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日産・ルノーVS仏政府問題(その2)(闇株新聞:ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車1,2、日産がフランス企業になる!? ゴーン氏も悩むルノーとの合併論の行方) [企業経営]

日産・ルノーVS仏政府問題については、2016年5月16日に取上げてからは、一服状態にあった。それが、このところ俄かに雲行きが怪しくなってきた今日は、(その2)(闇株新聞:ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車1,2、日産がフランス企業になる!? ゴーン氏も悩むルノーとの合併論の行方)である。

先ずは、闇株新聞が3月30日付けで掲載した「ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車」を紹介しよう。
・2日続けてイレギュラーな時間での更新となりますが、日本企業を安直に海外企業に売り渡してしまうと徹底的に食い尽くされると何度も警告している典型例の日産自動車が、いよいよ最悪の事態になりそうなので急遽記事にしました。
・ルノーと日産自動車は合併し、統合後の新会社を上場することを協議していると、本日(3月29日)Bloombergが報じています。 ルノーは日産自動車の43.6%を保有する親会社であり(そのコストの8000億円は配当などでもうすっかり回収しています)、日産自動車もルノーの15%を保有していますが(議決権なし)、両社は一応組織的・会計的には別会社となっていました。
・それが今度は統一会社となり、日産自動車は(ブランド価値があるため日産自動車の名前は残すかもしれませんが)完全にルノーの一部分となり、統一会社の上場市場はもちろん東証ではなく、パリ証券取引所となるはずです。
・また日産自動車の単独決算も発表されることはなくなり、ルノーのためにせっせと資金や生産設備や技術陣を(タダで)提供していくことになります。今までも同じような状況ではありましたが、日産自動車は一応東証に上場しているため、その株式価値(日産自動車の方がルノーより大きい)が毀損しないように「手心は」加えていました。
・実は2015年にも日産自動車をルノーと統合させる計画がマクロン(現大統領、当時はオランド政権の経済・産業・デジタル大臣)主導で進められ、ルノーの19.74%を保有するフランス政府の議決権を2倍にする法律を、株主総会前に一時的にルノー株を買い増してまで承認させていました。 ところがこの時点ではゴーン氏がルノーと日産自動車のCEOを兼任していたため、結果的には日産自動車の少数株主に対しても責任のあったゴーンCEOが反対したかたちになり日産自動車が日本の会社ではなくなる事態は回避できました。
・ところが2017年4月にゴーン氏が日産自動車CEOを退任してルノーCEOに専念しており、マクロンも大統領に大出世しているため、もう誰も日産自動車をルノーの一部分にしてますます食い尽くしても反対しません。 ゴーン氏はブラジル生まれのレバノン人で、あからさまな身分差別のあるフランス社会では決してエリートではなく、「絵にかいたようなエリート」であるマクロン大統領に反対することは決して得策ではありません。
・フランス社会では決してエリートではないゴーン氏はルノーCEOとして「日産自動車を食いつぶしてでも」ルノーの業績を上げなければなりません。先日ゴーン氏のルノーCEO任期が異例の4年延長となりましたが、そこでゴーン氏がマクロン大統領に囁いたルノーの業績拡大策の中に、日産自動車との統合が入っていたような気がします。
・日産自動車は西川(さいかわ)CEO以下、日本人の経営陣はここまでルノーとゴーンCEOへの忠誠心だけで出世してきたため、諸手を挙げて経営統合に賛成するはずです。また日産自動車の日本人の少数株主も、ここまでゴーンCEO(当時)の経営手腕を無条件に支持しているようで、ルノーとの経営統合を承認する株主総会も「すんなり」承認してしまうはずです。
・つまりどう考えても(今年中かどうかはわかりませんが)日産自動車はルノーの一部分となり、その日産自動車の子会社となった三菱自動車とともに、グループで年間生産1000万台クラブに(ルノーの一部分として)入ることになります。
・いくら考えてもそれを排除することはもう不可能で、本誌が数年間にわたって考えて主張してきた「日産自動車をルノーから取りもどそう」も完全に不可能となってしまいました。 そうはいってもシャープは鴻海グループに入って業績が拡大し、三菱自動車もルノー・グループ入りして(正確には日産自動車の子会社となった)最悪期を脱しており、東芝も(まだ中国当局の独禁法審査が長引いていますが)ベインキャピタルなどにグループ入りすれば「もっとよくなる」と考えられているようですが、どれも海外の親会社から食い尽くされても業績が良くなっているため、最初からもっとまともな日本人経営者が頑張れる体制にしておけば何の問題にもならなかったはずです。
・このニュースはまだBloombergが報じているだけで、不確定なニュースである可能性もありますが、本誌はかなり前からそうなると予想していたため、この段階で記事にしました。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2196.html

次に、上記の続き、4月18日付け闇株新聞「ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車  その2」を紹介しよう。
・3月30日付け「同題記事」の続きです。仏ルノーと日産自動車の会長を兼務するカルロス・ゴーン氏は4月16日、日本経済新聞とのインタビューで、両社の資本関係を見直す考えを示しました。 ここで現在のゴーン氏は仏ルノーのCEOに専念しており、つい先日その任期が4年間(2022年まで)延長されましたが、筆頭株主(15%)であるフランス政府には、マクロン大統領をはじめゴーン氏更迭の意見もかなりあったようです。
・ゴーン氏は昨年4月1日付けで、日産自動車CEOの座を西川廣人(さいかわひろと)氏に譲り、代表取締役会長となっています。この西川氏を始めとする日産自動車の日本人経営陣は、ひたすらゴーン氏やルノー本社の意向を「目いっぱい忖度して」出世してきたはずです。
・現時点の資本関係は、ルノーが1999年の第三者割当増資引受、その後の新株予約権行使も含めて約8000億円で日産自動車の43.6%を保有しています。また日産自動車もルノーの筆頭株主であるフランス政府と同額の15%を保有していますが、ルノーの連結子会社であるため議決権はありません。 ちなみにルノーはこの日産自動車に保有させている15%の株式と、保有以来の現金配当で、出資金額の8000億円はすっかり回収しています。
・また度重なる不正で経営危機となっていた三菱自動車も、2016年5月に日産自動車が2373億円の第三者割当増資を引き受けて34%の株主となり支配下に入れており、やはり間接的にはルノー傘下となります。三菱自動車もゴーン氏が代表取締役会長となっており、CEOは益子修氏ですが、もちろんゴーン氏の傀儡です。
・ここで2017年通年の世界販売台数では、トップはVWの1074万台(前年比4.3%増)でしたが、日産自動車と三菱自動車を加えたルノー連合が1060万台と世界第2位に浮上し、トヨタ自動車の1038万台(同2.1%増)を抜いてしまいました。 と言っても2017年通年の世界販売台数では日産自動車が581万台、親会社であるはずのルノーが376万台、本日(4月17日)の株式時価総額も日産自動車が4兆7630億円、ルノーが282億ユーロ(3兆7388億円)などと、完全に「親子逆転」となっています。
・さてここからが本題ですが、ルノーの筆頭株主であるフランス政府は、かねてよりルノーと日産自動車(自動的に三菱自動車もついてきます)の経営統合を求めており、実際には合併させてすべてフランスの会社にしようと考えています。 その急先鋒がマクロン現大統領で、2015年にはオランド政権の経済・産業・デジタル大臣として、2年以上保有する株主の議決権を2倍にするフロランジュ法を強引に承認させてしまいました。この時は「まだ」日産自動車CEOも兼任していたゴーン氏が、一応は日産自動車の少数株主の利益も代弁する立場でもあったため反対に回り、辛うじて日産自動車がルノーと合併して日本の会社ではなくなる事態だけは回避できました。
・ところが現時点では、そのマクロン氏は仏大統領に大出世しており、ゴーン氏はルノーCEOとして堂々とルノーの(あるいはフランス政府の)利益を最大限にすることに専念すればよく、日産自動車の西川CEOはもちろんゴーン氏やルノーの意向を最大限に忖度するため、日産自動車がルノーと経営統合(というより合併)することに何の障害もありません。
・つまりもう外堀は完全に埋められており、内堀もほとんど埋められている状態となります。 日産自動車の方がルノーよりもあらゆる面で大きいため、フランス政府とすれば日産自動車をルノーと合併させてフランスの会社にしてしまう経済的メリットは、大変に大きいはずです。
・ルノーCEO更迭の予想が多かったゴーン氏が4年の任期延長となった背景には、在任中にルノーと日産自動車を経営統合(実際には合併)させることが条件になっていると感じます。 さて本日(4月17日)付けの日本経済新聞には、ルノーと日産自動車が統合新会社を作り、両者を傘下に入れる案が浮上していると書かれていますが、そんな日本の地銀の形だけの経営統合のような「生ぬるい」経営統合をルノーもフランス政府も認めるはずがありません。
・また日産自動車が現在15%保有しているルノー株式を25%まで買い増せば、日本の会社法によりルノーが持つ日産自動車株の議決権が消滅するとも書かれていますが、それはあくまでも日本の土俵で戦った場合であり、もう完全に外堀が埋められた状態では全く意味がありません。だいたい西川CEO以下の日産自動車経営陣がゴーン氏やルノーと戦うはずがありません。
・かくして日本から(日本の株式市場からも)歴史ある自動車会社が消えてしまうことになります。本誌がいつも書くように、会社を安直に海外(ファンドでも会社でも)に売却してしまうとロクなことになりません。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2207.html

第三に、4月23日付けダイヤモンド・オンライン「日産がフランス企業になる!? ゴーン氏も悩むルノーとの合併論の行方」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「合併がベストの選択だとは考えていない」──。仏ルノー、日産自動車、三菱自動車の3社連合を率いるカルロス・ゴーン氏は日本滞在中の先週、周辺にそう語ったという。 ゴーン氏の発言の背景には、ルノーと日産の統合新会社設立や合併論がメディアで盛んに取り沙汰されていることがある。「資本関係の見直し検討」とも報じられたが、ある幹部は「ゴーン氏は『あらゆる選択肢がある』と述べているだけで、合併ありきではない。従来通り各社の独立を維持しつつ、機能統合によるシナジーなどのメリットを享受し合いながら2022年の連合全体の目標を達成することが最優先だ」と、ゴーン氏の心の内を代弁する。
・しかし仏政府による合併圧力は強まっているようだ。 日産は経営危機に陥った1999年にルノーの支援を受け、現在はルノーが日産に43.4%出資し、一方で日産もルノーに15%出資して株式を持ち合う関係にある。そしてルノー株の15%を握る仏政府は、これまでルノーを介して日産の経営に介入することを画策し続けてきた。
・14年には株式を2年以上持つ株主に2倍の議決権を与えるフロランジュ法を制定。仏政府は一時、ルノーへの持ち株比率を引き上げて日産との合併を迫ったが、ゴーン氏はこれを拒み続けた。 だがルノーCEOの任期が切れる今年6月の株主総会を前に、仏政府周辺からゴーン氏の退任論が浮上。ゴーン氏は続投する見通しだが、それと引き換えに仏政府に譲歩し、合併容認に「変心」したとの観測も出ている。
▽日産に合併のメリットなし
・合併は日産にとって決して容認できるものではない。 仏政府の最大の狙いは、日産を影響下に置くことで自国の自動車産業を立て直し、9%台と高い水準にある失業率の改善や税収増に貢献させることにある。  それは日産にとって、経営判断が国策に縛られることを意味する。ただでさえ電動化や自動運転化など開発競争が激化する業界において、無駄な投資や経営判断の遅れは致命的だ。
・また日産が名実共に「仏自動車メーカー」となれば、足元の日本市場で販売シェアを落としかねない。販売台数や技術開発力でルノーを凌駕する日産が今、ルノーと合併するメリットは見当たらない。実は仏政府もそれを承知の上で、「保有するルノーの株価をつり上げるための駆け引きにすぎない」(市場関係者)との見方もある。
・ただ“事実婚状態”とも指摘されるルノーと日産の現在の関係が成立し得ているのは、ゴーン氏個人によるところが大きいことは事実だ。そのゴーン氏に残された任期は4年。くすぶる合併論を打ち消すためにも、持続可能な“ポストゴーン”体制を示す必要に迫られている。
http://diamond.jp/articles/-/168186

第一の記事で、 『ゴーン氏が日産自動車CEOを退任してルノーCEOに専念しており、マクロンも大統領に大出世しているため、もう誰も日産自動車をルノーの一部分にしてますます食い尽くしても反対しません・・・つまりどう考えても(今年中かどうかはわかりませんが)日産自動車はルノーの一部分となり、その日産自動車の子会社となった三菱自動車とともに、グループで年間生産1000万台クラブに(ルノーの一部分として)入ることになります』、というのは本当に困った事態だ。
第二の記事で、 『つまりもう外堀は完全に埋められており、内堀もほとんど埋められている状態となります。 日産自動車の方がルノーよりもあらゆる面で大きいため、フランス政府とすれば日産自動車をルノーと合併させてフランスの会社にしてしまう経済的メリットは、大変に大きいはずです』、 『本日(4月17日)付けの日本経済新聞には、ルノーと日産自動車が統合新会社を作り、両者を傘下に入れる案が浮上していると書かれていますが、そんな日本の地銀の形だけの経営統合のような「生ぬるい」経営統合をルノーもフランス政府も認めるはずがありません』、 『会社を安直に海外(ファンドでも会社でも)に売却してしまうとロクなことになりません』、などの指摘はその通りだ。
第三の記事で、 『ある幹部は「ゴーン氏は『あらゆる選択肢がある』と述べているだけで、合併ありきではない。従来通り各社の独立を維持しつつ、機能統合によるシナジーなどのメリットを享受し合いながら2022年の連合全体の目標を達成することが最優先だ」と、ゴーン氏の心の内を代弁する』、というのは希望的観測に過ぎない。 『日産が名実共に「仏自動車メーカー」となれば、足元の日本市場で販売シェアを落としかねない。販売台数や技術開発力でルノーを凌駕する日産が今、ルノーと合併するメリットは見当たらない。実は仏政府もそれを承知の上で、「保有するルノーの株価をつり上げるための駆け引きにすぎない」(市場関係者)との見方もある』、も希望的観測の類だろう。ただ、仏政府が強引に合併をしようとすれば、日本市場で販売シェアを落としかねず、企業価値を損なうリスクもあるだけに、合併ではなく、緩やかな統合の方を選択してくれることを願うばかりだ。
タグ:ある幹部は「ゴーン氏は『あらゆる選択肢がある』と述べているだけで、合併ありきではない。従来通り各社の独立を維持しつつ、機能統合によるシナジーなどのメリットを享受し合いながら2022年の連合全体の目標を達成することが最優先だ」と、ゴーン氏の心の内を代弁する ダイヤモンド・オンライン 現時点では、そのマクロン氏は仏大統領に大出世しており、ゴーン氏はルノーCEOとして堂々とルノーの(あるいはフランス政府の)利益を最大限にすることに専念すればよく、日産自動車の西川CEOはもちろんゴーン氏やルノーの意向を最大限に忖度するため、日産自動車がルノーと経営統合(というより合併)することに何の障害もありません 2015年にも日産自動車をルノーと統合させる計画がマクロン(現大統領、当時はオランド政権の経済・産業・デジタル大臣)主導で進められ 「日産がフランス企業になる!? ゴーン氏も悩むルノーとの合併論の行方」 (その2)(闇株新聞:ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車1,2、日産がフランス企業になる!? ゴーン氏も悩むルノーとの合併論の行方) 日産自動車の少数株主に対しても責任のあったゴーンCEOが反対したかたちになり日産自動車が日本の会社ではなくなる事態は回避できました 2017年4月にゴーン氏が日産自動車CEOを退任してルノーCEOに専念しており、マクロンも大統領に大出世しているため、もう誰も日産自動車をルノーの一部分にしてますます食い尽くしても反対しません 闇株新聞 日産・ルノーVS仏政府問題 「ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車」 つまりもう外堀は完全に埋められており、内堀もほとんど埋められている状態 仏政府の最大の狙いは、日産を影響下に置くことで自国の自動車産業を立て直し、9%台と高い水準にある失業率の改善や税収増に貢献させることにある 日産に合併のメリットなし 「ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車  その2」
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