SSブログ
前の10件 | -

今日25日から27日まで更新を休むので、28日にご期待を!

今日25日から27日まで更新を休むので、28日にご期待を!
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

民間デジタル化促進策(その1)(日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制 メインフレーム時代以来の強固な縦割り、印鑑さよならで思い出す金融業界の逸話 「押す角度・直径」に文化あり、日本の医療をGAFAに牛耳られない為に必要な策 個別商品・サービスでなくエコシステムがカギ) [経済政策]

一昨日から「デジタル化」関連を取上げているが、今日は、民間デジタル化促進策(その1)(日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制 メインフレーム時代以来の強固な縦割り、印鑑さよならで思い出す金融業界の逸話 「押す角度・直径」に文化あり、日本の医療をGAFAに牛耳られない為に必要な策 個別商品・サービスでなくエコシステムがカギ)である。

先ずは、9月13日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制 メインフレーム時代以来の強固な縦割り」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75498?imp=0
・『日本のIT化が信じられないほど遅れていることを、コロナが暴露した。 なぜこうしたことになってしまうのか? その大きな理由として、政府や企業の情報システムが抱えた日本特有の問題がある。 発注側が評価能力をもたないため、SIベンダーのいいなりになり、古いシステムが温存されてしまうのだ』、野口氏の手厳しい指摘をみてみよう。
・『日本ではSIerの役割が重要  日本のITシステムで重要な意味を持つのが、SIer(Systems Integrator)とよばれる業者だ。 この役割を知るには、コンピュータシステムの歴史を知っている必要がある。ごく簡単に要約しておこう。 1980年代までの日本では、メインフレームやオフィスコンピュータが主流だった。メインフレームとは、大組織の基幹業務用などに使用される大型コンピュータ。オフィスコンピュータとは、中小企業の財務会計や給与計算を行うための小型のコンピュータだ。 1990年代にIT革命が起り、PC(パソコン)やワークステーション、サーバなどが使われるようになった。 ここで、ワークステーションは、PCよりも高性能のコンピュータ。サーバとは、ネットワーク上で、他のコンピュータ(クライアント)から要求や指示を受け、情報処理を行なうコンピュータだ。 データベースサーバ、Webサーバ、メールサーバなどがある。このシステムを「オープンシステム」と呼ぶ。 メインフレームの場合には、1社のみのハードウェアおよびソフトウェアで構成されることが多かった。それに対してオープンシステムでは、マルチベンダーとなる場合が多い。「ITベンダー」とは、企業が必要とする情報機器やソフトウェア、システム、サービスなどを販売する企業のことだ。 様々なベンダーのソフトウェアやハードウェアを統合する事業者のことを、システムインテグレーター(SIer)と呼ぶ。有力なSIerとして、富士通、日立製作所、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ、NEC、IBM、日鉄ソリューションズなどがある。 ITベンダーとSIベンダーとSIerの違いについて、明確な定義はない。経済産業省の『DXレポート』は、「ベンダー企業」という名称を用いている』、なるほど。
・『日本企業や官庁はSIerに丸投げ  経済産業省『DXレポート』によると、諸外国の場合には、ユーザ組織が社内に IT エンジニアを抱えて、開発を主導している。このため、他のエンジニアへのノウハウの伝播が容易で、ノウハウが組織内に蓄積する。 それに対して日本では、ITエンジニアが、ユーザー組織ではなくSIerやベンダー企業に所属している。 このため、多くの場合、組織と結びついたSIerに丸投げしている。「昔から付き合いがあるから」というだけでずっと同じところに頼み続ける。したがって、関係が固定的になり、いったんシステムを作ると、もう動かせなくなる。 SIerとしては、技術の新しい動向をフォローすることよりも、固定的な顧客を逃がさないことのほうが重要だ。 また、ユーザー組織には、ITシステムに関するノウハウが蓄積しにくい。 SIerは安定した収入が見込めるので、組織とのもたれ合いの関係となる。SIer業界は多重下請け構造(5次下請けのさらに下まであるという)になっている。業者は中間マージンで稼いでおり、末端のエンジニアたちは搾取される構造になっているという。 これが、諸外国とは異なる「日本の特殊なITシステムの構造」だ。 8月30日公開の「日本政府がテレビ会議をできない『理不尽すぎる理由』」において、政府LANの統合問題は、2000年代半ばと10年代半ばの2度浮上したが、「自前の通信ネットワークに手を突っ込まれたくない各省庁の拒否反応と、甘い汁を吸ってきた納入業者の抵抗のために頓挫した」と書いた。 また、9月6日の「厚?労働省のITシステムは、なぜこうも不具合が多いのか?」において、「厚労省はシステムの運営をSlerに任せきり。SIerは維持管理で稼ぐことに執着する」と書いた。 発注側で評価する能力がないから、古いシステム が温存され、コストが嵩み、効率が下がる。そして、SIer は、独自システムの維持に執着するのだ』、「発注側で評価する能力がないから、古いシステム が温存され、コストが嵩み、効率が下がる。そして、SIer は、独自システムの維持に執着するのだ」、日本の非効率の典型だ。
・『縦割り社会の弊害が現れている  日本は縦割り社会と言われる。日本の組織(とくに大企業や官庁)は、あらゆる面で閉鎖的だ。日本の組織はタコ壺なのだ。 そのことが、従来は、人事について言われてきた。終身雇用制で、組織間の人材の移動が少ないという問題だ これまで述べてきたように、同様のことが情報システムについても言える。 企業は独自の閉鎖的な情報システムを持つ。だからシステムも企業ごとにバラバラになる。もともと、中央省庁は縦割り、自治体はバラバラなので、省庁や自治体がバラバラに情報システムを構築する。 大型コンピュータの時代にはこうなっても仕方なかった。しかし、インターネットでは、組織間の繋がりが重要なのだ。 日本政府がテレビ会議を満足にできないのは、省庁ごとのシステムがバラバラだからだ。給付金オンライン申請ができないのは、自治体システムと繋がっていないからだ』、「省庁や自治体がバラバラに情報システムを構築する」、少なくとも「自治体」が統一的な情報システムを構築するだけで、膨大な経費削減につながる筈だ。
・『組織のトップが方向づけの能力を持たない  本来なら、こうした状態を矯正する力が働かなければならない。その役割を果たすべきは、組織のトップだ。 すでに見たように、日本におけるデジタル化の問題とは、単に紙をデジタルにするということだけでない。日本組織のタコ壺構造 をどうするかという問題なのだ。このためには、組織のリーダーが問題を理解している必要がある。 経済産業省『DXレポート』によると、アメリカのCIOは、ベンダー企業を客観的に評価できることが重要な責務であると思っており、役に立つベンダー企業はどこかと常に見ている。世の中の有名なベンダー企業を使うよりも、世に知られていないが、新たな価値を提供できるベンダー企業を使って結果を出すことが自らの評価につながる環境に置かれている。 ところが、日本の組織のトップは、有名なベンダー企業に頼んだから大丈夫という考えに陥りがちだ。 目を覆いたくなる状況は、「日本政府がテレビ会議をできない『理不尽すぎる理由』」で述べたとおりだ。 歴代の経団連会長はパソコンを使っていなかった、サイバーセキュリティ担当大臣もそうだった。これではITシステムの方向づけなど、できるはずがない。 そして、「組織のトップはITの細かいことなど知らなくてよい」と、多くの人が考えている。これでは、日本の現状が変わるはずはない。 日本政府も、自治体システムの標準仕様統一を義務付ける新法を制定する検討に入った。 「自治体にシステムをわかる職員が少なく、ベンダー主導となってきた。そのため、各自治体が独自仕様のシステムを構築し、国や自治体のデータ連携が進まず、新型コロナウイルス対応では給付金の支給遅れなどを招いた。これを改革するのだ」と説明されている(「自治体システム仕様統一 デジタル化へ新法で義務付け」日本経済新聞、8月3日)。 まっくその通りだ。しかし、トップがこのような状態で、果たしてうまく進むのだろうか?』、「日本の組織のトップは、有名なベンダー企業に頼んだから大丈夫という考えに陥りがちだ」、典型的な責任回避スタイルだ。「「組織のトップはITの細かいことなど知らなくてよい」と、多くの人が考えている」、こうしたトップのIT軽視が、部下たちにも伝わる筈だ。
・『台湾は日本の遥か先を行く  日本と対照的なのが台湾だ。 オードリー・タン(唐鳳)デジタル担当相が指揮して作ったマスク供給システムで、マスク不足のパニックを防いだ。 このシステムでは、個人情報保護が要求され、しかも、行政機関や流通の情報も連携させなければならず、難度が高いものだった。タンは市民エンジニアの協力で、わずか3日でこれを作った。 タンは2016年に台湾史上最年少となる35歳で入閣した。この人は天才プログラマーと言われるが、その経歴は、日本の常識から言えば、型破りそのものだ。14歳で中学を退学して15歳で起業。そして、33歳で現場から引退した。 こうした人材を登用し、思うままの活動をさせる蔡英文総統の洞察力と指導力にも敬服せざるを得ない。 そして台湾は、新型コロナウィルスの感染拡大を抑え、被害を最小限に抑え込むことに成功している。 中国は強権によって感染を抑え込んだのだが、台湾は、知恵によって抑え込んでいる。 台湾は日本の遥か先を行っている』、「オードリー・タン」氏を「登用し、思うままの活動をさせる蔡英文総統の洞察力と指導力にも敬服せざるを得ない」、同感である。

次に、10月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「印鑑さよならで思い出す金融業界の逸話、「押す角度・直径」に文化あり」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/251190
・『筆者は約40年間サラリーマンを務め、金融業界に長く身を置いてきた。そのため、直接ないしは間接的に印鑑(ハンコ)に関するさまざまなエピソードを見聞きしてきた。今や、行政やビジネスの手続きから除外されていく運命にあると思われる印鑑だが、その押す角度や判の直径が9ミリか11ミリかといったささいなことに、会社の文化や思いが込められていた。今回はそうした金融業界の印鑑にまつわる逸話をご覧に入れたい』、タイムリーな寄稿、さすがだ。
・『印鑑と共にあったサラリーマン生活前半 金融業界ならではの思い出は数多い  筆者は、ざっと40年間サラリーマンであるが、サラリーマン生活の前半は印鑑と共にあった。ハンコを巡る思い出は数多い。 最初の就職先に入社した日の社内事務の多くに、シャチハタの印鑑を使用した。朝は出勤すると出勤簿にシャチハタを押印するところから一日が始まる。新入社員である筆者の世話役の女性社員(筆者の数歳年上)の押したシャチハタの印影を見て、「シャチハタも使い込むと貫禄が出ますね」と言ったところ、「今年の新人は可愛くない」という評判がチーム内に一斉に広まった。 素朴な感想を述べたのだったが、彼女の年齢を揶揄(やゆ)したように聞こえたのだろう。そういう気持ちが一切なかったわけでもないから、仕方がない。 社内の決裁文書には印鑑が使われた。投資案件を決済する投融資委員会の文書には12?13個の印影が並んだ。決済に意見としては反対だが、形式的に賛成する場合には、逆さまにハンコを押す場合がある、と先輩社員から聞いていたが、実際に逆さまの印影は見たことがなかった気がする。) その代わり、この会社には同じ賛成でも「異議なし」と「やむなし」の2種類の書き方があって、「ホンネ」の表現手段があった。どちらも賛成なのだから、意味のないことなのだが、「やむなし」と書くと社内で感情的な対立が生まれることがあり、覚悟が必要だった。 筆者は財務部員だったので、取引先の銀行員に「うちの会社は決裁文書にこんなにたくさんハンコが並ぶのです」と愚痴を言ったら、「うちの銀行は大抵の書類に30個に近い二十数個はハンコが並びますよ」と言われて、驚いた。 十数年後に、その銀行の子会社である運用会社に転職したところ、本当に20個以上のハンコがきれいに並んでいた。「客先を訪問した報告書」のような決済文書でない書類にも「見た」という印としてハンコを押す。 銀行から出向してきた部下が、「ハンコは、少し左斜めに傾けて押すといいと支店長に教わりました」と言う。左側に上席者のハンコが並ぶので、左に傾けて押すと「礼をしているように見えるから」という理由だった。 ドラマ「半沢直樹」(TBS系)でも、過去の決裁文書にあるハンコが問題になって「法律には時効があるが、銀行員に時効はない」という半沢の台詞が印象的だった。ハンコを押した文書には、「それを見て、同意した」という責任が伴うとされる文化だったので、どこの銀行でも印鑑は厳格に管理するように要求されていたはずだ。銀行員の印鑑に対する思いは特別だ。 合併した銀行では、出身行のハンコ文化の違いが問題になることがあったという。旧A銀行では、一般行員は直径9ミリの印鑑を使うが、課長になると11ミリの少し大きな印鑑を使う風習があった。A行出身の課長Xさんは、11ミリの印鑑を押印していたのだが、旧B行(筆者の勤めた会社の親銀行だ)ではハンコをきっちり並べて整然と押す風習があった。そのため、ある時B行の出身者に「あなたのハンコは大きくてスペースを取るし、しかも押し方が乱暴なので、それでどれだけの人が迷惑していると思っているのですか」と注意されたという。 外資系の銀行に転職したXさんは、「この一件でばかばかしくなって、私はあの銀行を辞めた」と言っていた。それが本当の転職理由ではないにしても、ハンコの使い方は銀行の文化に関わる問題だったのだろう。A行の出身者が「付き合いきれない」と思う気持ちも分かるし、B行の出身者が本気で腹を立てる気持ちも分かる。 ハンコには、あたかも自分の分身であるかのような、何らかの「思い」が込められるケースがあることは確かだ』、「ハンコには、あたかも自分の分身であるかのような、何らかの「思い」が込められるケースがある」、その通りだ。
・『ハンコで「助かった」ある女性の話  投資に興味がある人の集まりで、ある女性の話が記憶に残った。銀行の支店に出向いた際に応接室へ通されて、投資商品のセールスを受けたのだという。最初は担当者と差し向かいであったが、後から支店長も加わって、2人からステレオの音響のように説得を受けたという。その女性は、「今日はハンコを持っていないので、明日また来る」と言ってその場を逃れたという。 実際には印鑑を持っていたとのことなので、その女性の方が銀行員たちよりも一枚上手だったということだ。 他にもハンコのエピソードはあるのだが、意思表示の確認方法が印鑑のシステムであることが役に立ったという事例は、上記の女性のケース以外に思い浮かばない。ただし、このケースはハンコを押すことが役に立ったのではなく、「ハンコがない」という芝居が役に立ったのだから、ハンコ本来の使い方が優れていることの例証にはならない。 意思表示の確認方法がハンコでなくては困るという話は出てきそうにない。 電子的な署名技術もあるし、それ以前にサインで困らない。筆者は、外資系の会社に4社勤めたことがある。いずれの会社もハンコではなくサインを使っていたが、それで困ることは何もなかった。 ただし、ハンコをサインに変えても、本人が紙に対して直接作業を行わなければならない事態は改善しない。「決済のハンコを押すためにだけ出社する管理職」のような不便を解消することにはならない』、「「今日はハンコを持っていないので、明日また来る」と言ってその場を逃れた」ケースでは、「担当者」や「支店長」の営業姿勢の甘さが印象深い。
・『ハンコをなくしただけでは不十分 紙のやりとりを減らせるか  ある種の後進性の象徴である印鑑を、行政やビジネスの手続きから除外していくことについては、合理的な反論はできそうにない。筆者も賛成である。 ただ、ハンコをなくしただけでは「生産性」は十分向上しない。 行政的な手続きや契約書、請求書、領収書といったビジネス上の手続きが全て紙なしで電子的に行うことができて、紙の文書を保存する必要もない、という状況をなるべく早く達成したい。 ことビジネスだけを考えるとしても、紙の文書を作成する手間や郵送等で届けるコスト、さらに保管のスペースなど、仕事に紙が関わることによって発生する時間と金銭の無駄は膨大だ。もちろん、紙の文書に押印やサインするための通勤のコストも含まれる。 一気に行うことができて効果が大きいのは、やはり行政のデジタル化だろう。技術的にできない理由は思い浮かばない。政府の意思決定だけで行うことができるし、行政に関わる手続きがオンラインで行えるようになると、民間への波及効果も大きい。 記録の安全性は全て相対的なものだが、本人の確認や記録の保存などは複数のデジタル技術を組み合わせると、紙と印鑑よりもずっと堅牢なシステムを作ることが可能なはずだ。紙は散逸したり燃えたりすることがあるし、印鑑も(サインも)偽造が可能だ。 各種の役所の窓口に、番号札を持って人が並ぶ事態を数年でなくしたいものだ。 紙による手続きや記録の保存などは、中小規模の事情者などを対象に例外としてしばらく認めておくといい。デジタルな方法の方が便利になってコストが下がると、中小事業者も仕事のやり方を変えない理由はない』、大賛成である。

第三に、10月18日付け東洋経済オンラインが掲載した立教大学ビジネススクール教授の田中 道昭氏による「日本の医療をGAFAに牛耳られない為に必要な策 個別商品・サービスでなくエコシステムがカギ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/381666
・『デジタル庁の創設により加速すると期待される日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)。「日本がデジタル化で遅れる決定的な構造要因国家・産業・企業における競争戦略を考える」(2020年10月3日配信)に続いて、特に「ヘルスケア分野」におけるデジタルトランスフォーメーションに着目して解説します。 なぜヘルスケア分野に注目するのか。医療・介護産業はマクロとミクロが表裏一体であり、規制業種としてマクロの影響を強く受ける点が特徴です。そしてヘルスケア分野に注目する最大の理由は、菅政権の目玉として語られる規制改革(行革)、コロナ対策を含む医療政策(厚生労働)、デジタル庁(IT)の3つを三位一体に結びつけるものこそ、ヘルスケア分野でのDXだからです』、興味深そうだ。
・『テクノロジーの活用で日本を「健康先進国」へ  まず現行の医療政策の方向性を確認しておきます。具体的には地域医療構想、保健医療2035、未来投資会議の3つが示唆を与えてくれます。 地域医療構想は、厚生労働省によると「2025年に向け、病床の機能分化・連携を進めるために、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要性を推計し、定めるもの」としています。少子高齢化を受け、高齢者医療ニーズも医療費も高まるなか、全国341の「構想区域」ごとに2025年における必要な病床数を高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つにわけて推計、効率的な医療体制の実現につなげます。 一方、保健医療2035は「2035年、日本は健康先進国へ」という前向きなメッセージを掲げるものです。急激な少子高齢化などさまざまな課題に直面しながらも、国民の健康増進、保健医療システムの持続可能性の確保、保健医療分野における国際的な貢献、地域づくりなどの分野における戦略的な取り組みを検討します。 そして未来投資会議は、国の成長戦略につながる投資活動を政府と民間の有識者が議論する機関として誕生しました。議長は安倍晋三・前首相本人でした。菅新政権発足後、10月9日に「未来投資会議を廃止し、成長戦略会議に衣替えする」との発表がありましたが、今後、会議体自体は進化していくものの、大きな政策には変更はないと考えられます。ここでも「健康・医療・介護」は大きなテーマ。技術革新やデータの利活用による国民の健康維持・増進、医療・介護の質向上、医療従事者の働き方改革などが議論されました。 以上から読み取れるのは、国は医療の「成長産業化」に舵を切った、ということです。従来は、高齢化の進行、生産年齢人口の減少などを背景に、医療費削減をはじめとする「下りのエスカレーター」に乗るかのような医療政策に焦点が置かれました。それをテクノロジーによって「上りのエスカレーター」に乗り換えようとしている。ヘルスケア分野のDXを成功させることで、日本を健康先進国とする。これはすでに重要な国策です。 次に、マクロからミクロへと目を転じましょう。コロナ以前からヘルスケア産業にはさまざまな変化が生じていました。キーワードとしては、個別化医療、デジタル化、サービス化、未病・予防、異業種からの参入、などが挙げられます。 個別化医療とは、遺伝子情報や生活習慣、バイタルデータ等のデータを利活用することで患者個人に最適化された医療サービスを提供するものです。オンライン診療やAI創薬を始め、デジタル化はあらゆる領域に及んでいます。従来どおりの医療ではなく、より広範な「医療サービス」を異業種からの参入組が提供する事例も目立ちます。未病・予防とは、「病気を治す」より「病気を防ぐ」「健康を維持する」ことに重きを置く医療のこと。医療費削減はもちろん国民の健康増進のためにも重要な取り組みです。 なかでも見逃せないのは異業種からの参入です。医療単独で見るなら「下りのエスカレーター」にある産業かもしれませんが、美容産業や健康産業までを含んだ広義のヘルスケア産業として見るならまだまだ成長トレンドにある。そう期待する異業種のプレーヤーが増えているのです。特に目立つのはGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表されるテクノロジー企業。アメリカではすでにGAFAの動きが活発であり、こぞってヘルスケアに参入しています。 そしてwithコロナの世界において、こうした変化はさらに加速しました。なかでもDXの加速は特筆すべきものがあります。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは2020年4月の決算発表において「この2カ月で2年分のデジタルトランスフォーメーションが起きた」と語りました。感染拡大防止策として非接触・非対面が推奨されたことで、リモート化、オンライン化、モビリティ化、分散化が一気に進んだのです。 仮にコロナが収束してもこれらの多くは「ニューノーマル」として維持されるはずです。そしてDX化の波にのるかたちで、テクノロジー企業も躍進を遂げました』、「医療費削減をはじめとする「下りのエスカレーター」に乗るかのような医療政策に焦点が置かれました。それをテクノロジーによって「上りのエスカレーター」に乗り換えようとしている」、本当かと思ったら、「医療単独で見るなら「下りのエスカレーター」にある産業かもしれませんが、美容産業や健康産業までを含んだ広義のヘルスケア産業として見るならまだまだ成長トレンドにある。そう期待する異業種のプレーヤーが増えているのです」、と言い訳をしているようだ。
・『デジタルでのエコシステムの構築が戦いの主戦場  テクノロジー企業はあくまで異業種であり、既存のヘルスケア産業に巨大なインパクトを与えることなどできない。そう考える人もいるかもしれません。確かに1つひとつのサービスを見れば、既存のヘルスケア産業に一日の長があるとも言えます。ですが、彼らはそもそも、1つひとつのサービスのシェアを奪おうとはしていません。彼らがターゲットにしているのは、ヘルスケア産業の「エコシステム」そのものです。 ここで紹介したいのはノキアの事例です。かつて「携帯電話といえばノキア」「フィンランドの奇跡」「技術の神童」と称賛されていた同社ですが、アップルのiPhoneの登場により倒産危機に追い込まれました。そこからの劇的な復活劇も興味深いのですが、ここで強調したいのは「グローバルトップ企業が異業種からの参入組により倒産寸前まで追い込まれた」という事実です。 つまりノキアには、日本のヘルスケア産業の「反面教師」としてベンチマークする価値があるのです。iPhoneが登場した当初、ノキア役員会は「iPhoneは競合ではない」とし、警戒しませんでした。ノキアのみならず、NECや東芝、富士通、ソニーなど、日本の携帯電話メーカーも同意見だったと思います。そこに落とし穴がありました。彼らは「新たな競争の脅威を予測しそこなう/甘くみる」という失敗を犯したのです。アップルはスマホというデバイスで勝負をしかけたのではありませんでした。 そのことにノキアが気づいたのは、iPhoneの勝利が決定的になったあとのことでした。そのとき、ノキアのCEOは全社員に向けてこんなメールを送りました。「競合他社のデバイスが私たちの市場シェアを奪っているのではありません。エコシステム全体で市場シェアを奪っているのです」。ここでの競合他社とはアップルであり、グーグルのことです。 ノキアも日本の電機メーカーものちにスマホを発売しましたが、そのときすでにアップルやグーグルはスマホのエコシステム全体を握っていました。つまり、スマホのハードのみならず、スマホのOS、アプリ、サービス等を含めたエコシステム全体を支配していたのです。単なるデバイスメーカーでは、勝ち目はありません』、「日本の電機メーカーものちにスマホを発売しましたが、そのときすでにアップルやグーグルはスマホのエコシステム全体を握っていました。つまり、スマホのハードのみならず、スマホのOS、アプリ、サービス等を含めたエコシステム全体を支配していたのです。単なるデバイスメーカーでは、勝ち目はありません」、「エコシステム全体を支配」が勝敗の鍵を握るようだ。
・『アップルがヘルスケア産業を破壊する  ノキアの事例から得られる示唆は次のようなものです。テクノロジー企業はエコシステム全体で異業種に勝負をしかけてくる。そしてエコシステムを構築したプレーヤーは産業に破壊的なイノベーションをもたらすことになる。現に、ヘルスケア市場においても同じことが起きています。ノキアの例におけるデバイスにあたるものは、医療機関、医療機器、医薬品、診療所、ドクター、看護師、メディカルのスタッフなど。そしてエコシステムとは、それらを包含するハード、OS、アプリ、ソフト、サービス等の全体、あるいはヘルスケア産業のバリューチェーンにおける多階層のレイヤー構造としましょう。 具体例としてアップルを取り上げます。私は自著『GAFA×BATH』(日本経済新聞出版社)において、アップルはかつてiPodで音楽市場を破壊したように、今度は「アップルウォッチでヘルスケア市場を破壊する」「メディカルビジネスのプラットフォーマーになる」と論じました。どういうことでしょうか。アップルウォッチはシリーズ4から心電図機能を搭載しており、もはや「医療機器」といっても差し支えありません。 またiPhoneに標準搭載されているアプリ「ヘルスケア」は通常「歩数」「エクササイズ時間」等が表示されるものですが、アップルウォッチと併用すると「心拍数」「心拍変動」まで表示され、異常が検知されるとリアルタイムでメッセージが届く仕組みになっています。もっとも、ここで論じたいのはこうした高機能なデバイス単独ではありません。より重要なのは、こうしたデバイスを組み込んだアップルのヘルスケア戦略であり、エコシステムのほうです。 上の図は、将来展開されるアップルのヘルスケア戦略を公開情報から筆者が予想したものです(図はリンク先参照)・・・』、確かに「アップルのヘルスケア戦略」は壮大だ。
・『アップルウォッチなどがヘルスキットに?  アップルのヘルスケア戦略を支えるのは、スマートヘルスケアのエコシステムとしての「ヘルスキット」です。ヘルスキットにはアップルウォッチやiPhoneなどのアップル製品から取得された個人の医療・健康データのほか、将来的には病院のカルテ情報などが蓄えられていきます。利用者はiPhoneに標準搭載されている健康管理アプリ「ヘルスケア」で自分のデータをチェックできるほか、将来的には医療機関との間でやりとりできるようになります。 アップルは、このエコシステムを自社商品のみならず、多くの企業が展開するヘルスケア関連のIoT機器製品群にも公開していくと考えられます。今後、アップルウォッチやiPhoneは、スマートヘルスケアのプラットフォームとしても成長し、そこではさまざまなヘルスケア関連の商品・サービス・コンテンツが展開されることになるでしょう。 それだけではありません。私は、アップルは今後、ヘルスキット、アップルウォッチ、iPhoneを基軸とし、「アップルクリニック」を事業展開すると予想しています。つまりリアルな病院やクリニックです。これが突飛な予想だとは思いません。アップルは自社製品を生かした社員用クリニックを展開してもいるのです。社員用クリニックから得られた知見をもとに高速PDCAを回し、一般向けの事業展開へとつなげる可能性は否定できません。 さらに付け加えるなら、ヘルスケアにおいて何よりも問われる信頼性や安心感においても、アップルは定評があります。健康情報はユーザーの個人情報にあたりますが、アップルはかねてから個人のプライバシーを重視し、個人データの利活用をしないことを宣言しており、そもそもできるだけ個人のプライバシー情報は個人のスマホのなかだけにとどめる「データミニマイゼーション」という概念をプライバシーポリシーの中核に据えている企業でもあるのです。かつて音楽産業をiPodで破壊したように、今度のアップルはiPhoneとアップルを起点に、ヘルスケア産業を破壊しようとしているのです。 DXの世界においてはエコシステムを構築したプレーヤーが勝利するのがゲームのルールです。かつてスマホ産業において、日本の電機メーカーはデバイスメーカーとして戦い、敗れました。そしてヘルスケア産業においても、やはりテクノロジー企業はエコシステムでの勝負をしかけてきています。 スマホ産業の二の舞にならないために、日本はどうすればいいのでしょう。ヘルスケア産業を成長産業に転換するためにも、テクノロジー企業にエコシステムの構築を主導されるわけにはいきません。世界をリードするヘルスケアエコシステムを、日本が自前で構築する必要があります。 ここからは私の意見を交えて展開しますが、私が提言したいのが、規制改革(行革)、コロナ対策(厚生労働)、デジタル庁(IT)を三位一体とするDXです。すなわちヘルスケアDXであり、ヘルスケアエコシステムの構築です(図はリンク先参照)。 ここでいう三位一体とは何でしょうか。医療政策においては、コロナ危機や同様の感染症リスク等への対応、医療費抑制、何よりも国民の保健・医療・生活の向上を推進していきます。規制改革は、オンライン診療、遠隔診療、AR/VR診療・医療、遠隔医療、医療分野でのアンビエントコンピューティング等実現のための規制緩和などを指します。デジタル政策においては、後述するシステム(利便性)×セキュリティー(安全性)×プライバシー(個人の尊厳)のバランスを図ることが肝要になります』、「ヘルスケア産業を成長産業に転換するためにも、テクノロジー企業にエコシステムの構築を主導されるわけにはいきません。世界をリードするヘルスケアエコシステムを、日本が自前で構築する必要があります」、急に愛国的なトーンになったことには違和感がある。
・『個人のIDが肝になる  この三位一体と実現するヘルスケアエコシステムとして私が提言するのが下の図です(図はリンク先参照)。 そもそもエコシステムは、複数の階層(レイヤー)が積み重なり、各階層にさまざまなプレーヤーが参画するところに特徴があります。私が提案するヘルスケアエコシステムは、底辺にマイナンバー/PHR(IDレイヤー)を置きます。これがすべての階層を支えるインフラです。PHRとはパーソナル・ヘルス・レコードの略称で、これまで複数の病院や薬局などに散らばっていた個人の健康関連の情報を一箇所に集約する仕組みをいいます。個人が自分のデータにアクセスし、健康管理や治療、予防・未病対策に活用することが狙いです。またPHRはマイナンバーと同じく個人のIDとしての役割を果たすものでもあります。 このIDを起点にすべてのサービスを構築していきます。例えば、医療ポイントによる決済・支払い・入金です(医療ポイントレイヤー)。決済・支払い・入金サービスもエコシステムのなかにビルトインされているのです「医療ポイント」としたのは、今回のドコモ口座など電子決済の不正取引問題を背景に、銀行口座と決済・支払い・入金用アプリを紐付けることに抵抗感を覚える人が一定数存在するためです。そこで決済・支払い・入金などは医療ポイントでまかなえる選択肢を用意し、銀行口座と決済・支払い・入金用アプリを紐付けるかどうかは個人の判断に任せることにします。 医療・健康データ(モバイルデバイスレイヤー)は、前述のアップルのエコシステムの事例でいうと、標準搭載のヘルスケアアプリに歩数などが集積するiPhone、心電図機能に血中酸素濃度センサーまで搭載するに至ったiPhoneなどがあたります。健康データを超えて医療データまでを集積するデバイスを、GAFAに委ねるのではなく、日本独自に、国と企業が一体になって推進していくのが望ましいと私は考えます。 その上に、電子カルテデータ(医療機関レイヤー)があります。現状、多くの医療機関に電子カルテが導入されていますが、問題はそのデータが医療機関ごとに分断されていること。そのバラバラの電子カルテデータを、このレイヤーで統一、連携できるようにします。) 健康サービスデータ(サービスレイヤー)は、さらにその上に乗る医療機関サービス、行政サービス、健康・保健サービス、医薬品・医療機器などのデータが直接的に蓄積されるインフラの役割を果たします。医療機関サービスはその名の通り、病院やクリニックなどで提供されるサービスのこと。行政サービスは保健所を含む、医療や介護に関わる行政サービス全般を指します。健康・保健サービスは、フィットネスジムなど民間のヘルスケアサービス全般。医薬品・医療機器は、医薬品メーカーや医療機器メーカーが提供するサービスであり、それらが集積しているデータのことです。 これら各レイヤーがマイナンバー/PHR(IDレイヤー)の上に構築されると、誰がどのようなヘルスケアサービスを受けているのか把握できるようになるとともに、そこで蓄積されたさまざまなデータが、各サービスの改善、そしてユーザーにとっての利便性向上のために活用できるようになります。 こうしたエコシステムの構築にあたって、最も重要であり、しかし見落とされがちなのは「ユーザー起点」であることです。行政や医療機関の業務効率化にも貢献できるエコシステムであるのは事実ですが、なによりも個人の利便性を向上させるものであることを、忘れてはいけません。アマゾンは「地球上で最も顧客第一主義の会社」になることをミッションとしていますが、これについてジェフ・ベゾスCEOは「顧客をその人の宇宙の中心に置いてあげる」と表現しています』、「エコシステムの構築にあたって、最も重要であり、しかし見落とされがちなのは「ユーザー起点」であること」、なるほど。
・『便利さ、使いやすさを何よりも意識する  つまり個人にとっての便利さ、使いやすさを何よりも意識するということ。PCにしろスマホにしろ、すべてのITサービスにユーザーフレンドリーが厳しく問われる昨今です。私たちがすっかり慣れ親しんでいる「ワンクリックで買い物ができるECサイト」「サクサク動くスマホ」と同等のユーザビリティがなければ、どれだけ高機能でも、そのエコシステムは利用者を集められないのです。 と同時に、前稿でも指摘したシステム(利便性)×プライバシー(個人の尊厳)×セキュリティー(安全性)の三位一体のバランスには、最新の注意が払われなければなりません。システムに蓄積されるデータを利活用されるにしても、それは企業の利益追求より、「個人が自分の健康情報を把握できる」というユーザーの利便性が優先されるべきです。それらデータは個人情報にあたるため、扱いには万全のセキュリティーが求められます。さらに、他人の目にさらされてはいけないという意味で、プライバシー(個人の尊厳)が絶対的に守られなければなりません。良い例に韓国のマイマンバー制度があります。個人情報へのアクセスは、政府機関からのアクセスであってもすべてアクセスログがとられ、アクセス違反があれば違反度合いに応じて厳しく処罰されます。 また個人情報へのアクセスは個人のポータルサイトから確認でき、住民票が発行されるとプッシュ通知が来る仕組みに。こうしてシステム(利便性)×プライバシー(個人の尊厳)×セキュリティー(安全性)の三位一体を構築してこそ、利便性の追求も加速できるのです。大切なのは部分最適ではなく、三位一体の全体最適だと言えます』、「便利さ、使いやすさを何よりも意識する」といっても、「セキュリティー」や「プライバシー」の確保と相反することもある筈だ。
・『医療機関のマインドセットを刷新する  最後に、DXに直面するヘルスケアの現場には「マインドセット」の刷新を求めたいと思います。大きな示唆を与えてくれる本を紹介します。『心をつなぐ医療機関UCLAヘルスケアシステム患者満足度95%へと導いた最強のリーダーシップ』(ジョゼフ・ミケーリ著、月沢李歌子訳、日本経済新聞出版)です。アメリカの医療機関UCLAヘルスシステムは、独自の行動原則やマネジメントにより極めて高い患者満足度を実現したことで知られています。なかでも有名なのは「CICARE」と呼ばれるバリュー(価値観)です。CICAREとは、各バリューの頭文字をとったものです。 ここから読み取れるのは、テクノロジー企業と同様の、徹底的な顧客(=患者)至上主義です。私は、それこそ日本のヘルスケア、特に医療の現場に欠けているものだと痛感した経験があります。アメリカに留学したときのことです。ある日病院を訪れた私は、診察室で「きょうはドクターの〇〇、看護師の〇〇、〇〇のチームで医療サービスを提供します」といった自己紹介を受けました。その挨拶1つで、どれだけの信頼感、安心感が生まれたかわかりません。 いわば、アメリカの医療機関は「サービス従事者」としての意識が高い。もちろん高い専門性を持ったプロフェッショナルとして非常にリスペクトされているのですが、同時に医療をサービス業と考え、患者を第一に考える価値観がありました。残念ながら、こうしたサービス従事者としての意識が、日本の医療現場には希薄です。 医療はサービス業である。DXが進み、異業種からの参入組も増えてくると、そのことに日本の医療機関も直面せざるをえなくなるでしょう。これからコンペティターとなるのは、医療機関ではなく、アップルを始めとするテクノロジー企業であり、彼らほど顧客第一主義を追求しているプレーヤーはいないからです。前回も触れたように、DXの本質は「企業DNAをスタートアップ企業のようなDNAに刷新すること」にあります。テクノロジー企業の侵攻に対抗するためにも、まずはマインドセットを刷新し、「医療もまた顧客を第一に考えるサービス産業である」という原点に立ち返るのが望ましいのです』、総論的には同意するが、一部の医療機関が顧客サービス向上のコンサルティングを受けて、職員が患者をXX様といったように馬鹿丁寧に接しているのには驚かされた。サービスの本質とは関係ない行き過ぎは、微笑ましいが、無駄の骨頂である。はき違えずに本質的改善を期待したい。
タグ:東洋経済オンライン 野口 悠紀雄 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス 山崎 元 民間デジタル化促進策 (その1)(日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制 メインフレーム時代以来の強固な縦割り、印鑑さよならで思い出す金融業界の逸話 「押す角度・直径」に文化あり、日本の医療をGAFAに牛耳られない為に必要な策 個別商品・サービスでなくエコシステムがカギ) 「日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制 メインフレーム時代以来の強固な縦割り」 日本ではSIerの役割が重要 日本企業や官庁はSIerに丸投げ 発注側で評価する能力がないから、古いシステム が温存され、コストが嵩み、効率が下がる。そして、SIer は、独自システムの維持に執着するのだ 縦割り社会の弊害が現れている 省庁や自治体がバラバラに情報システムを構築する 組織のトップが方向づけの能力を持たない 日本の組織のトップは、有名なベンダー企業に頼んだから大丈夫という考えに陥りがちだ 「組織のトップはITの細かいことなど知らなくてよい」と、多くの人が考えている」、こうしたトップのIT軽視が、部下たちにも伝わる筈だ 台湾は日本の遥か先を行く 「オードリー・タン」氏を「登用し、思うままの活動をさせる蔡英文総統の洞察力と指導力にも敬服せざるを得ない」 「印鑑さよならで思い出す金融業界の逸話、「押す角度・直径」に文化あり」 印鑑と共にあったサラリーマン生活前半 金融業界ならではの思い出は数多い ハンコには、あたかも自分の分身であるかのような、何らかの「思い」が込められるケースがある ハンコで「助かった」ある女性の話 ハンコをなくしただけでは不十分 紙のやりとりを減らせるか 田中 道昭 「日本の医療をGAFAに牛耳られない為に必要な策 個別商品・サービスでなくエコシステムがカギ」 テクノロジーの活用で日本を「健康先進国」へ 医療費削減をはじめとする「下りのエスカレーター」に乗るかのような医療政策に焦点が置かれました。それをテクノロジーによって「上りのエスカレーター」に乗り換えようとしている 「医療単独で見るなら「下りのエスカレーター」にある産業かもしれませんが、美容産業や健康産業までを含んだ広義のヘルスケア産業として見るならまだまだ成長トレンドにある。そう期待する異業種のプレーヤーが増えているのです」 デジタルでのエコシステムの構築が戦いの主戦場 日本の電機メーカーものちにスマホを発売しましたが、そのときすでにアップルやグーグルはスマホのエコシステム全体を握っていました。つまり、スマホのハードのみならず、スマホのOS、アプリ、サービス等を含めたエコシステム全体を支配していたのです。単なるデバイスメーカーでは、勝ち目はありません アップルがヘルスケア産業を破壊する アップルのヘルスケア戦略 アップルウォッチなどがヘルスキットに? ヘルスケア産業を成長産業に転換するためにも、テクノロジー企業にエコシステムの構築を主導されるわけにはいきません。世界をリードするヘルスケアエコシステムを、日本が自前で構築する必要があります 個人のIDが肝になる エコシステムの構築にあたって、最も重要であり、しかし見落とされがちなのは「ユーザー起点」であること 利さ、使いやすさを何よりも意識する 医療機関のマインドセットを刷新する
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

電子政府(その2)(政府CIO補佐官に聞く 行政のデジタル化が進まない理由と脱却のシナリオ、:菅政権新設の「デジタル庁」は20年来の公約違反を解消せよ…! 全行政手続きオンライン化はどうなった) [経済政策]

電子政府については、7月4日に取上げた。今日は、(その2)(政府CIO補佐官に聞く 行政のデジタル化が進まない理由と脱却のシナリオ、:菅政権新設の「デジタル庁」は20年来の公約違反を解消せよ…! 全行政手続きオンライン化はどうなった)を紹介しよう。

先ずは、8月6日付けITmediaビジネスオンライン「政府CIO補佐官に聞く、行政のデジタル化が進まない理由と脱却のシナリオ 」を紹介しよう。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2008/06/news041.html
・『全国民に一律10万円を給付する特別定額給付金を巡り、いくつかの自治体でトラブルが報告されている。給付に時間がかかるといったものから、二重払いするミスまで、人海戦術で解決しようという動きを垣間見るに、現場の疲弊ぶりは相当なものと推測される。 いち国民としては、「戸籍もあるし、銀行口座引き落としで納税もしている。国や自治体は当然そういったデータを使って、スムーズに給付できるはずだ」と思ってしまうが、実はここに落とし穴がある。 例えば、行政機関が保有する住民の氏名データは、制度上、漢字のみでフリガナは便宜上登録されているにすぎない。一方、全銀ファイルの氏名はカナしか存在しない。そのため、突合でエラーになることがある。制度がもはや社会の実態に即していないのだ。何らかのユニークキーによってデータが一元的に整理されていれば、ここまでの混乱はなかったかもしれない』、「行政機関が保有する住民の氏名データは、制度上、漢字のみでフリガナは便宜上登録されているにすぎない」、初めて知った。「全銀ファイルの氏名はカナしか存在しない」、各銀行プロパーのシステムで漢字も入っているが、共通の「全銀ファイル」では「氏名はカナしか存在しない」ということのようだ。
・『この国の制度は、100年前からほとんど変わっていない  コロナ禍で、広く国民が実感することとなったデジタル化の遅れ。それもそのはず、今の行政の基礎が出来上がったのは100年前の明治時代。私たちは100年前からずっと、窓口へ行き、手書きで書類を埋め、ハンコを押してきた。もちろん、自動処理などは想定されていない。 デジタル化が進まないのは、日本の閣僚にオードリー・タン氏のような天才エンジニアがいないからではない。最も足かせとなっているのは、100年にわたって蓄積されてきた戸籍、商業登記といった紙の処理を前提とした業務と膨大なデータ。それを社会の変化に応じて改善してこなかった歴史だ。 このことは、グローバル社会における日本の競争力にも暗い影を落としている。例えば、海外の投資家が日本企業に投資しようとする場合、資本金や業績、社長、株主といったデータをもとに投資先を選定する。それらが整理されていなければ、有望な投資先は世界中にあるのだから、日本企業には投資しない。逆に日本から海外に投資する場合も、米国企業に投資すべきか、アフリカ企業に投資すべきか判断しやすくしたい。日本が競争力を取り戻すためには、国際社会の要請に応え、流通するデータを整備することが不可欠なのだ』、「最も足かせとなっているのは、100年にわたって蓄積されてきた戸籍、商業登記といった紙の処理を前提とした業務と膨大なデータ。それを社会の変化に応じて改善してこなかった歴史だ」、その通りなのだろう。
・『日本はまだ、デジタル社会の基盤ができていない  「行政がデータの整備を先延ばしにしてきたことが、民間のデータ活用にも影響を及ぼしている」と語るのは、データマネジメントの専門家で、政府CIO補佐官を務める下山紗代子氏だ。 「企業が、行政のデータソースを組み合わせて1つのデータにするとき、統一のコードが入っていないので、どれとどれが同一の情報なのかすぐに判断できません。そのため、多くの企業が多大なコストをかけてデータを整備するところから始めます。それが終わってようやくデータ活用のスタートラインに立てる。それが実情なのです」(下山氏) 行政はこれまで、「データを活用する」という発想が希薄だった。そのため、サービスを立ち上げるごとにデータを整備し、終了とともにデータを消去したり、再利用不可能な状態で保管するといった非効率的な運用をしてきたという。行政が一元管理するデータソースや標準化されたデータを提供できれば、企業のデータ活用のハードルは格段に下がるはずだ。 下山氏は、政府CIO補佐官の活動以外に、シビックテック「Code for Japan」(オープンデータやオープンソースを活用して東京都の「新型コロナ感染症対策サイト」を開発し、話題となった)にもコミットし、東京都以外の自治体も同様のサイトが運用できるよう、総務省や内閣官房などと連携し、自治体とシビックテックをつなぐ標準のデータテンプレートを整備した。下山氏は、このようなデータを巡る地道な活動が、デジタル社会の礎になると考えている。 2020年3月に発表された「デジタル・ガバメント実現のためのグランドデザイン」では、行政のデジタル化を実現するための方向性が示されている。52ページにわたるその文書では、「データファースト」をはじめ、「ユーザー体験の向上」「政府情報システムのクラウド化・共通部品化」といった、これまでのお役所らしからぬフレーズが並ぶ。 歴史をひもとくと、日本の高度経済成長の裏には、国土交通省の「全国総合開発計画」があった。工業団地や住宅地といった社会基盤を整備することで、人が集まり、ビジネスが生まれ、日本の競争力は高まっていった。今の日本は、デジタル社会の競争力獲得に向けた基盤づくりに、ようやく本腰を入れた段階だと言えよう』、「行政はこれまで、「データを活用する」という発想が希薄だった。そのため、サービスを立ち上げるごとにデータを整備し、終了とともにデータを消去したり、再利用不可能な状態で保管するといった非効率的な運用をしてきた」、驚くべき非効率だ。「デジタル・ガバメント実現のためのグランドデザイン」で少しでも前進することを期待したい。
・『デジタル技術を使いこなせないと揶揄(やゆ)される日本の現在地  「政府のIT予算は、年間5000億円にも上りますが、デジタルによる本格的な業務改革に政府CIO補佐官がかかわるようになったのは、ごく最近のことです」――そう明かすのは、内閣官房 政府CIO上席補佐官の平本健二氏だ。 政府CIO補佐官とは、各省庁のIT部門と連携して行政サービスの開発などに当たる民間出身のIT専門家だ。以前は、大規模システムのプロジェクトマネジメントを経験した年齢の高い人が中心で、仕様書のレビューや相談役のような役割を担っていた。しかし、クラウド、AI、IoTといった新たな技術の実用化が進むと、個々の技術への深い造詣が求められるようになっていった。ある種の権威や経験がほとんど意味を成さなくなってからは、平均年齢も若くなり、現在の最年少政府CIO補佐官は20代後半だ。 前述の、「デジタル・ガバメント実現のためのグランドデザイン」(以下、「グランドデザイン」)は、初めて政府CIO補佐官が中心となって策定された。 「戦略はホチキス」といわれる。いろいろな人が文書を持ち寄ってホチキスで留めれば戦略になるという皮肉だが、行政職員が持ち寄る戦略は実現可能性を重視するため、どうしても現在のケーパビリティから思考してしまい、予測不能なデジタル社会の未来を描くには適さない。その点、今回の「グランドデザイン」は、IT専門家が考える「日本のあるべき未来」とその「道筋」が具体的に示されており、100年続いてきた制度の壁を超える意欲が込められている。ここからは、政府CIO補佐官たちと「グランドデザイン」を読み解いていく』、「現在の最年少政府CIO補佐官は20代後半だ」、こんなに若いのであれば、現場の言いなりになってしまうのではなかろうか。
・『サービスデザイン思考で、使いにくい行政サービスを変える  行政のデジタルサービスを、「使いにくい」と感じる人は少なくないだろう。現にある自治体では、オンラインでの特別定額給付金申請において約6割に不備があり、郵送での申請に一本化する事態となった。 LINE AIカンパニーCEOで、サービスデザインの専門家として政府CIO補佐官に加わった砂金信一郎氏は、行政のデジタルサービスが使いにくい理由をこう指摘する。 「ネット企業が提供するオンライン申請フォームは、ランディングページから何人が遷移し、どの項目で何回エラーが発生し、最終的にどれくらいが申し込み完了に至ったかというデータを計測しながら、UI/UX(注)の改善を図っています。一方、行政のオンライン申請フォームは、使いにくさを定量的に測る習慣がありませんでした」(砂金氏) 行政のデジタルサービスは、平均的なユーザーを想定し、単一的なUIを提供してきた。UXという考え方は、そもそも存在すらしていなかっただろう。行政側は、「使いにくくても使わせる」ではなく、「誰もが簡単に使えるサービスの提供」へと早急に発想を転換する必要がある』、(注)UI/UX:ユーザーインターフェイス(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)。後者は経験や体験とされるが、確定した定義はない(Wikipedia)。
・『行政のサービスも「出して終わり」ではない  使いにくい行政サービスと、洗練された民間サービスの違いは、運用開始後の対応にも現れる。行政サービスも「出して終わり」ではなく、プライバシーへの配慮を大前提としつつ、ユーザーの使い勝手を把握し、継続的に改善していく必要がある。 砂金氏は現在、経済産業省が運営するオンライン補助金申請サービス「jGrants」のUI/UX改善に取り組んでいる。目的は、補助金を必要とする事業者がつまずくことなくスムーズに申請できるようにすることだ。調達仕様書では、「申請完了率の向上」と「申請完了までの時間短縮」を成功指標として掲げている。これは、行政職員が「使いやすくなった」と感じれば良しとされてきたこれまでのサービス開発に、NOを突きつけるものだ。 「こういった取り組みはまだ始まったばかりですが、うまくいけば、他の省庁や自治体のオンライン申請フォームにも横展開していきたい」(砂金氏)』、「ユーザーの使い勝手を把握し、継続的に改善していく」、結構なことだ。
・『外部委託先への丸投げを是正する  さらに砂金氏は、「行政のサービス開発をベンダーや外部委託先に丸投げしている現状も問題だ」と指摘する。 「他国を見ていると、自分たちのシステムは自分たちで作るというのが基本姿勢です。ところが日本の場合、行政機関側にエンジニアが一人もいないというプロジェクトも少なくありません。仕様書通りに納品されたらお金を払って終わり――まずはその状態を是正しないと、良いサービスは作れません」(砂金氏) 新たな問題は、ベンダーや外部委託先との既存の契約が、アジャイル開発に適したものになっていないということだ。 アジャイル開発とは、多くの先進企業が採用するソフトウェア開発手法の1つで、ニーズの変化に柔軟に対応できることが特徴だ。計画段階では厳密な仕様を決めず、だいたいの仕様と要求だけを決めておく。その上で、動作するソフトウェアを短期間で作り上げ、検証し、改善するといったサイクルを繰り返していく。「グランドデザイン」でも、アジャイル開発の推進が掲げられている。 しかし、「仕様書通りに納品されたらお金が支払われる――という既存の契約条件では、アジャイル開発の推進は難しいのです。なぜなら、アジャイル開発の特性として、最初に作ろうとしていたものと、最後に出来上がったものが違う可能性があるからです」(砂金氏) 違う=より良いサービスになったからいいじゃないか、では通らない。行政の財務会計担当者からは、「違うものが納品されたのに、なぜお金を払わなきゃいけないんだ」といわれることがあるという。 「周囲の理解がないままテクノロジーの論理だけで進めても、誰もついてきてくれないという例ですね。現場の理解を得ながら、これからの時代に合った契約内容や調達仕様書を作っていくのも政府CIO補佐官の役割です」(砂金氏)』、「仕様書通りに納品されたらお金が支払われる――という既存の契約条件では、アジャイル開発の推進は難しいのです。なぜなら、アジャイル開発の特性として、最初に作ろうとしていたものと、最後に出来上がったものが違う可能性があるからです」、「アジャイル開発」の料金はどう決めるのだろう。
・『民間サービスとの融合で、さらに便利に  「グランドデザイン」では、今後、行政と民間のサービスを融合することで、使いやすいサービスを提供していくと示されている。ここで鍵となるのは、行政サービスのAPI(注)化と、そのAPIの質向上だ。 APIを活用すれば、これまでの行政の調達スタイルと違い、行政と民間はそれぞれ独自にサービス開発を進められる。必要に応じ、APIを介してそれらを連携すれば、さらに高度なサービスを生み出せる可能性がある。また、連携の自由度は、さまざまな企業の参入、競争にもつながる。これが結果として、ユーザーの利便性向上につながると期待されているのだ。 みずほフィナンシャルグループで金融APIを公開し、スタートアップや異業種との連携を進めている大久保光伸氏は、政府CIO補佐官としてもこの領域に力を入れている。 「政府にはAPIの簡単なガイドブックはあるのですが、標準化できるようなAPIの基準がないので、民間のAPI事例を政府側に反映することにしたのです」(大久保氏) 民間の第一線で起こるムーブメントや成功事例を積極的に取り入れるなど、デジタル社会に向けて、行政も大きく変わろうとしている』、(注)API:アプリケーションプログラミングインタフェース、広義ではソフトウェアコンポーネント同士が互いに情報をやりとりするのに使用するインタフェースの仕様(Wikipedia)。
・『政府CIO補佐官が、霞が関に染まらないために  組織が変わるとき、そこには大なり小なり痛みが伴う。ましてや、100年続いたやり方や価値観を大きく変えようとなれば、反発ややりづらさもあるだろう。そこで、民間からやってきた政府CIO補佐官が霞が関でも力を発揮できるよう、土壌づくりに奔走する人がいる。経済産業省 デジタル化推進マネジャーの酒井一樹氏は、政府CIO補佐官と行政職員との橋渡し役だ。 「政府CIO補佐官たちが魂を込めて仕様を策定したのに、サービスが出来上がるころには魂が抜けてしまう、といったことは往々にしてあります。現場にマインドまできちんと伝えていく必要があります」(酒井氏) 政府CIO補佐官は、行政にどっぷりつかりながらも、IT専門家としての視点や独立性を保つ必要がある。しかし、鳴り物入りで入った政府CIO補佐官の中にも、独特の雰囲気に飲まれ、霞が関に染まっていく者が出てくるという。 「『自分も霞が関曼荼羅(パワーポイント1枚に全て入っているようなビジーなポンチ絵)が描けるようになりたい』とか言うようになったらマズいです。そんなのは描けなくていいんだよと伝えます。過渡期だからこそ、ビジョンやミッションにもとづいたチームビルディングやコミュニティー作りが重要なのです」(酒井氏)』、「鳴り物入りで入った政府CIO補佐官の中にも、独特の雰囲気に飲まれ、霞が関に染まっていく者が出てくるという」、人間である以上、ある程度やむを得ないのかも知れない。
・『外から批判するだけじゃカッコ悪い  一連の試みに対し、訳知り顔で「エストニアのX-roadを買ってくればいいじゃないか」と言う人もいるという。しかし、電子国家エストニアも一朝一夕にできたわけではない。長い間、地道にデータを整備し、土台があるからこそ使いやすい行政サービスが構築できたのだ。 「いつの時代でも、ツールだけなら最先端のものを買ってこれます。しかし、燃料がないところにポルシェを買ってきても意味がないのと同じように、それを生かすためのデータがなければ意味がない。データの整備は10年かかる。欧米はこれから2年でツールの整備し、2030年をターゲットにデジタル国家を目指している。日本もこの2年が勝負です」(平本氏) データの整備は、地味で目立たず手間のかかる仕事だ。しかし、予算がない、面倒くさいと言い訳をしてまた先延ばしにするのなら、日本はこれからもIT後進国への道を歩み続けることになる。 「行政サービスを使いにくいと批判するだけなら誰にでもできます。でも、それだけじゃ何も変わらないし、エンジニアとしてカッコ悪いなと感じている方は、ぜひ政府CIO補佐官に名乗りを上げてほしいです」(砂金氏) デジタル社会は、行政がエンジニアを大量採用したり、外部委託先が考えを改めてくれたらすぐにやってくるものではない。日本のIT業界に横たわる「分厚い壁」を取り払うことが、デジタル社会の実現を推し進めることにつながる。 「日本のIT業界は、SIをはじめエンタープライズ系の方々と、アプリなどを提供するWebサービス系の方々との間に文化的な隔たりがあります。お互いがお互いを小馬鹿にする場面も見られ、非常に良くありません。エンタープライズ系の方には、こんなのお遊びだと思わずに、アプリの裏側でどれだけ高度な処理がなされているのか興味を持ってほしい。Webサービス系の方には、社会を支えるミッションクリティカルなシステムに関心を持って近寄ってみてほしい。デジタル社会の実現に向けて、日本のIT業界はどうしていくべきか、皆で考える時期に来ています」(砂金氏) 行政やエンタープライズがデータを整備し、Webサービス系やシビックテックがインタフェースを作る、そのうち人材も交わっていき……といったように、尊敬と信頼にもとづく協業関係をIT業界全体で醸成できるかどうかが試されている』、「欧米はこれから2年でツールの整備し、2030年をターゲットにデジタル国家を目指している。日本もこの2年が勝負です」、「欧米」も「2030年をターゲットにデジタル国家を目指している」、とは初めて知った。「日本のIT業界は、SIをはじめエンタープライズ系の方々と、アプリなどを提供するWebサービス系の方々との間に文化的な隔たりがあります。お互いがお互いを小馬鹿にする場面も見られ、非常に良くありません」、狭い世界で、お互いに足の引っ張り合いをするのは、止めにしたいものだ。

次に、9月27日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「菅政権新設の「デジタル庁」は20年来の公約違反を解消せよ…! 全行政手続きオンライン化はどうなった」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75891?imp=0
・『「行政手続きのすべてをオンライン化する」という2001年の公約が、いまだに実現されていない。デジタル庁の最初の仕事は、この公約違反状態を解消することだ。 その試金石は、外国では広く行われている運転免許証書き換えのオンライン化だ。それがすぐには難しいとしても、せめて自主返納 はオンライン化すべきだ。それさえできないのでは、事態は絶望的だ』、「「行政手続きのすべてをオンライン化する」という2001年の公約が、いまだに実現されていない」、初めて知った。
・『20年間放置されている公約  デジタル庁設置は、菅義偉内閣の目玉政策だ。 政府内部の仕事のオンライン化がもちろん必要だ。定額給付金でオンライン申請が混乱したこと、テレビ会議が満足にできなかったこと、そして感染者情報把握にいまだにファクスを使っていることなどが問題視された。そうした状況を改善することは、1日も早く必要なことだ。 国民の側からいえば、行政手続きのオンライン化を是非進めて欲しい。 「2003年までに、国が提供する実質的にすべての行政手続きをインターネット経由で可能とする」。これは、政府の「eJapan 戦略」が2001年に決めたことだ。そのための法律まで作った。 では、この公約はどの程度実現できたか? 現在、政府手続きでオンライン化されているのは、わずか5%だ。ほぼ20年間の公約違反状態! かくも長きにわたって、オンライン化は絵に描いた餅にすぎなかったのだ。行政手続きには、いまだに紙の書類とハンコが要求される。このため、在宅勤務が完結しない。 スイスのビジネススクールIMDが今年の6月に発表した「IMD世界競争力ランキング2020」で、日本は34位だった。これは、過去最低だ。日本は、1992年までは首位にいた。 デジタル技術では、日本は62位だった。対象は63の国・地域だから、最後から2番目ということになる。 デジタル庁 の最初の仕事は、上記の公約違反を早急に解消することだ。そのためにまず必要なのは反省だ。2001年 eJapan戦略の公約がなぜ実現できなかったのか? どこが問題だったのか? 政府は、この検証報告を2ヶ月以内にまとめるべきだ。反省なくして失敗を克服することはできない』、全く同感である。
・『運転免許証書き換えのオンライン化を  行政手続きのオンライン化ができるかどうかの試金石は、運転免許証更新のオンライン化 だ。これができなければ、他のすべてをオンライン化できても、デジタル化は失敗といわざるをえない。 もともと、日本の運転免許証は、欧米に比べて厳格過ぎる。国によって交通事情は異なるから単純な比較はできないが、アメリカのカリフォルニア州では極めて簡単だ。私は、自分の車を試験場まで自分で運転して行って試験を受けた。 最初に免許を取得する場合はやむを得ないとしても、更新の手続きは、簡略化し、オンライン化すべきだ。視力検査は眼科医でできる。高齢者の認知テストもオンラインでできるはずだ。 私は、20年ほど前に、カリフォルニアの免許証を日本から更新したことがある。2013年1月にEU基準での改正となるまでは、ドイツやフランスの免許証は更新なしで、無期限に使えるものだった。改正後も、15年の期限だ。そして、更新もオンラインでできる国が多い。 世界的標準である更新のオンライン化が日本では簡単にはできないというのなら、せめて、運転免許証の自主返納 はオンライン でできるようにしてほしい。なぜ試験所や警察に出頭する必要があるのか、まったく理解できない。 運転免許証の自主返納 では、何の試験も必要ない。本人確認と免許証の真正性が確保できればよい。これができなければ、他の手続きの オンライン化 ができるはずはない。 テストケースとして、まずこれをやってはどうか? これができれば、多くの人が歓迎するだろう。これさえできないというのであれば、事態は絶望的だ。デジタル庁など作っても、予算の無駄使いでしかない』、「運転免許証の自主返納 では・・・本人確認と免許証の真正性が確保できればよい。これができなければ、他の手続きの オンライン化 ができるはずはない」、その通りだ。
・『スマートフォンアプリ化では情報漏出の危険  運転免許証について、デジタル化との関連で政府は何をしようとしているか? 報道によると、運転免許証とマイナンバーの紐付けを行うことを検討しているそうだ。スマートフォンのアプリに保存することで、偽造防止や利用者の利便性向上につなげるのだという。 しかし、スマートフォンのアプリに保存することで利便性が向上するだろうか? その逆に、リスクが高まるのではないだろうか? 万一、スマートフォンを紛失した場合に、情報が漏出する危険がある。また、最近起こっているデジタル決済での預金不正引出し事件を考えると、スマートフォンを紛失しなくとも情報が漏出する危険がある  雇用調整助成金の申請システムなど、政府が作ったオンラインシステムには、情報漏洩事故を起こしたものがある。これを考えても、あまり信頼できない。私なら、こうした問題の深刻さを考えて、とてもこのアプリはダウンロードできない。 国民が望んでいるのは、こうしたことではなく、デジタル化による手続きの簡略化なのだ』、その通りだ。
・『デジタル化とは既得権の切崩し  運転免許証のデジタル化が難しいのは、日本では免許証交付と更新が産業化してしまっているからだ。教習所を含めて、巨額の収入をあげ、膨大な職員を養っている。 高齢者の更新の場合には、安全確保の名目の下に、必要性の極めて疑わしい研修が義務付けられている。多くの人は、金を払ってもよいから教習所まで出向く時間はなしにしてほしいと思っているだろう。そして、コロナ下では、3密を回避したいと、切に願っているだろう。 しかし、これらをデジタル化すれば、現在の利権の多くは失われてしまう。だから決して簡単なことではないのだ。 この問題に限らず、日本におけるデジタル化とは、技術の問題というよりは、利権と既得権を切崩せるかという問題なのだ。これは、決して容易でない。一朝一夕に実現することではない』、「日本におけるデジタル化とは、技術の問題というよりは、利権と既得権を切崩せるかという問題なのだ。これは、決して容易でない。一朝一夕に実現することではない」、本質をズバリと突いた的確な指摘だ。私も「高齢者」「講習」を受けさせられたが、単なる「教習所」救済策との印象を強く抱いた。
・『まだファクスを使っている!  もう1つの問題は、仮にデジタル化しても、述べた適切なシステム作れるかどうかだ。これについて以下に述べよう。 9月6日公開の「厚生労働省のITシステムは、なぜこうも不具合が多いのか?」で述べたように、コロナ感染の状況を調査するためのシステムは、混迷を極めている。 最初は、NESIDという仕組みで情報を収集していた。これは、医療機関から保健所にファクスで感染届けを送り、それを保健所が集計して都道府県などに送るというシステムだった。ところが、感染が拡大してくると、ファクスではとても処理できなくなる。 そこで、HER-SYSというオンラインシステムが導入された。これは、発生、感染者の経過、濃厚接触者など、必要なデータをすべて処理するものだ。これによって、保健所の負担軽減を目指した。また、国や都道府県、保健所が情報を共有し、対策に生かすことが期待された。5月下旬から導入が始まり、保健所を設置する全国155自治体すべてに入力・閲覧権限が与えられた。 ところが、感染者が多い都市部で、この利用が広がっていないというのだ。9月21日の朝日新聞の記事「HER-SYS 道半ば」が伝えるところによると、東京都では、依然、保健所が医療機関から発生届をファクスで受け取り、HER-SYSに入力している。 横浜市も医療機関による入力は2割に満たず、残りは保健所の職員が打ち込む。大阪府でも保健所が発生届を入力している。保健所の業務量は、増えるだけだという』、「横浜市も医療機関による入力は2割に満たず、残りは保健所の職員が打ち込む」、「医療機関」の多くは既に独自のシステムをもっており、「HER-SYS」へ入力すると二度手間になるからだろう。
・『デジタル化すればよいわけではない  なぜこんなことになってしまうのだろう? 細かい理由はいろいろあるが、要するに、「HER-SYS使いにくいから、保健所や公共団体にそっぽを向かれている」という単純なことのようだ。「HER-SYSは予算の無駄使い」と言わざるをえない。 いまもっとも緊急に必要な情報がこの有様だ。 「データに基づく判断が重要だ」とはしばしば言われる。まったくそのとおりだ。しかし、現在の日本では、データが迅速に得られず、信頼もできない、という状態なのだ。 接触感染アプリは、HER-SYSの情報をもとにして通知を行っている。HER-SYSが以上のような状況なので、接触感染アプリもほとんど役に立たないシステムになってしまっている。 これからも分かるように、「デジタル化すれば、それでよい」というものではない。使いやすく、効率的な仕組みでなければならない。 ついでに言えば、政府の統計サイトの使いにくさに、私は毎日のように悩まされている。利用者の観点など、まったく考慮されていない。使い方の説明をいくらよんでも分からない。 こうした状況を改善するには、9月13日公開の「日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制」で指摘したように、ベンダーとの癒着を排し、丸投げを是正する必要があ(注:「る」が抜けている)。 しかし、そのためには、発注者が問題を理解する必要がある。これも容易なことではない。 デジタル庁の発足は「来年中」だという。コロナ関連の事案については、残念ながら、間に合わないだろう』、「ベンダーとの癒着を排し、丸投げを是正する」には「発注者が問題を理解する必要がある」のは確かだ。
タグ:電子政府 野口 悠紀雄 現代ビジネス (その2)(政府CIO補佐官に聞く 行政のデジタル化が進まない理由と脱却のシナリオ、:菅政権新設の「デジタル庁」は20年来の公約違反を解消せよ…! 全行政手続きオンライン化はどうなった) ITmediaビジネスオンライン 「政府CIO補佐官に聞く、行政のデジタル化が進まない理由と脱却のシナリオ 」 行政機関が保有する住民の氏名データは、制度上、漢字のみでフリガナは便宜上登録されているにすぎない 全銀ファイルの氏名はカナしか存在しない 最も足かせとなっているのは、100年にわたって蓄積されてきた戸籍、商業登記といった紙の処理を前提とした業務と膨大なデータ。それを社会の変化に応じて改善してこなかった歴史だ 日本はまだ、デジタル社会の基盤ができていない 行政はこれまで、「データを活用する」という発想が希薄だった。そのため、サービスを立ち上げるごとにデータを整備し、終了とともにデータを消去したり、再利用不可能な状態で保管するといった非効率的な運用をしてきた デジタル技術を使いこなせないと揶揄(やゆ)される日本の現在地 現在の最年少政府CIO補佐官は20代後半だ サービスデザイン思考で、使いにくい行政サービスを変える 行政のサービスも「出して終わり」ではない ユーザーの使い勝手を把握し、継続的に改善していく 外部委託先への丸投げを是正する 民間サービスとの融合で、さらに便利に API:アプリケーションプログラミングインタフェース 政府CIO補佐官が、霞が関に染まらないために 外から批判するだけじゃカッコ悪い 欧米」も「2030年をターゲットにデジタル国家を目指している 「菅政権新設の「デジタル庁」は20年来の公約違反を解消せよ…! 全行政手続きオンライン化はどうなった」 「行政手続きのすべてをオンライン化する」という2001年の公約が、いまだに実現されていない 20年間放置されている公約 2001年 eJapan戦略の公約がなぜ実現できなかったのか? どこが問題だったのか? 政府は、この検証報告を2ヶ月以内にまとめるべきだ 運転免許証書き換えのオンライン化を 運転免許証の自主返納 では 本人確認と免許証の真正性が確保できればよい。これができなければ、他の手続きの オンライン化 ができるはずはない スマートフォンアプリ化では情報漏出の危険 デジタル化とは既得権の切崩し 日本におけるデジタル化とは、技術の問題というよりは、利権と既得権を切崩せるかという問題なのだ。これは、決して容易でない。一朝一夕に実現することではない まだファクスを使っている! HER-SYS デジタル化すればよいわけではない ベンダーとの癒着を排し、丸投げを是正する 発注者が問題を理解する必要がある
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

電子契約・電子署名(その1)(在宅勤務を阻む「ハンコ問題」、激論の舞台裏 デジタル化を突き付けられた日本の課題、「脱ハンコ」は「脱中央集権」で国民の信頼を得なければ成功しない いまだに響く住基ネットの失敗、「ハンコ警察」の大誤解、ムダな印鑑を一掃しても社会の効率は良くならない) [経済政策]

今日は、菅内閣発足以来、注目されている電子契約・電子署名(その1)(在宅勤務を阻む「ハンコ問題」、激論の舞台裏 デジタル化を突き付けられた日本の課題、「脱ハンコ」は「脱中央集権」で国民の信頼を得なければ成功しない いまだに響く住基ネットの失敗、「ハンコ警察」の大誤解、ムダな印鑑を一掃しても社会の効率は良くならない)を取上げよう。

先ずは、4月25日付け東洋経済オンライン「在宅勤務を阻む「ハンコ問題」、激論の舞台裏 デジタル化を突き付けられた日本の課題」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/346741
・『緊急事態宣言が出ている中で、捺印のために社員に長時間の通勤を求めるのはいかがなものか――。 フリマアプリを手がけるメルカリは4月8日、取引先との契約締結時に必要な捺印や署名の手続きを電子契約サービスに切り替える方針を発表した。同社の櫻井由章・執行役員CLO(最高法務責任者)はその背景について、冒頭のように話す。 メルカリは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2月中旬から全社員が在宅勤務に移行している。現状は特定の社員が週に1回、捺印のために出社している。メルカリ社内で行われる契約書の捺印は1カ月に約400件に上る。このうち約9割で物理的な捺印が必要な状況だったという』、「メルカリ」では「現状は特定の社員が週に1回、捺印のために出社」、「契約書の捺印は1カ月に約400件」、やはり負担になるようだ。
・『大臣発言の2日後に印鑑廃止を決断  契約先はフリマアプリ事業の取引先のほか、スマホ決済サービス「メルペイ」で取引のある銀行や加盟店などさまざまだ。出社時には1日で100件近い捺印をこなすことになる。「ハンコを個人の自宅に持ち帰るのは現実的ではない。契約書をその人の自宅に郵送するとなると紛失したり、同居する家族が見てしまったりするリスクがある」(櫻井氏)。 メルカリ社内の一部の部署ではすでに電子契約を導入していたが、今回の在宅勤務移行を受け、全社への導入を急いでいる。ただ、電子契約は契約の相手先の了承を得られなければ実現しない。「取引先によっては契約書の原本への捺印を義務づける規則がある」(同)。そのため、同社では社印の捺印ではなく、権限者の署名や電子署名へ変更すべく取引先の理解を求めている。 電子契約の導入を進めるのはメルカリだけではない。IT大手やベンチャー企業を中心に、導入の動きが急速に広がっている。4月17日にはGMOインターネットが、レンタルサーバーなど自社サービスの顧客の手続きで印鑑を完全に廃止し、取引先との契約も電子契約のみにすると発表した。 政府の竹本直一IT担当大臣が4月14日の記者会見で、在宅勤務の中での押印問題について問われ、対応策としては「民間で話し合ってもらうしかない」と発言。これを受けた形でGMOの熊谷正寿社長が翌日、「決めました。GMOは印鑑を廃止します」と自身のツイッターに投稿。その2日後に正式発表に至った。 そもそも電子契約とは何なのか。ハンコを用いた契約では、締結する当事者同士が契約書に捺印していた。一方で電子契約は、改ざん不可能な「電子署名」と、誰がいつ契約に同意して署名したかを電子的に刻印する「タイムスタンプ」の2つからなる。それぞれに専門業者がおり、電子契約サービス各社はこうした業者からシステムを仕入れ、使いやすくなるよう設計・開発している。 国内で電子契約を導入しているのはまだ8万社程度にすぎない。このうち約8割となる6万5000社に導入し、シェアトップを走るのが、弁護士ドットコムの電子契約サービス「クラウドサイン」だ。コロナの影響で在宅勤務に移行する企業が増えた3月は、前年同月比で導入社数が1.7倍以上、契約送信件数は2倍以上に増えたという。先述のメルカリが全社導入を進めているのもクラウドサインだ』、「電子契約は契約の相手先の了承を得られなければ実現しない」、「電子契約は、改ざん不可能な「電子署名」と、誰がいつ契約に同意して署名したかを電子的に刻印する「タイムスタンプ」の2つからなる。それぞれに専門業者がおり、電子契約サービス各社はこうした業者からシステムを仕入れ、使いやすくなるよう設計・開発している」、「シェアトップを走るのが、弁護士ドットコムの電子契約サービス「クラウドサイン」、なるほど。
・『野村HDやサントリーが相次いで導入  クラウドサインはその名の通り、クラウド型のサービスで、契約書をクラウドサイン上にアップロードすると、契約相手にメールが届く。相手方が承認すれば契約完了だ。他社サービスも同様だが、契約書を送信する側がサービスを利用していれば、受信する側が導入する必要はない。クラウドサインの場合、月額の固定料金と契約の送信1件当たりの従量課金がかかる。 弁護士ドットコムの橘大地・取締役クラウドサイン事業部長は、「以前は業務効率化やコスト削減のために導入したいという声が最も多かったが、足元は急な在宅勤務への移行で、明日から導入したいという問い合わせが急増している」と話す。また、導入企業の大半を占めるのは中小企業だったが、「最近は大企業での全社導入がトレンドだ」(橘氏)という。具体的には、野村ホールディングスやサントリーホールディングス、KDDIなどが名を連ねる。 電子契約を取り巻く法制度は、ハンコでの契約と異なる。契約当事者同士が裁判になった際の証拠の有効性を規定する電子署名法や、税務上必要な書類の電子管理を定めた電子帳簿保存法などがある。前者ではきちんと電子署名が記録されているか、後者では国内で認定されたタイムスタンプが正確に記録されているかが求められている。 「安心安全な電子署名を普及させたい」と話すのは、2019年末に電子契約サービス「Great Sign(グレート・サイン)」を開始したベンチャー企業「TREASURY(トレジャリー)」の山下誠路社長だ。グレート・サインでは、何らかの障害で電子署名がきちんと記録されなかった場合にアラートを出すなど、正確性にこだわる。 「他社のサービスでは電子署名がついていないのに課金されたり、その契約書が何カ月も放置されていたりする。タイムスタンプがつくまでに時間がかかる業者もある。署名の見方を知らない人も多い。いざ裁判になって電子署名の証明書が無効だったときのリスクは大きい」(山下氏)。 民間企業の動きを受け、政府与党も動き出した。自民党の行政改革推進本部規制改革チームは4月6日、新型コロナウイルスに対応するデジタル規制改革についての緊急提言を安倍首相に申し入れた。この中に「押印原則の徹底的見直し」も盛り込まれた。 規制改革チームの座長を務める同党の小林史明衆院議員は、「今回の改革には、押印が必要な手続きがあったとして、そもそもそれは必要なものなのか、本当に印鑑が必要なのか、印鑑証明のある実印を必要としない手続きにおける認証の有効性はどうなのか、という3つの観点がある。政治・行政が規制を見直すのと同時に、民間に対してもメッセージを出すことで、商慣習を変えるきっかけにしたい」と話す』、「押印原則の徹底的見直し」は是非とも実現すべきだろう。
・『電子契約とハンコは共存できるか  2019年末に施行したデジタル手続法を受け、国は行政手続きのオンライン化を進めている。小林議員によると、2019年来精査してきた2万近い手続きのうち、印鑑証明のある実印が必要な手続きはわずか200弱。残りは一般的な印鑑や署名、本人確認書類を求めるものだったという。 小林議員は「3月末に行う手続きを今デジタル化しても恩恵を受けるのは来年だ。4~6月に迫っている手続きの見直しを優先的にやっている。民間企業からも聞き取りを行い、ニーズの高いところの優先順位を上げていく」と語る。 では、こうした動きをハンコ業界はどう受け止めているのか。「今の流れは必然的なことだとは思うが、ハンコだけを悪としてとらえないでほしい。非常時だからこそ民間同士で信頼関係があれば、今回はハンコではなく、メールで同意したことにすることもできるはず」。そう話すのは、ハンコの製造業者などで構成する業界団体・全日本印章業協会の徳井孝生会長だ。 自身もハンコの製造・販売業を札幌市内で営む徳井氏は、「職人が手で仕上げたものほど偽造しづらく、法人の実印には強くおすすめしている。(電子契約はパソコンやスマートフォンなど)機器を使いこなせない人、経済的に購入できない人を置き去りにしてしまう。ハンコを希望する人が1人でもいるのであれば(電子とハンコは)共存していくべき」と訴える。 コロナをきっかけに、あらゆる手続きや業務のデジタル化が注目されることになった。日本特有の商慣習で、伝統のあるハンコが悪者になった感があるが、コロナを起点に、日々の業務の効率化を考えさせられたことは間違いない』、「(電子とハンコは)共存していくべき」、立場上やむを得ないのかも知れないが、どう考えても無理がありそうだ。

次に、10月18日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「「脱ハンコ」は「脱中央集権」で国民の信頼を得なければ成功しない いまだに響く住基ネットの失敗」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76445?imp=0
・『「脱ハンコ」の手段はマイナンバーカードだが  菅義偉政権は、脱ハンコを進める方針だ。「脱ハンコフィーバーはいいことだ」と私は思う。 しかし、脱ハンコのためには、文書が正しいことを、別の手段で証明する必要がある。「ハンコは無駄だからやめにしよう」というだけでは、不十分なのだ。  住基ネットの概要 総務省HPより(リンク先参照) 脱ハンコは、「電子署名」によってなされる。これについて、日本はすでに住基ネットで失敗している。その後継者がマイナンバーカードだ。 したがって、「脱ハンコ」を進めるというのは、「マイナンバーカードの活用をはかる。その利用範囲を広げる」ということだ。これを進めるには、なぜ住基ネットが失敗したかの反省から始める必要がある』、日本の行政機構は無謬性の建前に縛られて、過去の政策を殆ど反省しないのは大いに問題だ。
・『住基ネットは無残な失敗に終わった  住民基本台帳ネットワーク(「住基ネット」)は、2002年8月5日に 第1次稼動し、2003年8月25日から本格稼働が始まった。これは、日本における初めての総背番号制だ。 住民基本台帳の情報をデータベース化し、各市町村のデータをネットワークでつないだ。住民基本台帳は、氏名、生年月日、性別、住所などが記載された住民票を編成したもので、住民に関する事務処理の基礎となる。電子証明書が格納された「住基カード」が発行された。 住基ネットには、2002年から毎年130億円が使われ、13年間で2100億円。自治体の初期費用・維持費用も合わせると1兆円近い税金が使われた。 それにもかかわらず住基カードは普及せず、カードの交付枚数は710万枚(2015年3月)にとどまった。普及率は5.5%にすぎなかった。 そして、2015年末に更新手続きが終わった。つまり、住基ネットは、無残な失敗に終わったのだ』、「1兆円近い税金が使われた」にも拘らず、「無残な失敗に終わった」とはやれやれだ。
・『ほとんど使い途がなかったから使われなかった  国民の側からみて、住基カードで何が便利になったのだろうか? 総務省の説明を読むと、まず、「パスポート申請に住民票の写しの提出が不要となる」としてある。 しかし、それでは窓口にいかないで済むのかといえば、依然として「戸籍謄本・抄本」などの書類が必要とされた。つまり、市町村役場やパスポートセンターの窓口に足を運ぶ必要があったのだ。 あるいは、「従来は、住んでいる市町村でしか交付を受けられなかった住民票の写しを、住基カードの提示で、全国どこの市町村でも交付を受けることができるようになった」とされた。 また、「引っ越しの場合、従来は、それまで住んでいた市町村で転出届の手続をし、転出証明書の交付を受けた上で、引っ越し先の市町村で転入届を行う必要があった。それが、住基カードの交付を受けていると、郵送またはインターネットにより住んでいる市町村に提出すれば、転出証明書がなくても引っ越し先の市町村において転入届を行うことができるようになった」とされていた。 確かに、従来より手続きは少なくなるだろう。しかし、パスポート申請や住民票の写し取得は、頻繁に利用するサービスではない。引っ越しも、一生に数回というのが普通だ。 こうしたことのために住基カードを持つ必要があるのかどうか、疑問だ。少なくとも、生活に重大な支障が出るようなことはない。また、膨大なコストをかけてシステムを構築するメリットがあるかどうか、疑問だ。 「自宅でいつでもPCとインターネットを通じて申請や届出をすることが可能となった」との説明もあったのだが、こうした感激的な効果はなかったのだ』、確かに「住基カード」は存在意義が問われる存在だった。
・『国民は何を心配したか?  どんなメリットがあるのかが、はっきりしない。それなのに、なぜ政府は熱心に導入しようとするのか? この裏には何かあるのではないか? 多くの国民が、このように考えた。 とくに問題とされたのは、国民監視やプライバシー侵害、情報流出の危険性だ。そして、「監視・徴税強化社会はNO」とのスローガンの下で、各地で違憲訴訟などの住基ネット訴訟が相次いだ。 これに対しては、2008年に最高裁が住基ネット合憲の判決を下した。その理由の要旨は、住基ネットが扱う情報は「秘匿性の高い情報とはいえない」、住基ネットの仕組みは「外部からの不正アクセスで情報が容易に漏えいする具体的危険はない」とのことだ。 ところで、「メリットがはっきりしないのに導入に熱心」というのは、マイナンバーカードでも同じだ。これについては、10月11日の「『脱ハンコ』、面倒になっては本末転倒〜使えるサービスほとんどなし」述べた。 なぜ導入したいのか? 真の目的は何なのか? 課税強化か? 国民監視か? それほどでなくても、「ITベンダーと利権確保か? 天下り先確保が本当の目的か?」等々の疑念が出てくる。 政府は、これらの1つ1つに、誠実に答える必要がある。マイナンバーカードのような仕組みは、国民の国に対する信頼がなければ、成功しない。 住基ネットの場合、世論の反対が強く、政府が望んだ民間情報とのひも付けができなかった。そのため、使い途がなく、それが上記のような疑念を増幅させるという悪循環に陥ったのだ』、「マイナンバーカード」も運転免許証や健康保険証を組み込むようだが、私は紛失や情報漏洩の場合のリスクが飛躍的に大きくなるので、反対である。
・『認証局という中央集権的組織が裏に控える  住基ネットやマイナンバーカードが疑いの目で見られる大きな理由は、それが中央集権型の仕組みだからだ。 現在の電子署名は、背後に「認証局」と呼ばれる中央集権的な組織が控えている。ここが、電子署名の正当性を証明する。 電子署名が普及しない大きな原因は、認証局から電子証明を貰うのが簡単ではないことだ。このため「クラウド署名」のような便宜的方法が使われる。 「住民基本台帳カード」の場合には、「地方自治情報センター」と呼ばれる組織が認証局となっていた。マイナンバーカード の場合にも認証局がある。それは、「地方公共団体情報システム機構(JIS)」と呼ばれる組織だ。これは、実は、『地方自治情報センター』が名称を変えたものだ。 なお、2016年1月18日から19日にかけて、地方公共団体情報システム機構で障害が起こり、一部の自治体でカード交付ができなくなったことがある』、なるほど。
・『中央集権的でない「脱ハンコ」はありうる  以上で述べたことをまとめよう。 「脱ハンコ」のためには、電子署名のシステムを導入しなければならない。住基ネットはそのための仕組みであったし、その失敗を受けて作られたマイナンバーカードも、電子署名のためのものだ。 それを支えているのは、認証局を中心とする中央集権組織だ。中央集権的組織が支える仕組みだから、国民監視やプライバシー侵害、情報流出の危険性などを、原理的に否定することはできない。 では、脱ハンコの実現のためには、そうした危険のあるものを受入れざるをえないのか? そうではない。マイナンバーカードなどに対してなされている批判に応え、かつ電子署名を簡単に行なうための仕組みは、原理的には存在する。まだ実用段階になっていなが、そのための仕組みが開発されつつある。 それは、中央集権的機構のかわりにブロックチェーンを用いるものだ。ブロックチェーンを用いて分散IDと呼ばれる仕組みを作れば、認証局なしの電子署名システムができる。これは、「Trusted Web」と呼ばれる仕組みだ。 内閣が主催する「デジタル市場競争会議」が2020 年 6 月 16 日に公表した『デジタル市場競争に係る中期展望レポート(案)~ Society 5.0 におけるデジタル市場のあり方~』も、分散IDの重要性に言及している。 住基ネットが出発した2002年には、こうした技術はなかった。しかし、その後ブロックチェーン技術が発達し、こうした仕組みの構築が可能となりつつある。 新しい技術を積極的に導入し、プライバシー侵害や国民管理を防ぐ努力がなされるべきだ』、確かに「ブロックチェーンを用いて分散IDと呼ばれる仕組み」を作る方法は分散型で合理的だ。

第三に、10月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「「ハンコ警察」の大誤解、ムダな印鑑を一掃しても社会の効率は良くならない」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/251968
・『ハンコ撲滅の「正義のお仕置き」で大炎上する企業が続出か?  先日、ある有名な企業が炎上した。 きっかけは、この会社を辞めた人間によるSNSへの投稿だった。この企業、対外的には電子契約や電子署名などを積極的に採用していくと触れ回っていたが、実際の社内では、デジタルに弱い経営陣や取引先に確認をしてもらうための決済書類で、ハンコ文化がバリバリに残っていた。その結果、デジタル対応とアナログ対応の両方を相手によって使い分けなくてはならず、社員の負担が増えているという。 辞めた社員は、こうした内部事情を暴露してしまったのだ。それを受けてSNS上には「ハンコ警察」が登場、この企業を厳しく断罪した。 《こんな時代にムダなハンコを社員に強いるなんてブラックだ!》《若い社員がジジイ連中に合わせるのではなく、ジジイ側がもっと勉強して時代に合わせろ!》という感じで、世代間論争まで勃発。さらに、これをマスコミやワイドショーが取り上げたことで、株価にまで影響が出始めた。ついにはこの企業は、社長の謝罪会見にまで追い込まれてしまったのである――。 「えっ!?そんなこと、あったっけ?」と戸惑う方も多いだろう。誤解をさせて申し訳ない。この炎上話は実はまったくのフィクションである。 ただ、2020年10月時点で与太話であっても、近い将来こうした「ハンコ警察」による正義のお仕置きで、大炎上する企業が出てこないとは言い切れない。ご存じのように、菅政権が行政手続きのハンコを99%廃止するなど、「ムダなハンコ」を一掃する動きが加速する中で、ハンコは「ムダの象徴」として風当たりがかなり強くなっているからだ。 「いやいや、今、河野太郎さんたちが進めているのは、あくまでムダなハンコ業務であって、印鑑そのものを失くせなどと言っているわけじゃない。さすがにみんな、それくらいの違いはわかってるって」という冷めた声が聞こえてきそうだ。しかし、ここ最近起きているギスギスした人間トラブルを見ていただきたい。) 悪質なあおり運転、芸能人への度を越した誹謗中傷、他県ナンバー狩り、自粛警察、マスク警察……我々の社会には、自分の「正義」から少しでも外れたことをする他人を激しく攻撃して、この世から消えろと言わんばばかりに徹底的に追い込む人が、かなりいらっしゃるのだ。 ならば、「脱ハンコ」という社会正義実現のために、それを邪魔する人を監視・排除しようとする「はんこ警察」が登場したって、何も不思議ではないではないか。 実際、すでにSNSやネットには「脱ハンコに反対する人=既得権益にしがみつく人」といった構図で批判をする人はチラホラと現れてきており、印章産業が盛んな山梨の長崎幸太郎県知事や印章業界で働く人々は、過度な「脱ハンコ」ムーブメントが盛り上がることで、日本社会の非効率的な面などのさまざまな弊害が全てハンコのせいにされ、スケープゴートにされるのではないかという危機感を抱いている』、「「脱ハンコ」という社会正義実現のために、それを邪魔する人を監視・排除しようとする「はんこ警察」が登場したって、何も不思議ではないではないか」、マスクと違って、迷惑になる訳ではないので、出現しないことを願う。
・『「脱ハンコ」に過度な期待が持てない理由  では、「ハンコ警察」がはんこを使う人たちを叩くような殺伐とした社会にならないためには、どうすればいいのだろうか。 個人的には、「脱ハンコ」「ハンコ廃止」というものに過度な期待を持たせないということが、極めて重要になってくるのではないかと考えている。確かに、「スタンプラリー」などと揶揄される、役所などの非効率極まりないハンコ業務をなくしてデジタル化すれば、作業効率が上がるのは間違いない。役所とやりとりをする企業のデジタル化も促進されるだろう。 が、それがそのまま日本社会の効率を良くするのかというと、その効果は限定的だ。実は日本のハンコというものは、諸外国の「サイン」にあたる承認機能だけではなく、我々の社会の中で非常に大きな社会的機能を担っているからだ。 それは「身分証明」である。 たとえば、銀行で口座を開設するためには、免許や保険証などの本人確認書類だけではなく、印鑑が必要だ。ネットバンキングだけの場合は印鑑不要ということもあるが、それでも窓口での手続きや収納サービスを利用すれば、印鑑を求められるケースが圧倒的に多い。 このときのいわゆる「銀行印」は、シャチハタなどがダメなことからもわかるように、単なる「サイン」のような意味合いではない。大きな額の取引をする際に、本人であることを確認することも目的としている。だから、届出をしたときの「銀行印」と捺印したものに少しでも誤差があれば認められない。承認ではなく、完全に「身分証明」としての用途を期待されているわけだ。 財産を管理するための「身分証明」ということなので、当然、財産に影響を及ぼすような高い買い物をする場合も、このようなハンコが必要となる。だから、住宅ローンを組むのにも、賃貸を借りるのにも、そして自動車を購入するのにも、「実印」の捺印と印鑑証明の提出が求められるのだ。 公共料金のようなものを引き落とす手続きをするには、印鑑が必要になる場合も多い。アルバイトで採用される際にも、いまだに印鑑の持参を求めるところはたくさんある』、「承認ではなく、完全に「身分証明」としての用途を期待されている」、確かにその通りなのだろう。
・『組織からハンコを追い出しても社会ではハンコがないと生きられない  つまり、どんなに役所や企業の中からハンコを追い出したところで、組織から一歩外に飛び出して個人に戻れば、「ハンコID」がないことには経済活動もままならないというのが、日本社会の現実なのだ。 この大きな矛盾を解消しない限り、日本社会の効率など良くなるわけがない。つまり、我々が本当に問題視しなくてはいけないのはハンコ文化ではなく、「実印」「銀行印」に象徴される「ハンコによる身分証明」という慣習なのだ。 これは、ハンコ文化のある他国を見ても明らかだろう。ご存知のように、ハンコ文化というのは東アジア地域に限定されたもので、日本以外は中国、韓国、台湾に定着している。が、これらの国のハンコは、「社会の効率が悪いのはハンコ文化のせいだ」など目の敵にされていない。 ハンコ文化の源流である中国では、政府や企業が発行する書類に社印のようなものを押す慣習があるが、個人で印鑑を使うようなシーンはない。銀行口座を開設するときなども、身分証明書の提示とサインだけなので、印鑑は日本でいうところの「木彫りの熊」のような鑑賞用とされている』、「我々が本当に問題視しなくてはいけないのはハンコ文化ではなく、「実印」「銀行印」に象徴される「ハンコによる身分証明」という慣習なのだ」、その通りなのかも知れない。
・『中国、台湾、韓国では脱ハンコと効率アップは無関係  戦前、日本が統治していた影響で印鑑登録制度が残る台湾では、すでに電子署名法により、印鑑と手書きの電子サインの両立が可能になっているので、「脱ハンコで効率アップだ!」などという議論はされてない。同じく日本の印鑑登録制度を引きずる韓国でも、脱ハンコの動きが進められているが、それは印鑑の偽造が横行したという不正行為対策という意味合いが強く、「効率アップ」は目的としていない。 なぜこれらの国では、日本のように「ハンコ=ムダの象徴」という位置づけにならないのかというと、「ハンコによる身分証明」という慣習がないからだ。 韓国と台湾には、確かに日本統治のなごりで印鑑登録制度はあるが、それとは別に身分証明の制度がある。台湾は顔写真付きの国民身分証が発行され、今後はこれに運転免許やスマホのデータを連動したデジタルIDになっていくという。韓国でも出生した段階で住民登録番号が付与されるので、これが本人確認に用いられる。 中国も同様で、国民1人1人に固有の番号が記載された身分証明書が存在して、公的サービスを受けたり、鉄道のチケットを購入したりする際に、切符の偽造・転売対策でこれを提示する。 さて、ここまでお話をすれば、もうおわかりいただけたことだろう。中国、台湾、韓国にはハンコ文化があっても、日本のように「効率」の問題が取り沙汰されないのは、日本以外の国ではほぼ当たり前に普及している国民識別番号制度によって、「本人確認」という作業がシステム化されているからなのだ。 それは言い換えれば、政府がハンコを目の敵にして「脱ハンコ」「ハンコ廃止」などと声高に叫ばなくとも、他国で当たり前になっている「国民識別番号制度」が普及するだけで、日本社会でいろいろと言われている問題は、かなり改善される可能性が高いということだ。 少なくとも、コロナの給付金を払うのに3ヵ月かかりましたとか、年金の記録が消えてしまいましたというような、台湾などのデジタル行政の進む国から憐れみの目で見られるような今の状況は、大きく変わるはずだ。 が、ご承知のように、ハンコ文化の迫害は進んでも、日本で「国民識別番号制度」が普及する気配はない。社会保障や税金の分野で個人を特定するマイナンバーカードでさえ、9月時点で普及率は全国で2割弱にとどまっている』、「他国で当たり前になっている「国民識別番号制度」が普及するだけで、日本社会でいろいろと言われている問題は、かなり改善される可能性が高い」、「ハンコ文化の迫害は進んでも、日本で「国民識別番号制度」が普及する気配はない」、菅政権も「ハンコ」よりも「マイナンバー」の普及をもっと明確に打ち出すべきだろう。
・『日本ではなぜハンコしか「本人確認」の方法がないのか  世界では番号1つで公的・私的サービスの本人確認ができるのが当たり前の状況の中で、なぜ日本だけがこんな状況なのかというと、左派勢力やマスコミが中心となって「国民総背番号制」という言葉をつくり、激しく反対をしてきたからだ。 実は日本でも、北欧の福祉国家が導入したのと同時期の1970年、佐藤栄作内閣で「国民識別番号制度」を導入すべきだという議論がなされたことがある。さまざまな保障や福祉サービスをワンストップで受けるには、このシステムははるかに効率がいいからだ。 しかし、これに「プライバシーが丸裸だ」「軍国主義に逆戻り」「囚人みたいで嫌だ」と猛烈に反対したのが、労組、マスコミ、そしてえらい学者センセイたちだった。 「総背番号制 反対へ国民運動 学者・文化人ら旗揚げ」(1972年11月16日 朝日新聞) こうして立ち上げられたのが、「国民総背番号制に反対しプライバシーを守る中央会議」だ。労組と学者、文化人を中心に、この団体は「プライバーを守れ」というかけ声のもとで勢力を拡大。1985年4月になるとさらに活動の幅を広げて、外国人登録法による指名捺印制度の廃止も訴えた。 このときに代表委員として法務大臣や警察庁長官、政令指定都市の市長などに声明を送ったのは、名古屋大学教授の北川隆吉氏である。多くの業績を残した社会学者だ。 そんな立派な学者だからだろう、「学者の国会」と呼ばれた日本学術会議の会員も務めた過去があり、指紋捺印の反対運動の3年後、1988年6月には再び日本学術会議第14期会員に選ばれた。 政府、特に法務官僚や警察官僚からすれば、国が進めたい政策をことごとく邪魔する北川氏が日本学術会議会員に戻ってくるということを、苦々しく思っていたはずだ。が、どうすることもできない。その5年前の中曽根内閣時代に、「形だけの任命をしていく」と国会答弁をしてしまっているからだ。 今回の学術会議への人事介入の黒幕であると報じられた杉田和博官房副長官も、おそらくその1人だったはずだ。この時期の杉田氏は、警備・公安畑でキャリアを積み、外国人犯罪や不法滞在を扱う外事課長も務めていた。まさしく指紋捺印制度の成立へ向けて動いていた側の人間だ。 こういう過去から続く因縁が、菅政権で一気に爆発してしまったのかもしれない』、これは少々うがち過ぎの感がある。「総背番号制」に反対してきたのは左派としているが、左派に政策を左右するほどの力はなく、中小企業経営者の強烈な反対の方が影響力が大きかった筈だ。
・『うまくいかない社会の問題を全てハンコ文化のせいにする愚  話が脇に逸れてしまったが、このような経緯からもわかるように、日本が他国と比べて様々な分野で効率が悪いのは「ハンコ文化」のせいではない。諸外国が公的サービスを効率化するためなどの名目で続々と導入していた「国民識別番号制度」に反対する一部の人々によって、「国民総番号制」という恐怖訴求ワードが広められたことで、行政サービスの効率化に頑なに背を向けていたからなのだ。 そういう本質的なところをうやむやにして、社会の中でうまく回っていない問題をすべて「ハンコ」に押し付けるというのは、あまりにも理不尽であるし、なんの問題解決にもつながらない。ハンコを使っている人間を目にするとイライラするという「ハンコ警察」予備軍の方には、ぜひともそれを知っていただきたい。 「国民総番号制度」の長きにわたる反対運動を振り返ってみてもわかるように、立派な学者センセイたちが反対の声をあげたからといって、それが必ずしも国民の幸せにつながるわけではないのだ。学者と政府が対立すると、我々は条件反射で「政府が悪い」という印象を受けがちだが、歴史を振り返れば「学者が暴走をする」ということもたくさんあった。特に自粛警察などと同じく、声高に「我こそは正義だ」と胸を張るような学者はちょっと危険だ。 そのような意味では、今回も立派な学者センセイたちが「学術会議に人事介入をしたら学問の自由を奪われる!」「この国家の暴走を放っておいたら、全体主義へまっしぐらだ」などと喉を枯らしていることも、一歩引いて見る必要があるのではないか。 「立派な学者センセイがそう言っているのだから」と鵜呑みにするのではなく、本当にそれが国民のためになる話なのかを、歴史に学んで冷静に考えてみたい』、「社会の中でうまく回っていない問題をすべて「ハンコ」に押し付けるというのは、あまりにも理不尽であるし、なんの問題解決にもつながらない」、同感である。「マイナンバーカード」に運転免許証などを組み込むのは前述の通り反対だが、「マイナンバー」を核に所得や資産の把握を進め、公正な課税体系を目指してもらいたい。
タグ:住基カード 東洋経済オンライン GMOインターネット 野口 悠紀雄 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 現代ビジネス 電子署名 メルカリ 電子契約 (その1)(在宅勤務を阻む「ハンコ問題」、激論の舞台裏 デジタル化を突き付けられた日本の課題、「脱ハンコ」は「脱中央集権」で国民の信頼を得なければ成功しない いまだに響く住基ネットの失敗、「ハンコ警察」の大誤解、ムダな印鑑を一掃しても社会の効率は良くならない) 「在宅勤務を阻む「ハンコ問題」、激論の舞台裏 デジタル化を突き付けられた日本の課題」 現状は特定の社員が週に1回、捺印のために出社 契約書の捺印は1カ月に約400件 大臣発言の2日後に印鑑廃止を決断 電子契約は契約の相手先の了承を得られなければ実現しない 自社サービスの顧客の手続きで印鑑を完全に廃止し、取引先との契約も電子契約のみにする 電子契約は、改ざん不可能な「電子署名」と、誰がいつ契約に同意して署名したかを電子的に刻印する「タイムスタンプ」の2つからなる それぞれに専門業者がおり 弁護士ドットコムの電子契約サービス「クラウドサイン」 野村HDやサントリーが相次いで導入 押印原則の徹底的見直し 電子契約とハンコは共存できるか (電子とハンコは)共存していくべき」、立場上やむを得ないのかも知れないが、どう考えても無理がありそうだ 「「脱ハンコ」は「脱中央集権」で国民の信頼を得なければ成功しない いまだに響く住基ネットの失敗」 「脱ハンコ」の手段はマイナンバーカードだが なぜ住基ネットが失敗したかの反省から始める必要がある 住基ネットは無残な失敗に終わった 1兆円近い税金が使われた 無残な失敗に終わった ほとんど使い途がなかったから使われなかった 国民は何を心配したか? 「マイナンバーカード」も運転免許証や健康保険証を組み込むようだが、私は紛失や情報漏洩の場合のリスクが飛躍的に大きくなるので、反対である 認証局という中央集権的組織が裏に控える 中央集権的でない「脱ハンコ」はありうる ブロックチェーンを用いて分散IDと呼ばれる仕組み Trusted Web 「「ハンコ警察」の大誤解、ムダな印鑑を一掃しても社会の効率は良くならない」 ハンコ撲滅の「正義のお仕置き」で大炎上する企業が続出か? 「脱ハンコ」という社会正義実現のために、それを邪魔する人を監視・排除しようとする「はんこ警察」が登場したって、何も不思議ではないではないか 「脱ハンコ」に過度な期待が持てない理由 承認ではなく、完全に「身分証明」としての用途を期待されている 組織からハンコを追い出しても社会ではハンコがないと生きられない 我々が本当に問題視しなくてはいけないのはハンコ文化ではなく、「実印」「銀行印」に象徴される「ハンコによる身分証明」という慣習なのだ 中国、台湾、韓国では脱ハンコと効率アップは無関係 他国で当たり前になっている「国民識別番号制度」が普及するだけで、日本社会でいろいろと言われている問題は、かなり改善される可能性が高い ハンコ文化の迫害は進んでも、日本で「国民識別番号制度」が普及する気配はない 日本ではなぜハンコしか「本人確認」の方法がないのか うまくいかない社会の問題を全てハンコ文化のせいにする愚 社会の中でうまく回っていない問題をすべて「ハンコ」に押し付けるというのは、あまりにも理不尽であるし、なんの問題解決にもつながらない マイナンバーカード」に運転免許証などを組み込むのは前述の通り反対だが、「マイナンバー」を核に所得や資産の把握を進め、公正な課税体系を目指してもらいたい
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

トランプ大統領(その49)(米大統領選を前に「州知事の拉致未遂事件」が起きた理由、大統領選後に起きうる5つの危機、トランプ「自爆」の中で浮上した「バイデン勝利=株高」説をどうみるか?) [世界情勢]

トランプ大統領については、10月10日に取上げた。今日は、(その49)(米大統領選を前に「州知事の拉致未遂事件」が起きた理由、大統領選後に起きうる5つの危機、トランプ「自爆」の中で浮上した「バイデン勝利=株高」説をどうみるか?)である。

先ずは、10月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した国際ジャーナリスト・外交政策センター理事の蟹瀬誠一氏による「米大統領選を前に「州知事の拉致未遂事件」が起きた理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/251578
・『武装化した市民集団が州知事拉致を計画  タタタタタ!ドーン! アメリカ中西部ミシガン州の田舎町ミュニスの森の一角で、数カ月前から毎週日曜夕刻になると何百発もの銃声と爆発音が響いていた。不審に思った住民もいたが、ミシガン州では「オープンキャリー」(銃を公然と持ち歩く権利)が認められている。射撃の練習かと思って誰も警察には通報はしなかったという。 ところが今月初め、銃声が突然やんだ。 やれやれと安堵していたら程なく衝撃の事実が明らかになり、今度は全米に戦慄が走った。大統領選挙直前にミシガン州庁舎を襲撃して、グレッチェン・ウィトマー州知事(民主党)らを拉致する計画をしていた「ミリシア(民兵)」と呼ばれる極右武装勢力が射撃訓練をしていたのだ。 事前に察知した捜査当局によって13人が内戦を扇動した容疑で逮捕された。知事の厳しいコロナ対策に不満を募らせていたという。逮捕直前、拉致から湖畔にある別荘で知事を殺害することに計画が変更されていたが、グループに潜入していた情報提供者から連邦捜査局(FBI)に通報があったお蔭で未遂に終わったという。 じつは、昔からアメリカでは政府から独立した市民による市民のためのミリシアの存在が合衆国憲法で認められている。ろくでもない政府が出来たときに圧政から共同体を守るためだ。だから「武器を保持または携帯する権利」が与えられている。 だが、現在のミリシアは違う。そんな崇高な思想とはまったくかけ離れた、白人至上主義者たちや政府や警察の権威主義を敵視する危険極まりない過激派集団だ。 全米各地に点在するミリシアの正確な数は把握されていないが、ソーシャルメディアで暗号化されたメッセージでつながっている支持者は、数千人以上に上ると専門家は見ている。だからこそFBIは、こうした武装した市民集団を「アメリカにとって国内最大級のテロの脅威」とみなしているのだ』、「情報提供者から」「通報があったお蔭で未遂に終わった」、とはいえ、実行されていれば、殺人事件になるところだった。「ミリシアの存在が合衆国憲法で認められている」が、「崇高な思想とはまったくかけ離れた、白人至上主義者たちや政府や警察の権威主義を敵視する危険極まりない過激派集団」、恐ろしい集団が存在するものだ。
・『ミリシアやネオナチが活動を活発化  ところが、選挙戦の土壇場でコロナに感染して入院したうえ、世論調査で民主党のバイデン候補に大差でリードされて焦っているトランプはそんなことはお構いなし。「ミシガンを解放せよ!」「バージニアを解放せよ!」などと得意のツイッターで彼らをあおっている。両州とも知事が民主党だからだ。勢いづいたミリシアやネオナチが全米各地で活動を活発化させており、暴徒化する可能性も出てきた。 先月末の第1回大統領候補テレビ討論会の中でも、トランプはミリシアの一つ「プラウド・ボーイズ」に対して「引き下がって待機せよ!」と語りかけて物議をかもした。「お前たちの出番はこれからだ」と言ったに等しいからだ。 以前にも「バージニア州の民主党は憲法で守られたお前たちの(銃を所持する)権利を奪おうとしているぞ」と大統領がツイートしたため、全米の武装したミリシアが大挙して州都リッチモンドに集結したことがある。 それを見た州知事が慌てて非常事態宣言を発令して大事には至らなかったが、なにしろ30連発の高性能ライフルなどで武装している連中である。ひとつ間違えれば流血の大惨事になるところだった。 その一方で、トランプは極右と各地で激突しているアンチ・ファシズム運動、略してアンティファに対しては「テロ組織に認定してやる!」と正反対の対応。 しかしアンティファは、緩やかなネットワークでつながったリーダーのいない運動で、組織もない。そもそもアメリカの法律では、国外から支援を受けた団体でなければテロ組織として非合法化できない。だから武装したミリシアや過激な白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)などが大っぴらに活動できるのである。トランプはそんなことも知らない』、「トランプはミリシア・・・に対して「引き下がって待機せよ!」と語りかけて」、他方で「極右と各地で激突しているアンチ・ファシズム運動、略してアンティファに対しては「テロ組織に認定してやる!」と正反対の対応」、大統領がすることとは思えないような驚くべき言動だ。
・『トランプの敗北が濃厚だが法廷闘争を仕掛ける可能性も  そんな中、ちょっと驚きのオクトーバーサプライズまで飛び出した。政府批判で知られる映画監督マイケル・ムーアが、トランプのコロナ感染そのものがフェイク(でっち上げ)だと主張したのだ。感染を装って国民の同情を得るとともにコロナに勝った英雄のイメージで土壇場での一発逆転を狙う作戦に出たのだという。 まあ、にわかに信じがたい根拠なき陰謀論のレベルだが、そんなことまでしかねないと思ってしまうほどトランプの手口は悪辣なのだ。 現実にはホワイトハウス内で集団感染が発生したことが確認されている。 CNNのインタビューに答えたジョージ・ワシントン大学医学部ジョナサン・ライナー教授によれば、トランプこそが大量にウイルスをばらまくスーパースプレッダーの可能性が高いという。 その証拠に、マスクをつけず社会的距離も取らないトランプとの会合に出席した大統領顧問や選挙スタッフが、その後何人も陽性になっている。さらには、トランプの感染が明らかになるまでの1週間、選挙運動で各地を飛び回る大統領専用機エアフォースワンに何時間も大統領と同乗したスタッフのうち、少なくとも8人が検査で陽性と判定された。 にもかかわらず、ホワイトハウスが米疾病対策センター(CDC)に全ての感染例に関する追跡調査を依頼しないのは、大統領が感染源だとばれるのを恐れたからだろうとライナー教授は主張している。 今月15日に予定されていた第2回大統領候補討論会をボイコットしたトランプは12日、フロリダの空港に降り立ち、退院後初の大規模野外集会に姿を見せた。そして壇上で未使用のマスクをポケットから取り出して参加者たちに向かって投げ、こう言い放った。 「私はみなさんの祈りでとても元気になった。そちらに行って男性にも美しい女性にもキスするよ」 オエー! 自分がコロナウイルスをまき散らしているかもしれないことも忘れてセクハラおやじ丸出し。気持ち悪いを通り越して、危険極まりない。 選挙戦終盤でのコロナ感染者・死者の急増と支持率の低下をみると、トランプの敗北は濃厚だ。「トリプルブルー」(大統領、上下両院を民主党が制する)が実現する可能性も出てきた。そうなれば、バイデン政権下での大規模な追加経済対策への期待も高まるだろう。 だが、土壇場でトランプが「郵便投票で不正が行われた!」とわめき散らして泥沼の法廷闘争を仕掛ける可能性もまだ十分ある。 今回の大統領選では、コロナ感染を避けるため郵便投票が50%を超えるとみられている。投票日の11月3日まで集計を始められない州もあれば、11月2日までの消印があれば選挙日から10日後までに到着した票もカウントする州もある。多くの州では、封筒のサインと事前登録されたサインが一致するか照合しなければならない。集計遅れは必至の状況だ。 それだけではない。すでに激戦区の中西部オハイオ州では5万人の投票用紙が誤って郵送されるという不手際も起きている。カリフォルニア州では、共和党が設置した非公認の「ドロップボックス(投票回収箱)」が相次いで発見され大騒ぎだ。共和党側は第三者が投票用紙を回収できると主張しているが、明らかな違法行為だ。 どちらに軍配が上がるとしても、今年の大統領選挙はアメリカ史上まれに見る大混乱になることだけは間違いない』、「トランプこそが大量にウイルスをばらまくスーパースプレッダーの可能性が高い」、大いにあり得る話だ。「今年の大統領選挙はアメリカ史上まれに見る大混乱になることだけは間違いない」、さてどうなるのか注目したい。

次に、10月17日付けメールマガジンJMMが掲載した在米作家 冷泉 彰彦氏による「大統領選後に起きうる5つの危機」from911/USAレポート」を紹介しよう。
・『10月に入って突如発生したホワイトハウスにおけるCOVID19集団感染は、その後、大統領の入退院、大統領3男の感染などを経て、「既成事実化」することで一種の鎮静に至っています。ホワイトハウス高官の感染者については、ほとんど情報が出ないので分かりません。 ですが、感染者の中で少なくとも体質的に最も脆弱(肥満症と喘息)と思われているクリス・クリスティ氏(元ニュージャージー知事、大統領のTV討論コーチ)が1週間の入院を経て治癒したのは少なくとも良かったと思います。今回の集団感染の結果、生命の危機に至る人が続出するようですと、選挙以前の問題として世相を暗くするからです。 そのクリスティ氏は「さすがに懲りた」のか、退院後に取材に応ずる中でホワイトハウスのパーティーに参加した際には「自分はマスクをするべきだった」と言い始めています。同時に「自分は陽性となり発症したので、地元の保健当局はトレーシング(感染の追跡調査)をやってくれたが、ホワイトハウスからはトレーシングに関する照会はなかった」とも述べています。 クリスティ氏は一旦は生命の危険を感じた可能性がありますし、だとすれば「前非を悔いる」心境になったのも当然とも思えます。ですが、機を見るに敏なこの政治家が、このタイミングでこのようなことを言い出す、しかもトランプ陣営としては宿敵とも言える「ニューヨーク・タイムス」のインタビューに応じてそうした発言をしたということには、意味がありそうです。 それは、このクリス・クリスティという保守政治家は、もうドナルド・トランプを見限ったということです。同時に、そのことは彼だけでなく、多くの共和党政治家が「トランプ後」への備えを始めているということだと思います』、「多くの共和党政治家が「トランプ後」への備えを始めている」、沈みゆく船からは逃げるが勝ちなのだろう。
・『ちなみに、本稿の時点ではまだ投票日まで15日を残しています。また、次週の10月22日には、最終の大統領候補TV討論が実施される「かも」しれません。 ですが、現時点での選挙人獲得予想(総数538、当選ライン270)では、例えば、 著名な政治サイトを見てみると 「エレクトラル・ヴォート・コム」では、バイデン356対トランプ182 「リアル・クリアー・ポリティクス」では、バイデン375対トランプ163 となっており、いずれもバイデンが圧勝という予想となっています。ちなみに、この両者は「ノー・トスアップ」つまり世論調査が僅差であっても少しでも上回った方が「選挙人数は総取り」として計算した結果です。 このうち、「リアル・クリアー・ポリティクス」の方は「トスアップ」、つまり僅差の州を除外した数値を公表しており、こちらでは、「バイデン216対トランプ125」という数字となっています。 ただ、このトスアップというのは、直近の世論調査の平均値を取って、両者の差が「10%以内」というかなり厳格な基準を適用しています。ですから、バイデンの216というのはいわば基礎票と言ってよく、仮にここにバイデンが7%前後の差でリードしており、今はその差が広がりつつあるという、「ミネソタ(10)」、「ミシガン(16)」、「ペンシルベニア(20)」、を乗せると216+46=262 となります。 そこに「ウィスコンシン(10)」「アリゾナ(11)」「ネバダ+アイオワ(計16)」のどれかが加わればもう270を越えてしまいます。「フロリダ(29)」 「オハイオ(18)」「ノースカロライナ(15)」などは仮に取れなくても、バイデン候補の「当選ラインの270超え」はかなり見えて来たと言っていいと思います。 むしろ、バイデンの選挙戦は、ここまで申し上げてきた接戦州に加えて、現在は数ポイント差で競っている「ジョージア(16)」「テキサス(38)」を取って、選挙人数で400を超える「ランド・スライド(地滑り的勝利)」を狙っていると考えられます。ちなみに400を超える勝利ということになりますと、1988年のジョージ・H・W・ブッシュ以降はありません。 バイデン陣営としては僅差と圧勝では大違いという考え方をしていると思われます。 そこには切羽詰まった理由があるからです。まず選挙人数で僅差の場合は、州レベルで僅差という結果になったケースについて異議申し立てをすれば当落がひっくり返る危険性があります。もっと言えば、トランプ派の一部が暴徒化するとか、法廷闘争になって泥仕合になるという可能性も出てきます。 一方で、トータルで大差となれば、いくらトランプが吠えても、共和党や地方政府は無視するでしょうから結果の確定が早くなるということがあります。また、圧勝すれば民意の示すところはトランプの4年間についての全面的な不信任ということになります。ですから、民主党として、そしてバイデン新政権としては政策の変更、もしくはオバマ時代への回帰が容易になります』、「バイデン陣営としては僅差と圧勝では大違い・・・まず選挙人数で僅差の場合は、州レベルで僅差という結果になったケースについて異議申し立てをすれば当落がひっくり返る危険性があります。もっと言えば、トランプ派の一部が暴徒化するとか、法廷闘争になって泥仕合になるという可能性も出てきます。 一方で、トータルで大差となれば、いくらトランプが吠えても、共和党や地方政府は無視するでしょうから結果の確定が早くなる・・・また、圧勝すれば民意の示すところはトランプの4年間についての全面的な不信任ということになります。ですから、民主党として、そしてバイデン新政権としては政策の変更、もしくはオバマ時代への回帰が容易に」、「僅差と圧勝では大違い」なのは確かだ。
・『それ以上に大きな意味を持つのは、上院議員の選挙です。既に選挙情勢として、下院に関しては民主党が過半数を維持する見通しで、問題は上院ですが、現時点で公表されている様々な調査結果からすると、51対49で民主党が過半数を奪い返す見通しです。この上院に関しては差は大きければ大きいほど良いので、民主党としてはバイデンが好調な集票を続けることで、上院も議席数の上乗せを狙いたいところです。 もっとも、共和党の側も考えていることは似通っているようです。議会共和党からは、この初夏の頃から「選挙区事情によってはトランプを応援せずに、自分の議席を優先するように」という指示が飛んでいるという話が頻繁に出ています。例えばですが、10月6日に行われたアリゾナ州の「上院議員候補TV討論」では、共和党現職のマーサ・マクサリー候補は司会から「あなたは自身のトランプを支持したことを誇りに思っているか?」と再三にわたって問われたのですが、最後まで「イエス」とは言わず、その異様な光景は動画として拡散するに至りました。 マクサリー議員といえば、前回の2018年の選挙では民主党候補に負けたのですが、ジョン・マケイン議員の死去に伴い暫定議席を得て今回は改めて補選で民意を問う立場です。この間ずっとトランプ派的な言動をしていたのですが、そのマクサリー議員にしても、ここへ来て「トランプ支持を口にできない」というのです。ちなみに、選挙情勢としては、民主党のマーク・ケリーが優勢であり、仮に勝利すれば補選のため11月30日就任で2023年1月までの任期となります。 このように、共和党内では「トランプを見限る」動きが出てきているわけです。著名なものでは、政治団体「リンカーン・プロジェクト」という「共和党内のトランプ落選運動」がありますし、マクサリー議員のように上院という「全州選挙区」の場合は、中道層に食い込まないと勝てないので、「脱トランプ選挙」を強いられているという問題があるわけです。また、同時にこれは「共和党におけるトランプ後」への備えという意味も持っています』、「共和党内のトランプ落選運動」があるとは驚いた。やはり議員にとっては、自分の政治生命の維持が最重要事項なのだろう。
・『そんな中で、10月15日(木)には第二回のTV討論が予定されていたのですが、 これはキャンセルとなりました。TV討論の実施については、72時間前と当日の2回、候補本人はPCR検査を義務付けることになっているそうですが、トランプは検査に協力しなかっただけでなく、ヴァーチャル開催にも反対したので、自動的にキャンセルとなったということのようです。 そのために、中止が決定されたのとほぼ同時にバイデン陣営は、その日の20時から22時の2時間にわたってペンシルベニア州フィラデルフィアにて「タウンホール形式」つまり、有権者とバイデン候補の対話集会形式の演説会を行うと決め、ABCテレビが中継することになっていました。 その後、ここに割り込む形でNBCテレビがトランプ大統領の「タウンホール形式」集会をフロリダ州で行うと表明。結果的にこれは、「バイデン候補のイベント視聴を妨害するもの」という批判を浴びたために、20時から21時の1時間のみの開催となっています。 この2つのイベントは、開催の経緯だけでなく、トーンも随分と異なった感じとなりました。大統領の方は、中継局が中道左派のNBC、司会も中道左派で政治記者としても情報番組のMCとしても辣腕のサベナ・ガスリーで、大統領はしばしば有権者代表だけでなく、ガスリーも敵に回して汗だくの反論大会という感じになっていました。 一方で、バイデン候補の方はMCがビル・クリントン側近だったジョージ・ステファノポロスで、ある意味では民主党内のイベントという雰囲気もありました。ゆったりと時間を取って丁寧に有権者の質問を聞き、それに丁寧に答えるという感じで、むしろバイデン候補の人柄だけでなく、実務能力のアピールにもなっていた印象です。 そんな中で、現時点でも大逆転につながるような「オクトーバー・サプライズ」の可能性はゼロではありません。具体的には2点、「投開票における混乱の可能性」 そして、「両候補の健康問題」の2つです。投開票の混乱は、先に申し上げたように大差となればほぼ意味がなくなります。 そうではあるのですが、健康問題については、高齢のバイデン、病み上がりのトランプの双方ともに、見えないところで細心の注意を払っているに違いありません。ですから、「サプライズ」の可能性については、日に日に小さくなってきていると考えられます』、「第二回のTV討論」を「トランプ」が「キャンセル」して、「タウンホール形式」にしたことは、結果的にはマイナスだったようだ。 
・『というわけで、政局の焦点はむしろ「トランプ後」に移ってきていると考えていいでしょう。この後、11月以降の政局には5つの大きな難問が待ち構えているからです。 1点目は、COVID19の感染拡大についてです。アメリカ全土では、ここへ来て経済社会の活動が活発化する中で「第二波」の徴候が出てきています。仮にバイデン当選ということになれば、WHOとの連携を回復して、欧州やアジアで行われているような、常識的な対策がやや強めの強制力を伴って全国レベルで発動されるでしょう。 その場合に、強制を嫌う右派が南部や中西部でこれに従うかは分かりません。その一方で、WHOと連携し、米国内の保健関連の官公庁が政府と協調すれば、ワクチンなどへの信頼は向上すると思われます。仮にそうなっても、バイデン政権の最初の関門は、このコロナ対策になると思います。 一方で、トランプ再選という場合は、第二波への対策もせず、なし崩し的に集団免疫戦略に向かう危険もあり、そうなるとワクチンへの信頼も低くなり、負のスパイラルに陥る中で経済が更に停滞する危険性もあると思います。 2点目はその経済です。バイデン政権となり、上下両院を民主党が制するようにな
れば、とりあえず財政規律ではなく、直近の経済刺激などに「緊急避難的な資金投入」をするに違いありません。一方で、格差是正の税制なども進むでしょう。一見すると経済一般や株価には悪影響がありそうですが、市場はこれを急速に織り込みつつあります。 ただ、第二波が深刻となった場合などは、株価の暴落を回避しつつ、公的資金を入れていってコロナ危機の出口を探るのは政策的には難しくなります。民主党の場合は、特に党内左派が厳しく注文を出すでしょうから、党内を調整しながら最善手の手を打ち続けるのは至難の技です。 ですが、それでも連銀や官僚組織を動員して、改めてアメリカの「ベスト&ブライテスト」の知恵を活用しながら、経済政策を打ち続けるのではないかと思われます。 ですから、当面は、バイデンショックということはないでしょう。一方で、経済の国際協調に関しては相当にしっかりやってくるでしょうから、日本も為替政策や通商問題への対応には注意して進む必要が出ると思います』、「当面は、バイデンショックということはないでしょう」、一安心だ。
・『3点目は対中交渉です。バイデンが大勝すれば自由に政策を遂行できるかというと、 必ずしもそうではなく、ここでも党内左派の影響力は穏健派のバイデンには保護主義の圧力としてかかってきます。もしかしたら、バイデンという人はグローバリストとして、対中政策をオバマ時代のそれと同じようなレベルまで改善しようと思っているかもしれませんが、党内左派はそれを許さないでしょう。 一方で、中国の側でも政治的事情からそう簡単には妥協できないと思います。米中関係については、バイデン政権となれば改善の方向とはなると考えられますが、一筋縄では行かないと見たほうが良さそうです』、なるほど、過度な期待は捨てた方がよさそうだ。
・『4点目は、トランプ訴追という問題です。2016年の選挙に関するロシア疑惑については、不起訴となったトランプですが、大統領の職を退いた場合には起訴のハードルが一気に下がります。また、この間持ち上がった、脱税疑惑、外国勢力との金融取引問題、更には公私混同の数々など、トランプは多くの問題を抱えていると思います。 バイデンも口にしていますが、アメリカの「政治の良識」としては、前大統領の訴追はしたくないというのは民主党の長老たちの本音だと思います。国家の品格に関わるからです。ですが、民主党の中でも左派は違います。仮に前大統領の訴追というのは、国家の根幹を傷つけるものであっても、トランプの犯罪の悪質性はそれを上回るという考え方、そして、トランプ派の持っている右派ポピュリズムの危険性については徹底的に根絶したいという思いは強いものがあるからです。 ですから、余程のことがない限り、トランプを訴追したいという動きを止めるのは難しいでしょう。その動きは、仮にトランプが勝利したとしても、改めて弾劾裁判を提起するという形になっていくでしょう。 これに加えて、仮にNYタイムスの報道が真実を含むものであれば、大統領退任後
のトランプは、家業のホテル・リゾート事業にしても、個人あるいは一家ということにしても巨額の債務を抱えて破産する可能性があると思います。そんな中、落選後には第三国に亡命などという可能性を本人は匂わせているようですが、合衆国の威信にかけて、軍やFBIはこれは阻止に動くのではないでしょうか』、「アメリカの「政治の良識」としては、前大統領の訴追はしたくないというのは民主党の長老たちの本音だと思います。国家の品格に関わるからです。ですが、民主党の中でも左派は違います」、「落選後には第三国に亡命などという可能性を本人は匂わせているようですが、合衆国の威信にかけて、軍やFBIはこれは阻止に動くのではないでしょうか」、前大統領の「亡命」となれば、まるで発展途上国のようだ。
・『5点目は、最高裁判事の構成です。9月にリベラル派のギンズバーグ判事が亡くなってからの動きは急でした。トランプ大統領は、バレット判事という保守派の候補を電撃的に指名して、上院の共和党もこれをスピード承認するという意志を明らかにしていました。9月末には政権周辺のコロナ集団感染があり、3名の共和党上院議員が陽性となったことから、承認手続きの遅延が危ぶまれましたが、結局のところ22日(木)には承認となる見通しです。 こうなると、連邦最高裁の判事構成は定員9名のうち、保守5,リベラル3,中立(ロバーツ長官)1というバランスとなり、「医療に関する国民皆保険」「妊娠中絶」「同性婚」などが違憲化される可能性が出てきます。これに対しては、民主党側では「大統領+上院+下院」を制した場合には一気に最高裁判事の定数を増やして、そこにリベラル派の判事を指名してバランスを回復するという案が検討されています。 バイデン氏は、そうした作戦を明らかにするとイメージ悪化になるということで、 現時点ではこの「判事増員案(パック・ザ・コート=法廷を判事で一杯にする)」に関する賛否を曖昧にしています。半世紀近く政界の中枢を歩いてきたバイデン氏としては、連邦最高裁という司法の最高権威に簡単に手を付けるのには抵抗があることは承知しているはずです。 この問題ですが、仮にバレット判事が承認されてバランスが崩れ、なおかつ11月の選挙で勝利した場合には民主党の中では「増員」案が勢いを増すことになると思います。ですが、強行すれば国論を二分して、改めて文化戦争のようなことになるわけで、これはテーマとして非常に処理が難しいと思います。 可能性として考えられるのは、最高裁における保守派の長老格であるクラレンス・トーマス判事について、1991年の承認審議の際に議論されたセクハラ疑惑を蒸し返して辞任に追い込み、そこへリベラル派の判事を指名してバランスを取るという「策」です。 問題となったセクハラを告発したアニタ・ヒル氏は近年、この問題を改めて語るようになっていますが、民主党としてはトーマス判事を性急に追い詰めると、共和党政権のうちに辞任して保守派判事に交代してしまうので報道などを含めて妙に静かな状況があります。ということは、トーマス判事を交代させることで、判事増員をしないで最高裁判事のバランスを取るという可能性は、やはりゼロではないのかもしれません。 いずれにしても、大統領選というのは通過点に過ぎず、コロナ問題にしても経済にしても、あるいはトランプへの訴追問題にしても、11月以降のアメリカの政局は波乱含みであると思われます』、「大統領選というのは通過点に過ぎず・・・11月以降のアメリカの政局は波乱含み」、大いに注目したい。

第三に、10月20日付け日経ビジネスオンラインが掲載したみずほ証券チーフMエコノミストの上野 泰也氏による「トランプ「自爆」の中で浮上した「バイデン勝利=株高」説をどうみるか?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00093/?P=1
・『トランプ米大統領は10月5日夕(日本時間6日朝)、ワシントン近郊の軍医療センターを退院し、ホワイトハウスに戻った。「大統領の容体はこの24時間、継続的に改善」しており、「まだ完全に危機を脱したわけではない」ものの、ホワイトハウスに十分な医療設備があるので退院しても問題ないと、大統領専属のコンリー医師は説明した。 とはいえ、もともとエボラ出血熱の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬である「レムデシビル」に加えて、重症患者に対して通常用いられるステロイド系の抗炎症薬「デキサメタゾン」を投与され続けるなど、早期に退院して選挙戦に戻るためにトランプ大統領はかなり無理をしたのではないかという疑念がくすぶる。 この「デキサメタゾン」については、気分変動、攻撃性、錯乱などの副作用のリスクが専門家の間で指摘されていると、ロイター通信は報じた。国際骨髄腫財団によると、視界不良や不整脈などの身体症状のほか、人格変化や思考困難などの精神症状が副作用として出る恐れがあるという。 実際、このステロイド系薬剤の副作用が出たのではないかと推測する人もいた不安定な言動が、退院直後のトランプ大統領にはいくつかあった。 大統領は退院から一夜明けた6日、「大統領選が終わるまでコロナ対策を巡る協議を停止するよう指示した」「私は大統領選での勝利後すぐに、勤勉な米労働者と中小企業に焦点を当てた大型の刺激策法案を通過させる」とツイートした。驚きのUターンである』、「トランプ大統領はかなり無理をしたのではないかという疑念」、「このステロイド系薬剤の副作用が出たのではないかと推測する人もいた不安定な言動が、退院直後のトランプ大統領にはいくつかあった」、こんな「副作用があるような「薬剤」を投与させたというのは酷い話だ。この程度の「副作用」で済んだからよかったようだが、核のボタンを押すようなことにでもなれば大変だった。
・『「ホワイトハウスは完全に混乱している」  議会民主党との間で続けられてきた追加経済対策を巡る協議については、ペロシ下院議長とムニューシン財務長官の間で打開の糸口が見いだされつつあると市場はみていたので、株価は急落した。 ペロシ下院議長は声明で、「ホワイトハウスが完全に混乱していることは明らかだ」と批判。民主党下院議員らとの電話会議の場で同議長は、トランプ氏の思考は治療で投与されたステロイド薬の影響を受けている可能性があるとも述べた。 ところが、7日になるとトランプ大統領は、航空業界の支援や家計への現金給付といった個別の案件での与野党協議継続には前向きだという姿勢を示した。そして、9日には、民主党案を上回る規模の追加経済対策を要望すると、ラジオ番組で突然言い出した。議会共和党の同意をとりつけるでもなく、独断でまた姿勢を変えた。ちなみに、上院共和党のトップであるマコネル院内総務は、両党の主張はなお隔たりが大きいとして、早期の追加経済対策協議の妥結はないだろうという見方である。 もう1つ、トランプ大統領が「忠臣」である2人を、退院の数日後に突然強く非難したことにも違和感が漂った。大統領は8日のFOXニュースの電話インタビューで、政敵に対する調査が不十分だとして、ポンペオ国務長官とバー司法長官を批判した。 「両氏は政権内でトランプ氏に最も近いとされ、トランプ氏がやり玉にあげるのは珍しい」「ポンペオ氏はトランプ政権で米中央情報局(CIA)長官を経て、国務長官に就任。トランプ氏の意向を外交政策に忠実に反映し、米メディアや議会から批判が出ればトランプ氏の擁護に回ってきた。バー氏もロシア疑惑についてトランプ氏を『推定無罪』と結論づけていた」と、日本経済新聞の記事は解説を加えていた。 バイデン民主党大統領候補につきまとう認知症疑惑もそうだが、こういう類いの微妙なマターを、日本の主要マスコミはなかなか正面から取り上げてくれない。 さて、自らが新型コロナウイルスに感染して入院までしたことについて、トランプ大統領がいったいどのような態度を取るのか。退院後の大きな関心事の1つだった。 経団連の中西宏明会長はオンライン形式による10月5日の記者会見で、トランプ大統領が感染したことについて、「正直にいって、ちょっと不注意ではないか。ある意味、典型的な自業自得だ」「もともとマスクをしないほか、多くの聴衆がいる集会に参加し、そこでもマスクをしていなかった」と明言し、恐らく多くの日本人が抱いている批判的な考えを代弁した。 米国でも、民主党支持者はそうした感想を抱いただろう。バイデン候補に対して支持率が急速に追い上げていたさなかに「自爆」した感も漂う。むろん、選挙結果が出るのはまだ先であり、さらなるサプライズも起こり得るのだが。 トランプ大統領には大きく分けて、2つの選択肢があった。1つは、感染防止に向けた姿勢や危機管理態勢が甘かったことを素直に反省して、米国民にわびる選択肢。もう1つは、このウイルスは乗り越えられることを自らが身をもって証明したのだとアピールしつつ、感染していないバイデン候補はそれが分からないままだと主張するなどして、開き直る選択肢である。 そして、実際にトランプ大統領が選んだのは(当然と言うべきか)後者、開き直るという選択肢だった。専属医が10日に症状が改善しており他人にウイルスを感染させる恐れはなくなったと言明した翌11日、「私はこの恐ろしい中国ウイルスをやっつけた」と発言し、回復をアピール。同日のインタビューでは、「一度回復すれば免疫が備わる。あなたたちの大統領は、ライバル候補者のように地下室で身を潜めている必要はない」「私には免疫があるようだ。長期か短期か、それとも一生続くのか誰にも実際には分からないが、私には免疫がある」「(自分はウイルスから)守ってくれる光をまとっている」とまで述べた。 こうした態度は、共和党内のコアなトランプ支持者には確かに好感されるだろう。だが、世論調査を見る限りは劣勢で、いわゆる「隠れトランプ支持者」の存在を考慮に入れてもかなり厳しい戦いを強いられている。トランプ陣営が欲しい支持層の広がりは、そうした開き直りからは生じてきそうにない。 僅差でトランプ優位と筆者は予想し続けてきたが、自分が感染してしまうという「オクトーバー・サプライズ」で、トランプ再選は黄色からオレンジ色へと移行しつつある。しかも、10月15日に予定されていたバイデン候補との2回目の討論会は、中止された。この結果、「直接対決」で支持率浮揚を大統領が狙える機会は、22日に予定されている最後の討論会のみとなった。 このようにトランプ陣営に不利な状況が続く中、金融市場では、「バイデン候補が勝利した方が米国の経済成長は高まるのではないか」「ホワイトハウスに加えて上下両院の過半数を民主党が支配する『トリプルブルー』シナリオがベストではないか」といった声が広がりつつある』、「金融市場」で「『トリプルブルー』シナリオがベストではないか」といった声が広がりつつある」、どうしてだろう。
・『バイデン勝利なら株高?  だが、そうした「バイデン勝利なら株高」的な見方のにわかな浮上は、根強い株高期待という「結論ありき」の中から出てきた、ご都合主義的な色彩が濃いものであるように思う。 冷静に考えればすぐ分かることだが、トランプ再選でもバイデン勝利でも、新型コロナウイルス感染拡大という新たなタイプの危機への対応に注力している連邦準備理事会(FRB)のスタンスは、不変である。仮にコロナ危機が今後終息するとしても、次は「平均インフレ目標」の達成に向けてプラス2%超への物価上昇率の加速を促すステージが待っている(当コラム10月6日配信「手詰まりから机上の空論に頼って『日銀化』したFRB」)。) そして、そうしたFRBの方針が次に見直されるのは、かなり先のことになる。ウィリアムズ・ニューヨーク地区連邦準備銀行総裁は10月7日の講演の中で、金融政策の枠組みは「おおむね5年ごとに見直す」と述べた。次は25年ごろという話になる。 それより前、22年2月上旬に任期が満了するパウエルFRB議長が次の大統領の意向により交代させられる場合には、金融政策の路線転換が模索されることも想定できる。だがそれは、金利が上がるタカ派的な方向への転換ではないだろう。結局、米国の超低金利と「カネ余り」状況は、今回の大統領選の結果とは関係なく、続いていく可能性が高い。 では、財政政策はどうだろうか。最近、「バイデン勝利なら米国債イールドカーブはベアスティープ化する(長期・超長期の金利が上昇して米国債の利回り曲線の右肩上がりの傾斜がきつくなる)」という説が市場の一部で出ているが、うのみにするわけにはいかない。 バイデン勝利でもトランプ再選でも、程度の差はややあるにせよ、米国の財政事情がこの先一段と悪化していくという大枠に変わりはないことを押さえておきたい。 超党派で政策提言を行っている米国の民間シンクタンク「責任ある連邦予算委員会(Committee for a Responsible Federal Budget)」は、10月7日に発表した報告書で、トランプ、バイデン両候補の選挙公約を基にした、向こう10年間の米国の財政への影響についての試算を明らかにした。 それによると、バイデン候補の公約に沿えば5兆6000億ドル、トランプ大統領の公約に沿えば4兆9500億ドル(いずれも中央値)、それぞれ政府債務が10年間で膨らむ。これを10年後の政府債務残高対GDP比で見ると、バイデン候補の場合は128%、トランプ大統領の場合は125%に上昇する。どちらが勝っても大きな差があるわけではない。 さらに、米財務省はプライマリーディーラーなどの市場参加者と対話しながら国債管理政策を慎重に行っていくはずであり、米国債イールドカーブの一方的なベアスティープ化を促すとは考え難い(利払い負担が重くなってしまうので連邦政府が損をする)。 また、金利の水準が上がれば、投資対象としての魅力が増すので、米国内外の投資マネーによる買い需要は自然と増える。 加えて言えば、FRBは時期尚早の長期金利上昇を抑制するはずだという見方が十分成り立つ。パウエル議長率いるFRBがコロナ危機の中で、長期金利を抑え込むために無制限の買い入れをすると宣言する一幕もあった。長期金利は、「供給(発行)」増には必ずしも連動せず、ダイナミックに動く「需要」との交点で決まってくる。長期金利は米大統領選が終わった後も、その結果いかんにかかわらず上がりにくいと、筆者はみている』、「米国の財政への影響・・・どちらが勝っても大きな差があるわけではない」、なるほど。
・『やはり金利は上昇しにくい  ただし、一つ注意しておきたいのが、以前にこのコラムでも触れた、選挙結果がなかなか確定しない、さらにはトランプ大統領がホワイトハウスに「居座る」シナリオである(当コラム9月15日配信「大統領選挙で負けても『トランプ氏が堂々と居座る』リスクあり」)。トランプ支持者が街頭でバイデン支持者と衝突し、内乱のような様相を呈するリスクシナリオも排除できない。 共和党は支持者数千人を動員して、11月3日の大統領選に関連して期日前投票所や郵便投票の回収箱に不正がないかを見張らせようとしている。州によって規制は異なるが、投票所の外に銃を持って威圧する集団が現れるのではないかと危惧する人もいる。そんな中で明るみに出た、極右武装グループによるウイットマー・ミシガン州知事(民主)を拉致して州政府を転覆させようとした企ても、不気味である。 米国の「分断」が深まり、政治的・社会的な混乱が長引く場合は、経済活動にネガティブであり、株価は一時的に急落、米国債は「質への逃避」で買い進まれるだろう。 いずれにせよ、米国で(そして日欧でも)金利は上昇しにくい』、「内乱のような様相を呈するリスクシナリオも排除できない」、やはり要注目のようだ。
タグ:ミシガン州 日経ビジネスオンライン 蟹瀬誠一 ダイヤモンド・オンライン 上野 泰也 トランプ大統領 JMM 冷泉 彰彦 (その49)(米大統領選を前に「州知事の拉致未遂事件」が起きた理由、大統領選後に起きうる5つの危機、トランプ「自爆」の中で浮上した「バイデン勝利=株高」説をどうみるか?) 「米大統領選を前に「州知事の拉致未遂事件」が起きた理由」 「オープンキャリー」 大統領選挙直前にミシガン州庁舎を襲撃して、グレッチェン・ウィトマー州知事(民主党)らを拉致する計画をしていた「ミリシア(民兵)」と呼ばれる極右武装勢力 事前に察知した捜査当局によって13人が内戦を扇動した容疑で逮捕 ミリシアの存在が合衆国憲法で認められている 「崇高な思想とはまったくかけ離れた、白人至上主義者たちや政府や警察の権威主義を敵視する危険極まりない過激派集団」 ミリシアやネオナチが活動を活発化 トランプはミリシア に対して「引き下がって待機せよ!」と語りかけて アンチ・ファシズム運動、略してアンティファに対しては「テロ組織に認定してやる!」と正反対の対応 トランプの敗北が濃厚だが法廷闘争を仕掛ける可能性も トランプこそが大量にウイルスをばらまくスーパースプレッダーの可能性が高い 今年の大統領選挙はアメリカ史上まれに見る大混乱になることだけは間違いない 大統領選後に起きうる5つの危機」from911/USAレポート 「多くの共和党政治家が「トランプ後」への備えを始めている」、沈みゆく船からは逃げるが勝ちなのだろう バイデン陣営としては僅差と圧勝では大違い まず選挙人数で僅差の場合は、州レベルで僅差という結果になったケースについて異議申し立てをすれば当落がひっくり返る危険性があります。もっと言えば、トランプ派の一部が暴徒化するとか、法廷闘争になって泥仕合になるという可能性も出てきます。 一方で、トータルで大差となれば、いくらトランプが吠えても、共和党や地方政府は無視するでしょうから結果の確定が早くなる また、圧勝すれば民意の示すところはトランプの4年間についての全面的な不信任ということになります。ですから、民主党として、そしてバイデン新政権としては政策の変更、もしくはオバマ時代への回帰が容易に 共和党内のトランプ落選運動 政局の焦点はむしろ「トランプ後」に移ってきている 1点目は、COVID19の感染拡大 2点目はその経済 当面は、バイデンショックということはないでしょう 3点目は対中交渉 米中関係については、バイデン政権となれば改善の方向とはなると考えられますが、一筋縄では行かないと見たほうが良さそうです 4点目は、トランプ訴追という問題 アメリカの「政治の良識」としては、前大統領の訴追はしたくないというのは民主党の長老たちの本音だと思います。国家の品格に関わるからです。ですが、民主党の中でも左派は違います 落選後には第三国に亡命などという可能性を本人は匂わせているようですが、合衆国の威信にかけて、軍やFBIはこれは阻止に動くのではないでしょうか 5点目は、最高裁判事の構成 大統領選というのは通過点に過ぎず 11月以降のアメリカの政局は波乱含み 「トランプ「自爆」の中で浮上した「バイデン勝利=株高」説をどうみるか?」 トランプ大統領はかなり無理をしたのではないかという疑念 このステロイド系薬剤の副作用が出たのではないかと推測する人もいた不安定な言動が、退院直後のトランプ大統領にはいくつかあった ホワイトハウスは完全に混乱している 「金融市場」で「『トリプルブルー』シナリオがベストではないか」といった声が広がりつつある」 バイデン勝利なら株高? 米国の財政への影響 どちらが勝っても大きな差があるわけではない やはり金利は上昇しにくい 内乱のような様相を呈するリスクシナリオも排除できない
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

環境問題(その7)(経産省「石炭火力発電9割休廃止方針」の欺瞞 専門家が指摘、日本人は南極の国家的な重要性をわかってない 科学観測だけで処理不能な問題が起こってくる、モーリシャス座礁事故1か月 影響は?原因は?、モーリシャス沖で座礁 海図見間違えたか) [世界情勢]

環境問題については、5月25日に取上げた。今日は、(その7)(経産省「石炭火力発電9割休廃止方針」の欺瞞 専門家が指摘、日本人は南極の国家的な重要性をわかってない 科学観測だけで処理不能な問題が起こってくる、モーリシャス座礁事故1か月 影響は?原因は?、モーリシャス沖で座礁 海図見間違えたか)である。

先ずは、7月4日付け日刊ゲンダイ「経産省「石炭火力発電9割休廃止方針」の欺瞞 専門家が指摘」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/275540
・『梶山弘志経済産業相は3日の記者会見で、二酸化炭素(CO2)を多く排出する非効率な石炭火力発電所の9割を休廃止し、脱炭素社会を目指すことを正式に発表した。2030年度までに非効率な石炭火力を9割程度、およそ100基分を休廃止させ、再生可能エネルギーの主力電源化を目指すという。 小泉進次郎環境相が化石賞を受賞するなど、国際社会で強い批判を受けてきた日本の石炭火力発電の前のめりぶりが大幅に改善されたかのように報じられたが、専門家はどう見たのか。気候ネットワークの桃井貴子・東京事務所長は「100基休廃止するというのはインパクトのある数字だが、日本政府にとって石炭火力維持の既定路線の確認に過ぎなかった」と指摘する。 「今回、経産省が言っているのは非効率の石炭火力発電所の9割を2030年までに休廃止するが、新規建設を止めるわけではないし、効率のいいものは維持するということなので問題だと思っています。実体的には高効率の26基の石炭火力発電を維持し、現在建設中の新規石炭火力16基も認めるということなので、2030年以降も3000万キロワット以上の運転を容認することになります 。本来であれば、パリ協定の目標である気温上昇を1.5度に抑えるためには先進国は遅くとも2030年までに石炭火力をゼロにしなければならないのですが、不十分です。また、2030年までどのように休廃止していくのか、その経路や手段について不明です』、「非効率の石炭火力発電所の9割を2030年までに休廃止するが、新規建設を止めるわけではないし、効率のいいものは維持するということなので問題」、「本来であれば、パリ協定の目標である気温上昇を1.5度に抑えるためには先進国は遅くとも2030年までに石炭火力をゼロにしなければならないのですが、不十分です」、一般紙の報道も、単なる大本営発表ではなく、ここまで解説をしてほしいものだ。
・『そもそも、日本は温室効果ガス削減目標は甘いですし、いまのエネルギー基本計画でつくられている長期需給見通しや電源構成もパリ協定に整合していません。この100基休廃止という数字はインパクトがあり、いままで石炭火力をまったく放置しすぎていたので、既存の石炭火力発電をやめるというのは一定の評価はできます。しかし発電規模などを見れば、2030年の時点でだいたい石炭火力の電源構成は20~26%になると見込まれます。 第五次エネルギー基本計画に示された、石炭の<高効率化・次世代化を推進するとともにクリーンなガス利用へのシフトと非効率石炭のフェードアウトに取り組む>という既定路線を具現化し、エネルギーミックス(電源構成)に示された石炭26%の達成に実態を近づけたものにすぎません。イギリスやカナダなど多くの先進国が掲げるように2030年までに石炭火力発電をゼロにするということが先進国としての責務ではないでしょうか」 世界のトレンドになっているSDGs(持続可能な発展)に逆行する石炭火力発電の温存が、逆に日本経済にダメージを与える懸念がますます強まっている』、確かに「SDGs」による圧力も直視すべきだろう。

次に、10月17日付け東洋経済オンラインが掲載した国立極地研究所・総合研究大学院大学名誉教授の神沼 克伊氏による「日本人は南極の国家的な重要性をわかってない 科学観測だけで処理不能な問題が起こってくる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/379577
・『はじめて人類が足を踏み入れてから100年以上、いまなお南極では観測と発見が続いている。極地だからこそ学ぶことのできる教訓は、実はわたしたちの未来にとって重要なことばかり。南極で2度越冬した神沼克伊氏の新著『あしたの南極学』から、一部を抜粋・再編集してお届けします』、「南極で2度越冬した」、とはご苦労なことだ。
・『日本は南極大陸への国策必要  南半球の南極大陸およびその周辺は、北半球に住む私たち日本人を含む地球人にとって常に注意が必要な地域です。日本は文化度、経済力などを考えると、それができる力と義務があります。 日本人の南極への関心は、1957年の南極観測から始まりました。以来今日まで、南極は科学観測の場として考えられています。「科学者が望んだから始めたんだ。だから南極は科学者に任せておけばよい」という考えが、日本政府にはあるのではないかと思います。しかし、これまでも科学者だけでは対応できない問題が起きていました。 「南極条約」の締結がその始まりです。アメリカの科学者たちの熱望によってアメリカ政府が動き、外交官の活躍で、1961年に発効しました。この条約により、外交的には日本人の南極での活動も保証されるようになりました。日本ではこの条約は外務省が当時の南極観測を主導していた科学者たちの協力で縮約に力を注ぎました。 その後の南極は南極条約のもと、提起された諸問題を解決してきました。その中には南極域でのオキアミのような海洋資源や鉱物資源の保存や取り扱いの問題などがありました。 「南極アザラシ保存条約」「南極の海洋生物資源の保存に関する条約」などが採択され、発効しています。1991年には「環境保護に関する南極条約議定書」が採択され、南極の自然環境を包括的に保護する枠組みが構築されました。) 日本は国内法を整備して、この議定書を1998年に批准し、発効させました。この議定書により、南緯60度以南の地域における人間の活動に対する環境影響評価の実施、鉱物資源探査活動の禁止、動植物相の保護、廃棄物の処理・管理、海洋汚染の防止、南極特別保護地区の設定などの取り決めが合意されました。また国内では「南極地域の環境保護に関する法律」が施行され、環境省が南極の環境保護に責任を持つことになりました。 国際問題ですから、これらの問題に関しては外務省が主導し、文部科学省(実際には国立極地研究所)や環境庁が協力してきました。海洋資源問題では農林水産省、鉱物資源では経済産業省も関係があります。南極は、IGY(国際地球観測年)の頃とは大きく事情が異なってきました。 当時は科学観測の名のもとにすべてが処理されていましたが、現在は資源問題が絡み、多くの政府機関が関係する、あるいはしなければならない時代になっています。南極に関係する省庁が横並びで増えていっても、各省庁が同じように南極を理解しているわけではありません。南極をいちばん知っているはずの極地研究所の教官にしても同じで、自分の専門分野はともかく、その他の事象について、広い視野と見識がある人は極めて少ないです』、確かに「南極」の位置づけが国際的に変化してきているようだ。
・『行動許可証取得にあたって環境省からヒアリング  21世紀になって間もないころの話です。私は取材のため、公務以外で初めて南極に行くことになり、旅行業者を通じて環境省に南極での行動許可証を申請しました。すると環境省の担当者から私に電話があり、私の南極での行動をいろいろ聞いてきました。 私は現地の具体的な様子、例えばペンギンルッカリーの規模や状況、ミナミゾウアザラシのハーレムの位置、その周辺での私の活動などを丁寧に説明しました。そのときの担当者が南極の知識をどの程度持っていたかは知りませんが、とにかく相手は素人という意識で、私は丁寧に説明しました。 もちろん行動許可証は問題なくもらえましたが、私自身は何となく自作自演で許可を取ったような、すっきりしない気分でした。条約発効後間もないころで、環境省も勉強期間であったでしょう。現在昭和基地以外の場所に行く人たち、とくに観光客に環境省がどのような対応をしているのかは、私は知りません。 各省庁間での南極への認識は、ずれがあるのです。ほとんど知識がないので、文科省に従うというような姿勢だとよいのですが、半端な知識で自己主張されるのがいちばん困りました。 ある省庁の観測したデータを南極観測の国際会議で使わせてほしいと頼んだところ、ついに許可が出なかったことがあります。「税金で採ったデータである。外国人に使わせる理由がない」などと主張されました。私としては秘密にするほどのデータではなく、外国の研究者から、「日本が調査している海域だからそのデータを見せてほしい」という注文でした。 秘密にしたほうがいいデータもあるでしょうが、それほど秘密性のあるデータでなければ、自由に公開したほうが、日本にとっても有利なはずですが、その省庁の担当者は、狭義の国益一辺倒でした』、「狭義の国益一辺倒」の官僚が、「税金で採ったデータである。外国人に使わせる理由がない」と主張したとは驚いた。
・『「科学観測」だけで処理できない問題が起こってくる  これから南極で起こる諸問題に対処するためには、どうしても日本国として南極をどうするか、基本政策がぜひ必要です。「ナショナルポリシー」という感覚でいいと思いますが、国として南極をどのように使うかの基本政策です。これからは「科学観測」という一見心地よい響きの言葉だけで処理できない問題が起こってくることは明らかです。 現実に捕鯨問題は続いています。現在の南極での調査捕鯨はほとんど南極条約の地域の外で行われているかもしれませんが、南極海の生物資源利用であることは間違いありません。北半球の島国ではできないことを、許される範囲で南極でもできれば、また国民の視野も広がるのです。そのためには国策として南極へのビジョンが必要です。 2010年代になって、「海上自衛隊は南極観測の輸送支援から手を引く」という噂が流れ始めました。1965年ふじが就航したとき、その運用が海上自衛隊に託されました。当時、一部の識者からは海外派兵であるとの批判も出ました。 しかし海上自衛隊の中では好意的に受け取られ、一般には経験できない地域に行けると歓迎されているとの話も聞きました。事実、私が観測隊に参加したときも、南極に行きたくて海上自衛隊に入ったという乗組員が何人もいました。 しかし、防衛庁から防衛省になり、自衛隊の事情も大きく変わったようです。最近目立つのは潤沢な予算です。予算規模を考えても、限られた隊員の中から毎年200名近い人を南極に派遣するのは確かに大変だろうとは想像できます。海上自衛隊の海外への派兵は南極ばかりではなくなりもしました。南極観測に対して、自衛隊内ではかつての魅力が薄れてきていたとしても、仕方のないことです』、「海上自衛隊」にとっては、「南極」の「魅力が薄れてきて」いるのは確かなようだ。
・『きちんとした国家的方針がないと大損する  しかし文科省としては南極観測のためには、観測船の運用は不可欠です。ではどうすべきか。このレベルになると、やはりしっかりした国策があって、そのうえで、担当する部署を決め、南極に興味関心を持ち続け、地球人としての役割を果たすのが、本当の文明国だと私は考えます。 外国の場合、チリの南極研究所は外務省に所属し、南極に関してはすべて外務省が所管しているようです。領土問題も絡み、陸軍、海軍、空軍も協力し、それぞれが南極に観測基地を有しています。もちろん研究者が運営する基地もあります。2000年前後の南極研究所の所長はチリの在日日本大使を務めた方でした。私が訪問するといつも懐かしそうに、皇室との会談を話題にしていました。 イギリスは植民地省が南極を担当していました。21世紀の今日の状況は知りませんが、少なくとも20世紀まではそうでした。南極条約の範囲外ではありますが、フォークランド諸島も植民地として維持されているのです。南極半島の領有権主張も同じです。 日本で南極に関する基本政策を考える場として、南極庁などという機関を求めるつもりはありませんが、せめて南極に関する共通認識が得られる常設の会義は「あってもよい」、あるいは「あるべき」と私は考えます。日本としてきちんとした国家的方針がないと、国際的には問題が起きたとき適切な処理や対応ができず大損をする可能性があります』、「きちんとした国家的方針」の構築は必要なようだ。

第三に、8月24日付けNHK NEWS WEB「モーリシャス座礁事故1か月 影響は?原因は?」を紹介しよう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200824/k10012580611000.html
・『「神はまずモーリシャスを作り、それをまねて天国を作った」と言われるほどの美しさ。インド洋の島国モーリシャスは、真っ白な砂浜と豊かな自然に恵まれ、世界中の観光客を魅了してきました。 ところがことし7月、その沖合で日本の海運大手がチャーターした貨物船が座礁し、燃料の重油などが大量に流出。深刻な環境汚染を引き起こしています。 事故から1か月、被害の実態はー。そして焦点となっている、事故原因や補償の問題はどうなっているのか。取材しました。 (ヨハネスブルク支局 別府正一郎/国際部 高塚奈緒 松崎浩子 田村銀河/ネットワーク報道部 田中元貴)』、興味深そうだ。
・『「インド洋の貴婦人」モーリシャス   モーリシャスはアフリカ大陸の東、インド洋にある人口約127万の島国で、広さは約1980平方キロメートルと、東京都とほぼ同じです。かつてオランダ、フランス、イギリスの植民地支配を受け、人口の約70%は植民地時代に移り住んだインド系の人たちです。 美しい白い砂浜やさんご礁、希少な生物が生息する豊かな自然があることから「インド洋の貴婦人」とも呼ばれ、ヨーロッパなどから年間130万人以上が訪れるリゾート地で、観光収入がGDP=国内総生産の約10%を占めています。 島内には、国際的に重要な湿地の保全を定めた「ラムサール条約」に登録された場所が3か所あり、海岸の環境保全や、固有種を含む多様な生物の保護も進められていました』、「モーリシャス」は有名な観光地だが、そこでの海難事故というのには違和感があった。
・『日本の貨物船が…  事故が起きたのは、現地時間の7月25日午後7時すぎ(日本時間26日未明)。岡山県の長鋪汽船が所有し、商船三井がチャーターしていた貨物船「WAKASHIO」が島の沖合で座礁しました。 それから10日以上たった8月6日、燃料の重油の流出が始まりました。商船三井によりますと、貨物船に積まれていた燃料は、重油約3800トンと軽油約200トン。このうち重油約1000トンが海に流出したとみられています。 商船三井は、日本時間11日朝までに約460トンを回収したとしたうえで、13日には船内に残っていた油についてもほぼ回収したと発表しました。 記者会見で、商船三井は「モーリシャスをはじめ、関係の皆様に多大なるご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。影響を最小限に食い止めるよう、解決まで誠意を持って対応したい」と述べました。 また、長鋪汽船は「当事者としての責任を痛感しており、賠償については、適用される法に基づき、誠意を持って対応させていただくつもりです」というコメントを発表しました』、「座礁」してから「重油の流出が始ま」った11日間に一体、何をしていたのだろうか。無駄に時間を浪費したような印象を受ける。
・『重油流出 環境汚染の実態は  モーリシャス政府によりますと、今回の事故で、島の南東部10キロ余りの海岸線と周辺の海を中心に、深刻な汚染が広がりました。 地元の人たちは美しい海を守ろうと、手作りのオイルフェンスを海に浮かべて重油を岸から遠ざけたり、漂着した重油を手ですくってバケツに入れたりしました。 しかし、さまざまな魚やカニが死んでいるのが確認されるなど、生態系への影響が懸念されています。 漁業者の間からは、漁で生計を立てられなくなるのではないかと、先行きを心配する声が聞かれます』、船主や「商船三井」は何をしていたのだろう。
・『マングローブ「油付着した状態続くと半年で枯れる」  モーリシャスの自然環境で重要な役割を果たしているのが、沿岸に広がるマングローブ林です。 多種多様な生物が生息し、貝や魚、鳥などの生態系を支えていますが、重油の一部は「ラムサール条約」に登録された湿地のマングローブ林周辺にも漂着。 マングローブ林は根が複雑に入り組んでいたり、周辺が湿地帯で近づくのが難しかったりすることから、除去作業は難航しています。 国際マングローブ生態系協会の理事長で、琉球大学名誉教授の馬場繁幸さんは、「マングローブの根は栄養分を吸収し、呼吸をする役割があるが、油が付着すると、毒性の成分がしみ込み、細胞膜が壊れ、枯れてしまう」と指摘します。 さらに馬場さんは、過去の流出事故の被害状況を鑑みると、「マングローブに油が付着した状態が続くと、半年くらいたってから枯れてしまうだろう」として、一刻も早い除去作業の必要性を訴えています』、時間との勝負のようだ。
・『広がる国際支援  今回、モーリシャス政府は「環境上の緊急事態」を宣言し、国際社会に緊急の支援を求めました。海外メディアも大きく報じ、国際的な支援が広がっています。 旧宗主国フランスのマクロン大統領は8月8日、ツイッターに「生物の多様性が危機にひんしているときには緊急に行動する必要がある」と投稿し、オイルフェンスなど物資の提供や、専門家の派遣といった支援を打ち出しました。 日本からは8月10日と19日、国際緊急援助隊として海上保安庁や環境省などから合わせて13人の専門家が派遣され、油の流出状況や環境への影響について調査を行っています。また日本の企業も、油だけを吸い取る特殊な繊維を使った吸着剤を現地に送りました。 このほかインドや中国なども、油の回収作業に人を出したり物資を提供したりするなど、支援を行っています』、「旧宗主国フランス」の本腰が入った支援に比べ、当事国の「日本」の支援は遅く、中途半端な印象だ。
・『明らかになった貨物船の航跡  今後の大きな焦点は、事故の原因究明です。 【動画】貨物船の航跡 AISと呼ばれる、船の位置などを電波で発信する装置のデータ分析を行っている「IHIジェットサービス」が解析したところ、貨物船は7月4日、中国を出発し、シンガポールを経由したあと、インド洋を西に進んでいました。 モーリシャスの南東約2キロの沖を航行していた7月25日、1分余りの間に針路をほぼ90度右に変え、10ノット前後で進んでいた速度も1ノット以下に低下していたことがわかりました。 船舶事故に詳しい神戸大学大学院の若林伸和教授は「通常、このように人為的に船の向きを変えることはなく、船底が何かに当たって、急に向きが変わったのではないか」と述べ、この衝突が座礁の原因となった可能性が高いと指摘しています。 分析データによりますと、貨物船はその後、北に約1キロ漂流し、10日余りたった8月5日に電波の発信が止まりました。 また、この海域を航行するほかの船舶のデータと比べると、貨物船は北西に約16キロ離れ、モーリシャスの沿岸近くを進んでいたこともわかりました。 若林教授は「周辺はさんご礁も多く、注意が必要な場所だ。危険なところにわざわざ寄っていくことは考えられない」と述べ、貨物船が通常とは異なる航路をとったことが事故につながったのではないかという見方を示しています。 貨物船がこうした危険とも言える航路をとっていたことを、会社側は把握していたのでしょうか。 貨物船をチャーターした商船三井は「船が通常の航路からかい離していたことは把握しているが、当社は船をチャーターした立場であり、かい離した原因などについては、船の所有者である長鋪汽船に確認してほしい」とコメントしています。 また、長鋪汽船は「航路は把握しているが、現在、当局が捜査しているところであり、コメントは控えたい。座礁の原因は、当局の聴取が終わったあと、改めて乗組員に事情聴取する予定だ」とコメントしています』、「さんご礁も多く、注意が必要な場所」、なのに「10ノット前後で進んでいた」とは不可解だ。
・『事故の原因究明は  事故の原因究明に向けては、8月18日、現地の警察がインド人の船長とスリランカ人の副船長の2人を、航行の安全を脅かした疑いで逮捕。裁判所が保釈を認めるかどうか判断するため、2人は25日に出廷する予定です。 また、警察はNHKの取材に対し、逮捕された2人のほか、スリランカ人やフィリピン人の乗組員18人からも当時の状況について話を聞いていることを明らかにしました。 事故をめぐって地元の一部メディアは、乗組員たちがインターネットへの接続を求めて島に近づいた可能性もあると報じましたが、モーリシャス政府の当局者はロイター通信に対し、この見方を否定しています。 警察関係者は「さまざまな臆測が出ているが、1つ1つを慎重に捜査している」と話しています』、なるほど。
・『事故の賠償は   今回の事故による作業費用や賠償額が最終的にどれぐらいに上るのか、確定するのはこれからです。 貨物船などの油流出事故の場合、賠償責任は船の所有者が負うと、国際的な条約「バンカー条約」で定められています。 今回の事故では、所有者は岡山県の長鋪汽船となります。長鋪汽船が加入する相互保険組合の「JAPAN P&I CLUB」広報室によりますと、事故の賠償額は「船主責任制限条約」という国際条約で船の容積に基づいて定められています。この条約に基づくと、今回のケースでは、モーリシャス政府への賠償額の上限は日本円で約19億円になるということです。 また、これとは別に長鋪汽船が行っている油の回収費用などについては保険が適用され、その上限は約1060億円だということです』、「賠償額の上限は日本円で約19億円」、「油の回収費用など・・・保険が適用され、その上限は約1060億円」、「回収費用」の「上限」の方が大きいとは何か然るべき理由があるのだろう。
・『貨物船はどうなる  船体の処分も始まっています。座礁後に亀裂が入っていた貨物船は、8月15日、大きく2つに割れました。 モーリシャス当局は、船体の前の部分を沖合10キロ余りの地点までえい航し、沈めて処分する計画を決め、20日に作業が始まりました。 これに対し、環境NGOのグリーンピース・アフリカなどは「貨物船を沈める処分方法では、生物多様性を危機にさらし、海を汚染させる」として、批判する声明を出しています。 また、ブリッジなどがある船体の後ろの部分については、当局は中に残っている油を取り除いたうえで、座礁した場所で解体する計画です』、「貨物船」の処分については、船主の「長鋪汽船」はつんぼ桟敷なのだろうか。
・『“二重苦”のモーリシャス 問われる日本の役割  モーリシャスはかつてサトウキビ以外に目立った産業はありませんでしたが、政情の安定とともに外国からの投資を積極的に受け入れ、外国企業が進出する新しいオフィス街もできるなど、経済発展を続けてきました。 しかし今回の事故は、経済の柱の1つである観光業への打撃になると懸念されています。 モーリシャスは新型コロナウイルスの感染対策として、3月以降、国境を事実上閉鎖し、観光業界はすでに大きなダメージを受け、現地の人たちが将来への不安を募らせていたさなかの座礁事故でした。 モーリシャス政府によりますと、重油流出の影響を受けたのは島の海岸線の5%以下だということですが、被害を受けた生態系とともに、観光イメージの回復には長い時間がかかるかもしれません。 今回、日本はモーリシャスの環境汚染の当事者です。なぜ事故が起きたのか、現地当局とともに原因の究明を進め、再発防止策とともにつまびらかにする必要があります。 未曽有の事故に見舞われたこの美しい島国の復興をいかに支えていくのか、国際社会から問われています』、同感である。「重油流出の影響を受けたのは島の海岸線の5%以下」、予想外に少ないようだ。

第四に、9月11日付け日テレNEWS24「モーリシャス沖で座礁 海図見間違えたか」を紹介しよう。
https://www.news24.jp/articles/2020/09/11/10719726.html#:~:text=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%B4%8B%E3%81%AE%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%B9%E6%B2%96,%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E5%88%86%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82&text=%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%A8%E3%80%81%E3%80%8C%EF%BC%B7%EF%BC%A1%EF%BC%AB%EF%BC%A1%EF%BC%B3%EF%BC%A8%EF%BC%A9%EF%BC%AF%E3%80%8D,%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
・『インド洋のモーリシャス沖で日本の貨物船が座礁した事故で、貨物船の船長や乗組員が海図の見方を間違えていた疑いがあることが分かりました。 これは、貨物船「WAKASHIO」が登録されているパナマの海運当局が事故原因の調査報告の明らかにしたものです。 それによりますと、「WAKASHIO」には電子海図が搭載されていましたが、船長や乗組員が縮尺の見方を謝り、浅瀬への接近に気付かなかった疑いがあるということです。 また、通常の航路を外れてモーリシャス島に近づいたのは船長の指示によるもので、乗組員がインターネットや電話で家族と連絡をとるためだったとしています。 商船三井が運航する「WAKASHIO」の座礁事故をめぐっては、およそ1000トンの重油が流出し、生態系への長期的な影響が懸念されています』、「電子海図が搭載されていましたが、船長や乗組員が縮尺の見方を謝り、浅瀬への接近に気付かなかった疑いがある」、「モーリシャス島に近づいたのは船長の指示によるもので、乗組員がインターネットや電話で家族と連絡をとるためだった」、いずれもお粗末極まる。商船三井も法的責任はないとはいっても、事故直後の対応の不手際、これだけ国際的な問題に発展したこと、などを考慮すると、もっと積極的に対応すべきなのではなかろうか。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ 日テレNEWS24 NHK News web 環境問題(その7)(経産省「石炭火力発電9割休廃止方針」の欺瞞 専門家が指摘、日本人は南極の国家的な重要性をわかってない 科学観測だけで処理不能な問題が起こってくる、モーリシャス座礁事故1か月 影響は?原因は?、モーリシャス沖で座礁 海図見間違えたか) 「経産省「石炭火力発電9割休廃止方針」の欺瞞 専門家が指摘」 今回、経産省が言っているのは非効率の石炭火力発電所の9割を2030年までに休廃止するが、新規建設を止めるわけではないし、効率のいいものは維持するということなので問題 パリ協定の目標である気温上昇を1.5度に抑えるためには先進国は遅くとも2030年までに石炭火力をゼロにしなければならない 確かに「SDGs」による圧力も直視すべき 神沼 克伊 「日本人は南極の国家的な重要性をわかってない 科学観測だけで処理不能な問題が起こってくる」 南極で2度越冬した神沼克伊氏 『あしたの南極学』 日本は南極大陸への国策必要 「南極」の位置づけが国際的に変化 行動許可証取得にあたって環境省からヒアリング 「狭義の国益一辺倒」の官僚が、「税金で採ったデータである。外国人に使わせる理由がない」と主張 「科学観測」だけで処理できない問題が起こってくる きちんとした国家的方針がないと大損する 「モーリシャス座礁事故1か月 影響は?原因は?」 「インド洋の貴婦人」モーリシャス 日本の貨物船が… 重油流出 環境汚染の実態は マングローブ「油付着した状態続くと半年で枯れる」 広がる国際支援 明らかになった貨物船の航跡 「さんご礁も多く、注意が必要な場所」、なのに「10ノット前後で進んでいた」とは不可解 事故の原因究明は 事故の賠償は 貨物船はどうなる “二重苦”のモーリシャス 問われる日本の役割 重油流出の影響を受けたのは島の海岸線の5%以下 「モーリシャス沖で座礁 海図見間違えたか」 パナマの海運当局が事故原因の調査報告 電子海図が搭載されていましたが、船長や乗組員が縮尺の見方を謝り、浅瀬への接近に気付かなかった疑いがある 通常の航路を外れてモーリシャス島に近づいたのは船長の指示によるもので、乗組員がインターネットや電話で家族と連絡をとるためだった 商船三井も法的責任はないとはいっても、事故直後の対応の不手際、これだけ国際的な問題に発展したこと、などを考慮すると、もっと積極的に対応すべきなのではなかろうか
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

レオパレス問題(その2)(レオパレス「30年保証」裏付けた酷いアパートの次なる真相、レオパレス スポンサー決定でも茨の道の理由 賃料減額交渉 資金支援は金利14.5%という重荷、経営危機のレオパレス 500億円超の“救いの手”も…違法建築の補修「1千億円はかかる」の声〈AERA〉) [企業経営]

レオパレス問題については、昨年4月2日に取上げたままだった。一応スポンサーも決まったのを踏まえた今日は、(その2)(レオパレス「30年保証」裏付けた酷いアパートの次なる真相、レオパレス スポンサー決定でも茨の道の理由 賃料減額交渉 資金支援は金利14.5%という重荷、経営危機のレオパレス 500億円超の“救いの手”も…違法建築の補修「1千億円はかかる」の声〈AERA〉)である。

先ずは、本年9月4日付け幻冬舎GOLD ONLINEが掲載したウィステリア・グループ株式会社 会長兼代表取締役社長の藤本 好二氏による「レオパレス「30年保証」裏付けた酷いアパートの次なる真相」を紹介しよう。
https://gentosha-go.com/articles/-/28770?per_page=1
・『賃貸アパートの施工不良発覚から2年。昨年度の補修完了を目指すとしていたが、レオパレス21の改修工事は終わらない。業績も悪化の一途をたどっており、不動産オーナーからは心痛極まった声が上がっている。本件の構造的問題は何だったのか。ウィステリア・グループ株式会社の代表である藤本好二氏が書籍『不動産投資業者のリアル』(幻冬舎MC)で指摘しているのは…』、興味深そうだ。
・『「30年一括借り上げ保証」レオパレスの罪 ■「レオパレス21」訴訟で明らかになった、管理会社の闇  投資家が購入した不動産の管理を請け負う、管理会社。入居者募集や建物のメンテナンスなどの管理業務を、他に仕事を抱えている投資家自らが行うというのは現実的ではありません。ほとんどの場合、管理会社に業務委託することになります。 管理会社の系譜を辿ると、大きく二つに分かれます。一つは、もともと建築を手掛けていた会社が管理部門をつくったケース。もう一つは、内装など装飾を行っていた会社が管理事業を始めたというものです。近年は、管理だけに絞って事業を展開する会社も増えてきましたが、源流としてはこの二つになります。 いわゆる「サブリース」にまつわる問題の中心にいるのも、管理会社です。「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズも、もともとはその創業者が荒稼ぎをして引退するためにつくったスキームにおける管理会社部門でした。 管理会社のトラブルとして記憶に新しいのが、レオパレス21に対する訴訟です。 同社は「30年一括借り上げ保証」というサブリース契約を謳い、オーナーは入居者の有無にかかわらず安定した家賃収入が得られるというメリットを全面に押し出して管理を請け負っていました』、「オーナー」にとっては「30年一括借り上げ保証」が魅力的に思えたのだろう。
・『兵庫県、埼玉県…続々と判明したレオパレス21の不備  しかし実際には、早いもので10年も満たないうちに、家賃を減額したり、借り上げ契約を解除したりするようオーナーに強制的に迫った疑いがもたれています。 家賃減額や借り上げ契約解除は、オーナーを直接的に追い詰める非常に重要な事案です。もともとの立地がよく、物件としても魅力的であれば、たとえ契約解除がなされても賃貸経営を続けられるでしょう。しかし「30年保証」の甘い言葉により、そもそも賃貸需要が薄いような地域に物件を建ててしまったような場合には、ローン返済どころか負債ばかり増えていくことになります。 賃貸経営においては、まずはマーケティングを行ってその地域の賃貸需要をリサーチし、単身者向けやファミリー向けなど需要に合わせた建物を採算の取れる範囲内の金額で建設して運営するというのが基本です。建物の劣化により家賃の下落もあらかじめ考慮し、それも込みで経営が成り立つかを、投資する前に判断する必要があります。 ところが、「入居者の有無にかかわらず、30年間は安定した収入がある」というセールストークをそのまま受け入れ、マーケティングなど一切せずに投資を行ってしまったことが、レオパレス21に対する訴訟の前段であると思います』、「レオパレス21」側の「セールストーク」はさぞかし猛烈なものだったのだろう。
・『■「手抜き工事」「手抜き管理」も存在する  もちろん、レオパレス21側にも大きな問題があります。 レオパレス21はもともと仲介会社であり、1973年創業の古参です。その後、1985年から、都市型アパートとして「レオパレス21」を本格展開。バブルの勢いに乗って成長を続け、2018年4月現在では、約57万戸を管理しています。 現在のレオパレス21は、建設から完成後の借り上げ、管理までを一括して行う事業者です。そのビジネスモデルにも、「30年一括借り上げ」へとつながる伏線があります。個人的には、マンションやアパートを建設する時点で、かなりの利益を上げていたと推測します。 2018年5月、レオパレス21が1996年から2009年の間に建てたアパート38棟に関して、欠陥が指摘され、建築基準法の疑いが浮上しました。もともと、「レオパレスのアパートは壁が薄い」という噂が囁かれてきましたが、それが事実であると示されたわけです。具体的には、兵庫県や埼玉県など12都道府県で、天井裏に音漏れや延焼を防ぐための界壁がなかったり、施工が不十分だったりというのを、レオパレス21側が確認しました。 不良物件については、2019年10月までに補修工事を行うとしています※。 ※編集部注・・・補修工事は延期され「2020年6月末を目処」に完了するとの発表があったが、2020年8月末時点で終了していない』、「界壁」がなければ完全に違法である。
・『「30年一括借り上げ」でも利益を上げていたカラクリは  なお、発覚の経緯については、2018年3月29日と4月17日に、オーナー2人から、「行政が発行した確認通知書の内容と実際の建物に相違がある」と指摘を受け、調査を開始したと説明しています。184棟を確認した結果、168棟に違いが見つかったといいます。 そうした手抜き工事が示すのは、利益の水増しです。建設費を少しでも安く抑えれば、それは事業者の利益となります。 レオパレス21ブランドのアパートはどれもほぼ同じ仕様であり、同じ規格で大量に発注することで建設コストを安く抑えることができたはずです。それに加えて手抜き工事を行った上、相場より割高で販売するとしたら、通常で同様のアパートを建設するのに比べ2倍の利益が出てもおかしくありません。 建設時にそれだけ稼げれば、その一部を「30年一括借り上げ」の初期費用に回しても、十分に利益が出るわけです。逆から見れば、オーナーは自分が払ったお金の一部の返金を受けているだけともいえます。そしてそこから断続的に家賃を下げたり、契約解除を行ったりすれば、利益を確定できます(注:主語はレオパレス21)。 また、レオパレス21は自らのアパートの仲介も行っていたわけですから、建設地における賃貸需要も当然、分かっているはずです。それにもかかわらず近隣に何棟もの自社アパートを建設し、それらが競合するのを承知の上で数年で家賃の減額や借り上げ解除を迫るというのは、あらかじめスキームとして計画されたと疑われても仕方ありません。 その他に、管理面のトラブルもあります。2017年8月、静岡、岐阜、愛知などにアパートを所有するオーナー29人が、「レオパレス21が契約通りに修繕を行っていない」として、修繕契約の無効および支払った修繕費計1億4700万円の返却を求める訴訟を起こしています。 このオーナーたちは、レオパレス21と一括借り上げの契約を結んだ上、別途締結した修繕契約に基づいて、月々10万円ほどの修繕費を賃料から差し引くかたちで支払っていました。 訴えによれば、屋根の塗り替えなど一定期間で行うべき修繕がほとんど行われていなかったといいます』、「月々10万円ほどの修繕費」を集めておきながら、「屋根の塗り替えなど一定期間で行うべき修繕がほとんど行われていなかった」とは悪質だ。
・『投資家には管理会社の見極めが求められる  建物の修繕も、その実際の頻度や実施内容を見れば割高と思えるような設定をしている管理会社はいくつもありますが、訴訟にまで発展しているということは、おそらくオーナーからの度重なる修繕要求にもレオパレス21側が応じなかったのでしょう。 もし、これらすべてが真実であるとするなら、レオパレス21は投資家が関わってはいけない悪徳業者の一つであると言わざるを得ません。 そして管理面での訴訟は、他の管理会社でも同様に起こり得ることです・・・』、「投資家には管理会社の見極めが求められる」、とはいっても、見極めができないよう素人にまで客層を広げたことは罪深い。

次に、10月13日付け東洋経済オンライン「レオパレス、スポンサー決定でも茨の道の理由 賃料減額交渉、資金支援は金利14.5%という重荷」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/380801
・『建築した賃貸アパートの施工不良が発覚したレオパレス21。9月末にスポンサーが決まったと発表されたが、地に墜ちたブランドイメージ再生の足がかりは、いまだつかめていない。 そのレオパレスは10月9日、注目すべき数字を発表した。9月時点の入居率は78.09%にとどまったのだ』、興味深そうだ。
・『目標入居率の達成は絶望的に  同社のビジネスモデルは、賃貸アパートの貸し主(オーナー)から賃貸物件を一括して借り上げ、入居者に転貸するサブリース業だ。オーナーにまとめて固定賃料を支払っているため、入居者が一定数を下回ると、オーナーに支払う賃料が入居者から受け取る賃料を上回る「逆ザヤ」状態になる。損益分岐点となる入居率は80%で、それを下回ると現金の流出が続くことになる。 2021年3月期は施工不良問題の影響に加えて新型コロナウイルスが直撃。賃貸アパートをまとめて借り上げる法人向け需要がふるわない。頼みの綱の外国人需要も蒸発し、5月に80%を割り込んだ入居率は8月には78.18%と過去最低を更新し、9月はそれをさらに下回った。 同社経営企画部の竹倉慎二部長は「足元では法人契約は戻ってきている」というが、2021年3月期の目標として掲げた平均入居率81.63%(2020年3月期実績は80.78%)の達成は絶望的な状況だ。 資材や人件費の高騰、自治体との工事計画の調整も遅れ、補修工事も遅々として進まない。9月末に公表した2020年4~6月期決算では当期純損失として141億円を計上し、118億円の債務超過に転落した。 レオパレスは1000人規模の希望退職を募ることでコストを削減。保有不動産の売却によって現金の確保を急ぐが、債務超過の解消のためには、とにもかくにもスポンサー支援が不可欠だった』、なるほど。
・『金利14.5%で資金調達  そんな中、4~6月期決算と同時に公表されたのが、アメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」による合計572億円にのぼる資金支援だった。 具体的には、普通株の割り当てで約120億円を調達し、新株予約権をつけて300億円の融資を受ける。さらに子会社の太陽光発電会社レオパレス・パワーの優先株を発行し、150億円を調達する。調達した資金は、補修工事に340億円、子会社の借り入れ返済に134億円、社債返還に65億円を充てるという 驚くべきはその資金調達コストの高さだ。300億円の新株予約権付き融資の金利は、利息制限法の上限(15%)に近い年率14.5%だ。一定の入居率達成で年率10%に軽減されるとはいうものの、市場金利が0%に張りつく時代にあって法外な金利となっている。 子会社の150億円の優先株も最大7%の配当を支払うことになっており、年間で最大54億円もの収益圧迫要因となる。 そもそも債務超過の解消や子会社の借入金返済は、普通株の発行や子会社による優先株発行で実現できる。 不可思議なのは300億円の融資の必要性だ。借金の押し売りにも見えるが、レオパレスは「資金需要はいろいろなものが想定されるので……」(竹倉経営企画部長)と口を濁す』、「新株予約権付き融資の金利は・・・年率14.5%だ」、「優先株も最大7%の配当を支払うことになっており、年間で最大54億円もの収益圧迫要因」、とは本当に重い負担だ。「300億円の融資」の必要性は確かに不明だ。
・『フォートレスの正体とは  さらに、フォートレスはレオパレス・パワーの優先株を普通株に転換して、同社を手に入れることができる。レオパレス・パワーは賃貸アパートの屋上に太陽光パネルを置く売電事業を手掛けており、2020年3月期は4億4000万円の最終利益をあげている。 SMBC日興証券の田澤淳一シニアアナリストは、「(レオパレス・パワーから)あがってくる利益はファンドがすべて吸い取るということ。それでも(スポンサー候補がレオパレス側に示した)複数の提案の中で、これが唯一成立した条件だった」と解説する。 ある金融関係者も「レオパレスをつぶすわけにはいかなかった。施工不良は他社にもあり、国の監督責任も問われることにもなる。この低金利の中、地銀がレオパレスのオーナーに貸し込んでいるアパートローンは、2兆円ではきかないのではないか」と話す。 レオパレスにこのような過酷な条件を課すフォートレスとはいったいどんな存在なのか。 同社はニューヨークを本拠とする投資ファンドで、世界がリーマンショックにあえいでいた2009年から日本における不動産投資事業を本格化させた。 2017年にはソフトバンクの傘下に入るが、同年、全国10万6000戸にのぼる公営住宅不動産(旧雇用促進住宅)を取得。リフォームして、最低賃料2万円台をうたう「ビレッジハウス」として運用している。そのビレッジハウスの約5万戸で「複雑なリノベーション工事を実施・管理し、稼働率を約2倍にした」という。 法人契約が6割のレオパレスと、中低所得者中心のビレッジハウスでは入居者層が異なり、「賃貸営業を一緒に行うとシナジーも期待できる」(前出の田澤シニアアナリスト)という』、「地銀がレオパレスのオーナーに貸し込んでいるアパートローンは、2兆円ではきかないのではないか」、これでは「レオパレス」が万一、破綻した場合、「2兆円」超が宙に浮くことになり、「地銀」や「オーナー」は地獄に追い込まれることになる。
・『賃料減額要求がやってくる  だが、レオパレスの入居率を改善させるには適正な賃料設定が欠かせない。つまり賃料の減額だ。これは賃貸アパートのオーナーにとっては不利益になる。 レオパレスをはじめとするサブリース会社の多くは、オーナーに対して「10年間賃料固定」などとアピールしてきた。しかし、法的には10年契約の途中でも賃料を減額することが可能で、リーマンショック後、オーナーに賃料の減額や解約を突然通告するケースが続発。全国で賃料減額分の返還を求める訴訟も頻発した。 レオパレスは2011年ごろから契約を10年固定から2年固定に切り替える交渉を進め、その過程でオーナー側とのトラブルも発生した。いまでも数件が係争中だという。 同社は「2021年3月までは施工不良問題を理由に賃料の減額はしない」とオーナーに約束した。逆に言えば、2021年4月以降は、更新時期が到来した契約から「相場にあわせた賃料」(レオパレス)に順次変更されることになる。改定水準は不動産鑑定会社による客観的なものになるというが、賃料の実勢を考えると、大半の物件オーナーは減額を迫られるだろう。 「経年劣化や周辺環境にあわせて賃料が下がるのは当たり前」(都内のオーナー)という声もあるが、説明の過程で再び「サブリース問題」を抱えることは、もはや許されない。一方で、国土交通省は「(スポンサー決定で)局面は変わった。補修工事は早期に完了させるべきだ」(幹部)とする。 多額の金利負担に耐えながら賃料の見直しを進め、入居率を上げる。そして、補修工事を早期に終わらせる。スポンサーの資金支援を得て束の間の安息を得ても、レオパレスは結局「茨の道」を歩むことになる』、まずは、当面の「賃料」「減額」交渉に注目したい。

第三に、10月18日付けYahooニュースがライターの吉松こころ氏によるAERAdot記事を転載した「経営危機のレオパレス、500億円超の“救いの手”も…違法建築の補修「1千億円はかかる」の声〈AERA〉」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1def571bb4c913537fe7d00624d28a8a747b76eb?page=1
・『違法建築問題で経営危機のレオパレスを、ソフトバンク系のファンドが救済する。倒産もささやかれる中でぎりぎりで踏みとどまった形だが、まだまだ予断を許さない状況であることには変わりないようだ。AERA 2020年10月19日号では、レオパレスの現状を取材した。 全国的な違法建築問題をきっかけに経営難に陥っていた賃貸住宅大手のレオパレス21に、救済の手がさしのべられた。同社は9月30日、ソフトバンクグループ子会社の米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」から総額572億円の出資と融資を受けて経営再建を目指すと発表した。 レオパレスは6月5日、2020年3月期決算で802億円の純損失を計上。その後1千人以上の人員整理を公表したほか、自社株を相次ぎ売却したり、保有するホテルや賃貸住宅を簿価の半額程度で「投げ売り」したりと現金をかき集めている様子が明らかとなり、倒産の噂がささやかれる中での支援決定だった。 9月30日に発表した4~6月期決算によると、同社は6月末時点で約118億円の債務超過に陥っていた。だがファンドからの第三者割当増資で約119億円の出資を受け入れ、300億円を借り入れるほか、子会社にもファンドの出資を受け入れるなどして、債務超過を解消できるという。まさに土俵際で踏みとどまった形だ』、「自社株を相次ぎ売却したり、保有するホテルや賃貸住宅を簿価の半額程度で「投げ売り」したりと現金をかき集めている」、そこまでやっていたとは初めて知った。
・『オーナーとの契約標的  レオパレスは今後、ファンド主導で経営改善を進めることになる。不動産とファンドに詳しいコンサルタントの西村明彦さんは、改革は短期決戦とみる。 「ファンドの目的は買った株式の価値を上げ、売って利益を得ること。基本は1~2年、長くても3年で結果を出します」 ファンド側がすぐにでも着手すると考えられるのが、優良物件の選別だ。優良物件とは、入居率がよく安定して家賃が入ってくる物件や、大手法人が社宅にしている物件。そうではない物件は収益性が低い不良物件と見なされることになる。 レオパレスの場合、物件は各地のオーナーが建設・保有し、レオパレスが一定額の家賃収入を保証する「サブリース」という仕組みをとっている。オーナーにとっては入居の有無にかかわらず毎月一定の金額が入ってくるため、ローンを組んで賃貸住宅を建てるケースが多い。 だが今回、ファンド側は不良物件のオーナーに対して家賃保証の大幅な減額を要求するとみられる。応じなければ家賃保証の終了に追い込むこともあり得る。西村さんは「手慣れたファンドマネジャーたちによって、家賃減額交渉は一気に進むでしょう」と語る。 レオパレスの4~6月期の営業損益は68億円の赤字。最大の理由は入居率の低さだ。物件全体の入居率は79.43%。駅から遠い、近くに企業や大学などがないなどそもそも需要が少ない物件も多い上、違法建築問題が追い打ちをかけている。一般的にサブリースで家賃保証を行う側(この場合はレオパレス)が利益を得られる損益分岐点は入居率80%とされる。経営再建へ、入居率引き上げも極めて大きな課題だ』、「手慣れたファンドマネジャーたちによって、家賃減額交渉は一気に進むでしょう」、「オーナー」にとっては大変だ。
・『340億円で物件改修  だが、入居率を改善させるには、レオパレス信用不振のきっかけとなった違法建築問題の解決抜きには語れない。 同社によると、明らかな不備がある賃貸住宅は全国に1万3626棟あり、改修工事が完了しているのはその7.7%にあたる1055棟にすぎないという。上記以外にも1万6457棟で小屋裏の界壁(部屋と部屋を仕切る壁)などに軽微な不備が確認されている。 これらの改修を請け負うはずの施工会社が、レオパレスの信用不安から仕事を受けたがらなかったことも進捗が遅れている理由の一つ。工事が終わらず入居者募集を保留している部屋は、7月末時点で5万室に上る。これはレオパレスが管理する約57万室の8%超にあたる。 ファンドから調達した資金のうち、340億3300万円は「界壁等の施工不備に係る補修工事費用」として使用される。これにより工事が進むことが期待されるが、内部事情に詳しい元幹部からは「補修箇所は一律でなく様々なタイプがあるため、費用は1千億円はかかるだろう」との声も聞かれ、なお予断を許さない状況だ』、「費用は1千億円はかかる」ようなことでもなれば、大変だ。「レオパレス」からはまだまだ目が離せないようだ。
タグ:東洋経済オンライン yahooニュース AERAdot レオパレス問題 (その2)(レオパレス「30年保証」裏付けた酷いアパートの次なる真相、レオパレス スポンサー決定でも茨の道の理由 賃料減額交渉 資金支援は金利14.5%という重荷、経営危機のレオパレス 500億円超の“救いの手”も…違法建築の補修「1千億円はかかる」の声〈AERA〉) 幻冬舎GOLD ONLINE 藤本 好二 「レオパレス「30年保証」裏付けた酷いアパートの次なる真相」 「30年一括借り上げ保証」レオパレスの罪 「レオパレス21」訴訟で明らかになった、管理会社の闇 兵庫県、埼玉県…続々と判明したレオパレス21の不備 「手抜き工事」「手抜き管理」も存在する 「30年一括借り上げ」でも利益を上げていたカラクリは 「月々10万円ほどの修繕費」を集めておきながら、「屋根の塗り替えなど一定期間で行うべき修繕がほとんど行われていなかった」とは悪質だ 投資家には管理会社の見極めが求められる レオパレス、スポンサー決定でも茨の道の理由 賃料減額交渉、資金支援は金利14.5%という重荷」 「レオパレス、スポンサー決定でも茨の道の理由 賃料減額交渉、資金支援は金利14.5%という重荷」 目標入居率の達成は絶望的に 9月時点の入居率は78.09% 金利14.5%で資金調達 フォートレス・インベストメント・グループ 合計572億円にのぼる資金支援 300億円の新株予約権付き融資の金利は 年率14.5%だ 150億円の優先株も最大7%の配当 年間で最大54億円もの収益圧迫要因 フォートレスの正体とは 地銀がレオパレスのオーナーに貸し込んでいるアパートローンは、2兆円ではきかないのではないか 「レオパレス」が万一、破綻した場合、「2兆円」超が宙に浮くことになり、「地銀」や「オーナー」は地獄に追い込まれることになる 賃料減額要求がやってくる 法的には10年契約の途中でも賃料を減額することが可能 リーマンショック後、オーナーに賃料の減額や解約を突然通告するケースが続発。全国で賃料減額分の返還を求める訴訟も頻発 吉松こころ 「経営危機のレオパレス、500億円超の“救いの手”も…違法建築の補修「1千億円はかかる」の声〈AERA〉」 802億円の純損失 1千人以上の人員整理 自社株を相次ぎ売却したり、保有するホテルや賃貸住宅を簿価の半額程度で「投げ売り」したりと現金をかき集めている 6月末時点で約118億円の債務超過 118億円の債務超過 オーナーとの契約標的 手慣れたファンドマネジャーたちによって、家賃減額交渉は一気に進むでしょう 340億円で物件改修 補修箇所は一律でなく様々なタイプがあるため、費用は1千億円はかかるだろう
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

不動産(その6)(タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”、テレワーク普及で「オフィス」は不要になるのか CBRE日本法人トップが語る今後の不動産市況、「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由) [産業動向]

不動産については、昨年9月8日に取上げた。久しぶりの今日は、(その6)(タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”、テレワーク普及で「オフィス」は不要になるのか CBRE日本法人トップが語る今後の不動産市況、「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由)である。

先ずは、本年3月20日付けデイリー新潮が掲載した不動産ジャーナリストの榊淳司氏による「タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/03201100/?all=1&page=1
・『去年の10月12日、東海から東北にかけて襲い掛かった台風19号。これまでにない豪雨と強風は、各地に甚大な被害をもたらした。90名以上の方が亡くなり、約9万8千棟の住宅が被害を受けた。なかには跡形もなく流されたり、二度と住めなくなった住宅も少なくなかった。 その一方で、テレビや新聞、雑誌を始め、メディアで盛んに取り上げられたのが、神奈川県川崎市の武蔵小杉にあるタワーマンション2棟の浸水被害だった。下水が逆流して、電気が使えなくなるなど、一時的に「住めない」状況に追い込まれた。 被害が発生した10月13日からネット上で「トイレが使えない」、「ウンコ禁止」などあからさまな表現の書き込みが猛烈な勢いで拡散。続いて、メディアの取材が殺到した。 2棟のうち1棟は被害が比較的軽微で、数日のうちにほぼ復旧した。だが、「エレベーター使用不可」、「全階住戸内でのトイレ使用禁止」になった47階建てのタワマンでは、一応の復旧までにさらに1カ月近くかかったようだ。 戸建てに比べて、最新の設備を誇るタワマンは「災害に強い」というイメージがある。たしかに、地震で倒壊したり、水害で流されたりする心配は少ない。しかし、水も電気も来なくなれば、階段を何階も昇り降りしなければならない厄介な住宅なのだ。 タワマンは基本的に災害に弱い。そう考えるべきだろう。 台風19号は「100年に1度」とも称される激甚災害だった。タワマンの被害だけをあげつらうのは酷だという向きもあろう。しかし、タワマンの脆弱性は、何も災害時にかぎった話ではないのである。 タワマンとは一般的に、20階以上の集合住宅のことを指す。不動産や建築の専門家でもない限り、タワマンとは普通のマンションの階数を高く作ったもの、くらいにしか理解していないだろう。 ところが、タワマンの構造は19階以下の板状マンションとはかなり違う。その違いを分かりやすく言えば、タワマンは「超高層レオパレス」ともいうべき代物なのだ』、「超高層レオパレス」とは穏やかではないが、どういうことなのだろう。
・『外壁も戸境壁も脆弱  レオパレス21が建てた多くのアパートの外壁や戸境壁が、建築基準法に満たない薄い構造になっていたことはご存知の通りである。タワマンの外壁や戸境壁は、建築基準法を一応クリアしているものの、そこにはほぼ鉄筋コンクリートが使われていない。 まず外壁に使われているのはALCパネルというもの。これは「高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート」の頭文字をとって名付けられた建材で、「コンクリート」という名称を用いているものの、一般的なコンクリートとは似て非なるもの。軽量で丈夫な外壁パネル素材である。 そして、戸境壁に使われているのは乾式壁と呼ばれる素材。ここにもコンクリートは使われていない。分かりやすく言えば分厚い石膏ボードのようなもの。 私のところにマンション購入の相談にやってこられたある方は、財閥系大手が都心の一等地で開発分譲した大型のタワマンに、賃貸で住んでおられた。その方がおっしゃるには「隣の人がくしゃみをしたら、分かるんですよ。60万円も家賃を払っているのに」。掃除機をかけていても分かるらしい。それが乾式壁というものなのだ。 このALCパネルや乾式壁は、建築時には便利な建材だ。何といっても工場で大量生産したものを、現場で嵌めこめばいい。鉄筋や鉄骨を組んで、コンクリートを流し、乾かす必要がないのだ。だから、外壁や戸境壁を鉄筋コンクリートで作る通常のマンションなら、1層分を作るのに約1カ月かかるところ、タワマンの建築はひと月で2層出来てしまう。 タワマンの建設現場をご覧になったことのある方は、その建設スピードに驚かれたはずだ。タワマンはあっという間に空に向かって伸びていく。なぜなら、太い柱と床さえ鉄筋コンクリートで固めてしまえば、あとは工場から運ばれてきたALCパネルや乾式壁を嵌めこんでいけばいいのだから』、「外壁や戸境壁を鉄筋コンクリートで作る通常のマンションなら、1層分を作るのに約1カ月かかるところ、タワマンの建築はひと月で2層出来てしまう」、確かにすごい「スピード」だ。
・『このように施工はやりやすいのだが、中長期で考えるとタワマンの構造は厄介だ。通常のマンションは床と外壁の鉄筋コンクリート部分が継ぎ目なくつながっている。強力な地震で外壁に大きなひびでも入らない限り、雨水が浸入することはない。しかし、外壁にALCパネルを使っているタワマンは、いってみれば継ぎ目だらけ。継ぎ目にはコーキング剤と呼ばれる、接着と防水機能を持った粘液が使われる。これが固まって雨水の浸入を防ぐのだが、このコーキング剤は15年程度で劣化するとされている。だから、15年に1度程度、古いコーキング剤を掻き出して新しいものを注入しなければならない。 つまり、タワマンはその構造的に15年に1度程度の外壁修繕工事が必須になるのである。しかも、湾岸エリアにあるタワマンには塩分が混じった雨風が吹き付けるので、コーキング剤の劣化が早まる可能性も指摘されている。この15年が更に短くなる可能性すらあるのだ。 だが、タワマンは階数が高いため、外壁の修繕工事が通常のマンションに比べて格段に難しい。普通のマンションなら、建物のまわりに足場を組めば外壁の修繕工事は容易だ。しかし、工事用の足場は17階あたりまでしか組めない。それから上はどうするのか? 現状では、屋上からゴンドラを吊るして作業するやり方が採用されることが多い。しかし、これだと、強風時には作業ができないので、工事期間が長くなる。タワマンは建築時には1カ月に2層が出来てしまうのに、外壁の修繕工事は1カ月に1層。60階のタワマンなら計算上43カ月もかかることになる。 さらに深刻な問題はその費用だ。通常のマンションなら、外壁の補修を伴う大規模修繕工事の費用は戸当たり100万円程度が目安だ。しかし、タワマンの場合は戸当たり200万円以上。これも昨今の人件費の高騰で、値上がり傾向にある。今後は300万円程度を見込んだ方が良い。多くのタワマンでは、何とか第1回の大規模修繕は行える。しかし、2回目はエレベーターや上下水道管の取り換えが伴うので、1回目よりも費用がかさむと考えるべきだろう。 だから毎月徴収する修繕積立金の値上げが必要となる。値上げには、管理組合の総会で値上げ議案の議決という手続きを経る必要がある。賛成多数で値上げしても、経済的に払えない人も出てくる。 2回目の大規模修繕を乗り越えても、3回目はどうだろうか。おおよそ建築後45年から50年あたり。私は半分以上のタワマンでは、住民の経済的理由などで3回目以降の大規模修繕は不可能になると予測する。 通常のマンションは、細やかにメンテナンスを行えば50年以上住めるのはほぼ確実。現に60年以上も十分使用に耐えたマンションもあった。だが、タワマンに限っては「45年限界説」が有力そうである。(榊氏の略歴はリンク先参照)』、「タワマンは建築時には1カ月に2層が出来てしまうのに、外壁の修繕工事は1カ月に1層。60階のタワマンなら計算上43カ月もかかることになる」、「通常のマンションなら、外壁の補修を伴う大規模修繕工事の費用は戸当たり100万円程度が目安だ。しかし、タワマンの場合は戸当たり200万円以上・・・今後は300万円程度」、「タワマンに限っては「45年限界説」が有力そう」、入居者はこんな事情を知らない人が大半だろう。「メンテナンス」時期を迎えるにつれ、大きな社会問題になるだろう。

次に、8月15日付け東洋経済オンライン「テレワーク普及で「オフィス」は不要になるのか CBRE日本法人トップが語る今後の不動産市況」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/369052
・『不動産業界では、コロナ禍でホテルや商業施設の稼働が落ち込む一方、賃貸住宅や物流施設は堅調に推移するなど収益性に二極化が生じている。不動産の過半を占めるオフィスについても、テレワークの普及で不要論がささやかれる中、今後の不動産市況をどう見るべきか。日本国内でも不動産の取引仲介や運用、オフィス移転などを手がける、アメリカの不動産サービス大手CBRE・日本法人の坂口英治社長に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは坂口氏の回答)』、興味深そうだ。
・『「不動産はむしろ見直されている」  Q:投資家の不動産投資意欲に変化はありますか。 A:当初はどれくらい価格が下がるかを見定めていたが、外資系ファンドを中心に、いよいよ痺れを切らした。年間の投資目標を見据えて投資しなければならない彼らにとっては、コロナ禍でも物流施設や賃貸住宅、データセンターといった賃料の下落リスクが限定的な物件なら投資しない理由はない。おっかなびっくりというよりも、これ以上我慢できずに買えるものを買いに行く、という状況だ。 今年3月に起きた株式市場の暴落を見て、機関投資家は株式のボラティリティの高さを意識した。他方で、不動産はキャッシュフローさえ安定していれば時価評価で一気に落ちるわけではないため、投資家から見直されている。 Q:お金を遊ばせたくないということでしょうか? A:そう。特に先進国では高齢化が進んで、年金投資家の声が強くなっている。彼らは一過性のキャピタルゲインよりも安定したリターンを求めるため、利回りが付いている投資商品にはお金が殺到している。 とりわけ物流施設では3%台の利回りが当たり前になってきている。江東区や羽田、千葉の湾岸部といった好立地なら、都心のグレードAオフィスビル並みのキャップレートに追いついてきている。それでもEコーマス需要の高まりを考えれば、立地がよければ買い手はつく。今後3%を切る物件が出てきてもおかしくない。 Q:過熱感がある? A:すべての不動産に資金が集まっているわけではない。ホテルや都市部の商業施設にはローンが付かず、イールドギャップ(投資利回りと借入金利の差)が取れない。現在のテナントが退去した後、埋め戻しができるのかという心配もあり、われわれでもマーケット予測が難しい』、「機関投資家は株式のボラティリティの高さを意識した。他方で、不動産は・・・投資家から見直されている」、なるほど。
・『Q:不振のホテルをあえて取得するオポチュニスティック(高リスク高リターン)な投資家もいるようです。 みんなそれをしたいはずだ。だが、ローンが付かないため出せる価格が非常に低く、その価格では物件オーナーが抱えるローンさえ返済できない。金融機関側には今のところ返済を迫る動きがないため、オーナーにとっては無理に売却するよりも金融機関と(条件変更などの)交渉をしたほうが得策だ。 Q:不動産の大部分を占めるオフィスビルの動向は? A:オフィス移転の相談は今年7月に入ってから増えている。売り上げが激減しているため固定費を削減しないと存続が危うい、銀行に自助努力を見せないといけないというテナントが多い。ただ、実際に移転や退去を進めるというよりは、どんな選択肢があるかを机の上に並べている(検討している)状態だ。 普通借家契約で入居しているなら退去に要する期間、原状回復費用、次のビルへの移転費用、移転先でフリーレントが付けられそうか。あるいは、(中途解約が原則不可能な)定期借家契約なら、居抜きや転貸での退去が可能か、ビルオーナーの承諾をどのように得るか、などのシミュレーションを行っている。 われわれはビルオーナーの特性を知っている。オーナーによってはビルに入居しているテナントと同じ業種を入居させることはダメ、エレベーターの混むコールセンターのような業態はダメ、といったルールもある。最近では、ビルオーナーに営業に行っても断られることが少なくなった。みな他社の動向を知りたいので、まずは話を聞いてみようというスタンスだ』、現在のところは、「他社の動向」をにらんだ模様眺めの段階にあるようだが、1社が交渉・移転段階に進むと、一斉に動き出す可能性がありそうだ。
・『オフィスへの考え方は二極化する  Q:「オフィス不要論」が叫ばれています。 A:在宅勤務が機能していると胸を張っている経営者がいるが、それは裏を返せば自社のオフィスがこれまで何も生み出していなかったと認めているようなものだ。通勤に時間をかけて会社に来ても、「1+1=2」になっていなかった。 オフィスは毎月賃料がかかる点で確かにコストだ。他方で、よい立地によい環境のオフィスを構えることが将来の成長につながる、などと投資として捉える企業もいる。在宅勤務ではこれまで築き上げてきた企業文化が維持できなくなってしまうし、社員教育も難しい。テナントからは、「海外でのオフィスのトレンドを教えてほしい」といった相談も来ている。 足元では企業業績に余裕がなく、また自社にとってどんなオフィスが必要かも手探り状態だが、もう少し時間が経てば企業の間でのオフィスに対する考え方は二極化(コストと考えるか、将来への成長投資と捉えるか)してくるだろう』、「オフィスへの考え方」はどちらに落ち着くのだろう。

第三に、10月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋 修氏による「「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/251358
・『不動産市場は減速したがバブル崩壊は起きていない  今年4月の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発令以降、不動産市場に大激変が起きた。インバウンド需要を見込んでいたホテル、飲食店などの商業系は自粛ムードで閑古鳥が鳴く日々が続いた。こうした中、民主党から自民党に政権交代した2012年12月以降、長らく続いてきた不動産市場の上昇基調にもブレーキがかかり、「バブル崩壊か?」といった声も各種メディアから聞こえた。 しかし結論を言えば、そうしたことは一切起こっていない。理由は簡単で、1990年代やリーマン・ショック前のバブル崩壊とは異なり、今回は日米欧の同時金融緩和、とりわけ日米は無制限金融緩和を行うことで、金融システムが崩壊することを阻止したためだ。一時1万6000円台をつけた日経平均株価も現在は2万3000円台と、すっかりコロナ禍前の水準に戻っている。 国土交通省が8月29日発表した7月1日時点の基準地価は、全国平均(全用途)の変動率が前年比マイナス0.6%と、2017年以来3年ぶりの下落。商業地はマイナス0.3%と5年ぶりに下落に転じ、昨年、28年ぶりに上昇した地方圏の商業地は再び下落に転じた。住宅地はマイナス0.7%と下落幅を拡大させている。 以下、商業地と住宅地の状況について、詳しく見ていこう』、「不動産市場は減速したがバブル崩壊は起きていない」、とは一安心だ。
・『インバウンド需要の激減で不透明感が強まる商業地  商業地は新型コロナの影響が最も大きかった分野だ。地価押し上げの大きな要因となっていたインバウンド需要が今年に入って激減し、不透明感が強まっている。訪日外国人客がほぼ消滅したことに加え、緊急事態宣言などによる外出自粛や店舗への休業要請で国内の経済活動も大幅に停滞した。 かつてホテルや商業施設用の不動産取引が活況だった地方の観光地や、東京の銀座や新宿、大阪の道頓堀付近など、繁華街エリアにおいて値下がりが目立つ。 最高価格は東京都中央区の「明治屋銀座ビル」で、1平方メートル当たり4100万円。また、最も上昇率が大きかったのは住宅地、商業地とも、リゾート開発が活発な沖縄県宮古島市でプラス30%を超えた。 地域別では地方圏と名古屋圏の下げが大きい一方、札幌、仙台、広島、福岡の底堅さも目立つ。三大都市圏より高利回りを求めた投資マネーが流れ込み再開発が進んでいるためだ。 ホテル投資は今後しばらく冷え込むことになりそうだが、心配ない。そもそも都市部のホテル用地は新築マンション用地取得と競合しており、昨今は取得単価の高いホテルが圧勝してきた。そのため、新築マンションは年々発売戸数を減らしており、ホテルが撤退してもマンション用地に取って代わるだけだ。 東京・銀座に象徴される商業地も、仮に現在の店舗が撤退してもニーズは高く、多少の賃料下げはあってもすぐに埋まるだろう』、「ホテルが撤退してもマンション用地に取って代わるだけ」、なるほど。
・『コロナ前の活況に戻りつつある住宅地  東京、大阪、名古屋の3大都市圏の住宅地はすべてマイナスとなり、東京、大阪が下落したのは7年ぶり、名古屋は8年ぶりだ。 また、地方圏は住宅地がマイナス0.9%と下落幅が拡大。札幌、仙台、広島、福岡の4市は住宅地がプラス3.6%、商業地がプラス6.1%といずれも上昇を維持したものの、伸び率は縮んだ。 ところが現場は活況だ。 新築・中古の一戸建て市場は、一時は半減したものの、今では緊急事態宣言中のマイナス分を上回る勢いである。 マンションについても、8月の首都圏中古マンション取引件数は前年同月比プラス18.2%、平均価格は同プラス5.3%と絶好調。都心3区(千代田・中央・港区)の中古マンション成約平米単価は過去最高を更新した。 首都圏新築マンション発売戸数は前年同月比8.2%減だが都区部以外は大幅増で、契約率も68.5%と順調だ。 図表1:都心3区中古マンションの「在庫数」と「成約単価」(リンク先参照) 「コロナで都心居住が見直され、郊外や地方への移住が増える」「リモートワーク(在宅勤務)でオフィスの空室率が高まる」といった言説も、現実のものとはならなかった』、最後の部分は意外な感じがする。
・『世界的に割安感がある日本の不動産市場  日米欧が協調する形で大規模な金融緩和が行われ金融システムが維持されたことで、コロナによる経済的打撃が相対的に低く、かつ、空室率が低くて割安感のある、日本の不動産を物色する動きが活発化している。 とはいえ、投資マネーが向かう先は東京を中心とした大都市などが中心。価格帯でいえば100億円以上といった、ある程度のロットの不動産に限定されるためだ。 アベノミクス以降、国内不動産市場は「(1)価値維持ないしは上昇(市場全体の15%)」「(2)緩やかに下落(同70%)」「(3)無価値(同15%)」と極端な三極化が進行してきた。この先、(1)の不動産市場だけは、1980年後半以降にみられたバブル的な局面に突入する可能性もある。 ここでいう「バブル的」とは、例えば「マイナス利回りでの取引」だ。 90年バブル期やリーマン前のプチバブル期には不動産の買いが買いを呼び、得られる賃料を勘案すると利回りがマイナスとなってしまう価格帯での取引が散見された。その理屈は「賃料上昇は後からついてくる」といったもの。 今後、なかば実体経済を無視する形で、世界的に見ても相対的に割安感のある日本の不動産が、国内・海外マネーの標的になる可能性がある』、かつては、「日本の不動産」は「割高」と言われてきたが、いつの間にか逆の評価に変わったようだ。
・『商業用不動産の投資額で東京が世界一に  筆者は10月1日放送のNHK「クローズアップ現代+」に出演。世界的なコロナ禍の中、東京の不動産に注目が集まっており、1980年型の不動産バブルの兆しが垣間見えることを説明した。 2020年上半期の世界の商業用不動産投資額をみると、第2四半期の投資額は前年同期比55%減の1070億ドルとなり、新型コロナウイルスの影響が露呈した。渡航制限、経済への打撃、先行き不透明感など3月中旬から6月初旬にかけて新型コロナの影響が顕著となり、第2四半期の投資額はすべての地域において大幅な減少となった。 ところが、東京だけは投資の勢いが衰えていないのだ。都市別投資額をみると、第1四半期に続き東京が前年並みの150億ドルで1位に躍り出た一方、2位のニューヨークは109億ドルと4割減、3位のパリは83億ドルと3割減だ。落ち込みの大きいところではロサンゼルス54%減、上海48%減などが目立つ。 図表2:商業用不動産投資額 地域別(リンク先参照) 図表3:2020年上半期 投資活動が最も活発な10都市(リンク先参照)』、「商業用不動産の投資額で東京が世界一に」、初めて知ったが、やはり「割安感」があるからなのだろうか。
・『90年代のようなバブルが再び起きる可能性も  コロナ禍で日米欧とも史上空前の財政出動と金融緩和、とりわけ日米は無制限金融緩和をアナウンスすることで、リーマン・ショックのような金融システム破綻が回避され、当面の資金繰り不安がなくなると、市場には膨大なマネーが残る。 同時に日米欧はもちろん、新興国も一斉に利下げに動いた結果、世界中から金利が消えようとしている。 岡三証券によると、主要20カ国のうち、1年物金利がマイナスになったのは日欧15カ国。米国やカナダ、オーストラリアでも6年物まで年0.5%未満に下がり、明確なプラス水準を維持しているのは中国とインドだ。 国債・社債が運用益を生まなくなった今、あふれるマネーをどこに振り向けるのか。不動産は有望な選択肢ではあるが、とはいえ大きなリスクは取れない。 そうした中、相対的にコロナの感染者・死者数が少なく、経済的影響も小さかった日本の、とりわけ東京の不動産に資金が向かうのは必然ともいえるのだ。 アメリカ・ニューヨーク市はコロナ陽性率の上昇に伴い、市内の一部で2週間の学校閉鎖や事業の営業停止を実施。フランス・パリ首都圏もコロナ警戒レベルを最大に引き上げ、バー閉鎖など再び経済活動が停滞する。 そんな中、日本は「Go To トラベル」の対象に東京が追加されるなど、経済活動を回復させつつある。 日本の不動産市場の一部が過熱し始めた理由は、国内外からの投資マネーの増加だけではない。 日本政府や日銀は不動産市場を下支えしている。コロナの影響で収入が減った個人事業主などを支援する家賃支援給付金は、事実上、不動産市場への公的資金注入である。また、日銀によるREITやETFの買い入れ倍増は不動産・株式市場支援策だ。 こうしたことから、不動産や株式などのリスク資産の上昇を契機とした90年代のようなバブルが発生する可能性は高いと筆者は見ている』、「日本政府や日銀は不動産市場を下支えしている」、「バブルが発生する可能性は高いと筆者は見ている」、不吉なご託宣だ。
タグ:不動産 東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 榊淳司 デイリー新潮 長嶋 修 (その6)(タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”、テレワーク普及で「オフィス」は不要になるのか CBRE日本法人トップが語る今後の不動産市況、「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由) 「タワマンの実態は「超高層レオパレス」 脆弱な外壁と修繕不可で“45年限界説”」 タワマンは「超高層レオパレス」ともいうべき代物 外壁も戸境壁も脆弱 外壁や戸境壁を鉄筋コンクリートで作る通常のマンションなら、1層分を作るのに約1カ月かかるところ、タワマンの建築はひと月で2層出来てしまう 施工はやりやすいのだが、中長期で考えるとタワマンの構造は厄介 タワマンは建築時には1カ月に2層が出来てしまうのに、外壁の修繕工事は1カ月に1層。60階のタワマンなら計算上43カ月もかかることになる 通常のマンションなら、外壁の補修を伴う大規模修繕工事の費用は戸当たり100万円程度が目安だ。しかし、タワマンの場合は戸当たり200万円以上・・・今後は300万円程度 タワマンに限っては「45年限界説」が有力そう 「テレワーク普及で「オフィス」は不要になるのか CBRE日本法人トップが語る今後の不動産市況」 不動産はむしろ見直されている 機関投資家は株式のボラティリティの高さを意識した。他方で、不動産は 投資家から見直されている 1社が交渉・移転段階に進むと、一斉に動き出す可能性 オフィスへの考え方は二極化する オフィスに対する考え方は二極化(コストと考えるか、将来への成長投資と捉えるか) 「「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由」 不動産市場は減速したがバブル崩壊は起きていない インバウンド需要の激減で不透明感が強まる商業地 ホテルが撤退してもマンション用地に取って代わるだけ コロナ前の活況に戻りつつある住宅地 「コロナで都心居住が見直され、郊外や地方への移住が増える」「リモートワーク(在宅勤務)でオフィスの空室率が高まる」といった言説も、現実のものとはならなかった 世界的に割安感がある日本の不動産市場 商業用不動産の投資額で東京が世界一に 90年代のようなバブルが再び起きる可能性も 日本政府や日銀は不動産市場を下支えしている バブルが発生する可能性は高いと筆者は見ている
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

インバウンド戦略(その13)(コロナショック「インバウンド7割減」の衝撃度 観光客の約半分を占める中韓の減少が直撃、苦境下の「人気観光地」がいまするべきこと 『観光公害』著者が説く観光地の現状と対策、D・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」) [経済政策]

インバウンド戦略については、昨年8月1日に取上げたままだった。コロナ禍にある今日は、(その13)(コロナショック「インバウンド7割減」の衝撃度 観光客の約半分を占める中韓の減少が直撃、苦境下の「人気観光地」がいまするべきこと 『観光公害』著者が説く観光地の現状と対策、D・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」)である。なお、タイトルから「ビジット・ジャパン」はカットした。

先ずは、3月25日付け東洋経済オンライン「コロナショック「インバウンド7割減」の衝撃度 観光客の約半分を占める中韓の減少が直撃」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/339124
・『「数字としては非常に厳しい。状況はさらに厳しくなる」――。観光庁の田端浩長官は3月19日、霞が関の国土交通省で開かれた定例会見で「厳しい」という単語を繰り返した。 この日に発表された2020年2月の訪日外国人観光客数は、新型肺炎の影響で108万5100人(前年同月比58.3%減)と、東日本大震災直後だった2011年4月の同62.5%に次ぐ大幅な減少を記録した。 打撃となったのは、2019年の年間客数約3188万人のうち5割近くを占めた中国と韓国からの訪日客の減少だ。1月27日以降、政府が団体海外旅行を禁止した中国からの2月の訪日客は8万7200人と、2019年2月の72万3617人から9割近い減少となった』、「訪日外国人観光客数の前年同月比」は、4月から8月まで99.7~99.9%減少と落ち込みが続いている。
・『韓国の訪日客は約8割減  2019年夏から歴史認識や安全保障をめぐる問題で緊張が高まり、前年比で60%以上減少する月が続いていた韓国からの訪日客も、14万3900人(同79.9%減)といっそうの減速を見せている。ほかにも台湾や香港、アメリカなど日本への訪日客が多い国で軒並み2桁の減少率となった。 安倍晋三政権の下でビザの発給要件緩和や免税対象品の拡大により、2012年に836万人にすぎなかった訪日観光客数を足元で3000万人台に拡大し、2020年には4000万人の達成も視野に入れていた。 だが、もはや4000万人の目標達成は絶望的で、新型肺炎の収束見込みも立たないことから、激減がいつまで続くかもわからない。観光庁も「具体的に(訪日観光客の修正目標を)述べるのはなかなか困難な状況にある」(田端長官)というほかない。 観光需要の急減を受け、早くもエイチ・アイ・エスや帝国ホテルなど、旅行・宿泊業を中心に業績予想の下方修正が相次ぐ。さらに、クルーズ会社や着物レンタル会社など、倒産に追い込まれる零細観光業者も出てきた。 3月24日に日本百貨店協会が発表した2020年2月の訪日外国人客向けの売上高(全国91店を対象とする免税売上高)は、新型肺炎の影響に春節期間のズレ(2019年は2月だったが2020年は1月)も重なり、前年同月比65.4%減の約110億円と大幅減に終わった。 田端長官は事態の収束までは「国内での感染(拡大の)防止が最大の支援策」としたうえで、日本人の観光需要回復に力を入れる考えを示した。 2019年の訪日外国人による旅行消費額が4.8兆円なのに対し、日本人の国内旅行消費額は21.9兆円と4.6倍の規模を誇る。世界各国で出国の自粛措置が取られ、日本も水際対策を強化している。それだけに、観光庁としては、移動に制限のかからない日本人の国内旅行が比較的早く回復するとみている』、なるほど。
・『過去の知見をどれだけ生かせるか  3月19日の定例会見で田端長官は今後の対応について、「(2003年の)SARSや(2009年の)新型インフルエンザ流行のときも影響を受けたが、それらを乗り越えてきた。感染症の流行があったときに、どういう仕掛けをし、どんな施策で(観光需要が)回復したかという知見はある。それを基に準備を進めていく」と語った。 課題は日本人の観光需要を喚起するためのマーケティングの切り替えだ。従来、人口減少で日本人旅行客の市場規模が頭打ちになっているため、観光庁は外国人による訪日旅行の需要喚起に注力してきた。日本各地の観光地でも、外国人観光客の拡大を前提に、外国人のニーズに沿ったコンセプトの客室仕様を採用したホテルなどが増えつつある。 外国人観光客の取り込みに注力してきた観光行政が、こうした業態も含めて日本人の観光を増やす効果的なキャンペーンやプロモーションを打てるのか。強烈な逆風が吹き付ける中、観光行政の手腕が問われる』、政府はその後、コロナ禍が収まってないにも拘らず、GO TOトラベル キャンペーンで、国内旅行の喚起に躍起だ。

次に、4月13日付け東洋経済オンライン「苦境下の「人気観光地」がいまするべきこと 『観光公害』著者が説く観光地の現状と対策」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/343679
・『つい最近まで、訪日観光客の急激な増加による公共交通機関の大混雑やゴミ・騒音の問題など、いわゆる「オーバーツーリズム」に悩まされてきた人気観光地。それが一転して、苦しい状況に陥っている。 新型コロナウイルスの感染拡大によって世界的に移動が制限され、観光客が蒸発。収束の見通しが立っていないからだ。 このピンチを、今後のオーバーツーリズム解消のチャンスに変える戦略はあるのか。「コロナ後」を見据えて、観光地はどうあるべきか。 『観光公害』(祥伝社新書)の著者で、城西国際大学観光学部の佐滝剛弘教授に聞いた(インタビューは4月6日に実施)(Qは聞き手の質問、Aは佐滝氏の回答)』、興味深そうだ。
・『今回は戦後初めて直面する大打撃  Q:現在の観光地はどのような状況ですか。 A:3月下旬に訪れた京都と広島はホテルがガラガラで、外国人の姿もほとんど見かけなかったが、日本人の若い人がけっこういた。卒業旅行で海外にいけなくなった学生などが、「仕方ないから京都に行くか」と訪れていたのだろう。ハワイ気分を味わいたいのか、石垣島や宮古島もそこそこ混雑していた。 すべてが真っ暗な状況ではなく、地域によって多少の差があった。ただ、4月7日に緊急事態宣言が発令されて、様相がガラッと変わりそうだ。 今回のコロナ危機では日本人が旅行しないうえ、海外からも観光客が来ない。修学旅行需要や出張などのビジネス需要もない。しかも、いつ収束するかまったくメドが立たない。前例のない危機だ。東日本大震災やリーマンショックのときもひどかったが、全世界的に旅行ができなくなったわけではない。今回は、戦後初めて直面する大打撃だ。 Q:海外の有名観光地も、打撃を受けているのでしょうか。 A:アメリカやヨーロッパの多くの都市では、完全にロックダウンしている。交通機関は減便され、ありとあらゆる施設が閉まっている。欧米だけでなくアジア各国や、マチュピチュやナスカの地上絵があるペルーをはじめとする中南米など、観光業で成り立っている国でも感染が拡大してきて、日本以上に悲惨な状況になっている。 一方、海外では雇用や賃金を保障するなど国の支援が大きいので、観光業に携わる人の苦境度で言うと、見た目ほどではないかもしれない。日本では旅館や観光バス業界など、明日つぶれてもおかしくないところがたくさんある。観光業に従事する個人への影響度は、日本のほうがひどいかもしれない。 日本はつぶれるところがいくつか出てくる可能性があるので、もしかしたら回復は遅れる。日本は完全に観光客が止まっているわけではないが、実は海外より危ないかもしれない。) Q:経営が厳しくなっているところが多そうですね。 A:(新型コロナウイルスが流行する前は)人がたくさん来て、儲かっているように見えていたが、観光業は全体的に薄利多売だ。だから少しの期間でも、観光客が来なくなると苦しい。宿泊施設も運送業も、レジャー施設も相当厳しいのではないか。 例えば、JAL(日本航空)やANA(全日本空輸)などの基幹となる交通インフラを助けるのは理解を得られやすいと思う。しかし、税金で民間のホテルやレジャー施設を助けることになると、抵抗がある人は少なくないと思う。しかし、そこで働いている人たちは、ぎりぎりの賃金で生活をしのいでいる人が多く、このまま助けがないと、多くの人が苦境に陥るだろう』、日本では、前述のGO TOトラベル キャンペーン程度だが、低価格旅行はこれに入らないので、実効性は疑問だ。
・『海外では大事にされている観光産業  Q:日本と海外で、公的支援に対する考え方の違いがあるのでしょうか。 A:海外の多くの国では観光業の位置づけが高い。GDPに占める割合も大きく、観光産業が大事だという認識が国民全体に共有されている。欧米のほとんどの国では観光は産業の大きな柱だし、文化の保護や活用という観点からも大事にされている。 日本では、自治体の観光セクションは教育や福祉などと比べても地味な部署で、けっして花形の部署ではない。国の省庁においても「文化省」も「観光省」もなく、文化庁と観光庁どまりだ。つまり、役所の中でも一段下に見られている。製造業と同じぐらい大事な産業だととらえている人は少なく、こういう危機のときに公的に支援してもらえる確率も低い。 Q:拡大を続けてきたクルーズ船も、イメージが悪化して打撃が大きそうです。 A:船内ですべて楽しめるというクルーズ船の良さが裏目に出た。限られた空間だからこそ、感染が拡大してしまった。ダイヤモンド・プリンセス号の感染拡大は海外のどこでもトップニュースになって、「クルーズ船はこういうときに弱い」ということが、衝撃的な映像として世界に流れてしまった。 あのインパクトは当分消えないし、コロナが収束したとしても、クルーズ船に以前のように観光客が戻るかどうかはわからない。 Q:博多や長崎といったクルーズ船が寄港していた観光地も、影響を受けているのでしょうか。 A:もちろん一定の影響はあるが、クルーズ船は一見華やかに見えて、実は寄港先にあまりお金を落としていない。夕食を食べてお酒を飲み、宿泊施設に泊まることが最も観光地にお金を落とすのに、それら全部を船の中で済ませてしまう。しかも一気に何千人も来て、渋滞を起こしたりお店に殺到したりして、すぐに引き揚げていく。究極の「一見さん観光」だ。 クルーズ船が来るのは悪いことではないが、力を入れすぎていた観光地もある。1週間に1隻ぐらい来るならまだしも、自治体の予算で港を整備して2隻も3隻も同時に泊められるようにしようとする港もあるが、オーバーツーリズムを引き起こしかねないリスクがある』、「クルーズ船」誘致のため「自治体の予算で港を整備して2隻も3隻も同時に泊められるようにしようとする港もある」、いまや「オーバーツーリズム」を懸念するよりも、船が殆ど来てくれず、大赤字になることを心配すべきだ。
・『大事なのはリスクの分散  Q:いわゆる「オーバーツーリズム」になっていた観光地が、閑散としている今だからこそできる対策はありますか。 A:今回、早々と倒産した事業所の多くは、お客さんを中国人に絞っていたところ。そのため、コロナの蔓延がまず中国で始まったために影響を受けた。もう少しいろんなお客さんを受け入れたり、半分は日本人のために部屋をあけておいたりしたところは、急激にひどくはなっていない。 中国人の団体旅行客と契約したら部屋が毎日100%埋まるので、経営者にとってはある意味楽だった。それに乗っかったところが、最初につぶれた。今回はコロナだったが、2019年は韓国との関係悪化によって韓国に頼っていた九州などの観光地の一部は打撃を受けた。そういったリスクは今後も起こりうる。 Q:リスクの分散が大事だと。 A:今回はすべての国で移動が制限され、国内の客も来られないので、分散していてもダメだったかもしれないが、少なくとも倒産を遅らせることはできた。ブームに乗って、そこだけをターゲットに商売をするのは危なかったし、そのことがオーバーツーリズムを引き起こしていた。日本人の観光客が来ても、「外国人ばかりじゃないか」と不満を抱かれ、敬遠され始めていたところが実際に各地にあった。 これだけ長期間休業することは、平常時ならやりたくてもできない、天から与えられた「シンキングタイム」といえる。各施設が今後どういう戦略で臨んでいくのか、もう一度考え直す機会だ。リスクの分散に加え、先延ばしにしていた安全面などの対策が打てるかもしれない。 まだ危機の途中なので、どうしたら成功するのかはわからない。いったん収束した時点できちんと検証しないといけない。今回のケースが今後の教科書になる。 Q:コロナが収束した後、観光客はすぐに戻るものでしょうか。 A:少なくとも半年ぐらいは、宿泊や交通も含めて相当厳しい状況が続くだろう。夏休みも、国内外を自由に旅行できるかどうか。相当難しいと思う・・・収束したときに、旅行にお金をかけられる人がどれだけの割合になるかも問題だ。日本では不景気になると、真っ先にフリーランスや契約職員、アルバイトが切られて、正社員だけが守られる。今回の危機で「自分はクビにならない。ボーナスは多少下がるかもしれないけど、生活できなくなることはない」と安心している層と、すでに仕事がなくなって困っている層と、ここ十数年で進んだ社会の二極分化によって、完全に分かれてしまっている。 経済的に困っていない大企業の人は、収まればまたすぐに海外や国内に旅行するだろう。だが、経済的なダメージを受けた人はお金が多少入っても、まず家賃や子供の学費に回さなければいけない。旅行は二の次、三の次になる。コロナが収束したとしても、V字回復するかどうか、確証はない。 人は少しでも余裕ができれば、旅行に行きたいものだ。ひとたび旅の楽しさを知った人は、観光客として戻ると思う。ただ戻り方が、場所や人々の経済的な余力によって、まだら模様になるのは間違いない』、ウィズコロナといっても、感染拡大防止と「旅行」を両立させるのは至難の技だ。
・『日本の魅力がなくなったわけではない  Q:インバウンドの今後の見通しは? A:長期的なトレンドとしては、日本に来たいという人はこれからも絶対に増える。中国人の中にはまだ日本に来られない所得層の人がたくさんいて、これから豊かになっていく。東南アジアもそうだ。 今は一時的に落ち込んでいるが、これを機に日本に誰も来なくなるということには絶対にならない。日本の魅力がなくなったわけではないので、これからもラーメンやすしを食べに、あるいは桜や紅葉を見に観光客は来る。 ただ、数さえ来ればいいということを繰り返してはいけない。なるべく違う観光地に誘導するような施策をもっと強くして、日本全体で受け入れるようにしないといけない。「訪日客が戻ったはいいが、また京都は大混雑している」という事態にするべきではない。) Q:外国人観光客向けになってしまった施設は、今後どのような対策が必要なのでしょうか。 A:大阪の黒門市場や京都の錦市場は、ここ10年で完全に外国人のための商店街になってしまった。地元の人は「もう行きたくない」と言っている。行っても買いたいものが手前に置いていない。日本人も外国人も一緒に楽しめる場であるべきで、そこで交流が生まれればいい。今は外国人向けに偏ってしまって、日本人の客を失っている。 外国人しか行かない店に行っても、本来面白くないはずだ。私たちも海外に行って、地元の人がおいしそうに食べているレストランで食べるから楽しいのであって、周囲が観光客だけのお店に行っても、本物を味わったことにはならない。本当のおもてなしを私たちはもう一度取り戻さないといけないと思う。 「おもてなし」の掛け声を背景に、観光地では英語と韓国語、中国語を併記した4カ国語で表示するところが多いが、これもやりすぎだ。私たちがパリやロンドンに行って日本語の看板が至る所にあっても、決して楽しいとは思わない。片言の言葉で苦労しながら道を尋ねたり、料理を注文したりするのが旅の楽しみだと思う』、「4カ国語で表示するところが多いが、これもやりすぎだ」、「やりすぎ」ではなく、まだまだ少ないと思う。「片言の言葉で苦労しながら・・・」は、私個人的には同意できるが、観光客に押し付けるのは問題だ。
・『インバウンドは最大の安全保障  Q:真の意味で旅行客に喜んでもらうために、どうしたらいいか考えるべきだと。 A:その通り。厳しい指摘もしたが、外国人が日本にたくさん来ることには基本的に賛成だ。日本の文化を知ったり、日本に来たときに親切にされたりした経験は、日本のファンになってもらうという意味で、最大の安全保障になる。一度でもその国で親切にされたことがある人、おいしいものを食べた人、豊かな文化に触れた人が、その国と戦争したいと思うだろうか。観光というソフトパワーは、軍備の整備などよりもはるかに日本の平和に資する。 日本人に親切にしてもらった、お店で現地の人と親しく話をした外国人観光客が、たくさん日本に来て、素敵な思い出を胸に戻っていく。そういう人が中国や韓国、東南アジア、ヨーロッパに増えることは、間違いなくいいことだ。だからこそ、日本人も海外にたくさん行ってほしいし、海外の人も日本に来てほしい。 観光業の従事者は、当座をしのぐことで精いっぱいかもしれないが、コロナ後を見据えたリスクの分散を考えておく必要がある。そうしないと、また同じ危機がやってきたときに生き残れない』、第一の記事にもあったが、観光地も「外国人観光客」が殆どいない今こそ、本当に必要な「おもてなし」とは何かもう一度、冷静に考え直す好機にしてもらいたいものだ。

第三に、9月4日付けNewswek日本版が掲載し元外資系証券会社のアナリストで小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏による「D・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2020/09/d_1.php
・『<世界の観光業はコロナ禍で大打撃を受けているが、人が旅をやめることはない。今後は富裕層から順に回復していくだろう。ただし、日本は「観光立国4条件」を満たす国だが決定的な問題がある。本誌「コロナと脱グローバル化 11の予測」より> コロナ禍で脱グローバル化が起こるという議論があるようだが、そんなことは起こり得ないだろう。これまでにもペストやコレラなど、パンデミック(世界的大流行)は何度も起こったが、グローバル化が止まったことはかつて一度もなかった。 観光には「人の移動」が前提となるが、人類はある意味で、地球に誕生してからずっと移動してきた。アフリカにいた人類の祖先が気候変動の影響で絶滅の危機に瀕し、住む土地を求めてアジアやヨーロッパに移動したという世界史的事実が正しいとすれば、人間というのは移動する動物だ。つまり、人類の歴史は「観光」から始まったとも言える。 とはいえ、新型コロナウイルスが蔓延し、どの国でも観光業は止まっている。渡航が制限され、今年1~4月の国際観光収益は1950億ドルもの損失だ。グローバル化の潮流は変わらないが、影響は確かにある。世界観光機関は2017年、30年までに世界で18億人が外国旅行をすると予想していた。だが観光業は成長著しく、最近までその数は20億人を超えるのではないかと言われていた。この20億人はさすがに達成が難しくなり、当初の18億人程度にとどまるのではないか。 コロナ禍が世界の観光業にどのように影響するかといえば、業界の調整が進むとみている。調整される対象は「格安」だ。格安運賃の航空会社や、ぎりぎりの採算で経営している宿泊業などは生き残るのが難しい。私は最近、日本には低単価・低付加価値の企業が多過ぎて、これらの企業の生産性を上げなければならないと各地で訴えているが、それと通じるところがある。 【関連記事】「日本企業は今の半分に減るべきだ」デービッド・アトキンソン大胆提言』、アトキンソン氏は政府の成長戦略会議の委員になったようだ。「パンデミック・・・は何度も起こったが、グローバル化が止まったことはかつて一度もなかった・・・人類はある意味で、地球に誕生してからずっと移動してきた」、さすが説得力がある。
・『復活のためにPCR検査を  私は「おもてなし」などといった曖昧な概念に頼った日本の観光政策に疑問を抱き、15年に『新・観光立国論』、17年に『世界一訪れたい日本のつくりかた』(いずれも東洋経済新報社)という本を上梓した。観光大国になるには気候・自然・文化・食事の4条件を満たす必要があるが、日本はそれら全てを備えた国であり、データに基づいた政策を立てて実行すれば、世界有数の観光大国になれると訴えた。 ここ数年、日本の観光政策は随分と是正されてきていたと考えている。訪日観光客数も、15年の1974万人から19年には3188万人へと目覚ましい伸びを見せていた。世界で観光業の再開がいつ始まるかは政治的判断に左右されるので、私には分からない。それでも、日本が観光立国の4条件を満たしていることは今後も変わらない。) だが、観光業がどの程度回復するかという範囲に関しては、問題が2つある。1つは需要ではなく供給の問題。先ほど述べたように、格安航空会社などが倒産する可能性がある。 もう1つは感情・心理的な問題で、これはたぶん日本に特有だろう。政府はこの夏「Go Toトラベル」キャンペーンを打ち出したが、東京からは来てほしくないという感情が地方で爆発してしまった。全員が感染者であるわけがないのに、一緒くたにされて怖がられた。客観性も根拠もない暴論だが、とりわけ日本では起こりがちだ。 理由は明快で、PCR検査の体制が整っていないから。陽性なのか陰性なのかが分からないから、東京から来る人は全員感染者と捉えられてしまう。大きな批判を受けたGo Toキャンペーンの最大の問題は、その時期ではない。問題の本質は、検査体制などの不備だったと思う。 ただし、外国から日本に来る人は、出発前と到着後の少なくとも2回検査される。そうすると将来的に、国内に住む日本人より、海外の外国人に来てもらうほうが実は観光地にとってリスクが少ないという皮肉な状況になりかねない。インバウンドにせよアウトバウンドにせよ、あるいは国内旅行にせよ、検査が旅行の条件になるはずだ。究極的には観光業の回復は検査に懸かっている。 国同士の交渉次第だが、世界の観光業ではまずプライベートジェットで来るような富裕層、その後ビジネス客、FIT(海外個人旅行)の順に制限が緩和されていくだろう。あとは格安の団体旅行、つまりマスマーケットがどれだけ回復するか。クルーズ船は最後ではないか。 富裕層誘致の戦略に関しては、コロナ禍以前から日本は力を入れ始めていた。中国などアジアからの訪日客を大幅に増やす戦略を世界中から満遍なく来てもらう戦略に変え、大きな成果を上げていた。今後の課題は、欧米やオセアニアなど遠方から来る人と、世界の富裕層をいかに増やしていくかだ。遠方からの観光客は長く滞在し、多くのお金を落とすことがデータから分かっている』、「インバウンドにせよアウトバウンドにせよ、あるいは国内旅行にせよ、検査が旅行の条件になるはずだ。究極的には観光業の回復は検査に懸かっている」、「今後の課題は、欧米やオセアニアなど遠方から来る人と、世界の富裕層をいかに増やしていくかだ」、同感である。
・『「超過死亡」のデータ公表も  政府は20年に訪日客4000万人、消費額8兆円、そして30年には6000万人、15兆円という目標を掲げていた。人数だけを目標に据えるのではなく、観光客1人当たりの消費額を上げる戦略だ。実際その成果は上がり始めていて、訪日客数に占めるアジアの比率は昨年まで2年連続で下がっていた(例えば18年、アジアからの観光客は対前年比8.3%増だったのに対し、ヨーロッパは12.7%増、北米は10.4%増、オセアニアは11.7%増)。 【関連記事】日本の観光地、なぜこれほど「残念」なのか 優先すべきは情報発信より中身の「整備」) 富裕層についても、国立公園を中心に50カ所に世界水準のホテルを造るという戦略を打ち出していた。日本の強みである自然を生かした観光政策で、3密を避けるのにうってつけで、コロナ禍においても有望だ。 繰り返しになるが、そのためにも検査が不可欠だ。観光客を迎えるに当たって、いくら日本ではコロナが蔓延していないと言っても、データなしには信じてもらえない。 検査数が少ないこと、死亡数が過去の平均的水準をどれだけ上回っているかを示す「超過死亡」をタイムリーに公表していないこと。この2つが日本の決定的な問題だ。仮に検査体制をすぐに整えるのが難しくても、超過死亡のデータはもっと迅速に公表できるのではないか。このデータがあれば、コロナによる死亡者は最大でもこの人数だと示せる。国際的な比較ができる重要な指標だが、なかなか公表されない。 コロナ禍においても、グローバル化は止まらず、観光は死なない。だがウイルスと共存していくこれからの世界で、観光業の再生には賢い工夫が求められ、その実行には政治的判断が深く関わっている』、説得力溢れた主張だ。「超過死亡」については、国立感染症研究所の感染症疫学センターが公表しているが、素人が見ても難しくてよく理解できない。
タグ:東洋経済オンライン パンデミック デービッド・アトキンソン インバウンド戦略 (その13)(コロナショック「インバウンド7割減」の衝撃度 観光客の約半分を占める中韓の減少が直撃、苦境下の「人気観光地」がいまするべきこと 『観光公害』著者が説く観光地の現状と対策、D・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」) 「コロナショック「インバウンド7割減」の衝撃度 観光客の約半分を占める中韓の減少が直撃」 韓国の訪日客は約8割減 過去の知見をどれだけ生かせるか GO TOトラベル キャンペーン 「苦境下の「人気観光地」がいまするべきこと 『観光公害』著者が説く観光地の現状と対策」 『観光公害』 佐滝剛弘 今回は戦後初めて直面する大打撃 海外では大事にされている観光産業 国の省庁においても「文化省」も「観光省」もなく、文化庁と観光庁どまりだ。つまり、役所の中でも一段下に見られている 船内ですべて楽しめるというクルーズ船の良さが裏目に出た 限られた空間だからこそ、感染が拡大 コロナが収束したとしても、クルーズ船に以前のように観光客が戻るかどうかはわからない 寄港先にあまりお金を落としていない。夕食を食べてお酒を飲み、宿泊施設に泊まることが最も観光地にお金を落とすのに、それら全部を船の中で済ませてしまう 自治体の予算で港を整備して2隻も3隻も同時に泊められるようにしようとする港もある オーバーツーリズム 大事なのはリスクの分散 平常時ならやりたくてもできない、天から与えられた「シンキングタイム」 もう一度考え直す機会だ。リスクの分散に加え、先延ばしにしていた安全面などの対策が打てるかもしれない 日本の魅力がなくなったわけではない 4カ国語で表示するところが多いが、これもやりすぎだ」、「やりすぎ」ではなく、まだまだ少ない 片言の言葉で苦労しながら 観光客に押し付けるのは問題 インバウンドは最大の安全保障 観光地も「外国人観光客」が殆どいない今こそ、本当に必要な「おもてなし」とは何かもう一度、冷静に考え直す好機にしてもらいたいものだ Newswek日本版 「D・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」」 世界の観光業はコロナ禍で大打撃を受けているが、人が旅をやめることはない。今後は富裕層から順に回復していくだろう。ただし、日本は「観光立国4条件」を満たす国だが決定的な問題がある。本誌「コロナと脱グローバル化 11の予測」より 成長戦略会議の委員 は何度も起こったが、グローバル化が止まったことはかつて一度もなかった 人類はある意味で、地球に誕生してからずっと移動してきた 復活のためにPCR検査を インバウンドにせよアウトバウンドにせよ、あるいは国内旅行にせよ、検査が旅行の条件になるはずだ。究極的には観光業の回復は検査に懸かっている 今後の課題は、欧米やオセアニアなど遠方から来る人と、世界の富裕層をいかに増やしていくかだ 「超過死亡」のデータ公表も 「超過死亡」については、国立感染症研究所の感染症疫学センターが公表
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

日本の外交政策(その8)(「最後は身動き取れなくなった」安倍政権の外交 「トップダウン」が裏目に〈AERA〉、菅外交が早々に迫られるいくつかの「重要な選択」、「外交初心者」の菅首相次第という日本外交の不透明 菅新政権の課題) [外交]

安倍外交については、8月27日に取上げた。今日は、タイトルを変更して、日本の外交政策(その8)(「最後は身動き取れなくなった」安倍政権の外交 「トップダウン」が裏目に〈AERA〉、菅外交が早々に迫られるいくつかの「重要な選択」、「外交初心者」の菅首相次第という日本外交の不透明 菅新政権の課題)である。なお、番号は旧来のものと連続させた。

先ずは、9月9日付けAERAdot「「最後は身動き取れなくなった」安倍政権の外交 「トップダウン」が裏目に〈AERA〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2020090800017.html?page=1
・『思わぬ形で終わりを迎えることとなった安倍政権。韓国・北朝鮮関係では当初、「トップダウン外交」を武器に大胆な対応をみせたが、結果は振るわなかった。AERA 2020年9月14日号では、朝日新聞編集委員の牧野愛博さんがその外交手腕を振り返った。 「外交の安倍」を自任した安倍晋三首相の得意技は「トップダウン外交」だった。首相官邸が戦略を決め、首脳外交で合意を演出する。大胆な外交が可能になる半面、しばしば世論に流される結果を招く。韓国や北朝鮮との関係でも、当初は成果を出したが、最後は身動きが取れなくなった。 安倍首相は当初、日韓関係の改善に積極的だった。慰安婦問題の解決にこだわった朴槿恵(パククネ)政権に対し、2015年12月に日韓慰安婦合意を実現させた。合意当日、首相官邸前に右翼の街宣車が押しかけて抗議するなど、本来の支持層の反発を浴びてまでの決断だった。 安倍首相の決断の決め手は「世論」だった。当時、首相周辺は「慰安婦合意を実現すれば、右派に加えて中道左派までの支持を得られ、歴史に名を残す指導者になれます」と言いながら、安倍首相に決断を促したという』、「トップダウン外交」は世界の潮流でもあるようだ。「日韓慰安婦合意」は右派の「安倍首相」にとっては、確かに思い切った決断だったようだ。
・『慰安婦合意がやり玉に  だが、この思い切った外交は、17年5月に登場した文在寅(ムンジェイン)政権によって破壊される。文大統領は日本に強い関心があるわけではないが、韓国内の政治闘争の延長で朴槿恵前政権の政策を全面否定することに奔走した。そのやり玉に挙がったのが、日韓慰安婦合意だった。 文政権は18年11月、合意に基づく日本政府の拠出金でつくられた財団の解散を発表し、合意は崩壊した。 加えて18年10月、韓国大法院(最高裁)が日本企業に対し、元徴用工らへの損害賠償を命じた判決が、安倍首相の日韓関係改善への熱意を完全に消し去った。首相は判決前から、繰り返し、文大統領との首脳会談で、「賠償を命じる判決が出れば、関係の決定的な悪化を招く」と警告し、文氏も「重大な問題だと理解している」と語っていた。 安倍首相は当初、文氏に好感を抱いていたが、判決後には周囲に「文氏は言う事とやる事が全く違う」と漏らすなど、不信感を強めた。トップがやる気を失ったため、日韓外交は動かなくなった。 文政権の度重なる日本に配慮しない政策で、韓国に対する日本世論が極度に悪化したことも影響した。 同じ現象は、北朝鮮との関係でも見られた。 日本人拉致問題の解決を最重要課題に据えた安倍首相は、北朝鮮に接近し、14年に、北朝鮮が日本人拉致被害者らの再調査を行うなどとしたストックホルム合意を実現した。 ただ、北朝鮮に対する厳しい世論を意識した首相官邸は、北朝鮮が不十分な中間報告を提出することを警戒し、再調査は停滞。結局、日本政府は16年2月、再び独自制裁を決定。北朝鮮は再調査の中止と、拉致問題に関する特別調査委員会の解体を発表するに至った。 安倍首相は、18年に実現した南北や米朝の各首脳会談を受け、得意の「トップダウン外交」を目指したが、不信感を持った北朝鮮側が応じることはなかった。 次期首相が有力とされる菅義偉官房長官は、安倍政権の政策継承を唱える。自民党のベテラン議員の一人は「外交は恋愛とは違う。朝鮮半島に厳しい世論をみて、有権者の支持を得たいという誘惑に駆られる限り、次期政権でも朝鮮半島外交は何も変わらないだろう」と語った』、「次期政権でも朝鮮半島外交は何も変わらないだろう」、というの残念だ。「世論」に迎合的になりすぎるのも問題なのではなかろうか。

次に、9月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元外務審議官で日本総合研究所国際戦略研究所理事長の田中 均氏による「菅外交が早々に迫られるいくつかの「重要な選択」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/248724
・『菅新政権が16日、発足するが、向き合っていかなければならない外交課題も数多い。 コロナ危機により国際構造の変化は加速され、また、11月の米国大統領選挙ではトランプ大統領の再選可能性が低くなってきている。 単純に「安倍外交を継承する」では済まされない重要な選択を、早々に迫られることになる。 日本の国益を守るには大局観に基づく判断と精緻な戦略が必要だ』、興味深そうだ。
・『対米アプローチは見直し必要 「是々非々」でものを言う関係に  安倍外交に対する高い評価の一つはトランプ政権と盤石の関係を築いたことだ。 もちろん、そのためにトランプ大統領を喜ばせる行動に出たことも事実だろう。 ステルス戦闘機F-35の大量購入や、断念することにはなったが新型迎撃ミサイルシステム・イージス・アショアの配備などの膨大な武器の購入、米国がTPPから撤退した後、迅速に日米で貿易合意を締結したことなどについて、米国は安倍首相の努力と配慮を高く評価した。 しかしトランプ政権の対外政策の多くが日本の利益に合致していたわけではない。 TPPだけではなく、気候変動に関するパリ合意やイラン核合意など多国間協力からの撤退や「アメリカ・ファースト」を掲げる一方的行動は決して日本を利するものではない。 現在の情勢から見れば11月の大統領選挙でトランプ大統領が再選される可能性は低い。 コロナ対応に対する国民の一般的評価は低く、経済の急速な回復も望めない。人種差別反対より治安維持に重点を置いたような言動も批判を受けている。 2016年選挙でトランプ氏が勝利した要因の一つは、既成の政治とは縁のない未知の人物に対する期待票だったが、今回の選挙では知り尽くされた人物に対する批判票に直面することになる。 米国内では、コロナ禍での郵便投票の拡大で開票が混乱する恐れのほか、トランプ大統領は郵便投票には不正が伴うとして選挙結果を容易には認めないのではないかとの懸念も強い。 米国が大統領選挙結果を巡り混乱に陥ることは不可避かもしれない』、「大統領選挙結果を巡り混乱に陥ることは不可避かもしれない」、困ったことだ。
・『米国中心の求心力は低下 米国の政策を修正する努力を  トランプ大統領が再選されれば、これまでの日米蜜月的な雰囲気は継続されるだろうが、米国はさらに国際協調主義から遠のいていくだろうし、それは日本にとっても好ましいことではない。 バイデン大統領が選出されれば、伝統的に民主党政権は共和党政権ほど同盟国を重視することはないが、トランプ氏とは異なり、国際協力の道に立ち返るということになるのだろうか。 トランプ氏であれバイデン氏であれ、コロナ後の世界は米国を中心とした西側世界の求心力が低下していく難しい世界となる。 日本の米国への向き合い方も、対米配慮一辺倒というわけにはいかず、コロナ後の新たな情勢の展開に合わせて見直していく必要がある。 その基本は、日米同盟の中で安全保障面を含め日本の役割を増やしつつ、是々非々で米国にものを言い、米国の政策を修正する努力をするといったアプローチになるのではないか。 中でも対中関係が最も重要だ』、「日米同盟の中で安全保障面を含め日本の役割を増やしつつ、是々非々で米国にものを言い、米国の政策を修正する努力をするといったアプローチ」、なかなか難しそうだ。
・『米中対立には精緻な戦略で 守るべき「3つの基本的国益」  中国が新型コロナウイルスの最初の発生地でありながら感染防止にほぼ成功したと伝えられ、ほとんどの国で2020年は10%を超えるようなGDP(国内総生産)の落ち込みがある中で、唯一プラス成長を実現する可能性が高い。 急速に縮まってきた米中の国力の差は一層、縮まることになり、米中間の対立はさらに激化する。 米国の強硬な態度はトランプ再選戦略のための外交だと見る人も多いが、米中の対立は異なる体制間の覇権争いともいうべき構造的問題であり、対立は長く続く。 このまま推移すると、おそらく習近平国家主席が「中国の夢」として世界で突出する強国の実現を目標とする2049年(中華人民共和国創設100周年)に向けて、厳しい米中対峙は続くことになる。 バイデン民主党政権になればトランプ政権がとってきたハイテク分野での中国排除や中国との各種交流に対する制限をいったんは見直しするのだろうが、香港やウイグルでの人権問題に対する意識は高く、総じて対中姿勢が大きく変わることにはならないだろう。 日本にとっての守るべき基本的国益は次の三つだろう。 (1)自由民主主義体制を守るために、米国との同盟関係を通じ中国の覇権的行動を抑止する。 (2)貿易・投資・人の交流など中国との深い経済相互依存関係、並びに中国と密接な経済依存関係があるアジア諸国との経済相互依存体制は日本の繁栄のために失うことができない。 (3)この地域での米中軍事的衝突は日本に波及することは必至であり避けなければならない。軍事衝突の蓋然性が最も高いのは台湾を巡る問題だろう。 これら三つの基本的な国益が相互に矛盾しないよう緻密な戦略がなければならない。 まず必要なことは日本が米、中両国との間断なき戦略対話を行うことだ。 中国は米国との厳しい対立の継続を予想し日本との関係改善を望んでおり、例えば、香港問題では日本が静かに問題提起をし、中国の行動を変えさせていく余地はある。 第二に米中に共通の戦略的利益を見出すことだ。 米ソ冷戦時代に西側諸国と中国との関係が比較的、良好だったのはなぜか。 中国はソ連と国境紛争などを巡り関係が悪化しており、対ソ包囲網を作るうえで中国の存在は西側を利した。 だが現在では米中間には香港、台湾、南シナ海を含め共通の戦略的利益が存在しないことが対立激化の一つの理由だ。 その中で「北朝鮮非核化」は米中だけでなく日・韓・ロの共通利益であり、北朝鮮非核化問題を前進させることが米中対立を緩和させることにもなる』、「北朝鮮非核化」は中国、ロシアにとっては、米国などと「共通利益」と
するが、果たしてそうだろうか。両国が「北朝鮮」をコントロールできるのであれば、自陣営の対西側への対抗力は保持したい筈なのではなかろうか。
・『戦略的なパートナーシップづくりで「中国を変える」ことをめざす  第三に、パートナーシップづくりだ。 日本はASEAN諸国、豪、印、EU諸国などとの戦略的パートナーシップを強化すべきとともに、東アジアサミットやASEANプラス3などの中国を巻き込んだ地域協力を活性化するべきだろう。 もっともトランプ再選となれば米国は東アジアでの地域協力にも消極的な姿勢をとると思われる。 このように日本の戦略はやはり「中国を変える」ことを主目的にすることだ。 中国の成長率は、経済の成熟化や高齢化で今後、低下していかざるを得ず、国際社会との相互依存関係が希薄となっていけば、ますます低下していくことは自明だ。 そこに中国を変えていく鍵があるような気がする。 そのことを考えても、関係国との間断なき協議とパートナーシップづくりを続けることが重要だ』、天安門事件以降、「日本」は「中国を変える」ために、欧米よりソフトに接してきたが、反日教育の開始などで見事に裏切られてきた。同じ過ちを繰り返すのは愚の骨頂だ。少なくとも「中国を変える」などと思い上がった政策は採るべきではない。
・『拉致問題は包括的アプローチで 北朝鮮非核化と「一括解決」  安倍首相が辞任会見で、解決できず「痛恨の極み」と述べた北朝鮮拉致問題や、「断腸の思い」と語ったロシアとの平和条約については改めて考え方を整理する必要がある。 拉致問題については、安倍首相が初期の段階から強い想いを持ち続けた政治家の一人だし、政権のプライオリティとして取り組んできたのは間違いがない。 しかし北朝鮮は諸外国との懸案を自国の生存と関連付けて考えており、日本が拉致問題を核やミサイルという他の重要問題と切り離して解決しようとしても難しい。 一方で北朝鮮が望む経済協力や国交正常化も核やミサイル問題の解決なくしては実現できない。 従って拉致問題に必要なのは「包括的アプローチ」であり、北朝鮮の非核化の過程の中で一括解決するというアプローチをとらざるを得ない。 北朝鮮と恒常的な対話を行い包括的解決の糸口を見つけていかねばならないし、核問題解決のため日本は行動すべきだ。 また北朝鮮との問題を解決していくうえでも、韓国との関係は菅新政権のもとで「新たな出発」をしてもらいたいと思う。 韓国内の革新と保守の分断の激しさや「歴史を巡る反日」が文在寅大統領ほかの革新派の原点的な意味合いを持つが故に、徴用工や慰安婦問題の解決を困難にしている。 また文在寅政権は対北朝鮮融和に走り、日米韓の協力に熱心でない、あるいは中国との連携に走るという傾向がないわけではない。 しかしながら朝鮮半島の安定は日本の死活的利益であり、そのためには韓国との協力を捨象できるものではない』、「拉致問題は包括的アプローチで」、従来の姿勢を継続しろとのことだが、余りに硬直的過ぎて、これでは一歩も進まない。問題を分解して、妥協点を見出していく通常の「アプローチ」に変えることを検討すべきだ。
・『ロシアとは距離をとる必要 領土問題では進展見込めず  ロシアについては少し距離をとるアプローチが必要だ。 ここ数年、日ロの緊密な首脳同士の関係とは裏腹に領土問題についてのロシアの態度は硬化していく一方であり、ロシア側から前向きの姿勢が示されない限り、従来同様のアプローチを続けていくことは再考すべきと思う。 ロシアと欧米についてはサイバーによる選挙介入、ウクライナやベラルーシ問題、プーチン大統領政敵の暗殺を意図したといわれる事件などを通じ、関係は悪化する一方であり、国際社会における立場からいってもロシアにあまり寛容な態度をとるべきではない。 菅新政権はコロナ感染防止と経済回復、中長期的な経済財政構造、そして東京オリンピック・パラリンピック開催問題など山積する多様な国内課題に取り組まなければならないが、対外関係についてもコロナ後の新しい政治経済構造の中で幾つかの重要な選択を行わなければならない。 大局観をもって取り組んでもらいたいと思う』、同感である。

第三に、10月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した朝日新聞編集委員の牧野愛博氏による「「外交初心者」の菅首相次第という日本外交の不透明 菅新政権の課題」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/250435
・『菅義偉政権が発足、7年8カ月ぶりの首相交代で、注目が集まっているのが日本外交の行方だ。 「トップダウン外交」を売り物にした安倍政権下では、外務省の影響力は薄れ、結果的に中国やロシアとの外交が迷走する結果になった。 9月21日の米・トランプ大統領との電話会談を皮切りに、中国・習近平国家主席、韓国・文在寅大統領と電話協議などが相次いで行われたが、首相自身の外交ビジョンも含め、米中「新冷戦」や戦後最悪の日韓関係などの状況で菅政権の外交はどうなっていくのか、見えないところが多い』、興味深そうだ。
・『「安倍外交」の残滓が色濃く対中関係は二階氏が影響力?  菅氏は官房長官時代、外交そのものに強い関心を示したことはほとんどなかった。 典型がロシア外交で、安倍政権が北方領土問題の解決に向けてさまざま政策を打ち出しても、菅氏が口を出すことはなかった。 ただ、国内政治との関係から外交政策に意見することがしばしばあったという。 例えば日中関係では、菅氏は安倍政権が進めた日中関係改善の流れをおおむね支持していたという。 政府関係者の1人は「おそらく、企業と二階さんが原因だろう」と語る。 官房長官を務めていた菅氏の元には、多数の日本企業から「日中関係が冷え込んで商売にならない」という陳情が多数届いていたという。一方、二階俊博自民党幹事長は、自他共に認める「親中派」だ。 二階氏は17日、石破派のパーティーで「中国とは長い冬の時代もあったが、今や誰が考えても春」と語り、日本政府が保留している習近平中国国家主席の訪日への期待感を示した』、「二階氏」はやはり「習近平中国国家主席の訪日」を実現させたいようだ。
・『訪中で託した親書 「官邸官僚」が書き換え  もともと、日中接近の道筋は、安倍政権の「トップダウン外交」が描いた作品だった。 2017年5月、安倍首相が、訪中する二階幹事長に習近平主席宛ての親書を託した。外務省は親書を作成するにあたり、中国が推進する「一帯一路」構想について、「自由と民主主義に貢献する一帯一路を支持する」といった「厳格な条件付き賛成」論を展開した。 谷内正太郎国家安全保障局長の決裁を受けたうえで、首相官邸に提出したが、二階氏に親書を託す直前になって、今井尚哉首相秘書官が「総理の思いを十分伝えていない」と、「条件」の部分を大幅に削減してしまった。 外務省が再び案を練る時間もなく、怒った谷内氏と今井氏が激しく論争する場面もあったという。 こうした、官邸官僚の「忖度政治」は、7年8カ月の首相在任中に秘書官をほとんど代えなかった安倍前首相の政治手法の副産物だった。 霞が関の各省庁幹部が安倍氏にブリーフィングを行う場合、今井氏やその政策を担当する首相秘書官らが、横から「それは総理の考えではない」などと口を差し挟み、最後は安倍氏も苦笑するという光景が日常的に繰り返されていたという。 菅氏の場合、官房長官の時は、官邸官僚が忖度をし横からあれこれ口を出したという話はほとんど聞かない。 ただ、菅氏は内閣人事局を通じた各省庁の幹部人事をもとに、霞が関を巧みにコントロールしてきた。総務相時代も、自らが進めていたふるさと納税制度に異論を唱えた局長を外すなどのこわもてぶりは官僚の間で伝わっている。 安倍政権の場合は、官邸官僚が強制的に首相の応答要領や国会答弁などを書き換えることもしていたが、菅政権になると、霞が関の官僚が菅首相の考えを自ら忖度しようとするかもしれない』、「外務省は親書を作成するにあたり、中国が推進する「一帯一路」構想について・・・「厳格な条件付き賛成」論を展開した。 谷内正太郎国家安全保障局長の決裁を受けたうえで、首相官邸に提出したが、二階氏に親書を託す直前になって、今井尚哉首相秘書官が「総理の思いを十分伝えていない」と、「条件」の部分を大幅に削減」、「今井尚哉首相秘書官」は凄い権勢を振るっていたようだ。
・『米中対立のはざまでバランス外交を踏襲か  それに中国に関する外交では、菅氏の政治的な志向は外務省と相通じる点もある。 中国を巡る国際情勢は今、トランプ米政権が11月の大統領選を前に、過激な対中政策を展開している。 従来、日本や欧州諸国など自由主義陣営は「南シナ海などで力による現状変更を迫る中国に反対する」という姿勢で結束してきた。 日本が唱える「自由で開かれたインド太平洋構想」はその象徴だ。だが同時に、経済分野で中国を完全に排除することは、日本も欧州の企業も望んでいない。 このため、外交当局が反対するのは「中国による現状変更」であり、中国共産党の支配や、中国が唱える「一つの中国」政策には異を唱えていない。 ところが、米国の場合、ポンペオ国務長官が7月にカリフォルニアで行った演説で「自由世界が共産主義の中国を変えなければ、中国が私たちを変えるだろう」と語るなど、中国共産党支配を許さないという姿勢を強めている。 9月には米国務省のクラック次官が台湾を訪問し、蔡英文総統と会談した。中国は激しく反発し、台湾海峡で軍事演習を行うなど、対立はエスカレートし続けている。 こうしてみると、米国の過激な政策をなだめ、日本や欧州などが唱える「穏健な中国との対立路線」に引き戻したい外務省の思惑は、もともと、米中の間でうまく立ち回りたい菅首相の考えと一致するところも多いようにみえる。 10月6日には来日したポンぺオ米国務長官が菅首相を表敬、夕方からは日米豪印四カ国による安全保障対話(QUAD)が行われた。こうした外交舞台を皮切りに、菅政権は米中対立のはざまでうまく立ち回る政策を追求していくことになりそうだ。 ただ、近年の日本外交は安全保障政策に大きく左右されるようになった。 日本周辺の安全保障が安定していた時代は、外務省が日本の国際貢献の一つとして、自衛隊の海外派遣を提案し、主導していた。 ところが、第2次安倍政権の時代、中国が大きく台頭し、尖閣諸島を含む東シナ海や台湾海峡、南シナ海などでの軍事的影響力を強めている。 日本も、中国との外交摩擦は覚悟のうえで、2017年から護衛艦を南シナ海に長期派遣するなど、安全保障を優先的に考えざるを得ない状況になっている。 菅政権も、日本の安全保障を守るため、米国により比重を置いた政策を展開せざるを得ないだろう』、その通りなのだろう。
・『対韓関係は厳しい展開に もともとは融和路線だった  一方、厳しい展開が予想されるのが日韓関係だ。 菅氏は当初、韓国に融和的な姿勢を見せており、2015年12月の日韓慰安婦合意についても、安倍首相の政治決断を促す役割を担っていた。 政府関係者によれば、これは当時の李丙琪駐日韓国大使やその後任の柳興洙大使との親交が大きく影響していた。菅氏は李氏や柳氏としばしば食事を共にし、意見を交換していた。 李丙琪氏は駐日大使時代、菅氏に「慰安婦問題を解決しないと日韓関係が改善できない。日韓局長協議をやりたい」と提案し、菅氏も喜んで応じた。 ただ、局長級協議では、安倍首相と朴槿恵大統領の顔色をうかがって原則論を展開する場面が続き、進展が見られなかった。 李氏は国家情報院長に就任した後の2014年秋、韓国の国家安全保障会議(NSC)で「局長級協議では限界がある。高位級に格上げすべきだ」と提案した。 朴大統領はこの提案を受け入れ、菅官房長官と親交があり、国家情報院長のカウンターパートである谷内正太郎国家安全保障局長とも親しい李氏を対日交渉の責任者に指名した。 当時は日韓双方に信頼関係があったため、「日本の法的責任」という言葉を単なる「責任」と置き換えた。 逆に、日本側が元慰安婦1人あたりの事業費を積み上げた総額は10億円に届かない額だったが、李氏が「自分がポケットマネーを出してもいいから、世論に訴えやすい10円にしてほしい’(注:「億」が抜けている)」と訴えたことで、10億円になったという。 こうした外交当局のやり取りを、菅氏は側面から支えていたという』、なるほど。
・『「李・元駐日大使逮捕」で冷淡に 文政権との関係好転の兆し見えず  菅氏の韓国に対する姿勢が変わったのは、2017年11月。韓国のソウル中央地方検察庁が李丙琪氏を、李氏の院長時代に国家情報院が大統領府に秘密資金を提供した疑いで緊急逮捕した事件がきっかけだった。 この時から菅氏の韓国に対する姿勢は明らかに冷淡になった。 外務省が日韓関係に関するブリーフィングをするときも、「韓国案件は聞きたくない」と言い放ったこともあった。 政府関係者の1人は「あれだけ日韓関係に心を砕いた李丙琪氏を逮捕して、刑務所に送った文在寅政権を許せなかったようだ」と語る。 菅氏は、文在寅政権下で2人目の駐日大使となる、南官杓大使とは2019年5月の着任以来、1度しか会食していない。唯一の会食の際も、2人はぎこちない態度に終始し、和気あいあいだった李丙琪氏や柳興洙氏との関係に比べて極めて冷ややかな空気が漂っていたという。 菅氏は自民党総裁選中に日韓関係についての考えを問われ、「1965年に締結された日韓請求権協定が日韓関係の基本だ」と語り、日本企業に元徴用工らへの損害賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決が、請求権協定を破壊することになるという安倍政権からの日本政府の主張を繰り返した。 24日に韓国側の求めで行われたという両首脳の電話協議でも、菅首相は協議後、「このまま放置してならない旨を伝えた」と語っただけだ。 外務省はこの会談結果について「韓国側において日韓関係を健全な関係に戻すきっかけを作ることを求めた」と説明し、「関係改善は韓国の対応次第」とする安倍政権の姿勢を引き継いだ。日韓関係が好転する兆しは見えない。 日本政府関係者の1人は「日本企業の韓国資産を現金化する動きが止まらない限り、菅首相の訪韓はないだろう」と話す。 韓国が議長国となって、年内の実現を目指す日中韓首脳会議の開催は難しいとの認識を示した』、「菅氏の韓国に対する姿勢は明らかに冷淡になった」契機が、「あれだけ日韓関係に心を砕いた李丙琪氏を逮捕して、刑務所に送った文在寅政権を許せなかったようだ」、案外、「菅氏」は情に厚いところがあるようだが、本来、外交には情は禁物な筈だ。
・『影を落とす外務省の凋落 政治にあわせ強硬論台頭  こうしたなか、永田町・霞が関で懸念する声が出ているのが、外務省の凋落だ。 外務省は「官邸トップダウン外交」を標榜した安倍政権下で、存在感を大幅に低下させてきた。 総合外交政策局は本来、日本政府の外交・安全保障政策のとりまとめ役だったが、今では2014年に内閣官房に設置された国家安全保障局の「ご用伺い機関」(政府関係者の1人)になってしまっている。 国家安全保障局が関係省庁から吸い上げた情報をまとめた後、各省庁に問題のない範囲で提供するため、関係省庁による情報共有は進んだが、外務省主導で政策を仕切る場面は格段に減った。 そして、トップダウン外交を掲げた安倍首相と官僚の統率に力を入れた菅官房長官が仕切った安倍政権時代、外務省内にはより政治家の顔色をうかがう風潮が強くなった。 外務省では過去、「我々の仕事は外国との友好関係を維持すること。外国を攻撃するのが仕事ではない」という意識が強かった。 冷戦時代は、この職業倫理の唯一の例外はソ連課だけだといわれた。当時を知る外務省OBは「ソ連課の連中だけは、ソ連をあからさまに嫌っていた。でも他の地域担当課はそんなことはなかった」と語る。 しかし、冷戦後、中国が新たに台頭するなかで政治家の間で「外務省のチャイナスクール(中国語研修を受けた官僚)は、日中友好に傾きすぎる」という声が強まり、チャイナスクール出身者以外を中国課長やアジア大洋州局長に起用するケースが相次いだ。 この傾向が最近は、韓国を担当する北東アジア1課にも及んでいるという。 北東アジア1課内には「文政権とは何を話しても意味がない」という意見がしばしば飛び交うという。 外務省内では定期的に、在外公館に出る幹部らに対して、韓国の市民団体が世界各地に建立している慰安婦を象徴する少女像の問題を含む歴史認識問題についてブリーフィングを行っているが、最近の研修では、韓国を一方的に糾弾する雰囲気が目立つという』、「外務」官僚には特定の国に肩入れすることなく、冷静で客観的な判断が求められる筈だ。
・『道を踏み外しても助言者のいない危うさ  こうした状況からも、菅政権外交の行方は一にも二にも、外交にはそれほど関心がないとされてきた菅首相その人の器量にかかっているといえそうだ。 もし、道を踏み外しても、それを忠告する勇気のある外交官はもはやほとんど残っていない』、「菅氏」がふるさと納税制度に異論を述べた総務省高官を更迭したように、異論を唱える官僚を切り捨て、忖度して言うことをきく官僚を重用するという狭い「器量」のやり方を続ける限り、「道を踏み外しても助言者のいない危うさ」が大いにつきまとうだろう。
タグ:ダイヤモンド・オンライン AERAdot 田中 均 牧野愛博 日本の外交政策 (その8)(「最後は身動き取れなくなった」安倍政権の外交 「トップダウン」が裏目に〈AERA〉、菅外交が早々に迫られるいくつかの「重要な選択」、「外交初心者」の菅首相次第という日本外交の不透明 菅新政権の課題) 「「最後は身動き取れなくなった」安倍政権の外交 「トップダウン」が裏目に〈AERA〉」 慰安婦合意がやり玉に 次期政権でも朝鮮半島外交は何も変わらないだろう 「菅外交が早々に迫られるいくつかの「重要な選択」」 対米アプローチは見直し必要 「是々非々」でものを言う関係に 米国中心の求心力は低下 米国の政策を修正する努力を 日米同盟の中で安全保障面を含め日本の役割を増やしつつ、是々非々で米国にものを言い、米国の政策を修正する努力をするといったアプローチ 米中対立には精緻な戦略で 守るべき「3つの基本的国益」 戦略的なパートナーシップづくりで「中国を変える」ことをめざす 天安門事件以降、「日本」は「中国を変える」ために、欧米よりソフトに接してきたが、反日教育の開始などで見事に裏切られてきた。同じ過ちを繰り返すのは愚の骨頂だ。少なくとも「中国を変える」などと思い上がった政策は採るべきではない 拉致問題は包括的アプローチで 北朝鮮非核化と「一括解決」 余りに硬直的過ぎて、これでは一歩も進まない。問題を分解して、妥協点を見出していく通常の「アプローチ」に変えることを検討すべきだ ロシアとは距離をとる必要 領土問題では進展見込めず 「「外交初心者」の菅首相次第という日本外交の不透明 菅新政権の課題」 「安倍外交」の残滓が色濃く対中関係は二階氏が影響力? 訪中で託した親書 「官邸官僚」が書き換え 「一帯一路」構想について、「自由と民主主義に貢献する一帯一路を支持する」といった「厳格な条件付き賛成」論を展開 今井尚哉首相秘書官が「総理の思いを十分伝えていない」と、「条件」の部分を大幅に削減 米中対立のはざまでバランス外交を踏襲か 対韓関係は厳しい展開に もともとは融和路線だった 「李・元駐日大使逮捕」で冷淡に 影を落とす外務省の凋落 政治にあわせ強硬論台頭 道を踏み外しても助言者のいない危うさ
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感
前の10件 | -