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イスラエル・パレスチナ(その4)(60年代学生運動『いちご白書』再び ニューヨークのキャンパスが燃えている、イスラエル ラファ中心部に戦車到達 バイデン政権「地上攻撃」にはあたらず、イスラエル戦時内閣メンバー ネタニヤフ氏の失策批判 年内選挙要求) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、本年4月22日に取上げた。今日は、(その4)(60年代学生運動『いちご白書』再び ニューヨークのキャンパスが燃えている、イスラエル ラファ中心部に戦車到達 バイデン政権「地上攻撃」にはあたらず、イスラエル戦時内閣メンバー ネタニヤフ氏の失策批判 年内選挙要求)である。

先ずは、本年4月24日付けNewsweek日本版が掲載した在米作家の冷泉彰彦氏による「60年代学生運動『いちご白書』再び、ニューヨークのキャンパスが燃えている」を紹介しよう。
・『<コロンビア大学のイスラエル非難行動への強硬対応をきっかけに、全米各地の大学に運動が広がっている> イスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲テロが起きたのが、昨年の10月7日でした。これに対するイスラエルのネタニヤフ政権の反応は、ハマスのメンバーへの攻撃というものでした。この作戦は、当初は北部への空爆を主体としたものでしたが、やがて陸上からの侵攻も激化、さらに南部への攻撃も開始されるなどエスカレートしていきました。結果的にパレスチナの民間人犠牲は、3万人を超えると報じられています。 この事件の影響を大きく受けているのがニューヨーク市です。この半年間、イスラエル、パレスチナ双方の支持派によるデモが常に市内で発生していたからです。当初の段階ではイスラエル支持派はマンハッタンの東岸にある国連本部を拠点としてデモ活動を行っていました。また、パレスチナ支持派は島の中心にある繁華街の、タイムズ・スクエアでデモを行うことが多かったのです。 初期段階においては、警察当局は両派が接触するのを防止するため、徹底的な引き離し作戦を行っていました。両派の側も衝突を避け、穏健に主張を行うことで世論を敵に回さないようにしていました。この時点では、パレスチナ支持派は、アラブ圏の出身者や二世などが中心でした。 その次の段階では、コロンビア大学が主な舞台になりました。例えば、コロンビア大学の教授に就任したヒラリー・クリントン元大統領候補などは、イスラエル支持の立場を明確にしたため、多くの学生が授業をボイコットするなどの騒動が起きました。今年に入ると、イスラエルの攻撃による民間人犠牲が止まらない中で、アラブ圏出身以外の一般学生からもネタニヤフ政権の軍事行動に反対する動きが拡大していきました。 コロンビア大学のキャンパスは、その結果として両派がにらみ合う危険な状況になりました。やがて、パレスチナ支持派がキャンプ村を開設、先週4月16日の火曜日頃までには、学生たちがガザ攻撃反対を叫びながら歌って踊る「解放区」の様相を呈していました。その中では、「ティーチイン(討論集会)」「記録映画の上映」「反戦詩の朗読会」などのイベントも行われ盛り上がりを見せていたそうです』、「ロンビア大学のキャンパスは、その結果として両派がにらみ合う危険な状況になりました。やがて、パレスチナ支持派がキャンプ村を開設、先週4月16日の火曜日頃までには、学生たちがガザ攻撃反対を叫びながら歌って踊る「解放区」の様相を呈していました」。
・『イスラエル批判は反ユダヤ主義?  これに対して、18日の木曜日には大学当局が、この「解放区」、つまりキャンパス内にテントを張っていた学生約100名について停学の処分を行うとともに、警察の介入を要請して彼らは逮捕されました。姉妹校の女子大、バーナード・カレッジの学生も追って処分対象になりました。 この動きはこの問題の大きな転換点になりつつあります。処分と逮捕の対象となった学生の多くは直接暴力行動に走ったわけではありません。学生たちが主張している、「イスラエルがガザで行っているのはジェノサイド(大量虐殺)だ」とか「即時停戦を」という言い方は、「アンチ・セミティズム(反ユダヤ)」であって、人種迫害という重大な犯罪だというロジックが逮捕の理由とされています。 本来この「アンチ・セミティズム」という言葉は、欧州やロシア、アメリカ南部などで歴史的に見られたユダヤ人迫害を指す言葉です。パレスチナ側に立って、イスラエルの政策を批判する意見への非難に使うのは、言葉として誤用なのですが、ここへ来てそうした歯止めはなくなりました。 強引な論理ですが、こうした論理の裏には、例えばユダヤ系の学生、特に政治的な関心の薄い学生などが「自分の身の危険を感じる」と強く訴え出ていること、大学の経営を支えるユダヤ系大口寄付者の多くから強い批判があることが背景にあると言われています。ニューヨーク市の世論も、やはりユダヤ系の住民の影響力の反映として、数の論理、経済の論理としては、イスラエル寄りです。 一方で、パレスチナ支持派の学生たちは、パレスチナ国旗を掲げ、白黒チェックのバンダナをまとっています。中には「ハマスを支持する」というスローガンも見られます。ハマスは武装組織だけでなく、ガザ地区の行政を回している政党ですから、支持するとしても、正確に言えばテロを支持したことにはなりません。ですが、学生たちのそのようなルックスや言動は、どうしても親ユダヤ系に恐怖感を与え、強く挑発してしまいます。その結果として対立が激しくなっていったのは事実です。) ですが、暴力を取り締まるのではなく、言論を取り締まるという今回の停学・逮捕という行動は、やはり衝撃的でした。まずコロンビアの中では賛否両論の対立をエスカレートさせることとなりました。その結果として、今週からコロンビアは対面授業を断念し、全てをリモートに切り替えることになりました。 実際は学年末なので、影響は限定的なのですが、これに対して多くのリベラル派の教員、中間派からパレスチナ支持派の学生は猛然と抗議を始めています。一部には、学ぶ権利が侵害されたとして「学費返還運動」を行うグループまで登場しました。 さらに、このコロンビア大学での逮捕劇は、マンハッタン島の北から南へ飛び火して、NUY(ニューヨーク大学)での「ガザ攻撃反対運動」を一気にエスカレートさせています。こちらでもNY市警は同様の対応を取り、4月22日の月曜日には約150名の逮捕者が出ました。これに対しては、22日の晩には大量逮捕への抗議行動として、松明を赤々と掲げたデモがNY市警本部を取り囲む状況となり、一時騒然とした状況になっています。また、23日の火曜日には捜査に入ったNY市警とNYUの学生が、グリニッジ・ビレッジのキャンパスで衝突するという事件も発生しました。 一方でコロンビアでは、学生や一部教員による学長への非難がエスカレートしています。この問題では、ハーバードを始めとする多くの大学の学長が、ワシントンDCの連邦議会で保守系議員によって「吊るし上げられる」事件がありました。つまり、「あくまで言論の自由を優先する」とした学長たちが、ユダヤ系学生を危険に晒しているとして批判され、何人かが辞任に追い込まれたのです。現在は、その反対で、警察力まで導入してしまったということで、コロンビアの学長は学内で激しい批判に晒されています。 さらに、今週4月22日の週に入ると、その前週のコロンビア大学での大量逮捕、そして22日のNYUでの大量逮捕という事態への怒りから、コネチカット州のイエール大学、マサチューセッツ州のMIT、西海岸のUCバークレーなどでも抗議行動が拡大しています。MITやUCバークレーでは、コロンビアにおける弾圧に抗議するとして、キャンパス内にテント村が登場しました。 まるで1968年のベトナム反戦運動の再来のような状況になってきました。場所も「コロンビア大学」ということで、映画にもなった『いちご白書』が記録したベトナム反戦の日々の再現とも言えます。そして、政治的な構図も似通っています。1968年には、若者が反戦運動に走る一方で、民主党は穏健なハンフリー上院議員を大統領候補にしました。そのために、失望した若者たちは棄権して、ニクソンの勝利をアシストした格好となりました』、「前週のコロンビア大学での大量逮捕、そして22日のNYUでの大量逮捕という事態への怒りから、コネチカット州のイエール大学、マサチューセッツ州のMIT、西海岸のUCバークレーなどでも抗議行動が拡大しています。MITやUCバークレーでは、コロンビアにおける弾圧に抗議するとして、キャンパス内にテント村が登場しました。 まるで1968年のベトナム反戦運動の再来のような状況になってきました。場所も「コロンビア大学」ということで、映画にもなった『いちご白書』が記録したベトナム反戦の日々の再現とも言えます。そして、政治的な構図も似通っています。1968年には、若者が反戦運動に走る一方で、民主党は穏健なハンフリー上院議員を大統領候補にしました。そのために、失望した若者たちは棄権して、ニクソンの勝利をアシストした格好となりました」、なるほど。
・『現政権への反発はトランプの追い風に  今回も、バイデン大統領は世論を気にして迷走してはいるものの、基本的にイスラエル支持を変えません。ネタニヤフ首相に対する「民間人犠牲を止めよ」という忠告も「懇願している」ような弱々しいニュアンスが感じられ、全く相手にされず、かえって国内での威信を傷つけています。ウクライナへの軍事援助予算とセットで、イスラエルへの追加援助も実施されつつあります。ですから若者たちの間での「バイデン離れ」は深刻となりつつあります。 トランプ候補は、支持者の一部には、ユダヤ系へも差別の視線を向けそうな白人至上主義者を抱えています。ですが、基本的には、それ以上に保守派全般に根強いイスラム教徒への敵視感情を利用し続けています。ですから、ガザの一件では超イスラエル寄りです。それこそ68年の状況のように、反戦運動を反社会的だとして徹底弾圧するつもりであり、場合によっては米軍を国内のデモ鎮圧に使いたいなどと放言する始末です。 では、環境運動家であった独立系のロバート・ケネディ・ジュニア候補はどうかというと、彼もこの問題に関してはイスラエル支持です。若者たちが強く支持するAOC(アレクサンドリア・オカシオコルテス)議員などは、個人的にはガザ攻撃を厳しく批判していますが、民主党議員として結束を優先しており、バイデン支持を取り下げるような姿勢は見せていません。 従って、若者たちが怒れば怒るほどトランプ候補が有利になるという構図が出てきています。この学生たちの行動については、残り数週間で各大学は学年末の期末試験の時期になります。さすがに試験のボイコットとか妨害という行動にはならないと思うので、そこで一旦は収束する可能性が強いと思います。ですが、彼らの中に根付いた現政権と保守派の全体に対する落胆や憎悪というのは、最終的に11月の大統領選まで消えないでしょう』、「若者たちが怒れば怒るほどトランプ候補が有利になるという構図が出てきています。この学生たちの行動については、残り数週間で各大学は学年末の期末試験の時期になります。さすがに試験のボイコットとか妨害という行動にはならないと思うので、そこで一旦は収束する可能性が強いと思います。ですが、彼らの中に根付いた現政権と保守派の全体に対する落胆や憎悪というのは、最終的に11月の大統領選まで消えないでしょう」、これでは、もしトラが実現してしまう。全く困ったことだ。

次に、5月29日付けNewsweek日本版「イスラエル、ラファ中心部に戦車到達 バイデン政権「地上攻撃」にはあたらず」を紹介しよう。
・『イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの作戦が始まって約3週間となる28日、イスラエル軍の戦車数台がラファ中心部に初めて到達した。 一方でガザ保健当局は、イスラエル軍の戦車が地中海沿岸にある避難区域の難民キャンプを砲撃し、少なくとも21人が死亡したと述べたが、イスラエル軍は否定している。 ガザ当局によると、イスラエルがラファ住民に対し避難先として勧告していたマワシにあるテント群に戦車の砲弾4発が命中。医療関係者によると、死者のうち少なくとも12人は女性という。 イスラエル軍はこれに対し「マワシの人道地区を攻撃していない」と否定する声明を出した。 現地からの情報によると、ラファ中心部のアルアウダ・モスク近くでは戦車や装甲車が目撃された。イスラエル軍はラファで作戦を続けていると述べたが、中心部へ到達したとの報道についてはコメントしなかった。 イスラエルを支援する米国は、ラファでの大規模な地上攻撃に反対する姿勢を改めて表明したが、そうした作戦が行われているとは考えていないとした。 米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は記者団に、多数の部隊が縦列や隊列を組んで、地上の複数の標的に対して何らかの協調行動を取ることが大規模な地上作戦だという認識を示し、「その状況はまだ起きていない」と述べた。 イスラエル軍が26日夜に実施したラファの北西部への空爆では、避難民が密集している地区で火災が発生し少なくとも45人が死亡した。 住民によると、この空爆の現場となったテルアルスルタン地区は、なおイスラエル軍の激しい砲撃を受けている。 住民の1人は「テルアルスルタンではあらゆる場所で戦車の砲弾が降り注いでいる。多くの家族が夜通しの砲火の中、ラファ西部の家から逃げた」とメッセージアプリでロイターに述べた。 国連安全保障理事会は28日、ラファ情勢に関する非公開会合を開催した。アルジェリアのベンジャマ国連大使は会合後、イスラエルにラファでの攻撃停止を求める決議案を提出すると明らかにした』、「スラエル軍はラファで作戦を続けていると述べたが、中心部へ到達したとの報道についてはコメントしなかった。 イスラエルを支援する米国は、ラファでの大規模な地上攻撃に反対する姿勢を改めて表明したが、そうした作戦が行われているとは考えていないとした」、米国がいくら言い訳しようと、人口密集地の「ラファ」での被害は拡大中で、まさに人道危機だ。

第三に、5月30日付けNewsweek日本版「イスラエル戦時内閣メンバー、ネタニヤフ氏の失策批判 年内選挙要求」を紹介しよう。
・『イスラエル戦時内閣にオブザーバー参加するアイゼンコット元参謀総長は29日、パレスチナ自治区ガザで戦闘が続く中、ネタニヤフ首相が安全保障や経済政策で失敗していると批判し、年内の選挙実施を求めた。 アイゼンコット氏は、ネタニヤフ首相がガザでの戦争の複雑さについて真実を語らず、イスラム組織ハマスに対する「完全勝利」を掲げて国民を欺いていると主張。 「(ガザ最南部)ラファで大隊を解体し、人質を取り戻すと言う者は誤った幻想を植え付けている」とし、「(ガザを)安定させるには3─5年かかり、ハマスに代わる(統治体制)を築くにはさらに何年もかかる」と指摘した。 また、ネタニヤフ氏がイランの核開発阻止やサウジアラビアとの関係正常化、経済強化など2022年総選挙の主要な公約を達成できていないとした。 イスラエルの戦時内閣を巡っては、ガンツ前国防相もネタニヤフ氏が6月8日までに戦後のガザ統治計画を明確にしなければ離脱すると表明するなど、亀裂が浮き彫りになっている』、「イスラエルの戦時内閣」内の亀裂が目立ってきたようだ。「ネタニヤフ氏」が驕り高ぶった姿勢を軟化することに繋がってほしいものだ。
タグ:イスラエル・パレスチナ (その4)(60年代学生運動『いちご白書』再び ニューヨークのキャンパスが燃えている、イスラエル ラファ中心部に戦車到達 バイデン政権「地上攻撃」にはあたらず、イスラエル戦時内閣メンバー ネタニヤフ氏の失策批判 年内選挙要求) Newsweek日本版 冷泉彰彦氏による「60年代学生運動『いちご白書』再び、ニューヨークのキャンパスが燃えている」 「ロンビア大学のキャンパスは、その結果として両派がにらみ合う危険な状況になりました。やがて、パレスチナ支持派がキャンプ村を開設、先週4月16日の火曜日頃までには、学生たちがガザ攻撃反対を叫びながら歌って踊る「解放区」の様相を呈していました」 「前週のコロンビア大学での大量逮捕、そして22日のNYUでの大量逮捕という事態への怒りから、コネチカット州のイエール大学、マサチューセッツ州のMIT、西海岸のUCバークレーなどでも抗議行動が拡大しています。MITやUCバークレーでは、コロンビアにおける弾圧に抗議するとして、キャンパス内にテント村が登場しました。 まるで1968年のベトナム反戦運動の再来のような状況になってきました。場所も「コロンビア大学」ということで、映画にもなった『いちご白書』が記録したベトナム反戦の日々の再現とも言えます。そして、政治的な構図も似通っています。1968年には、若者が反戦運動に走る一方で、民主党は穏健なハンフリー上院議員を大統領候補にしました。そのために、失望した若者たちは棄権して、ニクソンの勝利をアシストした格好となりました」、なるほど。 「若者たちが怒れば怒るほどトランプ候補が有利になるという構図が出てきています。この学生たちの行動については、残り数週間で各大学は学年末の期末試験の時期になります。さすがに試験のボイコットとか妨害という行動にはならないと思うので、そこで一旦は収束する可能性が強いと思います。ですが、彼らの中に根付いた現政権と保守派の全体に対する落胆や憎悪というのは、最終的に11月の大統領選まで消えないでしょう」、これでは、もしトラが実現してしまう。全く困ったことだ。 Newsweek日本版「イスラエル、ラファ中心部に戦車到達 バイデン政権「地上攻撃」にはあたらず」 「スラエル軍はラファで作戦を続けていると述べたが、中心部へ到達したとの報道についてはコメントしなかった。 イスラエルを支援する米国は、ラファでの大規模な地上攻撃に反対する姿勢を改めて表明したが、そうした作戦が行われているとは考えていないとした」、米国がいくら言い訳しようと、人口密集地の「ラファ」での被害は拡大中で、まさに人道危機だ。 Newsweek日本版「イスラエル戦時内閣メンバー、ネタニヤフ氏の失策批判 年内選挙要求」 「イスラエルの戦時内閣」内の亀裂が目立ってきたようだ。「ネタニヤフ氏」が驕り高ぶった姿勢を軟化することに繋がってほしいものだ。
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福祉問題一般(その2)(「死体遺棄」「殺人未遂」に職員を走らせた福祉現場が模索する 再生への道、日本の福祉システムは「生涯独身」を想定していない…これから激増する「身寄りのない男たち」という大問題 行政のサポートはなく 遺産も宙に浮く) [社会]

福祉問題一般については、2018年5月25日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(「死体遺棄」「殺人未遂」に職員を走らせた福祉現場が模索する 再生への道、日本の福祉システムは「生涯独身」を想定していない…これから激増する「身寄りのない男たち」という大問題 行政のサポートはなく 遺産も宙に浮く)である。

先ずは、2021年4月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーランス・ライターのみわよしこ氏による「「死体遺棄」「殺人未遂」に職員を走らせた福祉現場が模索する、再生への道」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/267915
・『福祉事務所で起きた仰天事件 は特殊な組織の特異な事件なのか(新年度は、職場に新しいメンバーを迎える季節だ。コロナ禍で採用が抑制されている場合は、コロナ後の採用に備える機会である。2019年、2つの福祉事務所で発生した不祥事とその後の状況から、職場づくりのヒントを得ることはできないだろうか。 2019年の6月と12月、京都府向日市と滋賀県米原市において、福祉事務所の現職ケースワーカーが刑事事件で逮捕された。ケースワーカーであった向日市職員のXさんと米原市職員のYさんは、いずれも当時20歳代の男性であり、人柄にも能力にも定評があった。 向日市のXさんは、元暴力団組員で傷害致死などの前科を持つ50歳代の男性受給者を担当していた。男性は、約1年半にわたって不当要求をエスカレートさせた末、同居していた女性に暴行を加えて死なせた。さらに、担当ケースワーカーだったXさんを脅迫して協力させ、女性の遺体を遺棄した。 米原市のYさんは、「親族が暴力団関係者」と称する20歳代の受給者男性から2カ月にわたって不当要求に応じさせられた末に、相手を刺して負傷させた。死体遺棄容疑で起訴されたXさんと、殺人未遂容疑で起訴されたYさんは、2020年に執行猶予付き判決を言い渡された。 「暴力団関係者」「死体遺棄」「殺人未遂」といったキーワードには、「別世界」という雰囲気が漂う。そこに、「公務員なのに」という感情も重なる。 しかし、「若い社会人がクレーマーに遭遇」「経験の浅い社会人が自分史上初の困難に直面」といった状況は、どこにでもある。そこに職場や組織の課題が重なれば、事態はとめどなく悪化する』、「2019年の6月と12月、京都府向日市と滋賀県米原市において、福祉事務所の現職ケースワーカーが刑事事件で逮捕された。ケースワーカーであった向日市職員のXさんと米原市職員のYさんは、いずれも当時20歳代の男性であり、人柄にも能力にも定評があった。 向日市のXさんは、元暴力団組員で傷害致死などの前科を持つ50歳代の男性受給者を担当していた。男性は、約1年半にわたって不当要求をエスカレートさせた末、同居していた女性に暴行を加えて死なせた。さらに、担当ケースワーカーだったXさんを脅迫して協力させ、女性の遺体を遺棄した。 米原市のYさんは、「親族が暴力団関係者」と称する20歳代の受給者男性から2カ月にわたって不当要求に応じさせられた末に、相手を刺して負傷させた。死体遺棄容疑で起訴されたXさんと、殺人未遂容疑で起訴されたYさんは、2020年に執行猶予付き判決を言い渡された」、「ケースワーカーであった向日市職員のXさんと米原市職員のYさんは、いずれも当時20歳代の男性であり、人柄にも能力にも定評があった」、上司との関係が記載されてないが、どういう事情があったのだろう。そもそも、2ケースとも「暴力団」がらみなのに、新人に担当させる無責任さには、呆れ果てる。
・『誰にとっても難しくなった「公私の境界線」  受給者からの不当要求の内容は、スマホの設定から金品まで多様であった。度重なる電話応対や対面での対応は、勤務時間を圧迫する。向日市の事件では、連日2時間以上の電話が事件まで6カ月間にわたって続いた。このような場面では、「異常な事態」という認識と、組織全体および管理職による毅然とした対処が不可欠だ。しかし2つの事件では、ケースワーカー個人に対処が任せられた。 当該受給者への対応や仕事の積み残しは、時間外勤務で対応せざるを得ない上、残業が認められるとは限らない。すでに退勤後であるはずの時間帯に職場で対応したり、自分自身のプライベートを犠牲にして対応したりすることになる。そのうちに、業務と私生活の境界が、感覚としても実態としても曖昧になる。精神的にも追い詰められ、正常な判断が難しくなる。 誰にとっても、充実した職業生活と成果のためには、通勤時間や「アフターファイブ」の読書や学習、日々の振り返りや工夫が欠かせない。時には、自分の限界に挑む働き方が有意義な成長をもたらすこともある。とはいえ、仕事と私生活の良い循環の維持は難しい。向上心や努力は、仕事依存症のリスクと背中合わせだ。そこにコロナ禍とテレワーク推進が重なっている現在、個人の努力や工夫による対応は、より困難になっている。 2つの事件では、組織によるバックアップは見られなかった。特に向日市の事件では、相手は元暴力団員であり、不当要求や組との関係をほのめかす態度が続いていた。ケースワーカーのXさんは、上司に対して警察への連絡を申し出たが、曖昧にされた。 ケースワーカーの人員数は、向日市のXさんの職場では5人、米原市のYさんの職場では2人であった。少人数の職場となることは自治体の規模による宿命でもあるのだが、「新任や異動でケースワーカーとなっても、1~2年程度で別の職場に異動していく職員が多い」という事情もあった。職場にノウハウが蓄積されていなかったわけである。 事件の前には前任者や同僚が休職し、ケースワーカー1人あたりの業務負荷が増大していた。都市部でのケースワーカー1人あたりの担当世帯数の標準は、社会福祉法で80世帯とされているのだが、向日市のXさんは110世帯、米原市のYさんは140世帯を担当していた。絶望的な職場と状況の中で、闘うのか。それとも、逃げるのか。あるいは、逆らえないまま流され続けるのか。選択肢は多くない。) 向日市のXさんは、上司に毅然とした対処を要望し、警察との連携も求めた。また、人事異動も希望した。米原市のYさんは「140世帯も担当できない」と上司に訴え、ケースワーカーの増員を求めた。職場の中での、せめてもの闘いであろう。しかし、2人の要望や訴えが実現することはなかった。 あまりにも小さな職場であることは、「逃げる」という選択を妨げた。5人(向日市)あるいは2人(米原市)のケースワーカーが1人いなくなると、残ったケースワーカーの業務量は激増する。真面目で心優しい2人は、「自分の心身を守るために休職する」という選択に踏み切れなかった。そして、事件が起こった。 むろん、死体遺棄や殺人未遂が許されるわけはない。しかし成り行きを振り返ると、「困難な状況の中で孤立無援のまま放置され、疲弊し、逃げ道を失い、行き着くところまで行ってしまった若手」という図式が浮かび上がる。事件当時、XさんとYさんはいずれもメンタルヘルスに問題を抱えていた』、「向日市のXさんは、上司に毅然とした対処を要望し、警察との連携も求めた。また、人事異動も希望した。米原市のYさんは「140世帯も担当できない」と上司に訴え、ケースワーカーの増員を求めた。職場の中での、せめてもの闘いであろう。しかし、2人の要望や訴えが実現することはなかった」、いずれの「上司」も逃げ腰で、若い担当者任せにしたのでは、事件は起きるべくして起きたといえよう。
・『「メンバーを孤立させない」 リスクマネジメントは機能しているか  向日市市議として事件に真摯な関心を向け、市民とともに向日市の生活保護行政の改善に取り組み続ける杉谷伸夫さんは、自らの経験も踏まえ、次のように語る。 「生活保護で暮らす方々の中には、数多くの課題を抱えている方がおられます。しかし、若い市職員の多くは、それまでの人生や学校での学びの中で、大きな問題に巻き込まれなかった方々です。やはり、専門的な福祉教育を受けて資格を取得した人でないと、生活保護の仕事は厳しいと思います」(杉谷さん) 職場で出合う未知の世界とそこでの経験は、本人にとっては有意義であろう。しかし、何をどこまでやれば充分なのか。公私の線を明確に引くと、信頼関係を作れないのではないだろうか。対人接触を伴う仕事につきものの不安と悩みの数々がある。) さらに生活保護の現場には、依存症、発達障害、受刑歴など、専門的な支援を必要とする人々が少なくない。生存権を守りつつ課題の解決を充分に支援することは、一般行政職の公務員では難しくなっている。 「ケースワーカーの仕事は大変です。専門職ではない、採用されたばかりの若い方が、いきなりやれるものではありません。大変で難しく、加減のわかりにくい、受け持った一人ひとりの人生を大きく左右しかねない仕事です。どなたにとっても1回限りの人生と人権を守り、その人らしい人生を保障していく大切な仕事でもあります。そうした重要な職務であるという認識に立ち、役所は採用、配置、研修、異動、組織的運用などをしっかり行う必要があります。事件とその後を通じて、そのように痛感しました」(杉谷さん) まさに「エッセンシャル・ワーカー」だ。そして、“顧客”を選択する余地は全くない。 「社会人経験がなかったり浅かったりする若い職員が、数多くの課題を抱えた人や困難な物事に直面するとき、立ちすくむこともあるでしょう。先輩のフォローや上司のアドバイスが適切に行われないと、過酷すぎます」(杉谷さん) 役所が生活保護の利用を拒むことは許されない。しかし、不当要求を拒むことは可能であり、必要でもある。機能する職場や組織をつくり上げ、リスクを回避し、避けられないリスクやクライシスには適切に対応する必要がある。これらは、経営やマネジメントの課題だ。 「組織のリスクマネジメントとしては……結局のところ、職員を孤立させないことでしょう。困難を抱えている職員を見つけて、どうフォローするのかが問われているのだと思います」(杉谷さん)』、「「組織のリスクマネジメントとしては……結局のところ、職員を孤立させないことでしょう・・・とあるが、担当者から相談を受けても逃げ腰というのは、「リスクマネジメント」以前の問題だ。
・『大きなつまずきから生まれた小さく着実な行政改革の数々  向日市では、市の立場からも市民たちの立場からも、事件の検証と反省が行われ、少しずつ施策に反映されている。事件当時は部長が7つの課を統括し、福祉事務所長を兼任していた。現在は、課長と部長の中間に位置する福祉事務所長が福祉事務所の業務に専念して責任を持つ体制だ。生活保護の職場では、ケースワーカーが1名増員された。社会福祉に専門性を持つ職員の必要性も認識され、福祉職の採用が開始された。) 不当要求への対応マニュアルも作成された。現在は「すべての市民に益する」という観点から、「不当要求対処」という狭い枠組みにとどまらず、公正かつ透明に、市民の要求や要望に向き合う市政を実現する条例づくりが進行中だ。 職場環境の面では、メンタルヘルスの危機を訴える職員の声を無視しない制度改革が進行中だ。労働基準法に定められた衛生委員会は、規定どおり毎月開催されるようになった。1人しかいなかった衛生管理者は、組織の規模に対応する形で増員が検討されている。「規定が遵守されるようになっただけ」と言えば、それまでだ。規定遵守の次は、形骸化との闘いが続く。数々の施策の効果が明確に現れるのは、少なくとも数年先であろう。 生活保護の専門家として、向日市の市民として、一連の改革に関わっている吉永純さん(花園大学教授)は、向日市と米原市の事件について「少人数の生活保護の職場では、どこでも起こり得ます」と指摘する。 たとえばケースワーカー数が少なすぎる場合、休職などで1人減ると、ケースワーカー1人当たりの保護世帯数が急増する。福祉の資格職や専門職の配置が乏しいと、有効な支援は難しい。数年で全職員が入れ替わるようでは、組織に経験が蓄積されない。責任感のない上司が配置されると、職員は孤立する。少人数の生活保護の現場には、組織人事の問題課題が濃縮されやすいのだ』、「責任感のない上司」に対しては、徹底的な調査で問題を放置した責任を追及した上で、厳しい処分を行うことで対処するほかなさそうだ。
・『2つの事件に学ぶ職場から絶望を遠ざけるヒント  発生しやすい問題や陥りやすいリスクのパターンは、職種や職場の規模によって異なる。しかし、良好な人間関係と円滑なチームワークは、どのような職場でも望まれる。雇用環境がジョブ型へと変化し、流動性が健全に高まれば、今日辞めていく同僚は、未来にまた同僚となるかもしれない人になる。 職場から絶望を遠ざけるためには、何が必要だろうか。イメージを共有して協力し合うためには、どうすればよいのだろうか。先行きの不透明感が続く中で、どのように一歩を踏み出せばよいのだろうか。2つの事件とその後には、数多くのヒントがある』、ここでの「2つの事件」は余りに特殊なケースだと思う。

次に、昨年9月27日付けPRESIDENT Onlineが掲載したコラムニスト・独身研究家の荒川 和久氏による「日本の福祉システムは「生涯独身」を想定していない…これから激増する「身寄りのない男たち」という大問題 行政のサポートはなく、遺産も宙に浮く」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/74272
・『日本の人口減少は「多死化」で加速する  9月15日に発表された2022年の人口動態調査確定報によれば、出生数は77万759人で人口動態調査開始以来最少となったほか、合計特殊出生率も1.26と過去最低となりました。 しかし、注目したいのはむしろ死亡数の増加です。 死亡数は156万9050人で、これは統計の残らない太平洋戦争期間中をのぞけば、統計調査開始以来、というより日本史上初めて150万人を突破し、もっとも死亡数の多かった年となりました。ちなみに、今までの最高記録は、スペイン風邪が流行した1918年の149万3162人でした。 しかし、これは2022年だけの特異な現象ではありません。すでに2023年の速報値でも前年の死亡数を上回るペースで推移しており、今後も150万人超の死亡数が続くでしょう。 それどころか、以前、〈1人生まれても2人が死ぬ」が50年続く…ついに始まった「日本人の大量死」の行き着く先とは〉という記事でもお伝えしている通り、日本は2022年を起点とした「多死時代」へ突入します。今後50年間は年間死亡数150万人以上の時代が続きます。 いつも「少子化」の問題が取りざたされますが、日本の人口減少は「少子化」というよりもこの「多死化」によって促進されます。人間は不老不死ではないので、人口転換メカニズム上、高齢化の先には必ずこの「多死化」が訪れるからです』、「日本の人口減少は「少子化」というよりもこの「多死化」によって促進されます」、「多死化」はイメージがが暗過ぎるので、「少子化」が使われるのだろう。
・『結婚できないと早死にする男性  ところで、以前、2022年2月の記事〈「一人だと短命になる男、一人だと長生きする女」年金すら受け取れない独身男性の虚しい人生)において、配偶関係別の死亡中央値を比較し、未婚男性だけが唯一60歳台と早死にする傾向がある事実をお伝えしました。 「いのち短かし 恋せよおとめ」(「ゴンドラの唄」1915年、吉井勇作詞、中山晋平作曲)とは、大正時代の有名な流行歌のフレーズですが、さしずめ現代は「いのち短かし 恋せぬおとこ」というべきでしょうか。 以前のデータは2015~2019年の累積値による計算でしたが、2022年の確定報に基づいて最新の配偶関係別死亡中央値を計算してみました。対象は50歳以上としています。 それによると、未婚男性の死亡中央値は、今までよりは多少延び、71.1歳とかろうじて70歳を超えました。未婚男性の寿命も延びているようですが、相変わらず配偶関係別で比較するともっとも短命であることに変わりはありません』、「未婚男性の死亡中央値は、今までよりは多少延び、71.1歳とかろうじて70歳を超えました」、なるほど。
・『「男は一人では生きていけない」は本当だった  誤解しないでいただきたいのは、死別男女がもっとも長生きだからといって、「配偶者と死別すれば長生きできる」ということではありません。配偶者と死別するまで有配偶状態が継続した結果です。 また、女性の場合、有配偶がもっとも短命に見えますが、これも「結婚した状態だと女性は早死にする」のではなく、そもそも有配偶のまま死亡する女性の総数が少ないためです。大抵の妻は夫より長生きです。一般的に、多くの女性は有配偶のうちには死なず、死別女性として死亡するのですが、有配偶女性だけを抽出して死亡中央値を計算するとこういう結果になるだけです。 全体的な傾向としては、男性は死別も含み有配偶状態が長く続けば続くほど長生きの傾向があります。未婚男性の死亡も早いですが、離別男性も74.6歳と早い。これが「男は一人では生きていけない」といわれる所以ゆえんでしょう。反対に、未婚女性は84.6歳と、むしろ一人でいるほうが長生きのようです。 こうした配偶関係別の寿命の違いは、大きくは食生活など生活習慣によるものが大きいのですが、もうひとつ男性より女性のほうが孤独耐性が強いことも影響があるでしょう』、「男性は死別も含み有配偶状態が長く続けば続くほど長生きの傾向があります。未婚男性の死亡も早いですが、離別男性も74.6歳と早い。これが「男は一人では生きていけない」といわれる所以ゆえんでしょう。反対に、未婚女性は84.6歳と、むしろ一人でいるほうが長生きのようです。 こうした配偶関係別の寿命の違いは、大きくは食生活など生活習慣によるものが大きいのですが、もうひとつ男性より女性のほうが孤独耐性が強いことも影響があるでしょう」、「男性」は「女性」よりも「孤独耐性が」弱いとは情けない限りだ。
・『50歳以上の未婚男性は40年で23倍に  特に、男性の場合、会社や家族という所属が失われてしまうと途方に暮れてしまう人が多いものです。これは、男性がより社会の中で「どこかに所属している」という帰属意識に依存してしまう傾向があるからです。 また、男性は離婚率と自殺率が強い正の相関がある点も、家族という所属を失った喪失感と関係がないとは言えないでしょう(〈「離婚男性の自殺率が異常に高い」なぜ日本の男性は妻から捨てられると死を選んでしまうのか〉参照)。 そもそも50歳以上の未婚人口は激増しています。国勢調査によれば、1980年における50歳以上の未婚男性人口はわずか17万人程度でした。それが、2020年には、約391万人へと23倍にも増大しています。女性のそれも、1980年の41万人から2020年251万人へと増えていますが、6倍増に過ぎないので、いかにこの40年間で50歳以上の未婚男性人口が急増したかがわかると思います。 この男女合わせて642万人もの50歳以上未婚人口ですが、これはこれからのソロ社会化にむけて避けては通れない課題となるでしょう。いうなれば「身寄りなき人口増加問題」です』、「男女合わせて642万人もの50歳以上未婚人口ですが、これはこれからのソロ社会化にむけて避けては通れない課題となるでしょう。いうなれば「身寄りなき人口増加問題」です」、暗いイメージだ。
・『「身寄りなき死」が続出する  同じ独身でも、婚歴有の死別や離別の場合は、子どもの家族など誰かしら身寄りのある人が多いと思われますが、生涯未婚であれば当然配偶者も子もいないし、本人が50歳を過ぎていれば親も鬼籍に入っていることも考えられ、さらに、昔ほど兄弟姉妹が多いわけではない環境の中で、まったく身寄りのない状態で死亡する可能性が高いということになります。 そもそも日本の福祉システムは、皆婚時代の流れを引きずり、家族がいる前提で作られています。家族がいないという生涯未婚者に対してはそのサポート体制がないといっても過言ではないでしょう。かつて互助機能を果たしていた地域のコミュニティも、一部の地方を除けば消滅しつつあります。血縁関係があったとしても、遠方に住む親戚との接点も希薄になっていれば、たとえ死亡したとしても、その引き取りを拒否されるケースも増えています。 さらに、身寄りのない未婚者は遺産の行方すら宙に浮いてしまいます。 最高裁判所によると、相続人不存在による相続財産が国庫に入った金額は約647億円(2021年度)にものぼるといいます。2001年度は約107億円だったので、20年で6倍増になっているわけです。これは未婚で身寄りがないがゆえに、老後の蓄えを気にして、節約した結果、生きているうちに使わずに亡くなってしまう場合もあるでしょうし、そもそも不動産を相続する相手もいないわけです』、「日本の福祉システムは、皆婚時代の流れを引きずり、家族がいる前提で作られています。家族がいないという生涯未婚者に対してはそのサポート体制がないといっても過言ではないでしょう。かつて互助機能を果たしていた地域のコミュニティも、一部の地方を除けば消滅しつつあります・・・相続人不存在による相続財産が国庫に入った金額は約647億円(2021年度)にものぼるといいます。2001年度は約107億円だったので、20年で6倍増になっているわけです。これは未婚で身寄りがないがゆえに、老後の蓄えを気にして、節約した結果、生きているうちに使わずに亡くなってしまう場合もあるでしょうし、そもそも不動産を相続する相手もいないわけです」、なるほど。
・『「所属」のない高齢者に社会的役割が必要  前述した通り、今現在でも50歳以上の未婚人口は642万人もいます。もちろん、この全員が身寄りがないわけではありませんが、今後未婚人口がさらに増加していく中で「身寄りのない高齢ソロ」の対応は大きな課題となるでしょう。 「どうせ一人なんだから、死んだ後のことは知ったことではない」という考えの人もいるかもしれませんが、一方で「死んだ後、よそ様に迷惑をかけたくないが、どうすればいいかわからない」と悩む人も多いでしょう。 死後の憂いをなくすことで、かえって安心して生きられるという面もあります。 長野県南箕輪村では、行政と連携し、2019年度に「身寄りのない方のエンディングに関する研究会」を発足したという動きもあります。こうした視点の取り組みを各自治体も国も目を向けるべき時にきているのではないでしょうか。 死後のことだけではなく、「所属」のない身寄りなき高齢者にとっての今の社会的役割の付与も大事です。自分の子や孫がいなくても、血がつながっていなくても、果たせる社会的役割はあります。むしろ行政には、増え続ける高齢ソロの社会的役割を実感できる環境作り、お膳立てが必要です』、「行政には、増え続ける高齢ソロの社会的役割を実感できる環境作り、お膳立てが必要です」、確かにその通りだ。
・『「つながり」は血縁や友人だけではない  奈良県橿原市にある「げんきカレー」という店では、お客が自分の会計に200円をプラスすると1枚チケットが発行されます。そのチケットを壁に貼ると、地域の子どもたちがそのチケットを利用してカレーを無料で食べることができるというシステムになっています。 血縁関係のある子や見知った誰か特定の子にカレーをごちそうするというだけではなく、自分の行動がどこかの見知らぬ子どもの笑顔を作れるかもしれないという喜びがそこにはあります。行動する良いきっかけにもなります。チケットを利用する子どもたちも、誰かの温もりを具体的に感じて感謝できるでしょう。 リアルに顔を見合わせて助け合うことだけが「人のつながり」ではありません。自分のしたことが巡り巡って誰かのためになるという、これは、今後所属だけではない人のつながりを作るという意味で、私の提唱する「接続するコミュニティ」のひとつの形でもあります。こうしたささいなお膳立てひとつでも、今後増え続ける身寄りのない高齢ソロの「生きる力」となるのかもしれません』、筆者が「提唱する「接続するコミュニティ」」とはよく分からないが、「自分のしたことが巡り巡って誰かのためになるという、これは、今後所属だけではない人のつながりを作るという意味」何やらつながりを作っていくというイメージは共感できそうだ。 
タグ:福祉問題一般 (その2)(「死体遺棄」「殺人未遂」に職員を走らせた福祉現場が模索する 再生への道、日本の福祉システムは「生涯独身」を想定していない…これから激増する「身寄りのない男たち」という大問題 行政のサポートはなく 遺産も宙に浮く) ダイヤモンド・オンライン みわよしこ氏による「「死体遺棄」「殺人未遂」に職員を走らせた福祉現場が模索する、再生への道」 「2019年の6月と12月、京都府向日市と滋賀県米原市において、福祉事務所の現職ケースワーカーが刑事事件で逮捕された。ケースワーカーであった向日市職員のXさんと米原市職員のYさんは、いずれも当時20歳代の男性であり、人柄にも能力にも定評があった。 向日市のXさんは、元暴力団組員で傷害致死などの前科を持つ50歳代の男性受給者を担当していた。男性は、約1年半にわたって不当要求をエスカレートさせた末、同居していた女性に暴行を加えて死なせた。さらに、担当ケースワーカーだったXさんを脅迫して協力させ、女性の遺体を遺 棄容疑で起訴されたXさんと、殺人未遂容疑で起訴されたYさんは、2020年に執行猶予付き判決を言い渡された」、「ケースワーカーであった向日市職員のXさんと米原市職員のYさんは、いずれも当時20歳代の男性であり、人柄にも能力にも定評があった」、 上司との関係が記載されてないが、どういう事情があったのだろう。そもそも、2ケースとも「暴力団」がらみなのに、新人に担当させる無責任さには、呆れ果てる。 「向日市のXさんは、上司に毅然とした対処を要望し、警察との連携も求めた。また、人事異動も希望した。米原市のYさんは「140世帯も担当できない」と上司に訴え、ケースワーカーの増員を求めた。職場の中での、せめてもの闘いであろう。しかし、2人の要望や訴えが実現することはなかった」、いずれの「上司」も逃げ腰で、若い担当者任せにしたのでは、事件は起きるべくして起きたといえよう。 「「組織のリスクマネジメントとしては……結局のところ、職員を孤立させないことでしょう・・・とあるが、担当者から相談を受けても逃げ腰というのは、「リスクマネジメント」以前の問題だ。 「責任感のない上司」に対しては、徹底的な調査で問題を放置した責任を追及した上で、厳しい処分を行うことで対処するほかなさそうだ。 ここでの「2つの事件」は余りに特殊なケースだと思う。 PRESIDENT ONLINE 荒川 和久氏による「日本の福祉システムは「生涯独身」を想定していない…これから激増する「身寄りのない男たち」という大問題 行政のサポートはなく、遺産も宙に浮く」 「日本の人口減少は「少子化」というよりもこの「多死化」によって促進されます」、「多死化」はイメージがが暗過ぎるので、「少子化」が使われるのだろう。 「未婚男性の死亡中央値は、今までよりは多少延び、71.1歳とかろうじて70歳を超えました」、なるほど。 「男性は死別も含み有配偶状態が長く続けば続くほど長生きの傾向があります。未婚男性の死亡も早いですが、離別男性も74.6歳と早い。これが「男は一人では生きていけない」といわれる所以ゆえんでしょう。反対に、未婚女性は84.6歳と、むしろ一人でいるほうが長生きのようです。 こうした配偶関係別の寿命の違いは、大きくは食生活など生活習慣によるものが大きいのですが、もうひとつ男性より女性のほうが孤独耐性が強いことも影響があるでしょう」、「男性」は「女性」よりも「孤独耐性が」弱いとは情けない限りだ。 「男女合わせて642万人もの50歳以上未婚人口ですが、これはこれからのソロ社会化にむけて避けては通れない課題となるでしょう。いうなれば「身寄りなき人口増加問題」です」、暗いイメージだ。 「日本の福祉システムは、皆婚時代の流れを引きずり、家族がいる前提で作られています。家族がいないという生涯未婚者に対してはそのサポート体制がないといっても過言ではないでしょう。かつて互助機能を果たしていた地域のコミュニティも、一部の地方を除けば消滅しつつあります・・・相続人不存在による相続財産が国庫に入った金額は約647億円(2021年度)にものぼるといいます。 2001年度は約107億円だったので、20年で6倍増になっているわけです。これは未婚で身寄りがないがゆえに、老後の蓄えを気にして、節約した結果、生きているうちに使わずに亡くなってしまう場合もあるでしょうし、そもそも不動産を相続する相手もいないわけです」、なるほど。 「行政には、増え続ける高齢ソロの社会的役割を実感できる環境作り、お膳立てが必要です」、確かにその通りだ。 筆者が「提唱する「接続するコミュニティ」」とはよく分からないが、「自分のしたことが巡り巡って誰かのためになるという、これは、今後所属だけではない人のつながりを作るという意味」何やらつながりを作っていくというイメージは共感できそうだ。
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介護施設(老人ホーム)問題(その7)(90代の母親は突然退去を迫られた 高級老人ホームで遭遇した「理不尽」とは 入居金1億円超、「看取りまでお任せ」が売り物でも安心してはいけない、虐待で命の危険も…富裕層向け高級老人ホームの職員が告発する「ヤバすぎる不祥事」、70代による強姦未遂に事故ごまかし……高級老人ホームで発生した「闇に葬られた大惨事」を職員が告白!) [社会]

介護施設(老人ホーム)問題については、2022年5月13日に取上げた。今日は、(その7)(90代の母親は突然退去を迫られた 高級老人ホームで遭遇した「理不尽」とは 入居金1億円超、「看取りまでお任せ」が売り物でも安心してはいけない、虐待で命の危険も…富裕層向け高級老人ホームの職員が告発する「ヤバすぎる不祥事」、70代による強姦未遂に事故ごまかし……高級老人ホームで発生した「闇に葬られた大惨事」を職員が告白!)である。

先ずは、昨年3月17日付けJBPressが掲載したフリーライターの森田 聡子氏による「90代の母親は突然退去を迫られた、高級老人ホームで遭遇した「理不尽」とは 入居金1億円超、「看取りまでお任せ」が売り物でも安心してはいけない」、を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78693#goog_rewarded
・『高齢社会の進展を背景に近年首都圏に増えているのが、裕福な高齢者を対象とした高級老人ホームだ。自立が難しくなった時に備え介護棟を併設する施設も多い。80歳時点の入居でも入居一時金として数千万円がかかるケースが一般的だが、大枚をはたいたにもかかわらず「看取りまでお任せ」が叶わない場合もある。90代の母親を23区内の施設に入居させた男性の実体験から、こうした施設の現実と思わぬ落とし穴を考えてみたい』、興味深そうだ。
・『「安心、健やかなシニアライフを満喫」とアピール  高級ホテルを思わせる広々としたエントランスホール。そこには輸入物のテーブルやソファが置かれ、高い天井では豪華なシャンデリアがまばゆい輝きを放つ。イベントスペースには四季折々の飾りつけが施され、コンサートや講演会などが頻繁に催されている。フロントにはシックな制服に身を包んだコンシェルジュが待機し入居者のサポートに当たる——。 「365日24時間看護師が常駐していて安心して健やかなシニアライフを満喫できる」 「自立が困難になったら併設する介護棟に移って手厚い介護が受けられる」 この施設の最大のアピールポイントだ。 自立したシニアが暮らす居室も最新の分譲マンションのよう。専有面積はワンルーム40m2弱から2LDK60m2強まで、シニアのひとり暮らしや夫婦2人なら程よい広さと言えるだろう。 日々の食事はホテルのメインダイニングのようなレストランで、高齢者の健康や味覚に配慮したメニューが朝・昼・晩と供される。節句や七夕、クリスマス、正月といったイベントには、特別メニューも用意されるという。 最寄り駅までは毎日数本の送迎バスが運行されており、近隣の人気スポットに出かけてランチや買い物を楽しむ入居者も多い』、なかなか優雅な暮らし向きのようだ。
・『入居者は“上級国民”ばかり  まさに憧れのシニアライフを体現した格好の施設だ。都内の人気エリアということもあり、入居者は相応の費用負担が必要になる。 居室の広さにもよるが、80歳入居で一時金が3000万円以上(別途月額利用料)、月払いにするのであれば支払いはおよそ40万円以上に上る。60歳入居なら、一時金だけで億を超える。 結果的に入居者は上場企業の役員経験者や医師、士業のエリートなど、いわゆる“上級国民”ばかりだ。 都内に住む男性Aさんの90代になる母親がこの施設に引っ越したのは、6年ほど前。夫(Aさんの父親)が亡くなった年のことだった。 Aさんの両親は共働きの公務員で暮らしぶりも質素だったため、父親の遺産は1億円近かった。母親にも同程度の資産がある。 Aさんは自宅マンションから2駅ほど離れた閑静な住宅地にこの施設がオープンすることを知り、母親を伴って何度か見学に足を運んだ上で正式に入居を決定した。 「見守りや健康面でのサポート体制と最期まで面倒を見てくれる安心感、そして運営が有名な大手不動産会社のグループ企業であることが決め手になった」』、「居室の広さにもよるが、80歳入居で一時金が3000万円以上(別途月額利用料)、月払いにするのであれば支払いはおよそ40万円以上に上る。60歳入居なら、一時金だけで億を超える。 結果的に入居者は上場企業の役員経験者や医師、士業のエリートなど、いわゆる“上級国民”ばかりだ」、「入居者は上場企業の役員経験者や医師、士業のエリートなど、いわゆる“上級国民”ばかりだ」、なるほど。
・『コロナ禍で様相が一変  入居者は単身女性が圧倒的に多く、東京の下町育ちの母親は当初「山の手の奥様方」との付き合いに戸惑っていたという。  それでも、生来の社交性を発揮するうちに親しい仲間ができ、施設での生活を楽しむようになった。Aさんが施設を訪れるたびに、施設であった出来事を面白おかしく話してくれたという。 施設内には当初、遠方から訪れた家族が安価で宿泊できるゲストルームがあったのだが、急遽、居室に改装されることになった。それだけ入居希望者が多かったためだ。 大浴場もあり、母親は毎日入りに行くのを楽しみにしていたのだが、認知機能が低下した入居者が洗い場や浴槽内で粗相をしてしまう事件が頻発し、大浴場通いを止めることにしたそうだ。 はじめの2~3年はそんな他愛もない話題が多かったのだが、コロナ禍に入って様相が一変する。 母親が楽しみにしていた習い事の教室やイベントは次々中止となった。それ以上に「親しいお友達がいなくなったのがつらい」とこぼしはじめた』、「コロナ禍に入って様相が一変する。 母親が楽しみにしていた習い事の教室やイベントは次々中止となった。それ以上に「親しいお友達がいなくなったのがつらい」とこぼしはじめた」、なるほど。
・『ある日突然いなくなる「都落ち」  よくよく聞いてみると、コロナ禍の影響で家業が傾いたり、子供が大幅減収になったりして月払いの利用料が払えなくなり、やむなく他の施設に移っていったのだという。 入居者仲間ではそれを「都落ち」と呼んでいた。 「都落ちする人は本当に、ある日突然いなくなるの。気位の高い人ばかりだから、人にあれこれ言われたくないんでしょうね」と母親は寂しそうに話してくれた。 とはいうものの、当人は内緒にしたくても、この手の話が瞬く間に広がってしまうのがこうした施設の常だ。母親が最もショックだったのは、特に親しかった女性が都落ちした時だという。 そして昨冬、今度はAさんの母親がとんでもない理不尽な事態に遭遇することになった。 母親は以前、腸の病気を患ったことがあり、気をつけていたのだが、突然腸閉塞と腎不全を併発してしまう。一時は生命も危ぶまれるような状態に陥ったが、緊急搬送された大病院で応急処置を受け、一命を取り留める。 その際、栄養の吸収状態が悪いからと医師の勧めで高カロリー輸液を投与するためにCVポート(皮下埋め込み型中心静脈アクセスポート)を装着することになった。 これがその後のトラブルの引き金となる』、「栄養の吸収状態が悪いからと医師の勧めで高カロリー輸液を投与するためにCVポート(皮下埋め込み型中心静脈アクセスポート)を装着することになった。 これがその後のトラブルの引き金となる」、なるほど。
・『「さっさと出て行ってくれということですよ」  幸い母親の体調は順調に回復へと向かったが、退院が視野に入ってきたある日、Aさんに施設から電話がかかってきた。電話の主は施設の看護師だった。 「当施設の規定でCVポートを装着した方は受け入れられません」 突然の通告に驚き、施設に説明を求めたが、数日後、面会した施設長から入居一時金の返還額が書かれた書類が一枚渡されただけだった。 「要は、さっさと出て行ってくれということですよ。でも、おかしくないですか? 最期まで面倒を見るといっておきながら施設の規定でできないというのなら、代替施設くらい紹介してくれてもいいじゃないですか。そもそも、病院は施設のすぐ近くなのに、施設の看護師は一度として病院に足を運んだ様子がない。病院からの退院の打診の電話を受けて、慌てて僕に連絡してきたようなんです」 この申し出には病院側も驚いたようだ。困惑するAさんに担当看護師やケースワーカーが親身になって相談に乗ってくれて、幸運にも2週間後、母親は近隣の別の介護施設に移ることができた。 何軒かの施設を下見する中で、Aさんは気になる話を聞いた』、「幸運にも2週間後、母親は近隣の別の介護施設に移ることができた」、なるほど。
・『大手不動産系は「ハコが立派」とされるが  「大手不動産さん系の施設はハコ(建物や設備)が立派ですから、都会生活に慣れ親しんだ元気な高齢者が暮らすにはいいでしょう。半面、専門外の介護については正直あまりノウハウがないようです」 「あそこの介護棟も最初はCVポートの患者さんを受け入れていたはずですが、輸液量や滴下時間の管理に加え合併症対策にも注意が必要になるCVポートは無理だと判断するようになったんじゃなかったかな」』、「大手不動産さん系の施設はハコ(建物や設備)が立派ですから、都会生活に慣れ親しんだ元気な高齢者が暮らすにはいいでしょう。半面、専門外の介護については正直あまりノウハウがないようです」、これでは肝心の役には立たないようだ。
・『最初はCVポートの患者を受け入れていた?  この一言に引っかかりを覚えた男性が入居時の契約書を引っ張り出して確認したところ、確かにCVポートの装着は除外事項となっていなかった。 不審に思った男性が施設に問い合わせたところ、電話に出た看護師は「確かに以前は受け入れていましたが、今はダメなんです」と繰り返すばかり。 「お宅が無理なら、代わりの施設を探す手伝いくらいはしてくれてもいいんじゃないですか」と嫌味を言うと、後日、申し訳程度に数軒の施設名を挙げてきたという。 新しい施設に移った母親は、前の施設で親しくしていた仲間に別れも告げずに転居したことを気にしていた。身動きの取れない母親の代わりに挨拶に向かった先で、Aさんはさらに衝撃的な話を耳にする』、「最初はCVポートの患者を受け入れていた」が、「今はダメなんです」、なるほど。
・『「あそこでは絶対に死にたくない」  もともと夫婦で入居していたその女性は2年ほど前に施設で夫を亡くしていた。医療従事者だった夫は介護棟での対応を嘆き、「あそこでは絶対に死にたくない」と女性の過ごす居室に戻って息を引き取ったという。 人手不足のためか、マニュアルやサポート体制が不十分なためか、原因ははっきりわからないが、結果として、要介護者が望むようなサービスは提供できていなかったようだ。 女性の夫のような医療従事者なら、なおさらその“質”が気になったことだろう。ましてや、そこは年金程度の金額で入れる特別養護老人ホームではない。70代で入居したとすれば、夫だけでも数千万円単位のお金を施設に落としているはずだ。 「だから、あなたのお母様は今出ていって正解だったかもしれないわよ」 そんな女性の言葉に、Aさんは何とも言えない気持ちになったという。 これは決して対岸の火事ではない』、「医療従事者だった夫は介護棟での対応を嘆き、「あそこでは絶対に死にたくない」と女性の過ごす居室に戻って息を引き取ったという」、そこまで元「医療従事者」に言われるとはよほど酷いのだろう。
・『都市部の介護人手不足は深刻さを増す  近年、都内や首都圏の再開発エリアなどに、こうした高所得者層向け高級老人ホームが林立している。 多くは前述のような「ターミナルケアまで対応するから安心」を売りにしているが、巨額の入居金を負担すれば最期まで手厚い介護が受けられると考えるのは早計かもしれない。 介護業界の人材難が叫ばれて久しいが、医療業界と異なり、より人手不足が深刻なのは地方よりもむしろ都市部の方だ。 厚生労働省の資料によると、ホームヘルパーや介護支援専門員、介護福祉士など、介護関係の職種の有効求人倍率は、多くの都道府県が4倍以内に収まる中で、東京(6.97倍)や愛知(6.49倍)の数値が突出している。 出所:社会保障審議会・介護給付費分科会の資料「介護人材の処遇改善について」 背景には、地方ではすでに高齢化が進行したのに対し、人口の集中する都市部はむしろこれから本格化していくことが指摘されている。 2025年には、日本の人口の8%弱を占める団塊の世代(1947~1949年生まれ)が全員後期高齢者(75歳以上)に移行する。そこから、高齢者人口がピークを迎える2040年頃までは都市部で介護難民が頻出する可能性がある。 自宅の近くで親を看取りたいと考えるなら、あるいは、自身が高齢になっても生活利便性の高い都市部を離れたくないのなら、施設任せにせず「我が家の介護プラン」も練っておく必要がありそうだ』、「自身が高齢になっても生活利便性の高い都市部を離れたくないのなら、施設任せにせず「我が家の介護プラン」も練っておく必要がありそうだ」、大作業になりそうだが、手を抜く訳にはいかない。

次に、昨年5月1日付け現代ビジネスが掲載したノンフィクションライターの清水 芽々氏による「虐待で命の危険も…富裕層向け高級老人ホームの職員が告発する「ヤバすぎる不祥事」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/109547?imp=0
・『不祥事が起きても…  未曾有の高齢化社会にある日本。2000年に制定された「介護保険法」をきっかけに国内の高齢者施設は増加の一途にあり、もっとも数が多いとされる有料老人ホームは1万3525施設(厚生労働省調べ)。利用目的により、介護型・住宅型と分かれており、入居一時金(初期費用)の平均は介護型で353.8万円、住宅型で73.4万円となっている(ちなみに中央値は介護型で30万円、住宅型で5.8万円)。 用途や設備によってピンキリの老人ホーム。高級と言われる老人ホームには何千万という入居一時金が必要になり、億を越える施設も珍しくない。月額の利用料も当然の如く、数百万円かかる。 ゴージャスな設備に囲まれ、超一流シェフによる料理が味わえ、様々なイベントやアクティビティを楽しめ、クオリティの高いケアを受けられる高級老人ホーム。 当然利用者は富裕層に限られ、個人情報の流出などもってのほか。そのプライバシーは分厚いカーテンで守られているわけだが、その秘匿性ゆえ、不祥事が起きても表沙汰になりにくいという性質がある。 施設の沽券に関わるだけでなく、場合によっては管理責任を問われる、事故や事件などの不祥事。本来ならば闇から闇へ葬られるのだが、 「隠ぺいすることは新たな被害者を生みかねない」「入居を考えている人には内情を知る権利がある」として、守秘義務の掟を破り、告発に立ち上がった介護スタッフがいる。 「高級老人ホーム」での勤務経験を持つ彼らが暴露した驚きの事件の数々。 にわかには信じ難い、その衝撃の告白を紹介する。(*告発者の特定を避けるため、一部内容や名前を改変してあります』、「「隠ぺいすることは新たな被害者を生みかねない」「入居を考えている人には内情を知る権利がある」として、守秘義務の掟を破り、告発に立ち上がった介護スタッフがいる。 「高級老人ホーム」での勤務経験を持つ彼らが暴露した驚きの事件の数々」、大いに参考になりそうだ。
・『スタッフを巻き込んで流血事件  <告発者一人目:野村百合香さん(仮名・29歳) 高級老人ホーム「S」> 私が訴えたいのは風紀の乱れです。私の勤務先は60代後半から70代の方や夫婦で入居されてる方が多いのですが、比較的若いせいか、ヒマを持て余すからなのかわかりませんが、不倫が日常化しています。おとな同士の話ですし、他人が口を挟むことじゃないのはわかりますが、狭い世界の出来事ですので、他の入居者さんの間ですぐ噂になります。 ご主人の不倫が周りに知れ渡ったことで人目を避けるようになり、ひとりで部屋に引きこもるようになった結果、認知症になってしまった60代の奥様がいます。その逆のパターンですと、奥様の不倫を知ったご主人が相手の男性の部屋に押しかけて乱闘騒ぎになったりもしています。 スワッピングっていうんでしょうか、複数のご夫婦が相手を交換して一夜を過ごす例もあり、これが頻繁だったため「公序良俗に反するのではないか?」と他の入居者さんからクレームが来たり「こんな不道徳な場所には居られない」と退居者が続出したこともあります。 施設側としては、騒音など、「集団生活に支障が出る」範囲については注意できてもプライベートに関しては口出しができません。 入居者同士ではなく、スタッフが絡んでしまったこともあります。30代の既婚の女性ヘルパーA子が業務時間外に70代の独身男性入居者Bさんの部屋に出入りしているのが防犯カメラに映り、ふたりの不倫関係が発覚しました。 Bさんの方は厳重注意で済みましたが、A子の方は「業務上の重大なルール違反」があったとして解雇。彼女は「パパ活」みたいな感じでBさんと付き合ってたようなんですけど、Bさんの方が本気になってしまったみたいで、「よくも俺たちの仲を引き裂いたな!」と包丁を持って管理事務所に乗り込んで来たんです。 まっさきに対応した施設長は首を切り付けられ、「あと数センチズレていたら頸動脈が切れて失血死していた」という大怪我をしましたし、Bさんを押さえつけようとした男性スタッフは逆に振り飛ばされて壁に叩きつけられ、手首の骨を折りました。部屋中に血が飛び散るし、悲鳴と怒号が飛び交うという地獄絵図でしたよ。 でも警察沙汰にしていないです。「入居者保護の観点から」とか言ってましたけど、Bさんのご家族の意向とスキャンダルを嫌う入居者の総意みたいです。Bさんのご家族からは施設に慰謝料が支払われたそうですが、その詳細については知らされていません』、「施設長は首を切り付けられ、「あと数センチズレていたら頸動脈が切れて失血死していた」という大怪我をしましたし、Bさんを押さえつけようとした男性スタッフは逆に振り飛ばされて壁に叩きつけられ、手首の骨を折りました。部屋中に血が飛び散るし、悲鳴と怒号が飛び交うという地獄絵図でしたよ」、老人ホームでも男女関係から問題が大きくなるとは困ったことだ。
・『階段から落とされ、浴槽に沈められ…  <告発者二人目:佐藤茜さん(仮名・35歳) 高級老人ホーム「M」> 世間では介護職員による高齢者への虐待ばかりがニュースになりますが、その逆のパターン、つまり高齢者による介護職員への虐待というか、加害について告発します。 私のところの施設は介護付きなので認知症の方がけっこういらっしゃいまして、DVのような事件はしょっちゅう起こってます。高齢者といえども、意外と力が強いんですよ。特に認知症の方はコントロールがきかないので、相手をする職員はケガが絶えません。手当だけで済むようなケガならまだマシで、時には命の危険にさらされることもあります。 実例をあげますと、Aさんという80代の男性がおむつ交換中に部屋を出て行ってしまい、それを追いかけた男性ヘルパーともみ合いになった挙句、Aさんが彼を階段から突き落としたことがありました。階段を転がり落ちた彼は打ちどころが悪く、意識不明のまま病院へ搬送されましたが、後遺症で下半身が不自由になってしまいました。 入浴介助中、女性ヘルパーの身体を触ったり、服を脱がせようとした70代の男性入居者Bさんを咎めた男性ヘルパーが逆ギレしたBさんに力まかせに首を掴まれ、浴槽に沈められたこともありました。 ヘタをすればヘルパーが溺死していたかも知れないのに、事件化はされません。入居者によってなんらかの被害を被った職員には、見舞金が支払われて終わりです。見舞金の出所は入居者からの預り金。懐がまったく痛まないこともあってか、施設側も本気で防止策に取り組んでくれません。これが「知られざる現実」なんです。 衝撃の告白を紹介したが、これらはまだ氷山の一角。後編『70代による強姦未遂に事故ごまかし……高級老人ホームで発生した「闇に葬られた大惨事」を職員が告白!』で、引き続き告発の声を紹介する』、「Aさんという80代の男性がおむつ交換中に部屋を出て行ってしまい、それを追いかけた男性ヘルパーともみ合いになった挙句、Aさんが彼を階段から突き落としたことがありました。階段を転がり落ちた彼は打ちどころが悪く、意識不明のまま病院へ搬送されましたが、後遺症で下半身が不自由になってしまいました」、こんな悲劇が起こり得るとは驚かされた。

第三に、昨年5月1日付け現代ビジネスが掲載したノンフィクションライターの清水 芽々氏による「70代による強姦未遂に事故ごまかし……高級老人ホームで発生した「闇に葬られた大惨事」を職員が告白!を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/109548?imp=0
・『未曾有の高齢化社会にある日本。高齢者施設は増加の一途にあるが、用途や設備によって老人ホームの質はピンキリだ。 高級老人ホームの利用者は富裕層に限られ、個人情報の流出などもってのほか。そのプライバシーは分厚いカーテンで守られているわけだが、その秘匿性ゆえ、不祥事が起きても表沙汰になりにくいという性質がある。 前編『流血事件、入居者からの虐待で命の危険も…富裕層向け高級老人ホームの職員が決死の覚悟で告発する「ヤバすぎる不祥事」』では、「高級老人ホーム」での勤務経験を持つスタッフらが実際に遭遇した不祥事を暴露。その衝撃の告白を引き続きご紹介する。 (*告発者の特定を避けるため、一部内容や名前を改変してあります。)』、興味深そうだ。
・『コントロールが利かなくなって  <告発者三人目:吉岡美智子さん(仮名・47歳) 高級老人ホーム「T」> 私が一番許せないのは男性入居者による女性職員へのレイプ事件です。未遂を含めれば年間に5、6件は発生しています。公にアナウンスしてるわけではありませんが、うちの施設は若くてキレイな女性スタッフの在籍が売りなんです。 特に男性入居者を優先して担当します。認知症になると、本能的な部分が強くなりがちで、食事や睡眠、性欲などの欲望がコントロールできなくなることが多いんですが、そういう男性に若い女性を担当させるのが危険だということは誰でもわかります。) 施設の方でも居室に立ち入る時は女性はひとりにせず、なるべく男性スタッフも同行するように指導しているんですが、入居男性の中には、わざと用事を言いつけたりして男性スタッフを部屋から追い出し、女性スタッフとふたりきりになろうと企てる例が腐るほどあります。高齢とはいえ男性の力に女性はかないません。 生々しい話になりますが、高齢男性の場合、レイプに及んだとしても射精まで至る例は稀で、妊娠などの最悪なことにはなりにくいものの、女性にしてみれば精神的なショックははかりきれません。これは未遂でも一緒です。 ある男性経験のない女性スタッフは被害に遭ったことで心を病んでしまいました。被害に遭った女性スタッフには事件を口外しないという誓約書を書かせる代わりに特別休暇&特別手当、もしくは色をつけた退職金が支払われます。うちは条件が良いので求人を出せば若い女性がたくさん集まりますけど、私には生贄にしか見えません』、「男性入居者による女性職員へのレイプ事件です。未遂を含めれば年間に5、6件は発生しています・・・うちの施設は若くてキレイな女性スタッフの在籍が売りなんです。 特に男性入居者を優先して担当します」、こんなフザケタ施設であれば、「レイプ事件」の頻発も頷ける。
・『入居者の死の真相を…  <告発者四人目:寺尾和樹さん(仮名:34歳) 高級老人ホーム「X」>  僕の勤めている施設ではコロナ禍の約3年間、コロナ以外の理由で何人もの方が亡くなっていて、そのうち2名の死亡について虚偽の報告がされています。 まず一人目のA子さん。80代の女性で認知症だったんですが、浴室にヘルパーが置き忘れた洗剤を部屋に持ち込んで誤飲してしまったんです。たまたま現場を見ていた男性スタッフ(ヘルパーではありません)が吐き出させようとしたら、A子さんは吐しゃ物をノドに詰まらせてしまったようなんです。 スタッフが慌ててヘルパーや看護師を呼びましたが、生憎みんな手が離せず。A子さんは窒息死してしまいました。でも遺族の方には「誤嚥性肺炎で亡くなった」と伝えています。) 二人目は70代の男性Bさん。 ある寒い冬の晩のことです。徘徊癖のあったBさんは、駐車場に忘れ物を取りに行った職員が鍵を開けたままにしていた一瞬の隙に通用口から外に出て行ってしまいました。うちの施設は24時間警備室で防犯カメラを監視していますが、運の悪いことにBさんが出て行った様子を警備員もたまたま見落としていたんです。 朝の見回りの時にBさんの不在に気付いたスタッフが総出で探したところ、敷地内で凍死しているBさんが発見されましたが、遺族には急性心不全という説明をしていました。 コロナ禍のため、おふたり共遺族と対面したのは荼毘に付された後。解剖でもすれば死因についての真相は究明されるはずなのに、それをする時間がありませんでした。 もともと不都合なことは揉み消すという隠ぺい体質の施設ではありましたが、コロナ禍をきっかけに追い打ちがかかったような気がします』、「一人目のA子さん。80代の女性で認知症だったんですが、浴室にヘルパーが置き忘れた洗剤を部屋に持ち込んで誤飲してしまったんです。たまたま現場を見ていた男性スタッフ(ヘルパーではありません)が吐き出させようとしたら、A子さんは吐しゃ物をノドに詰まらせてしまったようなんです。 スタッフが慌ててヘルパーや看護師を呼びましたが、生憎みんな手が離せず。A子さんは窒息死してしまいました。でも遺族の方には「誤嚥性肺炎で亡くなった」と伝えています・・・二人目は70代の男性Bさん。 ある寒い冬の晩のことです。徘徊癖のあったBさんは、駐車場に忘れ物を取りに行った職員が鍵を開けたままにしていた一瞬の隙に通用口から外に出て行ってしまいました。うちの施設は24時間警備室で防犯カメラを監視していますが、運の悪いことにBさんが出て行った様子を警備員もたまたま見落としていたんです。 朝の見回りの時にBさんの不在に気付いたスタッフが総出で探したところ、敷地内で凍死しているBさんが発見されましたが、遺族には急性心不全という説明をしていました」、コロナ禍がいい言い訳のネタを提供したようだ。
・『「氷山の一角」  好むと好まざるとに関わらず、事件の傍観者になってしまった介護職員たちは贖罪の意味も込めて告発してくれたのだが、長く介護の現場に携わる介護福祉士やケアマネージャーからは「こんなものは氷山の一角」という声も届いている。 「高齢者施設における事件がなかなか表面化しない背景には、高齢者を『金のなる木』としか見ていない悪質な事業者の他に、無関心な家族の存在があります。高齢者が施設に入ったことで、あたかも『厄介払いができた』ように家族が考えてしまうのは大変嘆かわしいことです。高齢者施設は姥捨て山ではありませんし、介護者や職員が犠牲になるような施設は撲滅させないといけません」(ケアマネージャー) 高齢者の人権や尊厳を守りつつ、介護の現場が安心・安全な働きやすいものになるための課題に、この国はもっと真剣に取り組むべきであろう』、「長く介護の現場に携わる介護福祉士やケアマネージャーからは「こんなものは氷山の一角」という声も届いている。 「高齢者施設における事件がなかなか表面化しない背景には、高齢者を『金のなる木』としか見ていない悪質な事業者の他に、無関心な家族の存在があります。高齢者が施設に入ったことで、あたかも『厄介払いができた』ように家族が考えてしまうのは大変嘆かわしいことです。高齢者施設は姥捨て山ではありませんし、介護者や職員が犠牲になるような施設は撲滅させないといけません」、その通りだ。『厄介払いができた』という意味では、「高齢者施設」と同様に障害者保護施設も該当する。家族も責任を持って監視する役割を放棄してはならない。
タグ:介護施設(老人ホーム)問題 (その7)(90代の母親は突然退去を迫られた 高級老人ホームで遭遇した「理不尽」とは 入居金1億円超、「看取りまでお任せ」が売り物でも安心してはいけない、虐待で命の危険も…富裕層向け高級老人ホームの職員が告発する「ヤバすぎる不祥事」、70代による強姦未遂に事故ごまかし……高級老人ホームで発生した「闇に葬られた大惨事」を職員が告白!) JBPRESS 森田 聡子氏による「90代の母親は突然退去を迫られた、高級老人ホームで遭遇した「理不尽」とは 入居金1億円超、「看取りまでお任せ」が売り物でも安心してはいけない」 なかなか優雅な暮らし向きのようだ。 「入居者は上場企業の役員経験者や医師、士業のエリートなど、いわゆる“上級国民”ばかりだ」、なるほど。 「コロナ禍に入って様相が一変する。 母親が楽しみにしていた習い事の教室やイベントは次々中止となった。それ以上に「親しいお友達がいなくなったのがつらい」とこぼしはじめた」、なるほど。 「栄養の吸収状態が悪いからと医師の勧めで高カロリー輸液を投与するためにCVポート(皮下埋め込み型中心静脈アクセスポート)を装着することになった。 これがその後のトラブルの引き金となる」、なるほど。 「幸運にも2週間後、母親は近隣の別の介護施設に移ることができた」、なるほど。 「大手不動産さん系の施設はハコ(建物や設備)が立派ですから、都会生活に慣れ親しんだ元気な高齢者が暮らすにはいいでしょう。半面、専門外の介護については正直あまりノウハウがないようです」、これでは肝心の役には立たないようだ。 「最初はCVポートの患者を受け入れていた」が、「今はダメなんです」、なるほど。 「医療従事者だった夫は介護棟での対応を嘆き、「あそこでは絶対に死にたくない」と女性の過ごす居室に戻って息を引き取ったという」、そこまで元「医療従事者」に言われるとはよほど酷いのだろう。 「自身が高齢になっても生活利便性の高い都市部を離れたくないのなら、施設任せにせず「我が家の介護プラン」も練っておく必要がありそうだ」、大作業になりそうだが、手を抜く訳にはいかない。 現代ビジネス 清水 芽々氏による「虐待で命の危険も…富裕層向け高級老人ホームの職員が告発する「ヤバすぎる不祥事」」 「「隠ぺいすることは新たな被害者を生みかねない」「入居を考えている人には内情を知る権利がある」として、守秘義務の掟を破り、告発に立ち上がった介護スタッフがいる。 「高級老人ホーム」での勤務経験を持つ彼らが暴露した驚きの事件の数々」、大いに参考になりそうだ。 「施設長は首を切り付けられ、「あと数センチズレていたら頸動脈が切れて失血死していた」という大怪我をしましたし、Bさんを押さえつけようとした男性スタッフは逆に振り飛ばされて壁に叩きつけられ、手首の骨を折りました。部屋中に血が飛び散るし、悲鳴と怒号が飛び交うという地獄絵図でしたよ」、老人ホームでも男女関係から問題が大きくなるとは困ったことだ。 「Aさんという80代の男性がおむつ交換中に部屋を出て行ってしまい、それを追いかけた男性ヘルパーともみ合いになった挙句、Aさんが彼を階段から突き落としたことがありました。階段を転がり落ちた彼は打ちどころが悪く、意識不明のまま病院へ搬送されましたが、後遺症で下半身が不自由になってしまいました」、こんな悲劇が起こり得るとは驚かされた。 清水 芽々氏による「70代による強姦未遂に事故ごまかし……高級老人ホームで発生した「闇に葬られた大惨事」を職員が告白! 「男性入居者による女性職員へのレイプ事件です。未遂を含めれば年間に5、6件は発生しています・・・うちの施設は若くてキレイな女性スタッフの在籍が売りなんです。 特に男性入居者を優先して担当します」、こんなフザケタ施設であれば、「レイプ事件」の頻発も頷ける。 「一人目のA子さん。80代の女性で認知症だったんですが、浴室にヘルパーが置き忘れた洗剤を部屋に持ち込んで誤飲してしまったんです。たまたま現場を見ていた男性スタッフ(ヘルパーではありません)が吐き出させようとしたら、A子さんは吐しゃ物をノドに詰まらせてしまったようなんです。 スタッフが慌ててヘルパーや看護師を呼びましたが、生憎みんな手が離せず。A子さんは窒息死してしまいました。でも遺族の方には「誤嚥性肺炎で亡くなった」と伝えています・・・二人目は70代の男性Bさん。 ある寒い冬の晩のことです。徘徊癖のあったBさんは、駐車場に忘れ物を取りに行った職員が鍵を開けたままにしていた一瞬の隙に通用口から外に出て行ってしまいました。うちの施設は24時間警備室で防犯カメラを監視していますが、運の悪いことにBさんが出て行った様子を警備員もたまたま見落としていたんです。 朝の見回りの時にBさんの不在に気付いたスタッフが総出で探したところ、敷地内で凍死しているBさんが発見されましたが、遺族には急性心不全という説明をしていました」、コロナ禍がいい言い訳のネタを提供したようだ。 「長く介護の現場に携わる介護福祉士やケアマネージャーからは「こんなものは氷山の一角」という声も届いている。 「高齢者施設における事件がなかなか表面化しない背景には、高齢者を『金のなる木』としか見ていない悪質な事業者の他に、無関心な家族の存在があります。高齢者が施設に入ったことで、あたかも『厄介払いができた』ように家族が考えてしまうのは大変嘆かわしいことです。高齢者施設は姥捨て山ではありませんし、介護者や職員が犠牲になるような施設は撲滅させないといけません」、その通りだ。 『厄介払いができた』という意味では、「高齢者施設」と同様に障害者保護施設も該当する。家族も責任を持って監視する役割を放棄してはならない。
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終末期(その9)(せっかく穏やかな「死」を迎えた78歳女性を わざわざ「蘇生」させるために行われた「非人間的な医療行為」、人はどう死ぬのか…医師が明かす「ご臨終」に至るまでの一部始終 最後の一息を吐いて…、そのまま逝かせてあげれば…「超高齢者」が倒れたとき 「救急車」を呼んでしまうと起こる「誰も得しない事態」、突然 看護師が「遺体の肛門」に指を突っ込んで…人が「死んだあと」に起こる「意外なやりとり」) [人生]

終末期については、昨年7月26日に取上げた。今日は、(その9)(せっかく穏やかな「死」を迎えた78歳女性を わざわざ「蘇生」させるために行われた「非人間的な医療行為」、人はどう死ぬのか…医師が明かす「ご臨終」に至るまでの一部始終 最後の一息を吐いて…、そのまま逝かせてあげれば…「超高齢者」が倒れたとき 「救急車」を呼んでしまうと起こる「誰も得しない事態」、突然 看護師が「遺体の肛門」に指を突っ込んで…人が「死んだあと」に起こる「意外なやりとり」)である。

先ずは、本年4月27日付け現代ビジネスが掲載した作家の久坂部 羊氏による「せっかく穏やかな「死」を迎えた78歳女性を、わざわざ「蘇生」させるために行われた「非人間的な医療行為」」を紹介しよう。
・『だれしも死ぬときはあまり苦しまず、人生に満足を感じながら、安らかな心持ちで最期を迎えたいと思っているのではないでしょうか。 私は医師として、多くの患者さんの最期に接する中で、人工呼吸器や透析器で無理やり生かされ、チューブだらけになって、あちこちから出血しながら、悲惨な最期を迎えた人を、少なからず見ました。 望ましい最期を迎える人と、好ましくない亡くなり方をする人のちがいは、どこにあるのでしょう。 *本記事は、久坂部羊『人はどう死ぬのか』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです』、興味深そうだ。
・『死に目に間に合わせるための非道  日本では死に目に会うことを、欠くべからざる重大事と受け止めている人が多いようです。特に親の死に目に会うのは、子として当然の義務、最後の親孝行のように言われたりもします。 しかし、感情論ではなく、その意味を現実的に考えるとどうでしょう。 以前、私が在宅医療で診ていた乳がんの女性・Kさんが、いよいよ臨終が近づいたとき、入院の手続きをとりました。Kさんは七十八歳で、ぎりぎりまで家にいたいけれど、最後は病院でと希望していたからです。 十日ほどして、病院の主治医からKさんが亡くなったという報告書が届きました。それを読んで私は愕然としました。 報告書によると、看護師が午後八時に巡回したときにはKさんは異常なかったけれど、午後十時に巡回すると、心肺停止の状態になっていたそうです。看護師はすぐに当直医に連絡し、当直医は気管内挿管をして、人工呼吸器につなぎ、カウンターショックと心臓マッサージで心拍を再開させることに成功しました。その後、ステロイドや強心剤を投与して、翌日の午後八時に、無事、家族に見守られて永眠したとのことでした。 具体的な文章は忘れましたが、心肺停止でだれにも看取られずに亡くなりかけていたKさんを、見事、蘇生させて、家族が死に目に会うことを実現させられたと、いささか誇らしげに書いてあったように記憶します。 たしかに家族は喜んだかもしれません。きっと感謝したことでしょう。しかし、亡くなったKさん本人はどうだったでしょう。 一般には心肺停止の蘇生処置がどういうものか、具体的に知らない人が多いでしょうから、この話は美談のように受け取られるかもしれません。しかし、実態を知る私としては、なんという無茶なことをと、あきれるほかありませんでした。 まず、人工呼吸のための気管内挿管は、喉頭鏡というステンレスの付きの器具を口に突っ込み、舌をどけ、喉頭(のどぼとけ)を持ち上げて、口から人差し指ほどのチューブを気管に挿入します。意識がない状態でも、反射でむせますし、喉頭を持ち上げるとき、前歯がてこの支点になって折れることもままあります。そうなれば口は血だらけになります。 そのあとのカウンターショックは、裸の胸に電極を当てて、電流を流すもので、往々にして皮膚に火傷を引き起こします。心臓マッサージも、本格的にやれば、肋骨や胸骨を骨折させる危険性が高く、Kさんのように高齢でやせている人なら、骨折は一本や二本ではすまなかったと想像されます。) 寿命に従ってせっかく静かに亡くなっていたKさんの口に、そんな器具を突っ込み、のどに太いチューブを差し込んで機械で息をさせ、火傷を起こし、ときには皮膚に焼け跡をつける電気ショックを与え、肋骨や胸骨がバキバキ折れる心臓マッサージをして、心臓を無理やり動かしてまで、家族が死に目に会えるようにすることが、果たして人の道に沿ったものでしょうか』、「寿命に従ってせっかく静かに亡くなっていたKさんの口に、そんな器具を突っ込み、のどに太いチューブを差し込んで機械で息をさせ、火傷を起こし、ときには皮膚に焼け跡をつける電気ショックを与え、肋骨や胸骨がバキバキ折れる心臓マッサージをして、心臓を無理やり動かしてまで、家族が死に目に会えるようにすることが、果たして人の道に沿ったものでしょうか」、確かに逆立ちした論理だ。
・『非道な蘇生処置の理由  Kさんに非道な蘇生処置をした当直医は、(1)まだ経験の浅い若い医者か、(2)医療に前向きな信念しか持たない医者か、あるいは、(3)あとで遺族から非難されることを恐れる保身の医者のいずれかでしょう。 (1)の医者は未熟なので、心肺停止という状況で反射的に(つまり何も考えず)教えられた通りの処置を行ったケースで、これは経験を積めばそんな無駄で残酷なことはしなくなる可能性があります。 (2)の医者は、医療の善なる面のみに目を向け、医療の弊害や矛盾、あるいは限界から目を背ける医者です。こういう医者はイケイケですから、むずかしい状況の患者さんを積極的な治療で救うこともありますが、無理な治療で患者さんを苦しめたり、逆に命を縮めたりする危険性もあります。まじめで純粋、かつ努力家である反面、己の非はぜったいに認めないタイプですが、医師としては優秀な者に多いのが困りものです。 (3)の医者は、もっとも厄介なケースで、患者さんのためにならないことを知りつつ、言わばアリバイ作りのために蘇生処置を行う医者です。なぜ、そんなことをするのかというと、何もしないで静かに看取ると、遺族のなかには、「あの病院は何もしてくれなかった」とか、「最後は医者に見捨てられた」などと、よからぬを立てる人がいるからです。 看護師が巡回したら、心肺停止になっていましたなどと、ほんとうのことを告げたら、遺族によっては、「気づいたら死んでいたというのか。病院はいったい何をやっていたんだ」と、激昂する人も出かねません。) 実際、死に対して医療は無力なのに、世間の人はそう思っていないので、医者はベストを尽くすフリをせざるを得ないのです。それが患者さん本人にとって、どれほどの害を与えていることか。 死を受け入れたくない気持ちはわかりますが、何としても死に目に会うとか、最後の最後まで医療に死を押しとどめてもらおうとか思っていると、死にゆく人を穏やかに見送ることは、とてもむずかしくなります。 さらに連載記事<人はどう死ぬのか…医師が明かす「ご臨終」に至るまでの一部始終>では、人が死ぬときの様子を詳しく解説します』、「実際、死に対して医療は無力なのに、世間の人はそう思っていないので、医者はベストを尽くすフリをせざるを得ないのです。それが患者さん本人にとって、どれほどの害を与えていることか。 死を受け入れたくない気持ちはわかりますが、何としても死に目に会うとか、最後の最後まで医療に死を押しとどめてもらおうとか思っていると、死にゆく人を穏やかに見送ることは、とてもむずかしくなります」、その通りだ。

次に、昨年1月19日付け現代ビジネスが掲載した作家の久坂部 羊氏による「人はどう死ぬのか…医師が明かす「ご臨終」に至るまでの一部始終 最後の一息を吐いて…」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/103427?imp=0
・『だれしも死ぬときはあまり苦しまず、人生に満足を感じながら、安らかな心持ちで最期を迎えたいと思っているのではないでしょうか。 私は医師として、多くの患者さんの最期に接する中で、人工呼吸器や透析器で無理やり生かされ、チューブだらけになって、あちこちから出血しながら、悲惨な最期を迎えた人を、少なからず見ました。 望ましい最期を迎える人と、好ましくない亡くなり方をする人のちがいは、どこにあるのでしょう。 *本記事は、久坂部羊『人はどう死ぬのか』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです』、興味深そうだ。
・『死を見る機会  ふつうの人が人の死を直接見る機会は、さほど多くはないでしょう。 見るとすれば、たいていは家族の死で、多くは病院のベッドのまわりで見ることになります。医者と看護師がいて、患者さんには点滴とか酸素マスクがつけられ、場合によっては心電計や人工呼吸器も装着されている。家族の死だから、悲しかったり複雑な思いがあったりして、とても冷静には見られない。加えて、死は忌むべきものという頑強な刷り込みもあるので、じっくり見たり、ましてや観察などはまず行われません。 自宅での看取りでも、まわりに医療機器などがなく、場所が見慣れた空間であるというだけで、看取る家族の動揺はほとんど変わりがないでしょう。 稀なケースとして、目の前で突然だれかが死ぬ(交通事故や水難事故、飛びこみ自殺など)のを目撃することもあるでしょうが、こちらは家族の死以上に見る者を動揺させるにちがいありません。殺害現場などに遭遇してしまうと、動揺どころか動転、驚愕、ときには失神さえしてしまうでしょう。 医者だって人間です。はじめて患者さんの死を看取るときは、一般の人と同じく動揺します。それまで自分が治療し、いろいろなことを説明し、人間的な関わりを持った人が死ぬのですから、当然ながらショックは大きい。 自分の患者さんでなくても、たとえば当直のアルバイト先でたまたま臨終に立ち会う場合でも、一人の人間の死という厳粛な事実の前では、畏怖のようなものを感じずにはいられません。その感覚は、家族や一般の人のそれとさほど差はないはずです。 が、場数を踏むにつれ、医者は次第に死に慣れてきます。死に慣れるなど、不謹慎だと思われるかもしれませんが、実際、慣れます。慣れると心にゆとりができます。そうすると、ゆとりのないときには見えなかったものが見えてきます。それは死を、ある種、乾いた現象として理解させてくれたりします。 いずれにせよ、一般の人は平常心で死を見る機会が少ないので、死を大袈裟に捉え、死者に過剰に反応しがちではないでしょうか。 死が人生の重大事であることはまちがいありませんが、心にゆとりを持って見れば、特別な不幸でも不運でもないことがわかります。だれにでも起こることで、恐ろしいことでも、いやなことでもない。ごく当たり前のことだと感じられる。その感覚を理解してもらうために、死に直面していない今、死の実際をイメージしていただきたいと思います』、「一般の人は平常心で死を見る機会が少ないので、死を大袈裟に捉え、死者に過剰に反応しがちではないでしょうか。 死が人生の重大事であることはまちがいありませんが、心にゆとりを持って見れば、特別な不幸でも不運でもないことがわかります。だれにでも起こることで、恐ろしいことでも、いやなことでもない。ごく当たり前のことだと感じられる。その感覚を理解してもらうために、死に直面していない今、死の実際をイメージしていただきたいと思います」、その通りだ。
・『死の判定とは  最近は人の死といっても、一筋縄ではいきません。 「心肺停止」などは、心拍も呼吸も止まっているのに「死」とは認められない。蘇生処置によって、生き返る可能性があるからです(と言っても、多くの場合は植物状態であったり、麻痺が残ったりして、元通りになることは少ないですが)。 人の死を判定するときには、医者は「死の三徴候」と呼ばれるものを確認します。「呼吸停止」「心停止」「瞳孔の散大」がそれです。この三つがうと、人は死んだと判定されます。 一般の人は、人の死は医者が死亡時刻を告げたときに起こったと思うでしょうが、実はそうではありません。そもそも、人がいつ死んだかということは、厳密に規定することができないのです。なぜなら、臓器はある瞬間にいっせいに機能を止めるわけではありませんので。 たとえば、死体腎移植は、ドナーが亡くなってから腎臓を取り出して、レシピエントに移植しても十分に機能を果たします。つまり、腎臓は死後もしばらく生きているということです。膵臓や眼球(角膜)なども同様です。 心臓と肺にしても、同時に機能を止めるわけではありません。心臓の動きは心音や心電図、肺は呼吸で確認できますが、心音が聞こえなくなっても、心臓の細胞がすべて機能を停止したわけではないし、呼吸が止まっても、肺の細胞が死に絶えたわけではありません。いずれも徐々に機能を停止し、細胞レベルでは順に死滅していきますから、最後の細胞が死んだときなど、どんな計測器を使っても決定することはできないでしょう』、「人の死を判定するときには、医者は「死の三徴候」と呼ばれるものを確認します。「呼吸停止」「心停止」「瞳孔の散大」がそれです。この三つがうと、人は死んだと判定されます・・・死体腎移植は、ドナーが亡くなってから腎臓を取り出して、レシピエントに移植しても十分に機能を果たします。つまり、腎臓は死後もしばらく生きているということです。膵臓や眼球(角膜)なども同様です・・・心臓の動きは心音や心電図、肺は呼吸で確認できますが、心音が聞こえなくなっても、心臓の細胞がすべて機能を停止したわけではないし、呼吸が止まっても、肺の細胞が死に絶えたわけではありません。いずれも徐々に機能を停止し、細胞レベルでは順に死滅していきますから、最後の細胞が死んだときなど、どんな計測器を使っても決定することはできないでしょう」、なるほど。
・『死のポイント・オブ・ノーリターン  突然死や即死の場合は別として、ふつうの死はまず昏睡状態からはじまります。完全に意識がなくなって、呼びかけにも痛みの刺激にも反応しない状態です。唸り声やうめき声を発していたり、顔を歪めていたりする間は、昏睡とは言いません。 昏睡のときは、エンドルフィンやエンケファリンなど、脳内モルヒネが分泌されますから、本人は心地よい状況にあるなどと言われますが、もちろんこれは仮説で、確かめようがありません。脳内モルヒネは人生最後のお楽しみであり、ほんとうに心地よい状態が用意されているのかもしれませんが、実際はそれほどでもなく、単に死戦期(生から死への移行期)の不安をやわらげるためのおまじないかもしれません。 昏睡状態になれば、いっさいの表情は消えます。意識がないのだから当然です。昏睡に陥ると、間もなく下顎呼吸がはじまります。顎を突き出すような呼吸で、これが死のポイント・オブ・ノーリターンとなります。呼吸中枢の機能低下によるものですから、酸素を吸わせても意味がありません。つまり、これがはじまると、回復の見込みがゼロになるということです。) ほとんど空気を吸っていないように見えるので、はじめて見る人には喘いでいるように感じられるかもしれません。ですが、先に述べたように意識はないので、本人は苦しくない(はずです、確認はできませんが)。この状態になると、蘇生処置をほどこしたところで元にもどることはまずなく、仮にもどったとしてもすぐまた下顎呼吸になります。生き物として寿命を迎えているのですから、抗わずに穏やかに見守るのが、周囲の人間のとるべき態度と言えます。 下顎呼吸がどれくらい続くのかは人によりますが、たいていは数分から一時間前後で終わります(私は在宅医療で一昼夜続いた患者さんを看取ったことがありますが)。次第に呼吸数が減って、無呼吸と下顎呼吸が入れ替わり現れます。これは「チェーンストークス呼吸」と呼ばれるもので、やがて最後の一息を吐いて、ご臨終となります』、「昏睡状態になれば、いっさいの表情は消えます。意識がないのだから当然です。昏睡に陥ると、間もなく下顎呼吸がはじまります。顎を突き出すような呼吸で、これが死のポイント・オブ・ノーリターンとなります。呼吸中枢の機能低下によるものですから、酸素を吸わせても意味がありません。つまり、これがはじまると、回復の見込みがゼロになるということです・・・下顎呼吸がどれくらい続くのかは人によりますが、たいていは数分から一時間前後で終わります(私は在宅医療で一昼夜続いた患者さんを看取ったことがありますが)。次第に呼吸数が減って、無呼吸と下顎呼吸が入れ替わり現れます。これは「チェーンストークス呼吸」と呼ばれるもので、やがて最後の一息を吐いて、ご臨終となります」、なるほど。
・『看取りの作法  今では禁止されていますが、私が医学部を卒業したころは、大学病院の研修医がアルバイトで市中病院の当直を行っていました。 その病院で夜に患者さんが亡くなると、アルバイトの研修医が看取ることになります。研修医はヒヨコ医者で、闊な看取りをすると家族を傷つけたり、混乱させたりするので、先輩から看取りの作法を教えられました。夜中に起こされても眠そうな顔をするな、白衣はきちんとボタンを留めろ、だらしない恰好はするな等、基本的なこともありますが、看取りのコツは「慌てず、騒がず、落ち着かず」だと、伝授されました。 「慌てず」というのは、新米だと見破られないためで、「騒がず」というのは、騒ぐと医療ミスを疑われかねないからですが、あまりに落ち着いていると、患者さんを見捨てているように受け取られるので、適度な緊迫感が必要なため、「落ち着かず」ということになります。) もう一つのポイントは、あまり早くに臨終を告げないこと。 当直の夜、看護師から危篤の連絡を受けて病室に行くと、患者さんはたいてい下顎呼吸になっています。間隔がだんだん間遠になって、最後の息を吐き終わったとき、腕時計で時刻を確認して、「残念ですが、何時何分。ご臨終です。力及びませんで」と、殊勝な顔で一礼します。すると、家族がわっと泣き崩れたりするのですが、この判断が早すぎると、思いがけない最後の一呼吸が起こるのです。すると、家族は「あーっ、まだ生きてる!」と混乱します。 心電図も同じで、徐々に波が乱れ、スパイクの間隔が延びて、やがてフラットになる。そこで早まって臨終を告げると、ピコンと最後の波が現れたりして、家族がまた、「あーっ、まだ……」と叫ぶことになります。 そのあとで、もう一度、時刻を確認し直して、「えー、何時何分……」と告げるほど間の悪いことはありません。ですから、最後の呼吸が終わったと思っても、しばらく待って、ほんとうにもう下顎呼吸が二度と起こらないと確信してから、おもむろに時刻を確認し、臨終を告げるのです。そして、心電図にオマケのスパイクが出てもわからないように、スイッチはすぐに切るべしと教えられました。 すなわち、実際、患者さんは私が告げる時刻より少し前に亡くなっているのです。 ▽死に際して行う“儀式”(アルバイトで当直をする病院に着くと、まずその病院の医者から申し送りを受けます。今夜は何号室のだれそれが危ない等、亡くなりそうな患者さんを引き継ぐのです。そのとき、「この人は“儀式”はいらんから」とか、「悪いけど“儀式”もよろしく」などと言われます。 別に宗教的な儀式をするわけではありません。これは看取りのときに行う蘇生処置を指す医者の隠語なのです。) 具体的には、心臓が止まったあと、強心剤を静脈注射するとか、心腔内投与といって、カテラン針(長さ六、七センチの深部用注射針)で心臓に直接、強心剤を注入したりします。さらには心臓マッサージの真似事をします。本格的な心臓マッサージは、ベッドのスプリングで力が吸収されないように、背中側にボードを入れ、かつ、胸骨が凹むほど圧迫しなければなりません。高齢者ややせた人だと、肋骨がバキバキ折れます。死にゆく人にそんなことをする必要はないので、軽くやっているフリだけするのです。 そのあとで聴診器を当てて、心拍が再開しなければ、ふたたびマッサージのフリをして、また聴診器で無音を確認します。チラッと家族のようすを横目で見て、まだ不足そうなら、またマッサージのフリを繰り返す。真剣な顔で、死ぬな、生きろと訴えるような目つきで、額に汗など垂らしてやっていると、さすがに家族もあきらめ、大切な身内の死を受け入れる雰囲気になります。そこでようやく“儀式”を終え、時刻を確認して、「残念ですが……」のセリフとなるのです。 これがなぜ儀式かというと、蘇生する可能性など端からゼロであることをわかって行うからです。つまりはパフォーマンス、無駄な行為ということになります。 なぜそんなことをするのか。それは家族に精いっぱいの治療をしたという納得感を与えるためです。単純に看取って臨終を告げると、あとで「あの病院は何もしてくれなかった」などと言われる危険性があります。それは困るので、無駄かつ当人には残酷とも思える処置をせざるを得ないのです。 「“儀式”はいらない」と申し送られるのは、家族が患者さんの死をすでに受け入れている場合です。そのときは厳かに臨終を告げるだけでいい。看取るほうも楽なら、看取られるほうも余計な処置をされずにすみます。 最近ではインフォームド・コンセントが進んでいるので、病院も患者さん側に事実を伝え、“儀式”をする必要性は減っているかもしれません。こんな無益で残酷なことを減らすためにも、家族の側がしっかりと死を受け入れる心構えが重要です。死を拒んでばかりいると、ロクなことはないということです』、「心臓マッサージの真似事をします。本格的な心臓マッサージは、ベッドのスプリングで力が吸収されないように、背中側にボードを入れ、かつ、胸骨が凹むほど圧迫しなければなりません。高齢者ややせた人だと、肋骨がバキバキ折れます。死にゆく人にそんなことをする必要はないので、軽くやっているフリだけするのです。 そのあとで聴診器を当てて、心拍が再開しなければ、ふたたびマッサージのフリをして、また聴診器で無音を確認します。チラッと家族のようすを横目で見て、まだ不足そうなら、またマッサージのフリを繰り返す。真剣な顔で、死ぬな、生きろと訴えるような目つきで、額に汗など垂らしてやっていると、さすがに家族もあきらめ、大切な身内の死を受け入れる雰囲気になります。そこでようやく“儀式”を終え、時刻を確認して、「残念ですが……」のセリフとなるのです」、なるほど。
・『死には三つの種類がある  ここまで説明したのは、生き物としての死、すなわち生物学上の死についてですが、死にはほかにも二つの種類があります。 それは手続き上の死と、法律上の死です。 手続き上の死というのは、死亡診断書に書かれる時刻、すなわち医者が死亡確認をしたことで認められる死です。これまで書いたように、医者の告げた死亡時刻と、生き物としての人の実際の死が微妙にズレることは理解してもらえたと思いますが、それが大きくズレることもあります。 在宅医療をやっていると、たまに、「朝、起きたらおじいさん(またはおばあさん等)の息が止まっていました」などという電話がかかってきます。夜中、寝ている間に亡くなって、気づいたのが朝というケースです。 すぐに患者さん宅に駆けつけますが、死亡診断からって二十四時間以内に診察をしていないと、警察に連絡しなければならず、そうなると検死を受けたあと、場合によっては行政解剖が行われます。当然、遺族には大きな負担となり、警察にも面倒をかけることになります。そんな無用なことを避けるために、患者さん宅に駆けつけて、明らかに亡くなっている患者さんの目にペンライトの光を当て、ピクリとも動かない胸に聴診器を当てて、死の三徴候を確認します。そして、時計で時間を確認し、おもむろに、「何時何分、ご臨終を確認しました」と告げるのです。 白々しいことこの上ないですが、こうすれば、診察してから死亡を確認したという体裁になり、警察への連絡をせずにすみます。手続き上、人は医者が死亡を確認するまで生きていると見なされるのです。 事故や災害などで心肺停止状態になった人が、病院に運ばれ、何時間後に死亡が確認されましたなどという報道がありますが、そのタイムラグは、たいてい病院で懸命の蘇生処置を行っている時間です。いろいろやってみたけれどダメでしたというとき、死亡確認が行われ、はじめて手続き上、その人は死んだことになります。しかし、生き物としての実際の死は、心肺停止になったときであると考えるべきです。) 三番目の死は法律上の死です。いわゆる「脳死」。日本でも二〇一〇年に臓器移植法が改正され、法律的には脳死が人の死と認められるようになりました。 脳死とは、脳幹を含む全脳死のことです。脳幹は呼吸や心拍など、生命維持をコントロールする部位で、ここが死ぬと、どんな蘇生処置をしても生き返ることはありません。テレビ番組や週刊誌の記事などで、脳死からよみがえったなどと紹介されることもありますが、それはそもそも脳死の判定がまちがっているケースがほとんどです。 脳死とよく混同されるのが、「植物状態」です。以前は、「植物人間」などと称されていましたが、それは人権上の配慮に欠けるということで改められました。 植物状態では、大脳は死んでいるから意識はありませんが、脳幹が生きているので、自発呼吸ができます。だから、水と栄養さえ与えると生きられるということで、植物と同じ状態と考えられるわけです』、「生物学上の死についてですが、死にはほかにも二つの種類があります。 それは手続き上の死と、法律上の死です。 手続き上の死というのは、死亡診断書に書かれる時刻、すなわち医者が死亡確認をしたことで認められる死です。これまで書いたように、医者の告げた死亡時刻と、生き物としての人の実際の死が微妙にズレることは理解してもらえたと思いますが、それが大きくズレることもあります・・・在宅医療をやっていると、たまに、「朝、起きたらおじいさん(またはおばあさん等)の息が止まっていました」などという電話がかかってきます。夜中、寝ている間に亡くなって、気づいたのが朝というケースです。 すぐに患者さん宅に駆けつけますが、死亡診断からって二十四時間以内に診察をしていないと、警察に連絡しなければならず、そうなると検死を受けたあと、場合によっては行政解剖が行われます。当然、遺族には大きな負担となり、警察にも面倒をかけることになります。そんな無用なことを避けるために、患者さん宅に駆けつけて、明らかに亡くなっている患者さんの目にペンライトの光を当て、ピクリとも動かない胸に聴診器を当てて、死の三徴候を確認します。そして、時計で時間を確認し、おもむろに「何時何分、ご臨終を確認しました」と告げるのです。 白々しいことこの上ないですが、こうすれば、診察してから死亡を確認したという体裁になり、警察への連絡をせずにすみます。手続き上、人は医者が死亡を確認するまで生きていると見なされるのです・・・三番目の死は法律上の死です。いわゆる「脳死」。日本でも二〇一〇年に臓器移植法が改正され、法律的には脳死が人の死と認められるようになりました。 脳死とは、脳幹を含む全脳死のことです。脳幹は呼吸や心拍など、生命維持をコントロールする部位で、ここが死ぬと、どんな蘇生処置をしても生き返ることはありません。テレビ番組や週刊誌の記事などで、脳死からよみがえったなどと紹介されることもありますが、それはそもそも脳死の判定がまちがっているケースがほとんどです」、なるほど。
・『脳死のダブルスタンダード  脳死になっても、人工呼吸をしていると、しばらく心臓は動き続けます。だから、心臓を含む臓器移植が可能となるのです。 そもそも、脳死という無理くりの概念が捻り出されたのは、臓器移植が可能になったからです。心臓移植では、生きている心臓を移植しなければなりません。死体から取った心臓を移植しても動かないからです。しかし、生きている心臓を取り出せば、ドナーは死ぬので殺人になる。ですから、心臓移植では、心臓は生きているが、ドナーは死んでいるという、自然ではあり得ない状況が必要だったのです。) そこであみ出されたのが脳死です。脳死は人の死と定義され、死んでいるのだから心臓を取り出しても殺人にはならないというのが、法律上の解釈です。 しかし、脳死の患者さんは、人工呼吸器をつけているとはいえ、胸は動いているし、身体も温かい。当然、心臓も動いている。あまつさえ、心臓を摘出するときには全身麻酔をかけるのです。死体に麻酔? ほんとうに死んでいるのかという疑問が湧くのは当然でしょう。 ここに脳死に関するダブルスタンダードが発生します。 <この続きは書籍にて!>』、「脳死は人の死と定義され、死んでいるのだから心臓を取り出しても殺人にはならないというのが、法律上の解釈です。 しかし、脳死の患者さんは、人工呼吸器をつけているとはいえ、胸は動いているし、身体も温かい。当然、心臓も動いている。あまつさえ、心臓を摘出するときには全身麻酔をかけるのです。死体に麻酔? ほんとうに死んでいるのかという疑問が湧くのは当然でしょう」、確かに「脳死」は難しい問題だ。

第三に、4月27日付け現代ビジネスが掲載した作家の久坂部 羊氏による「そのまま逝かせてあげれば…「超高齢者」が倒れたとき、「救急車」を呼んでしまうと起こる「誰も得しない事態」」を紹介しよう。
・『だれしも死ぬときはあまり苦しまず、人生に満足を感じながら、安らかな心持ちで最期を迎えたいと思っているのではないでしょうか。 私は医師として、多くの患者さんの最期に接する中で、人工呼吸器や透析器で無理やり生かされ、チューブだらけになって、あちこちから出血しながら、悲惨な最期を迎えた人を、少なからず見ました。 望ましい最期を迎える人と、好ましくない亡くなり方をする人のちがいは、どこにあるのでしょう。 *本記事は、久坂部羊『人はどう死ぬのか』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです』、興味深そうだ。
・『救急車を呼ぶべきか否か  どんなときに救急車を呼ぶべきで、どんなときは呼ばないほうがいいのかも、多くの人が迷うことでしょう。 わかりやすいのは、超・高齢者の意識がない状態のときです。この場合は、そのまま静かに見守ってあげるのがベストです。かかりつけ医または、在宅医療の主治医がいれば、連絡して看取りに来てもらいましょう。間に合わなくても大丈夫です。逆に、間に合っても医者にできることはありませんし、命が終わってからでも、医者が死亡確認するまでは、法的には死んでいないことになりますから、死亡診断書も書いてもらえます。 この場合、救急車を呼んでしまうと、悲惨なことになります。超・高齢者が死にしているとき、救急隊員は「どうして救急車なんか呼ぶんだ。このまま逝かせてやったほうがいいのに」と思いつつも、当然、口には出せず、型通り人工呼吸をしたり、心臓マッサージをしたりしながら、病院に運ばざるを得ません。 運び込まれた病院の医者も、「どうして病院になんか連れてくるんだ。そのまま逝かせてあげろよ」と思いつつも、やはり口には出せず、型通りに蘇生処置をし、運悪く心拍が再開などしたら、気管チューブを挿入し、人工呼吸器につなぎ、肺のX線検査をし、点滴をし、導尿カテーテルを入れと、せざるを得なくなります。 それでまた退院できるくらい元気になればいいですが、超・高齢者の場合はその可能性は低く、仮に復活したとしても、病気や年齢が回復するわけではありませんから、またすぐ同じ状態になるのが関の山です。 冷静に考えれば理解していただけると思いますが、ふだんから心の準備をしていないと、救急車を呼ばない状況に耐えるのがむずかしくなります。だから、つい救急車を呼んでしまう。それは倒れているお年寄りのためではなく、不安に耐えられない家族が自分の安心のために呼んでいるのです。それで、病院に運ばれたお年寄りは、右に述べたようなつらい目に遭わされます。それで最期を迎えたら、せっかく自宅で静かに亡くなりかけていたのに、余計な苦しみを負わされることになります。) それでも病院へ運ばずにはいられないと思う人は、自分が運ばれる側になったときを想像してみてください。家族の安心のために、肋骨が折れる心臓マッサージや、口から形の金具とプラスチックのチューブを突っ込まれ、尿道に管を通されてもいいでしょうか。 超・高齢者の身内がいる人は、最後の孝行のためにも、意識がない状態になったら、救急車は呼ばないと、ふだんからしっかり気持ちを決めておくのがよいと思います。 さらに続きとなる<「上手に楽に老いている人」と「下手に苦しく老いている人」の意外な違い>では、症状が軽いのに「老いの症状に苦しみ続ける」人と、症状が重いのに「気楽に幸せに生きられる人」の実例を紹介しています。 本記事の抜粋元である『人はどう死ぬのか』(講談社現代新書)では、人が死ぬときに起こることや、「死の恐怖」をどうすれば乗り越えられるかといった内容をさらに詳しく解説しています。ぜひ、お手に取ってみてください』、「超・高齢者が死にしているとき、救急隊員は「どうして救急車なんか呼ぶんだ。このまま逝かせてやったほうがいいのに」と思いつつも、当然、口には出せず、型通り人工呼吸をしたり、心臓マッサージをしたりしながら、病院に運ばざるを得ません。 運び込まれた病院の医者も、「どうして病院になんか連れてくるんだ。そのまま逝かせてあげろよ」と思いつつも、やはり口には出せず、型通りに蘇生処置をし、運悪く心拍が再開などしたら、気管チューブを挿入し、人工呼吸器につなぎ、肺のX線検査をし、点滴をし、導尿カテーテルを入れと、せざるを得なくなります・・・ふだんから心の準備をしていないと、救急車を呼ばない状況に耐えるのがむずかしくなります。だから、つい救急車を呼んでしまう。それは倒れているお年寄りのためではなく、不安に耐えられない家族が自分の安心のために呼んでいるのです。それで、病院に運ばれたお年寄りは、右に述べたようなつらい目に遭わされます。それで最期を迎えたら、せっかく自宅で静かに亡くなりかけていたのに、余計な苦しみを負わされることになります。) それでも病院へ運ばずにはいられないと思う人は、自分が運ばれる側になったときを想像してみてください。家族の安心のために、肋骨が折れる心臓マッサージや、口から形の金具とプラスチックのチューブを突っ込まれ、尿道に管を通されてもいいでしょうか・・・超・高齢者の身内がいる人は、最後の孝行のためにも、意識がない状態になったら、救急車は呼ばないと、ふだんからしっかり気持ちを決めておくのがよいと思います」、その通りで、大いに気をつけたい。
タグ:終末期 (その9)(せっかく穏やかな「死」を迎えた78歳女性を わざわざ「蘇生」させるために行われた「非人間的な医療行為」、人はどう死ぬのか…医師が明かす「ご臨終」に至るまでの一部始終 最後の一息を吐いて…、そのまま逝かせてあげれば…「超高齢者」が倒れたとき 「救急車」を呼んでしまうと起こる「誰も得しない事態」、突然 看護師が「遺体の肛門」に指を突っ込んで…人が「死んだあと」に起こる「意外なやりとり」) 現代ビジネス 久坂部 羊氏による「せっかく穏やかな「死」を迎えた78歳女性を、わざわざ「蘇生」させるために行われた「非人間的な医療行為」」 久坂部羊『人はどう死ぬのか』(講談社現代新書) 「寿命に従ってせっかく静かに亡くなっていたKさんの口に、そんな器具を突っ込み、のどに太いチューブを差し込んで機械で息をさせ、火傷を起こし、ときには皮膚に焼け跡をつける電気ショックを与え、肋骨や胸骨がバキバキ折れる心臓マッサージをして、心臓を無理やり動かしてまで、家族が死に目に会えるようにすることが、果たして人の道に沿ったものでしょうか」、確かに逆立ちした論理だ。 「実際、死に対して医療は無力なのに、世間の人はそう思っていないので、医者はベストを尽くすフリをせざるを得ないのです。それが患者さん本人にとって、どれほどの害を与えていることか。 死を受け入れたくない気持ちはわかりますが、何としても死に目に会うとか、最後の最後まで医療に死を押しとどめてもらおうとか思っていると、死にゆく人を穏やかに見送ることは、とてもむずかしくなります」、その通りだ。 久坂部 羊氏による「人はどう死ぬのか…医師が明かす「ご臨終」に至るまでの一部始終 最後の一息を吐いて…」 「一般の人は平常心で死を見る機会が少ないので、死を大袈裟に捉え、死者に過剰に反応しがちではないでしょうか。 死が人生の重大事であることはまちがいありませんが、心にゆとりを持って見れば、特別な不幸でも不運でもないことがわかります。だれにでも起こることで、恐ろしいことでも、いやなことでもない。ごく当たり前のことだと感じられる。その感覚を理解してもらうために、死に直面していない今、死の実際をイメージしていただきたいと思います」、その通りだ。 「人の死を判定するときには、医者は「死の三徴候」と呼ばれるものを確認します。「呼吸停止」「心停止」「瞳孔の散大」がそれです。この三つがうと、人は死んだと判定されます・・・死体腎移植は、ドナーが亡くなってから腎臓を取り出して、レシピエントに移植しても十分に機能を果たします。つまり、腎臓は死後もしばらく生きているということです。膵臓や眼球(角膜)なども同様です・・・ 心臓の動きは心音や心電図、肺は呼吸で確認できますが、心音が聞こえなくなっても、心臓の細胞がすべて機能を停止したわけではないし、呼吸が止まっても、肺の細胞が死に絶えたわけではありません。いずれも徐々に機能を停止し、細胞レベルでは順に死滅していきますから、最後の細胞が死んだときなど、どんな計測器を使っても決定することはできないでしょう」、なるほど。 「昏睡状態になれば、いっさいの表情は消えます。意識がないのだから当然です。昏睡に陥ると、間もなく下顎呼吸がはじまります。顎を突き出すような呼吸で、これが死のポイント・オブ・ノーリターンとなります。呼吸中枢の機能低下によるものですから、酸素を吸わせても意味がありません。つまり、これがはじまると、回復の見込みがゼロになるということです・・・ 下顎呼吸がどれくらい続くのかは人によりますが、たいていは数分から一時間前後で終わります(私は在宅医療で一昼夜続いた患者さんを看取ったことがありますが)。次第に呼吸数が減って、無呼吸と下顎呼吸が入れ替わり現れます。これは「チェーンストークス呼吸」と呼ばれるもので、やがて最後の一息を吐いて、ご臨終となります」、なるほど。 「心臓マッサージの真似事をします。本格的な心臓マッサージは、ベッドのスプリングで力が吸収されないように、背中側にボードを入れ、かつ、胸骨が凹むほど圧迫しなければなりません。高齢者ややせた人だと、肋骨がバキバキ折れます。死にゆく人にそんなことをする必要はないので、軽くやっているフリだけするのです。 そのあとで聴診器を当てて、心拍が再開しなければ、ふたたびマッサージのフリをして、また聴診器で無音を確認します。 チラッと家族のようすを横目で見て、まだ不足そうなら、またマッサージのフリを繰り返す。真剣な顔で、死ぬな、生きろと訴えるような目つきで、額に汗など垂らしてやっていると、さすがに家族もあきらめ、大切な身内の死を受け入れる雰囲気になります。そこでようやく“儀式”を終え、時刻を確認して、「残念ですが……」のセリフとなるのです」、なるほど。 「生物学上の死についてですが、死にはほかにも二つの種類があります。 それは手続き上の死と、法律上の死です。 手続き上の死というのは、死亡診断書に書かれる時刻、すなわち医者が死亡確認をしたことで認められる死です。これまで書いたように、医者の告げた死亡時刻と、生き物としての人の実際の死が微妙にズレることは理解してもらえたと思いますが、それが大きくズレることもあります・・・在宅医療をやっていると、たまに、「朝、起きたらおじいさん(またはおばあさん等)の息が止まっていました」などという電話がかかってきます。 夜中、寝ている間に亡くなって、気づいたのが朝というケースです。 すぐに患者さん宅に駆けつけますが、死亡診断からって二十四時間以内に診察をしていないと、警察に連絡しなければならず、そうなると検死を受けたあと、場合によっては行政解剖が行われます。当然、遺族には大きな負担となり、警察にも面倒をかけることになります。そんな無用なことを避けるために、患者さん宅に駆けつけて、明らかに亡くなっている患者さんの目にペンライトの光を当て、ピクリとも動かない胸に聴診器を当てて、死の三徴候を確認します。そして、時計で時間を確認 し、おもむろに「何時何分、ご臨終を確認しました」と告げるのです。 白々しいことこの上ないですが、こうすれば、診察してから死亡を確認したという体裁になり、警察への連絡をせずにすみます。手続き上、人は医者が死亡を確認するまで生きていると見なされるのです・・・三番目の死は法律上の死です。いわゆる「脳死」。日本でも二〇一〇年に臓器移植法が改正され、法律的には脳死が人の死と認められるようになりました。 脳死とは、脳幹を含む全脳死のことです。脳幹は呼吸や心拍など、生命維持をコントロールする部位で、ここが死ぬと、どんな 蘇生処置をしても生き返ることはありません。テレビ番組や週刊誌の記事などで、脳死からよみがえったなどと紹介されることもありますが、それはそもそも脳死の判定がまちがっているケースがほとんどです」、なるほど。 「脳死は人の死と定義され、死んでいるのだから心臓を取り出しても殺人にはならないというのが、法律上の解釈です。 しかし、脳死の患者さんは、人工呼吸器をつけているとはいえ、胸は動いているし、身体も温かい。当然、心臓も動いている。あまつさえ、心臓を摘出するときには全身麻酔をかけるのです。死体に麻酔? ほんとうに死んでいるのかという疑問が湧くのは当然でしょう」、確かに「脳死」は難しい問題だ。 久坂部 羊氏による「そのまま逝かせてあげれば…「超高齢者」が倒れたとき、「救急車」を呼んでしまうと起こる「誰も得しない事態」」 「超・高齢者が死にしているとき、救急隊員は「どうして救急車なんか呼ぶんだ。このまま逝かせてやったほうがいいのに」と思いつつも、当然、口には出せず、型通り人工呼吸をしたり、心臓マッサージをしたりしながら、病院に運ばざるを得ません。 運び込まれた病院の医者も、「どうして病院になんか連れてくるんだ。そのまま逝かせてあげろよ」と思いつつも、やはり口には出せず、型通りに蘇生処置をし、運悪く心拍が再開などしたら、気管チューブを挿入し、人工呼吸器につなぎ、肺のX線検査をし、点滴をし、導尿カテーテルを入れと、せざるを得な ります・・・ふだんから心の準備をしていないと、救急車を呼ばない状況に耐えるのがむずかしくなります。だから、つい救急車を呼んでしまう。それは倒れているお年寄りのためではなく、不安に耐えられない家族が自分の安心のために呼んでいるのです。それで、病院に運ばれたお年寄りは、右に述べたようなつらい目に遭わされます。それで最期を迎えたら、せっかく自宅で静かに亡くなりかけていたのに、余計な苦しみを負わされることになります。) それでも病院へ運ばずにはいられないと思う人は、自分が運ばれる側になったときを想像してみてください。家族の安心のために、肋骨が折れる心臓マッサージや、口から形の金具とプラスチックのチューブを突っ込まれ、尿道に管を通されてもいいでしょうか・・・超・高齢者の身内がいる人は、最後の孝行のためにも、意識がない状態になったら、救急車は呼ばないと、ふだんからしっかり気持ちを決めておくのがよいと思います」、その通りで、大いに気をつけたい。
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電子政府(その7)(デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ、そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり、あまりに異常なデジタル庁 「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣) [経済政治動向]

電子政府については、昨年7月14日に取上げた。今日は、(その7)(デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ、そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり、あまりに異常なデジタル庁 「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣)である。

先ずは、昨年8月17日付けダイヤモンド・オンラインが記載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/327733
・『マイナンバー騒動が「人為的ミス」で片付けられる怪しさ  マイナンバーカード問題が、岸田政権の存続の可能性まで揺さぶっています。 断っておきますが、私はマイナンバー制度一本化に基本的に賛成しています。これが全国民に普及すれば、時として差別につながりかねない戸籍制度などを撤廃できます。本人が住んでもいないところに知らない人の住民票が置かれたままになっているといったこともなくなるでしょう。何よりも、コロナ禍のときのような緊急事態に、国家的補償をする時間が短縮されるはずです。  しかし、残念ながら、現行のマイナンバーカード制度は一度白紙に戻すべきではないか、と考えます。 毎日のように、誤作動や間違った紐付けのケースが報道されます。カード擁護論者は、「そんなことは大きなシステムでは0.01%以下の誤差の範囲内」などと弁明しますが、果たしてそうなのでしょうか。 私はこうしたシステムの事故が人為的ミスとして片づけられることが、まず怪しいと思います。人為的ミスが起こらないように設計することこそ、巨大システムの根本的な設計思想のはずだからです。 たとえば、前の人物がナンバーを打ち込んでいて途中で止めたところ、それが次の登録者のナンバーになってしまったといったミスを人為的ミスとしていますが、次の人物が登録作業に入った瞬間に、前の数字を自動的に消去するシステムにしておくことなどは、巨大システムの常識でしょう。 そして、一番政府に真剣に考えてほしいのは、マイナポイントなどの特典をつけても、なぜ国民の多数が参加しないのか、ということです。この事態こそ、政治家、官僚は胸に手を当てて深刻に考える必要があります。 私に言わせれば、国民が政府を信用していないからです。もし事故が起こって、個人情報が流出し、それによって自分の預金が盗まれたり、病気などの個人情報が漏れたりしたとき、政府はどんな補償をしてくれるのでしょうか。いや、その情報漏れが政府によって起きたことを認めるのでしょうか。 なぜ、そんな疑問を持つかというと、政府や自治体で個人情報漏洩事件が起きても、官僚や政治家が処分を受けたり、逮捕されたりしたなどという話を聞いたことがないからです。)  たとえばA元総理の自宅で、突然、押し入れの扉が壊れて中身が飛び出してきた。それが、全部札束だった……。B元幹事長には、業者からの陳情が多く、国会の議員会館に送られてくる贈り物が自室には入り切らず、別室を借りて、荷物部屋になっている……。 こんなケースを山のように私は聞いてきました。そして多くの日本人も、程度の差こそあれ、議員への口利きの話を耳に挟んでいるはずです。安倍晋三・菅義偉と、国会審議を重視せず、司法にまで介入するような政権が長く続き、国政選挙にさえ勝てば何をしてもいいという状態が続きました。 それを否定し、二階幹事長を厳しく批判してスタートしたはずの岸田政権も同じ道をたどっています。日本国民のほとんどは、特に若い人ほど報道の力を信じません。選挙でこの国が変えられるとも思っていません。私は大学で若い学生と接する度に、彼ら、彼女らのこの国への不信感を感じ続けてきました』、「私はこうしたシステムの事故が人為的ミスとして片づけられることが、まず怪しいと思います。人為的ミスが起こらないように設計することこそ、巨大システムの根本的な設計思想のはずだからです。 たとえば、前の人物がナンバーを打ち込んでいて途中で止めたところ、それが次の登録者のナンバーになってしまったといったミスを人為的ミスとしていますが、次の人物が登録作業に入った瞬間に、前の数字を自動的に消去するシステムにしておくことなどは、巨大システムの常識でしょう」、当然だがその通りだ。
・『真のデジタル化を進めるなら「デジタル監視庁」を創設せよ  せめて、報道機関がしっかりして、マイナンバーカードの欠陥を糾すことはできないのでしょうか。私は、財務省の力を抑えるために金融庁を設けたように、デジタル化を進めるために「デジタル監視庁」のような組織を設け、国や政権から完全に独立した捜査機関として、個人情報漏洩を厳しく追及するべきだと思います。 マイナンバーで大失敗や隠蔽をやっている人間たちを律し、法で裁けるようにすれば、国民は安心して、マイナンバーに登録すると考えます。たとえば、アメリカでは大量の個人情報流出があって、連邦政府のキャサリン・アーチュレタ人事管理局長が辞任しています。中国のサイバー攻撃により政府職員などの大量の個人情報が盗まれた事件の責任を取り、辞任という形を取りましたが、実際には野党やマスコミの追及が激しく、辞任させるしか鎮静化の方法がなかったからでした。日本にも、こうした厳正さが必要です。 どうして自民党政府は、こんな簡単なことがわからないのでしょうか。それはそうでしょう。戦後の政権のほとんどは自民党政権でした。つまりは行政と立法が同じ人間に支配され、安倍政権では司法さえ支配しようとして、検察のトップ人事にまで介入しかけていました(黒川検事長事件)。 それがいけないことだという自覚さえない議員が多いことに、国民は気付いています。野党は、国民のこの気持ちに配慮した国会運営、選挙戦略を立てるべきなのです。揚げ足取りだけでは、選挙で絶対勝てません』、「アメリカでは大量の個人情報流出があって、連邦政府のキャサリン・アーチュレタ人事管理局長が辞任しています。中国のサイバー攻撃により政府職員などの大量の個人情報が盗まれた事件の責任を取り、辞任という形を取りましたが、実際には野党やマスコミの追及が激しく、辞任させるしか鎮静化の方法がなかったからでした。日本にも、こうした厳正さが必要」、その通りだ。

次に、昨年12月3日付け現代ビジネスが掲載した一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/120082?imp=0
・『デジタル庁が発足して2年以上たつが、脱印鑑は、進んでいない。それどころか、アナログとデジタルの手段が入り乱れて、事態は悪化している。デジタル庁の存在意義を見直すべきではないか?』、どういうことなのだろう。
・『その昔、「脱印鑑」と言われたことがあった  「脱印鑑」ということが言われたことがある。ずいぶん昔のことだったような気がするので、おそらく、ほとんどの人は忘れてしまっただろう。 そこで改めて説明すると、コロナ禍において在宅勤務が奨励されたが、書類に印鑑を押す必要がある。それだけのために出社しなければならないという事態が頻発して、印鑑を廃止しようという声が高まったのだ。 印鑑が無意味だとは、多くの人がそれまでも日々の仕事の中で嫌というほど感じさせられていたことだ。 印鑑といっても、誰でも手に入る三文判。それを押したところで本人証明にはならないと思うのだが、しかし、規則なので、それがないと書類を受け取ってもらえない。受け取るほうも、一体何のためにこんなことが必要なのかと疑問に思いながらやっていたことなので、脱印鑑は多くの人の賛同を集めた。 そこで、政府も脱印鑑を重要な政策目標として掲げることとした。そして、デジタル庁という役所を新設して、この動きを実現することにした』、「デジタル庁」が「脱印鑑」を「重要な政策目標」としたのは初めて知った。
・『アナログだけより複雑化し悪化している では、脱印鑑は達成されたか?  少なくとも私が見聞きするかぎり、達成されたなどということは、全くない。依然として三文判の押印がなければ、書類を受け付けてくれない。 では、デジタル庁はどうなったのだろうか? コロナ期において、役に立たないアプリを作ったりして話題になったことは覚えているのだが、脱印鑑で何かやったようなことは聞いたことがない。 いや、脱印鑑どころか、事務手続きは、昔より煩雑化したような気がする。 私の場合、次に述べることが、最近ほぼ同時に起きたので、とりわけ強くそれを感じさせられた。 第1は、原稿料を受け取るために、恐ろしく面倒な請求書の作成・送付を要求されたことだ。先方がメールに添付して送ってきた指定形式の請求書に、自筆で署名して押印し、それをPDFにしてメールで返送せよというのだ。 様式自由の請求書に自筆で署名して押印し、郵便で送るのならまだましなのだが、手続きをメールでやりとりしているので、PDFをプリントしたり、それに押印してまたPDFにしたりして、ややこしい。 メールやPDFというデジタルの手段と、自筆署名や押印というアナログな手続きが絡んでいるので、面倒なことになっている。つまり、アナログだけだった時代より、事務手続きがさらに複雑化し、事態が悪化しているのだ。 世の中は依然として何も変わっていない、と言うのではない。繰り返すが、悪化しているのだ』、「メールやPDFというデジタルの手段と、自筆署名や押印というアナログな手続きが絡んでいるので、面倒なことになっている。つまり、アナログだけだった時代より、事務手続きがさらに複雑化し、事態が悪化しているのだ。 世の中は依然として何も変わっていない、と言うのではない。繰り返すが、悪化しているのだ」、事態が「悪化」しているとは酷い。
・『マイナンバーカードで事務負担が増えた  もう一つは、やはり原稿料を受け取るために、マイナンバーカードのコピーを送れという要請だ。 この要請自体は、昔からある。そもそも、私がマイナンバーカードを取得したのは、出版社からのこの要請に応じるためだ。 ここでは、つぎのことを要請される。まず、マイナンバーカードの裏表のコピーを取る。それに加え、マイナンバーカードの写真が本人であることを証明する写真付きの証明書(例えば、運転免許証)のコピーを添付せよと要請される。 私は、1980年代にはファックス機、プリンター、コピー機を使っていた。しかし、その後メールを使うようになって、これらはすべて処分してしまった。それからずいぶん時間が経ってからこの手続きを要求されるようになったので、再びプリンターを買わざるをえなくなった。 そもそも、マイナンバーカードは、本人証明をデジタル化するためのものである。ところが。実際には、逆になっている。つまり、マイナンバーカードは信用できないから、他の手段によって、その写真が正しいものであることを証明せよと言うのだ。 そこで、写真付き証明書、コピー機などのアナログ手段を総動員して、デジタル手段であるマイナンバーカードの信憑性を証明することになる。本末転倒もはなはだしい。 それに、マイナンバーカードが信頼できないのなら、そもそも、なぜマイナンバーカードのコピーを要求するのだろうか? これを聞いても、「規則でそうなっているから」という答しか返ってこない。 ここでも、事態は、アナログだけだった時代より、明らかに悪化している。私にとって、マイナンバーカードとは、「面倒なだけで、何の役にも立たないもの」の代名詞だ。 それでも、これまでは、何とか対応してきた。ところが、今回は、返信を書留郵便で送れという要請だった。そのために、わざわざ郵便局まで足を運ばなければならない。 何のためにこういう無駄なことをしなければならないのだろう。送るほうも大変だが、受け取って処理するほうも大変だろう。 こんな馬鹿げたことをやっていて、日本の生産性が上昇するはずがない。 そして、生産性が上がらなければ、日本の賃金が上がらないのも当然のことだ。政府は、賃上げ税制などということを考えるのではなく、無駄に満ちた日本の仕事の現状を合理化することに努めるべきだ。 デジタル庁は、こうした事態をどうして放置しているのだろう? こうしたことがはびこる社会は、デジタル庁の設置趣旨にもとるのではないだろうか?』、「筆者」がマイナンバーカードを取得したのは、出版社からのこの要請に応じるためだ。 ここでは、つぎのことを要請される。まず、マイナンバーカードの裏表のコピーを取る。それに加え、マイナンバーカードの写真が本人であることを証明する写真付きの証明書(例えば、運転免許証)のコピーを添付せよと要請される」、これは「出版社」の手続きが、「マイナンバーカード」を「マイナンバーカード」として、認めてないのと同じだ。私は、「マイナンバーカード」を納税手続きで使っているだけなので、民間企業の利用ではこうしたことがあり得るのかも知れない。本当に馬鹿げたことだ。
・『日本の警察はメール、ネットに手も足も出ない  もう一つの例を挙げよう。 前回の本欄で、詐欺サイトについて警察に対処を求めたことを書いた。その際、詐欺広告サイトのURLを通知したいと思い、メールで伝えたいと言った。 ところが、メールの連絡は受け付けないと断られた。警察は、同一署内の各部局間の連絡だけにメールを使っていて、外部との連絡にはメールを使っていないのだそうだ。 そこでやむを得ず、数百字にもなる非常に長いURLを、紙に印刷して郵送することにした。 しかし、これを受け取っても、使うことはできないだろう。何百字もの文字や記号を正しく入力できるなどとは、とても考えられない。 警察はこの件に関して対処できないと言ったが、相手のサイトも開けないのでは、対処できないのは当然のことだ。「日本の警察は、メールやインターネットという手段が使われる世界では、手も足もでない」ということだ。 改めて考え直してみると、これは当たり前のことなのかもしれない。数年前、私は税務署に1枚の書類を送るために、メールで写真を添付しても良いかと尋ねて、断られたことがある。税務署はメールの連絡を受け付けないのだそうだ。 日本政府のこのような信じられない現状に対して、デジタル庁は黙っていてよいのだろうか?』、民間でも、確か銀行や証券会社は、「メール」は受け付けないというクローズドな対応をしていた筈だ。もっとも最近は改善されたのかも知れない。
・『日本のデジタル化とはデジタル庁を作ることなのか?  結局のところ、日本のデジタル化とは、デジタル庁という役所を作ることだけだったのではないかという気がしてくる。 会計検査院は、細かい会計手続きだけを問題にするのでなく、そもそもデジタル庁を作ることが必要だったのか、デジタル庁を作って何が変わったのかを調査すべきだ。 当たり前のことだが、デジタル庁を作ったことが重要なのではなく、作ったデジタル庁が何をしたかが重要なのだ。設立後もう2年以上経つのだから、どんな成果があったかを明らかにするのは当然のことだ。誰もこのことを問題にしないのは、何とも不思議なことだ』、マイナンバーカードの利用促進策は初めに創設した省庁がやれば済むことだ。
・『 日本は1980年代の技術で止まった  ファックスを使えるようになって、なんと便利になったのだろうと感じたのは、1980年代のことである。なんと、今から40年以上も前のことだ。日本の事務処理の合理化は、その頃でストップしてしまって、その後、何も進んでない。それどころか、後退している。 これでは、急速に進歩する世界の動きについていけないのは、当然のことだ。世界の中で日本の地位が目に見えて低下していくのは当たり前のことと、絶望的な気持ちになる』、同感であるが、先述の情報セキュリティ上の問題が残ったままでは、一向に改善しない。情報セキュリティ問題と、オープンシステムの在り方として、掘り下げる必要がありそうだ。

第三に、本年1月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「あまりに異常なデジタル庁、「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣:国や地方自治体などの公的機関が、その行政業務を行うために必要なコンピューターシステムを共有するための仕組みである「政府(ガバメント)クラウド」。昨年11月、その提供事業者に初めて国内企業が選ばれたが、デジタル庁関係者は「日本企業の参入を妨害する」障壁があるという』、どういうことなのだろう。
・『米IT大手の独壇場に日本企業がついに参入  日本のデジタル産業に、ものすごく大きなニュースが飛び込んできた。「政府(ガバメント)クラウンド」のシステム提供事業者に、国内企業「さくらインターネット」が初めて選定されたのだ。2025年度末までに技術要件をすべて満たすという条件付きでの選定となる。 「ガバメントクラウド」とは、国や地方自治体のような公的機関が、その行政業務を行うために必要なコンピューターシステムを共有するための仕組みのことである。現在、それぞれの行政機関が自分たちだけの個別のコンピューターシステムを持っているが、ガバメントクラウドを利用することで、これらの機関はシステムの運用にかかる費用を減らすことができる。普通のクラウドサービスとは異なり、ガバメントクラウドは特にセキュリティーが高く設計されている点が特徴である。 これまで、このガバメントクラウドの提供事業者は、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を中心とする米IT大手の独壇場(というかほぼAWS1社の独壇場)で、〈多額の費用を米側に支払い、国際収支を1.6兆円も悪化させる要因になっていた〉(産経新聞・2023年12月5日)という』、経済安全保障の観点からは、「ガバメントクラウド」は米国の「AWS」ではなく、日本のIT企業とするべきだ。日系業者が準備が出来ていないようであれば、それを待つべきだ。
・『国家機密にあたる情報をアメリカ企業が握る危うさ  貿易の収支だけではない。安全保障上の観点からも、いくらアメリカが同盟国だとはいえ、国家機密にあたる情報をアメリカ企業に握られてしまうのは、非常に危険だとされている。 例えば、ヨーロッパ(EU)では、ガバメントクラウドを2種類に分けて、公開情報などの比較的セキュリティーを考えなくてもいい情報については、自由競争に任せて安い運営会社を選定している。結果として、AWS、マイクロソフト、グーグル、オラクルなどのアメリカ企業が、そのセキュリティーの低い分野でのガバメントクラウドを運用している。しかし、個人情報、国防、外交機密などセキュリティーを高くしないといけない情報については各国が自国企業を選んでいる実態がある。 日本は、アメリカと同じように、というとかなりの誤解を生むのだが、セキュリティーの高い分野も低い分野もアメリカ企業がガバメントクラウドを運営してきた。しかし、いくら「同じ」といっても、日本はアメリカではない。アメリカの企業は当然ながら日本よりもアメリカの法律や行政に従う実態がある』、「日本」も「EU諸国」並に「個人情報、国防、外交機密などセキュリティーを高くしないといけない情報については」「自国企業を選ぶ」ようにすべきだ。
・『アメリカの裁判所が令状を発行するとデータの提供を強制できる  アメリカには、米国クラウド法(Clarifying Lawful Overseas Use of Data Act: CLOUD Act)という法律がある。米国クラウド法は、電子データに関する国際的な法的問題について取り決められている。具体的には、アメリカの裁判所によって令状が発行された場合、アメリカの警察や政府機関は直接的に海外の企業にデータの提供を要求できるようになった。これには、メール、ドキュメント、写真などのデジタルデータが含まれている。 この法律は、AWSなどの持っているデジタルデータを、例えば日本やEU諸国のプライバシー関連の法律を超えて、アメリカの都合で、いくらでも見られてしまうという懸念が根強い。日本政府は、デジタル庁(地方公共団体情報システムの ガバメントクラウドの利用に関する基準 【第1.0版】など)がその懸念払拭に努めているが、相当怪しい。やはり機密性の高いデータについては、日本独自の法律が通用する企業が独占的に選定されるように進めていくのが、安全保障上の脅威を取り除くことにつながる。 その意味で、この「さくらインターネット」のガバメントクラウドの選定は、大変歓迎すべきニュースということになる。他にも今回は選定されなかったものの、IIJやソフトバンクも手を挙げていたとされ、今後の参入を期待していよう』、「さくらインターネット」の他、「IIJやソフトバンクも手を挙げていた」のであれば、望ましいことだ。
・『DXの取材のはずがトラクターを補助金で手に入れた話に…  しかし、こうした「国産クラウド」を手掛ける会社からは、日本におけるガバメントクランドについての「歪み」を指摘する声が相次いだのも確かだ。 もし、ガバメントクラウドの利用が日本中に増えることになると、過疎地域の地方自治体のDXが進むきっかけになる。最近、岩手県のとある町、過疎を絵に描いたような町へ取材をしに行ったが、町役場においてDXを担える人材など、はっきり言っていない印象だった。筆者はDXの状況を説明してほしいと聞いたが、話の途中で、農薬をまくトラクターを補助金で手に入れた話になっていた…。これは全国の自治体でも同様だろう。 鳥取県庁に至っては、チャットGPTの使用すら禁止してしまった。県知事いわく「ちゃんとじーみーちーに」として、効率化はしないと宣言した。トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙。鳥取県民に対し心の底から同情を禁じ得ない(現在は暫定利用を開始したらしい。さっさと積極利用すべきだ)が、どこの自治体もDXというと顔を背ける職員は多いだろう。この記事にあっても、2文目に「政府(ガバメント)クラウド」と出てきた時点で、読むのをやめている人もたくさんいるはずだ。私も似たような人種だ。カタカナは日本人の集中力を削いでいると思う』、「鳥取県庁に至っては、チャットGPTの使用すら禁止してしまった。県知事いわく「ちゃんとじーみーちーに」として、効率化はしないと宣言した。トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙」、「トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙」には心底驚かされた。
・『デジタル庁には多くの元アマゾン社員がいる  話がそれたが、このガバメントクラウドが活用されれば、中央官庁(総務省など)が最新のDXを駆使することで、地方行政のDXが勝手に最新のものへと更新されていくようになる可能性はある。今は、どこもバラバラですべて使い勝手の悪いものばかりだ。セキュリティーの高いクラウドという概念がないために、インターネットから遮断されたパソコンで個人情報などはバラバラに管理されている。 こうしたバラバラの情報を統合する動きが、法律で義務付けられたことを契機にはじまっているのだが、読売新聞(2023年12月4日)によれば、2025年度末までに完了できないとした自治体は全体の31%にも上っている。アンケートによれば、財政負担が重いのもそうだが、やはりデジタル人材の確保の難しさを挙げている自治体が多かった。 そしてまた、こうした個人情報を統合して預ける先が、米国企業というのは、自治体にとっても恐怖だろう。 この「歪み」、つまり国内企業がガバメントクラウドに参入できにくくしている理由がある。それは「デジタル庁がアマゾンに乗っ取られているからだ」とする関係者は多い。 「デジタル庁と初代デジタル庁大臣だった平井卓也氏とアマゾンの関係は深い。デジタル庁には多くの民間出身職員に元アマゾン社員がいて、幅を利かせている。今回のガバメントクラウドの技術要件はアマゾンの提供するAWSに準拠したものだが、約8割は日本の自治体に必要のないものだ。この無意味な技術要件が、日本企業の参入を妨害しているのは間違いない。当然、コストも上がる」(デジタル庁関係者) 実際に、日経新聞などの取材(2022年4月20日)でも〈「これじゃ米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のプレゼン資料そのものだ」。2021年10月、行政向けシステム基盤「ガバメントクラウド」の先行事業の公募で、デジタル庁が求める要件を見たIT(情報技術)企業関係者らは絶句した〉という声が上がっている。猪瀬直樹参議院議員も「ガバメントクラウド担当にアマゾン出身者がいたりする」(note・2023年7月18日)と、デジタル庁にアマゾンが強い影響力を持っているということをうかがわせるエピソードには事欠かない。 国産クラウドの登場を阻んでいるのは、アマゾン出身のデジタル庁職員によるアマゾンルールの適用の押し付けだ。こんな無駄な要件を突きつける、河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう』、「デジタル庁と初代デジタル庁大臣だった平井卓也氏とアマゾンの関係は深い。デジタル庁には多くの民間出身職員に元アマゾン社員がいて、幅を利かせている。今回のガバメントクラウドの技術要件はアマゾンの提供するAWSに準拠したものだが、約8割は日本の自治体に必要のないものだ。この無意味な技術要件が、日本企業の参入を妨害しているのは間違いない。当然、コストも上がる」(デジタル庁関係者) 実際に、日経新聞などの取材(2022年4月20日)でも〈「これじゃ米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のプレゼン資料そのものだ」。2021年10月、行政向けシステム基盤「ガバメントクラウド」の先行事業の公募で、デジタル庁が求める要件を見たIT(情報技術)企業関係者らは絶句した〉という声が上がっている。猪瀬直樹参議院議員も「ガバメントクラウド担当にアマゾン出身者がいたりする」(note・2023年7月18日)と、デジタル庁にアマゾンが強い影響力を持っているということをうかがわせるエピソードには事欠かない。 国産クラウドの登場を阻んでいるのは、アマゾン出身のデジタル庁職員によるアマゾンルールの適用の押し付けだ。こんな無駄な要件を突きつける、河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう」、「河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう」、飛んでもないことだ。「アマゾン」と「デジタル庁」の関係は、もっと深く掘り下げて追及すべきだ。
タグ:電子政府 ダイヤモンド・オンライン (その7)(デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ、そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり、あまりに異常なデジタル庁 「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣) 木俣正剛氏による「デジタル庁より「デジタル監視庁」を創設せよ」 「私はこうしたシステムの事故が人為的ミスとして片づけられることが、まず怪しいと思います。人為的ミスが起こらないように設計することこそ、巨大システムの根本的な設計思想のはずだからです。 たとえば、前の人物がナンバーを打ち込んでいて途中で止めたところ、それが次の登録者のナンバーになってしまったといったミスを人為的ミスとしていますが、次の人物が登録作業に入った瞬間に、前の数字を自動的に消去するシステムにしておくことなどは、巨大システムの常識でしょう」、当然だがその通りだ。 「アメリカでは大量の個人情報流出があって、連邦政府のキャサリン・アーチュレタ人事管理局長が辞任しています。中国のサイバー攻撃により政府職員などの大量の個人情報が盗まれた事件の責任を取り、辞任という形を取りましたが、実際には野党やマスコミの追及が激しく、辞任させるしか鎮静化の方法がなかったからでした。日本にも、こうした厳正さが必要」、その通りだ。 現代ビジネス 野口 悠紀雄氏による「そういえば「脱印鑑」はどこへ行った~デジタル庁でデジタル化はむしろ事態悪化、事務負担はかえって増えるばかり」 「デジタル庁」が「脱印鑑」を「重要な政策目標」としたのは初めて知った。 「メールやPDFというデジタルの手段と、自筆署名や押印というアナログな手続きが絡んでいるので、面倒なことになっている。つまり、アナログだけだった時代より、事務手続きがさらに複雑化し、事態が悪化しているのだ。 世の中は依然として何も変わっていない、と言うのではない。繰り返すが、悪化しているのだ」、事態が「悪化」しているとは酷い。 「筆者」がマイナンバーカードを取得したのは、出版社からのこの要請に応じるためだ。 ここでは、つぎのことを要請される。まず、マイナンバーカードの裏表のコピーを取る。それに加え、マイナンバーカードの写真が本人であることを証明する写真付きの証明書(例えば、運転免許証)のコピーを添付せよと要請される」、これは「出版社」の手続きが、「マイナンバーカード」を「マイナンバーカード」として、認めてないのと同じだ。私は、「マイナンバーカード」を納税手続きで使っているだけなので、民間企業の利用ではこうしたことがあり得るのかも 知れない。本当に馬鹿げたことだ。 民間でも、確か銀行や証券会社は、「メール」は受け付けないというクローズドな対応をしていた筈だ。もっとも最近は改善されたのかも知れない。 マイナンバーカードの利用促進策は初めに創設した省庁がやれば済むことだ。 同感であるが、先述の情報セキュリティ上の問題が残ったままでは、一向に改善しない。情報セキュリティ問題と、オープンシステムの在り方として、掘り下げる必要がありそうだ。 小倉健一氏による「あまりに異常なデジタル庁、「日本企業追い出しルール」を突き付ける河野太郎大臣:国や地方自治体などの公的機関が、その行政業務を行うために必要なコンピューターシステムを共有するための仕組みである「政府(ガバメント)クラウド」。 経済安全保障の観点からは、「ガバメントクラウド」は米国の「AWS」ではなく、日本のIT企業とするべきだ。日系業者が準備が出来ていないようであれば、それを待つべきだ。 「日本」も「EU諸国」並に「個人情報、国防、外交機密などセキュリティーを高くしないといけない情報については」「自国企業を選ぶ」ようにすべきだ。 「さくらインターネット」の他、「IIJやソフトバンクも手を挙げていた」のであれば、望ましいことだ。 「鳥取県庁に至っては、チャットGPTの使用すら禁止してしまった。県知事いわく「ちゃんとじーみーちーに」として、効率化はしないと宣言した。トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙」、「トップのばかげたダジャレで、効率化をやめるという暴挙」には心底驚かされた。 「デジタル庁と初代デジタル庁大臣だった平井卓也氏とアマゾンの関係は深い。デジタル庁には多くの民間出身職員に元アマゾン社員がいて、幅を利かせている。今回のガバメントクラウドの技術要件はアマゾンの提供するAWSに準拠したものだが、約8割は日本の自治体に必要のないものだ。この無意味な技術要件が、日本企業の参入を妨害しているのは間違いない。 当然、コストも上がる」(デジタル庁関係者) 実際に、日経新聞などの取材(2022年4月20日)でも〈「これじゃ米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のプレゼン資料そのものだ」。2021年10月、行政向けシステム基盤「ガバメントクラウド」の先行事業の公募で、デジタル庁が求める要件を見たIT(情報技術)企業関係者らは絶句した〉という声が上がっている。 猪瀬直樹参議院議員も「ガバメントクラウド担当にアマゾン出身者がいたりする」(note・2023年7月18日)と、デジタル庁にアマゾンが強い影響力を持っているということをうかがわせるエピソードには事欠かない。 国産クラウドの登場を阻んでいるのは、アマゾン出身のデジタル庁職員によるアマゾンルールの適用の押し付けだ。こんな無駄な要件を突きつける、河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう」、 「河野太郎デジタル大臣は、もはやアマゾンの奴隷と言っていいだろう」、飛んでもないことだ。「アマゾン」と「デジタル庁」の関係は、もっと深く掘り下げて追及すべきだ。
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詐欺(その1)(竹田恒泰氏〝M資金勧誘 受けた過去告白「マッカーサーの資金が…」「特殊な液をかけると…」、楽天部長は98億円 ソフトバンク部長は12億円…なぜ「大企業の部長クラス」は巨額詐欺に手を染めやすいのか 高い自己効力感が不正への罪悪感を希薄化する) [社会]

今日は、詐欺(その1)(竹田恒泰氏〝M資金勧誘 受けた過去告白「マッカーサーの資金が…」「特殊な液をかけると…」、楽天部長は98億円 ソフトバンク部長は12億円…なぜ「大企業の部長クラス」は巨額詐欺に手を染めやすいのか 高い自己効力感が不正への罪悪感を希薄化する)を取上げよう。

先ずは、昨年3月5日付け東スポWEB「竹田恒泰氏〝M資金勧誘〟受けた過去告白「マッカーサーの資金が…」「特殊な液をかけると…」」を紹介しよう。
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/255879
・『作家の竹田恒泰氏が5日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」に出演。〝M資金詐欺〟の被害に遭いかけたと告白した。 この日の番組では、ネット上にはびこる「デマ」「陰謀論」がテーマに。 竹田氏は「私の所に来たトンデモ陰謀論をお話したい」と切り出した。続けて「一流ホテルの仲のいい人に『どうしてもこの人に会ってほしい』という感じで行くわけです。するとすごいピシっとした方で『あなたに特別な話がある』みたいな感じで。『あなたに折り入ってお話ししたいことがある。今ここに1億円分現金があるんだ』って言うわけです」と証言した。 しかしその人物は、「ある事情で(札は)全部黒く塗られてる」「これに特殊な液をかけると全部消えて1万円札になる」と言い出したといい、竹田氏は「それに至るまでに3時間ぐらい説明があるんです。『ユダヤのどうのこうの』って」と苦笑。 この時点で共演の山口真由氏から「それ詐欺じゃん!」とあきれる声が飛んだが、この手の話がもう一つあったとか。 竹田氏は「ある時、『マッカーサーの資金があって、日本の経営者に渡したい』と。『でもこれは表に出す手続きがあって、あなたにその仕事をしてほしい。まずここに手形がある。見てほしい』って言うわけです。そこには『日本銀行 百兆円』って書いてあるんですよ。そこの話に至るまでやっぱり3時間ぐらいある」と振り返った。 いわゆる〝M資金詐欺〟と呼ばれるものだが、これには山口氏も「竹田さんの周り、そんなヤバい人ばっかりいるんですか?」とあ然。門田隆将氏も「呼ばれる竹田さんにも悪い点があるんじゃないの?」と勘ぐっていた』、第一の話で、「(札は)全部黒く塗られてる」「これに特殊な液をかけると全部消えて1万円札になる」というのは、まず1枚をテストで試してみると申し出られたら、どうするつもりなのだろう。第二の話では引き出しの条件まで進んでないので、何とも言えないが、『日本銀行 百兆円』とは余りに荒唐無稽だ。

次に、昨年11月3日付けPRESIDENT Onlineが掲載したパーソル総合研究所上席主任研究員の小林 祐児氏による「楽天部長は98億円、ソフトバンク部長は12億円…なぜ「大企業の部長クラス」は巨額詐欺に手を染めやすいのか 高い自己効力感が不正への罪悪感を希薄化する」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/76204
・『知名度の高い大手企業の部長クラスによる巨額詐欺事件が相次いで報じられた。パーソル総合研究所上席主任研究員の小林祐児さんは「業績が好調な企業ほど不祥事が起こりやすい。特に部長クラスには不正の関与率が高い傾向がある」という――』、興味深そうだ。
・『不正が起こる企業には共通点がある  昨今、企業における不祥事・不正のニュースが常にといっていいほど世間の大きな話題を集めている。企業内の不祥事の中には、組織ぐるみの計画的で大規模なものもあれば、特定の個人が単独で行う悪質な犯罪行為もある。 最近では、楽天モバイルの40代の元部長らが同社から約98億円を騙し取ったとして起訴された詐欺事件や、ソフトバンクの元統括部長が架空事業への投資名目で12億円を騙し取ったとされる詐欺事件が記憶に新しい。こうした大手企業のケースは大きく報道され、企業業績やブランドに甚大な損害をもたらす。 こうした「暴走する個人」による不正行動は、単独の悪意に基づくものが多いために、会社としても防ぎにくいように見える。しかし、筆者らの研究では、個人の不正リスクを上げる要素は、やはり組織・環境といった要因を持っていることがわかっている。そこで本稿では、定量データによって明らかになった個人の不正リスクを上げる要因と、それを防止する処方箋について議論したい』、「個人の不正リスクを上げる要因と、それを防止する処方箋に」、とは大いに参考になりそうだ。
・『業績好調の企業は不祥事が起こりやすい  まず、業績が「好調」な会社と「不調」な会社では、どちらで不正が多く発生しているのだろうか。 直感的には、「不調」組織のほうが、組織の末端に無理が生じて、不正を誘発しやすくなりそうな仮説もたてられよう。実際、不正事件の第三者委員会報告などでもそうした苦しい状況を不正の背景として論じるものも多い。しかし、発覚した不正を事後的に調査しているだけでは、不正発生の原因をつかむのは容易ではない。 パーソル総合研究所の調査による大規模な定量データに基づき、不正発生率を企業業績別に比較すると、業績が悪い組織も好調な組織も不正発生率が高い、「U字」になる傾向が見られた。業績が悪いだけではなく、「良い」ときにもまた不正は組織の中で発生しているということだ。 【図表】企業業績別 不正発生比率出所=パーソル総合研究所「企業の不正・不祥事に関する定量調査」』、「業績が悪い組織も好調な組織も不正発生率が高い、「U字」になる傾向が見られた。業績が悪いだけではなく、「良い」ときにもまた不正は組織の中で発生しているということだ」、なんとなく感覚的には理解できる。
・『イケイケ・ドンドンの組織は不正を軽く見る  また、この調査データを用いて、自社は不正が起こっても対処しないだろうとする「組織の不正黙認度」と、個人が不正を許容する「個人の不正許容度」を区別し、不正のリスクを複合的に分析し、それぞれを高めていた組織や個人の特性をまとめたのが図表2である。 【図表】個人と組織の「不正」促進要因出所=パーソル総合研究所「企業の不正・不祥事に関する定量調査」 複雑な分析のため、さまざまな要因が並んでいるが、本稿で見たいのは「左側」の個人の不正許容度を高める要素だ。先程みた企業自体の好業績の他にも、自由闊達かったつで開放的な組織風土や、スピード感や迅速さを重視するような組織であることなどが並んでいる。 ここからわかるのは、ビジネスの速度感が早く、「イケイケ・ドンドン」のような調子の良い組織では、不正が軽視され、個人の暴走を導きやすいということがわかる』、「ビジネスの速度感が早く、「イケイケ・ドンドン」のような調子の良い組織では、不正が軽視され、個人の暴走を導きやすいということがわかる」、常識とも合致する結論だ。
・『不正の関与率は「部長クラス」がもっとも高い  また、個人の不正リスク要因として注目したいのは、「昇進・昇格の見通し」である。つまり、個人的に優秀で出世競争でリードしているような個人は、不正に対して甘い認識を持ちがちだということだ。 そこで、役職と不正の関与率(目撃含む)を見てみても、一般社員より係長、課長が高く、部長相当でピークになっている。これらは、冒頭に挙げた2社における役職者による不正ケースとも符合する傾向である。 【図表】職位別 不正への関与・目撃率出所=パーソル総合研究所「企業の不正・不祥事に関する定量調査」』、権限が大きい方が「不正の関与率」も大きいためだろう。
・『調子に乗りすぎる「エース人材」の落とし穴  個人の不正リスクをさらに深く理解するために、不正に対する意識面からも分析してみた。個人の不正許容度と相関の高い意識は、自分で不正を制御できると感じる「コントロール幻想」や、誰かのために不正をすることを許容する「利他的不正」までいくつかの要素が明らかになっている。 こうした個人の不正に対する意識と組織特徴との関連を、矢印で影響関係を示したのが図表4である。 個人の不正に対する意識と組織の特徴の関連図出所=パーソル総合研究所「企業の不正・不祥事に関する定量調査」 本稿の関心から注目すべきは、右側の要素だ。優れた自社サービスがあったり、昇進見通しがあるといった、組織や個人がポジティブな状況は、「不正へのスリル・快感」へのプラスの影響が見られる。こうした「調子のよい」状況で自己効力感が高まり、不正への罪悪感が薄れてしまうことが示唆される結果だ。 さて、組織や個人がポジティブな状況において、不正リスクが上がってしまうという傾向が見えてきた。業績が良く、スピード感をもってサービスを展開しているようなとき、その裏では「優秀なエース人材」による不正が生まれやすい風土が醸成されている可能性が示されたのだ。企業としては、どうやってこのような個人の暴走を防げるのだろうか』、「組織や個人がポジティブな状況において、不正リスクが上がってしまうという傾向が見えてきた」、困ったことだ。「不正」がバレてしまうリスクはブレーキにならないのだろうか。
・『「ルール」では不正は防げない  近年、コンプライアンス(法令遵守)重視の流れで、業務プロセスの細やかなルール化や承認制、eラーニングなどのコンプライアンス研修などを増やす企業が多い。しかし、多すぎるだけで現場感の希薄なルールやマニュアル、自分ごと化されない研修トレーニングは、形式的にこなされるがために効果がほとんどない。「ルール」や「管理」の発想で人の行動を縛ろうとする昨今のコンプライアンスの流れは、組織の力学を十分に考慮できていない。 一方で、不祥事研究で昨今注目され始めてきたのは、人間関係の「ネットワーク」の在り方である。社内、社外における人と人との情報共有やコミュニケーションの量などのつながりの濃さ・薄さと不正との関わりが研究されてきている。 例えば、社内と社外とのネットワークのあり方に注目して企業の不正事案を分析した稲葉陽二は、社内に閉じすぎた閉鎖的なネットワークも、バラバラすぎるネットワークの欠如も、ともに不正へのリスクを高めるといった示唆を導き出している(稲葉陽二、2017、『企業不祥事は なぜ起きるのか ソーシャル・キャピタルから読み解く組織風土』、中央公論新社)』、「多すぎるだけで現場感の希薄なルールやマニュアル、自分ごと化されない研修トレーニングは、形式的にこなされるがために効果がほとんどない。「ルール」や「管理」の発想で人の行動を縛ろうとする昨今のコンプライアンスの流れは、組織の力学を十分に考慮できていない。 一方で、不祥事研究で昨今注目され始めてきたのは、人間関係の「ネットワーク」の在り方である。社内、社外における人と人との情報共有やコミュニケーションの量などのつながりの濃さ・薄さと不正との関わりが研究されてきている。 例えば、社内と社外とのネットワークのあり方に注目して企業の不正事案を分析した稲葉陽二は、社内に閉じすぎた閉鎖的なネットワークも、バラバラすぎるネットワークの欠如も、ともに不正へのリスクを高めるといった示唆を導き出している」、なるほど。
・『相談できる人が多い組織ほど不正は起こりにくい  こうした組織ネットワークの観点を取り入れ、筆者が企業に提言しているのは、個人の仕事の「ブラックボックス」を「人のネットワーク」で埋めていくことで不正を防ぐ施策だ。 我々の調査でも、同じ部署内のネットワーク(相談可能な人数)が多いほど、個人の不正許容度が低くなっていた。また、人のネットワークが厚いほど、関係者に不正をやめるように促すといった行動や、上司や同僚への相談・報告などの社内での報告行動が高まっている様子も見られた。社内ネットワークの厚みは、不正予防効果と同時に不正が放置されることを防ぐ効果がありそうだ。これは、これまでの不正防止施策の観点からは顧みられることのない論点である。 【図表】社内ネットワークが厚いほど不正を放置しない 従業員のつながりの創出やネットワークの強化には、多様な方法がある。役職者向けであればマネジメント・ピッチのような定例の議論の機会ももちろんのこと、社内外の研修訓練といった学びやリスキリングの機会も、フォーマルな形で人のネットワークを広げる手段の一つである。 また、社内に閉じがちなベテラン社員向けに越境学習のプログラムを提供することも、組織の外へとネットワークを開くことにつながる。他企業との共同研修などの機会も、仕事の進め方の違いや不正に対する意識について、「内輪の基準」にとどまらせないためのいい機会だろう。 コンプライアンス重視の流れで、「ルールで縛る」型の不正防止は、特に個人の不正防止という観点からは心もとない。モグラたたきのように対策と発生を繰り返すよりも、このような組織的な視点を持ったコンプライアンス対策への発想転換が必要な時期に来ているように思う』、「社内ネットワークの厚みは、不正予防効果と同時に不正が放置されることを防ぐ効果がありそうだ。これは、これまでの不正防止施策の観点からは顧みられることのない論点である・・・コンプライアンス重視の流れで、「ルールで縛る」型の不正防止は、特に個人の不正防止という観点からは心もとない。モグラたたきのように対策と発生を繰り返すよりも、このような組織的な視点を持ったコンプライアンス対策への発想転換が必要な時期に来ているように思う」、その通りだろう。
タグ:詐欺 (その1)(竹田恒泰氏〝M資金勧誘 受けた過去告白「マッカーサーの資金が…」「特殊な液をかけると…」、楽天部長は98億円 ソフトバンク部長は12億円…なぜ「大企業の部長クラス」は巨額詐欺に手を染めやすいのか 高い自己効力感が不正への罪悪感を希薄化する) 東スポWEB「竹田恒泰氏〝M資金勧誘〟受けた過去告白「マッカーサーの資金が…」「特殊な液をかけると…」」 第一の話で、「(札は)全部黒く塗られてる」「これに特殊な液をかけると全部消えて1万円札になる」というのは、まず1枚をテストで試してみると申し出られたら、どうするつもりなのだろう。第二の話では引き出しの条件まで進んでないので、何とも言えないが、『日本銀行 百兆円』とは余りに荒唐無稽だ。 PRESIDENT ONLINE 小林 祐児氏による「楽天部長は98億円、ソフトバンク部長は12億円…なぜ「大企業の部長クラス」は巨額詐欺に手を染めやすいのか 高い自己効力感が不正への罪悪感を希薄化する」 「個人の不正リスクを上げる要因と、それを防止する処方箋に」、とは大いに参考になりそうだ。 「業績が悪い組織も好調な組織も不正発生率が高い、「U字」になる傾向が見られた。業績が悪いだけではなく、「良い」ときにもまた不正は組織の中で発生しているということだ」、なんとなく感覚的には理解できる。 「ビジネスの速度感が早く、「イケイケ・ドンドン」のような調子の良い組織では、不正が軽視され、個人の暴走を導きやすいということがわかる」、常識とも合致する結論だ。 権限が大きい方が「不正の関与率」も大きいためだろう。 「組織や個人がポジティブな状況において、不正リスクが上がってしまうという傾向が見えてきた」、困ったことだ。「不正」がバレてしまうリスクはブレーキにならないのだろうか。 「多すぎるだけで現場感の希薄なルールやマニュアル、自分ごと化されない研修トレーニングは、形式的にこなされるがために効果がほとんどない。「ルール」や「管理」の発想で人の行動を縛ろうとする昨今のコンプライアンスの流れは、組織の力学を十分に考慮できていない。 一方で、不祥事研究で昨今注目され始めてきたのは、人間関係の「ネットワーク」の在り方である。社内、社外における人と人との情報共有やコミュニケーションの量などのつながりの濃さ・薄さと不正との関わりが研究されてきている。 例えば、社内と社外とのネットワークのあり方に注目して企業の不正事案を分析した稲葉陽二は、社内に閉じすぎた閉鎖的なネットワークも、バラバラすぎるネットワークの欠如も、ともに不正へのリスクを高めるといった示唆を導き出している」、なるほど。 「社内ネットワークの厚みは、不正予防効果と同時に不正が放置されることを防ぐ効果がありそうだ。これは、これまでの不正防止施策の観点からは顧みられることのない論点である・・・コンプライアンス重視の流れで、「ルールで縛る」型の不正防止は、特に個人の不正防止という観点からは心もとない。モグラたたきのように対策と発生を繰り返すよりも、このような組織的な視点を持ったコンプライアンス対策への発想転換が必要な時期に来ているように思う」、その通りだろう。
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政府財政問題(その10)(MMT信者がインフレ期に決まって口にすること、「血の出るような努力」でバラマキ財政を脱却せよ!今すぐ取り組むべき3つの課題とは? コロナ禍が収束した今こそ、財政運営は平時に復帰せよ 2024年度当初予算は正常化へ立ち返る意志が欠如、「日本は財政赤字で将来ヤバイ」→実は財政赤字が縮小していた!【エコノミストがデータで解説】) [経済政策]

政府財政問題については、本年2月8日に取上げた。今日は、(その10)(MMT信者がインフレ期に決まって口にすること、「血の出るような努力」でバラマキ財政を脱却せよ!今すぐ取り組むべき3つの課題とは? コロナ禍が収束した今こそ、財政運営は平時に復帰せよ 2024年度当初予算は正常化へ立ち返る意志が欠如、「日本は財政赤字で将来ヤバイ」→実は財政赤字が縮小していた!【エコノミストがデータで解説】)である。

先ずは、本年3月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した英国の経済学者のスティーヴン・D・キング氏と翻訳家の千葉敏生氏による「MMT信者がインフレ期に決まって口にすること」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339710
・『たびたびニュースを騒がせている「インフレ」。実は日本では実に40~50年ぶりであることをご存じだろうか(日本のバブル期には資産価格は上がったが、物価はほぼ上がらなかった)。インフレを経験として知っている人は少ない。そんななか、これから物価が上昇していく時代に突入しようとしている。 本連載では、ローレンス・サマーズ元米国財務長官が絶賛したインフレ解説書『僕たちはまだ、インフレのことを何も知らない』から、「そもそもインフレとは何か?」「インフレ下では何が起こるのか?」「インフレ下ではどの資産が上がる/下がるのか?」といった身近で根本的な問いに答えている部分を厳選して紹介する』、「「インフレ」。実は日本では実に40~50年ぶり・・・日本のバブル期には資産価格は上がったが、物価はほぼ上がらなかった」、改めて思い出した。
・『政府がインフレの誘惑に負けると何が起こるのか  究極的には、政府は増税に代わる狡猾な手段として、貨幣を印刷したいという誘惑に駆られる。そのメカニズムは状況に応じてさまざまだが、結果はたいてい同じだ。 その他の条件がすべて同じならば、インフレ率の上昇を招く金融緩和による政府借り入れの大幅な増加は、次の作用を及ぼすだろう。 (ⅰ)実質金利を低下させることで(現金資産に対する課税に相当)、貯蓄家から資産を奪い取る。 (ⅱ)為替レートを下落させ、輸入価格を上昇させることで(輸入品に対する付加価値税の増税に相当)、または物価を賃金と比べて相対的に上昇させることで(稀少資源を軍事転用しなければならない戦時中によく起こるように[*1])、消費者から資産を奪い取る。 (ⅲ)わずかばかりの貯蓄をインフレに強い資産ではなく現金で保有していることが多く、インフレ圧力の上昇に対する効果的な保護について交渉する能力に乏しい貧困者から資産を奪い取る。逆に、恩恵を受ける可能性があるのは、住宅ローンを抱える人々、価格支配力を持つ人々(大企業、労組加入の労働者)、そしてもちろん、政府の財政に責任を負う人々だ。しかし、このプロセスは秘密裏に進むとともに、このうえなく非民主的でもある』、「貯蓄家から資産を奪い取る」、「消費者から資産を奪い取る」、「貧困者から資産を奪い取る」、「恩恵を受ける可能性があるのは、住宅ローンを抱える人々、価格支配力を持つ人々」、「このプロセスは秘密裏に進むとともに、このうえなく非民主的でもある」、その通りだ。
・『MMT信者がインフレ対策でよく主張する2つのこと  おまけに、インフレが実際に姿を現わすと、MMTの支持者たちは、インフレ全般を抑制するかわりに、より問題のある分野(最たる例はエネルギー分野)の需要を制限するか、供給を押し上げることが解決策になる、と主張することが多い。 この考え方の根底には、歴史の不思議な解釈がある。たとえば、1980年代、「最終的にインフレを終結させたのは、中東で交渉された平和条約[*2]と、カーター政権下の規制緩和の恩恵を受けた代替エネルギー源、つまり天然ガスの開発だった[*3]」という主張がその1つだ。 それと同様のことをする、というのが2022年中盤に出された提言だった。 ウクライナ戦争の解決の交渉が必要だ。また、(長く先延ばしになっている)再生可能エネルギーへの投資も必要だ。(中略)Fedにはインフレ率は下げられない。エネルギー価格は下げられないからだ。(中略)バイデン大統領は腹を割ってアメリカ国民に語りかけるべきだ。(中略)不要不急の旅行を避けるよう呼びかけ、(中略)雇用主に在宅勤務を認めるよう促し、(中略)公共交通を全乗客に対して無料化し、(中略)港での滞留を緩和し、(中略)住宅を建設するのだ![*4] どれも立派な提言だが、この文章が書かれる頃には、ウイルスパンデミックはインフレパンデミックへと姿を変えていた。アメリカのインフレ率を上昇させていた犯人はエネルギー価格だけではなかった。耐久消費財、非耐久消費財、サービス、そして遅ればせながら人件費。何もかもがどんどん値上がりしていった。 平和条約の実現を待つとか、単純に供給が需要に追いつくのを期待するというのは、希望的観測でしかなく、インフレ対策に有効な政策の選択肢とはいえなかった。 1940年、ジョン・メイナード・ケインズが有名な著書『戦費調達論』を記したのは、戦争がインフレの元凶だと正確に認識していたからだ。彼の答えは複雑で、戦争終結時まで「消費を繰り延べる」ための貯蓄政策を含むものだった。しかし、彼の提言は、アドルフ・ヒトラーとの「解決の交渉」から始まったりはしなかった[*5]』、「ウイルスパンデミックはインフレパンデミックへと姿を変えていた。アメリカのインフレ率を上昇させていた犯人はエネルギー価格だけではなかった。耐久消費財、非耐久消費財、サービス、そして遅ればせながら人件費。何もかもがどんどん値上がりしていった」、なるほど。
・『MMTは「虚構」である  単純に、MMTの支持者たちはインフレなど眼中にないのだ、と結論づけたくなる。誰でもそうだが、彼らもインフレが起こらないに越したことはない、と思っている。 しかし、実際にインフレが起きると、彼らは目先の経済的な痛みを避けようとして、あわてて適当な言葉で取り繕ったり、説得力に欠く解決策を提案したりする。 そもそも、印刷機(現代における物価安定の最大の脅威)が政府債務を穴埋めする最も手軽で信頼できる道具だ、と信じる学派なのだから、それもしかたないのだろうが。 彼らもまた、財政政策が金融政策から完全に独立していると口では言いつつも、テイラーとバートンと同じ道〔財政政策と金融政策が結びつくこと〕を歩んでいるのだ。 しかし、従来のアプローチとMMTのアプローチには1つ、大きな違いがある。従来のフレームワークの支持者は、金融政策に対する財政支配〔財政当局が先導的な立場に立ち、金融政策が財政政策に従属している状態。←→金融支配〕を嫌う。政治的なご都合主義は物価の不安定性を高めるだけだ、と心配しているからだ。 彼らはまた、財政政策と金融政策という2種類の政策的な「てこ」を分離できる、と思い込んでいる。そのほうがすっきりしているからだ。 対照的に、MMTの支持者たちは、財政支配を支持している。その根底には、政府が印刷機の誘惑に逆らえるはずだ、という歪んだ歴史観があるように思えてならない。 つまり彼らの世界では、信用できない存在は金融当局だけなのだ。だが、それは虚構の世界であり、じっくりと観察のなされた事実とはいえない。 注 *1 よく用いられる代替策(または追加策)が配給だ。 *2 どの平和条約なのかは明記されていない。原油価格は1985年に暴落したが、イラン・イラク戦争は1988年の停戦まで続いた。いずれにせよ、インフレ体験は国によってまちまちだったので、金融政策の違いが重要な役割を果たしたことに疑いの余地はない。 *3以降の注は省略)』、「MMTの支持者たちは、財政支配を支持している。その根底には、政府が印刷機の誘惑に逆らえるはずだ、という歪んだ歴史観があるように思えてならない。 つまり彼らの世界では、信用できない存在は金融当局だけなのだ。だが、それは虚構の世界であり、じっくりと観察のなされた事実とはいえない」、その通りだ。

次に、4月3日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した財政評論家の米澤潤一氏による「「血の出るような努力」でバラマキ財政を脱却せよ!今すぐ取り組むべき3つの課題とは? コロナ禍が収束した今こそ、財政運営は平時に復帰せよ 2024年度当初予算は正常化へ立ち返る意志が欠如」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341476
・『ただでさえ大きな日本の国債残高はコロナ禍の4年間でさらに200兆円、率にして24%も増えた。この間の財政運営にも問題が多いとはいえ、コロナ禍が収束した現在、これを引きずることなく正常な平時の財政運営に復帰することが急務である。しかし、2024(令和6)年度当初予算にはその決意が欠けている。日本財政の現状を踏まえた上で将来を見据え、コロナ禍後の財政運営の課題を示す』、興味深そうだ。
・『直近4年間で国債残高が200兆円も増加  コロナ禍直前の2019(令和元)年度末から直近23(令和5)年度末までの4年間で、(借換債の前倒し発行を除いた)実勢国債残高は約200兆円増えた。それ以前9年間分の増加額に半分以下の年数で達しており、結果として国債残高の対GDP比は159.2%から186.7%へと27.5%ポイントも上昇した。 本誌23年5月30日号掲載の拙稿「積み上がった国債残高『1,000兆円』の要因分析と今後の課題」(以下、前稿)で解説しているとおり、国債残高は特殊要因を除きプライマリーバランス(PB)の赤字と利払い費等の合計額だけ増加する。これに沿ってこの4年間200兆円の増加要因を分析すると、利払い費などはわずか30兆円強で、残り170兆円弱がこの間のPBの赤字の累計である(図表1)。 (図表1:コロナ期の財政悪化状況 はリンク先参照) このPB赤字をもたらした要因の過半を占めるのが、20(令和2)年度から22(令和4)年度までの3年間の補正追加141兆円であり、その内訳は図表2のとおりである。感染拡大防止や医療体制整備などの直接的コロナ対策費はわずか1割強の14.6兆円にとどまっている。残りの経費を見れば、雇用維持・事業継続といった経済対策はまだしも、10万円一律給付というバラマキや、感染拡大防止に逆行した「Go To ××」をはじめとする飲食宿泊旅行業者支援や、デジタル化・防衛費といった便乗、使途不明な地方交付金などで、ひいき目に見ても半分は財政法の補正予算の要件に該当しない不要不急の補正追加だったといわざるを得ない。 (図表2:2020(令和2)~22(令和4)年度の補正追加141兆円の内訳 はリンク先参照) このことは、その分だけ財政を悪化させたということだけにとどまらない。コロナ禍対策など時々の旗印があれば何でも許される風潮を常態化させ、将来にわたって安易な財政出動が繰り返される先例となることが何よりも恐ろしい。コロナ禍が収束した今こそ、こうした風潮を払拭し、財政の現状に対する危機感と改善に向けた真剣な努力を復活することが求められている。24(令和6)年度の財政運営は、平時への復帰初年度として、その第一歩を踏み出すか否かの試金石といえるはずだ』、「PB赤字をもたらした要因の過半を占めるのが、20(令和2)年度から22(令和4)年度までの3年間の補正追加141兆円であり、その内訳は図表2のとおりである。感染拡大防止や医療体制整備などの直接的コロナ対策費はわずか1割強の14.6兆円にとどまっている。残りの経費を見れば、雇用維持・事業継続といった経済対策はまだしも、10万円一律給付というバラマキや、感染拡大防止に逆行した「Go To ××」をはじめとする飲食宿泊旅行業者支援や、デジタル化・防衛費といった便乗、使途不明な地方交付金などで、ひいき目に見ても半分は財政法の補正予算の要件に該当しない不要不急の補正追加だったといわざるを得ない」「ひいき目に見ても半分は財政法の補正予算の要件に該当しない不要不急の補正追加だった」とは酷い話だ。特に「Go To ××」は悪乗りした悪手だ。
・『平時への回帰の兆候が見えない24年度当初予算  差し当たっては、先に成立した当初予算について、いわばコロナ禍からの脱却の第一歩が踏み出されているか否かを評価してみたい。 財務省が公表している23(令和5)年度当初予算との対比では、24(令和6)年度当初予算は国債発行額が微減、PB赤字が10.8兆円から8.8兆円へと2兆円減少しており、心持ち改善しているようにも見える。しかし、実は23(令和5)年度歳出には防衛力強化のための将来年度支出の財源となる「防衛力強化資金繰入」が3.4兆円含まれている。仮にこれを考慮すれば実質的には改善になっていない。 その上、そもそも23(令和5)年度予算にはコロナ対策の後遺症的なものも含まれていることから、両者の比較ではポストコロナ予算初年度としての評価には適さない。そこで、本稿ではコロナ禍直前、いわば直近平時に策定された20(令和2)年度当初予算との比較で分析する(図表3)。 (図表3:2020(令和2)年度と24(令和6)年度の当初予算対比 はリンク先参照) 注目すべきことは、コロナ禍にもかかわらず、この4年間の税収は好調で、減税前で8.5兆円増加したことだ。これは消費税率の8%への引き上げが実現した14(平成26)年度以降7年度分の増収を上回る。税外収入の増加額を加えると9.4兆円の増収となった。 残念なことにこれで気が緩んだのか、この税収増は財政改善には回らず、減税2.4兆円、歳出増9.9兆円に充てられた。結果、国債発行額は2.9兆円増え、PBの改善はわずか0.8兆円で、税収等増加分の1割以下にとどまった。リーマンショックから回復した11(平成21)年度以降の当初予算では、国債発行額が10年連続で減少を続け、国債残高の対GDP比も低下はしないものの、緩やかな上昇にとどまっていた。そのように控えめながら財政改善への努力が営々と続いたコロナ以前の路線(図表4)には復帰していないということだ。 (図表4:リーマンショック以降の当初予算国債発行額と国債残高GDP比の推移 はリンク先参照) 当初予算での歳出構造の改革については、前稿で、社会保障における受益と負担の不均衡是正、地方交付税等の水準適正化などを課題として提起した。しかし今回、当初予算での歳出構造の改革にも見るべきものがない。まさに財政改善への意欲の欠如の現れである。一方で社会保障と防衛以外の社会インフラや、科学技術などの成長の基盤は横ばいないし減少している。つまり、経済の活力をそいでいるか、財政法を無視した補正予算での計上が常態化するなどの弊害が生じているということだ』、「財政法を無視した補正予算での計上が常態化するなどの弊害が生じている」、その通りだ。
・『ポストコロナにおける財政運営の課題  前稿で詳しく分析したとおり、現在の国債残高1,000兆円超の発生要因は4割が利払い費など、6割がPB赤字の累計によるものである。そのPB赤字累計600兆円をさらに分解すると、その6割が当初予算から計上されている構造的要因、残り4割が年度途中の補正追加などによる臨時的要因である。 コロナ禍が収束して平時に戻った今日、財政の持続可能性を回復し、将来また起こり得るリーマンショックやコロナ禍に匹敵するような不測事態や大規模災害に備え、財政の機動力を確保するために財政改善が急務である。そのためには、この構造的要因と臨時的要因の双方について改革が必要である。 今年度については、前述のとおり当初予算での構造的要因の改善には残念ながら見るべきものがないが、もはや予算は成立しているので、この点は来年度以降の予算に期待するほかない。そう考えると24(令和6)年度財政運営の正念場は、年度内の執行や補正予算編成にかかっている。予算の概算決定をやり直すという異例なプロセスで倍額の1兆円にまで上積みされた一般予備費や、新規の「原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費」をどう使うかなども今後の注目点となる。 平時に戻った24(令和6)年度こそ、コロナ禍の時期に(「やむを得ず」という気持ちからにしても)営んだ財政法無視の「何でもあり」の財政運営から完全に脱却して、財政法の原則に沿った財政運営に復帰すべきである。具体的には、次の三つを励行してほしい。 一つ目は、補正予算を財政法29条の「予算策定後の事由に基づき特に緊要となった経費」に限るという原点に立ち戻り、災害復旧等、真にやむを得ないものに限ることだ。ましてや補正予算での予備費積み増しなどという憲法違反の疑いがあるような措置を繰り返さないことは言うまでもない。 二つ目は、税の自然増収や歳出不用による剰余金発生が見込まれる場合には、法律どおり特例公債の発行をその分だけ減額し、剰余金を発生させないようにすることだ。そして、摩擦的に剰余金が発生した場合にはその全額を公債償還財源に充てるべきである。 そして三つ目は、前述のとおり、当初予算に計上したそれぞれ1兆円の一般予備費と「原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費」の取り扱いだ。これらの執行に厳正を期することが求められる』、「平時に戻った24(令和6)年度こそ、コロナ禍の時期に(「やむを得ず」という気持ちからにしても)営んだ財政法無視の「何でもあり」の財政運営から完全に脱却して、財政法の原則に沿った財政運営に復帰すべきである。具体的には、次の三つを励行してほしい。 一つ目は、補正予算を財政法29条の「予算策定後の事由に基づき特に緊要となった経費」に限るという原点に立ち戻り、災害復旧等、真にやむを得ないものに限ること・・・二つ目は、税の自然増収や歳出不用による剰余金発生が見込まれる場合には、法律どおり特例公債の発行をその分だけ減額し、剰余金を発生させないようにすることだ・・・三つ目は、前述のとおり、当初予算に計上したそれぞれ1兆円の一般予備費と「原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費」の取り扱いだ。これらの執行に厳正を期することが求められる」、なるほど。
・『実現可能な中長期的財政改善計画を  さらに1点ほど制度的な観点を追加しておきたい。1975(昭和50)年度の特例公債依存以降、財政再建ないし財政構造改革の必要性は認識され、改善目標が繰り返し提示されては挫折してきた。 最初は翌76(昭和51)年5月、三木武夫内閣で80(昭和55)年度の特例公債脱却がうたわれた。この目標は2度先延ばしされた後、90(平成2)年度にいったん実現した。これが史上唯一の実現で、その後はことごとく挫折の歴史をたどる。 バブル崩壊後、一時景気回復が見られた橋本龍太郎内閣時代の96(平成8)年には、2003(平成15)年度の財政赤字GDP比をEU基準並みの3%以下に引き下げることと、特例公債脱却を柱とする包括的な財政構造改革法が立案され、国会に提出された。しかし、不幸なことにその成立は1997(平成9)年11月の金融危機直後の12月となり、同法は一度も施行されることなく翌98(平成10)年12月にお蔵入りとなった(図表5)。 (図表5:特例公債脱却目標と財政構造改革法の実績 はリンク先参照) その後2002(平成14)年には、小泉純一郎内閣が「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」で「2010年代初頭に国・地方のPBのGDP比黒字化を目指す」と提起した。それ以来計6回にわたって国・地方合計のPBのGDP比黒字化目標が掲げられたが、すべて画餅に帰している。 現在は7回目の「経済財政運営と改革の基本方針2018」の25年黒字化目標が生きていることになっている。しかし、24(令和6)年度予算の国会提出と同時に内閣府が公表した非現実的に楽観的な前提を置いた中長期財政試算によってすら、その実現は見込まれていない(図表6)。 (図表6:PB黒字化目標と実績 ハリンク先参照) 付言すれば、国・地方の合計PBが均衡しても地方が恒常的にプラス(1%前後)のため、国はなおマイナスである。地方交付税などの水準適正化が必要な理由の一つはこの点にある。 お蔵入りになった財政構造改革法のような具体的な改革方策を示さない限り、ただの空念仏を繰り返すだけに終わってしまう。高校時代のドイツ人教師から教わった「地獄への道は善意で敷き詰められている」という西洋のことわざが思い出される。 さらにいえば、防衛力強化策や少子化対策のように、追加的な歳出増加策をつまみ食い的に策定し、その財源すらまともに確保されていないようでは財政改善は望むべくもない。コロナ禍の収束後、平時に復帰した日本財政の在り方として、まずは現実的な前提の下に実効性のある歳入・歳出両面からの具体策を伴う全体像を策定すべきだ。その上でこれに沿って、血の出るような努力を計画的に一歩ずつ続けていく必要がある。必要な新規施策はその歳入歳出の全体像の中で、一体的に織り込むべきものである。(米澤氏の略歴はリンク先参照)』、「コロナ禍の収束後、平時に復帰した日本財政の在り方として、まずは現実的な前提の下に実効性のある歳入・歳出両面からの具体策を伴う全体像を策定すべきだ。その上でこれに沿って、血の出るような努力を計画的に一歩ずつ続けていく必要がある。必要な新規施策はその歳入歳出の全体像の中で、一体的に織り込むべきものである」、同感である。

第三に、5月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した名古屋商科大学ビジネススクール教授の原田 泰氏による「「日本は財政赤字で将来ヤバイ」→実は財政赤字が縮小していた!【エコノミストがデータで解説】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/343523
・『日本は財政赤字で大変なことになると言われているが、実は日本の財政赤字は縮小している。このことは何度も書いたのだが、残念ながらこの事実を認めて下さる方は少ない(例えば、「日本の財政は本当に危機的なのか?『ワニの口』財政理論のカラクリとは」)。加えて、将来は大変なことになるという方も多い。そこで将来の財政状況がどうなるかを予測してみたい。財政状況の指標としては政府債務対GDP比を用いる。なお、ここでの債務は、通常使われる粗債務ではなく、粗債務から政府の保有する金融資産を差し引いた純債務を用いている。後述するように、金利の動きが重要なので、政府が支払う金利と受け取る金利を相殺することが必要だからだ。なお、2023年の政府粗債務残高の対GDP比は260.1%、政府純債務残高の対GDP比は161.5%である』、興味深そうだ。
・『政府債務の対GDP比の変化はどう説明できるか  予測の上で重要なのは、「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」という概念である。政府支出のうち金利払いと元本返済のための支出を除いたものをE、政府収入をR、とするとE-Rが基礎的財政収支である。さらに金利をr、名目GDPをY、t+1期の政府債務をDt+1、前期の政府債務Dtとすると Dt+1=E-R+rDt+Dt となる。この式の意味は、当たり前だが、今期の政府債務Dは、基礎的財政収支E-Rと政府債務の利払い(金利×前期の政府債務)と前期の政府債務とを足したものということである。 また、政府債務の増加をΔDと書くと ΔD=Dt+1-Dt=(E-R)+rDt となる。 政府債務の対GDP比D/Yの変化率をΔ(D/Y)、名目GDPの成長率をgと書くと  Δ(D/Y)=(E-R)/Y+(r-g)D/Y となる。 D/Yが減少するためには、Δ(D/Y)<0でなければならないから (E-R)/Y+(r-g)D/Y <0 であればよい。 すなわち、基礎的財政収支E-R/名目GDP Yと(金利r-名目成長率g)×(政府債務残高D/名目GDP Y)の和がマイナスであれば政府債務の対GDP比率は低下する』、簡単な数式での定式化はわかりやすい。
・『現実の動きはどうだったのか  上記の変数がどう動いてきたかを示したのが図1である。 (図表:図1 政府債務残高変化の要因 はリンク先参照) 図に見るように、リーマンショック以来急上昇していた政府債務残高の対GDPは安定するようになった。 それを2つの要因で説明すると、まず第1の要因として、基礎的財政収支(PB)/名目GDPが90年代初から常にプラスとなり(赤字の時がプラス)、98年の日本の金融危機時、2008年のリーマンショック時に拡大したことが分かる。しかし、2013年の大規模緩和以降、基礎的財政収支は縮小した。 第2の要因として(r-g)×(政府債務残高/名目GDP)を見ると、大規模緩和までプラスであった(r-g)が大規模緩和後マイナスに転じた。これは大規模緩和で金利が低下し、名目GDP成長率がプラスになったからである。 以上2つの要因で政府債務残高の対GDP比は安定した。 コロナショックで再び政府債務残高の対GDP比が上昇するようになったが、それはやむを得ない。非常時には政府支出で人々を助けるしかないからで、基礎的財政収支の赤字も拡大せざるを得ない。もちろん、やむを得ない支出ばかりだったかどうかは精査すべきではある。そのあたりについては、原田泰『コロナ政策の費用対効果』(ちくま新書)を参照いただきたい』、「リーマンショック以来急上昇していた政府債務残高の対GDPは安定するようになった。 それを2つの要因で説明すると、まず第1の要因として、基礎的財政収支(PB)/名目GDPが90年代初から常にプラスとなり(赤字の時がプラス)、98年の日本の金融危機時、2008年のリーマンショック時に拡大したことが分かる。しかし、2013年の大規模緩和以降、基礎的財政収支は縮小した。 第2の要因として(r-g)×(政府債務残高/名目GDP)を見ると、大規模緩和までプラスであった(r-g)が大規模緩和後マイナスに転じた。これは大規模緩和で金利が低下し、名目GDP成長率がプラスになったからである。 以上2つの要因で政府債務残高の対GDP比は安定した」、なるほど。
・『2つの要因による将来予測  以上の分析から明らかになったことは、政府債務残高の対GDP比は、基礎的財政収支(PB)/名目GDPと(r-g)×(政府債務残高/名目GDP)の2つの要因で説明できるということである。 図2は、PB/Y=1かつr-g=-1、PB/Y=2.5かつr-g=-1、PB/Y=0かつr-g=2の3つのケース、すなわち、基礎的財政収支の対GDP比が1%の赤字かつ金利-名目GDP成長率がマイナス1%、基礎的財政収支の対GDP比が2.5%の赤字かつ金利-名目GDP成長率がマイナス1%、基礎的財政収支の対GDP比が均衡(0%)かつ金利-名目GDP成長率がプラス2%の3つのケースを示している。 ここで金利-名目GDP成長率がプラス2%とは2013年4月の異次元金融緩和以前の平均、金利-名目GDP成長率がマイナス1%とは異次元緩和以後の平均である。(図表:図2 政府債務残高のシミュレーション はリンク先参照) 図に見るように、金利-名目GDP成長率がマイナス1%の場合、基礎的財政収支が2.5%の赤字でも政府債務残高の対GDP比があまり上昇せず(2060年で194%)、基礎的財政収支の赤字を1%にすれば政府債務残高の対GDP比は順調に低下していくことが分かる(2060年で148%)。 ところが、基礎的財政収支を均衡(0%)させても、金利-名目GDP成長率がプラス2%では政府債務残高の対GDP比は上昇してしまうことが分かる(2060年で244%)。すなわち、基礎的収支均衡を達成しても異次元緩和以前のように名目GDPの成長率がマイナスでは財政再建は達成できない。財政再建にはデフレ脱却が重要ということである。逆に言えば、過去のデフレ政策は財政悪化の大きな要因であったということである。 つまり、基礎的収支の赤字をいくら頑張って減らしても、デフレで金利が名目成長率よりも高いような状況を作っては、財政再建などできないということである。 財政安定化には、基礎的財政収支の赤字を2.5%程度にすることが必要だが、これにはどの程度の緊縮策が必要だろうか。2024年の基礎的財政収支は、IMFの予測によれば3.6%であるから、後1.1%の財政赤字削減で良いということになる。すなわち、財政再建には、まず金融緩和を続けることが必要であり、その中で徐々に財政赤字を縮小していけばよいということになる』、「基礎的収支の赤字をいくら頑張って減らしても、デフレで金利が名目成長率よりも高いような状況を作っては、財政再建などできないということである。 財政安定化には、基礎的財政収支の赤字を2.5%程度にすることが必要だが、これにはどの程度の緊縮策が必要だろうか。2024年の基礎的財政収支は、IMFの予測によれば3.6%であるから、後1.1%の財政赤字削減で良いということになる。すなわち、財政再建には、まず金融緩和を続けることが必要であり、その中で徐々に財政赤字を縮小していけばよいということになる」、「財政再建には、まず金融緩和を続けることが必要であり、その中で徐々に財政赤字を縮小していけばよいということになる」、財政再建の観点からはそうでも、金融政策はそろそろ利上げも展望したものになるとすれば、「財政再建」は二義的な目標に下げざるを得ないようだ。
タグ:政府財政問題 (その10)(MMT信者がインフレ期に決まって口にすること、「血の出るような努力」でバラマキ財政を脱却せよ!今すぐ取り組むべき3つの課題とは? コロナ禍が収束した今こそ、財政運営は平時に復帰せよ 2024年度当初予算は正常化へ立ち返る意志が欠如、「日本は財政赤字で将来ヤバイ」→実は財政赤字が縮小していた!【エコノミストがデータで解説】) ダイヤモンド・オンライン スティーヴン・D・キング氏 千葉敏生氏 「MMT信者がインフレ期に決まって口にすること」 「「インフレ」。実は日本では実に40~50年ぶり・・・日本のバブル期には資産価格は上がったが、物価はほぼ上がらなかった」、改めて思い出した。 「貯蓄家から資産を奪い取る」、「消費者から資産を奪い取る」、「貧困者から資産を奪い取る」、「恩恵を受ける可能性があるのは、住宅ローンを抱える人々、価格支配力を持つ人々」、「このプロセスは秘密裏に進むとともに、このうえなく非民主的でもある」、その通りだ。 「ウイルスパンデミックはインフレパンデミックへと姿を変えていた。アメリカのインフレ率を上昇させていた犯人はエネルギー価格だけではなかった。耐久消費財、非耐久消費財、サービス、そして遅ればせながら人件費。何もかもがどんどん値上がりしていった」、なるほど。 「MMTの支持者たちは、財政支配を支持している。その根底には、政府が印刷機の誘惑に逆らえるはずだ、という歪んだ歴史観があるように思えてならない。 つまり彼らの世界では、信用できない存在は金融当局だけなのだ。だが、それは虚構の世界であり、じっくりと観察のなされた事実とはいえない」、その通りだ。 米澤潤一氏による「「血の出るような努力」でバラマキ財政を脱却せよ!今すぐ取り組むべき3つの課題とは? コロナ禍が収束した今こそ、財政運営は平時に復帰せよ 2024年度当初予算は正常化へ立ち返る意志が欠如」 「PB赤字をもたらした要因の過半を占めるのが、20(令和2)年度から22(令和4)年度までの3年間の補正追加141兆円であり、その内訳は図表2のとおりである。感染拡大防止や医療体制整備などの直接的コロナ対策費はわずか1割強の14.6兆円にとどまっている。 残りの経費を見れば、雇用維持・事業継続といった経済対策はまだしも、10万円一律給付というバラマキや、感染拡大防止に逆行した「Go To ××」をはじめとする飲食宿泊旅行業者支援や、デジタル化・防衛費といった便乗、使途不明な地方交付金などで、ひいき目に見ても半分は財政法の補正予算の要件に該当しない不要不急の補正追加だったといわざるを得ない」「ひいき目に見ても半分は財政法の補正予算の要件に該当しない不要不急の補正追加だった」とは酷い話だ。特に「Go To ××」は悪乗りした悪手だ。 「財政法を無視した補正予算での計上が常態化するなどの弊害が生じている」、その通りだ。 「平時に戻った24(令和6)年度こそ、コロナ禍の時期に(「やむを得ず」という気持ちからにしても)営んだ財政法無視の「何でもあり」の財政運営から完全に脱却して、財政法の原則に沿った財政運営に復帰すべきである。具体的には、次の三つを励行してほしい。 一つ目は、補正予算を財政法29条の「予算策定後の事由に基づき特に緊要となった経費」に限るという原点に立ち戻り、災害復旧等、真にやむを得ないものに限ること・・・ 二つ目は、税の自然増収や歳出不用による剰余金発生が見込まれる場合には、法律どおり特例公債の発行をその分だけ減額し、剰余金を発生させないようにすることだ・・・三つ目は、前述のとおり、当初予算に計上したそれぞれ1兆円の一般予備費と「原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費」の取り扱いだ。これらの執行に厳正を期することが求められる」、なるほど。 「コロナ禍の収束後、平時に復帰した日本財政の在り方として、まずは現実的な前提の下に実効性のある歳入・歳出両面からの具体策を伴う全体像を策定すべきだ。その上でこれに沿って、血の出るような努力を計画的に一歩ずつ続けていく必要がある。必要な新規施策はその歳入歳出の全体像の中で、一体的に織り込むべきものである」、同感である。 原田 泰氏による「「日本は財政赤字で将来ヤバイ」→実は財政赤字が縮小していた!【エコノミストがデータで解説】」 簡単な数式での定式化はわかりやすい。 原田泰『コロナ政策の費用対効果』(ちくま新書) 「リーマンショック以来急上昇していた政府債務残高の対GDPは安定するようになった。 それを2つの要因で説明すると、まず第1の要因として、基礎的財政収支(PB)/名目GDPが90年代初から常にプラスとなり(赤字の時がプラス)、98年の日本の金融危機時、2008年のリーマンショック時に拡大したことが分かる。しかし、2013年の大規模緩和以降、基礎的財政収支は縮小した。 第2の要因として(r-g)×(政府債務残高/名目GDP)を見ると、大規模緩和までプラスであった(r-g)が大規模緩和後マイナスに転じた。これは大規模緩和で金利が低下し、名目GDP成長率がプラスになったからである。 以上2つの要因で政府債務残高の対GDP比は安定した」、なるほど。 「基礎的収支の赤字をいくら頑張って減らしても、デフレで金利が名目成長率よりも高いような状況を作っては、財政再建などできないということである。 財政安定化には、基礎的財政収支の赤字を2.5%程度にすることが必要だが、これにはどの程度の緊縮策が必要だろうか。2024年の基礎的財政収支は、IMFの予測によれば3.6%であるから、後1.1%の財政赤字削減で良いということになる。すなわち、財政再建には、まず金融緩和を続けることが必要であり、その中で徐々に財政赤字を縮小していけばよいということになる」、 「財政再建には、まず金融緩和を続けることが必要であり、その中で徐々に財政赤字を縮小していけばよいということになる」、財政再建の観点からはそうでも、金融政策はそろそろ利上げも展望したものになるとすれば、「財政再建」は二義的な目標に下げざるを得ないようだ。
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日本企業の海外M&A(その8)(「約2兆100億円を投じる」巨大プロジェクトのご破算が濃厚に) [企業経営]

昨日、本日の更新を休むと予告したが、更新可能になった。日本企業の海外M&Aについては、2018年5月22日に取上げた。久しぶりの今日は、(その8)(「約2兆100億円を投じる」巨大プロジェクトのご破算が濃厚に)である。

本年4月23日付け現代ビジネスが掲載した経済ジャーナリストの町田 徹氏による「アメリカの「鶴の一声」で、日本製鉄が窮地…! 「約2兆100億円を投じる」巨大プロジェクトのご破算が濃厚に」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/128426?imp=0
・『「大統領見解を受け入れている」  全国紙はほとんど報じなかったようだが、CFIUS(The Committee on Foreign Investments in the United States、対米外国投資委員会)の委員長を兼ねる、米財務長官のイエレン氏は先週火曜日(4月16日)の記者会見で、「脱・日本、脱・高炉」の起死回生策になるはずだった日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収に事実上の駄目出しをした。 CFIUSは米大統領直属の省庁横断の委員会組織で、主な使命は外国資本による米国企業の経営や事業、技術への出資の審査だ。米国の安全保障を脅かす可能性が有ると判断した場合、中止を命じることができるほか、買収が完了した後であっても米国の国益に反する問題が発生した時はその出資の白紙撤回を迫るという絶大な権限を持つ。委員長は財務長官で、過去の例を見ると、委員長は、他の委員(国防総省、国務省、商務省、運輸省、司法省などのトップ)の賛成や反対を押し切った実績もある。 イエレン氏の駄目出しは、世界銀行と国際通貨基金(IMF)の年次総会の記者会見の際に、かねて「USスチールは100年以上にわたって象徴的な米国の鋼鉄会社で、引き続き、米国内で所有され運営されていることが不可欠だ」と主張してきたバイデン大統領の発言に触れる形で、「大統領見解を受け入れている」と発言するものだった。 こうした保護主義的な判断の背景には、バイデン氏が今年11月に控えた米大統領選挙でトランプ前大統領と熾烈な選挙戦を展開しており、USスチール従業員が加入する全米鉄鋼労働組合(USW)がバイデン氏の出身母体である民主党の有力支持団体の一つに名前を連ねていることがある。 日本製鉄は、4月12日のUSスチールの臨時株主総会で買収案の承認を得て今年9月をめどに買収を完了する計画だったが、断念を迫られる可能性が劇的に高まっている。 日本製鉄がUSスチールと買収契約を締結したと発表したのは、去年(2023年)の年の瀬が迫った12月18日である。 発表によると、買収方法は、日本製鉄の100%子会社「NIPPON STEEL NORTH AMERICA」が100%出資する買収目的の孫会社を通じて、USスチール株をすべて現金で買収したうえで、両社が合併するというものだ。明らかに、米国人投資家やUSスチール労働者への配慮だろう。買収完了後は、買収目的の孫会社は消滅させて、USスチールを存続会社にするとしていた。 この点を以って、日本製鉄は「USスチールが引き続き、米国企業であり続ける」と主張して理解を得たいのかもしれないが、CFIUSは大元の親会社が日本製鉄である以上、米国企業とは認めないはずだ。強硬な反対をしている全米鉄鋼労働組合(UAW)の本音も、会社の形式や従業員のプライドの擁護といったことではなく、USスチールの歴代経営者に呑ませてきた分厚い既得権を日本製鉄が守るはずがないとの疑心暗鬼にあるとみられる。 話を戻すと、米国側への手厚い配慮は、買収価格にもみられた。USスチール株の取得価格を、1株当たり55ドルとしたのだ。日本製鉄の取得価格は、合併発表3日前の12月15日のUSスチール株の終値(39.33 ドル)に40%という破格のプレミアムを上乗せする大盤振る舞いだったのである』、「CFIUS・・・対米外国投資委員会)の委員長を兼ねる、米財務長官のイエレン氏は先週火曜日(4月16日)の記者会見で、「脱・日本、脱・高炉」の起死回生策になるはずだった日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収に事実上の駄目出しをした。 CFIUSは米大統領直属の省庁横断の委員会組織で、主な使命は外国資本による米国企業の経営や事業、技術への出資の審査だ。米国の安全保障を脅かす可能性が有ると判断した場合、中止を命じることができるほか、買収が完了した後であっても米国の国益に反する問題が発生した時はその出資の白紙撤回を迫るという絶大な権限を持つ」、「イエレン氏」が「事実上の駄目出しをした」のであれば、ほぼ買収は困難になったようだ。「買収方法は、日本製鉄の100%子会社「NIPPON STEEL NORTH AMERICA」が100%出資する買収目的の孫会社を通じて、USスチール株をすべて現金で買収したうえで、両社が合併するというものだ。明らかに、米国人投資家やUSスチール労働者への配慮だろう。買収完了後は、買収目的の孫会社は消滅させて、USスチールを存続会社にするとしていた。 この点を以って、日本製鉄は「USスチールが引き続き、米国企業であり続ける」と主張して理解を得たいのかもしれないが、CFIUSは大元の親会社が日本製鉄である以上、米国企業とは認めないはずだ。強硬な反対をしている全米鉄鋼労働組合(UAW)の本音も、会社の形式や従業員のプライドの擁護といったことではなく、USスチールの歴代経営者に呑ませてきた分厚い既得権を日本製鉄が守るはずがないとの疑心暗鬼にあるとみられる」、「日本製鉄」側の美醜方法上の小細工は、見破られたようだ。当然のことである。
・『約2兆100億円を投じる  日本製鉄は、総額で141億2600万ドル(約2兆100億円)の巨費を投じる計算だ。この額は、2006年に、「インド版の今太閤」と称された創業者経営者ラクシュミ・ミタル氏が率いた当時世界最大の鉄鋼会社ミッタルが、同2位でフランスとルクセンブルグに本社を置いていたアルセロールを買収した際の買収額269億ユーロ(当時の為替レートで、約3兆9300億円)に次ぐ規模だ。世界の鉄鋼業界のM&A(企業の合併・買収)の歴史においても2番目に大きい買収となる。 USスチール経営陣にとっては「渡りに船」で、この気前の良い提案に応じ、買収契約を締結した。というのは、USスチールは日本製鉄の買収契約に応じる4ヶ月ほど前の2023年8月に、同業の米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスからの総額約70億ドル(約1兆円)の買収提案を拒否し、もっと高く身売りできる道がないか模索すると株主に公約していたからだ。 USスチールの株主にとっても、日本製鉄の破格の買収提案は歓迎すべきものだった。このため、買収契約の締結発表から4カ月弱を経た今年(2024年)4月12日の臨時株主総会で、計画を承認した。これを受けて、日本製鉄とUSスチールはM&Aを今年9月までに買収手続きの完了を目指すと表明した。 最新(2022年)の世界鉄鋼協会のデータによると、1位の宝武鉄鋼集団、3位の鞍鋼集団など中国勢が鉄鋼会社のトップ10のうち6社を占める。非中国勢は、2位にルクセンブルグのアルセロール・ミッタル、4位に日本製鉄、7位に韓国のポスコ、10位にインドのタタがかろうじて顔を出しているに過ぎない。USスチールに至っては、世界27位、米国勢の中でも3位と低迷している。 つまり、最近のランキングには、日本製鉄の前身である新日本製鉄に1973年に「世界一の座」を明け渡すまで、戦前から長年にわたってトップに君臨したUSスチールの過去の栄光の面影はみられない。 半面、日本製鉄も、宝武鉄鋼集団と鞍鋼集団の後塵を拝しているようでは、鄧小平氏がけん引した1970年代の改革開放運動に協力して、中国の近代製鉄業の育成に貢献した実績が霞んで見える。 こうした中で、日本製鉄はUSスチールの買収に成功すれば、3位の鞍鋼集団を抜き、世界3位の地位に上昇する。 米中間の経済のデカップリング(分断)が進む一方で、西側の鉄鋼会社はここ5年あまり、過剰生産能力を持つ中国勢の安値攻勢に苦しみ続けてきた。それゆえ、日本製鉄は、米国と同盟関係にある日本企業の日本製鉄によるUSスチール買収が米国の経済安全保障に役立つと歓迎されると楽観していたのだろう。実際、日本製鉄の橋本英二社長は12月19日の記者会見で、中国を念頭に「世界の潮流は新しい経済安全保障」と胸を張っていた。 しかし、日本製鉄のUSスチール買収はすんなりとはいかなかった。USスチールの従業員らが加盟するUSWが大きく立ちはだかったのだ。 USWはデービッド・マッコール会長名で今年3月1日に、米国議会上院に電子メールを送り、議会上院が日本製鉄のUSスチール買収に反対するよう求めた。その理由として、日本製鉄によるUSスチール買収が「雇用を脅かし、米国の防衛と経済的繁栄の安全保障をいくつかの点で危うくする」と主張した。それだけでなく、むしろ、こちらが本音と見るべきだろうが、労働協定や年金、福利厚生プランを巡る既得権が脅かされることへの懸念を挙げていた。 こうした要求もあり、米議会は反対の狼煙をあげた。 そして、この事態を決定的に深刻なものにしたのは、バイデン大統領がUSWへの肩入れ姿勢をエスカレートさせてきたことだ。バイデン氏は昨年12月21日に公表した声明で、まず、「USスチールは、国家安全保障に不可欠な国内鉄鋼生産の中核を担っている」との考えを表明、USWの要求に応じて、前述のCFIUSに買収の是非を精査させる方針を示した』、「USスチールの従業員らが加盟するUSWが大きく立ちはだかったのだ。 USWはデービッド・マッコール会長名で今年3月1日に、米国議会上院に電子メールを送り、議会上院が日本製鉄のUSスチール買収に反対するよう求めた。その理由として、日本製鉄によるUSスチール買収が「雇用を脅かし、米国の防衛と経済的繁栄の安全保障をいくつかの点で危うくする」と主張した。それだけでなく、むしろ、こちらが本音と見るべきだろうが、労働協定や年金、福利厚生プランを巡る既得権が脅かされることへの懸念を挙げていた。 こうした要求もあり、米議会は反対の狼煙をあげた・・・日本製鉄は、米国と同盟関係にある日本企業の日本製鉄によるUSスチール買収が米国の経済安全保障に役立つと歓迎されると楽観していた・・・バイデン大統領がUSWへの肩入れ姿勢をエスカレート・・・バイデン氏は昨年12月21日に公表した声明で、まず、「USスチールは、国家安全保障に不可欠な国内鉄鋼生産の中核を担っている」との考えを表明、USWの要求に応じて、前述のCFIUSに買収の是非を精査させる方針を示した」、「日本製鉄」の読みは過度に楽観的過ぎたようだ。
・『日本政府の援護射撃は期待できない  さらに、トランプ前大統領の「私なら即座に阻止する」との発言に煽られる形で、今年3月14日には、「(USスチールは)国内で所有・運営される米鉄鋼企業であり続けることが重要だ」と買収反対を示唆する声明を出した。これにより、その6日後の3月20日、USWから今年11月の米大統領選挙で民主党のバイデン大統領を支持するとの発表を取り付けたのだった。 その後、冒頭で紹介したように、CFIUSの委員長を兼ねる、イエレン米財務長官が4月16日の記者会見で、「大統領見解を受け入れている」と発言し、日本製鉄の買収に事実上の駄目を出したのである。 水面下で、日本製鉄が、将来にわたって、USスチールの弱みである高コスト体質の主因と目されてきた数々の既得権を保障し、それが守られるとUAWが納得しない限り、事態を好転させるのは難しいだろう。 客観的に見れば、バイデン政権のなりふり構わぬUAWへの肩入れと日本製鉄のUSスチール買収阻止は、明らかに、日米両政府が岸田総理とバイデン大統領による4月10日の会談でまとめた「日米首脳会談の共同声明」で改めて確認した日米間の相互投資の促進による経済面での連携強化に反する行為だ。 林芳正官房長官は4月18日の記者会見で、バイデン米大統領が前日、「1世紀以上にわたり米国の象徴であり続けた企業は、これからもそのままであるべきだ」などと発言したことについての見解を問われて、「個別の企業の経営に関する事案についてのコメントは差し控えたい」と回答を避ける一方で、日米首脳会談の共同声明を踏まえて「日米相互の投資の拡大を含めた経済関係の一層の強化、インド太平洋地域の持続的・包摂的な経済成長の実現、経済安全保障分野における協力などは互いにとって不可欠だ」とやんわりと批判するのが精一杯だった。今後も、この問題で、日本政府が日本製鉄を強力に援護射撃することは期待できないだろう。 要するに、バイデン政権にとっては、中国との経済面でのデカップリング政策を押し通すより、11月に迫った大統領選挙で勝利を収めることの方が優先する課題なのだ。最新情勢を見ても、大統領選挙の行方を左右する激戦区7州の世論はトランプ前大統領がやや優勢に選挙戦を進めている。 こうした中で、USスチールが工場を置くペンシルベニア州やミシガン州はこの激戦区7州に位置し、バイデン大統領の死命を制しかねない。前々回(2016年)の大統領選ではこれらの激戦区の製造業の労働者票がトランプ前大統領に流れた結果、民主党のヒラリー候補が敗れた前例もあるのだ。 バイデン政権はトランプ政権ほどではないとはいえ、やはり本質的に「米国第一主義」に引きずられる政権だ。トランプ氏が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を拒み、関税引き下げを含まないインド太平洋経済枠組み(IPEF)に傾注し、全米自動車労組(UAW)の強引な賃上げ要求を支持したことなどからも、肝心なところで保護主義に抗えないことを繰り返し露わにしてきたことを、我々、日本人は今一度、肝に銘じておくべきだろう』、「バイデン政権はトランプ政権ほどではないとはいえ、やはり本質的に「米国第一主義」に引きずられる政権だ。トランプ氏が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を拒み、関税引き下げを含まないインド太平洋経済枠組み(IPEF)に傾注し、全米自動車労組(UAW)の強引な賃上げ要求を支持したことなどからも、肝心なところで保護主義に抗えないことを繰り返し露わにしてきたことを、我々、日本人は今一度、肝に銘じておくべきだろう」、その通りだ。
・『日本製鉄の経営は奈落の底に…  とはいえ、今回の買収が挫折すれば、日本製鉄が失うものは計り知れない。というのは、人口減少など成長が期待できない日本市場に見切りを付けるとともに、二酸化炭素(CO2)の排出の多い製鉄手法である高炉への過剰な依存体質を改善するという2重の意味で、起死回生の活路を求めたのが、米国市場を本拠地とし、比較的CO2の排出の少ない電炉事業の構築を進めているUSスチールの買収だったからである。 まず、日本市場の成長性からみると、大口顧客の自動車産業の需要の伸びが期待できないのだ。例えば、4輪の乗用車の国内生産台数のピークは1990年の994万7972台だ。これが人口減少の深刻化と歩調を合わせるかのように減り続けて、2022年は656万6318台まで減った。自動車メーカー各社は米国や東南アジアでの現地生産を強化しており、日本で生産して日本から輸出する台数は今後も減り続ける見通しなのだ。 これに対して、短期的な不振が伝えられているものの、米国は人口が増えて成長が続き、今後も電気自動車(EV)を含む自動車の生産台数は増加していく見込みだ。 加えて、日本製鉄は近年、ようやく高炉に見切りをつけて、理論的にはCO2を排出しない水素還元製鉄の開発・実用化を急ぐとしているが、30年以上も前から水素還元製鉄の開発・実用化を口にしながら怠り続けてきたことは、気候変動対策を重視してきた環境学者らの間では周知の事実だ。 同社は、くず鉄などのスクラップを原料とする電炉を軽視してきたが、今後、当分の間、電炉に活路を求めざるを得なくなっていた。 これに対し、USスチールはこの分野で、最先端の電炉ミニミルであるビッグ リバー スチールを2021年に完全子会社化した。すでに鋼板ラインを稼働し、めっきラインが年内に稼働する予定のほか、能力の倍増に向けて新工場も建設中だ。この部門こそ、日本製鉄が喉から手が出るほど必要としているものなのだ。 日本製鉄にとっては、日本という自国市場の成長の先細り懸念と、待ったなしで迫られるようになったカーボンニュートラルという2つの至上命題を、一石二鳥で解消してくれるはずだった起死回生策がUSスチールの買収だったのである。 まとめると、以上、縷々見てきたように、CFIUS委員長をつとめるイエレン米財務長官の日本製鉄によるUSスチールの買収への駄目出し発言は、米国頼みの日本の通商政策の危うさを浮き彫りにするだけでなく、日本製鉄の経営を奈落の底に突き落としかねない冷徹な宣告だったのだ』、「イエレン米財務長官の日本製鉄によるUSスチールの買収への駄目出し発言は、米国頼みの日本の通商政策の危うさを浮き彫りにするだけでなく、日本製鉄の経営を奈落の底に突き落としかねない冷徹な宣告だった」、深刻に捉える必要がありそうだ。
タグ:(その8)(「約2兆100億円を投じる」巨大プロジェクトのご破算が濃厚に) 日本企業の海外M&A 現代ビジネス 町田 徹氏による「アメリカの「鶴の一声」で、日本製鉄が窮地…! 「約2兆100億円を投じる」巨大プロジェクトのご破算が濃厚に」 「CFIUS・・・対米外国投資委員会)の委員長を兼ねる、米財務長官のイエレン氏は先週火曜日(4月16日)の記者会見で、「脱・日本、脱・高炉」の起死回生策になるはずだった日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収に事実上の駄目出しをした。 CFIUSは米大統領直属の省庁横断の委員会組織で、主な使命は外国資本による米国企業の経営や事業、技術への出資の審査だ。 「日本製鉄」側の美醜方法上の小細工は、見破られたようだ。当然のことである。 「USスチールの従業員らが加盟するUSWが大きく立ちはだかったのだ。 USWはデービッド・マッコール会長名で今年3月1日に、米国議会上院に電子メールを送り、議会上院が日本製鉄のUSスチール買収に反対するよう求めた。その理由として、日本製鉄によるUSスチール買収が「雇用を脅かし、米国の防衛と経済的繁栄の安全保障をいくつかの点で危うくする」と主張した。それだけでなく、むしろ、こちらが本音と見るべきだろうが、労働協定や年金、福利厚生プランを巡る既得権が脅かされることへの懸念を挙げていた。 こうした要求もあり、米議会は反対の狼煙をあげた・・・日本製鉄は、米国と同盟関係にある日本企業の日本製鉄によるUSスチール買収が米国の経済安全保障に役立つと歓迎されると楽観していた・・・バイデン大統領がUSWへの肩入れ姿勢をエスカレート・・・バイデン氏は昨年12月21日に公表した声明で、まず、「USスチールは、国家安全保障に不可欠な国内鉄鋼生産の中核を担っている」との考えを表明、USWの要求に応じて、前述のCFIUSに買収の是非を精査させる方針を示した」、「日本製鉄」の読みは過度に楽観的過ぎたようだ。 「バイデン政権はトランプ政権ほどではないとはいえ、やはり本質的に「米国第一主義」に引きずられる政権だ。トランプ氏が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を拒み、関税引き下げを含まないインド太平洋経済枠組み(IPEF)に傾注し、全米自動車労組(UAW)の強引な賃上げ要求を支持したことなどからも、肝心なところで保護主義に抗えないことを繰り返し露わにしてきたことを、我々、日本人は今一度、肝に銘じておくべきだろう」、その通りだ。 「イエレン米財務長官の日本製鉄によるUSスチールの買収への駄目出し発言は、米国頼みの日本の通商政策の危うさを浮き彫りにするだけでなく、日本製鉄の経営を奈落の底に突き落としかねない冷徹な宣告だった」、深刻に捉える必要がありそうだ。
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金融政策(その46)(その時 現場は凍り付いた…!植田日銀総裁に「経済学の大天才」が噛みついた!その「空気よまない直言」のヤバすぎる中身、日本の地銀が「大崩壊」の末路…米・銀行の「連鎖倒産」でリーマン級「大不況」がやってくる、多くの人が意外と知らない「マイナス金利解除」でも円安が止まらない「根本的な理由」 「為替は金融差で動く」は本当か?) [経済政策]

金融政策については、本年3月29日に取上げた。今日は、(その46)(その時 現場は凍り付いた…!植田日銀総裁に「経済学の大天才」が噛みついた!その「空気よまない直言」のヤバすぎる中身、日本の地銀が「大崩壊」の末路…米・銀行の「連鎖倒産」でリーマン級「大不況」がやってくる、多くの人が意外と知らない「マイナス金利解除」でも円安が止まらない「根本的な理由」 「為替は金融差で動く」は本当か?)である。

先ずは、昨年6月16日付け現代ビジネスが掲載した鷲尾 香一氏による「その時、現場は凍り付いた…!植田日銀総裁に「経済学の大天才」が噛みついた!その「空気よまない直言」のヤバすぎる中身」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/111599
・『2人の経済学の天才が激突  6月15日から2日間にわたって行われている日銀政策決定会合だが、マーケットは概ね「大規模緩和の継続」を予想している。 筆者もその見通しには同意するが、ちょうどひと月前の5月15日に開かれた政府・経済経済財政諮問会議で、今後の植田和男日本銀行総裁の政策に大きな影響を与えるのではないかと感じるやり取りがあった。 前編『ノーベル経済学賞「有力日本人候補」が日銀・植田総裁に噛みついた!いったい何があったのか…?』でお伝えしたとおり、植田総裁の経済学のライバルで、プリンストン大学の清滝信宏教授が植田総裁の意見に噛みついたのだ。 本稿では、植田総裁と清滝氏の二人の世界的知性がぶつかり合った会議の中身について詳しくお伝えしていこう』、興味深そうだ。
・『ライバルの直言は「緩和はさっさとやめろ」  5月15日の経済財政諮問会議に出席した植田総裁は、物価の見通しについて、「現在は2%を上回っているが、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していくもとで、今年度半ばにかけて、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していく」とした。 つまり、これまで通り秋口から物価は下がっていくという見通しを示し、対規模緩和を継続した4月の政策決定会合の内容を改めて説明した。 これに対して、経済財政諮問会議に有識者の1人として出席した清滝教授は、植田総裁と真っ向から対立する意見を出したのだ。 清滝教授は、世界経済の現状を「インフレが進行しており、欧米では政策金利の大幅な引上げにもかかわらず、2%を超えるインフレが数年は続くと予想されている」とした上で、日本についても「円安と輸入物価の高騰から、目標値を超えるインフレが続いている」と分析。 その上で、たとえ物価が植田総裁の見通し通りに1〜2%に下がったとしても「インフレ率が1~2%程度に定着すれば、量的・質的緩和は解除すべきである」と指摘した。 植田総裁が量的緩和の解除に慎重なのは、国内で金利が上がりはじめれば日本国債を大量に保有する金融機関に含み損が発生し、アメリカのシリコンバレー銀行のように経営難に陥る地銀が出かねないという懸念もあるからだ。住宅ローンを組む多くの人にも大きなダメージとなりかねない。 低金利に慣れ切った今の日本で金融政策を正常化すると、大きな痛みを伴いかねないのだ。 しかし、グローバル標準の経済学者である清滝教授は発言がたちどころにマーケットに影響する植田総裁と違って、なれ合い的な“日本の空気”など気にする必要などないのだろう。 長期的な視野に立って、最適であろう経済学の知見とセオリーをストレートに述べて「緩和は、さっさと解除しろ」と指摘したのだ』、「長期的な視野に立って、最適であろう経済学の知見とセオリーをストレートに述べて「緩和は、さっさと解除しろ」と指摘」、植田総裁にとっては、耳が痛い話だ。
・『もう「大規模緩和」の効果はない?  ちなみに、清滝教授がノーベル経済学賞に最も近い日本人と言われるゆえんは、1997年に日本のバブル崩壊を説明する「清滝・ムーアモデル」を英経済学者のジョン・ムーア氏と共同で示したことによる。この理論は、リーマンショックでも実証され、金融危機の対応にも貢献したという。 日本のバブル崩壊では、土地や株などの資産価格が暴落した。銀行は不動産などを担保に融資をおこなうが、担保価値が下がることで金融機関の融資もまた停滞する。これが不況を招き、さらに資産価値が下落するという負のスパイラルが不況を長期化させる。 これを精密に分析して解明したのが「清滝・ムーアモデル」で、「失われた20年」とか「失われた30年」と言われる日本の長期停滞を言い当てた。 日本停滞の根本原因を知り尽くす清滝教授だけに、経済財政諮問会議で次のような苦言も呈している。) 「量的・質的金融緩和は持続的成長につながらない」 「1%以下の金利でなければ採算が取れないような投資をいくらしても経済は成長しない」 つまり、量的緩和による低金利は、生産性の低い投資を企業に促し、逆に収益体質を脆弱化している、そのため、むしろ“デフレになりやすくなっている”と言うのである。緩やかなインフレを目指した大規模緩和をこれ以上継続する効果に疑問符を付けたというわけだ。 ライバルの経済学者の直言は、同じく経済学のセオリーを知り尽くす植田総裁の政策にこれからどのように影響するだろうか。 さらに連載記事『業火は日本の金融界にも飛んでくる…!米銀破綻が経営を直撃しかねない「危ないニッポンの銀行」の実名』では、日銀の政策変更も影響しかねない金融機関の実態についてお伝えしていこう』、「量的緩和による低金利は、生産性の低い投資を企業に促し、逆に収益体質を脆弱化している、そのため、むしろ“デフレになりやすくなっている”と言うのである。緩やかなインフレを目指した大規模緩和をこれ以上継続する効果に疑問符を付けたというわけだ」、確かに説得力に富む主張だ。私にはどちらが正しいのか判断することは残念ながら出来ないが、こうした本格的な論戦が始まったことは、日本もようやく欧米の水準に近づいたといえるのかも知れない。

次に、3月20日付け現代ビジネス「日本の地銀が「大崩壊」の末路…米・銀行の「連鎖倒産」でリーマン級「大不況」がやってくる」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/107785
・『欧米で急拡大している、金融機関に対する信用不安。このまま連鎖倒産が続けば、やがて2008年のリーマン・ショック級の世界的大不況が訪れると予想する人もいる。はたして、日本経済はこれからどこに向かうのだろうか。 前編記事『リーマン級「大不況」がやってくる…「SVB破綻」でこれから起こりうる「ヤバすぎる事態」』に引き続き、これからの世界経済を予想してみたい』、興味深そうだ。
・『「氷山の一角」なのか  3月8日、SVBが保有する国債の売却損と新たな増資計画を発表すると、同行に対する信用不安が一気に拡大。SVBの動きを危惧した著名投資家やベンチャーキャピタリストたちがツイッターで警告した結果、それがスラックなどプライベートなSNSでどんどん拡散されていった。 そして翌9日、SVBの株価が急落してから10日の破綻までは、まさに「あっという間」だった。かつてのように銀行に押しかけた人も見られたが、今回はオンラインで引き出そうとする預金者が続出。フィンテック(ファイナンス・テクノロジー)時代ならではのスピード感といえる。 12日には、早くも次なる衝撃が金融界を襲う。暗号資産業界との関係が深い、総資産1100億ドル(約15兆円)のシグネチャー銀行(ニューヨーク州)も預金流出に見舞われ、「連鎖破綻」したのだ。 両行の破綻を受け、金融機関に対する信用不安がさらに広まることを恐れたバイデン大統領の動きは素早く、必死に火消しをはかっている。だが、はたして金融不安は完全に消失したといえるのか。 マーケットにとっていちばんよくないのは、何が起こっているのかわからないことだ。最悪のケースが脳裏に浮かび、機関投資家の売り浴びせのネタになってしまいかねない。そう、かつてのリーマン・ショックの時のように―。 中国の交通銀行香港法人元社長の洪灝氏が「SVBの事件は投資家と消費者の信頼を確実に低下させた。SVBは少数派なのか、それとも氷山の一角なのか」などとコラムに記すなど、疑心暗鬼が渦巻く中、シリコンバレーの投資家の一人は、不安な胸中をこう明かす。 「これから何週間か、何ヵ月かの間に、ベンチャーキャピタルやテック企業、スタートアップ関連の銀行が破綻する可能性があるのではないかと危惧しています」』、「SVBが保有する国債の売却損と新たな増資計画を発表すると、同行に対する信用不安が一気に拡大。SVBの動きを危惧した著名投資家やベンチャーキャピタリストたちがツイッターで警告した結果、それがスラックなどプライベートなSNSでどんどん拡散されていった。 そして翌9日、SVBの株価が急落してから10日の破綻までは、まさに「あっという間」だった・・・フィンテック(ファイナンス・テクノロジー)時代ならではのスピード感」、なるほど。
・『また「リーマン・ショック」が起こる  さらなる連鎖が杞憂で済めばいいのだが、じつは今後、銀行破綻が波及すると指摘する人物は、冒頭のドレクスラー氏以外にもいる。世界三大投資家として知られるジム・ロジャーズ氏がその一人だ。 「2008年のリーマン・ショック以降、14年もの間、アメリカではリセッション(景気後退)が起こってきませんでした。 しかし、いまのアメリカのようにインフレ抑制のために金利を上げれば、ベアマーケット(下落相場)を誘発し、財務的に脆弱な銀行が破綻するのは、これまでもあったこと。バイデン大統領は今回銀行を救済しましたが、それがうまくいくとは思えません。 著書『捨てられる日本』の中で、『私の人生で最大の下落相場が5年以内に到来する』と断言していますが、破綻が他の銀行にも及べば、リーマン・ショックの時のような世界的な金融危機が早晩、起きると見ています」 そうなると、いよいよ日本も、「対岸の火事」と見過ごすことはできなくなる』、「『私の人生で最大の下落相場が5年以内に到来する』と断言していますが、破綻が他の銀行にも及べば、リーマン・ショックの時のような世界的な金融危機が早晩、起きると見ています」 そうなると、いよいよ日本も、「対岸の火事」と見過ごすことはできなくなる」、なるほど。
・『世界的大不況の可能性も  ここで、「利上げによる米国債の価格下落で結果的に破綻する銀行が出たことにショックを受けた」と語るのは、金融アナリストでマリブジャパン代表の高橋克英氏だ。気がかりだと同氏がまず指摘するのは、ほかでもない、「米国債の今後の動向」だという。 「今回は2行が問題になりましたが、保有比率はともかく、アメリカの利上げ以降、世界中の金融機関で米国債が評価損の状態にあるといえます。 SVBと同様、米国債を保有する金融機関が含み損を処理しようと一斉に売りに転じれば、歯止めが利かなくなる恐れがあります」 下落が下落を呼べば、金融機関が持つ米国債の含み損がさらに拡大するのは必然。やがて信用不安を招くと資金調達も困難となり、破綻の連鎖から一気に世界的大不況へと発展しかねない。 当然、日本市場も大きな影響を免れない。結果的にアメリカ発の銀行破綻ラッシュが日本に襲いかかってくることも決してありえない話ではないのだ』、「保有比率はともかく、アメリカの利上げ以降、世界中の金融機関で米国債が評価損の状態にあるといえます。 SVBと同様、米国債を保有する金融機関が含み損を処理しようと一斉に売りに転じれば、歯止めが利かなくなる恐れがあります」 下落が下落を呼べば、金融機関が持つ米国債の含み損がさらに拡大するのは必然。やがて信用不安を招くと資金調達も困難となり、破綻の連鎖から一気に世界的大不況へと発展しかねない」、こうしたリスクがこれまでのところ顕在化してないのはラッキーだ。
・『地銀や日銀にも影響か  「アメリカとまったく同じことが起こりえる」 こういって日本の地方銀行に注目するのは、経済評論家で百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏だ。日本は日銀による異次元緩和政策でずっと金利が低く抑えられてきた。そうした状況下で預金の貸し出し先がない日本の銀行は、国債を買い続けてきた。 「その中でも特に購入額が多いのが、地銀なのです。中には保有する全有価証券のうち、国債が占める割合が4割近くに達する地銀もあります。 今後、もし日銀が長年続けてきたゼロ金利政策の出口戦略として金利を断続的に上げ始めたら、今回破綻したアメリカの銀行と同じように、地銀も大きな含み損を抱えることになる。 そして信用不安を引き起こし、『このまま預けておいたらまずいんじゃないか』と思った人たちが預金を引き出したら、立ち行かなくなる地銀が出てくるでしょう。 こうした構造的な類似性が今回明らかになったといえるのです」 同じことは、560兆円の国債を保有する日銀にもいえる。日本の行方には「進むも地獄退くも地獄」の厳しい事態が待ち受けていると、経済評論家の加谷珪一氏は見ている。 「インフレをコントロールしようと利上げをすると、日銀の含み損が拡大し、バランスシートが棄損します。すると今度は日本円が機関投資家の売り仕掛けに遭い、円安が進んでインフレが加速する。住宅ローン金利も上がって破産者も増えるでしょう。 もちろん国債を発行する政府の利払いも増えるので、財源の手当てが必要になります。金利が1%上がれば1000兆円ある国債発行残高に対して、金利の支払いだけで10兆円になってしまいます。 そうなれば増税でまかなうしかありませんが、消費税5%分に相当する巨額をどうやって工面するというのか。考えただけでも絶望的です」』、「今後、もし日銀が長年続けてきたゼロ金利政策の出口戦略として金利を断続的に上げ始めたら、今回破綻したアメリカの銀行と同じように、地銀も大きな含み損を抱えることになる。 そして信用不安を引き起こし、『このまま預けておいたらまずいんじゃないか』と思った人たちが預金を引き出したら、立ち行かなくなる地銀が出てくるでしょう。 こうした構造的な類似性が今回明らかになったといえるのです」 同じことは、560兆円の国債を保有する日銀にもいえる。日本の行方には「進むも地獄退くも地獄」の厳しい事態が待ち受けていると、経済評論家の加谷珪一氏は見ている。 「インフレをコントロールしようと利上げをすると、日銀の含み損が拡大し、バランスシートが棄損します。すると今度は日本円が機関投資家の売り仕掛けに遭い、円安が進んでインフレが加速する。住宅ローン金利も上がって破産者も増えるでしょう。 もちろん国債を発行する政府の利払いも増えるので、財源の手当てが必要になります。金利が1%上がれば1000兆円ある国債発行残高に対して、金利の支払いだけで10兆円になってしまいます。 そうなれば増税でまかなうしかありませんが、消費税5%分に相当する巨額をどうやって工面するというのか。考えただけでも絶望的です」」、もともとの異次元緩和政策が抱えていた問題点が露呈することになる。
・『待ち受ける恐怖の悪循環  だからといってインフレを放置すれば、物価高はますます加速する一方、預貯金の価値はどんどん目減りしていく。 つまり、いずれにしても利上げをしなければならない「恐怖の悪循環」に陥ってしまうのだ。 では、それを免れるにはどうすればいいか。おそらくいま、どの金融機関も利上げによる悪影響を必死で調査しているはずだ。加谷氏は「4月に入ってからも、しばらくは不安が市場を駆け巡り、株価が乱高下する展開が続く」と見ている。 そこで「いま大切なのは、できるだけ負債を持たないこと」と前出のジム・ロジャーズ氏はアドバイスを送る。 「今後は負債を持つ人ほど苦しむことになるでしょう。金や銀に投資する人がいるかもしれませんが、現在は高値に止まっていますので、私は購入していません」 金融機関に対する信用不安は、その幻想が崩れた瞬間、突然やってくる。 いま多くの人々は「まさか日銀が潰れることはない」と信じているが、日銀だけが例外ということはありえない。 「シリコンバレーで起きている銀行破綻ラッシュは、『安易に出口に向かってはいけない』ということを示唆しているのです」(前出・鈴木氏) 次期日銀総裁の植田和男氏はその就任直後から、一瞬の判断ミスも許されない緊急事態に直面することになる。金融緩和路線を維持するのか、修正するのか。舵取りの困難さはこれまで以上に大きくなったといえる。 「週刊現代」2023年3月25日号より さらに関連記事『リーマン級「大不況」がやってくる…「SVB破綻」でこれから起こりうる「ヤバすぎる事態」』では、すべての発端となったSVBの破綻の背景を詳細に解説する』、「金融機関に対する信用不安は、その幻想が崩れた瞬間、突然やってくる。 いま多くの人々は「まさか日銀が潰れることはない」と信じているが、日銀だけが例外ということはありえない」、強く同意する。

第三に、4月3日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「多くの人が意外と知らない「マイナス金利解除」でも円安が止まらない「根本的な理由」 「為替は金融差で動く」は本当か?」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/126867?imp=0
・『日銀が政策転換を実施したにもかかわらず、外国為替市場では円安が進んでいる。首をかしげている人も多いようだが、市場原理を知る人にとっては不思議なことではない。大規模緩和策からの撤退が始まったことで、際限のない円安リスクは回避できたが、大きな方向性としては依然として円安傾向が続く』、興味深そうだ。
・『「為替は金利差で動く」は、100%正確ではない  日銀は3月19日に開催された金融政策決定会合においてマイナス金利の解除を決定した。これは長く続いた大規模緩和策からの撤退を意味しており、秋にはゼロ金利の解除が行われ、いよいよ短期金利が上昇に向けて動き出すことになる。 日本円は過去2年間で、1ドル=100円から150円と暴落に近い状況まで下落した。この急ピッチな円安について多くの専門家は日米の金融政策に起因する金利差が原因であると説明してきた。為替の理論は簡単ではないので、筆者もテレビに呼ばれたり、一般紙からコメントを求められた時には「金利差が原因」と説明したこともある。 だが金利差で為替が動くという説明は、半分は当たっているのだが、100%正確とは言い難い。 もし為替市場が金利差で動くのであれば、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は利下げに向けて動き始めており、一方の日銀は利上げ開始するタイミングなので、円高に振れるとの予想になる。実際、多くの専門家がゼロ金利解除後は急激な円高になると説明していた。
 だが現実は正反対であり、むしろ円安が進んでいるが、筆者らにとってこれは予想された事態であり、特段、大きな驚きはない。その理由は、厳密にいうと金利差というのは、為替を動かす要因ではなく、その裏にある本質的要因を間接的に示しているにすぎないからである』、「厳密にいうと金利差というのは、為替を動かす要因ではなく、その裏にある本質的要因を間接的に示しているにすぎないからである」、どういうことなのだろう。
・『「物価見通しの差」で決まる  最終的に為替市場の動向を決めるのは、金利ではなく将来の物価見通しである。 これは経済学の分野では購買力平価という形で理論化されているが、多くの専門家がこの理論を消化できておらず、結果として為替市場の動向を見誤っている。それはどういうことだろうか。 購買力平価の理論では、二国間の為替は両国の物価見通しの差で決まるとされる。片方の国の物価が上がった場合、一物一価の原則を成り立たせるには、物価上昇分だけ当該国の通貨は減価する必要に迫られる。 これが購買力平価による理論的な為替レートである。現時点における購買力平価の為替レートは、市場の実勢レートより円高となっており、多くの論者がこれを根拠に、現在の円安は単なる投機であり、やがて円高に振れると説明している。 だが、こうした理屈で円高を主張している人が見落としている点がある。それは、購買力平価という理論は物価と為替の関係性を示したものに過ぎず、理論値が先にあり、その後で現実の為替レートがそこに収束するとは限らないという点である。 物理学の法則でもよくあることなのだが、複数主体の関係性のみを示したモデルというのは少なくない。自然科学を学んだ人であれば、これはごく当たり前のことだが、いわゆる文系的な世界にこうしたモデルが持ち込まれると、時に想定されていない「文学的解釈」が登場することがある』、「購買力平価の理論では、二国間の為替は両国の物価見通しの差で決まるとされる。片方の国の物価が上がった場合、一物一価の原則を成り立たせるには、物価上昇分だけ当該国の通貨は減価する必要に迫られる。 これが購買力平価による理論的な為替レートである。現時点における購買力平価の為替レートは、市場の実勢レートより円高となっており、多くの論者がこれを根拠に、現在の円安は単なる投機であり、やがて円高に振れると説明している。 だが、こうした理屈で円高を主張している人が見落としている点がある。それは、購買力平価という理論は物価と為替の関係性を示したものに過ぎず、理論値が先にあり、その後で現実の為替レートがそこに収束するとは限らないという点である」、なるほど。
・『なぜ日本の物価は「まだ上がる」予想なのか  このケースで言えば、先に購買力平価の理論値があり、市場のレートはそこに向かって動くとの解釈がそれにあたる。将来のことは誰にも分からないので、筆者の予想が合っているのかもわからない。だが、少なくとも購買力平価の理論では、先に理論値が決まり、そこに市場レートが収束するとは説明していない。 もし先に市場レートが円安に振れ、結果的に輸入物価の上昇を通じて全体の物価が上がった場合、先に市場レートが下がり、理論値がそれに追いつくというシナリオが十分にあり得る。理論が持つこうした中立的な解釈を無視して、無意識的に先に理論値があると考えるのは、自然科学の世界ではご法度である。 上記で説明した通り、先に市場レートが決まり、それによって物価が上昇し理論値が修正されるのだとすると、今回、発生している円安の理由はハッキリしている。市場は国内物価がさらに上がると予想しており、そのシナリオに向けて市場が先に動いているからである。 では、市場はなぜ日本の物価がさらに上がると予想しているのだろうか。 それは政策転換を表明したとはいえ、日銀は当分の間、緩和的な政策を続けざるを得ず、市場には今後も大量のマネーが供給される可能性が高いからである。日銀は600兆円もの国債を抱えており、日本の経済圏にはGDP(国内総生産)を上回る規模の余剰マネーがバラ撒かれた状態にある。これは明らかに将来のインフレ要因であり、市場は日銀が緩和策から完全撤退しない限り、インフレ圧力は弱まらないと見ている』、「今回、発生している円安の理由はハッキリしている。市場は国内物価がさらに上がると予想しており、そのシナリオに向けて市場が先に動いているからである。 では、市場はなぜ日本の物価がさらに上がると予想しているのだろうか。 それは政策転換を表明したとはいえ、日銀は当分の間、緩和的な政策を続けざるを得ず、市場には今後も大量のマネーが供給される可能性が高いからである。日銀は600兆円もの国債を抱えており、日本の経済圏にはGDP(国内総生産)を上回る規模の余剰マネーがバラ撒かれた状態にある。これは明らかに将来のインフレ要因であり、市場は日銀が緩和策から完全撤退しない限り、インフレ圧力は弱まらないと見ている」、その通りだ。
・『円高になるのはどんなケースか  結果として、日銀が政策転換を表明したとしても、事実上の緩和策は続くとの解釈になり、引き続き円安が継続するというシナリオが成立する。 もう少しわかりやすくいえば、以下のようになるだろう。 今回の政策転換によって、際限のない円安や物価上昇は回避できたかもしれない。だが、日銀は緩和的姿勢を継続せざるを得ず、正常化を進めている米国との方向性の違いは解消されないため、緩やかな円安傾向が続くことになる。 もしこの流れが大きく変化し、円高に振れることがあるとすれば、米国のリセッション懸念が高まり、予想以上のペースで利下げに踏み切る時だろう。だが今のところ米国のインフレ圧力は弱まっておらず、利下げのペースも緩やかなままとなる可能性が高い。 あくまで二国間の比較問題としては、日本の方が圧倒的に緩和的であり、円安に振れやすい。市場はこのあたりを察知しており、それが今の為替レートを成り立たせていると考えるべきだ』、「あくまで二国間の比較問題としては、日本の方が圧倒的に緩和的であり、円安に振れやすい。市場はこのあたりを察知しており、それが今の為替レートを成り立たせていると考えるべきだ」、同感である。

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タグ:(その46)(その時 現場は凍り付いた…!植田日銀総裁に「経済学の大天才」が噛みついた!その「空気よまない直言」のヤバすぎる中身、日本の地銀が「大崩壊」の末路…米・銀行の「連鎖倒産」でリーマン級「大不況」がやってくる、多くの人が意外と知らない「マイナス金利解除」でも円安が止まらない「根本的な理由」 「為替は金融差で動く」は本当か?) 金融政策 「SVBが保有する国債の売却損と新たな増資計画を発表すると、同行に対する信用不安が一気に拡大。SVBの動きを危惧した著名投資家やベンチャーキャピタリストたちがツイッターで警告した結果、それがスラックなどプライベートなSNSでどんどん拡散されていった。 そして翌9日、SVBの株価が急落してから10日の破綻までは、まさに「あっという間」だった・・・フィンテック(ファイナンス・テクノロジー)時代ならではのスピード感」、なるほど。 現代ビジネス「日本の地銀が「大崩壊」の末路…米・銀行の「連鎖倒産」でリーマン級「大不況」がやってくる」 「量的緩和による低金利は、生産性の低い投資を企業に促し、逆に収益体質を脆弱化している、そのため、むしろ“デフレになりやすくなっている”と言うのである。緩やかなインフレを目指した大規模緩和をこれ以上継続する効果に疑問符を付けたというわけだ」、確かに説得力に富む主張だ。私にはどちらが正しいのか判断することは残念ながら出来ないが、こうした本格的な論戦が始まったことは、日本もようやく欧米の水準に近づいたといえるのかも知れない。 「長期的な視野に立って、最適であろう経済学の知見とセオリーをストレートに述べて「緩和は、さっさと解除しろ」と指摘」、植田総裁にとっては、耳が痛い話だ。 植田総裁と清滝氏の二人の世界的知性がぶつかり合った会議の中身 鷲尾 香一氏による「その時、現場は凍り付いた…!植田日銀総裁に「経済学の大天才」が噛みついた!その「空気よまない直言」のヤバすぎる中身」 現代ビジネス 「『私の人生で最大の下落相場が5年以内に到来する』と断言していますが、破綻が他の銀行にも及べば、リーマン・ショックの時のような世界的な金融危機が早晩、起きると見ています」 そうなると、いよいよ日本も、「対岸の火事」と見過ごすことはできなくなる」、なるほど。 「保有比率はともかく、アメリカの利上げ以降、世界中の金融機関で米国債が評価損の状態にあるといえます。 SVBと同様、米国債を保有する金融機関が含み損を処理しようと一斉に売りに転じれば、歯止めが利かなくなる恐れがあります」 下落が下落を呼べば、金融機関が持つ米国債の含み損がさらに拡大するのは必然。やがて信用不安を招くと資金調達も困難となり、破綻の連鎖から一気に世界的大不況へと発展しかねない」、こうしたリスクがこれまでのところ顕在化してないのはラッキーだ。 「今後、もし日銀が長年続けてきたゼロ金利政策の出口戦略として金利を断続的に上げ始めたら、今回破綻したアメリカの銀行と同じように、地銀も大きな含み損を抱えることになる。 そして信用不安を引き起こし、『このまま預けておいたらまずいんじゃないか』と思った人たちが預金を引き出したら、立ち行かなくなる地銀が出てくるでしょう。 こうした構造的な類似性が今回明らかになったといえるのです」 同じことは、560兆円の国債を保有する日銀にもいえる。日本の行方には「進むも地獄退くも地獄」の厳しい事態が待ち受けていると、経済評論 家の加谷珪一氏は見ている。 「インフレをコントロールしようと利上げをすると、日銀の含み損が拡大し、バランスシートが棄損します。すると今度は日本円が機関投資家の売り仕掛けに遭い、円安が進んでインフレが加速する。住宅ローン金利も上がって破産者も増えるでしょう。 もちろん国債を発行する政府の利払いも増えるので、財源の手当てが必要になります。金利が1%上がれば1000兆円ある国債発行残高に対して、金利の支払いだけで10兆円になってしまいます。 そうなれば増税でまかなうしかありませんが、消費税5%分に相当する巨額をどうやって工面するというのか。考えただけでも絶望的です」」、もともとの異次元緩和政策が抱えていた問題点が露呈することになる。 「金融機関に対する信用不安は、その幻想が崩れた瞬間、突然やってくる。 いま多くの人々は「まさか日銀が潰れることはない」と信じているが、日銀だけが例外ということはありえない」、強く同意する。 加谷 珪一氏による「多くの人が意外と知らない「マイナス金利解除」でも円安が止まらない「根本的な理由」 「為替は金融差で動く」は本当か?」 「厳密にいうと金利差というのは、為替を動かす要因ではなく、その裏にある本質的要因を間接的に示しているにすぎないからである」、どういうことなのだろう。 「購買力平価の理論では、二国間の為替は両国の物価見通しの差で決まるとされる。片方の国の物価が上がった場合、一物一価の原則を成り立たせるには、物価上昇分だけ当該国の通貨は減価する必要に迫られる。 これが購買力平価による理論的な為替レートである。現時点における購買力平価の為替レートは、市場の実勢レートより円高となっており、多くの論者がこれを根拠に、現在の円安は単なる投機であり、やがて円高に振れると説明している。 だが、こうした理屈で円高を主張している人が見落としている点がある。それは、購買力平価という理論は物価と為替の関係性を示したものに過ぎず、理論値が先にあり、その後で現実の為替レートがそこに収束するとは限らないという点である」、なるほど。 「今回、発生している円安の理由はハッキリしている。市場は国内物価がさらに上がると予想しており、そのシナリオに向けて市場が先に動いているからである。 では、市場はなぜ日本の物価がさらに上がると予想しているのだろうか。 それは政策転換を表明したとはいえ、日銀は当分の間、緩和的な政策を続けざるを得ず、市場には今後も大量のマネーが供給される可能性が高いからである。 日銀は600兆円もの国債を抱えており、日本の経済圏にはGDP(国内総生産)を上回る規模の余剰マネーがバラ撒かれた状態にある。これは明らかに将来のインフレ要因であり、市場は日銀が緩和策から完全撤退しない限り、インフレ圧力は弱まらないと見ている」、その通りだ。 「あくまで二国間の比較問題としては、日本の方が圧倒的に緩和的であり、円安に振れやすい。市場はこのあたりを察知しており、それが今の為替レートを成り立たせていると考えるべきだ」、同感である。
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