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投資(商品販売・手法)(その1)(1300万人がハマる投資アプリ「ロビンフッド」の魅力と落とし穴、ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由、絶対に近寄ってはいけない「4つの金融の儲け」 投資家を狙う落とし穴とは?) [金融]

今日は、投資(商品販売・手法)(その1)(1300万人がハマる投資アプリ「ロビンフッド」の魅力と落とし穴、ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由、絶対に近寄ってはいけない「4つの金融の儲け」 投資家を狙う落とし穴とは?)を取上げよう。

先ずは、本年1月10日付けNewsweek日本版が掲載したビジネスライターのダニエル・グロス氏による「1300万人がハマる投資アプリ「ロビンフッド」の魅力と落とし穴」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2021/01/1300-9_1.php
・『<米証券業界に「革命を起こした」と評判のロビンフッド。売買手数料は無料、数百ドルしか手元になくても気軽に株式投資ができる。利益相反なども指摘されるが、快進撃はどこまで続くのか>(※本誌「2021年に始める 投資超入門」特集より) 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に揺れた金融市場の最も意外な勝者の1つは、ミレニアル世代(2000年代に成人または社会人になった世代)がターゲットのスマートフォンアプリ「ロビンフッド」だ。 ユーザー数は1300万人。「金融市場を一般の人々がアクセス可能なものに変え、証券業界に革命を起こした」と、米有力ベンチャーキャピタル、セコイア・キャピタルのアンドリュー・リードは語る。 言うまでもなく、ロビン・フッド伝説は貧しい人々を助けるために金持ちから盗む義賊の物語。だが今では、庶民を金持ちと対等な立場に引き上げる試みの意味になった。それこそカリフォルニアを拠点とするロビンフッド・マーケッツの企業理念だ。 裕福な個人が相手の証券会社と違い、ロビンフッドには最低取引単位がない。株取引の売買手数料は基本的に無料。数百ドルしか手元に資金がなくても、アマゾン株(現時点で1株=3000ドル以上)を1単元株未満で購入できる。 共同創業者で共同CEOのバイジュ・バットとブラド・テネフは、スタンフォード大学で出会い、ヘッジファンドに取引ツールを売っていたが、すぐにミレニアル世代が簡単に株式市場にアクセスできるアプリの開発に方向転換。2015年にアプリ「ロビンフッド」を正式にリリースした。 ゴールドマン・サックスのような既存の金融大手はもちろん、Eトレードのようなネット証券から見ても魅力的な顧客とは言い難い超小口の個人投資家にとって、ロビンフッドは天からの贈り物だった。 ほとんどの投資アドバイザーが株価指数と連動するインデックス投資を推奨する時代に、あえて個別株で勝負したい投資家にも歓迎された。 「私たちは数百万人の人々、特に新しい世代が投資の扉を開くのを後押ししてきた」と、2人の創業者は胸を張る』、「2015年にアプリ「ロビンフッド」」「を正式にリリース」、「最低取引単位がない。株取引の売買手数料は基本的に無料」、現在では「ユーザー数は1300万人」、とは革命的だ。
・『利益相反の疑いあり  2019年までに、ロビンフッドは「ユニコーン」(企業評価額が10億ドル超で未上場の新興企業)の1つに成長した。2019年7月には3億2300万ドルを資金調達し、評価額は70億ドルを突破。年末までに1000万人のユーザーを獲得した。 そして2020年、パンデミックの襲来を受けてプロスポーツが活動を停止すると、サッカーやバスケットの試合を対象とする賭けに熱中していた人々が株取引に殺到。この年を通じて、ロビンフッドは米株式市場と共に急成長した。 経済専門ケーブルテレビ局CNBCによると、2020年第2四半期に同社の顧客が行った取引数は対前期比で2倍に増え、ユーザー数は1300万人以上に膨れ上がった。 2020年5月には2億8000万ドルの資金調達を行い、評価額は83億ドルに。9月にはさらに6億6000万ドルを調達し、評価額は117億ドルとなった。次の一手はIPO(新規株式公開)だと言われている。 急成長の一方で、問題も浮上した。株式市場が最も不安定だった3月初旬にはシステム障害が発生。顧客は自分の口座にアクセス不能になった。 ロビンフッドの主な収入源は、マーケットメーカー(値付け業者)に顧客の売買注文を流すのと引き換えに受け取る、一種のリベートだ。こうしたデータの売買は業界の一般的慣習だが、消費者擁護団体と規制当局は利益相反になるとみている。 しかし、より大きな問題は株式市場が長期下落トレンドに突入したらどうなるかだ。2000年のITバブル崩壊や2008年の金融危機のように投資家が大やけどを負った場合、手数料無料の魅力だけではユーザーをつなぎ留められないかもしれない。 <2021年1月12日号「2021年に始める 投資超入門」特集より>』、「ロビンフッドの主な収入源は、マーケットメーカー・・・に顧客の売買注文を流すのと引き換えに受け取る、一種のリベートだ。こうしたデータの売買は業界の一般的慣習だが、消費者擁護団体と規制当局は利益相反になるとみている」、「より大きな問題は株式市場が長期下落トレンドに突入したらどうなるかだ」、注目したい。

次に、1月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/258984
・『資産運用の世界で徐々に普及が進んでいるロボアドバイザーは個人投資家にとって役に立つのだろうか?筆者は現段階の実用性に対して否定的だ。その四つの理由をお伝えしたい』、世間では「ロボアドバイザー」をもてはやす論調が多いが、これを否定するとは興味深そうだ。
・『ウェルスナビの新規上場など徐々に普及するロボアドバイザー  いわゆるフィンテックビジネスの一つとして数えられることのあるロボアドバイザーの普及が進んでいる。昨年12月には、運用残高で最大のロボアドバイザー運用会社であるウェルスナビが東京証券取引所マザーズ市場への新規上場を果たした。 ロボアドバイザーは役に立つのだろうか? 筆者は、現段階でのロボアドバイザーの実用性に対して否定的だ。実は、このタイミングでロボアドバイザーについて論じるのは、ウェルスナビのIPO(新規株式公開)の邪魔をしたくなかったからだ(筆者ごときの意見がIPOに影響するとは思えないが、気持ちの問題だ)。現状のロボアドバイザーに不満があるとしても、テクノロジーを使った個人の資産運用のサポートには今後大いに期待したいと思っている。 ロボアドバイザーの大まかな機能を運用の観点からまとめると以下の通りだ。 まず(1)幾つかの質問の答えによって投資家の「リスク拒否度」を推定する。次に、(2)各資産クラスのリスク・リターンの推定値とリスク拒否度を使ってアセットアロケーション(資産配分)を決定する。そして、(3)資産クラスごとに運用商品の組み合わせを決定する。全体として、人間が行うラップ運用を、コンピューターのプログラムによって行うサービスだと思えばいいだろう。費用は、運用資産残高に対して年率1%前後のものが多い。 上記のようなロボアドバイザーが役に立たないと筆者が思う理由が四つある』、どういうことだろう。
・『ロボアドが役に立たない理由(1)「資産全体」の問題を解決できない  ロボアドバイザーは、個人の資産運用の問題の最重要部分を解決できない。 率直にいって、ロボアドバイザーに運用できる全財産の運用を任せる人はまれだろう。積立運用の場合も含めて、資産の一部をロボアドバイザーに任せることになる。 ところが個人にとっては、ロボアドバイザーに任せた部分以外を含む運用資産全体の運用状態がどうなっているかが問題だ。 ロボアドバイザーは個人の資産の総額や収入などの情報を収集しようとするが、この情報収集には限界がある。そして、他の運用資産がどのような状態で運用されているかが分からないと、ロボアドバイザーの運用部分を個人にとって最適な状態として決定することはできないはずだ。 投資家個人の側から考えると、ロボアドバイザーに任せた運用部分を前提に、残りの資産の運用を考えなければならない。ところが、そもそも資産の運用の仕方が分からなくてロボアドバイザーを利用したはずの個人は、より複雑化した形で元と同じ問題に直面することになる。 個人の運用の問題を解決するというよりは、さらに複雑化している』、「「資産全体」の問題を解決できない」、確かにその通りだが、「資産全体」を委ねればいいのではなかろうか。
・『ロボアドが役に立たない理由(2)「リスク拒否度」を決めるアプローチが個人になじまない  例えば、企業年金の積立金のような定型化された資産の運用の場合、リスクに対してどういったペナルティーを科するかを数値化した「リスク拒否度」を決めることによってアセットアロケーションを決めるアプローチがそれなりに納得的に機能する。 しかし個人の場合は事情が違ってくる。 経済状況をバランスシートで考えるとして、まず資産側は人的資本の占める割合が大きいが、人的資本は本人が将来の稼ぎ方を変更することや勤務先の経済的事情の変化などによって大きく変動する。さらに負債の側も、将来の生活の拡大縮小が可能であり伸縮的だ。 つまり積立金と将来の掛け金が予想可能で資産側が計算でき、将来の支払い予定から負債が計算できる年金運用の世界とは違うわけだ。個人が資産運用をするに当たって適切なリスク拒否度を決める条件は、複雑であると同時に変動が大きい。 率直にいって筆者は、リスク拒否度を決めて個人の資産運用方針を決める簡易版の個人資産の運用法を作る試みを過去に何度も行ったが、うまくいかなかった。 リスク拒否度を決めて最適化計算を行うアプローチは、個人の資産運用にあっても一定の有効性・合理性があると思う。ただ、現実の個人の運用にあっては、少なくとも損をするかもしれない額と損をした場合の対応をセットで考え、確認した上で、当面の資産運用で取るべきリスクの額を決める必要がある。 ロボアドバイザーのアンケート的質問がこの問題を解決できるとは思えない』、その通りなのかも知れない。
・『ロボアドが役に立たない理由(3)「バランスファンドの無駄」問題  ロボアドバイザーは投資家個人のリスク拒否度の大きさに応じて、例えば国内外の株式50%、債券が50%といった具合に資産配分を行い、投資を実行する。 特に今のようなゼロ金利の時代には分かりやすいが、果たして債券での運用に対して年率1%近い運用手数料を支払う意味があるだろうか。 仮に50万円分だけ株式で運用してもらえるサービスが年率1%で存在するなら(実際には年率0.2%以下で存在するが)、このサービスを利用して残りの50万円を自分で行う債券投資、あるいは債券で運用してくれる安価なサービスに資金を振り分ける方が、上記のようなロボアドバイザーに100万円運用してもらうよりも費用面で明らかに合理的だ。 ロボアドバイザーに支払う手数料1%は、実際に行われる運用の内容を考えるとかなり割高だと判断できる場合が少なくない。 これは、投資信託のバランスファンド(株式・債券両方の資産クラスに投資する投信)にあっても発生する無駄だが、ロボアドバイザーの顧客もこの問題に対して自覚的になることで運用を確実に合理化できる。 ロボアドバイザーもバランスファンドもやめて、自分で株式と債券のそれぞれに投資する方がずっといいのだ。 「初心者は自分でアセットアロケーションができないので、ロボアドバイザーやバランスファンドが存在することに意味がある」との言い分を聞くことがある。ところが実際に両商品がやっていることは異なる。投資家の資産の一部を非効率的な形で抱え込んで、「自分の運用全体の最適化」という重要な問題を抱える投資家に対して問題をより複雑にして返しつつ、無駄に高い費用を取っているだけのことだ。 「初心者に優しい」のは見かけ(=宣伝のイメージ)だけだ。 ロボアドバイザー業者側から、「ロボアドバイザーがなければ運用に関わることがなかったはずの初心者に対して、運用を始めるきっかけを与えることには価値があるのではないか」との反論を受けたことがある。それに対して筆者は、「よりダメな状態の誰かを想定して、自分を正当化することはやめなさい」と答えた』、「ロボアドバイザーもバランスファンドもやめて、自分で株式と債券のそれぞれに投資する方がずっといいのだ」、その通りのようだ。
・『ロボアドが役に立たない理由(4)時間に比例する費用の不合理性  仮に、ロボアドバイザーが行う資産配分や商品選択に何らかの価値があるとしよう。だが、この価値に対する対価を「運用資産額×運用期間」に比例して支払うことは合理的だろうか? 「個人の事情に合わせたアセットアロケーション」や「アセットクラスごとの商品の選択」は、運用期間の初期にあって重要な決定だが、いったん決めてしまえば時間の経過とともに運用初期と同じだけの努力の投入が必要な行為ではない。 時間の経過に伴って生じる資産配分の変化を元の比率に戻す「リバランス」に価値があると、ことさらに強調する向きもある。とはいえ、リバランスは頻繁に細かく行う必要はないし、必要な程度のバランス修正は個人でも十分にできるので、これに費用を払う合理性は乏しい。 投資家にとっての運用のメリットは確かに時間の経過によって得られるものなのだが、運用の内容は運用の初期の努力で大半が決定できる。 前者は投資家自身の資金提供と忍耐の成果であり、アドバイザーの主な貢献は後者の段階にある。であるのだから、運用期間に比例して漫然と手数料を払い続けることは、顧客である投資家側にとって合理的ではない。 例えば、人間のアドバイザーに相談して自分の資産全体の運用方針を一度決めてしまえば、その後は自分で運用を管理すればいい。 仮に1000万円を1年間ロボアドバイザーで運用するのに10万円掛かる状態と比較してみよう。アドバイザーに数万円支払って運用方針を決め、年間2万円以下(運用管理費用0.2%以下)の運用商品で運用すると、1年でアドバイスの元が取れる計算であるし、2年目以降の差はもっと大きく開く。 ロボアドバイザー業者も長期運用の効用を説くが、運用が長期に及ぶほど期間に比例する手数料の影響は大きい』、「「個人の事情に合わせたアセットアロケーション」や「アセットクラスごとの商品の選択」は、運用期間の初期にあって重要な決定だが、いったん決めてしまえば時間の経過とともに運用初期と同じだけの努力の投入が必要な行為ではない」、「運用期間に比例して漫然と手数料を払い続けることは、顧客である投資家側にとって合理的ではない」、「例えば、人間のアドバイザーに相談して自分の資産全体の運用方針を一度決めてしまえば、その後は自分で運用を管理すればいい」、その通りだ。
・『必要なら人間に相談して自分で決めるべし  以上、現在のロボアドバイザーの利用に賛成できない理由を挙げた。それでは、個人はどのように資産運用をすればいいかというと、「自分で考えたらいい」。運用プロセスで最も重要な決定である「リスクテイクの大きさ」に関連する情報を最も豊富に持っているのは投資家本人だからだ。 運用方針の決め方は、率直にいってそれほど難しいものではない。適切な本を1冊読むと十分一人でできるようになる程度の問題だ。仮に不安があるなら、今の段階では人間のアドバイザーに1回ないし数回相談して、その都度対価を支払う方が合理的だし、何よりも「自分で分かるようになる」ことの価値が大きい。 筆者は、あるロボアドバイザー運用会社の経営者に、顧客の資産の一部を運用するロボアドバイザーよりも、顧客の運用全体の問題解決に貢献できるフィンテックサービスを開発・提供することの価値の方が大きいのではないか、と言ったことがある。その経営者は頭のいい人なので、「ぜひやりたい」と返答した(「必ずやります」だったかもしれない)。 では、そうしたサービスができたとしたら、読者はロボアドバイザーを利用するだろうか。「要らない!」と筆者は思う』、運用のプロである山崎氏ならそうだろうが、素人にとってはそうもいかず、任せ切りにしたい人も多いだろう。

第三に、この続きを、4月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「絶対に近寄ってはいけない「4つの金融の儲け」、投資家を狙う落とし穴とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/268350
・『読者自身が今後もうけるため、あるいは、悪い金融話に引っ掛かって損しないようにするために、本稿では典型的な「金融のもうけ」の4パターンを見てみよう。それらがはらむリスクや不利について、投資家は気がつかない場合が少なくない。大いに気をつけて、遠ざかる心構えを持ってほしい』、確かに銀行や証券会社、生命保険会社などの営業マンが手ぐすねを引いているので、注意が必要だ。
・『悪い金融話に引っ掛からないように遠ざかるべき「4パターン」  新型コロナウイルスによる危機に対応した金融緩和と財政出動を背景として、株式などの資産価格が高騰。あちこちにお金持ちが生まれている。コロナは間違いなく貧富の格差を拡大している。 ただしお金持ちの中には、株式を大量に保有する創業経営者のように、もともと資産があってその資産が膨らんだ「自然なお金持ち」も存在する。一方で、先頃破綻して内外の金融機関に大きな損をもたらすことになった米ファミリーオフィス(個人の資産運用会社)のアルケゴス・キャピタル・マネジメントのような、関わると「実は危ないお金持ち」も混じっている。 「危ない」の中には、「市場のリスク」が危ない場合もあるし、法的・倫理的にスレスレの、「危ない」よりも「汚い」に分類したくなるようなリスクもある。そして、金融的なもうけにはいくつかの典型的なパターンがある。 はっきり言って、もうかる投資先を次々と当てて連戦連勝するような「相場の当たり」を続けて大金持ちになる人はごく少ない。集中投資がたまたま当たり、それを長期にも保有することになった創業経営者のような「幸運な人」が時々存在する程度だ。それ以外の金融のもうけは、よく見ると意外にチープな仕掛けから生じている。 読者自身が今後もうけるためでも、あるいは、悪い金融話に引っ掛からないようにするためでもいいのだが、本稿ではいくつかの「金融のもうけ」のパターンを見てみよう』、「パターン」別に整理してくれるとは、理解しやすい。
・『絶対に近寄ってはいけない「もうけその1」レバレッジでもうかった  個人のお金持ちからヘッジファンドの経営者に至るまで、レバレッジを掛けた投資、すなわち実質的に借り入れを伴う投資が結果的に成功して大金持ちになった人は数多い。もっとも、後に触れるが、ヘッジファンドの場合はレバレッジ以外に別の「仕掛け」の役割が大きい。 個人のお金持ちには、不動産で財をなした人が少なくない。不動産は担保物権が具体的なので個人でも比較的低利の借金を利用しやすく、大きな金額の借金と投資ができてお金持ちになるパターンがある。 安易なマネー本や不動産のセールスマンが言うように、「家賃利回り>借入金利」なら不動産は利益をもたらすプラスの資産なのだ、というほど話は単純ではない。しかし、次々にローンを借りて不動産投資を膨らましただけの「欲張り父さん」のような人が、「結果的に」お金持ちになることはある。 その過程では大きなリスクと無駄な手数料の支払いがあったはずなので、うらやましがってまねをしてはいけない。真に着実にもうかるのは、一見もうけ話らしき案件を売り歩くセールスマンだ。 借金も、(1)良い利回りを見込める資金の使い道があって、(2)十分返せる規模で、(3)金利が高くないものであれば、利用していけないというものではない。 (2)については、普通の人は返済の算段を心配する方がいいが、野心的な事業家の場合「借金とは、借り手が心配するものではなく、貸し手が心配するものだ」というくらいに考える人もいる。その度胸は時に功を奏する。 しかし、今般話題になったアルケゴスの場合は、集中投資の行き先がまずかったようだ。「相場を当て続けることはできない」という原則と、「レバレッジによるリスク拡大」が悪く重なった例だった。 素晴らしいテクノロジーで大もうけしているように見えて、実際には数十倍のレバレッジでリスクを取っていたと後からもうけの「種」が分かるようなケースもある。かつてノーベル賞受賞学者などを巻き込んで設立され、後に破綻した米ヘッジファンドのロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)がその典型だ。 うますぎるもうけ話の裏には「大きなレバレッジが隠れていないか?」という疑いが欠かせない』、確かに「LTCM」は「ノーベル賞」の意味も考え直させるインパクトがあった。
・『絶対に近寄ってはいけない「もうけその2」 信用リスクのある高利回り投資  一般に素人は配当や分配金などのインカムゲインに釣られる傾向があるが、見かけのインカム利回りはプロの運用者にとっても魅力的な場合がある。 特に損失を抱えたファンドマネージャーが、インカム利回りの高いポートフォリオを組んで損を取り返そうとするケースは少なくない。 この場合、信用リスクがあって利回りが高い債券を組み入れて、デフォルトがないことを「祈る」パターンになる。ここにレバレッジが組み合わせられるケースもある。金融機関や運用会社の経営者は、自社の運用者がこうしたパターンの運用をしていないか、常に気を配っておきたい。 いつ、どの会社で、誰が、までは書かないが、筆者が過去に勤めた会社で、損失を隠蔽したファンドマネージャーがやっていたのもこの手口だった。しかし、投資した債券の中にデフォルトするものが生じて、もろもろの不都合が明るみに出た。 ファンドの計理(会計)をごまかして損失を隠蔽していなくても、利回りを求めて信用リスクの高い債券に投資する運用は歯止めが掛かりにくい。 政府・中央銀行の経済対策やコロナワクチン接種の普及に伴う経済回復などの期待から、現在米国の社債市場では、低格付けの銘柄と国債との利回り格差が縮小する傾向にあるが、いずれ問題が生じるだろう。低格付けの銘柄を証券化商品というオブラートにくるんでも根本的な問題が解消しないのは、かつてのサブプライムローン問題で経験済みだ』、「信用リスクのある高利回り投資」、も大いに気を付けるべきだろう。
・『絶対に近寄ってはいけない「もうけその3」フロントランニング  証券会社で、顧客の売買注文の前に自己勘定の注文を割り込ませて、顧客の注文を利用して利益を得る行為を「フロントランニング」と呼ぶ。もちろん、不正であり、違法行為だ。 しかし、かつて(と言っておく)証券会社の自己売買にあって、フロントランニング的な行為は時々存在した。顧客の注文を受ける部署と自己売買部門の物理的・人的な距離があまりに近かったのだ。 現在は、かつてのような単純なフロントランニングは難しくなっているが、自己売買部門に代わってフロントランニングを行っているのが、いわゆる高速取引業者だ。 煩雑になるので詳しい説明は省くが、彼らは投資家の注文をキャッチして、取引所にその注文が流れるよりも速く注文を執行して利益を得る。そしてその一部を、注文を流してくれた証券会社にキックバックする。1社で行うと不正になるフロントランニングだが、分業することによって規制をすり抜けている。 先般、主に米インターネット証券のロビンフッド・マーケッツを使った個人投資家による米ゲームソフト販売大手のゲームストップ株の売買が米国で話題になった。 SNSで連携した個人投資家たちとヘッジファンドは相場で勝負をしているのだから、どちらがもうけても(損をしても)構わない。ただ、全体の構図の中で、取引を仲介したロビンフッドと高速取引業者が確実にもうけているのが気になった。「違法ではないが、質の悪いもうけを得ている」との印象だ。一般投資家は関わらない方がいい。 顧客の買い(売り)注文の鼻先をかすめて先に注文を執行し、ほんの少し上(下)のオーダーを出して顧客の注文と付き合わせると、見かけ上の出来高が2倍に膨れ上がるが、実質的な流動性は増していない。市場の機能は少しも改善していないし、顧客から見えにくい場所で実質的な取引手数料が生まれるような仕組みは不健全だ。 なお、インデックスの銘柄入れ替えや銘柄のウェイト変更を、高速取引業者を含む市場参加者に利用されることで発生するインデックスファンドの損も、性格としては投資家がフロントランニングにやられている状態に近い』、「高速取引業者」が「フロントランニングを行っている」、とは初めて知った 予めルールを示し合わせているのだろう。
・『絶対に近寄ってはいけない「もうけその4」オプションとしての成功報酬  ヘッジファンドのマネージャーが大金持ちになれる「仕掛け」が成功報酬だ。 ファンド運用の成功報酬は、ファンド資産額を原資産とするコールオプション(買う権利)の性質を持っている。例えば、値上がり益の2割といったヘッジファンドの典型的な成功報酬条件は「法外に」と言っていいくらい、マネージャー側に有利だ。) オプションの価値は主に原資産のボラティリティー(価格変動の大きさ)で決まる。仮にボラティリティーが20%(日経平均株価のボラティリティーくらいだ)なら、期間1年間のコールオプションの価値は資産額の8%くらいだ(※金利はゼロで計算)。とすると、「値上がり益の2割」の経済的価値はざっと1.6%になる。 これだけでも大きな手数料だが、ヘッジファンドの場合、マネージャーはレバレッジを利用して「自分で」ファンドのボラティリティーを上げることができる。そして、成功報酬の経済価値を何倍にもできる。これは、半ば詐欺に近い有利な仕組みなのだが、「もうけに対して手数料を払うならフェアだ」と思う素朴で愚昧な投資家たち(一昔前の年金基金の運用担当者がそうだった)は、こうした条件で資金を出してくれる。 「オプションとしての成功報酬」を確保して、顧客(自分の勤める会社の株主が実質的に顧客になる場合もある。資本家も時に搾取される!)にリスクを取らせて、自分は成功報酬を得る――。この種のパターンは、金融業にあっては半ば普遍的な「個人のビジネスモデル」であり、同時にバブルの根源的な原因だ。 金融機関のトレーダーもセールスマンも、こうした仕組みを利用してもうける場合が少なくない。 加えて、近年は、企業の経営者たちが、自分で自社のストックオプションを持ち、自社株を買ったり、バランスシートのレバレッジを上げたりするような手口で富を増やすことを覚えた。「CEO(最高経営責任者)の金融マン化」が顕著だ』、「CEO・・・の金融マン化」とは情けない感じもするが、これが現実なのだろう。
・『「金融ビジネス側のもうけ」から遠ざかる心構えを持つ  金融ビジネスでのもうけには、ここで挙げたもの以外にも、営業マンのマンパワー(やはり軽視できない。つい付け込まれてしまう)で稼ぐ手数料ビジネスでのもうけもあるし、ネズミ講に近い詐欺的なもうけなどもある。いずれも相手にしない方がいいのだが、これらはある程度個人の注意によって防ぐことができる(他人に勧められたもうけ話の全てを疑う習慣を持つべきだ)。 しかし、本稿で挙げた、「レバレッジ」「信用リスク」「フロントランニング」「成功報酬」などの仕組みのリスクや不利には、顧客側で気がつかない場合が少なくない。大いに気をつけて、金融ビジネス側のもうけから遠ざかる心構えを持ってほしい』、山崎氏の助言を噛み締めて、「金融ビジネス側の」カモにならないよう気を付けてほしいものだ。
タグ:投資 ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 (商品販売・手法) (その1)(1300万人がハマる投資アプリ「ロビンフッド」の魅力と落とし穴、ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由、絶対に近寄ってはいけない「4つの金融の儲け」 投資家を狙う落とし穴とは?) ダニエル・グロス 「1300万人がハマる投資アプリ「ロビンフッド」の魅力と落とし穴」 「2015年にアプリ「ロビンフッド」」「を正式にリリース」、「最低取引単位がない。株取引の売買手数料は基本的に無料」、現在では「ユーザー数は1300万人」、とは革命的だ 「ロビンフッドの主な収入源は、マーケットメーカー・・・に顧客の売買注文を流すのと引き換えに受け取る、一種のリベートだ。こうしたデータの売買は業界の一般的慣習だが、消費者擁護団体と規制当局は利益相反になるとみている」、「より大きな問題は株式市場が長期下落トレンドに突入したらどうなるかだ」、注目したい 山崎 元 「ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由」 世間では「ロボアドバイザー」をもてはやす論調が多いが、これを否定するとは興味深そうだ。 ロボアドが役に立たない理由(1)「資産全体」の問題を解決できない 「「資産全体」の問題を解決できない」、確かにその通りだが、「資産全体」を委ねればいいのではなかろうか ロボアドが役に立たない理由(2)「リスク拒否度」を決めるアプローチが個人になじまない ロボアドが役に立たない理由(3)「バランスファンドの無駄」問題 「ロボアドバイザーもバランスファンドもやめて、自分で株式と債券のそれぞれに投資する方がずっといいのだ」、その通りのようだ ロボアドが役に立たない理由(4)時間に比例する費用の不合理性 「「個人の事情に合わせたアセットアロケーション」や「アセットクラスごとの商品の選択」は、運用期間の初期にあって重要な決定だが、いったん決めてしまえば時間の経過とともに運用初期と同じだけの努力の投入が必要な行為ではない」 「運用期間に比例して漫然と手数料を払い続けることは、顧客である投資家側にとって合理的ではない」、「例えば、人間のアドバイザーに相談して自分の資産全体の運用方針を一度決めてしまえば、その後は自分で運用を管理すればいい」、その通りだ。 運用のプロである山崎氏ならそうだろうが、素人にとってはそうもいかず、任せ切りにしたい人も多いだろう 「絶対に近寄ってはいけない「4つの金融の儲け」、投資家を狙う落とし穴とは?」 確かに銀行や証券会社、生命保険会社などの営業マンが手ぐすねを引いているので、注意が必要だ。 「パターン」別に整理してくれるとは、理解しやすい 絶対に近寄ってはいけない「もうけその1」レバレッジでもうかった 確かに「LTCM」は「ノーベル賞」の意味も考え直させるインパクトがあった。 絶対に近寄ってはいけない「もうけその2」 信用リスクのある高利回り投資 「信用リスクのある高利回り投資」、も大いに気を付けるべきだろう 絶対に近寄ってはいけない「もうけその3」フロントランニング 「高速取引業者」が「フロントランニングを行っている」、とは初めて知った 予めルールを示し合わせているのだろう 絶対に近寄ってはいけない「もうけその4」オプションとしての成功報酬 「CEO・・・の金融マン化」とは情けない感じもするが、これが現実なのだろう 「金融ビジネス側のもうけ」から遠ざかる心構えを持つ 山崎氏の助言を噛み締めて、「金融ビジネス側の」カモにならないよう気を付けてほしいものだ。
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資本市場(その5)アルケゴス問題2題(2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある、野村が2200億円の損失も 「アルケゴスショック」が投資家に迫る3つの論点) [金融]

資本市場については、2月12日に取上げた。今日は、(その5)アルケゴス問題2題(2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある、野村が2200億円の損失も 「アルケゴスショック」が投資家に迫る3つの論点)である。

先ずは、4月5日付けPRESIDENT Onlineが掲載した法政大学大学院 教授の真壁 昭夫氏による「2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある」を紹介しよう。
・『日本では野村、みずほFGで損失発生か  3月29日、わが国の野村ホールディングス(野村)と、スイスの金融大手クレディ・スイスは米国の顧客との取引に起因する巨額の損失計上の可能性があると発表した。その顧客とは、投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメント(アルケゴス)であることが判明した。 報道によると、損失額は野村が約20億ドル(約2200億円)、クレディ・スイスが30億~40億ドル(約3300億~4400億円)とみられるものの、現在のところ損失額は確定していない。この2社以外にも、みずほフィナンシャルグループの米子会社が1億ドル(100億円)程度の損失を計上する可能性があると報じられており、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーなどの金融機関でも損失が発生している模様だ。 “アルケゴス問題=アルケゴスに起因する大手金融機関の巨額損失発生”に関して、どのような取引が行われていたか、なぜそれが損失を発生させたかを確認することが重要だ』、「真壁」氏の見方はどんなものなのだろう。
・『行きすぎたリスクテイクが放置されている  重要なポイントは、同社が過剰なリスクテイクをしていたとみられることだ。アルケゴスは、ある意味では規制の甘さを突いて、積極的にレバレッジをかけてリスクテイクを重ねた。同社と取引を行った金融機関は、そのリスクを十分に評価できていなかったといえるかもしれない。同社が保有していた株価が想定外の方向に動いた結果、アルケゴスは巨額の損失を抱え、資金繰りに行き詰まったとみられる。 アルケゴス問題の影響は軽視できない。規制の問題やカネ余りの影響などによって過度なリスクテイクが放置されていたことは、金融市場の脆弱性が高まっていることを示唆する。過去、資産価格が過熱した結果として、投資ファンドが損失を抱えて事業の運営に行き詰まり、結果として世界的な金融システムの不安定性が高まったことは多い。アルケゴス問題には、そうしたケースと重なる部分があるように見える』、「規制の問題やカネ余りの影響などによって過度なリスクテイクが放置されていたことは、金融市場の脆弱性が高まっていることを示唆する」、確かに問題だ。
・『甘い規制と借り入れ…利得を重ねるフアン氏の手法  アルケゴスは、大手ヘッジファンド“タイガー・マネジメント”出身(運用業界で“虎の子=タイガー・カブ”と呼ばれる)のビル・フアン氏が設立した“ファミリーオフィス”だ。ファミリーオフィスとは、個人の金融資産を管理・運用する投資会社を指す。資金運用において、フアン氏は“レバレッジ”をかけた。つまり、金融機関から与信を受けることによって、自己資金以上の投資ポジション(持ち高)を構築して、大きな利得を目指した。 それが可能だったのは、ファミリーオフィスへの金融規制が甘かったからだ。リーマンショック後、米国では金融規制改革法(ドッド・フランク法)をはじめ金融規制が実施された。その結果、外部顧客の資金を運用するヘッジファンドは証券取引委員会(SEC)に登録を行い、株式などの持ち高(ポジション)や株主の構成、金融機関との取引、財務内容などを開示する義務を負った。 しかし、基本的に、個人の資金を管理・運用するファミリーオフィスは、規制の対象外に置かれた。そのため、リーマンショック後、多くのヘッジファンドが外部顧客に資金を返し、ファミリーオフィスへの業態転換を行い、規制から逃れようとした。それがファミリーオフィスを“影のヘッジファンド”と呼ぶゆえんだ。規制が甘いため、アルケゴスはリスクを取りやすかった』、「リーマンショック後、多くのヘッジファンドが外部顧客に資金を返し、ファミリーオフィスへの業態転換を行い、規制から逃れようとした。それがファミリーオフィスを“影のヘッジファンド”と呼ぶゆえんだ」、「ファミリーオフィス」が今後、「規制の対象」に含まれる可能性はあるのだろうか。
・『規制に苦しむ金融機関にとって重要な存在に  規制強化に直面した大手金融機関にとって、相対的に手数料の厚いデリバティブ取引や、資金繰り管理などのサービスを提供して収益を獲得するために、ファミリーオフィスの重要性は高まった。特に、フアン氏のようにリスクテイクに積極的なファンドマネージャーとの関係強化を目指す金融機関は増える傾向にあった。 フアン氏が金融機関と行った相対取引の一つが“差金決済(Contract For Difference、CFD)取引”だ。株式を対象とするCFD取引では、現物株を売買せず、取引の開始時と終了時の原資産の価格差によって決済を行う。 例えば、30ドルで推移していた米バイアコムCBSの株価が上がると思う投資家が、同社株を買い建てるCFD取引を注文するとする。株価が50ドルになった時点でCFD取引を決済(ポジションをクローズ)すると、差額の20ドルから手数料を支払った金額が投資家の利得になる』、「規制強化に直面した大手金融機関にとって」「ファミリーオフィスの重要性は高まった」。
・『株価が上がれば利得もかさ上げされるが…  フアン氏は金融機関に証拠金を差し入れて株式を原資産とするCFD取引を大規模かつ積極的に行った。想定通りに買い建てた(売り建てた)銘柄の株価が上昇(下落)すれば、レバレッジの効果によって利得はかさ上げされる。 逆に、参照する資産の価格が逆に動くと損失は増大する。損失が許容されたレベルを超えると、金融機関はリスクに見合った追加の証拠金差し入れ(追い証)を取引相手に求める(マージン・コール)。 相手が追い証に応じない場合、金融機関は取引相手とのポジションを解消してリスクを削減する。損失が自己資本を上回ると取引相手の資金繰りは行き詰まり、債務不履行=デフォルトが発生する。なお、どの程度の損失発生が追い証のトリガーになるかは、金融機関の体力や顧客のリスク属性によって異なる。 フアン氏は他のデリバティブ取引も活発に行い、特定銘柄のポジションを積み増していたようだ。その点に関して、法令が遵守されていたか、事態の解明が待たれる』、「CFD取引」は確かに「レバレッジの効果」が利きそうだ。
・『荒い値動きで損失に直面したか  以上の内容と米国の株価データなどをもとに、アルケゴス問題発生の経緯を考察しよう。2月半ば以降、金利上昇によって米国株の変動性は高まった。取引時間中の値動きはかなり荒く、乱高下する場面が増えた。その状況下、フアン氏は予想と異なる株価の動きによって買い建て(ロング)と売り建て(ショート)の両サイドで損失に直面し始めたのだろう。 決定打になったのが、3月22日にバイアコムCBSが増資を発表したことだ。同社株は売られ、“売るから下がる、下がるから売る”という動きが鮮明化した。それが損失を急拡大させ、アルケゴスは追い証を差し入れることができなかった。 3月26日、一部の金融機関はフアン氏にデフォルトを宣告し、200億ドル(約2.2兆円)の株式ポジションの解消を迫った。それほど、同氏のリスクテイクは膨大だった。フアン氏は金融機関に担保として差し入れていた資産の売却も余儀なくされた。それが、同氏が選好していたディスカバリーなどメディア関連銘柄の急落の原因とみられる。 想定外の損失拡大に直面した金融機関は、我先に資産の売却(投げ売り)を行ってアルケゴスに絡むリスクから逃れようとした。その遅れやアルケゴスとの取引規模などによって、日欧の大手金融機関に巨額の損失が発生したと考えられる』、「金融機関は、我先に資産の売却(投げ売り)を行ってアルケゴスに絡むリスクから逃れようとした」、もともとは「アルケゴス」が蒔いた種だ。
・『思い起こされるのはリーマンショックの“端緒”  アルケゴス問題が発生した後の日米の株価の推移をみると、多くの投資家が影響は一部の金融機関に限られると楽観しているようだ。4月上旬の時点で、カネ余り環境の継続期待、コロナ禍への慣れや経済の正常化期待を理由に、先行きに強気な投資家は多い。 しかし、アルケゴス問題は、特定の金融機関への影響だけでなく、世界の金融システムの不安定性を高める一因になりかねない。アルケゴス同様に、デリバティブ取引によってレバレッジをかけ、より大きな利得を目指す投資ファンドは多い。見方を変えれば、アルケゴス問題は、世界の大手金融機関が許容レベルを上回るリスクを蓄積していることを確認する機会だ。 資産価格の過熱感が高まると、一部金融機関などのリスクテイクの過大さが顕在化し、結果として世界の金融システムにストレスがかかることがある。思い起こされるのが、2007年8月上旬、仏大手金融機関BNPパリバ傘下の投資ファンドが証券化商品の価値下落によって運用に行き詰まったこと(パリバショック)だ。その後、証券化商品の価値は急落し、世界各国の金融機関が巨額の損失を計上した。それがリーマンショックにつながった』、確かに「パリバショック」に似ているが、規制強化で「金融機関」が取れるリスクに枠がはまったのも事実だ。
・『「金融機関同士の疑心暗鬼」が生まれている  今すぐ、そうした展開が起きるとは考えづらい。ただし、アルケゴス問題の影響は過小評価できない。特に、金融システムにおけるカウンターパーティー・リスク(取引相手が契約通りに義務を履行するかに関する不確実性)は高まりつつある。 野村は米ドル建普通社債の発行を中止した。低金利環境下、国債よりも利回りの高い社債の需要は強い。それでも発行が見送られたということは、アルケゴス問題の影響を警戒する投資家が少なくないことだ。在米のベテラントレーダーはその状況を「金融機関同士の疑心暗鬼」と評していた。 また、アルケゴス問題が他の金融機関の損失発生の直接的あるいは間接的な原因となる可能性もある。米国ではSECが情報収集に注力しており、投資ファンドへの規制強化に関する議論も進む。 それらは投資家にリスク削減を志向させる要因だ。アルケゴス問題の全貌は明らかになっておらず、先行きの展開を注視する必要がある』、「「金融機関同士の疑心暗鬼」が生まれている」、嫌な兆候だ。「アルケゴス問題の全貌は明らかになっておらず、先行きの展開を注視する必要がある」、同感である。

次に、4月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「野村が2200億円の損失も、「アルケゴスショック」が投資家に迫る3つの論点」を紹介しよう』。
https://diamond.jp/articles/-/267675
・『米投資会社の運用破綻に端を発した「アルケゴスショック」――。これに関連して、野村ホールディングス(HD)が約2200億円の損失を被る可能性を発表するなど、金融市場に衝撃を与えた。この一件を受けて投資家が考えるべき論点は大きく三つある。(1)危機は連鎖するか、(2)いかにも『バブル的』な資金の流れに対する視点、(3)野村HDの株価評価に対する「考え方」だ。それぞれ解説していこう』、興味深そうだ。
・『アルケゴスショックの論点(1)危機は連鎖するか?  先週初めの3月29日(月)、野村ホールディングス(野村HD)は米国子会社の取引に伴って20億ドル(約2200億円)程度の損失が発生する可能性を公表した。同日、野村HDの株価終値は前週末比117円70銭安の603円に下落した。 この損失は、元ヘッジファンドマネージャーが運営するアルゲゴス・キャピタル・マネジメントというファミリーオフィス(個人資産運用会社)の運用破綻によるもので、同社の取引に関連しては、スイス金融大手のクレディ・スイスも巨額の損失の可能性を発表した。 また、わが国では三菱UFJ証券HDが約3億ドル、みずほフィナンシャルグループが1億ドル規模の損失の可能性を公表した。不名誉な事態だが、野村HDは損失額が示唆する取引規模の大きさにおいて、わが国証券業界最大手の面目を保ったといえようか。 ファミリーオフィスはヘッジファンドよりもさらに情報の秘匿性が高いこともあり、損失経緯の詳細は分からない。ただ、アルケゴスは高いレバレッジを掛けた株式取引を行っていて、手法としてトータル・リターン・スワップ(TRS)を用いていたとみられる。TRSとは、手数料と引き換えに、株式などの原資産を直接持たずとも、そのリターンに基づく収入を得られる手法のことだ。 そして、取引で含み損が発生して追加担保を差し入れる必要が生じたときにこれができなかった。その結果、担保の処分とポジションの解消が行われて、保有資産が投げ売りされる形となって破綻したようだ。) レバレッジを掛けた株式投資を行うには、買い建ての場合なら、信用取引のように資金を借り入れて株式を買う形になるが、TRSでは金融機関が株式投資のリターン(損益両方)を受け渡してくれるのと引き換えに、投資家側は資金コストと手数料を支払う。投資家はこの形だと、自分が実質的に大量の株式を買っていることを市場に知られずに取引を行うことができる。 いささか不透明なポジションの作り方だが、金融機関側にとってもリスクにカウントされる融資を持たずに済むし、相手が破綻しなければ安定的に金利・手数料収入が入るので、好都合な面のある取引だ。 しかし今回のアルケゴスの場合は、肝心の投資が失敗したことと、複数の金融機関と広く取引をしていたことで、与信管理に失敗して損失を被る金融機関が多数発生することになった。 投資家として本件を知ったときに真っ先に考えるべきことは、これが2007年に本格化したサブプライムローン問題のときのように、他社に広く波及するようなものであるかどうかだ。 この問いに対する答えは半ば出ているように思われる。事件発生後の米国の株価全般は上昇しており、市場参加者が同様の件の連鎖を心配しているようには見えない。 ファミリーオフィスは他にもあるが、アルケゴスほどのレバレッジを掛けた運用はまれだろう。また、TRSは広く使われているが、市場で起きていることの実態はよくある「借り入れ+株式投資」であり、投資の成否は今のところ個別的に起こっている。そのため、他のケースに直ちに連鎖するようなものではなさそうだ。 本件をきっかけに、金融機関がTRSのクレジットライン(与信限度額)や担保管理を強化する可能性はある。しかし、金融マン個人はできれば自分のビジネスを縮小したくないし、金融機関の経営者としても、無事にやり過ごして当面の収益を稼いで自らのボーナスやストックオプションからの収入を高く保ちたいだろう。金融業は「リスクに目覚めた自浄作用」が働きにくいビジネスなのだ』、「TRS」は「いささか不透明なポジションの作り方だが、金融機関側にとってもリスクにカウントされる融資を持たずに済むし、相手が破綻しなければ安定的に金利・手数料収入が入るので、好都合な面のある取引だ」、その通りだ。「金融業は「リスクに目覚めた自浄作用」が働きにくいビジネスなのだ」、言い得て妙だ。
・『アルケゴスショックの論点(2)いかにも「バブル的」な資金の流れ  TRSの取引全体が危機に陥って問題が広く連鎖することがなさそうだから、投資家は安心していいのかというと、そうでもない。) バブルは「借り入れによって、投資が過剰に膨らむ」ことによって起こる資産価格の高騰現象だ。1980年代後半に発生した日本のバブルを振り返ると、例えば金融・運用業ではない事業会社の「財テク」運用では、信託銀行による「バックファイナンス付き」の「ファントラ」(「ファンドトラスト」の略称。信託勘定で資金を預かって信託銀行自身が運用する仕組み。多くの案件に「握り」と称する違法な利回り保証が付いていた)のような仕組みで、投資が過剰に膨らんでいた。不動産では、銀行同士が競いながら担保の条件を緩くして不動産開発融資を増やしていた。 「借り入れによる投資」は自己資金よりも大きな投資ができるのだが、投資が裏目に出たときに含み損をこらえることが難しい、「弱いポジション」だ。アルケゴスの場合も、追加担保を差し入れることができなくなると、ポジションを強制処分されてしまった。 バブルの時期にあっては多くの場合、「借り入れを伴う投資」を促す何らかの仕組みが開発されたり、脚光を浴びたりする。 現在の米国の株式市場を見ると、「SPAC(特別目的買収会社)」と称する企業買収を目的とする「空箱」を上場して資金調達する仕組みや、今回問題になったTRSが広く利用されるなど、定性的に見ていかにも「バブル的」な特徴を備えつつある。 TRSは金融機関にとっても投資家にとっても大きなリスクを扱う上で都合のいい面のある仕組みだし、「SPAC」も運営者にとって有利な条件で資金調達ができるので歯止めが掛かりにくい。 もっとも、日本のバブル期のファントラにしても、後にサブプライム問題を引き起こす証券化商品にしても、多くの場合は借り入れを伴う資金を動員して過剰な投資に向かわせる仕組みであることは間違いないのだが、広く使われるようになって「直ちに」バブル崩壊を引き起こしたわけではない。 投資家は、「直ちにバブル崩壊を警戒しなければならない」というわけではない。しかし、株式投資に向かっている資金の全てが健全なものではないことを、頭の片隅に置いて決して忘れないことが賢明だろう』、「現在の米国の株式市場を見ると、「SPAC(特別目的買収会社)」と称する企業買収を目的とする「空箱」を上場して資金調達する仕組みや、今回問題になったTRSが広く利用されるなど、定性的に見ていかにも「バブル的」な特徴を備えつつある」、「投資家は、「直ちにバブル崩壊を警戒しなければならない」というわけではない。しかし、株式投資に向かっている資金の全てが健全なものではないことを、頭の片隅に置いて決して忘れないことが賢明だろう」、その通りだ。
・『アルケゴスショックの論点(3)野村HDの株式評価に対する「考え方」  さて、本件では投資家にもう一つお伝えしておきたいことがある。それは、本件の野村HDのような場合に、株価について評価する際の「考え方」だ。 実は、筆者は証券会社の社員でもあるので、仰ぎ見る最大手とはいえ「同業」である野村HDの株式について、「買い」も「売り」も推奨することはできない(業界の不文律だ。もっとも、もともと個別株の推奨は筆者のスタイルから外れている)。 だが本件は、投資家にとって株式投資の材料判断の方法を説明する上で格好の題材なのであえて取り上げる。読者においては、筆者が、野村HDの株式を「買え」とも「売れ」とも言っていないのだ、という前提で以下の説明を理解してほしい。 さて、20億ドル、円貨にして2200億円の損失とは、野村HDの株価にとってどの程度のダメージだと評価されるべきなのだろうか。 野村HDにとって、(1)この金額が損失の上限であり、(2)この損失によって同社のビジネスが追加的な悪影響を一切受けないとする。また、野村HDの新しい株式時価総額は、(3)損失情報の発生以前の時価総額が適正なのだとすると、(4)その額から、2200億円が消えたとして引き算で見当を付けることができるはずだ。 野村HDの発行済み株式数は『会社四季報』(東洋経済新報社)によると、おおよそ32億3000万株だ。この株数で2200億円を割ってみると、この損失の1株当たりのインパクトは約68.1円だと計算できる。 問題は上記のいくつかの留保条件の吟味だ。 (1)2200億円が損失額の上限なのだろうか?正確なことは分からない。追加の損失が隠れている可能性は否定できない。他方、問題の性質として本件はアルケゴスに特有の問題で、他に波及しない性質のものでありそうだ。仮に最大損失額を3000億円と見積もると、1株当たりのインパクトは92.9円だ。 (2)野村HDが資金力・信用力の小さい会社であれば、2200億円の損失で資金繰りが苦しくなったり、資金調達のコストが上昇したりする可能性があり、損失は本業の利益を損なう可能性がある。また、損失の発生理由が企業のビジネス上の評判を損なうようなものであれば(例えば消費者の不買に発展しかねない食品メーカーの品質管理上の不正など)、追加的な悪影響を見積もる必要がある。野村HDにこれらの要素がなければ、損失問題の株価への影響評価は(1)の計算からそう遠くないはずだ。 (3)いつにあっても、どの銘柄でも「適正株価」の判断は難しい。それでもこの方法のいいところは、「前の株価が適正だとすれば」という前提で、「新しい情報とその情報のインパクトを勘案することによって」、情報発生後の株価の評価ができることだ。前の株価(3月26日の終値は720.7円)は特殊な状況によるものだったのだろうか?) (4)2200億円の純資産の減少による時価総額のマイナスが、これ以上のものになるべき理由があるか?例えば、資本が効率よく利用されていて将来高い利益が期待されているような会社の場合、2200億円の純損失は時価総額にもっと大きな影響をもたらしてもおかしくない。一つの参考として、株価純資産倍率(PBR)を見ると、野村HDの下落前の株価(720.7円)に対するPBRは、0.79倍と1倍を割っていた。この心配は小さいかもしれない。 野村HDの株価は、悪材料の発表から1週間たった先週末終値で572円20銭だった。前週末比148円50銭安だ。 上記の留保条件をいずれもクリアできると考える投資家にとっては、いくらか「下げ過ぎ」と見えるかもしれない。ただし、諸々の不確実性が大きいことを考慮すると、チャンスと考えるにはこの幅では不足だと考える投資家もいるだろう。 読者の判断はいかがだろうか? 同業他社の悪材料であり、「買い」とも「売り」とも言えないのにあえて株価の評価について書いた理由は二つ。投資家にとって、(1)悪材料のインパクトはしばしば数量的に評価しやすく、(2)再びしばしば悪材料に対しては市場の過剰反応が起こる場合があるからだ。 特に前者については、好評な新製品などの「好材料」が一体どれくらいのインパクトをもたらすのかが茫漠として評価しづらいのに対して、突発的損失や会計上の不正、工場などの被災などの「悪材料」は、金額的なスケールが評価しやすい場合があることについて注目したい。 株式投資家はニュースで上場企業の悪材料を見つけたら、発行株数をチェックして株価へのインパクトを考えてみる習慣を持つといい。ぜひ、持ち技の一つに加えてほしい』、「筆者は証券会社の社員でもあるので、仰ぎ見る最大手とはいえ「同業」である野村HDの株式について、「買い」も「売り」も推奨することはできない:、と予め立場を明確にするのは、公正さを重視する山崎氏らしい。「株式投資家はニュースで上場企業の悪材料を見つけたら、発行株数をチェックして株価へのインパクトを考えてみる習慣を持つといい。ぜひ、持ち技の一つに加えてほしい」、今後大いに活用してみたい。 
タグ:ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 資本市場 真壁 昭夫 山崎 元 (その5)アルケゴス問題2題(2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある、野村が2200億円の損失も 「アルケゴスショック」が投資家に迫る3つの論点) 「2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある」 日本では野村、みずほFGで損失発生か 行きすぎたリスクテイクが放置されている 「規制の問題やカネ余りの影響などによって過度なリスクテイクが放置されていたことは、金融市場の脆弱性が高まっていることを示唆する」、確かに問題だ 甘い規制と借り入れ…利得を重ねるフアン氏の手法 「リーマンショック後、多くのヘッジファンドが外部顧客に資金を返し、ファミリーオフィスへの業態転換を行い、規制から逃れようとした。それがファミリーオフィスを“影のヘッジファンド”と呼ぶゆえんだ」、「ファミリーオフィス」が今後、「規制の対象」に含まれる可能性はあるのだろうか。 「規制強化に直面した大手金融機関にとって」「ファミリーオフィスの重要性は高まった」。 「CFD取引」は確かに「レバレッジの効果」が利きそうだ。 「金融機関は、我先に資産の売却(投げ売り)を行ってアルケゴスに絡むリスクから逃れようとした」、もともとは「アルケゴス」が蒔いた種だ 確かに「パリバショック」に似ているが、規制強化で「金融機関」が取れるリスクに枠がはまったのも事実だ 「「金融機関同士の疑心暗鬼」が生まれている」、嫌な兆候だ 「アルケゴス問題の全貌は明らかになっておらず、先行きの展開を注視する必要がある」、同感である 「野村が2200億円の損失も、「アルケゴスショック」が投資家に迫る3つの論点」 アルケゴスショックの論点(1)危機は連鎖するか? 「TRS」は「いささか不透明なポジションの作り方だが、金融機関側にとってもリスクにカウントされる融資を持たずに済むし、相手が破綻しなければ安定的に金利・手数料収入が入るので、好都合な面のある取引だ」、その通りだ。 「金融業は「リスクに目覚めた自浄作用」が働きにくいビジネスなのだ」、言い得て妙だ。 アルケゴスショックの論点(2)いかにも「バブル的」な資金の流れ 「現在の米国の株式市場を見ると、「SPAC(特別目的買収会社)」と称する企業買収を目的とする「空箱」を上場して資金調達する仕組みや、今回問題になったTRSが広く利用されるなど、定性的に見ていかにも「バブル的」な特徴を備えつつある」 「投資家は、「直ちにバブル崩壊を警戒しなければならない」というわけではない。しかし、株式投資に向かっている資金の全てが健全なものではないことを、頭の片隅に置いて決して忘れないことが賢明だろう」、その通りだ アルケゴスショックの論点(3)野村HDの株式評価に対する「考え方」 「筆者は証券会社の社員でもあるので、仰ぎ見る最大手とはいえ「同業」である野村HDの株式について、「買い」も「売り」も推奨することはできない:、と予め立場を明確にするのは、公正さを重視する山崎氏らしい 「株式投資家はニュースで上場企業の悪材料を見つけたら、発行株数をチェックして株価へのインパクトを考えてみる習慣を持つといい。ぜひ、持ち技の一つに加えてほしい」、今後大いに活用してみたい。
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買収ファンド(その1)(日本企業を「汚物扱い」した米国ファンドの正体 挑発したり貶めたりして獲物に食らいつく、ジャンク債に格下げの「ユニゾ」 負債3000億円で高まるデフォルトリスク、ユニゾHDに経営不安説 地域金融機関は固唾のみ行方見守る) [金融]

今日は、買収ファンド(その1)(日本企業を「汚物扱い」した米国ファンドの正体 挑発したり貶めたりして獲物に食らいつく、ジャンク債に格下げの「ユニゾ」 負債3000億円で高まるデフォルトリスク、ユニゾHDに経営不安説 地域金融機関は固唾のみ行方見守る)を取上げよう。

先ずは、昨年11月20日付け東洋経済オンラインが記載した 作家の黒木 亮氏による「日本企業を「汚物扱い」した米国ファンドの正体 挑発したり貶めたりして獲物に食らいつく」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/389675
・『日本市場に姿を現し始めたアメリカのカラ売りファンド。その実力はいったいどの程度なのか?実際の事件に基づいて、アメリカ系カラ売りファンドと病院買収グループ、シロアリ駆除会社、商社絵画部の攻防を描いた経済小説『カラ売り屋、日本上陸』を上梓した作家の黒木亮氏がレポートする』、興味深そうだ。
・『センセーショにあおるのが手法  アメリカのカラ売りファンド、シトロン・リサーチが、装着型ロボットを開発するサイバーダインの株(東証1部)を“うんこ”と呼び、強烈な売り推奨レポートを発表したのは2016年8月のことだった。 当時、2000円程度だったサイバーダインの株価は、創業以来続く赤字の影響などから、ほぼ一貫して下がり続け、現在は858円になった。カラ売りは明らかに成功である。 同じ2016年には、アメリカ系のカラ売りファンド、グラウカス・リサーチ(カリフォルニア州)が伊藤忠商事を、マディ・ウォーターズ(同)が日本電産をカラ売りし、話題を呼んだ。 シトロン・リサーチは、デトロイト市郊外で生まれたユダヤ人で、ボストンにあるノースイースタン大学を卒業後、強引かつ詐欺的な商品取引会社のセールスマンとして働き、業界団体から制裁を受けたことがあるアンドリュー・レフトが2001年に設立した。 レポートの中で企業を挑発したり、下品な表現で貶めたりすることで知られ、レフト自身は「他社の分析レポートは退屈極まりないので、自分は読者に読みたいと思わせるように書いている」とうそぶいている。 サイバーダインに関しては「うんこ」「核となる技術と製品の成長率は壊滅的」「同社の馬鹿げた株価は、山海嘉之CEOが日本文化におけるロボットの長年の魅力を利用し、宣伝してきた結果」「投資家の無知や日本市場の株式に関する公開情報不足を逆手に取っている企業の実例」などとこき下ろした。 確かにロボット・ブームの中で、サイバーダインが持ち上げられるのが定番化していたので、皆が便乗しつつも抱いていた違和感を上手く捉えた感じはある。期待先行で上昇していた株価にカラ売りファンドが一石を投じた格好だ。 ここ2年間ほどの、シトロンの主なカラ売り案件と結果は次の通りである。 昨年1月、動画配信・DVDレンタル会社、ネットフリックス(カリフォルニア州)について「ネットフリックスの投資家はバード・ボックス(鳥の巣箱)のように盲目だ」として、売り推奨した(『バード・ボックス』は同社が配信したサンドラ・ブルック主演映画)。 当時のネットフリックスの株価は約337ドルだったが、いったん260ドル近くまで下がった。その後、シトロンは株価が290ドル前後まで戻った11月に、ネットフリックスの海外ビジネスに期待が持てるとして、買い推奨に転換。現在の株価は482ドルまで上昇した。カラ売り、買い推奨ともに成功していると思われる。 同じく昨年1月には、バイオ医薬品会社、リガンド・ファーマシューティカルズ(サンディエゴ)の「最も汚い秘密のいくつかを暴露する」と宣言。同社が薬品を共同開発しているとする複数の会社は実質的に存在していないなどと指摘し、売り推奨した。当時のリガンド社の株価は130ドル台だったが、現在は約82ドルとなり、カラ売りは成功した』、株式市場はややもすると、一時的な熱気で暴騰する銘柄も少なくないだけに、「カラ売りファンド」は市場に冷静さを取り戻させる機能もある。
・『失敗している案件も少なくない  昨年12月、エアロバイクやトレッドミルなどを製造している新興企業ペロトン社(ニューヨーク市)を「業界の競争は厳しく、株価は86%下がる。商品が売れた過去の栄光の日々はバックミラーの風景だ」と売り推奨。しかし、同社の株価は当時の約35ドルから現在は101ドルにまで上昇した。カラ売りは今のところ失敗である。 今年1月、大学経営や教育サービスを提供するグランド・キャニオン・エデュケーション(アリゾナ州フェニックス)を「同社のグループであるグランド・キャニオン大学に経費や債務を押し付け、利益を引き出す粉飾を行っている“教育業界のエンロン”」であるとして売り推奨。同社の株価は当時の約84ドルから2か月弱で約59ドルまで下がった。 その後、約102ドルまで上昇し、現在は85ドル。下がった時点で買い戻していればカラ売りは成功だが、そうでなければ成功とも失敗ともつかない。 今年2月、シトロンは4年前からカラ売りしていた、家具・家庭用品のオンライン販売業、ウェイフェアー社(ボストン市)のポジションを手仕舞った。手仕舞った時点での株価は約63ドル。カラ売りを始めた4年前の株価は45ドル程度だったので、この部分では損を出しているはずだ。 しかし、その2年後に同社の株価は100ドル程度まで上昇し、それが今年1月末頃まで続いていたので、継続的にカラ売りをしていれば、利益は出ている可能性がある。 今年4月、シトロンは、中国のオンライン教育プラットフォームでニューヨーク証券取引所に上場している跟誰学(GSX Techedu、北京)を「売上げを7割水増ししており、2011年以降で最も明らかな中国株詐欺」であるとして売り推奨した。 これには別の著名カラ売りファンド、マディ・ウォーターズ(カリフォルニア州)も賛同したが、当時約31ドルだった株価は、現在は71ドルまで上昇した。カラ売りは今のところ失敗である。 以上のとおり、当たったり外れたりといった実績だ。 金融アナリストのパフォーマンスを評価している「TipRanks」は、シトロンのレポートの的中率は54%と算出している。ただし、過去2年間でダウ平均は約12%、日経平均は約17%上昇しているので、カラ売りファンドにとっては向かい風の環境である。 なおカラ売りの利益は、カラ売りした価格と買い戻した価格の差額から、借株料、経費、売買手数料を差し引いた残額である。借株料は流通量の多い一流銘柄なら年率0.4~1%だが、株価に影響を与えるコーポレートアクション(株式分割、合併等)や悪材料で需給が逼迫した時は5~10%、あるいはそれ以上になる。 ファンドが払う売買手数料はセールストレーダーを介した時は0.4%程度、自分でやる電子取引だと0.05~0.1%程度である』、「シトロン」の成果は「当たったり外れたりといった実績」、「レポートの的中率は54%」、上昇相場のなかではまずまずのようだ。
・『得意の中国案件で、地元ヘッジファンドに敗北  シトロンは中国案件に強く、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、売り推奨した18社の中国企業のうち、15社の株価が70パーセント以上下がったという。しかし、今年、得意の中国市場で、中国系ヘッジファンドに手痛い敗北を喫した。 問題となったのは、中国でスターバックスの向こうを張って急成長してきたコーヒーチェーン、ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲、福建省市廈門市)である。2018年1月に北京に1号店を出店して以来、2020年5月に6912店舗を有するまでに急成長を遂げ、米ナスダック(新興企業向け)市場に上場していた。 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ラッキンコーヒーの急成長に疑いの目を向けたのは、香港と北京に拠点を持つスノー・レイク・キャピタルだった。カリフォルニア大学バークレー校で数学と経済学の学位を取り、投資銀行クレディ・スイス・ファースト・ボストンやニューヨークのアジア向け投資ファンドで経験を積んだショーン・マが、2009年に創業した中国系ヘッジファンドだ。 スノー・レイク・キャピタルは、昨年10~12月にかけて1500人以上を動員し、ラッキンの全店舗の15%を訪問し、店内の顧客数を数え、大量のレシートを集め、1万1000時間以上のビデオを撮り、売上が捏造されていると指摘した。 今年1月31日、スノー・レイク・キャピタルから情報提供を受けた米系カラ売りファンド、マディ・ウォーターズは、89ページにわたるラッキンの売り推奨レポートを公表した。レポートの発表でラッキンの株価は17%下がり、32ドル49セントになった。また複数の法律事務所がラッキンの株主に対し、集団訴訟を提起するよう提案した。 一方、シトロン・リサーチは「マディ・ウォーターズには敬意を払うが、各種データやライバル社との話し合いによると、ラッキンの財務データは正しい。ラッキンの経営陣からの反応を待つ」として、同社の株への投資(買い持ち)を維持するという正反対の対応を取った。 ラッキンコーヒーは直ちに「疑惑をすべて否定する。顧客の注文はすべてオンラインであり、誤魔化しようがない」と反論した。 しかし4月2日、ラッキンコーヒーは2019年第2四半期から第4四半期にかけて、22億元(約339億円)の売り上げを水増ししていたことを発表し、5月12日までに銭治亜CEOと劉剣COOを解任した。 5月19日にはナスダックから上場廃止の通告を受けたことを公表した。上場が廃止されれば、株式は無価値になる』、「スノー・レイク・キャピタル」の調査が本格的なのには驚かされた。ただ、「シトロン」は従わずに失敗したようだ。
・『カラ売りファンドの新たな視点は参考になる  以上のとおり、アメリカ系カラ売りファンドの分析は当たることもあれば、外れることもある。アカデミックと言っていいほどの綿密な分析でエンロンの粉飾を見抜いた著名カラ売り投資家、ジム・チェイノスですら、時々予想を外し、反省の弁を述べたりしている。 チェイノスに比べると、シトロンは若干大雑把で、乱暴な印象を受ける。サイバーダインの売り推奨レポートの日本語版も、機械翻訳のようなおかしな日本語である。 なお「うんこ」はbullshit(たわごと、直訳は牛の糞)を日本語にしたものかと思って英語版を見てみたが、「UNKO」と書かれていた。チェイノスとシトロンの中間の立ち位置にいるのが、マディ・ウォーターズあたりだろう。 結局のところ、カラ売りファンドであろうとなかろうと、アナリストの分析を信じるかどうかは、もっぱら過去の実績次第である。ただカラ売りファンドは、常識にとらわれず、根本的なところから物事を調べていくので、新たな視点を与えてくれるのは間違いない。したがって、少なくとも耳を傾けてみる程度の価値はあるはずだ。(敬称略)』、「カラ売りファンドは、常識にとらわれず、根本的なところから物事を調べていくので、新たな視点を与えてくれるのは間違いない。したがって、少なくとも耳を傾けてみる程度の価値はあるはずだ」、その通りだ。

次に、本年1月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した東京経済東京支社情報部の井出豪彦氏による「ジャンク債に格下げの「ユニゾ」、負債3000億円で高まるデフォルトリスク」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/261183
・『中堅不動産会社のユニゾホールディングス(ユニゾHD)の債務不履行(デフォルト)リスクが注目されつつある。昨年6月に米投資ファンドのローン・スターと組んで上場企業初となる従業員による買収で非公開化したが、早くも危機に立たされている。ユニゾHDには複数の地銀が多額の融資を行っており、行方次第では地銀経営にも大きな打撃となる』、「非公開化」して1年足らずで「危機」とは、どういうことなのだろう。
・『1週間に2度の格下げでジャンク債に転落  昨年6月、東証1部をEBO(従業員による買収)で上場廃止となった中堅不動産会社の「ユニゾホールディングス(ユニゾHD)」(横浜市中区)の債務不履行(デフォルト)の可能性に金融機関や債券投資家が注目している。上場廃止から1年ともたず、破綻する可能性があるとの悲観論が一部で出ている。 JCR(日本格付研究所)は同社の長期発行体格付けを昨年12月21日に「BBB-」と1ノッチ下げたが、わずか1週間後の12月28日に「BB+」とさらに1ノッチ下げる異例の判断を行った。一般的に「BB+」以下の社債は投資不適格(いわゆる「ジャンク債」)に該当する。 JCRは格下げの理由について「12月21日以降も足元の業績及び財務状況に加え、これらの見通しなどについてさらに精査を行った。その結果、チトセア投資(筆者注:ユニゾHDを完全子会社化したペーパーカンパニー)を含めた実質的な財務構成の悪化状況、安定収益源であったオフィスビル売却やコロナ禍の影響などによるCF(同キャッシュフロー)創出力の低下、金融機関との関係強化の重要性が増していることなどを従来以上に格付けに反映させる必要があると判断し」たと説明している。 ユニゾHDの半期報告書(2020年4-9月期)が関東財務局に提出されたのは昨年12月18日の金曜日。上場廃止以降、極端に情報開示が減ったため、この報告書は銀行や投資家が渇望していたものだ。JCRは週末返上で内容を精査し、週明けの21日に格下げを決めた』、「1週間に2度の格下げでジャンク債に転落」、よほど実態が厳しいのだろう。
・『地銀への打撃から金融庁や日銀も関心  ところが、事情通によれば、その直後のタイミングで「ユニゾHDが取引行向けに説明会を実施し、2021年5月までに200億円程度の融資をお願いしたい」という要請を行ったというのだ。 今年5月といえば、26日に100億円の社債償還期日が到来する。さらに11月29日にも100億円の償還が控える。その合計は200億円で今回の要請額と一致する。資金繰りは常に「万が一の事態」に備えた余裕が必要だ。ユニゾHDが5月までに11月分も含めた社債償還資金を手当てしたいと考えたとしても不自然ではない。 この要請の内容をJCRがつかんだことが「金融機関との関係強化の重要性が増している」という文言と異例の再格下げにつながったと筆者はみる。つまり今年の社債償還すら危ないのではないかというわけだ。 ユニゾHDは上場廃止後、資産売却を進めているとはいえ、昨年9月末時点の連結バランスシート上の負債は3171億円に達する。このうち社債が1040億円、銀行借入金は1962億円と金融債務が大部分を占める。 社債は昨年11月27日に50億円償還されたので、残りは990億円。上場していた当時に公募で発行されたもので全額無担保。期限が最も先のもので27年11月(10年債、50億円)まである。 もともと国内の金融機関や機関投資家が保有していたとされるが、「投資不適格」が近づくにつれ、売り圧力が高まり、債券市場では額面を大きく下回る価格で取引されている。保有者の顔ぶれはすでに海外ファンド勢中心に変わっているという。 借入金についてはに達するとされ、一部の地銀や都道府県信連(JAバンク)のなかには50億円を超える融資残高を抱えているところもある。一方、かつてメインバンクだったみずほ銀行をはじめとする3メガの融資残高はすでにほぼゼロとされる。 このため万が一の場合には地域金融機関の経営に大きな打撃を与えかねず、「金融庁や日銀もユニゾ問題には重大な関心を持っている」(金融業界関係者)という。ただでさえ地銀は収益力の低下が指摘されており、コロナ禍で潜在的な不良債権が積み上がっている。そこに大口融資先の倒産が重なればタダゴトではなくなる可能性があるためだ』、「かつてメインバンクだったみずほ銀行をはじめとする3メガの融資残高はすでにほぼゼロ」、メガバンクが既に逃げているのに、「融資取引のある金融機関数は80以上」、とは「融資」を続けている金融機関は何を考えているのだろう。
・『ユニゾHDが掲げた金融債権者の保護  そもそも昨年ユニゾHDの上場企業初となるEBOが決まったとき、現在の混乱は想定されていなかった。 というのもチトセア投資によるTOB(株式公開買い付け)に際し、ユニゾHDが昨年2月10日に関東財務局に提出した「訂正意見表明報告書」では「本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」に「(ウ)当社金融債権者保護に係る合意書」という項目が加わり、金融債権者の保護がうたわれたからだ。極めて重要な部分なので、以下に転記する。     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
(ウ)当社金融債権者保護に係る合意書  本買付条件等変更後の本公開買付けに関連して、公開買付者(筆者注:チトセア投資)及び当社(同ユニゾHD)は、当社の金融債権者(担保を有する債権者であるか、無担保の債権者であるか問いません。)の保護を担保する観点より、令和2年(2020年)2月9日付で、以下の合意書を締結しております。  合意書 株式会社チトセア投資(以下「甲」という。)とユニゾホールディングス株式会社(以下「乙」という。)は、以下のとおり、甲による乙株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)に関連して、合意書(以下「本合意書」という。)を締結する。  第1条(既存金融債務の保全) 1. 甲及び乙は、剰余金の配当、貸付けその他方法の如何にかかわらず、乙から甲に対して金銭その他の資産の移動を行う場合には、当該移動に先立ち、乙の金融機関に対する既存の借入金に係る債務及び乙の社債権者に対する債務(総称して、以下「既存金融債務」という。)について、担保差入れその他の方法により債権保全を図るか、又は、期限前弁済を行うことに合意する。(以下略)
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
契約上では、「金融債権者の保護」が図られている。
・『巨額のカネが流出し実質的に債務超過か  ところが、この合意書が破られたことから問題が起きたわけだ。 チトセア投資がEBOに際し、20年4月9日に米ローン・スターグループから調達した資金は借り入れ1510億円とA種優先株式550億円の合計2060億円。 そのうち、借り入れの返済期限は180日後のため10月6日に返済された。 一方、A種優先株も180日間の「無配期間」を超えると年20%以上という、とんでもない額の配当を払わなければいけない契約のため、同日987億円で買い入れ消却した。買い入れに際し80.6%ものプレミアムを払うというのもチトセア投資とローン・スターとの間であらかじめ決められていた。 借入金の金利をいくら払ったかは不明だが、借り入れ元本返済とA種優先株買い入れだけでも2497億円のキャッシュがチトセア投資からローン・スター側に渡ったことになる。 この原資はどこからきているのか。チトセア投資は19年12月にユニゾHDを買収するために設立されたペーパーカンパニーで事業収益はゼロ。というわけで、ユニゾHDからチトセア投資に資金移動が行われたと考えるほかないわけだ。 実際、ユニゾHDの半期報告書からは、短期貸付金2160億円と配当金支払531億円の合計2692億円の資金流出が確認できる。 一方、既存金融債務の繰り上げ弁済や担保提供などの保全が行われた形跡はなく、これは前述の「金融債権者保護に係る合意書」に違反している。 これまで社債を額面割れで買い集めてきた外資ファンドのなかには、はなからデフォルトを織り込み、この合意書違反をタテに訴訟を起こしてローン・スターからカネを取り戻し満額償還させるプランを描く向きもあるようだ。 いずれにしても2000億円を超える親会社(チトセア投資)向け貸付金に資産価値はないも同然で、保有する賃貸不動産の含み益262億円(昨年9月末時点)を考慮してもユニゾHDは実質的に債務超過に陥ったとの見方が広がっている。 仮に5月までの融資要請に銀行が応じる場合も担保などでのフル保全が前提となろうが、それでも合意書違反のユニゾHDに対してはアレルギー反応が強いだろう。 なお、ダイヤモンド・オンライン編集部はユニゾHDに対し、合意書違反や融資要請に関する質問状を送ったものの、期限までに回答はなかった』、「チトセア投資」は「米ローン・スターグループから調達した資金」に対し、初めから条件通り高い負担で返済するのではなく、「買い入れ消却」するつもりであったとすれば、初めから仕組まれたスキームだった可能性もある。「これまで社債を額面割れで買い集めてきた外資ファンド」などがどう動くのか、大いに注目される。

第三に、2月20日付け日刊ゲンダイが掲載した金融ジャーナリストの小林佳樹氏による「ユニゾHDに経営不安説 地域金融機関は固唾のみ行方見守る」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/285460
・『いま地域金融機関経営者が背筋が寒くなる思いで見守る企業がある。オフィスやビジネスホテルを運営する中堅不動産会社「ユニゾホールディングス(HD)」(横浜市中区)だ。地銀幹部によると「ユニゾの大口社債権者である香港のファンドが質問状を送っており、場合によっては会社更生法の申し立てを行う可能性があるのです。期限は今月末、臨戦態勢です」というのだ。 もしこのファンドが実際に申し立てを行い、裁判所が受理した場合、地域金融機関のユニゾ向け融資や同社の社債は、管財人の管理下に置かれることになる。ユニゾの資産状況によるが更生手続きの結果、地域金融機関の債権が減価することは避けられそうにない。 ユニゾはもともと、みずほフィナンシャルグループ(FG)の親密企業で、収益性の高い物件を多数保有する優良企業だった。そこにまず目を付けたのがHISの澤田秀雄氏で、2019年7月にユニゾに買収を仕掛けた。これに対してユニゾはホワイトナイトとして投資ファンドを呼び込み切り返した』、「ユニゾ」の「EBO」が「HISの澤田秀雄氏」のTOBへの対抗から始まったようだ。
・『逆転劇を仕掛けたのは、かつてみずほFGで佐藤博康氏(現会長)とトップの座を争った異才のバンカー小崎哲資・ユニゾHD前社長だ。「小崎氏は飄々とした風貌もあるが、佐藤会長と旧興銀同期でFG副社長まで上り詰めた切れ者として知られている」(みずほ関係者)。 しかし、ここからユニゾに対する外部資本の買収攻勢はさらにヒートアップしてくる。対抗する小崎氏は資産売却を進める一方、従業員による買収(EBO)を行い、昨年6月に株式を非公開化。経営刷新で小崎氏は退任した。 だが一連の買収対抗策でユニゾの財務内容は悪化し、資金繰りもタイトになっている。「ユニゾは5月までに200億円の融資借り換え、11月に100億円の社債償還を控えている」(地銀幹部)という。ユニゾの取引金融機関は88社(昨年12月時点)で、大半が地銀で占められている。また、「社債は信用金庫などが多数保有している」(同)とされる。ユニゾにもしものことがあれば地域金融機関に甚大な影響が及びかねない』、EBOが成功、「小崎哲資」氏は通常では社長を続ける筈なのに、「経営刷新で」「退任した」というのは、解せない。かつては超優良企業だった「ユニゾ」が、「EBO]で「財務内容は悪化」、「メガンク」は皆手を引いたのに、「取引金融機関は88社」は依然として、取引を継続していたというのは、お粗末な話だ。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ ダイヤモンド・オンライン 黒木 亮 小林佳樹 井出豪彦 買収ファンド (その1)(日本企業を「汚物扱い」した米国ファンドの正体 挑発したり貶めたりして獲物に食らいつく、ジャンク債に格下げの「ユニゾ」 負債3000億円で高まるデフォルトリスク、ユニゾHDに経営不安説 地域金融機関は固唾のみ行方見守る) 「日本企業を「汚物扱い」した米国ファンドの正体 挑発したり貶めたりして獲物に食らいつく」 た経済小説『カラ売り屋、日本上陸』 株式市場はややもすると、一時的な熱気で暴騰する銘柄も少なくないだけに、「カラ売りファンド」は市場に冷静さを取り戻させる機能もある 「シトロン」の成果は「当たったり外れたりといった実績」、「レポートの的中率は54%」、上昇相場のなかではまずまずのようだ。 「スノー・レイク・キャピタル」の調査が本格的なのには驚かされた。ただ、「シトロン」は従わずに失敗したようだ 「カラ売りファンドは、常識にとらわれず、根本的なところから物事を調べていくので、新たな視点を与えてくれるのは間違いない。したがって、少なくとも耳を傾けてみる程度の価値はあるはずだ」、その通りだ 「ジャンク債に格下げの「ユニゾ」、負債3000億円で高まるデフォルトリスク」 「非公開化」して1年足らずで「危機」とは、どういうことなのだろう。 「1週間に2度の格下げでジャンク債に転落」、よほど実態が厳しいのだろう。 「かつてメインバンクだったみずほ銀行をはじめとする3メガの融資残高はすでにほぼゼロ」、メガバンクが既に逃げているのに、「融資取引のある金融機関数は80以上」、とは「融資」を続けている金融機関は何を考えているのだろう。 当社金融債権者保護に係る合意書 金融債権者の保護 「チトセア投資」は「米ローン・スターグループから調達した資金」に対し、初めから条件通り高い負担で返済するのではなく、「買い入れ消却」するつもりであったとすれば、初めから仕組まれたスキームだった可能性もある 「これまで社債を額面割れで買い集めてきた外資ファンド」などがどう動くのか、大いに注目される。 「ユニゾHDに経営不安説 地域金融機関は固唾のみ行方見守る」 「ユニゾ」の「EBO」が「HISの澤田秀雄氏」のTOBへの対抗から始まったようだ EBOが成功、「小崎哲資」氏は通常では社長を続ける筈なのに、「経営刷新で」「退任した」というのは、解せない かつては超優良企業だった「ユニゾ」が、「EBO]で「財務内容は悪化」、「メガンク」は皆手を引いたのに、「取引金融機関は88社」は依然として、取引を継続していたというのは、お粗末な話だ。
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バブル(最近)(その7)(日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!、まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)、米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)) [金融]

バブル(最近)については、2月25日に取上げた。今日は、(その7)(日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!、まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)、米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2))である。

先ずは、3月22日付けダイヤモンド・オンライン「日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/266003
・『週刊ダイヤモンド3月27日号の第1特集は「バブル投資 見通し&リスク」です。日米の株価は沸騰中。日経平均株価が30年半ぶりに3万円を回復し、米国株は過去最高値を更新し続けています。中国株やコモディティ、仮想通貨なども熱を帯びています。これはさらなる高みへの途上なのか?それとも崩壊を避けられないバブルなのか?個人投資家が今知っておくべきファクトや視点を多面的にお伝えします』、興味深そうだ。
・『「明らかにバブルだ」「いや全く違う」 小幡氏と松本氏それぞれの根拠は?  日米の株価はバブルなのか。まだ上がるか、もう持たずに下がるのか。強気派のリーダー格、松本大・マネックスグループCEOと弱気派・バブル崩壊派の旗頭である小幡績・慶應義塾大学大学院准教授が、モデレータを務める経済評論家の山崎元氏を挟んで激突する。白熱座談会の模様をお伝えしよう。 山崎 現在の株価はバブルか。ここから議論を始めましょう。 私の立場は、バブルは現在、形成中である。ただし、かなりタチの悪いものを形成中なので、まだまだ終わらないはずだと。日経平均株価3万円を突破したという株価水準は黄色信号がつき始めた初期ぐらいの感じだと思っています。 まず、株価はもう持たないぞという小幡先生、どうぞ。 小幡 皆さんバブルというと、崩壊直前から崩壊した瞬間を切り取ってイメージしがちなんですが、バブルというのは、今お話にあったように長いんです。生成過程があって、高原状態、乱高下があって最後に崩れる。今はこの一連の過程のただ中にあります。 山崎 かつての日本の資産価格バブルでいえば、1988年くらいの感じかなと思います。 小幡 私は今の株高は明らかにバブルで、しかも最終局面に近いと思っています。その理由は単純で、株価水準とか数字は関係ない。 これは私独自のバブルの定義なんですが、投資家が他人の投資行動に基づいて自分の投資を決めている状態にあって、しかも大多数の投資家がそうであり、かつ買っている場合。これがバブルです。 だから買いが続けば、バブルは続きます。もう3万円だろうが3万1000ドルだろうが関係なく上がる。みんなが買っているから買う。他の人が儲かっているのに自分が儲からないのは嫌だから買うし、最後まで乗って人よりも儲けたいから買う。 松本 私は全然そう思っていない。今、法定通貨、おカネに逆バブルが起きているのだと思います。 新型コロナウイルス禍で大量におカネが刷られ、政府による財政出動もどんどん行われている。米国で昨年6月のひと月で刷られたおカネの額が、建国後200年間で刷られたおカネと同額だったというデータもある。この1年間、世界で新たに供給されたマネーの総量はまさに桁違いのとんでもない規模になります。 例えば、ある野菜を作り過ぎれば安くなるように、おカネも金融緩和と財政出動によって安くなる。おカネの相対価値が下がっていると思うんです。 そうすると供給量の限られている株や不動産、あるいはビットコインみたいな仮想通貨・暗号資産、こういったものの値段が上がる。 おカネをたくさん刷って社会に供給しようという政策意図はもともと、「コロナ禍で大変な状況になった社会を守るため」です。これによってインフレが起き、食料品や日用品などの値段が上がっては困る。政策意図に反する。一方で、株の値段が上がっても、国民生活の上では困らないので放ってある。そう私には見えます。 おカネがジャブジャブになっている中でおカネに逆バブルが起きていて、結果として株などの値段が上がっているということです。 山崎 カネ余り状況については私も同意見です。金融緩和だけでなく財政を使うことで実質的にカネが回るようになった。一方で過剰な流動性が発生して資産に向かっている。では果たして金融政策、財政政策が正常化した時に、この株価が持つのかどうか。 松本 日本の資産バブルの時には不動産融資の総量規制によってバブルがはじけました。今回は新型コロナ感染拡大によって社会が傷んで壊れるのを防ぐためにおカネを出した。例えば、ワクチンが効いて感染拡大が収まったとして、じゃあすぐにおカネを吸い取るでしょうか。すぐに増税とはならないでしょう。 金融緩和の拡大はいずれ止まるでしょう。そこで心理的な調整は起きると思いますが、おカネの総量が急に減るわけじゃない。おカネは急には吸い取らないで、出しっ放しになると思う。だからバブル崩壊みたいなことにはならない。 山崎 株価自体の水準は気にしないんですか?) 松本 そもそもPER(株価収益率)の平均が例えば15倍だったとしましょう。じゃあなぜ15なのか。5ではないのか。科学的な根拠があるわけではないんですよ。 市中のおカネの量が桁違いに多くなった中で、PERが15ではなく、20とか25になったとしても、それはそういう時代になったということだと私は思います。 小幡 いやいや、驚くべきことに意見が全く一緒ですね、実は。 (『週刊ダイヤモンド』3月27日号では、本座談会の完全版を掲載しています)』、「松本」氏と「小幡」氏がマーケットを認める点で「意見が全く一緒」になったとは驚きだ。
・『バブル相場と抜かりなく向き合うための市場の現状、展望、リスクを総まくり!(省略)

次に、3月15日付けJBPressが掲載した元ゴールドマン・サックス本社パートナーでくにうみアセットマネジメント代表取締役の山﨑 養世氏による「まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64458
・『初めに断っておくが、私は悲観論者ではない。また、常に「大恐慌が来る」と脅かしてきたわけではない。 2009年1月に執筆した『日本「復活」の最終シナリオ』の中では、2008年9月に起きたリーマンショックが「戦前型大恐慌が起きない理由」を説明した。 事実、大恐慌が起きるどころか、今年までに米国株は市場最高値を更新してきた。 しかし、アフターコロナが見えてきた米国株は大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、米国の債券とドルも大暴落するリスクが高い。 加えて、リーマンショックに際しては瞬時に形成された国際協調体制は、今は機能不全だ。 そうなると、第2次世界大戦後初めての事態であり、「21世紀型大恐慌」に至るリスクが高い。 どうしても警告しなくてはいけないと思い、2020年11月に「21世紀型大恐慌」(PHP出版)を書いた。詳しくはこちらを参照してほしい。 今回は、米株式に絞って暴落へのメカニズムを説明しよう。 ▽大いなる割高(まず、暴落する時には、常に株式は過大評価されている。いまの 米国株がそうである。次に掲げる1枚のグラフには、米国の経済とマーケットのエッセンスが詰まっている。 すぐ目に着くのが、GAMFAなどが含まれるナスダック(NASDAQ)指数(赤い線)がコロナが広がった当初こそは下げたものの、そこから今年の2月までに6割近くも上昇したことだ。 GAMFAの企業価値(時価総額)だけで日本のGDP(国内総生産)を上回っている。 株価水準の過熱度を表す株価収益率(PER)で見た時には、ナスダックのPER(緑の線)は70倍を超えている。今年の純利益の70年分も買われていることになる。) 日本経済が世界最強と言われ、バブルと言われた1980年代末の日本株のPERが40倍であったことを考えるとそれを上回る過熱水準だ。 どうして、コロナで世界も米国も経済が低迷した時に、米国株がこんなに上昇したのだろうか』、知りたいところだ。
・『大いなる錯覚「ゼロ金利になったら買い」  昨年、米国の金利  グラフでは黒線のFF金利)がゼロになった時に、米国はもちろん世界中からGAMFAを中心に米国株に巨額の資金が殺到した。 「ゼロ金利になったら買い」という過去の経験則に世界中の投資家が飛びついたからだ。大いなる錯覚である。 米国の金利は今から6年前の2015年に引き上げが始まっていた。経済と株の過熱を抑制するためだ。 ところが昨年、米国の金利は一気にゼロになった。コロナ禍で米国で失業者と倒産が急増し経済を活性化するために金利を最大限に引き下げたのだ。 グラフの黒線のFF金利の動きをみてほしい。 すると、ナスダックが急上昇したのが分かる。確かにコロナの影響でGAMFAなどの業績は伸びた。しかし、米経済全体は戦後最悪クラスの不況に突入したのだ。 なぜ、そのような矛盾したことが起きたのだろうか? それは、過去2回の経験則から「ゼロ金利は買い」という錯覚が広まったからだ。 どこが錯覚なのだろうか?』
・『過去2回の「ゼロ金利は買い」との違い  過去30年間で2回の米国株買いの大チャンスは、「株式暴落に対応するために」金利が引き下げられて、ゼロ金利になった時だった。 最初が2000年のITバブルの崩壊直後、2回目が2008年のリーマンショックの直後だ。 この過去2回のゼロ金利が起きる前、つまり株式暴落の前は、金利は高い水準まで引き上げられていた。 いったん株価の暴落が起きると、金利はゼロ水準にまで引き下げられた。経済とマーケットに与える影響を緩和して、再びマーケットを上昇させるためのものだった。 だから、企業の資金調達コストは大きく低下した。そして国債などの米国債券は「暴騰」した。 そして、ゼロ金利に近くなった後、長い時間をかけて株価が上昇したことがグラフからわかる』』、なるほど。
・『米国株バブルの終わり  昨年からのゼロ金利と過去2回のゼロ金利との違いは、言うまでもなく今回のゼロ金利はコロナが招いたものであり、株価の暴落が招いたものではないことだ。 もっと言えば、今回はコロナがゼロ金利を招き、ゼロ金利が株の暴騰とバブルを招いた。 過去2回はゼロ金利になったのは株価の暴落後だったから、その後、株は上昇を続けられたが、今回は、株がこのバブル水準から上昇する余地は限られる。 バブル相場の上昇期待がはげ落ちたとき、古今東西を問わず、市場は暴落に向かう。何かのきっかけで、一斉に売りが殺到するからだ』、「今回は、株がこのバブル水準から上昇する余地は限られる。 バブル相場の上昇期待がはげ落ちたとき、・・・市場は暴落に向かう」、その通りなのだろう。
・『株の大暴落だけでは終わらない  今回の米国株のバブルが崩壊した場合には、米国債とドルの暴落との連鎖反応を起こす可能性が高い。 これから世界最大の経済大国、米国のマーケットが全面的に暴落する場合には、その影響は米国だけにとどまらず、世界中に広がるだろう。 ドナルド・トランプ政権が仕掛けた米中の経済対立、世界各国でのコロナ禍と財政の悪化、英国のEU離脱と米欧関係の悪化など、世界経済の国際協調体制は機能不全だ。 さらには、台湾などをめぐる米中間の緊張は、巨大な地政学的なリスクに発展して、IT製品などのサプライチェーンの途絶を引き起こすかもしれない。 そうなると、「21世紀の石油ショック」だ。 こうしたリスクシナリオの多くが現実となった時に、「21世紀型大恐慌」もまた現実として対応しなくてはならなくなる。 次回以降に、そうしたリスクシナリオについて説明していきたい』、「株の大暴落だけでは終わらない」とは不吉な託宣だ。次回を見てみよう。

第三に、この続きを、3月22日付けJBPress「米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64551
・『改めて断っておくが、私は悲観論者ではない。また、常に「大恐慌が来る」と脅かしてきたわけではない。 2009年2月に執筆した『日本「復活」の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!!』では、2008年9月に起きたリーマンショックから「戦前型大恐慌が起きない理由」を説明した。 事実、大恐慌が起きるどころか、今年までに米株式市場は最高値を更新してきた。 しかし、アフターコロナが見えてきたことで、今後大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、株式だけでなく債券とドルも大暴落するリスクが高い。 リーマンショックに際しては瞬時に形成された国際協調体制は、今は機能不全だ。そうなると、第2次世界大戦後初の事態である。 マーケットの大暴落から「21世紀型大恐慌」に至るリスクが高い。 どうしても警告しなくてはいけないと思い、昨年、2020年11月に、『21世紀型大恐慌 「アメリカ型経済システム」が変わるとき』(PHP出版)を書いた。詳しくはこちらを参照してほしい』、トランプが壊した「国際協調体制」の立て直しには相当の時間がかかりそうだ。
・『米マーケット全体が大暴落のリスク  先進国を中心にワクチンの接種が進み、世界最大の犠牲者を出してきた米国でもアフターコロナが見えてきたと思われている。 新型コロナウイルス感染症の被害が世界に広がった昨年の初めから、米国を中心に世界の株式市場は上昇を続けた。アフターコロナになれば、世界のマーケットはどう動くのだろうか? このシリーズの前回のコラムでは、「アフターコロナが見えてきた米株式市場は大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、債券とドルも大暴落するリスクが高い」と述べた。 なぜだろうか。マーケットの上昇や暴落のメカニズムはどうなっているのだろうか。メカニズムが分かれば対処法も見えてくる』、「マーケットの上昇や暴落のメカニズム」、はどんなものなのだろう。
・『FRBがコントロールできない時代に  米国の経済と金融、そしてマーケットの仕組みの中心に存在するのが米国の中央銀行、FRB(連邦準備制度理事会)だ。 コロナはFRBにも影響を与え、FRBはマーケットに影響を与える。1980年からコロナ以前の2019年までは、FRBの政策をよく理解すれば、経済もマーケットも十分に予測可能だった。 しかし、FRBも常に万能ではない。1970年代まではFRBは経済もマーケットもコンロールできなかった。スタグフレーションと呼ばれた時代だ。 そして、2020年からのコロナをきっかけとして、再びFRBが経済とマーケットのコントロールできない時代に入ろうとしている』、FRBだけでなく、多くの主要国の中央銀行マンは「経済とマーケットのコントロール」に不思議な自信を持っているようだ。
・『FRBの最大の道具がFF金利  下に示しているのがFRBの最大の道具であり政策金利といわれるFF金利(Fed Fund Rate)とインフレ率の過去60年間のグラフ①である。 驚くほどの変動を示しているのがお分かりいただけるだろう。 40年前にはFF金利は20%に近かった。歴史的にみたら今のゼロ金利やゼロインフレはとてもノーマルとは言えない。 なぜ、当時はそんな高金利になったのだろうか? 1970年代の米国は、「偉大な社会」建設を目指した福祉支出拡大とベトナム戦争支出で財政が急速に悪化した。 その上、中東戦争とイランイラク戦争を契機とした2つの「石油ショック」に見舞われ、インフレに襲われて市場の金利が急上昇した。急速に経済が悪化した。 当時のFRBは、景気刺激のために金利を引き下げようと通貨供給量を増やしたが、逆にインフレを高進させる「過剰流動性」を発生させて、金利はさらに上昇してしまった。 高金利に圧迫されて、企業の収益は急速に悪化し、消費や住宅需要は低迷した。 不景気とインフレーションが一緒にやってきたから、「スタグフレーション」という洒落た名前が作られたが、国民はたまったものではなかった』、確かに「スタグフレーション」の時代は酷かった。
・『FF金利でインフレを退治したボルカー  インフレを退治するのに成功したのが、ジミー・カーター政権末期の1979年にFRB議長に就任したポール・ボルカーだった。 ボルカーは、それまでとは逆の発想で、FF金利を大幅に引き上げて、市場に出回る通貨の量を大きく減らした。厳格な「通貨供給量政策」といわれた。 昨今のようにFRBが国債を大量に買って「流動性」つまりお金を供給することなどボルカーには論外だった。 FF金利の大幅な引き上げによってボルカーはインフレ率の大幅低下に成功し、金利も低下して、1980年から始まったロナルド・レーガン大統領時代の「強いアメリカ」を経済から支えた。 ボルカーによってようやく、FRBがFF金利で経済をコントロールできる時代が到来した』、確かに「ボルカー」は偉大だった。
・『FRBの株式市場操作の道具もFF金利  次に掲げるグラフ②には、アメリカの経済とマーケットのエッセンスが詰まっている。 まず、黒い線が米国の金融当局であるFRBが決定するFF金利だ。FRBが民間銀行に強制的に預けさせる「準備預金」に付ける金利だから、民間銀行の「仕入れ値」であり、金利の「元締め」のような役割を果たす。 FF金利は、FRBが米国の経済とマーケットをコントロールする最大の道具である。 冷え込んでいる時にはFF金利を下げて温め(緩和)、過熱だと判断すればFF金利を引き上げて冷まそうとする(引き締め)』、その通りだ。
・『FF金利でマーケットをコントロール  もちろん、FF金利は株式市場も動かす。 ゼロ金利になると、企業の収益が好転するだけでなく、ヘッジファンドや投資銀行といった米国株を動かしている主力投資家の「借入コスト」が劇的に改善する。 なぜなら、彼らは巨額の「レバレッジ」、つまり借り入れを行なっているから、金利が低下すると借入コストも「レバレッジ」、つまり自己資本に対する借入の倍数分低下するからだ。 例えば、レバレッジが5倍の場合、1%金利が上下すれば、自己資本に対する借入コストは5倍上下する。5%金利が上下すれば、自己資本に対する借入コストは25%変化する。 だから、金利を上げられればレバレッジ投資家の収支は大きく悪化し、金利が下がれば収支は大きく改善する。 投資家に投資資金を貸すのは民間銀行だが、銀行の金利は仕入れ値であるFEDのFF金利によって上下する。 つまり、FRBはFF金利を上下させることで、FRB→民間銀行→株式投資家の借入コスト→株式投資の収益性、という経路で株式市場に影響を与えることができる。 こうして、FF金利上げ(引き締め)→株式投資の収益性悪化、FF金利下げ(緩和)→株式投資の収益性改善、という経路で株式市場の上げ下げに影響を与えてきた』、なるほど。
・『過去30年の米株式市場の上昇パターン  再び、グラフ②を見ていただきたい。 1990年から2019年末までは、米国の中央銀行であり金利と金融政策を決定する連邦準備制度(FRB)の政策金利であるFF金利と、米国の株式市場との間には、顕著な「因果関係」が存在した。 FRBが米国の株式市場を相当程度コントロールしてきたからだ。その間のパターンは ①FRBの政策金利であるFF金利が低い時から、経済成長、好景気、株高が継続 ②FRBが市場は過熱と判断、FF金利を継続的に引き上げ、それでも株は上昇 ③FF金利をさらに引き上げ高金利に、やがて株式暴落 ④FF金利を大幅に引き下げ、金利の低下により債券価格は暴騰することで株式市場の暴落ショックを緩和する ⑤は①のパターンに戻り、経済と株式が上昇開始  過去2回の株式市場の暴落であった2000年のITバブルの崩壊と2008年のリーマンショックの双方では以上の①から⑤のパターンが見られた。 いずれの場合にも、経済と株式の上昇はFF金利が低い時に始まり、FRBが金融を引き締めるためにFF金利を引き上げても株式の上昇は止まらず、さらにFF金利を引き上げてから株式「暴落」が起きた。 すると、FRBはFF金利を直ちに5%以上大幅に引き下げたから、それと同時に債券市場は「暴騰」し、低金利をテコに経済活動も活発化して、大底からの経済成長と株価上昇が始まった。 つまり、「FF金利の大幅低下は株式の買いチャンス」というパターンがみられた』、なるほど。
・『「マエストロ」と言われたグリーンスパン  このパターンを確立したのが、1987年から2006年まで19年間にわたり米国の金融政策のトップであったFRBのアラン・グリースパン議長である。 金融だけでなく経済と株式市場の長期成長までもたらしたグリースパン議長は、その絶頂期には「マエストロ」と呼ばれた。 グリースパン議長は、低金利政策により株式や不動産などの資産価値を高めて富裕層の消費を拡大して経済成長を持続させ(その間に貧富の格差は拡大したが)、マーケットが加熱すると金利を引き上げ続けた。 一旦マーケットが暴落すると瞬時に大幅に金利を引き下げて債券価格を上昇させて暴落を緩和し、超低金利効果による経済と株式市場の回復を導いた。 2000年のITバブルの崩壊から回復と成長をもたらし、2006年の退任の直前までは過熱する株式市場を抑制するために金利を引き上げ続けた。 グリースパンの後継者であるベン・バーナンキFRB議長もグリースパン路線を踏襲して金利を引き上げ続け、リーマンショックの暴落が発生すると直ちに金利を低下させて危機を乗り切り、その後の株式と経済の成長に道をつけた』、「グリースパン」は低金利政策でサブプライム問題の種をまいたとの批判も根強い。
・『FRBは株式市場に責任を持つ  ではなぜ、米国の中央銀行であるFRBは株式市場を動かすのだろうか。 FRBが雇用の最大化、つまり経済に責任を持っているからだ。そして、株式市場が株式上昇→消費→雇用→経済、という経路で米国経済に及ぼす影響が大きいからだ。 米国は資本主義の総本山であり、米国資本主義の最大の装置が株式市場であることは過去100年間変わらない。1929年の米国発の大恐慌は株式市場の突然の暴落から始まった。 FRBを含めた米政府にとって、株式市場をコントロールすることは、経済に直結する死活問題である。 1990年代以降の米国の財務長官に、私も共同経営者(パートナー)であったゴールドマンサックスから3人も就任していることも、マーケット重視の表れだ』、「1990年代以降の米国の財務長官に」「ゴールドマンサックスから3人も就任」、確かに「マーケット重視の表れだ」。
・『日銀には制度上、株式市場に責任がない  ここで注意しなくてはいけないのは、日本の中央銀行である日本銀行が法律で定められた責任を持っているのは「物価の安定」だけだ。 日銀は雇用にも経済にも株式市場にも、制度としては責任がない。 日銀が1980年代の株式や不動産のバブルを放置したことも、1990年代以降のバブルの崩壊にも手をこまぬいたことにも、こうした制度上の日米の違いが作用した。 ただし、日銀史上最も国際金融論に通暁した現在の黒田総裁が、2013年の就任以来、日銀の伝統的な手法ではなく、FRBによく似た「金融による成長戦略」をとり、ここまで株式市場を上昇させ、少子高齢化が進む日本経済のマイナス成長を緩和してきたことは特筆すべきだ。 もちろん、世界最大の対外純資産を持つ点では米国と対極的だが、日本の黒田日銀の政策にも、FRBと共通するリスクが内包されている』、「山﨑」氏は、「黒田総裁」を評価しているようだが、私は従来から、異次元緩和はリスクが大き過ぎると批判的だ。
・『コロナが変えたパターン  ドナルド・トランプ政権が誕生した2016年から2019年にはFRBはFF金利をゼロから3.5%まで引き上げていた。 株式市場の上昇が続き、経済は好調で物価上昇の兆候が見られたためだった。 しかし、2020年から始まったコロナ禍により、FRBはFF金利をゼロにまで引き下げた。ここから、米株式市場、特にGAMFAを擁するナスダック(NASDAQ)市場の暴騰が始まった。 「FF金利の大幅低下は買い」という過去の経験則から個人投資家を含む世界中の投資家が米株式市場に資金を流入させたからだ』、米国株式市場のマネー吸引力は確かに凄い。
・『共同幻想が消えるとき  大いなる錯覚である。 過去のFRBによる大幅な金利低下は、株式市場の暴落に対応するためだった。しかし、今回の大幅な金利低下の前には株式市場の暴落は起きていない。 それどころか、米株式市場は歴史的な高値水準にまで上昇した。 この本質的な違いを無視して、「ゼロ金利は買い」という過去の成功の方程式を信じた資金が米国株を押し上げた。 株式市場がどの程度「バブル」状態なのかを表す指標にPER(株価収益率)という「倍数」がある。株価が年間の純利益の何倍なのかを表す。 日本経済がバブルと言われた1989年末で、PERは時期にもよるが、およそ50倍程度であった。 直近の2021年1月末のナスダックの平均PERは約71倍、つまり年間利益の71年分、株が買われているということだ。 グラフ②を見ても、ナスダックがこの1年間でいかに上昇したかが分かる。 この大いなる錯覚が米国株急上昇の最大の原因である。「共同幻想」が消えた時には、暴落の危険をはらんでいる』、その通りだ。
・『コロナはきっかけに過ぎない  パンドラの箱を開けたらあらゆる災いが人類にもたらされたとギリシア神話ではいう。 トランプ大統領が開けたパンドラの箱に、コロナという突風が吹き込んで、これからの米国と世界には「21世紀型大恐慌」のリスクが高まっている』、「21世紀型大恐慌」については殆ど言及がないが、今後出てきたら、紹介するつもりである。
タグ:バブル ダイヤモンド・オンライン JBPRESS (最近) (その7)(日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!、まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)、米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)) 「日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!」 「明らかにバブルだ」「いや全く違う」 小幡氏と松本氏それぞれの根拠は? 「松本」氏と「小幡」氏がマーケットを認める点で「意見が全く一緒」になったとは驚きだ。 山﨑 養世 「まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)」 大いなる錯覚「ゼロ金利になったら買い」 過去2回の「ゼロ金利は買い」との違い 米国株バブルの終わり 「今回は、株がこのバブル水準から上昇する余地は限られる。 バブル相場の上昇期待がはげ落ちたとき、・・・市場は暴落に向かう」、その通りなのだろう 株の大暴落だけでは終わらない 「株の大暴落だけでは終わらない」とは不吉な託宣だ。次回を見てみよう 「米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)」 トランプが壊した「国際協調体制」の立て直しには相当の時間がかかりそうだ 米マーケット全体が大暴落のリスク FRBがコントロールできない時代に FRBだけでなく、多くの主要国の中央銀行マンは「経済とマーケットのコントロール」に不思議な自信を持っているようだ FRBの最大の道具がFF金利 確かに「スタグフレーション」の時代は酷かった FF金利でインフレを退治したボルカー 確かに「ボルカー」は偉大だった FRBの株式市場操作の道具もFF金利 FF金利でマーケットをコントロール 過去30年の米株式市場の上昇パターン 「マエストロ」と言われたグリーンスパン 「グリースパン」は低金利政策でサブプライム問題の種をまいたとの批判も根強い FRBは株式市場に責任を持つ 「1990年代以降の米国の財務長官に」「ゴールドマンサックスから3人も就任」、確かに「マーケット重視の表れだ」 日銀には制度上、株式市場に責任がない 「山﨑」氏は、「黒田総裁」を評価しているようだが、私は従来から、異次元緩和はリスクが大き過ぎると批判的だ コロナが変えたパターン 米国株式市場のマネー吸引力は確かに凄い 共同幻想が消えるとき コロナはきっかけに過ぎない 「21世紀型大恐慌」については殆ど言及がないが、今後出てきたら、紹介するつもりである。
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バブル崩壊(その他)(『ザ・ラストバンカー』2:三井住友銀行・西川善文が対峙した、減らない不良債権と批判の目、『ザ・ラストバンカー』3:不良債権最後の山場「ダイエー危機」に三井住友銀・西川善文がとった策、住友銀行を震撼させたイトマン事件で天皇「磯田会長」を退任に追い込んだ地味な頭取の67歳の決断) [金融]

バブル崩壊については、昨年8月25日に取上げた。今日は、(その他)(『ザ・ラストバンカー』2:三井住友銀行・西川善文が対峙した、減らない不良債権と批判の目、『ザ・ラストバンカー』3:不良債権最後の山場「ダイエー危機」に三井住友銀・西川善文がとった策、住友銀行を震撼させたイトマン事件で天皇「磯田会長」を退任に追い込んだ地味な頭取の67歳の決断)である。

先ずは、昨年12月29日付け現代ビジネス「ベスト書再読『ザ・ラストバンカー』2:三井住友銀行・西川善文が対峙した、減らない不良債権と批判の目」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78842
・『「不良債権と寝た男」の異名を取った三井住友銀行元頭取・西川善文が不良債権問題にかかわった期間は、まさに異名通り、頭取の八年間を含めて三〇年に及んだ。とくに一九九〇年代から二〇〇〇年代前半にかけては、バブル経済の崩壊にともなう不良債権の激増に苦悶する毎日となった。西川善文の回顧録『ザ・ラストバンカー』から、その一端がわかるパートをお届けする』、興味深そうだ。
・『公的資金注入に向けられる世間の批判の目  世は平時ではなかった。金融界は、担保不動産と保有有価証券の資産価値下落に直面し、いつ果てるとも知れない破綻危機の恐怖や相次ぐ不祥事の発覚で騒然としていた。バブル崩壊によって日本経済はガタガタに崩れ、大企業も中小企業もどこも無傷ではいられなかった。大蔵省は一九九二(平成四)年秋に、大手二一行の九月末時点の不良債権額が一二兆三〇〇〇億円あるという試算を公表したが、それはかなり楽観的な見通しに過ぎなかった。後日談となるが、巽外夫さんが会長になった頃、私にこんな打ち明け話をしてくれた。 「実は九二年の八月に、宮澤(喜一)総理から軽井沢の別荘に招かれたことがあってね。行ってみると、そこには三菱、第一勧銀など大手行の頭取が全員、顔を揃えていた。不良債権を処理するための金融機関への公的資金注入についてどう思うか、内々の相談のようなものだったんだ」 「そんなことがあったのですか」 「頭取は皆、反対したよ。当時は財界も否定的だったからね。今思うと、あの時に決めておけば、こんな大騒ぎにならなかっただろうに」 宮澤首相は、軽井沢で開かれていた自民党の夏期セミナーで、「公的援助」という表現で公的資金投入に触れていたが、その前提として銀行首脳を呼んで極秘に会合を行っていたことはマスコミには一切漏れておらず、私もこのときが初耳だった。なぜ反対したのかについては聞かなかったが、公的資金が注入されるとトップの責任問題につながると懸念したのであろうし、世間はそれほど大手銀行に対して厳しい批判の目を向けていたのは間違いない。当時の巽頭取の忸怩(じくじ)たる思いが、このときの吐露につながったのかもしれない』、「宮澤首相」が「自民党の夏期セミナーで、「公的援助」という表現で公的資金投入に触れていた」、のまでは知っていたが、その前に、大手行代表に「軽井沢の別荘」で、「金融機関への公的資金注入について」打診したとは初めて知った。
・『いくら損失計上しても不良債権は減らない  一方、私はといえば「本当にその時に決めてくれれば、今になって毎日こんな苦労をしなくてもよかったのに」と密かにため息をついていた。 安宅産業とイトマンの破綻処理は銀行にとって大きな問題だったが、その後も建設、不動産関連融資を中心に数多くの不良債権が発生し、銀行は毎期毎期、その分の損失を計上していた。しかし、いくら損失計上しても、その処理は遅々として進まなかった。というのも当時はまだ大蔵省の不良債権償却証明制度が残っており、現在のように自己査定による引き当て処理ができなかったのだ。 当時の大蔵省は不良債権処理問題よりも税金の徴収のほうを優先していたので、銀行が勝手に不良債権か否かを判断するなどとんでもないという考え方であった。ある債権に損失発生リスクがあるかどうかを決めるのは大蔵省の専権事項で、同省の認可をもらってはじめて銀行は会計上、無税償却が可能となる。たしかに大蔵省に判断してもらうほうが公平性を担保する意味では理想的だと思う。これは、体力に劣る銀行を潰さない大蔵省の「護送船団」行政の一面でもあった。しかし、そのために債権一件一件について精査しなければならず、どうしても時間がかかってしまう。そこで、ほとんどの銀行では無税償却と並行して有税償却も行っていた。 有税償却とは簡単に言えば赤字処理だ。これをすれば処理のスピードは上がるが、当然ながら当期利益は減る。この赤字分を埋めるために、簿価の低い保有株式を売却し、売却益を計上してマイナス分を軽減する、いわゆる益出しをする必要が出てくるのだが、売却対象になる株式は通常、持ち合い株式であるため、売却と同時に買い戻しをしなければならず、結果的には株式の評価替えのような効果が出てしまう。つまり、保有株式の簿価がそのたびに上がってしまうわけだ。 一九九四(平成六)年になると、株価や不動産価格が下がる一方で、住専(住宅金融専門会社)の危機が社会問題化していた。そんな切迫した状況になっても益出しと買い戻しを繰り返して保有株式の簿価を上げるのは、リスクが大きすぎた。来年も再来年も株価が下がり続ければ、今度は逆に株式評価損を計上することになり、これまでせっかく益出しをしてきたのに元の木阿弥に戻ってしまう。こんなことを続けていたらいつか必ず大変なことになると私は考えた。実際、この株式評価損は当時だけでなく二〇〇〇年代に入っても銀行や一般企業の自己資本を毀損して、経営を苦しめることになった』、その通りだ。
・『銀行の赤字決算はタブー中のタブー  もちろん、赤字分を株式の益出しで埋めなければ、自己資本は食われる。しかし、保有株式の簿価は変わらずに済むから、今後の株価下落による評価損増大リスクを避けることができる。将来の株価下落リスクに耐えられる。そこで私はこの際、益出しをやめて、赤字決算するしかないと判断した。 今でこそ銀行の赤字決算は珍しいことではないが、当時は市場に与える影響がどれほどのものになるのか想像もできず、タブー中のタブーだった。過去の例を見ても、日本の銀行が赤字決算をしたのは一九四六(昭和二一)年、終戦直後の混乱期の一度だけで、八〇年頃の「ロクイチ国債問題」のときですら赤字決算は出していなかったのだ。 ロクイチの由来となる六・一パーセントの一〇年物国債は、今から見れば高利回りに感じると思うが、当時としては極めて低金利であり、それはつまり高価格の国債を意味する。大蔵省は大手銀行団を統合したいわゆるシンジケート団にこれを引き受けさせたため、住友銀行を含め、大手銀行のすべてが高い値段の国債を大量に保有することになった。そこに第二次オイルショックと金融引き締めが襲いかかり、ロクイチ国債は暴落し、大手銀行のすべてが巨大な含み損を抱えてしまった。額面一〇〇円の国債の価格が七四円まで下落したのだから、銀行にとっては大きな痛手だ。 その頃の国債は時価評価で決算するのが常であったが、この時ばかりは大蔵省も取得原価で評価することを認めると通達してきた。半強制的に国債を引き受けさせたという負い目があったためだろう。しかし、住友銀行はちょっとへそ曲がりなところがあり、「いままで時価評価でやってきたのに、ちょっと損が出たからといって、いまさら取得原価で評価できるか」ということで、それまでと同様に時価評価にしていた。このときでさえ、住友銀行は赤字決算をせず、株式を売って損失を埋めていたのだ。 銀行にとって赤字決算というのは、日本経済に与える影響ももちろんだが、バンカーのプライドとして、やってはいけないものというのが、私たちの身体の中に染みこんでいる。しかし私は、それでもあえて赤字決算にしようと覚悟を決めた。当時ですでに約一〇年、不良債権処理をしてきたのに、いまだに出口がまったく見えてこない。そして益出しは事実上問題を先送りしているに過ぎないからだ』、「あえて赤字決算にしようと覚悟を決めた」、とはさすが大したものだ。
・『市場心理を見きわめた慎重な判断  一九九五(平成七)年の正月明け早々、私は巽会長と森川敏雄頭取のもとに向かい、「こんな状態を続けているとダメージが大きくなってしまいます。思い切って赤字決算しましょう」と進言した。すると、お二人とも即座に了承してくれた。そうなれば話は早い。一月一七日に業績修正の発表をしようと決まった。 ところが、その日の早朝、阪神・淡路大震災が起きた。一万九〇〇〇円台になんとか足をかけていた株価は、震災の影響でみるみる下落していき、一万七〇〇〇円台に入ってしまった。 「こんなときに銀行が赤字決算を出したら、どんなことになるか?」 それでなくても滅多にない銀行の赤字の発表だ。市場にこれ以上余計な心理的な影響を及ぼすことはすべきではないと判断した私たちは、その日の発表を見合わせることにした。そして一〇日後の二七日、株式市場が多少落ち着いたところで、三月期決算の業績予想の修正を発表し、都銀初の三三五四億円の赤字(当初予想は六〇〇億円の黒字)になると表明した。赤字決算の結果として発生する当期の未処理損失については、準備金の取り崩しで対応して来期に繰り越さない方針も示した。 業績予想の修正は、私自身が東京・日本橋の日銀内にある金融記者クラブで記者会見して発表した。この席ではまず、赤字決算を決断した理由を聞かれ、四つの理由を説明した。 第一は、バブル崩壊後の経営悪化を乗り越えるべく取り組んできた店舗の統廃合や経費の見直しなどが成果を出し始め、国内外共に業績が拡大する兆しが見えてきたこと。第二に、前年(一九九四年)に実施された流動性預金金利の自由化や証券子会社の設立など金融自由化の幕開けの年にあたるのだから、経営基盤の安定と財務体質の強化が重要になってきたこと。第三に、景気に回復の兆しが見られ、積極的に前向きの策を打ち出す時期に来ていること。そして第四に、九五(平成七)年一一月に創業一〇〇周年を迎えるので、新世紀への重要な節目となる、ということだった』、「赤字決算」への「業績予想の修正」の発表を、「阪神・淡路大震災」による「株式市場」への影響が多少落ち着くまで遅らせたというのは賢明だ。
・『赤字決算で投資家が銀行株買い  「以上の理由により、将来、損失処理が必要とみられる債権を可能な限り前倒しで処理することにした。償却額は年間でおよそ八〇〇〇億円であるが、これは見通しを三〇〇〇億円上回る。株式売却益への依存は極力抑制する」と、私は赤字決算が前向きな事業姿勢による決断であったことを強調した。 実は、四つの理由は、「なぜ今なのか」というタイミングについて説明したもので、経営の立場の本音は、早く株式売却益依存から抜け出したいという後半の部分にあった。だから、記者から「来年度以降の見通しは?」と聞かれても、「今後の償却負担の原資は期間利益で十分に賄え、株式の売却をしなくてもできる」という見通しを語ることができた。 住友銀行は、前年の一九九四(平成六)年九月末には一兆一九〇〇億円もの不良債権を抱えていたが、赤字決算により九五(平成七)年三月末には不良債権額は二〇パーセント程度減少し、引当率も前年九月末の二四パーセントから三月末には五〇パーセント近くになると算段していた。 マスコミは、素直に驚きをもって報道してくれた。事実関係だけでなく、私の記者会見の詳報を掲載してくれた新聞もあった。記事のニュアンスを探っても、ネガティブというよりは好意的であった。 そして、さらに予想外のことが起きた。私たちが赤字決算を出した途端、投資家が銀行株を買い始めたのだ。住友だけでなく他行まで軒並み買われ、金融関連株が高騰を始めたのである。マーケットは、赤字決算によって不良債権処理が進むと、プラスに捉えてくれた。 その象徴が、記者会見から一週間ほどして掲載された日経金融新聞の編集委員の署名記事で、私たちが「税効果会計」と呼ばれる手法を注意深く活用しながら赤字決算であるにもかかわらず配当を維持しようとしている点を指摘。そのうえで、株式売却の益出しは一種の粉飾決算であると断定し、株式の益出しと決別しようとする私たちの決断について「(益出しと)一線を画したことは、市場全体にのしかかる金融システム不安を確実に薄めるのも事実だろう。その意味で、『一歩前進』である。しかし、まだ『一歩』にしか過ぎない」と皮肉を交えつつ評価してくれた』、住友の「赤字決算発表」までは、日本の銀行は実態を隠していると批判されていたので、「赤字決算発表」が前向きに捉えられたようだ。
・『赤字金額を変えていなかったら……  ところが私自身は、値上がりする株価を横目で見ながら、内心「しまった!」と思っていた。発表を見合わせた一〇日間で、少しでもマーケットへの影響を少なくしようと、有税償却を減らし、益出しもして赤字額をかなり削っていたからだ。発表した業績予想の修正では赤字幅は三三〇〇億円であるけれども、実のところは五〇〇〇億円程度の赤字があったのである。できれば、その額で業績予想を修正したかった。 発表を遅らせたのはいい判断だったと今でも思っている。おそらく震災当日に発表していたら、株価が上がったかどうかかなり疑問だった。しかし、赤字金額まで変える必要はなかったのだ。もし最初に考えていたままの金額だったら、その後の不良債権処理の展開はずっと楽になっていたはずだった。 とはいえ、マーケットが赤字決算に好評価を与えてくれたことに、私はほっと胸をなでおろしていた。銀行にとってみれば、不良債権処理などあまり威張れたものではない。そこまで銀行の経営は悪いのかとマイナス要因として取られる可能性も十分あったわけだから、好意的に取ってくれたのはありがたいことだった』、もっと実態の悪さを正直に発表していればと、「内心「しまった!」と思ったというのは、多くを望み過ぎだろう。

次に、この続きを、12月30日付け現代ビジネス「ベスト書再読『ザ・ラストバンカー』3:不良債権最後の山場「ダイエー危機」に三井住友銀・西川善文がとった策」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78886
・『「不良債権と寝た男」の異名を取った三井住友銀行元頭取・西川善文が不良債権問題にかかわった期間は、まさに異名通り、頭取の八年間を含めて三〇年に及んだ。とくに一九九〇年代から二〇〇〇年代前半にかけては、バブル経済の崩壊にともなう不良債権の激増に苦悶する毎日となった。西川善文の回顧録『ザ・ラストバンカー』から、土地神話の破綻から生まれたダイエー危機への対応の舞台裏をご紹介しよう』、前編に続き興味深そうだ。
・『  金融業界の構造改革と不良債権の処理問題が重なる形で押し寄せてくるので、仕事に息つく暇がない日々が続いた。不良債権問題は依然として深刻だった。 不良債権処理で私たちの頭を最も悩ませたのがダイエーだった。ダイエーは一九五七(昭和三二)年に中内㓛(なかうち・いさお)さんが創業し、「価格破壊」を謳って九五(平成七)年二月期には連結売上高が三兆二〇〇〇億円にも及んだ。しかし、その一方で、巨額の有利子負債がバブル崩壊や売上減によってダイエーを大きく蝕んでいた。「バブル時代の負の遺産」とまで言われた同社には、二〇〇一(平成一三)年二月には二兆五六〇〇億円もの金融債務があった。このため、三井住友を含めた主力行三行は〇二(平成一四)年一月、五二〇〇億円の債権放棄に応じた。しかしそれでも依然として危機は収まらなかった。 ダイエー危機が長引いた最大の原因は、ダイエーが大量の不動産を持っていたことだ。同じ業態のイトーヨーカ堂が、ディベロッパーが開発したショッピングセンターに出店するなどして店舗を借りていたのに対して、ダイエーの店舗はすべて用地まで取得し自前のものだった。 これは一九八〇年代までの土地神話に根ざしたビジネスモデルだったと言える。不動産の価値が上がれば、それを担保にして銀行からお金を借り、次の店舗展開ができる。その不動産も価値が上がればさらに次へという好循環が続けば、どんどん店舗を出すことができる。その頃のダイエーはとにかく新しい店舗用不動産を次々に手に入れていた』、確かに「ダイエー」の「ビジネスモデル」は、「土地神話に根ざした」ものだった。
・『難局には西川が打ってつけ  この好循環がバブル崩壊によって完全に悪循環に逆回転を始めた。不動産の含み損が加速度的に膨らんでいき、その泥沼からいつまで経っても這い上がることができないでいた。しかも、本業が好調ならその収益でカバーできたかもしれないが、「安いけれど買いたいものがない」と揶揄されるほど品揃えに魅力がなかった。早晩、完全に行き詰まるのは目に見えていた。金融庁としては、竹中平蔵さんの金融再生プログラムの一環で、預金保険機構を主要株主として設立した産業再生機構に持ち込んで早く処理したい意向が強かったのだが、ダイエーの高木邦夫社長が頑強に抵抗していて弱り果てていた。 高木社長がなかなか説得を聞き入れなかったのは、自主再建したいという強い思いがあったのはもちろんなのだが、その裏には経済産業省内の暗闘があったようだ。産業再生機構送りにしたいグループと、ダイエーの自主再建路線を進めたいグループが省内で真っ向から対立していた。後のことになるが産業再生機構入りの最終回答期限直前に経産省の自主再建派が高木社長を「拉致」して行方不明にするという、信じられないような暴挙にまで出て、当時マスコミで大変な騒ぎになったほどだった。 高木社長の抵抗姿勢に困った金融庁の竹中大臣は、ある経済人との会合に一緒に出た折に私を傍らに呼んで、こう言った。 「ダイエーはいまや日本の不良債権問題の象徴的な存在になっています。だから、なんとしてでも産業再生機構に持ち込みたい。産業再生機構に持ち込まれて処理されれば、日本の不良債権問題に決着をつけたことになるんです。西川さん、高木社長を説得してもらえませんか」 こういう難局には西川が打ってつけと竹中さんは思ったのかもしれないが、何よりダイエー問題に一刻も早く決着をつけたかったのは主力行をなす私たちのほうだった。単に竹中大臣に頼まれたからではなかった。私は高木社長との直談判に及んだ。 三井住友銀行の応接室で、私と高木社長の一対一の談判だった。しかし高木社長はいっこうに首を縦に振ってくれなかった。 「どうしても取締役会を開いて決めてもらわないと困る。でなければ社長を代わってもらうしかないんです」とまで私がにじり寄ると、ようやく、「わかりました。取締役会に諮ります」 と返事をしてくれた』、「産業再生機構」への持ち込みに賛成していたのは、「三井住友銀行」だけで、UFJ銀行などは反対していた。「産業再生機構」は銀行側に債権放棄をさせ、財務面は立ち直ったが、肝心の事業面では「再生」できないまま、イオンの子会社化しただけに終わった。
・『ローソンという宝  しかし、取締役会に諮るだけで終わっては困る。きちんと決議してもらわないといけない。大変失礼だったかもしれないが、取締役会にオブザーバーとして三井住友の人間を入れさせてもらう提案まで出した。 ダイエー本体の痛みは深刻だったが、子会社には素晴らしい優良会社があった。コンビニのローソンだ。私はこれを少しでも高く売却しようとしたのだが、ダイエー側はずいぶん抵抗した。説得の末、売却には応じてもらえたが、今度は売却先で揉める。三菱商事や丸紅が手をあげてくれており、銀行とすれば三菱商事しかないと踏んでいたが、ダイエーは、一九九四(平成六)年に提携関係を結んでダイエーの大株主になっていた丸紅がいいという。しかし当時の丸紅もダイエーを抱え込むほどの力はなく、丸紅が売却先ではローソンの企業価値が上がらないし、そもそも高く売れない。三菱商事なら高く売れる上に、商事の信用力で株価(企業価値)も上がる。 本音をいえば、ライバル行系列の三菱商事に味方する理由など何もない。しかしダイエー処理を有利に運ぶのが第一だった。こうしてダイエーが保有するローソン株を三菱商事に三〇パーセント以上売却したのは二〇〇一(平成一三)年二月のことだ。 実は私は、ダイエーの経営が問題になった当初から、水面下でダイエー創業者の中内㓛氏と極秘裏に会っていた。月に一回、ホテルの部屋で朝に一時間程度だ。当時すでに八〇代になっていた中内さんは二〇〇一(平成一三)年一月にトップの座を退いて表には出ていなかったが、ダイエーに対する影響力は隠然として残っていた。 中内さんが最初に社外からスカウトして社長に据えた人が流通畑ではない方だったこともあって、いくらその社長と話をしても、うまく進まなかった。そのため私は中内氏と接点を持つことにしたのだ。社長が高木氏に替わってからもそれは続いた。 話の内容を具体的に書くことはできないが、債権放棄後のダイエーにあってもなお経営の状況は厳しく、思い切ったビジネスモデルの転換が必要であることなどを話し合っていた。中内さんは私が頭取を退任した三ヵ月後、二〇〇五(平成一七)年九月に八三歳で亡くなった』、「西川」氏が「中内㓛氏と極秘裏に会っていた。月に一回、ホテルの部屋で朝に一時間程度だ」、というのは初めて知った。
・『私のどこが独断か  頭取最後の年となった二〇〇四(平成一六)年度は結局、下方修正の赤字転落となってしまった。ダイエー問題があった上に、旧三井銀行が主力だったカネボウの処理やフジタや熊谷組といった中堅ゼネコンの処理が重なった。頭取最後の決算が赤字となったこと自体は実に残念であるし、悔しい。しかし、これまでの私のバンカー人生を振り返れば、ある意味、私らしい幕引きだったのかもしれない。 政府の金融再生プログラムで定められたように、二〇〇三(平成一五)年度から〇四(平成一六)年度にかけて不良債権処理をやり切らなければ銀行は生き残れなかった。その結果として生じた赤字である。組織のトップの中には、過去の不良資産は自分で作ったものではない、自分が担当役員として出したものでもないとして、任期中の処理を避けて責任を回避するような人がいる。しかし私はどうしても自分の手で、長年にわたって難題として銀行を苦しめてきた不良債権処理に終止符を打ちたかったのだ。 赤字の責任を取った形の引責辞任ではないかとマスコミなどはさかんに報道したが、お門違いも甚だしかった。その一年前から頭取退任を心に決めていたからだけではない。不良債権の処理など、トップ自ら動かずとも担当者に任せて上から見ているだけにしておけば、そんなことを言われず無難に済んだかもしれないが、それでは下がついてこないだろう。自分が火の粉をかぶってでも、いまやらなければならないことを先送りせず、率先垂範、先頭に立ってやる。それを見て部下たちも進んで仕事をする。経営の責任者とはそういうものではないだろうか。 リーダーシップの要諦を理解しないマスコミの記者たちは、私のようにトップが自ら動くと「西川の独断」などと言って批判する。「西川プレミアム」という言葉にも、頭取の私がトップダウンで独断的にものごとを決める住友銀行は特別だという含意があったと思う。しかしそうではないのだ。行内で最初に言い出すのが、たまたま私だったというだけの話なのである』、「率先垂範」の姿勢は、欧米では当たり前だが、日本の殆どの銀行には欠けていたようだ。
・『ビッグビジネスこうして動く  世の中が順調で穏やかであれば、経営が保守的であることにも、それはそれで意味はあるだろう。ところが、私の頭取時代は外部環境が日々刻々変化していた時期だった。それに対応していくにはこちらも日々刻々の変化、スピードが要求される。組織が危機に瀕した際にはとりわけスピーディーな経営判断が必要になる。スピーディーにものごとを進めるためにはトップが率先して動くしかない。 これは世界の常識で、アメリカでもヨーロッパでも同じである。前の章で書いたような資本調達の協議ともなれば、ゴールドマン・サックスの会長が自ら交渉のテーブルに出てきて私と直接、話をするのだ。トップ同士がフェイス・トゥ・フェイスで向き合わなければ、本当の信頼関係は築けない。あの人は誠実に仕事をする、彼なら大丈夫だという信頼があるからビッグビジネスは動くのである』、「ゴールドマン・サックス」からの「資本調達」の条件が、余りに厳し過ぎるとの批判も一部にあったが、それが当時の「三井純友」の実力だったのだろう。

第三に、2月9日付けYahooニュースが転載したエコノミストOnlineのジャーナリスト、デモクラシータイムズ同人の山田厚史氏による「住友銀行を震撼させたイトマン事件で天皇「磯田会長」を退任に追い込んだ地味な頭取の67歳の決断」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/130b96b72dbf10cbd0c6318db0169a8cd39c9ecd?page=1
・『住友銀行(現・三井住友銀行)で頭取を務めた巽外夫氏が1月31日、老衰で死去した。大掛かりな不正経理が問題となった「イトマン事件」の処理を頭取として指揮した。マツダの再建にも尽力した。 ◇反社会勢力による支配との決別 「反社会的な勢力がうちの銀行を支配下に置こうとしたことが、今度の事件の本質です。影響力のある男を頭取にして、支配しようと考えていたのではないか」 不正経理が問題となった「イトマン事件」が一区切りついた1991年7月、頭取だった巽外夫さんは、事件を振り返ってこう語った。「暴力団による支配」とは穏やかではない。「書いていいか」と念を押すと、「私の名前は勘弁してください」。銀行を去ったとは言え、当事者はまだ周辺にいた。巽さんの念頭にあったのはある元副頭取だった。 1990年10月、仕手集団「光進」の経済犯罪に住友銀行青葉台支店(横浜市)が加担していたことが発覚した。 これを受け磯田会長が突如、辞任を表明。巽は面食らった。引責辞任なら、会長でなくまず頭取だろう。 意表を突いた辞任表明は「おまえも辞めろ」と言っているに等しい。後任の頭取を決めるのは「住友銀行の天皇」磯田である』、「「光進」の経済犯罪に住友銀行青葉台支店が加担」、そんな事件もあったのを思い出した。
・『◇“磯田子飼いの部下”が暗躍したイトマン事件  背景には「イトマンを巡る内紛」があった。 暴走するイトマンの河村良雄会長は住銀時代、磯田子飼いの部下だった。河村が不動産担当としてイトマンに呼びよせた伊藤寿永光常務は、反社会的勢力と関係する地上げ屋。磯田が溺愛する長女を取り込み、住銀中枢に食い込んでいた。 イトマン処理は住銀の懸案だが、磯田の権威が壁となっていた。銀行内の改革派からは、磯田を諫めることもできない頭取に苛立ちさえ出ていた』。
・『◇マツダ再建を果たした剛腕専務  巽さんに初めて会ったのは1980年、東洋工業(現マツダ)担当の専務の頃だった。 私は自動車担当記者で、マツダとフォードとの関係をメーンバンクである住銀から取材しようと磯田頭取を訪ねた。「巽専務に聞けばいい。今の社長は工場長みたいなもの。巽くんが実際の社長だ」と紹介してくれた。 言葉通り、巽さんは東洋工業の全権を握っていた。 フォードから出資を引き出し、石油ショックで沈んでいたマツダの再建を果たした。磯田―巽ラインの采配で復活したマツダの快進撃は住銀の収益に貢献していた』、確かに「マツダの再建」の手際は素晴らしかった。
・『◇“言うことを聞く頭取”を後釜に添えた  東京の常宿は芝のプリンスホテルで、夜回り取材はここのロビーだった。「地味で物静か、国際的な視野を持つ実務派」という雰囲気で、権力闘争が盛んな住銀で頭取を目指す人という印象は薄かった。 それが1987年、頭取に抜擢された。小松康雄頭取が2期4年を待たずに辞めたのは驚きだったが、後任が巽さんだったことは銀行内外で驚きをもって受け止められた。 磯田天皇が、意に沿わぬ小松頭取を外し、言うことを聞く巽を後釜に据えた人事と、言われた』、「巽」氏の「頭取」就任は確かに意外だった。
・『◇自分にとって「かわいい」が評価基準  磯田会長は、部下を評価する時「かわいい」という言葉をよくつかった。 物差しは3つ。仕事が「できるか、できないか」、性格が「明るいか、暗いか」、自分にとって「かわいいか、かわいくないか」 例えば「小松(頭取)はできる奴だが、暗い。私もどちらかと言えば暗い。暗い頭取が2代続いてしまってよかったのか」。夜回りで自宅を訪れると、そんな話をする。 小松頭取を「かわいくない」と暗に語っていた。 小松路線が気に入らないようだった。磯田がイトマンの河村社長を通じて進める平和相互銀行との合併に懐疑的で、国内より海外業務に力を入れていた。 そこで実務派で忠実な巽にお鉢が回ってきた』、なるほど。
・『◇「その筋とつながる」副頭取  「できる・明るい」で、頭取候補とされた玉井英二も「かわいくない」へと分類されていった。直言が嫌われた。 「できる・明るい・かわいい」と評されていたのが西貞三郎副頭取だった。支店長のころの部下で、磯田が引き立てた。イトマン処理でも磯田を支え、青葉台支店で事件化した光進の小谷氏とも繋がっていた。 事件の罪は支店長が全て被ったが、背後にいたのは西副頭取で「その筋とのつながり」が銀行内で噂されていた。 巽は、磯田が西に無防備であることを心配していた』、「「その筋とのつながり」が銀行内で噂されていた」のが「副頭取」とはやり闇世界との関係が少なからずあったようだ。
・『◇「磯田会長に引導」で決起した西川常務  イトマン処理は住銀上層部の亀裂を鮮明にした。 辞任を表明しながら人事権を握る会長に忖度する守旧派、「磯田会長に引導を」と動く玉井副頭取―西川善文常務ら改革派。巽は改革派に与しながらも「恩人磯田」に逆らえない。 そんななかで90年10月13日土曜、部長会が決起した。 西川の呼びかけで東京・信濃町の住友銀行会館に本部の部長たちが集まり、4時間かけてそれぞれが思いを語った。「磯田会長に退任を求める」と決議し、代表が大阪に向かい「連判状」を巽頭取に手渡した』、「西川常務」の「呼びかけで」「部長会」が「連判状」を巽頭取に手渡した」、ここまでドラマチックなことがあったとは初めて知った。
・『◇「恩人磯田」解任を決めた67歳の決断  「僕はその期待に添わなければならないね」と巽は西川に告げたという。巽が動き、3日後の16日、経営会議で磯田は会長から退いた。 同時に西副頭取の解任が決まった。西副頭取の排除は「住銀を守る」と決めた巽にとって欠かせない仕事だった。 67歳の10月13日は人生の転機となった。 頭取になっても「磯田の忠実な部下」だったが、呪縛は解け、住友銀行のトップに生まれ変わった』、「磯田」のような天皇の下では、後輩の役員は「磯田の忠実な部下」から出てこざるを得ないが、そこから弓を弾く人間も出てくるようだ。
・『◇地味な頭取を後任に選んだ思い  磯田が進めた「向こう傷は問わない」とする拡大路線の軌道修正に全力を注ぎ、93年に頭取の座を森川敏雄に譲った。森川も国際畑が長い実務派。巽と同様、下馬評に上がらなかった地味な頭取だった。「日頃は物静かでも危機に直面すると肝力を発揮する人がいる」と巽は森川を評したが、自らを語っているようにも思えた。
・『◇動乱期を引き継いだ西川氏も鬼籍に  巽が会長を退いた97年、西川善文が頭取に就任。その直後、山一証券の倒産、北海道拓殖銀行の破綻が起き、金融危機が火を噴いた。住銀はさくら銀行と合併し生き残りを図るなど銀行は再び動乱期に入る。 巽・森川時代は、バブルにまみれた住銀が不良債権の処理に追われた時期でもあった。住銀が得意とした違法すれすれの収益第一主義が反社会勢力の介在を許した反省から、穏やかな経営者が組織の傷を癒す「調整期」だった。磯田が築いた「収益ナンバー1銀行」の残滓を片付け西川に託す。それが住友銀行史での巽の役回りとなった。 磯田の流れをくむ果敢な経営に挑んだ西川も、一時代を築きながら、最後は不良債権処理で引責辞任した。巽はどんな思いで見守っていただろう』、「住友銀行」の徹底したやり方、そのブレの大きさ、などを改めて思い知らされた。
タグ:yahooニュース 住友銀行 現代ビジネス 山田厚史 エコノミストOnline バブル崩壊(その他) (『ザ・ラストバンカー』2:三井住友銀行・西川善文が対峙した、減らない不良債権と批判の目、『ザ・ラストバンカー』3:不良債権最後の山場「ダイエー危機」に三井住友銀・西川善文がとった策、住友銀行を震撼させたイトマン事件で天皇「磯田会長」を退任に追い込んだ地味な頭取の67歳の決断) 「ベスト書再読『ザ・ラストバンカー』2:三井住友銀行・西川善文が対峙した、減らない不良債権と批判の目」 「不良債権と寝た男」 公的資金注入に向けられる世間の批判の目 九二年の八月に、宮澤(喜一)総理から軽井沢の別荘に招かれた そこには三菱、第一勧銀など大手行の頭取が全員、顔を揃えていた 不良債権を処理するための金融機関への公的資金注入についてどう思うか、内々の相談のようなものだったんだ 宮澤首相は、軽井沢で開かれていた自民党の夏期セミナーで、「公的援助」という表現で公的資金投入に触れていた いくら損失計上しても不良債権は減らない 大蔵省の不良債権償却証明制度 ある債権に損失発生リスクがあるかどうかを決めるのは大蔵省の専権事項で、同省の認可をもらってはじめて銀行は会計上、無税償却が可能となる ほとんどの銀行では無税償却と並行して有税償却も行っていた。 有税償却とは簡単に言えば赤字処理だ。これをすれば処理のスピードは上がるが、当然ながら当期利益は減る 当期利益は減る。この赤字分を埋めるために、簿価の低い保有株式を売却し、売却益を計上してマイナス分を軽減する、いわゆる益出しをする必要 結果的には株式の評価替えのような効果が出てしまう。つまり、保有株式の簿価がそのたびに上がってしまう 銀行の赤字決算はタブー中のタブー 「ロクイチ国債問題」のときですら赤字決算は出していなかった 大蔵省も取得原価で評価することを認めると通達 それまでと同様に時価評価にしていた 「あえて赤字決算にしようと覚悟を決めた」、とはさすが大したものだ 市場心理を見きわめた慎重な判断 「赤字決算」への「業績予想の修正」の発表を、「阪神・淡路大震災」による「株式市場」への影響が多少落ち着くまで遅らせたというのは賢明だ 赤字決算で投資家が銀行株買い 住友の「赤字決算発表」までは、日本の銀行は実態を隠していると批判されていたので、「赤字決算発表」が前向きに捉えられたようだ 赤字金額を変えていなかったら…… 少しでもマーケットへの影響を少なくしようと、有税償却を減らし、益出しもして赤字額をかなり削っていた 赤字幅は三三〇〇億円であるけれども、実のところは五〇〇〇億円程度の赤字があった もっと実態の悪さを正直に発表していればと、「内心「しまった!」と思ったというのは、多くを望み過ぎだろう 「ベスト書再読『ザ・ラストバンカー』3:不良債権最後の山場「ダイエー危機」に三井住友銀・西川善文がとった策」 二兆五六〇〇億円もの金融債務 巨額の有利子負債がバブル崩壊や売上減によってダイエーを大きく蝕んでいた 土地神話に根ざしたビジネスモデル 難局には西川が打ってつけ 「産業再生機構」への持ち込みに賛成していたのは、「三井住友銀行」だけで、UFJ銀行などは反対していた。 「産業再生機構」は銀行側に債権放棄をさせ、財務面は立ち直ったが、肝心の事業面では「再生」できないまま、イオンの子会社化しただけに終わった ローソンという宝 実は私は、ダイエーの経営が問題になった当初から、水面下でダイエー創業者の中内㓛氏と極秘裏に会っていた。月に一回、ホテルの部屋で朝に一時間程度だ。 私のどこが独断か 「率先垂範」の姿勢は、欧米では当たり前だが、日本の殆どの銀行には欠けていたようだ。 ビッグビジネスこうして動く 「率先垂範」の姿勢は、欧米では当たり前だが、日本の殆どの銀行には欠けていたようだ 「ゴールドマン・サックス」からの「資本調達」の条件が、余りに厳し過ぎるとの批判も一部にあったが、それが当時の「三井純友」の実力だったのだろう 「住友銀行を震撼させたイトマン事件で天皇「磯田会長」を退任に追い込んだ地味な頭取の67歳の決断」 「光進」の経済犯罪に住友銀行青葉台支店が加担」、そんな事件もあったのを思い出した 磯田子飼いの部下”が暗躍したイトマン事件 マツダ再建を果たした剛腕専務 確かに「マツダの再建」の手際は素晴らしかった 言うことを聞く頭取”を後釜に添えた 「巽」氏の「頭取」就任は確かに意外だった 自分にとって「かわいい」が評価基準 その筋とつながる」副頭取 「「その筋とのつながり」が銀行内で噂されていた」のが「副頭取」とはやり闇世界との関係が少なからずあったようだ。 「磯田会長に引導」で決起した西川常務 「西川常務」の「呼びかけで」「部長会」が「連判状」を巽頭取に手渡した」、ここまでドラマチックなことがあったとは初めて知った 「恩人磯田」解任を決めた67歳の決断 地味な頭取を後任に選んだ思い 動乱期を引き継いだ西川氏も鬼籍に 「住友銀行」の徹底したやり方、そのブレの大きさ、などを改めて思い知らされた。
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株式・為替相場(その11)(景気が悪いのにやたら株が高い「違和感」の正体 街で目にする風景と経済指標が異なるからくり、30年ぶり3万円台回復の日経平均 その要因と背後に潜む3つの危険因子、株価がかなり不安定になっている本当の理由 コロナ後のリスク巡り投資家の見方が大揺れ) [金融]

株式・為替相場については、本年2月24日に取り上げた。今日は、(その11)(景気が悪いのにやたら株が高い「違和感」の正体 街で目にする風景と経済指標が異なるからくり、30年ぶり3万円台回復の日経平均 その要因と背後に潜む3つの危険因子、株価がかなり不安定になっている本当の理由 コロナ後のリスク巡り投資家の見方が大揺れ)である。

先ずは、3月2日付け東洋経済オンラインが掲載した 第一生命経済研究所 主任エコノミストの藤代 宏一氏による「景気が悪いのにやたら株が高い「違和感」の正体 街で目にする風景と経済指標が異なるからくり」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/413852
・『日経平均株価が一時3万円の大台を回復したことについては「景気が悪いのに、株価が高い」という評価が多い。もっとも「景気」の定義は人それぞれであるから、現実のデータがどうであろうと「景気が悪い」と思えばそれまでである。そこに正解・不正解はない』、興味深そうだ。
・『なぜ景気の実感と株価がズレるのか?  人々は景気を可視的な情報で判断する傾向がある。そのため、人出の少ない街の様子、閑散とした飲食店を目にすると、景気が悪いという印象を強く抱く。 実は、そうした空気が数値に表れている重要な指標が「景気ウォッチャー調査」だ。景気の現状を示す指数はコロナ感染状況が悪化した昨年12月に急落した後、今年1月は首都圏を中心とする緊急事態宣言を受けて一段と低下した(表)。人々が抱く景況感は景気ウォッチャー調査に近いと思われ、こうしたデータをみる限り現在の株価上昇は違和感を禁じえない。 一方、定量的なデータが示す景気の姿は異なる。2月15日に発表された日本の実質GDP(10〜12月期)は日本経済の力強い回復を示した。2020年4〜6月期の落ち込み分の9割以上を埋め、水準は2019年10〜12月期との比較でマイナス1.2%、消費税率引き上げ前にあたる2019年7〜9月期との比較でマイナス2.9%まで回復した。 つい半年ほど前の段階では「実質GDPが直近ピークの2019年7~9月期の水準を回復するのは2024年頃との見方が多かった。だが、そうした見方は悲観的すぎた」ように思われる。当社の最新予想(2/16時点)は、2019年10〜12月期の水準を取り戻すのは2022年4〜6月期、2019年7〜9月期を回復するのは2022年10〜12月期となっている。 力強いリバウンドに貢献したのは製造業である。実質輸出はコロナ禍前の水準を回復し、鉱工業生産も1月の生産計画を踏まえると前年水準の回復が目前に迫っている。 これは世界的なIT関連財需要の高まりに加え、アメリカにおける自動車販売台数の回復が大きく貢献した。そうした下で企業は設備投資再開に踏み切っており、GDPベースの設備投資はパンデミック発生以降で初めて増加した。設備投資は先行きも明るい。先行指標の機械受注統計によるとコア民需(船舶・電力を除く民需)は12月まで3カ月連続で増加し、水準は2019年平均を上回った。企業がコロナ禍の終息を見据え、生産設備の更新や能力増強に前向きになっている様子が透けて見える。こうした前向きな循環が始まりつつあることは心強い。 ここで認識しておきたいのは、日経平均株価に採用されている225銘柄のうち、6割強が製造業であることだ。こうした製造業の底堅さは、街角景気との直接的な関係が希薄であるから、人々の景気認識と株価(≒上場製造業の業績改善期待を受けた上昇)が異なるのは、ある意味当然かもしれない』、「景気」を何で捉えるかは難しい問題だ。
・『日経平均株価には外食は入っていない  コロナ禍では“巣ごもり消費”が盛り上がり、家具、家電、タブレット端末などの売れ行きが好調で製造業の業績改善につながったのは上述のとおりだ。 一方でやや意外なことにサービス消費も持ち直している。10〜12月期の個人消費は耐久財が前期比+9.2%、半耐久財がマイナス2.0%、非耐久財がマイナス0.5%、サービスが+3.0%であった。 サービス消費の水準は2019年10〜12月期の水準をなお下回るものの、Go Toキャンペーンによる支えのほか、旅行・飲食以外の支出が増加したことで、少なくとも10〜12月期までは回復経路を歩んでいた。関連指標の第3次産業活動指数で業種別の推移を確認すると対面・移動・集合を伴うサービス業“以外”の底堅さが示されている。サービスセクターの落ち込みは鉄道、空運、宿泊・飲食、音楽・芸術等興行、遊園地・テーマパークで大半が説明可能だ。 これも重要なポイントだ。というのも、日経平均採用銘柄をみると、コロナの打撃がきつい鉄道は8社と多く含まれているものの、空運はわずかに1社、飲食・宿泊に至ってはゼロである。このように、日経平均株価とコロナの直接的な関係が希薄であるという「そもそもの事実」は見落とされがちだ。 次に海外経済に目を向けると、1月のアメリカの小売売上高の異常値的な強さが目を引いた。強さの背景にあるのは、同国議会が昨年末に決定した1人当たり600ドルの給付金だ。同国の消費者は1月中旬までに支給が完了された給付金を直ちに消費に回したもようだ。 個別にみると家具(+12.0%)、電子製品(+14.7%)、衣料(+5.0%)、スポーツ用品(+8.0%)、百貨店(+23.5%)、オンラインショップ(+11.0%)といった具合に2桁の伸びを示すものが多く見られた。自動車、ガソリン、建材等を除いたコア小売売上高は前月比+6.0%、前年比では+11.8%と極めて強く、前年比の伸び率は1990年以降に経験したことのない伸びであった』、「日経平均株価とコロナの直接的な関係が希薄であるという「そもそもの事実」」は説得力がある。「1月のアメリカの小売売上高」に、「議会が昨年末に決定した1人当たり600ドルの給付金」が早くも出たというのは、さすが「アメリカ」らしい。
・『「需要先食い」の懸念も  ここで1つリスク要因にも触れておこう。まず認識すべきは、上記で示した消費は基本的に「財(モノ)」であるということ。財消費の行方を読むにあたっては、その特有なパターンを考慮する必要がある。 というのも、サービス消費と違って「前倒し購入」が可能な財消費は、将来の需要を先食いしてしまうことがしばしばあるからだ。コロナ禍で外食や旅行、エンターテインメントなどといったサービス消費が制限されるなか、お金の使い道に悩んだ消費者が財(含む住宅)の購入を前倒しした可能性があり、そうだとすればこの先は反動減を覚悟しなければならない。 参考事例としては、日本の家電エコポイントがある。商業動態統計で家電量販店が含まれる「機械器具小売業」をみると、エコポイント政策実施中の販売好調とその後の反動がきれいに見て取れる。消費動向調査(内閣府)によると主要家電の平均使用年数は10~15年であるから、反動減はすぐには終わらなかった。 もちろん現在のアメリカや世界の状況が、当時の日本ほど極端でないとはいえ世界の消費動向を読むうえでこの点は考慮しておく必要があるだろう。また日本株視点では、これまでの上昇が製造業主導であったことを踏まえる必要がある。地味ながら重要なリスク要因かもしれない。 「現在の強さと将来の反動」という視点では、最近の日本株上昇に大きく貢献しているIT関連財(電子部品、半導体製造装置・部材など)も例外ではない。機械受注統計で半導体製造装置の受注動向を反映する「電子計算機等」をみると、12月の受注額は前年比23.0%と大きく増加した』、なるほど。
・『2021年後半にはIT関連材の需要ピークアウトも  この指標は日本株との連動性が強いため、その増加は目下の株高を正当化するという点において好感すべき材料である。しかしながら、こうした強さが長続きすると考えるのは早計である。 というのも、IT関連財の需要変動は、ほかの業種に比べ極めて大きいからだ。経済産業省の鉱工業統計で電子部品・デバイス工業の「在庫」をみると前年比40%程度の増減を繰り返していることがわかる。最近の半導体不足が象徴するように、在庫(生産量)を最適水準にコントロールするのが極めて困難ということだろう。要するにこれが2年ごとに上下を繰り返すシリコンサイクルであり、現在は上向きサイクルの中にいるということだ。 コロナ禍が引き起こした経済活動の変化、具体的には在宅勤務の浸透やさまざまなサービスのオンライン化によってIT関連財の需要が構造的に高まったのは事実だろう。ただし、それによって2019年後半を起点とする世界半導体売上高の上向きサイクルが過去のそれと比べ長く続くかは別問題と考えられる。2021年後半には、日本株上昇に大きく貢献してきたIT関連財の需要がピークアウトする可能性を視野に入れておく必要があるだろう』、妥当な見方のようだ。

次に、3月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「30年ぶり3万円台回復の日経平均、その要因と背後に潜む3つの危険因子」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/264204
・『日経平均株価が3万円台に乗った。1990年8月以来、約30年ぶりのことである。昨年(2020年)11月にコロナショック前の日経平均株価の水準である2万4000円を回復してから、2月22日の引け値までの上昇率は約25%と、かなり急ピッチの上昇となった。ただし、その状況が長く続くとは想定しづらい』、興味深そうだ。
・『約30年ぶりに日経平均株価が3万円台に上昇  2月15日、日経平均株価が3万円台に上昇した。1990年8月以来、約30年ぶりのことである。 昨年(2020年)11月にコロナショック前の日経平均株価の水準である2万4000円を回復してから、2月22日の引け値までの上昇率は約25%と、かなり急ピッチの上昇となった。 今回の株価上昇の背景には、米国を中心に多くの国が金融緩和策を実施して、世界的に「カネ余り状況」が続いていることがある。それに加えて、ワクチン接種が広まり、新型コロナウイルス感染低下への期待が高まっていることが大きい。ワクチン接種によって世界経済が正常化に向かい、今年後半にかけてわが国の主力企業の収益が増加する展開を見込む海外投資家は増えつつある。 ただし、その状況が長く続くとは想定しづらい。 足元の日本株の上昇ペースはやや過熱気味で、このまま調整が一時的なもので済むのか、いずれかの段階で本格的な調整が入るのか、瀬戸際にある。加えて、米国のIT先端銘柄を中心に、相場の過熱感に警戒を強める投資家が増えつつある。また、米国のインフレリスクなど、世界経済を取り巻く不確定要素は多い。今後、わが国をはじめ、株価がやや不安定になることも懸念される』、「このまま調整が一時的なもので済むのか、いずれかの段階で本格的な調整が入るのか、瀬戸際にある」、その通りだ。
・『日経平均株価3万円台回復の2つの要因 「カネ余り」と「世界経済回復への期待」  日経平均株価が3万円台を回復した要因として2つの点が重要だ。 一つ目の要因が、「カネ余り」である。米国を中心に世界の中央銀行は、コロナ禍における企業や家計などの資金繰りを支えるために量的金融緩和策などの金融緩和策を継続している。世界各国の財政支出も拡大している。 その状況下、世界的に金利が低下し、投資家は利得を手にするために株式を購入している。 株を買う投資家が増えた結果、「買うから上がる」→「上がるから買う」という強気心理が連鎖し、世界的に株価上昇が勢いづいた。 その状況下、米国では政府による現金給付を元手に株式を取引する「ロビンフッダー」と呼ばれる個人投資家が増加し、わが国でも個人投資家の取引が活発だ。日本銀行がETF(上場投資信託)を購入することによって株価がサポートされていることも、投資家心理を支えている。 もう一つの要因が、今後の世界経済の回復への期待だ。すでに、イスラエルでは、人口の50%程度が1回目のワクチン接種を受け、感染者と死者数は減少傾向にある。ワクチン接種の進行は、経済の正常化を支える必要条件といえる。 日本銀行が公表している「実質輸出入の動向」のデータを見ると、2020年11月にわが国の輸出は、コロナショックが発生する前の2019年12月の水準を上回り、その後は輸出の勢いが増している。世界的に外出制限や都市封鎖などによって抑制された需要(ペントアップデマンド)が発現し、わが国の機械や高機能素材、(半導体供給の影響はあるものの)自動車などの輸出が上向いた。 ワクチン接種は、そうした世界的な需要の回復を勢いづかせ、わが国の企業業績に追い風だ。その見方から2021年3月期に関して、収益の上方修正や過去最高益を見込む国内企業は多い』、「ペントアップデマンド」、とは実際にはそれほど確実なものではなく、消えてしまうものもある。
・『今年後半のわが国企業の業績拡大を予想する海外投資家  わが国の株価動向に大きな影響を与える海外投資家は、本邦企業のさらなる収益回復を見込んで株を買い上げている。海外の投資家と意見交換をすると、年後半の増益期待は強い。短期的に、日本株は一段高の可能性がある。 わが国には機械や自動車などの在来産業に属する企業が多い。企業の海外売上比率は上昇している。ワクチン接種によって世界経済が正常化する展開は、基本的にわが国企業の収益増加を支え、株価に追い風だ。 歴史的にわが国株式市場のPER(株価収益率)は14~17倍で推移してきた。足元の日経平均株価のPERはおよそ23倍だ。理論的に「株価」は、半年程度先の経済状況を示す、経済の先行指標だ。海外投資家は7~9月期以降にわが国企業が30%以上の増益を実現すると考えて、期待先行で日本株を買っている。 その見方には相応の説得力があるだろう。昨年(2020年)10~12月期以降、自動車などわが国の主力産業の一角ではフル操業、あるいはそれに近い水準で生産設備を稼働させる企業が増えていると聞く。それに加えて、世界経済が持ち直し、需要が高まる展開を重ね合わせると、わが国企業の収益が増加する可能性は高まっている。 なお、在来産業の株が買われるのは、わが国に限った動きではない。2月中旬に入り米国では、過熱感が高まるナスダック総合指数が下落する一方で、ニューヨークダウ工業株30種の平均株価や素材などの銘柄が上昇する場面があった。 主要投資家にとって、株価の高いITなどのグロース銘柄を買い増すのは難しい。そのため、世界経済の正常化の恩恵を受けやすい在来セクターに投資資金が向かいやすいのである。わが国の株価上昇は、先行きへの強気な見方に加えて、ITから在来産業へのセクター・ローテーションに影響されている部分もある』、「わが国の株価上昇は、先行きへの強気な見方に加えて、ITから在来産業へのセクター・ローテーションに影響されている部分もある」、「わが国」は「IT部門」が弱いので、「セクター・ローテーション」は確かに「わが国」にはプラスの効果があったということなのだろう。
・『無視できない株価調整の3つのリスク要因  ただ、足元の株価上昇が長い期間続くことは考えづらい。世界経済の今後の展開を想定したとき、株価の調整圧力を高める要因は多い。 まず、新型コロナウイルスの感染が続く可能性は過小評価すべきでない。ワクチンの接種が進んでいるのは主に先進国だ。新興国でのワクチン接種がどう進むかに関しては、COVAX(日本を含む190以上の国や地域が参加する、新型コロナウイルスのワクチンを共同調達する国際的な枠組み)の資金不足をはじめ不透明感が漂う。 次に、米国のインフレリスクがある。2月23日、FRB(連邦準備理事会)のパウエル議長は、インフレ進行やバブル膨張のリスクは低く、緩和的な金融政策を続ける姿勢を示した。 目先、金利は株価の腰を折る要因になりにくいだろう。しかし、やや長めの目線で考えると、需要の回復や景気刺激策に影響され、米国のインフレ期待が相応のペースで上昇する可能性は否定できない。もし、短期間でインフレ率が2%を超えれば、金融政策が修正される可能性は高まる。その場合には低位かつ安定して推移してきた米2年金利が上昇し、景気不透明感が高まる。すると投資家はリスクオフに動き、価格変動リスクを嫌ってキャッシュの保有動機を強め、株式などの資産価格には相応の調整圧力がかかるだろう。 それに加えて、金融規制の影響も軽視できない。米国ではSNSを通して個人投資家が結託し、株式市場の不安定性を高めていると考える経済の専門家が多い。さらに手数料無料の株式取引業者であるロビンフッドなどへの規制が強化され、投資家のリスクテイクが阻害される展開も考えられる。それは、株式市場への資金流入を減じる要因だ。 言うまでもなく、高値を警戒する投資家の売りが売りを呼び、強気相場が崩れる可能性もある。 短期的にわが国の株価上昇余地はあると考えられるが、中長期的に株価の調整圧力をもたらすリスクファクターがあることは冷静に考えるべきだ』、「株価の調整圧力をもたらすリスクファクター」には十二分に気を付けたい。

第三に、3月5日付け東洋経済オンラインが掲載したエコノミストの村上 尚己氏による「株価がかなり不安定になっている本当の理由 コロナ後のリスク巡り投資家の見方が大揺れ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/415094
・『世界の株式市場の値動きが荒くなっている。アメリカの長期金利上昇が懸念され、日本でも3万円の大台にのせた日経平均株価が2月26日に3万円を割り込んだ後、3月4日には2万9000円も下回った。 アメリカの10年物国債金利は2月25日に1.6%に一瞬達する急騰をみせた後、翌日には1.4%前後に低下するなど、高い変動率を伴いながら約1カ月で約0.4%も上昇した。 オファー・ビット(売り手の希望価格と買い手の希望価格)の価格差が広がるなど債券市場の流動性が低下したことが、米欧の長期金利の大きな変動をもたらしたとみられる。多くの債券投資家が想定していた水準を超えて長期金利が上昇したことで、需給悪化への思惑から売りが売りを呼んだのだろう。そして、妥当な金利水準が不明になり投資を手控える動きが強まったことも、パニック的な売り(大幅な金利上昇)を招いた』、「アメリカの10年物国債金利」が「約1カ月で約0.4%も上昇」、まさに「パニック的な売り」だ。
・『なぜ「新たな材料」もないのに長期金利が上昇したのか  もっとも、今年1月半ばから、アメリカの経済動向そして金融財政政策など、本来長期金利に影響する重要かつ新たな材料はほとんどないので、ファンダメンタルズ要因で最近の金利上昇を直接説明することは難しい。 実際には、アメリカ経済正常化が実現するとの思惑は、昨年の大統領選挙後から、金融市場の中ではくすぶっていたのだろう。そして、2月19日のコラム「アメリカで『ひどいインフレが起きる』は本当か」で紹介した、ジョー・バイデン政権が打ち出した財政政策がインフレをもたらすリスクを指摘するハーバード大学のローレンス・サマーズ教授の発言などが報じられ、経済状況を改めて認識した債券投資家の心理が揺らいだとみられる。 もちろん、バイデン政権が拡張的な財政政策を掲げていることは、昨年からすでにはっきりしていた。 同政権による財政政策などがアメリカの経済成長率を押し上げると筆者は予想しており、大統領選挙直後から株高が続くと見込んだが(2020年11月13日のコラム「2021年も米国株は上昇するといえる充分な理由」)、ほぼ想定通り、年明け以降も株式市場は順調だ。 債券市場の投資家は、株式市場の値動きを横目にしていたが、アメリカの経済回復シナリオに対して総じて懐疑的にみていたのだろう。そして、連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和強化が続くので、低金利が永続するかのような幻想が広がっていたように思われる』、「バイデン政権が打ち出した財政政策がインフレをもたらすリスクを指摘するハーバード大学のローレンス・サマーズ教授の発言」は、確かに「債券市場の投資家」、にとって大きなショックだったのだろう。
・『なぜ債券市場の心理はインフレ警戒へと転じたのか  その結果、FRBの金融緩和と政府の財政政策が、将来の経済回復やインフレ上昇をもたらす、経済の教科書通りの「動的な視点」が希薄になっていたとみられる。 だが政策発動によって、経済成長率が高まるのはむしろ必然である。株式市場の投資家は景気循環の変動に敏感な一方で、債券市場がこの変化に鈍感になるケースはこれまでもたびたびあった。今回、それが繰り返されたのだと筆者は認識している。 また、2月中旬までの長期金利上昇は、インフレ期待の上昇が主たる要因だった。 ただ2月末に見られた大幅な金利上昇は、FRBの継続的な利上げが2023年に始まるとの予想が織り込まれながら、年限が短い短中期金利を含めて金利全般が上昇した。FRBメンバーの想定よりも早い2023年からの持続的な利上げを織り込むまでに、債券市場の心理がインフレ警戒方向へと真逆に転じたのである。) 市場参加者に対する最近の調査では、コロナ後のリスクはデフレよりもインフレとの見方に変わったことが示されていた。 こうしたなかで、年初までみられた「金融緩和が徹底されるので、アメリカの長期金利は日本同様に上がらないとの極端な見方」から、「コロナ後にはインフレが加速するのでFRBが早々に利上げに踏み出さざるをえなくなるとの見方」へと、真逆の方向に転じた。こうした投資家の期待のスイングを意味する最近のアメリカの金利上昇は、スピード違反だと筆者は考えている。 コロナ克服後(コロナ克服には時間がかかるリスクは残っている)の経済状況、インフレ率に関して、この3カ月で筆者自身の見方はほとんど変わっていない。昨年11月の大統領選挙でバイデン氏が勝利し、ほぼ同時期に最先端技術で開発されたワクチンの良好な治験結果が示されたが、これらを超える大きな出来事はほぼないだろう。 2021年のアメリカ経済は5%近い高成長に加速すると筆者は予想しているが、一方で、インフレ率が持続的に上昇する可能性は低いと見ている。このため、インフレ警戒的に転じた債券市場が懸念する、FRBの想定が前倒しを迫られるような、インフレ上昇が起こる可能性は低いとみている』、「最近のアメリカの金利上昇は、スピード違反だと筆者は考えている」、「債券市場が懸念する、FRBの想定が前倒しを迫られるような、インフレ上昇が起こる可能性は低いとみている」、これらには違和感を感じる。
・『なぜインフレリスクは大きくないのか  そして、2月19日にも書いたが、元財務長官のローレンス・サマーズ氏が言及した、財政政策に起因するインフレリスクは大きくないと見ている。2021年に経済成長率が加速するとしても、基調的なインフレ率を左右する労働市場の回復が遅れる可能性が高いと考えているからである。 新型コロナによって産業構造が大きく変わるとみられるが、これに伴い雇用資源のシフトも同時に起こるだろう。アメリカの労働市場は日欧よりは流動的ではあるが、それでも雇用の産業を超えたシフトが進むには時間がかかると予想する。 つまり、労働市場が、FRBが目指す完全雇用に達するには、かなりの時間を要するのではないか。このため、大規模な財政政策の発動によって、いわゆる需給ギャップは縮小しても、それがインフレ率の上昇に直結しないと予想している』、「労働市場が、FRBが目指す完全雇用に達するには、かなりの時間を要するのではないか」、との筆者の見方は、私には楽観的過ぎるように思われる。
タグ:東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 株式・為替相場 (その11)(景気が悪いのにやたら株が高い「違和感」の正体 街で目にする風景と経済指標が異なるからくり、30年ぶり3万円台回復の日経平均 その要因と背後に潜む3つの危険因子、株価がかなり不安定になっている本当の理由 コロナ後のリスク巡り投資家の見方が大揺れ) 藤代 宏一 「景気が悪いのにやたら株が高い「違和感」の正体 街で目にする風景と経済指標が異なるからくり」 景気が悪いのに、株価が高い なぜ景気の実感と株価がズレるのか? 「景気」を何で捉えるかは難しい問題だ。 日経平均株価には外食は入っていない 「日経平均株価とコロナの直接的な関係が希薄であるという「そもそもの事実」」は説得力がある。 「1月のアメリカの小売売上高」に、「議会が昨年末に決定した1人当たり600ドルの給付金」が早くも出たというのは、さすが「アメリカ」らしい 「需要先食い」の懸念も 2021年後半にはIT関連材の需要ピークアウトも 2021年後半には、日本株上昇に大きく貢献してきたIT関連財の需要がピークアウトする可能性を視野に入れておく必要があるだろう』、妥当な見方のようだ 「30年ぶり3万円台回復の日経平均、その要因と背後に潜む3つの危険因子」 約30年ぶりに日経平均株価が3万円台に上昇 「このまま調整が一時的なもので済むのか、いずれかの段階で本格的な調整が入るのか、瀬戸際にある」、その通りだ 日経平均株価3万円台回復の2つの要因 「カネ余り」と「世界経済回復への期待」 「ペントアップデマンド」、とは実際にはそれほど確実なものではなく、消えてしまうものもある 今年後半のわが国企業の業績拡大を予想する海外投資家 「わが国の株価上昇は、先行きへの強気な見方に加えて、ITから在来産業へのセクター・ローテーションに影響されている部分もある」、 「わが国」は「IT部門」が弱いので、「セクター・ローテーション」は確かに「わが国」にはプラスの効果があったということなのだろう 無視できない株価調整の3つのリスク要因 「株価の調整圧力をもたらすリスクファクター」には十二分に気を付けたい。 村上 尚己 「株価がかなり不安定になっている本当の理由 コロナ後のリスク巡り投資家の見方が大揺れ」 「アメリカの10年物国債金利」が「約1カ月で約0.4%も上昇」、まさに「パニック的な売り」だ なぜ「新たな材料」もないのに長期金利が上昇したのか 「バイデン政権が打ち出した財政政策がインフレをもたらすリスクを指摘するハーバード大学のローレンス・サマーズ教授の発言」は、確かに「債券市場の投資家」、にとって大きなショックだったのだろう なぜ債券市場の心理はインフレ警戒へと転じたのか 「最近のアメリカの金利上昇は、スピード違反だと筆者は考えている」 「債券市場が懸念する、FRBの想定が前倒しを迫られるような、インフレ上昇が起こる可能性は低いとみている」、これらには違和感を感じる なぜインフレリスクは大きくないのか 「労働市場が、FRBが目指す完全雇用に達するには、かなりの時間を要するのではないか」、との筆者の見方は、私には楽観的過ぎるように思われる
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保険(その3)(問われる保険営業 大量採用 大量離職に歯止めはかかるか 再燃するハローワーク前の「採用活動」、被害総額は20億円超 全契約の調査実施へ 第一生命 営業職員「巨額金銭詐取」の深い闇、第一生命「巨額詐取事件」、調停で解決のゆくえ 解明には時間、被害者は「即時全額一括賠償を」、なぜ4万人も辞めていくのか ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨) [金融]

保険については、2019年7月2日に取上げた。今日は、(その3)(問われる保険営業 大量採用 大量離職に歯止めはかかるか 再燃するハローワーク前の「採用活動」、被害総額は20億円超 全契約の調査実施へ 第一生命 営業職員「巨額金銭詐取」の深い闇、第一生命「巨額詐取事件」、調停で解決のゆくえ 解明には時間、被害者は「即時全額一括賠償を」、なぜ4万人も辞めていくのか ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨)である。

先ずは、本年1月28日付け東洋経済Plus「問われる保険営業 大量採用、大量離職に歯止めはかかるか 再燃するハローワーク前の「採用活動」」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26001/
・『第一生命保険で起きたベテラン営業職員による巨額の金銭詐取事件。コロナ禍で営業活動をどのように進めていくのかーー。業界内で20数万人が在籍する生命保険会社の営業職員のあり方がいま問われている。 「保険の営業に興味はないですか」仕事を求める人々が集まるハローワーク前で、生命保険会社の営業職員が採用活動を行って問題になっている。 緊急事態宣言が再発令された1月。都内のハローワーク前で、パンフレットを片手に失業者に声をかける女性営業職員の姿が見られた。 墨田区にあるハローワーク墨田の担当者は「近くの交差点で複数の女性が立っているのをよく見かける。求職者からクレームが入ったこともあるが、敷地外なのでどうすることもできない」と困惑気味の表情で話す』、「ハローワーク前で、パンフレットを片手に失業者に声をかける女性営業職員の姿が見られた」、路上の勧誘にまで走るとは生保も落ちたものだ。
・『営業職員の採用に「ノルマ」  2020年10月には那覇市内のハローワーク前で、複数の営業職員による勧誘行為が行われ、警察官が乗り出す事態に発展した。那覇市役所に「失業中の人たちを食い物にしている行為は許しがたい」という相談が届き、市が警察に情報提供したのだ。 ハローワーク前での勧誘行為は過去から綿々と行われており、苦情を受けた各地のハローワークも生命保険会社に苦情を伝えたり、入り口に勧誘行為を禁止する警告文を掲示してきた。一時は勧誘を手控える動きも出てきたが、コロナ禍で職を失う人が増えてきたこともあり、「ハローワーク前の採用活動」が再燃している。 声がけしているのは、生保で保険販売を担当する営業職員だ。本来保険販売が本業であるはずの営業職員がなぜ、ハローワーク前の採用活動にいそしんでいるのだろうか。 1つはノルマだ。多くの生保では、営業職員は保険契約の獲得のほかに、新しい人材を採用できれば、成績としてカウントされる。所属する営業拠点のノルマにも貢献できる。営業職員は保険の契約を取ってくることだけが仕事ではない。保険会社は、同僚を増やすことで評価と給与が上がる仕組みをとっている。 ある大手生保で働く50代の女性営業職員は、新規の営業職員を採用できずに悩んでいたところ、営業拠点の責任者であるマネージャーから「コロナで失業者が多いはずだから、ハローワークの前で立っていれば」とアドバイスを受け、「むしろ悩みが深くなった」と打ち明ける。 会社側にとっても、つねに営業職員を採用しておかないと、ビジネスモデル自体が成り立たなくなるおそれがある。営業職員を販売チャネルの中心に据えている生命保険会社15社の合計で約23万7000人もの人々が在籍している(いずれも2019年度末)。 注目すべきは1年間に離職した人の数だ。2019年度の推計で、その数は約4.3万人に上る。つまり、離職した人の数と同程度の約4.5万人を採用することで、ようやく23万人超の在籍者数を維持できているとも言える。過去5年間を見ても、この傾向は変わらない。 2021年3月末も、大手生保4社(日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命)は在籍者数が増えるとの見通しを明らかにしている。例えば、明治安田生命は約7000人採用し、約3.5万人(2020年3月末は約3.3万人)にする』、「1年間に離職した人の数だ。2019年度の推計で、その数は約4.3万人に上る。つまり、離職した人の数と同程度の約4.5万人を採用することで、ようやく23万人超の在籍者数を維持できている」、なるほど。
・『離職率は2ケタ%  緊急事態宣言などの影響で、生保各社は2020年度上半期、営業自粛や採用活動自粛を余儀なくされた。多くの生保は4月~9月まで、新規契約などがとれなくても営業職員の給与を保証している。そのためか離職者は例年よりも少なく推移している。離職者が少ないことで、年間の採用数が減っても営業職員数を維持できる見通しだ。 各社は長年、営業職員の大量離職に頭を悩ませてきた。主要15社の離職率を計算すると、ソニー生命(7.2%)を除き、軒並み2桁%を超える。ここには定年退職による自然減や職務転換などの人数も含まれるが、高い生保だと30%を超える。 離職の多さは在籍率の低さを意味する。生保各社が営業職員の定着状況を把握するのに算出しているのが在籍率という数値だ。これは、ある年に採用された営業職員が、2年目(13カ月目)、3年目(25カ月目)にどのぐらい残っているかを示す割合のことを指す。 最大手の日本生命の在籍率は2年目73.8%、3年目52.0%、第一生命は同約69%、約48%だった(いずれも2019年度、ただし、在籍者数の定義が違うので両社の単純比較はできない)。平均的に言って、大手生保の在籍率は2年目70%前後、3年目50%前後。ざっくり言えば、10人のうち1年以内に3人が辞め、2年以内には半分の5人が辞める。採用から6年目(61カ月目)まで見ると、在籍率は20~25%まで下がる。つまり5年後に残っている営業職員は実に10人のうち2人にすぎない。 在籍率を向上させるため、各社は研修・育成プログラムを充実させたり、給与体系を見直してきた。こうした施策の成果は一定程度出ており、第一生命の2009年度の在籍率は2年目約56%、3年目約28%だったが、前述のように2019年度にはそれぞれ10~20%ポイントずつ改善した』、「5年後に残っている営業職員は実に10人のうち2人にすぎない」、とは改めて驚かされた。
・『採用はまず数の確保を優先  ただ、低い在籍率(=高い離職率)の根底には、生命保険会社のビジネスモデルに根ざす課題がある。営業職員に課される契約や採用のノルマはきつく、給与体系は成果に応じた歩合給の比重が高い。さらに、営業職員の数を確保することが優先されるため、採用候補者の「質」を厳選していないこともある。 「誰でもできますよ」(「営業経験なくても大丈夫です」「募集人になるための試験は難しくありません」 大手生保の販売チャネルを担う営業職員の勧誘は、このような常套文句で行われる。採用後は、1~3年程度の基本給は保証されるが、新規契約を獲得し続けなければ、その後の給与はどんどん下がっていく厳しい世界だ。「家族や知人、友人の契約を取り尽くしたら、とたんに営業に行くところがなくなった」。これは営業職員経験者の多くが感じたことだろう。 もちろん、営業職員としての適性は実際にやってみなくてはわからない。自分でも気がつかない潜在能力を発揮し、優秀な営業成績を上げる職員もいる。しかし、数合わせのための大量採用ありきでの募集では、営業職員1人あたりの生産性を上げることも容易ではない。 男性営業職員を中心に厳選採用を標榜するプルデンシャル生命とソニー生命と大手4生保を比較すると、職員1人あたりの生産性の差は歴然としている。大手4社の平均とソニー、プルデンシャルとでは実に4倍以上の開きがある』、「家族や知人、友人の契約を取り尽くしたら、とたんに営業に行くところがなくなった」、さもありなんだ。「プルデンシャル生命とソニー生命と大手4生保を比較すると、職員1人あたりの生産性」は「実に4倍以上の開き」、プロ営業員との差だろう。
・『大量採用、大量退職に歯止めはかかるか  ソニー、プルデンシャルは在籍率も高い。ソニーの2年目在籍率は93%、3年目は80%(2019年度)。プルデンシャルは厳選採用を徹底しており、「転職希望者や生保業界経験者は原則として採用していない。ほかの業界で優秀だと判断した人に声をかけて、当社のセッション(会社説明会)に参加してもらっている。そのうち、およそ10人に1人しか採用していない」(同社広報チーム)と話す。 これに対して、大手生保などは採用と研修を毎月繰り返している。唯一、住友生命が2011年度から営業職員の採用サイクルを四半期ごとに変更した。「5年後の在籍率は2020年度末で目標の25%に達する見通し」(広報部)と成果は出ているが、在籍率の向上にはさらなる工夫が必要だろう。 では今後、営業職員の大量採用・大量退職の傾向に歯止めはかかるのだろうか。各社は近年、銀行などの代理店や通販・ネットなど、新しい販売チャネルの開拓を進めている。だが、生保会社は対面営業をメインかつ最大の販売チャネルと位置づけており、実際のところ、営業職員経由の保険加入は依然として5割以上を占めている。 だが、コロナ禍はこうした営業職員頼みの販売に再考を迫っている。企業や家庭を訪問することが制限され、ウェブ会議ツールなどを使った非接触・非対面の営業を求められている。実際、営業職員の初期研修では「デジタルツール活用の非対面募集」というメニューが加わり、新たな知識や多様な営業スキルが求められるようになっている。 今こそ、大胆な改革に着手しなければ、営業職員チャネルは衰退していく危機に直面している』、「自動車保険や火災保険などの損害保険はインターネット経由に馴染み易いが、生命保険は馴染み難いのだろう。

次に、1月28日付け東洋経済Plus「被害総額は20億円超、全契約の調査実施へ 第一生命、営業職員「巨額金銭詐取」の深い闇」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26029/?utm_campaign=EDtkprem_2102&utm_source=edTKO&utm_medium=article&utm_content=210206&_ga=2.197981484.2032093983.1607135662-1011151403.1569803743
・『「当社の企業風土や体質そのものに問題があったと認識している。被害者の方々には深くお詫び申し上げる」 第一生命保険の稲垣精二社長は2020年12月22日、東京・日比谷の本社で行った記者会見で、元営業職員等による一連の金銭詐取事案についてこう陳謝した。 会見では、山口県の89歳の元営業職員による約19億5000万円の巨額詐取事件と和歌山県の元営業職員による約6000万円の詐取事件に加えて、福岡県や神奈川県などで新たに3人の社員が契約者に不正を働き、金銭詐取を行っていた事実が明らかにされた。これまでに判明した被害者は59人、被害総額は約20億7000万円にのぼる』、「89歳の元営業職員による約19億5000万円の巨額詐取事件」、にはわが目を疑った。その他も含め、これほど不祥事が相次ぐとは、「第一生命」はどうなっているのだろう。
・『2カ月で約700件の問い合わせ  被害の発覚が広がっている背景には、10月2日に山口県の元営業職員の金銭詐取事件が公表されたことで、それを見た契約者から「私も同じような事態になっていないか」など問い合わせが入っていることがある。同社のコールセンターには12月上旬までの約2カ月間で約700件の問い合わせがあったという。 12月の会見で稲垣社長は、「(今後も新たな不正が)発覚するかもしれない。もしわれわれが把握していないものがあれば、できるだけ早く表に出して解決したい」と語った。 同社の個人保険・個人年金保険の契約者数は約800万人。この全契約について、営業職員が金銭搾取などの不正が行われていないかの調査を行うという。今回発覚した事件と類似した手口で被害に遭っていないかどうか、契約者貸付制度や据置金の引き出しを利用した契約者を対象に調査する。 今回、第一生命で発覚した金銭詐取事案の多くは、「契約者貸付が(元営業職員に詐取された)資金の原資に使われていた」(第一生命の田口城・コンプライアンス統括部長)という共通の特徴がある。 契約者貸付とは、保険契約の解約返戻金の7~8割を上限に保険会社からお金を借りられる制度のことで、カードローンやキャッシングなどと比べても金利は比較的安い。 19億5000万円を詐取した山口県の不正事案では、「特別調査役」という肩書を得た元社員が契約者貸付などを利用させ、それを原資に架空の金融取り引きを持ちかけて金銭を搾取していた。そして、契約者1人を除き、すべて現金の手渡しの形で金銭を預かっていた。 また、和歌山県の事案では50代の元営業職員が契約者に無断で契約者貸付や解約などの手続きを行い、「誤って手続きをしたため、振り込まれたおカネを回収したい」と説明して、金銭を不正取得していた。 12月22日に新たに発表された福岡県の事案では30代の元営業職員が「金銭的な優遇制度がある」と契約者に持ちかけて、契約者貸付などの手続きに誘導していた。2019年4月からの5カ月間で被害者3人、被害額約865万円だった』、「契約者貸付」の悪用が共通しているとは驚いた。
・『優秀な営業職員に物言えぬ風土  こうした不正の背景について同社が12月に公表した報告書では、金銭授受を一切禁止するルールや不正行為の予兆を把握するための管理・監督が不十分だったことに加えて、特別調査役のように多くの新規契約を獲得する営業職員の特権意識を醸成させてしまったことや、成績が優秀な営業職員に対して社員が強くものを言えなかったことがあるとしている。 稲垣社長は「営業職員や営業現場を大切にするという風土が、逆にお客様にこのような迷惑をかけることになってしまった、表現は良くないかもしれないが、『性悪説』に立ってしっかり管理する必要があると経営陣一同が認識を改めている」と反省する。 第一生命の今回の問題は、営業職員を主力チャネルとする国内の生保各社にとっても対岸の火事ではないだろう。数千人から数万人単位の営業職員を管理する難しさは、ビジネスモデルに違いがない以上、変わりはないからだ。 こうした中、業界団体の生命保険協会は12月、国内の全生保42社に対して、営業職員チャネルのコンプライアンスの実態に関するアンケート調査を始めた。営業職員を抱える生保各社に、管理体制や不正防止の取り組み、予兆把握の方法などを調査する。第一生命の金銭詐取事件のように、高齢の営業職員の定年制度や認知判断能力についても尋ねている。 生命保険協会では「各社の実態を把握後、結果を各社にフィードバックするほか、対外的に公表することも検討したい」と話している』、「多くの新規契約を獲得する営業職員の特権意識を醸成させてしまったことや、成績が優秀な営業職員に対して社員が強くものを言えなかったことがある」、営業優先の職場では大いにありそうな話だ。「生命保険協会」の「アンケート調査」が対応策のヒントになればいいのだが・・・。

第三に、2月7日付け東洋経済オンライン「第一生命「巨額詐取事件」、調停で解決のゆくえ 解明には時間、被害者は「即時全額一括賠償を」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/410353
・『2020年秋に第一生命西日本マーケット統括部の元営業職員による巨額詐欺事件が判明してから約4カ月。被害者3人と第一生命による1回目の調停が2月4日、東京地方裁判所で行われた。 この日、総額で19億5000万円がだまし取られた複数の被害者のうち、1人の被害者が陳述した。 被害者は「元営業職員に詐取された生命保険金は、被害者の母が娘を想う親心から、人生をかけて必死に残してくれたものだ」「第一生命が恒常的に元営業職員を特別扱いし、しかるべき監督を怠り続けたことで事件が起きた」と述べたうえで、「この疲弊し、悲しみや憤りを抱えたままの状態から、一日も早く解放していただきたく、第一生命に対して即時全額一括賠償の調停案を示してほしい」と調停委員会で訴えた』、「第一生命」が直ぐに「和解」に応じず、「調停」中とは驚いた。
・『全容解明には時間がかかる  被害者らを支援する目的で結成された第一生命被害者弁護団も、「第一生命の重大な注意義務懈怠(けたい)が被害を生んだものであり、ただちに全額補填すべきである」などと強く主張した。 第2回の調停期日は4月8日に予定されており、調停委員会の解決案が提示される見込みだ。被害者弁護団は「本件はそれぞれの事実関係については争いのない事案だ。遅くとも次回期日において、第一生命が全額一括の返済をなすとの調停勧告を出していただきたい」(東京共同法律事務所の猿田佐世弁護士)と訴えている。 今回の巨額詐欺事件をめぐって第一生命は、被害者に対して返済されていない金額の3割を先行弁済(補償)するとしている。3割を超える部分の弁済については、被害者が利息を受け取っているケースもあり、実際の被害額の算出が難しいことから、裁判所の調停制度を利用して第三者による判断を求めていた。 第一生命は被害者への弁済について、「今後も調停の場で真摯に話し合いに応じていきたい。調停委員会の意見は最大限尊重したい」(広報部)と述べている。 同社では西日本マーケット統括部の元営業職員以外に、複数の元社員らによる詐欺事件が判明しており、今回調停で審議されている事案を含めて被害総額は約20億7000万円、被害者は59人にのぼる。 【2021年2月7日13時3分追記】元営業職員の所属部署について、表記のように修正いたします。 第一生命は現在、保険の加入者が利用できる契約者貸し付けの利用者などを中心に、詐取の類似事例がないかどうか、確認作業に着手している。この調査は2021年3月末には終える見込み。さらに、個人保険・個人年金保険の全契約者約800万人を対象にした調査を早期に開始し、「2022年3月までには全契約者の確認を終わらせたい」(同社広報)としている。 いずれにしても、巨額詐取事件の全貌解明には時間がかかりそうだ』、「第一生命」としても、早く終わらせたいところだろうが、「全契約者約800万人を対象にした調査」には確かに「時間がかかりそうだ」。

第四に、3月3日付け東洋経済Plus「なぜ4万人も辞めていくのか ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26326/?utm_campaign=EDtkprem_2103&utm_source=edTKO&utm_medium=article&utm_content=210303&_ga=2.254071051.2032093983.1607135662-1011151403.1569803743#tkol-cont
・『「きょうも1日、無駄な仕事をしたね」 2020年12月のある日、住友生命に勤める女性営業職員のAさんは、契約者宅を訪問した後、上司がつぶやいた一言に思わず耳を疑った。 Aさんがその日、契約者宅を訪れたのは、同社が提供する「ご家族登録サービス」の案内をするためだ。高齢の親などに代わって、事前に登録した家族が保険の内容を確認したり、各種手続きなどが可能になるサービスだ。 保険契約者のアフターフォローサービスの1つであり、高齢化が進むわが国の実情に合ったサービスだ。だが、この登録者を増やしたからといって、保険会社には一銭も入らない。保険の契約を獲得して初めて、保険会社は収入が得られるからだ。 冒頭の上司の一言は、Aさんがご家族登録サービスの案内と併せて、既存契約の保障の見直しや新商品を提案しなかったことを責めている』、「上司」は訪問前に「家族登録サービスの案内と併せて、既存契約の保障の見直しや新商品を提案」するようアドバイスすべきだった。
・『ノルマの達成度合いで「アメとムチ」  どの生命保険会社も、営業職員に対して営業成績や活動内容、勤務状況などに関して、事細かにノルマを設けている。営業職員の経験年数が長いほど、また資格が上位なほどノルマは厳しく、その達成度合いに応じて昇進や昇給などの「インセンティブ」と、減給や降格などの「ペナルティ」が与えられる。 インセンティブは、契約内容の確認や契約の保全手続きなど、比較的簡単な業務に対するものは低い。これに対し、新規契約の件数や保険料、獲得した保障額(保険金額)に対するインセンティブは高い。 生保各社や入社からの年数によっても異なるが、おおむね3カ月~半年ごとに、ノルマの達成度合いをチェックする「査定」(会社によっては「職選」という)があり、会社が規定したノルマをクリアできなければ、昇進できなかったり、給与が下がったりする。 一方、ペナルティで最悪の場合は、雇用契約が終了となる。毎年約4万人もの営業職員が業界を去っていくが、最大の理由はこのノルマにある。 生命保険業界で保険営業にかかわる営業職員や社員の人数は、近年は23~24万人で推移している(生保15社合計)。約4万人が毎年退職するのに人数が横ばいなのは、ほぼ同程度の人数が新たに大量採用されるためだ。 しかも多くの人は、査定をクリアできずに雇用契約が打ち切りになったり、査定の前に退職勧告を受けて退職に追い込まれたりしている。「離職」と言っても、自己都合で辞める人は少なく、会社によって辞めさせられるのが実態だ。それにも関わらず、「(退職の原因が主に従業員側にある)自己都合退職の扱いになることがほとんど」(複数の生保営業職員)なのだという。 営業職員には数多くのノルマが設定されており、保険契約を新たに取り続けなければ、会社で働き、営業職員として居続けることができない仕組みになっている。とくに、新たに営業職員になって最初にぶち当たるのが新規契約の壁だ。 家族や友人、知人に保険契約に加入してもらうことから始める営業職員も少なくない。冒頭のAさんも入社当時、上司から「家族や友達の契約を『自己基盤』として獲得していきなさい。よい商品なので、自分の大切な人に勧めないのは失礼だよ」と言われたという。 ここでいう「よい商品」とは、同社が2018年から会社を挙げて推進している健康増進型保険「Vitality(バイタリティ)」のことだ。Aさんも健康になれば保険料が安くなるという点で、先進的な商品だと思ったが、「勧めないと失礼だよ」という言葉には強い違和感を持った。それでもノルマをクリアするため、家族が加入していた他社の死亡保険契約をバイタリティに切り替えたという』、「「離職」と言っても、自己都合で辞める人は少なく、会社によって辞めさせられるのが実態だ。それにも関わらず、「(退職の原因が主に従業員側にある)自己都合退職の扱いになることがほとんど」、厳しい現実だ。
・『ノルマの重さに押しつぶされる  業界最大手の日本生命の場合は、入社後の一定期間は家族の契約をとってはいけないことになっている。その代わりに既契約者が割り当てられ、その既契約者を対象に営業活動を行う。2020年に同社に入社した営業職員Bさんも「新規契約の件数だけでなく、日々の活動にまで基準が設けられていることに驚いた」ともらすほど、ノルマの重さに押しつぶされそうな日々を送っている。 Bさんの場合、入社してすぐに、既契約者約100人を任された。ほどなくして、会社が決めた厳しいノルマがあることを知った。具体的には、1年に1回、契約内容の確認や保障の見直し、新商品の提案などをする「ご契約内容確認活動(GNKK)」を行い、対面での訪問比率などを満たせないと、担当地域を外されてしまうのだ。 だが、Bさんの所属する営業拠点は、1月に入って2回目の緊急事態宣言下にある。Bさんは、「契約者に連絡をしても、コロナが怖いからと言って会ってくれない。でも直属の上司や営業部長からは対面が前提だと言われる。基礎疾患がある高齢者に対しても『とにかく会うように』と言われたときは、信じられなかった」と話す。 日生の場合、成績に対するノルマも厳しい。入社から6カ月以内で、「新契約の獲得4件以上」「事故欠勤日数9日未満」「職務ポイント30点以上」のすべてをクリアしないといけないと規定されている。2年目、3年目になるに従ってノルマはさらに厳しくなり、「件数に加えて保険金額や保険契約の継続率まで上乗せされる」(入社4年目の営業職員Cさん)。 ちなみに、事故欠勤とは無断欠勤や自己都合欠勤などを指し、職務ポイントとは、損害保険商品も含めた新規契約の獲得や面談した顧客の数、GNKKの件数などを独自にポイント化したものだ。 ただし、現在、コロナ禍を考慮して特例措置がとられており、前述の3つのノルマをクリアできなくてもただちに雇用契約終了となることはない。特例措置が終われば、コロナ禍前と同様、成績や活動状況に応じて雇用契約が継続されるかどうかが決まる。 「毎日の朝礼で、全員に配られる成績表を見ながら、上司に責められることもあります。その数字を見るのが怖くてしかたありません」とBさんは言う』、生保の「毎日の朝礼」はPDCAの厳しいチェックの場のようだ。
・『5年以内に10人中8人が辞めていく  生保各社は、営業職員の定着状況を把握するのに「在籍率」という数字を使っている。大手生保で言えば、在籍率は2年目が約7割、3年目が約5割、6年目が約2割というのが平均的な値だ。つまり、10人のうち1年以内に3人が辞め、2年以内には5人、5年以内には8人が辞める。 離職率がこれほど高いのは、前述のような厳しいノルマのせいだが、驚くべきは、多くの営業職員が入社時にこうしたノルマについて、きちんとした説明を受けていない実態だ。 「ノルマがあるのかと聞いても具体的な話は何もなく、『心配ない。誰でも達成できる』とだけ言われた」(Aさん) 「『ノルマはないよ。アフターフォロー中心だから』と言われて信用した」(Bさん) Aさん、Bさん以外にも、他の生保各社も含めた多くの営業職員が「入社前には、正社員であることや社会保障があること、最初は固定給があること、子育てしやすいことなど、メリットばかり強調された。給与は事業所得になるため経費負担が発生すること、ノルマによって給与が変動すること、土日に契約者と会うこともあることなど、デメリットについての説明はいっさいなかった」と口をそろえる。中には「採用担当者にだまされた」と批判する人もいる。 顧客との接点になる営業職員が、生命保険会社に対して不信感を抱き続けていては、顧客に満足してもらう保険サービスを提供することなどできない。また、新契約の獲得に重いノルマがあることで、名義借契約(第三者の名義を借りて、保険契約を結ぶこと)や架空契約(架空の名義を使用し、保険契約を結ぶこと)など不正契約の誘引を与えてしまっている。 生保各社は「顧客基点の業務運営」の達成を高らかにうたい上げている。だが、これを実現するには、数十年前から綿々と続く、保険営業の「ノルマ至上主義」を改める必要がある』、「多くの営業職員が入社時にこうしたノルマについて、きちんとした説明を受けていない実態」、とは驚かされた。「数十年前から綿々と続く、保険営業の「ノルマ至上主義」を改める必要」、なかなか難しいのだろう。
タグ:保険 東洋経済オンライン (その3)(問われる保険営業 大量採用 大量離職に歯止めはかかるか 再燃するハローワーク前の「採用活動」、被害総額は20億円超 全契約の調査実施へ 第一生命 営業職員「巨額金銭詐取」の深い闇、第一生命「巨額詐取事件」、調停で解決のゆくえ 解明には時間、被害者は「即時全額一括賠償を」、なぜ4万人も辞めていくのか ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨) 東洋経済Plus 「問われる保険営業 大量採用、大量離職に歯止めはかかるか 再燃するハローワーク前の「採用活動」」 「ハローワーク前で、パンフレットを片手に失業者に声をかける女性営業職員の姿が見られた」、路上の勧誘にまで走るとは生保も落ちたものだ 営業職員の採用に「ノルマ」 「1年間に離職した人の数だ。2019年度の推計で、その数は約4.3万人に上る。つまり、離職した人の数と同程度の約4.5万人を採用することで、ようやく23万人超の在籍者数を維持できている」 離職率は2ケタ% 「5年後に残っている営業職員は実に10人のうち2人にすぎない」、とは改めて驚かされた。 採用はまず数の確保を優先 「プルデンシャル生命とソニー生命と大手4生保を比較すると、職員1人あたりの生産性」は「実に4倍以上の開き」、プロ営業員との差だろう 大量採用、大量退職に歯止めはかかるか 「自動車保険や火災保険などの損害保険はインターネット経由に馴染み易いが、生命保険は馴染み難いのだろう。 「被害総額は20億円超、全契約の調査実施へ 第一生命、営業職員「巨額金銭詐取」の深い闇」 「89歳の元営業職員による約19億5000万円の巨額詐取事件」、にはわが目を疑った。その他も含め、これほど不祥事が相次ぐとは、「第一生命」はどうなっているのだろう 2カ月で約700件の問い合わせ 「契約者貸付」の悪用が共通しているとは驚いた。 優秀な営業職員に物言えぬ風土 「多くの新規契約を獲得する営業職員の特権意識を醸成させてしまったことや、成績が優秀な営業職員に対して社員が強くものを言えなかったことがある」、営業優先の職場では大いにありそうな話だ 「生命保険協会」の「アンケート調査」が対応策のヒントになればいいのだが・・・ 「第一生命「巨額詐取事件」、調停で解決のゆくえ 解明には時間、被害者は「即時全額一括賠償を」」 「第一生命」が直ぐに「和解」に応じず、「調停」中とは驚いた 全容解明には時間がかかる 「第一生命」としても、早く終わらせたいところだろうが、「全契約者約800万人を対象にした調査」には確かに「時間がかかりそうだ」 「なぜ4万人も辞めていくのか ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨」 「きょうも1日、無駄な仕事をしたね」 「上司」は訪問前に「家族登録サービスの案内と併せて、既存契約の保障の見直しや新商品を提案」するようアドバイスすべきだった ノルマの達成度合いで「アメとムチ」 「「離職」と言っても、自己都合で辞める人は少なく、会社によって辞めさせられるのが実態だ。それにも関わらず、「(退職の原因が主に従業員側にある)自己都合退職の扱いになることがほとんど」、厳しい現実だ ノルマの重さに押しつぶされる 生保の「毎日の朝礼」はPDCAの厳しいチェックの場のようだ 5年以内に10人中8人が辞めていく 「多くの営業職員が入社時にこうしたノルマについて、きちんとした説明を受けていない実態」、とは驚かされた 「数十年前から綿々と続く、保険営業の「ノルマ至上主義」を改める必要」、なかなか難しいのだろう。
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暗号資産(仮想通貨)(その17)(ビットコイン暴落 投資家は「全てを失う覚悟を」(英規制当局)、ビットコイン爆騰 それはバブルの再来なのか イーロン・マスクの「支持表明」から再上昇、JPモルガン ビットコインでのヘッジを提案-ポートフォリオの1%、ビットコインはやはりバブルか?怪しい高騰の背景に「従来とは異なる事情」) [金融]

暗号資産(仮想通貨)については、昨年12月1日に取上げた。今日は、(その17)(ビットコイン暴落 投資家は「全てを失う覚悟を」(英規制当局)、ビットコイン爆騰 それはバブルの再来なのか イーロン・マスクの「支持表明」から再上昇、JPモルガン ビットコインでのヘッジを提案-ポートフォリオの1%、ビットコインはやはりバブルか?怪しい高騰の背景に「従来とは異なる事情」)である。

先ずは、本年1月12日付けNewsweek日本版が掲載した「ビットコイン暴落、投資家は「全てを失う覚悟を」(英規制当局)」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/01/post-95378_1.php
・『一部の事業者がリスクを軽視し、巨額の利益を謳って小口投資家をカモにしている、とも警告> ビットコインなどの暗号通貨(仮想通貨)に投資している人は、全てを失う覚悟をしておくべきだ――イギリスの金融規制当局は1月11日、こう警告した。 英金融行動監督機構(FCA)は、過去数カ月にわたって急騰していた暗号通貨の価格が、週末にかけて急落したことを受けて、11日に警告を発信。「暗号資産への投資、ないし暗号通貨関連の投資や融資は一般に、きわめて高いリスクを伴う」と声明で指摘。「消費者がこの種の金融商品に投資を行う場合には、全てを失う覚悟をしておくべきだ」と述べた。 しかしロンドン在住のアナリストは、ビットコインのファンダメンタルズ(基礎的条件)は依然として強く、機関投資家は今後も暗号通貨を保有し続けるだろうと考えている。 ロンドンにある外国為替・暗号資産調査会社「クオンタム・エコノミクス」のビットコイン・アナリスト、ジェイソン・ディーンは本誌に宛てたコメントで、「強気相場における調整局面は一般に健全なものと考えられている。トレーダーはここでポートフォリオのリバランスを行い、次の段階に備えることができる」と説明。「登山家が次のポイントを目指す前にひと休みするようなものだ」と述べた』、「調整局面」を「「登山家が次のポイントを目指す前にひと休みするようなものだ」、とは強気筋らしい見方だ。
・『FCA「換金できる保証なし」  さらに彼は、週末の価格急落は、小口投資家と機関投資家の相場観の違いによるものだと指摘した。 「手持ち資金の少ない個人投資家や、暗号資産について十分に理解していない投資家は、こういう状況になると売る傾向がある」と彼は説明。「だがこの価格下落を利用して、ビットコインの買い増しをする投資家もかなりの数にのぼるだろう」 英FCAは、暗号通貨には投資の原則が通用しない可能性があると指摘。「換金できるかどうかは市場の動向次第」であり、個人投資家が「暗号通貨を換金できる保証はない」と警告した。 JPモルガンは1月4日のリポートで、ビットコイン価格が14万6000ドルまで高騰する可能性があると予想していた。だが8日に4万1962.36ドルをつけて過去最高値を更新したビットコイン価格は、週末の取引では3万1045.70ドルへと約26%急落した。 バンク・オブ・アメリカは、ビットコインは「全てのバブルの母」の可能性があると警告。1990年代後半に始まったドットコム・バブルとその崩壊、約12年前の米住宅バブル崩壊やそれに続くサブプライムローン危機を引き合いに出し、警戒を呼び掛けた。) 英FCAは暗号通貨への規制や監督を強化しており、6日から暗号通貨を基に組成されるデリバティブ(金融派生商品)の個人向け販売を禁止。暗号通貨を扱う事業者はFCAへの登録を必須とし、登録していない事業者が投資を勧めれば「犯罪行為」になると警告している。 またFCAは、一部の事業者がリスクを軽視し、巨額の利益を謳って小口投資家をカモにしているとも警告した。 「高リスクで投機的な投資を行うにあたって、消費者は自分が何に投資をするのか、どのようなリスクがあるのか、規制当局によるどのような保護が適用されるのかをきちんと理解しておかなければならない」とFCAは述べ、「すぐに投資をとプレッシャーをかけられたり、話がうますぎたりする場合には用心すべきだ」と呼びかけた。 しかしクオンタム・エコノミクスのディーンは、市場の調整は健全なものだと主張。抜け目ない投資家がここで買い増しを行うことで、ビットコイン市場はさらに堅調になるだろうとの考えを示した。価格は下落したもののビットコインのファンダメンタルズは強いままで、「主に機関投資家からの需要があり、個人投資家もその後に続きつつある」と彼は指摘した』、「バンク・オブ・アメリカ」による「ビットコインは「全てのバブルの母」の可能性がある」との警告は出色だ。
・『供給量の約8割が流動性なし  ディーンはさらに、ビットコインは今や機関投資家の運用資産の一部になっているとも述べた。「聞くところによれば、多くの機関投資家はビットコインを恒久的に保有し続けるつもりだと言っている。暗号資産データ提供企業のグラスノードは最近の報告書で、ビットコイン資産全体の78%が『非流動的』だと指摘した。つまり価格にかかわらず、すぐに売買される可能性は低いということだ」 「テクニカル分析と投資家心理の両方に照らして、市場の調整局面入りはしばらく前から想定の範囲内だった」とディーンは述べ、「だが我々としては、調整局面はこれまでに比べて価格の下落幅が小さく、短期間で済む可能性が高いと考えている」とつけ加えた。 ディーンはまた、今回の価格下落を受けて、ビットコインを「単なる投機対象」で「通貨ではない」と結論づけるのは誤りだとも述べた。「ビットコインは支払い方法と支払いメカニズムがひとつになったものだ」と彼は指摘。「従来の通貨の定義には当てはまらない」前例のないものだから「規則もないし、評価する上での比較対象もない」と述べた』、「供給量の約8割が流動性なし」とは、まるで持ち合い株式のようだ。「ディーンの見方はやはり強気一辺倒なようだ。

次に、2月7日付け東洋経済プラス「ビットコイン爆騰、それはバブルの再来なのか イーロン・マスクの「支持表明」から再上昇」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26126
・『「デレマスの輿水幸子」の次に“推した”のはビットコインだった――。電気自動車メーカーのテスラCEOで世界的大富豪でもあるイーロン・マスク氏の発言がSNS上をざわつかせている。 アイドル育成ゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」(デレマス)のキャラクター画像をマスク氏がツイートしたのは1月中旬のこと。ツイートをめぐってはその真意を探ろうと臆測が飛び交い、ゲームを制作しているバンダイナムコホールディングスの株価を上げた、との見方まで出た。 そのマスク氏が2月1日、音声版ツイッターといわれる「クラブハウス」でビットコインについて言及。「私はビットコインのサポーターだ」「ビットコインは金融界の人々からも受け入れられる直前にある」と述べた。この発言を受けて、ビットコイン価格は一時跳ね上がった』、日経新聞によればこの他にも「販売代金をビットコインで受け入れる」と言明したようだ。
・『金融界の投資マネーが主役に  暗号資産情報サイトの「コインマーケットキャップ」によると、ビットコイン価格は2021年1月8日に440万円台の史上最高値をつけた。その後は調整が入り300万台に下がったが、足元では再び400万円に迫っている。ビットコイン価格が初めて200万円を突破した2017年の相場は「仮想通貨バブル」と呼ばれる(2020年の資金決済法の改正で、法令上の呼称が「仮想通貨」から「暗号資産」になった)。価格上昇を牽引したのは日本や韓国の個人投資家だった。 暗号資産を簡単に言うと、ネット上でやりとりできる「財産的価値」。ドルや円などの法定通貨と交換できるが、暗号資産そのものに価値が保証されているわけではない。従って、需給で価格が上下に大きく動く。 急騰を呼んだ2017年当時との大きな違いは、マスク氏の発言にあるようにアメリカを中心とした金融界からの投資マネーが相場の主役になりつつあることだ。暗号資産情報サイトによると、直近のビットコインの取引に占めるドルの割合は全体の約7割を占める。 投資マネーの代表例が「グレイスケール」というアメリカのファンドだ。同ファンドを通じて機関投資家の資金が暗号資産に流入している。その額は2020年の1年間で57億ドル(6000億円)に上り、ビットコインで運用するファンドの運用資産残高は直近で230億ドル(2.4兆円)に達した。 また、海外の報道によれば、生命保険のマスミューチュアルなど伝統的な機関投資家もビットコインの保有に乗り出している。これらの機関投資家は、中長期のスパンで資金を投じていると考えられるため、容易には売りに回らず相場を下支えする保有者とみられている。 事業会社も動きつつある。データ分析を手がけるナスダック上場企業のマイクロストラテジーは、2020年に入ってからビットコインに2000万ドル(21億円)を投じた。過去に投資した分も合わせて2800億円分を所有している。同社CEOのマイケル・セイラー氏は、「株主に1000億ドルの利益を提供したければ、テスラのバランスシートをドルからビットコインに転換してみて」とツイッターでマスク氏に呼びかけた人物だ。 クジラと名付けられた大口投資家たち(これら大口投資家の動向は、ビットコインアドレス(口座番号のようなもの)からもわかる。顧客口座数でアメリカでトップクラスの暗号資産交換所「クラーケン」は、100ビットコイン(約4億円)以上を持つアドレスをその存在感の大きさから「クジラ」と定義。グループ内の調査組織でアドレス数とそのアドレスが保有しているビットコインの量を調べている。 データによると、2017年相場と比べてクジラの数は約1割少ない反面、そのビットコイン保有量は当時を上回っている。保有量は現在のビットコインの発行量の約6割を占める。2020年の1年間での保有量の増加幅は2%。わずか2%増とはいえ、「ビットコイン価格がこの間上がっているので投下している資金額は相当な額になるはず」と、クラーケン・ジャパンの代表である千野剛司氏は話す。 機関投資家を中心にビットコイン投資に動くのは、インフレ懸念の高まりが背景にある。新型コロナ感染拡大を受けてアメリカでも景気対策として巨額の金融緩和と財政出動を行った。その結果、ドル安が進み、金(ゴールド)などとともにインフレ回避に有効な資産としてビットコインに注目が集まった』、「ビットコインで運用するファンドの運用資産残高は直近で230億ドル(2.4兆円)に達した」、「ビットコイン」価格が金融資産価格とは無関係に動くため、代替投資(オールタナティブ投資)として、資産の一定量を投資することになったようだ。
・『一方、日本では以前のような過熱感がない。暗号資産の国内交換業大手・コインチェック社長の蓮尾聡氏によると、「取引量は2倍、3倍と増えているが、そこまでの盛り上がりはない」という。仮想通貨バブル崩壊後、200万円を超えたビットコイン価格が30万円台まで下がったことで憂き目をみた人も多かったため、慎重姿勢のようだ。だが、裏返すと「個人の買い余力はまだまだある」(蓮尾氏)。 では、今回は「かつてのバブル相場と違う」と言えるのか。蓮尾氏は、「ビットコインは根源的価値がはっきりせず、主に市場での需給で価格が決まるために(今がバブルかどうかは)わからない」と話す。ただ、440万円まで上がった後に調整に入ったので「まだ安心できる」と、市場が冷静さを保っていることに期待する。 国内交換業大手・ビットバンク社長の廣末紀之氏はさらなる価格上昇を見込む。着目するのがビットコインの「半減期」だ。これはビットコイン特有の仕組みで、一定期間(半減期)ごとにネット上で新規に供給されるビットコインの量が減っていくことを意味する。半減期を経るたびに希少性が高まり、市場価格は上がるという理屈が成り立つ。 「過去の半減期では17~18カ月、強気相場が続いた」(廣末氏)。2012年11月の半減期では暗号資産マニアが買いの主体となり、その後の17カ月でビットコイン価格が50倍になった。2016年7月の半減期ではその後の18カ月で価格が30倍になった。時期は仮想通貨バブルと重なる』、なるほど。
・『「上昇相場」はいつまで続くか  直近の半減期は2020年5月。廣末氏は過去よりも上昇率は下がるものの、「強気相場」は18カ月程度続くとみる。強気予想は既存の金融界の中にもある。報道によると、アメリカのシティバンクの幹部はビットコイン相場のチャート分析に基づき、2021年末までに価格が30万ドル(3150万円)を超える可能性があるとした。 ただ、金融当局は警鐘を鳴らす。イギリスの金融規制当局(金融行動監督機構)は、「暗号資産の価格の大幅な変動は、暗号資産の価値を評価する難しさと相まって、消費者を高いリスクにさらす」と指摘。「消費者が投資を行う場合にはすべてを失う覚悟をしておくべきだ」と警告している。暗号資産はその価値を信じる人たちの取引から価格が成立しているため、極論するならば、「気づいたら無価値になっていた」というリスクがあることには注意すべきだろう。 他方、情報に限らず金銭的な価値までネット上でやり取りする「価値のインターネット化」が進んでいくことを見越すと、ビットバンクの廣末氏は、アメリカにビットコインが集まりつつあることを懸念している。こうして集まったビットコインを基に新たな金融サービスも出てくるからだ。対する日本では暗号資産の交換業以外の事業がほぼ育っていない。それだけに、ドルベースのビットコイン取引拡大が今後も続くのかが、暗号資産価格や市場としての将来性を占う大きなカギとなりそうだ』、「ビットバンクの廣末氏は、アメリカにビットコインが集まりつつあることを懸念している」、どこに集まろうが、交換通貨が何になろうが、投資家にとってはどうでもいい筈である。投資の世界で国粋的になるのは間違っている。

第三に、2月26日付けBloomberg「JPモルガン、ビットコインでのヘッジを提案-ポートフォリオの1%」を紹介しよう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-02-25/QP3BJ1DWLU6Z01
・『ポートフォリオ多様化の手段としてビットコインの活用を提案するウォール街の企業に、JPモルガン・チェースが加わった。 ジョイス・チャン氏、エイミー・ホー氏らJPモルガンのストラテジストは24日付けのリポートで、「マルチアセットのポートフォリオでは全体的なリスク調整後リターンを効率的に上昇させるために、最大1%を仮想通貨に配分することは可能だろう」とした。 仮想通貨は比較的新しく値動きも激しいが、他資産との相関性があまりなく、良好なヘッジになり得る。元米連邦準備制度のスタッフで、現在はコーナーストーン・マクロで政策分析を率いるロベルト・ペルリ、ベンソン・ダラムの両氏はデジタル資産を一部加えることで株式ポートフォリオのボラティリティーは大抵抑えることができるとの結論に至った。 一方で、仮想通貨の有用性には限界もあるとJPモルガンのストラテジストは指摘した。 「仮想通貨は投資対象であり、調達通貨ではない」とし、「従って通貨でマクロイベントをヘッジしようと考えるなら、仮想通貨でなく円やドルなどの調達通貨を通じたヘッジを推奨する」と論じた』、あの「JPモルガン・チェース」が「ビットコインの活用を提案」したとは驚いた。やはり代替資産としての運用を推奨しているようだ。 

第四に、2月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「ビットコインはやはりバブルか?怪しい高騰の背景に「従来とは異なる事情」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/263884
・『いつの間にか再び高騰 ビットコインはバブルなのか  ビットコインの価格がいつのまにか高騰していることが、話題になっています。 2017年12月にビットコイン価格が1ビットコイン=200万円を超え、いわゆる「億り人」がたくさん誕生し、「ビットコインバブルだ」と話題になったことがありました。その後の相場はわずか3カ月で100万円を割り込み、1年後の2018年12月には40万円近辺まで暴落しました。 仮想通貨には、政府の発行する通貨のような裏付けがありません。その経済的実体がない仮想通貨が、投資先として人気になる状況自体を「バブルだ」と人々は感じ、高騰した価格があっという間に5分の1に暴落すると、「それは当然のことだ」と口にしたものです。 ただ興味深いことに、ビットコインの暴落はそれが底であり、その後相場は100万円近辺に戻り、安定の様子を見せていました。仮想通貨があくまで仮想的な存在であれば、暴落の時点で無価値になってしまってもおかしくはないはずですが、実際にはそうはならなかった。つまりビットコインには、一定の価値があったようです。 その価値が何なのかは後述するとして、先に最近のビットコイン相場の話をしておきます。日本のビットコイン大手取り扱い業者であるビットフライヤーのチャートを見ると、その後ビットコイン価格は反転して、2019年6月には一時100万円を超えます。そこからまた上下して、新型コロナ禍が始まる直前の2020年1月には、ちょうど100万円の水準に戻っています。 さて、コロナではビットコインは株価と同じような動きを見せます。パンデミック当初はビットコイン価格も一時急落しますが、その後価格は安定します。4月から10月までのチャートを見ると、ビットコイン価格は95万円から120万円の間でゆっくりと上昇していました。 そしてその後、2020年11月からビットコインは急騰を始めます。12月頭に200万円に到達したかと思ったら、2021年1月頭に390万円台まで上がります。そこから緩やかに価格が下がっていったので、「ああ、ここが頂点だったみたいだな」と感じていたところ、2月に再び急上昇を始めます。 2月22日には、614万円の市場最高値に到達したところで調整が入り、本稿を執筆している2月24日時点では、540万円前後で取引が行われている最中です。 なぜ、ビットコインは再びバブルのように高騰しているのでしょうか。 実は2017年の価格高騰の際、私はダイヤモンド・オンラインに「ビットコインバブルが『危険』とは言い切れない3つの根拠」という記事を寄稿しました。実体のない仮想通貨といわれるビットコインには、実はその価格が幻ではない理由があると主張したのです。 そして興味深いことに、今回の価格高騰はそれらの理由とはまた事情が違うのです。その一連のポイントをまとめてみたいと思います』、興味深そうだ。
・『実態のない仮想通貨に価値がないとはいえない3つの理由  政府の裏付けのない仮想通貨に、なぜ実体価値があるのか。以前私が指摘した1つ目の理由は、実需があることでした。日本で暮らしているとイメージがわきづらいかもしれませんが、世界には「政府が発行する紙幣は信用できない」と考える人が多いのです。実際多くの国で、自国通貨よりも米ドルの価値が高かったりします。 そのような国では、海外に隠し口座が持てるような一部の特権階級を除いて、一般の国民は米ドルのタンス預金で資産を貯め込みます。しかし、高額の米ドル紙幣を大量に隠し持つことには盗難リスクがある。そこで、ビットコインが資産として実需を持つことになったのです。つまり、新興国や途上国でビットコイン投資をしていた人たちには、実需が存在していたわけです。これが1つ目の理由です。 2つ目の理由は、そのような場合に数多ある他の仮想通貨よりも、より多くの人が売り買いするビットコインに信用が一極集中するということでした。この状況はいまだに変わっておらず、毎年新しい暗号通貨が登場しても、依然として世の中で圧倒的に売買されているのはビットコインなのです。 ちょうどこの本稿執筆の途中で、ビットコインの時価総額がほぼ100兆円になっていますが、世界の仮想通貨全体の時価総額が163兆円なので、ビットコインは全体の6割を超えています。ちなみに仮想通貨ランキングを見ると、2位のイーサリアムまでは人気があって時価総額がほぼ20兆円なのですが、3位以下の仮想通貨は取引規模がぱっとしないというのが実情です。つまり世の中の信用としては、ビットコインは別格なのです。 そして3番目の理由は、2017年当時のバブル価格でもまだ、ビットコインの時価総額は現実通貨と比べて1桁以上少なかったという根拠でした。仮に世界の中央銀行が発行量を決めるこれまでの通貨に対して、そのような恣意性が存在せず、市場の「神の手」で価値が決まる仮想通貨が未来の通貨の座を奪い取る日がやってくるとしたら、現在のビットコイン価格ですらまだそこに至る通過点かもしれない。これが私が3番目に指摘したことでした。 この3つの理由から、「必ずしもビットコインの価格高騰には経済的な裏付けがないわけではない」という話をしたのです。少なくとも、企業の株価が数十兆円から100兆円を超えているのと同じくらいには、ビットコインの価値を信用している一定数の人たちがいて、そのことでビットコインには高い流通価値があるのだ、という話をしたのです』、「ビットコインには高い流通価値がある」、その通りだ。
・『足もとのビットコイン急騰はこれまでとは事情が異なる  さて、この説明と比較すると、2020年の終盤から2021年初頭にかけてビットコインが急騰した理由は、少し背景が異なるようです。 今回の価格高騰の1つ目の特徴として、北米市場でビットコインが活発に買われているという事実があります。 それまでビットコインの中心だったアジア市場では、自国通貨への不信感が投資の根拠であったと述べましたが、なぜ北米大陸の投資家がビットコインに目を向けたのでしょうか。その理由として、コロナ禍での資産逃避が挙げられます。これが2つ目の特徴につながります。 コロナ禍で世界経済が停滞しているにもかかわらず、2020年4月以降、株価が堅調に上昇する現象が起きています。その理由は、主要国政府がコロナ危機と経済危機が重ならないように、金融緩和政策をとっているからです。そして投資家は、この金融緩和を「通貨の価値を下げている」と捉えます。) FRBがコロナ禍を受けてゼロ金利まで政策金利を下げたことは、市中にドル紙幣がばらまかれたことと同じだと投資家は考えます。一方でビットコインは、マイニングでその量が若干は増えていきますが、基本的には総量はルールで決まっています。ですから投資家から見れば、ドルと比較してビットコインは価値が棄損しない通貨だといえるのです。 そして3番目に、新規参入組が増えているという事実です。それも、これまでのビットコイン相場を支えた個人投資家ではなく、機関投資家が動き出している。そしてその参入規模が、この先増えていきそうな気配があるのです。 アメリカでビットコインに大口の投資をするといえば、これまでヘッジファンドが巨額の運用資産の中で少しだけ投資をしているくらいのイメージでした。ところが最近、それらのファンドの顧客でもある機関投資家が、ビットコインへの投資を代替的な投資先の1つとして容認し始めたといいます。 同様に、カナダの株式市場でビットコインの上場投資信託(ETF)の売買が始まりました。これまでよりもビットコインが金融商品として認知されることになり、ビットコインに投資する人の顔触れも大きく広がったのです。そして、直近のビットコイン高騰の最大要因として挙げられるのが、イーロン・マスク氏率いるテスラモータースが1500億円をビットコインに投資したと報じられたことでした。 このように、新しい事情で北米でのビットコインの需要が増えた一方で、ビットコインの供給、つまりもともとの総量は増えないという状況になっています。当然ながら価格が上がることになるというのが、現状に関する説明です』、明快な説明だ。
・『ビットコイン急落の兆候を見極めるポイントはあるのか  さて、私は先週「日経平均3万円超え、『攻め時』と『引き時』を真剣に考える」という記事を寄稿した際にも、「相場については未来予測が難しい」という話をしました。状況的にビットコインがなぜ高騰しているのかは、その記事で説明した状況と同じ要素が関係しているわけです。しかしこの先、ビットコイン価格がさらに上昇するのかというと、それは「わからない」としか言いようがありません。 ただ、今回の価格急騰のメカニズムを考えると、今後注目すべきポイントは「本当に機関投資家がこの先、次々とビットコイン投資に参入するのかどうか」が、相場の大きな鍵であることだけは間違いないようです。 【著者からのお知らせ】新型コロナが日本経済に与える影響についての最新の未来予測を、noteで公開しました。緊急事態宣言下の社会の先行きについて、不安な方も多いと思います。未来予測の専門家として、皆様の今後を考える参考にしていただきたいと思っています。ぜひご覧くださいhttps://note.com/suzukhei/n/n23c0679e03d2 』、「この先、ビットコイン価格がさらに上昇するのかというと、それは「わからない」としか言いようがありません」、正直で信頼に値する見方で、同感である。
タグ:鈴木貴博 bloomberg ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 (仮想通貨) 暗号資産 東洋経済プラス (その17)(ビットコイン暴落 投資家は「全てを失う覚悟を」(英規制当局)、ビットコイン爆騰 それはバブルの再来なのか イーロン・マスクの「支持表明」から再上昇、JPモルガン ビットコインでのヘッジを提案-ポートフォリオの1%、ビットコインはやはりバブルか?怪しい高騰の背景に「従来とは異なる事情」) 「ビットコイン暴落、投資家は「全てを失う覚悟を」(英規制当局)」 イギリスの金融規制当局 「暗号資産への投資、ないし暗号通貨関連の投資や融資は一般に、きわめて高いリスクを伴う」と声明で指摘。「消費者がこの種の金融商品に投資を行う場合には、全てを失う覚悟をしておくべきだ」と述べた 外国為替・暗号資産調査会社「クオンタム・エコノミクス」のビットコイン・アナリスト 「登山家が次のポイントを目指す前にひと休みするようなものだ」 FCA「換金できる保証なし」 バンク・オブ・アメリカは、ビットコインは「全てのバブルの母」の可能性があると警告 給量の約8割が流動性なし 供給量の約8割が流動性なし 「供給量の約8割が流動性なし」とは、まるで持ち合い株式のようだ。「ディーンの見方はやはり強気一辺倒なようだ 「ビットコイン爆騰、それはバブルの再来なのか イーロン・マスクの「支持表明」から再上昇」 日経新聞によればこの他にも「販売代金をビットコインで受け入れる」と言明したようだ 金融界の投資マネーが主役に ビットコインで運用するファンドの運用資産残高は直近で230億ドル(2.4兆円)に達した」 「ビットコイン」価格が金融資産価格とは無関係に動くため、代替投資(オールタナティブ投資)として、資産の一定量を投資することになったようだ 「上昇相場」はいつまで続くか 「ビットバンクの廣末氏は、アメリカにビットコインが集まりつつあることを懸念している」、どこに集まろうが、交換通貨が何になろうが、投資家にとってはどうでもいい筈である。投資の世界で国粋的になるのは間違っている 「JPモルガン、ビットコインでのヘッジを提案-ポートフォリオの1%」 あの「JPモルガン・チェース」が「ビットコインの活用を提案」したとは驚いた。やはり代替資産としての運用を推奨しているようだ 「ビットコインはやはりバブルか?怪しい高騰の背景に「従来とは異なる事情」」 いつの間にか再び高騰 ビットコインはバブルなのか 実態のない仮想通貨に価値がないとはいえない3つの理由 「ビットコインには高い流通価値がある」、その通りだ 足もとのビットコイン急騰はこれまでとは事情が異なる ビットコイン急落の兆候を見極めるポイントはあるのか 「この先、ビットコイン価格がさらに上昇するのかというと、それは「わからない」としか言いようがありません」、正直で信頼に値する見方で、同感である
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バブル(最近)(その6)(コロナ危機が招いた株価バブルは2021年に終わる、今はバブル?暴落のリスク要因は?山崎元が株価を巡る「6つの質問」に回答、「バブル崩壊に今すぐ備えよ」ワクチン接種開始で高まる日本株リスク 日経平均3万円に喜んではいけない) [金融]

昨日の株式・為替相場’その10)に続いて、今日は、バブル(最近)(その6)(コロナ危機が招いた株価バブルは2021年に終わる、今はバブル?暴落のリスク要因は?山崎元が株価を巡る「6つの質問」に回答、「バブル崩壊に今すぐ備えよ」ワクチン接種開始で高まる日本株リスク 日経平均3万円に喜んではいけない)を取上げよう。なお、このテーマを前回取上げたのは、2月7日である。

先ずは、2月12日付けNewsweek日本版が掲載した財務省出身で慶應義塾大学大学院准教授の小幡 績氏による「コロナ危機が招いた株価バブルは2021年に終わる」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/obata/2021/02/2021_1.php
・『<投資家の期待値によって膨れ上がり、コロナ危機の現実と乖離したバブルは、各国政府の財政出動が尽きれば崩壊する> (本誌「コロナバブル いつ弾けるのか」特集より) 株価が上がっている。日経平均はバブル崩壊後の最高値を更新し、30年ぶりの高値となった。 2000年4月の日経平均構成銘柄の大幅な入れ替えにより、ずれが生じているから(概算では日経平均は2000円程度、2000年以前よりも低くなっていると言われている)、20世紀の基準では日経平均3万円を実質的には突破している。そして、まだその勢いが止まる気配はない。 この株価はバブルなのか、という問いの答えは、明らかにイエスで、問題は、いつ、どのように弾(はじ)けるか、という点に移っている。これは意外に難しく、バブルと分かっていてもすぐに弾けるのではなく、ある程度はバブルに乗っておかないと、ほかの投資家に利益を持っていかれてしまうから、バブルが続く限りは、プロの投資家ほどバブルに乗り続けるものなのだ。 リーマン・ショックが弾けた後、シティグループCEOのチャールズ・プリンス(当時)は、「音楽が鳴っているうちは、踊り続けなければならない」とその状況を描写した。 しかし、いま人々が不思議に思っているのは、経済は新型コロナウイルスの影響で大変なことになっているのに、なぜ株価が上がるのか。しかも、21世紀最高値を更新するのか、ということである。 これは、経済と株価が異なる動きをするのがおかしい、と思うのが間違っている。経済と株価は関係ない。経済がどうであろうと、株価は株価で勝手に上がるのである。 そんなばかな、と思うかもしれない。実際、エコノミストは、株価は経済を映す鏡とよく言う。株価は経済のファンダメンタルズで決まると、経済学やファイナンス理論の教科書に書いてある。そんなばかなことをいうおまえがばかだ、と言われそうだが、それは、その教科書が間違っているのである。 あるいは、現実の経済とは無関係な経済理論の世界の仮定について説明しているだけだ。あるいは、一昔前の遅れているファイナンス理論に基づき、行動ファイナンス理論を知らない人が書いた本なのだろう。 株価以上にバブルになっているものがある。それはビットコインだ。仮想通貨とか暗号資産などと呼ばれ、通貨であるかどうかは議論が分かれているが、資産であることは間違いがなく、異常な暴騰をしている。 しかし、人々は、ビットコインはバブルだと言うが、経済が悪いのにビットコインがバブルになっているのはおかしい、とは言わない。なぜなら、もちろんビットコインの値動きと経済の良し悪しは無関係だと誰もが分かっているからである。 そして、ビットコインと株は同類で、ビットコインと同様に株は経済とは無関係に動くのである。 株式とビットコインは、共に資産であり、投資対象である。一方、経済は日々の生活で、日々の稼ぎ、所得の世界である。だから、ビットコインと経済が別物なのと全く同様に、株式市場と経済は別物だ』、「この株価はバブルなのか、という問いの答えは、明らかにイエスで、問題は、いつ、どのように弾(はじ)けるか、という点に移っている」、その通りなのだろう。「株価は経済のファンダメンタルズで決まると、経済学やファイナンス理論の教科書に書いてある。そんなばかなことをいうおまえがばかだ、と言われそうだが、それは、その教科書が間違っているのである。 あるいは、現実の経済とは無関係な経済理論の世界の仮定について説明しているだけだ。あるいは、一昔前の遅れているファイナンス理論に基づき、行動ファイナンス理論を知らない人が書いた本なのだろう」、ここまで断言するとは、さすが「行動経済学」者らしい。
・『人間の欲望が市場を動かす  では、ビットコインや株が経済に連動しないのであれば、ビットコインや株を動かすのは何か。人間の欲望である。投資家の期待である。もっと上がるかも、という期待で投資家はビットコインや株を買う。買うから上がる。株価の上昇とは投資家たちの期待の実現、期待の自己実現なのである。 従って、株価が上がっているということは、投資家たちの欲望、奇麗に言えば、期待値が上昇していることを示している。株がもっと上がるかも、という投資家の期待はどこから来るのか。その期待を動かすものが、株価を動かすのである。 経済が良くなるから株価も上がるだろう、だから株を買っておこう、と大多数の投資家が思い、そして買えば、株価は上がる。このときは、確かに、経済の見通しと株価の動きは連動する。 しかし逆に言えば、経済が良くなるから、という以外の理由で、投資家の多数派が株価が上がると思えば、彼らは株を買い、そして株価は上がるのである。経済が良くなることが株価上昇の原因になることは、投資家の期待を動かす無数の要因の中の1つにすぎないのである。 では、今、なぜ株が上がっているのか。なぜ投資家たちは、株価が上がるのではないか、と期待しているのか。 その理由は金融緩和であり、財政出動である。そして、コロナがひどくなればなるほど、金融はさらに緩和され、財政はさらに大盤振る舞いをするから、むしろコロナが悪くなればなるほど、投資家の欲望は膨らみ、株を買いに殺到する。 アメリカでは、投資アプリ「ロビンフッド」を利用して、コロナ危機で初めて株を買い始めた個人投資家たちがいる。彼らは、ジョー・バイデン大統領が新たに配る1人2000ドルの給付金で株を買うだろうといわれている。 さらにコロナ危機は、格差を直撃する。アメリカで医療をきちんと受けられるのは富裕層で、彼らは、コロナショックでも資産は増えているし、コロナによる死も切実ではない。だから、株価が上がることで浮かれ、さらに投資を増やす。 実際、ロビンフッド投資家や、バブルに乗っている投資家たちが買っている株は、コロナで恩恵を受けている企業の株である。アップルであり、マイクロソフトであり、これらの企業は、利益が急増し、史上最高益を大幅に更新している』、「経済が良くなることが株価上昇の原因になることは、投資家の期待を動かす無数の要因の中の1つにすぎないのである。 では、今、なぜ株が上がっているのか・・・その理由は金融緩和であり、財政出動である。そして、コロナがひどくなればなるほど、金融はさらに緩和され、財政はさらに大盤振る舞いをするから、むしろコロナが悪くなればなるほど、投資家の欲望は膨らみ、株を買いに殺到する」、明快な説明だ。
・『間もなく尽きる財政出動  だから、株価が上がるという期待は自己実現し、さらに期待は膨らみ、資産も膨らんでいるから、欲望が膨らみ、さらに株へ買いが集まり、さらにバブルは膨らんでいるのである。 従って、問題は今がバブルかどうか、ということではなく、このコロナバブルがいつ弾けるのか、という点である。これは、2021年に弾ける。21年1月にバブルがさらに勢いを増して膨らんだからだ。 バブルが弾ける理由はただ一つで、膨らみ過ぎることによって弾けるのである。バブルが弾けるのを回避するには、バブルをしぼませるか、さらに膨らませるしかない。バブルの本質とは定常状態にないことなのだ。 前述したように、買うから上がる。上がるから買う。上がるという期待が、実際に買うことで実現し、それによりさらに期待が膨らむ。そして、これを羨む新しい買い手が参入し、さらに上がる。これがバブルである。 バブルが起こる原因は存在しない。あるいは、特に論理的な意味はないから、考える意味はない。しかし、バブルが膨らみ継続する理由は、論理的なので考察する価値がある。 では、今回のコロナバブルが膨らんでいる要因は何だろうか。前述したように、金融緩和による大量の流動性であり、財政出動である。現在の金融緩和と財政出動は、既に限界を超えている。限界を超えて出動し続ければ、財政は破綻する。金融緩和は効果がなくなるどころか、副作用しかなくなる。 従って、今後の金融緩和による流動性の追加はない。財政出動も間もなく尽きる。アメリカは、バイデン就任のハネムーン期間に出せるだけ出して、その後はない。日本は既にない。 バブルは安定した状態であり続けることはできない。膨らみ続けられなければ急激にしぼむか、あるいは破裂するだけだ。そして、昨年末から株価は異常な動きをし、テスラ株が暴騰し、その後は乱高下。ビットコインも全く同じだ。最後、急速に膨らむのは、まともな投資家が逃げ始め、バブルに狂った投資家しか残っていないから。売りも出ず、少数の買いで暴騰する。それが今だ』、「現在の金融緩和と財政出動は、既に限界を超えている。限界を超えて出動し続ければ、財政は破綻する。金融緩和は効果がなくなるどころか、副作用しかなくなる。 従って、今後の金融緩和による流動性の追加はない。財政出動も間もなく尽きる」、「最後、急速に膨らむのは、まともな投資家が逃げ始め、バブルに狂った投資家しか残っていないから。売りも出ず、少数の買いで暴騰する。それが今だ」、不吉だが、現実的な予想だ。
・『引き延ばされてきたバブル  実は、コロナバブルの前に既にバブルは崩壊寸前だった。2019年末は、上場前の新興企業のスキャンダルが続出してソフトバンクの株価が暴落し、米株価も乱高下をしていた。そこへコロナ危機が襲った。一時、バブル完全崩壊の様相を呈したが、なりふり構わぬ金融・財政のばらまきが行われ、コロナで傷んでいない人々にも金が配られた。ネット関連、ゲーム関連などの巨大企業は空前の利益を上げ、そこに資金が殺到し、コロナ危機前以上のバブルになった。 そして、実はこれもいつもの繰り返しだった。リーマン・ショックで世界の金融市場が崩壊寸前になったが、それを救うために、世界中の中央銀行が量的緩和を行い、金が世界にあふれ、バブルになった。この国債バブルは欧州危機で崩壊しかかったが、さらなる金融緩和が行われ、バブルは復活し、さらに蔓延した。それが株式にも回り、壮大なるバブルが2019年末に崩壊しかかっていた。 では、今度も金融財政の救済により、バブルはさらに膨らむのではないか、と思われるだろうが、今回は違う。なぜなら、金融は使い尽くしていたために、今回は財政出動、実弾の出動になったのだが、これで弾は尽きる。そうなると、次はもうどこにも弾は残っていない。ロビンフッド投資家まで巻き込んでしまえば、さらに株を買う人はもう残っていない。政府も個人投資家も尽きてしまえば、もう破綻しかないのだ。 だから2021年、バブルはついに崩壊する。そしてリーマン・ショックから先送りされ、何重もの雪だるまのように膨らみ続けたバブルのツケを、世界中で払うことになるのだ。(筆者の近著は『アフターバブル近代資本主義は延命できるか』〔東洋経済新報社刊〕』、「金融は使い尽くしていたために、今回は財政出動、実弾の出動になったのだが、これで弾は尽きる。そうなると、次はもうどこにも弾は残っていない・・・2021年、バブルはついに崩壊する。そしてリーマン・ショックから先送りされ、何重もの雪だるまのように膨らみ続けたバブルのツケを、世界中で払うことになるのだ」、今度こそ覚悟しなければならないようだ。

次に、2月24日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家の山崎 元氏による「今はバブル?暴落のリスク要因は?山崎元が株価を巡る「6つの質問」に回答」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/263581
・『日経平均株価が3万円を超えた。現在の株価をバブルではないかと疑って、バブルをテーマにした取材や座談会のような企画も増えている。そこで本稿では、Q&A形式で現在の株価がバブルであるか否かについて整理してみたい。  今はバブルか否か? 株価を巡る6つの質問に回答  日経平均株価が3万円を超えて、株価が話題になる場面が増えてきた。テレビの街頭インタビューなどでは「この株高は、生活の実感に合わない」という声が紹介されることが多いが、あれはテレビ番組を作る側の人々(必ずしもテレビ局の社員とは限らない)がそう思っているからなのだろう。 現在の株価をバブルではないかと疑って、バブルをテーマにした取材や座談会のような企画も増えている。 そこで本稿では、座談会の「質問項目」と「答え」を想定するQ&A形式で現在の株価がバブルであるか否かについて整理してみたい。 質問の項目と、筆者ならこう答えるという内容を列挙する。筆者の答えが正解だと言いたいわけではない。読者ならどう答えるか、順を追って考えてみてほしい」、なるほど。
・【Q1】現在の株価  日経平均3万円台、ダウ工業株30種平均3万1000ドル台)を「バブル」と判断するか否か。結論と理由をお答えください。 【A】株価のバブルとは、「高過ぎて長期的に維持できない株価が形成された状態」のことでしょうが、日経平均3万円突破はその形成の域に入ったと考えています。 バブルは、信用(借金)の拡大が投資に回って、資産価格(株価)が上がることによって起こります。そして、現在は信用の供給主体が新型コロナウイルス対策に注力する政府と中央銀行であり、金融緩和を財政が後押しすることによって出回った資金が株式市場に集中して株価が上がっている。加えて、「コロナ対策で金融政策の転換が遅れるだろう」「市場や経済が不調に陥ったら政府・中銀が手を打つだろう」という期待がリスクを過小評価させています。 金融緩和と信用の拡大、そしてリスクの過小評価といった具合に、バブル形成の条件が定性的に満たされています。 加えて、益利回り(株価収益率〈PER〉の逆数)から判断して、絶対水準としての株価も「高過ぎ」のゾーンに入ってきたように思われます』、「金融緩和と信用の拡大、そしてリスクの過小評価といった具合に、バブル形成の条件が定性的に満たされています」、やはりそうか。
・【Q2】株価の「バブル」を判断する基準があれば、ご開示ください。 【A】将来、金融環境が正常化して、名目成長率と長期金利がほぼ均衡する状態を想定すると、益利回りが投資家のリスクプレミアムであると考えることができます。以下のような基準を目処として考えています。 +益利回り6%(PER16.7倍)=株価は高くも低くもない +益利回り5%(PER20倍)=株価は高値圏に入った +益利回り4%(PER25倍)=株価はバブルの域に入った。黄信号 +益利回り3%(PER33.3倍)=株価はバブルでそれ自体が危険な高値にある。赤信号 現在の東京証券取引所第1部の益利回りは概ね4%なので、「株価はバブルの域に入り始めた」と考えています』、「利回り4%」だと「株価はバブルの域に入った。黄信号」、程度とは意外だ。
・【Q3】今後(今年、来年)に想定される、株価と経済の展開について、「最もありそうだ」と思われる推移をお答えください。 【A】コロナ対策のポリシーミックスは内外共に当面変化しないと考えられ、加えて、世界の景気は回復傾向にあります。加えて「バブル」は、原理的にも経験的にも、発生したからといって直ちに崩壊するものではありません。 年内いっぱいくらい株価は上昇しやすく、来年になって経済の回復がはっきりして、政策的な潮目が変わる局面が見えてきた段階で株価が大幅に下落する局面を迎える、というくらいの展開が「ありそう」なものの一つとして思い浮かびます』、「「バブル」は、原理的にも経験的にも、発生したからといって直ちに崩壊するものではありません。 年内いっぱいくらい株価は上昇しやすく、来年になって経済の回復がはっきりして、政策的な潮目が変わる局面が見えてきた段階で株価が大幅に下落する局面を迎える」、なるほど。
・【Q4】今後、株価が大幅に下落する局面が発生するとしたら、どのような理由によるものでしょうか。株価にとっての「リスクファクター」があればご指摘ください。 【A】現在、政府による信用拡大に加えて、米国で低格付けの社債発行による信用拡大が目立っていることが少々心配です。当面好景気ですが、社債市場でデフォルトが起こって起債環境が冷え込むことになると、株式市場にもショックが及びそうです。これが、短期的なリスクファクターでしょう。 そして中期的なリスクファクターとして、米国の雇用が回復して金融政策が正常化に向かう段階で起こる金融政策の転換が株価に及ぼすショックが挙げられます。最後に、物価が上昇して金融引き締め政策を取らざるを得なくなる状況が将来やって来る可能性が長期的なリスクファクターでしょうか』、「リスクファクター」は「短期的」、「中期的」、「長期的」にもあり、要警戒だ。
・【Q5】現在の状況を踏まえて、日米それぞれの経済政策はどのようなものであるべきだとお考えでしょうか。 【A】当面の政策は、大まかには現在の金融緩和プラス財政支出でいいでしょう。財政赤字は当面拡大が適切であり、緊縮に向かわない方がいい。ただし、支出は公平かつ迅速であるべきでしょう。業界や利用者のメリットが偏る「Go Toキャンペーン」のようなものは筋が悪く、一律の給付金(将来の負担は高額納税者・富裕層が大きい)に賛成します。 株式市場については今後、「赤信号」に近付く局面があれば、信用取引の条件を厳しくするなど、市場内部要因での過熱防止策を行うべきでしょう。金融を引き締めて、デフレに逆戻りするような事態があってはいけません』、「「Go Toキャンペーン」のようなものは筋が悪く」、同感だ。
・【Q6】一般投資家に対するアドバイスを頂けたら有りがたく存じます(「株は全て売って現金化せよ」「米国株を買え」「内外のインデックスファンドを買え」、「出遅れ株がいい」…等々)。 大まかに言うと、株価が上がっても下がっても気にしない。そして、自分にとって適切なリスク資産の金額を、内外の株式のインデックスファンドのような広く分散投資が行われていて手数料コストが低い運用商品で、じっと持っているといい。 ただ、株価が赤信号水準に近付いてくることがあれば、「持ち株の1〜2割」くらいまで売却することを考えてもいいでしょう。投資家にできる調節は、その程度が限界です』、「投資家にできる調節は」「「持ち株の1〜2割」くらいまで売却することを考えてもいい」、かなり限界があるようだ。

第三に、2月21日付けPRESIDENT Onlineが掲載したフジマキ・ジャパン代表取締役の藤巻 健史氏による「「バブル崩壊に今すぐ備えよ」ワクチン接種開始で高まる日本株リスク 日経平均3万円に喜んではいけない」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/43459
・『日経平均株価が3万円の大台に乗った。このまま株価は上がり続けるのか。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史氏は「ワクチン接種が開始され景気が良くなれば長期金利は上昇する。それは株価バブル崩壊の前触れだ」という――』、「長期金利は上昇」シナリオは大いにありそうだ。
・『「株を買いたいのなら、こわごわと買ってくださいね」  2月15日、日経平均が30年半ぶりに3万円台に乗せた。株価だけを見ると1985年から90年にかけて発生したバブル期の動きと似ている。今後に関して言えば日経平均は、今後もそれなりに上昇すると私は思っている。 ただ、私自身は今、日本株を保有していないし、今後とも買おうとも思わない。買いたい方には「いつでも飛び降りる体制で、こわごわと買ってくださいね」と忠告をしておきたい。 このコラムでは、なぜそういうコメントになるのか? を詳しく解説し、それでは私が今、どういうポートフォーリオを推奨しているのかも開陳したい』、興味深そうだ。
・『バブル期との相違  もし日本の財政がここまで悪くなく、また日銀がこれほどまでもメタボになっていなかったら私は「日銀の引き締めが近い。早く株式市場から撤退すべきだ」との忠告を、今、発していただろう。 今の相場はバブル期の末期の様相だ。当時は「日経平均は8万円まで行く」「10万円まで行く」とほぼ全員が強気だった。84年末に比べて89年末の株は約3.4倍、統計には表れなかったが、不動産価格の実態は、10倍程度にまで上昇していた。 その後、明確なる理由なく相場は突然崩れた。あえて契機を探し出そうとするならば、政府が「不動産から生じる損失(=減価償却の計上等による)を他の所得の利益と相殺することを禁止した(=損益通算の禁止)ことくらいしか見当たらない。しかし、それとて相場をあれほど崩すのには弱すぎる理由だ。「相場が上昇しすぎたから破裂した」と結論づけざるを得ない。 バブル期、消費者物価指数が低いままなのに、株価が上昇したのは今と同じだ。1986年から88年までの消費者物価指数の上昇率は全国総合(除く生鮮食品)で毎年0.5%に過ぎない。今の日銀の目標2%よりはるかに低かったのだ。それにもかかわらず、景気が過熱し狂乱経済と名付けられたほどの景気を生みだした』、「今の相場はバブル期の末期の様相だ」、なるほど。
・『不動産の代わりにビットコインが急騰  東京中をダンプカーが走り回り、タクシーは取り合いでつかまらない。ジュリアナ東京等のディスコのお立ち台ではミニスカートの女性たちが踊りまくり、バブル景気の象徴といわれた。 余談だが、私の部下の米国人男性が、男性は決して登らないお立ち台の上で踊りながら名刺をばらまいたせいで、翌日、銀行に、若い女性たちからひっきりなしに電話がかかり、彼が逃げ回っていたのを思い出す。彼の名誉のために付け加えると、今、彼は米国ナパ・バレーのワイン農園のオーナーで、慈善活動として、アフリカにいくつもの小学校を作る活動に精を出している。今や初老の紳士だ。 これらの狂乱振りは資産効果(土地や株の保有者が、含み益の増加でお金持ちになった気になり、消費を増やす。それを見て株価がさらに上昇するという好循環が働く)のせいだ。 今が当時と違うのは、不動産はそれほど上昇していない点、そして資産効果を相殺するコロナ禍による景気下押しがある点だろう。実需が過熱していないので、咄嗟に撤退できない不動産価格が上昇しないのは理解できるが、その代わりに当時はなかったビットコインの価格急騰が著しい。 またワクチン接種とともに、コロナ禍による景気下押し圧力が薄れてくるだろう。そうなるとますますバブル相場に似てくると思われる』、「ワクチン接種とともに、コロナ禍による景気下押し圧力が薄れてくる」、確かに警戒を要するリスク要因だ。
・『バブル後の日銀の反省  このバブル、そしてその崩壊の後、澄田智元日銀総裁は懺悔をしている。 「確かに87年ごろから東京の地価は2ケタの上昇率を示し、株価もかなり速いペースで上昇していました。それなのに金利引き上げを実行しなかったのは、後から考えると、認識が不十分だったと答えるしかありません。(中略)ただ、土地や株、それに書画や骨董といった資産の価格だけが急激に上昇している意味を早く見抜けなかったことについては、私がその責めを負わなければならないと思っています」(『<真説>バブル』日経BP社) この反省は、なにも澄田日銀総裁だけのものではなく、日銀内で共有され、2度と同じ間違いを犯してはならないとの教訓として残っているはずだ。 だからこそ、株価が、実体経済とかけ離れて急上昇している現在、普通なら「日銀の引き締めが近い。早く株式市場から撤退すべきだ」と忠告するところなのだ。特に私は、バブルの最中、日銀に「CPIのみに目を囚われて資産価格の急騰を見過ごすと取り返しのつかないことになる」と強く警告し、国内、海外にも「危ない」とさかんに発信をしていた。 その警戒心があったからこそ、JPモルガンは日本のバブル崩壊で全くダメージを受けず、(逆に利益を上げられた)日本で唯一の金融機関だったと思われるのだ。その成功体験からしても、普通なら私は再度、強い警告を発していたはずだ』、「藤巻」氏が「国内、海外にも「危ない」とさかんに発信をしていた」、とは大したものだ。
・『日銀は引き締めを行えない  「べき論」としては、以上述べてきたように、日銀は早急に引き締めを行うべきだろう。バブルの際に引き締めが遅れた失敗を2度と繰り返してはいけないのだ。再度同じ間違いを犯せば、バブル後の「失われた30年」が、今度は「失われた50年」となってしまう。そうなれば日本は間違いなく、世界の4流国への仲間入りだ。 そう考えると、日銀は「金融引きしめ」を行わないまでも、この歴史的な超金融緩和状況を中立程度に戻そうとするのは当然だろう。それは株価の暴落、もしくはかなりの大幅下落を意味することになる。 しかしながら、日銀が、今、引き締めが出来るかとなると、極めて疑問である。引き締めの手段としては、保有株ETFの売却、保有国債の売却(=過剰流動性の吸収)、政策金利の引き上げが考えられる。 しかしながら、株と国債のマーケットにおいて、日銀は、今やモンスターになってしまっている。どんな市場でもそうだが、モンスターだった買い手が、売りに回れば、間違いなく大暴落だ。中央銀行自身が大量保有しているものの値が下落すれば、彼らは債務超過になり、その発行する通貨は暴落、紙幣は紙くず同然となってしまう。当然、日本売りだ。 だからこそ、私が金融マンだった頃は、「中央銀行たるもの価格変動の激しいものに手を出してはいけない」が鉄則であり、それを世界中の中央銀行は守っていた。通貨の安定が中央銀行の基本のキだったからだ。 しかし異次元緩和で、日銀は株や国債を買いまくり、世界段トツのメタボになってしまった。もはや金融引き締めなど出来ない。私が、いつも「日銀にはもう出口がない」と言っている理由だ。 以上の理由から、日銀は、バブルの反省がありながら、引き締めを行いたくても出来ず、株価の上昇を、口を開けて傍観せざるを得ないのだ。 それが、私が当面は株価の上昇が続くだろうという理由である』、先行きの暴落が分かっているのに、なす術がないとは恐ろしいシナリオだ。
・『「株購入はこわごわとすべき」理由  ビジネススクールでも習ったし、また金融界でも常識だったことは「短期金利は中央銀行が、長期金利は市場が決める」だった。私の長きにわたるマーケットでの経験からしてもそうだ。世界の中央銀行も、いまだその認識のはずだ。 だから世界中で日銀以外に長期金利を「政策目標」として掲げている中央銀行はない。日銀自身も2016年11月まで「教えて!にちぎん」という一般国民向けのホームページに「中央銀行は長期金利を思いのままに動かせない」と書いてあった。なのに、長期国債の爆買いを始めたせいか、辻褄を合わせるために、突然「長期金利はコントロール出来る」と書き換えた。 確かに日銀のように爆買いを続ければ一時的には長期金利を低位に抑えることは出来るだろうが、それはのちにハイパーインフレを起こすと歴史が証明している。だから他の中央銀行は日銀のように市場のモンスターになるほどには長期債の爆買いをしていない。したがって、長期金利は相変わらず「市場が決める」のだ。 ならば、お金が、じゃぶじゃぶに出回っていう上に、ワクチン接種が開始され景気が良くなれば長期金利の上昇は、当然の理だ。さらに株価の上昇が継続しているのなら、世界の長期金利上昇はほぼ確実だろう。なにせ1980年に20%を超えた米国10年物金利が、今たったの1.2%でしかないのだ』、同感である。
・『わずかな長期金利の上昇が命取りになる  私自身はこの状態ならば、長期金利が史上最高まで上昇しても(=価格は暴落)驚かない。1980年の米国10年金利は20%を超え、日本国債は11%である。例え、そこまで上昇しないにしても、インフレ率が2%まで上昇するならば、最低でも長期金利は2%に上昇しなければ、おかしい。 その時、日銀は危機となる。日銀は保有国債の保有平均利回りが0.247%(2019年4月~2020年3月)と、他の中央銀行に比べても異常に低い。かつ異常な規模で保有している。少しでも長期金利が上昇すると莫大な評価損を抱えることになる。 債務超過の危機に直面するわけにはいかないと、長期債の爆買いで必死に長期金利の上昇を抑えこめば、他国との長期金利差拡大で円安が大きく進む。その結果、景気過熱で、腕力では長期金利が抑えられなくなる。国債市場は現物債市場だけではない、先物市場もあるからだ、 長期金利が上昇し、日銀が莫大な損失を抱えれば、円という通貨が終焉を迎える。日本売りの発生が予想される。すさまじいエネルギーだろう。こういう時に円資産を持っていればすべてを失う。だから「日本株を購入するなら、いつでも逃げるだけの用意をしながら、こわごわと買った方がいい」とアドバイスしている。 私には、ピークで逃げ切る自信がない。だから日本株には手を出さないのだ』、「長期金利が上昇」、「円という通貨が終焉」、「日本売りの発生」、という破局は瞬時に発生するだろう。私が異次元緩和導入時から警告していた破局が現実味を増してきたようだ。
・『それでは、今、何するべきか?  これだけ日本が世界最悪の財政赤字となり、日銀が中央銀行としての体ていをなさなくなったのだから、今は必死で資産を守るべきで、利益を考える時ではない。だからこそ、私は長年にわたって、ドル資産の購入と、いざとなると避難通貨となる暗号資産の購入をお勧めしてきたのだ。 ドルの購入にしても、これから長期金利の上昇(=価格の下落)が予想されるので、今は早めにドル建てで運用する投資信託である「ドル建てMMF」(マネー・マーケット・ファンド)など短期モノに切り替えることをお勧めする。それでも、まだ何か少しでも利益を上げたいと思われるなら、価格の下落で儲かる金融商品の購入が望ましい。 日本人や特に、日本の機関投資家は金融商品の価格が上昇しなければ儲からないと思っているが、それは違う。値段が動きさえすれば上昇しようと下落しようと、利益は上がるのだ。 生保などの機関投資家も「預かった資金すべてを、何かに投資しなくてはいけない」と思うから価格の下落相場に弱い。たとえば集まった資金の90%は現金等に置き、10%を証拠金として使い、国債先物を売ったり、プットオプションを買えばいいのだ。または金利スワップの固定金利の払いでもよい。それらの利益で、預かった資産全体に十分な配当が出来る。 為替も金利もこの数年間、ほとんど動かなかったがゆえに、ボラティティーが低く、プレミアム(オプション料)は安い。だからこそお買い得だともいえる。 そこまでのデリバテイブの知識がない方は、米国の債券ベアファンド(長期金利が上昇する=長期債の値段が下落する、と利益が上がる投信)、例えばDirexion Daily 20+ Year Treasury Bear 3X等を買えばいい。日本の証券会社で買える。その基礎は『藤巻健史の資産運用大全』(幻冬舎新書)をお読み学習していただければ幸いだ。原理がわかっていない商品を購入するのは考えモノだからだ』、私もこれを機に、なけなしの資産のヘッジを検討することにしよう。
・『最後にお願い  ちなみに以上のアドバイスに沿って行動するか否かは、くれぐれも自己責任でお願いいします。プレジデントオンラインの原稿料ぽっちで(プレジデント社さん、すみません)皆さんの損の責任はとれません。「儲かっても、お歳暮の一つもくれず、損したら大声で非難」に私は慣らされていますので。 あくまでも「損すれば自己責任、儲かれば藤巻の貢献」の原則をお忘れになりませんよう。「信じれば救われるのか」、はたまた「信じれば足を掬われるのか」は、将来、判明するのです』、「損すれば自己責任、儲かれば藤巻の貢献」とは言い得て妙だ。
タグ:バブル ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 小幡 績 藤巻 健史 Newsweek日本版 山崎 元 (最近) (その6)(コロナ危機が招いた株価バブルは2021年に終わる、今はバブル?暴落のリスク要因は?山崎元が株価を巡る「6つの質問」に回答、「バブル崩壊に今すぐ備えよ」ワクチン接種開始で高まる日本株リスク 日経平均3万円に喜んではいけない) 「コロナ危機が招いた株価バブルは2021年に終わる」 投資家の期待値によって膨れ上がり、コロナ危機の現実と乖離したバブルは、各国政府の財政出動が尽きれば崩壊する 「この株価はバブルなのか、という問いの答えは、明らかにイエスで、問題は、いつ、どのように弾(はじ)けるか、という点に移っている」、その通りなのだろう 「株価は経済のファンダメンタルズで決まると、経済学やファイナンス理論の教科書に書いてある。そんなばかなことをいうおまえがばかだ、と言われそうだが、それは、その教科書が間違っているのである。 あるいは、現実の経済とは無関係な経済理論の世界の仮定について説明しているだけだ。あるいは、一昔前の遅れているファイナンス理論に基づき、行動ファイナンス理論を知らない人が書いた本なのだろう」、ここまで断言するとは、さすが「行動経済学」者らしい。 人間の欲望が市場を動かす 「経済が良くなることが株価上昇の原因になることは、投資家の期待を動かす無数の要因の中の1つにすぎないのである。 では、今、なぜ株が上がっているのか・・・その理由は金融緩和であり、財政出動である。そして、コロナがひどくなればなるほど、金融はさらに緩和され、財政はさらに大盤振る舞いをするから、むしろコロナが悪くなればなるほど、投資家の欲望は膨らみ、株を買いに殺到する」、明快な説明だ 間もなく尽きる財政出動 「現在の金融緩和と財政出動は、既に限界を超えている。限界を超えて出動し続ければ、財政は破綻する。金融緩和は効果がなくなるどころか、副作用しかなくなる。 従って、今後の金融緩和による流動性の追加はない。財政出動も間もなく尽きる」 「最後、急速に膨らむのは、まともな投資家が逃げ始め、バブルに狂った投資家しか残っていないから。売りも出ず、少数の買いで暴騰する。それが今だ」、不吉だが、現実的な予想だ 引き延ばされてきたバブル 「金融は使い尽くしていたために、今回は財政出動、実弾の出動になったのだが、これで弾は尽きる。そうなると、次はもうどこにも弾は残っていない・・・2021年、バブルはついに崩壊する。そしてリーマン・ショックから先送りされ、何重もの雪だるまのように膨らみ続けたバブルのツケを、世界中で払うことになるのだ」、今度こそ覚悟しなければならないようだ 「今はバブル?暴落のリスク要因は?山崎元が株価を巡る「6つの質問」に回答」 「「バブル崩壊に今すぐ備えよ」ワクチン接種開始で高まる日本株リスク 日経平均3万円に喜んではいけない」 長期金利は上昇」シナリオは大いにありそうだ 「株を買いたいのなら、こわごわと買ってくださいね」 バブル期との相違 「今の相場はバブル期の末期の様相だ」 不動産の代わりにビットコインが急騰 「ワクチン接種とともに、コロナ禍による景気下押し圧力が薄れてくる」、確かに警戒を要するリスク要因だ バブル後の日銀の反省 「藤巻」氏が「国内、海外にも「危ない」とさかんに発信をしていた」、とは大したものだ 日銀は引き締めを行えない 先行きの暴落が分かっているのに、なす術がないとは恐ろしいシナリオだ 「株購入はこわごわとすべき」理由 わずかな長期金利の上昇が命取りになる 「長期金利が上昇」、「円という通貨が終焉」、「日本売りの発生」、という破局は瞬時に発生するだろう。私が異次元緩和導入時から警告していた破局が現実味を増してきたようだ それでは、今、何するべきか? 私もこれを機に、なけなしの資産のヘッジを検討することにしよう 最後にお願い 「損すれば自己責任、儲かれば藤巻の貢献」とは言い得て妙だ
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株式・為替相場(その10)(「今の株高は異常だ」と思う人の根本的な間違い 「コロナで不景気でも株価上昇」の正しい考え方、日経平均3万円超え、「攻め時」と「引き時」を真剣に、日本人が「株価3万円突破」を手放しで喜んではいけない 重大な理由) [金融]

株式・為替相場については、昨年11月21日に取上げた。今日は、(その10)(「今の株高は異常だ」と思う人の根本的な間違い 「コロナで不景気でも株価上昇」の正しい考え方、日経平均3万円超え、「攻め時」と「引き時」を真剣に、日本人が「株価3万円突破」を手放しで喜んではいけない 重大な理由)である。

先ずは、本年1月5日付け東洋経済オンラインが掲載した財務省出身で慶應義塾大学大学院准教授の小幡 績氏による「「今の株高は異常だ」と思う人の根本的な間違い 「コロナで不景気でも株価上昇」の正しい考え方」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/400979
・『新型コロナウイルスの感染が止まらない。日本はいまや迷走して惨憺たるありさまである。だが世界でもそれは同様で、経済活動への制約が生じている。GDPも四半期ベースで見れば確かに回復しているものの、当初よりも回復ペースの遅い地域や分野もあり、バラ色ではない。 それにもかかわらず、株式市場は世界的に上昇を続けている。2020年の日経平均株価の終値もついに1989年以来の高値となったが、とりわけアメリカの株式市場は歴史的な急騰が続き、連日史上最高値を更新。ナスダックなどは2020年1年間で約43%も上昇した』、「小幡 績氏」の見解とは興味深そうだ。
・『株式市場と実体経済は「ほぼ無関係」である  この株式市場と実体経済の異常なギャップに、エコノミストの多くは警鐘を鳴らしており「明らかに株式市場はおかしい!バブルだ!」と指摘する。株式投資が好きな人は喜び勇んで「まだこれから間に合う銘柄は何か」と狂ったように物色する。 一方、株式投資をする余力のない人々はもうウンザリしている。さらに、株式市場に利害も関心もない多くの人々も「何かがおかしいよな」と思いつつも、実際に「何がおかしいのか」は、まったく見当もつかない。 しかし、私はすべての有識者や皆さんに、逆に問いたい。なぜ「なぜ株式市場と実体経済の間にギャップがあるのか」と問うのか?また、なぜギャップがあることを不思議に思うのか? ハッキリ言おう。有識者も皆さんも、根本から間違っている。なぜなら、株式市場と実体経済はほぼ無関係で、連動する理由はないからだ。 そもそもこの2つが連動すると考えている大前提が誤りなのであり、世の中のほとんどのエコノミスト、政策関係の有識者などは、これをわかっていない。なぜならいまだに1960年代の世界を引きずっているか、教科書の世界の中に閉じこもっているからだ。時間が止まっているか、死んでいるのである。 もはや、株式と実体経済が連動していたのは過去の話である。1980年代以降の日本、あるいは1990年代以降の欧米ではもはや連動しなくなり、21世紀においては地球上のどこでも連動しなくなったのだ。 なぜ株価と実体経済は連動しなくなったのか?理由は単純だ。財市場と資産市場は別の世界のものだからだ。 では別の世界とは何か?要はおのおの生き物が違うのである。地球人と火星人ぐらい違う。 実体経済の市場においては、消費者と生産者がいる。資産市場には投資家とトレーダーがいる。前者の人々と後者の人々は別の生物であり、行動が一致する理由がない。それだけのことだ』、「株式と実体経済が連動していたのは過去の話である。1980年代以降の日本、あるいは1990年代以降の欧米ではもはや連動しなくなり、21世紀においては地球上のどこでも連動しなくなったのだ。 なぜ株価と実体経済は連動しなくなったのか?理由は単純だ。財市場と資産市場は別の世界のものだからだ」、ここまで言い切るとはさすが「小幡 績氏」だ。
・『株式市場と実体経済が連動しない「小さな3つの理由」  この根本的な話をする前に、株式市場と実体経済が連動しない、他のいくつかの理由も説明しておこう。 第一に、現在株式市場で盛り上がっているのは、いわゆるGAFAMやそのほかのいわゆるネット関連、テクノロジー関連の新しい巨大企業と新興企業である。重厚長大産業の企業は、自動車以外はほとんど停滞しているといっても良い。伝統的なサービス業や小売・流通はコロナで沈んでいるし、航空、交通関連は言うまでもないだろう。 あくまで一部企業のバブルにより株式市場が膨張しており、これらの企業は将来の成長を期待した株価になっている。だから、足元の経済の動きとは連動しない。これが第一点目だ。いわゆる有識者が、今の乖離現象を説明するときに行う、最も一般的な説明である。 もうひとつ、より影響が大きいのは以下の話だ。すなわち、株式市場に上場しているのは大企業だけで、実体経済の景気を左右する大多数の中小企業が含まれていないからだ。大企業が儲かり、中小企業がそれに押されて潰れていけば、大企業の増益により盛り上がる株式市場と、中小企業の縮小、廃業で沈滞する実体経済の動きは乖離する。これが第二の理由だ。 さらに第三の理由は以下だ。21世紀に入って言われ続けてきた、資本と労働の間の分配率の変化である。 株式会社が利益を増大させ、それが資本家に配分され、労働者に配分されなければ、株式市場は盛り上がるが、実体経済の消費は縮小し、両者は乖離する。21世紀の特徴は、人的資本を蓄積した一部の著名経営者およびいわゆる勝ち組が、人的資本投資へのリターンとして多額の収益を得た。一方で、単純労働者の賃金はまったくと言っていいほど上がらず、配分が偏っているということである。 これが21世紀の格差社会であり、いわゆる資本家ではなく、起業家、経営者が富を独占している、という問題である。これが第三の理由で、資本家であれ、経営者であれ、株式市場関係者は富を蓄積し、それに無関係な人々は相対的に非常に貧しくなるということだ。よって株式市場が盛り上がろうと、実体経済はそれほど拡大しない。 しかし、これらの3つの説明は、論理的には正しいが、株式市場と実体経済の乖離をもたらす影響力としては、実は非常に小さい。もっと根本的で、すべてを押し流してしまうほどの強力な理由があるのだ。 それは、前述のとおり、株式市場と実体経済には別の生き物が住んでいて、それぞれの生き物はそれぞれの論理と思惑で行動するから、その結果としてのマクロ的な実体経済市場、株式市場全体はまったく異なった様相を呈するのである』、さすが行動経済学者らしい解釈だ。
・『景気が良くなることと経済成長は「別物」  どういうことか、説明しよう。実体経済市場は何によって動かされるか。支出である。人々や企業、そして政府などが支出をする。その支出の合計がGDPでありマクロ経済活動である。実際に支出された額の合計である。 したがって、人々の日々の経済活動の結果が集約されているのである。これについては、多くの人が理解している通りだが、2つ注意点がある。 第一に、短期的に消費が増えれば景気は良くなるが、景気は良くなれば必ず悪くなる。経済成長とは別物である。 第二に、好循環という言葉が多用されすぎている。経済はいったん回り始めれば自然と回り続けてそれが経済成長となると誤解されている。だが、それはまったくの誤りで、好循環と経済成長とは無関係で、消費を増やしお金をぐるぐる回せば、景気が良くなり、成長するのではない。短期的には景気は良くなるが、逆に投資にまわすお金はなくなり、長期的な成長性は失われ、むしろ経済成長率は低くなる。 高度成長期の「投資が投資を呼ぶ」という好循環と、消費刺激により経済をまわす、と人々(特に政治家)が考えていることはまったくの別物だ。もともと資本が不足しており、実物へ投資したくても金がなくて投資ができないときは、資金が供給されて設備投資が増えれば、生産が増えて、利益も増える。それにより、さらなる設備投資が可能になり、さらに生産力が上がる、という循環である。 これは、もともと需要はあるのに、資本不足で投資不足になっている場合のことである。現在のように、資本が余りまくっていて、よい実物投資機会があれば、いくらでも資金を融資したいと銀行が思っているような状況ではまったく当てはまらない。 無駄な投資を行って生産しても、それは売れず赤字が膨らむばかりだろう。あるいは、どこかの企業のように、社運をかけた投資をしても、世界的な競争には勝てる保証は全くなく、危機に陥るだけである。 一方、株式市場においては、この「お金をぐるぐる回すと好循環になる」という実物市場においては誤解でしかない論理が見事に成立しているのである。 つまり、株式を誰かが買う。買うから上がる。上がったからさらに上がると思う投資家が出てくる。彼らも買う。さらに上がる。上がったから売ると儲かる。儲かった金でさらに別の株を買う。すると、この別の株も上がる。このように、株は買いが続けば、上がり続けるのである。 そうすると、上がったところで売って儲けた人が出てくるだけでなく、売っていないのに「儲かる人」が出てくるのである。いや、むしろこちらのほうが大半である。 つまり、市場で成立する株価が以前より上がっている。前に買った人は買い値よりも市場価格のほうが高い。つまり、簿価よりも時価のほうが高い。含み益が生じているのである。 そして、時価が常に正しいと思い込めば、投資の教科書には(ファイナンス理論においても)、ついている市場価格は常に正しいと書いてあるから、この含み益は、実現利益と違いはなく、利益である。資産総額が増えるのである。よって、強気になってさらに投資をする。つまり株を買う。だから、株がさらに上がる。こういうメカニズムである。 なんとも不思議な世界だが、もしも「おかしい」と思った方がいれば、そう、あなたは正しい。このロジックにはトリックがある。それも2つある』、どんな「トリック」なのだろう。
・『「2つのトリック」とは?  ひとつは「市場価格は常に正しい」というものである。この前提は単純に間違いだ。 市場価格とは、理論的に正しい価格でも、現在の需給を反映した現実の市場ニーズの集計結果でもない。「たまたまついた値段」に過ぎないのである。誰かが間違って過大評価し、買いだ、と思って買いまくれば、価格は急騰する。一方、もし過大評価しても、実際に買わなければ株価は上がらない。ヤフーオークションの結果と同じなのである。 もうひとつは、株価が上がったから、さらに上がると思う投資家が出て来る、というところである。まるでねずみ講のようだが、実際、私はリーマンショック前に出版した著作「すべての経済はバブルに通じる」では、株式市場とはねずみ講であると冒頭で断言し、「この前書きだけがすばらしい」と当時アマゾンの読者レビューに書かれたものだ。 買えば上がり、上がれば買う、という連鎖が起きれば、ここで書いたような、株価上昇の循環が起こるが、これが起こることは保証されたわけではない。上がったら買うような、株価上昇に追随する投資家がいなければ、これは実現しないからである。これが実現するパターンはただひとつ。バブルである。バブルの時には、これが実現する。) そして、今は、まさにこの状況である。「コロナのワクチンがついに開発された!買いだ!ワクチンが出れば、小売流通などこれまでの負け組も回復する!」などと言って株が上がる。だが次の日には、経済指標が発表され、予想よりも悪く、失業者が高止まりだったりする。 その次の日には、新型コロナ感染者が急増し「ニューヨークやロンドンではロックダウン(都市封鎖)の可能性がある」などと報道される。すると、デジタル関連銘柄が上昇し、また経済対策期待が膨らみ、結局はオールドセクターも上昇する。そして、この上昇の流れに多くのトレーダーが追随する。 ここからわかることは、まず、今は明らかにバブルであるということだ。モーメンタムトレード、つまり「流れに乗る投資」が有効であり、多くの人が行っていることがバブルの証左であり、またバブルを実際に作っている。バブルをさらに膨らましている』、「今は明らかにバブルであるということだ。モーメンタムトレード、つまり「流れに乗る投資」が有効であり、多くの人が行っていることがバブルの証左であり、またバブルを実際に作っている。バブルをさらに膨らましている」、との診断には同感である。
・『株式市場とは「期待だけが重要」な世界  ここに、最重要な事実が現れる。「バブルは作られている」のである。それを作っているのは、追随買い、という投資行動であるが、この投資行動を生み出しているのは、「株価はまだ上がるはずだ」という期待である。つまり、期待が買いを生み、買いが上昇となり、この上昇が期待をさらに膨らませ、それがさらなる買いを膨らませる。すなわち、期待が株価を動かしているのであり、期待が自己実現しているのである。 株式市場とは、期待が自己実現する世界であり、真実はどうでもよい。期待だけが重要であり、実体経済においては、事実を変えることはできないから、期待と現実が乖離していることこそが、株価と実体経済が乖離している現象を生み出しているのである。 そして、最後は、期待は裏切られ現実に引き戻される。それゆえ、期待によって生まれた株価は持続せず、結局は現実、すなわち、実体経済に引き戻されるから、「株式市場と実体経済は、一致するはずだ」「連動するはずだ」と主張する人が出てくるだろう。実際、教科書の議論はそういうことだ。 では、教科書と現実(あるいは現実の側を主張する私)は何が違うのか。教科書は必ずしも間違っていない。しかし、それは10年に一度のバブル崩壊のときにだけ実現する、ということであり、10年に1度だけ、正しくなる、というだけのことだ。 そして、その連動は、悲劇的でドラスティックなものであり、日々連動するわけではないのだ。ただ、それだけのことである。その10年に一度が今やってきていない、というだけのことなのだ』、「最後は、期待は裏切られ現実に引き戻される。それゆえ、期待によって生まれた株価は持続せず、結局は現実、すなわち、実体経済に引き戻される」、「しかし、それは10年に一度のバブル崩壊のときにだけ実現する」、今回はどうなのだろうか。

次に、2月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「日経平均3万円超え、「攻め時」と「引き時」を真剣に」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/263286
・『日経平均3万円超えで中高年はなぜ「嫌な予感」がするのか  経済人って、理屈抜きで悪い予感を感じるときがあるものです。私だけでなく、50代以降の結構多くの経営者やビジネスパーソンが、理屈ではなく予感として、日経平均株価が3万円を超えたことについて「嫌な気配」を背筋に感じています。 先に、断言しておきます。私は経済予測の専門家ですが、「株価に限っては未来予測が難しい」ということは常識です。後でお話しするように、株価については例外的に1つだけ高い確度で予測できることがあるのですが、それ以外の予測は難しいです。 たとえば、「今年の年末の日経平均はいくらになっているのか?」「今年、爆上げする銘柄は何か?」といった予測は、どのプロのアナリストが行っても大概外れます。現実に、プロのファンドマネジャーが運用する投資信託の6~7割は、パフォーマンスで平均株価に負けているという分析データもあります。 つまり「3万円を超え、これから日経平均がどうなるのか?」という予測は、まず当たらないというのがアナリスト界隈の常識です。一方で予測とは別に、予感として「これからひどいことが起きそうだ」と私のような中高年のビジネスパーソンは感じてしまう。その理由は、過去によく似た「強烈な体験」をしているからです。 前回、日経平均株価が終値で3万円を超えたのは1988年12月7日のことでした。1988年はバブル経済の真っ只中で、4月から10月までの約半年間、日経平均は2万7000円から2万8000円の間のボックス相場で膠着していました。今思い起こすと、あたかもそこから上に上がるのが怖かったかのようでした。そのトレンドが崩れたのが11月で、そこから株価の上昇が始まり、1988年12月に初めて3万円台に到達します。 そして翌1989年は、株価はもみ合いながらも、年間を通じて一貫して上昇し、1989年12月29日の大納会で、運命の3万8915円87銭という、史上最高値を記録します。この年のクリスマスイブは、バブル熱狂のピークの日曜日でした。都内の高級フレンチレストランは、1人3万円の特別ディナーコースしか注文できないにもかかわらず、本当に予約がとれない状況でした。しかもそこでは、高級ワインをボトルで追加注文するのが、お客としてのマナーだったと記憶しています』、「予感として「これからひどいことが起きそうだ」と私のような中高年のビジネスパーソンは感じてしまう」、私も同感だ。
・『「日経平均は5万円を超えて上がる」 株価暴落を予測した専門家はゼロ  今でもよく覚えていますが、この年末において1990年の株価が下落すると予測した経済アナリストは、ほぼ皆無でした。平均的なアナリストは、1990年の日経平均は4万5000円くらいを予測していて、強気のアナリストが「日経平均は5万円台に突入する」「いや、6万円台も十分にあり得る」と言っていました。ほとんどのアナリストが、1990年のバブル崩壊を予見できなかったのです。 現実には、1990年3月に大蔵省が「土地関連融資の抑制について」という、いわゆる総量規制を打ち出します。1986年に公定歩合(当時)が大きく引き下げられたことからバブルが始まったのですが、日銀はここで公定歩合を急速に引き上げます。1989年5月まで2.5%だった公定歩合は小刻みに上がり、1990年3月に5.25%、8月に6.0%と金利が急上昇します。そして、土地と株のバブル崩壊が始まります。 日経平均は1990年の2月下旬に急落の兆候を見せ、3月22日に3万円台をいったん割ります。その後、わずかな期待をかけて株価は何度か踏みとどまろうとしましたが、1990年8月2日を最後に3万円台からさよならし、その後30年続く日経平均の低迷時代に突入するのです。 私たち50代以上のビジネスパーソンが、「日経平均が3万円を突破した」というニュースを聞いて、理屈ではなく感覚的に寒気を感じてしまうのは、30年前にそういう「嫌な体験」をしているからです。訓練された犬がベルの音を聴いてよだれを出すように、私たちの年代のビジネスパーソンは、パブロフの犬の条件反射のように、「日経平均3万円」と聞くと、これから長く寒い「冬の時代」がやってくるような気がして、心が縮こまってしまうのです。 歴史を検証してみれば、バブルが起きたのは当時の記録的な低金利が理由で、バブルが崩壊したのはそれを急速に是正しようとしたからでした。今、コロナ禍にもかかわらず日経平均が上昇しているのも、アベノミクス以降、日銀のマイナス金利政策が継続しているからです。理屈でいえば、国の金融を司るトップレベルの人が突然「出口戦略を実行する」などと言い出さない限り、この状況は続くでしょう。 よって足もとに関しては、論理的には日経平均が3万円を突破したからといって、「まずいことが起きそうだ」と考える根拠はありません。普通に考えれば、今年後半にはワクチンが普及し、新型コロナ禍も収まって、平均株価は過去最高値の突破を視野に上昇しても、おかしくないはずです。理屈では、そうなるという話です』、「訓練された犬がベルの音を聴いてよだれを出すように、私たちの年代のビジネスパーソンは、パブロフの犬の条件反射のように、「日経平均3万円」と聞くと、これから長く寒い「冬の時代」がやってくるような気がして、心が縮こまってしまうのです」、その通りだ。
・『株式相場の大調整を招く「2つのかく乱要因」とは  ここで、話は冒頭に戻ります。株価に関しては未来予測が難しいです。アナリストが予想した通りに動くことがないのです。 では、もし今回も日経平均が順調に上昇する未来が訪れないとしたら、この先、どのようなかく乱要因があるのでしょうか。あり得そうなシナリオを、2つ提示してみたいと思います。 1つは、単純な市場心理です。仮に市場の参加者の多くがバブル崩壊の経験者で、共通の思考として過去のバブルの経験から過度に「3万円」というラインを警戒しているとすれば、何かのきっかけでそれが株価崩壊に転じる可能性は、十分にあります。なにしろ株価というものは、実体経済よりも「美人投票」に近く、皆がそう思う方向へと動くのだから。 私の個人的な予測では、この市場心理による危険水準ラインは3万円ではなく、むしろ過去最高値に近づく3万8000円台に入ったときに、明確化しそうです。 「経済実態を伴わないにもかかわらず、日経平均が過去最高値を突破」といったニュースが私たちの耳に入ったときに、市場に参加している投資家たちがどう感じるかが問題です。 仮に「これが引き時の合図だ」と考える人が一定数いて、そこで売りが始まった場合に、市場心理による株価下落が始まるシナリオはあり得るのではないかと、私は警戒します。 もう1つのシナリオは、アメリカの金利政策の変更です。グローバルな金利を見ると、日本だけでなくEUや英国も、2010年代から直近まで継続して超低金利政策をとっています。ところがアメリカだけは、2016年から2019年にかけて金利を引き上げにかかっていました。その政策が変化したきっかけがコロナ禍であり、2020年に緊急利下げを発表します。 これが、コロナ禍で急落したアメリカの株価が持ち直した直接のきっかけです。そして現時点で、アメリカの金融当局であるFRBは、コロナ禍から経済が回復し、完全雇用に近づくまでは、このゼロ金利政策を維持すると表明しています。市場の予想では、2023年くらいまで続くのではないかという期待がありますが、問題はその期待が裏切られた場合です。 本来、FRBから見れば、最初は「数カ月間の緊急事態対策」だったはずのゼロ金利が長期化する状況は、「やむを得ないとしてもよいことではない」と、本音では考えているはずです。仮に、ワクチンの効果でコロナ禍から経済が脱する状況が見えてきたとしたら、FRBが早期に金利を元のあるべき水準に戻そうとする可能性はあると思います。 そうなると、市場が思っていたよりも早くアメリカの量的緩和が終わり、ダブついていたはずのマネーが反転することになります。これが、日経平均の下落が起こり得るもう1つのシナリオです。 歴史を振り返ると、仮に1989年と同じことが起きるとすれば、日経平均はこの先、1年かけて着々と3万8915円に近づいていくかもしれません。そして、2022年4月頃に最高値を更新するとすれば、その時期とFRBの政策変更時期が重なる危険性は、十分にあり得そうだということです』、「2022年4月頃に最高値を更新するとすれば、その時期とFRBの政策変更時期が重なる危険性は、十分にあり得そうだ」、確かにその可能性には警戒しておく必要がありそうだ。
・『日経平均続伸の例外シナリオも やはり株価予測は難しい  さて、最後にもう1つ、別の要素について話しておきたいと思います。株価について、この先1年でどうなるかという予測は非常に難しいというのが今回の話の前提ですが、冒頭で述べたように、その理論には1つだけ例外があります。 それは、超長期に限って言えば、平均株価は経済の発展する方向へ動くということです。その観点で比べると、失われた20年を経験した日本経済と違って、アメリカ経済は過去30年間、長期的な発展を経験してきました。より正確に言うと、アメリカの大企業は国内経済以上にグローバル経済の発展の恩恵を受け、継続的に業績を拡大させてきました。 以前、日経平均が3万円を超えていた1988年から1989年までの時代、アメリカのダウ平均株価は2000ドル台でした。それが30年後の2021年には、ダウは3万ドル台。いつの間にか、名目数字で日経平均を超えています。 数十年単位の超長期で見た株価は、そのような実体経済が進む方向に合致します。日本の場合、1989年頃のバブル時代は、実は日本企業がアメリカを超えるのではないかというくらい、絶好調の時代でした。しかし、トヨタ自動車も日産自動車も、ソニーも日立製作所も東芝も、そこで成長は一時停滞してしまいます。 東芝と日産はさておき、近年のトヨタやソニーの決算の回復ぶりを見ると、すでにバブル経済の頃のピークを超え、その次のステージへと近づいている感があります。その意味では、今後日本を牽引する企業の株価が本格的に上がっていくのは、これからなのかもしれません。 怖い、怖いと思いながらも日経平均が上がっている背景には、金融緩和ばかりでなく、コロナ禍で収益構造を変えて善戦する企業の努力があるのだとしたら、投資家にとってはまだ「攻め時」であって、「引き時」はもっと先だと考えるべきなのかもしれません。 ただ、最後に率直な気持ちを述べると、私はやっぱり「投資は難しい」と思っています』、最後の部分は正直な述懐のようだ。

第三に、2月23日付け現代ビジネスが掲載した経済ジャーナリストの町田 徹氏による「日本人が「株価3万円突破」を手放しで喜んではいけない、重大な理由」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80470?imp=0
・『かつてのバブル相場での「モラルハザード」  先週月曜日(2月15日)。東京株式市場で日経平均株価が3万円の大台を回復した。これは、1990年8月以来、実に30年半ぶりという節目である。 新聞やテレビは、回復の原動力として様々な要因を報じた。曰く、去年の10~12月のGDP(国内総生産)が2期連続で大幅な伸びを記録した、企業収益が予想されたほど悪くなかった、米国を含めて海外株が堅調だといった具合だ。 中には、新型コロナワクチンの接種スタートを歓迎したと報じるところもあった。だが、これらはどれも決め手とは言えない。最大の要因が日銀を中心とした各国の金融緩和にあることは明らかだ。 少なくとも、現下の新型コロナウイルス感染症危機が完全に収束するまでは、日銀を始め各国・地域の金融緩和は続く見通しで、株価が上昇し易い環境も維持されるだろう。日経平均が1989年末に付けた史上最高値(3万8915円)を更新する日が来てもおかしくはない。 しかし、“日銀相場”を手放しで歓迎することはできない。銀行や企業のモラルハザード(倫理の欠如)など、深刻な副作用を伴うからである。 振り返れば、1986年頃にスタートして1989年末に終わったとされる株式のバブル相場も、凄まじいモラルハザードを生みだした。 当時、筆者は、株の街・兜町にある東京証券取引所の記者クラブ「兜クラブ」詰めの新聞記者で、そのモラル崩壊の現場を目の当たりにした。 中でも壮絶だったのは、日経平均が最高値に向かう過程の株価形成だ。後に「証券不祥事」とか「損失補てん事件」と呼ばれるスキャンダルに発展したが、その構図はこうだ』、「町田」氏がバブル期に「「兜クラブ」詰めの新聞記者」だったとは初めて知った。異常事態をインサイダーとして観ていたようだ。
・『リスク感覚がマヒしていた  多くの大企業が株式や転換社債を発行したり、銀行から借り入れたりして巨額の資金を調達。「財テク」と称し、この資金を株式市場で運用することで多額の利益を稼ぎ出そうとした。財務部は花形部署のひとつだった。 運用を受注したのは、大手や準大手の証券会社だ。証券会社は資金運用を引き受ける際、密かに、文書もしくは口頭で、違法行為の「利回り保証」や違法行為スレスレの「損失補てん」契約を結んだ。契約の中には、担当者が名刺に「利回り保証年7%」などと書き込んだだけのものもあった。 こうした契約は、事前に顧客企業の了解を得なくても、証券会社の裁量で株式を売買できるファンド(通称「営業特金」)に資金を組み込むことを意味し、猛烈な回転売買を可能にした。証券会社にとっては、株式の委託売買手数料を好きなだけ獲得できる仕組みだった。 証券会社は、個別銘柄の経営実態を無視して相場を吊り上げた。営業特金は膨らみ続け、企業業績のかさあげに貢献した。「利回り保証」や「損失補てん」契約もあり、企業はリスク感覚が麻痺、実態は無謀な投資に過ぎないのに、割りの良い収益源を確保したと勘違いしていた。 一方、当時の大蔵省は、複数の証券会社の検査を通じて懸念を募らせていた。ひとたび相場が下落に転じたら、証券会社には保証や補てんをする体力がなかったからだ。 増資・起債で融資の顧客を、資金運用で預金の顧客を奪われた銀行からの苦情も無視できなかった。そして、大蔵省が「さすがに、目に余る」「いつまでも続くわけがない」と、本格的な規制に乗り出す腹を固め、狂乱の株式バブル相場は終焉を迎えることになったのだ。 株式相場は1990年の年明けから一転、先の見えない長期下落局面に突入した。経済実態を離れて大きく吊り上げられていたうえ、大企業と証券会社の癒着が露呈し、市場への信頼が根底から崩れてしまった』、金融引き締めに転じる時期が遅れただけでなく、引き締めの度合いも強烈過ぎた。
・『原動力は一貫して日銀の金融緩和  ほぼ10年が経って2000年代に入ると、ITバブルや郵政相場で多少持ち直しかけた時期もあったが、いずれも長続きはしなかった。リーマンショックの影響が長引き、日経平均は2009年3月にバブル崩壊後の最安値(7054円)を記録した。 さらに12年近い歳月が経過した先週月曜日。日経平均は安値から4.2倍以上に上昇し、30年半ぶりに3万円台を回復した。 ほぼ一貫して原動力になったのは、日銀の金融緩和だ。その第1弾は、白川方明前総裁時代の2010年12月に放たれた。株価の底割れを防いで経済の好循環を作り出し、デフレ経済を脱却するという名目で、株式を組み込んだ上場投資信託(ETF)の購入が始まったのだ。当時の購入枠は4500億円だった。 ETF購入は、黒田東彦現総裁のもとで合計4回にわたって強化された。直近は昨年3月のことで、購入枠の上限が年間12兆円に膨れ上がった。背景には日経平均が1カ月あまりの間に3割以上も急落するコロナショックがあり、安倍前政権の過去最大級の経済対策に呼応する形で、黒田日銀も包括的な金融緩和策を打ち出したのだ。 日銀は、ETFの購入拡大に加え、積極的な国債買い入れ、ドル資金の潤沢な供給、新型コロナで苦境に陥った企業を支援するための特別オペなど様々な対応を講じている。 海外でも、トランプ前米政権が2兆ドル規模の経済対策を、FRB(米連邦準備理事会)が量的緩和を実行したほか、EU(欧州連合)やECB(欧州中央銀行)も続々とかつてない大規模な対策を実施した。 これらにより「世界的カネ余り現象」が起きた。経済の下支え期待が膨らみ、世界の市場が平静を取り戻す中、日経平均も半年足らずでコロナショック前の水準を回復した。 その後もほぼ一本調子の上昇を続けて、先週の大台回復が実現した。「資産バブル」と呼ばれ、株式に限らず、商品相場や暗号資産価格なども高値を付けている』、なるほど。
・『金融緩和は継続せざるをえない  数字を見ても、去年1年間の市中への資金供給の大きさは明白だ。資金供給の結果として、日銀の保有資産は昨年12月末に前年より23%増加、金額ベースで129兆円多い702兆円に膨張した。この増加額はデータが開示されている1998年以降で最大なのだ。なりふり構わぬコロナ対策の姿が伺える。 このうち、株式相場を押し上げる効果の高いETFは簿価ベースで1年前の25%増、金額ベースで7兆円増の35兆円(簿価ベース)となった。日銀に支えられて、東証1部の時価総額はコロナショックで急落した去年3月に比べて約130兆円も増加した。 こうした株式相場が上昇し易い環境は、今後も当分の間、維持される可能性が強い。というのは、コロナ危機が去り、経済が正常化するまで、日銀に限らず、各国は大規模な金融緩和を継続せざるを得ないからだ。 その一例が、米FRBだ。昨年9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で、コロナ対策に万全を期すため、少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持するという方針を表明した。 また先週木曜日(2月18日)。黒田日銀総裁は菅総理と会談、「金融緩和を相当長く続ける必要があることを伝えた」と明かしている。 これらは、昨年のコロナショックのような混乱が再発すれば、日銀やFRBが迷うことなく再び大胆な金融緩和策を講じるとの意思表明に他ならない。 こうした状況では、相場が大きく下がるとは考えにくい。投資はあくまでも自己責任で、安易な投資を推奨する気は毛頭ないが、上昇し易い世界的なカネ余り状態が続くとみるのが自然だろう』、FRBでハト派だったイエレン氏が財務長官になったことも、緩和継続の可能性が高まったようだ。
・『上下する市場の機能が損なわれている  急激に強いインフレ懸念が台頭するとか、相場が過熱し過ぎるといった想定外の事態が起きない限り、環境が大きく変わることはなさそうだ。 とはいえ、金融緩和は決して良いこと尽くめではなく、多くの副作用が生じている。本来、市場は上がったり下がったりして、経済を映す鏡となるものだが、その機能は損なわれたままだ。 銀行への資金供給や企業の救済オペが、コロナ危機以前から破綻しかねない状態にあった銀行や企業の経営実態を覆い隠し、ゾンビ銀行やゾンビ企業の闇雲な延命策となっていることも深刻である。 日銀のETF保有残高は時価換算すると、45兆円を超えた模様だ。これは、日銀が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を抜いて、日本株の最大の株主になったことを意味している。「モノ言わぬ株主」である日銀が、緊張感のない経営を助長し、モラルハザードを加速していることも、コーポレートガバンスの観点から看過できない問題である』、国債の大量購入により国債市場は国債発行額の影響を受けなくなり、財政拡大へのブレーキが鈍り、これが近年の財政規律喪失につながっていることも無視できない。また、中央銀行資産のGDP比は、日本が米国やECBに比べダントツに多く、それだけ不健全として円が信認を失う危険性も高い。緩和で浮かれている段階ではなく、超緩和からの出口も内密にでも検討しておくべきだろう。
タグ:東洋経済オンライン 鈴木貴博 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス 小幡 績 町田 徹 株式・為替相場 (その10)(「今の株高は異常だ」と思う人の根本的な間違い 「コロナで不景気でも株価上昇」の正しい考え方、日経平均3万円超え、「攻め時」と「引き時」を真剣に、日本人が「株価3万円突破」を手放しで喜んではいけない 重大な理由) 「「今の株高は異常だ」と思う人の根本的な間違い 「コロナで不景気でも株価上昇」の正しい考え方」 株式市場と実体経済は「ほぼ無関係」である 「株式と実体経済が連動していたのは過去の話である。1980年代以降の日本、あるいは1990年代以降の欧米ではもはや連動しなくなり、21世紀においては地球上のどこでも連動しなくなったのだ。 なぜ株価と実体経済は連動しなくなったのか?理由は単純だ。財市場と資産市場は別の世界のものだからだ」、ここまで言い切るとはさすが「小幡 績氏」だ 株式市場と実体経済が連動しない「小さな3つの理由」 景気が良くなることと経済成長は「別物」 どんな「トリック」なのだろう 「2つのトリック」とは? 「今は明らかにバブルであるということだ。モーメンタムトレード、つまり「流れに乗る投資」が有効であり、多くの人が行っていることがバブルの証左であり、またバブルを実際に作っている。バブルをさらに膨らましている」、との診断には同感である 株式市場とは「期待だけが重要」な世界 「最後は、期待は裏切られ現実に引き戻される。それゆえ、期待によって生まれた株価は持続せず、結局は現実、すなわち、実体経済に引き戻される」、「しかし、それは10年に一度のバブル崩壊のときにだけ実現する」、今回はどうなのだろうか 「日経平均3万円超え、「攻め時」と「引き時」を真剣に」 日経平均3万円超えで中高年はなぜ「嫌な予感」がするのか 「予感として「これからひどいことが起きそうだ」と私のような中高年のビジネスパーソンは感じてしまう」、私も同感だ 「日経平均は5万円を超えて上がる」 株価暴落を予測した専門家はゼロ 「訓練された犬がベルの音を聴いてよだれを出すように、私たちの年代のビジネスパーソンは、パブロフの犬の条件反射のように、「日経平均3万円」と聞くと、これから長く寒い「冬の時代」がやってくるような気がして、心が縮こまってしまうのです」、その通りだ 株式相場の大調整を招く「2つのかく乱要因」とは 「2022年4月頃に最高値を更新するとすれば、その時期とFRBの政策変更時期が重なる危険性は、十分にあり得そうだ」、確かにその可能性には警戒しておく必要がありそうだ 日経平均続伸の例外シナリオも やはり株価予測は難しい 私はやっぱり「投資は難しい」と思っています』、最後の部分は正直な述懐のようだ 「日本人が「株価3万円突破」を手放しで喜んではいけない、重大な理由」 かつてのバブル相場での「モラルハザード」 「町田」氏がバブル期に「「兜クラブ」詰めの新聞記者」だったとは初めて知った。異常事態をインサイダーとして観ていたようだ リスク感覚がマヒしていた 金融引き締めに転じる時期が遅れただけでなく、引き締めの度合いも強烈過ぎた。 原動力は一貫して日銀の金融緩和 金融緩和は継続せざるをえない FRBでハト派だったイエレン氏が財務長官になったことも、緩和継続の可能性が高まったようだ。 上下する市場の機能が損なわれている 国債の大量購入により国債市場は国債発行額の影響を受けなくなり、財政拡大へのブレーキが鈍り、これが近年の財政規律喪失につながっていることも無視できない。また、中央銀行資産のGDP比は、日本が米国やECBに比べダントツに多く、それだけ不健全として円が信認を失う危険性も高い。緩和で浮かれている段階ではなく、超緩和からの出口も内密にでも検討しておくべきだろう
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