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新安保法制(その4)”自民党よ 私の反論を聞きなさい”2 [外交]

今日は、18日に続いて、慶応義塾大学名誉教授で改憲論者として知られる小林節氏が、日刊ゲンダイに「自民党よ 私の反論を聞きなさい」と題して、シリーズで寄稿しているものを紹介したい。これは、自民党全議員に配布された「『安保法制』一問一答35」なる解説と、これに対する小林氏の反論をまとめたもの。ただ、今日からは私が特に重要と考える項目に絞って取上げる。なお、→以下が筆者の反論

まず、14日付けの「<第3回>「総合して判断」は「一任せよ」と言っているに等しい」では、冒頭の 【論点9】を取上げる。
・【論点9】[問]集団的自衛権発動の新3要件は政府の判断でいかようにでもあてはめが可能で、歯止めが利かない。[答]集団的自衛権発動の新3要件((1)わが国の存立と国民の人権が覆される明白な危険があり(2)ほかに適当な手段がなく(3)必要最小限にとどめる)は、すべての情報を総合して客観的、合理的に判断されるものである
→海外で他国軍が攻撃された結果として、「わが国の存立と私たち日本国民の人権が全否定される」「明白な危険」が生じる事例は、朝鮮戦争が再度勃発した場合以外に考えつかない。北朝鮮と米韓連合軍が軍事衝突した場合である。その場合には、300以上の日米軍事基地を抱えているわが国は、自動的に戦争当事国にされてしまう。そうなれば韓国から米軍艦に乗って避難してくる日本人母子などを、わが国は個別的自衛権で保護できるわけで、集団的自衛権などを持ち出す必要はない。ホルムズ海峡が機雷で封鎖されたら新3要件に該当すると言うが、石油の備蓄が半年分あり代替エネルギーもあるわが国が、石油の供給が一時途絶えただけで、なぜ、「国家沈没」および「国民の人権全否定」の「明白な危険」に見舞われるのか?被害妄想。さらに、「すべての情報を総合して客観的、合理的に判断されるものである」と言うが、これでは、全く判断基準になっていない。法律学において、「全ての情報を総合して」判断するということは、事前に何の基準も示さずに、担当者に一任せよと要求しているに等しい。これは、戦争と平和、つまり、国家の存続と各人の政治にかかわる決定を無条件に政府に委ねよと言っているに等しい。人間社会において民法や刑法が不可欠なように、本来的に不完全な人間が権力を預かる以上、その乱用を防ぐために憲法が不可欠なことが常識になっている現代にあって、無条件で戦争権限を政府に委ねよとは、論外である。しかも、何の根拠もなく、勝手に「客観的、合理的に判断される」などと自画自賛している姿勢が恐ろしい。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160695

次に、15日付けの「<第4回>前線から離れた後方支援だから安全という大ウソ」では、【論点12】を取上げる。
・【論点12】[問]「後方」支援と言っても、それは戦闘に行くことである。[答]弾薬の提供そのものは「武力の行使」ではない。前線から離れたところで実施される後方支援
→法案によれば、「後方支援」とは、最前線での銃撃以外は何でもできるようになっており、かつ、「非戦闘地域」といった地理的な(現場と距離を置く)条件は付けられていない。従って、今回の後方支援は、弾が飛んでいない時を選んで米軍に合流して戦争に参加すること以外の何ものでもない。
 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160730

第三に、16日付けの「<第5回>他国の戦闘行為を減殺する行為は参戦に等しい」では、【論点16】を取上げよう。
・【論点16】[問]機雷敷設が戦闘行為である以上、その除去も戦闘行為で、日本は自動的に戦争に入って行く。[答]自衛隊は海上で戦闘が行われている場合には機雷除去は行わない
→ここでの問題は、戦闘行為が現に行われているか否かという問題ではなく、日本国公務員の行為の法的評価の問題である。つまり、他国の戦闘行為の効果を減殺する行為も戦闘行為で、それは参戦以外の何ものでもない
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160830

上記のうち 【論点9】の反論は、現在の国会論戦でも重要な争点になる筈なのに、安部政権側が正面からの回答を避け、真の論争になっていないのは残念だ。このシリーズはまだ続いているが、明日は気分転換もかねて別のテーマを取上げるつもりである。
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cheese999

自由の女神の戦争に加担させられるのでしょうね(^_0)ノ
by cheese999 (2018-08-08 04:35) 

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