パレスチナへの支援金を同じく削減したと見られています。 パレスチナ人にとって、もはや“アラブの大義”は失われ、アラブ諸国には見捨てられた、裏切られた状態だったのです。 過去にアラブ諸国の指導者でパレスチナ人の支持を集めたのが、イラクのサダム・フセイン大統領でした。イスラエルにスカッドミサイルを何発も打ち込み、パレスチナ人たちから「実際に行動を起こした」と称賛されました。 フセイン大統領といえば1990年に隣国クウェートに軍事侵攻したことで知られ、アメリカ主導の有志連合軍によって撃退され、最終的には2003年のイラク戦争後に殺害された独裁者です。そういう人物でも、パレスチナ人の一部は英雄だと考えていたのです。 実際、サダム・フセインのイスラエルへのミサイル発射が、欧米を含め他国にパレスチナ問題の解決を急がせ、その後の1993年のオスロ合意へと向かう要因になったとも指摘されています』、「もともと、アラブ諸国の指導者たちは、自分の権力の維持こそが最も重要だと考えるリアリスト集団です。パレスチナ問題に関しては、パレスチナ人に同情する世論に配慮して一定の行動をとっているに過ぎません。 最大の資金援助国サウジアラビアも、去年までパレスチナ人の宿敵であるイスラエルとの国交正常化に動いていましたし、2020年にはパレスチナ自治政府への支援金を80%以上も削減しています。またUAE(アラブ首長国連邦)やバーレーンもイスラエルと国交を正常化し、パレスチナへの支援金を同じく削減したと見られています・・・過去にアラブ諸国の指導者でパレスチナ人の支持を集めたのが、イラクのサダム・フセイン大統領でした。イスラエルにスカッドミサイルを何発も打ち込み、パレスチナ人たちから「実際に行動を起こした」と称賛されました・・・サダム・フセインのイスラエルへのミサイル発射が、欧米を含め他国にパレスチナ問題の解決を急がせ、その後の1993年のオスロ合意へと向かう要因になったとも指摘されています」、なるほど。
・『「何度も建国のチャンスはあったはず」パレスチナ政府に対する批判も  この1993年のオスロ合意=パレスチナ暫定自治合意は、パレスチナに自治区を立ち上げ、いずれはパレスチナとイスラエルの2国家共存を目指すという合意でした。その後の中東和平の基礎となりました。) しかし、合意の当事者だったイスラエルのラビン首相は1995年、イスラエル国民で和平に反対するユダヤ人青年によって射殺されました。その後、2000年に後に首相となるアリエル・シャロンがイスラム教徒の聖地である岩のドームを訪問してパレスチナ人の怒りに火を付け、和平の流れは崩れていきました。 パレスチナ人から見れば、アラブ諸国は頼れず、イスラエル側は和平に本気ではないと結論付けざるを得ませんでした。 一方で、パレスチナ側への批判もあるでしょう。ハマスなどのテロ組織は、民間人を狙ったテロを何度も起こしてきました。民間人が乗るバスなどを自爆テロで爆破し、大勢の市民を殺害してきました。 確かに、1947年の国連決議ではアラブ国家の樹立も認められ、アラブやアフリカ諸国など多くの国がパレスチナ政府を国家として承認しています。 しかし、半世紀以上たった今も、パレスチナ人はG7諸国が認めるような、機能する国家を建設できていません。これはイスラエルが事実上、建国を認めず、妨害しているためですが、一方において、パレスチナ人たちも自分たちをうまく組織化できず、社会を統治できていないのです。「これまで何度も建国のチャンスはあったはずだ」との批判もあります。 パレスチナ自治政府の権力は腐敗しており、腐敗を除去する政治メカニズム、つまり、チェックアンドバランス機能を持っていません。カリスマ的指導者とされたPLOのヤーセル・アラファト議長の権力もかなり腐敗していたことが指摘され、後を継いだアッバス議長も、同じく腐敗や統治能力の欠如が批判されてきました。2006年以来、一度も選挙を実施していないため、パレスチナの人々の民意を代表していないという批判もあります』、「1993年のオスロ合意=パレスチナ暫定自治合意は、パレスチナに自治区を立ち上げ、いずれはパレスチナとイスラエルの2国家共存を目指すという合意でした。その後の中東和平の基礎となりました。) しかし、合意の当事者だったイスラエルのラビン首相は1995年、イスラエル国民で和平に反対するユダヤ人青年によって射殺されました・・・パレスチナ人から見れば、アラブ諸国は頼れず、イスラエル側は和平に本気ではないと結論付けざるを得ませんでした・・・1947年の国連決議ではアラブ国家の樹立も認められ、アラブやアフリカ諸国など多くの国がパレスチナ政府を国家として承認しています。 しかし、半世紀以上たった今も、パレスチナ人はG7諸国が認めるような、機能する国家を建設できていません。これはイスラエルが事実上、建国を認めず、妨害しているためですが、一方において、パレスチナ人たちも自分たちをうまく組織化できず、社会を統治できていないのです・・・パレスチナ自治政府の権力は腐敗しており、腐敗を除去する政治メカニズム、つまり、チェックアンドバランス機能を持っていません。カリスマ的指導者とされたPLOのヤーセル・アラファト議長の権力もかなり腐敗していたことが指摘され、後を継いだアッバス議長も、同じく腐敗や統治能力の欠如が批判されてきました。2006年以来、一度も選挙を実施していないため、パレスチナの人々の民意を代表していないという批判もあります」、なるほど。
・『イスラエルの「強者の論理」とパレスチナ人の「弱者の論理」の対立  また、パレスチナ社会、つまりガザやヨルダン川西岸地区では言論の自由がないとの批判もあります。オスロ合意前後では、パレスチナには一定の言論の自由があったとされますが、近年はそうではなく、ハマスへの批判などはできない状態だったと言われます。) 確かにこうした批判は一定の説得力を持つかもしれません。しかし、抑圧された人間集団に言論の自由などを要求することに何の意味があるのかとも考えてしまいます。様々な批判があるとしても「パレスチナ人がここまで苛烈な運命を背負わなければならないのか」という大きな疑問はやはり残ります。 一方的に土地を奪われ、爆弾と砲弾で家を破壊され、街を破壊され、家族を殺されなければならないのか、イスラエルの行為をそこまで許容するのか。そんな“再反論”も当然大きな説得力を持つわけです。 パレスチナ人たちは、ユダヤ人という組織力が強く、かつ強い生存本能を持った民族が「住みたい」と言った場所に、偶然、住んでいただけです。ただそれだけで、苛烈な運命を背負わされているのです。 ユダヤ人はかつて歴史的に迫害を受け続ける「弱者」とされてきましたが、今や、経済的・軍事的な「強者」になっています。つまり対立の根源は、強力な軍事力と経済力を持つイスラエルの「強者の論理」と、ゲリラ戦やテロ攻撃で報復するしかないパレスチナ人の「弱者の論理」の対立でもあるのです。 確かに国際政治は「強者の論理」が支配する世界ですが、現代に生きる私たちが、それをただ肯定することはできません。日本としても当然すべきではないでしょう。これは綺麗事ではなく、もし日本より軍事力の大きな国が武力で日本の領土を奪った場合、それを認めることはできませんし、認めるべきではないからです。現代の国際秩序が壊れてしまうからです。 もし日本人がパレスチナ人のような状況に置かれたらどうするでしょうか。宗教に救いを求めずにいられるでしょうか。家族や子供を殺されて冷静でいられるでしょうか。 この問いに答えはありませんが、パレスチナの人々は多くが石を投げて抵抗し、イスラムの教えを拠り所にしました。 そして、イスラエル人たちがいるショッピングセンターで自爆ベルトを起爆させて散るようになりました。民間人に対する非道な攻撃、自爆テロをも行う人々が現れたのです。過激な手段をとる武装集団=ハマスの登場です』、「対立の根源は、強力な軍事力と経済力を持つイスラエルの「強者の論理」と、ゲリラ戦やテロ攻撃で報復するしかないパレスチナ人の「弱者の論理」の対立でもあるのです・・・パレスチナの人々は多くが石を投げて抵抗し、イスラムの教えを拠り所にしました。 そして、イスラエル人たちがいるショッピングセンターで自爆ベルトを起爆させて散るようになりました。民間人に対する非道な攻撃、自爆テロをも行う人々が現れたのです。過激な手段をとる武装集団=ハマスの登場です」、「イスラエル」は現在、「ハマス」潰しに血道を挙げているが、まだまだ時間がかかりそうだ。

次に、9月11日付けNewsweek日本版「なぜイスラエルは「テック大国」になれたのか...戦闘だけではない「徴兵制」に隠された目的とは?」を紹介しよう。<日本の四国ほどの面積、常に戦争とも隣り合わせの国が最新ITを牽引する背景には、男性にも女性にも義務づけられた「徴兵制」の存在が──> 今年2月、イスラエルのテルアビブ大学で、最先端AI(人工知能)技術の進化や課題、最新トレンドを議論するイベント「AI Day」が開催された。 【関連動画】イスラエルで開発された「乗用ドローンタクシー」飛行の様子 もともとこのイベントは1週間の日程で行われる予定だったが、昨年10月7日にイスラム組織ハマスが大規模テロを起こし、イスラエルが戦争状態に入っていたために開催が危ぶまれていた。だが、イスラエルのテクノロジー分野はテロに屈服しない、という意思を世界に示すため、1日限定でイベントは開催された。 筆者はこのイベントを取材するためにイスラエルを訪れていた。大学内の講堂で行われたイベントの冒頭には、進行役のテルアビブ大学関係者が「空襲警報が鳴ったら速やかに避難していただく」とステージ上でアナウンスし、戦時下の緊張状態にあることを再認識させた。 ただ、常に戦争と隣り合わせのこの日常こそが、まさに世界のIT業界を支えるテック大国イスラエルの礎になっていると言えるだろう。 ユダヤ人国家であるイスラエルが、世界の名だたるテック企業を牽引していることはよく知られている。 2024年現在の世界的企業の時価総額ランキングを見ると、トップ企業の多くは創業者や経営者がユダヤ系だ。アップル、マイクロソフト、アルファベット、メタ、インテル、オラクルなど、現代の世界を支える企業が名を連ねている。 またユダヤ系企業でなくとも、イスラエルの優れた技術を開発するスタートアップ(新興)企業を買収するなどしてイスラエル発のテクノロジーを獲得している世界的企業も数多い。その規模は22年に総額169億ドルにも上っている。 過去の有名なケースでは、06年に記録媒体で有名なサンディスクがイスラエル企業が開発したUSBドライブ技術を買収している。17年にはインテルが自動運転技術を開発するイスラエルのモービルアイを買収し、大きな話題になった。 時価総額でアップルを抜いて話題になった半導体メーカーNVIDIA(エヌビディア)も今年、AI管理ソフトを開発するイスラエル企業を買収した。 そもそもイスラエルには、有能なテック人材が多い。そのため、世界中の企業が買収を視野にスタートアップに注目しているだけでなく、こぞってイスラエルにR&D(研究開発)の拠点を置いている。 その数は現在、433企業にもなり、マイクロソフトやIBM、インテル、シスコ、クアルコム、シティバンク、シーメンスなど枚挙にいとまがない』、「そもそもイスラエルには、有能なテック人材が多い。そのため、世界中の企業が買収を視野にスタートアップに注目しているだけでなく、こぞってイスラエルにR&D(研究開発)の拠点を置いている。 その数は現在、433企業にもなり、マイクロソフトやIBM、インテル、シスコ、クアルコム、シティバンク、シーメンスなど枚挙にいとまがない」、なるほど。
・『技術と科学に生存を懸けて  なぜイスラエルは技術力の高いテクノロジーを開発する有能なテック人材を輩出できるのか。その背景には、イスラエル独特の国家型エコシステムがある。その鍵を握るのが「徴兵制」で、つまり軍事部門が重要な要素となっている。 このエコシステムを理解するのには、まず国の成り立ちを知る必要がある。日本の四国ほどの面積のイスラエルには現在、約955万人が暮らす。イスラエルは、宗教対立を抱え、領土をめぐって長く争うアラブ諸国に囲まれている。北はレバノンやシリア、東にはヨルダン、南にはエジプトが存在する。 1948年の独立から現在まで、周辺のアラブ諸国とは4度も戦火を交えている。イスラエルには3大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の聖地エルサレムがあり、その帰属をめぐって、パレスチナ人が暮らすパレスチナ自治区とも敵対。 特にイスラエル南部のガザ地区を拠点とするハマスとは、何度も軍事的な衝突が起きている。 昨年10月に、ハマスの戦闘員らがイスラエルに侵入して約1200人が殺害されたテロ事件は記憶に新しい。イスラエル政府はハマス殲滅を掲げて今もガザ地区に報復攻撃を続けており、これまでに民間人を含めて4万人以上が死亡している。 ハマスなど反イスラエル勢力による攻撃も、これまで何度も繰り返されてきた。イスラエルの背後には地中海が広がり、まさに背水の陣の様相で生存を懸けて戦ってきた。 そうした現実から、イスラエルは早い段階から自国を守るための軍事力に力を入れ、独自のエコシステムを確立してきた。 テルアビブ大学教授でイスラエルのIT部門を政府内で牽引してきたアイザック・ベンイスラエル少将は、「イスラエルは建国前から、天然資源のない国がいかに生き残れるのかを真剣に考えてきた。そこで必要なのは、教育や科学、テクノロジーの分野で他国に抜きんでることだとの認識を持つようになった」と話す。 そして建国後の貧しい時代にも、政府は、周辺の敵から身を守るための防衛技術につながる科学的な研究やテクノロジー開発を重要視して投資を行ってきた。現在では「デュアルユース(軍民両用)」と呼ばれる技術の開発だ』、「イスラエル独特の国家型エコシステムがある。その鍵を握るのが「徴兵制」で、つまり軍事部門が重要な要素となっている・・・日本の四国ほどの面積のイスラエルには現在、約955万人が暮らす。イスラエルは、宗教対立を抱え、領土をめぐって長く争うアラブ諸国に囲まれている。北はレバノンやシリア、東にはヨルダン、南にはエジプトが存在する。 1948年の独立から現在まで、周辺のアラブ諸国とは4度も戦火を交えている。イスラエルには3大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の聖地エルサレムがあり、その帰属をめぐって、パレスチナ人が暮らすパレスチナ自治区とも敵対。 特にイスラエル南部のガザ地区を拠点とするハマスとは、何度も軍事的な衝突が起きている・・・天然資源のない国がいかに生き残れるのかを真剣に考えてきた。そこで必要なのは、教育や科学、テクノロジーの分野で他国に抜きんでることだとの認識を持つようになった」と話す。 そして建国後の貧しい時代にも、政府は、周辺の敵から身を守るための防衛技術につながる科学的な研究やテクノロジー開発を重要視して投資を行ってきた。現在では「デュアルユース(軍民両用)」と呼ばれる技術の開発だ」、なるほど。
・『1967年のフランスショック  大きな転機が訪れたのは67年。イスラエルと、エジプトやシリア、ヨルダンなどアラブ諸国の間で、第3次中東戦争、いわゆる6日間戦争が勃発した。それまで武器調達で依存していたフランスがアラブ諸国に肩入れすることを決め、イスラエルに対する武器禁輸措置に踏み切った。 このフランスの動きにショックを受けたイスラエルは、軍事部門における他国への依存度を減らす必要があると悟る。そこで国内の防衛分野やそれに関わるテクノロジー分野への投資を強化するようになり、そこから目覚ましい急成長を遂げることになった。 さらに、自分たちの戦力を高めるだけでなく、開発した技術を輸出する知識集約型のハイテク分野の構築に焦点を置いた。アラブ諸国に対する地政学的な劣勢を埋め合わせるために、IT技術に傾倒していったというわけだ。 ベンイスラエルは、「そのおかげで70年代には、低賃金で雇える有能な科学者やエンジニアが数多く育っていた」と言う。80年代には既にIBMやインテル、モトローラなどが次々とイスラエルに研究開発センターを設置するようになっていた。 90年代半ばにパコソンや携帯電話が一般にも普及するようになると、イスラエルのそれまでの投資も実り、世界有数のIT国家として知られるようになった。防衛意識から生まれたイスラエルのIT分野は順調に成長を遂げ、スタートアップも数多く生まれている。 IT分野の成長を支える重要な要素が、イスラエル軍の徴兵制度だ。ベンイスラエルは、「意外に思うだろうが、徴兵制こそがイスラエルの技術的な革新を可能にしている」と言う。 「端的に言えば、イスラエルがテック分野で成功した秘訣は『大規模な戦略』が根底にある。その戦略は、イスラエルの置かれている過酷な地政学的環境から生まれた。その戦略の大事な要素は、質で優位に立つことと、大規模な研究開発の取り組みを推進することだ」 イスラエルでは、18歳になれば国民はイスラエル軍に入隊する義務がある(アラブ系など一部免除あり)。男性は2年8カ月、女性は2年、イスラエル軍に所属して、国防の現場で勤務する必要がある。また、40歳までは予備役として登録される。 実はこの徴兵制は武器を持って戦闘をすることだけが目的ではない。優秀な人材を育成するための重要な役割を担っている。 イスラエル軍の人事部は、19歳のイスラエル人の若者を全て、入隊前にスクリーニングする。 その際に、科学やエンジニア部門で秀でた人材を青田買いして、軍が学費を負担して徴兵時期を延期するなどの支援をしながら専門的な分野に送り込む。実際に毎年、1000人ほどの優秀な高校生が軍に入隊する前に大学へ送り込まれる』、「1967年のフランスショック・・・それまで武器調達で依存していたフランスがアラブ諸国に肩入れすることを決め、イスラエルに対する武器禁輸措置に踏み切った。 このフランスの動きにショックを受けたイスラエルは、軍事部門における他国への依存度を減らす必要があると悟る。そこで国内の防衛分野やそれに関わるテクノロジー分野への投資を強化するようになり、そこから目覚ましい急成長を遂げることになった」、初めて知った。
・『「8200部隊」の出身者とは  そうした学生は大学を卒業した時点で軍に入隊し、有給の職務経験を軍で積み、能力を磨くことになる。 イスラエル外務省のイノベーション開発部門を率いるラン・ナタンゾンによれば、軍ではスタートアップなどで革新的な開発を行うための「リーダーシップ」「チームワーク」「共同ミッション」「ネットワーキング力」を学ぶという。 また優秀なエンジニアなどは、イスラエル軍の「シギント」活動を担う「8200部隊」に配属され、国防の最前線でその腕を磨く。シギント活動とは、シグナルインテリジェンスの略で、通信の傍受や監視、ハッキングやサイバー攻撃などを指す。 筆者が知るエンジニア出身のスタートアップ経営者などは、この8200部隊の出身者が少なくない。軍の実戦で身に付けた経験から、本当に民間が求める民生技術のアイデアを練り出す。 軍から最長5年で除隊すると、一般社会に出る時点で立派な即戦力になっている。イスラエルはこうしてエンジニアやプログラマーなどを育てており、世界的に見ても能力の高いエンジニア人材の宝庫となっている。 そのイスラエルの技術力が、シリコンバレーをはじめとする世界的なテック業界を支えているのである。 先端技術を生み出すスタートアップ国家という立ち位置を生き残りの一つの手段として推し進めるイスラエル政府は、この「エコシステム」を全面的にバックアップする。 政府はイノベーション庁などを通して、スタートアップに多額の投資を行っている。イスラエル政府は現在、R&Dへの投資にGDPの6%(約170億ドル)を投資しており、この割合は世界で最も高い。 加えて、イスラエル外務省のナタンゾンによれば、「テック業界が盛り上がる環境が整っている」と言う。「スタートアップに投資を行うベンチャーキャピタルファンドも400近く活動している。 また企業をいろいろな側面から支援するインキュベーターも19組織あり、起業家たちはビジネスに集中できる」 そんなイスラエルが今、最も注目しているのがAI分野だ。世界のAI投資を「投資」「革新」「導入」で評価した「グローバルAI指標」によれば、イスラエルは現在、世界第7位にランクしている。ちなみに日本は12位だ。 「いま政府は、今後何年かにわたってこの分野でのイスラエルの継続的なリーダーシップを確保することを目的とし、省庁横断でAI開発のための国家プログラムに約27億ドルを投資している」と、ナタンゾンは言う。) 必要に迫られた国防意識から始まった、世界に先駆けた革新技術の開発によって、今では世界から一目置かれる存在になったイスラエル。 その長年培ってきたエコシステムによって、昨年10月のハマスによる大規模テロとその後の戦争状態の中でも、イスラエルのテック分野は足踏みすることなく投資を呼び込んだ。 テロ以降、イスラエルのテック人材の15%は戦争に招集されたが、スタートアップなどはテロ後の6カ月で総額31億ドルの投資を呼び込んでいる。テロの脅威の前にも止まらないイスラエルのイノベーション部門の強靭さが確認されたことになる。 それもまた、世界のテック企業がイスラエルを信頼する理由だ』、「優秀なエンジニアなどは、イスラエル軍の「シギント」活動を担う「8200部隊」に配属され、国防の最前線でその腕を磨く。シギント活動とは、シグナルインテリジェンスの略で、通信の傍受や監視、ハッキングやサイバー攻撃などを指す。 筆者が知るエンジニア出身のスタートアップ経営者などは、この8200部隊の出身者が少なくない。軍の実戦で身に付けた経験から、本当に民間が求める民生技術のアイデアを練り出す・・・「テック業界が盛り上がる環境が整っている」・・・「スタートアップに投資を行うベンチャーキャピタルファンドも400近く活動している。 また企業をいろいろな側面から支援するインキュベーターも19組織あり、起業家たちはビジネスに集中できる」・・・「グローバルAI指標」によれば、イスラエルは現在、世界第7位にランクしている。ちなみに日本は12位・・・イスラエルのテック人材の15%は戦争に招集されたが、スタートアップなどはテロ後の6カ月で総額31億ドルの投資を呼び込んでいる。テロの脅威の前にも止まらないイスラエルのイノベーション部門の強靭さが確認されたことになる。 それもまた、世界のテック企業がイスラエルを信頼する理由だ」、大したものだ。「戦争」という緊張状態のなかで、「ベンチャーキャピタルファンド」や「インキュベーション組織」などを整備することで、「起業家たちはビジネスに集中できる」仕組みは「イスラエル」ならではの強味だ。
タグ:イスラエル・パレスチナ (その7)(パレスチナへの支援金額 アラブ諸国はたった2割…意外な「最大の支援国家」とは?、なぜイスラエルは「テック大国」になれたのか...戦闘だけではない「徴兵制」に隠された目的とは?) ダイヤモンド・オンライン 豊島晋作氏による「パレスチナへの支援金額、アラブ諸国はたった2割…意外な「最大の支援国家」とは?」 豊島晋作『日本人にどうしても伝えたい 教養としての国際政治 戦争というリスクを見通す力をつける』(KADOKAWA) 「国際法などのルールに照らすと、イスラエル軍の攻撃は国家の武力行使なので国際法上はより正当化されやすい可能性があり、一方で国家の軍隊ではない武装組織ハマスの攻撃は、犯罪的と見なされる可能性が高いと言えます。 前者は暴力行使への民主的な監視と手続きが存在し、軍事法廷も含め結果への説明責任が果たされる余地があります。しかし、後者はそうした暴力の行使に対する抑制メカニズムがないと見なされ、批判を受けやすいのです。 しかし、発生する結果は同じです。イスラエル軍の攻撃もハマスの攻撃も、ともに無実の民間人を数多く殺害 してきました。もちろん、10月7日のハマスによる殺人や拉致は重大犯罪であり処罰は必要です・・・こうした議論の場合は「どちらも悪い」などという雑多な結論ではなく、個別の殺人行為、個別の軍事行動、攻撃行為を細かく見ていくしか方法がありません。 この点については、事実上、機能する国家を設立できていないパレスチナ人側、つまりハマス側が説得力の面で劣勢にあると言えるでしょう。やはり国家を設立できたか、できなかったかで世界へのメッセージの発信力を含め政治的な優劣が出ています」、なるほど。 「1994年から2020年までのパレスチナ支援総額400億ドルのうち最大の支援者はヨーロッパ(EU)で全体の約18.9%です。次にアメリカの14.2%、日本は約2.9%となっています。軍事援助や政治的なスタンスではイスラエル寄りの姿勢が目立つアメリカですが、単独国家としては最大の資金を拠出しています。最大の支援者は欧米なのです・・・ スペイン、アイルランド、ノルウェーの欧州3カ国が、パレスチナを国家として正式承認したのです。 アイルランドはかつてイギリスと独立戦争を戦った歴史があり、独立国家になるための苦闘を経験した国でもあります。実はパレスチナ自治政府に対しては、これら3カ国が承認する前の時点でも、アラブ諸国やアフリカ諸国を含め世界の139カ国が既に国家として承認していました。 ただ、日本やアメリカ、イギリス、フランス、イタリアなど国際政治で影響力の大きいG7諸国は承認しておらず、パレスチナにとっては、これが大きな課題となっているの です」、なるほど。 「もともと、アラブ諸国の指導者たちは、自分の権力の維持こそが最も重要だと考えるリアリスト集団です。パレスチナ問題に関しては、パレスチナ人に同情する世論に配慮して一定の行動をとっているに過ぎません。 最大の資金援助国サウジアラビアも、去年までパレスチナ人の宿敵であるイスラエルとの国交正常化に動いていましたし、2020年にはパレスチナ自治政府への支援金を80%以上も削減しています。 またUAE(アラブ首長国連邦)やバーレーンもイスラエルと国交を正常化し、パレスチナへの支援金を同じく削減したと見られています・・・過去にアラブ諸国の指導者でパレスチナ人の支持を集めたのが、イラクのサダム・フセイン大統領でした。イスラエルにスカッドミサイルを何発も打ち込み、パレスチナ人たちから「実際に行動を起こした」と称賛されました・・・サダム・フセインのイスラエルへのミサイル発射が、欧米を含め他国にパレスチナ問題の解決を急がせ、その後の1993年のオスロ合意へと向かう要因になったとも指摘されています」、な るほど。 「1993年のオスロ合意=パレスチナ暫定自治合意は、パレスチナに自治区を立ち上げ、いずれはパレスチナとイスラエルの2国家共存を目指すという合意でした。その後の中東和平の基礎となりました。) しかし、合意の当事者だったイスラエルのラビン首相は1995年、イスラエル国民で和平に反対するユダヤ人青年によって射殺されました・・・ パレスチナ人から見れば、アラブ諸国は頼れず、イスラエル側は和平に本気ではないと結論付けざるを得ませんでした・・・1947年の国連決議ではアラブ国家の樹立も認められ、アラブやアフリカ諸国など多くの国がパレスチナ政府を国家として承認しています。 しかし、半世紀以上たった今も、パレスチナ人はG7諸国が認めるような、機能する国家を建設できていません。 これはイスラエルが事実上、建国を認めず、妨害しているためですが、一方において、パレスチナ人たちも自分たちをうまく組織化できず、社会を統治できていないのです・・・パレスチナ自治政府の権力は腐敗しており、腐敗を除去する政治メカニズム、つまり、チェックアンドバランス機能を持っていません。カリスマ的指導者とされたPLOのヤーセル・アラファト議長の権力もかなり腐敗していたことが指摘され、後を継いだアッバス議長も、同じく腐敗や統治能力の欠如が批判されてきました。 2006年以来、一度も選挙を実施していないため、パレスチナの人々の民意を代表していないという批判もあります」、なるほど。 「対立の根源は、強力な軍事力と経済力を持つイスラエルの「強者の論理」と、ゲリラ戦やテロ攻撃で報復するしかないパレスチナ人の「弱者の論理」の対立でもあるのです・・・パレスチナの人々は多くが石を投げて抵抗し、イスラムの教えを拠り所にしました。 そして、イスラエル人たちがいるショッピングセンターで自爆ベルトを起爆させて散るようになりました。民間人に対する非道な攻撃、自爆テロをも行う人々が現れたのです。過激な手段をとる武装集団=ハマスの登場です」、「イスラエル」は現在、「ハマス」潰しに血道を挙げているが、まだまだ 時間がかかりそうだ。 Newsweek日本版「なぜイスラエルは「テック大国」になれたのか...戦闘だけではない「徴兵制」に隠された目的とは?
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中南米(その3)(5年間で6人目の大統領──政治混乱が続くペルー、「中国との関係凍結」が公約のアルゼンチン新大統領 就任1カ月で売ったけんかと  その結果、フジモリ大統領を軽んじ 国際政策で手痛いブーメランを食らった日本の“誤算”) [世界情勢]

中南米については、2020年11月12日に取上げた。久しぶりの今日は、(その3)(5年間で6人目の大統領──政治混乱が続くペルー、「中国との関係凍結」が公約のアルゼンチン新大統領 就任1カ月で売ったけんかと  その結果、フジモリ大統領を軽んじ 国際政策で手痛いブーメランを食らった日本の“誤算”)である。

先ずは、昨年1月、アジア経済研究所の清水 達也氏による世界を見る目「5年間で6人目の大統領──政治混乱が続くペルー」を紹介しよう。
https://www.ide.go.jp/Japanese/IDEsquare/Eyes/2023/ISQ202320_003.html
・『2022年12月7日正午前、ペドロ・カスティジョ大統領は国民向けテレビ演説で、国会の解散と臨時政府の樹立を宣言した。午後には国会で同大統領に対する罷免決議案の採決が予定されており、カスティジョ大統領はこれを阻止するために先手を打とうとした。これに対しマスメディアは、大統領が自主クーデター(autogolpe)を試みたと報道した。また、ディナ・ボルアルテ副大統領が国会解散を否定したほか、首相をはじめとする主要閣僚や大統領の顧問弁護士もすぐに辞任を発表した。軍や警察も憲法の秩序を守るとして、カスティジョ大統領を支持しないことを発表した。 国会は午後3時から予定されていた開会を前倒しして大統領罷免決議案の採決に入り、道徳的不適格を理由に、罷免に必要な87票を大きく上回る賛成102票、反対6票、棄権10票でカスティジョ大統領の罷免を可決した。憲法の規定に従い、ボルアルテ副大統領が大統領に就任した(写真1)。カスティジョ大統領は亡命のためにメキシコ大使館に向かう途中で警察に拘束され、反逆を企てた疑いで取り調べを受けている。今のところ18カ月の拘束が決まっている』、「大統領が自主クーデター(autogolpe)」不成立だったことは、「ペルー」の民主主義の成熟を示しているのかも知れない。
・『不規則な大統領の交代  ペルーでは大統領の任期は5年間である。にもかかわらず、ボルアルテ大統領は2016年から数えて6人目の大統領となる(表1)。最近ほかのラテンアメリカ諸国では大規模な抗議活動が目立っているものの、不規則な大統領の交代は少ない。それに対してペルーでは、2016年7月に就任したクチンスキ大統領以降、辞任や罷免による大統領の交代が相次いでいる(清水2020)。なぜ頻繁に大統領が交代するのか。その理由を、シンプルな罷免手続きと政党の断片化というペルー政治の構造的な要因と、与党分裂や汚職捜査の進展というカスティジョ政権に特有な要因に分けてみてみよう。 (表1 最近のペルーの政治情勢(大統領ごとに色を変えた) はリンク先参照) ▽シンプルな罷免手続き(現行憲法(1993年憲法)の下では、ペルーの国会は一院制で、130人の議員のうち3分の2(87人)以上が賛成すれば大統領を罷免できる。これまでにも国会は大統領の罷免決議案を9回審議し、うち2回はこれを可決した。1回目は2000年11月のフジモリ大統領で、汚職発覚後に国際会議出席を理由に出国し、滞在中の日本から国会に辞表を提出したが国会はこれを受理せず罷免した。2回目はビスカラ大統領で、2020年11月に国会が本会議で罷免決議案について議論した際に、逆にビスカラ大統領が国会議員の汚職を非難したために議員が反発して罷免を決議した(磯田2021)。国会への罷免決議案の提出から本会議での採決までにはいくつかの段階があるが、いずれにしても87人以上の議員が賛成すれば大統領を罷免できる。 一方で憲法は、国会を解散する権限を大統領に与えている。大統領が任命した首相は、内閣に対する信任決議案を国会に提出するが、これを国会が二度否決した場合には大統領は国会を解散できると定めている。最近では2019年9月にビスカラ大統領が国会を解散して、4カ月後に臨時の国会議員選挙が行われた(中沢2020)。2021年7月に政権についたカスティジョ大統領はこの権限を利用しようとした。しかし国会は、憲法修正は国会の専権事項だとして、これにかかわる信任決議案の提出を制限する法律を制定した。これにより大統領は国会を解散できなかった』、「ペルーでは大統領の任期は5年間である。にもかかわらず、ボルアルテ大統領は2016年から数えて6人目の大統領となる」、こんなに「大統領」の首がすげ替えられるのは、異常だ。
・『政党の断片化  大統領が国会議員の3分の1以上(44人)の支持を取り付ければ、罷免決議案を阻止できる。しかしペルーでは政党の断片化によってそれが難しくなっている。 断片化を示すのが総選挙における各党の得票の割合である。図に2001年から21年までの5回の総選挙における大統領選挙1次投票の主要候補の得票率(図1)と、国会議員選挙における政党別の議席配分(図2)を示した。2016年までと比べると2021年選挙では、断片化が著しいことがよくわかる。大統領選挙では5%以上を獲得した候補が前回までの4~5人から2021年には9人に増えた。同時に、決選投票に進む上位2名の得票率の合計は50~60%から32%へ下がった。国会で議席を獲得した政党の数は、前回の6党に対して今回は10党まで増えている(村上2023)。与党の自由ペルー党(Perú Libre)は37議席しか獲得できず、単独では罷免決議案を阻止できないため、ほかの政党と連立や協力をすることで政権基盤の安定を図った。(図1 大統領選1次投票 はリンク先参照)』、「政党の断片化」は政治の安定化を犠牲に進展したようだ。
・『与党分裂  政党の断片化が進んでいるにもかかわらず、カスティジョ政権は他党との連立や協力によって約16カ月間続いた。それが2022年12月に崩壊した要因となったのが、与党である自由ペルー党の分裂と汚職捜査の進展である。 自由ペルー党はペルー中部フニン州の州知事だったブラディミル・セロンが設立し、党首を務める左派政党である。セロン党首は2021年総選挙で自身が大統領候補になるつもりだったが、知事時代の汚職事件で有罪となったために立候補できなかった。そこで教員組合の活動家として2017年に全国規模のストライキを率いて注目を集めたカスティジョを招いて同党の大統領候補にすえた。カスティジョが大統領に当選すると、セロンは与党党首として政権に対して強い影響力を持った。閣僚人事など主要ポストの任命には彼の意向が強く反映された。同党は新自由主義を批判し、政府の役割を拡大する新憲法の制定を目標として掲げ、これに賛同するほかの左派政党からも協力を取り付けた。 しかしカスティジョ大統領と与党の関係はしだいに悪化した。カスティジョの当選後、検察はセロン党首に対して、新たな汚職疑惑の捜査を本格化した。州知事時代に不正に集めた資金を大統領選挙の活動資金とした疑いである。カスティジョ大統領はセロン党首から距離を置くことで、自身のイメージダウンを避けるとともに、セロン党首からの影響力を弱めようとした。 さらに党内派閥の対立が進んだ。自由ペルー党には、もともとの党員を中心としたセロン派のほか、カスティジョと同じ教員出身で教育行政に強い関心を持つ教員派や、ほかの党から合流した議員が混在していた。カスティジョ大統領がセロン党首から距離を置いたこともあり、派閥によって国会での投票が分かれたほか、首相、大臣、国会の委員会の議長などのポストの配分をめぐって党内で対立が生じた。そして2022年5月には教員派の議員10人が離党した。これにより自由ペルー党の議員は22人に減り、野党第1党を下回った。さらに6月にはセロン党首が方針の相違を理由にカスティジョ大統領に離党を求めると、大統領はこれに応じた。ただしこの段階では、自由ペルー党や離党した議員、そのほかの左派政党も、カスティジョ政権の継続では利害が一致していた』、「カスティジョの当選後、検察はセロン党首に対して、新たな汚職疑惑の捜査を本格化した。州知事時代に不正に集めた資金を大統領選挙の活動資金とした疑いである。カスティジョ大統領はセロン党首から距離を置くことで、自身のイメージダウンを避けるとともに、セロン党首からの影響力を弱めようとした」、汚職は「ペルー」につきもののようだ。これ以降は紹介を省略したい。

次に、本年1月31日付けNewsweek日本版「「中国との関係凍結」が公約のアルゼンチン新大統領、就任1カ月で売ったけんかと、その結果」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/01/post-103578_1.php
・『<12月に就任したミレイ新大統領。早々に外相が台湾と接触、BRICS入りを白紙に戻したが...> 昨年12月に就任したアルゼンチンのミレイ新大統領が、外交面で急進的リバタリアン(自由至上主義者)らしい暴挙に出るまで、それほど時間はかからなかった。 1月15日に開幕した世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、ミレイはキャメロン英外相と会談。その際、1982年に両国の間で領有権をめぐる紛争が起きたフォークランド諸島の主権問題を蒸し返し、一蹴された。瀕死の国内経済の回復が急務であるときに、軍政時代の紛争をわざわざ持ち出すのは賢明とは言えない。 ミレイは、アルゼンチンの主要な貿易相手国である中国にもけんかを売った。地元メディアが12月末、アルゼンチンのモンディノ外相が台湾の駐アルゼンチン代表の謝妙宏(シエ・ミアオホン)と会談したと報じている。 台湾との接触は、ミレイが大統領選で公約に掲げた「中国との関係凍結」を実行に移す可能性があることを示唆している。彼は選挙戦で「共産主義」国家を厳しく批判。アルゼンチンが輸入の資金調達や債務の償還に当たり中国との通貨スワップ協定に大きく依存しているなかで、その姿勢は深刻な懸念を引き起こしていた。 ミレイが大統領に就任した直後、中国はこの協定を一時停止したと報じられている。 ブラジルやロシアなど新興5カ国でつくるBRICSへのアルゼンチンの新規加盟が前政権下で決まっていたのに、ミレイが白紙に戻したことも経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。少なくともアルゼンチンは、BRICSの新開発銀行から資金を調達できなくなる。 「無政府資本主義者」を自称するミレイは、彼の言う「自由な世界」との関係強化を図っていくつもりかもしれない。だが外交や国際経済の複雑な状況に対応するには、もっと現実的でイデオロギー色の薄い外交的アプローチが必要だ。 事実、大統領就任から1カ月ほどの間に、ミレイは自分を政治的な失敗に追い込みかねない要素が2つあることに気付き始めている。「議会」と「中国」だ。 1月に入ってミレイは議会の反対を受けて、急進的な提案の一部を取り下げた。いかなる政治交渉にも妥協は必要であり、落としどころの見極めが重要だ。ただしミレイの場合は、見返りを得られるという保証なしに相当の譲歩をする勇気が必要だろう。 中国との関係については、緊張緩和を目指してモンディノが駐アルゼンチン中国大使の王衛(ワン・ウエイ)と会談。自分が台湾代表と会談したという報道を「誤解」だと否定し、さらにアルゼンチンが「一つの中国」の原則を支持することを改めて確認した。 ミレイ政権の姿勢の軟化には、財政面で結び付きの強い中国との関係を断つのは不可能だという認識が見て取れる。) 資金不足と急激なインフレに直面しているアルゼンチンは中国との関係修復を急ぎたいが、中国は余裕の構えだ。アルゼンチンは資金が必要で、ほかの市場がその提供を嫌がることを知っているからだ。 そう考えると、ミレイ政権が下す決定は中国・台湾との関係に影響を及ぼすだけでなく、アルゼンチンの両者に対する国際的な立場をより幅広く定義することにもなるだろう。 台湾にしてみれば、現在は外交関係を持つ国がパラグアイしかない南米で外交上の存在感を高めるチャンスだ。アルゼンチンが承認する政府を中国から台湾に変えないとしても、台湾にとってはミレイ政権と頻繁に交流できるようになれば大きなプラスになる。 しかしアルゼンチンは中国が反発を強めることを承知の上で、本当に台湾との関係を強化すべきなのか。ミレイに決断の時が来ている』、「資金不足と急激なインフレに直面しているアルゼンチンは中国との関係修復を急ぎたいが、中国は余裕の構えだ。アルゼンチンは資金が必要で、ほかの市場がその提供を嫌がることを知っているからだ・・・アルゼンチンが承認する政府を中国から台湾に変えないとしても、台湾にとってはミレイ政権と頻繁に交流できるようになれば大きなプラスになる。 しかしアルゼンチンは中国が反発を強めることを承知の上で、本当に台湾との関係を強化すべきなのか」、やはり「中国」優先に走らざるを得ないのではなかろうか。

第三に、9月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「フジモリ大統領を軽んじ、国際政策で手痛いブーメランを食らった日本の“誤算”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/350661
・『日本大使公邸占拠事件の取材で見た「フジモリ一家」の意外すぎる素顔  9 月11日、ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領(86)が死去しました。 1996年12月、在ペルー日本大使公邸占拠事件が起きたとき、私はペルーに取材に行き、フジモリ一家と行動を共にした経験があります。スペイン語どころか、英語もまともにできない私は、以前からフジモリ一家と親交のあった写真家の蓮尾真司氏に同行をお願いして、大統領のインタビューために慌ただしく飛行機に乗りました。 当時は『月刊文春』編集部に在籍。公邸では日系人中心に約600人が人質にされていましたが、フジモリ大統領は身代金と引き換えに人質を解放することには絶対反対でした。当時は、日本政府も必死に解決を求めていました。 ただ、私はこの事件やフジモリ氏個人のことより、せっかく海外で珍しい日系大統領が登場したという外交チャンスを生かせず、南米を中心とした世界的戦略を打ち立てられなかった日本の政治家たちのフジモリ氏に対する残念な扱いについて、振り返りたいと思います。 ペルーには飛行機で約20時間。蓮尾氏へのフジモリ家の信頼は厚く、なんとフジモリ大統領が所有する家の一軒に宿泊を許されました。金持ちの大統領だからといって、何軒も家があるわけではありません。いつテロに遭うかわからない国で、毎日同じ家に泊まるのは危険。そのため数軒の家を所有し、毎日宿泊する家を変えているとのことでした。 ペルーといえば、インカ帝国。マチュピチュ遺跡など観光地のイメージがありますが、首都リマはペルーの全人口約3000万人のうち1000万人が居住する、一大工業・商業地域です。雑然とした街並みで、当時は驚くべき治安の悪さと貧困ぶりを見ることになりました。 周囲はボロボロの車しか走っていません。「お金がないなら、中国やタイみたいに自転車にしたらどうなんですか?」と聞くと、大統領の側近が笑いながら答えました。「自転車なんて簡単に盗まれるでしょ」。  確かに、日系人の家を訪ねたところ、すべて三重の鉄トビラで守られていました。入り口で最初の扉を開けて、狭い小部屋に入り、誰何されて名前と写真が照合されると次の扉が開き、また狭い部屋に入ってもう一度確認されたあと、ようやく三つ目の扉が開き、家に入れます。鉄扉は頑丈で、一人で動かすのも苦労するくらいです。 中流階級以上の家は広い庭と農場が周囲にありますが、高い塀で囲まれ、中は簡単には見えません。塀の扉を気軽に開けようものなら、何匹ものドーベルマンがすごい表情で吠えながら、走ってきます。その家の当主の案内でしか、家には入れないのです。) フジモリ一家は我々にとても親切でした。「事件にまだ進展はないよ」と、毎日首都を案内してくれます。ただし、観光気分になどまったくなれません。なにしろ、常に私たちの車の前後は機関銃を装備した車が警戒しているのだから。テロ組織は首都にもいて、武器も威力の高いものを所持しています。事前に見たペルーの資料や現在の資料にも「フジモリになって治安がよくなった」と書かれていますが、それでも当時はそんなレベルでした』、「中流階級以上の家は広い庭と農場が周囲にありますが、高い塀で囲まれ、中は簡単には見えません。塀の扉を気軽に開けようものなら、何匹ものドーベルマンがすごい表情で吠えながら、走ってきます。その家の当主の案内でしか、家には入れないのです・・・毎日首都を案内してくれます。ただし、観光気分になどまったくなれません。なにしろ、常に私たちの車の前後は機関銃を装備した車が警戒しているのだから」、なるほど。
・『フジモリ大統領を軽んじ、国際政策で手痛いブーメランを食らった日本の“誤算”  豪華な大統領官邸も訪れました。植民地時代、スペインの征服者ピサロが建てた宮殿ですから、日本の国会議事堂より贅沢な作りで、衛兵が常に警戒の巡回行進をしています。案内の男性が忠告してくれました。 「夜になると大統領府の周囲は、ヤバい街に変わります。道には1メートルおきに女性が立っています。すべて売春婦です。値段は1ドル。間違っても買ってはいけませんよ。誰もが性病を持っているから……」』、「豪華な大統領官邸も訪れました。植民地時代、スペインの征服者ピサロが建てた宮殿ですから、日本の国会議事堂より贅沢な作りで、衛兵が常に警戒の巡回行進をしています」、なるほど。
・『なぜか郷愁を感じてしまう恐ろしく貧しい国ペルー  ペルー人の人柄には、何か日本人に郷愁を感じさせるものがありました。一つは、地元のインディオのスタイルでしょう。もともとモンゴリアンが何万年も前に陸続きだったベーリング海峡伝いに渡米して、辿り着いたのがペルーという国。日本の縄文人とルーツが同じなのです。南米は征服民族であるヒスパニックとその混血児が多いので、スタイルがよく美形の男女が多いのですが、インディオは背が低いから目立ちます。明治時代の日本人の写真を見ると、三頭身か四頭身でかなり頭が大きいですが、そんな感じの男女もかなり混じっています。 そして私を最も驚かせたのが、当時「新リマ」と名付けられていた副都心を訪れたときのことでした。整備されたコンクリートの街角を予想していたのですが、イメージとは真逆のスラム街。鳥取砂丘を何倍にも大きくしたような丘に、ビッシリと住宅が建てられています。住宅といっても、日本の海の家と似て葦簾(よしず)で囲っただけのような建物です。当然、電気も水道もガスもない。ひっきりなしに少年少女がバケツを持って山を上ったり下ったり。水はそこから運ぶしかないのです。 インフラがない。資源がない。工業化されていない。この国を統治するのは大変な作業に違いありません。「フジモリ氏は日本食は好きだが、絶対に寿司と刺身は食べない」と家族も語っていました。お腹を壊すと、臥せっているだけで、敵対派のクーデターに襲われかねないというお国柄なのです。) ペルー紀行を書きすぎました。実は、ここからが私が本当に書きたいことです。フジモリ氏の信条と日本政府のズレ、そして日本政府の外交上の大きな失点を指摘するのが本稿の目的です。 フジモリ氏は日本国籍を持っています。熊本県から1934年に両親がペルーに移住。同時に公使館に出生届を出して、日本国籍を得ました。ペルー在住の日本人は9万人から10万人と言われます。フジモリ氏は熊本出身ですが、それ以外では沖縄出身の日本人が大勢います。彼らがこの地に移住したのは、東北で大凶作があり、満州国で溥儀が皇帝に就任した頃のこと。日本は貧困に喘いで、政府が海外にほとんど棄民のように日本人を送りつけていた時期でした。 だからこそ、彼らは必死で働き、また日本に戻りたいという気持ちも強かったのでしょう。実際「日本人は働き者だ」とペルーでは尊敬され、外見からチーノ(中国人)と間違えられると、「いや、ハポンだ」と言い返せば、最敬礼されたと言います。 ある日系人の家を訪れたとき、ボロボロの『文藝春秋』が置いてありました。「ああ、この国に文藝春秋の編集者が来てくれるなんて、夢のようだよ」とその日系人は語り、1ページずつめくりながら感想を語ってくれます。 10年以上前の雑誌なのですが、何回も読み直したのでしょう。手垢にまみれ、もう表紙もすり切れた雑誌を見ながら窓の外を見ると、浜辺の向こうに太平洋が見えました。ここから日本まで1万5000km。何十年も前に汽船に乗ってこの国にやってきた人々は、どんな想いで海の向こうを見ていたのだろう――。そんなことを考えつつ、なんとか大統領のインタビューもとれました。正直、公式コメントのようなインタビューだったので、今回はとりあげません。むしろ一番心に残ったのが、親族の一人が大統領から聞いた話でした』、「フジモリ氏は日本食は好きだが、絶対に寿司と刺身は食べない」と家族も語っていました。お腹を壊すと、臥せっているだけで、敵対派のクーデターに襲われかねないというお国柄なのです・・・フジモリ氏は日本国籍を持っています。熊本県から1934年に両親がペルーに移住。同時に公使館に出生届を出して、日本国籍を得ました。ペルー在住の日本人は9万人から10万人と言われます。フジモリ氏は熊本出身ですが、それ以外では沖縄出身の日本人が大勢います。彼らがこの地に移住したのは、東北で大凶作があり、満州国で溥儀が皇帝に就任した頃のこと。日本は貧困に喘いで、政府が海外にほとんど棄民のように日本人を送りつけていた時期でした。 だからこそ、彼らは必死で働き、また日本に戻りたいという気持ちも強かったのでしょう。実際「日本人は働き者だ」とペルーでは尊敬され、外見からチーノ(中国人)と間違えられると、「いや、ハポンだ」と言い返せば、最敬礼されたと言います』、なるほど。
・『「一体いくら欲しいんだ?」陰口を言い合う日本の政治家たち  1990年代前半、フジモリ大統領は、日本を訪問して多くの政治家に経済援助のお願いをしました。大統領は基本的に英語を使い、スペイン語もしゃべりますが、実は日本語もわかります。しかし、フジモリ氏を出迎えて食事会を開催した日本の大物議員たちは、公式の会食なので当然のように通訳を使うフジモリ氏を見て、日本語ができないと思い込んだようでした。 「一体、いくら欲しくて日本に来たんだ」「日本からの援助で、大統領を何期もする気なんだろうな」「まあ、他の南米の国より少し多めの援助をしておけば、大喜びだろうよ」「どうせあのあたりなら、賄賂に消えるだけ」と好き放題の悪口を語っており、席を蹴って帰ろうかと思ったほど非礼な言葉を浴びせられたというのです。) 実際には、フジモリ大統領の来日時に日本政府が約束したペルーへの経済援助は、当時の南米の国の中では破格であり、1億ドル(130億円)の円借款や35億円の無償援助を柱とするものでした。「日系大統領の国だから特別に」という配慮があったことは事実でしょう。 ペルーにはその後も、日本からの経済援助が継続的に行われています。しかし、次に挙げる数字と比べると、あまりの規模の違いに驚くでしょう。日本がこの時期も含め、現在に至るまで何十年にもわたって約3兆6600億円ものODA(政府開発援助)をしていた国があります。その国の名は中国です』、「1990年代前半、フジモリ大統領は、日本を訪問して多くの政治家に経済援助のお願いをしました。大統領は基本的に英語を使い、スペイン語もしゃべりますが、実は日本語もわかります。しかし、フジモリ氏を出迎えて食事会を開催した日本の大物議員たちは、公式の会食なので当然のように通訳を使うフジモリ氏を見て、日本語ができないと思い込んだようでした。 「一体、いくら欲しくて日本に来たんだ」「日本からの援助で、大統領を何期もする気なんだろうな」「まあ、他の南米の国より少し多めの援助をしておけば、大喜びだろうよ」「どうせあのあたりなら、賄賂に消えるだけ」と好き放題の悪口を語っており、席を蹴って帰ろうかと思ったほど非礼な言葉を浴びせられたというのです・・・ペルーにはその後も、日本からの経済援助が継続的に行われています。しかし、次に挙げる数字と比べると、あまりの規模の違いに驚くでしょう。日本がこの時期も含め、現在に至るまで何十年にもわたって約3兆6600億円ものODA(政府開発援助)をしていた国があります。その国の名は中国です」、なるほど。
・『フジモリ氏を「物乞い」扱いし 他国にすり寄った日本の誤算  この援助は、北京国際空港などのインフラ整備、貧困解消、環境対策など様々な用途に使われたとされています。しかし、中国はこの時期、本当にまだ日本の援助が必要だったのでしょうか。彼らは改革開放路線を唱え、工業国化を急ピッチで展開し、すでに世界の工場になろうとしていました。 軍事力も急拡大させ、1990年代後半から空母の導入計画を本格化、南シナ海における領土問題に対して、海軍が島嶼や岩礁の防衛・占拠を進めていました。ロシアから先端戦闘機を導入し、自国での組み立てや生産を進めました。核兵器の開発と配備も進められ、特に弾道ミサイルの技術が向上して、DF-21(東風21)やDF-31(東風31)などの新型弾道ミサイルを開発・配備し、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も開発していました。核抑止力が強化されたのです。 約3兆6600億円もの日本の経済援助により、浮いた国家予算でつくられた中国の武器が、今まさに日本を威圧しているのです。もしこの大金の一部でも、当時からフジモリ大統領のペルーや日系移民の多い南米諸国に援助されていたら、経済の安定に対して絶大な効果を発揮し、南米の発展に大きく寄与していたはずです。 南米からの移民問題が常にアメリカ合衆国を揺るがせ、今はとりわけ大問題になっています。その南米が日本の援助で安定していれば、米国の分断ももっと温和なものになったでしょう。 そして、グローバルサウスに南米の国々が大きな影響力を持つ時代が来ました。中国への付き合い方を慎重に考え、南米をもっと援助していれば、グローバルサウスに日本は大きな影響力を持てたはずです。 中国に感謝もされず、反日国家を育てたのも自民党政権でした。祖国を愛しながら、他国で日本人ならではの勤勉さを発揮していたフジモリ大統領のことを面前で「物乞い扱いした」自民党と日本政府こそ、税金泥棒だったのではないでしょうか』、「中国はこの時期、本当にまだ日本の援助が必要だったのでしょうか。彼らは改革開放路線を唱え、工業国化を急ピッチで展開し、すでに世界の工場になろうとしていました。 軍事力も急拡大させ、1990年代後半から空母の導入計画を本格化、南シナ海における領土問題に対して、海軍が島嶼や岩礁の防衛・占拠を進めていました。ロシアから先端戦闘機を導入し、自国での組み立てや生産を進めました。核兵器の開発と配備も進められ、特に弾道ミサイルの技術が向上して、DF-21(東風21)やDF-31(東風31)などの新型弾道ミサイルを開発・配備し、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も開発していました・・・約3兆6600億円もの日本の経済援助により、浮いた国家予算でつくられた中国の武器が、今まさに日本を威圧しているのです。もしこの大金の一部でも、当時からフジモリ大統領のペルーや日系移民の多い南米諸国に援助されていたら、経済の安定に対して絶大な効果を発揮し、南米の発展に大きく寄与していたはずです。 南米からの移民問題が常にアメリカ合衆国を揺るがせ、今はとりわけ大問題になっています。その南米が日本の援助で安定していれば、米国の分断ももっと温和なものになったでしょう。 そして、グローバルサウスに南米の国々が大きな影響力を持つ時代が来ました。中国への付き合い方を慎重に考え、南米をもっと援助していれば、グローバルサウスに日本は大きな影響力を持てたはずです。 中国に感謝もされず、反日国家を育てたのも自民党政権でした。祖国を愛しながら、他国で日本人ならではの勤勉さを発揮していたフジモリ大統領のことを面前で「物乞い扱いした」自民党と日本政府こそ、税金泥棒だったのではないでしょうか」、全く同感である。
タグ:中南米 (その3)(5年間で6人目の大統領──政治混乱が続くペルー、「中国との関係凍結」が公約のアルゼンチン新大統領 就任1カ月で売ったけんかと  その結果、フジモリ大統領を軽んじ 国際政策で手痛いブーメランを食らった日本の“誤算”) アジア経済研究所の清水 達也氏による世界を見る目「5年間で6人目の大統領──政治混乱が続くペルー」 「大統領が自主クーデター(autogolpe)」不成立だったことは、「ペルー」の民主主義の成熟を示しているのかも知れない。 「ペルーでは大統領の任期は5年間である。にもかかわらず、ボルアルテ大統領は2016年から数えて6人目の大統領となる」、こんなに「大統領」の首がすげ替えられるのは、異常だ。 「政党の断片化」は政治の安定化を犠牲に進展したようだ。 「カスティジョの当選後、検察はセロン党首に対して、新たな汚職疑惑の捜査を本格化した。州知事時代に不正に集めた資金を大統領選挙の活動資金とした疑いである。カスティジョ大統領はセロン党首から距離を置くことで、自身のイメージダウンを避けるとともに、セロン党首からの影響力を弱めようとした」、汚職は「ペルー」につきもののようだ。これ以降は紹介を省略したい。 Newsweek日本版「「中国との関係凍結」が公約のアルゼンチン新大統領、就任1カ月で売ったけんかと、その結果」 「資金不足と急激なインフレに直面しているアルゼンチンは中国との関係修復を急ぎたいが、中国は余裕の構えだ。アルゼンチンは資金が必要で、ほかの市場がその提供を嫌がることを知っているからだ・・・アルゼンチンが承認する政府を中国から台湾に変えないとしても、台湾にとってはミレイ政権と頻繁に交流できるようになれば大きなプラスになる。 しかしアルゼンチンは中国が反発を強めることを承知の上で、本当に台湾との関係を強化すべきなのか」、やはり「中国」優先に走らざるを得ないのではなかろうか。 ダイヤモンド・オンライン 木俣正剛氏による「フジモリ大統領を軽んじ、国際政策で手痛いブーメランを食らった日本の“誤算”」 「中流階級以上の家は広い庭と農場が周囲にありますが、高い塀で囲まれ、中は簡単には見えません。塀の扉を気軽に開けようものなら、何匹ものドーベルマンがすごい表情で吠えながら、走ってきます。その家の当主の案内でしか、家には入れないのです・・・毎日首都を案内してくれます。ただし、観光気分になどまったくなれません。なにしろ、常に私たちの車の前後は機関銃を装備した車が警戒しているのだから」、なるほど。 フジモリ大統領を軽んじ、国際政策で手痛いブーメランを食らった日本の“誤算” 「豪華な大統領官邸も訪れました。植民地時代、スペインの征服者ピサロが建てた宮殿ですから、日本の国会議事堂より贅沢な作りで、衛兵が常に警戒の巡回行進をしています」、なるほど。 「フジモリ氏は日本食は好きだが、絶対に寿司と刺身は食べない」と家族も語っていました。お腹を壊すと、臥せっているだけで、敵対派のクーデターに襲われかねないというお国柄なのです・・・フジモリ氏は日本国籍を持っています。熊本県から1934年に両親がペルーに移住。同時に公使館に出生届を出して、日本国籍を得ました。ペルー在住の日本人は9万人から10万人と言われます。 フジモリ氏は熊本出身ですが、それ以外では沖縄出身の日本人が大勢います。彼らがこの地に移住したのは、東北で大凶作があり、満州国で溥儀が皇帝に就任した頃のこと。日本は貧困に喘いで、政府が海外にほとんど棄民のように日本人を送りつけていた時期でした。 だからこそ、彼らは必死で働き、また日本に戻りたいという気持ちも強かったのでしょう。実際「日本人は働き者だ」とペルーでは尊敬され、外見からチーノ(中国人)と間違えられると、「いや、ハポンだ」と言い返せば、最敬礼されたと言います』、なるほど。 「1990年代前半、フジモリ大統領は、日本を訪問して多くの政治家に経済援助のお願いをしました。大統領は基本的に英語を使い、スペイン語もしゃべりますが、実は日本語もわかります。しかし、フジモリ氏を出迎えて食事会を開催した日本の大物議員たちは、公式の会食なので当然のように通訳を使うフジモリ氏を見て、日本語ができないと思い込んだようでした。 「一体、いくら欲しくて日本に来たんだ」「日本からの援助で、大統領を何期もする気なんだろうな」「まあ、他の南米の国より少し多めの援助をしておけば、大喜びだろうよ」「どうせあのあたりなら、賄賂に消えるだけ」と好き放題の悪口を語っており、席を蹴って帰ろうかと思ったほど非礼な言葉を浴びせられたというのです・・・ペルーにはその後も、日本からの経済援助が継続的に行われています。しかし、次に挙げる数字と比べると、あまりの規模の違いに驚くでしょう。日本がこの時期も含め、現在に至るまで何十年にもわたって約3兆6600億円も のODA(政府開発援助)をしていた国があります。その国の名は中国です」、なるほど。 「中国はこの時期、本当にまだ日本の援助が必要だったのでしょうか。彼らは改革開放路線を唱え、工業国化を急ピッチで展開し、すでに世界の工場になろうとしていました。 軍事力も急拡大させ、1990年代後半から空母の導入計画を本格化、南シナ海における領土問題に対して、海軍が島嶼や岩礁の防衛・占拠を進めていました。ロシアから先端戦闘機を導入し、自国での組み立てや生産を進めました。核兵器の開発と配備も進められ、特に弾道ミサイルの技術が向上して、DF-21(東風21)やDF-31(東風31)などの新型弾道ミサイルを開発・ 配備し、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も開発していました・・・約3兆6600億円もの日本の経済援助により、浮いた国家予算でつくられた中国の武器が、今まさに日本を威圧しているのです。もしこの大金の一部でも、当時からフジモリ大統領のペルーや日系移民の多い南米諸国に援助されていたら、経済の安定に対して絶大な効果を発揮し、南米の発展に大きく寄与していたはずです。 南米からの移民問題が常にアメリカ合衆国を揺るがせ、今はとりわけ大問題になっています。その南米が日本の援助で安定していれば、米国の分断ももっと温和なも のになったでしょう。 そして、グローバルサウスに南米の国々が大きな影響力を持つ時代が来ました。中国への付き合い方を慎重に考え、南米をもっと援助していれば、グローバルサウスに日本は大きな影響力を持てたはずです。 中国に感謝もされず、反日国家を育てたのも自民党政権でした。祖国を愛しながら、他国で日本人ならではの勤勉さを発揮していたフジモリ大統領のことを面前で「物乞い扱いした」自民党と日本政府こそ、税金泥棒だったのではないでしょうか」、全く同感である。
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ロシア(その3)(3月モスクワのテロ事件はイスラム国の仕業だ! アメリカの警告を受け入れなかったプーチンのミス、ハバナ症候群 原因は音響兵器で実行部隊はロシア軍秘密機関「29155部隊」だった?、プリゴジン死亡で「ワグネル利権」の乗っ取りを狙う民間軍事会社の名前) [世界情勢]

ロシアについては、2018年7月28日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その3)(3月モスクワのテロ事件はイスラム国の仕業だ! アメリカの警告を受け入れなかったプーチンのミス、ハバナ症候群 原因は音響兵器で実行部隊はロシア軍秘密機関「29155部隊」だった?、プリゴジン死亡で「ワグネル利権」の乗っ取りを狙う民間軍事会社の名前)である。

先ずは、本年3月29日付け東洋経済オンラインが掲載した新聞通信調査会理事・共同通信ロシア・東欧ファイル編集長の吉田 成之氏による「3月モスクワのテロ事件はイスラム国の仕業だ! アメリカの警告を受け入れなかったプーチンのミス」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/744531
・『2024年3月22日に、モスクワ郊外のコンサートホールで140人以上の死者を出す銃撃テロ事件が起きてから約1週間が経過した。事件発生を聞いた瞬間、筆者の脳裏に、ある生々しい情景が浮かんだ。 1999年9月半ば、モスクワの巨大アパートで起きた爆破テロの現場の情景だ。当時、共同通信モスクワ支局長だった筆者は現場に足を踏み入れた瞬間、息を飲んだ』、興味深そうだ。
・『1999年のテロ事件  大きなビルの一角が上から下まで、ナイフでケーキの一部がきれいに切り取られたように、そこだけ完全に崩壊していたからだ。100人以上の住民が死亡した。 当時この事件を含めモスクワなど各地で4件の爆破テロが起き、計300人以上が死亡し、ロシア社会は騒然としていた。 当時首相になったばかりのプーチン氏は、この一連の爆破事件についてチェチェンのイスラム過激派の仕業と断定。第2次チェチェン戦争を開始して、独立運動を力で抑え込んだ。これによって国民から圧倒的支持を受けたプーチン氏は翌年春、大統領選で初当選した。 筆者はこの連続爆破テロ事件の真相について、旧ソ連国家保安委員会(KGB)のスパイだったプーチン氏が世論の支持を集めるために仕組んだ自作自演の謀略事件だったと当時も今も思っている。当時のロシア独立系メディアやモスクワにいた多くの西側記者仲間もそう思っていた。 この連続爆破事件は、戦争やテロといった流血の事態を起こす一方で、国内では政治的安定をもたらしてきた「プーチン時代」の血なまぐさい幕開けを告げる出来事だったと言える。) あれから四半世紀。今回のモスクワ郊外での銃撃テロ事件についても、当初、筆者はクレムリンによる自作自演ではないかとの疑いを持って情報分析を行った。 事件直前に行われた大統領選で5選を決めたばかりのプーチン氏としては、テロへの恐怖を再度国民に植え付けることで、国内を引き締め、自らの求心力を高めるという25年前と同じ構図ではないかと疑ったのだ。 しかし、情報を収集した結果、今回のテロは自作自演ではない、との判断に至った。すでに犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」(IS)の仕業と見るのが妥当だと考えている』、「1999年のテロ事件・・・モスクワなど各地で4件の爆破テロが起き、計300人以上が死亡し、ロシア社会は騒然としていた・・・当時首相になったばかりのプーチン氏は、この一連の爆破事件についてチェチェンのイスラム過激派の仕業と断定。第2次チェチェン戦争を開始して、独立運動を力で抑え込んだ。これによって国民から圧倒的支持を受けたプーチン氏は翌年春、大統領選で初当選した。 筆者はこの連続爆破テロ事件の真相について、旧ソ連国家保安委員会(KGB)のスパイだったプーチン氏が世論の支持を集めるために仕組んだ自作自演の謀略事件だったと当時も今も思っている。当時のロシア独立系メディアやモスクワにいた多くの西側記者仲間もそう思っていた・・・すでに犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」(IS)の仕業と見るのが妥当だと考えている」、なるほど。
・『ISとタリバン暫定政権との対立  ISはアフガニスタンのイスラム主義組織タリバン暫定政権との間で対立を深めている。ロシアは、そのタリバンにとって、数少ない事実上の「同盟国」と呼ばれており、ISが敵愾心を高めているからだ。 ロシアを標的にした事件はすでに起きていた。2022年9月、アフガニスタン・カブールのロシア大使館前で爆発があり、ロシア大使館の職員2人が死亡。ISが犯行声明を出したのだ。ISは、プーチン政権がアサド政権側に立ってシリア内戦に軍事介入したことにも強く反発している。 ある西側外交官は今回のテロ事件後、筆者に対しこう語った。「モスクワの事件がISの犯行であることは間違いない。それどころか、ISが世界各地で同様のテロを起こす可能性が出ている。アメリカ本土でも起きることを心配している」。 この外交官の発言の背景には、当然ながら、アメリカのバイデン政権がISによるテロ準備の動きを把握していたことがある。この事件が起こる直前、2回にわたってロシア政府に海外の過激派によるテロが起こる可能性を伝え、2回目ではISの可能性も伝えていたといわれる。) なぜウクライナ侵攻でプーチン政権と間接的に軍事的に対峙するバイデン政権が、テロ切迫の情報をモスクワに伝えたのか。それは、外国で犠牲者が出るような危険なテロが切迫しているとの情報を入手した場合、アメリカ政府は当該の外国政府に通告するという原則を定めているからだ。 このため、アメリカは対立するイランに対しても、2024年1月、イラン国内でのテロ情報を伝えている。 ロシア政府はこうしたアメリカの外交原則を承知していた。前例がすでにあったからだ。2019年12月、プーチン氏はロシアでのテロ情報が提供され、事件を未然に防ぐことができたと当時のトランプ大統領に対し、謝意を電話で伝えている』、「ウクライナ侵攻でプーチン政権と間接的に軍事的に対峙するバイデン政権が、テロ切迫の情報をモスクワに伝えたのか。それは、外国で犠牲者が出るような危険なテロが切迫しているとの情報を入手した場合、アメリカ政府は当該の外国政府に通告するという原則を定めているからだ・・・アメリカは対立するイランに対しても、2024年1月、イラン国内でのテロ情報を伝えている・・・2019年12月、プーチン氏はロシアでのテロ情報が提供され、事件を未然に防ぐことができたと当時のトランプ大統領に対し、謝意を電話で伝えている」、なるほど。
・『テロ情報を信用しなかったプーチン  しかしプーチン氏は今回、ワシントンからのテロ情報を信用しなかった。テロ発生の3日前、対テロ作戦の中核である連邦保安局(FSB)での会議に出席したプーチン氏はこう警告をはねのけた。 「これは、あからさまな脅迫である。ロシア社会を脅し、不安定化を狙ったものだ」 なぜプーチン氏は今回、アメリカの警告を受け入れなかったのか。やはり、ウクライナ侵攻で間接的にロシアと対峙するバイデン政権への反発があったと思われる。実際に、事件当夜のコンサートホール周辺の状況を見ると、厳重な警戒態勢をとっていたとは言えない。 これは、明らかにプーチン政権の手落ちである。西側であれば、テロ警備上で大きなミスを犯したとして、政権への批判の大合唱が起きるところだが、ロシアではそうはならない。真の野党も、報道の自由もないからだ。) 逆にプーチン政権は、この事件をウクライナや米欧への攻撃材料として利用している。プーチン氏は「過激なイスラム主義者」の犯行とする一方で、ウクライナの関与の可能性に触れた。 大統領の側近でもあるボルトニコフFSB長官に至っては、ウクライナとともに米英両国の情報機関が関与している可能性が高いとの見方も示した』、なるほど。
・『説得力に乏しいロシア側の主張  しかし、上記したようにテロ情報を提供したアメリカはもちろん、ウクライナも、ロシア本土への攻撃に際しては、民間人を対象としないという原則を掲げている。ロシア側の主張はいかにも説得力に乏しい。 筆者は2024年3月22日付「大統領選『5勝』のプーチンが乗り出す世界戦略」の中で、プーチン政権が、西側的法治主義を形式的に取り入れた従来の「ハイブリッド民主主義」をやめ、米欧的価値観を一切拒否する「反西側要塞国家」としての純化を始めたと報告した。 今回の事件でも、このプーチン政権の一層の強権化を象徴する場面があった。 事件の実行犯として逮捕された4人のタジキスタン人が法廷に連行された際、明らかに治安当局の取り調べを受けた際に拷問を受けていた痕跡があったのだ。 このうち、一人は片耳を切断され、別の一人は意識がないまま、車イスに乗せられていた。プーチン氏は2022年に拷問を禁止、厳罰の対象とすることをうたった拷問禁止法を成立させた。しかし、人権活動家によると、ロシアはこの法成立後も取り調べで実際には拷問は行われていたが、当局は隠そうとしていた。これが今や、隠そうともしなくなったのだ。 国際的注目を集めていた、反政権派指導者、ナワリヌイ氏の先日の収監中での事実上の殺害が象徴するように、今のプーチン政権には米欧からの違法行為批判を気にする気配はさらさらない。) こうしたプーチン政権の強権化を加速させているのが、3年目に入ったウクライナ侵攻だ。侵攻開始直後から、ロシア兵がウクライナ兵捕虜を殺害したり、ロシアの民間軍事会社ワグネル幹部が脱走した傭兵を殺害したとする動画がネット上に出回わっている』、「筆者は2024年3月22日付・・・の中で、プーチン政権が、西側的法治主義を形式的に取り入れた従来の「ハイブリッド民主主義」をやめ、米欧的価値観を一切拒否する「反西側要塞国家」としての純化を始めたと報告した。 今回の事件でも、このプーチン政権の一層の強権化を象徴する場面があった。このうち、一人は片耳を切断され、別の一人は意識がないまま、車イスに乗せられていた・・・プーチン政権の強権化を加速させているのが、3年目に入ったウクライナ侵攻だ。侵攻開始直後から、ロシア兵がウクライナ兵捕虜を殺害したり、ロシアの民間軍事会社ワグネル幹部が脱走した傭兵を殺害したとする動画がネット上に出回わっている」、恐ろしいことだ。
・『非人道的な残虐行為を犯すプーチン政権  プーチン政権は明らかに非人道的な残虐行為への感覚がマヒしている。ロシア社会全体の人権感覚も一層鈍くなっている。 こうした社会の大きな変化を背景に、先述の被疑者への当局による追及は今後さらに過酷になるだろう。 ロシアの人権活動家の間では、容疑者が、今後の取り調べの中で、ウクライナとの関わりを認める虚偽の自白を強制されたり、当局に協力しない場合、殺される事態を懸念する声も出ている。 この面で今回の捜査の行方は、今後の「プーチン・ロシア」全体の動向を占うひとつの試金石になるだろう』、「プーチン政権は明らかに非人道的な残虐行為への感覚がマヒしている。ロシア社会全体の人権感覚も一層鈍くなっている。 こうした社会の大きな変化を背景に、先述の被疑者への当局による追及は今後さらに過酷になるだろう。 ロシアの人権活動家の間では、容疑者が、今後の取り調べの中で、ウクライナとの関わりを認める虚偽の自白を強制されたり、当局に協力しない場合、殺される事態を懸念する声も出ている。 この面で今回の捜査の行方は、今後の「プーチン・ロシア」全体の動向を占うひとつの試金石になるだろう」、なるほど。

次に、4月2日付けNewsweek日本版「ハバナ症候群、原因は音響兵器で実行部隊はロシア軍秘密機関「29155部隊」だった?」を紹介しよう。
・『<世界各国でアメリカ政府職員を襲った耳鳴り、不眠などの症状はかねてから、エネルギー兵器か音響兵器による攻撃が原因ではないかと言われてきたが> いわゆる「ハバナ症候群」について、新たな調査報告が発表された。その背後に、エネルギー兵器を使用するロシア情報機関の工作員が存在していた可能性があるという内容だ。ハバナ症候群とは、キューバに駐在していたアメリカ政府職員を襲った、身体の衰弱を伴う謎の健康被害を指す。 『ハバナ症候群』の呼称で知られる原因不明の健康被害は、ロシアの対外軍事情報機関であるロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)によって用いられた「指向性のエネルギー兵器の使用が発端となっていた可能性がある」と、ロシア語の独立系メディア「ザ・インサイダー」と、米CBSのドキュメンタリー番組「60ミニッツ」、ドイツの「デア・シュピーゲル」誌の合同調査報告は伝えた。 今回の報告は、攻撃主体として「29155部隊」と呼ばれるロシア軍秘密機関も名指ししている。 特異な症状が最初に確認されたのは2016年、ハバナの大使館に駐在するアメリカ政府職員の訴えからだ。「ハバナ症候群」に罹患すると、記憶の喪失、耳鳴り、不眠、脳損傷のような兆候など、幅広い症状が表れた。アメリカの国内外で生活する1000人以上の人が、この「ハバナ症候群」にかかったとされている。なお、アメリカの情報機関では、この症候群を公式には「特異な健康事案」と呼んでいる。) 報告書によると、この「攻撃」の最初の事例は、2014年にドイツのフランクフルトで記録されていた可能性があるという』、「特異な症状が最初に確認されたのは2016年、ハバナの大使館に駐在するアメリカ政府職員の訴えからだ。「ハバナ症候群」に罹患すると、記憶の喪失、耳鳴り、不眠、脳損傷のような兆候など、幅広い症状が表れた。アメリカの国内外で生活する1000人以上の人が、この「ハバナ症候群」にかかったとされている」、なるほど。
・『異変の現場にいた部隊  報告書は次のように言う。調査を行った3つの報道機関は、「29155部隊が兵器化された技術で実験を行っていたことを裏付ける証拠書類を発見した。この技術は、謎の症状の原因である可能性が高いと専門家が示唆しているものだ」 29155部隊の幹部は、「非致死性の音響兵器」に関する作戦遂行によって評価され、褒賞を受けた、とザ・インサイダーは記している。29155部隊に属する工作員たちが、「報告されている特異な健康事案の発生直前、あるいは発生時に、世界各地の拠点に駐在していたことが位置情報で確認されている」。 キューバをはじめ各国に駐在していたアメリカ政府職員が訴えたさまざまな症状については、かねてから、何らかのエネルギー兵器か音響兵器が原因ではないかとの臆測があり、注目を集めてきた。 スタンフォード大学医学部のデビッド・レルマン教授は2022年2月の時点でCBSニュースに対し、これらの症状に関する研究から、「脳の聴覚系および前庭系に損傷が起きていることを示す明確な証拠」が浮かび上がったと証言していた。 ハバナ症候群については、米国立衛生研究所(NIH)も2024年3月に研究結果を公表したが、健康被害の原因について新たな知見は見つからなかった。 2023年3月には、アメリカの情報機関による調査報告書が、外国の敵対勢力がこれらの症状の原因である「可能性は非常に低い」と結論づけていた』、「スタンフォード大学医学部のデビッド・レルマン教授は2022年2月の時点でCBSニュース」に語った証言と、「2023年3月には、アメリカの情報機関による調査報告書が、外国の敵対勢力がこれらの症状の原因である「可能性は非常に低い」と結論づけていた」というのでは全く逆の結論のようだ。未だに真相は霧の中のようだ。

第三に、6月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した国際政治アナリスト・危機管理コンサルタントの菅原 出氏による「プリゴジン死亡で「ワグネル利権」の乗っ取りを狙う民間軍事会社の名前」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/345730
・『ロシアの民間軍事会社のワグネルは、武装蜂起の失敗、そして創設者であるプリゴジン氏の死去で、一時代が終わった。しかし、ロシア国内ではワグネルの利権を得ようと新たなプレイヤーたちがうごめいているという。ワグネルのビジネスモデルの終焉とその後とは。※本稿は、菅原出著『民間軍事会社 「戦争サービス業」の変遷と現在地』(平凡社新書)を一部抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『新たな政府系露民間軍事会社と「ワグネル・ビジネスモデル」の終焉  8月26日、プーチン大統領は、ワグネルの戦闘員たちにロシア国家への忠誠を誓う署名を命じた。プーチンがワグネルや他の民間軍事会社の従業員に宣誓を要求したのは、こうした組織をより厳しい国家の管理下に置こうとする明確な動きだと言えるだろう。 クレムリンのウェブサイトに掲載されたこの政令は、軍のために仕事をしたり、モスクワがウクライナでの「特別軍事作戦」と呼ぶものを支援したりする者は誰でも、ロシアへの忠誠を正式に誓うことを義務づけている。またこの法令には、宣誓する者は指揮官や上級指導者の命令に厳格に従うことを約束するという一行が含まれている。 今後ロシア政府は、民間軍事会社を国家の管理統制下に置き、活用していくことになるのであろう。当然、ワグネルの利権は、ロシア軍及び軍傘下の別の民間軍事会社が乗っ取ることになるのだろう。 実際、プリゴジンの死亡が発表されると、ロシアの治安部隊やクレムリンに近いオリガルヒとつながりのある民間軍事会社が、数千人規模のワグネルの戦闘員を吸収しようと画策した。その中には、ロシア軍情報将校によって設立され、プーチンに近いオリガルヒが資金を提供し、国営企業によって管理されている会社もある。 その一つ、レドゥート(Redut)社は、中東で活動するロシア企業に警備を提供している。同社は2008年に元ロシア空挺部隊員や軍事情報部の将校たちによって設立された会社とされる。米政府は23年2月にこの会社を、「ロシア軍情報機関とつながりがある」として制裁対象にした。 ワグネルの元社員が23年7月に英国議会で行った証言によれば、レドゥートはプーチンと密接な関係を持つオリガルヒ、ゲンナジー・ティムチェンコが資金提供している会社だという。この人物は英国の議員たちに、シリアで展開するレドゥートの戦闘員は中東のロシア軍から弾薬の支援を受けていると証言した。 またレドゥートは、ワグネルと国防省が過去に敵対関係にあったことを理由に、国防省との契約を拒む元ワグネル戦闘員の受け皿になっていたという。 6月末にワグネルが反乱を起こした後、何人かのワグネルの上級指揮官は同社を見捨ててレドゥートに参加した』、「レドゥートはプーチンと密接な関係を持つオリガルヒ、ゲンナジー・ティムチェンコが資金提供している会社だという。この人物は英国の議員たちに、シリアで展開するレドゥートの戦闘員は中東のロシア軍から弾薬の支援を受けていると証言した。 またレドゥートは、ワグネルと国防省が過去に敵対関係にあったことを理由に、国防省との契約を拒む元ワグネル戦闘員の受け皿になっていたという。 6月末にワグネルが反乱を起こした後、何人かのワグネルの上級指揮官は同社を見捨ててレドゥートに参加」、なるほど。
・『プリゴジン個人のネットワークで回す ワグネルのビジネスモデル  もう一つの有力な会社がコンボイ社である。同社は、プリゴジンと決別する前にワグネルのアフリカ作戦を指揮していたコンスタンチン・ピカロフが率いる会社である。EUは2月にピカロフを制裁対象に指定し、彼が2018年7月に中央アフリカ共和国で3人のロシア人ジャーナリストの殺害を計画したと記している。 プリゴジンが亡くなる直前、ピカロフはコンボイ社がアフリカの8カ国で活動していることを明らかにしていた。「我々はアフリカの軍人に新しい武器を与え、その使い方を教える」と彼はロシアの調査サイト「iStories」に語っていた。 また23年8月21日に「テレグラム」に掲載された広告でコンボイ社は、アフリカでロシアの偵察・攻撃ドローンを指揮するボランティアを募集していると宣伝していた。 クレムリンを批判するロシアの富豪ミハイル・ホドルコフスキー氏が設立したロシアの調査機関「ドシエ・センター」によると、コンボイ社はオリガルヒでプーチンの側近であるアルカディ・ローテンベルクや国営VTB銀行から22年に数億ルーブルを受け取っていたという。 プリゴジンが亡くなる前日、ロシアのユヌス=ベク・イェフクロフ国防副大臣はリビアを訪問し、ワグネルがアフリカに進出した最初の国であるリビアの軍閥ハリファ・ハフタル将軍に会ったことが報じられた。米メディアによると、この時同国防副大臣は「ワグネルの部隊を別の民間軍事会社が引き継ぐ」と説明したという。民間軍事会社が戦闘員たちに給料を支払うが、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の将校たちが厳しく管理することも同時に伝えられたという。 同紙によれば、この会談にはピカロフ氏も同席しており、彼のコンボイ社が北アフリカのワグネルの利権を引き継ぐ最有力候補になっていると伝えられた。 プリゴジンは様々な分野のビジネスを手掛けてきたが、ロシアの二つのスパイ機関、すなわち対外情報機関である対外情報庁(SVR)とGRUが、プリゴジン利権をめぐって争っているとの情報も飛び交った。 またSVRがワグネルのプロパガンダや外国をターゲットにしたネット上の偽情報発信を行ってきた情報関連のアセットを吸収し、国防省とGRUが民間軍事系のビジネス部門を取り込むことで「棲み分け」が出来た可能性も指摘された。この場合、GRUの管理下でレドゥートやコンボイといったロシアの民間軍事会社が活動する形になるのだろう。) いずれにしても、プリゴジンが自由に動き回りワグネルの利権を拡大させてきた時代は終わったと言える。プリゴジンの個人的なネットワークを通じて、違法な鉱山開発や資源取引でプロジェクトをファイナンスし、民間軍事会社のオペレーションを回すという“ワグネルのビジネスモデル”は、終焉を迎えたのである』、「プリゴジンは様々な分野のビジネスを手掛けてきたが、ロシアの二つのスパイ機関、すなわち対外情報機関である対外情報庁(SVR)とGRUが、プリゴジン利権をめぐって争っているとの情報も飛び交った。 またSVRがワグネルのプロパガンダや外国をターゲットにしたネット上の偽情報発信を行ってきた情報関連のアセットを吸収し、国防省とGRUが民間軍事系のビジネス部門を取り込むことで「棲み分け」が出来た可能性も指摘された。この場合、GRUの管理下でレドゥートやコンボイといったロシアの民間軍事会社が活動する形になるのだろう・・・プリゴジンが自由に動き回りワグネルの利権を拡大させてきた時代は終わったと言える。プリゴジンの個人的なネットワークを通じて、違法な鉱山開発や資源取引でプロジェクトをファイナンスし、民間軍事会社のオペレーションを回すという“ワグネルのビジネスモデル”は、終焉を迎えたのである」、なるほど。
・『警備、軍事訓練から政府の代理人までワグネルという規格外の民間軍事会社  ここまでワグネルの物語を主に述べてきたが、この「規格外」の会社を民間軍事会社の歴史にどう位置づけるか、その総括は容易ではない。ワグネルは、民間軍事会社の標準サービスである警備、警護や軍事訓練等を提供する場合もあれば、ヴィネル社のように「政府の代理人」としての役割も果たしていた。 またエグゼクティブ・アウトカムズのように戦闘サービスを請け負うだけでなく、途上国で資源開発にも携わり、密輸やマネーロンダリング等の国際犯罪にも手を染めた。ロシアという国家の裏仕事を手掛ける何でも屋として、一時期はその存在や活動を否定していたが、プリゴジンがワグネル設立を公に認めただけでなく、自らSNSで自分たちの活動を公表し、軍や政府を公然と非難し、最後は武装蜂起までしてしまったのである。 この背景にはプリゴジンという個性豊かな人物の存在があり、彼とプーチン大統領の個人的な関係が彼を大胆にさせた可能性を指摘出来るだろう。またそれに加え、プリゴジンがSNSを使って自らの情報を発信し、世界中にフォロワーを拡大させ、行き詰まりをみせるウクライナ戦争に対する人々の不満を背景に、ロシア軍上層部への批判を自らのパワーに変えていったという情報社会の時代的な側面があったことも見逃せない。 SNSがなければ、プリゴジンがこれほど効果的にロシア軍上層部を攻撃し、ロシア社会での影響力を強め、自身の力を過信することはなかったのではないか、と思われるからである。 そう考えてみると、今後の世界においては、生成AI、ディープフェイク、自律型ドローンのような、軍隊以外のアクターが容易に入手可能で兵器転用も可能な技術が、ワグネル以上に危険な民間軍事会社を生むおそれがあるのではないか、と思わざるを得ない。 いずれにしても、ワグネルは、プーチン・ロシアの対外戦略の暗部や、政治や軍事エリートたちの利権争い、そして、ロシア社会の閉塞感を反映する鏡のような存在だったと言えるのではないだろうか』、「今後の世界においては、生成AI、ディープフェイク、自律型ドローンのような、軍隊以外のアクターが容易に入手可能で兵器転用も可能な技術が、ワグネル以上に危険な民間軍事会社を生むおそれがあるのではないか、と思わざるを得ない・・・ワグネルは、プーチン・ロシアの対外戦略の暗部や、政治や軍事エリートたちの利権争い、そして、ロシア社会の閉塞感を反映する鏡のような存在だったと言えるのではないだろうか・・・SNSがなければ、プリゴジンがこれほど効果的にロシア軍上層部を攻撃し、ロシア社会での影響力を強め、自身の力を過信することはなかったのではないか、と思われるからである。 そう考えてみると、今後の世界においては、生成AI、ディープフェイク、自律型ドローンのような、軍隊以外のアクターが容易に入手可能で兵器転用も可能な技術が、ワグネル以上に危険な民間軍事会社を生むおそれがあるのではないか、と思わざるを得ない。 いずれにしても、ワグネルは、プーチン・ロシアの対外戦略の暗部や、政治や軍事エリートたちの利権争い、そして、ロシア社会の閉塞感を反映する鏡のような存在だったと言えるのではないだろうか」、ロシア独特のワグネルのような民間軍事組織は、今後どうなっていくのだろうか。
タグ:東洋経済オンライン ロシア (その3)(3月モスクワのテロ事件はイスラム国の仕業だ! アメリカの警告を受け入れなかったプーチンのミス、ハバナ症候群 原因は音響兵器で実行部隊はロシア軍秘密機関「29155部隊」だった?、プリゴジン死亡で「ワグネル利権」の乗っ取りを狙う民間軍事会社の名前) 吉田 成之氏による「3月モスクワのテロ事件はイスラム国の仕業だ! アメリカの警告を受け入れなかったプーチンのミス」 「1999年のテロ事件・・・モスクワなど各地で4件の爆破テロが起き、計300人以上が死亡し、ロシア社会は騒然としていた・・・当時首相になったばかりのプーチン氏は、この一連の爆破事件についてチェチェンのイスラム過激派の仕業と断定。第2次チェチェン戦争を開始して、独立運動を力で抑え込んだ。これによって国民から圧倒的支持を受けたプーチン氏は翌年春、大統領選で初当選した。 筆者はこの連続爆破テロ事件の真相について、旧ソ連国家保安委員会(KGB)のスパイだったプーチン氏が世論の支持を集めるために仕組んだ自作自演の謀略事件だったと当時も今も思っている。当時のロシア独立系メディアやモスクワにいた多くの西側記者仲間もそう思っていた・・・すでに犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」(IS)の仕業と見るのが妥当だと考えている」、なるほど。 「ウクライナ侵攻でプーチン政権と間接的に軍事的に対峙するバイデン政権が、テロ切迫の情報をモスクワに伝えたのか。それは、外国で犠牲者が出るような危険なテロが切迫しているとの情報を入手した場合、アメリカ政府は当該の外国政府に通告するという原則を定めているからだ・・・アメリカは対立するイランに対しても、2024年1月、イラン国内でのテロ情報を伝えている・・・2019年12月、プーチン氏はロシアでのテロ情報が提供され、事件を未然に防ぐことができたと当時のトランプ大統領に対し、謝意を電話で伝えている」、なるほど。 「筆者は2024年3月22日付・・・の中で、プーチン政権が、西側的法治主義を形式的に取り入れた従来の「ハイブリッド民主主義」をやめ、米欧的価値観を一切拒否する「反西側要塞国家」としての純化を始めたと報告した。 今回の事件でも、このプーチン政権の一層の強権化を象徴する場面があった。このうち、一人は片耳を切断され、別の一人は意識がないまま、車イスに乗せられていた・・・ プーチン政権の強権化を加速させているのが、3年目に入ったウクライナ侵攻だ。侵攻開始直後から、ロシア兵がウクライナ兵捕虜を殺害したり、ロシアの民間軍事会社ワグネル幹部が脱走した傭兵を殺害したとする動画がネット上に出回わっている」、恐ろしいことだ。 「プーチン政権は明らかに非人道的な残虐行為への感覚がマヒしている。ロシア社会全体の人権感覚も一層鈍くなっている。 こうした社会の大きな変化を背景に、先述の被疑者への当局による追及は今後さらに過酷になるだろう。 ロシアの人権活動家の間では、容疑者が、今後の取り調べの中で、ウクライナとの関わりを認める虚偽の自白を強制されたり、当局に協力しない場合、殺される事態を懸念する声も出ている。 この面で今回の捜査の行方は、今後の「プーチン・ロシア」全体の動向を占うひとつの試金石になるだろう」、なるほど。 Newsweek日本版「ハバナ症候群、原因は音響兵器で実行部隊はロシア軍秘密機関「29155部隊」だった?」 「特異な症状が最初に確認されたのは2016年、ハバナの大使館に駐在するアメリカ政府職員の訴えからだ。「ハバナ症候群」に罹患すると、記憶の喪失、耳鳴り、不眠、脳損傷のような兆候など、幅広い症状が表れた。アメリカの国内外で生活する1000人以上の人が、この「ハバナ症候群」にかかったとされている」、なるほど。 「スタンフォード大学医学部のデビッド・レルマン教授は2022年2月の時点でCBSニュース」に語った証言と、「2023年3月には、アメリカの情報機関による調査報告書が、外国の敵対勢力がこれらの症状の原因である「可能性は非常に低い」と結論づけていた」というのでは全く逆の結論のようだ。未だに真相は霧の中のようだ。 ダイヤモンド・オンライン 菅原 出氏による「プリゴジン死亡で「ワグネル利権」の乗っ取りを狙う民間軍事会社の名前」 菅原出著『民間軍事会社 「戦争サービス業」の変遷と現在地』(平凡社新書) 「レドゥートはプーチンと密接な関係を持つオリガルヒ、ゲンナジー・ティムチェンコが資金提供している会社だという。この人物は英国の議員たちに、シリアで展開するレドゥートの戦闘員は中東のロシア軍から弾薬の支援を受けていると証言した。 またレドゥートは、ワグネルと国防省が過去に敵対関係にあったことを理由に、国防省との契約を拒む元ワグネル戦闘員の受け皿になっていたという。 6月末にワグネルが反乱を起こした後、何人かのワグネルの上級指揮官は同社を見捨ててレドゥートに参加」、なるほど。 「プリゴジンは様々な分野のビジネスを手掛けてきたが、ロシアの二つのスパイ機関、すなわち対外情報機関である対外情報庁(SVR)とGRUが、プリゴジン利権をめぐって争っているとの情報も飛び交った。 またSVRがワグネルのプロパガンダや外国をターゲットにしたネット上の偽情報発信を行ってきた情報関連のアセットを吸収し、国防省とGRUが民間軍事系のビジネス部門を取り込むことで「棲み分け」が出来た可能性も指摘された。 この場合、GRUの管理下でレドゥートやコンボイといったロシアの民間軍事会社が活動する形になるのだろう・・・プリゴジンが自由に動き回りワグネルの利権を拡大させてきた時代は終わったと言える。プリゴジンの個人的なネットワークを通じて、違法な鉱山開発や資源取引でプロジェクトをファイナンスし、民間軍事会社のオペレーションを回すという“ワグネルのビジネスモデル”は、終焉を迎えたのである」、なるほど。 「今後の世界においては、生成AI、ディープフェイク、自律型ドローンのような、軍隊以外のアクターが容易に入手可能で兵器転用も可能な技術が、ワグネル以上に危険な民間軍事会社を生むおそれがあるのではないか、と思わざるを得ない・・・ ワグネルは、プーチン・ロシアの対外戦略の暗部や、政治や軍事エリートたちの利権争い、そして、ロシア社会の閉塞感を反映する鏡のような存在だったと言えるのではないだろうか・・・SNSがなければ、プリゴジンがこれほど効果的にロシア軍上層部を攻撃し、ロシア社会での影響力を強め、自身の力を過信することはなかったのではないか、と思われるからである。 そう考えてみると、今後の世界においては、生成AI、ディープフェイク、自律型ドローンのような、軍隊以外のアクターが容易に入手可能で兵器転用も可能な技術が、ワグネル以上に危険な 民間軍事会社を生むおそれがあるのではないか、と思わざるを得ない。 いずれにしても、ワグネルは、プーチン・ロシアの対外戦略の暗部や、政治や軍事エリートたちの利権争い、そして、ロシア社会の閉塞感を反映する鏡のような存在だったと言えるのではないだろうか」、ロシア独特のワグネルのような民間軍事組織は、今後どうなっていくのだろうか。
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ウクライナ(その8)(「侵攻の引き金」を引いたウクライナの"失策" 対立の根底には2つの「ロシア人像」がある、戦死したロシア軍参加の29歳元自衛官は義勇兵か傭兵か…ロ軍/ウクライナ軍それぞれの懐事情、ゼレンスキーの「大博打」は成功するか クルスク侵攻作戦の行方、ゼレンスキーのクルスク侵攻は「プーチンの思うつぼ」だったのか?...「時間が経つにつれて、損失は大きくなる」) [世界情勢]

ウクライナについては、本年4月4日に取上げた。今日は、(その8)(「侵攻の引き金」を引いたウクライナの"失策" 対立の根底には2つの「ロシア人像」がある、戦死したロシア軍参加の29歳元自衛官は義勇兵か傭兵か…ロ軍/ウクライナ軍それぞれの懐事情、ゼレンスキーの「大博打」は成功するか クルスク侵攻作戦の行方、ゼレンスキーのクルスク侵攻は「プーチンの思うつぼ」だったのか?...「時間が経つにつれて、損失は大きくなる」)である。

先ずは、本年6月25日付け東洋経済オンラインが掲載した作家・元外務省主任分析官の佐藤 優氏による「「侵攻の引き金」を引いたウクライナの"失策" 対立の根底には2つの「ロシア人像」がある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/760030
・『ロシアによる侵攻開始から2年を経てなお、収束の兆しが見えないウクライナ情勢ですが、この戦争の意味を理解するには、約100年にわたる米ロの対立を俯瞰する必要があると、作家で元外務省主任分析官でもある佐藤優氏は説きます。ウクライナ侵攻の背景にある複雑な事情とは。 ※本稿は佐藤氏の監修書『米ロ対立100年史』から、一部を抜粋・編集してお届けします』、歴史的視点から見る意味はありそうだ。
・『みずから行方をくらました「親ロ派」の大統領  2014年2月、ウクライナにおいて現役大統領のビクトル・ヤヌコビッチが行方不明になるという事態が発生した。彼は何者かにさらわれたわけではなく、みずから行方をくらましたのだ。 当時、ウクライナでは「マイダン革命」が進行していた。マイダンとはウクライナ語で「広場」を意味する言葉である。2013年11月から、ウクライナの首都キーウの中心部にある独立広場では市民によるデモ活動が始まっていたのだが(マイダン革命の名称はこの独立広場に由来する)、原因はヤヌコビッチ大統領が国民に約束していたEUとの自由貿易協定締結を延期したことにある。 これは西側と距離を置くという意思表示だった。彼はまた、クリミアにおけるロシアの黒海艦隊の駐留延長も認めた。このことからわかるように、ヤヌコビッチは親ロ派だった。 こうした大統領の行為に対して、不満を覚えた民衆たちが反政府デモを組織。その活動がマイダン革命と呼ばれるようになり、一時は100万人規模に達するほどの激しいデモとなった。ウクライナ政府は治安部隊を出動させて鎮圧を図ろうとしたものの、民衆の怒りを抑えることはできず、多数の死傷者が出た。 2014年2月になっても騒動は収まらず、「もうどうしようもない」とばかりにヤヌコビッチは大統領としての職務を放棄し、ロシアに逃亡したのだった。これが現役大統領行方不明の顛末である。 こうした事態を受けて、ウクライナ議会はオレクサンドル・トゥルチノフを大統領代行に立てて新政権を樹立。それまでの親ロ派から一転して親欧米派の立場を採った。 このマイダン革命の成功にウクライナの全国民が拍手喝采を送った——わけではなかった。親欧米路線に抵抗を覚える国民も存在し、こうした状況がウクライナ情勢を複雑なものにしている』、「2013年11月から、ウクライナの首都キーウの中心部にある独立広場では市民によるデモ活動が始まっていたのだが(マイダン革命の名称はこの独立広場に由来する)、原因はヤヌコビッチ大統領が国民に約束していたEUとの自由貿易協定締結を延期したことにある。 これは西側と距離を置くという意思表示だった。彼はまた、クリミアにおけるロシアの黒海艦隊の駐留延長も認めた」・・・2014年2月になっても騒動は収まらず、「もうどうしようもない」とばかりにヤヌコビッチは大統領としての職務を放棄し、ロシアに逃亡したのだった。これが現役大統領行方不明の顛末である。 こうした事態を受けて、ウクライナ議会はオレクサンドル・トゥルチノフを大統領代行に立てて新政権を樹立。それまでの親ロ派から一転して親欧米派の立場を採った」、なるほど。
・『「広い意味でのロシア人」だと考えるウクライナ人  ウクライナには「自分たちは広い意味ではロシア人だ」と考えている人々がいる。「ロシア人」という言葉には、狭義では現在のロシア人、広義ではベラルーシ人やウクライナ人も含んでいるというニュアンスがある。 ウクライナのロシア人たちは、位置的にはロシアに近い東部や南部に多い。東部ではドンバス地方(ドネツク州とルガンスク州)、そして南部ではクリミア半島だ(クリミアはもともとロシアの領土だったが、1954年にフルシチョフが当時のウクライナ・ソビエト社会主義共和国に移管している)。この地域の人たちは日常的にロシア語を使っている。 一方で、「自分たちは決してロシア人ではない」と考える人たちもいる。こちらはウクライナ西部に多い。とくに最西部のガリツィア地方ではその意識が強い。 この地域は歴史的に見ると、オーストリア・ハンガリー帝国(一般的にはハプスブルク帝国と呼ばれる)の領土であり、第1次世界大戦の敗北によって帝国が解体された1918年以降はポーランド領となっていた。) ロシア領(ソ連領)になるのは第2次世界大戦後であり、また日常的にウクライナ語も使われていることもあって、ロシアに対する思い入れは皆無に等しかった。いや、それどころか、むしろ積極的に嫌っているとさえいってよいかもしれない。 これから触れるクリミア半島併合のあと、ガリツィア地方の中心都市であるリヴィウではプーチンの顔を印刷したトイレットペーパーが人気商品になったという話もあるほどだ。 このウクライナにおける東南部と西部のロシアに対するスタンスの違いは、第2次世界大戦中の対ナチス・ドイツでも浮き彫りにされる。 このときソ連兵としてナチス・ドイツと戦ったウクライナ人は約200万人。一方、ウクライナ西部の人たちはナチス・ドイツに協力してソ連軍と戦った。その数は約30万人と伝えられている。 また、東と西では信仰する宗教も異なる。ロシアに近い東部はロシア正教を信仰しているが、西部に関してはカトリックの影響が強い「ユニエイト教会」(イコン〈聖画像〉崇敬や下級聖職者の妻帯が認められるなどは正教会と同じだが、ローマ教皇の首位性と教義的にはフィオリクエ〈子からも〉を認める東方典礼カトリック教会)の信者が多い。こうした宗教の違いも対立に影を落としているのだ。 このような対立があることを踏まえたうえで、マイダン革命のその後を見てみると、東部と南部の親ロ派の人たち(広い意味でのロシア人)が親欧米政権に対し「冗談じゃない!」と反発したことも理解できる』、「ウクライナのロシア人たちは、位置的にはロシアに近い東部や南部に多い。東部ではドンバス地方(ドネツク州とルガンスク州)、そして南部ではクリミア半島だ・・・一方で、「自分たちは決してロシア人ではない」と考える人たちもいる。こちらはウクライナ西部に多い。とくに最西部のガリツィア地方ではその意識が強い。 この地域は歴史的に見ると、オーストリア・ハンガリー帝国の領土であり、第1次世界大戦の敗北によって帝国が解体された1918年以降はポーランド領となっていた・・・ソ連兵としてナチス・ドイツと戦ったウクライナ人は約200万人。一方、ウクライナ西部の人たちはナチス・ドイツに協力してソ連軍と戦った。その数は約30万人・・・ロシアに近い東部はロシア正教を信仰しているが、西部に関してはカトリックの影響が強い「ユニエイト教会」(イコン〈聖画像〉崇敬や下級聖職者の妻帯が認められるなどは正教会と同じだが、ローマ教皇の首位性と教義的にはフィオリクエ〈子からも〉を認める東方典礼カトリック教会)の信者が多い・・・マイダン革命のその後を見てみると、東部と南部の親ロ派の人たち(広い意味でのロシア人)が親欧米政権に対し「冗談じゃない!」と反発したことも理解できる」、なるほど。
・『相次ぐウクライナからの「独立」の動き  ウクライナ共和国内における自治共和国としての地位を確保していたクリミア(1996年〜)は、ヤヌコビッチ政権崩壊後の暫定政権に対する親ロ派のデモが拡大するなどしたのち、2014年3月にはウクライナからの独立を問う住民投票を実施した。 その結果、9割もの人々が独立を支持。それだけではなく、ロシアへの編入を望むという流れが生まれた。ロシアはこれを受け入れ、クリミア共和国として編入された(国際的には認められていない)。 この動きに対してアメリカ、ヨーロッパ諸国と日本などはロシアを非難し、住民投票の無効を訴えたものの、具体的な軍事介入にまでは至らなかった。 なお、アメリカはこのクリミア併合以降、ウクライナに対して15億ドル以上の軍事支援を提供、その多くはウクライナ軍の近代化や兵士の訓練に費やされた。 同年春、ウクライナ東部のドンバス地方(ドネツク州とルガンスク州)の親ロ派武装勢力とウクライナ中央政府の間で紛争が起きる。こちらもウクライナからの独立を求めての動きだった。 (出所:『米ロ対立100年史』より)※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください この場合、マイダン革命ののちにウクライナ政府が「国家言語政策基本法」の廃止を決定したことが大きく影響しているといわれている』、「クリミア(1996年〜)は、ヤヌコビッチ政権崩壊後の暫定政権に対する親ロ派のデモが拡大するなどしたのち、2014年3月にはウクライナからの独立を問う住民投票を実施した。 その結果、9割もの人々が独立を支持。それだけではなく、ロシアへの編入を望むという流れが生まれた。ロシアはこれを受け入れ、クリミア共和国として編入された(国際的には認められていない)。 この動きに対してアメリカ、ヨーロッパ諸国と日本などはロシアを非難し、住民投票の無効を訴えたものの、具体的な軍事介入にまでは至らなかった・・・アメリカはこのクリミア併合以降、ウクライナに対して15億ドル以上の軍事支援を提供、その多くはウクライナ軍の近代化や兵士の訓練に費やされた。 同年春、ウクライナ東部のドンバス地方(ドネツク州とルガンスク州)の親ロ派武装勢力とウクライナ中央政府の間で紛争が起きる。こちらもウクライナからの独立を求めての動きだった」、なるほど。
・『侵攻の契機となった「第二公用語=ロシア語」の廃止  ウクライナでは公用語はウクライナ語と決められているが、普段からロシア語を使う地域に関しては第二公用語としてロシア語を使ってもいいとの決まりがあった。これが廃止されるとなると、公にはロシア語が使えなくなってしまう。 ウクライナ語を使えない公務員や国営企業の社員は職を失うことにもなりかねず、そのため激しい反発が起きて市庁舎を占拠するなどの暴動に発展したのだった。 なお、ロシア語とウクライナ語は、日本語にたとえれば共通語と津軽弁のようなものだという。文法上大きな違いはないにせよ、共通語しか知らない人が津軽弁で会話をすることは難しい。 言葉というものはアイデンティティに大きく関わってくるので非常に大きな問題である。 この国家言語政策基本法の廃止は、激しい反発に驚いたウクライナ政府によってすぐに撤回されたが、ウクライナ東南部の人々に政府に対する警戒感を与えてしまったのは大きな失策だったといえる。 結果としてこれが引き金となり、ロシアから支援を受けた武装勢力がドンバス地方を押さえることにつながっていったのだった。) その後、武装勢力はウクライナ東部の実効支配に至り、それぞれ「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」として独立国家の名乗りを上げたが、ウクライナ政府がこれを認めることはなく、紛争は続いた』、「国家言語政策基本法の廃止は、激しい反発に驚いたウクライナ政府によってすぐに撤回されたが、ウクライナ東南部の人々に政府に対する警戒感を与えてしまったのは大きな失策だったといえる。 結果としてこれが引き金となり、ロシアから支援を受けた武装勢力がドンバス地方を押さえることにつながっていったのだった。) その後、武装勢力はウクライナ東部の実効支配に至り、それぞれ「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」として独立国家の名乗りを上げたが、ウクライナ政府がこれを認めることはなく、紛争は続いた」、なるほど。
・『プーチンが2つの「人民共和国」を承認した背景  2014年9月、ベラルーシの首都ミンスクで停戦協定が結ばれた(第1次ミンスク合意)ものの、戦闘が止むことはなかった。 翌2015年2月になってドイツのアンゲラ・メルケル首相が新たな和平計画を発表する。それを受けてロシアとウクライナ、欧州安全保障協力機構(OSCE)、ウクライナ東部を実効支配している武装勢力が停戦合意に署名した。これを「第2次ミンスク合意」という。 その後、2022年2月にプーチン大統領は両国の独立を承認し、平和維持を目的としてロシア軍を派遣した。その直後、ウクライナへの軍事侵攻が開始される。 ウクライナ東部には最先端の軍産複合体や宇宙関連企業があるのだが、これはソ連時代からモスクワが設置してきたものだ。 もしウクライナが西側寄りになり、さらにはNATOに加盟するという事態が起きれば、ロシアの軍事・宇宙産業に関する機密情報はすべて西側(とくにアメリカ)に流れてしまう。 それもプーチン大統領が2つの「人民共和国」の独立を承認した理由の一つと考えられる』、「ロシアとウクライナ、欧州安全保障協力機構(OSCE)、ウクライナ東部を実効支配している武装勢力が停戦合意に署名した。これを「第2次ミンスク合意」という。 その後、2022年2月にプーチン大統領は両国の独立を承認し、平和維持を目的としてロシア軍を派遣した。その直後、ウクライナへの軍事侵攻が開始される。 ウクライナ東部には最先端の軍産複合体や宇宙関連企業があるのだが、これはソ連時代からモスクワが設置してきたものだ。 もしウクライナが西側寄りになり、さらにはNATOに加盟するという事態が起きれば、ロシアの軍事・宇宙産業に関する機密情報はすべて西側(とくにアメリカ)に流れてしまう。 それもプーチン大統領が2つの「人民共和国」の独立を承認した理由の一つと考えられる」、なるほど。

次に、7月24日付け日刊ゲンダイ「戦死したロシア軍参加の29歳元自衛官は義勇兵か傭兵か…ロ軍/ウクライナ軍それぞれの懐事情」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/358047
・『衝撃的なニュースが飛び込んできた。2年半近くウクライナ侵攻を続けるロシア軍に加わった元自衛官が戦地で命を落としたというのだ。「義勇兵」として戦闘に参加したと報じられているが、国際法違反の軍事侵攻になぜ身を投じたのか。ナゾは深まるばかりだ。 林官房長官は23日の会見で、ロシア軍に20代の邦人男性が兵士として加わり、6月3日に死亡したと公表。日本側は今月15日に男性の死亡を確認した。外務省は個人情報保護を理由に、男性の氏名や出身地、死亡した場所、状況を明らかにしていない。 一方、関係者の話を総合すると、戦死したのは大阪府内に住む元自衛官(29)。かつて陸上自衛隊信太山駐屯地(大阪府和泉市)に勤務していて、昨年11月ごろに出国してロシア軍に参加し、ウクライナ東部ドネツク州で爆風などに巻き込まれて死亡したという。プーチン大統領は2022年9月にドネツクを含む4州の編入を発表し、憲法にも自国領土として書き込んだが、ドネツクの占領は半分程度にとどまり、激戦地となっている。 「ロシアは邦人死亡に関する情報を一切公表しておらず、メディアでも全く報じられていません」(筑波大名誉教授の中村逸郎氏=ロシア政治)』、「20代の邦人男性が兵士として加わり、6月3日に死亡したと公表。日本側は今月15日に男性の死亡を確認した。外務省は個人情報保護を理由に、男性の氏名や出身地、死亡した場所、状況を明らかにしていない・・・陸上自衛隊信太山駐屯地(大阪府和泉市)に勤務していて、昨年11月ごろに出国してロシア軍に参加し、ウクライナ東部ドネツク州で爆風などに巻き込まれて死亡」、日本人が「義勇兵」として参戦し、戦死したとは驚かされた。
・『■「ネオナチの脅威」に大義?  信念を持って自発的に軍に入るのが義勇兵、金銭を動機に雇われるのが傭兵だとされる。元自衛官はプーチンの言う「ネオナチの脅威」に大義を見いだしたのか。しかし、少なくとも6万人のロシア兵の命を奪ったウクライナ侵攻に対する国内世論は厳しく、兵員補充はままならない。 「報酬は時期やリクルート先によって変動があり、国内で短期の兵役契約をした新兵の手当は月17万ルーブル(約30万円)程度。外国人の場合は出身地などによって月20万~30万ルーブル(約35万~53万円)ほど」(地元メディア関係者) ウクライナ軍はどうなのか。報道カメラマンの横田徹氏が日本人義勇兵に取材し、集英社オンラインに寄せた記事によると、「初任給は日本円で7万円」。前線手当などを上乗せされれば月収30万~40万円ほどになるという。防衛省発表の自衛官の平均年収は20代前半が約374万円、後半は428万円だ。 「中国に見放され、新体制になったイランからも距離を置かれ始めたプーチン氏は孤立を深めている。ロシア兵の遺体回収すらままならない状況で、邦人死亡を確認できたとしたら奇跡的です。この件をとっかかりに、日本との関係正常化を狙っているのではないか」(中村逸郎氏)) おそロシア……』、「ロシア兵の遺体回収すらままならない状況で、邦人死亡を確認できたとしたら奇跡的です」、その通りだろう。
・『■受刑者3800人入隊  ウクライナの地元メディア、ウクラインスカ・プラウダは23日、最高会議(議会)議員の話として、受刑者3800人がウクライナ軍に入隊したと報じた。兵力確保に向け、受刑者計5000人近くの入隊を見込む。ロシア軍と直接交戦する部隊に配属される予定で、入隊後、既に死傷した者もいるという。 議会は5月、残る刑期が3年以下の受刑者が軍に入隊できるようにする法案を可決した。殺人、強姦、汚職、国家安全保障に関わる犯罪などで収監された受刑者は対象外。 米メディアによると、入隊者が入隊期間が満了する前に除隊した場合、5~10年の刑期が追加される。戦場での自発的な退却や投降は禁止される。 受刑者の軍への採用はロシアもウクライナ侵攻初期から実施していた』、「入隊者が入隊期間が満了する前に除隊した場合、5~10年の刑期が追加される。戦場での自発的な退却や投降は禁止される。 受刑者の軍への採用はロシアもウクライナ侵攻初期から実施していた」、なるほど。

第三に、8月26日付けNewsweek日本版が掲載した在英ジャーナリストの木村正人氏による「ゼレンスキーの「大博打」は成功するか クルスク侵攻作戦の行方」を紹介しよう。
・『<ロシアへの越境攻撃に踏み切ったウクライナ軍はジリジリ前進を続け、プーチンは状況に機敏に対応できない弱点を再びさらした> [ロンドン発]8月6日早朝に始まったウクライナ軍のロシア西部クルスク州への侵攻は「28〜35キロメートルの深度まで進み、93集落を含む1263平方キロメートルを占領」(20日、オレクサンドル・シルスキー総司令官の説明)し、ジリジリと前進を続けている。 西側の対ロシア制裁にもかかわらず、ロシア産エネルギーの輸入を続けるインドのナレンドラ・モディ首相は23日、キーウを訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。インド側は「この紛争が終結することを強く、強く望んでいる」と訪問の狙いを説明した。 モディ氏はウクライナ軍によるクルスク州侵攻後にウクライナを訪問した最初の国際的指導者となった。 クルスク州侵攻は追い込まれたゼレンスキー氏が和平交渉に備えてカードをつくるための窮余の一策との見方が強い。米国防総省のサブリナ・シン副報道官は22日、「ゼレンスキー氏が緩衝地帯を作りたいと言っていることは理解している」に述べるにとどめた』、「クルスク州侵攻は追い込まれたゼレンスキー氏が和平交渉に備えてカードをつくるための窮余の一策との見方が強い」、なるほど。
・『ウクライナと米国の間に生じた溝  クルスク州侵攻が戦場におけるウクライナの戦略目標にどのように合致するかについて彼らと協議を続けている。ウクライナの戦場における戦略目標にどのように組み合わされるのか、私たちがより良く理解できたと確信が持てれば詳細を発表する」 シン副報道官はウクライナと最大の支援国・米国の間に生じる溝を感じさせた。英誌エコノミストによると、11月の米大統領選を控え、カマラ・ハリス米副大統領(民主党)はドナルド・トランプ前米大統領(共和党)を3%ポイントリードする。 ジョー・バイデン米大統領も、ハリス氏もウクライナ戦争が拡大する不測の事態は望んでいない。ゼレンスキー氏のギャンブルを専門家はどうみているのか。 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のロシア・ユーラシアに関するポッドキャスト(23日)で元オーストラリア陸軍少将のミック・ライアン研究員はこんな見方を示している』、「ジョー・バイデン米大統領も、ハリス氏もウクライナ戦争が拡大する不測の事態は望んでいない」、なるほど。
・『「戦争とは究極的に政治的なものだ」  ライアン研究員は新著『ウクライナ戦争 戦火の戦略と適応』を出版したばかり。「戦争とは究極的に政治的なものだ。ゼレンスキー氏は現状のままでは戦争に勝てる可能性がかなり低くなるため、このままではいけないと判断した」と分析する。 「北大西洋条約機構(NATO)がウクライナの防衛からウクライナがロシアを打ち負かすのを支援する方向へと戦略を転換するとは思えない。米国の政策が変わる見込みもなかった。プーチンはウクライナを完全に征服するという戦略を変えていない」(ライアン氏)) 米国議会の混乱で支援が停滞したため、ウクライナ軍は深刻な弾薬不足に陥り、その隙にロシア軍は攻勢に転じた。 戦争の軌道を変えることができるのは結局のところウクライナだけであることをゼレンスキー氏は痛感していた。「ウクライナが冒すリスクについて、西側諸国のほとんどは良い感覚を持っているとは思えない。しかし戦争とは結局のところ意志の戦いなのだ」』、「米国議会の混乱で支援が停滞したため、ウクライナ軍は深刻な弾薬不足に陥り、その隙にロシア軍は攻勢に転じた。 戦争の軌道を変えることができるのは結局のところウクライナだけであることをゼレンスキー氏は痛感していた」、なるほど。
・『プーチンはまたも弱点をさらけ出した  ウクライナ東部ドンバスでプーチンは攻め、ゼレンスキー氏は守る。露西部クルスク州では逆にゼレンスキー氏は攻め、プーチンは守る。プーチンの侵攻で全面戦争に突入したウクライナ戦争は2つの大規模な地上作戦に同時並行で対処するという新局面に入った。 祖国を守る「ストロングマン」の装いをまとってきたプーチンはまたも不意をつかれ、状況に機敏に対応できない弱点をさらけ出した。 英国の戦略研究の第一人者、キングス・カレッジ・ロンドンのローレンス・フリードマン名誉教授は自身のブログ(21日)に「ウクライナのこれまでの消耗戦略が功を奏しているとの見方もある」と指摘している。 ウクライナ軍の陣地に無理な肉弾戦を仕掛けるロシア軍が多くの兵員と火力を使い果たし、今回のウクライナの電撃作戦に対応する蓄えを失っていたというものだ。 「大きな『もし』だが、ウクライナ軍の攻勢が数週間、数カ月にわたって継続され、ロシア軍がウクライナ軍をクルスク州から追い出すために一層の努力を払わざるを得なくなれば、ロシアの戦略的計算と戦争を巡るナラティブに変化が見られるかもしれない」(フリードマン名誉教授) 米欧からの支援頼みのウクライナが兵員、武器弾薬の量で不利に立たされている状況は変わらない。果たしてゼレンスキー氏のギャンブルは奏功するのだろうか』、「米欧からの支援頼みのウクライナが兵員、武器弾薬の量で不利に立たされている状況は変わらない。果たしてゼレンスキー氏のギャンブルは奏功するのだろうか」、さあ、どうだろうか、次の記事も要注目だ。

第四に、9月2日付けNewsweek日本版「ゼレンスキーのクルスク侵攻は「プーチンの思うつぼ」だったのか?...「時間が経つにつれて、損失は大きくなる」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/09/post-105611_1.php
・『<この夏、ウクライナは予想外のロシア越境攻撃とクルスク侵攻という賭けに出た。しかし、プーチン大統領が反応しない背景について> ウクライナのゼレンスキー大統領によるロシア西部クルスク州への侵攻は、第二次世界大戦後初めて、ロシアの国土が外国に占領されたことを意味する。 しかし、プーチン大統領の反応は鈍い。それはプーチンが今回の侵攻が他の前線にもたらす可能性に注目していることを示唆している。 ウクライナによる8月6日の同地域への越境侵攻は、プーチンにとっても、ウクライナの同盟国にとっても、不意打ちに等しい出来事だった』、「ウクライナによる8月6日の同地域への越境侵攻は、プーチンにとっても、ウクライナの同盟国にとっても、不意打ちに等しい出来事だった」、なるほど。
・『ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官によれば、同軍は約1300平方キロを制圧し、100の集落、594人の捕虜が支配下にあるという。 だがウクライナは、ロシア軍によるドネツク州の都市ポクロフスクへの激しい攻撃で、厄介な問題に直面している。 ワシントンのシンクタンク戦争研究所(ISW)は8月28日、ウクライナにとって重要な道路と鉄道のハブであるボクロフスクの南東で、ロシア軍が「重要な戦術的前進」を続けていると発表した。 親ウクライナの独立調査機関のコンフリクト・インテリジェンス・チームは同日、ポクロフスク方面の状況はウクライナ軍にとって「ますます危険」になっていると述べた』、「ポクロフスク方面の状況はウクライナ軍にとって「ますます危険」になっている」、なるほど。
・『プーチンは東部戦線を温存  プーチンはウクライナの進軍を阻止するためにウクライナの東部戦線の部隊ではなく、ほとんど軍事訓練を受けていない若い徴集兵の部隊をクルスクに送ったようだが、ロシア政府はこれを否定している。一方、ウクライナ東部のロシア軍部隊は無傷のまま温存されている。 2022年までドイツ国防省のアドバイザーを務めたニコ・ランゲ欧州政策分析センター(CEPA)非常駐上級研究員は、ゼレンスキーのクルスク攻撃が成功したかどうかを判断するには数カ月かかるかもしれないと見ている。 ウクライナ軍の作戦はよく練られているように見えるが、越境攻撃がプーチンの軍隊をポクロフスクからそらすためだったとすれば、「それはまだうまくいっていない」と言う。) クルスクの住民は、侵攻に対するロシア当局の対応に怒りを覚えているが、ロシア政府が支配するメディアは、この攻撃をウクライナが攻撃的な意図をいだいている証拠と決めつけている。 これは、プーチンのウクライナ侵攻をさらに正当化し、政府の対応に対する期待をコントロールし、政治指導者に対する支持が高まる旗下結集効果を生みだす可能性がある。 『ロシアの戦略文化を再解釈する(Reinterpreting Russia's Strategic Culture: The Russian Way of War)』の著者でボローニャ大学の研究員ニコロ・ファソラは、ウクライナの侵攻はすでにプーチンに一定の利益をもたらしていると言う。 ウクライナによるロシアの領土獲得が戦争の流れを変えることは「ありそうもない」し、ロシアがポクロフスクへの進撃を継続することは、国内の関心をクルスクからそらし、ドンバス地方の作戦に関するロシア政府の言い分を補強する可能性がある。 ファソラは、クルスク侵攻によって新たな戦場が生まれたかもしれないが、ゼレンスキーが最も有能な部隊の一部をそちらに向けたことは、戦線の過剰拡大の危険をはらんでいると考えている。 「ウクライナはクルスクに限られた予備兵力を投入し、さまざまな部隊を作戦参加のために戦線から離脱させるという賭けに出た」と、保守系シンクタンク民主主義防衛財団(FDD)のロシアプログラムのジョン・ハーディ副所長は語った。「この作戦が成功したかどうかは、時が経てばわかるだろう」。 これまでのところ、クルスクでのウクライナ軍の装備の損失はそれほど大きくないが、「時間が経つにつれて、損失は大きくなるだろう」と、ハーディは言う。 「ウクライナにとってのリスクは、地域の安定化のために部隊が必要となり、他の地域を防衛するために利用できないということだけではない。部隊は消耗する可能性があり、兵員の不足の問題が悪化しかねない」 ウクライナ政府は明言していないが、今回の越境侵攻の目的は、ロシア領内に緩衝地帯を作ることと同様に、和平交渉における潜在的な影響力に関連しているようだ』、「これまでのところ、クルスクでのウクライナ軍の装備の損失はそれほど大きくないが、「時間が経つにつれて、損失は大きくなるだろう」と、ハーディは言う。 「ウクライナにとってのリスクは、地域の安定化のために部隊が必要となり、他の地域を防衛するために利用できないということだけではない。部隊は消耗する可能性があり、兵員の不足の問題が悪化しかねない・・・今回の越境侵攻の目的は、ロシア領内に緩衝地帯を作ることと同様に、和平交渉における潜在的な影響力に関連しているようだ」、「ウクライナにとって」今回の賭けはどうにも実りそうもなさそうだ。
タグ:ウクライナ (その8)(「侵攻の引き金」を引いたウクライナの"失策" 対立の根底には2つの「ロシア人像」がある、戦死したロシア軍参加の29歳元自衛官は義勇兵か傭兵か…ロ軍/ウクライナ軍それぞれの懐事情、ゼレンスキーの「大博打」は成功するか クルスク侵攻作戦の行方、ゼレンスキーのクルスク侵攻は「プーチンの思うつぼ」だったのか?...「時間が経つにつれて、損失は大きくなる」) 東洋経済オンライン 佐藤 優氏による「「侵攻の引き金」を引いたウクライナの"失策" 対立の根底には2つの「ロシア人像」がある」 歴史的視点から見る意味はありそうだ。 「2013年11月から、ウクライナの首都キーウの中心部にある独立広場では市民によるデモ活動が始まっていたのだが(マイダン革命の名称はこの独立広場に由来する)、原因はヤヌコビッチ大統領が国民に約束していたEUとの自由貿易協定締結を延期したことにある。 これは西側と距離を置くという意思表示だった。彼はまた、クリミアにおけるロシアの黒海艦隊の駐留延長も認めた」・・・ 2014年2月になっても騒動は収まらず、「もうどうしようもない」とばかりにヤヌコビッチは大統領としての職務を放棄し、ロシアに逃亡したのだった。これが現役大統領行方不明の顛末である。 こうした事態を受けて、ウクライナ議会はオレクサンドル・トゥルチノフを大統領代行に立てて新政権を樹立。それまでの親ロ派から一転して親欧米派の立場を採った」、なるほど。 「ウクライナのロシア人たちは、位置的にはロシアに近い東部や南部に多い。東部ではドンバス地方(ドネツク州とルガンスク州)、そして南部ではクリミア半島だ・・・一方で、「自分たちは決してロシア人ではない」と考える人たちもいる。こちらはウクライナ西部に多い。とくに最西部のガリツィア地方ではその意識が強い。 この地域は歴史的に見ると、オーストリア・ハンガリー帝国の領土であり、第1次世界大戦の敗北によって帝国が解体された1918年以降はポーランド領となっていた・・・ ソ連兵としてナチス・ドイツと戦ったウクライナ人は約200万人。一方、ウクライナ西部の人たちはナチス・ドイツに協力してソ連軍と戦った。その数は約30万人・・・ロシアに近い東部はロシア正教を信仰しているが、西部に関してはカトリックの影響が強い「ユニエイト教会」(イコン〈聖画像〉崇敬や下級聖職者の妻帯が認められるなどは正教会と同じだが、ローマ教皇の首位性と教義的にはフィオリクエ〈子からも〉を認める東方典礼カトリック教会)の信者が多い・・・マイダン革命のその後を見てみると、東部と南部の親ロ派の人たち(広い意味での ロシア人)が親欧米政権に対し「冗談じゃない!」と反発したことも理解できる」、なるほど。 「クリミア(1996年〜)は、ヤヌコビッチ政権崩壊後の暫定政権に対する親ロ派のデモが拡大するなどしたのち、2014年3月にはウクライナからの独立を問う住民投票を実施した。 その結果、9割もの人々が独立を支持。それだけではなく、ロシアへの編入を望むという流れが生まれた。ロシアはこれを受け入れ、クリミア共和国として編入された(国際的には認められていない)。 この動きに対してアメリカ、ヨーロッパ諸国と日本などはロシアを非難し、住民投票の無効を訴えたものの、具体的な軍事介入にまでは至らなかった・・・ アメリカはこのクリミア併合以降、ウクライナに対して15億ドル以上の軍事支援を提供、その多くはウクライナ軍の近代化や兵士の訓練に費やされた。 同年春、ウクライナ東部のドンバス地方(ドネツク州とルガンスク州)の親ロ派武装勢力とウクライナ中央政府の間で紛争が起きる。こちらもウクライナからの独立を求めての動きだった」、なるほど。 「国家言語政策基本法の廃止は、激しい反発に驚いたウクライナ政府によってすぐに撤回されたが、ウクライナ東南部の人々に政府に対する警戒感を与えてしまったのは大きな失策だったといえる。 結果としてこれが引き金となり、ロシアから支援を受けた武装勢力がドンバス地方を押さえることにつながっていったのだった。) その後、武装勢力はウクライナ東部の実効支配に至り、それぞれ「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」として独立国家の名乗りを上げたが、ウクライナ政府がこれを認めることはなく、紛争は続いた」、なるほど。 「ロシアとウクライナ、欧州安全保障協力機構(OSCE)、ウクライナ東部を実効支配している武装勢力が停戦合意に署名した。これを「第2次ミンスク合意」という。 その後、2022年2月にプーチン大統領は両国の独立を承認し、平和維持を目的としてロシア軍を派遣した。その直後、ウクライナへの軍事侵攻が開始される。 ウクライナ東部には最先端の軍産複合体や宇宙関連企業があるのだが、これはソ連時代からモスクワが設置してきたものだ。 もしウクライナが西側寄りになり、さらにはNATOに加盟するという事態が起きれば、ロシアの軍事・宇宙産業に関する機密情報はすべて西側(とくにアメリカ)に流れてしまう。 それもプーチン大統領が2つの「人民共和国」の独立を承認した理由の一つと考えられる」、なるほど。 日刊ゲンダイ「戦死したロシア軍参加の29歳元自衛官は義勇兵か傭兵か…ロ軍/ウクライナ軍それぞれの懐事情」 「20代の邦人男性が兵士として加わり、6月3日に死亡したと公表。日本側は今月15日に男性の死亡を確認した。外務省は個人情報保護を理由に、男性の氏名や出身地、死亡した場所、状況を明らかにしていない・・・陸上自衛隊信太山駐屯地(大阪府和泉市)に勤務していて、昨年11月ごろに出国してロシア軍に参加し、ウクライナ東部ドネツク州で爆風などに巻き込まれて死亡」、日本人が「義勇兵」として参戦し、戦死したとは驚かされた。 「ロシア兵の遺体回収すらままならない状況で、邦人死亡を確認できたとしたら奇跡的です」、その通りだろう。 「入隊者が入隊期間が満了する前に除隊した場合、5~10年の刑期が追加される。戦場での自発的な退却や投降は禁止される。 受刑者の軍への採用はロシアもウクライナ侵攻初期から実施していた」、なるほど。 Newsweek日本版 木村正人氏による「ゼレンスキーの「大博打」は成功するか クルスク侵攻作戦の行方」 「クルスク州侵攻は追い込まれたゼレンスキー氏が和平交渉に備えてカードをつくるための窮余の一策との見方が強い」、なるほど。 「ジョー・バイデン米大統領も、ハリス氏もウクライナ戦争が拡大する不測の事態は望んでいない」、なるほど。 「米国議会の混乱で支援が停滞したため、ウクライナ軍は深刻な弾薬不足に陥り、その隙にロシア軍は攻勢に転じた。 戦争の軌道を変えることができるのは結局のところウクライナだけであることをゼレンスキー氏は痛感していた」、なるほど。 「米欧からの支援頼みのウクライナが兵員、武器弾薬の量で不利に立たされている状況は変わらない。果たしてゼレンスキー氏のギャンブルは奏功するのだろうか」、さあ、どうだろうか、次の記事も要注目だ。 Newsweek日本版「ゼレンスキーのクルスク侵攻は「プーチンの思うつぼ」だったのか?...「時間が経つにつれて、損失は大きくなる」」 「ウクライナによる8月6日の同地域への越境侵攻は、プーチンにとっても、ウクライナの同盟国にとっても、不意打ちに等しい出来事だった」、なるほど。 「ポクロフスク方面の状況はウクライナ軍にとって「ますます危険」になっている」、なるほど。 「これまでのところ、クルスクでのウクライナ軍の装備の損失はそれほど大きくないが、「時間が経つにつれて、損失は大きくなるだろう」と、ハーディは言う。 「ウクライナにとってのリスクは、地域の安定化のために部隊が必要となり、他の地域を防衛するために利用できないということだけではない。部隊は消耗する可能性があり、兵員の不足の問題が悪化しかねない・・・ 今回の越境侵攻の目的は、ロシア領内に緩衝地帯を作ることと同様に、和平交渉における潜在的な影響力に関連しているようだ」、「ウクライナにとって」今回の賭けはどうにも実りそうもなさそうだ。
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イスラエル・パレスチナ(その6)(トランプもバイデンもイスラエルを支援する理由 聖書と冷戦が生んだ米国とイスラエルの同盟、全面戦争を避けたいイランに 汚職疑惑を抱えるネタニヤフが「悪夢の引き金」を引く) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、本年7月16日に取上げた。今日は、(その6)(トランプもバイデンもイスラエルを支援する理由 聖書と冷戦が生んだ米国とイスラエルの同盟、全面戦争を避けたいイランに 汚職疑惑を抱えるネタニヤフが「悪夢の引き金」を引く)である。

先ずは、本年7月17日付け東洋経済オンラインが掲載した広島修道大学教授の船津 靖氏による「トランプもバイデンもイスラエルを支援する理由 聖書と冷戦が生んだ米国とイスラエルの同盟」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/775827
・『本年11月アメリカ大統領選挙での対決が予想される民主党バイデン大統領と共和党トランプ前大統領。多くの政策で反目し、対決姿勢を露わにする両者が、なぜ揃ってイスラエルを手厚く支援してきたのか。 共同通信エルサレム、ニューヨーク支局長などを歴任した、アメリカ・イスラエル関係と宗教の研究者・船津靖氏は、その原因が両国の「特別な関係」にあると指摘します。 この「特別な関係」がどのようにもたらされ、国際政治にどのような影響を与えているのか。船津氏の新刊『聖書の同盟 アメリカはなぜユダヤ国家を支援するのか』より、一部抜粋、再構成してお届けします』、興味深そうだ。
・『目には十の目、聖地の紛争  アメリカはなぜ、「アメリカ第一主義」のトランプ前大統領も、リベラル派のバイデン大統領も、イスラエルをこれほど支援するのでしょうか? 2023年10月7日、地中海沿岸のパレスチナ自治区ガザを支配するイスラム主義組織ハマスが、イスラエル人や外国人約1200人を無差別に殺害しました。イスラエルのネタニヤフ右派政権は「ハマス壊滅」を掲げてガザ地区を猛攻し、パレスチナ人の犠牲者数は千、万単位で増えていきました。大規模テロへの報復としても「目には目」どころか「目には十の目」でも足りない凄まじさです。 この日を境に、ガザ、ハマス、イスラエルという名前を聴かない日はないほどです。それまで国際ニュースの焦点はロシアのウクライナ侵略でしたが、様変わりしました。 パレスチナ紛争はなぜこれほど世界の注目を集めるのでしょう?それには、紛争の舞台がユダヤ教、キリスト教、イスラム教という3つの一神教の聖地であることが大きく影響しています。「聖地の紛争」は、超大国アメリカと深い関わりがあります。 (画像:『聖書の同盟 アメリカはなぜユダヤ国家を支援するのか』より)』、「紛争の舞台がユダヤ教、キリスト教、イスラム教という3つの一神教の聖地であることが大きく影響しています。「聖地の紛争」は、超大国アメリカと深い関わりがあります」、なるほど。
・『リベラルも保守も超党派で支援  バイデン米大統領は、大規模テロ直後の10月半ばイスラエルへ飛び、動揺するイスラエル国民に寄り添いました。大量の武器弾薬を供与し、近海に空母を2隻派遣しました。けれども、ハマスの戦闘員に加え、女性や子供多数を含む死傷者数が恐ろしい勢いで増えるにつれ、バイデンは、リベラルとされる与党民主党の「進歩派」「左派」「アラブ系」の人々から強い批判を受け始めました。 米大統領の親イスラエル外交では前任者のトランプが突出していました。トランプは米大使館の聖地エルサレム移転を強行しました。これは国連安保理決議を無視する国際法違反でした。「トランプの共和党の支持基盤が保守的なキリスト教福音派(ふくいんは)だから」といった説明を聞いたことのある方もいらっしゃるでしょう。 アメリカはなぜ、保守派の共和党もリベラル派の民主党も、イスラエルをこれほど支援するのでしょうか?それは、アメリカとユダヤ国家イスラエルが「特別な関係」にあるからです。「特別な関係」とは特別な同盟関係のことです。 「特別な関係」という言葉をアメリカとイギリスの同盟関係に使って有名にしたのはイギリスのチャーチル前首相です。アメリカとイスラエルの「特別な関係」に初めて公式に触れたのはチャーチルを尊敬していたケネディ米大統領でした。) アメリカとイスラエルの特別な関係の基盤は何なのでしょうか?「聖書」です。古代のユダヤ人が編集した「旧約聖書」(ヘブライ語聖書)とキリスト教の「新約聖書」(ギリシア語聖書)です。 旧約はユダヤ教とキリスト教両方の聖書、新約はキリスト教だけの聖書。アメリカとイスラエルの特別な同盟関係の基盤にあるのは、ユダヤ・キリスト教の宗教・政治文化の共有です』、「アメリカとイスラエルの特別な同盟関係の基盤にあるのは、ユダヤ・キリスト教の宗教・政治文化の共有です」、なるほど。
・『聖書の建国神話と黙示思想  「旧約聖書」の「出エジプト記」によれば、古代イスラエルは、神に選ばれたユダヤ人がエジプトのファラオの専制支配を逃れ、自由を求めて神の「約束の地」につくった国です。 現代イスラエルの建国物語は、この「出エジプト」神話をなぞっています。17世紀に、北米大陸に入植したキリスト教プロテスタントのピューリタン(清教徒)も「新大陸」に自由な「新しいイスラエル」をつくる宗教的な熱情に突き動かされていました。「約束の地」の「自由の物語」は、独立宣言や合衆国憲法の基盤を成し、アメリカの国民的アイデンティティやリベラルな価値観を形づくっています。 旧約の「ヨシュア記」は、「神の選民」が「約束の地」で自由を得るまでに起きた先住民の殺戮や支配の過程も克明に描きます。まるでアメリカ先住民やパレスチナ・アラブ人の苦難を先取りしているかのようです。 トランプ支持者に多い保守的なキリスト教福音派は、「新約聖書」の「ヨハネの黙示録(もくしろく)」などを解釈した聖書預言、終末論の影響を受けています。「世界の終わり」に、救世主(メシア)イエスが聖地エルサレムに再臨し、善と悪の最終戦争(ハルマゲドン)を経て「千年王国」(ミレニアム)が出現する、とする黙示思想です。荒唐無稽なファンタジーのようですが、黙示思想はアメリカの政治文化、大衆文化に広く、深く浸透しています。) アメリカとイスラエルの関係を、中東の地政学や安全保障を抜きに語ることはもちろんできませんが、両国が「特別な関係」と呼ばれるのは、聖書の伝統に基づく宗教・政治文化、建国神話・物語を、指導層から広く大衆まで共有していることが大きいのです』、「アメリカとイスラエルの関係を、中東の地政学や安全保障を抜きに語ることはもちろんできませんが、両国が「特別な関係」と呼ばれるのは、聖書の伝統に基づく宗教・政治文化、建国神話・物語を、指導層から広く大衆まで共有していることが大きいのです」、なるほど。
・『冷戦で強調された「ユダヤ・キリスト教」、アメリカの偏愛  「ユダヤ・キリスト教」と、ふたつの一神教をひとくくりにする思想は、アメリカが無神論のマルクス・レーニン主義国家ソ連と対立した冷戦期に強調されました。宗教のような伝統文化は固有で本質的なものに思えますが、その時々の政治的な都合で「発見」されたり、強調されたりもします。聖書の編集そのものも、古代の政治権力の野心と密接に関係していたらしいことが、近年の聖書考古学で指摘されています。 両国の「特別な関係」を支えているのは、超大国アメリカの側が聖地のユダヤ国家に抱く「偏愛」です。イスラエルの対米観は意外にドライです。これほど緊密な同盟関係にありながら、日米安全保障条約のような正式の二国間条約がありません。 「聖書の同盟」の背景をたどると、日本の同盟国アメリカの、普段はあまり意識されない不思議な「国のかたち」が見えてきます。日本は一神教の信徒が人口の2%にも満たない世界でもまれな国。多くの日本人にはわかりにくい、アメリカの独特な宗教・政治文化が浮かび上がります。) 日本人とユダヤ人の歴史的、文化的な状況はまったく似ていないように思われます。けれども、西洋キリスト教文明の部外者の中で西洋近代に最初に適応した数少ない「成功したよそ者」(シロニ・ヘブライ大教授)という点では共通点があります。私や周囲の経験では、日本人が海外で仲良くなる外国人にはユダヤ系の人々が少なくありません』、「西洋キリスト教文明の部外者の中で西洋近代に最初に適応した数少ない「成功したよそ者」(シロニ・ヘブライ大教授)という点では共通点があります。私や周囲の経験では、日本人が海外で仲良くなる外国人にはユダヤ系の人々が少なくありません」、なるほど。
・『現代世界のユダヤ人  日本人は大多数が日本に住み日本語を話します。ユダヤ人は古来、世界中の国・地域に「異教徒」「ユダヤ人」として住んできました。言語もさまざまです。イスラエル以外ではヘブライ語を話せないユダヤ人が普通です。現代のユダヤ人の大半はニューヨークをはじめアメリカとイスラエルにほぼ半々の割合で住んでいます。 ユダヤ人の人口は、定義により多少の増減がありますが、多めに数えて1600万人程度と推計されています。ヒトラーのナチスがドイツで政権を握った1933年に約1530万人でした。100年近くかけ当時の人口を回復したかどうかという状況です。当時約900万人とされたヨーロッパ・ユダヤ人の3分の2、約600万人が虐殺されました。その影響の凄まじさがわかります。 世界人口は2023年に80億人を超えました。人類の過半数がユダヤ教を母胎とするキリスト教、イスラム教という一神教の信徒であるか、その文化圏で暮らしています。ユダヤ人は世界人口の約0.2%。でもノーベル賞受賞者の20%を超えるといわれます。相対性理論のアインシュタイン、『変身』『城』の小説家カフカ、精神分析のフロイト、『資本論』のマルクス。さかのぼれば『エチカ(倫理学)』の哲学者スピノザ、現代では「未知との遭遇」「シンドラーのリスト」の映画監督スピルバーグや世界的投資家ソロス……と、きりがありません。ブリンケン米国務長官、エマヌエル駐日米大使もユダヤ人です。現代の国際政治で最も有名なユダヤ人はウクライナのゼレンスキー大統領でしょう。) アメリカは和平交渉で「公平な仲介者」を自任してきました。しかし国際社会はそうは見ていません。アメリカはイスラエルを特別扱いしている、と批判されてきました。イスラエル建国から20世紀末まで、アメリカの対外援助の約6割がイスラエルへの軍事・経済支援に充てられました。 イスラエルは西岸で強圧的な占領政策を半世紀以上続けています。国連安全保障理事会には占領や入植地拡大を非難する決議がたびたび提出されます。しかし安保理の常任理事国アメリカは頻繁に拒否権を行使し、イスラエルを国際社会からの法的な非難や経済制裁から守ってきました。イスラエルはアメリカ外交の中で特別な地位を占めてきました』、「ユダヤ人はウクライナのゼレンスキー大統領」、「ゼレンスキー大統領」も「ユダヤ人」だったとは、その広がりに改めて驚かされる。「イスラエル建国から20世紀末まで、アメリカの対外援助の約6割がイスラエルへの軍事・経済支援に充てられました。 イスラエルは西岸で強圧的な占領政策を半世紀以上続けています。国連安全保障理事会には占領や入植地拡大を非難する決議がたびたび提出されます。しかし安保理の常任理事国アメリカは頻繁に拒否権を行使し、イスラエルを国際社会からの法的な非難や経済制裁から守ってきました。イスラエルはアメリカ外交の中で特別な地位を占めてきました」、「アメリカの対外援助の約6割がイスラエルへの軍事・経済支援に充てられました」、すごく優遇されてきたようだ。
・『核兵器保有を黙認するアメリカの二重基準  アメリカのイスラエルへの特別扱いは核兵器の不拡散政策において最も著しい、といえます。核不拡散条約(NPT)は1968年、米ソ2超大国が協力して成立し、国際法としては異例の実効性を保ってきました。米中露英仏という大国の利害が、核兵器不拡散では一致しているからです。この5か国はNPTの合法的な核兵器保有国で、安保理の常任理事国でもあります。 アメリカのブッシュ(子)政権(共和党)は2003年、イラクの大量破壊兵器(WMD)保有疑惑などを理由にイラクに侵攻し、フセイン政権を崩壊させました。アメリカはイランの核開発計画にも一貫して厳しい姿勢で臨んできました。でも核兵器保有が「公然の秘密」とされるイスラエルへの対応はまったく異なります。 イスラエルは核兵器の保有を肯定も否定もしない「あいまい戦略」「不透明政策」を半世紀以上続けています。私は共同通信のエルサレム支局長だったころにラビン、ペレス、ネタニヤフという3人のイスラエル首相にそれぞれ直接、核兵器保有の有無を問いただしました。3人の首相からは、「イスラエルは中東に核兵器を持ち込む最初の国には決してならない」という公式見解が判で押したように返ってきただけでした。) 研究者や調査報道記者の努力で、共和党のニクソン大統領が1969年秋、訪米したイスラエルのゴルダ・メイヤ首相に、核兵器の秘密保有を黙認すると伝えたことが確実視されています。日本の佐藤栄作首相が沖縄返還交渉で、有事の核兵器再持ち込みをアメリカに事実上約束した「核密約」とほぼ同時期です。それ以後、歴代の米政権は共和党も民主党も、イスラエルの核兵器保有を黙認し続けています。 イスラエルはアメリカからNPT加盟を要求されることはありません。国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れを迫られることもありません。国連安保理で非難決議や経済制裁を受けることもありません。イラクやイラン、北朝鮮などとイスラエルへの対応は異なっています。アメリカは核不拡散政策の「二重基準」だと批判されてきました』、「イスラエルは核兵器の保有を肯定も否定もしない「あいまい戦略」「不透明政策」を半世紀以上続けています・・・歴代の米政権は共和党も民主党も、イスラエルの核兵器保有を黙認し続けています。 イスラエルはアメリカからNPT加盟を要求されることはありません。国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れを迫られることもありません。国連安保理で非難決議や経済制裁を受けることもありません。イラクやイラン、北朝鮮などとイスラエルへの対応は異なっています。アメリカは核不拡散政策の「二重基準」だと批判されてきました」、究極の「二重基準」だ。
・『軍事占領で安保条約に慎重になったイスラエル  アメリカは超大国です。同盟国イスラエルの盛衰、命運をアメリカが握っているように見えます。イスラエルはアメリカの51番目の州と呼ばれることもあります。両国は自他共に認める緊密な同盟国ですが、両国間に正式な安全保障条約はありません。 イスラエルは第三次中東戦争までアメリカとの安保条約締結を望んでいました。アメリカのほうが慎重でした。圧倒的な人口と石油資源を擁(よう)するアラブ・イスラム諸国とイスラエルの武力紛争に巻き込まれることを、懸念していました。中東でのアメリカの国益を損ねる戦略的「負債」を抱え込むのでは、と心配していました。 イスラエルが第三次中東戦争で大勝利を収めると、両国の方針が変化します。イスラエルは広大な地域を占領し、国防上のクッション「戦略的深奥(しんおう)性」を獲得しました。卓越した戦闘能力を世界に見せつけました。アメリカはイスラエルが戦略的「資産」になるのでは、と評価し始めます。イスラエルは、王族や独裁者が支配する国が大半の中東で、リベラル・デモクラシーの価値も共有します。米ソの国益が衝突する中東で、アメリカニズムの旗振り役をやってくれそうです。 一方、「国家存亡の危機」を乗り切り、思いがけず中東の軍事大国となったイスラエルには別の計算が働きました。対米安保条約のメリットより、占領地での軍の行動の自由をアメリカから制約されるデメリットのほうが気になり始めました。弱者から強者になると、考え方が急変することがあるのは、個人も国家も変わりません。第三次中東戦争のころ核兵器という究極の防衛手段を手にしたこともイスラエルの観方を変えたのでしょう』、「イスラエルは第三次中東戦争までアメリカとの安保条約締結を望んでいました。アメリカのほうが慎重でした。圧倒的な人口と石油資源を擁(よう)するアラブ・イスラム諸国とイスラエルの武力紛争に巻き込まれることを、懸念していました。中東でのアメリカの国益を損ねる戦略的「負債」を抱え込むのでは、と心配していました・・・「国家存亡の危機」を乗り切り、思いがけず中東の軍事大国となったイスラエルには別の計算が働きました。対米安保条約のメリットより、占領地での軍の行動の自由をアメリカから制約されるデメリットのほうが気になり始めました。弱者から強者になると、考え方が急変することがあるのは、個人も国家も変わりません。第三次中東戦争のころ核兵器という究極の防衛手段を手にしたこともイスラエルの観方を変えたのでしょう」、イスラエルの特殊な立場が多少理解できた気がする。

次に、8月20日付けNewsweek日本版が掲載した元CIA分析官のグレン・カール氏による「全面戦争を避けたいイランに、汚職疑惑を抱えるネタニヤフが「悪夢の引き金」を引く」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/glenn/2024/08/post-126.php
・『<戦闘が始まれば、イランおよびその代理勢力であるヒズボラやハマス、フーシ派などと、イスラエル・アメリカの全面戦争に発展する恐れも> イランの最高指導者アリ・ハメネイがイスラエルに「厳しい罰」を与えると公言している。7月31日にイスラエルがイランの首都テヘランの政府関連施設で親イランのイスラム組織ハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤを暗殺したことに対して報復を行うというのだ。 イスラエルは、昨年10月7日にハマスがイスラエルを攻撃して約1200人を殺害したことを受けて、ハマス幹部の全面的な掃討を誓っていた。 しかし、ハニヤ暗殺は、イスラエルとイランの間で続いてきた応酬の一環という側面もある。イランがハマスをかくまい、戦闘員を訓練し、資金援助していることを受けて、イスラエルは今回の行動に出たのだろう。 ハニヤの暗殺は、ただでさえ混沌状態にある中東情勢をいっそう不安定化させ、中東全域規模の戦争が起きる現実味を強めたと言える。 そのような戦争が始まれば、イランおよびイランの代理勢力──ヒズボラ、ハマス、フーシ派、ガザ地区の「イスラム聖戦」、イラクの親イラン勢力など──と、イスラエル、そしておそらくはアメリカが戦うことになる。 そして、少なくともシリアとレバノンも戦争に巻き込まれることになるだろう。 ハニヤ暗殺にイランがなんらかの報復を行うことはほぼ間違いない。しかし皮肉なことに、イランがどのような行動を取るかを決めるのは、イランの宿敵であるイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。 もしネタニヤフがガザにおける停戦でハマスと合意すれば、イランはイスラエルおよびイスラエルの権益に対する慎重な秘密工作を行う道を選ぶ可能性が高い。 一方、ネタニヤフがガザでの戦闘を継続するのであれば、イランは近くイスラエルに対して大がかりな軍事攻撃を行うだろう。その際は、ヒズボラなどの代理勢力を使って攻撃させる可能性が高い。 イスラエルの軍や情報機関の上層部では停戦を主張する声が強まっているが、ネタニヤフは戦闘を続けてきた。その背景には、自身の汚職疑惑から逃れたいという思惑もある。 イランが大規模な軍事攻撃を行えば、イスラエルとレバノン、そしておそらくはシリアとイランも、軍事、経済、政治、社会に壊滅的な打撃を被るだろう。 このほかに、イランは核開発計画を加速させるという選択肢もある。これは、挑発的ではあるが、直ちにイスラエルに直接的な行動を取るものではない』、「イスラエルの軍や情報機関の上層部では停戦を主張する声が強まっているが、ネタニヤフは戦闘を続けてきた。その背景には、自身の汚職疑惑から逃れたいという思惑もある。 イランが大規模な軍事攻撃を行えば、イスラエルとレバノン、そしておそらくはシリアとイランも、軍事、経済、政治、社会に壊滅的な打撃を被るだろう」、「ネタニヤフは戦闘を続けてきた。その背景の汚職疑惑から逃れたいという思惑もある」、「ネタニヤフ」が個人的な理由で「戦闘を続けてきた」とすれば、問題だ。
・『イランの選択肢は多くない  イランのジレンマは、イスラエルの行動を抑止するために最近取った措置がうまくいっていないことだ。 4月13~14日には、300以上のミサイルとドローン(無人機)でイスラエルを攻撃した。4月1日にシリアの首都ダマスカスのイラン大使館が攻撃を受けて、イラン軍高官が殺害されたことへの報復だった。 イランがイスラエル領を直接攻撃したのは、これが歴史上初めてだった。 ところが、イスラエルと同盟国はイランのミサイルとドローンを全て撃ち落とした。しかもその後、イスラエルはレバノンでヒズボラの幹部を、テヘランでハニヤを殺害した。 イラン指導部としては、全く報復しなければ、自分たちがイスラエルに対して無力だと認めるに等しい。しかし、いくつかの要因により、イランが取れる行動は限られている。 まず、イスラエルはイランから地理的に離れており、イランがイスラエルを直接攻撃するには、ミサイル、ドローン、航空機を用いるほかない。 その点、イランが保有する大量のミサイルとドローンを活用すれば、ミサイル防衛網を破ってイスラエルに害を与えられるケースもあるだろう。 しかし、ミサイル、ドローン、航空機の能力では、イスラエル(とアメリカ)のほうがはるかに上だ。大規模な空の戦いを仕掛ければ、イランは途方もない打撃を被る。 ヒズボラにミサイル攻撃を実行させることも可能だが、ヒズボラとイスラエルの間で全面戦争になれば、イスラエルだけでなく、ヒズボラとレバノンに及ぶ打撃も測り知れない』、「ミサイル、ドローン、航空機の能力では、イスラエル(とアメリカ)のほうがはるかに上だ。大規模な空の戦いを仕掛ければ、イランは途方もない打撃を被る。 ヒズボラにミサイル攻撃を実行させることも可能だが、ヒズボラとイスラエルの間で全面戦争になれば、イスラエルだけでなく、ヒズボラとレバノンに及ぶ打撃も測り知れない」、なるほど。
・『穏健派新大統領の苦しい事情  加えて、アメリカ軍は中東地域に艦船を派遣するなどプレゼンスを強めていて、イスラエルを攻撃すれば重大な結果を招くことになるとイランを牽制している。英仏など欧州諸国も、イスラエル攻撃を思いとどまるようイランに圧力をかけている。 一方、イランの穏健派の新大統領であるマスード・ペゼシュキアンは、権力基盤が強いとは言えない。国民の間でもペゼシュキアン政権に敵意を抱く人たちは多い。イスラエルによるハニヤ暗殺に好意的な声が多く上がるほどだ。 しかも、イランの情報機関は、ハニヤ暗殺という失態により混乱状態にある。そればかりかイスラエルのスパイが大量に潜入しているとも言われている(ハニヤの暗殺にも潜入スパイが関与したのかもしれない)。) もしイスラエルおよびアメリカとの戦争に乗り出せば、苦境にあるイランの現体制はさらに厳しい状況に追い込まれる。それに、ペゼシュキアンがアメリカとの緊張緩和を推進し、西側諸国による経済制裁の緩和を実現する道も閉ざされる。 イラン指導部は、非合理な思考はしない。国家の存続を最優先に考えているはずだ。戦争になればどのような結果になるかも理解している。戦争に発展することを避けつつ、メンツを保つことのできる軽い仕返しをしようと考えているのだろう。 しかし、イランの選択を左右する最大のカギを握っているのは、イスラエルのネタニヤフだ。そして、そのネタニヤフはこれまでのところ、ガザの停戦実現よりも、ハマスの殲滅と自身の政治生命の延命を優先し続けている』、「イラン指導部は、非合理な思考はしない。国家の存続を最優先に考えているはずだ。戦争になればどのような結果になるかも理解している。戦争に発展することを避けつつ、メンツを保つことのできる軽い仕返しをしようと考えているのだろう。 しかし、イランの選択を左右する最大のカギを握っているのは、イスラエルのネタニヤフだ。そして、そのネタニヤフはこれまでのところ、ガザの停戦実現よりも、ハマスの殲滅と自身の政治生命の延命を優先し続けている」、「ネタニヤフ」が「自身の政治生命の延命を優先」して「停戦」に応じないようであれば、由々しい問題だ。
タグ:イスラエル・パレスチナ (その6)(トランプもバイデンもイスラエルを支援する理由 聖書と冷戦が生んだ米国とイスラエルの同盟、全面戦争を避けたいイランに 汚職疑惑を抱えるネタニヤフが「悪夢の引き金」を引く) 東洋経済オンライン 船津 靖氏による「トランプもバイデンもイスラエルを支援する理由 聖書と冷戦が生んだ米国とイスラエルの同盟」 船津氏の新刊『聖書の同盟 アメリカはなぜユダヤ国家を支援するのか』 「紛争の舞台がユダヤ教、キリスト教、イスラム教という3つの一神教の聖地であることが大きく影響しています。「聖地の紛争」は、超大国アメリカと深い関わりがあります」、なるほど。 「アメリカとイスラエルの特別な同盟関係の基盤にあるのは、ユダヤ・キリスト教の宗教・政治文化の共有です」、なるほど。 「アメリカとイスラエルの関係を、中東の地政学や安全保障を抜きに語ることはもちろんできませんが、両国が「特別な関係」と呼ばれるのは、聖書の伝統に基づく宗教・政治文化、建国神話・物語を、指導層から広く大衆まで共有していることが大きいのです」、なるほど。 「西洋キリスト教文明の部外者の中で西洋近代に最初に適応した数少ない「成功したよそ者」(シロニ・ヘブライ大教授)という点では共通点があります。私や周囲の経験では、日本人が海外で仲良くなる外国人にはユダヤ系の人々が少なくありません」、なるほど。 「イスラエル建国から20世紀末まで、アメリカの対外援助の約6割がイスラエルへの軍事・経済支援に充てられました。 イスラエルは西岸で強圧的な占領政策を半世紀以上続けています。国連安全保障理事会には占領や入植地拡大を非難する決議がたびたび提出されます。しかし安保理の常任理事国アメリカは頻繁に拒否権を行使し、イスラエルを国際社会からの法的な非難や経済制裁から守ってきました。イスラエルはアメリカ外交の中で特別な地位を占めてきました」、 「アメリカの対外援助の約6割がイスラエルへの軍事・経済支援に充てられました」、すごく優遇されてきたようだ。 「イスラエルは核兵器の保有を肯定も否定もしない「あいまい戦略」「不透明政策」を半世紀以上続けています・・・歴代の米政権は共和党も民主党も、イスラエルの核兵器保有を黙認し続けています。 イスラエルはアメリカからNPT加盟を要求されることはありません。国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れを迫られることもありません。国連安保理で非難決議や経済制裁を受けることもありません。 イラクやイラン、北朝鮮などとイスラエルへの対応は異なっています。アメリカは核不拡散政策の「二重基準」だと批判されてきました」、究極の「二重基準」だ。 「イスラエルは第三次中東戦争までアメリカとの安保条約締結を望んでいました。アメリカのほうが慎重でした。圧倒的な人口と石油資源を擁(よう)するアラブ・イスラム諸国とイスラエルの武力紛争に巻き込まれることを、懸念していました。中東でのアメリカの国益を損ねる戦略的「負債」を抱え込むのでは、と心配していました・・・「国家存亡の危機」を乗り切り、思いがけず中東の軍事大国となったイスラエルには別の計算が働きました。 対米安保条約のメリットより、占領地での軍の行動の自由をアメリカから制約されるデメリットのほうが気になり始めました。弱者から強者になると、考え方が急変することがあるのは、個人も国家も変わりません。第三次中東戦争のころ核兵器という究極の防衛手段を手にしたこともイスラエルの観方を変えたのでしょう」、イスラエルの特殊な立場が多少理解できた気がする。 Newsweek日本版 グレン・カール氏による「全面戦争を避けたいイランに、汚職疑惑を抱えるネタニヤフが「悪夢の引き金」を引く」 「イスラエルの軍や情報機関の上層部では停戦を主張する声が強まっているが、ネタニヤフは戦闘を続けてきた。その背景には、自身の汚職疑惑から逃れたいという思惑もある。 イランが大規模な軍事攻撃を行えば、イスラエルとレバノン、そしておそらくはシリアとイランも、軍事、経済、政治、社会に壊滅的な打撃を被るだろう」、「ネタニヤフは戦闘を続けてきた。その背景の汚職疑惑から逃れたいという思惑もある」、「ネタニヤフ」が個人的な理由で「戦闘を続けてきた」とすれば、問題だ。 「ミサイル、ドローン、航空機の能力では、イスラエル(とアメリカ)のほうがはるかに上だ。大規模な空の戦いを仕掛ければ、イランは途方もない打撃を被る。 ヒズボラにミサイル攻撃を実行させることも可能だが、ヒズボラとイスラエルの間で全面戦争になれば、イスラエルだけでなく、ヒズボラとレバノンに及ぶ打撃も測り知れない」、なるほど。 「イラン指導部は、非合理な思考はしない。国家の存続を最優先に考えているはずだ。戦争になればどのような結果になるかも理解している。戦争に発展することを避けつつ、メンツを保つことのできる軽い仕返しをしようと考えているのだろう。 しかし、イランの選択を左右する最大のカギを握っているのは、イスラエルのネタニヤフだ。そして、そのネタニヤフはこれまでのところ、ガザの停戦実現よりも、ハマスの殲滅と自身の政治生命の延命を優先し続けている」、「ネタニヤフ」が「自身の政治生命の延命を優先」して「停戦」に応じないようであれば、 由々しい問題だ。
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英国(その2)(富士通開発ソフト「ホライズン」巡る冤罪事件で 英郵便局元トップが勲章返上、日本が国際社会でルールメイク側に立てない原因は「真面目すぎる気質」にあった 堀内勉×徳成旨亮対談、イギリスが日本と比べて国際社会で圧倒的に存在感が高いのはなぜか) [世界情勢]

英国については、昨年4月30日に取上げた。今日は、(その2)(富士通開発ソフト「ホライズン」巡る冤罪事件で 英郵便局元トップが勲章返上、日本が国際社会でルールメイク側に立てない原因は「真面目すぎる気質」にあった 堀内勉×徳成旨亮対談、イギリスが日本と比べて国際社会で圧倒的に存在感が高いのはなぜか)である。

先ずは、本年1月11日付けNewsweek日本版が転載したロイター「富士通開発ソフト「ホライズン」巡る冤罪事件で、英郵便局元トップが勲章返上」を紹介しよう。
・『英ポストオフィスから郵便局の運営を委託された数百人の郵便局長が不正経理や横領、詐欺の罪を誤って着せられた冤罪(えんざい)事件に世論の怒りが高まる中、ポーラ・ベネルズ元最高経営責任者(CEO)は9日、大英帝国勲章(CBE)を返上すると表明した。 英国では先週、同事件でいかに多くの郵便局長の人生が狂ったかを描いたドラマが放映され、再び関心を集めている。 郵便局長らは1999─2015年の期間に、富士通が開発した勘定系システム「ホライズン」のバグでデータと現金残高の不一致が生じ、不当に罪を着せられていた。 ポストオフィスは長年、ホライズンのデータは正確だと主張していた。 ベネルズ氏はポストオフィスへの貢献などが評価されて19年にCBEを授与。今回、120万以上の人が取り消しを求める請願書に署名していた。 英政府には、冤罪事件の被害者全員に適切な賠償を行い、有罪を撤回するよう圧力が強まっている』、「郵便局長らは1999─2015年の期間に、富士通が開発した勘定系システム「ホライズン」のバグでデータと現金残高の不一致が生じ、不当に罪を着せられていた・・・ポストオフィスは長年、ホライズンのデータは正確だと主張していた。 ベネルズ氏はポストオフィスへの貢献などが評価されて19年にCBEを授与。今回、120万以上の人が取り消しを求める請願書に署名していた。 英政府には、冤罪事件の被害者全員に適切な賠償を行い、有罪を撤回するよう圧力が強まっている」、なるほど。

次に、1月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したニコン取締役専務執行役員CFO 堀内勉氏による「HONZ:日本が国際社会でルールメイク側に立てない原因は「真面目すぎる気質」にあった 堀内勉×徳成旨亮対談」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337022
・『日本経済復活およびビジネスパーソン個人の成長の秘訣を示した『CFO思考』が、スタートアップ業界やJTCと呼ばれる大企業のビジネスパーソンを中心に話題となっている。5刷3万3000部(電子書籍込み)を突破し、メディアにも続々取り上げられている話題の本だ。 本書の発刊を記念して、著者の徳成旨亮氏と、多摩大学大学院教授の堀内勉氏の対談が実現。「世界で活躍できる子に育てるために親ができること」「ビジネスパーソンの教養」「企業倒産の意味」といったテーマについて、6回にわたってお届けする』、興味深そうだ。
・『いいかげんなのに成功者が多いアメリカの起業家たち  Q:徳成さんは著書『CFO思考』の中で、重要なテーマとして「アニマルスピリッツ」について触れています。「アニマルスピリッツ」とは、経済学者ジョン・メイナード・ケインズが生み出した用語で、「経済活動に見られる主観的で非合理的な動機や行動のこと」で、今の日本にまさに足りていないものだと著書の中で指摘しています。改めてなぜか伺っても良いでしょうか』、「「アニマルスピリッツ」とは、経済学者ジョン・メイナード・ケインズが生み出した用語で、「経済活動に見られる主観的で非合理的な動機や行動のこと」で、今の日本にまさに足りていないものだと著書の中で指摘」、なるほど。
・『日本が国際社会でルールメイク側に立てない原因は「真面目すぎる気質」にあった(徳成旨亮(以下、徳成) たしかに著書では、CFOにはアニマルスピリッツが大事だと書きました。でも実はCFOだけではなくて、私はビジネスパーソンすべてにアニマルスピリッツが必要だと思うんですね。著書名は『CFO思考』ですが、本当に言いたかったことは、「すべての組織人よ、アニマルスピリッツを持とう!」ということなんですよ。 僕は日経平均株価を構成する225社のうちの2社、ニコンと三菱UFJファイナンシャル・グループ(三菱UFJ)のCFOをやらせていただいている間、海外投資家からずっと、「日本人もしくは日本企業、日本経済にアニマルスピリッツはないのか」と言われてきました。 実を言うと僕は、堀内さんと違って本を読まない人間ですから、そこで初めて「アニマルスピリッツとは何だろう?」と思って、一生懸命調べたわけです。で、経済学者のケインズが言っていた言葉なのか、と知ったのがもう十何年前。 僕が政治経済の授業で習ったケインズって、もっと近代経済の基本的なことを説いている印象があったものだから、まさかアニマルスピリッツなんて言っているとは、と驚いて。経済というのは数理的な仮定に基づくものではなくて南極探検と大差ない、とまで書いてある。そんなことを言う人なの?とまったく認識していなかったんです。 そこで改めていろいろ考えてみると腑に落ちるものがあった。たしかに日本人は真面目で勉強も大好きだから、何事も論理的に考えたり、何とかリスクを減らそうと考えることも得意です。でもアメリカのビジネスパーソンや起業家を見ていると、いい加減な人がいっぱいいるけど、そういう人が大成功したりするんですよ。 そのあたりを考えると、日本人はもうちょっと思い切ってやったほうがいいんじゃない?と。そういう思いも込めてこの本は、全ての日本の経済人、とくに若い人めがけて書いた1冊なんです。 あとは、おじさんたちにも向けて。僕たち経営者に近い立場の人たちは、自分の会社がどこまでリスクを取れるか、ということは本当はわかっているんですよ。とくにCFOは会社の財務をしっかり見ていますからね。 だからわかっているんだけど、「無事これ名馬」思想で、あと何年で退職だからとか、このままいけば子会社の社長になれるからとか考えて、なるべくリスクを取らずやっている。そういう経営者、とくに財務経理担当役員が多いのが現実なんですよね。 堀内勉(以下、堀内) そこが欧米との一番の違いと言えますよね』、「「無事これ名馬」思想で、あと何年で退職だからとか、このままいけば子会社の社長になれるからとか考えて、なるべくリスクを取らずやっている。そういう経営者、とくに財務経理担当役員が多いのが現実なんですよね」、なるほど。
・『日本人の「真面目さ」が足枷になっている  徳成 本当に。「ここまでならリスクを取れますよ」というリスクキャパシティと、自分たちの取っているリスクとの差を、ちゃんと認識してほしい。それで若い人たちに思い切ってやらせるということも経営者には必要なんじゃないの?と、実はわりとおじさん層に向けて書いた本だったんですけど、今のところ若い人たちにも読んでいただけているようで。嬉しいことではあるんですけど、もうちょっとおじさんたちにも響くといいなと思っています。 もともと欧州で生まれた資本主義は、マックス・ウェーバーが『プロテスタンティズム倫理と資本主義の精神』で分析したように、神から課せられた職業的使命を達成することや利益追求は善であるという考えがベースにある。その資本主義がアメリカに渡ってさらにゲーム感覚が付加された。成功に対する執着や、リスクをゲーム感覚で捉える強さ、みたいなところがあるんですよね。 そういうアニマルスピリッツ的なものが、日本人のこの真面目な文化とどう融合すればグローバルに戦えるようになるのか。これは日本人としてもっとも考えなければならないことなんですけど、ここからは堀内さんに解説をお願いできればと思います。 堀内 私も徳成さんと同じで、海外で働いた経験がありまして。私はニューヨークなのですが、ビジネスの世界で同じ言葉を使っていても、そのニュアンスや受け取り方が、アメリカと日本ですごく違うなと感じました。 今、徳成さんがおっしゃっていましたが、日本人というのは真面目過ぎるのですよね。それは日本人の美徳でもあるのですが、グローバルに戦いたいとなったときに足枷になってくる。 たとえば、何かルールを決められると日本人は皆、きちんと守ろうとします。ルールというのは守るために作られるのだから当たり前じゃないか、と言われたらその通りで反論のしようもないのですが、グローバルに見ると、言われたことを必ずしもきちんと守らない人というのはけっこう多くて。みんながきちんとしていないからルールを作る、というような側面があるのですよね。 徳成 日本人はほっといても守りますからね(笑)。 堀内 そうそう、まわりの顔色を見たり忖度したりして、何となくな規律が生まれやすい国民性だと思います。そういう国民性の人たちに「これがルールですよ」と提示するのと、特にアメリカのようなさまざまなバックグラウンドを持った人たちが集まったところで提示するのとでは、守り方が全然違ってくる。 日本人は、ルールを守らないと大変なことになるというような深刻な受け止め方をしますが、片や「まあ、このぐらいでいいだろ」という感じですから、同じ強さで同じ内容のことを言っても、反応が全然違うのですよね。 それで何が言いたいかと言えば、細かいルールを作って物事を進めようとすると、日本人だけががんじがらめになってアニマルスピリッツも何もなくなっていく。それで「あっちは全然ルールを守ってないじゃないか!」と怒ってみたり。 そのような状況になってしまうので、そうしたニュアンスの違いをわかっている人がルール作りをしたり、ルール運用したりしないと、日本人だけがバカを見るというようなことになってしまいかねないです。 もちろんルールを守るのは法治国家の原則中の原則ですから、聞く人によっては「何だそれは! ルールを破れということか?!」と誤解するかもしれないので、言い方が難しいのですが、これが私が感じている日本の課題です。 徳成 だからアニマルスピリッツを発揮するうえでも、ルールをどこまで受け止めるか、ということは考えないといけないですよね。著書にも書いたのですが、近年アメリカのSOX法(サーベイランス・オクシリー法。企業の不正行為への対策として制定された内部統制および監査に関する米国の法律)をベースに日本でもJ-SOX法(内部統制報告制度)が導入されたり、イギリスをまねて、コーポレートガバナンスコード(上場企業が行う企業統治においてガイドラインとして参照すべき原則・指針)やスチュワードシップコード(証券会社や銀行、保険会社や年金基金といった上場株式に投資する機関投資家に対して、「責任ある機関投資家」の諸原則をまとめた指針)が策定されたりしています。 後者の2つの「コード」は理由を言えば守らなくても良いソフトローなんですけど、いかんせん日本人は生真面目なので、実質、ハードローとして受け止める。つまり、もともと悪いことをして儲けようと思っていない日本人に、悪いことをしても儲けようと思っている人たち向けのルールを持ってきているわけですから、出ていないクギをさらに打って引っ込める、みたいなことになってしまいがち……と僕は思うんですね』、「日本人は生真面目なので、実質、ハードローとして受け止める。つまり、もともと悪いことをして儲けようと思っていない日本人に、悪いことをしても儲けようと思っている人たち向けのルールを持ってきているわけですから、出ていないクギをさらに打って引っ込める、みたいなことになってしまいがち……」、なるほど。
・『日本人がルールメイク側に立てないのはなぜか  徳成 だから本当は日本人がみずからルールメイキングできるといいんですけど、残念ながら英語力の問題と、国力の問題で……。ESG(Environment・Social・Governanceを考慮した投資活動や経営・事業活動を指す)に関するさまざまなルールもヨーロッパが作っているし、ISO[スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関 International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称。ISOの主な活動は国際的に通用する規格を制定すること]だってヨーロッパの組織。ヨーロッパ人は、アメリカに対抗するため、環境問題などでルール作りを主導しているんです。日本は、アメリカとヨーロッパの双方のルールに従うことになる。 本当は日本発のルールを作れるといいんですけど、残念ながらそれは難しい。ならば、その問題をわかっている我々おじさんたちが、「そこは適当でいいよ」と合理的に手を抜くといいますか、リスク・アプローチで「ここまではダメだけどこの辺はいいよ」と言ってあげないと、若い人たちはみんな完璧にルールを守ろうとしてしまう。 そうすると、企業の収益力、ひいては日本の経済力がますます落ちて、国際競争力がなくなるという、まさに自縄自縛に陥りがちだと思いますね。 堀内 私もアメリカで働いてみて感じたのですが、残念ながら日本は第二次世界大戦で敗戦国になったことで、国際社会での立場が弱いんですよね。国連など国際機関でのポジションも少ないし。今、国連関係の機関で日本人がヘッドを取り続けているのはMIGA(多数国間投資保証機関)ぐらいですからね。 徳成 そうですね。その歴代長官の中には本田桂子さんもいる。日本人の女性がヘッドだったこともある、珍しい機関ですね。彼女は昨年、『ESG投資の成り立ち、実践と未来』(日経BP)という本を出されて話題になりましたよね。 堀内 でも、日本人が取っているポジションといえばそれぐらい。韓国と比較すると、ヘッドはもちろん、海外で仕事している人、国際機関に就職している人も向こうのほうがだいぶ多い印象ですよね。 そこで思ったのが、日本は戦争に負けてすごく内向きになって、とにかく経済を成長させることに集中しようと考えた。その中でいい製品を作って輸出するという武器を身に着けて海外に出て行くようになった。逆に言えば海外との接点がそれぐらいしかなかったということですよね。 徳成 偏ってますよね。 堀内 だからルールメイクができない、英語ができないというのは、当然といえば当然なわけで。少し話が逸れますが、そもそも日本語というのは、文法構造から音まで、英語とまったく違うから、英語を学ぶ上ではとても不利ですね。これほど違う言語が地球上にあるのかと思うぐらい。 徳成 日本語は母音の数が少ないですからね。中国語などは母音が多いので、中国人は英語の発音も上手い人が多い。彼らは英語の音も聞き取りやすい、と言われていますし。僕はTOEICは900点以上だし、海外駐在したし、世間的には英語ができると思われていますが、やっぱりダメなんですよね、音が……。 堀内 私もまさに音の問題で、いまだに英語には苦手意識があります。小学生、遅くとも中学生ぐらいまでに海外に住んでいた人は、聞き取れる音の数が全然違うのではないでしょうか。 徳成 でも今の若い人は、YouTubeとかでいろいろ聞けるじゃないですか。これはいいですよね。僕も学生時代にこんなものがあったら、もっと上手くなっていたと思います。タダで勉強できますから。 あと「Otter」など、自分が喋った英語を文字に起こしてくれるアプリがあるじゃないですか。あれも便利ですよね。ただ使ってみると、自分が喋ったのとは全然違う英文が出てきて、僕の発音はこんなふうに聞こえているんだ……と愕然とするんですけど。 堀内 留学するにはTOEFLでの高得点が必要なのですが、私が留学のためにTOEFLを受けた頃というのは、ヒアリングのテストがありませんでした。日本人は妙にペーパー試験は得意だから、点数だけはすごく高いわけです。だから欧米の人からすると、なんでこんなに喋れないヤツがこんなに高得点を取っているんだ?と不思議でならないみたいです。 徳成 よく喋れないのに文章を書かせると、文法的に完璧なものを作ってくるから、「日本人って変だよね」と英語ネイティブに思われる、というのが、僕たち世代の「あるある」でしたよね(笑)。 堀内 やはり英語の音に関しては、早いうちに身に着けたほうがいい。私のイメージだと、6歳から14歳ぐらいまでの間に、3年以上海外に住んでいれば、相当聞き取れるし、きれいな発音になると思います。 徳成 そのぐらいの年齢だと、グラマーもきちんと身に付きますしね。行動範囲も広がってきている年齢だから、単語を覚える量も増える。……という英語の苦労話はいくらでもできてしまうので、これぐらいでやめておきましょう(笑)。(第2回に続く)』、「日本人は妙にペーパー試験は得意だから、点数だけはすごく高いわけです。だから欧米の人からすると、なんでこんなに喋れないヤツがこんなに高得点を取っているんだ?と不思議でならないみたいです。 徳成 よく喋れないのに文章を書かせると、文法的に完璧なものを作ってくるから、「日本人って変だよね」と英語ネイティブに思われる、というのが、僕たち世代の「あるある」でしたよね(笑)」、なるほど。

第三に、1月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したニコン取締役専務執行役員CFOの堀内勉氏と徳成旨亮氏の対談「イギリスが日本と比べて国際社会で圧倒的に存在感が高いのはなぜか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337023
・日本経済復活およびビジネスパーソン個人の成長の秘訣を示した『CFO思考』が、スタートアップ業界やJTCと呼ばれる大企業のビジネスパーソンを中心に話題となっている。5刷3万3000部(電子書籍込み)を突破し、メディアにも続々取り上げられている話題の本だ。 本書の発刊を記念して、著者の徳成旨亮氏と、多摩大学大学院教授の堀内勉氏の対談が実現。「世界で活躍できる子に育てるために親ができること」「ビジネスパーソンの教養」「企業倒産の意味」といったテーマについて、6回にわたってお届けする(Qは聞き手の質問)』、興味深そうだ。
・『イギリスが日本と比べて国際社会で圧倒的に存在感が高いのはなぜか 比較にならないほど日本がイギリスに負けているもの  Q:日本の経済力、英語力以外で、日本にアニマルスピリッツがなかなか根付かない原因はありますでしょうか? A:徳成旨亮(以下、徳成) 資本主義における富の蓄積が違う、というのが僕の思っていることです。日本は資本主義経済になったのが、所詮は明治以降と浅いんですよ。それも長めに見た場合であって、本当は第二次大戦後にいったんやり直してますから。 三菱財閥を作った岩崎家とか、住友財閥の住友家とか、当時はものすごいお金持ちでしたけど、戦後の財閥解体の影響を受けている。だから厳密には、戦後から富の蓄積が始まったに過ぎない、とも言える。 もちろん、日本にも、それなりにお金を持っている方がたくさんいらっしゃいますけど、知れているんですよね。英国の元貴族を含めた欧米の金持ちとはケタが違う。 堀内勉(以下、堀内) 私の友人に、Fei-Fei Huという42歳の中国とイギリスの二重国籍の方がいます。彼は上海出身なのですが、小学校から大学まで日本で育って、途中で南アフリカにもいたのですが、イギリスのオックスフォード大学でも学び、その後、英国王室で当時のチャールズ皇太子の側近として働いていたという特異な経歴の持ち主です。今は日本に戻って、東京と千葉でフェニックスハウスやラグビースクールジャパンなどのインターナショナルスクールを経営しています。 その彼が今、北海道のニセコで新しいコンセプトのインターナショナルスクールの設立を計画しています。私もそれに協力しているので、学校を中心とした街づくりの参考にするために、オックスフォード大学やラグビースクール、チャールズ国王が皇太子時代に開発を手掛けたロンドン南西の街・パウンドベリーなど、色々と見にいきました。 たとえば、パブリックスクールのひとつでラグビー発祥の地であるラグビースクールの本校は、敷地面積が200ヘクタールほどあります。坪に置き換えると60万坪ですね。六本木ヒルズの16~17個分という感じでしょうか。それだけ広い敷地に、生徒が800人ほどしかいないのです。 私は麻布学園の出身ですが、あそこは中高含め、元麻布の狭い敷地に1800人ぐらいの生徒が通っています。ラグビースクールは年間授業料が約4万5000ポンド、日本円で800万円ぐらいでしょうか。これに対して、麻布学園は約60万円です。 こうした授業料の格差もすごいのですが、それ以上に注目すべきなのは、あちらは大英帝国時代に築いた資産の蓄積がすごいということです。校舎は全部レンガ造りの立派なものだし、ラグビー場も1面だけではなくて、5面か6面ぐらいある。そのインフラの違いは全く比較の対象にならないです。つまり、超優良なバランスシート(賃借対照表)を持っているんですね。 GDP(国内総生産)というのはフローを表現しているものですから、企業で言えば粗利益と言うか、PL(損益計算書)の項目に相当するものです。そこで私たちはPLが大きいとか小さいとか競っているかもしれませんが、そもそもBS(貸借対照表、バランスシート)が超優良で含み益が山のようにある。 イギリスの上流教育というのはそうした感じなんですよね。フローだけ見て「すごいだろう」「ダメだな」と一喜一憂している人たちと、膨大なストックがあって超優良なバランスシートを持っている人たちと、そもそも比較にならない。 彼らのストックは何千兆円か何京円か分からないですが、それをさて置いておいて、「フローの部分はイギリスより日本のほうが大きいよね」とか威張ってみても、そこだけでは比較にならないと感じるのです』、「イギリスの上流教育というのはそうした感じなんですよね。フローだけ見て「すごいだろう」「ダメだな」と一喜一憂している人たちと、膨大なストックがあって超優良なバランスシートを持っている人たちと、そもそも比較にならない。 彼らのストックは何千兆円か何京円か分からないですが、それをさて置いておいて、「フローの部分はイギリスより日本のほうが大きいよね」とか威張ってみても、そこだけでは比較にならないと感じるのです」、なるほど。
・『ルールの面でもリスクの取り方でもイギリスは「賢すぎる」  徳成 富の蓄積でいうと、まずイギリスがすごいのは堀内さんが言うように膨大なアセットを、世界中に持っている。ケイマンやバミューダなどの租税回避地の多くは、実は英国王室属領か英国海外領土です。さらに、英語が事実上、世界標準語になっている。お隣の韓国や台湾の方々とも僕は英語で会話しています。 金融取引といったいろんなビジネスにおいても、英国法がグローバルな契約におけるガバナンス・ロー(準拠法)であることが多いんですよね。いろんな意味で英国はうまく世界を統治している。 テストを受ければ必ず日本人のほうが平均点は高いんだけど、それとは賢さの質が違うごく少数の英国人たちがいる、というのをロンドン駐在時代に感じました。 堀内 とにかく色々な面で資産が違う。 徳成 アニマルスピリッツの話に戻りますと、彼らはそういう巨大な資産を持っていますから、当然それを運用するのですが、そのとき分散投資をします。いろいろなアイディアを持っている人たちに少しずつお金を渡して運用させる。お金の出し手、つまり金主をアセット・オーナー、運用者をアセット・マネージャーと言います。 少しずつと言ったって、もとが大きいからけっこうな額なんですけど、それを元手にアイディアがビジネスの形となり、新しい利益の源泉になっていくわけです。 それで、その金主たちと言いますか、お金を運用している人たちもたくさんいるから、ニーズの種類も幅広いんですね。投資期間も短い人もいれば長い人もいるなどさまざま。「こういうふうに運用してほしい」というリクエストがいろいろなので、アセット・マネージャーもいろいろなタイプが育つんです。そこが日本とは決定的に違う、というのがあります。 資本主義の厚みが違う、と私が最初に申し上げたのはそういうことで。富の蓄積ももちろん違うけど、それゆえいろんな運用ニーズを持った人たちがいて、いろんなリスクを取っていいよという土壌もあるから、いろんなアセット・マネージャー、すなわち、資産運用会社やファンド・マネージャーが育ちやすい。 加えて前回の記事で申し上げたように、ルールメイキングみたいなところでも、うまく自分たちのビジネスが運びやすいような土壌が知らず知らず作られている。 堀内 要するに、我々はそういうところで戦っていかなければならない、ということですよね。 徳成 そうなんです。日本の金融機関の役員が国際的な場で議論するとなったとき、交渉テーブルの反対側にはゴールドマン・サックスだとかシティバンクだとか、年収十億みたいな連中がいる。こっちはせいぜい数千万円だから、ケタが違うわけですよ。それでも対等に議論をしなければいけないし、下手な英語でも頑張って主張し、戦っていかなければならない。 そこで僕なんかは日本人の気概みたいなものが突然芽生えるわけですよ。この立場にある以上は頑張らなきゃと。そうやって戦っていくことを、1人でも2人でもいいから若い人に頑張って目指してもらわないと、日本国が成り立たない。そんな思いも込めて、本を書いたところもあるんですけど。 だからまずは海外に出てみてほしいし、そういう世界があるんだってことを知ってもらいたい。見てみないことにはわからないと思うので。それで、こういう世界で日本はどうやって国として頑張っていけばいいんだろう、ということを真面目に考えてほしいんですよね。内側に縮こまっていちゃダメで、自分をどんどん外に出ていかないと。 それもアニマルスピリッツだと思うんですよね。たしかにじっとしているほうがラクに決まっているんですけど、能力がある人はその能力を生かさなきゃダメです。それは天から与えられたものなんだから社会のために生かさなきゃ、というのが僕の考え方でもあるんですよね』、「能力がある人はその能力を生かさなきゃダメです。それは天から与えられたものなんだから社会のために生かさなきゃ、というのが僕の考え方でもあるんですよね」、なるほど。
・『日本はルールのわからないゲームを無理やりやらされてきた  堀内 今の話を引き継ぐと、日本だけがどのようなルールでゲームを戦っているのか知らない、という側面があります。経営共創基盤(IGPI)グループ会長で、経済同友会副代表幹事なども務めた冨山和彦氏は、よく「野球からサッカーにゲームが変わったのに、日本の経営者はまだサッカー場で野球をやろうとしている」と言われていて、私も本当にそうだなと感じます。 日本はなぜ太平洋戦争であれほど無謀な戦いをし、多くの国土を焼かれ、戦後どのような環境に置かれてきたのか。自分たちが何をやってきたのかということを理解しなければ、アングロサクソンやユダヤ系、台頭してきた中国といった人たちがルールの枠組を作って動かしている世界に、ただ乗っかることしかできないということになります。 もしくは相手のルールに単純に巻き込まれて、「できた」「できなかった」と一喜一憂するだけになる。そうやって、相手の土俵で戦っている限り、勝てるわけもないです。苦しんだわりには報いは少ない、ということになってしまうだけです。 ですから、自分は今どのような場に置かれて、何のゲームをどのようなルールで戦っているのか、それぐらいは理解しなければいけないと思うんですよね。 徳成 一度、自分たちの立ち位置を俯瞰してみること、メタ思考が重要ですよね。 堀内 若い人たちには、理由は何でもいいからとにかく海外に行け、と言っていまして。とにかく外の世界を見てこないと自分が何者かわからないですから。 私はちょうど読書に関する本『人生を変える読書』を出したところなのですが、その中でもその点を強調しています。自分がどのような視座を持っていて、どのような思考の枠組みにとらわれて世の中を見ているのか、それはその思考をずらしてみないことにはわからないんですよと。 横から見たり、上から見たらどのように見えるのか。うまく自分の思考自体をずらして別の角度から見てみる。そうしたメタな思考をすることが教養だと思うのです。それを身に着けないと。 ずっとコツコツ真面目に同じことをやるのも人生ですが、メタ思考がないと、気付けばコツコツと人の作ったルールを守っているだけ、というふうになってしまうと思います。それだと最初から勝負に負けているので、まずはそのことに気付いてほしいなと。 徳成 日本は昔から天変地異が多いから、どうしてもコツコツ思考になりがちなんですよね。だって一生懸命頑張って作っていたお米が、自然災害で一晩でダメになるとか、当たり前だったから。あと1週間で収穫できる作物が台風で全部やられちゃう、みたいなことを長い間、何回も繰り返してきたから、危機に備えて蓄えておく、という保守的な国民性になったんだと思うんですよ。粘り強く、我慢強くなった。 かつ江戸時代に幕藩体制が300年近く続いたから、お上の言うことに従うことにも慣れ過ぎている。だから人様のルールの下で戦うことに疑問を感じないんでしょうけど、本当は良くないですよね。 堀内 だからといって、ではこのゲームから抜けます、というわけにはいかない。江戸時代の人口はおおむね3100~3300万人だったと言われています。今は人口が減り始めているといっても1億2500万人ほどです。それでも江戸時代の4倍ぐらいいるわけです。 マルクスは晩年、脱資本主義という視点から循環型経済を唱えていて、マルクス主義研究者の斎藤幸平氏もこれを支持しているのですが、鎖国をしていた江戸時代ならいざ知らず、これだけグローバル化した今の世界で、地域社会の中だけで循環してやっていけるのかと思うわけです。 世界に目を向けると、スペイン風邪の流行によって世界人口の数%が減少したと言われる第一次世界大戦直後は約18億人でした。これが今や、80億人を超えている。4倍以上です。 それを循環型社会に戻すとなったとき、ではこの余剰人員をどうすればいいんだ?という話になってきます。地産地消みたいなことができたら一番いいのでしょうが、地球がこれだけの人口を養っていかなければいけない今、すべてを循環型経済とか脱資本主義に戻すというのは、私は現実味がないと思っています。 つまり、資本主義というゲームは18世紀ぐらいから始まっていて、我々は知らないうちにそこに参戦しているのです。今さらそこから足抜けができなくなっているということです。 そうであるなら、このゲームのルールをどのように持っていったら少しはマシに戦えるのか、私などはそこを一生懸命考えるのですが、少なくともエグゼクティブくらいのレベルの人は、この問題をきちんと理解してくださいね、というのが私の訴えかけていることなのです。 (第3回に続く)』、「自分は今どのような場に置かれて、何のゲームをどのようなルールで戦っているのか、それぐらいは理解しなければいけないと思うんですよね。 徳成 一度、自分たちの立ち位置を俯瞰してみること、メタ思考が重要ですよね・・・あと1週間で収穫できる作物が台風で全部やられちゃう、みたいなことを長い間、何回も繰り返してきたから、危機に備えて蓄えておく、という保守的な国民性になったんだと思うんですよ。粘り強く、我慢強くなった。 かつ江戸時代に幕藩体制が300年近く続いたから、お上の言うことに従うことにも慣れ過ぎている・・・。このゲームのルールをどのように持っていったら少しはマシに戦えるのか、私などはそこを一生懸命考えるのですが、少なくともエグゼクティブくらいのレベルの人は、この問題をきちんと理解してくださいね、というのが私の訴えかけていることなのです。だから人様のルールの下で戦うことに疑問を感じないんでしょうけど、本当は良くないですよね」、その通りだ。
タグ:「「無事これ名馬」思想で、あと何年で退職だからとか、このままいけば子会社の社長になれるからとか考えて、なるべくリスクを取らずやっている。そういう経営者、とくに財務経理担当役員が多いのが現実なんですよね」、なるほど。 日本が国際社会でルールメイク側に立てない原因は「真面目すぎる気質」にあった 「「アニマルスピリッツ」とは、経済学者ジョン・メイナード・ケインズが生み出した用語で、「経済活動に見られる主観的で非合理的な動機や行動のこと」で、今の日本にまさに足りていないものだと著書の中で指摘」、なるほど。 堀内勉氏による「HONZ:日本が国際社会でルールメイク側に立てない原因は「真面目すぎる気質」にあった 堀内勉×徳成旨亮対談」 ダイヤモンド・オンライン 「郵便局長らは1999─2015年の期間に、富士通が開発した勘定系システム「ホライズン」のバグでデータと現金残高の不一致が生じ、不当に罪を着せられていた・・・ポストオフィスは長年、ホライズンのデータは正確だと主張していた。 ベネルズ氏はポストオフィスへの貢献などが評価されて19年にCBEを授与。今回、120万以上の人が取り消しを求める請願書に署名していた。 英政府には、冤罪事件の被害者全員に適切な賠償を行い、有罪を撤回するよう圧力が強まっている」、なるほど。 ロイター「富士通開発ソフト「ホライズン」巡る冤罪事件で、英郵便局元トップが勲章返上」 Newsweek日本版 (その2)(富士通開発ソフト「ホライズン」巡る冤罪事件で 英郵便局元トップが勲章返上、日本が国際社会でルールメイク側に立てない原因は「真面目すぎる気質」にあった 堀内勉×徳成旨亮対談、イギリスが日本と比べて国際社会で圧倒的に存在感が高いのはなぜか) 英国 「日本人は生真面目なので、実質、ハードローとして受け止める。つまり、もともと悪いことをして儲けようと思っていない日本人に、悪いことをしても儲けようと思っている人たち向けのルールを持ってきているわけですから、出ていないクギをさらに打って引っ込める、みたいなことになってしまいがち……」、なるほど。 「日本人は妙にペーパー試験は得意だから、点数だけはすごく高いわけです。だから欧米の人からすると、なんでこんなに喋れないヤツがこんなに高得点を取っているんだ?と不思議でならないみたいです。 徳成 よく喋れないのに文章を書かせると、文法的に完璧なものを作ってくるから、「日本人って変だよね」と英語ネイティブに思われる、というのが、僕たち世代の「あるある」でしたよね(笑)」、なるほど。 堀内勉氏と徳成旨亮氏の対談「イギリスが日本と比べて国際社会で圧倒的に存在感が高いのはなぜか」 『CFO思考』 「イギリスの上流教育というのはそうした感じなんですよね。フローだけ見て「すごいだろう」「ダメだな」と一喜一憂している人たちと、膨大なストックがあって超優良なバランスシートを持っている人たちと、そもそも比較にならない。 彼らのストックは何千兆円か何京円か分からないですが、それをさて置いておいて、「フローの部分はイギリスより日本のほうが大きいよね」とか威張ってみても、そこだけでは比較にならないと感じるのです」、なるほど。 「能力がある人はその能力を生かさなきゃダメです。それは天から与えられたものなんだから社会のために生かさなきゃ、というのが僕の考え方でもあるんですよね」、なるほど。 「自分は今どのような場に置かれて、何のゲームをどのようなルールで戦っているのか、それぐらいは理解しなければいけないと思うんですよね。 徳成 一度、自分たちの立ち位置を俯瞰してみること、メタ思考が重要ですよね・・・あと1週間で収穫できる作物が台風で全部やられちゃう、みたいなことを長い間、何回も繰り返してきたから、危機に備えて蓄えておく、という保守的な国民性になったんだと思うんですよ。粘り強く、我慢強くなった。 かつ江戸時代に幕藩体制が300年近く続いたから、お上の言うことに従うことにも慣れ過ぎている・・・ このゲームのルールをどのように持っていったら少しはマシに戦えるのか、私などはそこを一生懸命考えるのですが、少なくともエグゼクティブくらいのレベルの人は、この問題をきちんと理解してくださいね、というのが私の訴えかけていることなのです。だから人様のルールの下で戦うことに疑問を感じないんでしょうけど、本当は良くないですよね」、その通りだ。
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トランプ(その53)(米大統領選に異変が…!追い風が吹き始めたハリス氏は、早期の戦争終結や保護主義への歯止めをかけられるのか?) [世界情勢]

トランプについては、本年6月2日に取上げた。今日は、(その53)(米大統領選に異変が…!追い風が吹き始めたハリス氏は、早期の戦争終結や保護主義への歯止めをかけられるのか?)である。

7月30日付け現代ビジネスが掲載した経済ジャーナリストの町田 徹氏による「米大統領選に異変が…!追い風が吹き始めたハリス氏は、早期の戦争終結や保護主義への歯止めをかけられるのか?」を紹介しよう。
・『様変わりした選挙演説の様子  10日前には予想もできなかったが、新たな風が吹き、バイデン大統領に代わる民主党の米大統領選候補の本命に踊り出たカマラ・ハリス副大統領が、暗殺未遂事件の被害者として勢い付いていたトランプ前大統領(共和党の大統領候補)の独走に待ったをかける勢いだ。 持ち前の舌鋒鋭い演説と、若者に人気の歌手らの援護射撃、民主党内にまん延していた危機感などに支えられて、離れかけていた民主党支持者や若者の支持を取り戻し始めている模様なのである。世論調査の中にはトランプ氏を上回ったというものも散見される。 果たして、ハリス氏は、この追い風に乗り、米国大統領の座を射止められるのだろうか。 ハリス大統領が誕生した場合、その政策運営はどうなるのだろうか。終わりの見えないウクライナやイスラエルのガザ地区で進行中の戦争は早期終結に向かうのか。経済運営と保護主義化する一方だった通商政策への影響も探ってみよう。 まず、ハリス氏自身が旋風を巻き起こしている側面を示そう。今回、大統領候補になって以降に行った選挙演説の様子がバイデン氏のものと様変わりなのだ。 例えば、先週火曜日(7月23日)に、スイングステート(選挙のたびに勝つ政党が変わる激戦州。今回は大統領選の帰すうを左右すると7州が注目されている)のひとつ中西部ウィスコンシン州のミルウォーキーで行った演説だ。 ハリス氏は聴衆に、自由、平等、機会の均等といった権利をあげ、これらを保障しているのが民主主義国家の「米国の約束」だと説明。将来も安心して「米国の約束」のある国に住み続けたいか、それともトランプ政権の再来を念頭に暴力や恐怖が支配する国に脅えながら住みたいのかと問いかけた。 語り口が格調高く、かつてのケネディ大統領やオバマ大統領の演説を彷彿させたようだ。終了後、テレビインタビューに応じた聴衆が口々に、こういうエネルギッシュで志の高い主張を聞きたかったのだと話していた。 その一方で、ハリス氏は、下品にならないようにトランプ氏の弱点を突いた。 「消費者をだます詐欺師や、己の利益のためにルールを破る者など、(私は検察官として)あらゆる犯罪者と闘ってきた」と自身が政治家(上院議員)になる前は、カルフォルニア州司法長官など検察官としてキャリア積んできたと前置き。ひと呼吸を置いて、いたずらっ子のような笑顔を浮かべ、「(それゆえ、)私は、トランプ氏のようなタイプを知り尽くしている」と皮肉ってみせたのである』、カルフォルニア州司法長官など検察官としてキャリア積んできたと前置き。ひと呼吸を置いて、いたずらっ子のような笑顔を浮かべ、「(それゆえ、)私は、トランプ氏のようなタイプを知り尽くしている」と皮肉ってみせたのである」、なかなかの役者だ。ようやくバイデンの疲れ切った顔をみないで済むのも有難い。
・『バイデン氏がハリス氏を選んだ理由  米有権者の間では周知だが、トランプ氏はすでに今年5月、不倫の口止め料を巡って有罪の評決を受けており、今は大統領選後に量刑を待つ身だ。そうしたことをあえて口には出さずに、ましてや相手を口汚くこき下ろすことなく、ハリス氏とトランプ氏を「正義の検察官」対「犯罪者」という風に描いてみせたわけだ。筆者は中継映像を確認したが、会場はハリス氏の言動によって溢れんばかりの熱狂に包まれていた。 実は、こうした舌鋒の鋭さは驚くにあたらない。ジャマイカ移民の経済学者とインド系のがん研究者というマイノリティというバックグランドと共に、ハリス氏を女性初、黒人初、アジア系初の米副大統領に押し上げた原動力だからだ。 振り返れば2019年6月。ハリス氏は、前回の大統領選挙の民主党候補争いの討論会で、大本命で黒人寄りとみられていたバイデン候補に、人種差別撤廃に繋げる狙いのスクールバスを使った学区改革に反対した過去があると暴露して追及した実績があるのである。 窮地に追い込まれたバイデン候補は、「持ち時間を使い切った」と反論しなかったが、メディアは「バイデン氏が反論できず、時間切れを理由に逃げた」と、このやりとりを評した。 バイデン氏は後に、ハリス氏のバックグランドと、自身を追い詰めた舌鋒鋭い討論術を高く評価。自身の大統領選挙のランニングメート、つまり、副大統領候補に選び、これがハリス氏の副大統領就任に直結したのだった。 ただ、ハリス氏の演説術だけで、トランプ氏の勢いを弱らせる風が吹いたわけではない。 その他で、第一に見逃せないのは、現在81歳のバイデン氏自身が6月28日開催された大統領候補同士のテレビ討論会で、しどろもどろになったり、言い淀んだりしたりして、2期目も大統領職をまっとうできるのかという懸念が的を射ているという印象を全米に与えてしまったことである。 あの討論会で、バイデン、トランプ両氏が主張したこと自体は、4年前と同じように、ひたすら相手を「米国の歴史の上で最悪の大統領だ」とこき下ろし合うような最低の内容だった。が、最も視聴者たちの印象に残ったのは「バイデン氏は歳を取り過ぎている」ということだった。 民主党内では、速やかに、誰か若いピンチヒッターを立てないと惨敗するとの危機感が共有される状況が生まれていた。 こうした中で、選挙戦からの撤退を拒否して連邦議会選でも民主党を劣勢に追い込む“元凶”となっていたバイデン氏が7月21日の日曜日になって、ついに変心。 これを受けて、クリントン元大統領夫妻を先頭に党内の重鎮や大物が相次いでハリス氏支持を表明した。そして、ハリスの出馬表明から24時間で邦貨換算で127億円という過去最大の選挙資金が集まったという情報が開示され、有力な対立候補と見られていた人物たちが揃ってハリス氏支持に流れた。こうして、ハリス氏が正式指名を受けていない段階からスタートダッシュできる環境が整った。ハリス氏支持への流れは予想以上に急速だ』、「ハリス氏は、前回の大統領選挙の民主党候補争いの討論会で、大本命で黒人寄りとみられていたバイデン候補に、人種差別撤廃に繋げる狙いのスクールバスを使った学区改革に反対した過去があると暴露して追及した実績があるのである。 窮地に追い込まれたバイデン候補は、「持ち時間を使い切った」と反論しなかったが、メディアは「バイデン氏が反論できず、時間切れを理由に逃げた」と、このやりとりを評した。 バイデン氏は後に、ハリス氏のバックグランドと、自身を追い詰めた舌鋒鋭い討論術を高く評価。自身の大統領選挙のランニングメート、つまり、副大統領候補に選び、これがハリス氏の副大統領就任に直結」、バイデンも当時はフェアだったようだ。
・『醸成される「ハリス氏支持」のムード  第2に、俳優のジョージ・クルーニー氏を筆頭格に「映画の都」ハリウッドの人々や、若者にも人気の米国や英国の歌手たちの公式、非公式の支持を得ていることも重要だ。 例えば、ハリス氏はバイデン大統領が選挙戦からの撤退を表明した日の翌日にあたる7月22日の月曜日、米東部デラウェア州のウィルミントンにある民主党選挙本部での集会で登壇する際のビージーエムに、米人気歌手のビヨンセさんの曲「Freedom」を流すことができた。 この曲は、2020年に白人警察官が黒人のジョージ・フロイドさんを殺害した事件を機に世界中で巻き起こった抗議活動Black Lives Matterのテーマ曲にもなっている。ビヨンセさんがこの曲の使用許可を出したのは、暗にハリス氏を示唆したものと言う。ハリス陣営は7月25日の木曜日に公開したハリス大統領候補の公式動画広告にも「Freedom」を採用している。 有名歌手では、カーディ・B、アリアナ・グランデ、チャーリーXCX、ケイティ・ペリー、リル・ナズ・Xなどもハリス氏支持を表明しているという。特に、英女性シンガーソングライターのチャーリーXCXがX(旧ツイッター)に投稿した「kamala IS brat」というコメントの影響は大きかった。 「brat」には、「ガキ、行儀の悪い子、流されないかっこいい女の子」といった意味があり、これを機に、ハリス副大統領が緑色のかかった画面で歌ったり踊ったりする様子を映した動画が猛烈な勢いで拡散されて若者の間で人気になり、ハリス氏を支持するムードが醸成されているというのだ。 ざっと振り返れば、これらが、ハリス陣営が独走しかけたトランプ氏に待ったをかけている事情である。トランプ氏は、暗殺未遂事件で耳を撃ち抜かれたにもかかわらず、シークレットサービスの制止を無視して、はためく星条旗の前で、血を流しながら、こぶしを突き上げる映画の宣伝ポスターのような写真を撮られた。これによって、共和党支持者の枠を超えて、支持者が急拡大しそうだった勢いを挫かれた形なのである。 結果として、最近行われた米世論調査の中には、広がりそうだったトランプ氏のリードが逆に縮小し始めたことを示すものが多い。特に、ロイター通信と調査会社イプソスが7月22日と23日の2日間かけて行った調査の中で、回答者を有権者登録済みの人に限定したケースの数字を見ると、「もし、大統領選挙がきょう実施された場合、誰に投票するか」との質問に、「ハリス氏」と答えた人は44%と、「トランプ氏」と答えた人の42%を2ポイント上回った。 しかし、こうした変化は、ハリス氏が今後100日足らずとなった大統領選で、その勢いを維持して、トランプ氏に勝てると保証するものとも言い切れない』、「ハリス氏」支持の瞬間風速は確かに想像以上に高いようだ。
・『ハリス氏が勝つための「3つの条件」  そもそも、今回の米大統領選挙の勝利の行方は、これまでの選挙より遥かに予測が難しいとされている。それは、民主党でも共和党でもない第3の候補のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が、ハリス氏とトランプ氏のどちらの票をより多く食うのかの予測が難しいからだ。 ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は弁護士で、今なお米国で人気の高いケネディ大統領の甥だ。民主、共和の2大政党に不満を持つ有権者の受け皿となり、第3の候補としては異例の支持を集めているとの見方もある。 そうした事情をあえて無視するとしても、ハリス氏が大統領選で勝つためには、少なくとも3つの条件があると考えられる。 最初の関門は、大統領選の勝敗を左右するスイングステートで、トランプ前大統領とバンス上院議員という侮れない共和党の正、副大統領候補コンビを打ち破れる強力な副大統領候補を擁立できるか、だ。 今回は、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシンの7州がスイングステートとされているが、前々回の大統領選挙でこのうちのネバダしか取れなかったヒラリー・クリントン元国務長官はトランプ氏に敗れた。逆に前回、ノースカロライナ以外の6州をとったバイデン氏は、トランプ氏に勝てた。 そして今回は、米経済紙の4月段階の調査によると、ウィスコンシン州でバイデン氏、トランプ氏が支持率で共に46%で互角だったものの、残り6州はすべてトランプ氏がリード。バイデン氏をそれぞれ1~6ポイント上回っていた。 それゆえ、ハリス氏には、スイングステートで大きな集票力を持つランニングメート(副大統領候補)がどうしても必要なのだ。 筆者は、7州の中で最大票田ぺンシルバニア州のシャピロ知事か最有力候補と睨んでいるが、同氏クラスの人物を口説き落とせるかどうかはハリス氏の力量を試す大きな関門だ』、「7州の中で最大票田ぺンシルバニア州のシャピロ知事か最有力候補と睨んでいるが、同氏クラスの人物を口説き落とせるかどうかはハリス氏の力量を試す大きな関門」、なるほど。
・『ハリス氏とバイデン氏、トランプ氏の違い  2番目の関門は、ビヨンセさんの楽曲使用の許諾やチャーリーXCXさんの投稿で、若者の間に広がりつつあるという人気をどこまで広げて、維持できるかである。どこの国でも若者は流行に敏感で、飽きっぽい傾向がある。 そして3番目が、カリフォルニア州司法長官や副大統領をつとめていながら、意外と弱いとされている組織の運営能力を高められるかという点である。実は、この点での弱さが、ハリス氏が前回の大統領選の民主党候補としての指名争いから早期撤退を迫られた主因だとの見方もある。同じ失敗は許されない。 では、最後に、外交・安全保障、経済運営、通商戦略を巡るハリス氏とバイデン氏、トランプ氏の違いを考えてみよう。 まず、世界で起きている2つの戦争への対応が最大の焦点の外交・安全保障政策だ。ロシアが侵略戦争を続けるウクライナへの軍事支援については、バイデン政権の方針を受け継ぐとみてよいだろう。NATO(北大西洋条約機構)加盟国と共に必要な支援を継続していきそうだ。 1期目に様々な宗教の聖地であるエルサレムをイスラエルが首都とすることを容認したことに表れるように、トランプ氏は、親イスラエルを広言している。一方のバイデン氏は、親ユダヤ的政策を重視するエスタブリッシュメントと、ガザ地区の戦争の悲惨な状況から反イスラエル色を強めて早期停戦を求めている若手の有権者層の間で板挟みだ。どっちつかずの優柔不断の姿勢に終始してきた。 これら2人と比べれば、ハリス氏は米国民から親イスラエル派の政治家と見られることに強い抵抗をみせている。米副大統領は連邦議会の上院議長も務めることになっており、外国要人が議会演説をする際には、演説者の後ろにある上院議長席で傍聴するのが慣例であるが、訪米したイスラエルのネタニヤフ首相がこのほど演説した際は、事前に政治的所要が入っていたことを理由に欠席してみせた。 事実上、ガザ地区への攻撃を続けるネタニヤフ氏に対して、ある種のお墨付きを与えることを拒否して見せたのである。 次いで、この翌日のネタニヤフ氏との個別会談について、ハリス氏は会談後の講演などで言及。この中で、イスラエルに自衛権があることを是認・支持したものの、ガザ地区では「あまりにも多くの罪なき一般市民の死を含む人的被害」が出ていることなどを指摘して、「ネタニヤフ氏に深刻な懸念を伝えた」と説明した。 そのうえで、記者団には「私は黙らない」、「もうこの戦争は終わりにしなくてはならない」とも語っている。 こうしたネタニヤフ氏への対応から見て、仮にハリス氏が米大統領にした場合、ガザ地区への攻撃が続いていれば、ハリス氏は厳しく終戦を迫るものと見られている』、事実上、ガザ地区への攻撃を続けるネタニヤフ氏に対して、ある種のお墨付きを与えることを拒否して見せたのである。 次いで、この翌日のネタニヤフ氏との個別会談について、ハリス氏は会談後の講演などで言及。この中で、イスラエルに自衛権があることを是認・支持したものの、ガザ地区では「あまりにも多くの罪なき一般市民の死を含む人的被害」が出ていることなどを指摘して、「ネタニヤフ氏に深刻な懸念を伝えた」と説明した。 そのうえで、記者団には「私は黙らない」、「もうこの戦争は終わりにしなくてはならない」とも語っている「イスラエル」への姿勢が中立化するのは好ましいことだ。
・『ハリス氏が国内経済政策で重視するもの  日本の読者はあまり関心がないだろうが、ハリス氏が国内経済政策で重視するのは、中産階級(日本のイメージで言えば高額所得者層だが)の生活水準を維持・向上させることにあるようだ。この脈絡で、副大統領としては、バイデン氏の企業や高所得世帯への課税を強化する一方で、所得が40万ドル(約6200万円)を下回る世帯への課税は横ばい、もしくは削減する方針に賛意を示してきた。 ハリス氏は2020年に大統領選に立候補した際の公約で、「LIFT」という税制改正法案を提案、最低限の所得を保障する「ユニバーサル・ベーシックインカム」に似た仕組みの導入を提案した。ハリス案は、個人に3000ドル、夫婦に6000ドルの税額控除を提供するもので、10年間で約3兆ドルの政策コストが必要と試算していた。 この制度は、ベーシックインカム的と言いながらも、世帯所得が増えるにしたがって恩恵が減る仕組みで、上位40%の世帯には全体の10%しか行き渡らない仕組みとされていた。仮にハリス大統領が誕生すれば、こうした形の中産階級支援が再び現実味を帯びる可能性がある。 FRB(米連邦準備制度理事会)が繰り返した利上げの影響で、現在、歴史的な高値圏にある住宅コスト対策もハリス候補の主要な公約に浮上してくる可能性がありそうだ。 上院議員時代に、家賃高騰対策として「Rent Relief Act(家賃軽減法)」を提唱し、収入10万ドル以下で、収入の30%以上を家賃と光熱費として支払っている人を対象にした税額控除の設置を提案したことがあるからである。 また、カリフォルニア州司法長官時代には、急増した差し押さえを憂慮、住宅ローンを手掛けていた金融機関と交渉し、手厚い住宅保有者への補償を引き出した実績や、関連して急増した詐欺の摘発を強化したことがあることも、ハリス氏が住宅政策を重視する可能性が高いとみられることの根拠になっている。 最後の最後は、通商政策だ。労働組合票を強く意識していたのだろうが、ハリス氏は2016年の上院議員を目指した選挙で、候補者として、身内の民主党のオバマ政権が2015年に交渉で合意していたTPP(環太平洋経済連携協定)への反対を表明していた。 「米国第一主義」を掲げて、TPPからの離脱や中国にとどまらないすべての国への関税上乗せ措置を推進したトランプ前大統領ほどではないものの、半面、トランプ氏に引きずられる形で、自由貿易体制への復帰を実現できなかったバイデン氏と比べると、より保護主義的な通商政策を志向する大統領に、ハリスがなったとしても不思議はない状況だ。)を紹介しよう』、「「LIFT」という税制改正法案を提案、最低限の所得を保障する「ユニバーサル・ベーシックインカム」に似た仕組みの導入を提案した」。「自由貿易体制への復帰を実現できなかったバイデン氏と比べると、より保護主義的な通商政策を志向する大統領に、ハリスがなったとしても不思議はない状況だ」、なるほど。

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イスラエル・パレスチナ(その5)(ハマスとの停戦めぐり揺れ動くイスラエル国民 人質の全員解放か ハマスの壊滅か…割れる意見、イスラエルがハマスと同時にヒズボラにも戦争を仕掛けたがる理由、ネタニヤフ政権「イスラエル史上 最も右寄り」の訳 イスラエルの選挙制度に問題がある) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、本年5月30日に取上げた。今日は、(その5)(ハマスとの停戦めぐり揺れ動くイスラエル国民 人質の全員解放か ハマスの壊滅か…割れる意見、イスラエルがハマスと同時にヒズボラにも戦争を仕掛けたがる理由、ネタニヤフ政権「イスラエル史上 最も右寄り」の訳 イスラエルの選挙制度に問題がある)である。

先ずは、6月12日付け東洋経済オンラインが掲載したミルトス(イスラエル・ユダヤ文化の出版社)代表の谷内 意咲氏による「ハマスとの停戦めぐり揺れ動くイスラエル国民 人質の全員解放か、ハマスの壊滅か…割れる意見」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/760352
・『ハマスの奇襲テロによってイスラエルが戦争に突入してから8カ月経ったが、この数日で大きな動きが2つあった。人質4人が軍事作戦によって奪還されたこと、そしてベニー・ガンツが戦時内閣から離脱を表明したことである。 これまでにイスラエル国防軍(IDF)の地上作戦やハマスとの交渉によって135人の人質がイスラエルに戻ってきたが、今も120人はガザのどこかに監禁されたままである。 この数カ月間、IDFは地上作戦によって拉致された人の遺体を救出してきた。イスラエル側の安否不明者数が少しずつ減っている中での、生存者4人奪還のニュースだった』、「地上作戦やハマスとの交渉によって135人の人質がイスラエルに戻ってきたが、今も120人はガザのどこかに監禁されたまま」、なるほど。
・『6月8日に人質4人を奪還  この戦争において、イスラエル国民が最優先事項と考えるのは、人質の奪還であることは間違いない。人口1,000万人に満たない小国イスラエルの同胞意識は、われわれには想像もつかないほど強い。 2000年もの間、土地も国も持てず世界に離散しながら生き延びてきたユダヤ人の根底にある意識と言えるだろう。(「『囚われた人々』奪還へ突き動かすイスラエルの教え」参照) 戦争が始まった直後、ガザ近郊に住む娘と孫が人質として連れ去られたというMさんに話を伺ったことがある。約50日後、ハマスとの交渉で一家は全員生還した。Mさんに祝福のメッセージを送ったら、すぐに短い一文が返ってきた。「私たちは幸せですが、残りの人質が全員帰ってくるまで、私たちは戦い続けます」 テルアビブ美術館の広場は「人質広場」と呼ばれ、人質解放を訴える家族が日々活動している。その中には、家族が無事に帰ってきた人や親族ではない人も大勢いて、1日も早く全員が帰還できるよう人質家族を支え続けている。 6月8日に生還した4人は、ガザ地区のヌセイラット難民キャンプでハマスに拘束されていたノア・アルガマニさん(25)、アルモグ・メイールさん(21)、シュロミ・ジヴさん(40)、アンドレイ・コズロヴさん(27)。実に246日ぶりの解放であった。この4人はいずれもノバ音楽フェスティバルから2023年10月7日に拉致された。) ノアさんについては、バイクに乗せられ拉致される中で助けを求めて叫ぶ様子が世界で報じられ、ハマスの蛮行の象徴として記憶している人も多いだろう。母親のリオラさんは進行するがんと戦いながら、車椅子に乗って娘の解放を訴え続けていた。 この作戦は「アルノン作戦」(当初は「夏の種作戦」)と名づけられていた。IDFとシャバク(イスラエル総保安庁)、ヤマム(イスラエル国境警察の対テロ特殊部隊)などあらゆる治安機関が連携し、約1カ月かけて準備された。人質4人はトンネルではなく、ガザ市民の住宅に拘束されていた。 ハマスはガザ市民を「人間の盾」としていることは周知の事実だが、人質も同様で、IDFの攻撃によって犠牲になった人質がいることも判明している。生還したノアさんの証言によると、自身もIDFのミサイル攻撃によって命の危険を感じたことがあったという』、「人質4人はトンネルではなく、ガザ市民の住宅に拘束されていた。 ハマスはガザ市民を「人間の盾」としていることは周知の事実だが、人質も同様で、IDFの攻撃によって犠牲になった人質がいることも判明している。生還したノアさんの証言によると、自身もIDFのミサイル攻撃によって命の危険を感じたことがあったという」、なるほど。
・『戦時内閣からガンツ氏が脱退  6月8日の午前11時、作戦が開始された。ハマスは、IDFがヌセイラット難民キャンプの一角を包囲している情報をつかむと攻撃を開始し、激しい銃撃戦となった。 救出部隊は、建物の1階にいたノアさんを救出した後、3階の3人を救い出した。11時15分、「ダイヤモンドはわれわれの手に」と伝えられた。人質を保護したという報告である。 救出自体は短時間で完了したが、数百人の武装テロリストが周りを取り囲み、救出部隊を執拗に攻撃し続け、人質を運搬するためのトラックが爆破された。それで保護した人質を海岸へと導き、最終的にIDF空軍のヘリでイスラエルに連れ戻した。11時50分のことである。 テロリストとの激しい銃撃戦により、ヤマムの指揮官1人が犠牲になった。ハマス傘下のガザ保健省の発表では、パレスチナ人274人が死亡し、698人が負傷したとされている。 人質奪還のニュースにイスラエル中が沸き立った日の翌6月9日、戦時内閣に参加していたベニー・ガンツが辞任を発表した。ガンツは戦争勃発の5日後に戦時内閣に加わったが、つねにネタニヤフ首相との不協和音が報じられていた。ガンツはこの日、65歳の誕生日を迎えた。 「戦争が勃発した後、私たちは政治的パートナーシップからではなく、運命共同体として1つになる必要性を感じ、緊急内閣に加わった。けれどもこの内閣は、政治的な判断に重きを置き、重要な戦略的決定を先延ばしにしている」) ガンツはネタニヤフ政権を厳しく批判し、総選挙を行なうことを提案した。 「残念ながら、われわれが真の勝利へ向かうことを阻止しているのはネタニヤフである。真の勝利を獲得するには、この秋、戦争から1年が経つ頃に、総選挙に臨むことが適切であると考える。国民の信任を得た内閣を立ち上げ、困難な挑戦に立ち向かうためである」 ガンツの政権離脱の発表がなされた後、イスラエルのチャンネル11が世論調査を行なった。「もし今、総選挙が行なわれたとしたら、どの政党に投票するか」(注:イスラエルは比例代表制なので政党に投票する)に対する答えの割合を、議席数に換算したものが次である。 ▽イスラエル世論調査でわかる2つのこと(()内は党首名、【】内は同じ設問で約1週間前に行なわれた世論調査からの変動数である』、「救出自体は短時間で完了したが、数百人の武装テロリストが周りを取り囲み、救出部隊を執拗に攻撃し続け、人質を運搬するためのトラックが爆破された。それで保護した人質を海岸へと導き、最終的にIDF空軍のヘリでイスラエルに連れ戻した。11時50分のことである。 テロリストとの激しい銃撃戦により、ヤマムの指揮官1人が犠牲になった。ハマス傘下のガザ保健省の発表では、パレスチナ人274人が死亡し、698人が負傷」、「テロリスト側の損害は極めて多いようだ。 
・国家統一党(ガンツ)23議席【-4】 ・リクード党(ネタニヤフ)22議席【+1】 ・未来がある党(ラピッド)16議席【+2】 ・わが家イスラエル党(リーベルマン)12議席【±0】 ・シャス党(デリー)10 議席【±0】 ・ユダヤの力党(ベングビール)9議席【±0】 ・労働党(ゴラン)7議席【+1】 ・ユダヤ・トーラー連合(シャピラ)7議席【±0】 ・ハダッシュ・タアル党(ティビ)5議席【±0】 ・統一アラブリスト党(アッバス)5議席【±0】 ・宗教シオニズム党(スモトリッチ)4議席【±0】 ※国会の定数は120議席 この結果を現在の与野党に振り分けると、与党は52議席【+1】、野党は63議席【-1】(どちらにも属さないアラブ系のハダッシュ・タアル党の5議席を除く)となる。 現与党の下野が確実視される中で、皮肉なことに、ガンツが離脱を発表したことで自身の国家統一党は4議席減らし、与党のリクード党が1議席増やしている。そして注目したいのは、若干ではあるが左派系の支持が回復していることだ。) 建国以来、第1党として多くの期間イスラエルの政権を担ってきた左派の労働党は、1993年のオスロ合意を導いたが、これを失敗と見る国民からの支持を得られず、この数十年で議席を減らし続けた。 労働党は現在4議席を有するのみだが、最新の世論調査では7議席となっている。2022年に実施された最後の選挙でしきい値を割り込んで議席を失った中道左派のメレツ党と連携すれば、10議席に増えるという予測も出ている。つまり、ベングビールの右派政党を上回る計算となる』、「建国以来、第1党として多くの期間イスラエルの政権を担ってきた左派の労働党は、1993年のオスロ合意を導いたが、これを失敗と見る国民からの支持を得られず、この数十年で議席を減らし続けた。 労働党は現在4議席を有するのみだが、最新の世論調査では7議席となっている」、なるほど。
・『現職首相への不信感  並行して次の世論調査も行なわれた。 ◆ガンツが提案する数カ月以内の総選挙について(・賛成57% ・反対31% ・わからない12%) ◆ガンツの政権離脱について(・支持52% ・不支持27% ・わからない21%) ◆ガンツは「この戦争は数年続く」、ネタニヤフは「勝利は近い」と述べている。どちらが正しいと思うか?(・ガンツ51% ・ネタニヤフ22% ・わからない27%) ◆人質解放とパレスチナ囚人の釈放を含む停戦案について(・賛成49% ・反対32% ・わからない19%) 最後の停戦案については、2024年5月末にアメリカのバイデン大統領が示したものである。双方が戦闘を停止し、段階的に人質解放・パレスチナ囚人釈放を実行し、ガザ地区北部住民を帰還させ、最終的にIDF部隊がガザ地区から完全撤退し、ガザ地区の復興を目指すとしている。 しかしイスラエル・ハマス双方が反対を表明し、暗礁に乗り上げたままである。1週間前のイスラエル世論調査では、この停戦案について「支持40%」「反対27%」「わからない33%」だった。) しかし人質4名の奪還とガンツの政権離脱というニュースがもたらされたことにより、わからないと答えた人が14ポイント減少し、停戦案に賛成する人が9ポイント増加し、反対も5ポイント増える結果となっている。 オスロ合意以降、イスラム過激派によるテロが活発化してイスラエル世論が右傾化し、ネタニヤフ率いるリクード党が右派や宗教党と手を組んで支持を伸ばしてきたが、ここに来て中道のガンツやラピッド、さらに左派への揺り戻しが来ている』、「オスロ合意以降、イスラム過激派によるテロが活発化してイスラエル世論が右傾化し、ネタニヤフ率いるリクード党が右派や宗教党と手を組んで支持を伸ばしてきたが、ここに来て中道のガンツやラピッド、さらに左派への揺り戻しが来ている」、なるほど。
・『左派への揺り戻しの兆し  ネタニヤフ首相の汚職や司法制度改革に反発する声も大きく、今秋に選挙が行なわれればネタニヤフは退陣を免れないだろう。 では、次期首相はガンツになるのか。ガンツはIDF参謀総長経験者である。イツハク・ラビンやアリエル・シャロンなど、右派・左派に関わらず歴代首相の中には国防の最前線で戦った人物が多い。IDFにはイスラエル国民が絶対的信頼を置いているからである。 ガンツは政界入りしてから副首相兼国防相、国会議長を歴任しているが、首相としての手腕は未知数である。次期首相の有力候補であることは確かだが、ガンツにこの難局を乗り切るだけの政治力があるのか、不安な要素も多いと言われる。 現内閣では、右派からも不満が出てきている。イタマル・ベングビール国家安全保障相は、停戦案に応じるなら政権を離脱すると公言している。ベングビールが離脱するなら現政権は過半数割れとなるため、ネタニヤフはこれを阻止したい。 つまり現行の停戦案に応じる可能性は極めて低いだろう。中道のガンツが離脱し相対的に右派の影響力が強まるならなおさらである。 4人の人質奪還という喜ばしいニュースとは裏腹に、国民の過半数が総選挙に賛成し、現政権に不満を募らせている。ネタニヤフについては、自らの政治的延命を図っているとの批判が高まっている。 イスラエルは中東で唯一の民主主義国家を標榜しているが、今その真価が問われている』、「4人の人質奪還という喜ばしいニュースとは裏腹に、国民の過半数が総選挙に賛成し、現政権に不満を募らせている。ネタニヤフについては、自らの政治的延命を図っているとの批判が高まっている」、次のイスラエル政権はどうなるのだろう。

次に、6月29日付けNewsweek日本版「イスラエルがハマスと同時にヒズボラにも戦争を仕掛けたがる理由」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/06/post-104884.php
・『<レバノンのイスラム教過激派勢力ヒズボラによるミサイル攻撃を受け、イスラエルはヒズボラへの攻撃の意思を明らかにしている。ガザ地区でのハマスとの戦いも続くなか、本気で二正面戦争に突入するのだろうか> 元英国首相ウィンストン・チャーチルが残した多くの名言の中に、「歴史から学ばない者は、歴史を繰り返して滅ぶ」というものがある。 イスラエルがレバノン南部で、レバノンの過激派組織ヒズボラと本格的な戦争に乗り出す準備をしている可能性があることも、まさにその例であるようにみえる。 イスラエルのカッツ外相は先ごろ、ヒズボラに対する全面戦争を決断する時が「まもなくやってくる」と述べ、イスラエル国防軍(IDF)幹部が作戦計画に署名したことを明かした。 一方、ガザ地区のハマスに対するイスラエルの戦争もまだ終わっていない。イスラエルは、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が紛争開始時に掲げた2つの主要目標、すなわち、ガザにおける軍事・統治組織としてのハマスの壊滅と、ハマスが拘束している残りのイスラエル人人質(生存とみられる約80人と、死亡とみられる約40人の遺体)の解放をまだ達成していない』、「イスラエルのカッツ外相は先ごろ、ヒズボラに対する全面戦争を決断する時が「まもなくやってくる」と述べ、イスラエル国防軍(IDF)幹部が作戦計画に署名したことを明かした。 一方、ガザ地区のハマスに対するイスラエルの戦争もまだ終わっていない」、二正面作戦をやる気のようだ。
・『激怒する北部住民  イスラエルには、ヒズボラの脅威を排除したいもっともな理由がある。昨年10月8日にガザ紛争が始まって以来、ヒズボラは後ろ盾のイランから供与されたミサイルやロケット、無人機を、国境越しにイスラエル北部に撃ち込んでいる。しかもその目的は、イスラエル国防軍の注意をガザ作戦からそらせ、ハマスを支援するためだと、ヒズボラは明言している。 ヒズボラの攻撃は比較的限定的で、今のところイスラエル北部に限られている。それでも、国境付近の住民約6万人が避難を余儀なくされている。うんざりした住民は、ネタニヤフ政権にヒズボラを国境から撤退させろと要求している。 その怒りはここ数日でさらに増大した。ヒズボラが低空飛行の偵察機で撮影したイスラエル北部の都市ハイファの軍事施設や民間施設の映像を公表したからだ。 つまり、ヒズボラはこの地域で新たな標的を設定する準備にかかっていたのだ。ハイファは人口30万人近い都市だが、ヒズボラの攻撃はまだ受けていない。 ネタニヤフ内閣で最も右寄りの閣僚ベザレル・スモトリッチ財務相とイタマール・ベン・グヴィル警察相は、イスラエル軍のレバノン南部への侵攻を公然と要求している。このような圧力がなくても、イスラエル北部の住民は与党リクード党の強力な支持者であることから、ネタニヤフ首相としては、ヒズボラの脅威をなんとしても無力化したいのだ』、「イスラエル北部の住民は与党リクード党の強力な支持者であることから、ネタニヤフ首相としては、ヒズボラの脅威をなんとしても無力化したいのだ」、なるほど。
・『アメリカとイランの利害関係  アメリカは明らかに、イスラエルが紛争で第二の戦端を開くリスクを懸念している。ジョー・バイデン大統領はイスラエルとレバノンにアモス・ホッホシュタインを特使として派遣し、緊張緩和を図っている。 ホッホシュタインはレバノンを訪れても、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララと直接交渉することはできない。ヒズボラがアメリカの国際的テロ組織リストに載っているからだ。その代わり、彼は同じシーア派としてナスララと話ができるレバノン国会のナビ・ベリ議長と会談した。 だがヒズボラは、この地域における主な支援者であるイランの要求には従う。どんなレバノンの指導者も、イランに承認された行動をやめるようヒズボラを説得できるかどうかは疑わしい。 現時点のイスラエルとヒズボラの戦争の可能性におけるイランの利害関係は複雑だ。イスラエルが二正面から軍事的圧力を受けるのが喜ばしいことは明らかだ。だが、イランの指導者たちはヒズボラを、イランの核施設を攻撃したがっているイスラエルに対する抑止力だと考えている。 ヒズボラは推定15万発のミサイルとロケット弾を保有しており、その中にはイスラエル領の内部まで届くものもある。これまでのところイランは、ヒズボラとイスラエルとの大規模な戦闘拡大は望んでいないようだ。 イスラエルのミサイル防衛システム「アイアン・ドーム」は、ガザからのロケット弾攻撃を無力化することには目覚しい成功を収めているが、より高性能なミサイルの集中砲火に対しては、それほど有効ではないかもしれない。 現に今年4月、イランがイスラエルにミサイル150発と無人機170機を直接撃ち込んだときは、イスラエルはアメリカ、イギリス、フランス、ヨルダンからの支援を必要とした』、「これまでのところイランは、ヒズボラとイスラエルとの大規模な戦闘拡大は望んでいないようだ。 イスラエルのミサイル防衛システム「アイアン・ドーム」は、ガザからのロケット弾攻撃を無力化することには目覚しい成功を収めているが、より高性能なミサイルの集中砲火に対しては、それほど有効ではないかもしれない。 現に今年4月、イランがイスラエルにミサイル150発と無人機170機を直接撃ち込んだときは、イスラエルはアメリカ、イギリス、フランス、ヨルダンからの支援を必要とした」、なるほど。
・『レバノン介入の教訓  もう1つのファクターは、イスラエルによるレバノンへの過去の介入は、歴史的にかなりコストがかかったということだ。 イスラエルとレバノンの問題は、ヨルダンの故フセイン国王が1970年、当時ヤセル・アラファトが率いていたパレスチナ解放機構(PLO)をレバノンに移転させたことから始まった。PLOが1967年の戦争後、ヨルダンを対イスラエル作戦の拠点として使っていたため、イスラエルの報復を誘発したからだ。 1970年代初頭から、PLOはレバノンで国家の中の国家を作った。PLOは弱体化していたレバノン政府とほぼ無関係に行動した。レバノンは宗派を理由に分裂し、1975年には長期にわたる内戦に突入した。 PLOはレバノン南部からイスラエルに攻撃を仕掛け、イスラエルは1978年にレバノンへの限定侵攻を開始し、パレスチナの民兵集団をリタニ川以北に追いやった。 この侵攻は部分的にしか成功しなかった。PLOはすぐに国境まで後退し、イスラエル北部への攻撃を再開した。1982年、イスラエルのメヘナム・ベギン首相(当時)はPLOをレバノンから完全に排除することを決定し、ベイルートまでレバノン侵攻を開始した。PLO指導部と戦闘員の大部分は拠点をチュニジアに移さざるをえなくなった。 この成功にもかかわらず、2度にわたる侵攻は、それまで静かだったレバノン南部のシーア派住民を急進化させるという予期せぬ結果を招いた。 その結果、最高指導者ルホラ・ホメイニ師率いるイランは、革命後間もない時期にレバノンのシーア派聖職者たちと協力して、ヒズボラ(アラビア語で「神の党」)を設立。イスラエルにとってPLO以上の脅威となった。 イランの支援を受けてヒズボラは年々勢力を強め、レバノン政治に影響を与える勢力となり、定期的にイスラエルに向けてミサイルを発射するようになった。 2006年、ヒズボラは、捕らえた2人のイスラエル兵の救出を目的としたレバノン南部へのイスラエル国防軍の進撃を阻止することができた。結果は実質的に引き分けで、2人の兵士は2008年にレバノン人捕虜と交換された。 当時、多くのアラブ人オブザーバーは、軍事力で圧倒的に不利な紛争を引き分けにもちこんだヒズボラは、政治的・軍事的に勝利したと判断した。 この紛争中と紛争後しばらくの間、ナスララは、サウジアラビアなど保守的なスンニ派アラブ諸国の支配者に嫌われていたにもかかわらず、この地域で最も人気のある指導者の一人だった』、「多くのアラブ人オブザーバーは、軍事力で圧倒的に不利な紛争を引き分けにもちこんだヒズボラは、政治的・軍事的に勝利したと判断した。 この紛争中と紛争後しばらくの間、ナスララは、サウジアラビアなど保守的なスンニ派アラブ諸国の支配者に嫌われていたにもかかわらず、この地域で最も人気のある指導者の一人だった」、なるほど。
・『歴史は繰り返すのか  歴史は繰り返すのか──これは、イスラエルがヒズボラとの戦争を議論する場合避けて通れない問題だ。現在の状況とチャーチルの言葉との関連も明らかだ。 ほとんどの軍事専門家は、二つの正面で戦争を構えることには警告を発するだろう。ジョージ・W・ブッシュ元米大統領は、アフガニスタン戦争にまだ決着がつかない2003年にイラク侵攻を開始した。その結果、米軍は大きな犠牲を払い、国も壊滅的な損失を被った。 19世紀のアメリカの作家マーク・トウェインは、「歴史は繰り返さないが、しばしば韻を踏む」と言ったと伝えられる。イスラエルの指導者たちは過去からの響きに耳を傾けるだろうか』、「イスラエルの指導者たちは」、「ハマスと同時にヒズボラにも戦争を仕掛けたが」っているようだ。に正面作戦は上手くいくのだろうか。

第三に、7月12日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの池上 彰氏による「ネタニヤフ政権「イスラエル史上、最も右寄り」の訳 イスラエルの選挙制度に問題がある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/770535
・『2023年10月、ロシアとウクライナの戦況が膠着状態になる中、世界はもう1つ別の戦闘を抱え込みました。イスラム武装組織ハマス(正式名称はイスラム抵抗運動)とイスラエルの衝突です。 戦闘のきっかけとなったのは2023年10月7日、ハマスがイスラエルに陸・海・空から一斉攻撃を仕掛け、イスラエル兵や民間人を殺害し、多数の人質を取ったことにあります。これは国際人道法違反です。国際人道法は民間人を標的とすることを禁じています。当然ながらハマスは国際社会から強く非難されました。 もちろんハマスのやったことは許されることではありません。しかしこれまで何があったのか、70年余りの中東の歴史を見なければなりません。 ハマスの目的はなんだったのか。「パレスチナ問題」を忘れさせないことではないのか。 世界の目を再び引きつけることになったパレスチナ問題。本記事ではイスラエルの側の視点から考えてみることにしましょう』、「パレスチナ問題。本記事ではイスラエルの側の視点から考えてみることにしましょう」、なるほど。
・『世界はパレスチナを忘れていた  今回のハマスによるテロは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権がパレスチナを追い詰め過ぎたことも一因だろうと指摘されています。 2022年のイスラエル総選挙で、ネタニヤフが率いる右派政党「リクード」が第1党になり、ネタニヤフが首相に返り咲きました。自らの汚職問題で1年半前に政権を失ったのに、奇跡の復活です。 1993年のオスロ合意により、まずヨルダン川西岸はA地区、B地区、C地区に分け、A地区はパレスチナ人の100%自治を認める、B地区は、行政はパレスチナ人、警察はイスラエルが主導、C地区は行政も警察もイスラエルと決められていました。 それなのにネタニヤフ政権は、対テロ政策と銘打ってさまざまな攻撃をしたり、「ここは自分たちの土地だ」と勝手に入っていって住宅をつくったり、パレスチナ人の土地をどんどん奪っていきました。 ネタニヤフ政権になる前は、パレスチナ暫定自治区への入植を認めていませんでした。アメリカのビル・クリントン政権時代、あるいはバラク・オバマ政権時代は、アメリカもイスラエルの入植を一切、認めていません。) 『週刊文春』で対談したイスラム学の専門家・飯塚正人氏によれば、イスラエルの選挙制度に問題があるといいます。「一院制のイスラエルが完全比例代表制を変えなければ、問題は解決しない」というのです。 イスラエルは世界各地から出身地や宗教に対する立場の違う人が集まっていますから、完全比例代表制をとると、小さな政党が乱立します。20%ほどアラブ系の住民もいて、アラブ系の政党も議席を持っています。完全比例代表制はとても民主的なのですが、結果的に少数の意見が反映されるため、極右も議席を持つのです。 一院制の議会の定数は120で、政権樹立に必要なのは過半数。単独で取れる政党は存在しません。ネタニヤフが率いる「リクード」は第1党ですが32議席ですから、単独では組閣できず、大きく躍進した極右政党「宗教シオニズム」などと連立を組みました。重要閣僚にも起用しています。 その結果、イスラエルの極右閣僚は、イスラム教の聖地である神殿の丘にある「アルアクサ・モスク」を訪れ、イスラム教徒を挑発するなど、パレスチナに対するさまざまな嫌がらせをしています。これにパレスチナ人が反発しているのです。 極右のユダヤ人の中にはヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治区にオスロ合意に反して入植地を作って住み着く人たちがでています。周りのパレスチナ人が反発すると、入植地のユダヤ人たちは周囲のパレスチナ人の住宅を襲撃したり、パレスチナ人を射殺したりしていますが、イスラエルの警察も軍も黙認しているのです。 イスラエル史上、「最も右寄り」といわれる新ネタニヤフ政権の誕生で、パレスチナの我慢も限界になったのではないかというわけです。 選挙の結果で、たとえば以前はパレスチナとの和平を推進する労働党など、リベラルな穏健派が政権に入ると、「パレスチナと共存していこう」という動きになっていました。イスラエルにも和平派はいるのです。 2005年にイスラエルがガザ地区を放棄したときは、入植していたユダヤ人をイスラエル政府が追い出しました。パレスチナとイスラエルの2国共存を考えると、ヨルダン川西岸地区に入植しているユダヤ人をどうするかが問題でしょう』、「極右のユダヤ人の中にはヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治区にオスロ合意に反して入植地を作って住み着く人たちがでています。周りのパレスチナ人が反発すると、入植地のユダヤ人たちは周囲のパレスチナ人の住宅を襲撃したり、パレスチナ人を射殺したりしていますが、イスラエルの警察も軍も黙認しているのです」、こんな「スロ合意」違反を米国が見逃しているのも問題だ。もっとも、トランプが大統領にんれば、もっとイスラエルのやりたい放題になるのだろう。
・『ネタニヤフによるネタニヤフのための改革  ネタニヤフは、汚職裁判を抱えたままで首相に返り咲きとなりました。ネタニヤフ連立政権が最も力を入れたのが、司法制度改革です。 ネタニヤフは、最高裁判所が有罪判決を出しても、議会がそれをひっくり返すことができる法律を成立させようとしました。 この改革は、ネタニヤフ自身が「有罪判決を逃れるための改革」と見られ、35万人の市民の抗議デモが起きました。イスラエルが民主主義の国ではなくなるのではないかと、イスラエル国内だけでなく、欧米諸国からも批判が相次ぎました。 しかしハマスによるテロによって、イスラエル国内のムードは一変、ネタニヤフ首相は野党も加わる「戦時内閣」を発足させ(加わらない野党も存在するが)、国民の意識はハマスに対する報復に集中し、政権批判から目をそらされてしまいました。 ネタニヤフ首相は、2023年10月7日のハマスの奇襲攻撃を察知できず、1200人もの市民の犠牲を出した責任を問われています。ハマスとの戦闘が終われば辞任に追い込まれるのは必至でしょう。 ネタニヤフにしてみれば、戦争が続くほど自分は首相を続けられる。停戦合意を拒否する理由が、ここにあるのかもしれません』、「ネタニヤフにしてみれば、戦争が続くほど自分は首相を続けられる。停戦合意を拒否する理由が、ここにあるのかもしれません」、困ったことだ。さらに前述のもしトラを考慮すると、パレスチナ問題には暗い材料しか思い浮かばない。やれやれ・・・。
タグ:イスラエル・パレスチナ (その5)(ハマスとの停戦めぐり揺れ動くイスラエル国民 人質の全員解放か ハマスの壊滅か…割れる意見、イスラエルがハマスと同時にヒズボラにも戦争を仕掛けたがる理由、ネタニヤフ政権「イスラエル史上 最も右寄り」の訳 イスラエルの選挙制度に問題がある) 東洋経済オンライン 谷内 意咲氏による「ハマスとの停戦めぐり揺れ動くイスラエル国民 人質の全員解放か、ハマスの壊滅か…割れる意見」 「地上作戦やハマスとの交渉によって135人の人質がイスラエルに戻ってきたが、今も120人はガザのどこかに監禁されたまま」、なるほど。 「人質4人はトンネルではなく、ガザ市民の住宅に拘束されていた。 ハマスはガザ市民を「人間の盾」としていることは周知の事実だが、人質も同様で、IDFの攻撃によって犠牲になった人質がいることも判明している。生還したノアさんの証言によると、自身もIDFのミサイル攻撃によって命の危険を感じたことがあったという」、なるほど。 「救出自体は短時間で完了したが、数百人の武装テロリストが周りを取り囲み、救出部隊を執拗に攻撃し続け、人質を運搬するためのトラックが爆破された。それで保護した人質を海岸へと導き、最終的にIDF空軍のヘリでイスラエルに連れ戻した。11時50分のことである。 テロリストとの激しい銃撃戦により、ヤマムの指揮官1人が犠牲になった。ハマス傘下のガザ保健省の発表では、パレスチナ人274人が死亡し、698人が負傷」、「テロリスト側の損害は極めて多いようだ。 「建国以来、第1党として多くの期間イスラエルの政権を担ってきた左派の労働党は、1993年のオスロ合意を導いたが、これを失敗と見る国民からの支持を得られず、この数十年で議席を減らし続けた。 労働党は現在4議席を有するのみだが、最新の世論調査では7議席となっている」、なるほど。 「オスロ合意以降、イスラム過激派によるテロが活発化してイスラエル世論が右傾化し、ネタニヤフ率いるリクード党が右派や宗教党と手を組んで支持を伸ばしてきたが、ここに来て中道のガンツやラピッド、さらに左派への揺り戻しが来ている」、なるほど。 「4人の人質奪還という喜ばしいニュースとは裏腹に、国民の過半数が総選挙に賛成し、現政権に不満を募らせている。ネタニヤフについては、自らの政治的延命を図っているとの批判が高まっている」、次のイスラエル政権はどうなるのだろう。 Newsweek日本版「イスラエルがハマスと同時にヒズボラにも戦争を仕掛けたがる理由」 「イスラエルのカッツ外相は先ごろ、ヒズボラに対する全面戦争を決断する時が「まもなくやってくる」と述べ、イスラエル国防軍(IDF)幹部が作戦計画に署名したことを明かした。 一方、ガザ地区のハマスに対するイスラエルの戦争もまだ終わっていない」、二正面作戦をやる気のようだ。 「イスラエル北部の住民は与党リクード党の強力な支持者であることから、ネタニヤフ首相としては、ヒズボラの脅威をなんとしても無力化したいのだ」、なるほど。 「これまでのところイランは、ヒズボラとイスラエルとの大規模な戦闘拡大は望んでいないようだ。 イスラエルのミサイル防衛システム「アイアン・ドーム」は、ガザからのロケット弾攻撃を無力化することには目覚しい成功を収めているが、より高性能なミサイルの集中砲火に対しては、それほど有効ではないかもしれない。 現に今年4月、イランがイスラエルにミサイル150発と無人機170機を直接撃ち込んだときは、イスラエルはアメリカ、イギリス、フランス、ヨルダンからの支援を必要とした」、なるほど。 「多くのアラブ人オブザーバーは、軍事力で圧倒的に不利な紛争を引き分けにもちこんだヒズボラは、政治的・軍事的に勝利したと判断した。 この紛争中と紛争後しばらくの間、ナスララは、サウジアラビアなど保守的なスンニ派アラブ諸国の支配者に嫌われていたにもかかわらず、この地域で最も人気のある指導者の一人だった」、なるほど。 「イスラエルの指導者たちは」、「ハマスと同時にヒズボラにも戦争を仕掛けたが」っているようだ。に正面作戦は上手くいくのだろうか。 池上 彰氏による「ネタニヤフ政権「イスラエル史上、最も右寄り」の訳 イスラエルの選挙制度に問題がある」 「パレスチナ問題。本記事ではイスラエルの側の視点から考えてみることにしましょう」、なるほど。 「極右のユダヤ人の中にはヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治区にオスロ合意に反して入植地を作って住み着く人たちがでています。周りのパレスチナ人が反発すると、入植地のユダヤ人たちは周囲のパレスチナ人の住宅を襲撃したり、パレスチナ人を射殺したりしていますが、イスラエルの警察も軍も黙認しているのです」、こんな「スロ合意」違反を米国が見逃しているのも問題だ。もっとも、トランプが大統領にんれば、もっとイスラエルのやりたい放題になるのだろう。 「ネタニヤフにしてみれば、戦争が続くほど自分は首相を続けられる。停戦合意を拒否する理由が、ここにあるのかもしれません」、困ったことだ。さらに前述のもしトラを考慮すると、パレスチナ問題には暗い材料しか思い浮かばない。やれやれ・・・。
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欧州(その8)(高く上ったPIGS 踏みとどまれるか イタリア・スペイン・ギリシャの景気回復 後れを取り戻しただけの可能性、英仏下院選を終えて-財政リスクを警戒すべきはどちらか?) [世界情勢]

欧州については、2020年8月26日に取上げた。久しぶりの今日は、(その8)(高く上ったPIGS 踏みとどまれるか イタリア・スペイン・ギリシャの景気回復 後れを取り戻しただけの可能性、英仏下院選を終えて-財政リスクを警戒すべきはどちらか?)である。

先ずは、本年5月21日付けダイヤモンド・オンラインが転載したThe Wall Street Journal「高く上ったPIGS、踏みとどまれるか イタリア・スペイン・ギリシャの景気回復、後れを取り戻しただけの可能性」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/344035
・『「PIGS」をご記憶だろうか。ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペインの頭文字だ。市場はPIGSの「鳴き声」を気に入っている。今のところは。 ユーロ圏経済は米国に比べると長年低迷していたが、今は順調に成長している。ただし一律ではない。これまでと異なっているのは、ユーロ圏の鉱工業の要であるドイツが、経済力で劣る南欧諸国に後れを取っていることだ。ファクトセットのデータによると、ドイツ国内総生産(GDP)は新型コロナウイルス流行前に比べて0.3%しか増えていないのに対し、ポルトガル、イタリア、スペインはそれぞれ6.1%、4.6%、3.7%増加した。 株式市場のパフォーマンスもこの経済動向を反映している。イタリアのFTSE MIB指数とギリシャのアテネ総合指数は、前年比のトータルリターンがそれぞれ37%、36%に達し、米S&P500種指数を上回った。S&P500は「マグニフィセント・セブン(M7、テック大手7社)」がけん引する形で29%上昇し、史上最高値を更新したばかりだ。スペインIBEX35指数は28%上昇とやや控えめだが、それでもフランスのCAC40指数とドイツのDAX指数を引き離している。 前年比のパフォーマンスで見たストックス欧州600指数の上位10銘柄のうち、4銘柄がイタリアまたはスペインの銀行だ(バンカ・モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ、バンコ・サバデル、バンカ・ポポラーレ・ディ・ソンドリオ、ウニクレディト)。ギリシャとイタリアの10年物国債利回りは、ドイツ国債を約2ポイント上回っていたが、約1ポイント差まで低下した。 2011年と12年のユーロ圏危機の後、多くの投資家から債務償還能力のない財政破綻国と見られていた国にしては、目覚ましい回復と言える。 世界的な工業製品の供給過剰と中国の景気減速は、サービス業中心の南欧諸国よりも輸出中心のドイツに打撃を与えた。ロシア産エネルギーの供給停止も、地中海沿岸地域の方が影響が小さかった。そもそもスペインとポルトガルは、天然ガスの大半をそれぞれアルジェリアとナイジェリアから輸入していた。イタリアはロシアから調達していたものの、短期間でアルジェリアとアゼルバイジャンに 切り替える ことができた。このため南欧ではインフレが和らぐのが比較的早く、個人消費を下支えした。 4月の消費者物価上昇率は、ドイツとフランスが小幅だった一方、スペインは前年同月比3.3%に加速したが、これは観光業の盛況が一因だ。イタリアとギリシャは住宅投資の急増が追い風となった。イタリアは建築工事への税制優遇措置、ギリシャは「ゴールデンビザ(投資家ビザ)」プログラムを導入したためだが、いずれも今は基準を厳格化している。 財政赤字はGDP比4%近くと、コロナ前の約1%から急増したものの、これが押し上げ要因となった。21年以降、コロナ禍で打撃を受けた産業やグリーン分野に欧州連合(EU)復興基金から数十億ユーロ規模の資金が注入され、公共投資の拡大を促した。 PIGSは欧州の成長をけん引できるだろうか。懐疑的にならざるを得ない理由がいくつかある。 (図表:財政赤字の対GDP比 はリンク先参照) まず、コロナ禍による旅行の繰り延べ需要といった効果はおそらく薄れていく。また11年以降、成長に伴い南欧諸国の失業率は低下したものの、他の地域に追いつけたわけではない。 オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト、パオロ・グリニャーニ氏が今月のリポートで指摘したように、多くの欧州諸国はコロナ禍が始まった時の失業率が極めて高く、そうした国で就業者数が最も大きく伸びた。スペインとギリシャを筆頭に、労働者1人当たりGDPで見た伸びは弱いままだ。つまり、必要な需要が注入されたことはこうした国にとって幸いだったが、生産性の低さという供給サイドの問題は、1999年のユーロ導入以降も解消されていない。 労働市場が完全雇用に近づくと、人件費の上昇を回避したい企業は設備投資を行うため、好景気は生産性にプラスに働くはずだ。 米国で今これが起きている 兆候がある。 だが欧州には財政規律が戻ってきた。欧州議会は4月、EU加盟27カ国が策定した新たな財政規則を承認し、各国の裁量を拡大した。それでも、「構造的」財政赤字を1.5%未満、債務残高の対GDP比を60%未満にする義務に従う必要がある。米中並みの産業政策を導入したいEUにとって、これは自ら掛けたかせだ。 投資家は、復活する欧州周縁国でチャンスに出会えるかもしれない。ただし、怪しげな物(pig in a poke)には手を出さないことだ』、「ドイツ国内総生産(GDP)は新型コロナウイルス流行前に比べて0.3%しか増えていないのに対し、ポルトガル、イタリア、スペインはそれぞれ6.1%、4.6%、3.7%増加した。 株式市場のパフォーマンスもこの経済動向を反映している。イタリアのFTSE MIB指数とギリシャのアテネ総合指数は、前年比のトータルリターンがそれぞれ37%、36%に達し、米S&P500種指数を上回った。S&P500は「マグニフィセント・セブン(M7、テック大手7社)」がけん引する形で29%上昇し、史上最高値を更新したばかりだ。スペインIBEX35指数は28%上昇とやや控えめだが、それでもフランスのCAC40指数とドイツのDAX指数を引き離している。 前年比のパフォーマンスで見たストックス欧州600指数の上位10銘柄のうち、4銘柄がイタリアまたはスペインの銀行だ・・・スペインとギリシャを筆頭に、労働者1人当たりGDPで見た伸びは弱いままだ。つまり、必要な需要が注入されたことはこうした国にとって幸いだったが、生産性の低さという供給サイドの問題は、1999年のユーロ導入以降も解消されていない。 労働市場が完全雇用に近づくと、人件費の上昇を回避したい企業は設備投資を行うため、好景気は生産性にプラスに働くはずだ。 米国で今これが起きている 兆候がある。 だが欧州には財政規律が戻ってきた。欧州議会は4月、EU加盟27カ国が策定した新たな財政規則を承認し、各国の裁量を拡大した。それでも、「構造的」財政赤字を1.5%未満、債務残高の対GDP比を60%未満にする義務に従う必要がある。米中並みの産業政策を導入したいEUにとって、これは自ら掛けたかせだ」、「「構造的」財政赤字を1.5%未満、債務残高の対GDP比を60%未満にする義務に従う必要がある」、「自ら掛けたかせ」とは感心だ。かっての債務危機の教訓なのだろう。

次に、7月11日付けニッセイ基礎研究所が掲載した経済研究部 常務理事の伊藤 さゆり氏による「英仏下院選を終えて-財政リスクを警戒すべきはどちらか?」を紹介しよう。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=79065?site=nli
・『ほぼ同時期に実施された英国とフランスの下院選はともに政権与党に厳しい結果に終わった。 しかし、英国は労働党が63%の議席を獲得する「圧勝」となったのに対して(図表1)、フランスは左派連合「新人民戦線(NFP)」と中道の大統領与党連合、極右の国民連合(RN)が票を分け合い3つの勢力に分裂した(図表2)。 投票率は対称的だった。英国の投票率は60%で公共放送のBBCによれば1885年以降で2番目に低かった。フランスの投票率は第1回が65%、第2回が63%で、仏紙ルモンドによれば第2回投票の得票率は1981年以来の高い水準であった。 (図表1 2024年英国下院選結果 図表2 2024年フランス下院選結果 いずれもリンク先参照)』、「英国とフランスの下院選はともに政権与党に厳しい結果に終わった」、なるほど。
・『英国では労働党「圧勝」も幅広い支持を得たわけではない  英国では、労働党の議席増、保守党の議席減ともに歴史的な幅となったが、2019年の前回総選挙からの労働党の得票率は34%へと2ポイント上昇したに過ぎない。他方、保守党は、得票率を前回から20ポイント減らした。保守党から票を奪ったのはナイジェル・ファラージ氏が設立したReform UKだ。獲得議席こそ5議席に留まったが、第3党となった自由民主党を上回る14%の票を得て、保守党を追い詰めた。今回の下院選の影の主役は、自身も8回目の挑戦で初めて下院に議席を獲得したファラージ党首かもしれない。 英国の下院選挙は、各選挙区で最も票を得た候補者が当選する単純小選挙区制度であり、二大政党以外は票を得にくいとされる。実際、議席占有率と得票率の差が示すとおり、今回も選挙制度は労働党に有利に働いたが、二大政党以外の議席獲得数の多さでも記録的な選挙だった。 地域政党が一定の議席を占有するイングランド以外の選挙区でも変化があった。スコットランドではSNPの大幅な議席減は、労働党に有利に働いた。北アイルランドでは、カトリック系のシンフェイン党が7議席を維持する一方、プロテスタント系のDUPが3議席を減らし、初めてシンフェイン党が最大勢力となった。アイルランド共和国への併合を求め、英国王への忠誠の宣誓を拒否し、英国議会に登院しない党が第1党になったのである。 英国では労働党が圧勝したものの、投票率と得票率の低さは、幅広い支持を得た船出ではないことを意味する』、「2019年の前回総選挙からの労働党の得票率は34%へと2ポイント上昇したに過ぎない。他方、保守党は、得票率を前回から20ポイント減らした。保守党から票を奪ったのはナイジェル・ファラージ氏が設立したReform UKだ」、なるほど。
・『フランスの候補者調整は国民連合の多数派を阻止したが、問題先送りに過ぎない  フランスの下院選が、国民連合が第3勢力という予想外の結果となったのも選挙制度のマジックだ。すでに広く知られているとおり、大統領与党連合と左派連合は、第1回投票と第2回投票の間に、国民連合の阻止のために、第1回投票で第3位となった候補者の立候補を取り下げる調整を行った。 国民連合の得票率は、第1回の29.3%から第2回の32.1%に上昇しており、左派連合の28.1%と25.7%、大統領与党連合の20.0%と23.1%を上回っており、支持者の熱意が衰えた訳ではない。 候補者調整によって、バルデラ氏が首相の座を逃し、国民連合主体の政府を樹立する機会を阻まれたことは、早ければ1年後の下院の再選挙や2027年の大統領選挙に向けて、国民連合に有利に働く可能性がある。国民連合は、候補者調整によって、急ごしらえの左派連合を最大勢力に押し上げ、国民連合の議席獲得を阻み、大統領与党連合が議席を減らして議席が3勢力に分裂したことによる政治的な混乱の責任を、大統領と左派連合に転嫁できるからだ。 混乱の兆しはすでにある。最大勢力となった左派連合は、大統領に統治する権利を与えるように求めているが、大統領与党連合は、むしろ中道穏健派との協力を探ろうとしている。左派連合は、突然の解散総選挙の決定を受けて急遽結成された寄り合い所帯であり、急進左派の「不服従のフランス」、「共産党」から、環境政党の「ヨーロッパエコロジー・緑の党」、オランド前政権の与党だった中道左派「社会党」までをカバーする。財政拡張的な政権公約は4日間でまとめあげたが、統一の首相候補を立てることはできず、選挙結果が出た後も、まだ絞り込めていない。左派連合で最多議席を獲得した急進左派の不服従のフランスの創設者で主導的役割を果たすメランション氏は、過去3回、大統領選挙に立候補しており、首相就任にも意欲的だ。しかし、社会党と欧州エコロジー・緑の党は、分裂を深めかねないとして、メランション氏を首相候補とすることに消極的だ。EU懐疑主義、反ユダヤ主義などの主張は、社会党や緑の党の価値観とは相いれない。不服従のフランスが、左派連合で最多の議席を獲得したとは言え、議席は伸び悩み、左派連合の予想以上の議席増の主因が社会党の復調にあったことも候補者の絞り込みを難しくする要因だ。 少数与党であっても、憲法第49条3項に基づく首相権限で、議会の投票を回避して法案を通すことはできる。少数与党となった第2期のマクロン政権期に多用されるようになった。 しかし、議会における支持が広がらなければ、不信任を突きつけられることになる』、「左派連合は、突然の解散総選挙の決定を受けて急遽結成された寄り合い所帯であり、急進左派の「不服従のフランス」、「共産党」から、環境政党の「ヨーロッパエコロジー・緑の党」、オランド前政権の与党だった中道左派「社会党」までをカバーする。財政拡張的な政権公約は4日間でまとめあげたが、統一の首相候補を立てることはできず、選挙結果が出た後も、まだ絞り込めていない。左派連合で最多議席を獲得した急進左派の不服従のフランスの創設者で主導的役割を果たすメランション氏は、過去3回、大統領選挙に立候補しており、首相就任にも意欲的だ。しかし、社会党と欧州エコロジー・緑の党は、分裂を深めかねないとして、メランション氏を首相候補とすることに消極的だ」、なるほど。
・『中道穏健派による協力も容易ではない  大統領与党連合が模索する極右と急進左派を除く中道の穏健派との協力も難航しそうだ。サルコジ政権の与党だった中道右派の共和党との協力に期待がかかるが、共和党は前向きではないとされる。下院選の得票率が示す通り、有権者の間に、反マクロンの機運が強いことを思えば、当然だろう。 左派連合の一角を占める社会党も、大統領与党連合から見れば、協力の余地を探るべき政党と言える。しかし、社会党は、左派連合としてマクロン改革の巻き戻しを掲げて選挙を戦い、議席を獲得した訳で、相当困難な選択である。 大統領与党連合にも、分裂含みの動きが出始めているとの報道もある。情勢は混沌としている』、「サルコジ政権の与党だった中道右派の共和党との協力に期待がかかるが、共和党は前向きではないとされる。下院選の得票率が示す通り、有権者の間に、反マクロンの機運が強いことを思えば、当然だろう」、「有権者の間に、反マクロンの機運が強い」とは困ったことだ。
・『英国でトラス政権期の混乱の再来はあるか?  フランスが、首相の指名、政府の樹立までに紆余曲折を辿る見通しであるのに対し、英国では選挙結果判明後、速やかに新政権が始動した。 スターマー政権の財務相には、「影の財務相」を務めていたレイチェル・リーブス氏が就任した。同氏は、中央銀行のBOE(イングランド銀行)のエコノミストとしての経歴を持つ。 リーブス財務相はすでにフル稼働状態にある。8日の就任後初の演説では、就任からの72時間で、財務省の職員に保守党政権の14年間で失われた成長に対する経済分析を依頼し、結果を受け取ったこと、7月9日に始まる新議会の夏季休会前までに保守党政権から継承する「歳出のレビュー」を提出するよう求めたことを明らかにした。 リーブス財務相は堅固な財政ルールを支持する立場だ。マニフェストに盛り込んだ投資支出を除いた経常収支の均衡化を目指すことと、政府の純債務のGDP比率を5年目までに引き下げるルールも堅持する方針を確認した。マニフェストの「勤労者への増税はしない」、つまり3大財源である所得税の基本税率、国民保険拠出(NICs)料率、付加価値税率(VAT)を引き上げない約束も守る構えだ。 しかし、別稿で触れた通り、英国の財政事情は厳しく、専門家は、いずれマニフェストの約束違反の増税をするか、約束している歳出の一部を削るか、借金を増やすかの選択を迫られると見ている。リーブス財務相は、財務省に作成を指示した「歳出のレビュー」によって取り組むべき課題の大きさが明らかになると話している。このレビューの結果をマニフェストで示した財政計画の見直しの理由とする可能性はあろう。 トラス政権期の大規模減税策が引き起こした財政混乱は、分裂した保守党内での主導権争いが背景にあり、長期国債を担保にレバレッジをかける年金基金の運用戦略が金融システムの緊張を増幅するメカニズムが働いた。政治家の金融システムへの理解の欠如がもたらした問題でもあった。 リーブス財務相は、14年振りの政権交代で満を持して登板し、BOEとも深いつながりを持ち、金融システムに理解が深い。財政危機を引き起こすリスクは低いと言えよう』、「リーブス財務相は」、「イングランド銀行)のエコノミストとしての経歴を持つ」、のであれば、信頼性が高そうだ。「トラス政権期の大規模減税策が引き起こした財政混乱は、分裂した保守党内での主導権争いが背景にあり、長期国債を担保にレバレッジをかける年金基金の運用戦略が金融システムの緊張を増幅するメカニズムが働いた。政治家の金融システムへの理解の欠如がもたらした問題でもあった」、なるほど。
・『フランスも本格的な財政拡張は少なくとも当面は起きにくくなった  フランスも、別稿で触れたとおり、英国同様に財政赤字と政府債務残高が膨らんでいる上に、選挙戦で左右の勢力が財政コストの嵩む購買力回復策をアピールしたことで、ドイツ国債との利回り格差(スプレッド)が拡大するなど、財政リスクが意識されやすい状況にある。 しかし、目下、フランスが直面している問題は、政治的な膠着状態であり、左派連合や国民連合の公約も含めて、大きな政策の修正が見込める状況にはない。 現行憲法下(第五共和制)のフランスでは、議会が3分割され、政府が樹立できないのは異例の事態だが、欧州大陸では多党制の国も多く、議会選が行われてから、政府が発足するまでに数カ月かかるケースは少なくない。昨年11月に総選挙を行ったオランダでは、今月になって極右の自由党を含む4党連立政権がようやく発足した。先月、欧州議会選に合わせて総選挙を行ったベルギーも、政策の傾向に加えて、フランス語、オランダ語、ドイツ語という国内の公用語別に政党が存在するため、政権協議が長期化しやすい。前回の総選挙後も1年4か月を要したが、今回もかなりの時間がかかる見通しだ。 フランスは今年度、EUの過剰な財政赤字是正手続き(EDP)の対象となったが、加盟国が政権協議中で正式な予算が承認できない場合には、前年度の予算を踏襲して、基本的な政府の活動を維持するために必要な最低限の支出を盛り込んだ暫定予算を評価する形をとることになる。 議会の分裂によって、安定した政権の樹立が見込み難くなり、少なくとも当面は大幅な支出拡大も難しくなった。 フランスの財政リスクへの警戒度の目安となる対ドイツ国債利回り格差は、下院選の第1回投票前をピークに縮小しているが、解散総選挙発表前の水準は上回ったままだ。市場は、議会における多数派形成が進まず、議会が空転、政策が膠着状態に陥るリスクを警戒しつつ見守る姿勢をとっているようだ』、「フランスの財政リスクへの警戒度の目安となる対ドイツ国債利回り格差は、下院選の第1回投票前をピークに縮小しているが、解散総選挙発表前の水準は上回ったままだ。市場は、議会における多数派形成が進まず、議会が空転、政策が膠着状態に陥るリスクを警戒しつつ見守る姿勢をとっているようだ」、なるほど。
・『政治の安定をベースに指導力を発揮する局面にはマクロン政権期で一旦終止符か?  フランスでは選挙のたびに、国民連合の影響力が着実に高まってきたが、近年は大統領と議会の任期の一致と二回投票制で政治の安定が保たれ、EUでも指導力を発揮する構図が常態となっていた。 マクロン大統領は、それまでの保革の二大政党による政治の枠組みを壊して大統領に上り詰め、就任後は、欧州統合の深化を積極的に働きかけ、大国の指導者と当たり合おうとする一方、国内では痛みを伴う改革に取り組んだ。フランスが必要とする改革ではあったが、独断的・挑発的な政治手法は反発も招いた。さらに、政治的な安定を求めたはずの解散総選挙で、3つに分裂した議会という混沌を招いた責任は重い。 マクロン政権期で、政治の安定をベースに、フランスがEUにおいて指導力を発揮する局面は、一旦、終止符が打たれることになるのかもしれない』、「マクロン政権期で、政治の安定をベースに、フランスがEUにおいて指導力を発揮する局面は、一旦、終止符が打たれることになるのかもしれない」、やむを得ないとはいえ、困ったことだ。
タグ:欧州 (その8)(高く上ったPIGS 踏みとどまれるか イタリア・スペイン・ギリシャの景気回復 後れを取り戻しただけの可能性、英仏下院選を終えて-財政リスクを警戒すべきはどちらか?) ダイヤモンド・オンライン The Wall Street Journal「高く上ったPIGS、踏みとどまれるか イタリア・スペイン・ギリシャの景気回復、後れを取り戻しただけの可能性」 「ドイツ国内総生産(GDP)は新型コロナウイルス流行前に比べて0.3%しか増えていないのに対し、ポルトガル、イタリア、スペインはそれぞれ6.1%、4.6%、3.7%増加した。 株式市場のパフォーマンスもこの経済動向を反映している。イタリアのFTSE MIB指数とギリシャのアテネ総合指数は、前年比のトータルリターンがそれぞれ37%、36%に達し、米S&P500種指数を上回った。 S&P500は「マグニフィセント・セブン(M7、テック大手7社)」がけん引する形で29%上昇し、史上最高値を更新したばかりだ。スペインIBEX35指数は28%上昇とやや控えめだが、それでもフランスのCAC40指数とドイツのDAX指数を引き離している。 前年比のパフォーマンスで見たストックス欧州600指数の上位10銘柄のうち、4銘柄がイタリアまたはスペインの銀行だ・・・スペインとギリシャを筆頭に、労働者1人当たりGDPで見た伸びは弱いままだ。 つまり、必要な需要が注入されたことはこうした国にとって幸いだったが、生産性の低さという供給サイドの問題は、1999年のユーロ導入以降も解消されていない。 労働市場が完全雇用に近づくと、人件費の上昇を回避したい企業は設備投資を行うため、好景気は生産性にプラスに働くはずだ。 米国で今これが起きている 兆候がある。 だが欧州には財政規律が戻ってきた。欧州議会は4月、EU加盟27カ国が策定した新たな財政規則を承認し、各国の裁量を拡大した。それでも、「構造的」財政赤字を1.5%未満、債務残高の対GDP比を60%未満にする義務に従う必要がある。米中並みの産業政策を導入したいEUにとって、これは自ら掛けたかせだ」、 「「構造的」財政赤字を1.5%未満、債務残高の対GDP比を60%未満にする義務に従う必要がある」、「自ら掛けたかせ」とは感心だ。かっての債務危機の教訓なのだろう。 ニッセイ基礎研究所 伊藤 さゆり氏による「英仏下院選を終えて-財政リスクを警戒すべきはどちらか?」 「英国とフランスの下院選はともに政権与党に厳しい結果に終わった」、なるほど。 「2019年の前回総選挙からの労働党の得票率は34%へと2ポイント上昇したに過ぎない。他方、保守党は、得票率を前回から20ポイント減らした。保守党から票を奪ったのはナイジェル・ファラージ氏が設立したReform UKだ」、なるほど。 「左派連合は、突然の解散総選挙の決定を受けて急遽結成された寄り合い所帯であり、急進左派の「不服従のフランス」、「共産党」から、環境政党の「ヨーロッパエコロジー・緑の党」、オランド前政権の与党だった中道左派「社会党」までをカバーする。財政拡張的な政権公約は4日間でまとめあげたが、統一の首相候補を立てることはできず、選挙結果が出た後も、まだ絞り込めていない。 左派連合で最多議席を獲得した急進左派の不服従のフランスの創設者で主導的役割を果たすメランション氏は、過去3回、大統領選挙に立候補しており、首相就任にも意欲的だ。しかし、社会党と欧州エコロジー・緑の党は、分裂を深めかねないとして、メランション氏を首相候補とすることに消極的だ」、なるほど。 「サルコジ政権の与党だった中道右派の共和党との協力に期待がかかるが、共和党は前向きではないとされる。下院選の得票率が示す通り、有権者の間に、反マクロンの機運が強いことを思えば、当然だろう」、「有権者の間に、反マクロンの機運が強い」とは困ったことだ。 「リーブス財務相は」、「イングランド銀行)のエコノミストとしての経歴を持つ」、のであれば、信頼性が高そうだ。「トラス政権期の大規模減税策が引き起こした財政混乱は、分裂した保守党内での主導権争いが背景にあり、長期国債を担保にレバレッジをかける年金基金の運用戦略が金融システムの緊張を増幅するメカニズムが働いた。政治家の金融システムへの理解の欠如がもたらした問題でもあった」、なるほど。 「フランスの財政リスクへの警戒度の目安となる対ドイツ国債利回り格差は、下院選の第1回投票前をピークに縮小しているが、解散総選挙発表前の水準は上回ったままだ。市場は、議会における多数派形成が進まず、議会が空転、政策が膠着状態に陥るリスクを警戒しつつ見守る姿勢をとっているようだ」、なるほど。 「マクロン政権期で、政治の安定をベースに、フランスがEUにおいて指導力を発揮する局面は、一旦、終止符が打たれることになるのかもしれない」、やむを得ないとはいえ、困ったことだ。
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