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健康(その25)(「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」、104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍) [生活]

健康については、昨年11月21日に取上げた。今日は、(その25)(「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」、104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍)である。

先ずは、昨年11月28日付け東洋経済オンライン「「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/635090
・『「認知症予防には○○がいい」など認知症予防について多くの情報が入り乱れている。何をすればいいのか悩む方も多いだろう。 週刊東洋経済 2022年12月3日号(11月28日発売予定)は「認知症 全対策」を特集。介護から予防、費用、相続まで認知症のあらゆる対策を網羅する。 「認知症予防はマラソンと同じ。楽しく、長くできることから始めたい」と日本認知症予防学会理事長の浦上克哉・鳥取大学医学部 認知症予防学講座教授は語る。浦上教授に「認知症予防の基本」を解説してもらった』、興味深そうだ。
・『認知症予防には3つの段階がある  Q1. 認知症は予防できますか Aまず「予防」の概念を知ってほしい。認知症予防には3つの段階がある。健康なときに行う発症予防が1次予防。発症後、症状がほとんどない段階か、軽度認知症段階での早期発見・治療・対応が2次予防。生活に大きな支障が出始める中度~重度認知症の段階で症状の進行を遅らせるのが3次予防だ。 4大認知症は、根本治療法が現状なく、発症を完全に防ぐことは不可能だ。だが、生活習慣を改めるなど基本的なことで発症リスクを下げられる。発症しても症状はゆっくり進行していく。早くに発症に気づき手を打てれば、進行をさらに遅くできる可能性がある。 予防はマラソンだと考えて、できることを楽しく、長くやることが肝心だ。3~5年など中期的に取り組める予防法の実行を心がけてほしい。 Q2. 1次予防で気をつけるべきことは A2020年、英医学雑誌『Lancet(ランセット)』に、生活習慣を改善することで認知症の発症リスクを40%下げられるという研究が発表された。発症リスクとして難聴や教育歴(知的好奇心の低さ)、高血圧などの生活習慣病まで12の項目が本研究では紹介されている。 また若年期(45歳未満)、中年期(45~65歳)、高齢期(66歳以上)の3段階で、この12の項目のどれに気をつけるべきかもわかっている。 とくに発症リスクを大きく高めるのが中年期の難聴。難聴を防げば、発症リスクが8%下がるとされている。一次予防ではこの12の項目のうちリスクの大きいものから意識して予防に取り組んでほしい。なかでも生活習慣病は認知症発症リスクを高めるという研究も多い。生活習慣病予防が1次予防では重要になる。 1次予防は、もの忘れなどの自覚症状のない人から「認知症予備軍」といえる「MCI(軽度認知障害)」の人までが対象。とくにMCIの段階で、早期に生活習慣の改善など適切な手を打つことが重要だ。MCIの段階で何もしないと4~5年で50%以上の人が認知症になってしまう。一方で適切な手を打てば年間16~41%の人が通常の認知機能の状態に戻るという報告もある。) MCIとは本人も家族など周囲の人間も認知症機能の低下に気づいているが、生活に支障がない状態を指す。65歳以上の高齢者の約2割がMCIという推計もあり、自分自身やご家族について「あれ、おかしいな」と思ったらMCIでないか疑ってみてほしい。心配な場合は、専門医のいる「もの忘れ外来」など専門外来を早めに受診することをおすすめする。 コロナ禍が長引く中、外に出て体を動かすことや他者とのコミュニケーションが減ることで、認知機能が低下しやすくなっているという報告もある。自分やご家族の認知機能が低下していないか特に気にかけてほしい』、「65歳以上の高齢者の約2割がMCI(軽度認知障害)という推計もあり、自分自身やご家族について「あれ、おかしいな」と思ったらMCIでないか疑ってみてほしい。心配な場合は、専門医のいる「もの忘れ外来」など専門外来を早めに受診することをおすすめする」、「MCIの段階で、早期に生活習慣の改善など適切な手を打つことが重要だ。MCIの段階で何もしないと4~5年で50%以上の人が認知症になってしまう。一方で適切な手を打てば年間16~41%の人が通常の認知機能の状態に戻るという報告も」、確かに放置するべきではなさそうだ。
・『予防を楽しむ  Q3. 具体的にどのような予防を行えばいいでしょうか Aまず意識してほしいのは「予防を楽しむ」ということだ。パズルなどの「脳トレ」も嫌々取り組むとストレスがかかり、脳の神経細胞を傷める。 どの段階でも予防の基本は生活習慣を整えること。また、運動・知的活動・コミュニケーションの3つを意識すると12の認知症リスク要因のほとんどを取り除ける。 運動では、週に2~3回、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを疲れない程度に行うとよい。注意したいのは、有酸素運動をやりすぎないことだ。有酸素運動ばかり続けると筋肉量が落ち、転倒・骨折のリスクを高める。知的活動やコミュニケーションでは、新しいことにチャレンジするのがとくに有効だ。新しいことに取り組むと、脳の神経細胞は新たなネットワークを構築する。 認知症を発症し脳の神経細胞が死滅すると、記憶などの機能が失われる。しかし、残った神経細胞がネットワークを伸ばすことでその機能を代替できる。脳の神経細胞のネットワークが豊富なほど認知機能は衰えにくくなることがわかっている。脳に新しい刺激を与え、このネットワークを広げることが重要だ。 難しいことをやる必要はない。絵や手芸、楽器といった趣味や将棋などのゲーム、日記など手軽に始められるものから挑戦しよう。コミュニケーションでは可能な限りいろいろな人と話すことを意識したい。気の合う友人だけでなく、あまり話したことのない人とも会話することで脳へ新しい刺激を与えてほしい。 また、二次予防までの段階では、自身の低下した機能に特化して鍛える知的活動も有効だ。例えば日付や曜日が分からなくなるなどの見当識障害に対応する場合、日記など日付を意識的に考える活動をおすすめする』、「パズルなどの「脳トレ」も嫌々取り組むとストレスがかかり、脳の神経細胞を傷める」、「嫌々取り組む」と、逆効果とは初めて知った。「どの段階でも予防の基本は生活習慣を整えること。また、運動・知的活動・コミュニケーションの3つを意識すると12の認知症リスク要因のほとんどを取り除ける。 運動では、週に2~3回、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを疲れない程度に行うとよい。注意したいのは、有酸素運動をやりすぎないことだ。有酸素運動ばかり続けると筋肉量が落ち、転倒・骨折のリスクを高める」、「有酸素運動をやりすぎない」とのアドバイスも貴重だ。
・『栄養バランスが取れた健康的な食事を  Q4. 3次予防ではどのような手法が有効ですか A今まで述べてきた中でできることに取り組んでほしい。しかし3次予防の段階では、新しいことに取り組むのは困難だ。本人が好きだった趣味を勧めてみるなど過去の楽しい記憶に基づいた予防法がいいだろう。 中度認知症でとくに介護者の負担となる、介護拒否などの行動・心理症状(BPSD)の進行を遅らせることも可能だ。介護をしていると心配するあまりつい叱ってしまうことがある。BPSDは本人にストレスがかかると表れやすい。お互いの負担を少なくするためにも、周囲に頼りながら、本人が安心できる環境を整えることがBPSDの予防につながる。 Q5. 認知症予防によい食事は Aなるべく多く野菜を食べるなど栄養バランスの取れた健康的な食事を意識してほしい。オリーブオイルを多く取る地中海式の食事や、塩分を控えた和食は認知症予防にいいとされる。だが、すべての食事を和食にしたりする必要はない。それぞれの食事で認知症予防にいいとされる食材、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含む青魚やポリフェノールを多く含む緑茶などを意識的に摂取することから始めよう。無理なくバランスのよい食事を楽しんでほしい。 Q6.予防を始める年齢はいつ頃がよいか A40代から始めても早すぎることはないというのが私の意見だ。認知症は65歳以上で発症することがほとんど。だが、4大認知症のなかで代表的なアルツハイマー型認知症では、発症の20年以上前から(発症の原因の一つとされる)アミロイドβが蓄積しはじめると分かってきた。つまり、発症の20年前、40代から予防に取り組めば、より効果的に発症を防いだり、遅らせたりすることができるだろう。(監修鳥取大学医学部 認知症予防学講座教授・浦上克哉)』、「介護拒否などの行動・心理症状(BPSD)」は「本人にストレスがかかると表れやすい。お互いの負担を少なくするためにも、周囲に頼りながら、本人が安心できる環境を整えることがBPSDの予防につながる」、「認知症予防によい食事は・・・なるべく多く野菜を食べるなど栄養バランスの取れた健康的な食事を意識してほしい」、「予防」はなるべく意識的に取り組みたいものだ。

次に、11月28日付け東洋経済オンラインが掲載した研究者・探検家・作家のダン・ビュイトナー氏による「104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/633475
・『どうしたら、生き生きと輝く毎日を過ごしながら長生きできるのだろう。 研究者で探検家であるダン・ビュイトナーは、雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』とチームを組み、研究者たちをも巻き込んで、「長寿者」が多く暮らすエリア「ブルーゾーン」にそのヒントを探す旅に出る。そのきっかけは、「沖縄」だった。 100歳を超える長寿者「百歳人(センテナリアン)」たちの生活習慣を調べ、健康長寿の秘密を探るルポルタージュ『The Blue Zones(ブルーゾーン)2nd Edition(セカンドエディション)』から、一部を抜粋編集してお届けする』、「沖縄」の世界的な「長寿」の秘訣とは興味深そうだ。
・『長寿の極意は沖縄にあった  長寿研究において沖縄が重要な役割を果たしていることは、何年も前から聞いていた。沖縄が世界でもまれに見る長寿地域であることは、人口動態のデータが示している。 沖縄の人が100歳まで生き延びる確率は、アメリカ人の3倍にも達する。また、心臓疾患にかかる割合はアメリカ人の5分の1だし、健康で過ごせる年限が約7年も長い。これほどの健康長寿の秘密は、いったいどこにあるのだろう。 私は、雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』に特集記事「長寿の極意」を書いたばかりだった。この記事では、世界の3つの長寿地域を取り上げた。これら、長寿者の多い場所を、私たちは「ブルーゾーン」と名づけた。 人口動態学者は、長寿者が多いイタリア・サルデーニャ島を調べていたときに、この名称を考えついた。私たちはこの概念をさらに広げ、世界の長寿地域すべてを「ブルーゾーン」と呼ぶことにしたのだ。沖縄は、このリストのトップにランクされている』、「沖縄の人が100歳まで生き延びる確率は、アメリカ人の3倍にも達する。また、心臓疾患にかかる割合はアメリカ人の5分の1だし、健康で過ごせる年限が約7年も長い」、「世界の長寿地域すべてを「ブルーゾーン」と呼ぶことにしたのだ。沖縄は、このリストのトップにランクされている」、なるほど。
・『“長寿界のセレブ”奥島ウシ・104歳を訪ねる  私が沖縄本島北部の大宜味にある奥島ウシの家に着いたのは、午後もだいぶ遅くなってからだった。 彼女の家は、典型的な沖縄の木造住宅だ。障子で仕切られた部屋がいくつかあって、畳敷き。私たちは靴を脱いで、家に上がった。ウシは女王であるかのように、静かに部屋の真ん中の椅子に腰掛けていた。 私たちが最初にウシに会ったころ、彼女はまだ無名だった。だがいまではセレブの仲間入りをして、長寿のダライ・ラマといった風情だ。水色のキモノを着た彼女は、私たちにもすわるよう手で合図した。そこで私たちは、幼稚園児のように、彼女の足元に足を組んですわった。 ウシは挨拶がわりに、筋肉もしっかりしているよ、ということを示すかのように、両手を頭の上まで持ち上げて叫んだ』、「104歳」で家の主人として堂々と振舞っているとは、大したものだ。
・『「元気、元気、元気」  “こりゃ、得がたいバイタリティーだな”と、私は感じ入った。たいていの人は、年を取ることを恐れる。しかしこの活発なおばあちゃんを見ると、加齢が楽しみであるかのように思えてくる。 私は雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』に掲載された彼女の写真を見せた。これが巻頭特集になって表紙も飾っているのだから、私としても鼻が高かった。だが彼女はチラリと目をやっただけで床に置き、私に飴を勧めた。 私はウシに今日で2度目となるインタビューを始め、彼女の畑のことや友人たち、前に会ってからの5年間にどれほど状況が変わったかを尋ねた』、「たいていの人は、年を取ることを恐れる。しかしこの活発なおばあちゃんを見ると、加齢が楽しみであるかのように思えてくる」、超人的「おばあちゃん」だ。
・『畑仕事は減らしたが、近くのマーケットで、くだものを袋詰めする仕事をやっているという。1日の大半は、孫たちや、幼いころからの3人のおばあさん仲間と過ごす。夕食はほとんど野菜だけで、寝る前にはヨモギ酒を1杯だけ飲む。 「よく働いて、寝る前にヨモギ酒を飲み、ぐっすり眠る」 これが長寿の秘訣だ、と彼女は言った』、「畑仕事は減らしたが、近くのマーケットで、くだものを袋詰めする仕事をやっている」、「よく働いて、寝る前にヨモギ酒を飲み、ぐっすり眠る」、確かにこれほどの「長寿の秘訣」はないに違いない。
・『百歳人から健康と長寿の秘訣を学ぶ  世界のブルーゾーンで暮らしている、ウシのような人たちから聞いた話を私はルポルタージュとしてまとめた。言い換えれば、このルポルタージュは、世界で最も健康的で、最長寿の人たちが、長生きして心豊かな暮らしをする秘訣を語る教訓集でもある。 彼らが語る物語は、子育てから人に好かれるコツ、豊かになる方法から愛を見つけてそれを保つやり方まで、人生で大切なことを教えてくれる。 百歳人は自分がいかにして100歳まで生きたかを語ることはできる。だが、身長2メートルの人が自分はなぜ2メートルの身長に達したのかを説明できないのと同じように、自ら百歳人の秘密を解明することはできない。 ウシが毎晩、1杯のヨモギ酒を飲むことは、健康になんらかのプラスをもたらしているのだろうか。そうかもしれない。しかし、そのおかげで、彼女はがんに罹らず、心臓疾患も誘発していない、とは断言できない。彼女が104歳でなおこれだけのバイタリティーを持っていることの説明にも不十分だ。 ウシのような人から長寿の秘訣を学ぶとすれば、彼女のような人々がたくさん住む地域を見つけ出すこと、つまりそのような伝統文化を持ったブルーゾーンを見つけて調べるのが早道だ。そのような地域では、90歳代、100歳代の健康人の比率が高いに違いない。このような場所が見つかれば、科学的にも解明しやすい。 デンマークの双子を研究した有名なデータをもとに科学が突き止めたところでは、長寿の要因のうち遺伝子に左右されるのはわずか25パーセントで、あとの75パーセントはライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているという。 とすれば、もし私たちがライフスタイルを最適の状態に保つことができれば、生物的な限界のなかで最長の平均余命を満喫できるはずだ』、「長寿の要因のうち遺伝子に左右されるのはわずか25パーセントで、あとの75パーセントはライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているという。 とすれば、もし私たちがライフスタイルを最適の状態に保つことができれば、生物的な限界のなかで最長の平均余命を満喫できるはずだ」、「ライフスタイル」の「最適の状態」は、個々の人で違いがあり、全体としては多様なのではなかろうか。
・『世界の長寿地域「ブルーゾーン」5カ所  世界的に認められた長寿のホットスポットであるブルーゾーンはこの5カ所だ。 ・イタリア・サルデーニャ島のバルバギア地方 ・日本の沖縄 ・アメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ ・中米コスタリカのニコジャ半島 ・ギリシャのイカリア島 これら5つの地域はそれぞれ文化が違い、長寿への道程も異なっていた。 世界のブルーゾーンには、何世紀あるいは数千年にわたって培われてきた人類の体験が隠されている。 人々が何を食べ、どのような形で隣人たちと付き合い、ストレスを発散させ、自分たちの気分を癒やし、病を退けてきたのか。どのような世界観を持っていれば長寿が実現できるのか──。ブルーゾーンには長い年月をかけて育まれた文化がある。自然の環境が種の生存を淘汰するのと同じように、彼らの文化が住民たちの長寿を醸成してきたに違いない。 これらの地域の文化から学ぶためには、住民たちの生きざまに、謙虚に耳を傾ける必要がある。 あなたも、耳を傾けてみようという気持ちになっているのではないだろうか。もし、そうならば、これからのブルーゾーンの旅が、あなたの人生を根本から変えるかもしれない。自分自身の将来がどうなるのかは、だれにもわからないのだから』、「これらの地域の文化から学ぶためには、住民たちの生きざまに、謙虚に耳を傾ける必要がある」、その通りなのかも知れない。 
タグ:健康 (その25)(「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」、104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍) 東洋経済オンライン「「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」」 「認知症予防の基本」 認知症予防には3つの段階がある 「65歳以上の高齢者の約2割がMCI(軽度認知障害)という推計もあり、自分自身やご家族について「あれ、おかしいな」と思ったらMCIでないか疑ってみてほしい。心配な場合は、専門医のいる「もの忘れ外来」など専門外来を早めに受診することをおすすめする」、 「MCIの段階で、早期に生活習慣の改善など適切な手を打つことが重要だ。MCIの段階で何もしないと4~5年で50%以上の人が認知症になってしまう。一方で適切な手を打てば年間16~41%の人が通常の認知機能の状態に戻るという報告も」、確かに放置するべきではなさそうだ。 「パズルなどの「脳トレ」も嫌々取り組むとストレスがかかり、脳の神経細胞を傷める」、「嫌々取り組む」と、逆効果とは初めて知った。「どの段階でも予防の基本は生活習慣を整えること。また、運動・知的活動・コミュニケーションの3つを意識すると12の認知症リスク要因のほとんどを取り除ける。 運動では、週に2~3回、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを疲れない程度に行うとよい。注意したいのは、有酸素運動をやりすぎないことだ。有酸素運動ばかり続けると筋肉量が落ち、転倒・骨折のリスクを高める」、「有酸素運動をやりすぎない」とのアドバイスも貴重だ。 「介護拒否などの行動・心理症状(BPSD)」は「本人にストレスがかかると表れやすい。お互いの負担を少なくするためにも、周囲に頼りながら、本人が安心できる環境を整えることがBPSDの予防につながる」、「認知症予防によい食事は・・・なるべく多く野菜を食べるなど栄養バランスの取れた健康的な食事を意識してほしい」、「予防」はなるべく意識的に取り組みたいものだ。 東洋経済オンライン ダン・ビュイトナー氏による「104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍」 『The Blue Zones(ブルーゾーン)2nd Edition(セカンドエディション) 「沖縄」の世界的な「長寿」の秘訣とは興味深そうだ。 「沖縄の人が100歳まで生き延びる確率は、アメリカ人の3倍にも達する。また、心臓疾患にかかる割合はアメリカ人の5分の1だし、健康で過ごせる年限が約7年も長い」、「世界の長寿地域すべてを「ブルーゾーン」と呼ぶことにしたのだ。沖縄は、このリストのトップにランクされている」、なるほど。 「104歳」で家の主人として堂々と振舞っているとは、大したものだ。 「たいていの人は、年を取ることを恐れる。しかしこの活発なおばあちゃんを見ると、加齢が楽しみであるかのように思えてくる」、超人的「おばあちゃん」だ。 「畑仕事は減らしたが、近くのマーケットで、くだものを袋詰めする仕事をやっている」、「よく働いて、寝る前にヨモギ酒を飲み、ぐっすり眠る」、確かにこれほどの「長寿の秘訣」はないに違いない。 「長寿の要因のうち遺伝子に左右されるのはわずか25パーセントで、あとの75パーセントはライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているという。 とすれば、もし私たちがライフスタイルを最適の状態に保つことができれば、生物的な限界のなかで最長の平均余命を満喫できるはずだ」、「ライフスタイル」の「最適の状態」は、個々の人で違いがあり、全体としては多様なのではなかろうか。 世界の長寿地域「ブルーゾーン」5カ所 「これらの地域の文化から学ぶためには、住民たちの生きざまに、謙虚に耳を傾ける必要がある」、その通りなのかも知れない。
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保育園問題(その14)(園児をたたく ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」 空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態、このままでは子どもが死ぬ…あまりに質の低い保育士の「残念すぎる実態」 点呼のチェックすらめんどくさいと言う、子どもが従わないので腹を立てる…「不適切保育」をする保育士の信じられない言い分 発達に合わない要求をして従わない子どもに"しつけ"をする) [生活]

保育園問題については、8月16日に取上げた。今日は、(その14)(園児をたたく ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」 空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態、このままでは子どもが死ぬ…あまりに質の低い保育士の「残念すぎる実態」 点呼のチェックすらめんどくさいと言う、子どもが従わないので腹を立てる…「不適切保育」をする保育士の信じられない言い分 発達に合わない要求をして従わない子どもに"しつけ"をする)である。なお、タイトルから待機児童はカットした。

先ずは、12月9日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの小林 美希氏による「園児をたたく、ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」 空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/103028?imp=0
・『評判の良い保育園でさえも、食事介助で保育士がまるで餌やりのようにご飯やおかずを乳児の口に突っ込むことが見られるようになった。咀嚼が考えられていないうえ、窒息の危険もあるが、人手不足、経験不足の人員体制のなかで保育士の頭のなかは「早く食べ終わらせて、眠らせて、お昼寝の間に日誌や連絡帳を書かなきゃ」。だから、早く食べてと急かすようになる。 同様にお昼寝の時間は、なかなか眠れない子をどうにか寝かせようとする。園児の生活時間はバラバラで、朝起きる時間も違う。遅く登園する子は当然、眠れないこともある。しかし、一斉に寝てほしいという気持ちが保育士に働けば「寝なさい」と園児を威圧し、起き上がる子がいれば羽交い締めにして眠らせることが多発するように。 そうした恐怖で園児が泣けば、先輩保育士が「泣かせておけば、泣き疲れて眠る」と後輩に指導する。そのような、「不適切な保育」、いや、「虐待」や「ネグレクト」と言っていいような保育が散見されるようになった』、待機児童問題、送迎バス置き去り問題のあとには、「虐待」問題まで出てくるとは、まさに社会の縮図だ。
・『1歳児に向かって「なんで泣くのよ!」  筆者が知る限り、約20年前の保育園では0歳児クラスから5歳児クラス全てを経験して一人前。新卒でいきなり担任は持たずに、先輩を見ながら学ぶ機会に恵まれていた。しかし今は、経験2年ほどでもクラスのリーダー保育士に配置される。 経験の浅いリーダー保育士が、登園して泣く1歳児に向かって「なんで泣くのよ!」と大声で怒る保育になっているケースも少なくない。保育がマニュアル化して「壁にぺったん!」と軍隊のように指令して姿勢をよくすることを強制する。 保育士が過重労働で長時間働いて疲弊し、保育が流れ作業と化す。離職が相次ぎ、そこに、現場で指導できる中堅・ベテラン保育士がいないことで、不適切な保育が継承されていく。こうしたことが、社会福祉法人や株式会社の私立や公立、保育士が正職員・正社員か非正規雇用かであるかを問わずに起こっている』、「経験の浅いリーダー保育士が、登園して泣く1歳児に向かって「なんで泣くのよ!」と大声で怒る」、「保育がマニュアル化して「壁にぺったん!」と軍隊のように指令して姿勢をよくすることを強制する。 保育士が過重労働で長時間働いて疲弊し、保育が流れ作業と化す。離職が相次ぎ、そこに、現場で指導できる中堅・ベテラン保育士がいないことで、不適切な保育が継承されていく」、信じ難いが、これが現実のようだ。
・『「てめー!お前なんかに食べさせない!」  これまでの取材からも、虐待あるいは虐待寸前の現場の実態が浮かび上がっている。 都内のある認可保育園では、虐待が横行していた。何十年と歴史のある社会福祉法人が運営する認可保育園で派遣保育士として働いていた女性が、約5年前に現場の実情を明かした。 「4歳児のクラスの担任が、『てめー!お前なんかに食べさせない!』と言って、二人がかりで扉を押さえて園児を部屋から閉め出していました。保育士が思うようなスピードで着替えをしなかったことの制裁でした。その状態が1時間以上続き、その子は嗚咽して、白目になって過呼吸になっていました。 また、担任の保育士から見て食事前の準備がスムーズにできない、友達とおしゃべりしていただけで、“ふざけていた”と言われて園児は保育室で立たされ、『あんたにご飯あげない』と言われていました。 リーダー役の正社員の保育士は、後輩の保育士に『(園児に)なめられているから、しめてこい』と命じ、後輩保育士は誰もいない部屋で男児の腕をつかんで、ぶんぶんと振り回し、勢い余って男児が振り落とされ転がってしまったのです。 給食の時間は、1歳児が行儀よく食べられないからと、椅子にベルトで括り付けられていました。行政の監査が入る時は事前に分かるので、ベルトは隠していました」 この派遣保育士の女性は、現場で起こる虐待に耐え切れず、派遣契約が満了になると逃げるように去った。保育の世界は、上下関係が厳しい面がある。クラスのなかでは先輩と後輩の関係。園全体では、たとえ年齢が若くても保育士が正職員であり担任であると、非常勤の保育士や保育補助者が年上でベテランであっても、「担任や正職員に注意できない」という暗黙のルールが少なからず存在する。 前述した虐待の起こる保育現場では、心ある非正規の保育士が次々と辞め、虐待する保育士が居残っていたという。園長はそれが分かっていても、指導はしなかったという。保育園の配置基準を守るために、辞められると困るからだ。それでも離職が激しく、派遣が辞めると園長は「(派遣会社に)オーダー、オーダー。ああ、またお金がかかる」という軽い感覚に陥っていたという』、「4歳児のクラスの担任が、『てめー!お前なんかに食べさせない!』と言って、二人がかりで扉を押さえて園児を部屋から閉め出していました。保育士が思うようなスピードで着替えをしなかったことの制裁でした。その状態が1時間以上続き、その子は嗚咽して、白目になって過呼吸になっていました」、可哀想だとは思わないのだろうか。「たとえ年齢が若くても保育士が正職員であり担任であると、非常勤の保育士や保育補助者が年上でベテランであっても、「担任や正職員に注意できない」という暗黙のルールが少なからず存在する」、「虐待の起こる保育現場では、心ある非正規の保育士が次々と辞め、虐待する保育士が居残っていたという」、こうなると悪循環だ。

次に、この続きを、12月9日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの小林 美希氏による「このままでは子どもが死ぬ…あまりに質の低い保育士の「残念すぎる実態」 点呼のチェックすらめんどくさいと言う」を紹介しよう。
・『静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で、30代の保育士3人が園児に虐待を繰り返していた事件が大きな話題となっている。 なぜ、保育士による虐待・暴力が起きてしまうのか。新刊『年収443万円』でも保育現場の残念な実態についてレポートしているジャーナリストの小林美希氏が、前編「園児をたたき、ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される『構造的問題』」につづいて深刻な問題の深層に迫る』、「さくら保育園」で「30代の保育士3人が園児に虐待を繰り返していた事件」は衝撃的だった。
・『退職をチラつかせる保育士たち  暴力や暴言、冷淡に接するなど明白な虐待ではなくても、見過ごしてしまいがちな「心理的虐待」である保育は蔓延しつつある。 新型コロナウイルス感染症が流行する前は、夏のプールの時間は子どもたちの楽しみでもあったが、都内のある社会福祉法人の認可保育園では、“親教育”の思想の下に、水着はあってもタオルひとつ忘れると「忘れ物をしたらプールは見学です」と、一律にプール遊びをさせてもらえなかった。 ある社会法人が運営する認可保育園の2歳児クラスでは、朝の会で園児が友達とおしゃべりとしたり、ちょっと後ろや横を向いただけで、保育士がその子を立たせて指さし、「〇〇くん、おしゃべり、悪いことー!」と煽動して他の園児らにもその子を指ささせ、全員に「あー。〇〇くん、悪いことー!」と言わせていた。 また、同保育園では保育士が絵本を読んでいる間に少しでもおしゃべりをする子がいると、担任が「今日は、〇〇ちゃんが話を聞けないので、〇〇ちゃんのせいで、お散歩には行きません」とクラスの園児に言い渡していた。遅れて登園した子の保護者は目の前で起こったことに唖然とし、すぐに園長に問題を指摘して、保育士への指導が行われたという。 筆者の新刊『年収443万円』で登場した保育運営会社の傘下の保育園の状況について、元園長はこう語る。 「保育士はすぐ辞めて入れ替わるため、皆若いです。1歳児を滑り台で遊ばせてケガをしても保育士は平気な顔をしていました。公園に子どもを置き去りにするミスを防ぐため、園児の点呼をチェック表につけましょうと指導すれば、『ええー、めんどくさーい』と言った具合で、『じゃあ辞める』と退職をチラつかせるのです。 指導しても、暖簾に腕押し。次々に園を作るので、資格さえあれば誰でもいい状態で採用するため、保育の「ほ」の字の基本も分からないような、あり得ない質の低さでした」) 大手や中堅の保育会社では保育士が辞めると、園長の査定に響いてボーナスなどの報酬が下げられるケースもある。また、保育業界では、受け持ったクラスに責任を果たそうと、年度末までは働いて辞めるというのが慣例とされてきたが、ここ数年は、それが崩れて年度途中での退職が増えていった。入社してわずか数ヵ月で辞めていくなど、今や珍しくない。 何の連絡もなしに欠勤して音信不通になるケースもある。1年程度で転籍を繰り返し、30歳くらいの時点で10ヵ所あまりの保育園運営法人を渡り歩くため、履歴書の職歴欄が1ページでは足りないというケースもザラになっている。前述の園長は続ける。 「そもそも資質のない保育士が急増しています。若い正社員の保育士は、『この子、ウンチしてまーす』と言って、パートの保育士や保育補助者に任せてしまいます。嘔吐の処理も、食事の後片付けも清掃も全て『汚いからやらない』といわんばかり。パートに任せて自分たちはおしゃべりに夢中なんです。 トイレの介助にしても、遠くに聞こえるような大声で『〇〇ちゃんっ!ちょっと、ねーっ、パンツあげてっ!パンツ上げてって言ってんでしょっ!』と怒っているのが聞こえてくる。 園児が咳き込むのが聞こえてきたので私が顔を出すと、園児が本の切れ端を誤飲していました。一事が万事、指導が必要なんです。私が事務室にいない時、『園長うるさいんですよねー』と事務員に不満を言っているようでしたが、園児の安全には変えらないので指導し続け、園長の私も保育室に入って保育しました」』、「若い正社員の保育士は、『この子、ウンチしてまーす』と言って、パートの保育士や保育補助者に任せてしまいます。嘔吐の処理も、食事の後片付けも清掃も全て『汚いからやらない』といわんばかり。パートに任せて自分たちはおしゃべりに夢中なんです」、「正社員」というだけで、汚い作業は「パートの保育士や保育補助者に任せてしまいます」、困ったものだ。
・『問題を知った保育士や保護者はどうする?  保育士の有効求人倍率は、保育園の建設ラッシュがひと段落している2022年7月でも2.21倍あり、全職種平均の1.26倍を大きく上回る。2019年のピーク時には3.86倍もあったのだから、保育士1人が手をあげれば約4ヵ所の園が門戸を開いていることになる。) そうした空前の保育士不足で、配置基準を守るため「資格があるなら誰でもいい」という状態で採用している園が少なからず存在している。人材紹介会社を通じた転職で、就職すると出る『お祝い金』を狙って短期間で勤め先を変えるような保育士も出現するなかで、保育の質を守ることが難しい背景もある。こうしたなか、何か問題を知り得た保育士や保護者は、行政などに「公益通報」する手段がある。 「公益通報者保護法」によって、児童福祉法や労働関係の法律などで罰則の対象となる不正行為や虐待・暴行について、保育士や保護者は「公益通報」することができるのだ。 公益通報とは、職場で「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律」に違反する犯罪行為、または最終的に刑罰につながる行為が生じている。あるいは、まさにそれが生じようとしていることを、従業員が、(1)事業者の内部、(2)権限のある行政機関、(3)マスコミ、労働組合などの事業者外部、に通報することをいう。 一方で、裾野市の保育園での虐待・暴行の疑いの事件では、園側が職員全員に対して「業務上知り得た情報や機密事項など漏洩しない」という誓約書にサインさせていたという。 他の事業者側が起こした問題についても、「秘密保持」や「守秘義務」を強調して保育士や園長に口外を禁じるサインをさせ、口外すれば解雇する、左遷する、訴えるなどと言って職員を黙らせようとする悪質なケースが後を絶たない。しかし、経営者のそうした報復人事などは、無効になる』、「裾野市の保育園での虐待・暴行の疑いの事件では、園側が職員全員に対して「業務上知り得た情報や機密事項など漏洩しない」という誓約書にサインさせていたという」、しかし、「職員」は「公益通報」できるので、「誓約書」は無効な筈だ。
・『「ほいくえん、いきたくない」  ただ、保護者にとっては「子どもは人質」。何か言って、冷遇されることが怖くて言い出せない保護者もいる。勇気を出して行政に相談、通報しても、自治体の保育課の対応には差がある。「保育に口を出せない」「証拠がないと虐待の判断が難しい」など、曖昧にされることが少なくない。今回の静岡県警による保育士の逮捕、裾野市長による園長の刑事告発は、迅速な対応だったのではないだろうか。 不適切な保育、虐待、暴行を放置すれば、やがて子どもの死につながる可能性がある。子どもの命を亡くしてからでは遅い。その前兆を知った時にどうするのか。この問題を機に真剣に向き合い、行政は覚悟をもって対応しなければならない。 「ほいくえん、いきたくない。せんせい、やさしくない」 もし、子どもがそう言った時、その言葉がSOSである場合もあり、注意を払う必要がある。 人手不足などを背景に「良い保育」を実践できる現場が減りつつあるなかで、裾野市のケースを機に、何が不適切な保育で何が虐待なのか、正面から見つめ直す時がきている。そして何より、何か疑問を持った保護者と保育園側が、気軽に話し合い、お互いに学び合おうとする雰囲気作りも必要だ。 次回以降、保育の質を劣化させる制度の問題や少なすぎる保育士配置基準について、改めて解説する』、「「ほいくえん、いきたくない。せんせい、やさしくない」 もし、子どもがそう言った時、その言葉がSOSである場合もあり、注意を払う必要がある」、その通りだ。

第三に、12月13日付けPRESIDENT Onlineが掲載した保育園を考える親の会顧問(アドバイザー)の 普光院 亜紀氏による「子どもが従わないので腹を立てる…「不適切保育」をする保育士の信じられない言い分 発達に合わない要求をして従わない子どもに"しつけ"をする」を紹介しよう。
・『静岡県裾野市のさくら保育園で保育士3人が暴行容疑で逮捕され、その後も別の園で不適切保育があったことが報道されている。保育園を考える親の会顧問の普光院亜紀さんは「類似した問題行為について相談されることは少なくありません。不適切保育をしてしまう保育者の多くが『しつけ』のつもりだったと言います。それらのケースを見ると、子どもの発達や状態に合わない要求をして、従わないので腹を立てているケースが多いようです」という――』、「不適切保育をしてしまう保育者の多くが『しつけ』のつもりだったと言います」、「それらのケースを見ると、子どもの発達や状態に合わない要求をして、従わないので腹を立てているケースが多いようです」、「従わないので腹を立てているケースが多い」、とんでもないことだ。
・『保育園・こども園の「不適切保育」の実際  11月30日、静岡県裾野市のさくら保育園で繰り返された虐待保育の実態が、市によって公表されました。その内容のひどさに衝撃を受けた方も多かったと思います。 筆者は保育園を考える親の会で保育園・こども園に関するさまざまな相談を受けていますが、類似した問題行為について相談されることは少なくありません。 裾野市の保育園の事件は「虐待保育」として報道されましたが、虐待を含め、子どもの人権を侵害し、心身の安全・安心や健やかな育ちに悪影響を与える保育のことを「不適切保育」と呼びます。 保育園を考える親の会にも訴えが届いている「不適切保育」を挙げると、たたく・押す・引っ張るなど子どもの心身に苦痛を与える、恫喝する・怒鳴るなどこわい叱り方で脅す、保育室の外に出す・年齢が下のクラスに行かせる・トイレや押し入れに閉じ込める・食事やおやつを取り上げるなどの罰を与える、食事を無理強いする、容姿などについて子どもを言葉で侮辱するなどがあります。 いずれも体に傷が残らないので、やっている本人も周囲も軽く考えてしまう傾向がありますが、子どもが感じる苦痛や恐怖を想像すれば、明らかな人権侵害に当たります』、「たたく・押す・引っ張るなど子どもの心身に苦痛を与える、恫喝する・怒鳴るなどこわい叱り方で脅す、保育室の外に出す・年齢が下のクラスに行かせる・トイレや押し入れに閉じ込める・食事やおやつを取り上げるなどの罰を与える、食事を無理強いする、容姿などについて子どもを言葉で侮辱するなど」、は「明らかな人権侵害に当たります」、その通りだ。
・『心身を脅かすことと「しつけ」は違う  全国保育士会では、「不適切保育」の定義を次のようにまとめています。 ① 子ども一人ひとりの人格を尊重しないかかわり ② 物事を強要するようなかかわり・脅迫的な言葉がけ ③ 罰を与える・乱暴なかかわり ④ 一人ひとりの子どもの育ちや家庭環境を考慮しないかかわり ⑤ 差別的なかかわり こうして抽象的な言葉で聞くと、「しつけのために必要なこともあるのではないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、その考えが、不適切保育を容認してしまうことがあることに注意が必要です。 虐待をしてしまう親、不適切保育をしてしまう保育者の多くが「しつけ」のつもりだったと言います。それらのケースを見ると、子どもの発達や状態に合わない要求をして、従わないので腹を立てているケースが多いようです。大人は子どもが従わないことをわがままだと言い、罰を与えてもよいと考えがちですが、子どもの側から見ると、まったく違う風景が見えています』、「子どもの側から見ると、まったく違う風景」とはどのような「風景」なのだろう。
・『子どもは大人の要求の意味がわからない  大人は体も巨大で力が強く、小さな子どもにとっては抵抗できない相手です。子どもは時間感覚や先のことを予測する力も未熟ですから、大人の要求の意味がわからない場合が多いし、子どもなりの理由で従えない場合もあると思うのですが、そのことを大人に伝える力をもっていません。 大人は、「時間どおりに給食の後片付けをしたい」「人手が足りないからトイレは一斉に行かせたい」など大人の都合で子どもに無理を強いて、それが子どもにとってつらい要求になっていることに気づかなかったりします。そうなると、子どもはただ大人にされるがままになり、泣くしかありません。もしも大人が同じこと(食事を無理やり口に押し込まれる、監禁されてトイレに行かせてもらえない)をされたら、警察に行くでしょう。 「しつけ」というのは本来、「大人に従わせること」ではなく「生活習慣や社会性を身につけること」なのですが、勘違いしている大人は多いと思います。保育園やこども園は子どもが長時間にわたって共同生活をする場なので、このような勘違いをしている保育者に支配されたら、子どもは大きな苦痛を味わいます。 保育内容の基準を示す「保育所保育指針」は、それぞれの子どもの発達や個性に応じて生活習慣を無理なく身につけられるよう、保育者が適切にかかわることを求めています。具体的には、園生活の中で、子どもが保育者から励まされたりさりげなく援助されたりしながら、自分のペースで「できる」体験を積み重ね、自然に生活習慣を身につけていけるような保育が望まれているのです』、「「しつけ」というのは本来、「大人に従わせること」ではなく「生活習慣や社会性を身につけること」なのですが、勘違いしている大人は多いと思います。保育園やこども園は子どもが長時間にわたって共同生活をする場なので、このような勘違いをしている保育者に支配されたら、子どもは大きな苦痛を味わいます」、「「保育所保育指針」は、それぞれの子どもの発達や個性に応じて生活習慣を無理なく身につけられるよう、保育者が適切にかかわることを求めています」、なるほど。
・『「不適切保育」は暴力の教育  暴力をふるわれたり、体を邪険に扱われたり、恫喝されたり、集団から排除されたりといった体験は、子どもの自尊心の育ち、積極的に活動する意欲など、子どもの心の発達にネガティブな影響を与えます。 「保育所保育指針」や「幼稚園教育要領」は、幼児期の教育は子どもの主体的な活動(遊び)を通して実現されることを示していますが、保育者が一方的に従わせるような保育では、子どもは萎縮してしまうので、教育的な観点からもネガティブです。 また、保育者のふるまいからも子どもは学びます。たとえば、子どもを集めて、「今日、お片付けができなくて先生に叱られた子は誰?」と尋ね、子どもたちに名前を言わせる保育者がいますが、私からは、いじめのやり方を教えているようにしか見えません。 国連の子どもの権利委員会は、一般的意見8号(2006年)で「子どもは、おとなの言葉だけではなくおとなの行動からも学ぶ。子どもがもっとも緊密な関係を持っている大人が、その子どもとの関係において暴力および屈辱を用いるとき、その大人は人権の軽視を実演するとともに、それが紛争を解決したり行動を変えたりするための正当な方法であるという、危険な教訓を与えている可能性がある」と指摘しています』、「保育者が一方的に従わせるような保育では、子どもは萎縮してしまうので、教育的な観点からもネガティブです。 また、保育者のふるまいからも子どもは学びます。たとえば、子どもを集めて、「今日、お片付けができなくて先生に叱られた子は誰?」と尋ね、子どもたちに名前を言わせる保育者がいますが、私からは、いじめのやり方を教えているようにしか見えません」、その通りだ。
・『保護者が子どもを守るために  保育園やこども園の多くは、子どもの人格を尊重する保育を行ってくれているはずです。保育園・こども園に不信感をもち、保護者が細かいことを気にしすぎるのもあまりお勧めできません。保育現場に「圧」をかけることは、保育者の余裕を奪い、保育の質に悪影響を与える場合もあるからです。 「不適切保育」から子どもを守るために保護者にできることとしては、次のようなことが考えられます。 ① 園選びを子ども中心の目線で行う(園見学などで、保育者が子どもに接する様子、園長が保育について語る内容から、子どもを尊重する意識があるかどうかを感じ取ってください。保育施設の中の人たちの信頼性を、親の利便性や習い事などよりも重視して選ぶことが大切です。 ② 入園後、子どもの様子に注意を払い、保育者とコミュニケーションを深める(送迎時の子どもの様子に注意します。子どもが保育士におびえる様子があった場合は注意が必要です。言葉が話せる子どもとは、日々の会話を大切にし、子どもの言うことに耳を傾けましょう。ただし、保護者から保育者をネガティブに見る発言を繰り返すと、子どもも影響を受けてしまいます。また、子どもはまだ事実を正確に伝えられない場合があるので、気になることがあったら担任に相談するなど、まずは信頼関係を基本にしたアプローチをしたほうがよいでしょう。 連絡ノートや送迎時の会話などで保育者とコミュニケーションをとり、保育参加や保護者懇談会などの行事にもできるだけ参加して関係を深めることは、「不適切保育」の防止につながります。 ③ 「不適切保育」を見聞きしてしまったら(疑いをもったという程度であれば、保育者に「こうするのはなぜなんですか?」と保育の意図を確認したほうがよいと思います。その答えがおかしい場合や、明らかな行為を見聞きしてしまった場合は、園長や主任に相談したほうがよいでしょう。怒りをぶつけるのではなく、見聞きした問題行為や問題と思う理由を具体的に説明する、子どもが苦痛を感じている事実を伝えるなど、冷静に交渉することが重要です。 それでも「しつけです」と言われるなど不誠実な対応しかない場合は、します。市区町村が頼りにならない場合は、都道府県の指導監査部門に連絡をします』、「園長や主任に相談」、「市区町村の担当課などに通報」、「都道府県の指導監査部門に連絡」、これだけやれば、何らかの反応があるのではなかろうか。
・『保護者同志の情報交換で見えてくることがある  ④ 保護者同士のつながりも大切に(日頃から保護者同士のつながりをつくっておくことも大切です。父母会などの組織がない場合も、クラスごとにSNSでつながるなどできれば安心です。「不適切保育」なのかどうか、保護者同士の情報交換から判断できる場合もあります。そのような事態にならなくても、保育のよい面を見つけて園を応援していくことにも活用できます。 ⑤ 保育の制度にも関心をもつ(「不適切保育」が発生したりエスカレートしたりする背景には、保育士に適格な人材が不足していたり、保育士の仕事の負担が重すぎたりする構造的な問題もあると思います。改善するためには、保育士の待遇改善や配置人数をふやすことが必要です。そういった保育制度の問題に保護者も関心を持ち、保育施設を応援していくことも防止に役立つと思います』、「「不適切保育」なのかどうか、保護者同士の情報交換から判断できる場合もあります。そのような事態にならなくても、保育のよい面を見つけて園を応援していくことにも活用できます」、保護者同士のつながりも大切に」、「保育士の待遇改善や配置人数をふやすことが必要です。そういった保育制度の問題に保護者も関心を持ち、保育施設を応援していくことも防止に役立つ」、確かにその通りだ。  
タグ:保育園問題 (その14)(園児をたたく ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」 空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態、このままでは子どもが死ぬ…あまりに質の低い保育士の「残念すぎる実態」 点呼のチェックすらめんどくさいと言う、子どもが従わないので腹を立てる…「不適切保育」をする保育士の信じられない言い分 発達に合わない要求をして従わない子どもに"しつけ"をする) 現代ビジネス 小林 美希氏による「園児をたたく、ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」 空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態」 待機児童問題、送迎バス置き去り問題のあとには、「虐待」問題まで出てくるとは、まさに社会の縮図だ。 「経験の浅いリーダー保育士が、登園して泣く1歳児に向かって「なんで泣くのよ!」と大声で怒る」、「保育がマニュアル化して「壁にぺったん!」と軍隊のように指令して姿勢をよくすることを強制する。 保育士が過重労働で長時間働いて疲弊し、保育が流れ作業と化す。離職が相次ぎ、そこに、現場で指導できる中堅・ベテラン保育士がいないことで、不適切な保育が継承されていく」、信じ難いが、これが現実のようだ。 「4歳児のクラスの担任が、『てめー!お前なんかに食べさせない!』と言って、二人がかりで扉を押さえて園児を部屋から閉め出していました。保育士が思うようなスピードで着替えをしなかったことの制裁でした。その状態が1時間以上続き、その子は嗚咽して、白目になって過呼吸になっていました」、可哀想だとは思わないのだろうか。 「たとえ年齢が若くても保育士が正職員であり担任であると、非常勤の保育士や保育補助者が年上でベテランであっても、「担任や正職員に注意できない」という暗黙のルールが少なからず存在する」、「虐待の起こる保育現場では、心ある非正規の保育士が次々と辞め、虐待する保育士が居残っていたという」、こうなると悪循環だ。 小林 美希氏による「このままでは子どもが死ぬ…あまりに質の低い保育士の「残念すぎる実態」 点呼のチェックすらめんどくさいと言う」 「さくら保育園」で「30代の保育士3人が園児に虐待を繰り返していた事件」は衝撃的だった。 「若い正社員の保育士は、『この子、ウンチしてまーす』と言って、パートの保育士や保育補助者に任せてしまいます。嘔吐の処理も、食事の後片付けも清掃も全て『汚いからやらない』といわんばかり。パートに任せて自分たちはおしゃべりに夢中なんです」、「正社員」というだけで、汚い作業は「パートの保育士や保育補助者に任せてしまいます」、困ったものだ。 「裾野市の保育園での虐待・暴行の疑いの事件では、園側が職員全員に対して「業務上知り得た情報や機密事項など漏洩しない」という誓約書にサインさせていたという」、しかし、「職員」は「公益通報」できるので、「誓約書」は無効である。 「「ほいくえん、いきたくない。せんせい、やさしくない」 もし、子どもがそう言った時、その言葉がSOSである場合もあり、注意を払う必要がある」、その通りだ。 PRESIDENT ONLINE 普光院 亜紀氏による「子どもが従わないので腹を立てる…「不適切保育」をする保育士の信じられない言い分 発達に合わない要求をして従わない子どもに"しつけ"をする」 「不適切保育をしてしまう保育者の多くが『しつけ』のつもりだったと言います」、「それらのケースを見ると、子どもの発達や状態に合わない要求をして、従わないので腹を立てているケースが多いようです」、「従わないので腹を立てているケースが多い」、とんでもないことだ。 「たたく・押す・引っ張るなど子どもの心身に苦痛を与える、恫喝する・怒鳴るなどこわい叱り方で脅す、保育室の外に出す・年齢が下のクラスに行かせる・トイレや押し入れに閉じ込める・食事やおやつを取り上げるなどの罰を与える、食事を無理強いする、容姿などについて子どもを言葉で侮辱するなど」、は「明らかな人権侵害に当たります」、その通りだ。 「子どもの側から見ると、まったく違う風景」とはどのような「風景」なのだろう。 「「しつけ」というのは本来、「大人に従わせること」ではなく「生活習慣や社会性を身につけること」なのですが、勘違いしている大人は多いと思います。保育園やこども園は子どもが長時間にわたって共同生活をする場なので、このような勘違いをしている保育者に支配されたら、子どもは大きな苦痛を味わいます」、「「保育所保育指針」は、それぞれの子どもの発達や個性に応じて生活習慣を無理なく身につけられるよう、保育者が適切にかかわることを求めています」、なるほど。 「保育者が一方的に従わせるような保育では、子どもは萎縮してしまうので、教育的な観点からもネガティブです。 また、保育者のふるまいからも子どもは学びます。たとえば、子どもを集めて、「今日、お片付けができなくて先生に叱られた子は誰?」と尋ね、子どもたちに名前を言わせる保育者がいますが、私からは、いじめのやり方を教えているようにしか見えません」、その通りだ。 「園長や主任に相談」、「市区町村の担当課などに通報」、「都道府県の指導監査部門に連絡」、これだけやれば、何らかの反応があるのではなかろうか。 「「不適切保育」なのかどうか、保護者同士の情報交換から判断できる場合もあります。そのような事態にならなくても、保育のよい面を見つけて園を応援していくことにも活用できます」、保護者同士のつながりも大切に」、「保育士の待遇改善や配置人数をふやすことが必要です。そういった保育制度の問題に保護者も関心を持ち、保育施設を応援していくことも防止に役立つ」、確かにその通りだ。
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心理学(その5)(脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう、精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」、鴻上尚史氏と中野信子氏が対談 日本は「好きなことをしていると叩かれる国」) [生活]

心理学については、6月29日に取上げた。今日は、(その5)(脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう、精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」、鴻上尚史氏と中野信子氏が対談 日本は「好きなことをしていると叩かれる国」)である。

先ずは、9月3日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医のアンデシュ・ハンセン氏による「脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/614884
・『ストレスは脳にダメージを与え、海馬や前頭葉が小さくなることも。『運動脳』著者で世界的精神科医のアンデシュ・ハンセン氏が「ちょっとしたイライラ」が脳に静かに与えるダメージ、とっておきのストレス解毒剤として運動の効果を解説します。散歩からストレス解消効果が期待できます。 ストレスは脳を小さくする。そして記憶や発話、感情の制御といった機能に問題を生じさせる。 ストレスを感じると、まず脳の扁桃体が反応し、視床下部→下垂体→副腎へと身体の上から下へ刺激が伝わる。副腎から「コルチゾール」というホルモンが分泌されると、動悸は激しくなる。この一連の反応はほんの1秒ほどで起きるが、これは人類の生存に欠かせないからだ。生存の可能性を増やすものがあるとすれば、危険な状況に出くわしたとき、ただちに逃走をうながす警報システム。扁桃体の機能が、まさにそれにあたる。 扁桃体は、ストレス反応を引き起こすだけでなく、そのストレス反応によっても刺激を受けてしまう。扁桃体が危険を知らせ、それに反応してコルチゾールの血中濃度が上がると、扁桃体がさらに興奮する。ストレスがストレスを呼ぶ悪循環だ。 体内には、このストレス反応を緩和し、興奮やパニック発作を防ぐブレーキペダルが備わっている。その1つが「海馬」だ。海馬は記憶中枢として知られるが、感情を暴走させないブレーキとしても働いている』、「ストレスを感じると、まず脳の扁桃体が反応し、視床下部→下垂体→副腎へと身体の上から下へ刺激が伝わる。副腎から「コルチゾール」というホルモンが分泌されると、動悸は激しくなる。この一連の反応はほんの1秒ほどで起きるが、これは人類の生存に欠かせないからだ」、「扁桃体は、ストレス反応を引き起こすだけでなく、そのストレス反応によっても刺激を受けてしまう・・・ストレスがストレスを呼ぶ悪循環だ」、「体内には、このストレス反応を緩和し、興奮やパニック発作を防ぐブレーキペダルが備わっている。その1つが「海馬」だ。海馬は記憶中枢として知られるが、感情を暴走させないブレーキとしても働いている」、実によく出来た仕組みだ。
・『イライラで海馬が縮小する  ストレスそのものは生存に必要な機能だ。闘争、あるいは逃走しなくてはならない重大な局面では、エネルギーが余計に必要となるためコルチゾールが増えることは役に立つ。しかし、海馬の細胞は、コルチゾールに長時間さらされると死んでしまう。慢性的にコルチゾールが分泌されると、海馬は萎縮してしまうのだ。 これは記憶に直結する問題で、重いストレス反応を抱えた状態が続くと、言葉がうまく出てこなかったり、場所の認識ができなくなったりする。海馬は空間認識にも関わっているため、自分の場所や方向がわからなくなる可能性も出てくる。) 扁桃体がストレス反応を引き起こしつづけると、海馬のブレーキはすり減ってしまう。アクセルである扁桃体は、海馬が萎縮してブレーキが利かなくなると暴走を始める。こうして、ストレスがさらにストレスを生むサイクルに入る。 長期的なストレスは脳に損傷を与える。重いストレスや不安を抱える人の脳を調べると、実際に海馬が平均よりわずかに小さいことがわかる。おそらくコルチゾールによって、ゆっくりと蝕まれたためだろう』、「扁桃体がストレス反応を引き起こしつづけると、海馬のブレーキはすり減ってしまう。アクセルである扁桃体は、海馬が萎縮してブレーキが利かなくなると暴走を始める。こうして、ストレスがさらにストレスを生むサイクルに入る」、恐ろしいことだ。
・『心配するたび「前頭葉」が小さくなる  ストレスや不安で小さくなるのは海馬だけでない。抽象的思考や分析的思考を行う、額のすぐうしろ「前頭葉」も萎縮する。実際、極度の心配性の人は前頭葉の各部位が小さい。 前頭葉もまた、感情を暴走させず、理性を失った行動に出ないよう働くクールダウンの器官だ。その前頭葉が萎縮すれば、ストレスが長引いて脳はみずからを蝕み、歯止めはさらに利かなくなる。扁桃体がやたらと警告を発し、前頭葉がそれを打ち消すことができなければ、ほんの些細なことにも大げさに反応するようになる。 では、ストレス反応を抑えるにはどうすればいいのか。「磁気による刺激を前頭葉に与えて活動を促す」療法が実在するように、ストレスを抑えたければ、脳の思考領域、つまり海馬と前頭葉の機能をうながせばいい。この2つの部位は、ともに体を活発に動かすことで何より刺激を受ける部位である。 まず、ランニングやサイクリングなどの運動をすると、それを続けている間はコルチゾールの分泌量が増える。体に負荷がかかる運動は一種のストレスだからだ。 筋肉を適切に動かすには、より多くのエネルギーや酸素が必要なので、血流を増やそうとして心臓の鼓動は激しくなる。そして心拍数と血圧が上昇する。この場合のコルチゾールの働きは正常で、体を動かすために必要な反応だ。 しかし運動が終われば、体はもうストレス反応を必要としないので、コルチゾールの分泌量は減り、さらにランニング前のレベルにまで下がっていく。ランニングを習慣づけると、走っているときのコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、走り終えたときに下がる量は逆に増えていく。) ここからがおもしろいところで、定期的に運動を続けると、運動以外のことが原因のストレスでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなる。運動によるものでも仕事に関わるものでも、ストレスに対する反応は、体が運動で鍛えられるにしたがって徐々に抑えられるのだ。つまり運動が、ストレスに対して過剰に反応しないよう体をしつけるのである。体を活発に動かしたことでストレスに対する抵抗力が高まる。 運動は前頭葉を強くもする。体を活発に動かすと脳の血流が増える。前頭葉にたちまち大量に血液が流れ、機能が促進される。さらに、運動を長期にわたって続けると、前頭葉に新しい血管がつくられ、血液や酸素の供給量が増加、それによって老廃物がしっかり取り除かれる。 加えて、定期的に運動すれば、前頭葉と扁桃体の連携も強化される。そうなると、前頭葉はさらに効率よく扁桃体を制御できるようになる。教師が離れた場所から生徒を監督するのではなく、教室にいて直接指導するようなものだ。 定期的な運動を続ければ、前頭葉は物理的に成長までする。1時間程度の散歩を習慣にしている成人の前頭葉を定期的に測定した結果、前頭葉を含む大脳皮質が成長していたのだ。歩くと前頭葉が大きくなる。信じられないような事実である』、「ストレスに対する反応は、体が運動で鍛えられるにしたがって徐々に抑えられるのだ。つまり運動が、ストレスに対して過剰に反応しないよう体をしつけるのである」、「運動が」「体をしつける」とは面白い表現だ。「1時間程度の散歩を習慣にしている成人の前頭葉を定期的に測定した結果、前頭葉を含む大脳皮質が成長していた」、私も「1時間程度の散歩」を日課にしているので、「大脳皮質が成長」している筈だ。なんだか嬉しくなる。
・『運動とストレスは「正反対」に作用する  運動とストレスに関するさまざまな研究論文に目を通していると、ある事実が浮かび上がってくる。ストレスと運動は、ほぼ正反対の作用を脳に与えているのだ。 ・ストレスが増してコルチゾールの血中濃度が高くなると、脳内で情報を伝達する機能が妨げられる。運動は逆にその機能を高める。 ・ストレスは脳の変化する特性(可塑性)を損なわせるが、運動はそれを高める。 ・ストレスが高まると短期記憶(数分から数時間の記憶)が長期記憶に変わる仕組みにブレーキがかかる。運動はその逆に作用を促す。 運動は、ストレスや不安を消し去る本物の解毒剤だ。週に2,3回は心拍数が増えるようなランニングなどの有酸素運動をお勧めしたい。たとえ動悸が激しくなっても、脳はそれがストレスから来るものではなく、プラスの変化をもたらすものだと学習する。ただ散歩に出かけるだけでもいい。活発に体を動かしたときほどではないにしても、ストレスを抑える効果は望める』、「週に2,3回は心拍数が増えるようなランニングなどの有酸素運動をお勧めしたい」、私の場合は、「ランニング」の代わりに速足をしている。

次に、10月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した書籍オンライン編集部による「精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/310726
・『コロナ禍、ウクライナ危機、急激なインフレ…。いつ何が起こるかわからない世界を生きる私たちは、どんな変化にも対応できるようにストレスへの対処法を知っておく必要がある。そこでおすすめしたいのが、『ストレスフリー超大全』。多くの人がストレスを感じる「人間関係」「プライベート」「仕事」「健康」「メンタル」の5つのテーマに対して科学的ファクトと対処するためのToDoがまとまった1冊だ。本書を執筆した精神科医の樺沢紫苑氏は、「ストレスは耐え忍ぶものではなく、しなやかに受け流すことが必要である」と言う。本記事では、本書をもとに現代人に必須のストレスの対処法をご紹介する』、「「ストレスは耐え忍ぶものではなく、しなやかに受け流すことが必要である」、というのは興味深い見解だ。
・『精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」 不安になるのは、なぜか?  ストレスはマイナスなイメージがあるが、「いいストレス」もあると本書で樺沢氏は述べている。 適度なストレスは、脳の働きを活性化し、集中力を研ぎ澄まし、記憶力を高めます(P.3) しかし注意しなければいけないのは、「過剰なストレス」だ。 仕事、人間関係、将来不安などで悩み続けると思考停止に陥る。そして、その状態で耐え忍んでしまうとストレスが蓄積していく。やがて、心身をむしばむ「悪いストレス」に変化してしまう。 ではなぜ、人は不安になるのだろうか? 人間が緊張、不安、恐怖の感情を持つと脳内物質の「ノルアドレナリン」が分泌される。 このノルアドレナリンは「闘争か、競争か」の物質と言われている。この物質について、本書にはこう書かれている。 ノルアドレナリンが分泌されると脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、どうすればいいのか一瞬で判断できるようになります(P.20) 不安や恐怖といったピンチに対して、「さっさと行動しろ!」とノルアドレナリンは私たちに警告してくれているのだ』、「分泌されると脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、どうすればいいのか一瞬で判断できるようになります」、有難い効用があるようだ。
・『「行動すること」が不安を減らす  しかし、ノルアドレナリンの警告を無視し、思考停止になったまま行動を起こさないと、不安は増えていく。 月曜日に大切な会議があるあなたは不安で不安で仕方がない。最悪の事態を想像してしまい、何もする気になれず家に閉じこもっていたのに、休んだ気がしない。不安は増すばかり。そんな日曜の夜を過ごしたことはないだろうか。 しかし、不測の事態に備えた前向きな行動を起こしていたらどうなるか。 前向きな行動を始めると、ノルアドレナリンという行動するためのガソリンが消費され、「行動によるガソリン消費→ノルアドレナリン減少→不安逓減→気持ちが楽になる」という流れが起こる。 本書には、このように書かれている。 不安を消すことは簡単です。「行動する」ことです。いきなり不安が「ゼロ」にならないまでも、行動することで、不安は必ず軽くなります。「何もしない」と強まるだけなので、何かするだけで気分は変わります(P21)』、「前向きな行動を始めると、ノルアドレナリンという行動するためのガソリンが消費され、「行動によるガソリン消費→ノルアドレナリン減少→不安逓減→気持ちが楽になる」という流れが起こる」、なるほど。
・『「行動を細分化」して悩みを解決!  「行動する」ことが大切だとは分かった。しかし、不安や悩みを抱えた状況で前向きな行動ができないのも正直なところだ。 それについて著者は、「すべての『行動』を細分化して行動のハードルを下げることで、苦しい状況でも『できる』ことを見つけられる」とし、3つの「確実に行動できる対処法(ToDo)」を提案している。 1.「話す」(人に話してみたら、心がスッキリしたことはないだろうか。別にアドバイスがもらえなくてもいいのだ。 悩みや不安について同じことをグルグル考え悶々としているより、不安な気持ちを放出することで少しばかりスッキリした気持ちが味わえるものだ。 しかし注意しなければならないのは、不安や悩みを話すのも加減する必要があることだ。延々と聞かされる相手の身になり、不安や悩みは簡潔にまとめ、最後は前向きな言葉で終えることを心掛けたい。) 2.「書く」(不安や悩みというのは、ぼんやりとしたものになりがちだ。そんなときは、無心になって書き出してみよう。 「何について悩んでいるのか」「なぜ悩んでいるのか」を書き出すことで案外、不要な悩みだったことに気づくかもしれない。 手を動かし紙に書き出すという行動は、自分を冷静に見つめ直す作業となる。) 3.「体を動かす」(何をしても不安が拭えないときは、思い切って体を動かしてみよう。じっと椅子に座って考え込んだり、不安だからと布団にくるまっていてもどんどん悪い方向に思考が傾いてしまうだけだ。 それよりも、体を動かしたほうがいい。セロトニンが活性化し、脳が沈静化されてマイナスな思考が薄まってくれる。 これら3つの行動をすべて取り入れる必要はない。その時の自分に合ったものをどれかひとつでもいいので試してみれば、ノルアドレナリンという不安物質が消費されて、心は軽やかになってくれる』、「「すべての『行動』を細分化して行動のハードルを下げることで、苦しい状況でも『できる』ことを見つけられる」とし、3つの「確実に行動できる対処法(ToDo)」を提案」、「1.「話す」」、「2.「書く」、「3.「体を動かす」」、「これら3つの行動をすべて取り入れる必要はない。その時の自分に合ったものをどれかひとつでもいいので試してみれば、ノルアドレナリンという不安物質が消費されて、心は軽やかになってくれる」、なるほど。
・『「悩みの正体」を知れば、解決への道が見える  ここで改めて「悩み」とは何か考えてみよう。 悩みとは、ある問題について、苦しみ、思い煩う状態であると著者は述べている。そして、その問題について「どうしたらいいのか」分からないから、人は悩むのだ。 つまり、その問題の対処法や解決法を知り(Know)、それを実行する、行動する(Do)といった悩み解決のプロセスを踏めば解決への道が見えてくる。 解決のプロセスに入る前に、自分が悩み不安に思っている問題を冷静に見つめ直すことが必要であり、それにはこれまでにお伝えしたように、書き出す作業が必要となってくる』、「自分が悩み不安に思っている問題を冷静に見つめ直すことが必要であり、それにはこれまでにお伝えしたように、書き出す作業が必要となってくる」、その通りだ。
・『悩みの対処法を調べ、ToDoに落とし込む  書き出した悩みについて、どのような対処法があるのか調べてみよう。調べると聞くと、ついインターネットで検索しがちだが、そこには誤った情報が書かれている場合があるので、必ず「本」で調べることが大切だ。 悩みの対処法が書かれている本から「ToDo」を3つ探し、1~2週間は実行し進捗具合を評価する。本書には次のような評価の手順が書かれている。 評価の手順1 うまくいっていない理由を3つ書く 評価の手順2 うまくいっている点を3つ書く 評価の手順3 次のToDoを3つ書く(P.27) 翌週は、手順3「次のToDo」を目標とする。これらを繰り返し習慣化することで、悩みはいつか消え去るというわけだ。 このように、自分の悩みを書き出し、その対処法を調べ、やるべきことを知り、行動することを2~3週間行うだけで、悩みの解決にかなりの効果があるという。 頭の中だけで考えているのではなく、行動することが大切なことは分かったが、それすらも億劫に感じるときもあるだろう。そんな時は、家から出て外の光を浴び、近所を散歩するだけでも気が晴れるものだ。 もしくは、友人や知人、その他の助けてくれそうな人を頼ってみればいい。そうやって他人の力を上手に利用して、話を聞いてもらうことで、負のループから抜け出すことができるかもしれない』、「家から出て外の光を浴び、近所を散歩するだけでも気が晴れるものだ。 もしくは、友人や知人、その他の助けてくれそうな人を頼ってみればいい。そうやって他人の力を上手に利用して、話を聞いてもらうことで、負のループから抜け出すことができるかもしれない」、なるほど。
・『コロナ禍に圧倒的に売れたストレス対処法 「読者からの感想」も続々!  「この本を読んで『死なないでほしい』という樺沢先生の言葉に助けられました。」(Mさん) 「紫苑さんの本や動画などはとても分かりやすい言葉になっているので多くの方がフォローしてるのだなと思います。」(Aさん) 「『行動』すれば『ストレスフリー』になることができる。ストレスの原因を取り除かなくとも、ストレスに振り回されない程度に小さくしてハッピーな毎日を送ることができる」(Hさん)』、なるほど。
・『精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」  著者からのメッセージ 私の臨床経験では、「几帳面でまじめな人ほどうつになりやすい」傾向を感じます。なぜなら、ストレスの原因を真正面から受け止め、不安になり、悩み続け、リセットできないからです。 悪いストレスをなくしていくことが、「ストレスフリーな人」になるためには重要です。 あなたの「考え方」「受け止め方」を少し変えるだけで、ストレスを受け流せるようになります。それだけで、「不安」や「悩み」の9割は消すことができます。 本書では、誰しもが悪いストレスを感じる「人間関係」「プライベート」「仕事」「メンタル」「健康」という5つのテーマに対し、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」を示します。「いま何をすべきか」が明確になるでしょう。 精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社) 2年の歳月をかけて書き下ろした集大成! 超・現実的で役に立つノウハウ! 多くのビジネス書では、「ストレスから逃げろ」「ストレスなんか気にするな」という精神論が書かれていますが、そのようなアドバイスは非現実的です。 本書では、私の精神科医としての経験から、現実的であり、かつ、効果抜群のノウハウだけを紹介します。 不安、悩み、ストレスにとらわれない生き方。それができると、あなたの人生は間違いなく楽しく、明るく、達成感と自己成長が感じられる、幸せなものになります。生き方を変えるのは「今」です!』、「あなたの「考え方」「受け止め方」を少し変えるだけで、ストレスを受け流せるようになります。それだけで、「不安」や「悩み」の9割は消すことができます」、「生き方を変えるのは「今」です!」、いかにも効果がありそうだ。

第三に、12月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した演出家の鴻上尚史氏と脳科学者の中野信子氏による対談「鴻上尚史氏と中野信子氏が対談、日本は「好きなことをしていると叩かれる国」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/313766
・『不安がちで群れたり、集団からはみ出す人を攻撃したりしやすいのは日本人の特性…と諦めぎみによく言われます。日本人を縛る「同調圧力」とどう向き合えばいいのでしょうか?日々人間関係について考え続ける演出家の鴻上尚史氏と脳科学者の中野信子氏が、現代社会の息苦しさから抜け出し、心地良く生きるためのコミュニケーションについて語り尽くしました。鴻上氏はコロナ禍で「好きなことをしていてたたかれる国になった」と感じたそうです。また、サッカーW杯の日本代表選手への誹謗中傷も話題となりましたが、その根底にあるものについて考える、『同調圧力のトリセツ』(小学館新書)からの抜粋です』、興味深そうだ。
・『大人になった今だから言えること  鴻上 この国の閉塞感やレッテルの貼り方に対する抗議の挙げ方から考えると、僕と中野さんはそんなに違う方向を向いているとは感じられないんです。でも同じ方向を向いている人同士の対談は、実は面白くなかったりするんですよね。何を言っても、お互い、そのとおり、そのとおりで終わっちゃうから(笑)。 中野 そうですね。ある問題がタワーのように真ん中にあったとして、その問題を私が東側から見ていて、鴻上さんは西側から見てるような感じの対談になったらいいですよね。 鴻上 そうなるといいです。同じ方向、同じサイドからだとダメなので。 中野 私はずっと集団と個の関係に興味があるんです。鴻上さんは、作品の中で、排除されている人の視点で、どうして集団が生贄を必要とするのかを、すごく詩的に情緒的に書かれていますよね。まだ高校生くらいの頃に鴻上さんのスクリプトを読んで、これは同じ問題意識を持った人だ!と感銘を受けて、ボロボロになるまで読みました。あまりに読むので、もう3冊同じのを買っていると思います。 同じ軋(きし)みを見ている。でも私は何とか科学でこれを解決できないか、と取り組んできた。一方で、鴻上さんは経験的に、血の通う言葉を紡ぐことでそれを解決しようとしてこられたんじゃないかと思っています。その視点が組み合わさると、いわゆる上級国民になろうとする必要はないということや、自分のいるべきとされているところに長く留まり続ける必要はなく移動してもいいといった、柔軟な生き方のヒントを、若い人が見つけていけるように思うんです。 鴻上 でも、「上級国民にならなくてもいい」と言うと、屈折している読者の中には「中野信子が何を言ってんだ」と思う人がいるかもしれませんよ。中野さんは、家庭の事情で国立大学しか選択できなかったとしても、結局、東大に入ったわけですから』、「中野氏」が「高校生くらいの頃に鴻上さんのスクリプトを読んで、これは同じ問題意識を持った人だ!と感銘を受けて、ボロボロになるまで読みました。あまりに読むので、もう3冊同じのを買っていると思います」、さすがませた「高校生」だ。
・『浪人する人が激減した理由  中野 いやいや、私は勉強ができるという本当に一枚のカードしか持っていなかったんです。それも、中途半端ですよ。貧乏だし、両親もそこまで教育熱心かというとそうでもない。地位も名声も体力もない。背水の陣で受けた東大に受かったからよかったんですけど。本当のところは、早稲田カルチャーで育った卒業生の皆さんに多くの素敵な人がいて、憧れがあったので、お金があって早稲田に行ける人がうらやましかったですよ。 鴻上 何を言ってるんですか。中野さんみたいに、美人で勉強できるって、最強のカードですよ。ところで、予備校の先生に話を聞くと、僕や中野さんの時代に比べて、浪人をする人が十分の一以下に減っているそうです。 中野 そんなに減ったんですか。 鴻上 なぜ減ったかというと、一年浪人をして大学の偏差値を上げて、ワンランク上の大学に入る意味を見いだしにくくなってきたからだそうです。昔は、東大から早稲田・慶應…という大学のランクにグラデーションがありましたが、今は、浪人するなら、医学部か東大に入らない限りは意義がない。ぶっちゃけて言うと、今は東大とそれ以外の大学という認識なんです。 中野 そこに疑義が呈される時代なんですね。でも長者番付を見てもテレビを見ても、そんなに東大出身の方はいないじゃないですか?目立っている東大生は、東大に行ったことに甘えず、それ以上のことを自分でやってきた人達。大学名には大した価値はなく、自分で何をやるかが大切。大学名に甘えるように思考停止してしまって、若いうちから自分を磨くことをやめてしまった人たちの中年以降って、結構悲しいですよ。50歳になって、自慢できるのがセンター試験の点数しかないみたいな。30年以上も何やってたの。大人になった今だから言えることが、もっと若い人達に響いてほしいですね』、「予備校の先生に話を聞くと、僕や中野さんの時代に比べて、浪人をする人が十分の一以下に減っているそうです・・・ なぜ減ったかというと、一年浪人をして大学の偏差値を上げて、ワンランク上の大学に入る意味を見いだしにくくなってきたからだそうです」、そうであれば、「予備校」ビジネスも様変わりしたのだろう。
・『ハイコンテクストな日本のコミュニケーション  中野 編集の方のお話だと、今、コミュニケーションに関する本が売れているようです。みなさん、コミュニケーションに関して、悩んでるんですよね。鴻上さんの見立てでは、どうしてだと思いますか? 鴻上 僕の言葉で言うと、日本人が生きてきた「世間」が中途半端に壊れてきているからだと思います。「世間」とは、現在、もしくは将来の自分に関係のある人たち。学校のクラスメイトや会社の同僚、地域のサークルや親しい近所の人など自分が知っている人達によって作られている世界です。「世間」の反対語は「社会」だと僕は言ってるんですが、「社会」というのは現在も未来も何の関係もない人達で構成された世界です。道ですれ違った人とか、たまたま入ったコンビニの店員さん、電車で隣に座った人など、自分の知らない人達が作っている世界。日本人の多くは「世間」に生きて、「社会」とは接点が少ないのです。日本人は自分に関係のない「社会」の人とはなるべく関わらず、同時に関わり方がわからず、自分と関係のある「世間」の人を大切にします。結果、圧倒的に「世間」の中でしかコミュニケーションしていないんですが、この「世間」がどんどん中途半端に壊れてきているんです。 僕がよく例に出すのは、NHK紅白歌合戦。前の東京オリンピックがあった前年の1963年(昭和38年)には、視聴率はなんと81.3%もあったんです。それを頂点に1980年代前半までは、75%前後を維持していました。若い奴は信じませんが、ほぼ全部の歌をみんな歌えました。みんなが同じものを見て楽しんでいたんです。そんな時代は(本当は自分を抑えていた人が確実にいたでしょうが)コミュニケーションの断絶に悩んでいなくて、ツーと言えばカーで、なんとなくわかってしまっていた。 しかし、今は、大晦日に紅白歌合戦を見るかどうかだけでなく、そもそも、テレビを見るかどうか、動画をネットで見るかなど視聴行為だけみても多様化してきています。「同質であること」を維持できなくなっているんです。けれど、コミュニケーションのやり方は今までの「世間」のものを応用しているから、あちこちで軋(きし)みが生まれてしまっている。さらに、もう一方の「社会」とどう繋がっていいのかわからないまま、みんなが混乱して、なんとかしようと新たなコミュニケーションのやり方を探して、そういう本を求めているんじゃないかな。 中野 そうなんですね。私はずっと、人間がどうして個の意志と集団の意志が並列に存在する「不完全な社会性」しか持たず、共同体が一個体であるかのように振る舞う蟻や蜂のような「真社会性」を持たないんだろうと思っているんです。 鴻上 蟻や蜂は、すごく頑張って従う個体もいれば、全く働かない個体が二割くらいいて、働く蟻がバーンアウトしたり、動かなくなった時には、働かない蟻が登場して働きだすって言いますよね。 中野 個が「意志をもって働かない」のでなく、単に働かない蟻は、全体のバッファーの役割なんです。繰り返しになりますが、蟻や蜂は巣の全体が一つの生き物みたいなものなんです。) 鴻上 なるほど。僕のフィールドである劇団という集団で考えてみると、一番周りから能力が低いと評価されている人が、伸び伸びと生きられているかどうかが、その劇団の集団としての健全さの目安だと僕は思っています。30人の集団がいれば、一人くらいは遅刻の常習犯だったり、作業を頼んでもできなかったり、必ずオーダーを間違えてしまう人がいる。そういう人達がプレッシャーを受けていられなくなる集団は、とても息苦しい集団だと言えます。 中野 でも、そんなに集団が大事なら、どうして人間にはそれに反するように、個人に強い意志や意識があるのか不思議なんですよね。 鴻上 集団に奉仕するためだったら、個人の意志なんていらないんじゃないかということですか? 中野 いえ、個人の意志を否定したいのではなくて、なぜ真社会性にならないんだろう?という単純な興味です。まあ効率重視なら真社会性ですよね。蟻や蜂と同じ。でも人間は個人の自由に価値を重く置いていたりする。それなのに、みんなのためにと思って個人の意志を時には潰したりもしていて、その間を揺れ動いている不完全な社会性が面白く見えるんです。一貫性を求めるわりには、柔軟に対応しろと言われることもあって、コミュニケーションを介して個体同士が複雑に絡み合っているように見えます。 そもそも、私は「どうして人と同じような振る舞いができないの?」と言われたり、「変わってるね」と言われたりして、集団になじめないところがあったんですが、自分自身はあまり変わったところはなく、凡庸な人間だと思うんです。 鴻上 変わっていることと凡庸はイコールではないんじゃないですか。「変わってる」ということは、他人の言葉の受け取り方が変だということで、変わっていて凡庸じゃない人と、変わっていて凡庸な人がいる気がします』、「日本人の多くは「世間」に生きて、「社会」とは接点が少ないのです。日本人は自分に関係のない「社会」の人とはなるべく関わらず、同時に関わり方がわからず、自分と関係のある「世間」の人を大切にします。結果、圧倒的に「世間」の中でしかコミュニケーションしていないんですが、この「世間」がどんどん中途半端に壊れてきているんです」、「中野 ・・・私はずっと、人間がどうして個の意志と集団の意志が並列に存在する「不完全な社会性」しか持たず、共同体が一個体であるかのように振る舞う蟻や蜂のような「真社会性」を持たないんだろうと思っているんです。 鴻上 蟻や蜂は、すごく頑張って従う個体もいれば、全く働かない個体が二割くらいいて、働く蟻がバーンアウトしたり、動かなくなった時には、働かない蟻が登場して働きだすって言いますよね。 中野 個が「意志をもって働かない」のでなく、単に働かない蟻は、全体のバッファーの役割なんです。繰り返しになりますが、蟻や蜂は巣の全体が一つの生き物みたいなものなんです」、なるほど。
・『日本人がコミュニケーションに悩む脳科学的な理由とは  中野 おそらく一般的な意見の受け取り方が、私は下手くそなんですよね。でも私みたいに受け取り方が下手なほうが、なぜかコミュニケーションに悩まずにいられて、受け取り方が上手な人のほうがめちゃくちゃ巻き込まれて、大変な思いをして悩んでいる。むしろ受け取れない側からすると、悩んでいることがうらやましい感じさえします。 鴻上 脳科学的には、日本人がコミュニケーションに悩むというのは、どういった分析になりますか?) 中野 脳科学的に、というよりは比較言語論のような話になってしまいますが、日本の、あるいは日本語話者のコミュニケーションのあり方は、ハイコンテクストだと言われますよね。まさに「空気を読む」という表現もありますけど、こんなの日本語だけ。一つの単語が表す意味が重層的であったり、同音異義語も多くて、意味をあえて特定しにくくしているフシすらある。表情や声のトーンなど言葉以外の情報に頼ることも頻繁にあります。受け取る側のリテラシーが試される言語です。さらに、失敗してしまった時のペナルティも大きい。このペナルティの大きさは「社会性の強さ」とも言えます。日本がこのような独特の社会を形成した要因の一つには、災害が多いことも関連していると思います。 鴻上 「社会性の強さ」とは僕の言う「世間性の強さ」ということですよね。同じ「世間」に生きているなら、言葉がハイコンテクストでも成立します。逆に言うと、「世間」の団結を強めるためには、ほかの集団には通じない符牒(ふちょう)、独特な言葉を使うことが大事になる。ほかの集団には通じない言葉を使えば使うほど、同じ集団に属す我々は一つだという快感を覚えることになります。 中野 思考停止していても安全、ということですしね。 鴻上 その符牒を読み間違えてしまうと、我々の「世間」には所属していない者だと認定され、強烈な制裁がやってくるわけです。 中野 共同体を破壊し、安全な思考停止状態を破る危険な異物として排除されてしまうんですよね』、「「社会性の強さ」とは僕の言う「世間性の強さ」ということ」、「「世間」の団結を強めるためには、ほかの集団には通じない符牒(ふちょう)、独特な言葉を使うことが大事になる。ほかの集団には通じない言葉を使えば使うほど、同じ集団に属す我々は一つだという快感を覚えることになります・・・鴻上 その符牒を読み間違えてしまうと、我々の「世間」には所属していない者だと認定され、強烈な制裁がやってくるわけです。 中野 共同体を破壊し、安全な思考停止状態を破る危険な異物として排除されてしまうんですよね」、さすがに深い考察だ。
・『好きなことをしているとたたかれる国  鴻上 コロナの影響で国から自粛を求められた時に、「演劇界を含め、自粛要請でダメージを受けた業界には、休業補償をお願いしたい」とインタビューで話したら、そのインタビューをネットで読んだ人から「好きなことをやっているんだから、貧乏でいいだろう」という反応があったんです。 中野 同じ時期に、日本俳優連合の理事長を務める西田敏行(にしだとしゆき)さんが、俳優の窮状を訴える要望書を国に提出したら、同じようにバッシングされてしまったことをよく覚えています。「好きなことをやっていると責められてしまう国って何なのかな…」とすごくモヤモヤとした気持ちになりました。) 鴻上 好きなことをやっていると、ネットで攻撃されるのはどうしてだろうと疑問を感じて、エッセイに「街のラーメン屋さんを含め、自分で事業を始めた個人事業主は、今はコロナ禍で苦しいかもしれないけれど、たぶん好きなことをやろうとした人達。サラリーマンは半分半分くらいで、今増えている非正規雇用の人たちは、好きなこととは遠いことをやっているんじゃないだろうか」と、書いたんです。そうしたらそのエッセイがネットにアップされた数時間後には、「好きなことをやっていないのは非正規」と僕が言っているというスレッドがネット上に立っていて驚きました。 中野 え…! 鴻上 そのスレッドをよく読んでみると、僕のエッセイの一部分しか抜粋していないんですよ。だから、それを元にして呟いていた人に、「全文を読んでください」と丁寧に一人一人レスポンスをしたんですが、今度は「鴻上が憑(つ)いた」というツイートが出てきて、その瞬間、「なんでこの暗闇に僕は石を投げてるんだろう?」と我に返りました。 中野 書かれていることを、意図的に歪めて読み取ったり、アクセス数を伸ばすために敢(あ)えて人の気持ちを逆なでするように切りとったりする人はいますよね。それにしても、好きなことをやっている人がとがめられる時代というのは、本当に闇だなと…。 鴻上 自分が好きなことをしていないから、好きなことをやっていると思われる人を見たら、許せないと感じてしまうんだとしたら、これは脳科学的にはいわゆる嫉妬になるんですか? 中野 はい。嫉妬、というか正確には妬みですね。自分は我慢をしているのに、あの人だけは好きなことをやっていて「ずるい」と認識すると、その人を攻撃せずにはいられなくなる。 私はその点で標的になりやすい人達の代表例として、スポーツ選手が挙げられるのではないかと感じています。「国のために頑張ります」と言うのは許されても、「楽しんできます」と言うのは許されない。もし楽しんで結果を出せば、賞賛されるかもしれませんが、結果が出ないと、成績とは関係がない、例えば、ファッションや化粧のことまで槍(や)り玉(だま)に挙げられて非難されてしまう。好きなように生きていることが、これほど罪のようにとがめられてしまうことに、危惧を覚えます』、「自分が好きなことをしていないから、好きなことをやっていると思われる人を見たら、許せないと感じてしまうんだとしたら、これは脳科学的にはいわゆる嫉妬になるんですか? 中野 はい。嫉妬、というか正確には妬みですね」、「妬み」が根底にあるとはイヤな社会だ。
・『色眼鏡をかけるほうが人間にとって快適  鴻上 確かに僕は好きな演劇を仕事にしているのですが、好きなことを仕事にすることは、ただ「楽しい」とか「嬉しい」ということではないんです。好きなことを仕事にした人なら、みんな直面すると思うんですが、好きなことを仕事にするために、やらなければいけない「好きでないこと」が、かなりの量あるんです。 演劇で言えば、よくファンの人達が使う「大人の事情」というものも実際にあって、思ったとおりにできないことも多々ある。うかうかしていると演劇そのものをどんどん嫌いになるような出来事もある。そういったことを全部無視されて「好きなことをやってるんだから文句を言うな」と言われてしまうと、すごい無力感にとらわれますね。) 中野 「好きなことをやっている」ということにマスクされてしまって、その人が実際どんな状況にあり、なにを考えているのかまで見えていない。解像度がすごく粗くなっているんですよね。私たちの脳は、自分の身の回りの人のことはよく見えるんですが、自分の集団にはいない人のことは、記号のようにしか認知できません。つまりよそ者のことは、記号だから攻撃してもいいんだと思ってしまうんです。 鴻上 そこをどう乗り越えていくか、ということですよね。 万が一、自分が攻撃の標的になってしまった時は 中野 「努力して変えていきましょう」というのは、基本的に機能しない呼びかけだと思っているんです。場合によっては、より悪い状況にもなる。努力できる人だけが損をし続けていく仕組みだからです。努力できない時間はそれができないということ。何か一つ努力しだすと他のことができなくなるくらい、人間の脳というのは努力には向いていません。さらに、仲間として認知できる人数は、百五十人と言われていて、それ以上の人たちは、記号としてしか扱えない残念な脳なんですよ。私達はそもそも色眼鏡をかけて生まれてきている、ということを知るしか方法はないように思います。 鴻上 人間はそうやって色眼鏡をかけるほうが快感というか、快適だから、色眼鏡をかけるわけですよね。 中野 ええ。だから、自分が気持ちよさに負けて誰かを攻撃しそうになった時に、「いけない、私、色眼鏡をかけてたわ」と気づくきっかけをどこかに置いておくことが大事です。逆に、万が一、自分がその攻撃の標的になってしまった時は、「あの人、色眼鏡が外せてないな」と思えるよう、心算をしておくことをおすすめしたいです』、「自分が気持ちよさに負けて誰かを攻撃しそうになった時に、「いけない、私、色眼鏡をかけてたわ」と気づくきっかけをどこかに置いておくことが大事です。逆に、万が一、自分がその攻撃の標的になってしまった時は、「あの人、色眼鏡が外せてないな」と思えるよう、心算をしておくことをおすすめしたいです」、さすが中野氏だけに味わいのある言葉だ。
タグ:(その5)(脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう、精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」、鴻上尚史氏と中野信子氏が対談 日本は「好きなことをしていると叩かれる国」) 「家から出て外の光を浴び、近所を散歩するだけでも気が晴れるものだ。 もしくは、友人や知人、その他の助けてくれそうな人を頼ってみればいい。そうやって他人の力を上手に利用して、話を聞いてもらうことで、負のループから抜け出すことができるかもしれない」、なるほど。 「自分が悩み不安に思っている問題を冷静に見つめ直すことが必要であり、それにはこれまでにお伝えしたように、書き出す作業が必要となってくる」、その通りだ。 「「すべての『行動』を細分化して行動のハードルを下げることで、苦しい状況でも『できる』ことを見つけられる」とし、3つの「確実に行動できる対処法(ToDo)」を提案」、「1.「話す」」、「2.「書く」、「3.「体を動かす」」、「これら3つの行動をすべて取り入れる必要はない。その時の自分に合ったものをどれかひとつでもいいので試してみれば、ノルアドレナリンという不安物質が消費されて、心は軽やかになってくれる」、なるほど。 「前向きな行動を始めると、ノルアドレナリンという行動するためのガソリンが消費され、「行動によるガソリン消費→ノルアドレナリン減少→不安逓減→気持ちが楽になる」という流れが起こる」、なるほど。 「分泌されると脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、どうすればいいのか一瞬で判断できるようになります」、有難い効用があるようだ。 「「ストレスは耐え忍ぶものではなく、しなやかに受け流すことが必要である」、というのは興味深い見解だ。 書籍オンライン編集部による「精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」」 ダイヤモンド・オンライン 「週に2,3回は心拍数が増えるようなランニングなどの有酸素運動をお勧めしたい」、私の場合は、「ランニング」の代わりに速足をしている。 「ストレスに対する反応は、体が運動で鍛えられるにしたがって徐々に抑えられるのだ。つまり運動が、ストレスに対して過剰に反応しないよう体をしつけるのである」、「運動が」「体をしつける」とは面白い表現だ。「1時間程度の散歩を習慣にしている成人の前頭葉を定期的に測定した結果、前頭葉を含む大脳皮質が成長していた」、私も「1時間程度の散歩」を日課にしているので、「大脳皮質が成長」している筈だ。なんだか嬉しくなる。 「扁桃体がストレス反応を引き起こしつづけると、海馬のブレーキはすり減ってしまう。アクセルである扁桃体は、海馬が萎縮してブレーキが利かなくなると暴走を始める。こうして、ストレスがさらにストレスを生むサイクルに入る」、恐ろしいことだ。 「体内には、このストレス反応を緩和し、興奮やパニック発作を防ぐブレーキペダルが備わっている。その1つが「海馬」だ。海馬は記憶中枢として知られるが、感情を暴走させないブレーキとしても働いている」、実によく出来た仕組みだ。 「ストレスを感じると、まず脳の扁桃体が反応し、視床下部→下垂体→副腎へと身体の上から下へ刺激が伝わる。副腎から「コルチゾール」というホルモンが分泌されると、動悸は激しくなる。この一連の反応はほんの1秒ほどで起きるが、これは人類の生存に欠かせないからだ」、「扁桃体は、ストレス反応を引き起こすだけでなく、そのストレス反応によっても刺激を受けてしまう・・・ストレスがストレスを呼ぶ悪循環だ」、 アンデシュ・ハンセン氏による「脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう」 東洋経済オンライン 心理学 精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社) 「あなたの「考え方」「受け止め方」を少し変えるだけで、ストレスを受け流せるようになります。それだけで、「不安」や「悩み」の9割は消すことができます」、「生き方を変えるのは「今」です!」、いかにも効果がありそうだ。 「鴻上尚史氏と中野信子氏が対談、日本は「好きなことをしていると叩かれる国」」 『同調圧力のトリセツ』(小学館新書) 「中野氏」が「高校生くらいの頃に鴻上さんのスクリプトを読んで、これは同じ問題意識を持った人だ!と感銘を受けて、ボロボロになるまで読みました。あまりに読むので、もう3冊同じのを買っていると思います」、さすがませた「高校生」だ。 「予備校の先生に話を聞くと、僕や中野さんの時代に比べて、浪人をする人が十分の一以下に減っているそうです・・・ なぜ減ったかというと、一年浪人をして大学の偏差値を上げて、ワンランク上の大学に入る意味を見いだしにくくなってきたからだそうです」、そうであれば、「予備校」ビジネスも様変わりしたのだろう。 「日本人の多くは「世間」に生きて、「社会」とは接点が少ないのです。日本人は自分に関係のない「社会」の人とはなるべく関わらず、同時に関わり方がわからず、自分と関係のある「世間」の人を大切にします。結果、圧倒的に「世間」の中でしかコミュニケーションしていないんですが、この「世間」がどんどん中途半端に壊れてきているんです」、 「中野 ・・・私はずっと、人間がどうして個の意志と集団の意志が並列に存在する「不完全な社会性」しか持たず、共同体が一個体であるかのように振る舞う蟻や蜂のような「真社会性」を持たないんだろうと思っているんです。 鴻上 蟻や蜂は、すごく頑張って従う個体もいれば、全く働かない個体が二割くらいいて、働く蟻がバーンアウトしたり、動かなくなった時には、働かない蟻が登場して働きだすって言いますよね。 中野 個が「意志をもって働かない」のでなく、単に働かない蟻は、全体のバッファーの役割なんです。繰り返しになりますが、蟻や蜂は巣の全体が一つの生き物みたいなものなんです」、なるほど。 「「社会性の強さ」とは僕の言う「世間性の強さ」ということ」、「「世間」の団結を強めるためには、ほかの集団には通じない符牒(ふちょう)、独特な言葉を使うことが大事になる。ほかの集団には通じない言葉を使えば使うほど、同じ集団に属す我々は一つだという快感を覚えることになります・・・鴻上 その符牒を読み間違えてしまうと、我々の「世間」には所属していない者だと認定され、強烈な制裁がやってくるわけです。 中野 共同体を破壊し、安全な思考停止状態を破る危険な異物として排除されてしまうんですよね」、さすがに深い考察だ。 「自分が好きなことをしていないから、好きなことをやっていると思われる人を見たら、許せないと感じてしまうんだとしたら、これは脳科学的にはいわゆる嫉妬になるんですか? 中野 はい。嫉妬、というか正確には妬みですね」、「妬み」が根底にあるとはイヤな社会だ。
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子育て(その6)(「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇、又吉直樹が語る 子どものころによく読んだ本とは 「早いころに世の不条理さを知れてよかった」、「子どもが泣き叫ぶのは愛情不足の証拠」…育児の問題をすべて母親に押しつける「呪いの発信者」とは 新生児科医・小児科医ふらいと先生インタビュー #1) [生活]

子育てについては、7月25日に取上げた。今日は、(その6)(「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇、又吉直樹が語る 子どものころによく読んだ本とは 「早いころに世の不条理さを知れてよかった」、「子どもが泣き叫ぶのは愛情不足の証拠」…育児の問題をすべて母親に押しつける「呪いの発信者」とは 新生児科医・小児科医ふらいと先生インタビュー #1)である。

先ずは、8月6日付け東洋経済オンライン「「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/608499
・『親が「よかれと思って」実践している声かけ・子育てが子どもの未来を呪ってしまっている――。そう語るのは、元法務省でこれまで1万人の犯罪者・非行少年を心理分析してきた犯罪心理学者の出口保行氏。出口氏の最新刊『犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』は、そんな実例をまとめた子育ての解説書になっている。 本記事はその中から、「気をつけて」という言葉についての解説を抜粋。子どもに危険を知らせるこの言葉が、どうして呪う言葉になってしまうのか。非行少年に限らず、どんな家庭でも気をつけておきたい注意点と解決策を解説する。 ※本記事に出てくる実例はプライバシー等を考慮し一部改変しています』、「「気をつけて」という」、「子どもに危険を知らせるこの言葉が、どうして呪う言葉になってしまうのか」、興味深そうだ。
・『「気をつけて!」と言われ続けた少女・マイの結末  親が子どもに言う「気をつけて」という言葉にはさまざまな注意点がありますが、まずは極端な例を見ていきましょう。私が実際に心理分析した、ある非行少女(仮名マイ)の実例をご紹介します。 マイが幼い頃、両親がレストランを始めました。家族経営の小さなレストランですが、地域ではすぐに人気が出たようです。 忙しい父母にかわって面倒を見てくれたのが祖母のカズヨです。カズヨは公立小学校の校長をしていた教育者で、たったひとりの孫のために全身全霊で教育にあたっていました。 マイの父親は、教師であったカズヨをとても尊敬しており、子育てについてはカズヨに任せっきりだったそうです。 母親はといえば、義母であるカズヨに対し大きな引け目を感じていました。自分が高卒であるのに対して、カズヨは校長を退職後も地域の民生委員を務めるなど、地域の評価が高かったからです。 カズヨはマイを非常にかわいがる反面、心配性なところがありました。何かにつけて「危ないことはしちゃダメよ」「気をつけないとね」と言うのです。 同年代の子がブランコで遊んでいるのを見て、マイもブランコに乗ろうとすると、「おばあちゃんが昔いた学校で、ブランコのチェーンに指を挟まれて大ケガした子がいるの。危ないからやめておこうね」。 川のそばに咲く花を摘もうと土手を下りようとすると、「足をすべらせて川に落ち、亡くなった子がいるのよ」などと話してやめさせていたようです』、「ブランコ」や「土手を下り」るのまで、「やめさせていた」とは「心配性」を超えて異常だ。
・『「~してはいけない」ばかりで  マイは小さい頃はあまり疑問に思わなかったものの、小学校高学年になり周囲の子たちが友だち同士だけで遊ぶようになると自分もそうしたいと思うようになりました。 たとえば「みんなでショッピングモールに行くんだって。私も行っていいでしょ?」と聞いても、カズヨは一切認めなかったそうです。 「私は心配で倒れるかもしれない。それでもいいなら行きなさい」 脅しのような言葉に、マイは遊びに行くのをあきらめ、クラスの中でも浮いてしまうことが多くなりました。 中学生になり、塾や部活などの理由がつけられるようになると、さすがにカズヨの監督下から少し抜け出せるようになったようです。 マイは家ではいい子のふりをしつつ、外では不良グループと付き合うようになりました。高校からはティーン誌の読者モデルも始め、洋服やアクセサリーをバンバン買うので、お小遣いはすぐに底をついていました。 大学生になってバイトを始めましたが、金遣いの荒いマイには焼け石に水。思いついたのは、両親のレストランの売上金を盗むこと。多少抜き取ってもバレなかったので、何度も犯行を繰り返しました。 しかし、一度に盗める金額には限りがあります。今度はカズヨのタンス貯金に手をつけました。これまでさんざん自分を抑圧してきた代償を支払ってもらう気持ちで盗るので、とくに悪いことをしている認識はありません。 さらに大金を手に入れたくなったマイは、レストランによく来る高齢者をターゲットに、「うちのお店、3年後にリニューアルオープンして大規模店になる予定なの。いま出資してくれれば、高い配当を得られるよ。でもこれは内緒の話だから誰にも言わないでね」という話をするようになりました。いわゆる、特殊詐欺です。 結果、500万円ほど騙し取っていました。しかし、当然ながら配当をすることはできず、逮捕されることとなったのです』、「特殊詐欺」で「500万円ほど騙し取っていました」、「大学生」にしては悪知恵が凄い。
・『人の気持ちがわからない悲劇  少年鑑別所で面接をした際、マイは「とくに悪いことをしたとは思っていない。被害者の気持ちとか言われても、金儲けの話に目がくらんだだけじゃん。そんなうまい話に簡単に乗るほうがどうかしている」と話していました。共感能力が低く、被害者の気持ちを想像するのが難しいのもあって、なかなか内省が深まりませんでした。 しかし、少年院に送致され、そこでの面接や更生プログラムを通じて、次第に気づくようになっていきました。 「ああ、私から内緒の話をもちかけられて嬉しいと思ってくれたんだ。私はそれを裏切ったんだ……」 そんなふうに被害者の気持ちを考えられるようになるまで、時間がかかったのは確かです。 マイは同年代の子たちと関わる体験が圧倒的に不足していました。心配性の祖母が何でも先回りして失敗させないように動き、子どもだけで遊ぶことを禁じていたからです。いわゆる過保護・過干渉によって、共感性が育つ機会が奪われていたと言えます。 共感とは、他者の気持ちが自分のことのようにわかることです。その前提には2つあります。ひとつは「人の感情を正確に認知できる」。目の前の人が怒っているのか、泣いているのかといった、感情を表情などから読み取って認知することです。 もうひとつは「人の感情を正確に推測できる」。笑っているけれど、悲しい。冷静にしているけれど、怒っている。認知に基づきながら、相手の気持ちを推測できることが必要です。それではじめて共感能力を発揮することができるのです。 共感性はさまざまな人とのリアルなコミュニケーションから育まれます。ちょっとしたひと言で傷ついたり、ケンカになったり仲直りしたりと、対人関係上の失敗も共感能力を高めてくれます。普通は幼少時に小さなトラブルをいくつも経験しながら、共感性を育みます。自分の言動で相手がどう思うのかを考えることができるようになるのです。ところが、マイはそうした経験ができないままに育ってしまいました。) 思春期になって、マイはクラスの中で自分が浮いた存在であることを自覚します。 クラスメイトたちの中でもうまくコミュニケーションをとることができません。自分の話ばかりしたり、余計なひと言を言って相手を傷つけたりしがちでした。仲良くしたくても、どうすればいいのかよくわからないのです。孤独感を感じたマイは、祖母を恨みました。 「おばあちゃんのせいだ。おばあちゃんが何でもかんでもダメだって言うから、私はこんなふうになっちゃったんだ」 そして、祖母の抑圧から助け出してくれない両親に対しても敵意を持つようになりました。レストランの売上金からお金を抜き取るのも、祖母のタンス貯金に手をつけるのも「このくらいやって当然」という感覚です。そうして家庭内窃盗を繰り返すうちに罪悪感もうすれ、投資詐欺に発展しました。 マイに限らず、こうした窃盗や詐欺を行う非行少年・犯罪者は共感性が低い傾向があります。「騙されるほうが悪い」と言って、被害者の気持ちを考えようとしません。 しかし、当然ながら騙すほうが100%悪いのです。 相手が欲にかられたからといって、犯罪をしていいことにはなりません。「騙されるほうも騙されるほうだ」という言い方がされることがありますが、それは犯罪者側の理屈です』、「普通は幼少時に小さなトラブルをいくつも経験しながら、共感性を育みます。自分の言動で相手がどう思うのかを考えることができるようになるのです。ところが、マイはそうした経験ができないままに育ってしまいました」、「マイに限らず、こうした窃盗や詐欺を行う非行少年・犯罪者は共感性が低い傾向があります。「騙されるほうが悪い」と言って、被害者の気持ちを考えようとしません。 しかし、当然ながら騙すほうが100%悪いのです」、その通りだ。
・『「気をつけて!」がダメな理由  さて、そろそろこの事例を、一般の子育てに応用していきましょう。 マイの祖母カズヨは、かわいい孫に「イヤな思いをさせたくない」「つらい気持ちになってほしくない」という気持ちが強く、何でも先回りして「気をつけて!」と言い続けてきました。よかれと思ってやってきたのです。 しかし、どう見ても過保護・過干渉でした。せめて両親がもう少しフォローできたらよかったのですが、それもありませんでした。その結果、マイは危険を自分で察知して判断する能力が低く、危険なことにも簡単に手を出してしまうようになりました。 同時に共感性が低く、相手の気持ちを推し量ることが苦手になってしまいました。 「気をつけて!」と何でも制止すれば、子どもは経験のチャンスを失います。経験にはポジティブな面もネガティブな面もあり、失敗して落ち込んだりイヤな気持ちになったりすることだってあるでしょう。しかしそれが成長の糧なのです。) たとえばハロウィンパーティーに誘われて行ってみたら、みんな仮装をしていて普段着の自分は恥ずかしい思いをしたとします。すると、次からはどういう服で行ったらいいか事前に確認しようと思うでしょう。自分が人を誘うときは、来てくれた人が恥ずかしい思いをしないようにあらかじめ服装について教えてあげようと思うでしょう。 こういった小さな失敗で致命的なことが起こるわけではありません。先回りして何でも教えていたり、そもそも「パーティーなんてやめておきなさい」と止めていたりしたら、その子は経験ができないのです。 もちろん、本当に危ないことは止めなければいけません』、「どう見ても過保護・過干渉でした」、「その結果、マイは危険を自分で察知して判断する能力が低く、危険なことにも簡単に手を出してしまうようになりました。 同時に共感性が低く、相手の気持ちを推し量ることが苦手になってしまいました。 「気をつけて!」と何でも制止すれば、子どもは経験のチャンスを失います。経験にはポジティブな面もネガティブな面もあり、失敗して落ち込んだりイヤな気持ちになったりすることだってあるでしょう。しかしそれが成長の糧なのです」、小学校で校長をしていたといっても、このような「育児」の失敗があり得るというのには、驚かされた。
・『危険の大きさに関する判断を整理することが大切  子どもが切り立った川岸に向かっているのに自由にさせていてはダメです。落ちたら死んでしまいます。親はまず危険の大きさに関する判断を整理することが必要です。 一番の軸は身体生命の安全に関わるかどうか。それ以外はどこまで許容できるかです。 心配でつい口を出したくなる気持ちはわかります。しかし、親はいつまでもついていてあげられるわけではありません。親が「転ばぬ先の杖」となって転ばせなければ、転んだ経験のない子は自分で何に気をつけたらいいかわからないのです。本当に子どものためを思ったら、あえて失敗させてあげることです。 とくに対人関係の失敗は共感性を育てます。友だちに「誰にも言わないでね」と言って打ち明けられた話をうっかり人に言ってしまった。機嫌が悪いときに友だちがふざけてきたのでカッとしてひどいことを言ってしまった。そんな失敗も学びになります。 もし子どもが「だって〇〇ちゃんはいつも自分勝手だから、バカって言いたくなるのも仕方ないよ」と話したら、「そう思ったんだね」と言い訳を否定せず聞いてあげましょう。 たくさん話しているうちに自分で「でもあの言い方はちょっとひどかったかな。傷ついていると思うから、明日あやまろうかな」と気づくかもしれません。自分ひとりでは内省が深まらないようなら、「〇〇ちゃんはどう感じたかな?」というように促してあげるのがいいでしょう。親の考えを言うのではなく、本人に考えさせてあげることです。 子どもの頃に何を経験したかが、その後の人生に長期的な影響をおよぼします。) 年をとってからも学ぶことはできるし、体力は落ちても心理的な発達は続くわけですが、どうしても子どもの頃の経験がベースになります。自立した大人になるためというだけでなく、一生に影響するのだということも知っておいてほしいことです』、「自分ひとりでは内省が深まらないようなら、「〇〇ちゃんはどう感じたかな?」というように促してあげるのがいいでしょう。親の考えを言うのではなく、本人に考えさせてあげることです」、なかなか巧みなやり方だ。
・『反省ではなく、内省を促す  共感性が低く、自己中心的な考え方をしていると、なかなか内省は深まりません。 内省は「反省」に似ていますが、別のものです。自分自身の心に向き合い、自らの言動や考え方について客観的に振り返って分析することです。気づきを得ることを目的にしています。 一方、反省とは、自分の言動や考え方のよくなかった点を振り返り、改めようとすることの意味で使われます。 問題行動があったとき、大人は「反省しなさい」と言いがちです。しかし、残念ながらこの言葉には意味がないことが多いです。 「ごめんなさい。悪いことをしました。もうしません」 そんな言葉を引き出すことに成功しても、本人は心の中で舌を出していることはよくあります。自分自身の心に向き合わないまま、反省の言葉を言わされているだけだからです。 私が見てきた非行少年はとくに反省を表現することに慣れていて、いくらでも言うことができました。それこそお経のように唱えることができるので、感心するくらいです。神妙な顔をするのも得意です。しかし、反省の言葉と表情がどれだけうまくなっても、それが何になるというのでしょうか。 最初はきっと、言い訳をしたに違いありません。 「こういう理由があったから、仕方なかったんだ」 それに対して「言い訳するな!反省しろ」と余計に叱られるようなことを繰り返すと、言い訳をしなくなります。 「ごめんなさい、私のせいでこんなに迷惑をかけてしまいました。これからは心を入れ替えて頑張ります」 このように反省上手になります。しかし、内省していないので同じようなことを繰り返すのです。 さらには、「反省しなさい」という言葉は抑圧を生みます。その子が抱えている不満を聞いてあげることなく一方的に反省を押しつければ、不満はどんどん蓄積し、いずれ爆発するでしょう。 繰り返しますが大事なのは内省です。自分の言動や考え方を振り返るのが苦手な子に対しては、「どうしてこういう行動をしたの?」「そのときどう思ったの?」と問いかけて内省を促します。「ここがよくなかったよね」「こんなことしたら、相手は怒るに決まっているよね」などと指摘するのではなく、本人に気づかせてあげてください』、「大事なのは内省です。自分の言動や考え方を振り返るのが苦手な子に対しては、「どうしてこういう行動をしたの?」「そのときどう思ったの?」と問いかけて内省を促します。「ここがよくなかったよね」「こんなことしたら、相手は怒るに決まっているよね」などと指摘するのではなく、本人に気づかせてあげてください」、確かに「内省を促します」は有効だが、結構、高度な技だ。

次に、11月7日付けAERAdot「又吉直樹が語る、子どものころによく読んだ本とは 「早いころに世の不条理さを知れてよかった」」を紹介しよう。
・『小学生時代の読書体験が与える影響は、大人になるまで分かりません。だからこそ、かけがえのない一冊と出会うかもしれない機会は大切にしたいもの。本を心から愛するお笑い芸人・作家の又吉直樹さんに、本の楽しみ方や子どものころに読んでいた本を教えてもらいました。現在発売中の「AERA with Kids 2022年秋号」(朝日新聞出版)から一部抜粋して紹介します。 小学生のときは、国語の教科書をよく読んでいました。家には遠藤周作や三浦綾子といった大人向けの本しかなくて、子どもが読める本といえば教科書くらいしかなかった。低学年のころは教訓めいた話が多くて、発見のある話はなかった気がするんですけど、3年生のころからハッとするような表現、大人が言葉では言わないことを描いている話が出てきて、面白いと思うようになりました。 自分の教科書を読み終わったら、姉たちが使っていた教科書も読んでいました。特に好きだったのが「沢田さんのほくろ」という話。おでこに大きなほくろのある沢田さんという女の子が「大仏」というあだ名でからかわれているんですけど、強く生きていこうと決意し、前髪で隠していたおでこを出すようになるんです。でも、また何かの拍子に男子から「大仏」って言われてしまう。それに対して沢田さんは「大仏でけっこうよ」というようなことを言って大仏のポーズをするんです。目からは涙が流れていて……。 小学生のときって「子どもだからわからないだろう」と、子ども扱いされますよね。そうやって子どものことを完全に舐なめている感じの大人が僕は大嫌いだったんですよ。でも、このお話に描かれていることはすごくリアルだった。大人でもこういうことを描く人がいると安心できました。 丸っこい表現の話だけを与えられていたら、後々もっと傷つくこともあったんじゃないかな。早い段階で、世の中の不条理さ、何も悪いことをしていなくても環境次第で大変な状況に追い込まれることもあるという前提を、お話の中から踏まえることができたのはよかったと思います』、さすが「又吉」氏だけあって、「子どもの」頃からませた考え方だったようだ。
・『本の読み方を「教えられた」人の読書感想は、みんな似ている  本の読み方に「答え」がある、と思い込みすぎている人が多い気がします。本を読んでどう感じるかは、無限にアプローチがあるから面白い。この本はこう読みなさいと教えられた人ほど、大人になっても本の感想が似る現象があります。気になった箇所は人それぞれ違っていていいはずです。 いま思えば、僕は子どものころ、周りに本を読む人がいなかった。だから自分で考えて自分なりに理解するという本の読み方を身につけられたのかもしれません。親から教えられたり、友だちと答え合わせをしたりすることもなかったですから。「答え」を追い求めすぎずに自由に読むと、もっと読書は楽しくなると思います』、「「答え」を追い求めすぎずに自由に読むと、もっと読書は楽しくなると思います」、その通りなのかも知れない。
・『又吉さんが教えてくれた「本を面白く読んでみるコツ」 (1)まずは、自分がどう感じたのか考えてみる。(周りの目を気にせず、自分が思ったことをストレートに書き出す。)(2)登場人物の体験や気持ちについて、自分の中でも似た体験や感情がなかったか思い出してみる。(友だちとけんかしたときや親に怒られたときの気持ち。自分の人生に結び付けて共感してみる。)(3)描かれていることと反対の意見を考えてみる。(登場人物や作者の考え方とは異なる考えを出してみる。「そんな嫌なら最初から友だちにならなければよかったやん、とか」(又吉さん)) (4)最後に、自分だったらどういう結末にするか考えてみる。(いろいろな立場で考えたことでオリジナルの結末が浮かび上がってきたら、もう本を楽しんでいる証拠。 ※「AERA with Kids 2022年秋号」(朝日新聞出版)から一部抜粋。本誌ではこのほか、子どものころに読んだ本や辞書の遊び方なども紹介しています。(又吉直樹の略歴はリンク先参照)』、「本を面白く読んでみるコツ」は確かに「面白く読」めそうだが、時間もかかりそうだ。

第三に、11月23日付け文春オンライン「「子どもが泣き叫ぶのは愛情不足の証拠」…育児の問題をすべて母親に押しつける「呪いの発信者」とは 新生児科医・小児科医ふらいと先生インタビュー #1」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/58858
・『「子どもの癇癪は愛情不足」「子どもは親を選んで生まれてくる」などの迷信はいかにして生まれるのか? 母親を苦しめる「呪い」が生まれる理由を、新生児科医・小児科医の「ふらいと先生」こと今西洋介さんが解説。金に目がくらんだ医師が、加担することも……(全2回の1回目/後編を読む)(Qは聞き手の質問)』、記事冒頭の大泣きしている写真は、「母親」がいかにも慌てそうな場面だ。
・『母親たちを苦しめる「呪い」  Q:子どもの癇癪は愛情不足。離乳食は手作りが一番。そして育児は基本、母親が担うべき。前時代的だとも思えるような考え方が、いまだ根強くあります。今西先生は、SNSや書籍で、それら母親だけに負担を押しつけて苦しめる育児の迷信・神話の存在を「呪い」と表現していますが、その理由は? 今西洋介医師(以下、今西) 医療の現場で、産まれた子どもが集中治療室に入ったりすると、自分のことを責めてしまうお母さんが本当に多いんですよね。一番多い質問も「私が悪かったんでしょうか?」です。実際、お母さんが食べたものでなる病気はあります。例えばトキソプラズマ症とか。 子どもの病気が「100%お母さんのせいじゃない」とは言えませんが、ほとんどの病気や障がいはお母さんが原因ではありません。それにもかかわらず、なぜ自分を責めてしまうのか? ひとつは、誰かに「母親のせい」と言われるからです。誰かというのは、いままで信頼してきた親御さんだったり、パートナーだったり。その人たちもまた、小さいころに親やまわりからその迷信を聞かされていた。そうした積み重ねの結果です。 家族全体、ひいては社会全体にそういった言説が浸透して伝播して、精神的に特定の人を追い詰めていく。それはまさに「呪い」だと思いませんか』、「誰かに「母親のせい」と言われるからです。誰かというのは、いままで信頼してきた親御さんだったり、パートナーだったり。その人たちもまた、小さいころに親やまわりからその迷信を聞かされていた。そうした積み重ねの結果です。 家族全体、ひいては社会全体にそういった言説が浸透して伝播して、精神的に特定の人を追い詰めていく。それはまさに「呪い」」、日本社会も困った病理を抱えたものだ。
・『「呪い」が生まれた歴史背景  Q:その呪いは、どこから来る? 今西 一例として「子どもを産むと女性は自動的に母性が湧き、心血注いで子どもの世話をしたくなるもの」という母性神話を見てみましょう。 そもそも江戸時代や明治時代にはそんな考え方は存在していません。ところが戦時中、男性が出征して戦地に行かされる事情から「母は強し」などと言って、耐えて国に尽くすのが母親だみたいな啓蒙が行われます。国をあげて、女性を神格化させたわけです。 次に戦争が終わった後の1950年代からの高度成長期には、男性は猛烈に働き、女性が家庭に入る専業主婦モデルが推奨されます。そこでまた専業主婦が神格化され、母性神話が定着しました。 確かに母子の関係性が子どもの発達に関わることは、確固たるエビデンスがあります。しかしそれが母性神話という形になると、母親の理想像の押し付けが強くなり、一気にお母さんの負担が強くなる。 しかも現在は、男性の賃金が減り女性も外で働くようになり、母性神話が成り立たなくなってきています。それなのに思想だけが残り、今を生きる母親たちが苦しめられている現状があります。) Q:「医師がそう言っていた」という点から言説を信頼し、語り継ぐ布教者たちもいそうです。 今西 それも確かにあるでしょう。発達心理学が専門で母性学研究の権威でもある大日向雅美先生の著書によると、1990年代は母性神話を守る「正義の騎士」的な存在が、当時の小児科医であったと説明されています。 大日向先生が「母性神話の罠」という母性神話を否定するテーマの講演をすると、激しく異議を唱えてきたのも小児科医だったと。そのころはまだ医学界も、エビデンスが確立されていない部分がありましたので。 発達障害のひとつである自閉症も同様です。1990年代に自閉症は母親の愛情不足が原因だという説があり、自閉症の子どもを持つ母親たちが「冷蔵庫の心を持った母親」と呼ばれていました。それも、医学界は一部信じていた。しかし今はもう、科学的根拠によって完全に否定されています。ところが否定された事実はあまり浸透せず、いまだにやっぱり愛情不足じゃないかと、責められる母親たちがいるんです』、「専業主婦が神格化され、母性神話が定着」、「母性神話という形になると、母親の理想像の押し付けが強くなり、一気にお母さんの負担が強くなる。 しかも現在は、男性の賃金が減り女性も外で働くようになり、母性神話が成り立たなくなってきています。それなのに思想だけが残り、今を生きる母親たちが苦しめられている現状があります」、「1990年代に自閉症は母親の愛情不足が原因だという説があり、自閉症の子どもを持つ母親たちが「冷蔵庫の心を持った母親」と呼ばれていました。それも、医学界は一部信じていた。しかし今はもう、科学的根拠によって完全に否定されています。ところが否定された事実はあまり浸透せず、いまだにやっぱり愛情不足じゃないかと、責められる母親たちがいるんです」、「冷蔵庫の心を持った母親」とは酷い言い方だ。
・『「子どもは親を選んで生まれてくる」の嘘  Q:「子どもは親を選んで生まれてくる」という迷信・思想はどうでしょう? 今西 胎教という文化から発生した、「胎内記憶」と言われている言説ですね。現在日本で胎内記憶の発信の中心になっているのはとある産婦人科医ですが、その内容は完全にスピリチュアルでしょう。 胎内記憶を医学的に見ると、エビデンスの元とされているのが2~3歳の子どもの言葉でしかありませんので、それを科学的根拠があるかのように話すのは明らかに問題があります。わからないことをわかったように、さらに当事者に言うことは、相手を傷つける可能性もあり非常に危険です。 よく、障害を持って生まれた子どもの母親に「あなたを選んで産まれてきてくれたんだから」と声をかけてしまう人がいる。すると、必要以上に自分が頑張らなくてはならないという呪いに縛られてしまう。 実際、言葉の呪縛に囚われているお母さんはとても多いです。産んだ責任から一人で悩みを抱え込み、「産褥精神病(出産後に幻想や妄想に囚われる病気)」という非常に危険な状態になるケースも。 子どもが自分を選んでくれたという考え方で、救われる人もいるでしょう。そうした考えで育児を頑張ることができたり、絆を感じたり。しかしそれは個人で思えばいい話であり、他人が言うことではありません』、「胎教という文化から発生した、「胎内記憶」と言われている言説ですね・・・その内容は完全にスピリチュアル」、「言葉の呪縛に囚われているお母さんはとても多いです。産んだ責任から一人で悩みを抱え込み、「産褥精神病・・・」という非常に危険な状態になるケースも」、「お母さん」から「言葉の呪縛」を解放する必要がありそうだ。
・『大金に目がくらみ「ダークサイドに堕ちる医師」も…  Q:コロナ禍ではワクチンやマスクに対して不安を煽る医師がSNSで存在感を放っていますが、これはスピリチュアル嗜好や情報の古さなどとはまた別の問題でしょうか。 今西 そのあたりは一部、金銭的な問題がからんでいるでしょう。医療者の中には開業時に億単位の借金を背負っている人も少なくない。窮状にいる医師たちに、大企業なんかが怪しげな療法を売り込んでくるケースは珍しくありません。 しかも、ありえないくらいの高額を提示してくるんです。そこに飛びついてしまう医療者はごく一部ですが、確実に存在します。実際に、僕が信頼していた後輩の医師が、開業したとたんに怪しい療法に手を出しそうになりました。リテラシーの高かったあの人もこうなるんだと、ある意味興味深かったですが。結果的にまわりの医師達から反対の声が相次ぎ、実際には採用しなかったようです。 そうした医師たちがビジネスに直結していると、ターゲットがよく研究されていることもあり、勢いよく広まります。胎内記憶もその例かと。子育て世代は常に更新されていきますから、今育児中のお母さんたちは、デマが原因で起こった昔の事件なんかを知らないわけです。「山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故」(※1)とか「キッズスタディオン事件」(※2)とか。 だから、どんなデマも既に否定されたからと安心せず、情報は発信し続けなければなりません。過去には医療界がデマ、すなわち呪いを後押ししたものもありますが、1個ずつ絡まった糸をほどくように、間違った情報を正していくのもやはり科学です。この記事を見てくれた方にはまず、社会はこれだけ呪われているということを、知っていただきたいですね。 ※1 「ホメオパシー」という代替医療にもとづく治療によって新生児が死亡したとされる2009年の事故。助産師の指導のもと、ビタミンKを投与せずにビタミンKと同様の効果を持つと主張される砂糖玉を新生児に与え、結果生後2ヶ月で硬膜下血腫が原因で死亡した。 ※2 新潟・上越市のNPO法人「子育て支援ひろばキッズスタディオン」の姫川尚美理事長が、自ら考案した「ズンズン運動」と称する施術で、生後4ヶ月の男児を死亡させたとして2015年に逮捕された。「免疫力を高める」「寝付きがよくなる」などが謳われていた』、「医療者の中には開業時に億単位の借金を背負っている人も少なくない。窮状にいる医師たちに、大企業なんかが怪しげな療法を売り込んでくるケースは珍しくありません。 しかも、ありえないくらいの高額を提示してくるんです。そこに飛びついてしまう医療者はごく一部ですが、確実に存在します」、「過去には医療界がデマ、すなわち呪いを後押ししたものもありますが、1個ずつ絡まった糸をほどくように、間違った情報を正していくのもやはり科学です。この記事を見てくれた方にはまず、社会はこれだけ呪われているということを、知っていただきたいですね」、その通りだ。
タグ:子育て (その6)(「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇、又吉直樹が語る 子どものころによく読んだ本とは 「早いころに世の不条理さを知れてよかった」、「子どもが泣き叫ぶのは愛情不足の証拠」…育児の問題をすべて母親に押しつける「呪いの発信者」とは 新生児科医・小児科医ふらいと先生インタビュー #1) 東洋経済オンライン「「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇」 「「気をつけて」という」、「子どもに危険を知らせるこの言葉が、どうして呪う言葉になってしまうのか」、興味深そうだ。 「ブランコ」や「土手を下り」るのまで、「やめさせていた」とは「心配性」を超えて異常だ。 「特殊詐欺」で「500万円ほど騙し取っていました」、「大学生」にしては悪知恵が凄い。 「普通は幼少時に小さなトラブルをいくつも経験しながら、共感性を育みます。自分の言動で相手がどう思うのかを考えることができるようになるのです。ところが、マイはそうした経験ができないままに育ってしまいました」、「マイに限らず、こうした窃盗や詐欺を行う非行少年・犯罪者は共感性が低い傾向があります。「騙されるほうが悪い」と言って、被害者の気持ちを考えようとしません。 しかし、当然ながら騙すほうが100%悪いのです」、その通りだ。 「どう見ても過保護・過干渉でした」、「その結果、マイは危険を自分で察知して判断する能力が低く、危険なことにも簡単に手を出してしまうようになりました。 同時に共感性が低く、相手の気持ちを推し量ることが苦手になってしまいました。 「気をつけて!」と何でも制止すれば、子どもは経験のチャンスを失います。経験にはポジティブな面もネガティブな面もあり、失敗して落ち込んだりイヤな気持ちになったりすることだってあるでしょう。しかしそれが成長の糧なのです」、小学校で校長をしていたといっても、このような「育児」の失敗があり得るというのには、驚かされた。 「自分ひとりでは内省が深まらないようなら、「〇〇ちゃんはどう感じたかな?」というように促してあげるのがいいでしょう。親の考えを言うのではなく、本人に考えさせてあげることです」、なかなか巧みなやり方だ。 「大事なのは内省です。自分の言動や考え方を振り返るのが苦手な子に対しては、「どうしてこういう行動をしたの?」「そのときどう思ったの?」と問いかけて内省を促します。「ここがよくなかったよね」「こんなことしたら、相手は怒るに決まっているよね」などと指摘するのではなく、本人に気づかせてあげてください」、確かに「内省を促します」は有効だが、結構、高度な技だ。 AERAdot「又吉直樹が語る、子どものころによく読んだ本とは 「早いころに世の不条理さを知れてよかった」」 さすが「又吉」氏だけあって、「子どもの」頃からませた考え方だったようだ。 「「答え」を追い求めすぎずに自由に読むと、もっと読書は楽しくなると思います」、その通りなのかも知れない。 「本を面白く読んでみるコツ」は確かに「面白く読」めそうだが、時間もかかりそうだ。 文春オンライン「「子どもが泣き叫ぶのは愛情不足の証拠」…育児の問題をすべて母親に押しつける「呪いの発信者」とは 新生児科医・小児科医ふらいと先生インタビュー #1」 記事冒頭の大泣きしている写真は、「母親」がいかにも慌てそうな場面だ。 「誰かに「母親のせい」と言われるからです。誰かというのは、いままで信頼してきた親御さんだったり、パートナーだったり。その人たちもまた、小さいころに親やまわりからその迷信を聞かされていた。そうした積み重ねの結果です。 家族全体、ひいては社会全体にそういった言説が浸透して伝播して、精神的に特定の人を追い詰めていく。それはまさに「呪い」」、日本社会も困った病理を抱えたものだ。 「専業主婦が神格化され、母性神話が定着」、「母性神話という形になると、母親の理想像の押し付けが強くなり、一気にお母さんの負担が強くなる。 しかも現在は、男性の賃金が減り女性も外で働くようになり、母性神話が成り立たなくなってきています。それなのに思想だけが残り、今を生きる母親たちが苦しめられている現状があります」、 「1990年代に自閉症は母親の愛情不足が原因だという説があり、自閉症の子どもを持つ母親たちが「冷蔵庫の心を持った母親」と呼ばれていました。それも、医学界は一部信じていた。しかし今はもう、科学的根拠によって完全に否定されています。ところが否定された事実はあまり浸透せず、いまだにやっぱり愛情不足じゃないかと、責められる母親たちがいるんです」、「冷蔵庫の心を持った母親」とは酷い言い方だ。 「胎教という文化から発生した、「胎内記憶」と言われている言説ですね・・・その内容は完全にスピリチュアル」、「言葉の呪縛に囚われているお母さんはとても多いです。産んだ責任から一人で悩みを抱え込み、「産褥精神病・・・」という非常に危険な状態になるケースも」、「お母さん」から「言葉の呪縛」を解放する必要がありそうだ。 「医療者の中には開業時に億単位の借金を背負っている人も少なくない。窮状にいる医師たちに、大企業なんかが怪しげな療法を売り込んでくるケースは珍しくありません。 しかも、ありえないくらいの高額を提示してくるんです。そこに飛びついてしまう医療者はごく一部ですが、確実に存在します」、 「過去には医療界がデマ、すなわち呪いを後押ししたものもありますが、1個ずつ絡まった糸をほどくように、間違った情報を正していくのもやはり科学です。この記事を見てくれた方にはまず、社会はこれだけ呪われているということを、知っていただきたいですね」、その通りだ。
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健康(その24)(肩こりは日本人特有 西洋にもアジアにもその概念ナシ 解決のために大事なのは「姿勢」、介護不要な老後を送るのに食べるべきものは?「フレイル予防」の食事術、「沈黙の臓器」腎臓の病気に在宅医療の専門医はどう対峙しているのか?、日本腎臓学会でも注目の「定期的な運動」 ますはちょっと遠回りの散歩から) [生活]

健康については、9月23日に取上げた。今日は、(その24)(肩こりは日本人特有 西洋にもアジアにもその概念ナシ 解決のために大事なのは「姿勢」、介護不要な老後を送るのに食べるべきものは?「フレイル予防」の食事術、「沈黙の臓器」腎臓の病気に在宅医療の専門医はどう対峙しているのか?、日本腎臓学会でも注目の「定期的な運動」 ますはちょっと遠回りの散歩から)である。

先ずは、10月9日付けNEWSポストセブン「肩こりは日本人特有、西洋にもアジアにもその概念ナシ 解決のために大事なのは「姿勢」」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20221009_1800274.html?DETAIL
・『腰痛やひざの痛みと同様に多くの人が悩むのが「肩の痛み」だ。「肩こり」に代表されるように慢性的な症状が多いが、これについて「医学的に“万能薬”のような解決方法はない」と言うのは、横浜市立大学附属市民総合医療センターの北原雅樹医師(ペインクリニック専門医)だ。 「肩こりは“日本人特有”の症状で、西洋はおろか東南アジア、中国や韓国でもそのような概念はないようです。医学的にも定義されているわけではなく、一口に肩こりといっても首、首の付け根、背中、肩甲骨と痛みが出る場所はそれぞれ。痛みの原因となる場所をピンポイントで見極めて、取り除くのはとても難しいことです」 こっていると感じる場所をマッサージなどで揉んでも、実は原因が他の場所にあることも多いのだという。肩こりの根本的な解決を目指すのであれば、まず大事なのは「姿勢」だと北原医師は指摘する。 「ストレートネック(頭の重さを分散させている頚椎のカーブが、俯いた姿勢を続けることで真っ直ぐに変形すること。首まわりの筋肉が常に緊張し、様々な全身症状を引き起こすとされる)や猫背が原因で肩こりになると言われますが、それは間違い。ストレートネックや猫背はむしろ結果で、問題は筋肉の衰えで正しい姿勢ができないことにあります」 正しい姿勢を保つには、骨盤底筋や脊柱起立筋などのインナーマッスルが大事だと北原医師は言う。 「身体の深部にあるインナーマッスルはピンポイントで鍛えることが難しい反面、正しい歩き方をすれば自然と動いて、筋力が維持され、衰えを取り戻すことができます」 まずは、家にある「姿見」で自らの姿勢と向き合うことが大事だという。 「左右の肩の高さは同じか、正面を向いて首を左右に傾けた時に一方だけに痛みや張りを感じないかなど、全身をセルフチェックすると姿勢や筋肉の状態を把握できます。それにより、ストレッチや運動で自分がどこを意識すればよいか分かると思います」 福井医療大学教授で理学療法の第一人者である藤縄理氏も姿勢の大切さを説く。 「正しい姿勢をとっていても、ずっと同じ姿勢でいれば肩こりになります。正しい姿勢をとった上で、例えば1時間ごとにストレッチを挟むといいでしょう」 藤縄教授監修のもと、日常での正しい姿勢を図に示した。 「立っていても座っていても、正しい姿勢は3つのステップで完成します。まず、【1】背すじを伸ばし、【2】あごを引いて胸を張り、その後、【3】下腹部とお尻の穴に少し力を入れて完成です。下腹部に力を入れる時は最初は排尿を止めるようなイメージで骨盤の下をぎゅっと締め、その力を3割程度に緩めるのがポイントです」(藤縄氏)』、「「肩こりは“日本人特有”の症状で、西洋はおろか東南アジア、中国や韓国でもそのような概念はないようです」、とは初めて知った。「医学的にも定義されているわけではなく、一口に肩こりといっても首、首の付け根、背中、肩甲骨と痛みが出る場所はそれぞれ。痛みの原因となる場所をピンポイントで見極めて、取り除くのはとても難しいことです」、確かに難しそうだ。「正しい姿勢をとっていても、ずっと同じ姿勢でいれば肩こりになります。正しい姿勢をとった上で、例えば1時間ごとにストレッチを挟むといいでしょう」、これなら良さそうだ。
・『五十肩は「安静第一」  藤縄氏は、日常的な肩こりでも見逃せない危険なサインがあるという。 「肩や首まわりが重く感じるだけでなく、腕にしびれが出たり、指に力が入りにくくなる症状があったら病院を受診したほうがいいでしょう。神経が圧迫されている危険なサインです」(同前) 間違った姿勢だけでなく、日常の何気ない動作や癖が肩こりの原因になっていることがある。 「あぐらは、普通にしていても背中が丸くなり悪い姿勢になります。脚を組むのも、側弯と呼ばれる背骨が左右に傾く状態になるので、組まないか、左右をバランスよく組み替えることが大事です。 カバンの持ち方も、左右バランスよく負荷がかかるリュックにするか、肩掛けや手持ちの場合は左右バランスよく入れ替えることが大事です。靴が悪いと腰や下半身の負担にもなるので、クッション性のあるものがお勧めです」(同前) 睡眠時の姿勢も大事で、「枕」が重要になる。 「高すぎず低すぎず、首の部分だけが高くなっている枕がいい。仰向けで寝た時に頭部が水平になり、首を支えて胸にかけて下がっていくラインが理想です。あごが上がってしまうのは、首の部分が高すぎです」(同前) 肩の痛みで気をつけたいのが、「四十肩」や「五十肩」だ。これは肩こりとは別の症状だという。 「肩の関節にある、腕を上げたり捻ったりする際に使われる筋肉(腱板)の損傷により発症します。悪い姿勢で腕を上げるなどして腱板が肩甲骨に引っかかり、炎症を起こすのが四十肩や五十肩の原因のひとつ。肩こりとは違って腱や筋肉の組織が損傷しているので、治療は“安静”が第一。痛みが治まったら、腱板を痛めないような背すじを伸ばした良い姿勢での腕の上げ方を身につけることが必要です」(同前)』、「五十肩」は「肩こりとは違って腱や筋肉の組織が損傷しているので、治療は“安静”が第一。痛みが治まったら、腱板を痛めないような背すじを伸ばした良い姿勢での腕の上げ方を身につけることが必要です」、私もこれには相当長期間苦しめられた。

次に、10月24日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した管理栄養士の岡田明子氏による「介護不要な老後を送るのに食べるべきものは?「フレイル予防」の食事術」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/311660
・『いくつになっても健康で、自立した生活を送りたいものです。最近よく言われるようになった「フレイル」という言葉をご存じでしょうか?フレイルとは、高齢者が健康な状態から要介護状態へと変わっていく中間段階のことを指します。今回はいくつになっても健康で自立した生活を送るための、フレイル予防につながる食事術をお伝えしていきます』、「フレイル予防につながる食事術」とは興味深そうだ。
・『フレイルとは「健康な状態と要介護状態の中間」  フレイルは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、「Frailty(フレイリティ:虚弱)」の日本語訳です。高齢期に体力や気力、認知機能などが低下し、将来介護が必要になる危険性が高くなっている状態を指します。つまり、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態です。 ・最近、体重が減ってきた ・食欲がない ・食べる量が減った  こんな傾向が出てきたら、それは「フレイル」かもしれません。早く気づき、予防をすることで、状態の維持や改善が期待できます』、私の場合、幸い3つに該当する「傾向」は出ていない。
・『フレイル予防のための食事ポイント  (1)3食しっかり取る(食事を1食でも抜いてしまうと、1日に必要なエネルギーを摂ることが難しくなります。 どうしても1日2食になってしまう方や、1食の食事量が少ないという方は、間食にチーズやヨーグルトなど栄養を補える間食を取り入れてみましょう。 (2)主食、主菜、副菜を組み合わせて食べる(・主食(ご飯、パン、麺類など) 炭水化物を多く含み、身体のエネルギーのもとになります。主食を減らしすぎると、満足感が得られず、おかずが増えることで脂質や塩分の摂り過ぎにつながったり、間食が増えることで糖質や脂質の取り過ぎにつながったりしてしまいます。 ・主菜(肉、魚、大豆製品、卵など) たんぱく質を多く含み、体づくりの基礎となります。脂質の少ない赤身の肉や魚などがおすすめです。 ・副菜(野菜、キノコ類、海藻類など) ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含み、身体の調子を整えてくれます。毎食1~2皿は摂るように意識しましょう。) (3)タンパク質をしっかり摂る(年齢とともに、歯のかみ合わせや、咀嚼力、飲み込み力が衰えるため、柔らかい食べ物を好むようになります。特に、肉や魚などのタンパク質の量が減る傾向にありますが、タンパク質の摂取量が減ると、筋肉量が減少しフレイルを招きやすくなります。 高齢者が1日に必要なタンパク質量の目安として、1.0~1.2g×体重(kg)が推奨されています。体重が50kgの人なら1日に50g~60gのタンパク質量が必要です。毎食、片手のひらに乗るくらいの量を食べるように意識しましょう。(タンパク質量の目安 はリンク先参照)』、私の場合、
・『タンパク質を取るための買い置き食品  惣菜や缶詰、レトルト食品、冷凍食品は買い置きしておくと便利。簡単にタンパク質を補うことができます。 肉系:冷凍餃子や焼売、ハンバーグ、焼き鳥缶など 魚系:鯖缶、ツナ缶、魚肉ソーセージなど 大豆系:冷凍がんもどき、大豆水煮缶、豆乳、きな粉など 卵系:冷凍オムレツ、厚焼卵、温泉卵、ゆで卵など)』、私の場合、朝食が果物とチーズ付きトースト1枚に牛乳と、簡素過ぎ、条件(1)を満たしていないと、人間ドックの食事指導で指摘されるが、長年の習慣なので、変えられないのが実情である。
・『合言葉は「さあにぎやか(に)いただく」  同じものばかり食べるのではなく、いろいろな食品をバランスよく取ることも大切です。食品にはさまざまな栄養素が含まれています。多様な食品を組み合わせることで、必要な栄養素をバランスよく摂取することができます。合言葉は「さあにぎやか(に)いただく」 さ:さかな あ:あぶら に:にく ぎ:ぎゅうにゅう(乳製品) や:やさい か:かいそう い:いも た:たまご だ:だいず製品 く:くだもの 参考:東京都健康長寿医療センター研究所  偏った食事が続いたり、食事量が減ったりすると体内機能の低下につながり、動くことがおっくうになったり、転倒しやすくなります。シニアになっても、できるだけ体を動かしたほうがいいのはもちろんですし、転倒してケガをすれば寝たきりになるなどの危険もあります。今のうちから普段の食事を見直して、フレイル予防につなげていきましょう』、私は、毎日散歩0.8-1万歩を天候にかかわらず続けており、「フレイル予防」に努めている。

第三に、10月21日付け日刊ゲンダイ「「沈黙の臓器」腎臓の病気に在宅医療の専門医はどう対峙しているのか?」を紹介しよう。
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/278259
・『心筋梗塞、脳梗塞、がんなどという「わかりやすく怖い病気」と比べて、この病気のことはピンとこない人が多い。「慢性腎臓病」は日本人の8人に1人が罹患し、統計上「腎臓病」は死因の第7位である。しかし、これは氷山の一角の数字かもしれない。この病気は自覚のないままに悪化してしまい、腎臓病で命を失う前に、心筋梗塞や脳卒中で命を失うことがあるからだ。そんな慢性腎臓病に在宅医療の専門医はどのように対峙しているのか? 毎年200人の看取りを行う「しろひげ在宅診療所」(東京都江東区)の山中光茂院長に聞いた。 「慢性腎症は糖尿病と関わりがあり、多くの患者さんには身近な病気です。にもかかわらず、この病気に無関心な人が多いのは残念なことです。糖尿病の人は腎臓の機能について検査をしてウオッチすること。また、誰であれ慢性腎症の症状を自覚したらすぐに腎臓病の専門医を受診し、医師やそれを支える管理栄養士に助けを求め、そのアドバイスに従うことが大切です。腎臓の状態に応じた食事やそのための環境づくりは複雑で患者本人や家族だけでフォローするのは困難です」 慢性腎臓病の自覚症状といえば、強度のむくみ、全身の疲労感、夜間の頻尿、心臓への負担増による息苦しさなどが挙げられる。ビールの泡のような尿も慢性腎臓病の症状だ。 「このような症状では、腎臓の糸球体の血管が収縮して毒素を除く濾過機能が下がった状態。血圧が上昇し、貧血が進行していると考えていい」 慢性腎臓病は自覚したときには、すでにかなり進行した状態にある。それなのに、医師などの指導を受けないのは、わざと命を短くしているようなものだ。 「腎臓は『沈黙の臓器』と言われ、よほどのことがないと悲鳴を上げません。しかし、腎臓が働かなければ、尿毒症を起こし命を落としてしまいます。自覚症状がなくても50代を過ぎれば腎臓の機能は落ちていく。その動きを注視するのは健康の要なのです」 実際、在宅診療で「看取り」まで自宅でサポートする場合、腎機能が残された命をカウントする指標のひとつだという。 「慢性腎不全になると、持病の薬も使いにくくなる。薬の多くが腎臓か肝臓で代謝されて体外に排出される。腎機能が弱れば、薬の成分がいつまでも体に残ってしまい、効果が過剰になるだけでなく、副作用で命の危険にもつながります。在宅診療においても、それは同じです」 つまり腎機能が低下すれば薬は「病気を治す」ものではなく、「症状の緩和」「進行抑制」を目的にするしかなくなる。 腎不全の進行は尿検査と血液検査で確認できる。尿のアルブミンの量が過剰なら、腎臓の糸球体に問題があり、腎不全を来している可能性が高い。 「血液検査では『eGFR』という指標を見る必要があります。年齢、性別を考慮したうえで血清クレアチニン値を評価するもので、腎臓にどれだけ老廃物を尿へ排泄する機能があるかを示しています。この値が低いほど腎臓の働きが悪いことになります」』、私の場合、「夜間の頻尿」が該当するが、他の数値は問題なく、人間ドックなどで指摘されたこともないので、大丈夫だろうと勝手に自己診断している。
・『人工透析を選択しない場合は?  腎臓の働きが悪くなれば「人工透析」が必要となる。しかし、透析を選べば、人生におけるそれなりの時間の制約が生まれる。その代わり、それ以外の時間における症状の改善や多少のわがままな食事が許される。透析を選ばなければ食事などの制限を強いられることになる。 「透析の導入は、患者さんが残りの人生をどう暮らすかを選択する一大事です。在宅診療では、『透析導入』により患者さんの全身状態が改善し、余命を伸ばす場合もあります。そのため定期的に採血をし、症状を見ながら透析導入を勧めることもあれば、透析せずに投薬調整により対症療法を続けることもある。選択の指標は、単に『医学的な正しさ』だけでなく、患者さんの人生の充実度の側面が大きいのです」 医師によっては、クレアチニン、eGFRの値だけを見て、「透析適応」と言い切ってしまうが、よくよく考えた方がいいということだ。ちなみに透析を導入しない選択をした場合の生活指導は、塩分と水分の制限、貧血や高血圧などの症状が出たとき症状を緩和する服薬指導となる。 「腎不全では体全体がむくみやすくなり、心臓に負担がかかれば息苦しくなり、腹水で胃を圧迫すれば食欲低下につながります。糖尿病の持病がある方は喉が渇く方も多く、水分制限は在宅の現場でも非常に重要な一方で困難でもあります。その制限が自宅の環境上難しい場合には、週3回の透析で体の水を抜くことで、水分制限や食事制限が緩和され、生活の質が上がる場合もあります」 腎不全は人生の残り時間を考えたうえでの「充実した時間」と、「病気の状態」を考慮した治療法の選択が重要になる。医師は「病気」は診られても、その人の「人生の価値観」は見ることができない。後悔のない選択をするのはあなた自身なのである』、「人工透析」は相当の「時間」がとられるが、「多少のわがままな食事が許される」ようだ。しかし、当然ではあるが、そこに至る前に予防に努めたいものだ。 

第四に、11月3日付け日刊ゲンダイが掲載した赤羽もり内科・腎臓内科院長の森維久郎氏による「日本腎臓学会でも注目の「定期的な運動」 ますはちょっと遠回りの散歩から」を紹介しよう。
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/278312
・『腎臓病予防のために重要なのは、定期的な健康診断で自分の腎臓の状態をチェックすること。つまり、腎臓の力が弱っているかどうかを早期発見することが、何より大切なのです。これは腎臓だけではなく他の病気でもいえることですが、「昨年の健康診断は異常なし。今年は受診しなくてもいいか」と考えるのは少しリスキーです。翌年になって数値がガクッと悪くなることもあり得ますから。腎臓のためだけではなく、健康診断は毎年受診して、気をつけるべき点がないかをチェックしましょう。 さて、「赤羽もり内科・腎臓内科」は、クリニック名からおわかりいただけるように、腎臓病・糖尿病に強い生活習慣病クリニックです。患者さんからよく聞かれる質問が「先生、腎臓はなぜ悪くなるのでしょうか」というもの。実はこれ、難しい質問なんですね。というのも、腎臓が悪くなる原因はひとつではなく、複数の要素が複合的に関わっているからなんです。) では、複数の要素にはどんなものがあるのか。代表的なものとして次のような要因が挙げられます。糖尿病、高血圧、加齢、免疫の病気、遺伝の病気、泌尿器科の病気など。 中でも、日本で人工透析が必要になる患者さんの7割程度が、糖尿病や高血圧が原因で腎機能が悪くなっています。 生活習慣病のコントロール不足の結果、慢性腎臓病になるというケースが多い。 つまり、生活習慣病の予防が腎臓病の予防にもつながるともいえるんですね。 生活習慣病にならないようにするためには「定期的な運動」が必要。それはもう多くの方がご存じですよね。実は最近、日本腎臓学会でも運動が非常に注目されています。定期的な運動が、慢性腎臓病の合併症である心臓や脳の病気だけでなく、腎機能を守る可能性もあると報告されており、近年は腎臓リハビリテーションという概念も誕生しています。 運動といっても、何もジムに行ってハードな筋トレをする必要はないですよ。散歩だって立派な運動です。厚生労働省は1日8000歩を推奨しているので、買い物ついでや通勤の行き帰りなどで少し遠回りをするなどして達成するように工夫してみましょう。 そして、運動は習慣化が大切。これから先ずっと毎日続けていく。これこそ、結果として腎臓を守ることにつながるのです』、「腎臓が悪くなる原因はひとつではなく、複数の要素が複合的に関わっている・・・代表的なものとして次のような要因が挙げられます。糖尿病、高血圧、加齢、免疫の病気、遺伝の病気、泌尿器科の病気など」、幸い「糖尿病、高血圧」は該当しない。「最近、日本腎臓学会でも運動が非常に注目されています。定期的な運動が、慢性腎臓病の合併症である心臓や脳の病気だけでなく、腎機能を守る可能性もあると報告されており、近年は腎臓リハビリテーションという概念も誕生しています」、私も毎日の散歩を日課にしているので、続けよう。それにしても、散歩は、その他にも多くの生活習慣病や高齢者うつにも予防効果がある万能薬のようだ。
タグ:健康 (その25)(肩こりは日本人特有 西洋にもアジアにもその概念ナシ 解決のために大事なのは「姿勢」、介護不要な老後を送るのに食べるべきものは?「フレイル予防」の食事術、「沈黙の臓器」腎臓の病気に在宅医療の専門医はどう対峙しているのか?、日本腎臓学会でも注目の「定期的な運動」 ますはちょっと遠回りの散歩から) NEWSポストセブン「肩こりは日本人特有、西洋にもアジアにもその概念ナシ 解決のために大事なのは「姿勢」」 「「肩こりは“日本人特有”の症状で、西洋はおろか東南アジア、中国や韓国でもそのような概念はないようです」、とは初めて知った。「医学的にも定義されているわけではなく、一口に肩こりといっても首、首の付け根、背中、肩甲骨と痛みが出る場所はそれぞれ。痛みの原因となる場所をピンポイントで見極めて、取り除くのはとても難しいことです」、確かに難しそうだ。 「正しい姿勢をとっていても、ずっと同じ姿勢でいれば肩こりになります。正しい姿勢をとった上で、例えば1時間ごとにストレッチを挟むといいでしょう」、これなら良さそうだ。 「五十肩」は「肩こりとは違って腱や筋肉の組織が損傷しているので、治療は“安静”が第一。痛みが治まったら、腱板を痛めないような背すじを伸ばした良い姿勢での腕の上げ方を身につけることが必要です」、私もこれには相当長期間苦しめられた。 ダイヤモンド・オンライン 岡田明子氏による「介護不要な老後を送るのに食べるべきものは?「フレイル予防」の食事術」 「フレイル予防につながる食事術」とは興味深そうだ。 私の場合、幸い3つに該当する「傾向」は出ていない。 私の場合、朝食が果物とチーズ付きトースト1枚に牛乳と、簡素過ぎ、条件(1)を満たしていないと、人間ドックの食事指導で指摘されるが、長年の習慣なので、変えられないのが実情である。 私は、毎日散歩0.8-1万歩を天候にかかわらず続けており、「フレイル予防」に努めている。 日刊ゲンダイ「「沈黙の臓器」腎臓の病気に在宅医療の専門医はどう対峙しているのか?」 私の場合、「夜間の頻尿」が該当するが、他の数値は問題なく、人間ドックなどで指摘されたこともないので、大丈夫だろうと勝手に自己診断している。 「人工透析」は相当の「時間」がとられるが、「多少のわがままな食事が許される」ようだ。しかし、当然ではあるが、そこに至る前に予防に努めたいものだ。 日刊ゲンダイ 森維久郎氏による「日本腎臓学会でも注目の「定期的な運動」 ますはちょっと遠回りの散歩から」 「腎臓が悪くなる原因はひとつではなく、複数の要素が複合的に関わっている・・・代表的なものとして次のような要因が挙げられます。糖尿病、高血圧、加齢、免疫の病気、遺伝の病気、泌尿器科の病気など」、幸い「糖尿病、高血圧」は該当しない。 「最近、日本腎臓学会でも運動が非常に注目されています。定期的な運動が、慢性腎臓病の合併症である心臓や脳の病気だけでなく、腎機能を守る可能性もあると報告されており、近年は腎臓リハビリテーションという概念も誕生しています」、私も毎日の散歩を日課にしているので、続けよう。それにしても、散歩は、その他にも多くの生活習慣病や高齢者うつにも予防効果がある万能薬のようだ。
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葬式・墓(その2)(もはやホームパーティーより気楽!? 都市部を中心に注目される「自宅葬」、葬儀社選びから節約ポイントまで葬儀のプロが徹底解説…自宅葬「完全マニュアル」 あらゆる疑問に答えます、親父が死んで、私は突然「おくりびと」になった 思わぬものを親父と私と家族にもたらしてくれた、東京23区内の「火葬場」独占企業が中国資本傘下に 「葬儀業者」は締め出されて青息吐息) [生活]

葬式・墓については、2019年8月11日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(もはやホームパーティーより気楽!? 都市部を中心に注目される「自宅葬」、葬儀社選びから節約ポイントまで葬儀のプロが徹底解説…自宅葬「完全マニュアル」 あらゆる疑問に答えます、親父が死んで、私は突然「おくりびと」になった 思わぬものを親父と私と家族にもたらしてくれた、東京23区内の「火葬場」独占企業が中国資本傘下に 「葬儀業者」は締め出されて青息吐息)である。

先ずは、本年7月19日付け現代ビジネス「もはやホームパーティーより気楽!? 都市部を中心に注目される「自宅葬」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/97613?imp=0
・『最近、自宅葬を専門とする葬儀社が各所に生まれている。昔は、自宅で葬儀といえば「プライベートな空間に多数の人が押しよせる、大変な葬儀」というイメージがあった。 しかし葬儀が小規模化するにつれ自宅葬のデメリットが消滅し、メリットの大きいものとして注目されている。その理由と、実際に自宅葬を行うときの注意点をお伝えする』、興味深そうだ。
・『「大変なのはイヤ」  自宅で葬儀をするというと「ちょっと古臭いのでは?」と感じる読者も多いだろう。 手狭な自宅に祭壇や棺を迎え入れ、たくさんの弔問客に対応しているうちに僧侶が到着し、読経が始まる――。 参列者らが帰った後、疲れ切った遺族は荒れた玄関や汚れたトイレの清掃、貴重品が盗まれていないかなどの点検に追われる。プライベートな空間が一瞬にしてオープンな場となる自宅葬は、かつて遺族にとって負担の大きいものだった。 自宅葬が負担になるのは、葬儀社にとっても同じだ。葬儀ホールをひとたび建てれば、祭壇も参列者席も備え付けのまま、遺族や参列者に来てもらえばいいだけ。遺族の自宅へ祭壇や白黒幕、玄関飾りのための看板や提灯などを持ち込んで一日だけの葬儀空間を仕立て上げるより、ずっと省力化できる。 需給双方のニーズが合致したことにより、2000年からの20年間はとくに、葬儀ホールが全国に乱立した。 一般財団法人日本消費者協会が数年ごとに行っている「葬儀についてのアンケート調査」によると、1999年には葬儀専用式場での葬儀が30.2%にとどまっていたが、2014年の時点では、すでに81.8%にまで増加している。 一方、1999年時点で38.9%を占めていた自宅葬は、2014年には6.3%にまで減少している』、「1999年には葬儀専用式場での葬儀が30.2%、2014年の時点では81.8%にまで増加、1999年時点で38.9%を占めていた自宅葬は、2014年には6.3%にまで減少」、「自宅葬」から「葬儀専用式場での葬儀」へのシフトが顕著だ。
・『葬儀の極端な小規模化  しかし、世の中のスタンダードとは裏腹に、最近は自宅葬が業界内で注目されつつある。 日本で初めて自宅葬に特化した葬儀社が生まれたのは2016年のこと。それから少しずつ、地域特化型の自宅葬専門会社が誕生し、今では全国対応の会社もある。私の周辺でも、自宅葬を専門とする会社や、自宅葬を推奨する会社が増えてきている。 最近になって自宅葬が取り沙汰されるようになった要因は、葬儀の劇的な小規模化にある。 2000年代後半から、家族と主な親族だけで参列する「家族葬」が遺族らの支持を集めるようになってきた。義理だけで参列する人たちを廃し、内輪だけで故人を見送る家族葬は、経済的にも精神的にも遺族の負担が少ない。今や都市部では約半数が家族葬を選んでいると言っても過言ではない。 2020年代になると、葬儀の規模はさらに縮小してきた。コロナ禍によって3密が敬遠され、遠くの親族を呼ぶことや、通夜振る舞いや精進落としといった会食を控える動きが出てきたためだ。 遠くに住む長男が葬儀に出席できず兄弟に喪主を頼んだり、「高齢のご住職を葬儀会場に連れてこられない」と、葬儀をせず直葬(ちょくそう。火葬だけを行うこと)を選んだりといったケースもあったほどだ。 葬儀の急激な縮小化はもはや止められず、「こぢんまりとした葬儀」の流行は今後も続くのではないか。業界内はそんな危機感に晒されているが、そこで「これほど参列人数が少ないのなら、いっそ自宅葬がいいのでは」という気づきも生まれた。参列者が遺族と近しい親族だけであれば、もはや格式張った葬儀式場は必要ない』、「2000年代後半から、家族と主な親族だけで参列する「家族葬」が遺族らの支持を集めるようになってきた。義理だけで参列する人たちを廃し、内輪だけで故人を見送る家族葬は、経済的にも精神的にも遺族の負担が少ない。今や都市部では約半数が家族葬を選んでいると言っても過言ではない」、「葬儀をせず直葬・・・を選んだりといったケースもあったほど」、「「これほど参列人数が少ないのなら、いっそ自宅葬がいいのでは」という気づきも生まれた」、なるほど。
・『現代の自宅葬はメリットばかり  かつての自宅葬は、「人がたくさん訪れる」ことが一番のストレスであり、大変さを感じる最大の理由であった。 しかし、「人がたくさん訪れない」のならどうだろう。自分たち遺族と、常に交流があるひとつかふたつの親族だけで行う葬儀。盆暮れの集まりと変わらない顔ぶれなら、家の中をきちんと飾り立てなければという欲求も湧かない。そこに棺があるだけで、お別れの空間ができあがるのだ。 気の置けない親族だけなら、自宅葬の不安要素を全て払拭できるし、自宅葬を理由にさまざまな煩わしさからも解放される。 まず、よけいな見栄を張らずにすむため祭壇や幕、玄関飾りなどで自宅を装飾する必要がない。案内看板類も不要だし、駐車場を手配しなければという心配もいらない。結果、費用をかなり節約することにもつながる。 また、手狭な自宅での葬儀なので」という理由で参列を遠慮してもらったり、大きな供花や供物を辞退できたりする。「大勢に参列されると面倒くさい。供花や供物をもらうと、香典返しが手間……」という遺族の気持ちを、上手に隠すことができるのだ。 もはやメリットばかりという印象の自宅葬。後編となる「葬儀社選びから節約ポイントまで葬儀のプロが徹底解説…自宅葬『完全マニュアル』」では、自宅葬の流れや気になる費用、見逃せない注意点についてもお伝えする』、「よけいな見栄を張らずにすむため祭壇や幕、玄関飾りなどで自宅を装飾する必要がない。案内看板類も不要だし、駐車場を手配しなければという心配もいらない。結果、費用をかなり節約することにもつながる。 また、手狭な自宅での葬儀なので」という理由で参列を遠慮してもらったり、大きな供花や供物を辞退できたりする。「大勢に参列されると面倒くさい。供花や供物をもらうと、香典返しが手間……」という遺族の気持ちを、上手に隠すことができるのだ」、確かに「メリットばかりという印象の自宅葬」、もう少し詳しくみてみよう。

次に、この続きとして、7月19日付け現代ビジネス「葬儀社選びから節約ポイントまで葬儀のプロが徹底解説…自宅葬「完全マニュアル」 あらゆる疑問に答えます」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/97614?imp=0
・『前編記事「もはやホームパーティーより気楽!? 都市部を中心に注目される『自宅葬』」で見たように、いま、自宅葬に注目が集まっている。かつては負担がかかると思われていた葬儀形式だが、「家族葬」や「直葬」が増えて葬儀の小規模化が加速したことで、誰でも簡単にできるようになったのだ。 後編では、実際に自宅葬を行うときの注意点や費用面でのポイントをお伝えする』、興味深そうだ。
・『重要な3つのメリット  自宅葬には、そもそも重要なメリットが3つある。規模の小さな自宅葬であっても、その3つはもちろん享受できる。 1つは、遺族に忘れ物が生じないということだ。 当たり前のようでいて、実はこれが一番のメリットである。通夜と葬儀を葬儀社のホールで行うとなると、遺族は身支度をし、儀式に必要なものを持参して式場に向かうことになる。数珠に始まり、棺に入れてあげたいものまで、さまざまな忘れ物が発生する。 数珠は葬儀ホールで買えるが、棺に入れてあげたいものは、現地で手に入らない。家へ大事なものを取りに帰る時間がなく、そのまま火葬場に向かうことになるという、切ない事例をたびたび見てきた。 2つめは、時間的余裕が生まれるということ。 遺族は、ただ自宅にいさえすればいい。たびたび式場へ向かう手間が省けるだけでも、かなりの時間的余裕が生まれる。加えて葬儀が気の置けない親族だけであれば、式の直前に着付をしてもいいほどだ。 身も心もボロボロの未亡人が葬儀のため朝5時に起きて、眠い目をこすりながらまずは髪をセットしてもらうといった負担は発生しない。 3つめは、故人を住み慣れた自宅から見送れることだ。 長年入院していたり、施設に入居していたりして、自宅に戻れないまま亡くなる故人も多い。自宅葬であれば、最後に故人を懐かしい自宅へ戻してあげられるし、火葬場に向かうまで、ずっと自宅で遺族といられる。このあたたかな記憶は、残される遺族にとっても心の支えになる』、「遺族に忘れ物が生じない」、「時間的余裕が生まれる」、「故人を住み慣れた自宅から見送れる」、いずれも「自宅葬」の「メリット」だ。
・『気になる自宅葬の流れ  自宅葬の大まかな流れは、ホール葬と変わらない。ただ、葬儀の主役は大きな祭壇ではなく棺となり、狭い自宅で行うため棺すなわち故人と参列者との距離が近くなる。棺を囲んで座り、参列者が一人ひとり故人への手紙を読むといった心あたたまる演出がなされるのが特徴だ。 また、故人の写真や動画を盛り込んだオリジナルムービーを流し、参列者がそれを見ながら自由に対話するといった時間も設けられる。会場が狭く、気の置けない人たちばかりが集まる自宅葬だからこそできることだろう。 通夜と葬儀の顔ぶれが同じということもあり、菩提寺と相談して通夜を省略し、葬儀だけを行うといった判断もありうる。 また、通常であれば通夜の前に行う納棺の儀(故人に最後の衣装を着せ、化粧を施して棺に納める儀式)を葬儀に盛り込むような工夫も可能だ』、「通夜を省略し、葬儀だけを行うといった判断もありうる」、確かに「通夜」は無駄ともいえる。
・『自宅葬の費用目安と節約ポイント  少人数の自宅葬は、経済的負担が小さいのも注目したいポイントだ。 香典返しや会食費用といった変動費を考慮しなければ、通夜を省いたプランで30万円ほどが相場となる(お布施は別途)。香典を辞退し、会食をしないと決めてしまえば、変動費を気にする必要もない。 そもそも儀式の必要性を感じないなら、火葬の日まで自宅に安置し、葬儀をせず火葬だけを行う「直葬(ちょくそう)」プランもある。 その場合は10万円台から可能だ。ただ、自治体によって火葬費用が違うため、プラン費用は地域によりかなり変動する。とくに東京23区内は民間の火葬場を使うのが一般的で、火葬費用だけで数万円から10万円の出費となるため気をつけたい。 また、臨終の場所を選ぶのは困難だが、自宅で看取りを行うのであれば病院から自宅への遺体搬送費用を節約できる。遺体搬送費用は距離によって違い、かなりの近距離であれば2万円程度が相場だ。 ほか、仏式ではなく無宗教葬ならお布施を用意する必要はないし、故人の写真や動画を遺族が手持ちのパソコンで編集して手作りのお別れムービーを作成すれば、式のプロデュースに関わる料金が節約できる可能性がある』、「香典返しや会食費用といった変動費を考慮しなければ、通夜を省いたプランで30万円ほどが相場となる(お布施は別途)」、「「葬儀をせず火葬だけを行う「直葬・・・」プランもある。 その場合は10万円台から可能だ」、「故人の写真や動画を遺族が手持ちのパソコンで編集して手作りのお別れムービーを作成すれば、式のプロデュースに関わる料金が節約できる可能性がある」、なるほど。
・『自宅葬を行いたい人のための注意点  自宅葬は、どんな家であってもできるわけではない。 最重要ポイントは「棺が家に入るかどうか」。少人数なら玄関や部屋が多少狭くても、駐車場がなくてもなんとかなる。しかし棺が入らなければ葬儀は難しい。とくに集合住宅では、階段やエレベーターの構造などをあらかじめ調べておきたい。 また、集合住宅の場合は自宅葬をしてもよいものかどうか、マンションの自治会などに事前確認をした方が無難だ。 自宅で葬儀をするとなると、マンション前の人の流れが通常とは少し変わる。読経をすれば声が響くし、霊柩車をマンションの前につけることにもなる。不要なトラブルを生まないためにも、周囲にしっかり説明しておこう。 そして、葬儀社選びにも注意が必要だ。自宅葬を歓迎している葬儀社ばかりではない。設備や人員の関係で、自社のホール葬にしか対応していないところもある。「ここに葬儀を依頼したい」と感じる葬儀社があれば、生前見積もりを依頼して自宅葬ができるかどうか確認しておければ安心だ』、戸建てであっても、「棺が家に入るかどうか」は要チェックだ。「マンション」では「自治会などに事前確認」、「葬儀社選びにも注意が必要」、やはり事前のチェックは周到にしたいものだ。

第三に、8月9日付け東洋経済オンラインが掲載した東京工業大学リベラルアーツ研究教育院 教授の柳瀬 博一氏による「親父が死んで、私は突然「おくりびと」になった 思わぬものを親父と私と家族にもたらしてくれた」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/609883
・『コロナ禍に訪れた、父の死。通夜も葬儀も、身内だけでこぢんまりと行われることになった。 訪れた女性納棺師に導かれ、父を着替えさせるという経験をする。父の体と向き合ったときに見えてきたものは――。 『国道16号「日本を創った道」』の著者である柳瀬博一さんがコロナ禍に父親を送るという経験を綴った『親父の納棺』から一部抜粋、再構成してお届けします』、興味深そうだ。
・『リハーサルなしで「納棺師」の仕事を手伝うことに  「いっそ、お父様のお着替え、お手伝いされませんか?」 納棺師のすずさんは言った。 「ぼくらが、ですか?」思わず、問い返した。 「…….あの、やってもいいんですか?」 「もちろんです」 1秒前まで想像すらしていなかった。 自宅の和室。親父は目の前に横たわっている。 着替えさせたことなんか、ないぞ。しかも、死んでいるのだ。親父は。 いきなりリハーサルなしで、私は「納棺師」の仕事を手伝うことになった。 そう、「おくりびと」をやることになったのである。 2021年5月20日。親父が死んだ。実家のある静岡のとある病院で。87歳だった。 親父の病と死は、新型コロナウィルスの感染拡大時期とぴったり重なっている。 親父自身はコロナに罹って亡くなったわけではない。 が、コロナがもたらした急激な社会の変化に、親父は翻弄された。家族も翻弄された。 生きた親父と私が最後に会ったのは、亡くなる8カ月前、2020年夏のことだった。 3カ月間入院していた病院のエレベーターホールで。たった10分間だけの面会である。外部の人間が病院に立ち入ることは、原則禁止されていた。 退院した親父は、自宅には戻らず、そのまま特別養護老人ホームに入所した。 老人ホームででも、親父と会うことは不可能だった。 もちろんコロナ禍の影響である。東京で暮らす私、弟、海外に住む妹、老人ホームから徒歩圏内に暮らす親父の妻=母。誰も、親父と面会できなかった。 老人ホームに入所して半年後の2021年春。体調が悪くなった親父は、再び病院に入院した。 引き続き、面会はできない。電話で話をすることも無理だった。 すべて、「コロナ」のせいである。 入院から1ヵ月半後。 親父はあっさりこの世を去った。 通夜は家族だけで行った。母、弟、妹、叔母、そして私。たった5人である。 うちはカソリックなので、翌日の葬儀は地元のカソリック教会で行った。 参列した人は数えるほどだった。 人が集まることは極力避けねばならない。 お通夜も葬儀もごく少人数しか参加できない。親戚の大半も、友人も、知人も、立ち会えなかった。すべて、「コロナ」のせいである。 親父が死んだその日。私と弟は東京から車で実家に戻った。 通夜は4日後。葬儀は5日後だ。誰も弔問にこない。喪主の挨拶も、知らぬ人の涙も、大勢の親族との献杯もない。 と書くと、さみしい別れ、のように聞こえるかもしれない。 ところが、である。実は、ちょっと違った。いや、ずいぶん違った。 私が実家を出たのは40年近く前のこと。東京の大学に進学して以来、ずっと首都圏住まいである。前職は日経BP社で現在は、東京工業大学でメディア論を教えている大学教員だ。暮らしの場も仕事の場もずっと首都圏だった。静岡県にある実家に戻るのは年に1度か2度、盆と正月くらいである。5日間も(死んでいるけれど)親父と一緒にいたのは、大学卒業以来初めてである。 そしてなにより、私と私の家族は、想像もしなかった経験をすることになった。 親父の納棺を直接手伝ったのである。手伝ったどころじゃない。 納棺の儀の大半を、いきなり練習もなしにやったのである。死装束をクローゼットから選び出し、親父を丸裸にして、パンツをはかせ、シャツを着せ、靴下をはかせ、ステテコをはかせ、ズボンをはかせ、ジャケットを着せ、ネクタイを締めたのだ。 つまり「おくりびと」になったわけだ』、「生きた親父と私が最後に会ったのは、亡くなる8カ月前、2020年夏のことだった。 3カ月間入院していた病院のエレベーターホールで。たった10分間だけの面会である。外部の人間が病院に立ち入ることは、原則禁止されていた」、「退院した親父は、自宅には戻らず、そのまま特別養護老人ホームに入所した。 老人ホームででも、親父と会うことは不可能だった。・・・誰も、親父と面会できなかった。 老人ホームに入所して半年後の2021年春。体調が悪くなった親父は、再び病院に入院した。 引き続き、面会はできない。電話で話をすることも無理だった。 すべて、「コロナ」のせいである。 入院から1ヵ月半後。 親父はあっさりこの世を去った」、「5日間も・・親父と一緒にいたのは、大学卒業以来初めてである。 そしてなにより、私と私の家族は、想像もしなかった経験をすることになった。 親父の納棺を直接手伝った・・・ 納棺の儀の大半を、いきなり練習もなしにやったのである。死装束をクローゼットから選び出し、親父を丸裸にして、パンツをはかせ、シャツを着せ、靴下をはかせ、ステテコをはかせ、ズボンをはかせ、ジャケットを着せ、ネクタイを締めたのだ」、生前は「コロナ」の影響で親しくできなかったのが、死後は「納棺の儀の大半を」「やったことで」、濃密な親子関係を過ごすことが出来たようだ。
・『「コロナ」が奪ったものともたらしたもの  私たち家族は、葬儀までの5日間、亡くなった親父と、平時ではありえなった、静かだけれど濃密な時間を過ごした。 ……奇妙な話だが、「コロナ」のおかげである。 2020年1月以来、世界を覆い尽くした新型コロナウィルスは、私たちの日常からさまざまなものを瞬時に奪った。たくさんの人々の生命が危機にさらされ、人と人とが物理的に会うことが困難になり、当たり前の社会活動ができなくなった。私の場合、親の死に目に会えなかった。 一方、コロナ禍は、想像もつかなかった体験をもたらした。物理的に会えない代わりに、私たちはインターネットのリモート会議サービスを活用し、遠く離れた家族や友人と、かつてより頻繁に密接にコミュニケーションをとるようになった。出勤や通学を自粛せざるをえず、自宅にこもるようになって、家族と向き合う時間が物理的に増え、近所で過ごすことが多くなった。 親父が火葬場で灰と煙となった夜。私は、5日間の経験を、その間に劇的に変化した自分の主観についてを、すぐにパソコンに打ち込んだ。生々しい体験だった。だからこそ、すぐに書いておかなければ、あっという間にディテールを忘れてしまうだろう。 自分の経験と感じたことを言葉に置き換えているうちに、気づいたことがあった。 死んだ親父の体に直接ふれ、服を着替えさせる納棺という仕事。 それは、きわめて具体的な「死者との対話」だった。 納棺の手伝いをするその直前まで、おくりびとになるまで、私は親父の死を、親父の遺体を、ちゃんと感じることができていなかった。 コロナ禍でずっと会っていなかったからだろうか。最期を直接みとれなかったからだろうか。そうかもしれない。そういえば、祖父母や友人が突然亡くなったとき、目の前に遺体があるのに、なぜかリアリティを感じることができない。そんな戸惑いを覚えた経験が何度かあった。 実際の通夜や葬儀の場で、そこに親しい人間の遺体があるのに、その遺体の意味を、死んだという事実を、二度と戻ってこない喪失を、うまく汲み取れない。目の前に遺体があるのに、だ。親しかった人の遺体がリアルな存在に感じられない。白い棺に入り、花に縁取られ、白装束を身にまとった故人。亡くなったばかりの本人の体が横たわっている。 現代においては、よっぽど近くで寄り添っていない限り、私たちは、すでに亡くなった人の死に直面することが困難だ。お通夜に駆けつけても、故人はすでに棺に納められ、祭壇に飾られた花とともに、本人ではなく本人の象徴のような存在になっている。そのまま翌日になれば、葬儀が行われ、すぐに荼毘に付されてしまう。遺された者が故人の死を肉体的に直接感じる機会は、ほとんどない』、「死んだ親父の体に直接ふれ、服を着替えさせる納棺という仕事。 それは、きわめて具体的な「死者との対話」だった。 納棺の手伝いをするその直前まで、おくりびとになるまで、私は親父の死を、親父の遺体を、ちゃんと感じることができていなかった」、「現代においては、よっぽど近くで寄り添っていない限り、私たちは、すでに亡くなった人の死に直面することが困難だ。お通夜に駆けつけても、故人はすでに棺に納められ、祭壇に飾られた花とともに、本人ではなく本人の象徴のような存在になっている。そのまま翌日になれば、葬儀が行われ、すぐに荼毘に付されてしまう。遺された者が故人の死を肉体的に直接感じる機会は、ほとんどない」、その通りだ。
・『おくりびとになって消えた戸惑い  実家に戻って、布団に横たわる亡くなった親父と対面したとき、私自身が戸惑った。 うまく感情が出てこない。妙に覚めた、妙に他人行儀な、斜め上から見ているような自分の視線に気づいた。なぜ、こんなによそよそしいんだ。 その戸惑いは、しかし翌日の午後、たちどころに消えてしまった。 納棺師の誘いで、私は、おくりびとになったからである。 親父の体にふれ、手を握り、裸にし、服を着替えさせた瞬間、目の前の遺体は、抽象的な存在から、昔から知っている肉親に戻った。 着替えさせながら、私は親父に話しかけた。声を出して。 「死者との対話」というやつを、きわめて即物的にやっちゃったのだ。 そしてその経験は、思わぬものを、亡くなった親父と私と家族にもたらしてくれた。 ひとことで言うと、「ケア」だ。では、そのケアとはなにか。 それは、死んでしまった人へのケア、死んでしまった人からのケアだ。 「納棺」は、死者の弔いである前に、死者と生者、両方へのケアなのだ。) 「ケア」の仕事とはなにか。 通常は、医療や介護の世界の現場で、患者や老人、障害者のお世話をする仕事のことを指すケースが多い。ここで疑問が生じる。ケアは、生きている人だけのものなのか? 私たちは遠い昔から死者を弔ってきた。弔いは間違いなく死者に対するケアである。 宗教も葬儀も古墳もピラミッドもお墓もミイラもお盆も、死者に対するケアだ。 ただし、私が見落としていた死者へのケアがあった。 亡くなったばかりの遺体、つまり死体に対する物理的なケア、である。まさに今回、私が経験した、親父の手を握り、服を着替えさせた、あの行為だ。人は亡くなっても、体はそこに残っている。死体のケアなくして、葬儀も火葬も埋葬もお墓も一周忌もない。 間違いなく、死体のケアは、宗教の誕生より前から存在していたはずである。ケアしなければ死体は腐っていくままだ。私たちの先祖は、はるか昔から死体となった親しい人のケアをしてきたはずだ。もしかすると死体のケア、死者との物理的なケアを通して生まれてきた物語や宗教があったかもしれない』、「親父の体にふれ、手を握り、裸にし、服を着替えさせた瞬間、目の前の遺体は、抽象的な存在から、昔から知っている肉親に戻った。 着替えさせながら、私は親父に話しかけた。声を出して。 「死者との対話」というやつを、きわめて即物的にやっちゃったのだ。 そしてその経験は、思わぬものを、亡くなった親父と私と家族にもたらしてくれた。 ひとことで言うと、「ケア」だ。では、そのケアとはなにか。 それは、死んでしまった人へのケア、死んでしまった人からのケアだ。 「納棺」は、死者の弔いである前に、死者と生者、両方へのケアなのだ』、
・『たんなる儀式ではない  そんな死体のケアについて、でも、私は、自分が直接経験するまで思いを馳せることはなかった。 納棺師のオフィシャルな仕事は、数日内に焼き場で燃やされてこの世からいなくなってしまう人に、ふさわしい衣装を着せ、ふさわしい化粧をして、弔ってあげることだろう。 ただし、それはたんなる儀式ではない。着替えと死化粧の施しだけじゃない。そこには、亡くなった方に対する、そして遺された人たちに対する、「ケア」すべてが含まれているのだ。ただし、通常、この死体のケアに遺族が直接かかわることはほとんどない。通夜や葬儀の準備におおわらわで、主人公=死者の死体のケアは、プロ=納棺師に任せきりになってしまうのが通例だ。 だから、私たちは、棺の中に隔離された「故人」と遠巻きに対面するしかない。 世界トップの高齢者社会である日本は、これから未曾有の高齢者多死時代を迎える。戦後、日本が若かった時代の年間死者数は60万人程度だった。それが高齢化が進むと次第に死者数は増え、2016年には130万人を超えた。国立社会保障・人口問題研究所の調べでは、2024年以降、毎年150万人の日本人が亡くなる。そんな時代が50年前後続くという。 誰かの死を看取るという行為は、あらゆる日本人にとって当事者問題にすでになっている。 だからこそ、亡くなった人と残された人との間の最後のコミュニケーションの機会である「納棺」「おくりびと」経験の重要性について、少しでも多くの人に知ってもらいたい。たまたまコロナ禍のまっただなかで親父を亡くし、たまたま「おくりびと」経験をした、私の個人的な思いである』、私の父母の葬儀では、病院で死んだので、私自身は「おくりびと」経験は出来なかった。残念だが、殆どの「日本人」も同様なのでしょうがない。

第四に、10月13日付けデイリー新潮「東京23区内の「火葬場」独占企業が中国資本傘下に 「葬儀業者」は締め出されて青息吐息」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/10131040/?all=1
・『ラオックスグループ  東京23区に火葬場は9カ所ある。7カ所が民営で、そのうち6カ所を運営するのが「東京博善」だ。安倍晋三元首相が荼毘に付されたのも東京博善の「桐ケ谷斎場」だった。皇族と縁の深い「落合」や「代々幡」なども管轄する東京博善が、今夏から、中国系企業に様変わり。葬儀業界は不測の事態に見舞われることとなった。 東京博善が運営する火葬場は需要には事欠かず、売上高は年間93億円超。純資産355億円という超リッチ企業である。親会社は、印刷事業が中核の「広済堂HD(ホールディングス)」だ。 2019年7月、広済堂大株主の「エイチ・アイ・エス」澤田秀雄会長が所有株を手放した。売り先は中国人実業家、羅怡文(らいぶん)氏率いるラオックスグループの「グローバルワーカー派遣」なる人材派遣会社だった。以降も買い増しを続けたグローバルワーカー派遣は筆頭株主に。共同保有者の「R&LHD」と併せれば、羅氏の保有する広済堂株は25%超に達した。 今年1月には、広済堂が羅氏関連の投資会社に第三者割当増資を実施。その結果、羅氏は40%超の広済堂株を押さえ、必然的に東京博善も勢力下に収めたのである』、「東京博善が運営する火葬場は需要には事欠かず、売上高は年間93億円超。純資産355億円という超リッチ企業」、その筆頭株主が「「エイチ・アイ・エス」澤田秀雄会長」から「羅怡文・・・氏率いるラオックスグループの「グローバルワーカー派遣」なる人材派遣会社」に変わったとは初めて知った。
・『締め出し  23区内に拠点を持つ葬儀業者によると、 「これまで、火葬場を利用するには、まず葬儀業者に依頼しなければなりませんでした。東京博善は葬儀事業に手を出さず、業者との間で棲み分けができていた。ところが、今年7月から、東京博善でも葬儀が執り行えるようになりました。広済堂が大手葬儀社の“燦HD”と手を組み“グランセレモ東京”という合弁会社を設立したからです」 同時に、東京博善は葬儀業者向けに「ウェブサイト掲載ガイドラインについて」なるものを示した。葬儀業者は、東京博善の斎場をウェブでの宣伝に用いることを禁じられたという。 「違反を続けると締め出しを食らうとのことでしたので、やむなくガイドラインに従った。その結果、月3000万円前後だった東京博善での売上が一気にゼロに落ち込みました」 葬儀業者は青息吐息の経営状況に追いやられる一方で、東京博善が荒稼ぎを加速させるのは間違いない。 「週刊新潮」2022年10月13日号「MONEY」欄の有料版では、東京博善が運営する火葬場の歴史や広済堂株をめぐる争い、葬儀業界の現状を詳報する。東京博善は「ご喪家ファーストの観点から、混乱を招くような広告はあってはならない」との判断でガイドラインを示したと主張している』、「葬儀業者は、東京博善の斎場をウェブでの宣伝に用いることを禁じられた」、「月3000万円前後だった東京博善での売上が一気にゼロに落ち込みました」、これだけでは分かり難いが、「広告」ルールに従っただけで、「月3000万円前後だった東京博善での売上が一気にゼロに落ち込みました」というのは理解出来ない。「東京博善」の「葬儀業者」は多数ある筈なので、他社はどうなのかも知りたいところだ。筆頭株主が代わっただけで、こんな混乱が起きるとは信じ難い。
タグ:葬式・墓 (その2)(もはやホームパーティーより気楽!? 都市部を中心に注目される「自宅葬」、葬儀社選びから節約ポイントまで葬儀のプロが徹底解説…自宅葬「完全マニュアル」 あらゆる疑問に答えます、親父が死んで、私は突然「おくりびと」になった 思わぬものを親父と私と家族にもたらしてくれた、東京23区内の「火葬場」独占企業が中国資本傘下に 「葬儀業者」は締め出されて青息吐息) 現代ビジネス「もはやホームパーティーより気楽!? 都市部を中心に注目される「自宅葬」」 「1999年には葬儀専用式場での葬儀が30.2%、2014年の時点では81.8%にまで増加、1999年時点で38.9%を占めていた自宅葬は、2014年には6.3%にまで減少」、「自宅葬」から「葬儀専用式場での葬儀」へのシフトが顕著だ。 「2000年代後半から、家族と主な親族だけで参列する「家族葬」が遺族らの支持を集めるようになってきた。義理だけで参列する人たちを廃し、内輪だけで故人を見送る家族葬は、経済的にも精神的にも遺族の負担が少ない。今や都市部では約半数が家族葬を選んでいると言っても過言ではない」、「葬儀をせず直葬・・・を選んだりといったケースもあったほど」、「「これほど参列人数が少ないのなら、いっそ自宅葬がいいのでは」という気づきも生まれた」、なるほど。 「よけいな見栄を張らずにすむため祭壇や幕、玄関飾りなどで自宅を装飾する必要がない。案内看板類も不要だし、駐車場を手配しなければという心配もいらない。結果、費用をかなり節約することにもつながる。 また、手狭な自宅での葬儀なので」という理由で参列を遠慮してもらったり、大きな供花や供物を辞退できたりする。「大勢に参列されると面倒くさい。供花や供物をもらうと、香典返しが手間……」という遺族の気持ちを、上手に隠すことができるのだ」、確かに「メリットばかりという印象の自宅葬」、もう少し詳しくみてみよう。 現代ビジネス「葬儀社選びから節約ポイントまで葬儀のプロが徹底解説…自宅葬「完全マニュアル」 あらゆる疑問に答えます」 「遺族に忘れ物が生じない」、「時間的余裕が生まれる」、「故人を住み慣れた自宅から見送れる」、いずれも「自宅葬」の「メリット」だ。 「通夜を省略し、葬儀だけを行うといった判断もありうる」、確かに「通夜」は無駄ともいえる。 「香典返しや会食費用といった変動費を考慮しなければ、通夜を省いたプランで30万円ほどが相場となる(お布施は別途)」、「「葬儀をせず火葬だけを行う「直葬・・・」プランもある。 その場合は10万円台から可能だ」、「故人の写真や動画を遺族が手持ちのパソコンで編集して手作りのお別れムービーを作成すれば、式のプロデュースに関わる料金が節約できる可能性がある」、なるほど。 戸建てであっても、「棺が家に入るかどうか」は要チェックだ。「マンション」では「自治会などに事前確認」、「葬儀社選びにも注意が必要」、やはり事前のチェックは周到にしたいものだ。 東洋経済オンライン 柳瀬 博一氏による「親父が死んで、私は突然「おくりびと」になった 思わぬものを親父と私と家族にもたらしてくれた」 「生きた親父と私が最後に会ったのは、亡くなる8カ月前、2020年夏のことだった。 3カ月間入院していた病院のエレベーターホールで。たった10分間だけの面会である。外部の人間が病院に立ち入ることは、原則禁止されていた」、「退院した親父は、自宅には戻らず、そのまま特別養護老人ホームに入所した。 老人ホームででも、親父と会うことは不可能だった。・・・誰も、親父と面会できなかった。 老人ホームに入所して半年後の2021年春。体調が悪くなった親父は、再び病院に入院した。 引き続き、面会はできない。電話で話をすることも無理だった。 すべて、「コロナ」のせいである。 入院から1ヵ月半後。 親父はあっさりこの世を去った」、「5日間も・・親父と一緒にいたのは、大学卒業以来初めてである。 そしてなにより、私と私の家族は、想像もしなかった経験をすることになった。 親父の納棺を直接手伝った・・・ 納棺の儀の大半を、いきなり練習もなしにやったのである。 死装束をクローゼットから選び出し、親父を丸裸にして、パンツをはかせ、シャツを着せ、靴下をはかせ、ステテコをはかせ、ズボンをはかせ、ジャケットを着せ、ネクタイを締めたのだ」、生前は「コロナ」の影響で親しくできなかったのが、死後は「納棺の儀の大半を」「やったことで」、濃密な親子関係を過ごすことが出来たようだ。 「死んだ親父の体に直接ふれ、服を着替えさせる納棺という仕事。 それは、きわめて具体的な「死者との対話」だった。 納棺の手伝いをするその直前まで、おくりびとになるまで、私は親父の死を、親父の遺体を、ちゃんと感じることができていなかった」、 「現代においては、よっぽど近くで寄り添っていない限り、私たちは、すでに亡くなった人の死に直面することが困難だ。お通夜に駆けつけても、故人はすでに棺に納められ、祭壇に飾られた花とともに、本人ではなく本人の象徴のような存在になっている。そのまま翌日になれば、葬儀が行われ、すぐに荼毘に付されてしまう。遺された者が故人の死を肉体的に直接感じる機会は、ほとんどない」、その通りだ。 「親父の体にふれ、手を握り、裸にし、服を着替えさせた瞬間、目の前の遺体は、抽象的な存在から、昔から知っている肉親に戻った。 着替えさせながら、私は親父に話しかけた。声を出して。 「死者との対話」というやつを、きわめて即物的にやっちゃったのだ。 そしてその経験は、思わぬものを、亡くなった親父と私と家族にもたらしてくれた。 ひとことで言うと、「ケア」だ。では、そのケアとはなにか。 それは、死んでしまった人へのケア、死んでしまった人からのケアだ。 「納棺」は、死者の弔いである前に、死者と生者、両方へのケアなのだ 私の父母の葬儀では、病院で死んだので、私自身は「おくりびと」経験は出来なかった。残念だが、殆どの「日本人」も同様なのでしょうがない。 デイリー新潮「東京23区内の「火葬場」独占企業が中国資本傘下に 「葬儀業者」は締め出されて青息吐息」 「東京博善が運営する火葬場は需要には事欠かず、売上高は年間93億円超。純資産355億円という超リッチ企業」、その筆頭株主が「「エイチ・アイ・エス」澤田秀雄会長」から「羅怡文・・・氏率いるラオックスグループの「グローバルワーカー派遣」なる人材派遣会社」に変わったとは初めて知った。 「葬儀業者は、東京博善の斎場をウェブでの宣伝に用いることを禁じられた」、「月3000万円前後だった東京博善での売上が一気にゼロに落ち込みました」、これだけでは分かり難いが、「広告」ルールに従っただけで、「月3000万円前後だった東京博善での売上が一気にゼロに落ち込みました」というのは理解出来ない。「東京博善」の「葬儀業者」は多数ある筈なので、他社はどうなのかも知りたいところだ。筆頭株主が代わっただけで、こんな混乱が起きるとは信じ難い。
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健康(その23)(労働者の6割が健康診断「異常あり」の深刻な事態 しかも「要再検査を放置している人」が約半数も、急に倒れて救急搬送→集中治療室へ…「健康診断オールA」の人を突然襲う重篤な病気 脳梗塞 不整脈 がんのちょっとした兆候を見逃しがち、認知症と「歯磨き」の意外な関係 35歳以上が絶対やるべき習慣とは) [生活]

健康については、9月7日に取上げたばかりだ。今日は、(その23)(労働者の6割が健康診断「異常あり」の深刻な事態 しかも「要再検査を放置している人」が約半数も、急に倒れて救急搬送?集中治療室へ…「健康診断オールA」の人を突然襲う重篤な病気 脳梗塞 不整脈 がんのちょっとした兆候を見逃しがち、認知症と「歯磨き」の意外な関係 35歳以上が絶対やるべき習慣とは)である。

先ずは、9月13日付け東洋経済オンラインが掲載したえむでぶ倶楽部ニュース編集部 記者の君塚 靖氏と 汲田 玲未衣氏による「労働者の6割が健康診断「異常あり」の深刻な事態 しかも「要再検査を放置している人」が約半数も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/616297
・『健康診断を受けた人のなかで有所見者の占める割合“有所見率”が、今、6割に急接近している。 有所見者とは健診で医師が判定した「異常なし」「要経過観察」「要再検査」「要精密検査」「要治療」のうち、「異常なし」以外の人をいう』、
・『上昇傾向が続く有所見率  有所見率は、厚生労働省がまとめた定期健康診断実施結果でわかる。定期健康診断実施結果は、50人以上が常勤している事業所が実施する定期健康診断、いわゆる“職場の健診”の有所見率などを集計したもの。労働安全衛生法第66条に基づき、事業者は労働者に対して医師による健康診断を実施しなければならない、労働者は事業者が実施する健診を受けなくてはならないとしている。 結果を見ると、2021年は58.7%。1997年までは3割台だったが、2008年に5割を超え、それ以降、上昇傾向を続けている(下の図)。 有所見率の上昇傾向は、加齢に伴い、高血圧症、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病の予備軍が増えていることが要因と考えられる。 社会医療法人若竹会が運営するつくばセントラル病院(茨城県牛久市)健診センター長の神谷英樹医師は、「就業人口の年齢分布は若年者が減少し、高齢者が増加しているので、定期健康診断での有所見率の上昇は高齢者が増加した影響を受けていると考えられる」と話す。そのうえで、「年齢や年代ごとの有所見率の推移を検討する必要があるが、生活習慣病が増加している可能性もある」とコメントする。) なお、定期健康診断結果報告は健診の実施者数と有所見者数を報告することになっているが、性別、年齢を記載するようになっていないため、年齢別の有所見率や年齢調整した有所見率を算出することはできない。 一方で、こんな意見もある。 厚労省のがん検診に関する検討会などで構成員を務めている医師で、公益財団法人福井県健康管理協会(福井市)の松田一夫副理事長・がん検診事業部長は、「有所見率の年次推移は意味があるのかもしれない。ただし、労働安全衛生法に基づく職場の健診の有所見率は、判定する医師のばらつきが大きいと思う」と指摘する』、「定期健康診断結果報告は健診の実施者数と有所見者数を報告することになっているが、性別、年齢を記載するようになっていないため、年齢別の有所見率や年齢調整した有所見率を算出することはできない」、何故、あとから統計処理に必要な項目を記載させないのだろうか。厚労省の新たなお粗末だ。
・『3人に1人が血中脂質の異常  検査項目別の有所見率では、血中脂質が33.0%と最も高く、次いで血圧が17.8%、肝機能が16.6%だった 。 遺伝的な要素や体質だけでなく、食習慣、運動不足、肥満などが影響しているとみられる検査項目が有所見率の上位となり、それぞれ上昇している。こちらについて前出の神谷氏は、「血圧や脂質、血糖、肝機能、心電図で有所見率が徐々に増加しているので、生活習慣病やその予備軍が増加していることが読み取れる。これも、先ほど指摘したように、受診者の年齢の影響を受けるので、単純に、『生活習慣病が増加した』と結論づけることはできない」という。 貧血も徐々に増加しているが、その理由はよくわからないという。そのうえで、「定期健康診断で貧血を認める方の多くは閉経前女性なので、受診者の女性比率の上昇、つまり就業人口に占める女性の割合が増えている可能性がある」と考察する。 かつて地域産業保健センターからの委嘱で複数企業の産業医をしていた千葉大学予防医学センター(千葉市)の坂部貢特任教授は、職場の健診で血圧測定する受診者からよく聞く言葉として、「健診で測定すると血圧は高くなるが、自宅でリラックスして測るとこれほど高くならない」という言葉を挙げ、これには意外なリスクが潜んでいると指摘する。 医療環境下で血圧が高くなる、いわゆる「白衣高血圧」の人は、早朝高血圧や夜間高血圧が生じているケースもあり、常に血圧レベルの高い人と同じように、脳卒中などを発症するリスクを抱えているというのだ。 貧血については、現行はヘモグロビンの数値が中心になっていて、鉄分やフェリチンなどが足りなくなる、いわゆる“隠れ貧血”を見つけ出せていないケースがあることにも注意が必要だという。健診内容全体について、前出の松田氏は「健診項目で最も意味があると世界的に認められているのは、肥満度と血圧、および血糖値のみ」と指摘。また、「職場の健診では、空腹時ではなく午後(食後)にも行われていると思うので、とりわけ、血中脂質や血糖値の判定には疑問が残る」とし、こうアドバイスする。 「(健診は)空腹時に限り、この3つの項目に絞って、医師の判定ではなく、BMI(Body Mass Index:体格指数)、2回実施する血圧測定の平均値、内服薬の有無、空腹時血糖値、あるいは過去1~2カ月間の血糖値を示すHbA1c値のみで比較することで、意味があるかもしれない。医師の判断だけでなく、数値で判断したほうがいいだろう」) 定期健康診断実施結果では、業種別の有所見率もわかる。 最も高かったのは「石炭鉱業」で88.9%。次いで「土石採取」(78.3%)、「道路旅客」(74.9%)となった一方で、最も低いのが48.1%の「鉄道等」で、「他の運輸」(51.3%)、「輸送機械」(52.3%)の順番だ(下の図)。 業種別の有所見率(リンク先参照) これについて坂部氏は、過去の産業医の経験も踏まえ、「当時はほぼ同年代で比較すると、IT関連企業の研究職の有所見率は低い傾向、トラックなど運輸、物流関係の有所見率は高い傾向だった」と指摘する。 建設業の「土木工事」の有所見率は70.9%、「建築工事」は61.9%と、上位3位には入っていないが、高い水準だ。 等潤病院(東京都足立区)などを運営する社会医療法人社団慈生会の伊藤雅史理事長は、医師として外来診療や手術をするかたわら、同院に併設する健診センター等潤で、健診受診者の判定もしている。 「当院のある地域の特性で建設業に従事する人を多く診ているが、有所見で要再検査などと判定するケースは少なくない。建設業は力仕事のストレスを発散するためか、酒を飲み過ぎたり塩分を取り過ぎたりするなど、食生活を起点にした生活習慣病の予備軍が散見される」と話す』、「「白衣高血圧」の人は、早朝高血圧や夜間高血圧が生じているケースもあり、常に血圧レベルの高い人と同じように、脳卒中などを発症するリスクを抱えている」、「白衣高血圧」は初めて知ったが、あり得る話だ。
・『受けっぱなしにしない現場の工夫も  有所見者が自主的に医療機関に行くのが望ましいが、職場などから再検査や治療を受けるようよう促されても、働き盛りの世代は忙しいことを理由に健康管理を後回しにするので、病気を早期発見できなかったり、治療のタイミングを逃したりしてしまう。 有所見となった人が実際にどの程度、再検査や治療を受けたかといったデータの最新のものは見当たらず、厚労省がまとめた2012年「労働者健康状況調査」にまでさかのぼらなくてはならない。 この調査によると定期健康診断で「所見ありと通知された人」を100.0%とすると、「要再検査または要治療の指摘があった人」が75.0%、そのうち「再検査または治療を受けた人」が48.3%、「再検査または治療を受けなかった人」が26.7%だった。) 有所見と判定された人が周りに言われるのではなく、自分の意思で後日、再検査や治療のために医療機関を受診することが望ましいが、前出の伊藤氏は、「例えば、(事業所が実施する定期健康診断にある聴力検査で)聴力に異常があったとしても日常生活に大きな支障を来さないため、医療機関を受診しようという発想にまではいたらないのだろう」と話す。
前出の坂部氏も、「再検査を受けなければ、最初の健診自体の意味がなくなることを真剣に考えなくてはいけない」と強調する。もちろん、職場で有所見の人が再検査を受けることが自然になるような雰囲気の醸成も必要だ。 そんななか、山香病院(大分県杵築市)は健診後に医療機関を受診する「二次検診」の受診率向上に向けた試行的な取り組みをしている。 同院健診センターで健診を受け、生活習慣病(血圧、血糖、脂質)および、がん(肺、胃、大腸、子宮、乳)の項目で要精密検査対象となった人で、健診後3カ月が経過しても二次検診を受けていない人に対しては、従来、郵送の書面を通じて医療機関を受けるよう促す“受診勧奨”をしていたが、2016年から、これまでの3カ月後に加えて、6カ月後にも受診勧奨をはじめた。その効果を、同院健診センター保健師の平早水陽子さんらが調査した。 その結果、2014年に48.4%、2015年に56.0%だった二次検診受診率が、2016年には63.7%に上昇。細かくみると、2016年の受診率は、がんが74.1%だったが、生活習慣病は51.8%にとどまっている。年代別でみると、生活習慣病の受診率は高齢者に比べ若年層で低かった。 この調査では二次検診ついて、そもそも受診しなかった理由も聞いている。その中で最も多いのが、「自覚症状がない」、その後に「前回、受診したが問題なかった」「時間がない」「忘れていた」「自分のことを考える余裕がない」――などと続く。 生活習慣病などでは特に、若年の働く世代は生活全般に余裕がないことなども相まって、自分の健康や未病(発病には至らないものの健康な状態から離れつつある状態)に対して意識を向けにくいことが浮き彫りになった』、「若年の働く世代」にとって、「生活習慣病」の予防が如何に重要かを、健保組合などが徹底的に周知させる努力も必要だ。
・『コロナ禍の受診控えも懸念材料に  健診結果で有所見となっても、新型コロナの感染拡大による受診控えによって再検査や治療を受けていないケースも想定される。コロナ禍は患者や健診受診者の行動に少なからず影響を与えている。 最近の事例としては、特定健診の実施状況が挙げられる。 特定健診とは、生活習慣病の予防のために40~74歳の人を対象とするメタボリックシンドローム(内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり心臓病や脳卒中などになりやすい病態)に着目した健診だ。メタボ健診とも呼ばれる。 厚労省が発表した2020年度の特定健診の実施状況によると、コロナ禍の受診控えと見られる動きがあった。同年度の特定健診実施率は53.4%となり、2019年度に比べて2.2ポイント低下した。 健診後の受診控えによって、早期発見・治療がしにくい環境になることにも留意する必要がありそうだ』、健保組合などが「健診後の受診控えによって、早期発見・治療がしにくい環境になること」を周知徹底する必要もありそうだ。

次に、9月19日付けPRESIDENT Onlineが掲載した産業医・精神科医の井上 智介氏による「急に倒れて救急搬送→集中治療室へ…「健康診断オールA」の人を突然襲う重篤な病気 脳梗塞、不整脈、がんのちょっとした兆候を見逃しがち」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/61458
・『秋は健康診断の季節だ。産業医の井上智介さんは「“健診でオールA=全く病気がない状態”と思い込んでいる人は本当に多いが、これは大きな誤解。健診でひっかからなくても、心臓や脳の重篤な病気になる可能性はあり、場合によっては急に倒れて救急車で運ばれることもある」という――』、興味深そうだ。
・『健康診断は万能ではない  私は産業医として、担当している企業の従業員の方の健康診断のチェックを行っています。 会社の一般健診は、高血圧や糖尿病、中性脂肪、コレステロールなど脂質異常症に関わる数値、つまり生活習慣病のチェックが主になります。生活習慣病は、悪化すると、心筋梗塞や脳卒中などにつながりますから、こうした検査を定期的に行うことは重要です。 でも、「健診でひっかからなかったから、自分は何も病気がないんだ」という勘違いをしている人が本当に多い。それは大間違いです。 「突然倒れて救急車で運ばれ、緊急手術を受け入院することになった」という人の中にも、「健康診断ではオールAだった」という人は少なくありません。「健診でオールAだったから」と油断して、体の不調に気付いても無視し続け、深刻な状況に陥る人はたくさんいるのです』、「「健診でオールAだったから」と油断して、体の不調に気付いても無視し続け、深刻な状況に陥る人はたくさんいる」、これは大変だ。
・『締めつけるような胸の痛みには注意  健診結果の誤解や過信が、特に深刻な病気につながりやすいのが、心臓や脳の疾患です。 残念ながら、心臓や脳の異常の中には、健診で見つけることが難しいものもたくさんあります。だからこそ、少しでも不調を感じたら、すぐに病院に行く必要があるのですが、「健診でオールAだったから、まさかそんな大変な病気の予兆とは思わなかった」と放置してしまい、倒れて救急車で運ばれ集中治療室……といった例が後を絶ちません。 では、どんな不調に気を付ければよいのでしょうか。 たとえば心臓なら「胸を締めつけられるような痛み」です。 これは、刺すような痛みではなく、胸にとんでもなく重いものがのしかかったかのように、締め付けられるように感じます。「ゾウが乗っているような痛み」と言われることもあります。こうした痛みがある場合、狭心症や心筋梗塞などの可能性があります。 心筋梗塞など、心臓の血管が詰まったときには、一般的に、胸の真ん中にこうした締めつけられるような痛みが出ることが多いですが、左肩や歯、みぞおちなどに痛みが出てくることも珍しくありません。 こうした胸の苦しさがあったら、絶対に見逃してはいけません。できるだけ早く、循環器内科を受診しましょう。たとえ30秒くらいですぐに解消されてたとしても、安心しないでください。すぐに救急車を呼んでください。心臓の血管が詰まりかけていたらカテーテルの治療をしなければいけないので、クリニックでの対応は難しく、施設の整った大きな病院に行くことになるでしょう』、「胸の真ん中にこうした締めつけられるような痛みが出ることが多いですが、左肩や歯、みぞおちなどに痛みが出てくることも珍しくありません。 こうした胸の苦しさがあったら、絶対に見逃してはいけません。できるだけ早く、循環器内科を受診しましょう。 たとえ30秒くらいですぐに解消されてたとしても、安心しないでください。すぐに救急車を呼んでください」、なるほど。
・『頭痛や麻痺は、脳出血や脳梗塞の可能性も  健診では直接的に脳の検査をすることがありません。 ちなみに「脳卒中」というのは病名ではなく、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血の3つまとめた1つのカテゴリーを意味します。 よくある、注意したい症状は頭痛です。ただ、頭痛といっても、今までにないような種類の痛みがあらわれます。とくに、くも膜下出血ではじわじわ締めつけられる痛さではなく、急に人生最大の痛みがあらわれます。このような、これまでに経験したことがないような頭痛があった場合は、躊躇せずに救急車を呼んで病院に行ってください。 脳梗塞や脳出血の場合は、頭痛はあまりなく、最初は麻痺まひが目立ちます。体の右側だけ、または左側だけが動きにくくなったり、ろれつが回らずしゃべりにくくなったりという症状は危険信号です。1分間くらい短時間だけ起きて、そのままおさまることもありますが、脳内の血管が詰まりかけている可能性が高いので、これも救急車です。すぐに脳神経外科を受診してください』、「これまでに経験したことがないような頭痛があった場合は、躊躇せずに救急車を呼んで病院に行ってください」、「脳梗塞や脳出血の場合は、頭痛はあまりなく、最初は麻痺まひが目立ちます。体の右側だけ、または左側だけが動きにくくなったり、ろれつが回らずしゃべりにくくなったりという症状は危険信号です・・・これも救急車です。すぐに脳神経外科を受診してください」、なるほど。
・『心電図でキャッチできない不整脈もある  健診では心電図を取ることも多いのですが、これも過信は禁物です。 心臓の疾患でやっかいなのが、心房細動、いわゆる不整脈の一種です。これは、心臓を動かす電気信号の乱れで起こるもので、心臓の上にある心房が小刻みに震えることで、脈拍が乱れて不整脈が起きます。 高血圧や糖尿病などの生活習慣病があると発生しやすくなりますが、生活習慣病がない人でもなる可能性があります。動悸どうきや息切れ、疲れやすいなどの症状があることもありますが、自覚症状がない場合もあり厄介です。 この不整脈があると、心臓の中に血栓、つまり血の塊ができやすくなります。そして、できた血栓が脳に運ばれ、脳の血管に詰まって脳梗塞になる可能性が高まります。 心電図は、心臓の活動の様子を調べるものなので、不整脈があればわかりそうなものなのですが、必ずしもそうではありません。この心房細動は、24時間ずっと出ている人もいれば、発作性心房細動といって一時的にしか出ない人もいるからです。健康診断の心電図検査は、1分ほどの短時間の心臓の動きを見るだけなので、たまたまそのタイミングで異常をとらえなければ「問題なし」という結果になってしまうのです』、「24時間」ホルター心電計であれば、小さな心電計で「24時間」簡単に計測できる。私も装着したことがある。
・『「がんがない」わけではない  がんも、健診でひっかからなかったからといって、安心はできません。定期健診はだいたい1年に一度ですから、たまたまその時に見つからなかっただけ、ということもあるからです。 そもそも会社の定期検診は、法律で決められた最低限の項目しかやっていないことも多く、胃や大腸の検査が入っていない可能性があります。胃がんならバリウムや胃カメラを使った検査、大腸がんなら便潜血(便に血が混じっていないか)の検査が必要です。 胸部のレントゲン検査も多くの人が受けていると思います。「『問題なし』だったから、肺がんではないということだろう」と思いたい気持ちはよくわかりますが、これも残念ながらそうとは言えません。 もともと肺のレントゲンは、結核という疾患の有無を確認する目的で始まった検査です。今は精度が上がり、肺がんが見つかることもありますが、それはかなりラッキーなケース。そもそも胸部のレントゲンだけで肺のすみずみを見ることは不可能で、肺がんがあってもレントゲンに写っていないということは、よくあります。がんを調べるためには、やはりがん検診が必要なのです』、「胸部のレントゲンだけで肺のすみずみを見ることは不可能で、肺がんがあってもレントゲンに写っていないということは、よくあります。がんを調べるためには、やはりがん検診が必要」、当然だ。
・『リスクを下げる生活を心掛けて  こういった疾患は、発症するまでわからないところがありますが、だからこそ、わずかな不調でも無視せず、病院で診察を受けることが重要です。 人間は「正常化バイアス」の影響を受けやすく、異常があったとしても、「きっと大丈夫だ」「問題ないはずだ」と信じようとしてしまいます。 でも、健診でオールAだったからといって「まったく心配する必要はない」「多少の不調は無視しても大丈夫」というお墨付きをもらったことにはなりません。体の不調を感じたら、とにかく早く病院に行ってください。決してオールAを、「忙しいから後回しにしよう」という言い訳に使わないでほしいと思います。 特に40代、50代の女性は、さまざまな体の不調を「多分更年期のせいだろう」と放置してしまうことがあります。更年期障害の症状は幅広く、動悸や目まい、頭痛、しびれなど、重篤な心疾患や脳疾患の症状と似たものもあります。検査して何もなければそれでいいのですから、早めに受診することをお勧めします。 また、もちろん普段から、血圧を下げる、糖尿病の治療をする、コレステロールを下げるといった、発症リスクを下げる生活を心掛けてください』、「検査して何もなければそれでいいのですから、早めに受診することをお勧めします。 また、もちろん普段から、血圧を下げる、糖尿病の治療をする、コレステロールを下げるといった、発症リスクを下げる生活を心掛けてください」、やはり「発症リスクを下げる生活」が基本だろう。

第三に、9月20日付けダイヤモンド・オンライン「認知症と「歯磨き」の意外な関係、35歳以上が絶対やるべき習慣とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/308554
・『経済協力開発機構(OECD)の2017年の調査によれば、日本は先進国35カ国中、認知症患者の発生率が最も高い国である。2050年には認知症患者が1000万人を超えるともいわれる認知症大国の日本。有効な予防策はあるのか。認知症専門医の長谷川嘉哉医師に聞いた』、「認知症と「歯磨き」の意外な関係」とは興味深そうだ。
・『認知症患者の口の中はまるでゴミ屋敷  まずは、この脳寿命チェックリストをやってみてほしい。 □ 35歳以上である □ 朝起きたときに、口の中がネバネバする □ 口臭がある □ 歯磨きに5分以上の時間をかけない □ 歯磨きをするとき、歯間ブラシやデンタルフロスを使わない □ 歯を磨くと出血することがある □ 抜けたままにしている歯、治療をせず放置している歯がある □ 1年以上、歯科を受診していない 「1つでも当てはまった方は、脳の老化が始まっている可能性があります。なぜなら脳の老化に拍車をかけるのが、脳の運動野と感覚野の3分の1とつながっている口や歯の状態なのです」 こう話すのは『認知症専門医が教える!脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!』(かんき出版)の著者で、これまで20万人以上の認知症患者を診察してきた長谷川嘉哉医師だ。長谷川医師によると「35歳」という年齢が、ひとつのターニングポイントになるという。) 「実は35歳を過ぎたころから、認知症の原因物質がたまりやすくなります。原因物質というのは、歯周病菌のこと。35歳を過ぎたタイミングでこれまで行ってきた『歯磨き』を変えなければ、認知症の発症リスクが一気に高くなることが研究で明らかになっているのです」 そもそも長谷川医師が認知症と歯の関係に気づいたのは、多くの患者を診るなかで、ひとつの共通点にたどり着いたからだった。 「認知症患者さんの口の中はビックリするくらい汚れていることが多く、ほとんど歯が残っていません。ケアをしている歯科衛生士さんによると、まるでゴミ屋敷だというのです。実際、残っている歯の数と認知症発症率の相関関係を裏付けるデータも存在します。東北大大学院の研究グループが、70歳以上の高齢者を対象に行った調査によると、『脳が健康な人』の歯は平均14.9本でしたが、『認知症疑いあり』の人は9.4本でした。つまり残っている歯が少ない人ほど、認知症になりやすいことが明らかになったのです」 昔からいわれる「歯がない人はボケやすい」は、科学的に見ても正しかったということになる。そして、大人が歯を失う原因の第1位は、「むし歯」ではなく、前述した「歯周病」なのだという。 「歯磨きが不十分で、口内に食べカスや細菌がたまっていくと口内が炎症を起こし、歯周病が進行します。そのまま放っておくと、歯を支える土台の骨が溶けてグラグラになり、最終的に歯が抜けてしまうのです」 歯を失えば、脳に送られる血流や刺激が減り、脳の老化は加速する。このように「脳の老化」に大きな影響があると考えられる口の中だが、日本ではいまだに歯の重要性が軽視されていると長谷川医師は危惧する。 「海外と違い、日本では『高齢になったら歯は残っていないもの』と考えられています。しかし、アメリカやスウェーデンなど口腔衛生先進国は違います。特に痛みや問題がなくても定期的に歯科に通い、口内の状態が悪くならないよう予防に努めています。2012年の厚生労働省国民健康白書統計では80歳以上で残っている平均の歯の数が、日本9.8本に対してスウェーデンはなんと20本。こうした日頃の意識の違いが、老後使える歯の差として表れているのです」』、「歯を失えば、脳に送られる血流や刺激が減り、脳の老化は加速する」、「アメリカやスウェーデンなど口腔衛生先進国は違います。特に痛みや問題がなくても定期的に歯科に通い、口内の状態が悪くならないよう予防に努めています。2012年の厚生労働省国民健康白書統計では80歳以上で残っている平均の歯の数が、日本9.8本に対してスウェーデンはなんと20本。こうした日頃の意識の違いが、老後使える歯の差として表れている」、日本も「口腔衛生」にもっと力を入れるべきだ。
・『歯周病予防のために 1日4回歯磨きを推奨  歯の状態は健康寿命に密接に関わっている。さらに歯周病は、認知症だけではなく、さまざまな全身疾患リスクにも大きく関わっているという。 「誤嚥(ごえん)性肺炎、糖尿病、動脈硬化、脳梗塞や心筋梗塞などの全身疾患リスクにも、歯周病菌は関係しています。これらのリスクを下げて健康寿命を延ばすためには、歯のケアによって脳を刺激し、原因物質である歯周病菌を予防、改善することが必要です」 実際、長谷川医師のクリニックでは歯のケアを一度行っただけで、認知症患者の症状が改善した例もあるという。 「たとえば、84歳の女性患者Aさんは、食欲や意欲が低下していて、一日中ボーッと座っていることが増えていました。けれどたった1度の歯のケアを受けただけで食欲が改善。徐々に意欲も向上して、『あれがしたい、これがしたい』とご自分の望みを口にするようになったのです。歯のケアをすることで、認知症状を緩和・改善できたことは、専門医である私にとって大きな驚きでした」 大脳の支配領域の3分の1を占める口を歯のケアで刺激したことで脳が活性化し、ヤル気や記憶力を高めることにつながったのではないかと長谷川医師は言う。ただし、自分は1日3回歯磨きをしているから大丈夫だな、と安心するのはまだ早い。 「実は加齢によって口内環境は変わり、歯周病菌が増えやすくなることが判明しています。歯周病の発症率は35歳前後から一気に上がり、40代になるころには約8割もの人が歯周病になる。これが今まで通りのケアではダメ、と私がお話しする理由。歯周病は、ごく軽い炎症から始まるので痛みも自覚もないまま進行し、気づいたころには歯茎も歯根もぼろぼろになります。35歳からは、根本的に歯のケアを変える必要があるのです」 そこで、長谷川医師が推奨するのが、『1日4回歯磨き』だ。 「まずは起床時、最も口内が汚い朝の歯磨きですね。就寝中は唾液が減少し、細菌が繁殖しやすいので、起きたときって便10gと同じだけの細菌が口の中にある状態なんですよ。そう思うと、朝起きてすぐ恋人とキス…なんて汚くて考えられないですよね(笑)。起床時すぐに1回磨いて、あとは毎食後に1回。磨く時間は10分以上が理想的ですが、最低でも5分かけて磨く。忙しくてムリという方は、就寝前だけは15分間しっかり磨くことを意識しましょう。また、日本では歯医者は不具合が出てから行くところ、という意識が根づいていますが、特に問題を感じていなくても3カ月に1回は検診に行き、歯垢や歯石をクリーニングで取ることも大切です」 アンチエイジングのために食生活や運動習慣を見直すことは当たり前になって来たが、それと並行して歯のケアも真剣に考えないといけないようだ』、「84歳の女性患者Aさんは、食欲や意欲が低下していて、一日中ボーッと座っていることが増えていました。けれどたった1度の歯のケアを受けただけで食欲が改善。徐々に意欲も向上して、『あれがしたい、これがしたい』とご自分の望みを口にするようになったのです。歯のケアをすることで、認知症状を緩和・改善できたことは、専門医である私にとって大きな驚きでした」、「大脳の支配領域の3分の1を占める口を歯のケアで刺激したことで脳が活性化し、ヤル気や記憶力を高めることにつながったのではないか」、「口」が「大脳の支配領域の3分の1を占める」、とは初めて知った。「歯のケアをすることで、認知症状を緩和・改善できた」というのも、確かにあり得る話だ。私も3カ月ごとに歯のクリーニングとチェックを受けているが、「認知症」予防効果もあるのであれば、今後も絶対続けよう。
タグ:健保組合などが「健診後の受診控えによって、早期発見・治療がしにくい環境になること」を周知徹底する必要もありそうだ。 「認知症と「歯磨き」の意外な関係」とは興味深そうだ。 「大脳の支配領域の3分の1を占める口を歯のケアで刺激したことで脳が活性化し、ヤル気や記憶力を高めることにつながったのではないか」、「口」が「大脳の支配領域の3分の1を占める」、とは初めて知った。「歯のケアをすることで、認知症状を緩和・改善できた」というのも、確かにあり得る話だ。私も3カ月ごとに歯のクリーニングとチェックを受けているが、「認知症」予防効果もあるのであれば、今後も絶対続けよう。 「84歳の女性患者Aさんは、食欲や意欲が低下していて、一日中ボーッと座っていることが増えていました。けれどたった1度の歯のケアを受けただけで食欲が改善。徐々に意欲も向上して、『あれがしたい、これがしたい』とご自分の望みを口にするようになったのです。歯のケアをすることで、認知症状を緩和・改善できたことは、専門医である私にとって大きな驚きでした」、 「歯を失えば、脳に送られる血流や刺激が減り、脳の老化は加速する」、「アメリカやスウェーデンなど口腔衛生先進国は違います。特に痛みや問題がなくても定期的に歯科に通い、口内の状態が悪くならないよう予防に努めています。2012年の厚生労働省国民健康白書統計では80歳以上で残っている平均の歯の数が、日本9.8本に対してスウェーデンはなんと20本。こうした日頃の意識の違いが、老後使える歯の差として表れている」、日本も「口腔衛生」にもっと力を入れるべきだ。 ダイヤモンド・オンライン「認知症と「歯磨き」の意外な関係、35歳以上が絶対やるべき習慣とは」 「検査して何もなければそれでいいのですから、早めに受診することをお勧めします。 また、もちろん普段から、血圧を下げる、糖尿病の治療をする、コレステロールを下げるといった、発症リスクを下げる生活を心掛けてください」、やはり「発症リスクを下げる生活」が基本だろう。 「胸部のレントゲンだけで肺のすみずみを見ることは不可能で、肺がんがあってもレントゲンに写っていないということは、よくあります。がんを調べるためには、やはりがん検診が必要」、当然だ。 「24時間」ホルター心電計であれば、小さな心電計で「24時間」簡単に計測できる。私も装着したことがある。 「これまでに経験したことがないような頭痛があった場合は、躊躇せずに救急車を呼んで病院に行ってください」、「脳梗塞や脳出血の場合は、頭痛はあまりなく、最初は麻痺まひが目立ちます。体の右側だけ、または左側だけが動きにくくなったり、ろれつが回らずしゃべりにくくなったりという症状は危険信号です・・・これも救急車です。すぐに脳神経外科を受診してください」、なるほど。 「胸の真ん中にこうした締めつけられるような痛みが出ることが多いですが、左肩や歯、みぞおちなどに痛みが出てくることも珍しくありません。 こうした胸の苦しさがあったら、絶対に見逃してはいけません。できるだけ早く、循環器内科を受診しましょう。 たとえ30秒くらいですぐに解消されてたとしても、安心しないでください。すぐに救急車を呼んでください」、なるほど。 「「健診でオールAだったから」と油断して、体の不調に気付いても無視し続け、深刻な状況に陥る人はたくさんいる」、これは大変だ。 井上 智介氏による「急に倒れて救急搬送→集中治療室へ…「健康診断オールA」の人を突然襲う重篤な病気 脳梗塞、不整脈、がんのちょっとした兆候を見逃しがち」 PRESIDENT ONLINE 「若年の働く世代」にとって、「生活習慣病」の予防が如何に重要かを、健保組合などが徹底的に周知させる努力も必要だ。 「「白衣高血圧」の人は、早朝高血圧や夜間高血圧が生じているケースもあり、常に血圧レベルの高い人と同じように、脳卒中などを発症するリスクを抱えている」、「白衣高血圧」は初めて知ったが、あり得る話だ。 「定期健康診断結果報告は健診の実施者数と有所見者数を報告することになっているが、性別、年齢を記載するようになっていないため、年齢別の有所見率や年齢調整した有所見率を算出することはできない」、何故、あとから統計処理に必要な項目を記載させないのだろうか。厚労省の新たなお粗末だ。 君塚 靖氏と 汲田 玲未衣氏による「労働者の6割が健康診断「異常あり」の深刻な事態 しかも「要再検査を放置している人」が約半数も」 東洋経済オンライン (その23)(労働者の6割が健康診断「異常あり」の深刻な事態 しかも「要再検査を放置している人」が約半数も、急に倒れて救急搬送→集中治療室へ…「健康診断オールA」の人を突然襲う重篤な病気 脳梗塞 不整脈 がんのちょっとした兆候を見逃しがち、認知症と「歯磨き」の意外な関係 35歳以上が絶対やるべき習慣とは) 健康
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医療問題(その38)(「病棟内で殺人事件が発生したこともあります」「看護師はなぐられて当たり前」心神喪失で無罪になった元犯罪者の”惨い治療現場”《医療観察法再考》、「脳ドック」をITで価格破壊 楽天役員OBの目算 「MRIシェアリング」ベンチャーが医療を変える、「胸を切らない心臓手術」を実践する世界一の心臓外科医が考えていること 天才医師・渡邊剛(前篇)、大学病院を去った「日本のブラックジャック」に手術を受けた患者の証言 天才医師・渡邊剛(後篇)) [生活]

医療問題については、8月23日に取上げた。今日は、(その38)(「病棟内で殺人事件が発生したこともあります」「看護師はなぐられて当たり前」心神喪失で無罪になった元犯罪者の”惨い治療現場”《医療観察法再考》、「脳ドック」をITで価格破壊 楽天役員OBの目算 「MRIシェアリング」ベンチャーが医療を変える、「胸を切らない心臓手術」を実践する世界一の心臓外科医が考えていること 天才医師・渡邊剛(前篇)、大学病院を去った「日本のブラックジャック」に手術を受けた患者の証言 天才医師・渡邊剛(後篇))である。

先ずは、8月27日付け文春オンライン「「病棟内で殺人事件が発生したこともあります」「看護師はなぐられて当たり前」心神喪失で無罪になった元犯罪者の”惨い治療現場”《医療観察法再考》」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/55354
・『「うちに入院している対象者は、親や近隣住民を殺した殺人犯や、自宅に放火した人ばかりです。マスコミに報道されたような有名な事件の犯人もいますよ。彼らによるテレビなどの器物の破壊、コーヒーやつばをかけてくることなどは日常茶飯事。私たちの身体にも殴る蹴るなど、直接危害をくわえてくる人もいます」 そう語るのは、精神疾患などを中心に治療を行う大規模医療センター「X」の関係者Aさんだ。同医療センターはアルコールやゲームの依存症治療でも全国的に有名だが、厚生労働省によると、同医療センターの医療観察法(注)の対象者の病床は全国的に見ても多い』、確かにこの対象者は、既に「重大な他害行為」を行ったということであれば、「親や近隣住民を殺した殺人犯や、自宅に放火した人ばかり」、というのは当然だ。
(注)医療観察法:心神喪失者等医療観察法、心神喪失又は心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態)で、重大な他害行為(殺人、放火、強盗、 強制性交等、強制わいせつ、傷害)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした制度。
・『年間300人超が「心神喪失」で不起訴や無罪に  対象者とは、医療観察法により「心神喪失」や「心神耗弱」が理由で不起訴や無罪が確定した元刑事被告人のことだ。「心神喪失」とは、統合失調症など精神障害の影響で善悪を全く判断できないか、判断したとおりに行動することが全くできない状態を指す言葉で、同様の原因で判断力などが著しく低い状態を「心神耗弱」という。 過去の重大事件を振り返ると、2015年9月に埼玉県熊谷市の民家に相次いで侵入し小学生2人を含む6人を殺害した男は、1審の裁判員裁判では死刑判決だったが、2審では「心神耗弱」と認められて無期懲役となり、最高裁で同罪が確定した。 今年に入っても同様の判決が下っている。2020年1月に神奈川県大和市で生後1カ月の長男に暴行を加えて死亡させて傷害致死罪に問われた母親(39)が、2022年2月24日に沖縄県宮古島市の自宅で5歳と3歳の息子を殺害し殺人罪に問われた母親(40)が、心身耗弱から無罪となった。 令和3年版犯罪白書によると、令和2年に裁判で心神喪失と認定されて無罪になったケースは5件だが、裁判前の鑑定留置で心神喪失などと認定され、不起訴となったケースなどを含めると、年間で300人を超えている。 大手紙司法記者が解説する』、「裁判前の鑑定留置で心神喪失などと認定され、不起訴となったケースなどを含めると、年間で300人を超えている」、かなりの人数だ。
・『大きな改正もなく続く「医療観察法」  「医療観察法が施行されたのは2005年。8人の児童らが犠牲になった大阪教育大付属池田小学校の児童殺傷事件の宅間守元死刑囚(2004年執行)がきっかけでした。彼は事件前にも10回以上も傷害事件などで逮捕されながら精神状態を理由にすべて不起訴になり、一般社会に野放しにされていたんです。彼を施設に入れるか、しっかりと治療できていればあんな大惨事は起こらなかったと急ピッチで法整備が進められたわけです。 対象者の人権や治安の維持などさまざまな問題が当初から指摘されていた医療観察法ですが、蓋を開けてみれば施行から15年以上、大きな改正もなく続いています」 重大な罪を犯しながら、罪に問われなかった元被告人たち。現在、彼らの治療はどのように進められているのか――。そうした取材の過程で話を聞けたのが、前出の医療センター「X」に勤めるAさんだ。 5月25日、同センターに管轄する厚労省が監査に入っている。Aさんは監査の理由について、「長期の隔離を問題視してのことだったのではないか」と推察する』、「施行から15年以上、大きな改正もなく続いています」、なるほど。
・『わいせつ事件の対象者が女性の胸を触って…  「対象者が入院する『司法病棟』は全室個室で、食堂やホール、体育館などがあります。依存症の座学や自己管理などの治療プログラムに参加して社会復帰を目指します。ある程度、回復していくと、対象者は近隣の商業施設に外出することもある。治療が進むと外泊も認められます。 ただ、強制わいせつ事件を起こした対象者が女性スタッフの胸を触ったり、放火事件の対象者がスタッフを殴ったり……。正直治療できているのかなと疑問を抱くこともあります。数年前ですが、外泊中の対象者が自殺してしまったこともありました」 Aさんによると、強制わいせつの罪を犯した統合失調症の20代の男性対象者Yさんは2年近く保護室で隔離されていたという。 「保護室に隔離しても、問題行動は止まっていません。昨年8月に全裸で放尿し、『水練』と称して床で滑っていました。同年10月には女性看護師が突然、胸を揉まれ、12月6日には看護師にパンチ5回、キックを3回。今年1月25日にも、看護師がいきなり首をしめられ、胸に蹴りをいれられました。その後はトイレにたてこもろうとしました」』、「看護師」などは特別手当が出ないと、人は集まらないだろう。
・『病棟内で発生した「殺人事件」  こうしたトラブルは日常茶飯事だが、対応する看護師らは「普通の人」。屈強な肉体をもっているわけでも、護身術を身につけているわけでもない。 「自宅に放火した40代の男性対象者は、幻聴がすごいため問題行動も深刻なんです。昨年12月、他の対象者に殴りかかったり、スタッフ3人に対して大暴れし、看護師はめがねを壊されたり、殴られて鼻血を出したりしました。今年に入って、自宅に放火した20代の女性対象者が強化ガラスを割ろうと椅子を投げたこともありました。10年以上前ですが、病棟内で殺人事件が発生したこともありますよ」 当時の報道などによると、2011年11月3日、千葉県内で殺人事件を起こし入院していた当時31歳の男性対象者が、入院していた56歳の男性の首を両手で絞めて殺害している。 しかしAさんは「対象者が悪いと言いたいわけではないんです」と続ける』、これでは、前述の特別手当はよほど思い切って出す必要がありそうだ。
・『「看護師はなぐられて当たり前」医療観察法の限界  「この制度では、実際に行われた治療内容に関係なく、厚労省が定めた基準に従って、1日の入院費が国から病院に対して支払われます。ですから、どんな治療を施しても、病院が得られる金額は変わらない。 暴力衝動を抑える薬などもありますが、『看護師はなぐられて当たり前』だから対象者に処方していないのではないか……。薬を処方してもしなくても国から支払われる金額が一緒なら、薬を処方しない方が儲かりますからね。ここまで改善が見られないと、必要な治療がなされていないのではないか、と疑ってしまいます」 同センターにもトラブルについての事実確認と見解などをたずねたところ、以下のような回答があった。 《当院としては個別の事案についての回答は控えますが、当院に来る対象者の性質上、職員への暴行は時には起こりえます。少なからずそのようなリスクがある中で、スタッフは日々、治療にあたっています。 必要な治療を行っていないという事実はなく、定められたルールの中で、患者さんの回復に必要な治療を行っています。 厚労省の監査については毎年の年次監査があっただけだと承知しており、内容は控えますが、医療観察法病棟として一般的に留意すべきものだったと理解しています。 当院には統合失調症の患者が多くクロザピンという治療薬をはじめ各対象者の疾患に適した新たな治療も取り入れながら、今後も患者の回復、社会復帰に向けて医学的な判断に基づく適切な治療を実施していく方針です》 Aさんは「現場スタッフのためにも、そして対象者自身のためにも、なんとかしてこの環境を変えたい」と悲痛な面持ちで語っていた。 精神医療の現場は過酷だ。その最たる例である医療観察法の対象者の治療について、議論すべき時が来ているのかもしれない。医療観察法が施行されてから17年、精神科の通院者は増え、医療観察法病棟が初めて北海道に設置されるなど拡充が続いている』、「薬を処方してもしなくても国から支払われる金額が一緒なら、薬を処方しない方が儲かりますからね。ここまで改善が見られないと、必要な治療がなされていないのではないか、と疑ってしまいます」、「必要な治療を行っていないという事実はなく、定められたルールの中で、患者さんの回復に必要な治療を行っています」、「精神科の通院者は増え、医療観察法病棟が初めて北海道に設置されるなど拡充が続いている」、「医療観察法」対象者の再犯率は、一般の再犯率より低いようだ。
http://www.kansatuhou.net/60_johonyushu/01_nyumon/02_Q&A6_10.html

次に、9月10日付け東洋経済オンライン「「脳ドック」をITで価格破壊、楽天役員OBの目算 「MRIシェアリング」ベンチャーが医療を変える」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/617213
・『「すごいベンチャー100」2022年最新版から7社をピックアップ。「医療」領域からは、脳ドックの価格破壊に挑む「スマートスキャン」を拡大記事で紹介する。 スマートフォンからネット予約し、受付から帰路につくまで30分。価格は相場の半値以下という1万7500円。検査結果は数日後にウェブで確認できる。脳の健康状態を検査する「スマート脳ドック」を展開するスマートスキャンが今、波に乗っている。 きっかけはバスの事故だった。2012年、楽天トラベルが送客していたバスサービスが関越道で事故を起こし、乗客7人が死亡する大惨事となった。バスの運転手には脳の異常が見られていたという。 当時楽天の執行役員だったスマートスキャン創業者の濱野斗百礼(ともあき)代表は、バスやトラックの運転手は首から下の健康診断しか受けていないことを医師から聞かされる。脳の状態を診る「脳ドック」は4万~5万円と高額で、会社も運転手も負担できない状態だった。 脳血管疾患は日本人の死因の上位に位置する。濱野氏は「必要なのに受けづらい。そこに商機があると思った」と話す』、「スマートスキャン」では「価格は相場の半値以下という1万7500円。検査結果は数日後にウェブで確認できる」、便利な新サービスだ。
・『試験導入の20枠に500人が殺到  脳ドックの価格が高かった原因は、MRIの初期投資や固定費の高さにあった。そこで減価償却が終わったMRIを保有する医療機関の協力を得て、楽天の会員向けに1万円の脳ドックを試験的に案内すると、20の枠に500人ほどの応募があったという。 ただMRIを空き時間に安く提供してくれる医療機関を探しても、取り合ってくれる医師は少なかった。脳ドックは自由診療だ。あえて安く提供するメリットが医師側にはない。「脳ドックをやるといっても、放射線技師やMRI画像の読影(所見の診断)をする医師も必要。当時は何もわかっていなかった。IT業界が入り込む余地がないと感じた」と濱野氏は振り返る。 それでも需要はあるし、ビジネスチャンスも大きい。楽天では「LTV(ライフタイムバリュー)」という言葉がよく使われる。中長期で顧客がどれくらいお金を落としてくれるかという指標だ。 「検査であれば、40歳で初めて受けてもらい、ウェブサイトのマイページでデータを蓄積・管理できれば、長く付き合ってもらえ、別の検査で売り上げも伸ばせる。起業するのであれば、この分野でやりたい」。濱野氏はそう強く思った。) 脳ドックを試験提供してから4年が経った2016年、濱野氏は本腰を入れて起業に動き出した。 「MRIを提供してくれる医療機関がなければ、自分でやろう」。楽天の仕事でかかわりのあった東芝から、MRIの開発・製造を手がける東芝メディカルシステムズ(現・キヤノンメディカルシステムズ)の瀧口登志夫社長を紹介され、交渉の末、MRIを安く販売してもらえることになった。 さらに脳画像を読影してくれる医師も必要だった。知人のつてで、クラウド上で医師が遠隔で読影するサービスを提供するベンチャーのエムネスとの連携につながった。そこまで準備をしたうえで、2017年2月に起業。翌3月末に楽天を退職した』、「楽天を退職」する前の「準備」は周到なようだ。
・『MRIの「稼働率」を極限まで高める  脳ドックを安く提供するには、MRIの稼働率を極限まで高める必要がある。1台のMRIで1時間に4人を検査するという高回転のオペレーションを目指した。まず自社で脳ドック専門のクリニックをプロデュースし、2018年1月に第1号となる「メディカルチェックスタジオ銀座」を開業した。 ウェブの検索広告に出稿したり、SEO(検索エンジン最適化)で「脳ドック」や脳疾患に関する検索でサイトの順位を押し上げたりして、集客を強化。スムーズなネット予約で枠を埋め、MRIの高稼働を実現した。その後、新宿や大阪梅田にも進出した。 当初は神奈川や千葉、埼玉などにも、自前のクリニックを広げる計画だった。だがコロナ禍で集客が難しくなり、MRIへの投資回収でスピードが出せないと判断。そこで、以前は一度諦めた医療機関との連携、”MRIシェアリング”のモデルに舵を切った。 「クリニック側にも簡単に予約を受けてもらえるよう、ウェブの管理画面を徹底的にわかりやすくした。もともとIT屋なのでマーケティングもシステムの作り込みも得意。医療のDXを進めている」(濱野氏)) 集客や予約管理はスマートスキャンが行うため、医療機関側は放射線技師さえいれば、MRIの空き時間に客を受け入れて検査をするだけ。読影もエムネスや自社が抱える医師がクラウド上で行ため、検査だけで手数料が入る。そうしたメリットを提示しながら交渉を進め、直近の提携機関数は全国で130に達した。 2022年4月には出光興産やキヤノンメディカルシステムズ、クレディセゾンなどの事業会社やベンチャーキャピタルから、総額約13億円となるシリーズBの資金調達を完了。この春から夏にかけてはテレビCMを大々的に展開するなど、大胆な投資を進める。 出光興産とは協業も始まっており、MRIを積んだ車両をガソリンスタンドに設置し、地域住民やトラック運転手などに脳ドックを提供する施策を展開する。「クリニックだけでなく、皆がどこでも検査を受けられる環境を作りたい」(濱野氏)』、「集客や予約管理はスマートスキャンが行うため、医療機関側は放射線技師さえいれば、MRIの空き時間に客を受け入れて検査をするだけ。読影もエムネスや自社が抱える医師がクラウド上で行ため、検査だけで手数料が入る。そうしたメリットを提示しながら交渉を進め、直近の提携機関数は全国で130に達した」、「出光興産やキヤノンメディカルシステムズ、クレディセゾンなどの事業会社やベンチャーキャピタルから、総額約13億円となるシリーズBの資金調達を完了。この春から夏にかけてはテレビCMを大々的に展開するなど、大胆な投資を進める」、順調なスタートだ。
・『脳ドック費用を補助する企業が増加  近年では個人だけでなく、福利厚生として従業員の検査代の全額や一部を補助する企業が増えている。 起業のきっかけとなった運送系も変わってきた。バス会社のウィラー・エクスプレスは、脳ドック費用を全額負担。都内のタクシー会社・葵交通も費用の一部を補助するなど、運転手の健康管理に対する意識が高まっている。また、健康保険組合や生命保険との連携も視野に入れる。 さらに脳ドックで撮影された画像は初めからデジタル化されている。スマート脳ドックの登録時には将来の研究開発のためにこのデータを使うことに対し、ユーザーの同意を取得するようにしている。 「画像データが貯まっていけば、将来的にAIによる読影や診断もできるようになる」(濱野氏)。横浜市立大学などと共同でMRI画像を用いた研究を行い、学会発表も始めている。 「誰も病気にならない世界を作る」というスローガンを掲げる。「検査を受けた人は皆、それを生活改善のきっかけにしている。MRIの稼働を高めるためにはこれまで、人が”病気になる”必要があった。そうではなくて、MRIは”健康になる”ために使うべき。未病のビジネスが大きくなれば、医療費の削減にも貢献できる」と濱野氏は意気込む』、「バス会社のウィラー・エクスプレスは、脳ドック費用を全額負担。都内のタクシー会社・葵交通も費用の一部を補助するなど、運転手の健康管理に対する意識が高まっている」、確かにバスやタクシー「運転手」が突然の脳の発作を引き金に事故を起こした例もあり、予防は必須だ。

第三に、9月16日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの木野 活明氏による「「胸を切らない心臓手術」を実践する世界一の心臓外科医が考えていること 天才医師・渡邊剛(前篇)」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/99794?imp=0
・『日本で初めてダビンチ手術を実施  「世界ではいま私にしかできない心臓手術があります。どんな困難な症例や再手術も受け入れています。いま日本で受けられる最高の手術を提供し、必ず元気になって帰っていただくことが私の手術を希望する方との約束です」 病んだ心臓を抱え手術を待つ患者にとってこれほど心強い言葉はあるまい。命の危険にさらされ、断ち切られようとしている患者の人生の糸をもう一度結び直す仕事を請け負っているのが、心臓血管外科医・渡邊剛医師。ロボットを用いた心臓外科手術・ダビンチ手術の世界的権威で、「ニューハート・ワタナベ国際病院」の病院長だ。 井の頭線浜田山駅の改札を出て徒歩5分。突き当りの井之頭通りを右折して100mほど行くと、ニューハート・ワタナベ国際病院の5階建てビルが見える。 1階受付横の通路の壁には、渡邊医師が憧れ、医師を目指したきっかけとなった手塚治虫のマンガ「ブラック・ジャック」のイラストがかかる。ちなみに5階院長室の壁際の棚にも80cm大のブラック・ジャックのフィギュアが鎮座する。 厚さ10cm程の一枚板のテーブルの上にはクリスタルの盾が3帖並ぶ。ダビンチを開発した米国のIntuitive Surgical社が、世界で最もダビンチ手術を行ったドクターに贈る表彰盾だ。渡邊医師は2019年から3年連続世界一。世界で最も多くのダビンチ手術の経験を持つナンバーワンドクターなのである。 ダビンチを用いたロボット手術については後で詳しく述べるが、体に1cmほどの小さな穴を4つ開け、アームに付けた内視鏡ですべての操作を行う超精密鍵穴(キーホール)心臓手術だ。従来のように胸を大きく開けて肋骨を切る必要がないため術中の出血が少なく、術後の痛みも軽く、患者の負担を大幅に軽減する超低侵襲の手術である。 「お待たせしました」と入ってきた渡邊医師は、スマートで都会的なセンスを漂わせる。白衣を着ていなければエリートビジネスマンとして通りそうだ。柔和な語り口は、よくある医者の偉そうなところを感じさせない。暖かい笑顔に思わずほっとほっとさせられ、患者が安心する雰囲気をすぐに感じた。 (渡邊剛医師とニューハート・ワタナベ国際病院の概要はリンク先参照) 「日本で初めてダビンチを使って心臓手術を行ったのは2005年のことです。金沢大学医学部に教授として在籍していた時でした。その後昨年末(2021年12月)までに1162件のダビンチを使った心臓手術を経験してきました。 現在、週に5件、多い時には10件、コロナの影響のなかで昨年も約200件のダビンチ手術を行っています。これだけダビンチで心臓手術をしている病院は世界でもありません」(渡邊医師)』、「ダビンチを開発した米国のIntuitive Surgical社が、世界で最もダビンチ手術を行ったドクターに贈る表彰盾だ。渡邊医師は2019年から3年連続世界一。世界で最も多くのダビンチ手術の経験を持つナンバーワンドクターなのである」、「週に5件、多い時には10件、コロナの影響のなかで昨年も約200件のダビンチ手術を行っています。これだけダビンチで心臓手術をしている病院は世界でもありません」、大したものだ。 
・『心臓弁膜症との戦い  渡邊医師が手掛ける心臓手術で最も多いのは弁膜症と冠動脈バイパス、動脈瘤だが、動脈瘤ではダビンチはほとんど使わず、従来型の小切開手術となる。 ダビンチを使った手術症例は弁膜症の僧帽弁形成術が685件と最多で、さらに冠動脈バイパス191件、僧帽弁形成+三尖弁形成135件、心房中隔欠損閉鎖98件、三尖弁形成20件、腫瘍切除16件と続く。 「弁膜症は僧帽弁の閉鎖不全による逆流と大動脈弁の逆流、狭窄症がほとんどです。 僧帽弁は心臓の中にある左心房と左心室の間にある弁で、これが開閉することで肺から来た血液が心臓の僧帽弁を通って入り、心臓の収縮と供に全身に回る仕組みになっている重要な弁です。 ところが、僧帽弁を構成している弁尖や腱索、乳頭筋などが何らかの原因で弁尖が裂けたり穴を開けたり、腱索が切れたり伸びたり、乳頭筋が傷ついたりする、心臓の収縮期に弁がぴたりと閉じなくなる。こうした収縮期に左心房への血液の逆流が生じるのが僧帽弁閉鎖不全症です」 渡邊院長が続ける。 「初期症状は息切れですね。階段や坂道を上がったり走ったり、あるいは自転車をこぐと息切れがする。夜中に小水で度々起きてしまうなど心不全の兆候も出てきます。 さらに進行してくると、心房に血液が多く逆流してくる結果心房が肥大し、心不全が現れます。そこで脈が不正になる心房細動の症状が出始める。こうした場合は根治に向けた治療が必要になります。そして、超音波検査で50%以上の逆流が見られる場合は手術適応となります」 一般的な心臓心臓外科手術は人工心肺で心臓を止め胸骨を真ん中から大きく切開して手術をする胸骨正中切開手術。胸骨は切らずに胸のわきの乳房の下を6~7cm切開する小切開手術(MICS)、そして内視鏡を使った内視鏡手術、その延長でのロボットを使い内視鏡を遠隔操作して手術をするダビンチ手術の3つの方法がある。 開胸手術では胸の真ん中を喉元からみぞおちにかけて切るため約20cmから30cmの傷が残り、骨を切って胸を大きく開くため、術後に骨が付くまで数ヵ月かかる。この間スポーツなど運動は出来ず、大きな荷物も持つことは出来ない。それでも90%以上の心臓手術が胸骨正中切開で行われているのが現状だ。 これに対し切開する範囲を最小限にとどめ、骨を切らず傷跡を小さくするのが小切開手術。そしてロボットを用いて完全内視鏡による手術を行うのがダビンチ心臓外科手術だ。 「医者になって以来考え続けてきた患者さんへの超低侵襲手術の集大成がダビンチを使って行う全内視鏡手術・鍵穴(キーホール)手術です。手術中の輸血量は胸骨正中切開ではどうしても500ccは使う。MICSは200cc使いますがダビンチは50ccで無輸血もある。輸血はすればするほど寿命は短くなります。輸血量は患者さんのその後の人生に大きく影響してくるんです」(渡邊医師)』、「手術中の輸血量は胸骨正中切開ではどうしても500ccは使う。MICSは200cc使いますがダビンチは50ccで無輸血もある。輸血はすればするほど寿命は短くなります。輸血量は患者さんのその後の人生に大きく影響してくるんです」、「輸血量」だけでみても、「ダビンチ」は優れているようだ。
・『ダビンチ手術の実際  ダビンチは術者が遠隔操作で手術を行うサージョンコンソールと、術野に挿入するロボットアームが装着されたサージカルカート、そしてアームに装着された内視鏡から送られてくる術野の画像からハイビジョンの3D画像を作成するビジョンカートという3つの機械から成り立っている。 ダビンチは元々1991年の湾岸戦争の時に前線で負傷した兵士の治療に外科手術のロボットの遠隔操作で治療ができないかという事で米国国防総省が研究開発していた。戦後米国のIntuitive Surgical社が外科手術のできるロボットシステムを開発、1999年に完成させたのがダビンチだ。  胸に1cmほどの穴を3つ開け、そこから3本のアームが挿入されている。そのうち2本のアームには術者が操作するメス、ハサミなど手術具が取り付けられ、他の1本には手術の部位を示す「眼」となる内視鏡が先端に付けられていて、サポート役の助手が操作し、術者に手術具などを渡すアームだ。 ダビンチの操作は、術者は全身麻酔が効いて仰向けに寝ている患者のベッドから3mほど離れたところにあるサージョンコンソールの前に患者に背を向けて座る。患者の胸には3本のアームが挿入され、術者はサージョンコントロールの二本のレバーを操って連動した手術具の装着されたロボットアームを3画像を見ながら遠隔操作していく。 「普通の内視鏡出手術は平面の2D画像ですが、ダビンチは3D画像ですから立体感がまるで違う。心臓手術は奥行き感やより正確な手術が求められるため、術野を10倍以上に拡大した3次元画像を見ながらの手術が可能です。 また、これまでの内視鏡では鉗子の動きは90度が限界でしたが、3次元では鉗子の動く範囲は360度動かすことができる。米粒に字が書けるほど細かい1mm半の血管を縫うことができるのがダビンチなんです。その結果安全で確実な手術成績を出せるようになり、ロボット手術は超低侵襲の鍵穴(キーホール)手術をやるのに最もふさわしい手術です」(渡邊医師) 手術スタッフはコンソールを操作する術者の渡邊医師と手術をサポートする助手の外科医、麻酔医、看護士、人工心肺士の6人がチーム渡邊として連携して行われる。 「私のところに来る患者さんはがん患者のグレードで言えばステージ3から4の手術をしなければ危険だというかなり症状が厳しい患者さんが多い。 それでも私の治療治癒率は99.6%。他の病院の平均は97%ですが、失敗する倍率が他の施設は3%でうちの5倍です。つまりうちは他の施設より5倍安全な手術をしている。患者さんは5倍安全な手術を受けるか、5倍危険な手術のどちらを選択しますかということです」 後篇では、渡邊医師がいかにしてトップドクターとなったか、その過程と、さらに渡邊医師の手術を最近受けた患者の驚きの証言を紹介しよう。(記事の後篇につづく)』、「「普通の内視鏡出手術は平面の2D画像ですが、ダビンチは3D画像ですから立体感がまるで違う。心臓手術は奥行き感やより正確な手術が求められるため、術野を10倍以上に拡大した3次元画像を見ながらの手術が可能です。 また、これまでの内視鏡では鉗子の動きは90度が限界でしたが、3次元では鉗子の動く範囲は360度動かすことができる。米粒に字が書けるほど細かい1mm半の血管を縫うことができるのがダビンチなんです」、確かに優れた手術法だ。アメリカ生まれでも、日本人が手術数でトップというのは、手先の器用さが影響しているのかも知れに。

第四に、この続き、9月16日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの木野 活明氏による「大学病院を去った「日本のブラックジャック」に手術を受けた患者の証言 天才医師・渡邊剛(後篇)」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/99795
・『「心臓手術は勝負が一瞬で決まる」  ロボットを用いた心臓外科手術・ダビンチ手術の世界的権威で、「ニューハート・ワタナベ国際病院」の病院長・渡邊剛氏は、「世界ではいま私にしかできない心臓手術がある」と断言する。前篇に引き続き、今回は渡邊医師の手術を実際に受けた患者の証言も紹介しよう。 渡邊医師を心臓外科医へと導いたのは、麻布中学3年生の時に読んだ手塚治虫氏が「少年チャンピオン」に連載していた「ブラック・ジャック」との出会いだっだ。神業のテクニックで難病に苦しむ患者を救う主人公の天才外科医ブラック・ジャックの生き方に浸透し傾倒していった。 金沢大学医学部に進学し心臓外科を選択した。 「がんは術後1年で再発があるなど、その時の手術だけでは勝負が決まりません。しかし心臓手術は一番やりがいがあるし勝負が一瞬で決まる​。また肝臓、すい臓、脳外科も臓器は動いていませんが、心臓はダイナミックに動いています」(渡邊医師) 金沢大学卒業後、ドイツ・ハノーファ医科大学に留学、ここで渡邊の心臓外科技術のすべての基礎を学ぶ。留学中の2年半の間に2000件以上の手術に入り、週3件以上の手術を執刀、移植手術も経験している。 実力主義の欧米で自らの存在を周囲に認めさせるには手術の技術を高めるほかないと、夜も下宿先のアパートに帰らず、ひたすらブタの心臓を使い血管の縫合やメスの使い方の練習に没頭したという。 帰国後金沢大学から富山医科薬科大学へ転籍となるが、この富山時代に世界で初めての人工心肺を使わず心臓が動いた状態で執刀する「オフポンプ手術」をはじめ、局所麻酔により患者の意識下で行う「アウェイク手術」、胸の横に小さく開けた穴から内視鏡を挿入して行う「完全内視鏡下手術」といった術式を開発した。オフポンプ手術は現在はスタンダードな治療法となっている。 そして、41歳で若くして金沢大学医学部外科学第一講座教授に就任。2005年には東京医科大学に新設した心臓外科の教授を兼任する。その年は金沢大学、東京医大でダビンチを導入し、渡邊がダビンチを用いた完全内視鏡による鍵穴式キーホール手術を始めた年だ。しかし、当時ロボット手術についての医学会の認識は「ロボットというのは宇宙空間か戦争中でしか有効ではない」という程度のものでしかなかった。 2007年にはロボット外科学会が設立され、ダビンチ手術の症例数によりライセンスを国際Aから国内Bまでの4段階に設定し、人材の育成が始まった。渡邊医師がニューハート・ワタナベ国際病院を開設するのは2014年のことだ。 ダビンチ手術は心臓外科に限らず他の部位でも行われているが、最も多いのが前立腺がんの手術で、次いで肺がん、子宮がんの治療などで実施されている。現在ダビンチ手術のライセンスを持つ専門医は全体で597名。ライセンス別に国際A11名。国際B25名、国内A63名、国内B498名だ。このうち心臓外科で300以上の症例を経験した「国際A」のライセンスを持つ専門医は渡邊と渡邊の片腕となっている同病院の石川紀彦医師の二人だけだ』、「実力主義の欧米で自らの存在を周囲に認めさせるには手術の技術を高めるほかないと、夜も下宿先のアパートに帰らず、ひたすらブタの心臓を使い血管の縫合やメスの使い方の練習に没頭した」、地道な努力が花開いたようだ。
・『命がけの手術  現在ダビンチは全国の施設で350台入り、ダビンチの手術をする医師は増えている。ところが心臓外科となると極めて少なくなる。 「泌尿器は最も普及して20例ぐらいこなすと相当できるようになりラーニングカーブで成長が早い。ところが心臓外科は150から200例をこなしてやっと成績が安定して手術時間も短くなりそこそこダビンチ手術をやっていると言えるレベルになる。しかし、一度合併症などを起こし失敗するとそこで諦め辞めてしまう医者が多いんです」(渡邊医師)  2021年の心臓疾患による死亡者は21万4623人と日本人の死因でのトップのがんに次いで2番目の死亡者数だ。患者全体の約15%が死亡している。(厚労省人口動態統計)。また、日本循環器学会が公表した脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画の中で、2030年には狭心症、心筋梗塞の患者は331万人に増えると推定されている。 心臓外科手術は他の病気より数段命にかかわる比重が大きい。手術に向かう術者にとってもそれは命がけの経験となる。治療治癒率99.6%のチームワタナベの手術と、97%という成功率が5倍の開きのある他の施設とでは患者の選択肢は当然決まってくるはずだ。 最後にチームワタナベのダビンチ手術を受けた患者さんの二人の話を紹介する。お二人とも手術を受けられたのは2月7日のこと。それから10日後の16日にご自宅にいるお二人に電話で話を伺った。術後10日ということに驚かされたが、電話口から伝わる力強い声にチームワタナベの実力を垣間見た。 「今日から仕事を始めようと思っていたんです」というのは横浜在住で機械メーカー幹部の森田博司氏(仮名・54歳)だ。 昨年5月の会社の健康診断で心臓に雑音が見つかり、、近くの病院で精密検査を受けると僧帽弁閉鎖不全症と診断され、「症状は中から重レベルで軽くはありません。このままで治ることはないので手術を受けますか」と医師から心臓手術を奨められたのだ。急に心臓手術といわれ驚き、決断できないまま11月に再度検査し手術をするかどうか決めることになった。 「ジョギングで2km走るのが日課でしたが前年から走れなくなり、階段の上り下りも息切れするようになってきました。夜中にトイレの回数も増えていましたが、年齢と運動不足だろうと気にしていませんでした」(森田氏) 再検査では悪化はしていないが心不全、不整脈が起きる状況になっている。手術しなければ症状は治らないと言われ、手術するなら体力のあるいまと手術を決断。ニューハート・ワタナベ国際病院を紹介された。 「病院や製薬会社の建設も請け負うなかでロボットのダビンチ手術があることは聞いていました。仕事が忙しいので手術後の職場復帰が早いこと、手術の傷跡が小さいこと。そして安全な手術と思っていたので渡邊先生のホームページを見て安心しました。ダビンチ手術でなければ手術はしていなかったと思います」(森田氏) 病院に行ったのは1月18日、超音波検査などを行った後の渡邊の診断は「手術は早めにした方がいい」。ということで2月4日に入院し、3日後の7日に手術を行った 「手術時間は1時間半ぐらいだったと思います。翌日にはICUから歩いて。個室に移動しました。体に入っていたドレーンなどの管が抜かれる度に元気になっていく気がしました。9日にはすべての管が抜かれ術後1週間後の昨日退院しました。明日(17日)から仕事に復帰です」(森田氏)』、「「手術時間は1時間半ぐらいだったと思います。翌日にはICUから歩いて。個室に移動しました。体に入っていたドレーンなどの管が抜かれる度に元気になっていく気がしました。9日にはすべての管が抜かれ術後1週間後の昨日退院しました。明日(17日)から仕事に復帰です」、驚異的な回復の速さだ。
・『だから私は渡邊先生の手術を選んだ  渡邊医師が森田氏の治療を振りかえる。 「1月下旬に検診で心雑音を指摘され、横浜の病院にて僧帽弁閉鎖不全症と診断されました。仕事ざかりであり早期の手術を希望しておられました。来院時のデータ的には逆流率は64%と非常に高度な逆流を示しており、本人と相談の上手術と言うことにいたしました。 2月7日受診から3週間後に手術となりました。手術は僧帽弁の腱索断裂に対して五箇所の人工腱索を縫着し、手術を終わることができました。心停止時間が37分で手術時間は1時間36分でした輸血は行っておりません。術後は逆流がなく元気に退院されています」 一方、12年前から不整脈と心房細動に苦しんでいたのは黒田啓介氏だ(神戸在住・67歳)。黒田氏が証言する。 「すでに僧帽弁閉鎖不全症で弁の置換手術がすぐに必要といわれていました。調べると置換手術は胸を大きく切り開き、機械弁を入れると生涯ワーファリンを飲まなければならず、生体弁なら15年が持つ限界で将来自分がどこまで生きるかを考えると手術の決断はできなかった。しかし、不整脈と心房細動​が出ると突然気分が悪くなって動悸が激しくなり、体が動きにくくなると薬とアブレーション、電気ショックでいままで持ってきていました」(黒田氏) 昨年改めて以前の病院で手術を進められ心臓手術について調べた。 「手術を受けると決めましたが、年齢も若くはないので外部の傷は出来るだけ小さし手術という事でダビンチ手術をまず決め、次は全国の施設の手術症例数を調べました。すると、ニューハートワタナベ国際病院の渡邊先生が他の症例より圧倒的に多いことが分かりお願いすることを決めました」(黒田氏)。 病院には前の病院の地域連携化課が連絡をしてくれ、昨年9月21日に渡邊氏に面会、検査の結果、僧帽弁閉鎖不全症と三尖弁不全があると診断され、手術の必要を言われた。 手術は2月7日、2時間余りで手術は終わり、ICUを出たのは2日後の9日、退院は術後1週間の15日だった。 「術後もそうでしたが不快感はいまも全くありません。日々元気になっていくのが分かりますし、手前より体調がよく元気です」(黒田氏) 黒田氏の手術について、渡邊医師はこう言う。 「昨年の7月末神戸よりいらっしゃいました。2010年より10年来の弁膜症でその間心房細動と言う不整脈を発症し、カテーテルアブレーション(カテーテル治療)を3回受けています。心房細動は、長年僧帽弁閉鎖不全症を患うとよく併存して発症します。検査では僧帽弁逆流率は62%と高度であり、三尖弁閉鎖不全も合併しておりました。この方は睡眠時無呼吸や甲状腺機能低下もありました。 手術は2月7日行いました僧帽弁閉鎖不全症に対する形成術、三尖弁形成術、不整脈に対するメイズ手術と左心耳閉鎖術と言う術式です。手術時間は2時間24分で心停止時間は53分でした。この方も術後の逆流はなく元気に退院されています」 渡邊医師のニューハート・ワタナベ国際病院では、今年5月からは、人工心肺を使わない弁膜症手術「心拍動下僧帽弁形成術」も開始している。僧帽弁閉鎖不全症の患者に対し、人工心肺を使わず、心臓を動かしたまま僧帽弁を人工腱索再建によって形成する術式で、日本で唯一、この術式の独立施行施設の認定を受けている。 渡邊医師の挑戦は終わらない』、「人工心肺を使わない弁膜症手術「心拍動下僧帽弁形成術」も開始している。僧帽弁閉鎖不全症の患者に対し、人工心肺を使わず、心臓を動かしたまま僧帽弁を人工腱索再建によって形成する術式で、日本で唯一、この術式の独立施行施設の認定を受けている」、「術式」は日々進歩しているようだ。今後の発展が楽しみだ。
タグ:現代ビジネス 「バス会社のウィラー・エクスプレスは、脳ドック費用を全額負担。都内のタクシー会社・葵交通も費用の一部を補助するなど、運転手の健康管理に対する意識が高まっている」、確かにバスやタクシー「運転手」が突然の脳の発作を引き金に事故を起こした例もあり、予防は必須だ。 「集客や予約管理はスマートスキャンが行うため、医療機関側は放射線技師さえいれば、MRIの空き時間に客を受け入れて検査をするだけ。読影もエムネスや自社が抱える医師がクラウド上で行ため、検査だけで手数料が入る。そうしたメリットを提示しながら交渉を進め、直近の提携機関数は全国で130に達した」、「出光興産やキヤノンメディカルシステムズ、クレディセゾンなどの事業会社やベンチャーキャピタルから、総額約13億円となるシリーズBの資金調達を完了。この春から夏にかけてはテレビCMを大々的に展開するなど、大胆な投資を進める 「楽天を退職」する前の「準備」は周到なようだ。 「スマートスキャン」では「価格は相場の半値以下という1万7500円。検査結果は数日後にウェブで確認できる」、便利な新サービスだ。 東洋経済オンライン「「脳ドック」をITで価格破壊、楽天役員OBの目算 「MRIシェアリング」ベンチャーが医療を変える」 http://www.kansatuhou.net/60_johonyushu/01_nyumon/02_Q&A6_10.html) 「薬を処方してもしなくても国から支払われる金額が一緒なら、薬を処方しない方が儲かりますからね。ここまで改善が見られないと、必要な治療がなされていないのではないか、と疑ってしまいます」、「必要な治療を行っていないという事実はなく、定められたルールの中で、患者さんの回復に必要な治療を行っています」、「精神科の通院者は増え、医療観察法病棟が初めて北海道に設置されるなど拡充が続いている」、「医療観察法」対象者の再犯率は、一般の再犯率より低いようだ。 これでは、前述の特別手当はよほど思い切って出す必要がありそうだ。 「看護師」などは特別手当が出ないと、人は集まらないだろう。 「施行から15年以上、大きな改正もなく続いています」、なるほど。 「裁判前の鑑定留置で心神喪失などと認定され、不起訴となったケースなどを含めると、年間で300人を超えている」、かなりの人数だ。 (注)医療観察法:心神喪失者等医療観察法、心神喪失又は心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態)で、重大な他害行為(殺人、放火、強盗、 強制性交等、強制わいせつ、傷害)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした制度。 確かにこの対象者は、既に「重大な他害行為」を行ったということであれば、「親や近隣住民を殺した殺人犯や、自宅に放火した人ばかり」、というのは当然だ。 「人工心肺を使わない弁膜症手術「心拍動下僧帽弁形成術」も開始している。僧帽弁閉鎖不全症の患者に対し、人工心肺を使わず、心臓を動かしたまま僧帽弁を人工腱索再建によって形成する術式で、日本で唯一、この術式の独立施行施設の認定を受けている」、「術式」は日々進歩しているようだ。今後の発展が楽しみだ。 文春オンライン「「病棟内で殺人事件が発生したこともあります」「看護師はなぐられて当たり前」心神喪失で無罪になった元犯罪者の”惨い治療現場”《医療観察法再考》」 「「手術時間は1時間半ぐらいだったと思います。翌日にはICUから歩いて。個室に移動しました。体に入っていたドレーンなどの管が抜かれる度に元気になっていく気がしました。9日にはすべての管が抜かれ術後1週間後の昨日退院しました。明日(17日)から仕事に復帰です」、驚異的な回復の速さだ。 「実力主義の欧米で自らの存在を周囲に認めさせるには手術の技術を高めるほかないと、夜も下宿先のアパートに帰らず、ひたすらブタの心臓を使い血管の縫合やメスの使い方の練習に没頭した」、地道な努力が花開いたようだ。 木野 活明氏による「大学病院を去った「日本のブラックジャック」に手術を受けた患者の証言 天才医師・渡邊剛(後篇)」 (その38)(「病棟内で殺人事件が発生したこともあります」「看護師はなぐられて当たり前」心神喪失で無罪になった元犯罪者の”惨い治療現場”《医療観察法再考》、「脳ドック」をITで価格破壊 楽天役員OBの目算 「MRIシェアリング」ベンチャーが医療を変える、「胸を切らない心臓手術」を実践する世界一の心臓外科医が考えていること 天才医師・渡邊剛(前篇)、大学病院を去った「日本のブラックジャック」に手術を受けた患者の証言 天才医師・渡邊剛(後篇)) 医療問題 木野 活明氏による「「胸を切らない心臓手術」を実践する世界一の心臓外科医が考えていること 天才医師・渡邊剛(前篇)」 「「普通の内視鏡出手術は平面の2D画像ですが、ダビンチは3D画像ですから立体感がまるで違う。心臓手術は奥行き感やより正確な手術が求められるため、術野を10倍以上に拡大した3次元画像を見ながらの手術が可能です。 また、これまでの内視鏡では鉗子の動きは90度が限界でしたが、3次元では鉗子の動く範囲は360度動かすことができる。米粒に字が書けるほど細かい1mm半の血管を縫うことができるのがダビンチなんです」、確かに優れた手術法だ。アメリカ生まれでも、日本人が手術数でトップというのは、手先の器用さが影響しているの 「手術中の輸血量は胸骨正中切開ではどうしても500ccは使う。MICSは200cc使いますがダビンチは50ccで無輸血もある。輸血はすればするほど寿命は短くなります。輸血量は患者さんのその後の人生に大きく影響してくるんです」、「輸血量」だけでみても、「ダビンチ」は優れているようだ。 「ダビンチを開発した米国のIntuitive Surgical社が、世界で最もダビンチ手術を行ったドクターに贈る表彰盾だ。渡邊医師は2019年から3年連続世界一。世界で最も多くのダビンチ手術の経験を持つナンバーワンドクターなのである」、「週に5件、多い時には10件、コロナの影響のなかで昨年も約200件のダビンチ手術を行っています。これだけダビンチで心臓手術をしている病院は世界でもありません」、大したものだ。
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健康(その22)(和田秀樹「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」…高齢者が薬とうまく付き合う3つの原則 薬で数値を下げると 生活の質まで下がってしまう、「脳の健康を守り 平均寿命を伸ばす」70代になったら積極的に食べたほうがいい"3つの食べ物" 1000年以上前から健康食として知られている、一流のマッチョはみんな食べている…鶏のササミよりも栄養価が優れている「ある野菜」【2022上半期BEST5】 「アミノ酸スコア」が野菜のなかではダントツに高い) [生活]

健康については、8月10日に取上げた。今日は、(その22)(和田秀樹「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」…高齢者が薬とうまく付き合う3つの原則 薬で数値を下げると 生活の質まで下がってしまう、「脳の健康を守り 平均寿命を伸ばす」70代になったら積極的に食べたほうがいい"3つの食べ物" 1000年以上前から健康食として知られている、一流のマッチョはみんな食べている…鶏のササミよりも栄養価が優れている「ある野菜」【2022上半期BEST5】 「アミノ酸スコア」が野菜のなかではダントツに高い)である。

先ずは、8月25日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の 和田 秀樹氏による「和田秀樹「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」…高齢者が薬とうまく付き合う3つの原則 薬で数値を下げると、生活の質まで下がってしまう」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60708
・『いつまでも元気にすごすにはどうすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「血圧や血糖値はちょっと高めぐらいのほうが活力を維持してくれる。医者が処方する薬をそのまま飲むのではなく、本当に必要な薬なのかを点検してほしい」という――。※本稿は、和田秀樹『老人入門 いまさら聞けない必須知識20講』(ワニブックス)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『飲んで不調になるなら薬を止めるしかない  医者は薬を処方しますが、それを飲むのは患者です。 したがって、その薬を飲み続けることで何らかの不調を感じたら、そのことをはっきりと言わなければいけません。言わない限り、医者は薬を出し続け、患者は不調に苦しみ続けることになるからです。 「フラフラする」「眠くなる」「頭がボーッとする」どんなことでもいいです。 それをはっきりと訴えて、まさか「気にしなくていいです」とか「我慢しなさい」という医者はいないと思いますが、無反応な医者はときどきいます。患者の訴えに取り合わず、結局、いつもと同じ薬を同じ量だけ出します。 もしそういう医者にいま診てもらっているのでしたら、医者を替えてください。 でも医者が処方する薬を「仕方ない」と思って諦めて飲んでいる人はいないでしょうか。 「これを飲むと頭がボーッとするんだけど、薬だから仕方ないのかな」 どんな薬にも副作用があることは知っています。ある程度の不調は薬の功罪の罪の部分で、功もそれなりにあるんだからと受け止める人です。「実際に血圧が下がっているんだから我慢すればいいのかな」と考えてしまいます。これはとんでもない考え方です。 なぜ薬を飲むのかといえば、不調を治すためです。いくら血圧の数値が下がったとしても飲めば調子が悪くなる薬なら意味がありません。そうなるくらいなら、血圧が高くても調子がいい状態に戻ったほうがじつは身体のためです。薬は飲まないほうがいいのです』、「いくら血圧の数値が下がったとしても飲めば調子が悪くなる薬なら意味がありません。そうなるくらいなら、血圧が高くても調子がいい状態に戻ったほうがじつは身体のためです。薬は飲まないほうがいいのです」、「薬」漬けからは脱却したいものだ。
・『放っておくと薬の種類と量は増えていく  血圧や血糖値が高めというだけで薬を出されますから、50代後半ぐらいから何らかの薬を毎朝、飲む人が出てきます。高齢になるにつれて検診で引っかかる項目が増え、実際に糖尿病や心血管系の病気にかかる人も増えてきますから、薬の種類も量も次第に増えてきます。 そのままいけば80代90代になったころにはどうなるのか、慢性的な不調はすべて歳のせい、病気のせいと思い込んでいるかもしれませんが、じつは薬のせいかもしれないのです。 そろそろ薬に対する考え方を根本的に見直したほうがいいでしょう。 飲まなくていい薬は飲まない。飲んでも飲まなくてもいいような薬も飲まない。飲んだほうがいい薬を必要なぶんだけ飲む。 この3つを守るためにはまず、医者とは堂々と付き合ってください。薬で調子が悪くなるときははっきり説明して「減らしたい」「飲みたくない」と申し出ましょう。医者の私が言うのも何ですが、自分の専門領域しか眼中にない医者ほど、とりあえず病気の原因となる検査項目の数値、血圧や血糖値を下げようとします。予防や悪化させないためですからこれは仕方ありません』、「慢性的な不調はすべて歳のせい、病気のせいと思い込んでいるかもしれませんが、じつは薬のせいかもしれないのです。 そろそろ薬に対する考え方を根本的に見直したほうがいいでしょう。 飲まなくていい薬は飲まない。飲んでも飲まなくてもいいような薬も飲まない。飲んだほうがいい薬を必要なぶんだけ飲む。 この3つを守るためにはまず、医者とは堂々と付き合ってください。薬で調子が悪くなるときははっきり説明して「減らしたい」「飲みたくない」と申し出ましょう」、私はこれまで前立腺肥大の薬を飲んでいたが、もう飲む必要なしとして、全く飲んでいない。
・『かかりつけの薬局を1つ作って薬を整理してもらう  でも、心血管系の病気でも糖尿病のような基礎疾患でも、こういった項目の数値を下げるのが治療の第一歩と見なされますからどの医者も同じような薬を処方します。3つも4つもクリニックに通っていたらたまったものではありません。しかも2カ月分くらいどさっと出します。 そこで、せめて薬局をひとつにしましょう。医者が処方した薬をクリニックに近い薬局から出されるままに持ち帰るのでなく、できれば自宅に近い薬局を選んでお薬手帳も1冊にまとめ、薬剤師に話して用途がダブっている薬を取り除いてもらいます。 意外に知られていないのですが、薬を取り巻く状況はだいぶ変わってきました。 薬局の役割が大きくなってきます。「薬剤管理」などの名目で個人の薬剤情報の一元管理を目指しています。多剤処方や重複投薬を防止する方向に進んでいるのです。 医者が処方する薬を「仕方ない」と諦めてそのまま飲むのでなく、ぜひかかりつけの薬局を作って無用な薬は飲まないようにしてください。薬のことだけなら医者より薬剤師のほうが精通しています。) もちろん理想を言えば、薬への不満をしっかりと受け止めてくれる医者と出会うことです。「調子悪くなります」と訴えたときに、「少し減らしてみましょう」と臨機応変に対応してくれるかかりつけ医を見つけることでしょう。 いちばんいいのは、話しやすくて会うと気持ちが楽になる医者、つまり相性のいい医者を探すことです。我慢してまで気に入らない医者と付き合う必要はありません。 そのためにも、薬を飲んで不調になるときにはそのことをはっきりと医者に申し出てください。そこがスタートです』、「理想を言えば、薬への不満をしっかりと受け止めてくれる医者と出会うことです。「調子悪くなります」と訴えたときに、「少し減らしてみましょう」と臨機応変に対応してくれるかかりつけ医を見つけることでしょう。 いちばんいいのは、話しやすくて会うと気持ちが楽になる医者、つまり相性のいい医者を探すことです。我慢してまで気に入らない医者と付き合う必要はありません」、私にはかかりつけ医はいないので、何となく不安だ。やはり近所で探してみよう。
・『高齢者が薬で「正常値」にする副作用  ほとんどの薬は血圧、血糖値、コレステロール値などの数値を下げるためのものです。 では、そういう数値を下げれば老いても元気に暮らしていけるのでしょうか。そもそもなぜ数値を下げようとするのかといえば、正常値とされる数値より高いからです。平均値を挟んで大半の人を正常とし、高過ぎたり低過ぎたりする人を異常とする統計的なものです。 でも人それぞれの体質や環境があります。少しぐらい高めでも毎日元気で、自分でも体調がいいと感じている人もいれば、正常値でも病気になったり不調を感じる人もいます。 たしかに脳梗塞や心筋梗塞のような病気の予防には、先に挙げた3つの項目の数値は高いより正常であったほうがいいでしょう。 でも薬を使ってまで下げる必要があるのかどうか、とくに高齢者の場合は疑問です。 私にも経験があるのですが、血圧や血糖値を薬で下げるとボーッとしたりだるくなったりすることがあります。コレステロール値を下げる薬は男性ホルモンを抑えますから活力のないしょぼくれた老人になってしまいます。コレステロールは免疫細胞の材料でもありますから免疫機能も低下します』、私は「コレステロール値」がやや高目だが、「コレステロール値を下げる薬」の副作用を考慮すると、飲まずに放置することにしたい。
・『血圧や血糖値、コレステロール値はちょっと高いぐらいがいい  それだけではありません。薬だけでなく食事にもつい気を遣うようになります。しょっぱいものとか味の濃いものを避け、肉料理のような脂っこいものも避けてしまいます。何だか食べる楽しみが薄れてしまいます。 その結果、数値がどんなに正常に近づいてもこれといって楽しみもなく、しかもボーッとしたり元気の出ない生活を送ることになってしまいます。これでは老いがどんどん加速されるでしょう。ただ数値を下げるためだけに薬を飲んでも、QOL(生活の質)までが下がってしまったら意味がありません。 むしろ血圧や血糖値、コレステロール値はちょっと高めぐらいのほうが高齢者の活力を維持してくれます。本人がそれで元気なら何も問題はないというのが私の考えです』、「血圧や血糖値、コレステロール値はちょっと高めぐらいのほうが高齢者の活力を維持してくれます」、筆者の和田氏は、嬉しいことを言ってくれる有難い先生だ。

次に、8月29日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の和田 秀樹氏による「「脳の健康を守り、平均寿命を伸ばす」70代になったら積極的に食べたほうがいい"3つの食べ物" 1000年以上前から健康食として知られている」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60903
・『いつまでも健康でいるためにはなにを食べればいいか。老年医学の専門家である和田秀樹さんは「それは納豆と肉と野菜だ。これらの食材は脳を健康にする効果がある。特に70歳を過ぎたら、積極的に食べたほうがいい」という――。(第1回)※本稿は、和田秀樹『70歳の正解』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『平安時代から健康食として認められていた納豆  30年余り精神科医を続け、約6000人の患者さんと接するなか、最も頻繁に受けてきた質問は、「食」と「睡眠」に関するものです。「何を食べれば、頭と体にいいのですか?」「よく眠れないのですが、どうすればいいでしょう?」というような問いですが、そうした質問に答えていきましょう。 まずは「食」ですが、前著『80歳の壁』では、「肉を食べる」ことの重要性を強調しました。牛肉や豚肉は、トリプトファンというアミノ酸をたっぷり含み、それが脳内の神経伝達物質の司令塔、セロトニンの材料になり、脳の活性化につながる――というのが、その大きな理由です。 本稿では、肉とともに、高齢者こそ摂りたい他の食べ物について、お話ししていきましょう。まずは、健康食の代表格、「納豆」です。話が飛ぶようですが、平安時代の宮廷医に、丹波康頼たんばのやすよりという人がいました。日本史に名を残す「最初の名医」といえる人物で、984年に日本最古の医学事典『医心方いしんほう』を著しています。 同書は、世界記憶遺産への登録運動も始まっている名著であり、大著です。2012年、古典医学研究家の槇まき佐知子さちこ氏の全訳が完成し、医学界で大きな話題になりました。私も、全巻読破とはいかなくとも、拾い読みしてみたのですが、その中に「納豆はひじょうに優秀な食品で、解毒げどく作用がある」という意味の一節がありました。1000年以上も前の医師が、すでに納豆の食品としての優秀性に気づいていたのです』、「納豆」が「平安時代から健康食として認められていた」とは初めて知った。
・『「ブレインフード」とも呼ばれている大豆  「納豆が脳にも体にもいい」ことは、医学・栄養学の研究者の衆目一致するところです。良質の植物性タンパク質を、最も効果的にとれる食材だからです。しかも、値段が安い。スーパーに行けば、3連パックが100円ほどで手に入ります。納豆は、最安値の“サプリメント”といってもいいでしょう。 一般に、高齢者は、体重1キロ当たり、1日に1.2〜1.5グラム程度のタンパク質をとるのが望ましいとされています。体重60キロの人で70〜90グラムです。これは、肉70〜90グラムではなく、純粋のタンパク質の重量ですから、摂取するのはなかなか大変です。朝はタマゴ、昼は魚、夜は肉くらいのつもりで、タンパク質性の食材を食べて、初めて摂取できる量です。そこで、大いに活用したいのが、納豆などの大豆を素材とする食品なのです。 大豆食品は、脳にとっても、強い味方です。近年、大豆は、脳の働きを活発にする点でも注目され、「ブレインフード」とも呼ばれています。 脳内では、神経細胞(ニューロン)から神経伝達物質が分泌され、刺激や情報が別の神経細胞へ伝わっています。脳が活発に働いている状態とは、「神経伝達物質の量が多くなり、シナプス間を活発に行き来している状態」といっていいのですが、大豆は、その神経伝達物質の重要な原料「レシチン」をたっぷり含んでいるのです。 レシチンは、脳内でアセチルコリンという神経伝達物質に変化します。アセチルコリンが不足すると、脳内の情報伝達がうまくいかなくなります。認知症患者の人には、アセチルコリン不足の人が多いことがわかっています。大豆を素材とする食品、納豆や豆腐、豆乳、みそ、きな粉などを食べれば、そのレシチンをたっぷり摂取できます。中でも、納豆は、大豆の栄養をほぼそのままの形で摂取できる優秀な食材なのです』、「大豆は、その神経伝達物質の重要な原料「レシチン」をたっぷり含んでいるのです。 レシチンは、脳内でアセチルコリンという神経伝達物質に変化します。アセチルコリンが不足すると、脳内の情報伝達がうまくいかなくなります。認知症患者の人には、アセチルコリン不足の人が多いことがわかっています。大豆を素材とする食品、納豆や豆腐、豆乳、みそ、きな粉などを食べれば、そのレシチンをたっぷり摂取できます。中でも、納豆は、大豆の栄養をほぼそのままの形で摂取できる優秀な食材なのです」、確かに素晴らしい「食材」だ。
・『70歳を過ぎたら、むしろコレステロールが必須  私が講演などで「高齢者ほど肉を食べたほうがいい」とお話しすると、かならず「コレステロール値が上がるのが心配で」という質問の声が上がります。 そうした不安に答えるため、ここで、声を大にしていっておきますが、「コレステロールは、体に悪い」というのは、フェイクニュース、間違った思い込みです。むしろ、老後、元気に暮らすためには、コレステロールは不可欠な物質なのです。) そもそも、コレステロールは、人間を含めた動物の体を形づくる脂質の一種。性ホルモンや細胞膜の材料になるなど、生命体に欠かせないものです。加えて、コレステロールは、脳内で「セロトニンを運ぶ」という大役を果たしています。セロトニンは、脳の神経細胞間で、刺激や興奮を伝える神経伝達物質のひとつです。 神経伝達物質といえば、ドーパミンやアドレナリンが有名ですが、セロトニンはそれらの分泌量のコントロールにも一役買っている神経伝達物質の司令塔であり、「心」のコントロール役をつとめています。コレステロールは、そのセロトニンを運んでいるため、コレステロール値の高い人のほうが、うつ病にかかりにくいことがわかっています。また、いったん、うつ病にかかっても、治りやすいのです』、「コレステロールは、脳内で「セロトニンを運ぶ」という大役を果たしています。セロトニンは、脳の神経細胞間で、刺激や興奮を伝える神経伝達物質のひとつです。 神経伝達物質といえば、ドーパミンやアドレナリンが有名ですが、セロトニンはそれらの分泌量のコントロールにも一役買っている神経伝達物質の司令塔であり、「心」のコントロール役をつとめています。コレステロールは、そのセロトニンを運んでいるため、コレステロール値の高い人のほうが、うつ病にかかりにくいことがわかっています」、「「コレステロールは、体に悪い」というのは、フェイクニュース、間違った思い込みです。むしろ、老後、元気に暮らすためには、コレステロールは不可欠な物質なのです」、私が「コレステロール」値が高いとして悩んだのは馬鹿馬鹿しくなった。
・『肉を食べることで、さまざまな健康効果が期待できる  さらに、コレステロールは、主要な男性ホルモン、テストステロンの材料にもなります。日本人がセックスレスになりがちなのも、「コレステロールを減らしたほうがいい」という誤った言説が広まった結果、男性ホルモンを減らしたことが原因のひとつだと、私は見ています。 さらには、コレステロール値が低いと、がんになりやすいというデータもあります。これは免疫細胞の材料が不足するからでしょう。また、コレステロールが多すぎると、「高コレステロール血症」となり、動脈硬化を引き起こすリスクが高まるのはたしかですが、少なすぎても、血管がもろくなり、脳卒中を起こしやすくなります。 そもそも、現在、日本人の平均寿命が世界トップクラスになった理由のひとつは、戦後、戦前とは比べものにならないほど「肉を食べる」ようになり、コレステロールの摂取量が格段に増えたことです。コレステロール摂取量が増えたことで、血管が強く、しなやかになり、出血性の脳卒中による死亡者が激減したのです』、「コレステロールは、主要な男性ホルモン、テストステロンの材料にもなります。日本人がセックスレスになりがちなのも、「コレステロールを減らしたほうがいい」という誤った言説が広まった結果、男性ホルモンを減らしたことが原因のひとつだと、私は見ています」、なるほど。
・『ビタミンは体だけではなく脳の健康にも深く関わっている  次はビタミンです。知っておいていただきたいのは、ビタミンは、体の健康だけでなく、脳の健康にも深く関わっていることです。 アメリカでは、知能指数とビタミンCとの関係について、次のような実験が行われました。幼稚園児から大学生までの351人を2つのグループに分け、Aグループには、血中のビタミンC濃度が高くなるような食事を与え、一方のBグループには、ビタミンCが不足するような食事を与えました。その状態でIQテストを行ったところ、Aグループの平均が113.2、Bグループの平均が108.7と、有意差が生じたのです』、「血中のビタミンC濃度が高くなるような食事を与え、一方の・・・ビタミンCが不足するような食事を与えました」、「IQテストを行ったところ、Aグループの平均が113.2、Bグループの平均が108.7と、有意差が生じた」、ずいぶん明確な差が出たことに驚かされた。
・『頭をよくするビタミンCの「抗酸化作用」  ビタミンCが頭をよくする理由は、酸化を防ぐ抗酸化作用にあります。 脳細胞の酸化が進み、傷つくと、脳全体の働きが弱ってしまいます。また、血管内で酸化が進んでも、脳に必要な酸素や栄養が行き渡らなくなってしまいます。そのため、脳や血管の酸化は、認知症全体の約7割を占めるアルツハイマー型認知症の原因のひとつとされているのですが、ビタミンCには、それを防ぐ力があるのです。 ビタミンCには、酸化の逆である還元作用を起こす力があります。その作用によって酸化を防ぎ、脳細胞や血管を守るのです。むろん、ビタミンCは、脳や血管だけでなく、体全体にとっても必要です。老後、新鮮な野菜やフルーツをたっぷり食べている人は、男性で6年、女性で1年、寿命が伸びるというデータもあります。 ご承知のように、ビタミンCは、野菜や果物に含まれていますが、サプリメントで補給することもできます。ビタミンCは、古くから「健康にいい」と注目されてきたため、早い時期から、錠剤が作られ、その値段はサプリメントの中でも、最安値の部類に入ります。大いに利用しましょう』、「ビタミンCは、古くから「健康にいい」と注目されてきたため、早い時期から、錠剤が作られ、その値段はサプリメントの中でも、最安値の部類に入ります。大いに利用しましょう」、なるほど。
・『やっぱり「酒」と「たばこ」は健康に良くない  常識的なことではありますが、70歳前後ともなれば、飲酒は、ほどほどを心がけることです。 酒は、ストレスの発散効果があるとはいえ、基本的には脳にダメージを与える物質です。大酒を飲んだとき、記憶がなくなるのも、脳内で記憶に関して重要な役割を果たしている「海馬」という部位が麻痺するために起きる現象です。 脳には、「血液脳関門」という有害物質の侵入を阻止する“関所”が設けられているのですが、アルコール類はその関所を突破して、脳内に入り込みます。そうして、海馬を麻痺させてしまうのです。一時的な“記憶喪失”は、酒からさめれば解消されるとしても、毎日のように大酒を吞のんでいると、前頭葉が確実に萎縮していきます。実際、アルコール依存症患者の脳を調べると、前頭葉と海馬が萎縮しているケースがひじょうに多いのです。とりわけ怖いのは「ひとり吞み」で、アルコール依存症のリスクが大きく高まります。 一方、タバコも、やめるに越したことはありません。脳への影響についていうと、ニコチンは血管を縮めるため、体内の血のめぐりが悪くなるうえ、脳に流入する血液量が減っていきます。すると、脳はたえず酸素不足の状態に陥り、うまく機能しなくなってしまうのです。 いわば、ヘビースモーカーの脳は、つねに酸素不足で、いわば金魚が口をパクパクしているような状態。そんな状態では、脳の衰えを防ぐことはできません。 ただ、最近の研究では、ニコチンにはアルツハイマー型認知症を防ぐ効果もあるとされています。どうしても禁煙できないという人は、酸素不足の起こりにくい電子タバコでがまんするのが、現実的な解決法といえるかもしれません』、「ヘビースモーカーの脳は、つねに酸素不足で、いわば金魚が口をパクパクしているような状態。そんな状態では、脳の衰えを防ぐことはできません」、私は既に禁煙しているが、こんな恐ろしい事実を知っていれば、もっと早く禁煙したろう。
・『「食べる」ことと「噛む」ことは健康に大きく影響している  「食べる」ことに関連して、「噛む」ことの重要性について述べておきたいと思います。 以前、「ガム」に関して、次のような記憶力テストが行われたことがあります。対象は、小学生。色付きボードの配置を30秒間で覚え、その通りにカードを並べ直すというテストです。このテスト、ガムを噛みながら行うと、正解率が2倍にもアップしたのです。 そこで、ガムを噛んでいるときの、脳の状態を調べると、血流量が増えていることがわかりました。とりわけ、記憶を司つかさどる海馬の血流量が増えていたのです。そのメカニズムは、以下の通りです。 ガムを噛むと、あごの「咬筋こうきん」が動きますが、その咬筋は三叉さんさ神経によって脳とつながっています。そのため、咬筋を動かしたことによる信号が、大脳や扁桃体へんとうたいなど、認知機能を司る部位を刺激し、血流が増えるという仕組みです。 加えて、ガムを噛むと、歯の歯根膜しこんまくが圧力を受けます。歯根膜への刺激も脳に信号として伝わり、脳を刺激します。これもまた、脳の活性化につながるのです。逆にいうと、歯が悪いことは、認知症の原因になります』、「歯が悪いことは、認知症の原因になります」、幸い、私の歯はいいので安心した。
・『ガムやスルメを食べるだけで脳の衰えを防ぐことができる  その理由は2つあって、第一には、噛む回数が減ることで、脳への刺激が減り、認知機能が衰えること。第二には、噛む力が衰えると、生野菜などの硬い食べ物を避けて、麺類など、やわらかいものを食べる機会が増えることです。すると、ビタミン不足に陥り、これもまた、認知症の発生リスクを高めるのです。 実際、歯が20本以上ある人に対して、歯のほとんどない人は、認知症の発症率が1.85倍も高いというデータもあります。また、アルツハイマー型認知症の患者は、野菜の摂取量が少ないこともわかっています。私は、健康に長生きしたければ、義歯やインプラントなど、歯にはお金をかけたほうがいいと思います。 なお、脳を刺激するには、咬筋を動かせばいいのですから、噛むものは、ガムではなく、スルメでもOK。私も、ときおり昔懐かしい「都こんぶ」を買ってきては、噛んでいます。というわけで三度の食事をとるときは、若いとき以上に、よく噛んで食べるようにしたいものです。それだけのことで、脳の衰えを防ぐことができるのです』、「歯が20本以上ある人に対して、歯のほとんどない人は、認知症の発症率が1.85倍も高いというデータもあります。また、アルツハイマー型認知症の患者は、野菜の摂取量が少ないこともわかっています」、「噛むものは、ガムではなく、スルメでもOK。私も、ときおり昔懐かしい「都こんぶ」を買ってきては、噛んでいます」、私はキシリトールのガムを噛んでいるが、「都こんぶ」も買ってくることにしよう。

第三に、9月3日付けPRESIDENT Onlineが掲載した「筋肉食堂」マネージャーの谷川 俊平氏による「一流のマッチョはみんな食べている…鶏のササミよりも栄養価が優れている「ある野菜」【2022上半期BEST5】 「アミノ酸スコア」が野菜のなかではダントツに高い」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/61177
・『2022年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。食生活部門の第2位は――。(初公開日:2022年4月1日) 体作りのためには、どんな食事が望ましいのか。高タンパク・低カロリー食レストラン「筋肉食堂」を運営する谷川俊平さんは「ブロッコリーがおすすめだ。タンパク質が多く、アミノ酸スコアが高い食材で、筋トレをする人たちは必ず食べている」という――。 ※本稿は、谷川俊平『食べる筋トレ。』(かんき出版)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『筋トレ民が大好き「ブロッコリー」の驚くべき効能  筋トレをする人(以下、トレーニーと呼ぼう)に人気の食材は、鶏肉をはじめとする肉類だろう。しかし、ここでどうしても紹介しておきたい食材がある。それは、ブロッコリーだ。 実は、ブロッコリーには、100グラムあたり、5.4グラムものタンパク質が含まれている。アミノ酸スコアも80と、野菜のなかではダントツに高い。しかも、糖質は1.5グラムと非常に低い。 同じ緑黄色野菜のニンジンと比べてみよう。ニンジンの100グラムあたりのタンパク質は、0.8グラムしかない。逆に、糖質は6.3グラムも含まれている。アミノ酸スコアは55だ。 こう聞くと、ブロッコリーがいかに優れた食品かがわかるだろう。 とはいえ、タンパク質の量だけを考えれば、肉や魚などのほうが優れているように思える。しかし、それ以外にもブロッコリーには数多くのメリットがある。 その1つが、「ジインドリルメタン」と「I3C」という成分だ。これらは、男性ホルモンを増強し、筋肉をつきやすくしてくれると言われている。これも、ブロッコリーが多くのトレーニーに好まれている理由だろう。 さらに、ブロッコリーには大量のビタミンCが含まれている。その量は100グラムあたり、140ミリグラム。ちなみに、ビタミン豊富と言われるレモンの可食部(皮などを除いた部分)は20ミリグラムだ』、「ブロッコリーには、100グラムあたり、5.4グラムものタンパク質が含まれている。アミノ酸スコアも80と、野菜のなかではダントツに高い。しかも、糖質は1.5グラムと非常に低い」、「それ以外にもブロッコリーには数多くのメリットがある。 その1つが、「ジインドリルメタン」と「I3C」という成分だ。これらは、男性ホルモンを増強し、筋肉をつきやすくしてくれると言われている。これも、ブロッコリーが多くのトレーニーに好まれている理由だろう。 さらに、ブロッコリーには大量のビタミンCが含まれている。その量は100グラムあたり、140ミリグラム。ちなみに、ビタミン豊富と言われるレモンの可食部・・・は20ミリグラムだ」、なるほど。
・『クリスティアーノ・ロナウドが毎日繰り返し食べている2つの食材  ご存じの方も多いと思うが、ビタミンCには、疲労回復効果がある。トレーニング後の回復だけでなく、日々の仕事の疲れもとれやすくなるので、積極的に食べないという選択肢はないのではないだろうか。 なお、ビタミンCには抗酸化作用もあるため、肌をきれいに保てるなど、若々しさを持続することにもつながる。 ちなみに、美しい筋肉の持ち主として知られるサッカー界のレジェンド、クリスティアーノ・ロナウドの毎日の食事は、「ライス、ムネ肉、ブロッコリーの繰り返し」だそうだ。 私自身も、ブロッコリーは毎日欠かさず食べている。塩茹でしたブロッコリーを1日に半株くらいは消費している。 塩味がついているのでそのまま食べてもいいし、ポン酢をつけてもいい。夏場はそうめんのつゆにつけるのもサッパリしておすすめだ。 なお、ブロッコリーを茹でて調理すると、ビタミンCが流れ出てしまうというデメリットがある。気になる人は、電子レンジで蒸して調理するといいだろう』、「クリスティアーノ・ロナウドの毎日の食事は、「ライス、ムネ肉、ブロッコリーの繰り返し」だそうだ」、そんな偏食で大丈夫なのだろうか。
・『体内で合成できない9種類の必須アミノ酸の中身  先ほど「アミノ酸スコア」という言葉が出てきたが、ここでタンパク質を選ぶ目安である「アミノ酸スコア」について詳しくお伝えしよう。 少し専門的な話になるが、タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されている。そのうち体内で合成できないアミノ酸が9種類ある。 「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」「トレオニン」「リシン」「メチオニン」「フェニルアラニン」「トリプトファン」「ヒスチジン」というアミノ酸がそれだ。 これらを「必須アミノ酸」と呼ぶ。体内で合成できないということは、「食品から摂取するしかない」ということだ。 実は、この9種類の必須アミノ酸がすべてそろわないと体内で十分なタンパク質が生成されない。 だから、その食材に必須アミノ酸がどれくらいバランスよく含まれているかが大事になってくる。それを示す数値を「アミノ酸スコア」という。 ちなみに、アミノ酸スコアは100が上限で、この値が高ければ高いほど、同じ量を食べても筋肉がつきやすいということだ』、「9種類の必須アミノ酸がすべてそろわないと体内で十分なタンパク質が生成されない。 だから、その食材に必須アミノ酸がどれくらいバランスよく含まれているかが大事になってくる。それを示す数値を「アミノ酸スコア」という。 ちなみに、アミノ酸スコアは100が上限で、この値が高ければ高いほど、同じ量を食べても筋肉がつきやすいということだ」、「ブロッコリー」が80というのは野菜のなかではダントツだ。
・『菜食主義者のカール・ルイスでも立派な筋肉はつく  図表1を見てほしい。 【図表1】主な食品のアミノ酸スコア出所=『食べる筋トレ。』より 牛肉、鶏肉、豚肉などの食肉、マグロやアジなどの魚、卵など、動物性タンパク質のアミノ酸スコアは、ほぼ100だ。 一方、野菜類などの植物性タンパク質は、大豆など一部を除いてアミノ酸スコアが低い傾向がある。 ということは、「植物性タンパク質を食べても十分にタンパク質を生成できないのでは?」と思うかもしれないが、植物性タンパク質でも筋肉はつく。 いろいろな種類の植物性タンパク質を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスが整うからだ。 たとえば、陸上のカール・ルイスは菜食主義者だが、立派な筋肉のついた体で世界記録を出している。 また、牛肉や豚肉は部位によって脂肪など余分なものも多いことがあるので、カロリー過多になりやすい。 一方、植物性タンパク質のなかでも、大豆や大豆加工品のアミノ酸スコアは100だ。しかし、豆類には糖質も多い。したがって、タンパク質はできるだけいろいろな食材からとるのが望ましい。 私自身も、動物性タンパク質と植物性タンパク質をとり交ぜながら摂取している。 そう考えると、大切なのは、各食材の特徴についての知識を蓄えて、それをもとにさまざまな食材からタンパク質を摂取することではないだろうか』、「植物性タンパク質でも筋肉はつく。 いろいろな種類の植物性タンパク質を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスが整うからだ。 たとえば、陸上のカール・ルイスは菜食主義者だが、立派な筋肉のついた体で世界記録を出している」、「大切なのは、各食材の特徴についての知識を蓄えて、それをもとにさまざまな食材からタンパク質を摂取することではないだろうか」、その通りだ。
・『鶏肉でオススメなのはササミよりもムネ肉  最後に、トレーニーにとっての最強食材である鶏肉について補足しておこう。 昔から、ボディビルダーたちのあいだでは、「筋肉をつけたいなら鶏肉がベスト」と言われてきた。なぜなら鶏肉は、高タンパク・低カロリーのお手本のような食品だからである。 そんな鶏肉のなかでも特におすすめの部位は「ササミ」というのが定説だった。タンパク質の含有量は、ササミもムネ肉も100グラム中、約23グラムだが、ムネ肉は脂質が100グラム中、1.9グラムあるのに対し、ササミは0.8グラム。鶏肉のなかでも最も脂質が少ないのがササミだからだ。 ちなみに、モモ肉は鶏肉のなかで最も脂肪が多く、皮つき肉の脂質は19.1グラムになる(ただし、皮を取り除けば4.8グラムに減る)。 しかし、私はどちらかというと、ムネ肉を推奨している。その理由は、疲労回復に役立つ成分が含まれているからだ。 渡り鳥は何日間も眠らずに飛び続けることができる。人間には到底、不可能な芸当だ。そんなことができるのは、翼を動かしているムネ肉に「イミダペプチド」という物質が含まれているから。 このイミダペプチドは、われわれ人間の疲労回復にも威力を発揮することがわかっている。ニワトリは、渡り鳥ではないが、そのムネ肉にもイミダペプチドは含まれている。 筋トレをした後に、鶏ムネ肉を食べると、イミダペプチドの効果で疲れが早くとれるというわけだ』、「渡り鳥は何日間も眠らずに飛び続けることができる・・・そんなことができるのは、翼を動かしているムネ肉に「イミダペプチド」という物質が含まれているから」、「ニワトリは、渡り鳥ではないが、そのムネ肉にもイミダペプチドは含まれている。 筋トレをした後に、鶏ムネ肉を食べると、イミダペプチドの効果で疲れが早くとれる」、「疲れが早くとれる」というのは魅力的だ。
・『筋肥大を目指すなら皮も食べたほうがいい  また、鶏ムネ肉は牛肉や豚肉だけでなく、同じ鶏肉のササミやモモ肉と比べても、値段が安い。牛肉を毎日食べ続けるのは経済的に厳しいという人も、ムネ肉なら毎日食べることができるのではないだろうか。 なお、鶏ムネ肉は多くの場合、皮がついたまま売られている。この皮の正体はほとんど脂身なので、体を引き締めたいならば、包丁でとることをおすすめする。 一方、筋肉を大きくしたいときは皮も食べたほうがいい。詳しくはここでは省くが、脂質は筋肉をつけるためには欠かせない栄養素だからだ。 鶏ムネ肉は塩コショウだけでも十分おいしいが、毎日食べていると飽きがくる。そんなときは「味変」で乗り切ろう。 私の働いている「筋肉食堂」では日替わりで鶏肉のソテーを提供しているが、あるときはトマトソース、あるときは大葉ジェノベーゼソースというように、さまざまなソースで変化をつけている。 梅干し、キムチ、ガーリックなどの食材とも相性が抜群だ。ぜひ味変に挑戦して、ムネ肉を存分に摂取してほしい』、「筋肉を大きくしたいときは皮も食べたほうがいい。詳しくはここでは省くが、脂質は筋肉をつけるためには欠かせない栄養素だからだ」、「あるときはトマトソース、あるときは大葉ジェノベーゼソースというように、さまざまなソースで変化をつけている。 梅干し、キムチ、ガーリックなどの食材とも相性が抜群だ。ぜひ味変に挑戦して、ムネ肉を存分に摂取してほしい」、「味変」とは面白そうで、一度、挑戦してみたい。
タグ:「歯が20本以上ある人に対して、歯のほとんどない人は、認知症の発症率が1.85倍も高いというデータもあります。また、アルツハイマー型認知症の患者は、野菜の摂取量が少ないこともわかっています」、「噛むものは、ガムではなく、スルメでもOK。私も、ときおり昔懐かしい「都こんぶ」を買ってきては、噛んでいます」、私はキシリトールのガムを噛んでいるが、「都こんぶ」も買ってくることにしよう。 「筋肉を大きくしたいときは皮も食べたほうがいい。詳しくはここでは省くが、脂質は筋肉をつけるためには欠かせない栄養素だからだ」、「あるときはトマトソース、あるときは大葉ジェノベーゼソースというように、さまざまなソースで変化をつけている。 梅干し、キムチ、ガーリックなどの食材とも相性が抜群だ。ぜひ味変に挑戦して、ムネ肉を存分に摂取してほしい」、「味変」とは面白そうで、一度、挑戦してみたい。 「渡り鳥は何日間も眠らずに飛び続けることができる・・・そんなことができるのは、翼を動かしているムネ肉に「イミダペプチド」という物質が含まれているから」、「ニワトリは、渡り鳥ではないが、そのムネ肉にもイミダペプチドは含まれている。 筋トレをした後に、鶏ムネ肉を食べると、イミダペプチドの効果で疲れが早くとれる」、「疲れが早くとれる」というのは魅力的だ。 「植物性タンパク質でも筋肉はつく。 いろいろな種類の植物性タンパク質を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスが整うからだ。 たとえば、陸上のカール・ルイスは菜食主義者だが、立派な筋肉のついた体で世界記録を出している」、「大切なのは、各食材の特徴についての知識を蓄えて、それをもとにさまざまな食材からタンパク質を摂取することではないだろうか」、その通りだ。 「9種類の必須アミノ酸がすべてそろわないと体内で十分なタンパク質が生成されない。 だから、その食材に必須アミノ酸がどれくらいバランスよく含まれているかが大事になってくる。それを示す数値を「アミノ酸スコア」という。 ちなみに、アミノ酸スコアは100が上限で、この値が高ければ高いほど、同じ量を食べても筋肉がつきやすいということだ」、「ブロッコリー」が80というのは野菜のなかではダントツだ。 「クリスティアーノ・ロナウドの毎日の食事は、「ライス、ムネ肉、ブロッコリーの繰り返し」だそうだ」、そんな偏食で大丈夫なのだろうか。 「ブロッコリーには、100グラムあたり、5.4グラムものタンパク質が含まれている。アミノ酸スコアも80と、野菜のなかではダントツに高い。しかも、糖質は1.5グラムと非常に低い」、「それ以外にもブロッコリーには数多くのメリットがある。 その1つが、「ジインドリルメタン」と「I3C」という成分だ。これらは、男性ホルモンを増強し、筋肉をつきやすくしてくれると言われている。これも、ブロッコリーが多くのトレーニーに好まれている理由だろう。 さらに、ブロッコリーには大量のビタミンCが含まれている。その量は100グラム 谷川俊平『食べる筋トレ。』(かんき出版) 谷川 俊平氏による「一流のマッチョはみんな食べている…鶏のササミよりも栄養価が優れている「ある野菜」【2022上半期BEST5】 「アミノ酸スコア」が野菜のなかではダントツに高い」 「歯が悪いことは、認知症の原因になります」、幸い、私の歯はいいので安心した。 「ヘビースモーカーの脳は、つねに酸素不足で、いわば金魚が口をパクパクしているような状態。そんな状態では、脳の衰えを防ぐことはできません」、私は既に禁煙しているが、こんな恐ろしい事実を知っていれば、もっと早く禁煙したろう。 「ビタミンCは、古くから「健康にいい」と注目されてきたため、早い時期から、錠剤が作られ、その値段はサプリメントの中でも、最安値の部類に入ります。大いに利用しましょう」、なるほど。 「血中のビタミンC濃度が高くなるような食事を与え、一方の・・・ビタミンCが不足するような食事を与えました」、「IQテストを行ったところ、Aグループの平均が113.2、Bグループの平均が108.7と、有意差が生じた」、ずいぶん明確な差が出たことに驚かされた。 「コレステロールは、主要な男性ホルモン、テストステロンの材料にもなります。日本人がセックスレスになりがちなのも、「コレステロールを減らしたほうがいい」という誤った言説が広まった結果、男性ホルモンを減らしたことが原因のひとつだと、私は見ています」、なるほど。 「コレステロールは、脳内で「セロトニンを運ぶ」という大役を果たしています。セロトニンは、脳の神経細胞間で、刺激や興奮を伝える神経伝達物質のひとつです。 神経伝達物質といえば、ドーパミンやアドレナリンが有名ですが、セロトニンはそれらの分泌量のコントロールにも一役買っている神経伝達物質の司令塔であり、「心」のコントロール役をつとめています。コレステロールは、そのセロトニンを運んでいるため、コレステロール値の高い人のほうが、うつ病にかかりにくいことがわかっています」、「「コレステロールは、体に悪い」というのは、 「大豆は、その神経伝達物質の重要な原料「レシチン」をたっぷり含んでいるのです。 レシチンは、脳内でアセチルコリンという神経伝達物質に変化します。アセチルコリンが不足すると、脳内の情報伝達がうまくいかなくなります。認知症患者の人には、アセチルコリン不足の人が多いことがわかっています。大豆を素材とする食品、納豆や豆腐、豆乳、みそ、きな粉などを食べれば、そのレシチンをたっぷり摂取できます。中でも、納豆は、大豆の栄養をほぼそのままの形で摂取できる優秀な食材なのです」、確かに素晴らしい「食材」だ。 「納豆」が「平安時代から健康食として認められていた」とは初めて知った。 和田 秀樹氏による「「脳の健康を守り、平均寿命を伸ばす」70代になったら積極的に食べたほうがいい"3つの食べ物" 1000年以上前から健康食として知られている」 「血圧や血糖値、コレステロール値はちょっと高めぐらいのほうが高齢者の活力を維持してくれます」、筆者の和田氏は、嬉しいことを言ってくれる有難い先生だ。 (その22)(和田秀樹「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」…高齢者が薬とうまく付き合う3つの原則 薬で数値を下げると 生活の質まで下がってしまう、「脳の健康を守り 平均寿命を伸ばす」70代になったら積極的に食べたほうがいい"3つの食べ物" 1000年以上前から健康食として知られている、一流のマッチョはみんな食べている…鶏のササミよりも栄養価が優れている「ある野菜」【2022上半期BEST5】 「アミノ酸スコア」が野菜のなかではダントツに高い) 健康 私は「コレステロール値」がやや高目だが、「コレステロール値を下げる薬」の副作用を考慮すると、飲まずに放置することにしたい。 「慢性的な不調はすべて歳のせい、病気のせいと思い込んでいるかもしれませんが、じつは薬のせいかもしれないのです。 そろそろ薬に対する考え方を根本的に見直したほうがいいでしょう。 飲まなくていい薬は飲まない。飲んでも飲まなくてもいいような薬も飲まない。飲んだほうがいい薬を必要なぶんだけ飲む。 この3つを守るためにはまず、医者とは堂々と付き合ってください。薬で調子が悪くなるときははっきり説明して「減らしたい」「飲みたくない」と申し出ましょう」、私はこれまで前立腺肥大の薬を飲んでいたが、もう飲む必要なしとして、全 「いくら血圧の数値が下がったとしても飲めば調子が悪くなる薬なら意味がありません。そうなるくらいなら、血圧が高くても調子がいい状態に戻ったほうがじつは身体のためです。薬は飲まないほうがいいのです」、「薬」漬けからは脱却したいものだ。 和田秀樹『老人入門 いまさら聞けない必須知識20講』(ワニブックス) 和田 秀樹氏による「和田秀樹「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」…高齢者が薬とうまく付き合う3つの原則 薬で数値を下げると、生活の質まで下がってしまう」 PRESIDENT ONLINE
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医療問題(その37)(日本が「医療貧国」であるこれだけの理由 無駄に長い入院・過剰な病床数…、「うつは、感染症から体を守るための防御メカニズム」肥満や座りっぱなしがうつにつながる意外な理由 脳が私たちを引きこもらせようとする、東京女子医科大学病院の「ICU崩壊状態」を招いた、患者の命を軽視した経営方針と恐怖政治 東京女子医大の闇 #6) [生活]

医療問題については、6月16日に取上げた。今日は、(その37)(日本が「医療貧国」であるこれだけの理由 無駄に長い入院・過剰な病床数…、「うつは、感染症から体を守るための防御メカニズム」肥満や座りっぱなしがうつにつながる意外な理由 脳が私たちを引きこもらせようとする、東京女子医科大学病院の「ICU崩壊状態」を招いた、患者の命を軽視した経営方針と恐怖政治 東京女子医大の闇 #6)である。

先ずは、7月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した医師・医学博士の奥 真也氏による「日本が「医療貧国」であるこれだけの理由、無駄に長い入院・過剰な病床数…」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/305622
・『現在、日本は「医療先進国」だと言われている。しかし、その裏にある「多額の医療費」の存在を忘れてはならない。医師・医学博士の奥真也氏は、著書『医療貧国ニッポン』の中で、日本は医療費の公費負担割合が非常に高い一方、患者自身の負担額は少ないため、「安くて手厚い医療が当たり前」という意識から抜け出せず、将来的な医療費の増大に歯止めがかからない。この状況が続けば、医療費で国が破綻する「医療貧国」になってしまう、と警告する。本記事では、そんな日本の医療費増大の大きな要因である「入院日数の長さ」「病床の多さ」、さらには「乱立する赤字病院」という大問題に迫る。 ※本記事は奥真也著『医療貧国ニッポン』(PHP研究所)の一部を抜粋・再編集しています』、興味深そうだ。
・『日本の入院数は長すぎる!? その背景とは  日本の医療費増大に直結する問題はいくつかありますが、その1つが「入院日数の長さ」です。海外と比べてみると、日本は驚くほど長いことがわかります。 OECD加盟国の急性期医療の平均在院日数を見ると、ドイツ8.9日、フランス8.8日、イギリス6.9日、アメリカ6.1日、それに対して日本は16.0日と突出して入院期間が長いのです。アメリカだったら手術して3日後には退院するような病気でも、日本は7、8日後の退院になります。 しかし、これでも日本は以前に比べて入院期間がかなり短縮されるようになったのです。日本の診療報酬の支払い方式は、以前は入院も外来もすべて「出来高払い制」でした。医療行為をすればするほど診療報酬が増えるため、入院期間が必要以上に長くなりやすかったのです。) そこで入院医療費の適正化を図るために、2003年から「包括支払い制度」が取り入れられました。急性期入院医療を対象として、傷病の種類ごとに医療費を一括して計算する「疾診断群分類別包括評価制度(DPC制度:Diagnosis Procedure Combination)が導入されたのです。 これによって、入院日数が長引くことが医療機関の収益にプラスにならなくなったため、病院の都合で入院期間が引き延ばされるようなことは減りました。しかし、入院期間が短縮されると病床の空きが増え、病院としては経営に影響します。 病院にとって、「病床稼働率」は収益に大きく影響するのです。病床稼働率を上げるために、金曜日に入院、月曜日に退院というかたちを探る医療機関が日本にはいまだに存在します。 金曜日に入院しても、土日は医師の診療も検査もありません。場合によっては外泊OK、つまり自宅に帰ってもいいということもあります。まだ何も医療を受けていないのに、ベッド代はかかります。個室だったら差額ベッド代も取られます。 また退院は、土日をはさんで月曜日。建前としては、週が明けた月曜日に担当医師の診察を受けて退院許可が下りた、という体裁です。極端な例は減ってきましたが、悪い慣習は根絶されない。入院についての説明の際、患者さんは「この日に入院しないと、他に空きがありません」といわれて承諾することになるのでしょうが、例えば本来なら手術後、10日間の人が15日間の入院になったりする。 日本には「高額療養費制度」といって医衆費が高額になった場合はあとから還ってくる仕組みもありますから、入院が長引いても結果的に患者さん自身があまり懐を痛めることにならずに済むこともあって、まかり通っているのです。 厚労省は、金曜入院、月曜退院のケースが頻発する病院にぺナルティを課す制度を設けたりして病院側の都合で入院を引き延ばすことを抑刷しようとしていますが、まだまだこうしたことが行われている現実があります』、「病床稼働率を上げるために、金曜日に入院、月曜日に退院というかたちを探る医療機関が日本にはいまだに存在します。 金曜日に入院しても、土日は医師の診療も検査もありません。場合によっては外泊OK、つまり自宅に帰ってもいいということもあります。まだ何も医療を受けていないのに、ベッド代はかかります。個室だったら差額ベッド代も取られます」、こんなやり方がまかり通っているとは驚いた。
・『日本は「病床大国」でもある コロナで病床逼迫だったのはなぜ?  さらに、日本の医療体制の中で、海外に比べて日本が抜きん出て多いものがまだあります。それは「人口あたりの病床数」です。OECD加盟国の病床数(人口1000人当たり)を見ると、日本は12.8床でトップです。OECD平均は4.4床なので、平均の3倍近くの数があることになります。 しかし、ここである疑問が頭に浮かぶ方もいるかもしれません。「こんなに病床が多いのに、コロナ禍で病床逼迫が叫ばれていたのはなぜ?」と。 日本では病床は、「精神病床」「感染症病床」「結核病床」「療養病床」「一般病床」と分類されています。2020年当時、新型コロナの患者急増の対応に感染症病床だけでは足りないということで、行政側は他の病床をコロナ用に回せないかと病院に要請したわけです。 当初、病院側は積極的ではありませんでした。病床稼働率が収益に響くのに、いつ来るかわからない患者のために何床もベッドを空けておくことに難色を示したのです。そこで、国がベッド空け賃として補助金を手厚く出すことにしたら、協力的なところが増えたという経緯がありました。 病床そのものが本当に逼迫した状態になったことは、日本ではあまりなかったのではないかと思います。実際に逼迫していたのは、ベッドよりも医師や看護師などの医療スタッフです。ケアするスタッフがそろわなくて対応できなかったというのが実情です。 重症患者に用いる人工心肺装置「ECMO(エクモ)」にしても、日本は保有台数がとても多いのです。しかしエクモを操作できる技師がまだ少なく、24時間態勢の医療に対応するには2交代、3交代のスタッフが必要になります。 が、それだけのスタッフを揃えられない状況で他の診療部門には余剰人員がいても、簡単に配置転換できないなど、制度の運用が硬直化しているという側面もありました。コロナ禍の日本の「医療過迫」は、見かけ上の医療スタッフの逼迫、人不足の問題でもあったのです。 話を病床の多さに戻しましょう。日本はもともとそんなに病床の多い国ではありませんでしたが、1970年代から1990年ごろにかけて、猛烈な勢いで病床が増えました。 高齢者の医療費無料化を実践した第二次田中内閣が、「一県一医大構想」を打ち出したため、次々と地方に医科大学が新設され、併せて付属病院がつくられました(なお、医科大学が新設され、その後に附属病院がつくられるのは日本特有のやり方で、アメリカなどは異なります)。 また、自宅でケアできない高齢者のための療養病床がどんどん増やされました。日本には海外のナーシングホームにあたる長期療養型の施設がなかったため、本来ならば病院を退院して療養施設に移るのが望ましい人たちに対して、長期的な入院措置がとられている状況がありました。 例えば、精神疾患を持つ人たちを収容している精神病床などもそうです。入院というより、社会に出さないための超長期的収容施設です。高齢者用の療養病床が「社会的入院」と呼ばれたのも、それに近い仕組みといえます。こういった長期入院が多いことも日本の病床の多さに関係しています。 先進諸国は、医療の効率化を目指して入院日数を短縮させたり、病床回転率を上げたりするなどして、病床数そのものを減らす方向に進められています。日本も同じように、病床を減らしたいのです。実際、厚労省が医療計画に基づいて病床の総量規制を求めています。けれども法的に病床の新設を認めないという規制はあっても、病床を減らせという規制はかけにくいです。民業を圧迫することはつねに慎重に行われます。 国や知事などの行政は、医療機関や医師に対して「命令」することができず、「要請」か「誘導」しかできません。医師免許が強い権限を持っていることにも関連します。日本は、経済も社会も上り調子だった時代にたくさん病床がつくられました。当時の状況からほぼ横ばいのまま、多くの病床がいまも残っているのです』、「実際に逼迫していたのは、ベッドよりも医師や看護師などの医療スタッフです。ケアするスタッフがそろわなくて対応できなかったというのが実情です・・・コロナ禍の日本の「医療過迫」は、見かけ上の医療スタッフの逼迫、人不足の問題でもあったのです」、「長期療養型の施設がなかったため、本来ならば病院を退院して療養施設に移るのが望ましい人たちに対して、長期的な入院措置がとられている状況がありました」、「精神疾患を持つ人たちを収容している精神病床などもそうです。入院というより、社会に出さないための超長期的収容施設です。高齢者用の療養病床が「社会的入院」と呼ばれたのも、それに近い仕組みといえます。こういった長期入院が多いことも日本の病床の多さに関係しています」、「国や知事などの行政は、医療機関や医師に対して「命令」することができず、「要請」か「誘導」しかできません」、なるほど。
・『病院が赤字経営に苦しむ時代 国公立病院が特に深刻  国民皆保険制に基づいた日本の公的医療保険制度は、個人負担は軽いにもかかわらず、高いレベルの医療をみんなが受けられる、至れり尽くせりといってもいいようなラグジュアリーな制度です。世界一の高齢化、長寿化は、こうした手厚い保険制度があったからこそなしえたことだということができるでしょう。 しかし、これまでのやり方では、もうやっていけないのです。なぜなら、日本では赤字経営に苦しむ病院が多数存在しているからです。 ニッセイ基礎研究所が厚生労働省「医療経済実態調査」を基に発表したレポートによれば、医療法人設立の病院は黒字の病院が増加傾向にあるが、それでも全体の65%ほどです(2018年)。さらに、国公立の病院を見ると、黒字の病院の割合は減少傾向で、全体のわずか7%に過ぎません。とくに損益率がマイナス30%を下回る赤字病院の数は25%にも上ります。 一般企業であれば、採算のとれない赤字部署は潰されたり再編されたりして淘汰されていきます。しかし病院は医療を提供する場という役割があるため、簡単に潰したりすることができません。 とくに、地域医療の提供者として公的な性格を強く持つ公立病院はそうです。一方、公立病院は、民間病院よりも経営に対する危機感がシビアではない、ともいえます。いざとなったら税金で補填されてなんとかなるだろうという意識があるからです。 厚労省は2019年、赤字経営が目立ち、再編統合の必要があると見られる全国424の公的病院名を公表しました。これらの病院には、病床数の削減や診療機能の縮小、他病院との統合といった赤字経営脱却のための施策の実施を要請しています。 コロナ禍によってしばらくこの話は下火になっていましたが、ポストコロナの時代になって、あなたの住む地域の病院もこれから大きな変革が迫られるようになります』、「国公立の病院を見ると、黒字の病院の割合は減少傾向で、全体のわずか7%に過ぎません。とくに損益率がマイナス30%を下回る赤字病院の数は25%にも上ります」、「ポストコロナの時代になって、あなたの住む地域の病院もこれから大きな変革が迫られるようになります」、「公立病院」の「赤字経営脱却のための施策」が急務のようだ。

次に、7月23日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医のアンデシュ・ハンセン氏による「「うつは、感染症から体を守るための防御メカニズム」肥満や座りっぱなしがうつにつながる意外な理由 脳が私たちを引きこもらせようとする」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/59739
・『私たちはなぜうつになるのか。『スマホ脳』や『最強脳』で、脳のメカニズムを明らかにしてきたスウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセンさんは「社会的な要因を疑う人は多い。人間関係、仕事や学校などだ。しかしその視点で見ている限り、うつにも役割があることを理解できないだろう」という――。(第1回/全3回) ※本稿は、アンデシュ・ハンセン『ストレス脳』(新潮新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『なぜ「炎症」が起こるのか  精神的になるべく元気でいるためには、免疫系とうつの関係を知っておいたほうがいい。その理由を理解するために、混同されがちな2つの概念──「感染」と「炎症」──を見ておこう。 「感染」とは身体が感染性物質、つまり細菌やウイルスに冒されている状態だ。一方「炎症」というのは物理的に圧迫されたり、怪我けがをしたり、毒や細菌、ウイルスによる攻撃など、あらゆる刺激に対して身体が返す答えだ。つまり炎症は感染によっても起きるが、別の要因によっても起きる。 腕を掻いて皮膚が赤くなるのも炎症だ。パンをカットする際に手が滑って指を切ったら、それも炎症。あなたの膵臓から腹部に消化酵素が漏れ出して命が危うくなるのも炎症の一種だ。 身体のどこが炎症を起こしているにしても、次のようなことが起きる。組織が損傷したり、圧迫、細菌、ウイルスによって影響を受けた細胞は、サイトカインという形で緊急シグナルを発する。その部分への血流を増やして、白血球に侵略者を倒させるためだ。血流が増えるとその部分が腫れて、神経を圧迫するので痛みが生じる』、人体は本当によく出来ていると再認識した。
・『炎症は人間を守ってきた  炎症は多くの病気において中心的な要素なので、なるべく起きてほしくないと思うだろう。しかしそれは大きな間違いで、私たちは炎症なくしては生きられない。とはいえ、良いことも度がすぎると良くないのは世の常だ。炎症が長期間続くと問題が生じてしまう。心筋梗塞や脳卒中、リューマチ、糖尿病、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症などは長く続いた炎症が主な原因になる病気のほんの一部だ。 長期的、つまり慢性的な炎症は様々な深刻な病気を引き起こす。それでは、なぜ私たちにはそんなに大きな弱味があるのかという問いが芽生える。身体のあちこちで病気を引き起こすリスクを抱えるなんて、進化がどこかでうっかり間違えたのだろうか。 いや、そうではない。炎症は祖先が子供の頃に命を奪う恐れのあったものから私たちを守ってきた。例えば死に至る細菌やウイルスへの感染だ。一方で、慢性的な炎症からくる病気というのは基本的に人生のあとのほうで生じる。進化の秤にかけると、歴史的にほとんどの人が到達しなかった年齢になってから生じる病気よりも、細菌やウイルスから命を守ることのほうが重いのだ』、「炎症は祖先が子供の頃に命を奪う恐れのあったものから私たちを守ってきた。例えば死に至る細菌やウイルスへの感染だ」、なるほど一定の効用があるようだ。
・『座りっぱなし、ストレス、睡眠不足、肥満が引き起こす炎症  さらに重要なのが、現在では炎症を起こす要因が昔と同じではないことだ。人間の歴史のほとんどの期間、炎症は細菌やウイルスによる感染や怪我で起きていた。それが今では現代的なライフスタイルが炎症を引き起こしている。 長いことじっと座っていると筋肉や脂肪組織の炎症につながることが判明しているし、長期的なストレス(日や数週間ではなく、数カ月や数年という期間)も全身の炎症の度合いを高めるようだ。睡眠不足や環境汚染物質にも同じ作用がある。加工食品は胃腸の炎症につながるし、肥満も脂肪組織の炎症につながり、喫煙は肺や気道の炎症を引き起こす。 歴史的に炎症を起こしてきたもの──細菌やウイルスそして怪我は、ほとんどの場合、一過性のものだ。しかし現代の要因──ずっと座っていること、肥満、ストレス、ジャンクフード、喫煙、環境汚染物質などは長く続く傾向がある。体内のプロセスとして歴史的には短期的だった炎症が、今では進化で適応してきたよりも長く続くようになった』、「歴史的に炎症を起こしてきたもの──細菌やウイルスそして怪我は、ほとんどの場合、一過性のものだ。しかし現代の要因──ずっと座っていること、肥満、ストレス、ジャンクフード、喫煙、環境汚染物質などは長く続く傾向がある」、「長く続く」「炎症」はどのような影響を及ぼすのだろう。
・『身体にとっては「炎症は炎症」  身体が炎症の原因を見分けられれば、免疫系を無駄に起動させなくてすむのだが、問題は身体が「炎症は炎症」と捉え、現代のライフスタイル要因を細菌やウイルスに攻撃されているのと同じように解釈してしまうことだ。 身体はつまり、炎症が感染によるものなのか現代のライフスタイル要因によるものなのかを見分けることができない。 同じことが脳についても言える。現代の炎症要因でも、細菌やウイルスに攻撃されている時と同じシグナルが脳に送られてしまう。そのシグナルが長く続きすぎると──そして現代の炎症要因というのは長期的なものだから──脳は「命が危険にさらされていて、常に攻撃を受けている!」と誤解してしまう。そこで脳は気分を下げるという調整を行い、私たちを引きこもらせようとする。精神的に立ち止まらせ、その状態が長く続く。何しろ現代の炎症要因というのは自然に消えてくれることはないのだから。 結果として長期的に精神が停止状態に陥る。つまり私たちがうつと呼ぶ状態だ。このように、うつも炎症に起因する病気のリストに入ってくるのだ』、「現代の炎症要因でも、細菌やウイルスに攻撃されている時と同じシグナルが脳に送られてしまう。そのシグナルが長く続きすぎると・・・脳は「命が危険にさらされていて、常に攻撃を受けている!」と誤解してしまう。そこで脳は気分を下げるという調整を行い、私たちを引きこもらせようとする。精神的に立ち止まらせ、その状態が長く続く。何しろ現代の炎症要因というのは自然に消えてくれることはないのだから。 結果として長期的に精神が停止状態に陥る。つまり私たちがうつと呼ぶ状態だ。このように、うつも炎症に起因する病気のリストに入ってくるのだ」、「うつ」も「炎症に起因する病気のリストに入ってくる」、なるほど。
・『現代最大の炎症要因、ストレスと肥満  現代における最大の炎症要因、長期的なストレスと肥満を詳しく見てみよう。身体の最も重要なストレスホルモン、コルチゾールにはエネルギーを動員する役割がある。 例えば犬に激しく吠えられるとコルチゾールのレベルが上がり、尻尾を巻いて逃げられるように、筋肉にエネルギーが送られる。しかし危険が過ぎ去るとコルチゾールには別の役割がある。体内の炎症を鎮めるというものだ。つまりコルチゾールは炎症のスイッチを切るタイミングを制御している』、なるほど。
・『身体が反応するのをやめてしまう  長期間ストレスにさらされているとコルチゾールのレベルが高いまま暮らすことになり、ついには身体がそのレベルに慣れてしまう。何度も「オオカミが来たぞ!」と叫ぶのと同じで、最後には誰にも気にしてもらえなくなるのだ。その結果、身体はコルチゾールに反応するのをやめ、炎症を鎮める能力を失ってしまう。 なぜそれがそんなに重要なのかを説明しよう。身体では常に小さな炎症が起きている。肌についた小さな傷、筋肉の小さな亀裂、もしくは血管の内側の傷などだ。それ自体はごく自然なことだし、コルチゾールがそういった炎症を見守ってくれる。しかし身体がコルチゾールに反応するのをやめてしまうと、小さな炎症はくすぶったままになり、全身の炎症の度合いが上がってしまう。そういうことが長期的なストレスによって起きてしまうのだ。 しかしあらゆるストレスが危険だという結論には走らないでほしい。ストレスは生き延びるために重要な意味をもつ。ただし身体はストレスのシステムが常にオンになっているようにはできていないのだ』、「長期間ストレスにさらされているとコルチゾールのレベルが高いまま暮らすことになり、ついには身体がそのレベルに慣れてしまう」、「身体はコルチゾールに反応するのをやめ、炎症を鎮める能力を失ってしまう」、「小さな炎症はくすぶったままになり、全身の炎症の度合いが上がってしまう」、なるほど。
・『「回復」がエネルギー動員のスイッチを切る  つまりここでポイントになるのは「回復」だ。具体的に言うと、ストレスによって起きるエネルギー動員のスイッチを切ること。回復さえできれば、たいていのストレスには勝つことができる。 回復に必要な時間は個人差があるが、目安としては、労働負荷の軽い仕事ならシフトとシフトの間の休憩は16時間で足りる。仕事の負荷が重い場合は回復にもっと時間がかかり、週末および時には長期休暇も必要になる。回復の際には睡眠と休養を優先すること。リラックスし、色々な「やらなければいけないこと」を最低限に抑えることだ。 長期的なストレス以外には、確実に「肥満」が体内で炎症を起こす最大の要因だ。脂肪組織は単なるエネルギー備蓄ではなく、サイトキシンが全身にシグナルを送って免疫系を起動する。 自分の身体の一部を脅威と見なすなんて、身体はなぜ自分自身のエネルギー備蓄に対して免疫系を動員するのだろうか。確実な答えは誰にもわからないが、可能性としては、肥満が歴史的には存在しなかったからかもしれない。身体はお腹周りの脂肪を見知らぬものと認識し、炎症を起こすことで侵入者、つまり余分な脂肪に闘いを挑むのだ。 肥満がうつのリスクを高めるのは、肥満自体が社会的に不名誉であることも要因だが、脂肪組織の炎症のせいだという可能性もあるのだ』、「身体はお腹周りの脂肪を見知らぬものと認識し、炎症を起こすことで侵入者、つまり余分な脂肪に闘いを挑むのだ。 肥満がうつのリスクを高めるのは、肥満自体が社会的に不名誉であることも要因だが、脂肪組織の炎症のせいだという可能性もあるのだ」、やはり「肥満」も出来るだけ避ける方がよさそうだ。
・『脳が私たちを引きこもらせる  ここまでの内容をまとめてみよう。あなたや私は狩猟採集をして暮らすよう進化した。しかし座っている時間が長く、恒常的にストレスを受け続ける現代のライフスタイルによって、体内で炎症の度合いが高くなっている。それを脳が「危険にさらされている」と解釈する。人間の歴史のほとんどの期間、脳にそれを伝えることが炎症の役割だったのだから。 そして常に攻撃を受けているのだと認識する。だから脳は感情を使って私たちを引きこもらせる。感情というのは私たちの行動を制御するために存在するからだ。 脳は私たちのテンションを下げ、気分を落ち込ませ、精神状態を悪化させ、そのせいで私たちは引きこもる。炎症はつまり感情のサーモスタットなのだ。炎症が起きれば起きるほど、精神状態を悪くしなければいけない。私たちの中にはそのサーモスタットがとりわけ過敏な人もいて、それも部分的には遺伝子によるものなのだが、うつになる可能性を高めてしまう。 ということは、うつの人は全員体内で炎症が起きているのだろうか。そういうわけではない。炎症はうつを引き起こす重要な要因の1つだが、要因は炎症だけではない。 うつ全体の3分の1程度が炎症に起因しているとされる。ならばうつにも抗炎症剤が効くのではないかと思うだろう。そう、まさに効くことを示す点が多くある。炎症性サイトカインの産生をブロックする薬はうつにもある程度の効果がある。その薬だけでは充分な効果がないのだが、抗うつ薬の効果を高めるようだ。ただし、それはあくまでうつの原因が炎症だった場合で、そうでなければ効果はない』、「炎症はうつを引き起こす重要な要因の1つだが、要因は炎症だけではない。 うつ全体の3分の1程度が炎症に起因しているとされる」、なるほど。
・『うつは「隠された防御メカニズム」  私が診たうつ患者の多くが、自分は何が原因でうつになったのだろうかと頭をひねっていた。 社会的な要因を疑う人は多い。人間関係、仕事や学校などだ。しかしその視点で見ている限り、うつにも役割があることを理解できないだろう。 先述のとおり、うつを生理現象として捉え、細菌やウイルスとの関係性も考慮しなくてはならない。つまり、今日私たちにふりかかる比較的軽度な脅威ではなく、私たちが地球に現れて99.9%の時間、2人に1人の命を奪ってきた要因を元にして考えるということだ。 うつとはつまり、私たちを様々な感染から救ってきた「隠された防御メカニズム」なのだ。しかし現代のライフスタイルがその防御メカニズムを暴走させてしまうことがある』、「うつは「隠された防御メカニズム」、意外な事実だ。
・『うつは肺炎や糖尿病と変わらない  精神医学だけではなく、生理学的な見地からもうつを考えるうちに気づいた点がある。生物学上、うつは肺炎や糖尿病と何ら変わらない。肺炎も糖尿病もうつも、その人の性格に問題があるせいではない。だから、うつの人に「しっかりしろ」と声をかけるのは、肺炎や糖尿病の人に「しっかりしろ」とはっぱをかけるくらい馬鹿げている。病院で肺炎や糖尿病の治療を受けるのと同じで、うつも治療を受けるべき状態なのだ。 うつの生物学的な仕組み、そしてなぜうつが引き起こされるのかを学んだからといって、すぐに治るわけではない。だが、そこからスタートするのは悪くない。自分の脳や精神状態が免疫学的なプロセスに左右されるという知識をもつことで、私自身もライフスタイル関連のアドバイスを真剣に受け止めるようになった。 当然あなたも「運動はしたほうがいいし、しっかり睡眠を取って、予測不可能なストレスや長期的なストレスは減らしたほうがいい」というのはわかっているだろう。しかし「なぜ」そうしたほうがいいのかという生物学的な理屈を学ぶことで、運動、睡眠、適度なストレス、そして回復というアドバイスが深い意味を帯びるようになる。そういった要因が炎症にブレーキをかけること、脳が「攻撃されている」と誤解するようなシグナルをそれ以上送らないようにすることを学べば、それに適した生活をするようになるだろう』、「しかし「なぜ」そうしたほうがいいのかという生物学的な理屈を学ぶことで、運動、睡眠、適度なストレス、そして回復というアドバイスが深い意味を帯びるようになる。そういった要因が炎症にブレーキをかけること、脳が「攻撃されている」と誤解するようなシグナルをそれ以上送らないようにすることを学べば、それに適した生活をするようになるだろう」、その通りだ。
・『脳の“病気”というより“正常な反応”  だからと言って、炎症に抗う方法なら何でも──例えば特定の食事療法など──がうつに効くというわけではない。残念ながらそんなに単純な話ではないのだ。 起きている間ずっと予測不可能なストレスを受け続ける職業もある。そんな労働環境がなぜうつにつながるのか、それも理解できるようになる。 無気力になり引きこもりたくなるのは病気ではなく、健全な反応なのだ。つまり一番良いのは労働環境を変えること。もちろん言うは易しだが、ここでポイントになるのは、異常な環境に対する異常な反応は脳の病気というよりむしろ正常な反応だということだ』、「異常な環境に対する異常な反応は脳の病気というよりむしろ正常な反応だということだ」、これまでの誤解がクリアに払拭できた。

第三に、8月20日付け文春オンライン「東京女子医科大学病院の「ICU崩壊状態」を招いた、患者の命を軽視した経営方針と恐怖政治 東京女子医大の闇 #6」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/56739
・『集中治療科の医師9人が一斉退職することが決まり、ICU(集中治療室)が事実上の崩壊状態になる、東京女子医科大学病院。9月から移植など高度な外科手術がストップするなど、東京都民の命が脅かされる可能性が高い。取材の結果、患者の命を無視した経営方針と、職員の医師たちを恐怖で支配する女子医大の異常な実態が見えてきた。 疑惑追及キャンペーン第5弾の後編は、複数の女子医大関係者の証言によって、前代未聞のICU崩壊状態に至る内幕を告発する。(前編#5を読む/最初から読む:東京女子医大の闇 #1 #2 #3 #4) ※女子医大は教職員に対して、メディア取材に個別対応すると懲戒処分を行うと通告している。そこで本記事は個人の特定を避けるために、複数の職員の証言を区別せずに表記した』、興味深そうだ。
・『死亡事故の再発防止策「小児ICU」を託されたのはカナダの大学で活躍していた専門医のA氏(女子医大「ICU崩壊状態」の原点、それは、苦労して設立した集中治療科の「小児ICU」チームを8カ月で解散させた、経営陣の不可解な対応にあった。 そもそも小児ICUが設立されたのはある重大な事故がきっかけだった。2014年、当時2歳の孝祐くんが、女子医大病院の耳鼻咽喉科で手術を受けた後、鎮静薬プロポフォールを過剰投与されて死亡したのである。医師の間で情報が共有されず、責任の所在が不明確だったことなどが原因だったとされる。 第三者委員会は、再発防止策として、8つに分散していた「ICUの集約化」、そして「小児ICUの新設」(医療機関での呼称はPICU)などを提言した。女子医大はまずICUを集約化してから、次に小児ICUの設立に向けて動いた。 「小児の集中治療専門医はとても少なく、カナダの大学で活躍していた日本人のA氏に白羽の矢が立ちました。2020年1月、A氏に一時帰国してもらい、岩本絹子理事長との面談を経て、小児ICUの責任者(特任教授)として内定したのです」(女子医大関係者)』、「小児の集中治療専門医はとても少なく、カナダの大学で活躍していた日本人のA氏に白羽の矢が立ちました。2020年1月、A氏に一時帰国してもらい、岩本絹子理事長との面談を経て、小児ICUの責任者(特任教授)として内定」、「小児ICUの責任者」の決定は、極めて重要な意味があった筈だ。
・『経営陣は小児ICUが救った子供の命にあまり関心を示さなかった  ただし、A氏が赴任する上で、解決しなければならない問題があった。一般病院の5割~7割程度といわれる、女子医大の低い給与体系だ。 「女子医大の医師は、低い給与を補うために週1~2回、他院でアルバイトをしています。しかし、小児ICUは24時間体制の勤務なので、アルバイトが難しい。それで、A氏は一時帰国した際、一般病院並みの給与を保証してほしいと岩本理事長に相談して、その場で了承されたそうです」(同) こうして2021年、A氏はカナダから帰国し、集中治療科の小児ICU特任教授に就任した。6人の小児ICU専門医と専属の看護師が集まり、7月に小児ICUが始動する。 すぐに成果は現れた。新型コロナで重症になった小児の患者を引き受け、全員が元気に退院。さらに、心臓移植を待つ小児患者など、全国各地から重症の子供たちを次々と受け入れていく。 だが、経営陣は小児ICUが救った子供の命にあまり関心を示さなかった、と関係者は証言する』、「経営陣は小児ICUが救った子供の命にあまり関心を示さなかった」、病院の「経営陣」としては、何を考えているのだろう。
・『「土下座するつもりで、岩本理事長に謝ってもらっていいですか」  「経営陣は、小児ICUの採算性とA特任教授の給与に着目していました。岩本理事長は、『他の職員とのバランスがとれない』と一方的に給与の合意を撤回したのです。これに驚いたA特任教授は丸義朗学長に説明を求めましたが、納得のいく返答はなかった、と肩を落としていました」(同) しかも経営陣は、A特任教授が説明を求めた行動自体を問題視した。上司にあたる、集中治療科の野村岳志教授に対して、驚くべき要求をしたという。 「医学部長らから『A先生の件で、岩本理事長に会ってください』と言われたそうです。どうしたらいいのかと聞くと、『土下座するつもりで、岩本理事長に謝ってもらっていいですか』と。もちろん、野村教授は断ったと聞きました」(同) 岩本理事長に土下座して謝る――。 もし本当なら、教育機関としてのモラルを疑う言葉だ。さらに、今年2月の教授会で、丸学長が次のような説明を行っていた』、「医学部長」が「上司にあたる、集中治療科の野村岳志教授に対して」「土下座するつもりで、岩本理事長に謝ってもらっていいですか」、驚くべき打診だ。
・『「発言は YES という意味ではなかったのでしょうか」  「A特任教授は、カナダで年収7000万円だったので、本学で2500万から3500万の給与を要望したが、理事長は応じなかった。A特任教授と規定以上の給与の合意はない」(2/18 教授会での丸学長発言要旨) 教授会から2日後、集中治療科の野村岳志教授は、丸学長にメールを送った。全教授らにBCCで同時配信したので、公開質問状といえるだろう。 「(A特任教授が一時帰国した)2020 年1月、田邉病院長、私、A先生で、岩本理事長と経営統括部長に面談しました。私はよく覚えております。給与総額について理事長は 1、2 秒考え、『そのくらい大丈夫よね、部長』 と経営統括部長に伝え、彼は無言で首を縦に振りました。理事長から『では、頑張ってください』と激励を受けました。この発言は YES という意味ではなかったのでしょうか。 また、A特任教授は、カナダの大学でそんなに貰っていないとのことです。どうして、そのような話をされたのか、確認させてください」(2/20 野村教授から丸学長宛メールより抜粋要約) 回答を求められた丸学長は、直接答えずに、法務部の弁護士に対応させた。 「理事長との面談時にいかなるやり取りがあったにせよ、教員の給与は学長が決定する権限を有しておりますので、理事長との面談のみにより教職員との給与を確定させることはできません」(2/25 女子医大・法務部弁護士からのメールより、抜粋) 木で鼻をくくったような回答である。しかもA特任教授のカナダでの給与について、丸学長がなぜ虚偽の説明をしたのか、法務部の弁護士は答えていない』、「丸学長がなぜ虚偽の説明」をしたのかも疑問だ。
・『リーダーを失った小児ICUチームは“解散”  この一方で、丸学長はA特任教授に対して、「令和4年度の契約は更新しない」と言い渡していた。 A特任教授は、辞表を提出せざるを得なかった。だが、筆者が入手したA特任教授の辞令に、任期は「令和5年3月31日」までと記されていた。つまり、女子医大は任期を1年残して、A特任教授に事実上の解雇通告したことになる。 リーダーを失った小児ICUチームは、医師全員が辞職や異動したことで“解散”となった。 「小児ICUは、幼い命に対する重い責任を背負っていました。同時に、女子医大にしか救えない重症の子供たちの命を守るという、使命感もありました。こうした現場のことを、経営陣は何も理解していなかった。ただ気に入らないから壊した、としか思えません」(女子医大関係者)』、「こうした現場のことを、経営陣は何も理解していなかった。ただ気に入らないから壊した、としか思えません」、信じ難い状況だ。
・『経営陣の「患者の安全性を軽視した判断」  経営陣の暴挙は、これだけではない。集中治療科のホームページを担当する医師が、「小児集中治療専門医は全員退職、2022年2月末で小児ICUの運用は停止」とサイトに記したところ、これが問題だとして、女子医大は、医師に「降格」の懲戒処分を行ったのである。なぜ医師は処分の対象となるのか──。 「経営側にとって都合が悪かったのです。女子医大が多額の貸付を受けている福祉医療機構(厚労省の関連団体)などに、A特任教授らが辞表を出した後も『小児ICUは維持していく』と説明していたので、整合性がとれなくなりますから」(同) 野村教授はこの件に関連して、メール履歴を勝手に調べられ、部下の監督不行き届などの理由で、「減給」の懲戒処分を受けた、と関係者は語った。 「みんな恐怖政治に怯えています。女子医大の内部監査室に警察OBを雇って、メールの内容まで勝手にチェックするなんて、教育機関とは思えません」(同) 事実上の“ICU崩壊”が迫る中、8月16日に行われた女子医大病院の会議で、板橋道朗病院長は当面の方針を示した。 「9月からICUに入室した患者は、各々の診療科で責任を持って管理する。何かあったら、麻酔科と救命救急センターの先生が駆けつける体制を継続する。安定するまでは、リスクの高い症例は控えてもらう。一致団結して、安全な集中治療体制を維持していきたい」 各診療科で対応という苦肉の策で、体面上は“ICUを維持”するという。これに対して、現場の医師たちからは疑問の声が相次いだ。 「移植でかなりICUを使っていたので、これから患者を救えなくなるかもしれない、と本当に危惧している」 「大半が集中治療に慣れていないので、今までのようには対応できない。高度な医療をすると、事故を起こす可能性がある」 「小児ICUも潰されてしまった。スタッフが減る予定で、当直が回せるかどうか本当にギリギリ。ICUを診ろと言われると厳しい」 また、板橋病院長は、7月半ばに野村教授が辞表を提出するなど、動きが急激だったので(後任などの準備が)間に合わなかったと会議で説明した。だが、内情をよく知る関係者は次のように証言する。 「後任の医師を探す時間をつくるため、野村教授は6月に辞表を提出した、と聞いています。けれども経営陣は、医師を確保できず、最近までICUに最も関係する外科にも知らせませんでした。9月に移植手術を予定している診療科は大混乱です」(女子医大関係者)』、「女子医大が多額の貸付を受けている福祉医療機構(厚労省の関連団体)などに、A特任教授らが辞表を出した後も『小児ICUは維持していく』と説明」、よくぞこんないい加減な説明をするものだ。
・『孝祐くんを失った父親「強い怒りを覚えます」  当時2歳の孝祐くんを失った父親は、小児ICUチームの解散に続き、事実上のICU崩壊が避けられない状況について、次のように述べた。 「女子医大は、ICUの管理体制を抜本的に見直して、二度と同じ過ちを繰り返さないと、私たち遺族に説明してきました。それは全て嘘だったのでしょうか。現場の医師や看護師の努力を傲慢にも踏みにじった経営陣に、強い怒りを覚えます」 経営陣に翻弄され続けたICUのスタッフたち。騒動の渦中にいる野村教授が、こんなことを言っていたという。 「女子医大の良さは、自由で新しいことにチャレンジする精神でした。それがすっかり変わってしまった。反対意見さえも言えないのなら、ここで医師を教育することはできません」 これまで筆者は、週刊文春と文春オンラインで、女子医大の「疑惑のカネ」について報じてきた。さらに、国税局課税部資料調査課が、「疑惑のカネ」をめぐり税務調査を続けている。それでも経営陣の責任を問う動きは、女子医大の組織内から起きていない。 このままでは、ICUの事実上の崩壊に連鎖して、さらに多くの医師や看護師が去っていき、女子医大は自壊するだろう。その影響を受けるのは、ここで学ぶ約1400人の学生と、命を預ける患者たちである。(前編#5を読む)』、「「女子医大の良さは、自由で新しいことにチャレンジする精神でした。それがすっかり変わってしまった。反対意見さえも言えないのなら、ここで医師を教育することはできません」、経営陣はどうするつもりなのだろうか。
タグ:(その37)(日本が「医療貧国」であるこれだけの理由 無駄に長い入院・過剰な病床数…、「うつは、感染症から体を守るための防御メカニズム」肥満や座りっぱなしがうつにつながる意外な理由 脳が私たちを引きこもらせようとする、東京女子医科大学病院の「ICU崩壊状態」を招いた、患者の命を軽視した経営方針と恐怖政治 東京女子医大の闇 #6) 医療問題 ダイヤモンド・オンライン 奥 真也氏による「日本が「医療貧国」であるこれだけの理由、無駄に長い入院・過剰な病床数…」 奥真也著『医療貧国ニッポン』(PHP研究所) 「病床稼働率を上げるために、金曜日に入院、月曜日に退院というかたちを探る医療機関が日本にはいまだに存在します。 金曜日に入院しても、土日は医師の診療も検査もありません。場合によっては外泊OK、つまり自宅に帰ってもいいということもあります。まだ何も医療を受けていないのに、ベッド代はかかります。個室だったら差額ベッド代も取られます」、こんなやり方がまかり通っているとは驚いた。 「実際に逼迫していたのは、ベッドよりも医師や看護師などの医療スタッフです。ケアするスタッフがそろわなくて対応できなかったというのが実情です・・・コロナ禍の日本の「医療過迫」は、見かけ上の医療スタッフの逼迫、人不足の問題でもあったのです」、「長期療養型の施設がなかったため、本来ならば病院を退院して療養施設に移るのが望ましい人たちに対して、長期的な入院措置がとられている状況がありました」 「精神疾患を持つ人たちを収容している精神病床などもそうです。入院というより、社会に出さないための超長期的収容施設です。高齢者用の療養病床が「社会的入院」と呼ばれたのも、それに近い仕組みといえます。こういった長期入院が多いことも日本の病床の多さに関係しています」、「国や知事などの行政は、医療機関や医師に対して「命令」することができず、「要請」か「誘導」しかできません」、なるほど。 「国公立の病院を見ると、黒字の病院の割合は減少傾向で、全体のわずか7%に過ぎません。とくに損益率がマイナス30%を下回る赤字病院の数は25%にも上ります」、「ポストコロナの時代になって、あなたの住む地域の病院もこれから大きな変革が迫られるようになります」、「公立病院」の「赤字経営脱却のための施策」が急務のようだ。 PRESIDENT ONLINE アンデシュ・ハンセン氏による「「うつは、感染症から体を守るための防御メカニズム」肥満や座りっぱなしがうつにつながる意外な理由 脳が私たちを引きこもらせようとする」 『ストレス脳』(新潮新書) 人体は本当によく出来ていると再認識した。 「炎症は祖先が子供の頃に命を奪う恐れのあったものから私たちを守ってきた。例えば死に至る細菌やウイルスへの感染だ」、なるほど一定の効用があるようだ。 「歴史的に炎症を起こしてきたもの──細菌やウイルスそして怪我は、ほとんどの場合、一過性のものだ。しかし現代の要因──ずっと座っていること、肥満、ストレス、ジャンクフード、喫煙、環境汚染物質などは長く続く傾向がある」、「長く続く」「炎症」はどのような影響を及ぼすのだろう。 「現代の炎症要因でも、細菌やウイルスに攻撃されている時と同じシグナルが脳に送られてしまう。そのシグナルが長く続きすぎると・・・脳は「命が危険にさらされていて、常に攻撃を受けている!」と誤解してしまう。そこで脳は気分を下げるという調整を行い、私たちを引きこもらせようとする。精神的に立ち止まらせ、その状態が長く続く。何しろ現代の炎症要因というのは自然に消えてくれることはないのだから。 結果として長期的に精神が停止状態に陥る。つまり私たちがうつと呼ぶ状態だ。このように、うつも炎症に起因する病気のリストに入ってく 「長期間ストレスにさらされているとコルチゾールのレベルが高いまま暮らすことになり、ついには身体がそのレベルに慣れてしまう」、「身体はコルチゾールに反応するのをやめ、炎症を鎮める能力を失ってしまう」、「小さな炎症はくすぶったままになり、全身の炎症の度合いが上がってしまう」、なるほど。 「身体はお腹周りの脂肪を見知らぬものと認識し、炎症を起こすことで侵入者、つまり余分な脂肪に闘いを挑むのだ。 肥満がうつのリスクを高めるのは、肥満自体が社会的に不名誉であることも要因だが、脂肪組織の炎症のせいだという可能性もあるのだ」、やはり「肥満」も出来るだけ避ける方がよさそうだ。 「炎症はうつを引き起こす重要な要因の1つだが、要因は炎症だけではない。 うつ全体の3分の1程度が炎症に起因しているとされる」、なるほど。 「うつは「隠された防御メカニズム」、意外な事実だ。 「しかし「なぜ」そうしたほうがいいのかという生物学的な理屈を学ぶことで、運動、睡眠、適度なストレス、そして回復というアドバイスが深い意味を帯びるようになる。そういった要因が炎症にブレーキをかけること、脳が「攻撃されている」と誤解するようなシグナルをそれ以上送らないようにすることを学べば、それに適した生活をするようになるだろう」、その通りだ。 「異常な環境に対する異常な反応は脳の病気というよりむしろ正常な反応だということだ」、これまでの誤解がクリアに払拭できた。 文春オンライン「東京女子医科大学病院の「ICU崩壊状態」を招いた、患者の命を軽視した経営方針と恐怖政治 東京女子医大の闇 #6」 「小児の集中治療専門医はとても少なく、カナダの大学で活躍していた日本人のA氏に白羽の矢が立ちました。2020年1月、A氏に一時帰国してもらい、岩本絹子理事長との面談を経て、小児ICUの責任者(特任教授)として内定」、「小児ICUの責任者」の決定は、極めて重要な意味があった筈だ。 「経営陣は小児ICUが救った子供の命にあまり関心を示さなかった」、病院の「経営陣」としては、何を考えているのだろう。 「医学部長」が「上司にあたる、集中治療科の野村岳志教授に対して」「土下座するつもりで、岩本理事長に謝ってもらっていいですか」、驚くべき打診だ。 「丸学長がなぜ虚偽の説明」をしたのかも疑問だ。 「こうした現場のことを、経営陣は何も理解していなかった。ただ気に入らないから壊した、としか思えません」、信じ難い状況だ。 「女子医大が多額の貸付を受けている福祉医療機構(厚労省の関連団体)などに、A特任教授らが辞表を出した後も『小児ICUは維持していく』と説明」、よくぞこんないい加減な説明をするものだ。 「「女子医大の良さは、自由で新しいことにチャレンジする精神でした。それがすっかり変わってしまった。反対意見さえも言えないのなら、ここで医師を教育することはできません」、経営陣はどうするつもりなのだろうか。
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