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金融業界(その8)(三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革 「13人抜き」エースが描く銀行の生存戦略とは?、三菱UFJ銀が「新卒年収1000万円」特別枠…従来型「一括採用」は縮小に向かう?、SBIホールディングス<上>新生銀行の筆頭株主に躍り出る、SBIホールディングス<下>着々と進む第4のメガバンク構想) [金融]

金融業界については、(その8)(三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革 「13人抜き」エースが描く銀行の生存戦略とは?、三菱UFJ銀が「新卒年収1000万円」特別枠…従来型「一括採用」は縮小に向かう?、SBIホールディングス<上>新生銀行の筆頭株主に躍り出る、SBIホールディングス<下>着々と進む第4のメガバンク構想)である。

先ずは、4月12日付け東洋経済オンライン「三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革 「13人抜き」エースが描く銀行の生存戦略とは?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/421767
・『「伝統的な商業銀行が成長ドライバーになるのは難しい」――。 昨年末の会見で三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤宏規社長がこう断言するほど、銀行を取り巻く経営環境は厳しい。低金利が長引き、従来の預金と貸し出しを中心としたビジネスモデルでは立ち行かなくなっているからだ。 向かい風が吹く中、4月1日付で傘下の三菱UFJ銀行の頭取が交代した。新頭取に就いたのは、13人の副頭取や専務を抜き、常務から抜擢された半沢淳一氏(56)だ。  変革期にある銀行をどう舵取りするのか。半沢新頭取に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは半沢氏の回答)』、「3人の副頭取や専務を抜き、常務から抜擢」とは味なことをやるものだ。
・『経営課題の解決で成長余地はある  Q:銀行の成長性をどう見通していますか。 A:国内商業銀行の業務のうち、預金・貸し出しについて言えば、厳しいのは間違いない。純粋に利ザヤが縮小しているからだ。ここを改善するのが(成長への)いちばん大きな道ではあるものの、残念ながら当面の間は無理だと言わざるをえない。 一方で取引先の経営課題を解決し、手数料をいただく余地は十分にある。コロナ禍において経営課題を感じていない顧客はいない。アフターコロナへの対応、デジタル化の進展、非対面取引の増加に加え、気候変動にも対応しなければいけない。 こうした課題に対し、顧客に言われてから動くのではなく、自ら(解決策を)提案する。これはわれわれがやりきれていなかった部分だ。タイミングをとらえた提案をきちんと行えば、収益を上げることはできる。コスト削減と両軸で取り組み、収益性を上げていく。 Q:収益力を高めるうえで特に重点を置く分野は? A:3つある。国内収益基盤の強化、グローバル事業の強靭化、環境・社会課題の解決への貢献だ』、「取引先の経営課題を解決し、手数料をいただく余地は十分にある」、のは理屈の上ではそお通りだが、現実にはかなり困難だ。
・『経営課題の解決で成長余地はある  Q:銀行の成長性をどう見通していますか。 A:国内商業銀行の業務のうち、預金・貸し出しについて言えば、厳しいのは間違いない。純粋に利ザヤが縮小しているからだ。ここを改善するのが(成長への)いちばん大きな道ではあるものの、残念ながら当面の間は無理だと言わざるをえない。 一方で取引先の経営課題を解決し、手数料をいただく余地は十分にある。コロナ禍において経営課題を感じていない顧客はいない。アフターコロナへの対応、デジタル化の進展、非対面取引の増加に加え、気候変動にも対応しなければいけない。 こうした課題に対し、顧客に言われてから動くのではなく、自ら(解決策を)提案する。これはわれわれがやりきれていなかった部分だ。タイミングをとらえた提案をきちんと行えば、収益を上げることはできる。コスト削減と両軸で取り組み、益性を上げていく。 Q:収益力を高めるうえで特に重点を置く分野は? A:3つある。国内収益基盤の強化、グローバル事業の強靭化、環境・社会課題の解決への貢献だ。 国内では(富裕層向けビジネスの)ウェルスマネジメントや法人向けの分野で課題解決型の提案を行い、デジタル化も進める。この5年間で店舗に来店する顧客の数は半分になったが、ネットでの取引は2.5倍に増えている。顧客起点で考え、オンライン上の取引でも使い勝手のいいサービスを作っていく。 グローバル事業はこれまで海外銀行を買収してきたが、2019年のインドネシア・バンクダナモンの子会社化で一定のメドがついた。量的な拡大を終え、これからはしっかりとシナジーをあげて果実をとる。 Q:買収子会社とは具体的にどんなシナジーを考えていますか? A:例えば東南アジアには4つの子会社を持っている。その4行の間でのシナジーもあるし、4行とMUFGとの連携や、2020年2月に出資して業務提携した東南アジアの配車アプリ大手のGrab社との連携も考えられる。 わかりやすいのはGrab社との連携だろう。現在、(子会社の)タイのアユタヤ銀行でGrabのドライバーや加盟店に対する融資を行うビジネスが始まっている。これをインドネシアなどにも広げる。将来は対象をGrabのユーザーにも広げることも考えられる』、「Grab社との連携」は確かに実を結びそうだ。
・『本館を建て替え提案力を高める  環境・社会問題においては特に、気候変動対応に焦点が当たっている。もはや環境問題というより、産業構造の問題になっている。そうした流れに対応できるよう、顧客の支援を行う。 これらを実現するには、グループの総合力を発揮して、スピード感を持って付加価値の高い提案を行うことが必要だ。 そのために、銀行の本館を建て替えようと考えている。そこに持ち株会社(MUFG)と傘下の銀行・信託・証券を集約する。本部の人員数を減らし、管理コストも引き下げながら提案力を高める。 現在はグループ内で丸の内と大手町に9つのビルがあり、1万9000人が働いている。これまでは(1カ所に)この人数を集約するのは難しかった。) それがコロナ禍で在宅勤務の比率が上がり、実現可能になった。現在、銀行の本部は50~60%の社員が在宅勤務だ。 新しい働き方にも適したビルのあり方を考えながら、2022年度中には詳細を固めて取り壊し、着工したいと考えている。 Q:足元では新型コロナの影響により、多くの企業が資金難に陥っています。 資金需要は2020年の4~5月をピークに落ち着いていたが、2021年3月ごろからまた少しずつ増えてきた。特にホテル、小売り、旅行、サービスなど個人消費関連の企業は厳しく、資金ニーズが増えている。 緊急事態宣言は解除されたものの、(感染再拡大への)懸念を持ちながら経済活動をしている。おそらく2021年度もコロナ禍以前の状態に戻ることは難しい』、「現在はグループ内で丸の内と大手町に9つのビルがあり、1万9000人が働いている」、「コロナ禍で在宅勤務の比率が上がり」、「1カ所にこの人数を集約」、果たして上手くいくのだろうか。
・『事業再生ノウハウを持った人員で対応  回復の遅い会社は注視が必要だ。コロナで産業構造が変わり、元の状態に戻れない企業には、ビジネスを変えるための新しい業務内容を提案しなければいけない。 (半沢氏の略歴はリンク先参照) その意味で、2021年度は重要な1年になる。2020年度も大変だった年であることは間違いないが、まずは「(資金で)つなぐ」1年だった。 しかし足元では「この企業はコロナ前(の経営状態)に戻る」「この企業は戻らない」という違いが明確に見えてきている。2021年度は将来を展望し、その企業をどうするかという(提案型の)支援の比重が高まる。 Q:経営が厳しい企業の支援に対応する社内体制は十分ですか。 事業再生の経験をしている人がどの程度残っているかという問題はある。ただ、融資担当の部署には2000年頃からずっと融資を担当し、ノウハウを持っている人材がいる。注視しなければいけない数百社については、本部の融資部で個別に対応していく。それがコロナ禍で在宅勤務の比率が上がり、実現可能になった。現在、銀行の本部は50~60%の社員が在宅勤務だ。 新しい働き方にも適したビルのあり方を考えながら、2022年度中には詳細を固めて取り壊し、着工したいと考えている。 Q:足元では新型コロナの影響により、多くの企業が資金難に陥っています。 資金需要は2020年の4~5月をピークに落ち着いていたが、2021年3月ごろからまた少しずつ増えてきた。特にホテル、小売り、旅行、サービスなど個人消費関連の企業は厳しく、資金ニーズが増えている。 緊急事態宣言は解除されたものの、(感染再拡大への)懸念を持ちながら経済活動をしている。おそらく2021年度もコロナ禍以前の状態に戻ることは難しい』、「個人消費関連の企業」の「厳し」さはまだ続かざるを得ないだろう。
・『事業再生ノウハウを持った人員で対応  回復の遅い会社は注視が必要だ。コロナで産業構造が変わり、元の状態に戻れない企業には、ビジネスを変えるための新しい業務内容を提案しなければいけない。 その意味で、2021年度は重要な1年になる。2020年度も大変だった年であることは間違いないが、まずは「(資金で)つなぐ」1年だった。 しかし足元では「この企業はコロナ前(の経営状態)に戻る」「この企業は戻らない」という違いが明確に見えてきている。2021年度は将来を展望し、その企業をどうするかという(提案型の)支援の比重が高まる。 Q:経営が厳しい企業の支援に対応する社内体制は十分ですか。 A:事業再生の経験をしている人がどの程度残っているかという問題はある。ただ、融資担当の部署には2000年頃からずっと融資を担当し、ノウハウを持っている人材がいる。注視しなければいけない数百社については、本部の融資部で個別に対応していく』、「注視しなければいけない数百社」、「本部」直轄とはやれやれだろう。

次に、5月3日付け弁護士ドットコム「三菱UFJ銀が「新卒年収1000万円」特別枠…従来型「一括採用」は縮小に向かう?」を紹介しよう。
https://www.bengo4.com/c_5/n_12983/
・『三菱UFJ銀行が、大卒1年目から年収1000万円以上になる可能性がある、新たな新卒採用の仕組みを導入することが3月に報じられ、話題になりました。 日本経済新聞によると、三菱UFJ銀行の従来の新卒採用では、一律300万円程度の年収でしたが、今回の新しい仕組みでは、デジタル技術などの専門人材を対象に、全体の1割程度にあたる40人程度について、年収に差をつけることになります。 大和証券も3月、ITや金融の専門知識をもつ人材を対象に、初任給を月40万円以上(一般的な総合職は25万5000円)とする報酬体系をもうけると発表しました。このコースの場合、トレーダーとしての能力次第で年収5000万円となる可能性もあるそうです。 このような「特別枠」をもうけることの意味はなんなのでしょうか。従来の新卒一括採用にどのような影響を及ぼすのでしょうか。新卒採用などの人材採用に詳しい神戸大学大学院経営学研究科の服部泰宏准教授に聞きました。(新志有裕、白井楓花、Qは聞き手の質問、Aは服部氏の回答)』、「新卒採用」の「一括方式」がいよいよ崩れつつあるようだ。
・『新卒で特別枠をもうける意味は  Q:三菱UFJ銀行のような特別枠をもうける動きをどう捉えていますか。 A:金融工学やデジタル系を専門にしている人材が労働市場に少なく、高い報酬を払わないとキープできないため、特別枠で採用するということです。 従来の新卒一括採用のように、会社の中で長い時間をかけて育てて長期で雇用するという想定ではないでしょう。 社内で育成しにくいような特定のスキルを買われて特別枠採用となった人材なので、入社後は特定の業種・部署に限定された仕事をすることになるはずです。 Q:ただ、新卒採用の段階から、そのような採用枠をもうける意味はあるのでしょうか。 A:1つは、労働市場へのメッセージですね。新卒採用というのは、企業にとって数少ない外とのタッチポイントです。 また、社内に対しても、「新しい取り組みに挑戦し、変わろうとしている」というメッセージにもなります。「現在こういう人材を必要としているということをわかってほしい」、「必要なスキルを持っている人にはしっかり払います」と伝えたいのでしょう』、内外への「メッセージ」は確かに重要な役割だ。
・『従来型の新卒一括採用の社員から、嫉妬や反発は出ない?  Q:特別枠で入社した専門人材は、伝統的な組織にはなじまないのではないでしょうか。 A:確かに、入り口の部分である採用だけでなく、会社の組織自体を変えていく必要があります。 ただ、特別枠は一定の職種や事業を切り分ける形で設置されているので、たとえ組織全体は変えられないにしても、一部の部署だけを少し違う働き方に変えて、専門人材にとって心地よい雰囲気にする工夫は可能でしょう。 さらに「新卒年収1000万」のような特殊な人材を許容しやすい人を上司に置くことによって対処するという手もあります。 Q:新卒から年収差を設けることに対して、従来型の新卒一括採用の社員から、嫉妬の反発の声が出てくる可能性がありますが、どう対処すればいいのでしょうか。 参考になるのは、アメリカのカーネギー・メロン大学のデニス・ルソー教授が提唱した「I-deals」という考え方です。給与差を受け入れてもらうために、会社、給与の高い社員、一般社員の三者関係を考えるというものです。 例えば、プロ野球選手で「この人は1億円ももらっていて羨ましいけれど、でもこの人がホームランをたくさん打ってくれるおかげで、自分の年俸も上がっているのかもしれない。しょうがない」と思うような心理状況にもっていくことですね。 そういう三角形の枠組みでマネジメントしていくということが一つ解決策になると思います。 Q:プロ野球選手を例にすると、彼らは成績で報酬が左右され、不安定な側面もあるのですが、特別枠の人材もそのような位置付けに近くなるのでしょうか。 A:そうですね、彼らもリスクを負っています。例えば、特別枠入社の人材は長期雇用が前提でないでしょうし、給与が単に年功で上がっていくわけではなく、むしろ業績や評価次第で下がることもあるでしょう。新卒一括採用の人材にはないリスクです。 また、もし能力が期待されていたレベルに達しなかった時に、その人はAIのような特定の分野でずっと生きてきたために、会社での居場所がなくなってしまうリスクもあります。ずっとその分野でスキルを磨いてきたということもあり、他の分野に転身しにくいのです。 このようなリスクを一般社員が認識することも、彼らが給与差を納得する上で重要です』、「給与差を受け入れてもらう」ための工夫は確かに重要だ。
・『仕事に直結しない文学部の学生は不利になる?  Q:今後、特別枠採用が広がることで、特別枠が特別でなくなり、従来型の新卒一括採用が大幅に縮小する可能性はありますか。 会社によるでしょう。例えば、あるIT企業にとっては、枠をもうけることは当たり前のことかもしれません。他方、クラシックな企業では、結局は従来の正社員の区分に入れることができず、嘱託や契約社員にしてしまうこともあるでしょう。 人材採用の切迫性や、今までの組織の慣行に左右される話なので、一気に特別枠導入へ進んでいくということは想定し難いですし、またそうあるべきでもないです。 特別採用枠は、一定の部署を切り離した形で行われることが多いので、やはり「例外」として扱われるケースが多く残ると思います。 また、現在の定年退職の仕組みを考えると、新卒一括採用以外の方法でその欠員を補うのは、今の日本企業の枠組みでは難しい。ですから、新卒一括採用の仕組み自体は今後も残っていくでしょう。 Q:それでも、新卒で年収1000万円という話を聞くと、仕事に直結するスキルを身に付けておいた方がいい、という流れが強くなりそうです。 A:確かに、一部の領域においては、例えば、「文系だったらどこでもいいよね」という感覚から、「もう少し分野を考えよう」となっている面もあります。 他方で、やはり「ポテンシャル」の名の下に、ちゃんと考えることができる力や、物事の本質を見抜けるという能力が大事だ、という企業も少なくありません。 理系の世界でも、工学部の学生の方が即戦力だけれども、結局は理学部数学科の学生の方がしっかり考えていていい、と考える企業も存在しています。「統計なんて入社してからでもできるし、経営のことについては2年間MBAに通えばいい。だったら、文学部でゲーテの卒業論文を書いた学生でもいいじゃないか。この学生はしっかり考える力があるはず」と考える企業は意外に多いはずです』、「やはり「ポテンシャル」の名の下に、ちゃんと考えることができる力や、物事の本質を見抜けるという能力が大事だ、という企業も少なくありません」、なるほど。
・『新卒一括採用はどう変わる?  Q:そのような流れの中で。新卒一括採用のあり方は今後、どう変わりますか。 A:社内の人脈であったり、その企業での仕事の進め方といったような企業固有の知識を身につける人は、おそらく従来型の新卒一括採用で入社した人材です。また、企業経営に関わるのも、新卒一括採用の人材を想定しているでしょう。 しかし、特別枠が広がる中で、従来型の新卒一括採用も変わっていく必要があります。 一つは、学生側のキャリアプランが短期的な視点になってきていることに応じて、長期雇用が前提であっても、「最初の数年間はこういうことをしてもらうよ」といった、少し先を見たコミュニケーションが大事になります。 また、学生が求めている情報をきちんと出していかなくてはいけない。 今は、ジョブ型雇用のように、職種に直結する採用が、新卒でも中途でも見え隠れするからこそ、新卒一括採用においては、ジェネラルな思考力のような、逆側の側面もきちんと発していった方がいいのではないでしょうか。 時代の雰囲気として、スローなキャリア形成がネガティブに捉えられがちで、企業として、本当に言いたいことを言いにくくなっている部分もあります。それでもきちんと主張していくことが、新卒一括採用の今後のあるべき姿だと思います。 情報をお寄せください! 弁護士ドットコムニュースでは「LINE」で情報募集しています。働いていて疑問に思ったことや、法律に関するトラブルなど、弁護士ドットコムニュースの記者に取材してほしい社会問題はありますか。 以下からLINE友だち登録をして、ご連絡ください』、「時代の雰囲気として、スローなキャリア形成がネガティブに捉えられがちで、企業として、本当に言いたいことを言いにくくなっている部分もあります。それでもきちんと主張していくことが、新卒一括採用の今後のあるべき姿だと思います」、その通りだろう。

第三に、4月14日付け日刊ゲンダイが掲載した経済ジャーナリストの真保紀一郎氏による「SBIホールディングス<上>新生銀行の筆頭株主に躍り出る」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/287867
・『金融界でSBIホールディングスの動きが注目されている。このところ、新生銀行株を買い続けているからだ。 昨年3月末段階では、SBIは新生銀行株の約9%を保有する第3位株主だった。ところがそこから買い増していき、昨年末には13%を超えた。新生銀行は前身の日本長期信用銀行時代に経営が悪化し一時、国有化された。そのため、新生銀行となってからも、政府系の預金保険機構が筆頭株主であり続けていた。しかし昨年末、ついにSBIが筆頭株主となった。 今年に入ってもSBIの保有株は増え続け、3月30日に提出された大量保有報告書によると、持ち株比率は16・5%にまで上昇している。 新生銀行株保有の目的について、SBIは一貫して「純投資」と説明していたが、今ではこの言葉を額面どおりに受け止める人はどこにもいない』、ずいぶん急速に買い増しをしているようだ。
・『1月末に起きた事件とは  というのも1月末に、ある「事件」が起き、そこから買い増しのスピードが上がっているからだ。 1月27日、マネックス証券、新生銀行、新生証券の3社は、金融商品仲介業務における包括的業務提携に関する基本合意書を締結した。今後、新生銀行は、利用者に対して投資信託などマネックス証券の金融商品を販売していくというものだった。 これがSBIの逆鱗に触れた、と金融界ではいわれている。 提携発表の2日後、SBIの21年3月期の第3四半期決算発表があった。この席でグループ会社のSBI証券・高村正人社長は「どういう理由でああいう選択をされたのか、よくわからない」と不快さを隠そうとしなかった。 ネット証券の世界で、現在ダントツなのがSBI証券で、営業収益(売上高)は1244億円。一方、マネックス証券は3位ながら営業収益は279億円と、SBI証券の5分の1にすぎない。 取り扱っている投資信託の銘柄数も、マネックス証券1200に対してSBI証券2600と倍以上。しかも、SBIは新生銀行の筆頭株主だ。 そうであるなら、新生銀行の提携相手はSBI証券であるべきだ、とSBIが考えても不思議はない。 事実、SBIは提携が発表された1月27日までの1カ月間、新生銀行株を買い付けていなかったが、翌28日以降、連日のように買い付けている。そのため金融界からは「SBIの意趣返し」、あるいは「新生銀行にプレッシャーをかけて提携を白紙撤回させるつもりでは」などといった声が聞こえてくる。 では、なぜSBIは新生銀行にこだわるのか。 新生銀行はいまだ資本注入された公的資金を返済し終えていない。一時国有化されてから23年が経つが、今でも再建途上にある。それほど魅力的な銀行とも思えない。 しかし、SBIを率いる北尾吉孝社長にとっては違う。北尾氏の頭の中には「第4のメガバンク」構想があり、その実現に向け、着々と手を打ちつつある。新生銀行への執着もその一環と考えるとわかりやすい。果たして北尾氏の考える第4のメガバンクとはいかなるものなのか』、「第4のメガバンク」構想とは、「北尾氏」らしい発想だ。

第四に、この続きを、4月15日付け日刊ゲンダイ「SBIホールディングス<下>着々と進む第4のメガバンク構想」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/287934
・『2000年に第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が経営統合し、日本にメガバンク時代が到来した。それ以降も銀行の経営統合は相次ぎ、現在は、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが覇権を争っている。 その3メガバンクに対抗して、「第4のメガバンク構想」を掲げるのがSBIホールディングスであり、同社を率いる北尾吉孝社長である。 第2次安倍政権が誕生し、黒田日銀総裁が「日銀バズーカ」を発動させて以来、日本は超低金利時代が続いている。それにより、一時のデフレ状態を脱することはできた一方で、低金利が金融機関、中でも地方銀行の経営を直撃した。 地方経済は疲弊しており、地方銀行は融資先が見つからない。そこで以前は国債で運用していたが、いまではマイナス金利で利ザヤが稼げない。そのため、昨年9月の中間決算では、6割の上場地方銀行が減益か赤字となった。 そこに救いの手を差し出そうというのがSBIホールディングスだ。2019年秋に島根銀行の株式34%を取得したのを皮切りに、これまでに地方銀行7行と資本業務提携を結んでいる。 提携先の銀行は、財務が改善されるだけでなく、SBIグループのSBI証券の金融商品を銀行顧客に販売できるようになる。 同時にフィンテックへの対応も可能になる。今後の金融機関の成長のカギを握るのがフィンテックだが、資本力のない地方銀行が開発・導入するのは難しい。そこで、数多くのフィンテックベンチャーに投資しているSBIと提携すれば、SBIの持つフィンテックを自行に導入することができる。 つまりSBIは、地方銀行に資金とともに商品、そして最新テクノロジーを提供することで、蘇らせようというのである』、「SBI」の力で「蘇る」のは一定の条件がある筈だ。
・『事実、第1号案件である島根銀行は、本業の儲けを示すコア業務純益が20年3月期まで4期連続で赤字だったが黒転したもようだ。これは明らかにSBI効果だ。 SBIは現在7行の資本提携先を10行にまで増やしていく方針だ。昨日、本欄で紹介した新生銀行がここに加われば、他の地方銀行より規模は大きく、取引先も大手が多いため、メガバンク構想の核となる可能性がある。 もちろん3メガバンクに比べれば資金量は数十分の一程度に過ぎない。それでも北尾氏には、ネット証券では後発のSBI証券を業界トップに押し上げ、先日には口座数で証券業界のガリバー、野村証券を上回ったという実績がある。 SBI証券がここまで大きく成長できたのは、証券業界がネット証券の誕生で業界地図が大きく書き換えられたからだ。野村証券に入社し、その後ソフトバンクに転じ孫正義氏の懐刀となった北尾氏は、金融とITの親和性を誰よりも熟知している。 北尾氏は、フィンテックによって銀行業界の地図も大きく変わると予測する。地殻変動が起きればそこにチャンスが生まれる。北尾氏は新生銀行や地銀との関係を築きながら、虎視眈々と狙っている』、6月30日付けのブログで取上げたように「SBI」は実はソーシャルレンディングで失敗している。ただ、地銀戦略は一応、上手くいっているようだ。
タグ:東洋経済オンライン 金融業界 日刊ゲンダイ 弁護士ドットコム 真保紀一郎 (その8)(三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革 「13人抜き」エースが描く銀行の生存戦略とは?、三菱UFJ銀が「新卒年収1000万円」特別枠…従来型「一括採用」は縮小に向かう?、SBIホールディングス<上>新生銀行の筆頭株主に躍り出る、SBIホールディングス<下>着々と進む第4のメガバンク構想) 「三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革 「13人抜き」エースが描く銀行の生存戦略とは?」 「3人の副頭取や専務を抜き、常務から抜擢」とは味なことをやるものだ。 「取引先の経営課題を解決し、手数料をいただく余地は十分にある」、のは理屈の上ではそお通りだが、現実にはかなり困難だ。 「Grab社との連携」は確かに実を結びそうだ。 「現在はグループ内で丸の内と大手町に9つのビルがあり、1万9000人が働いている」、「コロナ禍で在宅勤務の比率が上がり」、「1カ所にこの人数を集約」、果たして上手くいくのだろうか。 「個人消費関連の企業」の「厳し」さはまだ続かざるを得ないだろう。 「注視しなければいけない数百社」、「本部」直轄とはやれやれだろう。 「三菱UFJ銀が「新卒年収1000万円」特別枠…従来型「一括採用」は縮小に向かう?」 「新卒採用」の「一括方式」がいよいよ崩れつつあるようだ。 内外への「メッセージ」は確かに重要な役割だ。 「給与差を受け入れてもらう」ための工夫は確かに重要だ。 「やはり「ポテンシャル」の名の下に、ちゃんと考えることができる力や、物事の本質を見抜けるという能力が大事だ、という企業も少なくありません」、なるほど。 「時代の雰囲気として、スローなキャリア形成がネガティブに捉えられがちで、企業として、本当に言いたいことを言いにくくなっている部分もあります。それでもきちんと主張していくことが、新卒一括採用の今後のあるべき姿だと思います」、その通りだろう。 「SBIホールディングス<上>新生銀行の筆頭株主に躍り出る」 ずいぶん急速に買い増しをしているようだ。 「第4のメガバンク」構想とは、「北尾氏」らしい発想だ。 「SBIホールディングス<下>着々と進む第4のメガバンク構想」 「SBI」の力で「蘇る」のは一定の条件がある筈だ。 6月30日付けのブログで取上げたように「SBI」は実はソーシャルレンディングで失敗している。ただ、地銀戦略は一応、上手くいっているようだ。
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資本市場(その6)(SPACブーム 投資家を待ち受ける6つのリスク、コロナ禍の“カネ余り” マネーの最前線で何が?) [金融]

資本市場については、4月8日に取上げた。今日は、(その6)(SPACブーム 投資家を待ち受ける6つのリスク、コロナ禍の“カネ余り” マネーの最前線で何が?)である。

先ずは、5月15日付けロイターが掲載したK2インテグリティーのシニア・マネジング・ディレクターの リサ・シルバーマン氏による「コラム:SPACブーム、投資家を待ち受ける6つのリスク」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/breakingviews-spac-risks-idJPKBN2CV0H4
・『特別買収目的会社(SPAC、注)が一世を風びしている。調査会社SPACリサーチによると、SPACの上場による第1・四半期の調達額は834億ドルと既に昨年全体を上回り、従来型の新規株式公開(IPO)のほぼ3倍に達した。女子テニスのセリーナ・ウィリアムズや全米プロバスケットボール(NBA)のステフィン・カリー、大手ヘッジファンドのパーシング・スクエアなど、そうそうたる面々がスポンサーに名を連ねるSPACは、またたく間にウォール街用語の仲間入りを果たした。
(注)特別買収目的会社:特定の事業を有さず、未公開会社・事業の買収を目的に設立される企業。事業を持たない、いわば「空箱」の状態で株式公開により調達した資金で企業買収を行い、被買収会社と統合、買収後は被買収企業の名前で取引される。日本ではまだ認められてないが、ベンチャー企業の成長支援策として導入が検討中(Wikipedia)
 しかしSPACは監督や監視が欠如しているため不正が起きる恐れがあり、投資家にとってはリスクが大きい。米証券取引委員会(SEC)は警鐘を鳴らしている。しかしSPAC市場の長期的な持続性は、リスク管理の包括的な枠組みと明確な規制上のガイドラインを作ることにより、管理と安全性を高められるかどうかに掛かってくる。SPACを通じて上場する企業を、従来型IPOを通じて上場する企業と同様に厳しく審査する仕組みを確保しなければならない。これらが実現するまでSPAC投資家は6つの主要なリスクに直面する』、「リスク管理の包括的な枠組みと明確な規制上のガイドライン」で「管理と安全性を高め」るのはそれほど簡単ではない。
・『<不十分な資産査定>  通常のIPOでは、上場する企業に対して包括的な資産査定(デューデリジェンス)が規定通りに行われる。しかし資産査定には時間が掛かる。SPACの場合、創設者(スポンサー)は一般的に買収先を見つけるのに2年の期限が設けられている。このため資産査定はしばしば見て見ぬふりをされる。従来型のIPOでは不合格になるような経歴を持つ経営幹部や取締役会メンバーが入っていることがある。そしてスポンサーは、上場に適さない企業を拙速に買収する可能性がある』、「資産査定はしばしば見て見ぬふりをされる」のでは問題だ。
・『<不正確な財務報告書>  資産査定では財務報告書の不備が見つかることが多々ある。SPACによる上場は期間が切迫しているので、マネジャーの多くは企業の安定性に目を向けるより、素早く取引しやすい企業を見つけることに注力する。 標的となる企業はほぼすべて未公開企業であるため、過去の財務報告書は公開企業の基準を満たしていない。従来型のIPOと異なり、SECがこうした財務報告書を審査するのは買収後だ。従来型のIPOではSECが厳しい審査を行う』、確かに問題ではある。
・『<虚偽記載と脱漏>  SPACを通じて上場する未公開企業は経営についての審査も甘いため、当局への提出書類に虚偽記載が紛れ込んだり、投資家の見通しに影響しかねない重要な脱漏が発生したりする可能性がある。「将来予想に関する記述」という免責文言が入っているのはざらだ。買収する側の企業が既に上場しているため、こうした記述は最近まで従来型IPOの届け出書類と同様の審査を受けていなかった』、「SPAC」は「上場している」とはいえ、通常の上場企業のような「審査」は受けてない。
・『<経営実績の不在>  上場を目指す企業は普通、成熟度を示す指標を満たしている。例えば売上高が1億ドル(かそれ以上)、実績が証明された経営陣、厳格に記録を保持する管理体制、財務健全化のための不良資産売却などだ。しかし買収の標的を見つけるための競争に追われるSPACは、それほど成熟していない段階の企業を狙うことが多い。 そのため一般投資家がリスクの高い、未成熟な企業に資金を投じてしまう恐れがある。米金融取引業規制機構(FINRA)は、SPACは上場手続きが速いため、長期的に存続可能な事業ではなく、一時の隆盛で終わりそうな「ホットな」セクターや事業モデルを引き付けている可能性があると指摘した』、「FINRA」の警告はその通りだ。
・『<経営管理の不備>  買収の標的となる企業は審査が甘く、未成熟であるため、経営管理が不十分な可能性がある。財務や会計の担当者の経験が浅ければ、有効な情報開示手続きや財務報告の管理を確立し、維持できない恐れがある。過失により不正確な財務報告や不正な支払い、さらにはサイバー絡みの不正行為すら起きるかもしれない』、これも大いに懸念されるところだ。
・『<利益相反>  SPACには利益相反の恐れが付きまとう。スポンサー、オフィサー、ディレクターはいずれもSPACのためだけには働かず、SPACの事業と競合する他の組織・団体に対して受託義務を負っているかもしれない。SPACの当初からの投資家は、買収標的企業と利害が対立する立場に身を置く戦略で利益を得るかもしれない。標的企業と合併し、買収手続きを完了する「de-SPAC」はアドバイザーやスポンサーに頼る部分が大きいが、こうした人々には良い案件を手がけるよりも、どんな企業であれ案件をまとめる方向に動くインセンティブがある。 スポンサーはSPACの普通株をかなり割安に取得しているため、株主を踏みつけにして利益を得るかもしれない。FINRAは「引受業者とSPACのスポンサーは、SPACの買収標的とする可能性のある企業について重要な非公開情報を握り、そうした情報に基づいて取引を行う可能性がある」と警告を発している』、これは「SPAC投資家」の「6つの主要なリスク」のなかでも、深刻なものだ。よくぞこんないい加減な商品に投資するものだ。

次に、6月17日付けNHKクローズアップ現代+「コロナ禍の“カネ余り” マネーの最前線で何が?」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4559/index.html
・『コロナ対策として各国が大規模な金融・財政政策を打ち出した結果、世界的な“カネ余り”が生じている。コロナによって厳しい暮らしを余儀なくされる人々がいる一方、富裕層はカネ余りによる株高などの恩恵を受け、資産をさらに増やす傾向が顕著に。富裕層や個人投資家は、このカネ余りの時代に何を考え、どんな行動を取っているのか。富裕層一族の資産管理を手がける「ファミリーオフィス」の知られざる実態などを取材し、世界のマネーをめぐって今何が起きているのかを明らかにしていく。 出演者 沼田優子さん (明治大学特任教授) 井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)』、興味深そうだ。
・『コロナ禍の"カネ余り" マネーの最前線で何が?  井上:コロナ禍で苦境に直面する人がいる一方で、投資の盛り上がり。一見、この矛盾するような動き、実は密接に関わっています。 保里:経営に苦しむ、企業や商店。そして、厳しい暮らしを強いられる人々を金融面で支えようと、日本、アメリカ、そしてヨーロッパの中央銀行が行ったのが、大規模な金融緩和でした。 井上:市場に大量の資金を供給するため、国債などの資産を大量に購入。その結果、資産規模は合わせて2,600兆円に達し、史上空前の規模に膨れ上がっているのです。 保里:日経平均株価は、ことし2月には30年6か月ぶりに3万円を上回るなど、資産価格は上昇を続けてきました。 井上:ただ、実体経済がコロナ克服に苦しむ中で、この金融緩和、金融システムの安定には一定の効果があった一方で、金融市場だけが活況を呈するという、いびつな構造を生み出しているのです。 保里:マネーの最前線。まずは、ベールに包まれた富裕層の資産形成の現場にカメラが入りました』、「富裕層の資産形成の現場」では何が起きているのだろう。
・『コロナ禍の"カネ余り" 潜入!超富裕層の資産運用の現場  コロナ禍で資産を増やしている、世界の超富裕層。そのために活用しているのが、ファミリーオフィスです。アフリカ屈指の大富豪・ダンジュマ一族が、その実態を正しく知ってほしいと、拠点を置くロンドンで取材に応じてくれました。 TYダンジュマ・ファミリー・オフィス ハナトゥ・ジェントルズCOO「こちらは、私たちが数年前に買ったホテルです。隣には宮殿やすばらしい庭園があり、たくさんのイベントが開催されます」 40歳でナイジェリア陸軍を退役し、海運会社や石油探査会社で、ばく大な財産を築いたダンジュマ氏。その総資産は、1,000億円を超えるともいわれています。 ダンジュマ氏がファミリーオフィスを設立したのは、2009年。会計士として名をはせていたフォスター氏を起用し、意見を聞きながら資産の運用を行っています。 ハナトゥ・ジェントルズCOO「案件の進捗はどうですか?」 TYダンジュマ・ファミリー・オフィス サイモン・フォスターCEO「とても順調です」 このファミリーオフィスでは、一族の資産を増やすため、株式投資だけでなく、不動産や未上場企業への投資、さらに相続や税金の対策も手がけています。 コロナ禍で観光客が減り、ホテル事業の収益こそ目標に届かなかったものの、株式投資を中心に成績は上々。この1年も順調に資産を増やすことができたといいます。 
サイモン・フォスターCEO「(コロナ禍でも)私たちはいい成績を出すことができました。投資先を分散し、迅速に軌道修正しながら意思決定をすることができました。従来型の金融機関では、こうした仕組みを作ることは困難だと思います。私たちはコロナの嵐をうまく乗り切りました。ファミリーオフィスの強さを証明できたと思います」 一族がファミリーオフィスという形態を選んだ理由の1つが、投資先やその金額を自分たちの意思だけで自由に決められることです。投資銀行やヘッジファンドなどの金融機関には、どの投資先に、どの程度の資金を投じているかを明確に開示することが義務づけられています。 しかし、ファミリーオフィスは自分たちの資産のみを扱うため、その規制の対象から外されています。 ハナトゥ・ジェントルズCOO「世界全体が厳しい大変な時期ですが、私たちのファミリーオフィスは幸いにもビジネスを維持することができました。複数の専門家に頼むよりファミリーオフィスに集約する方が、自分たちにとっては良い方法です。他の形よりも優れた仕組みであることは明確です」 今、世界では、およそ1万のファミリーオフィスが存在するとされ、その資産運用総額は600兆円を超えるといわれています。 世界のファミリーオフィスに対して助言などを行っている、キース・ジョンストン氏です。金融緩和を背景とした株高が続く中、一部にリスクを冒し、高いリターンを求めるファミリーオフィスが登場していると指摘します。 SFOアライアンス キース・ジョンストンCEO「数百年前から続くファミリーオフィスの資産運用は、かなり保守的です。一方、一部の若くて積極的な富裕層はわずかなリターンでは満足せず、より大胆に運営しようとしています。ファミリーオフィスは独特な市場です。すばらしいことも、愚かなこともできてしまうのです」』、「アフリカ屈指の大富豪・ダンジュマ一族」、「40歳でナイジェリア陸軍を退役し、海運会社や石油探査会社で、ばく大な財産を築いた」、きっと「陸軍」時代に強力な人脈を築いたのだろう。「世界では、およそ1万のファミリーオフィスが存在するとされ、その資産運用総額は600兆円を超えるといわれています」、ずいぶん沢山あるのに驚かされた。
・『コロナ禍の"カネ余り" ファミリーオフィスが"破綻"何が?  ベールに包まれてきた、ファミリーオフィス。3月末。その実態を知らしめる出来事が起きました。「アルケゴスショック」です。ウォール街で財をなした、ビル・フアン氏が運営するファミリーオフィスアルケゴスが、保有する株式の大幅な下落を受け、事実上破綻に追い込まれました。 アルケゴスショックは、なぜ起きたのか。ビル・フアン氏と30年来の友人関係にある、ジョン・ベイ氏から証言を得ることができました。 ビル・フアン氏をよく知る 米調査会社代表 ジョン・ベイ氏「今回のアルケゴスショックは、ファミリーオフィスだったからこそ起きました。ファミリーオフィスは一族の資産のみを扱っていて、規制当局の監視の目を逃れて運営できるからです」 大手ファンドで資産の拡大に成功し、頭角を現したフアン氏。2012年、インサイダー容疑で処分を受け、市場から退場しました。しかし、翌2013年、処分の対象外であるファミリーオフィスという形態でウォール街に復帰。わずか数年で、1兆円を超える資産を運用するまでに成長しました。特定の銘柄に大量の資金を投じるフアン氏の強気なスタイルが、今回は裏目に出たのではないかとベイ氏は見ています。 ジョン・ベイ氏「彼は強い信念をもって投資をしています。自分が投資したい会社を見つけたら、あえて危険を冒すのです。自分が選んだ株は5年間、目を閉じていても勝ち組になると信じています。買った株を翌週に売るようなことは決してしないのです」 今回、アルケゴスの事実上の破綻によって、もう一つそれまで知られてこなかったことが明らかになりました。世界の投資銀行がアルケゴスと取り引きを行っており、巨額損失を出すことになったのです。 一体なぜ、投資銀行はハイリスクな投資を貫くアルケゴスと取り引きしていたのか。金融工学者のジョン・ソウ氏は、近年の金融緩和の影響で、膨大な資金の投資先を巡り、投資銀行間の競争が激化。高い手数料収益が見込めるアルケゴスに、投資が集中したのだと分析しています。 金融工学者 ジョン・ソウ氏「この量的緩和によって投資銀行は、伝統的な手法から離れたくなる衝動に駆られました。いくつかの銀行はアルケゴスの取引を仲介し、攻撃的な投資に手を染めたのです」 ジョン・ベイ氏「これがウォールストリートです。投資銀行にとってアルケゴスは、大きな利息や手数料を生み出す最高の顧客だったに違いありません。このような事態になるまでは、まさにけだものの本質です」 今回3,100億円余りの損失を被ったとされる、野村ホールディングスの関係者が語ったメモ。そこからは、手数料を追い求めていた内情がうかがえます。 野村HD 関係者が語ったメモ「純粋に高い手数料が頂ける。ポジションの全容を把握せずに、フィー(手数料)だけを魅力につきあっていたのがミスだった」 投資銀行はアルケゴスに対して、巨額の資金を融通。これにより、アルケゴスは自己資金をはるかに上回る規模の取り引きを行っていたとされています。 しかし、こうした構造自体、ファミリーオフィスには開示義務がないため、誰も気付くことができなかったのです。 野村HD 関係者が語ったメモ「アルケゴスの大量保有株の実態を知らずにつきあっていたことが根本的な問題で、それを反省するしかないというのは、社内ではコンセンサスになっている。でも、実態を知らないという部分については、知ることができないという方が正しいという認識に立っている」 ジョン・ソウ氏「ファミリーオフィスの取り引きは慣行として、多くを秘密にして進めることが許されていました。例えばファミリーオフィスと取り引きを行うヘッジファンドのマネージャーは、どのくらいの資産を保有しているのか尋ねることができません。そんなことは、聞いてはいけないルールなのです。第二のアルケゴスショックは必ずおきます。いつかはわかりませんが、今回が最後になるということはありえません」 規制の網の目をかいくぐる形で起きた、アルケゴスショック。経済政策に詳しいクリストファー・スマート氏は、長年放置されてきた規制を今こそ見直すべきときだと指摘しています。 ベアリングス・インヴェストメント クリストファー・スマート代表「アルケゴスショックの教訓は、すべてが順調で、市場に流動性があるときでも株価が急落する可能性を見逃してはならないということです。順調なタイミングでこそ、厳格なチェックを行う必要があります。市場が熱狂の時期になる傾向があるからです。規制当局が厳格に行動し、投資家自身も誠実な行動を取っているか、数字上で確認し、目を凝らす必要があるのです」』、「「純粋に高い手数料が頂ける。ポジションの全容を把握せずに、フィー(手数料)だけを魅力につきあっていたのがミスだった」 投資銀行はアルケゴスに対して、巨額の資金を融通。これにより、アルケゴスは自己資金をはるかに上回る規模の取り引きを行っていた」、「ファミリーオフィスと取り引きを行うヘッジファンドのマネージャーは、どのくらいの資産を保有しているのか尋ねることができません。そんなことは、聞いてはいけないルールなのです。第二のアルケゴスショックは必ずおきます」、「巨額の資金を融通」していても、「どのくらいの資産を保有しているのか尋ねることができません」、こんなにまで「ファミリーオフィス」の立場が強いとは驚きだ。
・『コロナ禍の"カネ余り" ファミリーオフィスと投資銀行  井上:ファミリーオフィス、日米の金融機関の経営に詳しい、沼田優子さんと考えていきます。沼田さん、よろしくお願いします。 保里:沼田さん、富裕層の資産管理を専属で行うというファミリーオフィスですが、改めてどんなものなのでしょうか。 沼田優子さん (明治大学 特任教授)沼田さん:もともとは、これは代々続くお金持ちの資産を守ったり、継承したりするというものです。ただ、過去20年、様相が変わってきています。まず、ファミリーオフィスの数は増えています。これは富裕層のタイプが変わったからだと考えています。といいますのは、米国版の長者番付というのがあるのですが、上位400人を見てみると7割がセルフ・メイド(自分の代で財をなした富裕層)と言われています。なので、相続した資産を継承する従来型のファミリーオフィスに対して、自分の代で資産を築いた方々の資産を守るファミリーオフィスが出てきているということです。 保里:その特徴としては、どんなことが言えますか。 沼田さん:守る一方ではなくなっていると言っていいのではないかと思います。なので、現役の経営者層がいらっしゃるという場合も多いので、資産は守るだけではなくて増やすということもありますし、社会的な活動に積極的に使う。そのためにファミリーオフィスを使っているというのもあると思います。 保里:攻めの姿勢でもあるわけですね。 井上:その変容ですが、投資銀行についてもお伺いしたいのですが、今回ファミリーオフィスとも深い関わりがあるということが明らかになりました。 この投資銀行というのは、もともとは有価証券の発行を手伝ったり、売買注文を受けたりして、その手数料をもらうビジネスでした。しかし、近年は自分の資金を使って投資をしたり、お金や有価証券を貸したりするビジネスに移行してきているということです。 沼田さん、どうしてこの投資銀行も変容してきているのでしょうか。 沼田さん:ひと言で言えば、投資銀行のビジネスモデルが変わったということではないかと思います。もともとは手数料ビジネスだったのですが、それでは収益が得られなくなりましたので、手数料をもらうかわりに自分のお金を使うビジネスに転じていったということなのではないかと思います。自分のお金を投資する、自分のお金を融通する、ということでやっていきますので、うまくいけばいいのですが、うまくいかなかったときは巨額の損失になるということです。 井上:その点ですが、ファミリーオフィスというのは情報開示義務がないということで、そこにリスクがあるわけじゃないですか。そこになぜ、投資銀行はそれを承知で投資をするわけなのでしょうか。 沼田さん:手数料だけのビジネスは立ち行かないと。これは、われわれはプレーンバニラというふうに言うのですが、シンプルな取り引きだけだと収益が出ないので、手数料と自己資本を使ったようなビジネスというのをパッケージにしていく。そのようなビジネスをやってくれるのがファミリーオフィスだったり、ヘッジファンドだったりというところなんだと思います。 井上:投資銀行は、ほかのところがどういうことをやっているか分からないわけですよね。 沼田さん:もちろん個別にはリスク管理はしますが、ファミリーオフィスの場合は開示義務がありませんので、全体で何が起きていたのかが分からなかったというところなんです。 井上:それが巨額損失につながったということなんですね。 保里:なかなか透明性がなくて、巨額の損失というところでいうと、リーマンショックを想起してしまうところがあるのですが、そうしたおそれもあるのでしょうか。 沼田さん:アルケゴスの件に関しては、これは連鎖反応はなかったと考えていいのではないかと思います。実際、損失を被らなかった投資銀行もあります。 保里:こうした中で、例えばアメリカが何らかの規制をかけていく。そうした見方もありますか。 沼田さん:バイデン政権はトランプ政権に比べると、ウォール街に対して規制をしたいということが言われています。けれども、ただ規制というのはブレーキにもなりかねません。特に経済回復をしたいときになりますと、ブレーキをいつ踏むかというのは難しいのではないかと思います。 保里:そうすると、直近でやるということは考えにくいということでしょうか。 沼田さん:優先課題は、ほかにもあるというとこではないでしょうか。 井上:さて、この現在の大規模な金融緩和ですが、焦点は、これがいつまで続くかというところです。注目するのは、アメリカの動きになります。 17日の未明まで開かれていた金融政策を決める会合では、FRBのパウエル議長が量的緩和の規模を縮小する対応について、今後の会合で具体的な議論に入る方針を明らかにしました。 こうなってくると、マネーの流れが変わるのか。どう変わるのかというところなのですが、投資家たちは今後の見通しについて揺れています』、確かに「FRBの」「量的緩和の規模を縮小」は大きな注目点だ。
・『"カネ余り"と個人投資家 金融緩和いつまで?今後は?  都内の会社員・伊豆川太一さん(24)。ことし3月、人生で初めて投資に乗り出しました。貯金を取り崩して60万円を投じたのは、ビットコインなどの暗号資産です。 伊豆川太一さん「今、私が持っているコイン(暗号資産)の日本円換算の価値といった形で」 新型コロナでも仕事の給料が減らず、自宅にいる時間が増えたことが投資を始めたきっかけでした。 伊豆川太一さん「コロナで経済が回らないとか、不況になっている時ほど挑戦というか、何かほかのものに手を出したりとか、今はそういう時なのかなと感じる」 世界的なカネ余りを背景に、ビットコインの価格は急騰。ことし4月には、1年前の7倍ほどの高値を付けました。しかし、先月からは価格が急落。乱高下が続いています。 伊豆川さんは現在、20万円ほどの含み損を抱えていますが、長期的には価格は上昇していくと期待しています。 伊豆川太一さん「ポジティブに、実際まだ始めて3か月といったところなので、投資することはリスクがつきものだと思って、ある程度覚悟は持って始めたので、あまり動揺していないのと、長期的に見たい」 一方、株式市場の投資家の中には、先行きを懸念する声も出始めています。日本株を中心に投資を行っている、神野研さん。この1年余りで、1,000万円の資金を10倍以上に増やしました。 神野研さん「今まで感じたことのない資金が来たなとは思いましたね。めちゃくちゃ勝ちやすかったと思います。パンって上がったものを買えば、わりと続いて上がることが多かったので」 ところがことしに入り、世界中でワクチンの接種が進み、コロナ収束への明るい見通しが出始めると状況が一変。金融緩和縮小への警戒などから、保有する新興企業の株価が下落し始めているのです。投資家仲間に相談に行くと、今後は慎重さが必要だという意見でした。 神野研さん「ことしは全然勝てないというか、大きな流れが去年に比べてなくなったので」 村上直樹さん「ダメな時は、すっと引くというのは今の流れなんかなと思うんよね」 神野研さん「コロナ後みたいな感じで、好調に上がっていく相場じゃなくなるんじゃないかなと。かなり難しい相場になっていくと思います」 金融市場は、一体どこに向かうのか。エコノミストの木内登英(たかひで)さんが注目しているのが、アメリカの金融当局の動きです。中央銀行に当たるFRBが、市場の悪い反応を恐れず、金融緩和を縮小できるかが中長期的には重要だと指摘します。 野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英さん「FRBアメリカ中央銀行の金融緩和は、相当突出していたと思います。金融市場が若干調整することがあっても、必要な正常化策を進めていけるかどうか。ここが重要になってくる。それがうまくいくのであれば、小さな調整で終わるかもしれません。でもそれをしなければ、どこかでやっぱり積み上がったものが崩れてしまうという形での大きな金融危機につながる可能性というのはあるんだと思います」』、「木内」氏は元日本銀行の審議委員だったので、金融政策はお手のものだ。
・『今後のマネーの動きと変化に対する心構え  保里:今回のカネ余り。実は、私たちの年金運用などにも恩恵があったということです。公的年金は、2019年度末から、運用益が28兆円増加。そして企業年金は、プラス13.3%の運用利回りでした。 沼田さん、一般の私たちにとっても無縁ではないということですね。 沼田さん:その通りです。年金というのは皆さんにとって自分事ですので、そういう意味では2020年は誰もが恩恵を受けたといっていいのではないかと思います。 井上:改めてですが、今後マネーの動きがどう変わっていくのかということなのですが、大きくは2つのシナリオが考えられます。 エコノミストの木内さんは、緩和の縮小がスムーズに行って小さな調整で終わって、そうすると実体経済の回復とともに成長軌道に乗れるという左側のソフトランディング。そして右側は、緩和縮小がうまくいかず、ひずみがたまって大きな調整が起きるハードランディング。 これがまた金融危機につながったりというシナリオなのですが、沼田さんはどう見ていらっしゃいますか。 沼田さん:木内さんがおっしゃるように、やはり株価上昇というのはいつまでも続くわけではないというところなのではないかと思います。先ほど規制のお話をしましたけど、これは相当、防波堤にはなっていると思いますが、そうは言っても制度疲労も起きるかもしれないというところではないでしょうか。また、先ほど木内さんがおっしゃっていたとおり、金融緩和というのはどう着地させるかというのがかなり難しいのではないかと思います。となりますと、やはり規制、それから緩和。両方の調整というところの手腕が、これから当局というのは問われるのではないでしょうか。 井上:やはり、リスクマネー、抜け道がどうしてもまた皆さん考え出すようになってくると、規制の強化だけに頼らない、例えば金融当局、こういったどういう役割が出てくると思いますか。 沼田さん:当局としては、ソフトランディングできるようにというところなのでしょうけど、それだけに頼らず、われわれも何も起こらないというのではなくて、備えをしておくというのが必要なのではないでしょうか。 井上:これは待てば待つほど、大きな調整が後にやってくるということですよね。 沼田さん:そうだと思います。なので、早目に備えておいていいのではないでしょうか。 保里:そういう意味では、この動きに対して私たちは、一体どういった心構えで見ていけばいいのでしょうか。 沼田さん:心構えというところでは、米国政府が1つ提唱していることがあります。これは、金融の健全な状態を維持するということです。とすれば、私たちの健康管理と金融の健康管理、実は同じなのではないでしょうか。ポイントとしては2つあると思っています。 1つは、コントロールできることとできないこと。これを切り分けて、コントロールできることはなるべくしっかりコントロールしていくと。コントロールできることが増えれば、それだけ安心も増えていくというところなのではないかと思います。 保里:なかなか不透明な時代だからこそ、透明なものを増やしていくということですね。 沼田さん:その通りです。ただその一方で、やはりショックは来るかもしれないというふうに心構えをしておくことは重要なのだと思います。余裕があるときにバッファを作っておくというだけでも、だいぶ違うのではないでしょうか。 保里:リスクヘッジという意味では、どんなことを具体的にはできそうでしょうか。 沼田さん:伸びしろというのは大変なことになってしまったらもう作れないので、余裕があるときに伸びしろを蓄えておくというところになるのでしょうか。 井上:また今後ですけれども、今後の焦点は、必要な正常化策、どう進めていけるかということになってくると思うのですが、どういったところがポイントになってくると思いますか。 沼田さん:ポイントとしましては、誰もが株式市場に頼らないで、自分事として考えるということになるのではないでしょうか。 保里:今回改めてそう感じましたけれど、そのリスクヘッジという意味でも資産もそうですし、さまざまなリスクヘッジがありますね。 沼田さん:そういう意味では、資産分散というのもあるのですが、時間分散というのもあるのではないでしょうか。というのは、株式市場がいいときだけ投資するのではなくて、悪いときも持続的に投資するというところだと思います。 井上:不透明な時代ですけれども、今後、マネーの行方というのも注視していきたいと思います。沼田さん、きょうは本当にありがとうございました』、「資産分散というのもあるのですが、時間分散というのもあるのではないでしょうか。というのは、株式市場がいいときだけ投資するのではなくて、悪いときも持続的に投資するというところだと思います」、同感である。 
タグ:ロイター 資本市場 NHKクローズアップ現代+ (その6)(SPACブーム 投資家を待ち受ける6つのリスク、コロナ禍の“カネ余り” マネーの最前線で何が?) リサ・シルバーマン 「コラム:SPACブーム、投資家を待ち受ける6つのリスク」 (注)特別買収目的会社:特定の事業を有さず、未公開会社・事業の買収を目的に設立される企業。事業を持たない、いわば「空箱」の状態で株式公開により調達した資金で企業買収を行い、被買収会社と統合、買収後は被買収企業の名前で取引される。日本ではまだ認められてないが、ベンチャー企業の成長支援策として導入が検討中(Wikipedia) 「リスク管理の包括的な枠組みと明確な規制上のガイドライン」で「管理と安全性を高め」るのはそれほど簡単ではない。 「資産査定はしばしば見て見ぬふりをされる」のでは問題だ。 <不正確な財務報告書> 、確かに問題ではある。 「SPAC」は「上場している」とはいえ、通常の上場企業のような「審査」は受けてない。 <虚偽記載と脱漏> <経営実績の不在> 「FINRA」の警告はその通りだ。 <経営管理の不備> これも大いに懸念されるところだ。 <利益相反> これは「SPAC投資家」の「6つの主要なリスク」のなかでも、深刻なものだ。よくぞこんないい加減な商品に投資するものだ。 「コロナ禍の“カネ余り” マネーの最前線で何が?」 コロナ禍の"カネ余り" マネーの最前線で何が? 「富裕層の資産形成の現場」では何が起きているのだろう。 コロナ禍の"カネ余り" 潜入!超富裕層の資産運用の現場 「アフリカ屈指の大富豪・ダンジュマ一族」、「40歳でナイジェリア陸軍を退役し、海運会社や石油探査会社で、ばく大な財産を築いた」、きっと「陸軍」時代に強力な人脈を築いたのだろう。 「世界では、およそ1万のファミリーオフィスが存在するとされ、その資産運用総額は600兆円を超えるといわれています」、ずいぶん沢山あるのに驚かされた。 「「純粋に高い手数料が頂ける。ポジションの全容を把握せずに、フィー(手数料)だけを魅力につきあっていたのがミスだった」 投資銀行はアルケゴスに対して、巨額の資金を融通。これにより、アルケゴスは自己資金をはるかに上回る規模の取り引きを行っていた」、「ファミリーオフィスと取り引きを行うヘッジファンドのマネージャーは、どのくらいの資産を保有しているのか尋ねることができません。そんなことは、聞いてはいけないルールなのです。第二のアルケゴスショックは必ずおきます」 「巨額の資金を融通」していても、「どのくらいの資産を保有しているのか尋ねることができません」、こんなにまで「ファミリーオフィス」の立場が強いとは驚きだ。 確かに「FRBの」「量的緩和の規模を縮小」は大きな注目点だ。 「木内」氏は元日本銀行の審議委員だったので、金融政策はお手のものだ。 「資産分散というのもあるのですが、時間分散というのもあるのではないでしょうか。というのは、株式市場がいいときだけ投資するのではなくて、悪いときも持続的に投資するというところだと思います」、同感である。
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ソーシャル・ファイナンス(その2)(「SDGsの“夢”に敗れて…」 地検特捜に狙われたテクノシステム事件の「全貌」、「金融界の革命児」の死…ソーシャルレンディング大手・元社長に“何が”あったのか、ソーシャルレンディングは消えるのか?業界最大手も廃業) [金融]

ソーシャル・ファイナンスについては、昨年1月20日に取上げた。今日は、(その2)(「SDGsの“夢”に敗れて…」 地検特捜に狙われたテクノシステム事件の「全貌」、「金融界の革命児」の死…ソーシャルレンディング大手・元社長に“何が”あったのか、ソーシャルレンディングは消えるのか?業界最大手も廃業)である。

先ずは、本年6月10日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの伊藤 博敏氏による「「SDGsの“夢”に敗れて…」 地検特捜に狙われたテクノシステム事件の「全貌」」を紹介しよう。
・『SBISLに業務停止命令  金融庁は、6月8日、SBIソーシャルレンディング(SBISL)に業務停止命令を出した。同社は、再生エネルギー会社のテクノシステム(横浜市)に、ネット経由で集めた投資家の資金を貸し付けていたが、テクノ社は募集時の資金使途とは違う用途に流用、金融庁は金融商品取引法違反と断定した。 既に、東京地検特捜部は、4月末までにテクノ社と関連先を家宅捜索、5月27日、同社の生田尚之社長(47)を、融資詐欺の疑いで逮捕している。現在、詰めの捜査を行なっており、6月16日の勾留期限までに、別ルートの融資詐欺事件や政界ルートを見据えた事件に伸ばすか、あるいは起訴して事件を一度、中断するかを決める。 テクノ社事件は、特捜案件になったことと、小泉純一郎元首相を広告塔に使っていたことで話題を集めたが、それに加えソーシャルレンディング(SL)という金融形態に、事実上の“引導”を渡す結果にもつながった。 SLは、業者がプラットフォーム上に太陽光発電、不動産開発などの事業を開示、10%内外の利回りを謳うもの。数万円から投資可能ということで投資家の人気を集め、ブームとなった17年には業者が乱立、1年間で1300億円を集めた。 しかし、高利を約束し、それだけの金利を払って事業を成し遂げ、売却するか金融機関の融資に切り替えられる案件は多くない。SBISLの前にも、みんなのクレジット、ラッキーバンク、エーアイトラストといったSL業者が金融庁の行政処分を受けて退場。 18年7月、SLを最初に立ち上げた業界最大手のmaneoマーケットも業務改善命令を受け、SLという金融業の最後の“拠り所”となったのが、SBIホールディングスの信用力をもとにしたSBISLだった。 だが、5月24日、SBISLはテクノ事件を受けてSLからの撤退を表明。約150億円の特別損失を計上して、投資家への未償還元本の償還など残務整理に入っている。 業務停止命令はダメ出しともいえるもの。事件化以降、SBISLはもちろんSL業界にも甚大な影響を与えた生田容疑者は、無節操な事業展開、高級クラブでの豪遊、海外カジノでの蕩尽などが報じられ、「詐欺会社のとんでもない経営者」と、批判されている。 だが、生田容疑者を会社立ち上げの頃から知る経営者は、「水処理から始めて食に行き、エネルギー分野に進出してSDGsに行き着くまでは目の付け所が良かった」という。 「発明家で事業家の父親の後を継ぐつもりで学生時代から各種資格を取るなど“頑張り屋”だった。詐欺事件を起こして、『SDGsはカッコだけ』と批判されるが、本人は真面目に取り組んでいた。問題は太陽光などを始めて急成長、いろんな人間が寄ってきて制御しきれなかった。それも本人の経営者としての能力不足ではあるけど、会社にいい人材を集められず、SBIなどに利用された」(同)』、「テクノ社事件は、特捜案件になった」、大掛かりだ。「SBIなどに利用された」とはどういうことだろう。
・『事業の成長と“孤独”  生田容疑者は、日大工学部を卒業後、10年間、大手電気会社で働いた後、09年、テクノ社を設立する。 父親が特許を持つ特殊ポンプ技術を応用、海水淡水化装置を作ってシリーズ化。次に充填ポンプの活用などで、カレーやシチューなど具の入った料理に対応可能な施設 「デリシャスサーバー」を開発する。さらに「水」と「食」の事業費を稼ぐために事業化していた太陽光パネルの設置を、太陽光発電ビジネスとして大規模化、「電気」の分野に進出した。 『SDGsが地方を救う』という著書を著し、会社パンフレットに会社の使命を<水、食、電気を安心・安全に提供し続け、社会貢献することです>と謳い、日経新聞で小泉元首相と<自然エネルギーには夢と希望がある>と題して対談するのは、年商160億円を達成、上場を目指していた生田容疑者の「SDGsで会社をブランド化する」という作戦だが、本気で取り組もうとしたのも確か。 ただ、設備IDや地主の承諾書などを材料に、再生エネルギーとSLで、いくらでもカネが集まる仕組みにハマって、転落を始める。 老舗太陽光業者が解説する。 「投資家はネットを信じ、SL業者は事業会社にカネを貸し付け、金利を取ればいいから、まともなチェックをしない。いい加減な事業計画がまかり通り、事業規模だけはドンドン大きくなり、配当を支払うために事業をデッチ上げる自転車操業に陥って破たんする。その“ワナ”にテクノもハマったということ」 設立後、4~5年は、売上高数億円で推移していたものが、太陽光などに本格進出した15年頃から急伸して売上高100億円を突破、16年に105億円、17年に117億円となり、18年と19年は160億円だった。テクノ社元幹部は、急成長に社内体制が追いつかず、「まるで統制が取れていない状態だった」という。 「急速に人員が増えて横の連絡がつかない状態。途中入社の幹部には生田社長より年配者が多く、経験も積んでいるので自転車操業で危ないことはすぐにわかる。でも、みんな『個人保証を入れ、最終的に責任を取るのは生田社長』と、自分の仕事をこなすだけ。会社の将来なんて、誰も考えていない」(同) 「オーナー会社なんてそんなもの」といえばそれまでだが、生田容疑者は孤独だった』、「投資家はネットを信じ、SL業者は事業会社にカネを貸し付け、金利を取ればいいから、まともなチェックをしない。いい加減な事業計画がまかり通り、事業規模だけはドンドン大きくなり、配当を支払うために事業をデッチ上げる自転車操業に陥って破たんする。その“ワナ”にテクノもハマったということ」、大きな落とし穴に嵌ったようだ。
・『生田容疑者の「言い分」  SBIホールディングスが、「取引先(テクノ社のこと)の重大懸念」を公表、「調査のために第三者委員会を設置する」と発表したのは2月5日だが、それからしばらくして、筆者は生田容疑者に会った。 「言い分」を聞くためだが、その際、生田容疑者は粉飾や流用など、現在、指摘されている不正を否定したうえで、SBIグループとの親密さを強調した。 「SBISLの窓口となっているのは、コンサルタントの玄海(インベストメントアドバイザー)で、そこにもSBISLにも管理料や顧問料などの形で、十分な支払いをしています。SBIエナジーは物件の買い手になってくれるハズだったし、SBI証券は上場の際、幹事証券になる予定でした。 SBISLの焦げ付きを肩代わりしたこともあります。北尾(吉孝SBIホールディングス社長)さんにも会い、グループ全体とお付合いしていた。ウチだけが悪者なんて、とんでもない話です」 その証言をもとに、筆者はSBIホールディングスに質問書を送った。しかし、SBIは「第三者委員会が調査中」と答えず、4月28日に公表された「報告書」は、織田貴行SBISL社長の責任は重いとして解任したものの、それは営業を優先したあまりの行為で、虚偽表示への関与など刑事責任を問われるものはなかったとした。 罪は「テクノ社」というわけである』、「SBIエナジーは物件の買い手になってくれるハズだったし、SBI証券は上場の際、幹事証券になる予定でした。 SBISLの焦げ付きを肩代わりしたこともあります。北尾・・・さんにも会い、グループ全体とお付合いしていた。ウチだけが悪者なんて、とんでもない話です」、「SBI証券」は単なる被害者というより、むしろ共犯に近い可能性もありそうだ。
・『政界とのつながりは…?  政界ルートは、SDGs同様、テクノ社に泊をつけ、「イザ」という時に頼み事をするためのものだろう。 小泉元首相は広告塔で、俳優で長男の孝太郎氏とはスポンサー契約を結び、ホームページや会社案内に登場させていた。その先には、次男の進次郎環境相との関係を期待していたのだろうが、それほど深い関係は取り結べなかったようだ。 「進次郎環境相と近いようなことをいうので、『会わせてくれよ』と頼んだけど、実現しなかった。言い訳していたけど、結局、親しくはないみたい」(知人) とはいえ、親しさを見せる政治家も。再生エネルギー業者が証言する。 「彼の店で一緒に食事していて、『誰か頼りになる先生はいないか』という話になり、『これから遠山(清彦・前公明党代議士)先生が来るから紹介するよ』といわれ、実際、紹介されたことがある。会社にはいろんな政治家と一緒に写った写真が飾ってあったけど、結構、本当なんだな、と思った」 彼の店とは、銀座・ドンピエールのこと。麻生太郎財務相、ビートたけしなどが通い、かつては高倉健なども常連だったという著名フレンチで、生田容疑者は17年に会社買収の形で手に入れた。 生田容疑者は、この他「代官山いく田」という高級和食の店を持ち、政治家接待に使うことも。そのあたりも、通常なら警視庁などが担当する融資詐欺に、地検特捜部が乗りだした理由である。 「再生エネルギー事業には、許認可が絡むことが多く、政治家への頼み事が多くなる。資金繰りは相当、苦しかったので、金融機関への口利きを期待したこともあるだろう。生田と親しい政治家には、小池(百合子)都知事、原田(義昭)前環境相、麻生財務相、遠山前財務副大臣などの名があがっていて、それなりに職務権限がある。特捜の狙いもそこだろう」(司法担当記者) 政治家との交際は、最強の捜査機関が乗り出したという意味では、むしろマイナスに作用した。また、かつての仲間が次々に離反、検察の捜査協力者になっている。生田容疑者は、逮捕前の5月7日、「関係者の皆様へ」と、自筆で「詫び文」を残しており、そこで「迷惑をかけた」と、頭は下げているものの、文章はSBIグループ、玄海社、そして自分を裏切った仲間たちへの恨みに満ちている。 幹部も含めて社員は散り散りになった。まとめて面倒を見ているのは、社外取締役だった加藤智治、小池正樹の両氏だ。 レストランはドンピエール、いく田を含め、13店舗を持っていたが、そうしたフード事業の責任者や社員らが、加藤氏が社長、小池氏が副社長となって設立した「まん福ホールディングス」に、大挙、入社した。 逮捕前の5月17日、テクノ社は負債総額150億円で経営破たん。生田容疑者は民事再生法の適用を申請する意向だが、逮捕され法廷で裁かれる以上、破産による法的整理となる可能性が高い。 そうなれば、SDGsにかけた“夢”はもちろん、築いた事業はすべて失われる。事件の行方はまだ見えないが、その顛末は、ぜひ本人に語ってもらいたいものである』、「生田と親しい政治家には、小池・・・都知事、原田(義昭)前環境相、麻生財務相、遠山前財務副大臣などの名があがっていて、それなりに職務権限がある。特捜の狙いもそこだろう」、「特捜」には今度こそ遠慮なく徹底捜査してもらいたいものだ。

次に、この続き、6月17日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの伊藤 博敏氏による「「金融界の革命児」の死…ソーシャルレンディング大手・元社長に“何が”あったのか」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84218?imp=0
・『東京・霞が関の日比谷公園内多目的トイレで、6月8日、maneoマーケット元社長の瀧本憲治氏(49)が、遺体となって発見されたニュースは、金融界に衝撃をもたらした。 「瀧本さんといえば、ソーシャルレンディング(SL)というビジネスモデルを、金融界に確立した人。先が見えてアクティブでポジティブ。自殺するとは思えないのに、いったい何があったのか…」(SL業者) トイレは内側からカギがかけられ、早朝、清掃員が発見。通報を受けてかけつけた警察は、現場の状況から自殺と判断した。死の4日前に話をしたという知人は、「普段と変わりはなく、取り組んでいる事業について語ってくれた」というのだが、事業がカベにぶつかっていたのは確かである』、「SLというビジネスモデルを、金融界に確立した人」が自殺するとは、何があったのだろう。
・『“露わ”になった「SL」の限界  まず、SLが限界に達していた。ネット上に開示された情報をもとに、投資家が企業に事業資金を貸し付け、配当を得るのがSL。金融機関が二の足を踏むリスクの高い案件が多く、その分、配当は10%前後と高い。 maneoマーケットがSLのプラットフォームを提供、子会社のmaneoが貸金業登録をして貸付先を管理。その他maneoマーケットはプラットフォームを他社にも提供、それはLCレンディング、ガイアファンディング、クラウドリースなど10社に及んで「maneoファミリー」と呼ばれ、募集実績は1600億円にも達していた。 だが、「短期小口高配当」が受けてブームとなり、新規参入が相次ぐうち、SLの限界が露わになる。容易に資金が集まるので、募集案件とは別用途に使ったり、関連会社の事業に振り向けたりする業者が続出、17年3月、みんなのクレジットが業務停止命令を受けたのをきっかけに、ブームは下火となり業界は冷え込んだ。 その影響は、業界最大手だったmaneoに及び、maneoファミリーで太陽光など再生エネルギーを手がけるグリーンインフラレンディング(GIL)が、虚偽表示や資金管理の不備を指摘され、GILにプラットフォームを提供していたmaneoは、18年7月、行政処分(業務改善命令)を受けた。 以降、業績は悪化、改善の兆しが見えないまま、瀧本氏はmaneoマーケットの売却を決意、19年9月、Jトラストという金融グループを率いる藤澤信義氏に持ち株を売却した。13年9月、maneoマーケットを買収、SLで「金融の世界に変革を」と訴えた瀧本氏は、ビジネスモデルを確立、ブームを演出するものの、わずか6年で退場した』、「SLの限界が露わになる。容易に資金が集まるので、募集案件とは別用途に使ったり、関連会社の事業に振り向けたりする業者が続出」、なるほど。
・『「コロナ治療薬開発」のウラで…  そのうえ、maneo後に始めた金融コンサルタント業が、うまくいっていなかった。前出の知人がいう。 「maneo売却後、経営の一線からは引き下がりました。でも、金融界で名を成した人だけに、『瀧本さんなら』と、運用を委せる資産家、投資家はいました。本人だって、maneo売却で約2億円を手にしているし、それなりに資産はあります。そこで数億円単位の投資をしていたんですが、幾つか、問題案件に引っ掛かってしまった」 そのうちのひとつが、コロナ治療薬の開発で株価が急騰した医薬品ベンチャーのテラ(ジャスダック)、及びその支援会社セネジェニックスジャパンへの投資である。 テラとセネ社の開発が、いかに欺瞞に満ちたものであるかを、筆者は本サイトで<コロナ治療薬開発のウラで起きていた『ヤバい経済事件』の深層>(21年3月11日配信)と題して記事化。その際、出資者として証言してくれたのは瀧本氏である。 氏は、昨年10月、セネ社取締役の竹森郁氏と出会い、資金協力を要請されて、知人と合わせ5億円を協調融資している。だが、顧問となってセネ社に出入りするうちに驚いたのは、「事業よりも(テラの)株価を気にする経営実態」だといい、こう断言した。 「インサイダー取引、株価操縦、偽計取引など金融商品取引法違反の他、詐欺、印鑑偽造などの刑事的な法律違反を疑うことができました」 瀧本氏は、「竹森氏に裏切りがあった」として、12月末には決裂、「テラ・セネ劇場」というブログを立ち上げて告発。検察庁、警視庁、証券取引等監視委員会、東京証券取引所など捜査・監督当局に情報提供を行なった。 その一方、GILなどmaneoファミリーからもたらされる相談に応じ、物件の引き取り、追加融資などの形で関与することもあった。だが、それが失敗を招く。ファミリーのSL元幹部が証言する。 「事業中断のプロジェクトのなかには、『あと少しの資金で立ち直る』というものもある。目利きの瀧本さんには自信があり、JCサービス(GILの親会社)の中久保正己社長と親しいことから、JCサービスを支援すると同時に、その絡みで親しくなった再生エネルギー会社のテクノシステムに融資。それが、一部、焦げ付いている」』、「目利きの瀧本さんには自信があり、JCサービス(GILの親会社)の中久保正己社長と親しいことから・・・テクノシステムに融資。それが、一部、焦げ付いている」、「目利き」の自信が災いすることもあるようだ。
・『「SL」のたどる運命…  SLは、瀧本氏のmaneo売却時より厳しい状況に置かれている。GILは今年3月、maneoによって破産を申し立てられ、既に新規募集を停止している他のファミリーも、同種の運命を辿るだろう。また、maneoの退場によって、親会社・SBIホールディングスの信用で業界ナンバー1となったSBISLは、今年5月末、廃業を明らかにした。 その原因となったのは、プラットフォームを提供していたテクノシステムが経営破たんし、刑事事件化したこと。その経緯を筆者は、<地検特捜に狙われたテクノシステム事件の「全貌」>と題して、先週、詳述した。 また、瀧本氏が金融コンサルとして不良債権処理に乗り出したJCサービスも、過去に地検特捜の捜査を受けた経緯がある。 JCサービスは、関連会社が細野豪志元環境相に5000万円を提供するなど『政治銘柄』だった。また、政界フィクサーの大樹総研・矢島義也氏も関与していた。そこで一昨年、特捜部が捜査に乗り出したが詰め切れずに頓挫。そのJCサービスの案件を拾う形で登場したのがテクノシステム。やはり政界ルートを持ち、不透明なカネの流れもあるということで、特捜部は家宅捜索のうえ、今年5月末、同社の生田尚之社長を逮捕した。 瀧本氏の痕跡は、テクノ案件に残っている。昨年6月、テクノ社が青森県に持つ太陽光発電施設を担保に、瀧本氏の関係会社が10億円の根抵当権を設定している。また、JCサービスから大樹グループを経てテクノ社に所有権移転する予定の香川県の太陽光発電施設案件には、瀧本氏がコンサルタントとして関与した。 セネ社への融資は昨年10月なので、テクノ社が断末魔に陥り、再建の見込みが立たなくなってからだ。前出のmaneoファミリー元幹部が推測する。 「テラ・セネの怪しい案件に飛びついたのは、テクノ関連融資の挽回を図るつもりもあったのでは? 瀧本さんは、『うまく行けば、(テラの)企業価値が300億、500億円と上がっていく。そうなれば(担保に取った)株もあるので、50億や100億のカネになり、次の事業に取りかかれる』と、言っていた。それだけにコロナ治療薬の開発が、竹森氏らの詐欺話だとわかって、猛烈にハラを立てたのだろう」) 告発は実り、証券監視委と警視庁が、3月初旬、テラ・セネに家宅捜索を行なったが、カネが返ってくるわけではない。テラ・セネとテクノ社絡みに投じたカネは20億円近いという。回収分はあるにせよ、自分を信頼して預けてくれた投資家に対しては、申し訳なさがつのったハズだ。 自殺の原因は、余人の知るところではないし、人柄や性格などから「自殺なんてありえない」と、他殺を示唆する知人もいる。ただ、瀧本氏が証券監視委と警視庁が捜査するテラ・セネ事件、特捜案件となったテクノ事件に、ともに関与したことで、「融資したという意味では被害者ではあるが、事件に関与したという意味では被疑者にもなる」という微妙な立場に置かれたし、事実、捜査当局の事情聴取は受けていた。 金融界の革命児が、自ら打ち立てたビジネスモデルの終焉とともに迎えた死――。さまざまな憶測が生まれるのも仕方がないことなのかも知れない』、「JCサービスは、関連会社が細野豪志元環境相に5000万円を提供するなど『政治銘柄』」、「細野」は二階派に所属してはいるが、鳴りを潜めているようだ。「瀧本氏」は、「融資したという意味では被害者ではあるが、事件に関与したという意味では被疑者にもなる」という微妙な立場に置かれたし、事実、捜査当局の事情聴取は受けていた。微妙な立場だったようだ。

第三に、6月13日付け日刊ゲンダイ「ソーシャルレンディングは消えるのか?業界最大手も廃業」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/290467
・『太陽光発電関連会社「テクノシステム」に司直の手が伸びたことで、ソーシャルレンディング(SL)業界に激震が走っている。SLは消えてなくなるのか。 テクノ社事件にからみ、業界最大手のSBIソーシャルレンディング(SBISL=宮地直紀社長)は8日、金融庁から1カ月の金融商品取引停止処分を受けた。親会社のSBIホールディングス(SBIHD=北尾吉孝社長)は先月末、SBISLの廃業と事業からの撤退を発表した。 SLとは、業者がネットに開示したファンド(案件)の情報をもとに、投資家が資金拠出して配当を得るクラウドファンディングの一種。投資家にとっては、銀行より利回りのいい分配償還を受けられる低金利時代の運用先。資金調達を求める企業は、金融機関から十分な融資を受けられないような案件について、高金利だが融資を受けられる』、なるほど。
・『しかし、SLを使ったファンド運営にはズサンさが目立っている。2017年にみんなのクレジット(ファンドは17億円規模)、18年にはmaneoマーケット(同103億円規模)が、投資家に提示した資金使途と異なる使用が指摘されて行政処分を受けている。 SBISLがテクノ社に資金調達するためのファンドを組み、個人投資家らから150億円もの資金を集めていたケースでも、同じ問題が明らかになっている。 テクノ社は負債総額150億円を抱えて5月に倒産。生田尚之社長ら幹部3人は、東京地検特捜部に別の融資詐欺容疑で逮捕。SBIHDは今回例外的に、投資家への損失補填を発表している。 SLの取材を続けてきたフリーライターの村上力氏はこう話す。 「テクノ社は上場準備をしていて、SBIHDグループのSBI証券が主幹事契約を締結していましたし、SBISLはテクノ社にファンド運用で出た損失を肩代わりさせていました。両者は癒着関係にある。SBIHDが投資家への損失補填に踏み切ったのも、会社としての責任を認めざるを得なかったからでしょう。一方でテクノ社は30に及ぶ地銀や信金から120億円以上の融資を受けていますが、こちらは貸し倒れるのではないか。テクノ社の不正や粉飾決算を見抜けなかった地銀や信金の審査能力や責任が問われます」』、「SBIHDグループのSBI証券が主幹事契約を締結していましたし、SBISLはテクノ社にファンド運用で出た損失を肩代わりさせていました。両者は癒着関係にある。SBIHDが投資家への損失補填に踏み切ったのも、会社としての責任を認めざるを得なかったからでしょう」、損失補填という異例の措置に踏み切った背景が理解できた。
・『トラブル続きのSLは今後どうなるのか。 「リスクマネーを投じたい投資家はいるし、高利でも融資を受けたい企業もいるため、SLに意味はあります。しかし、現行の規制では融資先の情報開示が極めて限定的なため、投資家はぼやっとした情報で投資判断をせざるを得ない。融資先情報の開示規制をどうするかは、今後の主要な検討課題となるでしょう」(前出の村上氏) 金融行政はこの難問に有効策を打ち出せるか』、金融庁のお手並み拝見だ。
タグ:日刊ゲンダイ 現代ビジネス 伊藤 博敏 ソーシャル・ファイナンス (その2)(「SDGsの“夢”に敗れて…」 地検特捜に狙われたテクノシステム事件の「全貌」、「金融界の革命児」の死…ソーシャルレンディング大手・元社長に“何が”あったのか、ソーシャルレンディングは消えるのか?業界最大手も廃業) 「「SDGsの“夢”に敗れて…」 地検特捜に狙われたテクノシステム事件の「全貌」」 「テクノ社事件は、特捜案件になった」、大掛かりだ。「SBIなどに利用された」とはどういうことだろう。 「投資家はネットを信じ、SL業者は事業会社にカネを貸し付け、金利を取ればいいから、まともなチェックをしない。いい加減な事業計画がまかり通り、事業規模だけはドンドン大きくなり、配当を支払うために事業をデッチ上げる自転車操業に陥って破たんする。その“ワナ”にテクノもハマったということ」、大きな落とし穴に嵌ったようだ 「SBIエナジーは物件の買い手になってくれるハズだったし、SBI証券は上場の際、幹事証券になる予定でした。 SBISLの焦げ付きを肩代わりしたこともあります。北尾・・・さんにも会い、グループ全体とお付合いしていた。ウチだけが悪者なんて、とんでもない話です」、「SBI証券」は単なる被害者というより、むしろ共犯に近い可能性もありそうだ 「生田と親しい政治家には、小池・・・都知事、原田(義昭)前環境相、麻生財務相、遠山前財務副大臣などの名があがっていて、それなりに職務権限がある。特捜の狙いもそこだろう」、「特捜」には今度こそ遠慮なく徹底捜査してもらいたいものだ 「「金融界の革命児」の死…ソーシャルレンディング大手・元社長に“何が”あったのか」 「SLというビジネスモデルを、金融界に確立した人」が自殺するとは、何があったのだろう。 「SLの限界が露わになる。容易に資金が集まるので、募集案件とは別用途に使ったり、関連会社の事業に振り向けたりする業者が続出」、なるほど 「目利きの瀧本さんには自信があり、JCサービス(GILの親会社)の中久保正己社長と親しいことから・・・テクノシステムに融資。それが、一部、焦げ付いている」、「目利き」の自信が災いすることもあるようだ。 「JCサービスは、関連会社が細野豪志元環境相に5000万円を提供するなど『政治銘柄』」、「細野」は二階派に所属してはいるが、鳴りを潜めているようだ 「瀧本氏」は、「融資したという意味では被害者ではあるが、事件に関与したという意味では被疑者にもなる」という微妙な立場に置かれたし、事実、捜査当局の事情聴取は受けていた。微妙な立場だったようだ。 「ソーシャルレンディングは消えるのか?業界最大手も廃業」 「SBIHDグループのSBI証券が主幹事契約を締結していましたし、SBISLはテクノ社にファンド運用で出た損失を肩代わりさせていました。両者は癒着関係にある。SBIHDが投資家への損失補填に踏み切ったのも、会社としての責任を認めざるを得なかったからでしょう」、損失補填という異例の措置に踏み切った背景が理解できた 金融庁のお手並み拝見だ
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決済(その7)(日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致、無印 ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済、セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う、「有料になる?……やめます」加盟店離れ スマホ決済普及の正念場) [金融]

決済については、昨年9月20日に取上げた。今日は、(その7)(日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致、無印 ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済、セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う、「有料になる?……やめます」加盟店離れ スマホ決済普及の正念場)である。

先ずは、本年2月20日付け東洋経済オンラインが転載したブルームバーグ「日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/412760
・『新型コロナウイルスの感染拡大を契機にキャッシュレス決済への移行が加速している。 「これまでも緩やかに進行してきたキャッシュレスの流れはコロナ禍で途切れることなく、むしろ加速した様子がうかがえる」。全国銀行協会の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は18日の会見でこう述べた』、あれだけの「キャッシュレス」獲得合戦があったので、「キャッシュレス決済への移行が加速」は納得できる。
・『あおぞら銀行は全店舗窓口で現金の取り扱いをやめる  現金での決済比率が他国と比較して高い日本では、海外からの旅行客が不便を感じるなどといった問題が以前から指摘されている。また、労働人口の減少でさらなる人手不足に陥る可能性がある中、小売りなどの現場での現金管理作業が効率化の妨げとなる。デジタル化で生産性の向上を目指す金融業界にとっても現金の取り扱いには費用がかかる。 野村総合研究所(NRI)によると、銀行やコンビニエンスストアでの現金自動預払機(ATM)の設置費用や運営経費などで年間約7000億円、銀行店舗での現金関連業務に関わる人件費は同1000億円それぞれかかる。 銀行業界では顧客への投資アドバイスなど、より付加価値の高いサービス提供に人員を充てるため、現金の取り扱いを止める店舗の拡大を進める動きも出ている。あおぞら銀行では1月から国内全店舗の窓口での現金の取り扱いをやめた。 全銀協の三毛会長は「キャッシュレスは現金のハンドリングコスト引き下げによる社会的費用削減や、決済データの利活用による新たな付加価値サービスの提供など、一つのブレークスルーにもなり得る。銀行界としても引き続き積極的に取り組みを進めていきたい」と語った。 政府は国内のキャッシュレス決済比率を現状の25%から2025年までに約40%に高める目標を掲げ、20年6月までの9カ月間、キャッシュレス決済の利用でポイントを還元する施策も実施した。新型コロナ禍で人との接触をなるべく避けることが求められていることも、キャッシュレス化の普及を後押しする』、「あおぞら銀行は全店舗窓口で現金の取り扱いをやめる」、とは思い切ったことを
したものだ。
・『減少する通貨、増える通貨、通貨にも2極化現象  日銀が事務局を務める金融広報中央委員会が1月に発表した調査によると、現金の代わりにクレジットカードや電子マネーが使われる傾向は高まっている。支払金額が1000円以下の場合、現金を利用すると答えた人の割合は20年に70.8%と前の年の84%から低下した。こうした傾向を反映し、1円などの少額硬貨の流通量は減っている。 キャッシュレス化が進む一方、その動きとは逆行するような現象も起きている。日銀のデータによると、市中に出回っている1万円札の合計金額は増加傾向をたどり、1月末時点で107兆3000億円と1年前と比べて6.4%増えた。 ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「1万円札を中心に、紙幣の発行高が増加を続けている背景には低金利環境が挙げられる」と指摘。預金しても金利がほとんど得られない状況が続いているため、自宅などでの現金貯蔵、いわゆる「たんす預金」化が進んだとみられるという。 上野氏は「新型コロナ感染防止のための接触低減化の風潮もキャッシュレス化の追い風になる」として、「低金利などによって自宅などでの貯蔵が促される高額紙幣や500円玉の増加と、キャッシュレス化の影響をダイレクトに受ける少額硬貨の減少という二極化はますます進みそうだ」と述べた』、「高額紙幣や500円玉の増加と」「少額硬貨の減という二極化」が「ますます進みそうだ」とは、確かに面白い現象だ。

次に、5月27日付け日経ビジネスオンライン「無印、ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/052600185/
・『2019年の消費増税に伴う還元事業や、コロナの感染防止を背景に広がり続けるキャッシュレス決済。大規模な還元で注目を集め、ユーザーと加盟店を増やす競争が続いていたが、ここに来て自社でしか使えない「〇〇ペイ」の存在感が高まっている。 決済事業者が陣取り合戦からマネタイズへと移る第2幕が開いた。競争を制する鍵は、どこにあるのか。3回に分けて紹介する。 5月14日、横浜市港南区の商業施設、港南台バーズの地下1階に無印良品の食料品売り場がオープンした。クイーンズ伊勢丹などと協業し、生鮮食品や総菜をそろえた。1階の雑貨・衣料品売り場と合わせた面積は約5100m²と無印良品の店舗としては関東最大となる』、なるほど。
・『無印良品はキャッシュレス決済に、顧客の来店頻度を高める効果を期待している  都市型店舗のイメージが強い無印良品だが、今後は郊外や地方の住宅地の近くでの新規出店を増やし、地方圏の中高年層を開拓する。そこで効果を期待しているのがキャッシュレス決済「MUJI passport Pay(ムジパスポートペイ)」だ。2013年に導入した自社のスマートフォンアプリに20年11月、決済機能を追加した。 アプリは顧客にお薦め商品の情報を届け、店舗で決済に使ってもらうだけでなく、インターネット通販(EC)の窓口でもある。実店舗とネットの買い物を境目なくつなぎ、「地域に新たに出店すると、その地域のEC売り上げも上がる」(良品計画の角田徹EC事業部長)という相乗効果を生んでいる。 決済機能は、ITベンダーなどの協力を仰ぎつつ、良品計画が自前で開発した。セブン&アイ・ホールディングスの「7pay(セブンペイ)」やNTTドコモの「ドコモ口座」の不正利用などでスマホ決済への不信が強まっていることから、「セキュリティーは非常に慎重に検討した」(角田氏)と説明している』、「7pay」や「ドコモ口座」の「セキュリティー」はお粗末だったが、その反省の上に出来たので、一応、大丈夫なのだろう。
・『面取りは目的にあらず  キャッシュレス決済は19年の消費増税をきっかけに普及が加速した。政府は「キャッシュレス決済・ポイント還元制度」を設け、PayPay(ペイペイ)を筆頭にした民間のキャッシュレス決済事業者も追い風に乗って、大規模な還元キャンペーンを打った。 ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏の推計では、20年にクレジットカードや電子マネー、QRコード決済といったキャッシュレス決済の比率は約30%に達し、じわじわと広がっている。 「大還元祭り」を主導したスマホ決済事業者が、ユーザーと加盟店の数を増やす「面取り合戦」を進めたのに対し、良品計画は「現時点で無印良品以外での利用は検討していない」という。 21年1月に衣料品大手のユニクロで始まった「UNIQLO Pay(ユニクロペイ)」も自社グループに絞っている点で共通する。無印良品と同様、以前からあった自社アプリに決済機能を追加し、自社でセキュリティーを確保。レジ前の混雑解消を図るという狙いも同じだ。両社とも会員証と決済機能を1つのアプリに統合している。 大規模な還元策が使う人と使える場所を広げる「水平」の競争だったとすると、無印良品やユニクロの場合は顧客を深掘りする「垂直」的な試みといえる。こうした動きが相次ぐのは大規模還元で飛躍的に高まったスマホ決済の知名度が下地にある。買い物に必須の決済機能を自社アプリに加えることで利用頻度を向上。ユーザーの購買履歴を集め、アプリから来店動機や購買意欲を高める効果的な情報発信を行うという流れだ。両社とも固定ファンを抱えており、自社限定でスマホ決済を導入しても費用対効果が見合うと判断した』、「大規模な還元策が使う人と使える場所を広げる「水平」の競争だったとすると、無印良品やユニクロの場合は顧客を深掘りする「垂直」的な試みといえる」、なるほど。
・『ローソンでも使えるファミペイ  キャッシュレス決済が広がったこの2年間、小売業やサービス業が独自のスマホ決済システムを開発する例が増えてきた。垂直と水平の両にらみ戦略を採るのが、ファミリーマートが19年7月にスタートした「ファミペイ」だ。 来店頻度を高めるため、購買履歴に併せて人気商品のクーポンを毎月配信し、一部のクーポンは知人にプレゼントできるほか、ペットボトルのお茶やコーヒーなど習慣性が高い商品の回数券も用意した。 ファミペイ以前はアプリ活用に熱心でなく、「セールは店頭で十分伝わると、あぐらをかいていた」(ファミマの佐藤邦央イノベーション&アライアンス推進部長)。そこをコロナ禍が襲った。都心の店舗への来客が減り、店外で顧客とつながる一手が急務となった。 Tポイントや楽天ポイントなど共通ポイントのみでファミペイを使っていない客に比べて、ファミペイユーザーは月の来店回数が2倍ほどになっている。来店頻度が高い人がファミペイを導入する傾向はあるものの一定の成果を上げているようだ。 商品を供給するメーカー側のファミペイへの期待も高まっている。例えば、ビールのようなファンが固定化しやすい商品でも、メーカーは自社に消費者を引き寄せようとファミペイ向けにクーポンを発行する。試作品や特定商品のマーケティングにファミペイを活用する動きも増えている。 ファミペイは20年10月にファミマ以外の実店舗で使えるように機能を開放した点が無印良品やユニクロと異なる。外食や家電量販、ドラッグストアだけでなく、実はローソンでも使える。フランチャイズ加盟店から「色々なお店で使えるほうが来店客に導入を勧めやすい」という要望があったためだ。 ファミペイの決済システムを運営する子会社、ファミマデジタルワンの中野和浩社長は「ファミペイは(各種サービスのミニアプリを多数内包する)スーパーアプリでも、単なるスマホ決済アプリでもなく、ファミマ経済圏を大きくする橋頭堡(きょうとうほ)としてのアプリだ」と語る』、「ファミペイ」が「ローソンでも使える」ことが、「ファミマ経済圏を大きくする橋頭堡」になるのだろうか。
・『存在感を出せない新興フィンテック  商流を持つ企業にとって、キャッシュレス決済を自前で導入するメリットがあるとしても、なぜITと金融に詳しいフィンテック企業と協業したり、開発を任せたりする例が少ないのだろうか。 一つは、「7pay(セブンペイ)」や「ドコモ口座」の不正利用だ。国内小売り2位の超大手やITに知見があるはずの通信会社が見せた脇の甘さは、非専門であっても大手小売企業に自社開発でセキュリティーを確保することを決断させるのに十分な失態だった。 もう一つの背景は、キャッシュレス決済普及に一役買った「大還元祭り」だ。ただでさえ、「キャッシュレス事業自体は薄利多売」(野村資本市場研究所の淵田康之シニアフェロー)なところに、ユーザーを引きつけるためのキャンペーン合戦となった。 キャッシュレス決済の主要なプレーヤーはKDDIや楽天など携帯電話やECなど幅広い自社経済圏の構築を目指す大手ITとなり、スタートアップが戦い続けるには厳しくなった。いち早くスマホ決済に参入したOrigamiは経営に行き詰まり、メルカリ傘下のメルペイに買収され、LINEでさえヤフーを傘下に持つZホールディングスとの経営統合を決めた。 こうした大手はキャッシュレス事業で利益が得られずとも、経済圏拡大に貢献すれば元は取れる。キャッシュレスを専業とするフィンテック企業と異なり、自社のキャッシュレスシステムを他社にも提供して手数料を得るビジネスを展開する意義が薄い。 「〇〇ペイ」の乱立が起きそうだが、日本人はあまり苦にならないようだ。日本は世界でも数少ない「ポイント文化」が根付く国。他国はポイント付与より値引きを歓迎する傾向があるが、ポイントをためることに関心が高い日本なら、ペイアプリの使い分けも大きな障壁にならない可能性がある。 大手IT同士の経済圏競争はそう簡単に決着がつきそうになく、圧倒的なキャッシュレスの強者が不在であれば、小売業の自前開発が今後も進む可能性がある。アリペイやウィーチャットペイの2強が支配する中国と対照的に、多少不便でもバラバラに進化するのが日本のキャッシュレス業界かも知れない』、「多少不便でもバラバラに進化するのが日本のキャッシュレス業界かも知れない」、言い得て妙だ。

第三に、5月28日付け日経ビジネスオンライン「セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/052700186/
・『2019年の消費増税に伴う還元事業や、コロナの感染防止を背景に広がり続けるキャッシュレス決済。大規模な還元策を実施したPayPayの利用者は約3900万人、小売りや外食など316万カ所で使えるまでに成長した。スマートフォン決済のシェアは5割を超え、他社を圧倒する存在感を示している。 PayPayが掲げるスーパーアプリ戦略は、今秋に有料化する加盟店からの決済手数料に加え、フードデリバリーやタクシー配車といったミニアプリの事業者から手数料を得るモデルだ。大規模な先行投資でユーザーを増やすことで、ミニアプリ提供企業や加盟店を引きつけ、それによってPayPayの利便性が高まって、さらにユーザーが集まるという好循環を狙ってきた。 そんなPayPayが今年2月、今までの戦略と一見矛盾するかのような動きをとった。「セブン-イレブンアプリ」にPayPayの決済機能が埋め込まれたのだ。スーパーアプリに取り込むのではなく、PayPayが他社アプリに入り込む狙いはどこにあるのか。 セブンアプリを開くと、ちょうど親指で押しやすい位置にある赤い「P」のロゴ。タップすると、PayPayの決済画面に移る。画面に表示されたコードをレジで読み取れば、支払いと同時にセブンアプリの会員コードも読み取り、ポイントがたまる。 会員証のバーコードと、決済に必要なコードを2度読む必要がなく、セブンアプリの利便性が高まったことは間違いない。しかし、PayPayにセブン-イレブンがミニアプリとして登場するのではなく、PayPayが決済機能を提供し、セブンアプリに入り込むというのは、ミニアプリが集まるプラットフォームであるスーパーアプリとは異なる戦略に見える。 PayPayの馬場一副社長は、「スーパーアプリ戦略の一環ではないが、矛盾するわけでもない。完全に黒子となって『7pay』(の一部)になるなら、やらなかった」と話す』、「PayPayにセブン-イレブンがミニアプリとして登場するのではなく、PayPayが決済機能を提供し、セブンアプリに入り込む」、「PayPay」としても「セブン-イレブン」の魅力が大きかったのだろう。
・『「我々が血を流すだけではなくなった」  クレジットカードの仕組みを生んだキャッシュレス先進国の米国では、「イネーブラー」と呼ばれるフィンテック企業や、銀行など金融業の免許を持つ「ライセンスホルダー」が、消費者と接点を持つ「ブランド」に、金融システムを提供する分業が進んでいる。 これらは黒子になるケースが多い一方で、PayPayはセブンアプリ内でロゴなどブランドを明示している。決済の際は「ペイペイ」という特徴的な音も鳴り、ユーザーにPayPayの使用感を残す設計とした。「本当はPayPayのアプリを使ってほしいが、セブンアプリはセブンでしか使えない(ためPayPayと大きく競合しない)」(馬場副社長)ということもあり、スマホ決済が得意とする少額決済が多いコンビニのなかで決済機能を担いながら、PayPayのブランドの認知度を高める利益を享受する選択をした。 PayPayがスマホ決済の中で存在感を高めた一方で、まだ日本では現金が非常に強いという事情もある。ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏の推計によると、日本全体のキャッシュレス比率は30%程度にとどまる。しかも、その中心はクレジットカードで、QRコード決済の比率は1%程度にすぎない。 日本は、「楽天は銀行を傘下に持てるが、銀行は楽天を持てない」と俗にいわれてきたように、大手ITが銀行を営む障壁が米国に比べ低い。EC、携帯電話、金融などさまざまなサービスをワンストップで提供する経済圏を構築しやすく、楽天やKDDIなど大手プレーヤーが競い合っているなか、中国で「アリペイ」と「ウィーチャットペイ」がスマホ決済で寡占となっている状況とは程遠い。 このためPayPayは自社アプリにミニアプリを集めるだけでなく、「PaaS(Payment as a Service)」として協業先との連携を増やすほうが、利用実績が伸び得ると判断した。PaaSを通じてPayPayの認知度が高まることは、スーパーアプリ戦略にもマイナスではない。 また、セブン&アイ・ホールディングスの「7pay(セブンペイ)」やNTTドコモの「ドコモ口座」の不正利用が起こり、スマホ決済事業に求められるセキュリティーのハードルは高まっている。 自社で高いコストを費やすことをためらう企業が、PayPayに決済機能の提供を求めるケースは今後も増える可能性がある。馬場副社長は営業先で、「キャッシュレス機能を独自に自社アプリに入れると、24時間寝られない人が続出しますよ。そちらよりCRM(顧客情報管理)や新規顧客の獲得にパワーを割いたほうが商売はうまくいくんじゃないですか。役割分担をしましょう」と呼びかけているという。 同時に、PayPayは従来のスーパーアプリ戦略も着実に進めている。20年9月から花王と、21年3月には百貨店と還元キャンペーンを実施。地方自治体との連携にも積極的に取り組んでおり、初期の全方位的なものから企業や業態、地域を絞った還元策に移行している。 その原資は連携先が負担するケースが増え、「以前のようにわれわれが血を流して頑張るだけではなくなった」(馬場副社長)。先行投資が奏功して、スマホ決済のプラットフォームとしての地位を固めつつある』、「PayPay」が「「キャッシュレス機能を独自に自社アプリに入れると、24時間寝られない人が続出しますよ。そちらよりCRM(顧客情報管理)や新規顧客の獲得にパワーを割いたほうが商売はうまくいくんじゃないですか。役割分担をしましょう」と呼びかけている」、のは実に上手いセールストークだ。
・『メルカリでの売買をなめらかに  一方、PayPayやLINE Payなどと競うように、高還元キャンペーンを打ち出していたフリマアプリのメルカリ傘下のメルペイは、PayPayとは全く違った方向性を打ち出している。 その意図が表れているのが、19年4月に導入した後払いサービス「メルペイスマート払い」だ。山本真人COO(最高執行責任者)は、「(PayPayやLINE Payなどと)競合ではないと言い続けてきた」と語る。 このスマート払いは、銀行口座などからアプリに事前入金せずともフリマや小売店で買い物ができ、利用額は翌月に一括払いか分割払いを選択する。フリマでの売り上げを清算に充てられるのも特徴だ。利用上限額はメルカリの利用実績を人工知能(AI)が分析して決まり、銀行などと違って勤務先など属性情報に依存しない。 メルカリのヘビーユーザーほど利用しやすい仕組みとなっており、後払いサービスの利用者の51%が清算原資にメルカリでの売上金を使っている。フリマでの売買体験を活発化させるための仕掛けとして、保有するお金を支払うという単純な決済にとどまらない仕組みを築こうとしている。 さらに20年11月には「ふえるお財布」と銘打ち、貸し付け投資サービスのFundsにメルペイの残高を利用できるようにした。メルカリの売上金を金融商品で増やし、次の買い物を促す効果を狙う。 PayPayのようにスーパーアプリとしての魅力を高めて、ユーザーや加盟店、ミニアプリ業者を引きつけるのではなく、メルカリというプラットフォームを活性化させるためにお金の流れをなめらかにする役割を担うメルペイ。還元競争が落ち着いた今、大手キャッシュレス事業者の戦略の違いが明確化している』、「メルカリ」が「20年11月には「ふえるお財布」と銘打ち、貸し付け投資サービスのFundsにメルペイの残高を利用できるようにした。メルカリの売上金を金融商品で増やし、次の買い物を促す効果を狙う」、まるで銀行のようだ。「PayPayやLINE Pay」も含めた今後の競争はどう展開するのだろうか。

第四に、5月31日付け日経ビジネスオンライン「「有料になる?……やめます」加盟店離れ、スマホ決済普及の正念場」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/052800187/?n_cid=nbpnb_mled_mpu
・『2019年の消費増税に伴う還元事業や、新型コロナウイルスの感染防止を背景に広がり続けるキャッシュレス決済。20年にはキャッシュレス決済比率は3割に達したとみられ、政府が掲げる「2025年に4割程度」の達成にじわじわと近づいている。 ただ、QRコードを使ったスマートフォン決済は今年、普及の正念場を迎える。スマホ決済の大手が加盟店の開拓を優先して無料にしてきた決済手数料を有料化するからだ。 決済事業者はユーザー獲得などに費やした先行投資を回収する必要があるが、「有料になるならやめる」(中小小売店の関係者)との声が漏れる。加盟店を引き留められるのだろうか。 決済手数料とは、電子マネーやクレジットカード、スマホ決済サービスを提供する事業者が、導入した加盟店から得る手数料だ。 例えば、Suicaなど交通系電子マネーは3.25%(米Squareの場合)、楽天ペイは3.24%。今年有料化を予定するLINE Payは10月から2.45%、メルペイは7月から2.6%となる。PayPayは10月に有料化を検討し、料率は未定としている。 クレジットカードは導入店舗ごとに与信を判断するため、1~6%程度と幅がある。経済産業省が18年4月にまとめた「キャッシュレス・ビジョン」によれば、中央値は3.00%となっている。 19年の消費増税に伴う「キャッシュレス決済・ポイント還元事業」では、キャッシュレス事業者は決済手数料を3.25%まで抑えることが参加要件だった。還元事業は20年6月に終了したが、3.25%が一つの目安になり、今に至る。 しかし、この水準でも中小企業には苦しい。中小企業実態基本調査(2019年度決算実績、速報)によると、スマホ決済が得意な少額決済が多い小売業の経常利益率は1.5%、宿泊業・飲食サービス業も同じく1.5%にとどまる。クレジットカードに比べて初期コストが低いことを売りに導入を訴えてきたスマホ決済事業者だが、有料化が進めば、決済回数が増えるたびに、利用者の利益が目減りしていってしまう。 ある小売店の関係者は、「事前にチャージして使う前払い式が多いスマホ決済は、クレジットカードのように与信コストが必要ないから有料になるにしても、それより安くしてほしいと話したが反応は芳しくなかった」と明かす』、「「事前にチャージして使う前払い式が多いスマホ決済は、クレジットカードのように与信コストが必要ないから有料になるにしても、それより安くしてほしいと話したが反応は芳しくなかった」、主張は合理的にみえる。「反応は芳しくなかった」理由は何なのだろう。
・『「手数料10分の1」を実現したスーパー連合  相次ぐ有料化でスマホ決済大手からの離脱が増えれば、独立系キャッシュレスが注目を集めるかもしれない。中堅・中小スーパーを運営する約200社が加盟するシジシージャパン(CGC、東京・新宿)が開発したカード型電子マネー「CoGCa(コジカ)」はその一つといえそうだ。
・『コジカは手数料を抑えて電子マネーを提供している  コジカは15年3月にスタートした。当時主流だった鉄道会社や大手スーパーの汎用的な電子マネーはタッチするだけで支払いができる便利さから来店客からの導入希望の声が寄せられていたが、決済手数料はクレジットカード以上。「手数料が高い」という加盟スーパーの不満を受け、コジカの手数料は他のキャッシュレスの10分の1程度に抑えた。 その要因は、ポイント還元制度を設けていない点だ。ほかの電子マネーやスマホ決済と違って還元に必要な原資が手数料に反映されていないため料率が低い。還元は必要なら、加盟スーパーが個々に実施する。 CGC関連会社のエス・ビー・システムズの堀内秀起カード事業推進リーダーは「コジカの利用率が高まっても加盟スーパーに負担をかけないことを最優先にした」と話す。 キャッシュレス普及の壁とされる加盟店への入金方法も独特だ。ほかの汎用的なキャッシュレス決済では、ユーザーが支払った額が店舗に入金されるまで15~30日かかり、加盟店の手元資金が心もとなくなる。コジカは店舗でチャージをするのが基本で、店舗がチャージ金を預かる。その預かり金と利用額を精算するため、キャッシュフローに大きな影響はない。 そもそもQRコード決済は、スーパーの店舗運営にとって課題が大きい。スマホのアプリを立ち上げ、レジでコードを読み取る一連の流れは、タッチするだけで済むカード型電子マネーに比べて手間だ。また、来店客がレジに設置したQRコードを読み取って代金をアプリに入力する場合、来店客が入力した数字を従業員が確認しづらいという課題もある。 野村資本市場研究所の淵田康之シニアフェローは「無料期間中にキャッシュレスを導入した実店舗はコロナで非常に苦しい。無料期間終了が迫り、キャッシュレス普及に向けて、これからが正念場だ」と指摘する。 少額決済が中心のスマホ決済事業者は、スーパーやコンビニを重視しているが、有料化で離反を招けば大きな痛手となる。コジカのような手数料を抑えたシステムが増えれば、そちらに流れる可能性がある。コジカは、スーパーが安価に利用できるスマホアプリも検討している』、「コジカ」は「ポイント還元制度を設けていない」、「店舗でチャージをするのが基本で、店舗がチャージ金を預かる。その預かり金と利用額を精算するため、キャッシュフローに大きな影響はない」、など優れた方式のようだ。
・『手数料に見合う「納得」  キャッシュレス決済が伸び続けるかどうかの分水嶺を迎える中、米国にヒントがみえる。小売りや外食など幅広い業態に決済システムを提供する大手のSquareだ。 Squareはガラス工芸家のジム・マッケルビー氏が自分の作品を販売する際、クレジットカードでの支払いを受け付けられず、販売機会を逃したことをきっかけに設立した。「Squareの存在意義は、中小企業や十分なサービスを受けられない人々が経済活動に参加できるようにすること」(Squareゼネラル・マネージャーのデイビッド・タラック氏)として、決済だけでなく従業員の給与支払い、顧客管理など経営支援につながるサービスへと領域を広げてきた。 その柱の一つが、事業者向け融資だ。日々の売り上げを基に借入可能額を自動ではじき出し、事業者は最短、翌日に融資が入金される。返済額も売り上げが少ない日は少なく、多い日は多くなる仕組みだ。伝統的な金融機関の融資審査が画一的な一方、店舗の実情に鑑みて資金を融通しており、女性など「マイノリティー」が経営する事業者への融資比率が高い。 このように単に支払い機能だけでなく、加盟店が納得しやすい付加価値の提供にまで踏み込めば、自然とキャッシュレス普及率も高まっていくだろう。 大規模還元や手数料ゼロをうたって、勢力を広げる第1幕は終わった。物珍しさやコストの低さで利用してきたユーザーや加盟店も、使い続けるメリットが薄まれば根強い現金信仰に押し戻される恐れがある。キャッシュレス決済を軸に、付加価値をいかに高めていくか。次の競争が始まっている』、有料化される今後こそが勝負だ。どこが生き残るのだろうか。
タグ:東洋経済オンライン 決済 ブルームバーグ 日経ビジネスオンライン (その7)(日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致、無印 ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済、セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う、「有料になる?……やめます」加盟店離れ スマホ決済普及の正念場) 「日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致」 あれだけの「キャッシュレス」獲得合戦があったので、「加速」は納得できる 「あおぞら銀行は全店舗窓口で現金の取り扱いをやめる」、とは思い切ったことを したものだ。 「高額紙幣や500円玉の増加と」「少額硬貨の減という二極化」が「ますます進みそうだ」とは、確かに面白い現象だ。 「無印、ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済」 「7pay」や「ドコモ口座」の「セキュリティー」はお粗末だったが、その反省の上に出来たので、一応、大丈夫なのだろう 「大規模な還元策が使う人と使える場所を広げる「水平」の競争だったとすると、無印良品やユニクロの場合は顧客を深掘りする「垂直」的な試みといえる」、なるほど 「ファミペイ」が「ローソンでも使える」ことが、「ファミマ経済圏を大きくする橋頭堡」になるのだろうか 「多少不便でもバラバラに進化するのが日本のキャッシュレス業界かも知れない」、言い得て妙だ。 「PayPayにセブン-イレブンがミニアプリとして登場するのではなく、PayPayが決済機能を提供し、セブンアプリに入り込む」、「PayPay」としても「セブン-イレブン」の魅力が大きかったのだろう。 「PayPay」が「「キャッシュレス機能を独自に自社アプリに入れると、24時間寝られない人が続出しますよ。そちらよりCRM(顧客情報管理)や新規顧客の獲得にパワーを割いたほうが商売はうまくいくんじゃないですか。役割分担をしましょう」と呼びかけている」、のは実に上手いセールストークだ。 「メルカリ」が「20年11月には「ふえるお財布」と銘打ち、貸し付け投資サービスのFundsにメルペイの残高を利用できるようにした。メルカリの売上金を金融商品で増やし、次の買い物を促す効果を狙う」、まるで銀行のようだ。「PayPayやLINE Pay」も含めた今後の競争はどう展開するのだろうか。 「「有料になる?……やめます」加盟店離れ、スマホ決済普及の正念場」 「「事前にチャージして使う前払い式が多いスマホ決済は、クレジットカードのように与信コストが必要ないから有料になるにしても、それより安くしてほしいと話したが反応は芳しくなかった」、主張は合理的にみえる。「反応は芳しくなかった」理由は何なのだろう 「コジカ」は「ポイント還元制度を設けていない」、「店舗でチャージをするのが基本で、店舗がチャージ金を預かる。その預かり金と利用額を精算するため、キャッシュフローに大きな影響はない」、など優れた方式のようだ。 有料化される今後こそが勝負だ。どこが生き残るのだろうか。
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暗号資産(仮想通貨)(その18)(ビットコインバブルは2021年ほぼ間違いなく崩壊する、ビットコインのしくみをビザンチン将軍問題でやさしく理解する、中国金融機関 暗号資産関連サービスの提供禁止=業界団体、暗号資産1万ドル以上の送金 IRSに報告義務付けへ=米財務省) [金融]

暗号資産(仮想通貨)については、2月26日に取上げた。今日は、(その18)(ビットコインバブルは2021年ほぼ間違いなく崩壊する、ビットコインのしくみをビザンチン将軍問題でやさしく理解する、中国金融機関 暗号資産関連サービスの提供禁止=業界団体、暗号資産1万ドル以上の送金 IRSに報告義務付けへ=米財務省)である。

先ずは、4月19日付けNewsweek日本版が掲載した財務省出身で慶応義塾大学准教授の小幡 績氏による「ビットコインバブルは2021年ほぼ間違いなく崩壊する」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/obata/2021/04/2021-1_1.php
・『ビットコインがバブルであることは、ビットコインの支持派、反対派ともに合意している。合意がないのは、そのバブルが崩壊するのはいつか、ということだ   私は、今年崩壊すると思う。理由は、上がりすぎたからだ。 歴史的に、バブル崩壊の理由は、ほとんどすべてのケースにおいて上がりすぎたことが原因である。急激に上がったということは、急上昇の局面で買った人々がいるということだ。彼らが保有し続ける理由はただひとつ。上がり続けると信じているからであり、そして、その信仰が実際の上昇によって裏付けられるからだ。 逆に言えば、その裏づけが消えればパニックになって、投売りをする。投売りは投売りを呼び、暴落は一瞬で起こる。 唯一持続可能なバブルは、次々と新しい買い手が現れ、常に今までよりも高い値段で買い続けるもの。 実際、これまで起きていることは、これである。そして、乱高下が起こるのは、いったん、パニック売りになって暴落した後に、懲りない人々が、損した分を取り返そうと、もう一度安くなったところから買い戻し始めるからだ』、執筆時の「ビットコイン」のドル相場は、4月13日にピークを打った後、徐々に下げつつある局面にあった。
・『永遠に上がり続けることはできない  このとき、初めて買う人々も加われば、買い手は増えていくことになる。そうすると、以前よりも盛り上がるバブルが生まれる。買い手の総量が増えるからだ。そして、上昇していけば、含み益が膨らんでいくから、以前損した人々も、まだ損をしたことがない人々も、さらに上がることを期待して持ち続ける。あるいは売買を繰り返す。 そうなると、乱高下を繰り返し続けながら、永遠にあがっていくのではないか? そういう想像が膨らむかもしれないが、もちろんそれは妄想である。 永遠に上がり続けるしか持続可能にはならないが、無限大になるまで上がることは理論的にありえないので、どこかで崩壊し、それはゲームオーバーとなる。 これは、1980年代に経済学の世界でも確立されている、合理的バブルのモデルであるが、それ以前も、それ以後も、永遠に上がり続けたものはない。そうなると、それらはどこかで崩壊するのだ。 問題はそれが2021年であるか、まだ先か、あるいはまだまだ先か、ということに尽きる。 今年崩壊すると予想される理由は3つある。 第一には、今年の上昇が急激だからである。バブル崩壊の最後は急激に上がって破裂するパターンがある。それは、保有している人々がそろそろこれだけ上がったから売っておこうと思うからだ。一方、直近で買った人々は、ものすごく上がってから買っているから、少しの暴落でもパニックになる。となると、これまで保有し続けてきた人々が売り、それに誘発されて、直近で買った人々も売り、売りが売りを呼ぶ展開になる。) 第二に、ビットコインの価格がピークとなる明らかなイベントがあったからである。それは、暗号通貨取引プラットフォーム企業のコインベースの上場である。4月14日にコインベースはナスダックに上場された。コインベースの株価は暴騰するだろうと、暗号資産トレーダーの多くは期待した。参照価格は250ドルと言われ、それでもきわめて高い価格だが、実際についた初値はそれを大幅に上回る381ドルで、しかも、その後429ドルまで上昇した。これで投資家たちは大興奮となった。 しかし、早くもこのバブルは崩壊した。ピークは一日と持たなかったのであり、初日の終値は、初値を下回る328ドルとなった。しかも、上場前の非上場取引での価格348ドルを下回った。 IPO(新規株式公開)におけるバブルはどこの市場でもよく見られる現象であるが、このバブルが崩壊するきっかけは、初値を取引価格が下回ったときである。そして、コインベースの場合は、初日にこれが実現した。 コインベースバブルはすでに崩壊したのである。 コインベースとは、暗号資産バブルの究極の形である。これが崩壊すれば、元となる暗号資産バブルの崩壊は必然である。そして、暗号資産の中心にいるビットコインの暴落も必然となる。 社会的な背景、理論的背景も、バブルであること、そのバブルは崩壊することを裏付ける』、「コインベース」の「IPO」の「初日の終値は、初値を下回る328ドルとなった」、「バブル」崩壊を象徴している。
・『通貨として失格  まず第一に、ビットコインを含むこれらの資産が、仮想通貨と呼ばれていた時代から、暗号資産という呼び名に変わり、それが完全に定着したことだ。ビットコインが通貨かどうか、将来の通貨として定着するかどうか、技術的に以下に優れているか、という議論は過去のものとなり、現在は、これらは通貨ではなく、資産として扱われている。 第二に、これは理論的にも当然で、通貨とは、裏づけがあってもなくてもよいが、通貨は通貨として使われることで初めて通貨となるのである。ビットコインが一部の人がごくたまに遊び半分で取引に使うことはあるが、その取引総額は、ビットコインの時価総額をもちろんはるかに下回る。それどころか、何万分の1、何億分の1以下である。それは通貨ではありえない。 第三に、通貨にはなりえない証左は掃いて捨てるほどある。まず、価格が乱高下するのは通貨としてもっともふさわしくなく、暴落するものよくないが、急騰するのもよくない。安定して取引に使えないから、通貨としては最悪のものなのである。 もちろん、通貨は、国家が発行しなくてもかまわない。銀座の土地が、地上げ不動産投機グループ同士の間では通貨となりえる、土地資本主義が成り立つことも部分的にあるが、ビットコインはそれよりもさらに上場率は激しく、乱高下も激しく、そして、通貨として使われる割合が時価総額に比べて小さい。したがって、あらゆる資産の中で、もっとも通過(注:正しくは「貨」)としてふさわしくないだけでなく、実際にも、通貨として、もっとも利用されていない資産なのである。) 第四に、発行者が誰かわからない、あるいは存在しない、ということであり、かつ、マネーロンダリングや麻薬取引に便利に使われている(通貨としての利用のほとんどが違法行為に関連している)ということは、もっとも社会における通貨としてふさわしくないことを示している。 もはや言うまでもないことであるが、通貨として存在できる可能性はビットコインはゼロである。もちろん、それがわかっていることで、むしろ、リスク資産としては価格がより暴騰したのが、この1年半である。 そうなれば、前半の議論に戻って、暴騰したリスク資産は必ず暴落し、バブルは必ず崩壊するのである。したがって、ビットコインバブルは必ず崩壊する。そして、それが今年2021年に起こると私は思っているのである』、「あらゆる資産の中で、もっとも通貨としてふさわしくないだけでなく、実際にも、通貨として、もっとも利用されていない資産なのである」、手厳しい指摘だ。

次に、やや理論的な角度から、5月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアマチュア天才数学のヒュー・バーカー氏による「ビットコインのしくみをビザンチン将軍問題でやさしく理解する」を紹介しよう』、興味深そうだ。
・『+もっと効率的に資産を増やせないか? +会社の財務をもっとうまく管理できないか? +画期的で新しいアイデアやテクノロジーを生み出して儲けられないか? 不安定さを増す世界で、私たちは好むと好まざるとにかかわらず、日々そんなことを考えざるを得なくなっています。お金で愛や幸せは買えないとはよく言ったものだけれど、お金がなければその先に貧困や満たされない人生が待ち受けているのもまた事実だからです。 16歳でケンブリッジ大学に進んだという逸話を持つアマチュア天才数学者、ヒュー・バーカーは、新著『億万長者だけが知っている教養としての数学』の中で、そんな世知辛い世の中で一際役に立つものこそが「数学」だといいます。「数学を使って儲ける」ためのあらゆる知恵を網羅した同書から、とっておきのトピックを紹介しましょう』、「数学を使って儲ける」とは興味をそそられる。
・『ビザンチン将軍問題とビットコイン  いろんな種類のデジタル通貨が21世紀の世界経済に欠かせない一部となりつつある。ゲームやソーシャル・ネットワークのユーザーなど、特定のオンライン・コミュニティの内部だけで使える仮想通貨から、暗号を使って取引を安全なものにする暗号通貨まで、その範囲は広い。ライバルがどんどん増えているとはいえ、2009年に史上初となる安全な分散型暗号通貨を生み出したのがビットコインだ。ビットコインの開発者たちは、楕円曲線暗号を用いただけでなく、ビザンチン将軍問題というかなり厄介な数学的難問について考察することでそれを成し遂げた。 ビザンチン将軍問題とはこうだ。数人の司令官を率いる将軍がいる。包囲中の城への攻撃を成功させるためには、将軍は使者を通じて攻撃か撤退の命令を出さなくてはならない。ところが、司令官と使者のなかには、まちがった命令を出す裏切り者が何人か潜んでいる。まちがった命令を受け取ると、部隊は連携が乱れて敗北してしまう恐れがある。 この問題を解決するひとつの方法は、全司令官が自分以外の司令官に使者を送り、全司令官が自分以外の司令官からまったく同じメッセージを受け取るまで、誰も行動しないようにするというものだ。そうすれば、裏切り者が偽の命令を中継することはありえない(図28を参照)』、「ビザンチン将軍問題は、ビザンチン帝国の将軍たちがそれぞれ軍団を率いて、ひとつの都市を包囲している状況で発生する。将軍たちは、都市攻撃計画について合意したいと考えている。最も単純な形では、将軍たちは、攻撃するか撤退するかだけを合意決定する。一部の将軍たちは攻撃したいと言うだろうし、他は撤退を望むかもしれない。重要な点は、将軍たちはひとつの結論で合意しなければならないということである。つまり、一部の将軍だけで攻撃を仕掛けても敗北することは明らかで、全員一致で攻撃か撤退かを決めなければならないのである。また、将軍たちは、それぞれ離れた場所に各軍団を配置しており、メッセンジャーを相互に送ることで合意を目指す(Wikipedia)。「ビザンチン帝国」時代からこのような問題が考えられていたとは驚いた。
・『ビットコインはこれと同じような問題に対処する必要があった。自律的な分散型ネットワークがうまく機能し、第三者の仲裁がなくてもみんながビットコイン通貨を信頼できるようにするためには、正しい“命令”(この場合、ビットコインのすべての取引・所有記録に相当)についての合意が存在しなければならない。 この問題の解決法こそが、ビットコイン・ブロックチェーンの根底にある。ブロックチェーンとは、ビットコインの誕生以来の全取引記録のことだ。基本的には、複数のサイトにまたがって複製、共有、同期されたデータに対する合意を形成するためのデータベースである。 あなたがビットコインで支払いを行うとき、あなたが意図している取引は、ビットコイン・ユーザー、具体的にいうとビットコイン・マイナー(採掘者)で構成されるネットワークの全ノードへと一斉送信される。マイナーとは、計算量という点で複雑な数学の問題の解を求めるための専用マシンを用意している人々のことだ(その労役の見返りとして、新規発行されたビットコインが支払われる)。すると、ネットワーク上の全ノードが協力してその取引の正当性をチェックする。いわば、あなたにその取引を行う資格があるかどうかを確かめるわけだ。この時点で、あなたの取引はほかの検証済みの取引のキューへと加わり、それらがブロックチェーン内の次の潜在的なブロックを形成する。 いずれかのノードが計算問題を解くと、「プルーフ・オブ・ワーク」(仕事の証明)という形であなたの取引と組み合わされ、検証のために残りのネットワークへと送信される。解が検証されると、新しいブロックが無事ブロックチェーンへと追加される。こうして、新しいブロックは、プルーフ・オブ・ワークとともにあなたの取引記録を含んだものとなり、ブロックチェーン内の過去のブロックと数学的に紐付けがなされる。 新しいブロックが増えるたび、あたかも暗号のようにハッシュ化されたデータがブロックチェーンに追加され、しかもそれぞれのブロックがひとつ前のブロックに基づいているので、ブロックチェーン内のデータを改竄(かいざん)するのは不可能である。なぜならプルーフ・オブ・ワークの偽造はものすごく難しいからだ。 十分な数のノードをだまして不正な取引を承認させるような新しいブロックチェーンを作成しようと思ったら、ブロックチェーン内の1本1本の鎖を最初の最初までリバースエンジニアリングせざるをえないだろう。当然、それは信じられないくらい複雑な作業なので、このプロセスによって正真正銘の正当な取引記録が生成されると信じても安心なのだ(理論上は、既存の計算能力の51%以上を有する人が残りを不正操作することはありうるし、まだネットワークがかなり小さかったころはそれも問題になりえたが、ネットワークが一定の規模に達した今となってはまずありえなさそうだ。実際に誰がそんなに巨大な計算能力を手に入れられるのかという疑問について考えるだけでもわかる)』、こういう「プルーフ・オブ・ワーク」の仕組みが理論的に構築されたとは、確かに数学も儲けネタになりようだ。
・『暗号通貨にはほかにも問題がある。ブロックチェーンはハッキング不可能に見えるけれど、個人のウォレット(財布)は実際に何度もハッキングされている。史上最大のハッキング事件として有名なのは、東京に拠点を置くビットコイン取引所、マウントゴックスで起こったものだ。暗号通貨の価値が人々の信頼度に基づいていることを考えると、こうした事件は重大な懸念材料だし、価値の暴落を引き起こすこともある。 また、ビットコインは初期の参入者だけが儲かって、その後の参入者は結局損をするだけのポンジ・スキームやピラミッド商法の一種なんじゃないかと憶測する人々もごまんといる。将来的に、世界の政府や企業が暗号通貨やそれに関連する数学とどう向き合うのかについて考えるのも面白い。大手銀行は少しずつ独自のブロックチェーンを開発しているが、政府はみずからの監督の行き届かないところでビットコイン取引が行われることを憂慮している。ビットコイン取引が不正な目的で使われている事実を取り締まりの言い訳に用いる可能性もありそうだ。 しかし、暗号通貨の未来がどうあれ、ビットコインなどの事業の誕生に貢献した数学のすばらしさは否定しようがないだろう。
【書籍のご案内】 億万長者だけが知っている教養としての数学 世界一役に立つ数学的思考力の磨き方 「数学で1億円をどう稼ぐ?」 16歳でケンブリッジ大学に合格した天才が、お金の使い方から投資、ギャンブル、果ては起業や仕事術まで、人生も財布も豊かにする数学力の磨き方を伝授! 「数学って何の役に立つ?」誰もが思った疑問に、ついに答えが!』、冷静に考えれば、「ビットコイン」の他にも、デリバティブ(派生商品)の価格付けも数学が役立っているようだ。

第三に、5月20日付けロイター「中国金融機関、暗号資産関連サービスの提供禁止=業界団体」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/crypto-currency-china-idJPKCN2CZ23L
・『19日の取引で、暗号資産(仮想通貨)のビットコインやイーサが軒並み急落した。暗号資産市場は一時、時価総額で1兆ドル近くが吹き飛んだ。その後下げ幅を縮小したものの、不安定な相場展開は、仮想通貨が主流資産に仲間入りするとの期待に影を落とす可能性がある。 ビットコインは一時30%安、イーサは45%安まで下げを加速したが、仮想通貨への支持で先頭に立ってきた米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と 米資産運用会社アーク・インベストのキャシー・ウッドCEOが改めてビットコインへの支持を示したため、急速に下げ幅を縮めた。 この日は、中国の金融業界団体が18日、金融機関による暗号資産関連サービスの提供を禁止するなど規制を強化したことが売り材料となった。 コインゲッコー・ドット・コムによると、19日午後の早い時間で、暗号資産市場の時価総額は1兆8000億ドル。 ヘッジファンド、グレート・ヒル・キャピタルのトーマス・ヘイズ会長は「暗号資産関連株には多くのレバレッジが組み込まれているため、短期的に株式市場に波及するだろう。また、市場は物価上昇が続けば米連邦準備理事会(FRB)の緊急利上げが必要になる可能性があると考えており、インフレ懸念がかなりある」と述べた。 アナリストによると、暗号資産にはインフレヘッジ需要があるとの見方があったが、インフレ懸念が高まる中での相場急落で信ぴょう性が損なわれている。 一方、セントルイス地区連銀のブラード総裁は19日、暗号資産の急落について、「仮想通貨のボラティリティーが極めて高いことは誰もが承知している」とし、現時点では金融システムに対する広範なリスクにはならないと述べた。 マスク氏はこの日、ツイッターに「ダイアモンドハンド」の絵文字を投稿。SNS(交流サイト)上で、資産を保有し続ける価値があると表現するのに使われている。 同氏が先週、テスラ車の購入でビットコインを使った支払いを認めない方針を示したことを受け、ビットコインは急落。マスク氏が17日に「テスラはビットコインを売却していない」と述べたことで、相場は持ち直していた。 ビットコインは一時、3万0066ドルと、3カ月半ぶりの安値を記録。直近は13%安の3万7323ドル。4月14日に記録した最高値の6万4895ドルからは40%程度下げた。 仮想通貨コンソーシアム、パンクソラのギャビン・スミスCEOは「ビットコインの急落は市場にショックをもたらすものではない」と指摘。「ビットコインのように過去1年に大きく上昇していた資産は、一部投資家が利益を確定するのに伴い調整すると想定可能だ」と述べた。 イーサも一時、1月終盤以来の安値を付け、その後は22.5%安の2620ドルで推移。 コインゲッコーによると、ドージコインも約26%安の0.35ドル。 ボラティリティーの高まりを受け、暗号資産交換所最大手コインベース・グローバルとバイナンスは一部サービスの問題に言及。コインベースの株価は5.9%安で引けた。 ビットコインがチャート上の主要な節目である4万ドルを割り込んだことから、市場では一段の下落を予想する向きもある。 一方、アークのウッドCEOはブルームバーグとのインタビューで、ビットコインが50万ドルに上昇するとの予想を堅持した』、「中国の金融業界団体が18日、金融機関による暗号資産関連サービスの提供を禁止するなど規制を強化」、は明らかな売り材料だが、「マスク氏」も人騒がせなニュースを振りまくのも困ったことだ。

第四に、5月21日付けロイター「暗号資産1万ドル以上の送金、IRSに報告義務付けへ=米財務省」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/usa-treasury-crypto-currency-idJPL3N2N7489
・『 米財務省は20日、バイデン政権の税制改革案には1万ドル以上の暗号資産(仮想通貨)を送金する場合の内国歳入庁(IRS)への報告義務が盛り込まれていると発表した。IRSの職員も今後10年間で2倍以上に増やすという。 税制改革案はコンプライアンスと徴税業務の改善に向け、2031年までに約800億ドルをIRSに投じる内容で、財務省がその詳細を報告書にまとめた。 報告書は「現金取引と同様に、時価1万ドル以上の暗号資産を受け取る取引も報告の対象となる」と指摘。暗号資産が事業所得の一部として今後10年間で重要性を増す可能性があるとした。 暗号資産の時価総額は約2兆ドルに達している。 また、今後10年間で常勤に相当する職員を合計で8万6000人以上採用し、2019年時点の7万3554人から倍増させるほか、今後10年間で徴収担当職員を少なくとも5000人増やすとした。 報告書によると、税法に従って納付されるべき連邦税と実際に納付された連邦税の差額である「タックスギャップ」は今後10年間で約7兆ドルと推計されているが、税制改革案により「保守的に」見積もってもタックスギャップが約10%縮小し、7000億ドルの徴税につながるとした。政府の資料によると、2019年のタックスギャップ推計値は5840億ドル』、よくぞ悪材料がここまで揃って出てきたものだ。ビットコインは38000ドル前後と引き続き低下傾向にある。第一の記事にもあるように、いよいよバブルは終わったのだろうか。
タグ:ロイター 小幡 績 ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 (仮想通貨) 暗号資産 (その18)(ビットコインバブルは2021年ほぼ間違いなく崩壊する、ビットコインのしくみをビザンチン将軍問題でやさしく理解する、中国金融機関 暗号資産関連サービスの提供禁止=業界団体、暗号資産1万ドル以上の送金 IRSに報告義務付けへ=米財務省) 「ビットコインバブルは2021年ほぼ間違いなく崩壊する」 執筆時の「ビットコイン」のドル相場は、4月13日にピークを打った後、徐々に下げつつある局面にあった。 「コインベース」の「IPO」の「初日の終値は、初値を下回る328ドルとなった」、「バブル」崩壊を象徴している。 「あらゆる資産の中で、もっとも通貨としてふさわしくないだけでなく、実際にも、通貨として、もっとも利用されていない資産なのである」、手厳しい指摘だ。 ヒュー・バーカー 「ビットコインのしくみをビザンチン将軍問題でやさしく理解する」 「数学を使って儲ける」とは興味をそそられる。 「ビザンチン将軍問題は、ビザンチン帝国の将軍たちがそれぞれ軍団を率いて、ひとつの都市を包囲している状況で発生する。将軍たちは、都市攻撃計画について合意したいと考えている。最も単純な形では、将軍たちは、攻撃するか撤退するかだけを合意決定する。一部の将軍たちは攻撃したいと言うだろうし、他は撤退を望むかもしれない。重要な点は、将軍たちはひとつの結論で合意しなければならないということである。つまり、一部の将軍だけで攻撃を仕掛けても敗北することは明らかで、全員一致で攻撃か撤退かを決めなければならないのである。また、 こういう「プルーフ・オブ・ワーク」の仕組みが理論的に構築されたとは、確かに数学も儲けネタになりようだ。 冷静に考えれば、「ビットコイン」の他にも、デリバティブ(派生商品)の価格付けも数学が役立っているようだ 「中国金融機関、暗号資産関連サービスの提供禁止=業界団体」 「中国の金融業界団体が18日、金融機関による暗号資産関連サービスの提供を禁止するなど規制を強化」、は明らかな売り材料だが、「マスク氏」も人騒がせなニュースを振りまくのも困ったことだ。 「暗号資産1万ドル以上の送金、IRSに報告義務付けへ=米財務省」 よくぞ悪材料がここまで揃って出てきたものだ。ビットコインは38000ドル前後と引き続き低下傾向にある。第一の記事にもあるように、いよいよバブルは終わったのだろうか。
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投資(商品販売・手法)(その1)(1300万人がハマる投資アプリ「ロビンフッド」の魅力と落とし穴、ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由、絶対に近寄ってはいけない「4つの金融の儲け」 投資家を狙う落とし穴とは?) [金融]

今日は、投資(商品販売・手法)(その1)(1300万人がハマる投資アプリ「ロビンフッド」の魅力と落とし穴、ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由、絶対に近寄ってはいけない「4つの金融の儲け」 投資家を狙う落とし穴とは?)を取上げよう。

先ずは、本年1月10日付けNewsweek日本版が掲載したビジネスライターのダニエル・グロス氏による「1300万人がハマる投資アプリ「ロビンフッド」の魅力と落とし穴」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2021/01/1300-9_1.php
・『<米証券業界に「革命を起こした」と評判のロビンフッド。売買手数料は無料、数百ドルしか手元になくても気軽に株式投資ができる。利益相反なども指摘されるが、快進撃はどこまで続くのか>(※本誌「2021年に始める 投資超入門」特集より) 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に揺れた金融市場の最も意外な勝者の1つは、ミレニアル世代(2000年代に成人または社会人になった世代)がターゲットのスマートフォンアプリ「ロビンフッド」だ。 ユーザー数は1300万人。「金融市場を一般の人々がアクセス可能なものに変え、証券業界に革命を起こした」と、米有力ベンチャーキャピタル、セコイア・キャピタルのアンドリュー・リードは語る。 言うまでもなく、ロビン・フッド伝説は貧しい人々を助けるために金持ちから盗む義賊の物語。だが今では、庶民を金持ちと対等な立場に引き上げる試みの意味になった。それこそカリフォルニアを拠点とするロビンフッド・マーケッツの企業理念だ。 裕福な個人が相手の証券会社と違い、ロビンフッドには最低取引単位がない。株取引の売買手数料は基本的に無料。数百ドルしか手元に資金がなくても、アマゾン株(現時点で1株=3000ドル以上)を1単元株未満で購入できる。 共同創業者で共同CEOのバイジュ・バットとブラド・テネフは、スタンフォード大学で出会い、ヘッジファンドに取引ツールを売っていたが、すぐにミレニアル世代が簡単に株式市場にアクセスできるアプリの開発に方向転換。2015年にアプリ「ロビンフッド」を正式にリリースした。 ゴールドマン・サックスのような既存の金融大手はもちろん、Eトレードのようなネット証券から見ても魅力的な顧客とは言い難い超小口の個人投資家にとって、ロビンフッドは天からの贈り物だった。 ほとんどの投資アドバイザーが株価指数と連動するインデックス投資を推奨する時代に、あえて個別株で勝負したい投資家にも歓迎された。 「私たちは数百万人の人々、特に新しい世代が投資の扉を開くのを後押ししてきた」と、2人の創業者は胸を張る』、「2015年にアプリ「ロビンフッド」」「を正式にリリース」、「最低取引単位がない。株取引の売買手数料は基本的に無料」、現在では「ユーザー数は1300万人」、とは革命的だ。
・『利益相反の疑いあり  2019年までに、ロビンフッドは「ユニコーン」(企業評価額が10億ドル超で未上場の新興企業)の1つに成長した。2019年7月には3億2300万ドルを資金調達し、評価額は70億ドルを突破。年末までに1000万人のユーザーを獲得した。 そして2020年、パンデミックの襲来を受けてプロスポーツが活動を停止すると、サッカーやバスケットの試合を対象とする賭けに熱中していた人々が株取引に殺到。この年を通じて、ロビンフッドは米株式市場と共に急成長した。 経済専門ケーブルテレビ局CNBCによると、2020年第2四半期に同社の顧客が行った取引数は対前期比で2倍に増え、ユーザー数は1300万人以上に膨れ上がった。 2020年5月には2億8000万ドルの資金調達を行い、評価額は83億ドルに。9月にはさらに6億6000万ドルを調達し、評価額は117億ドルとなった。次の一手はIPO(新規株式公開)だと言われている。 急成長の一方で、問題も浮上した。株式市場が最も不安定だった3月初旬にはシステム障害が発生。顧客は自分の口座にアクセス不能になった。 ロビンフッドの主な収入源は、マーケットメーカー(値付け業者)に顧客の売買注文を流すのと引き換えに受け取る、一種のリベートだ。こうしたデータの売買は業界の一般的慣習だが、消費者擁護団体と規制当局は利益相反になるとみている。 しかし、より大きな問題は株式市場が長期下落トレンドに突入したらどうなるかだ。2000年のITバブル崩壊や2008年の金融危機のように投資家が大やけどを負った場合、手数料無料の魅力だけではユーザーをつなぎ留められないかもしれない。 <2021年1月12日号「2021年に始める 投資超入門」特集より>』、「ロビンフッドの主な収入源は、マーケットメーカー・・・に顧客の売買注文を流すのと引き換えに受け取る、一種のリベートだ。こうしたデータの売買は業界の一般的慣習だが、消費者擁護団体と規制当局は利益相反になるとみている」、「より大きな問題は株式市場が長期下落トレンドに突入したらどうなるかだ」、注目したい。

次に、1月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/258984
・『資産運用の世界で徐々に普及が進んでいるロボアドバイザーは個人投資家にとって役に立つのだろうか?筆者は現段階の実用性に対して否定的だ。その四つの理由をお伝えしたい』、世間では「ロボアドバイザー」をもてはやす論調が多いが、これを否定するとは興味深そうだ。
・『ウェルスナビの新規上場など徐々に普及するロボアドバイザー  いわゆるフィンテックビジネスの一つとして数えられることのあるロボアドバイザーの普及が進んでいる。昨年12月には、運用残高で最大のロボアドバイザー運用会社であるウェルスナビが東京証券取引所マザーズ市場への新規上場を果たした。 ロボアドバイザーは役に立つのだろうか? 筆者は、現段階でのロボアドバイザーの実用性に対して否定的だ。実は、このタイミングでロボアドバイザーについて論じるのは、ウェルスナビのIPO(新規株式公開)の邪魔をしたくなかったからだ(筆者ごときの意見がIPOに影響するとは思えないが、気持ちの問題だ)。現状のロボアドバイザーに不満があるとしても、テクノロジーを使った個人の資産運用のサポートには今後大いに期待したいと思っている。 ロボアドバイザーの大まかな機能を運用の観点からまとめると以下の通りだ。 まず(1)幾つかの質問の答えによって投資家の「リスク拒否度」を推定する。次に、(2)各資産クラスのリスク・リターンの推定値とリスク拒否度を使ってアセットアロケーション(資産配分)を決定する。そして、(3)資産クラスごとに運用商品の組み合わせを決定する。全体として、人間が行うラップ運用を、コンピューターのプログラムによって行うサービスだと思えばいいだろう。費用は、運用資産残高に対して年率1%前後のものが多い。 上記のようなロボアドバイザーが役に立たないと筆者が思う理由が四つある』、どういうことだろう。
・『ロボアドが役に立たない理由(1)「資産全体」の問題を解決できない  ロボアドバイザーは、個人の資産運用の問題の最重要部分を解決できない。 率直にいって、ロボアドバイザーに運用できる全財産の運用を任せる人はまれだろう。積立運用の場合も含めて、資産の一部をロボアドバイザーに任せることになる。 ところが個人にとっては、ロボアドバイザーに任せた部分以外を含む運用資産全体の運用状態がどうなっているかが問題だ。 ロボアドバイザーは個人の資産の総額や収入などの情報を収集しようとするが、この情報収集には限界がある。そして、他の運用資産がどのような状態で運用されているかが分からないと、ロボアドバイザーの運用部分を個人にとって最適な状態として決定することはできないはずだ。 投資家個人の側から考えると、ロボアドバイザーに任せた運用部分を前提に、残りの資産の運用を考えなければならない。ところが、そもそも資産の運用の仕方が分からなくてロボアドバイザーを利用したはずの個人は、より複雑化した形で元と同じ問題に直面することになる。 個人の運用の問題を解決するというよりは、さらに複雑化している』、「「資産全体」の問題を解決できない」、確かにその通りだが、「資産全体」を委ねればいいのではなかろうか。
・『ロボアドが役に立たない理由(2)「リスク拒否度」を決めるアプローチが個人になじまない  例えば、企業年金の積立金のような定型化された資産の運用の場合、リスクに対してどういったペナルティーを科するかを数値化した「リスク拒否度」を決めることによってアセットアロケーションを決めるアプローチがそれなりに納得的に機能する。 しかし個人の場合は事情が違ってくる。 経済状況をバランスシートで考えるとして、まず資産側は人的資本の占める割合が大きいが、人的資本は本人が将来の稼ぎ方を変更することや勤務先の経済的事情の変化などによって大きく変動する。さらに負債の側も、将来の生活の拡大縮小が可能であり伸縮的だ。 つまり積立金と将来の掛け金が予想可能で資産側が計算でき、将来の支払い予定から負債が計算できる年金運用の世界とは違うわけだ。個人が資産運用をするに当たって適切なリスク拒否度を決める条件は、複雑であると同時に変動が大きい。 率直にいって筆者は、リスク拒否度を決めて個人の資産運用方針を決める簡易版の個人資産の運用法を作る試みを過去に何度も行ったが、うまくいかなかった。 リスク拒否度を決めて最適化計算を行うアプローチは、個人の資産運用にあっても一定の有効性・合理性があると思う。ただ、現実の個人の運用にあっては、少なくとも損をするかもしれない額と損をした場合の対応をセットで考え、確認した上で、当面の資産運用で取るべきリスクの額を決める必要がある。 ロボアドバイザーのアンケート的質問がこの問題を解決できるとは思えない』、その通りなのかも知れない。
・『ロボアドが役に立たない理由(3)「バランスファンドの無駄」問題  ロボアドバイザーは投資家個人のリスク拒否度の大きさに応じて、例えば国内外の株式50%、債券が50%といった具合に資産配分を行い、投資を実行する。 特に今のようなゼロ金利の時代には分かりやすいが、果たして債券での運用に対して年率1%近い運用手数料を支払う意味があるだろうか。 仮に50万円分だけ株式で運用してもらえるサービスが年率1%で存在するなら(実際には年率0.2%以下で存在するが)、このサービスを利用して残りの50万円を自分で行う債券投資、あるいは債券で運用してくれる安価なサービスに資金を振り分ける方が、上記のようなロボアドバイザーに100万円運用してもらうよりも費用面で明らかに合理的だ。 ロボアドバイザーに支払う手数料1%は、実際に行われる運用の内容を考えるとかなり割高だと判断できる場合が少なくない。 これは、投資信託のバランスファンド(株式・債券両方の資産クラスに投資する投信)にあっても発生する無駄だが、ロボアドバイザーの顧客もこの問題に対して自覚的になることで運用を確実に合理化できる。 ロボアドバイザーもバランスファンドもやめて、自分で株式と債券のそれぞれに投資する方がずっといいのだ。 「初心者は自分でアセットアロケーションができないので、ロボアドバイザーやバランスファンドが存在することに意味がある」との言い分を聞くことがある。ところが実際に両商品がやっていることは異なる。投資家の資産の一部を非効率的な形で抱え込んで、「自分の運用全体の最適化」という重要な問題を抱える投資家に対して問題をより複雑にして返しつつ、無駄に高い費用を取っているだけのことだ。 「初心者に優しい」のは見かけ(=宣伝のイメージ)だけだ。 ロボアドバイザー業者側から、「ロボアドバイザーがなければ運用に関わることがなかったはずの初心者に対して、運用を始めるきっかけを与えることには価値があるのではないか」との反論を受けたことがある。それに対して筆者は、「よりダメな状態の誰かを想定して、自分を正当化することはやめなさい」と答えた』、「ロボアドバイザーもバランスファンドもやめて、自分で株式と債券のそれぞれに投資する方がずっといいのだ」、その通りのようだ。
・『ロボアドが役に立たない理由(4)時間に比例する費用の不合理性  仮に、ロボアドバイザーが行う資産配分や商品選択に何らかの価値があるとしよう。だが、この価値に対する対価を「運用資産額×運用期間」に比例して支払うことは合理的だろうか? 「個人の事情に合わせたアセットアロケーション」や「アセットクラスごとの商品の選択」は、運用期間の初期にあって重要な決定だが、いったん決めてしまえば時間の経過とともに運用初期と同じだけの努力の投入が必要な行為ではない。 時間の経過に伴って生じる資産配分の変化を元の比率に戻す「リバランス」に価値があると、ことさらに強調する向きもある。とはいえ、リバランスは頻繁に細かく行う必要はないし、必要な程度のバランス修正は個人でも十分にできるので、これに費用を払う合理性は乏しい。 投資家にとっての運用のメリットは確かに時間の経過によって得られるものなのだが、運用の内容は運用の初期の努力で大半が決定できる。 前者は投資家自身の資金提供と忍耐の成果であり、アドバイザーの主な貢献は後者の段階にある。であるのだから、運用期間に比例して漫然と手数料を払い続けることは、顧客である投資家側にとって合理的ではない。 例えば、人間のアドバイザーに相談して自分の資産全体の運用方針を一度決めてしまえば、その後は自分で運用を管理すればいい。 仮に1000万円を1年間ロボアドバイザーで運用するのに10万円掛かる状態と比較してみよう。アドバイザーに数万円支払って運用方針を決め、年間2万円以下(運用管理費用0.2%以下)の運用商品で運用すると、1年でアドバイスの元が取れる計算であるし、2年目以降の差はもっと大きく開く。 ロボアドバイザー業者も長期運用の効用を説くが、運用が長期に及ぶほど期間に比例する手数料の影響は大きい』、「「個人の事情に合わせたアセットアロケーション」や「アセットクラスごとの商品の選択」は、運用期間の初期にあって重要な決定だが、いったん決めてしまえば時間の経過とともに運用初期と同じだけの努力の投入が必要な行為ではない」、「運用期間に比例して漫然と手数料を払い続けることは、顧客である投資家側にとって合理的ではない」、「例えば、人間のアドバイザーに相談して自分の資産全体の運用方針を一度決めてしまえば、その後は自分で運用を管理すればいい」、その通りだ。
・『必要なら人間に相談して自分で決めるべし  以上、現在のロボアドバイザーの利用に賛成できない理由を挙げた。それでは、個人はどのように資産運用をすればいいかというと、「自分で考えたらいい」。運用プロセスで最も重要な決定である「リスクテイクの大きさ」に関連する情報を最も豊富に持っているのは投資家本人だからだ。 運用方針の決め方は、率直にいってそれほど難しいものではない。適切な本を1冊読むと十分一人でできるようになる程度の問題だ。仮に不安があるなら、今の段階では人間のアドバイザーに1回ないし数回相談して、その都度対価を支払う方が合理的だし、何よりも「自分で分かるようになる」ことの価値が大きい。 筆者は、あるロボアドバイザー運用会社の経営者に、顧客の資産の一部を運用するロボアドバイザーよりも、顧客の運用全体の問題解決に貢献できるフィンテックサービスを開発・提供することの価値の方が大きいのではないか、と言ったことがある。その経営者は頭のいい人なので、「ぜひやりたい」と返答した(「必ずやります」だったかもしれない)。 では、そうしたサービスができたとしたら、読者はロボアドバイザーを利用するだろうか。「要らない!」と筆者は思う』、運用のプロである山崎氏ならそうだろうが、素人にとってはそうもいかず、任せ切りにしたい人も多いだろう。

第三に、この続きを、4月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「絶対に近寄ってはいけない「4つの金融の儲け」、投資家を狙う落とし穴とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/268350
・『読者自身が今後もうけるため、あるいは、悪い金融話に引っ掛かって損しないようにするために、本稿では典型的な「金融のもうけ」の4パターンを見てみよう。それらがはらむリスクや不利について、投資家は気がつかない場合が少なくない。大いに気をつけて、遠ざかる心構えを持ってほしい』、確かに銀行や証券会社、生命保険会社などの営業マンが手ぐすねを引いているので、注意が必要だ。
・『悪い金融話に引っ掛からないように遠ざかるべき「4パターン」  新型コロナウイルスによる危機に対応した金融緩和と財政出動を背景として、株式などの資産価格が高騰。あちこちにお金持ちが生まれている。コロナは間違いなく貧富の格差を拡大している。 ただしお金持ちの中には、株式を大量に保有する創業経営者のように、もともと資産があってその資産が膨らんだ「自然なお金持ち」も存在する。一方で、先頃破綻して内外の金融機関に大きな損をもたらすことになった米ファミリーオフィス(個人の資産運用会社)のアルケゴス・キャピタル・マネジメントのような、関わると「実は危ないお金持ち」も混じっている。 「危ない」の中には、「市場のリスク」が危ない場合もあるし、法的・倫理的にスレスレの、「危ない」よりも「汚い」に分類したくなるようなリスクもある。そして、金融的なもうけにはいくつかの典型的なパターンがある。 はっきり言って、もうかる投資先を次々と当てて連戦連勝するような「相場の当たり」を続けて大金持ちになる人はごく少ない。集中投資がたまたま当たり、それを長期にも保有することになった創業経営者のような「幸運な人」が時々存在する程度だ。それ以外の金融のもうけは、よく見ると意外にチープな仕掛けから生じている。 読者自身が今後もうけるためでも、あるいは、悪い金融話に引っ掛からないようにするためでもいいのだが、本稿ではいくつかの「金融のもうけ」のパターンを見てみよう』、「パターン」別に整理してくれるとは、理解しやすい。
・『絶対に近寄ってはいけない「もうけその1」レバレッジでもうかった  個人のお金持ちからヘッジファンドの経営者に至るまで、レバレッジを掛けた投資、すなわち実質的に借り入れを伴う投資が結果的に成功して大金持ちになった人は数多い。もっとも、後に触れるが、ヘッジファンドの場合はレバレッジ以外に別の「仕掛け」の役割が大きい。 個人のお金持ちには、不動産で財をなした人が少なくない。不動産は担保物権が具体的なので個人でも比較的低利の借金を利用しやすく、大きな金額の借金と投資ができてお金持ちになるパターンがある。 安易なマネー本や不動産のセールスマンが言うように、「家賃利回り>借入金利」なら不動産は利益をもたらすプラスの資産なのだ、というほど話は単純ではない。しかし、次々にローンを借りて不動産投資を膨らましただけの「欲張り父さん」のような人が、「結果的に」お金持ちになることはある。 その過程では大きなリスクと無駄な手数料の支払いがあったはずなので、うらやましがってまねをしてはいけない。真に着実にもうかるのは、一見もうけ話らしき案件を売り歩くセールスマンだ。 借金も、(1)良い利回りを見込める資金の使い道があって、(2)十分返せる規模で、(3)金利が高くないものであれば、利用していけないというものではない。 (2)については、普通の人は返済の算段を心配する方がいいが、野心的な事業家の場合「借金とは、借り手が心配するものではなく、貸し手が心配するものだ」というくらいに考える人もいる。その度胸は時に功を奏する。 しかし、今般話題になったアルケゴスの場合は、集中投資の行き先がまずかったようだ。「相場を当て続けることはできない」という原則と、「レバレッジによるリスク拡大」が悪く重なった例だった。 素晴らしいテクノロジーで大もうけしているように見えて、実際には数十倍のレバレッジでリスクを取っていたと後からもうけの「種」が分かるようなケースもある。かつてノーベル賞受賞学者などを巻き込んで設立され、後に破綻した米ヘッジファンドのロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)がその典型だ。 うますぎるもうけ話の裏には「大きなレバレッジが隠れていないか?」という疑いが欠かせない』、確かに「LTCM」は「ノーベル賞」の意味も考え直させるインパクトがあった。
・『絶対に近寄ってはいけない「もうけその2」 信用リスクのある高利回り投資  一般に素人は配当や分配金などのインカムゲインに釣られる傾向があるが、見かけのインカム利回りはプロの運用者にとっても魅力的な場合がある。 特に損失を抱えたファンドマネージャーが、インカム利回りの高いポートフォリオを組んで損を取り返そうとするケースは少なくない。 この場合、信用リスクがあって利回りが高い債券を組み入れて、デフォルトがないことを「祈る」パターンになる。ここにレバレッジが組み合わせられるケースもある。金融機関や運用会社の経営者は、自社の運用者がこうしたパターンの運用をしていないか、常に気を配っておきたい。 いつ、どの会社で、誰が、までは書かないが、筆者が過去に勤めた会社で、損失を隠蔽したファンドマネージャーがやっていたのもこの手口だった。しかし、投資した債券の中にデフォルトするものが生じて、もろもろの不都合が明るみに出た。 ファンドの計理(会計)をごまかして損失を隠蔽していなくても、利回りを求めて信用リスクの高い債券に投資する運用は歯止めが掛かりにくい。 政府・中央銀行の経済対策やコロナワクチン接種の普及に伴う経済回復などの期待から、現在米国の社債市場では、低格付けの銘柄と国債との利回り格差が縮小する傾向にあるが、いずれ問題が生じるだろう。低格付けの銘柄を証券化商品というオブラートにくるんでも根本的な問題が解消しないのは、かつてのサブプライムローン問題で経験済みだ』、「信用リスクのある高利回り投資」、も大いに気を付けるべきだろう。
・『絶対に近寄ってはいけない「もうけその3」フロントランニング  証券会社で、顧客の売買注文の前に自己勘定の注文を割り込ませて、顧客の注文を利用して利益を得る行為を「フロントランニング」と呼ぶ。もちろん、不正であり、違法行為だ。 しかし、かつて(と言っておく)証券会社の自己売買にあって、フロントランニング的な行為は時々存在した。顧客の注文を受ける部署と自己売買部門の物理的・人的な距離があまりに近かったのだ。 現在は、かつてのような単純なフロントランニングは難しくなっているが、自己売買部門に代わってフロントランニングを行っているのが、いわゆる高速取引業者だ。 煩雑になるので詳しい説明は省くが、彼らは投資家の注文をキャッチして、取引所にその注文が流れるよりも速く注文を執行して利益を得る。そしてその一部を、注文を流してくれた証券会社にキックバックする。1社で行うと不正になるフロントランニングだが、分業することによって規制をすり抜けている。 先般、主に米インターネット証券のロビンフッド・マーケッツを使った個人投資家による米ゲームソフト販売大手のゲームストップ株の売買が米国で話題になった。 SNSで連携した個人投資家たちとヘッジファンドは相場で勝負をしているのだから、どちらがもうけても(損をしても)構わない。ただ、全体の構図の中で、取引を仲介したロビンフッドと高速取引業者が確実にもうけているのが気になった。「違法ではないが、質の悪いもうけを得ている」との印象だ。一般投資家は関わらない方がいい。 顧客の買い(売り)注文の鼻先をかすめて先に注文を執行し、ほんの少し上(下)のオーダーを出して顧客の注文と付き合わせると、見かけ上の出来高が2倍に膨れ上がるが、実質的な流動性は増していない。市場の機能は少しも改善していないし、顧客から見えにくい場所で実質的な取引手数料が生まれるような仕組みは不健全だ。 なお、インデックスの銘柄入れ替えや銘柄のウェイト変更を、高速取引業者を含む市場参加者に利用されることで発生するインデックスファンドの損も、性格としては投資家がフロントランニングにやられている状態に近い』、「高速取引業者」が「フロントランニングを行っている」、とは初めて知った 予めルールを示し合わせているのだろう。
・『絶対に近寄ってはいけない「もうけその4」オプションとしての成功報酬  ヘッジファンドのマネージャーが大金持ちになれる「仕掛け」が成功報酬だ。 ファンド運用の成功報酬は、ファンド資産額を原資産とするコールオプション(買う権利)の性質を持っている。例えば、値上がり益の2割といったヘッジファンドの典型的な成功報酬条件は「法外に」と言っていいくらい、マネージャー側に有利だ。) オプションの価値は主に原資産のボラティリティー(価格変動の大きさ)で決まる。仮にボラティリティーが20%(日経平均株価のボラティリティーくらいだ)なら、期間1年間のコールオプションの価値は資産額の8%くらいだ(※金利はゼロで計算)。とすると、「値上がり益の2割」の経済的価値はざっと1.6%になる。 これだけでも大きな手数料だが、ヘッジファンドの場合、マネージャーはレバレッジを利用して「自分で」ファンドのボラティリティーを上げることができる。そして、成功報酬の経済価値を何倍にもできる。これは、半ば詐欺に近い有利な仕組みなのだが、「もうけに対して手数料を払うならフェアだ」と思う素朴で愚昧な投資家たち(一昔前の年金基金の運用担当者がそうだった)は、こうした条件で資金を出してくれる。 「オプションとしての成功報酬」を確保して、顧客(自分の勤める会社の株主が実質的に顧客になる場合もある。資本家も時に搾取される!)にリスクを取らせて、自分は成功報酬を得る――。この種のパターンは、金融業にあっては半ば普遍的な「個人のビジネスモデル」であり、同時にバブルの根源的な原因だ。 金融機関のトレーダーもセールスマンも、こうした仕組みを利用してもうける場合が少なくない。 加えて、近年は、企業の経営者たちが、自分で自社のストックオプションを持ち、自社株を買ったり、バランスシートのレバレッジを上げたりするような手口で富を増やすことを覚えた。「CEO(最高経営責任者)の金融マン化」が顕著だ』、「CEO・・・の金融マン化」とは情けない感じもするが、これが現実なのだろう。
・『「金融ビジネス側のもうけ」から遠ざかる心構えを持つ  金融ビジネスでのもうけには、ここで挙げたもの以外にも、営業マンのマンパワー(やはり軽視できない。つい付け込まれてしまう)で稼ぐ手数料ビジネスでのもうけもあるし、ネズミ講に近い詐欺的なもうけなどもある。いずれも相手にしない方がいいのだが、これらはある程度個人の注意によって防ぐことができる(他人に勧められたもうけ話の全てを疑う習慣を持つべきだ)。 しかし、本稿で挙げた、「レバレッジ」「信用リスク」「フロントランニング」「成功報酬」などの仕組みのリスクや不利には、顧客側で気がつかない場合が少なくない。大いに気をつけて、金融ビジネス側のもうけから遠ざかる心構えを持ってほしい』、山崎氏の助言を噛み締めて、「金融ビジネス側の」カモにならないよう気を付けてほしいものだ。
タグ:投資 ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 (商品販売・手法) (その1)(1300万人がハマる投資アプリ「ロビンフッド」の魅力と落とし穴、ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由、絶対に近寄ってはいけない「4つの金融の儲け」 投資家を狙う落とし穴とは?) ダニエル・グロス 「1300万人がハマる投資アプリ「ロビンフッド」の魅力と落とし穴」 「2015年にアプリ「ロビンフッド」」「を正式にリリース」、「最低取引単位がない。株取引の売買手数料は基本的に無料」、現在では「ユーザー数は1300万人」、とは革命的だ 「ロビンフッドの主な収入源は、マーケットメーカー・・・に顧客の売買注文を流すのと引き換えに受け取る、一種のリベートだ。こうしたデータの売買は業界の一般的慣習だが、消費者擁護団体と規制当局は利益相反になるとみている」、「より大きな問題は株式市場が長期下落トレンドに突入したらどうなるかだ」、注目したい 山崎 元 「ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由」 世間では「ロボアドバイザー」をもてはやす論調が多いが、これを否定するとは興味深そうだ。 ロボアドが役に立たない理由(1)「資産全体」の問題を解決できない 「「資産全体」の問題を解決できない」、確かにその通りだが、「資産全体」を委ねればいいのではなかろうか ロボアドが役に立たない理由(2)「リスク拒否度」を決めるアプローチが個人になじまない ロボアドが役に立たない理由(3)「バランスファンドの無駄」問題 「ロボアドバイザーもバランスファンドもやめて、自分で株式と債券のそれぞれに投資する方がずっといいのだ」、その通りのようだ ロボアドが役に立たない理由(4)時間に比例する費用の不合理性 「「個人の事情に合わせたアセットアロケーション」や「アセットクラスごとの商品の選択」は、運用期間の初期にあって重要な決定だが、いったん決めてしまえば時間の経過とともに運用初期と同じだけの努力の投入が必要な行為ではない」 「運用期間に比例して漫然と手数料を払い続けることは、顧客である投資家側にとって合理的ではない」、「例えば、人間のアドバイザーに相談して自分の資産全体の運用方針を一度決めてしまえば、その後は自分で運用を管理すればいい」、その通りだ。 運用のプロである山崎氏ならそうだろうが、素人にとってはそうもいかず、任せ切りにしたい人も多いだろう 「絶対に近寄ってはいけない「4つの金融の儲け」、投資家を狙う落とし穴とは?」 確かに銀行や証券会社、生命保険会社などの営業マンが手ぐすねを引いているので、注意が必要だ。 「パターン」別に整理してくれるとは、理解しやすい 絶対に近寄ってはいけない「もうけその1」レバレッジでもうかった 確かに「LTCM」は「ノーベル賞」の意味も考え直させるインパクトがあった。 絶対に近寄ってはいけない「もうけその2」 信用リスクのある高利回り投資 「信用リスクのある高利回り投資」、も大いに気を付けるべきだろう 絶対に近寄ってはいけない「もうけその3」フロントランニング 「高速取引業者」が「フロントランニングを行っている」、とは初めて知った 予めルールを示し合わせているのだろう 絶対に近寄ってはいけない「もうけその4」オプションとしての成功報酬 「CEO・・・の金融マン化」とは情けない感じもするが、これが現実なのだろう 「金融ビジネス側のもうけ」から遠ざかる心構えを持つ 山崎氏の助言を噛み締めて、「金融ビジネス側の」カモにならないよう気を付けてほしいものだ。
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資本市場(その5)アルケゴス問題2題(2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある、野村が2200億円の損失も 「アルケゴスショック」が投資家に迫る3つの論点) [金融]

資本市場については、2月12日に取上げた。今日は、(その5)アルケゴス問題2題(2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある、野村が2200億円の損失も 「アルケゴスショック」が投資家に迫る3つの論点)である。

先ずは、4月5日付けPRESIDENT Onlineが掲載した法政大学大学院 教授の真壁 昭夫氏による「2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある」を紹介しよう。
・『日本では野村、みずほFGで損失発生か  3月29日、わが国の野村ホールディングス(野村)と、スイスの金融大手クレディ・スイスは米国の顧客との取引に起因する巨額の損失計上の可能性があると発表した。その顧客とは、投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメント(アルケゴス)であることが判明した。 報道によると、損失額は野村が約20億ドル(約2200億円)、クレディ・スイスが30億~40億ドル(約3300億~4400億円)とみられるものの、現在のところ損失額は確定していない。この2社以外にも、みずほフィナンシャルグループの米子会社が1億ドル(100億円)程度の損失を計上する可能性があると報じられており、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーなどの金融機関でも損失が発生している模様だ。 “アルケゴス問題=アルケゴスに起因する大手金融機関の巨額損失発生”に関して、どのような取引が行われていたか、なぜそれが損失を発生させたかを確認することが重要だ』、「真壁」氏の見方はどんなものなのだろう。
・『行きすぎたリスクテイクが放置されている  重要なポイントは、同社が過剰なリスクテイクをしていたとみられることだ。アルケゴスは、ある意味では規制の甘さを突いて、積極的にレバレッジをかけてリスクテイクを重ねた。同社と取引を行った金融機関は、そのリスクを十分に評価できていなかったといえるかもしれない。同社が保有していた株価が想定外の方向に動いた結果、アルケゴスは巨額の損失を抱え、資金繰りに行き詰まったとみられる。 アルケゴス問題の影響は軽視できない。規制の問題やカネ余りの影響などによって過度なリスクテイクが放置されていたことは、金融市場の脆弱性が高まっていることを示唆する。過去、資産価格が過熱した結果として、投資ファンドが損失を抱えて事業の運営に行き詰まり、結果として世界的な金融システムの不安定性が高まったことは多い。アルケゴス問題には、そうしたケースと重なる部分があるように見える』、「規制の問題やカネ余りの影響などによって過度なリスクテイクが放置されていたことは、金融市場の脆弱性が高まっていることを示唆する」、確かに問題だ。
・『甘い規制と借り入れ…利得を重ねるフアン氏の手法  アルケゴスは、大手ヘッジファンド“タイガー・マネジメント”出身(運用業界で“虎の子=タイガー・カブ”と呼ばれる)のビル・フアン氏が設立した“ファミリーオフィス”だ。ファミリーオフィスとは、個人の金融資産を管理・運用する投資会社を指す。資金運用において、フアン氏は“レバレッジ”をかけた。つまり、金融機関から与信を受けることによって、自己資金以上の投資ポジション(持ち高)を構築して、大きな利得を目指した。 それが可能だったのは、ファミリーオフィスへの金融規制が甘かったからだ。リーマンショック後、米国では金融規制改革法(ドッド・フランク法)をはじめ金融規制が実施された。その結果、外部顧客の資金を運用するヘッジファンドは証券取引委員会(SEC)に登録を行い、株式などの持ち高(ポジション)や株主の構成、金融機関との取引、財務内容などを開示する義務を負った。 しかし、基本的に、個人の資金を管理・運用するファミリーオフィスは、規制の対象外に置かれた。そのため、リーマンショック後、多くのヘッジファンドが外部顧客に資金を返し、ファミリーオフィスへの業態転換を行い、規制から逃れようとした。それがファミリーオフィスを“影のヘッジファンド”と呼ぶゆえんだ。規制が甘いため、アルケゴスはリスクを取りやすかった』、「リーマンショック後、多くのヘッジファンドが外部顧客に資金を返し、ファミリーオフィスへの業態転換を行い、規制から逃れようとした。それがファミリーオフィスを“影のヘッジファンド”と呼ぶゆえんだ」、「ファミリーオフィス」が今後、「規制の対象」に含まれる可能性はあるのだろうか。
・『規制に苦しむ金融機関にとって重要な存在に  規制強化に直面した大手金融機関にとって、相対的に手数料の厚いデリバティブ取引や、資金繰り管理などのサービスを提供して収益を獲得するために、ファミリーオフィスの重要性は高まった。特に、フアン氏のようにリスクテイクに積極的なファンドマネージャーとの関係強化を目指す金融機関は増える傾向にあった。 フアン氏が金融機関と行った相対取引の一つが“差金決済(Contract For Difference、CFD)取引”だ。株式を対象とするCFD取引では、現物株を売買せず、取引の開始時と終了時の原資産の価格差によって決済を行う。 例えば、30ドルで推移していた米バイアコムCBSの株価が上がると思う投資家が、同社株を買い建てるCFD取引を注文するとする。株価が50ドルになった時点でCFD取引を決済(ポジションをクローズ)すると、差額の20ドルから手数料を支払った金額が投資家の利得になる』、「規制強化に直面した大手金融機関にとって」「ファミリーオフィスの重要性は高まった」。
・『株価が上がれば利得もかさ上げされるが…  フアン氏は金融機関に証拠金を差し入れて株式を原資産とするCFD取引を大規模かつ積極的に行った。想定通りに買い建てた(売り建てた)銘柄の株価が上昇(下落)すれば、レバレッジの効果によって利得はかさ上げされる。 逆に、参照する資産の価格が逆に動くと損失は増大する。損失が許容されたレベルを超えると、金融機関はリスクに見合った追加の証拠金差し入れ(追い証)を取引相手に求める(マージン・コール)。 相手が追い証に応じない場合、金融機関は取引相手とのポジションを解消してリスクを削減する。損失が自己資本を上回ると取引相手の資金繰りは行き詰まり、債務不履行=デフォルトが発生する。なお、どの程度の損失発生が追い証のトリガーになるかは、金融機関の体力や顧客のリスク属性によって異なる。 フアン氏は他のデリバティブ取引も活発に行い、特定銘柄のポジションを積み増していたようだ。その点に関して、法令が遵守されていたか、事態の解明が待たれる』、「CFD取引」は確かに「レバレッジの効果」が利きそうだ。
・『荒い値動きで損失に直面したか  以上の内容と米国の株価データなどをもとに、アルケゴス問題発生の経緯を考察しよう。2月半ば以降、金利上昇によって米国株の変動性は高まった。取引時間中の値動きはかなり荒く、乱高下する場面が増えた。その状況下、フアン氏は予想と異なる株価の動きによって買い建て(ロング)と売り建て(ショート)の両サイドで損失に直面し始めたのだろう。 決定打になったのが、3月22日にバイアコムCBSが増資を発表したことだ。同社株は売られ、“売るから下がる、下がるから売る”という動きが鮮明化した。それが損失を急拡大させ、アルケゴスは追い証を差し入れることができなかった。 3月26日、一部の金融機関はフアン氏にデフォルトを宣告し、200億ドル(約2.2兆円)の株式ポジションの解消を迫った。それほど、同氏のリスクテイクは膨大だった。フアン氏は金融機関に担保として差し入れていた資産の売却も余儀なくされた。それが、同氏が選好していたディスカバリーなどメディア関連銘柄の急落の原因とみられる。 想定外の損失拡大に直面した金融機関は、我先に資産の売却(投げ売り)を行ってアルケゴスに絡むリスクから逃れようとした。その遅れやアルケゴスとの取引規模などによって、日欧の大手金融機関に巨額の損失が発生したと考えられる』、「金融機関は、我先に資産の売却(投げ売り)を行ってアルケゴスに絡むリスクから逃れようとした」、もともとは「アルケゴス」が蒔いた種だ。
・『思い起こされるのはリーマンショックの“端緒”  アルケゴス問題が発生した後の日米の株価の推移をみると、多くの投資家が影響は一部の金融機関に限られると楽観しているようだ。4月上旬の時点で、カネ余り環境の継続期待、コロナ禍への慣れや経済の正常化期待を理由に、先行きに強気な投資家は多い。 しかし、アルケゴス問題は、特定の金融機関への影響だけでなく、世界の金融システムの不安定性を高める一因になりかねない。アルケゴス同様に、デリバティブ取引によってレバレッジをかけ、より大きな利得を目指す投資ファンドは多い。見方を変えれば、アルケゴス問題は、世界の大手金融機関が許容レベルを上回るリスクを蓄積していることを確認する機会だ。 資産価格の過熱感が高まると、一部金融機関などのリスクテイクの過大さが顕在化し、結果として世界の金融システムにストレスがかかることがある。思い起こされるのが、2007年8月上旬、仏大手金融機関BNPパリバ傘下の投資ファンドが証券化商品の価値下落によって運用に行き詰まったこと(パリバショック)だ。その後、証券化商品の価値は急落し、世界各国の金融機関が巨額の損失を計上した。それがリーマンショックにつながった』、確かに「パリバショック」に似ているが、規制強化で「金融機関」が取れるリスクに枠がはまったのも事実だ。
・『「金融機関同士の疑心暗鬼」が生まれている  今すぐ、そうした展開が起きるとは考えづらい。ただし、アルケゴス問題の影響は過小評価できない。特に、金融システムにおけるカウンターパーティー・リスク(取引相手が契約通りに義務を履行するかに関する不確実性)は高まりつつある。 野村は米ドル建普通社債の発行を中止した。低金利環境下、国債よりも利回りの高い社債の需要は強い。それでも発行が見送られたということは、アルケゴス問題の影響を警戒する投資家が少なくないことだ。在米のベテラントレーダーはその状況を「金融機関同士の疑心暗鬼」と評していた。 また、アルケゴス問題が他の金融機関の損失発生の直接的あるいは間接的な原因となる可能性もある。米国ではSECが情報収集に注力しており、投資ファンドへの規制強化に関する議論も進む。 それらは投資家にリスク削減を志向させる要因だ。アルケゴス問題の全貌は明らかになっておらず、先行きの展開を注視する必要がある』、「「金融機関同士の疑心暗鬼」が生まれている」、嫌な兆候だ。「アルケゴス問題の全貌は明らかになっておらず、先行きの展開を注視する必要がある」、同感である。

次に、4月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「野村が2200億円の損失も、「アルケゴスショック」が投資家に迫る3つの論点」を紹介しよう』。
https://diamond.jp/articles/-/267675
・『米投資会社の運用破綻に端を発した「アルケゴスショック」――。これに関連して、野村ホールディングス(HD)が約2200億円の損失を被る可能性を発表するなど、金融市場に衝撃を与えた。この一件を受けて投資家が考えるべき論点は大きく三つある。(1)危機は連鎖するか、(2)いかにも『バブル的』な資金の流れに対する視点、(3)野村HDの株価評価に対する「考え方」だ。それぞれ解説していこう』、興味深そうだ。
・『アルケゴスショックの論点(1)危機は連鎖するか?  先週初めの3月29日(月)、野村ホールディングス(野村HD)は米国子会社の取引に伴って20億ドル(約2200億円)程度の損失が発生する可能性を公表した。同日、野村HDの株価終値は前週末比117円70銭安の603円に下落した。 この損失は、元ヘッジファンドマネージャーが運営するアルゲゴス・キャピタル・マネジメントというファミリーオフィス(個人資産運用会社)の運用破綻によるもので、同社の取引に関連しては、スイス金融大手のクレディ・スイスも巨額の損失の可能性を発表した。 また、わが国では三菱UFJ証券HDが約3億ドル、みずほフィナンシャルグループが1億ドル規模の損失の可能性を公表した。不名誉な事態だが、野村HDは損失額が示唆する取引規模の大きさにおいて、わが国証券業界最大手の面目を保ったといえようか。 ファミリーオフィスはヘッジファンドよりもさらに情報の秘匿性が高いこともあり、損失経緯の詳細は分からない。ただ、アルケゴスは高いレバレッジを掛けた株式取引を行っていて、手法としてトータル・リターン・スワップ(TRS)を用いていたとみられる。TRSとは、手数料と引き換えに、株式などの原資産を直接持たずとも、そのリターンに基づく収入を得られる手法のことだ。 そして、取引で含み損が発生して追加担保を差し入れる必要が生じたときにこれができなかった。その結果、担保の処分とポジションの解消が行われて、保有資産が投げ売りされる形となって破綻したようだ。) レバレッジを掛けた株式投資を行うには、買い建ての場合なら、信用取引のように資金を借り入れて株式を買う形になるが、TRSでは金融機関が株式投資のリターン(損益両方)を受け渡してくれるのと引き換えに、投資家側は資金コストと手数料を支払う。投資家はこの形だと、自分が実質的に大量の株式を買っていることを市場に知られずに取引を行うことができる。 いささか不透明なポジションの作り方だが、金融機関側にとってもリスクにカウントされる融資を持たずに済むし、相手が破綻しなければ安定的に金利・手数料収入が入るので、好都合な面のある取引だ。 しかし今回のアルケゴスの場合は、肝心の投資が失敗したことと、複数の金融機関と広く取引をしていたことで、与信管理に失敗して損失を被る金融機関が多数発生することになった。 投資家として本件を知ったときに真っ先に考えるべきことは、これが2007年に本格化したサブプライムローン問題のときのように、他社に広く波及するようなものであるかどうかだ。 この問いに対する答えは半ば出ているように思われる。事件発生後の米国の株価全般は上昇しており、市場参加者が同様の件の連鎖を心配しているようには見えない。 ファミリーオフィスは他にもあるが、アルケゴスほどのレバレッジを掛けた運用はまれだろう。また、TRSは広く使われているが、市場で起きていることの実態はよくある「借り入れ+株式投資」であり、投資の成否は今のところ個別的に起こっている。そのため、他のケースに直ちに連鎖するようなものではなさそうだ。 本件をきっかけに、金融機関がTRSのクレジットライン(与信限度額)や担保管理を強化する可能性はある。しかし、金融マン個人はできれば自分のビジネスを縮小したくないし、金融機関の経営者としても、無事にやり過ごして当面の収益を稼いで自らのボーナスやストックオプションからの収入を高く保ちたいだろう。金融業は「リスクに目覚めた自浄作用」が働きにくいビジネスなのだ』、「TRS」は「いささか不透明なポジションの作り方だが、金融機関側にとってもリスクにカウントされる融資を持たずに済むし、相手が破綻しなければ安定的に金利・手数料収入が入るので、好都合な面のある取引だ」、その通りだ。「金融業は「リスクに目覚めた自浄作用」が働きにくいビジネスなのだ」、言い得て妙だ。
・『アルケゴスショックの論点(2)いかにも「バブル的」な資金の流れ  TRSの取引全体が危機に陥って問題が広く連鎖することがなさそうだから、投資家は安心していいのかというと、そうでもない。) バブルは「借り入れによって、投資が過剰に膨らむ」ことによって起こる資産価格の高騰現象だ。1980年代後半に発生した日本のバブルを振り返ると、例えば金融・運用業ではない事業会社の「財テク」運用では、信託銀行による「バックファイナンス付き」の「ファントラ」(「ファンドトラスト」の略称。信託勘定で資金を預かって信託銀行自身が運用する仕組み。多くの案件に「握り」と称する違法な利回り保証が付いていた)のような仕組みで、投資が過剰に膨らんでいた。不動産では、銀行同士が競いながら担保の条件を緩くして不動産開発融資を増やしていた。 「借り入れによる投資」は自己資金よりも大きな投資ができるのだが、投資が裏目に出たときに含み損をこらえることが難しい、「弱いポジション」だ。アルケゴスの場合も、追加担保を差し入れることができなくなると、ポジションを強制処分されてしまった。 バブルの時期にあっては多くの場合、「借り入れを伴う投資」を促す何らかの仕組みが開発されたり、脚光を浴びたりする。 現在の米国の株式市場を見ると、「SPAC(特別目的買収会社)」と称する企業買収を目的とする「空箱」を上場して資金調達する仕組みや、今回問題になったTRSが広く利用されるなど、定性的に見ていかにも「バブル的」な特徴を備えつつある。 TRSは金融機関にとっても投資家にとっても大きなリスクを扱う上で都合のいい面のある仕組みだし、「SPAC」も運営者にとって有利な条件で資金調達ができるので歯止めが掛かりにくい。 もっとも、日本のバブル期のファントラにしても、後にサブプライム問題を引き起こす証券化商品にしても、多くの場合は借り入れを伴う資金を動員して過剰な投資に向かわせる仕組みであることは間違いないのだが、広く使われるようになって「直ちに」バブル崩壊を引き起こしたわけではない。 投資家は、「直ちにバブル崩壊を警戒しなければならない」というわけではない。しかし、株式投資に向かっている資金の全てが健全なものではないことを、頭の片隅に置いて決して忘れないことが賢明だろう』、「現在の米国の株式市場を見ると、「SPAC(特別目的買収会社)」と称する企業買収を目的とする「空箱」を上場して資金調達する仕組みや、今回問題になったTRSが広く利用されるなど、定性的に見ていかにも「バブル的」な特徴を備えつつある」、「投資家は、「直ちにバブル崩壊を警戒しなければならない」というわけではない。しかし、株式投資に向かっている資金の全てが健全なものではないことを、頭の片隅に置いて決して忘れないことが賢明だろう」、その通りだ。
・『アルケゴスショックの論点(3)野村HDの株式評価に対する「考え方」  さて、本件では投資家にもう一つお伝えしておきたいことがある。それは、本件の野村HDのような場合に、株価について評価する際の「考え方」だ。 実は、筆者は証券会社の社員でもあるので、仰ぎ見る最大手とはいえ「同業」である野村HDの株式について、「買い」も「売り」も推奨することはできない(業界の不文律だ。もっとも、もともと個別株の推奨は筆者のスタイルから外れている)。 だが本件は、投資家にとって株式投資の材料判断の方法を説明する上で格好の題材なのであえて取り上げる。読者においては、筆者が、野村HDの株式を「買え」とも「売れ」とも言っていないのだ、という前提で以下の説明を理解してほしい。 さて、20億ドル、円貨にして2200億円の損失とは、野村HDの株価にとってどの程度のダメージだと評価されるべきなのだろうか。 野村HDにとって、(1)この金額が損失の上限であり、(2)この損失によって同社のビジネスが追加的な悪影響を一切受けないとする。また、野村HDの新しい株式時価総額は、(3)損失情報の発生以前の時価総額が適正なのだとすると、(4)その額から、2200億円が消えたとして引き算で見当を付けることができるはずだ。 野村HDの発行済み株式数は『会社四季報』(東洋経済新報社)によると、おおよそ32億3000万株だ。この株数で2200億円を割ってみると、この損失の1株当たりのインパクトは約68.1円だと計算できる。 問題は上記のいくつかの留保条件の吟味だ。 (1)2200億円が損失額の上限なのだろうか?正確なことは分からない。追加の損失が隠れている可能性は否定できない。他方、問題の性質として本件はアルケゴスに特有の問題で、他に波及しない性質のものでありそうだ。仮に最大損失額を3000億円と見積もると、1株当たりのインパクトは92.9円だ。 (2)野村HDが資金力・信用力の小さい会社であれば、2200億円の損失で資金繰りが苦しくなったり、資金調達のコストが上昇したりする可能性があり、損失は本業の利益を損なう可能性がある。また、損失の発生理由が企業のビジネス上の評判を損なうようなものであれば(例えば消費者の不買に発展しかねない食品メーカーの品質管理上の不正など)、追加的な悪影響を見積もる必要がある。野村HDにこれらの要素がなければ、損失問題の株価への影響評価は(1)の計算からそう遠くないはずだ。 (3)いつにあっても、どの銘柄でも「適正株価」の判断は難しい。それでもこの方法のいいところは、「前の株価が適正だとすれば」という前提で、「新しい情報とその情報のインパクトを勘案することによって」、情報発生後の株価の評価ができることだ。前の株価(3月26日の終値は720.7円)は特殊な状況によるものだったのだろうか?) (4)2200億円の純資産の減少による時価総額のマイナスが、これ以上のものになるべき理由があるか?例えば、資本が効率よく利用されていて将来高い利益が期待されているような会社の場合、2200億円の純損失は時価総額にもっと大きな影響をもたらしてもおかしくない。一つの参考として、株価純資産倍率(PBR)を見ると、野村HDの下落前の株価(720.7円)に対するPBRは、0.79倍と1倍を割っていた。この心配は小さいかもしれない。 野村HDの株価は、悪材料の発表から1週間たった先週末終値で572円20銭だった。前週末比148円50銭安だ。 上記の留保条件をいずれもクリアできると考える投資家にとっては、いくらか「下げ過ぎ」と見えるかもしれない。ただし、諸々の不確実性が大きいことを考慮すると、チャンスと考えるにはこの幅では不足だと考える投資家もいるだろう。 読者の判断はいかがだろうか? 同業他社の悪材料であり、「買い」とも「売り」とも言えないのにあえて株価の評価について書いた理由は二つ。投資家にとって、(1)悪材料のインパクトはしばしば数量的に評価しやすく、(2)再びしばしば悪材料に対しては市場の過剰反応が起こる場合があるからだ。 特に前者については、好評な新製品などの「好材料」が一体どれくらいのインパクトをもたらすのかが茫漠として評価しづらいのに対して、突発的損失や会計上の不正、工場などの被災などの「悪材料」は、金額的なスケールが評価しやすい場合があることについて注目したい。 株式投資家はニュースで上場企業の悪材料を見つけたら、発行株数をチェックして株価へのインパクトを考えてみる習慣を持つといい。ぜひ、持ち技の一つに加えてほしい』、「筆者は証券会社の社員でもあるので、仰ぎ見る最大手とはいえ「同業」である野村HDの株式について、「買い」も「売り」も推奨することはできない:、と予め立場を明確にするのは、公正さを重視する山崎氏らしい。「株式投資家はニュースで上場企業の悪材料を見つけたら、発行株数をチェックして株価へのインパクトを考えてみる習慣を持つといい。ぜひ、持ち技の一つに加えてほしい」、今後大いに活用してみたい。 
タグ:ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 資本市場 真壁 昭夫 山崎 元 (その5)アルケゴス問題2題(2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある、野村が2200億円の損失も 「アルケゴスショック」が投資家に迫る3つの論点) 「2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある」 日本では野村、みずほFGで損失発生か 行きすぎたリスクテイクが放置されている 「規制の問題やカネ余りの影響などによって過度なリスクテイクが放置されていたことは、金融市場の脆弱性が高まっていることを示唆する」、確かに問題だ 甘い規制と借り入れ…利得を重ねるフアン氏の手法 「リーマンショック後、多くのヘッジファンドが外部顧客に資金を返し、ファミリーオフィスへの業態転換を行い、規制から逃れようとした。それがファミリーオフィスを“影のヘッジファンド”と呼ぶゆえんだ」、「ファミリーオフィス」が今後、「規制の対象」に含まれる可能性はあるのだろうか。 「規制強化に直面した大手金融機関にとって」「ファミリーオフィスの重要性は高まった」。 「CFD取引」は確かに「レバレッジの効果」が利きそうだ。 「金融機関は、我先に資産の売却(投げ売り)を行ってアルケゴスに絡むリスクから逃れようとした」、もともとは「アルケゴス」が蒔いた種だ 確かに「パリバショック」に似ているが、規制強化で「金融機関」が取れるリスクに枠がはまったのも事実だ 「「金融機関同士の疑心暗鬼」が生まれている」、嫌な兆候だ 「アルケゴス問題の全貌は明らかになっておらず、先行きの展開を注視する必要がある」、同感である 「野村が2200億円の損失も、「アルケゴスショック」が投資家に迫る3つの論点」 アルケゴスショックの論点(1)危機は連鎖するか? 「TRS」は「いささか不透明なポジションの作り方だが、金融機関側にとってもリスクにカウントされる融資を持たずに済むし、相手が破綻しなければ安定的に金利・手数料収入が入るので、好都合な面のある取引だ」、その通りだ。 「金融業は「リスクに目覚めた自浄作用」が働きにくいビジネスなのだ」、言い得て妙だ。 アルケゴスショックの論点(2)いかにも「バブル的」な資金の流れ 「現在の米国の株式市場を見ると、「SPAC(特別目的買収会社)」と称する企業買収を目的とする「空箱」を上場して資金調達する仕組みや、今回問題になったTRSが広く利用されるなど、定性的に見ていかにも「バブル的」な特徴を備えつつある」 「投資家は、「直ちにバブル崩壊を警戒しなければならない」というわけではない。しかし、株式投資に向かっている資金の全てが健全なものではないことを、頭の片隅に置いて決して忘れないことが賢明だろう」、その通りだ アルケゴスショックの論点(3)野村HDの株式評価に対する「考え方」 「筆者は証券会社の社員でもあるので、仰ぎ見る最大手とはいえ「同業」である野村HDの株式について、「買い」も「売り」も推奨することはできない:、と予め立場を明確にするのは、公正さを重視する山崎氏らしい 「株式投資家はニュースで上場企業の悪材料を見つけたら、発行株数をチェックして株価へのインパクトを考えてみる習慣を持つといい。ぜひ、持ち技の一つに加えてほしい」、今後大いに活用してみたい。
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買収ファンド(その1)(日本企業を「汚物扱い」した米国ファンドの正体 挑発したり貶めたりして獲物に食らいつく、ジャンク債に格下げの「ユニゾ」 負債3000億円で高まるデフォルトリスク、ユニゾHDに経営不安説 地域金融機関は固唾のみ行方見守る) [金融]

今日は、買収ファンド(その1)(日本企業を「汚物扱い」した米国ファンドの正体 挑発したり貶めたりして獲物に食らいつく、ジャンク債に格下げの「ユニゾ」 負債3000億円で高まるデフォルトリスク、ユニゾHDに経営不安説 地域金融機関は固唾のみ行方見守る)を取上げよう。

先ずは、昨年11月20日付け東洋経済オンラインが記載した 作家の黒木 亮氏による「日本企業を「汚物扱い」した米国ファンドの正体 挑発したり貶めたりして獲物に食らいつく」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/389675
・『日本市場に姿を現し始めたアメリカのカラ売りファンド。その実力はいったいどの程度なのか?実際の事件に基づいて、アメリカ系カラ売りファンドと病院買収グループ、シロアリ駆除会社、商社絵画部の攻防を描いた経済小説『カラ売り屋、日本上陸』を上梓した作家の黒木亮氏がレポートする』、興味深そうだ。
・『センセーショにあおるのが手法  アメリカのカラ売りファンド、シトロン・リサーチが、装着型ロボットを開発するサイバーダインの株(東証1部)を“うんこ”と呼び、強烈な売り推奨レポートを発表したのは2016年8月のことだった。 当時、2000円程度だったサイバーダインの株価は、創業以来続く赤字の影響などから、ほぼ一貫して下がり続け、現在は858円になった。カラ売りは明らかに成功である。 同じ2016年には、アメリカ系のカラ売りファンド、グラウカス・リサーチ(カリフォルニア州)が伊藤忠商事を、マディ・ウォーターズ(同)が日本電産をカラ売りし、話題を呼んだ。 シトロン・リサーチは、デトロイト市郊外で生まれたユダヤ人で、ボストンにあるノースイースタン大学を卒業後、強引かつ詐欺的な商品取引会社のセールスマンとして働き、業界団体から制裁を受けたことがあるアンドリュー・レフトが2001年に設立した。 レポートの中で企業を挑発したり、下品な表現で貶めたりすることで知られ、レフト自身は「他社の分析レポートは退屈極まりないので、自分は読者に読みたいと思わせるように書いている」とうそぶいている。 サイバーダインに関しては「うんこ」「核となる技術と製品の成長率は壊滅的」「同社の馬鹿げた株価は、山海嘉之CEOが日本文化におけるロボットの長年の魅力を利用し、宣伝してきた結果」「投資家の無知や日本市場の株式に関する公開情報不足を逆手に取っている企業の実例」などとこき下ろした。 確かにロボット・ブームの中で、サイバーダインが持ち上げられるのが定番化していたので、皆が便乗しつつも抱いていた違和感を上手く捉えた感じはある。期待先行で上昇していた株価にカラ売りファンドが一石を投じた格好だ。 ここ2年間ほどの、シトロンの主なカラ売り案件と結果は次の通りである。 昨年1月、動画配信・DVDレンタル会社、ネットフリックス(カリフォルニア州)について「ネットフリックスの投資家はバード・ボックス(鳥の巣箱)のように盲目だ」として、売り推奨した(『バード・ボックス』は同社が配信したサンドラ・ブルック主演映画)。 当時のネットフリックスの株価は約337ドルだったが、いったん260ドル近くまで下がった。その後、シトロンは株価が290ドル前後まで戻った11月に、ネットフリックスの海外ビジネスに期待が持てるとして、買い推奨に転換。現在の株価は482ドルまで上昇した。カラ売り、買い推奨ともに成功していると思われる。 同じく昨年1月には、バイオ医薬品会社、リガンド・ファーマシューティカルズ(サンディエゴ)の「最も汚い秘密のいくつかを暴露する」と宣言。同社が薬品を共同開発しているとする複数の会社は実質的に存在していないなどと指摘し、売り推奨した。当時のリガンド社の株価は130ドル台だったが、現在は約82ドルとなり、カラ売りは成功した』、株式市場はややもすると、一時的な熱気で暴騰する銘柄も少なくないだけに、「カラ売りファンド」は市場に冷静さを取り戻させる機能もある。
・『失敗している案件も少なくない  昨年12月、エアロバイクやトレッドミルなどを製造している新興企業ペロトン社(ニューヨーク市)を「業界の競争は厳しく、株価は86%下がる。商品が売れた過去の栄光の日々はバックミラーの風景だ」と売り推奨。しかし、同社の株価は当時の約35ドルから現在は101ドルにまで上昇した。カラ売りは今のところ失敗である。 今年1月、大学経営や教育サービスを提供するグランド・キャニオン・エデュケーション(アリゾナ州フェニックス)を「同社のグループであるグランド・キャニオン大学に経費や債務を押し付け、利益を引き出す粉飾を行っている“教育業界のエンロン”」であるとして売り推奨。同社の株価は当時の約84ドルから2か月弱で約59ドルまで下がった。 その後、約102ドルまで上昇し、現在は85ドル。下がった時点で買い戻していればカラ売りは成功だが、そうでなければ成功とも失敗ともつかない。 今年2月、シトロンは4年前からカラ売りしていた、家具・家庭用品のオンライン販売業、ウェイフェアー社(ボストン市)のポジションを手仕舞った。手仕舞った時点での株価は約63ドル。カラ売りを始めた4年前の株価は45ドル程度だったので、この部分では損を出しているはずだ。 しかし、その2年後に同社の株価は100ドル程度まで上昇し、それが今年1月末頃まで続いていたので、継続的にカラ売りをしていれば、利益は出ている可能性がある。 今年4月、シトロンは、中国のオンライン教育プラットフォームでニューヨーク証券取引所に上場している跟誰学(GSX Techedu、北京)を「売上げを7割水増ししており、2011年以降で最も明らかな中国株詐欺」であるとして売り推奨した。 これには別の著名カラ売りファンド、マディ・ウォーターズ(カリフォルニア州)も賛同したが、当時約31ドルだった株価は、現在は71ドルまで上昇した。カラ売りは今のところ失敗である。 以上のとおり、当たったり外れたりといった実績だ。 金融アナリストのパフォーマンスを評価している「TipRanks」は、シトロンのレポートの的中率は54%と算出している。ただし、過去2年間でダウ平均は約12%、日経平均は約17%上昇しているので、カラ売りファンドにとっては向かい風の環境である。 なおカラ売りの利益は、カラ売りした価格と買い戻した価格の差額から、借株料、経費、売買手数料を差し引いた残額である。借株料は流通量の多い一流銘柄なら年率0.4~1%だが、株価に影響を与えるコーポレートアクション(株式分割、合併等)や悪材料で需給が逼迫した時は5~10%、あるいはそれ以上になる。 ファンドが払う売買手数料はセールストレーダーを介した時は0.4%程度、自分でやる電子取引だと0.05~0.1%程度である』、「シトロン」の成果は「当たったり外れたりといった実績」、「レポートの的中率は54%」、上昇相場のなかではまずまずのようだ。
・『得意の中国案件で、地元ヘッジファンドに敗北  シトロンは中国案件に強く、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、売り推奨した18社の中国企業のうち、15社の株価が70パーセント以上下がったという。しかし、今年、得意の中国市場で、中国系ヘッジファンドに手痛い敗北を喫した。 問題となったのは、中国でスターバックスの向こうを張って急成長してきたコーヒーチェーン、ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲、福建省市廈門市)である。2018年1月に北京に1号店を出店して以来、2020年5月に6912店舗を有するまでに急成長を遂げ、米ナスダック(新興企業向け)市場に上場していた。 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ラッキンコーヒーの急成長に疑いの目を向けたのは、香港と北京に拠点を持つスノー・レイク・キャピタルだった。カリフォルニア大学バークレー校で数学と経済学の学位を取り、投資銀行クレディ・スイス・ファースト・ボストンやニューヨークのアジア向け投資ファンドで経験を積んだショーン・マが、2009年に創業した中国系ヘッジファンドだ。 スノー・レイク・キャピタルは、昨年10~12月にかけて1500人以上を動員し、ラッキンの全店舗の15%を訪問し、店内の顧客数を数え、大量のレシートを集め、1万1000時間以上のビデオを撮り、売上が捏造されていると指摘した。 今年1月31日、スノー・レイク・キャピタルから情報提供を受けた米系カラ売りファンド、マディ・ウォーターズは、89ページにわたるラッキンの売り推奨レポートを公表した。レポートの発表でラッキンの株価は17%下がり、32ドル49セントになった。また複数の法律事務所がラッキンの株主に対し、集団訴訟を提起するよう提案した。 一方、シトロン・リサーチは「マディ・ウォーターズには敬意を払うが、各種データやライバル社との話し合いによると、ラッキンの財務データは正しい。ラッキンの経営陣からの反応を待つ」として、同社の株への投資(買い持ち)を維持するという正反対の対応を取った。 ラッキンコーヒーは直ちに「疑惑をすべて否定する。顧客の注文はすべてオンラインであり、誤魔化しようがない」と反論した。 しかし4月2日、ラッキンコーヒーは2019年第2四半期から第4四半期にかけて、22億元(約339億円)の売り上げを水増ししていたことを発表し、5月12日までに銭治亜CEOと劉剣COOを解任した。 5月19日にはナスダックから上場廃止の通告を受けたことを公表した。上場が廃止されれば、株式は無価値になる』、「スノー・レイク・キャピタル」の調査が本格的なのには驚かされた。ただ、「シトロン」は従わずに失敗したようだ。
・『カラ売りファンドの新たな視点は参考になる  以上のとおり、アメリカ系カラ売りファンドの分析は当たることもあれば、外れることもある。アカデミックと言っていいほどの綿密な分析でエンロンの粉飾を見抜いた著名カラ売り投資家、ジム・チェイノスですら、時々予想を外し、反省の弁を述べたりしている。 チェイノスに比べると、シトロンは若干大雑把で、乱暴な印象を受ける。サイバーダインの売り推奨レポートの日本語版も、機械翻訳のようなおかしな日本語である。 なお「うんこ」はbullshit(たわごと、直訳は牛の糞)を日本語にしたものかと思って英語版を見てみたが、「UNKO」と書かれていた。チェイノスとシトロンの中間の立ち位置にいるのが、マディ・ウォーターズあたりだろう。 結局のところ、カラ売りファンドであろうとなかろうと、アナリストの分析を信じるかどうかは、もっぱら過去の実績次第である。ただカラ売りファンドは、常識にとらわれず、根本的なところから物事を調べていくので、新たな視点を与えてくれるのは間違いない。したがって、少なくとも耳を傾けてみる程度の価値はあるはずだ。(敬称略)』、「カラ売りファンドは、常識にとらわれず、根本的なところから物事を調べていくので、新たな視点を与えてくれるのは間違いない。したがって、少なくとも耳を傾けてみる程度の価値はあるはずだ」、その通りだ。

次に、本年1月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した東京経済東京支社情報部の井出豪彦氏による「ジャンク債に格下げの「ユニゾ」、負債3000億円で高まるデフォルトリスク」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/261183
・『中堅不動産会社のユニゾホールディングス(ユニゾHD)の債務不履行(デフォルト)リスクが注目されつつある。昨年6月に米投資ファンドのローン・スターと組んで上場企業初となる従業員による買収で非公開化したが、早くも危機に立たされている。ユニゾHDには複数の地銀が多額の融資を行っており、行方次第では地銀経営にも大きな打撃となる』、「非公開化」して1年足らずで「危機」とは、どういうことなのだろう。
・『1週間に2度の格下げでジャンク債に転落  昨年6月、東証1部をEBO(従業員による買収)で上場廃止となった中堅不動産会社の「ユニゾホールディングス(ユニゾHD)」(横浜市中区)の債務不履行(デフォルト)の可能性に金融機関や債券投資家が注目している。上場廃止から1年ともたず、破綻する可能性があるとの悲観論が一部で出ている。 JCR(日本格付研究所)は同社の長期発行体格付けを昨年12月21日に「BBB-」と1ノッチ下げたが、わずか1週間後の12月28日に「BB+」とさらに1ノッチ下げる異例の判断を行った。一般的に「BB+」以下の社債は投資不適格(いわゆる「ジャンク債」)に該当する。 JCRは格下げの理由について「12月21日以降も足元の業績及び財務状況に加え、これらの見通しなどについてさらに精査を行った。その結果、チトセア投資(筆者注:ユニゾHDを完全子会社化したペーパーカンパニー)を含めた実質的な財務構成の悪化状況、安定収益源であったオフィスビル売却やコロナ禍の影響などによるCF(同キャッシュフロー)創出力の低下、金融機関との関係強化の重要性が増していることなどを従来以上に格付けに反映させる必要があると判断し」たと説明している。 ユニゾHDの半期報告書(2020年4-9月期)が関東財務局に提出されたのは昨年12月18日の金曜日。上場廃止以降、極端に情報開示が減ったため、この報告書は銀行や投資家が渇望していたものだ。JCRは週末返上で内容を精査し、週明けの21日に格下げを決めた』、「1週間に2度の格下げでジャンク債に転落」、よほど実態が厳しいのだろう。
・『地銀への打撃から金融庁や日銀も関心  ところが、事情通によれば、その直後のタイミングで「ユニゾHDが取引行向けに説明会を実施し、2021年5月までに200億円程度の融資をお願いしたい」という要請を行ったというのだ。 今年5月といえば、26日に100億円の社債償還期日が到来する。さらに11月29日にも100億円の償還が控える。その合計は200億円で今回の要請額と一致する。資金繰りは常に「万が一の事態」に備えた余裕が必要だ。ユニゾHDが5月までに11月分も含めた社債償還資金を手当てしたいと考えたとしても不自然ではない。 この要請の内容をJCRがつかんだことが「金融機関との関係強化の重要性が増している」という文言と異例の再格下げにつながったと筆者はみる。つまり今年の社債償還すら危ないのではないかというわけだ。 ユニゾHDは上場廃止後、資産売却を進めているとはいえ、昨年9月末時点の連結バランスシート上の負債は3171億円に達する。このうち社債が1040億円、銀行借入金は1962億円と金融債務が大部分を占める。 社債は昨年11月27日に50億円償還されたので、残りは990億円。上場していた当時に公募で発行されたもので全額無担保。期限が最も先のもので27年11月(10年債、50億円)まである。 もともと国内の金融機関や機関投資家が保有していたとされるが、「投資不適格」が近づくにつれ、売り圧力が高まり、債券市場では額面を大きく下回る価格で取引されている。保有者の顔ぶれはすでに海外ファンド勢中心に変わっているという。 借入金についてはに達するとされ、一部の地銀や都道府県信連(JAバンク)のなかには50億円を超える融資残高を抱えているところもある。一方、かつてメインバンクだったみずほ銀行をはじめとする3メガの融資残高はすでにほぼゼロとされる。 このため万が一の場合には地域金融機関の経営に大きな打撃を与えかねず、「金融庁や日銀もユニゾ問題には重大な関心を持っている」(金融業界関係者)という。ただでさえ地銀は収益力の低下が指摘されており、コロナ禍で潜在的な不良債権が積み上がっている。そこに大口融資先の倒産が重なればタダゴトではなくなる可能性があるためだ』、「かつてメインバンクだったみずほ銀行をはじめとする3メガの融資残高はすでにほぼゼロ」、メガバンクが既に逃げているのに、「融資取引のある金融機関数は80以上」、とは「融資」を続けている金融機関は何を考えているのだろう。
・『ユニゾHDが掲げた金融債権者の保護  そもそも昨年ユニゾHDの上場企業初となるEBOが決まったとき、現在の混乱は想定されていなかった。 というのもチトセア投資によるTOB(株式公開買い付け)に際し、ユニゾHDが昨年2月10日に関東財務局に提出した「訂正意見表明報告書」では「本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」に「(ウ)当社金融債権者保護に係る合意書」という項目が加わり、金融債権者の保護がうたわれたからだ。極めて重要な部分なので、以下に転記する。     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
(ウ)当社金融債権者保護に係る合意書  本買付条件等変更後の本公開買付けに関連して、公開買付者(筆者注:チトセア投資)及び当社(同ユニゾHD)は、当社の金融債権者(担保を有する債権者であるか、無担保の債権者であるか問いません。)の保護を担保する観点より、令和2年(2020年)2月9日付で、以下の合意書を締結しております。  合意書 株式会社チトセア投資(以下「甲」という。)とユニゾホールディングス株式会社(以下「乙」という。)は、以下のとおり、甲による乙株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)に関連して、合意書(以下「本合意書」という。)を締結する。  第1条(既存金融債務の保全) 1. 甲及び乙は、剰余金の配当、貸付けその他方法の如何にかかわらず、乙から甲に対して金銭その他の資産の移動を行う場合には、当該移動に先立ち、乙の金融機関に対する既存の借入金に係る債務及び乙の社債権者に対する債務(総称して、以下「既存金融債務」という。)について、担保差入れその他の方法により債権保全を図るか、又は、期限前弁済を行うことに合意する。(以下略)
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
契約上では、「金融債権者の保護」が図られている。
・『巨額のカネが流出し実質的に債務超過か  ところが、この合意書が破られたことから問題が起きたわけだ。 チトセア投資がEBOに際し、20年4月9日に米ローン・スターグループから調達した資金は借り入れ1510億円とA種優先株式550億円の合計2060億円。 そのうち、借り入れの返済期限は180日後のため10月6日に返済された。 一方、A種優先株も180日間の「無配期間」を超えると年20%以上という、とんでもない額の配当を払わなければいけない契約のため、同日987億円で買い入れ消却した。買い入れに際し80.6%ものプレミアムを払うというのもチトセア投資とローン・スターとの間であらかじめ決められていた。 借入金の金利をいくら払ったかは不明だが、借り入れ元本返済とA種優先株買い入れだけでも2497億円のキャッシュがチトセア投資からローン・スター側に渡ったことになる。 この原資はどこからきているのか。チトセア投資は19年12月にユニゾHDを買収するために設立されたペーパーカンパニーで事業収益はゼロ。というわけで、ユニゾHDからチトセア投資に資金移動が行われたと考えるほかないわけだ。 実際、ユニゾHDの半期報告書からは、短期貸付金2160億円と配当金支払531億円の合計2692億円の資金流出が確認できる。 一方、既存金融債務の繰り上げ弁済や担保提供などの保全が行われた形跡はなく、これは前述の「金融債権者保護に係る合意書」に違反している。 これまで社債を額面割れで買い集めてきた外資ファンドのなかには、はなからデフォルトを織り込み、この合意書違反をタテに訴訟を起こしてローン・スターからカネを取り戻し満額償還させるプランを描く向きもあるようだ。 いずれにしても2000億円を超える親会社(チトセア投資)向け貸付金に資産価値はないも同然で、保有する賃貸不動産の含み益262億円(昨年9月末時点)を考慮してもユニゾHDは実質的に債務超過に陥ったとの見方が広がっている。 仮に5月までの融資要請に銀行が応じる場合も担保などでのフル保全が前提となろうが、それでも合意書違反のユニゾHDに対してはアレルギー反応が強いだろう。 なお、ダイヤモンド・オンライン編集部はユニゾHDに対し、合意書違反や融資要請に関する質問状を送ったものの、期限までに回答はなかった』、「チトセア投資」は「米ローン・スターグループから調達した資金」に対し、初めから条件通り高い負担で返済するのではなく、「買い入れ消却」するつもりであったとすれば、初めから仕組まれたスキームだった可能性もある。「これまで社債を額面割れで買い集めてきた外資ファンド」などがどう動くのか、大いに注目される。

第三に、2月20日付け日刊ゲンダイが掲載した金融ジャーナリストの小林佳樹氏による「ユニゾHDに経営不安説 地域金融機関は固唾のみ行方見守る」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/285460
・『いま地域金融機関経営者が背筋が寒くなる思いで見守る企業がある。オフィスやビジネスホテルを運営する中堅不動産会社「ユニゾホールディングス(HD)」(横浜市中区)だ。地銀幹部によると「ユニゾの大口社債権者である香港のファンドが質問状を送っており、場合によっては会社更生法の申し立てを行う可能性があるのです。期限は今月末、臨戦態勢です」というのだ。 もしこのファンドが実際に申し立てを行い、裁判所が受理した場合、地域金融機関のユニゾ向け融資や同社の社債は、管財人の管理下に置かれることになる。ユニゾの資産状況によるが更生手続きの結果、地域金融機関の債権が減価することは避けられそうにない。 ユニゾはもともと、みずほフィナンシャルグループ(FG)の親密企業で、収益性の高い物件を多数保有する優良企業だった。そこにまず目を付けたのがHISの澤田秀雄氏で、2019年7月にユニゾに買収を仕掛けた。これに対してユニゾはホワイトナイトとして投資ファンドを呼び込み切り返した』、「ユニゾ」の「EBO」が「HISの澤田秀雄氏」のTOBへの対抗から始まったようだ。
・『逆転劇を仕掛けたのは、かつてみずほFGで佐藤博康氏(現会長)とトップの座を争った異才のバンカー小崎哲資・ユニゾHD前社長だ。「小崎氏は飄々とした風貌もあるが、佐藤会長と旧興銀同期でFG副社長まで上り詰めた切れ者として知られている」(みずほ関係者)。 しかし、ここからユニゾに対する外部資本の買収攻勢はさらにヒートアップしてくる。対抗する小崎氏は資産売却を進める一方、従業員による買収(EBO)を行い、昨年6月に株式を非公開化。経営刷新で小崎氏は退任した。 だが一連の買収対抗策でユニゾの財務内容は悪化し、資金繰りもタイトになっている。「ユニゾは5月までに200億円の融資借り換え、11月に100億円の社債償還を控えている」(地銀幹部)という。ユニゾの取引金融機関は88社(昨年12月時点)で、大半が地銀で占められている。また、「社債は信用金庫などが多数保有している」(同)とされる。ユニゾにもしものことがあれば地域金融機関に甚大な影響が及びかねない』、EBOが成功、「小崎哲資」氏は通常では社長を続ける筈なのに、「経営刷新で」「退任した」というのは、解せない。かつては超優良企業だった「ユニゾ」が、「EBO]で「財務内容は悪化」、「メガンク」は皆手を引いたのに、「取引金融機関は88社」は依然として、取引を継続していたというのは、お粗末な話だ。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ ダイヤモンド・オンライン 黒木 亮 小林佳樹 井出豪彦 買収ファンド (その1)(日本企業を「汚物扱い」した米国ファンドの正体 挑発したり貶めたりして獲物に食らいつく、ジャンク債に格下げの「ユニゾ」 負債3000億円で高まるデフォルトリスク、ユニゾHDに経営不安説 地域金融機関は固唾のみ行方見守る) 「日本企業を「汚物扱い」した米国ファンドの正体 挑発したり貶めたりして獲物に食らいつく」 た経済小説『カラ売り屋、日本上陸』 株式市場はややもすると、一時的な熱気で暴騰する銘柄も少なくないだけに、「カラ売りファンド」は市場に冷静さを取り戻させる機能もある 「シトロン」の成果は「当たったり外れたりといった実績」、「レポートの的中率は54%」、上昇相場のなかではまずまずのようだ。 「スノー・レイク・キャピタル」の調査が本格的なのには驚かされた。ただ、「シトロン」は従わずに失敗したようだ 「カラ売りファンドは、常識にとらわれず、根本的なところから物事を調べていくので、新たな視点を与えてくれるのは間違いない。したがって、少なくとも耳を傾けてみる程度の価値はあるはずだ」、その通りだ 「ジャンク債に格下げの「ユニゾ」、負債3000億円で高まるデフォルトリスク」 「非公開化」して1年足らずで「危機」とは、どういうことなのだろう。 「1週間に2度の格下げでジャンク債に転落」、よほど実態が厳しいのだろう。 「かつてメインバンクだったみずほ銀行をはじめとする3メガの融資残高はすでにほぼゼロ」、メガバンクが既に逃げているのに、「融資取引のある金融機関数は80以上」、とは「融資」を続けている金融機関は何を考えているのだろう。 当社金融債権者保護に係る合意書 金融債権者の保護 「チトセア投資」は「米ローン・スターグループから調達した資金」に対し、初めから条件通り高い負担で返済するのではなく、「買い入れ消却」するつもりであったとすれば、初めから仕組まれたスキームだった可能性もある 「これまで社債を額面割れで買い集めてきた外資ファンド」などがどう動くのか、大いに注目される。 「ユニゾHDに経営不安説 地域金融機関は固唾のみ行方見守る」 「ユニゾ」の「EBO」が「HISの澤田秀雄氏」のTOBへの対抗から始まったようだ EBOが成功、「小崎哲資」氏は通常では社長を続ける筈なのに、「経営刷新で」「退任した」というのは、解せない かつては超優良企業だった「ユニゾ」が、「EBO]で「財務内容は悪化」、「メガンク」は皆手を引いたのに、「取引金融機関は88社」は依然として、取引を継続していたというのは、お粗末な話だ。
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バブル(最近)(その7)(日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!、まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)、米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)) [金融]

バブル(最近)については、2月25日に取上げた。今日は、(その7)(日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!、まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)、米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2))である。

先ずは、3月22日付けダイヤモンド・オンライン「日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/266003
・『週刊ダイヤモンド3月27日号の第1特集は「バブル投資 見通し&リスク」です。日米の株価は沸騰中。日経平均株価が30年半ぶりに3万円を回復し、米国株は過去最高値を更新し続けています。中国株やコモディティ、仮想通貨なども熱を帯びています。これはさらなる高みへの途上なのか?それとも崩壊を避けられないバブルなのか?個人投資家が今知っておくべきファクトや視点を多面的にお伝えします』、興味深そうだ。
・『「明らかにバブルだ」「いや全く違う」 小幡氏と松本氏それぞれの根拠は?  日米の株価はバブルなのか。まだ上がるか、もう持たずに下がるのか。強気派のリーダー格、松本大・マネックスグループCEOと弱気派・バブル崩壊派の旗頭である小幡績・慶應義塾大学大学院准教授が、モデレータを務める経済評論家の山崎元氏を挟んで激突する。白熱座談会の模様をお伝えしよう。 山崎 現在の株価はバブルか。ここから議論を始めましょう。 私の立場は、バブルは現在、形成中である。ただし、かなりタチの悪いものを形成中なので、まだまだ終わらないはずだと。日経平均株価3万円を突破したという株価水準は黄色信号がつき始めた初期ぐらいの感じだと思っています。 まず、株価はもう持たないぞという小幡先生、どうぞ。 小幡 皆さんバブルというと、崩壊直前から崩壊した瞬間を切り取ってイメージしがちなんですが、バブルというのは、今お話にあったように長いんです。生成過程があって、高原状態、乱高下があって最後に崩れる。今はこの一連の過程のただ中にあります。 山崎 かつての日本の資産価格バブルでいえば、1988年くらいの感じかなと思います。 小幡 私は今の株高は明らかにバブルで、しかも最終局面に近いと思っています。その理由は単純で、株価水準とか数字は関係ない。 これは私独自のバブルの定義なんですが、投資家が他人の投資行動に基づいて自分の投資を決めている状態にあって、しかも大多数の投資家がそうであり、かつ買っている場合。これがバブルです。 だから買いが続けば、バブルは続きます。もう3万円だろうが3万1000ドルだろうが関係なく上がる。みんなが買っているから買う。他の人が儲かっているのに自分が儲からないのは嫌だから買うし、最後まで乗って人よりも儲けたいから買う。 松本 私は全然そう思っていない。今、法定通貨、おカネに逆バブルが起きているのだと思います。 新型コロナウイルス禍で大量におカネが刷られ、政府による財政出動もどんどん行われている。米国で昨年6月のひと月で刷られたおカネの額が、建国後200年間で刷られたおカネと同額だったというデータもある。この1年間、世界で新たに供給されたマネーの総量はまさに桁違いのとんでもない規模になります。 例えば、ある野菜を作り過ぎれば安くなるように、おカネも金融緩和と財政出動によって安くなる。おカネの相対価値が下がっていると思うんです。 そうすると供給量の限られている株や不動産、あるいはビットコインみたいな仮想通貨・暗号資産、こういったものの値段が上がる。 おカネをたくさん刷って社会に供給しようという政策意図はもともと、「コロナ禍で大変な状況になった社会を守るため」です。これによってインフレが起き、食料品や日用品などの値段が上がっては困る。政策意図に反する。一方で、株の値段が上がっても、国民生活の上では困らないので放ってある。そう私には見えます。 おカネがジャブジャブになっている中でおカネに逆バブルが起きていて、結果として株などの値段が上がっているということです。 山崎 カネ余り状況については私も同意見です。金融緩和だけでなく財政を使うことで実質的にカネが回るようになった。一方で過剰な流動性が発生して資産に向かっている。では果たして金融政策、財政政策が正常化した時に、この株価が持つのかどうか。 松本 日本の資産バブルの時には不動産融資の総量規制によってバブルがはじけました。今回は新型コロナ感染拡大によって社会が傷んで壊れるのを防ぐためにおカネを出した。例えば、ワクチンが効いて感染拡大が収まったとして、じゃあすぐにおカネを吸い取るでしょうか。すぐに増税とはならないでしょう。 金融緩和の拡大はいずれ止まるでしょう。そこで心理的な調整は起きると思いますが、おカネの総量が急に減るわけじゃない。おカネは急には吸い取らないで、出しっ放しになると思う。だからバブル崩壊みたいなことにはならない。 山崎 株価自体の水準は気にしないんですか?) 松本 そもそもPER(株価収益率)の平均が例えば15倍だったとしましょう。じゃあなぜ15なのか。5ではないのか。科学的な根拠があるわけではないんですよ。 市中のおカネの量が桁違いに多くなった中で、PERが15ではなく、20とか25になったとしても、それはそういう時代になったということだと私は思います。 小幡 いやいや、驚くべきことに意見が全く一緒ですね、実は。 (『週刊ダイヤモンド』3月27日号では、本座談会の完全版を掲載しています)』、「松本」氏と「小幡」氏がマーケットを認める点で「意見が全く一緒」になったとは驚きだ。
・『バブル相場と抜かりなく向き合うための市場の現状、展望、リスクを総まくり!(省略)

次に、3月15日付けJBPressが掲載した元ゴールドマン・サックス本社パートナーでくにうみアセットマネジメント代表取締役の山﨑 養世氏による「まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64458
・『初めに断っておくが、私は悲観論者ではない。また、常に「大恐慌が来る」と脅かしてきたわけではない。 2009年1月に執筆した『日本「復活」の最終シナリオ』の中では、2008年9月に起きたリーマンショックが「戦前型大恐慌が起きない理由」を説明した。 事実、大恐慌が起きるどころか、今年までに米国株は市場最高値を更新してきた。 しかし、アフターコロナが見えてきた米国株は大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、米国の債券とドルも大暴落するリスクが高い。 加えて、リーマンショックに際しては瞬時に形成された国際協調体制は、今は機能不全だ。 そうなると、第2次世界大戦後初めての事態であり、「21世紀型大恐慌」に至るリスクが高い。 どうしても警告しなくてはいけないと思い、2020年11月に「21世紀型大恐慌」(PHP出版)を書いた。詳しくはこちらを参照してほしい。 今回は、米株式に絞って暴落へのメカニズムを説明しよう。 ▽大いなる割高(まず、暴落する時には、常に株式は過大評価されている。いまの 米国株がそうである。次に掲げる1枚のグラフには、米国の経済とマーケットのエッセンスが詰まっている。 すぐ目に着くのが、GAMFAなどが含まれるナスダック(NASDAQ)指数(赤い線)がコロナが広がった当初こそは下げたものの、そこから今年の2月までに6割近くも上昇したことだ。 GAMFAの企業価値(時価総額)だけで日本のGDP(国内総生産)を上回っている。 株価水準の過熱度を表す株価収益率(PER)で見た時には、ナスダックのPER(緑の線)は70倍を超えている。今年の純利益の70年分も買われていることになる。) 日本経済が世界最強と言われ、バブルと言われた1980年代末の日本株のPERが40倍であったことを考えるとそれを上回る過熱水準だ。 どうして、コロナで世界も米国も経済が低迷した時に、米国株がこんなに上昇したのだろうか』、知りたいところだ。
・『大いなる錯覚「ゼロ金利になったら買い」  昨年、米国の金利  グラフでは黒線のFF金利)がゼロになった時に、米国はもちろん世界中からGAMFAを中心に米国株に巨額の資金が殺到した。 「ゼロ金利になったら買い」という過去の経験則に世界中の投資家が飛びついたからだ。大いなる錯覚である。 米国の金利は今から6年前の2015年に引き上げが始まっていた。経済と株の過熱を抑制するためだ。 ところが昨年、米国の金利は一気にゼロになった。コロナ禍で米国で失業者と倒産が急増し経済を活性化するために金利を最大限に引き下げたのだ。 グラフの黒線のFF金利の動きをみてほしい。 すると、ナスダックが急上昇したのが分かる。確かにコロナの影響でGAMFAなどの業績は伸びた。しかし、米経済全体は戦後最悪クラスの不況に突入したのだ。 なぜ、そのような矛盾したことが起きたのだろうか? それは、過去2回の経験則から「ゼロ金利は買い」という錯覚が広まったからだ。 どこが錯覚なのだろうか?』
・『過去2回の「ゼロ金利は買い」との違い  過去30年間で2回の米国株買いの大チャンスは、「株式暴落に対応するために」金利が引き下げられて、ゼロ金利になった時だった。 最初が2000年のITバブルの崩壊直後、2回目が2008年のリーマンショックの直後だ。 この過去2回のゼロ金利が起きる前、つまり株式暴落の前は、金利は高い水準まで引き上げられていた。 いったん株価の暴落が起きると、金利はゼロ水準にまで引き下げられた。経済とマーケットに与える影響を緩和して、再びマーケットを上昇させるためのものだった。 だから、企業の資金調達コストは大きく低下した。そして国債などの米国債券は「暴騰」した。 そして、ゼロ金利に近くなった後、長い時間をかけて株価が上昇したことがグラフからわかる』』、なるほど。
・『米国株バブルの終わり  昨年からのゼロ金利と過去2回のゼロ金利との違いは、言うまでもなく今回のゼロ金利はコロナが招いたものであり、株価の暴落が招いたものではないことだ。 もっと言えば、今回はコロナがゼロ金利を招き、ゼロ金利が株の暴騰とバブルを招いた。 過去2回はゼロ金利になったのは株価の暴落後だったから、その後、株は上昇を続けられたが、今回は、株がこのバブル水準から上昇する余地は限られる。 バブル相場の上昇期待がはげ落ちたとき、古今東西を問わず、市場は暴落に向かう。何かのきっかけで、一斉に売りが殺到するからだ』、「今回は、株がこのバブル水準から上昇する余地は限られる。 バブル相場の上昇期待がはげ落ちたとき、・・・市場は暴落に向かう」、その通りなのだろう。
・『株の大暴落だけでは終わらない  今回の米国株のバブルが崩壊した場合には、米国債とドルの暴落との連鎖反応を起こす可能性が高い。 これから世界最大の経済大国、米国のマーケットが全面的に暴落する場合には、その影響は米国だけにとどまらず、世界中に広がるだろう。 ドナルド・トランプ政権が仕掛けた米中の経済対立、世界各国でのコロナ禍と財政の悪化、英国のEU離脱と米欧関係の悪化など、世界経済の国際協調体制は機能不全だ。 さらには、台湾などをめぐる米中間の緊張は、巨大な地政学的なリスクに発展して、IT製品などのサプライチェーンの途絶を引き起こすかもしれない。 そうなると、「21世紀の石油ショック」だ。 こうしたリスクシナリオの多くが現実となった時に、「21世紀型大恐慌」もまた現実として対応しなくてはならなくなる。 次回以降に、そうしたリスクシナリオについて説明していきたい』、「株の大暴落だけでは終わらない」とは不吉な託宣だ。次回を見てみよう。

第三に、この続きを、3月22日付けJBPress「米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64551
・『改めて断っておくが、私は悲観論者ではない。また、常に「大恐慌が来る」と脅かしてきたわけではない。 2009年2月に執筆した『日本「復活」の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!!』では、2008年9月に起きたリーマンショックから「戦前型大恐慌が起きない理由」を説明した。 事実、大恐慌が起きるどころか、今年までに米株式市場は最高値を更新してきた。 しかし、アフターコロナが見えてきたことで、今後大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、株式だけでなく債券とドルも大暴落するリスクが高い。 リーマンショックに際しては瞬時に形成された国際協調体制は、今は機能不全だ。そうなると、第2次世界大戦後初の事態である。 マーケットの大暴落から「21世紀型大恐慌」に至るリスクが高い。 どうしても警告しなくてはいけないと思い、昨年、2020年11月に、『21世紀型大恐慌 「アメリカ型経済システム」が変わるとき』(PHP出版)を書いた。詳しくはこちらを参照してほしい』、トランプが壊した「国際協調体制」の立て直しには相当の時間がかかりそうだ。
・『米マーケット全体が大暴落のリスク  先進国を中心にワクチンの接種が進み、世界最大の犠牲者を出してきた米国でもアフターコロナが見えてきたと思われている。 新型コロナウイルス感染症の被害が世界に広がった昨年の初めから、米国を中心に世界の株式市場は上昇を続けた。アフターコロナになれば、世界のマーケットはどう動くのだろうか? このシリーズの前回のコラムでは、「アフターコロナが見えてきた米株式市場は大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、債券とドルも大暴落するリスクが高い」と述べた。 なぜだろうか。マーケットの上昇や暴落のメカニズムはどうなっているのだろうか。メカニズムが分かれば対処法も見えてくる』、「マーケットの上昇や暴落のメカニズム」、はどんなものなのだろう。
・『FRBがコントロールできない時代に  米国の経済と金融、そしてマーケットの仕組みの中心に存在するのが米国の中央銀行、FRB(連邦準備制度理事会)だ。 コロナはFRBにも影響を与え、FRBはマーケットに影響を与える。1980年からコロナ以前の2019年までは、FRBの政策をよく理解すれば、経済もマーケットも十分に予測可能だった。 しかし、FRBも常に万能ではない。1970年代まではFRBは経済もマーケットもコンロールできなかった。スタグフレーションと呼ばれた時代だ。 そして、2020年からのコロナをきっかけとして、再びFRBが経済とマーケットのコントロールできない時代に入ろうとしている』、FRBだけでなく、多くの主要国の中央銀行マンは「経済とマーケットのコントロール」に不思議な自信を持っているようだ。
・『FRBの最大の道具がFF金利  下に示しているのがFRBの最大の道具であり政策金利といわれるFF金利(Fed Fund Rate)とインフレ率の過去60年間のグラフ①である。 驚くほどの変動を示しているのがお分かりいただけるだろう。 40年前にはFF金利は20%に近かった。歴史的にみたら今のゼロ金利やゼロインフレはとてもノーマルとは言えない。 なぜ、当時はそんな高金利になったのだろうか? 1970年代の米国は、「偉大な社会」建設を目指した福祉支出拡大とベトナム戦争支出で財政が急速に悪化した。 その上、中東戦争とイランイラク戦争を契機とした2つの「石油ショック」に見舞われ、インフレに襲われて市場の金利が急上昇した。急速に経済が悪化した。 当時のFRBは、景気刺激のために金利を引き下げようと通貨供給量を増やしたが、逆にインフレを高進させる「過剰流動性」を発生させて、金利はさらに上昇してしまった。 高金利に圧迫されて、企業の収益は急速に悪化し、消費や住宅需要は低迷した。 不景気とインフレーションが一緒にやってきたから、「スタグフレーション」という洒落た名前が作られたが、国民はたまったものではなかった』、確かに「スタグフレーション」の時代は酷かった。
・『FF金利でインフレを退治したボルカー  インフレを退治するのに成功したのが、ジミー・カーター政権末期の1979年にFRB議長に就任したポール・ボルカーだった。 ボルカーは、それまでとは逆の発想で、FF金利を大幅に引き上げて、市場に出回る通貨の量を大きく減らした。厳格な「通貨供給量政策」といわれた。 昨今のようにFRBが国債を大量に買って「流動性」つまりお金を供給することなどボルカーには論外だった。 FF金利の大幅な引き上げによってボルカーはインフレ率の大幅低下に成功し、金利も低下して、1980年から始まったロナルド・レーガン大統領時代の「強いアメリカ」を経済から支えた。 ボルカーによってようやく、FRBがFF金利で経済をコントロールできる時代が到来した』、確かに「ボルカー」は偉大だった。
・『FRBの株式市場操作の道具もFF金利  次に掲げるグラフ②には、アメリカの経済とマーケットのエッセンスが詰まっている。 まず、黒い線が米国の金融当局であるFRBが決定するFF金利だ。FRBが民間銀行に強制的に預けさせる「準備預金」に付ける金利だから、民間銀行の「仕入れ値」であり、金利の「元締め」のような役割を果たす。 FF金利は、FRBが米国の経済とマーケットをコントロールする最大の道具である。 冷え込んでいる時にはFF金利を下げて温め(緩和)、過熱だと判断すればFF金利を引き上げて冷まそうとする(引き締め)』、その通りだ。
・『FF金利でマーケットをコントロール  もちろん、FF金利は株式市場も動かす。 ゼロ金利になると、企業の収益が好転するだけでなく、ヘッジファンドや投資銀行といった米国株を動かしている主力投資家の「借入コスト」が劇的に改善する。 なぜなら、彼らは巨額の「レバレッジ」、つまり借り入れを行なっているから、金利が低下すると借入コストも「レバレッジ」、つまり自己資本に対する借入の倍数分低下するからだ。 例えば、レバレッジが5倍の場合、1%金利が上下すれば、自己資本に対する借入コストは5倍上下する。5%金利が上下すれば、自己資本に対する借入コストは25%変化する。 だから、金利を上げられればレバレッジ投資家の収支は大きく悪化し、金利が下がれば収支は大きく改善する。 投資家に投資資金を貸すのは民間銀行だが、銀行の金利は仕入れ値であるFEDのFF金利によって上下する。 つまり、FRBはFF金利を上下させることで、FRB→民間銀行→株式投資家の借入コスト→株式投資の収益性、という経路で株式市場に影響を与えることができる。 こうして、FF金利上げ(引き締め)→株式投資の収益性悪化、FF金利下げ(緩和)→株式投資の収益性改善、という経路で株式市場の上げ下げに影響を与えてきた』、なるほど。
・『過去30年の米株式市場の上昇パターン  再び、グラフ②を見ていただきたい。 1990年から2019年末までは、米国の中央銀行であり金利と金融政策を決定する連邦準備制度(FRB)の政策金利であるFF金利と、米国の株式市場との間には、顕著な「因果関係」が存在した。 FRBが米国の株式市場を相当程度コントロールしてきたからだ。その間のパターンは ①FRBの政策金利であるFF金利が低い時から、経済成長、好景気、株高が継続 ②FRBが市場は過熱と判断、FF金利を継続的に引き上げ、それでも株は上昇 ③FF金利をさらに引き上げ高金利に、やがて株式暴落 ④FF金利を大幅に引き下げ、金利の低下により債券価格は暴騰することで株式市場の暴落ショックを緩和する ⑤は①のパターンに戻り、経済と株式が上昇開始  過去2回の株式市場の暴落であった2000年のITバブルの崩壊と2008年のリーマンショックの双方では以上の①から⑤のパターンが見られた。 いずれの場合にも、経済と株式の上昇はFF金利が低い時に始まり、FRBが金融を引き締めるためにFF金利を引き上げても株式の上昇は止まらず、さらにFF金利を引き上げてから株式「暴落」が起きた。 すると、FRBはFF金利を直ちに5%以上大幅に引き下げたから、それと同時に債券市場は「暴騰」し、低金利をテコに経済活動も活発化して、大底からの経済成長と株価上昇が始まった。 つまり、「FF金利の大幅低下は株式の買いチャンス」というパターンがみられた』、なるほど。
・『「マエストロ」と言われたグリーンスパン  このパターンを確立したのが、1987年から2006年まで19年間にわたり米国の金融政策のトップであったFRBのアラン・グリースパン議長である。 金融だけでなく経済と株式市場の長期成長までもたらしたグリースパン議長は、その絶頂期には「マエストロ」と呼ばれた。 グリースパン議長は、低金利政策により株式や不動産などの資産価値を高めて富裕層の消費を拡大して経済成長を持続させ(その間に貧富の格差は拡大したが)、マーケットが加熱すると金利を引き上げ続けた。 一旦マーケットが暴落すると瞬時に大幅に金利を引き下げて債券価格を上昇させて暴落を緩和し、超低金利効果による経済と株式市場の回復を導いた。 2000年のITバブルの崩壊から回復と成長をもたらし、2006年の退任の直前までは過熱する株式市場を抑制するために金利を引き上げ続けた。 グリースパンの後継者であるベン・バーナンキFRB議長もグリースパン路線を踏襲して金利を引き上げ続け、リーマンショックの暴落が発生すると直ちに金利を低下させて危機を乗り切り、その後の株式と経済の成長に道をつけた』、「グリースパン」は低金利政策でサブプライム問題の種をまいたとの批判も根強い。
・『FRBは株式市場に責任を持つ  ではなぜ、米国の中央銀行であるFRBは株式市場を動かすのだろうか。 FRBが雇用の最大化、つまり経済に責任を持っているからだ。そして、株式市場が株式上昇→消費→雇用→経済、という経路で米国経済に及ぼす影響が大きいからだ。 米国は資本主義の総本山であり、米国資本主義の最大の装置が株式市場であることは過去100年間変わらない。1929年の米国発の大恐慌は株式市場の突然の暴落から始まった。 FRBを含めた米政府にとって、株式市場をコントロールすることは、経済に直結する死活問題である。 1990年代以降の米国の財務長官に、私も共同経営者(パートナー)であったゴールドマンサックスから3人も就任していることも、マーケット重視の表れだ』、「1990年代以降の米国の財務長官に」「ゴールドマンサックスから3人も就任」、確かに「マーケット重視の表れだ」。
・『日銀には制度上、株式市場に責任がない  ここで注意しなくてはいけないのは、日本の中央銀行である日本銀行が法律で定められた責任を持っているのは「物価の安定」だけだ。 日銀は雇用にも経済にも株式市場にも、制度としては責任がない。 日銀が1980年代の株式や不動産のバブルを放置したことも、1990年代以降のバブルの崩壊にも手をこまぬいたことにも、こうした制度上の日米の違いが作用した。 ただし、日銀史上最も国際金融論に通暁した現在の黒田総裁が、2013年の就任以来、日銀の伝統的な手法ではなく、FRBによく似た「金融による成長戦略」をとり、ここまで株式市場を上昇させ、少子高齢化が進む日本経済のマイナス成長を緩和してきたことは特筆すべきだ。 もちろん、世界最大の対外純資産を持つ点では米国と対極的だが、日本の黒田日銀の政策にも、FRBと共通するリスクが内包されている』、「山﨑」氏は、「黒田総裁」を評価しているようだが、私は従来から、異次元緩和はリスクが大き過ぎると批判的だ。
・『コロナが変えたパターン  ドナルド・トランプ政権が誕生した2016年から2019年にはFRBはFF金利をゼロから3.5%まで引き上げていた。 株式市場の上昇が続き、経済は好調で物価上昇の兆候が見られたためだった。 しかし、2020年から始まったコロナ禍により、FRBはFF金利をゼロにまで引き下げた。ここから、米株式市場、特にGAMFAを擁するナスダック(NASDAQ)市場の暴騰が始まった。 「FF金利の大幅低下は買い」という過去の経験則から個人投資家を含む世界中の投資家が米株式市場に資金を流入させたからだ』、米国株式市場のマネー吸引力は確かに凄い。
・『共同幻想が消えるとき  大いなる錯覚である。 過去のFRBによる大幅な金利低下は、株式市場の暴落に対応するためだった。しかし、今回の大幅な金利低下の前には株式市場の暴落は起きていない。 それどころか、米株式市場は歴史的な高値水準にまで上昇した。 この本質的な違いを無視して、「ゼロ金利は買い」という過去の成功の方程式を信じた資金が米国株を押し上げた。 株式市場がどの程度「バブル」状態なのかを表す指標にPER(株価収益率)という「倍数」がある。株価が年間の純利益の何倍なのかを表す。 日本経済がバブルと言われた1989年末で、PERは時期にもよるが、およそ50倍程度であった。 直近の2021年1月末のナスダックの平均PERは約71倍、つまり年間利益の71年分、株が買われているということだ。 グラフ②を見ても、ナスダックがこの1年間でいかに上昇したかが分かる。 この大いなる錯覚が米国株急上昇の最大の原因である。「共同幻想」が消えた時には、暴落の危険をはらんでいる』、その通りだ。
・『コロナはきっかけに過ぎない  パンドラの箱を開けたらあらゆる災いが人類にもたらされたとギリシア神話ではいう。 トランプ大統領が開けたパンドラの箱に、コロナという突風が吹き込んで、これからの米国と世界には「21世紀型大恐慌」のリスクが高まっている』、「21世紀型大恐慌」については殆ど言及がないが、今後出てきたら、紹介するつもりである。
タグ:バブル ダイヤモンド・オンライン JBPRESS (最近) (その7)(日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!、まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)、米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)) 「日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!」 「明らかにバブルだ」「いや全く違う」 小幡氏と松本氏それぞれの根拠は? 「松本」氏と「小幡」氏がマーケットを認める点で「意見が全く一緒」になったとは驚きだ。 山﨑 養世 「まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)」 大いなる錯覚「ゼロ金利になったら買い」 過去2回の「ゼロ金利は買い」との違い 米国株バブルの終わり 「今回は、株がこのバブル水準から上昇する余地は限られる。 バブル相場の上昇期待がはげ落ちたとき、・・・市場は暴落に向かう」、その通りなのだろう 株の大暴落だけでは終わらない 「株の大暴落だけでは終わらない」とは不吉な託宣だ。次回を見てみよう 「米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)」 トランプが壊した「国際協調体制」の立て直しには相当の時間がかかりそうだ 米マーケット全体が大暴落のリスク FRBがコントロールできない時代に FRBだけでなく、多くの主要国の中央銀行マンは「経済とマーケットのコントロール」に不思議な自信を持っているようだ FRBの最大の道具がFF金利 確かに「スタグフレーション」の時代は酷かった FF金利でインフレを退治したボルカー 確かに「ボルカー」は偉大だった FRBの株式市場操作の道具もFF金利 FF金利でマーケットをコントロール 過去30年の米株式市場の上昇パターン 「マエストロ」と言われたグリーンスパン 「グリースパン」は低金利政策でサブプライム問題の種をまいたとの批判も根強い FRBは株式市場に責任を持つ 「1990年代以降の米国の財務長官に」「ゴールドマンサックスから3人も就任」、確かに「マーケット重視の表れだ」 日銀には制度上、株式市場に責任がない 「山﨑」氏は、「黒田総裁」を評価しているようだが、私は従来から、異次元緩和はリスクが大き過ぎると批判的だ コロナが変えたパターン 米国株式市場のマネー吸引力は確かに凄い 共同幻想が消えるとき コロナはきっかけに過ぎない 「21世紀型大恐慌」については殆ど言及がないが、今後出てきたら、紹介するつもりである。
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バブル崩壊(その他)(『ザ・ラストバンカー』2:三井住友銀行・西川善文が対峙した、減らない不良債権と批判の目、『ザ・ラストバンカー』3:不良債権最後の山場「ダイエー危機」に三井住友銀・西川善文がとった策、住友銀行を震撼させたイトマン事件で天皇「磯田会長」を退任に追い込んだ地味な頭取の67歳の決断) [金融]

バブル崩壊については、昨年8月25日に取上げた。今日は、(その他)(『ザ・ラストバンカー』2:三井住友銀行・西川善文が対峙した、減らない不良債権と批判の目、『ザ・ラストバンカー』3:不良債権最後の山場「ダイエー危機」に三井住友銀・西川善文がとった策、住友銀行を震撼させたイトマン事件で天皇「磯田会長」を退任に追い込んだ地味な頭取の67歳の決断)である。

先ずは、昨年12月29日付け現代ビジネス「ベスト書再読『ザ・ラストバンカー』2:三井住友銀行・西川善文が対峙した、減らない不良債権と批判の目」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78842
・『「不良債権と寝た男」の異名を取った三井住友銀行元頭取・西川善文が不良債権問題にかかわった期間は、まさに異名通り、頭取の八年間を含めて三〇年に及んだ。とくに一九九〇年代から二〇〇〇年代前半にかけては、バブル経済の崩壊にともなう不良債権の激増に苦悶する毎日となった。西川善文の回顧録『ザ・ラストバンカー』から、その一端がわかるパートをお届けする』、興味深そうだ。
・『公的資金注入に向けられる世間の批判の目  世は平時ではなかった。金融界は、担保不動産と保有有価証券の資産価値下落に直面し、いつ果てるとも知れない破綻危機の恐怖や相次ぐ不祥事の発覚で騒然としていた。バブル崩壊によって日本経済はガタガタに崩れ、大企業も中小企業もどこも無傷ではいられなかった。大蔵省は一九九二(平成四)年秋に、大手二一行の九月末時点の不良債権額が一二兆三〇〇〇億円あるという試算を公表したが、それはかなり楽観的な見通しに過ぎなかった。後日談となるが、巽外夫さんが会長になった頃、私にこんな打ち明け話をしてくれた。 「実は九二年の八月に、宮澤(喜一)総理から軽井沢の別荘に招かれたことがあってね。行ってみると、そこには三菱、第一勧銀など大手行の頭取が全員、顔を揃えていた。不良債権を処理するための金融機関への公的資金注入についてどう思うか、内々の相談のようなものだったんだ」 「そんなことがあったのですか」 「頭取は皆、反対したよ。当時は財界も否定的だったからね。今思うと、あの時に決めておけば、こんな大騒ぎにならなかっただろうに」 宮澤首相は、軽井沢で開かれていた自民党の夏期セミナーで、「公的援助」という表現で公的資金投入に触れていたが、その前提として銀行首脳を呼んで極秘に会合を行っていたことはマスコミには一切漏れておらず、私もこのときが初耳だった。なぜ反対したのかについては聞かなかったが、公的資金が注入されるとトップの責任問題につながると懸念したのであろうし、世間はそれほど大手銀行に対して厳しい批判の目を向けていたのは間違いない。当時の巽頭取の忸怩(じくじ)たる思いが、このときの吐露につながったのかもしれない』、「宮澤首相」が「自民党の夏期セミナーで、「公的援助」という表現で公的資金投入に触れていた」、のまでは知っていたが、その前に、大手行代表に「軽井沢の別荘」で、「金融機関への公的資金注入について」打診したとは初めて知った。
・『いくら損失計上しても不良債権は減らない  一方、私はといえば「本当にその時に決めてくれれば、今になって毎日こんな苦労をしなくてもよかったのに」と密かにため息をついていた。 安宅産業とイトマンの破綻処理は銀行にとって大きな問題だったが、その後も建設、不動産関連融資を中心に数多くの不良債権が発生し、銀行は毎期毎期、その分の損失を計上していた。しかし、いくら損失計上しても、その処理は遅々として進まなかった。というのも当時はまだ大蔵省の不良債権償却証明制度が残っており、現在のように自己査定による引き当て処理ができなかったのだ。 当時の大蔵省は不良債権処理問題よりも税金の徴収のほうを優先していたので、銀行が勝手に不良債権か否かを判断するなどとんでもないという考え方であった。ある債権に損失発生リスクがあるかどうかを決めるのは大蔵省の専権事項で、同省の認可をもらってはじめて銀行は会計上、無税償却が可能となる。たしかに大蔵省に判断してもらうほうが公平性を担保する意味では理想的だと思う。これは、体力に劣る銀行を潰さない大蔵省の「護送船団」行政の一面でもあった。しかし、そのために債権一件一件について精査しなければならず、どうしても時間がかかってしまう。そこで、ほとんどの銀行では無税償却と並行して有税償却も行っていた。 有税償却とは簡単に言えば赤字処理だ。これをすれば処理のスピードは上がるが、当然ながら当期利益は減る。この赤字分を埋めるために、簿価の低い保有株式を売却し、売却益を計上してマイナス分を軽減する、いわゆる益出しをする必要が出てくるのだが、売却対象になる株式は通常、持ち合い株式であるため、売却と同時に買い戻しをしなければならず、結果的には株式の評価替えのような効果が出てしまう。つまり、保有株式の簿価がそのたびに上がってしまうわけだ。 一九九四(平成六)年になると、株価や不動産価格が下がる一方で、住専(住宅金融専門会社)の危機が社会問題化していた。そんな切迫した状況になっても益出しと買い戻しを繰り返して保有株式の簿価を上げるのは、リスクが大きすぎた。来年も再来年も株価が下がり続ければ、今度は逆に株式評価損を計上することになり、これまでせっかく益出しをしてきたのに元の木阿弥に戻ってしまう。こんなことを続けていたらいつか必ず大変なことになると私は考えた。実際、この株式評価損は当時だけでなく二〇〇〇年代に入っても銀行や一般企業の自己資本を毀損して、経営を苦しめることになった』、その通りだ。
・『銀行の赤字決算はタブー中のタブー  もちろん、赤字分を株式の益出しで埋めなければ、自己資本は食われる。しかし、保有株式の簿価は変わらずに済むから、今後の株価下落による評価損増大リスクを避けることができる。将来の株価下落リスクに耐えられる。そこで私はこの際、益出しをやめて、赤字決算するしかないと判断した。 今でこそ銀行の赤字決算は珍しいことではないが、当時は市場に与える影響がどれほどのものになるのか想像もできず、タブー中のタブーだった。過去の例を見ても、日本の銀行が赤字決算をしたのは一九四六(昭和二一)年、終戦直後の混乱期の一度だけで、八〇年頃の「ロクイチ国債問題」のときですら赤字決算は出していなかったのだ。 ロクイチの由来となる六・一パーセントの一〇年物国債は、今から見れば高利回りに感じると思うが、当時としては極めて低金利であり、それはつまり高価格の国債を意味する。大蔵省は大手銀行団を統合したいわゆるシンジケート団にこれを引き受けさせたため、住友銀行を含め、大手銀行のすべてが高い値段の国債を大量に保有することになった。そこに第二次オイルショックと金融引き締めが襲いかかり、ロクイチ国債は暴落し、大手銀行のすべてが巨大な含み損を抱えてしまった。額面一〇〇円の国債の価格が七四円まで下落したのだから、銀行にとっては大きな痛手だ。 その頃の国債は時価評価で決算するのが常であったが、この時ばかりは大蔵省も取得原価で評価することを認めると通達してきた。半強制的に国債を引き受けさせたという負い目があったためだろう。しかし、住友銀行はちょっとへそ曲がりなところがあり、「いままで時価評価でやってきたのに、ちょっと損が出たからといって、いまさら取得原価で評価できるか」ということで、それまでと同様に時価評価にしていた。このときでさえ、住友銀行は赤字決算をせず、株式を売って損失を埋めていたのだ。 銀行にとって赤字決算というのは、日本経済に与える影響ももちろんだが、バンカーのプライドとして、やってはいけないものというのが、私たちの身体の中に染みこんでいる。しかし私は、それでもあえて赤字決算にしようと覚悟を決めた。当時ですでに約一〇年、不良債権処理をしてきたのに、いまだに出口がまったく見えてこない。そして益出しは事実上問題を先送りしているに過ぎないからだ』、「あえて赤字決算にしようと覚悟を決めた」、とはさすが大したものだ。
・『市場心理を見きわめた慎重な判断  一九九五(平成七)年の正月明け早々、私は巽会長と森川敏雄頭取のもとに向かい、「こんな状態を続けているとダメージが大きくなってしまいます。思い切って赤字決算しましょう」と進言した。すると、お二人とも即座に了承してくれた。そうなれば話は早い。一月一七日に業績修正の発表をしようと決まった。 ところが、その日の早朝、阪神・淡路大震災が起きた。一万九〇〇〇円台になんとか足をかけていた株価は、震災の影響でみるみる下落していき、一万七〇〇〇円台に入ってしまった。 「こんなときに銀行が赤字決算を出したら、どんなことになるか?」 それでなくても滅多にない銀行の赤字の発表だ。市場にこれ以上余計な心理的な影響を及ぼすことはすべきではないと判断した私たちは、その日の発表を見合わせることにした。そして一〇日後の二七日、株式市場が多少落ち着いたところで、三月期決算の業績予想の修正を発表し、都銀初の三三五四億円の赤字(当初予想は六〇〇億円の黒字)になると表明した。赤字決算の結果として発生する当期の未処理損失については、準備金の取り崩しで対応して来期に繰り越さない方針も示した。 業績予想の修正は、私自身が東京・日本橋の日銀内にある金融記者クラブで記者会見して発表した。この席ではまず、赤字決算を決断した理由を聞かれ、四つの理由を説明した。 第一は、バブル崩壊後の経営悪化を乗り越えるべく取り組んできた店舗の統廃合や経費の見直しなどが成果を出し始め、国内外共に業績が拡大する兆しが見えてきたこと。第二に、前年(一九九四年)に実施された流動性預金金利の自由化や証券子会社の設立など金融自由化の幕開けの年にあたるのだから、経営基盤の安定と財務体質の強化が重要になってきたこと。第三に、景気に回復の兆しが見られ、積極的に前向きの策を打ち出す時期に来ていること。そして第四に、九五(平成七)年一一月に創業一〇〇周年を迎えるので、新世紀への重要な節目となる、ということだった』、「赤字決算」への「業績予想の修正」の発表を、「阪神・淡路大震災」による「株式市場」への影響が多少落ち着くまで遅らせたというのは賢明だ。
・『赤字決算で投資家が銀行株買い  「以上の理由により、将来、損失処理が必要とみられる債権を可能な限り前倒しで処理することにした。償却額は年間でおよそ八〇〇〇億円であるが、これは見通しを三〇〇〇億円上回る。株式売却益への依存は極力抑制する」と、私は赤字決算が前向きな事業姿勢による決断であったことを強調した。 実は、四つの理由は、「なぜ今なのか」というタイミングについて説明したもので、経営の立場の本音は、早く株式売却益依存から抜け出したいという後半の部分にあった。だから、記者から「来年度以降の見通しは?」と聞かれても、「今後の償却負担の原資は期間利益で十分に賄え、株式の売却をしなくてもできる」という見通しを語ることができた。 住友銀行は、前年の一九九四(平成六)年九月末には一兆一九〇〇億円もの不良債権を抱えていたが、赤字決算により九五(平成七)年三月末には不良債権額は二〇パーセント程度減少し、引当率も前年九月末の二四パーセントから三月末には五〇パーセント近くになると算段していた。 マスコミは、素直に驚きをもって報道してくれた。事実関係だけでなく、私の記者会見の詳報を掲載してくれた新聞もあった。記事のニュアンスを探っても、ネガティブというよりは好意的であった。 そして、さらに予想外のことが起きた。私たちが赤字決算を出した途端、投資家が銀行株を買い始めたのだ。住友だけでなく他行まで軒並み買われ、金融関連株が高騰を始めたのである。マーケットは、赤字決算によって不良債権処理が進むと、プラスに捉えてくれた。 その象徴が、記者会見から一週間ほどして掲載された日経金融新聞の編集委員の署名記事で、私たちが「税効果会計」と呼ばれる手法を注意深く活用しながら赤字決算であるにもかかわらず配当を維持しようとしている点を指摘。そのうえで、株式売却の益出しは一種の粉飾決算であると断定し、株式の益出しと決別しようとする私たちの決断について「(益出しと)一線を画したことは、市場全体にのしかかる金融システム不安を確実に薄めるのも事実だろう。その意味で、『一歩前進』である。しかし、まだ『一歩』にしか過ぎない」と皮肉を交えつつ評価してくれた』、住友の「赤字決算発表」までは、日本の銀行は実態を隠していると批判されていたので、「赤字決算発表」が前向きに捉えられたようだ。
・『赤字金額を変えていなかったら……  ところが私自身は、値上がりする株価を横目で見ながら、内心「しまった!」と思っていた。発表を見合わせた一〇日間で、少しでもマーケットへの影響を少なくしようと、有税償却を減らし、益出しもして赤字額をかなり削っていたからだ。発表した業績予想の修正では赤字幅は三三〇〇億円であるけれども、実のところは五〇〇〇億円程度の赤字があったのである。できれば、その額で業績予想を修正したかった。 発表を遅らせたのはいい判断だったと今でも思っている。おそらく震災当日に発表していたら、株価が上がったかどうかかなり疑問だった。しかし、赤字金額まで変える必要はなかったのだ。もし最初に考えていたままの金額だったら、その後の不良債権処理の展開はずっと楽になっていたはずだった。 とはいえ、マーケットが赤字決算に好評価を与えてくれたことに、私はほっと胸をなでおろしていた。銀行にとってみれば、不良債権処理などあまり威張れたものではない。そこまで銀行の経営は悪いのかとマイナス要因として取られる可能性も十分あったわけだから、好意的に取ってくれたのはありがたいことだった』、もっと実態の悪さを正直に発表していればと、「内心「しまった!」と思ったというのは、多くを望み過ぎだろう。

次に、この続きを、12月30日付け現代ビジネス「ベスト書再読『ザ・ラストバンカー』3:不良債権最後の山場「ダイエー危機」に三井住友銀・西川善文がとった策」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78886
・『「不良債権と寝た男」の異名を取った三井住友銀行元頭取・西川善文が不良債権問題にかかわった期間は、まさに異名通り、頭取の八年間を含めて三〇年に及んだ。とくに一九九〇年代から二〇〇〇年代前半にかけては、バブル経済の崩壊にともなう不良債権の激増に苦悶する毎日となった。西川善文の回顧録『ザ・ラストバンカー』から、土地神話の破綻から生まれたダイエー危機への対応の舞台裏をご紹介しよう』、前編に続き興味深そうだ。
・『  金融業界の構造改革と不良債権の処理問題が重なる形で押し寄せてくるので、仕事に息つく暇がない日々が続いた。不良債権問題は依然として深刻だった。 不良債権処理で私たちの頭を最も悩ませたのがダイエーだった。ダイエーは一九五七(昭和三二)年に中内㓛(なかうち・いさお)さんが創業し、「価格破壊」を謳って九五(平成七)年二月期には連結売上高が三兆二〇〇〇億円にも及んだ。しかし、その一方で、巨額の有利子負債がバブル崩壊や売上減によってダイエーを大きく蝕んでいた。「バブル時代の負の遺産」とまで言われた同社には、二〇〇一(平成一三)年二月には二兆五六〇〇億円もの金融債務があった。このため、三井住友を含めた主力行三行は〇二(平成一四)年一月、五二〇〇億円の債権放棄に応じた。しかしそれでも依然として危機は収まらなかった。 ダイエー危機が長引いた最大の原因は、ダイエーが大量の不動産を持っていたことだ。同じ業態のイトーヨーカ堂が、ディベロッパーが開発したショッピングセンターに出店するなどして店舗を借りていたのに対して、ダイエーの店舗はすべて用地まで取得し自前のものだった。 これは一九八〇年代までの土地神話に根ざしたビジネスモデルだったと言える。不動産の価値が上がれば、それを担保にして銀行からお金を借り、次の店舗展開ができる。その不動産も価値が上がればさらに次へという好循環が続けば、どんどん店舗を出すことができる。その頃のダイエーはとにかく新しい店舗用不動産を次々に手に入れていた』、確かに「ダイエー」の「ビジネスモデル」は、「土地神話に根ざした」ものだった。
・『難局には西川が打ってつけ  この好循環がバブル崩壊によって完全に悪循環に逆回転を始めた。不動産の含み損が加速度的に膨らんでいき、その泥沼からいつまで経っても這い上がることができないでいた。しかも、本業が好調ならその収益でカバーできたかもしれないが、「安いけれど買いたいものがない」と揶揄されるほど品揃えに魅力がなかった。早晩、完全に行き詰まるのは目に見えていた。金融庁としては、竹中平蔵さんの金融再生プログラムの一環で、預金保険機構を主要株主として設立した産業再生機構に持ち込んで早く処理したい意向が強かったのだが、ダイエーの高木邦夫社長が頑強に抵抗していて弱り果てていた。 高木社長がなかなか説得を聞き入れなかったのは、自主再建したいという強い思いがあったのはもちろんなのだが、その裏には経済産業省内の暗闘があったようだ。産業再生機構送りにしたいグループと、ダイエーの自主再建路線を進めたいグループが省内で真っ向から対立していた。後のことになるが産業再生機構入りの最終回答期限直前に経産省の自主再建派が高木社長を「拉致」して行方不明にするという、信じられないような暴挙にまで出て、当時マスコミで大変な騒ぎになったほどだった。 高木社長の抵抗姿勢に困った金融庁の竹中大臣は、ある経済人との会合に一緒に出た折に私を傍らに呼んで、こう言った。 「ダイエーはいまや日本の不良債権問題の象徴的な存在になっています。だから、なんとしてでも産業再生機構に持ち込みたい。産業再生機構に持ち込まれて処理されれば、日本の不良債権問題に決着をつけたことになるんです。西川さん、高木社長を説得してもらえませんか」 こういう難局には西川が打ってつけと竹中さんは思ったのかもしれないが、何よりダイエー問題に一刻も早く決着をつけたかったのは主力行をなす私たちのほうだった。単に竹中大臣に頼まれたからではなかった。私は高木社長との直談判に及んだ。 三井住友銀行の応接室で、私と高木社長の一対一の談判だった。しかし高木社長はいっこうに首を縦に振ってくれなかった。 「どうしても取締役会を開いて決めてもらわないと困る。でなければ社長を代わってもらうしかないんです」とまで私がにじり寄ると、ようやく、「わかりました。取締役会に諮ります」 と返事をしてくれた』、「産業再生機構」への持ち込みに賛成していたのは、「三井住友銀行」だけで、UFJ銀行などは反対していた。「産業再生機構」は銀行側に債権放棄をさせ、財務面は立ち直ったが、肝心の事業面では「再生」できないまま、イオンの子会社化しただけに終わった。
・『ローソンという宝  しかし、取締役会に諮るだけで終わっては困る。きちんと決議してもらわないといけない。大変失礼だったかもしれないが、取締役会にオブザーバーとして三井住友の人間を入れさせてもらう提案まで出した。 ダイエー本体の痛みは深刻だったが、子会社には素晴らしい優良会社があった。コンビニのローソンだ。私はこれを少しでも高く売却しようとしたのだが、ダイエー側はずいぶん抵抗した。説得の末、売却には応じてもらえたが、今度は売却先で揉める。三菱商事や丸紅が手をあげてくれており、銀行とすれば三菱商事しかないと踏んでいたが、ダイエーは、一九九四(平成六)年に提携関係を結んでダイエーの大株主になっていた丸紅がいいという。しかし当時の丸紅もダイエーを抱え込むほどの力はなく、丸紅が売却先ではローソンの企業価値が上がらないし、そもそも高く売れない。三菱商事なら高く売れる上に、商事の信用力で株価(企業価値)も上がる。 本音をいえば、ライバル行系列の三菱商事に味方する理由など何もない。しかしダイエー処理を有利に運ぶのが第一だった。こうしてダイエーが保有するローソン株を三菱商事に三〇パーセント以上売却したのは二〇〇一(平成一三)年二月のことだ。 実は私は、ダイエーの経営が問題になった当初から、水面下でダイエー創業者の中内㓛氏と極秘裏に会っていた。月に一回、ホテルの部屋で朝に一時間程度だ。当時すでに八〇代になっていた中内さんは二〇〇一(平成一三)年一月にトップの座を退いて表には出ていなかったが、ダイエーに対する影響力は隠然として残っていた。 中内さんが最初に社外からスカウトして社長に据えた人が流通畑ではない方だったこともあって、いくらその社長と話をしても、うまく進まなかった。そのため私は中内氏と接点を持つことにしたのだ。社長が高木氏に替わってからもそれは続いた。 話の内容を具体的に書くことはできないが、債権放棄後のダイエーにあってもなお経営の状況は厳しく、思い切ったビジネスモデルの転換が必要であることなどを話し合っていた。中内さんは私が頭取を退任した三ヵ月後、二〇〇五(平成一七)年九月に八三歳で亡くなった』、「西川」氏が「中内㓛氏と極秘裏に会っていた。月に一回、ホテルの部屋で朝に一時間程度だ」、というのは初めて知った。
・『私のどこが独断か  頭取最後の年となった二〇〇四(平成一六)年度は結局、下方修正の赤字転落となってしまった。ダイエー問題があった上に、旧三井銀行が主力だったカネボウの処理やフジタや熊谷組といった中堅ゼネコンの処理が重なった。頭取最後の決算が赤字となったこと自体は実に残念であるし、悔しい。しかし、これまでの私のバンカー人生を振り返れば、ある意味、私らしい幕引きだったのかもしれない。 政府の金融再生プログラムで定められたように、二〇〇三(平成一五)年度から〇四(平成一六)年度にかけて不良債権処理をやり切らなければ銀行は生き残れなかった。その結果として生じた赤字である。組織のトップの中には、過去の不良資産は自分で作ったものではない、自分が担当役員として出したものでもないとして、任期中の処理を避けて責任を回避するような人がいる。しかし私はどうしても自分の手で、長年にわたって難題として銀行を苦しめてきた不良債権処理に終止符を打ちたかったのだ。 赤字の責任を取った形の引責辞任ではないかとマスコミなどはさかんに報道したが、お門違いも甚だしかった。その一年前から頭取退任を心に決めていたからだけではない。不良債権の処理など、トップ自ら動かずとも担当者に任せて上から見ているだけにしておけば、そんなことを言われず無難に済んだかもしれないが、それでは下がついてこないだろう。自分が火の粉をかぶってでも、いまやらなければならないことを先送りせず、率先垂範、先頭に立ってやる。それを見て部下たちも進んで仕事をする。経営の責任者とはそういうものではないだろうか。 リーダーシップの要諦を理解しないマスコミの記者たちは、私のようにトップが自ら動くと「西川の独断」などと言って批判する。「西川プレミアム」という言葉にも、頭取の私がトップダウンで独断的にものごとを決める住友銀行は特別だという含意があったと思う。しかしそうではないのだ。行内で最初に言い出すのが、たまたま私だったというだけの話なのである』、「率先垂範」の姿勢は、欧米では当たり前だが、日本の殆どの銀行には欠けていたようだ。
・『ビッグビジネスこうして動く  世の中が順調で穏やかであれば、経営が保守的であることにも、それはそれで意味はあるだろう。ところが、私の頭取時代は外部環境が日々刻々変化していた時期だった。それに対応していくにはこちらも日々刻々の変化、スピードが要求される。組織が危機に瀕した際にはとりわけスピーディーな経営判断が必要になる。スピーディーにものごとを進めるためにはトップが率先して動くしかない。 これは世界の常識で、アメリカでもヨーロッパでも同じである。前の章で書いたような資本調達の協議ともなれば、ゴールドマン・サックスの会長が自ら交渉のテーブルに出てきて私と直接、話をするのだ。トップ同士がフェイス・トゥ・フェイスで向き合わなければ、本当の信頼関係は築けない。あの人は誠実に仕事をする、彼なら大丈夫だという信頼があるからビッグビジネスは動くのである』、「ゴールドマン・サックス」からの「資本調達」の条件が、余りに厳し過ぎるとの批判も一部にあったが、それが当時の「三井純友」の実力だったのだろう。

第三に、2月9日付けYahooニュースが転載したエコノミストOnlineのジャーナリスト、デモクラシータイムズ同人の山田厚史氏による「住友銀行を震撼させたイトマン事件で天皇「磯田会長」を退任に追い込んだ地味な頭取の67歳の決断」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/130b96b72dbf10cbd0c6318db0169a8cd39c9ecd?page=1
・『住友銀行(現・三井住友銀行)で頭取を務めた巽外夫氏が1月31日、老衰で死去した。大掛かりな不正経理が問題となった「イトマン事件」の処理を頭取として指揮した。マツダの再建にも尽力した。 ◇反社会勢力による支配との決別 「反社会的な勢力がうちの銀行を支配下に置こうとしたことが、今度の事件の本質です。影響力のある男を頭取にして、支配しようと考えていたのではないか」 不正経理が問題となった「イトマン事件」が一区切りついた1991年7月、頭取だった巽外夫さんは、事件を振り返ってこう語った。「暴力団による支配」とは穏やかではない。「書いていいか」と念を押すと、「私の名前は勘弁してください」。銀行を去ったとは言え、当事者はまだ周辺にいた。巽さんの念頭にあったのはある元副頭取だった。 1990年10月、仕手集団「光進」の経済犯罪に住友銀行青葉台支店(横浜市)が加担していたことが発覚した。 これを受け磯田会長が突如、辞任を表明。巽は面食らった。引責辞任なら、会長でなくまず頭取だろう。 意表を突いた辞任表明は「おまえも辞めろ」と言っているに等しい。後任の頭取を決めるのは「住友銀行の天皇」磯田である』、「「光進」の経済犯罪に住友銀行青葉台支店が加担」、そんな事件もあったのを思い出した。
・『◇“磯田子飼いの部下”が暗躍したイトマン事件  背景には「イトマンを巡る内紛」があった。 暴走するイトマンの河村良雄会長は住銀時代、磯田子飼いの部下だった。河村が不動産担当としてイトマンに呼びよせた伊藤寿永光常務は、反社会的勢力と関係する地上げ屋。磯田が溺愛する長女を取り込み、住銀中枢に食い込んでいた。 イトマン処理は住銀の懸案だが、磯田の権威が壁となっていた。銀行内の改革派からは、磯田を諫めることもできない頭取に苛立ちさえ出ていた』。
・『◇マツダ再建を果たした剛腕専務  巽さんに初めて会ったのは1980年、東洋工業(現マツダ)担当の専務の頃だった。 私は自動車担当記者で、マツダとフォードとの関係をメーンバンクである住銀から取材しようと磯田頭取を訪ねた。「巽専務に聞けばいい。今の社長は工場長みたいなもの。巽くんが実際の社長だ」と紹介してくれた。 言葉通り、巽さんは東洋工業の全権を握っていた。 フォードから出資を引き出し、石油ショックで沈んでいたマツダの再建を果たした。磯田―巽ラインの采配で復活したマツダの快進撃は住銀の収益に貢献していた』、確かに「マツダの再建」の手際は素晴らしかった。
・『◇“言うことを聞く頭取”を後釜に添えた  東京の常宿は芝のプリンスホテルで、夜回り取材はここのロビーだった。「地味で物静か、国際的な視野を持つ実務派」という雰囲気で、権力闘争が盛んな住銀で頭取を目指す人という印象は薄かった。 それが1987年、頭取に抜擢された。小松康雄頭取が2期4年を待たずに辞めたのは驚きだったが、後任が巽さんだったことは銀行内外で驚きをもって受け止められた。 磯田天皇が、意に沿わぬ小松頭取を外し、言うことを聞く巽を後釜に据えた人事と、言われた』、「巽」氏の「頭取」就任は確かに意外だった。
・『◇自分にとって「かわいい」が評価基準  磯田会長は、部下を評価する時「かわいい」という言葉をよくつかった。 物差しは3つ。仕事が「できるか、できないか」、性格が「明るいか、暗いか」、自分にとって「かわいいか、かわいくないか」 例えば「小松(頭取)はできる奴だが、暗い。私もどちらかと言えば暗い。暗い頭取が2代続いてしまってよかったのか」。夜回りで自宅を訪れると、そんな話をする。 小松頭取を「かわいくない」と暗に語っていた。 小松路線が気に入らないようだった。磯田がイトマンの河村社長を通じて進める平和相互銀行との合併に懐疑的で、国内より海外業務に力を入れていた。 そこで実務派で忠実な巽にお鉢が回ってきた』、なるほど。
・『◇「その筋とつながる」副頭取  「できる・明るい」で、頭取候補とされた玉井英二も「かわいくない」へと分類されていった。直言が嫌われた。 「できる・明るい・かわいい」と評されていたのが西貞三郎副頭取だった。支店長のころの部下で、磯田が引き立てた。イトマン処理でも磯田を支え、青葉台支店で事件化した光進の小谷氏とも繋がっていた。 事件の罪は支店長が全て被ったが、背後にいたのは西副頭取で「その筋とのつながり」が銀行内で噂されていた。 巽は、磯田が西に無防備であることを心配していた』、「「その筋とのつながり」が銀行内で噂されていた」のが「副頭取」とはやり闇世界との関係が少なからずあったようだ。
・『◇「磯田会長に引導」で決起した西川常務  イトマン処理は住銀上層部の亀裂を鮮明にした。 辞任を表明しながら人事権を握る会長に忖度する守旧派、「磯田会長に引導を」と動く玉井副頭取―西川善文常務ら改革派。巽は改革派に与しながらも「恩人磯田」に逆らえない。 そんななかで90年10月13日土曜、部長会が決起した。 西川の呼びかけで東京・信濃町の住友銀行会館に本部の部長たちが集まり、4時間かけてそれぞれが思いを語った。「磯田会長に退任を求める」と決議し、代表が大阪に向かい「連判状」を巽頭取に手渡した』、「西川常務」の「呼びかけで」「部長会」が「連判状」を巽頭取に手渡した」、ここまでドラマチックなことがあったとは初めて知った。
・『◇「恩人磯田」解任を決めた67歳の決断  「僕はその期待に添わなければならないね」と巽は西川に告げたという。巽が動き、3日後の16日、経営会議で磯田は会長から退いた。 同時に西副頭取の解任が決まった。西副頭取の排除は「住銀を守る」と決めた巽にとって欠かせない仕事だった。 67歳の10月13日は人生の転機となった。 頭取になっても「磯田の忠実な部下」だったが、呪縛は解け、住友銀行のトップに生まれ変わった』、「磯田」のような天皇の下では、後輩の役員は「磯田の忠実な部下」から出てこざるを得ないが、そこから弓を弾く人間も出てくるようだ。
・『◇地味な頭取を後任に選んだ思い  磯田が進めた「向こう傷は問わない」とする拡大路線の軌道修正に全力を注ぎ、93年に頭取の座を森川敏雄に譲った。森川も国際畑が長い実務派。巽と同様、下馬評に上がらなかった地味な頭取だった。「日頃は物静かでも危機に直面すると肝力を発揮する人がいる」と巽は森川を評したが、自らを語っているようにも思えた。
・『◇動乱期を引き継いだ西川氏も鬼籍に  巽が会長を退いた97年、西川善文が頭取に就任。その直後、山一証券の倒産、北海道拓殖銀行の破綻が起き、金融危機が火を噴いた。住銀はさくら銀行と合併し生き残りを図るなど銀行は再び動乱期に入る。 巽・森川時代は、バブルにまみれた住銀が不良債権の処理に追われた時期でもあった。住銀が得意とした違法すれすれの収益第一主義が反社会勢力の介在を許した反省から、穏やかな経営者が組織の傷を癒す「調整期」だった。磯田が築いた「収益ナンバー1銀行」の残滓を片付け西川に託す。それが住友銀行史での巽の役回りとなった。 磯田の流れをくむ果敢な経営に挑んだ西川も、一時代を築きながら、最後は不良債権処理で引責辞任した。巽はどんな思いで見守っていただろう』、「住友銀行」の徹底したやり方、そのブレの大きさ、などを改めて思い知らされた。
タグ:yahooニュース 住友銀行 現代ビジネス 山田厚史 エコノミストOnline バブル崩壊(その他) (『ザ・ラストバンカー』2:三井住友銀行・西川善文が対峙した、減らない不良債権と批判の目、『ザ・ラストバンカー』3:不良債権最後の山場「ダイエー危機」に三井住友銀・西川善文がとった策、住友銀行を震撼させたイトマン事件で天皇「磯田会長」を退任に追い込んだ地味な頭取の67歳の決断) 「ベスト書再読『ザ・ラストバンカー』2:三井住友銀行・西川善文が対峙した、減らない不良債権と批判の目」 「不良債権と寝た男」 公的資金注入に向けられる世間の批判の目 九二年の八月に、宮澤(喜一)総理から軽井沢の別荘に招かれた そこには三菱、第一勧銀など大手行の頭取が全員、顔を揃えていた 不良債権を処理するための金融機関への公的資金注入についてどう思うか、内々の相談のようなものだったんだ 宮澤首相は、軽井沢で開かれていた自民党の夏期セミナーで、「公的援助」という表現で公的資金投入に触れていた いくら損失計上しても不良債権は減らない 大蔵省の不良債権償却証明制度 ある債権に損失発生リスクがあるかどうかを決めるのは大蔵省の専権事項で、同省の認可をもらってはじめて銀行は会計上、無税償却が可能となる ほとんどの銀行では無税償却と並行して有税償却も行っていた。 有税償却とは簡単に言えば赤字処理だ。これをすれば処理のスピードは上がるが、当然ながら当期利益は減る 当期利益は減る。この赤字分を埋めるために、簿価の低い保有株式を売却し、売却益を計上してマイナス分を軽減する、いわゆる益出しをする必要 結果的には株式の評価替えのような効果が出てしまう。つまり、保有株式の簿価がそのたびに上がってしまう 銀行の赤字決算はタブー中のタブー 「ロクイチ国債問題」のときですら赤字決算は出していなかった 大蔵省も取得原価で評価することを認めると通達 それまでと同様に時価評価にしていた 「あえて赤字決算にしようと覚悟を決めた」、とはさすが大したものだ 市場心理を見きわめた慎重な判断 「赤字決算」への「業績予想の修正」の発表を、「阪神・淡路大震災」による「株式市場」への影響が多少落ち着くまで遅らせたというのは賢明だ 赤字決算で投資家が銀行株買い 住友の「赤字決算発表」までは、日本の銀行は実態を隠していると批判されていたので、「赤字決算発表」が前向きに捉えられたようだ 赤字金額を変えていなかったら…… 少しでもマーケットへの影響を少なくしようと、有税償却を減らし、益出しもして赤字額をかなり削っていた 赤字幅は三三〇〇億円であるけれども、実のところは五〇〇〇億円程度の赤字があった もっと実態の悪さを正直に発表していればと、「内心「しまった!」と思ったというのは、多くを望み過ぎだろう 「ベスト書再読『ザ・ラストバンカー』3:不良債権最後の山場「ダイエー危機」に三井住友銀・西川善文がとった策」 二兆五六〇〇億円もの金融債務 巨額の有利子負債がバブル崩壊や売上減によってダイエーを大きく蝕んでいた 土地神話に根ざしたビジネスモデル 難局には西川が打ってつけ 「産業再生機構」への持ち込みに賛成していたのは、「三井住友銀行」だけで、UFJ銀行などは反対していた。 「産業再生機構」は銀行側に債権放棄をさせ、財務面は立ち直ったが、肝心の事業面では「再生」できないまま、イオンの子会社化しただけに終わった ローソンという宝 実は私は、ダイエーの経営が問題になった当初から、水面下でダイエー創業者の中内㓛氏と極秘裏に会っていた。月に一回、ホテルの部屋で朝に一時間程度だ。 私のどこが独断か 「率先垂範」の姿勢は、欧米では当たり前だが、日本の殆どの銀行には欠けていたようだ。 ビッグビジネスこうして動く 「率先垂範」の姿勢は、欧米では当たり前だが、日本の殆どの銀行には欠けていたようだ 「ゴールドマン・サックス」からの「資本調達」の条件が、余りに厳し過ぎるとの批判も一部にあったが、それが当時の「三井純友」の実力だったのだろう 「住友銀行を震撼させたイトマン事件で天皇「磯田会長」を退任に追い込んだ地味な頭取の67歳の決断」 「光進」の経済犯罪に住友銀行青葉台支店が加担」、そんな事件もあったのを思い出した 磯田子飼いの部下”が暗躍したイトマン事件 マツダ再建を果たした剛腕専務 確かに「マツダの再建」の手際は素晴らしかった 言うことを聞く頭取”を後釜に添えた 「巽」氏の「頭取」就任は確かに意外だった 自分にとって「かわいい」が評価基準 その筋とつながる」副頭取 「「その筋とのつながり」が銀行内で噂されていた」のが「副頭取」とはやり闇世界との関係が少なからずあったようだ。 「磯田会長に引導」で決起した西川常務 「西川常務」の「呼びかけで」「部長会」が「連判状」を巽頭取に手渡した」、ここまでドラマチックなことがあったとは初めて知った 「恩人磯田」解任を決めた67歳の決断 地味な頭取を後任に選んだ思い 動乱期を引き継いだ西川氏も鬼籍に 「住友銀行」の徹底したやり方、そのブレの大きさ、などを改めて思い知らされた。
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