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ホテル(その6)(プリンスホテル「持たざる経営」にシフトした理由 海外はラグジュアリーブランドの展開を強化、ホテル業界の女王・森トラスト社長がコロナで悟った、多角化の「強さ」と「落とし穴」) [産業動向]

ホテルにつては、昨年4月3日に取上げた。今日は、(その6)(プリンスホテル「持たざる経営」にシフトした理由 海外はラグジュアリーブランドの展開を強化、ホテル業界の女王・森トラスト社長がコロナで悟った、多角化の「強さ」と「落とし穴」)である。

先ずは、昨年4月14日付け東洋経済オンライン「プリンスホテル「持たざる経営」にシフトした理由 海外はラグジュアリーブランドの展開を強化」を紹介しよう。
・『業界大手のプリンスホテルは長年、ホテルの所有と運営を一体で進めてきた。だがコロナ禍を機に、シンガポールの政府系ファンド・GICと、西武グループの総合不動産会社に資産を売却、ホテル運営に特化し再スタートを切る。 “持たざる経営”にシフトする背景と、本格的にブランドを拡大する成長戦略について、プリンスホテルの小山正彦社長に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは小山社長の回答)。 Q:ホテル運営に特化する背景とは何ですか。 A:コロナ禍によって需要が瞬間蒸発する中、資産を持つリスクが顕在化したことが大きな要因だった。稼働率が落ち、売り上げが下がる中でも、社員数は多く、固定費は確実に出ていく。(オーナー側から委託料を受け取り運営する)運営受託に特化できれば、コストは減り、損益分岐点を引き下げた経営体質にできる。 スピード感を持った規模拡大も課題だった。2017年には中長期で国内外250拠点に拡大する目標を掲げていた。達成するにはホテル運営に特化し、持たざる経営に徹底的にシフトすることが重要だった。建物をリースする形でなく、運営受託を軸に拡大する点にはこだわっていきたい。 今後、31事業所はGIC、それ以外は総合不動産会社の西武リアルティソリューションズがオーナーになる。北海道・富良野や箱根、軽井沢といったリゾートと高輪・品川エリアは、西武グループで引き続き開発を進める方針だ。 ホテル運営に特化することで業績は安定し、赤字がほぼ出ない形になるだろう。一方で、ホテル数を増やし、顧客基盤を拡大し続けることが大事になる。 Q:250拠点(現在84)の目標達成のメドは約10年後です。国内と海外でのブランド戦略は? A:いずれインバウンドは戻り、海外旅行もできるようになる。そのとき、宿泊特化型など効率性を重視したホテルと、より豪華なラグジュアリーホテルとで二極化が今以上に進むと考える。 そこで、プリンスホテルのブランドはすでに一般に浸透しているが、富裕層が利用し、ラグジュアリーなブランドというイメージをさらに高めたい。国内では大阪や神戸、福岡などの大都市にまだ出店できていない。主軸のプリンスホテルや、より高級な「グランドプリンスホテル」のブランドで出店していきたい』、「シンガポールの政府系ファンド・GICと、西武グループの総合不動産会社に資産を売却、ホテル運営に特化し再スタートを切る」、「主軸のプリンスホテルや、より高級な「グランドプリンスホテル」のブランドで出店していきたい」、なるほど。
・『NYやパリに出店したい (小山氏の略歴はリンク先参照) 海外では2023年にタイ・バンコクでラグジュアリーブランドの「ザ・プリンス アカトキ」を出店する。世界で名前を知ってもらうためにも米ニューヨークや仏パリ、伊ローマなど世界の主要都市、観光都市には出店したい。 ヒルトンやマリオットなど、世界的なホテルチェーンと比べると知名度はまだまだ低い。すぐには難しいが、10年後には一定程度の知名度に引き上げるつもりだ。 フランチャイズ展開も将来的に可能性がないわけではない。オファーが来るようなブランドに仕上げていかないとならない。) Q:運営会社は不動産オーナーに選ばれなければ出店できません。競合と比べた優位性は何ですか。 A:例えば法人客向けの(国際会議や展示会などの)MICE需要。大きな宴会場で会議を開き、パーティーを開催し、翌日にゴルフを楽しむケースがある。東京や広島などに加えて軽井沢や箱根など、リゾートでMICEに対応できるのは当社の強みだ。 一定のブランドで安定したサービスを提供できる点もそう。この点を強化するため、4月に「オペレーション部」を新設した。ホテルはブランドごとにマニュアルがあり、サービスの標準化やレベルアップを進める。 シティホテルだけでなく、繁閑差のあるリゾートホテルを運営してきたことで、柔軟な人員配置ができる点も強み。これはチェーンだからこそできるものだ。 地域の魅力を把握し、発信していくことも大事で、PRは地域に存在するホテルの意義だ。魅力ある施設をどんどん案内するなど、顧客にも地元にも喜ばれるポジションをつくっていきたい』、「法人客向けの(国際会議や展示会などの)MICE需要。大きな宴会場で会議を開き、パーティーを開催し、翌日にゴルフを楽しむケースがある。東京や広島などに加えて軽井沢や箱根など、リゾートでMICEに対応できるのは当社の強みだ」、「シティホテルだけでなく、繁閑差のあるリゾートホテルを運営してきたことで、柔軟な人員配置ができる点も強み。これはチェーンだからこそできるものだ」、これらの強みを如何に結実させてゆくかがポイントだ。
・『世界に認められるブランドへ  Q:ラグジュアリーの強化はコロナ禍前から課題の1つでした。 A:14年に開業した「ザ・プリンス ヴィラ 軽井沢」は1泊1棟20万円以上と高価格帯のホテル。これが転換点になった。16年開業の「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」も客室単価は7万~8万円と高く、「ザ・プリンス」より上の価格帯を狙ったものだった。 インバウンドが拡大する中で、ラグジュアリーのノウハウを蓄積し、世界に認められるブランドにしたいという考えがあった。 Q:一方で、宿泊特化型の「プリンス スマート イン」など、若い顧客層の獲得も狙っています。 A:コロナ禍前から若手を中心に取り組んできたが、顔認証によるチェックインなど、デジタルを活用した非接触の取り組みをやってきてよかったと思っている。「非接触は安心安全」という価値観に変わってきたので、プリンスホテルでもこうした機能を導入している。スマートインでテストマーケティングができている形だ。(1990年代半ば以降に生まれた)Z世代などの価値観は勉強すべきものがある。彼らは30~40年先の将来や環境について真剣に考えている。ホテルを選ぶ基準も環境に対してどう取り組んでいるかが評価される。これは国際的なビジネスパーソンも同じだ。 顧客の目線はどんどん高くなっている。環境への取り組みは、業界の先頭に立って進めていく』、「ラグジュアリーの強化」。「顔認証によるチェックインなど、デジタルを活用した非接触の取り組み」、など課題は多いようだ。

次に、本年7月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した伊達美和子・森トラスト社長インタビュー「【無料公開】ホテル業界の女王・森トラスト社長がコロナで悟った、多角化の「強さ」と「落とし穴」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/326686
・『コロナ不況により電鉄大手でホテル売却が相次ぐのに対し、不動産大手はホテル事業を守った。2業種の間でなぜ差が出たのか。特集『ホテルの新・覇者』(全18回)の#10では、ホテル業界の女王、森トラストの伊達美和子社長が、コロナ禍を経て気付いた多角化の強さと落とし穴について語る。 ※2022年7月9日に公開した有料会員向け記事を、期間限定で無料公開します!全ての内容は取材当時のままです。 コロナ不況により電鉄大手でホテル売却が相次ぐのに対し、不動産大手はホテル事業を守った。2業種の間でなぜ差が出たのか。特集『ホテルの新・覇者』(全18回)の#10では、ホテル業界の女王、森トラストの伊達美和子社長が、コロナ禍を経て気付いた多角化の強さと落とし穴について語る。 ※2022年7月9日に公開した有料会員向け記事を、期間限定で無料公開します!全ての内容は取材当時のままです』、興味深そうだ。
・『「事業」「立地」「対象人口」 バリエーションでリスク分  Q:2022年3月期決算のホテル事業の売上高は前期比31.1%増となり、今期は同22.4%増を予想しています。コロナ禍のさなかでも新規開業し、ホテル事業拡大の手を緩めていません。リスク覚悟で攻めているのですか。 A:リスク分散をしているんです。会社全体のポートフォリオで見れば、ホテル事業に力を注いでいるけれども、オフィス賃貸、不動産販売事業などをやっている。不動産という共通項がありながら、事業にバリエーションを持たせる。また都心部、地方、リゾートといった立地のバリエーションもある。そういったものをミックスさせることでリスク分散をしているんです。 観光業は、別の場所へ動いていく流動人口が対象です。対してオフィスはちょっと移動はしますけど同じ場所にとどまる人口が、住宅分譲も同様にその場所に定住する人口が対象です。コロナ禍では流動人口が減るという現象が起こり、人が動くことを前提にしたホテルや商業施設がマイナスの影響を受けました。 一つの業態だけを手掛けているところ、例えばシティーホテルに特化した事業者などは非常に厳しかったと思います。ボラティリティの高いホテル事業を拡大していく中では、バランスを取る経営を常に意識してきました。 Q:コロナ禍を通じた気付き、学びはありましたか。 A:ホテル事業を展開するのと同時に海外投資も始めており、その効果はありました。資産を円で持つか、ドルで持つかを含めてリスクヘッジしておく。実際、ちょうどいいタイミングで米サンノゼのオフィスビルを売却でき、利益も出せました。 昨今の為替の影響はネガティブな面もありますが、ドル資産を持つ立場からするとポジティブな面もある。うまく広く分散することでリスク回避の確度が上がってくるんだなと。 Q:電鉄会社でホテル売却が相次いでいます。彼らも多角化によりポートフォリオにバリエーションを持たせてきましたが、森トラストのそれとは何が違うのでしょうか』、「観光業は、別の場所へ動いていく流動人口が対象です。対してオフィスはちょっと移動はしますけど同じ場所にとどまる人口が、住宅分譲も同様にその場所に定住する人口が対象です。コロナ禍では流動人口が減るという現象が起こり、人が動くことを前提にしたホテルや商業施設がマイナスの影響を受けました」、なるほど。
・『「事業」「立地」「対象人口」 バリエーションでリスク分散  Q:2022年3月期決算のホテル事業の売上高は前期比31.1%増となり、今期は同22.4%増を予想しています。コロナ禍のさなかでも新規開業し、ホテル事業拡大の手を緩めていません。リスク覚悟で攻めているのですか。 A:リスク分散をしているんです。会社全体のポートフォリオで見れば、ホテル事業に力を注いでいるけれども、オフィス賃貸、不動産販売事業などをやっている。不動産という共通項がありながら、事業にバリエーションを持たせる。また都心部、地方、リゾートといった立地のバリエーションもある。そういったものをミックスさせることでリスク分散をしているんです。 観光業は、別の場所へ動いていく流動人口が対象です。対してオフィスはちょっと移動はしますけど同じ場所にとどまる人口が、住宅分譲も同様にその場所に定住する人口が対象です。コロナ禍では流動人口が減るという現象が起こり、人が動くことを前提にしたホテルや商業施設がマイナスの影響を受けました。 一つの業態だけを手掛けているところ、例えばシティーホテルに特化した事業者などは非常に厳しかったと思います。ボラティリティの高いホテル事業を拡大していく中では、バランスを取る経営を常に意識してきました。 Q:コロナ禍を通じた気付き、学びはありましたか。 A:ホテル事業を展開するのと同時に海外投資も始めており、その効果はありました。資産を円で持つか、ドルで持つかを含めてリスクヘッジしておく。実際、ちょうどいいタイミングで米サンノゼのオフィスビルを売却でき、利益も出せました。 昨今の為替の影響はネガティブな面もありますが、ドル資産を持つ立場からするとポジティブな面もある。うまく広く分散することでリスク回避の確度が上がってくるんだなと。 Q:電鉄会社でホテル売却が相次いでいます。彼らも多角化によりポートフォリオにバリエーションを持たせてきましたが、森トラストのそれとは何が違うのでしょうか』、「リスク分散をしているんです。会社全体のポートフォリオで見れば、ホテル事業に力を注いでいるけれども、オフィス賃貸、不動産販売事業などをやっている。不動産という共通項がありながら、事業にバリエーションを持たせる。また都心部、地方、リゾートといった立地のバリエーションもある。そういったものをミックスさせることでリスク分散をしているんです」、なるほど。「電鉄会社でホテル売却が相次いでいます。彼らも多角化によりポートフォリオにバリエーションを持たせてきましたが、森トラストのそれとは何が違うのでしょうか」、どう違うのだろう。
・『不動産会社は各事業で顧客が異なり交通系企業は同じ  A:当社は不動産事業をどう拡大し、多角化しようかという観点で取り組んできました。オフィスもホテルもマンションも同じ不動産ですが、例えばオフィスとホテルの顧客は何らつながっていない。顧客ターゲットが異なっている。 対して交通系の企業は既存の顧客、ポートフォリオを生かして多角化してきたのでターゲットが同じ。そのターゲットが何らかの社会的、経済的な影響を受けた場合、それぞれの事業が同じように影響を受けてしまう。 Q:リスク分散になる多角化ではなかったということですね。 A:結果的にそうだったのかもしれません。鉄道事業と分譲事業でいえば、沿線で住宅を分譲し、そこに住む人に鉄道を使ってもらう。住む人が減ると、鉄道を使う人も減るとなれば、それは同じターゲットを相手にしていることになる。多角化の在り方が不動産会社とは違うように思います。 (伊達美和子社長の略歴はリンク先参照)「オフィスもホテルもマンションも同じ不動産ですが、例えばオフィスとホテルの顧客は何らつながっていない。顧客ターゲットが異なっている。 対して交通系の企業は既存の顧客、ポートフォリオを生かして多角化してきたのでターゲットが同じ。そのターゲットが何らかの社会的、経済的な影響を受けた場合、それぞれの事業が同じように影響を受けてしまう。 Q:リスク分散になる多角化ではなかったということです」、なるほど。
・『集客でもバリエーション 外資と組み、自社でも法人会員組織  Q:ホテル運営の方で他にバリエーションを意識しているものはありますか。 A:集客の在り方。ここも複数持つようにしています。 Q:集客力のある外資系大手ホテルチェーンと組んで、外資ブランドのホテルをどんどん日本に開業させてきました。特に世界最大手の米マリオット・インターナショナルとよく組んでいます。 外資系のほとんどの皆さんとお話しします。結果的にマリオットが多くなっているのは、一番柔軟性があったから。 当社は交渉のときにマネジメント契約(運営全体の委託)を嫌がってフランチャイズ契約(ノウハウやブランドを使用)を要望したり、当社の会員制施設(ラフォーレホテル)をマリオットホテルへリブランドする際にハイブリッド(ラフォーレ会員が優先予約する権利も継続する)でやりたいと要望したりしてきました。他が断ってくるようなものでも、マリオットや米スターウッド(16年にマリオットが買収)はいい反応を見せてくれたんですよ。 Q:外資系はブランド力よりも何よりも、巨大な会員組織を持ち、海外から予約客を送り込む送客ネットワークが最大の強みです。 A:世界中でホテルの数を増やし、会員もどんどん増えていますよね。世界の潮流として、彼らの持つ顧客網に乗っておきたい。一方で、当社オリジナルの法人会員制倶楽部「ラフォーレ倶楽部」は変わらず残しています。 今回のコロナ禍においてラフォーレ倶楽部は利用の動きがやや鈍かった。法人の福利厚生を利用して旅行するというタイミングではありませんでしたからね。対して個人で加入しているマリオットの会員の方たちはポイントプログラムをためるためにも利用したいといったニーズがあり、そちらの動きの方が強かった。 ただ、東日本大震災の後では当社の法人会員の方が早く動きが出ました。 それぞれ母集団が異なり、ケースによって反応が変わってくる。だから販売チャネルもいくつか持っておくべきだと考えます』、「集客力のある外資系大手ホテルチェーンと組んで、外資ブランドのホテルをどんどん日本に開業させてきました。特に世界最大手の米マリオット・インターナショナルとよく組んでいます・・・結果的にマリオットが多くなっているのは、一番柔軟性があったから。 当社は交渉のときにマネジメント契約・・・を嫌がってフランチャイズ契約・・・を要望したり、当社の会員制施設・・・をマリオットホテルへリブランドする際にハイブリッド・・・でやりたいと要望したりしてきました。他が断ってくるようなものでも、マリオットや米スターウッド・・・はいい反応を見せてくれたんですよ』、「マリオット」が契約に「柔軟性があった」というのは初めて知った。有名ホテルチェーンの意外な面だ。
タグ:東洋経済オンライン「プリンスホテル「持たざる経営」にシフトした理由 海外はラグジュアリーブランドの展開を強化」 ホテル (その6)(プリンスホテル「持たざる経営」にシフトした理由 海外はラグジュアリーブランドの展開を強化、ホテル業界の女王・森トラスト社長がコロナで悟った、多角化の「強さ」と「落とし穴」) 「シンガポールの政府系ファンド・GICと、西武グループの総合不動産会社に資産を売却、ホテル運営に特化し再スタートを切る」、「主軸のプリンスホテルや、より高級な「グランドプリンスホテル」のブランドで出店していきたい」、なるほど。 「法人客向けの(国際会議や展示会などの)MICE需要。大きな宴会場で会議を開き、パーティーを開催し、翌日にゴルフを楽しむケースがある。東京や広島などに加えて軽井沢や箱根など、リゾートでMICEに対応できるのは当社の強みだ」、「シティホテルだけでなく、繁閑差のあるリゾートホテルを運営してきたことで、柔軟な人員配置ができる点も強み。これはチェーンだからこそできるものだ」、これらの強みを如何に結実させてゆくかがポイントだ。 「ラグジュアリーの強化」。「顔認証によるチェックインなど、デジタルを活用した非接触の取り組み」、など課題は多いようだ。 ダイヤモンド・オンライン 伊達美和子・森トラスト社長インタビュー「【無料公開】ホテル業界の女王・森トラスト社長がコロナで悟った、多角化の「強さ」と「落とし穴」」 「観光業は、別の場所へ動いていく流動人口が対象です。対してオフィスはちょっと移動はしますけど同じ場所にとどまる人口が、住宅分譲も同様にその場所に定住する人口が対象です。コロナ禍では流動人口が減るという現象が起こり、人が動くことを前提にしたホテルや商業施設がマイナスの影響を受けました」、なるほど。 「リスク分散をしているんです。会社全体のポートフォリオで見れば、ホテル事業に力を注いでいるけれども、オフィス賃貸、不動産販売事業などをやっている。不動産という共通項がありながら、事業にバリエーションを持たせる。また都心部、地方、リゾートといった立地のバリエーションもある。そういったものをミックスさせることでリスク分散をしているんです」、なるほど。 「電鉄会社でホテル売却が相次いでいます。彼らも多角化によりポートフォリオにバリエーションを持たせてきましたが、森トラストのそれとは何が違うのでしょうか」、どう違うのだろう。 「オフィスもホテルもマンションも同じ不動産ですが、例えばオフィスとホテルの顧客は何らつながっていない。顧客ターゲットが異なっている。 対して交通系の企業は既存の顧客、ポートフォリオを生かして多角化してきたのでターゲットが同じ。そのターゲットが何らかの社会的、経済的な影響を受けた場合、それぞれの事業が同じように影響を受けてしまう。 Q:リスク分散になる多角化ではなかったということです」、なるほど。 「集客力のある外資系大手ホテルチェーンと組んで、外資ブランドのホテルをどんどん日本に開業させてきました。特に世界最大手の米マリオット・インターナショナルとよく組んでいます・・・結果的にマリオットが多くなっているのは、一番柔軟性があったから。 当社は交渉のときにマネジメント契約・・・を嫌がってフランチャイズ契約・・・を要望したり、当社の会員制施設・・・をマリオットホテルへリブランドする際にハイブリッド・・・でやりたいと要望したりしてきました。他が断ってくるようなものでも、マリオットや米スターウッド・・・はいい反応を見せてくれたんですよ』、「マリオット」が契約に「柔軟性があった」というのは初めて知った。有名ホテルチェーンの意外な面だ。
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キシダノミクス(その7)(目覚めよ岸田首相 目覚めよ植田総裁…グローバル経済は複雑数奇な「ハイブリッド危機」、岸田総理長男は「家柄 学歴 職歴文句なし」欠けているのは「良識と常識」伊藤惇夫氏バッサリ、岸田首相“解散マッチポンプ”の間抜け…自分で火を点け面白がった愉快犯が「見送り」表明、“消費税18%”級の大増税も!岸田政権が「マイナ保険証」を強引に進める本当の理由) [国内政治]

キシダノミクスについては、本年3月9日に取上げた。今日は、(その7)(目覚めよ岸田首相 目覚めよ植田総裁…グローバル経済は複雑数奇な「ハイブリッド危機」、岸田総理長男は「家柄 学歴 職歴文句なし」欠けているのは「良識と常識」伊藤惇夫氏バッサリ、岸田首相“解散マッチポンプ”の間抜け…自分で火を点け面白がった愉快犯が「見送り」表明、“消費税18%”級の大増税も!岸田政権が「マイナ保険証」を強引に進める本当の理由)である。

先ずは、本年5月5日付け日刊ゲンダイが掲載した同志社大学教授の浜矩子氏による「「目覚めよ岸田首相、目覚めよ植田総裁…グローバル経済は複雑数奇な「ハイブリッド危機」」を紹介しよう。
・『グローバル経済のヤバさが次々と顕在化してきた。「OPECプラス」が突如として原油の減産に向かい、インフレの火に油を注ぐ形になり、各国の金融政策の運用がますます難しくなっています。グローバルサウスと呼ばれる国々の債務問題が相当に深刻になるだろうともいわれています。 各国の中央銀行は、金融を引き締めなければいけないと考えているものの、引き締めれば引き締めるほど金融機関や巨額の債務を抱えた国々を危機に陥らせることになる。デフォルトラッシュになったらどうするのかということで、あちらを立てればこちらが立たずの状況に当面しています。 そんな中で日銀の体制が変わり、植田総裁が就任した。しかし、YCC(イールドカーブ・コントロール)とマイナス金利政策、量的緩和政策は変えるつもりがないという。それで本当に乗り切れるのかどうか。グローバル経済の諸問題について、どういう分析をしているのか。その分析に基づいて考えた時に異次元緩和の継続で大丈夫なのか。植田氏はどうも「それはそれ、これはこれ」と「仕切り線」を設けているように見える。) 岸田首相にしても花粉症対策だとか言ってる場合なのか。グローバル経済の危機的状況下においても人気取り主眼では、次元が違いすぎる。状況をしっかり整理し、分析し、危機の真相を見極めるという政策態度が、ことのほか日本において見られないのは、とても恐ろしい。 「目覚めよ、岸田首相。目覚めよ、植田総裁」と言いたい。 舵取りは本当に難しいと思います。金利を上げていかなければ、インフレに歯止めがかからない。それで生活苦が増せば、大不況に陥るかもしれない。物価賃金スパイラル的な現象が米国では見えてきた。インフレだからと便乗して収益マージンを広げる企業行動も出ており、それに後れを取ってはならずと賃金引き上げ要求も高い。そうした歯止めのない舞い上がりも加わり、複合危機、ハイブリッド危機がグローバル経済に襲いかかろうとしているのです。 そこに今回は地政学的な思惑も絡む。ロシアや中国は政略的な利益を確保するためには何でもやるという感じになっていて、彼らの態度が中東産油国の姿勢をも変えている。皆でなんとかグローバル経済の均衡を保持しようという発想がなくなり、それぞれが自国の利益のために独り善がりになるので、完全につじつまが合わなくなる。行き着く先は一体なんだとなって、この先、あちこちでミサイルが飛ぶようなこともあるんかい、という感じで、日本の安全保障政策の大転換などというものも出てきてしまった。) まさに今のグローバルな風景は、そういう複雑怪奇で高度なハイブリッド危機だという認識を、あらためて整理しておく必要がある。ところが、日本においては非常に低次元の日和見性が前面に出ているので本当に危うい。かたや安保政策の大転換で、抜本的に防衛力を強化すると平気で言い、それと花粉症対策が並行して動いているというおかしな状況です。 もっとレベルの高い政策判断、現状分析、それに基づいたきめ細かな政策運営を、声を大にして求めていかないといけない』、「植田総裁」は一昨日、「YCC」の変動幅を弾力化するという小幅修正に踏み切った。しかし、それ以上の本格的修正には極めて慎重である。

次に、5月30日付けデイリースポーツ「岸田総理長男は「家柄、学歴、職歴文句なし」欠けているのは「良識と常識」伊藤惇夫氏バッサリ」を紹介しよう。
https://www.daily.co.jp/gossip/2023/05/30/0016413448.shtml
・『政治アナリスト・伊藤惇夫氏が30日、TBS系「ひるおび!」で、事実上更迭された岸田文雄総理の長男・翔太郎秘書官について、学歴、職歴など文句がないだけに「欠けているのは良識と常識かなと」との思いを語った。 この日は事実上更迭となった岸田総理の長男・翔太郎秘書官の問題を取り上げた。先週の時点では厳重注意だったが、前日に急転直下の事実上の更迭となった。 「乗り切れると思ったのか?」という恵俊彰の問いかけに伊藤氏は「金曜の発言を聞くとね。前回のイタリア観光旅行疑惑もありましたが、あの時も乗り切った訳ですから、今回も行けると判断したのかもしれませんが」と辛らつ。そして「今後、これを引き延ばすとダメージが強くなるというのもあったのかもしれない」と分析した。 翔太郎氏は慶大卒業後は三井物産に入社。20年に岸田事務所で公設秘書となり、22年10月に総理秘書官となった。伊藤氏は「翔太郎さんは家柄も学歴も職歴も文句ない。となると、欠けているのは良識と常識かなと」と厳しい言葉も。「この辺を岸田さんがどう指導し、教育したのかが問われる」とも語っていた』、第三の記事で「岸田首相も公邸ドンチャン忘年会に参加! 」とされているように、「翔太郎氏」の問題もさることながら、「岸田首相」本人の指導姿勢にも大きな疑問符がつくようだ。

第三に、6月2日付け日刊ゲンダイ「岸田首相も公邸ドンチャン忘年会に参加! 寝間着姿ニンマリ写真流出で官邸は“犯人探し”」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/323919
・『岸田首相も公邸ドンチャン忘年会に参加! 寝間着姿ニンマリ写真流出で官邸は“犯人探し”:首相公邸で親戚とドンチャン騒ぎをしていた岸田首相の長男・翔太郎氏が、1日付で首相秘書官を辞職。血税で維持管理する公邸で大ハシャギする「公私混同」が批判を招いているが、親父もやらかしていた。 6月2日発売の「フライデー」が〈岸田文雄首相 首相公邸「親族大忘年会」に寝間着&裸足で参加〉と報じている。 誌面には、寝間着姿で笑みを浮かべる岸田首相や裕子夫人、翔太郎氏の他、十数人の親族が並ぶ写真がデカデカと掲載されている。「公私混同」の忘年会に岸田本人も“参加”していたということだ。 岸田首相は翔太郎氏を更迭した理由について「公的立場にある政務秘書官として不適切であり、ケジメをつける」と言っていたが、こうなると、自らもケジメをつける必要があるのではないか。 「忘年会について国会で追及された総理は『私も私的な居住スペースにおける食事の場に顔を出した』と認めたうえで、食事を共にすることについては『特段問題ない』と答弁していた。一方、翔太郎さんらが公邸の西階段といった『公的スペース』で“組閣ごっこ”をやっていたことに関しては『不適切だった』としている。総理としては『自分は私的スペースで食事しただけだから問題ない』と言いたいようです。恐らく、自身に責任が及ばないように、『私的スペース』と『公的スペース』という理屈づけにすることにしたのでしょう」(官邸事情通) しかし、公邸は年間1億6000万円もの税金で維持管理されている施設である。「私的スペース」も「公的スペース」もないだろう。丸ごと「公的スペース」なのではないか。ドンチャン騒ぎする場にふさわしくないのは明らかだ』、「公邸は年間1億6000万円もの税金で維持管理されている施設である。「私的スペース」も「公的スペース」もないだろう。丸ごと「公的スペース」なのではないか。ドンチャン騒ぎする場にふさわしくないのは明らかだ」、その通りだ。
・『また「別のブツ」が出てくる  ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。 「総理大臣は、国民の生命、財産を守るため、常に有事に備えるべき立場にあります。公邸が首相官邸の近くにあるのは、有事の際、すぐさま移動し、危機対応の指揮を執るためです。危機管理の中枢なのであって、『ただの家』ではありません。本来、岸田首相は身内のドンチャン騒ぎをいさめる立場にいるはず。“スルー”していたのだとしたら、危機管理意識があまりにも低いと言わざるを得ません」 次々に“内輪”の写真が流出していることに、岸田首相周辺は疑心暗鬼になっているという。 『どこから写真が漏れたんだ』と、官邸は疑心暗鬼になり、“犯人捜し”を始めているようです。でも、流出経路の特定は困難でしょう。忘年会に参加した親族がマスコミに写真を渡したのか、それとも、親族が友人などに渡したものが流出したのか。いずれにせよ、流出先が複数にわたっている恐れがある。また別の写真が出てくる可能性も否定できません」(前出の官邸事情通) また内閣支持率が下がってもおかしくない。野党は徹底追及すべきだ』、もう何が出てきても驚かなくなっているとはいえ、やはり気の緩み過ぎだ。「岸田首相」には本当にガッカリした。

第四に、6月16日付け日刊ゲンダイ「岸田首相“解散マッチポンプ”の間抜け…自分で火を点け面白がった愉快犯が「見送り」表明」を紹介しよう。
・『「今国会での解散は考えておりません」──。岸田首相が15日、官邸で唐突に衆院解散を見送る意向を記者団に明言した。通常国会の会期末が近づくにつれ、天皇の外交訪問などを踏まえた「6.16解散説」が飛び交う中、解散風をあおったのは岸田首相自身だ。 13日の会見で解散について「会期末間近にいろいろな動きが見込まれる。情勢をよく見極めたい」と思わせぶりに答えてニヤリ。重要課題に専念するため「解散は考えていない」という従来の発言から踏み込んでみせた。 この発言に政界は騒然。立憲民主党が内閣不信任決議案を提出すれば「あそこまで言った以上、総理は引くに引けないだろう」(自民党中堅議員)と早期解散論が一気に強まった。 「自民党内も浮足立ち、『あの大臣経験者が選挙事務所を借りた』との情報が流れると、われもわれもと街宣車の予約や選挙ポスターの準備に取りかかる始末。この動きに一番焦ったのは“放火犯”の岸田総理でしょう。与党幹部の間では今国会での解散は見送るべきだとの意見が強く、総理本人も解散のフリーハンドを得るまではいいが、本音は早期解散は避けたかったはずです」(自民党関係者)』、よほど「首相」の権力を握ったのが嬉しいのだろう。お粗末過ぎる。
・『公明党は「主戦論」を牽制  岸田首相を躊躇させた要因のひとつが公明党との関係悪化だ。東京の選挙協力解消で深まった亀裂を修復するため、次期衆院選の選挙協力に関する基本合意書を今月下旬に締結する方向で調整を始めたばかり。公明は早期解散には慎重姿勢で、山口代表は14日に「自民党単独で過半数を取るだけの基盤が失われている」と挑発。強まる「主戦論」を牽制していた。 「立憲が不信任決議案を出す方針をようやく固め、総理は解散に向け『本当に後に引けなくなる』と弱気になり、提出前日に慌てて火消しに走ったのでしょう。多くの議員を本気にさせすぎました」(自民党関係者) 自ら解散政局に火をつけて面白がった“愉快犯”が、大きくなり過ぎた炎にビビって鎮火に追われた間抜けなマッチポンプ。決断できなかった岸田首相の求心力低下を危ぶむ声もあり、「伝家の宝刀」をもてあそんだ火遊びの代償は思いのほか重くなりそうだ』、「自ら解散政局に火をつけて面白がった“愉快犯”が、大きくなり過ぎた炎にビビって鎮火に追われた間抜けなマッチポンプ。決断できなかった岸田首相の求心力低下を危ぶむ声もあり、「伝家の宝刀」をもてあそんだ火遊びの代償は思いのほか重くなりそうだ」、同感である。

第五に、7月28日付けダイモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「“消費税18%”級の大増税も!岸田政権が「マイナ保険証」を強引に進める本当の理由」を紹介しよう。
・『マイナンバーカードにまつわるトラブルが相次ぐ。そんな中にあっても、政府は健康保険証とマイナンバーカードの一体化を目指す。2024年秋に現行の保険証を廃止にするなど、強引な手法に国民からは不安の声が上がる。これから何が起きるのか。特集『マイナンバーカードの落とし穴』の#1では、岸田政権の思惑に迫る。イトモス研究所所長の小倉健一氏は「岸田首相は筋金入りの増税論者。マイナンバーカードが増税の手段に使われるのは間違いない」という』、「マイナンバーカード」にこれだけ問題が山積しているのに、強行しようとするのが、「増税の手段に使われる」との指摘は大いにあり得る話だ。
・『現行の健康保険証の廃止 なぜ強行するのか  マイナンバーカード導入について、国民にはメリットばかりが強調されている。例えば、プッシュ型給付金。国家が国民の収入、財産、家族構成、病歴などを管理することで、対象世帯が申請なしで給付金を受け取れるようになるというものだ。 確かに、特別な証明などを用意しなくても助成金などを受けられる場面が出てくるかもしれない。しかし、政府にとって「与えること」が便利になったということは、同時に「取り上げること」も簡単になったということを理解しなくてはいけないだろう。何より気をつけなくてはならないのは、政府が国民の個人情報へと、常に、簡単に、アクセスできるようになってしまったことだ。 さらに政府は健康保険証とマイナンバーカードを一体化させることで、無理やり普及させようとしているように見える。 7月5日に加藤勝信厚生労働相が「G7(先進7カ国)各国の状況は、異なる行政分野に共通する個人番号制度を有した上で、個人番号を確認できるICチップ付きの身分証明書となるカードを健康保険証として利用できる国は、わが国以外はない」と発言したように、「マイナ保険証」はG7では日本独自のものだが、その進め方はあまりに強引だ。 7月25日には厚生労働省が「2024年秋の現行保険証の廃止以降に、転職などで保険資格が変わった場合、1年間の猶予期間を待たずに現行保険証が使えなくなる」(23年7月25日「読売新聞」)と明らかにしている。 任意であるマイナンバーカードを健康保険証と一体化してまで、強制的に国民に持たせる目的は何なのか』、確かに不可解だ。
・『保有する財産の全てがマイナンバーカードに紐付く  「マイナンバーカードが適正に運用された場合、個人の確定申告や納税のデータに加え、一定の収入や支出、預貯金や証券口座などの財産情報、これらが簡単にひも付けできることになります。将来的に財産の全てをマイナンバーカードにひも付けることができれば、現状の不動産に対する固定資産税などのほか、いわゆる『金融資産課税』なども導入する下地になり得ます。要は、『持っている金融資産に○%の税金をかけます』といったことが可能になるわけです」と、徴税制度に詳しい井出進一税理士は解説する。 「あってはならないことですが、不正な税逃れも発覚しやすくなります。これまでも、税務署は職権で特定の銀行口座を調べたり、支払調書などで一定の収入情報を確認したりできましたが、マイナンバーカードで全国の財産や収入情報を即座に検索できてしまえば、いわゆる隠し財産を持ち続けることが困難になります。 それならばと、金融資産を海外へ持っていったり、そもそも海外へ引っ越してしまうケースも増えると思いますが、日本と海外の入出金も国税の監視が厳しく、現状でも手持ちの有価証券の含み損益を精算しないと国外転出できない税制(国外転出時課税制度)があり、マイナンバーカードとともに国外に移転する財産への税制が強化されていく可能性があります」 「そのほか、相続税にも影響が出そうです。相続税は、亡くなった人の、亡くなった日における相続財産を申告するものですが、マイナンバーカードで相続人でも発見できないような財産も把握できれば、相続税の漏れも減り、税務署にとってもかなり仕事がしやすいと思います。マイナンバーカードは個人にとってメリットもあり、税金的にも適正な申告が行いやすくなる制度なのですが、今の世論上では、どうしても増税に絡むデメリット部分に不安が集中してしまっているように思います」』、「金融資産課税」導入の素地になりえる」、「相続税の漏れも減り」、これは大変だ。
・『日本人の資産全てに課税 国会でも真剣に検討  行政にとって、国民の財産や収入の把握がしやすくなり、結果として、新しい税制が可能になる。井出税理士が例として挙げた「資産税」も国会で真剣に検討されている。 「日本維新の会」国会議員団の前政調会長の足立康史氏は「資産課税」を掲げていて、国会でも導入へ向けた質問を行っている。この足立氏の「資産課税」とは、日本人の持っている資産を国家が全て把握した上で、その全てに1%を課税するとしているというものだ。 銀行預金、貯金、国債などの資産にも、薄く広く簡素に課税をすることを訴えていて、ネット上では「貯金税」「#維新に入れたら貯金に課税」などと揶揄(やゆ)されたこともあった。「足立氏は維新内部で相当な嫌われ者だった」(維新関係者)ことが幸いして、維新においてはしばらくは「資産課税」への動きが止まることになった』、「維新の会」の「前政調会長の足立康史氏は「資産課税」を掲げていて、国会でも導入へ向けた質問を行っている」、とは飛んでもない話だ。
・『「広く薄く簡素」を謳った消費税と同じ末路に?  この資産課税制度の根幹をなすのが「日本人の持っている資産を国家が全て把握する」という点だ。つまりマイナンバーカードによって、この税制の導入が可能となっている。足立氏は「1%」「広く薄く」「簡素」という点で、この税制が優れていることを強調していて、確かに「消費」よりも「財産」に課税したほうが広く薄いことは事実だろう。もし、この税制が導入されることになったら、同じく「広く薄く簡素」という観点から導入された「消費税」と同じ末路をたどる可能性が高い。 消費税は1989年、税率3%で導入された。現在の税率は「10%」にも達し、導入当初の「国民に広く薄く負担を求める」という理念が崩れ、「広く重たい負担」というような重税感が国民の間に広がりつつある。 ただし、財務省が主催する審議会等においては「消費税はまだまだ上げられる余地がある」などと財務省御用達の識者が議論をしている。欧州レベルの20%前後にまで今後引き上げる公算が高く、そのためにはより複雑な軽減税率が導入されるであろうから、消費税は「広く深く複雑」な税制に成り下がることになる』、「財産」に対する「課税」は財産を保有っしている限り永遠にかかり、「財産」を減らす作用がある。事実上、「富裕層の財産没収」に近い。固定資産税も税率が極めて低いとはいえ「財産税」の一種である。
・『「支持母体から不満が出ない税を 増やしたい」という本音  一般に、消費税以外の特定分野の税金を上げると、増税対象となる業界団体(多くは自由民主党支持母体)との調整が必要となってくる。例えば、法人税であれば日本経済団体連合会(経団連)、自動車税であれば自動車業界、酒税であればビール会社などだ。自民党の議員にしてみれば、どうせ増税するなら支持母体からの不満が出ない消費税を上げたいというのが本音なのである。しかし、それには世論という最大の壁が立ちふさがる。 歴代の政権を振り返っても、消費税は、当時の最大派閥「平成研究会」(以下、「平成研」。現・茂木派)の会長であった竹下登首相の下で開始され、5%になったのも同じく平成研の橋本龍太郎首相だ。次に増税されたのが、自民党内で平成研から清和政策研究会(以下、「清和研」。現・安倍派)へと権力が移った後、清和研の安倍晋三首相の時代だ。安倍首相は、8%、10%と2度にわたって増税を成功させている。消費税の増税には、相当な政治的エネルギーが費やされる。 今、マイナンバーカードの普及で、資産課税の準備は整うことになる。少数派閥出身の岸田文雄首相には、消費税増税や資産課税の創設は不可能であろうが、歴史を振り返っても、基盤の弱い内閣が将来の増税や新税創設の下ならしをしておいて、強力な政権下で実行されることが起きている』、新たな「資産課税」導入には、「消費税」以上に困難だろう。
・『資産課税の対象は日本の全ての資産 たった1%で36兆円もの増税に  岸田首相は、首相就任前(2017年9月5日)に、社会保障の持続可能性や財政健全化は「待ったなしの課題」と指摘し、消費税率の引き上げは確実に行うべきと語っている。岸田首相は、増税をして財政が健全化すると国民が未来を楽観して経済成長するという持論を国会で語ったこともあった。筋金入りの増税論者である。岸田政権下でマイナンバーカードが増税の手段に使われるのは間違いない。 国民負担率(国民の所得に占める税金や社会保険料の負担の割合)が1%増えると、潜在成長率がマイナス0.11%となり、さらには家庭の可処分所得も大幅に下がることがエコノミストの調査(T.Nagahama,2023)によって明らかになっており、また他の先進国と比較して日本の負担率は突出して上昇率が高い。消費税が1%上がるたびに、約2兆円の税収増となることを考えても、岸田政権の動きにはきちんと目を光らせておいたほうが良いだろう。 マイナンバーカード普及によって実施が可能となった「資産課税」の対象となるのは、日本にある全ての資産(家計・非金融法人・政府資産)で合計約3600兆円である。たった1%で36兆円もの増税になる。これは消費税18%分だ。「1%程度だから大丈夫だろう」などと考えていると、日本はあっという間に究極の増税国家へと様変わりすることになるのだ。 政府がマイナンバーカードをどうしても進めたい動機の大きな部分は、税収増だ。彼らの言葉を使えば「適正な徴税」ということになるのだろうが、結果として起きることは「国民負担増」である。確かに、税金逃れは悪いことであり、真面目に税金を納めている人がバカを見るような社会ではあってはならないが、そもそもの問題として、政府が優先して努力すべきは税収増ではなく、国民負担減であることは指摘しておかねばなるまい』、「資産課税」の「税率」は「たった1%で36兆円もの増税になる。これは消費税18%分だ。「1%程度だから大丈夫だろう」などと考えていると、日本はあっという間に究極の増税国家へと様変わりすることになる」、しかも「消費税」のようなフローに対する課税ではなく、ストックに対する課税である。税理論面も検証を含め慎重な検討が求められる。
タグ:キシダノミクス (その7)(目覚めよ岸田首相 目覚めよ植田総裁…グローバル経済は複雑数奇な「ハイブリッド危機」、岸田総理長男は「家柄 学歴 職歴文句なし」欠けているのは「良識と常識」伊藤惇夫氏バッサリ、岸田首相“解散マッチポンプ”の間抜け…自分で火を点け面白がった愉快犯が「見送り」表明、“消費税18%”級の大増税も!岸田政権が「マイナ保険証」を強引に進める本当の理由) 日刊ゲンダイ 浜矩子氏による「「目覚めよ岸田首相、目覚めよ植田総裁…グローバル経済は複雑数奇な「ハイブリッド危機」」 「植田総裁」は一昨日、「YCC」の変動幅を弾力化するという小幅修正に踏み切った。しかし、それ以上の本格的修正には極めて慎重である。 デイリースポーツ「岸田総理長男は「家柄、学歴、職歴文句なし」欠けているのは「良識と常識」伊藤惇夫氏バッサリ」 第三の記事で「岸田首相も公邸ドンチャン忘年会に参加! 」とされているように、「翔太郎氏」の問題もさることながら、「岸田首相」本人の指導姿勢にも大きな疑問符がつくようだ。 日刊ゲンダイ「岸田首相も公邸ドンチャン忘年会に参加! 寝間着姿ニンマリ写真流出で官邸は“犯人探し”」 「公邸は年間1億6000万円もの税金で維持管理されている施設である。「私的スペース」も「公的スペース」もないだろう。丸ごと「公的スペース」なのではないか。ドンチャン騒ぎする場にふさわしくないのは明らかだ」、その通りだ。 もう何が出てきても驚かなくなっているとはいえ、やはり気の緩み過ぎだ。「岸田首相」には本当にガッカリした。 日刊ゲンダイ「岸田首相“解散マッチポンプ”の間抜け…自分で火を点け面白がった愉快犯が「見送り」表明」 よほど「首相」の権力を握ったのが嬉しいのだろう。お粗末過ぎる。 「自ら解散政局に火をつけて面白がった“愉快犯”が、大きくなり過ぎた炎にビビって鎮火に追われた間抜けなマッチポンプ。決断できなかった岸田首相の求心力低下を危ぶむ声もあり、「伝家の宝刀」をもてあそんだ火遊びの代償は思いのほか重くなりそうだ」、同感である。 ダイモンド・オンライン 小倉健一氏による「“消費税18%”級の大増税も!岸田政権が「マイナ保険証」を強引に進める本当の理由」 「マイナンバーカード」にこれだけ問題が山積しているのに、強行しようとするのが、「増税の手段に使われる」との指摘は大いにあり得る話だ。 確かに不可解だ。 「金融資産課税」導入の素地になりえる」、「相続税の漏れも減り」、これは大変だ。 「維新の会」の「前政調会長の足立康史氏は「資産課税」を掲げていて、国会でも導入へ向けた質問を行っている」、とは飛んでもない話だ。 「財産」に対する「課税」は財産を保有っしている限り永遠にかかり、「財産」を減らす作用がある。事実上、「富裕層の財産没収」に近い。固定資産税も税率が極めて低いとはいえ「財産税」の一種である。 新たな「資産課税」導入には、「消費税」以上に困難だろう。 「資産課税」の「税率」は「たった1%で36兆円もの増税になる。これは消費税18%分だ。「1%程度だから大丈夫だろう」などと考えていると、日本はあっという間に究極の増税国家へと様変わりすることになる」、しかも「消費税」のようなフローに対する課税ではなく、ストックに対する課税である。税理論面も検証を含め慎重な検討が求められる。
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日本の構造問題(その29)(「このままだと日本経済は沈没するぞ」 海外投資家が三菱UFJのCFOに放った厳しすぎる本音、「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由、世界競争力ランキングで日本は35位と過去最低に 「凋落」に耳をふさぐ本当の深刻さ) [経済政治動向]

日本の構造問題については、本年5月13日に取上げた。今日は、(その29)(「このままだと日本経済は沈没するぞ」 海外投資家が三菱UFJのCFOに放った厳しすぎる本音、「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由、世界競争力ランキングで日本は35位と過去最低に 「凋落」に耳をふさぐ本当の深刻さ)である。

先ずは、本年6月3日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した前三菱UFJのCFOの徳成旨亮氏による「「このままだと日本経済は沈没するぞ」 海外投資家が三菱UFJのCFOに放った厳しすぎる本音」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/323717
・『毎年平均100名近い海外機関投資家と面談しているニコン現CFOの徳成旨亮氏によると、海外機関投資家との面談で、頻繁に「君たち(日本経済・日本企業・日本人)には『アニマルスピリッツ』はないのか?」と問い質されてきた、という。 海外投資家は、日本の社会や企業経営を、血気が衰え、数値的期待値を最重視しリスクに怯えている状態にあると見ている。結果、日経平均は1989年の最高値を未だ更新できておらず、水準を切り上げ続けている欧米株と比べて魅力がないと言われても仕方がない状況だ。 この現状を打破するにはどうしたらいいか? 徳成氏は、「CFO思考」が「鍵」になるという。 朝倉祐介氏(シニフィアン共同代表)や堀内勉氏(元森ビルCFO)が絶賛する6/7発売の新刊『CFO思考』では、日本経済・日本企業・日本人が「血気と活力」を取り戻し、着実に成長への道に回帰する秘策が述べられている。本書から、一部を特別に公開する』、「日経平均は1989年の最高値を未だ更新できておらず」とあるが、6月13日にバブル後最高値を更新した。
・『「君のオフィスの設定温度は何度だ?」  2015年7月、私は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のCFOとなって初めての海外IRを行いました。海外IRとは、諸外国に点在する投資家を訪ねて面談し、自社の戦略をアピールして最終的に株式を買ってもらう、あるいは既存株主には買い増しまたは保有継続してもらうことを目的とする活動です。 私は過去にも同社の財務企画部長として海外投資家と面談した経験がありました。その延長線上で準備した財務計数や中期経営計画に関する膨大な英文のQ&A(模範回答集)を機中で勉強しながら、最初の訪問地ロサンゼルス(LA)に向かいました。 真夏のLAで最初に訪問したのは、中堅のファンドでした。その対話の第一問がこれでした。 「君のオフィスの設定温度は何度だ?」 一瞬、質問の真意が掴めず返答に困った私に対し、そのファンドマネージャーは続けました。 「どうせ『地球にやさしく』なんていう御託を並べて、28℃設定にしてるんだろう。グーグルやアマゾンのオフィスは何度か知っているか? 21℃だぞ。人間は少し寒いくらいのほうが頭が働くんだ」 唖然としている私に彼はたたみかけます。 「君の会社は、日本の最優秀と言われる大学の卒業生のなかから、さらに優秀と言われる学生を採用しているんだろう。そうした若者のアニマルスピリッツを掻き立て、その能力を最大限に活かすことこそが、経営者の役割ではないのか? 日本は少子高齢化でこれからどんどん人口が減り人口オーナス(注:人口ボーナスの逆)で経済成長は鈍化する。そうしたなかで君の会社のような企業が、優秀な人材の能力を最大限活かさないでどうする。 有能な人材は経営にとっては資源であり資本だ。『地球にやさしく』なんて言って地球の資源を心配している場合か? 地球に負荷をかけてもいいから、最高の職場環境を準備して、自分の会社の人材に最高のパフォーマンスを出させるべきじゃないのか? このままだと、地球が滅びるはるか手前で日本経済は沈没するぞ」 このファンドマネージャーは日本株の運用を数十年も行ってきた業界では名の知れた人物で、妻は日本人、趣味は京都の寺院の庭巡りという日本通の方です。 その彼が日本の将来を憂えて、安易に平等主義やきれいごとに流れるのではなく、有為な人材には最高の職場環境を用意し、必要な教育・研修の機会を与え、同時にとことん負荷をかけて高い成果やアウトプットを求め、アニマルスピリッツを刺激する処遇制度を用意し、企業価値を高めることが企業経営者の責務ではないか? そうした議論をふっかけてきたわけです』、「日本の将来を憂えて、安易に平等主義やきれいごとに流れるのではなく、有為な人材には最高の職場環境を用意し、必要な教育・研修の機会を与え、同時にとことん負荷をかけて高い成果やアウトプットを求め、アニマルスピリッツを刺激する処遇制度を用意し、企業価値を高めることが企業経営者の責務ではないか?」との「ファンドマネージャー」の指摘は的確だ。
・『「アニマルスピリッツが失われている」と日本は見られている  2020年9月、経済産業省は「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の報告書(研究会で座長を務めた一橋大学名誉教授の伊藤邦雄氏にちなみ、通称「人材版伊藤レポート」と呼ばれる)を公表し、「人材」を「資本」ととらえ、人的資本の価値を創造することによって企業価値を創造していく、という概念を打ち出しましたが、その5年以上前に、西海岸の投資家から同様の課題を突き付けられたわけです。 この「オフィスの設定温度論争」をしかけてきた投資家を含め、資本市場の最前線で過去面談したグローバル投資家から、私が繰り返し言われてきた言葉があります。「君たち(日本企業、日本の経営者、日本人)には、『アニマルスピリッツ』はないのか?」というフレーズです。 アニマルスピリッツとは何か? それは、「実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意」のことです。 英国の経済学者ジョン・メイナード・ケインズの代表的著書である『雇用・利子および貨幣の一般理論』のなかに、不確実な状況下における意思決定に関する次のようなくだりがあります[*1]。 投機による不安定性のほかにも、人間性の特質にもとづく不安定性……(中略)……おのずと湧きあがる楽観に左右されるという事実に起因する不安定がある。……(中略)……その決意のおそらく大部分は、ひとえに血気(アニマルスピリッツ)と呼ばれる、不活動よりは活動に駆り立てる人間本来の衝動の結果として行われるのであって、数量化された利得に数量化された確率を掛けた加重平均の結果として行われるものではない。……(中略)……企業活動が将来利得の正確な計算にもとづくものでないのは、南極探検の場合と大差ない。こうして、もし血気が衰え、人間本来の楽観が萎えしぼんで、数学的期待に頼るほかわれわれに途がないとしたら、企業活動は色あせ、やがて死滅してしまうだろう。……(中略) 将来のはるか先まで見はるかすような期待に依拠する企業活動は、社会全体に利益をもたらすと言ってさしつかえない。だが、個人の企業心が本領を発揮するのは合理的計算が血気によって補完、支援され……(中略)……る場合だけであることは、疑いもなく経験の教えるとおりである。 つまり、企業活動の本質は、利益の見込みやリスクの確率に基づくものでなく、人間が本来持つ将来に対する期待や自然発生的な衝動にある、とケインズは言い、そうした人間の特質を「アニマルスピリッツ」と称しています。ケインズは、「企業活動は、南極探検と大差ない」とまで言っているのです。 日本の現状は、まさに「企業活動は色あせ、やがて死滅してしまう」状況に近づきつつある可能性があります。日銀が各企業の最大の株主となり、企業の新陳代謝がなく、社会全体や企業経営から血気が衰え、数値的期待値を最重視しリスクに怯えている状態、つまり「アニマルスピリッツ」が失われている状態にあると、海外投資家は見ているのです。 もちろん、日本がこうなったことにはやむを得ない事情もあります。人口減少や高齢化というデモグラフィック(人口統計学的)な変化は抗しがたいものがあり、縮小する市場のなかで仮に「アニマルスピリッツ」を無邪気にふるって失敗すると回復が困難であることは事実です。 パイが広がらないなかでは、無理をせず、安全を第一とする考え方には合理性があります。そうして、社会も企業も個人もリスク回避的になり、安全運転を重視して、成長戦略よりもコスト削減を優先してきた結果、今日の低成長と国際的な地位低下を招いたと考えられます。 また、こうした思考方法が数十年の長きにわたり続いたことから、世代を超えて、日本人および社会全体から「アニマルスピリッツ」が失われていったのだと考えることができます。 特に、本来楽観的思考やチャレンジ意欲をより持っているはずの若者世代が、人口減少や高齢化に伴う将来の生活不安、特に年金制度への不信から保守的になり、リスク回避的な行動を取るようになっていったことは、日本社会の活力をさらに失わせています。 ※この記事は、書籍『CFO思考』の一部を抜粋・編集して公開しています (徳成旨亮氏の略歴はリンク先参照)』、「人間性の特質にもとづく不安定性……(中略)……おのずと湧きあがる楽観に左右されるという事実に起因する不安定がある。……(中略)……その決意のおそらく大部分は、ひとえに血気(アニマルスピリッツ)と呼ばれる、不活動よりは活動に駆り立てる人間本来の衝動の結果として行われるのであって、数量化された利得に数量化された確率を掛けた加重平均の結果として行われるものではない」、「社会も企業も個人もリスク回避的になり、安全運転を重視して、成長戦略よりもコスト削減を優先してきた結果、今日の低成長と国際的な地位低下を招いたと考えられます。 また、こうした思考方法が数十年の長きにわたり続いたことから、世代を超えて、日本人および社会全体から「アニマルスピリッツ」が失われていったのだと考えることができます。 特に、本来楽観的思考やチャレンジ意欲をより持っているはずの若者世代が、人口減少や高齢化に伴う将来の生活不安、特に年金制度への不信から保守的になり、リスク回避的な行動を取るようになっていったことは、日本社会の活力をさらに失わせています」、なるほど。
・『【著者からのメッセージ】 私は国内外あわせて毎年平均100名前後の機関投資家の方々と、直接もしくはネット経由で面談し、自社の株式への投資をお願いしてきました。これら多くのグローバル投資家から、私が繰り返し言われてきた言葉があります。それは、「君たち(日本経済・日本企業・日本人)には『アニマルスピリッツ』はないのか?」 というフレーズです。 経済学者のジョン・メイナード・ケインズによれば、アニマルスピリッツとは、「実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意」を意味します。海外の投資家たちは、日本の社会全体や企業経営から血気と活力が衰えている、つまり「アニマルスピリッツ」が日本経済から失われていると見ているのです。 この現状を覆すにはどうすればよいか? それが本書のテーマです。その答えは「CFO思考」にあると私は考えています。 「CFO(Chief Financial Officer、最高財務責任者)」と聞くと、数字のプロであり経理や資金調達に責任を負っている「経理・財務担当役員」が思い浮かぶ方も多いと思います。 しかし、欧米で「CFO」といえば、CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)とともに3名で経営の意思決定を行う「Cスイート」の一角を占める重要職です。CFOは、投資家をはじめとする社外の多くのステークホルダー(利害関係者)に対しては、会社を代表してエンゲージメント(深いつながりを持った対話)を行い、社内に対しては、ROE(自己資本利益率)に代表される投資家の期待・資本の論理や、ESG投資家や地域社会など、異なるステークホルダーの要望を社員にもわかるように翻訳して伝え、その期待を踏まえた経営戦略を立て、それを実践するよう組織に影響を与え行動を促す、という役割を担っています。 そして、「アニマルスピリッツ」をCEOなどほかの経営陣と共有し、「数値をベースにした冷静な判断力」を持って考え、企業としての夢の実現に向け行動する、いわば企業成長のエンジンの役割を果たしています。 本書では、従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一義にすべきだ」という考え方を「金庫番思考」、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」と呼びます。「『CFO思考』こそが、企業のパーパス(存在意義・目的)を実現させる」。これが本書の結論です。 本書でお話する内容には、企業経営に関するテーマが多く含まれています。同時に、現在、各企業において、経理、予算、財務、税務、IR、サステナビリティ・ESG、DX・ITといった分野で働くビジネスパーソン、もしくはそのような分野に興味がある方々も意識して書き下ろしました。皆さんが担当しておられるこれらの業務において、どのように「CFO思考」を発揮すればよいのかをご紹介しています。 こうした実務に携わっておられる皆さんには、グローバルで活躍できる人材として、将来日本企業と日本経済の成長のエンジンになっていただきたいと考えています。 CFOという仕事の魅力と楽しさが、一人でも多くの読者の皆さんに伝われば、それに勝る喜びはありません』、「従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一義にすべきだ」という考え方を「金庫番思考」、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」と呼びます」、「CFOは、投資家をはじめとする社外の多くのステークホルダー(利害関係者)に対しては、会社を代表してエンゲージメント・・・を行い、社内に対しては、ROE(自己資本利益率)に代表される投資家の期待・資本の論理や、ESG投資家や地域社会など、異なるステークホルダーの要望を社員にもわかるように翻訳して伝え、その期待を踏まえた経営戦略を立て、それを実践するよう組織に影響を与え行動を促す、という役割を担っています。 そして、「アニマルスピリッツ」をCEOなどほかの経営陣と共有し、「数値をベースにした冷静な判断力」を持って考え、企業としての夢の実現に向け行動する、いわば企業成長のエンジンの役割を果たしています」、こうした真のCFOがもっと増えてほしいものだ。

次に、7月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/326334
・『この先も誹謗中傷はなくならないワケ  「誹謗中傷もうやめよう」「他人をおとしめるのはかっこ悪いよ」――。 そんな呼びかけが、ネットやSNSにあふれている。先日、タレントのryuchellさんが急逝されたことを受けて、生前、本人がネットやSNSで誹謗中傷を受けていたことが原因ではないかという臆測が広がったからだ。 もちろん、死の真相は永遠にわからない。ただ、芸能人や有名人がネットやSNSですさまじい誹謗中傷を受けていることも紛れもない事実であり、実際に過去には女性プロレスラーの方が、心ない誹謗中傷が原因で死に追いやられている。そのため、かねて「日本のSNSは匿名性が高いので誹謗中傷が悪質すぎる」という意見があり、それが今回再注目されている形だ。 ただ、残念ながら、いくらこのような呼びかけしたところで、日本から「誹謗中傷」が消えることはないだろう。誹謗中傷している人は自分が誹謗中傷をしているという自覚はない。むしろ、相手の間違いを指摘して言動を正してやっている、くらいにさえ思っている。 なぜこういう「ゆがんだ正義心」が生まれるのか。いろいろな意見があるだろうが、筆者は日本人が100年以上受けてきた「教育」の弊害だと考えている。 我々は物心ついた時から「ルールやマナーを守れ」「みんなに迷惑をかけるな」ということを骨の髄まで叩き込まれる。教育基本法や学校教育法の中に「規範意識の育成」ということが掲げられているからだ。もちろん、この方針自体は悪くない。 問題は「規範意識」に熱が入りすぎて「過剰」になってしまっていることだ。 ご存じの方も多いだろうが、日本の学校教育は世界的に見るとかなり特殊だ。異常に厳しいブラック校則、同じ制服、同じカバンの強制、軍隊的な部活動、そしてクラス内での「班」行動などなど、他国の子どもと比べて「規範意識の育成」を徹底的に叩き込まれる機会が多い。この「規範意識=絶対正義」という極端な教育方針を改めない限り、「誹謗中傷」は絶対になくならない。 一体なぜか』、「なぜこういう「ゆがんだ正義心」が生まれるのか。いろいろな意見があるだろうが、筆者は日本人が100年以上受けてきた「教育」の弊害だと考えている。 我々は物心ついた時から「ルールやマナーを守れ」「みんなに迷惑をかけるな」ということを骨の髄まで叩き込まれる。教育基本法や学校教育法の中に「規範意識の育成」ということが掲げられているからだ。もちろん、この方針自体は悪くない。 問題は「規範意識」に熱が入りすぎて「過剰」になってしまっていることだ。 ご存じの方も多いだろうが、日本の学校教育は世界的に見るとかなり特殊だ。異常に厳しいブラック校則、同じ制服、同じカバンの強制、軍隊的な部活動、そしてクラス内での「班」行動などなど、他国の子どもと比べて「規範意識の育成」を徹底的に叩き込まれる機会が多い。この「規範意識=絶対正義」という極端な教育方針を改めない限り、「誹謗中傷」は絶対になくならない」、なるほど。
・『匿名性が大好きな日本人の醜い現実  理由を説明する前に、大前提として日本の状況を振り返っていこう。今、日本は「誹謗中傷大国」と呼んでも差し支えないほど、社会に誹謗中傷があふれている。 もちろん、SNSで他人を心ない言葉で侮辱する行為というのは幅広い国や社会で確認されているが、日本の場合はその「量」と「陰湿さ」が抜きん出ているのだ。 まず、「量」に関しては、日本人はTwitterが世界一好きということが大きい。 22年1月の国別ユーザー数では、首位アメリカ(7690万人)に次いで日本は5895万人で世界第2位なのだが、ヘビーユーザーが圧倒的に多い。イーロン・マスク氏が先日、日本のユーザーの利用時間が世界一だとして「1人当たりの使用量だと米国の約3倍です」と述べたように、朝から晩までTwitterに何かを発信している人が世界一多いのだ。 「量」が世界一ならば当然、誹謗中傷も世界一多くなるだろう。 「なぜそんなことが言える!愛犬や赤ちゃんの写真とか好きな推しについてつぶやいている人が多いだけかもしれないだろ」と反論したくなる人も多いだろうが、その可能性は低い。日本は世界でも有数の「匿名SNS大国」でもあるからだ。 9年前のデータだが、平成26年度の情報通信白書によれば、日本のTwitterの匿名利用の割合は75.1%で、アメリカは35.7%、フランスは45%、韓国は31.5%となっている。日本人が匿名性を好む傾向は今もそれほど変わっていない。 このような「匿名文化」が誹謗中傷の「陰湿さ」に拍車をかけているのは、もはや説明の必要がないだろう。「死ね」「消えろ」「顔を見るのも不快」「気持ち悪い」などという心ない言葉を家族や隣近所、会社の同僚や上司の前で平気で言える人は少ない。しかし、自分の名前も素性も知らない人たちの前で、しかも見ず知らずの他人に対してならば、いくらでも罵詈雑言が吐けるという人はいる。 社会的地位も脅かされない、人間関係も崩れもないという「安全地帯」にいるからこそ、心ゆくまで陰湿な誹謗中傷ができて、相手を自殺に追い込むほどの粘着さも発揮してしまう、という部分は確かに存在しているのだ。 その醜悪な現実がうかがえるのが、「世界一の削除要求・開示請求」だ』、「「量」に関しては、日本人はTwitterが世界一好きということが大きい。 22年1月の国別ユーザー数では、首位アメリカ(7690万人)に次いで日本は5895万人で世界第2位なのだが、ヘビーユーザーが圧倒的に多い。イーロン・マスク氏が先日、日本のユーザーの利用時間が世界一だとして「1人当たりの使用量だと米国の約3倍です」と述べたように、朝から晩までTwitterに何かを発信している人が世界一多いのだ。 「量」が世界一ならば当然、誹謗中傷も世界一多くなるだろう」、「「匿名文化」が誹謗中傷の「陰湿さ」に拍車をかけているのは、もはや説明の必要がないだろう。「死ね」「消えろ」「顔を見るのも不快」「気持ち悪い」などという心ない言葉を家族や隣近所、会社の同僚や上司の前で平気で言える人は少ない。しかし、自分の名前も素性も知らない人たちの前で、しかも見ず知らずの他人に対してならば、いくらでも罵詈雑言が吐けるという人はいる。 社会的地位も脅かされない、人間関係も崩れもないという「安全地帯」にいるからこそ、心ゆくまで陰湿な誹謗中傷ができて、相手を自殺に追い込むほどの粘着さも発揮してしまう、という部分は確かに存在しているのだ。 その醜悪な現実がうかがえるのが、「世界一の削除要求・開示請求」だ」、なるほど。
・『過剰な規範意識によって「逸脱する人」を許せない  Twitter社によれば、2021年上半期(1~6月)に削除要求は世界で4万3387件で、うち日本が1万8518件と4割強を占めて世界最多となった。さらに、政府機関以外から寄せられたアカウントの情報開示請求は全世界で460件で、うち日本が241件と5割強を占めている。 もちろん、「削除要求・開示請求=誹謗中傷」ではない。ただ、誹謗中傷が問題になってからというもの、メディアや弁護士など専門家が対策のひとつとして削除要求や開示請求について言及をしていることを踏まえると、この突出した件数に、日本特有の誹謗中傷カルチャーが大きく影響していると考えるべきではないか。 では、なぜこんなことになってしまったのかというと、冒頭で申し上げた「規範意識の育成」をやりすぎってしまった「副作用」だと筆者は考えている。 繰り返しになるが、この教育方針自体は素晴らしい。社会で生きていくうえでルールやマナーを守るのは当然だ。しかし、日本のようにこの教育があまりに過剰になって、国民の規範意識が高くなりすぎると、社会に「対立と分断」を招いてしまう。 「ルールやマナーを守らない人」「みんなに迷惑をかける人」への激しい怒りや憎悪が芽生えてしまうのだ。わかりやすいケースが戦時中の「非国民」へのすさまじい誹謗中傷とリンチだ。 この手の話になると、「当時の日本人は軍部が怖くてしかたなく戦時体制に従った」みたいな歴史観を語る人がいるが、それは新聞メディアが自分たちの責任を回避するために、戦後にねつ造したストーリーだ。メディアだけではなく大多数の国民は自分の意志で率先して戦争に賛成していた。真珠湾攻撃をした際は、サッカーW杯で優勝したように国民はお祭り騒ぎだった。 もちろん、反戦を訴える人もいたが、かなりマイノリティで、日米開戦を回避しようとした軍人や役人は国民から「弱腰」となじられ、家族が襲撃される恐れもあったほどだ。 では、なぜこんなに当時の日本人は戦争に協力的だったのかというと、軍にマインドコントロールをされていたから…なんて大層な話ではなく、ごくシンプルに「教育」の成果だ』、「「規範意識の育成」をやりすぎってしまった「副作用」だと筆者は考えている。 繰り返しになるが、この教育方針自体は素晴らしい。社会で生きていくうえでルールやマナーを守るのは当然だ。しかし、日本のようにこの教育があまりに過剰になって、国民の規範意識が高くなりすぎると、社会に「対立と分断」を招いてしまう。 「ルールやマナーを守らない人」「みんなに迷惑をかける人」への激しい怒りや憎悪が芽生えてしまうのだ。わかりやすいケースが戦時中の「非国民」へのすさまじい誹謗中傷とリンチだ」、「なぜこんなに当時の日本人は戦争に協力的だったのかというと、軍にマインドコントロールをされていたから…なんて大層な話ではなく、ごくシンプルに「教育」の成果だ」、なるほど。
・『ルールを守れないものは「非国民」、武器はSNSに変わり…  近代化した日本の教育のベースとなった「教育勅語」でも、実は「規範意識の育成」は大きな柱となっている。と言っても、時代背景が違うので当時はこれを「遵法」と呼んだ。「法律や規則を守り社会の秩序に従おう」という意味だ。 戦前・戦中の子どもは「教育勅語」を暗唱させられて、この「遵法」を骨の髄まで叩き込まれた。すると、どういう大人に成長するのかというと、国が定めた法律やルールを守ることが「正義」であり、それができない者は「非国民」として怒りや憎悪を抱く人になってしまう。「規範意識」が膨張して、「社会秩序を乱す悪」を制裁するための誹謗中傷や暴力は許される、という感じで、「正義の暴走」が始まるのだ。 例えば、満州事変直後の1931年9月20日、東京・麻布で2人の男が「若し戦時召集があっても応ずるな」とビラを巻いて演説をした。戦後の映画やテレビではこういう「非国民」を処罰するのは、警察や憲兵として描かれるが、現実は違う。 「付近の住民は時節柄とて憤慨し二三十名が棍棒や薪を持って『非国民を殴り殺せ』と追跡したが何れへか逃走した」(読売新聞1931年9月21日) そういう「正義の私的制裁」が日本中であふれかえった。 規範意識が強くなりすぎた “正義の日本人”は、「ルールに従わない人」「みんなに迷惑をかける人」に対しては、これほど冷酷・残酷になれるものなのだ。 このような「非国民へのリンチ」を生んだ「遵法教育」は戦後GHQの監督下になると「規範意識の育成」という呼び方に変えられて、教育基本法や学校教育法に盛り込まれて現在に至る。見た目は“化粧”されているが、本質的なところでは同じ教育が続いているので当然、「非国民へのリンチ」も健在だ。しかし、さすがに今はこん棒で殴り殺すというわけにはいかない。そこで「武器」をSNSに変えて、「死ね」「消えろ」というナイフのように鋭い言葉で相手の「心」をメッタ刺しするようになった、というのが筆者の考えだ』、「「教育勅語」でも、実は「規範意識の育成」は大きな柱となっている。と言っても、時代背景が違うので当時はこれを「遵法」と呼んだ。「法律や規則を守り社会の秩序に従おう」という意味だ。 戦前・戦中の子どもは「教育勅語」を暗唱させられて、この「遵法」を骨の髄まで叩き込まれた。すると、どういう大人に成長するのかというと、国が定めた法律やルールを守ることが「正義」であり、それができない者は「非国民」として怒りや憎悪を抱く人になってしまう。「規範意識」が膨張して、「社会秩序を乱す悪」を制裁するための誹謗中傷や暴力は許される、という感じで、「正義の暴走」が始まるのだ」、「見た目は“化粧”されているが、本質的なところでは同じ教育が続いているので当然、「非国民へのリンチ」も健在だ。しかし、さすがに今はこん棒で殴り殺すというわけにはいかない。そこで「武器」をSNSに変えて、「死ね」「消えろ」というナイフのように鋭い言葉で相手の「心」をメッタ刺しするようになった、というのが筆者の考えだ」、なるほど。
・『旧統一教会へのバッシングも「誹謗中傷」?  そんな「非国民へのリンチ」の中で、今もっともわかりやすいのが、旧統一教会へのバッシングだ。SNSでは、「旧統一教会を叩きつぶせ!」「旧統一教会はクソ」「寄生虫カルトはとっとと死ね」などの攻撃的な言葉が飛び交っている。投稿している人たちは「非国民」を叩きつぶすことで、「正義」を執行しているつもりだろうが、信者の皆さんからすれば、これは理不尽極まりない「誹謗中傷」以外の何ものでもない。 なぜか。勘違いをしている人も多いが、実はあの教団はまだ「犯罪者集団」でもなんでもないからだ。オウム真理教のように信者や幹部が刑事事件で逮捕されたわけではない。かつて入信していたけれど、信仰がなくなった人や、信者ではない家族が「被害」を訴えて民事訴訟をしているだけだ。 霊感商法での高額献金が問題だというが、神や仏の話を説きつつ高額のお布施を求めない宗教の方が少ない。創価学会でも、幸福の科学でも、高額献金をした信者など山ほどいる。そして、その後にだまされたと被害を訴える人も必ず一定数、存在するものなのだ。 反日教義を掲げて日本から金をむしりとっているから解散させろ、というが、日本で荒稼ぎしている韓流タレントでも、日本人も愛用するサムスンなど韓国メーカーの人々も、韓国にいる時は、同胞たちの前で当たり前のように「岸田を呼んで戦争責任を取らせろ」くらいのことは言うだろう。特に韓鶴子氏くらいの世代の韓国人ならば、あのような反日発言は「平常運転」だ。 教団をかばっているわけではなく、他の新興宗教や韓国人にも確認される現象を、さもこの世で旧統一教会だけしかやっていない異常のことのように語っていることに違和感を覚えるし、それを指摘してはいけないというムードが、不気味だと言っているのだ。 宗教法人としていろいろな問題があることは間違いない。ただ、その問題と、「つぶせ」「死ね」とか誹謗中傷することや、国家権力によって強制的に解散をさせることは、まったく別の話だと言いたいのだ。そのあたりは、弁護士の橋下徹氏の7月14日のツイートが端的に説明しているので、引用させていただく。 <民法上の使用者責任だけではなかなか解散できないというのが文化庁のこれまでの解釈。僕はそれに賛成。この程度で団体が解散させられるなら電通もADKも不祥事を起こした会社は皆解散させられてしまう。組織中枢部の団体活動にまつわる刑法違反に匹敵する違法性が必要。その証拠がないから文化庁は苦労している>  筆者はこの「違法性」がしっかりと立証されていないにもかかわらず、「山上徹也が気の毒」という同情論や、一部のジャーナリストや弁護士の皆さんたちの主張だけで、なんとなく「違法性あり」になっている「正義の暴走」ともいうムードが薄気味悪いと思っている。 旧統一教会の関連組織である「国際勝共連合」に潜入したドキュメンタリー「反日と愛国」を制作したのもそれが理由だ。 規範意識の高い人ほど、旧統一教会が許せないだろう。メディアはこの1年、「反日カルト」だと繰り返し報じてきたので、ピュアな“正義の人”ほど、「この地球上から根絶したい」と激しい憎悪が湧き上がっていることだろう。 だが、筆者のドキュメンタリーを見ていただければわかるように、皆さんが「つぶせ」「死ね」となじっている「非国民」たちは、ごく普通の市民だ。うつろな目でブツブツ教義を唱えているような人でもなければ、日本転覆を狙う悪の組織の人でもない。悩みながら信仰を続けている普通の新興宗教の信者なのだ。 そのような人々を糾弾して、教団を解体して強制的に信仰をやめさせても、新たな「対立と分断」を生むだけだ。むしろ、山上徹也のように「暴力で世界を変えられる」という愚かな勘違いした人を量産していくことにしかならない。 もし「誹謗中傷」を本気で防ぎたいのなら日本の「過剰な規範意識教育」と、それが引き起こす「正義の暴走」についてしっかりと考えるべきではないか』、「もし「誹謗中傷」を本気で防ぎたいのなら日本の「過剰な規範意識教育」と、それが引き起こす「正義の暴走」についてしっかりと考えるべきではないか」、その通りだ。

第三に、7月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「世界競争力ランキングで日本は35位と過去最低に、「凋落」に耳をふさぐ本当の深刻さ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/326703
・『アジア太平洋地域では11位 日本より低いのは3カ国だけ  スイスのビジネススクール・国際経営開発研究所(IMD)が、世界64カ国を対象にした2023年の「世界競争力ランキング」を6月20日、発表した。日本は、総合指標で昨年より一つ順位を下げ、過去最低の世界第35位になった。 とりわけアジア太平洋地域での日本の競争力の凋落ぶりは驚くばかりだ。ここでの日本の順位は、14カ国・地域中で第11位だ。アジア太平洋地域で日本より下位は、インド、フィリピン、モンゴルだけだ。 ところが、このニュースはあまり話題になっていない。日本の地位がこのように低いことは、もうニュースバリューがなくなってしまったのだろうか? もちろん、これは日本人にとって愉快なニュースではない。知らないで済ませればそうしたいと考える日本人も少なくないかもしれない。しかし、だからと言って、このニュースに耳を塞いではならない。 1990年代の中頃までは世界でトップを争っていた日本が、なぜここまで凋落したのか。それには明確な理由がある』、「1990年代の中頃までは世界でトップを争っていた日本が、なぜここまで凋落したのか。それには明確な理由がある」、どんな理由なのだろう。
・『マレーシアやタイなども日本より競争力は上位  アジア太平洋地域での第1位は、シンガポール(世界第4位)だ。続いて第2位が台湾(世界第6位)、第3位が香港(世界第7位)だ。そして中国は第5位(世界第21位)、韓国は第7位(世界第28位)だ。 日本より上位には、これらのほかに、マレーシア、タイ、インドネシアなどの諸国がある。日本より下位にあるのはインドなど3カ国だけだ。 1989年の第1回目のランキングでは日本は世界第1位だった。その後、低下はしたものの96年までは5位以内を保っていた。しかしそれ以降、順位を下げ、2023年は過去最低の順位となったのだ』、「日本より上位には、これらのほかに、マレーシア、タイ、インドネシアなどの諸国がある。日本より下位にあるのはインドなど3カ国だけだ」、酷い凋落ぶりだ。
・『目立つ「政府の効率性」と「ビジネスの効率性」の低さ  このランキングは、以上で見た総合指標以外に、次の四つの指標で評価が行われている。 「経済状況」(国内経済、雇用動向、物価などのマクロ経済評価)では、日本は世界第26位だ(前年は第20位)。 「政府の効率性」(政府の政策が競争力に寄与している度合い)は、2010年以降、第40位前後で低迷しているが、今年は第42位にまで下がった(同第39位)。 「インフラ」(基礎的、技術的、科学的、人的資源が企業ニーズを満たしている度合い)では、第23位(同第22位)だった。 「ビジネスの効率性」は、昨年の第51位から第47位に上がったが、低い順位であることに変わりはない。 このように、「政府の政策が適切でないためにビジネスの効率性が低下する。その結果、全体としての競争力が低下する」という状況に、日本が落ち込んでしまっていることが分かる』、「「政府の政策が適切でないためにビジネスの効率性が低下する。その結果、全体としての競争力が低下する」という状況に、日本が落ち込んでしまっていることが分かる」、「政府」の責任は重大だ。
・『マイナ問題や防衛費・少子化財源 政府の能力低下浮き彫りに  政府の政策が適切でなく、政府が非効率的であることはさまざまな面について指摘される。ここ数カ月のマイナンバーカードを巡る政府の迷走ぶりを見ていると、いまの日本政府は基本的なことが実行できないことがよく分かる。 今後、マイナ保険証に関してさらに大きな混乱が発しないかと懸念される。 デジタル化が経済の効率化のために必要なことは明らかだ。しかし、それを実現するための基本的な制度を日本政府は整備することができないのだ。 マイナ保険証のような技術的問題だけでなく、政治的な政策判断の問題もある。少子化対策のように効果が疑わしい政策に多額の資金を投入しようとしている。しかも、そのための財源措置を行なっていない。防衛費も増額はするが、安定した財源の手当てがされていない。 日本政府は迷走しているとしか言いようがない。 そして、このような無責任な政府に対して野党が有効なチェック機能を果たしていない。日本の野党勢力は2010年頃に政権を取って政権担当能力がないことを露呈してしまった。その後は批判勢力としてさえも機能していない。民主主義国家で、野党がこれだけ弱いのは世界でも珍しい状況ではないだろうか?』、「デジタル化・・・を実現するための基本的な制度を日本政府は整備することができないのだ。 マイナ保険証のような技術的問題だけでなく、政治的な政策判断の問題もある。少子化対策のように効果が疑わしい政策に多額の資金を投入しようとしている。しかも、そのための財源措置を行なっていない。防衛費も増額はするが、安定した財源の手当てがされていない。 日本政府は迷走しているとしか言いようがない。 そして、このような無責任な政府に対して野党が有効なチェック機能を果たしていない」、「日本政府は迷走」、「野党が有効なチェック機能を果たしていない」、その通りだ。
・『高齢化は続く、諦めてはいけない IT化でアイルランドは世界2位に  われわれの世代は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界から賞賛された時代を経験した。だから、日本がインドネシアやマレーシアに抜かれてしまったと聞けば、異常事態だと捉える。そして早急に対処が必要だと考える。 しかし、いまの日本では諦めムードが一般化してしまったようだ。「世界競争力ランキング 2023」のニュースは日本ではほとんど話題にならなかった。しかし、実はこれこそが最も危険なことだ。 なぜなら日本経済の今後を考えると、少子化対策を行なっても、そしてそれが仮に効果を発揮して出生率が上昇したとしても、日本の人口高齢化は間違いなく進行するからだ。 それによって経済の効率性は低下せざるをない。その厳しい条件下で人々の雇用と生活を支え、社会保障制度を維持していくためには、生産性を引き上げて日本の競争力を増強することがどうしても必要だ。だから決して諦めてはならない。いまの状況は当たり前のことではなく、何とかして克服しなければならないのだ。 実際、一度は衰退したにもかかわらず、復活した国は、現代世界にも幾らもある。その典型がアイルランドだ。アイルランドは製造業への転換に立ち遅れ、1970年代頃までヨーロッパで最も貧しい国の一つだった。 しかし、IT化に成功して90年代以降、奇跡的な経済成長を実現した。2023年の世界競争ランキングで同国は世界第2位だ』、「アイルランド」は「IT化に成功して90年代以降、奇跡的な経済成長を実現した。2023年の世界競争ランキングで同国は世界第2位だ」、ただ、日本経済ははるかに規模が大きいのが難しいところだ。
・『日本人の基礎学力は世界のトップクラス  競争力ランキングが落ちたとはいえ、日本人の基本的な能力がわずか30年間でこれほど急激に落ちてしまったはずはない。OECDが行なっているPISAという小中学生を対象にした学力テストの結果を見ると、これが分かる。  2018年調査(現時点で結果が公表されている最新の調査)では、数学的リテラシーは世界第6位、科学的リテラシーは第5位だった。読解力が前回から下がったものの、OECD平均得点を大きく上回っている。 このように、日本人の基礎的な能力は依然として世界トップクラスなのである。日本人は、このように高い潜在的能力を持ちながら、それを発揮できない経済・社会環境に置かれてしまっているのだ』、「日本人は、このように高い潜在的能力を持ちながら、それを発揮できない経済・社会環境に置かれてしまっているのだ」、困ったことだ。
・『責任は誤った「円安政策」に 政策如何で状況変えられる  言い換えれば、日本が凋落した原因は1990年代の中頃以降に取られた政策の誤りにある。90年代の中頃以降、政策面で何が起こったかは明らかだ。「円安政策」を進めたのだ。 これによって企業のイノベーション意欲が減退した。企業がイノベーションの努力を怠ったために、日本人が能力を発揮する機会を失ってしまった。これこそが日本経済衰退の基本的なメカニズムだ。 この意味で、いまの日本経済の状態は異常なのだ。そしてこの状況は政策のいかんによって変えられるものだ』、日銀は昨日、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を柔軟化した。これにより「円安」には歯止めがかかる可能性もある。しばらく、今後の展開には注目したい。
タグ:日本の構造問題 (その29)(「このままだと日本経済は沈没するぞ」 海外投資家が三菱UFJのCFOに放った厳しすぎる本音、「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由、世界競争力ランキングで日本は35位と過去最低に 「凋落」に耳をふさぐ本当の深刻さ) ダイヤモンド・オンライン 徳成旨亮氏による「「このままだと日本経済は沈没するぞ」 海外投資家が三菱UFJのCFOに放った厳しすぎる本音」 「日経平均は1989年の最高値を未だ更新できておらず」とあるが、6月13日にバブル後最高値を更新した。 「日本の将来を憂えて、安易に平等主義やきれいごとに流れるのではなく、有為な人材には最高の職場環境を用意し、必要な教育・研修の機会を与え、同時にとことん負荷をかけて高い成果やアウトプットを求め、アニマルスピリッツを刺激する処遇制度を用意し、企業価値を高めることが企業経営者の責務ではないか?」との「ファンドマネージャー」の指摘は的確だ。 「人間性の特質にもとづく不安定性……(中略)……おのずと湧きあがる楽観に左右されるという事実に起因する不安定がある。……(中略)……その決意のおそらく大部分は、ひとえに血気(アニマルスピリッツ)と呼ばれる、不活動よりは活動に駆り立てる人間本来の衝動の結果として行われるのであって、数量化された利得に数量化された確率を掛けた加重平均の結果として行われるものではない」、 「社会も企業も個人もリスク回避的になり、安全運転を重視して、成長戦略よりもコスト削減を優先してきた結果、今日の低成長と国際的な地位低下を招いたと考えられます。 また、こうした思考方法が数十年の長きにわたり続いたことから、世代を超えて、日本人および社会全体から「アニマルスピリッツ」が失われていったのだと考えることができます。 特に、本来楽観的思考やチャレンジ意欲をより持っているはずの若者世代が、人口減少や高齢化に伴う将来の生活不安、特に年金制度への不信から保守的になり、リスク回避的な行動を取るようになっていったことは、日本社会の活力をさらに失わせています」、なるほど。 「従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一義にすべきだ」という考え方を「金庫番思考」、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」と呼びます」、 「CFOは、投資家をはじめとする社外の多くのステークホルダー(利害関係者)に対しては、会社を代表してエンゲージメント・・・を行い、社内に対しては、ROE(自己資本利益率)に代表される投資家の期待・資本の論理や、ESG投資家や地域社会など、異なるステークホルダーの要望を社員にもわかるように翻訳して伝え、その期待を踏まえた経営戦略を立て、それを実践するよう組織に影響を与え行動を促す、という役割を担っています。 そして、「アニマルスピリッツ」をCEOなどほかの経営陣と共有し、「数値をベースにした冷静な判断力」を持って考え、企業としての夢の実現に向け行動する、いわば企業成長のエンジンの役割を果たしています」、こうした真のCFOがもっと増えてほしいものだ。 窪田順生氏による「「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由」 「なぜこういう「ゆがんだ正義心」が生まれるのか。いろいろな意見があるだろうが、筆者は日本人が100年以上受けてきた「教育」の弊害だと考えている。 我々は物心ついた時から「ルールやマナーを守れ」「みんなに迷惑をかけるな」ということを骨の髄まで叩き込まれる。教育基本法や学校教育法の中に「規範意識の育成」ということが掲げられているからだ。もちろん、この方針自体は悪くない。 問題は「規範意識」に熱が入りすぎて「過剰」になってしまっていることだ。 ご存じの方も多いだろうが、日本の学校教育は世界的に見るとかなり特殊だ。異常に厳しいブラック校則、同じ制服、同じカバンの強制、軍隊的な部活動、そしてクラス内での「班」行動などなど、他国の子どもと比べて「規範意識の育成」を徹底的に叩き込まれる機会が多い。この「規範意識=絶対正義」という極端な教育方針を改めない限り、「誹謗中傷」は絶対になくならない」、なるほど。 「「量」に関しては、日本人はTwitterが世界一好きということが大きい。 22年1月の国別ユーザー数では、首位アメリカ(7690万人)に次いで日本は5895万人で世界第2位なのだが、ヘビーユーザーが圧倒的に多い。イーロン・マスク氏が先日、日本のユーザーの利用時間が世界一だとして「1人当たりの使用量だと米国の約3倍です」と述べたように、朝から晩までTwitterに何かを発信している人が世界一多いのだ。 「量」が世界一ならば当然、誹謗中傷も世界一多くなるだろう」、「「匿名文化」が誹謗中傷の「陰湿さ」に拍車をかけているのは、もはや説明の必要がないだろう。「死ね」「消えろ」「顔を見るのも不快」「気持ち悪い」などという心ない言葉を家族や隣近所、会社の同僚や上司の前で平気で言える人は少ない。しかし、自分の名前も素性も知らない人たちの前で、しかも見ず知らずの他人に対してならば、いくらでも罵詈雑言が吐けるという人はいる。 社会的地位も脅かされない、人間関係も崩れもないという「安全地帯」にいるからこそ、心ゆくまで陰湿な誹謗中傷ができて、相手を自殺に追い込むほどの粘着さも発揮してしまう、という部分は確かに存在しているのだ。 その醜悪な現実がうかがえるのが、「世界一の削除要求・開示請求」だ」、なるほど。 「「規範意識の育成」をやりすぎってしまった「副作用」だと筆者は考えている。 繰り返しになるが、この教育方針自体は素晴らしい。社会で生きていくうえでルールやマナーを守るのは当然だ。しかし、日本のようにこの教育があまりに過剰になって、国民の規範意識が高くなりすぎると、社会に「対立と分断」を招いてしまう。 「ルールやマナーを守らない人」「みんなに迷惑をかける人」への激しい怒りや憎悪が芽生えてしまうのだ。わかりやすいケースが戦時中の「非国民」へのすさまじい誹謗中傷とリンチだ」、「なぜこんなに当時の日本人は戦争に協力的だったのかというと、軍にマインドコントロールをされていたから…なんて大層な話ではなく、ごくシンプルに「教育」の成果だ」、なるほど。 「「教育勅語」でも、実は「規範意識の育成」は大きな柱となっている。と言っても、時代背景が違うので当時はこれを「遵法」と呼んだ。「法律や規則を守り社会の秩序に従おう」という意味だ。 戦前・戦中の子どもは「教育勅語」を暗唱させられて、この「遵法」を骨の髄まで叩き込まれた。すると、どういう大人に成長するのかというと、国が定めた法律やルールを守ることが「正義」であり、それができない者は「非国民」として怒りや憎悪を抱く人になってしまう。 「規範意識」が膨張して、「社会秩序を乱す悪」を制裁するための誹謗中傷や暴力は許される、という感じで、「正義の暴走」が始まるのだ」、「見た目は“化粧”されているが、本質的なところでは同じ教育が続いているので当然、「非国民へのリンチ」も健在だ。しかし、さすがに今はこん棒で殴り殺すというわけにはいかない。そこで「武器」をSNSに変えて、「死ね」「消えろ」というナイフのように鋭い言葉で相手の「心」をメッタ刺しするようになった、というのが筆者の考えだ」、なるほど。 「もし「誹謗中傷」を本気で防ぎたいのなら日本の「過剰な規範意識教育」と、それが引き起こす「正義の暴走」についてしっかりと考えるべきではないか」、その通りだ。 野口悠紀雄氏による「世界競争力ランキングで日本は35位と過去最低に、「凋落」に耳をふさぐ本当の深刻さ」 2023年の「世界競争力ランキング」 「1990年代の中頃までは世界でトップを争っていた日本が、なぜここまで凋落したのか。それには明確な理由がある」、どんな理由なのだろう。 「日本より上位には、これらのほかに、マレーシア、タイ、インドネシアなどの諸国がある。日本より下位にあるのはインドなど3カ国だけだ」、酷い凋落ぶりだ。 「「政府の政策が適切でないためにビジネスの効率性が低下する。その結果、全体としての競争力が低下する」という状況に、日本が落ち込んでしまっていることが分かる」、「政府」の責任は重大だ。 「デジタル化・・・を実現するための基本的な制度を日本政府は整備することができないのだ。 マイナ保険証のような技術的問題だけでなく、政治的な政策判断の問題もある。少子化対策のように効果が疑わしい政策に多額の資金を投入しようとしている。しかも、そのための財源措置を行なっていない。防衛費も増額はするが、安定した財源の手当てがされていない。 日本政府は迷走しているとしか言いようがない。 そして、このような無責任な政府に対して野党が有効なチェック機能を果たしていない」、「日本政府は迷走」、「野党が有効なチェック機能を果たしていない」、その通りだ。 「アイルランド」は「IT化に成功して90年代以降、奇跡的な経済成長を実現した。2023年の世界競争ランキングで同国は世界第2位だ」、ただ、日本経済ははるかに規模が大きいのが難しいところだ。 「日本人は、このように高い潜在的能力を持ちながら、それを発揮できない経済・社会環境に置かれてしまっているのだ」、困ったことだ。 日銀は昨日、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を柔軟化した。これにより「円安」には歯止めがかかる可能性もある。しばらく、今後の展開には注目したい。
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インバウンド動向(その14)(観光競争力で初首位も、海外客再開に欠ける視点 忌避に偏見、受け入れ再開に反対の声が充満、成田空港が大混雑…訪日外国人から河野大臣のツイッターにクレーム殺到、「密漁」ツアーに勤しむ中国人観光客たち。トランクいっぱいに海産物を持ち去り…、「訪日客を受け入れできない」地方空港を襲う危機 「やりがい搾取」で空港スタッフ不足の超深刻) [経済政策]

インバウンド動向については、2020年10月17日に取上げた。これまでは「戦略」としたが、今回からは「動向」に変更した。今日は(その14)(観光競争力で初首位も、海外客再開に欠ける視点 忌避に偏見、受け入れ再開に反対の声が充満、成田空港が大混雑…訪日外国人から河野大臣のツイッターにクレーム殺到、「密漁」ツアーに勤しむ中国人観光客たち。トランクいっぱいに海産物を持ち去り…、「訪日客を受け入れできない」地方空港を襲う危機 「やりがい搾取」で空港スタッフ不足の超深刻)である。

先ずは、昨年6月3日付け東洋経済オンラインが掲載した経営コンサルタントの日沖 健氏による「観光競争力で初首位も、海外客再開に欠ける視点 忌避に偏見、受け入れ再開に反対の声が充満」を紹介しよう。1年前のやや古い記事である。
https://toyokeizai.net/articles/-/592965
・『岸田首相は先週、新型コロナウイルスの水際対策について、6月1日から1日あたりの入国者総数の上限を2万人に引き上げるとともに、10日から訪日外国人観光客の受け入れを再開すると表明しました。外国人観光客の受け入れは、約2年2カ月ぶりになります。 全国の観光地・観光関連業者は、この2年間コロナ禍で壊滅的な打撃を受けました。そこにようやく復活の光が差してきたわけです。しかし、コロナ対策の観点から慎重な対応を求める声もあり、この政策転換を歓迎する意見ばかりではないようです。 今回は、訪日外国人観光客の受け入れ再開に関する意見を確認したうえで、今後考えたい2つの視点を紹介しましょう』、興味深そうだ。
・『外国人観光客がいなくなって「コロナ様様」  岸田首相が訪日外国人観光客の受け入れ再開をしたところ、各方面から色々な意見が上がりました。観光客の回復を期待する観光関連業者は今回の政策転換を歓迎する一方、SNSやネット掲示板では慎重な意見や反対意見が多く見受けられました(Yahoo!ニュースのアンケートでは、70%以上が水際対策の緩和に「反対」)。 筆者がまず一般市民に取材したところ耳にしたのが、コロナ対策の観点から慎重な対応を求める意見でした。 「まだ毎日2万~3万人の新規感染者が出ており、コロナが完全には終息していません。時期尚早だと思います」(50代男性・会社員) 「ここまで日本でコロナの被害が小さかったのは、水際対策がうまく行ったからでしょう。それを一気に緩めると、欧米のような感染爆発が起こるのではないかと心配です」(30代女性・会社員) 「感染症法上の分類を2類から5類にするなど、国内の対策が先。いずれ訪日外国人観光客を受け入れることには反対しませんが、国内の対策を完了した後じっくり時間を掛けて進めることでよいのでは」(40代男性・自営) そして、コロナとは関係なく、そもそも訪日外国人観光客それ自体を歓迎しないという意見がたくさん聞かれました。) 「コロナ前はどこの観光地も外国人観光客でごった返して、ゆっくりできませんでした。私は旅行が好きなので、今回の受け入れ再開でまた旅行を楽しめなくなるのは残念です」(60代女性・主婦) 「外国人観光客はうるさいし、マナーが悪い。とくにお隣りの2カ国は最悪。治安だって確実に悪くなりますよね。この2年間、外国人観光客がいなくて、実に快適でした。大きな声では言えませんが、この点に関してはコロナ様様です」(40代男性・団体職員)』、こういう反「外国人観光客」の声はいつもあるようだ。
・『再び奈落の底に突き落とす?  さて、ここからは、今回あまり議論されていない2つの視点を紹介しましょう。 1つ目は、観光関連業者の怒りです。観光関連業者に取材したところ、今回の受け入れ再開に反対する声は皆無で、国内で反対意見が出ていることに憤っていました。 「この2年間、外国人観光客がいなくなって、われわれは壊滅的な打撃を受けました。私の周りでも耐えきれなくなって廃業した同業者がわんさかいます。借金が残って廃業できず、夜逃げしたという同業者もいます。こういった実情を少しでも知ったら、外国人観光客の受け入れ再開に軽々しく反対できないのではないでしょうか」(北陸の旅館経営者) 「今回の受け入れ再開で、ようやくトンネルの出口が見えてきました。再開に反対する人は、地獄から這い上がろうとしているわれわれに手を差し伸べるどころか、再び奈落の底に突き落とそうとしているわけです。よく『コロナは生命の問題だ』と言われますが、外国人観光客の受け入れもわれわれにとって死ぬか生きるかの問題なのです」(関東の旅行代理店経営者) コロナに関する議論では、よく「生命と経済を同列で比較するな」「経済よりもまず生命を優先せよ」と言われます。しかし、こと観光関連業者にとっては、コロナとその対策は生命と経済が渾然一体となった複雑な問題のようです。) また、「訪日外国人観光客に対し、日本人はかなり偏ったイメージを持っている」という指摘もありました。 「コロナ前に日本人のお客様から『外国人観光客が多くて接客とか大変でしょ?』とよく言われましたが、そんなことはありません。中国からの団体客のマナーはかなり改善していて、日本人と同じくらい。日本人と違ってちゃんとたくさん買ってくれるので、われわれにとってありがたい存在です。大切な外国人観光客を、偏ったイメージで排除しないで欲しいものです」(九州の土産物店経営者)』、「観光関連業者」はようやく待ちに待った「受け入れ再開」といったところのようだ。
・『観光立国は実現するのか  もう1つ決定的に欠落しているのが、観光立国という視点です。今回、受け入れ再開をどのように進めていくのか、詳細は未定です。ただ、5月27日の衆議院予算委員会で「訪日外国人観光客に誰がマスクを配るのか?」が論戦になったように、コロナ対策という視点が中心で、日本を観光立国にしようという長期的な視点はありません。 観光庁の和田浩一長官は3月18日、1年間の空白期間が生じている観光立国推進基本計画について、インバウンドの動向を見通すのが難しいことを理由に「もう少し感染状況が落ち着き、議論できるような状況の下で具体的な検討を進めていきたい」と述べました。その後も政府から観光立国に関する目立った発信はなく、お手上げ状態が続いています。 2006年に観光立国推進基本法が成立し、政府は観光立国推進基本計画に沿って施策を展開してきました。円安・近隣諸国の所得上昇といった追い風もあって、日本の旅行市場の市場規模は、コロナ前の2019年に27.9兆円に達しました。 ただ、観光産業が十分に成長し、「日本は観光立国だ」と胸を張れる状態になっているかというと、2019年の段階でも「まったく物足りない」というのが、率直な評価になるのではないでしょうか。 2019年の訪日外国人旅行者数は、過去最高となる3188万人でした。東日本大震災があった2011年を底に着実に増えてきましたが、世界最多のフランス8932万人はもちろん、アジアでも中国6573万人やタイ3992万人の後塵を拝しています。また、旅行市場に占めるインバウンド需要の割合は2割弱に過ぎません(2019年時点)。 先週5月24日、ダボス会議で有名な「世界経済フォーラム」が、観光地としてどれだけ魅力的か、世界各国の競争力を比較した調査結果を発表しました。日本は交通インフラの利便性や自然や文化の豊かさなどが評価され、総合順位で調査の開始以来、初めて世界1位になりました。日本は世界一の旅行市場になる潜在力がありながら、生かせていないのです』、「日本の旅行市場の市場規模は、コロナ前の2019年に27.9兆円に達しました。 ただ、観光産業が十分に成長し、「日本は観光立国だ」と胸を張れる状態になっているかというと、2019年の段階でも「まったく物足りない」というのが、率直な評価に」、「世界経済フォーラム」の「総合順位で調査の開始以来、初めて世界1位に」、「潜在力がありながら、生かせていないのです」、なるほど。
・『地方経済は観光産業が頼みの側面も  もちろん、オーバーツーリズムの問題やSDGsの要請などがあり、単純に訪日外国人観光客を増やせばよいというわけではありません。観光産業や地域の持続性を確保しつつ、いかに観光を中心にした国づくりをしていくかが問われています。 著名な未来学者ジョン・ネイスビッツは、『Global Paradox』(1994、佐和隆光訳『大逆転潮流』)で、「21世紀に観光が最大の産業になる」と予測しました。 とりわけ日本では、戦後の経済成長を支えた基幹産業がすっかり衰退し、観光産業に対する期待が高まっています。金融産業のある東京と自動車産業のある愛知・静岡・埼玉などを除く多くの地域では、雇用吸収力の大きい観光産業に地域の命運がかかっていると言って過言ではありません。 政府も観光関連業者も、そしてわれわれ国民も、コロナ対策にとどまらず、国家百年の計で観光について考え、訪日外国人観光客の受け入れ再開に臨みたいものです』、「コロナ対策にとどまらず、国家百年の計で観光について考え、訪日外国人観光客の受け入れ再開に臨みたいものです」、同感である。

次に、本年4月15日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「成田空港が大混雑…訪日外国人から河野大臣のツイッターにクレーム殺到」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/321556
・『コロナの水際緩和で外国人観光客が大挙して訪日しているが、彼らを出迎えるのはストレスフルな“おもてなし”だ。 3月末に訪日した筆者の友人、バングラデシュ人のハミド氏(65)は、インド経由で午後4時ごろに成田空港に到着した。ところが空港での検疫や入国審査で待たされて、六本木のホテルに到着したころにはとっくに午後9時を過ぎていた。続いて翌日も、同じようなことが起こった。 ハミド氏は自国の旅行代理店で購入した新幹線のクーポンをチケットに交換するため新宿駅を訪れたが、JRの「トラベルサービスセンター」ではまたも外国人専用の長蛇の列に並ばせられた。 高齢者にとって立ちっぱなしはつらいが、周囲には椅子もない。ハミド氏はさすがに「これだけ人が並んでいるのに、4つあるカウンターはなぜ2つしか開いていないの?」と声を上げた。同センターの奥にはカウンターに立たない職員たちが複数いたが、ハミド氏の目には「自分の仕事と関係なければ『見て見ぬふり』なのか」と映った。 通訳の知人も、成田空港の大混雑について「これでは日本のイメージが悪くなる」と心配するひとりだ。) 「成田空港は外国人の入国審査に4~5時間もかかっていました。ものすごい人数がいるのに、稼働している窓口は全部ではないのです」』、「成田空港は外国人の入国審査に4~5時間もかかっていました」、いくらなんでも時間がかかり過ぎだ。
・『「ファストトラックは何の意味もない」  3月6日、河野太郎デジタル大臣が<日本の空港での入国手続きの感想を聞かせて>と英語でツイートしたところ、外国人利用者からのありとあらゆる不満が殺到した。「3月5日の成田空港には500人程度が集まっていたが、入国カウンターは半分しか開いていなかった。時間のロスだし、ストレスがたまる」と、前述の知人のコメントを裏付ける発言もあった。 「スタッフの態度が無礼」「海外から来た人をバイ菌扱いするな」といった意見以外にも「私の旅で成田空港は最悪の部分だ」とするクレームもあった。 空港検疫はあらかじめアプリで検疫手続きの一部を済ませ、スムーズな入国を促す「ファストトラック」が導入されているが、4月4日に河野大臣に宛てられたのは「3時間以上も待たせるファストトラックは何の意味もない」との厳しい意見だった。 成田空港の審査管理部門に問い合わせると、「コロナ期間中は2カ所ある入国審査場の1つを閉じていたが、4月6日以降、人が多くなる午後の時間帯に2つ開けるようにした」とのこと。「観光立国とは名ばかり」の汚名返上となればいいが』、「3時間以上も待たせるファストトラックは何の意味もない」、その通りだ。「観光立国」らしくなるのはいつのことなのだろう。

第三に、7月20日付け日刊SPA!「「密漁」ツアーに勤しむ中国人観光客たち。トランクいっぱいに海産物を持ち去り…」を紹介しよう。
https://nikkan-spa.jp/1923960
・『日本政府観光局によると‘23年5月の訪日外客数は189万8900人と’19年比68.5%の回復を見せた。そんななか、早くも観光客の迷惑行為が全国で報告されている』、「観光客の迷惑行為が全国で報告」、こまったことだ。
・『観光バスで現れ、トランクいっぱいに海産物を持ち去る  漁業権が設定されている区域で“密漁”を行う中国人観光客が増えているという。6月中旬にも、沖縄でヤドカリ682匹を捕獲した観光客の逮捕が報じられた。取材班が訪れた千葉県の某海浜公園の近隣住民は話す。 「5月に潮干狩りの有料期間が終わってから一気に中国人が増えました。この時期になると毎年、観光バスが何台も来てたくさん降りてくるんです。牡蠣やホンビノス貝をバケツや網にいっぱい入れて持ち帰る姿をよく見ます。公園内のトイレでは潮干狩りで着ていた服を脱ぎ捨てる人も多く、清掃の人も困っているようです。あと、海産物をトランクに入れて公共バスで帰る人も多く、バスが水浸しになったり床に砂がばらまかれて大変だそうです」』、「5月に潮干狩りの有料期間が終わってから一気に中国人が増えました。この時期になると毎年、観光バスが何台も来てたくさん降りてくるんです」、「観光バスが何台も」これは明らかに行き過ぎだ。
・『「日本人も獲ってるし、問題ない」  小紅書では日本での「潮干狩りツアー」を募集する個人業者が 記者は観光客とみられる潮干狩り中の中国人を直撃。すると…… 「日本に住む友達に誘われて来た。1時間くらいでバケツ3杯分の牡蠣が採れた。ここは小紅書(中国のSNS)でも良く紹介されていて、今の時期は無料で入場出来るからとても人気。牡蠣が採れるポイントも紹介されているので、初めて来ても大量に採れるよ。あなたも欲しかったら分けてあげる。獲っちゃいけないもの? わからない。日本人も自由に採ってるし、問題ない」 中国のSNSを見ると、日本に住む個人ガイドが同海浜公園での潮干狩りツアーを開催し、参加者を募っていた。また、牡蠣が多く採れる「牡蠣島」と呼ばれるスポットにも多くの中国人の姿が。浅瀬には殻が散乱している箇所もあり危険に感じた。 公園を管轄する自治体に問い合わせたところ、やはり牡蠣島での採捕は禁止されていた。担当者は次のように話す。 「監視カメラや警察の見回りなどを行なっているが、基本的には来場者の善意に委ねておりなかなか厳しい」 自治体も有効な手がなく、頭を悩ませているようだ』、「採捕は禁止されて」いる「牡蠣島」は時々、取り締まりをするべきだろう。

第四に、7月28日付け東洋経済オンライン「訪日客を受け入れできない」地方空港を襲う危機 「やりがい搾取」で空港スタッフ不足の超深刻」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/689561
・『大分空港では大分県が仲介してJALの委託先のグラハン(注)職員を投入して韓国からの便を受け入れた。だが、鹿児島県庁の関係者は「海外エアラインの中には行政に泣きついてくるところもあるが、基本的にグラハンをどうするかは民間同士の契約の問題だ」と話す。それでも県は、グラハン業務の資格取得費用の一部を助成する制度を導入した。 南国交通では上限3000円だった資格手当を1万円に増やしたり、職員が利用できる空港リムジンバスの回数券を支給したりするなど、待遇改善に邁進している。社員寮の部屋をリニューアルし、シャワーのヘッドを高級品に取り替えるなど涙ぐましい努力も積み重ねている。 こうして2023年度は約20人の新規採用に結びついた。ただ、即戦力となる航空専門学校の卒業生はゼロ。「福岡などの専門学校で学んだ鹿児島県出身者が、鹿児島に戻ってこない」(有村部長)のだという』、処遇などに問題がありそうだ。
(注)グラハン:グランドハンドリング (Ground handling) 、航空輸送における空港地上支援業務のことをいう(Wikipedia)。
・『グラハン従業員の平均年収は326万円  国土交通省も対応に本腰を入れる。2023年2月に有識者による「持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会」を立ち上げ、グラハンの人手不足への対応を検討してきた。同検討会の資料によれば、コロナ禍の中で地上職員の離職者が相次ぎ、コロナ前に比べてグラハン作業員数は1~2割減った。航空専門学校への入学者も4割減っている。 有識者会議は6月、「現場で働く人の使命感などに甘え、『やりがい』の搾取を続けているような現状は、一刻も早く改善していかなければならない」などとする中間とりまとめを発表した。 「グラハンのコストを抑えようと、エアラインは業務を外注化し、必然的に待遇は悪くなっていった。今後も航空業界の人気から労働力の供給は見込まれるが、熟練スタッフの離職を止めるには待遇改善が必要。外国人労働者の受け入れも積極的に進めていくべきだ」 こう指摘するのは、桜美林大学の戸崎肇教授(交通政策が専門)だ。国交省の資料によれば、グラハン従業員の平均年収は326万円と、建設業の451万円と比べても見劣りがする。休憩所のトイレはいまだに和式、そもそも休憩スペースもなく、ターミナルのロビーのベンチで仮眠をとっているケースもあるという。) さらに構造的な問題もある。 グラハンの作業は、客室のドアの開け方から貨物の積み込み方に至るまで、作業手順や方法が細かく定められており、機種ごとはもちろんJAL、ANAでそれぞれのやり方がある。作業車両のボタンやレバーの位置も、それぞれの系列で異なっている。このため、前出の南国交通のグラハン職員は「JAL運送課」「ANA運送課」に分かれ、それぞれの系列の社内資格を取る必要がある。 離島路線は天候によってダイヤが乱れがちだが、時間に比較的余裕があるANA便担当者がJAL便の応援に入ることはできない。 この問題は国の有識者会議でも問題視され、「系列ごとに異なる資格者車両仕様等の見直し・業界ルールの整備(特に地方)」といった提言も検討会の中間とりまとめに盛りこまれた』、「グラハン従業員の平均年収は326万円と、建設業の451万円と比べても見劣りがする。休憩所のトイレはいまだに和式、そもそも休憩スペースもなく、ターミナルのロビーのベンチで仮眠をとっているケースもあるという」、こんな低賃金・酷い就業環境では、話にならない。しかも「グラハンの作業は、客室のドアの開け方から貨物の積み込み方に至るまで、作業手順や方法が細かく定められており、機種ごとはもちろんJAL、ANAでそれぞれのやり方がある。作業車両のボタンやレバーの位置も、それぞれの系列で異なっている。このため、前出の南国交通のグラハン職員は「JAL運送課」「ANA運送課」に分かれ、それぞれの系列の社内資格を取る必要がある」、不必要なほど分断されて、非効率な制度であるようだ。
・『待遇改善に国が責任を持つべき  福岡空港では同じスポット(駐機場)でJAL機とANA機が到着するたびに、それぞれの系列の作業車が遠く離れた駐車場からやってきていた。2021年7月からJAL・ANAで車両を共有化して、スポット周辺で待機する実験を行ったところ、国内線で最大18%、国際線で70%の走行距離を削減できたという。 「JALとANAはライバルとしてサービス水準や安全性向上を競ってきたが、福岡空港で共用化をやってみたら効果も出た。資格の統一や車両の共用化は積極的に進めてほしい」と国交省の担当者は話す。 航空業界はグラハンに特化した業界団体を今年8月に立ち上げて、資格や車両の共通化を含め議論を深めていく方針だ。 さらに、前出の戸崎教授は「日本が観光立国をうたい続けるのであれば、委託料の流れを透明化したうえで、グラハンスタッフの待遇改善などに国が責任を持つべきだ」とも指摘する。) 6月に政府がまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2023」、いわゆる「骨太の方針」には、訪日外国人拡大に向けた航空需要回復の推進とともに、「空港におけるグランドハンドリング・保安検査体制の強化等を含めた航空・空港関連企業の経営基盤強化」が盛りこまれた。 グラハンスタッフの待遇改善は、もはや国策になっている。グラハン事業は羽田でも6割、地方空港ではすべてをエアライン系以外の地元企業が請け負っているケースが多い。グラハンを含む空港関連企業の強化は、直接地元企業にメリットがあるだけでなく、地方のインバウンド拡大の基盤にもなる。そのためには、グラハン委託料の値上げも喫緊の課題となるだろう』、「グラハンスタッフの待遇改善は、もはや国策になっている」、「グラハン委託料の値上げも喫緊の課題となるだろう」、なるほど。
・『業界、行政の意識改革が求められる  「これまで地方の首長は、海外のエアラインに頭を下げ、就航をお願いし、グラハン会社が人的にも金銭的にも無理をして受け入れてくれていた。いまの人手不足はそれに目をつぶってきた結果だ。委託料を引き上げることで、職員の給料も上げて、設備投資もできるようになる。外航の就航には費用もかかるが、毅然とやっていくべきだ」(国交省関係者) 「2030年訪日外国人客6000万人」を目標に掲げるなど、「数」を求めてきたのは国自身にほかならない。真の観光立国に向け、航空業界、行政を含めたすべての関係者の意識改革が求められる』、「真の観光立国に向け、航空業界、行政を含めたすべての関係者の意識改革が求められる」、「グラハン会社が人的にも金銭的にも無理をして受け入れてくれていた。いまの人手不足はそれに目をつぶってきた結果だ。委託料を引き上げることで、職員の給料も上げて、設備投資もできるようになる。外航の就航には費用もかかるが、毅然とやっていくべきだ」、同感である。
タグ:インバウンド動向 (その14)(観光競争力で初首位も、海外客再開に欠ける視点 忌避に偏見、受け入れ再開に反対の声が充満、成田空港が大混雑…訪日外国人から河野大臣のツイッターにクレーム殺到、「密漁」ツアーに勤しむ中国人観光客たち。トランクいっぱいに海産物を持ち去り…、「訪日客を受け入れできない」地方空港を襲う危機 「やりがい搾取」で空港スタッフ不足の超深刻) 東洋経済オンライン 日沖 健氏による「観光競争力で初首位も、海外客再開に欠ける視点 忌避に偏見、受け入れ再開に反対の声が充満」 こういう反「外国人観光客」の声はいつもあるようだ。 「観光関連業者」はようやく待ちに待った「受け入れ再開」といったところのようだ。 「日本の旅行市場の市場規模は、コロナ前の2019年に27.9兆円に達しました。 ただ、観光産業が十分に成長し、「日本は観光立国だ」と胸を張れる状態になっているかというと、2019年の段階でも「まったく物足りない」というのが、率直な評価に」、「世界経済フォーラム」の「総合順位で調査の開始以来、初めて世界1位に」、「潜在力がありながら、生かせていないのです」、なるほど。 「コロナ対策にとどまらず、国家百年の計で観光について考え、訪日外国人観光客の受け入れ再開に臨みたいものです」、同感である。 日刊ゲンダイ 姫田小夏氏による「成田空港が大混雑…訪日外国人から河野大臣のツイッターにクレーム殺到」 「成田空港は外国人の入国審査に4~5時間もかかっていました」、いくらなんでも時間がかかり過ぎだ。 「3時間以上も待たせるファストトラックは何の意味もない」、その通りだ。「観光立国」らしくなるのはいつのことなのだろう。 日刊SPA!「「密漁」ツアーに勤しむ中国人観光客たち。トランクいっぱいに海産物を持ち去り…」 「観光客の迷惑行為が全国で報告」、こまったことだ。 「5月に潮干狩りの有料期間が終わってから一気に中国人が増えました。この時期になると毎年、観光バスが何台も来てたくさん降りてくるんです」、「観光バスが何台も」これは明らかに行き過ぎだ。 「採捕は禁止されて」いる「牡蠣島」は時々、取り締まりをするべきだろう。 東洋経済オンライン「訪日客を受け入れできない」地方空港を襲う危機 「やりがい搾取」で空港スタッフ不足の超深刻」 処遇などに問題がありそうだ。 (注)グラハン:グランドハンドリング (Ground handling) 、航空輸送における空港地上支援業務のことをいう(Wikipedia)。 「グラハン従業員の平均年収は326万円と、建設業の451万円と比べても見劣りがする。休憩所のトイレはいまだに和式、そもそも休憩スペースもなく、ターミナルのロビーのベンチで仮眠をとっているケースもあるという」、こんな低賃金・酷い就業環境では、話にならない。 しかも「グラハンの作業は、客室のドアの開け方から貨物の積み込み方に至るまで、作業手順や方法が細かく定められており、機種ごとはもちろんJAL、ANAでそれぞれのやり方がある。作業車両のボタンやレバーの位置も、それぞれの系列で異なっている。このため、前出の南国交通のグラハン職員は「JAL運送課」「ANA運送課」に分かれ、それぞれの系列の社内資格を取る必要がある」、不必要なほど分断されて、非効率な制度であるようだ。 「グラハンスタッフの待遇改善は、もはや国策になっている」、「グラハン委託料の値上げも喫緊の課題となるだろう」、なるほど。 「真の観光立国に向け、航空業界、行政を含めたすべての関係者の意識改革が求められる」、「グラハン会社が人的にも金銭的にも無理をして受け入れてくれていた。いまの人手不足はそれに目をつぶってきた結果だ。委託料を引き上げることで、職員の給料も上げて、設備投資もできるようになる。外航の就航には費用もかかるが、毅然とやっていくべきだ」、同感である。
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イノベーション(その4)(日本でイノベーションが生まれなくなった真因 新規事業の構築における「5つの罠」と処方箋、一流ビジネススクール教授陣が指南「イノベーションに挑戦する企業経営者の行動指針」とは) [イノベーション]

イノベーションについては、2019年1月31日に取上げた。久しぶりの今日は、(その4)(日本でイノベーションが生まれなくなった真因 新規事業の構築における「5つの罠」と処方箋、一流ビジネススクール教授陣が指南「イノベーションに挑戦する企業経営者の行動指針」とは)である。

先ずは、2020年5月24日付け東洋経済オンラインが掲載したマッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー の野崎 大輔氏と同社 アソシエイトパートナーの 田口 弘一郎氏による「日本でイノベーションが生まれなくなった真因 新規事業の構築における「5つの罠」と処方箋」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/346923
・『日本から生まれた新たな製品やサービスが世界を席巻する──。かつて度々耳にしたそうした輝かしい報道を聞かなくなって久しい。企業も研究機関も、そして個人も日々努力を重ねているのだが、頓挫したり空回りしたり、思ったような成果が出せないケースが多く見られる。その問題の真因はどこにあるのか。昨年、『マッキンゼー ホッケースティック戦略成長戦略の策定と実行』を監訳した野崎大輔氏と、一部翻訳を担当した田口弘一郎氏が、新規事業において日本企業が陥りがちな罠とその処方箋を解き明かす』、興味深そうだ。
・『研究開発費自体は増えている  近年、日本企業のイノベーション力が低下しているという声をよく聞くようになった。例えば中国に特許出願数や論文の被引用数で後れを取り始めたというのはその証左であろう。 リチウムイオン電池のように、革新的な技術を開発して世界を席巻するということについては強さを誇ってきた日本企業であるはずだが、今何が起きているのか。そこには、日本ならではの課題が存在しているとわれわれは考えている。 本稿では80年代からの長期にわたるデータ分析と共に、これまで数多くのクライアントをご支援してきた経験から、日本企業がイノベーションを推進するうえで陥りがちな罠と、今後必要な取り組みについて考えてみたい。 まず、日本の研究開発に対するリソースがどう推移してきたか見てみたい。 1987年から2019年までの日本企業における研究開発費売上高比率と企業研究者の人数を見ると、実は80年代後半から今に至るまで、基本的には日本企業の研究開発にかけるリソースは継続的に増加してきている。 研究開発費売上高比率では、1987年に2.8%だったものが継続的に増加し2017年では3.9%、企業における研究者も1987年に26万人だったものが2017年では50万人近くまで、年率2%程で継続的に増えてきている。 では、なぜ特許出願数などで中国に後れを取り始めているのか。単純に、中国の研究開発費や研究者の増加が日本よりも急激だからであろうか』、「なぜ特許出願数などで中国に後れを取り始めているのか」、不思議だ。
・『課題は研究者1人当たりの生産性  ここで、日本とアメリカ・中国の間で研究開発の生産性の比較を行ってみたい。あくまでも一つの指標ではあるが、研究者1人当たりの研究開発費(インプット)と、研究者1人当たりの特許出願件数(アウトプット)がどのように推移してきたか、それぞれの国で見ていく。横軸に1人当たり研究開発費(インプット)、縦軸に1人当たり特許出願件数(アウトプット)をプロットして時系列で見てみると、面白いことが見えてくる。 (出所:OECD Stat, WIPO Statistics database より筆者作成) まず、中国について。2000年代前半まで1人当たり研究開発費は10万ドル未満、特許出願件数も0.1件程度であったが、2009年に1人当たり研究開発費が15万ドルを超え、特許出願数0.2件と倍増したあたりから、毎年1人当たり研究開発費と1人当たり特許出願件数がきれいに相関を持って増加し、2017年では1人当たり研究開発費は約28万ドル、特許出願件数は0.75件程度となり、インプット・アウトプットともに日本の水準を超えている。 アメリカについては、1980年代に1人当たり研究開発費は20万ドル未満で特許出願件数も約0.1件程度であったが、その後継続的にインプットもアウトプットも増加し、2016年では1人当たり研究開発費が38万ドル程度、特許出願件数が0.4件程度と増加してきている。 つまり、アメリカでも中国同様、緩やかではあるものの、基本的にはインプットが増えればアウトプットが増える、という相関が維持されている。 一方日本はどうか。1980年代前半までは1人当たり研究開発費が10万ドル未満、1人当たり特許出願件数は0.6件程度であったが、そこから2000年代前半まで、1人当たり研究開発費が継続的に増加し17万ドル程度となり、1人当たり特許出願件数もそれに伴って0.8件程度まで増加していった。 つまり2000年代前半までは、日本もインプットを増やすほどアウトプットが増えていたのである。 ところが2000年代後半からは様子が大きく変わる。2017年までに1人当たり研究開発費は27万ドル程度まで増加したが、1人当たり特許出願件数はむしろ減少し、0.7件を下回っている。1人当たり研究開発費が10万ドル増えたにもかかわらず、特許出願件数が減っている。 つまり、インプットを増やしてもアウトプットが増えない、むしろ減ってしまうという壁に突き当たってしまっているのである。) もちろん、特許出願数はイノベーション力の1つの指標にすぎず、これはあくまでも1つの可能性にすぎないが、日本のイノベーション力の低下は、人員数や資金の問題ではなく、研究者1人当たりの生産性の低下がボトルネックになっていることが可能性として考えられる。 仮にそうであった場合、なぜこういった生産性の低下が起こってしまっているのであろうか』、「日本のイノベーション力の低下は、人員数や資金の問題ではなく、研究者1人当たりの生産性の低下がボトルネックになっていることが可能性として考えられる」、その原因は何なのだろう。
・『変わらない研究領域  こういった生産性低下の原因の1つのヒントとなるのが、日本の研究開発領域の硬直性である。日本の研究開発領域は、過去20年ほとんど変わっていない。 アメリカや中国は、過去20年間で大きく研究開発分野をシフトさせてきた。例えば特許登録件数の分野別比率(8技術分野)を見ると、アメリカは2000年から2018年の間で、特許登録件数に占める情報通信分野の割合が16%から29%へほぼ倍増し、代わりに化学や機械工学といった分野の比率が大きく下がった。 一方日本は、構成比率が最も大きく増減した分野でも、輸送機械分野の7%から10%へ移行した、約3%ポイントのみである。それ以外の分野に至っては、構成比率は3%ポイント未満しか増減していないのである。19年間という期間を考えれば、むしろ驚くべき硬直性である。また、毎年総務省が行っている科学技術研究調査という研究開発に関するサーベイの結果を見ても、少なくともここ10年間、研究者の専門分野構成はほとんど変わっていないことがわかる。 これは、ある程度成熟してしまった研究領域の中でさらに深掘りをし続けているということでもあるし、世界のニーズが大きくシフトしてきている中で、新たなニーズが生まれ多くのイノベーションが求められている領域での勝負ができていないということかもしれない。 こういったところに、日本企業の研究開発における生産性低下の一因があるのではないだろうか。つまり、アウトプットとしての事業領域がシフトできていない、新たなニーズをうまくとらえた事業を展開できていないために、研究開発も既存の領域にとどまり、結果的に生産性が低下してきてしまっているのではないか。 実際、携帯電話の顔認証機能など、先に基礎技術としての研究開発で成果は出していても、結局消費者のニーズをうまく捉えて製品化・事業化したのは海外企業であった、という例も見られる。 これを解決するためには、そもそもの日本企業の事業領域シフトを加速させることが重要である。 しかし、ここに日本特有の難しさが存在している。) たとえば上場企業の新陳代謝は、アメリカに比べ日本は非常に緩やかである。2017年の日経新聞調査によれば、ニューヨーク証券取引所の上場企業における平均寿命(上場維持年数の平均値)は15年であるのに対し、日本取引所上場企業の平均寿命は89年。経営の安定性が高い一方で、新陳代謝が進みにくく、新たな産業領域の開拓は苦手な傾向にある。 こういった事業のシフトを加速すること、そして、事業上のニーズに合わせて研究開発の方向性を調整し生産性を高めていくためには、まずそのかじ取りを行うマネジメント側が変わっていく必要があるのではないか。 既存企業の中において、新たな事業構築にかかわるマネジメントの行動様式を整え、そして組織としてのスキルを獲得すること(リスキリング)で、企業の新陳代謝を高め、新たな事業領域を切り開くことができるのではないだろうか』、「アメリカや中国は、過去20年間で大きく研究開発分野をシフトさせてきた。例えば特許登録件数の分野別比率(8技術分野)を見ると、アメリカは2000年から2018年の間で、特許登録件数に占める情報通信分野の割合が16%から29%へほぼ倍増し、代わりに化学や機械工学といった分野の比率が大きく下がった。 一方日本は、構成比率が最も大きく増減した分野でも、輸送機械分野の7%から10%へ移行した、約3%ポイントのみである。それ以外の分野に至っては、構成比率は3%ポイント未満しか増減していないのである。19年間という期間を考えれば、むしろ驚くべき硬直性である」、本当に「驚くべき硬直性」だ。「ニューヨーク証券取引所の上場企業における平均寿命(上場維持年数の平均値)は15年であるのに対し、日本取引所上場企業の平均寿命は89年。経営の安定性が高い一方で、新陳代謝が進みにくく、新たな産業領域の開拓は苦手な傾向にある。 こういった事業のシフトを加速すること、そして、事業上のニーズに合わせて研究開発の方向性を調整し生産性を高めていくためには、まずそのかじ取りを行うマネジメント側が変わっていく必要があるのではないか」、その通りなのだろう。
・『日本企業の新規事業構築「5つのポイント」  特に近年、我々のクライアントに対しても、こういったリスキリングと新規事業創出の具体的支援を並行して進めるケースが増えてきている。さまざまなご支援をさせていただく中で、我々は特に日本企業のマネジメントが陥りがちな罠がいくつか存在すると考えている。 今回は、その中でも主な5つをご紹介しつつ、それぞれにどう対処すべきか考えてみたい。 (1)「製品開発」の発想で「事業開発」を推進しない(これまで既存事業を長く続けてきた日本企業は、「製品開発」と「事業開発」が根本的に異なるものであることを意識しなければならない。 例えば既存事業において、製品開発の中止は稀にしか起きない憂慮すべき事態である。新型車の開発は遅延こそ起きるが、中止されることは比較的まれである。 一方で新規事業についてはどうか。事業開発は、そのほとんどが失敗する、もしくはピボット(注)が必要になるというのが前提である。VCの事業ポートフォリオは平均30社以上で、その内1?2社がIPOすれば成功であり、それらの事業もIPOまでに3~4回程度のピボットを経験することが普通であると言われている。それに対し、例えば自動車のような製品開発の発想だと、30の製品開発を始めて、1製品でもヒットすればいい、しかも途中で大きな設計変更が3?4回生じるというのは通常許容されないだろう。 新規事業開発は製品開発と違い、そもそも顧客のニーズが存在するのか、事業モデル・マネタイズモデルが機能するのか不明確なところからスタートするため、当然確度は低くなる。複数の案件を、そのほとんどがうまくいかない前提で、顧客ニーズの確度を検証しつつ、頻度高くポートフォリオ管理を実施していくことが求められる。 また製品開発は、ある技術やサービス単品の開発をロードマップに沿って行うことが多いが、事業開発は事業として10年後、20年後の広がりを見据えて行う。仮にロードマップ通りに製品やサービスが開発されて単体として成功しても、事業としての長期的な展開に対するビジョンがないと、散発的な新規事業の一つとして数年で成長が止まってしまうことが多い。この製品開発から事業開発への考え方の切り替えが、リスキリングの重要な一歩となる』、「VCの事業ポートフォリオは平均30社以上で、その内1?2社がIPOすれば成功であり、それらの事業もIPOまでに3~4回程度のピボットを経験することが普通であると言われている。それに対し、例えば自動車のような製品開発の発想だと、30の製品開発を始めて、1製品でもヒットすればいい」、なるほど。
(注)ピボット:本来「回転軸」の意味ですが、最近ではアメリカのシリコンバレーなどのベンチャー企業で「方向転換」「路線変更」といった意味で盛んに使われるように(HRpro)。
・『(2)既存事業の物差しで新規事業を見ない  上記のようなものの見方の違いを頭ではわかっても、いざ同じ経営会議の俎上にのせて同じメンバーで議論をしてしまうと、必然的に同じ物差しに寄せるバイアスが働くのは人の性といえる。場合によっては新規事業が経営企画部の管掌であったり、新規事業担当役員が既存事業と兼任であったりして、どうしても既存事業のKPI(重要業績評価指標)や成功確率やスピードに引きずられてしまう。) 日本企業、特に産業の中心を担ってきた自動車などの製造業は既存事業の確度が比較的高いことが多い。もちろん、そういった業界でも不確定性は常に存在するが、生産性・効率性等オペレーショナルなKPIをきっちりとやり切ればそれなりの成果は見込める。 一方で新規事業については、ニーズそのものが不透明で、何がKPIかも決まっておらず、わずかに垣間見える顧客ニーズの一端といった定性的な要素に基づいて頻度高い経営判断を行うことが求められる。 もちろんこういったことができるように既存経営陣に対してリスキリングを進めていく必要はあるが、同じ土俵・メンバーで議論している限り、リスキリングの進みはどうしても遅くなってしまう。 新規事業については組織を分け、担当役員も完全に分離した上で、新規事業に係る意思決定は既存の経営会議と分けて実施をするのがあるべき姿といえる。そして新規事業担当役員については、社内に適任者がいない場合、外部登用も積極的に検討すべきである』、「既存経営陣に対してリスキリングを進めていく必要はあるが、同じ土俵・メンバーで議論している限り、リスキリングの進みはどうしても遅くなってしまう。 新規事業については組織を分け、担当役員も完全に分離した上で、新規事業に係る意思決定は既存の経営会議と分けて実施をするのがあるべき姿といえる」、なるほど。
・『既存事業の物差しも必要  一方で、いつかは新規事業も既存事業の物差しで評価していくことが必要となってくる。例えばある大手電機メーカーの社内ベンチャー制度では、立ち上げた新規事業に対して社内の他部門から引き合いが来た段階で、既存事業部に事業ごと引き渡すということを行っている。 また、営業キャッシュフローが黒字になるタイミングをマイルストーンとして事業部として独立させ、それ以降は既存事業と同等の評価指標で見るといった工夫も考えられるであろう』、「いつかは新規事業も既存事業の物差しで評価していくことが必要となってくる。例えばある大手電機メーカーの社内ベンチャー制度では、立ち上げた新規事業に対して社内の他部門から引き合いが来た段階で、既存事業部に事業ごと引き渡すということを行っている。 また、営業キャッシュフローが黒字になるタイミングをマイルストーンとして事業部として独立させ、それ以降は既存事業と同等の評価指標で見るといった工夫も考えられる」、なるほど。
・『(3)新規事業の成功体験を持つ外部人材の活用  新興国の台頭やデジタル化の進展、CASE(自動車業界に大きな影響を与えつつある4つのトレンド:Connected, Autonomous, Shared, Electrificationの頭文字を取ったもの)など破壊的トレンドによって日本企業が本格的に新規事業に取り組み始めたのは比較的最近のことである。 その中で、まだ新規事業の創出に成功したプレーヤーは多くはない。ほとんどの企業で、新規事業の成功体験がないのである。よって、社内でリスキリングを推進できるコーチ役となる人材は通常ほぼいない。 また、その中で、概念的に見るべきKPIや組織体制など他社のベストプラクティスを模倣しても、具体的なKPIの粒度や顧客ニーズの掘り起こし方など、成功体験を持ち肌感覚でわかる人材がいなければ成功確度は当然下がってしまう。 リスキリングを加速させるためには、起業経験・VC経験を持つ社外の人材をアドバイザーとして起用したり、短期契約でも新規事業創出のプロセスを一緒にひと回ししてもらい、社内の人材に実体験を蓄積したりすることが効果的である。一部の国内メーカーでは、既に社外有識者をアイデア創出等の取り組みにおいて積極的に活用し始めている』、「リスキリングを加速させるためには、起業経験・VC経験を持つ社外の人材をアドバイザーとして起用したり、短期契約でも新規事業創出のプロセスを一緒にひと回ししてもらい、社内の人材に実体験を蓄積したりすることが効果的である」、なるほど。
・『(4)リスキリングを組織として消化する  せっかく外部人材を登用してリスキリングを推進しようとしても、実際のオペレーションや、人材の評価・育成の仕組みが既存のままだと、組織としての慣性力(イナーシャ)が働き、リスキリングは停滞するか、以前の状況に簡単に戻ってしまう。 これを避けるためには、上述のようなオペレーションや、人材の評価・育成を新規事業に即したものに変えていき、リスキリングを継続させる仕組みを組織として構築する必要がある。 このためには、上述のように新規事業組織を分けるとともに、そこに新規事業スキルを保有する人材、新たな研究開発領域の知見を持つ人材を集約し、オペレーションや人材評価・育成を既存事業と分けて実施することが重要である。) たとえばある国内の鉄道会社では、そもそも採用の時点で既存の鉄道事業部門と電子マネーなど新規事業を担当する部門を分け、人事制度も既存事業とは分けている。 このように、新規事業として独立した人事制度・採用枠を作り、必要な人材がクリティカルマスを超えるように、新卒・中途双方での採用を行うべきである。 そして、新規事業を推進できる魅力的な人材を採用できるだけの柔軟な処遇や、新規事業からのキャリアパスが描けることなど、人事制度上の工夫が必須である。 人事制度の独立が必須(このように、新規事業は新規事業として、独立した人事制度・採用枠を作り、必要な人材がクリティカルマスを超えるように、新卒・中途双方での採用をすべきである。そのためには、新規事業を推進できる魅力的な人材を採用できるだけの柔軟な処遇や、新規事業からのキャリアパスが描けることなど、人事制度の独立が必須である』、「新規事業組織を分けるとともに、そこに新規事業スキルを保有する人材、新たな研究開発領域の知見を持つ人材を集約し、オペレーションや人材評価・育成を既存事業と分けて実施することが重要」、「新規事業として独立した人事制度・採用枠を作り、必要な人材がクリティカルマスを超えるように、新卒・中途双方での採用を行うべきである」、なるほど。
・『(5)新規事業=ゼロイチというバイアスの克服  これまで見てきたように、新規事業といっても、本当にゼロから事業を創出しスケールアップさせることは、確率が低く忍耐を伴い、見通しも不透明なものである。 1つの手法として、プログラマティックなM&Aを活用して新たな領域にどう入っていくかを検討することも重要な新規事業のアプローチである。 特に、対象とする事業領域の人材や組織をそのまま手に入れることが可能であるため、上記で述べたような陥りがちな罠はM&Aという手法を取ることによってある程度回避できる。 ゼロイチからの新規事業を検討する前に、どういった新規事業を目指すのか、本当にM&Aではなくゼロからの立ち上げを目指す必要があるのかを具体的に検討したうえで新規事業立ち上げの手法を選択すべきである。 そして本当にゼロから立ち上げる新規事業を目指すのであれば、経営陣として覚悟を持ち、外部役員の登用や人事制度の独立など、これまで述べてきたようなドラスティックなやり方を取ってリスキリングも並行して進めていくことが必要となる』、「ゼロイチからの新規事業を検討する前に、どういった新規事業を目指すのか、本当にM&Aではなくゼロからの立ち上げを目指す必要があるのかを具体的に検討したうえで新規事業立ち上げの手法を選択すべきである。 そして本当にゼロから立ち上げる新規事業を目指すのであれば、経営陣として覚悟を持ち、外部役員の登用や人事制度の独立など、これまで述べてきたようなドラスティックなやり方を取ってリスキリングも並行して進めていくことが必要となる」、やはり中途半端なやり方は失敗する可能性が高いようだ。

次に、2021年9月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した野村マネジメント・スクールによる「一流ビジネススクール教授陣が指南「イノベーションに挑戦する企業経営者の行動指針」とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/282773
・『今日の企業にとって最も重要な課題、それは継続的なイノベーションを起こすことだといっても過言ではない。では、それを可能にする企業文化をいかに生み出すか、すなわちイノベーションを促す企業文化へと変革できるか。さらに、危機に備えビジネスモデル変革に取り組むための経営チームのあり方とは――。書籍『有事の意思決定 一枚岩の経営チームがリードする』の教授陣にさまざまな視点から意見を伺った。連載第2回は、イノベーションに挑戦する企業経営者の行動と意思決定の指針を提示する』、「有事の意思決定」とは興味深そうだ。
・『平時の「思い込み」の排除が従業員の創造性を解放する(マイケル・ロベルト教授 (ブライアント大学カレッジ オブ ビジネス) これまで、よりイノベーティブな組織を作るには、何かを加えよというものが大半でした。つまり、創造性の豊かな人を採用しろ、新規事業担当組織を作ってスピンアウトしろ、スカンクワークの仕組みを導入しろといったことでした。 しかし、多くの企業がこれらのことを実施しているにもかかわらず、うまくいっていません。その原因は、組織に根付いた「組織的な思い込み」にあるのです。何かを加えるよりも先に、取り除く必要があるのです。 一つの例として、多くの企業が特別研究室のようなものを設置していますが、私は、これを廃止せよといっているのではありません。イノベーターは、単に集中だけしているのではなく、時には「あえて集中しない」ことも必要ということです。集中しないとは、人々の視野を広げ、目先の問題から一寸距離を置いてみるといったことです。だから、これらの活動を単に止めるのではなく、運営方法を見直せと言うことなのです。 経営者の仕事は、言ってみればゴールまでの道のりをきれいに片付けることであって、創造性豊かな賢い人々に、何をしろなどと指示する必要はないのです。 同様に必ずしもチームメンバーに答えを与えてそれを実行しろと指示するのではなく、チームを一つにまとめ、問題にアプローチする視角を考え、分析を求めるのが良いリーダーだと言えます。 日本の経営者だけに限りませんが、世界中の経営者の喫緊の課題は、今回のパンデミックや、思いがけない競争相手の出現などによって不意打ちを受けたとき、「俊敏に対応する能力」を構築することではないでしょうか。 イノベーションを成し遂げる上で、実験やプロトタイピングはとても重要で、多くの企業で実践項目に取り入れられているのですが、企業文化に根付いている「完璧主義」が問題となるのです。 実験やプロトタイピングに長けているということは言い換えれば、完璧でないことを受け入れることです。だが、これは難しい。 頭では実験やプロトタイピングの重要性を理解しても、実際に行おうとすると完璧主義が邪魔をしてしまいます。 最初から完璧なものを作ろうとすると、イノベーションのプロセスを遅らせることになります。だから、「早期に、何度でも、荒削りでも」を開発のモットーにした会社が生き残る。ある段階では完璧でないことを受け入れなければならないということです』、「思いがけない競争相手の出現などによって不意打ちを受けたとき、「俊敏に対応する能力」を構築することではないでしょうか。 イノベーションを成し遂げる上で、実験やプロトタイピングはとても重要で、多くの企業で実践項目に取り入れられているのですが、企業文化に根付いている「完璧主義」が問題となるのです。 実験やプロトタイピングに長けているということは言い換えれば、完璧でないことを受け入れることです。だが、これは難しい。 頭では実験やプロトタイピングの重要性を理解しても、実際に行おうとすると完璧主義が邪魔をしてしまいます。 最初から完璧なものを作ろうとすると、イノベーションのプロセスを遅らせることになります。だから、「早期に、何度でも、荒削りでも」を開発のモットーにした会社が生き残る。ある段階では完璧でないことを受け入れなければならないということです」、なるほど。
・『実験重視の企業文化構築に向けて(ステファン・トムキ教授(ハーバード・ビジネス・スクール)) 実験重視の企業文化を既存企業が構築するのは、おそらく最も挑戦的な課題と言えます。 まず、「好奇心を啓発する」ことです。組織の底辺からトップリーダー層に至るまで、「サプライズ(驚き)」を価値あるものだと考えるようにならなければなりません。 サプライズの価値を金額で表すのは、コストの数値化に比べて難しいです。これから何が起こるか分からないことを数値化しようとするからです。 したがって、企業文化として、組織全体がサプライズを良いものとみなすようになる必要があります。このようなマインドセットが定着すれば、好奇心が組織全体に広がり、人々は失敗をコストのかかる過ちではなく、学習機会と捉えるようになります。 二つ目に、「データが意見に勝るという原則に固執する」ことです。組織の意思決定が、意見や直感に基づいてなされると、どうしても組織のヒエラルキーが影響を及ぼすようになります。上司の意見が部下のそれより重視されるとか。 先端企業においてすら、10の実験のうち、8〜9は予想された結果を生み出しません。逆に言えば、全体の10~15%の実験しか「成功」しないのです。 つまり、我々はほとんどの場合、間違っているんだということを受け入れなければならないのです。だが、それが難しいのです。 だからこそ実験をすべきなのですが、事実よりも意見に重きが置かれたり、ヒエラルキーが大きな影響を与えたりする組織では、それらが邪魔をしてしまいます。 日本企業の常にカイゼンしようという姿勢は、広い意味で科学的手法に基づいており、QCサークルなどの活動に由来する慣行が長く行われてきたのはプラスです。 しかし、コンセンサス重視の企業文化は、障害となる可能性があります。 全ての意思決定、全ての実験にコンセンサスを求めるとなると、プロセスに時間がかかりすぎてしまいます。そもそも結果の分からないことにコンセンサスを得ることは無理です。だからリスク回避になりがちです。コンセンサスは意思決定後の行動を迅速化しますが、実験という環境では、全てを遅らせることになり、実施の障害になりかねません。 イノベーションは、不確実性を機会に変える行為です。不確実性を排除しようとすると、どうしてもコストサイド重視になってしまいます。オペレーションの効率向上は達成できますが、イノベーションからは遠ざかってしまいかねません』、「コンセンサスは意思決定後の行動を迅速化しますが、実験という環境では、全てを遅らせることになり、実施の障害になりかねません。 イノベーションは、不確実性を機会に変える行為です。不確実性を排除しようとすると、どうしてもコストサイド重視になってしまいます。オペレーションの効率向上は達成できますが、イノベーションからは遠ざかってしまいかねません」、日本企業の弱味のようだ。
・『ビジネスモデルイノベーションで競走優位に立つ(ラモン・カサデサス=マサネル教授(ハーバード・ビジネス・スクール)) 多くの企業がDX(デジタル・トランスフォーメーション)に挑戦し、苦労しています。当初意図していたような結果がもたらされていない原因についての一つの仮説は、BMI(ビジネスモデル・イノベーション)一般に言える、諸活動のコーディネーション問題が生じている可能性です。 デジタル化した時にうまく機能するような諸活動の調整のあり方は、それ以前のノンデジタルの時のそれとはかなり異なっているのかも知れません。両方の世界でうまく機能させるというのは簡単ではないでしょう。 ただし企業が、傘下にある異なるビジネスモデルを共存させることは可能です。 私がBMIに関連して、日本の経営者にお伝えしたいことは次の4点です。 第1に、「進んで実験せよ」ということです。特に実験が安価に行え、何がうまく行き何がうまく行かないかを判断する上での参考になるような状況においてはです。 第2に、「不確実性を歓迎し、リスクを取れ」と申し上げたい。 第3には、「失敗を心地よいものと考え、イノベーションを起こそうとしてうまく行かなかった人々に汚名を着せるな」が挙げられます。 そして最後に、「異なるバックグラウンドやキャリアを持つ多様な人々からなるチームがなし得る、視野を広げる貢献を過小評価するな」ということを指摘したいと思います。 多様性や相違を受容することは、単に社会的責任であるばかりではなく、自社の競争優位性を高めるイノベーション重視の企業文化を育むことになります』、「私がBMIに関連して、日本の経営者にお伝えしたいことは次の4点です。 第1に、「進んで実験せよ」ということです・・・第2に、「不確実性を歓迎し、リスクを取れ」と申し上げたい。 第3には、「失敗を心地よいものと考え、イノベーションを起こそうとしてうまく行かなかった人々に汚名を着せるな」が挙げられます。 そして最後に、「異なるバックグラウンドやキャリアを持つ多様な人々からなるチームがなし得る、視野を広げる貢献を過小評価するな」ということを指摘したい」、なるほど。
・『カイゼンから、製品やサービスのカクシンへ(ロバート・オースティン教授(ウェスタン大学アイビー・ビジネス・スクール)) トランスフォーメーションと呼ぶような大きな変革を成し遂げることは難しいものです。今日リーダーにとって、最も困難な課題だと言えるかも知れません。社会が大きく変わっていますので、組織変革は不可避にもかかわらずです。 ここで、2種類の変化を混同しないように注意を喚起したいと思います。一つ目の種類の変化は、自分自身が起こしたのではないものです。世界情勢など自社を取り巻く環境とか競争相手がもたらしたものです。二つ目はリーダー自身が起こし、そちらへ組織を向かわせようとする変化です。 どちらの変化も対処することが難しいです。外から与えられた変化への対応は喫緊の課題です。なぜなら、変化に対応しなければ生き残れないかもしれないからです。 多くの日本企業は、今話題のマイケル・タッシュマン教授らの「両利き性」の議論でいうところの探査(exploration)よりも深耕(exploitation)モードに安住していたように思います。カイゼンはこのモードにとても適合的ですが、カクシンはそうではありません。 日本企業にとってプロセス・イノベーションはより自然にできるものの、「両利き性」を維持してラディカルなイノベーションを起こし、顧客やビジネスモデルに大きな変革をもたらすことはそうでもないということです。 昔、日本の経営者に「革新ということばから想起されるのはプロセス・イノベーションですか製品やサービスのイノベーションですか」と問うたところ、40社中39社の人がプロセス・イノベーションだと回答しました。 もちろんプロセス・イノベーションが悪いわけではなく、効率性向上は日本企業が長年にわたって得意としてきたことです。ただ、プロセス・イノベーションは顧客に対し、価格引き下げなどを通じた間接的なインパクトしか与えないのに対し、ラディカルなイノベーション、あるいはBMI(ビジネスモデル・イノベーション)はより直接的なインパクトがあります。 顧客にとってただ間接的に実感するイノベーションなのか、喜んで対価を支払おうとするイノベーションなのかには差があります。日本企業は後者のことをもっと考えるべきではないかと思います』、「プロセス・イノベーションが悪いわけではなく、効率性向上は日本企業が長年にわたって得意としてきたことです。ただ、プロセス・イノベーションは顧客に対し、価格引き下げなどを通じた間接的なインパクトしか与えないのに対し、ラディカルなイノベーション、あるいはBMI・・・はより直接的なインパクトがあります。 顧客にとってただ間接的に実感するイノベーションなのか、喜んで対価を支払おうとするイノベーションなのかには差があります。日本企業は後者のことをもっと考えるべきではないかと思います」、同感である。
・『価値創出の手段としてのM&A(カール・ケスター教授(ハーバード・ビジネス・スクール)) 日本企業は国内企業同士のM&Aだけでなく海外企業を対象とするM&Aも相当数実施するようになっていると思います。しかし、日本における大規模M&Aのほとんどは、買収側の企業が変わるというよりも、被買収側の価値創造を目的とするにとどまるものが多かった印象です。 さらに驚いたのは、買収後の統合がほとんど進んでいない事例が多かった点です。価値を創出しているかどうかをM&Aの成功の基準として考えるのであれば、なかなか成功事例を探すのは難しいと言えるでしょう。 長期的なM&Aの成功を分析すること、すなわち価値創造の如何を測定することは非常に難しいという点です。 日本企業のM&Aでも、買収後の減損件数が3割程度あることなどから考えて、一般にM&Aから価値創造を実現するのは難しいと言えるでしょう。 M&Aの買収時のプロセスにおいて、日本企業が改善すべき点としては、資本コスト(特にエクイティのコスト)の意識を高める必要があることが挙げられます。 日本企業は長らく資金調達を銀行に頼っていたこともあり、資本コストの認識が十分でないといえます。価値をどうやって創造し、計測するかの根本に資本コストの概念があるので、その出発点があやふやだということは大きな問題です。 近年、日本でも、資本市場側との対話が重視されていると聞いていますが、この動きは妥当な資本コストが形成されるという意味で、非常に良い流れであると考えています。 ところで、私は、ESGは現時点ではまだアセットマネジメント会社のマーケティングギミック以上のものではないと考えています。そもそも定義も不明確ですし、それが投資パフォーマンスを向上させるという証拠は見られません。 私が野村マネジメント・スクールで行っている講義では、NPVに基づく投資判断は、少なくとも株主の投資ホライズンの選好とは無関係に使えるということを論証しています。つまり、この枠組みで投資判断すれば、長期投資を考える若い株主の利益も、年金を補完するものとして比較的短期のリターンを求める高齢者の利益も満たすことが出来るのです。 しかし、ESGではそういったことを示すことはできません。ましてやESGの目的である様々なステークホルダーの利益のバランスの最適化ができるとは言えないのです。 一方で、ESGのトレンド自体は不可避な流れになっていることも事実です。今後、機関投資家は、ますます大きな存在となり、その市場における影響力が甚大であることを考えなければなりません。ESGを無視した経営をしている企業は、資金調達面で不利な状況に追い込まれるおそれがあるでしょう』、「日本企業のM&Aでも、買収後の減損件数が3割程度あることなどから考えて、一般にM&Aから価値創造を実現するのは難しいと言えるでしょう。 M&Aの買収時のプロセスにおいて、日本企業が改善すべき点としては、資本コスト(特にエクイティのコスト)の意識を高める必要があること」、「今後、機関投資家は、ますます大きな存在となり、その市場における影響力が甚大であることを考えなければなりません。ESGを無視した経営をしている企業は、資金調達面で不利な状況に追い込まれるおそれがあるでしょう」、同感である。 
タグ:「アメリカや中国は、過去20年間で大きく研究開発分野をシフトさせてきた。例えば特許登録件数の分野別比率(8技術分野)を見ると、アメリカは2000年から2018年の間で、特許登録件数に占める情報通信分野の割合が16%から29%へほぼ倍増し、代わりに化学や機械工学といった分野の比率が大きく下がった。 一方日本は、構成比率が最も大きく増減した分野でも、輸送機械分野の7%から10%へ移行した、約3%ポイントのみである。 「日本のイノベーション力の低下は、人員数や資金の問題ではなく、研究者1人当たりの生産性の低下がボトルネックになっていることが可能性として考えられる」、その原因は何なのだろう。 「なぜ特許出願数などで中国に後れを取り始めているのか」、不思議だ。 『マッキンゼー ホッケースティック戦略成長戦略の策定と実行』 田口 弘一郎氏による「日本でイノベーションが生まれなくなった真因 新規事業の構築における「5つの罠」と処方箋」 野崎 大輔氏 東洋経済オンライン イノベーション (その4)(日本でイノベーションが生まれなくなった真因 新規事業の構築における「5つの罠」と処方箋、一流ビジネススクール教授陣が指南「イノベーションに挑戦する企業経営者の行動指針」とは) それ以外の分野に至っては、構成比率は3%ポイント未満しか増減していないのである。19年間という期間を考えれば、むしろ驚くべき硬直性である」、本当に「驚くべき硬直性」だ。「ニューヨーク証券取引所の上場企業における平均寿命(上場維持年数の平均値)は15年であるのに対し、日本取引所上場企業の平均寿命は89年。経営の安定性が高い一方で、新陳代謝が進みにくく、新たな産業領域の開拓は苦手な傾向にある。 こういった事業のシフトを加速すること、そして、事業上のニーズに合わせて研究開発の方向性を調整し生産性を高めていくためには、まずそのかじ取りを行うマネジメント側が変わっていく必要があるのではないか」、その通りなのだろう。 「VCの事業ポートフォリオは平均30社以上で、その内1?2社がIPOすれば成功であり、それらの事業もIPOまでに3~4回程度のピボットを経験することが普通であると言われている。それに対し、例えば自動車のような製品開発の発想だと、30の製品開発を始めて、1製品でもヒットすればいい」、なるほど。 (注)ピボット:本来「回転軸」の意味ですが、最近ではアメリカのシリコンバレーなどのベンチャー企業で「方向転換」「路線変更」といった意味で盛んに使われるように(HRpro)。 「既存経営陣に対してリスキリングを進めていく必要はあるが、同じ土俵・メンバーで議論している限り、リスキリングの進みはどうしても遅くなってしまう。 新規事業については組織を分け、担当役員も完全に分離した上で、新規事業に係る意思決定は既存の経営会議と分けて実施をするのがあるべき姿といえる」、なるほど。 「いつかは新規事業も既存事業の物差しで評価していくことが必要となってくる。例えばある大手電機メーカーの社内ベンチャー制度では、立ち上げた新規事業に対して社内の他部門から引き合いが来た段階で、既存事業部に事業ごと引き渡すということを行っている。 また、営業キャッシュフローが黒字になるタイミングをマイルストーンとして事業部として独立させ、それ以降は既存事業と同等の評価指標で見るといった工夫も考えられる」、なるほど。 「リスキリングを加速させるためには、起業経験・VC経験を持つ社外の人材をアドバイザーとして起用したり、短期契約でも新規事業創出のプロセスを一緒にひと回ししてもらい、社内の人材に実体験を蓄積したりすることが効果的である」、なるほど。 「新規事業組織を分けるとともに、そこに新規事業スキルを保有する人材、新たな研究開発領域の知見を持つ人材を集約し、オペレーションや人材評価・育成を既存事業と分けて実施することが重要」、「新規事業として独立した人事制度・採用枠を作り、必要な人材がクリティカルマスを超えるように、新卒・中途双方での採用を行うべきである」、なるほど。 「ゼロイチからの新規事業を検討する前に、どういった新規事業を目指すのか、本当にM&Aではなくゼロからの立ち上げを目指す必要があるのかを具体的に検討したうえで新規事業立ち上げの手法を選択すべきである。 そして本当にゼロから立ち上げる新規事業を目指すのであれば、経営陣として覚悟を持ち、外部役員の登用や人事制度の独立など、これまで述べてきたようなドラスティックなやり方を取ってリスキリングも並行して進めていくことが必要となる」、やはり中途半端なやり方は失敗する可能性が高いようだ。 ダイヤモンド・オンライン 野村マネジメント・スクールによる「一流ビジネススクール教授陣が指南「イノベーションに挑戦する企業経営者の行動指針」とは」 「有事の意思決定」とは興味深そうだ。 「思いがけない競争相手の出現などによって不意打ちを受けたとき、「俊敏に対応する能力」を構築することではないでしょうか。 イノベーションを成し遂げる上で、実験やプロトタイピングはとても重要で、多くの企業で実践項目に取り入れられているのですが、企業文化に根付いている「完璧主義」が問題となるのです。 実験やプロトタイピングに長けているということは言い換えれば、完璧でないことを受け入れることです。だが、これは難しい。 頭では実験やプロトタイピングの重要性を理解しても、実際に行おうとすると完璧主義が邪魔をしてしまいます。 最初から完璧なものを作ろうとすると、イノベーションのプロセスを遅らせることになります。だから、「早期に、何度でも、荒削りでも」を開発のモットーにした会社が生き残る。ある段階では完璧でないことを受け入れなければならないということです」、なるほど。 「コンセンサスは意思決定後の行動を迅速化しますが、実験という環境では、全てを遅らせることになり、実施の障害になりかねません。 イノベーションは、不確実性を機会に変える行為です。不確実性を排除しようとすると、どうしてもコストサイド重視になってしまいます。オペレーションの効率向上は達成できますが、イノベーションからは遠ざかってしまいかねません」、日本企業の弱味のようだ。 「私がBMIに関連して、日本の経営者にお伝えしたいことは次の4点です。 第1に、「進んで実験せよ」ということです・・・第2に、「不確実性を歓迎し、リスクを取れ」と申し上げたい。 第3には、「失敗を心地よいものと考え、イノベーションを起こそうとしてうまく行かなかった人々に汚名を着せるな」が挙げられます。 そして最後に、「異なるバックグラウンドやキャリアを持つ多様な人々からなるチームがなし得る、視野を広げる貢献を過小評価するな」ということを指摘したい」、なるほど。 「プロセス・イノベーションが悪いわけではなく、効率性向上は日本企業が長年にわたって得意としてきたことです。ただ、プロセス・イノベーションは顧客に対し、価格引き下げなどを通じた間接的なインパクトしか与えないのに対し、ラディカルなイノベーション、あるいはBMI・・・はより直接的なインパクトがあります。 顧客にとってただ間接的に実感するイノベーションなのか、喜んで対価を支払おうとするイノベーションなのかには差があります。日本企業は後者のことをもっと考えるべきではないかと思います」、同感である。 「日本企業のM&Aでも、買収後の減損件数が3割程度あることなどから考えて、一般にM&Aから価値創造を実現するのは難しいと言えるでしょう。 M&Aの買収時のプロセスにおいて、日本企業が改善すべき点としては、資本コスト(特にエクイティのコスト)の意識を高める必要があること」、 「今後、機関投資家は、ますます大きな存在となり、その市場における影響力が甚大であることを考えなければなりません。ESGを無視した経営をしている企業は、資金調達面で不利な状況に追い込まれるおそれがあるでしょう」、同感である。
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終末期(その8)(3800人看取ったホスピス医が説く「生きるヒント」 「人生は自分をわかってくれる人を探す旅だ」、『バカの壁』から20年…ここにきて 養老孟司が「現代人は死ぬことが理解できなくなった」と断言するワケ、72歳「余命3カ月」を部活仲間に託した彼の最期 血縁に頼れない時代、誰に看取られるのがいいか 、「タイでは葬式で泣いている人がいないんです」…《死を怖れないラクな死に方》とは 出家した直木賞作家・笹倉明さんの考え、「死の間際」で人はどんな話をしたいのか? それは「いつも通りの会話」かもしれない [人生]

終末期については、昨年5月1日に取上げた。今日は、(その8)(3800人看取ったホスピス医が説く「生きるヒント」 「人生は自分をわかってくれる人を探す旅だ」、『バカの壁』から20年…ここにきて 養老孟司が「現代人は死ぬことが理解できなくなった」と断言するワケ、72歳「余命3カ月」を部活仲間に託した彼の最期 血縁に頼れない時代、誰に看取られるのがいいか 、「タイでは葬式で泣いている人がいないんです」…《死を怖れないラクな死に方》とは 出家した直木賞作家・笹倉明さんの考え、「死の間際」で人はどんな話をしたいのか? それは「いつも通りの会話」かもしれない…コラムニスト・小田嶋隆さんとの別れの際に思想家・内田樹さんが感じたこと)である。

先ずは、昨年5月9日付け東洋経済オンラインが掲載した医師の小澤 竹俊氏による「3800人看取ったホスピス医が説く「生きるヒント」 「人生は自分をわかってくれる人を探す旅だ」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/585077
・『仕事も友人や家族との人間関係もうまくいかない、つらいことがあり苦しいという人ほど「自分をわかってくれる誰か」の存在が救いになるとホスピス医の小澤竹俊さんは言います。 どんな状況でも前向きに自分らしく生きるためのヒントを、小澤さんの著書『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』より一部抜粋、再編集してご紹介します』、『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』とは興味深そうだ。
・『人は「自分をわかってくれる」誰かが必要  苦しみや痛みを抱え、弱い状態にある人はみな、「自分の気持ちをわかってくれている」と思える誰かを求めています。 もちろん、相手が100%、自分の気持ちをわかってくれているかどうかは、誰にもわかりません。 ただ、「誰かにわかってもらえた」と感じることで、多くの人は苦しみの中でも穏やかさを取り戻し、前向きに生きるきっかけをつかむことができます。 以前、実家の家族とも、妻や子どもともうまくいかず、仕事もなかなか長続きせず、古いアパートで1人で年金を頼りに暮らし、70歳をすぎてから末期がんと診断された患者さんと関わったことがあります。 最初に訪問に伺ったとき、その患者さんは「自分の人生を早く終わらせたい」「早く楽になれる薬はないのか」など、一方的にご自分の苦しみを訴えるばかりでした。 そのような人に、「そんなことを言わないでください」「あなたの気持ちはとてもよくわかります」「生きていればいいことがあります」といった言葉はまったく響きません。 それどころか「健康なお前に、俺の気持ちがわかるか」「他人事だと思って、適当なことを言うな」と、心を閉ざされてしまうでしょう。) その患者さんに対して私たちがしたことは、ただひたすら、丁寧に話を聴くことでした。 故郷のこと、曲がったことや人から指図されることが嫌いなご自身の性格のこと、病気の苦しみ……。 話をしているうちに、おそらく患者さんは、私たちのことを「自分の気持ちをわかってくれている」と感じてくださったのでしょう。 表情が徐々に穏やかになり、「苦労の多い人生ではあったけれど、自分を曲げてまで生きるよりはよかった」と口にされるようになりました』、「「誰かにわかってもらえた」と感じることで、多くの人は苦しみの中でも穏やかさを取り戻し、前向きに生きるきっかけをつかむことができます」、なるほど。カトリックで死ぬ前に、神父に告白するのもこの一環だろう。
・『ありのままの自分でいられる方法  自分の気持ちをわかってくれていると思える誰かの存在は、ありのままの自分でいられる強さを与えてくれます。 これまでに私たちが関わった患者さんの中には、体にたくさんの管をつけながら、本当に動けなくなるギリギリの瞬間まで仕事をしていた方もいらっしゃいました。 末期のがんになり、ご自身も大変な中で老々介護をし、夫を見送った後で亡くなられた方もいらっしゃいました。 「そんな体で仕事をするのはやめなさい」「夫の介護は施設に任せなさい」という人もいるかもしれませんが、私たちには、その患者さんたちにとって、仕事をすること、夫の介護をすることこそが、ありのままの自分でいられることであり、病気の苦しみの中で生きる支えになっていると、私たちには感じられました。 私たちは、仕事に、介護にいのちを燃やすお2人を静かに見守り、ときには丁寧に話を聴きました。 やがて、その患者さんたちは、満足しきった穏やかな表情でこの世を旅立たれました。 人それぞれ、大事にしたいことも、望む「ありのまま」の形も異なります。 世間でいいとされていること、大事にするべきだとされていることが、必ずしもその人にとっていいわけではなく、大事なものであるともかぎりません。 そして、親でもパートナーでも友人でも、あるいはペットや先に亡くなった誰かでも、自分の気持ちをわかってくれていると思える存在がいるとき、私たちは安心して、ありのままでいることができます。 私たちが自分らしくいられるのは、誰かがわかってくれるからなのです。 ですから、多くの人は、大変な時間と労力、エネルギーを割いて、自分をわかってくれる人を探そうとします。) もし、あなたが自分を理解してくれる人と共に生きることができているのなら、それは本当に幸せなことです。 人は「自分の時間を大切な人、大切なことのために使うことができた」と感じたとき、自分の生きる意味を見いだしやすくなり、後悔の少ない人生を送ることができるからです』、「自分の気持ちをわかってくれていると思える存在がいるとき、私たちは安心して、ありのままでいることができます。 私たちが自分らしくいられるのは、誰かがわかってくれるからなのです・・・人は「自分の時間を大切な人、大切なことのために使うことができた」と感じたとき、自分の生きる意味を見いだしやすくなり、後悔の少ない人生を送ることができるからです」、なるほど。
・『「誰か」を自ら探しに行ってみる  しかし、人はみな、基本的には自分のことで精いっぱいです。 あなたが、どれほど深刻な悩みを抱え、どれほど苦しみ、「誰かに自分の気持ちをわかってもらいたい」「誰かに話を聴いてもらいたい」と思っても、なかなかそんな相手には巡り会えないかもしれません。 そのような場合は、自分の気持ちをわかってくれると思える誰かをただ待つだけでなく、自ら探しに行ってみるのはどうでしょうか。 まず自分が相手の話を聴いてみるのです。 一見、遠回りのように見えても、それがわかってもらえる誰かに出会う、そして本当の意味で幸せになるための近道だと、私は思っています。 『新約聖書』(新共同訳、日本聖書協会)の「ルカによる福音書6章38節」には、「与えなさい。そうすれば、あなたがたにも与えられる」と書かれています。 自分の何かをほかの人に与える人は、実はいろいろなことを与えられるのです。 苦しみをわかってほしいあなたが、まず、苦しんでいる誰かの話を聴く。 すると、その誰かの心が穏やかになり、今度はあなたの話を聴いてくれる。 苦しみを抱える者同士が信頼関係で結ばれ、そのように助け合い、支え合って生きていくことで、幸せの輪はどんどん広がっていくはずです。 方法はもうひとつあります。「自分の気持ちをわかってくれる人が誰もいない」と感じている人は、ぜひ一度、丁寧に過去を振り返り、良かったこと、楽しかったことを思い出してみてください。 誰かといて心の安らぎを感じたことはありませんでしたか? 誰かの言葉に「この人は自分の気持ちをわかってくれた」と喜びを感じたりしたことはありませんでしたか? その相手はもう連絡が取れない人、この世にいない人かもしれません。 でも、「もしあの人が近くにいたら、自分にどんな言葉をかけてくれるだろう」「もしあの人が生きていたら、自分の気持ちをわかってくれるかもしれない」「頑張っている自分に、『それで良い』と言ってくれるかもしれない」と思うことができたら、それだけで十分に救いになり、今の苦しみが和らぐのではないでしょうか』、「そのような場合は、自分の気持ちをわかってくれると思える誰かをただ待つだけでなく、自ら探しに行ってみるのはどうでしょうか。 まず自分が相手の話を聴いてみるのです。 一見、遠回りのように見えても、それがわかってもらえる誰かに出会う、そして本当の意味で幸せになるための近道だと、私は思っています」、「方法はもうひとつあります。「自分の気持ちをわかってくれる人が誰もいない」と感じている人は、ぜひ一度、丁寧に過去を振り返り、良かったこと、楽しかったことを思い出してみてください。 誰かといて心の安らぎを感じたことはありませんでしたか? 誰かの言葉に「この人は自分の気持ちをわかってくれた」と喜びを感じたりしたことはありませんでしたか? その相手はもう連絡が取れない人、この世にいない人かもしれません。 でも、「もしあの人が近くにいたら、自分にどんな言葉をかけてくれるだろう」「もしあの人が生きていたら、自分の気持ちをわかってくれるかもしれない」「頑張っている自分に、『それで良い』と言ってくれるかもしれない」と思うことができたら、それだけで十分に救いになり、今の苦しみが和らぐのではないでしょうか」、なるほど。

次に、本年3月31日付け現代ビジネスが掲載した養老 孟司氏による「『バカの壁』から20年…ここにきて、養老孟司が「現代人は死ぬことが理解できなくなった」と断言するワケ」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/107629?imp=0
・『ものがわかるとは、理解するとはどのような状態のことを指すのでしょうか。 この度『ものがわかるということ』を上梓した養老孟司氏は、子どもの頃から「考えること」について意識的で、一つのことについてずっと考える癖があったことで、次第に物事を考え理解する力を身につけてきたそうです。 『バカの壁』の大ヒットから20年。そんな養老先生が自然や解剖の世界に触れ学んだこと、ものの見方や考え方について、脳と心の関係、意識の捉え方についての「頭の中身」を明かします。 ここにきて、養老孟司が「やっても頭が良くならない学習法」を断言…「これでは壊れたロボットです」という納得のワケ』、興味深そうだ。 
・『人間自体が情報になった  「自分に適した仕事」「自分探し」と言うような人は、どこかで西洋的な「私」を取り入れているのでしょう。自分は自分で変わらない。だからその自分に合った仕事がある。変わらない自分を発見することが大切だ。そう思い込んでいるのです。 1910年代に、フランツ・カフカという小説家が『変身』という変な小説を書きました。主人公のグレゴール・ザムザは、普通の勤め人です。いまのサラリーマンと思えばいいでしょう。そのザムザが朝起きてみると、自分が等身大の大きな虫に変わっている。 そのとき、ザムザ本人はどう思っているか。相変わらず自分はグレゴール・ザムザだと思っています。何がそう主張するんでしょうか。意識です。虫になっても、「私は私である」という意識は変わらない。不思議なことです。 朝目が覚めると、ああ、俺は俺だ、と思う。今日は昨日の続きである。それは意識が戻ったということです。意識は寝るととりあえず消えますが、朝になると戻る。その都度私たちは、私は私だと確認する。もちろんそこの確認自体はほとんど無意識になされます。意識は勝手になくなって、勝手に戻ってくるんです。 カフカはちゃんとわかっていました。当時の社会の常識を延長していけば、自分の身体が虫になったって、意識は私は私だと主張するだろう、と。いまはカフカの言う通りになりました。それが私たちの現代社会、情報化社会です。 なぜ情報化社会と言うんでしょうか。ほとんどの人はこう考えます。コンピュータが普及して、テレビやパソコンのない家はなくなって、誰でもスマホやケータイを持っていて、毎日おびただしい情報が流れるからと。 私は情報化社会という言葉を、違った意味で使います。人間自体が情報になったのです。情報化したのは人間です。「同じ私」とは、変わらない私です。変わらない私とは、情報としての私です』、「朝目が覚めると、ああ、俺は俺だ、と思う。今日は昨日の続きである。それは意識が戻ったということです。意識は寝るととりあえず消えますが、朝になると戻る。その都度私たちは、私は私だと確認する。もちろんそこの確認自体はほとんど無意識になされます」、「私は情報化社会という言葉を、違った意味で使います。人間自体が情報になったのです。情報化したのは人間です。「同じ私」とは、変わらない私です。変わらない私とは、情報としての私です」、なるほど。
・『死ぬことを理解できない日本人  情報化社会では、情報と人間がひっくり返しに錯覚されるようになりました。自分は名前つまり情報ですから、いつも「同じ」です。 自分が情報になり、変わらなくなると、死ぬことがおかしなことに感じられます。死ぬとは、自分が変わるということです。同じ私、変わらない私があるなら、死ぬのはたしかに変です。だから現代人は死ぬことが理解できなくなりました。 仏教で生老病死のことを「四苦」と言います。四苦は、人の一生が変化の連続だということを示しています。それがすべて「変なこと」になってしまいました。それと同時に、教育が何をすることなのか、わからなくなってしまった。変わらない自分が素晴らしいとなるのだから、当然です。 人が変わらなくなった社会で、一番苦労するのは子どもです。なぜか。子どもとは一番速やかに変化する人たちだからです。育つ、つまり変わっていくこと自体が、言ってみれば、子どもの目的みたいなものです。 ところが情報化社会になると、情報はカチンカチンに固まって止まっていて、子どもまで固めてしまう。その延長で、個性を伸ばせとか、自分を探せとか言われてしま う。そんな自分なんてあるわけありません。だって探している当の自分がどんどん変 わっていくんですから。 じゃあ、個性って何なのか。個性を伸ばす教育とはどういうことでしょう。) 誰だって、あなたを他人と間違えません。そそっかしい人なら別ですが。どうして間違えないかというと、顔が違う、立ち居振る舞いが違う、つまり身体が違うからです。 どのくらい身体が違うかというと、たとえばあなたの皮膚を取って、親に移植したと思ってください。つきません。逆に親の皮膚をもらって、自分につけてもらっても、やっぱりつきません。移植した皮膚は間もなく死んで、落ちてしまいます。 誰も教えたわけではないのに、身体は自分と他人を、たとえ親であっても、区別しています。それが個性です。そこまではっきり区別するもの、親子ですら通じ合えないもの、それこそが個性です。 だから個性とは、実は身体そのものです。でも普通は、個性とは心だと思われています。ここに大きな誤解があります』、「自分は名前つまり情報ですから、いつも「同じ」です。 自分が情報になり、変わらなくなると、死ぬことがおかしなことに感じられます。死ぬとは、自分が変わるということです。同じ私、変わらない私があるなら、死ぬのはたしかに変です。だから現代人は死ぬことが理解できなくなりました」、「教育が何をすることなのか、わからなくなってしまった。変わらない自分が素晴らしいとなるのだから、当然です。 人が変わらなくなった社会で、一番苦労するのは子どもです。なぜか。子どもとは一番速やかに変化する人たちだからです。育つ、つまり変わっていくこと自体が、言ってみれば、子どもの目的みたいなものです。 ところが情報化社会になると、情報はカチンカチンに固まって止まっていて、子どもまで固めてしまう」、「身体は自分と他人を、たとえ親であっても、区別しています。それが個性です。そこまではっきり区別するもの、親子ですら通じ合えないもの、それこそが個性です。 だから個性とは、実は身体そのものです。でも普通は、個性とは心だと思われています。ここに大きな誤解があります」、なるほど。

第三に、5月5日付け東洋経済オンラインが掲載した看取りの医者の平野 国美氏による「72歳「余命3カ月」を部活仲間に託した彼の最期 血縁に頼れない時代、誰に看取られるのがいいか 」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/669651
・『「治さない医者」を自認する訪問診療専門の医師・平野国美氏は、これまで2700人の最期を看取るなかで、「後悔なく」生きる秘訣は、「正しいわがまま」にこそあると会得した。どこでどのような最期を迎えたいのか、その意思表示をしておくことは、自分も周囲も幸せにするわがままだ。さらには、「誰と最後の時間を過ごすのか」も、大事なポイントとして、考えることをすすめる。著書『70歳からの正しいわがまま』から、一部抜粋してお届けする』、興味深そうだ。
・『最後の瞬間に「誰と」いたいか考えてみる  自宅をはじめとした好きな場所で最期を迎えることが、患者当人にとってはもっとも幸せらしいという確信のもと、私は常々「自宅で死のうよ」と言ってきた。 もちろん、患者の周囲の状況が、それを成せるかどうかがカギになるから、その準備をすること、自分も、看取る側も覚悟を決めておくことは必要になる。 どこで死ぬか同じように「誰に看取られるか」も、もはや自分で決めていいのではないかと、私は思っている。 既存の社会的な関係性や保守的なしがらみを超えて、「本当にこの人といたい」「最期はこの人に寄り添ってほしい」と思える、その誰かを選ぶわがままも、どこで死にたいのかと同様の、正しいわがままだと思うのだ。 末期がんの告知を受けた72歳の男性がいた。 結婚はしておらず、子どももいない。 「今日、病院で自分の病気の説明があるから、ついてきてくれないか」 天涯孤独の身の彼が、そうやって声をかけたのは、親類でも、内縁関係にある者でもない。男性が付き添いを依頼したのは、高校時代のヨット部の仲間たちだったのだ。 海洋冒険家・堀江謙一さんの『太平洋ひとりぼっち』に感銘を受けた世代。茨城県の、当時の高校生たちにとっても、霞ヶ浦から太平洋に漕ぎ出すことは、1つのステータスだったに違いない。) そんな、眩しい青春の時間をともに過ごした仲間たちに、男性はある意味、とても無茶な頼み事をしたのだ。 そのとき、医師から告げられたのは、主に2点だった。 本人が末期のがんであること。そして、もはや病院で施す治療は何もなく、「この先は自宅か施設で過ごしていただくことになる」ということだった。 しばしの沈黙が流れた。 やがて、自分自身の運命を受け入れた男性は、不意にすぐ隣で押し黙ったままでいた後輩の手を握って、頭を下げた。「よろしく頼むよ」と』、「末期がんの告知を受けた72歳の男性がいた。 結婚はしておらず、子どももいない。 「今日、病院で自分の病気の説明があるから、ついてきてくれないか」 天涯孤独の身の彼が、そうやって声をかけたのは、親類でも、内縁関係にある者でもない。男性が付き添いを依頼したのは、高校時代のヨット部の仲間たちだったのだ」、「高校時代のヨット部」の活動がよほど濃密だったのだろう。
・『ヨット部仲間たちと「青春再来」を味わい尽くす  いくら、10代の多感な時代、ともに汗を流した仲間からの頼みとはいえ、親兄弟でもない人の世話なんて……。 ごく普通の感覚の持ち主なら、そう思うかもしれないが、驚いたことに、彼らは違った。なんと、末期がんの男性の介護を、仲間全員で引き受けるという一大プロジェクトを敢行するのだ。 手を握られた後輩は苦笑いを浮かべつつ、正直にこう告白した。 「あの瞬間は、『な、なんで俺?』と思いましたよ。親の介護すら、経験したこともなかったですから」 それでも、彼らは、男性のために走り回った。 すぐに入居できる施設を探し回り、あっという間に彼の〝終の住処〟を見つけてきた。会計を担当する者、必要な物資をそろえる者、ただ、毎晩のように施設に通ってきては、寄り添い続ける者……。仲間たちは役割を分担し、それぞれができることを精一杯やりながら、男性の最後の時間を支えた。 仲間のなかには女性の姿もあった。聞けば、国体のセーリング競技で優勝経験もあるという猛者だった。 そんな女性がかいがいしく彼のことを介護する姿を目の当たりにして、私は勝手に思い込んでいた。2人は過去に男女の関係があったのではないかと。ある日、その疑問を彼女にぶつけると、彼女は笑ってこう返した。) 「ない、ない、あるわけないでしょ。そんな、ややこしい過去があったら、いまこうしてパンツ下ろしたり、おむつ替えたりなんてできんわ」 そんなものかと思う半面、過去に何もなかった男性の、下の世話なんてできるものだろうか、と思ったりもした』、「彼らは、男性のために走り回った。 すぐに入居できる施設を探し回り、あっという間に彼の〝終の住処〟を見つけてきた。会計を担当する者、必要な物資をそろえる者、ただ、毎晩のように施設に通ってきては、寄り添い続ける者……。仲間たちは役割を分担し、それぞれができることを精一杯やりながら、男性の最後の時間を支えた。 仲間のなかには女性の姿もあった。聞けば、国体のセーリング競技で優勝経験もあるという猛者だった」、「2人は過去に男女の関係があったのではないかと。ある日、その疑問を彼女にぶつけると、彼女は笑ってこう返した。 「ない、ない、あるわけないでしょ。そんな、ややこしい過去があったら、いまこうしてパンツ下ろしたり、おむつ替えたりなんてできんわ」 そんなものかと思う半面、過去に何もなかった男性の、下の世話なんてできるものだろうか、と思ったりもした」、なるほど。
・『血縁に頼れない時代  彼らを見ていると、これからは血縁に頼れない時代なのだと、つくづく思い知らされた。 核家族化が進み、誰にも高齢独居の可能性がある現在、死期の迫った患者の介護をしている人というのは、配偶者や子どもばかりではない。 先にいくつもの例を紹介してきた内縁関係にある人が介護を担うケースはお伝えしたとおりだが、親類でもない者や、子や親族には決して歓迎されてはいない者……。 こんなことを書くと、保守的な人たちから集中砲火を浴びそうだが、私は当事者同士に強い絆があるのならば、そんな内縁関係の誰かが、生い先短い患者の面倒を見ることは、大いに結構なことだと考えている。 不倫も内縁も大歓迎。部活仲間が看取るというケースは多くはないが、部活仲間たちに見送られるなんて、人生の最終末を、青春時代の思い出とともに結ぶようで、実にすがすがしいものに感じる。 死に場所を自由に選びたいと考えること、それと同じように、その瞬間を、誰に寄り添ってもらいたいのかも、もっと旅立つ人の意思が尊重されていい。 件の男性は、がん告知から3カ月を経たある夜、仲間たちに囲まれながら、静かに息を引き取った。 私は死亡診断書を書きながら思った。彼に対して、私たち医療者が果たした役割は、じつに微々たるものだった、と。彼の最期を、わずかでも幸せな時間にしてくれたそのすべては、彼の仲間たちがもたらしたものだった。 死後、彼の遺骨は、仲間たちの手で霞ヶ浦に散骨された。 そこは、高校時代に皆でヨットを浮かべた入江。 半世紀を経て、部活でともに汗を流した水辺は「別れの場所」になり、かつての仲間は葬儀の参列者となったのだ』、「人生の最終末を、青春時代の思い出とともに結ぶようで、実にすがすがしいものに感じる・・・件の男性は、がん告知から3カ月を経たある夜、仲間たちに囲まれながら、静かに息を引き取った・・・彼の遺骨は、仲間たちの手で霞ヶ浦に散骨された」、うらやましい限りだ。私は、病院は東京警察病院に行っているが、「看取り」を依頼できるようなホームドクターも作っておくべきだと思った。

第四に、7月21日付け現代ビジネス「「タイでは葬式で泣いている人がいないんです」…《死を怖れないラクな死に方》とは 出家した直木賞作家」を紹介しよう。
・『笹倉明さんの考え:「できるかな」「なかなか難しいな」そうやって、いろいろなことに挑戦して、人は成長する。そして人生の最後に挑む壁が「死」だ。亡くなったあの人たちは、どんな思いでそれを乗り越えたのか。 1つめの記事『「裕次郎のようには達観できないんだよ、俺は」…【死】に先人たちはどう向き合い、寄り添ったのか 石原慎太郎と裕次郎兄弟のケース』より続く』、興味深そうだ。
・『「楽な死に方」「苦しい死に方」はあるのか?  「だが、あがけばあがくほど、死の苦しみは増すのではないか?」多くの人は、そう不安になるだろう。在宅医療で多くの患者を看取ってきた中村伸一医師が語る。 「末期の苦しみは、亡くなる病気にもよります。例えば、がんの場合は麻薬で痛みをコントロールできるので、それほど苦しまないことが多い。 胃がん・大腸がん・膵臓がんが肝臓に転移するとアンモニアが体内で作られ肝性脳症といって頭がボーっとします。そうなると、それほど麻薬を使わなくても楽に亡くなる方もいます。一方で、慢性の肺疾患や心不全は、苦しまれる方も多いですね」 自宅で亡くなる場合も、余計な延命治療をしないので、比較的穏やかな最期を迎えやすいという。 「在宅医療では高度なことができません。でも逆に余計なことをしないというメリットもあります。 一般の医療は足し算です。酸素を投与する、脱水なら水を入れる、痛みには痛み止めを使うという医療です。しかし、低酸素や脱水になると、ボーっとした意識になり、痛みも感じないままに逝けるのです。 それを無理に酸素投与や点滴をすると、意識がシャンとして、痛みを感じるので麻薬を増やすことになる」(中村医師) 終末期はあまり余計な医療行為をほどこさないほうが、穏やかに過ごせるのだ。 そのあたりのことは、主治医とよく話しあって、どういう最期を迎えたいのか『エンディングノート』に書いておくことです。家族が『延命してほしい』と口を出すことがありますが、私なら患者と書面の約束があれば、そちらを優先します。 私は患者さんが元気なうちに、『判断能力がなくなったら、できるだけ長く生きることを優先順位のトップにしますか。それとも苦しまないこと、あるいは自分の尊厳を優先しますか』と尋ねるようにしています」』、「「在宅医療では高度なことができません。でも逆に余計なことをしないというメリットもあります。 一般の医療は足し算です。酸素を投与する、脱水なら水を入れる、痛みには痛み止めを使うという医療です。しかし、低酸素や脱水になると、ボーっとした意識になり、痛みも感じないままに逝けるのです。 それを無理に酸素投与や点滴をすると、意識がシャンとして、痛みを感じるので麻薬を増やすことになる」(中村医師) 終末期はあまり余計な医療行為をほどこさないほうが、穏やかに過ごせるのだ」、なるほど。
・『死の瞬間はそれほど苦しくないのではないか  直木賞作家で、'16年にタイのチェンマイの寺院で出家した笹倉明さんは、死に対する恐れが徐々に薄れてきたという。 「タイでは葬式で泣いている人がいないんです。死は悲しむべきものではなくて、むしろ現世の苦しみから解放されて、来世に行くというのがタイ人の考え方です。無論、死は喜ぶべきものではありませんが、悲しみ恐れるべきものでもなく、万人に訪れる宿命なのです。 私も、おそらく死ぬ瞬間はそれほど苦しくないのではないか、と思っています。どんな死に方であろうと、死が迫ったときの人間は、非常に安らかな状態になるのではないでしょうか。実際、私も、眠るように息を引き取る人たちばかりを見てきました」 いずれは誰もが通る道だ。ジタバタしようが達観しようが、自分なりの向き合い方をすれば、それでいい。 3つめの記事『「死の間際」で人はどんな話をしたいのか? それは「いつも通りの会話」かもしれない…コラムニスト・小田嶋隆さんとの別れの際に思想家・内田樹さんが感じたこと』につづく』、「「タイでは葬式で泣いている人がいないんです。死は悲しむべきものではなくて、むしろ現世の苦しみから解放されて、来世に行くというのがタイ人の考え方です。無論、死は喜ぶべきものではありませんが、悲しみ恐れるべきものでもなく、万人に訪れる宿命なのです。 私も、おそらく死ぬ瞬間はそれほど苦しくないのではないか、と思っています。どんな死に方であろうと、死が迫ったときの人間は、非常に安らかな状態になるのではないでしょうか。実際、私も、眠るように息を引き取る人たちばかりを見てきました」、なるほど。

第五に、7月21日付け現代ビジネス「「死の間際」で人はどんな話をしたいのか? それは「いつも通りの会話」かもしれない…コラムニスト・小田嶋隆さんとの別れの際に思想家・内田樹さんが感じたこと」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/113380?imp=0
・『「できるかな」「なかなか難しいな」そうやって、いろいろなことに挑戦して、人は成長する。そして人生の最後に挑む壁が「死」だ。亡くなったあの人たちは、どんな思いでそれを乗り越えたのか。 2つめの記事『「タイでは葬式で泣いている人がいないんです」…《死を怖れないラクな死に方》とは 出家した直木賞作家・笹倉明さんの考え』より続く』、興味深そうだ。
・『死の間際に考えること  思想家の内田樹さんは、コラムニストの小田嶋隆さん(享年65)が亡くなる11日前に、小田嶋さんの家を訪ねた。 「ちょうどいまから1年ほど前のことです。小田嶋さんから電話があって、『そろそろですから……』という感じでしたので、友人の平川君(文筆家で実業家の平川克美さん)と連絡を取り合い、ご自宅にうかがいました。 亡くなった後に『小田嶋さんから電話があった』という話はいろいろな方から聞きました。ベッドから最後のあいさつをされたのです。なんと細やかな気の使い方だろうと思いました。奥さんに伺ったら、声も出せないほど苦しい状態のときもあったのだけれど、薬が効いていて話ができる体調になると電話に手を伸ばし、最後のあいさつをしていたそうです」 死を間際に、小田嶋さんがいちばんに考えたことは、友人たちにきちんと別れのあいさつをするということだった。小田嶋さんには親友でクリエイティブ・ディレクターの岡康道さんが急逝したときに、別れのあいさつができなかったことをずっと悔いていたので、自分の友人たちにはそんな思いをさせまいと、限りある体力をふりしぼって電話をしたのである』、「死を間際に、小田嶋さんがいちばんに考えたことは、友人たちにきちんと別れのあいさつをするということだった。小田嶋さんには親友でクリエイティブ・ディレクターの岡康道さんが急逝したときに、別れのあいさつができなかったことをずっと悔いていたので、自分の友人たちにはそんな思いをさせまいと、限りある体力をふりしぼって電話をした」、大したものだ。
・『満足できる「最後の話」  「僕たちが見舞いに行ったときは、ベッドに横臥して、点滴を打ちながら、息も絶え絶えという様子でしたが、それでも、かすれる声で『今いちばんしたいことはバカ話なんです』といわれました。 『それじゃあ』と、平川君と奥さんを交えて4人でしゃべっているうちに、面白いもので、小田嶋さんの顔色がどんどんよくなってきたんです。最初のうちは痰を吐きながら、かろうじてかすれる声でしゃべっていたのが、どんどん滑舌がよくなって、そのうちに上半身を起こして、熱く文学について語りはじめました」 「バカ話」といいながら、最後に熱弁をふるったのは、橋本治の文学史的な重要性についてだった。そんな話ができて小田嶋さんは満足そうだったという。 「そういう場では、どうしても深刻になりがちです。でも彼は『最後に言い残すことはありますか?』なんて訊かれたくないわけです。これまで会っていたときと同じように、笑いながら、普通のおしゃべりがしたかったのでしょう。小田嶋さんのその気持ちがよくわかります」』、「最初のうちは痰を吐きながら、かろうじてかすれる声でしゃべっていたのが、どんどん滑舌がよくなって、そのうちに上半身を起こして、熱く文学について語りはじめました」 「バカ話」といいながら、最後に熱弁をふるったのは、橋本治の文学史的な重要性についてだった。そんな話ができて小田嶋さんは満足そうだったという」、なるほど。
・『あふれ出る感謝の念  内田さんが小田嶋さんに会ったのは亡くなる10日ほど前だったが、息を引き取る直前に、人はどんな言葉を発するのだろうか。 前出の中村伸一医師が語る。 「最後は意識もあいまいになって、言葉も不明瞭になるケースがほとんどです。しかし、稀に感謝の気持ちをはっきりと口にする人もいます。 おとなしいけれど、芯が強かった男性がいました。小さな会社で定年を2度も延長して勤め続け、最後はボランティアをしていたのですが、亡くなる直前は衰弱して飲み込む力も弱くなっていました。奥さんが、なにがほしいかと訊いたところ、『味噌汁がええな。あの一杯でどれだけ救われたことか』と言ったそうです。 無口な人で会社の愚痴を家でこぼす人ではなかったけれども、現役時代には我慢することもあったでしょう。いろいろな思いを胸に秘めて奥さんの味噌汁をすすっていたことがよくわかります」 他にも、頑固で家族も訪問診療で訪れる医師も手こずらせた男性が、妻に「いままでおおきに。家で死ねていい人生やった。お前も先生に看取られてここで死ねよ」と言い残したこともあった。 「私にとっても最高の褒め言葉で、最後にこんなことを言われるのなら、もっと優しくしておけばよかったと思いました」(中村医師) 最後の最後まで、意識が明確でいられる保証はない。ましてや、思った通りに話をするのは難しいだろう。伝えたいことがあるのなら、早めに素直な気持ちを口にしておきたい。 4つめの記事『「いままで、ありがとうな」…アントニオ猪木さんの弟が、腕も上げられない兄の最期を看取ることができて「本当に良かった」と語る理由』につづく』、「最後の最後まで、意識が明確でいられる保証はない。ましてや、思った通りに話をするのは難しいだろう。伝えたいことがあるのなら、早めに素直な気持ちを口にしておきたい」、その通りだ。
タグ:(その8)(3800人看取ったホスピス医が説く「生きるヒント」 「人生は自分をわかってくれる人を探す旅だ」、『バカの壁』から20年…ここにきて 養老孟司が「現代人は死ぬことが理解できなくなった」と断言するワケ、72歳「余命3カ月」を部活仲間に託した彼の最期 血縁に頼れない時代、誰に看取られるのがいいか 、「タイでは葬式で泣いている人がいないんです」…《死を怖れないラクな死に方》とは 出家した直木賞作家・笹倉明さんの考え、「死の間際」で人はどんな話をしたいのか? それは「いつも通りの会話」かもしれない 終末期 東洋経済オンライン 小澤 竹俊氏による「3800人看取ったホスピス医が説く「生きるヒント」 「人生は自分をわかってくれる人を探す旅だ」」 小澤さんの著書『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』 「「誰かにわかってもらえた」と感じることで、多くの人は苦しみの中でも穏やかさを取り戻し、前向きに生きるきっかけをつかむことができます」、なるほど。カトリックで死ぬ前に、神父に告白するのもこの一環だろう。 「自分の気持ちをわかってくれていると思える存在がいるとき、私たちは安心して、ありのままでいることができます。 私たちが自分らしくいられるのは、誰かがわかってくれるからなのです・・・人は「自分の時間を大切な人、大切なことのために使うことができた」と感じたとき、自分の生きる意味を見いだしやすくなり、後悔の少ない人生を送ることができるからです」、なるほど。 「そのような場合は、自分の気持ちをわかってくれると思える誰かをただ待つだけでなく、自ら探しに行ってみるのはどうでしょうか。 まず自分が相手の話を聴いてみるのです。 一見、遠回りのように見えても、それがわかってもらえる誰かに出会う、そして本当の意味で幸せになるための近道だと、私は思っています」、 「方法はもうひとつあります。「自分の気持ちをわかってくれる人が誰もいない」と感じている人は、ぜひ一度、丁寧に過去を振り返り、良かったこと、楽しかったことを思い出してみてください。 誰かといて心の安らぎを感じたことはありませんでしたか? 誰かの言葉に「この人は自分の気持ちをわかってくれた」と喜びを感じたりしたことはありませんでしたか? その相手はもう連絡が取れない人、この世にいない人かもしれません。 でも、「もしあの人が近くにいたら、自分にどんな言葉をかけてくれるだろう」「もしあの人が生きていたら、自分の気持ちをわかってくれるかもしれない」「頑張っている自分に、『それで良い』と言ってくれるかもしれない」と思うことができたら、それだけで十分に救いになり、今の苦しみが和らぐのではないでしょうか」、なるほど。 現代ビジネス 養老 孟司氏による「『バカの壁』から20年…ここにきて、養老孟司が「現代人は死ぬことが理解できなくなった」と断言するワケ」 「朝目が覚めると、ああ、俺は俺だ、と思う。今日は昨日の続きである。それは意識が戻ったということです。意識は寝るととりあえず消えますが、朝になると戻る。その都度私たちは、私は私だと確認する。もちろんそこの確認自体はほとんど無意識になされます」、 「私は情報化社会という言葉を、違った意味で使います。人間自体が情報になったのです。情報化したのは人間です。「同じ私」とは、変わらない私です。変わらない私とは、情報としての私です」、なるほど。 「自分は名前つまり情報ですから、いつも「同じ」です。 自分が情報になり、変わらなくなると、死ぬことがおかしなことに感じられます。死ぬとは、自分が変わるということです。同じ私、変わらない私があるなら、死ぬのはたしかに変です。だから現代人は死ぬことが理解できなくなりました」、「教育が何をすることなのか、わからなくなってしまった。変わらない自分が素晴らしいとなるのだから、当然です。 人が変わらなくなった社会で、一番苦労するのは子どもです。なぜか。子どもとは一番速やかに変化する人たちだからです。育つ、つまり変わっていくこと自体が、言ってみれば、子どもの目的みたいなものです。 ところが情報化社会になると、情報はカチンカチンに固まって止まっていて、子どもまで固めてしまう」、「身体は自分と他人を、たとえ親であっても、区別しています。それが個性です。そこまではっきり区別するもの、親子ですら通じ合えないもの、それこそが個性です。 だから個性とは、実は身体そのものです。でも普通は、個性とは心だと思 われています。ここに大きな誤解があります」、なるほど。 平野 国美氏による「72歳「余命3カ月」を部活仲間に託した彼の最期 血縁に頼れない時代、誰に看取られるのがいいか 」 著書『70歳からの正しいわがまま』 「末期がんの告知を受けた72歳の男性がいた。 結婚はしておらず、子どももいない。 「今日、病院で自分の病気の説明があるから、ついてきてくれないか」 天涯孤独の身の彼が、そうやって声をかけたのは、親類でも、内縁関係にある者でもない。男性が付き添いを依頼したのは、高校時代のヨット部の仲間たちだったのだ」、「高校時代のヨット部」の活動がよほど濃密だったのだろう。 「彼らは、男性のために走り回った。 すぐに入居できる施設を探し回り、あっという間に彼の〝終の住処〟を見つけてきた。会計を担当する者、必要な物資をそろえる者、ただ、毎晩のように施設に通ってきては、寄り添い続ける者……。仲間たちは役割を分担し、それぞれができることを精一杯やりながら、男性の最後の時間を支えた。 仲間のなかには女性の姿もあった。聞けば、国体のセーリング競技で優勝経験もあるという猛者だった」、 「2人は過去に男女の関係があったのではないかと。ある日、その疑問を彼女にぶつけると、彼女は笑ってこう返した。 「ない、ない、あるわけないでしょ。そんな、ややこしい過去があったら、いまこうしてパンツ下ろしたり、おむつ替えたりなんてできんわ」 そんなものかと思う半面、過去に何もなかった男性の、下の世話なんてできるものだろうか、と思ったりもした」、なるほど。 「人生の最終末を、青春時代の思い出とともに結ぶようで、実にすがすがしいものに感じる・・・件の男性は、がん告知から3カ月を経たある夜、仲間たちに囲まれながら、静かに息を引き取った・・・彼の遺骨は、仲間たちの手で霞ヶ浦に散骨された」、うらやましい限りだ。私は、病院は東京警察病院に行っているが、「看取り」を依頼できるようなホームドクターも作っておくべきだと思った。 現代ビジネス「「タイでは葬式で泣いている人がいないんです」…《死を怖れないラクな死に方》とは 出家した直木賞作家」 「「在宅医療では高度なことができません。でも逆に余計なことをしないというメリットもあります。 一般の医療は足し算です。酸素を投与する、脱水なら水を入れる、痛みには痛み止めを使うという医療です。しかし、低酸素や脱水になると、ボーっとした意識になり、痛みも感じないままに逝けるのです。 それを無理に酸素投与や点滴をすると、意識がシャンとして、痛みを感じるので麻薬を増やすことになる」(中村医師) 終末期はあまり余計な医療行為をほどこさないほうが、穏やかに過ごせるのだ」、なるほど。 「「タイでは葬式で泣いている人がいないんです。死は悲しむべきものではなくて、むしろ現世の苦しみから解放されて、来世に行くというのがタイ人の考え方です。無論、死は喜ぶべきものではありませんが、悲しみ恐れるべきものでもなく、万人に訪れる宿命なのです。 私も、おそらく死ぬ瞬間はそれほど苦しくないのではないか、と思っています。どんな死に方であろうと、死が迫ったときの人間は、非常に安らかな状態になるのではないでしょうか。実際、私も、眠るように息を引き取る人たちばかりを見てきました」、なるほど。 現代ビジネス「「死の間際」で人はどんな話をしたいのか? それは「いつも通りの会話」かもしれない…コラムニスト・小田嶋隆さんとの別れの際に思想家・内田樹さんが感じたこと」 「死を間際に、小田嶋さんがいちばんに考えたことは、友人たちにきちんと別れのあいさつをするということだった。小田嶋さんには親友でクリエイティブ・ディレクターの岡康道さんが急逝したときに、別れのあいさつができなかったことをずっと悔いていたので、自分の友人たちにはそんな思いをさせまいと、限りある体力をふりしぼって電話をした」、大したものだ。 「最初のうちは痰を吐きながら、かろうじてかすれる声でしゃべっていたのが、どんどん滑舌がよくなって、そのうちに上半身を起こして、熱く文学について語りはじめました」 「バカ話」といいながら、最後に熱弁をふるったのは、橋本治の文学史的な重要性についてだった。そんな話ができて小田嶋さんは満足そうだったという」、なるほど。 「最後の最後まで、意識が明確でいられる保証はない。ましてや、思った通りに話をするのは難しいだろう。伝えたいことがあるのなら、早めに素直な気持ちを口にしておきたい」、その通りだ。
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高齢化社会(その23)(和田 秀樹氏3題(「協調性のない高齢者」のほうが"若い"という根拠、「80歳の壁」を軽く超える人が70代でやらないこと、82歳で肺がん「たばこを禁止」にした家族の決断)、「夜中に尿意で目が覚める」は早死のサイン…専門医が指摘する"寿命とトイレ"の知られざる関係 「就寝後のトイレ」で死亡率は2倍になる) [社会]

高齢化社会については、5月18日に取上げた。今日は、(その23)(和田 秀樹氏3題(「協調性のない高齢者」のほうが"若い"という根拠、「80歳の壁」を軽く超える人が70代でやらないこと、82歳で肺がん「たばこを禁止」にした家族の決断)、「夜中に尿意で目が覚める」は早死のサイン…専門医が指摘する"寿命とトイレ"の知られざる関係 「就寝後のトイレ」で死亡率は2倍になる)である。

先ずは、6月18日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「「協調性のない高齢者」のほうが"若い"という根拠 「心のブレーキ」が老いを加速させるその理由」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/677458
・『誰もが避けては通れない「老い」。しかし、いつまで経っても若い人と老け込んでしまう人と分かれます。これはなぜなのでしょうか。 老いのいちばんの原因は、「年齢呪縛」にかかることだと話すのは、“高齢者専門の精神科医”和田秀樹氏です。「もういい歳なんだから、あたらしいことはできない」「食べ物も質素にして着るものだって地味な色を選ばないと……」といった「年齢呪縛」によって何事にも慎重になり、自分にブレーキをかけるようになる。すると心の自由も行動の自由もどんどん奪われます。その結果、老いが固定され、年齢通りの高齢者になってしまうといいます。 『心が老いない生き方』(ワニブックスPLUS新書)より一部抜粋・再構成のうえ、「心の老い」からの抜け出し方をお届けします』、「年齢呪縛」とは言い得て妙だ。
・『心が老いるとワクワク感が小さくなってくる  私たちが「齢を取ったな」と感じるのは、体力が衰えたり運動機能が低下したときだけではありません。これはたいていの人が気づいていると思いますが、身体的な老いの前にまず、気持ちの老いが自覚されるのです。 たとえば居酒屋好きの男性が友人から「駅の向こう側にいい店見つけたんだ。こんど飲みに行こうよ」と声を掛けられたようなときです。 あんなに居酒屋が好きだったのにふと「億劫だな」という気分になります。とくに忙しいわけでも疲れているわけでもないのに、何となく気が進まないのです。その友人が「いつ行ける?」と誘ってくると「そのうちな」と曖昧な返事になってしまいます。 面白そうな映画をやっているとか、好きな作家の新刊が出たとか、以前なら休日になるとすぐに目的地へ出かけたようなことでも、「急がなくていいか」とか「そんなに評判良くないな」とブレーキをかけてしまいます。 以前だったら「すぐ行こう!」でした。満足するかガッカリするか、そんなことは観てから、読んでからのことです。「面白そうだな」と思ったときには「行ってみよう!」という気になったのです。 それがだんだん自分でブレーキをかけるようになってきます。身体が動かないわけではないのですから、これは心のブレーキです。 「どうせ大したことないだろう」とか「いまじゃなくてもいつでも行けるんだから」とかいろいろ理由をつけますが、簡単に言えば心がそれほど動かなくなったのです。かつてのようなワクワク感が膨らんできません。 かつてはどうだったでしょうか。「面白そうだ」とか「いいな」「行ってみたい」と思えばもう動き出していました。ワクワクしてくると抑えきれません。それだけ心が若くて奔放だったのです。 逆にあれこれ言い訳をして行動をためらってしまうのは、それだけワクワク感が小さくなっているからだとも言えます。心が老いるとワクワクしなくなるのです』、「あれこれ言い訳をして行動をためらってしまうのは、それだけワクワク感が小さくなっているからだとも言えます。心が老いるとワクワクしなくなるのです」、なるほど。
・『ワクワクしなくなるのは「前頭葉の老化」が原因  脳も身体の一部分ですから加齢によって老化します。脳の中でもとくに前頭葉と呼ばれる部位は老化が始まるのが早くて、人によっては40代のころから機能が衰えてきます。 前頭葉が老化すると感激や感動といった心のときめきが薄れてきます。いわゆる感情の老化と呼ばれるものですが、外の世界への関心が薄れてくるのです。 すると好奇心とか憧れのようなワクワク感もなくなってきます。旅行でもグルメでも、ワクワク感がなくなってくると、自分を突き動かすものも弱くなります。「時間がない」とか「少し疲れも溜まっているし」といった言い訳も入り込みやすくなります。 すると「どうせ混んでるだろう」とか「味はだいたい想像できる」といった、動かない自分を正当化する理屈も出てきます。 でも、いろいろ言ってみたところで、ワクワク感が弱くなっていることがいちばんの原因でしょう。前頭葉が若々しいころでしたら、「わあ、行きたい」「いますぐ食べたい!」といったワクワク感が爆発しますから、先延ばしの言い訳なんか入り込む余地がないのです。 ワクワク感の衰えも心の老いを感じさせます』、「前頭葉が若々しいころでしたら、「わあ、行きたい」「いますぐ食べたい!」といったワクワク感が爆発しますから、先延ばしの言い訳なんか入り込む余地がないのです。 ワクワク感の衰えも心の老いを感じさせます」、老化で「ワクワク感」がなくなるというのは寂しい限りだ。
・『初めて経験することにワクワクしなくなった」  「料理でも旅行でも、慣れているメニューや訪ねたことのある場所のほうが安心する」 期待して裏切られるよりある程度結果の予測できるもののほうが安心というのもありますが、予測不能の世界にワクワクする前頭葉が衰えると、どうしても慣れている世界を選ぶようになってしまいます。) サラリーマンのランチなんかがわかりやすいでしょう。若いころは「今日はなに食べようかな」と考え、あっちの店、こっちの店、評判になっている店や行列のできている店にせっせと出かけていました。 ところがある年齢になってくると、ランチのメニューが決まってきます。「〇〇軒のラーメン」とか「○○屋の天ぷらそば」といった定番メニューが決まってしまい、それ以外の店には出かけなくなってきます。 自分でもつくづく「よく飽きないな」と感心しますが、慣れ親しんだ味がいちばん無難だと思い込んでいます。心の老いはランチのメニューにも表われるのです』、「ある年齢になってくると、ランチのメニューが決まってきます。「〇〇軒のラーメン」とか「○○屋の天ぷらそば」といった定番メニューが決まってしまい、それ以外の店には出かけなくなってきます」、「心の老いはランチのメニューにも表われるのです」、なるほど。
・『「丸くなったな」と気がつく心の老いがある  もう1つ、心の老いを教えてくれるものに協調性があります。 協調性には少しも悪いイメージはありません。組織で仕事をしていればチームワークは何より大事ですから、協調性こそ求められます。 自分の考えや意見にこだわってチームに逆らうとか、命令や指示に従わないような人間は組織には不要ですから、どんなに能力があっても「あいつはわがまま」とか「自分勝手で協調性がない」と見なされてしまいます。 ここでも面白いのは、協調性が成長とか成熟としばしば同一視されることでしょう。 「入社したころは逆らってばかりいたけど、最近はだいぶ協調性が出てきたな」 「彼も近ごろは協調性が出てきた。成長したんだな」 組織に馴染んできた部下を上司はしばしばこんな言い方で褒めます。採用面接の場でも、協調性の有無は大事なポイントになるでしょう。協調性が身についてきたかどうかが成長の目安にされてしまいます。どんなに在社年数が長くても、協調性のない人間は出世できなかったり大きなプロジェクトに入れなかったりします。 ところが老いてくると、この協調性が自然に備わってきます。備わってくるというより、自分に言い含めるようになってきます。 「いい齢をしてわがまま言うと嫌われるな」とか「齢なんだからもう少し穏やかにならないと」と自分に言い聞かせ、家族や周囲の意見に合わせるようになってくるからです』、「老いてくると、この協調性が自然に備わってきます。備わってくるというより、自分に言い含めるようになってきます。 「いい齢をしてわがまま言うと嫌われるな」とか「齢なんだからもう少し穏やかにならないと」と自分に言い聞かせ、家族や周囲の意見に合わせるようになってくるからです」、なるほど。
・『周囲に合わせる、同調圧力に負けてしまう  それができるようになると、ふと自分でも気がつきます。 「わたしも丸くなったな。それだけ齢を取ったのかな」 そう考えることで何となく納得してしまいます。 でも、自分がやりたかったことや主張したかったことはどこに消えたのでしょうか。抑え込んで我慢したのだとすれば、心は不自由を受け入れたことになります。そのことで老いを実感できたとすれば、それも心の老いということになるはずです。) 心の老いは年齢に関係なく始まります。通常なら脳が老化するはずもない10代20代であっても、心の自由を封じ込めようとすることがあるからです。 自分の意見や考えていることをのみ込む、やってみたいことを我慢する、周囲に合わせて行動する、こういったこともすべて心の自由を封じ込めることになります。 考えてみれば学校教育そのものが心の自由を制限してきました。友だちが多くてみんなと仲良くできる子が「いい子」です。親や先生の言うことに従うのが「いい子」です。和を乱さないとか、社会の道徳やモラルを守るのが「いい子」です。 この流れは大学に入っても続きます。 高等教育は本来、それまでに学んだ知識をもとに自分で考えたり、推理したり、あるいはそれを試してみる学生を育てることだったはずですが、大学生になっても上から教え込まれた理論や学説をそのまま覚えることが勉強になってしまいます。いくら自分で自由な発想をしても、教わった理論や学説から外れていれば評価されません。心の自由を抑え込まれたままで社会に出るのです。 社会に出れば今度は協調性ですから、ここでも上司や同僚に合わせることが生き延びる道になります。世の中の風潮とか常識に従うしかなくなります。同調圧力にも簡単に負けてしまうのです。 周囲に合わせているかぎり安全です。誰からも非難されないし、目立つこともありません。無意識のうちに安全、安心を選んでしまうというのも心の老いの表われでしょう。なぜならワクワクしたりドキドキしたりすることがないからです。 「これを言い出せばみんなに非難されるだろうな」 「でも共感してくれる人だっているかもしれない」 どっちになるかわからないけど、とにかく自分が思ったことを話したり、やりたいことを実行するときにはドキドキするはずです。心が老いてくると、そういうドキドキすることやワクワクすることを避けるようになってきます』、「心が老いてくると、そういうドキドキすることやワクワクすることを避けるようになってきます」、なるほど。
・『「年齢呪縛」に捕まりやすい人の生き方  高齢になってくるとほとんどの人が慣れた世界を選ぶようになります。たとえばメニューを眺めて初めての料理と食べ慣れた料理があれば、どうしても食べ慣れたほうを選びます。 これは味つけや素材がわかっていたほうが安心だからです。脂っぽくて食べられないとか固くて食べられないとか、そういうことだけはなくなります。 旅行や読書でも同じです。聞いたこともない場所より、何度も出かけた観光地、全国的に有名な町や温泉を選びます。読書もよく知っている作家や好きなテーマの本を選びます。すべて、大きく期待を裏切られることがないとわかっているから安心なのです。) ところが同じ高齢者でも若々しいタイプは違います。 結果がわかっている世界より、予測できない世界のほうを選びたがります。たとえばみんなで食事をするときでも、メニューに聞いたことのない料理名を見つけると「これなんだろ?食べてみるかな」と面白がります。周りが「やめとけ、食べ残したらもったいない」と声をかけても「そのときは手伝ってくれ」と愉快がります。 結果はもちろんいろいろです。思いがけない美味しさに大喜びするときもあれば、やっぱり口に合わなくて「失敗したなあ」と後悔するときもあります。 でもこういうタイプはめげないのです。 同じような場面になればまた未知のメニューに挑戦します。旅行や読書、あるいはファッションでも同じです。知り尽くした安心感より、未知の経験や世界のほうに惹かれてしまいます。ワクワク、ドキドキすることが快感だからです』、「高齢になってくるとほとんどの人が慣れた世界を選ぶようになります。たとえばメニューを眺めて初めての料理と食べ慣れた料理があれば、どうしても食べ慣れたほうを選びます。 これは味つけや素材がわかっていたほうが安心だからです」、「同じ高齢者でも若々しいタイプは違います。 結果がわかっている世界より、予測できない世界のほうを選びたがります。たとえばみんなで食事をするときでも、メニューに聞いたことのない料理名を見つけると「これなんだろ?食べてみるかな」と面白がります・・・知り尽くした安心感より、未知の経験や世界のほうに惹かれてしまいます。ワクワク、ドキドキすることが快感だからです」、なるほど。
・『年齢が若くても「心の老い」が始まっている人  こういうことは、必ずしも高齢者に限った話ではありません。年齢に関係なく、結果がわかっている安心を選ぶ人と、予測できない世界のワクワク感を選ぶ人がいるからです。わたしはここにも心の老いや若さが表われていると思います。 どんなに年齢が若くても、結果が予測できる安心・安全を選ぶ人は、すでに心の老いが始まっている可能性があります。そういう人が結局、ある年齢になると「わたしももう70歳過ぎたのだから」と意識し、年相応の分別や落ち着きを言い聞かせ、好奇心を抑え込んで自分の願望を封じ込めてしまいます。年齢呪縛に捕まりやすいのです。 なぜなら年齢というのはいちばん確かな現実になります。 やってみたいことや、試してみたいことがあっても、「もし失敗したら」と考えるとついためらいます。結果を予測できない世界に踏み出すことは勇気が要ります。たとえ心がそれを求めているとしても、「いくつになったと思うんだ」と実年齢を言い聞かせることで諦めがつきます。確かな現実を持ち出せば、心の不自由を受け入れることも納得できるのです』、「結果を予測できない世界に踏み出すことは勇気が要ります。たとえ心がそれを求めているとしても、「いくつになったと思うんだ」と実年齢を言い聞かせることで諦めがつきます。確かな現実を持ち出せば、心の不自由を受け入れることも納得できるのです」、なるほど。

・次に、7月12日付け東洋経済オンラインが掲載した 精神科医の和田 秀樹氏による「「80歳の壁」を軽く超える人が70代でやらないこと 「第二の人生」は"70歳"からが本番と言える根拠」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/683282
・『人生100年時代が叫ばれ、平均寿命も上がっています。ですが、老後資金の枯渇問題、健康や認知症といった老いへの恐怖などなど、不安を抱えている方は多いと思います。そんな暗雲垂れ込める人生100年時代をどう過ごしたらいいのでしょうか? 「80歳の壁を破り、幸せな老後を送ることができるか否かは、70代の過ごし方にかかっていると考えている」と言うのは、30年以上の長きにわたり、高齢者医療に携わってきた医師の和田秀樹さんです。同氏の新著『わたしの100歳地図』より一部抜粋し再構成のうえ、70代からの地図の描き方についてお届けします』、「80歳の壁を破り、幸せな老後を送ることができるか否かは、70代の過ごし方にかかっていると考えている」、興味深そうだ。
・『個人差が大きい70代  いよいよ70代です。これまでの多くの本でお伝えしてきましたが、80歳の壁を破り、幸せな老後を送ることができるか否かは、この70代の過ごし方にかかっているとわたしは考えているわけです。 わたしがこれまで接してきた高齢者の多くの方に共通するのが、60代までは気にならなかったことが、70歳を過ぎるとどんどん増えてくるということです。体力は言うに及ばず、気力もそうですが、そういったことが見た目にもあらわれて、同じ70代でも個人差が顕著になってきます。 はたして、自分はどのようになっていくのでしょうか。これまでの人生を振り返れば、60歳からの10年などあっという間のことだと思います。実年齢よりも若い70代となるのか、はたまた老け込んだ70代となるのか、これから描く70歳の地図も、これまで接してきた多くの先輩たちの姿が参考になります。 3年以上に及んだコロナ禍の影響はわたしたちの生活に大きく影を落としましたが、とくに多くの高齢者を家に閉じ込めてしまいました。 ただでさえ70歳を過ぎると運動機能が低下し、どこにも出かけずに家で過ごしていたほうが楽だし、誰にも迷惑はかからないだろうと引きこもりがちとなりますが、運動機能が低下しているわけですから、そのような生活が続けばからだを動かすこと自体を面倒に感じるようになり、それこそ歩けなくなってしまったり、自由に動けなくなったりするリスクが高まります。) そればかりか、誰とも話さず、変化のない毎日を送れば、心の元気もなくなって、心身ともに衰えた覇気のない老人になってしまい、自覚のないなか知らず知らずのうちにうつ病や認知症を発症する危険性すらあるのです。 70歳ともなれば、誰でも体力や集中力が以前と比べて衰えてしまい、意欲面での低下は避けることはできません。しかし、老いを自覚したとしても、からだが動くうちはやりたいことをどんどんやって、自分の生きたいように生きるべきだとわたしは常日ごろより自分に言い聞かせています。 というのも、わたしは、幼少期からADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向があり、一つのことに集中できずいろいろなことに興味がわいてしまい、未知のものだとしても気になったことはすべて挑戦してきました。 このような傾向は幼少期にとどまらず、大学時代は医学部にいながらフリーライターとして、雑誌を中心にさまざまな取材、執筆活動をしていました。 そうした経験が、医師としてのいまの仕事や作家としての執筆、映画監督としての活動に大いに役立っているのですが、プライベートにおいても同様です。さまざまなことに対し関心は尽きません。ですから、わたしは70代になってもできるかぎり、少しでも興味のあることには挑戦し続けていくつもりです』、「わたしは、幼少期からADHD・・・の傾向があり、一つのことに集中できずいろいろなことに興味がわいてしまい、未知のものだとしても気になったことはすべて挑戦してきました。 このような傾向は幼少期にとどまらず、大学時代は医学部にいながらフリーライターとして、雑誌を中心にさまざまな取材、執筆活動をしていました。そうした経験が、医師としてのいまの仕事や作家としての執筆、映画監督としての活動に大いに役立っているのですが、プライベートにおいても同様です」、和田氏が「ADHD」だとは初めて知ったが、多角的な活動ぶりを見れば、その通りなのだろう。
・『年齢を理由にして諦めない  70歳を過ぎたからといって、隠居して老け込むにはまだまだ早すぎます。 「もう、いい年なのだから」と、年齢を理由にいろいろなことを諦めてしまうと、80歳になったときには、できることがほとんどなくなり、やりたいという気力すら消えてしまうでしょう。70代はまだまだ頑張れば中高年とほとんど変わらないぐらいの体力、知的機能を保つことができるのです。 例えば、アンチエイジングの治療は、80代になるとボトックスやヒアルロン酸の注入ではなかなか外見の衰えを補いきれませんが、70代であれば、かなり若々しい自分に戻ることができます。 日本ではなぜか美容医療やアンチエイジングの治療にネガティブなイメージをもつ人が多いのですが、治療を受けることで若々しさを保つことができて、気持ちまで前向きになれるのでしたら、ためらわずに試してみるべきです。 役者や歌手といった特別な人たちだけがいつまでも若々しくいられるのではなく、わたしたちも少しの意欲をもって取り組めば、70歳を過ぎてもダンディーな男性、おしゃれな女性でいられるのですから、やはり年齢に関係なく、チャレンジしていくことはいくつになっても大切なことといえます。) 地位や肩書にしがみついていた人が60代になると思ったほど幸せになっていないとお話ししましたが(参照:『定年後に「幸せを感じる人」が60過ぎてやらない事』)、地位や肩書があっても幸せそうにしている人はいます。年をとっても引退しないで自分の思いどおりに生きている人は、幸せな人生が送れているようです。 世の中では長く現役を続けている人のことを老害と呼んだりしますが、地位や肩書にしがみつく人は確かに老害と呼ばれてもいたし方ありません。しかしそうではなく周りに求められて長く現役を続けている人は幸せな人生を歩んでいます。 日本大学の顧問になった元オリックス会長の宮内義彦さんも、その一人です。現在86歳(本書執筆時点)ですが、頭もからだもしっかりしていて、鋭い意見をおもちの方なので、周囲の人たちも一目おいています。 わたしが長い間、医師として高齢者を診てきて思うことは、相手がボケていたり弱ったりしているなと感じると、医師でも看護師でも露骨ではないにしても対応の仕方がぞんざいになることがあります。 一方で、頭もしっかりしていて、態度も堂々としていれば、敬語を使って話しますし、周囲の対応も違ってきます。宮内さんを見ていると、自分に自信をもって、前向きに生きている感じがひしひしと伝わってきます。 だからこそ、周囲が宮内さんをまだまだ頼っているのだし、現役を続けていられるのだと思います。地位や肩書はその結果のものであって、それにしがみつくために現役を続けられているのではないことは明らかです』、「日本ではなぜか美容医療やアンチエイジングの治療にネガティブなイメージをもつ人が多いのですが、治療を受けることで若々しさを保つことができて、気持ちまで前向きになれるのでしたら、ためらわずに試してみるべきです」、「周りに求められて長く現役を続けている人は幸せな人生を歩んでいます。 日本大学の顧問になった元オリックス会長の宮内義彦さんも、その一人です。現在86歳(本書執筆時点)ですが、頭もからだもしっかりしていて、鋭い意見をおもちの方なので、周囲の人たちも一目おいています」、その通りなのだろう。
・『第二の人生は70歳を過ぎてから  よくも悪くも、年齢を重ねて仕事を続けていると、周囲からは「いつまでやっているんだ」と思われることがあるかもしれません。 しかし、医師の立場から言わせていただくと、「自分の幸せ」という観点からは、仕事を辞めてフヌケ状態になるよりは、続けられるかぎりは仕事を辞めるべきではありません。高齢になっても働き続けるということは、心身の健康を維持し、老化を遅らせるという意味でとても有効なのです。 少し前までは、定年退職というと60歳でしたが、2021年4月より「高年齢者雇用安定法」の改正法が施行され、事業主に対して定年を70歳に延長するなどの「就業確保措置」が努力義務化されました。 いわゆる「70歳就業法」が施行され、70歳までの定年の引き上げ、70歳までの継続雇用制度が導入され、多くの人が70歳まで働くことができるような世の中になってきました。 また、総務省統計局では、毎年「敬老の日」(9月の第3月曜日)を迎えるにあたり、日本の65歳以上の高齢者像を統計の視点からとりまとめています。 そのデータによりますと、2022年9月15日現在、65歳以上の高齢者は3627万人と過去最多になりました。総人口に占める割合は29.1%と、これも過去最高です。これに伴い、高齢者の就業者数も909万人と過去最多。65歳以上の高齢者の就業率は25.1%で、高齢者の4人に1人はなんらかの仕事に就いていることがわかります。) さらに、この内訳を年齢階級別に見ると、65~69歳の就業率は10年連続で伸び続けて、2021年には初めて50%を超えて50.3%となり、半数以上の人が働いていることが見てとれます。70歳以上も5年連続で上昇し、18.1%と5人に1人に近い就業率を示しています。 要因としては、人口の多い団塊の世代が2012年以降、65歳を超え始めたということもありますが、人生100年時代といわれるように、平均寿命、健康寿命ともに延びる一方、少子化などで若い世代の働き手が減少しているなど、さまざまな事由があげられます。 こういった数字からもわかるように、いまや人生の岐路は70歳からで、第二の人生は70歳から始まると言っても過言ではないでしょう。70歳はまだまだ心身ともに健康で、体力も気力もあり、現役時代と同様の生活ができる最後の活動期でもあります。 「そうはいっても、これまで家族のために一生懸命に働いてきたのだから、定年後はゆっくり過ごしたい」「70歳を過ぎてまで働きたくないよ」と言う人がいても不思議ではありません』、「「自分の幸せ」という観点からは、仕事を辞めてフヌケ状態になるよりは、続けられるかぎりは仕事を辞めるべきではありません。高齢になっても働き続けるということは、心身の健康を維持し、老化を遅らせるという意味でとても有効なのです」、「65~69歳の就業率は10年連続で伸び続けて、2021年には初めて50%を超えて50.3%となり、半数以上の人が働いていることが見てとれます。70歳以上も5年連続で上昇し、18.1%と5人に1人に近い就業率を示しています」、「70歳以上も・・・18.1%」とは予想外に高いようだ。
・『ボケないためにも仕事は続ける  しかし、ちょっと待ってください。これまで長く働いてきた人にとって、定年を迎え、会社を退職したことで生じる喪失感というものは想像以上に大きいものです。実際にそのような人をわたしは数多く見てきました。 ようやく宮仕えから解放されたので、きょうからやりたいようにやって暮らしていくぞと鼻息を荒くしても、ここまでさんざん言ってきたように、小さなことでも好きなことを見つけて、どんなことにも興味をもって接しないかぎり、あっという間に毎日が平坦でつまらないものになってしまいます。 退職後、急に何もせずに家にこもりがちになると、さまざまな脳機能の老化が進み、一気に老け込んでしまいますし、そんな生活が数カ月も続けば、あらゆることに意欲がわかなくなり、動くことすらも面倒になるため、認知機能と運動機能が一気に落ちてしまいます。 そうならないためにも、70歳からの第二の人生も、仕事だけに限りませんが、継続してできる何かを見つけておくことが大切なのです』、私の場合は、1日8千歩の散歩を朝と昼にするほかは、このブログの執筆である。

第三に、7月18日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「82歳で肺がん「たばこを禁止」にした家族の決断 和田秀樹さんが語る「80歳の壁」を越えてからの生き方」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/683283
・『人生100年時代が叫ばれ、平均寿命も上がっています。ですが、老後資金の枯渇問題、健康や認知症といった老いへの恐怖などなど、不安を抱えている方は多いと思います。そんな暗雲垂れ込める人生100年時代をどう過ごしたいいのでしょうか? 30年以上の長きにわたり、高齢者医療に携わってきた医師の和田秀樹さんの著書『わたしの100歳地図』より一部抜粋し再構成のうえ、「80歳の壁」を超えてからの生き方について語ります』、興味深そうだ。
・『不安、心配事のない人などいない  多くの人は、年齢を重ねることに相関して「老い」への不安や心配事が増えてくるものです。ところが、不安や心配事を相談したくても、一般的に日本の病院では、病名がついてないと保険診療を受けることができないため、老いや老後の不安のために医師に相談し、診察を受けることはなかなか難しいのが現状です。 いままさに苦しくて、つらい症状があるから病院にかかるわけで、先の不安よりもいまの苦痛をなんとかしてほしいという人のほうが圧倒的に多いので、医師や病院が不安の解消まで手が回らないのは当然のことと思います。 それではシニア向け自費診療のクリニックはどうかというと、多くは若返りと老化予防のケアがメインとなるアンチエイジング治療を中心にしているため、先々の不安、心配事についての相談はなかなかしにくいものがあります。 わたしも長い間、高齢者をはじめ多くの方の診察をしてきましたが、患者さんの口から直接、先々の不安についての悩みを聞くことはあまりありません。しかし、語らずとも多くの患者さんに不安や心配事があることはわかります。 養老孟司先生と対談したときのことです。 「ぼくは世の中、理屈どおりにいかないと思っているから、医者の言うことも聞かないんだよ」とおっしゃって、たばこをスパスパ吸っていました。) 養老先生に限らず、かなりのヘビースモーカーでも100歳まで生きた人もいますし、逆に、たばこを吸わなくても肺がんになって死んでしまう人もいます。それは当たりくじのようなもので、自分が当たりくじ側にいて長生きするのか、はずれくじ側にいてがんになってしまうのかは、いまの医学では誰にもわかりません。 あくまでも、がんになるリスクの大きいものがなんであるかという話であって、「絶対」はないのです。ですから、たばこを吸うと気分がいい、ホッとするというのに、先々の不安や心配事から無理やりたばこをやめたりやめさせられたりしてイライラするくらいなら、気分のいいほうをとったらいいのではないでしょうか。 わたしの友人の祖父は82歳のときに肺がんが見つかり、医師には「もう手遅れで手術もできない」と言われ、家族には「がんが進行してしまうから、たばこはやめなさい」と取り上げられてしまいました。 それでなくても、がんと宣告されてショックを受けていたのに、そのうえたばこまで取り上げられてしまったので、「オレはもう死ぬんだ」と言って、うつ状態になってしまいました。 ある日、その老人はたばこが原因でがんになることがあっても、たばこのせいでがんが進行するわけではないと開き直りました。その老人は再びたばこを吸いだすと見違えるように元気になり、そのあともたばこを吸い続けて10年、92歳まで生きました。最期は肺がんではなく、脳出血で亡くなりました』、「友人の祖父は82歳のときに肺がんが見つかり、医師には「もう手遅れで手術もできない」と言われ、家族には「がんが進行してしまうから、たばこはやめなさい」と取り上げられてしまいました。 それでなくても、がんと宣告されてショックを受けていたのに、そのうえたばこまで取り上げられてしまったので、「オレはもう死ぬんだ」と言って、うつ状態になってしまいました。 ある日、その老人はたばこが原因でがんになることがあっても、たばこのせいでがんが進行するわけではないと開き直りました。その老人は再びたばこを吸いだすと見違えるように元気になり、そのあともたばこを吸い続けて10年、92歳まで生きました。最期は肺がんではなく、脳出血で亡くなりました」、「82歳」で「肺がんが見つかり、医師には「もう手遅れで手術もできない」と言われ、家族には「がんが進行してしまうから、たばこはやめなさい」と取り上げられてしまいました」、年齢からも「たばこ」を止める必要はなかった。「「オレはもう死ぬんだ」と言って、うつ状態になってしまいました。 ある日、その老人はたばこが原因でがんになることがあっても、たばこのせいでがんが進行するわけではないと開き直りました。その老人は再びたばこを吸いだすと見違えるように元気になり、そのあともたばこを吸い続けて10年、92歳まで生きました。最期は肺がんではなく、脳出血で亡くなりました」、人生なんてそんなものなのかも知れない。
・『いつ死ぬかなんて誰にもわからない  わたしの血圧や血糖値、コレステロール値は、一般的に治療が必要とされる数値ですが、わたしは快適に暮らしていくため、自分なりに治療を受ける受けないを判断しています。これは自らのからだを使って人体実験をしているので、正直、何歳まで生きられるかはわかりませんし、70代、はたまた60代のうちに致命的な支障をきたしてしまうこともあるかもしれません。 しかし、80歳の壁を超えることができれば、なんらかの問題を抱えていたとしても、この80代もストレスなく愉快に生きられるはずだと思っています。なぜなら、一般的に「要治療」とされる数値であっても、自分の判断でどうするのか=対策を決めていますから、それに対する不安や心配事などないのです。 いくつまで生きられるか、それはわたしも含めて誰にもわかりません。これを心配しても始まりませんから、ただ自分の好きなことや楽しいと思えることを続けていくことが大切だと思っていますし、これは80代となっても変わらないはずです。) 不安のことでもう一つ、大切な話をしておきましょう。 著名な政治家や会社の社長が、カッとなり暴言を吐いたことで失脚してしまうというニュースを聞くことがよくあります。そのことで多くの人が「簡単に怒ってはいけないんだ」と思ってしまっているかもしれません。ところが、そのようなことは日本では珍しいからニュースになるわけで、怒り感情をあらわにして地位を失う人は、実はそんなに多くありません。 逆に腹が立っているのに、うまく怒ることのできない人のほうが日本人には圧倒的に多いのです。それは、怒りの感情をあらわにして他人から嫌われるのがイヤだからという理由で、正しい感情のコントロールができていないからなのです。 それよりも問題なのは、企業の社長をはじめとする高学歴でかつ出世競争にも勝ち抜いてきた人が、いとも簡単に粉飾決算をしたり、リコール隠しをしたりして、結局のところ刑事罰を受けるような始末となることです。 業績や評判の悪化、株主たちの目を恐れる不安感情から善悪の判断がつかなくなっているからで、わたしのような精神科医の立場から見ると、このように怒りの感情よりも不安感情のコントロールができないほうがよほど怖いといえます』、「問題なのは、企業の社長をはじめとする高学歴でかつ出世競争にも勝ち抜いてきた人が、いとも簡単に粉飾決算をしたり、リコール隠しをしたりして、結局のところ刑事罰を受けるような始末となることです。 業績や評判の悪化、株主たちの目を恐れる不安感情から善悪の判断がつかなくなっているからで、わたしのような精神科医の立場から見ると、このように怒りの感情よりも不安感情のコントロールができないほうがよほど怖いといえます」、同感である。
・『人の目を気にするから不安にさいなまれる  ここでおもしろいエピソードを紹介しましょう。 以前わたしが出版した『不安に負けない気持ちの整理術』という、不安にまつわる本はあまり売れませんでした。一方で『感情的にならない本』『感情的にならない気持ちの整理術』という本は50万部と30万部のベストセラーになりました。 感情的になってはいけないと思っている人は多いのですが、不安感情のほうがもっと怖いものだと認識している人が少ないということをよくあらわしています。怒りも不安も気持ちをきちんと整理すれば、怒るべきところで怒ることができるし、不安に支配されて判断を誤ることもないのです。 わたしは2022年の秋、日本国内では新型コロナウイルス感染症第7波のただ中にオーストラリアへ行きましたが、そこでは誰もマスクをしていませんでした。日本では、室内でなくても誰もがマスクをしていて、その当時の日本のマスク着用率は85%以上と、世界各国に比べて突出していました。 日本にいると日本人だけが異常だということに誰も気づかないのです。テレビをはじめとするメディアが報道している情報だけでなく、実際に自分の目で見たことのほうがよりリアルな情報として正しいことが多いのです。) さらに高齢者は感染リスクや感染後の死亡率も高いとされて、ここ日本では高齢者をマスクどころか家や施設に閉じ込めてしまいました。海外では、高齢者も当たり前のようにマスクを外して自由に行動しています。コロナ感染を怖がって家に閉じこもり、皆がマスクをするからマスクをするのではなく、もっと外へ目を向けてみるべきです。 このように、不安感情は人の行動を制限してしまいます。不安を強く感じすぎると思考がゆがんでしまい、何をするにも縮こまって生活していくこととなり、人生そのものがとても苦しいものになってしまいかねません。 結局はなるようにしかならないのですが、とはいえ残念ながら人は不安感情を完全に払拭することはできません。とくに日本人は先々の不安を感じやすい傾向にあります』、「不安感情は人の行動を制限してしまいます。不安を強く感じすぎると思考がゆがんでしまい、何をするにも縮こまって生活していくこととなり、人生そのものがとても苦しいものになってしまいかねません。 結局はなるようにしかならないのですが、とはいえ残念ながら人は不安感情を完全に払拭することはできません。とくに日本人は先々の不安を感じやすい傾向にあります」、「とくに日本人は先々の不安を感じやすい傾向にあります」、その通りだ。
・『「なるようにしかならない」  がんになったらどうしよう、認知症になったらどうしよう……考え始めたらキリがないほど不安材料が出てくると思います。実際は起こらないか起きてもささいなことがほとんどなのですが、なぜか多くの人が先々の不安を抱えて悩んでしまうのです。 不安を少しでも解消する方法があるとすれば、実際に起こりえることを予測するのが有効です。人は、自分が知らないことや経験したことがないことで、不安になります。ですから、その不安の正体を突き止めることができれば、不安に振り回されることもなくなるはずです。 がんになるかもと思っている人は、自分ががんになったら、どこの病院でどんな治療を受けるか、認知症になるのが不安なら、介護保険を受給するための準備をするなどです。なるかならないか、誰にもわからないことに不安をもつのではなく、なってしまうことを前提にあらかじめ解決策を用意しておくことで、先々の不安はかなり軽減されることでしょう。 多くの不安を抱える高齢者を診てきたなかで、「なるようにしかならないのだから先々の不安、心配はいらない」というのがわたしの持論です。 そして、これは誰もが知っておいたほうがいいと思いますが、先のことを心配していい対策が見つけられるのならそうすればいいのですが、それが見つけられないなら心配なんてしないほうがいいのです。先のことは、誰にも予想がつきません。予想がつくと思っているのは、人間のおごり高ぶりです』、「先のことを心配していい対策が見つけられるのならそうすればいいのですが、それが見つけられないなら心配なんてしないほうがいいのです。先のことは、誰にも予想がつきません。予想がつくと思っているのは、人間のおごり高ぶりです」、同感である。

第四に、7月16日付けPRESIDENT Onlineが掲載した医師・テストステロン治療認定医の平澤 精一氏による「「夜中に尿意で目が覚める」は早死のサイン…専門医が指摘する"寿命とトイレ"の知られざる関係 「就寝後のトイレ」で死亡率は2倍になる」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/71627
・『夜中に尿意で目が覚める「夜間頻尿」にはどんなリスクがあるのか。医師の平澤精一さんは「夜間排尿の回数が一晩に2回以上ある高齢者は、1回以下の高齢者に比べて、死亡率が1.98倍になる。夜間頻尿に悩む人は年齢が上がるほど多くなるが、『歳だから仕方ない』と考えないほうがいい」という――。 ※本稿は、平澤精一『老化を「栄養」で食い止める 70歳からの栄養学』(アスコム)の一部を再編集したものです』、「夜間頻尿」に悩まされる私としては、ひとしお関心が高いテーマだ。
・『日本人を悩ませる「夜間頻尿」の怖さ  私の専門は泌尿器科ですが、高齢の患者さんから非常によく聞くのが夜間頻尿の悩みです。夜間頻尿とは、「就寝後、トイレに行くために1回以上起きなければならず、それによって日常生活に支障をきたして困っている状態」のことです。 みなさんの中にも、「歳をとってから、夜中に何度も尿意を覚えて目が覚め、トイレに行ってしまう」「そのせいで、なかなか熟睡できない」と悩んでいる方がいらっしゃるのではないでしょうか。 夜間頻尿に悩む人は、年齢が上がるほど多く、日本排尿機能学会が2002年に行った調査によると、60代では39.7%、70代では62.0%、80代では83.9%の人が夜間排尿の症状を抱えており、予備軍を含めると、40歳以上の約4500万人が夜間頻尿を患っていることがわかりました。 なかなか人に相談しづらく、多くの人が「歳だから仕方がない」とあきらめてしまいがちな夜間頻尿ですが、テストステロン不足や亜鉛不足などと同様、放っておくと、心身の健康に深刻な影響を及ぼしかねません』、私も夜間3~4回トイレに行くので、人ごとではない。
・『死亡率が1.98倍になる「夜間頻尿と死亡率」の関係  実は、国内の研究により、夜間排尿の回数が一晩に2回以上ある高齢者は、1回以下の高齢者に比べて、死亡率が1.98倍になるという報告が上がっています。 また、「夜間頻尿と死亡率の関係」に関する複数の研究結果を統合したところ、夜間排尿の回数が一晩に2回以上あると死亡率が29%増加し、3回以上になると46%増加するという結果が出ています。 夜間にトイレに行くと、足元がふらついたり、暗くて周りが見えなかったりするため、転倒するリスクも高まります。アメリカの研究機関からは、一晩に3回以上の夜間頻尿があると、トイレに行く際に転倒するリスクが1.28倍になるとの報告も上がっています。 転倒した際に打ちどころが悪ければ、死亡してしまう危険性もありますし、転倒による骨折がきっかけとなって、フレイルに、そして寝たきりになってしまうおそれも十分にあります。 さらに、夜間頻尿は、心身の健康やQOLにも大きな影響を及ぼします。夜中に、トイレに行くために何度も起きると、その後眠れなくなったり、眠りが浅くなったりして、十分な睡眠、質の高い睡眠をとることができなくなります』、「夜間排尿の回数が一晩に2回以上あると死亡率が29%増加し、3回以上になると46%増加」、ショッキングな数字だ。ただ、私の場合、「トイレ」で起きても、終わればすぐに眠れるので、苦痛はそれほどでもない。
・『夜間頻尿は健康寿命を左右する重要な問題だ  すると、当然のことながら、意欲や集中力が低下する、疲れが取れにくくなる、昼間に眠くなる、イライラしやすくなる、といったことが起こりやすくなります。仕事でミスをすること、自動車を運転しているときに集中できなかったり眠くなったりして、事故を起こしてしまうこともあるかもしれません。 体のさまざまなホルモンのバランスも、7時間眠ることで整うといわれています。つまり、夜間頻尿で睡眠不足に陥ると、ホルモンのバランスが乱れ、心身にさまざまな不調が表れるおそれがあります。 こうした心身の不調から、外出したり人に会ったりするのがおっくうになったり、うつ状態に陥ってしまったりする人もいるでしょう。70歳以上の人にとって夜間頻尿は、寿命を、そして健康寿命を左右する、非常に重要な問題なのです。 では、一体なぜ、夜間頻尿が死亡率の増加につながるのでしょうか? まず考えられるのが、夜中にいきなり冷たい便座に座ることで、急激な温度変化に伴って血圧が変動し、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などが引き起こされることです。排尿によって血管が拡張され、血圧が下がり、心臓から脳へ送られる血液の量が急激に減って、脳が酸素不足になってしまう「排尿失神」が起こることもあります』、「70歳以上の人にとって夜間頻尿は、寿命を、そして健康寿命を左右する、非常に重要な問題なのです」、なるほど。
・『原因は夜間多尿、膀胱蓄尿障害、睡眠障害の3つ  では、なぜ年齢を重ねると、夜間頻尿になってしまうのでしょうか? その原因についてお話ししましょう。夜間頻尿の原因には、主に次の3つのタイプがあると考えられています。 ①夜間多尿 ②膀胱蓄尿障害 ③睡眠障害 そして、糖尿病や高血圧、肥満、あるいは心疾患や腎疾患の治療薬の服用などが引き金となっているケースもありますが、多くの場合、ホルモンの減少、腎臓機能や膀胱機能の低下、筋力の低下、睡眠のリズムの乱れなど、加齢に伴う体の変化が、これら3つの原因を引き起こしています』、「多くの場合、ホルモンの減少、腎臓機能や膀胱機能の低下、筋力の低下、睡眠のリズムの乱れなど、加齢に伴う体の変化が、これら3つの原因を引き起こしています」、なるほど。
・『ホルモンバランスの乱れ、筋力の低下  ここからは、夜間頻尿の3つの原因について、もう少し詳しくご説明しましょう。まず、①の「夜間多尿」は、夜間に作られる尿量が多い状態のことです。 通常、人間の一日の尿量は約1000~2000mL、一回の排尿量は約200~400mLであり、排尿回数は、日中は5~7回程度、夜間(就寝中)は0~1回程度です。 しかし、睡眠前に水分を過剰摂取したり、心疾患や腎疾患の患者さんが、睡眠前に利尿薬を服用したり、加齢により、尿量を調節する抗利尿ホルモンの分泌バランスが乱れたりすると、夜間の尿量が増えてしまうのです。 加齢による筋力や血管の収縮力の低下も、夜間多尿の原因となります。筋力や血管の収縮力が低下すると、血液の循環が悪くなり、下半身に水分がたまります。その状態のまま横になると、下半身にたまっていた水分が上半身に移動し、心臓に負担がかかります。 すると体は、排尿を促す「利尿ペプチド」というホルモンを分泌し、余計な水分を体の外に出そうとするのです。 なお、一日(24時間)に作られる尿量のうち、夜間(就寝中)に作られる量が、65歳以上の場合は3分の1(33%)以上、若年者では5分の1(20%)を超える場合、夜間多尿であるとされています』、「加齢により、尿量を調節する抗利尿ホルモンの分泌バランスが乱れたりすると、夜間の尿量が増えてしまうのです。 加齢による筋力や血管の収縮力の低下も、夜間多尿の原因となります。筋力や血管の収縮力が低下すると、血液の循環が悪くなり、下半身に水分がたまります。その状態のまま横になると、下半身にたまっていた水分が上半身に移動し、心臓に負担がかかります。 すると体は、排尿を促す「利尿ペプチド」というホルモンを分泌し、余計な水分を体の外に出そうとするのです」、なるほど。
・『少ない尿量でも尿意を感じてしまう  ②の「膀胱畜尿障害」は、膀胱に十分に尿をためることができない状態のことです。 膀胱は骨盤内にある臓器で、腎臓とは尿管でつながっています。腎臓は、細胞の活動の結果生じた老廃物や、体内の余計な塩分などを排出するため、尿を作って膀胱に送り、膀胱にある程度の量の尿がたまると、尿意を感じるようになっています。 膀胱は、尿がたまるまでは風船のように膨らみ、十分にたまったら、収縮して尿を排出します。 通常は200mLほど尿がたまったところで尿意を感じ始め、400mLほどたまってから排尿するのですが、何らかの原因で膀胱畜尿障害になると、膀胱に十分に尿をためることができず、少ない尿量でも尿意を感じてしまうのです。 原因としては、出産や手術、病気、けがなどが挙げられますが、特に多いのが、加齢に伴う「過活動膀胱」や「前立腺肥大症」です。 過活動膀胱は、性別にかかわらず発生する症状です。歳をとると、血管が老化し、血流が悪くなります。すると、膀胱にも、細胞の活動に必要な栄養や酸素が行き渡らなくなり、膀胱のしなやかさや弾力性が失われてしまいます』、私の場合、「前立腺肥大症」が該当する。
・『男性特有の病気である恐れがある  さらに、血流が悪くなると、膀胱壁の神経がダメージを受け、排尿筋も過活動になります。その結果、膀胱に十分に尿をためられなくなり、かつ膀胱が過敏に反応して、少ない尿量でも尿意を感じてしまうのです。 加齢によって骨盤底筋が衰え、骨盤の上にある臓器を支えられなくなることも、過活動膀胱の原因となります。臓器が下垂して膀胱や尿道を圧迫し、尿意を感じやすくなるのです。 一方、前立腺肥大症は、男性特有の病気です。前立腺は、膀胱のすぐ下に、尿道を取り囲むように存在している、クルミのような形をした器官で、生殖に関わる働きや排尿をコントロールする働きがあります。 この前立腺が何らかの原因で肥大すると、尿道が圧迫され、ちょっとした刺激で尿意を感じたり、きちんと排尿ができず、残尿が生じてしまったりするのです。 原因は、まだ完全に明らかになってはいませんが、加齢に伴うテストステロンの分泌量の低下が、前立腺肥大を招いているのではないかと考えられています』、「加齢に伴うテストステロンの分泌量の低下が、前立腺肥大を招いているのではないかと考えられています」、なるほど。
・『睡眠障害で夜間頻尿になり、眠りがさらに浅くなる悪循環  最後に、③の「睡眠障害」についてお話ししましょう。 「寝つきが悪い」「熟睡できない」「夜中に目が覚めてしまう」など、睡眠に関する悩みを抱えている高齢者は少なくありません。 本書(第5章)でお伝えしたように、人間の睡眠のリズムにはメラトニンというホルモンが大きく関わっていますが、メラトニンの分泌量は、子どものころをピークに徐々に減っていき、高齢者の体内ではわずかな量しか作られません。そのため、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなり、ちょっとしたことで目が覚めたりするようになります。 さらに、高齢になり、社会活動から遠ざかると、日中の活動量が低下するため、体が必要とする睡眠の量が減りますし、狭心症や関節リウマチなど、高齢者がかかりやすい病気からくる痛みや辛さも睡眠を妨げます。) こうした原因で夜中に目が覚めたときに、たまたま尿意を感じた結果、尿意で目が覚めたと錯覚し、「目が覚めたときにトイレに行く」ことが習慣化して、夜間頻尿になることが少なくありません。 そして、睡眠障害が原因で夜間頻尿になり、眠りがさらに浅くなるという悪循環に陥ってしまうのです』、なるほど。
・『糖尿病の人、高血圧の人、太っている人は要注意  ほかに、睡眠時無呼吸症候群から夜間頻尿になることもあります。「睡眠時無呼吸」とは、睡眠中に呼吸が10秒以上止まる状態のことであり、1時間当たり5回以上の無呼吸や、呼吸が弱くなる低呼吸が発生していると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。 糖尿病の人や高血圧の人、太っている人などは、睡眠時無呼吸症候群になりやすい傾向があります。 睡眠中の体内では、通常は、体を休息モードにする副交感神経が優位になっています。副交感神経が優位なとき、私たちは尿意を感じにくくなります。健康なときや若いとき、昼間に比べて、夜間にトイレに行くことが少ないのはそのためです。 ところが、睡眠時無呼吸症候群になると、無呼吸状態のときに血液中の酸素濃度が低下し、血圧や心拍数が上昇します。すると、体を緊張させる交感神経が優位になり、膀胱が収縮して、尿意を感じやすくなってしまうのです』、「糖尿病の人、高血圧の人、太っている人は要注意」には該当しないが、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性はありそうだ。
・『寝る前の習慣を見直すことで、夜間頻尿は改善できる  多くの場合、夜間頻尿は、自然に治ることは期待できません。 たまたま寝る前に水分を摂りすぎた日だけ、夜中に何度かトイレに行きたくなるという人や、夜中にトイレで1~2回起きても、その後熟睡できるため、生活に支障がないという人はあまり心配しなくても大丈夫ですが、毎晩必ず2回以上目が覚めてしまい、睡眠不足になったりストレスがたまったりしているという人は、改善のための対策をとる必要があります。 薬を使った治療も有効ですが、寝る前の習慣を見直すことで、夜間頻尿が改善することもあります。 ここでは、特に気をつけていただきたいポイントのみ、いくつかご紹介しましょう』、私にも該当する「習慣」があるのだろうか。
・『「水分をたくさん摂ると健康になる」に医学的な根拠はない  近年、よく耳にするのが「高齢者はできるだけたくさん水分を摂ったほうがいい」「夜、寝る前に水分をたくさん摂ると、血液がサラサラになり、寝ている間の脳梗塞や心筋梗塞などを予防できる」といった情報です。 しかし、医学的には、「寝る前に水分をたくさん摂ることで、夜間や早朝の脳梗塞や心筋梗塞などを予防できる」とは証明されていません。 もちろん、体にとって水分は大事です。極端に水分摂取量を減らすと、たしかに、脱水症状や熱中症などを引き起こし、ひどくなると、循環不全や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクも出てきます。) ただ、何事もバランスが大事です。当然のことながら、水をたくさん飲めば、その分、尿の量も増えます。寝る前に水分を摂りすぎることによって夜間頻尿になるケースも、実は少なくないのです。 また、寝る前だけたくさん摂るのではなく、朝から夜までの間に、こまめに水分補給をしてください。なお、温かい飲みものと冷たい飲みものとでは、冷たい飲みもののほうが体が冷え、膀胱の筋肉が縮んで、尿意を感じやすくなります。 夜間頻尿に悩んでいる人は、できるだけ温かい飲みものを口にするようにしましょう』、「できるだけ温かい飲みものを口にするようにしましょう」、これには気をつけたい。
・『寝る前のカフェイン、アルコール、塩分はNG  寝る前には、できるだけカフェインやアルコールを摂らないようにしましょう。カフェインには利尿作用があるからです。高齢者が好きな緑茶、特に玉露には、コーヒーの2倍以上のカフェインが含まれています。 寝る前にどうしてもお茶が飲みたくなったときは、カフェインがほとんど、もしくはまったく含まれていない煎茶やウーロン茶、麦茶、ハーブティーなどを飲むようにしましょう。 アルコールにも利尿作用がありますが、中でも、新陳代謝を促すカリウムが含まれているビールや赤ワイン、紹興酒などを飲むと、頻尿になりやすくなります。 しかもビールは水などに比べ、10倍の速さで尿を作るといわれており、体外に水分が排出されると、体は脱水状態になるのを防ぐため、さらに水分が欲しくなるという悪循環に陥ります。夜間頻尿が気になる方は、寝る前のお酒はできるだけ控えるようにしましょう』、「寝る前のお酒はできるだけ控えるようにしましょう」、これにも気をつける必要がありそうだ。やれやれ・・・。
タグ:高齢化社会 (その23)(和田 秀樹氏3題(「協調性のない高齢者」のほうが"若い"という根拠、「80歳の壁」を軽く超える人が70代でやらないこと、82歳で肺がん「たばこを禁止」にした家族の決断)、「夜中に尿意で目が覚める」は早死のサイン…専門医が指摘する"寿命とトイレ"の知られざる関係 「就寝後のトイレ」で死亡率は2倍になる) 東洋経済オンライン 和田 秀樹氏による「「協調性のない高齢者」のほうが"若い"という根拠 「心のブレーキ」が老いを加速させるその理由」 『心が老いない生き方』(ワニブックスPLUS新書) 「年齢呪縛」とは言い得て妙だ。 「あれこれ言い訳をして行動をためらってしまうのは、それだけワクワク感が小さくなっているからだとも言えます。心が老いるとワクワクしなくなるのです」、なるほど。 「前頭葉が若々しいころでしたら、「わあ、行きたい」「いますぐ食べたい!」といったワクワク感が爆発しますから、先延ばしの言い訳なんか入り込む余地がないのです。 ワクワク感の衰えも心の老いを感じさせます」、老化で「ワクワク感」がなくなるというのは寂しい限りだ。 「ある年齢になってくると、ランチのメニューが決まってきます。「〇〇軒のラーメン」とか「○○屋の天ぷらそば」といった定番メニューが決まってしまい、それ以外の店には出かけなくなってきます」、「心の老いはランチのメニューにも表われるのです」、なるほど。 「老いてくると、この協調性が自然に備わってきます。備わってくるというより、自分に言い含めるようになってきます。 「いい齢をしてわがまま言うと嫌われるな」とか「齢なんだからもう少し穏やかにならないと」と自分に言い聞かせ、家族や周囲の意見に合わせるようになってくるからです」、なるほど。 「心が老いてくると、そういうドキドキすることやワクワクすることを避けるようになってきます」、なるほど。 「高齢になってくるとほとんどの人が慣れた世界を選ぶようになります。たとえばメニューを眺めて初めての料理と食べ慣れた料理があれば、どうしても食べ慣れたほうを選びます。 これは味つけや素材がわかっていたほうが安心だからです」、 「同じ高齢者でも若々しいタイプは違います。 結果がわかっている世界より、予測できない世界のほうを選びたがります。たとえばみんなで食事をするときでも、メニューに聞いたことのない料理名を見つけると「これなんだろ?食べてみるかな」と面白がります・・・知り尽くした安心感より、未知の経験や世界のほうに惹かれてしまいます。ワクワク、ドキドキすることが快感だからです」、なるほど。 「結果を予測できない世界に踏み出すことは勇気が要ります。たとえ心がそれを求めているとしても、「いくつになったと思うんだ」と実年齢を言い聞かせることで諦めがつきます。確かな現実を持ち出せば、心の不自由を受け入れることも納得できるのです」、なるほど。 和田 秀樹氏による「「80歳の壁」を軽く超える人が70代でやらないこと 「第二の人生」は"70歳"からが本番と言える根拠」 『わたしの100歳地図』 「80歳の壁を破り、幸せな老後を送ることができるか否かは、70代の過ごし方にかかっていると考えている」、興味深そうだ。 「わたしは、幼少期からADHD・・・の傾向があり、一つのことに集中できずいろいろなことに興味がわいてしまい、未知のものだとしても気になったことはすべて挑戦してきました。 このような傾向は幼少期にとどまらず、大学時代は医学部にいながらフリーライターとして、雑誌を中心にさまざまな取材、執筆活動をしていました。 そうした経験が、医師としてのいまの仕事や作家としての執筆、映画監督としての活動に大いに役立っているのですが、プライベートにおいても同様です」、和田氏が「ADHD」だとは初めて知ったが、多角的な活動ぶりを見れば、その通りなのだろう。 「日本ではなぜか美容医療やアンチエイジングの治療にネガティブなイメージをもつ人が多いのですが、治療を受けることで若々しさを保つことができて、気持ちまで前向きになれるのでしたら、ためらわずに試してみるべきです」、 「周りに求められて長く現役を続けている人は幸せな人生を歩んでいます。 日本大学の顧問になった元オリックス会長の宮内義彦さんも、その一人です。現在86歳(本書執筆時点)ですが、頭もからだもしっかりしていて、鋭い意見をおもちの方なので、周囲の人たちも一目おいています」、その通りなのだろう。 「「自分の幸せ」という観点からは、仕事を辞めてフヌケ状態になるよりは、続けられるかぎりは仕事を辞めるべきではありません。高齢になっても働き続けるということは、心身の健康を維持し、老化を遅らせるという意味でとても有効なのです」、「65~69歳の就業率は10年連続で伸び続けて、2021年には初めて50%を超えて50.3%となり、半数以上の人が働いていることが見てとれます。70歳以上も5年連続で上昇し、18.1%と5人に1人に近い就業率を示しています」、「70歳以上も・・・18.1%」とは予想外に高いようだ。 私の場合は、1日8千歩の散歩を朝と昼にするほかは、このブログの執筆である。 和田 秀樹氏による「82歳で肺がん「たばこを禁止」にした家族の決断 和田秀樹さんが語る「80歳の壁」を越えてからの生き方」 「友人の祖父は82歳のときに肺がんが見つかり、医師には「もう手遅れで手術もできない」と言われ、家族には「がんが進行してしまうから、たばこはやめなさい」と取り上げられてしまいました。 それでなくても、がんと宣告されてショックを受けていたのに、そのうえたばこまで取り上げられてしまったので、「オレはもう死ぬんだ」と言って、うつ状態になってしまいました。 ある日、その老人はたばこが原因でがんになることがあっても、たばこのせいでがんが進行するわけではないと開き直りました。その老人は再びたばこを吸いだすと見違えるように元気になり、そのあともたばこを吸い続けて10年、92歳まで生きました。最期は肺がんではなく、脳出血で亡くなりました」、「82歳」で「肺がんが見つかり、医師には「もう手遅れで手術もできない」と言われ、家族には「がんが進行してしまうから、たばこはやめなさい」と取り上げられてしまいました」、年齢からも「たばこ」を止める必要はなかった。 「「オレはもう死ぬんだ」と言って、うつ状態になってしまいました。 ある日、その老人はたばこが原因でがんになることがあっても、たばこのせいでがんが進行するわけではないと開き直りました。その老人は再びたばこを吸いだすと見違えるように元気になり、そのあともたばこを吸い続けて10年、92歳まで生きました。最期は肺がんではなく、脳出血で亡くなりました」、人生なんてそんなものなのかも知れない。 「問題なのは、企業の社長をはじめとする高学歴でかつ出世競争にも勝ち抜いてきた人が、いとも簡単に粉飾決算をしたり、リコール隠しをしたりして、結局のところ刑事罰を受けるような始末となることです。 業績や評判の悪化、株主たちの目を恐れる不安感情から善悪の判断がつかなくなっているからで、わたしのような精神科医の立場から見ると、このように怒りの感情よりも不安感情のコントロールができないほうがよほど怖いといえます」、同感である。 「不安感情は人の行動を制限してしまいます。不安を強く感じすぎると思考がゆがんでしまい、何をするにも縮こまって生活していくこととなり、人生そのものがとても苦しいものになってしまいかねません。 結局はなるようにしかならないのですが、とはいえ残念ながら人は不安感情を完全に払拭することはできません。とくに日本人は先々の不安を感じやすい傾向にあります」、「とくに日本人は先々の不安を感じやすい傾向にあります」、その通りだ。 「先のことを心配していい対策が見つけられるのならそうすればいいのですが、それが見つけられないなら心配なんてしないほうがいいのです。先のことは、誰にも予想がつきません。予想がつくと思っているのは、人間のおごり高ぶりです」、同感である。 PRESIDENT ONLINE 平澤 精一氏による「「夜中に尿意で目が覚める」は早死のサイン…専門医が指摘する"寿命とトイレ"の知られざる関係 「就寝後のトイレ」で死亡率は2倍になる」 平澤精一『老化を「栄養」で食い止める 70歳からの栄養学』(アスコム) 「夜間頻尿」に悩まされる私としては、ひとしお関心が高いテーマだ。 私も夜間3~4回トイレに行くので、人ごとではない。 「夜間排尿の回数が一晩に2回以上あると死亡率が29%増加し、3回以上になると46%増加」、ショッキングな数字だ。ただ、私の場合、「トイレ」で起きても、終わればすぐに眠れるので、苦痛はそれほどでもない。 「70歳以上の人にとって夜間頻尿は、寿命を、そして健康寿命を左右する、非常に重要な問題なのです」、なるほど。 「多くの場合、ホルモンの減少、腎臓機能や膀胱機能の低下、筋力の低下、睡眠のリズムの乱れなど、加齢に伴う体の変化が、これら3つの原因を引き起こしています」、なるほど。 「加齢により、尿量を調節する抗利尿ホルモンの分泌バランスが乱れたりすると、夜間の尿量が増えてしまうのです。 加齢による筋力や血管の収縮力の低下も、夜間多尿の原因となります。筋力や血管の収縮力が低下すると、血液の循環が悪くなり、下半身に水分がたまります。その状態のまま横になると、下半身にたまっていた水分が上半身に移動し、心臓に負担がかかります。 すると体は、排尿を促す「利尿ペプチド」というホルモンを分泌し、余計な水分を体の外に出そうとするのです」、なるほど。 私の場合、「前立腺肥大症」が該当する。 「加齢に伴うテストステロンの分泌量の低下が、前立腺肥大を招いているのではないかと考えられています」、なるほど。 「糖尿病の人、高血圧の人、太っている人は要注意」には該当しないが、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性はありそうだ。 私にも該当する「習慣」があるのだろうか。 「できるだけ温かい飲みものを口にするようにしましょう」、これには気をつけたい。 「寝る前のお酒はできるだけ控えるようにしましょう」、これにも気をつける必要がありそうだ。やれやれ・・・。
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携帯・スマホ(その11)(アマゾンが楽天を買収し「アマ天」爆誕!?最悪シナリオを否定しきれないワケ、「らくらくスマホ」の会社はなぜ破綻した?富士通の携帯がたどった残念な末路、日本を代表するIT企業はどこで間違えたのか…楽天を存続の危機に追い込んだ三木谷社長の「3つの大誤算」 モバイル事業黒字化の見通しはあまりにも遠い) [産業動向]

携帯・スマホについては、本年6月8日に取上げた。今日は、(その11)(アマゾンが楽天を買収し「アマ天」爆誕!?最悪シナリオを否定しきれないワケ、「らくらくスマホ」の会社はなぜ破綻した?富士通の携帯がたどった残念な末路、日本を代表するIT企業はどこで間違えたのか…楽天を存続の危機に追い込んだ三木谷社長の「3つの大誤算」 モバイル事業黒字化の見通しはあまりにも遠い)である。

先ずは、本園6月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「アマゾンが楽天を買収し「アマ天」爆誕!?最悪シナリオを否定しきれないワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/324176
・『6月2日、アマゾンが「携帯サービスの提供」を検討していると米国で報じられました。実はこのニュース、日本にとっては要警戒です。もしも日本でも携帯を始めるとしたらその先には、アマゾンが楽天グループを買収する最悪シナリオが起こる可能性を否定しきれないからです』、興味深そうだ。
・『アマゾンの「携帯電話サービスの提供」検討は“アマ天”爆誕につながりかねない  アメリカのブルームバーグ通信は6月2日、アマゾンドットコムがAmazonプライム会員向けに有料の携帯電話サービスの提供を検討していると報じました。アマゾン側は現段階ではこの報道を否定していますが、関係者によるとベライゾンやTモバイルUSと交渉をしていて、月額10ドルもしくは無料のサービスを目指しているといいます。 アマゾンは以前、携帯電話サービスに参入して失敗し、1年で撤退した過去があります。それを知っている方はこのニュース、3秒で興味をなくしてしまったかもしれません。 しかし、未来予測専門の評論家としては、耳にした瞬間にピリリと電気ショックが走ったのです。アマゾンが携帯サービスを提供すれば、成功確率は意外に高いと思ったからです。 さらに、この戦略は日本が絶対に見過ごしてはいけない「怖い話」にもつながりかねません。具体的に言うと、アマゾンが日本進出を果たす際の足がかりとして、楽天グループが狙われる可能性を否定できないのです。 一部の方は同じように気づいたかもしれません。それを解説したいと思います』、「アマゾンが日本進出を果たす際の足がかりとして、楽天グループが狙われる可能性を否定できない」、面白い時代になったものだ。
・『アマゾンが狙うのは中流〜下流層の消費者  アマゾンは2014年に、Fire Phoneを発売しました。これはiPhoneと競合する独自のスマホだったのですが、結果としては不振で販売中止に追い込まれます。 また、同じ失敗を繰り返すのか?」 そう思うかもしれませんが、実は今回は違います。アマゾンが提供するのは、携帯電話サービスです。 簡単に言えば、アマゾンが今回提供するのはSIMカードないしはeSIMで、たとえばiPhoneのユーザーがAT&Tなどの通信会社からアマゾンへ乗り換えるようなケースを想定したサービスだということです。 アメリカは日本以上に貧富の格差が拡大しているため、中流ないしは下流の消費者に向けたサービスは市場のボリュームゾーンになっています。この格差拡大でたとえば小売り最大手のウォルマートは独り勝ち状態で、店舗の売り上げが激増しただけではなく、下流層に向けた金融サービスや広告サービスで新しい収益源を獲得しています。 アマゾンが狙っているのも、おそらく同じ消費者を対象としたビジネス市場でしょう。これまでもAmazonプライムが、その強力な武器として使われてきました。 アメリカと日本では、Amazonプライムの内容というか質が若干違います。説明すると、アメリカではサービスが月額14.99ドル、年間プランは139ドル(約1万9500円)なので、日本の年額4900円よりもかなりお高めです。 しかし、日本と違うのは無料サービスの量です。日本人がよく使う送料無料はもちろんのこと、Prime Video(動画配信)とPrime Reading(書籍)のコンテンツ数は日本の10倍以上あります。音楽のAmazon MusicやゲームのPrime Gamingを含めて基本的に付帯サービスだけで、下流層はスマホ生活を十分に楽しむことが可能です。 一方で、中流の上や富裕層は当然のように動画はNetFlixに入り、音楽はSpotifyにという形で有料サブスク消費が広がっているのですが、ベースとしてAmazonプライムを使うという点では中流も富裕層も、下流層と共通です。 Amazonは国別のプライム会員数を公表していませんが、報道ではコロナ禍でアメリカのプライム会員が1億人を突破したそうです。すでに国民的に利用するインフラサービスの位置づけにあるのです』、「アメリカではサービスが月額14.99ドル、年間プランは139ドル(約1万9500円)なので、日本の年額4900円よりもかなりお高めです。 しかし、日本と違うのは無料サービスの量です。日本人がよく使う送料無料はもちろんのこと、Prime Video(動画配信)とPrime Reading(書籍)のコンテンツ数は日本の10倍以上あります。音楽のAmazon MusicやゲームのPrime Gamingを含めて基本的に付帯サービスだけで、下流層はスマホ生活を十分に楽しむことが可能です・・・一方で、中流の上や富裕層は当然のように動画はNetFlixに入り、音楽はSpotifyにという形で有料サブスク消費が広がっているのですが、ベースとしてAmazonプライムを使うという点では中流も富裕層も、下流層と共通です」、なるほど。
・『アマゾンは会員数の頭打ちに悩んでいる  そのアマゾンにとって頭が痛いのが、プライム会員数がそれ以上増えないという現象です。すでに飽和状態になっているうえに、2022年2月に年額119ドルから139ドルに値上げしたことで会員数が純増しなくなった。言い換えると新規会員と同じくらい退会者も増えているのです。 アメリカは日本以上のインフレに悩まされていますから、生活防衛のためにAmazonプライムを退会する人が出てくるのはある意味わかります。そこで、今回のような戦略をアマゾンが模索しているのだと私はとらえました。 生活防衛のためにはスマホの通信料もAmazonプライムの中でまかなえるようにサービスメニューを拡大すれば、消費者も生活防衛のためにAmazonプライムをやめる必要がなくなります。 ですから、このニュースを耳にした私は、「意外にこのサービスは成功するかもしれない」と即座に思ったわけです。 これが成功すればの話ですが、GAFAMクラスのIT企業にとっては携帯サービスが持つビッグデータの有用性は莫大(ばくだい)です。この点ではグーグルとアップルはアマゾンに対して優位性を持つわけですが、この業界地図が、アマゾン携帯サービスが普及すれば塗り替わることになるのです。 さて、ここからお話しする未来予測は「もしも?」が二つ重なったときに起こることです。たとえ、それぞれが5割の確率だったとしても、それが二つ起こる確率は25%と高くはありません。ただ、それが起きたときのインパクトはものすごいことがある。そんな話です』、「アマゾン携帯サービスが普及すれば」、「グーグルとアップルはアマゾンに対して優位性を持つ・・・業界地図」が「塗り替わることになるのです」、なるほど。
・『日本市場はアマゾンにとって重要な稼ぎどころ  今から15年ほど前に「グーグルゾン」という言葉が、ITビジネス界隈で話題になりました。激しく競争をしているグーグルとアマゾンですが、もし15年前の段階で2社が合併していたら、世界をあやつれるほどの独占企業が出現するのではないかという未来予測です。 現実にはそんなことは起きなかったのですが、別の現実としてグーグルとアマゾンはそれぞれ、この15年で個別に世界をあやつれるほどの力を持つようになりました。 そのアマゾンですが、世界売り上げの9割弱はたった四つの国で稼いでいます。アメリカ、ドイツ、イギリス、そして日本です。わたしたち日本人はアマゾンが大好きですが、日本市場はアマゾンにとっても全体の5%を占める重要市場なのです。 それで最初の「もしも?」は、アメリカでプライム会員に向けた携帯サービスが成功したとしたらどうなるかという話です。そうなれば当然アマゾンは次にドイツ、イギリス、そして日本でプライム会員向けに携帯サービスを導入したいと考えます。でも、誰が携帯回線をアマゾンに提供するのでしょうか? その疑問についてはこの記事の後半にお話しするとして、皆さんの中にもアマゾンエフェクトという言葉を聞いたことがある方は多いと思います。アメリカでは、有名な小売店ブランドが毎年何社も経営破綻するという状況が、もう10年以上続いています。 2018年にシアーズやトイザらスが、2019年にフォーエバー21が、2020年にバーニーズ・ニューヨークが破綻しました。コロナ禍では金融緩和で大型倒産は目立たなかったものの、2023年4月には家庭用品販売最大手のベッド・バス&ビヨンドが破産に追い込まれました』、「アマゾンエフェクト」、「アメリカでは、有名な小売店ブランドが毎年何社も経営破綻するという状況が、もう10年以上続いています」、なるほど。
・『アマゾンは「弱体化した日本企業の買収」を計画するかもしれない  私は、日本でのアマゾンエフェクトは、アメリカよりも遅れて2020年代に本格化すると予測しています。それも小売店だけでなく動画、音楽、書籍など電子メディア業界を含めた侵攻規模になると考えています。 その危惧は、コロナ禍で日本でもアマゾンを含めたインターネット通販の売上高が急増したことで、現実になり始めています。もちろん物流の2024年問題など日本固有の社会問題があるので、アマゾンエフェクトが一本調子で拡大するとは限りません。ただ、いろいろありながらも経済への悪影響が年々拡大していくことは間違いないと思っています。 そしてもう一つ、日本的なアマゾンエフェクトとしては、アマゾンは弱体化した企業を買収する形で拡大するのではと私は考えています。小売業については、アマゾンは無人店舗技術で他の小売流通の先を進んでいます。セルフレジではなく無人店舗です。 これはセンサーとAI技術を使うことで、レジを通さなくても駅の改札のようなゲートを通るだけで精算が終わる未来型の流通で、少子化に悩む日本にとっては最適なソリューションでもあります。このような技術的な優位のあるアマゾンならば、日本で販売網を拡大するには弱体化した全国スーパーや、2番手3番手のコンビニを買収したほうが、拡大が早い。 日本でのアマゾンエフェクトは、その莫大な時価総額を背景にしたM&Aを武器に進むのではないかという予測です』、「日本でのアマゾンエフェクトは、その莫大な時価総額を背景にしたM&Aを武器に進むのではないかという予測です」、大変だ。
・『もしもアマゾンが楽天を買収して「アマ天」が爆誕したら?  そこで、携帯サービスの話です。2024年にアメリカでアマゾンの携帯サービスが「もしも」成功したとして、2025年にアマゾンが日本でも同様のサービスを展開しようと考えたとします。 ここで、もう一つの「もしも?」が登場します。もしも2025年段階で楽天モバイルのユーザー数が伸びず、三木谷浩史CEOが窮地に陥っていたとしたらどうでしょうか? 私は経済評論家の中では楽天モバイル擁護派で、今は大赤字の楽天モバイルも加入者が1000万人を突破すれば楽天グループ全体はV字回復していくと予想しています。 楽天経済圏のユーザー数は4000万人いるので、1000万人という数字は現実的に到達可能な数字だとも考えています。 一方で、経営状態を考えると楽天にとっては資金調達という現実的な経営課題が重しになっています。膨大な数の基地局を建設してきたことで巨額の借金を背負っているのですが、その借り換えのスケジュールがどんどん迫ってくるのです。 2年後、楽天モバイルが躍進しているか、それとも伸びが止まってしまうのか。「もしも?」悪い方の50%の確率が起きてしまっていたとします。そのときのアマゾンの経営会議を想像してみてください。 「日本の携帯サービスへの参入、どうしようか?」 「それなんですけど、建設に3兆円かかる携帯電話網を持っている日本の会社が1兆円で売られてますよ」 それをアマゾンのアンディ・ジャシーCEOが気づいたら、どう考えるでしょうか? 「うん。ワンクリックでその会社をポチろう」 と言い出すかもしれません。 これは2025年に「アマ天」が誕生するという、競争企業にとっては悪夢のシナリオです。 このアマ天、思いもよらない組み合わせですが、考えてみると悪くはない。少なくとも消費者にとってこれは悪い話ではありません。 楽天モバイルと同じ、3GBまでなら月額1078円、20GBまでなら2178円、それ以上は無制限で3278円の携帯サービスに加入すれば500円分のアマゾンプライムも無料でついてくるとしたらどうでしょう。生活防衛のために他社から乗り換えようという人が、これまで以上に出てくるのではないでしょうか。 楽天の国内EC流通総額は、直近1年分で5.8兆円です。アマゾンは国別売り上げは非公開ですが、調査によれば楽天とアマゾンは国内ではほぼ互角。つまり合併で新たに10兆円小売業が誕生します。 これはイオンやセブンアンドアイと同等規模の巨大流通となります。同時にECやクラウドの規模を考えると、国内最大のビッグデータの保有企業となり、資金規模を考えると国内最大のAI企業の誕生になるでしょう。 そうなると、国内の主要産業の破壊が現実味を帯びてきます。中規模な小売流通は、当然のようにアマ天の巨大な販売力の下で競争力を失うでしょう。2030年までに家電量販店が消え、ホームセンターが凋落し、アパレル業界は衰退します。動画、音楽、書籍といったメディア業界でも、アマ天エフェクトで崩壊スピードは速まります。 それを予感させたからこそ、冒頭のシーンのように「アマゾンがアメリカで携帯サービスに再参入」というニュースを耳にしたとたん、私の頭の中に電気が走ったのです。 さて、アマ天の出現というのは日本経済にとっては良いシナリオだと私は思いません。そうならないためにはどうすればいいか? あまり楽天の携帯事業をいじめないで、早いうちにプラチナバンドを開放してあげてはどうでしょうか』、「アマ天の出現というのは日本経済にとっては良いシナリオだと私は思いません。そうならないためにはどうすればいいか? あまり楽天の携帯事業をいじめないで、早いうちにプラチナバンドを開放してあげてはどうでしょうか」、「アマ天の出現というのは日本経済にとっては良いシナリオだと私は思いません」、ただよくよく考えれば、それほど悪くないとも考えられる。ただ、「早いうちにプラチナバンドを開放してあげてはどうでしょうか」には賛成である。

次に、6月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「「らくらくスマホ」の会社はなぜ破綻した?富士通の携帯がたどった残念な末路」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/324345
・『かつて、NTTドコモ(当時)は、世界で初めて携帯電話によるインターネット接続を可能にする「iモード」を発表。iモード対応1号機として投入されたのが、富士通の「ムーバ F501i」だった。そうして富士通の携帯電話事業本部を母体に発足したのが、FCNT(旧富士通コネクテッドテクノロジーズ)だ。同社の「らくらくスマートフォン」はシニアに支持されたヒット商品だ。しかし5月末、FCNTは民事再生法を申請した。背景には何があったのか』、「旧富士通の携帯電話事業が破綻」とは何があったのだろう。
・『旧富士通の携帯電話事業が破綻  5月30日、「らくらくスマートフォン」などを手掛けるFCNT(旧富士通コネクテッドテクノロジーズ)が、東京地裁に民事再生法の適用を申請し受理された。同日、親会社のREINOWAホールディングス、その子会社であるジャパン・イーエム・ソリューションズ(JEMS)も民事再生手続き開始の申し立てを行った。わが国のスマホメーカーの凋落ぶりは鮮明だ。 今回の破綻要因は、FCNTが世界経済の速い変化に対応ができなかったことだろう。国内の人口減少などによる収益悪化や世界的な競争激化、さらに物価上昇や円安によりコスト負担が増すなどし、資金繰りが悪化していた。 FCNT以外にも、そうした変化に対応できず破綻する企業が目立つようになってきた。1990年初頭のバブル崩壊以降、「守り」を重視したわが国企業の事業運営は限界を迎えつつある。縮小均衡から脱するため、企業は収益を獲得できる分野を拡大し、より価格帯の高い最終商品やサービス供給を目指すことが必要だ。しかし、それができる企業の数は限られている』、「1990年初頭のバブル崩壊以降、「守り」を重視したわが国企業の事業運営は限界を迎えつつある。縮小均衡から脱するため、企業は収益を獲得できる分野を拡大し、より価格帯の高い最終商品やサービス供給を目指すことが必要だ。しかし、それができる企業の数は限られている」、その通りだ。
・『凋落鮮明な日本のスマホメーカー  FCNTの民事再生法は、わが国スマホ産業の凋落ぶりを象徴する。99年、かつて、NTTドコモ(当時)は、世界で初めて携帯電話によるインターネット接続を可能にする「iモード」を発表した。iモード対応1号機として投入されたのが、富士通の 「ムーバ F501i」だった。そうして富士通の携帯電話事業本部を母体に発足したのが、FCNTだ。 かつて富士通の携帯電話事業部門は、21世紀の世界経済が「データの世紀」に入ることを予見していただろう。2000年代に入ると、世界全体でインターネット利用が急増した。それに伴い、ビッグデータを用いたビジネスモデルの確立も加速した。本来、富士通は、事業環境の変化を収益増加につなげられたはずだ。 しかし、実際はそうならず、いくつもの壁が立ちふさがった。まず、90年代初頭、わが国の資産バブルが崩壊した。株価、地価の下落、不良債権問題の深刻化などを背景に、国内の経済環境は急速に悪化した。雇用維持などのために、事業領域の拡大よりも、既存事業の維持を優先する企業は増えた。 また、わが国の電機メーカーにとって、日米半導体摩擦の負の影響も大きかった。86年、「第1次日米半導体協定」が締結された。その後、わが国の企業は市場開放や、韓国など海外企業への技術供与を迫られた。 一方、世界経済は劇的に変化し、冷戦終結後は「分断からグローバル化」へ突き進んだ。 中国は、「世界の工場」としての地位を確立した。共産党政権による国有企業などへの土地や、安価かつ大量な労働力の供給は大きな影響力を持った。 米国ではIT革命が起きた。アップルやエヌビディアはソフトウエアの設計・開発に集中し、ファブレス体制を強化した。台湾のTSMCや鴻海(ホンハイ)精密工業などは、米国企業が設計・開発したスマホやチップなどの製造を受託した。こうしてグローバル化は加速した。 3G・4G、そして5Gと、通信速度も向上した。デジタル化も加速し、ジャスト・イン・タイムなサプライチェーンも整備された。企業の新商品の開発スピードは加速し、国際分業体制の強化によって米国をはじめとしたグローバル企業の収益性、事業運営の効率性は高まった』、「本来、富士通は、事業環境の変化を収益増加につなげられたはずだ。 しかし、実際はそうならず、いくつもの壁が立ちふさがった。まず、90年代初頭、わが国の資産バブルが崩壊した。株価、地価の下落、不良債権問題の深刻化などを背景に、国内の経済環境は急速に悪化した。雇用維持などのために、事業領域の拡大よりも、既存事業の維持を優先する企業は増えた。 また、わが国の電機メーカーにとって、日米半導体摩擦の負の影響も大きかった。86年、「第1次日米半導体協定」が締結された。その後、わが国の企業は市場開放や、韓国など海外企業への技術供与を迫られた」、「わが国の電機メーカーにとって、日米半導体摩擦の負の影響も大きかった」というのは確かだ。
・『日本の通信市場は「ガラパゴス化」  わが国企業は、そうした環境変化への対応が難しかった。わが国には1億人超の人口がある。バブル崩壊後、多くの企業経営者は相応の需要獲得が期待できる国内市場を念頭に、事業戦略を立案した。 それによってわが国企業は、雇用や既存事業を維持した。攻勢をかけるタイミングを計る姿勢も示された。それは、利害関係者の理解の取り付けに重要だった。また、国内の消費者などとの関係を強化するために、企業は自前での設計・開発・国内製造なども重視した。 一方、人口規模が小さい韓国や台湾の企業は、急速に海外事業を強化し、収益の得られる分野を拡大。内向き志向の強まる本邦企業との成長戦略の違いは鮮明化した。 わが国の国土は狭く、人件費も高い。政府による民間企業のリスクテイク支援策も遅れた。IT化、国際分業の加速など、世界経済の環境変化にわが国企業が対応することは難しくなった。 追い打ちをかけるように、07年頃から世界全体で、スマホが急激に普及した。デバイスの供給面でアップル、サムスン電子、低価格攻勢をかけた小米(シャオミ)など中国メーカーのシェアが拡大した。スマホOS市場では、グーグルのアンドロイド、アップルのiOSの寡占が鮮明化した。 わが国はそうした環境変化に取り残された。NTTドコモによる海外買収戦略の失敗などもあり、ソフト・ハードウエアの両面でわが国の通信市場は「ガラパゴス化」した。国際市場での競争力は失われ、三菱電機やNECはスマホ事業から撤退した。 16年、富士通は量子コンピューティングや光通信など、成長期待の高い分野への選択と集中のために、携帯端末事業を分社化し、FCNTが発足した。続く18年、富士通はFCNTをプライベートエクイティ・ファンドに売却した。その後、世界的な資源価格高騰や円安の進行によってFCNTのコストは急増。収益力は低下し、財務内容も悪化した。そうして23年5月末、FCNTは縮小均衡から抜け出すことができず、民事再生法を申請した』、「日本の通信市場は「ガラパゴス化」」、かえすがえすも残念だ。
・『ハイブリッド車に続く世界的ヒットの実現は…  1990年代以降、日本企業はトヨタ自動車を筆頭にハイブリッド車の世界的ヒットを実現した。ただ、それに続く高付加価値の商品が見当たらない。コロナ禍を境に、わが国のデジタルデバイドの深刻さも鮮明化した。 それにもかかわらず、能動的に収益分野を拡大し、高成長の実現を狙う企業は限られている。FCNTの民事再生法申請は、これまでの発想で企業が成長を目指すことが限界に差しかかりつつあることを示唆する。 わが国企業は、スマホ企業が凋落した教訓を生かすべきだ。一例として、デジタル分野など成長期待の高い分野に進出して収益の得られる分野を拡大することだ。反対に、それが難しくなると、環境変化に取り残される企業は増えるだろう。収益力・財務体力は低下し、長期の存続は難しくなる恐れも高まる。 最近、FCNT以外にも破綻に陥る国内企業が目立つ。4月、不動産のユニゾホールディングスが民事再生法を申請した。コロナ禍によるインバウンド需要の一時消滅、物価上昇による事業運営と資金調達コストの増加などが重くのしかかった。 中小企業の倒産件数も増加している。中小企業庁「倒産の状況」によると、22年12月以降、倒産件数の増加率は前年同月比20%を上回って推移している。23年4月末の倒産件数は前年同月比25.5%増の610件だった。うち、70%超が販売不振を理由に倒産した。 バブル崩壊後の30年以上にわたり、日本全体で「現状維持の発想」がまん延している。その結果、事業規模の大小にかかわらず、企業にとって能動的に収益分野を拡大し、より高い利益率の達成がままならなくなっている。 今後の展開次第では、米欧で物価は高止まりし、金融引き締めは長引きそうだ。世界経済の後退懸念も高まるだろう。それが現実となれば、わが国の経済成長率は停滞し、事業運営に行き詰まる企業は増えるはずだ。そうならないためにも、本邦企業はFCNTなどの凋落を教訓とし、稼げる商品を生み出すことに迫られている』、「本邦企業はFCNTなどの凋落を教訓とし、稼げる商品を生み出すことに迫られている」、同感である。

第三に、7月20日付けPRESIDENT Onlineが掲載した企業アナリストの大関 暁夫氏による「日本を代表するIT企業はどこで間違えたのか…楽天を存続の危機に追い込んだ三木谷社長の「3つの大誤算」 モバイル事業黒字化の見通しはあまりにも遠い」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/71678
・『好調な事業の黒字をモバイルが一気に食いつぶしている  楽天の株価下落が止まりません。2021年3月に上場来最高値の1545円を付けて以降、右肩下がり一辺倒。直近では四半期ごとの大赤字決算発表の都度株価を下げ、今や500円前後を行ったり来たり。最高値の3分の1以下になってしまった、という体たらくぶりなのです。 楽天の株価を引き下げているものは、楽天モバイルの業績不振に尽きます。モバイル事業準備段階の19年決算からグループ決算の赤字化が始まり、サービススタート後の20年決算からは3期連続で1000億円を超える大幅赤字を計上。 直近の23年1~3月の四半期決算でも営業損益で761億円の赤字を計上していますが、モバイル事業単体ではこれを上回る1026億円の赤字となっています。つまり、好調なインターネット事業や金融事業の黒字を、モバイル事業が一気に食いつぶしている構図が見てとれるのです。 そもそも、楽天が第4の通信キャリアとしてモバイル事業に名乗りを上げたのは、この事業で大きな利益を得ようと思ってのことではありません。ECビジネスからスタートした楽天は、新規事業の立ち上げや企業買収によってビジネス領域を着々と広げていきました。 そして、ポイント・サービスやキャッシュレス決済をキーにして、利用者を楽天ビジネスに囲い込む「楽天経済圏」を形作ってきたのです。各サービスを有機的につなげ、経済圏を完成させるための重要なピースとしてどうしても手に入れたかったものが、モバイル事業だったのです』、「楽天経済圏」「を完成させるための重要なピースとしてどうしても手に入れたかったものが、モバイル事業だった」、なるほど。
・『あまりにも大きい「3つの誤算」  このような狙いの下、20年4月に「第4の携帯キャリア」として鳴り物入りでスタートしたはずの楽天のモバイル事業が、なぜ巨大な「お荷物事業」になってしまったのでしょう。そこには、楽天グループを創業から発展軌道に乗せてきた三木谷浩史同社会長兼社長の野心に、あまりにも大きい3つの誤算があったと考えます。 まず、ひとつ目の大きな誤算は、基地局設置に関するものです。つまずきの始まりはモバイル事業スタート前、基地局設置による通信網構築を甘く見てその整備が大幅に遅れたことでした。監督官庁の総務省は、遅々として進まぬ受信状況改善に業を煮やして、19年10月の開業予定に待ったをかけたのです。 これは明らかに、国の認可業務である通信事業を舐めていたと言えます。楽天モバイルは開業の半年先延ばしを余儀なくされ、期待の「第4の携帯キャリア」のイメージは、いきなり大きく損なわれることとなりました』、「三木谷浩史同社会長兼社長の野心に、あまりにも大きい3つの誤算があったと考えます。 まず、ひとつ目の大きな誤算は、基地局設置に関するものです。つまずきの始まりはモバイル事業スタート前、基地局設置による通信網構築を甘く見てその整備が大幅に遅れたことでした」、なるほど。
・読みの甘さを象徴する三木谷社長の発言  しかし、これはまだ、序の口に過ぎません。基地局設置に関しては、その投資額に関する見通しの甘さが何より致命的でした。当初の投資計画では基地局整備に必要な投資は約6000億円を想定していたようですが、現状で既にそのほぼ倍額が投じられながらもいまだ目標の通信人口カバー率99%以上に至らず、なのです。 この巨額投資地獄が、とりもなおさず楽天の財務状況を悪化させた根源となったのです。すなわち人口カバー率99%以上達成を甘く見過ぎていたことが、今の大苦境に直結したと言えるでしょう。 この点での読みの甘さを象徴したのが、22年度決算発表時の三木谷社長の発言です。22年末時点の楽天モバイルの通信人口カバー率が前年の95.6%から98%に向上し、「7年かける計画を3年で達成し、基地局投資は24年度で一段落する」と息巻いていたのです。 しかし、この発言を聞いた3大キャリア幹部が、「ここからの1%が地獄の苦しみだということを、三木谷さんはご存じではないのでしょう」と冷めた言い方をしていたのが印象的でした』、「三木谷社長の発言です。22年末時点の楽天モバイルの通信人口カバー率が前年の95.6%から98%に向上し、「7年かける計画を3年で達成し、基地局投資は24年度で一段落する」と息巻いていたのです。 しかし、この発言を聞いた3大キャリア幹部が、「ここからの1%が地獄の苦しみだということを、三木谷さんはご存じではないのでしょう」と冷めた言い方をしていた」、「三木谷」には冷静な判断力が欠如しているようだ。
・『6万局では勝負にならないのは明白  現実を見れば、三木谷社長の見通しの甘さ、考えの甘さは明白です。社長が同社基地局数の当面の目標としていたのが、6万局です。一方で、NTTドコモの国内基地局数が約26万局(4G)、auは約20万局、ソフトバンクでも約17万局を備えています。 ソフトバンクですらいまだに、「上位2社に比べてつながりが悪い」と言われていることを考えれば、6万局ではおよそ勝負にならないのは明白であり、「基地局投資が24年度で一段落する」などという考えこそ大甘であったことが分かるでしょう。 結果的に、今年5月にKDDI(携帯キャリアはau)回線借用契約におけるローミング(相互乗り入れ)の拡大を決めました。これまで楽天は、受信状況の悪い地域ではau回線を借用して穴埋めしつつも、あくまで自前の基地局増強による早期の回線借用解消をめざしてきたわけですが、都心部も含めたすべての地域でau回線を使って「つながりやすさ」を実現しようというのです。180度の方針転換です。楽天のただならぬ苦境と、基地局整備に対するこれまでの見通しの甘さが、ここに完全露呈したと言えます』、「これまで楽天は、受信状況の悪い地域ではau回線を借用して穴埋めしつつも、あくまで自前の基地局増強による早期の回線借用解消をめざしてきたわけですが、都心部も含めたすべての地域でau回線を使って「つながりやすさ」を実現しようというのです。180度の方針転換です」、なるほど。
・『2つ目の誤算「プラチナバンド問題」  この問題に微妙に絡んでいるのが、2つ目の誤算であるプラチナバンド問題です。プラチナバンドとは、我が国の電波利用においてもっとも携帯電話に適してつながりやすい、700MHzから900MHzの周波数帯のことです。国内のプラチナバンドは先行3大キャリアに独占され、現在空きはありません。 後発の楽天に割り当てられた周波数は1.7GHzであり、屋外では大きな問題はないものの室内での先行3社に比べた接続の悪さは利用者の知るところです。すなわち、いかに基地局整備を進めようとも、プラチナバンドを持たない現状では「つながりにくい楽天」は解消されず、飛躍的な契約者数増強は望めないのです。 楽天のプラチナバンド問題については、同社が業界参入を決めた当初から業界内では「プラチナバンドなしで、どう戦う気なのか(大手キャリア幹部)」と不安視する声と、同時に「楽天、臆するに足らず(別の幹部)」との声も聞こえていました。 しかし、この段階で楽天は脳天気にも、「うちの1.7GHzはつながりやすい(山田善久社長、当時)」と自信を見せていたわけで、この点での見通しの甘さもまた、思い通りに事が運ばなかった大きな要因のひとつなのです』、「見通しの甘さもまた、思い通りに事が運ばなかった大きな要因のひとつなのです」、その通りだ。
・『初動の遅れが「つながりにくい楽天」を決定づけた  楽天が総務省に対してプラチナバンドの再分配要望を初めて出したのが、事業開始から半年以上経た20年12月です。1.7GHzでやってみたが、やっぱりつながりが悪い。これではどうにも勝負にならない、と遅ればせながら気がついたのでしょう。 事業開始前から折衝を進めていればもっと早くに解決していたかもしれない問題が、見通しの甘さゆえの初動の遅れによって「つながりにくい楽天」を決定づけてしまったとも言えるのです。 ちなみに、楽天のプラチナバンド獲得に関してはこの4月に、3大キャリアの携帯電話700MHz帯と隣接の地上波テレビ帯などの間に存在する空き部分に3MHz幅×2の携帯電話4Gシステム導入を検討し、それを楽天に優先供与する見通しにはなりました。しかし、先を急がざるを得ない楽天はこれを待っている猶予はなく、先に書いたようにプラチナバンドを使用したau回線を全面的に借用することとなったのです』、「事業開始前から折衝を進めていればもっと早くに解決していたかもしれない問題が、見通しの甘さゆえの初動の遅れによって「つながりにくい楽天」を決定づけてしまったとも言える」、どうも「楽天」は「通信」では素人のようだ。
・『官製値下げによって事業計画は大幅に狂わされた  3つ目の誤算は、携帯料金の官製値下げです。これは最も予期せぬものだったかもしれませんが、最も事業計画にダメージを与えた誤算でもありました。楽天モバイルのスタートから半年後の20年9月、総務大臣経験者の菅義偉首相が誕生。菅氏は持論である「携帯料金は4割程度下げる余地がある」を実践すべく、「携帯料金官製値下げ圧力」を発動しました。まず政府が大株主であるNTTドコモがこれに従ったことで、au、ソフトバンクも追随するという、予想だにしなかった展開になってしまったのです。 サービススタート当初は圧倒的な業界最安値であった楽天の月額2980円は、瞬く間に大手3キャリアに追いつかれてしまうこととなり、後発でかつ「つながりにくい楽天」としては一層の値下げを強いられることになりました。結果的に楽天のモバイル事業黒字化は先が見えなくなり、官製値下げによって事業計画は大幅に狂わされたのです。 表向きは、楽天も時の首相の人気取り政策の犠牲者であると言えるかもしれません。しかし、そもそも政府による楽天の業界参入認可は、3大キャリアの実質カルテル状態で高止まりが続いていた日本の携帯電話料金を、大幅に引き下げさせるための起爆剤として期待してのものでもあったわけです。残念ながら楽天ではその役割が果たせないと判断したからこその、国による「強制値下げ執行」であったとも言えます』、「楽天の業界参入認可は、3大キャリアの実質カルテル状態で高止まりが続いていた日本の携帯電話料金を、大幅に引き下げさせるための起爆剤として期待してのものでもあったわけです。残念ながら楽天ではその役割が果たせないと判断したからこその、国による「強制値下げ執行」であったとも言えます」、その通りだ。
・『有利子負債は「これ以上増やせない」のが実情  もちろん、それは先に述べたように、楽天が基地局整備を甘く見たために開業が遅れ受信状況の改善が遅々としてすすまなかったこと、加えてプラチナバンドを軽視したが故に一層「つながりにくい」印象となったことで、3大キャリアにほとんど危機感を与えることができず、政府の期待に沿えなかったことに起因しているわけです。これも結局のところ、甘い見通しによる誤算の連鎖が、自らの首を絞めた自業自得の結果であると言えそうです。 楽天がここにきて自前の基地局設置からau回線の全面借用に180度方針転換した理由は、この先も年間3000億円という基地局設置投資を続けていくことが、財務上難しくなってきたことに他なりません。 22年12月期段階での有利子負債の総額が1兆7600億円にも上り、財務状況の急激な悪化で投資格付は投機的水準にまで格下げになっています。決算会見時に三木谷社長は「有利子負債はこれ以上増やさない」と宣言しましたが、実際には「これ以上増やせない」のが実情なのです』、「22年12月期段階での有利子負債の総額が1兆7600億円にも上り、財務状況の急激な悪化で投資格付は投機的水準にまで格下げになっています。決算会見時に三木谷社長は「有利子負債はこれ以上増やさない」と宣言しましたが、実際には「これ以上増やせない」のが実情なのです」、「これ以上増やせない」とは苦しいところだ。
・『5年間で1.2兆円もの巨額償還が待ち受けている  今後最大の問題は、有利子負債の大半を占めている社債が、続々償還を迎えることにあります。今年度が800億円、来年が3000億円、再来年には5000億円、この先5年間で1.2兆円もの巨額償還が待ち受けているのです。それまでに償還資金の手当てをするか、あるいは借り換え資金の調達が必要になります。 現状の財務内容で1兆円を超える償還資金を手当てするのは容易ではなく、かといって借り換えを実施しようにも今の格付けでは金利が跳ね上がってしまい、ますますグループ経営の足を引っ張ることになるでしょう。 資金調達に関しては、21年に1500億円を楽天に出資した日本郵政が同社の株価低迷で800億円もの減損処理を迫られていることもあり、現状で第三者から新たな巨額出資を求めるのは難しいでしょう。増資自体がますます株価を下げることにもなるので、これ以上の新株発行は難しい状況にあると言えます』、「この先5年間で1.2兆円もの巨額償還が待ち受けているのです。それまでに償還資金の手当てをするか、あるいは借り換え資金の調達が必要になります」、これまでの放漫な調達政策のツケだ。
・『存続を賭けた本当の正念場にさしかかっている  資産売却については、既に楽天銀行の上場で700億円が調達済みで、楽天証券も上場申請を済ませ約1000億円を調達予定と聞きます。まだ他にも、カードや保険などの子会社はあるものの、近年親子上場が少数株主の利益が損なわれるという批判も多く、ここでも手詰まり感があるのが実情なのです。 こうしてみてくると、甘い見通しのまま新規事業に手を出したツケが誤算という形で次々ボディブロー的に効いてきて、いよいよロープ際に追い込まれた楽天の現状がよく分かると思います。現状ではモバイル事業黒字化の見通しはあまりに遠く、社債の巨額償還を前にどのような秘策を繰り出していくのでしょうか。楽天モバイルは今、存続を賭けた本当の正念場にさしかかっていると言えるでしょう』、ジジ殺し「三木谷」氏の手綱さばきが注目される。
タグ:携帯・スマホ (その11)(アマゾンが楽天を買収し「アマ天」爆誕!?最悪シナリオを否定しきれないワケ、「らくらくスマホ」の会社はなぜ破綻した?富士通の携帯がたどった残念な末路、日本を代表するIT企業はどこで間違えたのか…楽天を存続の危機に追い込んだ三木谷社長の「3つの大誤算」 モバイル事業黒字化の見通しはあまりにも遠い) ダイヤモンド・オンライン 鈴木貴博氏による「アマゾンが楽天を買収し「アマ天」爆誕!?最悪シナリオを否定しきれないワケ」 「アマゾンが日本進出を果たす際の足がかりとして、楽天グループが狙われる可能性を否定できない」、面白い時代になったものだ。 「アメリカではサービスが月額14.99ドル、年間プランは139ドル(約1万9500円)なので、日本の年額4900円よりもかなりお高めです。 しかし、日本と違うのは無料サービスの量です。日本人がよく使う送料無料はもちろんのこと、Prime Video(動画配信)とPrime Reading(書籍)のコンテンツ数は日本の10倍以上あります。音楽のAmazon MusicやゲームのPrime Gamingを含めて基本的に付帯サービスだけで、下流層はスマホ生活を十分に楽しむことが可能です ・・・一方で、中流の上や富裕層は当然のように動画はNetFlixに入り、音楽はSpotifyにという形で有料サブスク消費が広がっているのですが、ベースとしてAmazonプライムを使うという点では中流も富裕層も、下流層と共通です」、なるほど。 「アマゾン携帯サービスが普及すれば」、「グーグルとアップルはアマゾンに対して優位性を持つ・・・業界地図」が「塗り替わることになるのです」、なるほど。 「アマゾンエフェクト」、「アメリカでは、有名な小売店ブランドが毎年何社も経営破綻するという状況が、もう10年以上続いています」、なるほど。 ・『アマゾンは「弱体化した日本企業の買収」を計画するかもしれない  私は、日本でのアマゾンエフェクトは、アメリカよりも遅れて2020年代に本格化すると予測しています。それも小売店だけでなく動画、音楽、書籍など電子メディア業界を含めた侵攻規模になると考えています。 その危惧は、コロナ禍で日本でもアマゾンを含めたインターネット通販の売上高が急増したことで、現実になり始めています。もちろん物流の2024年問題など日本固有の社会問題があるので、アマゾンエフェクトが一本調子で拡大するとは限りません。ただ、いろいろありながらも経済への悪影響が年々拡大していくことは間違いないと思っています。 そしてもう一つ、日本的なアマゾンエフェクトとしては、アマゾンは弱体化した企業を買収する形で拡大するのではと私は考えています。小売業については、アマゾンは無人店舗技術で他の小売流通の先を進ん 「日本でのアマゾンエフェクトは、その莫大な時価総額を背景にしたM&Aを武器に進むのではないかという予測です」、大変だ。 「アマ天の出現というのは日本経済にとっては良いシナリオだと私は思いません。そうならないためにはどうすればいいか? あまり楽天の携帯事業をいじめないで、早いうちにプラチナバンドを開放してあげてはどうでしょうか」、「アマ天の出現というのは日本経済にとっては良いシナリオだと私は思いません」、ただよくよく考えれば、それほど悪くないとも考えられる。ただ、「早いうちにプラチナバンドを開放してあげてはどうでしょうか」には賛成である。 真壁昭夫氏による「「らくらくスマホ」の会社はなぜ破綻した?富士通の携帯がたどった残念な末路」 「旧富士通の携帯電話事業が破綻」とは何があったのだろう。 「1990年初頭のバブル崩壊以降、「守り」を重視したわが国企業の事業運営は限界を迎えつつある。縮小均衡から脱するため、企業は収益を獲得できる分野を拡大し、より価格帯の高い最終商品やサービス供給を目指すことが必要だ。しかし、それができる企業の数は限られている」、その通りだ。 「本来、富士通は、事業環境の変化を収益増加につなげられたはずだ。 しかし、実際はそうならず、いくつもの壁が立ちふさがった。まず、90年代初頭、わが国の資産バブルが崩壊した。株価、地価の下落、不良債権問題の深刻化などを背景に、国内の経済環境は急速に悪化した。雇用維持などのために、事業領域の拡大よりも、既存事業の維持を優先する企業は増えた。 また、わが国の電機メーカーにとって、日米半導体摩擦の負の影響も大きかった。86年、「第1次日米半導体協定」が締結された。その後、わが国の企業は市場開放や、韓国など海外企業への技術供与を迫られた」、「わが国の電機メーカーにとって、日米半導体摩擦の負の影響も大きかった」というのは確かだ。 「日本の通信市場は「ガラパゴス化」」、かえすがえすも残念だ。 「本邦企業はFCNTなどの凋落を教訓とし、稼げる商品を生み出すことに迫られている」、同感である。 PRESIDENT ONLINE 大関 暁夫氏による「日本を代表するIT企業はどこで間違えたのか…楽天を存続の危機に追い込んだ三木谷社長の「3つの大誤算」 モバイル事業黒字化の見通しはあまりにも遠い」 「楽天経済圏」「を完成させるための重要なピースとしてどうしても手に入れたかったものが、モバイル事業だった」、なるほど。 「三木谷浩史同社会長兼社長の野心に、あまりにも大きい3つの誤算があったと考えます。 まず、ひとつ目の大きな誤算は、基地局設置に関するものです。つまずきの始まりはモバイル事業スタート前、基地局設置による通信網構築を甘く見てその整備が大幅に遅れたことでした」、なるほど。 「三木谷社長の発言です。22年末時点の楽天モバイルの通信人口カバー率が前年の95.6%から98%に向上し、「7年かける計画を3年で達成し、基地局投資は24年度で一段落する」と息巻いていたのです。 しかし、この発言を聞いた3大キャリア幹部が、「ここからの1%が地獄の苦しみだということを、三木谷さんはご存じではないのでしょう」と冷めた言い方をしていた」、「三木谷」には冷静な判断力が欠如しているようだ。 「これまで楽天は、受信状況の悪い地域ではau回線を借用して穴埋めしつつも、あくまで自前の基地局増強による早期の回線借用解消をめざしてきたわけですが、都心部も含めたすべての地域でau回線を使って「つながりやすさ」を実現しようというのです。180度の方針転換です」、なるほど。 「見通しの甘さもまた、思い通りに事が運ばなかった大きな要因のひとつなのです」、その通りだ。 「事業開始前から折衝を進めていればもっと早くに解決していたかもしれない問題が、見通しの甘さゆえの初動の遅れによって「つながりにくい楽天」を決定づけてしまったとも言える」、どうも「楽天」は「通信」では素人のようだ。 「楽天の業界参入認可は、3大キャリアの実質カルテル状態で高止まりが続いていた日本の携帯電話料金を、大幅に引き下げさせるための起爆剤として期待してのものでもあったわけです。残念ながら楽天ではその役割が果たせないと判断したからこその、国による「強制値下げ執行」であったとも言えます」、その通りだ。 「22年12月期段階での有利子負債の総額が1兆7600億円にも上り、財務状況の急激な悪化で投資格付は投機的水準にまで格下げになっています。決算会見時に三木谷社長は「有利子負債はこれ以上増やさない」と宣言しましたが、実際には「これ以上増やせない」のが実情なのです」、「これ以上増やせない」とは苦しいところだ。 「この先5年間で1.2兆円もの巨額償還が待ち受けているのです。それまでに償還資金の手当てをするか、あるいは借り換え資金の調達が必要になります」、これまでの放漫な調達政策のツケだ。 ジジ殺し「三木谷」氏の手綱さばきが注目される。
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宗教(その11)(53歳元エリート銀行マンが仕掛けた「寺+ホテル一体のビル」が大繁盛…檀家の負担「ずっとゼロ」実現のスゴ技 築200年・檀家数100軒未満の"骨山寺院"が見事に甦り 全国から視察殺到、安倍晋三を祀る神社が建立…「死ねば、みんな神様」になるのか 神社本庁の見解は?、旧統一教会フロント組織の「潜入ドキュメンタリー」を私が作った理由) [社会]

宗教については、本年5月30日に取上げた。今日は、(その11)(53歳元エリート銀行マンが仕掛けた「寺+ホテル一体のビル」が大繁盛…檀家の負担「ずっとゼロ」実現のスゴ技 築200年・檀家数100軒未満の"骨山寺院"が見事に甦り 全国から視察殺到、安倍晋三を祀る神社が建立…「死ねば、みんな神様」になるのか 神社本庁の見解は?、旧統一教会フロント組織の「潜入ドキュメンタリー」を私が作った理由)である。

先ずは、本年5月27日付けPRESIDENT Onlineが掲載した浄土宗僧侶・ジャーナリストの鵜飼 秀徳氏による「53歳元エリート銀行マンが仕掛けた「寺+ホテル一体のビル」が大繁盛…檀家の負担「ずっとゼロ」実現のスゴ技 築200年・檀家数100軒未満の"骨山寺院"が見事に甦り、全国から視察殺到」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/69970
・『“オンボロ寺院”を再生させた44代目住職は元銀行マン  シティホテルと「合体」して、寺をよみがえらせる――。こんな稀有な事例が、いま注目を集めている。京都市中心部にある浄教寺は近年、建物の老朽化によって存続が危ぶまれていた。しかし、ある元銀行員の住職が、寺とホテルとを一体化させる事業で再建に成功した。いま、商業施設を組み込んだ都会型寺院の再生モデルが、各地で広がりをみせている。 ほのかにお香の薫りが広がるラウンジ。随所に木のオブジェが飾られ、壁には墨で現代アートが描かれている。和洋折衷のモダンな空間は、いかにも京都のホテルらしいたたずまいをみせる。2020年9月に開業した「三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺」である。 文字通り、寺とホテルが「同居」している。本堂とホテル1階ロビーとは壁一枚を隔てて隣接しており、ガラス窓がはめ込んである。浄教寺側からは宿泊客がロビーでくつろいでいる様子が観察でき、ホテル側からは本尊阿弥陀如来が鎮座する荘厳な宗教空間を、のぞき見ることができる。 「施設は一見、真新しく見えますが、元のお寺の部材を可能な限り再利用しました。本尊などの仏像や、釣り灯籠などは修復。劣化が激しかった曼荼羅まんだら図は最先端のデジタル技術を使って再現しました。工事の際の文化財調査で出てきた創建当時の鬼瓦や、頂相(高僧の肖像画)などの展示スペースも、本堂内に設けています。ホテルのロビーにも欄間らんま(鴨居と天井の間にはめ込む、透かし彫りされた板)や木鼻きばな(寺院建築における木の装飾)をオブジェとして飾り、宿泊客の評判も上々のようです」 浄教寺第44代目住職の光山公毅氏(53)は作務衣姿で本堂とホテルを案内しながら、説明した。ホテルのスタッフとも親しげに会話を交わす。古式然とした、一般的な寺の風情はここではまったく感じられない。 浄教寺がある場所は、商業地の公示地価において、京都で最高価格地の定番地「四条河原町交差点」から直線距離でわずか200メートルほど。東京で例えれば、銀座の東京鳩居堂のすぐ裏側といったイメージだ。 570年以上の歴史を有する浄土宗の古刹である。創建された室町時代は現在地から少し離れた場所にあったが、豊臣秀吉によって洛中寺院の整理・統合が行われ、寺町通り沿いの現在の地に移転した。浄教寺は、首都防衛の役割を担う寺だった。周辺には、そうした寺が多く点在しており、新しい商業施設と古刹が入り混じったエリアとなっている。 寺町通りからアプローチが延びており、手前にホテル、その奥にお寺らしい風情の境内が広がっている。広くはないが、境内墓地もある。入り口は寺とホテル用とで分けてあり、双方を行き来するにはいったん、外に出なければならない。 寺とホテルとが一体型となったビルは、地上9階建て。ビルの東側は浄教寺が占有し、1階に本堂や寺務所がある。一方で、ホテルは2階にレストラン、大浴場を備え、2階〜9階に客室167室を設けている』、「浄教寺がある場所は、商業地の公示地価において、京都で最高価格地の定番地「四条河原町交差点」から直線距離でわずか200メートルほど。東京で例えれば、銀座の東京鳩居堂のすぐ裏側といったイメージだ」、「寺町通りからアプローチが延びており、手前にホテル、その奥にお寺らしい風情の境内が広がっている。広くはないが、境内墓地もある。入り口は寺とホテル用とで分けてあり、双方を行き来するにはいったん、外に出なければならない。 寺とホテルとが一体型となったビルは、地上9階建て。ビルの東側は浄教寺が占有し、1階に本堂や寺務所がある。一方で、ホテルは2階にレストラン、大浴場を備え、2階〜9階に客室167室を設けている」、なるほど。
・『「今なら仏教とビジネスの融合ができるかもしれない」  その実、寺の境内に宿泊施設がある事例は、少なくない。たとえば、高野山や信州善光寺などの「宿坊」は一般旅行者も宿泊が可能だ。昔は、宿坊然として居心地がよいものではなかったが、現在は誰でも快適に過ごせる上質な空間と、ホスピタリティを提供しているところも少なくない。 京都の浄土宗総本山知恩院は、祇園や円山公園からも近い宿坊の和順会館を、近年リニューアルした。「シティホテルと比べても遜色ないグレードで、割安感がある」と評判だ。 こうした寺が直営する「宿坊」に対し、浄教寺の場合は寺が「大家」になってホテルを誘致した点が大きく異なる。さらに、浄教寺が画期的なのは「寺院の再生」を目的として、ホテルと一体型の施設をつくりあげたことだ。 そもそも、光山氏は浄教寺の生まれでもなければ、京都人でもない。東京都文京区小石川にある浄土宗寺院の出身だ。大学卒業後、日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)に入行した銀行員であり、浄教寺継承の話が舞い込んできた2014年当時も別の金融機関に籍を移していたが、一貫して法人融資業務に従事していた。 「浄教寺の先代が、父の従兄弟という関係でした。浄教寺には子どもの頃、しばしば遊びにきていてなじみはありました。先代には後継がおらず、親戚中を見渡したら、継承できそうな人間が私しかいなかったというわけです」 しかし、当時の木造本堂は築200年が経過し、荒廃していた。このままでは、近い将来の「崩壊」は目に見えていた。一般的な寺の改修には、時に億単位の資金が必要になる。前回の改修は90年も前のこと。雨漏りもひどく、耐震上も大きな問題を抱えていた。建て替えは不可避であった。 だが、浄教寺は、檀家数は100軒にも満たない骨山(裕福な寺院を「肉山」と呼び、貧しい寺院を「骨山」という)。一般的に京都の寺は、檀家300軒が経済的に自立できるラインとされる。改修や建て替えを檀家に提案したところで、到底、寄付は集まるわけがない。 「一度は、住職就任の話を断りました。ですが、京都のど真ん中という恵まれた環境にあって、継承の話が出た2014年当時は、まだ京都ではホテルが足りていなかった。銀行員としての経験を活かし、今なら仏教とビジネスとの融合ができるかもしれないと思い、よし、やってやろうと思い直しました」』、「当時の木造本堂は築200年が経過し、荒廃していた。このままでは、近い将来の「崩壊」は目に見えていた。一般的な寺の改修には、時に億単位の資金が必要になる。前回の改修は90年も前のこと。雨漏りもひどく、耐震上も大きな問題を抱えていた。建て替えは不可避であった。 だが、浄教寺は、檀家数は100軒にも満たない骨山」、「「一度は、住職就任の話を断りました。ですが、京都のど真ん中という恵まれた環境にあって、継承の話が出た2014年当時は、まだ京都ではホテルが足りていなかった。銀行員としての経験を活かし、今なら仏教とビジネスとの融合ができるかもしれないと思い、よし、やってやろうと思い直しました」、なるほど
・『「檀家さんの負担を将来にわたってゼロにします」  本来であれば、伽藍と宿泊施設は別々の建物にするのが好ましい。しかし、境内地が狭い浄教寺には、2棟の建物を建てる余裕がない。そこで光山氏はビル1棟の中に、寺とホテルを同居させる手法を考えた。そして、ホテル側から決まった賃借料を得て、寺の護持に充てるという構想である。 どこの寺でも同じことだが、人口減少・高齢化社会にあって檀家の減少は免れない状況だ。浄教寺のように境内地が狭い都市型寺院では、新規で墓地分譲するにも限界がある。当面の間は寺を維持できたとしても、中長期的には「ゆでガエル」になることは目に見えていた。 不安がよぎったのは、京都の保守的な檀家がどう反応するか、であった。光山氏は、説明会を開いて丁寧に説明した。 「ホテルに入居してもらい、その賃料で寺を護持する体制をつくります。建て替えのために寄付は一切、いりません。年間の管理費も廃止し、檀家さんの負担を将来にわたってゼロにします。そのためのホテルとの一体型事業なのです」 光山氏のこだわりは、弱者に優しい寺に変えていくこと。堂内は冷暖房完備で、靴のままでお参りができる完全バリアフリーにする。車椅子や、ストレッチャーでも楽に参拝ができる設備にすることを伝えると、檀家の心に響き、一同に賛成してくれたという。 「浄教寺の檀家さんは、クールでドライ(笑)。それが、逆に助かりました。最初は驚かれていた方もいらっしゃいましたが、今では本当に喜んでもらっています」 光山氏は大学時代や銀行員時代のツテを頼って、再建事業をスタートさせる。なにしろ、これ以上ない好立地だ。東には髙島屋京都店が隣接。寺に面する寺町通りは、かつて「京都の秋葉原」と呼ばれた電気街で、常に若者やビジネスパーソンが大勢行き交う。なおかつ、競合しそうなホテルチェーンは、近隣には見当たらなかった。 光山氏のホテル構想には、6社ほどのホテルチェーンが手を挙げたという。しかし、うち4社は「多国籍の観光客が集まる京都にあって、特定の宗教施設の中で事業をするのは難しい」などとして、折り合いがつかなかった。 最終的には、「むしろ、お寺と一緒になるメリットは大きい。新規顧客が開拓できる」と、コラボレーションに強い意欲を示した三井ガーデンホテルを運営する三井不動産と、光山氏との考えが一致した』、「これ以上ない好立地だ。東には髙島屋京都店が隣接。寺に面する寺町通りは、かつて「京都の秋葉原」と呼ばれた電気街で、常に若者やビジネスパーソンが大勢行き交う。なおかつ、競合しそうなホテルチェーンは、近隣には見当たらなかった。 光山氏のホテル構想には、6社ほどのホテルチェーンが手を挙げたという。しかし、うち4社は・・・折り合いがつかなかった。 最終的には、「むしろ、お寺と一緒になるメリットは大きい。新規顧客が開拓できる」と、コラボレーションに強い意欲を示した三井ガーデンホテルを運営する三井不動産と、光山氏との考えが一致した」、「コラボレーションに強い意欲を示した三井ガーデンホテルを運営する三井不動産と、光山氏との考えが一致した」、なるほど。
・『単独では生き残りが難しい寺院の「ホテル一体型モデル」  冒頭に述べたように、協同事業を通じて、ホテルのロビーには寺の装飾品をあしらい、本堂が見える設計にすることなどの独創的な発想が生まれた。朝のお勤めに宿泊客が参加できること、御朱印がホテルでもらえることなど、寺院一体型ホテルとしての特性を生かしたプランが次々と具現化していった。 見えないところの配慮も。本堂には、本尊阿弥陀如来が鎮座する。その上階にあたる客室では、本尊の上にベッドを置かないように注文をつけた。宿泊客が本堂に入れるのは、朝のお勤めの際と見学タイムの1日2回。ホテル内部に、読経や木魚などの音が漏れないように防音には特に気を配った。 お勤めは早朝6時40分からだが、宿坊のように参加が半ば義務付けられているわけではない。外国人への解説などは、ホテルスタッフが対応する。週末になれば30人ほどの参加者がある。なかには、「この寺にお墓を持ちたい」という宿泊客もいたという(浄教寺では墓地の新規受付はしていない)。 2020年から始まったコロナ禍は、京都にも大打撃を与えた。ホテルの開業は同年9月。浄教寺はホテルから賃借料を得るだけで、経営には関わっていないのでダメージはなかった。そのコロナ禍も落ち着きをみせ、いま京都は本来のにぎわいを取り戻しつつある。 最近では視察も増え、「浄教寺モデルを取り入れたい」と話す寺も現れてきた。 「保守的な寺の中には、冷ややかにみている僧侶もいるかもしれませんが、私はあまり気にしません。それよりも、若い僧侶たちが『勉強のために見学させてほしい』と言ってくるのがうれしいですね。お寺にとっては、厳しい時代かもしれませんが、それもやりようによっては飛躍できるチャンスかもしれません」 浄教寺に続いて、2021年1月には大阪の心斎橋御堂筋沿いにある三津寺(大阪市中央区)が、カンデオホテルズと一体化したビル建設に着工した。 三津寺は1933年築の伽藍の老朽化による建て替えの時期を迎えていた。そこで耐震補強などの修繕を施した上で、曳家工事によって本堂を移動。1階から3階までの吹き抜けに本堂をはめ込み、4階以上をホテルにするという構想だ。最上階の15階にはスカイスパを設ける。竣工は2023年9月を予定している。 また、本堂ではないが山門とホテルが一体化したケースもある。大阪市中央区の「南御堂」として親しまれている真宗大谷派難波別院では老朽化した山門の建て替えに際し、大阪エクセルホテル東急との一体型ビルを2019年に完成させた。17階建てのビルの5階以上がホテル、4階以下が寺院施設やテナントになっている。 寺院単独では生き残りが難しい時代だ。寺院の新たな価値創造にもつながりうる「ホテル一体型モデル」は、今後もきっと増えていくことだろう』、「朝のお勤めに宿泊客が参加できること、御朱印がホテルでもらえることなど、寺院一体型ホテルとしての特性を生かしたプランが次々と具現化」、「本堂には、本尊阿弥陀如来が鎮座する。その上階にあたる客室では、本尊の上にベッドを置かないように注文をつけた。宿泊客が本堂に入れるのは、朝のお勤めの際と見学タイムの1日2回。ホテル内部に、読経や木魚などの音が漏れないように防音には特に気を配った」、「心斎橋御堂筋沿いにある三津寺(大阪市中央区)が、カンデオホテルズと一体化したビル建設に着工した。 三津寺は1933年築の伽藍の老朽化による建て替えの時期を迎えていた。そこで耐震補強などの修繕を施した上で、曳家工事によって本堂を移動。1階から3階までの吹き抜けに本堂をはめ込み、4階以上をホテルにするという構想だ。最上階の15階にはスカイスパを設ける。竣工は2023年9月を予定している」、「寺院単独では生き残りが難しい時代だ。寺院の新たな価値創造にもつながりうる「ホテル一体型モデル」は、今後もきっと増えていくことだろう」、なるほど。

次に、7月7日付け日刊SPA!が掲載したルポライターの昼間たかし氏による「安倍晋三を祀る神社が建立…「死ねば、みんな神様」になるのか。神社本庁の見解は?」を紹介しよう。
https://nikkan-spa.jp/1924826
・『「死ねば、みんな神様」ではない?  日本の神社の多くが加盟する神社本庁に訊ねてみると、まずこんな説明が……。 「基本的に、みんな亡くなれば神様ということはありません」 なんと! 漠然と神道では「死ねば、みんな神様」なのかと思っていたら、そうではないというのだ。 「神道の考え方では、亡くなった方の御霊(みたま)は祖霊として祭られていきますが、所謂神社で祭られている御祭神としての『神』になる訳ではありません。日本人の古くからの霊魂観では、人は亡くなったあと、御霊(みたま)がこの世にとどまって、いつでも子孫を見守ってくれている存在だと考えてきました。そして、先祖まつりを繰り返すことで家の『守り神』になっていくと考えてきたのです」 つまり、死後すぐに神様になるというわけではないし、神社の祭神と同一になるというわけではないというわけだ』、「死後すぐに神様になるというわけではないし、神社の祭神と同一になるというわけではない」、なーんだ。
・『個別に丁寧に考察する必要が  また「実在した人を祀った神社が多数ある」という考え方も正しくはないという。 「死後に人が神として祭られた神社はありますが、その経緯は個別のものであり、総論として<亡くなった人の神社ができるのは日本の歴史では珍しいことではない>とは、一概に言い難いと思います。それぞれの経緯、理由があるので、比較する場合は、個別に丁寧に考察することが必要でしょう」 整理すると、決して誰もが死後、神社の祭神と同一の存在になるわけではない。かつ、実在した人物を祭神とする神社が珍しくないという見方は雑、ということだ。 この説明を聞いて気になったのは、現に、近代以降の比較的近い時代の人物が祭神になっている神社が存在していること。死後、神様になるわけではないとすると、話がかみ合わなくなるような気がする。その点を訊ねてみると、こんな答えが』、「決して誰もが死後、神社の祭神と同一の存在になるわけではない。かつ、実在した人物を祭神とする神社が珍しくないという見方は雑、ということだ」、なるほど。
・『仮に祀られても「神様となるかどうかは別問題」  「個人の信仰や想いでお社を建てることはありますが、それは否定しません」 なるほど、故人を顕彰する意味で神社を建立しても、祀られた実在の人物が神様となるかどうかは別問題ということだ。 なぜなら、神様は信仰をする人がいて、はじめて神様になるものだからである。社殿を建立し「○○の神である」と宣言することは、誰でもできる。でも、誰もその神を敬い参拝しなければ、単なる箱である。乃木神社や東郷神社は、いわば「成功例」であるが、失敗例、すなわち実在の人物を祀る神社を建立したが続かなかったという事例もある』、「社殿を建立し「○○の神である」と宣言することは、誰でもできる。でも、誰もその神を敬い参拝しなければ、単なる箱である。乃木神社や東郷神社は、いわば「成功例」であるが、失敗例、すなわち実在の人物を祀る神社を建立したが続かなかったという事例もある」、その通りだろう。
・『ノリと勢いだけでは継続は難しい?  かつて熊本県宇城市にあった竹崎神社は、1930年に元寇で活躍した武士・竹崎季長を祭神として創建されたが、今は廃社となり小さな祠が残るのみである。岡山県岡山市にかって存在した三勲神社は、明治初期に尊皇の志を示すとして和気清麻呂・児島高徳・楠正行を祭神に創建されたが、今は石碑が残るのみである。どうも、いつの時代もノリと勢いで実在人物を神様として祀る人はいるものの、継続は難しいようだ。 祀る形を整えるだけなら、誰でもできる。でも、末永く信仰を集めるか否かは別問題ということか。誰も信仰する人がいなければ「神様」にはなれない。森羅万象に神が宿るとする日本の信仰は美しいが、肝心の信じる人がいなければ成立しないのである。 果たして、安倍元首相は神になれるのか……!?』、「森羅万象に神が宿るとする日本の信仰は美しいが、肝心の信じる人がいなければ成立しないのである」、その通りだ。 「果たして、安倍元首相は神になれるのか……!?」、やはり「ノリと勢いだけでは継続は難しい?」、ような気がする。

第三に、7月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「旧統一教会フロント組織の「潜入ドキュメンタリー」を私が作った理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325814
・『「日本を裏で操っている反日組織」とは? その内部を取材した理由  安倍晋三元首相が凶弾に倒れてから1年が経過した節目ということもあって、「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)報道」が盛り上がっている。 そんなムードに思いっきり便乗するような形で恐縮だが、実は筆者も7月6日に独自に取材した成果をまとめたドキュメンタリー作品の予告編をYouTubeにアップした。本編は2部構成で今週中に前編、7月下旬には後編を公開する予定である。 タイトルは「国際勝共連合 潜入ドキュメンタリー 反日と愛国」だ。 ご存じの方も多いだろうが、「国際勝共連合」は旧統一教会を追及するジャーナリストらから「旧統一教会のフロント組織」と呼ばれており、安倍元首相をはじめとした自民党国会議員に対する政界工作の窓口となったとされている政治団体だ。 しかし、メディアやネットで盛んに「日本を裏で操っている反日組織」とあおられているわりには、「国際勝共連合」の実像についてはほとんど知られていない。実際にどんな人々が運動していて、彼らは今どんなことを考えているのか、という細かい話をメディアはほとんど報じていないのだ。 そこで実際に、この団体の内部に潜入をして、街宣や集会に参加をしながら、そこで運動をしている信者やシンパの人々の「生の声」に耳を傾けてみよう――というのが、このドキュメンタリーの主旨である。 という話を聞くと、「反日カルトの言い分を紹介するということは、こいつもマインドコントロールをされているに違いない!」とか「爆笑問題の太田光のような逆張りのカルト擁護だろ」と感じる方も多いかもしれない。 ただ、筆者がこういう取材を始めたのは、教団を擁護したいとか、自分が目立ちたいとかではなく、ごくシンプルに「報道があまりにも偏っている」からだ。もう少し丁寧な言い方をすると、「既存の旧統一教会報道が特定の情報源に基づいている偏った話なので、多様性の観点から、異なる視点の情報を提供したい」ということに尽きる』、「「既存の旧統一教会報道が特定の情報源に基づいている偏った話なので、多様性の観点から、異なる視点の情報を提供したい」ということに尽きる」、なるほど。
・『旧統一教会に対してだけは、世論が「同じ方向」を見ていて不気味  みなさんもご存じのように、旧統一教会に関しての国内報道は多少のレイヤーはあるものの、「日本のカネを韓国に送りこむ反日カルトなので、政治家とのズブズブの関係を明らかにして宗教法人を解散させろ」という方向性でコンセンサスが取れている。 これは冷静に考えると、「不気味」なことではないか。 広末涼子さんの不倫スキャンダルやジャニーズ性加害問題でさえ今の時代、多種多様な意見が飛び交うのが当たり前だ。しかも、今はテレビや新聞を「マスゴミ」なんて呼んで報道を懐疑的に見る人たちが増えている。にもかかわらず、既存の旧統一教会報道に苦言を呈したり、「いくらなんでも解散させるまではやりすぎじゃない?」なんて意見はほとんどない。 「でっちあげ」で新潮ドキュメント賞もとったノンフィクションライターの福田ますみ氏が、「月刊Hanada」で『新聞・テレビが報じない“脱会屋”の犯罪』『両親が覚悟の独占告白!国政を動かす「小川さゆり」の真実』などのルポを発表して、全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、全国弁連)側の批判をしているが、正直なところ雑誌業界でも「異端視」されているのが現状だ。 どちらが正しい、どちらが間違っているということを言いたいわけではない。国内にテレビ、新聞、雑誌、ネットニュースなど膨大なメディアがあるにもかかわらず、まるで記事をコピペしたように、すべて似たような論調で「バッシング一色」になっているのが大政翼賛会的で「不気味」だと言いたいだけだ。 「このバカはそんなこともわからないのか、メディアが取材をすればすぐに、旧統一教会がマインドコントロールした信者からカネを巻き上げて、日本滅亡を企む反日カルトだとわかるに決まっているからだろ!」という感じで、怒る人もいらっしゃるだろう。 ただ、報道対策アドバイザーとして、これまで多くのメディアスクラム(集団的過熱報道)の構造分析してきた立場から言わせていただくと、本件にはそう断言できない部分もある。この件、メディアは皆さんが思っているほど深い取材をしていないのだ』、「旧統一教会に対してだけは、世論が「同じ方向」を見ていて不気味」、いくら日本では同調圧力が強いと言っても、確かに行き過ぎのような気もする。
・『「バッシング一色」になったのはなぜ? 鈴木エイト氏や全国弁連に依存するマスコミ  報道をよくご覧になっている方ならばなんとなくわかるだろうが、この1年の旧統一教会報道というのは、ある一部の人たちが「情報源」となってつくられてきた側面がある。 鈴木エイト氏ら教団を追及しているジャーナリスト、そして被害者救済にあたっている紀藤正樹弁護士をはじめとした全国弁連である。 もちろん、テレビや新聞の記者たちも必死になって取材をして、独自で情報をつかもうとしている。しかし、しょせんは安倍元首相の殺害後にあわてて始めたようものなので、この問題を長年追いかけていた鈴木エイト氏や全国弁連の弁護士たちに敵わない。取材協力者の数、教団への知見など足元にも及ばない。 すると、どうなるのかというと、鈴木エイト氏や全国弁連からの情報に「依存」する。 テレビの記者やディレクターが、「すいませんけれど、こういう取材がしたいのですがインタビューできる人いませんか?」なんて協力を依頼するのだ。なぜそんなことがわかるのかというと、筆者もかつてそういう依頼をたくさん受けたからだ。 若い時、ある違法ビジネスの取材をして、週刊誌や月刊誌でルポをよく発表していた際、情報番組や報道番組からよく電話がきた。最初は「コメントをいただきたい」とか言うのだが、よくよく聞いてみると、取材VTRをつくりたいので、記事に登場をする人を紹介してほしいという。要するに、自分たちでイチから取材をするのは大変なので、手っ取り早く報道をするために「ネタ元を教えてくれ」というワケだ。 ちなみに意外に思うかもしれないが、全国紙の記者からも「取材先を教えてほしい」と連絡がちょこちょこあった。ただ、これはなにも筆者だけの話でははない。個人で特定のテーマをもって取材をしている人ならば、「同業者から取材を受ける」というのは一度や二度は必ず経験があるであろう「あるある」なのだ。 このようなマスコミの「情報を握る人」にガッツリと依存する傾向が、旧統一教会ではさらに深刻だったというのは容易に想像できよう。 安倍元首相の事件が起きるまで、国内のメディアは「旧統一教会問題」はノータッチだった。それは裏を返せば、日本国内のほとんどの報道機関が、鈴木エイト氏や全国弁連の「取材協力」や「アドバイス」なくして、この1年の旧統一教会報道は成立しなかったということだ。 同じ人たちが情報源なのだから当然、アウトプットも同じような論調になる。これが旧統一教会報道が「バッシング一色」になってしまった構造的な理由だ。 というような話をしてしまうと、「それの何が悪い!鈴木エイトさんたちの取材が絶対に正しいのだから、正しいことが広まってよかったじゃないか!」という感じで、いよいよ筆者の横っ面を引っぱたきたくなってしまう「正義の人」も多いだろうが、ちょっと冷静になって聞いていただきたい。 繰り返しになるが、筆者は今の報道が間違っているとか主張をしたいわけではない。 むしろ、このような問題を長きに渡って追い続けてきた人々の熱意や信念には尊敬しかない。筆者は「ジャーナリスト」を自分から名乗ったこともないし、この肩書きを名乗る人たちに独善的な印象しかなくてどうも苦手なのだが、鈴木エイト氏に関してはそういう印象はない。被害を訴える人々に寄り添う立派なジャーナリストだとも思う。 ただ、特定の人々が「情報源」の報道一色になっていることが、戦時中の「非国民」のように「全国民で叩いてもいい人」を生み出し、彼らを迫害するような「暴走」を招きかねないと心配をしているだけだ』、「戦時中の「非国民」のように「全国民で叩いてもいい人」を生み出し、彼らを迫害するような「暴走」を招きかねない」、心配し過ぎのような気もする。
・『ある元信者の体験話が昔より「ハード」に? 「情報源」が偏るとよくない理由  鈴木エイト氏や全国弁連の皆さんがお話を聞いている「情報源」のメインとなっているのは「かつて信仰をしていたけれど脱会をした人」や「信者の家族」である。つまり、「教団にネガティブな感情を持つ人」だ。 これは当然、情報が偏ってしまう。 企業の内部告発でもそうだが、会社を辞めた人の「告発」というのはちょっと盛られる傾向がある。例えば、ある内部告発者は、自分をクビにした経営者が憎く、退社時に社内文書を持ち出して、自分で加筆して違法な取引があったように細工をした。筆者は不審な点に気づいてその文書を用いた記事を書かなかったが、某全国紙は一面で現物を出してしまい、その企業から訴えられて負けていた。 もちろん、大概は「情報源」にメディアをだまそうなんて悪意はない。ただ、古巣への憎悪から冷静さを失い、「悪いやつを叩くのなら多少のうそは許される」と言わんばかりに話を盛ってしまうのだ。そしてこれは、旧統一教会問題でもかなりあるのではないかと思っている。 実は筆者は20年ほど前、ある雑誌の編集者をしていて、旧統一教会を脱会した元信者の手記を担当したことがある。その方が今回も「元信者」としてメディアの取材を受けているのだが、そこで語られる被害の内容や、教団の異常性の描写が、20年前に聞いていた話より、やや「ハード」になっていた。もちろん、同じような境遇の人の話を聞いているうちに「記憶が上書き」されたということもあるが、今の「バッシング一色」のムードに合わせている可能性もあるのではないか。 「被害者が多少話を盛って何が悪い」という意見もあるだろうが、確かに悪くない。それを精査するのはジャーナリストやメディアの仕事だ。ただ、ジャーナリストやメディアも人間なので当然、見抜けないこともあり、盛られた話を鵜呑みにした結果、偏った情報があふれてしまうこともある。 そこで必要なのが「報道の多様性」だと個人的に思っている。 「被害者」の主張をベースにした情報が世にあふれたら、メディアは「加害者」や「組織」側の言い分もしっかりと聞いて、世に出すことで、人々に自分の頭で判断をする材料を提示するのだ』、一般論としては「報道の多様性」は重要だが、統一教会のスポークスマンの主張もフェアに取上げている筈だが・・・。
・『伝えられない声を伝える重要性 新たな対立を生む、その前に…  今、旧統一教会の現役信者たちの声はほとんど伝えられない。教団側の主張も勅使河原秀行・教団改革推進本部長がメディア対応をするくらいだ。報道番組などのVTRを見ても、被害者や全国弁連の主張が9割で、教団側の反論はほんの1割ということもある。 かばっているわけではなく、いくらなんでもフェアではないのではないか、と言いたいのだ。犯罪者だって弁護士がつくのに、刑事事件で「容疑者」にもなっていない旧統一教会に関しては、彼らの主張を伝えるメディアはどこにもない。 だから、YouTubeで細々ではあるが、やってみようと思った。それだけである。 もちろん、不愉快な方もいらっしゃるだろう。「反日カルトの言い分なんて耳を傾ける必要はない!“岸田を呼んで教育を受けさせろ”なんて戯言をいう連中はさっさと解散だ!」という人もいるだろう。 ただ、筆者のドキュメンタリーを見ていただければわかるように、「日本滅亡を企む悪の反日団体」に属する人たちは、皆さんの隣にいる普通の市民だ。自分が信じていることを、「マインドコントロール」の一言で片付けられることに傷つき、「違うのにな」と悔しい思いをしている普通の人たちだ。 今や「カルトに虐げられた悲劇ヒーロー」として多くの支援者もいる山上徹也被告は、自民党と旧統一教会問題の関係をまったく触れないこの社会に絶望して、あの犯行に走った、と言われている。偏った報道によって、山上被告とまったく同じ負の感情が、旧統一教会の信者の間で生まれる恐れもあるのだ。 くどいようだが、かばっているわけではない。批判をするなと言っているわけでもない。叩くにしてもなんにしても、異なる考えを持つ人々の話に耳を傾けることなく、社会から排除をするのは新たな対立を生む恐れがある、と言いたいのだ。 少しでも興味がわいたという方は、ぜひ本編をご覧になっていただきたい』、「報道番組などのVTRを見ても、被害者や全国弁連の主張が9割で、教団側の反論はほんの1割ということもある。 かばっているわけではなく、いくらなんでもフェアではないのではないか、と言いたいのだ」、「教団側の反論はほんの1割」になったとすれば、それは「教団側」の責任でもあるのではなかろうか。
『「国際勝共連合」潜入ドキュメンタリー(予告編) ざっと観たが、自民党との関わりなど突っ込みどころ満載の印象を受けた。
タグ:宗教 (その11)(53歳元エリート銀行マンが仕掛けた「寺+ホテル一体のビル」が大繁盛…檀家の負担「ずっとゼロ」実現のスゴ技 築200年・檀家数100軒未満の"骨山寺院"が見事に甦り 全国から視察殺到、安倍晋三を祀る神社が建立…「死ねば、みんな神様」になるのか 神社本庁の見解は?、旧統一教会フロント組織の「潜入ドキュメンタリー」を私が作った理由) PRESIDENT ONLINE 鵜飼 秀徳氏による「53歳元エリート銀行マンが仕掛けた「寺+ホテル一体のビル」が大繁盛…檀家の負担「ずっとゼロ」実現のスゴ技 築200年・檀家数100軒未満の"骨山寺院"が見事に甦り、全国から視察殺到」 「浄教寺がある場所は、商業地の公示地価において、京都で最高価格地の定番地「四条河原町交差点」から直線距離でわずか200メートルほど。東京で例えれば、銀座の東京鳩居堂のすぐ裏側といったイメージだ」、「寺町通りからアプローチが延びており、手前にホテル、その奥にお寺らしい風情の境内が広がっている。広くはないが、境内墓地もある。入り口は寺とホテル用とで分けてあり、双方を行き来するにはいったん、外に出なければならない。 寺とホテルとが一体型となったビルは、地上9階建て。ビルの東側は浄教寺が占有し、1階に本堂や寺務所がある。一方で、ホテルは2階にレストラン、大浴場を備え、2階〜9階に客室167室を設けている」、なるほど。 「当時の木造本堂は築200年が経過し、荒廃していた。このままでは、近い将来の「崩壊」は目に見えていた。一般的な寺の改修には、時に億単位の資金が必要になる。前回の改修は90年も前のこと。雨漏りもひどく、耐震上も大きな問題を抱えていた。建て替えは不可避であった。 だが、浄教寺は、檀家数は100軒にも満たない骨山」、 「「一度は、住職就任の話を断りました。ですが、京都のど真ん中という恵まれた環境にあって、継承の話が出た2014年当時は、まだ京都ではホテルが足りていなかった。銀行員としての経験を活かし、今なら仏教とビジネスとの融合ができるかもしれないと思い、よし、やってやろうと思い直しました」、なるほど 「これ以上ない好立地だ。東には髙島屋京都店が隣接。寺に面する寺町通りは、かつて「京都の秋葉原」と呼ばれた電気街で、常に若者やビジネスパーソンが大勢行き交う。なおかつ、競合しそうなホテルチェーンは、近隣には見当たらなかった。 光山氏のホテル構想には、6社ほどのホテルチェーンが手を挙げたという。 しかし、うち4社は・・・折り合いがつかなかった。 最終的には、「むしろ、お寺と一緒になるメリットは大きい。新規顧客が開拓できる」と、コラボレーションに強い意欲を示した三井ガーデンホテルを運営する三井不動産と、光山氏との考えが一致した」、「コラボレーションに強い意欲を示した三井ガーデンホテルを運営する三井不動産と、光山氏との考えが一致した」、なるほど。 「朝のお勤めに宿泊客が参加できること、御朱印がホテルでもらえることなど、寺院一体型ホテルとしての特性を生かしたプランが次々と具現化」、「本堂には、本尊阿弥陀如来が鎮座する。その上階にあたる客室では、本尊の上にベッドを置かないように注文をつけた。宿泊客が本堂に入れるのは、朝のお勤めの際と見学タイムの1日2回。ホテル内部に、読経や木魚などの音が漏れないように防音には特に気を配った」、 「心斎橋御堂筋沿いにある三津寺(大阪市中央区)が、カンデオホテルズと一体化したビル建設に着工した。 三津寺は1933年築の伽藍の老朽化による建て替えの時期を迎えていた。そこで耐震補強などの修繕を施した上で、曳家工事によって本堂を移動。1階から3階までの吹き抜けに本堂をはめ込み、4階以上をホテルにするという構想だ。最上階の15階にはスカイスパを設ける。竣工は2023年9月を予定している」、「寺院単独では生き残りが難しい時代だ。寺院の新たな価値創造にもつながりうる「ホテル一体型モデル」は、今後もきっと増えてい 日刊SPA! 昼間たかし氏による「安倍晋三を祀る神社が建立…「死ねば、みんな神様」になるのか。神社本庁の見解は?」 「死後すぐに神様になるというわけではないし、神社の祭神と同一になるというわけではない」、なーんだ。 「決して誰もが死後、神社の祭神と同一の存在になるわけではない。かつ、実在した人物を祭神とする神社が珍しくないという見方は雑、ということだ」、なるほど。 「社殿を建立し「○○の神である」と宣言することは、誰でもできる。でも、誰もその神を敬い参拝しなければ、単なる箱である。乃木神社や東郷神社は、いわば「成功例」であるが、失敗例、すなわち実在の人物を祀る神社を建立したが続かなかったという事例もある」、その通りだろう。 「森羅万象に神が宿るとする日本の信仰は美しいが、肝心の信じる人がいなければ成立しないのである」、その通りだ。 「果たして、安倍元首相は神になれるのか……!?」、やはり「ノリと勢いだけでは継続は難しい?」、ような気がする。 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「旧統一教会フロント組織の「潜入ドキュメンタリー」を私が作った理由」 「「既存の旧統一教会報道が特定の情報源に基づいている偏った話なので、多様性の観点から、異なる視点の情報を提供したい」ということに尽きる」、なるほど。 「旧統一教会に対してだけは、世論が「同じ方向」を見ていて不気味」、いくら日本では同調圧力が強いと言っても、確かに行き過ぎのような気もする。 「戦時中の「非国民」のように「全国民で叩いてもいい人」を生み出し、彼らを迫害するような「暴走」を招きかねない」、心配し過ぎのような気もする。 一般論としては「報道の多様性」は重要だが、統一教会のスポークスマンの主張もフェアに取上げている筈だが・・・。 「報道番組などのVTRを見ても、被害者や全国弁連の主張が9割で、教団側の反論はほんの1割ということもある。 かばっているわけではなく、いくらなんでもフェアではないのではないか、と言いたいのだ」、「教団側の反論はほんの1割」になったとすれば、それは「教団側」の責任でもあるのではなかろうか。 「国際勝共連合」潜入ドキュメンタリー(予告編) ざっと観たが、自民党との関わりなど突っ込みどころ満載の印象を受けた。
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英語(その4)(グーグル翻訳が惨敗!無料翻訳ソフト「DeepL」驚異の実力と意外な落とし穴、小学校での英語必修化から3年 英語嫌いが増えて成績が二極化した理由、実は勉強が嫌い「福沢諭吉」なるほどな英語習得術 漢文学習で身につけた「素読」を英語でも応用) [生活]

英語については、昨年1月20日に取上げた。今日は、(その4)(グーグル翻訳が惨敗!無料翻訳ソフト「DeepL」驚異の実力と意外な落とし穴、小学校での英語必修化から3年 英語嫌いが増えて成績が二極化した理由、実は勉強が嫌い「福沢諭吉」なるほどな英語習得術 漢文学習で身につけた「素読」を英語でも応用)である。

先ずは、昨年6月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「グーグル翻訳が惨敗!無料翻訳ソフト「DeepL」驚異の実力と意外な落とし穴」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304895
・『無料翻訳ソフト「DeepL」の実力がすさまじい。海外メディアの英語やロシア語の記事を自然な日本語として読めるようになり、もはやDeepLなしの生活は考えられないほどだ。Google翻訳と比べてみてもその実力差は歴然としている。意外な落とし穴もあるのはご愛嬌。そこだけ気をつければ、これを利用しない手はない』、興味深そうだ。
・『DeepL翻訳なしの生活が考えられないくらいの実力  雑誌を読むのが日課になっていて、ジャンルを問わず(電子版ビューワータイプで)大量に読み漁っている。そんな中で先日読んだ「日経パソコン」(3月28日号)で紹介されていた「DeepL」という翻訳ソフトの実力がすさまじい。 最初は、Google翻訳より少しだけ精度が高い翻訳ソフトぐらいにしか考えてなかった。ところが、インストールして使っているうちに、今や「DeepL」なしでの生活は考えられなくなっている。 例えば、英公共放送BBCの英字ニュースサイトで6月4日に公開された「War in Ukraine: We are holding on, say Mykolaiv residents」という記事で検証してみよう。この記事は、ロシア軍による砲撃が毎日のように行われているウクライナの都市の現状をBBCの記者が現地からルポしているものだ。元の英文、Google翻訳、そしてDeepL翻訳をそれぞれ比べてみる。) 【元の英文】There is shelling every day in Mykolaiv. The Russians are on the outskirts to the east and south, pummelling surrounding villages and forcing thousands to flee. 【Google翻訳】ムィコラーイウでは毎日砲撃があります。ロシア人は東と南の郊外にいて、周囲の村を襲い、何千人もの人々を逃亡させています。 【DeepL翻訳】ミコライフでは毎日のように砲撃が行われている。ロシア軍は東と南の郊外におり、周辺の村々を打ちのめし、数千人を避難させた。 事実を分かりやすく伝えていくのが目的であるニュース原稿の大部分については、Google翻訳でもDeepL翻訳でも文章を読み取るのにあまり苦労はしない。また、クオリティーも保たれているケースが多い』、「ニュース原稿の大部分については、Google翻訳でもDeepL翻訳でも文章を読み取るのにあまり苦労はしない。また、クオリティーも保たれているケースが多い」、なるほど。
・『すさまじい実力を持つDeepLに意外な落とし穴が…  この例でのポイントは全体の翻訳の出来よりも、ウクライナの都市名「Mykolaiv」の和訳だ。Google翻訳は「ムィコラーイウ」と訳し、DeepL翻訳は「ミコライフ」と訳していることは大きな留意点といえる。 「ムィコラーイウ」はウクライナ語、「ミコライフ」はロシア語の発音だ。最近、日本でウクライナの地名を従来のロシア語ではなく、ウクライナ語の発音に近い形で表現することになっている。その新しいトレンドを踏まえているのは、Google翻訳である。ウクライナの首都「Kyiv」も、Google翻訳ではウクライナ語表記の「キーウ」、DeepL翻訳ではロシア語表記の「キエフ」となっている。 もし、あなたがDeepL翻訳を使うケースがあったなら、地名などの固有名詞はきちんと調べ直した方がいいことになる。 なお、日本メディアでは「キーウ」表記は浸透しているものの、「ムィコラーイウ」と「ミコライフ」はまだ混在しているようだ』、「最近、日本でウクライナの地名を従来のロシア語ではなく、ウクライナ語の発音に近い形で表現することになっている。その新しいトレンドを踏まえているのは、Google翻訳である」、なるほど。
・『文学的な文章や口語的な表現になるとDeepL翻訳の圧勝  しかし、前述のデメリットが気にならないほどDeepL翻訳のすごさを実感するのは、物語のような文章や口語的な表現も加わっている描写のケースだ。一般的なニュース記事であっても、そういった表現は原稿内に多分に含まれているものだ。 では、先ほどと同様に比べてみよう。先ほどと同じくBBCで6月17日に公開された「Is remote work worse for wellbeing than people think?」という記事で検証してみたい。この記事は、Katie Bishop氏が「リモートワークのメリットとデメリット」について取材・検証しているものだ。 【元の英文】When Cat, 30, was offered a fully remote role last year, she didn’t think twice about accepting. By then, Cat, who lives in London and works in environmental services, had already been working mostly remotely for some time as a result of the pandemic. She thought that being based from home wouldn’t be much of a problem. ut during the past few months, Cat has started to have second thoughts. 【Google翻訳】昨年、30歳の猫が完全に遠隔の役割を提供されたとき、彼女は受け入れることについて2度考えませんでした。その時までに、ロンドンに住んでいて環境サービスで働いている猫は、パンデミックの結果として、すでにしばらくの間、ほとんど遠隔地で働いていました。彼女は、家に拠点を置くことはそれほど問題ではないと考えました。 しかし、過去数か月の間に、猫は考え直し始めました。 【DeepL翻訳】30歳のCatは昨年、完全なリモートワークの仕事のオファーを受けたとき、迷わず受け入れました。ロンドンに住み、環境サービス業に従事するキャットは、パンデミックの影響ですでにリモートワークが中心になっていました。自宅を拠点にすることは、さほど問題にはならないだろうと思っていた。 しかし、この数カ月間、キャットは考え直すようになった。 ニュース記事ではGoogle翻訳の文章のアラは、それほど気にならないのだが、ほんの少しだけでも「ビジネス文章的な定型文」を離れると、Google翻訳は何を言っているのかよく分からなくなってしまった。対するDeepL翻訳は「猫」「(人名の)キャット」をきちんと分けて認識できている。 Google翻訳では、原文を見ながら翻訳を読めば理解することができるのだが、ご覧の通り、DeepLの方は原文に戻らなくても極めて流暢な日本語に訳すことができているケースがほとんどだ』、「DeepL翻訳は「猫」「(人名の)キャット」をきちんと分けて認識できている」、というのは大したものだ。
・『DeepL翻訳があれば世界中の情報を日本語で読める  ここまでの文章に翻訳してくるとなると、日本語のニュースを読むように海外のニュースサイトを読めるようになった。しかも、DeepL翻訳はロシア語にも対応している。 私は、DeepL翻訳のおかげで、BBC、米紙の「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」、ロシア紙の「モスコフスキー・コムソモーレツ」「ニェザヴィーシマヤ・ガゼータ」などを日本語ニュースを読むように、読むことができている。非常に有用だ。 さて、気になるお値段だが(通販番組のようだ!)、なんと無料だ。無料版ではいくつかの制限があるのだが、大した制限ではなく、ほとんどの人が不自由なく使うことができるだろう。 有料版「DeepL Pro」を申し込むとウェブブラウザ「Google Chrome」の拡張機能として活用ができるので、ニュースサイトを開けると勝手に翻訳を始めてくれる。この機能があまりに便利なので、私は有料版を申し込んでいる。 ウクライナだけでなく、世界中の知りたい情報が何の苦労もせずに手に入る時代が到来したのだ。経済ニュースや投資情報も、日本語のニュースサイトを利用するように理解できる。これを利用しない手はないだろう。 訂正 記事初出時より以下の通り訂正します。 20段落目:DeepL翻訳は、ロシア語にもウクライナ語にも対応している→DeepL翻訳はロシア語にも対応している (2022年6月20日15:31 ダイヤモンド編集部)』、「気になるお値段だが(通販番組のようだ!)、なんと無料だ。無料版ではいくつかの制限があるのだが、大した制限ではなく、ほとんどの人が不自由なく使うことができるだろう」、「世界中の知りたい情報が何の苦労もせずに手に入る時代が到来したのだ。経済ニュースや投資情報も、日本語のニュースサイトを利用するように理解できる。これを利用しない手はないだろう」、便利な時代になったものだ。

次に、本年5月20日付けダイヤモンド・オンラインがAERAdot.を転載した「小学校での英語必修化から3年、英語嫌いが増えて成績が二極化した理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/323167
・『小学校で英語が必修化されて3年。中学卒業までの学習内容は、劇的に増加した。しかし英語の力がつくどころか、英語嫌いが増えているという。AERA 2023年5月15日号より紹介する。 現在の小学校英語は、ざるで水を受けるような状態だ。この影響を受けるのは、中学1年生の英語教員だ。 小学校で英語力の定着を図ることができないなか、中学の教科書は「小学校で習った」ことを前提として執筆されている。単語も本文の量も激増しているのに加え、これまで高校で習っていた文法事項が中学に降りてきている。しかし授業時間は週に4コマと変更はない』、「英語の力がつくどころか、英語嫌いが増えている」、本末転倒の事態になっているようだ。
・『すべて英語で授業する  東京都の区立中学で、1年生を担当する50代の英語教員は言う。 「be動詞と一般動詞を同じユニットで扱ったり、違う形の疑問文が同時に出てきたりするので、生徒は混乱していると思います」 東京書籍の英語教科書「NEW HORIZON」の「Unit 1」の内容を見ると「be動詞(am、are)とその疑問文、一般動詞とその疑問文、canとその疑問文・否定文」、「Unit 2」は「isの疑問文・否定文、what・who・howの疑問文」となっている。かなりのハイペースだ。しかも、これらをすべて英語で教えなければいけないという。新「中学校学習指導要領」には、「授業は英語で行うことを基本とする」と明記されたからだ。 「オールイングリッシュで文法を教えるのは本当に難しい。一度、日本語でまとめて文法の授業をしたら『先生わかったよ!』と生徒が喜んでくれました」(区立中学校英語教員) 3年前に退職し、現在、公立中学校で英語の時間講師として教壇に立つ吉岡潤子さんは語る。 「小学校での英語教育が始まり、大きく変わったのは中1の最初の授業です。『Do you like English?』と聞くと、『No!!』という大きな声が上がるようになりました。小学校で英語嫌いになって、中学に上がってきているのです」) また、小中の連携がとれていないことも問題の一つだ。文科省にこの問題への対策を問い合わせたところ「小学校から中学校への円滑な接続を図ることとしているところです」という回答。解決への具体策は示されていなかった。現場の状況は深刻で、中学校教員が小学校の授業見学を求めても断られることもあるという。小学校での英語授業の内容は学校ごとにばらつきがあるため、本来であれば入念な引き継ぎが必須のはずだ。 小学校英語必修化や新学習指導要領によるマイナスの影響は、中学生の成績に出てきている。単語数や文法項目が増えただけでなく、教科書のページ数もゆとり教育時代の1.6~2倍に。それを「40人学級でオールイングリッシュ」で教えるのだから、取り残される子が出ないほうが不思議だ。しかも学習内容が増えたため、復習する時間もとれず、ただただ授業をこなすことに追われてしまうという』、「小中の連携がとれていないことも問題の一つだ」、「これらをすべて英語で教えなければいけないという。新「中学校学習指導要領」には、「授業は英語で行うことを基本とする」と明記されたからだ」、何故こんな馬鹿な恰好づけをするのだろう。現実を踏まえないで、理想論だけに走った結果だろう。
・『平均点は下がり気味  中学1年の最後の授業で、ある教員の元に生徒からこんな感想が届いたという。 「一生懸命勉強したのに、テストの点がひどくて涙が出てきました。読めないし、書けない。意味が全然わからない。理解できている子を見ると、どうして自分だけ、と考えてしまいます」 先の区立中英語教員によると、「テストの平均点は下がり気味で、しかも真ん中がいない『ふたこぶラクダ』のような成績分布に変化した」という声が教員の間で多数上がっているという。 現場の先生に委ねられたコミュニケーション重視の小学校の授業。高度化した内容をオールイングリッシュで教えるようプレッシャーがかけられる中学校の授業。全ては現場の教員と子どもたちの努力に委ねられた今、うまく教えられなかったら……、授業についていけなかったら……。「自己責任」だと切り捨てられてしまうのだろうか。(ライター・黒坂真由子)※AERA 2023年5月15日号より抜粋 ※AERA dot.より転載)』、「「テストの平均点は下がり気味で、しかも真ん中がいない『ふたこぶラクダ』のような成績分布に変化した」という声が教員の間で多数上がっている」、「「平均点は下がり気味で、しかも真ん中がいない『ふたこぶラクダ』のような成績分布に変化した」」、のであれば、明らかに大失敗だ。失敗の要因を総括した上で、早急に対策に乗り出すべきだろう。

第三に、7月16日付け東洋経済オンラインが掲載したライター・翻訳者の大澤 法子氏による「実は勉強が嫌い「福沢諭吉」なるほどな英語習得術 漢文学習で身につけた「素読」を英語でも応用」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/685785
・『『学問のすゝめ』で知られる福沢諭吉ですが、実は勉強が好きではなかった?/出所:『吾輩は英語がペラペラである』 新渡戸稲造、夏目漱石、野口英世……彼らに共通する点がわかりますか。それは、成人する前に海外への留学を経験することなく、日本にいながらにして、ネイティブ顔負けの英語力を身につけたことです。 現代よりも英語学習法が確立されていない時期に、偉人たちはどのようにして英語をマスターしたのでしょうか?そして、現代の私たちが彼らの「英語学習法」から学べることとは? 『吾輩は英語がペラペラである ニッポンの偉人に学ぶ英語学習法』より抜粋、再構成してお届けします』、「偉人たちはどのようにして英語をマスターしたのでしょうか?そして、現代の私たちが彼らの「英語学習法」から学べることとは?」、興味深そうだ。
・『勉強嫌いを克服し学問の啓蒙書を出版!(福沢諭吉(1835~1901年) 啓蒙思想家・教育家。幕末に『西洋事情』を発表し、明治維新に貢献。『学問のすゝめ』は教科書にも採用され幅広く読まれた。「自由」「平等」「権利」の尊さを説き、慶應義塾(現在の慶應義塾大学)を創設した。 諭吉の有名な言葉に「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」があります。『学問のすゝめ』の冒頭に記された言葉であり、「人間は生まれながらに平等であって、貴賤や上下関係によって差別されてはならない」ということを意味します。これは父親である福沢百助の影響を受けて生まれたものでした。 諭吉は1835年、大坂で5人きょうだいの末っ子として生まれました。父親の百助は足軽より格上の身分ではありましたが、下級武士に過ぎず、貧しい生活を強いられていました。 当時の日本は「家老の家に生まれた者は家老になり、足軽の家に生まれた者は足軽にならなければならない」という封建的な制度に縛られていました。その制度に異を唱えていた百助は、諭吉が生まれたときに「十か十一になれば寺にやって坊主にする」と言っていたのだとか。百助は諭吉が生まれて間もなく亡くなりましたが、生前諭吉の母親にそのことを話しており、諭吉は母親を介してその言葉を知ったそうです。) 父親の期待に応えるには、当然学問に励まなければなりません。ところが、兄や姉は7、8歳のころから習い事を始めたのに、諭吉は根っからの勉強嫌いで、全く勉強する気が起きなかったのだとか。 14歳のころ、近所の子が本を読んで勉強しているのを知り、「このままではまずい」と思ったのでしょう。ようやく地元の漢学の塾に通い、当時教養として身につけるべきとされていた中国語を勉強する気になったそうです。 語学はなるべく早い時期に始めるのがよいといわれています。ではなぜ、出遅れとも言える諭吉が中国語を身につけることができたのでしょうか。 その答えは日本の歴史にあります。古代に伝来した儒学と、諭吉をはじめ江戸の知識人のあいだで好まれた儒学は性質が異なります。江戸幕府が推奨した儒学は日本化されたものであり、江戸時代に出回った儒学書に書かれている言葉も、「唐話」と呼ばれる、唐通事(中国語の通訳者)が話す言葉をベースに、日本人向けにつくられた中国語でした。当時は基本的に日本語訛りの中国語が使われていたのです。 現代の語学ではとにかくネイティブ並みに話したり書いたりすることが求められます。その結果、語学のハードルが高くなり、上達が妨げられてしまいます。 当時の中国語は日本人向けに最適化されていたからこそ、諭吉をはじめとする江戸の知識人たちは中国語を嗜み、武器とすることができたのです』、「諭吉は根っからの勉強嫌いで、全く勉強する気が起きなかったのだとか。 14歳のころ、近所の子が本を読んで勉強しているのを知り、「このままではまずい」と思ったのでしょう。ようやく地元の漢学の塾に通い、当時教養として身につけるべきとされていた中国語を勉強する気になったそうです」、「江戸幕府が推奨した儒学は日本化されたものであり、江戸時代に出回った儒学書に書かれている言葉も、「唐話」と呼ばれる、唐通事(中国語の通訳者)が話す言葉をベースに、日本人向けにつくられた中国語」、「当時の中国語は日本人向けに最適化されていたからこそ、諭吉をはじめとする江戸の知識人たちは中国語を嗜み、武器とすることができたのです」、「日本人向けに最適化されていたからこそ、諭吉をはじめとする江戸の知識人たちは中国語を嗜み、武器とすることができたのです」、とは初めて知った。
・『お気に入りの漢書は何度もリピート  『学問のすゝめ』や『西洋事情』などの本を著した諭吉も、昔から本を好んで読んでいたわけではありませんでした。むしろ本が大嫌いで、これは14歳になるまで学問に励まなかった理由とも関係しています。 諭吉が通っていた漢学者の白石照山 の塾では、『詩経』や『書経』を中心に、『孟子』、『論語』、『老子』、『荘子』、『蒙求 』、『戦国策』などの古代中国の書物を読むためのレッスンが行われていました。古代中国史に興味を持った諭吉は、自ら進んで『前漢書』や『後漢書』、『晋書』などの歴史書を読み漁ったといわれています。) 中でも諭吉にとってのイチオシは『春秋左氏伝』。左丘明 によって書かれた、春秋時代の政治や外交などにまつわる説話集です。その漢書は全部で15巻ありましたが、たいていの生徒が3、4巻ほどでギブアップしたのに対し、諭吉はすべて一通り読んだそうです。それどころか、11回読み返しては、面白いと思った部分を暗記したのだとか。 こうして、諭吉は夢中になれるものに出会えたことがきっかけで、本嫌いを克服し、中国語のスキルを見る見るうちに上達させていきました。 これは英語学習においても同じです。いろいろな教材を試すことも大事ですが、諭吉のように、一つの教材を徹底的にやり込むことで、本に出てくる語彙や表現をモノにすることができるのです』、「諭吉にとってのイチオシは『春秋左氏伝』・・・その漢書は全部で15巻ありましたが、たいていの生徒が3、4巻ほどでギブアップしたのに対し、諭吉はすべて一通り読んだそうです。それどころか、11回読み返しては、面白いと思った部分を暗記したのだとか。 こうして、諭吉は夢中になれるものに出会えたことがきっかけで、本嫌いを克服し、中国語のスキルを見る見るうちに上達させていきました」、「夢中になれるものに出会えたことがきっかけで、本嫌いを克服」、大したものだ。
・『師匠に負けてたまるか!  諭吉の脳裏には常に「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」の言葉がありました。勉学に励めば、人間の身分の違いを埋められるということを信じていた諭吉は、漢学塾でも先生に負けまいと必死に勉強していました。 当時、藩校などでは漢文を学ぶのに「素読」という方法がとられていました。「素読」とは、意味の解釈を加えず、ただ声に出して暗唱する学習法。これを逆手にとって、「意味を理解すればどんなに偉い先生にも勝てるだろう」と考えた諭吉が、独自に編み出したのが「意味を理解しながら読む」という方法でした。) 幼くして父親を亡くし、母親によって女手一つで育てられた諭吉は、貧乏な生活を強いられていました。そんなある日、諭吉は兄から以下の言葉を告げられます。 原書というはオランダ出版の横文字の書だ。いま日本に翻訳書というものがあって、西洋のことを書いてあるけれども、真実に事を調べるにはその大本の蘭文を読まなければならぬ。 引用:福沢諭吉・著/富田正文・校訂『新訂 福翁自伝』(岩波文庫)岩波書店 1937)  漢書を学んでいるときは、クラスメートの中では出来がよかったこともあり、オランダ語への興味が自ずと芽生えた諭吉。長崎へ行けば、原書が手に入ります。オランダ語を本格的に学ぶために、長崎に行くことを決心するも、諭吉にはそんなお金はありません。そんなとき、手を差しのべてくれたのが、漢学塾でお世話になった前述の白石照山でした。漢学者でもあった父が遺した蔵書を照山に15両で買い取ってもらった諭吉は、そのお金を手にし、長崎へと出向きました』、「漢学塾でお世話になった前述の白石照山でした。漢学者でもあった父が遺した蔵書を照山に15両で買い取ってもらった諭吉は、そのお金を手にし、長崎へと出向きました」、なるほど。
・『五感を刺激しながら学習する  ただし、手持ちのお金には限りがあります。諭吉は原書がたやすく手に入る長崎のオランダ砲術家の自宅に居候をしたり、知り合いから本を借りたりしながらオランダ語を学んだようです。例えば200ページ余りあるオランダ新版の築城書を知り合いから借りてきたときには、まず数日間ほぼ徹夜で必死に書き写し、 それからオランダ語を知っている蘭学医の先生とできあがったものの読み合わせをしながら、オランダ語を上達させていきました。 語学では、五感を刺激しながら学習することで、知識が記憶により定着しやすくなるといわれています。諭吉が実践したオランダ語学習法は、文字を見て、紙に書き、そしてそれを声に出して読むという方法でした。それにより、視覚や触覚、聴覚が刺激されるので、知識を記憶に定着させるにはうってつけの方法と言えます。実はこれ、歴史的にも効果が証明された方法だったのです。 諭吉にとってオランダ語は異質な言語でしたが、古代の人たちにとってのそれは大陸から入ってくる漢字。そして、古代の人たちが漢字を覚えるために実践したのが、木簡や土器に歌を書き、それを読むという方法でした。 そもそも日本の漢字は発音と意味の両方の情報を持っており、こうしたタイプのものは全体の8割を占めています。ここで、「固」「故」「姑」「胡」という漢字を例に考えてみましょう。いずれも「古(コ)」という発音に関する情報に加え、「乾いて固い」という意味に関する情報を持っています。古代の人たちは、漢字を木簡や土器に記しながら、発音と意味を同時に習得していったとされています。 ところで、英語はどうでしょうか。例えば同じ「li」でも、「little」ではその発音は「リ」であるのに対し、「light」は「ライ」と発音されます。また、これらは意味の異なる単語です。たとえ英語の綴りを理解できても、発音や意味の理解には及びません。漢字とは違って、英語の綴りを書いて、同時に発音や意味をマスターするのは難しいのかもしれません。) 長崎や大坂でオランダ語を学んだ諭吉は、開港したばかりの横浜へ見物に訪れます。ところが、諭吉のオランダ語は全く使い物になりませんでした。というのも、横浜に居留する外国人の多くは英語を話していたのです。「落胆している場合ではない。これからは英語の時代だ!」と奮起した諭吉は、早速英語を学び始めました。 慶應義塾を創設した諭吉も、私たちと同じ人間です。最初からパーフェクトに英語を理解できたわけではありません。特に発音が苦手だったので、外国人に英語を習った子どもが長崎から来たと聞くと、その子どもをつかまえて発音を学んだそうです。  ただ、諭吉の質問には少し意地悪なところもありました。人が読み間違えそうな場所をわざとピックアップし、わからないふりをしてその読み方を尋ねては、学者と称する先生が読み間違える様子を笑っていた、という逸話もあります。 英語上達の秘訣は、とにかく苦手な箇所をつくらないことです。諭吉がとった方法をそっくりそのまま真似する必要はありませんが、わからないことがあったら、積極的に人に聞いて疑問をなくしておくことは見習うべきかもしれませんね』、「横浜に居留する外国人の多くは英語を話していたのです・・・これからは英語の時代だ!」と奮起した諭吉は、早速英語を学び始めました・・・特に発音が苦手だったので、外国人に英語を習った子どもが長崎から来たと聞くと、その子どもをつかまえて発音を学んだそうです」、子どもから「発音」を学んだとは大したものだ。
・『原書で授業をしたら日本語が読めなくなる生徒も  オランダ語と英語は語彙や文法の面で似ており、系統的にはどちらも西ゲルマン語群の低地ゲルマン語派に属します。横浜で購入した蘭英の会話書や辞書とにらめっこする中でそのことを知った諭吉は、英語で書かれた部分をオランダ語に翻訳しながら英語を身につけていきました。 そもそも1858年、諭吉が江戸築地鉄砲洲の中津藩中屋敷内(現在の東京都中央区明石町)に設立した慶應義塾は、蘭学塾として開校したのが始まりでした。それから2年後、諭吉は勝海舟やジョン万次郎らとともに咸臨丸に乗り込み渡米。帰国後は英語と中国語の対訳の単語集『増訂華英通語』の刊行をきっかけに、慶應義塾を英学塾へと切り替えました。 諭吉が展開した英学の授業は「原書を読み、その意味を理解する」という、まさに自身が経験した方法に則ったもの。その方法で生徒の英語のスキルは確実に上達したようですが、なにぶん英語ばかり読んでいたことが仇となり、日本語の手紙が読めなくなる生徒もいたのだとか。  ノンネイティブが外国語を学ぶときには、あらかじめ土台となる母語の文法をしっかり身につけるべきだといわれています。諭吉の場合、日本語の文法を軽視したことが英学の授業の失敗につながってしまったのかもしれません。) 結果的に諭吉のその策略は思いどおりに運んだようで、午前に素読を教わった先生と、午後に漢文の読みで対決をしては、そのたびに先生を負かしていたのだとか。  語学においては、自然に湧き出る心理的な欲求に基づき行動することが重要で、それによってモチベーションが持続し、成功率が高くなるといわれています。諭吉の場合、負けず嫌いな性格が語学を続ける動機となり、結果として師匠を上回るほどの語学力の獲得につながったのです。 諭吉はのちにオランダ語や英語を学ぶ際にも全く同じ学習法を適用しました。もちろん、原書でつまずくこともありました。そんなとき、とりあえず30分間は辛抱強く無言で考えるようにすると、意味が自ずと見えてきたのだとか。こうして、諭吉はオランダ語と英語を上達させていきました』、「オランダ語や英語を学ぶ際にも全く同じ学習法を適用しました。もちろん、原書でつまずくこともありました。そんなとき、とりあえず30分間は辛抱強く無言で考えるようにすると、意味が自ずと見えてきたのだとか。こうして、諭吉はオランダ語と英語を上達させていきました」。「原書でつまずくこともありました。そんなとき、とりあえず30分間は辛抱強く無言で考えるようにすると、意味が自ずと見えてきたのだ」、「原書」を読む時には、私も辞書をすぐに使わずに、先ずは前後関係から推定、段落や頁単位で辞書で確認するという読み方をしている。  
タグ:英語 (その4)(グーグル翻訳が惨敗!無料翻訳ソフト「DeepL」驚異の実力と意外な落とし穴、小学校での英語必修化から3年 英語嫌いが増えて成績が二極化した理由、実は勉強が嫌い「福沢諭吉」なるほどな英語習得術 漢文学習で身につけた「素読」を英語でも応用) ダイヤモンド・オンライン 小倉健一氏による「グーグル翻訳が惨敗!無料翻訳ソフト「DeepL」驚異の実力と意外な落とし穴」 「ニュース原稿の大部分については、Google翻訳でもDeepL翻訳でも文章を読み取るのにあまり苦労はしない。また、クオリティーも保たれているケースが多い」、なるほど。 「最近、日本でウクライナの地名を従来のロシア語ではなく、ウクライナ語の発音に近い形で表現することになっている。その新しいトレンドを踏まえているのは、Google翻訳である」、なるほど。 「DeepL翻訳は「猫」「(人名の)キャット」をきちんと分けて認識できている」、というのは大したものだ。 「気になるお値段だが(通販番組のようだ!)、なんと無料だ。無料版ではいくつかの制限があるのだが、大した制限ではなく、ほとんどの人が不自由なく使うことができるだろう」、「世界中の知りたい情報が何の苦労もせずに手に入る時代が到来したのだ。経済ニュースや投資情報も、日本語のニュースサイトを利用するように理解できる。これを利用しない手はないだろう」、便利な時代になったものだ。 AERAdot.を転載した「小学校での英語必修化から3年、英語嫌いが増えて成績が二極化した理由」 「英語の力がつくどころか、英語嫌いが増えている」、本末転倒の事態になっているようだ。 「小中の連携がとれていないことも問題の一つだ」、「これらをすべて英語で教えなければいけないという。新「中学校学習指導要領」には、「授業は英語で行うことを基本とする」と明記されたからだ」、何故こんな馬鹿な恰好づけをするのだろう。現実を踏まえないで、理想論だけに走った結果だろう。 「「テストの平均点は下がり気味で、しかも真ん中がいない『ふたこぶラクダ』のような成績分布に変化した」という声が教員の間で多数上がっている」、「「平均点は下がり気味で、しかも真ん中がいない『ふたこぶラクダ』のような成績分布に変化した」」、のであれば、明らかに大失敗だ。失敗の要因を総括した上で、早急に対策に乗り出すべきだろう。 東洋経済オンライン 大澤 法子氏による「実は勉強が嫌い「福沢諭吉」なるほどな英語習得術 漢文学習で身につけた「素読」を英語でも応用」 「偉人たちはどのようにして英語をマスターしたのでしょうか?そして、現代の私たちが彼らの「英語学習法」から学べることとは?」、興味深そうだ。 「諭吉は根っからの勉強嫌いで、全く勉強する気が起きなかったのだとか。 14歳のころ、近所の子が本を読んで勉強しているのを知り、「このままではまずい」と思ったのでしょう。ようやく地元の漢学の塾に通い、当時教養として身につけるべきとされていた中国語を勉強する気になったそうです」、「江戸幕府が推奨した儒学は日本化されたものであり、江戸時代に出回った儒学書に書かれている言葉も、「唐話」と呼ばれる、唐通事(中国語の通訳者)が話す言葉をベースに、日本人向けにつくられた中国語」、 「当時の中国語は日本人向けに最適化されていたからこそ、諭吉をはじめとする江戸の知識人たちは中国語を嗜み、武器とすることができたのです」、「日本人向けに最適化されていたからこそ、諭吉をはじめとする江戸の知識人たちは中国語を嗜み、武器とすることができたのです」、とは初めて知った。 「諭吉にとってのイチオシは『春秋左氏伝』・・・その漢書は全部で15巻ありましたが、たいていの生徒が3、4巻ほどでギブアップしたのに対し、諭吉はすべて一通り読んだそうです。それどころか、11回読み返しては、面白いと思った部分を暗記したのだとか。 こうして、諭吉は夢中になれるものに出会えたことがきっかけで、本嫌いを克服し、中国語のスキルを見る見るうちに上達させていきました」、「夢中になれるものに出会えたことがきっかけで、本嫌いを克服」、大したものだ。 「漢学塾でお世話になった前述の白石照山でした。漢学者でもあった父が遺した蔵書を照山に15両で買い取ってもらった諭吉は、そのお金を手にし、長崎へと出向きました」、なるほど。 「横浜に居留する外国人の多くは英語を話していたのです・・・これからは英語の時代だ!」と奮起した諭吉は、早速英語を学び始めました・・・特に発音が苦手だったので、外国人に英語を習った子どもが長崎から来たと聞くと、その子どもをつかまえて発音を学んだそうです」、子どもから「発音」を学んだとは大したものだ。 「オランダ語や英語を学ぶ際にも全く同じ学習法を適用しました。もちろん、原書でつまずくこともありました。そんなとき、とりあえず30分間は辛抱強く無言で考えるようにすると、意味が自ずと見えてきたのだとか。こうして、諭吉はオランダ語と英語を上達させていきました」。「原書でつまずくこともありました。そんなとき、とりあえず30分間は辛抱強く無言で考えるようにすると、意味が自ずと見えてきたのだ」、 「原書」を読む時には、私も辞書をすぐに使わずに、先ずは前後関係から推定、段落や頁単位で辞書で確認するという読み方をしている。
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