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今日は更新を休むので、明日にご期待を!

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中小企業(その2)(下請けで苦しむ中小企業は「5%未満」の現実 公的データが示す「イメージと実態」の大乖離、中小企業になりたがる大企業 「減資」はズルいのか?、ゴールドマン銀行免許取得で始まる 日本の中小企業“食い散らかし”) [経済政策]

中小企業については、昨年12月13日に取上げた。今日は、(その2)(下請けで苦しむ中小企業は「5%未満」の現実 公的データが示す「イメージと実態」の大乖離、中小企業になりたがる大企業 「減資」はズルいのか?、ゴールドマン銀行免許取得で始まる 日本の中小企業“食い散らかし”)である。

先ずは、本年1月28日付け東洋経済オンラインが掲載した元ゴールドマン・サックスの「伝説のアナリスト」で 小西美術工藝社社長 のデービッド・アトキンソン氏による「下請けで苦しむ中小企業は「5%未満」の現実 公的データが示す「イメージと実態」の大乖離」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/405935
・『オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。 退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼は、このままでは「①人口減少によって年金と医療は崩壊する」「②100万社単位の中小企業が破綻する」という危機意識から、著書『日本企業の勝算』などで継続的に、日本企業が抱える「問題の本質」を徹底的に分析し、企業規模の拡大を提言している。 今回は「中小企業の生産性が低いのは、大企業に搾取されているからだ」という俗説を検証する』、「アトキンソン氏」の実証的な分析は興味深そうだ。
・『「搾取論」はエピソードベースの議論にすぎない  これから日本では、確実に人口が減少していきます。そんな環境下で成長戦略を探るには、生産性の向上はどうしても避けて通れない問題です。 日本では約7割の労働者が中小企業で働いているうえに、中小企業の生産性が国際的に見て非常に低いのが現状ですので、国全体の生産性が低い主な原因は中小企業にあると言わざるをえません。 逆に考えると、中小企業が強くなって生産性が向上すれば、国全体の経済に大きな好影響を与えることになります。これが日本の目指すべき生産性向上戦略の要諦になります(参考:「中小企業の生産性向上」が日本を救う根本理由)。 この提案は、決して「中小企業の淘汰」や「中小企業で働く人の失業」を加速するものではありません。私の提案の本質は「中小企業を強くする」ことにあります。 中小企業を強化し、生産性が向上すれば、約7割の労働者の給料が上がり、消費需要が増えます。経営者も潤います。生産性向上によって、日本経済も強くなります。現役世代にのしかかる社会保険料負担も相対的に軽くなりますし、高齢者自身も個人負担の増加などを強いられることはなくなります。 大企業も当然がんばるべきですが、大企業には全労働者の2割強しか働いていないので、どうしても全体の生産性を押し上げる効果は小さくなります。) さて、「日本の中小企業の生産性は低い。大企業の半分でしかない」ということを説明すると、「大企業が中小企業を搾取しているから生産性が高く見えるだけで、実は大企業の生産性はそれほど高くないし、中小企業の生産性は言うほど低くない」と反論されることがあります。 この反論は、一部の日本人が得意とする「エピソードベース」の論法です。身近に起きた出来事を引っ張り出し、それを一般化して持論を正当化しようとするもので、「肌感覚」に近いものです。 たしかに、製造業や建設業、またIT関連業界では、大企業による中小企業の搾取の問題は昔から指摘されています。実際、そういう事実も存在するのでしょう。 しかし、だからといって356万社もある中小企業のすべてが大企業による搾取に苦しんでいて、それが生産性低迷の主たる要因だと結論づけるのは危険です。きちんとしたデータに基づいた、徹底的な検証が求められるのは言うまでもありません』、同感である。
・『製造業の中小企業の生産性は低くない  このようなエピソードをベースとする主張は、マスメディアでも散見されます。例えば、2020年12月18日の『朝日新聞』に掲載された「生産性では計れぬものビジネス書にない中小企業の真実」という記事が好例です。 この記事には「生産性は統計学や会計学の世界の話です。それをアップせよというのは、アタマのいい人たちの上からの発想です。ものづくりの現場は、強いて言えば心理学の世界です」とありました。 ものづくりの現場が心理学の世界なのかどうかはともかく、数の上で少数派であり、かつ生産性が低くもない「ものづくり」企業の例を取り上げ、「ビジネス書にない中小企業の真実」などとすべての中小企業に当てはめるのは、著しい論理の飛躍だと言わざるをえません。 まず、中小企業全体の生産性向上と、「ものづくり」の中小企業の実態を同一視していることには大きな問題があります。 そもそも、製造業の中小企業の数は、中小企業全体の10.6%しかありません。 中小企業の中でもっとも数が多いのは小売業で、次に宿泊・飲食です。建設業と製造業がこれら2業種に続きます。 さらに製造業では、中小企業の生産性はそもそも低くありません。国全体の生産性は546万円。それに対して製造業は720万円で、業種別に見ると5位につけています。中小企業だけで比べると、全体の生産性が420万円なのに対して、製造業では525万円です。製造業の中小企業の生産性は、大企業を含めた国全体の生産性とほぼ変わりません。高い生産性を誇っていると言っていいでしょう。 問題は、製造業より企業数が圧倒的に多いうえ、生産性が非常に低い小売業や宿泊・飲食、また生活関連の業種にあるのです。これらの生産性を向上させることが、全体の生産性を向上するうえで極めて重要なのです。 つまり、仮に製造業において大企業からの搾取があったとしても、そのこと自体は日本の中小企業全体の生産性が低い説明要因として生産性は十分ではないのです。ただのエピソードは、何かを主張するうえでのエビデンスにはなりません』、「国全体の生産性は546万円。それに対して製造業は720万円」、「中小企業だけで比べると、全体の生産性が420万円なのに対して、製造業では525万円」、とやはり「中小企業」「製造業」は「全体」に比べ低いが、水準的にはまずまず。「問題は、製造業より企業数が圧倒的に多いうえ、生産性が非常に低い小売業や宿泊・飲食、また生活関連の業種にあるのです」、その通りだ。
・『下請け関係にある企業の割合はわずか5%  では 、実際には、「搾取」はどれだけ行われているのでしょうか。中小企業庁が発表しているきちんとしたエビデンスがあるので、紹介しましょう。 中小企業庁は中小企業の取引関係を調べ、『中小企業白書』にまとめています。その2020年版に、どれほどの中小企業が大手企業の下請け業務を行っているのかが報告されています。大手企業の下請けをしている割合は、「搾取されている可能性がある企業の割合」と考えて問題ないでしょう(あくまで「可能性」であり、当然ですが下請け業務をしているすべての中小企業が搾取されていると言いたいわけではありません)。 この調査によると、広義であっても下請けの取引関係にある中小企業は、全体の5%程度とあります。2017年度では、調査対象の293万554社中、約5%にあたる13万6843社が大手からの業務を受託しているというのが調査の結果です。この5%という数字は、2013年度からあまり変わっていないそうです。 IT関係や製造業では、下請け比率が他の業種より高いのは事実です。2017年度では、情報通信の下請け比率が36.2%で、製造業が17.4%でした。建設業のデータは『中小企業白書』に含まれていないのですが、一般的には約2割と言われています。) 建設業と製造業は、合わせても全体の22.7%しか占めていません。これらに情報通信業を含めても全体の23.9%にしかなりませんので、全体の生産性に与える影響は相対的に小さいと考えるのが妥当です。ちなみに、情報通信の生産性は999万円で、情報通信の中小企業の生産性も636万円と、中小企業としてはかなり高い水準です。 「下請け比率が5%」というのは、実感として少なく感じる人も多いかもしれません。私もこの数字を見て、衝撃を受けました。 この調査には一部の業種、とりわけ建設業が含まれていないことも気にはなります。しかし「中小企業の味方」を使命とする中小企業庁には、下請け比率を少なく見積もるインセンティブは存在しないと考えるのが妥当です。ですから、この程度の企業しか大手の下請け業務をやっていないという現実は、そのまま受け止めるしかないのです』、「下請け関係にある企業の割合はわずか5%」、私も予想外の少なさに驚かれた。
・『生産性の低い業種ほど、下請け比率も低い  一方、業種として生産性が最も低い宿泊・飲食業の下請け比率は0.1%です。生活関連も0.8%で、小売業は1.0%でした。 宿泊・飲食業は中小企業全体の14.2%を占めており、生産性は184万円です。生活関連は10.1%を占めており、生産性は282万円。小売業は17.4%で、生産性は321万円でした。この3つの業界で、中小企業全体の41.8%を占めています。 つまり、下請けの比率が高い業種の生産性は決して低くなく、逆に生産性の低い業種は下請け業務を行っている比率が非常に低いというのが現実なのです。 したがって、仮に大企業の搾取が中小企業の生産性の低さの一因だったとしても、せいぜい5%程度の説明要因にしかならないのです。当然ながら、搾取に対しては対策を打つべきだと思いますが、それが成功したとしても、全体の生産性を大きく向上させる効果は期待できません。 搾取されている業種に従事している人が身近にいるからといって、一部の特殊な業界の例を一般化してはいけません。エピソードや感覚をエビデンスにして何かを主張するには、別途データを用いた検証が求められます。 一般的に、中小企業の中身と実態はほぼ知られておらず、多くの「神話」がはびこっているように見受けられます。実際には少数派なのに、「ものづくり」の中小企業こそ中小企業の代表だと言わんばかりの主張は、先ほど挙げた『朝日新聞』の記事のほかにも、枚挙に暇がありません。 逆に日本企業全体の話になると、そのイメージはごくごく一部しか占めない「上場企業」の姿が想像されていると感じます。ほとんどの日本企業は中小企業であり、同族企業なのに、「株主資本主義が日本経済をダメにした」「日本型資本主義を作らないといけない」などという、大企業にしか当てはまらない理屈になりやすいのはその象徴的な例です。 中小企業について語るときは、イメージをいったん忘れて、実態を表すデータを探してみることをおすすめします。 次回は、「デフレだから生産性を上げられない」という主張を学問的に検証します』、確かに「実態を表すデータ」に基づいた分析・主張が必要なようだ。

次に、3月24日付けNewsweek日本版が掲載した経済評論家の加谷珪一氏による「中小企業になりたがる大企業 「減資」はズルいのか?」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2021/03/post-140_1.php
・『<JTBや毎日新聞、外食チェーンなど、資本金を減らして中小企業化するケースが相次いでいるが、問題の本質はどこにあるのか> コロナ危機による業績悪化をきっかけとして、大企業が「減資」を行い税制上の中小企業に転換するケースが増えている。外形標準課税など法人減税が主な狙いと考えられるが、節税目的の減資が増えれば、法人税の存在が有名無実化してしまう。企業が最も有利に立ち回ろうとするのは当然なので、実態に即した課税が必要だろう。 旅行大手のJTBは、現在23億400万円となっている資本金を減資して、1億円まで減らすと報道されている。外食チェーンのカッパ・クリエイトやチムニーも同様の減資を発表した。 一連の減資の最大の目的は税負担の軽減とみられている。地方税である法人事業税は外形標準課税の対象となっており、資本金によっては企業の損益だけでなく、資本金や従業員数などで税額が決まる。資本金を1億円以下にした場合、税制上は中小企業の扱いになるので、外形標準課税の対象にはならない』、「節税目的の減資が増えれば、法人税の存在が有名無実化してしまう。企業が最も有利に立ち回ろうとするのは当然なので、実態に即した課税が必要だろう」、安易な「節税目的の減資」は望ましくない。
・『過去にはシャープが試みたことも  また、中小企業であれば欠損の繰り越しも有利になるので、赤字を計上している場合には中小企業のほうがメリットが大きい。大企業は、過去10年以内に発生した欠損のうち半額までしか控除対象にならないが、中小企業であれば全額を控除できる。今後、収益を回復できる見込みが高ければ、中小企業になったほうが大幅に税金を節約できるはずだ。 ここで名前を挙げた企業は、旅行や外食などコロナ危機で大きな打撃を受けた業種に属している。過去にも業績が悪化したシャープが減資を試みたケースがあるほか、長く業績低迷が続いてきた毎日新聞社もすでに減資を実施している。過去の累積損失がある企業の場合、減資を実施すれば、財務諸表上、減らした資本金を充当することで累損を一掃できる。 減資による損失一掃はまっとうな資本政策の1つであり、減資という形で会社の信用力を落とす代わりに、帳簿上の損失を消す行為と考えればよい。その意味では、業績悪化に伴う減資そのものは批判されるような行為ではない。 だが、減資の主な目的が節税ということになると話は変わる。 シャープの場合、節税目的ではないかとの批判を受けて最終的に1億円までの減資を断念したことからも分かるように、単に節税目的の減資は社会的にもあまり許容されない。多くの企業が同じような行動に出た場合、税収に影響する可能性があり、税の公平性という点でも問題が出てくる可能性がある。 そもそも地方税における外形標準課税というのは、バブル崩壊後、赤字法人の増加に伴う地方税収の減少を補うために導入されたもので、赤字でも税を負担すべきという考え方に立脚している。業績悪化による減資で節税になるというのは、税の本来の趣旨に反するとの解釈も成り立つ。 もっとも企業というのは、常に合理的に行動するものであり、法の範囲内で利益を最大限追求するのは当然といえば当然の行為であり、こうした企業の営利活動を過度に抑制することもあってはならない。 税制上の中小企業の認定は勘定科目における「資本金」で行われているが、財務会計上は、自己資本全体を一体として判断するのが一般的である。節税のみを目的に減資を行うケースが増えてくるようであれば、資本金のみを基準にするという税制上の区分が適切なのか再検討する必要があるだろう』、「節税のみを目的に減資を行うケースが増えてくるようであれば、資本金のみを基準にするという税制上の区分が適切なのか再検討する必要がある」、同感である。

第三に、7月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した室伏政策研究室代表・政策コンサルタントの室伏謙一による「ゴールドマン銀行免許取得で始まる、日本の中小企業“食い散らかし”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/277014
・『米国ウォール街を代表する投資銀行の一角であるゴールドマン・サックスが今月、日本で銀行業の免許を取得した。さほど注目されないが、彼らの動きは、菅義偉政権が執心する中小企業“再編”という名の淘汰政策に加え、銀行法改正とタイミングを一にしているのが分かる。泣く子も黙るゴールドマンの狙いはずばり、日本各地の優良中小企業を食い散らかすことではないだろうか』、「日本各地の優良中小企業を食い散らかす」とは穏やかならざることだ。
・『ゴールドマンが“今さら”の銀行免許を取得 中小企業淘汰、銀行法改正のタイミング  ゴールドマン・サックスが、日本国内で銀行業の営業免許を取得したというニュースが、7月7日付日本経済新聞電子版(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0702D0X00C21A7000000/)で報じられたが、その後大きな反響はない。ゴールドマンといえば、外資系金融機関の代名詞のような存在であり、彼らが今さら銀行の免許と思われたかもしれない。それも無理はない。 ところが、先の通常国会で成立した銀行法改正案と、菅義偉政権が執心する中小企業淘汰政策とを併せて考えると、泣く子も黙るゴールドマンの狙いと、その危うさがよくわかる』、第一の記事で紹介した「デービッド・アトキンソン」氏は、同社出身で、菅内閣の成長戦略会議の議員として活躍している。主な主張点は、中小企業の統廃合の促進を訴えているので、この問題とも深く関連している。
・『銀行による株式100%取得が非上場でも可能に 優良な中小企業がゴールドマンに狙われる  まず、我が国における銀行業とは何か。 銀行法第2条第2項は、「預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと」および「為替取引を行うこと」と定めている。また第4条第1項では、「銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ営むことはできない」としている。 ゴールドマンのような外国銀行の場合、日本における銀行業の本拠地となる支店を一つ定めて、内閣総理大臣の免許を受けなければならないこととされており(銀行法第47条第1項)、「外国銀行支店」という扱いとなる。 彼らの日本における主力は、銀行のような免許制ではなく、登録制で参入が容易な証券業のゴールドマン・サックス証券だ。今回、ゴールドマン・サックス・バンクUSAの日本支店設立が認められ、晴れて銀行業を営むことが可能となる。 その目的は、結論から言えば、菅政権の中小企業淘汰政策に便乗し、これを利用しようということであろう。 この政策の源流は、菅政権発足直前である昨年7月の「成長戦略フォローアップ」にあり、「事業承継、事業承継の促進」をうたったM&A推進政策という文脈では、中小企業事業承継円滑化法の改正を軸とし、中小企業成長促進法などとして着々と進められてきたものの延長線上にある。 なおゴールドマン・サックスが銀行業の免許取得に係る申請を行ったのは、2019年である。こうした一連の流れや動きを読んでの上での話であろう。 では、この先に何が待ち構えているのか?それは、日本の中小企業が、そして彼らが有する優良技術や優良事業が、事業承継や中小企業の成長、中堅企業化といった美名の下に、ズタズタに切り裂かれ、外資系ファンドやグローバル企業に食い散らかされ、売り飛ばされていく悲惨な光景である。 なぜそうしたことが言えるのか?それは、先の通常国会で閣法として提出され、衆参合わせても7時間弱の審議で可決・成立してしまった、銀行法改正案の中身を読めばよく分かる。 改正案の正式名称は「新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案」である。少々長いが、その心は、新型コロナショックに引っ掛けて、もっともなフリをして改正しようという魂胆だったということであろう。 むしろ、コロナに隠された真の狙いは、銀行自体の業務の範囲の拡大と、出資(議決権の取得等)の範囲の拡大である。 前者は、本来業務の収益が減少の一途をたどってきたところ、本来業務以外にも広く参入を可能とすることで、新たな収益の確保の機会を創出しようというものである。 もっとも銀行の収益の減少の原因は、資金需要の縮小であり、その原因は他でもない、デフレと緊縮財政である。したがって、銀行の収益を改善したいのであれば、国が財政支出を拡大して有効需要を創出することだ。 後者は、これまで制限されていた議決権の取得を大幅に緩和して、非上場の企業の株式であっても100%取得できるようにするというものである。これが、新たに銀行業の免許を取得する者、まさに「ゴールドマン銀行日本支店」にとって、最もうまみがあるポイントだ』、「銀行の収益の減少の原因は、資金需要の縮小」、とあるが、「長短金利差の縮小」が真因である。
・『銀行による株式100%取得が非上場でも可能に 優良な中小企業がゴールドマンに狙われる  まず、我が国における銀行業とは何か。 銀行法第2条第2項は、「預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと」および「為替取引を行うこと」と定めている。また第4条第1項では、「銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ営むことはできない」としている。 ゴールドマンのような外国銀行の場合、日本における銀行業の本拠地となる支店を一つ定めて、内閣総理大臣の免許を受けなければならないこととされており(銀行法第47条第1項)、「外国銀行支店」という扱いとなる。 彼らの日本における主力は、銀行のような免許制ではなく、登録制で参入が容易な証券業のゴールドマン・サックス証券だ。今回、ゴールドマン・サックス・バンクUSAの日本支店設立が認められ、晴れて銀行業を営むことが可能となる。 その目的は、結論から言えば、菅政権の中小企業淘汰政策に便乗し、これを利用しようということであろう。 この政策の源流は、菅政権発足直前である昨年7月の「成長戦略フォローアップ」にあり、「事業承継、事業承継の促進」をうたったM&A推進政策という文脈では、中小企業事業承継円滑化法の改正を軸とし、中小企業成長促進法などとして着々と進められてきたものの延長線上にある。 なおゴールドマン・サックスが銀行業の免許取得に係る申請を行ったのは、2019年である。こうした一連の流れや動きを読んでの上での話であろう。 では、この先に何が待ち構えているのか?それは、日本の中小企業が、そして彼らが有する優良技術や優良事業が、事業承継や中小企業の成長、中堅企業化といった美名の下に、ズタズタに切り裂かれ、外資系ファンドやグローバル企業に食い散らかされ、売り飛ばされていく悲惨な光景である。 なぜそうしたことが言えるのか?それは、先の通常国会で閣法として提出され、衆参合わせても7時間弱の審議で可決・成立してしまった、銀行法改正案の中身を読めばよく分かる。 改正案の正式名称は「新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案」である。少々長いが、その心は、新型コロナショックに引っ掛けて、もっともなフリをして改正しようという魂胆だったということであろう。 むしろ、コロナに隠された真の狙いは、銀行自体の業務の範囲の拡大と、出資(議決権の取得等)の範囲の拡大である。 前者は、本来業務の収益が減少の一途をたどってきたところ、本来業務以外にも広く参入を可能とすることで、新たな収益の確保の機会を創出しようというものである。 もっとも銀行の収益の減少の原因は、資金需要の縮小であり、その原因は他でもない、デフレと緊縮財政である。したがって、銀行の収益を改善したいのであれば、国が財政支出を拡大して有効需要を創出することだ。 後者は、これまで制限されていた議決権の取得を大幅に緩和して、非上場の企業の株式であっても100%取得できるようにするというものである。これが、新たに銀行業の免許を取得する者、まさに「ゴールドマン銀行日本支店」にとって、最もうまみがあるポイントだ』、「100%取得」すれば、あとはファンドにはめこめばよい。
・『「地域活性化」隠れみのに法改正する卑怯さ 国会で「外資系金融による乗っ取り」指摘  改正案の説明資料によると、銀行は「出資を通じたハンズオン支援の拡充」の一環として、非上場の「地域活性化事業会社」に対し、議決権100%出資を可能にするとしている。 「ハンズオン支援」とは、出資先の早期の経営改善や事業再生支援、新事業開拓支援などを意味する。また「地域活性化事業会社」とは、「地域の活性化に資すると認められる事業を行う会社として内閣府令で定める会社」である。 そうは言っても、内閣府令に基づいて事業計画を策定し、地域経済活性化機構や商工会議所、弁護士や会計士、税理士、さらにはコンサルティング会社(銀行の子会社や関連会社であるものを除く)が関与していれば、ほとんどの企業がこの「地域活性化事業会社」になりうる。 つまり、地域活性化事業とは名ばかりであり、非上場企業の株式を100%取得できるというところが一番のポイントであることをごまかすため、煙に巻くための修飾語ということだろう。なんと、卑怯(ひきょう)なことか。 この点に対しては、法案が審議された4月23日の衆議院財務金融委員会(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009520420210423013.htm)で、立憲民主党の長谷川嘉一衆議院議員が、核心を突いた強い懸念を表明している。 「非上場であれば、今までであれば上場していないわけですから買収されないのが通常であったわけですが、非上場であっても議決権、100%出資が可能になるということになるわけであり、銀行が融資状況などを起点として非上場の中小企業を子会社化することもできるということを意味するというふうに私は認識をしております」 「このことは、中小企業にとっては、頼りになる銀行が、頼りにならないどころか、買収サイドになってしまう可能性もあるわけであります。こうした改正が行われるということに対して強い危惧を覚えているところであります」 そして、外資系銀行による中小企業の買収についても懸念を表明し、今回の改正の対象に彼らが含まれるのかについても質問した。だが、金融庁の官僚の答弁は、 「現在、日本では外国の法人が主要株主になっている銀行が存在するというふうに考えております」 と、木で鼻をくくったようなものだった。外国銀行であっても、外国銀行支店として銀行業の免許を取得していれば対象になると素直に答弁すればいいのに、余程やましいところがあるのだろう。かえって長谷川議員の懸念はごもっともだと答弁しているようなものだ。 これに対して長谷川議員は、次のように意見を述べて、再度、懸念を強調した。 「外資の銀行が含まれるのであれば、言葉は悪いんですが、外資銀行が我が国の魅力ある中小企業を乗っ取ることが可能になるということを意味するということになります。このことを併せて申し添えさせていただきます」 ゴールドマンによる銀行業免許の取得の最大の目的は、まさにここにあるということだろうし、長谷川議員はそれを十分理解していたということだ。 だが、こうした指摘は共産党を除く与野党の賛成による可決という「風」の中にかき消されてしまった。 なお自民党の石川昭政衆院議員も、与党議員としてはギリギリの線で「確認」という形で質問し、指摘していたことを付記しておく。同議員は「日本の未来を考える勉強会」の会員であり、自民党内の反緊縮、反構造改革勢力の一人、良識派議員の一人である』、「地域活性化事業とは名ばかりであり、非上場企業の株式を100%取得できるというところが一番のポイントであることをごまかすため、煙に巻くための修飾語」、汚い手に騙される野党議員も情けない。ただ、「長谷川議員」は個人ではかなりいいところまで辿り着いていながら、「立憲民主党」全体を巻き込むことが出来なかったのは、残念だ。
・『中国系銀行5行もすでに免許を取得済み 日経以外の大手メディアも報じない「罪」  現在、外国銀行支店として銀行業の免許を取得しているのは、本年2月22日時点の数値で55行であり、ゴールドマンがその一角に加わったことで56行となった。その中には中国系銀行5行も含まれている。 改正銀行法は11月中頃までには施行されることになる(本稿執筆段階で施行日は確認できず)。そうなれば、先ほどの長谷川議員が懸念する通り、邦銀と言わず外資系と言わず、支援の名を借りた買収合戦が各地で繰り広げられることになりかねない。とりわけ、外資系でも辣腕(らつわん)で知られるゴールドマンだ。彼らの勢いは、邦銀のそれをはるかに上回るだろう。 そんな状況を放置すれば、地方の中小企業は外資系銀行の食い物にされ、地域経済、地域社会は破壊され、雇用も失われて、地域活性化や地方創生どころではなくなっていくだろう。 今回の銀行法改正、そしてゴールドマンによる銀行業の免許取得は、我が国社会経済に多大な影響を与えうるものなのである。だが、多くの人がこのことに気づいていないし、そもそも知らない人があまりにも多いようだ。日経以外の大手メディアが全くと言っていいほど、このことを報道しなかったことによるところが大きいだろう。 加えて、国民を代表する国会議員が、資料やレクチャーの要求を通じ、衆参両院事務局の調査室や国会図書館を通じて、この問題を調べ、勉強することは十分可能であったにもかかわらず、それをしなかった。そうした勉強しない議員たちの「罪」も大きいといえる。 改正案は成立し、施行に向けた準備が着々と行われている。今から廃案にすることは当然出来ないが、将来的に、再改正によって内容を削り、元に戻すことは不可能ではない。しかしそのためには、今回の改正の問題点をより多くの人に知ってもらい、より多くの国会議員に理解してもらって、懸念や反対の声を高め、広げていくことが重要だ。 本稿が、その一助となれば幸いである』、「勉強しない議員たちの「罪」も大きい」、「今回の改正の問題点をより多くの人に知ってもらい、より多くの国会議員に理解してもらって、懸念や反対の声を高め、広げていくことが重要」、その通りだ。
タグ:中小企業 東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 加谷珪一 デービッド・アトキンソン 室伏謙一 (その2)(下請けで苦しむ中小企業は「5%未満」の現実 公的データが示す「イメージと実態」の大乖離、中小企業になりたがる大企業 「減資」はズルいのか?、ゴールドマン銀行免許取得で始まる 日本の中小企業“食い散らかし”) 「下請けで苦しむ中小企業は「5%未満」の現実 公的データが示す「イメージと実態」の大乖離」 「アトキンソン氏」の実証的な分析は興味深そうだ。 きちんとしたデータに基づいた、徹底的な検証が求められるのは言うまでもありません』、同感である 「国全体の生産性は546万円。それに対して製造業は720万円」、「中小企業だけで比べると、全体の生産性が420万円なのに対して、製造業では525万円」、とやはり「中小企業」「製造業」は「全体」に比べ低いが、水準的にはまずまず。「問題は、製造業より企業数が圧倒的に多いうえ、生産性が非常に低い小売業や宿泊・飲食、また生活関連の業種にあるのです」、その通りだ。 「下請け関係にある企業の割合はわずか5%」、私も予想外の少なさに驚かれた。 確かに「実態を表すデータ」に基づいた分析・主張が必要なようだ。 「中小企業になりたがる大企業 「減資」はズルいのか?」 「節税目的の減資が増えれば、法人税の存在が有名無実化してしまう。企業が最も有利に立ち回ろうとするのは当然なので、実態に即した課税が必要だろう」、安易な「節税目的の減資」は望ましくない。 「節税のみを目的に減資を行うケースが増えてくるようであれば、資本金のみを基準にするという税制上の区分が適切なのか再検討する必要がある」、同感である。 「ゴールドマン銀行免許取得で始まる、日本の中小企業“食い散らかし”」 「日本各地の優良中小企業を食い散らかす」とは穏やかならざることだ。 第一の記事で紹介した「デービッド・アトキンソン」氏は、同社出身で、菅内閣の成長戦略会議の議員として活躍している。主な主張点は、中小企業の統廃合の促進を訴えているので、この問題とも深く関連している。 「銀行の収益の減少の原因は、資金需要の縮小」、とあるが、「長短金利差の縮小」が真因である。 「100%取得」すれば、あとはファンドにはめこめばよい。 「地域活性化事業とは名ばかりであり、非上場企業の株式を100%取得できるというところが一番のポイントであることをごまかすため、煙に巻くための修飾語」、汚い手に騙される野党議員も情けない。ただ、「長谷川議員」は個人ではかなりいいところまで辿り着いていながら、「立憲民主党」全体を巻き込むことが出来なかったのは、残念だ。 「勉強しない議員たちの「罪」も大きい」、「今回の改正の問題点をより多くの人に知ってもらい、より多くの国会議員に理解してもらって、懸念や反対の声を高め、広げていくことが重要」、その通りだ。
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台湾(その2)(大前研一「米軍予想"6年以内に台湾有事"はそもそもアメリカが元凶だ」 沖縄 横須賀 横田は標的になる、台湾有事に備え「日本の曖昧性」放置できない事情 アメリカとともに対中抑止構築のための議論を台湾有事に備え「日本の曖昧性」放置できない事情、米国の専門家も危惧 台湾防衛で米国の「弾除け」に使われる日本 日本に「台湾の防衛は日本の防衛」と認める覚悟はあるのか?) [世界情勢]

台湾については、昨年8月4日に取上げた。今日は、(その2)(大前研一「米軍予想"6年以内に台湾有事"はそもそもアメリカが元凶だ」 沖縄 横須賀 横田は標的になる、台湾有事に備え「日本の曖昧性」放置できない事情 アメリカとともに対中抑止構築のための議論を台湾有事に備え「日本の曖昧性」放置できない事情、米国の専門家も危惧 台湾防衛で米国の「弾除け」に使われる日本 日本に「台湾の防衛は日本の防衛」と認める覚悟はあるのか?)である。

先ずは、6月3日付けプレジデント 2021年6月18日号が掲載したビジネス・ブレークスルー大学学長の 大前 研一氏による「大前研一「米軍予想"6年以内に台湾有事"はそもそもアメリカが元凶だ」 沖縄、横須賀、横田は標的になる」を紹介しよう。
・『米国追随で中国と敵対するな2021  年4月16日(日本時間17日)に行われた菅義偉首相とジョー・バイデン米大統領による日米首脳会談を受け、両国が発表した共同声明に、台湾問題が盛り込まれた。これは1972年の日中国交正常化以来初めてのことだ。 フィリップ・デービッドソン米インド太平洋軍司令官(当時)が3月に米上院軍事委員会の公聴会で、中国が6年以内に台湾に武力侵攻する可能性があると発言するなど、ここにきてアメリカは中国に対する警戒を強めている。共同声明で台湾に言及したのは、中国をけん制したいアメリカの意向であり、日本はそれに従ったのだろう。 日本はこれまでも、事あるごとにアメリカの尻馬に乗ってきた。だから今回もアメリカと歩調を合わせ、対中国強硬姿勢をとることをよしとしているのかもしれない。しかし、同盟国だからといって無条件でアメリカに追随し中国と敵対してはならない。アメリカは歴史的に見て、態度を急変する癖があるのだ。日本はこのことをよくわかっておかなければならない。 たとえばアメリカの中東戦略。ジョージ・W・ブッシュはイラクに民主主義を導入するという名目で戦争を仕掛け、イスラム教スンニ派の独裁的指導者であるサダム・フセインを追放し、後に処刑した。ところが、スンニ派のフセインがいなくなった後に民主的選挙を行うと、当然に多数派であるシーア派による政権が発足した。すると、シーア派の盟主であってアメリカと敵対関係にあるイランの影響が強まり、イラクの政情は著しく不安定化したのである。そうしているうちにアメリカはイラクに興味を失って、混乱を残したままイラクから撤退してしまったのだ。 ブッシュの次に大統領に選ばれたバラク・オバマも、アフガニスタンで混乱を発生させた。アメリカの真の敵は9.11の首謀者であるウサマ・ビン・ラディンをかくまう、イスラム原理主義勢力のアルカイダとタリバンの逃避地になっているアフガニスタンだと、米軍のアフガニスタン増派を実行した。しかし、ビン・ラディンが潜伏していたのはアフガニスタンではなくパキスタンだった。アフガニスタンでは、アメリカはNATO同盟国も巻き込み200兆円も使ったにもかかわらず、20年間ほとんど何の成果も上げられず混乱を残したまま、21年9月11日までの完全撤兵が決まった。 エジプトもそうだ。2011年、オバマは中東で市民による非暴力の民主化運動、いわゆる「アラブの春」が始まるとこれを歓迎し、後押しを明言した。しかし、エジプトで30年にわたって独裁を続けていたムバラクが追放され、民主主義に基づいた選挙が行われたものの、その結果政権を握ったのが反米のムスリム同胞団だとわかると態度を一変。裏で糸を引いて自分たちの息がかかった軍人にクーデターを起こさせ、親米の軍事政権を樹立させてしまったのである。民主主義はどこにいった、という批判には耳を貸さなかった。 このように、アメリカという国は、自由、平等、民主という崇高な理念の伝道師のような顔をしてやってきても、それが本当に根づくまで責任をもたないどころか、場合によっては自分たちの都合で、その理念を曲げてしまうことさえ躊躇しないのだ』、「アメリカという国は、自由、平等、民主という崇高な理念の伝道師のような顔をしてやってきても・・・本当に根づくまで責任をもたないどころか、場合によっては自分たちの都合で、その理念を曲げてしまうことさえ躊躇しない」、その通りだ。
・『50年前に犯したニクソンの歴史的愚行  バイデン政権の要職の顔ぶれを見ると、トランプ政権ほどではないものの明らかに反中色が濃い。バイデン自身はこれまで中国に対してそれほど厳しい姿勢はとってこなかったはずだが、アメリカ人の中国に対するイメージを徹底的におとしめたトランプの後遺症が残っていることを考えると、中国に甘い顔をできないことは理解できなくもない。 だからといって、中国が台頭をしてきてアメリカを脅かそうとしているから気に食わないというのは、そもそも筋が通らずおかしな話だろう。なにしろ、今の中国をつくったのはアメリカ自身だからだ。 1971年に中華人民共和国(共産党)が国連に加盟し安全保障理事会の常任理事国メンバーになると、それまで常任理事国だった中華民国(国民党)は国連から追放された。ベトナム戦争終結に中国の協力が必要になったため、当時のニクソン米大統領とキッシンジャー大統領補佐官が画策したのだ。これは翌年のニクソン訪中、さらに79年の米中国交樹立につながっていく。 このニクソン・キッシンジャー外交は今でも高く評価されているようだが、私に言わせればとんでもない愚行だった。2人ともアジアの歴史に疎かったのだ。 中国は第2次世界大戦の戦勝国だったが、当時の連合国側で中国代表とされていたのは国民党政権(中華民国)で、事実カイロ会談に中国代表として参加していたのは、毛沢東ではなく蒋介石だった。終戦後、中国では国民党と共産党との内戦が再開。49年に毛沢東が北京で中華人民共和国の建国を宣言すると、国民党は台湾に逃れて政権を維持、現在も中華民国こそが中国の正統政権と主張している。 アメリカがどうしても中華人民共和国を国連に引き入れたかったのであれば、その前に共産党政権と国民党政権の間に立って和平協定を締結させ、ひとつの中国にすべきだったのである。それで2度と国共で戦闘をしないよう、国共内戦の最後の戦場となった福建省の厦門アモイあるいは金門島か馬祖島に議会を置く。ニクソンとキッシンジャーがそのような提案をすれば、〓小平ならきっと受け入れたはずだ。 結局、敗戦国で立場の弱い日本もアメリカに従わないわけにはいかず、田中角栄が周恩来と握手して日中国交正常化した。そのせいでそれまで仲の良かった台湾(中華民国)には、大使も送れなくなってしまったのである。 アメリカはその後も中華人民共和国をWTOに加盟させたり、大量の学生を自国に留学させ成長と発展のノウハウを教えて送り返したりと、中国の発展に手を差し伸べ続けた。同時にアップルなどのアメリカ企業の生産工場としても利用していった。その結果、中国は成長する経済力を背景に軍事力も高め、気がつけばアメリカの覇権を脅かすほどになっていた。まさに現在の中国の脅威の原因は、中華民国を国連から追い出し、中華人民共和国を国連安保理の常任理事国にしたニクソン・キッシンジャー外交であり、アメリカ自身なのだ』、「現在の中国の脅威の原因は、中華民国を国連から追い出し、中華人民共和国を国連安保理の常任理事国にしたニクソン・キッシンジャー外交であり、アメリカ自身なのだ」、その通りだ。
・『台湾有事では日本も戦場に  さて、今後6年以内にも起こりうると言われる米中間で台湾有事が勃発したら、日本も無傷ではいられない。安倍前政権が集団的自衛権を認める安保法を策定したから、アメリカが有事の際、日本も参戦できるようになった。日本は戦争に関わりたくないから基地を使わないでくれとは言えないのである。まず、沖縄の嘉手納や普天間は間違いなく狙われる。アメリカ第7艦隊が配備されている横須賀、それから横田も中国の攻撃対象となるだろう。佐世保や岩国もやられるかもしれない。台湾問題でアメリカと共同歩調をとると言ったら、そこまで覚悟しなければならないのだ。 米中にも相当な被害が及ぶと思われる。米中は政治的には対立しているが、経済的には現在供給不足が深刻な半導体や先述のアップル製品が代表されるように、サプライチェーンがガッチリ構築されて結びついている。従って、台湾有事となれば、経済活動が世界規模で停滞するだろう。 台湾自体は物理的に破壊される可能性大。軍事大国化した中国相手では、いざ事が起これば、カナダやオーストラリアあたりに逃台湾有事は誰にとってもいいことはひとつもないげ出す台湾人は続出するだろう。つまり、台湾有事は誰にとってもいいことはひとつもないのだ』、「台湾有事は誰にとってもいいことはひとつもない」、同感である。
・『英連邦のような緩やかな連合体の「中華連邦」をつくるしかない  中国と台湾に関しての私の持論は、ニクソン・キッシンジャー以前に戻り、英連邦のような緩やかな連合体の「中華連邦(コモンウェルス・オブ・チャイナ)」をつくるしかないということだ。実際、私が台湾の経済顧問を務めていたときに、当時の李登輝総統にこれを提案したことがある。彼はたいへん乗り気だったが、北京側が連邦制を認めたがらなかったため残念ながらそのときは実現しなかった。だが、香港や新疆ウイグル自治区の統治で世界中から非難を受けている今なら、台湾を無傷で統治できるようになる連邦制を中国が受け入れる可能性はゼロではないだろう。 ただ、キッシンジャーを超えるような外交力はバイデン政権にはないだろう。日本がアメリカに「中華連邦」のような構想を提言する手もあるが、「ジョー」「ヨシ」と呼び合って首脳同士の親密さをアピールする程度の外交力では期待するだけ無駄であろう。 本稿で述べたとおり、中東だけでなくまさに中国に対しても態度を急変させてきたアメリカに従属して、今(日本にとっては2000年も付き合いがある)中国と敵対することは絶対にしてはならない。中国とは経済的結びつきを強化して、日本は衰退からの脱却を図る。米中のはざまに置かれた日本外交は、このことを確実に肝に銘じるべきである』、習近平時代になって、「中華連邦」は現実味を失った。なにやら、現在の「戦狼外交」に突き進む習近平にとっては物笑いの種にしかならないだろう。

次に、6月7日付け東洋経済オンラインが掲載した調査報道チームのAPI地経学ブリーフィングによる「台湾有事に備え「日本の曖昧性」放置できない事情 アメリカとともに対中抑止構築のための議論を」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/432231
・『米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。 独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく』、興味深そうだ。
・『アメリカの戦略的曖昧性政策  台湾有事が勃発した際、日米両国はそれぞれ、もしくはともにどのような対応をするのか。これは過去50年にわたる東アジアの国際政治において非常に敏感な問いとして扱われ、その答えは曖昧にされてきた。 中国と国交正常化をするなかで日米両国は台湾の主権問題に関する中華人民共和国政府の立場を「認識する」(アメリカ)または「十分理解し、尊重する」(日本)としたが、自国の立場は明確にせず、あくまでも両岸問題が当事者間で平和的に解決されるよう求めてきた。 しかし中国の軍事力が増大し、米中関係、中台関係の融和的時代がともに終焉を迎えている今、日米ともにその従来の曖昧な立場を見直す声が出ている。中国に対して、両岸問題は武力ではなく平和的な方法でしか解決の道はないと思わせ続けるために、日米は台湾有事への対応を粛々と検討し、備え、対中抑止の一貫としてそれを戦略的に発信するべき時に来ている。 台湾有事をめぐる日米の曖昧な立場は、それぞれ異なる歴史的、戦略的背景のもとで形成された。アメリカの政策は一般的に「戦略的曖昧性(Strategic Ambiguity)」と呼ばれる。これは両岸問題の平和的な解決を実現するために、アメリカがいつ、どのように、台湾の防衛に介入するかを曖昧にすることで、北京、台湾の両政府による挑発的・冒険的な行為を抑制するという政策だ。) 1979年、アメリカは台湾の中華民国政府と同盟関係を解消したが、国内法の台湾関係法によって台湾防衛に寄与し続けることを約束した。一方で、中華人民共和国政府を「中国の唯一の合法政府」と認めた限り、アメリカは台湾の法的な独立(De jure independence)を能動的に支持しない立場をとった。 アメリカが軍事的に介入する可能性を残すことで中国の台湾侵攻を抑止し、アメリカが介入しない可能性を残すことで台湾の冒険的な行為も抑止するという「二重の抑止(Dual deterrence)」を確立し、台湾海峡における一方的な現状変更を防ごうとしてきたのである。 この戦略的曖昧性政策の是非は、冷戦終結後ソ連が崩壊し、米中関係が見直されるたびに議論されてきた。2000年2月には、両岸問題は「平和的」かつ「台湾の人々の同意のもとに(with the assent of the people of Taiwan)」解決されなければいけないとクリントン大統領が発言したが、これは台湾の民主化という大きな変化を汲み取ったうえでの政策の更新であった』、「アメリカが軍事的に介入する可能性を残すことで中国の台湾侵攻を抑止し、アメリカが介入しない可能性を残すことで台湾の冒険的な行為も抑止するという「二重の抑止(Dual deterrence)」を確立」、という「戦略的曖昧性政策」は微妙なバランスの上に成立している。
・『「戦略的明瞭性」よりも  最近では昨年9月にアメリカ・外交問題評議会会長リチャード・ハース氏等の記事を発端に、本政策の見直し議論が活発化している。香港での一連の動向や人民解放軍による台湾海峡での威嚇行為などから「当事者間での平和的解決」への悲観的観測が広がっていること、戦略的曖昧性政策の基盤であったアメリカの圧倒的な軍事的優位性が揺らいでいることを受け、アメリカは中国が台湾侵攻を行えば介入すると明言し対中抑止を強化すべきという意見が提示されたのだ。 こうした「戦略的明瞭性」政策への転換を求める声に対し、アメリカの国家安全保障会議・インド太平洋調整官カート・キャンベル氏は先月上旬、「戦略的明瞭性」よりも、外交や防衛技術革新、アメリカの軍事力を背景にして、中国政府に一貫したシグナルを送ることこそが台湾海峡の平和と安定に最も効果的な方法だと継続性を訴えた。 アメリカの同盟国であり、台湾と地理的に近接する日本もまた、台湾有事における対応を曖昧にしてきた。だがここで特筆すべきは、日本の曖昧性はアメリカのそれと本質的に異なり、北京・台湾それぞれに向けた「二重の抑止」を目指した戦略に基づくものではないということだ。 冷戦時代、この議題が国会で議論されることはあっても、その焦点は台湾有事におけるアメリカの在日米軍基地使用を認めるのかという議論が中心だった。日米同盟における事前協議制度について本稿で詳しくは扱わないが、現行の日米安保条約では、もしアメリカ政府が台湾での「戦闘作戦行動」のために在日米軍基地を使用する場合、日本政府への事前協議が求められており、その際日本の立場は「イエスもノーもありえる」というのが政府の見解だ。 日中国交正常化の2カ月後である1972年11月に発表された政府統一見解において、当時の大平正芳外相は、台湾有事における日米安保条約の運用について「わが国としては、今後の日中両国間の友好関係をも念頭に置いて慎重に配慮する所存」であると述べた』、「日本の曖昧性はアメリカのそれと本質的に異なり、北京・台湾それぞれに向けた「二重の抑止」を目指した戦略に基づくものではない」、「焦点は台湾有事におけるアメリカの在日米軍基地使用を認めるのかという議論が中心」、なるほど。
・『玉虫色の統一見解  しかし当時の外交資料によれば、日本政府は即座にアメリカ政府に対して、この「をも」という助詞に注目するよう訴え、「日米関係の重要性はわが国にとって最も重要であり、安保条約の運用にあたってはこの点を第一義的に考慮する」と説明した。台湾防衛をめぐる日米同盟と対中外交の対立をくぐり抜けるために作られた、まさに玉虫色の統一見解だった。 冷戦後、日米ガイドラインの見直しに伴い周辺事態法が制定された際も、日本が米軍への後方支援を行う「周辺事態」に台湾有事が認定されるか否かはあくまで事態の性質によるという答弁がされてきた。 日中国交正常化交渉に携わった外交官、故・栗山尚一氏は回顧録でこう語っている。 「万が一に台湾海峡有事になった時に日本がどう対応するかは、アメリカにとっては当然のことながら一大関心事なのです。一大関心時だけれど、あらかじめ日本を問い詰めれば、藪から蛇が出るような形になりかねないとアメリカは分かっている。 日本の責任ある政治家も、問い詰められた時に台湾を守るとはっきり言うことは、いろいろな意味で問題が起きるとわかっているのですね。したがって、端的に言えば、どっちとも言わないということに意味があるのだということで理解していると思うのです」(栗山尚一著、中島琢磨、服部龍二、江藤名保子編、『外交証言録沖縄返還・日中国交正常化・日米「密約」』(岩波書店、2010年)117-118ページ)) アメリカの同盟国であり、台湾と地理的に近接する日本もまた、台湾有事における対応を曖昧にしてきた。だがここで特筆すべきは、日本の曖昧性はアメリカのそれと本質的に異なり、北京・台湾それぞれに向けた「二重の抑止」を目指した戦略に基づくものではないということだ。 冷戦時代、この議題が国会で議論されることはあっても、その焦点は台湾有事におけるアメリカの在日米軍基地使用を認めるのかという議論が中心だった。日米同盟における事前協議制度について本稿で詳しくは扱わないが、現行の日米安保条約では、もしアメリカ政府が台湾での「戦闘作戦行動」のために在日米軍基地を使用する場合、日本政府への事前協議が求められており、その際日本の立場は「イエスもノーもありえる」というのが政府の見解だ。 日中国交正常化の2カ月後である1972年11月に発表された政府統一見解において、当時の大平正芳外相は、台湾有事における日米安保条約の運用について「わが国としては、今後の日中両国間の友好関係をも念頭に置いて慎重に配慮する所存」であると述べた』、「今後の日中両国間の友好関係をも念頭に置いて」、とは「曖昧性」の極致だ。
・『玉虫色の統一見解  しかし当時の外交資料によれば、日本政府は即座にアメリカ政府に対して、この「をも」という助詞に注目するよう訴え、「日米関係の重要性はわが国にとって最も重要であり、安保条約の運用にあたってはこの点を第一義的に考慮する」と説明した。台湾防衛をめぐる日米同盟と対中外交の対立をくぐり抜けるために作られた、まさに玉虫色の統一見解だった。 冷戦後、日米ガイドラインの見直しに伴い周辺事態法が制定された際も、日本が米軍への後方支援を行う「周辺事態」に台湾有事が認定されるか否かはあくまで事態の性質によるという答弁がされてきた。 日中国交正常化交渉に携わった外交官、故・栗山尚一氏は回顧録でこう語っている。 「万が一に台湾海峡有事になった時に日本がどう対応するかは、アメリカにとっては当然のことながら一大関心事なのです。一大関心時だけれど、あらかじめ日本を問い詰めれば、藪から蛇が出るような形になりかねないとアメリカは分かっている。 日本の責任ある政治家も、問い詰められた時に台湾を守るとはっきり言うことは、いろいろな意味で問題が起きるとわかっているのですね。したがって、端的に言えば、どっちとも言わないということに意味があるのだということで理解していると思うのです」(栗山尚一著、中島琢磨、服部龍二、江藤名保子編、『外交証言録沖縄返還・日中国交正常化・日米「密約」』(岩波書店、2010年)117-118ページ)』、「あらかじめ日本を問い詰めれば、藪から蛇が出るような形になりかねないとアメリカは分かっている」、「曖昧さ」を残すのも外交交渉ノテクニックのようだ。
・『対中抑止戦略から考える台湾有事への政策を  しかし米中パワーバランスが変化し台湾有事の蓋然性が相対的に高まる今日、日本は従来の曖昧性を再検討し、対中抑止という観点から台湾有事への対応を検討・準備し、対内的に議論、対外的に発信する時期に来ている。 まず台湾有事と一言にいってもそのシナリオによって日本の自衛隊の活動範囲や内容はおのずと変わってくるため、想定されうるシナリオごとに外交、軍事、経済面それぞれで対応できるよう粛々と準備を行う必要がある。 日本には台湾関係法のように、平時から台湾と直接的に軍事協力を行う法律的根拠はないが、たとえば台湾有事の際に同時に在日米軍基地や南西諸島という日本の国土が攻撃されれば、日本は自衛権を発動し自衛隊を動員することになる。よって、日本はまず日米安保条約の運用、もしくは南西諸島防衛という文脈から、平時から台湾とも情報交換などの協力を行っていく必要がある。  また、台湾有事の日本の対応の選定には、言うまでもなく日本の世論が重要になるため、平時からさまざまなシナリオへの国民理解を醸成していく必要がある。軍事面以外でも、主権国家ではなく経済地域としても加入できる多国間貿易協定への台湾の加入をサポートするなど、戦略的に国際社会を巻き込む努力が必要だ。 一方、こうした台湾有事をめぐる日本の準備や議論の主たる目的は対中抑止であり、最終的には中国がそれをどう受け止め認識するかが重要だということを忘れてはならない。そこで注意すべきは、日本の台湾統治の歴史から中国政府・国民が日本の意図を誤認識する危険性、またはそれを政治利用する危険性である。 中国にとって、中国「百年来の屈辱 (century of humiliation)」の時代に台湾を統治していた日本が台湾の防衛に関わることは歴史的・政治的に重大な意味を持ち、従来から中国政府は台湾防衛における日本の役割が拡大することを非常に警戒し、アメリカ以上に猛反発してきた』、「中国「百年来の屈辱 ・・・」の時代に台湾を統治していた日本」、中国にも複雑な感情があるようだ。
・『日米間での焦燥感や不信感が生まれるリスクも  もし日米が共同で台湾との協力を深めても、中国が日本だけをターゲットに批判キャンペーンを繰り広げ、さらには経済的な報復を行うなど、地経学的な争いに発展する可能性は高い。その場合、経済界を中心に日本の世論は動揺し、分断され、結果として日米間の足並みが崩れ、日米間での焦燥感や不信感が生まれるリスクも考慮する必要がある。 また台湾有事に向けた準備や協力に関して戦略的な発信の努力を怠れば、逆に習近平政権が台湾への強硬政策に乗り出す国内政治上の口実を与えてしまう危険性もある。日本政府は台湾海峡の平和と安定が日本国民の生命と財産を守るうえで重要であること、台湾海峡での一方的な現状変更を支持しないことを繰り返し発信し、この原則の下に日本の対応を説明していく必要があるだろう。 (寺岡 亜由美/プリンストン大学 国際公共政策大学院安全保障学博士候補生)』、「日本政府は台湾海峡の平和と安定が日本国民の生命と財産を守るうえで重要であること、台湾海峡での一方的な現状変更を支持しないことを繰り返し発信し、この原則の下に日本の対応を説明していく必要」、曖昧さがあっても、具体的問題で大いに情報発信してゆくべきだ。

第三に、7月2日付けJBPressが掲載した軍事社会学者の北村 淳氏による「米国の専門家も危惧、台湾防衛で米国の「弾除け」に使われる日本 日本に「台湾の防衛は日本の防衛」と認める覚悟はあるのか?」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65874
・『岸信夫防衛大臣は米メディア(ブルームバーグ)のインタビューに答える形で、台湾の平和と安定は「日本に直結している」との認識を示した。台湾の防衛が日本の防衛と直結していることを認めたことになる。 日本が中国を仮想敵に据えている限り、台湾の防衛と日本の防衛は切っても切り離せない関係にあるというのは極めて当然の原理である。しかしながら、日本の防衛大臣や総理大臣がこの“原理”を公に語ることは稀であるため、アメリカ軍や政府関係者たちの間で岸大臣の発言は歓迎されている。 日本の防衛大臣が「台湾の防衛は日本の防衛」という趣旨を語ったということは、「中国に攻撃された台湾を防衛するため、アメリカが軍事的支援を実施する場合、日本も当然アメリカの同盟軍としての役割を果たすであろう」とアメリカの軍人や政治家、安全保障専門家などの多くは(単純に)理解しがちで岸大臣ある。したがって、日本の「決意」はアメリカの国益と一致しており、大いに歓迎されるのである』、「岸大臣の発言は」「歓迎されている」とはいえ、ここまで明確に述べるのは問題がありそうだ。本来は審議会などで審議すべきだろう。
・『「不安定な状態」を維持したいアメリカ  ここでいうアメリカの「国益」とは、「中国と台湾の間に不安定な状態が続くこと」を意味する。日本がアメリカの同盟国としての役割を果たすことは、「不安定な状態」の維持に寄与するというわけだ。) ただし注意が必要なのは、「不安定」といっても、アメリカの軍事的介入が必要になるほど激しい軍事対立では困る、というのがアメリカ側の真意だ。そうではなく、「中国が台湾に軍事侵攻する危険性が高いものの、現実に軍事攻撃が実施されることはない」という「曖昧な不確定戦争」といった状態が続いているのが望ましいのだ。 このような状況ならば、アメリカが実際に中国軍と戦火を交える必要はないものの、台湾を軍事的に支援する大義名分を掲げて、台湾海峡や東シナ海、南シナ海に空母艦隊や爆撃機などを展開させて「アメリカが台湾という民主主義国家を守っている」というデモンストレーションを展開することができる。 そして日本政府や日本国民が「台湾の防衛は日本の防衛」と認識しているのならば、アメリカ軍による台湾防衛のためのデモンストレーションはそのまま日本防衛のデモンストレーションにもなるのである。 したがって、アメリカ軍が日本国内に確保してある軍事拠点を大手を振って好き勝手に用いても何も気が咎(とが)めることはない。なんといってもアメリカ軍は台湾防衛(すなわち日本の防衛)のために巨額の運用費がかかる空母部隊や爆撃機などで中国側を“威嚇”しているのだ』、なるほど。
・『自衛隊が“多国籍軍”の先鋒に  では万が一、中国による台湾に対する軍事攻撃が実際に起きた場合には何が起こるのか。その場合、沖縄、佐世保、岩国、横須賀、横田といった米軍基地は最良の前進軍事拠点となる。日米安保条約や日米地位協定の取り決め以上に日本側が「台湾防衛は日本防衛」と考えているからには、日本各地に点在する軍事施設を米軍が自由に用いることが保証されることは疑う余地がない(と米軍側は考えるであろう)。 そして「台湾の防衛は日本の防衛」であるならば、アメリカが主導して編成する台湾支援“多国籍軍”(注)の先鋒として、自衛隊艦隊や航空戦隊、それに水陸両用部隊などが投入されることになるであろう。なんといっても台湾を巡る戦闘においては、日本の地理的位置は民主国家のうちでも群を抜いているからだ。多国籍軍の先鋒を務める海・空・陸自衛隊諸部隊は、数千発の各種ミサイルが降り注いで生活のインフラを破壊された台湾の人々を救援・救出するため、台湾に接近上陸することになる。 (注)中国が安保理常任理事国である以上、国連軍が編成されることはあり得ず、アメリカが音頭を取って編成する多国籍軍の可能性が高い。ただし、相手が中国であるため、多国籍軍に参加し軍隊を派遣する国がいくつ集まるかは大いに疑問である。 このような困難かつ危険極まりない先鋒任務をアメリカ自身が行う必要はない。「台湾の防衛は日本の防衛」である以上、隣国の日本が「唯一に近い日本の真の友好国」である台湾の人々を救出するのは当然だからだ』、「多国籍軍」とはいっても、日本の他には、オーストラリア、ニュージーランド程度で、他のアジア諸国は参加をためらうだろう。
・『弾除け的に使われる“属国”  このシナリオのように、属国や従属国を弾除け的に使うのは、アメリカの軍事的師匠筋にあたるイギリスがしばしば用いた伝統的手法である。 イギリスは第一次世界大戦きっての激戦であったガリポリ上陸戦で、最も困難な激戦地点にオーストラリア軍とニュージーランド軍の部隊を投入した。) 同様に第二次世界大戦においても、日本との戦端が開かれた場合に、イギリスの極東最大の拠点である香港を日本軍が攻略することは目に見えていたため、全滅する可能性が高い香港防衛部隊をカナダ軍にあたらせていた。 そしてヨーロッパ戦線でも、ディエッペ上陸作戦の主力としてカナダ軍部隊を投入した。ディエッペ上陸作戦は、西ヨーロッパ全域を占領したドイツ軍への反抗拠点を確保する実験的上陸作戦であり、極めて危険な自殺的作戦であった。 このようにイギリスは、英連邦内の“二級国家”オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの“二級国民”による志願兵部隊を、当初より多大な犠牲が見込まれる作戦に投入したのである。 一方の“二級国家”側も、イギリスの本意は承知してはいたものの、真の独立国としての地位を勝ち取るために自国民の犠牲はやむを得なかった。結局、第二次世界大戦後、イギリス自身の軍弾除け的に使われる“属国”事的地位が低下したことも相俟って、それら諸国は真の独立国家としての地位を獲得したのである』、「弾除け的に使われる“属国”」、とは哀れだ。日本がこんな使われ方をされても文句はいえないだろう。
・『日本列島に撃ち込まれる長射程ミサイル  アメリカにとっても、台湾を巡って中国と本格的な戦争へ突き進むことは99.9%避けなければならない。しかし、中国による台湾への軍事攻撃に際して何もしないのではアメリカの軍事的威信は地に墜ちる。そこで台湾の人々を救出するという大義を押し立てて、アメリカの“属国”である日本の“二級国民”を危険かつ困難な先鋒部隊として台湾に突入させ、自らは「出動宣伝効果」は極めて大きい空母部隊2セットを沖縄南方200海里沖付近と沖縄西方100海里沖付近に展開させ、多国籍軍先鋒を務める勇敢な自衛隊部隊を支援する態勢をとるのである。 そして、台湾問題に日本が軍事介入したことを口実に中国軍が日本列島に長射程ミサイルを連射して、日本の戦略要地が大損害を受けた場合には、国連安保理で停戦協議を開始するのだ。 話を冒頭に戻そう。アメリカ側の多くの人々は、日本が「台湾の防衛は日本の防衛」と認識していることを歓迎している。だが、日本の防衛政策の現実を熟知している専門家の間では、「台湾の防衛は日本の防衛」ということは日本が上記のような流れに巻き込まれることを意味し、とても日本政府がその種のシナリオを是認した上で何らかの具体的戦略を持っているとは考え難い、との疑義が持たれている』、どう考えても「台湾の防衛は日本の防衛」などと安易に発言すべきではない。岸大臣はここまでの覚悟で発言したのかも知れないが、国民の大多数はそのまで覚悟している訳ではない。
タグ:台湾 大前 研一 東洋経済オンライン プレジデント JBPRESS 北村 淳 API地経学ブリーフィング (その2)(大前研一「米軍予想"6年以内に台湾有事"はそもそもアメリカが元凶だ」 沖縄 横須賀 横田は標的になる、台湾有事に備え「日本の曖昧性」放置できない事情 アメリカとともに対中抑止構築のための議論を台湾有事に備え「日本の曖昧性」放置できない事情、米国の専門家も危惧 台湾防衛で米国の「弾除け」に使われる日本 日本に「台湾の防衛は日本の防衛」と認める覚悟はあるのか?) 「大前研一「米軍予想"6年以内に台湾有事"はそもそもアメリカが元凶だ」 沖縄、横須賀、横田は標的になる」 「アメリカという国は、自由、平等、民主という崇高な理念の伝道師のような顔をしてやってきても・・・本当に根づくまで責任をもたないどころか、場合によっては自分たちの都合で、その理念を曲げてしまうことさえ躊躇しない」、その通りだ アメリカがどうしても中華人民共和国を国連に引き入れたかったのであれば、その前に共産党政権と国民党政権の間に立って和平協定を締結させ、ひとつの中国にすべきだった 「現在の中国の脅威の原因は、中華民国を国連から追い出し、中華人民共和国を国連安保理の常任理事国にしたニクソン・キッシンジャー外交であり、アメリカ自身なのだ」、その通りだ。 「台湾有事は誰にとってもいいことはひとつもない」、同感である。 習近平時代になって、「中華連邦」は現実味を失った。なにやら、現在の「戦狼外交」に突き進む習近平にとっては物笑いの種にしかならないだろう。 「台湾有事に備え「日本の曖昧性」放置できない事情 アメリカとともに対中抑止構築のための議論を」 「アメリカが軍事的に介入する可能性を残すことで中国の台湾侵攻を抑止し、アメリカが介入しない可能性を残すことで台湾の冒険的な行為も抑止するという「二重の抑止(Dual deterrence)」を確立」、という「戦略的曖昧性政策」は微妙なバランスの上に成立している。 「日本の曖昧性はアメリカのそれと本質的に異なり、北京・台湾それぞれに向けた「二重の抑止」を目指した戦略に基づくものではない」、「焦点は台湾有事におけるアメリカの在日米軍基地使用を認めるのかという議論が中心」、なるほど。 「今後の日中両国間の友好関係をも念頭に置いて」、とは「曖昧性」の極致だ。 「あらかじめ日本を問い詰めれば、藪から蛇が出るような形になりかねないとアメリカは分かっている」、「曖昧さ」を残すのも外交交渉ノテクニックのようだ。 「中国「百年来の屈辱 ・・・」の時代に台湾を統治していた日本」、中国にも複雑な感情があるようだ。 「日本政府は台湾海峡の平和と安定が日本国民の生命と財産を守るうえで重要であること、台湾海峡での一方的な現状変更を支持しないことを繰り返し発信し、この原則の下に日本の対応を説明していく必要」、曖昧さがあっても、具体的問題で大いに情報発信してゆくべきだ。 「米国の専門家も危惧、台湾防衛で米国の「弾除け」に使われる日本 日本に「台湾の防衛は日本の防衛」と認める覚悟はあるのか?」 「岸大臣の発言は」「歓迎されている」とはいえ、ここまで明確に述べるのは問題がありそうだ。本来は審議会などで審議すべきだろう。 「多国籍軍」とはいっても、日本の他には、オーストラリア、ニュージーランド程度で、他のアジア諸国は参加をためらうだろう。 「弾除け的に使われる“属国”」、とは哀れだ。日本がこんな使われ方をされても文句はいえないだろう。
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金融業界(その8)(三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革 「13人抜き」エースが描く銀行の生存戦略とは?、三菱UFJ銀が「新卒年収1000万円」特別枠…従来型「一括採用」は縮小に向かう?、SBIホールディングス<上>新生銀行の筆頭株主に躍り出る、SBIホールディングス<下>着々と進む第4のメガバンク構想) [金融]

金融業界については、(その8)(三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革 「13人抜き」エースが描く銀行の生存戦略とは?、三菱UFJ銀が「新卒年収1000万円」特別枠…従来型「一括採用」は縮小に向かう?、SBIホールディングス<上>新生銀行の筆頭株主に躍り出る、SBIホールディングス<下>着々と進む第4のメガバンク構想)である。

先ずは、4月12日付け東洋経済オンライン「三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革 「13人抜き」エースが描く銀行の生存戦略とは?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/421767
・『「伝統的な商業銀行が成長ドライバーになるのは難しい」――。 昨年末の会見で三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤宏規社長がこう断言するほど、銀行を取り巻く経営環境は厳しい。低金利が長引き、従来の預金と貸し出しを中心としたビジネスモデルでは立ち行かなくなっているからだ。 向かい風が吹く中、4月1日付で傘下の三菱UFJ銀行の頭取が交代した。新頭取に就いたのは、13人の副頭取や専務を抜き、常務から抜擢された半沢淳一氏(56)だ。  変革期にある銀行をどう舵取りするのか。半沢新頭取に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは半沢氏の回答)』、「3人の副頭取や専務を抜き、常務から抜擢」とは味なことをやるものだ。
・『経営課題の解決で成長余地はある  Q:銀行の成長性をどう見通していますか。 A:国内商業銀行の業務のうち、預金・貸し出しについて言えば、厳しいのは間違いない。純粋に利ザヤが縮小しているからだ。ここを改善するのが(成長への)いちばん大きな道ではあるものの、残念ながら当面の間は無理だと言わざるをえない。 一方で取引先の経営課題を解決し、手数料をいただく余地は十分にある。コロナ禍において経営課題を感じていない顧客はいない。アフターコロナへの対応、デジタル化の進展、非対面取引の増加に加え、気候変動にも対応しなければいけない。 こうした課題に対し、顧客に言われてから動くのではなく、自ら(解決策を)提案する。これはわれわれがやりきれていなかった部分だ。タイミングをとらえた提案をきちんと行えば、収益を上げることはできる。コスト削減と両軸で取り組み、収益性を上げていく。 Q:収益力を高めるうえで特に重点を置く分野は? A:3つある。国内収益基盤の強化、グローバル事業の強靭化、環境・社会課題の解決への貢献だ』、「取引先の経営課題を解決し、手数料をいただく余地は十分にある」、のは理屈の上ではそお通りだが、現実にはかなり困難だ。
・『経営課題の解決で成長余地はある  Q:銀行の成長性をどう見通していますか。 A:国内商業銀行の業務のうち、預金・貸し出しについて言えば、厳しいのは間違いない。純粋に利ザヤが縮小しているからだ。ここを改善するのが(成長への)いちばん大きな道ではあるものの、残念ながら当面の間は無理だと言わざるをえない。 一方で取引先の経営課題を解決し、手数料をいただく余地は十分にある。コロナ禍において経営課題を感じていない顧客はいない。アフターコロナへの対応、デジタル化の進展、非対面取引の増加に加え、気候変動にも対応しなければいけない。 こうした課題に対し、顧客に言われてから動くのではなく、自ら(解決策を)提案する。これはわれわれがやりきれていなかった部分だ。タイミングをとらえた提案をきちんと行えば、収益を上げることはできる。コスト削減と両軸で取り組み、益性を上げていく。 Q:収益力を高めるうえで特に重点を置く分野は? A:3つある。国内収益基盤の強化、グローバル事業の強靭化、環境・社会課題の解決への貢献だ。 国内では(富裕層向けビジネスの)ウェルスマネジメントや法人向けの分野で課題解決型の提案を行い、デジタル化も進める。この5年間で店舗に来店する顧客の数は半分になったが、ネットでの取引は2.5倍に増えている。顧客起点で考え、オンライン上の取引でも使い勝手のいいサービスを作っていく。 グローバル事業はこれまで海外銀行を買収してきたが、2019年のインドネシア・バンクダナモンの子会社化で一定のメドがついた。量的な拡大を終え、これからはしっかりとシナジーをあげて果実をとる。 Q:買収子会社とは具体的にどんなシナジーを考えていますか? A:例えば東南アジアには4つの子会社を持っている。その4行の間でのシナジーもあるし、4行とMUFGとの連携や、2020年2月に出資して業務提携した東南アジアの配車アプリ大手のGrab社との連携も考えられる。 わかりやすいのはGrab社との連携だろう。現在、(子会社の)タイのアユタヤ銀行でGrabのドライバーや加盟店に対する融資を行うビジネスが始まっている。これをインドネシアなどにも広げる。将来は対象をGrabのユーザーにも広げることも考えられる』、「Grab社との連携」は確かに実を結びそうだ。
・『本館を建て替え提案力を高める  環境・社会問題においては特に、気候変動対応に焦点が当たっている。もはや環境問題というより、産業構造の問題になっている。そうした流れに対応できるよう、顧客の支援を行う。 これらを実現するには、グループの総合力を発揮して、スピード感を持って付加価値の高い提案を行うことが必要だ。 そのために、銀行の本館を建て替えようと考えている。そこに持ち株会社(MUFG)と傘下の銀行・信託・証券を集約する。本部の人員数を減らし、管理コストも引き下げながら提案力を高める。 現在はグループ内で丸の内と大手町に9つのビルがあり、1万9000人が働いている。これまでは(1カ所に)この人数を集約するのは難しかった。) それがコロナ禍で在宅勤務の比率が上がり、実現可能になった。現在、銀行の本部は50~60%の社員が在宅勤務だ。 新しい働き方にも適したビルのあり方を考えながら、2022年度中には詳細を固めて取り壊し、着工したいと考えている。 Q:足元では新型コロナの影響により、多くの企業が資金難に陥っています。 資金需要は2020年の4~5月をピークに落ち着いていたが、2021年3月ごろからまた少しずつ増えてきた。特にホテル、小売り、旅行、サービスなど個人消費関連の企業は厳しく、資金ニーズが増えている。 緊急事態宣言は解除されたものの、(感染再拡大への)懸念を持ちながら経済活動をしている。おそらく2021年度もコロナ禍以前の状態に戻ることは難しい』、「現在はグループ内で丸の内と大手町に9つのビルがあり、1万9000人が働いている」、「コロナ禍で在宅勤務の比率が上がり」、「1カ所にこの人数を集約」、果たして上手くいくのだろうか。
・『事業再生ノウハウを持った人員で対応  回復の遅い会社は注視が必要だ。コロナで産業構造が変わり、元の状態に戻れない企業には、ビジネスを変えるための新しい業務内容を提案しなければいけない。 (半沢氏の略歴はリンク先参照) その意味で、2021年度は重要な1年になる。2020年度も大変だった年であることは間違いないが、まずは「(資金で)つなぐ」1年だった。 しかし足元では「この企業はコロナ前(の経営状態)に戻る」「この企業は戻らない」という違いが明確に見えてきている。2021年度は将来を展望し、その企業をどうするかという(提案型の)支援の比重が高まる。 Q:経営が厳しい企業の支援に対応する社内体制は十分ですか。 事業再生の経験をしている人がどの程度残っているかという問題はある。ただ、融資担当の部署には2000年頃からずっと融資を担当し、ノウハウを持っている人材がいる。注視しなければいけない数百社については、本部の融資部で個別に対応していく。それがコロナ禍で在宅勤務の比率が上がり、実現可能になった。現在、銀行の本部は50~60%の社員が在宅勤務だ。 新しい働き方にも適したビルのあり方を考えながら、2022年度中には詳細を固めて取り壊し、着工したいと考えている。 Q:足元では新型コロナの影響により、多くの企業が資金難に陥っています。 資金需要は2020年の4~5月をピークに落ち着いていたが、2021年3月ごろからまた少しずつ増えてきた。特にホテル、小売り、旅行、サービスなど個人消費関連の企業は厳しく、資金ニーズが増えている。 緊急事態宣言は解除されたものの、(感染再拡大への)懸念を持ちながら経済活動をしている。おそらく2021年度もコロナ禍以前の状態に戻ることは難しい』、「個人消費関連の企業」の「厳し」さはまだ続かざるを得ないだろう。
・『事業再生ノウハウを持った人員で対応  回復の遅い会社は注視が必要だ。コロナで産業構造が変わり、元の状態に戻れない企業には、ビジネスを変えるための新しい業務内容を提案しなければいけない。 その意味で、2021年度は重要な1年になる。2020年度も大変だった年であることは間違いないが、まずは「(資金で)つなぐ」1年だった。 しかし足元では「この企業はコロナ前(の経営状態)に戻る」「この企業は戻らない」という違いが明確に見えてきている。2021年度は将来を展望し、その企業をどうするかという(提案型の)支援の比重が高まる。 Q:経営が厳しい企業の支援に対応する社内体制は十分ですか。 A:事業再生の経験をしている人がどの程度残っているかという問題はある。ただ、融資担当の部署には2000年頃からずっと融資を担当し、ノウハウを持っている人材がいる。注視しなければいけない数百社については、本部の融資部で個別に対応していく』、「注視しなければいけない数百社」、「本部」直轄とはやれやれだろう。

次に、5月3日付け弁護士ドットコム「三菱UFJ銀が「新卒年収1000万円」特別枠…従来型「一括採用」は縮小に向かう?」を紹介しよう。
https://www.bengo4.com/c_5/n_12983/
・『三菱UFJ銀行が、大卒1年目から年収1000万円以上になる可能性がある、新たな新卒採用の仕組みを導入することが3月に報じられ、話題になりました。 日本経済新聞によると、三菱UFJ銀行の従来の新卒採用では、一律300万円程度の年収でしたが、今回の新しい仕組みでは、デジタル技術などの専門人材を対象に、全体の1割程度にあたる40人程度について、年収に差をつけることになります。 大和証券も3月、ITや金融の専門知識をもつ人材を対象に、初任給を月40万円以上(一般的な総合職は25万5000円)とする報酬体系をもうけると発表しました。このコースの場合、トレーダーとしての能力次第で年収5000万円となる可能性もあるそうです。 このような「特別枠」をもうけることの意味はなんなのでしょうか。従来の新卒一括採用にどのような影響を及ぼすのでしょうか。新卒採用などの人材採用に詳しい神戸大学大学院経営学研究科の服部泰宏准教授に聞きました。(新志有裕、白井楓花、Qは聞き手の質問、Aは服部氏の回答)』、「新卒採用」の「一括方式」がいよいよ崩れつつあるようだ。
・『新卒で特別枠をもうける意味は  Q:三菱UFJ銀行のような特別枠をもうける動きをどう捉えていますか。 A:金融工学やデジタル系を専門にしている人材が労働市場に少なく、高い報酬を払わないとキープできないため、特別枠で採用するということです。 従来の新卒一括採用のように、会社の中で長い時間をかけて育てて長期で雇用するという想定ではないでしょう。 社内で育成しにくいような特定のスキルを買われて特別枠採用となった人材なので、入社後は特定の業種・部署に限定された仕事をすることになるはずです。 Q:ただ、新卒採用の段階から、そのような採用枠をもうける意味はあるのでしょうか。 A:1つは、労働市場へのメッセージですね。新卒採用というのは、企業にとって数少ない外とのタッチポイントです。 また、社内に対しても、「新しい取り組みに挑戦し、変わろうとしている」というメッセージにもなります。「現在こういう人材を必要としているということをわかってほしい」、「必要なスキルを持っている人にはしっかり払います」と伝えたいのでしょう』、内外への「メッセージ」は確かに重要な役割だ。
・『従来型の新卒一括採用の社員から、嫉妬や反発は出ない?  Q:特別枠で入社した専門人材は、伝統的な組織にはなじまないのではないでしょうか。 A:確かに、入り口の部分である採用だけでなく、会社の組織自体を変えていく必要があります。 ただ、特別枠は一定の職種や事業を切り分ける形で設置されているので、たとえ組織全体は変えられないにしても、一部の部署だけを少し違う働き方に変えて、専門人材にとって心地よい雰囲気にする工夫は可能でしょう。 さらに「新卒年収1000万」のような特殊な人材を許容しやすい人を上司に置くことによって対処するという手もあります。 Q:新卒から年収差を設けることに対して、従来型の新卒一括採用の社員から、嫉妬の反発の声が出てくる可能性がありますが、どう対処すればいいのでしょうか。 参考になるのは、アメリカのカーネギー・メロン大学のデニス・ルソー教授が提唱した「I-deals」という考え方です。給与差を受け入れてもらうために、会社、給与の高い社員、一般社員の三者関係を考えるというものです。 例えば、プロ野球選手で「この人は1億円ももらっていて羨ましいけれど、でもこの人がホームランをたくさん打ってくれるおかげで、自分の年俸も上がっているのかもしれない。しょうがない」と思うような心理状況にもっていくことですね。 そういう三角形の枠組みでマネジメントしていくということが一つ解決策になると思います。 Q:プロ野球選手を例にすると、彼らは成績で報酬が左右され、不安定な側面もあるのですが、特別枠の人材もそのような位置付けに近くなるのでしょうか。 A:そうですね、彼らもリスクを負っています。例えば、特別枠入社の人材は長期雇用が前提でないでしょうし、給与が単に年功で上がっていくわけではなく、むしろ業績や評価次第で下がることもあるでしょう。新卒一括採用の人材にはないリスクです。 また、もし能力が期待されていたレベルに達しなかった時に、その人はAIのような特定の分野でずっと生きてきたために、会社での居場所がなくなってしまうリスクもあります。ずっとその分野でスキルを磨いてきたということもあり、他の分野に転身しにくいのです。 このようなリスクを一般社員が認識することも、彼らが給与差を納得する上で重要です』、「給与差を受け入れてもらう」ための工夫は確かに重要だ。
・『仕事に直結しない文学部の学生は不利になる?  Q:今後、特別枠採用が広がることで、特別枠が特別でなくなり、従来型の新卒一括採用が大幅に縮小する可能性はありますか。 会社によるでしょう。例えば、あるIT企業にとっては、枠をもうけることは当たり前のことかもしれません。他方、クラシックな企業では、結局は従来の正社員の区分に入れることができず、嘱託や契約社員にしてしまうこともあるでしょう。 人材採用の切迫性や、今までの組織の慣行に左右される話なので、一気に特別枠導入へ進んでいくということは想定し難いですし、またそうあるべきでもないです。 特別採用枠は、一定の部署を切り離した形で行われることが多いので、やはり「例外」として扱われるケースが多く残ると思います。 また、現在の定年退職の仕組みを考えると、新卒一括採用以外の方法でその欠員を補うのは、今の日本企業の枠組みでは難しい。ですから、新卒一括採用の仕組み自体は今後も残っていくでしょう。 Q:それでも、新卒で年収1000万円という話を聞くと、仕事に直結するスキルを身に付けておいた方がいい、という流れが強くなりそうです。 A:確かに、一部の領域においては、例えば、「文系だったらどこでもいいよね」という感覚から、「もう少し分野を考えよう」となっている面もあります。 他方で、やはり「ポテンシャル」の名の下に、ちゃんと考えることができる力や、物事の本質を見抜けるという能力が大事だ、という企業も少なくありません。 理系の世界でも、工学部の学生の方が即戦力だけれども、結局は理学部数学科の学生の方がしっかり考えていていい、と考える企業も存在しています。「統計なんて入社してからでもできるし、経営のことについては2年間MBAに通えばいい。だったら、文学部でゲーテの卒業論文を書いた学生でもいいじゃないか。この学生はしっかり考える力があるはず」と考える企業は意外に多いはずです』、「やはり「ポテンシャル」の名の下に、ちゃんと考えることができる力や、物事の本質を見抜けるという能力が大事だ、という企業も少なくありません」、なるほど。
・『新卒一括採用はどう変わる?  Q:そのような流れの中で。新卒一括採用のあり方は今後、どう変わりますか。 A:社内の人脈であったり、その企業での仕事の進め方といったような企業固有の知識を身につける人は、おそらく従来型の新卒一括採用で入社した人材です。また、企業経営に関わるのも、新卒一括採用の人材を想定しているでしょう。 しかし、特別枠が広がる中で、従来型の新卒一括採用も変わっていく必要があります。 一つは、学生側のキャリアプランが短期的な視点になってきていることに応じて、長期雇用が前提であっても、「最初の数年間はこういうことをしてもらうよ」といった、少し先を見たコミュニケーションが大事になります。 また、学生が求めている情報をきちんと出していかなくてはいけない。 今は、ジョブ型雇用のように、職種に直結する採用が、新卒でも中途でも見え隠れするからこそ、新卒一括採用においては、ジェネラルな思考力のような、逆側の側面もきちんと発していった方がいいのではないでしょうか。 時代の雰囲気として、スローなキャリア形成がネガティブに捉えられがちで、企業として、本当に言いたいことを言いにくくなっている部分もあります。それでもきちんと主張していくことが、新卒一括採用の今後のあるべき姿だと思います。 情報をお寄せください! 弁護士ドットコムニュースでは「LINE」で情報募集しています。働いていて疑問に思ったことや、法律に関するトラブルなど、弁護士ドットコムニュースの記者に取材してほしい社会問題はありますか。 以下からLINE友だち登録をして、ご連絡ください』、「時代の雰囲気として、スローなキャリア形成がネガティブに捉えられがちで、企業として、本当に言いたいことを言いにくくなっている部分もあります。それでもきちんと主張していくことが、新卒一括採用の今後のあるべき姿だと思います」、その通りだろう。

第三に、4月14日付け日刊ゲンダイが掲載した経済ジャーナリストの真保紀一郎氏による「SBIホールディングス<上>新生銀行の筆頭株主に躍り出る」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/287867
・『金融界でSBIホールディングスの動きが注目されている。このところ、新生銀行株を買い続けているからだ。 昨年3月末段階では、SBIは新生銀行株の約9%を保有する第3位株主だった。ところがそこから買い増していき、昨年末には13%を超えた。新生銀行は前身の日本長期信用銀行時代に経営が悪化し一時、国有化された。そのため、新生銀行となってからも、政府系の預金保険機構が筆頭株主であり続けていた。しかし昨年末、ついにSBIが筆頭株主となった。 今年に入ってもSBIの保有株は増え続け、3月30日に提出された大量保有報告書によると、持ち株比率は16・5%にまで上昇している。 新生銀行株保有の目的について、SBIは一貫して「純投資」と説明していたが、今ではこの言葉を額面どおりに受け止める人はどこにもいない』、ずいぶん急速に買い増しをしているようだ。
・『1月末に起きた事件とは  というのも1月末に、ある「事件」が起き、そこから買い増しのスピードが上がっているからだ。 1月27日、マネックス証券、新生銀行、新生証券の3社は、金融商品仲介業務における包括的業務提携に関する基本合意書を締結した。今後、新生銀行は、利用者に対して投資信託などマネックス証券の金融商品を販売していくというものだった。 これがSBIの逆鱗に触れた、と金融界ではいわれている。 提携発表の2日後、SBIの21年3月期の第3四半期決算発表があった。この席でグループ会社のSBI証券・高村正人社長は「どういう理由でああいう選択をされたのか、よくわからない」と不快さを隠そうとしなかった。 ネット証券の世界で、現在ダントツなのがSBI証券で、営業収益(売上高)は1244億円。一方、マネックス証券は3位ながら営業収益は279億円と、SBI証券の5分の1にすぎない。 取り扱っている投資信託の銘柄数も、マネックス証券1200に対してSBI証券2600と倍以上。しかも、SBIは新生銀行の筆頭株主だ。 そうであるなら、新生銀行の提携相手はSBI証券であるべきだ、とSBIが考えても不思議はない。 事実、SBIは提携が発表された1月27日までの1カ月間、新生銀行株を買い付けていなかったが、翌28日以降、連日のように買い付けている。そのため金融界からは「SBIの意趣返し」、あるいは「新生銀行にプレッシャーをかけて提携を白紙撤回させるつもりでは」などといった声が聞こえてくる。 では、なぜSBIは新生銀行にこだわるのか。 新生銀行はいまだ資本注入された公的資金を返済し終えていない。一時国有化されてから23年が経つが、今でも再建途上にある。それほど魅力的な銀行とも思えない。 しかし、SBIを率いる北尾吉孝社長にとっては違う。北尾氏の頭の中には「第4のメガバンク」構想があり、その実現に向け、着々と手を打ちつつある。新生銀行への執着もその一環と考えるとわかりやすい。果たして北尾氏の考える第4のメガバンクとはいかなるものなのか』、「第4のメガバンク」構想とは、「北尾氏」らしい発想だ。

第四に、この続きを、4月15日付け日刊ゲンダイ「SBIホールディングス<下>着々と進む第4のメガバンク構想」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/287934
・『2000年に第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が経営統合し、日本にメガバンク時代が到来した。それ以降も銀行の経営統合は相次ぎ、現在は、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが覇権を争っている。 その3メガバンクに対抗して、「第4のメガバンク構想」を掲げるのがSBIホールディングスであり、同社を率いる北尾吉孝社長である。 第2次安倍政権が誕生し、黒田日銀総裁が「日銀バズーカ」を発動させて以来、日本は超低金利時代が続いている。それにより、一時のデフレ状態を脱することはできた一方で、低金利が金融機関、中でも地方銀行の経営を直撃した。 地方経済は疲弊しており、地方銀行は融資先が見つからない。そこで以前は国債で運用していたが、いまではマイナス金利で利ザヤが稼げない。そのため、昨年9月の中間決算では、6割の上場地方銀行が減益か赤字となった。 そこに救いの手を差し出そうというのがSBIホールディングスだ。2019年秋に島根銀行の株式34%を取得したのを皮切りに、これまでに地方銀行7行と資本業務提携を結んでいる。 提携先の銀行は、財務が改善されるだけでなく、SBIグループのSBI証券の金融商品を銀行顧客に販売できるようになる。 同時にフィンテックへの対応も可能になる。今後の金融機関の成長のカギを握るのがフィンテックだが、資本力のない地方銀行が開発・導入するのは難しい。そこで、数多くのフィンテックベンチャーに投資しているSBIと提携すれば、SBIの持つフィンテックを自行に導入することができる。 つまりSBIは、地方銀行に資金とともに商品、そして最新テクノロジーを提供することで、蘇らせようというのである』、「SBI」の力で「蘇る」のは一定の条件がある筈だ。
・『事実、第1号案件である島根銀行は、本業の儲けを示すコア業務純益が20年3月期まで4期連続で赤字だったが黒転したもようだ。これは明らかにSBI効果だ。 SBIは現在7行の資本提携先を10行にまで増やしていく方針だ。昨日、本欄で紹介した新生銀行がここに加われば、他の地方銀行より規模は大きく、取引先も大手が多いため、メガバンク構想の核となる可能性がある。 もちろん3メガバンクに比べれば資金量は数十分の一程度に過ぎない。それでも北尾氏には、ネット証券では後発のSBI証券を業界トップに押し上げ、先日には口座数で証券業界のガリバー、野村証券を上回ったという実績がある。 SBI証券がここまで大きく成長できたのは、証券業界がネット証券の誕生で業界地図が大きく書き換えられたからだ。野村証券に入社し、その後ソフトバンクに転じ孫正義氏の懐刀となった北尾氏は、金融とITの親和性を誰よりも熟知している。 北尾氏は、フィンテックによって銀行業界の地図も大きく変わると予測する。地殻変動が起きればそこにチャンスが生まれる。北尾氏は新生銀行や地銀との関係を築きながら、虎視眈々と狙っている』、6月30日付けのブログで取上げたように「SBI」は実はソーシャルレンディングで失敗している。ただ、地銀戦略は一応、上手くいっているようだ。
タグ:東洋経済オンライン 金融業界 日刊ゲンダイ 弁護士ドットコム 真保紀一郎 (その8)(三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革 「13人抜き」エースが描く銀行の生存戦略とは?、三菱UFJ銀が「新卒年収1000万円」特別枠…従来型「一括採用」は縮小に向かう?、SBIホールディングス<上>新生銀行の筆頭株主に躍り出る、SBIホールディングス<下>着々と進む第4のメガバンク構想) 「三菱UFJ、「半沢頭取」が逆風下で挑む抜本改革 「13人抜き」エースが描く銀行の生存戦略とは?」 「3人の副頭取や専務を抜き、常務から抜擢」とは味なことをやるものだ。 「取引先の経営課題を解決し、手数料をいただく余地は十分にある」、のは理屈の上ではそお通りだが、現実にはかなり困難だ。 「Grab社との連携」は確かに実を結びそうだ。 「現在はグループ内で丸の内と大手町に9つのビルがあり、1万9000人が働いている」、「コロナ禍で在宅勤務の比率が上がり」、「1カ所にこの人数を集約」、果たして上手くいくのだろうか。 「個人消費関連の企業」の「厳し」さはまだ続かざるを得ないだろう。 「注視しなければいけない数百社」、「本部」直轄とはやれやれだろう。 「三菱UFJ銀が「新卒年収1000万円」特別枠…従来型「一括採用」は縮小に向かう?」 「新卒採用」の「一括方式」がいよいよ崩れつつあるようだ。 内外への「メッセージ」は確かに重要な役割だ。 「給与差を受け入れてもらう」ための工夫は確かに重要だ。 「やはり「ポテンシャル」の名の下に、ちゃんと考えることができる力や、物事の本質を見抜けるという能力が大事だ、という企業も少なくありません」、なるほど。 「時代の雰囲気として、スローなキャリア形成がネガティブに捉えられがちで、企業として、本当に言いたいことを言いにくくなっている部分もあります。それでもきちんと主張していくことが、新卒一括採用の今後のあるべき姿だと思います」、その通りだろう。 「SBIホールディングス<上>新生銀行の筆頭株主に躍り出る」 ずいぶん急速に買い増しをしているようだ。 「第4のメガバンク」構想とは、「北尾氏」らしい発想だ。 「SBIホールディングス<下>着々と進む第4のメガバンク構想」 「SBI」の力で「蘇る」のは一定の条件がある筈だ。 6月30日付けのブログで取上げたように「SBI」は実はソーシャルレンディングで失敗している。ただ、地銀戦略は一応、上手くいっているようだ。
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外食産業(その3)(ロイヤルホスト「双日と提携」で業績復活なるか ノウハウに魅力 航空関連ビジネス再建に本腰、コロナ禍も快走!マックが「店外」で圧倒する真因 最高益の裏に持ち帰り・宅配の"綿密戦略"あり、かっぱ寿司社長がデータ不正取得で告訴…背後にある「回転ずし戦争」の熾烈) [産業動向]

外食産業については、昨年11月18日に取上げた。今日は、(その3)(ロイヤルホスト「双日と提携」で業績復活なるか ノウハウに魅力 航空関連ビジネス再建に本腰、コロナ禍も快走!マックが「店外」で圧倒する真因 最高益の裏に持ち帰り・宅配の"綿密戦略"あり、かっぱ寿司社長がデータ不正取得で告訴…背後にある「回転ずし戦争」の熾烈)である。

先ずは、3月24日付け東洋経済オンライン「ロイヤルホスト「双日と提携」で業績復活なるか ノウハウに魅力、航空関連ビジネス再建に本腰」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/418147
・『売上高は前期比40%減の843億円、営業損益は前期の46億円の黒字から192億円の赤字に転落。最終赤字は275億円――。 レストラン「ロイヤルホスト」などを展開するロイヤルホールディングス(HD)の2020年12月期決算は、非常に厳しい結果となった。 ロイヤルHDの主要事業は大きく5つある。ロイヤルホストや「てんや」などの外食事業、「リッチモンドホテル」を展開するホテル事業、空港や高速道路などでの食堂事業(コントラクト事業)、関西国際空港などでの機内食事業、そしてセントラルキッチンの運営などを行う食品事業だ』、なるほど。
・『崩れた「完璧なポートフォリオ」  リスク分散を図る多角化経営は安定的で、ロイヤルHDの強みでもあった。例えば、2018年12月期は台風21号が関西国際空港を襲い、機内食事業が大きな被害を受けた。しかし、ホテル事業が伸び、営業利益は微減益に踏みとどまる。外食企業の多角化経営は珍しく、業界内でも異彩を放っていた。 「ロイヤルHDの事業は隙がない、完璧な事業ポートフォリオだと思っていた」。ある上場居酒屋チェーンの社長はそう振り返る。 しかし、コロナ禍で状況は一変。リスクが分散されていたはずの全事業で甚大な被害が出た。外出自粛やインバウンド(訪日客)喪失により外食、ホテル、機内食、コントラクトが深刻なダメージを受け、付随して食品事業も低迷。2020年12月期は主要5事業すべてが赤字に転落した。 同社はロイヤルホストなど不採算店舗70店程度を閉鎖し、315人の希望退職も実施した。減損処理などで特別損失が大きく膨らみ、多額の最終赤字計上を余儀なくされた。2019年末に49.6%あった自己資本比率は2020年末には19.7%へ急落した。 苦境を脱するウルトラCとして2月15日に発表したのが総合商社・双日との資本業務提携だ。第三者割当増資により双日から100億円、みずほ銀行や日本政策投資銀行などから60億円を調達。双日には新株予約権も発行し、最大78億円の追加調達を行う構えだ。 同日の会見でロイヤルHDの菊地唯夫会長は、「アライアンスの必要性については(2020年の)9月ごろから感じていた」と語った。出資額や期待されるシナジー、スピード感などを考慮して双日を選んだという。 一方、非資源事業の強化が経営課題の双日にとって、ロイヤルHDへの出資は願ってもない話だった。同社の藤本昌義社長は「(ロイヤルHDへの出資提案は)渡りに船という感じだった。(ロイヤルHDは)われわれがもっていない顧客基盤を持っており、千載一遇のチャンス」と顔をほころばせる』、「完璧な事業ポートフォリオだと思っていた」、「しかし、コロナ禍で状況は一変。リスクが分散されていたはずの全事業で甚大な被害が出た。外出自粛やインバウンド(訪日客)喪失により外食、ホテル、機内食、コントラクトが深刻なダメージを受け、付随して食品事業も低迷。2020年12月期は主要5事業すべてが赤字に転落」、コロナ禍の影響は予想外のダメージを与えたようだ。
・『なぜ双日を選んだのか  ロイヤルHDは、双日のネットワークを生かした物流・調達面での経営効率化や、海外展開などでシナジー効果をにらむ。だが、双日は売上高で総合商社第7位。東南アジアで小売事業を展開しているとはいえ、双日同様に有力な食品子会社を持つ三菱商事や伊藤忠商事、川上部門に強い丸紅などには大きく水をあけられている。提携相手が双日である必然性はみえてこない。 しかし、菊地会長は「仮に総合商社すべてを選べるとしても、双日さんを選んだ」と断言する。大きな理由が、双日の持つ航空機産業や空港運営での経験だ。 双日は、航空機の累計販売件数では900機以上と国内シェア第1位だ。「ボーイングの販売代理店としても60年以上の歴史を有しており、国内外でのエアラインとの関係も強固」(藤本社長)。オセアニアのパラオ国際空港の運営を手がけたり、グループ会社であるJALUXが空港内売店「BLUE SKY」を展開するなど、空港関連事業のノウハウも豊富だ。) 主要5事業の中で、ロイヤルHDが最も手を焼いているのが祖業である機内食事業で、空港内のコントラクト事業も厳しい。2020年12月の月次売上高はそれぞれ前年同月比85%減、同60.4%減と低調で、他事業と比べてもコロナ禍からの回復の遅れが鮮明となっている。 菊地会長は「(機内食事業は)誰かの力を借りないと立て直せない」と判断。機内食事業を担う100%子会社「ロイヤルインフライトケイタリング」の持ち分60%を双日に譲渡し、ロイヤルHDは出資比率を40%に引き下げて持ち分法適用会社に移行する。機内食事業の喫緊の課題は製造工場の稼働率向上で、今後は双日の多様な販路とノウハウを使い、空港内店舗などさまざまな需要を掘り起こしていく』、「機内食事業」で「持ち分60%を双日に譲渡」、はなかなかいい組み合わせだ。
・『外食は「てんや」に回復の兆し  今回の双日との提携について、外食業界に詳しい、いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員も「機内食の販路を広げることが期待できる」と評価する。 一方、航空関連以外の事業は基本的に自力再建路線をもくろむ。「昨年10~11月にホテルの平均稼働率は7割を超えた。インバウンドがないと厳しいホテルも片手の指の数ぐらいはあるが、国内で人が動けば基本的にホテル事業は回復していく」。菊地会長はホテル事業の先行きをこのように見通す。 鮫島氏も空港内以外のコントラクト事業の先行きは明るいと語る。「百貨店内店舗がやや苦戦するだろうが、介護施設などはコロナのクラスターが発生しない限り、需要が戻っていくだろう」 外食事業や食品事業でも明るい兆しが見え始めた。1つがてんやの回復だ。2回目の緊急事態宣言下では、定価650円の上天丼弁当(並盛)を500円で販売するなどの持ち帰り向け施策が奏功。既存店の売上高も、1月が前年同月比10.7%減、2月も同3.4%減とほぼ前年並みに戻りつつある。 コロナ影響の大きかった都心の駅前立地店が多かったてんやだが、2020年12月に郊外型モデルとなる「天ぷらてんや」を神奈川県平塚市に出店。モデルが確立すれば徐々に出店数を増やしていき、最終的にはフランチャイズ方式での多店舗展開を狙う。 レストラン「ロイヤルホスト」も2月の既存店売上高は昨年同月比23.6%減。2020年10月には前年比4.7%減まで戻した実績を鑑みると、行政からの時短要請がなくなれば、売り上げ回復も期待できる』、「外食事業や食品事業でも明るい兆しが見え始めた」のは確かなようだ。
・『調達資金の一部を食品事業に投入  一方、コロナ禍で家庭用の冷凍食品「ロイヤルデリ」は急伸した。「レストランクオリティの味を家庭でも楽しめる」というコンセプトのもと、自社のセントラルキッチンで作った冷凍食品を販売している。 巣ごもり消費による需要増で、2020年1~3月と比べ、同10~12月の売り上げは約6.6倍に伸びた。 かつて業界屈指の優等生とされたロイヤルHDも、コロナという外的要因によって業績は悪化した。「われわれの事業はヒトが移動することで成り立っていたビジネスだということを改めて感じた」と菊地会長は振り返る。 双日や銀行団から調達した資金の一部は、冷食をはじめとする食品事業の設備強化に充てる考え。「さらなる販路拡大のため(多様なチャネルをもつ)双日さんの力を借りたい」(ロイヤルHDの黒須康宏社長)と今後の展開に期待を寄せる。双日との提携がロイヤルHDの「復活への狼煙」となる』、「ロイヤルHDの「復活への狼煙」」は果たして上がるのだろうか。

次に、6月13日付け東洋経済オンライン「コロナ禍も快走!マックが「店外」で圧倒する真因 最高益の裏に持ち帰り・宅配の"綿密戦略"あり」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/433772
・『快進撃はどこまで続くか――。 新型コロナウイルスが痛撃した外食産業において、数少ない勝ち組とされる日本マクドナルドホールディングス(HD)。今2021年12月期の第1四半期(1~3月期)は、売上高758億円(前年同期比5.0%増)、営業益92億円(同19.7%増)と好スタートを切った。 2020年度も営業利益は過去最高を更新したが、今2021年度はそれを上回る、売上高2995億円(前期比3.9%増)、営業利益320億円(同2.3%増)を計画。直近4~5月の既存店売上高も前年超えが続いている』、「快進撃はどこまで続くか」は確かに注目点だ。
・『CMでも「コロナ特別対応」  コロナ禍でも顧客の利用拡大を導いた要因の1つが、コロナ対策や商品を巧みにアピールしたCM戦略での工夫だ。 コロナ感染拡大当初は、衛生管理の取り組みなど安心・安全をアピールした。「コロナ初期はスピード重視。簡素な広告で、非接触での商品購入も可能であることなどをいち早く伝えることに注力した」(日本マクドナルドのズナイデン房子・最高マーケティング責任者)。 商品の打ち出しでは、値段の安さを全面的に押し出す手法から転換。堺雅人さん起用のチキンマックナゲットのCMは「親子間の会話」をテーマにした内容で打ち出し、月見バーガーでも同様のテーマを踏襲した。コロナ禍だからこそ「人と人とのつながり」にフォーカスしたCMは反響を呼び、CM総合研究所のCM好感度調査(2020年1~12月度)では企業別で総合1位を獲得した。 とはいえマクドナルドも多くの飲食店と同様、コロナの影響を少なからず受けた。 オフィス街を中心に来店客が減った結果、2021年1~3月期の既存店の客数は前年同期比4.6%減。一方で客単価が同14.2%増えた。郊外や住宅街の家族客を中心に、持ち帰りでのまとめ買いが伸びて客数の落ち込みを吸収した形だ。 1971年に出した日本1号店が持ち帰り専門だったこともあり、従来「店外戦略」には強かったマクドナルド。コロナ禍での躍進の裏には、この店外戦略において、矢継ぎ早に新規策を打ち出し需要を取り込んだ成果が大きい。 代表例が、コロナ前からほぼ全店で導入されていた、商品をスマートフォン等で事前に注文・決済できる「モバイルオーダー」のブラッシュアップだ。 モバイルオーダー利用には専用アプリのインストールが必要だったが、2020年4月に同機能をマクドナルド公式アプリ(2020年3月末時点で累計ダウンロード数6600万件)に追加して統合。 同年9月には、アプリのインストールや会員登録すら必要ない、Webサイト経由のオーダーにも対応できるようにした。 車を利用する顧客向けの対策も強化。コロナ禍ではドライブスルーの利用が急増し、専用レーンや店前の道路では渋滞が頻発した。そこで大型店ではレーンを増設し、小型店も受け取りポイントを増やすなどの改善策を進めた。 モバイルオーダーで事前に注文して店舗内の駐車場で待っていれば、顧客の車までスタッフが届けにきてくれる新サービス「パーク&ゴー」も投入。2020年5月に導入を始め、2021年3月末時点での対応店舗数は860店と急ピッチで拡大した』、「1971年に出した日本1号店が持ち帰り専門だったこともあり、従来「店外戦略」には強かったマクドナルド。コロナ禍での躍進の裏には、この店外戦略において、矢継ぎ早に新規策を打ち出し需要を取り込んだ成果が大きい」、創業時の強味がいまだに強味になるというのはすごいことだ。
・『今年中に全都道府県で宅配に対応  一連の対応の速さについて、ある外食チェーン幹部は舌を巻く。「コロナ禍で多くの飲食店が一斉にテイクアウトに踏み切ったが、付け焼き刃程度で売り上げの数%にすら届いていないケースも多い。もともとテイクアウトに強いマックに本腰を入れられたら到底かなわない」。 自社の宅配サービス「マックデリバリー」の対応店舗数は2019年末に257店だったが、2021年3月末には756店に拡大。ウーバーイーツの対応店舗拡充に加え、昨秋には出前館も導入し、何らかの宅配に対応する店舗は2021年3月末時点で1629店(全店の約55%)となった。2021年度中には宅配を47都道府県すべてに導入する方針という。 さらに、読売新聞の販売店の配達スタッフがマックデリバリーの配送業務を担う、業種の垣根を超えた取り組みも進めている。「デリバリーでは住所が不明確なケースもあるが、地域を知り尽くしている新聞配達員なら、スピーディーなデリバリーが可能」(中澤啓二執行役員)。 数々の取り組みが好循環を生む中、今年3月、約7年間にわたり日本マクドナルドHDを率いてきたサラ・カサノバ社長が退任。後任の社長には元取締役の日色保氏が就き、カサノバ氏は会長職に就任した。 日色社長はジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人社長を経て、2018年に日本マクドナルドHDへ入社。2019年3月には事業会社である日本マクドナルド社の社長に就任していた。 マクドナルド入社当初から「組織や人材の育成経験が豊富」(カサノバ氏)との評価を受けていた日色氏。優秀な人材の採用と育成に注力する方針を掲げる。 同社では2020年度は店舗数こそ微増程度だったが、採用を重点的に強化し、働くクルーの数は1年間で約15万人から約17万人へと急増。目下、宅配業務と店舗業務両方をこなせるクルーの育成にも注力しており、今後さらに人材への投資を強める考えだ。 改装など店舗投資も積極化させる。活況ゆえに、店舗では顧客の待ち時間が長くなるケースも多発。そのためドライブスルーのレーン増設に加え、ハンバーガーの製造能力が2倍になるような新型キッチンの導入も進める』、「読売新聞の販売店の配達スタッフがマックデリバリーの配送業務を担う、業種の垣根を超えた取り組みも進めている」、面白いアイデアだが、「新聞販売店」を警戒するユーザーもいることは要注意だ。
・『ファストフードの競争は熾烈化  3月までは店外でのまとめ買い需要が好決算に結び付いた日本マクドナルドだが、直近の既存店の客単価を見ると、前年の反動で4月は9.7%減、5月は13.7%減と前年同月割れが続く。客数増により既存店売上高自体は伸びを確保しているものの、店舗改装や購買利便性を上げる施策のさらなる投入により、客数拡大をどこまで維持できるかが、今後の成長の鍵を握るだろう。 足元では、多くのプレーヤーがコロナ禍でも堅調なファストフード業態に参入している。 松屋フーズホールディングスはライスバーガー専門店「米(my)バーガー/こめ松」を4月よりデリバリー限定で展開。ロイヤルホールディングスも5月にバターチキン専門店「Lucky Rocky Chicken」を出店し、鳥貴族ホールディングスも8月に新業態「トリキバーガー」を都内でオープンする予定だ。 大手を中心に、モバイルオーダーや宅配などマクドナルドが強みをもつ領域を強化する動きが広まり、胃袋を取り合う争いは苛烈化している。マクドナルドも絶えずサービスをブラッシュアップできなければ、コロナ禍で磨いた「勝利の方程式」が通用し続ける保証はない。)数々の取り組みが好循環を生む中、今年3月、約7年間にわたり日本マクドナルドHDを率いてきたサラ・カサノバ社長が退任。後任の社長には元取締役の日色保氏が就き、カサノバ氏は会長職に就任した。 日色社長はジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人社長を経て、2018年に日本マクドナルドHDへ入社。2019年3月には事業会社である日本マクドナルド社の社長に就任していた。 マクドナルド入社当初から「組織や人材の育成経験が豊富」(カサノバ氏)との評価を受けていた日色氏。優秀な人材の採用と育成に注力する方針を掲げる。 同社では2020年度は店舗数こそ微増程度だったが、採用を重点的に強化し、働くクルーの数は1年間で約15万人から約17万人へと急増。目下、宅配業務と店舗業務両方をこなせるクルーの育成にも注力しており、今後さらに人材への投資を強める考えだ。 改装など店舗投資も積極化させる。活況ゆえに、店舗では顧客の待ち時間が長くなるケースも多発。そのためドライブスルーのレーン増設に加え、ハンバーガーの製造能力が2倍になるような新型キッチンの導入も進める。 ▽ファストフードの競争は熾烈化(3月までは店外でのまとめ買い需要が好決算に結び付いた日本マクドナルドだが、直近の既存店の客単価を見ると、前年の反動で4月は9.7%減、5月は13.7%減と前年同月割れが続く。客数増により既存店売上高自体は伸びを確保しているものの、店舗改装や購買利便性を上げる施策のさらなる投入により、客数拡大をどこまで維持できるかが、今後の成長の鍵を握るだろう。 足元では、多くのプレーヤーがコロナ禍でも堅調なファストフード業態に参入している。 松屋フーズホールディングスはライスバーガー専門店「米(my)バーガー/こめ松」を4月よりデリバリー限定で展開。ロイヤルホールディングスも5月にバターチキン専門店「Lucky Rocky Chicken」を出店し、鳥貴族ホールディングスも8月に新業態「トリキバーガー」を都内でオープンする予定だ。 大手を中心に、モバイルオーダーや宅配などマクドナルドが強みをもつ領域を強化する動きが広まり、胃袋を取り合う争いは苛烈化している。マクドナルドも絶えずサービスをブラッシュアップできなければ、コロナ禍で磨いた「勝利の方程式」が通用し続ける保証はない』、「多くのプレーヤーがコロナ禍でも堅調なファストフード業態に参入」、競争が一段と激化するなかで、「マクドナルド」は「勝利の方程式」をどう磨いていくのか注目される。

第三に、7月8日付け日刊ゲンダイ「かっぱ寿司社長がデータ不正取得で告訴…背後にある「回転ずし戦争」の熾烈」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/291596
・『回転ずしチェーン「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの田辺公己社長(45)が、営業秘密を不正に受け取っていたとして、同業大手の「はま寿司」から不正競争防止法違反の疑いで告訴された。警視庁は先月28日、カッパ本社や田辺社長の自宅を家宅捜索した。 田辺氏は、はま寿司の親会社「ゼンショーHD」出身で、元はま寿司の取締役だった。2020年11月、カッパの顧問に転じた直後から12月中旬にかけて、数回にわたり、元同僚からはま寿司社内で共有されていた日次売り上げデータなどを、個人的にメールで送付してもらっていた。その後、田辺氏は副社長を経て、21年2月、カッパの社長に就任している。田辺氏は東海大開発」工学部卒。はま寿司の取締役を務めた後17年と18年に同じくゼンショー傘下のジョリーパスタとココスジャパンの社長を歴任している。 外食大手のコロワイドが、300億円を投じ、社運をかけてカッパを買収したのは14年10月。かつてカッパは業界内で圧倒的なシェアを誇っていたが、「安かろう、まずかろう」という悪いイメージを払拭できないまま、業界4位に低迷。21年3月期の前期売上高は、3位のはま寿司に倍近い差をつけられている。コロワイド創業者の蔵人金男会長はカッパを買収して以来、社長のクビを5回スゲ替えるなど異常事態が続いていた。データの不正取得の背景には、売り上げが伸びない田辺氏の焦りがあったのかもしれない』、「コロワイド創業者の蔵人金男会長はカッパを買収して以来、社長のクビを5回スゲ替えるなど異常事態が続いていた」、それにしても、「田辺氏」はかつて「はま寿司の取締役を務めた」とはいえ、「かっぱ寿司」社長なのに、「はま寿司社内で共有されていた日次売り上げデータなどを、個人的にメールで送付してもらっていた」、驚くような違法行為だ。
・『■「はま寿司」から転職後3カ月で社長就任  外食ジャーナリストの中村芳平氏がこう言う。 「ライバル会社に移ったとはいえ、はま寿司が元取締役を告訴までしたということは、両者の関係はもともとうまくいっていなかったのではないか。田辺氏も、はま寿司に残っていても出世の目がないとみて、出たのでしょう。自らコロワイドに売り込んだ可能性もあります。親会社のコロワイ1としても、メリットがなければ受け入れない。しかもコロワイドに移籍して、わずか3カ月で社長に就任している。田辺氏は不正取得をしてでも、実績を上げなければならない立場だったのでしょう」 ここ数年、ライバル会社に移った社員が「内部情報」を持ち出すケースが相次いでいる。19年には、アシックスからプーマの関連会社に転職した社員によるデータの持ち出しが発覚。21年にはソフトバンクから楽天モバイルに移った社員が5Gに関する情報を持ち出し、それぞれ摘発されている。 「回転ずし業界はトップのスシローが商品開発力や人材育成において、一歩も二歩も抜け出している。その一方で、このままではカッパは先細りするだけです。コロワイドはカッパを買収した際、1年か2年で立て直せると踏んでいた。ところが今のコロワイドには、立て直せる人材もおらず、育てる能力もない。だから今回のような事件が起きてしまったのでしょう」(中村芳平氏) ただでさえ、不振にあえいでいるというのに、イメージダウンは必至だ』、「今のコロワイドには、立て直せる人材もおらず、育てる能力もない。だから今回のような事件が起きてしまったのでしょう」、お粗末極まる事件だ。
タグ:外食産業 東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ (その3)(ロイヤルホスト「双日と提携」で業績復活なるか ノウハウに魅力 航空関連ビジネス再建に本腰、コロナ禍も快走!マックが「店外」で圧倒する真因 最高益の裏に持ち帰り・宅配の"綿密戦略"あり、かっぱ寿司社長がデータ不正取得で告訴…背後にある「回転ずし戦争」の熾烈) 「ロイヤルホスト「双日と提携」で業績復活なるか ノウハウに魅力、航空関連ビジネス再建に本腰」 「完璧な事業ポートフォリオだと思っていた」、「しかし、コロナ禍で状況は一変。リスクが分散されていたはずの全事業で甚大な被害が出た。外出自粛やインバウンド(訪日客)喪失により外食、ホテル、機内食、コントラクトが深刻なダメージを受け、付随して食品事業も低迷。2020年12月期は主要5事業すべてが赤字に転落」、コロナ禍の影響は予想外のダメージを与えたようだ。 「機内食事業」で「持ち分60%を双日に譲渡」、はなかなかいい組み合わせだ。 「外食事業や食品事業でも明るい兆しが見え始めた」のは確かなようだ 「ロイヤルHDの「復活への狼煙」」は果たして上がるのだろうか。 「コロナ禍も快走!マックが「店外」で圧倒する真因 最高益の裏に持ち帰り・宅配の"綿密戦略"あり」 「快進撃はどこまで続くか」は確かに注目点だ 「1971年に出した日本1号店が持ち帰り専門だったこともあり、従来「店外戦略」には強かったマクドナルド。コロナ禍での躍進の裏には、この店外戦略において、矢継ぎ早に新規策を打ち出し需要を取り込んだ成果が大きい」、創業時の強味がいまだに強味になるというのはすごいことだ。 「読売新聞の販売店の配達スタッフがマックデリバリーの配送業務を担う、業種の垣根を超えた取り組みも進めている」、面白いアイデアだが、「新聞販売店」を警戒するユーザーもいることは要注意だ。 「多くのプレーヤーがコロナ禍でも堅調なファストフード業態に参入」、競争が一段と激化するなかで、「マクドナルド」は「勝利の方程式」をどう磨いていくのか注目される。 「かっぱ寿司社長がデータ不正取得で告訴…背後にある「回転ずし戦争」の熾烈」 「コロワイド創業者の蔵人金男会長はカッパを買収して以来、社長のクビを5回スゲ替えるなど異常事態が続いていた」、それにしても、「田辺氏」はかつて「はま寿司の取締役を務めた」とはいえ、「かっぱ寿司」社長なのに、「はま寿司社内で共有されていた日次売り上げデータなどを、個人的にメールで送付してもらっていた」、驚くような違法行為だ。 「今のコロワイドには、立て直せる人材もおらず、育てる能力もない。だから今回のような事件が起きてしまったのでしょう」、お粗末極まる事件だ。
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スガノミクス(その8)(菅総理の「誇大妄想」が悲しい途上国日本 古賀茂明 連載「政官財の罪と罰」、作家・佐藤優が読み解く 菅首相がじんわりと怖いのはなぜか 緊急事態宣言とオリンピック開催が両立する菅首相の頭の中の論理、菅政権は末期に 酒取引停止問題で露呈した限界 首相の指導力が急低下 募る衆院選への不安) [国内政治]

スガノミクスについては4月16日に取上げた。今日は、(その8)(菅総理の「誇大妄想」が悲しい途上国日本 古賀茂明 連載「政官財の罪と罰」、作家・佐藤優が読み解く 菅首相がじんわりと怖いのはなぜか 緊急事態宣言とオリンピック開催が両立する菅首相の頭の中の論理、菅政権は末期に 酒取引停止問題で露呈した限界 首相の指導力が急低下 募る衆院選への不安)である。

先ずは、7月6日付けAERAdot「菅総理の「誇大妄想」が悲しい途上国日本 古賀茂明 連載「政官財の罪と罰」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2021070300016.html?page=1
・『6月18日、政府は、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)と「成長戦略実行計画」を決定した。 しかし、その中身にはほとんど意味はない。これらの文書に書かれた項目のほとんどが、各省庁の予算要求の根拠にするための作文に過ぎず、何年か経って振り返ると、大きな目標のほとんどが未達成のままだからだ。 今回の発表劇を見て、私は、2013年6月14日を思い出した。「日本再興戦略」が発表された日だ。12年12月に総理の座に就いた安倍晋三氏は、海外に出かけると、「ジャパン・イズ・バック」、「バイ・マイ・アベノミクス」と胸を張り、大改革を断行するとPRしていた。ところが、当日示された日本再興戦略の中に描かれた「改革」は小粒なものばかり。市場の期待は大きく裏切られ、安倍総理の会見途中で株が暴落。それ以来、安倍総理がいくら大騒ぎをしても、成長戦略に期待する向きはなくなった。 今回は、菅義偉政権最初の成長プランだから、注目度は上がるはずだったが、はっきり言って誰も期待していなかった。ただそれは、菅政権にとってむしろ幸運だったようだ。期待が低かった分、落胆も小さく、市場への影響もなかったからだ。 90年代には携帯電話、液晶パネル、太陽光発電、風力発電などで日本企業が常に世界の上位を占めていたが、それは遠い過去の栄光だ。IT化では、先進国の最後尾に取り残され、先週は、半導体不足で自動車生産が停滞し、鉱工業生産が大幅減少と報じられた。昔は、世界の半導体市場で多くの日本企業がランキング上位を占めていたのが夢のようだ。この間、成長戦略が毎年出されたが、何の意味もなかった。 しかし、だからと言って成長戦略が不要という訳ではない。特に、経済の停滞が著しい日本にとっては、過去の失敗と決別するためにも、新規事業がどんどん生まれ育って行く「ビジネス環境」の整備は喫緊の課題だ。 実は、上述の13年の「戦略」は、そうした認識に基づき、「20 年までに、世界銀行のビジネス環境ランキングで日本が現在の先進国15 位から3位以内に入る」という目標を記していた。先進国とは、OECD(経済協力開発機構)加盟国である』、「13年の「戦略」」は「世界銀行のビジネス環境ランキング」を目標に掲げていただけ、まだ良心的だった。
・『しかし、最近、この話は全く聞かなくなった。それもそのはず、実は、日本の順位は20年版世銀ランキングで、OECD諸国中18位と下がっている。世界全体では、28位のロシアにも及ばず29位。31位の中国に抜かれる寸前だ。もはや先進国とも呼べない状況なのである。失態続きの経済産業省と菅政権は、こうした実態を隠すために、今回の実行計画にこの目標は掲げなかった。 ちなみに、OECD3位は遥か彼方でほぼ実現不可能なのだが、その3位の座にいるのは、何と菅政権が大嫌いな韓国だ。「目標は韓国です」とは、恥ずかしくて言えるはずもない。選挙前に最大の支持層である岩盤右翼の人々がそれを聞いたら、気絶するかもしれない。菅総理は、こうした事実を隠すため、「日本が世界の成長を牽引して行く」と述べている。本気で言っているとしたら「誇大妄想」というしかないだろう。 不都合な真実から目をそらしても状況は改善しない。日本の産業を立て直すには菅政権に退場してもらうしかなさそうだ』、「日本の順位は20年版世銀ランキングで、OECD諸国中18位と下がっている。世界全体では、28位のロシアにも及ばず29位。31位の中国に抜かれる寸前」、「OECD3位・・・の座にいるのは、何と菅政権が大嫌いな韓国だ」、惨憺たる状況だ。格好をつけずに、実態に即した施策が強く求められている。

次に、7月9日付けJBPress「作家・佐藤優が読み解く、菅首相がじんわりと怖いのはなぜか 緊急事態宣言とオリンピック開催が両立する菅首相の頭の中の論理」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66006
・『「民主主義の消費期限はもう切れているのかもしれない」と話すのは作家で元外務省主任分析官の佐藤優(さとう・まさる)氏だ。コロナの封じ込めに成功した中国を見て、非常事態への対応には非民主な体制の方が強いのではないかと多くの人が不安を抱いた。民主主義が崩壊し、独裁のような形に変わっていくほど、私たちの社会や経済は追い詰められた状況にあるのだろうか。 ウラジーミル・プーチン、習近平、ドナルド・トランプ、金正恩など11人の独裁者を解説する『悪の処世術』(宝島社新書)を上梓した佐藤氏に話を聞いた。(聞き手:長野光 シード・プランニング研究員、Qは聞き手の質問)(※記事の最後に佐藤優氏の動画インタビューが掲載されているので是非ご覧ください)』、興味深そうだ。
・『恐怖政治の仕組みを上手く作ったプーチン大統領  Q:数々の政敵や反体制派をむごたらしく葬ってきたロシアのプーチン大統領こそ、現代の危険な独裁者というイメージにぴったりといった印象を受けます。プーチン大統領の人間性について教えてください。 佐藤優氏(以下、佐藤):反体制派に毒を飲ませたり、記者を殺したりしてもプーチンに得はありません。ロシアは直接選挙ですし、ロシア国民は知的水準も高い。そんな乱暴なことをしたら大統領に当選できません。「プーチンはバカだ」というプーチン観がありますが、そこまでバカな奴が20年以上も権力を握れるはずもない。 一度、「ロシアは怖い」という価値判断を外してロシアを見てみたら面白いですよ。国会議事堂に乱入して銃乱射するような国が民主主義国だと本当に言えますか。ロシアだってロシアなりの基準で民主主義国なんです。 『ウラジーミル・プーチンの大戦略』(2021年7月発売予定、東京堂出版)の著者、アレクサンドル・カザコフは僕のモスクワ大学の同級生で、プーチンの側近グループの一人です。 この本では、デモクラシー(民主主義)が機能しなくなって、今の世界のトレンドはフォビアクラシー(phobiacracy、恐怖政治)だと言っている。プーチンは恐怖政治の仕組みを上手に作っています。忖度の構造を作るのが上手い。そして、日本にもフォビアクラシーがあります。 Q:日本の今の政権に恐怖政治の要素が見られるということですか。 佐藤:菅さん(菅義偉首相)はかなり怖い。彼がやっているのは、完全にフォビアクラシー(恐怖政治)です。少しでも反発する者が出てきたらバサッと切りますから。あれだけ頼りにしている尾身さん(新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身茂会長)だって、近々切られる可能性が十分あると思う』、「日本にもフォビアクラシーがあります・・・菅義偉首相がやっているのは、完全にフォビアクラシー(恐怖政治)です。少しでも反発する者が出てきたらバサッと切りますから」、「菅政治」は「フォビアクラシー」とは言い得て妙だ。
・『菅首相がオリンピックに固執する論理  佐藤:「オリンピックをやめたら、自分の政権が潰れる。だから権力に固執している」と考えると、菅さんという人を読み違える。オリンピックをやれば感染者が増え、世界の変異株がたくさん入って来るなんてことは、彼も百も承知でしょう。 菅さんは、このコロナの中、権力に空白が生じることで政治や経済に混乱が生じないように、自分がやり続けることが唯一の選択肢だと信じている。そして、安定か混乱か、どちらを取るかと考えた場合に、混乱を避けるためにはオリンピックに突入せざるを得ないから苦渋の選択をする、と。 政治は究極の人知を超えた世界にあります。ヒトラーだって、最初から独裁者になると思っていなかった。最初は国民に選ばれた、と思う。その次に神様に選ばれた、と思うようになる。菅さんも神がかり的なところがあると思う。本人でさえ総理大臣になると思っていなかったんだから。今、このコロナ禍の日本で首相をやっているのは自分の天命だと思っていると思う。 彼は究極の現実主義者ですよ。河井克行(元法相)や河井案里(元参院議員)は、ガネーシャの会で菅さんの応援団だった人です。菅原一秀(前経済産業相)や吉川貴盛(元農相)、自分に近かった総務官僚、自分の息子も誰も守らない。単に冷たいというレベルではなく、「混乱を避けるために、申し訳ないけど事実だったらしょうがない、責任を取ってもらうしかない」という思想で切り捨てる。これは官僚や政治家としては怖いですよ。 Q:「ルールを破ったら仲間であろうと容赦しない」という姿勢は、国民の側からすると公正なもので悪くないようにも思えますが。 佐藤:そう思います。コロナの予防接種も思うように進んでいないし、オリンピック開催の不安もあるにも関わらず、菅政権の支持率は30%ある。これはかなり高い。 混乱への恐れ、そういう感覚は国民の中でかなり強いと思います。今の政権が素晴らしいとは思わなくても、安定か混乱かだったら国民は安定を選択する。ただ、この安定か混乱かという選択は、ともすれば独裁を是認する方向に行きかねません』、「この安定か混乱かという選択は、ともすれば独裁を是認する方向に行きかねません」、確かにそのリスクに要注意だ。
・『もう一人の“独裁者”、習近平はどう見る?  Q:長い一人っ子政策の末、人口動態がいびつになった中国。成長が難しくなり、社会や経済の問題に政治が対処できなくなる時、次に民衆の心の拠り所になる可能性として宗教を想定している習近平は、先回りしてキリスト教をはじめ、外国の宗教を体制内部に取り込もうと目論んでいる、と書かれています。習近平政権は自分たちの作り上げたカルチャーが、宗教によって変容される可能性を恐れないのでしょうか。 佐藤:そもそも共産党体制自体に、理想的な社会を作っていこうという宗教的な要素があります。今までのようなマルクス・レーニン主義や毛沢東思想によって体制を維持できなくなったら、帝国を維持するために民心を安定させる宗教を取り込もうとするのは必然です。 でも、中国国内の地下教会や法輪功、「イスラム国」(IS)等は、極端に政治化して共産党体制とぶつかるから困る。矛盾せずに並存できる宗教といえば、カトリック教会です。 カトリック教会は、旧東欧の共産圏とも中南米の独裁政権とも上手くやってきました。今はまだ司教の任命権の問題があり、バチカンと手を握れていませんが、共産党体制に反発せずに社会問題を処理するという点ではカトリックが魅力的です。 それから、創価学会(創価学会インターナショナル)の活動も同時に公認することになるでしょう。創価学会は、日本では戦時中、軍部と対立していましたが、今は自公政権の中で与党化しています。中国共産党政権の中で与党化することも可能ですよ。 Q:日本では創価学会は公明党を持っています。創価学会を大々的に取り入れる場合、中国政府は政治に関与してくる可能性を懸念するのではないでしょうか。 佐藤:そうは思いません。一国二制度の下で、香港とマカオでは創価学会インターナショナルの活動は認められています。それから、中国の各大学には池田思想研究所があります。創価学会が政治活動をしているのは日本だけで、世界百数十カ国の創価学会インターナショナルは政治活動をしていません。政治との関係においては折り合いをつけやすい教団なんです』、「共産党体制に反発せずに社会問題を処理するという点ではカトリックが魅力的です。 それから、創価学会・・・の活動も同時に公認することになるでしょう」、なるほど。
・『トランプが勝ちを想定した民主主義のゲーム  Q:「私は低学歴の人たちが好きだ」と言い放ったトランプ大統領は、下品さを見せびらかすことで、大衆にこいつは気取っていないと思わせて引きつけた。トランプの強さは支持者がカルト化したところにある、と記されています。なぜ米国人は理想主義者のサンダース氏より、ヒールレスラーのトランプ氏をより熱狂的に求めたのでしょうか。 佐藤:政治は論理だけではなく感情で動きます。トランプは安定した支持者さえ掴んでいればこのゲームに勝てると計算していた。最後まで選挙結果を認めなかったことも、次の大統領選挙を考えれば正しいやり方です。 民主党はトランプの逆打ちばかりしています。イランで対話を再開し、イエメンのフーシ派のテロ組織指定を撤回し、アフガニスタンからの米軍撤退に関しては政策がぶれました。 もっとも、アフガニスタンから米軍が撤退しても、米国の民間戦争会社が国際機関や米国企業を防衛しています。軍服からガードマンの服に変えているだけで、本質的な違いはありません。 Q:トランプには政治家になって実現したい具体的な事柄が存在しない。「アメリカファースト」はそのような国づくりを理想としているのではなく、自己表現の一つに過ぎない、と書かれています。政治をエンターテイメントにできるのが不真面目な政治家の強みだと思いますが、これは危険なことでしょうか。 佐藤:危険だけど止められない。ウクライナのゼレンスキー大統領は元コメディアンです。「大統領」というテレビドラマに出たら大ヒットして、その勢いで大統領になっちゃった。プロレスみたいになってるんですよ、民主主義って。 そうなると民主主義以外の選択肢、恐怖政治の方が国民は幸せなんじゃないか。そういう発想も出てくる。 Q:民主主義が崩壊して独裁のような形に変わっていくほど、現在は追い詰められた状況だということでしょうか』、「アフガニスタンから米軍が撤退しても、米国の民間戦争会社が国際機関や米国企業を防衛しています。軍服からガードマンの服に変えているだけで、本質的な違いはありません」、確かにその通りなのだろう。
・『今後生まれてくる社会主義でも共産主義でもない体制  佐藤:中国はコロナを封じ込めることに成功している。この意味は相当に大きい。民主主義の消費期限が切れているのかもしれない。でも社会主義は、ソビエト型の社会主義の負の遺産のせいで無理です。そうすると、恐らく出てくるのは一種のファシズムでしょう。国家の暴力を背景にして、雇用を確保して、経済的な再分配をしていくという思想です。 Q:コミュニズムを装ったような形で、ということですか。 佐藤:利潤を追求する起業家精神は尊重するという点では、コミュニズムとは違います。経済は統制しないで競争はやらせる。でも、競争の成果物は取り上げて、貧しい人々に再分配する、というやり方です。中国は比較的近いと思いますが、共産主義という看板を掲げなくなると思います。 日本で言うとまず、年収3000万円くらいまでの人はいてもいい。でも、年間10億円、20億円稼ぐ奴からは全部召し上げて資産に課税する。消費税はがーんと上げる。それを原資として再分配し、最低700~800万円の世帯収入は皆に保証する、というイメージです。 Q:米国のような超富裕層の少ない日本では、資産家に大きく課税するという考え方は都合がいいと考える人は少なくないかもしれないですね。 佐藤:今のところは事実上、MMT(現代貨幣理論)で世の中が動いてしまっているわけでしょう。いくら国債売っても大丈夫なんだ、と。あれは絨毯にガソリンを撒いているようなものです。すぐに火はつかないけど、朝鮮半島や台湾海峡の有事等、国際情勢によって一気に火がついて極端なハイパーインフレになります。 その時、MMTだと、増税で対応するということになっているけど、そんなことが短期間でできるのか。そうなると、リバタリアン(自由主義)的な発想じゃなくて国家が乗り出してくると僕は思う。 Q:金正恩には求愛を恫喝で示すという独特な表現様式がある、と書かれています。当たり屋のようにトラブルを持ち込み、恫喝し困った相手を交渉の場に引きずり出して、注文をつけて相手が少しでも譲歩したら儲けもの、というあの質の悪いやり口を金正恩総書記はどこから学んだのでしょうか』、「今のところは事実上、MMT・・・で世の中が動いてしまっているわけでしょう・・・あれは絨毯にガソリンを撒いているようなものです。すぐに火はつかないけど、朝鮮半島や台湾海峡の有事等、国際情勢によって一気に火がついて極端なハイパーインフレになります」、同感である。
・『「北朝鮮の人々は今の北朝鮮にそこそこ満足している」  佐藤: 金日成や金正日の時には北朝鮮から輸出するものもあったし、第三世界の支援もしていた。金日成の主体思想に惹かれる人もそれなりにいました。金正日の時はリビアにトンネルを掘っていたし、土木工事なんかで儲けていたんです。 ところが、国連の制裁が加わって、だんだんそういうことができなくなって、ハッキングして仮想通貨を盗むとか犯罪国家的になっていった。ある意味、北朝鮮に対する制裁が効いてるんですよね。 ただし、核兵器を持っているから、迂闊なことはできない。北朝鮮は自分の身を守るために、核兵器が米国に到達するような形にしておかないといけない、と思い込んでいます。特に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の多弾頭化に成功すれば、北朝鮮の安全は保障されるということになります。 北朝鮮は貧乏ですが、朝鮮戦争直後に比べて人口が増えているし、1990年代後半に多くの餓死者を出した「苦難の行軍」の時期と比べても豊かになっています。 北朝鮮のキャリアパスでは平壌に住むのが頂点だし、農村から地方の中核都市に移ることによって人の移動がある。それを目指して頑張るから、あの体制内でも、みんなそれなりに幸せにやっています。閉ざされた環境の中で、たとえ低い生活水準でも人々はそれを甘受して、そこそこの幸せを感じる、ということは十分あるんです。 Q:「私が20世紀の独裁者の中で最も興味を持っているのが、アルバニアに君臨したエンベル・ホッジャである」と本書で書かれています。日本で一般的に語られる国際政治の主要な人物の中では比較的マイナーな存在ですが、なぜこの独裁者に格別の興味を示されるのでしょうか。 佐藤:政治家にとって一番重要なことは、国民を飢えさせず食べさせることです。アルバニアは荒れた土地の小国なのに、エンベル・ホッジャは自力でちゃんと生き残って国民を食わせることができた。大したものです。しかも、ソ連や中国と喧嘩しながら衛星国にならず、バランスを取っていた。本来だったらユーゴスラビアに吸収されてしまうような小さい国ですからね。 Q:エンベル・ホッジャが尊敬していたのは、鉄の規律で民衆を徹底的に押さえつけ、平等な世界を実現しようとしたソ連の独裁者ヨシフ・スターリンでした。アルバニアもロシアもその後、破滅的な辛い時代に突入しますが、それは過度な理想主義者に無理に矯正された反動でバランスを崩して転倒した結果のように見受けます。完璧な世界の実現を目指す真面目すぎる政治家もまた、ならず者以上に危険な存在なのでしょうか』、「過度な理想主義者」の失敗例は、カンボジアのポルポト政権も記憶に新しいところだ。
・『究極の自己責任社会だった旧ソ連  佐藤:理想で世の中を動かそうとしても短期間しか動かない。最後は恐怖で動かすしかないし、理想的な社会を作るには恐怖政治になる。ただ、恐怖政治だとしても、その仕組みが機能している限りにおいては長期間続くんです。 ソ連はある意味で、非常にいい社会でした。共産主義の理想である「労働時間の短縮」が実現されていました。1日3時間くらいしか働かない。土日は2回休むし、夏休みは2カ月ある。クーポン券が労働組合から配られるから、夏の間はリゾートホテルでみんな遊んでいたんです。 Q:生活が安定して様々なものが享受できたとしても、人々は精神的に幸せにはなれないのでしょうか。 佐藤:旧ソ連はそれなりに幸せだったんです。住宅はタダで分けてくれる仕組みがあって、普通の労働者は別荘を持っていた。郊外のログハウスに10人くらいで集まって、手作りの料理を持ち寄って飲んで・・・。全然悪くない、楽しい生活ですよ。 別荘に集まってタイプライターで詩や作品を作ることもありました。どんな反体制文書でも、製本して20部作って配るくらいは全然問題ない。日本の学術論文の読者だって、実際は3人くらいでしょう。知的な活動をしている人は、20部程度発行できれば満足ですよ。 一人の人が一生の間に知り合える人は150人で、人事評価をきちんとできる人数は8人だと言われています。人というのは10人、15人の人がいればわりと満足なんです。今の日本の場合、10人、15人の友達に会いたいと言っても難しいでしょう。仕事で都合つかないとか、収入に余裕がなくてカツカツだとか。 Q:競争志向型の人は、ソ連時代はどうしていたのでしょうか。 佐藤:ソ連のエリートはハイリスク・ローリターンだったんです。腐っていない卵を買えるくらいの特権しかなかったんです。国家の指導的な立場になっても、政争に巻き込まれてシベリア送りや刑務所送りになるリスクがあった。でも、そこそこの生活でよければ政争に巻き込まれることはない。 しかし、人々はミネラルウォーターやビールを飲む時は、光にかざしてチェックする必要がありました。品質管理がないから、ネズミのうんこが入っている可能性がある。それを飲んで腹を壊しても自己責任、だからみんな一生懸命に目を凝らしていた。究極の自己責任社会だったんです』、「理想的な社会を作るには恐怖政治になる。ただ、恐怖政治だとしても、その仕組みが機能している限りにおいては長期間続くんです。 ソ連はある意味で、非常にいい社会でした。共産主義の理想である「労働時間の短縮」が実現されていました。1日3時間くらいしか働かない。土日は2回休むし、夏休みは2カ月ある。クーポン券が労働組合から配られるから、夏の間はリゾートホテルでみんな遊んでいたんです」、「ソ連」にもそんないい面があったとは初めて知った。
・『今の自由民主主義を守るには  Q:不安が多い社会では、強くて賢くて大いなる何かに導かれたいという願望が人々の間で高まりやすくなる。民主主義による意思決定のシステムが面倒に思えてくる。民主主義のシステムの綻びが大きくなり始めた今、20世紀の妖怪たちが息を吹き返そうとしている、と本書の冒頭で書かれています。この底流にある問題意識を教えてください。 佐藤:私は自由民主主義を守りたいと思う。 自由になると格差がつきすぎるけど、平等にすると競争がなくなって息苦しくなる。自由民主主義というのは、異なるベクトルの間で折り合いをつけていきます。その折り合いをつける基準は、フランス革命の自由、平等、友愛というスローガンの友愛ではないか。 では、その友愛はどう作られるのか。率直に意見を交わして、信頼が積み重なっていくと、その信頼関係がある人たちの間では、折り合いがつけられる。そういうネットワークを、自分の手が触れられるチャンスがある時に作る努力を怠らないこと、それが大事だと思う。(構成:添田愛沙)』、「信頼関係」はテーマ毎に成立する集団が変わってくる筈で、「佐藤氏」が言うほど簡単ではなさそうだ。

第三に、7月16日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「菅政権は末期に、酒取引停止問題で露呈した限界 首相の指導力が急低下、募る衆院選への不安」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/441218
・『コロナ感染抑止策の一環として政府が画策した酒取引停止要請が全面撤回を余儀なくされた。関係する金融機関や酒事業者団体の反発に加え、与党内からも不満が噴出したからだ。 東京でのコロナ感染再拡大による東京五輪・パラリンピックの無観客開催などで苦境が続く菅義偉首相の指導力は一段と低下。頼みのワクチン接種の混乱による内閣支持率の低迷もあって、与党内には次期衆院選への不安も拡大している』、「今のドタバタ劇」はいまだに収まってないようだ。
・『「西村発言」に与野党から批判の声  今のドタバタ劇の主役を演じたのは、コロナ担当の西村康稔経済再生相だ。東京への4度目の緊急事態宣言発令を決めた7月8日の政府対策本部後の記者会見で、酒類提供停止の要請を拒む飲食店の情報を取引金融機関に流し、順守を働き掛けてもらう方針を表明した。 西村氏の発言は、政府がコロナ感染拡大の主犯と位置付ける飲酒を制限するための窮余の一策ともみえた。しかし、取引関係で強い立場にある金融機関を政府が動かすことは、金融機関にとって優越的地位の乱用との批判を招きかねない。野党からは「憲法違反」との声があがる一方、酒事業団体を有力な支持母体とする自民党からも不満が噴出した。 西村氏は9日に金融機関への要請は撤回したが、酒類販売事業者に求めた酒の提供を続ける飲食店との取引停止要請については続ける意向を表明。しかし、自民党が政府に強い不満を伝えたことから、こちらも13日に撤回した。 さらに政府は、酒類販売事業者への支援金をめぐり、給付要件として「酒類提供停止に応じない飲食店との取引停止」を求めていた6月11日付の都道府県向け文書も14日夜に廃止すると発表。まさに、「西村発言で始まった朝令暮改の連鎖で、菅内閣の統治能力や判断力の欠如を露呈」(立憲民主幹部)する結果となった。 問題は、不当な圧力ともみられる取引停止要請が西村氏のスタンドプレーだったのかという疑問だ。主要野党による調査の結果、内閣官房コロナ対策室と国税庁が連名で、酒造メーカーや販売団体に飲食店への酒類取引停止を求める文書を8日付で送付していたことが判明した。) 文書の題名の末尾には「依頼」と記載されており、コロナ対策室が菅首相に事前説明していたことも明らかになった。「まさに政府ぐるみの要請」(自民幹部)だったわけで、菅首相は9日の段階で西村氏発言について「承知していない」としらを切ったが、主要野党は「すべては最高指揮官の菅首相の責任」と勢いづいた。 深刻化する事態に焦った菅首相は14日午前、「先週の事務方の説明の中で言及しているということだが、要請の具体的内容について議論したことはない」と釈明。そのうえで「すでに要請は撤回されているが、多くの皆様に大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びしたい」と陳謝した。 集中砲火を浴びた西村氏も、「できるだけ多くの方に協力いただきたいという強い思いからの発言だったが、趣旨を十分に伝えきれず反省している」と釈明。野党からの辞任要求には「私の責任は何としても感染拡大を収めることだ」と繰り返した』、「菅首相」は「責任」を回避し切れなくなると、やむなく「陳謝した」ようだ。
・『与党の重鎮からも苦言が相次ぐ  その一方、麻生太郎副総理兼財務相は13日の記者会見で、「海外出張中に途中段階の報告を受けたが、違うんじゃないかと思って『放っておけ』と言っ た」と苦々し気に発言。梶山弘志経済産業相も「強い違和感を覚えた。了承した事実はない」と明言した。 自民党の二階俊博幹事長は13日午前の総務会で「誤解を受けることがないよう、今後は事前に党に相談してもらい、発言には慎重を尽くしてもらいたい」と苦言を呈した。 緊急事態宣言の発令と同時進行となったのが、今回の一連の迷走劇だ。その経過や結果は、「内閣全体が感染急拡大への焦りで正常な判断ができず、世論の反発で慌てふためいて、西村氏に責任をかぶせて逃げ切りを図った」(閣僚経験者)とみられても仕方がない。 14日午前の菅首相の陳謝も、14、15両日に開催された衆参両院内閣委員会の閉会中審査で、野党の追及をかわす意図があったのは間違いない。閉会中審査で野党の厳しい追及を受けた西村氏は、これまでの「ああいえばこういう」式のしたたかな答弁ぶりが影を潜めた。「私の判断ミス」と殊勝な表情で謝罪し続け、菅首相をかばう姿勢も際立った。 西村氏の説明によると、酒類取引停止に関する金融機関と酒類販売業者への要請を策定したのは、西村氏が所管する内閣官房コロナ対策室。西村氏は「関係者との意見交換の中で最終的に出てきたのが今回の対策」と繰り返したが、発案者については言葉を濁した。) 西村氏は、その対策を菅首相らに示したのは7日のコロナ対策関係閣僚会議だったことも認めた。ただ、菅首相や出席閣僚は関心を示さず、議論の対象にもならなかったと説明。菅首相の「具体的に議論していない」との釈明を裏付けてみせた。 しかし、「金融機関を利用しての関係業者への圧力という異様な提案に何も反応しなかったとすれば、菅首相らの認識不足はひどすぎる」(経済閣僚経験者)との指摘も多い。菅首相サイドは「西村氏が余計なことを言ったからだ」と不満たらたらだが、「内閣全体の責任であることは明らか」(自民長老)にみえる』、「「金融機関を利用しての関係業者への圧力という異様な提案に何も反応しなかったとすれば、菅首相らの認識不足はひどすぎる」、その通りだ。
・『「自公以外」がネット上でトレンド入り  酒類販売事業団体はそもそも自民党の有力な支援組織で、酒類の小売業者は全国小売酒販政治連盟を結成している。今回の要請に対して同連盟会長らが自民党本部を訪れ、「得意先からの注文を拒否することは、長年培ってきた信頼関係を毀損する。取引停止に対する財政的支援が何ら担保されないまま、一方的に協力を求めることは承服できない」とする要望書を突き付けた。 こうした動きと連動する形でネット上では「自民党と公明党以外に投票します」との書き込みがあふれ、ツイッターでは「自公以外」というワードがトレンド入りする事態となった。 これについて自民党内には「所詮はネットの声」(ベテラン議員)と軽視する見方もあったが、若手議員の間では「都議選の自民敗北は、ネットでの都民の反発を見誤った結果」と指摘する声が相次いだ。東京が地盤の有力閣僚も「『自公以外』という言葉がネットを通じて無党派層に広がれば、自民は壊滅的打撃を受けかねない」と危機感を露わにした。 騒動の最中である14日、菅首相は来日中の国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と会談。「今回の東京大会はオリンピックの歴史を書き換える」(バッハ氏)などと大会成功への連携と協力を確認してみせた。 その五輪は1週間後に開幕となる。ところが、主催都市・東京の新規感染者数は増える一方で、感染症専門家の多くは「五輪開幕時には7日間平均で1000人を大きく超える」と予測している。 菅首相は西村氏の対応について「感染防止のために朝から夜まで頭がいっぱいで」と擁護してみせた。しかし、現状をみる限り、「西村氏以上に、五輪、コロナ、ワクチンで頭がいっぱいなのが菅首相」(自民長老)というのが実態かもしれない』、確かに「菅首相」は私が見ても余裕を失って政権末期を感じさせる。
タグ:東洋経済オンライン JBPRESS AERAdot 泉 宏 スガノミクス (その8)(菅総理の「誇大妄想」が悲しい途上国日本 古賀茂明 連載「政官財の罪と罰」、作家・佐藤優が読み解く 菅首相がじんわりと怖いのはなぜか 緊急事態宣言とオリンピック開催が両立する菅首相の頭の中の論理、菅政権は末期に 酒取引停止問題で露呈した限界 首相の指導力が急低下 募る衆院選への不安) 「菅総理の「誇大妄想」が悲しい途上国日本 古賀茂明 連載「政官財の罪と罰」」 「13年の「戦略」」は「世界銀行のビジネス環境ランキング」を目標に掲げていただけ、まだ良心的だった。 「日本の順位は20年版世銀ランキングで、OECD諸国中18位と下がっている。世界全体では、28位のロシアにも及ばず29位。31位の中国に抜かれる寸前」、「OECD3位・・・の座にいるのは、何と菅政権が大嫌いな韓国だ」、惨憺たる状況だ。格好をつけずに、実態に即した施策が強く求められている。 「作家・佐藤優が読み解く、菅首相がじんわりと怖いのはなぜか 緊急事態宣言とオリンピック開催が両立する菅首相の頭の中の論理」 『悪の処世術』 「日本にもフォビアクラシーがあります・・・菅義偉首相がやっているのは、完全にフォビアクラシー(恐怖政治)です。少しでも反発する者が出てきたらバサッと切りますから」、「菅政治」は「フォビアクラシー」とは言い得て妙だ。 「この安定か混乱かという選択は、ともすれば独裁を是認する方向に行きかねません」、確かにそのリスクに要注意だ。 「共産党体制に反発せずに社会問題を処理するという点ではカトリックが魅力的です。 それから、創価学会・・・の活動も同時に公認することになるでしょう」、なるほど。 「アフガニスタンから米軍が撤退しても、米国の民間戦争会社が国際機関や米国企業を防衛しています。軍服からガードマンの服に変えているだけで、本質的な違いはありません」、確かにその通りなのだろう 「今のところは事実上、MMT・・・で世の中が動いてしまっているわけでしょう・・・あれは絨毯にガソリンを撒いているようなものです。すぐに火はつかないけど、朝鮮半島や台湾海峡の有事等、国際情勢によって一気に火がついて極端なハイパーインフレになります」、同感である。 「過度な理想主義者」の失敗例は、カンボジアのポルポト政権も記憶に新しいところだ。 「理想的な社会を作るには恐怖政治になる。ただ、恐怖政治だとしても、その仕組みが機能している限りにおいては長期間続くんです。 ソ連はある意味で、非常にいい社会でした。共産主義の理想である「労働時間の短縮」が実現されていました。1日3時間くらいしか働かない。土日は2回休むし、夏休みは2カ月ある。クーポン券が労働組合から配られるから、夏の間はリゾートホテルでみんな遊んでいたんです」、「ソ連」にもそんないい面があったとは初めて知った。 「信頼関係」はテーマ毎に成立する集団が変わってくる筈で、「佐藤氏」が言うほど簡単ではなさそうだ。 「菅政権は末期に、酒取引停止問題で露呈した限界 首相の指導力が急低下、募る衆院選への不安」 「今のドタバタ劇」はいまだに収まってないようだ。 「菅首相」は「責任」を回避し切れなくなると、やむなく「陳謝した」ようだ。 「「金融機関を利用しての関係業者への圧力という異様な提案に何も反応しなかったとすれば、菅首相らの認識不足はひどすぎる」、その通りだ。 確かに「菅首相」は私が見ても余裕を失って政権末期を感じさせる。
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パンデミック(経済社会的視点)(その17)(タワマンに外車…浪費癖が仇になった経産省キャリア2人の給付金詐欺とお粗末過ぎた国会の女子トイレ盗撮、ワクチン不足・酒提供への圧力で露呈した「やりすぎる日本」という負けパターン、ジョンソン首相 若者をコロナ実験のモルモットに ワクチン接種進む英国 一気に集団免疫を狙う危うさ) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)(その17)(タワマンに外車…浪費癖が仇になった経産省キャリア2人の給付金詐欺とお粗末過ぎた国会の女子トイレ盗撮、ワクチン不足・酒提供への圧力で露呈した「やりすぎる日本」という負けパターン、ジョンソン首相 若者をコロナ実験のモルモットに ワクチン接種進む英国 一気に集団免疫を狙う危うさ)である。

先ずは、6月26日付けAERAdot「タワマンに外車…浪費癖が仇になった経産省キャリア2人の給付金詐欺とお粗末過ぎた国会の女子トイレ盗撮」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2021062600017.html?page=1
・『経済産業省の職員3人が相次いでとんでもない事件を起こし、霞が関に激震が走っている。 警視庁に6月25日、コロナ関連の国の給付金550万円をだまし取った詐欺容疑で逮捕されたのは、経産省の経済産業政策局産業資金課の係長、桜井真容疑者(28)と、同局産業組織課の新井雄太郎容疑者(28)。 2人ともキャリア官僚だが、驚いたことに、だまし取った家賃支援給付金の管轄は経産省中小企業庁。職場で堂々と詐欺を働いたというのだ。 2人は慶応高校時代の同級生で、桜井容疑者は慶応大学からメガバンクに就職したが、退職し、経産省に2018年入省した。 新井容疑者は慶応大学から東京大学のロースクールに進学し司法試験に合格し、20年に同省に入省した。 2人は共謀して所有していたペーパーカンパニー「新桜商事」(本社東京都文京区)を使って、家賃支援給付金をだまし取ることを計画。コロナ禍で売上が減少したと虚偽の書類などを作成して、家賃支援給付金を申請した。今年1月に約550万円を会社名義の口座に入金させたという。 「桜井容疑者は高級外車2台を所有している上、1か月分の給料以上になる約50万円の家賃の千代田区一番町のタワーマンション14階に住み、派手な生活をしているという情報が警視庁に寄せられていた。贈収賄を視野に捜査が始まったが、ふたを開けたら家賃支援給付金詐欺だった」(捜査関係者) 2人は新井容疑者の東京都文京区の自宅と親族宅と桜井容疑者の神奈川県の実家の計3か所へ月々200万円の家賃を支払っているというニセの賃貸借契約書を作成し、給付金をだまし取ったという。 「申告書、添付書類などは新井容疑者が大半を作成したようだ。一方、カネを派手に使っていたのは、桜井容疑者で、高級時計や外車を購入していた」(前出の捜査関係者) ちなみに桜井容疑者の住んでいた千代田区一番町の分譲タワーマンションは、不動産業者のサイトで見ると、約90平方メートルの物件で2億円近い値段がついている』、「贈収賄を視野に捜査が始まったが、ふたを開けたら家賃支援給付金詐欺だった」、「捜査関係者」もこの結果には驚いたことだろう。
・『賃貸に出ている部屋の家賃はいずれも50万円前後と超高級だ。経産省幹部はこうため息をつく。 「会社設立、その代表者となれば当然、営業活動をして利益をあげることが目的。国家公務員という立場で会社設立すること自体、兼業禁止が前提なので法に触れかねないのに…」 問題の「新桜商事」の法人登記簿によれば、19年11月に設立されている。当初は新井容疑者が代表取締役だったが、20年3月に新井容疑者の親族に変更されていた。会社の「目的」欄には<商標権、意匠権、知的財産権の取得、譲渡、使用許諾>とある。 知的財産権はまさに経産省が所管するものだ。2人が省内の情報をもとにひと儲けを企んだ可能性もある。前出の経産省幹部は法人登記を見てこう絶句した。 「これはヤバイ。経産省の情報などをもとに、稼ごうとしていたのか?家賃支援給付金もうちですよ。国家公務員として、自分の仕事をしている経産省をネタに詐欺、商売しようとするなんて…」 逮捕された2人は、経産省の出世コースの一つとされる経済産業政策局に在籍していた。産業資金課の桜井容疑者は、企業の資金調達を担当。新井容疑者は産業組織課で不正競争の防止などの仕事をしていた。2人を知る同僚はこう話す。 「2人とも頭の回転が速くて、1を言えばすぐに10を把握できるやり手でしたよ。部下からの信頼も厚かった。桜井容疑者は羽振りがよさそうだという噂はあった。だが、高校から慶応なので家が金持ちなのかな、と思っていた。将来を嘱望されていた2人がこんなバカなことで捕まるのか。信じられない」 警視庁は現在、2人の認否を明らかにしていない。 「2人は認めるような供述をしたり、また翻したりと逮捕にかなり動揺しているようだ。家賃支援給付金は経産省の担当だが、審査に便宜を図ったなどの事実は、今のところ確認されていない」(前出の捜査関係者) 他省庁の官僚は今回の事件についてこう語る』、僅か500万円で絵に描いたようなエリートコースを棒に振ったことになるが、発覚するとは夢にも思わなかったのだろう。
・『「経産省と聞いて、やりかねない気がしました。若手はもとより全体に言えることですが、今の官僚に使命感やロイヤリティを求めるのは幻想で、モラルが崩壊しています。給付金は支給の遅れを政治家から非難され、審査プロセスがどんどん簡素化、悪く言えば、適当になっています。そうした内情を理解した上での犯行でしょう。だからこそ一層、悪質だと思います」 また衆院は25日、国会議事堂内の女子トイレで起こった盗撮事件について、経産省の男性職員が盗み撮りを認めたと発表した。警視庁麹町署が捜査中だという。 4月23日午後5時45分ごろ、衆院2階の女子トイレの個室にいた女性が盗撮に気づき、発覚したという。 「男性職員は女性トイレに忍び込んで、ドアの上からスマートフォンを差し出して、盗撮に及んだようだ。女性が声をあげて助けを求めたことから、ばれてしまった。日本で最も警備が厳しい国会内でそんなことすれば、すぐ捕まるに決まっている。とんでもない不祥事が続き、もう情けない」(前出・経産省幹部)』、「女子トイレ」「盗撮事件」はバカバカしくてコメントする気にもなれない。

次に、7月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「ワクチン不足・酒提供への圧力で露呈した「やりすぎる日本」という負けパターン」を紹介しようhttps://diamond.jp/articles/-/276788
・『ワクチン接種で自治体にプレッシャー、酒提供に対する過剰な圧力  「ワクチン不足」が問題になっている。7月後半のワクチン供給は、自治体が希望する量の3分の1程度にとどまる見通しだという。 政府与党側はさまざまな釈明をしているが、つきつめていけばワクチン接種事業を、身の丈を超えて「過剰」に進めてしまったことが原因だ。 「1日100万回」「7月末までに高齢者接種完了」「10〜11月には希望者全員接種完了」という3つの目標を掲げた政府は、自治体が最も恐れる総務省から「早く接種を」とプレッシャーをかけさせたり、「打ち手」確保のために報酬を上げたりして、自治体のワクチン接種の尻を叩いた。さらに、それだけでは目標達成が不安だったのか、企業の職域接種までスタートさせた。 その甲斐あって、7月9日には会見で菅首相が、「先進国の中でも最も速いスピード」などと胸を張れるようになったワケだが、実力以上に背伸びをした結果、供給が追いつかなくなった。要は、見栄を張るために「やりすぎ」てしまったのだ。 この「やりすぎ」というのは、もうひとつ大きな問題になっている「酒提供をめぐる圧力」にも当てはまる。酒類の提供停止に協力をしない飲食店を、政府としてどうにか従わせたいという気持ちはわからんでもないが、それを法的根拠ゼロで、金融機関や酒卸業者にやらせるというのは明らかに度を越している。表現はマイルドだが、「暴力団排除」の手法とほぼ同じだからだ。 このように「やりすぎ」が招いた失敗が相次いでいるのを見ると、菅政権の先行きにかなり不安を感じてしまう。これは日本のさまざまな組織を壊滅させ、産業を衰退させてきた「負けパターン」だからだ。 身近なところで言えば、現在苦境に立たされているコンビニがわかりやすい』、「ワクチン接種」や「酒提供をめぐる圧力」では確かに「やりすぎ」たようだ。特に、「法的根拠ゼロで、金融機関や酒卸業者にやらせるというのは明らかに度を越している」。
・『「やりすぎ」がもたらす害、コンビニも三菱電機も…数えきれないほどの実例  ご存じのように、日本は世界一のコンビニ大国で、社会インフラと言ってもいいほど全国に店舗網が張り巡らされている。店舗では多種多様な商品、サービスが提供され、店員の接客も他国と比べものにならないほど丁寧である。しかし、これらの経営方針は、人口減少が急速進む日本においては「やりすぎ」として、マイナスに働いている。 店舗が多すぎるがゆえの過当競争で、コンビニ経営の厳しさが増し、「24時間営業」「弁当の値引き販売」などをめぐって、オーナーとFC本部の対立が激化している。また、店員もかつてよりやらなくてはいけない仕事が劇的に増え、もともと低賃金・長時間拘束というデメリットも相まって深刻な人手不足を起こしている。つまり、これまでは成長の原動力だった拡大路線やドミナント戦略(同じ地域に同じチェーン店舗を集中出店する戦略)が時代の変化で、「やりすぎ」となったことで、コンビニチェーンというビジネスモデルを根底から揺るがしているのだ。 また、「酒提供をめぐる圧力」と同様に、「やりすぎ」が不正を招くパターンも実は多い。 例えば、数年前から日本を代表する「ものづくり企業」で相次いで発覚し、最近も三菱電機で35年以上も続いていたことが明らかになった「検査不正」だ。 高品質をうたう日本では、それを担保するように、他国よりも厳しい品質チェツクを義務付けてきた。しかし、それは実際に現場でものをつくっている人々たちからすれば「やりすぎ」だった。だから、建前としてはルールを守りつつ、実際は自分たちが効率良く仕事ができるような「マイルール」で検査をしていたのだ。つまり、本質的なところで言えば、検査不正というのは「過剰な品質チェック」が呼び水になっている。 他にも近年で、致命的なダメージを受けた組織を思い浮かべていただきたい。 東芝、日本郵便、レオパレス21…不正内容の細かな違いはあるが、つきつめていけば、「過剰なノルマ」が影響している。事業やインフラ拡大という「やりすぎ」の尻拭いが現場に押し付けられ、不正行為を誘発しているのだ。 最近の菅政権の迷走ぶりを見ていると、このような「やりすぎ」が引き起こす「負けパターン」にどっぷりとハマってしまったように見えてしまう。 と言うと、「何をやりすぎだというのだ、むしろコロナ対策などぜんぜんやってないじゃないか」という声が飛んできそうだ。しかし、この1年、ハタから見ていて「ちょっとやりすぎじゃないですかね」と心配してしまうものがある。 それは、「過剰な医師会擁護」だ』、「検査不正というのは「過剰な品質チェック」が呼び水になっている」、「東芝、日本郵便、レオパレス21…不正内容の細かな違いはあるが、つきつめていけば、「過剰なノルマ」が影響している」、「この1年、ハタから見ていて「ちょっとやりすぎじゃないですかね」と心配してしまうものがある。 それは、「過剰な医師会擁護」だ」、同感である。
・『医療体制の改革はなぜ進まない?過剰な医師会擁護の理由  ご存じのように、世界を見渡せば、1日の新規感染者が2万人、3万人という国でも「病床のひっ迫」が叫ばれていないのに、日本では1日の新規感染者が5000人というような水準で、「医療崩壊」のアラートが鳴る。 なぜこんなおかしなことが起きるのかというと、「急性期病床」が世界一というほど多いからだ。 『「多すぎる病院」が、コロナ禍で医療現場の危機を招きかねない理由』の中で詳しく解説したが、日本は医療従事者の数は他の先進国とそれほど変わらないにもかかわらず、急な容態の悪化などで用いられる急性期の病床が「異常」というほど多い。それはつまり、医療従事者1人あたりの負担が「異常」なほど重いということだ。 だから、他の先進国のようにコロナ患者に対応できない。これが人口1300万の世界有数の巨大都市・東京で、コロナ患者が1000人出たらもうアウトという「脆弱な医療体制」の構造的な原因であり、「コロナ死を防ぐ」ため、政治が手をつけなくてはいけないところだ。 だが、政府としてはこのあたりはあまり突っ込みたくない。というか、できる限り、国民にはスルーしてもらいたい。なぜなら、これまで日本で病床が足りないと政治に働きかけてきた日本医師会は、自民党最大の支持団体だからだ。 だから、政府も自民党も、いつまで経っても解消されない「病床ひっ迫」については深く掘り下げたくない。しかし、現実問題として病床はひっ迫している。コロナ患者を受け入れている医療機関は、野戦病院のようになって、一部の医療従事者の負担はすさまじいことになった。 となると政治としては当然、この「悲劇」を引き起こしている原因と、この問題を解決するためにリーダーシップを発揮して動いていますよ、というパフォーマンスが必要になる。ストレートに言えば、「こいつらがいるからいつまでも病床がひっ迫するんですよ」というスケープゴートだ。ここまで言えばもうお分かりだろう。それが、「若者」と「飲食店」だ。 「病床がひっ迫しているのは、路上飲みをするような非常識な若者がいるから」、「医療従事者の皆さんが寝る間も惜しんで戦っているのに、居酒屋で酒を提供するなんて不謹慎だ」。そんなストーリーを定着させれば、「日本の脆弱な医療体制」から目を背けられる。 役所のリリースや会見を右から左へ流すマスコミの協力もあって、今のところこの戦略はうまくいっている。しかし、手痛い誤算もあった。国民に過剰に「病床ひっ迫」の恐ろしさを煽り続けてきたことが裏目に出て、東京オリンピック・パラリンピックが、「無観客」へ追い込まれてしまったのだ。医療体制の改革はなぜ進まない?過剰な医師会擁護の理由 ご存じのように、世界を見渡せば、1日の新規感染者が2万人、3万人という国でも「病床のひっ迫」が叫ばれていないのに、日本では1日の新規感染者が5000人というような水準で、「医療崩壊」のアラートが鳴る。 なぜこんなおかしなことが起きるのかというと、「急性期病床」が世界一というほど多いからだ。 『「多すぎる病院」が、コロナ禍で医療現場の危機を招きかねない理由』の中で詳しく解説したが、日本は医療従事者の数は他の先進国とそれほど変わらないにもかかわらず、急な容態の悪化などで用いられる急性期の病床が「異常」というほど多い。それはつまり、医療従事者1人あたりの負担が「異常」なほど重いということだ。 だから、他の先進国のようにコロナ患者に対応できない。これが人口1300万の世界有数の巨大都市・東京で、コロナ患者が1000人出たらもうアウトという「脆弱な医療体制」の構造的な原因であり、「コロナ死を防ぐ」ため、政治が手をつけなくてはいけないところだ。 だが、政府としてはこのあたりはあまり突っ込みたくない。というか、できる限り、国民にはスルーしてもらいたい。なぜなら、これまで日本で病床が足りないと政治に働きかけてきた日本医師会は、自民党最大の支持団体だからだ。 だから、政府も自民党も、いつまで経っても解消されない「病床ひっ迫」については深く掘り下げたくない。しかし、現実問題として病床はひっ迫している。コロナ患者を受け入れている医療機関は、野戦病院のようになって、一部の医療従事者の負担はすさまじいことになった。 となると政治としては当然、この「悲劇」を引き起こしている原因と、この問題を解決するためにリーダーシップを発揮して動いていますよ、というパフォーマンスが必要になる。ストレートに言えば、「こいつらがいるからいつまでも病床がひっ迫するんですよ」というスケープゴートだ。ここまで言えばもうお分かりだろう。それが、「若者」と「飲食店」だ。 「病床がひっ迫しているのは、路上飲みをするような非常識な若者がいるから」、「医療従事者の皆さんが寝る間も惜しんで戦っているのに、居酒屋で酒を提供するなんて不謹慎だ」。そんなストーリーを定着させれば、「日本の脆弱な医療体制」から目を背けられる。 役所のリリースや会見を右から左へ流すマスコミの協力もあって、今のところこの戦略はうまくいっている。しかし、手痛い誤算もあった。国民に過剰に「病床ひっ迫」の恐ろしさを煽り続けてきたことが裏目に出て、東京オリンピック・パラリンピックが、「無観客」へ追い込まれてしまったのだ』、「急性期の病床が「異常」というほど多い・・・他の先進国のようにコロナ患者に対応できない」、「日本医師会は、自民党最大の支持団体・・・政府も自民党も、いつまで経っても解消されない「病床ひっ迫」については深く掘り下げたくない」、「「こいつらがいるからいつまでも病床がひっ迫するんですよ」というスケープゴートだ・・・それが、「若者」と「飲食店」だ」、「若者」と「飲食店」が「スケープゴート」とは、言われてみれば、その通りなのかも知れない。
・『五輪か医師会か、板挟みになった結果、政府が選んだ答え  「人類がコロナに打ち勝った証に」なんて誰も望んでいないようなことを真顔で言ったことからもわかるように、日本政府は五輪を政治利用する気マンマンだった。景気浮揚、支持率アップ、選挙大勝などなどさまざまな下心があったので、通常の国際スポーツ大会と比べたら「やりすぎ」というほど肩入れをしてきた。 だから東京五輪は平常開催したかった。そもそも欧米の感覚では、今の日本の新規感染者数は「うまく抑え込んでいるなあ」というレベルなので当然だ。しかし、それをやってしまうと、「医療崩壊だ!」と危機を叫ぶ日本医師会のスタンスと矛盾してしまう。菅政権からすれば、「前門のIOC、後門の医師会」という感じで、完全に板挟み状態だった。そして最終的に日本は医師会を取った。 アスリートファーストではなく、医師会ファーストだったともいえる。 しかし、これはIOCからすればまったく納得いかないだろう。バッハ会長が無観客五輪を「理解に苦しむ」と述べたが、あれは嫌味でもなんでもなく、なぜ日本のような先進国でこんなに医療体制が弱いのか、とシンプルに意味がわからないのだ』、「「前門のIOC、後門の医師会」という感じで、完全に板挟み状態だった。そして最終的に日本は医師会を取った・・・バッハ会長が無観客五輪を「理解に苦しむ」と述べたが、あれは嫌味でもなんでもなく、なぜ日本のような先進国でこんなに医療体制が弱いのか、とシンプルに意味がわからないのだ」、確かにバッハ会長には理解不能だろう。
・『あらゆることを「過剰」に盛り上げてしまう日本人の気質  このような「やりすぎ」が引き起こす混乱は、五輪だけではなく、社会のいたるところへ広がっている。 ワクチンをめぐる情報戦も「やりすぎ」だ。かなり盛ったデマ情報が飛びかう一方で、ワクチンを嫌がる人を情報弱者扱いで蔑んだり、その逆にワクチン接種をする人々を脅したり口汚く罵るなど、コミュニケーションが「過剰」になっている。 なんでもかんでも過剰にやりすぎてしまう「やりすぎる日本」の悪い部分が、コロナ禍のギスギスした世相で、一気に噴出している印象だ。 この1年半、我々を苦しめてきたのは実はウィルスではなく、異なる価値観への憎悪など、あらゆることを「過剰」に盛り上げてしまう日本人の気質のせいのような気もする。 かつての日本では「過剰」「やりすぎ」は良いことだった。成長のきっかけであり、日本の優位性の象徴だった。 例えば、五輪でも万博でもイベントは過剰に盛り上げて、国をあげてお祭り騒ぎをすることで、景気回復や国威発揚につながるとされた。また、インフラも「やりすぎ」くらいが正解とされた。その代表が、電車や新幹線だ。ここまで秒単位で正確な電車は世界を見渡しても、類を見ない。 社会全体がこんなノリなので、労働者も過剰に働くことが「正しい」とされた。家庭を顧みずに残業や土日出社は当たり前の滅私奉公スタイルは他国から見れば明らかに「やりすぎ」だが、日本人にはそれほど違和感はない。他にも、過剰に低い賃金、過剰に長い会議、過剰に丁寧な社内文書、などなど、我々の身の回りには他国の人から見ると「過剰」に映ることが山ほどあるのだ。 これらをすべて否定するつもりはないが、菅政権への国民の反発を見てもわかるように、もはや「やりすぎ」をゴリ押しして、世の中を動かせなくなってきたのも事実なのだ。 今の日本に一番不足しているのは、何事もそれほどのめり込まず、「ほどほど」というバランス感覚なのかもしれない』、「「やりすぎる日本」という負けパターン」は、確かにパンデミックや東京五輪問題に、新たな切り口を提供してくれた。

三に、7月13日付けJBPressが転載したFinancial Times「ジョンソン首相、若者をコロナ実験のモルモットに ワクチン接種進む英国、一気に集団免疫を狙う危うさ」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66037
・『我々が一つ、新型コロナウイルスのパンデミックから学んでいるべきことは、全員が運命をともにしている、ということだ。 共通の取り組みだけがコロナを抑制できる。誰かのマスク着用が自分の保護になる。 だが、ボリス・ジョンソン英首相は規則にうんざりしている。集団的な行動に取って代わり、今後は「個人の責任」でやっていかなければならないと首相は言う。 ここで本当に意味するところは、疫学者が「集団免疫」と呼ぶものを一気に達成することを目指し、ウイルスを自由に蔓延させるつもりだ、ということだ。 この国の子供が図らずも実験のコマになる。 英国内の新規感染者数は現在、1日当たり2万5000人を上回っており、大半の欧州諸国より格段に多い。 そんなことはお構いなしだ。動揺と逸脱、Uターンを繰り返した1年半を経て、新たな基本計画は「不可逆」だとジョンソン氏は言う。 7月19日、社会的な交流にかけられていた事実上すべての法的制限措置が解除される。 イングランドの新たな制度(スコットランド、ウェールズ、北アイルランドはそれぞれ独自の規則を定める)では、ナイトクラブの営業再開が認められ、ソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)を終え、競技場や音楽イベントの会場に人数制限なしで観衆が戻ることが許される。 マスクの着用は義務ではなくなり、今後は個々人がこうした「スーパースプレッダー」イベントに参加するリスクを推し量ることを強いられる』、後述のように「成人人口の3分の2がワクチン接種を2回済ませている」、とはいえ、「社会的な交流にかけられていた事実上すべての法的制限措置が解除」とは、思い切ったことをするものだ。
・『感染爆発は計算ずく  政府自身の計算でも、その結果として起きることは爆発的な感染拡大だ。 ジョンソン氏は、1日当たりの新規感染者数が7月19日までに5万人に達するかもしれないと話している。サジド・ジャビド保健相は、この数字が夏のうちに倍増するかもしれないと予想している。 その影響を受けるのは圧倒的に若者だ。 つまり、まだワクチン接種の対象ではない18歳未満と、せいぜい1回しか接種していない20代だ。そして18歳未満の層だけでも人口の約20%を占めている。 ジョンソン氏はロックダウン(都市封鎖)が好きではない。パンデミックの発生当初に事態を掌握することに失敗した後、制限策について過剰な約束をしては期待を裏切る結果しか出せなかった。 元側近のドミニク・カミングス氏によれば、首相はかつて、法的な規制を厳しくするくらいなら、遺体が路上に積み上がるに任せた方がましだと言い放った。 ジョンソン氏は、そうした言葉を使ったことを否定するが、ダウニング街(首相官邸)の関係者は、ジョンソン氏のムードをよく反映した表現だと話している。 ジョンソン氏は先月、残っている法的制限策を撤廃したいと考えていたが、デルタ株(インド型の変異ウイルス)の病原性のために延期を強いられた。 そして今、同僚たちに向かって、何があっても今度は前言を翻さないと断言している』、「首相はかつて、法的な規制を厳しくするくらいなら、遺体が路上に積み上がるに任せた方がましだと言い放った」、よほど規制が嫌いなようだ。
・『ワクチン接種が隠れ蓑  その結果は、向こう見ずな賭けだ。 それも疫学や、現在のロックダウンの慎重な費用対効果の分析に基づくものではなく、似たような考えを持った保守党議員の騒々しい要求によって拍車がかかった首相の気質が牽引するギャンブルになる。 ジョンソン氏が隠れ蓑にするのは、ワクチン接種キャンペーンの成功だ。 首相によれば、7月19日までに成人人口の3分の2がワクチン接種を2回済ませている。そしてワクチン接種の進展のおかげで、新規感染者と入院・死亡する人の数の連動が劇的に薄れた証拠がふんだんにある。 今では、新型コロナに感染した人の大半は、数日休むだけで回復する。多くの感染者は無症状だ。 首相は、物語の半分だけしか語っていない。 3分の2がワクチン接種を済ませたという数字は、3分の1がワクチンを1回しか接種していないか未接種であることを意味している。 また、「double jabbed(2回接種)」も感染を完全に防げるわけではない。 コロナに感染して自然免疫を獲得した人の存在を割り引いて考えても、感染しやすい成人がまだかなり大勢残っている。ここに子供を加えれば、新型コロナはターゲットに事欠かない。 持病のために重症化リスクが高い人や高齢者が差し迫ったリスクにさらされる。 こうした人が新規感染者全体に占める割合は低いが、感染者が現在のペースで増えていけば、小さな割合が大きな数字を生み出す。 ジョンソン氏の実験の中心に据えられた子供について言えば、当初の感染を軽くやり過ごしても、後々いわゆる「ロングCovid」に苦しむ羽目になる恐れがある』、「ジョンソン氏」のやり方が、「疫学や、現在のロックダウンの慎重な費用対効果の分析に基づくものではなく、似たような考えを持首相の気質が牽引するギャンブルになる」、困ったことだ。
・『集団免疫の本質  政府の首席医療アドバイザーを務めるイングランドのクリス・ウィッティ首席医務官は先日、ロングCovidを患う子供の増加を食い止める唯一の方法は、感染ペースを抑え、ワクチン接種を拡充することだと警告した。 だが、政府はまだ18歳未満のワクチン接種を承認しておらず、集団免疫戦略はいずれにせよ、子供の間でウイルスを蔓延させることにかかっている。 今でなければ、いつなのか――。 首相が口にするこの修辞疑問文には、簡単に答えが出る。コロナ対策の制限措置は、感染ペースが制御可能なレベルにまで下がり、ワクチン接種がもっと進んだ時になってから徐々に撤廃していくべきだ。 もちろん、我々はいずれ、コロナウイルスの存在とともに暮らしていかねばならないが、コロナ制御へ至るルートは、子供を疫学的なモルモットにするのではなく、ワクチン接種を通る道であるべきだ。 ジョンソン氏は、規制を放り込んで燃やす焚き火に気分を良くするかもしれない。また、規制が撤廃される7月19日を「フリーダム・デイ(自由の日)」に指定することに歓喜している人もいるだろう。 だが、それは幻想だ。「個人の責任」に関する首相のブラフや大言壮語によって新型コロナが倒されることはない』、「ジョンソン氏」の壮大な「ギャンブル」の結果はどうなるのだろうか。
タグ:パンデミック ダイヤモンド・オンライン JBPRESS Financial Times 窪田順生 AERAdot (経済社会的視点) (その17)(タワマンに外車…浪費癖が仇になった経産省キャリア2人の給付金詐欺とお粗末過ぎた国会の女子トイレ盗撮、ワクチン不足・酒提供への圧力で露呈した「やりすぎる日本」という負けパターン、ジョンソン首相 若者をコロナ実験のモルモットに ワクチン接種進む英国 一気に集団免疫を狙う危うさ) 「タワマンに外車…浪費癖が仇になった経産省キャリア2人の給付金詐欺とお粗末過ぎた国会の女子トイレ盗撮」 「贈収賄を視野に捜査が始まったが、ふたを開けたら家賃支援給付金詐欺だった」、「捜査関係者」もこの結果には驚いたことだろう。 僅か500万円で絵に描いたようなエリートコースを棒に振ったことになるが、発覚するとは夢にも思わなかったのだろう。 「女子トイレ」「盗撮事件」はバカバカしくてコメントする気にもなれない。 「ワクチン不足・酒提供への圧力で露呈した「やりすぎる日本」という負けパターン」 「ワクチン接種」や「酒提供をめぐる圧力」では確かに「やりすぎ」たようだ。特に、「法的根拠ゼロで、金融機関や酒卸業者にやらせるというのは明らかに度を越している 「検査不正というのは「過剰な品質チェック」が呼び水になっている」、「東芝、日本郵便、レオパレス21…不正内容の細かな違いはあるが、つきつめていけば、「過剰なノルマ」が影響している」、「この1年、ハタから見ていて「ちょっとやりすぎじゃないですかね」と心配してしまうものがある。 それは、「過剰な医師会擁護」だ」、同感である。 「急性期の病床が「異常」というほど多い・・・他の先進国のようにコロナ患者に対応できない」、「日本医師会は、自民党最大の支持団体・・・政府も自民党も、いつまで経っても解消されない「病床ひっ迫」については深く掘り下げたくない」、「「こいつらがいるからいつまでも病床がひっ迫するんですよ」というスケープゴートだ・・・それが、「若者」と「飲食店」だ」、「若者」と「飲食店」が「スケープゴート」とは、言われてみれば、その通りなのかも知れない。 「「前門のIOC、後門の医師会」という感じで、完全に板挟み状態だった。そして最終的に日本は医師会を取った・・・バッハ会長が無観客五輪を「理解に苦しむ」と述べたが、あれは嫌味でもなんでもなく、なぜ日本のような先進国でこんなに医療体制が弱いのか、とシンプルに意味がわからないのだ」、確かにバッハ会長には理解不能だろう。 「「やりすぎる日本」という負けパターン」は、確かにパンデミックや東京五輪問題に、新たな切り口を提供してくれた。 「ジョンソン首相、若者をコロナ実験のモルモットに ワクチン接種進む英国、一気に集団免疫を狙う危うさ」 後述のように「成人人口の3分の2がワクチン接種を2回済ませている」、とはいえ、「社会的な交流にかけられていた事実上すべての法的制限措置が解除」とは、思い切ったことをするものだ。 「首相はかつて、法的な規制を厳しくするくらいなら、遺体が路上に積み上がるに任せた方がましだと言い放った」、よほど規制が嫌いなようだ。 「ジョンソン氏」のやり方が、「疫学や、現在のロックダウンの慎重な費用対効果の分析に基づくものではなく、似たような考えを持首相の気質が牽引するギャンブルになる」、困ったことだ。 「ジョンソン氏」の壮大な「ギャンブル」の結果はどうなるのだろうか。
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中国経済(その9)(中国にとって米中対立よりもっと怖い出生率低下 産児制限再緩和も人口ピークは25年に前倒し、中国共産党・習近平のジャック・マー叩きがもたらす"ある誤算" 中国経済と技術発展に深刻な副作用、中国政府が配車アプリDiDiを米国上場直後に「撃墜」 致命的な原因とは?) [世界情勢]

中国経済については、5月29日に取上げた。今日は、(その9)(中国にとって米中対立よりもっと怖い出生率低下 産児制限再緩和も人口ピークは25年に前倒し、中国共産党・習近平のジャック・マー叩きがもたらす"ある誤算" 中国経済と技術発展に深刻な副作用、中国政府が配車アプリDiDiを米国上場直後に「撃墜」 致命的な原因とは?)である。

先ずは、6月2日付け東洋経済オンラインが転載したブルームバーグ「中国にとって米中対立よりもっと怖い出生率低下 産児制限再緩和も人口ピークは25年に前倒し」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/431840
・『経済大国としての一層の台頭を米国が阻止しようとしているとして中国は懸念を強めるが、より大きな脅威は国内にあるのかもしれない。出生率の低下だ』、「米中対立よりもっと怖い出生率低下」、確かにその通りだろう。
・『中国が産児制限緩和へ、子供3人まで容認  5月に発表された国勢調査によると、習近平国家主席が「一人っ子政策」をやめ、子供を2人までもうけることを2015年に容認したものの、昨年の出生数は約60年ぶりの少なさとなった。ブルームバーグ・エコノミクスはこれらの数値に基づき、中国の人口は25年にピークに達すると予測。当局の想定よりはるかに早い時期だ。 中国共産党中央政治局は5月31日、産児制限をさらに緩和。夫婦1組につき3人まで子供をもうけることを認め、「段階的に定年を適切に引き上げていく」方針も示した。 中国が産児制限緩和へ、子供3人まで容認-少子高齢化の歯止め狙う 人口世界一の中国は30年までに国民14億人の約4分の1が60歳以上になる。 出生率低下に悩む国はいずれもうまくいっていない。1980年代に米経済を追い抜く勢いだった日本は、生産年齢人口の減少と債務負担増加に苦しんでいる』、「産児制限緩和」したところで、焼け石に水だろう。
・『移民の受け入れは切り札にならない  中国のエコノミストは、人口高齢化に伴う収入・支出減少がもたらすディスインフレ傾向に対処するため、年金と医療、教育への支出を増やすことを提案している。だがそれは予算への圧力となり、債務水準をさらに高める可能性がある。 米国と欧州は移民受け入れで出生率の低下を相殺したが、権威主義的な政治体制の中国に移り住みたいと考える外国人は極めて少ない。 産児制限の再緩和だけで少子高齢化の流れに歯止めをかけることは難しい。子育てにかかるコストが膨らみ続けていることを踏まえると、習政権が生産性向上と農村部から都市部への人口移動を促す投資で出生率低下の悪影響を打ち消すことができるかどうかが当面の問題となっている』、「権威主義的な政治体制の中国に移り住みたいと考える外国人は極めて少ない」、「農村部から都市部への人口移動を促す投資」、は社会の安定性維持とのバランスで、そんなに簡単ではなさそうだ。

次に、7月6日付けPRESIDENT Onlineが掲載した大蔵省出身で一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「中国共産党・習近平のジャック・マー叩きがもたらす"ある誤算" 中国経済と技術発展に深刻な副作用」を紹介しよう。
ttps://president.jp/articles/-/47531
・『2020年11月、電子商取引大手アリババグループ傘下のアントグループの新規株式公開(IPO)が突然中止され、創業者のジャック・マーが一時消息不明となるなど、世界に大きな衝撃が走った。明らかに民間IT企業の抑え込みに政策転換した中国共産党、習近平の本当の狙いとは。野口悠紀雄一橋大学名誉教授は「一連の動きは今後の米中デジタル戦争の行方に重大な影響を与える」と指摘する──。(第1回/全3回) ※本稿は、野口悠紀雄『良いデジタル化 悪いデジタル化』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『アントグループの上場停止事件  中国で重大な地殻変動が起きつつあるのかもしれない。共産党内部の権力抗争ではない。共産党と新しい民間新興勢力との衝突である。これは、長期的には中国の成長の阻害要因となり、米中バランスに本質的な影響を与える可能性がある。 共産党と新しい民間新興勢力との確執がはっきりした形で表れたのが、アリババ集団傘下の金融会社アントグループの上場停止事件だった。 アントは、電子マネーAliPayの発行主体。中国最大のeコマースであるアリババの子会社だ。2014年に設立されたばかりだが、急成長。その企業価値は、約1500億ドル(約16兆円)にもなるといわれた。 これは、アメリカシティグループ(約11.5兆円)の時価総額を超え、三菱UFJフィナンシャル・グループなど日本の3大メガ銀行の時価総額の合計(13.3兆円)を上回るものだ。設立されてからわずか6年のうちに、世界最大の金融企業になってしまったのだ。 アントは2020年11月に香港と上海市場での上場を計画していた。これによって345億ドル(約3兆6000億円)という史上空前規模の資金が調達できると考えられていた。これは、みずほフィナンシャルの時価総額にも相当する額だ』、「アリババ集団傘下の金融会社アントグループの」「企業価値は」、「日本の3大メガ銀行の時価総額の合計(13.3兆円)を上回る」、と見込まれていたとは、その当時の人気は過熱していたようだ。
・『習近平vsジャック・マー  発行計画は順調に進んでいた。ところが上場予定日直前の11月3日に、当局が突然、待ったをかけ、上場は中止されてしまった。 アリババ創業者のジャック・マー氏が、シンポジウムで、当局に対する批判的コメントをしたのが原因だったといわれる。それを読んだ習近平国家主席が、激怒したというのだ。 そうしたことがあったのかもしれない。しかしこれは、失言と当局の反発という単発的な偶発事件ではない。その底流には、深い原理的対立がある。これは、いずれ表面化するはずだった矛盾が表面化したものだと考えることができる。 12月14日には、中国政府がアリババとテンセントのそれぞれの傘下企業に対し、独占禁止法違反で罰金を科すと発表した。中国政府による巨大ネット企業への管理が強化されたのだ』、「中国政府による巨大ネット企業への管理が、さらに強化された」、「失言と当局の反発という単発的な偶発事件ではない」ことは確かなようだ。 
・『アリババに対しても当局が圧力  2020年のアリババ集団によるネット通販セール「独身の日」が、11月12日深夜0時に終了した。セール期間中の取扱高は4982億元(約7兆7000億円)。2019年の2684億元を大きく上回った。 ところが、セール前日の10日に、規制当局である国家市場監督管理総局が、独占的な行為を規制する新たな指針の草案を公表した。取引先の企業にライバル企業と取引しないよう「二者択一」を求めることは法律違反にあたるとしている。 このように、アリババを取り巻く事業の環境も急激に変化している。この措置を受けて、11日に香港株式市場でアリババの株価は前日比9.8%安となった』、「独占的な行為を規制する新たな指針の草案」、そのものは日本などでは当然のもので、中国がこれまで甘過ぎたのを修正しているのだろう。
・『「想定外」だったIT企業の急成長  アリババやアントが急成長できたのは、これまで、その活動に対する規制があまり強くなかったからである。 もともと中国の改革開放政策は、鄧小平の「抓大放小(大をつかみ小を放つ=大企業は国家が掌握し、小企業は市場に任せる)」という方針によって行われてきた。 4大商業銀行(中国工商銀行、中国建設銀行、中国銀行、中国農業銀行)は「大」であると考えられたので、当初は国有企業だった。現在は、民営化されたが、公的企業の色彩が強い。 それに対してeコマースは民間に任された。そして、自由な経済活動が認められた。あまり重要な産業とは思われなかったからだ。 ところがその後、インターネットの普及に伴ってeコマースが急成長し、そこで用いる通貨としてAliPayが作られた。それが一般の取引にも用いられるようになり、多数の人がAliPayを使うようになったのだ。現在、その利用者数は10億人を超すといわれている』、「eコマースは民間に任された。そして、自由な経済活動が認められた。あまり重要な産業とは思われなかったからだ」、「その後、インターネットの普及に伴ってeコマースが急成長し、そこで用いる通貨としてAliPayが作られた・・・現在、その利用者数は10億人を超す」、なるほど。
・『ハイテク企業に対する中国での規制強化の動き  もともとアリババは、ファーウェイなどとは違って、国の後ろ盾がない企業だった。 eコマースは国の産業に大きな影響がないと考えられたために、これまで比較的自由な活動が認められてきたのだ。ところが、実はeコマースや電子マネーが重要であることが分かってきた。 このため、中国当局は、2、3年前から金融の管理強化に乗り出していた。ここにきて、巨大ハイテク企業への圧力を一段と強め、アントとマー氏を標的にしているのではないかとの見通しが広がっている。さらに、ビッグデータの運用方法にも制限がかかる可能性があるといわれる。 アントの企業価値評価は4000億ドルに達してしかるべきだとの見方もあった。そうなると、評価額は資産規模で世界最大の銀行である中国工商銀行に並ぶ。こうした状態は、放置するわけにはいかないのだろう。 アントの上場中止は、中国の技術開発に大きな影響を与えると考えられる。それは、中国の長期的な観点から考えると、決して望ましいものではない』、「実はeコマースや電子マネーが重要であることが分かってきた。 このため、中国当局は、2、3年前から金融の管理強化に乗り出していた。ここにきて、巨大ハイテク企業への圧力を一段と強め、アントとマー氏を標的にしているのではないかとの見通しが広がっている」、当局にしたら当然の動きなのだろう。
・『「ウミガメ族」が支えた中国経済の発展  もともと中国におけるITは、中国の若者がアメリカの大学院で勉強し、それを中国に持ち帰ったことによって発展したものだ。 アメリカにとどまった人たちも最初は多かったのだが、中国での経済発展に伴って、中国に戻る若者が増えたのだ。彼らは「ウミガメ族」と呼ばれる。 こうした人々が中国の著しい発展を支えたのは、間違いない事実だ。それは中国国内において活躍の機会があるという期待に基づいたものであった。 そして実際、中国国内では、アリババやアントだけでなく、多数のユニコーン企業が現れた。その状況は、アメリカのそれに似たものになった。中国でも活躍の機会があるという期待が、これまでは満たされてきた』、「「ウミガメ族」が支えた中国経済の発展」、しかし、「中国でも活躍の機会があるという期待」が裏切られつつあることは重大だ。
・『帰国を取りやめ「アメリカンドリーム」を目指す中国人  ところが、アントの上場中止事件で、「先端IT企業といえども、共産党のさじ加減次第でどうにでもなる」ということが分かった。自由な活動が制約なしにできるわけではなく、共産党の鼻息をうかがいながらでしか活動ができない。 そうなれば、優秀な人間は、アメリカでの勉学を終えた後、中国に戻るのでなく、アメリカにとどまることを選ぶだろう。 Zoomの創業者エリック・ヤン氏は、中国の大学で学位を取ったあと、アメリカのIT企業に参加し、その後独立した。そして、新型コロナ下で事業を急拡大し、売り上げが急増した。まさにアメリカンドリームを実現しているわけだ。 こうしたことを見れば、それに続こうとする者が出てくるだろう。それは、アメリカの技術力を高めることになる。そして、中国の発展にとってはマイナスに働く。中国の経済発展は大きな打撃を受けることになるだろう』、「中国」「当局」にとっては覚悟の上だろう。
・『科学技術の発展に「最も重要なこと」  科学技術の発展にとって最も重要なのは、自由な活動が認められることだ。このことは、すでに第2次世界大戦中に、アメリカがヨーロッパから優秀な人材を受け入れたことで実証されている。 そして、1990年代におけるIT革命も、アメリカ人によって実現されたというよりは、インド人や中国人によってなされた。そうした人々が、中国の経済発展によって中国に移ったのだ。 しかし、今回の事件をきっかけに、その揺り戻しが起こるかもしれない。これは、中国の経済発展にとって深刻な問題となる可能性がある。 以上で述べたことは、中国共産党としても十分認識していることであろう。 したがって、今回の決定は、単なる偶発的・一時的なものではなく、周到な検討の結果行われたものだろう。その意味でも、重要なものだ』、「今回の決定は、単なる偶発的・一時的なものではなく、周到な検討の結果行われたものだろう」、深い考察で参考になる。

第三に、7月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家・ジャーナリストの莫 邦富氏による「中国政府が配車アプリDiDiを米国上場直後に「撃墜」、致命的な原因とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/276787
・『IPOからわずか2日で中国の取り締まり対象に  最近、中国で話題を集めた会社といえば、大手配車サービスの「滴滴出行(DiDi、ディディ)」だろう。 中国をはじめ、15カ国、4000以上の都市で事業を展開している同社は、6月末にニューヨーク証券取引所でIPO(新規株式公開)を果たし、初値が公開価格を約19%上回る16.65ドルで、初日の終値は14.14ドルというスタートを切った。終値ベースの時価総額は685億ドル(約7兆6300億円)になり、44億ドル(約4900億円)を調達できた。 アメリカで上場した中国企業のなかで、2014年に上場したアリババが250億ドルと過去最高を記録したが、DiDiが調達できた44億ドルは、それに次ぐ過去2番目の規模となったわけだ。 2018年、米中貿易戦争が始まって以来、中国企業が米国市場を敬遠する傾向を強めているなか、DiDiの上場は久しぶりの超大型IPO案件だといえよう。しかし、上場からわずか2日後の7月2日に、中国のサイバースペース管理局(CAC)は中国全土において、DiDiの新規会員登録の停止、4日には同社のアプリケーションの削除、さらに9日には同社系列のアプリ25件全体の削除を命じた。決済サービス大手の支付宝(アリペイ)と微信支付(ウィーチャットペイ)などもDiDiへのアクセスを停止した。 DiDiはわずか2日間で、注目を集めた新規上場会社から中国国内の取り締まり対象会社になってしまったのだ。米株式市場で急落するDiDiの株価を見て、事態をのみ込めなかった人も多いだけに、人々はDiDiの米国上場と中国政府への対応に大きな関心を寄せた』、「DiDiはわずか2日間で、注目を集めた新規上場会社から中国国内の取り締まり対象会社になってしまった」、まるで米国投資家を馬鹿にしたような上場劇だ。
・『政府の締め付けに焦っていたDiDi、短期間の上場作戦  DiDiは数年前にウーバー中国事業などネット配車会社を相次いで併合し、中国国内のネット配車市場シェアの90%を占めるまで成長した。アクティブユーザーは3億7700万人(グローバル市場では4億9300万人)を擁し、中国のユニコーン企業のトップ3に食い込んだ。 ただ、ここまでシェアを広げるために、20回以上も資金誘致作戦を仕掛けてきた。資金を大きくつぎ込んできた大株主らは、できるだけ短期間で投資の利益を確実に手に入れたいと考え、DiDiを速やかに上場させ、株価を高くして、つぎ込んだ資金を現金化して撤退する作戦を展開してきた。昨年、アントフィナンシャルサービスグループが上場直前に停止されたショックを受け、焦りも相当覚えたようだ。 しかし、中国国内のA株市場(原則的に中国の国内投資家のみが売買)へ上場するには、独占禁止法違反の疑いがある同社は上場審査をパスできる可能性が低かった。 例えば、今年4月に、EC(電子商取引)大手アリババグループは独占禁止法違反で3050億円に上る罰金が科されている。これは中国では同法違反で科された罰金額としては最高額だった。 さらに、DiDiは2018年から2020年までの3年間だけでも353億元の赤字を出していて、同社の中国国内での上場を困難にした。香港上場も視野に入れてはいたが、資金調達のことを考えると、やはり米国上場の魅力に勝てない。) ますます強化されてくる中国政府の上場規制を見て、これまで上場の兆しがなかったDiDiは米国上場という秘密作戦を急がせた。6月10日に米証券監督管理委員会にIPO申請を行ってから、6月30日に上場を成功させた。わずか20日という上場作戦のスピードは人々を驚かせた。この電撃戦同然の上場はDiDi側の焦りを如実にあらわした。 だが、米国上場に。成功した喜びに浸る間もなく、すぐに中国政府からの容赦ない規制の集中パンチをくらわされた』、「20回以上も資金誘致作戦を仕掛けてきた。資金を大きくつぎ込んできた大株主らは、できるだけ短期間で投資の利益を確実に手に入れたいと考え、DiDiを速やかに上場させ、株価を高くして、つぎ込んだ資金を現金化して撤退する作戦を展開してきた」、大株主からの圧力で歪む悪例だ。
・『中央省庁の人的移動情報の収集・使用が問題に  DiDiの上場目論見書によると、ソフトバンクグループがDiDiの株式を22.2%、ウーバーが12%持っている。外資企業が株主の1位と2位を占めるこうした資本構成を見た中国市場は、DiDiの米国上場は外国投資家が現金化して撤退する作戦だと受け止め、DiDiに対する支持や同情の姿勢を見せなかった。 さらに、6年前の2015年に新華社通信から配信されたある記事が、DiDiにさらに致命的な一撃を与えた。 この記事は、DiDi研究院が同社の配車アプリを利用した顧客のビックデータを駆使して、7月13日から14日にかけて最高気温40℃の時間帯の、北京の中央省庁の人的移動を分析した調査リポートだ。 リポートは時間軸に基づいて、中央省庁の人的移動を詳細にわたって分析していた。例えば、「公安省は24時間無休」「国土資源省は残業時間がもっとも長い」といった調査結果を出しただけでなく、「国家発展と改革委員会の朝の出勤ピークは6時から、6時~8時までに到着したタクシー利用者は同委員会の1日のタクシー利用者の39.8%を占める」「科技省を出る利用者は16~18時に集中している。定時退社を好む傾向がある」と細部にわたり個人情報が盛り込まれていた。 この調査リポートは、発表当時、それほど注目されなかった。しかし、法律違反による個人情報の収集・使用問題がクローズアップされている今、リポートの内容は中国の読者に大きな衝撃を与えている。そこでDiDi研究院が米国カリフォルニア州シリコンバレーに位置するマウンテンビュー(Mountain View)にある所在地問題も話題になり、DiDiがビッグデータを通じて中国の中央省庁の移動規則を監視しており、その情報は米国側が所有しているといった印象を広げた。 「環球時報」は、DiDiのことを「人々の移動に関する個人情報を最も詳細に把握していたIT企業であることに疑いはない」と指摘したうえ、「いかなるIT企業も、国家よりも詳細な中国人の個人情報を保管する存在になってはいけない。自由にデータを活用する権利は、さらに与えてはならない」と警告した。 こうした世論を背景に、サイバースペース管理局は7月10日、100万ユーザー以上のデータを保有する企業は、海外で株式を上場する前に国家安全保障上の審査を受ける必要がある、と発表した。 報道によると、2021年上半期、米国で上場した中国企業は38社(SPACおよびOTCを除く)、調達した金額は合計135億3700万ドル(約1兆4960億円)に達した。現在、少なくとも23社の中国企業が上場の準備中だという。 サイバースペース管理局の今回の発表は、これから中国当局がデータの扱いに関する規制をさらに強化し、重要データが外国での上場後に外国政府に悪用されるリスクを回避するために、企業の国内上場を推進する方針を意味するものだとみられる。DiDiの米国上場による米中間の政治的、経済的攻防戦の波紋はまだ広がりつつある』、「DiDi研究院が米国カリフォルニア州シリコンバレーに位置」、「DiDiがビッグデータを通じて中国の中央省庁の移動規則を監視しており、その情報は米国側が所有しているといった印象を広げた」、極めて不運な展開だが、大株主の圧力で上場を無理に急ぐというのも問題だ。アメリカの株式市場が中国企業に甘いのも問題だが、これは今回の件で変わる可能性もあるだろう。
タグ:東洋経済オンライン 野口 悠紀雄 ブルームバーグ 中国経済 ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 莫 邦富 (その9)(中国にとって米中対立よりもっと怖い出生率低下 産児制限再緩和も人口ピークは25年に前倒し、中国共産党・習近平のジャック・マー叩きがもたらす"ある誤算" 中国経済と技術発展に深刻な副作用、中国政府が配車アプリDiDiを米国上場直後に「撃墜」 致命的な原因とは?) 「中国にとって米中対立よりもっと怖い出生率低下 産児制限再緩和も人口ピークは25年に前倒し」 「産児制限緩和」したところで、焼け石に水だろう。 「権威主義的な政治体制の中国に移り住みたいと考える外国人は極めて少ない」、「農村部から都市部への人口移動を促す投資」、は社会の安定性維持とのバランスで、そんなに簡単ではなさそうだ。 「中国共産党・習近平のジャック・マー叩きがもたらす"ある誤算" 中国経済と技術発展に深刻な副作用」 「アリババ集団傘下の金融会社アントグループの」「企業価値は」、「日本の3大メガ銀行の時価総額の合計(13.3兆円)を上回る」、と見込まれていたとは、その当時の人気は過熱していたようだ。 「中国政府による巨大ネット企業への管理が、さらに強化された」、「失言と当局の反発という単発的な偶発事件ではない」ことは確かなようだ。 「独占的な行為を規制する新たな指針の草案」、そのものは日本などでは当然のもので、中国がこれまで甘過ぎたのを修正しているのだろう。 「eコマースは民間に任された。そして、自由な経済活動が認められた。あまり重要な産業とは思われなかったからだ」、「その後、インターネットの普及に伴ってeコマースが急成長し、そこで用いる通貨としてAliPayが作られた・・・現在、その利用者数は10億人を超す」、なるほど。 「実はeコマースや電子マネーが重要であることが分かってきた。 このため、中国当局は、2、3年前から金融の管理強化に乗り出していた。ここにきて、巨大ハイテク企業への圧力を一段と強め、アントとマー氏を標的にしているのではないかとの見通しが広がっている」、当局にしたら当然の動きなのだろう。 「「ウミガメ族」が支えた中国経済の発展」、しかし、「中国でも活躍の機会があるという期待」が裏切られつつあることは重大だ。 「中国」「当局」にとっては覚悟の上だろう。 「今回の決定は、単なる偶発的・一時的なものではなく、周到な検討の結果行われたものだろう」、深い考察で参考になる。 「中国政府が配車アプリDiDiを米国上場直後に「撃墜」、致命的な原因とは?」 「DiDiはわずか2日間で、注目を集めた新規上場会社から中国国内の取り締まり対象会社になってしまった」、まるで米国投資家を馬鹿にしたような上場劇だ。 「20回以上も資金誘致作戦を仕掛けてきた。資金を大きくつぎ込んできた大株主らは、できるだけ短期間で投資の利益を確実に手に入れたいと考え、DiDiを速やかに上場させ、株価を高くして、つぎ込んだ資金を現金化して撤退する作戦を展開してきた」、大株主からの圧力で歪む悪例だ。 「DiDi研究院が米国カリフォルニア州シリコンバレーに位置」、「DiDiがビッグデータを通じて中国の中央省庁の移動規則を監視しており、その情報は米国側が所有しているといった印象を広げた」、極めて不運な展開だが、大株主の圧力で上場を無理に急ぐというのも問題だ。アメリカの株式市場が中国企業に甘いのも問題だが、これは今回の件で変わる可能性もあるだろう。
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テスラ(その1)(テスラを侮る人に知ってほしい「評価される訳」 利益の源泉をハードからソフトへ移しつつある、焦点:起こるべくして起きたテスラの「中国トラブル」、コラム:ビットコインで方針一転 テスラの根深いガバナンス問題、テスラの運転支援システム「人身事故続発」のなぜ 運転手の監視ゆるい?オートパイロットの盲点) [産業動向]

今日は、テスラ(その1)(テスラを侮る人に知ってほしい「評価される訳」 利益の源泉をハードからソフトへ移しつつある、焦点:起こるべくして起きたテスラの「中国トラブル」、コラム:ビットコインで方針一転 テスラの根深いガバナンス問題、テスラの運転支援システム「人身事故続発」のなぜ 運転手の監視ゆるい?オートパイロットの盲点)を取上げよう。なお、EVでは、5月20日に取上げた。

先ずは、本年4月19日付け東洋経済オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「テスラを侮る人に知ってほしい「評価される訳」 利益の源泉をハードからソフトへ移しつつある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/422534
・『テスラの時価総額はトヨタの3倍  テスラは、自動車のハードとソフトの切り離しに成功し、「購入後にインターネット経由でアップグレードできる」という新しいビジネスモデルを確立した。EV(電気自動車)や自動運転の時代になると、自動車メーカーの付加価値の源泉はハードからソフトに移行せざるをえないが、それを実現する仕組みができたのだ。テスラの時価総額がトヨタを抜いたのは、そのためだ。 アメリカのEV専業の自動車メーカー、テスラの株価は、2020年1月には100ドル程度だったが、2021年1月末には880ドルになった。 その時価総額は、2020年1月末に1000億ドル(約10兆9900億円)を突破し、フォルクスワーゲンを抜いた。そして、7月1日には、トヨタ自動車を抜いて、自動車メーカーとして世界第1位になった。 2021年4月中旬の株価は680ドル程度。時価総額は6498億ドルで、トヨタ自動車の2157億ドルの約3倍だ。 テスラの年間販売台数は、わずか50万台だ。それに対して、トヨタは1000万台を超える。利益も、トヨタが年間2兆円超であるのに対して、テスラはごく最近まで赤字を続けていた。 それなのに、なぜ時価総額が世界一になるのだろうか? これからは、ガソリン車の生産は禁止され、自動車はEVになるからか?しかし、EVを生産しているのはテスラだけではない。 「単なるバブルではないか」、と多くの人が考えるだろう。事実、そのように解説した記事もたくさんある。 しかし、テスラの株価急騰は、バブルだとして切り捨ててしまうことのできない、非常に重要な変化を反映している。 テスラは、これまでなかったまったく新しいビジネスモデルを構築しつつあるのだ。 このことを知るには、テスラ社のウェブサイトにアクセスして、「コネクティビティ」や「アップグレード」というページを見るとよい。) 「コネクティビティ」とは、音楽やメディアのストリーミング、交通情報表示など、データを必要とする機能の利用だ。購入時に「スタンダード」であっても、購入後に月額990円を払えば、機能がより高度の「プレミアムコネクティビティ」を利用できる。 「アップグレード」とは、購入後に、車の機能アップさせることだ。購入者のニーズに合わせてテスラ車をカスタマイズできる。 来店する必要はなく、Wi-Fiに接続して、ボタンを押すだけでよい。 つまり、購入した後で、車を買い替えたりハードウェアを取り替えたりすることなく、機能をアップデートすることができるのだ。 例えば、「Model S」には、低価格モデルの「Model S 60」と高価格モデルの「Model S 75」がある。低価格モデルのバッテリーの容量は、高価格モデルのそれより小さい。 「Model S 60」を購入したユーザーが、使っているうちに、「やはり大容量バッテリーのほうがよかった」と考えたとする。そして、購入したときよりは所得も増えていたとする。 そんなときには、Wi-Fiに接続してアップグレードのボタンを押し、9000ドル払うことに同意すれば、それで完了だ』、「テスラの時価総額はトヨタの3倍」は、私も「単なるバブルではないか」と考えていたが、「自動車のハードとソフトの切り離しに成功し、「購入後にインターネット経由でアップグレードできる」という新しいビジネスモデルを確立した」、とは確かに画期的で、時価総額もそれを反映している可能性がありそうだ。
・『自動運転もインターネット経由で可能に  購入後にアップできるのは、以上だけではない。 購入したときにつけなかったナビが必要になったら、簡単に購入できる。 クルマを買ったときには暖房シートをつけなかったが、その後寒い地域に転居して、必要になったとする。この場合も、ソフトウェアをアップデートするだけでよい。 さらに驚くべきことに、同じ手続きで、より高度な自動運転もできるようになるのだ。 自動運転には、レベル1からレベル5までのレベルがある。テスラの最新モデル車は、完全自動運転に必要な半導体をすでに搭載している。 また、「FSD(フルセルフドライビング)」という自動運転ソフトが提供されており、適時更新することで、より高度の自動運転が可能となる。 現在の自動運転機能は高速道路など一定の条件下に限られているが、ソフトウェアの更新によって、複雑な市街地での自動運転技術も可能になるという(ただし、テスラ車が2021年末までにレベル5の完全自動運転機能を実現するのは難しいと見られている)。) 「購入した後で機能をアップグレードできる」と聞くと、最初は魔術のように思える。 だがよく考えてみると、スマートフォンでは、日常的にやっていることだ。新しいアプリをダウンロードすれば、新しい機能が使えるようになる。 また、ゲームアプリなどでは、「アプリ内課金」というものがある。 アプリのダウンロードと基本機能は無料。そして、追加機能を購入するのは有料という仕組みだ。 ソフトウェアであれば、いちいち修理工場に持っていかなくとも、インターネットを通じてアップデートできる。それはスマートフォンであろうが自動車であろうが、同じことだ。 テスラのビジネスモデルは、自動車版の「アプリ内課金」なのである。 テスラは、最初に高性能なモデルを製造し、つぎに機能を制限したモデルを割引料金で販売するのだ。 そして、購入後のアップグレードという方式を可能にすることによって、低価格モデルを簡単に提供し、それによって売り上げを伸ばすことができる』、「最初に高性能なモデルを製造し、つぎに機能を制限したモデルを割引料金で販売するのだ。 そして、購入後のアップグレードという方式を可能にすることによって、低価格モデルを簡単に提供し、それによって売り上げを伸ばすことができる」、確かに上手い方法だ。
・『ハードとソフトの切り離し  ここまできて、「納得がいかない」と首をひねる方が多いのではないだろうか? カーナビのアップグレードをインターネット経由でできるのは、わかる。自動運転も、内容は高度だが、ソフトウェアであることに変わりはないから、インターネット経由でアップグレードできるのもわかる。 しかし、バッテリーや暖房シートは、ハードウェアだ。 それらを、なぜインターネットでアップグレードできるのだろう? この手品の種明かしは、あっけないほど簡単だ。 低価格モデルである「Model S 60」には、高価格モデルである「Model S 75」に搭載されているのと同じバッテリーが、最初から搭載されているのだ。 ただし、ソフトウェアを調整して、その容量を20パーセント落としているのである。 だから、低価格モデルと高価格モデルを生産するために、テスラは、バッテリーパックを2種類作ったり、組み立てラインを2種類用意したりする必要はない。プログラムに数行を付け加えるだけで終わりだ。 ただし、こうしたことができるのは、車のハードウェアとソフトウェアの切り離しを実現できたからだ。 いまの自動車には、ソフトウェアによって制御される部品が多数ある。しかし、システムごとに、ハードとソフトが結びついており、切り離せない。 これでは、上で述べたようなことはできない。 テスラは「モデル3」以降、ハードとソフトの切り離しを実現したのだ。これは、伝統的メーカーよりも6年以上も早かった。そのために、上で述べた「購入後のアップグレード」という新しいビジネスモデルを導入できたのである。) 以上のようなシステムを通じて、テスラは顧客の車両から走行データを収集できる。 これは、自動運転のシステムを開発するための貴重なビッグデータになる。 走行距離でいえば、グーグルの子会社であるウェイモが圧倒的なデータを蓄積している。しかし、テスラは顧客の車両からそれよりさらに多くのデータを収集している可能性がある。 だから、自動運転の分野でも、テスラが世界のトップになる可能性がある。 2019年、テスラは、完全自動運転技術を使ってライドシェア市場に参入する構想を発表した。これは、「テスラネットワーク(自動運転タクシーネットワーク)構想」と呼ばれる。 これを用いると、テスラ車の所有者は、自分が乗らない時間には、自分の車を自動運転モードのタクシーとすることによって、収益を得ることができる。 また、テスラは、Uberと同じように、利用のたびに顧客からプラットフォーム料金を徴収できるだろう。 これも、テスラの収益に寄与することになる』、「低価格モデルである「Model S 60」には、高価格モデルである「Model S 75」に搭載されているのと同じバッテリーが、最初から搭載されているのだ。 ただし、ソフトウェアを調整して、その容量を20パーセント落としているのである。 だから、低価格モデルと高価格モデルを生産するために、テスラは、バッテリーパックを2種類作ったり、組み立てラインを2種類用意したりする必要はない。プログラムに数行を付け加えるだけで終わりだ。 ただし、こうしたことができるのは、車のハードウェアとソフトウェアの切り離しを実現できたからだ」、「ハードウェアとソフトウェアの切り離し」とは画期的だ。「「テスラネットワーク・・・構想」・・・を用いると、テスラ車の所有者は、自分が乗らない時間には、自分の車を自動運転モードのタクシーとすることによって、収益を得ることができる」、面白い構想だ。
・『ソフトウェアの価値を利用できるこれまでの自動車産業は、ハードウェアの生産だった。 EVになると部品数が劇的に減少し、組み立ても容易になることから、ビジネスモデルの再構築が必要といわれてきた。 それは、ソフトウェアによって付加価値を生むような仕組みだ。 自動運転になれば、ソフトウェアの比重が増大し、自動車産業は、ハードウェアの生産ではなく、ソフトウェアを付加価値の源泉とせざるをえなくなる。 現在のような系列構造と巨大な生産体系を維持しようとすれば、制御不能なレガシーになってしまう危険がある。 テスラは、以上で述べたビジネスモデルを開発したことにより、ソフトウェアによって収益をあげることに成功したのだ。 ソフトウェアとデータに利益の源泉が移れば、爆発的な成長が可能になる。これこそが、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と呼ばれる企業群が実現したことだ。テスラは、自動車の生産において、そのことを可能にしつつある。 その時価総額が急激に増加している基本的な理由は、ここにある。 日本の自動車産業は、このように大きな変化に対応できるのだろうか?』、「日本の自動車産業」はエンジンというレガシーを抱えているだけに、「対応」は容易ではなさそうだ、

次に、4月24日付けロイター「焦点:起こるべくして起きたテスラの「中国トラブル」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/tesla-china-idJPKBN2CA0KY
・『テスラが販売台数の急増に見合うサービス態勢を整えることに四苦八苦していた中、中国でテスラへの反感がこれまでにじわじわと蓄積されていた以上、起こるべくして起きた事態とも言える。 テスラはメディアによる一斉攻撃を浴び、規制当局の「お叱り」も受けた。これは外国の大手ブランドにとって中国がいかに危険な場所になり得るか、そして国家の厳しい統制を受けたメディアが批判姿勢に転じた場合、たった1つの苦情案件処理の間違いがいかに大変な危機に転じ得るかを物語っている。 またテスラと言えば業界の慣習を顧みないことで知られ、その象徴的存在が創業者のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)だ。めったに誤りを認めない企業文化は米国でこそ、それなりのファンを獲得しているものの、中国では逆効果でしかない。マスク氏の名声ゆえに、中国政府は外国自動車メーカーとして初めてテスラに地元企業と合弁なしの事業展開を認めたのは確かだが、今やテスラはずっと長い歴史を持つライバルメーカーたちが何年も前に得た教訓を学びつつある。 テスラが直面するトラブルは、主に同社の北米事業に関係しているとはいえ、マスク氏や経営幹部らが認識してきた問題の大きさも浮き彫りにしている。ハードウエアに不具合が生じた場合に車両を修理する能力が、猛スピードで伸びる販売台数に圧倒されてしまったのだ。 カークホーン最高財務責任者(CFO)は1月、投資家に対して「サービスの拡充がテスラの将来戦略にとって本当に大事になっている」と認めた。 では今週、テスラはどんな事態に見舞われたのか。発端は上海国際モーターショーが始まった19日、ブレーキが効かないという苦情に対するテスラ側の対応に怒った1人の顧客女性がテスラの展示車両の屋根に上り、不満を叫んだことだ。この動画はソーシャルメディアで拡散された。 騒動がさらに拡大したのは、テスラの対外関係担当バイスプレジデント、グレース・タオ氏がこの女性が「やらせ」ではないかと疑問を呈した後だった。 タオ氏は地元メディアのインタビューで「事実は分からないが多分、彼女はかなりのプロで、(誰かが)背後にいるはずだと思う。われわれは妥協するつもりはない。これは新車開発のプロセスにすぎない」と発言。直後にテスラはあわてて火消しに走り、報道の撤回を求めてきた、とこのメディアが20日、メッセージアプリの微信(ウィーチャット)で明かした。 <次第に弱気化> テスラのコメントは次第に「前非を悔いる」姿勢へと転じていく。当初の「妥協せず」から20日は「謝罪と自主的な調査」の表明に変わり、そして21日夜には「規制当局と協力して調査」していると説明した。 国営新華社通信は、テスラの謝罪は「不誠実」だと述べた上で、「問題のある上級幹部」の更迭を要求。共産党機関紙、人民日報系のタブロイド「環球時報」もタオ氏の発言を取り上げてテスラの「大失態」と呼び、中国に進出している外国企業にとって1つの教訓になると解説した。 中国国営中央テレビ(CCTV)の報道番組の元総合司会者で2014年にテスラに入ったタオ氏には連絡が取れず、テスラもさらなるコメント要請には応じていない。 調査会社シノ・オート・インサイツのアナリスト、テュー・リー氏は「中国ではテスラ車の品質とサービスに関する不平不満がソーシャルメディア上にずっと書き込まれている。そのほとんどを同社の地元チームは20日まで無視してきたようだ」と述べた。 中国で販売されるテスラ車は、同社の上海工場で生産されており人気が高い。世界一の大きさを持つ中国EV市場において、テスラの販売シェアは30%を占める』、これは確かに広報対応のお粗末さによる部分も大きいようだ。
・『<マスク氏は沈黙> だがテスラへのプレッシャーは積み重なっていた。 先月には、中国人民解放軍が車載カメラなどから軍事機密が漏れる懸念を理由にテスラ車の利用を禁止した、と複数の関係者がロイターに語った。その翌日、マスク氏はオンラインイベントで「もしテスラが中国であれどこであれ、スパイ活動のために車両を使っていれば、工場は閉鎖されてしまう」と強調し、すぐにスパイ行為を否定した。 テスラは昨年、米国の広報チームをほとんど解体したようだが、中国では引き続き広報担当者を雇用している。 それでも外部との対話に関する限り、テスラが大きく依存しているのはマスク氏のツイッターだ。マスク氏のアカウントは5000万人超のフォロワーを抱えている。ただ22日までの時点で、今回の中国における問題でマスク氏は沈黙したまま。一方、短文投稿サイトの微博(ウェイボ)にはテスラ車オーナーから突然の加速やハンドルの不調といった品質面のクレームが殺到している。 環球時報の胡錫進編集長は22日、テスラを中国から追い出すつもりはないと強調。「われわれの究極のゴールは、外国企業に中国市場へ適応し、中国の法規制をしっかり守るとともに、中国の文化と消費者を尊重して中国経済にとってプラス要素になってもらうことにある。それが教訓であれ支援であれ、全ては同じ目標を示している」と述べた』、「今回の中国における問題でマスク氏は沈黙したまま」、当面、「沈黙」を続ける方がよさそうだ。
「コラム
第三に、5月15日付けロイター「ビットコインで方針一転、テスラの根深いガバナンス問題」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/tesla-bitcoi-breakingviews-idJPKBN2CV0BK
・『暗号資産(仮想通貨)ビットコインは、最も名高い応援団メンバーを失った。米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が12日、ビットコインによるEV購入の受け付け停止をツイッターで表明したのだ。その理由として「採掘(マイニング)と決済のための化石燃料、特に石炭の使用が急増していること」を挙げた。マスク氏の言い分は正しい。だがそうした決定は、ビットコイン自体よりもテスラが抱える問題を、より浮き彫りにしている。 マスク氏は業界の事情を薄々知っている誰かから、ビットコイン採掘のための発電に「ダーティー」なエネルギーが膨大に必要だと教わったのかもしれない。実際、ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センターによる調査の最新データを見ると、ビットコイン採掘者が現在使用している電力は年間ベースで147テラワット時と、英国の年間電力消費のほぼ半分に達することが分かる。採掘者が使う電力のうち、大部分が水力である再生可能エネルギー発電の比率は39%にすぎない。 マスク氏は、温室効果ガス排出量ゼロのエネルギー導入を加速する企業の「テクノキング」を自称する人物だ。3カ月前にビットコインを支払い手段として受け入れると決めた時、その彼が電力使用の実態を知らなかったか、あえて軽視していたことになる。 「マスター・オブ・コイン」の肩書を持つカークホーン最高財務責任者(CFO)もこの計画に同意した。カークホーン氏は第1・四半期決算発表後の電話会議で、テスラが手軽でリスクの低いリターンを得る手段として現金15億ドル(約1650億円)をビットコインに換えたと説明した。日々2桁台の変動率を示すビットコインについて、恐るべき油断ぶりを露呈する発言だ。 ビットコインの受け付け停止という「手のひら返し」は、テスラのCEOにして筆頭株主であるマスク氏への監視が相変わらず緩い実態を強く示唆している。米金融規制当局が改善を働きかけてきたが、その甲斐もなかった。 マスク氏は以前、EV生産で何度も「大風呂敷」を広げた挙げ句、納車目標を達成することができなかった。マスク氏が2016年に手掛けた太陽光発電企業の買収は、いとこが設立した同社の救済目的だったのではないかとの疑念もくすぶっている。その2年後にマスク氏は、テスラの非公開化を検討しているとツイッターに投稿し、証券法に違反。2000万ドルの罰金を支払った上に、会長職を退任せざるを得なくなった。 マスク氏のこうした振る舞いを許したのは、同氏の友人や家族で固められた取締役会の怠惰だ。取締役の構成はその時からある程度変化し、年金積立金管理運用独立法人(GPIF)の最高投資責任者だった水野弘道氏など、適格な人物が社外取締役に加わっている。とはいえこの「新体制」でさえマスク氏の行動をそれほど制御できていないのは、何とも心配すべき兆候だ。 ●背景となるニュース *暗号資産(仮想通貨)ビットコインは12日、価格が一時13%急落した。テスラのマスク最高経営責任者(CEO)が、ビットコインでの電気自動車(EV)購入受け付けを停止するとツイッターに投稿したことが原因。マスク氏は「ビットコインの採掘(マイニング)と決済で化石燃料、特に石炭の使用が急増していることをわれわれは懸念している」とつぶやいた。 *テスラは、採掘作業がより持続可能なエネルギーに移行すればすぐにこの受け付け停止措置を解除する方針。マスク氏は、エネルギー消費の少ない他の暗号資産にも目を向けていると述べた。 *テスラは2月8日、それまでに15億ドル相当のビットコインを購入したことを明らかにするとともに、決済でビットコインを受け入れる意向を示した。同社はその後、保有分の約1割を売却した。マスク氏は今回、テスラは残りのビットコインを売るつもりはないと明言した。(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)』、「ビットコイン採掘者が現在使用している電力は・・・英国の年間電力消費のほぼ半分に達する」、とは確かに壮大な無駄だ。しかし、「マスク氏」がそんなことも知らずにいたとも思えない。いずれにしろ、同氏の発言のブレにより「ビットコイン」価格が乱高下させたのは、好ましいことではない。

第四に、7月12日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「テスラの運転支援システム「人身事故続発」のなぜ 運転手の監視ゆるい?オートパイロットの盲点」を紹介しよう。
・『2019年8月のある日。ベンジャミン・マルドナドさんは10代の息子を乗せてカリフォルニア州の高速道路を運転していた。サッカー大会の帰りだった。前を走っていたトラックが速度を落としたため、方向指示器を点滅させて右に車線変更した数秒後、マルドナドさんの運転するフォード「エクスプローラー」は、運転支援システム「オートパイロット」を使って時速約100キロメートルで走行していたテスラ「モデル3」とぶつかった』、なるほど。
・『衝突の一瞬前までテスラ車を減速せず  このテスラ車が撮影した6秒間の動画および同車に記録されたデータからは、オートパイロットも運転手も、衝突のほんの一瞬前まで車を減速させていなかったことがわかる。 オートパイロットとは、車両が自らステアリング、ブレーキ、アクセルを操るというテスラご自慢のシステムだ。警察の報告書によると、助手席に乗っていたジョバニ・マルドナドさん(15)はシートベルトを着用しておらず、車外に投げ出されて死亡した。 テスラの主力工場から7キロと離れていない場所で起きたこの事故は、テスラを相手取った訴訟に発展している。オートパイロット絡みの事故は本件も含め全体として増えており、技術的な欠陥を指摘する声が強まっている。ライバルメーカーが採用する同様のシステムの開発にも疑問符がつく可能性がある。 2003年に設立されたテスラとそのCEOイーロン・マスク氏は、自動車業界に派手な挑戦を挑み、熱狂的なファンや顧客を巻き込んで、既存の自動車メーカーも一目を置かざるをえない電気自動車の新たなスタンダードをつくり出している。テスラの時価総額は現在、大手自動車メーカー数社分を足し合わせた額よりも大きくなっている。) だが、オートパイロットに関連した事故は、そうしたテスラの地位を脅かす要因ともなりかねない。規制当局が行動に乗り出す可能性が浮上しているためだ。アメリカ運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は現在、オートパイロットが関連した事故約20件について調査を進めている。 2016年以降、オートパイロットが障害物の検知に失敗して発生した事故で、テスラ車を運転していた人の少なくとも3人が死亡している。うち2件は、高速道路を横切るトレーラーに対してオートパイロットがブレーキをかけなかったケース。もう1件は、コンクリート壁を認識できずに激突したケースだ。 NHTSAは6月、2016年以降にオートパイロットが関与した8件の事故で少なくとも10人が死亡したことを示すリストを公開した。ここにはジョバニ・マルドナドさんの死亡事故は含まれていない』、「2016年以降にオートパイロットが関与した8件の事故で少なくとも10人が死亡」、「事故」が予想以上に多いことに驚かされた。
・『事故を未然に防ぐシステムのはずが…  テスラの信用は揺らぎ、自動運転の専門家からは「マスク氏とテスラが唱えてきたほかの主張も疑問視せざるをえない」といった声があがるようになっている。例えばマスク氏はこれまでに何度も、テスラは完全自動運転の完成に近づいていると公言してきた。完全自動運転とは、ほとんどの状況下で車両の自律運転が可能となる技術を指す。テスラ以外の自動車メーカーやテクノロジー企業が「実現は何年も先になる」としている技術だ。 マスク氏とテスラは、数回にわたるコメントの求めに応じなかった。 オートパイロットは「自動運転システム」ではない。車線変更などの運転操作を代行し、事故を未然に防ぐ「運転支援」を目的としたソフトウェア、カメラ、センサーによって構成されるシステムだからだ。テスラの幹部は、操作をコンピューターに委ねれば、ミスを犯したり、注意散漫になったりしがちな人間の運転よりも安全になると主張している。 テスラで人工知能部門の責任者を務めるアンドレイ・カーパシー氏は6月、自動運転に関するオンラインワークショップで次のように語った。「コンピューターは(運転中に)インスタグラムをチェックしたりしない」。 オートパイロットが作動している間、運転手が緊張を緩めるのはいいが、完全に気をそらすことは想定されていない。ステアリングをきちんと保持し、視線を道路から外さず、いざシステムが混乱したり、障害物や危険な交通状況を認識できなかったりした場合には、いつでも運転を代われるようにしておくことが大前提になっているわけだ。) ところがオートパイロットの作動中、前方を見ている以外にほとんどやることのなくなった運転手には、誘惑に負けて注意がおろそかになってしまう人もいる。ツイッターなどではこれまでも、テスラ車の運転席に座りながら読書したり眠ったりする運転手の動画が投稿されてきた。 問題が浮上すると、テスラはたいてい運転手を責めてきた。オートパイロットの使用中にステアリングから手を離したり、安全確認を怠ったりする運転手が悪い、という理屈だ。 だが、オートパイロットに関連した事故を調査した国家運輸安全委員会(NTSB)は、同システムには不適切な使用を防ぐ仕組みや運転手に対する効果的な監視が欠けていると結論づけている』、「オートパイロットは「自動運転システム」ではない。車線変更などの運転操作を代行し、事故を未然に防ぐ「運転支援」を目的としたソフトウェア、カメラ、センサーによって構成されるシステムだからだ」、誤解され易いところだ。「テスラの幹部は、操作をコンピューターに委ねれば、ミスを犯したり、注意散漫になったりしがちな人間の運転よりも安全になると主張」、しかし、「オートパイロットの作動中、前方を見ている以外にほとんどやることのなくなった運転手には、誘惑に負けて注意がおろそかになってしまう人もいる」、こうした建前と現実のギャップを無視する訳にはいかない。
・『他社に劣るゆるい監視システム  ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターなどが提供している類似のシステムは、運転手の視線をカメラで追跡し、運転手がよそ見をすると警告が出る仕組みになっている。GMの運転支援システム「スーパークルーズ」では、警告が数回続くと機能がオフになり、運転手が自ら運転しなければならなくなる。 これに対しオートパイロットは運転手の視線を追跡せず、ステアリングに手を置いているかどうかだけを監視する。運転手がステアリングに手を置いている時間が1回あたり数秒だったとしても、作動し続ける場合もある。 カーネギーメロン大学で自動運転を研究するラジ・ラジクマール教授によれば、「簡単にだませるうえ、あまり一貫した監視がなされていないため、本質的に脆弱な監視システム」ということになる。 NHTSAは現時点で、オートパイロットの変更や無効化をテスラに強制しているわけではないが、6月には、この種のシステムに関する事故の報告をすべての自動車メーカーに義務づけると発表した。) テスラに対しては、今年に入ってからだけでもいくつもの訴訟が起こされている。フロリダ州キー・ラーゴで2019年に発生した事故に関連して今年4月に同州裁判所に提訴された事案も、その1つだ。 オートパイロットを作動させたテスラ「モデルS」がT字型交差点で停止できず、路肩に駐車していたシボレー「タホ」に衝突し、ナイベル・レオンさん(22)が死亡した。カリフォルニア州では、バンで走行中にオートパイロットを作動させていたテスラ車に後方から追突され、脊椎に重傷を負ったダレル・カイルさん(55)が5月に訴えを起こしている』、「テスラ」の「監視システム」が「オートパイロットは運転手の視線を追跡せず、ステアリングに手を置いているかどうかだけを監視する」というのは深刻な問題だ。私でも居眠り防止のため、視線の「監視システム」をつけている。
・『オートパイロットには欠陥があると提訴  ジョバニ・マルドナドさんが死亡した事故は、テスラ車に記録された動画とデータが入手可能になった珍しい事案だ。マルドナドさんの弁護士を務めるベンジャミン・スワンソン氏はテスラから動画とデータを入手し、ニューヨーク・タイムズと共有した。 ベンジャミン・マルドナドさんと妻のアドリアナ・ガルシアさんはテスラを相手取ってカリフォルニア州アラメダ郡高等裁判所に提訴。訴状では、オートパイロットには欠陥があり、交通状況に対応できなかったとしている。運転手も被告とされた。 オートパイロットが誤作動、もしくは欠陥を抱えていたとの申し立てに対し、テスラはまだ裁判資料の中で反応を示していない。ただ、テスラの弁護士を務めるライアン・マッカーシー氏がスワンソン氏の事務所に送った電子メールは法廷に証拠として提出されており、その中でマッカーシー氏は次のように述べていた。責任はテスラでなく、運転手にある――。 事故を起こしたテスラ車に保存された動画には、同車が中央の車線を飛ばしながら左右の車を追い抜いていく様子が映っている。マルドナドさんがウィンカーを出したのは衝突の4秒前。エクスプローラーは左側の車線にとどまったまま方向指示器を4回点滅。5回目の点滅で中央のレーンへと車線を変えた。裁判資料によると、マルドナドさんはバックミラーでテスラ車が急接近してくるのに気づき、元の車線に戻ろうとしたという。 テスラ車はこの動画のほぼ最初から最後まで時速約111キロを維持していたが、衝突の直前には一時的に時速112キロを超過、速度を落としたのは最後の1秒だったことが車両のデータから明らかになっている。(執筆:Neal E. Boudette記者)』、「カリフォルニア州アラメダ郡高等裁判所」での裁判の行方が大いに注目される。
タグ:ロイター 東洋経済オンライン The New York Times 野口 悠紀雄 テスラ (その1)(テスラを侮る人に知ってほしい「評価される訳」 利益の源泉をハードからソフトへ移しつつある、焦点:起こるべくして起きたテスラの「中国トラブル」、コラム:ビットコインで方針一転 テスラの根深いガバナンス問題、テスラの運転支援システム「人身事故続発」のなぜ 運転手の監視ゆるい?オートパイロットの盲点) 「テスラを侮る人に知ってほしい「評価される訳」 利益の源泉をハードからソフトへ移しつつある」 「テスラの時価総額はトヨタの3倍」は、私も「単なるバブルではないか」と考えていたが、「自動車のハードとソフトの切り離しに成功し、「購入後にインターネット経由でアップグレードできる」という新しいビジネスモデルを確立した」、とは確かに画期的で、時価総額もそれを反映している可能性がありそうだ。 「最初に高性能なモデルを製造し、つぎに機能を制限したモデルを割引料金で販売するのだ。 そして、購入後のアップグレードという方式を可能にすることによって、低価格モデルを簡単に提供し、それによって売り上げを伸ばすことができる」、確かに上手い方法だ。 「低価格モデルである「Model S 60」には、高価格モデルである「Model S 75」に搭載されているのと同じバッテリーが、最初から搭載されているのだ。 ただし、ソフトウェアを調整して、その容量を20パーセント落としているのである。 だから、低価格モデルと高価格モデルを生産するために、テスラは、バッテリーパックを2種類作ったり、組み立てラインを2種類用意したりする必要はない。プログラムに数行を付け加えるだけで終わりだ。 ただし、こうしたことができるのは、車のハードウェアとソフトウェアの切り離しを実現 「ハードウェアとソフトウェアの切り離し」とは画期的だ。「「テスラネットワーク・・・構想」・・・を用いると、テスラ車の所有者は、自分が乗らない時間には、自分の車を自動運転モードのタクシーとすることによって、収益を得ることができる」、面白い構想だ。 「日本の自動車産業」はエンジンというレガシーを抱えているだけに、「対応」は容易ではなさそうだ、 「焦点:起こるべくして起きたテスラの「中国トラブル」 これは確かに広報対応のお粗末さによる部分も大きいようだ。 「今回の中国における問題でマスク氏は沈黙したまま」、当面、「沈黙」を続ける方がよさそうだ。 「ビットコインで方針一転、テスラの根深いガバナンス問題」 「ビットコイン採掘者が現在使用している電力は・・・英国の年間電力消費のほぼ半分に達する」、とは確かに壮大な無駄だ。しかし、「マスク氏」がそんなことも知らずにいたとも思えない。いずれにしろ、同氏の発言のブレにより「ビットコイン」価格が乱高下させたのは、好ましいことではない。 「テスラの運転支援システム「人身事故続発」のなぜ 運転手の監視ゆるい?オートパイロットの盲点」 「2016年以降にオートパイロットが関与した8件の事故で少なくとも10人が死亡」、「事故」が予想以上に多いことに驚かされた。 「オートパイロットは「自動運転システム」ではない。車線変更などの運転操作を代行し、事故を未然に防ぐ「運転支援」を目的としたソフトウェア、カメラ、センサーによって構成されるシステムだからだ」、誤解され易いところだ。 「テスラの幹部は、操作をコンピューターに委ねれば、ミスを犯したり、注意散漫になったりしがちな人間の運転よりも安全になると主張」、しかし、「オートパイロットの作動中、前方を見ている以外にほとんどやることのなくなった運転手には、誘惑に負けて注意がおろそかになってしまう人もいる」、こうした建前と現実のギャップを無視する訳にはいかない。 「テスラ」の「監視システム」が「オートパイロットは運転手の視線を追跡せず、ステアリングに手を置いているかどうかだけを監視する」というのは深刻な問題だ。私でも居眠り防止のため、視線の「監視システム」をつけている 「カリフォルニア州アラメダ郡高等裁判所」での裁判の行方が大いに注目される。
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コーポレート・ガバナンス問題(その10)(みずほ銀行に見る…社外取締役は「田んぼのカカシ以下」、インタビュー前編/東レ社長 日覺昭廣 「経営を欧米向けにわかりやすく。おかしな話だ」、インタビュー後編/東レ社長 日覺昭廣 「社外役員3分の1以上」には根拠も意味もない) [企業経営]

コーポレート・ガバナンス問題については、昨年11月16日に取上げた。今日は、(その10)(みずほ銀行に見る…社外取締役は「田んぼのカカシ以下」、インタビュー前編/東レ社長 日覺昭廣 「経営を欧米向けにわかりやすく。おかしな話だ」、インタビュー後編/東レ社長 日覺昭廣 「社外役員3分の1以上」には根拠も意味もない)である。なお、タイトルから「日本企業の」をカット。

先ずは、昨年12月22日付け日刊ゲンダイが掲載した評論家の佐高信氏による「みずほ銀行に見る…社外取締役は「田んぼのカカシ以下」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/282980
・『富士銀行、第一勧業銀行、そして日本興業銀行が合併してスタートしたみずほにも社外取締役はいる。外から経営をチェックするために存在しているのだが、この国の会社ではほとんどが“社内”取締役になっている。ズバリと直言する人間ではなく、イエスマンもしくはイエスウーマンだけを指名するからである。たとえば竹中平蔵の後に経済財政政策担当大臣となった“おんな竹中平蔵”の大田弘子がみずほフィナンシャルグループの社外取締役となった。しかし、彼女が経営陣に厳しい注文をつけたという話は聞かない。 社外取締役全般について言えることだが、私はある雑誌でこうコメントしたことがある。 「社外取締役は単なるお飾り。初めから『ノー』と言わない人と会社から認定された“うなずき人形”のようなもので、御用学者ならぬ御用取締役です。田んぼの中のカカシはそこにいるだけで役に立っているが、『ノー』と言わない社外取締役はカカシ以下でしかない」) 1997年6月29日、旧第一勧銀の頭取、会長を歴任した宮崎邦次が総会屋への利益供与事件で自殺した。それに関して2007年7月6日号の「週刊朝日」が宮崎の遺書を報じた。 「今回の不祥事について大変ご迷惑をかけ、申し訳なくお詫び申し上げます。真面目に働いておられる全役職員そして家族の方々、先輩のみなさまに最大の責任を感じ、且、当行の本当に良い仲間の人々が逮捕されたことは、断腸の思いで、6月13日相談役退任の日に、身をもって責任を全うする決意をいたしました。逮捕された方々の今後の処遇、家族の面倒等よろしくお願い申し上げます。スッキリした形で出発すれば素晴らしい銀行になると期待し確信しております」 「宮崎」と記した遺書の最後に「佐高先生に褒められるような銀行に」という1行があったというのだが、現在のみずほに私を社外取締役にするような勇気はない。(敬称略)』、「社外取締役は単なるお飾り。初めから『ノー』と言わない人と会社から認定された“うなずき人形”のようなもので、御用学者ならぬ御用取締役です。田んぼの中のカカシはそこにいるだけで役に立っているが、『ノー』と言わない社外取締役はカカシ以下でしかない」、言い得て妙だ。「「宮崎」と記した遺書の最後に「佐高先生に褒められるような銀行に」という1行があったというのだが、現在のみずほに私を社外取締役にするような勇気はない」、遺書に「佐高先生に褒められるような銀行に」、初めて知った。

次に、本年7月10日付け東洋経済Plus「インタビュー前編/東レ社長 日覺昭廣 「経営を欧米向けにわかりやすく。おかしな話だ」」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27474
・『「答えはすべて現場にある」――。現場主義を貫く東レでは、社内の声を重視し、長い目線で事業を育てる経営を続けてきた。 そうした中、これまで半世紀以上の時間と多額の費用を費やしてきた炭素繊維や水処理膜が育ってきた。炭素繊維は飛行機などの軽量化につながり、二酸化炭素の削減に貢献できる素材だ。いずれの分野も世界シェアの上位は日本企業だ。 東レの日覺昭廣社長は、その背景に日本ならではの経営環境があると考えている。経営の在り方について欧米追従の流れが強まる中、「ルール作りは欧米人がやるものという感覚を捨てるべき」と警鐘を鳴らす(Qは聞き手の質問、Aは日覺社長の回答)。 後編:「社外役員3分の1以上には、根拠も意味もない」 Q:最近の新聞で東レは、業績低迷で投資家や株主のプレッシャーに耐えられなくなり、ガバナンス改革の波に屈して取締役体制を変えざるを得なくなったと、書かれていました。 A:それは間違いだ。業績に結び付けるのは完全に余計だよね。 景気回復のこちら(コロナ影響からの立ち直りが鈍い側)に航空機やアパレルなどの主要な事業を持っているから一時的に下がってしまっているだけ。また回復するわけだから。業績と取締役体制の変更(2020年6月に社外取締役を全体の3分の1に増やした)は一切、関係がない。 Q:日本では、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、委員会設置会社と機関設計が3つも林立しています。 経営の実態を分析もせず、仕組みばかりたくさん作るというのはいかがなものか。容れ物先行では、物事は解決しない。すべての仕組みに一長一短がある。 それぞれ何が問題なのか、何が欠けているのか。それを解決するにはどう運用するのがいいのか。現場から考えれば答えは出る。(当局や専門家などの)経営現場の経験のない人が考えて解決するほど(経営は)甘くはない』、「現場主義を貫く東レ」にとって、政府が旗を振る理念型の「コーポレート・ガバナンス」改革は腹立たしいのだろう。
・『監査役会設置会社は素晴らしい  Q:これら3つの中で、特に評価している仕組みはありますか? A:日本では東証1部上場企業のうち、アメリカ式の委員会設置会社はわずか数%だ。委員会設置会社へのつなぎと見られていた監査等委員会設置会社も30数%にとどまる。従来の監査役会設置会社が60数%と依然主流だ。この傾向はずっと続くと思う。 監査役は議決権を持たない日本独自の制度のため、会計監査人と混同されるなど欧米ではよく理解されていない。だが、素晴らしい制度だ。 監査役は指揮命令系統から独立し、取締役と対等な立場で取締役を監視している。監査役会は半数以上を社外監査役で構成し、かつ常勤監査役の選任が会社法で定められており、独立性と監査の実効性が確保されている。同時に(単独で権限を行使できる)「独任制」という強力な権限も保有している。 取締役が執行と監督を兼ねることが多い日本において、取締役のパフォーマンスを現場に即して監査することができる非常に理にかなったシステムだ。それなのに、監査役というものが欧米にないから、彼らがわかりやすいように変えようという。おかしな話だ。 正しいことを論理的に説明することで日本発のすばらしいシステムにしようという気概がほしい。委員会設置会社への移行を強制するよりも、監査役による機関設計を海外の機関投資家に理解していただくことを考えるべきだ。(国際的な)ルール作りは欧米人がやるもの、という感覚を捨てなければいけない』、「委員会設置会社への移行を強制するよりも、監査役による機関設計を海外の機関投資家に理解していただくことを考えるべき」、同感である。
・『欧米は原則主義、日本は細則主義  Q:企業経営の形やガバナンスコードを欧米追従にすることには反対です か。 A:まあ、向こうのコードも、内容自体を見るとそんなに変なことは書かれていない。「企業価値」を高めましょうとかね。ただし、彼らが言っている企業価値というのは株価、いわゆる時価総額だ。 私は、時価総額は企業価値の2割程度だと思っている。企業価値の8割は企業の社会的責務を果たすことだ。でも欧米のコードではそれが一切、触れられていない。株価ばかりというのはお粗末だ。 Q:文化的、風土的に違うところに同じやり方をしてもうまくいかないと? A:欧米ではコードが原則としてあり、事業活動や経営を見て詳細を判断する。しかし、日本ではコード遵守を厳格に運営する。 例えばISO(国際標準化機構)規格でも同様で、日本では事細かくがんじがらめにしてしまう。何事も物事を一律に決められるものではない。フレキシブルに対応できるようにしていないと、かえって現場の力を削ぎ、競争力を弱めることになってしまう。そこが日本の悪いところだ。 にっかく・あきひろ/1949年生まれ、兵庫県出身。1973年東京大学大学院修了、東レ入社。2001年エンジニアリング部門長、2002年取締役。2010年6月から現職(撮影:梅谷秀司) 会社では、手続きよりも生産現場で本当に正しいことをやっているかどうかが大事なはずだ。日本も本来、昔は匠の世界だった。ところがISOでは、ちゃんと(工程や品質試験などの)記録を取っていますね、残していますね、ということだけが問われる。だからある意味で、ISO規格は日本の製造業を堕落させた運動だと私は思っている。 原則主義の欧米では、企業がコード通りにしていなくても、実態に照らして成長発展するのにふさわしい体制であればよし、とされるところがある。コードが目的化しないように運用されているが、日本ではそうなっていない。 機関投資家がスチュワードシップ・コード(の運用)を厳格化した結果、われわれ(経営者)に対して「社外取締役を増やさないと困る」と言ってきたのもまさに細則主義だからだろう』、国際財務報告基準(IFRS)では、欧米は原則主義、日本は細則主義とされる。
https://globis.jp/article/7958
・『「東レがうらやましい」と言われた  Q:欧米式の企業統治では長期的な目線で事業経営が難しいのでしょうか。 A:昔、デュポンのチャールズ・ホリデー元会長に、「東レがうらやましい」と言われたことがある。1960年頃に世界中で炭素繊維の開発が始まった。でもアメリカの企業は「何年やってもモノになるかわからない」ということで、やはり投資家や株主の賛同を得るのは難しかったようだ。 アメリカでは株主の代表が取締役で、求められているのは株価を上げて株主が短期的に利益を出せるようにすること。そういう環境では長期的な視点で事業を育てることは不可能だろう。経営者も、クビにされたらおしまいだから。 結局、炭素繊維も水処理膜も開発を続けて事業化までいけたのは、長期目線で取り組むことができた日本企業ばかりになった。 Q:日本企業も昔から欧米流の企業統治をしていたら、炭素繊維や水処理膜の今日のような成功はなかったと。 A:それはできなかっただろう。株主の代表である取締役とか、アクティビスト(物言う株主)からダメだと言われたらやろうとしてもできないわけだから。 それでもやろうとしたら辞めさせられる。デュポンの前CEOのエレン・クレマンさんなんかも、アクティビストと軋轢があって思いどおりに経営できなかった(筆者注:アクティビストの株主から事業再編のために会社の4分割を要求されるが拒否。だがその後、退任に追い込まれた)。 Q:ダイバーシティについて。経営中枢に女性の視点を入れると事業に広がりが出るという見方もありますが、どう思いますか。 A:それは(エンドユーザーに女性が多い)資生堂さんやユニクロさん(ファーストリテイリング)なら意味があるかもしれない。 でも、素材産業では女性の視点を入れるということ自体に意味はない。もっといえば、女性を何割入れてとか、取締役に女性を入れてとか、そういったことを外野の経営経験もない人が言ったりルールをつくったりするのは最悪だ。 問題は、やれ自由だ、ダイバーシティだというと、あたかもそれが正しいように聞こえてしまうこと。言葉の響きで。でもそれに何の意味があるのか。ダイバーシティが目的ではないはずだ。 後編「社外役員3分の1以上には、根拠も意味もない」』、「炭素繊維も水処理膜も開発を続けて事業化までいけたのは、長期目線で取り組むことができた日本企業ばかりになった」、「デュポンのチャールズ・ホリデー元会長に、「東レがうらやましい」と言われたことがある」、も分かる気がする。

第三に、この続きを、7月12日付け東洋経済Plus「インタビュー後編/東レ社長 日覺昭廣 「社外役員3分の1以上」には根拠も意味もない」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27475
・『「重要な経営方針は、会社をよくわかっている社内の人間で決めるべきだ」。折に触れてそうした考えを述べてきた東レの日覺昭廣社長。 だがそんな東レも昨年、ついに経営体制の見直しに動いた。従来は社内取締役が17人、社外取締役が2人だったが、社内取締役を8人に減らし社外取締役を4人に増やすことで、社外取締役比率を「3分の1」に引き上げたのだ。 自身の経営哲学とのせめぎ合いの中で最低限の対応をとった日覺社長は、「いい加減なアイデアで決めた数字で企業を縛るべきではない」と話す。(前編:「経営を欧米向けにわかりやすく。おかしな話だ」) Q:今回のコーポレートガバナンス(CG)・コードの改訂では、上場企業の社外取締役の割合を少なくとも3分の1以上にすることを求めています。 A:3分の1以上や過半数といった数字にはそもそも何の根拠もないし、まったく意味がない。 もし、誰かが経営の現場で何が起きているのかといった事実を調査して、「課題の本質原因や不祥事が起きる理由は社外取締役が3分の1以上いないからだ」という分析結果に至って決めた数字なら、多少は意義があるかもしれない。 だが実際は、経営経験のない人が連想ゲームのように何となく決めた数字だろう。社外取締役の比率は企業の自主性を尊重するべきだ。いい加減なアイデアで決めた数字で企業を縛るべきではない』、「実際は、経営経験のない人が連想ゲームのように何となく決めた数字だろう。社外取締役の比率は企業の自主性を尊重するべきだ。いい加減なアイデアで決めた数字で企業を縛るべきではない」、筋論だが、現実には「社内取締役を8人に減らし社外取締役を4人に増やすことで、社外取締役比率を「3分の1」に引き上げた」、という弾力性ももつようだ。
・『このままだと賛成できない  Q:それでも、東レは2020年6月の株主総会を経て、「社外比率3分の1以上」という基準に合わせました。 A:日本の金融機関や機関投資家では(投資家の行動規範であるスチュワードシップ・コードの強化で)投資方針と議決権行使の結果を開示して外部に公表することが求められるようになってきた。 例えば、ある機関投資家が「社外取締役が3分の1以上でない企業への投資は推奨しません」などの方針を公表したうえで、後で議決権行使がその方針に沿っているかの結果も公表しなければならない。 それで、以前までは「(社外取締役が3分の1以上いなくても)東レのガバナンスは問題ない」と言ってくれていた機関投資家から、「これからは今までのようにはいかなくなる」と言われるようになった。 東レの社外取締役比率が3分の1未満だと、機関投資家が(株主総会での日覺氏の取締役の再任に)賛成した場合、方針と齟齬がある結果を公表しなければならなくなる。彼らはそれはできないから、「このままだと賛成票は入れられない」と。だから対応した。それによって別に困ることもないしね。 Q:社内取締役を8人、社外取締役を4人にし、同時に執行役員制度を採り入れた意図は何ですか? A:取締役会の体制を変えて社内取締役を減らすに当たって、事業をわかっている人間が事業を判断するという部分は変えないつもりだった。 それで執行役員を30人置くことにした。それまで社内取締役だった人はみんな執行役員に就いた。今までどおり経営業務は専門能力を持った役員で実行するということを、執行役員制度で明確化したかった。 社内取締役の人数は、取締役会に最低限必要な代表者は何人なのかを考えて決めた。繊維、フィルム、炭素繊維などの事業や、研究、エンジニアリング、生産がそれぞれわかる人から代表を選ぶと結果的に8人になった。それに対して社外取締役は3分の1以上にする必要があるということで4人になった。 執行役員制度の導入で、実質的に取締役体制を変える前とさほど変わらない状態を維持できている』、「執行役員制度の導入で、実質的に取締役体制を変える前とさほど変わらない状態を維持できている」、なるほど。
・『社外取に「監視・監督」は不可能  Q:社外取締役は「経営執行の監視・監督」が第一義的な役割だとされています。 社外の目で企業を監視するなんて不可能だ。 社外からは、それこそROE(自己資本利益率)が悪いからその事業をやめろとか、その程度のことは言えるかもしれない。 けれども、社外から内部で何が起こっているかなんて、わかるわけがない。もしも部長と課長とか上司と部下がつるんで何かやったら、社内からでも絶対に不正なんて暴けない。ましてや社外の、現場を知らない人が不正を暴いたり、監視したりするなどということはできないはずだ。 Q:今回のコード改訂では、社外取締役は経営経験者が望ましいとされています。東レの社外取締役4人のうち経営経験者は1人(元住友精密工業社長の神永晉氏)だけです。 A:経営経験者を社外取締役にしたほうがよい、という考え方には賛同できない。一口に企業経営と言っても事業によってぜんぶ違う。自動車会社の経営経験者を素材会社に持ってきても意味がないし、同じ繊維の会社でも東レと他社では異なる。 それなのに社外の経営経験者のアドバイスを受けて「いい意見をもらった」と喜ぶようなトップはよっぽどレベルが低いから、すぐに辞めたほうがいい。大事なのは経営経験の有無ではなく、社外取締役にどんなポテンシャルがあるかだ。 Q:コード改訂は海外を中心とした投資家の考え方に合わせるのが目的とされています。 A:間違った考え方だ。日本の従来のやり方が、欧米では「やっていない」「理解されない」から変えましょう、というのでは理屈にならない。 日本でしかやっていないことでも、そっちのほうがいい仕組みかもしれない。何でも海外の投資家がわかりやすいほうに持っていこうとすること自体が誤りの原点だ。 欧米のコードにしても、変わってきている。彼らも日本の(公益への企業貢献を重んじる)公益資本主義を一生懸命勉強している。 公益資本主義のルールを改訂し、日本から発信しないといけない。どうも日本は劣等感の塊で、明治以降の舶来主義だ。もう少し自信をもって、自律的に考えていかないとダメだ』、「公益資本主義のルールを改訂し、日本から発信しないといけない。どうも日本は劣等感の塊で、明治以降の舶来主義だ。もう少し自信をもって、自律的に考えていかないとダメだ」、同感である。
・『女性、外国人の「登用ありき」はおかしい  Q:取締役への女性や外国人の登用が注目されていますが、東レではどちらもいません。 女性や外国人でふさわしい人材がいるのであれば取締役にすればいい。だが、登用ありきにすることはおかしい。目的は、女性や外国人を取締役に入れることではなく、会社を成長させることのはずだ。 東レには今、海外子会社含め外国人の社長が26人いて、うち2人は(東レ本体の)執行役員だ。女性の幹部も増えており理事が1人、部長は19人、課長級は115人いる。女性の活躍推進のための研修も5、6年以上前からやっている。女性には家庭での役割などハンディがあるので、女性をサポートするための議論や情報交換もしている。 いずれこうした人たちが取締役になるかもしれない。だが、女性や外国人をとにかく取締役会に入れようということでただちに誰かを昇格させるとか、社外から人を連れてこよう、というのはまったく意味がない。適性があるかどうかで考えるべきだろう。 Q:東レが社外取締役を2人から4人に増やして1年経ちました。何か変わりましたか。 A:社外取締役を増やしてから、そのポテンシャルや経験をいかに経営に生かすかを考えるようになった。 それまでは決議事項をきっちり決議するのが取締役会だったが、これでは社外取締役はなかなか議論に入ってこられない。決議事項は、それまでに経営会議や事業本部で何回も議論して固まってから上がってくるものだからだ。 そこで新たに「協議事項」というものを多く設けることにした。長期ビジョンや中期経営計画をつくるとき、あるいは大型のM&Aの検討などの会社の方向性を考える際に、早い段階から社外も含めた取締役で話し合ってもらう。結論がまったく固まっていないタイミングで議論することで、いろいろな意見が出てくるようになった。 これならば、さまざまな知識や経験を持つ社外の方からの違った意見を生かせる。社外取締役をどうせ一定人数置くのならば、有効なものにしたい。 前編:「経営を欧米向けにわかりやすく。おかしな話だ」』、「新たに「協議事項」というものを多く設けることにした。長期ビジョンや中期経営計画をつくるとき、あるいは大型のM&Aの検討などの会社の方向性を考える際に、早い段階から社外も含めた取締役で話し合ってもらう。結論がまったく固まっていないタイミングで議論することで、いろいろな意見が出てくるようになった」、なかなかいいアイデアだ。
タグ:佐高信 日刊ゲンダイ コーポレート・ガバナンス問題 東洋経済Plus (その10)(みずほ銀行に見る…社外取締役は「田んぼのカカシ以下」、インタビュー前編/東レ社長 日覺昭廣 「経営を欧米向けにわかりやすく。おかしな話だ」、インタビュー後編/東レ社長 日覺昭廣 「社外役員3分の1以上」には根拠も意味もない) 「みずほ銀行に見る…社外取締役は「田んぼのカカシ以下」」 「社外取締役は単なるお飾り。初めから『ノー』と言わない人と会社から認定された“うなずき人形”のようなもので、御用学者ならぬ御用取締役です。田んぼの中のカカシはそこにいるだけで役に立っているが、『ノー』と言わない社外取締役はカカシ以下でしかない」、言い得て妙だ。 「「宮崎」と記した遺書の最後に「佐高先生に褒められるような銀行に」という1行があったというのだが、現在のみずほに私を社外取締役にするような勇気はない」、遺書に「佐高先生に褒められるような銀行に」、初めて知った。 「インタビュー前編/東レ社長 日覺昭廣 「経営を欧米向けにわかりやすく。おかしな話だ」」 「現場主義を貫く東レ」にとって、政府が旗を振る理念型の「コーポレート・ガバナンス」改革は腹立たしいのだろう。 「委員会設置会社への移行を強制するよりも、監査役による機関設計を海外の機関投資家に理解していただくことを考えるべき」、同感である。 国際財務報告基準(IFRS)では、欧米は原則主義、日本は細則主義とされる。 「炭素繊維も水処理膜も開発を続けて事業化までいけたのは、長期目線で取り組むことができた日本企業ばかりになった」、「デュポンのチャールズ・ホリデー元会長に、「東レがうらやましい」と言われたことがある」、も分かる気がする。 「インタビュー後編/東レ社長 日覺昭廣 「社外役員3分の1以上」には根拠も意味もない」 「実際は、経営経験のない人が連想ゲームのように何となく決めた数字だろう。社外取締役の比率は企業の自主性を尊重するべきだ。いい加減なアイデアで決めた数字で企業を縛るべきではない」、筋論だが、現実には「社内取締役を8人に減らし社外取締役を4人に増やすことで、社外取締役比率を「3分の1」に引き上げた」、という弾力性ももつようだ 「執行役員制度の導入で、実質的に取締役体制を変える前とさほど変わらない状態を維持できている」、なるほど。 「公益資本主義のルールを改訂し、日本から発信しないといけない。どうも日本は劣等感の塊で、明治以降の舶来主義だ。もう少し自信をもって、自律的に考えていかないとダメだ」、同感である。 「新たに「協議事項」というものを多く設けることにした。長期ビジョンや中期経営計画をつくるとき、あるいは大型のM&Aの検討などの会社の方向性を考える際に、早い段階から社外も含めた取締役で話し合ってもらう。結論がまったく固まっていないタイミングで議論することで、いろいろな意見が出てくるようになった」、なかなかいいアイデアだ。
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