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金融業界(その15)(地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛 フィデアHDと東北銀 経営統合破談の舞台裏、地銀の大株主に出現「村上系ファンド」の腹づもり 株価がまるで冴えない地銀に示した3つの選択肢、みずほとソフトバンク、「情報銀行」の2つの誤算 個人の信用をスコア化する野心はなぜ躓いたか) [金融]

金融業界については、5月25日に取上げた。今日は、(その15)(地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛 フィデアHDと東北銀 経営統合破談の舞台裏、地銀の大株主に出現「村上系ファンド」の腹づもり 株価がまるで冴えない地銀に示した3つの選択肢、みずほとソフトバンク、「情報銀行」の2つの誤算 個人の信用をスコア化する野心はなぜ躓いたか)である。

先ずは、6月6日付け東洋経済オンライン「地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛 フィデアHDと東北銀、経営統合破談の舞台裏」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/594421
・『本業がじり貧に陥り、年々体力を低下させる「構造不況」が定着している銀行業界。一部の地域銀行では経営統合に踏み切ったものの、多くの地銀は依然として業務提携という名の“不可侵条約”を周囲の銀行と結び、自分たちの営業エリアを守ることに終始している。 6月6日発売の『週刊東洋経済』6月11日号では「瀬戸際の銀行」を特集。金融のデジタル化によって、銀行に求められる役割や存在感が急速に低下する中で、今後のあるべき姿とは何なのか。模索を続ける銀行業界の実情に迫った』、興味深そうだ。
・『フィデアHDに君臨する「最高権力者」  「真摯に協議を進めたものの、互いの戦略を理解し、共有することができなかった」 2022年2月、東北銀行の村上尚登頭取は岩手県盛岡市で記者会見し、フィデアホールディングスとの経営統合の基本合意を解消すると硬い表情で発表した。 その半年余り前、村上氏は「本業利益を拡大させていくには、提携から一歩踏み込んで(フィデアと)合流する必要がある」とまで言い切っていた。にもかかわらず、いったいなぜ“婚約破談”に至ったのか。 その背景を探る中で見えてくるのは、“みずほ”の影だ。 そもそも、荘内銀行(山形県鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つフィデアと東北銀は、2018年に包括業務提携を結んで、ATMの利用手数料を相互に無料化するなど、連携を深めてきた。 その一方で、東北地方では2021年5月、青森銀行とみちのく銀行が経営統合で基本合意したと発表し、地方銀行再編の大きなうねりが生まれていた。 その動きに触発されたかのように、2カ月後の21年7月に東北銀は拙速ながらも、フィデアとの経営統合交渉に踏み切ったわけだ。 東北銀の幹部によると、「銀行業に対する価値観がフィデアとはまったく違うので、(統合交渉は)当初から破談への不安が強かった」という。  実際にその予感は的中した。顧客情報などをフルに活用した広域での営業体制を志向するフィデアと、地元の中小企業に密着した金融サービスを貫く東北銀とでは、当初からなかなか話がかみ合わなかったのだ。それでも、東北銀の村上氏はフィデア側に「何とか歩み寄ろうと試行錯誤していた」(前出の幹部)という』、カルチャーの違いを無理に乗り越えようとせず、慎重になったのは正解なのかも知れない。
・『”上から目線”の取締役会議長  「理解できない」。2022年に入ると、村上氏はフィデアについて周囲にそう漏らすようになる。 その言葉はフィデアという会社に対してだけでなく、かつてみずほ銀行頭取を務め、現在はフィデアの社外取締役を務める西堀利(さとる)氏に対してのものでもあった。 フィデアの関係者によると、西堀氏は「村上氏に、銀行業のあり方などをかなり“上から目線”で説くようなことがあった。そうした姿勢を含めて、こういう人間がいる銀行とは組めないとなったのではないか」と話す。 とはいえ村上氏としては、口うるさい一人の社外取の発言に、いちいち神経質になっていたわけではないだろう。 フィデアにとって西堀氏は「取締役会議長であり、指名委員会の委員長も務め、旧富士銀行出身の田尾祐一社長の先輩でもある、まさに“最高権力者”」(フィデアの関係者)なのだ。 その最高権力者の考えや方針を理解できなければ、経営統合など当然ありえないわけだ。 その西堀氏は、6月の株主総会を経て社外取から非業務執行の社内取締役に移る見通しだ。まさか指名委員会の委員長として、自らの人事案の決議に参加してはいないだろうが、ガバナンス上はたして問題はないのか。 企業統治に詳しい川北英隆・京都大学名誉教授は、西堀氏が2015年からフィデアの社外取を務めていることから「社内取に移るのであれば、もっと早い段階が適切だった。自らの人事の議論に参加しなかったとしても、影響を及ぼしたとみるのが普通で、透明性のきわめて低い人事だ」としている』、「フィデアにとって西堀氏は「取締役会議長であり、指名委員会の委員長も務め、旧富士銀行出身の田尾祐一社長の先輩でもある、まさに“最高権力者”」、それが「社内取に移る」というのは、確かに「透明性のきわめて低い人事だ」。
・『トラウマの経営統合  みずほ銀出身者によって再編が進まないという事例は、ほかにもある。静岡銀行と名古屋銀行の経営統合を前提としない包括業務提携が、まさにそうだ。 名古屋銀を提携に駆り立てたのは、2021年12月に発表された愛知銀行と中京銀行の経営統合だ。両行が組めば、貸出残高で愛知県トップの座を「愛知+中京」連合に譲り渡すことになる。 両行の最終合意発表が翌月に迫っていた2022年4月27日、名古屋銀は地銀上位行である静岡銀との包括業務提携を発表。製造業が多い静岡と愛知において両行の企業支援の知見・ノウハウを共有し、環境規制など産業構造の変化に対応していく狙いだと説明した。 名古屋銀の藤原一朗頭取は、記者会見で「愛知銀と中京銀の経営統合を意識したのか」と問われると、「ありません」と一蹴し、それ以上言葉を続けなかった。 ただ、経営統合はしないという方針について質問されると、途端に「前職時代に経営統合を経験した。現場にいて大変だったという思いがある」と生々しい記憶を吐露したのだ。 藤原氏の「前職」は日本興業銀行で、「大変だった経営統合」とは、3つの母体銀行による内部抗争とシステム障害を繰り返してきた、みずほ銀のことである。 経営統合や合併が、経営陣や現場の行員にどれだけの苦しみをもたらすのか。藤原氏の20年越しの思いからは、それが垣間見えるようだった』、「名古屋銀の藤原一朗頭取」には、「みずほ」時代の「経営統合」の「苦しみ」の経験があり、それが「愛知銀と中京銀の経営統合」をしないという「方針」につながった可能性がある。やはり「地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛」であることは間違いないようだ。

次に、6月24日付け東洋経済オンライン「地銀の大株主に出現「村上系ファンド」の腹づもり 株価がまるで冴えない地銀に示した3つの選択肢」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/598886
・『地方銀行の経営者にとって決して無視できない動きだろう。 村上ファンド系の投資会社であるシティインデックスイレブンス(以下シティ)が、地銀に触手を伸ばしている。 5月24日に公表された、山梨中央銀行の株主総会招集通知。大株主の欄に、1.92%の株式を保有する第7位の大株主としてシティの社名が記載されている。5月30日に公表された滋賀銀行の招集通知にもシティが登場した。1.67%を保有する第9位の大株主だ。 これ以外にも東洋経済の調査で、シティはさらに3つの地銀の株式を保有していることがわかった』、物言う株主(アクティビスト・ファンド)がいよいよ「地銀に触手を伸ばしている」時代に入ったようだ。
・『財務体質は優良だが、株価水準は著しく低い  1つ目は長野県を地盤とする八十二銀行。シティは1.36%を保有する13位の大株主だ。2つ目は秋田銀行で、0.94%保有し同じく13位に位置する。最後は東京きらぼしフィナンシャルグループ(以下、きらぼし)。保有比率は1%で、こちらは12位だ。 東洋経済の調査によると2021年9月末時点で大株主にシティの名前がなかったことから、地銀への投資は最近になって開始したようだ。 シティが投資した地銀は、自己資本比率の高さが目立つ。全国地方銀行協会によれば、地銀平均の自己資本比率は国内基準行で9.92%、国際統一基準行で14.23%。きらぼしを除く4行は、平均値を超える財務基盤を誇っている。 株価も著しく安い。PBR(株価純資産倍率)は0.1~0.2倍台と、解散価値の目安である1倍を大きく割っている。割安に放置された株式を取得して余剰資本を生かした株主還元を要求し、株価を向上させる出口戦略をとりうるだろう。 シティの狙いは株価水準以外にもありそうだ。東洋経済の取材に対して、村上世彰氏はこう話す。「(機関投資家である)生命保険会社が、地銀の株式を売り始めた。安定株主を失えば、株式市場と向き合わざるをえなくなる」 地銀の大株主として名を連ねながらも、株式の売却を進めているのが日本生命保険だ。 2020年度末時点で八十二銀行株を1700万株保有していたが、2021年度末には1360万株に減少。同様に秋田銀行株も、保有株式数が1年間で62.5万株から43.7万株に減った。安定株主の存在感が低下すれば、シティのようなモノ言う株主の声が通りやすくなる』、「生命保険会社が、地銀の株式を売り始めた。安定株主を失えば、株式市場と向き合わざるをえなくなる」、上場地銀にとっては、悩みの種が増えたことになる。
・『なぜ、きらぼし銀行の株式を保有しているのか  一方で、5つの地銀の中で特異なのがきらぼしだ。自己資本比率は5行で唯一、地銀の平均値(9.92%)を割っており、株主還元を一層強化する余地は限られる。ある地銀役員は「再編を期待した投資だろう」と指摘する。 シティには再編をめぐる「成功体験」がある。昨年にSBIホールディングスがTOB(株式公開買い付け)を行った新生銀行だ。シティはTOBの進捗と並行して新生銀株を買い進め、12月には共同保有者と合わせた保有比率が9.16%にも達した。その後TOBの成立を受け、シティは全株式をSBIに売却した。 銀行業界初となる敵対的買収が成立したことについて、村上氏は「金融庁もマーケット中心主義へと舵を切った」と評価する。企業価値向上に資するなら、金融庁は再編を推奨すると見ている。 きらぼしの再編相手としては、横浜銀行と東日本銀行を傘下に持つコンコルディア・フィナンシャルグループが考えられる。折しも、昨年8月にはストラクチャードファイナンスなどの分野において、きらぼし銀行とコンコルディア傘下の横浜銀行が業務提携を発表した。 きらぼし銀と東日本銀は同じ東京都が地盤で、両者の再編観測は浮かんでは消えを繰り返している。仮に再編が成就すれば、シティにとっては新生銀行に次ぐ「二匹目のどじょう」となる。 シティによる株式保有で何が起こりうるのか。村上氏は地銀株の保有についてこう述べた。 「地銀には3つの選択肢がある。1つ目は合併や買収が起こりうること。2つ目は非上場化すること。3つ目は企業価値を上げること」 今回投資対象となったある地銀は「すでにシティと接触を図っている」と話す。目をつけられた以上、地銀は何らかの対応に動かざるをえないだろう。少なくとも「3つの選択肢」はいずれも難路だ。 全国地方銀行の2021年度決算を徹底分析したランキングはこちら。 ■地銀99行「衰弱度」総合ワーストランキング ■地方銀行、頭痛の種となっている「3大リスク」 ①有価証券評価損益ワーストランキング  ②保証依存度ワーストランキング  ③自己資本率ワーストランキング』、「今回投資対象となったある地銀は「すでにシティと接触を図っている」と話す。目をつけられた以上、地銀は何らかの対応に動かざるをえないだろう。少なくとも「3つの選択肢」はいずれも難路だ」、地道に業績を上げるのが王道だろう。

第三に、8月15日付け東洋経済オンライン「みずほとソフトバンク、「情報銀行」の2つの誤算 個人の信用をスコア化する野心はなぜ躓いたか」を紹介しよう。
・『みずほとソフトバンクの合弁会社が苦境に立たされている。国内初のフィンテックサービスが軌道に乗らない理由はどこにあるのか。 6月末、ある企業の決算公告が業界紙にひっそりと掲載された。2022年3月期決算では15億円の最終赤字を計上。バランスシートは負債199億円に対して純資産はわずか5億円と債務超過寸前だ。懐事情が苦しい企業の正体は、みずほ銀行とソフトバンクが設立した「J.Score」(Jスコア)だ。 2016年11月に設立されたJスコアは、フィンテックを活用した個人向け融資を手がける。AIを用いた独自の審査技術を武器に、金融機関の審査が通らない個人に対しても、低い貸し倒れリスクで融資を行うことが特徴だ。設立に先立つ記者会見ではみずほ・ソフトバンク両グループのトップが登壇し、旧来のリテール業務に風穴を開ける画期的なビジネスだと印象づけた。 だが、当初の期待とは裏腹に、Jスコアは6期連続で最終赤字を計上。累積赤字は2022年3月末時点で200億円を超えた。当初抱いた野望に対して2つの誤算が生じ、Jスコアはいまだ足踏みを続けている』、「Jスコアは、フィンテックを活用した個人向け融資」、として設立時には大いに注目された。
・『貸し出しの範囲を広げたい  「今までとはまったく違う、レンディングの世界を作りたい」。2016年9月、Jスコアの設立に先立ち行われた記者会見。みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長(当時)は、Jスコアの革新性をそう力説した。同じく登壇したソフトバンクグループの孫正義社長も「このジョイントベンチャー(合弁事業)には非常に期待している」と熱弁していた。 Jスコアの融資は個人向け・無担保・使い道自由。個人情報を基にAIが算出した「スコア」を基に、金利や借り入れ可能額が決まる。 銀行のフリーローンや消費者金融と異なるのは、旧来型の審査基準でははじかれてしまう顧客の発掘だ。収入や借り入れ状況といった信用情報のみならず、学歴や居住形態、資産背景、そして性格に至るまで多面的な属性をAIが分析。現時点での与信が低くとも、将来の成長が見込めれば融資を受けられる点をうたっていた。 2017年9月にサービスを開始し、半年後の2018年3月末時点でスコア取得者数は13万件。貸付極度額は35億円と、みずほ銀内部の計画対比で2倍の進捗をたたき出した。2019年3月末にはスコア取得者数は52万件、貸付極度額は193億円とさらに伸長。一見、事業は好調かに思われた。 ところが、Jスコア自身の業績は上向く気配を見せなかった。2019年3月期決算は47億円の最終赤字を計上。翌2020年3月末時点でのスコア取得者数・貸付極度額はそれぞれ120万件・335億円と躍進した一方、2020年3月期決算の最終赤字は63億円とさらに膨れ上がった。 背景にあるのが、積極的な広告宣伝だ。Jスコアはサービス開始当初からテレビやネット、公共交通機関などあらゆるメディアに広告を打ち、知名度向上と顧客の囲い込みに奔走した。結果、貸し出しによる利息収入を広告宣伝費が上回り、営業利益段階から恒常的な赤字に陥っていた。 痛手だったのは、広告費の回収フェーズに入った矢先にコロナ禍に見舞われたことだ。「借り入れ需要が減退してしまった」(同社広報)ことで、右肩上がりだったスコア取得者数や貸付極度額に急ブレーキがかかった。2022年3月期決算では赤字額が縮小しているが、これは広告費を絞ったため。肝心の売上高はむしろ減少している』、「スコア取得者数・貸付極度額はそれぞれ120万件・335億円と躍進」したが、「利息収入を広告宣伝費が上回り、営業利益段階から恒常的な赤字」、「痛手だったのは、広告費の回収フェーズに入った矢先にコロナ禍に見舞われたことだ。「借り入れ需要が減退してしまった」・・・ことで、右肩上がりだったスコア取得者数や貸付極度額に急ブレーキがかかった」、確かに不運だ。
・『進まぬ「情報銀行」構想  もう1つの誤算は、貸出利息に並ぶ収益柱である、利用者の個人情報を第三者に提供する「情報銀行」事業の停滞だ。 Jスコアは利用者の信用力を1000点満点で評価する。現時点での与信のほか、個人情報を任意で提供するほどスコアが上昇し、極度額の引き上げや金利優遇が受けられる。住居や家族構成をはじめ、語学力、保有資格、趣味、さらには性格診断に至るまで質問項目は100を超える。 利用者の同意を得たうえで、Jスコアは収集した情報をマーケティング材料として企業に提供し、対価を得る構想を練っていた。2019年12月に業界団体より「情報銀行」の認定を受け、2020年度にもデータ提供を開始する手筈だった。だが、認定を取得してから2年以上経った記事執筆時点でも、サービスは開始されていない。 遅れの一因とみられるのが、収集した個人情報の取り扱いルールが詰めきれていなかったことだ。総務省および経済産業省は2017年より、情報銀行のあり方を議論する検討会を断続的に開催。2018年6月に情報銀行の認定要件が策定された。だが、個人情報の運用方針や提供先の選定基準などは持ち越しとなった。 2021年11月に開かれた検討会には、Jスコアの担当者も参加。データ分析を通じて個人の趣味嗜好や信用力を予測し、分析結果を第三者に提供する際の留意点について議論が交わされた。 2022年6月に最新の指針が公表され、取り扱いの方針に一端の決着を見た形だ。総務省の担当者は「これまでは明確な指針がなく(個人情報の活用に)慎重だった情報銀行も、できるようになるのでは」と話す。 踊り場を迎えたままのJスコアを、親会社であるみずほ銀とソフトバンクは座視し続けるのか。 株主資本の変動から推測するに、Jスコアは過去4回、みずほ銀とソフトバンクから増資を受けている。創業当初の資本金および資本準備金計50億は3年も持たずに溶け、両社は2018年度に合わせて50億円の増資を引き受けた。 その後もJスコアは増資を重ね、2021年3月期には資本金と資本準備金の合計は200億円に膨らんだ。なお、Jスコアは資本欠損を解消するため、今年2月、資本金を99億円、資本準備金を100億円取り崩すと発表している。 度重なる追加出資に応じた理由は、Jスコアの財務改善だけではない。貸金業法は、貸金業者は純資産額を常時5000万円以上に保つことを定めている。赤字が続くJスコアが融資を続けるには、親会社は否応なく増資を引き受ける必要があった。 Jスコアの業績が短期的に黒字化する見込みは薄く、業務を続けるためにはみずほ銀とソフトバンクGは今後も追加出資を余儀なくされる可能性が高い。Jスコアの業績を反転させるべく、親会社の顧客網を活用したテコ入れ策を検討しているようだ』、「総務省および経済産業省は2017年より、情報銀行のあり方を議論する検討会」、「2022年6月に最新の指針が公表され、取り扱いの方針に一端の決着を見た形だ。総務省の担当者は「これまでは明確な指針がなく(個人情報の活用に)慎重だった情報銀行も、できるようになるのでは」と話す」、「指針」「公表」が遅れたのは大問題だ。ただ、それが決まる前に、それ抜きでとりあえず「Jスコア」を八足させたのも問題だった。
・『個人情報の利用に抵抗感  現状のJスコアは審査基準の違いこそあれ、同業の銀行やノンバンクと同じく無担保ローンの提供にとどまる。本丸である情報銀行が稼働しなければ、点数化した信用力は宝の持ち腐れだ。 ある金融機関関係者は「日本では情報銀行が普及する土壌が乏しい」と指摘する。中国ではアリババの「芝麻信用」が算出するスコアが社会インフラと化しているが、急速な普及の背景にあるのが、クレジットカードのような信用力の物差しが普及しておらず、個人情報活用に対して国民の抵抗感が薄かったことだ。 翻って、国内では2020年8月に「Yahoo!スコア」がサービスを終了した。同サービスは2019年6月に発表。ヤフーIDにひもづいた個人情報やネット通販の購買履歴、クレジットカードの決済動向などから利用者の信用力をスコア化し、外部企業に提供することを企図していた。だが、利用者からの反発を受け、約1年でサービスの終了を余儀なくされた。 今後Jスコアが軌道に乗るかどうかは、日本における情報銀行そのものの成否をも左右する』、「国内では2020年8月に「Yahoo!スコア」が」、「「利用者からの反発を受け、約1年でサービスの終了を余儀なくされた」、とは初めて知った。やはり「日本では情報銀行が普及する土壌が乏しい」のが確かなようだ。「Jスコア」が苦境をどう乗り切っていくかが注目される。
タグ:カルチャーの違いを無理に乗り越えようとせず、慎重になったのは正解なのかも知れない。 東洋経済オンライン「地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛 フィデアHDと東北銀、経営統合破談の舞台裏」 (その15)(地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛 フィデアHDと東北銀 経営統合破談の舞台裏、地銀の大株主に出現「村上系ファンド」の腹づもり 株価がまるで冴えない地銀に示した3つの選択肢、みずほとソフトバンク、「情報銀行」の2つの誤算 個人の信用をスコア化する野心はなぜ躓いたか) 金融業界 「フィデアにとって西堀氏は「取締役会議長であり、指名委員会の委員長も務め、旧富士銀行出身の田尾祐一社長の先輩でもある、まさに“最高権力者”」、それが「社内取に移る」というのは、確かに「透明性のきわめて低い人事だ」。 「名古屋銀の藤原一朗頭取」には、「みずほ」時代の「経営統合」の「苦しみ」の経験があり、それが「愛知銀と中京銀の経営統合」をしないという「方針」につながった可能性がある。やはり「地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛」であることは間違いないようだ。 東洋経済オンライン「地銀の大株主に出現「村上系ファンド」の腹づもり 株価がまるで冴えない地銀に示した3つの選択肢」 物言う株主(アクティビスト・ファンド)がいよいよ「地銀に触手を伸ばしている」時代に入ったようだ。 「生命保険会社が、地銀の株式を売り始めた。安定株主を失えば、株式市場と向き合わざるをえなくなる」、上場地銀にとっては、悩みの種が増えたことになる。 「今回投資対象となったある地銀は「すでにシティと接触を図っている」と話す。目をつけられた以上、地銀は何らかの対応に動かざるをえないだろう。少なくとも「3つの選択肢」はいずれも難路だ」、地道に業績を上げるのが王道だろう。 東洋経済オンライン「みずほとソフトバンク、「情報銀行」の2つの誤算 個人の信用をスコア化する野心はなぜ躓いたか」 「Jスコアは、フィンテックを活用した個人向け融資」、として設立時には大いに注目された。 「スコア取得者数・貸付極度額はそれぞれ120万件・335億円と躍進」したが、「利息収入を広告宣伝費が上回り、営業利益段階から恒常的な赤字」、「痛手だったのは、広告費の回収フェーズに入った矢先にコロナ禍に見舞われたことだ。「借り入れ需要が減退してしまった」・・・ことで、右肩上がりだったスコア取得者数や貸付極度額に急ブレーキがかかった」、確かに不運だ。 「総務省および経済産業省は2017年より、情報銀行のあり方を議論する検討会」、「2022年6月に最新の指針が公表され、取り扱いの方針に一端の決着を見た形だ。総務省の担当者は「これまでは明確な指針がなく(個人情報の活用に)慎重だった情報銀行も、できるようになるのでは」と話す」、「指針」「公表」が遅れたのは大問題だ。 「総務省および経済産業省は2017年より、情報銀行のあり方を議論する検討会」、「2022年6月に最新の指針が公表され、取り扱いの方針に一端の決着を見た形だ。総務省の担当者は「これまでは明確な指針がなく(個人情報の活用に)慎重だった情報銀行も、できるようになるのでは」と話す」、「指針」「公表」が遅れたのは大問題だ。ただ、それが決まる前に、それ抜きでとりあえず「Jスコア」を八足させたのも問題だった。 「国内では2020年8月に「Yahoo!スコア」が」、「「利用者からの反発を受け、約1年でサービスの終了を余儀なくされた」、とは初めて知った。やはり「日本では情報銀行が普及する土壌が乏しい」のが確かなようだ。「Jスコア」が苦境をどう乗り切っていくかが注目される。
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決済(その9)(5 年後の約束手形の利用廃止について 資金手当ての役割は薄れ手形残高は 30 年前の 4 分の1に、急成長する「後払い決済サービス」1兆円市場の死角は? 増える消費者トラブル、「Paidy」って何だ?見知らぬサービスから怪しい認証コードが届く裏話、これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口 法の抜け穴を突いた"後払い現金化"のカラクリ) [金融]

決済については、1月4日に取上げた。今日は、(その9)(5 年後の約束手形の利用廃止について 資金手当ての役割は薄れ手形残高は 30 年前の 4 分の1に、急成長する「後払い決済サービス」1兆円市場の死角は? 増える消費者トラブル、「Paidy」って何だ?見知らぬサービスから怪しい認証コードが届く裏話、これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口 法の抜け穴を突いた"後払い現金化"のカラクリ)である。

先ずは、昨年3月4日付け大和総研が掲載した金融調査部 主任研究員 鈴木文彦氏による「5 年後の約束手形の利用廃止について 資金手当ての役割は薄れ手形残高は 30 年前の 4 分の1に」の要約部分を紹介しよう。
https://www.dir.co.jp/report/research/capital-mkt/securities/20210304_022129.pdf
・『 5 年後(2026 年)の約束手形の利用廃止を目指し、政府は「約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画」の策定を産業界、金融界に求める方針だ。去る 2 月 19 日に取りまとめられた中小企業庁「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会」を受けた経済産業大臣記者会見で明らかになった。背景には下請取引の適正化、金融のデジタル化・ペーパーレス化の社会的な要請がある』、興味深そうだ。
・『 すでに支払手形は残高ベースで 30 年前の 4 分の 1 に落ち込んでいる。振出、受取、振出の連鎖の源流にある建設業で手形払いが減少した。企業単位でみれば手形払いから現金払いへの切り替えは資金不足要因となるため、5 年後の全面廃止に向けては個々の企業の資金手当てが課題となる。もっとも、コロナ禍による不確実性はあるが 30 年前に比べ借入余力があることからその程度は大きくないと思われる』、「支払手形は残高ベースで 30 年前の 4 分の 1 に落ち込んでいる」、とはいうものの、「4 分の 1」も残っているともいえる。今後、金融界の姿勢はまだハッキリしないが、慎重に検討してほしいものだ。

次に、本年1月22日付け日刊ゲンダイが掲載した金融ジャーナリストの小林佳樹氏による「急成長する「後払い決済サービス」1兆円市場の死角は? 増える消費者トラブル」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/300262
・『今年前半にも市場規模が1兆円に乗ると予想される新興ビジネスがある。クレジットカードを使わずに、オンラインで買い物ができる「後払い決済サービス」だ。 同サービスは、インターネット通販(EC)で商品を購入し、商品が届いた後、2週間から1カ月程度の間に紙の請求書やスマホアプリに届くバーコードを使ってコンビニや銀行などで代金を支払う仕組みだ。 「衣料品や食品などの物販のほか、旅行代金やオンラインゲームの課金サービスも対象で、クレジットカードを持たない若者層を中心に急速に利用額を伸ばしています」(メガバンク幹部)という。 昨年10月に米ペイパルが3000億円で買収したペイディや、同12月15日に東証1部に上場したネットプロテクションズホールディングスは最大手の事業者として知られる。 だが、代金の精算を翌月1回払い(マンスリークリア)のみとしている業者が大半で、割賦販売法の適用除外となっていることもあり、市場規模の拡大とともに消費者トラブルも増えている。「国民生活センターには利用者の支払い能力を超えて決済が行われているケースや事業者が問い合わせに十分な対応をとってくれないといった苦情が多く寄せられているようです」(前出のメガバンク幹部)という』、興味深そうだ。
・『業界団体を設立して自主ルールを策定予定  また、後払い決済サービス事業者はEC事業者(加盟店)の売り上げを立て替え、請求書の発行や代金回収を行うことで、加盟店から2~5%程度の手数料を得ているが、「収益を伸ばすため、クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見される」(前出のメガバンク幹部)という。このため大手後払い決済サービス事業者は昨年5月に、「日本後払い決済サービス協会」なる業界団体を設立し、今年早々にも加盟店審査に関する自主ルールを策定する予定だ。 急速に市場規模を拡大する後払い決済サービスだが、割賦販売法の網のかからない新興ビジネスだけに事業者は玉石混交だ。過度に規制を強 化すれば伸び盛りの市場に水を差す。しかし、消費者トラブルが大きく社会問題化したのでは後の祭りとなるジレンマを抱えている』、「クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見される」、のは大いに問題だ。「消費者トラブルが大きく社会問題化したのでは後の祭りとなるジレンマを抱えている」、やはり「消費者トラブル」を「社会問題化」させないような工夫が必要だろう。

第三に、3月11日付けダイヤモンド・オンライン「「Paidy」って何だ?見知らぬサービスから怪しい認証コードが届く裏話」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/298716
・『先日、スマートフォンに知らない番号からSMSが届きました。「【Paidy】認証コードはxxxxです。ログイン画面にご入力ください」。しかし認証コードを届くようなことはしていないし、ログイン画面のURLも書かれていないのです。いったいどうしろと……?』、怪しい誘導だ。
・『見知らぬ名前のサービスからSMSで認証コードが届いた  先日、スマートフォンに見慣れない電話番号からSMS(テキストメッセージ)が届いた。文面は「【Paidy】認証コードはxxxxです。ログイン画面にご入力ください。」というものだ(xxxxは4桁の数字)。 二段階認証の確認のような文面だが、そもそもこの【Paidy】というサービスを使ったことがない。ログイン画面に入力というが、入力するURLもない。 何だろうと思って調べたところ、Paidy(ペイディ)とは「メールアドレスと携帯電話番号だけでお買い物ができる」という触れ込みのキャッシュレス決済サービスだった。AmazonやQoo10など複数のECサイトで使うことができ、使った分は翌月にまとめてコンビニ払いなどで支払う。iPhoneを分割手数料0%で購入できるというプランもあるという。どうやら、クレジットカードを持っていなくても、クレジットカード的な使い勝手を手軽に実現するというコンセプトのサービスのようだ。 Paidyの利用方法(PaidyはECサイトで使える“後払いサービス”。メールアドレスと携帯電話番号だけで決済ができるという 似た名前で「ペイジー」という決済サービスもあるので一瞬それかと思ったのだが、まったくの別物。決済系のサービスは「ペイなんとか」という名前が多いので、探せば他にも似た名前のサービスがありそうな気がする。実に紛らわしい……』、よくぞここまで、いい加減な誘い文句を考えるものだ。
・『SMSの文面はさまざまなパターンがある  「誰かが何かをオンラインで買おうとして、間違えて私の電話番号を入力したのだろうか」とも思ったが、それなら認証番号が届かないから気が付いてやりなおすはずだ。念のためと思ってTwitterで検索してみると、「Paidyを使っていないのにSMSで認証コードが届いた」と気味悪がっている人がたくさんいた。怪しい。 私が受け取ったSMSはやはり不審なものだったようだ。調べてみると、文面は私が受け取ったもののほかにも数種類あり、 ・Paidy 決済認証番号: xxxx を Paidy(ペイディー)の画面に入力すると、こちらの電話番号で決済手続きがおこなわれます。 ・【Paidy】ペイディのお支払い方法に問題があります、更新してください https://~ ・【Paidy】お使いのアカウントを一時的に停止しました, ご確認が必要ですhttps://~ といった、特定のURLに誘導するものもある。 SMSではなく、メールが届いている人も多数いるようだ。こちらはSMSと同様の文面のものに加えて、 ・「Paidyご利用確認のお願い」と称して、カード利用の一時制限を行いカードの利用確認をさせる ・「利用制限解除の手続き」と称してアカウントの再設定を行うことを誘導する など、さらにバリエーションが豊か(?)だった。 Paidyも認識はしているようで、公式サイトには「ペイディを利用していないのに認証コードのSMSを受信された方」「ペイディを装った不審なメール・SMSについて」という注意喚起のページができている。 対処法としては、原則「無視」。気持ち悪いが、せいぜい届いたSMSやメールを削除する、送信元の電話番号をブロックするくらいしかできない。間違っても、SMSやメールに書かれたリンクに飛び、誘導された通りに個人情報を入力したり、支払いをしたりといったことがないようにしてほしい』、「対処法としては、原則「無視」。気持ち悪いが、せいぜい届いたSMSやメールを削除する、送信元の電話番号をブロックするくらいしかできない」、「気持ち悪いが」、しょうがないようだ。
・『典型的なフィッシング詐欺  PaidyをかたるSMSやメールは、2021年12月ごろに急増したがいったん減少、そして今年に入ってまた増えている。フィッシング対策協議会が21年12月27日に「緊急情報」を出していた。 https://www.antiphishing.jp/news/alert/paidy_20211227.html 手口を見ると典型的なフィッシング詐欺で、SMSやメールに書かれているURLは偽物。Paidyのログイン画面を装った偽のWebサイトに誘導し、メールアドレスや携帯電話番号を入力させて個人情報を抜くのが目的のようだ。 実行者は日本人ではいのか、メールの文面で「カード」が「カド」になっていたり、送信元が「ペンディ」「パイディ」などとなっていたりと、ずさんなメールも多くある。URLが【http://paily~】や【http://paidyi~】となっているなど、よく見ると見破れるものもある。 基本的な対応は「信用しない」ことだ。このサービスを使っていないのであれば上述の通り無視する、ユーザーであれば専用アプリや、MyPaidyのURLからログインする、といった対応をし、SMSやメールからURLにアクセスしないことをおすすめする』、「典型的なフィッシング詐欺」のようだが、大いに気をつけたいものだ。

第四に、7月28日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの森岡 英樹氏による「これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口 法の抜け穴を突いた"後払い現金化"のカラクリ」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/59992
・『クレジットカードを持たないZ世代の間で人気上昇中  新興サービスには必ずといっていいほど、それを悪用して暴利をむさぼろうとする者が現れる。急成長しているクレジットカードを使わずにオンラインで買い物ができる「後払い決済サービス」(BNPL)もそのひとつだ。 同サービスは、インターネット通販(EC)で商品を購入し、商品が届いた後、2週間から1カ月程度の間に紙の請求書やスマホアプリに届くバーコードを使ってコンビニや銀行などで代金を支払う仕組みだ。衣料品や食品などの物販のほか、旅行代金やオンラインゲームの課金サービスも対象で、クレジットカードを持たない若者層を中心に急速に利用額を伸ばしている。 海外では、昨年10月に米PayPal(ペイパル)が3000億円で買収したPaidy(ペイディ)が代表格で、日本では昨年12月15日に東証1部に上場したネットプロテクションズホールディングスが最大手の事業者として知られる。とくに米国では、クレジットカードを持たない若者層を中心に急速に普及しており、いわゆる「Z世代」と呼ばれる層の約4割はBNLPを利用しているというデータもある』、興味深そうだ。
・『「錬金術」でそそのかし、暴利を取る悪質業者も  だが、代金の清算を翌月1回払い(マンスリークリア)のみとしている業者が大半で、割賦販売法の適用除外となっていることもあり、市場規模の拡大とともに消費者トラブルも増えている。「2020年の改正割賦販売法で後払い類似サービスに関する規制が定められたのですが、後払い期間が2カ月以内の場合、割賦販売法の規制を受けないことになっています」(メガバンク幹部)というのが理由だ。 例えば、国民生活センターには利用者の支払い能力を超えて決済が行われているケースや事業者が問い合わせに十分な対応をとってくれないといった苦情が多く寄せられているという。中でも懸念されるのは、今回紹介するような「錬金術」で消費者をそそのかし、利ザヤを稼ぐ悪質業者の存在である』、どんな「錬金術」があるのだろう。
・『「ブラックリスト入り」でも即現金化が可能  「いわゆる後払い(ツケ払い)現金化に要注意!」(日本貸金業協会、財務局、金融庁、警察庁、消費者庁は連携で、こうした注意喚起を行っている。モデルケースとされる事例は次のようなものだ。 ①利用者はスマホで後払い決済業者に商品を申し込む。②後払い決済サービス業者は利用者が金融取引でブラックリストに登録されていても利用可能なこと、商品とともにキャッシュバック名目などで金銭を利用者に支払うが、これは利用にとって借金(借り入れ)でないことを伝える。③利用者は商品の代金を後払いする――というフローだ。 この後払い(ツケ払い)現金化の特徴は、形式的には後払いによる商品売買だが、商品代金の支払いに先立ち、商品の購入者が金銭を受け取ること。商品の価値と販売価格が必ずしも見合っておらず、顧客も商品を購入することを目的にしていないことで、キャッシュバック・レビュー報酬名目や提携した買取業者が当該商品を買い取ることにより金銭を支払うことが多いこと。 また、給料日等に商品代金を支払うことになり、その商品代金と先に受け取った金銭との差額が高額であることなどが特徴となっている』、表現が一般的すぎて、あと1つ問題的がはっきりしない。
・『商品の売買に見せかけた「ヤミ金」である  日本貸金業協会や各省庁は、この後払い(ツケ払い)現金化について、「形式的には商品の売買であっても、その経済的な実態が貸し付けであり、業として行う場合には、貸金業に該当するおそれがあります。貸金業登録を受けずに貸金業を営む者は、違法なヤミ金融業者です」と厳しく指摘している。 インターネットで「後払い、現金化」で検索すれば、「後払いアプリの即日現金化方法とすぐ使えるアプリ」など数多くの紹介サイトがヒットする。「クレジットカードや消費者金融以外でもお金を用意する方法が流行っています」と銘打たれたサイトには、「後払い・ツケ払い現金化」は違法だが、「後払いアプリ現金化」は合法と謳うたわれている。 そして、両者の違いについては次のように説明されている。まず合法の「後払いアプリ現金化」は、後払いアプリを使ってECサイトなどで商品を購入して転売することで現金を得る仕組み。これに対して「後払い・ツケ払い現金化」は、業者から商品を後払いで購入したキャッシュバック特典として現金を受け取る仕組みで、実際の商品取引はないというものだ。 「後払い・ツケ払い現金化」は極めて違法性の高い、実質的にヤミ金融と指摘されている。日本貸金業協会や関係省庁が注意喚起しているのもこの取引にほかならない』、「「後払い・ツケ払い現金化」は、業者から商品を後払いで購入したキャッシュバック特典として現金を受け取る仕組みで、実際の商品取引はないというもの」、この説明はさっぱり理解できない。キャンセルをしていないので、「実際の商品取引はない」というのはどいうことだろう。
・『1万円の洋服を購入後、30%引きで転売し…  さらに、健全とされる「後払いアプリ現金化」の中にも合法すれすれのグレーゾーンな取引を行う業者が含まれている点は見逃せない。合法か違法かは、実際の商品取引の有無で分かれると紹介サイトで説明されているが、違法な後払い(ツケ払い)現金化でも商品取引がある場合もある。 また、合法とみられている後払いアプリ現金化でも、買い取り価格と購入代金の差が大きい場合、実質的に利用者は高利な消費者金融を利用しているのと同じケースも少なくない。例えば「後払いで買った商品を7割といった高い割引率で買い取って現金化するビジネスも横行し始めている」(メガバンク幹部)というのだ。イメージとしては次のような取引だ。 ECサイトで1万円の洋服を購入したと同時に、後払い決済業者を通じて買い取り業者に転売して現金が振り込まれる。利用者は商品を買うだけで当座の現金を手にでき、遊興費などに充てられるという仕組みだ。問題はその買い取りに際しての換金率が即日現金化業者の場合、大半が70~85%という水準に設定されていることだ。利用者は購入商品の価格が少額であることから、割引率が15~30%と高くても負担感は乏しく、むしろ当座の現金が得られることを優先しがちといえる』、「利用者は購入商品の価格が少額であることから、割引率が15~30%と高くても負担感は乏しく、むしろ当座の現金が得られることを優先しがち」、なるほど。
・『「1万3000円のうち利ザヤが3000円」の超高利  さらに、「ECサイトで1万円の商品を悪質事業者を通じて買えば1万3000円で買わなければならないが、商品を買うと同時に転売した形で利用者には1万円が振り込まれる。利用者は、商品を買うことで1万円の当座の現金を手にし、遊興費などに充てられる。ただし、1カ月後に、1万3000円を支払わなければならない。後払い事業者は利用者に代わって1万円を立て替え払いしているという仕組みも考えられる」(メガバンク幹部)という。 つまり消費者金融では利息制限法などにより上限金利があり、高利は付けられないが、商品を介する後払い決済サービスという新しい仕組みでは、その網を潜り抜けられる。割賦販売法も超短期では規制はない。超短期での返済なので表面的には高利という感じはないが、年利に引き直すと超高利になるのだ。 後払い決済サービス事業者はEC事業者(加盟店)の売り上げを立て替え、請求書の発行や代金回収を行うことで、加盟店から2~5%程度の手数料を得ている。だがこのところ、収益を伸ばすため、クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見されるという』、「収益を伸ばすため、クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見」、顧客との間でトラブルを起こし易い「EC事業者」が潜り込んだことで、損害は「クレジットカード会社」が負うのか、消費者が負うのかどちらなのだろう。
・『急成長市場に「悪質業者」はつきもの  利用限度額は数万円から20万円程度が多く、「未払い履歴があるなど明確な理由がなければ、ほぼ審査を通過できる」とされる。後払い決済サービス事業者は電話番号や住所など、簡便な情報をもとに与信を行っており、「犯罪収益移転防止法に基づく本人確認を行う必要もない。それだけ事業コストがかからないが、焦げ付きリスクも高い」(メガバンク幹部)とされる。 審査は購買履歴などを活用するが、信用情報や属性などを活用するクレジットカードなどと比べて緩い分、不良債権化する割合は高いというわけだ。その分、利用額を小口化して、短期間返済(数回の分割や定額払いもあるものの、主流は一括払い)とすることで焦げ付きリスクを抑えるというビジネスモデルである。 信用力に問題のあるEC事業者も加盟店として登録されているだけでなく、新しいビジネスだけに後払い決済事業者そのものも玉石混交の状態にある。 新たなサービスでは法の未整備を突いた悪質業者が出てくることは歴史が証明している。社会問題化してはじめて法整備が図られる。それまでの間、悪質な業者はのさばるという構図である。商品の決済サービスの形をとっているが、事実上の高利の消費者金融(与信)と変わらないグレーゾーン取引は看過できない。 後払い決済サービスは今年前半にも市場規模が1兆円に乗ると予想されている。急成長する市場なだけに過度の規制は避けるべきだろうが、健全な利用者や金融知識に乏しい若者が泣きをみることはあってはならない』、「事業コストがかからないが、焦げ付きリスクも高い」、「審査は購買履歴などを活用するが、信用情報や属性などを活用するクレジットカードなどと比べて緩い分、不良債権化する割合は高い」、「その分、利用額を小口化して、短期間返済・・・とすることで焦げ付きリスクを抑えるというビジネスモデル」、「商品の決済サービスの形をとっているが、事実上の高利の消費者金融(与信)と変わらないグレーゾーン取引は看過できない」、これには何らかの形で規制すべきだろう。「健全な利用者や金融知識に乏しい若者が泣きをみることはあってはならない」、同感である。  
タグ:鈴木文彦氏による「5 年後の約束手形の利用廃止について 資金手当ての役割は薄れ手形残高は 30 年前の 4 分の1に」 大和総研 決済 (その9)(5 年後の約束手形の利用廃止について 資金手当ての役割は薄れ手形残高は 30 年前の 4 分の1に、急成長する「後払い決済サービス」1兆円市場の死角は? 増える消費者トラブル、「Paidy」って何だ?見知らぬサービスから怪しい認証コードが届く裏話、これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口 法の抜け穴を突いた"後払い現金化"のカラクリ) 「支払手形は残高ベースで 30 年前の 4 分の 1 に落ち込んでいる」、とはいうものの、「4 分の 1」も残っているともいえる。今後、金融界の姿勢はまだハッキリしないが、慎重に検討してほしいものだ。 日刊ゲンダイ 小林佳樹氏による「急成長する「後払い決済サービス」1兆円市場の死角は? 増える消費者トラブル」 「クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見される」、のは大いに問題だ。「消費者トラブルが大きく社会問題化したのでは後の祭りとなるジレンマを抱えている」、やはり「消費者トラブル」を「社会問題化」させないような工夫が必要だろう。 ダイヤモンド・オンライン「「Paidy」って何だ?見知らぬサービスから怪しい認証コードが届く裏話」 怪しい誘導だ。 よくぞここまで、いい加減な誘い文句を考えるものだ。 「対処法としては、原則「無視」。気持ち悪いが、せいぜい届いたSMSやメールを削除する、送信元の電話番号をブロックするくらいしかできない」、「気持ち悪いが」、しょうがないようだ。 「典型的なフィッシング詐欺」のようだが、大いに気をつけたいものだ。 PRESIDENT ONLINE 森岡 英樹氏による「これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口 法の抜け穴を突いた"後払い現金化"のカラクリ」 どんな「錬金術」があるのだろう。 表現が一般的すぎて、あと1つ問題的がはっきりしない。 「「後払い・ツケ払い現金化」は、業者から商品を後払いで購入したキャッシュバック特典として現金を受け取る仕組みで、実際の商品取引はないというもの」、この説明はさっぱり理解できない。キャンセルをしていないので、「実際の商品取引はない」というのはどいうことだろう。 「利用者は購入商品の価格が少額であることから、割引率が15~30%と高くても負担感は乏しく、むしろ当座の現金が得られることを優先しがち」、なるほど。 「収益を伸ばすため、クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見」、顧客との間でトラブルを起こし易い「EC事業者」が潜り込んだことで、損害は「クレジットカード会社」が負うのか、消費者が負うのかどちらなのだろう。 「事業コストがかからないが、焦げ付きリスクも高い」、「審査は購買履歴などを活用するが、信用情報や属性などを活用するクレジットカードなどと比べて緩い分、不良債権化する割合は高い」、「その分、利用額を小口化して、短期間返済・・・とすることで焦げ付きリスクを抑えるというビジネスモデル」、「商品の決済サービスの形をとっているが、事実上の高利の消費者金融(与信)と変わらないグレーゾーン取引は看過できない」、これには何らかの形で規制すべきだろう。「健全な利用者や金融知識に乏しい若者が泣きをみることはあってはならない」
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暗号資産(仮想通貨)(その22)(ビットコイン採掘のエネルギー消費 米環境運動の標的に、混沌のビットフライヤー ファンド買収の行方 創業者の加納氏に迫られる「全株売却」の決断、ビットコインの「悪魔的仕組み」とは?人間の本質を突いた設計の妙 【國光宏尚、尾原和啓、入山章栄 特別鼎談(2)】) [金融]

暗号資産(仮想通貨)については、3月21日に取上げた。今日は、(その22)(ビットコイン採掘のエネルギー消費 米環境運動の標的に、混沌のビットフライヤー ファンド買収の行方 創業者の加納氏に迫られる「全株売却」の決断、ビットコインの「悪魔的仕組み」とは?人間の本質を突いた設計の妙 【國光宏尚、尾原和啓、入山章栄 特別鼎談(2)】)である。

先ずは、5月1日付けロイター「アングル:ビットコイン採掘のエネルギー消費、米環境運動の標的に」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/usa-tech-climate-change-crypto-currency-idJPKCN2MH0BG
・『中国が昨年、暗合資産(仮想通貨)ビットコインのマイニング(採掘)を禁止すると、米国で採掘を始める「ゴールドラッシュ」が起こり、ニューヨーク、ケンタッキー、ジョージアなど米国の州がたちまち主要なマイニング拠点となった。 中国が昨年、ビットコインのマイニング(採掘)を禁止すると、米国で採掘を始める「ゴールドラッシュ」が起こり、ニューヨーク、ケンタッキー、ジョージアなど米国の州がたちまち主要なマイニング拠点となった。写真はイメージ。2021年8月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic) ニューヨーク州議会のクライド・バネル議員にとって、これほどうれしいことはない。地元で雇用が生まれて「幸いだ」と語る。 一方で、アンナ・ケルズ議員は、電力を大量消費するマイニングを同州で厳しく規制する法案を推進中だ。「われわれの気候変動目標をすぐに脱線させてしまう産業がやってきた」と警鐘を鳴らした。 米国ではビットコインのマイニングによる環境への影響を巡る議論が活発化し、主要な環境団体が化石燃料の使用を批判する運動を全米で展開し始めた。 マイニングによるエネルギー消費量と温室効果ガスの排出量を正確に測定するのは難しい。 業界団体コインシェアが2021年に出した推計では、排出量は世界全体の1000分の1に満たないが、ニューヨーク・デジタル・インベストメント・グループの報告によると、2030年までに最大1%に達する見通しだ。 ビットコインのエネルギー消費を一貫して批判してきたエコノミスト、アレックス・ドゥ・ブリー氏は今年3月にエネルギー誌で発表した論文で、マイニングによってギリシャ1国分の二酸化炭素(CO2)が排出されたとの推計を示した。 ビットコインの推進派は、例えば、クリスマスの照明などもマイニングとほぼ同量のエネルギーを消費しているし、ビットコインの社会的機能を考えればエネルギーを消費するだけの価値がある、と主張する。 しかし、ニューヨークやペンシルベニアなどの州では、一部のマイナーが閉鎖された化石燃料発電所を復活させて電力を確保し、地元住民の抗議に遭う事例もあった。 環境団体・グリーンピースUSAの最高プログラム責任者、テフェレ・ゲーブル氏は、最近の記者会見で「今は気候変動危機の渦中だ」と指摘。ビットコインのマイニングは「われわれを間違った時期に間違った方向へと押し進めている」と批判した』、「中国が昨年、ビットコインのマイニング(採掘)を禁止すると、米国で採掘を始める「ゴールドラッシュ」が起こり、ニューヨーク、ケンタッキー、ジョージアなど米国の州がたちまち主要なマイニング拠点となった」、さすが目ざとい行動だ。
・『<NY州の法案>  ニューヨーク州議会のケルズ議員が策定した法案では、化石燃料を電源とするビットコインの新事業にモラトリアム(一時停止措置)を課すことが盛り込まれている。 同州のビットコイン・コンサルティング会社、ファウンドリーのディレクター、カイル・シュネプス氏は、法案が可決されれば「ニューヨークはこの事業に門戸を閉ざしたというシグナルになる」と反発する。 シュネプス氏は、再生可能エネルギーを利用しているマイナーもある上に、マイニング事業は地元に経済的な恩恵ももたらすと主張する。同社自体、ニューヨークで115人を雇用している。 法案に反対するバネル議員は、モラトリアムを導入すればマイナーが逃げかねないとし、議会は業界と協力して環境面の懸念に対処すべきだと話した。 ニューヨークで起こったことが全米に影響を及ぼすだろうという点では、賛成派と反対派の考えが一致している』、地元議員にとっては、「マイナー」の「雇用」も無視できない要素だ。
・『<コード変更を巡る対立>  エンバイロメンタル・ワーキング・グループやグリーンピースUSAなど主要な環境団体は、全米でビットコインによる環境への影響に注意を喚起する運動を展開している。 これらの団体は、ビットコインのソフトウエアコードを変更し、エネルギーを大量消費する「プルーフ・オブ・ワーク」方式から、消費量の少ない「プルーフ・オブ・ステーク」と呼ばれる新方式に切り替えるよう求めている。 新方式を使った暗合資産・リップルの共同創設者、クリス・ラーセン氏は、この運動に500万ドルを寄付した。 だが、ビットコイン推進派は、エネルギー集約型の設計こそが、ビットコインの安全性と分散化を維持する上で重要だと主張する。 これに対してラーセン氏は、ビットコインに投資する大手金融機関が増えるにつれ、ソフトウエア開発者に環境、社会、統治(ESG)目標に沿うよう求める圧力が増すと予想。「この圧力によって、中核的な開発者らは(コードの)変更を行うだろう。それがゴールだ」と述べた』、「プルーフ・オブ・ワーク」は「エネルギーを大量消費」するが、「消費量の少ない「プルーフ・オブ・ステーク」と呼ばれる新方式」で安全性が確保されるかどうかがカギである。

次に、5月14日付け東洋経済オンライン「混沌のビットフライヤー、ファンド買収の行方 創業者の加納氏に迫られる「全株売却」の決断」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/588664
・『国内最大手の暗号通貨交換所ビットフライヤー。創業者・加納裕三氏の決断次第では、日本の暗号資産業界における歴史の転換点になる。 暗号資産交換所で国内最大手のbitFlyer(ビットフライヤー)が揺れている。 5月中にも、ビットフライヤーを傘下にする持株会社でビットフライヤーホールディングス(未上場)の約6割に当たる株式をICT業界などの案件に実績のある投資ファンド、ACAグループが買収する。「このゴールデンウィーク中に大筋の合意が得られた」と、事情に詳しい関係者が東洋経済の取材に対して明らかにした。 ビットフライヤーHDの約4割の株式を握る共同創業者の加納裕三氏は、同社株式をまだ持ち続ける見通し。加納氏の持ち分を除く全株式がACAグループに渡り、加納氏とACAグループが4対6で株を分け合う新たな資本構成となる。ビットフライヤーHDの評価額は最大450億円と一部で報じられていたが、「その後ACAグループ以外の入札も加わり、それよりも高くなった」(前出関係者)もようだ』、なるほど。
・『転機は4年前の「退場勧告」  2014年1月創業のビットフライヤーは、暗号資産取引の預かり資産や会員数でコインチェックと国内で双璧をなす。2022年3月時点の預かり資産は5803億円で、本人確認済みの会員数は推定約170万人。2021年12月期の決算は、ビットコインやイーサリアムなど暗号資産の相場が上昇した恩恵で、営業収益275億円(前期比3.6倍)、営業利益178億円(同11倍)だった。 順調に見える同社が、なぜファンドに買収されるのか。その理由は2018年にさかのぼる。 2018年1月、暗号資産(当時の呼称は仮想通貨)業界を震撼させたのが、コインチェックによる約580億円相当の資産流出だ。この事件により、それまで暗号資産取引所の育成に前向きだった金融庁は姿勢を一転させ、コインチェックのみならずビットフライヤーなど多くの暗号資産交換所に業務改善命令を下した。 なかでも厳しく指弾されたのがビットフライヤーだった。 金融庁は「経営陣はコストを抑えることを優先して内部管理態勢を整備していない」「登録審査等に関して当局等へ事実と異なる説明等を行うといった企業風土」などと他社より踏み込んだ形で問題を指摘し、当時社長だった加納氏に事実上の退場を迫った』、「ビットフライヤー」に対する「金融庁」の指摘は極めて厳しかったようだ。
・『社長人事をめぐり株主間に亀裂  社内の混乱が始まったのは、加納氏が社長を退いた2019年1月以降だ。銀行や外資系証券会社など伝統的な金融機関からトップを招いたが、4年間で3回社長が交代している。いずれも筆頭株主である加納氏と対立したことが原因とみられ、「早期のエグジット(新規株式公開やM&A)を求める他の株主と加納氏との間に亀裂が生まれた」(関係者)。 実際にフリマアプリのメルカリや中国系の暗号資産交換所Huobi(フォビ)などへの売却交渉がまとまりかけたこともあったが、条件面で加納氏が首を縦に振らず、いずれも破談に終わった。今回のACAグループによる買収は、加納氏の関与を避ける形で話が進められたようだ。 コインチェック事件以降一連の出来事について加納氏は、2021年12月の東洋経済のインタビューで「(これまで好意的だった)金融庁側の姿勢の変化には驚きを禁じ得なかった。直近3カ年のセキュリティーやコンプライアンスなど内部体制への投資は300億円に上るが、これによって必要な成長投資ができず、世界と差が開いてしまった」と恨み節を語っている。 社長の交代が相次いだ点については、「ベンチャーとは言えない大企業のような組織風土になってしまっていて、見るに堪えなかった。(メルカリやフォビなど)株式売却の話が勝手に進められていることも不愉快だった」という趣旨の発言している。 加納氏はホールディングスの社長を外れて以降、ブロックチェーン事業を営む子会社や海外子会社の社長を務める。 ただし、ブロックチェーン事業は不振が続く。2017年4月には、積水ハウスと共同でブロックチェーン技術を活用した不動産情報管理システムの構築を開始すると発表したが、目立った成果を出せずに協業関係は解消した。積水ハウスはビットフライヤーと協業する前に同社への出資を行っており、現在も第3位の株主(保有比率は推定13%)として残る。 海外事業については赤字から脱せず、ビットフライヤーは2019年12月期にアメリカ子会社、2020年12月期には欧州子会社の株式を減損処理している。事業面で成果を出せていない加納氏が本体の人事に重ねて口を挟むことも、その他株主にとっては不満が募る原因となった可能性が高い』、「加納氏」は「事業面で成果を出せていない」くせに、「本体の人事に重ねて口を挟む」、やっかいな人物だ。
・『ファンドは短期売却という見方も  ファンド買収後のビットフライヤーはどうなるのか。暗号資産業界の浮き沈みは激しい。2021年を通じて、大手各社はいずれも好業績を叩き出したが、2022年に入って以降は暗号資産の相場が再び低迷して取引量が減少、コインチェックの第4四半期(2022年1~3月期)は営業赤字となった。ビットフライヤーもその例外ではなく、足元は厳しい業績になっているようだ。 「投資ファンドが交換所の株を持ち、企業価値を上げるのは容易ではない」と暗号資産業界の関係者は口を揃える。資産の漏洩やマネーロンダリングのリスクがつきまとう暗号資産交換業のコストは膨らむ一方で、ファンドが得意とするコストを抑えて収益を改善するという手法も通用しづらい。「ACAグループによる株式の保有は短期的で、すぐにほかへ転売するだろう」(同関係者)と見る向きもある。 そうした中、ACAの転売先として受け皿になり得るのが、一度買収交渉を行ったメルカリをはじめ、楽天グループやヤフーといった大手IT企業だ。 インターネット業界は現在、「ウェブ3.0」と呼ばれる大きな転機を迎えている。ブロックチェーンを用いて、ユーザーが暗号資産やNFT(非代替性トークン)といったデータの所有権を持てるウェブ3.0の仕組みは、巨大資本GAFAMの牙城を崩す可能性を秘めると言われる。 日本のIT企業もこのウェブ3.0への投資に関心を持ち始めており、ブロックチェーン技術を兼ね備えたビットフライヤーのような大手交換所の買収は、ウェブ3.0へ参入する格好の足がかりになる。 メルカリは東洋経済の取材に対し、「子会社を通じた暗号資産交換業のライセンス取得を最優先に目指しているが、(登録済みの交換業を買収することを含め)あらゆる可能性を排除せず検討している」と回答した』、米国の金融政策転換により「暗号資産」価格は低迷に転じ、「ウェブ3.0」の熱も冷めたようだ。
・『暗号資産業界における歴史の転換  焦点となるのは加納氏が持つ株式の行方だ。買収観測が浮上して以降、メディアに口を閉ざしていた加納氏に記者は5月11日、株式保有の意向について対面で真意を問うた。すると同氏は「今は答えられない」といらだちの様相を見せ、足早に去った。 暗号資産交換所はすでに再編淘汰の時代に突入している。2019年の改正資金決済法でデリバティブ取引が金融商品取引法の対象になるなど規制が強まった結果、「かつて100社以上あったFX(外国為替証拠金取引)の業者が半減以下になった現象と同じようなことが起きている」(SBI VCトレードの森本逸史代表取締役専務)。 そこで浮上してきた業界最大手ビットフライヤーの買収劇。2008年にビットコインが誕生して、交換所ビジネスが花開き、そして今ウェブ3.0の波が押し寄せてきている。将来的に、加納氏の持ち分も含めた全株が売却されることになれば、日本の暗号資産業界における歴史の転換点になるだろう』、現在の停滞する「暗号資産」市場からは考えられないような熱気を感じさせる文章だ。もっと冷静に考えるべきだ。

第三に、6月2日付けダイヤモンド・オンライン「ビットコインの「悪魔的仕組み」とは?人間の本質を突いた設計の妙 【國光宏尚、尾原和啓、入山章栄 特別鼎談(2)】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304022
・『これから世界はどこに向かっていくのか、そして時代の波に乗るためのビジネスチャンスのヒントを書いた『メタバースとWeb3』の著者である國光宏尚氏と、IT批評家でフューチャリストの尾原和啓氏、『世界標準の経営理論』の著者で早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏の鼎談を実施。2回目は人間の本質からビジネスと社会貢献の両立について迫ります』、興味深そうだ。
・『通貨の「フォーク(分裂)」には、メリットもある?(入山章栄(以下、入山) DAOはプロジェクトであり組織であると思うんですが、だんだん盛り上がらなくなると終息してなくなっていく感じなんですか? 國光宏尚(以下、國光) 一時期、ビットコインの分裂が話題になったことがありますよね? あの時「通貨が分裂ってなんのこと?」という声が多かったと思います。でも、ビットコインやイーサリアムは技術的に言うとオープンソースのプロジェクトで、フォーク(分裂)自体はよくあることなんです。 尾原和啓(以下、尾原) ビットコインの分裂ってありましたね。 國光 ビットコインコミュニティーの中で、意見が真っ二つに分かれた事件がありました。ビットコインの本質的な価値というのは、ゴールドと同じ、変わらない「価値の保存」なのか、決済や送金などの「ユーティリティー(利便性)」なのかという議論です。 しかし、ユーティリティーに使おうと思うと、このままのビットコインでは効率も悪く無理なので、ビットコイン自体を変えていかないとダメだった。しかし、変えていくとするとハックされるリスクもある。ビットコインは、14〜15年間ハックされなかったことこそが変わらない価値だった。 だから、やるべきか否かでコミュニティーが完全に対立して、そのときにフォークしたんです。 入山 なるほど。 國光 フォークさせた上でビットコインとビットコインキャッシュに分かれたんですけど、それぞれが互いの信念におもむくままやった結果、よりいいものになったほうが主流になり、よくなかったほうが消えていった。 尾原 結局、ゴールド側が勝って通貨側が弱くなっていったんですね。 國光 それぞれが、それぞれのビジョンどおりにやって、よりいいことをやったほうが主流になって、そうじゃないところが消えていく。そういうイメージですね』、「ゴールド側」、「通貨側」はどういう意味なのだろう。「ビットコインは、14〜15年間ハックされなかったことこそが変わらない価値だった」、とあるが、これまでハッキングされた事件もあったように記憶しているが、本当のところはどうなのだろう。
・『DAOと経営学の意外な共通点とは?  入山 興味深いですね。僕は著書『世界標準の経営理論』の中で、個人と組織の新しいかたちを提示した「ティール組織」の世界観は、これからの未来にありえると書いていました。 ティール組織は組織を生命体として捉えるという考え方なんですが、DAO(注)に似てますよね。種として分裂をし、進化する方が生き残っていくように、「組織が生物的になっていく」イメージですね。 尾原 中央集権でやるケースもあるけれども、うまくいかない場合はフォークすればいいじゃないか、と生命が分裂していくみたいに意思決定の仕組みそのものが進化、淘汰を簡単にできるようになる世界というのがティールに合いやすい。 入山 この世界では、人類が400年間使っていた株式会社という仕組みをある意味で根底から変えるので、めちゃめちゃおもしろいですよね。400年越しの大革命ですよ。  國光 一方で、人は性善説では動きません。みんなが自分の利益のために動くことがひとつの自律型組織のベースだと思っています。 たとえば、私が投資しているTHETA(シータ)という動画配信のP2P(ピア・ツー・ピア)ネットワークを提供する会社では、ネットワークに参加すると報酬としてトークンが得られるようになっています。 THETAは、VR版の動画投稿やeスポーツ配信プラットフォームを、クラウドサービスをベースに実現しているのですが、将来、4K/8Kといったように動画の解像度が上がり、さらにフルVRになったら、いまの100倍もの通信容量が必要になります。その対策として考えたのが、一般ユーザーのパソコンやスマートフォンの空いている通信帯域を共有して大量のデータをやりとりするP2Pネットワークです。 でも、誰も無償では他人にネットワークを貸したがらないものです。そこでTHETAでは、ネットワークに参加するとビットコインのマイニングと同じように、トークンがもらえるといったインセンティブを付けることで自律性を確保しています。 尾原 勝手にトークンがチャリンチャリン入ってくるとなると、つなぎっぱなしのほうが得だと感じますよね。 國光 ビットコインのマイニングも一緒だと思っています。みんな「新しい時代の通貨をつくる」とか、そんな大きなこと考えていないんですよ。ビットコインが欲しいだけで、自分の利益のためだけに動いた結果ネットワークが回っている。 ここが、サトシ・ナカモト(ビットコインの創始者とされる人物)の悪魔的なところです。) 國光「ビジョンに共感してできたコミュニティーがあり、そのビジョンの実現のためにみんなが頑張る」という、性善説的なことを言っている一方で、ビジョンを実現させると報酬としてトークンがもらえる利己的な仕組みがある。性善説と利己的な仕組みの組み合わせなんです。 結局、僕は、最終的に人が動くのって「夢と金」なんじゃないかと思っています。 入山 おっしゃるとおりですね。人間の本質は「夢と金」ですよ。本当に。 経営やビジネスって結局は人間がやっているものです。だから、僕が専門にしている経営学とは結局、「人間の本質は何なんだ」を突き詰める学問だと思っています。そういうことをまとめたのが、『世界標準の経営理論』なんです。 例えば、心理学ベースの経営学だと人の本質は共感とかいろいろあります。一方で経済学のほうは合理性であり、その第一目的は当然「金」ですよね。みんな豊かになりたい。 このように、人というのは複雑で、スパッと性善とか性悪に分かれない。でも、それを突き詰めると大まかには「世の中に良いことをしたいけれども、お金もたくさんもうけてリッチになりたい」となりますよね。DAOには、その仕組みがあるということですよね。 國光 まさに。このあたりがおもしろい仕組みなのかなと思います。 入山 うん。おもしろい。 國光 僕はDAOがはやってきても、株式会社はなくならないとみています。株式会社が向いている点と、DAOが向いている点がそれぞれありますし、株式会社ができた理由はシンプルに資本の集積が必要だったからだと思うんですね。株式会社のひとつの業(ごう)はVCから投資が入った時点で売り上げと利益の成長というのが求められることなんですが。 入山 そうですね。 國光 これが、すさまじい業という感じで。ただ、今の時代でいくと売り上げ・利益や生産性じゃ語れない価値っていうのが出てきていて、そういうところはDAOが向いていると思っています。 尾原 事務所に所属するクリエイターやYouTuberも、DAOに向いていますよね? 國光 事務所から独立してVCの投資が入ると、そのタイミングで売り上げ・利益の最大化を求められます。一人で運営していくには限界があるから人を採用して育てなきゃいけない。 でも、クリエイターとして一流の人が人材育成が得意とは限らない。自分のコンテンツをつくる時間は減り、ファンの期待に応えられなくなることだってある。ならば株式市場からお金を集めるのではなく、ファンから直接、お金を集めたほうがいいじゃないかと。 その時にファンが求めているのは売り上げ・利益の成長ではなくて、おもしろいコンテンツを追い続けることが報酬なんじゃないかなと思うんです。すると、直接ファンから集めた方がよい、となります。一方で売り上げ・利益・生産性で語れる部分は株式会社のほうが効率はよいのではないでしょうか』、「マイニング」は、「ビットコインが欲しいだけで、自分の利益のためだけに動いた結果ネットワークが回っている。 ここが、サトシ・ナカモト・・・の悪魔的なところです」、その通りだ。
(注)DAO:「 Decentralized Autonomous Organization 」の略称で、「自律分散型組織」、ブロックチェーン上に構築(Cloud Ace)。
・『ビジネスと社会貢献の両立に必要なこととは?  入山 僕はいま、北海道の生活協同組合「コープさっぽろ」の理事をやっているんですね。理事長である大見英明(おおみひであき)さんがトップで、大見さんは経営者としてもたいへん素晴らしいので、今はとても成功しています。そして、興味深いのは生協の仕組みです。 “生協”は組合組織です。組合員が出資者となりますから、いわゆる株式会社ではないんです。株主もいません。 株式会社って、「株主」と「顧客」が違いますよね? そして株主は、株価を上げてほしいから企業に成長を求めるけれども、一方で顧客のためにもいいことをやらないといけない、というのが株式会社の難しいところです。 しかし、生協はそのコンフリクトがないんです。「出資者=顧客」なので、そういう意味ではちょっとDAOに近いと思います。 尾原 難しい点はないのですか? 入山「出資者=顧客」に生協の経営をモニタリングするインセンティブが弱いため、ガバナンスが効きづらい点ですね。とはいえ、北欧などヨーロッパの多くの国の小売りでは、かなりの部分が実は生協なんです。 國光 そうなんですね。 入山 日本が今後お手本にしたいといわれているフィンランドやデンマーク、スウェーデンなど北欧経済圏の小売業は、かなりの部分が生協です。だから、本当に日本が北欧を目指すなら、「生協を増やそう」というのが僕の主張なんです。 もうひとつ生協の難しい点は、ある意味で性善説で成り立っているところです。 例えば生協の理事って報酬があるものの、報酬委員会はないから株主が監視せず、理事たちの自制心で給料を抑えている。社員の平均給料の6倍を超えてはいけない、といった暗黙のルールが北欧の生協にあることはあります。それで無理やり抑えている。ただ、根底にあるのは人間の善意なので、いわゆる「民度」が上がらないと生協モデルの普及は無理、というのが僕の理解です。 尾原 北欧で生協が成り立つのは、民度が高いからなんですね。 入山 人間は欲もあるのでみんなが自制できるわけではないですし、自制できないところで、当然対価が欲しくなるものです。他方で、今日の國光さんと尾原さんの話を聞いていると、DAOの仕組みはうまくやると、その両方が取れるんだなと。 國光 アメリカやドイツ、フランスでも生協は成立していないんですか? 入山 アメリカは成立していないですね。ドイツはちょっとあったと思いますけど。基本はフィンラインド、デンマーク、スウェーデン、スイスあたり。 國光 やはり福祉国家を延々とやってきた中での、民度の積み上げがあったということですよね。 入山 だからDAOはいい意味での民主化的なものをやりつつ、インセンティブをみんなに幅広く与えることが可能になる。コミュニティーを作れてみんながハッピーで、お金の面でも得をする世界というところが、すごくおもしろいですよね』、「日本が今後お手本にしたいといわれているフィンランドやデンマーク、スウェーデンなど北欧経済圏の小売業は、かなりの部分が生協です。だから、本当に日本が北欧を目指すなら、「生協を増やそう」というのが僕の主張なんです」、「根底にあるのは人間の善意なので、いわゆる「民度」が上がらないと生協モデルの普及は無理」、なるほど。
・『必要なのは「応援した人が報われる」仕組み  國光 DAOはスポーツとすごく相性がいいなと感じています。インフルエンサーやアイドル、クリエイターなどさまざま試しているんですが、なかでも特にスポーツがハマっています。 スポーツチームのビジョンは、極めてはっきりしていて大半のチームが「スポーツを通して地元を盛り上げる」と地域貢献を挙げているんです。スポーツを通して地元を盛り上げたいといったビジョンがはっきりしているから、共感してコミュニティーになりやすい。みんなでそれをやっていこうと、力も湧きやすい。 でも、これまでのスポーツビジネスには大きな欠点が二つあった。ひとつは応援したファンにメリットがないことです。 入山 ですね。ただただ、応援していく。 國光 さらにもうひとつ。近くのチームの人しか応援しないケースが多く、商圏が狭まりがちなことです。 ただ、DAOを通じて、オーナーやコミュニティーの人たちが頑張っていることを知ると、ちょっと離れたところにいるけれども応援したい、サポートしたいといったことが起こる。これまでのスポーツビジネスやエンタメビジネスはファンしか応援しないため、ほぼNPOに近いと思っているんです。 今までもYouTubeとかTikTokのような広告モデルや「投げ銭」、サブスクなどありますが、一方的にファンが貢いでいるだけなんです。応援した人たちが有名になっていくのに、見返りがない。DAOで重要なのは、ただファンということだけではありません。「応援したらメリットもある=みんなが応援したい、サポートしたい」といった仕組みが必要なんだと思います。 入山 めちゃめちゃいいですね。地方創生と言っても、どこもお金がないので「ふるさと納税」に使っていることが多い。 國光 僕は今、大きく三つのことをやっているんですね。ひとつがThirdverseという会社で、ここはVR、メタバースのゲームをつくっている会社です。あとはFiNANCiEといってブロックチェーンベースの、誰でも簡単にDAOがつくれてトークンを発行してコミュニティーがつくれるサービス。あとはgumi Cryptos Capitalという、これはWeb3に特化したファンドで1号ファンドが23億くらい、2号ファンドが130億くらいです。 入山 えっ。すごい。 國光 その中のFiNANCiEがまさに、簡単にトークンやNFTを発行して資金を調達してコミュニティーを形成できるサービスなんですけど、スポーツチームで湘南ベルマーレさんやアビスパ福岡さんなどサッカー、野球、卓球などを展開し、60チームにトークンやNFTを発行してもらっています。 尾原 DAOとスポーツ、すごく相性がいいですね』、「DAO」は「スポーツ」と「相性」がよく、ずいぶんひろがりが出てきそうだ。今後の展開が注目される。 
タグ:「ビットフライヤー」に対する「金融庁」の指摘は極めて厳しかったようだ。 東洋経済オンライン「混沌のビットフライヤー、ファンド買収の行方 創業者の加納氏に迫られる「全株売却」の決断」 「プルーフ・オブ・ワーク」は「エネルギーを大量消費」するが、「消費量の少ない「プルーフ・オブ・ステーク」と呼ばれる新方式」で安全性が確保されるかどうかがカギである。 地元議員にとっては、「マイナー」の「雇用」も無視できない要素だ。 「中国が昨年、ビットコインのマイニング(採掘)を禁止すると、米国で採掘を始める「ゴールドラッシュ」が起こり、ニューヨーク、ケンタッキー、ジョージアなど米国の州がたちまち主要なマイニング拠点となった」、さすが目ざとい行動だ。 ロイター「アングル:ビットコイン採掘のエネルギー消費、米環境運動の標的に」 暗号資産(仮想通貨) (その22)(ビットコイン採掘のエネルギー消費 米環境運動の標的に、混沌のビットフライヤー ファンド買収の行方 創業者の加納氏に迫られる「全株売却」の決断、ビットコインの「悪魔的仕組み」とは?人間の本質を突いた設計の妙 【國光宏尚、尾原和啓、入山章栄 特別鼎談(2)】) 「加納氏」は「事業面で成果を出せていない」くせに、「本体の人事に重ねて口を挟む」、やっかいな人物だ。 米国の金融政策転換により「暗号資産」価格は低迷に転じ、「ウェブ3.0」の熱も冷めたようだ。 現在の停滞する「暗号資産」市場からは考えられないような熱気を感じさせる文章だ。もっと冷静に考えるべきだ。 ダイヤモンド・オンライン「ビットコインの「悪魔的仕組み」とは?人間の本質を突いた設計の妙 【國光宏尚、尾原和啓、入山章栄 特別鼎談(2)】」 「ゴールド側」、「通貨側」はどういう意味なのだろう。「ビットコインは、14〜15年間ハックされなかったことこそが変わらない価値だった」、とあるが、これまでハッキングされた事件もあったように記憶しているが、本当のところはどうなのだろう。 「マイニング」は、「ビットコインが欲しいだけで、自分の利益のためだけに動いた結果ネットワークが回っている。 ここが、サトシ・ナカモト・・・の悪魔的なところです」、その通りだ。 (注)DAO:「 Decentralized Autonomous Organization 」の略称で、「自律分散型組織」、ブロックチェーン上に構築(Cloud Ace)。 「日本が今後お手本にしたいといわれているフィンランドやデンマーク、スウェーデンなど北欧経済圏の小売業は、かなりの部分が生協です。だから、本当に日本が北欧を目指すなら、「生協を増やそう」というのが僕の主張なんです」、「根底にあるのは人間の善意なので、いわゆる「民度」が上がらないと生協モデルの普及は無理」、なるほど。 「DAO」は「スポーツ」と「相性」がよく、ずいぶんひろがりが出てきそうだ。今後の展開が注目される
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投資(商品販売・手法)(その2)(50歳で初めて投資 失敗しないために知っておくべきこと、株主優待に飛びつくのは日本人だけ? 目先の利益でプロは買わない、ESG投資が運用として「明らかにダメ」でも流行る本当の理由) [金融]

投資(商品販売・手法)については、昨年4月18日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(50歳で初めて投資 失敗しないために知っておくべきこと、株主優待に飛びつくのは日本人だけ? 目先の利益でプロは買わない、ESG投資が運用として「明らかにダメ」でも流行る本当の理由)である。

先ずは、昨年10月19日付け日経ビジネスオンラインが掲載したBagel X代表取締役の大崎 匠氏による「50歳で初めて投資 失敗しないために知っておくべきこと」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/plus/00014/101400001/
・『50歳になると、突然目の前に現れる「お金の不安」。日本人の平均寿命が延び続ける中、将来への備えの必要性をヒシヒシと実感するタイミングではないでしょうか。 50代は、定年後を見据え、自分の資産運用戦略を見つめ直す“ラストチャンス”。年金受給額の減少や医療費負担の増加、そしてコロナ禍以降の増税など、家計の不安は募るばかり。今まで貯蓄したお金を投資すべきなのか、はたまたリスクは取るべきではないのか。今の資産運用ブームに乗ったほうがいいのかと、悩んだことは一度や二度ではないと思います。 資産運用のセオリーの一つに、「投資は若いうちから始めるのがよい」というものがあります。これは、投資期間が長いほど、複利(投資利回りの累積)の効果が高くなることを示しています。しかし、若いうちに資産運用を始めなかったからといって、焦る必要はありません。「急(せ)いては事を仕損じる」という言葉は、投資においても同じ。50歳からでも十分、間に合います。むしろ、平均寿命がこれだけ延び、どの家庭でも長期戦略の立案を迫られている今の流れを見ると、時間のゆとりができ、老後の不安が現実味を帯びてくる50代から資産運用を始める価値は十分にあります。 実際に、利回り表を用いて毎月の積立金額別でどれだけ資産をためられるかを簡単に試算しました(表1、表2)。 50歳から年金受給開始年齢の65歳まで、毎月一定金額を積み立て、保守的に年率3.0%で運用するとします。今現在、資産がなかったとしても、毎月10万円ずつ投資に回したとしたら、65歳の時には2275万円(積立金:1800万円、投資リターン:475万円)もの資産を手にしていることになります(表1)。積立金が5万円だとしても、1138万円(積立金:900万円、投資リターン:238万円)です。 資産運用では投資期間が長くなればなるほど、複利の効果によってリターンが増加するため、15年という長期間にわたって運用することで、大きな投資リターンが期待できます。 つまり、50歳の時点で全く資産運用をしてこなかったとしても、リターンはしっかり受け取れます(表2)。 また、リスク性の高い投資、つまり資産の増減幅が大きくなりやすい投資に飛びつかなくても、毎月の積立金額と運用期間によっては、今からでも老後の資金を得ることが可能です。 上記の試算の通り、50歳であってもまだまだ時間はあります。これまでやってこなかったからといって気後れする必要は一切ありません。今からでもできることをやっていくことが、将来の経済的なゆとりを得るための秘策なのです』、その通りだ。
・『資産運用コストに厳格になれ  ここからは、筆者の機関投資家としての経験に基づいた、個人投資家に参考にしてほしい観点についてご紹介します。もっとも、投資のスタイルは個人によって大きく異なるため、あくまで一例です。投資家マインドを身につけるための、一つのエッセンスとして参考にしていただければと思います。 資産運用を始めたばかりの人は、毎日株価を熱心にチェックし、自分の資産が上がったかどうかを気にしてしまいます。必ずしも、毎日チェックする必要はありませんが、投資のリターンに気を配ることは非常に重要です。しかし、本当に気にすべきは、投資のリターンではなく、投資に掛かるコストも考慮した「トータルリターン(総合収支)」です。) 国債金利が著しく低下し、株価が大きく上昇している中では、期待される投資の収益率は著しく低下しています。低下するリターンをどうにかして向上させたいと考えるかもしれませんが、それを実現するのは容易ではありません。 そこでカギになるのが、運用に掛かるコストの低減です。つまり、投資収支の改善を目指すことも有益な投資戦略になるのです。 一般投資家と比較して機関投資家は運用コストに非常に敏感です。資産規模の大きい投資家であれば、運用会社への交渉力も強いため委託手数料の低減を相談できます。また、規模の経済を活用し、投資チームを内製化することもできるでしょう。 しかし、個人投資家はそういった選択肢を取ることができません。そのため、普段からコストに対する意識を高く持ち、コストの低減化を心がけましょう』、「普段からコストに対する意識を高く持ち、コストの低減化を心がけましょう」、その通りだ。
・『信託報酬などの経費に対する感応度を高く持つ  投資信託やETF(上場投資信託)を購入した場合、「信託報酬」と呼ばれる、委託資産額に対して支払うコストが発生します。信託報酬の設定はファンドによってまちまちで、年0.03%のものもあれば、年3.0%の場合もあります。ここ最近の傾向は手数料が低く、日経平均株価などの指数に連動するインデックスファンドが人気を博しており、信託報酬を強く意識して運用することがセオリーとなりつつあります。この機会に信託報酬の考え方をいま一度整理してみましょう。 【信託報酬の考え方】 ある投資信託に年1.0%の信託報酬を支払っていると想定します。年平均の投資リターンは3.0%を前提とします。そして、そんな投資戦略を今後30年間継続したとしましょう。「年1.0%の信託報酬」と聞くと非常に小さい数字のように思われますが、実は積み上がると膨大な負担となってしまいます(下記グラフを参照)。 毎年のリターン(3.0%)がコスト(1.0%)を上回っていることから、資産額は当初より増加していることになります。しかし、わずかな信託報酬であったとしても、長期では多大な費用負担が課せられることになるのです。この事実を知れば、否が応でも信託報酬を低く抑えたいと思われるでしょう。 そして、忘れがちなのが信託報酬以外のコストです。取引コストや監査費用などファンド運営に必要な経費が信託報酬以外にも掛かります。ファンドに課される全ての費用の純資産総額に対する比率を「経費率」と呼び、ファンドごとに開示されています。しかし、信託報酬以外の経費は開示される頻度が少なく、投資家が忘れがちなコストであるため「隠れたコスト」とも呼ばれています。 信託報酬率は一定ですが、それ以外の経費は「変動」します。そのため、信託報酬率が低位に設定されていたとしても、実際に投資家が負担するコストが著しく高くなる場合もあり得ます。流動性の低い資産(新興国資産など)を取り扱う投信はその傾向が強く、信託報酬の50%以上の追加コストが生じたケースもあります。信託報酬だけで投資するファンドを比較することは危険です。過大なコストはリターンを悪化させるため、投資信託やETFの購入を検討する際は、直近の運用報告書等を参照して経費率を比較すべきでしょう。 信託報酬などの経費はファンドにとっては税金と同じです。投資成績がマイナスであろうと、自動的に資産から引かれてしまいます。そして、負担する信託報酬が高いからといって、高いパフォーマンスを稼げるとも限りません(この観点は議論の的となっているため、別の機会で取り上げます)。であれば、支払う必要のある運用手数料を節約・低減させることは当然の選択です。 現在では、ETFやインデックス投信などで、投資に掛かる経費を低く抑えた商品が数多く出ていますので、これらの商品を活用することを検討しましょう。そして、運用報告書等の資料が閲覧可能であれば、必ず経費率と呼ばれる項目を確認し比較することをお勧めします』、「取引コストや監査費用などファンド運営に必要な経費が信託報酬以外にも掛かります。ファンドに課される全ての費用の純資産総額に対する比率を「経費率」と呼び、ファンドごとに開示」、「ETFやインデックス投信などで、投資に掛かる経費を低く抑えた商品が数多く出ていますので、これらの商品を活用することを検討しましょう。そして、運用報告書等の資料が閲覧可能であれば、必ず経費率と呼ばれる項目を確認し比較することをお勧めします」、なるほど。
・『取引額の5%もの手数料が掛かる金融商品もある  今では、株式や外国為替、暗号通貨などの資産をアプリ上で手軽に取引することができます。アプリを開いてから1分も掛からず取引を実行できるのは、一時代前からすると便利な時代になったと喜ばしく感じられます。しかし、手軽に取引ができるようになった一方で、取引コストに対して多くの人が鈍感になっていると感じられます。 取引に際して必要となるコストは以下の2つです。「ビット・アスク・スプレッド(以下、スプレッド)」と「取引手数料」です。スプレッドは取引する資産の「購入価格」と「売却価格」の差です。証券会社などの仲介業者(ディーラー)は安い価格で調達した資産を高く売却することが基本的なビジネスモデルですので、仲介する商品の価格差が彼らの利益になります。) 投資家の側に立って考えると、価格差が大きいほど高いコストを支払うことになります。このスプレッドは、仲介業者によって変わるだけでなく、取引環境によって変動します。流動性が高い(金融市場での取引量が多い)場合は、スプレッドが小さくなる一方で、流動性が低い(金融市場での取引量が少ない)場合は、スプレッドが大きくなる傾向があります。 もう一方の取引コストは「取引手数料」です。これは、取引業者が取引資産や金額ごとに決められている場合が多く、資産によっては取引金額が大きいほど手数料が安くなる場合もあります。一方で、スプレッドと異なり、市場環境によって料率が変化することはありません。 普段、個人投資家の方と話す機会も多くありますが、手数料を強く意識されている人は非常に少ない印象を受けます。「取引コストは必要経費」と捉えてしまい、どんなに高くとも受け入れてしまう傾向にあります。しかし、トルコリラなどの流動性の低い為替や、ビットコイン等の暗号資産に掛かる取引コストは非常に高く、中には取引金額の5%を超える手数料を徴取されるケースも存在します。大幅なコスト負担は、投資収支を著しく悪化させるため、可能な限り避けるべきでしょう。このような投資家マインドがある人ほど、中長期でしっかりと目標を達成しています。 機関投資家は「最良執行義務」を負っています。取引コストをできる限り低位に抑えるため、取引ごとに複数の銀行や証券会社から取引値を同時に聴取する「コンペ」を行っています』、「トルコリラなどの流動性の低い為替や、ビットコイン等の暗号資産に掛かる取引コストは非常に高く、中には取引金額の5%を超える手数料を徴取されるケースも存在します。大幅なコスト負担は、投資収支を著しく悪化させるため、可能な限り避けるべきでしょう」、その通りだ。
・『個人投資家は手数料をどう抑えるか  個人投資家は機関投資家のようにコンペは行うことはできません。そのため、口座開設時に手数料を比較し、最も低い手数料率を提示する金融機関で口座を作成するのがよいでしょう。手数料率が低いことが売りの証券会社であれば、大きく表記されています。 そして、もう一歩踏み込むのであれば、複数の金融機関で口座を開設し、取引ごとにビット・アスク・スプレッドの水準を確認できる体制を作ることも検討すべきです。これは、取引する金融機関でネットワーク障害が起きた際のリスクヘッジにもつながります。 最後に、コストの見方について説明します。多くの場合、取引コストは取引金額に対する「パーセンテージ」ではなく、「絶対値」で表記されています。コストを絶対値とすることで、実際の負担額がわかりやすくなる一方で、パフォーマンスへの影響が見えにくくなり、コストの心理的な負担を緩和してしまう効果があります。 そのため、コストは常に取引金額に対するパーセンテージでも考えるようにしましょう。そうすることで、普段からいかに高い取引コストが課されているかに気付くはずです。数回でもいいので、電卓をたたいて実際のコストがどの程度になるのか計算してみるとよいでしょう。感覚値との隔たりに、きっと驚くと思います。 ちなみに、取引コストが明示されていない場合もあります。例えば、ビットコインなどの暗号資産の場合、取引手数料は開示する一方で、スプレッドの目安が明示されていないケースが多くあります。しかし、それらの資産の取引コストは非常に高く、購入後に大幅な値上がりがなければ利益を得られない可能性が高いです。取引コストが投資リターンを大きく左右することになるため、取引する場合は信頼できる情報サイトを参照したり、実際に複数アカウントを開設してスプレッドを比較したりする必要があるでしょう。 後編では、「投資のルール化」や「家庭内投資委員会の設置」など、より実践的な内容について紹介します』、「コストは常に取引金額に対するパーセンテージでも考えるようにしましょう。そうすることで、普段からいかに高い取引コストが課されているかに気付くはずです」、その通りだ。

次に、この続きを、10月19日付け日経ビジネスオンラインが掲載したBagel X代表取締役の大崎 匠氏による「株主優待に飛びつくのは日本人だけ? 目先の利益でプロは買わない」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/plus/00014/101500002/
・『50歳から投資を始めようとしたとき、まずは口座開設し全額投資しよう!と意気込んでしまうもの。しかし投資には最低限押さえておくべきルールが存在します。前編「50歳で初めて投資 失敗しないために知っておくべきこと」では、元機関投資家の視点で資産運用にかかる手数料の重要性を解説しました。後編では、より実践的な内容について紹介します』、興味深そうだ。
・『投資をルール化する  機関投資家にとっては、顧客の資産が投資の原資にあたるため、どういった投資をするかには説明責任が生じます。投資成績がどうであろうとも、「なぜその資産(銘柄)なのか」「なぜこのタイミングなのか」など、自らがとった投資行動の根拠を用意しておく必要があります。そのため、社内で議論を尽くすだけでなく、取引証跡や判断根拠資料を保存し、説明責任を果たすための手間と時間を惜しみません。 一方で、個人の投資では、家計や自分の資産を運用に回すことになるため、第三者に対する説明責任を負うことはありません。誰にも相談せず、行き当たりばったりで投資をする「何となく投資」を始める傾向にあります。耳が痛い話かもしれませんが、投資家は往々にして自らの能力を過信しがち。自らの感覚やひらめきに頼って投資をしてしまう方が非常に多いのです。 十分な思慮を行わず、根拠も持たない投資は単なるギャンブルと何ら変わりません。そうした「何となく投資」を避けるためにも、前もって自らの投資行動に一定のルールを課すことをおすすめします。事前に何らかの投資制約を課すことで、向こう見ずなギャンブルを避けることができるからです』、「十分な思慮を行わず、根拠も持たない投資は単なるギャンブルと何ら変わりません。そうした「何となく投資」を避けるためにも、前もって自らの投資行動に一定のルールを課すことをおすすめします」、「前もって自らの投資行動に一定のルールを課す」、実際にやるとなれば、大変な手間だ。
・『運用ガイドラインを設定する  機関投資家は、新たな運用戦略を立ち上げる際に「運用ガイドライン」を設定します。ここでいうガイドラインとは、常に順守を求められる「ルール」。あらかじめガイドラインを設定し、新たな投資をするときだけではなく、日々のモニタリングを含め、あらゆる状況下において、そのルールを順守することが求められます。また、運用ガイドラインは1年ごとなど定期的に見直し、環境や状況の変化に応じて内容を修正します。 運用ガイドラインを設定する目的は、意図しないリスクを負わないためです。このガイドラインの中で、運用の目的や収益目標、自分の組織のリスク許容度に基づいて投資可能資産や資産アロケーション(割り当て)の範囲などを事前に決めます。そうすることで、過度なリスクテイクを抑制し、自らの能力を過信した衝動的な投資を未然に防ぐことができるからです。 こうした運用ガイドラインの設定は、個人投資家こそ実践すべきです。具体的には以下の通りです。 【個人投資家が行うべき運用ガイドライン】 具体的な内容や数値については個々人のリスク許容度や目標金額によって異なるため、あくまでこれらは一例とお考えください。 (1) 投資は自由に使えるお金の80%までとする【理由】急な出費が重なったり、生活費が足りなくなったりした場合、資産を売却せざるを得なくなります。安定的な資産運用を継続するためにも、資金を投資に振り分けすぎないことが肝要です。 (2)信用取引やオプション取引は行わない【理由】投資リスクが非常に高まってしまうため、リスクを追い求める投資家以外は手を出さない方が身のためでしょう。投資原資を超える損失を被るリスクすらあります。 (3) 新興国への投資は運用資金の10%までとする【理由】期待される投資リターンは大きいが、リスクも相応に高いです。特に新興国の為替リスクは高いため、比較的小さい金額で運用すべきでしょう。 (4) 株式の配当金や債券の利払い金は全額再投資に回す【理由】長期的な複利効果を狙うためです。しかし、定年退職などの理由で収入が減った場合はその限りではありません。 機関投資家は当然、より詳細なガイドラインを設定しています。しかし、個人投資家であれば、過度に複雑になってしまうことを避けるため、この程度の粒度が適切でしょう。設定するルールは、投資期間や目標資産金額といった身の丈に合ったものにすることが肝要です。 もう一つ重要な点は、ルール設定の幅を広げすぎないことです。幅を広げすぎると、何でもありの投資を許容することになり、ガイドラインの意味をなくしてしまいます。ルール設定によってある程度選択肢を狭め、その中で最適な運用を心がけましょう』、「ルール設定によってある程度選択肢を狭め、その中で最適な運用を心がけましょう」、なるほど。
・『家庭内「投資委員会」を立ち上げよう  機関投資家は、資産運用に関する重要な決定を、四半期ごとなど定期的に開催される「投資委員会」にて行っています。委員会の主な機能は、投資に関する情報共有と意思決定です。 過去の運用成績を振り返るとともに、今後の見通しと運用戦略を議論します。また、ガイドラインの設定・修正や、新たな投資戦略、特に金額の大きい投資案件の承認も行われるなど、議論される内容は多岐にわたります。委員会を設置することで、PDCAサイクルを回し、投資を所管する部門へのけん制になります。 ほとんどの個人投資家は投資の意思決定を1人で行い、投資の相談を第三者にすることは少ないのではないでしょうか? 家計のリスク耐性や目標資産額に見合わないような過度なリスクテイクを避けるためにも、家庭内で「投資委員会」を立ち上げ、ご家族と資産運用について、定期的に話し合ってみてはいかがでしょうか。また、信頼できる友人や資産運用のプロフェッショナルに相談するのも選択肢の一つでしょう。 プライベートな投資委員会の設立は面倒が多いと思われるかもしれません。しかし、家庭内に投資委員会を設置することで、「何となく投資」を避けることができます。このプロセスを通すことで「本当に投資すべきなのか?」「その投資戦略に論理性はあるのか?」と自分に問うことができます。そして、自分以外の人に相談することで、違った視点での気づきを得られ、自らのロジックのもろさが露呈するかもしれません。 さらに、資産状況と資産見通しの共有ができるメリットもあります。ご家族に相談されるのであれば、将来的な相続について早くから話し合うことができます。「50歳代で相続の話をするのは早い」と思われるかもしれません。しかし、日ごろから将来相続を受ける立場である人の意見や意向を取り入れながら運用したり、家計の資産状況を共有したりしておけば、自分に何かあった場合にも円滑な相続手続きを行えます。老後の医療費、生活費の負担や次の世代に向けた資産形成など、家族単位での資産運用を考えることができる、という副次的な効果も期待できます。 ただ、相談する相手、つまり「投資委員会」のメンバーの選定には十分な注意が必要です。必ずしも資産運用のプロである必要はありませんが、話をうのみにせず自分で考えられる人であると同時に、センシティブな内容の相談もできる人が適任です。むしろ、投資経験がない人の方が、バイアスのない純粋な意見を期待でき、良いブレーキとなるかもしれません』、私個人は、「老後の医療費、生活費の負担や次の世代に向けた資産形成など、家族単位での資産運用を考える」必要性は認めるが、「投資委員会」は不要だと思う。
・『投資をする上での留意点  初心者の投資家が知るべきことはいろいろあります。ここからは、投資を始める上で最低限知っておくべき情報を、いくつかご紹介します。 (1)資産を増やすために適切なリスクを取る 資産運用には「フリーランチはない」という言葉があります。日本で言うところの「働かざるもの食うべからず」に近い意味ですが、資産運用の世界では「リターンを得るためには、それに見合ったリスクを取る(つまり、資金を働かせる)必要がある」ことを意味します。至極当たり前なことを言っていますが、実は非常に大事なことを伝えています。 資産の減少を過度に恐れるがゆえに、全く資産運用をせず、銀行預金に資金を寝かせたままの方が多くいます。そして、運用をしていたとしても、定期預金や国債などリスクが著しく低い投資に終始してしまう方もいます。個人投資家のリスク耐性は人それぞれであり、正解は存在しません。ただ、積極的に資産を増やしていきたいと考えるなら、手に入れたいリターンに見合うリスクを積極的に取る必要があります。 最近では、インデックス投信や同ETF(Exchange Traded Funds/上場投資信託)のみへの投資を推奨する戦略が増えています。個人的にも、運用コストを低減し、市場リターンを獲得する非常に有効な戦略だと思っています。ただ、目標資産額と運用期間によっては、インデックス投信やETFだけでは達成が難しい場合もあります。特に、これまで資産運用を積極的に行ってこなかった方々で、目標資産金額を高く設定している場合は、やや高めのリスクを取った運用をする必要もあるでしょう。その場合、資金の全てをインデックス投信に投じるのではなく、例えば保有資産の20%を個別株などリスク性の高い資産に回すことも一つの戦略ではないでしょうか』、「資産運用には「フリーランチはない」という言葉があります・・・資産運用の世界では「リターンを得るためには、それに見合ったリスクを取る・・・必要がある」、最も基本的なことだ。
・『2)高配当株に依存した生活設計をしない  現代では、ストレスフルな社会人生活を脱し、経済的自由を謳歌するという考え方が流行しています。その代表的な考え方が「FIRE(Financial Independence, Retire Early/経済的に独立し、早期に引退する)」です。文字通り、ある程度の規模を持つ資産を形成し、その後は職を辞して、資産からの収益で生活していく考え方を指します。 そして、FIREを実現させる投資戦略として、「高配当株」への投資がもてはやされています。配当金が多ければ、それだけ生活費に回せるお金が増えることが理由です。聞こえの良い話ではありますが、株式配当に依存した生活設計は実のところ危険をはらんでいるので注意が必要です。 企業がどれだけの配当金を支払うか決める「配当政策」は固定化されたものではなく、会社の業績や経営陣の方針によって変化します。特に、業績が大幅に悪化した際に配当支払いが減額されたり、場合によっては打ち切られたりすることもあります。 かつて、東京電力は高配当株として人気が高く、老後の収入源として同社の株を購入する投資家が大勢いました。しかし、東日本大震災に伴う原発事故によって、東京電力は配当支払いを停止し、以降、現在に至るまで配当を再開していません。米国においても、コロナ禍で資金繰りが悪化した航空関連会社やエネルギー関連会社の一部が配当の停止、または大幅な減額を決定しました。これらの企業も高配当株として以前から高い人気を誇っていました。しかし、業績悪化を理由に配当を停止し、そこから1年以上経過した今でも配当を再開していない企業が多く存在します。 「配当が減少した時点で他の高配当銘柄に乗り換えればいい」と考えている人もいるでしょう。しかし、配当が減額された銘柄の株価は往々にして大きく下落してしまいます。銘柄の入れ替えによって配当額を増やそうと考えても、時価の下落した銘柄からの入れ替えでは投資資金が足りなくなってしまう恐れもあります。 高配当株を選好する戦略を否定するつもりはありません。しかし、「配当は変化する」という前提を忘れず、配当金に対する依存度を下げておかなければ、リスク事象が発現した際に、生活設計が狂ってしまう可能性が高くなります。 投資から定期的な収入を得たいのであれば、インデックスETFやセクター別・テーマ別のETF、社債投信を購入するのがよいでしょう。高配当株よりも配当利回りは劣りますが、分散効果によって配当の減額や停止の影響を抑えることができますし、社債投信であれば安定的な金利収入が期待できます。なので、FIREを実践したいのであれば世間でいわれているより多くの金融資産に投資し、分散効果を利かせながらリスクを下げていくことが必要になるでしょう』、「「配当は変化する」という前提を忘れず、配当金に対する依存度を下げておかなければ、リスク事象が発現した際に、生活設計が狂ってしまう可能性が高くなります。 投資から定期的な収入を得たいのであれば、インデックスETFやセクター別・テーマ別のETF、社債投信を購入するのがよいでしょう」、その通りだ。
・『(3)株主優待のみを目的にしない  日本特有の現象として、株主優待を目的とした投資を好む投資家が多く存在します。自社サービスの割引券や株主限定商品の配布など、魅力的な株主優待に目移りしがちですが、資産を増やすための投資において株主優待は不要な存在です。そもそも、諸外国と比較して、日本企業の配当性向(純利益に占める配当金額の比率)や自社株買いといった株主還元政策は遅れており、株主優待はその隠れみのにされているという批判があります。 投資対象として魅力的な企業が、たまたま魅力的な株主優待を提供しているのであれば問題ないでしょう。しかし、株主優待を目的に、投資対象として魅力的でない企業の株式を購入してしまっては本末転倒です。手に入れた株主優待の価値より大きい機会損失を被る可能性すらあるため、株主優待を目的とした投資は再考すべきでしょう。 資産を増やすことを一義的な目的とせず、株主優待を楽しむために投資することを批判するつもりは一切ありません。株主優待をどう捉えるかは投資の目的によって大きく変わってきます。中には株主優待が生活費の節約になったり、好きな特典がついてくるといったこともあるでしょう。ですが、資産形成のための投資をするのであれ、一時の株主優待に目がくらんではいけないということを忘れずにいてください。目先の利益や誘惑にとらわれないようにしましょう』、「手に入れた株主優待の価値より大きい機会損失を被る可能性すらあるため、株主優待を目的とした投資は再考すべきでしょう」、同感である。

第三に、本年6月1日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「ESG投資が運用として「明らかにダメ」でも流行る本当の理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/303996
・『ESG(環境・社会・企業統治)の名目で資金を集める運用商品は一大ビジネスに育った。しかし、ESG投資によって生じた矛盾や無駄は小さくなく、運用としては「明らかにダメ」だ。その理由を解説しよう』、興味深そうだ。
・『運用業界が作り上げた新しいビジネスが「ESG投資」  米国の通称「SEC」こと証券取引委員会が、「ESG(環境・社会・企業統治)」「サステナブル(持続可能)」「低炭素」などと称する運用商品について、義務づける開示情報のルールを検討していることが運用業界で話題になっている。日本でも同類の商品について、商品名に内容が伴っているのかについて金融庁が関心を寄せていることが報じられている。 ところで、「ESG銘柄が○○%以上含まれていなければ、商品名にESGと付けてはいけない」といった規則ができると、運用会社にとってはなかなか厄介だ。どの銘柄が「ESG銘柄」なのか判断する納得性のある基準を提示するのは難しい。さりとて、「当社はESG銘柄を判断する明確な基準を持ってはいません」というわけにもいかない。今や、ESG投資は運用業界にとって無視できない大きさのビジネスに育ったからだ。 そもそも、ESG投資を大きな商品カテゴリーに育てるために、運用業界は多大な努力を払ってきた。「社会運動に便乗した」ともいえるし、「社会運動そのものを積極的に起こした」ともいえそうで、実態はおそらくその両方だろう。 筆者の見るところ、運用業界としてはビジネス上、アクティブ運用の実績をインデックス運用に対して十分に優位なものにはできないことが明らかになってきた。そんな中、インデックス運用だけでは十分な収益にならないために、何とか次の収益源として作り上げたのが「ESG投資」なのだ。その善し悪しは別として、ビジネスとして広げる過程はなかなか興味深いものだった。 もっとも、これは運用業界側の事情だ。投資家の側では「ESG投資」をどう理解したらいいかという問題がある』、「運用業界としてはビジネス上、アクティブ運用の実績をインデックス運用に対して十分に優位なものにはできないことが明らかになってきた。そんな中、インデックス運用だけでは十分な収益にならないために、何とか次の収益源として作り上げたのが「ESG投資」なのだ」、なるほど。
・『ESG投資とは「社会活動」と「運用手法」の二つの側面を持つ  ESG投資とは、投資対象企業の「環境(Environment)」「社会性(Social)」「(企業)統治(Governance)」を基準に行う投資を指す。例えば、地球環境の悪化をもたらしていると目される企業の株式に投資しないことや、社会的に好ましい貢献をしている企業の株式に積極的に投資するような投資行動を指す。 こうした投資行動によって、一つには企業の活動を好ましい方向に導くことが期待されるとする。また、株主である投資家が企業に対してE・S・Gそれぞれで望ましい行動を取るように企業とコミュニケーションを取ったり、議決権行使を行ったりすることで、企業の行動が改善する効果が期待される。これらは、いわば「社会活動としてのESG投資」だ。 さらには、E・S・Gそれぞれで望ましい行動を取る企業の株式は投資パフォーマンスが良いと期待できるのではないかという「運用上の効果」が語られることもある。こちらは「運用手法としてのESG投資」だ』、「社会活動としてのESG投資」、「運用手法としてのESG投資」、2つの側面があるようだ。
・『「ESG投資」vs「普通の投資」 軍配が上がるのはどちらか?  さて、企業そのものやその株式の価値を評価する上で、E(環境)やS(社会)やG(統治)が重要であることは論をまたない。これらの要素は将来のコストにも反映するし、これらの要素に対する現在の取り組みが将来の収益にも影響するだろう。 これらは、「ESG投資」でなくても、「普通の投資」にあっても真剣に評価されるべき重要な要素の一部だ。また、株式の保有・売却の判断だけでなく、保有株式の議決権の行使等に当たっても株式のオーナーたる機関投資家は、自らの保有する株式のパフォーマンス改善のために、E・S・Gを含めた企業経営上の諸要素への関与にあってベストを尽くすことが望ましい。この点も「普通の投資」にあって同様だ。建前上、手抜きは許されない。 こう考えると、「ESG投資」の判断は「普通の投資」の判断と何が違うのかという疑問が生じる。何かが違うのでなければ、少なくとも「運用手法としてのESG投資」には意味がなくなる。 しかし、「普通の投資」の総合的な判断と異なる結果のポートフォリオを持つということは、「普通の投資」としての運用会社のベストな判断から距離が発生するということだ。運用としては何らかの点でベストなポートフォリオから遠ざかることを意味する。 素朴な例を考えるとするなら、投資可能な上場銘柄が10銘柄しかない世界を想像して、E・S・Gのいずれかの事情で投資対象から2銘柄を除外するとしよう。ポートフォリオの「事前の判断」としては、10銘柄全てを使える条件のポートフォリオの方が、8銘柄に制約されたポートフォリオよりも少なくとも劣らないはずだ。むしろ、おそらくは優れたものになることは想像に難くない。 「普通の投資」と「ESG投資」について二つのポートフォリオを作ると、「事前の判断のレベル」ではほぼ常に「普通の投資」が優位なはずだ。そして、運用会社の真の商品は「事前の判断」なのである。運用会社の「事前の判断」に意味があるのでなければ、少なくともその運用会社のアクティブ運用には価値がない。顧客にとって両者の運用上の優劣は、結果論で判断すべきレベルの問題ではない。 投資家側から見ると、運用効率だけで判断するなら「ESG投資」は「普通の(ベストな)投資」よりも劣るポーフォリオに投資して、かつ何がしか高いフィー(運用手数料)を取られる投資商品だといえる。 商品・ビジネスとしてのESG投資をあえて正当化するなら、投資家が「社会運動としてのESG投資」の効果を良いものと評価して満足するか、「ポートフォリオがESG的」であることに精神的に満足するかの可能性を提供しようとする、運用効率至上主義ではないサービスビジネスだということになる』、「商品・ビジネスとしてのESG投資をあえて正当化するなら、投資家が「社会運動としてのESG投資」の効果を良いものと評価して満足するか、「ポートフォリオがESG的」であることに精神的に満足するかの可能性を提供しようとする、運用効率至上主義ではないサービスビジネスだということになる」、つまり「ESG投資」は恰好つけに過ぎない。
・『年金基金の立場が興味深いESG投資と職務義務に「深刻な矛盾」  さて、内外の企業年金や公的年金などの年金基金は、ESG投資の主要顧客だと言っていいのだが、ここで興味深い問題が生じている。 彼らは、建前として年金加入者の積立金の運用に当たって「運用効率至上主義」でなければならないからだ。ポートフォリオとしての効率が落ちて、さらにインデックス運用よりも高いフィーを支払うESG投資を採用することと、彼らが年金加入者などに対して負っている義務との間には深刻な矛盾がある。その義務とは、「プルーデントマンルール」などと呼ばれる、専門知識を生かして思慮深い投資行動を取ることを定めた原則だ。 筆者が思うに、年金基金がESG投資を採用するためには、運用部隊や、運用部隊に意見を具申する運用委員会のような組織の意思決定だけでは不十分だ。それだけでなく、代議員大会レベルで「ベストな運用効率には劣る可能性があるが、ESG投資を一定の上限額の下に採用していいか」といった内容を問う議案を可決して、意思決定する必要がある。 通常「運用委員会」は、運用の専門家として運用効率至上主義の観点から技術的なアドバイスを行う組織だ。「運用効率は一部損なわれるが、ESG投資には意義がある」といった価値判断を行う主体ではない。 また、各国の制度の下にあって、年金基金が運用効率至上主義とは異なる方針を採って運用することが認められているかどうかという問題もある。さらには、基金の設立主体である企業年金なら母体企業、公的年金なら主務官庁などの方針と矛盾しないかという点も問われなければならない。 平たく言うと、年金基金には自分たちの一存によって「他人のお金で、格好を付ける」権限は与えられていないのだ』、「各国の制度の下にあって、年金基金が運用効率至上主義とは異なる方針を採って運用することが認められているかどうかという問題もある。さらには、基金の設立主体である企業年金なら母体企業、公的年金なら主務官庁などの方針と矛盾しないかという点も問われなければならない」、確かにその通りだ。
・『しかし、マーケティングの急所は年金基金だった  一方、興味深いのは、年金基金には前記のような立場上の事情があるにもかかわらず、ビジネスとしてのESG投資を見ると、マーケティング戦略上の急所が他ならぬ年金基金だったように見えることだ。 ESG投資は、特に欧州の年金運用の世界から拡大し、わが国の年金運用にも影響を及ぼすようになった。そして、やがては「世界的にも拡大している運用手法」と喧伝されて個人向けの投資信託などにも採用されるようになった。 運用業界が意識的に年金基金を狙うマーケティング戦略を立てたのかどうかは確認のしようがない。しかし、考えてみるに、「インデックス運用ばかりになると商売はあがったりだ(=われわれのすることがなくなる)」という事情は運用会社だけでなく、年金基金にとっても同様だ。 また、ESGの諸要素に関して運用会社に注文を付けるのは、年金基金の担当者にとって「気分のいい仕事」になり得る点も商売上は見逃せない。 ちなみに、年金運用業界にあってESG運用と似た立場にあるのが、アクティブ運用だ。現実問題としてアクティブ運用には、以下のような事情がある。 (1)手数料まで考えた場合にインデックス運用の方がアクティブ運用よりも優れていると判断できる場合が多い (2)大規模な基金のリターンはほとんどがアセットアロケーション(資産配分)段階で決まること (3)アクティブ運用の採否や管理には手間とコストが掛かる  それにもかかわらず、「コアサテライト」(インデックスファンドを中核として、周辺にアクティブ運用を配するイメージだ)などという意味のない概念まで繰り出して、運用資産の一部だけでもアクティブ運用を続けようとする基金が多い。その理由は、運用会社や年金基金に付いているコンサルタントだけでなく、年金基金自身の「仕事作り」になっているからだ。 つまり運用業界は、経営コンサルタントが「経営企画部」に戦略コンサルティングを売ったり、法律事務所が企業の法務部門に「コンプライアンス研修プログラム」を売ったりするのと同じことをした。年金基金に対して、彼らの「仕事作り」に貢献する「ESG投資」という運用商品と新しい仕事のプログラムを売ったのだ。ビジネスとしては、別の商品・サービスにも応用が利きそうな興味深い経緯である』、「つまり運用業界は・・・年金基金に対して、彼らの「仕事作り」に貢献する「ESG投資」という運用商品と新しい仕事のプログラムを売ったのだ」、その通りだ。
・『投資すべきはESGの「優等生」か 実は「劣等生」に投資妙味  ところで、E・S・Gが企業評価上重要だとして、投資すべき対象はそれぞれの項目ないし総合点の上位企業なのだろうか、あるいは下位企業なのだろうか。 ESG投資が普及する初期によく語られたのは、ESGがダメな企業の株式を機関投資家が売るとすれば、株式を売られたくない経営者が改心する理由になるのではないかといったストーリーだった。この話を重視するなら、ESGの優等生企業に投資するのがいいということになる。 一方、株式投資で高いリターンが得られるのは、企業に「好ましい変化」が起こったときだ。ESGが企業評価上重要なら、ESGの劣等生企業に投資してESG要素の「改善」に期待する方が、既にESGの優等生企業がさらに意外なくらい優等生になる変化に期待するよりも有望な可能性がある。 加えて、企業の行動に対する効果を考えるとして、ESG劣等生企業の株式を保有する大株主が、経営者とのコミュニケーションや株主総会、議決権行使、さらには取締役会への関与などを通じて好ましい行動変化を促す方が、劣等生企業の株式を保有せず、関与しないよりも有効かもしれない。 ESGを意識する投資家が投資すべき企業は、ESGの優等生の方なのか劣等生の方なのか――。投資の効果の上ではもちろん、企業の行動変容を促す上でも案外判然としない』、「ESGを意識する投資家が投資すべき企業は、ESGの優等生の方なのか劣等生の方なのか」、確かに「判然としない」ようだ。さすが、山崎氏だけあって、単なる「ESG投資」の売り言葉ではなく、本質を突いた意味を問いかけた力作だ。 
タグ:日経ビジネスオンライン 大崎 匠氏による「50歳で初めて投資 失敗しないために知っておくべきこと」 「普段からコストに対する意識を高く持ち、コストの低減化を心がけましょう」、その通りだ。 「取引コストや監査費用などファンド運営に必要な経費が信託報酬以外にも掛かります。ファンドに課される全ての費用の純資産総額に対する比率を「経費率」と呼び、ファンドごとに開示」、「ETFやインデックス投信などで、投資に掛かる経費を低く抑えた商品が数多く出ていますので、これらの商品を活用することを検討しましょう。そして、運用報告書等の資料が閲覧可能であれば、必ず経費率と呼ばれる項目を確認し比較することをお勧めします」、なるほど。 「トルコリラなどの流動性の低い為替や、ビットコイン等の暗号資産に掛かる取引コストは非常に高く、中には取引金額の5%を超える手数料を徴取されるケースも存在します。大幅なコスト負担は、投資収支を著しく悪化させるため、可能な限り避けるべきでしょう」、その通りだ。 「コストは常に取引金額に対するパーセンテージでも考えるようにしましょう。そうすることで、普段からいかに高い取引コストが課されているかに気付くはずです」、その通りだ。 大崎 匠氏による「株主優待に飛びつくのは日本人だけ? 目先の利益でプロは買わない」 「十分な思慮を行わず、根拠も持たない投資は単なるギャンブルと何ら変わりません。そうした「何となく投資」を避けるためにも、前もって自らの投資行動に一定のルールを課すことをおすすめします」、「前もって自らの投資行動に一定のルールを課す」、実際にやるとなれば、大変な手間だ。 「ルール設定によってある程度選択肢を狭め、その中で最適な運用を心がけましょう」、なるほど。 私個人は、「老後の医療費、生活費の負担や次の世代に向けた資産形成など、家族単位での資産運用を考える」必要性は認めるが、「投資委員会」は不要だと思う。 「資産運用には「フリーランチはない」という言葉があります・・・資産運用の世界では「リターンを得るためには、それに見合ったリスクを取る・・・必要がある」、最も基本的なことだ。 「「配当は変化する」という前提を忘れず、配当金に対する依存度を下げておかなければ、リスク事象が発現した際に、生活設計が狂ってしまう可能性が高くなります。 投資から定期的な収入を得たいのであれば、インデックスETFやセクター別・テーマ別のETF、社債投信を購入するのがよいでしょう」、その通りだ。 「手に入れた株主優待の価値より大きい機会損失を被る可能性すらあるため、株主優待を目的とした投資は再考すべきでしょう」、同感である。 ダイヤモンド・オンライン 山崎 元氏による「ESG投資が運用として「明らかにダメ」でも流行る本当の理由」 「運用業界としてはビジネス上、アクティブ運用の実績をインデックス運用に対して十分に優位なものにはできないことが明らかになってきた。そんな中、インデックス運用だけでは十分な収益にならないために、何とか次の収益源として作り上げたのが「ESG投資」なのだ」、なるほど。 「社会活動としてのESG投資」、「運用手法としてのESG投資」、2つの側面があるようだ。 「商品・ビジネスとしてのESG投資をあえて正当化するなら、投資家が「社会運動としてのESG投資」の効果を良いものと評価して満足するか、「ポートフォリオがESG的」であることに精神的に満足するかの可能性を提供しようとする、運用効率至上主義ではないサービスビジネスだということになる」、つまり「ESG投資」は恰好つけに過ぎない。 「各国の制度の下にあって、年金基金が運用効率至上主義とは異なる方針を採って運用することが認められているかどうかという問題もある。さらには、基金の設立主体である企業年金なら母体企業、公的年金なら主務官庁などの方針と矛盾しないかという点も問われなければならない」、確かにその通りだ。 「つまり運用業界は・・・年金基金に対して、彼らの「仕事作り」に貢献する「ESG投資」という運用商品と新しい仕事のプログラムを売ったのだ」、その通りだ。 「ESGを意識する投資家が投資すべき企業は、ESGの優等生の方なのか劣等生の方なのか」、確かに「判然としない」ようだ。さすが、山崎氏だけあって、単なる「ESG投資」の売り言葉ではなく、本質を突いた意味を問いかけた力作だ。
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金融業界(その14)(韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(上)流出資金は総計1000億円超、韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(下)その巧妙な儲けの手口とは、きらやか銀行 「3度の公的資金申請」に漂う不安 運用受託で含み損拡大のSBIにも厳しい視線、地銀が沈む時代に「信用金庫」が伸びている理由 明暗を分ける差とは? 『なぜ信用金庫は生き残るのか』) [金融]

金融業界については、1月26日に取上げた。今日は、(その14)(韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(上)流出資金は総計1000億円超、韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(下)その巧妙な儲けの手口とは、きらやか銀行 「3度の公的資金申請」に漂う不安 運用受託で含み損拡大のSBIにも厳しい視線、地銀が沈む時代に「信用金庫」が伸びている理由 明暗を分ける差とは? 『なぜ信用金庫は生き残るのか』)である。

先ずは、3月2日付け日刊ゲンダイが掲載したフリーライターの半田修平氏による「韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(上)流出資金は総計1000億円超」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/301939
・『韓国の大手銀行と機関投資家が、地上げ業者に資金提供し、日本の山林を乱開発させて荒稼ぎしている。そんな実態が明らかになった。 日本で最も日照時間が長く太陽光発電所が多い山梨県で最近、再生可能エネルギー業者の乱開発による悪影響が問題となっている。 昨年、甲斐市に建設中の東京ドーム3個分に相当する大規模太陽光発電所(メガソーラー)の一部が崩落し、隣接する川の斜面に土砂が流れ込む事態が発生した。10月に県が土砂の撤去を行政指導するも、地元紙によると、12月時点で土砂は放置されたままだという。 このメガソーラーでは、ずさん工事の数々が明らかになっている。十分な防災工事をせずに太陽光パネルを設置したことで、地面に亀裂が走り、排水に必要な調整池の施工法や建材に不備が見つかった。地盤の緩いハゲ山に大雨が降れば、熱海での崩落事故のように大規模な土砂崩れを引き起こしかねない。また、計画以上に森林を伐採するなど安全面以外でも問題が指摘されていた。 工事を手掛けたのは、東京の再エネ業者「ブルーキャピタルマネジメント」。そして、100億円近い費用を融資したのは、韓国銀行大手・新韓銀行の日本法人である「SBJ銀行」や韓国系の「ウリィ銀行」などである。 一般的にメガソーラーは、地上げや工事で巨額の資金が必要となる。だが日本の銀行は、融資の回収可能性や業者の信用力の問題などから、なかなか融資を出さない。住民運動が起きている案件や手抜き工事が指摘されている業者には、融資などもってのほかだ。 だが韓国系銀行は、この案件だけでなく、物議を醸している各地のメガソーラー計画で、資金の出し手として登場している。 審査が緩いのか、日本の事情に疎いのか──と思われたが、意外な裏事情があった』、「日本の銀行は、融資の回収可能性や業者の信用力の問題などから、なかなか融資を出さない」、「韓国系銀行は、この案件だけでなく、物議を醸している各地のメガソーラー計画で、資金の出し手として登場」、どいうことだろう。
・『債権譲渡ありきの融資  韓国系銀行による太陽光融資のカネの出どころは、実は韓国・新韓銀行グループの資産運用会社「新韓BNPパリバ資産運用」が、韓国機関投資家から集めたファンド資金だったのだ。 関係者の話を総合すると、次のようなスキームで日本に資金が投じられているという。 まず、日本の再エネ業者がメガソーラー用地を地上げし、林地開発許可などを得る。 すると新韓BNPパリバのファンドが、事業実施主体となる合同会社を設立するか、会社ごと再エネ業者から買い取るなどの方法で開発権を取得する。 そして実施主体に、リスクに応じて3階層の資金提供を行う。 リスクが低く金利3%程度の「デット」、担保はないが事業がうまくいけば利益が見込める「エクイティー」、その中間で5~7%といった高い金利が得られる「メザニン」、という具合で実施主体に投融資していく。 ファンドは融資債権から得られる金利を機関投資家に配当する。 ただし、このスキームには問題がある。韓国でいかに資金が集まろうと、日本で銀行免許や貸金業の許可を持たない韓国のファンドが、融資債権を組成したり、貸金業を営むことはできないからだ。 そこで、新韓銀行グループで、日本で銀行免許を持つSBJ銀行が役に立つ。同行がまず融資を実行し、ほぼ同時に、各融資債権をファンドに譲渡するというスキームが組まれた。 一見、SBJ銀行による純然たる融資に見えても、実態はファンドの資金なのだ。同様のスキームで日本に入っている資金は1000億円近いともいわれている。 だが、このスキームは、日本の法令に反しているという指摘がある。 一般的に、銀行は不良債権処理などで、債権を債権回収専門会社などに譲渡することがある。 しかし韓国ファンドのスキームでは、SBJ銀行は債権譲渡ありきで融資しており、物事の順序が逆である。いわば、韓国ファンドがSBJ銀行の名義を借りているに等しい。 「日本で免許を持つ銀行が、当初から債権譲渡を目的として融資債権を組成しているのであれば、名義貸しを禁じた銀行法に反していると見なされる恐れがあります」(九段下総合法律事務所・伊倉秀知弁護士) しかもこのスキームでは、韓国ファンドが荒稼ぎする一方、日本は満足な税収すら得られない可能性があるのだ。 =つづく』、損失吸収手段を「デット」、「エクイティ」、「メザニン」の3種類に分けるのは、プロジェクト・ファイナンスでは一般的だ。しかし、「SBJ銀行」が「韓国ファンド」に「名義」貸しをしているのは問題だ。それ以上に、これを見逃す形で、問題が多い「スキーム」が成立した点は由々しい問題だ。

次に、この続きを、3月3日付け日刊ゲンダイ「韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(下)その巧妙な儲けの手口とは」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/301997
・『韓国大手銀行・新韓銀行グループのファンドが、脱法的な手法で日本の太陽光発電事業に投融資し、ぼろ儲けしている。問題のスキームの最初の投資案件が、茨城・日立十王でのメガソーラーだ。 2015年ごろ、新韓銀行グループの「新韓BNPパリバ」が、韓国機関投資家の資金を集め、日本の太陽光投資を目的としたファンドを組成。日立十王の山林に55メガワットのメガソーラーを建設する計画に、日本のSBJ銀行などを通じ、約150億円の資金提供を行った。 パネル設置などの工事は韓国系の韓電KDNが担い、「オール韓国」で造成した発電所を昨年(21年)4月までに米ファンドに売却。劣後ローン債権を持つ投資家は約8%もの高い金利を得た。エクイティー部分の投資家は、投資元金が2.5倍となる高いリターンを甘受した。 日本の投資家が低金利で運用先に苦しんでいるのを横目に、韓国勢が成功を収めたのだ。 しかも、この儲け分を支払うことになるのは、日本国民である。 メガソーラーを取得した米ファンドは今後、電力会社への売電収入から投資資金を回収することになる。電力会社は再エネ業者に払うコストを「再生可能エネルギー賦課金」として電気料金に転嫁しているからだ。 さらに、韓国勢が日本で得る利益に対し、満足な課税すらできない可能性がある。 前回述べた通り、韓国ファンドは日本で銀行免許を持つSBJ銀行(新韓銀行の日本現地法人)に、太陽光事業の実施主体向け融資債権をつくらせ、ほぼ同時に、韓国のファンドに譲渡されるスキームを組んでいる。 これにより、実施主体が支払う金利は、韓国ファンドの収入になる。すると、法人税は日本ではなく、韓国で納められることになるのだ。 「もし、日本の銀行免許を持つ韓国系銀行が債権譲渡せず融資を継続した場合、得られる利息収入はSBJ銀行の課税所得として、日本で法人税が課税されます。ところが債権が韓国ファンドに譲渡されると、利子はファンドの利益となり、法人税が納められるのは韓国となる。日本での課税は源泉徴収だけとなり、日韓租税条約の制限税率である10%しか課税できない」(公認会計士・税理士の能勢元氏)』、「日本での課税は源泉徴収だけ」、ふざけた話だが、文句はいえない。
・『韓国系金融から資金を借り入れる背景  しかも、ファンドの資金を使っているのは、いわくつきの業者が多い。 前回の冒頭で紹介した、山梨県での乱開発が問題となっているブルーキャピタルマネジメント(東京都)。韓国系銀行は、同社のさまざまな案件に融資しており、その規模は500億円にも上る。だが、土砂崩れや手抜き工事が指摘されている案件が多い。 また、SBJ銀行などは、三重県四日市市に設置予定のメガソーラーにも数百億円規模の資金を提供している。東京ドーム20個分に相当する95ヘクタールの山林を開発するもので、一時期、地元で反対運動が起こっていた。 この実施主体はジーヴァエナジー(東京都)といい、代表者はバブル期に地上げ業者として知られ、住専(住宅金融専門会社)の大口融資先の一つだった。 これらの融資の出どころは、新韓BNPパリバが韓国機関投資家から集めたファンド資金である。 また、韓国系銀行から約150億円もの資金を引き出し、九州でメガソーラーを手掛けている業者は、数年前に介護報酬の不正請求が新聞沙汰となっている人物が経営者。他にも、巨額脱税が指摘された者など、日本の銀行借り入れが難しい面々が受けている韓国系銀行の融資は、ファンド資金と思われる。 海を越えて脱法的に持ち込まれた資金を使い、“アウトロー”たちが日本の国土を乱開発……。大手銀行とは思えぬ振る舞いだが、一連のスキームは現・新韓銀行首脳が関与している可能性が高い。 新韓銀行の頭取を務める晋玉童氏は、09年からSBJ銀行取締役を務め、14年副社長、15年から新韓銀行頭取になる19年まで社長を務めていた。前述の茨城・日立十王の案件は晋頭取の実績であると、韓国の経済メディアは報じている。 筆者はSBJ銀行に取材したが、期日までに回答がなかった。 国が太陽光を推奨する裏側で、日本の天然資源や国民の財産が、海外勢に食い物にされている。=おわり』、これだけ多くの不正事件に関与している「SBJ銀行」、その親の「新韓銀行」が、「日本の天然資源や国民の財産が、海外勢に食い物にされている」のは、由々しい問題だ。ただ、政治家へもヤミ献金などで金融庁に圧力をかけている可能性がある。

第三に、5月20日付け東洋経済オンライン「きらやか銀行、「3度の公的資金申請」に漂う不安 運用受託で含み損拡大のSBIにも厳しい視線」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/590415
・『3度目となる公的資金の活用を検討している山形県のきらやか銀行。背景にあるのは、失敗続きの有価証券運用だ。 コロナ禍によって観光業などの地域経済が疲弊する中、山形県を地盤とするきらやか銀行が5月13日、金融機能強化法に基づく公的資金の注入を申請する方針を表明した。 政府が2020年に設けた強化法の「コロナ特例」を活用する方針で、全国では初。公的資金注入となれば、大分県の豊和銀行以来8年ぶりとなる。申請金額や払込時期などは今後詰める。 「(取引先を)今後も長期にわたって支援していくことが必要だ」。きらやか銀の川越浩司頭取は同日行われた記者会見で、公的資金申請の狙いについてそう言って理解を求めた』、興味深そうだ。
・『公的資金返済へ強まる懸念  ただ、同行への公的資金の注入は、2009年、2012年に続いて今回で三度目となる見通しで、回収への不安は強い。世界的な金融危機、東日本大震災、そしてコロナ禍と大きな経済的ショックによる不可抗力で、公的資金の注入申請に至ったように一見映る。だが、その内情は紛れもなく、有価証券運用をはじめとするきらやか銀の稚拙な経営にある。 「株や債券の相場がどう動いても利益が出ないような、どうしようもないポートフォリオになっていた」。金融庁のある幹部は、きらやか銀の有価証券運用の惨状についてそう話す。 預金と貸し出しによる銀行本来のビジネスが年々細る中で、有価証券による余資運用は地銀経営の要になっているが、きらやか銀の運用商品の中身は周辺の地銀からも「がんじがらめ」「支離滅裂」と揶揄されるような状態にあった。 そのため、きらやか銀は2021年3月期決算で、投資信託など運用資産の“損切り”を実施。さらに運用資産の入れ替えと運用の高度化に向けて、SBIグループへ運用業務の一部委託にも踏み切っている。 同決算では与信費用の増加もあり、最終赤字が過去最大の48億円にのぼったことから、当時頭取だった粟野学氏は責任をとって代表権のない会長に就き、取締役だった川越氏が昇格することになった。 そもそも、きらやか銀は、2012年に注入された公的資金200億円分の返済が2024年9月に迫っている。きらやか銀の親会社、じもとホールディングスの関係者によると、昨春時点できらやか銀の経営陣は、地元企業などへの第三者割当増資によって、公的資金の返済を乗り切る計画を温めていた。 引責辞任ながらも粟野氏を頭取から会長に据え置いたことについて、同関係者は「地元企業に出資をお願いして回るための顔役が必要だったから」と話す。記者会見で地域経済への万全の支援などとアピールしておきながら、その裏では地元企業に奉加帳を回して、お金を集めることを探っていたというわけだ。) だが、その計画はもろくも崩れ去った。高度化を目指しSBIに運用委託した勘定を中心に、外国債券などでの含み損がわずか1年で4倍以上にも膨らんでしまったのだ。2022年3月末時点で、SBIの運用委託分が含まれている有価証券の「その他」項目における含み損は、119億円にも上っている。 欧米で今後利上げが進めば、含み損はさらに膨らむとみられており、きらやか銀としてはまたしても運用資産の損切りを迫られ、赤字を垂れ流すことになりかねない状況にある。 SBIに対する恨み節が今にも聞こえてきそうだが、そうした状態では奉加帳を回す地元企業の数を大幅に増やすようなことでもしない限り、増資によって公的資金返済を乗り切るのは難しい。それゆえ、きらやか銀としてはコロナ特例による公的資金の注入申請に目を向けるざるをえなくなったというのが実情だ』、「高度化を目指しSBIに運用委託した勘定を中心に、外国債券などでの含み損がわずか1年で4倍以上にも膨らんでしまった」、「SBI」も罪作りだ。「コロナ特例による公的資金の注入申請」とは余りに安直だ。
・『問われる行政のかじ取り  公的資金への依存を一段と深める状況に、経営を監督する金融庁の中でも「安易な税金投入は避けるべき」「SBIがきらやかの増資を引き受けるべきだ」といった声も聞こえてくる。 しかしながら、政府・自民党が7月に参院選を控え、中小企業などへの経済支援をアピールしようと、強化法による公的資金の積極活用について地銀などに説いて回っていることもあり、その圧力には金融庁として抗えそうにもない。 コロナ特例は、おおむね15年以内という返済期限もなければ、申請時に経営体制の見直しも求めないなど、その条件はかなり緩い。 きらやか銀としては、経営のかじ取りの失敗を糊塗しコロナ禍のせいにすることで、返済が迫る公的資金を「特例の緩い公的資金に実質的に切り替えられて、ラッキーと腹の中では思っているのでは」(東日本の地銀役員)という見方すらある。 国難にかこつけて、地銀をひたすら甘やかすのか、それとも経営基盤強化に向けてさらなる再編を促すのか。きらやか銀のケースを通じて、政府や金融庁もその舵取りが厳しく問われることになる』、「きらやか銀としては、経営のかじ取りの失敗を糊塗しコロナ禍のせいにすることで、返済が迫る公的資金を「特例の緩い公的資金に実質的に切り替えられて、ラッキーと腹の中では思っているのでは」、安易な「コロナ特例」の適用は避けるべきだが、制度として創設した以上、申請されれば、認めない訳にもいかないだろう金融庁としては、行政指導の面で、厳しい目に指導するほかないのではなかろうか。

第四に、5月23日付けダイヤモンド・オンライン「地銀が沈む時代に「信用金庫」が伸びている理由、明暗を分ける差とは? 『なぜ信用金庫は生き残るのか』」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/303552
・『レビュー  最後に銀行窓口に行ったのがいつだったか思い出せない。残高をスマートフォンで確認するようになってからもう何年も経つ。近年、新聞で銀行の苦境を報じる記事を頻繁に目にするようになった。投資信託などの金融商品の販売をめぐってはネット証券などに押され、銀行を取り巻く環境は厳しい。 一方、銀行の営業姿勢を問題視する声も少なくない。以前同い年の友人が、知り合いの銀行員からノルマ達成のために口座を開設してくれないかと迫られて困っていた。若手行員による座談会の記事で、自社の利益を最優先させよという指示に戸惑ったというコメントも読んだことがある。 そうした不安や課題を抱える銀行を横目に、信用金庫は顧客と自社の利益を両立させ、シェアを拡大しているらしい。本書『なぜ信用金庫は生き残るのか』は信用金庫の強みを隅々まで教えてくれる。顧客の事業の成功のため、数値だけでなく経営者の人柄まで考慮に入れて融資する。売れる商品でも投機的なものは扱わない。著者自ら取材した豊富な事例を紹介しつつ、信用金庫のビジネスモデルが平易な言葉で解説されている。 信用金庫のそうした真摯な姿勢は、地元企業からの信頼を勝ち取り、さらなる取引につながっていく。一見非効率そうでも結果的に利益を生む循環には納得できた。 本書は信金の歴史を語るうえで欠かせない、個性的な人物たちの言動も紹介し、最後まで読者を飽きさせない。金融業界の人はもちろん、業界になじみのない人にもお読みいただきたい。(まゆ)』、興味深そうだ。
・『本書の要点  (1)銀行の将来が不安視されている。手数料収入や収益の源泉である利ざやが減少し、事業基盤が揺らいでいる。特に地方銀行は少子高齢化のあおりを受けて厳しい。 (2)信用金庫は顧客本位の業務運営が評価され、シェアを拡大している。信金間の連携も進み、地域を越えた顧客支援も活発だ。 (3)信用金庫は利他的な経営を貫いた結果、顧客の信頼を得て自社の利益にもつなげた』、なるほど。
・『要約本文  ◆銀行の苦境 ◇経営の現状  生活において身近な存在である銀行の先行きが危ぶまれている。リアルの店舗数は急速に減り、銀行の象徴とも言える預金通帳は有料化を通じて姿を消しつつある。生まれた時からデジタルに慣れ親しんでいる「Z世代」を中心にインターネットバンキングの利用も拡大している。こうした傾向はさらに強まるだろう。 投資家の見方も厳しく、銀行の株価は低迷を続けている。それは将来性を示す株価指標であるPBR(株価純資産倍率)を見れば明らかだ。2021年2月における東京証券取引所第一部に上場する銀行業のPBRは平均で0.4倍と、成長性の有無の目安とされる1.0倍を割り込んだ。特に地方銀行は数値の低さが目立ち、将来不安が強いことがわかる。 文系の大学生にとって銀行は長らく憧れの就職先だった。メガバンクは民間企業が実施する「就職企業人気ランキング」において上位の常連だったが、ここ数年で大幅に順位を落としている。一方、同じ金融業界の損害保険会社は高い人気を集めている。目端の利く学生たちは銀行を見限り始めているのかもしれない』、「損害保険会社は高い人気」は昔から変わらない傾向だ。
・『なぜ業績が悪化しているのか  銀行の人気が落ちたのはその事業基盤が揺らいでいるためだ。銀行は預金金利と融資金利の差である「利ざや」で収益を得ているが、バブル崩壊を経てデフレ経済に陥ると、物価と連動する金利も低下した。利息収入の減少を受け、投資信託や生命保険の販売に力を入れてきたものの、その手数料収入も先行き不透明だ。投資信託は大手インターネット専業証券が販売時の手数料を原則無料にするなど、引き下げ競争が激しい。運用に伴う信託報酬も減少傾向にあり、投資信託からの収入は減り続けると予想されている。 2016年から始まった日本銀行のマイナス金利政策も経営悪化に拍車をかけた。銀行は経営破綻などに備えて顧客から預かった資産のうち一定額を「準備預金」として日銀に預ける。マイナス金利はこの準備預金の上限を超えて預けている超過分にマイナス0.1%の金利を付与するという政策だ。 日銀は超過分を企業への貸出や運用に回させて経済成長につなげる狙いだった。しかし政策開始から5年以上経っても日銀が目指す物価上昇率2%は実現していない。一方、2016年3月期のメガバンクの決算はほぼ減益に転落するなど即座に悪影響が出た。翌年、メガバンクは人員削減を発表し、その流れが店舗の削減や通帳の有料化につながっている』、確かに、異次元緩和政策で、長短金利差が縮小したのは、銀行業界には大打撃だった。
・『危うい地銀  なかでも地銀の業績悪化が目立つ。地方経済は少子・高齢化と過疎化により急速に悪化している。人や企業が減れば、預金や個人へのローン貸出、企業への融資も減少してしまう。傘下に証券会社などを抱えるメガバンクが事業の多角化・国際化を進める一方、「銀行」以外の業務を持たないのも地銀の弱みだ。 地銀の破綻は社会に対する影響が大きいため、金融庁は経営統合などの改革を迫っている。しかし再編により効率化が図られたところで、低金利や手数料収入の減少といった環境のもと、根本のビジネスモデルが崩壊している以上、遅かれ早かれ破綻は免れないのではないか。 金融庁によると、地銀の再編は高コスト体質のメガバンクが対応しきれない中堅企業を支え、経済を成長させるために必要だという。また著者は、金融機関のコスト構造を考えると、個人商店から売上高5億円程度の企業まで地域に密接して取り組めるのは信用金庫や信用組合に限られるという話を聞く。実は近年、信用金庫をメインバンクとする企業が増えている。地銀の存続が不安視される一方、信用金庫の評価は高まっているのだ』、「信用金庫の評価は高まっている」のは何故だろう。
・『【必読ポイント!】◆信用金庫の強み ◇なぜ順調なのか  信用金庫は金融機関だが銀行とは組織形態が異なる。 信用金庫は地域の会員や住民から資金を集めて地域の利益のために働く協同組織だ。預金は誰でもできるが会員資格がないとお金を借りることはできない。会員になるには営業エリアに住んでいるか、働いていることが条件となる。 東京商工リサーチの調査では、銀行業界における信用金庫のシェアは2015年の調査開始以来7年連続で拡大している。) 信用金庫が大手行や地銀から取引先を獲得しているのは、地域に密着したネットワークと支援の手厚さが評価されているためだ。メガバンクに比べ企業の規模は小さいが、営業エリア内の店舗数は多い傾向がある。狭いエリアで営業活動を継続することにより、地域の企業や住民との関係を深めることができる。 また親しみやすさも特長の一つだ。職員は頻繁に顧客のもとに足を運び、地域のイベントにも積極的に参加する。 不況時にこそ信用金庫の強さはきわだつ。銀行は景気が傾き貸出企業の業績が悪化すると、融資の返済を強く求めるようになる。しかし信用金庫は法律により営業エリアが制限されており、無茶な債権回収をすると狭い地域にあっという間に悪評が広まってしまう。そうした事情もあり、信用金庫は取引先が苦境に陥っても経営の立て直しに尽力する傾向がある』、「信用金庫は法律により営業エリアが制限されており、無茶な債権回収をすると狭い地域にあっという間に悪評が広まってしまう。そうした事情もあり、信用金庫は取引先が苦境に陥っても経営の立て直しに尽力する傾向がある」、これは説得的だ。
・『小原鐵五郎と城南信用金庫  小原鐵五郎は業界団体のトップである全国信用金庫協会(全信協)の会長を長期にわたり務めた象徴的存在だ。 1918年の米騒動で経済格差に危機感をおぼえた小原は、庶民の生活の安定を目指し仲間と大崎信用組合を設立。地域住民を熱心に説得し会員を増やした。その後は同組合の専務理事を務め、1951年の信用金庫法(信金法)制定後に城南信用金庫の理事長に就いた。全信協会長就任後は全国を奔走し、単純な利益追求を良しとしない金融機関のあるべき姿を訴えた。 「小原鐵学」と呼ばれるその思想を色濃く受け継ぐのが城南信用金庫だ。城南信用金庫は総資産や預金量の多さから「メガ信金」とも呼ばれる。 その成長を支えてきたのは顧客重視の姿勢にある。顧客には融資のことだけでなく補助金制度の情報についても頻繁に情報提供したり、経営者の人格など定性的なデータも加味して融資を判断したりとその本気度がうかがえる。また、他の金融機関が収益源としている高金利ローンや投資信託をいっさい販売せず、預金もリスク資産の割合を抑えて運用している。 異端にも映る経営方針を支えるのは歴史に対する誇りだ。1945年、15の信用組合が合併して城南信用組合が誕生し、信金法制定後に信用金庫に改組した。合併の旗振り役を務めた小原は第3代理事長に就任。投機的な融資はしない、カードローンは扱わないといった小原鐵学を根付かせた。一時、体制の変更による混乱はあったものの軌道修正し、小原の方針は現在にもしっかりと引き継がれている』、「小原」氏は確かに有名で、信金業界の基礎を築いた。
・『地域をまたぐつながり  信用金庫は営業エリアの制限により遠隔地の企業情報をほぼ持ち合わせておらず、従来は地域をまたいだ事業支援が難しかった。しかし東京が拠点の城南信用金庫が牽引役の「よい仕事おこし」プロジェクトで全国の信用金庫が連携を強めている。 きっかけは東日本大震災だ。城南信用金庫は第13代理事長の川本恭治氏が初代部長を務めた地域発展支援部を中心に被災地支援に取り組んだ。東北と首都圏の企業をビジネスマッチングする「よい仕事おこしフェア」の開催に際し、東北の信金に参加してもらうなどつながりを深め、運営に尽力した。 この成功を踏まえ、インターネットで全国の信用金庫と企業がマッチングできるサイト「よい仕事おこしネットワーク」も開設された。サイトにはビジネスパートナーの募集情報や特産品情報が寄せられる。全国200以上の信用金庫が取引先と共に参加し、顧客の販路拡大や事業連携の機会を創出している。 こうして生まれたつながりを通じ、全国の信用金庫は新型コロナウイルス禍での医療機関への物資提供や飲食店支援にも積極的に参加している』、「ビジネスマッチング」はどの金融機関も注力しているが、現実にはマッチする確率は高くはないようだ。
・『金融機関が生き残るには ◇地銀の非上場化  2017年、金融庁は金融機関に「フィデューシャリー・デューティー」の徹底、つまり顧客本位で業務をするよう求めた。金融機関と一般投資家では情報量に大差がある。そのため、その非対称性ゆえに顧客の意向が軽視されているのではないかと懸念したためだ。 しかし情報の非対称性は金融業界だけでなく、不動産業界などあらゆるビジネスに存在する。わざわざ金融庁が求めるところに、顧客本位の金融機関が少数派であるという事実が現れている。だが、本書に登場する信用金庫は地道な本業支援で地域および顧客の信頼を得ている。 信用金庫を規模や知名度で上回る地銀は、一部の大手を除いて経営が不安定化している。経営改善案として、近年「地銀の非上場化」が取り沙汰されている。上場をやめれば決算発表に伴う人的・金銭的負担や株主からのプレッシャーから逃れられるからだ。 だが、著者は上場をやめても地銀の経営状況は大きく変わらないと見る。自分たちの仕事内容を変えようとしない姿勢が、地銀の経営が悪化した最大の原因だからだ。上場している金融機関でも顧客本位の経営を実現させている企業はある』、上場の有無と「経営悪化」は確かに無関係だ。
・いちよし証券の例は金融機関とは異なるのでカット
・『地銀と信用金庫の明暗  金融業界では地銀の非上場化だけでなく、「信用金庫化」も囁かれている。確かに信用金庫に改編すれば、税負担やシステムコストが軽減される。 しかしこの動きに対し、信用金庫業界は懐疑的な目を向けている。業態転換をしても既存の信用金庫に受け入れられなければ、信用金庫が築いてきたネットワークを活用できない。地銀は自らの経営資源を見直して改革を行うしかないようだ。 地銀の経営不安が続く一方、信用金庫はコロナ禍で再評価されている。経済の先行き不透明感が増すなか、各地の信用金庫と中小企業の取引は飛躍的に増え、貸出残高の増加という形で信用金庫に利益をもたらしている。 明暗を分けたのは、地銀が金利という収益源にこだわったのに対して、信用金庫は利他的な経営を貫いたことで顧客からの信用を獲得し、地域での基盤を強くしたことにある』、「信用金庫は利他的な経営を貫いたことで顧客からの信用を獲得し、地域での基盤を強くしたことにある」、やや建前論的臭いもあるが、その通りなのかも知れない。
・「一読のすすめ」以下は紹介を省略
タグ:金融業界 (その14)(韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(上)流出資金は総計1000億円超、韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(下)その巧妙な儲けの手口とは、きらやか銀行 「3度の公的資金申請」に漂う不安 運用受託で含み損拡大のSBIにも厳しい視線、地銀が沈む時代に「信用金庫」が伸びている理由 明暗を分ける差とは? 『なぜ信用金庫は生き残るのか』) 日刊ゲンダイ 半田修平氏による「韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(上)流出資金は総計1000億円超」 「日本の銀行は、融資の回収可能性や業者の信用力の問題などから、なかなか融資を出さない」、「韓国系銀行は、この案件だけでなく、物議を醸している各地のメガソーラー計画で、資金の出し手として登場」、どいうことだろう。 損失吸収手段を「デット」、「エクイティ」、「メザニン」の3種類に分けるのは、プロジェクト・ファイナンスでは一般的だ。しかし、「SBJ銀行」が「韓国ファンド」に「名義」貸しをしているのは問題だ。それ以上に、これを見逃す形で、問題が多い「スキーム」が成立した点は由々しい問題だ。 日刊ゲンダイ「韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(下)その巧妙な儲けの手口とは」 「日本での課税は源泉徴収だけ」、ふざけた話だが、文句はいえない。 これだけ多くの不正事件に関与している「SBJ銀行」、その親の「新韓銀行」が、「日本の天然資源や国民の財産が、海外勢に食い物にされている」のは、由々しい問題だ。ただ、政治家へもヤミ献金などで金融庁に圧力をかけている可能性がある。 東洋経済オンライン「きらやか銀行、「3度の公的資金申請」に漂う不安 運用受託で含み損拡大のSBIにも厳しい視線」 「高度化を目指しSBIに運用委託した勘定を中心に、外国債券などでの含み損がわずか1年で4倍以上にも膨らんでしまった」、「SBI」も罪作りだ。「コロナ特例による公的資金の注入申請」とは余りに安直だ。 「きらやか銀としては、経営のかじ取りの失敗を糊塗しコロナ禍のせいにすることで、返済が迫る公的資金を「特例の緩い公的資金に実質的に切り替えられて、ラッキーと腹の中では思っているのでは」、安易な「コロナ特例」の適用は避けるべきだが、制度として創設した以上、申請されれば、認めない訳にもいかないだろう金融庁としては、行政指導の面で、厳しい目に指導するほかないのではなかろうか。 ダイヤモンド・オンライン「地銀が沈む時代に「信用金庫」が伸びている理由、明暗を分ける差とは? 『なぜ信用金庫は生き残るのか』」 『なぜ信用金庫は生き残るのか』 「損害保険会社は高い人気」は昔から変わらない傾向だ。 確かに、異次元緩和政策で、長短金利差が縮小したのは、銀行業界には大打撃だった。 「信用金庫の評価は高まっている」のは何故だろう。 「信用金庫は法律により営業エリアが制限されており、無茶な債権回収をすると狭い地域にあっという間に悪評が広まってしまう。そうした事情もあり、信用金庫は取引先が苦境に陥っても経営の立て直しに尽力する傾向がある」、これは説得的だ。 「小原」氏は確かに有名で、信金業界の基礎を築いた。 「ビジネスマッチング」はどの金融機関も注力しているが、現実にはマッチする確率は高くはないようだ。 上場の有無と「経営悪化」は確かに無関係だ。 「信用金庫は利他的な経営を貫いたことで顧客からの信用を獲得し、地域での基盤を強くしたことにある」、やや建前論的臭いもあるが、その通りなのかも知れない。
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保険(その6)(大阪高槻・54歳女性溺死事件 保険金1.5億円の受取人になっていた“20代養子”の素顔、マニュライフ生命「租税回避」指南に下る厳罰 元幹部社員たちに対する責任追及が焦点に、生保レディ 昇格しても固定給が下がる理不尽 正社員なのにノルマで契約終了 経費も負担) [金融]

保険については、2月14日に取上げた。今日は、(その6)(大阪高槻・54歳女性溺死事件 保険金1.5億円の受取人になっていた“20代養子”の素顔、マニュライフ生命「租税回避」指南に下る厳罰 元幹部社員たちに対する責任追及が焦点に、生保レディ 昇格しても固定給が下がる理不尽 正社員なのにノルマで契約終了 経費も負担)である。

先ずは、3月23日付けデイリー新潮「大阪高槻・54歳女性溺死事件 保険金1.5億円の受取人になっていた“20代養子”の素顔」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/03231132/?all=1
・『保険金の受取人となっていた20代の男性  昨年7月、大阪府高槻市にある一軒家で一人暮らしをしていた高井直子さん(54)が遺体で見つかった事件。カギとなっているのは、彼女に1億5千万円の保険金が掛けられていたという点だ。その受取人である20代養子男性の素顔とは――。 高井さんは水の張られた浴槽に顔が浸かった状態で発見されたが、右手首に結束バンドが巻かれていたことから、府警は事件性を疑って捜査を開始。その後の調べで左手首にも結束バンドの跡が見つかったため、府警は何者かが高井さんの両手を縛り、溺死を装って殺害したと考えて捜査を進めているという。室内に荒らされた様子はなく、居間には70万円入りの封筒や通帳などが残されていたため、物盗りによる犯行の線は早い段階で消えたが――。 「一方で注目を集めたのは、彼女に1億5千万円もの保険金が掛けられていたこと。保険金の受取人は、昨年2月頃に彼女の養子になった、都内在住のAという20代後半の男性でした」(社会部記者) つまり、高井さんはA氏と養子縁組を行い、その5カ月後に命を落としたことになる。さらに、巨額の生命保険を契約した後であることから、彼に疑いの目が向けられているのである。では、一体A氏とはどのような人物なのか』、「高井さんはA氏と養子縁組を行い、その5カ月後に命を落としたことになる。さらに、巨額の生命保険を契約した後」、典型的な保険金殺人事件だ。
・『家賃30万円以上の赤坂のタワマン  A氏は関西の有名私大でアメフト選手として活躍した後、大手コンサルティング会社、外資系保険会社を渡り歩き、現在は退職している。彼の知人によると、現在の住まいは「家賃30万円は下らない赤坂の高級タワマン」で、会社勤めを辞めた後に周囲には「FXで儲けている」と豪語していたという。 「高井さんには2社合計で1億5千万円の生命保険が掛けられていましたが、そのうちひとつは、かつてAが在籍していた外資系保険会社のものでした」(前出の記者) 3月24日発売の「週刊新潮」では、離婚調停中のA氏が抱えていた“慰謝料問題”などと併せて詳報する』、「A氏」は絵に描いたようなエリートサラリーマンだ。通常、「1億5千万円の保険金」程度で殺人を犯すとは考え難いが、“慰謝料問題”があるのであれば、動機になり得る。真相が知りたいところだ。

次に、5月16日付け東洋経済オンライン「マニュライフ生命「租税回避」指南に下る厳罰 元幹部社員たちに対する責任追及が焦点に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/588822
・『マニュライフ生命保険による節税効果を過度に強調した営業行為をめぐって、当時主導していた元幹部社員と責任追及に向けた金融庁との攻防戦の幕が開こうとしている。 生命保険を活用した節税指南という不適切な営業行為をめぐって、金融庁がマニュライフ生命保険に対して実施している立ち入り検査が大詰めを迎えている。 監督官庁による立ち入り検査となれば、本来は行政処分が下るか否かに大きな注目が集まるものの、今回はやや様子が異なる。 なぜなら、マニュライフに対する行政処分はもはや必至の情勢とみられているからだ。生保業界の関心は処分の有無をすでに通り越し、旧経営陣など責任追及の範囲がどこまで及ぶかに移っている。 状況を正しく理解するために、まずは検査に至った経緯とその背景から振り返っていこう』、興味深そうだ。
・『金融庁と国税庁が規制を強化  金融庁がマニュライフへの立ち入り検査に着手したのは、2022年2月のこと。きっかけは2021年6月、金融庁と国税庁が「節税保険」に対する規制を強化したことにあった。 マニュライフをはじめとする一部の生保はそれまで、低解約返戻金型の逓増定期という法人向けの保険商品を使い、「名変(名義変更)プラン」と呼ばれる節税効果を過度に強調するような営業を展開していた。 同商品はおおむね契約から5年が経過すると、契約者が受け取る解約返戻金が大きく跳ね上がる仕組みになっている。その仕組みを利用して、契約者は5年目になる直前に契約の名義を法人から役員など個人に変更し譲渡。そうすると返戻金は税制上個人の一時所得として扱われ、役員報酬などと比べて所得税の負担を大きく軽減できるというからくりだ。 節税効果を出すには、法人から個人への名義変更手続きをピンポイントでおこなう必要があるものの、そのからくりを営業職員が何らの資料もなしに、口頭だけで説明し契約者に理解してもらうのは簡単ではない。 そこでマニュライフなどの一部の生保は、節税のスキームを記した「指南書」を内々に作成し、販売代理店などに配布しながら拡販に汗を流していたわけだ) 税制の抜け穴を通すような手法は、節税というよりもはや「租税回避行為」に近いといえるが、そうした営業が横行し始めたのは何もここ1~2年の話ではない。 逓増定期保険の名変プランは、明治安田生命保険が同種の商品を投入した2015年ごろから、業界内ですでに盛り上がっていたというのが実情だ。 ただその後、2017年に日本生命保険がプラチナ型と呼ばれる新たな法人向けの定期保険を開発。名義変更といった面倒な手続きが不要で、節税効果が高いこともあって、各社はプラチナ型の節税保険の販売に一気に傾注していった。 プラチナ型の節税保険市場は、業界推計で約8000億円にまで膨張するなど一大ブームを巻き起こしたが、業を煮やした金融庁と国税庁が2019年6月に規制強化に踏み切り、通達の改正によってほぼ節税効果が得られないようなかたちになったという経緯がある。 そのとき、最も割を食ったのがマニュライフだった。当時、節税効果(単純返戻率)が最も高いプラチナ型の商品を開発。拡販をまさに進めようとしていた矢先に、規制強化で販売を封じられる憂き目にあってしまったのだ。 ある生保の幹部は「そのときのやり切れない思いが、下火になっていた名変プランに再び目を向けさせ、以降の節税指南の営業推進につながっていったようだ」と解説する』、「税制の抜け穴を通すような手法は、節税というよりもはや「租税回避行為」に近いといえるが、そうした営業が横行し始めたのは何もここ1~2年の話ではない。 逓増定期保険の名変プランは、明治安田生命保険が同種の商品を投入した2015年ごろから、業界内ですでに盛り上がっていたというのが実情だ」、「「租税回避行為」に近い」とは言い得て妙だ。
・『既契約も規制対象にし生保に鉄槌  その後、マニュライフだけでなく、エヌエヌ生命保険、SOMPOひまわり生命保険、FWD生命保険も、結果として規制強化の網をすり抜けた名変プランに目を付け、営業に力を入れるようになっていった。 事態が大きく動いたのは、2021年6月。節税保険をめぐるイタチごっこに堪忍袋の緒が切れた金融庁と国税庁は、名変プランによる節税スキームを封じることに加えて、過去の契約についてもさかのぼって規制するという鉄槌を下したのだ。節税保険が実質的に「既契約遡及」となるのは、2006年の長期傷害保険以来、実に15年ぶりのことだった。) そのため金融庁は、さらなる実態調査が必要と判断し、以降は生保各社や販売代理店に対して厳しい調査を進めていった。その中で明るみに出たのが、「マニュライフが昨夏以降も懲りずに、個人年金保険などの商品を使って節税指南をするような営業をしていた」(生保役員)ことだった。 金融庁は、そうした不適切な営業行為の「悪質性、反復性、組織性を鑑みた」(金融庁幹部)うえで、マニュライフへの立ち入り検査に踏み切ったというのがこれまでの流れだ』、「2021年6月・・・金融庁と国税庁は、名変プランによる節税スキームを封じることに加えて、過去の契約についてもさかのぼって規制するという鉄槌を下した」にも拘らず、「マニュライフが昨夏以降も懲りずに、個人年金保険などの商品を使って節税指南をするような営業をしていた」、というのは当局に対する挑戦に近い。
・『マニュライフ元幹部たちの「逃げ得」  その中で浮かび上がった大きな課題がある。それは、不適切営業における責任の追及範囲だ。実は、マニュライフで逓増定期保険の拡販を陰に陽に進めていた一部の幹部社員たちは、すでに転職してしまっており、金融庁として保険業法などの法律に基づき責任を追及するのが難しくなっているのだ。 マニュライフの旧幹部社員たちの主な転職先の一つが、アフラック生命保険。折しもアフラックは、2019年の「かんぽ不正問題」以来、郵便局を通じたがん保険などの販売が低迷し保有契約件数の純減が続くなど、営業の立て直しが急務になっている。 そのミッションを営業部門の責任者として担っているのが、ほかでもないマニュライフからの転職組だ。社内会議では「2024年までに(新契約年換算保険料をコロナ禍の前水準となる)800億円を達成」とぶち上げるなど、その鼻息は荒い。 足元では新契約獲得のためのドアノック商品として、ペット保険を販売メニューに加えようと、専門に扱う東京都内の少額短期保険業者の買収も検討している。 アフラックのある役員からは「そのうちに手っ取り早く新契約を獲得しようと、医療保険を使った節税指南の推進などと言い出すのではないかと内心ひやひやしている」との声が漏れる。 不適切営業の中心人物たちが、華麗な転身でその責任からうまく逃れ、新天地でまたぞろ営業推進に汗を流すという不健全な現状に、金融庁がどこまでメスを入れられるか。監督当局としての威信をかけた攻防戦が本格化するのは、まさにこれからだ。  過去の契約についても「期待していた税務上の効果が得られないまま保険料を負担することになってしまい、保険契約者保護という面で生じた問題は大きい」と金融庁幹部が話すように、契約者に“実害”が出てしまうことへの責任は、生保業界が認識している以上に大きいものだった』、「不適切営業の中心人物たちが、華麗な転身でその責任からうまく逃れ、新天地でまたぞろ営業推進に汗を流すという不健全な現状に、金融庁がどこまでメスを入れられるか。監督当局としての威信をかけた攻防戦が本格化するのは、まさにこれからだ」、「新天地で」の「営業推進」を「不適切」にやっていないか否かをチェックするほかなさそうだ。

第三に、5月18日付け東洋経済オンライン「生保レディ、昇格しても固定給が下がる理不尽 正社員なのにノルマで契約終了、経費も負担」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/589045
・『生命保険会社の営業職員の給与は、理不尽なほど少ない。課された営業目標を達成しても、固定給が年を追うごとに下がっていく。 「え?なんでこんなに少ないの……」 2020年から国内の生保A社の営業職員として働くTさん(女性、30代)は、入社から1年数カ月が経ったころ、会社から渡された月額給与の明細表を見て言葉を失った。 固定給と歩合給などを合計した給与(課税対象額)が12万円台で、そこから所得税や社会保険料などを控除した手取り額が約10万円だったのだ。入社から3カ月ごとにある査定(営業成績の評価)は毎回クリアしていた。約30人いる同期入社の職員の中でも営業成績は上位で、通常は2年かかる営業主任にも「飛び級」で昇格した。 それにもかかわらず、初任給を大きく下回る月額給与にまで落ち込んでいた。「時には休日出勤までして、フルタイムで働いているのにこの給与では生活水準が維持できない」とTさんは困惑している。 いったい生命保険会社の営業職員の給与体系はどうなっているのか』、興味深そうだ。
・『ノルマ未達なら雇用契約は打ち切りに  一般的に営業職員の給与は、勤務する地域や職位(役職など)によって決まる固定給と、毎月の営業成績に応じて支払われる歩合給の合計となっている。歩合給は営業成績次第で増減するので、給与総額は毎月変動する。 A生保の場合、入社時の固定給(いわゆる初任給)は月額14万~18万円で、Tさんが勤務する地域の初任給は15万円となっていた。 入社から3カ月間は固定給のみの支払いだったが、徐々に仕事を覚えて保険の契約を順調に獲得できるようになると、販売手当と呼ばれる歩合給の金額も増えていった。月によっては給与が20万円を超えることもあった。 生保会社の営業職員に対しては、おおむね3カ月~半年単位で、成績を評価する査定(「職選」と呼ぶ会社もある)が行われる。会社が定めた期間内に獲得した保険契約の件数や保険料などが基準(ノルマ)に達していれば昇格し、達していなければ現在の職位のままか、降格の憂き目に遭う。ノルマを大幅に下回れば、雇用契約の終了、つまり解雇されてしまう。) TさんはA社による5回の査定を無事にクリアして、新人職員の職位から営業主任へ昇格した。同期の営業職員には新規開拓がうまくできずに辞めていった人や、ノルマ未達で雇用契約終了となった人もいた。 ただ、査定をクリアするたびに固定給は段階的に減っていく。Tさんの場合、15万円でスタートした固定給は1年後に11.5万円となり、今では4.7万円と初任給の3分の1以下に減少した』、「歩合給」が十分にそれをカバーしているのだろうか。
・『営業の必要経費も「個人負担」に  その一方で、獲得した保険契約を販売手数料(歩合給)に換算する割合である「支給レート」は段階的に上がった。だが、固定給の減少分を歩合給で補うには、A社の換算で「1000万基準ポイント」の保険契約を獲得しないと追いつかない。1000万基準ポイントとは、月5000円の掛け捨ての医療保険で月2件、一時払い500万円の外貨建て貯蓄性保険であれば月3件分に相当する。 しかし、この成績は、営業経験がなく入社した2年以内の新人が毎月コンスタントに獲得できる数字ではない。 入社から1年数カ月を過ぎた頃、Tさんの給与は月12万円台で、そこから所得税や社会保険料、労働組合費などを引かれ、手取り額は約10万円となった。「10万円の手取りから、個人で負担する必要経費を差し引くと5万円以下になる月もある。会社からは正社員と言われているのに、営業活動に関わる費用を負担させるのは疑問に思う」(Tさん)。 Tさんが言う「個人で負担する必要経費」とは、顧客訪問の際の交通費やガソリン代、駐車場代、名刺や年賀状、カレンダーなどの経費、顧客との飲食代などのことだ。生保の営業職員は、こうした営業活動に関わる費用を個人が負担する。会社は営業所までの往復の交通費ぐらいしか負担しない。 生保各社は営業職員を募集する際に「正社員」とことさらに強調するが、税務上はあくまで個人事業主であり、毎年の確定申告が義務付けられている。簡単に言うと、生保の営業職員は「社会保険に加入した個人事業主」というほうがわかりやすい。 Tさんの場合、営業の際の車のガソリン代や駐車場代、顧客への贈答品代・飲食代などの営業費用が毎月5万円程度かかる。中でも馬鹿にならないのが駐車場代だ。毎日通う営業所に併設されている駐車場はA社の管理職専用のものであり、営業職員はみな個人で近くのコインパーキングなどを借りている。 営業所では毎朝、1時間かけて朝礼が行われる。したがって、「営業部長の話が3分で終われば駐車場代も安く上がるのに」というのは営業職員たちの偽らざる本音だ。 さらに、納得がいかないとTさんが語るのが、顧客に出す郵便物の切手代負担だ。例えば、契約者から入院給付金の請求手続きの依頼があった際、給付金請求書などの必要書類を契約者に発送する必要がある。A社では、その場合の郵便代も個人の負担になる。 「郵便局で切手を買って自分でポストに投函しに行く。その手間や費用負担を惜しむなら、『直接書類を届けるように』と会社から言われる。ただでさえ薄給なのに、どこまで私たちにコストを負担させれば気が済むのか」とTさんは憤る』、「営業職員を募集する際に「正社員」とことさらに強調するが、税務上はあくまで個人事業主であり、毎年の確定申告が義務付けられている」、そうであれば、「切手代負担」もやむを得ないのだろう。
・『保険契約が解約されると手当が減額に  納得できないのはこれだけではない。生命保険会社の場合、大手でも中堅の会社でも、営業職員が獲得してきた保険の契約に対して、「戻入(れいにゅう)」の仕組みを取り入れている。戻入とは、新規で獲得した保険契約が2年以内に解約や減額された場合に、担当営業職員の販売手当が減らされる仕組みのことだ。 Tさんも戻入のペナルティを受けたことがある。ただ、顧客が保険を解約した理由は「コロナによる収入減で保険料が払えなくなったから」であり、Tさんの責任ではなかった。それでも容赦なく戻入金は発生し、営業職員がその責めを負う。戻入については、複数の営業職員から「解約になったら何でも私たちのせいにするのはおかしい」という不満の声が出ている。 今回取り上げたA社の給与体系のように、歩合給は成績によって変動するうえ、獲得した保険契約によって歩合給がいくらになるのか計算式は複雑だ。「毎月の給与は月末にもらう給与明細表を見るまでわからない」(Tさん)という悩みを抱える営業職員は少なくない。 大手生保の中には近年、固定給や歩合給の変動を小さくして給与を安定的に支払う制度への改革を進める会社も出てきている。 例えば、明治安田生命は2022年4月から、前年度の営業成績の評価に基づいて、1年間は定額の月給を支払う体系に変えている。また、第一生命も2022年4月以降に採用する新人営業職員の月額給与を、従来平均で60%アップさせて、入社から2年間はその給与を維持する制度を導入している。) こうした流れを受けて、A社も給与体系を変更しようとしている。まずは入社2年以内の新人の営業職員に対して、2022年4月~2023年3月の1年間の月額給与(額面)は、最低13万~17万円(地域によって異なる)を保障する。ただ1年間の試行実施であり、2023年度以降も継続するかは未定という。 新しい給与体系を導入した生保会社の営業職員であっても、一定期間が過ぎれば固定給は下がり、歩合給の比率が高まっていくのは言うまでもない。つまり、常に新規の保険契約を獲得し続けないと営業職員として存続ができない仕組みなのだ』、「新しい給与体系を導入した生保会社の営業職員であっても、一定期間が過ぎれば固定給は下がり、歩合給の比率が高まっていくのは言うまでもない。つまり、常に新規の保険契約を獲得し続けないと営業職員として存続ができない仕組みなのだ」、なるほど。
・『十分な事前説明なく営業職員を採用  生命保険会社の処遇で一番大きな問題は、このように独特で複雑な給与体系や雇用の形態、査定結果により降格や雇用契約終了もあることなどを十分に説明せずに営業職員を採用していることだ。 東洋経済の取材に対し、複数の営業職員は「採用時には正社員であることや社会保険に加入できることなどのメリットばかり強調されて、デメリットの説明は一切なかった」と口をそろえる。これは大手、中堅とも変わらない。それどころか大多数の営業職員が「ノルマなどはない」「査定はあるが誰でも達成できる」など、事実と異なる説明を受けていた。 「仕事の選択」という人生を左右しかねない重大な局面において、嘘をついたり、本当のことを隠したりして採用活動を行うことが、生保各社で当たり前のように行われている。その活動によって、毎年4万人前後の営業職員が新たに誕生するが、入社から5年以内にその8割もの人が失意のもとに会社を去っていく。 従来のビジネスモデルに固執し、働き方改革や女性活躍推進の風潮と逆行する経営を続ける限り、生保会社の営業職員チャネルに未来はない。 【情報提供のお願い】東洋経済では、保険営業の抱える課題を継続的に取り上げていきます。こちらのフォームへ、保険営業に関する情報提供をお待ちしております』、「毎年4万人前後の営業職員が新たに誕生するが、入社から5年以内にその8割もの人が失意のもとに会社を去っていく」、「嘘をついたり、本当のことを隠したりして採用活動を行うことが、生保各社で当たり前のように行われている」、まさにブラックな採用活動だ。「従来のビジネスモデルに固執し、働き方改革や女性活躍推進の風潮と逆行する経営を続ける限り、生保会社の営業職員チャネルに未来はない」、同感である。 
タグ:「2021年6月・・・金融庁と国税庁は、名変プランによる節税スキームを封じることに加えて、過去の契約についてもさかのぼって規制するという鉄槌を下した」にも拘らず、「マニュライフが昨夏以降も懲りずに、個人年金保険などの商品を使って節税指南をするような営業をしていた」、というのは当局に対する挑戦に近い。 「税制の抜け穴を通すような手法は、節税というよりもはや「租税回避行為」に近いといえるが、そうした営業が横行し始めたのは何もここ1~2年の話ではない。 逓増定期保険の名変プランは、明治安田生命保険が同種の商品を投入した2015年ごろから、業界内ですでに盛り上がっていたというのが実情だ」、「「租税回避行為」に近い」とは言い得て妙だ。 保険 東洋経済オンライン「マニュライフ生命「租税回避」指南に下る厳罰 元幹部社員たちに対する責任追及が焦点に」 「A氏」は絵に描いたようなエリートサラリーマンだ。通常、「1億5千万円の保険金」程度で殺人を犯すとは考え難いが、“慰謝料問題”があるのであれば、動機になり得る。真相が知りたいところだ。 「高井さんはA氏と養子縁組を行い、その5カ月後に命を落としたことになる。さらに、巨額の生命保険を契約した後」、典型的な保険金殺人事件だ。 デイリー新潮「大阪高槻・54歳女性溺死事件 保険金1.5億円の受取人になっていた“20代養子”の素顔」 「毎年4万人前後の営業職員が新たに誕生するが、入社から5年以内にその8割もの人が失意のもとに会社を去っていく」、「嘘をついたり、本当のことを隠したりして採用活動を行うことが、生保各社で当たり前のように行われている」、まさにブラックな採用活動だ。「従来のビジネスモデルに固執し、働き方改革や女性活躍推進の風潮と逆行する経営を続ける限り、生保会社の営業職員チャネルに未来はない」、同感である。 「新しい給与体系を導入した生保会社の営業職員であっても、一定期間が過ぎれば固定給は下がり、歩合給の比率が高まっていくのは言うまでもない。つまり、常に新規の保険契約を獲得し続けないと営業職員として存続ができない仕組みなのだ」、なるほど。 「営業職員を募集する際に「正社員」とことさらに強調するが、税務上はあくまで個人事業主であり、毎年の確定申告が義務付けられている」、そうであれば、「切手代負担」もやむを得ないのだろう。 (その6)(大阪高槻・54歳女性溺死事件 保険金1.5億円の受取人になっていた“20代養子”の素顔、マニュライフ生命「租税回避」指南に下る厳罰 元幹部社員たちに対する責任追及が焦点に、生保レディ 昇格しても固定給が下がる理不尽 正社員なのにノルマで契約終了 経費も負担) 「歩合給」が十分にそれをカバーしているのだろうか。 東洋経済オンライン「生保レディ、昇格しても固定給が下がる理不尽 正社員なのにノルマで契約終了、経費も負担」 「不適切営業の中心人物たちが、華麗な転身でその責任からうまく逃れ、新天地でまたぞろ営業推進に汗を流すという不健全な現状に、金融庁がどこまでメスを入れられるか。監督当局としての威信をかけた攻防戦が本格化するのは、まさにこれからだ」、「新天地で」の「営業推進」を「不適切」にやっていないか否かをチェックするほかなさそうだ。
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バブル(最近)(その8)(10億円超も続々登場 「ニセコ別荘バブル」の狂騒 観光客は激減も開発目白押し 町は抑制に苦慮、いよいよ「すべてのバブル」が崩壊しかかっている ウォーホール「モンロー250億円落札」の意味) [金融]

バブル(最近)については、3月25日に取上げた。今日は、(その8)(10億円超も続々登場 「ニセコ別荘バブル」の狂騒 観光客は激減も開発目白押し 町は抑制に苦慮、いよいよ「すべてのバブル」が崩壊しかかっている ウォーホール「モンロー250億円落札」の意味)である。

先ずは、5月8日付け東洋経済オンライン「10億円超も続々登場、「ニセコ別荘バブル」の狂騒 観光客は激減も開発目白押し、町は抑制に苦慮」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/587221
・『コロナ禍で観光客が激減したにもかかわらず、ホテルやコンドミニアムなど富裕層向け施設開発が活況。北海道のリゾート地・ニセコに何が起きているのか。 北海道倶知安(くっちゃん)町とニセコ町、蘭越町の3町を総称するリゾート地「ニセコ」。コロナ禍での渡航制限によって冷え切った観光熱を尻目に、現地の不動産市場は以前にも増して熱を帯びている。 ニセコの中心部にあたる、倶知安町ひらふエリア。東急不動産ホールディングスグループが運営する大型スキー場の麓に位置し、ゲレンデから滑走した勢いで宿泊施設の玄関までたどり着ける利便性が評判で、高級ホテルやコンドミニアム(分譲ホテル)が林立している。 そんなひらふエリアの中でもとくにスキー場に近い一角で、新たなコンドミニアムの建設が進んでいる。物件の名称は「マティエニセコ」。全114室で、開発主は韓国の財閥系デベロッパーであるハンファホテルズアンドリゾートだ。 不動産会社の資料によれば、399平方メートルの部屋が約14億円で販売されている。45平方メートルという小さな部屋でも価格は1億円超で、坪単価は約780万円。東京都心部の高級マンションとも肩を並べる水準だ。 その目と鼻の先に立つコンドミニアム「スカイニセコ」(2018年末に開業)は、当時坪600万円前後で販売されており、この4年間で売買相場は一段と上昇したことがうかがえる』、「399平方メートルの部屋が約14億円」、「45平方メートルという小さな部屋でも価格は1億円超」、「坪単価は約780万円。東京都心部の高級マンションとも肩を並べる水準」、「この4年間で売買相場は一段と上昇」、凄いバブルともいえる高値だ。
・『コロナ禍でも地価上昇  強気の価格設定にもかかわらず、販売は好調だ。マティエニセコの販売を仲介するリストインターナショナルリアルティの担当者は、「シンガポールや香港など、アジア圏の富裕層がすでに購入している。現在も台湾の富裕層が検討中だ」と話す。 国内のほかのリゾート地と同様、ニセコもコロナ禍によってかつてほどの賑わいはない。ニセコを構成する3町には2019年に423万人もの観光客が訪れたが、2020年は263万人と約6割に目減りした。牽引役だった外国人観光客の流入が途絶したことが響いた。 にもかかわらず、不動産市場は堅調だ。倶知安町の住宅地の地価は、上昇率こそ縮んだものの、2022年に約11.9%上昇した。 地元で不動産仲介や管理を行うニセコアルパインデベロップメンツの橋詰泰治社長は、「価格下落は起こっていない。コロナ禍は一時的な出来事であり、無理に物件を手放す動きは見られない」と話す。 背景にあるのが、ニセコを支える海外富裕層の存在だ。もともとパウダースノーに定評のあるニセコだが、海外に知られるようになったのは2000年代初頭。アメリカの同時多発テロ事件を受け、欧米に代わる治安のいいリゾート地を探していたオーストラリア人がニセコに着目したのが契機だ。 以後、中国やシンガポールなどほかのアジア諸国からも観光客が訪れるようになり、外国人向けの別荘やコンドミニアムの開発が進んだ。 不動産の買い手は「富裕層の中でも上位の『超富裕層』」(リストインターナショナルリアルティの担当者)。立地やサービス水準がお眼鏡にかなえば、利回りを気にせずに買っていく。コロナ禍にも動じず、渡航制限が解除されるまで気長に待つというスタンスだ』、「ニセコを構成する3町には2019年に423万人もの観光客が訪れたが、2020年は263万人と約6割に目減り」、しかし、「不動産市場は堅調だ。倶知安町の住宅地の地価は、上昇率こそ縮んだものの、2022年に約11.9%上昇」、「不動産の買い手は「富裕層の中でも上位の『超富裕層』」・・・立地やサービス水準がお眼鏡にかなえば、利回りを気にせずに買っていく。コロナ禍にも動じず、渡航制限が解除されるまで気長に待つというスタンスだ』、「外国人投資家」の投資意欲は依然旺盛なようだ。
・『コロナ禍で始動した大型開発も  マティエニセコの周辺では、香港系不動産会社の卓越国際が温泉付き高級別荘群「ビューニセコ」の開発に着手した。区画によっては、販売価格が1軒当たり10億円超となる見通しだ。 シンガポール系のSCグローバル・デベロップメンツが手がける総戸数190の大型コンドミニアム「雪(せつ)ニセコ」は、2022年夏に開業を控える。開発当初の分譲価格は坪500万円からといわれている。 取引が盛んなのは、コンドミニアムだけではない。「アパート用地を取得する動きが活発化している」。ニセコで不動産仲介や管理を行う東急リゾートの太田博康営業第四部長は話す。インバウンドの復活を見据え、スキー場やコンドミニアムで働く従業員の宿舎を手当てする動きだという。 コロナ禍で始動した開発もある。不動産開発事業のアセットマネジメントを行うクロスパスアドバイザーズは2021年夏、香港の投資家からひらふエリアでのホテルなど複合開発のアドバイザリー業務を請け負った。 黒田恵吾代表取締役は「総事業費で数百億円規模の大型プロジェクトだ。高級ホテルチェーンを誘致できないか検討している」と話す。 2030年度には倶知安町内に北海道新幹線の新駅が開業する予定で、高速道路の延伸計画も持ち上がる。同じく2030年、札幌冬季五輪の招致が実現すれば、アルペンスキーの会場となるニセコが世界中で中継され、さらなる観光客の増加が見込まれる。 一方、開発熱を複雑な心境で見つめているのが、地元自治体だ。 「8万9000」――。2020年4月、倶知安町が策定した観光地マスタープランの中に、こんな数字が躍った。コンドミニアムやホテル開発に対して何の規制もかけないままでは、ひらふエリアのベッド数は現在の約1万からいずれ8万9000に激増するという試算だ。 欧米の有名スキー場は、リフトの1時間あたり輸送人員とベッド数とが概ね一致している。それをひらふエリアに当てはめると、適正なベッド数はせいぜい1万8000。だが、コロナ禍以前には冬シーズンはリフトの混雑が深刻化しており、観光客の受け入れ能力は早くも限界に達しつつある。 宿泊施設の急増には別の懸念もある。「インフラ整備が追い付いていない」(倶知安町議会議員の田中義人氏)。現状では、宿泊施設までつながる公営の上下水道や駐車場の整備費用が町の負担となっている。「開発事業者や町に居住していないコンドミニアム所有者も、インフラ整備費用を負担すべきだ」(田中議員)』、「コンドミニアムやホテル開発に対して何の規制もかけないままでは、ひらふエリアのベッド数は現在の約1万からいずれ8万9000に激増するという試算だ」、「適正なベッド数はせいぜい1万8000」、「観光客の受け入れ能力は早くも限界に達しつつある」、将来的にこんなにベッド数が増えれば、大混乱だ。
・『町も業者も、問題意識は同じだが  こうした状況を受け、町は2019年より宿泊料の2%を徴収する宿泊税を導入した。富裕層からより多く徴収できる全国初の「定率制」だ。さらにインフラ整備費用を賄うべく、別荘所有者への「別荘税」や開発事業者への「緑化負担税」の導入も議論されている。 町はさらに踏み込んで、開発そのものにも規制の網を敷くことを検討している。ひらふエリアなどスキー場付近に開発を誘導する一方、それ以外の地域では建物の高さ制限の強化や山林造成に制限をかけるといった内容だ。 北海道によれば、2020年末時点で倶知安町内の森林の631ヘクタールを海外資本が取得しており、大規模な宅地造成による物件供給は今後も続く公算だ。規制を理由に開発を止める動きは足元ではみられないものの、一部の不動産会社は「土地の買い手に対し、将来規制が敷かれるリスクを説明している」という。 倶知安町観光協会の吉田聡会長は、「開発のコントロールが必要だという総論には業者も賛成しているが、各論では調整がいる」と話す。コロナ禍が明け外国人観光客の流入が再開した後も、リゾート地としての賑わい維持と開発の抑制・誘導という二兎を追う課題が町にのしかかる』、「宿泊税を導入」、「別荘所有者への「別荘税」や開発事業者への「緑化負担税」の導入も議論」、「開発そのものにも規制の網を敷くことを検討」、過熱をさますための措置は出来るだけ導入すべきだろう。

次に、5月15日付け東洋経済オンラインが掲載した財務省出身で慶應義塾大学大学院准教授の小幡 績氏による「いよいよ「すべてのバブル」が崩壊しかかっている ウォーホール「モンロー250億円落札」の意味」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/589208
・『もはや世界中の株式市場のバブルが崩壊したのは、誰の目にも明らかである。認めていないのは市場関係者くらいのものだろう』、「小幡氏」らしい出だしだ。
・『日本株に対する株式アナリストの「6つの間違い」  日本の株式アナリストの間違った議論の例はたくさんある。以下、代表的なものを6つほど挙げ、筆者の見解を示そう。 ① 日本株はアメリカ株に比べて下げ幅が小さく底堅い。だから買うべきだ。 違う。今はドル高円安になっており、ドルベースで見れば、同程度に下がっている。 日本以外の投資家はドルベースで判断する。今後ドル高が進んでドルベースの日経平均株価はさらに下がることが予想されるから、海外投資家はさらに売ってくるはずだ。 ② 岸田文雄首相がロンドンの金融街で「Invest in Kishida(岸田に投資を)」と一席ぶったように、同政権もついに「株式市場フレンドリー」へと政策を切り替える気配が出てきた。「アベノミクスの否定ではなく進化型」という位置づけは、アベノミクスを評価している海外投資家の期待を呼び込む。 ありえない。岸田政権の「新しい資本主義」も「Invest in Kishida」も、中身がゼロであることが唯一の長所だ。アベノミクスは、海外投資家にとっては、今では日本銀行を追い込んだだけの政策という評価か、すでにアベノミクスなど忘れてしまったかのどちらかだ。 ③ 金利差拡大による円安で世間はパニックだが、欧米の年率10%近いインフレと違って、日本はインフレが起きていない。だから、むしろ日本は欧米よりも前途有望だ。 企業収益で見れば、明らかなマイナス。企業物価は、世界と同じ40年ぶりの10%近い水準。それを消費者に転嫁できないから、消費者物価が上がっていないように見えるだけだ。その分、企業収益が減っており、消費者物価が上がるのは時間差でこれから、というだけだ。 ④ 主要国では日銀だけが利上げをしていないし、インフレにもなっていない。それゆえ、日本だけがスタグフレーション(不況下のインフレ)にならない。また、国債とのイールドギャップ(投資利回りから長期金利を引いた差)で見れば、株式の配当利回り・不動産の利回りは有利で、日本株・日本の不動産を買う理由がある。 金融政策の正常化ができないのは最大のリスク。アベノミクスで円安となり、かつ日銀が出口を失い、かつまったく動けない状態になっている。「日本はインフレでなくて、うらやましい」ではなく「インフレにすらならないほど経済は弱く、かつ利上げもできず、日銀は追い込まれている」。 日銀はETF(上場投資信託)の買い入れすら廃止できていない。 円安不安の個人投資家へ、証券会社がアメリカ株式の買いを勧める誘い文句も、市場関係者でない人々の常識からはかけ離れている』、「金融政策の正常化ができないのは最大のリスク。アベノミクスで円安となり、かつ日銀が出口を失い、かつまったく動けない状態になっている」、その通りだ。
・『アメリカ株の調整はまだ済んでいない  ⑤ アメリカ株はこのところの下落により、調整はほぼ済んだ。PER(株価収益率)などで見ても、十分割安といえる領域に入ってきた。そろそろ底打ちで、買いのタイミングが近づいている。 論理的にはありうるが、現実的には間違っている。 ⑥ ナスダックの下落率は大きいが、それこそが将来有望で買い時である証左だ。株価30%の下落は、これまでの企業の平均利益増加率の年15%を維持できれば、2年で取り返せる。長期には、株はつねに買いである。 2000年のITバブル(テックバブル)では、アマゾンやヤフーなどは100分の1程度まで下落した。100のときよりは1のときに買ったほうがよい。今買うよりも来月、あるいは来年買ったほうがましである。 このうち5と6については、今後、バブル崩壊のプロセスがどうなるかを描写する中で、さらにはっきりと間違い(ウソ)であることが明確になるだろう。これからのバブル崩壊のプロセスは、あとで述べよう。 さて、これらの屁理屈、この期に及んでの言い訳がちまたにあふれていることこそが、バブルがすでに崩壊していることを示している。この兆候は、ほかにもはいて捨てるほどあるが、いくつか挙げてみよう。 ①上述のように言っているだけなら罪はないが、それが相場を実際に動かす売買行動になると問題だ。相場操縦に近い。 例えば、どう見ても下がりそうなときにいったん上がる。5月3~4日のFED(アメリカ中央銀行)の政策決定会合FOMC(連邦公開市場委員会)後の動きがそうだ。利上げの見通しは急激かつ確実で、記者会見のジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長も必死だ。 当然、相場は大暴落だと思いきや、4日のアメリカ株価は大幅上昇で、NYダウは前日比932ドル高となった。しかし、翌日の5日には同1063ドル安と、この2年で最大の下落幅となった。これは明らかに主要投資家たちが逃げるために、売り場を5月4日に作っただけだ。 市場関係者は「4日は利上げの見通しが弱まったが、5日は利上げ不安が再度台頭した」などと説明したが、これこそ前述の言い訳の典型例だ。現実には、パウエル議長は翌日何も発言していないし、何の新しいニュースもなかった』、「4日」、「5日」についての「市場関係者」の「説明」は全くのウソで、ここまでするのかと驚かされた。
・『崩れた「GAFAM神話」  ②バブルの際に大きく上がったものほど下がっている。ナスダックの下落はすでに最高値から一時30%超下落した。しかも、最高値はつい先日といっていい、昨年の11月だ。まだ半年も経っていない。 しかも、今のところ、本格反転の気配はない。ナスダックは誰がどう見てもバブルがはじけたのであり、日本のマザーズ市場もいうまでもない。 最初はいわゆるミーム株が大暴落した。ロビンフッダー(もう忘れられた言葉だが)たちが群がった株は、中身どおりに紙くずに近くなった。そして、次には、ユニコーンや赤字のまま期待だけで上場した銘柄たち、バブルの象徴の株がすべて大暴落している。 例えば、ウーバーは今年だけで見ても高値から約半値へ暴落しているし、配車アプリのディディ・グローバル(滴滴出行)はこの3カ月で約3分の1になっている。また、EV(電気自動車)のテスラは最高値から時価総額の約3分の1を失ったが、イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)の奇行により下がっているわけではなく、普通にバブルがはじけただけで、今の下落割合からすれば、まだまだ下がるだろう。 ③「利益が伴っていないものがほとんどの新興株と違って、アップルなどの『GAFAM』は多少高くても企業の中身はしっかりしているから安全。下落時は買いの絶好のチャンス」という神話も崩れている。時価総額が大きいため指数に対する影響も大きいが、投資家全体での損失額も当然大きく、素人個人投資家だけでなく、ほとんどの機関投資家・ファンドが含み損を抱え始めた。 上記のように、アメリカの多くの株が暴落したが、そもそもこれまでの上昇が金融緩和バブルによるものだったから、金融緩和が終われば上昇も終わる。金融市場だけでなく、実体経済を見ても状況は最悪だ。インフレは衰えを見せず、約40年ぶりの水準で、スタグフレーションになるのは必至だろう。 また、ロシアによるウクライナ戦争は日を追うごとに長期化の見通しが強まっており、どちらが優勢だろうが、世界景気にはマイナスで、インフレの長期化にはプラスに働くばかり。つまり最悪だ。 ウクライナを中心とする戦争難民の数も、これまでとは次元が違う。欧州経済は長期にわたって、この先の見通しは暗いままだ。 一方、中国のコロナ禍の再燃で世界の物流は混乱しており、これもインフレ継続要因だ。今後、中国の需要が回復しても、世界を救うまでには至らない。中国の習近平政権の手腕にも、ゼロコロナ政策をはじめ、疑問が噴出してきた。中国さえ将来は不透明だ。 つまり、世界中、プラスの見通しはどこにもない。そもそも、新型コロナウイルスが世界中に蔓延し始めた約2年半前に金融緩和バブルは崩壊しかけていた(「2020年、意外なところからバブル崩壊は始まる」参照)。 その後、コロナ対応などの名目で、アメリカを中心に世界の主要国が金融・財政政策を「限界以上に」やったことで、バブルは最後の大膨張をしていただけだ。だから、バブルがはじければリスク資産が暴落するだけでなく、実体経済も先送りしてきた損失を現実に受け入れることになる。株式市場の現状は最悪、見通しも最悪、実体経済も最悪だ』、「そもそも、新型コロナウイルスが世界中に蔓延し始めた約2年半前に金融緩和バブルは崩壊しかけていた・・・その後、コロナ対応などの名目で、アメリカを中心に世界の主要国が金融・財政政策を「限界以上に」やったことで、バブルは最後の大膨張をしていただけだ。だから、バブルがはじければリスク資産が暴落するだけでなく、実体経済も先送りしてきた損失を現実に受け入れることになる。株式市場の現状は最悪、見通しも最悪、実体経済も最悪だ」、確かに長期的に振り返ることも重要だ。
・『「バブルの逃げ場」もなくなった  そして、この最悪状態は長期化必至だ。もはや世界中どこでもそうだから、逃げ場がない。金融市場での逃げ場を失ったマネーが、代替資産の市場に逃げ込めるかというと、それも難しい。すでにそれらの一部は「絶賛崩壊中」だ。例を挙げよう。 ①いうまでもなく、暗号資産の代表であるビットコインは暴落している。昨年11月には6万7000ドル台をつけていたが、一時は3万ドルを割れた。一時的に戻っているが、再度暴落するだろう。 ほかの暗号資産などはさらに悲惨で、マイナーなものは崩壊状態だ。今回の暴落の1つのきっかけは、「ステーブルコイン」と呼ばれる、ドルとの交換を保証している(と称していた)ものが、暴落したことがある。 理由はもちろんドルの裏付けを十分に持たずに、バブルを作っていたからであり、破綻回避のために保有するビットコインを大量に売ったことで、ビットコインの暴落が加速した。今後も、バブル崩壊スパイラルが何重にも起こるだろう。暴落スパイラル、暴落の伝染、投資家の恐怖の伝染は、バブル崩壊時のいちばんの特徴である。 ②メタバース、NFT(非代替性トークン)バブル。そもそもビットコインの価値とブロックチェーン技術とは別問題であり、目新しいもので資産バブルを作ろうとするのは、典型的なバブル末期の症状だ。 通貨になるためには、値動きがほとんどないことが必要で、為替相場が動くのは基本的にマイナスであり(だからユーロが生まれた)、ただの投機用資産であることは明白だ。メタバースをゲームの中で遊びとして利用したり、NFTを使用したりすることは、あくまで技術の利用法である。それらを取引資産とした時点で別物、バブルである。 ③絵画の世界でもバブル崩壊の兆候が現れた。例えば現代アートは、アートの中でも「オークションでついた価格がその作品の価値を決める」という倒錯した市場である。ここで5月9日、現代アートとして最も有名な画家の1人であるアンディ・ウォーホル作の「マリリン・モンロー」が売りに出て、1億9500万ドル(約250億円)で落札された。 これはアメリカ絵画、および現代アートの史上最高額を大きく更新した(これまでは2017年に前澤友作氏が落札したバスキアの作品で1億1000万ドル)。この「事件」を指してメディアは、絵画マーケット、現代アートマーケットは株式市場の混乱を尻目に好調だという解説をしているが、これはまったくの間違いだ。) なぜなら、バスキアのように価格が急上昇をしてきた(前澤氏がさせた)ものとは異なり、ウォーホルのそれは、長年、絵画としての高い評価が確立した最高のものだからだ。 なぜ最高のものを「今」売りに出したのか。売り手はウォーホルのコレクターとして有名な財団であり、売却益は寄付されるという。必要に迫られて売ったわけではない。バブル崩壊の足音を悟ったのだ。 絵画投資家のプロ中のプロも「もはや売り時」と思っているのである。このモンローの本質的な価値は下がらないが、価格が2億ドルか4億ドルかあるいは1億ドルかというのはバブル度合いによる。 実際、オークションを主催したクリスティーズの想定価格は2億ドルだった。通常は、このような二度とマーケットに出てこないようなもの、最高級のものが出てくれば、想定価格の何倍もの値段で決まるものである。 実際、これまでの主要アート中での最高落札額は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「サルバトール・ムンディ」で、2017年に4億5000万ドルだが、クリスティーズの想定価格は1億ドルだった。つまり、相場は崩れ始めた可能性がある』、「「マリリン・モンロー」が・・・1億9500万ドル・・・で落札」、「クリスティーズの想定価格は2億ドル・・・通常は、このような二度とマーケットに出てこないようなもの、最高級のものが出てくれば、想定価格の何倍もの値段で決まる」、「相場は崩れ始めた可能性がある」のは確かだ。
・『バブル崩壊はまだまだ続く  もういいだろう。バブルは全面的に完全に崩壊したのである。では、これからどうなるか。まだまだバブル崩壊は続く。 株式市場の下落はまだ続くだろう。今後の底値のメドは立たない。なぜなら、第1に、バブル崩壊での暴落では価格はオーバーシュートする(行きすぎる)からだ。第2に、ファンダメンタルズ(基礎的条件)の水準がこれから下がるからだ。ではどのように? まず、PER(株価収益率)の水準が下がる。バブル上昇期はアメリカ全体で20倍を超えていた。この「PER20倍」というのは、1株の利益が前述のように年率15%で伸び、5年で2倍になるという裏付けがあった(5年後のPERは10倍)からこそ、許されていた。 だが、成長が止まれば大幅に下がる。利益が伸びないのであれば、PER10倍は10倍のままである。だから、ファンダメンタルズからいっても、今までPER20倍の価格がついていた企業の株価は半分になりうる。 次に、誰もが知っているように、金利はまだまだ上がる。これは割引率の上昇となるから、1株利益が同じでも、株価は大きく下がる。 さらに、実は1株利益自体が伸びなくなるどころか、減少する。なぜなら、ここ数年の収益は実体経済もバブルで膨らんでいたからで、多くの企業で1株利益が減少していく。そうなると、当然ファンダメンタルズからいっても、株価はさらに下落を続けることになる。) また、債券市場の暴落も続く。金利上昇はもちろん国債の価格を下落させるが、最も価格が下落するのはハイイールド債という低格付けの「ジャンク債」市場である。これらはもともと国債の利回りが低すぎたから多くの投資家が買っていただけで、アメリカ債利回りが3%になるなら、極端にいえば不必要になり、買う人はいなくなる。 したがって、債券保有者は投げ売ると一段と暴落してしまうから売るに売れず、「発行体が破綻しなければ元本は戻ってくるから」と塩漬けにしがちだ。 こういう場合、破綻は突然起こる。例えば、債券市場の根本にあるアメリカの10年債の利回りが2%から4%に上がると、リスクプレミアムは、ベースである国債の上昇率を大きく上回って急激に拡大する。そうすると、ジャンク債の利回りは、7%をあっという間に超える。債券で利回りが7%を超えればほとんど買い手はつかないから、売ることはほぼできなくなる』、「株式」や「ジャンク債」の暴落は避けられないようだ。
・『破綻の連鎖がリスク資産市場全体に広がる恐怖  ここで、実体経済が悪化すると、収益が減って返済できない発行体がまず出てくる。次に、収益が減らずとも、ジャンク債の新発市場で買う投資家がいなくなり、借換え債を発行できなくなる主体が多数出てくる。デフォルト(債務不履行)だ。デフォルトが出てくると、これらの債券を投げ売りできずに抱えていたファンドが損失を計上する。 すると、こうしたファンドへの出資者は資金を引き揚げるしかない。よって、好景気時には高いパフォーマンスを誇っていたジャンク債ファンドは、あっという間に破綻に追いこまれる。 ジャンク債市場は投資家も限られているので、破綻は連鎖する。ジャンク債を買っていたファンド側も、借り換えができなくなった発行体も破綻する。負のスパイラルである。この破綻の連鎖は、リスク資産市場全体に広がる。 かつては、株が暴落すれば、資金が「安全資産」である債券の市場に逃げ込んだものだ。今は連想ゲームだけで、実際のカネは動かない。株と債券の投資家は別主体であるだけでなく、行動原理も違うからである。 セクターローテーションをするような投資家は、要はモメンタム投資家(勢いのあるほうにつく)で、次々と新しいモメンタム(要はバブル)に乗っていって、転々としているだけだから、バブルの崩壊が始まれば、次々とすべての市場から撤退して、バブル崩壊を加速させる。 この場合、さらに悪いことに、損失を取り返すために、新しく「買う」のではなく、「新しいモメンタム」、つまり「売り」に乗るので、すべての市場で売り仕掛けが加速する。これが、リスク資産市場全体の暴落スパイラルである。 一連の流れの中では、ゴールド(金)の価格も下がるだろう。最後の拠り所は資源かもしれないだが、価格が上昇すれば実体経済にさらにダメージとなるため、資源市場も暴落する。このように、リスク資産市場全体でレバレッジが急低下し、売りが売りを呼び、暴落はオーバーシュートとなるのである。 そして、今度はリーマンショック後と異なり、量的緩和でこれを救済することはできない。この仕組みを使い切ったうえに、資産縮小を世界中の多くの中央銀行が行っているからである。これが、これから起こることである。(本編はここで終了です。次ページは、競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)』、「リスク資産市場全体でレバレッジが急低下し、売りが売りを呼び、暴落はオーバーシュートとなるのである。 そして、今度はリーマンショック後と異なり、量的緩和でこれを救済することはできない。この仕組みを使い切ったうえに、資産縮小を世界中の多くの中央銀行が行っているからである。これが、これから起こることである」、恐ろしいご託宣だが、「バブル」崩壊にはそれなりの覚悟が必要なようだ。
タグ:バブル(最近) (その8)(10億円超も続々登場 「ニセコ別荘バブル」の狂騒 観光客は激減も開発目白押し 町は抑制に苦慮、いよいよ「すべてのバブル」が崩壊しかかっている ウォーホール「モンロー250億円落札」の意味) 東洋経済オンライン「10億円超も続々登場、「ニセコ別荘バブル」の狂騒 観光客は激減も開発目白押し、町は抑制に苦慮」 「399平方メートルの部屋が約14億円」、「45平方メートルという小さな部屋でも価格は1億円超」、「坪単価は約780万円。東京都心部の高級マンションとも肩を並べる水準」、「この4年間で売買相場は一段と上昇」、凄いバブルともいえる高値だ。 「ニセコを構成する3町には2019年に423万人もの観光客が訪れたが、2020年は263万人と約6割に目減り」、しかし、「不動産市場は堅調だ。倶知安町の住宅地の地価は、上昇率こそ縮んだものの、2022年に約11.9%上昇」、「不動産の買い手は「富裕層の中でも上位の『超富裕層』」・・・立地やサービス水準がお眼鏡にかなえば、利回りを気にせずに買っていく。コロナ禍にも動じず、渡航制限が解除されるまで気長に待つというスタンスだ』、「外国人投資家」の投資意欲は依然旺盛なようだ。 「コンドミニアムやホテル開発に対して何の規制もかけないままでは、ひらふエリアのベッド数は現在の約1万からいずれ8万9000に激増するという試算だ」、「適正なベッド数はせいぜい1万8000」、「観光客の受け入れ能力は早くも限界に達しつつある」、将来的にこんなにベッド数が増えれば、大混乱だ。 「宿泊税を導入」、「別荘所有者への「別荘税」や開発事業者への「緑化負担税」の導入も議論」、「開発そのものにも規制の網を敷くことを検討」、過熱をさますための措置は出来るだけ導入すべきだろう。 東洋経済オンライン 小幡 績氏による「いよいよ「すべてのバブル」が崩壊しかかっている ウォーホール「モンロー250億円落札」の意味」 日本株に対する株式アナリストの「6つの間違い」 「金融政策の正常化ができないのは最大のリスク。アベノミクスで円安となり、かつ日銀が出口を失い、かつまったく動けない状態になっている」、その通りだ。 「4日」、「5日」についての「市場関係者」の「説明」は全くのウソで、ここまでするのかと驚かされた。 「そもそも、新型コロナウイルスが世界中に蔓延し始めた約2年半前に金融緩和バブルは崩壊しかけていた・・・その後、コロナ対応などの名目で、アメリカを中心に世界の主要国が金融・財政政策を「限界以上に」やったことで、バブルは最後の大膨張をしていただけだ。だから、バブルがはじければリスク資産が暴落するだけでなく、実体経済も先送りしてきた損失を現実に受け入れることになる。株式市場の現状は最悪、見通しも最悪、実体経済も最悪だ」、確かに長期的に振り返ることも重要だ。 「「マリリン・モンロー」が・・・1億9500万ドル・・・で落札」、「クリスティーズの想定価格は2億ドル・・・通常は、このような二度とマーケットに出てこないようなもの、最高級のものが出てくれば、想定価格の何倍もの値段で決まる」、「相場は崩れ始めた可能性がある」のは確かだ。 「株式」や「ジャンク債」の暴落は避けられないようだ。 「リスク資産市場全体でレバレッジが急低下し、売りが売りを呼び、暴落はオーバーシュートとなるのである。 そして、今度はリーマンショック後と異なり、量的緩和でこれを救済することはできない。この仕組みを使い切ったうえに、資産縮小を世界中の多くの中央銀行が行っているからである。これが、これから起こることである」、恐ろしいご託宣だが、「バブル」崩壊にはそれなりの覚悟が必要なようだ。
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株式・為替相場(その16)(「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる 「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に、「日本人だけが貧しくなっていく」これから日本を襲う"原油価格高騰×円安"のダブルパンチ 「新しい資本主義」を掲げる岸田首相を待つ"猛烈な反撃"、「円安は国益」の評価が一変した真の原因 円安効果の2つの間違い) [金融]

株式・為替相場については、4月1日に取上げた。今日は、(その16)(「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる 「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に、「日本人だけが貧しくなっていく」これから日本を襲う"原油価格高騰×円安"のダブルパンチ 「新しい資本主義」を掲げる岸田首相を待つ"猛烈な反撃"、「円安は国益」の評価が一変した真の原因 円安効果の2つの間違い)である。

先ずは、4月20日付けYahooニュースが転載した東洋経済オンライン、みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト の唐鎌 大輔氏による「「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる 「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d77c99f9f5f9979b404339d518940107eeff6808?page=1
・『約20年ぶりの円安相場が継続中だ。その背景としては日米金融政策格差というオーソドックスな論点に加えて、「円の需給環境」が重要である。 需給環境と一口に言ってもその意味するところは幅広い。象徴的には、①資源高を主因とする貿易赤字拡大であり、②日本企業による対外直接投資の増大も円売り圧力をそうとうに強めている。 ①は毎月経常的に発生する円売り切り、外貨買い切りのアウトライト(単独取引)であるのに対し、②は企業買収時にまとまったボリュームで発生する円の売り切りである。過去10年間では後者の勢いが強まった結果、今や日本の対外純資産残高の半分が直接投資になっている。かつて、多かったのは証券投資だった。 証券投資であればリスク回避ムードが強まった際には手元に資金を回収するため、保有している海外の有価証券を売って円を買い戻す(≒外貨売り・円買いを行う)動きが起きる。 しかし、直接投資として買収した海外の会社を機動的に売却する動きは想像しがたい。「リスクオフの円買い」の迫力が薄れたのは貿易黒字が消滅したこともあるが、中長期的には対外直接投資の増大も大きく寄与していると考えられる。なお、①や②の動きは基礎収支(経常収支+直接投資)の流出として総括されるものでもある』、「今や日本の対外純資産残高の半分が直接投資になっている」、かつての「証券投資」中心から大きく変わったようだ。
・『本当に怖いのは「企業部門による円売り」ではない  対外直接投資が顕著に増加した背景には、人口動態による国内市場の縮小という見通しがある。経済が低成長ないしは縮小する日本よりも成長する海外に活路を見出すという合理的な経営判断があったといえる。それは投資の期待収益率という点で、日本を回避して海外を選んだという意味であり、「企業部門による資本逃避」である。 だが、それでも海外成功が国内経済に還元されることも期待されるため、一概に悪いことばかりではない。現に第1次所得収支黒字(対外債権から生じる利子や配当)が日本の経常黒字を支えていることは周知のとおりだ。また、貿易赤字にしても、資源高で一時的に歪んでいる部分はあるにせよ、理論的には最適な国際分業の結果であり、「黒字が善で赤字が悪」とはかぎらない。 つまり、①や②のような「企業部門による円売り」は必ずしも悪いことばかりではない。これに対し、本当に怖いのはそうした「企業部門による円売り」ではなく「家計部門による円売り」である。 家計部門が円建て資産の保有をリスクと考え始めて海外投資を増やすことは、単なる防衛行為なので、日本経済にとっての恩恵は乏しいものになる。現状、そのような動きがすぐに起こる雰囲気はない。岸田政権の支持率もまだ非常に高い。それは人口動態において大きなボリュームを占める高齢者層に寄り添った政策運営が展開されているからだとの解説は多い。実際、「年金生活者へ5000円支給」などの案が浮上してくるあたり、その見方は的外れとは言えない。 新型コロナ対策に関し、いつまでも新規感染者数に拘泥し、すぐに行動制限に手を付けようとするのも、若年層に比べて行動範囲の限られる高齢者層が多い世の中では決定的な批判にさらされにくいからだろう。政治家にとって高齢者に配慮することは選挙対策上、有利なのである。 現実はその政策が慢性化することで成長率が停滞し、日本銀行が動けなくなり、円安につながっているわけだが、その理解はまだ浸透していない。 現状が続くかぎり、円建て資産の相対的な価値は確実に蝕まれていく。保守的な国民気質なのか、金融リテラシーの欠如なのか、そうした世代が金融資産の大半を握っているせいか、原因は1つではないのだろうが、日本では個人金融資産の95%以上がいまだに円貨性の資産で保有され、50%以上がほぼ何の収益も生まない現預金に留め置かれている』、「日本では個人金融資産の95%以上がいまだに円貨性の資産で保有され、50%以上がほぼ何の収益も生まない現預金に留め置かれている」、しかし、個人が目覚めたらそれだけ変化する余地が大きいことを意味している。
・『家計の外貨建て投資も徐々に増えている  2021年12月末時点で日本の家計金融資産は2023兆円と2000年3月末対比で620兆円も増えている。しかし、その増分の半分以上(343兆円)が円建て現預金である。リスク資産の代表格である株式・出資金の比率は10%前後でほとんど変わっていない。円建て資産の構成を見る限り、NISA導入(2014年)など挟んでも、「貯蓄から投資へ」はまったく奏功していない。 しかし、構成比こそ小さいが、外貨性資産は0.9%から3.4%へ明確に増えており、金額だけで言えば、投資信託は7倍強、対外証券投資は5倍弱増えている。全体の比率の中では円貨性現預金に圧倒されてしまっているが、海外資産への関心は確実に高まっている。 20年ぶりの円安・ドル高、実質実効為替レートで見れば半世紀ぶりの円安、戻らなくなった購買力平価(PPP)、消滅した貿易黒字、対外直接投資の激増などなど、もはや円建て資産を取り巻く客観的事実は10年前とは確実に変わっており、20年前とはさらに違う。これほどわかりやすい環境変化が重なれば保守的だった日本人も動き出すかもしれない。根強いリスク回避性向がいつまでも同じとはかぎらない。) 近年、日本でもアメリカ株投資が1つのブームのように取り上げられ、2021年12月28日付日本経済新聞には『若者の投資は消費感覚』と題した大手ネット証券会社社長のインタビューが掲載されていた。着実なリターンが期待できるからこその潮流と言えるだろう。 対照的に日本株の人気は目を覆いたくなるような惨状にある。1月下旬(2022年1月27~31日)に実施された日経CNBCの視聴者調査では『岸田政権を支持しますか』の問いに95.7%が『支持しない』と答えたことが話題になった。事実として、図表1に示すように、国内株ではなく海外株に流れる国内投資マネーの動きは投資信託における株式売買動向からも明らかである。 今はまだ2000兆円を超える家計金融資産のごく一部にすぎない動きだが、日本の家計部門のリスク回避性向が強すぎると言われていることを思えば、アメリカ株ブームは安全資産への異常な執着が修正される前振れとも理解できるかもしれない。書店に行けば、アメリカ株投資の本が平積みでたくさん並んでいる。このような光景は今まであまり目にしないものだった。当然、すべてではないにしても、そうしたアメリカ株投資は円売りを伴うはずである』、「日本の家計部門のリスク回避性向が強すぎると言われていることを思えば、アメリカ株ブームは安全資産への異常な執着が修正される前振れとも理解できるかもしれない」、その通りだ。
・『円売りは急に走り出す可能性  国際比較をしても日本の金融資産構成は修正される余地が見える。図表2に示すように、40%弱が株式に寄せられているアメリカは極端としても、日本と同様に間接金融が力を持つユーロ圏でも20%弱が株式に割り当てられている。そのユーロ圏の半分程度の日本はやはりそうとうに保守的と言わざるをえず、現預金が50%を超えていることも世界的には異例である。 しかし、年初来3カ月半で円の対ドル相場は10%近く、2021年初めからでは20%近くも下落している。その間、資産をドルで保有していれば、単なる外貨預金であったとしても、その損失はカバーできたことになる。得られる金利も当然、円よりは高い。) もちろん、外貨預金の為替差損益は雑所得なのでそこから所得税も勘案するなど、細かな修正は必要だが、大半の日本人が安全資産の代表格と見ているであろう「円の普通・定期預金」は昨年来、資産防衛の観点からはかなりひどい選択肢だったといえる。 今は日本人の多くは海外資産との比較で自国通貨建ての保有資産の価値を判断しないだろうが、「安い日本」の傾向が強まり、そのことが巷間語られる中、同じものに消費や投資をするにしても、必要な金額は漸増傾向にあるはずだ。 分散投資することなく抱えていた円建て資産は一般物価上昇の中で少しずつ減価していくという構図であり、その度合いがある限度を超えれば、「円の普通・定期預金」が特に安全ではなかったことに気づくのかもしれない。国際経済に組み込まれている以上、必然の帰結である』、「「円の普通・定期預金」が特に安全ではなかったことに気づく」のは時間の問題だ。
・『円預金が10%動くだけで100兆円の円売りに  もちろん、そうした家計部門からの資本逃避(いわゆるキャピタルフライト)ともいえるような動きが早晩加速するという確信はない。しかし、その可能性に警鐘を鳴らす時期には来たと筆者は考えている。そうなるだけの客観的な諸条件が揃い始めていることは、再三、東洋経済オンラインでも論じてきた。日本人は何事も一定の「空気」が醸成されてからでなければ動けないところがあるが、一度定められた方向には皆が走り出し、その展開が非常に早く進む傾向にある。 「円の普通・定期預金」の10%が動くだけでも100兆円規模の円売りになる。それは過去5年平均(18兆円程度)の経常黒字に換算すれば5~6年分に相当する。今の世の中、海外投資はさほど難しいことではなく、十分想定に値する数字だ。 今後「円で保有していること自体が損であり、リスクである」という認識が支配的になった時、家計部門の円売り主導で円相場は一段と値を下げるのではないか。それは最近のロシアで、かつてはギリシャなどで起きたことだ。真の円安リスクはそうした動きであろう』、「日本人は何事も一定の「空気」が醸成されてからでなければ動けないところがあるが、一度定められた方向には皆が走り出し、その展開が非常に早く進む傾向にある。「円の普通・定期預金」の10%が動くだけでも100兆円規模の円売りになる。それは過去5年平均(18兆円程度)の経常黒字に換算すれば5~6年分に相当する。今の世の中、海外投資はさほど難しいことではなく、十分想定に値する数字だ』、こうしたキャピタルフライトの可能性が現実化しつつあるようだ。

次に、4月24日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの磯山 友幸氏による「「日本人だけが貧しくなっていく」これから日本を襲う"原油価格高騰×円安"のダブルパンチ 「新しい資本主義」を掲げる岸田首相を待つ"猛烈な反撃"」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/55829
・『リーマン後も遅れを見せた日本経済の回復  2008年秋、リーマンショックと呼ばれる金融危機が世界を襲った時、当時の麻生太郎首相は当初「日本への影響は軽微だ」と言い続けてきた。日本はバブル崩壊後の金融危機から立ち直りつつあった頃だったため、世界の金融バブルにはあまり関与せず、問題の金融商品であるサブプライム・ローンなどで損失を被った金融機関も少なかったからだ。 ところが、である。輸出産業を中心に日本企業の売り上げが急減、その余波で国内消費も落ち込んで、日本経済は大打撃を受けた。その後、東日本大震災に襲われたこともあり、日本経済の回復は遅れに遅れた。米国や欧州の経済がその後、急速に戻していったのを横目に、結局、日本経済は世界の先進国の中で最も影響を受けたと言っていいだろう。 それと似たような事が再び起きている。 2020年から世界を揺さぶった新型コロナウイルスの蔓延まんえんでは、まさに世界経済が凍りついた。欧州や米国では感染者や死者が溢れ、ロックダウン(都市封鎖)に踏み切るなど深刻な状況が続いた。一方の日本は感染者も死者数も欧米に比べれば桁違いに少なく、世界の中でも最も影響が軽微とも言えた』、確かに「サブプライム」問題では、直接の被害を被った日本の「金融機関」は「少なかった」が、その「余波」の影響を強く「日本」は受けた。
・『コロナ禍からの回復で、日本は大きな後れを取った  ところが、である。経済への打撃は予想以上に大きい。米国は2020年4-6月期にGDP(国内総生産)が年率実質で31.4%減と大きく落ち込んだが、7-9月期に急回復。その後も2021年10-12月期まで6四半期連続でプラス成長が続いている。一方の日本は2020年4-6月期に28.6%のマイナスで、7-9月期に急回復したところまでは同じだが、その後、プラス成長とマイナス成長を繰り返す一進一退が続いている。年率換算の成長率だけを見ていると違いがなかなか見えないが、GDPの実額の推移を見てみると、その違いは一目瞭然だ。 米国は2020年10-12月期に新型コロナ前の水準に戻り、その後も成長を続けた結果、2021年10-12月期はコロナ前を10%以上上回る過去最高を更新している。昨年末のクリスマス商戦は活況を呈し、米国では物価が急上昇していた。 一方の日本のGDPの実額は2021年10-12月期になっても、消費税率引き上げ前の2019年7-9月期を超えていない。新型コロナの影響をようやく吸収するかどうか、といったレベルだ。つまり、新型コロナ禍からの回復という観点で、日本経済は米国経済に大きく後れを取っているのだ』、「新型コロナ禍からの回復という観点で、日本経済は米国経済に大きく後れを取っている」、その通りだ。
・『原油価格がさらに上昇したら、政府は打つ手がなくなる  そこに加わったのが、ウクライナ戦争である。ロシアのウクライナ侵攻と共に、西側先進国がそろってロシアへの制裁に踏み切ったこともあり、原油をはじめエネルギー価格は大幅に上昇している。これによって世界的なインフレの火に油が注がれることになった。 日本でもガソリン価格が高騰、政府は巨額の資金を注ぎ込んで、石油元売り会社への補助金を積み増し、小売価格を抑えようと必死になっている。戦局が膠着こうちゃく状態になっていることに加え、OPEC(石油輸出国機構)による増産期待があって、今のところ上昇ピッチは鈍化しているが、「国家」が「市場」をコントロールしようとするのは歴史的にも無謀な試みと言える。さらに本格的に原油価格が上昇した際には「打つ手」がなくなる懸念もある。 懸案になっている「トリガー条項」の凍結解除によって揮発油税にかかっている上乗せ分を撤廃することは、税収減に直結するため財務省が最後の最後まで抵抗しており、財務省の意向を無視できない岸田文雄内閣はなかなか決断しないだろう』、「政府は巨額の資金を注ぎ込んで、石油元売り会社への補助金を積み増し、小売価格を抑えようと必死になっている」、公的資金で「小売価格を抑えよう」というのが愚策の典型だ。
・『現在、日本の電源はLNGに大きく依存している  もうひとつ懸念されるのが電気料金の大幅な上昇だ。東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故以来、原発稼働がままならず日本の電源はLNG(液化天然ガス)に大きく依存している。LNG輸入の8%あまりをロシア産に依存しているため、その帰趨きすうが注目される。 ロシアへの制裁では、米国がロシア産原油やLNGなどのエネルギー輸入を禁止したが、依存度の高い欧州は禁輸にまでは踏み切っていない。エネルギー代金を決済するロシアの最大手銀行なども銀行間の国際決済システムであるSWIFTから排除していないのは、ロシアから欧州へのガス供給を止めれば、たちまち西欧諸国の人たちの生活に大打撃を与えることになるためだ。ドイツの場合4割以上をパイプラインを通じたロシア産ガスに依存している。 英エネルギー大手シェルが早々にサハリンでの石油ガス開発事業「サハリン2」からの撤退を表明したが、同様に出資する三井物産と三菱商事は態度を保留している。萩生田光一経済産業相は「利権を手放せば第三国がそれを手に入れるだけで、制裁にはならない」と国会答弁しており、政府としては何とかロシアからのLNG調達を続けたい考え。日本が撤退すれば、中国が利権を獲得するのが関の山というわけだ』、「サハリン2」での「日本政府」の粘りもいつまで続くことやら。
・『輸入食料品・原材料の価格上昇も日本を襲う  だが、ウクライナでの戦争がエスカレートして、ロシアによる民間人への攻撃が激化した場合、さらなる経済政策が必要になり、ドイツなど欧州諸国がエネルギー禁輸にまで踏み切る可能性もある。そうなった時に、日本がサハリン利権を死守できるかどうか。欧米からの圧力もあって、放棄せざるを得なくなる可能性もある。そうなると日本のLNG調達コストはさらに上がり、電気料金も上昇を続けていくことになりかねない。 日本を襲うのはエネルギー価格の上昇だけではない。円安が進めば、輸入物価全体が上昇することになりかねず、輸入食料品・原材料の価格上昇が生活を圧迫することになりそうだ。 3月18日に開かれた日本銀行の金融政策決定会合後の記者会見で、日銀の黒田東彦総裁は、それでも円安を容認する考えを示した。これをきっかけに東京外国為替市場では一時、1ドル=119円台にまで円安が進んだ。黒田総裁は「円安が経済・物価を共に押し上げ我が国経済にプラスに作用している基本的な構造は変わりはない」と、あくまで円安がプラスだ、としたのだ』、「黒田総裁」が「あくまで円安がプラスだ」にこだわるのも困ったことだ。
・『「不景気なのに物価が上がる」スタグフレーションの入口  日本の場合、円安を容認せざるを得ない理由がある。米国で起きているインフレは、経済成長と共に物価上昇が起きているため、金融の量的緩和の縮小を早々に決め、利上げに踏み切る姿勢を鮮明にしている。景気の過熱を抑える金融引き締めという従来の金融政策が機能するのだ。 ところが、日本経済は前述の通り、新型コロナからの回復が遅れ、金融緩和をやめれば景気が失速する懸念もある。金融緩和を続けざるを得ないわけだ。不景気なのに物価上昇が起きることをスタグフレーションと呼ぶが、まさに日本経済はそのとば口に立たされているように見える。 黒田総裁はスタグフレーションではないかという質問に、「そういう恐れが日米欧にあるとは思っていない」と述べて否定していたが、米欧は少なくとも現状ではスタグフレーションではないため、金融引き締めに動けるが、日本は明らかに不景気なのに物価が上昇し始めていることは歴然としている。結局、日本は金融政策の手足を縛られているとみるべきだろう』、「日本」の「金融政策」は、このままでは破綻必至だ。
・『日本が円安政策を続ければ、庶民の生活は一層苦しくなる  世界が猛烈なインフレに襲われる中で、日本が円安政策を採り続けたらどうなるか。見た目の為替レートよりも実質実効為替レートはさらに円安になるだろう。実質実効為替レートは50年ぶりの低水準だと報じられていたが、円安容認政策でさらに円は弱くなり、輸入物価が猛烈に上昇していくことになるだろう。 円安で輸入物価が上昇しても、それで日本企業が潤うわけでなければ、企業業績は改善せず、従業員の給与も上がらない。このままでは庶民の生活は一段と苦しくなるに違いない。 「新しい資本主義」を掲げて「市場」に背を向ける岸田首相は、これから荒れ狂う市場の猛烈な反撃に遭遇することになるだろう。その時、どんな政策を打とうとしているのか。新型コロナの影響が最も軽微で、ウクライナからも遠いはずの日本の経済が最も大打撃を被るとすれば、それは経済政策の無策の結果と言えるのではないか』、やはり「金融政策」を抜本的に見直し、これ以上の「円安」進行を防ぐように大転換すべきだ。「黒田総裁」にも引退してもらうべきだろう。

第三に、5月12日付けYahooニュースが転載したダイヤモンド・オンライン:一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「「円安は国益」の評価が一変した真の原因、円安効果の2つの間違い」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d77c99f9f5f9979b404339d518940107eeff6808?page=1
・『円安が加速する中で、日本銀行は「円安は日本経済全体ではプラス」と言い続けているが、人々の受け止めはそうではなくなっている。 円安に対する評価が否定的なものに変わったのは、日本企業の海外生産比率が高まったことや輸出増大効果がなくなったからだという説明がされていることが多い。 だがこの説明には誤解がある。今回の円安局面で円安に対する人々の評価が変わってきているのには、ほかの原因がある』、どんな「原因」なのだろう。
・『なぜ円安に対する評価が 変わったのか?  これまでは、円安が日本の国益だと考える人が多かった。しかし、今回は、日本にとってマイナスだと考える人が多くなっている。 円安が日本にとってマイナスだという認識は正しい。しかし、評価が従来から変わった理由については、奇妙な説明がされている。 それによると、従来は製造業の生産が国内で行なわれていたので、円安になると輸出が増えた。それが日本経済にプラスの効果をもたらした。 ところが、最近では日本企業の海外生産比率が高まったため、この効果がなくなったというのだ。 しかし、この説明は2つの点で間違っている』、どういう間違いなのだろう。
・『海外生産比率は10年前から同じ 最近はむしろ低下傾向  第1の誤りは、海外生産比率が最近時点で高まったかのように言われている点だ。 海外生産比率についてはいくつかの調査がある。その1つの「海外事業活動基本調査」(経済産業省、2020年9月調査)によると、全体で見ても、進出企業ベースで見ても、最近時点で海外生産比率が上昇しているという傾向は見られない。 むしろ緩やかではあるが、低下傾向にある。 2019年度の製造業現地法人の海外生産比率(国内全法人ベース)は23.4%で、前年度に比べて1.7%ポイントの低下だった。 海外進出企業ベースで見ると、19年度は37.2%であり、17年度の38.7%より1.5%ポイント低下している。 これは、アベノミクスによって円安が進んだため、海外生産の有利性が減殺されたためだ。 海外生産比率がいま急に高まったわけではないことは、内閣府のレポート「企業行動に関するアンケート調査報告書」(2022年3月)でも分かる。 これによると、図表1に示すように2021年の製造業の海外現地生産比率は22.3%だ(実績見込み)。 輸送用機器では、海外現地生産比率は40%という高さだ。繊維製品や電気機器でも3割を超えている。 海外生産比率は1980年代から2013年まで、ほぼ一貫して上昇し続けてきた。そして、比率が急激に上昇したのは、この調査でもアベノミクスの直前だ(12年の17.7%から13年の21.6%に上昇)。これは、いまから10年も前のことだ。) アベノミクスが始まった13年には、すでに製造業の海外生産比率は21年とほぼ同じ水準にまで高まっていたのだ。だから、アベノミクスで円安になっても輸出が増えないことは分かっていたはずだ。 アベノミクスで輸出が増えることを期待したのであれば、まったくの間違いだった。 そして、実際、ドル建ての日本の輸出は12年に7986億ドルになってから、それを上回ることはなかった(20年は6413億ドル)』、「海外生産比率については」、「全体で見ても、進出企業ベースで見ても、最近時点で海外生産比率が上昇しているという傾向は見られない。 むしろ緩やかではあるが、低下傾向にある」、再認識させられた。
・『90年代後半から円安のもと 貿易収支は悪化  「円安に対する評価が変わった」理由の説明には、海外生産比率の動向のほかにもう1つの誤りがある。 それは、「これまで円安は輸出を増やしてきたから日本にとって望しかった」という説明だ。 為替レートは、輸出だけでなく輸入にも影響を与える。日本にとっての問題は、輸出がどうなるかでなく、むしろ貿易収支がどうなるかだ。 これについてのデータは、本コラム「日本の経常収支『赤字定着』の危機、円安スパイラル阻止は政治の最重要課題」(2022年5月5日付)で示した。 日本の実質実効為替レートは、1970年代、80年代を通じて上昇を続け、90年代の中頃にピークになった。それ以降は円安方向への動きを続けている。 これによって輸出は増えた。しかし実際は輸入のほうがより大きく増えた。そのために貿易収支が悪化した。 なお、これはまだ日本企業の海外生産比率が10%台だった頃のことだ。だから、貿易収支が悪化した原因は海外移転ではない。原因はそうではなく、工業化に成功した中国に市場を奪われたことだ。 日本の貿易収支は80年代の中頃までは黒字が増加していた。この時期は為替レートが円高になっていった時代だ。 つまり、円高と貿易収支の黒字拡大が同時期に起きており、その後は円安と貿易収支の黒字縮小が同時に起きている。 これは相関関係であって、どちらが原因でどちらが結果かを直ちに判断することはできない。 ただし、円安になれば貿易収支の黒字が増えるという動きは、データではまったく裏付けられていないのだ』、「円高と貿易収支の黒字拡大が同時期に起きており、その後は円安と貿易収支の黒字縮小が同時に起きている」、なるほど。
・『今回の円安局面の特徴は 輸入物価高騰を転嫁できないこと  では、円安に対する人々の評価が今回変わったのは、なぜか? 今回の円安局面が従来と異なるのは、輸入物価の高騰による原材料価格の上昇を、企業が完全には製品価格に転嫁できていないことだ。 これまでは、原価の上昇を製品価格に転嫁し、最終的には消費者に転嫁してきた。つまり、企業は、円建て輸出価格の増加による売上増だけを享受できた。 そのため、利益が増えた。そのために円安が企業にとって望ましいと考えられていたのだ。 しかし今回の円安局面では、輸入価格の上昇があまりに大きいこと、また、消費需要がコロナ禍で弱っていることなどのために、完全に転嫁できないでいる。 一方で家計も賃金が増えない中で物価上昇に対する負担感が強まっている。 こうしたことが人々の円安への評価が変わった原因だ』、「これまでは、原価の上昇を製品価格に転嫁し、最終的には消費者に転嫁してきた。つまり、企業は、円建て輸出価格の増加による売上増だけを享受できた。 そのため、利益が増えた。そのために円安が企業にとって望ましいと考えられていたのだ」、「しかし今回の円安局面では、輸入価格の上昇があまりに大きいこと、また、消費需要がコロナ禍で弱っていることなどのために、完全に転嫁できないでいる。 一方で家計も賃金が増えない中で物価上昇に対する負担感が強まっている。 こうしたことが人々の円安への評価が変わった原因だ」、「今回の円安局面」の特徴がよく理解できた。
タグ:(その16)(「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる 「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に、「日本人だけが貧しくなっていく」これから日本を襲う"原油価格高騰×円安"のダブルパンチ 「新しい資本主義」を掲げる岸田首相を待つ"猛烈な反撃"、「円安は国益」の評価が一変した真の原因 円安効果の2つの間違い) 株式・為替相場 Yahooニュースが転載した東洋経済オンライン 唐鎌 大輔氏による「「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる 「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に」 「今や日本の対外純資産残高の半分が直接投資になっている」、かつての「証券投資」中心から大きく変わったようだ。 「日本では個人金融資産の95%以上がいまだに円貨性の資産で保有され、50%以上がほぼ何の収益も生まない現預金に留め置かれている」、しかし、個人が目覚めたらそれだけ変化する余地が大きいことを意味している。 「日本の家計部門のリスク回避性向が強すぎると言われていることを思えば、アメリカ株ブームは安全資産への異常な執着が修正される前振れとも理解できるかもしれない」、その通りだ。 「「円の普通・定期預金」が特に安全ではなかったことに気づく」のは時間の問題だ。 「日本人は何事も一定の「空気」が醸成されてからでなければ動けないところがあるが、一度定められた方向には皆が走り出し、その展開が非常に早く進む傾向にある。「円の普通・定期預金」の10%が動くだけでも100兆円規模の円売りになる。それは過去5年平均(18兆円程度)の経常黒字に換算すれば5~6年分に相当する。今の世の中、海外投資はさほど難しいことではなく、十分想定に値する数字だ』、こうしたキャピタルフライトの可能性が現実化しつつあるようだ。 PRESIDENT ONLINE 磯山 友幸氏による「「日本人だけが貧しくなっていく」これから日本を襲う"原油価格高騰×円安"のダブルパンチ 「新しい資本主義」を掲げる岸田首相を待つ"猛烈な反撃"」 確かに「サブプライム」問題では、直接の被害を被った日本の「金融機関」は「少なかった」が、その「余波」の影響を強く「日本」は受けた。 「新型コロナ禍からの回復という観点で、日本経済は米国経済に大きく後れを取っている」、その通りだ。 「政府は巨額の資金を注ぎ込んで、石油元売り会社への補助金を積み増し、小売価格を抑えようと必死になっている」、公的資金で「小売価格を抑えよう」というのが愚策の典型だ。 「サハリン2」での「日本政府」の粘りもいつまで続くことやら。 「黒田総裁」が「あくまで円安がプラスだ」にこだわるのも困ったことだ。 ・『「不景気なのに物価が上がる」スタグフレーションの入口  日本の場合、円安を容認せざるを得ない理由がある。米国で起きているインフレは、経済成長と共に物価上昇が起きているため、金融の量的緩和の縮小を早々に決め、利上げに踏み切る姿勢を鮮明にしている。景気の過熱を抑える金融引き締めという従来の金融政策が機能するのだ。 ところが、日本経済は前述の通り、新型コロナからの回復が遅れ、金融緩和をやめれば景気が失速する懸念もある。金融緩和を続けざるを 黒田総裁はスタグフレーションではないかという質問に、「そういう恐れが日米欧にあるとは思っていない」と述べて否定していたが、米欧は少なくとも現状ではスタグフレーションではないため、金融引き締めに動けるが、日本は明らかに不景気なのに物価が上昇し始めていることは歴然としている。結局、日本は金融政策の手足を縛られているとみるべきだろう』、「日本」の「金融政策」は、このままでは破綻必至だ。 やはり「金融政策」を抜本的に見直し、これ以上の「円安」進行を防ぐように大転換すべきだ。「黒田総裁」にも引退してもらうべきだろう。 Yahooニュースが転載したダイヤモンド・オンライン 野口悠紀雄氏による「「円安は国益」の評価が一変した真の原因、円安効果の2つの間違い」 どんな「原因」なのだろう。 どういう間違いなのだろう。 「海外生産比率については」、「全体で見ても、進出企業ベースで見ても、最近時点で海外生産比率が上昇しているという傾向は見られない。 むしろ緩やかではあるが、低下傾向にある」、再認識させられた。 「円高と貿易収支の黒字拡大が同時期に起きており、その後は円安と貿易収支の黒字縮小が同時に起きている」、なるほど。 「これまでは、原価の上昇を製品価格に転嫁し、最終的には消費者に転嫁してきた。つまり、企業は、円建て輸出価格の増加による売上増だけを享受できた。 そのため、利益が増えた。そのために円安が企業にとって望ましいと考えられていたのだ」、「しかし今回の円安局面では、輸入価格の上昇があまりに大きいこと、また、消費需要がコロナ禍で弱っていることなどのために、完全に転嫁できないでいる。 一方で家計も賃金が増えない中で物価上昇に対する負担感が強まっている。 こうしたことが人々の円安への評価が変わった原因だ」、「今回の円安局
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異次元緩和政策(その41)(始まってしまった円売り投機ゲーム 日銀を引きずり込む泥沼のゆくえ 当局の覚悟を試す市場参加者 為替市場のコメントに価値判断は禁物、日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる、ついに来た! 1ドル135円で日本は韓国・イタリアより貧しい国に これがアベノミクスによる没落効果) [金融]

異次元緩和政策については、3月11日に取上げた。今日は、(その41)(始まってしまった円売り投機ゲーム 日銀を引きずり込む泥沼のゆくえ 当局の覚悟を試す市場参加者 為替市場のコメントに価値判断は禁物、日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる、ついに来た! 1ドル135円で日本は韓国・イタリアより貧しい国に これがアベノミクスによる没落効果)である。

先ずは、4月20日付けJBPressが掲載したみずほ銀行チーフマーケットエコノミストの唐鎌 大輔氏による「始まってしまった円売り投機ゲーム、日銀を引きずり込む泥沼のゆくえ 当局の覚悟を試す市場参加者、為替市場のコメントに価値判断は禁物」を紹介しよう』、興味深そうだ。
・『ゲームのきっかけを与えているのは当局者  危惧した展開に入っているように見える。 4月18日、ドル/円相場は128円を突破し、断続的に年初来安値を更新している。過去の経験則を踏まえると、円高であれ円安であれ、相場について政策当局者が嫌気するような情報発信をすれば、必ず具体的な政策介入を求めて市場参加者はつけ上がる。 このところ、政府関係者からは円安を「悪い」と評価するような情報発信が見られる。4月17日には、頑なだった黒田日銀総裁が「急速な円安はマイナス」と述べた。こうなると、「口先だけではないのか試す」という意欲を投機筋は持つ。 例えば、円売りで攻め続けた結果、日銀が何らかの引き締め措置を出してくれれば、その時は(一瞬でも)円高になるだろうから、そこで反対売買すれば勝算は立ちやすい。また、そうした状況に至れば(既にそうなっているように)、メディアは「日銀は動くのか?」と大仰に報じて「日銀 vs. 為替市場」の対立構図を煽るため、円売り投機ゲームは大衆にも注目されるようになる。 そうして政府・日銀の一挙手一投足に因縁をつけ、為替売買が行われるようになると、無用な政策資源を浪費する展開が予見される。白川体制の円高対応で散々経験した話だ。あれだけ緩和カードを消費しても、結局、円高はFRBが正常化プロセスに着手し、欧州債務危機が終息するまで止まらなかった。 そうした泥沼化の兆候はまま見られている。 4月13日、都内で開かれた信託大会で、黒田総裁は「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」といつも通りの挨拶をした。これが円売り材料となり、ドル/円相場は126円台に乗せた。「信託大会における日銀総裁挨拶」を注目していた市場参加者はほとんどいないと思われるが、為替市場では盛大な円売り材料として扱われた。投機筋から注意深く見られていたということなのだろう。 2016年9月のイールドカーブコントロール(YCC)導入を経て表舞台から(狙い通り)消えた日銀だが、信託大会挨拶を受けた円安進行は、再び日銀が表舞台に引きずり出されたのだと感じさせるものだった』、「2016年9月の・・・YCC導入を経て表舞台から・・・消えた日銀だが、信託大会挨拶を受けた円安進行は、再び日銀が表舞台に引きずり出されたのだと感じさせるものだった」、「信託大会挨拶」はやはり相当なインパクトがあったようだ。
・『いよいよ始まった円売り投機ゲームの背景  4月17日の黒田総裁による円安けん制発言も、この経験を踏まえて軌道修正したというのが実情かもしれない。当然、月末の政策会合にも影響するだろう。 なお、遡れば、3月に指値オペを通告したことから円売りは始まっていた。あの頃から「この状況でも緩和にこだわる日銀」という文脈で注目されるようになってしまった。今となってはあとの祭りだが、2021年10~12月期、欧米がインフレ警戒を高めた際、緩和路線に拘こだわらずイールドカーブコントロール(YCC)の枠組みを修正しておくべきだったのだろう。 いずれ手をつけなければならない正常化プロセスならば、欧米と一緒に少しずつでも手を加えておくべきとの意見は常にあった。YCCの枠組みを抱えたまま3月の金利上昇に直面してしまったので、指値オペの通告は不可避だった。それが円売り投機を焚きつけてしまったのは周知の通りである。「策に溺れた」感は否めない。 いずれにせよ、円売り投機ゲームは始まった感がある。厄介なことに、今回は日本の貿易赤字拡大、過剰な防疫政策による成長率低迷、米連邦準備理事会(FRB)を筆頭とする海外中央銀行の引き締め路線など、ファンダメンタルズに照らして円売りに正当性がある。元々正当性のある行為(円売り)に、政策当局者がゲームのきっかけを与えているのだから、円安は当然勢いづく。 では、どうすればよかったのか。そもそも政府・日銀による為替市場へのコメントは無味乾燥を貫徹すればいい。円安の善悪などの価値判断はせず、「円安にはプラスもあればマイナスもある」と述べ続ければよかった。 もちろん、黒田総裁においては1月展望レポートで「全体としてプラス」と結論付けた以上、そう述べるしかなかったという考え方もある。だが、展望レポートでは功罪両面が分析されていた。「円安にはプラスもあればマイナスもある」という情報発信でも特に矛盾しなかっただろう。 無味乾燥なものであればあるほど、投機筋にとっては掴みどころがなくなる。今からでも遅くないので、政府・日銀ともに、「円安にはプラスもあればマイナスもある」という退屈な情報発信でワンボイス化を徹底した方がいいように感じる。為替動向に為政者から価値判断を提供するほど取引材料として利用されやすいため、「相手にしない」を貫くのが最善である』、「ファンダメンタルズに照らして円売りに正当性がある。元々正当性のある行為(円売り)に、政策当局者がゲームのきっかけを与えているのだから、円安は当然勢いづく」、「そもそも政府・日銀による為替市場へのコメントは無味乾燥を貫徹すればいい。円安の善悪などの価値判断はせず、「円安にはプラスもあればマイナスもある」と述べ続ければよかった」、その通りだ。
・『今からでも遅くない日銀が市場に言うべきこと  なお、円高であれ、円安であれ、為替の急変動は企業の為替戦略上、マイナスの影響が大きいのは事実だ。そのため、「急速な変動は望ましくない」という情報発信は基本的に問題ない。1月展望レポートでもその点には言及があった。 この点、17日の黒田総裁による「急速な円安はマイナス」という発言はボラティリティを問題視した言動だったと考えれば、特別なものではなかった。しかし、もはや日銀は投機ゲームの表舞台に立つ主役であり、一挙一動が注目されてしまう。こうなった以上、「円安にはプラスもあればマイナスもある」と方向感のない発言を繰り返すのが最も無難なのだろう。 今後、政府・日銀はどう動くだろうか。本気で円安が日本経済にとってマイナスだと判断するのであれば、まずは金融政策の修正以外にあり得ない。この際、効果の有無は二の次である。 この手の相場になると必ず為替介入の可能性を問われるが、それは話が飛躍し過ぎている。理論的には、金融政策と通貨政策は必ず同じ方向を向いている必要がある。円安に不満を漏らしながら金融緩和を継続するという姿勢は自己矛盾しており、まずは緩和に傾斜し過ぎた政策姿勢の修正が必要である。 通貨政策を司る鈴木財務相から「悪い円安」とのフレーズが出てしまった以上、金融政策を司る黒田総裁も平仄を合わせるというのが自然な流れだろう。それがYCCの修正なのか、マイナス金利の解除なのか定かではないが、仮に対応するならば政策の「小出し」だけは避けるべきだ。それは投機ゲームの参加者を喜ばせるだけである。 2013年4月、「戦力の逐次投入はしない」と華々しく表舞台に躍り出てきたあの時のように、考えられる最高のカードで対応した方がいい。また当時、「分かりやすさ」で期待に働きかけたことも思い返されるべきである』、「円安に不満を漏らしながら金融緩和を継続するという姿勢は自己矛盾しており、まずは緩和に傾斜し過ぎた政策姿勢の修正が必要」、「YCCの修正なのか、マイナス金利の解除なのか定かではないが、仮に対応するならば政策の「小出し」だけは避けるべきだ」、その通りだ。
・『誰にも分かりやすい引き締めカードとは?  現在の屋上屋を架す複雑怪奇な枠組みではなく、誰しもが分かりやすい強力な引き締めカードは何だろうか。 直感的にはマイナス金利解除が最右翼に思えるが、奇想天外の一手もあり得るだろうか。内外で耳目を集めたように、日銀で金融政策の立案を担う企画ラインの事務方トップである内田真一理事が異例の再任となったことからも、「次の一手」への注目度は極めて高い。 もちろん、FRBが積極的に利上げをして、バランスシート縮小に勤しんでいる以上、日銀が何をしようと円安が修正される保証は全くない。冒頭で述べたように、結局、円高もFRBが正常化プロセスに着手したことで小康を得た。だとすれば、今回の円安が止まる契機はやはりFRBの正常化プロセスの停止になってくるというのが経験則上、最もありそうな展開ではある。 しかし、現在の日本の世相を踏まえる限り、そうした他力本願で「何もしない」というのが許される雰囲気ではなくなっているようにも見える。効果がないと分かっていても何かをしなければならないほど、日銀は追い詰められつつあるように見える』、「効果がないと分かっていても何かをしなければならないほど、日銀は追い詰められつつあるように見える」、これは大変だ。

次に、4月23日付け東洋経済オンラインが掲載した財務省出身で 慶應義塾大学大学院准教授の小幡 績 氏による「日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/584018
・『この2カ月、日銀は、突然袋叩きにあっている。しかも、私達のように「もともと金融緩和をやりすぎている」「リフレはヤバい」などと批判している方面からの批判だけではない。 むしろ、これまで「物価を上げろ」「インフレ率2%を達成できていない」「次の金融緩和の一手はないのか」などと金融緩和拡大、物価上昇を求めていたグループから「物価高騰に対処せよ、そのためには円安を抑えろ」「いつまで緩和しているんだ、欧米に追随せよ」と、これまでと正反対の非難、攻撃を浴びている。 可哀そうだ。 そこで、私が四面楚歌の日銀に窮地脱出のためのアクションプラン(行動計画)を授けよう。題して、「日銀金融政策正常化アクションプラン」である』、確かに「この2カ月、日銀は、突然袋叩きにあっている」、「窮地脱出のためのアクションプラン」とは興味深そうだ。
・『小幡版「8段階のアクションプラン」とは?(DAY 1デフレ、デフレマインド脱却宣言をする  日銀は、これまでの金融政策により、デフレ脱却に成功し、デフレマインドの払拭にも成功した。「金融政策ではなく、単に資源高などによる輸入インフレ、コストプッシュインフレではないか」、という批判に対しては、これまでも資源高はあったし、海外からのコストプッシュインフレもあった。 しかし、そのときは、完全なデフレマインド払拭とはならなかった。今回は、企業物価の上昇が消費者物価にも波及し始めており、今後もその流れは継続すると思われる。企業サイドが先行し、消費者もデフレマインドからついに脱却した。 これは「これまでの金融緩和の継続によるものが、人々のマインドに時間をかけて浸透したことが背景にあって、そこへコスト上昇が加わったものである」という説明ができるし、これはあながち嘘でもない』、「企業サイドが先行し、消費者もデフレマインドからついに脱却した」、異論はない。
・『金融緩和は継続でもETF買い終了、規模も縮小へ  DAY2金融政策の正常化、ただし、金融緩和は継続する、という意向を示唆する(デフレマインド脱却に成功し、デフレも解消した。よって、危機対応、緊急対応の金融政策から、通常の金融政策に移る。そう宣言する。 しかし、金融緩和は止めないし、緩和の縮小もしない。現状では、ロシアのウクライナ侵攻の影響による、景気後退懸念が残っている。したがって、これまでと同様に金融緩和は継続し、企業や家計にとって、同様の緩和的な状態を維持する。危機対応の特別な金融緩和、非常事態モードは解消するが、通常モードでの最大の金融緩和は行う、と説明する』、「危機対応の特別な金融緩和、非常事態モードは解消」、それが「ETF買い終了」につながるのだろうが、とにかく「ETF買い」のような恥ずかしいことから止めるのは大賛成だ。
・『DAY3正常化の第1歩を踏み出す。「ETF(上場投資信託)の買い入れを終了する」と宣言す  今行っている中でもっとも特殊な金融緩和政策は、株式ETFの買い入れである。これを止めても、長期金利には影響しないはずである。つまり、金融緩和姿勢は一切崩さずに、正常化の第一歩を踏み出せるのである。 しかし、株式市場の暴落、混乱を懸念する声があるだろう。これに対応するために、ETFの買い入れはやめるが、一時的な措置として、日経平均先物、TOPIX(東証株価指数)先物について、売買する選択肢を導入する。これはまさに、正常化の中での特殊な措置であり、移行期間に何か波乱が起きたときの「万が一の措置」である。日銀がヘッジファンド化するのでもないし、株価を買い支えるのでもない。混乱したときに、市場を正常化するためだけの緊急手段である』、「一時的な措置として、日経平均先物、TOPIX(東証株価指数)先物について、売買する選択肢を導入する」、「移行期間に何か波乱が起きたときの「万が一の措置」」があるのであれば、安心だ。
・『DAY4正常化の第2歩として、保有するETFの規模縮小を開始する  国債保有は、金融政策そのものであるが、ETFを保有し続けることは金融政策とは無関係である。企業に対するガバナンス上の問題もある。よって、時間をかけてゆっくり、ETF保有額の縮小を行う。) 例えば、毎日機械的にわずか8億円程度を必ず売却すると決める。相場が上がっても下がっても売る。少額なのでまったく影響はないだろう。 問題は、売却開始、というニュースがインパクトを持つ可能性があることだが、もし市場が大混乱したならば、DAY3に導入した先物買い入れによる市場の正常化を図る。売却には賛否があるだろうが、ETF保有額の縮小は必ず行わなければならないプロセスであり、時間をかける必要があるから、現在始めるのが妥当である。 そのショックが生じるとすれば、それをどうやって少しでも和らげることができるか、ということが焦点だ。先物の利用は一見トリッキーであるが、合理的であり、投機的に動いたり、株価維持政策として使われたりしなければ、妥当である』、「ETF保有額の縮小は必ず行わなければならないプロセスであり、時間をかける必要があるから、現在始めるのが妥当」、その通りだ。
・『超長期国債の買い入れを極限まで絞る DAY5超長期債のステルステーパリング 超長期債の買い入れ量を極限まで絞る。10年物の0.25%の上限以下に抑えるためには、超長期債も買い入れないとバランスが悪いし、そもそも0.25%に抑え込むのが難しくなるが、それでも、徹底して、10年物は10年物で直接コントロールする。 これにより、超長期の期間におけるイールド(利回り)については、市場で完全に投資家だけで決定することになり、市場の価格機能の回復を図る。「10年物国債の利回り0.25%」は何がなんでも死守する。それは日銀の金融政策に対するクレディビリティ、ひいては中央銀行の存在そのものに対するクレディビリティを確保することになる。これが、現在の日銀にもっとも重要なことである』、「日銀の金融政策に対するクレディビリティ」「を確保する」のが、「現在の日銀にもっとも重要なことである」、その通りだ。
・『DAY6様子見  様子見をする。次のアクションは極めて難しく、かつ、柔軟に行わなければならないからだ。すなわち、いよいよ、なんらかの形で利上げと市場に受け止められるアクションを取ることになるからだ。 実際に利上げを開始するときの実施の仕方は、そのときの世界経済情勢、世界金融市場情勢、および日本の国債市場の情勢による。とりわけ、DAY5で行った、超長期債市場の完全復活がどのような影響をもたらしているか、注意深く観察する必要がある。DAY5の超長期債買い入れ実質停止の影響で、当初は超長期債価格は乱高下するだろうが、この市場が安定するまで、少し待つことが重要である。安定してからでないと、利上げには移れない』、ずいぶん慎重なようだ。
・『DAY7 4つの選択肢の中から、その時の情勢に応じたアクションを取る(4つとは以下だ。 選択肢1:コールレートのマイナス金利を解消してゼロ金利にする 選択肢2:イールドカーブコントロールのターゲット期間を短期化(10年から5年、あるいは可能ならば、その中間に)する 選択肢3:イールドカーブコントロールにおけるターゲット10年物の変動許容幅を0.25%から0.5%程度に引き上げる 選択肢4:イールドカーブコントロールにおけるターゲットを10年物0%程度から、明示的に0.25%(変動許容幅プラスマイナス0.25%、つまり0%から0.5%)に引き上げる』、なるほど。 
・『「コールレートのマイナス金利解消」が先か  現時点で予想される困難の度合いは1から4に向けて高まると思われるが、DAY7の時点の状況によっては、異なる可能性がある。 個人的には、選択肢1を早く行ってもよいと考えている。つまり、DAY5よりも前に行うという選択肢もあると思う。しかし、これも状況次第である。明確な利上げであるから、観念的なインパクトはある。実際的なインパクトはゼロである。ほとんどマイナス金利は機能していないからだ。 しかし、異常な、例外的な金融政策という意味では、イールドカーブコントロールのほうが特異な政策であり、短期金利マイナスというのは、ゼロの先がマイナスだから、短期金利の引き下げが金融緩和の本質であることから考えると、もっとも正常な政策である。通常時の金融政策ということも可能である。実際、マイナス金利のほうがイールドカーブコントロールよりも先に導入されたので、外すのも後だ、という考え方もある。ただ実質的なインパクトという点ではゼロ(皆無)であるから、やはり、これからやるのが無難だろう。 一方、ターゲット期間の短期化と明示的な利上げ(選択肢2と4)の比較は難しい。個人的には、選択肢3は「利上げでない」、という言い逃れであり、日銀の揚げ足を取りたい人々から集中砲火を浴び、それが国際的なトレーダーの仕掛けの餌食になってしまい、なにより、日銀の信頼性を下げる可能性があるので、避けたほうが良いと思う。 これと同じ意味で、世界金融市場の情勢が「利上げ当然」という雰囲気であれば、選択肢4のほうがやりやすいと思う。「短期金利も長期金利もゼロでなくなった、しかし、イールドカーブはフラットではない」、ということが示されるので良いと思う。その後、ターゲットの短期化を図り、イールドカーブコントロールを最後には解消して、通常の短期金利ゼロ、普通のゼロ金利政策に戻す。これがDAY8だ』、「選択肢3は「利上げでない」、という言い逃れであり、日銀の揚げ足を取りたい人々から集中砲火を浴び、それが国際的なトレーダーの仕掛けの餌食になってしまい、なにより、日銀の信頼性を下げる可能性があるので、避けたほうが良いと思う」、ずいぶん深い考察のようだ。
・『DAY8:金融政策正常化の完成  しかし、金融緩和は続けており、ゼロ金利政策である、ということを強調する。 さて、問題はスピード感である。どのくらいの期間でDAY8の完成とするか。これが一番重要なところで、腕の見せ所である。これこそ、まさに状況次第、観察を十分にして、慎重にかつうまくやり、結果的には手早く、手遅れにならないうちに異常な緩和から脱出することが必要である』、「まさに状況次第、観察を十分にして、慎重にかつうまくやり、結果的には手早く、手遅れにならないうちに異常な緩和から脱出することが必要」、その通りだ。
・『「黒田総裁時代」にどこまで実行するか?  早ければ、最初のDAY1は次の金融政策決定会合で打ち出すことも可能ではないか。つまり、4月28日である。そして、世間の議論をGW中に行わせる。 一方、世界の金融市場は動いているのに、日本だけGWで閉まっているというリスクを考えると、4月28日の決定会合では「少しニュアンスが変わってきた」という雰囲気を打ち出すにとどめ、GW明けから、さまざまな機会をとらえて、発言のトーンを寄せていくことにする。そして、6月の決定会合で行う。これが現実的だと思う。 そして、7月にETF買い入れ終了を宣言し、売却開始を9月に示す。 DAY5の「超長期債ステルステーパリング」のタイミングは難しい。間合いを測ってやる必要があり、水面下で、政府財政当局とのすり合わせも必要だと思う。しかし、これは政府、政治から大きな反発がある可能性もあり、困難かもしれない。 その場合は、切り替えて、マイナス金利解消を先に行う。それが12月になるだろう。 この辺で、次の総裁、副総裁の人事が固まっているだろう。その後は、あまり動けないので、ステルステーパリングを目立たないように徐々に行い、極限まで絞るのは次の総裁、次の年度ということになるか。後は、まさに情勢次第である。しかし、こうすれば、黒田東彦総裁は、退任までに、ETF買い入れ終了とマイナス金利解消を自ら実現でき、デフレマインド解消に成功し、金融政策の正常化にもほぼ成功し、次の体制へ引き継げることになり、10年間の金融政策は成功裏に終わったとも主張できるのではないだろうか。) 黒田総裁自身は自分で成功したなどとは言わないし、手柄を強調したいとも思わないだろうが、日銀という中央銀行が「金融政策に失敗していない」「今後も信頼を得続ける」という最重要のことを死守するためには「失敗だった」というのは避ける必要がある』、「日銀という中央銀行が「金融政策に失敗していない」「今後も信頼を得続ける」という最重要のことを死守するためには「失敗だった」というのは避ける必要がある」、政治臭プンプンの判断だが、その通りなのだろう。
・『円安はすぐに止められるが、金融正常化が難しい  最後に、政府、政治としては「円安を止めたい」という短期的な意図があると思われる。だが私は、DAY1だけですぐに円安は止まると予想する。現在の円安進行、そして、今後の円安の加速化リスクというのは、直接的な金利差というよりも、今後の政策スタンスの違いから来ていると考えられるので、姿勢を示すだけですぐにも円安方向の動きは変化すると思う。 むしろ問題は、その後、うまく正常化へ脱出できるかである。したがって、DAY5以降は、次の体制に任せるのはもちろんのこと、DAY4も先送りして構わないし、最悪DAY3も次の体制で構わない。ともかく、DAY1とDAY2を実現し、正常化に向かうというニュアンスだけで十分だ。 最重要の哲学は、中央銀行としての信認を失わない、ということである。その中での方針は、金融緩和政策の正常化を行うが、金融緩和自体の縮小は行わない、ということである。そして、最優先の短期の目的は、急激な円安進行を止め、異常な為替市場を正常化することである。そして、この短期の目的は、長期の金融政策正常化にとっても整合的であり、かつ望ましく、さらに正常化にとって必須である。 これにより、黒田日銀における異次元緩和は軟着陸の着地に成功することになると期待される』、説得力溢れた提言だ。日銀の金融政策担当部局である企画局も目を皿のようにして読んでいるのだろう。審議委員にして中から変えてほしいところだ。

第三に、4月24日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「ついに来た! 1ドル135円で日本は韓国・イタリアより貧しい国に これがアベノミクスによる没落効果」を紹介しよう。
・『急激な円安のため、日本の国際的地位が急低下している。それだけでなく、輸入物価高騰を増幅し、国民生活と企業を圧迫している。円安に対する評価が変ってきたいまこそ、金融政策を基本から転換しなければならない』、興味深そうだ。
・『1人あたりGDPで韓国に抜かれる?  急激な円安が進んでいる。しかも、他国通貨に比べて下落率が大きい。最近では、ロシアのルーブルより下落率が大きい(日本経済新聞4月8日)。4月20日には一時、1ドル129円台を付けた。 こうなっているのは、アメリカが金融緩和政策からの脱却を急ぎ、各国もそれに対して必死で利上げを行っているにもかかわらず、日本銀行は金利を抑えているからだ。 急激な円安のため、日本の国際的地位が大きく低下している。このまま進んで、1ドル=130円台になると、重大な局面が訪れそうだ。日本の一人あたりGDPが、韓国やイタリアに抜かれる可能性が高いのである。 まず韓国との関係を見よう。2021年においては、日本の1人当たりGDPは、韓国より15.7%ほど高かった(図表1参照)。 (図表1はリンク先参照) ところが、2022年になって円安が進んだ結果、この状況がすでに大きく変っている。2022年4月12日のレートで計算すると、韓国との差は7.2%と、大幅に縮まっている。 円安がさらに進んで1ドル135円になり、ウォンのレートが変らないとすれば、日本の1人あたりGDPは、韓国より低くなる。 賃金や生産性などの指標では、日本はすでに韓国に抜かれている。それだけでなく、最も基本的な指標である一人当たりGDPでも抜かれることになる。つまり、豊かさを示すほとんどすべての指標において、日本は韓国を下回ることになるのだ』、「豊かさを示すほとんどすべての指標において、日本は韓国を下回ることになる」、寂しい限りだ。
・『G7中で日本が最下位に  台湾との間でも、似たことが起こる。2021年においては、日本一人当たりGDPは、台湾より21.9%ほど高かった。2022年4月12日のレートでは、この値が9.1%になった。1ドル135円になれば、台湾の値は日本とあまり変らなくなる。 最近の円レートの動向から見ると、1ドル135円は十分あり得る値だ。したがって、日本が韓国や台湾よりも貧しくなるという事態は、十分あり得ることなのである。 G7の中ではどうか? 2021年では、最下位はイタリアで、日本はこれより14.4%高かった。ところが、2022年4月12日のレートでは、この値が6.7%になった。1ドル135円になれば、イタリアの方が高くなる。すると、日本はG7の中で、もっとも貧しい国になる。 G7は先進国の集まりということになっている。そこにとどまれるかどうかの議論が出てきても、反論するのは難しいだろう』、「G7」で最貧国というのも不名誉な話だ。
・『アベノミクスの円安政策が日本を没落させる  アベノミクスが始まる直前の2012年、日本の1人あたりGDPは、アメリカとほとんど変らなかった。そして、韓国は日本の51.8%、台湾は43.2%でしかなかった(図表2参照)。 (図表2はリンク先参照) それから10年たって、上記のように、この関係は大きく変ったのだ。 アメリカの1人あたりGDPは、日本の1.73倍になった。そして、すでに見たように、韓国と台湾の1人あたりGDPが、日本とほぼ同じになっている。アベノミクスがもたらしたものが何であったかを、これほど明確に示しているものはない。 企業の時価総額世界ランキングでも、日本のトップであるトヨタ自動車(第41位、2286億ドル)より、台湾の半導体製造会社TSMC(第10位、5053億ドル)や、韓国のサムスン(第18位、3706億ドル)が、いまや上位にある(2022年4月13日現在)。日本の凋落ぶりは明白だ』、「アベノミクスがもたらしたものが何であったかを、これほど明確に示しているものはない」、その通りだ。
・『円安が物価上昇を加速する  円安は、日本の国際的地位を低下させるだけではない。現実の経済活動にきわめて深刻な影響を与えている。なぜなら、円安は物価上昇を増幅するからだ。 ウクライナ情勢を背景として、原油などの資源価格が世界的に値上がりしており、それが国内の消費者物価を高騰させている。円安が進めば、円ベースでの上昇率はさらに高まる。 4月12日に発表された輸入物価指数に、それがはっきりと現れている。3月の指数の対前月比は、契約通貨ベースでは1.0%であるのに、円ベースでは3.3%になっている。つまり、円安の進行によって、価格高騰率がが3.3倍にも増幅されているのだ。(なお、対前年同月比は、それぞれ、25.2%と33.4%)。 株価も、円安を歓迎せず、むしろ、円安で下落するようになってきている。輸入価格の高騰による原材料価格の上昇を製品価格に完全に転嫁できず、企業の利益が減少するからだ。 そして、物価は上がるのに賃金が上がらないので、国民の不満が高まる』、「株価も、円安を歓迎せず、むしろ、円安で下落するようになってきている」、円安を歓迎してきた「株式市場」も変わったようだ。
・『円安スパイラルの阻止が緊急の課題  すでに述べたように、急激な円安が進行しているのは、日銀が長期金利抑制の姿勢を強く打ち出しているからだ。このため、円安が円安を呼ぶというスパイラル現象が起きつつある。 しかし、金利抑制策は、日本経済に何のメリットも与えていない。むしろ、金融機関の経営を圧迫するなどネガティブな影響が強い。 こうした政策から一刻も早く脱却して、円安スパイラルを食い止めることが必要だ。日銀が通貨価値安定という中央銀行本来の使命に戻り、金利抑制策からの転換を明言すれば、事態は大きく変るだろう。 ただし、口先介入だけでは不十分かもしれず、為替市場への介入が必要とされるかもしれない。 為替介入には、アメリカに承諾を求める必要があるという意見があるが、自国通貨の価値を守るための介入に外国の許しが必要という考えは理解できない。 ただし、円高に向けての介入が容易でないことは事実だ。これまで行ってきたのは、円安誘導の介入だ。円を売ってドルを買うのは、簡単にできる(政府短期証券を発行して調達した円資金を用いて、為替市場でドルを買い入れる)。2000年頃には、総額35兆円を超える大規模な円売りドル買いの介入が行なわれた。 それに対して、円高介入は、外貨準備の範囲内でしかできない。だから、限度がある(2021年9月末における日本の外貨準備高は1.4兆ドル)』、なるほど。
・『日本でもようやく円安の評価が変ってきた  トルコや韓国は、通貨価値の下落によって国が破綻しかねない事態に直面した経験がある。そうした国では、自国通貨安に対する国民の危機感がきわめて強い。 日本人はそうした危機感を持っておらず、むしろ、自国通貨安を歓迎するという不思議な状況がこれまで続いてきた。 しかし、価格転嫁が不充分にしかできない現状で、やっと円安の本質が理解されるようになってきた。日本でも、通貨安が経済を破壊しかねないという認識が、日本でもようやく広まりつつある。 7月の参議院選挙では、物価問題が最大の争点となるだろう。そこでの議論を、バラマキ的な物価対策のレベルで終わらせてはならない。円安政策からの転換という本質的な問題が争点となることを期待したい』、第二の記事で小幡氏は「DAY1だけですぐに円安は止まると予想する。現在の円安進行、そして、今後の円安の加速化リスクというのは、直接的な金利差というよりも、今後の政策スタンスの違いから来ていると考えられるので、姿勢を示すだけですぐにも円安方向の動きは変化すると思う」、としている。現実には「バラマキ的な物価対策のレベル」に止まるようで、本格的な政策論議が欠けているのは残念だ。
タグ:(その41)(始まってしまった円売り投機ゲーム 日銀を引きずり込む泥沼のゆくえ 当局の覚悟を試す市場参加者 為替市場のコメントに価値判断は禁物、日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる、ついに来た! 1ドル135円で日本は韓国・イタリアより貧しい国に これがアベノミクスによる没落効果) 確かに「この2カ月、日銀は、突然袋叩きにあっている」、「窮地脱出のためのアクションプラン」とは興味深そうだ。 小幡 績 氏による「日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる」 東洋経済オンライン 「効果がないと分かっていても何かをしなければならないほど、日銀は追い詰められつつあるように見える」、これは大変だ。 「円安に不満を漏らしながら金融緩和を継続するという姿勢は自己矛盾しており、まずは緩和に傾斜し過ぎた政策姿勢の修正が必要」、「YCCの修正なのか、マイナス金利の解除なのか定かではないが、仮に対応するならば政策の「小出し」だけは避けるべきだ」、その通りだ。 「ファンダメンタルズに照らして円売りに正当性がある。元々正当性のある行為(円売り)に、政策当局者がゲームのきっかけを与えているのだから、円安は当然勢いづく」、「そもそも政府・日銀による為替市場へのコメントは無味乾燥を貫徹すればいい。円安の善悪などの価値判断はせず、「円安にはプラスもあればマイナスもある」と述べ続ければよかった」、その通りだ。 「2016年9月の・・・YCC導入を経て表舞台から・・・消えた日銀だが、信託大会挨拶を受けた円安進行は、再び日銀が表舞台に引きずり出されたのだと感じさせるものだった」、「信託大会挨拶」はやはり相当なインパクトがあったようだ。 唐鎌 大輔氏による「始まってしまった円売り投機ゲーム、日銀を引きずり込む泥沼のゆくえ 当局の覚悟を試す市場参加者、為替市場のコメントに価値判断は禁物」 異次元緩和政策 JBPRESS 小幡版「8段階のアクションプラン」とは? DAY 1デフレ、デフレマインド脱却宣言をする 「企業サイドが先行し、消費者もデフレマインドからついに脱却した」、異論はない。 DAY2金融政策の正常化、ただし、金融緩和は継続する、という意向を示唆する 「危機対応の特別な金融緩和、非常事態モードは解消」、それが「ETF買い終了」につながるのだろうが、とにかく「ETF買い」のような恥ずかしいことから止めるのは大賛成だ。 DAY3正常化の第1歩を踏み出す。「ETF(上場投資信託)の買い入れを終了する」と宣言 「一時的な措置として、日経平均先物、TOPIX(東証株価指数)先物について、売買する選択肢を導入する」、「移行期間に何か波乱が起きたときの「万が一の措置」」があるのであれば、安心だ。 DAY4正常化の第2歩として、保有するETFの規模縮小を開始する 「ETF保有額の縮小は必ず行わなければならないプロセスであり、時間をかける必要があるから、現在始めるのが妥当」、その通りだ。 DAY5超長期債のステルステーパリング 「日銀の金融政策に対するクレディビリティ」「を確保する」のが、「現在の日銀にもっとも重要なことである」、その通りだ。 DAY6様子見 ずいぶん慎重なようだ。 DAY7 4つの選択肢の中から、その時の情勢に応じたアクションを取る 「選択肢3は「利上げでない」、という言い逃れであり、日銀の揚げ足を取りたい人々から集中砲火を浴び、それが国際的なトレーダーの仕掛けの餌食になってしまい、なにより、日銀の信頼性を下げる可能性があるので、避けたほうが良いと思う」、ずいぶん深い考察のようだ。 DAY8:金融政策正常化の完成 「まさに状況次第、観察を十分にして、慎重にかつうまくやり、結果的には手早く、手遅れにならないうちに異常な緩和から脱出することが必要」、その通りだ。 「日銀という中央銀行が「金融政策に失敗していない」「今後も信頼を得続ける」という最重要のことを死守するためには「失敗だった」というのは避ける必要がある」、政治臭プンプンの判断だが、その通りなのだろう。 説得力溢れた提言だ。日銀の金融政策担当部局である企画局も目を皿のようにして読んでいるのだろう。 審議委員にして中から変えてほしいところだ。 現代ビジネス 野口 悠紀雄氏による「ついに来た! 1ドル135円で日本は韓国・イタリアより貧しい国に これがアベノミクスによる没落効果」 「豊かさを示すほとんどすべての指標において、日本は韓国を下回ることになる」、寂しい限りだ。 「G7」で最貧国というのも不名誉な話だ。 「アベノミクスがもたらしたものが何であったかを、これほど明確に示しているものはない」、その通りだ。 「株価も、円安を歓迎せず、むしろ、円安で下落するようになってきている」、円安を歓迎してきた「株式市場」も変わったようだ。 第二の記事で小幡氏は「DAY1だけですぐに円安は止まると予想する。現在の円安進行、そして、今後の円安の加速化リスクというのは、直接的な金利差というよりも、今後の政策スタンスの違いから来ていると考えられるので、姿勢を示すだけですぐにも円安方向の動きは変化すると思う」、としている。現実には「バラマキ的な物価対策のレベル」に止まるようで、本格的な政策論議が欠けているのは残念だ。
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金融関連の詐欺的事件(その12)(テクノシステム2題:小泉元首相が広告塔 小池知事とも親密、SBIが一杯食わされたでは済まされない)、スルガ銀 「アパマン融資」債務者の自宅を競売に 交渉難航で強硬手段へ 狼狽するオーナーたち、「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算 1200物件取得 シェアハウスの意外な投資価値) [金融]

金融関連の詐欺的事件については、昨年2月8日に取上げたままだった。今日は、(その12)(テクノシステム2題:小泉元首相が広告塔 小池知事とも親密、SBIが一杯食わされたでは済まされない)、スルガ銀 「アパマン融資」債務者の自宅を競売に 交渉難航で強硬手段へ 狼狽するオーナーたち、「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算 1200物件取得 シェアハウスの意外な投資価値)である。

先ずは、昨年6月16日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの有森隆氏による「テクノシステム<上>小泉元首相が広告塔 小池知事とも親密」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/290580
・『東京地検特捜部は5月27日、太陽光発電関連会社、テクノシステム(横浜市西区、以下テクノ社)社長の生田尚之容疑者(47)ら3人を詐欺容疑で逮捕した。 昨年3~7月、福島県白河市での太陽光発電事業への融資名目で阿波銀行(徳島市)から約7億5000万円、静岡県富士宮市でのバイオマス発電事業への融資として富士宮信用金庫(富士宮市)から約4億1500万円をだまし取った疑いである。 生田容疑者は1974年、神奈川県横浜市生まれ。日本大学理工学部電気工学科卒業、日本電設工業に入社。2009年、テクノ社を設立し、浄水システム、フード関連システムの開発を行ってきた。福島原発事故後の2012年、民主党政権が再生可能エネルギーを重視する政策を打ち出したことが転機となった。太陽光、バイオマス、小型風力発電などに本格進出。18年11月期、19年同期と160億円を売り上げ、急成長を遂げる。) 横浜みなとみらいにそびえ立つ横浜ランドマークタワー19階に本社を置く。フロアの奥には湾岸エリアが一望できる応接室。投資家たちが座る上座の背後の壁には生田容疑者が有名人と撮った写真がズラリと並ぶ。 無名の太陽光発電会社にすぎなかったテクノ社をどうして多くの投資家や金融機関が信用したのか。応接室に飾られた有名政治家との写真が信用を担保した、と指摘されている。 小泉純一郎元首相と生田尚之社長の記事体広告が昨年8月14日と同9月4日の日本経済新聞に掲載された。 自然エネルギーへの取り組みを熱く語る生田氏に対し、小泉元首相は、〈すごいな、生田君の仕事は夢がある。私は、日本は世界最先端の自然エネルギー大国になれると信じている。自然を我々の生活に生かす。その実現に向けて、ぜひこれからも頑張ってほしい〉(9月4日付)。手放しで持ち上げてみせた。) 小泉氏の長男で、俳優の孝太郎氏がテクノ社のCMに起用された。次男の進次郎環境相が「30年までに日本の総発電量に占める再生可能エネルギーの比率を40%に高める」と宣言したばかりだ。テクノ社にしてみれば小泉家は広告塔にうってつけだった』、「横浜ランドマークタワー19階に本社」、「生田容疑者が有名人と撮った写真がズラリと並ぶ」、さらに「小泉純一郎元首相と生田尚之社長の記事体広告が昨年8月14日と同9月4日の日本経済新聞に掲載」、舞台装置は十二分に整っていたのに、「小泉純一郎元首相」までが役者として登場、ダメ押しだ。
・『小池都知事とも親密  東京・銀座1丁目に「ドンピエール」という老舗のフランス料理店がある。オーナーが他界したため、店は16年、テクノ社に買収された。この店で生田氏は小泉元首相や小池百合子都知事を接待した。 特捜部が乗り出した当初は「小泉元首相の反原発運動潰し」と取り沙汰されたが、生田容疑者が小池知事の関係を吹聴していたうえに、小池氏関連の政治団体に献金していた」(全国紙の社会部記者)ことが露見し、「事件は小池氏に飛び火した」(同)。) 生田容疑者は小泉政権で環境相を務めた小池百合子氏に接近。13年には小池氏の衆議院議員時代の資金管理団体「フォーラム・ユーリカ」に50万円、15年に同氏が代表だった「自由民主党豊島総支部」に150万円個人献金していた。 「週刊文春」(6月10日号)は「11億詐欺逮捕社長は小池百合子のタニマチだった」と報じた。両者の濃密な関係を築いたキーマンがいる。小池氏の“いとこ”を自称する水田昌宏氏だ。小池氏が環境大臣の際には大臣秘書官、その後、公設秘書を務めた。 〈水田氏が「最高顧問」のような立ち位置でテクノ社に出入りし、外注費の名目で毎月50万円支払われていた〉と「週刊文春」は告発した。 朝日新聞出版のオンラインメディア「AERAdot」(5月25日付)でテクノ社の元社員が次のように語っている。 〈太陽光発電システムなどの開発の商談には「必ず、小泉元首相のツーショット写真を使え」と話していました。「ダメなものでも、大物政治家の名前を出せば、ゴリ押しが効くんだ」と〉 麻生太郎財務相や原田義昭元環境相らとの記念写真も顧客を信用させる営業アイテムとして使われていた、という。 金融機関に対する詐欺事件の摘発は“事件”の入り口にすぎない。 本筋は菅義偉首相のブレーンのひとりで地銀再編のキーマンとされている北尾吉孝氏が率いるネット金融大手、SBIホールディングスの子会社SBIソーシャルレンディングの闇に切り込むことだ。=つづく』、「老舗のフランス料理店」を「買収」するなど、ベンチャー企業にあるまじき行為だ。

に、この続きを、6月17日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの有森隆氏による「テクノシステム<下>SBIが一杯食わされたでは済まされない」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/290639
・『インターネット金融大手のSBIホールディングスは、インターネット経由で集めた資金を事業会社へ貸し付けるソーシャルレンディング(SL)事業から撤退する。運営子会社のSBIソーシャルレンディング(東京都港区、以下SBISL)はすべてのファンドを償還し、自主廃業する。 2月5日、貸付先の企業に「重大な懸案事項」があるとして第三者委員会を設置した。これが太陽光関連会社テクノシステム(横浜市、以下テクノ社)の詐欺事件が発覚するきっかけとなった。 4月28日公表した第三者委員会の報告書によると、テクノ社に2017~20年に380億円が貸し出されたが、129億円が太陽光などの事業に使われず、工事に大幅な遅れが発生した。 SBISLでは上場に向け過大な目標が設定され、トップの独断で融資を実行していた。担当者が一人でファンドの組成や審査を担っていた問題が浮き彫りになった。 SBIは21年3月期に不正融資に関連し145億円の損失を計上した。テクノ社に損害賠償を請求する。 SBIはSBISLの織田貴行社長(当時)を解任するなど社内処分を断行した。織田氏はSBIグループの総帥、北尾吉孝社長の野村証券の後輩。ソフトバンクからSBIへと立ち位置を変えてきた北尾氏に付き従う「側近中の側近だった」(SBI関係者)。 織田氏とテクノ社の親密ぶりはよく知られていた。テクノ社はSBI証券を幹事に上場準備に入っていた。 テクノ社社長の生田尚之容疑者とともに詐欺容疑で逮捕された専務の小林広容疑者が上場準備を担当していた。 共に上場を目指していたSBISLの織田氏とテクノ社の小林専務は、くしくも野村証券の先輩・後輩の間柄だった。野村OBはことのほか“同胞意識”が強い。上場の実績づくりのために織田氏は数字を積み上げていった。今年1月時点でSBISLの融資残高の4割がテクノ社の案件という異常事態となっていた。) 部下はもちろん取引先や投資家からもテクノ社の事業を危惧し、注意を喚起する声が織田氏の元に寄せられたが、聞く耳を持たなかったという』、「SBISL」の「融資残高の4割がテクノ社の案件」、「テクノ社はSBI証券を幹事に上場準備に入っていた」、「同社で「上場準備を担当していた」「小林専務」は「野村証券」の「後輩」、ここまで食い込んでいながら不正に気付かなかったというのは、信じ難い。
・『6月中にも法的清算へ  東京地検特捜部は4月、金融機関にうその書類を提出して融資金をだまし取った詐欺の疑いでテクノ社の家宅捜索に入り、5月27日、生田尚之社長らを逮捕した。 金融庁は6月8日、金融商品取引法に基づき、SBISLに1カ月間の業務停止命令を出した。廃業に伴う顧客取引などの処理は業務停止命令から除かれている。あわせて経営管理態勢の再構築など業務改善命令も。 テクノ社は6月中に東京地裁に法的清算の手続きを取る。民事再生法か破産のいずれかだろう。負債総額はおよそ150億円。このうち金融債務が90億円を占めるが、SBIが損害賠償を請求するから実際の負債はもっと膨らむ。) 「デイリー新潮」(6月5日付)は生田容疑者のカジノ狂いの実態をテクノ社の元社員から聞き出している。 〈生田社長は大のカジノ好きで知られていました。ラスベガス・サンズグループのカジノを頻繁に利用し、毎週末のようにマカオや韓国、シンガポールのカジノに出入りしていたことも。VIPルームに陣取り、1回にベットする(賭ける)金額は数千万円にのぼっていました。負ける額も億単位です〉 テクノ社の詐欺事件は金融スキャンダルに発展し、SL業界に壊滅的な打撃をもたらした、といわれている。 SBIの北尾吉孝社長は4月末の会見で「300社以上(のグループ会社)全部を細かく見るわけにはいかない」と述べたが、「顧客のお金を預かる金融機関のトップとしてはあり得ない発言」と金融当局から批判された。) テクノ社はSBI証券を主幹事として上場を準備し、北尾氏の側近中の側近である織田氏が社長を務めるSBISLが主な貸し手だった事実は重い。 「生田尚之容疑者に一杯食わされた」では済まされない深い闇が横たわっているのではないのか。それに気付いているなら、北尾氏は泥をかぶってでも真相を解明すべきである』、SBIはあおぞら銀行へのTOBに成功したが、こんな傷を抱えたままでは、先が思いやられる。「北尾氏」も「テクノ社事件」の経緯を詳しく説明すべきだ。

第三に、本年2月16日付け東洋経済オンライン「スルガ銀、「アパマン融資」債務者の自宅を競売に 交渉難航で強硬手段へ、狼狽するオーナーたち」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/576818
・『アパマンローンで不正の疑いがある案件の債権額は約5200億円。シェアハウス事件の約4倍だ。 スルガ銀行が、再び不正融資問題で揺れている。 今回、問題になっているのは2017年秋に発覚し話題となったシェアハウス事件ではなく、2014年頃から2017年頃にかけて集中的に融資が実行されてきた投資用アパート・マンション融資(アパマンローン)だ。 アパマンローンの投資対象は1棟のアパートやマンション。その8割が築年数20年を超える中古物件で、全国各地に点在していた。 不動産業者がずさんな営業でアパート・マンションに投資をする投資家を募り、無理な融資計画をスルガ銀行に提出、そうした実態を把握しながらスルガ銀行は融資を実行する。その結果、多額の債務を負ったアパマンオーナーが続出した。 神奈川県在住の40代男性は、2016年、知人を介して自宅に来たアパマン販売会社の社長に「家計の見直しを提案したい」と言われ、投資用アパマン物件の紹介を受けた。 「当時、海外留学をした直後で、口座には100万円程度しかないと伝えたのだが、販売会社は『スルガ銀行の融資が決まっているから(問題ない)』と説明してきた。仕事が忙しいと言うと、スルガ銀行の担当者2人と販売会社の人ら計5人が自宅に来て、自宅で契約を結ぶことになった」という。 男性はスルガ銀行から約4億5000万円の融資を受け、東京都と福井県の物件2棟を購入、販売会社と賃料保証のサブリース契約を結んだ。 100万円程度しかなかった男性の預金口座は、融資審査の過程で「7103万円」に書き換えられていた ところが販売会社による賃料保証計画はほどなくして破綻。保証されていたはずの賃料支払いは2018年8月に止まり、男性はスルガ銀行への返済に窮してしまう。 男性は2年後の2020年秋、ADR(裁判外紛争解決手続き)交渉の過程でスルガ銀行に融資書類の開示を請求した。出てきた書類を確認すると、当時の預金残高は「7103万円」に書き換えられていた。男性の物件は2022年1月6日から競売にかけられている。 「そんなに貯金があったら不動産投資なんてしない。悔しい。物件が差し押さえられたことで入居者の方からの問い合わせが続いており、お詫びのしようがない状況だ」(男性)』、「アパマンローンの投資対象は1棟のアパートやマンション。その8割が築年数20年を超える中古物件で、全国各地に点在」、「不動産業者がずさんな営業でアパート・マンションに投資をする投資家を募り、無理な融資計画をスルガ銀行に提出、そうした実態を把握しながらスルガ銀行は融資を実行する。その結果、多額の債務を負ったアパマンオーナーが続出」、「中古物件」が8割」とは初めて知った。
・『不正案件の債権額はシェアハウスの4倍  今回の不正融資問題を巡っては、2021年5月に結成された被害弁護団とスルガ銀行が解決に向けた交渉を重ねてきたが、弁護団が提案した解決スキームにスルガ銀行が難色を示し、協議は難航している。 アパマンローンの被害弁護団は、2021年12月25日、「代物弁済スキーム」をアパマンローンにも適用するようスルガ銀行に提案した。対象となる物件を一斉または分割で入札にかけ、債権回収会社やファンド等に売却し、売却益を債務弁済に充てる。債務の残額についてはスルガ銀行の損害賠償責任として相殺する。事実上の借金帳消しスキームだ。 これは「かぼちゃの馬車」事件をはじめとしたシェアハウス不正融資で金融庁から行政処分を受けたスルガ銀行が、被害者を救済する策として受け入れた弁済スキームと同様のものだ。 だが、スルガ銀行は今年1月28日、「シェアハウスのような集団的処理はできない」と弁護団に回答。「シェアハウスローンとアパマンローンの不正融資は質を異にしているため、同じスキームでの解決策は受け入れられない」とした。) シェアハウスとアパマンローンで「不正の質」はどのように異なるのか。 弁護団がシェアハウスと同様の集団的解決策を提案したのは、シェアハウスローンとアパマンローン不正融資の類似性があるからだ。入居率や家賃明細書(レントロール)を偽造し、物件の収益性を高くみせることで相場より高値で投資家に購入させていた点は同じ。投資家の自己資金を大きく見せるために預金通帳の改ざんまで施していたことも共通している。 スルガ銀行の責任は、そうした不動産業者のやり口を把握しながら時に黙認し、時に歩調を合わせながら融資を実行してきた点にある。 スルガ銀行が2019年5月に公表した投資用不動産融資の全件調査結果によると、アパマンローンにおけるレントロール改ざんや自己資金の水増しなど不正が認められた件数は6927件。改ざん・偽造の不正が認められたり、不正の疑いがあったりする案件の債権額は約5200億円にのぼった。シェアハウスの約4倍だ。 これに対しスルガ銀行は、シェアハウスローンには一般の投資用不動産ローンには見られない「特殊性」があったと主張する。 すなわち、シェアハウスのマーケットは未成熟で相場が形成されておらず、新築物件ゆえに収入予測が困難であるにもかかわらず銀行はリスク分析をせずに融資を実行してきた。不正の手口など個別性を考慮せずとも、すべての事案に当てはまる「定型的な不法行為」が存在した、というロジックだ。 その観点からいえば、「中古アパートやマンションの価格は既に市場で形成されており、シェアハウスに見られた特殊性は存在しない」とスルガ銀行は主張する。 スルガ銀行が融資した事案の中には、年収の10倍を超える債務を負うにもかかわらず現地を一度も見ずに購入している投資家もおり、債務者(投資家)側にも投資判断として過失が認められるケースがある。一部で不正が行われていたことは銀行として認めつつも、それがアパマンローンすべての融資に当てはまるわけではない、というのがスルガ銀行の主な主張だ。 「一括で返済してもらうほかない」 主張がぶつかる中、弁護団は2月4日、東京地裁に調停を申し立てた。弁護団の焦りの背景には2つの懸念がある。1つはスルガ銀行が時効を主張する可能性があること。もう1つは昨年末から今年にかけて「深刻な状況に急発展してきた」(河合弘之弁護団長)からだ。) 河合弁護団とは別の弁護士を通してスルガ銀行とADR交渉をしていた債務者62人がいたが、解決へ向けた条件がスルガ銀行と折り合わず、昨年10月、不調停に終わる。 弁護士が離任したことで宙ぶらりんになった債務者のうち56人は河合弁護団に加わる段取りを始めた。だが、その折、スルガ銀行が62人の保有する物件を順次、12月後半から競売に申し立て始めたのだ。 弁護団は「前の弁護士の手を離れ当弁護団に合流するまでの、わずか2カ月間の間にスルガ銀行は債権回収に動いた。狙い撃ちされた債務者たちは狼狽している」と憤る。 冒頭の神奈川県の40代男性のほか、債務者の中には居住している自宅が競売にかけられた者もいる。この債務者については弁護団の松尾慎祐弁護士が「自宅の住宅ローンについては延滞を解消して約定通り弁済をする、だから競売から外してほしいとスルガ銀行に申し入れた」という。 だが、スルガ銀行の回答は「期限の利益を喪失したものについては一括で返済してもらうほかない」というものだった。この債務者が受けている融資額は約3億6000万円だ。 上場企業であるスルガ銀行の経営陣には、株主利益を毀損してはならないという立場がある。「代物弁済スキーム」の拒否や債務者への債権回収、時効の主張など、打てる手を打たなければ株主から善管注意義務違反を問われかねない。 アパマンローン問題を受けスルガ銀行は2022年3月期、予防的引き当てとして340億円を計上している。ただ、これは昨年立ち上がった弁護団が融資総額805億8417万円の損害賠償請求をしたことによる引当金だ。今回56人が弁護団に加わり融資総額は972億2927万円に膨らんだことで、スルガ銀行は引当額を積み増す可能性がある。 スルガ銀行と弁護団は2月9日、9回目となる交渉を実施したが、解決スキームをめぐる両者の溝は埋まっていない。アパマンローンは他の地方銀行も実行してきた。そのため金融庁は他行への飛び火を気にしており、どこまで介入するかは不透明な状況だ。 金融庁や株主の意向を意識しながら弁護団と対峙するスルガ銀行の経営陣は、難しい判断を迫られている』、「不正案件の債権額はシェアハウスの4倍」もあるのであれば、「スルガ銀行」としては、「「中古アパートやマンションの価格は既に市場で形成されており、シェアハウスに見られた特殊性は存在しない」とスルガ銀行は主張」するのも理解できるが、その上で銀行側の瑕疵をどの程度見込むかがカギになる可能性がある。

第四に、4月10日付け東洋経済オンライン「「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算 1200物件取得、シェアハウスの意外な投資価値」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/580167
・『事件化したシェアハウス物件を大量に取得したローンスター。狙いは。 3月25日、スルガ銀行はシェアハウス関連融資債権の譲渡を発表した。対象は女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」など首都圏のシェアハウス522物件で、譲渡先はアメリカの投資ファンド「ローンスター」だ。 ローンスターは2020年、および2021年にも同様に、スルガ銀行からかぼちゃの馬車を中心とするシェアハウスの債権を譲受している。今回を含めて過去3度の取引でローンスターが取得したシェアハウスは計1213物件、総額1490億円に上る』、「シェアハウス関連融資債権」には銀行側の瑕疵もあるが、これは評価額にどう反映されるのだろう。
・『「投資不適格」の物件をあえて取得  ローンスターはハイリスクハイリターンを追求するファンドで知られる。日本でも2月末、コロナ禍で不振が続いていた「大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ」をベインキャピタルから取得した。2020年には株式非公開化を企図していた不動産会社ユニゾホールディングスに資金支援を行った。 ローンスターがスルガ銀行から取得したシェアハウスは、元をたどればスルガ銀行の債務者が保有していた物件だ。想定した収益を得られずにトラブルとなり、スルガ銀行が事実上の債権放棄と引き換えに取得。スルガ銀行は入札によって売却先を募っていた。 “投資不適格”の烙印を押されたシェアハウスを、なぜローンスターが取得したのか。 「シェアハウスというコンセプトは良かったが、収益物件としては歪められていた」。ローンスター傘下のファンド運用会社、ハドソン・ジャパンの鏑木政俊代表取締役社長は、そう指摘する。) かぼちゃの馬車に代表される、投資用不動産として供給されたシェアハウスが破綻した原因は、シェアハウスのビジネスモデルそのものではなく、無理な賃料設定にあった。 スマートデイズなどシェアハウスの運営会社は、スルガ銀行が物件価格の満額を融資することを逆手に取り、市場価格よりも高値でシェアハウスをオーナーに販売。代わりに周辺相場より高い賃料で一括借り上げを行い、投資家や銀行に対する収支の帳尻を合わせていた。 オーナーに保証した賃料を支払う一方でシェアハウスの入居率は低迷し、運営会社はほどなくして逆ザヤ状態となった。別のシェアハウスの売却益や建築費のキックバックなどでオーナーへの賃料を補填する自転車操業に陥った』、「シェアハウスが破綻した原因は、シェアハウスのビジネスモデルそのものではなく、無理な賃料設定にあった・・・市場価格よりも高値でシェアハウスをオーナーに販売。代わりに周辺相場より高い賃料で一括借り上げを行い、投資家や銀行に対する収支の帳尻を合わせていた。 オーナーに保証した賃料を支払う一方でシェアハウスの入居率は低迷し、運営会社はほどなくして逆ザヤ状態」」、なるほど。
・『当初は「転売」を計画  逆に言えば、賃料設定さえ適正であればシェアハウスは賃貸住宅として投資価値があった。実際、コロナ禍直前の2020年3月にスルガ銀行が入札にかけたシェアハウス約300物件の平均稼働率は約9割だった。このため当初ローンスターは、一括で取得したシェアハウスを個別に転売することを計画していた。 ところが、第2弾の入札が準備されていると知ったローンスターは、出口戦略を変える。 次の入札で追加のシェアハウスを取得できれば、規模の経済を働かせて1つの事業に仕立て上げるほうが、単なる転売よりも付加価値がつくと踏んだ。こうして計3回の入札をすべてを勝ち抜き、計1213物件を取得。このうち更地や未竣工物件を除く1084物件の再生に着手した。 着目したのはシェアハウスの特性だ。賃貸マンションやアパートと比較してシェアハウスは賃料が安く、入居者の約7割は20代で、国籍も7割が日本人だ。「初めて東京を訪れる人が住む家として、シェアハウスは社会インフラとしての機能を担っている」(鏑木社長)。) そのため、ローンスターは取得したシェアハウスについて、上京してくる10代から20代のいわゆる「Z世代」に照準を定め、月3万~7万円と家賃が安い「シェアアパート」として今年3月から売り出した。 平均入居期間が6~18カ月と短期であることから、住まいのベータ版という意味を込めて「トーキョーベータ」のブランドを新たに設定した。 入退去手続きを簡便化するため、スマートロックへの交換や家賃振り込みのデジタル化を進める。自転車や車を持たない入居者を想定して、電動スクーターやシェアバイクも設置する。今後は短期アルバイトの紹介といった付帯サービスも拡充させる』、「ローンスターは取得したシェアハウスについて、上京してくる10代から20代のいわゆる「Z世代」に照準を定め、月3万~7万円と家賃が安い「シェアアパート」として今年3月から売り出した」、なかなか面白い売り方だ。
・『管理コストの削減を徹底  矢継ぎ早にテコ入れを進める背景には、シェアハウスの管理コストの削減が急務だったこともある。 ローンスターが取得したシェアハウスは東京23区の外縁部に散らばり、管理会社も旧オーナーがバラバラに委託していた。そのため、委託先の管理会社は計199社に及び、委託費用がかさんでいた。そもそも、シェアハウスはキッチンやトイレといった共用部の清掃も必要で、通常の賃貸住宅よりも管理に手間がかかる。 そこでローンスターと取引実績のあった不動産管理会社「三好不動産」を筆頭に、管理委託先を3社に集約した。) 三好不動産の笠清太取締役は、「1000棟超のシェアハウスをローンスターのファンドが単独で保有していることは、管理会社にとっては魅力的だ。作業手順や備品の交換頻度、使う部材などを統一できる」と話す。 最も手間のかかる巡回清掃は、特定の清掃業者に一括で発注することで価格交渉力を働かせる』、「シェアハウスはキッチンやトイレといった共用部の清掃も必要で、通常の賃貸住宅よりも管理に手間がかかる」、「ローンスターが取得したシェアハウスは東京23区の外縁部に散らばり、管理会社も旧オーナーがバラバラに委託していた。そのため、委託先の管理会社は計199社に及び、委託費用がかさんでいた」、「ローンスターと取引実績のあった不動産管理会社「三好不動産」を筆頭に、管理委託先を3社に集約」、確かに集約化は合理的な方法だ。
・『2024年以降の事業売却を企図  コロナ禍で外国人需要が落ち込み、2020年秋にはシェアハウスの稼働率が一時6割強まで落ち込んだ。現在は7割程度の稼働だが、管理効率化が奏功し現状でも損益分岐点を超えているという。 「10棟ではスケールメリットが働かなかっただろう。1000棟規模だから成立した。稼働率もコロナ禍の約6割がボトムラインで、これ以上は下がらないという確信を持てた」(鏑木社長)。 2022年はポータルサイトの普及やサービス内容の拡充に努め、当面は国内の若年層を中心に集客を進める。2023年は外国人留学生や実習生の回帰を見込み、稼働率がコロナ禍前と同水準の9割前後に戻した段階で、トーキョーベータのシェアアパート事業として2024年以降の売却を企図する。 シェアハウスという新たな居住文化を若年層に訴求し、収益物件として安定稼働をさせる――。ローンスターが描く成長軌道は、かぼちゃの馬車などのシェアハウス運営会社がうたっていた宣伝文句と重なる。 ひとつ異なるのは、シェアハウスの収益構成だ。従前の運営会社は賃料を格安に抑えつつ、職業斡旋や新商品のサンプリングといった付帯サービスの手数料による収益の補填を目論んでいた。一方ローンスターは入居者からの賃料を収益源に据え、付帯サービスはあくまで入居促進策にとどめる。 一度は打ち捨てられた「かぼちゃ」に再び収穫の時期が訪れるか。不正融資騒動で悪化したシェアハウスのイメージを払拭しつつ、付帯サービスというごまかしが効かない点でほかの賃貸住宅との差別化が図れるかが、正面から問われることになる』、「ローンスターが描く成長軌道は、かぼちゃの馬車などのシェアハウス運営会社がうたっていた宣伝文句と重なる。 ひとつ異なるのは、シェアハウスの収益構成だ。従前の運営会社は賃料を格安に抑えつつ、職業斡旋や新商品のサンプリングといった付帯サービスの手数料による収益の補填を目論んでいた。一方ローンスターは入居者からの賃料を収益源に据え、付帯サービスはあくまで入居促進策にとどめる」、「ローンスター」の成長戦略は軌道に乗るのだろうか、注目したい。
タグ:金融関連の詐欺的事件 (その12)(テクノシステム2題:小泉元首相が広告塔 小池知事とも親密、SBIが一杯食わされたでは済まされない)、スルガ銀 「アパマン融資」債務者の自宅を競売に 交渉難航で強硬手段へ 狼狽するオーナーたち、「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算 1200物件取得 シェアハウスの意外な投資価値) 「シェアハウス関連融資債権」には銀行側の瑕疵もあるが、これは評価額にどう反映されるのだろう。 東洋経済オンライン「「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算 1200物件取得、シェアハウスの意外な投資価値」 「不正案件の債権額はシェアハウスの4倍」もあるのであれば、「スルガ銀行」としては、「「中古アパートやマンションの価格は既に市場で形成されており、シェアハウスに見られた特殊性は存在しない」とスルガ銀行は主張」するのも理解できるが、その上で銀行側の瑕疵をどの程度見込むかがカギになる可能性がある。 「シェアハウスはキッチンやトイレといった共用部の清掃も必要で、通常の賃貸住宅よりも管理に手間がかかる」、「ローンスターが取得したシェアハウスは東京23区の外縁部に散らばり、管理会社も旧オーナーがバラバラに委託していた。そのため、委託先の管理会社は計199社に及び、委託費用がかさんでいた」、「ローンスターと取引実績のあった不動産管理会社「三好不動産」を筆頭に、管理委託先を3社に集約」、確かに集約化は合理的な方法だ。 「ローンスターは取得したシェアハウスについて、上京してくる10代から20代のいわゆる「Z世代」に照準を定め、月3万~7万円と家賃が安い「シェアアパート」として今年3月から売り出した」、なかなか面白い売り方だ。 「シェアハウスが破綻した原因は、シェアハウスのビジネスモデルそのものではなく、無理な賃料設定にあった・・・市場価格よりも高値でシェアハウスをオーナーに販売。代わりに周辺相場より高い賃料で一括借り上げを行い、投資家や銀行に対する収支の帳尻を合わせていた。 オーナーに保証した賃料を支払う一方でシェアハウスの入居率は低迷し、運営会社はほどなくして逆ザヤ状態」」、なるほど。 「ローンスターが描く成長軌道は、かぼちゃの馬車などのシェアハウス運営会社がうたっていた宣伝文句と重なる。 ひとつ異なるのは、シェアハウスの収益構成だ。従前の運営会社は賃料を格安に抑えつつ、職業斡旋や新商品のサンプリングといった付帯サービスの手数料による収益の補填を目論んでいた。一方ローンスターは入居者からの賃料を収益源に据え、付帯サービスはあくまで入居促進策にとどめる」、「ローンスター」の成長戦略は軌道に乗るのだろうか、注目したい。 有森隆氏による「テクノシステム<下>SBIが一杯食わされたでは済まされない」 「老舗のフランス料理店」を「買収」するなど、ベンチャー企業にあるまじき行為だ。 「横浜ランドマークタワー19階に本社」、「生田容疑者が有名人と撮った写真がズラリと並ぶ」、さらに「小泉純一郎元首相と生田尚之社長の記事体広告が昨年8月14日と同9月4日の日本経済新聞に掲載」、舞台装置は十二分に整っていたのに、「小泉純一郎元首相」までが役者として登場、ダメ押しだ。 有森隆氏による「テクノシステム<上>小泉元首相が広告塔 小池知事とも親密」 日刊ゲンダイ 「アパマンローンの投資対象は1棟のアパートやマンション。その8割が築年数20年を超える中古物件で、全国各地に点在」、「不動産業者がずさんな営業でアパート・マンションに投資をする投資家を募り、無理な融資計画をスルガ銀行に提出、そうした実態を把握しながらスルガ銀行は融資を実行する。その結果、多額の債務を負ったアパマンオーナーが続出」、「中古物件」が8割」とは初めて知った。 東洋経済オンライン「スルガ銀、「アパマン融資」債務者の自宅を競売に 交渉難航で強硬手段へ、狼狽するオーナーたち」 SBIはあおぞら銀行へのTOBに成功したが、こんな傷を抱えたままでは、先が思いやられる。「北尾氏」も「テクノ社事件」の経緯を詳しく説明すべきだ。 「SBISL」の「融資残高の4割がテクノ社の案件」、「テクノ社はSBI証券を幹事に上場準備に入っていた」、「同社で「上場準備を担当していた」「小林専務」は「野村証券」の「後輩」、ここまで食い込んでいながら不正に気付かなかったというのは、信じ難い。
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