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ソーシャル・ファイナンス(その1)(みんクレの呆れた実態  「調整お見舞金」の謎 ソーシャルレンディングで消えた30億円、「みんクレ」元社長が裁判でぶちまけた恨み節 証言台で金融庁や東京都の「政策ミス」を告発、ソーシャルレンディング「3億円損害」個人投資家143人らが集団提訴、日本酒作りに応援資金を出す人が急増した理由 サイバーエージェント傘下のマクアケが支援) [金融]

今日は、ソーシャル・ファイナンス(その1)(みんクレの呆れた実態  「調整お見舞金」の謎 ソーシャルレンディングで消えた30億円、「みんクレ」元社長が裁判でぶちまけた恨み節 証言台で金融庁や東京都の「政策ミス」を告発、ソーシャルレンディング「3億円損害」個人投資家143人らが集団提訴、日本酒作りに応援資金を出す人が急増した理由 サイバーエージェント傘下のマクアケが支援)を取上げよう。

先ずは、2018年4月9日付け東洋経済オンライン「みんクレの呆れた実態、 「調整お見舞金」の謎 ソーシャルレンディングで消えた30億円」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/215664
・貸手と借り手をネット上で直接結び付けるソーシャルレンディングの運営事業者をめぐり、大きな混乱が起きている。 舞台は、中堅事業者のみんなのクレジット(みんクレ、3月末にスカイキャピタルに社名変更)。年率利回り最大14.5%をうたい、計約45億円の資金を集めた。が、貸付先がグループ会社に集中していたり、あるファンドの償還資金に別のファンドの出資金が充当されていたりしていた事態が判明、2017年3月に関東財務局から行政処分を受けた。その後は新規ファンドの募集を取りやめている。 昨年7月以降は投資家への償還が滞り始めた。未償還の資金は31億円超に上る。そんな中、今年2月23日に同社は、1億円弱で債権回収会社に債権を譲渡すると投資家にメールで発表。償還率はわずか3%にとどまることになった』、そもそもソーシャル・ファイナンス(クラウド・ファンディング)には、貸付型のソーシャルレンディングの他にも、寄付型、購入型、投資型がある。そのなかでも、ソーシャルレンディングは最も普及しているが、上記のようなトラブルも相次いでいる。
・『貸付先が突然の「調整お見舞金」  多くの投資家が落胆したのもつかの間、事態は驚くべき展開を見せる。 みんクレの貸付先で昨年5月まで同社の100%親会社だったテイクオーバーホールディングスが3月14日、みんクレの投資家に対し「調整お見舞金」を支給すると発表したのだ。テイク社は、みんクレの創業者で昨年4月までみんクレの代表取締役を務めていた白石伸生氏が社長を務めており、人工知能を使った不動産開発などを手掛ける。 テイク社の説明はこうだ。同社は昨夏以降、みんクレと調停和解を目指して協議してきた。が、意に反してみんクレが債権を債権回収会社に売却してしまった。みんクレ投資家には間接的に迷惑をかけたため、自社株主とスポンサー主導による特別目的会社(SPC)を設立し、みんクレ投資家に投資損失相当額を支給することにしたという。 だが、ここにはカラクリがある。テイク社は投資家に対し入力フォーム(受け付けは4月10日まで)を開設しているが、同社に訴訟を提起していないことが申請の条件となる。訴訟とは、投資家22人によって昨年9月に提起された約1億円の損害賠償請求を指しているとみられる。 同訴訟では、みんクレのほか、貸付先であるテイク社なども被告になっている。投資家の代理人を務める東京フィールド法律事務所の鈴木英司弁護士は「(調整お見舞金の支払いは)単なる時間稼ぎ。事業の内容などを見ると、テイク社に支払い能力があるとは到底思えない」と指摘する』、「みんクレの貸付先で昨年5月まで同社の100%親会社だった」「テイク社」、「みんクレ」が実は「親会社」に「貸付」ていたというのは驚かされた。「調整お見舞金」とはよくぞいけしゃあしゃあと言えたものだ。
・『仮想通貨での支払いもありうる  カラクリはもう一つある。入力フォーム内の同意確認書には支払額や原資調達時期は予測がつきがたい、支払い方法は仮想通貨もありうる、これらに異議・不服はいっさい言えない、といった前提条件があるのだ。 SPCを設立するという株主やスポンサーの詳細について本誌がテイク社に問い合わせたところ、「弊社の応援企業、取引先」(社長室)と回答するのみ。現在白石氏は「体調不良のために定期的なオフィスへの出社がかなわない状況」(同)だという。 消えた30億円は行方知れずのままだ。ただはっきりしているのは、みんクレとテイク社および他の二つの貸付先がほぼ“一心同体”ということだ。 現在みんクレの代表取締役を務める阿藤豊氏は、2018年2月までテイク社の取締役を務めていた。阿藤氏はらくらくプラスでも取締役を問題発覚前から務めている。ブルーアートの代表取締役を務める澤田逸朗氏は、昨年4月に本誌が取材した時点でみんクレの投資運用部部長だった。 信用調査会社・東京商工リサーチによれば、白石氏は「(テイク社の経営陣は)前職時代の部下がほとんど」と語っていたという。訴訟手続きの中では、みんクレによるグループ内の貸し付けが約98%に上ることがわかっている。ある同業他社の幹部は「最初からグループ内でたくらまれており、返す気がなかったのではないか」と見る』、「みんクレによるグループ内の貸し付けが約98%に上る」、とは驚かされた。こんな悪質なケースは刑事事件として摘発してほしいものだ。
・『貸付先がわかりにくい  そもそもソーシャルレンディングは投資家から見て、貸付先がわかりにくい。事業者は仕組み上、投資家から出資を募る第二種金融商品取引業者と、資金需要者に貸し付ける貸金業者の二つの顔を持つ。後者では投資家が直接取り立てないよう債務者保護が必要になる。そのため、貸付先の詳細を明示しないことが多い。 みんクレは募集時に「借り手は都内を中心に不動産開発を手掛ける業者です」として、それがグループ会社であることを明かしていなかった。今年3月には別の業者も、貸付先のほとんどが親族の経営する会社で審査が不十分だったとして行政処分を受けている。 ただ今回のような問題を受けて、自主規制団体である第二種金融商品取引業協会は「金融庁と話し合いながら貸付先を透明化できるよう進めている」(小柳雅彦・常務理事)という。 使い方によっては投資家に魅力的なソーシャルレンディング。市場が成長するためには、健全な事業者の育成が何よりも必要だ』、少なくとも「グループ会社」向け貸付はその旨開示義務を課すべきだろう。

次に、上記のその後の状況を、本年1月4日付け東洋経済オンライン「「みんクレ」元社長が裁判でぶちまけた恨み節 証言台で金融庁や東京都の「政策ミス」を告発」で見てみよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/321956
・『「私を信じて、日本のフィンテックを信じて投資していただいて、この結果を申し訳なく思う。一般の投資家に落ち度はない」「潔く判決には従いたいが、私たちの子どもたちが投資家からの嫌がらせやストーカー行為を受けている。原告(投資家)だけでなく、私たちの被害を救う裁判にもしてもらいたい」 去る11月6日、東京地方裁判所の626号法廷。紺色のスーツに身を包み、被告として証言台に立った「みんなのクレジット」(みんクレ)元社長の白石伸生氏は、居並ぶ裁判官たちにそう訴えていた。家族の被害に話が及ぶと涙混じりの声に変わった。 詳細は後述するが、みんクレは投資家の資金を大きく毀損させた。その後、経営トップであった白石氏が公の場に姿を見せることはなかっただけに、今回の証言は注目された』、「子どもたちが投資家からの嫌がらせやストーカー行為を受けている」、やや行き過ぎではあるが、説明責任を果たさず、雲隠れしていたのは問題だ。
・『集めた資金のほとんどはグループ会社へ  2015年に設立されたみんクレは、投資家から小口で資金を集め、それを借り手企業に融資するソーシャルレンディング事業を営んでいたが、2017年3月に関東財務局から1カ月の業務停止命令を受けた。さらに、虚偽の説明をもとに資金を集め、損失を被らせたとして、個人投資家22人から計1億円の損害賠償請求訴訟を起こされている。 みんクレは2016年4月からサービスを開始したが、当時のソーシャルレンディングの利回り(年率)が平均7~8%だったのに対し、同社は最大14.5%の利回りをうたい、合計で約45億円の資金を集めた。 資金を集める際、複数の企業に融資を行うかのように投資家に説明していたが、実際には、集めた資金のほとんどがみんクレの親会社である「ブルーウォールジャパン」(BWJ)やその関連会社に貸し付けられていた。貸し付け額は40億円にのぼるという。 2016年12月からの証券取引等監視委員会の検査によって、そのような募集と融資の実態、さらには白石氏が自身の預金口座に投資家から集めたお金を送金させていたことなどが判明。前述のような業務停止命令などを受け、白石氏は2017年4月に社長を辞任した。 みんクレは財務局に指摘された業務上の問題点をその後も改善できず、事業を再開できなかった。そうするうちに、みんクレが融資したBWJ、関連会社からの返済が滞り、未返済の31億円については自力回収を断念。わずか1億円でサービサー(債権回収会社)に債権を売却し、投資家の出した30億円が戻ることはなかった』、「東京地方裁判所」では「損害賠償請求訴訟」が裁かれているだけだ。
・『親会社への融資は「当局も認めていた」  11月6日、民事訴訟の当事者尋問が開かれ、原告側は投資家2人が、被告側は白石氏と前社長の阿藤豊氏が証言した。先に証言した原告の投資家は、「みんクレは複数企業に融資して運用するものだと信じて投資していた」「親会社や関連会社に貸すのであれば投資していなかった」と訴えた。 一方、白石氏が法廷で展開した主張は大きく2点ある。1点目は、親会社などへの融資は当局も事前に認めていたというものだ。 ソーシャルレンディングは、投資家から資金を集める際には金融商品取引法(金商法)の規制を、集めた資金を融資する際には貸金業法の規制を受ける。金商法上では第二種金融商品取引業の登録が必要となる。その登録の際、次のようなやりとりがあったと白石氏は証言した。 「初年度は(融資の)90~95%を親会社などグループ向けで回すけれども、2年目、3年目は70%、50%と落としていく。3年目にグループ向けが50%になればいいでしょうということで許認可をもらった」 つまり、業務停止命令を受けた2017年の時点で親会社などグループ向けの貸し付け比率が高かったことは、行政当局も認めていた既定路線だったというのだ。実際には、グループ外への貸し付けが思うように進まず、サービス開始初年度は97~98%がグループ向け融資だったという。 なお、親会社のBWJは顔認証システムなどを導入した「AI(人工知能)住宅」の開発・分譲にみんクレから融資してもらった資金を充てていたとする。白石氏の証言によると、40件弱着工していた。 また、BWJは2017年秋にも株式上場する計画を持っており、上場によって80億~100億円の資金を調達できたと白石氏は述べた。そのうえで、「この住宅販売と上場で得られる資金があれば親会社の借り入れは返せた」と主張した』、不確定な「株式上場」で返済する計画とは、飛んでもない話だ。行政当局の甘い認可姿勢も問題だ。
・『金融庁の「政策ミス」も指摘してほしい  白石氏の主張の2点目は、複数の企業に融資を行う予定であるかのように、投資家向けのWebサイトに記載をしていたのは当局にも責任があるとした点だ。証言台で「金商法の透明性と貸金業法の匿名性のどっちを信じていいのか、監督官庁の指導が真逆だったので悩んだところがある。金融庁の政策ミスも指摘してほしい」と訴えた。 前述のように、ソーシャルレンディングは金商法と貸金業法の2つの規制を受ける。金商法の観点では投資家保護のために投資先(融資先)に関する情報の開示が求められる。これが白石氏のいった「金商法の透明性」だ。 だが、貸金業法の観点からは、2019年3月まで融資先が特定されるような情報の明示は控えられてきた。これは融資先を特定したうえで投資家がお金を出すと、その投資家が事実上の貸し手に近くなるため、投資家は貸金業登録が必要になりうるとの解釈があったからだ。貸金業法違反となることを確実に避けるため、ソーシャルレンディングで問題が多発するまでは、融資先を匿名とする運用が続いてきた。 みんクレの場合も、主な融資先である親会社のBWJは匿名で表記されていた。問題は投資家から資金を募るたびに、「関東から東海地区までファミリー物件の開発を手がけるハウスメーカー」「関東圏に展開する都内の投資会社」など、同一の会社であるのに6通りもの表記を使い分けていたことだ。 関連会社の表記も、同一会社なのに「事業者C」「事業者D」「事業者F」「事業者H」と、投資資金の募集の都度変わっていた。 同一企業であるにもかかわらず、別の企業であるかのように投資家を惑わす表記をしたのはなぜなのか。 法廷で白石氏は、みんクレの貸金業登録先(監督官庁)であった東京都の指導があったからだと証言した』、「同一企業であるにもかかわらず、別の企業であるかのように投資家を惑わす表記をした」、のは「東京都の指導があった」のが事実とすれば大問題だ。
・『都庁からの指導はあった  原告側弁護士 「(融資先である関連会社の表記を)CからDに変えなさい、DからFに変えなさいと、そういう指導が都庁からあったのか」 白石氏 「アルファベットを変えなさいよという指導は、正直ありました。(2016年)6月のころに」 被告側弁護士 「都庁からの指導ではアルファベット表記をやめなさいと言われた?それともAからBに変えなさいというものだった?」 白石氏 「私は金商法の観点から透明なほうがいいと思っていたので、もう少し具体的に開示できないかと交渉していたが、『ダメだ、ダメだ』の一点張りだった。最終的にはアルファベットも同じようにみえるので変えなさいという指示があった」 裁判官 「同一の貸付先であってもアルファベットを変えなければいけないとの指示を都庁から受けた?」 白石氏 「(2016年)6月くらいに一般投資家なのかわからないが、誰かから『みんなのクレジットの融資先にあるこの会社って親会社じゃないか』といった問い合わせが都庁に入ったようで。それで都庁が血相を変えてアルファベットの表記ももうちょっとぼやかしたほうがいいと」) 白石氏の証言した指導は本当にあったのか。東洋経済が東京都貸金業対策課に尋ねたところ、「当時の担当者や記録にも当たったが『アルファベット表記を変えるように』という言葉で指示した事実は確認できなかった」と回答した。 尋問の場でうそを述べたり事実にないことを付け加えたりすると、10万円以下の過料を科されることもある。白石氏の証言には本来それだけの重みがあるはずだが、双方の言い分は食い違っている』、民事訴訟なので、「東京都」の出廷までは求めなかったようだ。
・『白石氏の「免罪符」になるのか  ただ、仮に都庁の指導があったとしても、それが白石氏の「免罪符」になるとも思えない。 原告である投資家の代理人を務める鈴木英司弁護士(東京フィールド法律事務所)は、「尋問で裁判官も指摘していたが、貸金業法上、匿名にしなければいけないという話と異なるアルファベット表記をすることは別の話。『分散投資をしている』と原告(投資家)に誤解させてもかまわないということにはならない」と指摘する。 あるソーシャルレンディング大手の幹部も、「自分たちがそのような指導を仮に受けたとしたら、投資家を誤解させないためにアルファベットの表記をやめるなど別のやり方を取っただろう」と話す はたして裁判所はどのような判決を下すのか。ソーシャルレンディングで生じた損失をめぐる訴訟は、みんクレに続く形で起こされている。最大手のmaneoマーケットなど一連の訴訟にも影響すると思われるだけに、2020年春と目される、みんクレ訴訟の判決から目が離せない』、「白石氏の「免罪符」になるのか」、にはなりそうもなさそうだ。判決が注目される。

第三に、昨年8月2日付け弁護士ドットコム「ソーシャルレンディング「3億円損害」個人投資家143人らが集団提訴」を紹介しよう。
https://www.bengo4.com/c_18/n_9955/
・『ネットで高い利回りをうたい融資を仲介するソーシャルレンディングで損害を被ったとして、全国の個人投資家143人と法人2社が8月2日、「エーアイトラスト」(東京都港区)と役員などを相手取り、計約3億4748万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。 東京・霞が関の司法記者クラブで会見した原告側代理人によると、ソーシャルレンディングはお金が戻らなくなるトラブルが急増している。同種の集団訴訟も起きており、今回の原告の人数は過去最多だという』、「エーアイトラスト」のホームページでは、訴訟のことなどには一切触れてない。
・『安全性アピールの裏で…  ソーシャルレンディングとは、インターネットで個人投資者からお金を集めて、ファンド業者を通じて中小企業などに融資する仕組みのこと。 訴状によると、同社は貸付先が公共事業を取り扱う会社であることや、役員に国土交通省や関東財務局、防衛省など官僚OBが複数いることなどを強調して、安全性をアピールしていた。 しかし、実際には貸付先の事業自体が存在せず、少なくとも約15億8千万円が同社の元取締役が実質的に支配する法人に流出していたことが金融庁の調査でわかった。 金融庁は2019年3月、同社の金融商品取引業の登録を取り消し、業務改善命令を出した。行政処分は2018年12月に続いて2度目だった。 金融庁はファンド業者の信用力を見極め、取引内容を十分に理解した上で投資を行うよう注意喚起している。具体的には、貸付先の属性や貸付条件、貸付先の資金情報などを確認するよう呼びかけている。 代理人の太田賢志弁護士は「投資する方にとっては、ネット上で軽い気持ちで少額から投資ができ、ソーシャルレンディングを取り扱う業者も乱立している」と指摘。「融資する際には、金利が高すぎないかということ、貸付先が明らかになっているか確認することが大切」と話した。 弁護士ドットコムニュースは、同社にコメントを求めている。回答があり次第、追記する予定』、「実際には貸付先の事業自体が存在せず、少なくとも約15億8千万円が同社の元取締役が実質的に支配する法人に流出していた」、悪質極まりなく、「登録を取り消し」は当然だ。金融庁も投資家保護策を早急に強化すべきだろう。

第四に、5月22日付け東洋経済オンライン「日本酒作りに応援資金を出す人が急増した理由 サイバーエージェント傘下のマクアケが支援」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/281971
・『日本人の“日本酒離れ”が進んでいる。清酒の販売数量は20年以上右肩下がりだ。日本酒造組合中央会によれば、2017年度の清酒販売数量が53.3万キロリットルとなり、20年前の約半分の水準。チューハイやワイン、ハイボールなどに押され、特に若い世代の支持を得られなくなっている。 日本酒業界も手をこまぬいているわけではない。活路を見いだしたのが、「クラウドファンディング」だ。もともとは創業間もないベンチャーや個人が、新商品開発などのためにネット上で資金を募り、支援者には完成した商品などの特典が届くというサービスである』、これは、「クラウドファンディング」のなかの「購入型」だ。
・『新たな「ネット通販」となる可能性も  今年4月、サイバーエージェント傘下のクラウドファンディング運営企業・マクアケは、同社のサイト上で資金調達を実施した日本酒の酒蔵数が100を超えたと発表した。全国には約1400の酒蔵があり、その1割に迫る規模だ。日本酒関連プロジェクトの支援者数は延べ2万5000人ほどで、合計調達額は2億5000万円以上となっている。マクアケはプロジェクトに集まった支援額の20%を手数料として受け取る。 「酒蔵の皆さんの話を聞いていると、日本酒は実際に飲んでもらわないとこだわりや特徴が伝わりづらいということがわかった。マクアケのページでは動画や写真、文章でストーリーを示すことで、そうしたものを伝えられる」。マクアケ共同創業者の坊垣佳奈取締役はそう話す。 マクアケで日本酒のクラウドファンディングが増えるきっかけとなったのが、千葉県の酒蔵、飯沼本家が醸造した日本酒「酒々井の夜明け」のプロジェクトだ。目標金額100万円に対し、1059万円が集まった。カギとなったのが、その年の初物の純米大吟醸を「日本酒ヌーボー」というキャッチコピーで売り込んだこと。ワインの「ボージョレ・ヌーボー」をヒントに、マクアケ側が助言をしながら打ち出し方を決めたという。 坊垣氏は、「いわばネット通販(EC)の新しい形。売っているものは基本的に世の中に流通しておらず、評価はない。リスクを取って”応援”をするという要素や、誰も持っていないものを自慢したいという消費の感覚もある」と、クラウドファンディングの可能性を強調する。 多くの酒蔵は、新商品のテスト販売という位置づけでマクアケを利用する。実績のない新商品開発は銀行の融資を受けづらいが、クラウドファンディングでの実績を見て融資につながることもあるという。実際マクアケでは、「銀行から酒蔵を紹介されることも多い」(坊垣氏)。 国内酒造最大手の白鶴酒造もテスト販売として活用する1社だ。同社では2016年末、平均30歳の若手社員8人が自主的な新商品開発プロジェクトを立ち上げた』、マクアケのホームページでは、下記のように、現在、日本酒にみならず、トートーバックやペーパーベッドなど多くのプロジェクトが掲載されている。
https://www.makuake.com/discover/projects/search/
・『若手社員プロジェクトでクラファン活用  「当社の主力商品の購買層は基本的に60代以上。若い世代の掘り起こしが必要だった」と、プロジェクトリーダーを務めた商品開発本部の佐田尚隆氏は発足のきっかけを振り返る。どうすれば若い人たちに興味を持ってもらえるかと考え、「ワインのようにホームパーティに手土産として持っていけるような日本酒」というコンセプトを設定した。 白鶴の若手社員プロジェクトはMakuakeで目標を大幅に上回る資金調達を達成した(画像:Makuakeウェブサイトをキャプチャ) 一方で大手酒造として、奇抜すぎる商品として見られることも避けたい。だからこそ製法にはこだわり、あくまで香料や甘味料を一切入れない純米酒を造るということを決めたという。「昔ながらの日本酒を飲んでいる人に納得してもらえる一方で、日本酒好きじゃなくても驚いてもらえるようなもの、という落としどころを探した」(佐田氏)。 カギとなったのが、白鶴社内で「お蔵入り」していた3種類の酵母だ。同社では醸造に用いる独自の酵母のうち、安定して大量生産するのに向かないが、研究用に貯蔵しているものが400種類ほどある。この中から今回の企画趣旨に合うような個性的でフルーティーな香りを生み出すものを選び出した。 こうして出来上がったのが、「木漏れ日のムシメガネ」「陽だまりのシュノーケル」「黄昏のテレスコープ」という3種類の日本酒だ。甘めのワインのような風味があり、多くの日本酒とは異なる趣だ。 マクアケのプロジェクトでは目標金額100万円のところ、それを大きく超える532万円を調達。支援者の属性をひもといてみると、20代、30代がちょうど半分を占めたという。「当社の主要顧客層とここまで明確な差が出るのかと、社内でも驚きが広がった」と佐田氏は話す。 3種類の商品はそれぞれ3000本の限定生産で、マクアケを通した600本ずつの先行発送をすでに終えた。残りは白鶴のネット通販サイトや直営店で販売するという。「若年層とコミュニケーションが取れる商品開発はできる限り続けていきたい」と佐田氏。業界構造の変化は、老舗大手に変革を迫っている』、出品企業にとっては、テスト・マーケティングの意味が大きいのだろう。
・『気鋭ベンチャーはクラファンと成長  クラウドファンディングは、伝統ある日本酒業界でのベンチャー育成にもつながっている。日本酒を企画生産するベンチャー・WAKAZE(ワカゼ)は、法人化以前から新商品などでマクアケを活用してきた。国内では新規醸造免許の取得が難しく、山形・鶴岡市などの酒蔵に醸造を委託する形を取っている。 醸造責任者の今井翔也氏は、「法人化前は社会人の有志が集まったプロジェクトで、手元資金もなかった。生産を考えても、売れる量が先に決まるのは大きい。また、マクアケを通してファンのコミュニティを作ることができるという期待もあった」と振り返る。 法人化後最初のプロジェクトが、洋食に合う日本酒として開発した「ORBIA(オルビア)」。「洋食とのペアリングというコンセプトがはっきりしていたこともあり、目標金額の100万円を大きく超えた」(今井氏)。結果的に435万円が集まった。オルビアの商品開発は、都内の有名レストランのソムリエと強力。完成した商品を売り込むにあたっても、「マクアケでの実績がアピールポイントにもなった」(同)。) 商品そのものだけでなく、会社としてのプロジェクトでもクラウドファンディングを行っている。昨年夏に実施したのが、東京・三軒茶屋に開設したどぶろくの醸造所とバーを併設した店舗のプロジェクトだ。支援者のリターンとしては、どぶろくや食事券のほか、醸造体験や毎回の食事が割引になる会員権も盛り込んだ。 今井氏はこうした取り組みの狙いについて、「商品だけでなく場所を作ったことで、ファンになってくれる人たちに対するオプションを増やせるようになった。実際、支援者の中にはお店のリピーターとなった人も多い」と話す』、貸付型と違って、実需に結び付いた購入型クラウドファンディングは広がりがありそうだ。
・『WAKAZEは念願の海外進出へ  WAKAZEは今、創業当初からの目標だった海外進出に向け、本格的に動き始めている。第1弾となるのが、フランス・パリでの自社醸造所の開設だ。「ようやく日本酒ベンチャーとして、自分たちの手で清酒を作ることができる」(今井氏)。すでにパリ郊外で物件が確定し、5月から施工を始め、8月には酒蔵が完成する予定。10月にパリで開催される欧州最大の日本酒見本市「サロン・デュ・サケ」で現地で醸造した酒を出品する計画だという。 これに合わせ、マクアケでもプロジェクトを4月15日に立ち上げ、5月20日時点ですでに目標の500万円に迫る473万円に達している。支援者にはパリの酒蔵での初回醸造酒が届けられる。「悲願のフランス進出ということで、WAKAZEを応援してくれたファンの人たちへの恩返しや報告としての意味を込めて、初回醸造酒を届ける」(今井氏)。 クラウドファンディングとともに徐々に事業を広げてきたベンチャーは、新たなフェーズに入ろうとしている』、地に足をつけたベンチャーが広がりを示しているとは、心強い。
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個人債務問題(その2)(過払い金が戻ったのにまた借りる「借金体質」はなぜ治らない?、「性行為もできるすばらしい融資」 男性職員が逮捕された「ひととき融資」とは?、フラット35「不正利用」の全手口を不動産投資家が暴露、LINEが貸金業を開始 本格化する「信用スコア」が向かう未来とは) [金融]

個人債務問題については、2017年8月24日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その2)(過払い金が戻ったのにまた借りる「借金体質」はなぜ治らない?、「性行為もできるすばらしい融資」 男性職員が逮捕された「ひととき融資」とは?、フラット35「不正利用」の全手口を不動産投資家が暴露、LINEが貸金業を開始 本格化する「信用スコア」が向かう未来とは)である。

先ずは、家計再生コンサルタントの横山光昭氏が2018年7月30日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「過払い金が戻ったのにまた借りる「借金体質」はなぜ治らない?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/175877
・『過去に債務整理しても再び借金する人が増えている  ここ1~2年、過去に債務整理をした人が、再び借金をし始めてしまう「借金体質の再燃」が目立っています。2010年に改正貸金業法が完全施行され、借金をしにくい環境が整えられたはずなのですが、なぜなのでしょうか。 会社員のGさん(55歳)は40代の頃、クレジットカードを使いすぎて支払いができなくなり、消費者金融で借金をして支払いに充てるということを繰り返していました。自転車操業的に、お金を借りては返済するというのを繰り返し、数年が経過した頃、「過払い金の返還請求はお任せください」という広告を目にしたり、聞いたりするようになりました。 過払い金返還請求をした人の体験談を見ると、借金がなくなるどころか、払いすぎた利息、いわゆる「過払い金」が戻ってくると聞き、興味が湧きました。しかも、戻ってくる利息が数万円というレベルではなく、何十万円、何百万円という人までいる聞き、自分もやってみたいと思い始めました。 過払い金とは、貸金業法が改正される前に存在した、二つの法律が定める上限金利の“差”が生んだお金のことです。 現在、金利の上限は20%と定められていますが、以前は出資法で29.2%、利息制限法で20%とされていました(借金の額によって違いがあります)。そこで、多くの業者が、金利の高い出資法にのっとって利息を定めていました。それを利息制限法で計算し直し、払いすぎた利息が過払い金というわけです。 この過払い金を取り戻そうという「過払い金返還請求」は、改正貸金業法が完全施行された2010年前後に過熱し、客を得ようとした法律家たちが過剰な宣伝をしていたことを、覚えている方も多いのではないかと思います』、最近は弁護士事務所などの「過払い金返還請求」のテレビCMもずいぶん減ったが、その陰で、「過去に債務整理しても再び借金する人が増えている」、とは人間の性なのだろうか。
・『借金が圧縮される上に100万円以上戻ってくる  Gさんも、そんな過払い金返還請求をやってみようと思い立ち、借り入れの契約書などを持って法律家のもとへ行ってみました。すると、今まであんなに苦労して返済金をかき集めていたにもかかわらず、借金がなくなる上に、100万円以上も戻ってくると言われて驚きました。 ただ、全ての借金(債務)がなくなるというわけではなく、残債が残る借り入れ先もありました。そのため、任意整理という債務整理を勧められました。 法律家へは、消費者金融1社につき5万円ほど、成功報酬を支払わなくてはいけません。多少お金はかかりますが、やらないと損だとGさんは考え、さっそく過払い金返還請求と債務整理を依頼しました。数ヵ月ほどして、Gさんの手元には費用が引かれた80万円ほどが入ってきました。 Gさんは、返済の悩みから解放され、とても喜んでいました。ただ、こういう方を見ていると、私はいつも気になるのです。借金は整理されたけれど、その借金ができてしまった根本を改善しなくていいのかと。私が家計相談に力を入れてきた原点がここなのです。借金を抱える人にとって、法律家が取り組まない部分こそが、とても重要なのです。 Gさんは、たいした痛みも味わわずに、借金がなくなりました。一定期間、クレジットカードを使ったり、お金を借りたりすることはできなくなってしまいましたが、なんとか暮らしてこられたそうです。 そして7年ほどが経過し、再びクレジットカードを作ることができるようになりました。早速、数枚作り、上手に使っていた気持ちでいました。ですが、また、使い過ぎが始まってしまったのです。 気がつくと、全てのカードが利用上限近くまでに達し、毎月の返済額は8万円になっていました。これではいけないと思い、私のところに家計相談に来たのです。 「なんとか家計のやりくりだけで、うまく返していくことはできないでしょうか」 Gさんはそう言いますが、家族もいて、住宅ローンもある中で、手取り30万円ほどの収入では極めて厳しいものがありました。それぞれのカードの上限近くまですでに借りているので、これ以上の自転車操業は無理です。こうなった段階で「どうにかしてほしい」と他力頼みになるのは、ちょっと考えが甘すぎだと言わざるを得ません。 できることは、お金の使い方そのものを見直して家計の改善を図り、法律家の下で債務整理をすることです。一度債務をきれいにして、再スタートを切るというのが最も望ましいのですが、「周りに知られると恥ずかしい」などと言い出す始末。まだ、自分の置かれた状況が理解できていないのです』、懲りない人もやはりいるものだ。
・『家計改善に取り組み借金体質の原因を探ることが重要  こうしたGさんのように、一度、過払い金請求や債務整理をしたにもかかわらず、再び借金で苦しむ人たちが最近増えています。 借金を繰り返す原因は「家計」です。家計を根本から見直し、なぜ借金ができたのか、どこを改善すると今後借金をしなくてよくなるのか、その点を見つめ直し、改善しなければ何度も繰り返し、Gさんのような人を生んでしまう原因になっているのです。 Gさんは、結局、家計改善に取り組みながら、2度目の債務整理をしました。マイホームを守ることができる「個人再生」です。現在は借金を圧縮し、コツコツと返済していますが、ただ返すだけではなく、奥さんとともに家計簿をつけて無駄をなくしていくよう努力しています。少しずつですが、貯蓄もし始めました。 過払い金返還請求などで、一時的に楽になっても意味はありません。お金の使い方そのものを変えていかないと、本当の意味での解決にはならないのです』、最後の部分はその通りだ。

次に、2019年6月15日付け弁護士ドットコム「「性行為もできるすばらしい融資」 男性職員が逮捕された「ひととき融資」とは?」を紹介しよう。
https://www.bengo4.com/c_1/n_9762/
・『性的な行為を見返りに、法律で定めた上限を上回る金利で女性2人に金を貸し付けていたとして、出資法違反の容疑で大阪・千早赤阪村の30代男性職員が6月5日、警察に逮捕されました。報道によると、男性職員はネット掲示板でお金に困っている女性を見つけ、性行為を条件に、法定金利の最大7倍の金利で現金を貸し付けて利息を受け取っていたということです。 NHKによると、男性職員は「お金も返ってくるし、性的な行為もできてすばらしい融資だと思った」などと供述しているそうです。このような個人間の融資は「ひととき融資」と呼ばれ、ネット掲示板やSNSで広まっています。「ひととき有り」と書き込み、個人融資をするものです。 弁護士ドットコムにも、個人融資サイトで320万円借りたが、条件として「2年間の体の要求」があったという女性から相談が寄せられたことがありました。女性は困窮から条件を承諾してしまい、一度だけホテルに行ったそうですが、自宅も訪問されて困っているとのことでした。 このような「ひととき融資」には、どのような法的問題があるのでしょうか。髙橋裕樹弁護士に聞きました(Qは聞き手の質問、Aは髙橋弁護士の回答)』、「ひととき融資」が密かに広がっていたとは初めて知った。
・『肉体関係だけでなく、弱みを握って犯罪行為を強要  Q:「ひととき融資」とはどういうものなのでしょうか? A:「肉体関係(性交渉)をもつことを貸し付けの条件とする『ひととき融資』と呼ばれる個人 間融資は、数年前からネット上の掲示板等に出始め、様々な問題に発展しています。テレビやインターネット等でカードローンのCMを見ない日はないのに、なぜこんな融資を受けるんだろう、と感じられる方もおられるかと思います。 しかし、十分な給料がもらえず、生活費のための借入を繰り返した結果、借入限度額いっぱいになってしまって追加の借入が出来ない方や、支払いが滞ってブラックリストに載ってしまった結果、新たなローンの審査が通らないという方が非常に多くいます。 そして、金融機関からの借入が出来ずに困っている方々の足元を見て、違法な条件での貸 し付けを行う業者(ヤミ金業者)が未だに暗躍しています。 このいわゆるヤミ金業者が融資を行う場合、法定利息を超えた高利で貸付けるのが典型ですが、これに加えて、肉体関係(性交渉)を持つこと等の違法な条件を付けてくることも多 くなっています。 肉体関係のほかにも、年金や生命保険を担保にすること、携帯電話の契約をして端末を提供すること、銀行口座を開設して提供すること、振り込め詐欺のお金の引き出し(出し子)をさせるといった、単なる債権回収ではなく、弱みを握って犯罪行為を強要するという事態も起きています」』、「肉体関係のほかにも・・・弱みを握って犯罪行為を強要する」、犯罪の温床になっているようだ。
・『「ひととき融資」は貸金業法や出資法違反の可能性  Q:どういう法的な問題点があるのでしょうか? A:まず、業務として融資を行う資格のない者による貸し付けであるという点です。 他人への融資を『業として』行う場合、つまり不特定多数の相手に対する貸付を反復継続して行う場合には、財務局又は都道府県への業者登録が必要です(貸金業法)。無資格で貸金業を営んだ場合は、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金という重い刑が科されることになります。 一人だけに「ひととき融資」をしている場合は、『業として』融資を行っているとは認められない可能性がありますが、同様の手口で複数人に貸付をして、肉体関係(性交渉)を強いていたような場合は、この無資格貸金業者として処罰されます。 今回の被疑者は女性2人にお金を貸し付けていたとのことですので、『業として』行ったと直ちには断じられませんが、貸付の状況等によっては無資格貸金業者と判断される可能性もあると思います。 次に、貸付の利息が法律上許される利息の上限を超えているという点です。 貸金業者であっても、個人間であってもお金の貸付の際に利息を付す合意をする場合には、元本の金額に応じて、利息制限法によって利息の上限が決められています。 そして利息の上限を無視して貸し付けた場合は、出資法違反として、以下の刑罰が科せられることになります。 本件では出資法が制限する上限金利を超える利息での貸付を行っていたため、出資法違反での逮捕となったようです」』、「利息の上限を無視して貸し付けた場合は、出資法違反」、は当然だ。
・『避妊してもらえない、写真を撮られる…「肉体関係」持てば二次被害も  Q:肉体関係を迫ることに問題はないのでしょうか? A:「肉体関係を持つことを強要させるという性被害と、それに付随する性被害等にも問題があります。 『ひととき融資』の場合、いずれかの性犯罪に直ちに該当するわけではありません。借主女性が18歳未満でなければ青少年健全育成条例違反(淫行)にはあたりません。 また、貸主とのみの肉体関係(性交渉)であれば、『売春』すなわち不特定の相手方と対価を得て性交をしているともいい難く、売春防止法にも該当しません。さらに、貸主による脅迫がなされたと認められるような言動が裏付けられなければ強制性交等罪にもあたりませ ん。 しかし、肉体関係(性交渉)そのものの問題だけではなく、例えば、 ・ホテル代まで支払わされる ・避妊具をつけることを拒否される ・性交渉時の動画や写真を撮影される ・動画や写真をネタにさらに肉体関係や金銭を要求される といった二次的な被害も受けるケースが多いです。 これらの行為にもそれぞれ犯罪が成立する可能性はありますが、借主女性は、お金を借りているという後ろめたさ、動画などを拡散される恐怖心などから、警察などに相談できないケースも多く、被害として表に出ているのは氷山の一角ではないかと思います」』、「被害として表に出ているのは氷山の一角」、その通りだろう。
・『個人間融資に名を借りた恐喝、ヤミ金融の蟻地獄  Q:最近、こうした「ひととき融資」が広まっていますが、個人間融資で気をつける点はありますか? A:「銀行やサラ金業者からお金を借りられなくなった方々は、藁にもすがる気持ちで、知り合 いやインターネットで融資をしてくれる人を探します。 まさにそのような方の立場の弱さに付け込んで、違法な貸し付けを行うのがヤミ金業者で す。しかも、一度借りてしまうと、ヤミ金業者側が利息を一方的に上げたり、因縁をつけて 借金額を膨らませるなどして、ヤミ金業者との関係を終わらせないように、搾り取り続けら れるように仕向けてきます。本当に蟻地獄です。 しかし、ヤミ金業者だけではなく、皆さんの身近にも、お金の貸付に応じる条件として様 々な違法な要求をしてくる人は多くいる可能性があります。 個人間の貸付だから利息制限法の規制がないと勘違いしている人、お金を貸し付ける代わりに無償で仕事をさせる人、そして肉体関係(性交渉)を求める人など、私が相談を受けたケースだけでも、非常に多くの個人間融資に名を借りた恐喝が行われていることが多いです。 このように、銀行やサラ金業者からもお金が借り入れられなくなったら、身近な貸主や、ネットで貸してくれる人を探すのではなく、弁護士に相談に行ってください。仲の良かった友人であっても、お金の貸し借りをすることで人間関係が悪化してしまうケースは本当に多いです。 正規の貸金業者から借り入れができなくなった時点で、返済不能に陥っていて、破産をすべきというケースが圧倒的に多いので、借り換えを繰り返す自転車操業に陥る前に、債務整理や破産申立などをすることで、心に余裕ができますし、無用なストレスを感じる必要もありません。 貸金業者からお金が借りられなくなったら、その時点で弁護士に相談に行ってください」』、「銀行やサラ金業者からもお金が借り入れられなくなったら・・・弁護士に相談に行ってください」、基本中の基本のようだ。

第三に、6月26日付けダイヤモンド・オンライン「フラット35「不正利用」の全手口を不動産投資家が暴露」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/206785
・『近年、不動産投資における様々な不正行為が明るみになっている。そんな中、今年5月に住宅金融支援機構が提供するフラット35が不正に利用されている問題が発覚した。かつて、不動産業者の営業マンによる提案を受けたことがあるという不動産投資家が、その手口の詳細を明かす。 「フラット35の不正問題は、業界の人間には今さら感がありました。昔から少しローンに詳しい人間ならみんな、悪い業者がやっているだろうと思っていました」20件以上の区分マンションを所有する不動産投資家、東京マンションオーナーズ代表の依田泰典氏はこう嘆息する』、どんな手口があるのだろう。
・『途中で投資用になっても住宅ローンのまま  今年5月、住宅金融支援機構がフラット35の不正利用について調査を開始した。フラット35とは、同機構が民間金融機関と提携して提供する、最長35年の全期間固定金利住宅ローンのことだ。 住宅購入に関するローンには大きく2つある。自分が家に住む居住目的に融資されるのが住宅ローンなのに対し、収益を得る投資目的には不動産投資ローンが適用される。 両者の差は審査と金利にある。審査については、不動産投資ローンが個人の返済能力に加えて物件の収益性なども勘案されるため、住宅ローンよりも厳しい傾向にある。また、通常は不動産投資の方が金利は高く設定されている。逆にいえば、金利の低い住宅ローンで投資用物件を購入すれば、その分だけ儲けも大きくなるのだ。 審査時には居住用と証明するため住民票の提出などが求められるが、仮に所有者が少しだけ住み、転勤をきっかけに賃貸へ出したとしても、住宅ローンはそのまま継続される。 そんな抜け穴を利用し、住宅ローンであるはずのフラット35が不動産投資に使われていた不正が次々明るみに出た。きっかけは、投資用シェアハウス販売において、スルガ銀行を舞台として預金通帳の残高偽装などの問題が発覚したことだ。その後、各メディアが不動産投資の現状を調査する中で、この不正がクローズアップされた』、「投資用シェアハウス」の問題化に伴って、「フラット35「不正利用」」問題も「クローズアップされた」、大いに調査して不正の実態を暴いてほしいものだ。
・『営業マンも自ら投資物件を不正取得  実は依田氏のもとにもかつて、不動産販売業者から不正を前提とした投資用物件購入の提案を持ちかけられたことがあり、断った経験があるという。 融資先の候補は、(1)借り入れが少なくローンが通りやすい低所得者、(2)不動産投資に造詣のあるベテラン、セミプロ、複数所有者などの高所得者、という2パターンに分かれる。 (1)は朝日新聞のスクープがきっかけで詳細が判明した。もともと物件を買えないような低所得層・若年層に対し、不動産販売業のトップ営業マンがセミナーやネットで勧誘して、フラット35を悪用し物件を販売していた。 だが依田氏によれば、他にも自分で投資用物件を保有したいと考える不動産営業マンが、自らフラット35を積極的に使っていたという。なぜなら、営業マンが顧客に提案をする際により説得力が増すからだ。 とはいえ、彼らも普通のサラリーマン。通常なら一定の資産がない限り投資用物件の購入は難しい。にもかかわらず、物件を所有する営業マンがいるのを不思議に感じた依田氏が、その営業マンに尋ねてみると「実はフラット35を活用した」というケースが後を絶たなかったそうだ』、「営業マンも自ら投資物件を不正取得」、「不正取得」には問題があるが、「投資物件」の将来性自体は折り紙つきとみることも可能だ。
・『投資用の借り入れは審査で考慮されない  (2)では、不動産を複数保有すると借り入れ総額が金融機関の融資枠をオーバーするケースがある。その場合、それ以上は不動産投資ローンが通らない。だからフラット35しか借りられない状態になるわけだが、さらに物件を買い増したい投資家はたくさんいる。 そんな投資家に対し、営業マンが「フラット35を活用して投資用物件を買い増しませんか?」と提案してくるのだ。こうしたケースは一棟ものよりも区分マンションへの投資を好む投資家に多かったという。 またフラット35では、個人の返済能力を見る際に年収が重要になる。しかし、投資用物件に関する借り入れについては、事業用資産として返済能力とは無関係と見なされる。そのため、その借り入れは勘案されないのだ。そんな抜け穴を業者が狙う。融資審査で借り入れ総額を勘案しないフラット35の悪用は、購入意欲の強い投資家をたぶらかすにはおあつらえ向きというわけだ』、「フラット35」の「融資審査」でも、「借り入れ総額」を参考情報としてチェックすることで、抜け穴を塞ぐべきだろう。
・『入居者と結託して転送不可郵便を転送  投資用シェアハウス問題とフラット35問題には根本的な違いがある――。それは「エンドユーザーが理解して不正に手を染めたかどうか」という点だ。 投資用シェアハウス問題では、不動産投資の経験者などリテラシーのある高所得者が多くだまされた。忙しくて現地を見られないといった事情から、業者のロジックだけを信じてしまった。もちろん投資は自己責任だが、結果として預金通帳の偽造などは、自分のあずかり知らぬところで不正をされたという構造があった。 だが、フラット35問題の場合、エンドユーザーが不正だと認識して申し込みをしている可能性が高いというのだ。 「業者に『みんなやっているし、私もやっている』などと言われて、罪の意識が低いまま不正に加担しているという構造です。特に利用者が低所得者でなく、ある程度リテラシーの高い不動産投資家の場合、自己利益のため明確な意思をもって不正に加担している可能性が高い」(依田氏)。 また、投資家と入居者が結託して不正に手を染めている可能性も潜むという。住民票を確認した上で融資が決まれば、フラット35に関する転送不可の郵便物が届く。この郵便物をきちんと返信することで、居住確認の材料にするのだ。 そこで投資家は入居者に「住宅金融支援機構からフラット35の書類がきたら、私宛ての封筒にいれて書類を送ってくれ。代わりに家賃を少し下げるから」とあらかじめ伝えておく。すると入居者は「お安い御用です」となる訳だ。こうすれば、金融機関にさえばれない限り、実際に住んでいるという判断が下されてしまう』、確かに「投資家と入居者が結託」した場合には、不正を見抜くのは実務的に困難だろう。
・『実態を解明しても取り締まりは難しい  さらに悪質なのは、投資用不動産にもかかわらず、住宅ローンを適用すれば「住宅ローン控除」が受けられることだ。他にも投資家が友人を居住させ、家賃を現金で受け取るケースもあるという。そうすれば、不動産収入分を確定申告しなくて済むからまる儲けになる。税務署もそこまで捕捉できないからだ。不動産収入を得つつ節税になるという一挙両得だが、もちろんこれは完全に所得税や住民税などの脱税に当たる。 そのあたりは不動産業者も十分承知している。簡単にばれると商売が成立しないため、どうすれば発覚しにくいか丁寧に解説しているケースもある。具体的には、住民票、源泉徴収票、納税証明書、確定申告書の住所異動などに注意を払うよう促すなど、不正発覚に対して先手を打つそうだ。 また、当初は本当に居住用で購入する前提で決済(引き渡し)をした後、投資家が居住せずそのまま賃貸に出してしまうケースもある。こうした心変わりまで的確に見抜くのは至難の業だ。 現在、住宅金融支援機構は全件調査に着手しており、不正の全貌は調査結果を待つしかない。ただ「今後は機構が実態を解明したところで、本当にやむなく賃貸に出したケースまで取り締まることはできないし、現実的に難しいと思います」と依田氏は話す。 調査後に同機構がどこで不正の線引きをするのか。それによっては不動産販売業者のみならず投資家の責任までも追及される事態になる可能性がある』、「住宅金融支援機構は全件調査に着手」、には大いに期待したい。「調査後に同機構がどこで不正の線引きをするのか」、投資用なので可能な限り厳しくするべきだ。

第四に、12月6日付けダイヤモンド・オンライン「LINEが貸金業を開始、本格化する「信用スコア」が向かう未来とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/222612
・『LINEがついに個人向けローンサービス「LINE Pocket Money」を開始した。従来型の信用情報に加え、LINE Scoreの信用度に基づいて借りられる金額が決まり、手続きもスマホ1台で完結するという。そのメリット、デメリット、今後の展望を信用スコアに詳しい関東学院大学の折田明子准教授に聞いた』、興味深そうだ。
・『信用スコアはポイントカードの発展形  近年、メディアに文字が躍ることが多い「信用スコア」というワード。アメリカや中国などでは広く浸透しているが、日本ではまだそこまで浸透しているわけではない。 今回、LINEが独自の信用スコアに基づく個人向けローンサービスを開始したことで、スマホを持つ人の多くがその存在を知ったことだろう。そんな人のために、まずは予備知識として信用スコアと従来の信用システムとの違いを紹介していこう。 従来は、年齢、性別、住所(持ち家か否か)、職業、年収といった、その人物の属性に加え、信用情報機関が有する信用情報(借入残高や返済状況など)を踏まえて与信を判断していた。しかし、この従来型モデルでは、フリーランスというだけでローンの契約ができないなどの課題も多くあった。 「LINE Pocket Money」でも、信用情報とみずほ銀行やオリエントコーポレーション(オリコ)の与信審査ノウハウが用いられる。しかし、独自の「信用スコア」も合わせて用いることで、その人の信用をより多面的に測ることが可能になるという。 「信用スコアは『ポイントカード』の発展形だと捉えています。ポイントカードは自分の属性を登録し、買い物のたびに提示することで購買履歴を提供します。それらのデータから、カスタマイズされたクーポンや広告が配信され、さらに提示する(=データを提供する)ことでポイントがたまるわけです。信用スコアも、各種の質問への回答やサービスの利用状況から、その人物のスコアが計算され、それに応じた待遇を受けられるという意味で同様の方向だと考えられます。これに決済サービスが組み合わさることで、資産や消費行動も併せてスコア化ができるのです」(折田氏、以下同) 日本で先駆けとなったのは、2017年に開始されたみずほ銀行とソフトバンクによる「J Score」。これは先の「LINE Pocket Money」と同じく、個人融資がメインのサービスだ。一方、先日LINEと経営統合が決まったヤフーが提供する「Yahoo!スコア」は、融資目的ではなくサービス向上ならびに連携サービスへのスコア提供という活用方法だ。 このほか、ドコモやメルカリも独自の信用スコアをスタートさせるなど、今後も活発に利用されることが予想されている』、「信用情報・・・従来型モデルでは、フリーランスというだけでローンの契約ができないなどの課題も多くあった」ので、「消費行動も併せてスコア化ができる」意味は大きそうだ。
・『信用スコア先進国の中国では、アリババがスコアを運営しているほか、2020年までには政府主導で年齢、職業、学歴、公共料金などの支払い記録、決済状況、公共交通機関での振る舞いなど、あらゆるデータから信用スコアを算出する「社会信用システム」の全国導入を進めている。 この国家による「社会信用システム」の評価が低い人は電車で移動できる範囲が決められたり、スコアが結婚の指標にもなるなど“信用スコア格差”が広がっているという。 このような状況もあって、信用スコアの利用に二の足を踏むユーザーも多い。それでも日本で信用スコアを利用するメリットはあるのだろうか。 「信用スコアでは、性別、年齢といった固定的な属性で一括して扱われるのではなく、個々の性質や行動をもって、与信や特典などの判断が可能になります。例えば20代女性と50代男性というくくりで判断したり、「既婚女性=低収入」という先入観を持ったりなど、社会的なステレオタイプで信用や嗜好を決めつけなければ、多様なライフスタイルに合わせてふさわしいサービス提供が期待できます」 与信や特典などは、信用スコアに個人情報を提供することで受けられる「恩恵」に当たる。フリーランスでも信用スコアが高ければ、ローンの契約をできるようになるかもしれないのだ。 では一方で、デメリットはなにか。 「スコアを生成するアルゴリズムは、人間が設計します。どのような価値観で何を重視してスコアを設計するかは信用スコアにおいて非常に重要な点です。たとえば、あるスコアでは『年齢(若いこと)』『性別(女性)』『ネットで買い物をすること』がプラス評価になり、別のスコアではマイナス評価になることもあり得ます。1つのスコアリングサービスに過度に依存することは、知らないうちに『あるべき姿』をコントロールされることになるかもしれません」 一步間違えば、ディストピアに陥ってしまう可能性もあるというわけだ。また、アルゴリズムは悪用を防ぐために公表はされないため、客観的にスコアを上げる方法はユーザーには分からない。そのため、利用する際には複数のサービスを活用するなどのリスク分散を考慮する必要がありそうだ』、中国の「社会信用システム」は、どうみても行き過ぎだ。「1つのスコアリングサービスに過度に依存することは、知らないうちに『あるべき姿』をコントロールされることになるかもしれません」、「利用する際には複数のサービスを活用するなどのリスク分散を考慮する必要」、その通りだろう。
・『日本は中国のような信用スコアにはならない  日本において、信用スコアは発展途上という印象が強いが、今後、果たして普及するのだろうか。 「ポイントカードがこれだけ普及していますし、受けられるメリットが大きければ普及するのではないでしょうか。まずは、決済サービスの普及状況次第かもしれません。ただ、日本では現在複数のサービスが運用されているため、単一のサービスだけが支配的になるという、多くの人が懸念する状況にはならないと思います」 単一のサービスならば、中国のような格差が生じ、信用スコアによって社会的弱者が固定されてしまう。現状、複数のサービスがあることで、その危険性を緩和しているともいえるのだ。 ただし、現状の信用スコアにも課題はある。今年7月にスタートした「Yahoo!スコア」がYahoo!IDを持っているユーザーの合意なく、自動的に作成と利用を許可する仕様になっていたため、「炎上」したのは記憶に新しい。 「信用スコアは、場合によってはどこで何を買ったかなど、多くのデータを提供することになるので、運用側は併せてプライバシーの保護や利用者の同意についてきちんと整備することも、普及に向けて必要なことでしょう」 今までよりも正当な評価を受けられる「かもしれない」、信用スコア。格差や監視が生まれないように、ユーザー側も注視していくべきだろう』、ビッグデータの時代になって、個人情報の価値はますます増大している。「Yahoo!スコア」やリクナビ問題のような乱暴な例が出ないよう個人情報の利用・活用に当たっては、きちんとしたルールの確立が必要だろう。
タグ:中国 スルガ銀行 弁護士ドットコム ダイヤモンド・オンライン 横山光昭 個人債務問題 (その2)(過払い金が戻ったのにまた借りる「借金体質」はなぜ治らない?、「性行為もできるすばらしい融資」 男性職員が逮捕された「ひととき融資」とは?、フラット35「不正利用」の全手口を不動産投資家が暴露、LINEが貸金業を開始 本格化する「信用スコア」が向かう未来とは) 「過払い金が戻ったのにまた借りる「借金体質」はなぜ治らない?」 過去に債務整理しても再び借金する人が増えている 借金が圧縮される上に100万円以上戻ってくる 家計改善に取り組み借金体質の原因を探ることが重要 「「性行為もできるすばらしい融資」 男性職員が逮捕された「ひととき融資」とは?」 髙橋裕樹弁護士 肉体関係だけでなく、弱みを握って犯罪行為を強要 「ひととき融資」は貸金業法や出資法違反の可能性 避妊してもらえない、写真を撮られる…「肉体関係」持てば二次被害も 個人間融資に名を借りた恐喝、ヤミ金融の蟻地獄 「ひととき融資」 「フラット35「不正利用」の全手口を不動産投資家が暴露」 途中で投資用になっても住宅ローンのまま 投資用シェアハウス 営業マンも自ら投資物件を不正取得 投資用の借り入れは審査で考慮されない 入居者と結託して転送不可郵便を転送 実態を解明しても取り締まりは難しい 住宅金融支援機構は全件調査に着手 「LINEが貸金業を開始、本格化する「信用スコア」が向かう未来とは」 LINE Pocket Money 信用スコアはポイントカードの発展形 アリババがスコアを運営 「社会信用システム」の全国導入 1つのスコアリングサービスに過度に依存することは、知らないうちに『あるべき姿』をコントロールされることになるかもしれません 日本は中国のような信用スコアにはならない
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暗号資産(仮想通貨)(その14)(「仮想通貨ビットコインに関する全ての嘘はもう終わりだ」自称サトシ・ナカモトがブログ更新、自称サトシ・ナカモトにビットコイン40億ドル譲渡命令-米連邦地裁、仮想通貨はバブル崩壊後 これだけ変わった──価格 信用力 規制、金融庁が認めた仮想通貨交換所の「ある評判」 最後のみなし業者「ラストルーツ」が登録) [金融]

暗号資産(仮想通貨)については、7月27日に取上げた。今日は、(その14)(「仮想通貨ビットコインに関する全ての嘘はもう終わりだ」自称サトシ・ナカモトがブログ更新、自称サトシ・ナカモトにビットコイン40億ドル譲渡命令-米連邦地裁、仮想通貨はバブル崩壊後 これだけ変わった──価格 信用力 規制、金融庁が認めた仮想通貨交換所の「ある評判」 最後のみなし業者「ラストルーツ」が登録)である。なお、これまでは「暗号通貨」としていたが、金融庁にならって「暗号資産」に変更した。

先ずは、8月4日付けCointeregrph Japan「「仮想通貨ビットコインに関する全ての嘘はもう終わりだ」自称サトシ・ナカモトがブログ更新」を紹介しよう。
https://jp.cointelegraph.com/news/craig-wright-warns-all-the-lies-about-btc-will-end-soon
・『ビットコイン創設者サトシ・ナカモトを自称するクレイグ・ライト氏は、2日にブログを更新し、ビットコインをめぐる全ての嘘はもう終わりだと述べた。 ライト氏は、とりわけビットコインが検閲不可能で政府に対抗するために作られたとする説を否定。「ビットコインとは政府を倒し匿名のドラッグ・マネーだと主張する者たち」を厳しく非難し、「全ての嘘はすぐに終わりを迎えるだろう」と述べた。 ライト氏にとって「検閲できないブロックチェーンはない」。ビットコインとは「無政府主義者」のものではなく、「薬物販売やマネーロンダリング(資金洗浄)、人身売買などを可能にするために作られた全ての仮想通貨は失敗してきた」と述べた。 「ビットコインとは不変の証拠システムとして機能するブロックチェーンだ。(中略)ビットコインは脱税をする人々にとってフレンドリーではない。」 その上でライト氏は、自らが2008年のビットコインのホワイトペーパーを執筆したと改めて主張。そして、それは「BTCと呼ばれる壊れたシステム」とは異なるものであると訴えた。同氏は自らの正当性を訴えるため、裁判で争うことを表明。「もしあなたがツイッターを信じ、同じくらいタチの悪いニュースソースを信じれば、あなたは悪い立場に追いやられることになる」と警告した。 既報の通り、ライト氏は長年パートナー関係にあった起業家クレイマン氏の資産管理人と係争中。フロリダ州の裁判所に、2013年12月以前のビットコイン保有量を証明するように求められている』、「ライト氏」が「サトシ・ナカモト」か否かは別として、神話的な「嘘」が正しくないと主張していることには違和感はない。しかし、「「BTCと呼ばれる壊れたシステム」とは異なるものである」、は意味不明だ。最後の係争に関しては、次の記事がより詳しい。

次に、8月28日付けBloomberg「自称サトシ・ナカモトにビットコイン40億ドル譲渡命令-米連邦地裁」を紹介しよう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-28/PWXFAF6S972801
・『・・・仮想通貨ビットコインを10年前に考案したと主張するクレイグ・ライト被告は元パートナーの遺産を巡る訴訟で、偽の文書を提出し虚偽の証言を行ったと米フロリダ州の連邦地裁判事が26日判断し、ビットコイン40億ドル(約4200億円)余りを譲り渡すよう命じられた。 ウェストパームビーチにある同地裁の記録によれば、ライト被告が2013年末までに採掘した全ビットコインと被告が生み出した全ての知的財産の半分は、同年死去したデーブ・クライマン氏の保有分だとブルース・ラインハート判事は結論付けた。つまり41万を超えるビットコインがクライマン氏の遺産に加わることになる。27日時点で1ビットコインは1万162ドル。 ライト被告が違法に資産を押さえ、うそをついているとしてクライマン氏の遺族が起こした訴訟で、判事は書類提出命令に従わなかったとして被告を罰した。 今後の焦点は、ライト被告がクライマン氏側に実際にビットコインを引き渡せるかだ。被告は法廷で、採掘したビットコインがどこにあるのか知らないし、アクセスさえできないかもしれないと証言した。ビットコインの大量売却もしくは移管はビットコインの価格に大きく影響し得る。 ライト被告は自分こそがビットコインの生みの親「サトシ・ナカモト」だと主張してきたが、仮想通貨コミュニティーからは疑念が浮上、今回の訴訟で真偽がはっきりするのではないかとの見方が出ていた。 ラインハート判事はライト被告が「サトシ・ナカモトであるかの判定は求められていない」と語るとともに、被告が現在管理しているビットコインがあるとしても、その額の判断も求められていないと説明。その上で、被告は引き続き争うことができるとして、訴訟決着とはしなかった。 ライト被告のスポークスマンを務めるエド・パウナル氏は電子メールで、ビットコイン保有が認定されたことが被告をサトシ・ナカモトと証明すると主張。判事はビットコインの所在を知らないと申し立てた被告について、信用できないとしている』、「訴訟決着」ではないとしても、ライト氏はうさん臭さがつきまとうようだ。

第三に、12月5日付けNewsweek日本版「仮想通貨はバブル崩壊後、これだけ変わった──価格、信用力、規制」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2019/12/post-13540_1.php
・『<「日本の規制は厳し過ぎるし、ほとんど意味もない」と語る慶應義塾大学の坂井豊貴教授。日本では2年前の暴落とともに注目度も下がっていたが、ビットコイン、リブラ、デジタル人民元の覇権争いが起こり、世界的に注目が高まる仮想通貨の現状について聞いた> 2017年の高騰で一気に高まった仮想通貨への世間的な注目度は、翌年初頭の暴落などで急速に低下した。それが2年近い時を経て、リブラやデジタル人民元などで、再び注目を集めている。 ではこの2年で、仮想通貨の世界にはどんな変化が起きていたのか。『暗号通貨vs.国家 ビットコインは終わらない』(SBクリエイティブ)などの著書がある慶應義塾大学の坂井豊貴教授(経済学)に、本誌編集部の藤田岳人が聞いた』、興味深そうだ(Qは聞き手の質問、Aは坂井教授の回答)。
・『Q:2018年初頭、なぜ仮想通貨の価格が暴落したのか。 A:一般的には、中国マネーが引き揚げたことが、大きな要因だったと考えられている。ただ、2017年12月と2018年1月が異常に高騰していただけで、それが戻っただけの面も大きい。 Q:日本では、同時期に起きた仮想通貨取引所コインチェックでの通貨流出事件が注目されたが。 A:マイナス要因にはなっただろうが、それほど価格は下がらなかったはずだ。仮想通貨のマーケットは世界なので(日本の状況は)そこまで相場全体に影響を与えていないと思う。 Q:日本では暴落と流出事件で、世間的な関心や信用が急速に低下した。 A:日本にいると、ビットコインのありがたみが分かりにくい。円が抜群に安定しているからだ。一方でベネズエラやトルコのような政情が不安定な国では、通貨の価値が非常に不安定なので、社会や経済が不安定化したときにビットコインに資産を逃がすということが起きる。 国家の重要な存在意義の1つは私有財産の保護だが、法定通貨には国家の浮沈に応じて私有財産の価値が上下するリスクがある。国家の浮沈と連動しない「非国家」の通貨には独自の価値が認められつつある。 Q:世界的に見れば、仮想通貨への信用は低下していないということか。 A:この問い自体が、実は現状に即していない。ビットコインは資産価値が20兆円近くある。既に人類有数の資産クラスであり、価値を認める認めないという話はとっくに終わっている。20兆円分も発行されている通貨は世の中にそれほどない。 金融サービスが充実していない途上国では「金融包摂(全ての人が利用できるようにすること)」の観点から、仮想通貨・デジタル通貨への関心が高い。中国でデジタル決済が発展したのは、金融サービスが社会の隅々まで行き渡っていなかったからでもある。国際決済銀行(BIS)でさえ、国家がデジタル通貨を発行することにだんだん肯定的になってきている。 Q:先進国ではどうか。 A:仮想通貨が大きな脚光を浴びているというのは、世界的な趨勢だ。特に仮想通貨リブラを発表したフェイスブックなど、「金融のようなことがしたい」人たちからの注目度は高い。通貨は発行したものが大きな利益を得ることもあり、発行を目指している企業は多いはずだ』、「通貨は発行したものが大きな利益を得る」、いわゆる通貨発行益(シニョリッジ)のことだ。フェイスブックによる「リブラ」は、主要国当局の慎重姿勢で店晒し状態だ。
・『Q:2年前と比べ、日本の規制環境はどのように変化したか。 A:取引所を作るのに、銀行並みの条件が求められるようになり、免許が非常に取りにくくなった。また日本の取引所は取り扱う通貨の種類が非常に少ないが、それも国内の規制が厳しいからだ。 ではその規制に意味があるかというと、ほとんどない。なぜなら、日本でも知識のある人は海外の取引所で取引をするからだ。世界の誰もがいつでも外国のマーケットにアクセスできる状況で、規制は消費者を保護するという目的は果たせない。日本の取引所の魅力がなくなって、儲からなくなるだけだ。 Q:現状は適切な規制環境ではないということか。 A:非常に否定的に見ている。取引所への要求が厳し過ぎるのに加え、取引所ではないところにも取引所並みの厳格さを求めており、事業が非常にやりにくい環境をつくっている。 今後、不動産を価値の裏付けとして所有権の分割のような形で(仮想通貨の一種である)トークンを発行するような手法が進んでいくとみられる。そのトークンを持っていれば、家賃の一部が得られる。しかし日本ではこうしたトークンは基本的に、証券会社でなければ扱えないと法律で決まった。せっかく技術革新が起きたのに、既得権益層しか扱えない。 Q:政治や行政に問題があるのか。 A:法律によって管理するという手法そのものが仮想通貨に向いておらず、時代遅れだと感じる。業種に限らず、変化のスピードが速い現代では、世の中を法律で管理することに無理が来ている面もある。こうした問題意識を持っている人は実は少なくない。 Q:2017年にはビットコイン以外の仮想通貨「アルトコイン」も注目を浴びたが、その潮流に変化はあるか。 A:当時人気だったアルトコインの多くは、価格が大きく下がり、新しいアルトコインに入れ替わった。 Q:現在、注目されているアルトコインにはどんなものがあるのか。 A:例えば面白いのはDAIという仮想通貨を使った「分散金融」。サイバー空間にある種の銀行があり、DAI所有者は誰でもそこでお金を貸して利息を得られる。別の通貨MKRを持つと、DAIを発行する組織の運営に参加できる。これは金融機関を分散的に運営するようなものだ。 そんな金融の仕組みは、人類の歴史に存在しなかった。ブロックチェーンの世界がすごいのは、新しい組織の形態など、これまでになかった概念そのものが生まれているところだ。MKRのように運営に参加する権利としての通貨はユーティリティ・トークンと呼ばれる。これはカネと言えばカネだが参加権でもあり、やはり従来の概念では言い表せずユーティリティ・トークンと呼ぶしかない。私の言っていることの意味が分からない人は、既存の言語では表現し切れないことが起こっているのだと思ってほしい』、「坂井教授」は著書のタイトルでも分かるように、積極論者のようだ。「DAIという仮想通貨を使った「分散金融」」は確かに画期的な試みのように思えるが、「別の通貨MKRを持つと、DAIを発行する組織の運営に参加できる」、参加の実効性が如何に確保されるかは問題だ。
・『Q:その中で、原点であるビットコインが廃れないのはなぜか。 A:ビットコインは特別。カリスマであり、スーパーブランドだ。例えば南アフリカの通貨ランドを知らない人でも、ビットコインは知っている。しかもマイニング業者など周辺を支えるコミュニティーがしっかりしていて、産業として確立している。 もう1つ、スマートコントラクトという契約実行のプラットフォームである「イーサリアム」を使う際、使用料のように働く仮想通貨イーサも、特別な地位を確立している。今後も、この2つが価値を失う事態は想像できない。 Q:ICO(仮想通貨を活用した資金調達手法)は廃れたのか。 A:規制の強化で日本では事実上できなくなった。ICOとは例えば遊園地を造りたい人が、先にチケットを売って集めたお金で遊園地を造るようなもの。お金の持ち逃げや、遊園地を造らない人が多く現れたことが、問題視された。 だが法規制には柔軟性がないので、まともな事業家まで、本来なら非常にポテンシャルの高い資金調達法だったはずのICOを使えなくなった。株式会社の場合はどうしても出資者である株主、つまり投資家を向いて経営しなければならないが、ICOの出資者はお客さんなのでお客さんのほうを向いて経営できる。 Q:では、どういった形での規制が望ましいのか。 A:法律でなくても管理はできる。例えば事業者が、ICOで集めた資金の引き出しは10回の分割で、しかも毎回出資者の過半数の合意がなければできないと決めればよい。持ち逃げできないことに事業者が自分でコミットするのだ。先ほど言ったスマートコントラクトという仕組みを使えば、こうした仕組みはつくれる。しかも自らが設定した条件を、誰も変えられない。出資したい人は、こうした仕組みがあるかどうかでICOを評価すればよい。ないならないで、それなりに評価すればよい。 これなら法律で厳しく規制しなくても市場で選別できる。スマートコントラクトは必ず発動する、信用を必要としない「トラストレス」の仕組みであり、持ち逃げを抑止できる。 Q:ほかに注目すべきテクノロジーの進化はあるか。 A:テクノロジーの進化というよりも、テクノロジーの利用方法の進化に注目すべきだ。新しいものだと分散金融のような。ビットコインも本当にすごいのは技術そのものというよりも、既存の技術を組み合わせて新しい概念のお金を創出したところだ。概念の創出がすごいのだ』、「ICO」も「持ち逃げできないことに事業者が自分でコミットするのだ。先ほど言ったスマートコントラクトという仕組み」、確かに法規制ではなく、仕組みで不正防止を図るのは合理的だ。
・『Q:では一般的な興味を持たれやすいビットコインの価格の変動について、最近の動きを解説してほしい。 A:今年の動きを振り返ると、2月には40万円を切っていたが6月に急騰して一時的に140万円を超えた。その後に少し下がって現在は80万~100万円ほどだ。なぜこのように変化しているかは分からない。だが分からないながらも、完全に無秩序に動いているわけではない。 例えば大きかったニュースはリブラとデジタル人民元で、両方ともビットコインには好材料だった。仮想通貨は巨大企業や国家が本気で発行を目指すほど将来性があるのだと、世の中に伝わったからだ。また投資機関が私的年金の運用などにビットコインを組み入れる動きも起きている。彼らは定期的に買い続けるので、需要を下支えする効果がある。 Q:現在の価格をどうみるべきか。 A:2017年末のような熱狂的なバブルは終わった。今は、マーケットは冷静になっている。その分、今の80万~100万円という価格は手堅いと考えることもできる。加えてリブラとデジタル人民元のおかげで、仮想通貨の存在感は上がっている。 Q:今後、価格に影響を与えそうな出来事には何があるか。 A:来年5月には、ビットコインのマイニングに成功した者に支払われる報酬の額が半分になる「半減期」がある。過去の半減期を見ると、その直前には価格が上がる傾向がある。 仮想通貨は秩序がないように見えて、実は「お約束」にはそれなりに忠実だ。例えば取引所が、ある通貨の取り扱いを始めるというニュースがあると、その通貨の価格は上がる可能性が高い。当たり前のことではあるが、海外の取引所の使い方などの前提知識と、そうしたお約束が分かっていれば、現在の低金利時代に投資で利益を得ることも可能だろう。もちろん、予期せぬ暴落というリスクは常にあるのだが。 Q:こうした状況の変化についていくには、どうすればよいのか。 A:今もどんどん状況は変わっており、ついていくのは大変だ。そういう時代に、実はクラシカルな学問が有効だと思う。伝統的な貨幣論は仮想通貨の理解に役立つ。ビットコインが登場したときに世の中は法定通貨でないことに驚いていたが、歴史家は国が発行しない通貨が昔から多く存在してきたことを知っていた・・・』、学者であれば、良い材料だけでなく、悪い材料も挙げるべきだが、良い材料だけにとどまっているのは、残念だ。 

第四に、12月17日付け東洋経済オンライン「金融庁が認めた仮想通貨交換所の「ある評判」 最後のみなし業者「ラストルーツ」が登録」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/319560
・『日本国内で仮想通貨(暗号資産)交換所の運営や取次・媒介などを行う際に必要となる仮想通貨交換業登録。金融庁は11月27日、「c0ban(コバン)取引所」を運営するラストルーツの交換業登録を認めた。 同社は2017年3月に取引所を開設、独自発行の仮想通貨「c0ban」を扱ってきた。登録制導入前に取引所サービスを開始したため、「みなし業者」として登録を目指しながら営業。今年3月に楽天ウォレットが登録を完了した後は、仮想通貨交換業者の中で最後に残るみなし業者となっていた』、「交換業登録を認めた」背景には何があったのだろう。
・『交換業登録をめぐり、繰り広げられた駆け引き  「これで登録できないなら、日本の当局はスクリーニング(審査)能力が低いということ。登録不可なら日本の暗号資産業界は終わり」 ラストルーツに登録が下りる前、ラストルーツの親会社であるオウケイウェイヴの松田元社長はそう大見得を切っていた。オウケイウェイヴはQ&A投稿サイトを運営し、名古屋証券取引所に上場する企業で、2019年4月にラストルーツを子会社化(出資比率は82.88%)していた。 ラストルーツの交換業登録をめぐっては、同社と既存の交換業者で構成される業界団体、金融庁の3者間での駆け引きが長く繰り広げられた。大きな論点となっていたのがラストルーツの親会社社長である松田氏の「評判」だ。前述の発言は自身に向けられた疑念に対するものだった。 松田氏は1984年生まれの35歳。顧客企業の従業員に代わって、集めたフリーターに電話営業をさせる営業代行会社を早稲田大学在学中に起業した。買収などで事業を拡大しつつ、2015~2017年には上場会社でITシステム構築のデジタルデザイン(現SAMURAI&J PARTNERS)役員に就任。その後、オウケイウェイヴのエグゼクティブアドバイザーになった。 オウケイウェイヴへの経営参画は、同社創業者の兼元謙任社長(当時、現会長)に知人の経営者を通じて出会ったことがきっかけだった。 兼元氏にAI(人工知能)や医療関連の事業投資案件を紹介するなどしているうちに、松田氏は役員として抜擢され、2018年7月にオウケイウェイヴの社長に就任。現在は会長に退いた兼元氏に代わり、オウケイウェイヴの筆頭株主にもなっている。 若くして実業家の道を順調に駆け上がってきたようにみえる松田氏。しかし、既存の交換業登録業者の中では松田氏のことをいかがわしく見る向きが強く、ラストルーツの登録を認めることに否定的な意見を業界団体幹部が金融庁に伝えていた。 その背景にあったのは、松田氏が「情報商材屋」ではないかとの疑念だ』、「「情報商材屋」ではないか」とは穏やかではない。
・『30歳で年収13億円を稼ぐ  「会社は赤字続きでとうとう、ボーナスゼロ。『もう俺もリストラか……』。そう思ってました。子どもは3人、勢いで買った新築マンションの住宅ローン、子どもたちの養育費を考えれば、リストラなんて絶望的です。ところが、松田さんの錬金術で、月30万円の不労所得が手に入った!!人は、死なずとも生まれ変われる!!」 これはあるアフィリエイターが2014年に送信したメールの文言だ。別のアフィリエイター作成の集客用動画に実業家兼投資家として登場した松田氏は、「30才にして年収13億円を稼ぐ松田元さん」「投資で原資50万円を資産13億円に膨らました」などと紹介されていた。 それらアフィリエイターが勧めていたのは、約30万円で松田氏の投資ノウハウが学べるという塾への入会だった。 「1日数分の作業で月に数百万円を稼ぐ方法」など、金儲けのノウハウを商品として販売するのが情報商材ビジネスだ。ネットやセミナーを介して近年急速に広まっているが、そう簡単に儲けられるわけもなく、消費者トラブルが急増している。 松田氏は東洋経済の取材に「自分は情報商材屋ではない」と明確に否定。そのうえで「買収していった先の会社にビジネススクールがあり、そこで投資の話をしたらすごく受けた」と説明する。 たしかに松田氏の役回りは投資に対する考えやノウハウを伝える講師というものだった。だが別のアフィリエイターのメールでは、「ネットビジネス業界のドン達のメンター」と紹介されている。このように情報商材屋との近い距離感は、既存の金融業界の感覚からすると忌避されても仕方がないものだ。 ほかにも松田氏の人脈が疑念を膨らます原因になっていた。合成麻薬のMDMAを使った疑いで11月に警視庁に逮捕された金融トレーダーの「KAZMAX」(カズマックス)こと、吉澤和真被告との関係もその1つだ。吉澤被告はかつて松田氏の傘下企業におり運転手を務めていた』、「金儲けのノウハウを商品として販売するのが情報商材ビジネスだ。ネットやセミナーを介して近年急速に広まっているが、そう簡単に儲けられるわけもなく、消費者トラブルが急増している」、確かにこの手のPRも目立つ。。
・『松田氏に理解を示す大物行政官  吉澤被告は麻薬取締法違反で逮捕される前、オンラインサロンの生徒たちを誘導することによって、仮想通貨の価格を操縦し、利益を得ていたと『週刊文春』などに指摘されていた。松田氏によると、ビジネスでの関係は最近なかったという。 毀誉褒貶が交錯する松田氏だが、理解を示す人物もいる。2018年7月からオウケイウェイヴの特別顧問になった大森泰人氏だ。 大森氏は金融庁で証券課長や市場課長などを歴任し、証券取引等監視委員会の事務局長を最後に2015年に退官。行政官としての経験に基づき、金融や市場のあり方に一家言を持つことで知られる。 「彼の毀誉褒貶は承知している。(金融庁)長官経験者にも『おまえ大丈夫か』などと言われたが、『(彼に)会ってもいないならそんなことを言ってくれるな』と返した。人を見る目がないとは自分では思っていない。粗削りだけどいい仕事をやりたいという彼の思いは本物だろう」 大森氏に松田氏評を問うと、このような答えが返ってきた。 松田氏の評価について、自主規制機能も担う業界団体「日本仮想通貨交換業協会」は最後まで否定的なスタンスを貫いた。しかし、登録拒否要件に該当する事項がなかったため、最終的に金融庁は登録を認めたようだ。 ラストルーツの交換業登録前、松田氏はこう強調していた』、金融庁出身の「大森氏」が「オウケイウェイヴの特別顧問」になり、「松田氏に理解を示す」、とは驚かされた。官僚にも脇が甘い人物もいるとはいえ、よりにもよって仮想通貨交換業界でつまはじきされている人物に「理解を示す」とは、開いた口が塞がらない。
・『仮想通貨界隈に蝟集する情報商材屋  「与沢がダメだ、三崎がダメだ、カズマックスがダメだ、松田がダメだ、それでいいのか。第二、第三の松田元は出てくる。世の中の流れとして、そう捉えたほうがいい」 情報商材ビジネスの象徴的存在といえる与沢翼氏、脱税発覚で転落した「青汁王子」の三崎優太氏、さらにはカズマックスと同列に自分を並べるのが松田氏らしい。 ユーチューバーを筆頭に、SNSなどで多数のフォロワーを持つインフルエンサーが独自の経済圏を作る時代。既存ビジネスの枠外にいるからと、自分のようなインフルエンサーを排斥するようなことがあってはならない、というのが松田氏の言い分だ。 松田氏がインフルエンサーに該当するかどうかはともかく、仮想通貨界隈で台頭著しかったのは情報商材屋やインフルエンサーだ。これらは既存の金融界が一線を画してきた存在といえる。だが、金融庁がラストルーツの交換業登録を認めたことを機にその姿勢を改めることになるのだろうか』、「情報商材屋」であるとの理由で登録を拒否すれば、行政不服訴訟を起こされかねないのも事実だ。ただ、よくよく調べれば、登録を拒否できる材料ぐらいあったのではなかろうか。
タグ:東洋経済オンライン bloomberg Newsweek日本版 暗号資産(仮想通貨) (その14)(「仮想通貨ビットコインに関する全ての嘘はもう終わりだ」自称サトシ・ナカモトがブログ更新、自称サトシ・ナカモトにビットコイン40億ドル譲渡命令-米連邦地裁、仮想通貨はバブル崩壊後 これだけ変わった──価格 信用力 規制、金融庁が認めた仮想通貨交換所の「ある評判」 最後のみなし業者「ラストルーツ」が登録) Cointeregrph Japan 「「仮想通貨ビットコインに関する全ての嘘はもう終わりだ」自称サトシ・ナカモトがブログ更新」 クレイグ・ライト ブログを更新し、ビットコインをめぐる全ての嘘はもう終わりだと述べた 「BTCと呼ばれる壊れたシステム」 「自称サトシ・ナカモトにビットコイン40億ドル譲渡命令-米連邦地裁」 元パートナーの遺産を巡る訴訟で、偽の文書を提出し虚偽の証言を行ったと米フロリダ州の連邦地裁判事が26日判断し、ビットコイン40億ドル(約4200億円)余りを譲り渡すよう命じられた 「仮想通貨はバブル崩壊後、これだけ変わった──価格、信用力、規制」 日本の規制は厳し過ぎるし、ほとんど意味もない 坂井豊貴教授 『暗号通貨vs.国家 ビットコインは終わらない』 法定通貨には国家の浮沈に応じて私有財産の価値が上下するリスクがある。国家の浮沈と連動しない「非国家」の通貨には独自の価値が認められつつある 通貨は発行したものが大きな利益を得る 通貨発行益(シニョリッジ) 日本でも知識のある人は海外の取引所で取引をするからだ。世界の誰もがいつでも外国のマーケットにアクセスできる状況で、規制は消費者を保護するという目的は果たせない 変化のスピードが速い現代では、世の中を法律で管理することに無理が来ている面も DAIという仮想通貨を使った「分散金融」 サイバー空間にある種の銀行があり、DAI所有者は誰でもそこでお金を貸して利息を得られる。別の通貨MKRを持つと、DAIを発行する組織の運営に参加できる ユーティリティ・トークン ビットコインは特別。カリスマであり、スーパーブランドだ スマートコントラクトという契約実行のプラットフォームである「イーサリアム」を使う際、使用料のように働く仮想通貨イーサも、特別な地位を確立 ICOの出資者はお客さんなのでお客さんのほうを向いて経営できる ICOで集めた資金の引き出しは10回の分割で、しかも毎回出資者の過半数の合意がなければできないと決めればよい。持ち逃げできないことに事業者が自分でコミットするのだ スマートコントラクトという仕組みを使えば、こうした仕組みはつくれる。しかも自らが設定した条件を、誰も変えられない 来年5月には、ビットコインのマイニングに成功した者に支払われる報酬の額が半分になる「半減期」がある 「金融庁が認めた仮想通貨交換所の「ある評判」 最後のみなし業者「ラストルーツ」が登録」 c0ban(コバン)取引所」を運営するラストルーツの交換業登録を認めた 交換業登録をめぐり、繰り広げられた駆け引き ラストルーツの親会社であるオウケイウェイヴの松田元社長 既存の交換業登録業者の中では松田氏のことをいかがわしく見る向きが強く、ラストルーツの登録を認めることに否定的な意見を業界団体幹部が金融庁に伝えていた 松田氏が「情報商材屋」ではないかとの疑念 30歳で年収13億円を稼ぐ 松田氏に理解を示す大物行政官 大森泰人 オウケイウェイヴの特別顧問 仮想通貨界隈に蝟集する情報商材屋 「与沢がダメだ、三崎がダメだ、カズマックスがダメだ、松田がダメだ、それでいいのか。第二、第三の松田元は出てくる。世の中の流れとして、そう捉えたほうがいい」
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金融規制・行政(その6)(マネロン国際審査団が日本上陸 金融業界が恐れる二つの質問、足しげく官邸詣で「外為法改正」実現のため暗躍した財界人、金融版「カカクコム」誕生に業界が怯える事情 2021年夏にも新金融仲介サービスが始まる) [金融]

金融規制・行政については、4月17日に取上げた。今日は、(その6)(マネロン国際審査団が日本上陸 金融業界が恐れる二つの質問、足しげく官邸詣で「外為法改正」実現のため暗躍した財界人、金融版「カカクコム」誕生に業界が怯える事情 2021年夏にも新金融仲介サービスが始まる)である。

先ずは、10月26日付けダイヤモンド・オンライン「マネロン国際審査団が日本上陸、金融業界が恐れる二つの質問」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/218642
・『各国のマネーロンダリング(資金洗浄)対策状況を審査する、国際組織である金融活動作業部会(FATF)がついに日本に上陸した。厳しい審査を控え、金融業界は浮き足立っている』、興味深そうだ。
・『マネロン国際審査団がついに日本上陸 メガバンク・地銀・仮想通貨が審査対象  10月28日、日本の金融業界は自らの沽券に関わる対面審査の場に挑むことになる。 G7(先進7カ国)を含む36以上の国や地域が加盟し、各国のマネーロンダリング(資金洗浄)対策状況を審査する国際組織である金融活動作業部会(FATF)の審査団がついに日本に上陸した。今後、3週間にわたって、厳しい追及が続くことになる。 FATFが調べるのは、マネロンやテロ資金の流入を防ぐための法の整備がどこまで進んでいるか、また各金融機関などが怪しい取引の水際対策をどこまで進めているか――などだ。 10月28日の週から財務省や金融庁など関係当局の審査が始まり、翌週から銀行や仮想通貨(暗号資産)の交換業者といった民間企業の審査が行われる。最後の1週間は講評などに充てられる見込みだ。 日本のFATF対応は常に後手に回ってきた。2008年公表の第3次審査では「27カ国中18位」という低評価を受け、さらに審査後の対策も遅れて、それを見かねたFATFが日本に対して特別声明を出す異例の事態に陥った』、「第3次審査では「27カ国中18位」という低評価・・・さらに審査後の対策も遅れて、それを見かねたFATFが日本に対して特別声明を出す異例の事態」、とは国際的にも恥ずかしい限りだ。
・『こうした過去の経緯がある中での第4次審査である。審査結果は来年夏ごろに公表されるが、内容次第では金融機関の海外取引に支障を来しかねない。故に、官民一体となり審査に向けた事前準備を重ねてきた。 今回の審査対象となる民間企業は、銀行や証券会社、少額決済を担う資金移動業者や暗号資産の交換業者など、各業態から数社ずつ選ばれることが想定される。 審査に向けて、例えば銀行業界では口座開設の本人確認を厳しくしたり、口座を持たない一見客の海外送金の受け付けをやめたりなどの対策を打ってきた。業界内で先頭を切ってマネロン対策を進めてきたメガバンクなどが地方銀行向けの勉強会を開催し、知見が不足している中小地銀の底上げを図ってもきた。 他にも「マネロンのリスクの高さからFATFに最も注視されている業態の一つ」(マネロン対策に詳しい渡邉雅之弁護士)が暗号資産の交換業者。銀行送金と違い、送付先の顧客属性が分かりにくいことに加え、暗号資産は種類によってリスクが異なる。 このリスク評価の方法について、特定のひな型を使い回しているため、匿名性の高い暗号資産のリスク評価が不十分な交換業者がいることを金融当局も問題視しているという。個々の暗号資産ごとにどんな対策を講じているかが、審査団との重要な論点になるとみられている。 こうした事前準備に本腰を入れてきたとはいえ、日常的な顧客管理や疑わしい取引のチェックが求められるマネロン対策に「画期的な解決策はない」(第二地銀の幹部)。審査団からの追及に自信を持って応えられるよう、どれだけ対策を積み重ねてきたかが審査結果の分かれ目といえる』、「暗号資産」はもともとマネロンに使い易いとみられているだけに、その「交換業者」の対応は大変だろう。
・『FATFの追及が危惧される金融機関の二つの“弱点”  入念な準備を重ねてきた各業界だが、日本の金融業界において特に不安視されている項目が二つ残っている。 一つ目が、国家元首や政治家などの重要な公的地位を有する要人を指す「PEPs」と呼ばれる人物たちへの対応だ。 FATFの第3次審査を受け、日本では改正犯罪収益移転防止法(犯収法)が施行された。その中で、外国人PEPsの金融取引を厳しく確認するよう求められたが、国内のPEPsに対しての規制は放置されたままだ。 汚職などの政治的腐敗行為を防止するという観点から、FATFは国内外問わずPEPsについての監視強化を求めてきた。いまだ法整備が進んでいない日本国内のPEPsについて、FATFは個々の金融機関に何かしらの手当てをしているかどうかを問う可能性が高い。政府の不手際の責任を民間が負わせられているかたちとなっている。 もう一つの論点は、企業の実質的支配者をどう補捉しているかだ。この実質的支配者とは企業の事業経営を実質的に支配する存在で、株主として全体の25%の議決権を持つ者などが該当する。前述の犯収法の改正に伴い、金融機関は取引先の実質的支配者を確認することが義務付けられた。 銀行でいえば、法人口座の開設時などに実質的支配者を申告することを企業に求める。だが、企業側はあくまで自己申告でよいのが通例。その点について、金融機関が自己申告に依存していないかどうかをFATFが問いただすのではないかと、業界は警戒心を強めている』、「いまだ法整備が進んでいない日本国内のPEPs」、官僚も政治家も手をつけられないとは、さすがいまだに金権政治がまかり通るだけある。これは、金融機関の問題ではなく、行政・政治の問題だ。
・『もし、こうした個々の質問に対する回答に不備が多数見つかれば、総合的な審査結果に大きく影響する。 ただ、FATFが第4次審査を終えた23カ国の中で、実質的な合格は5カ国のみにとどまっており、ハードルは相当に高い。そもそも、日本が合格水準に達する可能性は極めて低い。 このため、金融当局を含めた業界全体は、今回の第4次審査は、「終わりではなく始まり」にすぎないとの認識を持っている。いまだに業態や企業規模の大小によって、マネロン対策の重要性に対する考え方に温度差があり、加えてどの業態においても「専門人材が“品薄”状態」(金融機関のマネロン対策を支援する日本資産運用基盤グループの石尾弘和氏)と課題は多い。 厳しい審査結果を覚悟しつつ、FATFという嵐が去った後、いかにマネロン対策を継続できるかどうかが日本の金融機関に試されている』、「23カ国の中で、実質的な合格は5カ国のみ」、と狭き門であれば、「日本が合格水準に達する可能性は極めて低い」、のはともかく、これを契機に、日本国内のPEPs対策を含めたマネロン対策を徹底的に議論すべきだろう。

次に、金融ジャーナリストの小林佳樹氏が11月30日付け日刊ゲンダイに掲載した「足しげく官邸詣で「外為法改正」実現のため暗躍した財界人」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/265499
・『原子力や半導体、IT(情報技術)など安全保障上で重要な日本企業への出資規制を強化する外国為替法改正案が衆院を通過し、今臨時国会で成立する見通しになった。 「米トランプ政権が中国を念頭に外資規制を強化する新法を成立させたのを受け、日本でもと官僚が忖度して作った法律です」(外資系ファンド幹部)という。だが、その裏では、外資に買収されたくない日本の有力企業の幹部が強烈なロビー活動を展開したことは、あまり知られていない。 初夏、足しげく官邸詣でをする財界人があった。お目当ての人物は、いまや官邸の陰の主役とも言っていい今井尚哉・政務秘書官だ。狙いは外資の出資規制を強化する法律の改正を実現すること。今井秘書官を通じて、財務省に外為法の改正を働きかけることにあった。 「この財界人は、大手銀行から外資ファンドを介して日本を代表する企業トップに就いた人物です。この企業は粉飾決算や原発事業で巨額損失を出し、目下、再建のただ中にある。このトップにとって外資アクティビスト(物言う株主)に株付けされて、経営を振り回されかねないとの懸念があった」(ある中央官庁幹部)とされる。自社を守るためには是が非でも外資の出資規制を強化してほしかったわけだ』、「この財界人」とは、三井純友ファイナンシャル・グループ副社長から欧州系ファンドを経て、東芝会長となった車谷暢昭氏である。
・『これに手を貸したのが、旧知の間柄である経産省の元トップといわれている。この経産省幹部を通じて、同 じく経産省出身の今井秘書官へと働きかけは広がっていった。 現状の外為法では、外国投資家が安全保障にかかわる事業を手掛ける国内の上場企業の株式を10%以上取得したり、非上場企業の株式を取得したりする場合、事前の届け出を義務付け、審査している。対象業種は武器や航空機、宇宙開発、電気、ガス、通信、放送、鉄道、携帯電話製造などに及ぶ。改正される外為法では、この規制をさらに強化して、届け出・審査の基準を対象業種の1%以上に強化するもの。念頭にあるのは「赤い資本」と呼ばれる中国の投資家だ。 当然、外資ファンドなどは規制強化に反対するが、「詳細は政省令で明確化し、欧米の投資家が不当な不利益を被ることはないよう配慮する」(関係者)という。 この財界人の狙いは、まんまと成功したようだ』、「国内の上場企業の株式を10%以上」から「1%以上」とは大幅強化だ。「詳細は政省令で明確化」、とのことで、現状では不明だが、本来、制限すべきではない欧米ファンドと、制限したい中国系ファンドをどう区別するのだろう。決まり方如何では、欧米からの批判も受けかねない暴挙だ。

第三に、12月18日付け東洋経済オンライン「金融版「カカクコム」誕生に業界が怯える事情 2021年夏にも新金融仲介サービスが始まる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/319836
・『金融版の「カカクコム」ともいえる、まったく新しい金融サービスの誕生が現実味を帯びてきた。 金融庁は12月10日、「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」を開き、家電や衣服をECサイト上で比較するのと同じように、保険や証券などの金融商品をスマートフォン上などで選ぶことができるようにする報告書の素案を示した』、「金融版「カカクコム」」とは言い得て妙だ。
・『比較が面倒くさい金融商品  例えば、新しいテレビを買うときに価格比較サイトを使えば、テレビの大きさや薄さ、録画機能の有無など、商品ごとに異なる性能を横断的に比較しやすい。販売店舗によって異なる商品の価格も一目瞭然だ。 一方、金融商品の場合は、ローンや投信、保険など、種類の違う金融商品をワンストップで比較し、選択できるサービスはほとんどない。顧客は商品ごとに別々のサービスに登録しなければならず、利便性が低かった。 また、住宅ローンの金利や投資信託の手数料、保険料など、同じジャンルの商品同士を比較でき、そのまま申し込みまで行えるサービスも少ない。各金融機関のウェブサイトから似たような商品を探し出し、手間と時間をかけて1つひとつ比較する必要があった。 こうした不便な状況を変えるかもしれないのが、金融庁の構想する「新しい金融仲介サービス」だ。 従来の金融サービスとの違いは大きく2つある。まず、新サービスを提供する業者には1度登録をすれば、銀行、保険、証券を横断する形でさまざまな商品を比較できるプラットフォームを作れるようになる。 住宅ローンなどの銀行分野の商品を提供するには銀行代理業、保険分野は保険代理店か保険仲立人、証券分野は金融商品仲介業という資格が必要になる。現行制度のもとで、銀行、保険、証券分野の商品を横断的に扱おうとすると、各資格をそれぞれ取得する必要がある。 政府(内閣官房日本経済再生総合事務局)の資料によれば、銀行・証券・保険の3分野すべてで登録や許可を得て仲介をしている業者は、たった4者しかいない。日本には銀行代理業が73者、金融商品仲介業が893者、生命保険の代理店に至っては8万5862者あることを考えると、いかに少ないかがわかる。 金融庁は、Web上のサービスを念頭に、金融商品を簡単に比較対照でき、かつ購入までスムーズに行える新しい金融仲介サービスの誕生を期待している。例えば、預金の残高が減っているユーザーがいれば、保有している株や投信の売却を提案したり、場合によっては借り入れ可能な金額を提示するアプリなどだ』、確かに便利そうだが、条件などが複雑な金融商品で、簡単な比較が果たして可能なのだろうか。
・『金融庁は金融版「カカクコム」誕生を期待  もう1つが所属制の廃止だ。 現行制度では金融商品を取り扱う業者は、どこかの金融機関から必ず指導を受ける必要がある。 金融庁が銀行、保険会社、証券会社を直接監督し、さらにこれらを通して間接的に仲介業者を指導するのが所属制の目的だ。 例えば、証券の仲介を行うIFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)が高齢者に仕組み債などの複雑な金融商品を十分な説明なく販売した、などのトラブルが発生した場合、損害賠償の責任はIFAが所属している証券会社が負うことになる。 そのため、複数の商品を比較できるサービスをつくるためには、その「製造元」である金融機関ごとに指導や監督を受ける必要がある。こうした状況は「小うるさい上司がたくさんいるようなもの」(金融庁)で、新規参入者にとって高い参入障壁だ。 さらに、金融機関が仲介業者を指導・監督するという関係は、既存の機関と新規参入者の間に上下関係を生んできた。IFAであれば、所属する証券会社から顧客本位の業務運営などについて指導を受けている。 新しい制度では媒介する業者が金融機関と対等な立場になることで、例えば顧客の側に立って、独立した視点で金融商品を比較するサービスの提供も期待できるようになる。 実際、インターネットを介した金融サービスのニーズは高い。総務省の『情報通信白書』(平成29年版)によると、ネット上で個人向け資産運用サービスを利用したいと答えた人は26.3%にのぼるものの、実際の利用率は3.6%にとどまる。アメリカの利用率が27.8%、イギリスのそれが12.8%となっているのに比べて低い水準だ。日本にはネットを介した金融サービスの需要はあるものの、それを満たすサービスの整備が遅れているということだろう。 しかし、新しい金融仲介サービス制度については慎重な意見もある。日本証券業協会の鈴木茂晴会長(大和証券グループ本社名誉顧問)は東洋経済の取材に対し、「新たな仲介業に期待しているが、証券のようなリスク商品を販売する際には投資家保護の観点から、制度整備の充実が重要である」とコメントした。(訂正文はカット) いわば、所属制という手綱を証券会社が握っていることによって、金融商品仲介業者の「暴走」が防止されてきたという日証協。仮に所属制がなくなるのであれば、新しい金融仲介サービスの担い手にも既存の金融商品仲介業者と同じ水準でルールを守ってもらえる仕組み作りが必要だと訴える。 12月10日の金融庁の会議でも、生命保険協会の委員から「保険商品の選択に当たっては、保障内容や保険料が大事。手数料を開示することで、手数料が安い商品がいい商品であるという誤解を招き、適切な商品選びのさまたげになるかもしれない」という声が出た。証券や保険業界からは新サービスに慎重な声が聞こえてくるのはなぜなのか』、「所属制」を撤廃するのであれば、日本証券業協会が主張するように、業者破綻に備えた「投資家保護」策の充実が必要になるだろう。投資家の立場に立った「金融商品比較」では、投信組成業者からのバックマージンに応じて、有利に誘導するなどの不正を如何に防止するか、それを誰が監視するのかも重要である。
・『既存のビジネスモデルを変える起爆剤に  家電量販店やカカクコムなどのウェブサイトが台頭したことで、家電メーカー間や量販店間の価格競争が活性化。メーカーが決めた「定価」で販売されることは少なくなった。松下電器(パナソニック)や東芝などの大手電機メーカーの看板を掲げていた、地元の電気店から家電製品を購入する人はもはやほとんどいない。 他方、金融業界ではネット銀行やオンライン証券が普及してきたものの、住宅ローンや生命保険の契約、定年後の資産運用などで対面チャネルが残っている。日証協や生命保険文化センターの調査によれば、2018年時点で証券会社との主な取引方法は52.8%の人が「店頭営業員への電話、店舗での対面」と回答し、生命保険も53.7%の人が保険会社の営業職員を通じて加入している。 「日本の金融は顧客本位など一生懸命やっているが、いい商品が売れて、外貨建て保険や毎月分配型の投資信託など(そうでないものが)淘汰されていくというメカニズムが弱い。商品の価格と性能による競争がうまく働かず、(販売)チャネルの勝負になっている」というのが金融庁の問題意識だ。 既存の販売網を維持したい大手金融機関にとって、今回の新しい仲介サービスはビジネスモデルを大きく変える破壊力を持つ存在になりうる。しかし見方を変えれば、金融サービスの間口を広げ、これまで投資や資産形成と縁のなかった消費者を取り込むきっかけにもなる。 金融庁が説得に動いたという事情もあってか、12月10日の金融庁の会議ではほとんど異論が出ず、2019年内にも報告書がまとまる見通しだ。順調にすすめば、2020年春の通常国会に法案が提出され、2021年夏にも施行される』、「商品の価格と性能による競争がうまく働かず、(販売)チャネルの勝負になっている」というのが金融庁の問題意識」、は理解できるが、初めにも指摘したように、複雑な条件を持つ金融商品が果たしてネット上で簡単に比較できるようになるのだろうか。出来るとすれば、確かに「既存のビジネスモデルを変える起爆剤に」、と金融界の根底を揺るがす極めて大きな革命をもたらすだろう。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ ダイヤモンド・オンライン 金融規制・行政 小林佳樹 (その6)(マネロン国際審査団が日本上陸 金融業界が恐れる二つの質問、足しげく官邸詣で「外為法改正」実現のため暗躍した財界人、金融版「カカクコム」誕生に業界が怯える事情 2021年夏にも新金融仲介サービスが始まる) 「マネロン国際審査団が日本上陸、金融業界が恐れる二つの質問」 金融活動作業部会(FATF) マネロン国際審査団がついに日本上陸 メガバンク・地銀・仮想通貨が審査対象 FATFが調べるのは、マネロンやテロ資金の流入を防ぐための法の整備がどこまで進んでいるか、また各金融機関などが怪しい取引の水際対策をどこまで進めているか――などだ 2008年公表の第3次審査では「27カ国中18位」という低評価 審査後の対策も遅れて、それを見かねたFATFが日本に対して特別声明を出す異例の事態に陥った 審査結果は来年夏ごろに公表 先頭を切ってマネロン対策を進めてきたメガバンクなどが地方銀行向けの勉強会を開催し、知見が不足している中小地銀の底上げを図ってもきた 暗号資産の交換業者 FATFの追及が危惧される金融機関の二つの“弱点” 改正犯罪収益移転防止法(犯収法) 外国人PEPsの金融取引を厳しく確認するよう求められたが、国内のPEPsに対しての規制は放置されたまま 企業の実質的支配者をどう補捉しているか 第4次審査を終えた23カ国の中で、実質的な合格は5カ国のみ 日本が合格水準に達する可能性は極めて低い 「足しげく官邸詣で「外為法改正」実現のため暗躍した財界人」 安全保障上で重要な日本企業への出資規制を強化する外国為替法改正案が衆院を通過 米トランプ政権が中国を念頭に外資規制を強化する新法を成立させたのを受け、日本でもと官僚が忖度して作った法律 外資に買収されたくない日本の有力企業の幹部が強烈なロビー活動を展開 東芝会長となった車谷暢昭氏 これに手を貸したのが、旧知の間柄である経産省の元トップ 10%以上取得 1%以上に強化 「金融版「カカクコム」誕生に業界が怯える事情 2021年夏にも新金融仲介サービスが始まる」 比較が面倒くさい金融商品 銀行代理業 保険代理店か保険仲立人 金融商品仲介業 各資格をそれぞれ取得する必要 Web上のサービスを念頭に、金融商品を簡単に比較対照でき、かつ購入までスムーズに行える新しい金融仲介サービスの誕生を期待 金融庁は金融版「カカクコム」誕生を期待 所属制の廃止 既存のビジネスモデルを変える起爆剤に
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金融関連の詐欺的事件(その10)(“サブリース不正融資”の元凶は「1物件1法人方式」だった、またぞろ融資書類改ざん「投資用不動産」の受難 不動産業者 銀行 投資家 損をするのは?、なぜ経営者は騙される? 今も暗躍「M資金」詐欺 表沙汰になるのはごく一部 水面下では被害続出) [金融]

金融関連の詐欺的事件については、9月5日に取上げた。今日は、(その10)(“サブリース不正融資”の元凶は「1物件1法人方式」だった、またぞろ融資書類改ざん「投資用不動産」の受難 不動産業者 銀行 投資家 損をするのは?、なぜ経営者は騙される? 今も暗躍「M資金」詐欺 表沙汰になるのはごく一部 水面下では被害続出)である。

先ずは、金融ジャーナリストの小林佳樹氏が9月14日付け日刊ゲンダイに掲載した「“サブリース不正融資”の元凶は「1物件1法人方式」だった」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/261806
・『家賃保証を売り物に個人投資家に不動産を買わせて、賃貸アパートを建てさせる「サブリース」を巡る不正が後を絶たない。シェアハウス「スマートデイズ」では、投資家の預金残高を偽造してスルガ銀行から巨額な資金を引き出し、次から次へとシェアハウスを建てさせていった。 また、東証1部上場の大手不動産事業者「TATERU」もアパートの施工、管理が中心業務だが、建設資金の借入希望者の預金データを改ざんしていたことが発覚、国土交通省から7日間の業務停止命令を受けた。国交省(関東地方整備局)によると、同社は2018年7月ごろまでの約3年間にわたり、336件の売買契約を締結する際、買い主が提出した融資書類を改ざんし金融機関に提出していた。 改ざんは画像ソフトを使用し、数字を切り貼りして預金残高を書き換えていた悪質なもので、スルガ銀行が陥ったスマートデイズの改ざんと酷似している』、「スルガ銀行」の場合は、銀行も成績を上げるため不正に関与していたようだ。
・『借金総額が掴めない  いずれも金融機関から融資を引き出すための悪質な手口だが、だましのテクニックはこればかりではない。その元凶が「1物件1法人方式」と呼ばれる借り入れの仕組みだ。地銀幹部によればその方式は、「一つの賃貸アパートを建てる際に、その物件用の合同会社を設立し、この合同会社が金融機関から融資を受けるやり方」だという。そして、投資家は同じ方式で別の金融機関から融資を受け次々と賃貸アパートを建てていく。当然、投資家の借入残高は増えていくが、「合同会社ごとの融資で、かつそれぞれ別の金融機関から融資を引き出していた場合、名寄せができていないので、その投資家がトータルでどれだけ借り入れているかを掴むのは容易ではない」(地銀幹部)というのだ。うまく家賃が入って、融資の返済ができているうちはいいが、滞ると一気に破綻してしまうわけだ。 東京商工リサーチの調査によれば、昨年中に新設された法人は前年比で減少したが、唯一合同会社だけは急増、新設法人の4社に1社は合同会社が占めたという。合同会社は設立が容易で、株主総会を開く必要もなく費用も安く済む。その多くは「1物件1法人方式」によるサブリースを当て込んだ賃貸アパートという笑えない実態があるようだ』、「新設法人の4社に1社は合同会社が占めた」、こんな抜け穴を使っていたとは驚きだが、融資する銀行の方も分かっていた筈だ。今後は、「合同会社」の破綻が相次ぐ可能性がある。


次に、12月13日付け東洋経済オンライン「またぞろ融資書類改ざん「投資用不動産」の受難 不動産業者、銀行、投資家、損をするのは?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/319424
・『投資用不動産に関する融資書類の改ざんが再び露呈した。今度はマンションだ。 東証1部上場のマンション開発業者「コーセーアールイー」は9日、子会社によるマンションの販売に際して、ローン申請書類の書き換えの疑いが発覚したと発表した』、投資用不動産をめぐる不祥事が、これまでの賃貸用アパートから「マンション」にまで広がったとは、やれやれ・・・。
・『融資書類を改ざん  現在判明している情報では、対象物件は福岡県内のマンション5物件で計6620万円。同社によれば、マンション販売子会社「コーセーアセットプラン」が2016年から2018年の間に、銀行へ提出する源泉徴収票などに記載されている収入の額を100万円程度引き上げたり、中古物件の入居者から徴収している賃料の数字を書き換えたりした。12月3日に外部からの通報を受けて発覚したといい、同社は予定していた2020年1月期第3四半期決算の発表を延期した。 改ざんが行われた書類は、金融機関2行に対して提出された。提出先について同社は調査中としたが、同社と提携を結んでいるのは5行。このうちジャックス、オリックス銀行、福岡銀行、西日本シティ銀行は「現在調査中」とし、西京銀行は「コメントしない」とした。 投資用不動産がらみの不祥事といえば、昨年8月に発覚したアパート建設業者「TATERU」による融資書類の改ざんが記憶に新しい。TATERUの事件以降はアパート、とりわけサラリーマンが土地と建物をセットで購入する際の融資が厳格化され、「融資がなかなか承認されず、物件が詰まっている」(西日本のアパート建設業者)という悲鳴が上がっていた。金融庁も全国の金融機関に対して投資用不動産向け融資の実態調査に乗り出すなど、投資用不動産業界は揺れに揺れた。 厳しい視線を浴びるアパートを尻目に、区分(マンション1室を保有する形態)のマンションは好調を維持していた。アパート1棟よりも価格が安く売却益も期待できるためで、金融機関はアパートに対して融資しづらくなった分、区分マンションへの融資には意欲的だった。だが今回の一件で「マンション業界にも疑惑の目が向けられてしまう」(区分マンション業者)と業界は気を揉む。 値頃さが売りだった区分マンションだが、土地代や建築費の高騰を受け、近年価格は上昇している。投資用不動産の情報サイト「健美家(けんびや)」によれば、区分マンションの価格上昇に反比例する形で利回りが低下している。資産に乏しい投資家にとっては、物件の購入が難しくなりつつある。 こうした市場環境を踏まえると、改ざんの目的として考えられるのは、与信の低い顧客に物件を購入させることだ。金融機関が住宅ローンの融資額を決める基準の1つに「年収倍率」がある。顧客の年収を100万円上げれば、年収倍率が5倍なら借り入れ金額は500万円、10倍なら1000万円増加し、購入できる物件の幅も広がる。 TATERU事件の前後から、一部の金融機関では区分マンションであっても投資家の年収に下限を設けるなど、融資を見直す動きがあったという。「属性のよい投資家には審査基準を緩め、悪い投資家に対しては引き締めている」(大手区分マンション業者幹部)』、「悪い投資家に対しては引き締めている」のは当然だが、「属性のよい投資家には審査基準を緩め」ているようだが、大丈夫なのだろうか。
・『いびつな「三方よし」  投資用不動産で再び露呈した融資書類の改ざんだが、業界の自助努力に期待する向きは乏しい。「改ざんをしても、誰も損をしない」という意識が一部の現場にあるためだ。 今回改ざんの対象となった投資家の年収や賃料は、金融機関が融資の可否を判断する基準の1つにすぎない。改ざんによって融資を引き出したとしても、毎月賃料が入ってきて、借入金を滞りなく返済していれば表面上は問題はない。投資家は本来買えなかった物件を買え、金融機関は融資ができ、業者も儲かるといういびつな「三方よし」の状況をよしとする営業担当者は少なくないようだ。 とはいえ、十分な資産がなければ、入居者がつかず賃料収入が途絶えたり、物件売却時に売却価格が残債を下回ったりした際には返済に窮する。投資家が目の前の物件を欲しているからといって、金融機関の融資基準を骨抜きにすることは、巡り巡って投資家の債務不履行リスクを高める。 コーセーアールイーは外部の専門家に本件の調査を委託し、まとまり次第調査結果を公表する予定だ。現場の暴走か組織ぐるみかは報告を待つばかりだが、回復途上だった不動産業界の信頼が再び揺らいだことは確かだろう』、確かに「三方よし」は絵空事に過ぎない。問題を自主申告した「コーセーアールイー」には、どのような事情があったのだろう。自浄機能が働き出したのであれば、いいのだが・・・。

第三に、ジャーナリストの刑部 久氏が11月11日付けJBPressに掲載した「なぜ経営者は騙される? 今も暗躍「M資金」詐欺 表沙汰になるのはごく一部、水面下では被害続出」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58189
・『時代が昭和から平成、そして令和に変わろうとも、人間の欲望はそうそう変わることはない。その欲望に付け込むように、昭和の時代から現れては消え、消えては現れる犯罪がある。「M資金」詐欺だ。 M資金とは、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)経済科学局第二代局長のウイリアム・マッカートが旧日本軍から接収した資金を元にして作った「秘密資金」とされる。そして、その実態不明な資金をエサに、数々の詐欺の道具に使われてきた。 詐欺師たちの主な手口は、まとまった資金を欲している企業経営者などに近づき、巨額の融資話を持ち掛ける。ただし、その準備に手数料が必要だと伝える。どうしてもまとまった資金が欲しい経営者は、その手数料を支払うのだが、肝心の融資はいつまで経っても実行されるはずもなく、気づいた時には手数料を支払った詐欺師もいつの間にか消えてしまっていた――といったところだ。 詐欺としては古典的な手口なのだが、もっともらしい舞台設定がしつらえられていたり、立場のある事物が紹介者になっていたりすることもあって、大企業の経営者もたびたび「被害」にあっている。だが、経営者がM資金詐欺の被害に遭ったということはその企業の信用問題にも関わるので、表ざたにならない場合も多いのだ。 そして、令和になった現代も、M資金の亡霊は日本を徘徊していた。ある大手不動産会社の経営者が、まんまと詐欺師に乗せられたのだという』、「令和になった現代も、M資金の亡霊は日本を徘徊していた」、欲の皮が突っ張った人間は同じ過ちを繰り返すようだ。
・『大手企業出身の弁護士  8月中旬のある日のことだ。東京・赤坂にあるイタリアンレストランで3人の男性が会食していた。上座に座る初老の男性は大蔵省出身の元国会議員で、下座には自民党大物議員の後援会長、そして都内に本店を構える不動会社の社長が並んでいた。 「先生」と呼ばれた元国会議員が、不動産会社の社長に語り掛けた。 「社長の会社も悪いことばかりが続いていると耳にするが、国交省との関係だけでなく、資金繰りは大丈夫なのか」 心配した口調の元国会議員に、不動産会社の社長は恐縮して答えた。 「本日は、先生にご教授を賜れないかと思って、お時間をいただいた次第です」 この社長が経営する不動産会社は、不祥事が重なり監督官庁から行政処分を受けた結果、公にはなっていないが銀行から取引停止を通告されていた。 しばらくして一人の男性が時間に遅れた非礼を詫びながら上座に座ると、横にいた「先生」がその男性をこう紹介した。 「この西田君(仮名)はトヨタ自動車の元社員で、今は弁護士をしている。自分よりも顔が広くて海外に人脈もあり、知恵もあるから、君も力を借りるといいよ」 弁護士と紹介された西田は笑みを絶やさず、 「先生ほどではありませんよ」と、世辞で返した』、舞台装置はなかなかのものだ。
・『「震災復興特別基金」  ひとしきり世間話で場が和み、2本目のワインボトルが空きそうになる頃、西田はおもむろにA4大の書類をテーブルに置いた。書類に書かれていたタイトルは「東日本大震災復興時別基金」。 男は不動産会社の社長の顔を見ながら、こう語りだした。 「先日、先生から社長が資金繰りにお困りだと聞きました。この基金は、東日本大震災の復興事業への投資が目的で設立されました。原資は大企業や海外からの寄付金で、財務省と金融庁、そして復興庁が所管し、私を含めた数人が運用を任されています。社長の会社はこのまま行けば上場廃止どころか、破綻は目に見えている。会社再建の資金として、この基金を利用する考えはあるでしょうか」 社長は、あまりの額の大きさに息を呑んだ。というのは、その基金の運用額の総額は1兆円だったからだ。西田は、畳みかけるようにこう説明した。 「むろん、全額を融資するわけではありません。社長のところにIoTを手掛けている子会社がありますよね。あの素晴らしい技術を復興事業に役立てていただきたいのです。資金調達のために、ゼネコンへの売却も検討されているようですが、社長の今後を考えるともったいない」 近年、モノとインターネットを繋げるIoTは不動産業界で注目を集めている。不動産会社の社長は喉から手が出るほど資金が欲しいのが本音だ。しかし、返済の見通しや担保を考えると、即答できかねていた。それを見透かすように、西田は笑みを浮かべてこう言った。 「社長は、返済方法や金利などを考えて躊躇されているのではありませんか。社長への融資は事業規模にもよりますが、10億~1000億円の枠内を想定しています。その資金を元にして、復興事業の手助けをしていただきたいのです。金利はほとんどかかりませんし、担保は無用ですので、ご安心してください」 この資金があれば、会社は助かる。そう考えた社長は一方、こんな上手い話があるのかとの疑念も抱いていた。その心中を見透かすように西田は続けた。 「先生のご紹介ですから、この基金の話をしたまでです。社長にその気がなければ無理強いはしませんよ。こちらもまったくの慈善事業ではないので、焦げ付いたら一大事。もちろん、融資実行前には改めて審査をします。その審査費や諸々の経費がかかります。金利はほとんどゼロ、まあ銀行の預金金利と同じ0.01%程度。手続きが終わり次第、年内にもご希望の資金をお振り込みしましょう」 社長は即座に頭のなかで電卓を叩いた。融資額が仮に100億円ならば、支払う金利はわずか100万円。その他に手数料が1000万円かかるという。資金調達の手立てを失った今、悪い話ではない。 「是非、宜しくお願いします。後日、正式に契約を結びたいと思います」 ついに社長はこう礼を述べて頭を下げた。 「ご連絡をお待ちしています。ですが、他にも資金を必要としている方がいらっしゃるので、早めにご決断を。私の事務所には連絡しないでください。弁護士業務とは『別の仕事』ですから、携帯に電話を下さい」 西田は笑みを絶やさず、こう言うと、すぐにその場から去っていった』、まさに典型的な「M資金」の手口だ。
・『被害届も出せず  翌9月、社長は西田と都内のホテルの喫茶店で10億円の融資契約を交わした。社長は、指定された口座に500万円を振り込み、残りの500万円を手形で渡した。が、何日経っても約束の10億円が振り込まれない。心配になり、先生に電話すると、「2人の間の契約だろう」とにべもなかった。禁じられていた事務所へ電話すると、西田なる弁護士はいるがいたのだが、社長があった男とは経歴も異なり、まったくの別人だとわかったのだった。 完全な詐欺だ。が、この社長が警察に被害届を出すことはなかった。被害が公になれば信用は地に堕ち、株主から退陣要求を突き付けられる危険性が高かったからだ。 実は、M資金詐欺に引っかかったのはこの社長ばかりではない。2年前、ローソンの玉塚元一会長(当時)が突如として退任したのも、実は同様の手口に引っかかっりかけたために「追放」されたというのが実態と言われている。そして今も、誰もが知る旅行代理店の社長や、預金量1兆円を超える地銀トップが詐欺師たちのカモにされているのだという。われわれの見えないところで、資金繰りに窮した経営者が今日も詐欺師にむしり食われているのである』、「ローソンの玉塚元一会長(当時)」については噂があったが、この「不動産会社」や「旅行代理店」などは初耳だ。みっともなくて警察に被害届も出せないというのは、情けない限りだ。「銀行から取引停止を通告されていた」この不動産会社は、その後、どうなったのだろう。
タグ:スルガ銀行 東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ JBPRESS コーセーアールイー 金融関連の詐欺的事件 (その10)(“サブリース不正融資”の元凶は「1物件1法人方式」だった、またぞろ融資書類改ざん「投資用不動産」の受難 不動産業者 銀行 投資家 損をするのは?、なぜ経営者は騙される? 今も暗躍「M資金」詐欺 表沙汰になるのはごく一部 水面下では被害続出) 小林佳樹 「“サブリース不正融資”の元凶は「1物件1法人方式」だった」 「スマートデイズ」 「TATERU」 借金総額が掴めない 「1物件1法人方式」 その物件用の合同会社を設立し、この合同会社が金融機関から融資を受けるやり方 合同会社ごとの融資で、かつそれぞれ別の金融機関から融資を引き出していた場合、名寄せができていないので、その投資家がトータルでどれだけ借り入れているかを掴むのは容易ではない 新設法人の4社に1社は合同会社が占めた 「またぞろ融資書類改ざん「投資用不動産」の受難 不動産業者、銀行、投資家、損をするのは?」 子会社によるマンションの販売に際して、ローン申請書類の書き換えの疑いが発覚したと発表 融資書類を改ざん いびつな「三方よし」 刑部 久 「なぜ経営者は騙される? 今も暗躍「M資金」詐欺 表沙汰になるのはごく一部、水面下では被害続出」 大企業の経営者もたびたび「被害」にあっている 経営者がM資金詐欺の被害に遭ったということはその企業の信用問題にも関わるので、表ざたにならない場合も多い 令和になった現代も、M資金の亡霊は日本を徘徊していた ある大手不動産会社の経営者が、まんまと詐欺師に乗せられた 大手企業出身の弁護士 大蔵省出身の元国会議員 下座には自民党大物議員の後援会長 不動会社の社長 「震災復興特別基金」 被害届も出せず ローソンの玉塚元一会長(当時)が突如として退任したのも、実は同様の手口に引っかかっりかけたため 旅行代理店の社長 預金量1兆円を超える地銀トップが詐欺師たちのカモに
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資本市場(その3)(リート初の「敵対的買収」意外な結末の一部始終、0.001秒短縮に命を賭けた男たちの儲ける執念、証券の「手数料ゼロ」は要注意!投資家が理解すべき構造変化とは?、東証の「市場区分変更」 見えぬ議論の終着点) [金融]

資本市場については、2017年10月7日に取上げた。久しぶりの今日は、(その3)(リート初の「敵対的買収」意外な結末の一部始終、0.001秒短縮に命を賭けた男たちの儲ける執念、証券の「手数料ゼロ」は要注意!投資家が理解すべき構造変化とは?、東証の「市場区分変更」 見えぬ議論の終着点)である。

先ずは、本年9月4日付け東洋経済オンライン「リート初の「敵対的買収」意外な結末の一部始終 1号上場から18年、制度的不備があらわに」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/300897
・『Jリート(上場不動産投資信託)史上初の敵対的買収劇は、制度の間隙を突いた形での決着となった。 8月30日、都内の貸会議室には張り詰めた空気が流れていた。この日、さくら総合リート投資法人との合併を求める2つのリートが綱引きを繰り広げた。結果は、三井物産などをスポンサーとする投資法人みらいとの合併案は定足数が満たされずに上程されず、独立系のスターアジア不動産投資法人との合併案が可決された』、新聞報道だけでは、よく理解できない複雑な案件だっただけに、こうした解説は有用だ。
・『1日に投資主総会が2回開催される異常事態  これで一件落着かと思いきや、関係者からは合併手続きの疑義や制度上の不備を指摘する声が上がっている。 まずは経緯を簡単に振り返ろう。事の発端は今年5月10日、スターアジアの運用会社がさくらとの合併を提案したことに始まる。物件運用の不手際や運用コスト高などを理由に、さくらに代わってスターアジアが運用を担う方が投資家の利益になるというのが言い分だ。 寝耳に水の合併提案に対してさくらは猛反発。スターアジアの提案を受け入れないよう投資家に訴えるリリースを発表した。その後、両方の運用会社は、運用会社としてどちらが適任かを争う展開が続いた。 事態が動いたのは6月28日。スターアジアが関東財務局に対して申し立てていた、合併の可否を決する投資主総会の招集が認められたのだ。スターアジアは当時、さくらの投資口の約3.6%しか保有しておらず、少数投資主による総会の招集請求が認められるかどうかが注目されていた。 招集請求を認めないよう働きかけていたさくらは、反撃に転じた。同じ6月28日、さくら側も自ら投資主総会を開催することを発表した。その結果、スターアジアとさくらがそれぞれ主催する総会が、同じ8月30日に開催されるという異例の事態となった。 さくらが投資主総会を開催した背景には、「ホワイトナイト」の存在があった。 さくらは水面下で20社以上のリートと話し合いを進めていた。そして、7月19日に三井物産などをスポンサーとする投資法人みらいと合併に関する基本合意書を締結したと発表した。 ホワイトナイトが出現したかに見えるが、合併によってさくらは消滅し、実態はみらいによるさくらの完全な吸収合併だ。さくらにとってみれば、「(みらいが存続法人となることが)投資主の価値の最大化につながる」という苦渋の決断だった』、「スターアジアとさくらがそれぞれ主催する総会が、同じ8月30日に開催されるという異例の事態」、確かに「異例」だ。
・『みらいがさくらとの合併に応じたわけ  では、みらいはさくらとの合併になぜ応じたのか。8月中旬に開催された投資家説明会で、みらいの運用会社である三井物産・イデラパートナーズの菅沼通夫代表はこう語った。 「みらいとさくらが合併すれば資産規模が合計2000億円となるが、この数字は極めて重要だ。世界的なリート指数であるグローバルインデックスに組み入れられる可能性が高まり、投資家に買われるようになる」 国内の金融環境も無視できない。現在、みらいの信用格付けはシングルAだ。仮にさくらと合併を果たせば、ダブルAに格付けが上がる可能性が高まる。「日本銀行はリートの買い入れ対象をダブルA相当以上としており、日銀や(日銀の買い入れ状況を指標とする)地銀からの買い入れが期待できる」(三井物産金融事業部アセットマネジメント事業室の上野貴司プロジェクトマネージャー)。 一方、スターアジアは現在信用格付けを取得していないが、「さくらと合併することで、格付け取得の可能性が高まる」(スターアジアグループの杉原亨氏)と期待する。 資産規模がわずか約500億円の小規模リートが、合併相手としてひっぱりだこになった背景には、少しでも規模を拡大させて高い格付けを取得し、投資家の目に留まりたいという思惑が透ける。 「格付けの低いリートは、機関投資家へのIR説明のアポイントさえ取れない」(上場リート運用会社の関係者)。買われるリートは買われ続け、買われないリートはいつまでも買われないという格差が横たわる』、リートの格付けは確かに重要な要素だ。
・『リート特有の「みなし賛成」が事態を複雑にした  さらに、今回の合併で争点となったのが、「みなし賛成」というリート特有の制度だ。通常の株主総会と異なり、リートの投資主総会では議決権や委任状を行使せずに無投票となった票は、自動的に「賛成」として数えられる。 みなし賛成制が導入された背景について、投信法見直しに関する金融庁の会議ではこう述べられている。「リートの投資主は議決権の行使よりリターンに関心があるため、投資主総会への出席も期待できない。投資法人の円滑な運営を進める上で(みなし賛成制度は)必要だ」。元々は定足数が満たされずに、総会で何も決められなくなってしまうことを避けるための特例だった。 ところが、今回はこの「配慮」が事態を複雑にした。合併提案には投資主の3分の2の賛成が必要だが、みなし賛成制度を利用すれば反対票が賛成票を上回ったとしても、それ以上に無投票が多ければスターアジアとの合併が承認されてしまうからだ。 そこでさくらは奇策に出た。スターアジアが主催する投資主総会に修正動議を提案したのだ。この結果、スターアジア側の執行役員を就任させ、スターアジアと資産運用委託契約を結ぶ議案と、みらい側の執行役員を就任させ、みらいと資産運用委託契約を結ぶ議案が並存することになった。 さくらの狙いは、スターアジアによるみなし賛成制度の活用を封じることにあった。実は、みなし賛成制度を規定している投信法93条1項には、「複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除く」とただし書きがある。) さくらが修正動議を提出したことで、みなし賛成制度を適用すると矛盾が生じるため、適用されなくなるのだ。スターアジアも総会2日前の8月28日、修正動議の存在を理由にみなし賛成制度を適用しないことを表明した。 スターアジアも、さくらが主催する総会でのみなし賛成制度を活用できないように策を講じた。「スターアジアの合併提案が否決されるまで、さくらはみらいとの合併提案を決議できない」という趣旨を投資法人規約に盛り込む議案をさくら主催の投資主総会に提出した。午前中のスターアジア主催の総会で合併提案が可決された後、午後に行われるさくら主催の総会でみらいとの合併提案が可決され、スターアジアの提案が骨抜きにされることを防ぐ狙いだ』、「みなし賛成制度」はここまでの事態を想定せずに設けられたのだろうが、立法上の手落ちではある。
・『個人投資主はさくら、みらいに厳しい声  こうした水面下の暗闘の結果は、冒頭の通りだ。スターアジア主催の総会では合併提案が可決され、さくら主催の総会は定足数を満たさず議案は上程されなかった。 投資主総会で議決を行うには、一定割合以上の投資主の出席(定足数)が必要だが、これは議案によって過半数の場合と3分の2の場合がある。スターアジア主催の総会は過半数、さくら主催の総会は3分の2が定足数だった。 さくらとみらいは「みなし賛成が適用されていれば、われわれの合併提案が可決されていた」と悔しさをにじませる。だが、みなし賛成がなくてもスターアジアとの合併提案が可決された事実は、さくらとみらいに重くのしかかる。 午前、午後ともにスターアジア側に票を投じたという60代の男性は、「提案内容はスターアジアの方が有利だ。さくらは、みらいとの合併が投資主の利益になると言うが、スターアジアからの合併提案を受けて慌てて対応した印象を受ける」と手厳しい。同じくスターアジアの提案に賛同した50代の男性も「みらいは自身の格付けを上げることだけを考えている印象を受ける」と話す。 他方で、合併が承認されたスターアジア側も、前途洋々というわけではない。今回承認されたのは完全な合併ではなく、スターアジアの運用会社の下にスターアジア不動産投資法人とさくら総合リート投資法人という2つのリートをぶらさげる形をとる。2つの投資法人を合併するには、さくらが諮ったような合併提案をスターアジア自身も行う必要がある。 ただし、合併内容について事前に合意したみらいと異なり、スターアジアは合併比率などの条件を非公式に提示したのみで、さくらとの正式な合意には至っていない。同社は今年末にも合併の承認を求める投資主総会を改めて開く予定だが、提示した合併条件が投資主の意向に沿わなければ、スターアジア自身が合併を阻まれるリスクがくすぶる。 約4カ月にもわたった買収劇は、Jリートをめぐるさまざまな制度的不備を浮き彫りにした。東証に初のリートが上場してから、今月でちょうど18年。これを機に、リートのあり方を今一度点検する必要がありそうだ』、その通りだが、スターアジアによる「合併の承認を求める投資主総会」は成立するのだろうが、一応の注目点ではある。

次に、経済ジャーナリストの岩崎 博充氏が9月29日付け東洋経済オンラインに掲載した「0.001秒短縮に命を賭けた男たちの儲ける執念 高頻度取引に支配される金融市場のリスク」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/305020
・『株や為替などの金融取引に関わるテクノロジーの進化が止まらない。 とりわけ、現在は運用プログラムである「アルゴリズム取引」、あるいは数ミリ秒単位の「高頻度取引」「高速取引」が市場を支配しており、金融マーケットは人類の手の届かないところで制御不能な領域に達しつつある』、最先端の金融テクノロジーとは興味深そうだ。
・『高頻度取引が織りなす金融市場のロマン?  そんな中で、先ごろ封切られた映画『ハミングバード・プロジェクト0.001秒の男たち』が、注目を集めている。 2011年にスタートしたニューヨーク証券取引所(以下、NYSE)とカンザス州のデータセンター間1600キロメートルを、光回線でつなぐ専用回線敷設プロジェクトの物語を映画化したものだ。ハミングバード(ハチドリ)が1回羽ばたく際の時間「0.001秒」を短縮するためのプロジェクトである。 この物語の舞台となっている2011年当時は、株式取引が「高頻度取引」に大きくシフトしていた頃で、ほかの投資家よりわずかでも高速売買を可能にしたものが、利益をすべて独占できる夢を追いかけたストーリーだ。実在する通信プロバイダー「スプレッド・ネットワーク社」が、NYSEからシカゴのデータセンターを一直線の光回線で結ぶことで、0.001秒の短縮を狙った顛末を描いた。 同社の無謀とも言える光ファイバー敷設計画は、作家のマイケル・ルイスが『フラッシュ・ボーイズ10億分の1秒の男たち』(文藝春秋刊)として描き、世の中に幅広く高頻度取引が知られることとなった。その結果、アメリカや欧州、日本でもこの高頻度取引業者を規制する動きが広まった。 今や、金融商品の中でも大きなシェアを持つ「ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)」も高頻度取引の産物と言われ、金融マーケットは人間同士の売買取引よりも、コンピューターによるアルゴリズム取引と高頻度取引が圧倒的に高いシェアを持っている。 にもかかわらず、ほとんどその実態は知られていない。映画『ハミングバード・プロジェクト』が公開されたのを機に、現在の金融マーケットが抱えるリスクを考えてみたい。) 高頻度取引とは、英語で「High Frequency Trading」のことで、略してHFTとも言われる。高頻度取引(以下、HFT)は、証券会社や投資運用会社、ヘッジファンドなどがやっているわけではなく、いわゆる「HFT業者」と呼ばれる業界があると考えればいい。 HFTは、よくアルゴリズム取引と混同されがちだが、アルゴリズム取引全体の中の1つがHFTという位置づけだ。もともとアルゴリズム取引は、コンピューターのプログラムがあらかじめ設定された内容に基づいて、売りや買い注文を「自動的に発注するプログラム」のこと。したがって、HFTではないアルゴリズム取引も数多く存在する。 例えば、ある銘柄を大量に買ったり売ったりしたいとき、金融機関はアルゴリズム取引を使って、1度に取引が成立しないように工夫する。時間を分けて、あるいは日数を分けて売買注文を行い、大量注文によって市場が大きく動かないように配慮し、また当局から目を付けられないようにする。 一方、アルゴリズム取引の一種であるHFTは、大きく2つに分けて「マーケットメイク戦略」と「裁定取引」を使って利益を出す。マーケットメイク戦略とは、買い注文とそれよりわずかに高い売り注文を同時に出して、両社の価格差の分だけ利益を獲得するという仕組みだ。 一方の裁定取引は、例えば現物と先物、ETFなどを使って、売りと買いを同時に出し、やはりその価格差を利益にするもの。周知のようにETFは、日経平均株価やTOPIXなどの指数と連動する株式市場に上場している投資信託の一種だが、これから日経平均株価が上がると思ったときには、先にETFを購入して、その後日経平均を構成している株価が上昇した銘柄を売れば、その差額が利益になる。 マーケットメイク戦略にせよ、裁定取引にせよ、大切なことは誰よりも速く取引した業者がほぼ独り勝ちする構造になっていることだ。映画『ハミングバード・プロジェクト』も、少しでも速く取引できる環境作りを狙った物語になっている。 このマーケットメイク戦略と裁定取引の主戦場は、今やETFと言っても過言ではない。それだけ一般的に使われているストラテジー(戦略)の1つだ。例えばETFの売買高が少なくても、マーケット戦略を使えば指数の構成銘柄を売買することで「流動性」を作ることもできる。売買が活発となって、アルゴリズム取引やHFT以外の顧客も市場参入してくる。 少なくともマーケットメイク戦略は、売りと買いの指値注文を出してその注文に対応する顧客を待つ戦略と言ってよい』、「誰よりも速く取引した業者がほぼ独り勝ちする構造になっている」、しかし、「「流動性」を作ることもできる」、と功罪半ばするようだ。
・『通信回線の高速化だけじゃない?  HFT最大の特徴は、たとえ0.001秒でも速い業者が独り勝ちする取引であるということだ。そのためにカンザスからニューヨーク間1600キロメートルを直線でつなぐなどという途方もないプロジェクトが現実のものになる。 いったいどのくらいの予算がかかるのかわからないが、それでもほかの業者よりも速い取引ができるのであれば、コストはあっという間に回収できる。それがHFTの魅力と言っていい。 ちなみに、2000年代に入ってから始まったHFTの高速化競争は、さまざまな形で試みられてきた。高速化競争の方法は大きく分けて3つある。簡単に紹介しよう。 1.ネットワーク回線の高速化 2.取引プログラムの高速化 3.取引所マッチングエンジンの高速化 ハミングバード・プロジェクトは、言うまでもなく「ネットワーク回線の高速化」になるわけだが、この物語が実話であることでもわかるように、当時は大まじめに取り組んでいた話だ。実際、アジアとアメリカをHFT専用の海底ケーブルを引くという構想まで出たと言われている。 通信回線を地下に埋める方法だけではなく、光ファイバーよりも速い直線距離通信が可能となる「無線」の利用を考えて電波塔建設も試みられたようだ』、高速化をめぐる競争は止まるところを知らないようだ。
・『過熱する高性能なコンピューターの開発競争  2016年8月8日付のウォールストリートジャーナルは、「進化する超高速取引、光速の領域に踏み込む」と題する記事の中で、オーストラリアのシドニーに本拠を置く「メタマコ(Metamako)」と「エクスブレイズ(Exablaze)」、シカゴに拠点を置く「エクセロア(xCelor)」は、 取引所から顧客である電子トレーナーに送るデータのスピードが約4ナノ秒(1ナノ秒=10億分の1秒)しかかからない「スイッチ」を製造している、と報道している。 スイッチというのは、膨大な量の株式市場のデータを同時に数多くの取引サーバーに送ることができるものだが、このスイッチの能力を高めた業者もやはり独り勝ちできる可能性が高かった。スイッチもまた通信ネットワークの高速化の1つのツールだ。 アルゴリズム取引も、むろん投資対象によっては高速化が勝負を決める。イギリスのEU離脱が決まった瞬間のイギリス・ポンド取引も、人間が瞬きをしている間に勝負が決まった。ロンドンのFX会社はメタマコ社製のスイッチでプレグジットを乗り切ったと同記事は報道している。 日本銀行の金融政策決定会合の結果は英語と日本語で発表されるが、アルゴリズムは英文を使って分析するそうだ。英文は、先に結論から入るため分析のスピードが速い。その結果でどこよりも早く発注した業者が利益を得られる。まさにスピード競争が勝敗を分けるわけだ。 一方、取引プログラムや取引所マッチングの高速化というのは、一言でいえば「より高性能なコンピューターの開発競争」と言ってよい。取引所マッチングエンジンの高速化は、今や株式取引だけでなくFXや仮想通貨などで幅広く使われている技術で、売買取引の高速化には欠かせないテクノロジーだ。 当時、話題になった技術としては「FPGA」がある。詳細は省くが、簡単に言えばCPUのオフロード化のことで、コンピュータ処理の時間短縮による高速化だ』、「イギリスのEU離脱が決まった瞬間のイギリス・ポンド取引も、人間が瞬きをしている間に勝負が決まった」、「日本銀行の金融政策決定会合の結果・・・英文は、先に結論から入るため分析のスピードが速い。その結果でどこよりも早く発注した業者が利益を得られる」、いずれも初めて知って、驚かされた。
・『投資判断不要、速く注文すれば独り勝ち?  さて、こうしたHFTは証券会社や投資運用会社、ヘッジファンドといった既存の金融機関ではなく、あくまでもHFT会社が単独でやっているケースが多い。莫大な自己資金がかかるわけだが、そのスポンサーはさまざまだろう。既存の金融機関も多いはずだ。 そもそもマーケットメイク戦略にしても、裁定取引にしても、投資に必要な将来の値動きを予想する必要がない。長年培った企業を見抜くスキルとか相場の動きを判断するキャリアも不要だ。ただただ、ほかの業者よりも早く注文ができれば大きな利益を確保できる。 そうした背景からHFTは急速に発達し、莫大な量の取引を行ってきた。例えば、シンガポールを拠点とするHFT業者の「グラスホッパー社」は、日本市場をメインとしており、金融庁に高速取引を行う「高速取引行為者(HST)」としても登録している。 同社は、東証でETFの気配値提示義務を負うマーケットメーカーも務める。同社のジェームズ・リヨンCFOは、QUICKのインタビュー記事(2019年6月21日付)で、日本の月間取引額は3000億ドル(約32兆円)と答えている。 途方もない数字だが、同社の取引の大半は、買いと売りのわずかな指値の価格差によって稼ぐマーケットメイク戦略を中心にしており、相場の方向性を占って投資する戦略はほとんど実施していないため、金融マーケットの動きには何ら影響を与えていない、と断言している。 ちなみに競争は非常に激しく、6年前にはシンガポールで日本市場の取引をするプロの投資家は500~600社あったものの、現在では50社しか残っていない、とも語っている。当時、日本市場がこうしたHFT業者にとってはパラダイスであったことは事実で、アジア最大のHFTマーケットであったと言っていい。 それが一変したのは、金融庁が2018年にHSTの登録制度を導入するなど、日本での高速取引の規制が進んだことだ。これは日本だけではなく、映画『ハミングバード・プロジェクト』の原作となった『フラッシュ・ボーイズ10億分の1秒の男たち』が注目を集めたため、アメリカや欧州でも規制の動きが広まったためと言っていい。 現在、株式投資をしている個人投資家も、そして日々パソコンに向かって売買しているデイトレーダーもまったく関係のないところで、HFT業者が日々すさまじい金額の売買を繰り広げてきたわけだが、実はHFTの現場は大きく様変わりしている』、「グラスホッパー社」、初耳だが、ありそうな話だ。
・『執行アルゴリズム対HFTの戦い、ETF大崩壊のリスク?  HFT業者は厳しい競争にさらされており、業者の中には取引所へのアクセスに時間がかかるなら、自分たちで取引所を作ってしまおうという動きも見られた。現実に「私設取引市場(PTS)」を設立して、取引所よりも細かいスプレッド(売買の価格差)を設定して、より薄い利幅を獲得する競争になりつつある。 そもそも通信回線のスピード競争も、2014年あたりには決着がついてしまっている。2014年7月8日付のロイターの記事「焦点超高速取引の厳しい『台所事情』、利幅少なく競争も激化」によると、すでに東証はこの時点で高速取引にとって欠かせない「コロケーションエリア」を、取引所近くに設置している。 コロケーションとは、東証の売買システムのすぐ隣に投資家向けのレンタルサーバーを設置し、直接ケーブルでつなぐサービスのこと。自己資金を使って売買を行うHFT業者の多くが、そのサービスを使っているとロイターは伝えている。 もともとHFTにはさまざまな批判があった。「見せ玉」を使って売買しているのではないか、スピードを制した業者が莫大な儲けを独占しているのではないかなどなど……。超高速で、超短期のHFTは東証など取引所の監視システムさえもくぐり抜けているのではないか……。そんな指摘が多いのも事実だ。 とはいえ、HFT業者側は株式市場に膨大な流動性を供給している、と反論している。実際にETFなどの設定や取引にはHFTが不可欠になっている。とりわけ、ETFは登場して以降、 アルゴリズムなどと連携して、今やほとんどコンピューター同士で取引されていると言っても過言ではない。 実際、 アメリカ市場の30%をETFの売買が占めており、「JPモルガン」の推計によると、人間同士でかわされるファンダメンタルズ分析に基づいた売買取引は今や10%程度にすぎない。残りの大半はアルゴリズム取引とHFTによって支配されているわけだ。 とりわけ、自動的に売買注文を出すアルゴリズム(執行アルゴリズム)とHFT=高頻度・高速取引との戦いが、日々繰り広げられていると言われている。その舞台となっているのがETFであり、そこに絡んでデリバティブ(派生商品)や先物、指数と逆に動くインバースなどが複雑に絡み合ってくる。 最近の株式市場は瞬間的に暴落するものの、またすぐに回復してくるという傾向を見せている。これはアルゴリズムとHFTによる特徴だと言われている。今のところ、まだ AI(人工知能)は与えられた使命を忠実に実行している人間の下僕だが、いずれは自分で判断して自立し、金融市場を支配しようとするかもしれない。 プログラム同士が取引する日も近づいており、取引所のサーキットブレーカー(一定の値幅で市場取引がストップする)が役に立たない日がやってくるのではないか……。大暴落と大急騰を毎日繰り返すようなマーケットになるのかもしれない。『ハミングバード・プロジェクト』は、そんな人類の抱えるリスクを垣間見せてくれる映画と言っていい』、「実際にETFなどの設定や取引にはHFTが不可欠になっている。とりわけ、ETFは登場して以降、 アルゴリズムなどと連携して、今やほとんどコンピューター同士で取引されていると言っても過言ではない」、すごい時代になったものだ。これからの取引はどうなるのだろう。人間が関与する余地が残されているのだろうか。

第三に、経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏が11月20日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「証券の「手数料ゼロ」は要注意!投資家が理解すべき構造変化とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/221052
・『「ゼロ」は手数料競争の終着点か? 個人投資家にとって良いことか?  証券業界の各種手数料が「ゼロ」に向かっている。 米国では、既にネット証券最大手のチャールズ・シュワブが株式売買の「手数料ゼロ」を打ち出したことに対して、他のネット証券も追随して、取引手数料ゼロが広がっている。 日本でも、ネット証券最大手のSBI証券が、株式の取引手数料を今後3年以内に原則ゼロとする方針を打ち出している。 個人投資家にとっては、良いことのように見える。しかし、証券会社にも証券取引所にも社員がいるしシステムもある。手数料ゼロで取引ができるという状況は、「これで大丈夫なのか?」「何かおかしいのではないか?」「自分はどうしたらいいのか?」と順々に考えてみるべき問題だ。 これらの疑問の一部に答える記事が「日本経済新聞」(11月18日)に載っていた話題だ。例えば、「覗かれる株注文データ 高速取引、個人に先回り」(川崎健編集委員執筆)だ。 詳しくはぜひ記事を読んでみていただきたいが、信用取引の金利や、貸株の品貸し料といった証券取引に少々詳しい方ならご存じの収益源の他に、高頻度取引(HFT)業者が投資家の注文に先回りして収益を上げ、ネット証券がHFT業者から報酬をもらうような「注文の収益化」の仕組みがあることが説明されている。 二昔前くらいの証券会社では通称「フロント・ランニング」と呼ばれる行為が存在することがあった。大口の顧客から営業部門が受けた株式の売買注文の情報を、自己勘定の株式トレーディング部門が何らかの形で得て、顧客の注文に先回りする形で自社が収益を上げる行為で、監督官庁の検査などで発覚すると処分の対象になる不正行為だ。もちろん、現在も禁止されている。 ネット証券から私設取引所に注文が出て、この注文を見たHFT業者が投資家に先回りして東京証券取引所等に注文を出して、HFT業者が収益を上げることが可能になる。この一連の流れは、証券会社1社でやると不正になるフロントランニングが、証券会社・HFT業者が協力し、舞台装置として私設取引所等を使うと不正にならない(らしい)仕組みであることが分かる。マイクロセコンド(100万分の1秒)の時間単位で、言わば「分業フロントランニング」が行われているということだ。 記事にあるように、投資家は、東証にあったはずの売買注文指し値を見て売り買いを行ったはずなのに、何者かに先回りされたように感じる。しかし、私設取引所で注文の一部は有利に(買い注文なら安く)約定されている部分もあるので、「私設取引所と東証のより有利な方で約定する注文システムだ」との建前に渋々納得する場合もあるだろう。 すっきりしない印象を持つ投資家が多かろうが、こうした状況をどう考えて、どう付き合ったらいいのだろうか』、「「ゼロ」は手数料競争の終着点か? 個人投資家にとって良いことか?」、と本質的な問題を提起するところは、さすが山崎氏だ。
・『投資家にとって重要なのは市場の維持コストの変化を正しく理解すること  HFT業者が市場でどのような役割を果たしているのかについては諸説ある。筆者は、(1)出来高の見かけほど実質的な「流動性」の役には立っていないのだろうが、(2)利益があるからマーケットメイクに参加しており、市場の成り立ちに一定のプラスの役割「も」果たしている、というくらいに考えている。 一般投資家の注文に対する「分業フロントランニング」にあっては、HFTは先回りした買い(売り)と反対売買を「割り込ませる」だけなので、取引コストを下げるという意味での「流動性の改善」に対してはむしろ逆行していて取引の出来高の数字ばかりがかさ上げされている。 他方、上場投資信託(ETF)のマーケットメイクなどにあって、HFT業者が一定の役割を果たしていることも事実だろう。 これまで売買手数料に支えられた証券会社が維持してきた市場取引が、「分業フロント・ランニング」の利益で一部賄われるようになる、という流れだと理解できよう。一般投資家が何らかの意味で市場の維持コストを払うことに変わりはない。ただし、コストを払う主体は変化している。 トータルで改善しているのかどうかに関しては評価が難しい。HFT業者が参加する市場は「不気味だし、嫌いだけれども、トータルのコストは改善している」ということかもしれないし、帳尻は改善していないかもしれない。 ただ、個々の投資家が状況を変えられるわけではない。投資家にできることは、変化を与件として正しく理解することと、コスト負担構造の変化にうまく対応することだろう』、「これまで売買手数料に支えられた証券会社が維持してきた市場取引が、「分業フロント・ランニング」の利益で一部賄われるようになる、という流れだ」、「投資家にできることは、変化を与件として正しく理解することと、コスト負担構造の変化にうまく対応することだろう」、分かり易い解説だ。
・『デイトレーダーは稼ぎづらくなる サイコロは「ゆっくり」「シンプルに」転がせ  ネット証券はかつても今も「デイトレーダー」と呼ばれるような投資家も含めて、頻繁に取引を行う投資家に大いに支えられてきた。これは動かしがたい事実だ。そして、筆者はネット証券(楽天証券)に勤めている。なので、少々申し上げにくいのだが、現在起きているような市場のコスト負担構造の変化は、デイトレーダー的な頻繁な取引による収益獲得をかつてよりも不利で難しいものにしているように思われる。 投資家の平均像としては、取引頻度を落とすゲームプランにシフトすることを考えることがより「得」だろう。 投資家自身が、何を自分の「エッジ」(相対的有利性のポイント)だと考えているのかにもよるが、秒・分・時単位で有効なエッジから、日・週・月・年・長期…といった単位で有効なエッジにシフトしていくことができると有効だろう。 また、そもそも株式投資の本質は「株式のリスクプレミアム(リスク負担を補償する追加的利回り)のコレクション」なので、長期で保有するアプローチが有効にできていると期待できる。 長期で保有できる銘柄に投資するといいし、たぶん、それ以上に分散投資が有効だ。 ゼロ手数料下の株式の売買は「ミクロのいかさま」があるサイコロを振るようなものなので、なるべくサイコロを振る回数を減らすことと、「いかさま」がやりにくいときにサイコロを振ることを心掛けたい。 具体的には、長期のバイ・アンド・ホールド(持ち切り)を中心に投資戦略を考える。どうしても個別銘柄を売買したいときは、例えば、最も出来高が多く注文が集中するのは一般に東証の寄り付きなので、売買注文は「寄り付き・成り行き」に決めておくような、「ゆっくり」かつ「シンプル」なスタイルでいいのではないだろうか。売買テクニック以外のポイントで勝負するのだと考えよう。 「寄り付き」の株価が思ったよりも有利な場合も不利な場合もあるだろうが、長い目で見ると有利・不利は半々だろうし、仮に不利でも長い投資期間で「期間当たりのコスト負担」で考えると損害は軽微だと割り切るのだ』、「長期のバイ・アンド・ホールド(持ち切り)を中心に投資戦略を考える。どうしても個別銘柄を売買したいときは、例えば、最も出来高が多く注文が集中するのは一般に東証の寄り付きなので、売買注文は「寄り付き・成り行き」に決めておくような、「ゆっくり」かつ「シンプル」なスタイルでいいのではないだろうか。売買テクニック以外のポイントで勝負するのだと考えよう」、私はもう積極的な投資は止めたが、多くの人には役立ちそうな投資戦略だ。
・『自分はちゃっかり収益を稼ぎながらHFT業者と「喰われた投資家」に感謝する方法  最後に、ご存じない投資家には「耳より」であるかもしれない情報をお伝えしよう。長期に保有する株式、あるいはETFは、保有ポートフォリオを貸株に回すと、例えば年率0.1%といった利息のかたちで品貸し料が得られる。 特にETFの投資家は、例えば東証株価指数(TOPIX)連動のETFを持っていると、運用管理費用(信託報酬)が年率約0.1%前後掛かるが、品貸し料で年率0.1%の収益があると、実質ほとんどゼロコストでインデックスファンドを持ち続けることができる。外国株式のETFなどでも、品貸し料を得ることができるので、調べてみて、納得できたら利用してみてほしい。 ネット証券をお使いの方は、ホームページで「国内株式」のカテゴリーを見て、「貸株」、さらに「貸株利息」といった分岐に進んでETF等の銘柄コードで検索すると、お持ちの銘柄の品貸し料が分かるはずだ。 ところで、現在、株式を売って現金を手に入れても、ゼロないしマイナス金利なので、プラスの利息(品貸し料)が得られるのは、一昔前の常識からすると、少々不思議に思えないだろうか。これは、ETF等を利用することによってメリットを得ている業者(おそらくはHFT業者)がいるからで、彼らが利益を得られるのは、一般投資家の注文が利用されているからだと考えられよう。 長期投資家は、ETF等をじっくり保有しつつ、品貸し料を得てもいい。そして、HFT業者とHFT業者に「喰われている」一般投資家に静かに感謝するのだ』、「品貸し料」を言葉では知っていても、投資に活用すべきというのは貴重なアドバイスだ。

第四に、金融ジャーナリストの伊藤 歩氏が12月3日付け東洋経済オンラインに掲載した「東証の「市場区分変更」、見えぬ議論の終着点 1部上場企業の「降格案」はなぜ消えたのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/317210
・『あの騒動はいったい何だったのか――。 東京証券取引所の上場区分の変更を検討している、金融庁の金融審議会市場構造専門グループの5回目会合が11月20日に開催された。 関係者からのヒアリングは4回目までの会合で終了している。事務局である金融庁は年内の提言提出を予定しており、審議会のいつものパターンであれば、20日に提言のたたき台に近いものが提示されてもおかしくなかった。 ところが、この日に事務局側から提示されたのは、議論すべきポイントが列挙された論点整理次元のものだった』、「上場区分の変更」がどうなっているのだろうと思っていたら、竜頭蛇尾に終わりそうだ。
・『250億円で東証1部から降格  市場区分見直し議論の発端となったのは、東証に「市場構造の在り方等に関する懇談会」が2018年10月29日に設置されたことだった。日本取引所グループの清田瞭CEOが定例会見で公表し、近年その役割があいまいになっていた4市場(東証1、2部、ジャスダック、マザーズ)の役割を議論し直すという触れ込みだった。 しかし、東証が懇談会について詳細な情報を開示をしないまま、「東証1部2000社の半分もしくは3分の2が強制的に降格」「(東証1部から降格する)足切りラインは250億円の案も」「早ければ2019年5月に東証規則改正」といった報道が相次ぎ、上場会社だけでなく、TOPIX(東証株価指数)をベンチマークに投資をしている投資家にも動揺が走った。 現在のTOPIXは東証1部の全銘柄を対象にしており、対象銘柄が突如入れ替わると、投資家は多額の損失を被る可能性がある。 3月27日に東証が公表した論点整理では、降格イメージをやわらげるためか、上下関係にあった各市場の位置づけを並列に扱い、時価総額での足切りの可能性についても大幅にトーンダウンさせた。しかし、足切りラインと報じられた「250億円」という金額は1人歩きを続けたままで、投資家の疑心暗鬼は消えていない。 審議会はこれまで5回開催され、機関投資家や発行体企業、有識者などからヒアリングを行った。 投資家からは「TOPIXに流動性が乏しい銘柄が含まれていて問題」「TOPIXが問題だから市場区分を変えるという議論は本末転倒で、市場区分問題とインデックスの問題は切り離して考えるべき」などの声があがった。 上場会社4社などは「強制降格が実施されると、失う社会的信用は甚大」「赤字企業でもプライム市場に上場ができるように」などと訴え、大学教授からは「市場コンセプトがあいまいだから改革せよでは、改革で不利益を被る者は納得しない」、弁護士からは「一部の機関投資家の意見に依拠すべきでない」「コーポレートガバナンスコードの適用状況を降格基準に使うべきではない」などという指摘が出た』、東証1部には到底上場企業とは思えないような企業も多く、理想論としては、「市場区分見直し」には意義はあったが、現実論としては、既に深く社会に定着した区分の見直しはやはり抵抗が強いのだろう。
・『事務局案は単なる看板のつけ替え  11月20日に事務局が出した論点整理案は、これらの意見をすべて盛り込んだかのような折衷案だ。 まず市場区分については、現在4ある市場を3に減らす。成長途上の企業を対象とする「グロース」、すでに実績がある企業のうち、高度なガバナンスを備えている企業を対象とする「プライム」、そうでない企業を対象とする「スタンダード」に分ける。 つまり、現在の東証1部はプライムに、2部とジャスダックのスタンダードを合体させてスタンダードに、マザーズとジャスダックグロースを合体させてグロースに、それぞれ看板をつけ替える案にすぎない。 しかもプライム市場への上場基準は、時価総額だけでなく流動性やガバナンスを組み合わせた基準としながら、具体的な数値には一切言及していない。すでに1部に上場している企業については、基準に満たなくても希望すればプライム市場への上場を認め、強制排除もしないという。 つまり、当初の「上場企業が多すぎるから減らす」という議論は跡形もなく葬られ、東証1部上場企業の降格問題は事実上なくなったのだ。) 強制的な降格がないのであれば、東証1部は実質的に現状維持され、わざわざプライム市場を設ける必要性がどこにあるのか、よくわからなくなってくる。 誰もが知っている大企業でもない限り、東証1部というステータスは採用や商取引の場面ではかなり有効だ。正規の手続きを経て1部に昇格したのに、降格となれば失う信用は計りしれない。多くの中小型銘柄企業が混乱したのはこのためだ。中身が変わらないのであれば、呼称も変えてほしくないというのが、これらの企業の本音だろう』、もともと抵抗が大きいことは予想された筈で、東証や金融庁の事務局はどうさばくつもりだったのだろう。
・『時価総額で機械的に振り分けることはない  東証の懇談会と金融審議会の委員の両方を務める立正大学の池尾和人教授は、金融審の第2回会合で「東証の懇談会で議論していたときから、時価総額で機械的に振り分けるなどという乱暴な話はしていなかったのに、そういう印象を世の中に持たれる結果になった」と発言。報道を否定している。 さらに、第5回会合では「ガバナンスの高低でプライムとスタンダードに分けるというのなら、両社に上下関係が生まれるのは明らか。並列だと言うのは理屈として難しい」と突っ込んだ。 そして、同じ会合で「上場会社、つまりパブリックカンパニーとして、最低限備えていなければならないガバナンスの水準を越え、どこまでエクスプレイン(説明)するのかは、個別の企業の問題。市場区分で議論する話ではない。並列だというのなら、市場区分は3つではなくグロースとそれ以外の2つとすべき」と言い切った。予定調和とはおよそかけ離れた、極めて真っ当な議論が展開されたのだ。 もっとも、ある機関投資家は「2部市場というのはある意味懐の深い市場。小粒ながら隠れた優良企業が多数上場している一方で、降格になった東芝の受け皿になっていたり、地方市場が消滅したために2部に移行した企業など、さまざまな企業が混在している。水清ければ魚住まずで、こういった市場の存在も必要」と言う。 問題は、市場区分と分けて考えるべきと整理されたインデックスである。金融庁の論点ペーパーは、機関投資家にとって使い勝手のいい、新たなTOPIXの創設を前提にした書きぶりだ。 論点ペーパーは、インデックスの選定対象はプライム市場だけでなくスタンダード市場からも選定できるようにしてはどうかと提言している。金融審の議論では、グロース市場からの選定を求める発言が出ている。 現在のTOPIXは東証1部の全銘柄を対象にしているが、新しいTOPIXは一定の基準に基づいて数を絞り、対象に選ばれたり、対象から外れるケースを前提としている。しかし、それは既存のJPX日経インデックス400とどう違うのか。JPX日経インデックス400が活用されていない実態も含め、議論は一切なされていない』、そもそも「インデックス」が公的性格を持つこと自体が、おかしなことだ。欧米では、民間が知恵を絞って作成したものが、市場に定着していったことを、考慮すれば、民間に委ねるべきだろう。ただ、日本的なインデックスが既に定着してしまったという現実を踏まえると、悩ましい問題ではある。
・『日銀やGPIFへの影響は?  何よりも、現在のTOPIXの最大顧客といっていいGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と日本銀行への影響を分析した形跡すらない。 日銀は年間6兆円ものETF買いを続け、2019年9月末の残高は27兆円に達している。GPIFも159兆円の運用資産のうち、日本株は38兆円強。その9割はパッシブ運用である(2019年3月末時点)。TOPIXの設計を変えることで、もっとも甚大な影響を受けるのはGPIFと日銀。つまり国民である。 「インデックスはさまざまな作り方があるが、東証1部上場会社を網羅するTOPIXは極めてシンプルな設計。今進めている議論はその設計を変更するという話。GPIFや日銀が使っている以上、そもそも設計自体、変更していいのかどうかから議論すべき」(前出の機関投資家) 結局、この1年の騒動は何だったのか。甚大な被害を被る市場参加者が出るような議論を唐突に始めたうえ、情報も出さずに報道を放置した東証の責任は重いことを、言い出しっぺの東証はそろそろ認めるべきだろう』、着地点も考えずに突っ走った「東証や金融庁の責任は重い」ことは確かだ。どうやって幕を引くのか見物だ。
タグ:東洋経済オンライン スイッチ ダイヤモンド・オンライン 資本市場 山崎 元 伊藤 歩 岩崎 博充 (その3)(リート初の「敵対的買収」意外な結末の一部始終、0.001秒短縮に命を賭けた男たちの儲ける執念、証券の「手数料ゼロ」は要注意!投資家が理解すべき構造変化とは?、東証の「市場区分変更」 見えぬ議論の終着点) 「リート初の「敵対的買収」意外な結末の一部始終 1号上場から18年、制度的不備があらわに」 1日に投資主総会が2回開催される異常事態 みらいがさくらとの合併に応じたわけ リート特有の「みなし賛成」が事態を複雑にした 個人投資主はさくら、みらいに厳しい声 「0.001秒短縮に命を賭けた男たちの儲ける執念 高頻度取引に支配される金融市場のリスク」 高頻度取引が織りなす金融市場のロマン? ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)」も高頻度取引の産物 HFT業者 アルゴリズム取引全体の中の1つがHFT HFTは、大きく2つに分けて「マーケットメイク戦略」と「裁定取引」を使って利益を出す 通信回線の高速化だけじゃない? 過熱する高性能なコンピューターの開発競争 イギリスのEU離脱が決まった瞬間のイギリス・ポンド取引も、人間が瞬きをしている間に勝負が決まった 投資判断不要、速く注文すれば独り勝ち? 執行アルゴリズム対HFTの戦い、ETF大崩壊のリスク? 「証券の「手数料ゼロ」は要注意!投資家が理解すべき構造変化とは?」 「ゼロ」は手数料競争の終着点か? 個人投資家にとって良いことか? 投資家にとって重要なのは市場の維持コストの変化を正しく理解すること デイトレーダーは稼ぎづらくなる サイコロは「ゆっくり」「シンプルに」転がせ 「東証の「市場区分変更」、見えぬ議論の終着点 1部上場企業の「降格案」はなぜ消えたのか」 あの騒動はいったい何だったのか―― 250億円で東証1部から降格 事務局案は単なる看板のつけ替え 時価総額で機械的に振り分けることはない 日銀やGPIFへの影響は?
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金融関連の詐欺的事件(その9)(HIS澤田会長の巨額詐欺被害で「あの大学」の名前が出てきた事情 別の詐欺事件の裁判中に…?、スルガ銀の救世主になった新生銀が描く「名誉挽回」の思惑、大赤字で社員3割超が早期退職 急成長の投資用アパートTATERUの転落) [金融]

金融関連の詐欺的事件については、4月17日に取上げた。今日は、(その9)(HIS澤田会長の巨額詐欺被害で「あの大学」の名前が出てきた事情 別の詐欺事件の裁判中に…?、スルガ銀の救世主になった新生銀が描く「名誉挽回」の思惑、大赤字で社員3割超が早期退職 急成長の投資用アパートTATERUの転落)である。

先ずは、ジャーナリストの時任 兼作氏が4月9日付け現代ビジネスに寄稿した「HIS澤田会長の巨額詐欺被害で「あの大学」の名前が出てきた事情 別の詐欺事件の裁判中に…?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63960
・『捜査線上に現れた「日大人脈」  旅行代理店大手のエイチ・アイ・エス(HIS)会長であり、長崎県のテーマパーク・ハウステンボスの社長でもある澤田秀雄氏が、「M資金まがい」の投資詐欺被害に遭ったとみられる、との報道がなされている。 実際はどうなのか――。 「事実だ」と語るのは、長崎県警の捜査関係者だ。 「2月末、東証上場へ向けて準備を進めていることを公表したハウステンボスとしては、詐欺被害の原資が澤田氏の要請でハウステンボスから出されており、その後、澤田氏が所有していたHISの株式を売却して被害による欠損を埋めるなどの会計操作があったため、事をうやむやにはできずに、先頃、長崎県警に被害届を提出した。そのことから、被害者が澤田氏であることが判明した」 同県警はハウステンボスからの被害届を受け、捜査に着手。すでに騙し取られた投資資金の行方をつかんだともいうが、その一方、東京地裁では投資による利益も含めた金額の支払いを求める民事訴訟が進行中である。原告は、ハウステンボスの事業にも関わる澤田氏の関係者。この関係者は同時に、警視庁にも詐欺の容疑で刑事告訴を行っている。 そうしたなか、この問題に絡んで、ひそかに「別の問題」が浮上し、注目を集め始めている。警視庁の捜査関係者がこう明かす。 「告訴を受けて調べてみると、“日大闇人脈”のひとりと言われるAという人物が捜査線上に浮上した。 このAには、日大の幹部とつるんで、日大が発注する工事をエサに詐欺まがいのことを行った過去がある。その幹部は、田中(英寿)理事長の側近。大学の中枢にいるだけに、おざなりにできない」 日大と言えば、昨年5月にアメフト部の「悪質タックル事件」が発生して以降、数々の問題が表面化し物議を醸してはきたが、投資詐欺のような噂は寡聞にして聞かない。 いったいAは、澤田氏の詐欺事件のどこに、どうかかわっているというのだろうか。 澤田氏の事件のきっかけは、昨年2月、ハウステンボスが考案した金本位制に基づく仮想通貨事業で金の調達を一手に引き受け、澤田氏に高く評価された金取引会社社長の石川雄太氏のもとに、こんな話が持ちかけられたことだった。 「リクルート創業者の江副浩正氏が、安定株主対策として預けた株が、財務省に大量に保管されている。財務省とリクルートの承諾があれば、ワンロット50億円といった大口に限り、市価の1割引き程度で供給される」 これを聞いた石川氏は、ワンロットの購入を決め、澤田氏に相談して資金提供を受けた。だが、代金を支払おうとも、株が引き渡されることはなかった。 そこで石川氏は、元金返済と株の転売利益の支払いを求めたものの叶わず、代わりに同額の収益が上がるという新たな投資案件を持ちかけられた。その投資案件の運用・管理をしているとされる人物がAだったのである。 しかしAは、まず11億円余を石川氏の口座に振り込み、いったん信用させたのち、40億円の偽造為替手形を交付して、そのまま連絡を絶ってしまった』、「財務省」に保管中のリクルート株など、まさに現代版M資金だ。戦後のM資金は、大企業の社長などが引っかかったが、当時は企業金融の超逼迫時代で、やむを得ない面もあった。リクルート事件は、リクルート子会社のリクルート・コスモス株を公開前に政財界に広くばら撒いたことが発覚、竹下内閣崩壊につながった事件である。こんな話にうっかり乗った澤田氏も、お粗末だ。
・『「別の詐欺事件」の裁判が進行中  石川氏は2018年11月、58億3000万円の支払いを求めて東京地裁に提訴。同日、警視庁捜査2課に告訴状を提出した。 つまりAは、ありもしないリクルート株を名目とした「M資金まがい」の詐欺事件の後段に登場し、別の投資詐欺を行った結果、現在、民事・刑事の事件当事者となっているわけだ。 さらにAは、この事件と同時期に、別の件でも裁判沙汰になっていたことが判明した。しかも、こちらはまさに日大を舞台にした詐欺事件だ。 前出の警視庁の捜査関係者が語る。 「事件の概要は、日大の仕事を欲しがっている業者を騙して、4000万円近くのカネを引き出したというもの。2017年に東京地裁に提訴され、現在も裁判が続いている」 訴状を見てみると、事の起こりは2013年2月、業者が知人を通じてAを紹介されたことであったという。その部分を引用しておこう。〈被告A(訴状では実名。以下同)は被告UN校友会(UNはNippon Universityの頭文字)の代表取締役と称し、自分は被告日本大学の執行部と常に仕事をしており、被告日本大学に特別な力を有しており、被告日本大学に関する大抵のことなら何でも可能であると自慢げに話し、その直後、原告Bに対して、実際に被告日本大学の常務理事である被告Cを紹介した。 そして、被告A及び被告Cは、真実は、(千代田区神田)駿河台所在の日本大学病院の業務を受託する業者を選定する権限がないのに、被告A及び被告Cの指示に従えば、日本大学病院の業務を行う業者に指定され、確実に仕事を受注できるかのように原告らを欺罔(ぎもう)し(た)〉 これをきっかけに、日大工学部の工事などほかの案件も持ち出し、時には「理事長への工作資金だ」「理事長の直接案件として進行している」などと説得して、2014年3月までの間に3800万円を騙し取ったという。 業者はそれ以後、ひたすら受注の報せを待ったが朗報はなく、「2016年末には」との約束も反故にされ、翌2017年に提訴に踏み切った。そして、2018年、公判が始まり、現在なお進行中ということだ』、日大の利権まで悪用するとは、Aは生来の詐欺師のようだ。
・『なぜ、こんな話に…  要するにAは、別の詐欺事件に関する裁判の最中に、澤田氏を相手に投資詐欺を行っていたわけである。 「日大ブランドの次は、M資金めいたリクルート株という按配だ。マンモス大学・日大のうまみについては言うまでもないが、リクルート株について言えば、かつて子会社のリクルートコスモス社の未公開株が政治家や官僚らに賄賂として譲渡された一大疑獄事件があったせいか、いまだ信用力があるらしい。 財務省が保有しているというのも巧妙なしかけだが、それにしても悪質極まりない。ましてAは、リクルート株などないのを承知で、日大名目の詐欺で裁判中にもかかわらず、さらに別の詐欺を持ちかけているとみられるだけに始末に悪い。今度こそ、何とかしないと」 前出の警視庁の捜査関係者はそう話すものの、リクルート株名目のほかの詐欺事件も注視してきた金融庁関係者は、 「騙す方が悪いに決まっているが、それにしてもHISほどの大企業の経営者ともあろう人まで、こんな話にどうして騙されてしまうのか」 と首をかしげた。このまますんなり終わるとも思えない、後味の悪い事件だ』、澤田氏は被害者とはいえ、なんとも見っともない話だ。ハウステンボスは「2~3年後の上場を目指す」としているが、こんなことでは上場など夢のまた夢だろう。

次に、5月17日付けダイヤモンド・オンライン「スルガ銀の救世主になった新生銀が描く「名誉挽回」の思惑」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/202602
・『5月15日、不動産投資向けローンをめぐる組織的な不正を働いたスルガ銀行は、新生銀行と家電量販大手のノジマの2社と業務提携を結ぶと発表した。ただ、救世主として現れた新生銀にとっても、今回の提携話をうまく活用したい懐事情がある。 窮地からの起死回生――。この言葉が似合うのは、未曾有の不正融資問題により経営危機に直面しているスルガ銀行だけではないかもしれない。 銀行界からりそなホールディングスと新生銀行、家電量販大手のノジマ、ネット証券グループのSBIホールディングス。他業界他業種の名前が飛び出たスルガ銀のパートナー探しは、5月15日に新生銀行とノジマの2社との業務提携という形で一時的な閉幕を迎えた。 ここで「一時的」と記したのは、スルガ銀が今回の提携について、この2社を含む第三者と、業務提携よりも踏み込んだ資本提携を結ぶ「可能性を排除するものではない」とわざわざ公表しているからだ。ある新生銀幹部も、事前に「出資の話までは5月15日に間に合わない」と判断していたこともあり、6月に行われるスルガ銀の株主総会までに、今後も出資に関する協議が進む可能性が残されている』、スルガ銀の株主総会前にとりあえず「パートナー」を決めておこうということだろう。
・『スルガ銀といえば、静岡県沼津市に本店を構えながら、都内を中心とした不動産投資向けローンに軸足を置いてきた地方銀行だ。その収益性が高いビジネスモデルには金融界も一目置いていたが、女性専用シェアハウスの「かぼちゃの馬車」を巡り不正疑惑が浮上。ふたを開けてみれば、組織的に不適切融資やパワハラが横行するという目を覆いたくなるような惨状だった。5月15日公表の調査報告書では、契約書の改ざんなどが疑われる不正融資の案件は、金額にして1兆円超と不動産投資向けローン全体の6割以上を占めることが判明している。 同じく、15日に発表された2019年3月期決算。スルガ銀は純利益で970億円の赤字に陥った。不正まみれの不動産投資向けローンが焦げ付くことを見越して貸倒引当金を積み増し、それが巨額な損失となったためだ。また、スルガ銀の足元における預金残高は3兆1656億円となり、1年間で9240億円もの預金が流出。スルガ銀に対する顧客からの信頼の、低下のほどがうかがえる。 こうした事情があったからこそ、スルガ銀単独での信頼回復は難しいとし、不正発覚直後から提携話が飛び交った。結果としては、新生銀と、すでに5%弱の株式を取得していたノジマが第一陣として手を挙げることとなった』、スルガ銀は確かに単独では破綻寸前だ。
・『スルガ救済により名誉挽回を図る  ただ、今回新生銀が選ばれたことについて、新生銀の内部の人間も「うちは消去法だ」と嘆いている。もとをたどれば、「スポンサー候補として金融庁が期待していた」(金融庁関係者)はずのりそなが早々に離脱。どうしても「銀行」の名を冠するところに支援を託したい金融庁の思惑が絡み、新生銀に白羽の矢が立った形だからだ。 そこに、工藤英之社長が「提携に前向きだった」(新生銀関係者)ことが後押しする。背景にあるのは、大手銀行の中で唯一、公的資金が国から注入されたままの銀行として、名誉挽回したいという思いだ。 そもそも新生銀のルーツは、かつて長期の運転資金を企業に供給し、産業界を支え続けた旧日本長期信用銀行。この長銀が平成バブル崩壊後の不良債権問題で経営破綻し、再生したのが今の新生銀となる。 公的資金の注入で一時国有化されたこの銀行は、リーマンショック直後に2期連続の赤字を出したこともあり、いまだに公的資金を返済できていないという“スネの傷”を抱えている。故に「公的資金を返せないなら、せめて金融当局が困っている課題に積極的に答えるしかない」(別の新生銀関係者)と恩売りを図ったというわけだ』、「恩売りを図った」というのはあり得るシナリオだ。
・『スルガ協業は地銀提携の呼び水か  ただ、スルガ銀との提携話を単なる恩売りで終わらせたくないというのが新生銀の本音だろう。というのも、新生銀の公的資金は普通株に転換されており、株価が上がれば国は保有する新生銀の株を売って公的資金を回収する、という筋道が立てられている。つまり、株価を上げなければ新生銀の悲願である公的資金の完済はなし得ないのだ。 その株価が低迷している中で、今回の提携を底上げのための「起死回生策にしたい」という思惑を働かせないわけはないはずだ。 さらに、新生銀の社外取締役であり同時に大株主にあたるクリストファー・フラワーズ氏が新生銀の株式を売却する意欲を示している。つまり、株主からの圧力を回避するためにも、株価上昇のための早期プランが必要不可欠だといえる。 では、その鍵を握るのは何か。両陣営は今後、無担保ローンや住宅ローンなどの個人向け業務、事業承継などの法人向け業務、そして資産の流動化などに関する連携と大きく3分野での事業提携を進めていく。例えば、三つ目に上げた資産の流動化に関して、すでに債権の証券化などは「多くの地銀からニーズが出てくるだろう」(新生銀幹部)と見込んでいる分野だ。スルガ銀が抱えている住宅ローンを、新生銀が債権化するというビジネスで好事例をつくることができれば、次の地銀提携の“呼び水”にすることができるだろう。 一方で、スルガ銀との提携をめぐっては、新生銀にも懸念事項が残る。その一つが人材派遣。スルガ銀は提携先からの役員派遣を検討している段階だが、仮にトップマネジメント層を派遣することになっても、そうした再生請負人を果たすような「経営人材はうちにはいない」(前出の新生銀幹部)からだ。 スルガ銀に新生銀、そして金融庁。各社の思惑のパズルのピースを、強引にはめ込んだ末に実現したように思える今回の提携話は、スルガ銀が株主提案を実施する6月の株主総会までに、もうひと山迎えることになりそうだ』、「スルガ銀が抱えている住宅ローンを、新生銀が債権化(正しくは証券化)」といっても、統計的な大数の法則が通用する普通の住宅ローンとは、全く性格が異なりリスクも大きいアパートローンとなると、証券化の壁は高そうだ。「経営人材はうちにはいない」のであれば、新生銀には何が出来るのか心もとない。

第三に、8月26日付けダイヤモンド・オンライン「大赤字で社員3割超が早期退職、急成長の投資用アパートTATERUの転落」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/212751
・『今年10月末、グループ全社員約400名中136名が早期退職で会社を去る――。インターネットを活用した投資用アパート販売で一躍成長したTATERU。投資用不動産業界の新星は、なぜここまで急転落したのか』、興味深そうだ。
・『残高改ざんの不正営業で売上高75%減  投資用アパート販売TATERUは、経営再建を目的として今年7月に早期退職優遇制度(募集人員約160名)を実施した。退職者の大半がアパート用地の仕入れや施工に関わっていた社員だ。これにより2.8億円の特別損失を計上するという。 その結果を発表した8月8日、同時に2019年12月期の中間決算も発表された。売上高は前年同期比で約62%減の約142億円、営業損失は約65億円、当期純損失は約89億円の大赤字に転落した。通期予想も振るわず、売上高は前期比75%減の約194億円にとどまり、当期純損失は約106億円を見込む。 過去をさかのぼると、10年12月期に約26億円だったTATERUの売上高は、17年12月期に約670億円(連結)まで急増。純利益も約40億円計上していた。16年12月に、東証一部上場にまで登り詰めるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。 そんな新星が、なぜここまで急転落したのか。急成長の裏で不正な営業活動が横行したことが明るみになったからだ。 アパート建築契約において、TATERUの営業本部長や部長代理を中心とする31名によるエビデンス改ざんが、成約棟数2269件のうち336件で発覚した。 具体的には、宅地の売買契約において、金融機関から融資を引き出すため預金残高を改ざんしたというもの。これが宅地建物取引業法違反となり、7月12日から1週間、国土交通省から宅建業に関わる全業務を停止するという行政処分を受けた』、こうした「エビデンス改ざん」は、スルガ銀行での「かぼちゃの馬車」でも多発した。
・『今後の資金繰りは大丈夫?  こうしたこともあり、主力事業である投資用アパート販売がほとんどできなくなった。そのため、業績悪化に歯止めがかからなくなってしまった。 もともとTATERUはオーナー希望者からの要望を受けて土地を仕入れるというスタンスだったため、在庫はそれほど抱えていなかった。だが問題発覚以降、融資を受けられなくなったオーナーの土地を引き取り、販売用不動産として在庫を抱えることになってしまった。それを事業資金確保のため、他の不動産会社に一括売却してきたという経緯がある。貸借対照表を見ると、約127億円あった販売用不動産が約73億円まで減り、その損失が約32億円に上ったようだ。 問題は今後の資金繰りだ。まず残った販売用不動産約73億円については、「これまでのような大きな損失を出さず処分できる」(TATERU広報担当者)と見込んでいる。また、手元の現預金は約104億円残っている。純資産も約139億円あり、すぐさま資金不足や債務超過に陥る状況ではなさそうだ。そのため、TATERUの財務諸表には、経営に危険信号がともったことを意味する「継続企業の前提に関する注記」はまだ付されていない。 「今後、アパート販売は縮小するが続けていきたい。また新規事業も拡げていきたい」(TATERU広報担当者)と巻き返しを図る考えだが、そもそも投資用アパートは「かぼちゃの馬車・スルガ銀行問題」以降、融資がかなり厳しくなってしまった。業界環境を考えても、本業だったアパート事業がかつての勢いを取り戻す可能性はほぼないだろう。 またTATERUが言うところの新規事業とは、関連会社でスマートロックやチェックインタブレットといったICTを活用した宿泊施設運用サービス、ホテル運営、賃貸経営オーナー向けのIoT機器の企画・開発などだが、中間決算時点の売り上げは合わせて約6億円。経営への貢献度はまだまだ低い。 TATERUは今期で赤字を一掃し、来期黒字化の意欲を見せている。だが、何より一度失った信頼を取り戻すのは難しい。古木大咲社長自身がまだ、記者会見などの表舞台で今回の事件の反省と将来のビジョンを語ることもしていない。IoT機器は管理会社などにも売り込んでいるが、将来の見通しが立たない会社のサービスがそう簡単に広まるとも思えない。経営再建に向けて事業縮小しているTATERUだが、苦難の道がしばらく続きそうだ』、「まず残った販売用不動産約73億円については、「これまでのような大きな損失を出さず処分できる」」との言い分は、売り易いものから売ったとすれば、残ったものではもっと大きな売却損が出る懸念もある。株価は175円と、2018年の高値2200円程度に比べると、低迷の極致だ。苦境を脱することは可能なのだろうか。
タグ:金融関連 ダイヤモンド・オンライン 澤田秀雄 現代ビジネス 時任 兼作 詐欺的事件 (その9)(HIS澤田会長の巨額詐欺被害で「あの大学」の名前が出てきた事情 別の詐欺事件の裁判中に…?、スルガ銀の救世主になった新生銀が描く「名誉挽回」の思惑、大赤字で社員3割超が早期退職 急成長の投資用アパートTATERUの転落) 「HIS澤田会長の巨額詐欺被害で「あの大学」の名前が出てきた事情 別の詐欺事件の裁判中に…?」 捜査線上に現れた「日大人脈」 「M資金まがい」の投資詐欺被害に遭った このAには、日大の幹部とつるんで、日大が発注する工事をエサに詐欺まがいのことを行った過去がある。その幹部は、田中(英寿)理事長の側近 金取引会社社長の石川雄太氏 「リクルート創業者の江副浩正氏が、安定株主対策として預けた株が、財務省に大量に保管されている。財務省とリクルートの承諾があれば、ワンロット50億円といった大口に限り、市価の1割引き程度で供給される」 同額の収益が上がるという新たな投資案件を持ちかけられた。その投資案件の運用・管理をしているとされる人物がAだった まず11億円余を石川氏の口座に振り込み、いったん信用させたのち、40億円の偽造為替手形を交付して、そのまま連絡を絶ってしまった』 「別の詐欺事件」の裁判が進行中 日大の仕事を欲しがっている業者を騙して、4000万円近くのカネを引き出したというもの。2017年に東京地裁に提訴され、現在も裁判が続いている Aは、別の詐欺事件に関する裁判の最中に、澤田氏を相手に投資詐欺を行っていた ハウステンボスは「2~3年後の上場を目指す」 「スルガ銀の救世主になった新生銀が描く「名誉挽回」の思惑」 スルガ銀行は、新生銀行と家電量販大手のノジマの2社と業務提携を結ぶと発表 女性専用シェアハウスの「かぼちゃの馬車」を巡り不正疑惑 不正融資の案件は、金額にして1兆円超と不動産投資向けローン全体の6割以上を占めることが判明 2019年3月期決算。スルガ銀は純利益で970億円の赤字に陥った。不正まみれの不動産投資向けローンが焦げ付くことを見越して貸倒引当金を積み増し、それが巨額な損失となったためだ 預金残高は3兆1656億円となり、1年間で9240億円もの預金が流出 新生銀と、すでに5%弱の株式を取得していたノジマが第一陣として手を挙げることとなった スルガ救済により名誉挽回を図る 公的資金を返せないなら、せめて金融当局が困っている課題に積極的に答えるしかない 恩売りを図った スルガ協業は地銀提携の呼び水か 「大赤字で社員3割超が早期退職、急成長の投資用アパートTATERUの転落」 グループ全社員約400名中136名が早期退職で会社を去る 残高改ざんの不正営業で売上高75%減 急成長の裏で不正な営業活動が横行したことが明るみになったからだ エビデンス改ざんが、成約棟数2269件のうち336件で発覚 国土交通省から宅建業に関わる全業務を停止するという行政処分 今後の資金繰りは大丈夫? 約127億円あった販売用不動産が約73億円まで減り、その損失が約32億円に上った 残った販売用不動産約73億円については、「これまでのような大きな損失を出さず処分できる」(TATERU広報担当者)と見込んでいる 「継続企業の前提に関する注記」はまだ付されていない
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金融業界(その5)(「反社会的勢力」に肩入れして墓穴を掘った西武信 金融庁長官賞賛の「信金の雄」が「第二のスルガ銀行」になるまで、“野村證券情報伝達”が「法令違反」ではないのに 許されないとされる理由、負の遺産を整理 メガバンク3行の人員削減が過去最大規模に、新生銀行と筆頭株主 「20年越しの決別」に金融庁が慌てる理由) [金融]

金融業界については、昨年11月25日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その5)(「反社会的勢力」に肩入れして墓穴を掘った西武信 金融庁長官賞賛の「信金の雄」が「第二のスルガ銀行」になるまで、“野村證券情報伝達”が「法令違反」ではないのに 許されないとされる理由、負の遺産を整理 メガバンク3行の人員削減が過去最大規模に、新生銀行と筆頭株主 「20年越しの決別」に金融庁が慌てる理由)である。

先ずは、6月3日付けニコニコニュースがJBPress記事を転載した「「反社会的勢力」に肩入れして墓穴を掘った西武信 金融庁長官賞賛の「信金の雄」が「第二のスルガ銀行」になるまで」を紹介しよう。
https://news.nicovideo.jp/watch/nw5406379
・『「信金の雄」と呼ばれた西武信用金庫で、理事長の落合寛司氏が辞任に追い込まれた。5月24日、金融庁から業務改善命令処分を受けての引責辞任。当局が最も問題視したのは、落合氏以下複数の経営陣が開けてしまった「パンドラの箱」の存在だった』、たしかアパートローンの不正融資が問題化したスルガ銀行も金融庁長官賞賛の第二地銀だった。検査を通じて実態を把握できる筈の金融庁の目は、2件とも節穴だったようだ。
・『発覚したチャイニーズドラゴン“関係者”と取引  西武信金は1969年に発足。昨年9月末時点の預金量2兆416億円は、全国261信金中14位の大手だ。2010年6月に落合氏が理事長に就任して以降、業容を拡大している。また、前金融庁長官の森信親氏も落合氏の手腕を高く評価していた。その結果、落合氏は金融庁金融審議会専門委員、経済財政諮問会議の政策コメンテーター委員会委員などの要職を務めるまでになった。 順風満帆かと思えた西武信金の風向きが変わったのは昨年4月のこと。「かぼちゃの馬車」を運営する投資用不動産会社スマートデイズが破綻し、スルガ銀行の融資姿勢が問題視されると、同様に多額の不動産向け融資を実行する西武信金にも疑念が向けられ、ついには“第二のスルガ銀行”と呼ばれるようになっていった。 金融庁が昨秋に実施した立ち入り検査では、スルガ銀行ほどの悪質な不動産融資は見つからなかったが、代わりに発覚したのが落合前理事長を始めとした幹部たちの「黒い交際」。それが「チャイニーズドラゴン」との関係だったのだ。 チャイニーズドラゴンとは、中国残留孤児の2世や3世で構成され、警視庁からは関東連合とともに準暴力団と認定されている反社会的勢力だ。 西武信金がチャイニーズドラゴンと関わりを持ったのは、東京郊外の立川市だった。立川市は西武信金とライバル関係にある多摩信金のお膝元で、西武信金は前線基地として立川南口支店を出店している。 立川南口支店の支店長は、今回、落合前理事長とともに辞任した牛山淳一常勤理事だった。その牛山氏は「敵地」立川市で奮戦していたものの、マイナス金利政策の影響で業績は思うように伸びなかった。そんな時、知り合ったのが、預金をしてくれた上に金も借りてくれるスナックのママ。が、彼女こそチャイニーズドラゴン幹部の妻だったのだ』、地元の「多摩信金」はママの正体を把握、近づかなかったのだろうが、地元情報に疎い西武信金が引っかかるという話しは、よくあることだ。
・『内部からの注意喚起もあったのだが・・・  立川市など多摩地区は、チャイニーズドラゴンが跋扈していることで知られている。ママの夫もその一人で、傷害容疑で逮捕された前科がある。だがそんなこととはつゆ知らず、牛山氏は、スナックや居酒屋を手広く経営していたママから、客を紹介されて取引を拡げていった。 ママが経営するスナックの1つは立川南口支店から徒歩数分の距離にある。店内の内装は小奇麗でテーブルが10ほど。料金は、1時間1万円にも満たず、都心のクラブやキャバクラに比べれば格安といえよう。 この店に通っていたのは支店長の牛山氏だけではなかった。今回、ともに辞任した川島弘之専務理事、そして落合理事長まで足を運んでいたのだ。西武信金とこのママは、それくらい密接な関係を結んでいた。 もちろん金融庁もその事実を把握している。立ち入り検査を行った際に提出させた、役員が使った交際費の領収書の中に、この店のものが含まれていたからだ。高給取りの信金幹部が、身銭を切らずに飲食代を信金の経費で落としていたというわけだ。金融庁がママの店で誰と会っていたのか追及すると、牛山、川島の両氏は「合併を模索していた金融機関が相手なので言えない」と答え、検査官から一笑に付されたという。 一方、西武信金内部では、この関係に警鐘を鳴らす者もいた。上場企業の監査役に該当する監事が、ママの夫が逮捕歴のあるチャイニーズドラゴンの幹部との情報を聞きつけて、落合氏に取引停止を進言していたのだ。同じころ、西武信金は地元警察に身分照会をしたものの、対象者としていたのは、チャイニーズドラゴンの幹部である夫ではなく、ママの方。そのため、警察は「反社ではない」と打ち返したという。 これで警察から「非・反社」のお墨付きを得たと勘違いした落合氏は、せっかく忠告した監事を怒鳴りつけ、取引を継続。その結果、ママ本人やその紹介者10人前後で融資総額は合計で40億円近くに膨れ上がったという。 このママたちへの融資について、牛山氏は金融庁に「彼女たちからは、毎月きちんと返済されている」と、資金回収に自信を見せたというが、反社勢力との取引撲滅を目指す金融庁が、そんな言い分を聞き入れるはずもない。投資用不動産融資の問題点と併せて、業務改善命令を突き付けられることになった。 業務改善命令と経営陣の一新。これで西武信金は再生できるのだろうか』、監事がせっかく忠告したにも拘らず、「地元警察に身分照会」したのは、「夫ではなく、ママの方」とは何たるお粗末さだろう。或は、この段階では、正体は把握していたので、問題ない「ママの方」で「照会」したのかも知れない。
・『融資は継続  落合氏の後を継いで理事長に就任した高橋一朗理事長は、記者会見で警察への身分照会を行った結果、「暴力団員としての属性がない」との回答を得たから、暴排条例に該当しないと判断したと明かした。 さらにこの記者会見で、融資の継続と回収に関して質問された高橋理事長は「個別の案件は回答を控える」と回答を濁したが、現時点でも融資は継続されていると見られる。会見時に公表されたニュースリリースには、「現在も当該者の関連者に対する融資残高はあります(債務者名義1人、1社で合計326百万円)」と記載されている。これが件のママに対する融資と言うことだろう。その他に、彼女から紹介された人物を含めれば融資先が10人前後になるというのは前述の通りだ。 実は一連の融資の借り手は飲食店経営者が多く、十分な担保価値のある不動産を保有している人物は少ないのでは、と見られている。とすれば、突然回収に回るわけにもいかず、返済が滞っても担保で補填するわけにもいかない。回収にはどうにも暗雲が立ち込めているように見えるのだ。 落合氏から蓋の開いたパンドラの箱を引き継いだ高橋氏。箱の中身は、回収困難で不良債権化の恐れがある40億円近いカネ、ということになるのだった』、金融庁検査で破綻懸念債権にでも分類されれば、大事だが、最近の金融庁検査は甘くなっているようなので、時間をかけて回収ということになるのだろう。

次に、元東京地検特捜部検事で、 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士の郷原信郎氏が6月10日付けYahooニュースに掲載した「“野村證券情報伝達”が「法令違反」ではないのに、許されないとされる理由」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20190610-00129575/
・『東京証券取引所(以下「東証」)が設置した「市場構造の在り方等に関する懇談会」(以下「懇談会」)の委員を務める野村総合研究所(以下、「野村総研」)の研究員が、野村證券のリサーチ部門に所属するストラテジストに、東証で議論されている市場区分の見直しについての内容を伝達し、ストラテジストが、従来から市場区分の見直しの議論に関心を示していた野村證券の営業社員等に、「現時点の東証の意向は、上位市場の指定基準及び退出基準を500億円ではなく250億円としたい模様」と伝え、営業社員が、その情報を顧客3社に提供した問題について、野村證券は、5月24日、外部弁護士からなる「特別調査チーム」の報告書を公表した』、「チーム」はどのように処理したのだろう。
・『「特別チーム」調査報告書における「コード・オブ・コンダクト」に関する指摘  この報告書の中に出てくる「コード・オブ・コンダクト」という言葉が、この行為とコンプライアンスとの関係を理解するキーワードだ。 報告書は、研究員は、東証と明文の守秘義務契約を締結していないとしても、懇談会の委員委嘱契約 の内容として一定の守秘義務を負っているものと考えられる ストラテジストによる 2 回にわたるメール発信は、日本証券業協会のルールに基づき厳格な審査が必要なアナリスト・レポートには該当せず、社内の広告審査の対象からも外れており、両者に係る管理態勢の枠外に置かれていた。とし、当該行為が、具体的な法令に違反する行為ではないことを前提にした上で、ストラテジストによる2 回のメール発信は、NRI 研究員の東証に対する守秘義務を全く考慮しない行為である。また、ストラテジストは、懇談会委員であるNRI 研究員がもたらす制度改正に関 する未公表情報を含む情報を伝達したものであり、マーケット・プレイヤーとしての基本的なコード・オブ・コンダクト(以下「コンダクト」)が欠如している としている。 つまり、研究員からストラテジストへの情報伝達が、明文の守秘義務契約違反ではなくても、「実質的な守秘義務」に反しており、ストラテジストが野村證券社員らに伝達し、顧客に情報を提供した行為は、法令には違反していなくても、「コンダクト」に反するということだ』、妥当な判断だ。
・『「LIBOR不正操作事件」とコンダクト・リスク  この「コンダクト」という言葉は、2012年の「LIBOR不正操作事件」で、注目されるようになった。LIBORは、銀行同士でお金を融通する際の金利で、世界の様々な金利の指標となるもので、英国銀行協会が主要銀行から申告させた数字を基に算出することになっている。一部の有力金融機関が意識的に虚偽の金利を申告したため、その“LIBOR”金利が、恣意的に操作されていたという問題だ。 この問題は、具体的な法令に違反するものではないが、「顧客の正当かつ合理的な期待に応えることを金融機関がまず第一に自らの責務として捉え、顧客対応、金融機関間のやり取り、市場における活動をもって、責務を示すこと」(英国Financial Conduct Authority(FCA))という、金融機関に期待される『コンダクト』に反する行為の典型だと言える。 この事件以降、このような行為によって社会的批判を受けるリスクを、「コンダクト・リスク」として、特に金融系の企業にとってのコンプライアンスの重要な問題として意識されるようになった。 今回の野村證券の問題も、法令や規則に違反するものではなく、明示的な契約違反でもない。つまり「法令遵守」の問題ではない。しかし、「東証の市場区分の見直しについての上位市場の指定基準及び退出基準」というのは、その見直しの対象となり得る上場企業の株価に重大な影響を与える事実である。それを議論する東証の懇談会に委員として参加している野村證券の子会社の野村総研の研究員が、委員であるがゆえに知り得た指定基準及び退出基準に関する情報を、親会社である野村證券の営業に利用することは、「投資家間の情報の公平」に反し、証券市場の公正を損なうものであることは明らかだ。それは、金融商品取引法等で、具体的に禁止されていなくても、証券関係者が行ってはならない行為である。 このような行為が、具体的な法令に違反していなくても、「コンダクト」に反するとされることの背景には、証券市場や金融商品の取引の「公正」を確保することに対する「社会的要請」がある。それは、投資判断に重要な影響を与える情報を不正に活用したという点で「インサイダー取引の禁止」の背後にある「社会的要請」と共通するものだ。 このように、具体的な法令規則に違反しない行為のコンプライアンス上の問題を理解するためには、それがどのような「社会的要請」に反するのか、という観点から考えてみる必要がある』、郷原氏の持論である「コンプライアンスとは、法令順守と狭く考えるべきでなく、「社会的要請」に合致すること」、というのに合った考え方だ。
・『日本におけるインサイダー取引禁止規定導入の特殊性  金融商品取引法は、「重要事実を知って公表前に株式を売買する行為」を、インサイダー取引として禁止している。それは、一部の投資家のみが内部情報に基づいて金融商品の取引を行うことが、「投資家間の情報の公平」を損ない、「金融市場の公正」を損なうからだ。 昔から証券市場を通じての企業資金の調達(直接金融)が中心だった米国では、インサイダー取引の禁止が、証券市場において徹底されてきた。米国では、広く国民全体が証券市場に参加するためには、投資家間の情報の公平性を維持することが不可欠だという考え方が、社会的に重視されてきたからである。 一方、戦後長らく金融機関を通じた間接金融が中心だった日本では、証券市場は、不確実な情報と思惑が入り乱れる中で投機的な売買が横行する「博打の場」のようなものだった。儲けるために人よりも早く内部情報を得て売買するのは当然のことで、「早耳筋」などという証券用語にも象徴されるように、インサイダー取引はごく当たり前の行為だった。 法律上、インサイダー取引が明確に禁止されたのは、バブル経済の最中の1986年。実際に処罰・制裁の対象にされるようになったのは、90年代半ば頃からである。金融ビッグバン以降、日本における企業金融が、間接金融から直接金融に大きくシフトしたことがその背景にある。 このように、その国の経済の中での証券市場の位置づけや、投資家間の情報の平等というルールの重要性などによって、インサイダー取引の禁止の必要性は異なってくるが、日本の証券市場は、上記のように、米国の証券市場とは異なる歴史をたどってきた。 現在では、日本の経済社会においても、国民の経済生活においても、インサイダー取引の禁止の背後にある「情報の平等」の要請は、一層重要なものとなっているが、上記のような歴史的経緯もあって、インサイダー取引の禁止の理由や、その背後にある「取引の公正」の考え方が十分に理解されているかと言えば、そうではない。単なる「法令遵守」の問題ととらえられやすい』、確かに「日本の証券市場」では、「インサイダー取引の禁止の理由や、その背後にある「取引の公正」の考え方が十分に理解されているかと言えば、そうではない」、というのは残念なことだ。
・『日本の「インサイダー取引禁止の規定」の特徴  日本のインサイダー取引禁止規定は、構成要件の明確性という観点から、主観的要件によらず形式的に構成要件が定められ、罰則導入当初は、法定刑も交通違反程度に設定された。その結果、本来は処罰の必要がないような行為にまで広く禁止の網がかぶせられていた。 もともとの趣旨からは、内部情報を知ったために株式売買をすることにした場合が対象とされるべきだが、日本の規定では、情報を知ったことと株式売買との因果関係が要件とされていないため、以前から予定していた株式売買であっても、たまたま売買する前に内部情報を知ってしまうとインサイダー取引に該当してしまう。業務上必要な場合も含め、極めて広い範囲の売買が禁止の対象とされていた。 この点については、その後、2015年9月の内閣府令の改正で、未公表の重要事実を知る前に締結・決定された契約・計画が存在し、株式等の売買の具体的な内容(期日および期日における売買の総額または数)があらかじめ特定されている、または定められた計算式等で機械的に決定され、その契約・計画に従って売買等が執行される場合には、契約・計画の締結・策定後に未公表の重要事実を知った場合には、インサイダー取引規制は適用されないとする適用除外規定が設けられた。 しかし、形式犯的性格が強かったという経緯から、日本では、インサイダー取引の禁止規定に関して、「市場の公正」「取引の公正」を害するという実質的な観点より、形式的な「法令遵守」に反するかどうかという形式的な観点が重視される傾向がある』、法令の歴史的経緯が現在でも解釈に影響を与えているのは、残念だ。
・『職業倫理に反する「情報不正活用行為」に対する考え方  企業から未公表の情報の提供を受け、その業務に活用する職業の従事者が、提供された情報を私的に流用して取引を行うことは、その組織や職業自体への信頼を失わせ、職業の存立基盤にも重大な影響を与えかねない行為だが、そのような「職業倫理に反する情報不正使用行為」が、常に金商法のインサイダー取引の規定に違反するかと言えば、必ずしもそうではない。 たとえば、報道関係者が、特定の会社の批判キャンペーン報道をする前にその会社の株を空売りしたとしても、会社関係者から重要事実に当たる情報を「受領」したものでなければインサイダー取引には該当しない。また、証券市場のシステムが大混乱し市場全体が暴落することを事前に知った証券取引所の内部者が持ち株を売ったとしても、個別の会社に関する情報に基づく売買ではないので、インサイダー取引には該当しない。日銀の金融政策に関わる幹部が、非公表の金融政策に関する決定の内容を知って、投資信託等の売買を行ったとしても、同様にインサイダー取引には該当しない。 これらの行為は、重大な職業倫理違反ではあるが、金融商品取引法などの法令に違反する行為ではない。 2007年頃、NHKや新日本監査法人など「未公表の情報の提供を受け、それを活用して社会に価値をもたらす組織」において、その情報を私的に利用して個人的利益を上げようとする行為が相次いで表面化したことがあった。 かかる問題に対して組織として行うべきことは「法令遵守の徹底」や「何が法令に違反するのかを教え込む教育」ではなく、「未公開の情報を提供されて行う業務について、情報の取扱いについての社会的要請をどのように受け止め、どのように要請に応えていくのか」に関して、方針や組織の在り方を全面的に見直すことだ』、その通りだろう。
・『証券会社における「情報活用行為」とコンダクトとの関係  今回の野村證券の情報伝達問題は、証券会社という金融商品の取引を業とする組織が、インサイダー取引の禁止の背景にある「投資家間の情報の公平」という社会的要請にどのように応えていくべきかという問題である。 監査法人、報道機関等の組織は、その業務の性格からして、そもそも「業務上入手した情報を活用して投資を行うこと」自体が許されないのであり、職業倫理としての禁止の徹底も容易だが、証券会社と情報活用との関係は、それとは若干異なる。かつては、営業活動自体が、基本的に「顧客に有利な情報を提供すること」つまり、「情報の差別化」を付加価値としているように思われてきた証券会社では、「法令遵守の範囲内であれば、情報の優位性を営業でアピールすることは許される」という認識を有する営業マンが多かった。そういう意識が根強く残っている組織において、「情報の公平性」に反する行為が「取引の公正」を損なう行為だという認識を定着させ、組織内で徹底していくことは決して容易ではない。 今回の情報伝達問題は、「情報の公平性」に関する「コンダクト」の問題で、証券会社に対して当局の厳しい対応が行われた初めての事例だ。金融業界のコンプライアンスが、「法令遵守」を超えたレベルへの進化を求められていることを表すものと言えよう』、「金融業界のコンプライアンスが、「法令遵守」を超えたレベルへの進化」、を期待したい。

第三に、6月13日付け日刊ゲンダイ「負の遺産を整理 メガバンク3行の人員削減が過去最大規模に」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/255953
・『メガバンクが過去最大の業務・人員削減を進めている。日銀の低金利政策による利ザヤの縮小、IT化、顧客対応ロボット(ペッパー)の代替、そして人口減少などで既存の銀行員の居場所がなくなってきているのだ。 2019年3月期の3メガバンクの決算は、本業の儲けを示す業務利益が三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は、前年比11.8%減の8726億円。三井住友FGは同1%減の7266億円、みずほFGは同83.2%減の965億円だった。 業績の落ち込みが突出したみずほFGは、すでに26年末までに全従業員の3割にあたる1万9000人の削減を発表。21年末までに8000人の削減が予定されている。新規採用も18年の1365人から、20年には550人に抑えられる。そして、「希望した社員には副業や兼業を認める人事制度を改定し、今期中に募集のスタートができる方向で検討しています」(同社広報室)。 三菱UFJFGは、銀行本部に所属する約6000人の社員を半数の約3000人まで縮小。主に営業部門への配置転換を予定している。 「英国のEU離脱に絡んで、ロンドンの欧州統括拠点では、約500人の管理職全員に7月末まで希望退職の募集を開始しています」(同行幹部社員) 三井住友FGは、17年度から3カ年の新中期経営計画に、業務削減量を1000人上積みし、5000人分に拡大した。 「AI化やRPAの導入で事務負担は減りますが、それらを管理する人材は必要です。定年退職による自然減と新規採用の抑制、さらに過剰な人員は営業部門を含めたグループ会社への配置で業務削減分の対応は十分可能です。それにしても、みずほの副業・兼業解禁は驚きです」(同社幹部社員) 同グループの太田純社長がメディアの取材にこう述べている。 「全てのビジネスモデルを根本的に見直さないといけない」とし、「貸金だけでなく、デジタル技術を活用した新規事業の展開、付加価値の提供が銀行の存在価値」。 岡山商科大学の長田貴仁教授が言う。「伝統的な銀行は支店やATMの数が多い上、多くの社員を持つという3つの負の遺産を抱えています。楽天銀行、ソニー銀行、セブン銀行など他業種から参入した銀行が高収益を上げているのはこうした負の遺産を持たないためです。配置転換、自然減というのは銀行の人員削減の常套句ですが、営業部門への配置転換は、2850人の早期退職者を出した富士通のように、不本意な部署への配置でも残るか退職するか、会社への忠誠心を問う選択といえます」 負の遺産を切ろうとする銀行に、生き残りのための革命が起きている』、みずほが、「希望した社員には副業や兼業を認める人事制度を改定」、というのは人員削減が多く、形振り構っていられないということかも知れない。「三菱UFJFGは・・・英国のEU離脱に絡んで、ロンドンの欧州統括拠点では、約500人の管理職全員に7月末まで希望退職の募集を開始しています」、ここでの管理職は派遣行員を除いた現地行員と思われるが、「英国のEU離脱」の影響が予想通り出ているようだ。「営業部門への配置転換は・・・不本意な部署への配置でも残るか退職するか、会社への忠誠心を問う選択といえます」、いまさら「会社への忠誠心」でもないように思える。

第四に、8月26日付けダイヤモンド・オンライン「新生銀行と筆頭株主、「20年越しの決別」に金融庁が慌てる理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/212789
・『新生銀行の筆頭株主である米投資ファンドが、保有株式の売却に動いた。公的資金の返済を実現する上で、今度は監督官庁の金融庁が試される局面に入りそうだ』、もう新生銀行から「むしり取れる」ことはないと諦めたのだろうか。
・『物言う株主と20年越しの決別  筆頭株主であり、社外取締役でもあるクリストファー・フラワーズ氏と“決別”する――。8月8日、新生銀行が発表した内容は、金融関係者の耳目を集めた。 この動きについて、「全く何とも思っていない」(新生銀幹部)と無関心をうたう声も内部から聞こえてくる一方で、経営判断に実質的に携わっていたフラワーズ氏の離脱は、役員人事を含む新生銀の動向を大きく左右し得る要素だ。 そもそもフラワーズ氏と新生銀の関係は、同行の発足当時の2000年頃までさかのぼる。新生銀のルーツである旧日本長期信用銀行(長銀)が、経営破綻して一時国有化された直後、フラワーズ氏は売却先となる米投資会社側の交渉の取りまとめ役として参画した人物だ。その後、社外取締役に就任するかたちで経営への関与を強めた。 07年には、フラワーズ氏を代表とする投資ファンドが新生銀の筆頭株主になる。関連の投資ファンドの保有分を含めると、フラワーズ氏は足元でも発行株式の20%超を保有する存在。「主要株主委員会の場でいろいろと文句をつける」(金融庁関係者)という“物言う株主”の役割を果たしてきた。 そして、新生銀誕生から約20年が経過した今、フラワーズ氏が保有する株式の大半を含む約4500万株を、今月内に売り出すことに至った。筆頭株主でなくなった後、フラワーズ氏は新生銀の社外取締役を退任する意向だ。 フラワーズ氏は近年、保有する新生銀の株式を手放す意向を示していたとされる。売り先としていくつかの投資ファンドとの交渉に入っていたが、有力候補だった「台湾の大手銀行との交渉が破談になった」(新生銀関係者)。これを機に、今回の売り出しに至ったようだ。 ただ、20日に決定した売却価格が1株1387円だった一方、ある市場関係者は「フラワーズ氏の出口戦略として1株3000円ぐらいが妥当だったはずだ」と分析する。 異次元金融緩和がもたらした今の低金利環境では、これ以上の株価上昇は見込めない――。フラワーズ氏の“安売り”は、新生銀に対して三下り半を突きつけたように映る』、フラワーズ氏は米投資銀行ゴールドマンサックス出身で、旧長期信用銀行破綻後から再生を主導、悪名高い「瑕疵担保条項」を付けたことで、不良債権8500億円を預金保険機構に引き取らせた。2004の上場と2005の売り出しで、ファンド全体で売却益5300億円(出資額は1010億円)を稼いでいる。
・『繰り上げ筆頭株主化に焦る金融庁  「私たちも大変な立場になるだろう」――。銀行の監督官庁である金融庁のある幹部は、今回のフラワーズ氏の離脱を受けて危機感を募らせた。 なぜか。フラワーズ氏の関連ファンドが筆頭株主から外れた後は、預金保険機構などで約18%の株式を保有する政府が筆頭株主に繰り上がるからだ。 新生銀は、国から注入された公的資金を返済できていない唯一の大手銀行だ。注入された公的資金は普通株式に転換されていて、完済には株価が1株7400円まで上昇することが必須だ。とはいえ、現状の株価を見ると、返済を早期に実現することは厳しいといわざるを得ない。 新生銀はATMの手数料無料化や消費者ローンなど、先進的なリテール(個人向け)事業の取り組みに注力してきた。こうしたノウハウを持ち、さらには都内での顧客基盤を持つ新生銀に対して、主要株主のフラワーズ氏が抜けたこのタイミングで、地方銀行や他の金融機関が資本面を含めた提携に関心を寄せる可能性は残されている。 今後は、こうしたビジネスモデルの在り方やパートナー探し、そして経営体制の良し悪しという経営課題に関して、筆頭株主が政府のままであれば、金融庁が「正面から問われる」(前出の金融庁幹部)ことになるというわけだ。 フラワーズ氏と決別したとはいえ、新生銀にとっては、もう一つの大きな“足かせ”である公的資金の返済が残されている。 そのためにも、「今の金融界において、存在意義のある金融機関としてのビジネスを展開できるかどうかが重要だ」(別の金融庁幹部)といえる』、「日の株価は1430円と預金保険機構の簿価7400円とは絶望的な開きがある。「先進的なリテール事業の取り組みに注力」、とはいっても、貸金業や消費者ローンでは余り儲けられなくなったようだ。やはり、破綻で優良企業が逃げ出したあとの銀行再建は、容易ではなさそうだ。
タグ:立川市 yahooニュース 金融業界 日刊ゲンダイ 郷原信郎 ダイヤモンド・オンライン JBPRESS ニコニコニュース (その5)(「反社会的勢力」に肩入れして墓穴を掘った西武信 金融庁長官賞賛の「信金の雄」が「第二のスルガ銀行」になるまで、“野村證券情報伝達”が「法令違反」ではないのに 許されないとされる理由、負の遺産を整理 メガバンク3行の人員削減が過去最大規模に、新生銀行と筆頭株主 「20年越しの決別」に金融庁が慌てる理由) 「「反社会的勢力」に肩入れして墓穴を掘った西武信 金融庁長官賞賛の「信金の雄」が「第二のスルガ銀行」になるまで」 「信金の雄」と呼ばれた西武信用金庫 発覚したチャイニーズドラゴン“関係者”と取引 “第二のスルガ銀行”と呼ばれるように 代わりに発覚したのが落合前理事長を始めとした幹部たちの「黒い交際」。それが「チャイニーズドラゴン」との関係 チャイニーズドラゴンとは、中国残留孤児の2世や3世で構成され、警視庁からは関東連合とともに準暴力団と認定されている反社会的勢力だ ライバル関係にある多摩信金のお膝元 スナックのママ。が、彼女こそチャイニーズドラゴン幹部の妻 この店に通っていたのは支店長の牛山氏だけではなかった。今回、ともに辞任した川島弘之専務理事、そして落合理事長まで足を運んでいたのだ。西武信金とこのママは、それくらい密接な関係を結んでいた る監事が、ママの夫が逮捕歴のあるチャイニーズドラゴンの幹部との情報を聞きつけて、落合氏に取引停止を進言 地元警察に身分照会をしたものの、対象者としていたのは、チャイニーズドラゴンの幹部である夫ではなく、ママの方。そのため、警察は「反社ではない」と打ち返したという 融資は継続 「“野村證券情報伝達”が「法令違反」ではないのに、許されないとされる理由」 「市場構造の在り方等に関する懇談会」 「特別チーム」調査報告書における「コード・オブ・コンダクト」に関する指摘 「LIBOR不正操作事件」とコンダクト・リスク 日本におけるインサイダー取引禁止規定導入の特殊性 職業倫理に反する「情報不正活用行為」に対する考え方 証券会社における「情報活用行為」とコンダクトとの関係 「負の遺産を整理 メガバンク3行の人員削減が過去最大規模に」 「新生銀行と筆頭株主、「20年越しの決別」に金融庁が慌てる理由」 物言う株主と20年越しの決別 クリストファー・フラワーズ氏 足元でも発行株式の20%超を保有する存在 “物言う株主”の役割 有する株式の大半を含む約4500万株を、今月内に売り出す 繰り上げ筆頭株主化に焦る金融庁 預金保険機構などで約18%の株式を保有する政府が筆頭株主に繰り上がる 瑕疵担保条項 ファンド全体で売却益5300億円(出資額は1010億円)を稼いでいる
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暗号通貨(仮想通貨)(その13)(仮想通貨「採掘」で大誤算 GMOとDMMが急転換 GMOは350億円の特損 上場以来最大の赤字へ、金融庁は仮想通貨規制をどこまで強化するのか 「ICO」での資金調達も金商法の対象になる?、仮想通貨上昇 拭えぬ疑念 ビットコイン1万ドル回復「相場つり上げ」の声も、金融庁メンツ丸つぶれ ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」) [金融]

昨日のリブラに続いて、もともとの暗号通貨(仮想通貨)(その13)(仮想通貨「採掘」で大誤算 GMOとDMMが急転換 GMOは350億円の特損 上場以来最大の赤字へ、金融庁は仮想通貨規制をどこまで強化するのか 「ICO」での資金調達も金商法の対象になる?、仮想通貨上昇 拭えぬ疑念 ビットコイン1万ドル回復「相場つり上げ」の声も、金融庁メンツ丸つぶれ ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」)を取上げよう。なお、こぼブログで前回取上げたのは、昨年7月7日なので、1年ぶりとなる。

先ずは、昨年12月30日付け東洋経済オンライン「仮想通貨「採掘」で大誤算、GMOとDMMが急転換 GMOは350億円の特損、上場以来最大の赤字へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/258049
・『「ブロックチェーンと仮想通貨は、インターネットに匹敵する発明だ」――。GMOインターネットの熊谷正寿会長兼社長は記者会見や取材の場でそう繰り返し語り、ここ1年ほどそれら領域での事業開発を推進してきた。だが同社は今、仮想通貨関連事業が発端となり、”泥沼”にはまっている。 GMOは12月25日、「仮想通貨マイニング(採掘)事業の再構築に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」と題したニュースリリースを発表した。仮想通貨の自社マイニング事業で減損損失など115億円、マイニングマシンの開発・製造・販売事業で債務譲渡損など240億円が発生し、2018年12月期の第4四半期にこれらを特別損失として処理するという内容だ。 同社は今期の業績予想を公開していないが、『会社四季報・新春号』(小社刊、12月14日発売)では同社の純利益を106億円と予想している。ここに今回の特別損失計355億円がのしかかれば、2005年の上場以来最大の最終赤字となる可能性が高い』、「月謝」はずいぶん高いものとなったようだ。
・『演算能力を競うマイニング  マイニングとは、仮想通貨に関する取引データの集合体=ブロックが適正かどうかをマイナー(採掘者)が計算・判断し、承認する作業を競う仕組みだ。承認作業が行われ新たなブロックが生成されると、それを実現したマイナー向けに”報酬”として一定額の仮想通貨が発行される。一連の作業が金を掘り当てるのに似ていることから、マイニングという言葉が当てられている。 ブロックの生成は早い者勝ちだ。コンピュータによる高度な演算能力が必要であり、「マイニングファーム」と呼ばれる巨大なデータセンターを構築・運営する資本力が求められる。仮想通貨の代表格であるビットコインのマイニングでは、ビットメイン社をはじめとする中国勢のシェアが高い。一方の日本勢も、ビットコイン価格が急騰し始めた2017年後半以降、市場の成長性を見込んでIT大手が続々参入した。 その筆頭が、「仮想通貨領域で世界ナンバーワンを目指す」(熊谷社長)と打ち出すGMOだ。北欧に大規模なデータセンターを構え、昨年12月からビットコイン、ビットコインキャッシュのマイニング事業を本格的に開始。マシンの稼働数を徐々に引き上げていった。これに加え、国内では唯一、マイニングに欠かせない半導体とマシンの開発・製造・販売にも乗り出した。回路の線幅を7nm(ナノメートル)まで微細化したマイニング用半導体を世界で初めて量産化するなど、かなりの力の入れようだった。 だが、この攻勢が裏目に出る。ビットコイン価格は昨年12月に最高値をつけた後、多少の上下はあるものの、右肩下がりとなった。直近の価格はピーク時の2割程度まで下落している。一方、マイニングを行う計算能力の総計「ハッシュレート(HR)」は全世界的に上昇し、競争が激化。つまり、ビットコインそのものの価格低下と掘り当てられる確率低下というダブルパンチで、事業環境は参入当初の見込みから大幅に悪化していったのだ。 これを受けGMOは今回、需要が縮小するマシンの独自開発・販売からの撤退を決定。半導体製造に際しては協力企業に最新鋭の専用ラインを設けるなど、投資が膨らんでいたため、撤退にあたって250億円という手痛い特損を伴った。自社マイニングも継続はするものの、事業構造を全面的に見直す。北欧より安価に電力調達を行える地域への移転を検討し、収益性の底上げを目指す。なお、仮想通貨交換所など同社グループ内で手掛けるマイニング以外の仮想通貨事業は今後も続ける方針だ』、マイニングでは中国勢が、電気代の安い山奥などに大規模な工場を建て、マイニング専用のサーバーを置いている様子がテレビで紹介された。GMOは「北欧より安価に電力調達を行える地域への移転を検討」、というのは中国なのだろうか。
・『DMMは金沢の大規模ファームから撤退  仮想通貨をめぐる事業環境変化のあおりを食うのは、GMOばかりではない。今年2月から金沢で大規模マイニングファームの運用を始めたDMM.comも、同事業から撤退することが東洋経済の取材でわかった。9月にはすでに撤退の意思決定をしたという。マシンの売却などの撤退作業は2019年前半にかけて行っていく。やはり「収益性の悪化が主要因」(会社側)という。 DMMは2017年9月に仮想通貨事業部を発足。10月からはビットコイン、イーサリアム、ライトコインなど、複数の仮想通貨のマイニング事業を始めたが、大規模なマイニングファームの運営は前出の金沢が初めてだった。当初の予定では、段階的に稼働を引き上げ、4月には約500平方メートルのフロアで1000台のマシンが動く様子をショールームとして一般公開する予定だった。 非日常的なマイニングの現場を利用者に生で体感してもらいたい――。そんな考えからファームの一部を一般公開したDMMだったが、これは6月には早々に中止した。セキュリティ確保が難しいと判断したためだ。海外では仮想通貨マイニングマシンの窃盗事件が後を絶たないうえ、DMM自身の金沢のファームでも「アポなしでユーチューバーがやってくるなど、不法侵入に近い事態も発生した」(会社側)という。 DMMは仮想通貨関連の別事業でも見直しを迫られた。同社傘下のネクストカレンシー社は12月25日、リリースに向け準備を進めていた仮想通貨取引アプリ「cointap(コインタップ)」の公開取りやめを発表。仮想通貨価格の下落やコインチェック事件を受け、同アプリがターゲットに定めていた初心者層の取り込みが難しくなったとの判断がある。 2018年初には熱狂の渦にあった仮想通貨市場だが、わずか1年で環境は激変した。一方で、仮想通貨の基盤でもあるブロックチェーンの研究開発や活用に関しては、攻勢を強める企業が増え続けている。新たな技術ゆえのビジネスの難しさは、2019年にも表出するかもしれない』、現在では仮想通貨の相場は多少、持ち直したようだが、どうなるのだろうか。

次に、マーケットアナリストの田代 昌之氏が3月13日付け東洋経済オンラインに寄稿した「金融庁は仮想通貨規制をどこまで強化するのか 「ICO」での資金調達も金商法の対象になる?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/270408
・『仮想通貨相場が低迷している。ビットコインは2018年以降、右肩下がりとなり、足元では40万円前後でもみ合い相場の様相。2017年末に付けた最高値と比べ5分の1の低水準だ。国内はもとより世界的に仮想通貨(暗号資産)への関心が低下し、投機対象として積極的に売買する投資家も減少しつつある。 その一方、国内では仮想通貨に対する規制が徐々に強まっている。金融庁は2017年の改正資金決済法で仮想通貨を資金決済手段と位置づけ、交換業者に登録制を導入した。これは世界各国に先駆けた動きだったが、ここにきて仮想通貨技術を使った資金調達「ICO」(イニシャル・コイン・オファリング)に対する規制も検討しているのだ』、健全な投資家を引き寄せるためには、規制は不可欠だ。
・『ICOはいまだ「無法地帯」、詐欺まがいの案件も  ICOに対する規制が定まれば仮想通貨への関心が再度高まっていく、とは限らない。しかし、無法地帯だったICOに一定のルールが構築されることは決してネガティブな話ではないだろう。 金融庁は有職者会議「仮想通貨交換業等に関する研究会」を設置し、仮想通貨の流出リスクや証拠金取引などへの対応策に加え、投機性を有するICOへの規制について検討してきた。 ICOでは、「トークン」と呼ばれるデジタル権利証を発行して投資家から資金を調達する。ただ、ICOには審査や業績開示といった厳しい規制がなく、事業計画がずさんで詐欺まがいの案件も目立つと指摘されている。トークンは仮想通貨交換所で取引できることから、投機性を帯びるようにもなっている。 「仮想通貨交換業等に関する研究会」は2018年3月に設置され、合計11回の議論を重ねている。何が話し合われたのか、論点を具体的に見ていこう。 2018年11月12日の「第9回仮想通貨交換業等に関する研究会」では、従来の証券市場では不公正取引と見なされるような仮想通貨取引や、ICOに絡んだ詐欺事案なども報告された。現行の資金決済法の枠組みでは対応できない点を考慮すれば、「金融商品取引法(金商法)での規制が必要」としている。 それに続く11月26日の第10回研究会では、「ずさんな事業計画と詐欺的な事案が多く、既存の規制では利用者保護が不十分」「他の利害関係者(株主、債権者等)の権利との関係も含め、トークンの権利内容に曖昧な点が多い」などと、さらなる問題点が指摘された。「投資性を有するICOの特質と、それに伴い必要と考えられる規制の内容を整理する必要がある」と突っ込んだ。 そして第11回研究会の後、12月21日に同研究会はA4・33ページから成る報告書をまとめた。仮想通貨交換業者に対し、顧客の仮想通貨相当額以上の純資産額および弁済原資を保持することを義務付ける、財務書類の開示も義務付ける、などとした。さらに「ICOへの対応」については10ページ以上を割き、下記のような規制に向けたポイントを挙げている。 ICOへの対応(仮想通貨交換業等に関する研究会の報告書概要から)◆投資性を有するICOへの対応(●仮想通貨による出資を募る行為が規制対象となることを明確化 ●ICOトークンの流通性の高さや投資家のリスク等を踏まえて、以下のような仕組みを整備 +50名以上に勧誘する場合、発行者に公衆縦覧型の発行・継続開示を義務付け +仲介業者を証券会社と同様の業規制の対象とし、発行者の事業・財務状況の審査を義務付け +有価証券と同様の不公正取引規制を適用(インサイダー取引規制は、今後の事例の蓄積等を踏まえて検討) +非上場株式と同様に一般投資家への勧誘を制限 ◆その他のICOへの対応(●ICOトークンを取り扱う仮想通貨交換業者に、事業の実現可能性等に関する情報提供を義務付け) ICOをめぐっては中国や韓国が禁止するなど、規制から踏み込んで一律禁止する動きもある。ひるがえって日本(研究会の報告書概要)は、ICOの有用性に配慮し、リスクに応じた投資家保護の規制を施して存続は認める、という方針に見える。 ICOのうち投資性を有すると認められるものに関しては、法定通貨のみならず仮想通貨で購入可能なものについても、金商法の規制の枠組みに当てはめる方針と見られる。報告書では、「情報提供(開示)の仕組み」「第三者による事業・財務状況のスクリーニングの仕組み」「公正な取引を実現するための仕組み」「トークンの流通の範囲に差を設ける仕組み」の4点が規制対象として挙げられている。 それぞれの内容を確認すると、「情報提供(開示)の仕組み」については第一項有価証券と同レベルの開示が必要とされており、「第三者による事業・財務状況のスクリーニングの仕組み」については第一種金融商品取引業者と同レベルの義務負担が生じるとある。一方、「公正な取引を実現するための仕組み」では原則的に有価証券に対する規制と同様としているが、インサイダー規制については要検討とされ、詳細の詰めはこれからといったところだ』、ICOへの規制案は過度な規制色に走らず、妥当なところだろう。
・『アメリカではICOから「STO」への流れに  このようにICOに対しては金商法上の規制の中でも高度なものが課される可能性が高い。アメリカでは2018年3月、アメリカ証券取引委員会(SEC)がほぼすべてのICOトークンは有価証券であるとの見解を表明している。既存のICOも規制する方針だ。アメリカと同様に、日本ではICOのうち投資性を有すると認められるものは「プロ向け」の商品となり、参加者が限られる一方、ライセンス取得の困難さを踏まえると参入障壁は高いものとなるだろう。 現状、ICOはホワイトペーパーのみ作成すれば、トークンに資産の裏付けがなくても発行することができる。実は、ここに最大の問題があると私は見ている。どう解決するか。ブロックチェーン技術を応用した新たな資金調達手段として「STO」(セキュリティ・トークン・オファリング)が活用される可能性があると考える。ICOからSTOへの転換だ。これはすでにアメリカで潮流になりつつある。 STOは、その名に「セキュリティ」が含まれるように「証券」に分類される。株などの有価証券を裏付けとして発行されるトークンのことで、利益分配や議決権等を投資家に配当する仕組みをすべてトークンに置き換えたものである。 証券に該当するため、既存の金融商品関連の法律に沿った格好となることから、投資勧誘と販売にあたっては監督官庁の管理のもと行われることとなる。2018年8月、AnyPay株式会社のグループ会社であるAnyPay Pte.Ltd.(本社:シンガポール)が、収益分散型トークン発行システムをリリースすると発表した。しかし、国内ではSTOに関する確定した規制枠組みが存在せず、STOによる資金調達が行われた事実も観測されていない(2019年1月28日時点)』、ICOへの規制案が固まらないうちから、新なSTOが出現するとは、やれやれ・・・。
・『STO市場のメインプレーヤーになるのは誰か?  アメリカでは2018年以降、SECなどによって有価証券であると指摘を受けたICOがSTOの枠組みに沿った格好で修正している例も多数報告されている。STOは、アメリカ市場で知名度が徐々に増している。 ただし、STOはICOに比しても参入障壁が高い。ICOのように、資本力に乏しいベンチャーなどがメインプレーヤーになるとは考えにくい。金融商品関連の法律に通じ、一定のコンプライアンスを備え、かつ有価証券に慣れている既存の金融業界、つまり証券関連のプロフェッショナルである証券業界がメインプレーヤーになる可能性もある。既存ビジネスで閉塞感が強まり、株価も冴えない証券業界(特に国内)において、今後、STOに絡む動きが活発化するか注目したい。 もっとも、日本円との連動を想定して開発を進めているメガバンクのステーブルコインの先にSTOがあるとすれば、注目すべき業界は証券業界だけではなくなってくる。変動率(ボラティリティー)が抑えられたステーブルコインをベースにSTOを展開するというシナリオは、調達資金がブレるリスクを抑えられるからだ。今後、メガバンクの動向も注視すべきだろう』、「ステーブルコインをベースにSTOを展開するというシナリオ」は大いにあり得る可能性があり、注目点だ。

第三に、6月25日付け日経新聞「仮想通貨上昇、拭えぬ疑念 ビットコイン1万ドル回復「相場つり上げ」の声も」を紹介しよう。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO46519960U9A620C1EE9000/
・『代表的な仮想通貨(暗号資産)ビットコインの価格が心理的節目の1万ドル(約107万円)を回復した。短期的な値動きに反応して個人マネーが再び流入している。ヘッジファンドなど機関投資家の間で運用資産の一部に仮想通貨を組み入れる動きもある。ただ現在の価格上昇は投機色が強く、一部の市場参加者による価格操作の疑念も残っている。 情報サイトのコインデスクによると、ビットコイン価格は2018年3月以来、約1年3カ月ぶりの高値をつけた。年初来では約3倍の水準だ。世界の景気動向が不透明になるなかで、マネーの一部が株式などのリスク資産から仮想通貨に向かっている。 ビットコイン価格の推移を振り返ると、17年は右肩上がりで2万ドルまで急騰したバブル、18年はそのバブルが崩壊した年だった。19年は一転、価格の戻り基調が鮮明になっている。年初に3700ドル近辺だった価格は22日に1万ドルを突破し、24日午後時点で1万800ドル前後で推移している。 価格上昇の底流にあるのが機関投資家マネーの存在感の拡大だ。米クリプト・ファンド・リサーチによると、仮想通貨関連のファンドの資産総額は4月時点で143億ドル(約1兆5357億円)と、ビットコイン価格が約1万3000ドルで推移していた18年1月(68億ドル)の約2倍に膨らんでいる。 18年の1年間では新たに239本の関連ファンドが立ち上がり、19年にも145本が設定される見込みという。国際通貨研究所の志波和幸主任研究員は「株や債券など伝統的な資産とは独立した値動きをする仮想通貨をポートフォリオに組み込むヘッジファンドが増えている」と指摘する。 米仮想通貨運用会社のモルガン・クリーク・デジタルは2月、仮想通貨やブロックチェーンに投資するファンド向けに約43億円を調達した。出資しているのは公的年金や大学基金などとみられている』、確かにヘッジファンドにとっては、格好の投資対象なのだろう。「出資しているのは公的年金や大学基金など」、これらの保守的な投資家にも認められたというのは驚きだ。
・『こうしたマネーの流入を背景に、「今回の上昇は従来とは違う」と主張する市場関係者もいる。「ビットコインはデジタルの金」が持論で、仮想通貨に投資を続けるタイラー・ウィンクルボス氏は「次の節目は1万5000ドルになるだろう」と指摘する。 機関投資家の需要増は先物の動きからも見てとれる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は21日、ビットコイン先物の未決済の建玉が4日連続で最高になったと発表した。先物はビットコインの価格変動リスクをヘッジするために使われており、機関投資家マネーの流入を裏付ける。市場の一部では「香港のデモの影響で中国マネーがビットコインに流れ込んだ」との見方もある。 仮想通貨は相次いだ不正流出事故などで投資家の信頼を失いつつあったが、技術的な裏付けとなるブロックチェーン(分散型台帳)への関心は衰えていない。企業の仮想通貨利用を巡っては米JPモルガン・チェースが2月に独自のデジタル通貨「JPMコイン」を開発するなど、既存の金融大手による参入も続く。 米フェイスブックは世界の利用者27億人を対象にした「リブラ(Libra)」構想で、低コストで送金できるインフラを目指す。ただ各国の金融当局はリブラの動向を注視しており、普及までの道筋は不透明だ。 一方、最近のビットコイン価格の急騰には疑惑の目も向けられている。仮想通貨「テザー」に絡む価格操作だ。 テザーは1ドル=1テザーの固定レートをうたう価格の安定した「ステーブルコイン」のひとつだ。発行元のテザー社がテザーを大量に発行し、これを受け取った仮想通貨交換会社のビットフィネックスが「テザー売り・ビットコイン買い」を仕掛けることでビットコイン価格が上昇しているとの見方が出ている。テザー社とビットフィネックスの経営陣は同じとみられている。 仮想通貨に詳しい京大大学院の岩下直行教授によると、最近はビットコインの取引金額が増えるに従って、テザーの取引金額も増大する傾向が顕著だという。 岩下氏をはじめ専門家の間では「テザーの発行増による相場のつり上げが行われている」との見方が強い。こうした価格操作への疑惑は17年の急騰時にもささやかれていた。 ビットコインなどの仮想通貨にはもともと、市場参加者の目線がそろう「適正価格」がない。価格操作の疑念がくすぶり続けること自体、市場の未成熟ぶりを示している』、「テザーの発行増による相場のつり上げが行われている」との疑念は、すぐに解明してほしいものだ。

第四に、7月12日付け日経ビジネスオンライン「金融庁メンツ丸つぶれ、ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/071200537/
・『日本で4度目となる仮想通貨流出事故が発生してしまった。 リミックスポイントの子会社であるビットポイントジャパンは7月12日、同社が運営する仮想通貨交換所「BITPoint」から約35億円分の仮想通貨が流出したと発表した。 同社が異変に気づいたのは7月11日22時過ぎ。仮想通貨「リップル」の送金でエラーを検知し、情報システム部門などで調査をしたところ22時39分にリップルの不正流出を確認したという。日をまたいだ7月12日の2時にリップル以外の仮想通貨の流出も確認され、10時30分に仮想通貨の売買・交換を含むすべてのサービスを停止させるに至った。 流出した約35億円分の仮想通貨は、約25億円が顧客からの預かり分、約10億円がビットポイントジャパンの保有分。仮想通貨の保管方法にはオンライン上で保管する「ホットウォレット」、オフライン環境下で保管する「コールドウォレット」の2つがあるが、流出したのはいずれもホットウォレットで保管していた仮想通貨となる。 ビットポイントジャパンによれば、同社がホットウォレットで保管していたのは「ビットコイン」「ビットコインキャッシュ」「イーサリアム」「ライトコイン」「リップル」の5銘柄という。 仮想通貨については国内仮想通貨交換業者が相次いで流出事故を起こしたことから、ルールの目的化や制度整備を目的に資金決済法と金融商品取引法の改正が5月31日に国会で成立。改正法には仮想通貨をコールドウォレット等で管理することの義務化が盛り込まれていた。改正法は2020年6月までに施行されることとなっており、その狭間を狙われた可能性が高い。 京都大学公共政策大学院の岩下直行教授は今回の流出事故について、「改正法の施行前だが、ビットポイントがその精神を尊重して、顧客の資産保護のために同種同量の暗号資産をコールドウォレットに保有していたかどうかが今後の焦点になるだろう」と語った』、ビットポイントジャパンは、「コールドウォレットに保有」すると、売買などの都度「ホットウォレット」に移し替える必要があり、その手間を嫌ったのかも知れない。
・『繰り返し潰される金融庁の「メンツ」  「金融庁のメンツがまた潰されることになった」。仮想通貨交換業の幹部は今回の事件を受け、こう漏らした。というのも、金融庁はビットポイントジャパンに対する業務改善命令の報告義務を6月28日に解除したばかりだったからだ。 金融庁は2018年6月22日にビットポイントジャパンに対する行政処分を発表。その後、同社に対して業務改善計画の提出を求め、約1年間にわたって進捗や実施状況を継続的に報告させてきた。 「(業務改善命令の解除は)個別に詳細設計を確認するわけではなく、内部統制体制を確認することで解除するかどうかを決める」(仮想通貨業界関係者)。そのため、業務改善命令の解除をもって金融庁がシステムリスクに対して太鼓判を押したことにはならない。だが、「それでもタイミングがあまりにも悪い」(仮想通貨交換業幹部)。 仮想通貨業界は2018年1月に発生したコインチェックによる仮想通貨流出事件をきっかけに、段階的に規制が強化されてきた。金融庁は仮想通貨交換業者に立ち入り検査を実施し、業務改善命令や業務停止命令を相次いで発出。同年9月にはテックビューロが運営する仮想通貨取引所「Zaif」が仮想通貨を流出させ、規制強化を目的とした法改正の動きが加速した。 法改正も無事成立し、ようやくこれからというタイミングで起きた今回の流出事故。仮想通貨業界は一様に肩を落としている』、確かに最悪のタイミングだが、ハッカーたちは、同社を狙い目とみて「業務改善命令の解除」を待っていたのだろう。やはり手間を惜しまず、「コールドウォレットに保有」を原則にするしかなさそうだ。
タグ:ヘッジファンド 東洋経済オンライン 日経新聞 報告書 GMOインターネット フェイスブック 日経ビジネスオンライン 暗号通貨 コインチェック (仮想通貨) (その13)(仮想通貨「採掘」で大誤算 GMOとDMMが急転換 GMOは350億円の特損 上場以来最大の赤字へ、金融庁は仮想通貨規制をどこまで強化するのか 「ICO」での資金調達も金商法の対象になる?、仮想通貨上昇 拭えぬ疑念 ビットコイン1万ドル回復「相場つり上げ」の声も、金融庁メンツ丸つぶれ ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」) 「仮想通貨「採掘」で大誤算、GMOとDMMが急転換 GMOは350億円の特損、上場以来最大の赤字へ」 「仮想通貨マイニング(採掘)事業の再構築に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」 仮想通貨の自社マイニング事業で減損損失など115億円、マイニングマシンの開発・製造・販売事業で債務譲渡損など240億円が発生 演算能力を競うマイニング 「マイニングファーム」と呼ばれる巨大なデータセンターを構築・運営する資本力が求められる 中国勢のシェアが高い 北欧に大規模なデータセンターを構え、昨年12月からビットコイン、ビットコインキャッシュのマイニング事業を本格的に開始 ビットコイン価格 直近の価格はピーク時の2割程度まで下落 マイニングを行う計算能力の総計「ハッシュレート(HR)」は全世界的に上昇し、競争が激化 事業環境は参入当初の見込みから大幅に悪化 DMMは金沢の大規模ファームから撤退 田代 昌之 「金融庁は仮想通貨規制をどこまで強化するのか 「ICO」での資金調達も金商法の対象になる?」 仮想通貨相場が低迷 最高値と比べ5分の1の低水準 国内では仮想通貨に対する規制が徐々に強まっている 改正資金決済法で仮想通貨を資金決済手段と位置づけ、交換業者に登録制を導入 「ICO」(イニシャル・コイン・オファリング)に対する規制も検討 ICOはいまだ「無法地帯」、詐欺まがいの案件も 「仮想通貨交換業等に関する研究会」 顧客の仮想通貨相当額以上の純資産額および弁済原資を保持することを義務付ける 財務書類の開示も義務付ける ICOへの対応 投資性を有するICOへの対応 その他のICOへの対応 アメリカではICOから「STO」への流れに STO」(セキュリティ・トークン・オファリング STO市場のメインプレーヤーになるのは誰か? ステーブルコインをベースにSTOを展開するというシナリオは、調達資金がブレるリスクを抑えられるからだ。今後、メガバンクの動向も注視すべき 「仮想通貨上昇、拭えぬ疑念 ビットコイン1万ドル回復「相場つり上げ」の声も」 ビットコイン価格は2018年3月以来、約1年3カ月ぶりの高値をつけた。年初来では約3倍の水準だ 機関投資家マネーの存在感の拡大 仮想通貨関連のファンドの資産総額は4月時点で143億ドル(約1兆5357億円)と、ビットコイン価格が約1万3000ドルで推移していた18年1月(68億ドル)の約2倍に膨らんでいる 出資しているのは公的年金や大学基金など リブラ(Libra) 仮想通貨「テザー」に絡む価格操作 1ドル=1テザーの固定レートをうたう価格の安定した「ステーブルコイン」のひとつ ビットフィネックスが「テザー売り・ビットコイン買い」を仕掛けることでビットコイン価格が上昇しているとの見方 専門家の間では「テザーの発行増による相場のつり上げが行われている」との見方が強い 「金融庁メンツ丸つぶれ、ビットポイント仮想通貨流出の「間の悪さ」」 日本で4度目となる仮想通貨流出事故が発生 ビットポイントジャパン 35億円分の仮想通貨が流出 約25億円が顧客からの預かり分、約10億円がビットポイントジャパンの保有分 「ホットウォレット」 改正法には仮想通貨をコールドウォレット等で管理することの義務化が盛り込まれていた 繰り返し潰される金融庁の「メンツ」 業務改善命令の報告義務を6月28日に解除したばかり Zaif」が仮想通貨を流出
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リブラ(フェイスブックの暗号資産)(フェイスブックが仮想通貨計画 プライバシー・規制懸念相次ぐ、フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心、アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁、フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待) [金融]

今日は、リブラ(フェイスブックの暗号資産)(フェイスブックが仮想通貨計画 プライバシー・規制懸念相次ぐ、フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心、アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁、フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待)を取上げよう。

先ずは、6月19日付けロイター「フェイスブックが仮想通貨計画、プライバシー・規制懸念相次ぐ」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/facebook-crypto-idJPKCN1TJ1WT
・『米フェイスブックは18日、仮想通貨(暗号資産)を使ったサービスを来年開始する計画を明らかにした。ソーシャルネットワーキングから電子商取引や国際決済の分野に進出する新たな動きとなる。 仮想通貨の名前は「リブラ」。世界中の消費者や企業間の取引をバックアップするほか、銀行口座を持たない消費者が金融サービスが受けられるようにしたい考えだ。 子会社「Calibra」を立ち上げ、同通貨の貯蓄、送金、支払いを行う電子財布を提供。サービスはアプリのほか、フェイスブックのメッセンジャーやワッツアップ内でも利用できるようにする。 フェイスブックによると、子会社は金融機関で行われる認証、詐欺防止プロセスを活用、通貨利用希望者の法令順守審査を行う。 子会社は、同意を得るか、必要とされる「限定的な場合」にのみ、フェイスブックや外部組織と顧客情報を共有するという。法執行手続きや治安上の問題などのケースが考えられる』、金融界やIT業界はこの話題で持ち切りのようだ。
・『大手各社がパートナーに  マーケティング資料や幹部らとのインタビューによると、フェイスブックは新デジタル通貨を管理する「リブラ協会」のパートナー28社と連携し、2020年上期に運用を開始する見通し。 パートナーには、マスターカードやビザ、ペイパル・ホールディングス、ウーバー・テクノロジーズなどが名を連ねる。運用開始時までに連携先を100社に拡大する意向だ。マスターカード幹部は、設立メンバーに金融機関は含まれていないが、複数行と加盟に関する話し合いをしていると説明した。 加盟には1000万ドル以上の出資が必要で、各社は重要決定に際し投票権を持つ。リブラ協会は、向こう数カ月中に私募で資金を調達する計画だ』、フェイスブック本体から切り離すため「リブラ協会」の形を取ったのだろう。その「パートナー」も錚々たる企業のようだ。
・『プライバシー・規制上の懸念  プロジェクトを巡り、消費者のプライバシーを巡る不安や規制上の障壁が難題として立ちはだかる可能性もある。 フランスのルメール経済・財務相はラジオインタビューで「フェイスブックはこうした取引手段で多数のデータを収集できるようになる。デジタル大手規制が必要という確信が強まりそうだ」と語った。主要7カ国(G7)の中央銀行トップらに対し、来月半ばまでに報告書作成を要請したことも明らかにした。 米議会上院銀行委員会のマーク・ワーナー議員(民主党)は、フェイスブックが交流サイトにおけるその規模を利用して、モバイル決済などの市場支配を達成しかねないと懸念を表明した。 欧州議会のマーカス・ファーバー議員(ドイツ)は声明で「フェイスブックが20億人の利用者を仮想通貨リスクにさらす場合、仮想通貨の適切な規制枠組みを巡り欧州委員会が作業に着手する根拠になる」と述べた。 イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は、欧州中央銀行(ECB)の会合で、フェイスブックの仮想通貨計画で想定される利便性に先入観を抱かない考えを示したが、実現すれば厳しい規制に直面する可能性も指摘した。 カーニー氏は「現代の世界で機能するものはすべて直ちにシステミックな性質を帯び、最高水準の規制対象にする必要が出てくる」と述べた。各規制当局が、資金洗浄やテロリスト資金調達対策の手順などを検証する必要性を唱えた。 ペイパル幹部はプロジェクトについて「非常に初期の段階」にとどまっていると強調。マスターカード幹部も運用開始までにすべきことは多いと指摘、規制上の障害があまりにも大きくなれば「運用を始めない可能性もある」と語った。 フェイスブック幹部らによると、仮想通貨計画を巡り米国などの規制当局とコンタクトしている。 米規制関係筋は、通貨の仕組みや既存規制制度の枠内におさまるのかが依然不透明と指摘した。 スイスの連邦金融市場監督機構(FINMA)は、リブラプロジェクトの立ち上げ担当者らと連絡を取っていると説明。規制上の認可手続きを進めているかなどについてはコメントしなかった。英金融規制当局はコメントを控えた』、7月19日付け日経新聞は「G7議長「リブラ 最高水準の規制を」と伝えるなど、規制当局の姿勢は極めて慎重なようだ。

次に、6月29日付けNewsweek日本版「フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2019/06/post-12422_1.php
・『メール感覚で決済できるステーブルコイン「リブラ」――強力な資源を武器にフェイスブックが金融サービス参入へ  フェイスブックが仮想通貨「リブラ」の詳細を発表した。サービス開始は20年の予定。スポティファイやeベイ、マスターカード、ペイパルなど既に約30の企業が参画を表明し、個人間の送金や、商品やサービスの購入に使うことができる。 リブラのブロックチェーンの構築と運営は、スイスに本拠を置く非営利団体「リブラ協会」が行う。フェイスブックとは別の独立した組織で、さまざまな業界の企業が参加している。 フェイスブックの今回の発表は、仮想通貨への参入だけでなく、金融サービス企業になるという宣言でもある。 多くの仮想通貨と違って、リブラは投機資産ではなく決済手段として設計される。ビットコインやイーサリアムなど主要な仮想通貨は、日常の決済に使うことは難しい。理由の1つは、仮想通貨の価格が市場の需要によって決まり、乱高下することも珍しくないからだ。 それに対し、リブラは基本的に国が発行する法定通貨など従来の金融資産を担保とする「ステーブルコイン」であり、価格を安定させる。テザーなど米ドルに連動していると主張する仮想通貨もあるが、実際に巨額の「保証金」を保有していることが証明されていないとして、疑問視されている。一方でフェイスブックは、より実績のある企業で莫大な資源を持つ。 フェイスブックのメッセージアプリであるメッセンジャーやワッツアップにリブラ用のデジタルウォレットが組み込まれ、メッセージを送るように、瞬時に送金したり、米ドルなどの法定通貨に交換したりできる。手数料は、ほぼかからないとみられている(例えばビットコインは法定通貨への換金に数日かかり、5月のレートで1回当たり2.50ドルの手数料が要る)。 利用者は登録の際に各国政府が発行したIDが必要で、銀行口座やデビットカードを使ってリブラを購入する。オンラインや個人間の売買のほか、サブスクリプション(定額利用)の支払いにも対応する計画で、信用枠の設定や口座の開設、融資などの仕組みも視野に入れている』、ビットコインなどの一般の仮想通貨と違って、価値が主要通貨にリンクしている「ステーブルコイン」というのは、利用者にとっては魅力的だろう。「融資などの仕組みも視野」というのも興味深い。
・『世界一危険な独占企業  ただし、安定していて利用しやすい仮想通貨は、仮想通貨本来の魅力に欠ける。 仮想通貨の基本は非中央集権型のネットワークだが、リブラのブロックチェーンはリブラ協会が管理する(ドラッグの売買など違法な目的で使われることを防ぐためでもある)。また、利用の際に身分証明が必要なことは、非中央集権型の通貨の利点である匿名性を排除する。 さらに、ブロックチェーンは基本的に、コンピューターをネットワークに接続して「ノード」になれば、誰でも取引の承認や追跡ができる。しかし、リブラのネットワークのノードになるためには、1000万ドル以上を出資してリブラ協会に加盟しなければならない。 フェイスブックが世界中で使える通貨を開発することに対し、巨大化した同社の分割が議論されているなか、その独占を強固なものにするという懸念もある。 「フェイスブックは世界で最も危険で無責任な独占企業だ。フェイスブックが世界的な通貨を設計して運営することを信頼するなど、正気の沙汰ではない」と、「フリーダム・フロム・フェイスブック」運動の共同設立者サラ・ミラーは声明で述べている。「米連邦取引委員会は、ブラックホールと化したこの企業が私たちの金融情報と通貨システムをのみ込む前に、分割させるべきだ」』、フェイスブックへの風当たりは世界的に強まっているだけに、規制当局は慎重にならざるを得ないだろう。

第三に、7月1日付けロイター「アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/facebook-libra-regulator-idJPKCN1TW1KS
・『米フェイスブックは先に導入計画を発表した暗号資産(仮想通貨)「リブラ」について、1年以内に世界で正式通貨として認知されるようになると期待している。しかし各国の規制当局はリブラに対して、かつてない厳しい態度で臨む見通しだ。 ロイターはこの10日間に金融規制や金融技術、決済、仮想通貨など各分野の専門家十数人に取材したが、当局のソフトな対応を予想する声はほとんど聞かれなかった。 リブラ導入計画は発表直後に、フェイスブックの巨大化やプライバシー保護の甘さを懸念する米議員や各国規制当局から反発を浴びた。 20カ国・地域の銀行監督当局で構成する金融安定理事会(FSB)のクォールズ議長は先に、暗号資産の小売り販売決済における広範な利用には規制当局による世界規模の監視が不可欠との認識を示した。 反トラスト推進団体「オープン・マーケッツ・インスティテュート」のエグゼクティブディレクター、バリー・リン氏は「規制の観点からすれば全くの厄災だ。(フェイスブックは)世界中の規制当局から集中砲火を浴びている企業であり、事態は悪化するだけだ」と述べた。 リブラの構想には顧客の預金受け入れや国債への投資、準備における従来通貨の保有、国境をまたぐサービスの提供、新通貨の取引などが含まれ、世界中の中央銀行や金融規制当局、違法取り締まり当局と関わる必要がある。 フェイスブックの子会社カリブラの広報担当者によると、同社は米国で金融取引の事業免許を申請し、米財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)に登録した。カリブラはフェイスブックがリブラの取引を扱うために設立した子会社。 事情に詳しい関係者によると、カリブラはニューヨーク州金融サービス局から同州で仮想通貨事業を行う免許も申請した。英金融行動監視局(FCA)、イングランド銀行(英中銀)、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)もフェイスブックから接触があったことを明らかにした』、フェイスブックが「巨大化やプライバシー保護の甘さを懸念する米議員や各国規制当局から反発を浴びた」、というのは当然で、自業自得だろう。
・『フェイスブックはジュネーブに主要な提携先と協力して新通貨を管理して準備を保有する組織も作った。 フェイスブックは2020年上半期に制度全体を立ち上げ、いずれはローンなど幅広い金融サービスを提供する計画だ。 ベンチャーキャピタル会社アンセミスのショーン・パーク最高投資責任者(CIO)は「フェイスブックがどこででもフリーパスを手に入れることはない。同社は世界的な業務展開を目指しており、世界中のさまざまな規制当局から、文字通り数百、あるいは数千単位の事業免許を手に入れる必要があるだろう」と述べた。 中銀や市場監視当局、消費者保護当局、資金洗浄や脱税などを防止する機関に加えて、決済ネットワークを構築すれば国際決済銀行(BIS)などが設けた「金融市場インフラのための原則」も順守しなければならない。また、個人情報保護や反トラスト当局への対応も必要だが、フェイスブックは既にこうした分野で当局と対立を繰り広げている。 米商品先物取引委員会(CFTC)の元幹部でコンサルタント会社を経営するジェフ・バンドマン氏は「新たな規制当局(と対峙する)という観点だけでみても、状況はまったく変わる」と話した。 24億人のユーザーを抱えるフェイスブックは金融サービスへの進出で得られるかもしれない見返りを考えて、あえて困難に挑もうとしているようだ。 しかし利益が上がり始めるまでに膨大なコストを負担することになるかもしれない。社内に法令順守の枠組みを整え、違法取引を監視するスタッフを置く必要があるだろう。例えば送金サービス大手ウエスタン・ユニオン(WU.N)の広報担当者によると、同社が法令順守のために投じた費用はこの5年間で10億ドルに上るという』、規制対応には膨大なコストが必要なようだ。

第四に、積極論の立場から、経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏が7月24日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/209594
・『「リブラこそが正義!」ではないか  「金融ビジネスにあって、リブラこそが正義だ!」と一回言ってみよう。 ユーザーにとって、割合に安定した価値のやりとりを、国境を越えて安価かつ簡単に行うことができるのだとすると大変便利だ。「消費者の経済厚生の増大」を社会の経済的価値判断の基準とするなら、米フェイスブックがサービス開始を目指す独自のデジタル通貨「リブラ」の方向性はビジネスとして正義だと考えるべきだろう。 もちろん、現実問題として、フェイスブックが信頼に足るのかという問題はある。俗に「GAFA」と称される巨大IT企業の中でも、これまでのところ、個人情報の漏えい問題があったり、会員の個人データを実質的に売るようなビジネスを行っている疑いを持たれたり、フェイスブックは相対的に「行儀が悪い」と思われがちな、信頼というイメージから遠い企業であった。これは、目下の同社に「徳」が欠けているとでもいうしかない経営上の力不足だが、改心は可能だ。今後、同社が適切にリブラを運営し、それが顧客にとって便利ならそれでいいではないか』、「行儀が悪い」フェイスブックも、「改心は可能だ」というのは楽観的に過ぎるような気がする。
・『規制当局の警戒は「半分怪しい」  そのように筆者が思うのは、各国の中央銀行や金融監督当局がリブラに対してあまりに警戒的であることを「半分怪しい」と思うからだ。 国際的な広がりと多くの会員を持つフェイスブックが、通貨のような支払い手段をビジネス化することの影響は大きいかもしれない。何らかの状況にあって、金融システムやひいては経済に対して混乱が及ぶ可能性について、各国の中央銀行や金融監督当局が心配するのは正しいことだ。この点は認めよう。 しかし彼らは、既存の主に銀行システムが顧客に不便を強いて(銀行の支店の窓口に行くと「実感」できるはずだ)、たかだか送金や外国為替のような単純なサービスに対して、高い手数料を取っていることをどう考えているのだろうか。 彼らに、監督傘下の既存の金融ビジネスの利益を守りたいという動機はないのか。今のところ、既存の民間金融機関は、リブラについて奇妙なくらい静かだ。せいぜい「マネーロンダリングに利用される可能性が懸念される」というくらいの、さまつなことしか言わない』、「規制当局の警戒は「半分怪しい」、というのは確かにその通りだろう。
・『リブラの「黒通貨」扱いはバランスを欠く  もちろん、マネーロンダリングは大きな問題だが、マネロンの温床ともいうべき高額紙幣の流通を放置しておいて、ブロックチェーンに取引の記録が全て残るはずのリブラを「黒通貨」扱いするのは、バランスを欠いているのではないか。 各国の金融規制当局がリブラに対して警戒的に振る舞うことの少なくとも一部の背景には、既存の金融ビジネスの利益の代弁があるのではないか。 なお、各国の当局者の中でも米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長のリブラに対する厳しい姿勢が特に目立つ。「リブラ協会」はスイスに置かれるらしいが、フェイスブックは米国の企業なので応援しても良さそうなものだ。しかし、仮にリブラが世界的に普及すると、国際的な決済にあって米国のマネーセンター・バンクがスルーされるようになる可能性があるし、ひいては米ドルの基軸通貨としての特権的な地位が弱体化する可能性があるということだろうか。 もちろん、そうなることがいいのか悪いのかは、最終的に世界の消費者の経済厚生で判断すべき問題だ。繰り返すが、消費者にとって便利で安いことこそ経済の正義なのだ。 将来の世界の人々にとって、米ドルよりもリブラの方が便利で、同時に十分信頼できる支払いと価値の保蔵の手段になる可能性はゼロではない。その状態を邪魔するのではなくて、実現するために何が必要かを考える方が前向きだし、夢がある』、「消費者にとって便利で安いことこそ経済の正義」、と主張するが、「取引が安全に行われること」も重要な要素の筈だ。第三の記事で、規制対応にはコストがかかることも明らかだ。
・『興味深いのはリブラに金利が付かないこと  そもそも、リブラは通貨なのか。当初は「仮想通貨」と呼ばれていたが最近呼称が変わった「暗号資産」なのか。正式な呼び方や課税の問題(それぞれ重要な場合もある)は、今のところ各国の政府と議会が決める問題となる。 現状では、技術的には暗号資産だが、経済的な実体は通貨に近いものになるのではないかという印象だ。 現在発表されている構想では、リブラが発行される際に、リブラ協会が先進国通貨建ての安全資産(銀行預金や短期国債など)を持つことになっている。どのような通貨とリブラが交換されるかにもよるが、複数の通貨のバスケットに価値が連動する国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)をブロックチェーン化して決済に利用できるようにしたものだと考えるのが実体に近いように思われる。イメージは「スマートフォンにチャージできるSDR」か。なかなか魅力的ではないか。 少々興味深いポイントは、リブラ協会はリブラに金利を付さないとしていることだ。預け入れられたハードカレンシー(決済通貨)建て資産が生む金利はリブラの運営コストに充てられて、余剰があれば協会員に分配されることになるようだ。 現在のような超低金利の状況下では大きな問題にならないかもしれないが、将来金利が上昇してきた場合には、既存の各国通貨建ての資産に対する保有動機が相対的に高まるはずであり、既存通貨の金利変動に伴って、リブラと既存通貨建ての資産との間で資金移動が起こるはず。金利を通じて各国通貨とリブラとの間で調節が行われると考えることもできるが、将来の金利環境によっては、リブラにも付利するようにした方がリブラの価値を安定させやすいはずだ。仮に将来そうなると、リブラの金利調節は中央銀行の金融政策のような意味を持つ可能性が出てくる。 また、リブラの利用者同士で、リブラ建ての資金の貸し借りが発生する可能性があり、この際にはどのような金利が形成されるのだろうか。後述のようにフェイスブック自身がリブラ建ての融資に乗り出すのは「やり過ぎ」だと考えるが、民間でリブラ建ての融資が起こるかどうか、この場合の信用創造の効果がどうなるかは興味深い問題だ』、「スマートフォンにチャージできるSDR」とは言い得て妙だ。ただ、「リブラにも付利するようにした方がリブラの価値を安定させやすいはずだ。仮に将来そうなると、リブラの金利調節は中央銀行の金融政策のような意味を持つ可能性が出てくる」、というのは間違いだ。リブラには、それを構成している各国通貨の金利の合成値になっている筈であり、「リブラの金利調節」は必要ないからだ。
・『フェイスブックにデータ利用をどこまで許すか  さて、長期的に考えると既存の金融機関からみたリブラの最大の脅威は、決済に付随する取引のデータを奪われることだろう。 今まで預金口座の決済を通じて持っていた企業や個人の経済行動に関するデータが、リブラ決済が増えると銀行の手元には存在しなくなる。キャッシュレス決済の普及にもいえることだが、銀行は、せいぜい決済業者と個人や決済業者同士の帳尻を処理するだけの情報貧者に陥る可能性がある。 情報を誰が持つかという争いについては、既に勝負の帰趨は明らかなのではないだろうか。個別にIT企業化できる銀行が一部にあるかもしれないが、コストや規制、経営者の能力などを考えると、既存の銀行の側には競争力がありそうにない。 もっとも、あのフェイスブックにリブラから得る情報をどこまで利用することを許すのかは、社会的に難しく、同時に興味深い問題だ。 今のところ同社は、リブラの利用者に関して厳密な本人確認を行わないつもりのようだが、この方針には少々疑問がある。個人データの利用に関して信用が乏しい同社なので、利用者の個人を特定しないことを訴えるつもりなのかもしれないが、たぶん方針を転換する方がいい。社会的なインフラである既存の通貨を信用の根拠となる資産として利用する以上、社会の側が要請するルールに合わせるべきだろう。 金融取引は実名であるべきだし、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も特に匿名を趣旨とするもの以外は、実名で本人が確認できることを原則とする方がいいと筆者は考えている。フェイスブックの規模で全ての会員に実名を要求するのは難しいかもしれないが、リブラは実名化推進のきっかけにできるのではないか』、「実名化推進」自体については私も賛成だ。
・『特権的な地位と過大な手数料収入に安住し過ぎた  大多数のユーザーにとってリブラの利用が手軽であることはいいことだが、マネーロンダリング対策はもちろん必要だし、誰が誰にいくらの「お金=価値」をやり取りしているのかについては、正確に把握するべきだろう。リブラの利用者には、厳しい本人確認を行うべきだ。ただし、フェイスブックが持つ実名にリンクしたデータの利用に関してはルールと監督の仕組みをはっきりさせるべきだ。 実名にリンクした決済データを、フェイスブックがビジネスに利用することについてどの程度認めるのかは難しい問題だ。仮に、金融商品や物品の販売に自由に利用できるとすると、あまりにも強力なビジネス主体ができそうだ。 また、フェイスブック自身が会員個人の取引データを使ったローン事業に乗り出すのはいささか「やり過ぎ」に思える。通貨の運営とローンの事業との間には利益相反がある。 現状では、個人のリブラの取引データを陰で通販業者に売るようなビジネスを行うのは汚な過ぎる。将来、フェイスブックがリブラを通じて持ったデータを活用することを全面的に禁ずるところまでは必要ないと思うが、データの取引に透明性を担保する何らかの仕組みが必要だろう。 他方、送金や外国為替のようなサービスは大いに安くていい。消費者のためになるのだから、既存の金融機関と激しく競争するといい。 リブラは金融ビジネスの世直しにはいい刺激になるのではないだろうか。リブラの可能性について考えると、既存の金融ビジネスが本来やるべきだった(もう過去形で問題なかろう)ことが多数浮かび上がってくる。彼らは、特権的な地位と、過大な手数料収入に安住し過ぎていた。 リブラを検討するに当たっては、金融規制や既存のビジネスとの関係だけでなく、もっと利用者の利益の視点に立つべきではないだろうか』、「フェイスブック自身が会員個人の取引データを使ったローン事業に乗り出すのはいささか「やり過ぎ」に思える。通貨の運営とローンの事業との間には利益相反がある」、というのはその通りだ。「送金や外国為替のようなサービスは大いに安くていい。消費者のためになるのだから、既存の金融機関と激しく競争するといい」というのは、「安全性を確保できる限り」という条件付きで賛成だ。ただ、いずれにしろ、規制当局の姿勢はもっと厳しいので、山崎氏の主張は理想論に近いのだろう。 
タグ:ロイター リブラ ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 山崎 元 フェイスブックの暗号資産 (フェイスブックが仮想通貨計画 プライバシー・規制懸念相次ぐ、フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心、アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁、フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待) 「フェイスブックが仮想通貨計画、プライバシー・規制懸念相次ぐ」 来年開始する計画 子会社「Calibra」 同通貨の貯蓄、送金、支払いを行う電子財布を提供。サービスはアプリのほか、フェイスブックのメッセンジャーやワッツアップ内でも利用できるように 子会社は金融機関で行われる認証、詐欺防止プロセスを活用、通貨利用希望者の法令順守審査を行う 大手各社がパートナーに パートナー28社 パートナーには、マスターカードやビザ、ペイパル・ホールディングス、ウーバー・テクノロジーズなどが名を連ねる 運用開始時までに連携先を100社に拡大する意向 加盟には1000万ドル以上の出資が必要 重要決定に際し投票権 プライバシー・規制上の懸念 「フェイスブック帝国が仮想通貨参入で描く野心」 リブラは基本的に国が発行する法定通貨など従来の金融資産を担保とする「ステーブルコイン」であり、価格を安定させる 利用者は登録の際に各国政府が発行したIDが必要で、銀行口座やデビットカードを使ってリブラを購入 世界一危険な独占企業 フェイスブックが世界中で使える通貨を開発することに対し、巨大化した同社の分割が議論されているなか、その独占を強固なものにするという懸念も 「アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁」 発表直後に、フェイスブックの巨大化やプライバシー保護の甘さを懸念する米議員や各国規制当局から反発を浴びた リブラの構想には顧客の預金受け入れや国債への投資、準備における従来通貨の保有、国境をまたぐサービスの提供、新通貨の取引などが含まれ、世界中の中央銀行や金融規制当局、違法取り締まり当局と関わる必要がある 国際決済銀行(BIS)などが設けた「金融市場インフラのための原則」も順守しなければならない 人情報保護や反トラスト当局への対応も必要だが、フェイスブックは既にこうした分野で当局と対立を繰り広げている 利益が上がり始めるまでに膨大なコストを負担することになるかもしれない ウエスタン・ユニオン 同社が法令順守のために投じた費用はこの5年間で10億ドル 「フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待」 「リブラこそが正義!」ではないか 規制当局の警戒は「半分怪しい」 彼らに、監督傘下の既存の金融ビジネスの利益を守りたいという動機はないのか リブラの「黒通貨」扱いはバランスを欠く 興味深いのはリブラに金利が付かないこと フェイスブックにデータ利用をどこまで許すか 特権的な地位と過大な手数料収入に安住し過ぎた
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