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健康(その21)(「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物、「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世界的な著名精神科医が指摘するある『行動』とは、「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"【2022上半期BEST5】 足りないものを足す健康法のすすめ)

健康については、4月16日に取上げた。今日は、(その21)(「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物、「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世界的な著名精神科医が指摘するある『行動』とは、「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"【2022上半期BEST5】 足りないものを足す健康法のすすめ)である。

先ずは、6月26日付け東洋経済オンラインが掲載したナビタスクリニック内科医師の久住 英二による「「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/599143
・『「緊張すると下痢をする」「知らない土地で便秘する」など、ストレスがかかるとお腹の調子が悪化する、という人は多い。だが、近年の研究によって、その“逆の矢印”も明らかになってきた。 つまり、腸内環境が劣悪な人は、それが脳に伝わり、精神や全身状態にマイナス影響が及んでしまう。気分の落ち込みや睡眠障害で困っているなら、自身のお腹の調子や食生活にも目を向けてみてはいかがだろう』、興味深そうだ。
・『善玉菌少ない人は「うつ病」リスクが上がる  精神的な負担がお腹に来てしまう【脳⇒腸】現象の代表例は、「過敏性腸症候群」だ。 ストレスなど心の不調が腸の神経を過剰に刺激して、慢性的な腹痛や下痢、便秘などをひき起こす。一般的な検査だと「異常なし」とされてしまうが、日本消化器病学会は、国民の10人に1人が該当する「よくある」疾患としている。 だが近年、医学の世界で熱視線を浴びているのは、逆方向の【腸⇒脳】神経ルートだ。わかりやすい例が、うつ病と睡眠だ。 2016年、うつ病患者の腸内は善玉菌の数が少ないことが、世界で初めて明らかとなった。国立精神・神経医療研究センター神経研究所と株式会社ヤクルトの共同研究だ。 うつ病の患者43人と健常者57人の便から腸内細菌を採取し、善玉菌として知られるビフィズス菌と乳酸桿菌の菌数を比較した。うつ病患者群は健常者群と比べてビフィズス菌が少なく、ビフィズス菌・乳酸桿菌ともに一定数以下の人が多かった。) これだけでは、うつ病が先か、腸内細菌の違いが先かはわからない。ただ、複数の動物実験で、無菌状態にしたマウスの腸内にうつ病の人の腸内細菌をそっくり移植したところ、マウスもうつ状態になった。 また、一般に細菌感染症の治療薬として使われる抗生物質は、病原体を殺すだけでなく、腸内の善玉菌も殺してしまう。 1993~2013年に15〜65歳のうつ病患者20万人超を対象に行われた英国の大規模研究では、1年以上前に抗生物質による治療を1回受けた人は、うつ病のリスクが23~25%高くなっていた。2~4回では40%増、5回以上では56%増と、治療回数とともにうつ病リスクは高まった』、「うつ病患者群は健常者群と比べてビフィズス菌が少なく、ビフィズス菌・乳酸桿菌ともに一定数以下の人が多かった」、「複数の動物実験で、無菌状態にしたマウスの腸内にうつ病の人の腸内細菌をそっくり移植したところ、マウスもうつ状態になった」、「細菌感染症の治療薬として使われる抗生物質は、病原体を殺すだけでなく、腸内の善玉菌も殺してしまう。 1993~2013年に15〜65歳のうつ病患者20万人超を対象に行われた英国の大規模研究では、1年以上前に抗生物質による治療を1回受けた人は、うつ病のリスクが23~25%高くなっていた。2~4回では40%増、5回以上では56%増と、治療回数とともにうつ病リスクは高まった」、「抗生物質による治療」で「善玉菌も殺してしまう」ので、「うつ病」になりやすくなったようだ。
・『「睡眠障害」「生活習慣病」「コロナ」も  うつ病と脳腸相関に関する研究をまとめた論文では、「抗生物質、慢性ストレス、貧しい食生活」は、いずれもうつ病の発生率を高めるとしている。腸内細菌のバランスを乱し、うつ病に典型的なパターンに変えてしまうためだ。 腸内細菌バランスを回復させるとうつ症状が軽減することも、観察されている。 睡眠障害も同様だ。 2019年には、腸内細菌に偏りがなく多様性に富む人では、睡眠の質と睡眠時間が向上し、途中覚醒が減少するという研究が発表された。腸内細菌の種類が多いほど、「インターロイキン6」という分泌物の濃度が高かった。 インターロイキン6は、さまざまな免疫反応を活性化させる作用のあるサイトカイン(生理活性たんぱく質)の一種だ。睡眠障害やうつ病の人ではインターロイキン6の血中濃度が低いことが、以前から指摘されていた。 このほか、さまざまな神経障害や肥満、メタボリックシンドローム、心血管疾患、がんなどの生活習慣病にも、腸内細菌バランスの乱れが潜んでいるとの研究がある。 さらには新型コロナまでも、その影響を免れない。 新型コロナ患者では、2割の患者に胃腸症状が報告されている。感染すると特定の腸内細菌が増え、結腸の細胞の働きが変化し、ひいては腸内細菌バランスを崩してしまう。 その影響が脳に伝わり、新型コロナによる脳のダメージを深刻にする、という悪循環の可能性が指摘されている。 ここまで読んできて、「腸内で起きていることの影響が、どうやって脳に伝わるの?」と不思議に思われたのではないだろうか。 アメリカ・ジョンズホプキンス大学によれば、食道から直腸までの消化管は、1億個を超える神経細胞から成る2層の薄い膜で覆われている。この「腸管神経」は、情報伝達物質(ホルモン、サイトカイン等)や免疫系など複数の経路を介して、脳と双方向ネットワークを形成し、密接に影響しあっているという。 腸からは以下のような情報伝達物質等が放出されている』、「腸内細菌バランスを回復させるとうつ症状が軽減することも、観察されている。 睡眠障害も同様だ」、「さまざまな神経障害や肥満、メタボリックシンドローム、心血管疾患、がんなどの生活習慣病にも、腸内細菌バランスの乱れが潜んでいるとの研究がある」、「新型コロナ患者では、2割の患者に胃腸症状が報告されている。感染すると特定の腸内細菌が増え、結腸の細胞の働きが変化し、ひいては腸内細菌バランスを崩してしまう。 その影響が脳に伝わり、新型コロナによる脳のダメージを深刻にする、という悪循環の可能性が指摘」、「腸内細菌バランス」はやはり健康のカギとなるようだ。
・『●脳内で不足するとうつ病を発症するとされている「セロトニン」 ●やる気ホルモン・幸せホルモンとも称される「ドーパミン」 ●ストレスを減らすアミノ酸として注目されている「GABA」 ●免疫システムに働きかけて炎症を抑える「酪酸」などの「短鎖脂肪酸」(短鎖脂肪酸には悪玉菌を減らす働きも) つまり腸は、単なる食べ物の消化器官にとどまらず、脳と同じように電気信号を発し、やり取りする、神経系の重要な臓器でもある。まさに「第二の脳」だ。 こうした【脳⇔腸】双方向のやり取りは「脳腸相関」「脳腸軸」と呼ばれ、この5~10年で大いに注目されてきた。精神障害や神経障害、生活習慣病等の予防・治療につなげようという動きもある。 この脳腸相関に必須のプレーヤーが腸内細菌だ。というのも、先に挙げた情報伝達物質等の作り手こそ、腸内の善玉菌なのである』、「腸は、単なる食べ物の消化器官にとどまらず、脳と同じように電気信号を発し、やり取りする、神経系の重要な臓器でもある。まさに「第二の脳」だ。 こうした【脳⇔腸】双方向のやり取りは「脳腸相関」「脳腸軸」と呼ばれ、この5~10年で大いに注目されてきた」、「腸」は確かに「第二の脳」だ。
・『脳腸相関を生み出す「腸内細菌叢」という臓器  脳腸相関がわかってきた背景には、「メタゲノム解析」の発展がある。従来のゲノム解析では、細菌を1つひとつ分離・培養して個々のゲノム(DNAに含まれるすべての遺伝情報)を調べ、特徴を把握するしかなかった。 しかし、ヒトの腸内は、500~1000種類の腸内細菌が100兆個もひしめき合って「腸内細菌叢」(腸内フローラ)を形成している。ゲノム解析の積み重ねによって腸内細菌叢の全体像をつかむことなど、到底現実的ではなかった。 技術革新により実現したメタゲノム解析では、腸内細菌叢のDNA配列を網羅的に決定する。ゲノムがどの微生物由来かはわからないが、腸内細菌叢全体でどのような機能を持つのかは調べられるようになった。 そうして見えてきたのが、【脳⇒腸】方向の情報伝達を含む脳腸相関という現象だ。そして、集合体としての腸内細菌叢が、それ自体“臓器”と言っていいくらいヒトの生命活動に重要な役割を果たしている、という事実だ。) 健康な人の腸内細菌叢では、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7くらいの割合が保たれていることもわかった。 「日和見」菌はその名のとおり、環境によって良くも悪くも働く菌の総称だ(そもそも「善玉」菌とか「悪玉」菌とかいうのも、単にヒトにとって都合がいいかどうかで決まる俗称にすぎない)。 この三者のバランスが崩れると、悪玉菌優勢となって分泌物質のバランスも崩れ、脳腸相関を通じて脳や全身に悪影響を及ぼすことになる』、「腸内細菌叢では、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7くらいの割合が保たれている」、「この三者のバランスが崩れると、悪玉菌優勢となって分泌物質のバランスも崩れ、脳腸相関を通じて脳や全身に悪影響を及ぼすことになる」、なるほど。
・『「汚れた腸」が決して大袈裟じゃないワケ  悪玉菌優勢のサインは、便を見れば一目瞭然だ。 大腸で水分を吸収しきれないうちに排泄されると、「軟便」や「下痢」となる。逆に、大腸での滞在時間が長すぎて水分が過度に奪われるのが「便秘」で、色の濃い、コロコロした硬い便になっていく。 どちらの場合でも、硬さの問題だけでなく、においも明らかにキツくなる。悪玉菌がタンパク質や脂肪分をエサに、腐敗物質を作り出すからだ。腐敗物質は体にとって毒素であり、腸の壁から吸収されて全身に悪影響を及ぼす。 お腹が痛かったり、張ったり、ゴロゴロしたりする。臭いおならが出たり、ひどいと吐き気がしてきたり……想像しただけで、なんだか気分が悪くなってきた(脳腸相関)。 さて、もうおわかりだろうが、「汚れた腸」とは「腸内細菌バランスが乱れ悪玉菌優勢となった腸」のことだ。便の状態とイコールと考えれば、「汚れた」という表現も決して大袈裟ではないと思う。 腸内細菌叢の状態が良好なら、便は茶色く、臭いも強過すぎない。バナナ型で水分は8割くらい、かたすぎずユルすぎず、いきまなくてもスッキリ2~3本出る。健康な便は「キレイな腸」の証しだ。 では、そんな「キレイな腸」を手に入れるにはどうしたらいいのか? 多くの人は、「乳酸菌」「ビフィズス菌」など善玉菌の入った食品やサプリメントを思い浮かべるだろう。 たしかに、食べ物やサプリで善玉菌を外から補充しても整腸作用を得られることは、古くから経験的に知られている。 死菌でも効果はあるようだが、特に生きた善玉菌は「プロバイオティクス」とも呼ばれ、便秘や下痢、乳糖不耐症、過敏性症候群など、腸トラブルの改善が期待できる。) のみならず近年の研究から、炎症反応を抑え、免疫機能の正常化を助けて、糖尿病、皮膚炎、神経障害、睡眠障害等の症状の改善や、感染防御、アレルギーの抑制といった効果が得られることもわかってきた。 ただし、単一のプロバイオティクスをサプリで摂り続けることは、お勧めしない。有害でなくても、おそらくコストに見合う効果は得られないからだ。 アメリカの最新研究では、18~43歳の健康な男女30人を2グループに分け、単一種のプロバイオティクス(乳酸菌)と偽薬をそれぞれ30日間摂取した後、便を調べた。結果、両グループで腸内細菌叢の多様性には十分な差が見られなかった。 外から入れたプロバイオティクスは、腸内に定着しないようだ。また、善玉菌の種類によっては、一時的に増えたものもあれば、減ったものもあった。しかも、摂取をやめて1カ月ほどで通常レベルに戻ってしまった。 「それだけ摂っていればキレイな腸を維持できる」サプリなどないのだ。 複数のプロバイオティクスを含むサプリもあるだろうが、それでも限られた種類を取り続けることになる。やはり自然界の多様性にはかなわない』、「悪玉菌がタンパク質や脂肪分をエサに、腐敗物質を作り出すからだ。腐敗物質は体にとって毒素であり、腸の壁から吸収されて全身に悪影響を及ぼす。 お腹が痛かったり、張ったり、ゴロゴロしたりする。臭いおならが出たり、ひどいと吐き気がしてきたり……」、なるほど。
・『お金をかけず「腸活+脳活+楽しみ」を手に入れる  サプリにお金をかけなくても、プロバイオティクスを摂れるお手軽な方法がある。ヨーグルトや納豆、みそ、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品(乳酸発酵)を、偏らずにいろいろと、適量ずつ毎日食べよう。 また、プロバイオティクスを増やし、腸内細菌叢の機能を高めるには、エサとなる「プレバイオティクス」が必要となる。プレバイオティクスの代表例は、食物繊維やオリゴ糖だ。 食物繊維は野菜、果物、豆類、キノコ類などに多く含まれる。特に、腸内細菌が分解しやすく短鎖脂肪酸を生み出しやすい「水溶性食物繊維」を意識して摂るといい。 水溶性食物繊維の豊富な食品としては、大麦(押麦等)、大豆(納豆、きな粉等)やいんげん豆などの豆類、らっきょう、ごぼうやかぼちゃなどの根菜類、いも類、海藻類、果物などがある。 オリゴ糖は、豆類、たまねぎ、ねぎ、ごぼう、アスパラガス、ブロッコリー、カリフラワー、アボカド、バナナなどの食品に多く含まれる。「特定保健用食品」として市販されてもいるので、食事の際に砂糖をオリゴ糖に置き換えて使うと効率的に摂取できる。 というわけで腸をキレイにする食べ物、私のイチ推しは「押麦ごはん+納豆」だ。どうしても外食ばかりという人も、ご飯には納豆を1品追加されたい。納豆が苦手なら、「ヨーグルト+オリゴ糖」をおやつにしよう。 嫌いなものを無理に食べ続けたり、サプリでお腹いっぱいにしたりする必要はない。正しい知識に基づいて、おいしく腸活をしていこう。食べる楽しみと脳活まで手に入る。私のような欲張りにはピッタリだ』、「納豆を1品追加されたい。納豆が苦手なら、「ヨーグルト+オリゴ糖」をおやつにしよう」、これなら簡単にできそうだ。

次に、8月7日付けNewsweek日本版が転載したPRESIDENT Online:アンデシュ・ハンセン氏による「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世界的な著名精神科医が指摘するある『行動』とは」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/lifestyle/2022/08/post-99292_1.php
・『うつの予防、治療には何が有効なのか。スウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセンさんは「多くのうつの患者を診察する中で、運動をしている人はうつが治りやすいのではないかと気付いた。さまざまな研究をみると、運動には抗うつ効果があることがわかってきている」という――。 ※本稿は、アンデシュ・ハンセン『ストレス脳』(新潮新書)の一部を再編集したものです』、「運動には抗うつ効果がある」、とは毎日、散歩をさんざんしている私には嬉しくなる話だ。
・『患者を診ていて気付いた「運動の抗うつ効果」  私たち医療従事者は患者と接しているうちにパターンが存在することに気づく。この人は治りそうだが、あの人はあまり上手くいかないだろう、といったことを感じるようになるのだ。しかし、その直感に頼りすぎるのもいけない。たまたまかもしれないし、自分が常々思っていることを裏づけるケースほど記憶に残りやすいものだ。 しかし2010年頃に気づいたのが、うつの患者で運動をしている人たちは病院に戻ってこないことだった。何度か受診しただけで、そのあとはもう見かけないことが多かった。そのせいで、運動には抗うつ効果があるのではないかと思い始めた。 研究を調べてみると、驚いたことにまさにそのとおりなのだ。ここ10年、運動によってうつを治療する研究が多数行われてきた。私が一番驚き、かつ最も重要だと思うのは、うつの予防、つまり運動でうつになるリスクを下げられるという研究結果だ』、「最も重要だと思うのは、うつの予防、つまり運動でうつになるリスクを下げられるという研究結果」、なるほど。
・『自転車テストとうつの関係  6分間全力で自転車を漕いでから、力の限り握力測定器を握る。その結果から今後7年間にあなたがうつになるかどうかがわかると思うだろうか。 10年前の私は、握力やエアロバイクの結果と自分が今後うつになるかどうかに関連があるなんて到底信じられなかった。別のリスク要因──例えば仕事を失うとか、パートナーに別れを告げられるとか、家族が病気になるとか、といったことならわかる。だけど握力測定器のハンドルをどのくらい強く握れるかで? そんなことが関係あるわけない! そう思ったものだ。しかし今では考えが変わった。 イギリスで15万人の被験者がエアロバイクによる有酸素運動と握力測定の簡単なテストを受け、うつや不安の症状に関する質問にも答えてもらった。7年後にまた調査をしたところ、状態が良くなっていた人もいれば、悪くなっていた人もいた。うつの基準を満たすほど悪くなっていた人もいた。 興味深いのは、精神状態の変化と7年前のエアロバイクのテスト結果に関連性があったことだ。うつになるリスクは身体のコンディションの良い人のほうが低かった。 別の言い方をすると、身体のコンディションの良い人はうつになるリスクが半分ほどに減り、不安に襲われるリスクも低かった。同じことが握力についても言え、数値の高い人のほうがうつや不安障害のリスクが低かった。しかしコンディションの良し悪しほど、はっきりした違いはなかった。 つまり、うつになるリスクは身体のコンディションの良い人のほうが低いわけだ』、「うつになるリスクは身体のコンディションの良い人のほうが低い」、なるほど。
・『さまざまな条件で行われた研究  ここで底意地の悪い言いがかりをつけてみよう。コンディションの良い人は元々健康で、飲酒量も少なく、口に入れる食べ物にも気を遣っているはずだ。だからライフスタイル要因がうつのリスクを低めていてもおかしくない。 そこで研究者たちはデータから年齢や喫煙の有無、学歴、収入といった項目の偏りを調整した。それでも同じ傾向が見られた。研究者たちはさらに、研究開始時にすでにうつや不安障害を抱えていた被験者は除いた。それでも、やはり結果は同じだった。 先述のとおり、どこまでが正常な範囲内の気分の落ち込みで、どこからがうつなのかには、はっきりした線引きがない。ということは、その研究結果もどこで線引きをしたかによって変わってくるのでは? 研究者たちはそこで、どこからがうつかという線引きを色々と変えてみた。それでもやはり同じ傾向が見られた。 あれこれやってみても、身体のコンディションの良い人はうつになるリスクが低かった。それに運動がうつのリスクを下げるという研究は他にも多数あり、これはその1つにすぎない。 ところで、現在わかっていることの全体像をつかみたければ、個別の研究だけに着目していてはいけない。たとえそれが15万人規模の研究であったとしてもだ。研究界のルールでは「1件など0件に等しい」のだから、いくつもの研究をまとめた分析、いわゆるメタ分析をしなくてはいけない。 運動でいかにうつを改善できるかという研究は、2020年には複数の研究をまとめた研究をさらにまとめた研究まで発表されるほどの規模になった。つまりメタ・メタ分析だ。その結果は──運動はうつの症状を軽減させる。確認された効果については研究の手法によって異なり、結果として高いものから低いものまであった。 若者の精神的不調に警鐘を鳴らす報告の数々を考えると、同じことが子供や若者にも言えるのかどうかが気になる。それがそのとおりなのだ。2020年に発表されたメタ・メタ分析では、運動が子供や若者のうつのリスクを下げることが示され、包括的な効果は中程度だった。それでは高齢者はどうだろうか。それもやはり同じ結果だった』、「2020年に発表されたメタ・メタ分析では、運動が子供や若者のうつのリスクを下げることが示され、包括的な効果は中程度だった。それでは高齢者はどうだろうか。それもやはり同じ結果だった」、なるほど。
・『なぜ運動が効果をもたらすのか  運動がなぜそこまで私たちの精神状態に影響を与えるのかを見てみよう。 先述のとおり、長期的なストレスはうつのリスク要因だ。私たちの身体の中で最も中心的なストレスシステムはHPA系(注)と呼ばれ、その存在は生物の歴史を何千万年も遡ることができる。HPA系を備えているという点では、人間も背骨をもつあらゆる動物──サル、イヌ、ネコ、ネズミ、トカゲ、そしてなんと魚まで──と同じなのだ。
(注)HPA系:、視床下部、下垂体、副腎の間でフィードバックのある相互作用を行い制御している神経内分泌系(Wikipedia)
・『アクセルにもブレーキにもなるコルチゾール  HPA系というのはたった1つの器官でできているのではなく、身体と脳にある3つの部分が互いにコミュニケーションを取っているシステムだ。 まず視床下部(H=hypothalamus)が脳の下部にある分泌器、下垂体(P=pituitary gland)へとシグナルを送り、さらに下垂体から副腎(A=adrenal glands)にシグナルが送られる。すると副腎がコルチゾールというホルモンを放出する。コルチゾールの役割はエネルギーを動員することだ。例えば朝はコルチゾールのレベルが上がるのだが、それはベッドから起き上がるためにエネルギーが必要だからだ。 しかしコルチゾールはストレスを感じている時にもレベルが上がる。ストレスを受けるとHからPそしてAへシグナルが送られ、コルチゾールのレベルが上がるのだ。と言うと単純に聞こえるかもしれないが、実際のHPA系は非常に複雑だ。フィードバックのループがいくつもあり、自分で自分にブレーキをかけることもできる。というのも、コルチゾールのレベルが上がると視床下部と下垂体の活動が抑えられる。 コルチゾールはつまり自分自身にブレーキをかけ、ストレスホルモンとしても抗ストレスホルモンとしても機能する。これが車であれば、同じペダルがアクセルとブレーキ両方の役割を果たすようなものだ。アクセルを踏みすぎると今度はブレーキがかかるというわけだ』、「コルチゾールはつまり自分自身にブレーキをかけ、ストレスホルモンとしても抗ストレスホルモンとしても機能する」、かなり高度な機能なようだ。
・『運動の後、コルチゾールが下がる  精神医学の研究において重要な発見の1つに、このHPA系の活動がうつになるとたいてい変化するというものがある。その理由を考えてみる価値はあるだろう。ひょっとするとこの重要な発見は、身体と脳の両方──HPA系は両方にまたがっているから──で起きている現象なのかもしれないのだから。 一般的には、うつになるとHPA系の活動が活発になりすぎる、つまりコルチゾールのレベルが高くなりすぎる。実際、ほとんどの抗うつ治療は薬も含めてHPA系の活動を平常化するものだ(ただし、薬によってHPA系のどこに作用するかは変わる)。 しかしHPA系を平常化するのは薬だけではない。運動もそうだ。アクティブに身体を動かすことで過剰に活動しているHPA系を落ち着かせることができるのだが、それは長期的に運動すればの話だ。 短期的には、ましてや自分に鞭打って激しいトレーニングをすると、HPA系の活動がむしろ活発になってしまう。身体にしてみれば運動そのものがストレスだからだ。つまり外に出て走り出すと血中のコルチゾールのレベルは上がるが、走り終えたあとは下がり、走る前よりも低くなる。コルチゾールはその後1時間から数時間ほど低いレベルにとどまる。よく運動のあとに感じる心の落ち着きはそのせいなのだ』、「激しいトレーニングをすると、HPA系の活動がむしろ活発に」、「走り終えたあとは下がり、走る前よりも低くなる。コルチゾールはその後1時間から数時間ほど低いレベルにとどまる。よく運動のあとに感じる心の落ち着きはそのせいなのだ」、よくできた仕組みだ。
・『運動がストレスのブレーキを強化する  数週間定期的に運動するうちに、HPA系の活動はゆっくりと落ち着いていく。そうすると運動のあとだけでなく、もっと長くその状態が続くようになる。HPA系にいくつもブレーキがあるせいかもしれない。中でもとりわけ重要な2つのブレーキが、記憶の中枢として知られる海馬と、額の内側にあり抽象概念や分析的思考を司る前頭葉だ。 海馬と前頭葉はどちらも運動によって強化される。海馬は運動によって物理的にも大きくなるし、前頭葉には細かい血管ができ、酸素の供給や老廃物の除去の能率が上がる。つまり運動によって脳に内蔵されたストレスのブレーキが強化され、それだけでなくHPA系が自分自身にブレーキをかける能力も向上するのだ。HPA系が自分の活動に対してより敏感になるということだ。それによってアクセルとブレーキを兼ねるペダルのブレーキ機能も強化される』、「海馬は運動によって物理的にも大きくなるし、前頭葉には細かい血管ができ、酸素の供給や老廃物の除去の能率が上がる。つまり運動によって脳に内蔵されたストレスのブレーキが強化され、それだけでなくHPA系が自分自身にブレーキをかける能力も向上するのだ・・・それによってアクセルとブレーキを兼ねるペダルのブレーキ機能も強化される」、本当によく出来た仕組みだ。
・『運動の炎症抑制効果  うつというのは様々な神経生物学的プロセスによって引き起こされる多様な状態の総称だ。HPA系の活動が過剰になる以外に、すでに書いたように体内の炎症も関係してくる。また、神経伝達物質であるドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルが低いこと、そして脳の「肥料」であるBDNF(脳由来神経栄養因子)のレベルが低いこととも関連づけられる。おまけに島皮質(側頭葉に接していて、感情に重要な役割を果たす)の活動が変化し、扁桃体が活発になる。 そういったメカニズムは複数起動する可能性があり、多かれ少なかれうつ患者に大きな影響を与えている。だから、その患者はドーパミンが少なすぎるとか、扁桃体が活発すぎるとか、炎症を起こしすぎているからだとか断定することはできない。しかし運動に関して言うとそれは問題にはならない。どの要因であっても運動にはたいてい真逆の機能があるからだ。 運動はドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルを上げ、BDNFのレベルも上げる。長期的には炎症を抑える効果もある。なぜかと言うと、運動することによってエネルギーが消費され、そのエネルギーの一部は免疫系から奪われてくるので免疫系の活動が抑えられる。 それは良くないように思うかもしれないが、慢性的な炎症というのはたいてい免疫系が過剰に活動しているせいなのでそれで良いのだ。活動が活発すぎるのを運動が落ち着かせてくれるのだから』、「運動はドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルを上げ、BDNFのレベルも上げる。長期的には炎症を抑える効果もある」、結構づくめだ。
・『運動ほど抗うつ効果があるものはない  運動はまた、海馬に新しい脳細胞ができるスピードを上げ、HPA系を平常化させる。他にもまだまだあるが、言いたいことはもうわかってもらえたと思う。生物学的見地から言うと、うつに対して運動ほど真逆に働きかけるものは思いつかない。 アンデシュ・ハンセン『ストレス脳』もう1つ、運動の抗うつ効果を理解するためには感情がどのようにつくられるかを考えてみるのもいい。先に説明したとおり、感情とは島皮質が知覚刺激と体内で起きている状態をまとめたものだ。つまり、あなたの感情の状態は身体の外と内からのシグナルを材料にしてつくられる。 一方、運動をすると身体の各器官や組織が強化される。血圧、血糖値、コレステロールが安定し、肺の酸素供給能力も向上し、心臓や肝臓が強化される。そのおかげで脳には今までよりも良いシグナルが届いた上で感情をつくることになる。そうすると不快な感情よりも、心地良い感情がつくられる可能性が高くなる。 実際、運動はうつを予防するためにできる最も重要なことの1つなのだ。 (アンデシュ・ハンセン氏の略歴はリンク先参照)』、「運動をすると身体の各器官や組織が強化される。血圧、血糖値、コレステロールが安定し、肺の酸素供給能力も向上し、心臓や肝臓が強化される。そのおかげで脳には今までよりも良いシグナルが届いた上で感情をつくることになる。そうすると不快な感情よりも、心地良い感情がつくられる可能性が高くなる。 実際、運動はうつを予防するためにできる最も重要なことの1つなのだ」、「運動」の効果がここまで大きいとは初めて知った。

第三に、8月8日付けPRESIDENT BOOKSが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の 和田 秀樹氏による「「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"【2022上半期BEST5】 足りないものを足す健康法のすすめ」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60263
・『2022年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。健康部門の第4位は――。(初公開日:2022年2月15日) 『70歳が老化の分かれ道』が話題の精神科医・和田秀樹氏がセブン‐イレブン限定書籍『40歳から一気に老化する人、しない人』を上梓した。40歳こそ老化の始まり、この年代から「足りないものを足す健康法」へのシフトが重要だと説く。同書の一部を特別公開する──。(第1回/全4回) ※本稿は、和田秀樹『40歳から一気に老化する人、しない人』(プレジデント社)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・40代以降は健康診断で「異常値」が激増  日本では、企業が従業員に健康診断を受けさせなければならない決まりがあり(労働安全衛生法)、ほとんどの人が健康診断を受けています。そして40代、50代になって、健康診断ではじめて「異常値」を指摘される人が大勢います。あなたもその一人かもしれません。 ビビりますよね。医者の指示どおり、「正常値」にすべく、生活習慣を変えようと思うのも当然です。人によっては、乱れた食生活や生活習慣など改善すべき点もあるでしょう。とはいえ一般には、異常値が出たからといって、あせって医者に言われるがまま生活を変えなければいけないというものではありません。 実は私自身は、健康診断を受ける必要などないと考えています。医者として30年以上にわたって高齢者を専門に患者さんを診てきた経験から言うと、健康診断を受けたからといって寿命が延びるとは思えないのです。むしろ、高齢になるほど、生活の質を維持するためには健康診断など受けないほうがよいとさえ考えています。 実際に健康診断に寿命を延ばす効果があるのだとしたら、なぜ、現在の日本の女性は男性に比べて平均寿命が長いのでしょうか。 いま平均寿命近くまで生きている男性は、会社勤めなどをしていた人が多く、健康診断も定期的に受けてきたはずです。しかし、同じ時代を生きてきた女性は、そのころは専業主婦が多かったため、男性に比べて健康診断などを受ける機会は少なかったといえます。 もし、健康診断が本当に効果のあるものなら、女性に比して男性の寿命が延びてもいいものですが、実際の統計はそのようにはなっていません。不思議ですよね』、私が現役時代には「健康診断」は、女房用のものもあったと記憶するが、これは例外的存在だったのだろう。
・『中高年以降は「足し算医療」にシフトしよう  健康診断で異常値が出ると、医者は「○○を控えましょう」と指導します。つまり現在の生活を変えて、過剰だと思われるものを「引く」ことを求めるわけです。 でも私は、ある程度の年齢になった人は、引いてはいけないと考えています。歳を重ねても若々しく健康的に生きるためには、不足しているものを「足す」ことこそ大切です。 日本では不思議なことに、塩分にしても血糖値にしてもコレステロールにしても、健康診断で基準値オーバーを指摘されることはあっても、あるいはさまざまな栄養素にしてもそうなのですが、「足りないことの害」について語られることはまれです。 でも、私が高齢者を専門として患者さんを診てきた経験では、歳をとれば、足りないより余っているくらいのほうがよい。歳をとればとるほど、いうなれば「引き算医療」よりも「足し算医療」が賢明になるのです。 中高年が考えるべきは、不足している栄養をしっかりとることと、食べても太らない体を取り戻すことです。そして、細胞の炎症を防ぎ、体の酸化を防ぐ。体の機能が正しく働けば、実現可能なことです』、「中高年が考えるべきは、不足している栄養をしっかりとることと、食べても太らない体を取り戻すことです。そして、細胞の炎症を防ぎ、体の酸化を防ぐ。体の機能が正しく働けば、実現可能なことです」、その通りだ。
・『人間は歳をとるほど個人差が大きくなる  2060年には、日本国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となることが予測されています。すなわち、これからやってくる人生100年時代は、高齢者がマジョリティ(多数派)になる社会です。 人間という生き物は、子どもから現役世代にかけては、誰もがだいたい一定の幅の中に収まることが多いのです。たとえば普通の公立小学校を見れば、生徒の中で超優等生と超劣等生の間のIQの幅は、80から120くらいです。50m走をすれば、速い子で6~8秒くらい、遅い子でも15秒あればゴールします。若いときには、せいぜいそのくらいの差しかありません。 ところが、80歳の高齢者同士を比べるとどうでしょう? 一方で認知症のために言葉さえ理解できなかったり、寝たきりの人がいますが、他方では大学教授を続けたり、立派な業績を残すくらいしっかりしている人もいます。運動能力においても普通に走れたり、泳げたりする人がいます。 歳をとればとるほど、若いとき以上に、身体能力、健康状態の個人差が大きくなってくる。人生100年時代を迎えるにあたって、まずこのことを理解してほしいのです』、「歳をとればとるほど、若いとき以上に、身体能力、健康状態の個人差が大きくなってくる」、同感である。
・『現代の医学では年齢にも遺伝にも勝てない  私は、これまで30年以上にわたって高齢者医療に携わってきましたが、無力感を覚えるときもあります。 たとえば、若いころからタバコをスパスパ吸い続けていても、100歳近くまで大病もせず、元気な人がいます。他方で、体への意識が高く、日々の健康管理や食事制限に積極的で体に気を遣ってきたのに、若くしてがんや心筋梗塞などに侵される人もいます。 残念ですが、いまの医療技術では、遺伝にはけっして勝てないのです。親が認知症であれば、子どもも認知症になる可能性が高いですし、「がん家系」といった表現があるのが現状です。 歳をとっても衰えないように体や脳を使い続けることは大切ですが、無駄な節制などはやめたほうがいい、というのが、医者としての私の正直な意見です。 もちろん、肝臓を壊すまでお酒を飲むなど、体を悪くすることをしても構わないということではありません。ただ、常に「節制しなければ……」と神経質にならなくてもいい、過剰に禁欲的でなくていい、ということです。 日本人には、遺伝に勝てるような錯覚をどこかで持っている人が多いように感じます。日本は、戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だったのに、戦後に一気に最長寿国になったことで、健康管理に努めれば健康で長生きできると勘違いしているのです。 しかし実際は、努力したからではなく、食べ物がよくなって栄養状態が改善したから、戦後の日本人は長寿になったのです』、「歳をとっても衰えないように体や脳を使い続けることは大切ですが、無駄な節制などはやめたほうがいい、というのが、医者としての私の正直な意見です」、「日本は、戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だったのに、戦後に一気に最長寿国になったことで、健康管理に努めれば健康で長生きできると勘違いしているのです。 しかし実際は、努力したからではなく、食べ物がよくなって栄養状態が改善したから、戦後の日本人は長寿になったのです」、「戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だった」とは初めて知った。
・『健康診断のエビデンスへの疑問  現在、日本の健康診断では50~60項目に関する検査を行うのが一般的だと思いますが、これらのうち、健康に影響するとはっきりエビデンスのあるものは血圧や血糖値などせいぜい5項目くらいです。 つまり、血圧や血糖値がものすごく高い場合などは、その時点や将来にその人の体に明らかによくないことが起こる(これも確率論ですが)と認められるものの、それ以外の項目に関しては、数値がよかろうと悪かろうとほぼ当てになりません。 健康診断を受けた人がコレステロールや血圧の数値になぜ一喜一憂するかといえば、異常値が原因となって起こるといわれている動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの重篤な病気になることを恐れ、予防したいと思っているからでしょう。 しかし実際は、健康診断で悪い数値が出て、その後もほったらかしにしていたのに心臓の血管がほとんど狭くならない人もいれば、逆に、まったくの正常値だったのに心筋梗塞で倒れる人もいるのが現実です。 それ以上に問題なのは、日本では、健康診断と健康状態のリンクを長期の大規模調査で追跡した研究がほとんどないことです。 この手の研究を日本の大学病院の医者が嫌うのと、厚生労働省が事態を把握しておらず研究のスポンサーがいない(薬を増やす研究は製薬会社がスポンサーになります)という事情からです。そのため、疾病構造も食生活も異なる海外のデータを無理に信じ込まされているというのが実態なのです』、「日本では、健康診断と健康状態のリンクを長期の大規模調査で追跡した研究がほとんどないことです。 この手の研究を日本の大学病院の医者が嫌うのと、厚生労働省が事態を把握しておらず研究のスポンサーがいない(薬を増やす研究は製薬会社がスポンサーになります)という事情からです。そのため、疾病構造も食生活も異なる海外のデータを無理に信じ込まされているというのが実態なのです」、こんな実態は初めて知り、腹が立った。
・『ダイエットが体の老化を進める  健康状態にある人が、「減らす」選択で、わざわざその状態を逸脱しようとしています。とくに問題なのが中高年のダイエット。 血糖値や血圧に問題がなく、やや肥満という人が食事の量を減らしていくと、ビタミンやたんぱく質、コレステロールなどの栄養が足りなくなってしまいます。そのため、代謝を悪くして老化を進めてしまうのです。 ブドウ糖をエネルギーに変えていく過程には、ビタミンなどの物質が欠かせません。不足すると、摂取したカロリーをエネルギーとして有効活用できないのです。うまく消費できなければ、脂肪の形でたまっていきます。基礎代謝が悪い体、すなわち「歳をとった体」になるわけです。 すると、お腹が空いて辛い思いをしているのに全然やせない、という悪循環が起こってしまいます。 中高年でよく「若いころよりずっと食が細っているのに太る」という人がいますが、これは代謝が悪くなっている典型的なケースです。 概して「足りない」ほうが「余っている」よりも体や脳に悪い。しかも歳をとればとるほど、不足したことによる害が出やすい。これは、体の恒常性を乱すようなことが起きたときに、適応の幅が狭くなるからです』、「ブドウ糖をエネルギーに変えていく過程には、ビタミンなどの物質が欠かせません。不足すると、摂取したカロリーをエネルギーとして有効活用できないのです。うまく消費できなければ、脂肪の形でたまっていきます。基礎代謝が悪い体、すなわち「歳をとった体」になるわけです。 すると、お腹が空いて辛い思いをしているのに全然やせない、という悪循環が起こってしまいます」、私も「悪循環が起こって」いる口だ。
・『本当に有益なのは「心臓ドック」と「脳ドック」  「健康診断は不要である」と前述しましたが、今後の長寿社会を考えると、準備ができない突然死を避けたい人は「心臓ドック」と「脳ドック」については受ける価値があると考えています。 健康診断は、正常値の範囲から上下どちらかに逸脱していたら「異常」と判断するだけです。人にはそれぞれ個人差というものがあるのに、それを認めずに数値だけで判断しようというシステムです。 しかし心臓ドックと脳ドックについては、その人の状況をきちんと診ます。個人差も考慮したうえでの判断がなされるのです 心臓ドックで心臓をとりまく冠動脈のどこかに狭窄きょうさくが見つかれば、それを広げる処置が受けられます。解離性大動脈瘤りゅうなどが見つかった場合も、ある程度の処置が期待できます。 ※編集部註:初出時、「『健康診断は不要である』と前述しましたが、今後の長寿社会を考えると、『心臓ドック』と『脳ドック』については受ける価値があると考えています。」としていましたが、筆者の意向により「『健康診断は不要である』と前述しましたが、今後の長寿社会を考えると、準備ができない突然死を避けたい人は『心臓ドック』と『脳ドック』については受ける価値があると考えています。」と修正しました。(2月16日19時45分追記)』、なるほど。
・『動脈硬化を見つけることが重要  コレステロール値や血圧が高いのがなぜ悪いのかというと、動脈硬化を進めるからです。 ただし、その逆が必ずしも真だとはいえません。コレステロール値や血圧を正常値に抑えているからといって、「だから動脈硬化も問題はない」と思い込むのは非常に危険です。数値が正常か異常かに一喜一憂するよりも、冠動脈の狭窄が進んでいないかどうかを実際にチェックすることのほうがよほど大事です。 脳ドックでも、MRIによって脳の血管を見ることができ、ある程度の大きさがあれば動脈瘤を発見することができます。早期に見つけられれば、カテーテルなどを使って予防手技が受けられます。 このように、心臓ドックと脳ドックは有益な検査になりうるものです』、私は肝心の「『心臓ドック』と『脳ドック』」を受けたことがないので、一度、受けてみよう。
・『健診の意味は「自分の20年後を予測すること」  私は、健康診断を受ける意味が仮にあるとすれば、それをもとに自分自身の「20年後」の健康状態を予測することだと考えています。 検査でコレステロール値や血圧、血糖値が高いと判断されたのなら、それは動脈硬化のリスクファクター(危険因子)ということになりますが、本当にそれが原因で脳梗塞や心筋梗塞になるのは、だいたいの場合、20年後などかなり先のことだからです。 したがって、もし40代で血圧や血糖値の異常値が出始めたのならば、その検査データを過剰に恐れるのではなく、脳梗塞や心筋梗塞が「20年以内に」起こりかねないという自覚を持ち、そうなる前に脳ドックや心臓ドックを受けるという心構えが大事だということです。 こうした考え方は「20年理論」と呼ばれることがあります。要するに喫煙であれ飲酒であれ、40代のうちはそのリスクが20年後にやってくるという意味で、早い段階から対処をしていきましょう、ということです』、後期高齢者になった私は、「40代」とは違って、いまそこにある危機で、悠長に構える余裕はなさそうだ。
・『精神衛生上ベターな選択  20年といえば医学の研究が大幅な進歩を遂げるには十分な時間です。ひょっとしたらiPS細胞(人工多能性幹細胞)をフル活用した再生医療が実用化されていて、多少の動脈硬化であればiPS細胞をぱらぱらと動脈にまくだけで、血管が若返って治ってしまうことだってあるかもしれません。 もちろん、本当にそうなるかどうかは誰にもわかりません。しかし、20年前の医療に比べれば、現在の医療は明らかに進歩しています。かつては救えなかった患者さんを救えるようになっています。 ですから、未来における医学の進歩を信じられるのであれば、とりあえず心臓ドックなり脳ドックなりを受けて突然死のリスクだけは避けつつ、健康診断の結果を闇雲に恐れて頭を悩ませるのはやめる。そして、必要以上の節制はせずに楽しんで生きる。 そのほうが精神衛生上、ベターであろうと思います』、「20年」の余裕がある世代がうらやましいが、こればかりはあきらめるほかなさそうだ。 
タグ:健康 (その21)(「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物、「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世界的な著名精神科医が指摘するある『行動』とは、「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"【2022上半期BEST5】 足りないものを足す健康法のすすめ) 東洋経済オンライン 久住 英二による「「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物」 「うつ病患者群は健常者群と比べてビフィズス菌が少なく、ビフィズス菌・乳酸桿菌ともに一定数以下の人が多かった」、「複数の動物実験で、無菌状態にしたマウスの腸内にうつ病の人の腸内細菌をそっくり移植したところ、マウスもうつ状態になった」、「細菌感染症の治療薬として使われる抗生物質は、病原体を殺すだけでなく、腸内の善玉菌も殺してしまう。 1993~2013年に15〜65歳のうつ病患者20万人超を対象に行われた英国の大規模研究では、1年以上前に抗生物質による治療を1回受けた人は、うつ病のリスクが23~25%高くなっ 「腸内細菌バランスを回復させるとうつ症状が軽減することも、観察されている。 睡眠障害も同様だ」、「さまざまな神経障害や肥満、メタボリックシンドローム、心血管疾患、がんなどの生活習慣病にも、腸内細菌バランスの乱れが潜んでいるとの研究がある」、「新型コロナ患者では、2割の患者に胃腸症状が報告されている。感染すると特定の腸内細菌が増え、結腸の細胞の働きが変化し、ひいては腸内細菌バランスを崩してしまう。 その影響が脳に伝わり、新型コロナによる脳のダメージを深刻にする、という悪循環の可能性が指摘」、「腸内細菌バラン 「腸は、単なる食べ物の消化器官にとどまらず、脳と同じように電気信号を発し、やり取りする、神経系の重要な臓器でもある。まさに「第二の脳」だ。 こうした【脳⇔腸】双方向のやり取りは「脳腸相関」「脳腸軸」と呼ばれ、この5~10年で大いに注目されてきた」、「腸」は確かに「第二の脳」だ。 「腸内細菌叢では、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7くらいの割合が保たれている」、「この三者のバランスが崩れると、悪玉菌優勢となって分泌物質のバランスも崩れ、脳腸相関を通じて脳や全身に悪影響を及ぼすことになる」、なるほど。 「悪玉菌がタンパク質や脂肪分をエサに、腐敗物質を作り出すからだ。腐敗物質は体にとって毒素であり、腸の壁から吸収されて全身に悪影響を及ぼす。 お腹が痛かったり、張ったり、ゴロゴロしたりする。臭いおならが出たり、ひどいと吐き気がしてきたり……」、なるほど。 「納豆を1品追加されたい。納豆が苦手なら、「ヨーグルト+オリゴ糖」をおやつにしよう」、これなら簡単にできそうだ。 Newsweek日本版 PRESIDENT ONLINE アンデシュ・ハンセン氏による「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世界的な著名精神科医が指摘するある『行動』とは」 「運動には抗うつ効果がある」、とは毎日、散歩をさんざんしている私には嬉しくなる話だ。 「最も重要だと思うのは、うつの予防、つまり運動でうつになるリスクを下げられるという研究結果」、なるほど。 「うつになるリスクは身体のコンディションの良い人のほうが低い」、なるほど。 「2020年に発表されたメタ・メタ分析では、運動が子供や若者のうつのリスクを下げることが示され、包括的な効果は中程度だった。それでは高齢者はどうだろうか。それもやはり同じ結果だった」、なるほど。 (注)HPA系:、視床下部、下垂体、副腎の間でフィードバックのある相互作用を行い制御している神経内分泌系(Wikipedia) 「コルチゾールはつまり自分自身にブレーキをかけ、ストレスホルモンとしても抗ストレスホルモンとしても機能する」、かなり高度な機能なようだ。 「激しいトレーニングをすると、HPA系の活動がむしろ活発に」、「走り終えたあとは下がり、走る前よりも低くなる。コルチゾールはその後1時間から数時間ほど低いレベルにとどまる。よく運動のあとに感じる心の落ち着きはそのせいなのだ」、よくできた仕組みだ。 「海馬は運動によって物理的にも大きくなるし、前頭葉には細かい血管ができ、酸素の供給や老廃物の除去の能率が上がる。つまり運動によって脳に内蔵されたストレスのブレーキが強化され、それだけでなくHPA系が自分自身にブレーキをかける能力も向上するのだ・・・それによってアクセルとブレーキを兼ねるペダルのブレーキ機能も強化される」、本当によく出来た仕組みだ。 「運動はドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルを上げ、BDNFのレベルも上げる。長期的には炎症を抑える効果もある」、結構づくめだ。 「運動をすると身体の各器官や組織が強化される。血圧、血糖値、コレステロールが安定し、肺の酸素供給能力も向上し、心臓や肝臓が強化される。そのおかげで脳には今までよりも良いシグナルが届いた上で感情をつくることになる。そうすると不快な感情よりも、心地良い感情がつくられる可能性が高くなる。 実際、運動はうつを予防するためにできる最も重要なことの1つなのだ」、「運動」の効果がここまで大きいとは初めて知った。 PRESIDENT BOOKS 和田 秀樹氏による「「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"【2022上半期BEST5】 足りないものを足す健康法のすすめ」 和田秀樹『40歳から一気に老化する人、しない人』(プレジデント社) 私が現役時代には「健康診断」は、女房用のものもあったと記憶するが、これは例外的存在だったのだろう。 「中高年が考えるべきは、不足している栄養をしっかりとることと、食べても太らない体を取り戻すことです。そして、細胞の炎症を防ぎ、体の酸化を防ぐ。体の機能が正しく働けば、実現可能なことです」、その通りだ。 「歳をとればとるほど、若いとき以上に、身体能力、健康状態の個人差が大きくなってくる」、同感である。 「歳をとっても衰えないように体や脳を使い続けることは大切ですが、無駄な節制などはやめたほうがいい、というのが、医者としての私の正直な意見です」、「日本は、戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だったのに、戦後に一気に最長寿国になったことで、健康管理に努めれば健康で長生きできると勘違いしているのです。 しかし実際は、努力したからではなく、食べ物がよくなって栄養状態が改善したから、戦後の日本人は長寿になったのです」、「戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だった」とは初めて知った。 「日本では、健康診断と健康状態のリンクを長期の大規模調査で追跡した研究がほとんどないことです。 この手の研究を日本の大学病院の医者が嫌うのと、厚生労働省が事態を把握しておらず研究のスポンサーがいない(薬を増やす研究は製薬会社がスポンサーになります)という事情からです。そのため、疾病構造も食生活も異なる海外のデータを無理に信じ込まされているというのが実態なのです」、こんな実態は初めて知り、腹が立った。 「ブドウ糖をエネルギーに変えていく過程には、ビタミンなどの物質が欠かせません。不足すると、摂取したカロリーをエネルギーとして有効活用できないのです。うまく消費できなければ、脂肪の形でたまっていきます。基礎代謝が悪い体、すなわち「歳をとった体」になるわけです。 すると、お腹が空いて辛い思いをしているのに全然やせない、という悪循環が起こってしまいます」、私も「悪循環が起こって」いる口だ。 私は肝心の「『心臓ドック』と『脳ドック』」を受けたことがないので、一度、受けてみよう。 後期高齢者になった私は、「40代」とは違って、いまそこにある危機で、悠長に構える余裕はなさそうだ。 「20年」の余裕がある世代がうらやましいが、こればかりはあきらめるほかなさそうだ。
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スガノミクス(アベノミクス)(その10)(「君はアベノミクスを批判するのか?」と怒りの電話 “反論する安倍さん”が沈黙した「不都合な出来事」とは、「アベノミクス」で安倍元首相が残した負の遺産 目標未達が逆説的に安倍政権の長期化に作用した、私たちがアベノミクスで豊かにならなかったわけ 超金融緩和の固定化にはこんなにも弊害がある) [国内政治]

スガノミクス(アベノミクス)については、昨年8月7日に取上げた。いまさらスガノミクスでもないが、今日は、アベノミクスを総括する意味で、(その10)(「君はアベノミクスを批判するのか?」と怒りの電話 “反論する安倍さん”が沈黙した「不都合な出来事」とは、「アベノミクス」で安倍元首相が残した負の遺産 目標未達が逆説的に安倍政権の長期化に作用した、私たちがアベノミクスで豊かにならなかったわけ 超金融緩和の固定化にはこんなにも弊害がある)である。

先ずは、6月14日付け文春オンライン「「君はアベノミクスを批判するのか?」と怒りの電話 “反論する安倍さん”が沈黙した「不都合な出来事」とは」を紹介しよう』、
https://bunshun.jp/articles/-/55130
・『「安倍・菅・岸田、3人の総理を一言で表すと?」  5月31日の大分合同新聞に興味深い記事があった。後藤謙次氏(共同通信社・客員論説委員)が話していた。 で、3人の総理を一言で表すと、 「反論する安倍さん、沈黙する菅さん、大きくうなずく岸田さん」 たしかに。ちなみに岸田さんのうなずきはイエスかノーかわからないから“くせ者”という意味だった』、「反論する安倍さん、沈黙する菅さん、大きくうなずく岸田さん」とはよく練られたフレーズだ。
・『安倍元首相が許せなかった言葉  この「反論する安倍さん」の数日後に出た朝日新聞と読売新聞の記事が面白かったのだ。まず朝日。 『「アベノミクス批判するのか」安倍氏怒りの電話 許せなかった言葉』(朝日新聞デジタル6月2日) 《5月19日、自民の財政再建派を中心とする財政健全化推進本部の会合後、安倍氏(67)は、自らの派閥に属する越智隆雄・元内閣府副大臣(58)の電話を鳴らした。「君はアベノミクスを批判するのか?」。声は怒気をはらんでいた。》 越智氏は「批判はしていません」と言ったが、安倍氏は「周りはアベノミクスの批判だと言っているぞ」と迫ったという。 さらに読売ではこんな記事が。 『政権占う「安倍・麻生・菅」…政策・人事 影響力健在』(6月5日) 《「私と麻生さんがやってきたことを否定するんですか」 5月23日、元首相の安倍晋三(67)は議員会館の自室に呼んだ元財務相の額賀福志郎(78)に険しい表情でこう迫った。》 今度は額賀氏に対してだ。自民党の財政健全化推進本部は「アベノミクス」の正当性を打ち消す動きだと安倍氏は受け止めたという。 まさに反論する安倍さん。「君はアベノミクスを批判するのか?」って真骨頂ではないか』、「元財務相の額賀福志郎」氏にまでかみついているようだが、これでは自民党内では、「アベノミクス」はタブーになってしまう。
・『「いっそのこと、自民党が二つに分かれた方が…」  毎日新聞のコラムで与良正男氏は、 《安倍氏はアベノミクスを少しでも否定されるのが許せないのだろう。内政も外交も、自分が進めた政策は全く間違っていなかった――と信じて疑わないのだと思う。》(毎日新聞6月8日) だから岸田首相の政策に安倍元首相が次々と注文をつけて、岸田氏があっさりと妥協する。そんな政治が繰り返されていると。 「いっそのこと、自民党が二つに分かれた方が夏の参院選は投票しやすくなるのに……。そう考えるのは私だけだろうか。」(同前) あ、この感じ思い出した。昨年の岸田政権発足当初に感じたタブロイド紙の変化と同じだ。今まで政権を擁護していた夕刊フジに岸田批判が多くなったのだ。政権批判の日刊ゲンダイは引き続き岸田批判。 こうなると岸田氏はピンチのようにも思えるが実はそうではない。なぜなら「野党」が埋没しているからである。まるで政党が自民党しかないようなマジックになっていたのだが、今回の「岸田VS安倍」もその続きに思える。 先ほどのコラムでも後半に、 《自民党に注目が集まれば、野党の存在はかすんでいく。結果として参院選で自民党が勝利すれば岸田氏にもプラスなのだ。実に巧妙だとさえ言える。》(同前)  と書かれている。もっと言えば「岸田VS安倍」は自民党がすでに参院選後に夢中のようにも思わせる』、「「野党」が埋没している」のは誠に腹立たしい限りだ。
・『安倍元首相の「ちょっと面白い反論」  しかし安倍元首相の反論が目立つのは影響力の誇示だけだろうか。安倍さんには「ちょっと面白い反論」もあるのだ。たとえばこれ。 『安倍晋三氏「プーチン氏は信長みたいなもの、力の信奉者だ」指摘』(毎日新聞WEB4月22日) 『トランプ氏とゴルフ「抑止力のためだった」安倍元首相、郡山で講演』(河北新報4月18日) どちらも共通しているのはロシアのウクライナ侵攻に触れて発言していること。 前者では「言ってみればプーチン氏は戦国時代の武将みたいなもの。たとえば織田信長に人権を守れと言っても全然通用しないのと同じ」とし、後者では政権当時にトランプ前米大統領と親交を深めた「ゴルフ外交」は「抑止力のためだった」と振り返った。 どちらも4月の発言であり、対プーチン外交とは何だったのか? と言われだした時期なので、慌てて反論したと思えば時系列に合う。安倍氏が今も目立つのはアベノミクスとか外交とか「過去の実績」があらためて注目されるから反論に忙しいという事情も浮かぶ。反撃能力を地で行く安倍氏』、「対プーチン外交」については、叩けばもっとホコリが出てくる筈だ。
・『「反論する安倍さん」が沈黙したこと  しかし気になることもある。反撃しないこともあるのだ。桜を見る会夕食会での「サントリーから酒無償提供」の報道には、沈黙したのである。 『スクープ 桜を見る会前夜祭 新たな利益供与 安倍氏側持ち込み ふるまい酒』(しんぶん赤旗日曜版5月29日号)) 赤旗編集部が注目したのは前夜祭の会場となったホテル職員が作成した「宴会ファイル」だった。19年の宴会ファイルには、酒の本数とともに「●●様より前日持ち込み」として電話番号が付記されていた。酒の提供者は黒塗りになっていたが、電話番号はあったのだ。ここに気づいた赤旗が電話すると、 「サントリー秘書部です」 なんとサントリーにつながったのである。この電話、お互いびっくりしただろうなぁ』、「反撃しないこともあるのだ。桜を見る会夕食会での「サントリーから酒無償提供」の報道には、沈黙したのである」、反論する余地もないからだろう。
・『安倍事務所の回答は…  サントリーは無償提供の理由を「弊社製品を知っていただく良い機会と考え、この会に協賛させていただいた」と回答。しかし赤旗は、サントリーの新浪剛史社長は安倍政権下で経済財政諮問会議の民間議員を務めていたこと、安倍氏と面会・会食をよくしていたことから「無償提供」の意味を問うていた。専門家は「違法献金の可能性も」と指摘している。ちなみに「安倍事務所は回答しませんでした」とのこと。 後日、市民団体が「政治資金規正法に違反する企業献金」だとしてサントリー社員らを刑事告発すると、安倍事務所は「収支報告書は訂正すべき点は適正に修正している」とようやくコメントした。 この「サントリーのオールフリー」問題。「反論する安倍さん」なら赤旗の報道にも、きちんと反論したほうがよいのではないでしょうか。反撃能力が気になります。 その他の写真はこちらよりご覧ください』、「安倍事務所は「収支報告書は訂正すべき点は適正に修正している」、とすることで、「サントリー社員ら」への「「政治資金規正法に違反する企業献金」の疑いを晴らす狙いがあるのだろう。

次に、7月15日付け東洋経済オンライン「「アベノミクス」で安倍元首相が残した負の遺産 目標未達が逆説的に安倍政権の長期化に作用した」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/604143
・『安倍晋三元首相が凶弾に倒れたのは、アメリカが40年ぶりのインフレ経済へ突入し、市場でアベノミクスの見直し議論が始まっているさなかのことだった。 ここでは安倍政権とアベノミクスの関係を振り返り、今後を展望してみたい。 アベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」で構成された。とくに黒田東彦総裁下の日本銀行で実行された異次元の量的・質的金融緩和が柱となった。 国債の大規模購入がその中心で、足元では新発10年国債の日銀保有シェアは約9割に及ぶ。それにより短期金利のみならず、長期金利もゼロ%程度へ人為的に抑制し続けている』、興味深そうだ。
・『アベノミクスで想定された3つのシナリオ  アベノミクスが始まった2013年当時、想定されたシナリオは大きく分けて次の3つだった。 ①日銀の主張どおり、デフレ脱却を実現し、「2年で物価上昇率2%」の目標を達成。日本経済は名目経済成長率3%という高成長や賃金上昇を実現する。 ②デフレは脱却するが、人口減少や製造業の海外生産シフトを背景に停滞気味の経済成長が続く。そのため、超低金利政策は長期化し国債増発による財政政策を支える一方、政治家の財政規律は弛緩。日本は官民ともに将来の金利上昇に脆弱な体質に陥っていく。 ③日本売りを伴う悪い円安やインフレを招いて金利上昇に追い込まれる。結果、経済や財政が苦境に立つ。 現実は、①や③ではなく、②となったのは周知のとおりだ。 だが、アベノミクスは最良の結果を得られなくても、歴代最長の7年8カ月に及んだ第2次安倍政権の継続にプラスに作用した。なぜなら、目標未達のたびに安倍政権は「うまくいかないのは金融緩和や財政政策が足りないからだ」として、株高などにつながる追加策を打ち出し、それが選挙勝利の原動力になったからだ。 具体的に見てみよう。第2次安倍政権発足後、最初の国政選挙となった13年7月の参院選。このときは、アベノミクスが順調なスタートを切ったさなかで、選挙に圧勝して衆参両院で多数派が異なるねじれ国会を解消した。 だがその後、円安にもかかわらず輸出数量や生産が伸びず、消費増税や欧州債務危機の影響などもあって景気の伸び悩みがはっきりしてきた。「2年で物価上昇率2%」の目標達成が難しいことは誰の目にも明らかになり、株価上昇も完全に止まった。 そこで14年10月に繰り出したのが、日銀の国債購入拡大(追加金融緩和)とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による株式購入の拡大(運用ポートフォリオ変更)だ。 これで株価は一気に反騰。さらに安倍首相(当時)は15年10月の予定だった8%から10%への消費税率引き上げを17年4月へ延期すると表明し、14年12月に解散総選挙に打って出て大勝した』、長期政権を支えたのが、「目標未達のたびに安倍政権は「うまくいかないのは金融緩和や財政政策が足りないからだ」として、株高などにつながる追加策を打ち出し、それが選挙勝利の原動力になった」とは、皮肉なものだ。
・『増税延期という手段  16年7月の参院選でも消費増税の延期について国民の信を問うという構造をつくり、アベノミクスの目標未達をむしろ味方につけた。 その際の紆余曲折は興味深い。1回目の延期を決めた14年、安倍首相は「リーマンショック並みの危機がない限り、消費増税は再延期しない」と公約していた。 再延期を念頭に置き16年5月、安倍首相は折からの中国経済変調と世界の商品・金融相場の下落に対し、「現在はリーマンショック前夜だ」とG7伊勢志摩サミットで各国首脳に訴えかけた。だが、メルケル独首相(当時)が「世界経済は堅調だ」と反論するなど共通認識は得られなかった。 しかしそれでもめげない。記者会見で「現時点ではリーマン級のショックは発生していないが、これは従来の約束とは異なる新しい判断だ」として19年10月への消費増税再延期を表明。信を問うという形で参院選になだれ込んだ。野党も増税延期や凍結を主張する中、自民党は議席数を伸ばした。 政権後期は、「金融政策だけでは賃金上昇や高成長は望めない」と悟り、安倍首相は積極財政へ軸足を移す。森友・加計学園問題で政権支持率が低迷する中、17年10月に「消費増税の増収分の使途を国の借金返済から幼児教育無償化に変える」と表明、またもや解散総選挙に打って出た。 増税分の使途変更は事実上国債増発による財政拡大に等しい。この頃は与野党とも財政規律の緩みが蔓延しており、安倍政権は3度、消費増税を選挙材料に活用した。 もちろんアベノミクスは、高齢者や女性の就業拡大、失業率低下、インバウンド(訪日外国人観光客)増大などを実現し、成果を得た。 振り返ると、アベノミクスは当初約束した賃金上昇や経済高成長を実現し支持を得たわけではない。反対に、経済成長が不十分だとしてアクセルを踏み続けることを選挙に利用した面が強い。それが長期政権化を可能にし、外交や安全保障で足跡を残す基礎をつくったといえるだろう』、「アベノミクスは当初約束した賃金上昇や経済高成長を実現し支持を得たわけではない。反対に、経済成長が不十分だとしてアクセルを踏み続けることを選挙に利用した面が強い。それが長期政権化を可能にし、外交や安全保障で足跡を残す基礎をつくったといえる」、政治的には、結果オーライの典型だ。
・『日銀に対する風当たりが強まる可能性  問題は、アベノミクスのこれからだ。安倍政権以降、菅義偉政権、岸田文雄政権ではアベノミクスが継承されている。だが、コロナ禍、ウクライナ危機による供給制約や好調な需要を背景に、冒頭で触れたようにアメリカは40年ぶりのインフレとなり、金利上昇(金融引き締め)が急速に進んでいる。 依然としてゼロ%程度に金利を抑制する日本との金利差が拡大し、足元では日本が金融危機下にあった1998年以来の1ドル=137円台前半まで円安が進んだ。これに対し、黒田総裁は「日本では賃金上昇への波及が見られず、インフレは一時的」として金融緩和を堅持する姿勢だ。 だが、日銀や政府が待ち望むようにアメリカのインフレや金利上昇が急速な金融引き締めでいずれは峠を越えるとしても、その後も構造的に以前より高いインフレ率や金利水準が維持される可能性はある。また、国内の家計もアベノミクス当初と違い、インフレに直結する円安を歓迎しなくなっている。日銀への風当たりは強くなりそうだ。 大局的に見れば、現在は前述したシナリオ②から③、つまり、悪い円安の進行やインフレによる金利上昇に追い込まれかねない状況に移行しつつあるといえるだろう。 金利上昇に対する日本経済の脆弱性は今では巨大だ。日銀のバランスシートは世界でも突出した膨張を見せ、その結果、仮に短期金利(当座預金への付利率)を1%引き上げただけで日銀は短期間で債務超過に陥る。 また、金利上昇は国債利払い費の増加で政府の予算を圧迫し、住宅ローン金利の上昇などを通じて景気も冷やす。割引率(金利)の上昇により、株式や不動産など資産の価格下落も招くだろう。 安倍首相が指名した黒田総裁の任期は23年4月まで。岸田政権下で日銀が金融政策の修正に動くかは不明だが、正の遺産と同様、安倍政権が残した負の遺産もまた大きいと言わざるをえない』、「現在は前述したシナリオ②から③、つまり、悪い円安の進行やインフレによる金利上昇に追い込まれかねない状況に移行しつつあるといえる」、「正の遺産と同様、安倍政権が残した負の遺産もまた大きいと言わざるをえない」、私自身は「負の遺産」の方がはるかに大きいと思う。

第三に、8月6日付け東洋経済オンラインが掲載したBNPパリバ証券経済調査本部長の河野 龍太郎氏による「私たちがアベノミクスで豊かにならなかったわけ 超金融緩和の固定化にはこんなにも弊害がある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/609272
・『日本が貧しくなった原因を「デフレ」としたのは、そもそも誤診だった。 過去30年、グローバリゼーションやICT革命で、日本ではメンバーシップ型雇用が減り、非正規雇用との二極化が進んだ。働き方や家族形態の変容に社会保障制度が対応できず、消費が低迷し、少子化にもつながった。 10年前、多くの人は「2000年代に貧しくなった元凶はデフレ」と判断し、アベノミクスが採用された。そうした政策で私たちは豊かになったのか。 時間当たり実質賃金を見ると、1980年代は年率1.8%、1990年代は1.1%上昇したが、2000年代は0.2%下落し、確かに貧しくなった。そして2010年代は0.3%とわずかに上昇した(上図)』、なるほど。
・『生産性上昇率は低下した  時間当たり実質賃金の変化率は、①時間当たり労働生産性上昇率、②労働分配率の変化率、③交易条件の変化率、の3つに分解できる。このうち、実質賃金の引き上げに不可欠な生産性上昇率は、1980年代は年率2.8%だったが、1990年代は1.8%、2000年代は0.8%、10年代は0.3%と低迷した。 アベノミクスには「3本の矢」があったが、1本目と2本目の金融政策・財政政策頼みで、3本目の成長戦略は進まなかったと考える人が多い。ただ、反成長戦略が取られたわけでもない。なぜ生産性上昇率は低迷を続けたのか。 筆者は、追加財政や金融緩和を完全雇用の下でも続けたことが、生産性上昇率を低下させたと考える。資源配分を歪め、成長戦略の効果を相殺したとみている。 では、生産性上昇率の低下にもかかわらず、2010年代の時間当たり実質賃金が悪化しなかったのはなぜか。労働分配率、続いて、交易条件を見ていこう。 1990年代以降、欧米では労働分配率が大きく低下した。イノベーションで生産性上昇率が上がって経済全体のパイが拡大しても、アイデアや資本の出し手に所得増加が集中し、平均的な労働者の所得はなかなか上昇しないからだ。 日本の労働分配率はどうだったか。1980年代に年率0.5%下落、1990年代は0.3%上昇し、2000年代は0.2%下落した。2000年代は、金融グローバリゼーションで、資本市場のプレッシャーから経営者は賃金を引き上げづらかった。 一方、2010年代の労働分配率は年率0.2%とわずかだが上昇した。アベノミクスの賃上げ策が奏功したのか。イノベーションが進まず、生産性上昇率が低迷する代わりに、欧米のように一部の人に所得が集中することもなかったためだと考えると、痛しかゆしだ』、「なぜ生産性上昇率は低迷を続けたのか。 筆者は、追加財政や金融緩和を完全雇用の下でも続けたことが、生産性上昇率を低下させたと考える。資源配分を歪め、成長戦略の効果を相殺したとみている」、「では、生産性上昇率の低下にもかかわらず、2010年代の時間当たり実質賃金が悪化しなかったのはなぜか。労働分配率、続いて、交易条件を見ていこう」、なるほど。
・『2000年代に貧しくなった真因  交易条件はどうか。1980年代は年率0.5%悪化し、1990年代は0.9%悪化。2000年代にも0.9%悪化して、1970年代の1.1%の悪化に迫った。だが2010年代は0.2%の悪化と大きく緩和した。 2000年代の悪化は、中国の旺盛な需要によって原油などコモディティー価格の水準が切り上がったためだ(下図)。資源価格が上昇すると、資源国に所得が移転してしまい、輸出価格に転嫁できなければ、交易条件が悪化して実質所得は抑制される。2000年代初頭に1バレル=30ドルだった原油価格は、ピークの2008年には140ドル台をつけ、2010年代に入っても100ドル前後で推移していたが、2014年秋に急落し、交易損失は改善された。 ここで筆者が強調したいのは2000年代に貧しくなった真因である。これまで見たように、①労働生産性上昇率の低下と、②労働分配率の比較的大きな低下、③交易条件の大幅悪化が、実質賃金の減少をもたらしていた。 しかし、経済学者の齊藤誠も指摘するように、原油高でGDPデフレーターが低下したため、デフレで貧しくなったと多くの人が誤解した。交易条件の悪化は、原油高によるインフレ現象であり、デフレ現象ではない。しかし、輸入物価の上昇はほかの物価統計と異なりGDPデフレーターを低下させる。GDP統計上、輸入は控除項目であるためだ。 診断を誤り、リフレ政策という誤った処方箋を出してしまったことの帰結が、生産性上昇率の低下であり、それが、2010年代に交易条件の悪化が和らいだことや労働分配率の低下が止まったことによるプラスの効果を相殺したのである。 ちなみに、日本銀行は2014年10月の原油価格急落時に、追加緩和で円安を促し、せっかくの原油安の家計への恩恵を相殺してしまった。2014年といえば、消費増税が家計の実質所得を抑制した年だ。 現在のコモディティー価格上昇は、コロナ禍で供給の回復が遅れる一方、経済再開で需要回復が先行したことが背景にある。「カーボンニュートラル2050」を意識した化石燃料関連の更新投資の滞りやウクライナ危機もエネルギー高に拍車をかける。その結果、交易損失は2022年1~3月期の段階で、2008年7~9月期を超えて悪化した』、「診断を誤り、リフレ政策という誤った処方箋を出してしまったことの帰結が、生産性上昇率の低下であり、それが、2010年代に交易条件の悪化が和らいだことや労働分配率の低下が止まったことによるプラスの効果を相殺した」、経済政策では、「診断を誤り・・・誤った処方箋を出してしまった」、ごくまれに起きることだ。
・『円安は家計を圧迫している  ただ今回は、コモディティー高による輸入物価上昇を円安が増幅し、インフレ的現象であることが一目瞭然だ。人々の関心が再び日銀に向かうとしても、求めるのはリフレ政策ではないだろう。 円安は、日本の財・サービスを割安にし、輸出拡大を促すため、確かに景気刺激効果を持つ。家計が損失を被っても、景気刺激という点からはプラス効果が大きい。 日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策には、海外金利が上昇しても、日銀が金利上昇を抑え込み、内外金利差を拡大させることで円安を促し、インフレを醸成するメカニズムがある。2%のインフレ目標の達成を目指す日銀としては、チャンス到来ということかもしれない。 しかし、インフレが安定的な2%の目標に達しないという理由だけで、景気循環を超えて超金融緩和を固定化することは適切だろうか。景気刺激効果だけで政策を決めるのは、視野狭窄ではないか。 名目賃金の上昇が限られる中、円安が輸入物価上昇を増幅すれば、家計の実質購買力は抑制され、消費回復の足かせとなる。輸出企業に恩恵が及ぶとはいえ、企業は儲かってもため込むだけで、賃金を増やさず、人的資本や無形資産、有形資産への投資も活発化させない。何のために経済が存在するのか。 また、超低金利政策の長期化・固定化は、ゼロ金利や超円安なしでは存続できない生産性の低い企業を生き残らせるため、潜在成長率の回復も阻害する。だから実質賃金が上昇しない。 2012年末に日銀の金融政策に社会の関心が集まることで、「政策の窓」が開きリフレ政策が発動された。2000年代の交易条件の悪化がデフレ問題と誤認されたことも背景にあった。今回は、資源高による輸入物価上昇を円安が増幅し、家計の実質所得を抑制していることが、正しく認識されるだろう。 円安に関心が集まる今こそ、景気刺激という短期の視点を超えて、超金融緩和を固定化することの長期のメリット、デメリットを再検討する必要がある』、「円安に関心が集まる今こそ、景気刺激という短期の視点を超えて、超金融緩和を固定化することの長期のメリット、デメリットを再検討する必要がある」、私は、「超金融緩和を固定化することの長期のデメリット」の方が「メリット」より大きいと思うので、出口論議を始めるべきと考える。
タグ:「反論する安倍さん、沈黙する菅さん、大きくうなずく岸田さん」とはよく練られたフレーズだ。 「アベノミクスは当初約束した賃金上昇や経済高成長を実現し支持を得たわけではない。反対に、経済成長が不十分だとしてアクセルを踏み続けることを選挙に利用した面が強い。それが長期政権化を可能にし、外交や安全保障で足跡を残す基礎をつくったといえる」、政治的には、結果オーライの典型だ。 ①日銀の主張どおり、デフレ脱却を実現し、「2年で物価上昇率2%」の目標を達成。日本経済は名目経済成長率3%という高成長や賃金上昇を実現する アベノミクスで想定された3つのシナリオ 東洋経済オンライン「「アベノミクス」で安倍元首相が残した負の遺産 目標未達が逆説的に安倍政権の長期化に作用した」 「診断を誤り、リフレ政策という誤った処方箋を出してしまったことの帰結が、生産性上昇率の低下であり、それが、2010年代に交易条件の悪化が和らいだことや労働分配率の低下が止まったことによるプラスの効果を相殺した」、経済政策では、「診断を誤り・・・誤った処方箋を出してしまった」、ごくまれに起きることだ。 文春オンライン「「君はアベノミクスを批判するのか?」と怒りの電話 “反論する安倍さん”が沈黙した「不都合な出来事」とは」 「なぜ生産性上昇率は低迷を続けたのか。 筆者は、追加財政や金融緩和を完全雇用の下でも続けたことが、生産性上昇率を低下させたと考える。資源配分を歪め、成長戦略の効果を相殺したとみている」、「では、生産性上昇率の低下にもかかわらず、2010年代の時間当たり実質賃金が悪化しなかったのはなぜか。労働分配率、続いて、交易条件を見ていこう」、なるほど。 長期政権を支えたのが、「目標未達のたびに安倍政権は「うまくいかないのは金融緩和や財政政策が足りないからだ」として、株高などにつながる追加策を打ち出し、それが選挙勝利の原動力になった」とは、皮肉なものだ。 「安倍事務所は「収支報告書は訂正すべき点は適正に修正している」、とすることで、「サントリー社員ら」への「「政治資金規正法に違反する企業献金」の疑いを晴らす狙いがあるのだろう。 河野 龍太郎氏による「私たちがアベノミクスで豊かにならなかったわけ 超金融緩和の固定化にはこんなにも弊害がある」 「反撃しないこともあるのだ。桜を見る会夕食会での「サントリーから酒無償提供」の報道には、沈黙したのである」、反論する余地もないからだろう。 「対プーチン外交」については、叩けばもっとホコリが出てくる筈だ。 ③日本売りを伴う悪い円安やインフレを招いて金利上昇に追い込まれる。結果、経済や財政が苦境に立つ 東洋経済オンライン 「現在は前述したシナリオ②から③、つまり、悪い円安の進行やインフレによる金利上昇に追い込まれかねない状況に移行しつつあるといえる」、「正の遺産と同様、安倍政権が残した負の遺産もまた大きいと言わざるをえない」、私自身は「負の遺産」の方がはるかに大きいと思う。 「「野党」が埋没している」のは誠に腹立たしい限りだ。 (その10)(「君はアベノミクスを批判するのか?」と怒りの電話 “反論する安倍さん”が沈黙した「不都合な出来事」とは、「アベノミクス」で安倍元首相が残した負の遺産 目標未達が逆説的に安倍政権の長期化に作用した、私たちがアベノミクスで豊かにならなかったわけ 超金融緩和の固定化にはこんなにも弊害がある) 「元財務相の額賀福志郎」氏にまでかみついているようだが、これでは自民党内では、「アベノミクス」はタブーになってしまう。 「円安に関心が集まる今こそ、景気刺激という短期の視点を超えて、超金融緩和を固定化することの長期のメリット、デメリットを再検討する必要がある」、私は、「超金融緩和を固定化することの長期のデメリット」の方が「メリット」より大きいと思うので、出口論議を始めるべきと考える。 ②デフレは脱却するが、人口減少や製造業の海外生産シフトを背景に停滞気味の経済成長が続く。そのため、超低金利政策は長期化し国債増発による財政政策を支える一方、政治家の財政規律は弛緩。日本は官民ともに将来の金利上昇に脆弱な体質に陥っていく スガノミクス(アベノミクス)
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医薬品(製薬業)(その7)(ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長 現場にゆがみ、モデルナが「製薬業界のアマゾン」だといえる2つの理由~『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(田中道昭 著)を読む、コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす 「医薬分業」をやめて薬に競争原理を導入せよ) [産業動向]

医薬品(製薬業)については、昨年10月5日に取上げた。今日は、(その7)(ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長 現場にゆがみ、モデルナが「製薬業界のアマゾン」だといえる2つの理由~『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(田中道昭 著)を読む、コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす 「医薬分業」をやめて薬に競争原理を導入せよ)である。

先ずは、昨年10月25日付け朝日新聞アピタル「ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長、現場にゆがみ」を紹介しよう。
https://www.asahi.com/articles/ASPBT3JLRPBGPISC01F.html
・『低価格なジェネリック医薬品(後発薬)はこの10年ほど、国の旗振りで普及が進んだ。だが、水面下でメーカーによる法令違反が横行していた。次々と明るみに出た急成長のゆがみが、「薬都」の富山県など北陸を直撃している。 「状況は日に日に悪化している。そして終わりが見えない」。薬剤師の竹腰利広さんはため息交じりだ。 富山市郊外にあり、竹腰さんが責任者を務めるチューリップ薬局アリス店では夏以降、後発薬の品薄が深刻だ。扱う薬の8割は後発薬で、その5分の1ほどが不足がちという。 患者が希望する品がない場合、代替品や他店舗の在庫を探すが、不足品目が多すぎて苦慮する。不急の薬は処方を避けるよう医療機関と調整することすらあるという。 特に、薬の切り替えを窓口で患者に理解してもらうのが一苦労。竹腰さんは「切り替える薬の効用は保証されているが、コロコロ変わると患者は戸惑う。そもそもなぜ欠品なのかという説明も、情報不足だから分からない」と話した。 原因は相次いだメーカーの不祥事にある。 まず、2020年12月、小林化工(福井県あわら市)が製造したジェネリックの皮膚病薬の服用者から健康被害が報告された。同社によると、服用者324人の7割超の245人が健康被害を訴え、死者も出た。国に承認を受けた手順を守らず製造した違反行為がいくつも確認され、福井県から過去最長となる116日間の業務停止命令を受けた。 同じ頃、業界最大手の一角、日医工(富山市)でも同様の違反行為が見つかった。20年2月、富山県による立ち入り調査で最初の違反が判明。県は調査をさらに進め、翌年3月に発表した。不正は少なくとも10年前から行われていたという。 その頃、何があったか』、「ジェネリック」の問題点については、このブログの昨年3月3日、10月5日にも取上げた。
・『第1次安倍内閣の「骨太方針」  ジェネリックは特許の切れた先発薬と同等の成分や薬効を持ちながら、開発費を抑える分だけ安く供給できる医薬品だ。患者の費用負担や国の医療費を減らすとされている。 国内では低調だったが、第1次安倍内閣の「骨太方針」でシェアの目標数値が盛り込まれた。厚生労働省によると、先発薬と後発薬がある場合、後発薬が占める割合は11年は4割だったが、20年は8割に迫った。 小林化工も呼応して拡大した。19年度の売り上げは約370億円で、08年度の4・5倍にのぼった。一方、品質管理を担う人材は不足し、意識は高まっていなかった。 引責辞任した小林広幸社長は今年4月、「国の施策に応えるべく工場を積極的に建てた。ただ、それに教育や人的なインフラが追いつかなかった」と悔やんだ。19年度の売り上げ約1900億円を誇った日医工の田村友一社長も法令違反を公表した3月、「拡大の中で現場に無理をさせすぎた」と認めた』、「後発薬」メーカーにとっては、「国の施策に応えるべく工場を積極的に建てた。ただ、それに教育や人的なインフラが追いつかなかった」のが、原因のようだ。
・『出荷再開の見通し立たず  厚労省の担当者は、後発薬の供給量について、国内で大きく減っているわけではない、と説明。ただ「一部の薬局が困っているのは認識している。最大手の日医工の生産が止まったため、それが戻るまで見通しは立たない」という。 小林化工の出荷再開見通しは立っていない。日医工の多くの品目も、出荷再開は22年4月以降の予定という。 チューリップ薬局をチェーン展開するチューリップ調剤薬局事業部の内田陽一課長は供給不足の長期化を覚悟している。「法令違反を許してはならないが、同時にどうすれば安定供給できるのか、政府は考えて欲しい」と求める。 100以上の製薬会社が集まり、医薬品生産額が6937億円(19年)にのぼる富山県は、急ぎ対策に乗り出した。有識者による部会は、企業に法令順守体制の整備や身の丈に合った経営などを、県には無通告の査察の強化などを求めた。 その後の査察で、漢方などの北日本製薬(富山県上市町)、配置薬の老舗の広貫堂(富山市)で、手順を守っていない疑いが発覚した。「ジェネリックだから無理をしたのでは」と説明されていた不正の根は、本当はもっと広く、深いのか。まだ見えていない』、「出荷再開の見通し立たず」とは深刻だ。

次に、2月22日付けダイヤモンド・オンライン「モデルナが「製薬業界のアマゾン」だといえる2つの理由~『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(田中道昭 著)を読む」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/296061
・『視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします』、興味深そうだ。
・『コロナ禍前までは製品販売の売り上げがゼロだったモデルナ  オミクロン株のまん延によって、新型コロナウイルスと人類の闘いの出口が見えづらくなってきた。今後どんな変異株が登場するか、予測がつかないからだ。ワクチンと特効薬の開発、そして日常生活での感染対策を続けるとともに、一人一人が当事者意識を持って、ウィズコロナへのシフトを考えていかなければならない。 ワクチンに関しては、ファイザーに続きモデルナも、オミクロン株に対応したワクチンの臨床試験を開始したと報じられている。日本における新型コロナウイルスワクチン接種は今のところ、この2社製に限られており、有効性の高いワクチンの開発に期待したいところだ。 さて、もはやほとんどの日本人にその名が知れ渡ったモデルナだが、どのような企業なのか、ご存じだろうか? 海外では有名な、製薬大手と思っている人もいるかもしれない。だが実はモデルナは、2010年に米国で設立されたばかりのバイオベンチャーなのだ。 わずか創業10年余りのベンチャー企業が、170年以上の歴史を誇る巨大製薬会社であるファイザーと、コロナワクチンでは肩を並べているのは驚くべきことだ。しかもモデルナは、2019年度まで市販製品が一つもなく、製品販売による売り上げはゼロだったという。 本書『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』は、モデルナをはじめ、アップル、アマゾン、アリババといった企業の戦略が世界の医療・健康(ヘルスケア)産業を激変させる可能性を探っている。 著者の田中道昭氏は立教大学ビジネススクール教授で、テレビ東京の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」コメンテーターを務める。シカゴ大学経営大学院MBA、専門は企業戦略&マーケティング戦略。『アマゾンが描く2022年の世界』(PHPビジネス新書)、『GAFA×BATH』(日本経済新聞出版)など多数の著書がある。 モデルナは、2020年1月10日に中国の科学者によって新型コロナウイルスの遺伝子情報がインターネット掲示板に公開されてから、たった3日でワクチン候補の設計を完了した(モデルナは遺伝子情報の開示を1月11日と捉え、2日で完了したとしている)。そこから臨床試験の準備完了までは42日。それまで、このプロセスの最速は20カ月だったというから、業界的にはとても信じられないスピードだったことが分かる』、「モデルナは、2010年に米国で設立されたばかりのバイオベンチャーなのだ。 わずか創業10年余りのベンチャー企業が、170年以上の歴史を誇る巨大製薬会社であるファイザーと、コロナワクチンでは肩を並べているのは驚くべきことだ。しかもモデルナは、2019年度まで市販製品が一つもなく、製品販売による売り上げはゼロだった」、「創業10年余りのベンチャー企業が」「170年以上の歴史を誇る巨大製薬会社であるファイザーと、コロナワクチンでは肩を並べているのは驚くべきことだ」、その通りだ。
・『「一石○鳥」を狙うmRNAプラットフォーム戦略  モデルナが驚異的な速さでワクチンを開発し、しかもその有効性が認められ世界中で使われるようになった理由について田中氏は、「プラットフォーム」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という二つのポイントを指摘している。 まず、モデルナの「mRNAプラットフォーム戦略」から説明しよう。 知っている人も多いだろうが、ファイザー製とモデルナ製のワクチンは「mRNAワクチン」である。mRNA(メッセンジャーRNA)は、体内の細胞でタンパク質を作り出すのに必要な「設計図」を伝える働きをする物質。各細胞にはヒトの全遺伝子情報が格納されたDNAがあり、mRNAはその一部をコピーして細胞の外に持ち出し、タンパク質の「工場」であるリボソームに伝える。リボソームでは、mRNAがもたらした情報をもとに、特定の機能を担うタンパク質を作り出す。 mRNAワクチンは、体外から人工のmRNAを注入し、特定のタンパク質を合成させる。新型コロナウイルスワクチンの場合は、コロナウイルス特有のスパイクと呼ばれる細胞を覆う突起部分となるタンパク質を作らせる。スパイクという異物が体内にできれば、それを排除する免疫機能が働き、抗体ができる。そうすれば次にコロナウイルスが体内に侵入しても、抗体がスパイクを目印に撃退するので、感染や重症化を防げるというわけだ。 mRNAは設計図なので、どんなタンパク質を作るかによって自在に書き直しができる。遺伝子情報さえ分かれば、短時間で対応する設計図(mRNA)を設計することが可能だ。モデルナが3日でワクチンの設計を完了できたのは、mRNAを使ったからなのだ。 設計図を簡単に書き直せるということは、新型コロナウイルス以外にも有効なワクチンや薬品を短時間で開発できることを意味する。すなわち、mRNAという共通の基盤(プラットフォーム)の上で、多種多様な、あるいは一度に複数の疾患に対処する医薬品を開発できるということだ。 これは、これまでの製薬の常識を覆す破壊的イノベーションと言えるだろう。すなわち、これまでは個々の疾患ごとに治療法を考え、それに応じた薬を開発していた。しかし、mRNAを共通のプラットフォームとして開発すれば、mRNAを使った同じ仕組みでさまざまな疾患に対処できるようになる。 モデルナは、創業当初から、こうしたmRNAの可能性に着目し、より効率的でスピーディーに開発できる「mRNAプラットフォーム」を構築してきた。その最初の成果が新型コロナウイルスワクチンだった。 mRNAプラットフォームは、言ってみれば「一石○鳥」を狙うものだ。mRNA(一石)を使うことで、複数の疾患(○鳥)に対応できるからだ。 アマゾン ジャパンで新規ビジネス立ち上げに携わったキャリアを持つ太田理加氏が著した『アマゾンで私が学んだ 新しいビジネスの作り方』(宝島社)によると、アマゾンでは「イノベーションは誰にでも起こせる」という意識が全ての社員に浸透しているそうだ。 太田氏もそうした意識を持ち、イノベーションを「一石二鳥の問題解決」と分かりやすく解釈し、二つ以上の問題を同時に解決するにはどうしたらいいか、という視点で新規ビジネスを考えていったという。 太田氏も指摘しているが、アマゾンの典型的な「一石二鳥」にAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)がある。AWSは今や世界一のシェアを誇るクラウドサービスだが、もともとは自社の業務用であり、クリスマス前などの繁忙期以外は、サーバーに余剰が発生していた。その問題と、他社の業務改善という二つの問題を「一石」で解決しようとしたのがAWSというわけだ。 『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』で紹介されているアマゾンのヘルスケア事業の一つに「アマゾン・ヘルスレイク」がある。病院、薬局などのデータをAIによって整理・インデックス化・構造化するもので、AWSの機能の一つに位置付けられている。アマゾンも、AWSというプラットフォームを活用して多事業展開をしているのである』、「モデルナが3日でワクチンの設計を完了できたのは、mRNAを使ったからなのだ」、「mRNAという共通の基盤(プラットフォーム)の上で、多種多様な、あるいは一度に複数の疾患に対処する医薬品を開発できるということだ。 これは、これまでの製薬の常識を覆す破壊的イノベーションと言えるだろう。すなわち、これまでは個々の疾患ごとに治療法を考え、それに応じた薬を開発していた。しかし、mRNAを共通のプラットフォームとして開発すれば、mRNAを使った同じ仕組みでさまざまな疾患に対処できるようになる」、「アマゾンも、AWSというプラットフォームを活用して多事業展開をしている」、なるほど。
・『モデルナは創業当初から「デジタルを前提とした」製薬会社  田中氏が指摘するモデルナのもう一つの成功ポイントが、「DX」だ。モデルナの場合、前述のmRNAプラットフォームを機能させるのに、DXが前提となっているとのこと。より多くのデータの集積・解析や実験・臨床試験、それらによる、より効果のあるmRNAによる医薬品や治療法の開発のためにはデジタル技術が必須だからだ。実際、モデルナは創業以来、自動化やロボティクス、アナリティクス、データサイエンス、AIなどに1億ドル以上を投資しているという。 モデルナのDXは、製薬会社がデジタル技術を取り入れて効率化を図るという次元ではない。モデルナは、最初からデジタルを前提とした、これまでにない新しいタイプの製薬会社なのだ。田中氏は、プラットフォームとDXをセットで展開するモデルナを「製薬業界のアマゾン」とみなしている。 モデルナは、2021年5月に開催した「Moderna Fourth Annual Science Day」において、生命活動におけるDNA、mRNA、タンパク質の関係を、コンピューターのストレージ、ソフトウエア、アプリケーションの関係にたとえて説明している。 すなわち、DNAは全てのタンパク質を作るための設計図を格納したストレージであり、mRNAはそのストレージのデータをもとにタンパク質を作るよう指示を出すソフトウエア、タンパク質は体内のさまざまな機能を実行するアプリケーション、というわけだ。これは、モデルナがまさしくテクノロジー企業の考え方で製薬ビジネスを展開していることを、如実に表している。 このように、異分野のシステム同士の類似性を見つける「見立て」は、さまざまなイノベーションのヒントになるだろう。なかなか新しい発想が浮かばない時には、「一石○鳥」で問題を解決できる方法はないか、異分野の似たシステムに「見立て」ることはできないか、と考えてみてはいかがだろうか』、「モデルナ」が「DNAは全てのタンパク質を作るための設計図を格納したストレージであり、mRNAはそのストレージのデータをもとにタンパク質を作るよう指示を出すソフトウエア、タンパク質は体内のさまざまな機能を実行するアプリケーション、というわけだ。これは、モデルナがまさしくテクノロジー企業の考え方で製薬ビジネスを展開していることを、如実に表している」、本当に凄い企業だ。 

第三に、8月5日付けJBPressが掲載したNHK出身で経済学者・アゴラ研究所代表取締役所長の池田 信夫氏による「コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす 「医薬分業」をやめて薬に競争原理を導入せよ」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71248
・『文部科学省は7月22日、薬学部の新設を2023年度から認可しない方針を決めた。その最大の原因は、厚労省が進めてきた医薬分業のおかげで、薬剤師が過剰になったことだ。 薬価差益で儲けるために医師が薬を過剰に処方する「薬漬け」をなくすため、病院が処方箋を出し、院外の薬局で薬を出すようにしたのだが、その結果、病院の前に並ぶ「門前薬局」が増え、医療費を圧迫しているのだ』、確かに「門前薬局」の繁盛は異常というほかない。
・『「門前薬局」の国民負担は7.7兆円  昔は病院でもらう処方薬と街のドラッグストアで買う市販薬がわかれていたが、最近は病院の処方箋を受け付けて処方薬を出すだけの調剤薬局が増えた。その数(薬剤師のいる薬局数)は約6万店。コンビニエンスストアより多い。 日本の薬剤師は32.2万人と人口あたり世界一多く、調剤医療費は7.7兆円にのぼる。これが国民医療費42.2兆円の2割近くを占めるようになったため、厚労省はその抑制に乗り出し、文科省は薬学部の新設を認めないことにしたわけだ。 (調剤医療費の推移のグラフはリンク先参照) これは逆である。処方薬の薬価が高いのは、薬剤師の利潤を確実に保証するからだ。調剤医療費は市販薬1.1兆円の7倍の市場で、そのうち1.9兆円が、薬剤師の取り分になる「調剤技術料」である。 このような浪費を減らすためには、処方薬にも市販薬のような競争を導入すればいい。その簡単な方法は、薬剤師の免許を廃止して資格認定にすることだ──こう書くと怒る人が多いが、これは薬剤師を廃止しろという意味ではない。 免許というのは国家試験に合格した人に業務独占を認め、無免許の人の業務を禁じる制度である。たとえば医師は診察や治療ができるが、無免許で治療を行うと違法行為として処罰の対象になる。) それに対して情報処理技術者は国家資格だが、それをもたない人がプログラミングしても違法にはならない。薬剤師も資格認定にすればいいのだ。免許なしで処方薬を売れるようにすれば、薬局はこれ以上増えない。ドラッグストアなどとの競争が起こるからだ。 こう書くと「薬剤師には疑義照会などのチェック業務がある」と反論してくる薬剤師がいるが、そんな業務は3%程度で、ほとんどは処方箋の通り薬を袋に入れるだけだ。チェックしてほしい人は薬剤師のいる薬局で買い、そうでない人はドラッグストアで買えばいいのだ』、「調剤薬局」「の数・・・は約6万店。コンビニエンスストアより多い。 日本の薬剤師は32.2万人と人口あたり世界一多く、調剤医療費は7.7兆円にのぼる。これが国民医療費42.2兆円の2割近くを占める」、「厚労省」の「医薬分業」という愚策がもたらした結果だ。
・『「医薬分業」が薬剤費上昇の元凶  医薬分業には、それなりに意味があった。かつては診療報酬の低い分を薬価差益で補う医療が「薬漬け」として批判され、開業医の収入の半分近くを薬剤費が占める状態だったが、1974年に日本医師会の武見太郎会長が診療報酬の引き上げを要求し、処方箋料が大幅に引き上げられた。 厚労省は過剰投薬を避けるために医薬分業を進め、病院に勤務するサラリーマンだった薬剤師が独立できるように調剤技術料も上げた。その結果、門前薬局が急速に増え、調剤医療費は2000年以降、ほぼ倍増した。 約1万5000種類の医薬品のうち、市販薬は約7000種類だが、処方薬の売り上げは市販薬の7倍である。薬価が独占価格として設定でき、保険適用で安く買えるからだ。厚労省は薬剤師の既得権を守るために処方薬のネット販売を禁止しているが、海外では処方薬もネット販売で買える。 こういう混乱が生まれたのは、医薬分業を進めるために処方箋料や調剤技術料など、インセンティブをつけすぎたためだ。医薬分業は義務ではないので、病院が院内処方すれば昔に戻せる。病院や診療所で薬を出すことは今も禁止されていない。 海外では、処方薬も病院内の自動販売機で売っている。病院の診察カードに処方箋データを書き込み、それを自販機に読ませるだけだ。すべての処方薬を自販機で売ることはできないが、他の処方薬は窓口で出せば、薬剤師はいらない。 それでは昔の薬漬けに戻ると心配する人がいるだろうが、処方箋を電子化して、マイナンバーで管理すれば、過剰診療や過剰投薬はチェックできる。医薬分業では、医療費の大部分を占める診療報酬のチェックができないので、「検査漬け」などの乱診乱療は是正できない。 医師のモラルハザードを防ぐ上で効果的なのは、マイナンバーで電子処方箋のデータをネットワークで共有し、他の医師や保険組合がチェックできるようにすることだ。 「薬剤師がいないと薬害が出る」という人がいるが、薬害の責任は製薬会社にあり、薬剤師が防ぐことはできない。「薬剤師が濫用の歯止めになっている」というが、睡眠薬を大量に買おうと思えば、複数の医者に行って複数の薬局で買えばいい。 現実には、薬局でレセコン(レセプト・コンピュータ)と呼ばれる端末に入力しており、投薬ミスなどもこれでチェックできる。処方箋を電子化してネットワークで連携することは簡単だが、医師会が「事務負担」を理由に反対している。この電子化を義務づければいい』、「約1万5000種類の医薬品のうち、市販薬は約7000種類だが、処方薬の売り上げは市販薬の7倍である。薬価が独占価格として設定でき、保険適用で安く買えるからだ。厚労省は薬剤師の既得権を守るために処方薬のネット販売を禁止しているが、海外では処方薬もネット販売で買える」、「こういう混乱が生まれたのは、医薬分業を進めるために処方箋料や調剤技術料など、インセンティブをつけすぎたためだ。医薬分業は義務ではないので、病院が院内処方すれば昔に戻せる」、なるほど。
・『医師の業務を薬剤師も分担する規制改革  医薬分業の見直しは今までも専門家が提案しているが、実現しない。それは32万人の薬剤師の雇用を奪うからだ。他方でコロナ騒動でもわかったように、医師は不足している。文科省が長年にわたって医学部の新設を認可しなかったため、医師の数は約34万人と、薬剤師とほとんど変わらない。 この問題を解決するには、薬剤師に医師の業務の一部を認めることが考えられる。開業医の仕事のほとんどは診察して処方箋を書くことなので、その一部を薬剤師がやればいいのだ。これで薬剤師の雇用不安も解決できる。 処方箋なしで買える市販薬でも、同じ成分の薬は多い。たとえば花粉症の薬はドラッグストアでも同じものが買えるが、病院なら3割負担なので、処方箋をもらって薬局で買う人が多い。これは健康保険の負担になるので、保険組合は保険の対象から除外するよう求めている。 このように処方薬と同じ機能の市販薬は、零売薬局と呼ばれる薬局で売られているが、同じことを調剤薬局でやり、保険適用すればいいのだ。これによって患者は病院に行く代わりに薬局で(3割負担で)薬を買うことができ、薬剤師は医師の業務の一部を代行できる。 これは医師免許の規制緩和なので、医師会は強く反対するだろうが、その答も同じである。今まで通り医師免許をもつ医師に処方してほしい人は、病院で処方してもらえばいい。待ち時間などのコストがもったいない人は、薬局で同じ薬を買えばいいのだ』、「薬剤師に医師の業務の一部を認めることが考えられる。開業医の仕事のほとんどは診察して処方箋を書くことなので、その一部を薬剤師がやればいいのだ。これで薬剤師の雇用不安も解決できる」、「処方薬と同じ機能の市販薬は、零売薬局と呼ばれる薬局で売られているが、同じことを調剤薬局でやり、保険適用すればいいのだ。これによって患者は病院に行く代わりに薬局で(3割負担で)薬を買うことができ、薬剤師は医師の業務の一部を代行できる。 これは医師免許の規制緩和なので、医師会は強く反対するだろうが、その答も同じである。今まで通り医師免許をもつ医師に処方してほしい人は、病院で処方してもらえばいい。待ち時間などのコストがもったいない人は、薬局で同じ薬を買えばいいのだ」、同感である。
タグ:(その7)(ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長 現場にゆがみ、モデルナが「製薬業界のアマゾン」だといえる2つの理由~『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(田中道昭 著)を読む、コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす 「医薬分業」をやめて薬に競争原理を導入せよ) 「後発薬」メーカーにとっては、「国の施策に応えるべく工場を積極的に建てた。ただ、それに教育や人的なインフラが追いつかなかった」のが、原因のようだ。 「ジェネリック」の問題点については、このブログの昨年3月3日、10月5日にも取上げた。 朝日新聞アピタル「ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長、現場にゆがみ」 「モデルナは、2010年に米国で設立されたばかりのバイオベンチャーなのだ。 わずか創業10年余りのベンチャー企業が、170年以上の歴史を誇る巨大製薬会社であるファイザーと、コロナワクチンでは肩を並べているのは驚くべきことだ。しかもモデルナは、2019年度まで市販製品が一つもなく、製品販売による売り上げはゼロだった」、「創業10年余りのベンチャー企業が」「170年以上の歴史を誇る巨大製薬会社であるファイザーと、コロナワクチンでは肩を並べているのは驚くべきことだ」、その通りだ。 ダイヤモンド・オンライン「モデルナが「製薬業界のアマゾン」だといえる2つの理由~『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(田中道昭 著)を読む」 「モデルナが3日でワクチンの設計を完了できたのは、mRNAを使ったからなのだ」、「mRNAという共通の基盤(プラットフォーム)の上で、多種多様な、あるいは一度に複数の疾患に対処する医薬品を開発できるということだ。 これは、これまでの製薬の常識を覆す破壊的イノベーションと言えるだろう。すなわち、これまでは個々の疾患ごとに治療法を考え、それに応じた薬を開発していた。しかし、mRNAを共通のプラットフォームとして開発すれば、mRNAを使った同じ仕組みでさまざまな疾患に対処できるようになる」、「アマゾンも、AWS 「出荷再開の見通し立たず」とは深刻だ。 JBPRESS 「モデルナ」が「DNAは全てのタンパク質を作るための設計図を格納したストレージであり、mRNAはそのストレージのデータをもとにタンパク質を作るよう指示を出すソフトウエア、タンパク質は体内のさまざまな機能を実行するアプリケーション、というわけだ。これは、モデルナがまさしくテクノロジー企業の考え方で製薬ビジネスを展開していることを、如実に表している」、本当に凄い企業だ。 「アマゾンも、AWSというプラットフォームを活用して多事業展開をしている」、なるほど。 「約1万5000種類の医薬品のうち、市販薬は約7000種類だが、処方薬の売り上げは市販薬の7倍である。薬価が独占価格として設定でき、保険適用で安く買えるからだ。厚労省は薬剤師の既得権を守るために処方薬のネット販売を禁止しているが、海外では処方薬もネット販売で買える」、「こういう混乱が生まれたのは、医薬分業を進めるために処方箋料や調剤技術料など、インセンティブをつけすぎたためだ。医薬分業は義務ではないので、病院が院内処方すれば昔に戻せる」、なるほど。 「調剤薬局」「の数・・・は約6万店。コンビニエンスストアより多い。 日本の薬剤師は32.2万人と人口あたり世界一多く、調剤医療費は7.7兆円にのぼる。これが国民医療費42.2兆円の2割近くを占める」、「厚労省」の「医薬分業」という愚策がもたらした結果だ。 確かに「門前薬局」の繁盛は異常というほかない。 池田 信夫氏による「コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす 「医薬分業」をやめて薬に競争原理を導入せよ」 「処方薬と同じ機能の市販薬は、零売薬局と呼ばれる薬局で売られているが、同じことを調剤薬局でやり、保険適用すればいいのだ。これによって患者は病院に行く代わりに薬局で(3割負担で)薬を買うことができ、薬剤師は医師の業務の一部を代行できる。 これは医師免許の規制緩和なので、医師会は強く反対するだろうが、その答も同じである。今まで通り医師免許をもつ医師に処方してほしい人は、病院で処方してもらえばいい。待ち時間などのコストがもったいない人は、薬局で同じ薬を買えばいいのだ」、同感である。 医薬品(製薬業)
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外国人労働者問題(その19)(ベトナム人技能実習生リンチ事件が「第二の徴用工問題」になりかねない不安、ベトナム人を食い物に…「コロナ禍での鎖国反対」の大合唱に透ける“本音”、時給400円、残業200時間超、賃金未払い…「労働法違反のデパート」と化した外国人技能実習制度の“悪夢のような実態”『外国人差別の現場』より #2、日本を去るアジアの若者たち…「豊か・安全・憧れ」が消えゆく日本の実態)

外国人労働者問題については、1月19日に取上げた。今日は、(その19)(ベトナム人技能実習生リンチ事件が「第二の徴用工問題」になりかねない不安、ベトナム人を食い物に…「コロナ禍での鎖国反対」の大合唱に透ける“本音”、時給400円、残業200時間超、賃金未払い…「労働法違反のデパート」と化した外国人技能実習制度の“悪夢のような実態”『外国人差別の現場』より #2、日本を去るアジアの若者たち…「豊か・安全・憧れ」が消えゆく日本の実態)である。

先ずは、1月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「ベトナム人技能実習生リンチ事件が「第二の徴用工問題」になりかねない不安」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/294472
・『技能実習生の被害は今後も減らない?暗い日本の未来  岡山市内の建設会社で働いていたベトナム人技能実習生が、職場で2年間にわたって暴行を受けていた事件が大きな波紋を呼んでいる。 国の外国人技能実習機構がこの会社や監理団体に改善を勧告し事実関係を調査しているが、その一方で義憤にかられた人々による“正義の制裁”も過熱してきている。 ネットやSNSでは、当該の建設会社を特定するまとめサイトが林立し、「日本の恥」「ゴミ企業」などと攻撃、まったく関係のない建設会社までが誹謗中傷にさらされている。 ただ、どんなにこの建設会社をボコボコに叩いて「見せしめ」にしたところで、今後も技能実習生がパワハラ、いじめ、過重労働の被害者となるケースは増えていくだろう。 ご存じのように、そもそもこの制度は、「日本人が嫌がる仕事は外国人にやらせてスカッと解決!」という明治時代から脈々と続く「労力の輸入」という日本の伝統的な人権意識が根っこにある。 そこに加えて、日本の政治は「最低賃金を上げたら景気が悪くなって日本はおしまいだ!」と主張する中小企業団体に選挙で世話になっているので、この先も当分、技能実習生が送り込まれているような企業の低賃金・重労働は改善されない。実際、厚生労働省が昨年8月に公表した調査によれば、技能実習生が働く8124事業所のうち70.8%で労働基準法や労働安全衛生法違反が見つかっている。 つまり、今回のような事件は、いつどこで再び起きてもおかしくないということなのだ。 ただ、そういう目先の話もさることながら、個人的にはこの問題が後世になって日本を不当に貶めるための材料に利用されて、我々の子どもたち、孫たちの世代にとんでもない迷惑をかけてしまうのではないかという懸念の方が強い』、「技能実習生が働く8124事業所のうち70.8%で労働基準法や労働安全衛生法違反が見つかっている」、「この問題が後世になって日本を不当に貶めるための材料に利用されて、我々の子どもたち、孫たちの世代にとんでもない迷惑をかけてしまうのではないかという懸念の方が強い」、その通りだ。
・『徴用工問題にそっくり、将来の「新たな歴史問題」になる  筆者は、安倍政権が「外国人材の活用」を掲げて、入管法改正案を閣議決定した時から、外国人労働者受け入れ拡大に強く反対してきた。理由としては、日本人労働者の賃金を上げないで、外国人労働者を増やすと、低賃金が固定化してしまうということ。そしてもうひとつ大きいのが、次の世代に「新たな歴史問題」を押し付けてしまう恐れがあるからだ。 具体的に言うと今、一部の企業がやっているベトナム人や中国人の労働者へのパワハラや暴行などが、「日本の人権侵害」として解釈され、高齢化した「元技能実習生」から謝罪や賠償を求められるのだ。 2018年11月、本連載の『外国人労働者の「輸入」が日本社会に100年の禍根を残す理由』の中でこのように指摘をさせていただいた。 <今回の「外国人労働者の受け入れ拡大」も「朝鮮人労働者」問題のリバイバルで、これから100年続く民族間の遺恨につながる可能性が極めて高いのだ> 実は100年前の日本でも、低賃金重労働で危険な仕事である炭鉱業などでは、若者から敬遠されて人手不足に陥るという「雇用のミスマッチ」に悩まされていた。そこで、政府はあくまで「試験的」という名目で、三菱、三井などの炭鉱に朝鮮人労働者の受け入れをスタートした。 もちろん、今の日本と同様で、「安易な外国人労働者の受け入れ」に反対する声も多くあった。 実際、読売新聞(1917年9月14日)などマスコミも「資本家の懐中を肥やすに過ぎざるなり」、「鮮人労働者を内地に輸入するは我内地の生活を朝鮮の生活と同一の水準に低下せしむるとなしとせず」とかなり否定的だった。 しかし、企業の成長のためには労働者の賃金をギリギリまで低くするというのが、日本の経営者の基本哲学なので、「国益のため」の大合唱で否定的な声もかき消され、「朝鮮人労働者」の受け入れは本格的にスタートする。低賃金重労働を成長のエンジンにしていた企業はウハウハで、国も潤った。 では、そこから100年を経てどうなったかというと、日本は「朝鮮人労働者」を強制的に連行して働かせたという汚名を着せられている。ご存じ、徴用工問題だ』、「次の世代に「新たな歴史問題」を押し付けてしまう恐れがあるからだ。 具体的に言うと今、一部の企業がやっているベトナム人や中国人の労働者へのパワハラや暴行などが、「日本の人権侵害」として解釈され、高齢化した「元技能実習生」から謝罪や賠償を求められるのだ」、「100年前の日本でも、低賃金重労働で危険な仕事である炭鉱業などでは、若者から敬遠されて人手不足に陥るという「雇用のミスマッチ」に悩まされていた。そこで、政府はあくまで「試験的」という名目で、三菱、三井などの炭鉱に朝鮮人労働者の受け入れをスタートした」、「100年を経てどうなったかというと、日本は「朝鮮人労働者」を強制的に連行して働かせたという汚名を着せられている。ご存じ、徴用工問題だ」、確かに「技能実習生」制度は「徴用工問題」と重なる部分が大きいようだ。
・『中国やベトナムのナショナリズム教育に活用される  筆者は技能実習生をはじめとした、「外国人労働者問題」は、そう遠くない未来、徴用工問題と同じような国家間のトラブルを引き起こすと予測している。 もちろん、愛国心あふれる方たちからすれば、徴用工問題など「韓国の反日デマ」という考え方だろう。 「当時は朝鮮も日本の植民地だったのだから一般の日本国民として扱われていただけだ」とか「自分たちの意志で進んで日本にやってきたくせに被害者ヅラするとはけしからん」とかいろいろと言いたいことがあるだろう。が、個々の労働者が、日本の企業で働いていた事実は残念ながら覆しようがない。また、もしそこで劣悪な待遇や暴行などを受けていたとしたら、法的な責任はすでに解決済だとしても、あちらの国民感情として「はい、そうですか」とはならない。 禍根はいつまでもブスブスとくすぶり続ける。なぜかというと、「教育」によって国辱への怒りが再生産されるからだ。 韓国や中国の若者たちが「反日教育」を受けていたり、アメリカが真珠湾攻撃を熱心に子どもに教えることからもわかるように、国家というのは未来を担う子どもたちの愛国心を養うため、国民が屈辱的な仕打ちを受けた負の歴史を教え込む。中国だからとか、韓国だからとかではなく、国家教育とはそういうものなのだ。 それを踏まえれば、今の「日本でいじめ抜かれる外国人労働者」という問題は、近い将来、中国やベトナムのナショナリズム教育に活用されていく可能性が高い。例えば、筆者にはこんな未来のリスクシナリオが頭によぎっている』、「国家というのは未来を担う子どもたちの愛国心を養うため、国民が屈辱的な仕打ちを受けた負の歴史を教え込む。中国だからとか、韓国だからとかではなく、国家教育とはそういうものなのだ。 それを踏まえれば、今の「日本でいじめ抜かれる外国人労働者」という問題は、近い将来、中国やベトナムのナショナリズム教育に活用されていく可能性が高い」、同感である。
・『2050年のベトナム、子どもたちと教師の会話  2050年、ベトナム・ホーチミン市内のある小学校で歴史の授業が行われていた。 「さて、まずは前回のおさらいです。新型コロナウィルスの世界的流行前、ベトナムの海外派遣労働者が最も多く向かっていた国はどこでしょうか?」 教壇に立っている教師がそのように問いかけると、子どもたちは元気よく「日本です!」と答えた。 「そうだね。2019年のベトナム人の海外派遣労働者数は14万7387人で国の目標値を大きく超えていました。その中でも特にこの数字を牽引したのが8万2人の労働者が派遣された日本です。これは当時、日本が新しい在留資格を創設して、ベトナム人労働者に来てくださいと呼びかけたからですね」 そのように説明を終えると、教師は神妙な顔となった。 「しかし、一方でこの時代の日本では、私たちベトナム人にとって決して忘れることができない深刻な人権侵害が増えていきます。みなさん手元のタブレットで映像を見てください。ちょっと刺激が強いですが、これは当時、日本でもテレビなどで大きく報道されました」 子どもたちがタブレットを起動すると、トラックの荷台で作業をしている男性が、ホウキで執拗に叩かれている映像が流れた。次の映像を再生すると今度は、ベトナム人女性がインタビューに応えていた。早朝から午後10時過ぎまで働き、寝泊まりするのは二段ベッドが詰め込まれた窓のない部屋で、洗濯する暇もなく、雨が続くと、濡れた服を着たまま作業をするという女性はこう述べた。  「家畜扱いされて一日中叱られています」 静まり返った教室には「ひどい…」というつぶやきが漏れて、同情から女生徒のすすり泣く声も聞こえる。その様子を見渡して、教師が静かに語り始める 「19年には日本の劣悪な労働環境から8796人の外国人労働者が失踪していて、そのうちの6105人はベトナム人です。日本で心身を痛めつけられて帰国した労働者の中には、いまだに心の傷を抱えており、社会復帰ができていない人も多くいます。しかし、日本側はこの問題の責任はないと主張しています」 1人の男子が勢いよく立ち上がって、「ふざけんな!自分たちで来てくださいって呼んだんだろ!」と叫ぶ。子どもたちも頷くが、教師は力なく首を振る。 「人権侵害をしたのは会社であって国ではないと説明しています。当時の責任を追及しようにも、ベトナム人を暴行していた会社の多くは潰れていて、同僚も経営者もどこにいるのかわかりません。しかも、日本国民の多くも、当時の技能実習生が被害を訴えるのは金目てだと取り合ってくれません。泣き寝入りするしかないのが現状です」 こんな教育が、ベトナム中の教育現場で続けられたことで2050年現在、同国の「反日感情」は中国や韓国を上回るほど強いものとなってしまった』、「2050年のベトナム」の仮想シナリオは説得力があり、身につまされる。
・『将来の経済大国・ベトナムとの「歴史戦」で日本は負ける  「おいおい、なんだよ、この妄想ドラマ」と冷笑している方も多いかもしれない。「ベトナムは親日国なんだから、こんなバカな反日デマに踊らされるわけがない」と考える人もいるかもしれない。 ただ、それは現在の感覚で見ているからだ。今、ベトナムは経済成長も著しく、中国にとって代わって「世界の工場」となってきている。2050年には最も経済発展を遂げた国のひとつとなっている、という予測レポートも多くある。 つまり、2050年のベトナムは現在のように、日本に出稼ぎなどしなくていいほどの経済大国になっている可能性が高いのだ。 経済が急激に成長をした国で、急激にナショナリズムが強まるというのはお隣の中国を見ても明らかだ。では、ベトナムでも同じ現象が起きた時、かの国の若者たちが、自分たちの親世代が、日本で受けたひどい仕打ちを教育されたらどうなるのか。 中国や韓国ではおなじみの、「反日ムード」が高まるのではないか。政府も国民の不満が為政者に向かないようにさせる「ガス抜き」や、日本政府との交渉で優位な立場が取れるような「外交カード」として利用していくようになるのではないか。 よくこの手の話になると、「技能実習生にひどい扱いをしているのはほんのひと握りで、ほとんどの企業では大切に扱っている」とか「オレの知っている会社で働く外国人と社長は親子みたいに仲がいい」とかいう反論が出てくるが、国際的な情報戦でそういう話はほとんど役に立たない。 わかりやすいのが、「旧日本軍の蛮行」だ。日本軍は当時の世界の軍隊の中でも非常に統率が取れていた。戦争のどさくさに紛れて行う略奪や強姦などはほとんどなかった。侵攻していた中国でも、規律のある日本軍は信頼されていた。筆者も実際に当時、大陸に行った元陸軍の人たちから、村をあげて歓待されたとか、「うちの娘を嫁にもらってくれ」と迫られなんて話をよく聞いた。 一方で連合国の捕虜をたくさん殺したのも事実だ。日本軍では「投降して生き恥をさらすなら死ね」という教育が当たり前だったし、大陸の奥深くまで侵攻したことで、物資もなければ食料も満足に補給できなかった。敵国の兵士が白旗をあげて投降しても捕虜として収容するだけの能力がそもそもなかったので、現場判断でどんどん処刑していた。それと同じ理由で、怪しい民間人も多く殺してしまった。これは捏造でもなんでもなく、さまざまな資料・証言で裏付けされている。 つまり、「外国人の被害者」が多くいるのだ。だから、敗戦国の日本がどんなに当時の日本軍は立派な組織だと主張しても、個々の人間に悪意がないと反論しても、国際社会では「蛮行」が後世に伝えられて、歴史の中で定着してしまう。 日本軍の戦争犯罪、従軍慰安婦、徴用工問題など、戦後の日本人はこういう「歴史戦」で負け続けてきた。 「確かに悪いことをする人間もいたかもしれないが、組織的ぐるみで命令したわけではない」なんて言って、個人の責任にすれば切り抜けられると思ったが、ことごとく失敗している。 今のままでは「技能実習生問題」も同じ道をたどる。子どもや孫世代にこれ以上、迷惑をかけないよう、愚かな政策はこの世代で打ち止めにすべきだ』、「「外国人の被害者」が多くいるのだ。だから、敗戦国の日本がどんなに当時の日本軍は立派な組織だと主張しても、個々の人間に悪意がないと反論しても、国際社会では「蛮行」が後世に伝えられて、歴史の中で定着してしまう。 日本軍の戦争犯罪、従軍慰安婦、徴用工問題など、戦後の日本人はこういう「歴史戦」で負け続けてきた」、「今のままでは「技能実習生問題」も同じ道をたどる。子どもや孫世代にこれ以上、迷惑をかけないよう、愚かな政策はこの世代で打ち止めにすべきだ」、同感である。

次に、4月5日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの出井康博氏による「ベトナム人を食い物に…「コロナ禍での鎖国反対」の大合唱に透ける“本音”」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/303429
・『新型コロナウイルスの水際対策が先月1日から緩和されて、外国人の技能実習生や留学生の来日が本格化している。そこで息を吹き返すのが、外国人の受け入れで利得を得る連中だ。国籍別の技能実習生で最多のベトナム人を食い物にする利権の構造に迫る──。 「隔離先のホテルは、ベトナム人の実習生や留学生であふれ返っていました。チェックイン前、コロナ関係の書類を書かされていた時も、周りから聞こえてくるのはベトナム語ばかり。まるで、ハノイかホーチミンにいるみたいでした」 そう話すのは、3月下旬に帰省先のベトナムから日本へ戻ってきたグエンさん(女性・30代)だ。 ベトナム人の夫と一緒に東京で会社を経営しているグエンさんは、ベトナムの旧正月「テト」を挟んで約2カ月を故郷で過ごしていた。そして日本に再入国後、新型コロナ「水際対策」で、東京都内のホテルに3日間隔離されることになった。 「ハノイの空港でも日本へ行くベトナム人が長い列をつくっていた。ああ、また出稼ぎラッシュが再開するんだな、って実感しました」) 政府は3月初めから水際対策を緩和し日本人を含めた1日当たりの入国者の上限を3500人から5000人へと引き上げた。在留資格を取得している外国人の新規入国も認められるようになった。3月14日以降は7000人となり、4月10日からは1万人へとさらに増やされる。 在留資格を得ながら入国できず待機中の外国人は、今年初め時点で41万人に上っていた。資格別で最も多いのが留学生の15万人、続いて実習生の13万人で、合わせると全体の7割を占める。今後、彼らが続々と入国してくるのだ。 国籍別の数は明らかになっていないが、参考になるデータがある。新型コロナの感染が収束しかけた2020年11月から翌21年1月にかけ、今回と同様の入国制限緩和措置が取られた際のものだ。 同措置では13万人の外国人が入国したが、やはり留学生と実習生で7割に上った。そして国別で断トツだったのが、ベトナム人の5万人である。このデータを当てはめると、入国待機中の外国人41万のうち、15万~16万人はベトナム人と推定される。) 外国人の新規入国が止まっていた頃、産業界や学校業界、また新聞・テレビでも、「鎖国をやめろ!」との大合唱が起きていた。 「諸外国は外国人を入れ始めている。日本だけが鎖国を続けていれば、グローバル化から取り残されてしまう」 そんな主張がメディアにはあふれていた。 筆者も「鎖国」を続けるべきだとは思わない。ただし、“本音”を隠しての「鎖国反対論」には強い違和感を覚える』、「在留資格を得ながら入国できず待機中の外国人は、今年初め時点で41万人に上っていた。資格別で最も多いのが留学生の15万人、続いて実習生の13万人で、合わせると全体の7割を占める。今後、彼らが続々と入国してくるのだ」、そんなに入ってくるとは大変だ。「「“本音”を隠しての「鎖国反対論」には強い違和感を覚える」、その通りだ。
・『出稼ぎ労働者の受け入れ再開を望む産業界  実習生は日本人の嫌がる仕事を低賃金で担う出稼ぎ労働者だ。留学生にも出稼ぎ目的の外国人が多数含まれる。つまり今回の水際対策緩和も前回と同様、目的は出稼ぎ労働者の受け入れなのだ。 その最大のターゲットが「ベトナム人」だ。彼らの受け入れ再開には、さまざまな業界の利権が絡み合う。国民に“本音”を明かしてはマズい事情が存在するのである。(つづく)』、いずれにしても、私も第一の記事の著者の「窪田」氏と同じく「技能実習生や留学生」制度には反対だ。

第三に、7月15日付け文春オンライン「時給400円、残業200時間超、賃金未払い…「労働法違反のデパート」と化した外国人技能実習制度の“悪夢のような実態”『外国人差別の現場』より #2」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/55776
・『近年、日本の難民認定率は1%にも満たない。ロシアの軍事侵攻によってウクライナから避難してきた人々に対しては、入国要件を緩和しているが、ウクライナ侵攻以前の日本政府は、戦争・紛争から逃れてきた人々や外国人に対して“冷淡”だったのだ——。 ここでは、日本政府の外国人政策の闇を暴いた『外国人差別の現場』(朝日新聞出版)から一部を抜粋。ジャーナリストの安田浩一氏が取材した、搾取と差別に苦しむ外国人労働者たちの実態を紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)』、興味深そうだ。
・『「労働法違反のデパート」  携帯電話が鳴りやまない。通話が終わったかと思うと、10分も経たずに着信音が響く。そのたびに甄凱さん(ケンカイ、63)は「ごめん」と軽く詫びてから私との話を中断させる。電話の相手は各地の労働組合や外国人支援団体、弁護士、記者、会社経営者、そして外国人技能実習生たちだ。 時に“利権”を守るのに必死なヤクザから、恫喝口調の電話が入ることもある。甄凱さんは日本語と早口の北京語を使い分け、それぞれの相談や訴え、脅しにも耳を傾ける。 変わらないなあと思う。20年前に知り合った時から、甄凱さんはずっとこんな感じだ。追われているのか、追っているのか。顔の見えない相手に頭を下げたり、怒鳴ってみたり。とにかく忙しい。 「変わらないのは実習制度も同じですよ」と甄凱さん。 「あらゆる人権無視が横行している。実習制度の本質的な部分は、ずっと変わっていないですよ」 そう話しているうちに、また電話がかかってくるのだ。 賃金の未払いがある、残業代を支払ってもらえない、社長のパワハラ、セクハラに耐えられない、休日をもらえない、労災を認めてくれない、社長に抗議したら国に帰れと言われた——そうした労働現場からの相談が次々と持ち込まれる。 「実習制度は労働法違反のデパートみたいなものです」 甄凱さんは吐き捨てるように言った』、「実習制度は労働法違反のデパートみたいなものです」とは言い得て妙だ。
・『外国人技能実習生の労働問題の実態  実際、全国の労働基準監督署による立ち入り調査(2021年発表)でも、実習生を受け入れる事業所の約7割で労働基準関係法令の違反が確認されている。また、同年に発表された賃金構造基本統計調査では、実習生の賃金水準が日本人を含む同年代の労働者全体の約6割にとどまっていることも判明した。 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)は実習生の報酬を「日本人と同等以上」と定めているが、遵守されている形跡はない。 「企業からすれば、実習生を日本人と同待遇にするのであれば、そもそも実習制度を利用する意味もなくなりますからね」 甄凱さんの指摘は、まさに問題の本質を突いたものでもある』、「(技能実習法)は実習生の報酬を「日本人と同等以上」と定めているが、遵守されている形跡はない。 「企業からすれば、実習生を日本人と同待遇にするのであれば、そもそも実習制度を利用する意味もなくなりますからね」、その通りだ。「技能実習法」の規定は空文化している。
・『甄凱さんが実習生の労働問題に関わるようになった理由  初めて会った時、甄凱さんは埼玉県内で中華料理店を経営していた。大きな鍋を器用に動かす姿をいまでも覚えている。 1986年に中国・北京から留学生として来日した。東京都内の大学で法律を学んだ後、大手アパレルメーカー、貿易商社などに勤務。その後に中華料理店を経営するようになったのだが、実習生の労働問題に関わるようになったのは同時期である。21世紀を迎えたばかりの頃だった。 たまたま店に食事に来ていた中国人実習生から悲惨な労働実態を聞いた。時給は地域ごとに定められた最低賃金(最賃)の半分以下、休みもほとんどない長時間労働。強制帰国をちらつかせながら、社長は実習生を人間扱いしないという。 義憤にかられた甄凱さんは、実習生の勤務先に乗り込んで社長と直談判、違法な労働環境を改善させた。以来、口コミで彼の名が実習生の間に知れ渡り、当事者だけでなく、労働組合や外国人支援団体からも、通訳兼交渉人としての応援を求められる機会が増えた。 私もまた実習生問題の取材に取り組み始めたばかりの頃で、取材先で知り合った彼について回った。後に帰国した実習生を追いかけて中国国内を幾度か訪ねた際も、その多くに同行をお願いした。 現在、甄凱さんは中華料理店をたたみ、岐阜一般労働組合の外国人労働者担当専従職員として活動し、行き場を失くした外国人のシェルターも運営している。 甄凱さんの活動は、これまでにも多くのメディアが報じてきた。例えば2017年、時給400円という低賃金で働かされていた縫製工場の実習生たちが、甄凱さんの声掛けで労組を結成し、発注元の大手アパレル会社に押しかけた時などは、テレビ、新聞などの大手メディアがこぞってこの話題を追いかけた。ある民放キー局はこの1件でドキュメンタリー番組までつくっている。 あまりに反響が大きかったこともあり、発注元のアパレル会社が〈製造現場について更なる関心を払い、弊社の商品がそのような環境下で製造されることがないように努力をして参る所存です〉と謝罪声明を発表するなど、異例ともいうべき解決を果たしたこともあった』、「現在、甄凱さんは中華料理店をたたみ、岐阜一般労働組合の外国人労働者担当専従職員として活動し、行き場を失くした外国人のシェルターも運営している」、「岐阜一般労働組合の外国人労働者担当専従職員」、とはボランティア的色彩が濃そうだ。どこかから資金援助してもらっているのだろう。
・『甄凱さんが繰り返し訴える実習生問題の核心とは  「実習生問題の核心は日本の産業構造そのものにある」 甄凱さんは繰り返し、そう訴えている。 不況業種がこぞって実習生を雇用するのは人件費負担と人手不足に悩んでいるからだ。外国人ならば低賃金でも構わないのだと、経営者たちは開き直る。そこにはアジア人労働者に対する差別意識もあるだろう。一方、発注主の大企業は、末端の工場で誰がどんな働き方を強いられていようが気にも留めない。問題が起きれば、労働者ごと切り捨てればよいのだ。 華やかなファッション業界も、最先端を謳う自動車、家電メーカーも、実直な「ものづくり」を連想させる建設業界や農林水産業も、いまや実習生をはじめとする外国人の労働力なくしては成り立たないのに、まるで初めからそれが存在していないかのように、とりすました表情を崩さない。 そして——私たち消費者は実習生がつくった服を「さすが国産品は丈夫」だと喜んで身に着け、実習生がつくった野菜や果物を「国産は安全」だとして口の中に放り込む。 こうした「外国人産の国産」が私たちの生活を支えているにもかかわらず、私たちは「つくり手」の顔も苦痛で歪んだ表情も想像することなく、今日という日常を生きる』、「華やかなファッション業界も、最先端を謳う自動車、家電メーカーも、実直な「ものづくり」を連想させる建設業界や農林水産業も、いまや実習生をはじめとする外国人の労働力なくしては成り立たないのに、まるで初めからそれが存在していないかのように、とりすました表情を崩さない。 そして——私たち消費者は実習生がつくった服を「さすが国産品は丈夫」だと喜んで身に着け、実習生がつくった野菜や果物を「国産は安全」だとして口の中に放り込む。 こうした「外国人産の国産」が私たちの生活を支えているにもかかわらず、私たちは「つくり手」の顔も苦痛で歪んだ表情も想像することなく、今日という日常を生きる」、恐ろしい虚構だ。
・『時給400円の縫製工場  こうしたことを自覚するためにも、私は定期的に岐阜県内のシェルターを訪ね、甄凱さんに実習職場の現状を聞くと同時に、実習生本人とも面談を重ねている。 この日(2022年3月)、シェルターには中国人、カンボジア人、ベトナム人など15名の外国人が保護されていた。全員が技能実習制度で来日した実習生だ。当然ながらそれぞれが「理由」を抱えて実習先企業から逃げてきた人々でもある。 例えば中国江蘇省出身の女性(45)。1年ほど前まで大手ファッションブランドの下請け縫製工場で働いていた。時給は400円。地域最賃を大きく下回る違法な賃金だ。さらに運の悪いことに突然、会社が倒産してしまった。未払い賃金の支払いを求めても「倒産して資力がない」ことを理由に拒まれる。 また、こうした場合は例外的に監理団体(実習生を国外から受け入れ、企業に振り分け、その後の監督・管理も担当する団体)の斡旋で他企業への転職が可能となるのだが、倒産から1年が経過しても彼女に新しい職場が提供されないままだ。 仕方なくシェルターで生活しながら、監理団体との交渉を重ねる甄凱さんからの報告を待つだけの毎日である。 「疲れた」と彼女は私に漏らした。 すでにシェルター生活も半年を超えた。中国へ帰ることも考えていないわけではない。だが、ここで帰国すれば、シェルターで過ごした時間が無駄になる。いや、そもそも日本に来たことじたいが間違いではなかったのか。そう思うと眠ることのできない夜もあるという。 日本へ遊びに来たわけではないのだ。しっかり稼いで、待っている家族を喜ばせたい。その思いだけを抱えて働いてきた。だが、待ち受けていたのは低賃金労働、そして会社の倒産である。しかも経営者も監理団体も、その責任を果たそうとしない』、「待ち受けていたのは低賃金労働、そして会社の倒産である。しかも経営者も監理団体も、その責任を果たそうとしない」、セーフティネットが全くないなど、制度的な欠陥だ。
・『日本に失望する外国人実習生たちの声  「日本がそんな国だと思わなかった。失望した」 これまで取材先で繰り返し聞かされてきた言葉を、この日も私は耳にすることとなる。 「ずっと日本人は誠実な人ばかりだと思っていた」 そう続けたのは、別の中国人の女性実習生(43)だ。 「もともと日本に憧れていました。少なくとも私の周囲では、日本を悪く言う人はいなかった」 豊かな国。清潔な国。法律が整った国。人々は穏やかで親切で、真面目な人ばかり。中国人に向けられることの多い「反日」なる陳腐なレッテルとは遠いところで彼女は日本を見ていた。 だが、就労先の縫製工場で「日本のイメージが覆された」。 時給400円。しかも朝7時から夜10時まで、ほぼ休みなく働かされた。残業に関しては時給制ではなく出来高制。何もかも当初の約束と違っていた。そのうち、会社に労働基準監督署の立ち入り調査が入り、労基法違反が指摘された。労基署は是正勧告を出したが、その直後、会社は破産を申し立て、実習生は待遇改善されることなく放り出されてしまった。最低賃金法に照らし合わせた未払い賃金は約320万円にものぼる。 「これ、見てください」 彼女が私に差し出したのは、その名を知らぬ者などいないであろうアイドルグループの写真だった。ファンなのかと私が問うと、彼女は首を横に振った。 「この人たちが着ている服、私たちがつくったんです」 縫製工場は大手アパレルから依頼され、芸能人のステージ衣装の縫製を請け負っていた。 写真の中で、アイドルは優しく微笑んでいた。身に着けている衣装が、時給400円の実習生たちによって縫製されたものだと考えたこともないだろう。それは私たちも同じだ。 私たちはつくり手の顔など想像しない。 縫製工場の社長は破産を理由に交渉から逃げ回り、行くあてのない彼女はシェルターで解決の日を待つばかりである。 夢だった日本は、いま、彼女にとって悪夢でしかない。 このシェルターで、私は少し前にカンボジア人女性の実習生(33)にも話を聞いている。印象に残っているのは、彼女が「富士山を見たい」と何度も口にしたことだった。 彼女にとって富士山とは、日本そのものだった。 「カンボジアにいた頃、テレビやネットの写真で何度も見た。あの美しい山のある国で働くことができると思っただけで気持ちが弾んだ」 日本に行けば必ず目にすることのできるものだと思っていた。だが、岐阜県内の工場で働くことになった彼女は結局、富士山を1度も目にすることなくシェルターで鬱屈した毎日を過ごしていた』、こんな不正義が許されるのでは、まともな法治国家とはいえない。
・『日本人と同等の給与が保証されると聞かされていたが……  なぜ、職場から逃げてきたのですか? そう訊ねる私に、彼女はその時ばかりは通訳を介さず、たどたどしい日本語でこう答えた。 「仕事、たくさん。お金、少し」 地元のブローカーに6千ドルの手数料を支払って実習生となった。高度な技術を学び、日本人と同等の給与が保証される——カンボジアでは、ブローカーからそう聞かされていた。しかも行き先は「富士山の国」だ。 だが、「日本」は彼女の期待も希望も裏切った。富士山は遠かった。 彼女が働いた縫製工場の仕事は朝の8時半から始まる。ミシンを踏む。アイロンをかける。 完成品を収めた段ボール箱を積み上げていく。それが「高度な技術」なのかといった疑問は、すぐに消えた。いや、休むひまもなく働き続けているうちに、考える余裕がなくなった。 仕事を終えるのは深夜になってから。時に明け方近くまで働いた。毎月の残業は200時間を超えた。基本給は月額6万円。残業の時間給は1年目が300円、2年目が400円、3年目にしてようやく500円。しかも毎月の給与から4万円を強制的に預金させられた。通帳は経営者が預かったままで、自身が管理することはできない。 「このまま働き続けては倒れてしまうと思った。もう限界だった」 手荷物だけを持ってシェルターに身を寄せたのである。 それぞれが、それぞれの夢を抱えて日本に渡る。そして少なくない者たちが失望し、落胆し、小さな憎悪を生み出していく。いつまで経っても「豊かさ」にたどり着けない。もちろん富士山にも。 「だから、こうした制度はやめたほうがいいんですよ」と甄凱さんは言う。 「違法が常態化した制度は、たぶん誰も幸せにしない。経営者だって綱渡りしているだけで、いつかは破綻するのですから」 いま、日本各地で働いている実習生は約40 万人。低賃金重労働で、生産業を支えているのだ。 何度でも繰り返す。そんな実習生と、私たちはどこかでつながっている。いや、私たちは“利用”している』、やはりこんなに欠陥がある「実習生制度や留学制度」は廃止すべきだ。

第四に、7月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「日本を去るアジアの若者たち…「豊か・安全・憧れ」が消えゆく日本の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/306793
・『日本はお金も稼げるし、安心で安全な国。いつかそんな日本で働きたい――少し前まで、それがアジアの若者たちに共通する願望だった。しかし、“日本の魅力”に注目が集まったのも今は昔。聞こえてくるのは「日本、大丈夫か」と案じる声だ。日本に住むアジア人に、私たちの国はどう映っているのか』、興味深そうだ。
・『日本に行けば死んでしまうのか  「かつてベトナムでは、日本のネガティブなニュースなど見たことも聞いたこともありませんでした。3.11のときは、震災で被災しながらも配給の列に並ぶ日本人がいることを知り感動したものです」と、ベトナム出身のバン・タイさん(仮名)さんは話す。 東日本大震災(2011年3月11日)で思い起こすのが、東京電力福島第一原子力発電所の事故だ。ある労働団体の資料によると、福島第一原発の事故以来、作業員の中に放射線被ばくによる白血病や甲状腺がん、肺がんの発症者が複数人確認されているという。 だが、アジアからの技能実習生さえもこうしたリスクと無縁ではない。2018年、技能実習生として来日したベトナム人男性が、除染作業に従事していたことが大手メディアの報道で明らかになったのである。 「近年、ベトナム人の間では、『日本に行けば死んでしまうのではないか』というイメージさえ持たれるようになった」とバン・タイさんはいう。 除染作業は命の危険と背中合わせの過酷な労働だが、製造業やサービス業でも、借金を背負いながらの過酷な実態が数々報じられている。“失踪する技能実習生”の背後にあるのは劣悪な労働環境だが、「外国人技能実習制度」では外国人は自由な転職ができない。一部の技能実習生は命からがら逃げ出すが、逃亡しても結果として不法残留となり、犯罪に手を染めながら食いつなぐのが現実だ。 50年近くにわたって日本で生活する古参のベトナム人アウ・ダットさん(仮名)は、「ベトナムの友人から『娘が日本で勉強したいと言っている』と相談を受けたが、即座に『日本には来ないほうがいい』と伝えた」という。 1970年代以降、来日するベトナム人が増え、今では43万人(2021年12月末時点、出入国在留管理庁)のコミュニティーを形成している。だが、「その一方で社会に取り残された人も多く、犯罪組織を肥大化させています。ベトナム人コミュニティーには根深い問題があり、初期の時点でもう少し日本政府が親身になってくれていたら、と悔やまれます」とアウ・ダットさんは語る』、「技能実習生として来日したベトナム人男性が、除染作業に従事していたことが大手メディアの報道で明らかになった」、法務省も関与している「技能実習生」制度で、どうしてこんなことが起きるのか理解できない。
・『日本語はつぶしが利かない言語?  「日本語が少しも上達しない。3年間を無駄にした」――。埼玉県のある日本語学校でベトナム人留学生グエン・フォン君(仮名)がこうぼやいた。グエン君を受け持つ日本語教師は「ベトナム人は他の国籍の留学生に比べて数が多い。ベトナム人同士のコミュニティーへの依存は、日本語が上達しない原因の一つ」だと話す。 グエン君にも、それなりの言い分があった。日本語を学ぶメリットをよくよく考えると、「結局、日本語を学んでも日本人との間でしか使えない」と、あきらめムードになってしまうのだという。 その日本人とのコミュニケーションも、どうも積極的になれない。日本人の輪の中に入ろうとしても、話題や興味が一致しなかったりすることが多い。「日本人の雑談にはついていけず、自分はごまかしてただ笑っているだけ」――グエン君にかかわらず、孤独に陥る外国人は多い。 日本語は「つぶしが利かない言語」だという声もある。ベトナムから中国や韓国に渡り仕事をする人もいるが、中国語や韓国語をマスターした方が、ベトナムでの再就職にも生かすことができるというのだ。 ベトナムへの投資金額(2021年)を見ると、首位はシンガポール、2位は韓国だった。2021年、日本は金額で3位だったが、2022年上半期は5位に落ちた。前出のバン・タイさんは「他のアジア企業に比べて、ベトナムにおける日本企業は産業のすそ野を広げておらず、雇用の機会が多いとは感じられません」と語っている』、「日本語は「つぶしが利かない言語」だという声もある。ベトナムから中国や韓国に渡り仕事をする人もいるが、中国語や韓国語をマスターした方が、ベトナムでの再就職にも生かすことができる」、その通りだ。
・『英語が通じない日本、一方台湾は…  バン・タイさんは、実際に自分の手でロボットを作りたいという夢がある。そのために日本の大学にも留学したが、道をはばむのは日本語だ。 「専門書を手にしても、日本語の表現が難解で、日本語での情報収集に壁を感じています」と話すが、彼がもし英語を学んでいたら、すでに彼のロボットは完成していただろうか。 バングラデシュ出身のムバラク・アリさん(仮名)は、1970年代に留学生として来日したが、修士課程ですら英語で学位を取得できないという状況に困惑した経験がある。今でこそ、英語での学位取得が可能な大学も出てきて、アリさんも「日本もだいぶ国際化が進んだ」と受け止めている。それでも、今なお来日するバングラデシュ人はあることに驚くという。 「それは『先進国なのに英語が通じない』ということです。バングラデシュ人は『日本はG7にも加わる先進国だから、当然英語が通じる』と思い込んで来日しますが、特別な場所を除いて通じないため意外に思ってしまうのです」(同) 「日本は島国だから仕方がない」とも思う。だが、台湾に目を向ければ、なぜかグローバル人材が多い。台湾は教育熱心な家庭が多く、ごく普通の家庭でも自分の子どもを積極的に海外留学させているのだ。欧米留学ともなれば高額な留学費用が必要だが、台北出身の林慧文さん(仮名)によると、「台湾では大家族になることで、費用を捻出する風潮があります」という。 「台湾人は次世代育成をとても大切にしており、欧米留学の費用は率先して祖父母が負担する傾向が強い。もし祖父母にお金がない場合は、三世代が同居することで留学費用を捻出します」(同) 一方で、中国・大連出身の張玉さん(仮名)が、日本で生活して強く感じたのは、日本の家族関係の希薄さだった。最近は、特に育児の放棄や子どもの虐待など耳をふさぎたくなるニュースが多い。張さんは「日本では、社会の最小単位である家族を維持することすら難しい。私たちが想像する以上に、日本では貧困が進んでいるのではないでしょうか」と案じている。 安倍晋三元首相の銃撃事件は、都内の中国人の間でも衝撃が走り、一部の中国人留学生は「日本といえば“安心・安全な国”だったはず」とショックを受けていた。他方、以前に起きた新幹線や京王線車内での無差別殺傷事件を知る留学生の中には「中国では地下鉄や高速鉄道の乗車時には手荷物検査を行っている」と、祖国でのテロ防止の徹底ぶりを再評価する者もいた』、「英語が通じない日本」、「“安心・安全な国”」も怪しくなってきて、魅力は大幅に低下したようだ。
・『「日本人女性からは敬遠される」生涯通じて住めない  インド出身のディネッシュ・チャブラさん(仮名)は、日本の有名企業M社に就職した。超エリートの彼が2019年にM社を辞めた理由は、「女性の友人ができない」というものだった。意外な理由だが、これは結婚適齢期にある人にとっては大変切実な問題である。 「最終的にはマッチングアプリを使いましたが、対象となるインド人女性は多くはない上、日本人女性からは敬遠されました。いつも女性に人気の英国人の親友がうらやましかったくらいです。残念ながら、日本では将来のパートナーになり得る人は見つかりませんでした」 チャブラさんが今生活しているのは、ドイツのベルリンだ。社内には中国人やマレーシア人もいる。こうした異なる国籍を持つ同僚たちと、互いの文化を紹介しあう雑談のひとときがとても楽しいという。 インドといえば、筆者の恩師に、生涯を日本人のベンガル語教育に力を注いだコルカタ出身の女性がいた。高齢になっても“架け橋”であり続けようと、不自由な体を引きずりながら、司法通訳として法廷に臨んでいた。しかし晩年は難病を患い、公団住宅での一人暮らしが難しくなった。彼女はもともと日本に骨をうずめる覚悟だったが、6年前、日本での老後の不安と孤独に、重い足取りで祖国に帰っていったことを思い出す。 日本に行けばたくさん稼げる。日本の生活は安心・安全・清潔で、日本製は高品質で、日本人も勤勉でマナーがいい。――それが一昔前のアジア人材の来日動機だった。しかし今、彼らが直面するのは想像を超えた“ギャップ”だ。 移民国ではない日本だが、外国人材は欠かせない。その外国人材に選ばれる国になるための制度改善も待たれるが、それ以上に「日本では人として幸せな生活が送れるのか」という本質的な問題が潜在する。憧れたジャパン・ドリームだったが、彼らの中では徐々に色あせつつある』、「憧れたジャパン・ドリームだったが、彼らの中では徐々に色あせつつある」、寂しいが、身から出たサビでやむを得ないとして受け入れる他なさそうだ。 
タグ:文春オンライン「時給400円、残業200時間超、賃金未払い…「労働法違反のデパート」と化した外国人技能実習制度の“悪夢のような実態”『外国人差別の現場』より #2」 姫田小夏氏による「日本を去るアジアの若者たち…「豊か・安全・憧れ」が消えゆく日本の実態」 「実習制度は労働法違反のデパートみたいなものです」とは言い得て妙だ。 「憧れたジャパン・ドリームだったが、彼らの中では徐々に色あせつつある」、寂しいが、身から出たサビでやむを得ないとして受け入れる他なさそうだ。 いずれにしても、私も第一の記事の著者の「窪田」氏と同じく「技能実習生や留学生」制度には反対だ。 「現在、甄凱さんは中華料理店をたたみ、岐阜一般労働組合の外国人労働者担当専従職員として活動し、行き場を失くした外国人のシェルターも運営している」、「岐阜一般労働組合の外国人労働者担当専従職員」、とはボランティア的色彩が濃そうだ。どこかから資金援助してもらっているのだろう。 やはりこんなに欠陥がある「実習生制度や留学制度」は廃止すべきだ。 ダイヤモンド・オンライン 「憧れたジャパン・ドリームだったが、彼らの中では徐々に色あせつつある」、寂しいが、やむを得ないとして受け入れる他なさそうだ。 「(技能実習法)は実習生の報酬を「日本人と同等以上」と定めているが、遵守されている形跡はない。 「企業からすれば、実習生を日本人と同待遇にするのであれば、そもそも実習制度を利用する意味もなくなりますからね」、その通りだ。「技能実習法」の規定は空文化している。 こんな不正義が許されるのでは、まともな法治国家とはいえない。 「英語が通じない日本」、「“安心・安全な国”」も怪しくなってきて、魅力は大幅に低下したようだ。 「在留資格を得ながら入国できず待機中の外国人は、今年初め時点で41万人に上っていた。資格別で最も多いのが留学生の15万人、続いて実習生の13万人で、合わせると全体の7割を占める。今後、彼らが続々と入国してくるのだ」、そんなに入ってくるとは大変だ。「「“本音”を隠しての「鎖国反対論」には強い違和感を覚える」、その通りだ。 出井康博氏による「ベトナム人を食い物に…「コロナ禍での鎖国反対」の大合唱に透ける“本音”」 「技能実習生が働く8124事業所のうち70.8%で労働基準法や労働安全衛生法違反が見つかっている」、「この問題が後世になって日本を不当に貶めるための材料に利用されて、我々の子どもたち、孫たちの世代にとんでもない迷惑をかけてしまうのではないかという懸念の方が強い」、その通りだ。 「日本語は「つぶしが利かない言語」だという声もある。ベトナムから中国や韓国に渡り仕事をする人もいるが、中国語や韓国語をマスターした方が、ベトナムでの再就職にも生かすことができる」、その通りだ。 「待ち受けていたのは低賃金労働、そして会社の倒産である。しかも経営者も監理団体も、その責任を果たそうとしない」、セーフティネットが全くないなど、制度的な欠陥だ。 窪田順生氏による「ベトナム人技能実習生リンチ事件が「第二の徴用工問題」になりかねない不安」 「華やかなファッション業界も、最先端を謳う自動車、家電メーカーも、実直な「ものづくり」を連想させる建設業界や農林水産業も、いまや実習生をはじめとする外国人の労働力なくしては成り立たないのに、まるで初めからそれが存在していないかのように、とりすました表情を崩さない。 そして——私たち消費者は実習生がつくった服を「さすが国産品は丈夫」だと喜んで身に着け、実習生がつくった野菜や果物を「国産は安全」だとして口の中に放り込む。 こうした「外国人産の国産」が私たちの生活を支えているにもかかわらず、私たちは「つくり手」 「技能実習生として来日したベトナム人男性が、除染作業に従事していたことが大手メディアの報道で明らかになった」、法務省も関与している「技能実習生」制度で、どうしてこんなことが起きるのか理解できない。 日刊ゲンダイ 「「外国人の被害者」が多くいるのだ。だから、敗戦国の日本がどんなに当時の日本軍は立派な組織だと主張しても、個々の人間に悪意がないと反論しても、国際社会では「蛮行」が後世に伝えられて、歴史の中で定着してしまう。 日本軍の戦争犯罪、従軍慰安婦、徴用工問題など、戦後の日本人はこういう「歴史戦」で負け続けてきた」、「今のままでは「技能実習生問題」も同じ道をたどる。子どもや孫世代にこれ以上、迷惑をかけないよう、愚かな政策はこの世代で打ち止めにすべきだ」、同感である。 「2050年のベトナム」の仮想シナリオは説得力があり、身につまされる。 「国家というのは未来を担う子どもたちの愛国心を養うため、国民が屈辱的な仕打ちを受けた負の歴史を教え込む。中国だからとか、韓国だからとかではなく、国家教育とはそういうものなのだ。 それを踏まえれば、今の「日本でいじめ抜かれる外国人労働者」という問題は、近い将来、中国やベトナムのナショナリズム教育に活用されていく可能性が高い」、同感である。 「次の世代に「新たな歴史問題」を押し付けてしまう恐れがあるからだ。 具体的に言うと今、一部の企業がやっているベトナム人や中国人の労働者へのパワハラや暴行などが、「日本の人権侵害」として解釈され、高齢化した「元技能実習生」から謝罪や賠償を求められるのだ」、「100年前の日本でも、低賃金重労働で危険な仕事である炭鉱業などでは、若者から敬遠されて人手不足に陥るという「雇用のミスマッチ」に悩まされていた。そこで、政府はあくまで「試験的」という名目で、三菱、三井などの炭鉱に朝鮮人労働者の受け入れをスタートした」、「 (その19)(ベトナム人技能実習生リンチ事件が「第二の徴用工問題」になりかねない不安、ベトナム人を食い物に…「コロナ禍での鎖国反対」の大合唱に透ける“本音”、時給400円、残業200時間超、賃金未払い…「労働法違反のデパート」と化した外国人技能実習制度の“悪夢のような実態”『外国人差別の現場』より #2、日本を去るアジアの若者たち…「豊か・安全・憧れ」が消えゆく日本の実態) 外国人労働者問題
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高齢化社会(その18)(精神科医・和田秀樹さんが「80歳を越えたら我慢しないで生きよう」と唱える理由、和田秀樹さんが説く「いい医者」を見分けるコツ 70代からの人生を元気に楽しく過ごすには?、出口治明 72歳で脳卒中になって右半身麻痺と失語症が残り 身体の右側が動かず言葉を発することもできないのに なぜ悲観的にならず「復職」を目指せたのか) [社会]

高齢化社会については、5月12日に取上げた。今日は、(その18)(精神科医・和田秀樹さんが「80歳を越えたら我慢しないで生きよう」と唱える理由、和田秀樹さんが説く「いい医者」を見分けるコツ 70代からの人生を元気に楽しく過ごすには?、出口治明 72歳で脳卒中になって右半身麻痺と失語症が残り 身体の右側が動かず言葉を発することもできないのに なぜ悲観的にならず「復職」を目指せたのか)である。

先ずは、6月26日付け日刊ゲンダイ「精神科医・和田秀樹さんが「80歳を越えたら我慢しないで生きよう」と唱える理由」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/306864
・『<80歳になったら、我慢しないでしたいことしよう>というのが老年精神医学の第一人者、和田秀樹さんの考えだ。高齢者の人生の過ごし方について話を聞いた。 80歳になると要介護者や認知症が急に増えるそうだ。80歳には「壁」があるのだ。その壁の乗り越え方を提案した「80歳の壁」が35万部(6月初旬現在)のベストセラーになっている。和田さんはこの現象をどのように分析しているのか。 「80歳向けの本をようやく出すことができました。この本には伏線があって、『70歳が老化の分かれ道』という本が25万部以上売れたので、『80歳』が出せた。その前には60歳向けの本を出したんですが、あまり売れなかった。ぼくは62歳だけど、ちょっと上が『POPEYE』世代で、ぼくは『HotDog』世代。読書世代ではないんですね。だけどいま72歳から75歳くらいの団塊の世代って20代で『資本論』とかショーペンハウアーら哲学も読んできている。60代より70代の人の方が本を読むんです』、私自身は恥ずかしながら、せいぜい共産党宣言ぐらいで、「『資本論』とかショーペンハウアーら哲学も読んできている」、到底読もうという気にはならなかった。
・『70代は自分を高齢者だと思っていない  さらに驚いたのは、発売当初でAmazonで1位になり、Kindleでも1位になったこと。そして『70歳が老化の分かれ道』が郊外型書店で売れたことです。今の70代や80代って、ネットで本を買い、電子書籍を読み、郊外型書店に自ら車を運転して買いに行く生活になっている。70歳の高齢者は自分は高齢者じゃないよって思っていたりします。高齢者から運転免許を取り上げてどうするんですか。ぼくがトヨタの社長なら怒りますよ」 マーケティングと高齢者のニーズにズレがある。 「マスメディアの人や商品開発の人が気づかない中で、ライフスタイルが変化してきている。これまで80歳というとブルーカラーや農家の人、早寝早起きというイメージが強かった。だけど今の80代ってほぼホワイトカラー。これまでのような早寝早起きではなく深夜番組も大好きだったり、銀座で飲んでいたような人たちが老化している」 このため和田さんも困っていることがあるそうだ。 「ぼくは高齢者に<動こう><脳を使おう>と常々言っているわけですが、実際のところ高齢者が遊べる場所がないんです。高齢者大歓迎のキャバクラもホストクラブもないでしょ。大切な性ホルモンを出すためにはいつまでも男でいたい、女でいたいという気持ちでいたほうがいいんです。世代が違う人と話せば認知症と関係の深い前頭葉も使うしね。ジャパネットが30万円くらいで豪華クルーズを始めたけど、高齢初心者も楽しめるセンスは的を射ていますね」』、「高齢者大歓迎のキャバクラもホストクラブ」が仮にあっても、そんなところでまで「高齢者」扱いされたくはないので、行く気がしない。
・『「長生きよりは元気でいたい」という人は増えている  性ホルモンの1つ、男性ホルモン(テストステロン)は医学的に重要だと認識されてきているという。 「男性ホルモンの分泌が減ると、性欲だけでなく意欲が落ちることが明らかになったんです。女性に対する興味だけでなく、人に対する興味が落ちてしまう。抑うつ状態にもなります。判断力や記憶力も落ちるし、同じだけ運動しても筋肉がつかなくなる。そうなれば老化まっしぐらです。だから男性ホルモンを維持するのはすごく大事なんです」 男性ホルモン維持のためには次の3つが効果的だそうだ。①食生活の面ではコレステロールにタンパク質に亜鉛をとること②運動をすること③心理的影響がとても大きいので、疑似恋愛できるキャバクラや風俗などもオススメだそうだ。 「性欲があることを恥ずかしがる必要はないんです。65歳以上高齢者は3640万人。国民全体の29%もいるんだから、この人たちを要介護者にしないことが大事なんです。それを伊藤詩織さんの事件をもみ消した中村格が警察庁長官になっちゃってから、ポルノ弾圧を進めている。欧米ではポルノは合法。ぼくが岸田首相ならポルノ解禁にしますね。それで<要介護高齢者が減るならどんな批判でも受ける!>って言えば拍手喝采じゃないですか? 東大受験に3回失敗するというここ一番に弱い岸田首相にはポルノ解禁をする度胸なんかないだろうけど。重要なことは、それぐらい大胆に発想を逆転させないと、日本では長生きはするけどヨボヨボの人を増やすだけになるっていうことです」』、「東大受験に3回失敗するというここ一番に弱い岸田首相」、初めて知ったが、さもありなんだ。「ポルノ解禁」には大賛成だ。
・『「心をバカにするなよ、と思う」  「日本は新型コロナウイルス対策でも自粛生活をさせて、人を閉じ込めたでしょ。家から出ない、人と話さないってなれば、歩けなくなるし、うつ病にもなるよ。老年医療やっている医者なら人の心がどうなるかわかります。政府は患者や心と向き合って臨床をしている医師ではなく、感染症の専門家や動物実験ばっかりやっている大学のお偉いさんの言う通りに国民に自粛生活をさせました。これに老年医学会も精神神経学会も抗議すらしない。年間自殺者2万人という現実もあるのに。心をバカにするなよって思うわけです」 和田さんは医者の診断や処方なども、うのみにしないほうがいいと指摘する。 「米国では死因のトップが心筋梗塞だから、血圧、血糖値、コレステロールは下げた方が多分いい。だけど、それで長生きするのは米国のデータであって、日本では大規模調査をしていないから根拠のあるデータとは言えない。日本の死因のトップはがんです。がんは免疫機能を上げることが大事。そのために楽しむことの価値が高い。また、男性ホルモンを増やすにはコレステロールにタンパク質が大事です。だけど日本だと健康診断で正常値を保つためにしょっぱいものや甘いものは我慢して薬漬け。それだと元気をなくすだけです。20年長生きするために、だるくて元気のないまま暮らしますか? 私の70歳向け80歳向けの本が売れたのは、高齢者たちは長生きよりは元気でいたいと願っているという表れだと思いますよ」』、「国では死因のトップが心筋梗塞だから、血圧、血糖値、コレステロールは下げた方が多分いい。だけど、それで長生きするのは米国のデータであって、日本では大規模調査をしていないから根拠のあるデータとは言えない」、いまだにこんな重要なデータが「日本」にないとは驚かされた。
・『「くだらないことでも楽しめる」のが究極の幸せ  高齢者をアクティブ(行動的)にすることはとても大事な施策でもあるそうだ。 「アクティブにしないと要介護者が増えます。2~3年後には500万人から600万人に増えるでしょう。それでまた増税ってことになる。個人金融資産の7割に当たる1400兆円を60歳以上が保有しています。高齢者は心を元気にして楽しまないといけないのに、それがまるで悪いことだと思われています。だから高齢者はビビってお金を使わなくなっている。そうじゃない。楽しむことは景気にもいい影響を与える。ぼくは相続税100%と言っているけど、死ぬまでに自分の稼いだ金は全部使うべき。人は最期まで楽しむ権利がある。それに究極の幸せって、くだらないことでも楽しんでしまう能力です。金持ちだろうが貧乏だろうが関係ない」』、「高齢者はビビってお金を使わなくなっている」理由は、「楽しむのが悪いことだと思っている」ことではなく、将来に介護などが必要になる場合に備えているだけだ。
・『「不良高年でいいんです」  「高齢者も少々高いハードルを2つ3つ越える意欲が大事です。日本人に一番欠けているのは実験する姿勢なんです。失敗を恐れず思い切って実行に移すと違う世界が見えてきます。意欲も次々に湧いてくる。想定外のことや、ワクワクドキドキすること、新しいことをするのは前頭葉を使うため認知症対策にもなります。80歳になったからって遠慮する必要なんてない。若返ることはいいことなんだから不良高年でいいんです」 一方で老いを受け入れることは自分を楽にする。 「70歳まではできるだけアンチエイジングをしたほうがいいんですが、80歳過ぎたらがんの進行も遅くなる。我慢をしないで、食べたいものを食べてお酒も飲んでもいいんです。健康診断も受けなくていい。“正常値”に戻そうとして薬漬けになるだけですから。おむつや補聴器も格好悪いから嫌がる人も多いけど素直に受け入れましょう。知人の音楽家は『おむつってこんなに楽なんだ』と喜んでいました。認知症にはなりたくないとみなさん言うけど、認知症は脳の変化だから不可避です。ただ脳はもともと1割しか使われていないから、かなり縮んでも、使い続けていれば残存機能はわりと使えます。認知症になってくるとみなさんニコニコして楽しそうに見えますよ。それと比べるとうつ病は楽しむ能力がなくなって、つらくておれはダメだってなっちゃう。認知症よりもうつ病にならないようにしたほうがいいんです。そうならないためにも残りの人生を楽しむこと。自分を喜ばせましょう」』、「認知症よりもうつ病にならないようにしたほうがいいんです。そうならないためにも残りの人生を楽しむこと。自分を喜ばせましょう」、同感である。

次に、8月1日付け東洋経済オンラインが掲載したライター・コラムニストの伯耆原 良子氏による「和田秀樹さんが説く「いい医者」を見分けるコツ 70代からの人生を元気に楽しく過ごすには?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/601014
・『高齢者専門の精神科医として6000人以上の患者と向き合ってきた、和田秀樹さん。70代、80代向けに書いた、老いへの備えや生き方の指南書が発売されるや否や、次々とヒットを連発。「70歳は人生のターニングポイント!」として、70代からの人生を元気に乗り切るための生活習慣や考え方をまとめた、近著『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』もベストセラーとなり、大きな話題に。 インタビューの後編では、多くの高齢者とかかわってきた和田さんに、70代からの人生を元気に楽しく過ごすためのコツや心がけたほうがいいことについて伺いました(Qは聞き手の質問、Aは和田氏の回答)。 前編:『和田秀樹「70代でも元気な人とそうでない人の差」』』、興味深そうだ。
・『死因トップが「がん」の日本  Q:著書『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』の中で、両者の違いは「レジリエンス(回復力)と免疫力にある」とおっしゃっていました。レジリエンスと免疫力を上げ、70代を元気に乗り切るためにはどうしたらいいでしょうか。 A:レジリエンスと免疫力を上げるためには、身体と脳を使うこと。そして、しっかり食べ、栄養状態を良くすることが大切です。血圧や血糖値を気にして節制する人がいますが、それも過ぎると栄養不足になりかねません。 アメリカ人の死因のトップは心筋梗塞なので、確かに血圧や血糖値、コレステロール値を下げたほうがいいかもしれない。 だけど、日本人の死因のトップは「がん」なんですね。がんで死ぬ人が、心筋梗塞で死ぬ人の12倍もいるのです。 だから、われわれのような「がんで死ぬ国」は、免疫力を上げなくてはいけない。もっと栄養を摂る必要があるし、もっと楽しまないといけないわけです。 よく「健康のためにお肉を減らしましょう」という医者もいますが、1日あたりの肉の平均摂取量はアメリカ人が300g程度に対し、日本人は100gぐらいですからね。 普段からそんなに食べていないに、お肉を控えてしまったことで、タンパク質など栄養不足になる危険性もある。それにもともとお肉が好きな人は食べる楽しみも減ってしまうから、かえって免疫力が落ちてしまう可能性もあるのです。) Q:高齢になると血圧や血糖値の数値が気になり、薬を飲む人も多いですよね。 A:実際、多いですね。医療が高度化したことによって、検査データを重要視するようになり、数値に異常があれば、正常に戻すためにすぐに薬を出すようになりました。 治療のために薬を出すというより、“数値を下げる”ためだけに薬を出す医者が多いのです。 さらに今の医療は専門分化が進んでいます。身体のあちこちが具合悪い人は、例えば「循環器内科」「消化器内科」「泌尿器科」というように、それぞれの科の医者から薬をもらうようになって、10個も15個も薬を飲むようになります。いわば薬漬けの状態です。 それでは、かえって具合が悪くなりかねません。実際、血圧や血糖値を下げる薬によって、低血圧や低血糖を引き起こし、頭がボーっとしたり、足元がフラフラしたりすることもあります。 僕は1985年に医学部を出ましたが、その頃の診察ではまだ聴診器を当てたり、触診をしたり、目の前の患者さんの状態や顔色を見ながら診断していきました。でも、今はそういった当たり前のことが少なくなって、数値ばかり重要視していくようになった。それでは体調不良の真の原因が見えなくなります。 僕は数値が正常化どうかよりも、本人が元気かどうかのほうがよっぽど大事だと思うんですね』、「日本人の死因のトップは「がん」なんですね。がんで死ぬ人が、心筋梗塞で死ぬ人の12倍もいるのです。 だから、われわれのような「がんで死ぬ国」は、免疫力を上げなくてはいけない。もっと栄養を摂る必要があるし、もっと楽しまないといけないわけです。 よく「健康のためにお肉を減らしましょう」という医者もいますが、1日あたりの肉の平均摂取量はアメリカ人が300g程度に対し、日本人は100gぐらいですからね。 普段からそんなに食べていないに、お肉を控えてしまったことで、タンパク質など栄養不足になる危険性もある」、「(自分が医者になった)頃の診察ではまだ聴診器を当てたり、触診をしたり、目の前の患者さんの状態や顔色を見ながら診断していきました。でも、今はそういった当たり前のことが少なくなって、数値ばかり重要視していくようになった。それでは体調不良の真の原因が見えなくなります。 僕は数値が正常化どうかよりも、本人が元気かどうかのほうがよっぽど大事だと思うんですね」、その通りだ。
・『高齢者が元気になる、良い医者の見分け方  Q:先生から見て、良い医者の見分け方というのはありますか。 A:基本的に医者というのは病気を治すプロであって、人を元気にさせるプロではないんですね。 「あなた、この数値が高いから危険です。薬を飲みましょう」という医者が多いけど、それを言われて元気になりますかって話です。 薬を飲んでも一向に具合が良くならない時に、しっかりと耳を傾けて原因を探ってくれたり、今飲んでいる薬を変えてくれたりと、根本原因に目を向けてくれる医者は信頼できるんじゃないでしょうか。 その医者の人となりや雰囲気というのも重要で、「この先生のところに行くとなんだか元気をもらえる」みたいな人がいいですよね。 (和田秀樹氏の略歴はリンク先参照) Q:著書『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』の中にあった、「高齢になってくると男性ホルモンの影響によって、女性のほうが男性よりも元気になる」というお話も、興味深く感じました。 男性ホルモン(テストステロン)は、いわゆる男らしさをつくるホルモンなのですが、社交性や攻撃性といった外に向かう力を生み出すホルモンなんですね。その男性ホルモンが、男性は中年期以降、減少し、逆に女性は高まっていくということがわかってきました。) 高齢になるほど妻はどんどん外に出て、人と会ったり、趣味の活動を始めたりする一方で、夫は何もせず、家にこもって、奥さんに頼りっきりになってしまう……。そんなふうに「濡れ落ち葉」と言われるようになってしまうのは、男性ホルモンの影響もあるわけです。 妻の側は、家にこもりがちの夫の姿を見ていて「情けない……」と思わずに、「ホルモンのせいなんだ」と思うと、ちょっと優しくなれるかもしれませんね。 そういうわけで、男性は定年退職したら、家に閉じこもらずに積極的に外に出たり、早めに自分が楽しめる世界を見つけたりすることをおすすめしたいです。 さすがに愛人をつくれとは言わないけれど、キャバクラに行くぐらいは許してあげてもいいんじゃないかと(笑)。男性ホルモンの分泌を促すためにもね』、「薬を飲んでも一向に具合が良くならない時に、しっかりと耳を傾けて原因を探ってくれたり、今飲んでいる薬を変えてくれたりと、根本原因に目を向けてくれる医者は信頼できるんじゃないでしょうか。 その医者の人となりや雰囲気というのも重要で、「この先生のところに行くとなんだか元気をもらえる」みたいな人がいいですよね」、「男性ホルモンが、男性は中年期以降、減少し、逆に女性は高まっていくということがわかってきました。 高齢になるほど妻はどんどん外に出て、人と会ったり、趣味の活動を始めたりする一方で、夫は何もせず、家にこもって、奥さんに頼りっきりになってしまう……。そんなふうに「濡れ落ち葉」と言われるようになってしまうのは、男性ホルモンの影響もあるわけです」、なるほど。
・『できないことを悔やむのではなく、面白がる  Q:70代からの人生を元気に楽しく過ごすために、心がけたほうがいいこととは何でしょうか。 A:70代ともなると、さすがに体力も集中力も衰えてきて、少なからず老いを感じるのは、仕方のないことです。 そこで「50代、60代の時はもっとできていたのに……」と悔やんだり、「これからますます衰えていく一方だ」と先のことを悲観したりすれば、どんどん気力を失い、老け込んでいってしまいます。 老いを感じた時に大切なのは、「できないことを悔やむのではなく、面白がること」です。本を読むのも、何か作業するのものろのろと、ちょっとずつしかできなくても、そのこと自体を「面白いな」と捉えてみると、今まで気づかなかった新たな発見があるものです。 そうやって70代のまだ元気なうちに自分のやりたいことを諦めずに続けることができると、80代以降、さらに老いが進んだとしても楽しみを失わずに済みます。 Q:「もう歳だから」といろんなことをあきらめずに、チャレンジし続けることが大切なんですね。 A:そうです。一日一日が実験だと思ったら、楽しくなってきませんか? 例えば、すごい美味しいラーメン店があって、1時間並ぶとする。でも、現役バリバリで仕事が忙しかったら、1時間も並ぶのも厳しいじゃないですか。 引退して時間はたっぷりあるわけだから、今までやりたくてもできなかったことに挑戦できる絶好のチャンスです。 毎日の食事のレシピを少しずつ変えたり、毎日違った本を読んでみたり。ドラマや映画もサブスクの動画配信サービスを使えば、何本見たって同じ金額です。 一日一日が実験だと思えば、失敗すらも楽しくなります。入ったお店がまずかったら、「じゃあ、次はこういうお店に行ってみよう」って、学びに変えていけば毎日にハリが出ます。 残りの人生で、あと何百回、何千回と実験ができるんですから、それだけ多くの幸せ気分を味わえるんじゃないでしょうか』、「70代のまだ元気なうちに自分のやりたいことを諦めずに続けることができると、80代以降、さらに老いが進んだとしても楽しみを失わずに済みます」、和田氏のアドバイスは元気が出るので、いつも楽しみだ。

第三に、7月27日付け婦人公論が掲載した立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏による「出口治明 72歳で脳卒中になって右半身麻痺と失語症が残り。身体の右側が動かず言葉を発することもできないのに、なぜ悲観的にならず「復職」を目指せたのか」を紹介しよう。
https://fujinkoron.jp/articles/-/6223
・『「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況」(厚生労働省)によれば、日本人の死因第4位が脳卒中になっています。かつては日本人の死因の第1位だった脳卒中も、医療の進歩で亡くなる人が減少。しかし、患者数そのものは変わらずに今も多いのが現状です。ライフネット生命保険株式会社創始者で、立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さんも、2021年1月に脳卒中を発症。リハビリ生活を送ることになりました。しかしどんなに大変な状態にあっても、あくまで「復職」を目指したという74歳の出口さん、その背景にあったものとは――』、あの「出口治明」氏が「脳卒中を発症」、「リハビリ」中だと知って、驚かされた。
・『脳卒中で右半身麻痺と失語症が残り  立命館アジア太平洋大学(APU)のある大分県の別府から、故郷の三重に、亡き母の四十九日の法要で新幹線で帰郷するため福岡のホテルに前泊した翌朝、僕は突然発作を起こし、病院に搬送されました。2021年1月9日の朝でした。 倒れた後、しばらくは意識が朦朧として、あまり明確な記憶は残っていません。気が付くと僕は自分の身体の右側が、自分の思い通りに動かせなくなっていました。 思い通りにならなくなったのは、それだけではありません。何も言葉を発することができなくなっていたのです。 医師の診断は左被殻出血(ひだりひかくしゅっけつ)。いわゆる脳卒中や脳出血と言われる病気で、症状としては右半身の麻痺と失語症が残りました。また、CT(コンピュータ断層撮影)検査の結果、手術はしない方針が採られました』、「失語症が残りました」、雑誌への寄稿、講演、などで精力的に活動してきた「出口」氏にとっては深刻だ。
・『リハビリ生活のスタート  脳卒中の後遺症として身体の麻痺はよく知られていると思いますが、失語症はあまりなじみのない人が多いかもしれません。 失語症とは脳の言葉を担う部分に障害が起こり、聞く、話す、読む、書くといった言葉を使った働きがうまくできなくなる状態です。 命に別状はありませんでしたが、僕は発作が起きてからあっという間に右腕右足がまったく動かず、相手が話している内容はある程度理解できても、自分からは意味のある言葉を一つも出せない状態になっていたのです。 しばらく福岡の病院で治療をした後、東京にあるリハビリテーション専門病院に転院し、僕のリハビリ生活はスタートしました』、「相手が話している内容はある程度理解できても、自分からは意味のある言葉を一つも出せない状態になっていたのです」、これは大変だ。
・『なぜ復職を目指したのか  医師によると、僕と同じくらいの年齢の人が脳出血を発症し、同じくらいのダメージが残ると、復職はあきらめ、退院や、自宅での自立した生活を目指してリハビリを行うのが一般的だそうです。もともと70歳を超えていれば、定年退職し、仕事をせずに暮らしている人も多いでしょう。 しかし僕は、学長への復職を目指したいと、医師とリハビリのスタッフに伝えました。以前と同じように別府へ単身赴任して自立した生活を送り、聴衆の前に立って講演できるくらいになりたいと。 なぜ復職を目指すのか。まだやり残した仕事があったからです。 学長に就任して以来取り組んできた、新しい学部の設立。そして新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けた学生の支援。そして国際学生の入国をサポートし、以前のように多様な学生が対面で交流できるキャンパスを、できるだけ早く取り戻したい─』、「僕は、学長への復職を目指したいと、医師とリハビリのスタッフに伝えました。以前と同じように別府へ単身赴任して自立した生活を送り、聴衆の前に立って講演できるくらいになりたいと。 なぜ復職を目指すのか。まだやり残した仕事があったからです。 学長に就任して以来取り組んできた、新しい学部の設立。そして新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けた学生の支援。そして国際学生の入国をサポートし、以前のように多様な学生が対面で交流できるキャンパスを、できるだけ早く取り戻したい─」、「学長への復職を目指したい」とは大した心がけだ。
・『悲観的になる必要はない  脳卒中を発症して障害が残ると、患者さんは自分の置かれた状況を正確に把握できず、あるいは状況を受け入れられず、あまり現実的でない希望を持つ場合があります。当初、医師やリハビリスタッフの方たちは、僕にもその可能性があると懸念していたそうです。 そうでなくても僕の負った障害の重さからすると、復職するまでのハードルは非常に高いと考えられていました。 目指す目標が高いので、リハビリも一般的な人よりも頑張らなくてはなりません。果たして病気で弱った心身で、それができるのかどうか。 しかし、周囲の人たちの心配とは裏腹に、僕は楽観的でした。言葉の問題や身体の不自由さは、いずれきっとよくなるだろうと。 数字・ファクト・ロジックで考えれば、悲観的になる必要などない。そう考えていたのです。 「人生とは何か」といった自問自答をすることも、落ち込んでふさぎ込むこともありませんでした。あくまで復職に向けてリハビリに一所懸命取り組み、復活した姿を皆さんにお見せしたいと思っていました。 何が起こるか予測できない世の中で、どんな事態に直面するかは、『種の起源』で進化論を確立したダーウィンがいっているように運次第であり、人間にできるのは適応だけです。 人間は川の流れに身を任せてたゆたうことしかできない。 ダーウィニストの僕は、以前からずっとそう考えてきました。川の流れに身を任せているうちに、僕はネット生命保険会社の創業を経てAPUの学長に就任し、日々の仕事と生活を送るなかで脳出血を発症し、身体と言葉の障害が残りました』、「何が起こるか予測できない世の中で、どんな事態に直面するかは、『種の起源』で進化論を確立したダーウィンがいっているように運次第であり、人間にできるのは適応だけです。 人間は川の流れに身を任せてたゆたうことしかできない」、「ダーウィン」の言葉が出てくるとはさすがだ。
・『人生は楽しまなければ損  人生にはどうしようもないことが山ほど起こります。「自分はなんて不幸なんだ、不運なんだ」と嘆いても仕方がありません。 それがわかれば自分の身体に障害が残った事実をありのままに見つめ、その変化に適応するだけのことです。「人生とは何か」などと自問自答する必要はまったくない。 年を取って死の恐怖を感じるのは、わからないでもありません。知人や友人が亡くなっていきますから、どうしても死を意識してしまいます。 しかし年齢別死亡率や平均余命といった統計をみれば、年を取ったら死ぬ確率は年々高まっていくのがわかるでしょう。客観的データに基づけば別に怖がる必要はなく、死は誰にでも訪れる当たり前の自然現象だと思えばよいだけの話です。 何より、人生は楽しまなければ損です。以前と同じようには動けなくなったからといって、落ち込んでいる暇などありません。 実際、脳卒中で麻痺が残ってリハビリに取り組み、復職にチャレンジするプロセスではいままで見えていなかった事柄に気が付いたり、新たに学んだりしたことがたくさんあります。 ※本稿は、『復活への底力 運命を受け入れ、前向きに生きる』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。) 『復活への底力 運命を受け入れ、前向きに生きる』(著:出口治明/講談社現代新書)(脳卒中を発症してから1年半。歩くことも話すことも困難な状況から、持ち前の楽観主義で落ち込むことがなく元気にリハビリ生活を送った出口さん。知的好奇心は衰えるどころか増すばかり。学長復職を目指す、講演を行う、再び本を執筆することを掲げ、自分を信じ闘病に励む稀有な姿勢と超人の思想は、私たちに生きる勇気を与えてくれる。本書には類書にない希望が満ち溢れている!』、「歩くことも話すことも困難な状況から、持ち前の楽観主義で落ち込むことがなく元気にリハビリ生活を送った出口さん。知的好奇心は衰えるどころか増すばかり。学長復職を目指す、講演を行う、再び本を執筆することを掲げ、自分を信じ闘病に励む稀有な姿勢と超人の思想は、私たちに生きる勇気を与えてくれる。本書には類書にない希望が満ち溢れている!」、「リハビリ」が所期の目的を達することを祈るばかりだ。時間が出来たら、『復活への底力 運命を受け入れ、前向きに生きる』も読んでみたい。
タグ:「高齢者はビビってお金を使わなくなっている」理由は、「楽しむのが悪いことだと思っている」ことではなく、将来に介護などが必要になる場合に備えているだけだ。 「国では死因のトップが心筋梗塞だから、血圧、血糖値、コレステロールは下げた方が多分いい。だけど、それで長生きするのは米国のデータであって、日本では大規模調査をしていないから根拠のあるデータとは言えない」、いまだにこんな重要なデータが「日本」にないとは驚かされた。 「東大受験に3回失敗するというここ一番に弱い岸田首相」、初めて知ったが、さもありなんだ。「ポルノ解禁」には大賛成だ。 「高齢者大歓迎のキャバクラもホストクラブ」が仮にあっても、そんなところでまで「高齢者」扱いされたくはないので、行く気がしない。 私自身は恥ずかしながら、せいぜい共産党宣言ぐらいで、「『資本論』とかショーペンハウアーら哲学も読んできている」、到底読もうという気にはならなかった。 日刊ゲンダイ「精神科医・和田秀樹さんが「80歳を越えたら我慢しないで生きよう」と唱える理由」 高齢化社会 (その18)(精神科医・和田秀樹さんが「80歳を越えたら我慢しないで生きよう」と唱える理由、和田秀樹さんが説く「いい医者」を見分けるコツ 70代からの人生を元気に楽しく過ごすには?、出口治明 72歳で脳卒中になって右半身麻痺と失語症が残り 身体の右側が動かず言葉を発することもできないのに なぜ悲観的にならず「復職」を目指せたのか) 「認知症よりもうつ病にならないようにしたほうがいいんです。そうならないためにも残りの人生を楽しむこと。自分を喜ばせましょう」、同感である。 伯耆原 良子氏による「和田秀樹さんが説く「いい医者」を見分けるコツ 70代からの人生を元気に楽しく過ごすには?」 「日本人の死因のトップは「がん」なんですね。がんで死ぬ人が、心筋梗塞で死ぬ人の12倍もいるのです。 だから、われわれのような「がんで死ぬ国」は、免疫力を上げなくてはいけない。もっと栄養を摂る必要があるし、もっと楽しまないといけないわけです。 よく「健康のためにお肉を減らしましょう」という医者もいますが、1日あたりの肉の平均摂取量はアメリカ人が300g程度に対し、日本人は100gぐらいですからね。 普段からそんなに食べていないに、お肉を控えてしまったことで、タンパク質など栄養不足になる危険性もある」、 「(自分が医者になった)頃の診察ではまだ聴診器を当てたり、触診をしたり、目の前の患者さんの状態や顔色を見ながら診断していきました。でも、今はそういった当たり前のことが少なくなって、数値ばかり重要視していくようになった。それでは体調不良の真の原因が見えなくなります。 僕は数値が正常化どうかよりも、本人が元気かどうかのほうがよっぽど大事だと思うんですね」、その通りだ。 「薬を飲んでも一向に具合が良くならない時に、しっかりと耳を傾けて原因を探ってくれたり、今飲んでいる薬を変えてくれたりと、根本原因に目を向けてくれる医者は信頼できるんじゃないでしょうか。 その医者の人となりや雰囲気というのも重要で、「この先生のところに行くとなんだか元気をもらえる」みたいな人がいいですよね」、「男性ホルモンが、男性は中年期以降、減少し、逆に女性は高まっていくということがわかってきました。 高齢になるほど妻はどんどん外に出て、人と会ったり、趣味の活動を始めたりする一方で、夫は何もせず、家にこも 「70代のまだ元気なうちに自分のやりたいことを諦めずに続けることができると、80代以降、さらに老いが進んだとしても楽しみを失わずに済みます」、和田氏のアドバイスは元気が出るので、いつも楽しみだ。 婦人公論 出口治明氏による「出口治明 72歳で脳卒中になって右半身麻痺と失語症が残り。身体の右側が動かず言葉を発することもできないのに、なぜ悲観的にならず「復職」を目指せたのか」 あの「出口治明」氏が「脳卒中を発症」、「リハビリ」中だと知って、驚かされた。 「相手が話している内容はある程度理解できても、自分からは意味のある言葉を一つも出せない状態になっていたのです」、これは大変だ。 「僕は、学長への復職を目指したいと、医師とリハビリのスタッフに伝えました。以前と同じように別府へ単身赴任して自立した生活を送り、聴衆の前に立って講演できるくらいになりたいと。 なぜ復職を目指すのか。まだやり残した仕事があったからです。 学長に就任して以来取り組んできた、新しい学部の設立。そして新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けた学生の支援。そして国際学生の入国をサポートし、以前のように多様な学生が対面で交流できるキャンパスを、できるだけ早く取り戻したい─」、「学長への復職を目指したい」とは大し 「何が起こるか予測できない世の中で、どんな事態に直面するかは、『種の起源』で進化論を確立したダーウィンがいっているように運次第であり、人間にできるのは適応だけです。 人間は川の流れに身を任せてたゆたうことしかできない」、「ダーウィン」の言葉が出てくるとはさすがだ。 「歩くことも話すことも困難な状況から、持ち前の楽観主義で落ち込むことがなく元気にリハビリ生活を送った出口さん。知的好奇心は衰えるどころか増すばかり。学長復職を目指す、講演を行う、再び本を執筆することを掲げ、自分を信じ闘病に励む稀有な姿勢と超人の思想は、私たちに生きる勇気を与えてくれる。本書には類書にない希望が満ち溢れている!」、「リハビリ」が所期の目的を達することを祈るばかりだ。時間が出来たら、『復活への底力 運命を受け入れ、前向きに生きる』も読んでみたい。
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GAFA(その7)(GAFAの株価が低調 「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由、アップル 成長鈍化の逆風下でM2チップに透ける「深謀遠慮」とは、GAFA神話終焉のワケは「ネット広告の限界」だけじゃない!Twitter Netflixも同じ) [イノベーション]

GAFAについては、2月11日に取上げた。今日は、(その7)(GAFAの株価が低調 「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由、アップル 成長鈍化の逆風下でM2チップに透ける「深謀遠慮」とは、GAFA神話終焉のワケは「ネット広告の限界」だけじゃない!Twitter Netflixも同じ)である。

先ずは、5月10日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「GAFAの株価が低調、「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302879
・『「GAFA」の株価が下落基調にある。これまで注目されてきたビジネスモデルに、行き詰まりの兆しが見え始めているからだ。その軌跡を基本から振り返ると共に、現在のリスク要因を分析し、今後の展開を予測する』、さしもの「GAFA」にも「行き詰まりの兆し」とは興味深そうだ。
・『GAFAの成長期待が鈍化 ビジネスモデルに行き詰まりの兆し  このところ、「GAFA」(グーグル、アップル、旧フェイスブック・現メタ、アマゾン)の株価が下落基調にある。2022年1~3月期決算が出そろった後も、各社の株価は上昇していない。 最大のポイントは、各社の成長期待が鈍化していることだ。これまで注目されてきたITプラットフォーマーとしてのビジネスモデルに、行き詰まりの兆しが見え始めている。加えて、米国内の人手不足や、「ディ・グローバリズム」(グローバル化に逆行する動き)に伴うコストアップ要因がGAFA各社を直撃している。 今後の展開として、GAFAの成長期待は一段と低下することも想定される。それが現実味を帯びると、各社の株価は下落する可能性が高い。ウクライナ危機や中国のゼロコロナ政策をきっかけに、グローバル化の加速を前提としたアップルの事業運営の効率性は、低下する恐れが強くなっている。主要先進国における個人データ保護規制の強化なども、メタやグーグル、アマゾンの成長期待を低下させるだろう。 米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、“インフレ退治”のため周囲の予想を上回るペースで金融引き締めを進めている。それはGAFAの事業運営には逆風となり、株価の下落懸念を高める要因だ』、要因には、「各社の成長期待が鈍化」、「米国内の人手不足」、「ディ・グローバリズム」「に伴うコストアップ要因」、「主要先進国における個人データ保護規制の強化」、さらには「FRB」の「金融引き締め」など構造的な性格が強いようだ。
・『これまでのビジネスモデルが神通力を失うGAFA  過去1年間のGAFAの株価の推移を確認すると、大まかな傾向として21年12月前半まで各社の株価は高値圏で推移した。しかし、その後は株価が上昇していない。それが意味することは、各社が高い成長を維持するのが難しくなっているということだ。 まず、アップルの成長期待の鈍化を考えてみよう。1990年代以降の米国経済において、アップルはグローバル化を追い風に高成長を実現した企業の象徴である。97年、同社は経営破綻寸前にまで追い込まれていたが、その状況を救ったのが創業者の一人だった故スティーブ・ジョブズだ。ジョブズは高付加価値なソフトウエアの創出に集中し、iPodやiPhoneなどのデバイスや、iTunesなどのサービスの設計と開発に注力した。 それと同時にアップルは世界各国から優れた部材や部品を集め、完成品のユニット組み立て型生産を、台湾の鴻海精密工業の中国子会社であるフォックスコンに委託した。こうした国際分業によって、製造ラインを自社保有する負担から解放され、高付加価値なソフトウエア創出に集中し、高い収益性を実現したのだ。同社がリーマンショック後の世界経済のデジタル化を加速し、米国および世界経済の成長に与えた影響は計り知れない。 しかし、近年、こうしたビジネスモデルに行き詰まりが見えている。まず、中国の生産年齢人口が減少し、労働コストが上昇したことは大きい。加えて、米中対立によって世界のサプライチェーンが混乱。さらに、新型コロナウイルスの感染再拡大やウクライナ危機など複合的な要因が重なり、供給制約は深刻化し続けている。 そうした環境の変化によって、国際分業体制の強化で高成長を実現してきたアップルが、需要を取りこぼし始めているのだ』、「アップル」の「国際分業体制」の「ビジネスモデルに行き詰まり」は確かに深刻だ。
・『SNSへの規制強化、労働組合の結成 逆風強まるITプラットフォーマー  動画や検索、SNSサービスの提供で広告収入を得てきたグーグルやメタ、ネット通販やクラウドコンピューティングなどのサービスを提供してきたアマゾンの成長期待も鈍化している。 グーグルとメタは、ユーザーである個人の検索や動画視聴、知人関係(ネットワーク)、モノやサービスの購入履歴といった膨大なデータ(ビッグデータ)を優先的に手に入れて、それを販売したり、新しいビジネスに用いたりすることによって急速に収益を増やした。 しかし、ロシアがフェイスブックを用いて2016年の米大統領選挙に介入した疑惑が浮上したことなどにより、SNSへの規制が強化されている。メタは人海戦術でフェイクニュースの摘発を強化しなければならなくなり、コストが増加した。また、公正さへの懸念から一時、フェイスブックのユーザーが減少した。 メタの22年1~3月期決算は、売上高の伸び率が上場来で最低となり、同社への懸念は高まっている。同様のことが、検索サービスの強化によって広告収入を増やしてきたグーグルにも当てはまる部分が多い。 アマゾンは世界に「物流革命」を起こした。同社は、積極的な設備投資によって世界各国で効率的な配送網を整備し、自力でラストワンマイルを構築した。さらに消費者一人ひとりの好みを突くアルゴリズムを開発して消費意欲をかき立て、クラウドサービスも提供することによって有力ITプラットフォーマーとしての地位を確立した。 しかし、物流施設での過酷な労働環境への反発から労働組合が結成されるなど、成長力には翳りが出始めている。加えて、米国をはじめ世界的な人手不足を背景に、物流センターでの人員やドライバーの確保が難しくなっているようだ。 倉庫の建設やEV新興メーカーへの投資も業績の重荷になっている。原油などエネルギー資源価格の高騰は燃料費の増加につながり、収益を圧迫している。このようにGAFA各社はこれまでの高い成長スピードを維持することが難しくなっている』、悪材料がよくもここまで出揃ったものだ。
・『中長期的なGAFA株の下落懸念 業績拡大ペースは鈍化  GAFA各社は正念場を迎えている。今後の展開として、GAFAの業績拡大ペースは鈍化し、株価が下落する可能性は高まっている。各社ともグローバル化の加速を前提にビジネスモデルを構築してきたからだ。 しかし、ウクライナ危機によって世界経済はグローバル化からブロック化に向かい始めた。世界経済の先行き見通しは悪化したため、広告主の企業はコスト削減を優先しなければならず、SNSや動画サイトでの広告出稿は減少するだろう。また、データ保護やフェイクニュースなどの取り締まりのためのコストも増える。 世界的な供給制約の長期化によって半導体の不足が長引き、スマホなどITデバイスの生産が計画を下回る可能性も高まっている。中国では経済成長の低下傾向が鮮明だ。IT機器やサービスの需要の低下に加えて、生産年齢人口の減少によって労働コストも上昇するだろう。いずれもGAFAの事業運営の効率性向上を阻害する要因だ。 加えて、米国をはじめ世界的に物価が急騰している。FRBは金融政策の正常化を急がなければならない。世界的に金利は上昇するだろう。金利上昇によって、企業が永続的に生み出すと考えられるフリー・キャッシュ・フローの「割引現在価値」(将来得られる価値を現在受け取るとしたらどの程度の価値になるかを計算したもの)は小さくなる。GAFAのように成長期待が高い企業ほど、そのインパクトは大きくなり株価の下落懸念は高まりやすい。 FRBが追加利上げやバランスシート縮小を急ぐ姿勢を一段と強める場合、米国の金利は急速に上昇し、GAFAなどIT先端企業の株価の低下傾向が一段と鮮明化する恐れがある。また、米金利の上昇によって新興国からは資金が流出し、世界経済全体で成長率は低下する展開も想定される。それはGAFAの収益減少要因になるだろう。 言い換えれば、GAFA各社がこれまでの発想にとらわれることなく新しいモノやサービスを生み出し、需要を創出することが出来るか否か、その実力が問われている』、「金利上昇によって」、「フリー・キャッシュ・フローの「割引現在価値」・・・は小さくなる。GAFAのように成長期待が高い企業ほど、そのインパクトは大きくなり株価の下落懸念は高まりやすい」、「米国の金利は急速に上昇し、GAFAなどIT先端企業の株価の低下傾向が一段と鮮明化する恐れがある」、「GAFA各社がこれまでの発想にとらわれることなく新しいモノやサービスを生み出し、需要を創出することが出来るか否か、その実力が問われている」、三番目は残念ながら期待薄だ。

次に、6月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「アップル、成長鈍化の逆風下でM2チップに透ける「深謀遠慮」とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/305516
・『アップルのビジネスモデルの優位性が揺らいでいる。同社の業績への懸念が高まり、米国にあるアップルの小売店舗では労働組合が結成された。アプリストアに関しても、多くの国がアップルにストアを抱え込むのではなく、外部に開放するよう求めている。各国の規制当局がアップルのシェアをそぎ落とし、データの保護や自国企業に有利に働く環境整備を強化している。一方、アップルがメタバースに対応した「眼鏡型のデバイス」を発表するとの観測が高まる中で、クックCEOは新型の「M2チップ」を発表した。アップルが描く、ウェブ3.0の大激変期を生き抜く新しいビジネスモデルとは』、興味深そうだ。
・『アップルが新型の「M2チップ」を発表 変革期におけるその狙いとは  世界のネット業界が大激変期を迎えている。主要国の規制強化に加えて、アップルなどが主導してきた「ウェブ2.0」から、次の「ウェブ3.0」へ様変わりしつつある。その変革で、私たちとデジタル空間の距離感は一気に縮まり、新しいサービスやデバイスの需要が増える。 他方、スマートフォンなどの需要が飽和し、中国のゼロコロナ政策による供給制約やウクライナ危機による資源価格高騰が深刻化したことで、アップルのビジネスモデルの優位性が揺らいでいる。同社の業績への懸念が高まり、米国にあるアップルの小売店舗では労働組合が結成された。 そうした状況下、アップルは新しいビジネスモデルの確立を急いでいる。それを示唆するのが、チップ開発の加速だ。メタバースに対応した「眼鏡型のデバイス」を発表するとの観測が高まる中で、クックCEOは新型の「M2チップ」を発表した。その狙いは、より高性能なチップ開発を加速し、より多くの人が能動的に活動できる、新しいネット空間を整備することだろう。 アップルは人々がより積極的に新しい取り組みを進めてモノやサービスを取引するバーチャルな市場を整備し、その運営を多種多様な企業と連携して進めようとするだろう。このことが半導体部材メーカーおよび製造装置メーカーの事業運営や、米中対立に与えるインパクトは大きい』、「「M2チップ」を発表した。その狙いは、より高性能なチップ開発を加速し、より多くの人が能動的に活動できる、新しいネット空間を整備することだろう。 アップルは人々がより積極的に新しい取り組みを進めてモノやサービスを取引するバーチャルな市場を整備し、その運営を多種多様な企業と連携して進めようとするだろう」、ずいぶん意欲的なようだ。
・『アップルの成長鈍化が懸念される理由 労働組合が発足した背景  2000年代に入りアップルはiPodやiPhone、iPadなど次々と新しいデバイスを生み出して高い成長を実現した。それを可能にしたビジネスモデルが、グローバル化を追い風に設計・開発と生産を分離したことだ。 人件費が高い米国で、アップルはソフトウエアの設計と開発に集中。直感的に操作可能なデバイスを生み出し、ネット上で音楽配信やアプリストアなどを運営した。 また、世界から最も優秀な部材やユニットを低価格で調達し、中国にある富士康科技集団(フォックスコン、台湾の鴻海精密工業の子会社)の工場にユニット組み立て型生産を委託。こうして生産設備を抱える負担から解放され、米国など高価格で販売できる市場に製品を迅速に供給した。 そうした結果、収益が急拡大して資本の効率性が高まり、従業員の給料も増加した。しかし今、同社で労組が結成されたことは、ビジネスモデルの優位性が揺らぎ、高い成長の維持(≒給料の増加)が難しくなるとの懸念を示す。 複数の要因によってアップルの成長は鈍化しているが、主な要因として、従来体制での国際分業が難しくなっていることが挙げられる。 中国ではゼロコロナ政策が徹底され、iPhoneの生産が停滞した。IT業界担当の株式アナリストの間では、「iPhone14シリーズの発表が遅れる」との観測も出た。アップルは中国からインドなどに生産拠点を急速にシフトし始めた。 加えて、ウクライナ危機によって世界の資源価格が高騰している。グローバル化を追い風にソフトウエアの設計・開発のスピードを高め、新しい(アップデート型の)デバイスを供給して先端分野の需要を効率的に獲得してきたアップルに対する逆風が強くなっている。 そうした影響から、米国の店舗従業員は需要の鈍化を機敏に感じ取り、物価が高騰する環境下、自分たちの生活を守るために労組の発足に踏み切ったのだろう』、「同社で労組が結成されたことは、ビジネスモデルの優位性が揺らぎ、高い成長の維持(≒給料の増加)が難しくなるとの懸念を示す」、その通りだろう。
・『アップルの寡占化が分散され競争が激化するネット業界  アップルは世界のネット業界の激変にも直面している。端的に言えば、寡占化されたネット業界が分散化され、競争が激化する。 例えば、アプリストア(アプリ市場)の運営に関して、多くの国がアップルにストアを抱え込むのではなく、外部に開放するよう求めている。アプリ購入時の決済サービスに関しても、他の企業の参入を認めるよう規制が強化されている。 また、欧州委員会は24年秋までにデバイスの充電端子をUSBタイプCに統一するよう通告した。ナイフでケーキを切り分けるかのように、各国の規制当局がアップルのシェアをそぎ落とし、データの保護や自国企業に有利に働く環境整備を強化している。 そうした状況下、アップルは新チップM2を発表した。根底には、アップルの「深謀遠慮」があるだろう。これまでネット業界は一部の大手企業がサービスを提供し、収益とビッグデータを手に入れる(しかも「無料」で)構造だった(ウェブ2.0)。 それが今、ブロックチェーンを用いたウェブ3.0にシフトしている。これに伴い、偽造された非代替性トークン(NFT)の取引など、正規ではないデジタル資産の取引が増えるだろう。それは経済活動の効率性と透明性にマイナス影響を与える。また、米中対立や台湾海峡の緊迫化などを背景に、世界全体でサイバー攻撃のリスクが高まる。 そうした環境変化に対応しつつ成長を目指すために、アップルは他社との連携を強化して新しいネット上の秩序の構築に取り組むだろう。例えば、国際的なNFT取引の市場を整備し取引をモニターする、個々人や組織が必要に応じてネット空間で専門的なスキルを持つ人を募りプロジェクトを進める、などだ。 そうした取り組みを増やことが、個々人により高い満足感を提供する下支えになるだろう。そうした新しい仕組みを可能にするために、常時安心して接続できるネット空間の創造は不可欠だ。ウェブ3.0を支えるデバイスやサービスの先駆者利益を獲得するために、アップルはチップの設計と開発により集中し、新しいエコシステムの整備に取り組むはずだ』、「アップルは他社との連携を強化して新しいネット上の秩序の構築に取り組むだろう。例えば、国際的なNFT取引の市場を整備し取引をモニターする、個々人や組織が必要に応じてネット空間で専門的なスキルを持つ人を募りプロジェクトを進める、などだ」、なるほど。
・『急拡大する新しい半導体関連需要本邦企業と日本政府の取るべき策とは  ウェブ3.0によって、新しい半導体部材や製造装置の需要が急速に高まる。メタバースに加えて、自動車の電動化やIoT機器の導入、脱炭素、ビッグデータ利用の増加などによっても、これまであまり半導体が用いられてこなかった機器に対しても、多種多様なチップが搭載されるようになる。 ファウンドリーと半導体の製造装置分野では、先端分野での取り組みが加速している。アップルが設計・開発したチップの受託生産を行う台湾積体電路製造(TSMC)は、オランダの半導体製造装置メーカーであるASMLから次世代の露光装置を調達し、顧客の技術革新に必要な回路形成を実現すると表明した。ASMLは米コネチカット州での追加投資を発表。「ナノからピコへ」というように半導体製造の革新は加速することはあれ、止まることは考えられない。 また、アップルは米中対立の先鋭化など、脱グローバル化への対応も強化しなければならない。6月15日、アップルをはじめとする米IT先端企業のトップが連名で、「中国対抗法案」を早期に成立させ半導体生産体制強化を財政面から支援するよう、ペロシ下院議長やシューマー上院院内総務らに書簡を送った。 そうした環境下、世界のサプライチェーンの再編も勢いづくだろう。半導体の性能向上と、その実現に欠かせない部材や製造装置の創出が、各国の安全保障や経済運営により大きなインパクトを与えるようになる。 1990年代以降、わが国はデジタル化に取り残された。ウェブ3.0の時代が幕を開ける中、本邦企業はしっかりとしたビジネスモデルを確立しなければならない。各企業は先端分野におけるモノづくりの力を徹底して磨く必要がある。 加えて、日本政府が半導体の部材や製造装置、さらにはマイコンやパワー半導体など本邦企業が国際競争力を維持している分野に、支援を迅速かつ他国に見劣りしない規模感で実施することも不可欠だろう』、「1990年代以降、わが国はデジタル化に取り残された。ウェブ3.0の時代が幕を開ける中、本邦企業はしっかりとしたビジネスモデルを確立しなければならない。各企業は先端分野におけるモノづくりの力を徹底して磨く必要がある。 加えて、日本政府が半導体の部材や製造装置、さらにはマイコンやパワー半導体など本邦企業が国際競争力を維持している分野に、支援を迅速かつ他国に見劣りしない規模感で実施することも不可欠だろう」、同感である。

第三に、7月29日付け東洋経済オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「GAFA神話終焉のワケは「ネット広告の限界」だけじゃない!Twitter、Netflixも同じ」を紹介しよう。
・『米国IT企業の株価急落 バブルの崩壊か  コロナ禍で業績を伸ばしてきたアメリカのIT企業が、ここのところ軒並み株価を落とし始めています。GAFA神話の終焉(しゅうえん)、そしてネット広告の成長の「限界」が訪れているかにも見えますが、実際のところどうなのか。情報を整理し考察してみたいと思います。 直近のIT企業株下落の最初のきっかけは先週、写真共有アプリのスナップチャットを提供するSNAPの決算発表でした。発表された数字が「すでに引き下げられていた業績見通しさえ下回った」ということから、SNAPの株価は40%安と大幅に値を下げました。 続いて、7月22日にツイッターが第2四半期の決算を発表しました。こちらは広告収入が増えたとはいえ、わずか2%増と市場予想を下回り、純利益が赤字に転落しました。 そして、7月26日にアルファベット(Googleの親会社)が4~6月期決算を発表。純利益14%減と、市場予想を下回りました。アルファベットによれば、インフレとそれに伴う景気後退予測で企業が広告費を見直す傾向が強まっていると言います。 アルファベットの株価についてはすでに先週から下落が始まっていたこともあり、決算発表の後は夜間取引で逆に、株価が5%ほど上昇しました。投資家心理として「思っていたよりもマイルドな結果だった」ことが安堵を与えた様子です。 さらに、7月27日にメタ(旧フェイスブック)は、第2四半期の純利益が前年同期比で36%減少したと発表しました。これも市場予測を下回り、メタの株価は夜間取引で4%下落しました。 SNSのアクティブユーザーはフェイスブック、インスタグラム、WhatsAppなど合計で増加しているものの、広告の平均価格が前年比で14%下がっているといいます』、なるほど。
・『米ハイテク株成長の限界を象徴する二つの事件とは  時間軸を半年ぐらいさかのぼってみると、アメリカのハイテク株の成長の限界として二つの象徴的な事件がありました。 一つは、今年の2月3日に起きました。フェイスブックで1日当たりの利用者数が減少したことを報告したメタ社の株価が、1日で約26%減少する「メタ・ショック」が起きたことです。 もう一つは、動画配信大手のネットフリックスです。こちらも4月20日に会員数が過去10年で初めて減少に転じたことを公表して、株価が1日で35%下落しました。 これらの現象を眺めると、確かにアメリカのハイテク大手各社は、コロナ禍の巣ごもり需要を背景にわが世の春を謳歌(おうか)していました。そこから転じて、今年の春から夏にかけて成長の限界を迎え、アフターコロナと景気後退で一斉に勢いを落とし始めているように見えます。 この「アフターコロナと景気後退」は、アメリカIT大手の株価下落をもたらす要素ではあるのですが、ここで見落としてはいけない、もうひとつ重要な要素が存在します』、何なのだろう、
・『米IT大手を襲うのは成長の限界だけではない  それは、「お互いがお互いの収益源に対して手を出し始めたこと」です。それまでIT大手にとってブルーオーシャンだった自分の得意領域が、血で血を洗うレッドオーシャンに変質し始めているのです。 要素を整理してみましょう。SNAPの凋落(ちょうらく)やツイッター、フェイスブックのスローダウンの背景にあると言われるのが、中国資本のTikTokです。 各社の決算発表のコメントには、TikTokとの競争激化が収益減少要因として必ず登場します。若い世代のユーザーを中心に、新しいサービスに顧客を奪われているのです。 グーグルの親会社であるアルファベットは、減益の要因について「企業が広告費を見直す傾向が強まっている」と公式発表していました。実は、グーグル事業よりも動画配信ビジネスのYouTubeでの悪影響が響いたようです。 そしてYouTubeへの広告出稿が鈍化した背景には、ツイッターなど競合するSNSにおける動画投稿市場が広がったことが影響だとされています。SNSがYouTubeの収益を奪っているのです。 そのアルファベットですが、広告収入は減少した一方で、クラウドサービスの収入が市場予想よりも高かったことで売り上げは市場予測を上回りました。 ここも面白い点です。実は、マイクロソフトはアルファベットと同じ日に決算を発表して、売り上げ・利益ともに市場予測を上回っていました。しかし、そんなマイクロソフトが唯一市場の期待に応えられなかったのが、クラウドサービス分野です。クラウドサービスにおけるアジュールの成長が、予想よりも低かったのです。つまり、マイクロソフトの成長余地をアルファベットが奪った形です。 今度は、ネットフリックスに目を移してみましょう。実は、利用者減少の最大要因は、ウクライナ侵攻によるロシア・ウクライナでの利用者減少でも、アフターコロナによる巣ごもり需要の消失でもなく、ダイレクトな競合サービスである「ディズニー+」の躍進にあるようです。 「ディズニー+」は、古くからあるディズニーのコンテンツに加えて、買収によって権利を得たマーベルやスターウォーズといった強力なコンテンツを武器に拡大を始めています。 同じく強力なコンテンツに強みを持つネットフリックスにとっては、同じ戦い方で同じ市場を取り合う初めての強敵の出現ということになるわけです。成長の限界というよりも、顧客が奪われ始めているのです。 さらに、ネットフリックスは戦い方を変えるために安価な広告付きプランの導入を来年度にも始めようと考えています。これはもともと1000円を切る価格のサービスだったところから値上げを繰り返した末に、インフレ経済に突入し加入者の減少を迎えてしまったことへの対抗策です。確かに、広告事業への参入は有効性が高いと思われます。 一方で、このニュースの大きなポイントはネットフリックスが組んだ「相手」だと、私は思います。実は、その広告付きプランの開発で、ネットフリックスが組んだ相手はマイクロソフトだったのです。 要するに、ネットフリックスはグーグルと組むことができなかった。それは新しいネットフリックスの広告付きモデルが、グーグル陣営のYouTubeとダイレクトに競合して収益を奪うことを危惧しているからでしょう』、「その広告付きプランの開発で、ネットフリックスが組んだ相手はマイクロソフトだったのです。 要するに、ネットフリックスはグーグルと組むことができなかった。それは新しいネットフリックスの広告付きモデルが、グーグル陣営のYouTubeとダイレクトに競合して収益を奪うことを危惧しているからでしょう」、組む相手は「競合」状況に左右されるようだ。
・『米IT大手の株価下落 「レッドオーシャン化」が一要因  こうして要素を並べてみると、成長の限界とは別のもう一つの収益減少要因が見えてきます。 アメリカのIT大手各社のビジネスについて、お互いの収益を奪い合うレッドオーシャン化が始まったのです。さらに言えば、IT各社はまだこれから始まるメタバースに関しても一斉に侵攻を始めています。 冒頭でお伝えしたメタの大幅減益に関しても、メタバース関連への投資がかさんでいることが一つの要因です。序盤戦ですでに、メタバース事業は各社ともレッドオーシャンです。 もちろんレッドオーシャン化のきっかけはこれまでの事業の柱の成長の鈍化によって、各社とも自分と近しいビジネスの隣接領域へと手を伸ばそうと考えたからです。ですから、成長の限界が競争激化のきっかけを起こしていることも事実です。 とはいえ、これから起きる未来を考えると、成長の限界とレッドオーシャン化ではそこから導かれる未来が違ってきます。 後者が引き起こす未来、それは業界の再編です。つまりGAFAと呼ばれる4社の寡占構造が崩れ、業界地図が大きく変わる可能性が見えてきた。 それが、今起きているアメリカIT株の下落の一番大きな不安要因なのではないでしょうか?』、「GAFAと呼ばれる4社の寡占構造が崩れ、業界地図が大きく変わる可能性が見えてきた。 それが、今起きているアメリカIT株の下落の一番大きな不安要因なのではないでしょうか?」、面白い見方だ。
タグ:真壁昭夫氏による「GAFAの株価が低調、「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由」 ダイヤモンド・オンライン (その7)(GAFAの株価が低調 「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由、アップル 成長鈍化の逆風下でM2チップに透ける「深謀遠慮」とは、GAFA神話終焉のワケは「ネット広告の限界」だけじゃない!Twitter Netflixも同じ) GAFA 要因には、「各社の成長期待が鈍化」、「米国内の人手不足」、「ディ・グローバリズム」「に伴うコストアップ要因」、「主要先進国における個人データ保護規制の強化」、さらには「FRB」の「金融引き締め」など構造的な性格が強いようだ。 さしもの「GAFA」にも「行き詰まりの兆し」とは興味深そうだ。 「金利上昇によって」、「フリー・キャッシュ・フローの「割引現在価値」・・・は小さくなる。GAFAのように成長期待が高い企業ほど、そのインパクトは大きくなり株価の下落懸念は高まりやすい」、「米国の金利は急速に上昇し、GAFAなどIT先端企業の株価の低下傾向が一段と鮮明化する恐れがある」、「GAFA各社がこれまでの発想にとらわれることなく新しいモノやサービスを生み出し、需要を創出することが出来るか否か、その実力が問われている」、これは残念ながら期待薄だ。 悪材料がよくもここまで出揃ったものだ。 「アップル」の「国際分業体制」の「ビジネスモデルに行き詰まり」は確かに深刻だ。 三番目は残念ながら期待薄だ。 真壁昭夫氏による「アップル、成長鈍化の逆風下でM2チップに透ける「深謀遠慮」とは」 「「M2チップ」を発表した。その狙いは、より高性能なチップ開発を加速し、より多くの人が能動的に活動できる、新しいネット空間を整備することだろう。 アップルは人々がより積極的に新しい取り組みを進めてモノやサービスを取引するバーチャルな市場を整備し、その運営を多種多様な企業と連携して進めようとするだろう」、ずいぶん意欲的なようだ。 「同社で労組が結成されたことは、ビジネスモデルの優位性が揺らぎ、高い成長の維持(≒給料の増加)が難しくなるとの懸念を示す」、その通りだろう。 「アップルは他社との連携を強化して新しいネット上の秩序の構築に取り組むだろう。例えば、国際的なNFT取引の市場を整備し取引をモニターする、個々人や組織が必要に応じてネット空間で専門的なスキルを持つ人を募りプロジェクトを進める、などだ」、なるほど。 「1990年代以降、わが国はデジタル化に取り残された。ウェブ3.0の時代が幕を開ける中、本邦企業はしっかりとしたビジネスモデルを確立しなければならない。各企業は先端分野におけるモノづくりの力を徹底して磨く必要がある。 加えて、日本政府が半導体の部材や製造装置、さらにはマイコンやパワー半導体など本邦企業が国際競争力を維持している分野に、支援を迅速かつ他国に見劣りしない規模感で実施することも不可欠だろう」、同感である。 東洋経済オンライン 鈴木貴博氏による「GAFA神話終焉のワケは「ネット広告の限界」だけじゃない!Twitter、Netflixも同じ」 何なのだろう、 「その広告付きプランの開発で、ネットフリックスが組んだ相手はマイクロソフトだったのです。 要するに、ネットフリックスはグーグルと組むことができなかった。それは新しいネットフリックスの広告付きモデルが、グーグル陣営のYouTubeとダイレクトに競合して収益を奪うことを危惧しているからでしょう」、組む相手は「競合」状況に左右されるようだ。 「GAFAと呼ばれる4社の寡占構造が崩れ、業界地図が大きく変わる可能性が見えてきた。 それが、今起きているアメリカIT株の下落の一番大きな不安要因なのではないでしょうか?」、面白い見方だ。
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教育(その29)(女子生徒「ズボン着用」に届出が必要な校則の異常 理不尽な「ブラック校則」が一向に変わらない訳、学校で「いい先生」が正規教員になれない理不尽 現場の評価と一致しない採用試験の評価、1年目の非正規教員が「自己流」で教壇に立つ異常 初任者研修すら受けられず担任を持つ教員たち) [社会]

教育については、6月7日に取上げた。今日は、(その29)(女子生徒「ズボン着用」に届出が必要な校則の異常 理不尽な「ブラック校則」が一向に変わらない訳、学校で「いい先生」が正規教員になれない理不尽 現場の評価と一致しない採用試験の評価、1年目の非正規教員が「自己流」で教壇に立つ異常 初任者研修すら受けられず担任を持つ教員たち)である。

先ずは、7月21日付け東洋経済オンライン「女子生徒「ズボン着用」に届出が必要な校則の異常 理不尽な「ブラック校則」が一向に変わらない訳」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/604155
・『全国で最低でも約2000人の教員が不足している。今年初めて発表された文部科学省の教員不足調査では衝撃の実態が明らかになった。学校現場では今何が起こっているのか。7月19日発売の「週刊東洋経済」では「学校が崩れる」を特集。各地の教員の声とともに教員不足の真因を深掘りした。 関西地方の中学校に通う男児は発達障害による感覚過敏があり、制服が着用できない。校内では体操服を着ているが、「校門の前までは制服を着るように学校から指導された」と母親は話す。 「教員たちが当たり前のように思っている教室の環境が、一定の子どもを排除するルールになっている」と言うのは、東京都公立小学校の宮澤弘道教諭だ。 「例えば、授業前に『気をつけ。◯時間目のあいさつを始めます』と言い、担任の目を2秒間見るといったルール。この儀式が苦手な子がいると授業が始まらず、『あいつのせいでまた待たされている』と周りの子も思うようになる」』、「授業前に『気をつけ。◯時間目のあいさつを始めます』と言い、担任の目を2秒間見るといったルール」、いまどきこんな硬直的な「ルール」が大手を振っているとは、驚かされた。
・『女性がズボンを履くには「異装届」が必要  2006年に改正された教育基本法では規律や規範が重視され、学力向上のため、独自の細かい決まり事を作る学校が増えているという。 下関市立大学学長の韓昌完教授は、「日本は一定の枠に子どもを入れる一斉教育を強化することで学力を上げてきた。既存の枠に入らない子を多様性とみるのではなく障害として別の枠(特別支援学級など)に入れている」と指摘する。 日本の学級規模はOECD(経済協力開発機構)加盟国中、小学校では3番目、中学校では2番目に大きい(図は主要国のみを掲載) 日本は学級規模が大きいうえ、集団の規律性を重んじる学校文化がある。日本独自の学校文化に苦しむのは、障害のある子どもだけではない。 生徒指導主任の経験がある男性教員は、髪型や靴下の色まで決める校則を疑問視する。 「スカートが嫌でズボンをはきたいという女子生徒に『異装届』を提出させているが、その子にとっては『異装』ではない」。その学校では、ズボンを許可する日を管理職と親が決め、それ以外の日に着て来ると管理職は「調子に乗っていつも着て来るのではないか」と心配しているという。 こうした校則は「なくてもいい」と男性教員は言い切るが、学校文化や校則を疑問視する教員はまだ少数派だ。教員になるか進路を迷う大学4年生の女性は、「教員になったら、気づかぬうちに学校文化に染まってしまうのではないか心配だ」と話す。 近年、学校では外国籍の子どもや外国にルーツを持つ子どもが増えている。そうした子どもにとって、「学校とはどういう場なのか」という文化的な理解が異なることもある。 「マジョリティーの人が当たり前だと思っている授業のやり方や慣習が、マイノリティーの子どもの生きづらさになっている」と東京大学の小国喜弘教授(教育学)は言う。 細かすぎる理不尽な校則は「ブラック校則」として近年メディアでも広く報道された。文部科学省は2021年6月、都道府県教育委員会などに「校則の見直し等に関する取組事例」を告知し、校則を積極的に見直すよう学校に促している』、「「スカートが嫌でズボンをはきたいという女子生徒に『異装届』を提出させている」、「ブラック校則」そのものだ。「学校文化や校則を疑問視する教員はまだ少数派だ」、「学校」がいまだに特殊な世界にあるようだ。
・『地域の目が圧力に  しかし、厳しい校則は学校だけの責任とはいえない。「とくに服装などの身なりは『世間』の目が強い圧力になっている」と中央大学の池田賢市教授(教育学)は言う。 「教員がそこまで厳しくしなくてもいいと思っていても、『地域の人に迷惑をかけないように』とか、『将来就職する地元企業からの信頼につながる』と、地域社会の目を気にする学校が多い」(池田教授) 登校時だけ制服を着てくるように言われた冒頭の例も、地域の目を意識してのことだろう。実際、「下校時などの地域住民からのクレーム対応が負担になっている」と嘆く教員は多い。 校則の見直しに生徒が参加する学校も増えてきたが、皮肉なことに生徒自身が校則を考えると、「従来の校則より厳しいものになるという実践報告がよくある」と池田教授。校則は禁止事項の羅列という考えが土台にあるからだ。 「欧米の学校の多くでは、規則は子どもの学びの権利が保障されるかをチェックする目的で作られる。自分たちの権利が守られるよう学校に要求した結果として規則が成り立つと考えるのが本来の形だ」(池田教授) 多様性の受容と子どもの権利保障を基本に据えなければ、学校文化や校則は本質的に変わらないだろう』、「地域の目が圧力に」、無責任な意見は無視し、正々堂々と理由を説明すべきだ。「校則は禁止事項の羅列という考えが土台にある」のは問題だ。「欧米の学校の多くでは、規則は子どもの学びの権利が保障されるかをチェックする目的で作られる。自分たちの権利が守られるよう学校に要求した結果として規則が成り立つと考えるのが本来の形だ」、考え方を欧米流に合理化すべきだろう。

次に、6月29日付け東洋経済オンラインが掲載した教育ジャーナリストの佐藤明彦氏による「学校で「いい先生」が正規教員になれない理不尽 現場の評価と一致しない採用試験の評価」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/598929
・『公立学校では非正規雇用の教員が増え続けている。その数は全国の公立学校で5~6人に1人に上る。教師という職業に、いったい何が起きているのか。 特集「『非正規化』する教師」の第4回は、実力のある非正規教員が正規教員になれない背景に迫る。(過去の記事はこちら) 「なぜ、あの人が正規教員でないのか」 人づてに耳にした言葉に、中部地方で高校の理科教員をする武田晴久さん(仮名)は複雑な思いをした。 武田さんは、今年で非正規教員13年目を迎える。武田さんが周囲から「正規教員」でないことに驚かれるのは、高校の教師として特筆すべき能力と実績があるからだ。 一つは、大学・大学院時代を通じて深めてきた生物・地学領域での専門性だ。大学院を卒業後も博物館でボランティアをするなど、この領域への探究心は強く、自ら学んで得た深い知見は日々の授業にも生かされている。もう一つは、部活動顧問として全国優勝を成し遂げたことだ。理科教員ならではの知識とスキルを生かし、ある競技でチームを頂点に導いた。 「一般企業ならとうに採用している」 そんな武田さんに対して、部活動で付き合いのある会社経営者は冒頭のように、「なぜ、あの人が正規教員でないのか。一般企業ならとうに採用している」と話したという。 「他の先生から聞いた話ですが、うれしかった反面、自分の実績と立場の釣り合いが取れていないことに複雑な思いもしました」(武田さん) 大学院を卒業後に教員採用試験を受けたが、当時は倍率が10倍をはるかに超えていたこともあって合格することができなかった。その後も毎年、採用試験は受けているが、あと一歩のところで合格ラインには届いていない。その結果、現在に至るまで臨時的任用教員(常勤講師)として教壇に立ち続けている。 教員として10年以上のキャリアのある武田さんは、周囲から一人前と認められ、「仕事ができる人」と言われることもある。 民間企業の場合、非正規社員として実績を残せば、それが職場の評価となって正規社員に登用されることがある。加えて、有期労働契約が通算5年を超えた場合、本人が希望すれば期間の定めのない労働契約に切り替えられる、いわゆる「無期転換ルール」がある。 そもそも、昨今は中小企業を中心に人手不足が著しく、人材の確保という側面から、非正規社員の正規化を図る企業も少なくない。そうしたことから、民間企業の非正規率は2019年の38.3%をピークに2年連続で減少するなど、状況はわずかながら改善に向かっている(総務省「労働力調査」)。 しかし、公立学校には民間企業のような「無期転換ルール」がなく、長い人は10年以上にわたって非正規雇用のまま働き続けている。人手不足が著しい状況にもかかわらず、非正規教員の正規化を積極的に図ろうとする自治体は皆無に等しい』、「非正規教員13年目」とは気の毒だ。
・『「現場の評価」と「採用試験での評価」が一致しない  教員には民間企業のような正規化のルートがないことから、どんなに学校での評価が高くでも、正規教員になる唯一の道は教員採用試験を突破することだ。 実は武田さんのように、高い能力と実績を持っているにもかかわらず、採用試験に落ち続ける人は珍しくない。中には高い授業力があり、学校のキーマンとして活躍しているような人が、非正規教員というケースもある。 首都圏の公立小学校に勤める川島和希さん(仮名、第1回参照)も、そんな教師の一人だ。非正規教員として働き続けて10年近くの間、正規教員が敬遠するような難しいクラスの担任を幾度となく受け持ち、時に荒れた学級の立て直しを任されることもあった。学校教育や子どもたちに対する貢献は計り知れない。 こうした人たちが非正規のまま働き続けているのは、「職場での評価」と「教員採用試験での評価」が一致しないことによって起こる現象だ。 教員採用試験の実施形態は自治体によって異なるが、おおむね1次試験と2次試験の2段階で行われる。1次では主に筆記試験が課され、教育に関する学術的・制度的な知識が問われる。出題範囲は非常に広く、しっかりと対策をして本番に臨むことが必要となる。それを突破して2次に進めば、面接や模擬授業などが待っている。 しかし、臨時的任用教員としてフルタイムで働きながら受験する人の場合、対策の時間を取りづらい。そうした状況がある中で、試験対策の時間を十分取れる大学生と肩を並べて毎回試験に挑まなければならない 武田さんも1~2年目は仕事を覚えるのに手いっぱいで、試験対策をほとんどすることができなかった。その結果、あえなく1次試験の壁に阻まれることとなった。 3年目に初めて1次を突破した武田さんは、2次試験の面接・論文に向けて、万全を期そうと思った。だがその矢先、部活動関連の仕事が次々と入り、2次の前日には大会のリハーサルで、ほぼ終日拘束されてしまった。その結果、十分な準備もできないまま本番に臨み、不合格となってしまった』、少なくとも「2次試験」では、勤務評価や特殊事情を考慮できるような仕組みにすべきだろう。
・『「断ったら二度と講師はできない」  教員は、部活動の顧問の仕事をボランティアに近い状態で担っている。大事な採用試験を前に、そうした仕事を断ることはできなかったのか。 「仕事をきちんとやらないと、講師(臨時的任用教員)として働けなくなるという恐怖心がありました。だから、そんなことは言えませんでした」 当時をそうふり返る武田さんは、非正規教員1年目の終わりごろ、忘れられない経験をしている。当時、特別支援学校に勤務していたところ、近隣の高校の教頭から「来年度、うちの学校で講師をしないか」との電話が入った。武田先生が「少し考えさせてください」と答えると、その教頭はこう言った。 「この話を断ったら、二度とこの県で講師はできないと思え」 武田さんは、今もこの言葉が頭から離れない。そんな経験をすれば、「採用試験があるので、部活動の仕事は軽減してください」と言えなくなるのは当然であろう。 職場の優秀な人材を正規教員に登用する仕組みが存在せず、教員採用試験というやや特殊な選考システムにより、多くの教員が非正規雇用のまま放置され続けている。公教育の質の担保という点でも問題と言わざるをえない』、学校現場の声が教育委員会に届いているとすれば、「非正規雇用の教員」を「正規化」する知恵を絞り出すべきだ。

第三に、続きとして、7月30日付け東洋経済オンラインが掲載した教育ジャーナリストの佐藤明彦氏による「1年目の非正規教員が「自己流」で教壇に立つ異常 初任者研修すら受けられず担任を持つ教員たち」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/606090
・『公立学校では非正規雇用の教員が増え続けている。その数は全国の公立学校で5~6人に1人に上る。教師という職業に、いったい何が起きているのか。 特集「『非正規化』する教師」の第6回は、初任者研修すら受けられずに教壇に立ち続けざるを得ない非正規教員の現実に迫る。(過去の記事はこちら)。 首都圏の公立小学校で非正規教員として働く香川隆二さん(仮名)は、教員1年目のときのことが忘れられない。大学4年の時に教員採用試験を受けたが不合格となり、翌年は地元の小学校で臨時的任用教員(常勤講師)として働くことになった。だが、その1年目は散々なものだった。 「2年生の学級担任になりましたが、何をやってもうまくいきませんでした。日々の授業も、子どもたちへの指導も自己流、見よう見まねでやっていましたからね……。すぐに学級崩壊に近い状態となって、教頭先生にもクラスに入ってもらいながら、何とか1年を乗り切りました」(香川さん) 小学校では常勤の非正規教員の大半が1年目から担任を持つ。比較的落ち着いたクラスを受け持つケースが多いが、時に校内人事のなりゆきで難しいクラスを持たされることもある』、「臨時的任用教員」には「研修」もないとは余りに酷い。
・『何の研修もないまま、教壇に立ち続ける  「非正規教員は、何の研修も施されないまま、教壇に立たされ続けます。そんな仕組み自体に無理があるのではないでしょうか」と香川さんは振り返る。結局この年はクラス運営で手一杯となり、教員採用試験の対策時間もろくに取れず、不合格となってしまった。 香川さんの学校にはもう一人、1年目の教員がいた。同じ大卒だが正規採用、そのため「初任者研修」があり、校内でメンター役の教員から指導を受けたり、時に教育センターに出向いて講義を受けたりしていた。 「同じ1年目でも、職場での扱いがまったく違っていました。向こうは大事に『育成』されているのに対し、こっちは完全に『放置』されている感じです。当時は、『試験に合格できなかった自分が悪い』と思っていましたが、今思えば少し酷い扱いだと思います」(香川さん)) 小学校の教員は、年間1000コマ近い授業を一人で受け持つ。授業内容はどれ一つ同じではなく、すべての授業に入念な準備が必要となる。30~40人もの子どもたちを統率しながら、これら一つひとつの授業を成立させていくためには、高度な技能を要する。 だが、どの教員も大卒1年目から学級担任を任される。考えてみれば無理のある話で、民間企業で言えば新入社員が一人で得意先を回るようなものだ。だからせめてもということで、1年目に初任者研修が行われ、後追いでの「育成」が行われる。 初任者研修は、国が自治体に義務付けている法定研修で、校内で年間300時間、校外で25日間の研修が行われる。内容は授業に関わることから服務に関することまで幅広く、教員として必要な知識やスキルをみっちりと叩き込まれる。「300時間+25日間」というボリュームを見ても、一人前の教師にするべく手厚く育てていこうという意図が感じられる。 ところが、同じ1年目でも非正規教員には初任者研修がない。最近は、各自治体が独自に研修を実施しているケースもあるが、その内容は初任者研修とは比べ物にならないほど薄い』、「初任者研修は、国が自治体に義務付けている法定研修で、校内で年間300時間、校外で25日間の研修が行われる」のに、「非正規教員には初任者研修がない」というのは不均等が甚だし過ぎる
・『放置された結果、1年も経たず辞めていく人も  この状況について、あるベテラン教員が次のように指摘する。 「研修も施さない人間を教壇に立たせること自体、公教育としての責任を果たせていない。正規であろうと非正規であろうと、子どもたちを相手に授業をするという点では同じですからね」 また、別のある小学校の中堅教員は、「採用側に非正規教員を『育成しよう』という意識はありません。放置された結果として、1年も経たずに辞めていく人も少なくありません」と話す。一般的に1年以内の退職は職業的な「ミスマッチ」によって起こる。だが、公立学校においてはこれが「放置」によって生じているとすれば、看過できない。 こうした状況を改善する方策の一つとして、常勤の非正規教員にも初任者研修を課し、後に正規教員になった際には免除するということが考えられる。極めて合理的な仕組みで、公教育としての責任を果たすうえでも理にかなっている。だが現状、そうした制度の導入は検討されていない。 なぜ、そうしないのか。前出の中堅小学校教員に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。 「そんなことするはずがありません。できが悪ければ切り捨てればいいと考えているわけですから。非正規教員は、あくまで臨時的な穴埋め人員にすぎない。そんな人間にお金と手間をかけて研修を施すなんて考えは行政サイドにありません」』、「非正規教員は、あくまで臨時的な穴埋め人員にすぎない。そんな人間にお金と手間をかけて研修を施すなんて考えは行政サイドにありません」、そうであれば、「学級担任」など責任のある仕事は任せるべきではない。任せるのであれば、「初任者研修」を受けさせるべきだ。
・『教員不足解消のためにも研修が必要  非正規で雇っている人に対する研修や教育は、その人を「見習い」と捉えるのか、「臨時的な穴埋め」と捉えるかによって変わってくる。公立学校の場合、非正規教員の大半はいずれ正規教員になることを目指し、見習いとしての意識で働いている。にもかかわらず、雇用する側が臨時的な穴埋めとしか捉えていないとすれば、両者の間には大きな意識の隔たりがあることとなる。 もちろん、1年目の非正規教員にも初任者研修を施すとなれば、相応のコストと人員が必要となる。だが、実施すれば非正規教員の職務状況が改善され、離脱する人が減る可能性も大いにある。現状の教員不足の解消という点でも検討すべき課題であろう』、「1年目の非正規教員にも初任者研修を施すとなれば、相応のコストと人員が必要となる。だが、実施すれば非正規教員の職務状況が改善され、離脱する人が減る可能性も大いにある。現状の教員不足の解消という点でも検討すべき課題」、同感である。
タグ:教育 (その29)(女子生徒「ズボン着用」に届出が必要な校則の異常 理不尽な「ブラック校則」が一向に変わらない訳、学校で「いい先生」が正規教員になれない理不尽 現場の評価と一致しない採用試験の評価、1年目の非正規教員が「自己流」で教壇に立つ異常 初任者研修すら受けられず担任を持つ教員たち) 東洋経済オンライン「女子生徒「ズボン着用」に届出が必要な校則の異常 理不尽な「ブラック校則」が一向に変わらない訳」 「授業前に『気をつけ。◯時間目のあいさつを始めます』と言い、担任の目を2秒間見るといったルール」、いまどきこんな硬直的な「ルール」が大手を振っているとは、驚かされた。 「「スカートが嫌でズボンをはきたいという女子生徒に『異装届』を提出させている」、「ブラック校則」そのものだ。「学校文化や校則を疑問視する教員はまだ少数派だ」、「学校」がいまだに特殊な世界にあるようだ。 「地域の目が圧力に」、無責任な意見は無視し、正々堂々と理由を説明すべきだ。「校則は禁止事項の羅列という考えが土台にある」のは問題だ。「欧米の学校の多くでは、規則は子どもの学びの権利が保障されるかをチェックする目的で作られる。自分たちの権利が守られるよう学校に要求した結果として規則が成り立つと考えるのが本来の形だ」、考え方を欧米流に合理化すべきだろう。 東洋経済オンライン 佐藤明彦氏による「学校で「いい先生」が正規教員になれない理不尽 現場の評価と一致しない採用試験の評価」 「非正規教員13年目」とは気の毒だ。 少なくとも「2次試験」では、勤務評価や特殊事情を考慮できるような仕組みにすべきだろう。 学校現場の声が教育委員会に届いているとすれば、「非正規雇用の教員」を「正規化」する知恵を絞り出すべきだ。 佐藤明彦氏による「1年目の非正規教員が「自己流」で教壇に立つ異常 初任者研修すら受けられず担任を持つ教員たち」 「臨時的任用教員」には「研修」もないとは余りに酷い。 「初任者研修は、国が自治体に義務付けている法定研修で、校内で年間300時間、校外で25日間の研修が行われる」のに、「非正規教員には初任者研修がない」というのは不均等が甚だし過ぎる 「非正規教員は、あくまで臨時的な穴埋め人員にすぎない。そんな人間にお金と手間をかけて研修を施すなんて考えは行政サイドにありません」、そうであれば、「学級担任」など責任のある仕事は任せるべきではない。任せるのであれば、「初任者研修」を受けさせるべきだ。 「1年目の非正規教員にも初任者研修を施すとなれば、相応のコストと人員が必要となる。だが、実施すれば非正規教員の職務状況が改善され、離脱する人が減る可能性も大いにある。現状の教員不足の解消という点でも検討すべき課題」、同感である。
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決済(その9)(5 年後の約束手形の利用廃止について 資金手当ての役割は薄れ手形残高は 30 年前の 4 分の1に、急成長する「後払い決済サービス」1兆円市場の死角は? 増える消費者トラブル、「Paidy」って何だ?見知らぬサービスから怪しい認証コードが届く裏話、これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口 法の抜け穴を突いた"後払い現金化"のカラクリ) [金融]

決済については、1月4日に取上げた。今日は、(その9)(5 年後の約束手形の利用廃止について 資金手当ての役割は薄れ手形残高は 30 年前の 4 分の1に、急成長する「後払い決済サービス」1兆円市場の死角は? 増える消費者トラブル、「Paidy」って何だ?見知らぬサービスから怪しい認証コードが届く裏話、これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口 法の抜け穴を突いた"後払い現金化"のカラクリ)である。

先ずは、昨年3月4日付け大和総研が掲載した金融調査部 主任研究員 鈴木文彦氏による「5 年後の約束手形の利用廃止について 資金手当ての役割は薄れ手形残高は 30 年前の 4 分の1に」の要約部分を紹介しよう。
https://www.dir.co.jp/report/research/capital-mkt/securities/20210304_022129.pdf
・『 5 年後(2026 年)の約束手形の利用廃止を目指し、政府は「約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画」の策定を産業界、金融界に求める方針だ。去る 2 月 19 日に取りまとめられた中小企業庁「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会」を受けた経済産業大臣記者会見で明らかになった。背景には下請取引の適正化、金融のデジタル化・ペーパーレス化の社会的な要請がある』、興味深そうだ。
・『 すでに支払手形は残高ベースで 30 年前の 4 分の 1 に落ち込んでいる。振出、受取、振出の連鎖の源流にある建設業で手形払いが減少した。企業単位でみれば手形払いから現金払いへの切り替えは資金不足要因となるため、5 年後の全面廃止に向けては個々の企業の資金手当てが課題となる。もっとも、コロナ禍による不確実性はあるが 30 年前に比べ借入余力があることからその程度は大きくないと思われる』、「支払手形は残高ベースで 30 年前の 4 分の 1 に落ち込んでいる」、とはいうものの、「4 分の 1」も残っているともいえる。今後、金融界の姿勢はまだハッキリしないが、慎重に検討してほしいものだ。

次に、本年1月22日付け日刊ゲンダイが掲載した金融ジャーナリストの小林佳樹氏による「急成長する「後払い決済サービス」1兆円市場の死角は? 増える消費者トラブル」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/300262
・『今年前半にも市場規模が1兆円に乗ると予想される新興ビジネスがある。クレジットカードを使わずに、オンラインで買い物ができる「後払い決済サービス」だ。 同サービスは、インターネット通販(EC)で商品を購入し、商品が届いた後、2週間から1カ月程度の間に紙の請求書やスマホアプリに届くバーコードを使ってコンビニや銀行などで代金を支払う仕組みだ。 「衣料品や食品などの物販のほか、旅行代金やオンラインゲームの課金サービスも対象で、クレジットカードを持たない若者層を中心に急速に利用額を伸ばしています」(メガバンク幹部)という。 昨年10月に米ペイパルが3000億円で買収したペイディや、同12月15日に東証1部に上場したネットプロテクションズホールディングスは最大手の事業者として知られる。 だが、代金の精算を翌月1回払い(マンスリークリア)のみとしている業者が大半で、割賦販売法の適用除外となっていることもあり、市場規模の拡大とともに消費者トラブルも増えている。「国民生活センターには利用者の支払い能力を超えて決済が行われているケースや事業者が問い合わせに十分な対応をとってくれないといった苦情が多く寄せられているようです」(前出のメガバンク幹部)という』、興味深そうだ。
・『業界団体を設立して自主ルールを策定予定  また、後払い決済サービス事業者はEC事業者(加盟店)の売り上げを立て替え、請求書の発行や代金回収を行うことで、加盟店から2~5%程度の手数料を得ているが、「収益を伸ばすため、クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見される」(前出のメガバンク幹部)という。このため大手後払い決済サービス事業者は昨年5月に、「日本後払い決済サービス協会」なる業界団体を設立し、今年早々にも加盟店審査に関する自主ルールを策定する予定だ。 急速に市場規模を拡大する後払い決済サービスだが、割賦販売法の網のかからない新興ビジネスだけに事業者は玉石混交だ。過度に規制を強 化すれば伸び盛りの市場に水を差す。しかし、消費者トラブルが大きく社会問題化したのでは後の祭りとなるジレンマを抱えている』、「クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見される」、のは大いに問題だ。「消費者トラブルが大きく社会問題化したのでは後の祭りとなるジレンマを抱えている」、やはり「消費者トラブル」を「社会問題化」させないような工夫が必要だろう。

第三に、3月11日付けダイヤモンド・オンライン「「Paidy」って何だ?見知らぬサービスから怪しい認証コードが届く裏話」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/298716
・『先日、スマートフォンに知らない番号からSMSが届きました。「【Paidy】認証コードはxxxxです。ログイン画面にご入力ください」。しかし認証コードを届くようなことはしていないし、ログイン画面のURLも書かれていないのです。いったいどうしろと……?』、怪しい誘導だ。
・『見知らぬ名前のサービスからSMSで認証コードが届いた  先日、スマートフォンに見慣れない電話番号からSMS(テキストメッセージ)が届いた。文面は「【Paidy】認証コードはxxxxです。ログイン画面にご入力ください。」というものだ(xxxxは4桁の数字)。 二段階認証の確認のような文面だが、そもそもこの【Paidy】というサービスを使ったことがない。ログイン画面に入力というが、入力するURLもない。 何だろうと思って調べたところ、Paidy(ペイディ)とは「メールアドレスと携帯電話番号だけでお買い物ができる」という触れ込みのキャッシュレス決済サービスだった。AmazonやQoo10など複数のECサイトで使うことができ、使った分は翌月にまとめてコンビニ払いなどで支払う。iPhoneを分割手数料0%で購入できるというプランもあるという。どうやら、クレジットカードを持っていなくても、クレジットカード的な使い勝手を手軽に実現するというコンセプトのサービスのようだ。 Paidyの利用方法(PaidyはECサイトで使える“後払いサービス”。メールアドレスと携帯電話番号だけで決済ができるという 似た名前で「ペイジー」という決済サービスもあるので一瞬それかと思ったのだが、まったくの別物。決済系のサービスは「ペイなんとか」という名前が多いので、探せば他にも似た名前のサービスがありそうな気がする。実に紛らわしい……』、よくぞここまで、いい加減な誘い文句を考えるものだ。
・『SMSの文面はさまざまなパターンがある  「誰かが何かをオンラインで買おうとして、間違えて私の電話番号を入力したのだろうか」とも思ったが、それなら認証番号が届かないから気が付いてやりなおすはずだ。念のためと思ってTwitterで検索してみると、「Paidyを使っていないのにSMSで認証コードが届いた」と気味悪がっている人がたくさんいた。怪しい。 私が受け取ったSMSはやはり不審なものだったようだ。調べてみると、文面は私が受け取ったもののほかにも数種類あり、 ・Paidy 決済認証番号: xxxx を Paidy(ペイディー)の画面に入力すると、こちらの電話番号で決済手続きがおこなわれます。 ・【Paidy】ペイディのお支払い方法に問題があります、更新してください https://~ ・【Paidy】お使いのアカウントを一時的に停止しました, ご確認が必要ですhttps://~ といった、特定のURLに誘導するものもある。 SMSではなく、メールが届いている人も多数いるようだ。こちらはSMSと同様の文面のものに加えて、 ・「Paidyご利用確認のお願い」と称して、カード利用の一時制限を行いカードの利用確認をさせる ・「利用制限解除の手続き」と称してアカウントの再設定を行うことを誘導する など、さらにバリエーションが豊か(?)だった。 Paidyも認識はしているようで、公式サイトには「ペイディを利用していないのに認証コードのSMSを受信された方」「ペイディを装った不審なメール・SMSについて」という注意喚起のページができている。 対処法としては、原則「無視」。気持ち悪いが、せいぜい届いたSMSやメールを削除する、送信元の電話番号をブロックするくらいしかできない。間違っても、SMSやメールに書かれたリンクに飛び、誘導された通りに個人情報を入力したり、支払いをしたりといったことがないようにしてほしい』、「対処法としては、原則「無視」。気持ち悪いが、せいぜい届いたSMSやメールを削除する、送信元の電話番号をブロックするくらいしかできない」、「気持ち悪いが」、しょうがないようだ。
・『典型的なフィッシング詐欺  PaidyをかたるSMSやメールは、2021年12月ごろに急増したがいったん減少、そして今年に入ってまた増えている。フィッシング対策協議会が21年12月27日に「緊急情報」を出していた。 https://www.antiphishing.jp/news/alert/paidy_20211227.html 手口を見ると典型的なフィッシング詐欺で、SMSやメールに書かれているURLは偽物。Paidyのログイン画面を装った偽のWebサイトに誘導し、メールアドレスや携帯電話番号を入力させて個人情報を抜くのが目的のようだ。 実行者は日本人ではいのか、メールの文面で「カード」が「カド」になっていたり、送信元が「ペンディ」「パイディ」などとなっていたりと、ずさんなメールも多くある。URLが【http://paily~】や【http://paidyi~】となっているなど、よく見ると見破れるものもある。 基本的な対応は「信用しない」ことだ。このサービスを使っていないのであれば上述の通り無視する、ユーザーであれば専用アプリや、MyPaidyのURLからログインする、といった対応をし、SMSやメールからURLにアクセスしないことをおすすめする』、「典型的なフィッシング詐欺」のようだが、大いに気をつけたいものだ。

第四に、7月28日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの森岡 英樹氏による「これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口 法の抜け穴を突いた"後払い現金化"のカラクリ」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/59992
・『クレジットカードを持たないZ世代の間で人気上昇中  新興サービスには必ずといっていいほど、それを悪用して暴利をむさぼろうとする者が現れる。急成長しているクレジットカードを使わずにオンラインで買い物ができる「後払い決済サービス」(BNPL)もそのひとつだ。 同サービスは、インターネット通販(EC)で商品を購入し、商品が届いた後、2週間から1カ月程度の間に紙の請求書やスマホアプリに届くバーコードを使ってコンビニや銀行などで代金を支払う仕組みだ。衣料品や食品などの物販のほか、旅行代金やオンラインゲームの課金サービスも対象で、クレジットカードを持たない若者層を中心に急速に利用額を伸ばしている。 海外では、昨年10月に米PayPal(ペイパル)が3000億円で買収したPaidy(ペイディ)が代表格で、日本では昨年12月15日に東証1部に上場したネットプロテクションズホールディングスが最大手の事業者として知られる。とくに米国では、クレジットカードを持たない若者層を中心に急速に普及しており、いわゆる「Z世代」と呼ばれる層の約4割はBNLPを利用しているというデータもある』、興味深そうだ。
・『「錬金術」でそそのかし、暴利を取る悪質業者も  だが、代金の清算を翌月1回払い(マンスリークリア)のみとしている業者が大半で、割賦販売法の適用除外となっていることもあり、市場規模の拡大とともに消費者トラブルも増えている。「2020年の改正割賦販売法で後払い類似サービスに関する規制が定められたのですが、後払い期間が2カ月以内の場合、割賦販売法の規制を受けないことになっています」(メガバンク幹部)というのが理由だ。 例えば、国民生活センターには利用者の支払い能力を超えて決済が行われているケースや事業者が問い合わせに十分な対応をとってくれないといった苦情が多く寄せられているという。中でも懸念されるのは、今回紹介するような「錬金術」で消費者をそそのかし、利ザヤを稼ぐ悪質業者の存在である』、どんな「錬金術」があるのだろう。
・『「ブラックリスト入り」でも即現金化が可能  「いわゆる後払い(ツケ払い)現金化に要注意!」(日本貸金業協会、財務局、金融庁、警察庁、消費者庁は連携で、こうした注意喚起を行っている。モデルケースとされる事例は次のようなものだ。 ①利用者はスマホで後払い決済業者に商品を申し込む。②後払い決済サービス業者は利用者が金融取引でブラックリストに登録されていても利用可能なこと、商品とともにキャッシュバック名目などで金銭を利用者に支払うが、これは利用にとって借金(借り入れ)でないことを伝える。③利用者は商品の代金を後払いする――というフローだ。 この後払い(ツケ払い)現金化の特徴は、形式的には後払いによる商品売買だが、商品代金の支払いに先立ち、商品の購入者が金銭を受け取ること。商品の価値と販売価格が必ずしも見合っておらず、顧客も商品を購入することを目的にしていないことで、キャッシュバック・レビュー報酬名目や提携した買取業者が当該商品を買い取ることにより金銭を支払うことが多いこと。 また、給料日等に商品代金を支払うことになり、その商品代金と先に受け取った金銭との差額が高額であることなどが特徴となっている』、表現が一般的すぎて、あと1つ問題的がはっきりしない。
・『商品の売買に見せかけた「ヤミ金」である  日本貸金業協会や各省庁は、この後払い(ツケ払い)現金化について、「形式的には商品の売買であっても、その経済的な実態が貸し付けであり、業として行う場合には、貸金業に該当するおそれがあります。貸金業登録を受けずに貸金業を営む者は、違法なヤミ金融業者です」と厳しく指摘している。 インターネットで「後払い、現金化」で検索すれば、「後払いアプリの即日現金化方法とすぐ使えるアプリ」など数多くの紹介サイトがヒットする。「クレジットカードや消費者金融以外でもお金を用意する方法が流行っています」と銘打たれたサイトには、「後払い・ツケ払い現金化」は違法だが、「後払いアプリ現金化」は合法と謳うたわれている。 そして、両者の違いについては次のように説明されている。まず合法の「後払いアプリ現金化」は、後払いアプリを使ってECサイトなどで商品を購入して転売することで現金を得る仕組み。これに対して「後払い・ツケ払い現金化」は、業者から商品を後払いで購入したキャッシュバック特典として現金を受け取る仕組みで、実際の商品取引はないというものだ。 「後払い・ツケ払い現金化」は極めて違法性の高い、実質的にヤミ金融と指摘されている。日本貸金業協会や関係省庁が注意喚起しているのもこの取引にほかならない』、「「後払い・ツケ払い現金化」は、業者から商品を後払いで購入したキャッシュバック特典として現金を受け取る仕組みで、実際の商品取引はないというもの」、この説明はさっぱり理解できない。キャンセルをしていないので、「実際の商品取引はない」というのはどいうことだろう。
・『1万円の洋服を購入後、30%引きで転売し…  さらに、健全とされる「後払いアプリ現金化」の中にも合法すれすれのグレーゾーンな取引を行う業者が含まれている点は見逃せない。合法か違法かは、実際の商品取引の有無で分かれると紹介サイトで説明されているが、違法な後払い(ツケ払い)現金化でも商品取引がある場合もある。 また、合法とみられている後払いアプリ現金化でも、買い取り価格と購入代金の差が大きい場合、実質的に利用者は高利な消費者金融を利用しているのと同じケースも少なくない。例えば「後払いで買った商品を7割といった高い割引率で買い取って現金化するビジネスも横行し始めている」(メガバンク幹部)というのだ。イメージとしては次のような取引だ。 ECサイトで1万円の洋服を購入したと同時に、後払い決済業者を通じて買い取り業者に転売して現金が振り込まれる。利用者は商品を買うだけで当座の現金を手にでき、遊興費などに充てられるという仕組みだ。問題はその買い取りに際しての換金率が即日現金化業者の場合、大半が70~85%という水準に設定されていることだ。利用者は購入商品の価格が少額であることから、割引率が15~30%と高くても負担感は乏しく、むしろ当座の現金が得られることを優先しがちといえる』、「利用者は購入商品の価格が少額であることから、割引率が15~30%と高くても負担感は乏しく、むしろ当座の現金が得られることを優先しがち」、なるほど。
・『「1万3000円のうち利ザヤが3000円」の超高利  さらに、「ECサイトで1万円の商品を悪質事業者を通じて買えば1万3000円で買わなければならないが、商品を買うと同時に転売した形で利用者には1万円が振り込まれる。利用者は、商品を買うことで1万円の当座の現金を手にし、遊興費などに充てられる。ただし、1カ月後に、1万3000円を支払わなければならない。後払い事業者は利用者に代わって1万円を立て替え払いしているという仕組みも考えられる」(メガバンク幹部)という。 つまり消費者金融では利息制限法などにより上限金利があり、高利は付けられないが、商品を介する後払い決済サービスという新しい仕組みでは、その網を潜り抜けられる。割賦販売法も超短期では規制はない。超短期での返済なので表面的には高利という感じはないが、年利に引き直すと超高利になるのだ。 後払い決済サービス事業者はEC事業者(加盟店)の売り上げを立て替え、請求書の発行や代金回収を行うことで、加盟店から2~5%程度の手数料を得ている。だがこのところ、収益を伸ばすため、クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見されるという』、「収益を伸ばすため、クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見」、顧客との間でトラブルを起こし易い「EC事業者」が潜り込んだことで、損害は「クレジットカード会社」が負うのか、消費者が負うのかどちらなのだろう。
・『急成長市場に「悪質業者」はつきもの  利用限度額は数万円から20万円程度が多く、「未払い履歴があるなど明確な理由がなければ、ほぼ審査を通過できる」とされる。後払い決済サービス事業者は電話番号や住所など、簡便な情報をもとに与信を行っており、「犯罪収益移転防止法に基づく本人確認を行う必要もない。それだけ事業コストがかからないが、焦げ付きリスクも高い」(メガバンク幹部)とされる。 審査は購買履歴などを活用するが、信用情報や属性などを活用するクレジットカードなどと比べて緩い分、不良債権化する割合は高いというわけだ。その分、利用額を小口化して、短期間返済(数回の分割や定額払いもあるものの、主流は一括払い)とすることで焦げ付きリスクを抑えるというビジネスモデルである。 信用力に問題のあるEC事業者も加盟店として登録されているだけでなく、新しいビジネスだけに後払い決済事業者そのものも玉石混交の状態にある。 新たなサービスでは法の未整備を突いた悪質業者が出てくることは歴史が証明している。社会問題化してはじめて法整備が図られる。それまでの間、悪質な業者はのさばるという構図である。商品の決済サービスの形をとっているが、事実上の高利の消費者金融(与信)と変わらないグレーゾーン取引は看過できない。 後払い決済サービスは今年前半にも市場規模が1兆円に乗ると予想されている。急成長する市場なだけに過度の規制は避けるべきだろうが、健全な利用者や金融知識に乏しい若者が泣きをみることはあってはならない』、「事業コストがかからないが、焦げ付きリスクも高い」、「審査は購買履歴などを活用するが、信用情報や属性などを活用するクレジットカードなどと比べて緩い分、不良債権化する割合は高い」、「その分、利用額を小口化して、短期間返済・・・とすることで焦げ付きリスクを抑えるというビジネスモデル」、「商品の決済サービスの形をとっているが、事実上の高利の消費者金融(与信)と変わらないグレーゾーン取引は看過できない」、これには何らかの形で規制すべきだろう。「健全な利用者や金融知識に乏しい若者が泣きをみることはあってはならない」、同感である。  
タグ:鈴木文彦氏による「5 年後の約束手形の利用廃止について 資金手当ての役割は薄れ手形残高は 30 年前の 4 分の1に」 大和総研 決済 (その9)(5 年後の約束手形の利用廃止について 資金手当ての役割は薄れ手形残高は 30 年前の 4 分の1に、急成長する「後払い決済サービス」1兆円市場の死角は? 増える消費者トラブル、「Paidy」って何だ?見知らぬサービスから怪しい認証コードが届く裏話、これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口 法の抜け穴を突いた"後払い現金化"のカラクリ) 「支払手形は残高ベースで 30 年前の 4 分の 1 に落ち込んでいる」、とはいうものの、「4 分の 1」も残っているともいえる。今後、金融界の姿勢はまだハッキリしないが、慎重に検討してほしいものだ。 日刊ゲンダイ 小林佳樹氏による「急成長する「後払い決済サービス」1兆円市場の死角は? 増える消費者トラブル」 「クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見される」、のは大いに問題だ。「消費者トラブルが大きく社会問題化したのでは後の祭りとなるジレンマを抱えている」、やはり「消費者トラブル」を「社会問題化」させないような工夫が必要だろう。 ダイヤモンド・オンライン「「Paidy」って何だ?見知らぬサービスから怪しい認証コードが届く裏話」 怪しい誘導だ。 よくぞここまで、いい加減な誘い文句を考えるものだ。 「対処法としては、原則「無視」。気持ち悪いが、せいぜい届いたSMSやメールを削除する、送信元の電話番号をブロックするくらいしかできない」、「気持ち悪いが」、しょうがないようだ。 「典型的なフィッシング詐欺」のようだが、大いに気をつけたいものだ。 PRESIDENT ONLINE 森岡 英樹氏による「これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口 法の抜け穴を突いた"後払い現金化"のカラクリ」 どんな「錬金術」があるのだろう。 表現が一般的すぎて、あと1つ問題的がはっきりしない。 「「後払い・ツケ払い現金化」は、業者から商品を後払いで購入したキャッシュバック特典として現金を受け取る仕組みで、実際の商品取引はないというもの」、この説明はさっぱり理解できない。キャンセルをしていないので、「実際の商品取引はない」というのはどいうことだろう。 「利用者は購入商品の価格が少額であることから、割引率が15~30%と高くても負担感は乏しく、むしろ当座の現金が得られることを優先しがち」、なるほど。 「収益を伸ばすため、クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見」、顧客との間でトラブルを起こし易い「EC事業者」が潜り込んだことで、損害は「クレジットカード会社」が負うのか、消費者が負うのかどちらなのだろう。 「事業コストがかからないが、焦げ付きリスクも高い」、「審査は購買履歴などを活用するが、信用情報や属性などを活用するクレジットカードなどと比べて緩い分、不良債権化する割合は高い」、「その分、利用額を小口化して、短期間返済・・・とすることで焦げ付きリスクを抑えるというビジネスモデル」、「商品の決済サービスの形をとっているが、事実上の高利の消費者金融(与信)と変わらないグレーゾーン取引は看過できない」、これには何らかの形で規制すべきだろう。「健全な利用者や金融知識に乏しい若者が泣きをみることはあってはならない」
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南アジア(その1)(中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト 見えた一帯一路の本性 ウクライナ戦争の隙に中国がインド洋と南極で着々と構築する「2本の首飾り」、国民を「こじき」にした一族支配 行き過ぎた仏教ナショナリズム──スリランカ崩壊は必然だった、中国に借金漬けにされ ロシアに助けを求める…国家破綻したスリランカで起きている"負の連鎖" 悪政が悪政を呼び込む悪循環) [世界情勢]

今日は、南アジア(その1)(中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト 見えた一帯一路の本性 ウクライナ戦争の隙に中国がインド洋と南極で着々と構築する「2本の首飾り」、国民を「こじき」にした一族支配 行き過ぎた仏教ナショナリズム──スリランカ崩壊は必然だった、中国に借金漬けにされ ロシアに助けを求める…国家破綻したスリランカで起きている"負の連鎖" 悪政が悪政を呼び込む悪循環)を取上げよう。

先ずは、5月23日付けJBPressが掲載した在英ジャーナリストの木村 正人氏による「中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト、見えた一帯一路の本性 ウクライナ戦争の隙に中国がインド洋と南極で着々と構築する「2本の首飾り」」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70231
・『[ロンドン発]経済危機に揺れるスリランカが1948年の独立以来、初のデフォルト(債務不履行)に陥った。スリランカ中央銀行のナンダラール・ウィーラシンハ総裁は19日、「債務が再編されるまで支払いはできない」と“先制デフォルト”を宣言した。 コロナ危機とエネルギー危機が起きる以前から、スリランカは無謀なインフラ整備で債務を膨らませてきた』、「中央銀行」「総裁」が堂々と「デフォルト」宣言をするとは驚いた。
・『「債務の罠」にハマったスリランカ  ウィーラシンハ総裁は「インフレ率は30%前後。変動が激しい食料品やエネルギー価格を含むヘッドラインインフレ率は今後数カ月で40%程度にハネ上がる」と警戒する。スリランカの主要金利はすでに14.5%に引き上げられている。無償で支給されるパンに人々は殺到し、ガソリンを求める列は何キロメートルも続く。街頭では政府への抗議活動が吹き荒れる。 スリランカはアジアと中東・アフリカを結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝だ。南端のハンバントタ港は2017年から99年間にわたり中国国有企業に貸し出された。インフラ整備のため中国から湯水のようにお金を借りたものの結局、思ったような利益は出ずに返済不能に陥り、施設や土地を明け渡さざるを得なくなる「債務の罠」の典型例だ。 ドバイ、シンガポール、香港など金融センターに匹敵する港湾都市を目指す「コロンボ・ポート・シティー」の埋め立て工事のため、スリランカは別の中国国有企業から14億ドルの投資を受けた。見返りにその43%が99年間にわたりリースされた。債権者は中国だけではない。米ウォール街やその他の機関投資家からの借り入れも膨張している』、「南端のハンバントタ港は2017年から99年間にわたり中国国有企業に貸し出された」、「インフラ整備のため中国から湯水のようにお金を借りたものの結局、思ったような利益は出ずに返済不能に陥り、施設や土地を明け渡さざるを得なくなる「債務の罠」の典型例だ」、「債権者は中国だけではない。米ウォール街やその他の機関投資家からの借り入れも膨張」、「債権者は中国だけではない」とのニュースには驚かされた。
・『スリランカのデフォルトで白日の下にさらされた一帯一路の嘘  米政府が運営する海外放送「ボイス・オブ・アメリカ」によると、スリランカの対外債務は510億ドル。中国の習近平国家主席のインフラ経済圏「一帯一路」プロジェクトに費やされた110億ドルも含まれる。スリランカ政府は返済延期と25億ドル相当の緊急支援を中国に求めたが、中国は3100万ドルの「緊急人道支援」や人民元スワップを提供しただけだ。 外国から巨額資金を借りて債務が膨らんだところに、コロナ危機で外貨を稼ぎ出す観光業が大打撃を受けた。コロナ復興による需給逼迫、サプライチェーンの停滞、高騰するエネルギー価格はウクライナ戦争でさらに押し上げられた。燃料・飼料・肥料不足による食料品価格の上昇、インフレ高進が低所得者・貧困層の生活を直撃する。 スリランカがデフォルトに陥れば、黙っていても港湾施設など戦略的な重要インフラが中国の手中に落ちる。地政学的な競争に注目する英シンクタンク「カウンシル・オン・ジオストラテジー」アソシエイト研究員で、英外交官として香港返還に関わったマシュー・ヘンダーソン氏は「スリランカの危機は一帯一路のリスクを浮き彫りにした」と指摘する。 ヘンダーソン氏によると、途上国における一帯一路の共同開発プロジェクトは米ウォール街の強欲で冷徹な資本主義のアプローチよりはるかに温和で、人と人とのつながりを重視しており、全体的に見て良いことだと中国は強調してきた。「しかし、これは真っ赤な嘘だとスリランカのデフォルトで白日の下にさらされた」と言う』、「一帯一路の共同開発プロジェクトは米ウォール街の強欲で冷徹な資本主義のアプローチよりはるかに温和」との「中国」側主張は「真っ赤な嘘」、その通りだ。
・『中国の「真珠の首飾り」戦略  中国がインド洋諸国で港湾インフラを支援する動きは「真珠の首飾り」戦略と呼ばれる。「インド太平洋地域で中国はガバナンス(統治)やレジリエンス(困難な状況に遭遇してもすぐに立ち直る回復力)、政治的不安定さの面で問題を抱える国々を標的にしてきた。スリランカはそれに当てはまる」(ヘンダーソン氏) 中国のインフラ開発プロジェクトは債務国の経済的な自立性を失わせる。生産能力を多様化できず、資源輸出に依存する国々は中国依存症を深めていく。その一方で、中国は経済だけでなく、政治や軍事面でも影響力を増大させる。「米欧がウクライナ戦争に集中している間に中国が自らのアジェンダを加速させているのはもはや疑いようがない」 「中国は、狙った国が拒むことができないような提案をして、これまでよりはるかに強引な方法で“取引”を迫っている。融資や投資にとどまらず、台湾との関係を断つよう圧力をかけたり、西側からの影響を排除しようとしたりしている」。こう語るヘンダーソン氏はもう一つの「真珠の首飾り」にも懸念を深める。 中国は4月19日、南太平洋の島国ソロモン諸島と最低5年間の安全保障協定を正式に締結した。ソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相はわざわざ「条約」と表現した。 協定の内容はまだ明らかにされていないが、漏洩した協定案には「中国は自らの必要性に応じて、ソロモン諸島の同意を得た上でソロモン諸島に寄港し、兵站補給を行うことができる」と記されていた。社会秩序の維持や災害救助のため、中国から警察や軍人を要請できるとの内容も含まれるとされる』、「中国のインフラ開発プロジェクトは債務国の経済的な自立性を失わせる。生産能力を多様化できず、資源輸出に依存する国々は中国依存症を深めていく。その一方で、中国は経済だけでなく、政治や軍事面でも影響力を増大させる」、「南太平洋の島国ソロモン諸島と最低5年間の安全保障協定を正式に締結」、「漏洩した協定案には「中国は自らの必要性に応じて、ソロモン諸島の同意を得た上でソロモン諸島に寄港し、兵站補給を行うことができる」と記されていた。社会秩序の維持や災害救助のため、中国から警察や軍人を要請できるとの内容も含まれるとされる」、「中国」が「ソロモン諸島」での「兵站補給」まで狙っているとは、本当に目が離せない存在になったようだ。
・『台湾有事で米軍の軍事的支援を阻止できる  ソロモン諸島が中国の軍事拠点になれば大ごとだ。ソロモン諸島は沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線や伊豆・小笠原諸島からグアム、パプアニューギニアに至る第2列島線の外側にある。中国は、西太平洋で絶大な影響力を誇る米国をこの地域から追い出したいという長期戦略を描いている。 左の赤線が第一列島線、右の赤線が第二列島線(DoD, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で) 英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)アジア太平洋上級研究員のユアン・グラハム氏は「ソロモン諸島に海軍基地があれば台湾有事の際、米軍の軍事支援を阻止するために利用できる」とIISSサイトへの寄稿で指摘している。中国はその意図を明確に否定している。 グラハム氏によれば、ソロモン諸島が2019年に国家承認を台湾から中国に切り替えてから、中国はソロモン諸島の金権政治に関与してきた。両国の協定案が漏洩した直後、この地域の安全保障提供国を自負するオーストラリアは新しい支援パッケージと漁業保護のため2隻目の巡視船をソロモン諸島南東部テモツ州に配置する計画を明らかにした。 ヘンダーソン氏は「中国は何十年も太平洋の経済的・政治的影響力拡大に関心を示してきた。フィジーやトンガにも注目してきた。中国とソロモン諸島の協定はまさしくそれを狙ったものだ。場合によっては、ソロモン諸島は中国に乗っ取られ、軍事的に利用される懸念がある。米国が動き始めたのは安心材料だが、かなり遅すぎた面は否めない」と語る』、「米国が動き始めたのは安心材料だが、かなり遅すぎた面は否めない」、やはり「遅すぎた」と厳しく見るべきだ。
・『軍事化される南極  日本の上杉謙太郎外務政務官も4月26日、ソロモン諸島を訪れ、ソガバレ首相に「中国とソロモン諸島間の安全保障協力協定について懸念をもって注視している」と伝えた。 ソロモン諸島はエリザベス英女王を君主に頂く英連邦王国15カ国(英国を含む)の一つだ。その英連邦王国に激震が走っている。 カリブ海に浮かぶ島国バルバドスは独立以来、英連邦王国のひとつだったが、21年にエリザベス女王を君主とすることを止め、共和制に移行した。同国は一帯一路への協力文書に署名しており、地元メディアによると、中国は教育機器やノートパソコン、タブレットなどのテクノロジー機器をバルバドスに寄贈するとともに、農業プロジェクトにも投資している。 共和制に移行する動きが強まるジャマイカも一帯一路に参加する10番目のカリブ諸国として名を連ねている。スリランカは英連邦王国ではないものの、英連邦加盟国の一つである。こうした国々はシーレーン上の要衝に位置している。 ヘンダーソン氏は「中国が英連邦をソフトターゲットとみなしているのは明らかだ。いくつかのレベルで動いている。ボリス・ジョンソン英首相が掲げる『グローバル・ブリテン』の基本ラインの一つは南シナ海などにおける英国の継続的な利益を守ることだ。その中には中国の干渉を受けない台湾の安全保障、香港の自治を維持することも含まれる」と言う。 「太平洋地域、特にオセアニアと英国のつながりにはポスト植民地主義の幻想というレッテルを貼られる。かつて西側列強が保持していた地域を中国が奪い取り、新しい国際秩序が出現したと喧伝している。そして中国は南米や南太平洋、南極に長期的な関心を持ってきた」 ヘンダーソン氏はインド洋の『真珠の首飾り』と同じように南太平洋から南極につながる『真珠の首飾り』があるという。中国は一帯一路の中で資源が豊富な「極地の大国」を目指す構想を掲げている。ヘンダーソン氏は南太平洋の『真珠の首飾り』が完成した時、南極は「軍事化」されている恐れがあると示唆した。 (【マシュー・ヘンダーソン氏】の略歴はリンク先参照)』、「「中国が英連邦をソフトターゲットとみなしているのは明らかだ。いくつかのレベルで動いている。ボリス・ジョンソン英首相が掲げる『グローバル・ブリテン』の基本ラインの一つは南シナ海などにおける英国の継続的な利益を守ることだ。その中には中国の干渉を受けない台湾の安全保障、香港の自治を維持することも含まれる」、英国もしっかりしないと、「英連邦」が「中国」の草刈り場となりかねない。「中国は一帯一路の中で資源が豊富な「極地の大国」を目指す構想を掲げている。ヘンダーソン氏は南太平洋の『真珠の首飾り』が完成した時、南極は「軍事化」されている恐れがあると示唆」、「南極」の非軍事化を折に触れて再確認する必要がある。

次に、7月22日付けNewsweek日本版が掲載した米ウェークフォレスト大学政治・国際関係教授のニール・デボッタ氏による「国民を「こじき」にした一族支配、行き過ぎた仏教ナショナリズム──スリランカ崩壊は必然だった」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/07/post-99173_1.php
・『怒れる民衆が大統領府・公邸に突入、大統領は国外へ逃亡。未来を窒息させ、歴史的危機を招いた根本要因は偏狭なナショナリズムにある> スリランカの悲しくも無惨な歴史に、また1つの大きな転機が訪れた。去る7月9日の土曜日、怒れる民衆が大統領府に、そして大統領と首相の公邸に詰め掛け厳重なバリケードを突破し、治安部隊の殴打や催涙ガス攻撃にも耐えて果敢に前進し、ついには内部に突入して3つとも占拠してしまった。 大統領のゴタバヤ・ラジャパクサは、もちろんデモ隊が到着する前に逃げ出していた(国外から電子メールで、国会議長に辞表を送ってきたのは5日後のことだ)。ラニル・ウィクラマシンハ首相の私邸にも火が放たれたが、こちらはデモ隊に罪をなすり付けたい親大統領派の仕組んだ工作の可能性がある。 ウィクラマシンハが首相に就任したのは今年5月。デモ隊が首相公邸に乱入し、当時の首相マヒンダ・ラジャパクサ(大統領の兄で、自身も大統領を2期務めた大ベテラン)が逃亡と辞職に追い込まれたので、急きょ起用されたのだった。ウィクラマシンハは過去にも5回、首相に指名されているが、いずれも任期半ばで退陣している。しかも前回の首相在任中には、ラジャパクサ兄弟の腐敗を暴こうとする検察の捜査を妨害した疑いがあり、そのせいで民衆は彼の辞職も要求していた。 もちろん、民衆の蜂起を招いた直接の原因は経済政策の度し難い失敗にある。だがラジャパクサのような男が権力の頂点に立てた背景には、多数派民族シンハラ人の仏教ナショナリズムがある。 建国当時の統治機構は実力主義だったが、やがてゆがんだ仏教ナショナリズムが浸透し、特定の民族(あるいは特定の個人)だけが潤う統治システムが出来上がった。かつて現地の有力紙が嘆いたとおり、それは「密輸業者や詐欺師、殺人犯、牛泥棒など」が支配する政治システムで、これがスリランカの未来を窒息させた。 昨年半ばには、化学肥料や農薬、除草剤の輸入が禁じられた。当然、収穫は減るから農民は困る。だから各地で反政府デモが起きた。しかし当時の政府は既に深刻な外貨不足に悩んでいた。だから輸入をやめて、浮いた資金を農家向けの補助金に回そうと考えていた。 農民の大多数はラジャパクサ兄弟と同じシンハラ人の仏教徒だ。だから、彼らと敵対するつもりはなかった。それに、彼らに対する恐怖心もあった。過去に、ラジャパクサ兄弟を批判したジャーナリストが何人も殺害されていたからだ。 しかし今回は都市部の中産階級にも怒りが広がっていた。3月には反政府派の活動を支持する女性たちが大統領の私邸前で抗議行動を行っていた。4月には大統領府の前にデモ隊が集まり、自分たちの運動は「アラガラヤ(闘争)」だと宣言した。) 抗議行動は国内全土に広がり、5月9日には首相公邸に多数の民衆が集まり、マヒンダ・ラジャパクサ首相を辞任に追い込んだ。そして大統領公邸での抗議行動が92日目に入った7月9日、ついに弟のゴタバヤも大統領の座を追われた。2年半前の大統領選では、この国に「繁栄と輝かしい未来」をもたらすと約束していたのだが。 現在の危機の直接的な原因は深刻な外貨不足にあり、民衆の抗議運動に拍車を掛けたのは貧困と経済の失速だ』、「ゆがんだ仏教ナショナリズムが浸透し、特定の民族(あるいは特定の個人)だけが潤う統治システムが出来上がった。かつて現地の有力紙が嘆いたとおり、それは「密輸業者や詐欺師、殺人犯、牛泥棒など」が支配する政治システムで、これがスリランカの未来を窒息させた」、「現在の危機の直接的な原因は深刻な外貨不足にあり、民衆の抗議運動に拍車を掛けたのは貧困と経済の失速だ」、余りに酷い状況で、失敗国家と言える存在だ。
・『「上位中所得国」なのに  外貨不足には複数の要因が関係している。1つは、2019年4月に起きた連続爆弾テロ。追い打ちをかけたのは新型コロナウイルスの流行。これらで観光業が大打撃を受け、海外で働く出稼ぎ労働者からの送金も減った。それでも大統領は公約どおり減税を実施した。当然、国庫は底を突く。510億ドルに上る対外債務の返済(今年だけで約70億ドル)など、もはや不可能だった。 国民は調理用ガスボンベや灯油、ガソリン、砂糖や粉ミルク、医薬品などの生活必需品を手に入れるために行列しなければならなくなった。ガソリンを買うために何日も並んでいるうちに息絶えた人が、今年だけで16人もいる。 この国は、2019年には国際社会で「上位中所得国」に分類されていた。なのに今は、抗議の民衆が大統領一族に「私たちをこじきにした責任を取れ」と叫んでいる。 実際、中産階級の人たちも食うものに困っている。ユニセフ(国連児童基金)によると、現時点で570万人が食事など緊急の人道支援を必要としており、これには約230万の児童が含まれる。しかも資金不足の政府が紙幣を増刷するから、6月の食品価格上昇率は80%を超えた。 実を言えば、この国には1970年代半ばにも人々が食べ物を求めて行列した経験がある。ただし原因は社会主義的な統制経済の失敗と自給自足への過度なこだわりだった。つまり、今とは事情が違う。 当時のスリランカには自動車も少なかった。電気も、ろくに通じていなかった。だが今はオートバイや自動車が普及し、調理にはガスボンベが使われる。小規模農家でも機械化が進んで燃料は必需品だ。 だから外貨不足の政府が6月末に、輸入に頼る燃料の販売先を一部の「必須」部門の労働者に限ると言い出したとき、庶民は激怒した。 そこで反政府の活動家たちは、SNSを通じて7月9日の抗議行動への参加を呼び掛けた。政府は前日に夜間外出禁止令を出し、大人数の治安部隊を配備した。それでも最大都市コロンボには数十万の群衆が押し寄せた』、「この国は、2019年には国際社会で「上位中所得国」に分類されていた。なのに今は、抗議の民衆が大統領一族に「私たちをこじきにした責任を取れ」と叫んでいる。 実際、中産階級の人たちも食うものに困っている」、「中産階級の人たちも食うものに困っている」理由は、「外貨不足」、インフレなどのためだろう。
・『シンハラ人優遇の弊害  政府の中枢機関がこんなふうに乗っ取られるとは、たぶん誰も予想していなかった。しかし一定の前兆はあった。7月5日には国会で大統領は野党議員にやじを飛ばされ、すごすごと議場から退散した。一方で政府の支持率は、3%台に低迷していた。 そもそも、危機の源は忌まわしいエスノクラシー(特定の民族による少数民族の強権的支配)にある。人口の75%を占めるシンハラ人は、この島に定住した最初の民族だと自称している。その伝承によれば、総人口に対して約15%のタミル人や約10%のイスラム教徒など、その他の民族は多数派のお情けでここに暮らしていることになる。 このイデオロギーは神話と組み合わされ、仏教信仰に支えられた民族の物語を紡いできた。スリランカの国旗を見れば一目瞭然だ。勇気の印である剣を持つライオンが中央に位置して多数派民族を表現し、その脇に少数派民族を表す色違いの縦じまが並ぶ。それはスリランカという国がシンハラ人仏教徒の国であることを象徴している。 こうしたエスノクラシーの成立は、1956年当時のバンダラナイケ首相がシンハラ語を唯一の公用語と定めたことに起因する。その後、歴代の政権は少数派タミル人を一貫して冷遇してきた。 しかし英国統治時代から、タミル人は少数派のわりに数多くの公職に就いていた。流れが変わったのは、シンハラ語が公用語になってから。ほぼ15年で形勢は逆転した。1956年には官僚の30%、軍人の40%を占めていたタミル人が、70年には官僚の5%、軍人の1%に減っていた。 またシンハラ人の社会経済的進出を妨げるという理由で英語教育が廃止された影響も大きい。おかげでスリランカ人は、アジアでの英語力による優位性を永遠に失った。 官僚機構も骨抜きにされた。かつての官庁は能力主義で、官僚は職務に私情を挟まず公平だったが、シンハラ民族主義の政府は自民族の利害を最大限に優先させた。 大学では住居を整備しないことでタミル人の受け入れ人数が絞られ、一方で理系学部への入学試験ではタミル人にシンハラ人より高い点数を求めた。知識や技能より、政治と民族が優先された。 実力主義が通らず、専門知識も尊重されない世の中を見限る有能な人材は多かった。高潔で実力主義のシンハラ人は海外へ脱出した。ゆがんだ民族主義が頭脳流出を招き、実務を担う官僚の水準が下がった。一方で、タミル人には選択の余地がなかった。 こんな民族差別に怒ったタミル人は、分離独立を求めて30年近く戦った。この内戦はシンハラ人の勝利で09年に終結。以来、マヒンダ・ラジャパクサ率いる政府は仏教徒の過激派と組んで、イスラム教徒への憎悪をあおってきた。 少数派タミル人の排斥こそ愛国的行為。そんな理屈でラジャパクサ兄弟はシンハラ人の仏教ナショナリズムと人種差別を結合させた。 その後、マヒンダ・ラジャパクサは中国の口車に乗って、役にも立たない無用な開発プロジェクトに手を出した。必要な資金は中国から借り、その返済には「借り換え」の手法を用いるつもりだった。 観光や海外在住者からの送金で得た外貨を利子の返済に充て、足りなければ借り換えればいいと考えていた。最悪だが、実はスリランカの対外債務に占める中国の割合は10%程度にすぎない。だから当座の問題は中国に対する債務残高の額ではなく、中国の融資に潜む隠された意図の解明であり、中国マネーが誰の懐に納まったかの究明だ。 スリランカは現在、IMFや世界銀行からの支援を得ようとしているが、これらの機関は支援や債務再編に同意する前に、中国からの借り入れに関する透明性を要求するだろう。スリランカはまさに、中国の「債務の罠」に落ちた国の典型だからだ。 一方で私腹を肥やしてきた政治家は、責任追及を恐れて権力の座にとどまりたがる。ゴタバヤ・ラジャパクサは大統領選に出馬するに当たって米国籍を放棄しているから逃げ場がなく、ひとたび権力を失えば国内で不正利得を告発される恐れがあった』、「エスノクラシー」、「シンハラ語が公用語になってから。ほぼ15年で形勢は逆転した。1956年には官僚の30%、軍人の40%を占めていたタミル人が、70年には官僚の5%、軍人の1%に減っていた」、「またシンハラ人の社会経済的進出を妨げるという理由で英語教育が廃止された影響も大」、長い間に国家の競争力は弱まったのだろう。
・『民族主義で腹は膨れず  大統領が正式に辞任した後、議会はウィクラマシンハを大統領代行に指名し、7月20日に議員の互選で(ゴタバヤの任期の切れる24年までの)新大統領を決める予定だ。(編集部注:21日、ウィクラマシンハが新大統領に就任)しかし国民の怒りは国会にも向けられているから、場合によっては早期の解散・総選挙を迫られる可能性もある。 いずれにせよ、生活必需品の不足は今後も何カ月か続くだろう。つまりラジャパクサ家がいなくなっても、当面は今の経済的苦難が続くとみていい。支援の先頭に立つのは隣国インドだ。既に40億ドルの資金を提供している。中国も通貨スワップで資金を出しているが、スリランカの債務再編には消極的だ(もしも応じれば「債務の罠」に落ちた他の諸国も同様な要求をしてくるに違いない)。 日本は主要な援助国で債権国でもあるが、やはり追加支援には慎重だ。この腐敗体質では援助金がどこに流れるか分からないからだ。他の支援国も同様で、スリランカ政府の腐敗の根が取り除かれないかぎり、誰も動かない。早急に政治の安定を取り戻すことが、さらなる追加融資や債務再編の第一歩だ。 考えてみれば、スリランカ国民の7月9日の行動は実に革命的だった。5月に元大統領で現職首相のマヒンダを追い落とした勢いで、2カ月後には弟で現職大統領のゴタバヤも倒した。 しかし、それを可能にしたのは未曽有の経済危機であり、この国で圧倒的多数を占めるシンハラ人仏教徒が宗教的な寛容の精神に目覚め、少数派のタミル人やイスラム教徒に対して犯してきた人道上の罪を認めたからではない。 それでも、今回の事態で分かったことがある。いくら民族主義的な感情に訴えても、日常的な飢餓と欠乏感には勝てないという事実だ。ラジャパクサ兄弟も、このことを思い知らされたはずだ。 そして民衆の抗議行動は宗派を超えて多くの宗教者や一般市民を団結させ、この島国の未来をみんなで考え、築いていこうという機運を生んだ。みんなが苦しんできたのだから、多数派民族による強権支配とは縁を切るべきだ。だがこの国の悲しい歴史を顧みると、あいにく明るい未来は描けない。 【映像】大統領公邸になだれ込み、プールを占拠するスリランカ国民)』、「日本は主要な援助国で債権国でもあるが、やはり追加支援には慎重だ。この腐敗体質では援助金がどこに流れるか分からないからだ。他の支援国も同様で、スリランカ政府の腐敗の根が取り除かれないかぎり、誰も動かない。早急に政治の安定を取り戻すことが、さらなる追加融資や債務再編の第一歩だ」、「民衆の抗議行動は宗派を超えて多くの宗教者や一般市民を団結させ、この島国の未来をみんなで考え、築いていこうという機運を生んだ。みんなが苦しんできたのだから、多数派民族による強権支配とは縁を切るべきだ。だがこの国の悲しい歴史を顧みると、あいにく明るい未来は描けない」、その通りだろう。

第三に、7月28日付けPRESIDENT Onlineが掲載したフリーライター・翻訳者の青葉 やまと氏による「中国に借金漬けにされ、ロシアに助けを求める…国家破綻したスリランカで起きている"負の連鎖" 悪政が悪政を呼び込む悪循環」を紹介しよう。
・『中国の手に落ちたスリランカの悲劇  インド半島の先端に浮かぶ島国・スリランカが、経済危機に瀕ひんしている。 ラニル・ウィクラマシンハ首相は7月5日、議会での演説を通じて「国家の破産」を宣言した。美しい景観から「インド洋の真珠」とも呼ばれ、地政学上の要衝でもある人口2200万の国家は、中国の「債務の罠」に陥り破滅へと向かっている。  スリランカは長引く外貨準備不足で物資の輸入に支障をきたしており、国民生活は大混乱に陥っている。子に食糧を与えようと出がらししか口にしていない親たちや、急ごしらえの売春宿で体を売って食べ物を買う女性たち、そしてガソリンを買うために10日も列に並ぶドライバーなど、悲惨な現状が多く報じられるようになった。 その元凶は、一族支配による悪政と中国への経済依存だ。7月14日に辞任したゴタバヤ・ラージャパクサ前大統領は兄弟で大統領と首相を務め、要職を一族の関係者で固めていた。民主主義国家を標榜する同国にありながら、独裁・腐敗政治の蔓延まんえんを招くこととなる。加えて見逃せないのが、中国による籠絡だ』、「元凶は、一族支配による悪政と中国への経済依存」、その通りだ。
・『「債務の罠」で重要港湾は植民地に  2000年代にインフラ整備を積極的推進したスリランカは、中国などへの対外債務を膨らませた。巨額の返済に行き詰まり、港湾国家構想の中核であった南部ハンバントタ港の運営権を、中国国営企業に99年間供与する事態まで発展している。 この一件は、中国が仕掛ける「債務の罠」の典型的な事例だとして国際的な注目を集めた。中国が途上国に対して多用する手口に、高額なインフラ整備費を厳しい返済条件で貸し付けるものがある。相手国が返済条件に応じられなくなるのを待って、新設したインフラ施設の運営権の譲渡を受ける手法だ。) こうして中国の手に落ちたスリランカのハンバントタ港をめぐっては、事実上の中国の植民地ではないかとする国際的な批判が相次いでいる。 中国は「真珠の首飾り」と呼ばれる海上輸送ルートの確立を試みていとされる。インド西部のパキスタンからスリランカのハンバントタ港を経て、台湾海峡へと至るルートだ。中国の打算的な戦略は、スリランカへの「債務の罠」の成功で見事に実を結んだともいえよう』、「南部ハンバントタ港の運営権を、中国国営企業に99年間供与する事態まで発展」、「この一件は、中国が仕掛ける「債務の罠」の典型的な事例だとして国際的な注目を集めた。中国が途上国に対して多用する手口に、高額なインフラ整備費を厳しい返済条件で貸し付けるものがある。相手国が返済条件に応じられなくなるのを待って、新設したインフラ施設の運営権の譲渡を受ける手法だ」、「ハンバントタ港をめぐっては、事実上の中国の植民地ではないかとする国際的な批判が相次いでいる」、「中国」にしてみれば、契約を履行したに過ぎないと言い訳できる。
・『一族支配の悪政が限界を迎えた  港湾構想の中核のひとつを失ったスリランカは、経済・政治面で崖っぷちを歩み続けてきた。そこへ新型コロナにより観光産業が打撃を受け、危機はますます高まってきた。 政策も悪手が続く。2021年4月には突如として化学肥料と農薬の全面輸入禁止を打ち出し、有機農業化への急激な舵を切った。ところが有機肥料の供給が追いつかず、セイロン茶葉など農作物の品質と収量が低下。早くも10月には禁輸撤回に追い込まれている。 迷走する政治と経済に、国民の生活は疲弊している。経済危機を受け、スリランカの主要産業のひとつであるアパレル産業で働く女性たちは、食糧を買う資金を得るために売春宿で働くことを余儀なくされている。 英テレグラフ紙は、NIKEやGAPなど大手多国籍企業向けの製品工場で働く女性たちが、物価高のため副業として体を売っていると報じている』、なるほど。
・『生きるために身体を売る女性たち  同紙によると女性たちには、1000スリランカ・ルピー(約380円)ほどの日当が支給される。だが、40%にも達するインフレを前に、こうした賃金は無価値になりつつあるという。 衣料品業界で働く女性の多くは同業界の経験しかもたず、体を売る以外に追加収入を得る術がない。記事が掲載されたのは5月だが、現在ではさらに状況が悪化している。英BBCはスリランカ政府発表のデータをもとに、6月のインフレ率が54.6%に達したと報じている。 薬と食糧を買うため、体を売る女性が目立つようになった。インドの大手コングロマリットが運営するニュースメディア「ファースト・ポスト」は、首都スリジャヤワルダナプラコッテに隣接する旧首都のコロンボで、にわかづくりの売春宿が増加していると報じている。売春宿には研究者からマフィアまで多様な客が集い、彼らを相手にすることで1日で半月分の収入を得ることができるという』、「コロンボで、にわかづくりの売春宿が増加していると報じている。売春宿には研究者からマフィアまで多様な客が集い、彼らを相手にすることで1日で半月分の収入を得ることができるという」、みじめな状況だ。
・『ガソリン不足で働けず、輸送混乱で物価上昇  食糧以外では、ほぼ輸入に依存している燃料の不足も深刻だ。 ガソリンと軽油を求め、給油所には連日長蛇の列ができている。英BBCは、コロンボでミニバス運転手として働く43歳男性の事例として、給油待ちの列に10日間並んだ事例を取り上げている。車中泊をしながら10日目に給油所にたどり着いたが、それでもタンク満タンの給油はかなわなかったという。 英スカイ・ニュースは、トゥクトゥク(三輪タクシー)で稼ぐある運転手の話を伝えている。燃料不足を受け、この男性は2週間に一度しか操業できない状態だという。妻は妊娠中だが、「彼女のおなかにいる子供にごはんをあげることができていない」とこの男性は唇を噛む。 食糧難に喘あえぐのは、一部の国民だけではないようだ。シンガポールの国際ニュースメディアであるチャンネル・ニュース・アジアは、世界食糧計画(WFP)による評価として、スリランカの6世帯に5世帯が食べ物を抜くか減らしていると報じている。ある一家は小さな魚を6人の子供に分け与え、大人は残った汁だけで空腹を紛らわせている模様だ。燃料不足で商品の輸送が停滞しており、食品などの価格上昇に歯止めがかからない』、「世界食糧計画(WFP)による評価として、スリランカの6世帯に5世帯が食べ物を抜くか減らしていると報じている。ある一家は小さな魚を6人の子供に分け与え、大人は残った汁だけで空腹を紛らわせている模様だ」、「6世帯に5世帯」とは本当に深刻だ。
・『中国紙は「借金漬け外交」の批判を意に介さず  こうした生活危機は、長年の悪政と中国による「債務の罠」に端を発するものだ。 米外交コラムニストのイシャーン・タルール氏は、米ワシントン・ポスト紙への寄稿を通じ、「しかしスリランカは、中国批評家たちが中国の『債務の罠』外交と呼ぶものに足を踏み入れてしまったのだ」と指摘している。 2020年の債務返済の際、国際通貨基金(IMF)との対話を通じ、緊縮財政と債務整理を推進するという道が残されていた。しかしスリランカは、既存債務の返済に充てるべく、中国がちらつかせた30億ドルの追加融資枠にいとも簡単に飛びついてしまったのだとタルール氏は論じている。 一方で中国側は、このような国際的批判を意に介さない。中国共産党傘下のグローバル・タイムズ紙(環球時報)は7月18日、スリランカ大使が中国による支援が「大いに役立っている」と発言したと報じ、支援は人道的な援助であると強調した。 記事はスリランカ側が政権交代後も「中国との卓越した関係の維持」を望んでいると述べている。また、スリランカ大使による見解として、「否定派たちが債務を中国プロジェクトのせいにするのは、中国バッシングの口実にすぎない」との意見を取り上げた』、失脚した「大統領一族」を通じて「中国による債務の罠」についても、もっと具体的な事実が明らかになってくるだろう。
・『経済危機で高まるロシア依存  中国とのパイプが深まる一方で、ロシア依存も大きな懸案となりつつある。英BBCは、スリランカのゴタバヤ・ラージャパクサ前大統領が辞任の1週間前、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対して燃料輸入に関して支援を要請したと報じている。 報道と前大統領自身のツイートによると、スリランカ側は輸入代金の支払いに関して信用面での支援をプーチン氏に求めた模様だ。スリランカは燃料不足解消のため過去数カ月間でロシアからの燃料輸入を行っているが、今後さらに輸入量を拡大することが予想される。) 同記事によるとスリランカ側は、かつて観光客のおよそ20%を占めていたロシア人観光客の再来にも期待感を示しているという。ウクライナ侵攻を発端に国際社会がロシアと距離を置くなか、正反対の動きとなった。 スリランカ側はそもそも、ロシアへの経済制裁に反対の立場を示している。小麦や燃料などのロシアからの輸出が滞ることで、途上国の経済が困窮しているとの主張だ。 インドのPTI通信が報じたところによると、ラニル・ウィクラマシンハ首相は西側諸国に対し、「ウクライナ侵攻に関するロシアへの制裁は、モスクワを屈服させることにはならず、代わりに食糧不足と物価高騰で途上国をひどく傷つけることになるだろう」と発言した』、「スリランカ側は、かつて観光客のおよそ20%を占めていたロシア人観光客の再来にも期待感を示しているという」、現在の「ウクライナ」情勢をみる限り、「スリランカ側」の「期待」は期待だけで終わるだろう。
・『悪政が、悪政を招く悪循環  経済危機に陥ったスリランカを、計算高い中国とロシアが虎視眈々たんたんとねらっている。 中国に関しては「債務の罠」による借金漬け外交を太平洋諸国やアフリカ諸国に対しても展開しており、もはや返済猶予の代償としてのインフラの乗っ取りは常套手段だ。経済破綻のスリランカも、むしろ筋書きどおりといったところだろう。 政権交代にかかわらず関係の深化を表明しているが、経済援助を完全な人道支援と受け取ることは難しいだろう。現在のスリランカとしては藁わらにもすがる思いで飛びつきたいところだろうが、すでに実質的な植民地となった南部ハンバントタ港の悲劇が、国内他所で繰り返されないとも限らない。 ロシアに関してはプーチン政権側から積極的なアプローチがあるわけではないが、ロシア産燃料と観光客の受け入れを積極的に推進するスリランカは、国際社会から孤立するロシア経済にとって渡りに船だ。制裁の影響を緩和すべく、スリランカ経済とのパイプを強める展開が予想される。 急速なインフラ開発による発展を夢みたスリランカだが、中国が仕掛ける債務の罠にとらわれる結果となった。実質的な独裁政治と中国への傾倒が国民生活の破綻をまねき、結果としてさらに中露への依存が深まろうとしている』、「スリランカ」が「結果としてさらに中露への依存が深まろうと」する限り、苦境からの脱却は期待できない。これも建国以来、政策運営を致命的に誤ってきた、身から出た錆なのかも知れない。
タグ:南アジア (その1)(中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト 見えた一帯一路の本性 ウクライナ戦争の隙に中国がインド洋と南極で着々と構築する「2本の首飾り」、国民を「こじき」にした一族支配 行き過ぎた仏教ナショナリズム──スリランカ崩壊は必然だった、中国に借金漬けにされ ロシアに助けを求める…国家破綻したスリランカで起きている"負の連鎖" 悪政が悪政を呼び込む悪循環) JBPRESS 木村 正人氏による「中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト、見えた一帯一路の本性 ウクライナ戦争の隙に中国がインド洋と南極で着々と構築する「2本の首飾り」」 「中央銀行」「総裁」が堂々と「デフォルト」宣言をするとは驚いた。 「南端のハンバントタ港は2017年から99年間にわたり中国国有企業に貸し出された」、「インフラ整備のため中国から湯水のようにお金を借りたものの結局、思ったような利益は出ずに返済不能に陥り、施設や土地を明け渡さざるを得なくなる「債務の罠」の典型例だ」、「債権者は中国だけではない。米ウォール街やその他の機関投資家からの借り入れも膨張」、「債権者は中国だけではない」とのニュースには驚かされた。 「一帯一路の共同開発プロジェクトは米ウォール街の強欲で冷徹な資本主義のアプローチよりはるかに温和」との「中国」側主張は「真っ赤な嘘」、その通りだ。 「中国のインフラ開発プロジェクトは債務国の経済的な自立性を失わせる。生産能力を多様化できず、資源輸出に依存する国々は中国依存症を深めていく。その一方で、中国は経済だけでなく、政治や軍事面でも影響力を増大させる」、「南太平洋の島国ソロモン諸島と最低5年間の安全保障協定を正式に締結」、「漏洩した協定案には「中国は自らの必要性に応じて、ソロモン諸島の同意を得た上でソロモン諸島に寄港し、兵站補給を行うことができる」と記されていた。社会秩序の維持や災害救助のため、中国から警察や軍人を要請できるとの内容も含まれるとさ 「米国が動き始めたのは安心材料だが、かなり遅すぎた面は否めない」、やはり「遅すぎた」と厳しく見るべきだ。 「「中国が英連邦をソフトターゲットとみなしているのは明らかだ。いくつかのレベルで動いている。ボリス・ジョンソン英首相が掲げる『グローバル・ブリテン』の基本ラインの一つは南シナ海などにおける英国の継続的な利益を守ることだ。その中には中国の干渉を受けない台湾の安全保障、香港の自治を維持することも含まれる」、英国もしっかりしないと、「英連邦」が「中国」の草刈り場となりかねない。「中国は一帯一路の中で資源が豊富な「極地の大国」を目指す構想を掲げている。ヘンダーソン氏は南太平洋の『真珠の首飾り』が完成した時、南極は Newsweek日本版 ニール・デボッタ氏による「国民を「こじき」にした一族支配、行き過ぎた仏教ナショナリズム──スリランカ崩壊は必然だった」 「ゆがんだ仏教ナショナリズムが浸透し、特定の民族(あるいは特定の個人)だけが潤う統治システムが出来上がった。かつて現地の有力紙が嘆いたとおり、それは「密輸業者や詐欺師、殺人犯、牛泥棒など」が支配する政治システムで、これがスリランカの未来を窒息させた」、「現在の危機の直接的な原因は深刻な外貨不足にあり、民衆の抗議運動に拍車を掛けたのは貧困と経済の失速だ」、余りに酷い状況で、失敗国家と言える存在だ。 「この国は、2019年には国際社会で「上位中所得国」に分類されていた。なのに今は、抗議の民衆が大統領一族に「私たちをこじきにした責任を取れ」と叫んでいる。 実際、中産階級の人たちも食うものに困っている」、「中産階級の人たちも食うものに困っている」理由は、「外貨不足」、インフレなどのためだろう。 「エスノクラシー」、「シンハラ語が公用語になってから。ほぼ15年で形勢は逆転した。1956年には官僚の30%、軍人の40%を占めていたタミル人が、70年には官僚の5%、軍人の1%に減っていた」、「またシンハラ人の社会経済的進出を妨げるという理由で英語教育が廃止された影響も大」、長い間に国家の競争力は弱まったのだろう。 「日本は主要な援助国で債権国でもあるが、やはり追加支援には慎重だ。この腐敗体質では援助金がどこに流れるか分からないからだ。他の支援国も同様で、スリランカ政府の腐敗の根が取り除かれないかぎり、誰も動かない。早急に政治の安定を取り戻すことが、さらなる追加融資や債務再編の第一歩だ」、「民衆の抗議行動は宗派を超えて多くの宗教者や一般市民を団結させ、この島国の未来をみんなで考え、築いていこうという機運を生んだ。みんなが苦しんできたのだから、多数派民族による強権支配とは縁を切るべきだ。だがこの国の悲しい歴史を顧みると PRESIDENT ONLINE 青葉 やまと氏による「中国に借金漬けにされ、ロシアに助けを求める…国家破綻したスリランカで起きている"負の連鎖" 悪政が悪政を呼び込む悪循環」 「元凶は、一族支配による悪政と中国への経済依存」、その通りだ。 「南部ハンバントタ港の運営権を、中国国営企業に99年間供与する事態まで発展」、「この一件は、中国が仕掛ける「債務の罠」の典型的な事例だとして国際的な注目を集めた。中国が途上国に対して多用する手口に、高額なインフラ整備費を厳しい返済条件で貸し付けるものがある。相手国が返済条件に応じられなくなるのを待って、新設したインフラ施設の運営権の譲渡を受ける手法だ」、「ハンバントタ港をめぐっては、事実上の中国の植民地ではないかとする国際的な批判が相次いでいる」、「中国」にしてみれば、契約を履行したに過ぎないと言い訳でき 「コロンボで、にわかづくりの売春宿が増加していると報じている。売春宿には研究者からマフィアまで多様な客が集い、彼らを相手にすることで1日で半月分の収入を得ることができるという」、みじめな状況だ。 「世界食糧計画(WFP)による評価として、スリランカの6世帯に5世帯が食べ物を抜くか減らしていると報じている。ある一家は小さな魚を6人の子供に分け与え、大人は残った汁だけで空腹を紛らわせている模様だ」、「6世帯に5世帯」とは本当に深刻だ。 失脚した「大統領一族」を通じて「中国による債務の罠」についても、もっと具体的な事実が明らかになってくるだろう。 「スリランカ側は、かつて観光客のおよそ20%を占めていたロシア人観光客の再来にも期待感を示しているという」、現在の「ウクライナ」情勢をみる限り、「スリランカ側」の「期待」は期待だけで終わるだろう。 「スリランカ」が「結果としてさらに中露への依存が深まろうと」する限り、苦境からの脱却は期待できない。これも建国以来、政策運営を致命的に誤ってきた、身から出た錆なのかも知れない。
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宗教(その7)(友達をカルト宗教から救いだそうとして…心優しい早大生が「坂本一家殺人事件の実行犯」に堕ちたワケ 「自分は大丈夫」という人が一番危ない、日本は世界最悪のカルトの吹き溜まり…統一教会がデタラメな教義で大金を巻き上げられた根本理由 規制の緩い日本は「世界的な穴場」になっている、この世はサタンに毒されている ハルマゲドンが来れば楽園に行ける…「カルト2世」が明かす生きづらさと解けない呪縛) [社会]

宗教については、3月3日に取上げた。今日は、(その7)(友達をカルト宗教から救いだそうとして…心優しい早大生が「坂本一家殺人事件の実行犯」に堕ちたワケ 「自分は大丈夫」という人が一番危ない、日本は世界最悪のカルトの吹き溜まり…統一教会がデタラメな教義で大金を巻き上げられた根本理由 規制の緩い日本は「世界的な穴場」になっている、この世はサタンに毒されている ハルマゲドンが来れば楽園に行ける…「カルト2世」が明かす生きづらさと解けない呪縛)である。

先ずは、7月27日付けPRESIDENT Onlineが掲載したジャーナリストの江川 紹子氏による「友達をカルト宗教から救いだそうとして…心優しい早大生が「坂本一家殺人事件の実行犯」に堕ちたワケ 「自分は大丈夫」という人が一番危ない」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/59835
・『カルト集団はどんな手段で仲間を増やすのか。ジャーナリストの江川紹子さんは「カルトは正体を隠して近づいてくるため、騙されていることに気づくのは難しい。『自分は大丈夫』と考えないほうがいい」という――。 ※本稿は、江川紹子『「カルト」はすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者たち』(岩波ジュニア新書)の一部を再編集したものです』、「カルトは正体を隠して近づいてくるため、騙されていることに気づくのは難しい。『自分は大丈夫』と考えないほうがいい」、興味深そうだ。
・『『日本書紀』にもカルト集団が描かれていた  カルトは、どの時代や社会にも現れます。 日本最古の正史『日本書紀』にもカルトらしき集団についての記述があります(現代語訳は筆者による)。 「皇極天皇三年(644年)七月ふみづき、東あずまの国富士川のほとり(今の静岡県)に現れた、大生部多おおうべのおおが、人々に虫を祀まつるよう勧め、「これは常世の神である。この神を祀るものは、富と長寿が得られる」と言った。巫女たちも神のお告げと偽って、「常世の神を祀ると、貧しい人は富を得、老人は若返る」と語った。これはどんどん広まり、人々は家の財宝を投げ出し、酒を並べ、野菜や六種の家畜(馬・牛・羊・豚・犬・鶏)を道ばたに並べ、「新しい富が入ってきたぞ」と連呼した。都でも田舎でも、常世の虫をとって安置し、歌い踊って福さいわいを求め、財宝を投げ出したが、何の益もなく損ばかりが極めて多かった」 民が惑わされているのを見かねて、聖徳太子の側近秦河勝はたのかわかつが大生部多を成敗した、とも書かれています。この虫は、橘や山椒の木につき、体長12センチ強ということなので、アゲハチョウの幼虫と考えられています。 現代でも、オウムのほかに、先祖の因縁や霊の祟たたりを騙って、印鑑や壺を始め色々な商品を高く売りつける霊感商法や、教祖が女性信者に性的奉仕をさせたり、あるいは病気の人に適切な治療を受けさせず死なせてしまったりする宗教団体がたびたび問題になってきました』、「『日本書紀』にもカルト集団が描かれていた」、「人々は家の財宝を投げ出し、酒を並べ、野菜や六種の家畜(馬・牛・羊・豚・犬・鶏)を道ばたに並べ、「新しい富が入ってきたぞ」と連呼した。都でも田舎でも、常世の虫をとって安置し、歌い踊って福さいわいを求め、財宝を投げ出したが、何の益もなく損ばかりが極めて多かった」 民が惑わされているのを見かねて、聖徳太子の側近秦河勝はたのかわかつが大生部多を成敗した」、社会秩序を揺るがせにしたので、「成敗」されたようだ。
・『カルト性の高い宗教以外の集団もある  海外でも、カルトをめぐる多くの事件が報告されています。 1978年には、アメリカの新興宗教「人民寺院」が、南米のガイアナで集団自殺をし、子どもを含む900人を超える人が死亡しました。 1993年には、児童虐待と銃器不法所持の罪に問われたアメリカの新興宗教「ブランチ・ダビディアン」がテキサス州ウェイコの教団本部で捜査当局と銃撃戦となり、双方に死者が出るなどした挙げ句に籠城ろうじょう。その後FBI(連邦捜査局)が突入しましたが、この時に教祖のほか、やはり子どもを含む信者81人が死亡しました。 カルトは、宗教には限りません。過激派など政治的な集団やマルチ商法といった経済的な集団の中にも、カルト性の高いところがあります。 たとえば、1970年代の日本には、連合赤軍という左翼過激派の集団がありました。革命で世界を変革するという理想に燃えた若者たちが、山中で武装訓練をするうちに、リーダーが批判したメンバーを皆でなぶり殺しにするという、壮絶なリンチ殺人を繰り返しました。そこから逃れたメンバーが、宿泊施設を占拠し、人質をとって立て籠もり、銃を発砲して警察官ら3人を射殺する「浅間山荘事件」を起こしました。 これなども、閉鎖的な集団の中で、メンバーが歪んだ価値観に心を支配され、反社会的で命や人権をないがしろにする行動を繰り返したカルト的犯罪と言えます』、「浅間山荘事件」、「も、閉鎖的な集団の中で、メンバーが歪んだ価値観に心を支配され、反社会的で命や人権をないがしろにする行動を繰り返したカルト的犯罪」、言われてみれば、7その通りだ。
・『イスラム国とオウム真理教の共通点  最近では、シリアやイラクで一時期かなり大きな勢力を誇った、自称「イスラム国(IS)」があります。イスラム復古主義を標榜しながら「国家」樹立を宣言し、支配地域での徴税や一部の行政を行うなど、宗教的かつ政治的な組織です。インターネットを利用した巧みなプロパガンダを展開。中東だけでなく、ヨーロッパで生まれ育ったイスラム教徒の若者をも引き寄せました。 移民の二世や三世が、生まれ育った社会の中で“よそ者”として扱われて疎外感を抱いたり、シリアやイラクで空爆などで子どもが殺害されている映像を見て、イスラム同胞を救うための「聖戦」に参加しなければ、という使命感をかき立てられたりして、自ら飛び込んでいった姿には、オウム真理教に身を投じた人たちと重なるものがあります』、「イスラム国とオウム真理教の共通点」、確かにありそうだ。
・『12年間で10億円以上も搾取されたX JAPANのヴォーカル  自己啓発セミナーや疑似科学、スピリチュアル系団体など、ほかにもカルト性の高い集団は存在します。 2010年1月、人気のロックバンドX JAPANのヴォーカルだったTOSHI(同年にToshiトシと改名)が記者会見を開き、自己啓発セミナー主催団体との決別やそこに彼を引き入れた妻との離婚を公表しました。彼は、団体の広告塔として利用され、酷使されたうえ、稼いだ金の多くは搾取されていました。その金額は、12年間で10億円以上に上りました。妻とも長く同居はしておらず、実質的な夫婦ではありませんでした。 会見で彼は「だまされていたことからやっと目が覚めた」と述べ、団体の被害者に対しては「しかるべき誠実な対応をしたい」と語りました。実際、彼はその後、被害者に対して謝罪をし、和解しました。 カルト問題に詳しく、この自己啓発セミナー主催団体の被害救済にも尽力してきた紀藤正樹弁護士は、「カルトに入ってしまうのは、『タイミングと運』が大きいんです。オウムの信者も、たまたま悩んだり迷ったりしている時に出会ったのがオウムだったのが不運だったわけで、それが既成宗教のボランティア団体などだったら、何の問題もなかった。不運という点では、Toshiも同じです」と言います』、「TOSHI」が「稼いだ金の多くは搾取されていました。その金額は、12年間で10億円以上」、かなり多額だ。
・『「自分は大丈夫」が一番危ない  彼は、仕事や家族のことで悩みを抱えていた最中に、妻からの誘いでセミナーに参加し、そこでマインド・コントロールされ、セミナーを主催する男性のところにしか救いはないような気持ちになってしまったのでした。 「いわば、交通事故に遭ったようなもの。誰しもが、カルトに取り込まれてしまう可能性があります。自分は大丈夫、と思っていると、それが一番危ない」と紀藤弁護士。 人間は、生まれてから死ぬまで、ずっと順風満帆というわけにはいきません。人間関係に悩んだり、努力が報われなかったり、選択に迷ったりします。病気をする、事故に遭う、父母や友人が亡くなる、恋人と別れる、友達と深刻な喧嘩をする、受験に失敗する、職を失う……こうした予定外の出来事に見舞われることもあります。 そんな時、人はカルトに巻き込まれやすい、と言います。救いの手がさしのべられ、素晴らしい解決法を示されたように思うと、ついつい信じたくなるからです。 「特に、病気の人が病気治癒を信じて、適切な治療を忌避きひする団体に行った時の悲劇は喩えようもありません。治療して回復できる時期を逃してしまうわけですから。子どもに適切な医療を受けさせずに死なせてしまった親は、カルトから目が覚めてから、本当に自責と後悔の念に苛まれています」』、「人間関係に悩んだり、努力が報われなかったり、選択に迷ったりします。病気をする、事故に遭う、父母や友人が亡くなる、恋人と別れる、友達と深刻な喧嘩をする、受験に失敗する、職を失う……こうした予定外の出来事に見舞われることもあります。 そんな時、人はカルトに巻き込まれやすい」、確かにその通りだろう。
・『悩みを無理やり作り出してでも引き込んでいく  紀藤弁護士によると、特に悩みや迷いの中にいない人に対しても、カルトは悩みを作り出して、引き込んでいくこともあります。 たとえば、進路を決めた人に、「本当に、本当にそれでいいの?」と疑問を投げかけ、「もっと自分に合ったところはないか」と考えさせます。「今が、あなたの人生の分岐点ですよ」と言って、さらに深く悩ませたりもします。そうやって、人を悩みの中に誘い、その答えとして、カルトの価値観を教えていきます。 「だから、人から言われたことを、まじめに受け止めて考える人は、入りやすいんです」と紀藤弁護士。 「しかも、カルトはカルトの顔をして近づいてきたりはしません。たとえば、ボランティア団体を装って、「人の役に立ちたい」と思っている人に接近したりします。なので騙されたことにも気がつかないことが多いのです」』、「カルトはカルトの顔をして近づいてきたりはしません。たとえば、ボランティア団体を装って、「人の役に立ちたい」と思っている人に接近したりします。なので騙されたことにも気がつかないことが多いのです」、なるほど、複雑だ。
・『「お金、ウソ、秘密」3つの注意すべきサイン  そんなカルトから、身を守るにはどうしたらいいでしょうか。 紀藤弁護士は「それでも、よく注意していれば、カルトのサインが見えてくることがあります」と言います。いったい、どんなことに注意すればいいのでしょう。 「第一に、お金の話が出たら要注意です」と紀藤弁護士。途中で会費やセミナー代などを求められたら、これは警戒した方がいい、と言います。その代金が法外なものでなくても、疑ってみましょう。 「第二に、話が最初と違っていたり、何らかの嘘が含まれている場合も注意すべきです」 たとえば、宗教ではないセミナーのはずだったのに、教えている人は、実は宗教団体の教祖や幹部であることが分かった場合。カルトは、宗教であることを隠そうとして、別の形をとって、人を勧誘しようとすることがあります。オウムも、ヨガ教室や様々なサークルを隠れ蓑にして勧誘活動をしていました。 「第三に、『これは誰にも言っちゃいけない』などと秘密を守らせようとしている場合も気をつけてください」 若者に対しては、親や先生など、大人に言わないよう口止めする場合もあります。本当にいい教えなら、秘密にしたりせず、どんどん公表し、大人たちにも堂々と伝えればいいのです。それを秘密にしようとするのは、まだマインド・コントロールが十分完成していない段階で、大人に反対され、考え直して脱会してしまうことを恐れているのです。こういう場合は、むしろ大人に相談してみることにしましょう』、「大人たちにも堂々と伝えればいいのです。それを秘密にしようとするのは、まだマインド・コントロールが十分完成していない段階で、大人に反対され、考え直して脱会してしまうことを恐れているのです」、やはり悪質だ。
・『友達がカルトに取り込まれてしまったらどうすべきか  紀藤弁護士は、そのほか情報をしっかり集めることが大事だと言います。 「自称『イスラム国(IS)』はインターネットを利用したプロパガンダや友人知人を使った伝道活動で、ヨーロッパからも少なからぬ若者を集めましたが、そのうち、現地で行われているのはISが宣伝しているのとは違う、いったん行ったら戻ってこられない、女性は性奴隷にされる、という実態が情報として伝わるようになると、先細りになりました」 オウムについても、マスコミなどが頻繁に伝えている間は、アレフなどの後継団体に取り込まれる人は少なかったのに、情報が少なくなると信者が少し増えてきた、と紀藤弁護士は心配しています。それでも、今はインターネットで多くの情報が流れ、カルト団体からの脱会者が体験談をブログに掲載していたりします。そういう情報を活用することも大切です。 ただ、その一方で、ネットで事実を無視した陰謀論や差別的な政治思想を拡散する、新しいタイプのカルト的なグループもあるので、注意も必要です。 では、友達がカルトらしき団体に取り込まれてしまった、という場合はどうでしょう。 その時は、まず自分が近づかないこと。友達に誘われても、断りましょう。友達が心配だからといって、一緒についていったりするのは危険です。坂本一家殺人事件の実行犯である端本悟も友達を救い出そうとして早稲田大学在学中にオウムに近づき、「ミイラ取りがミイラになる」結果となってしまいました。 言ってあげるとすれば、カルトから離れて戻ってくれば、また友達になれる、ということです。大事な友達がもしカルトに入ってしまったら、どんなに口止めされても、まずは親や先生など、大人に相談しましょう』、「坂本一家殺人事件の実行犯である端本悟も友達を救い出そうとして早稲田大学在学中にオウムに近づき、「ミイラ取りがミイラになる」結果となってしまいました」、まるでウソのような出来過ぎた話だ。
・『ダライ・ラマが語った「カルトの見分け方」  私は以前、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ法王に、まっとうな宗教といかがわしいカルトの見分け方を聞いたことがあります。オウムは、チベット仏教の知識を取り入れ、麻原がダライ・ラマ法王などと一緒に撮った写真を宣伝に使うなどしていたからです。ダライ・ラマ法王はこう言いました。 「studyとlearnの違いです」 studyには「研究する」という意味もあります。研究するには、疑問を持ち、課題を見つけ、多角的に検証することが必要です。一方のlearnは、単語や表現を教わり、繰り返し練習して記憶する語学学習のように、知識を習い覚えて身につけることを言います。 「studyを許さず、learnばかりをさせるところは、気をつけなさい」 一人ひとりの心に湧いた疑問や異なる価値観を大切にしなければ、studyはできません。それをさせない人や組織からは距離を置いた方がよい、というのが、法王からの忠告です』、「「studyを許さず、learnばかりをさせるところは、気をつけなさい」、さすが「ダライ・ラマ法王」らしく、本質をズバリ突いた含蓄のある言葉だ。

次に、7月29日付けPRESIDENT Onlineが掲載した弁護士の紀藤 正樹氏による「日本は世界最悪のカルトの吹き溜まり…統一教会がデタラメな教義で大金を巻き上げられた根本理由 規制の緩い日本は「世界的な穴場」になっている」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/59842
・『なぜ統一教会は日本で信者を増やせたのか。カルト問題に取り組む弁護士の紀藤正樹さんは「日本はカルトの世界的な吹きだまりになっている。軸となる宗教がなく、信教の自由の幅が大きいために、カルトを規制できず繁栄を許してしまった」という――。 ※本稿は、紀藤正樹『決定版 マインド・コントロール』(アスコム)の一部を加筆・再編集したものです』、「「日本はカルトの世界的な吹きだまりになっている。軸となる宗教がなく、信教の自由の幅が大きいために、カルトを規制できず繁栄を許してしまった」、大変だ。
・『日本にはどのような「カルト」集団があるのか  社会を混乱させ、社会のルールを乱し、社会のモラルを破壊し、最悪のケースでは殺人すら躊躇しないカルトは、多くはありません。 カルトという言葉自体に否定的なニュアンスがあり、しばしば差別的な決めつけに使われることもあって、私がメディアなどで日本の宗教団体をカルトと名指しすることは、めったにありません。 その私が、「カルト」とも評価してよいだろうと思う宗教ないし宗教的集団は、オウム真理教、統一教会などです。 まさに犯罪や反社会的行為という実態をともなっています(した)から、その事実に基づいてカルトと評価してよいと考えます。こうしたカルトが大きくなっていくときは、四つの要素が必要だといわれています。 第1に「教祖」で、霊能者や超能力者と自称することが多いですが、法規範・社会規範を逸脱することをも気にしないし厭わない、世間的に見れば「異常」とも評価できますが、信者から見ると、ある種のカリスマ性を持つタイプの人が一人必要です。 第2に、その人は支離滅裂なデタラメをいいますが、それを教典にうまくまとめる「理論家」が必要です。 第3に、ある程度まとまったおカネをポンと出す「スポンサー」が必要です。おカネは教団を拡大する起爆剤となりますが、この最初の「スポンサー」も被害者であることがしばしばあります。 第4に、信者を勧誘してくる力のある「営業マン」が加われば、四つの要素がそろいます。このとき、ほんの小さな集団にすぎなかった、いわばカルトの種が、爆発的に芽を吹き出し、本格的なカルトへと膨らみはじめます』、「カルトが大きくなっていくときは、四つの要素が必要」、「四つの要素」とも確かに重要そうだ。
・『日本のカルト問題の原点  日本の霊感商法被害の最大は統一教会によるものだ、と本書で申し上げました。とくに、オウム真理教が壊滅した95年以降は、霊感商法問題にとどまらず、日本のカルト問題の多くは、やはり統一教会がらみが多かったと考えてよいでしょう。 オウム真理教や統一教会というカルトになってくると、既存宗教の寺や教会にあたる道場や施設にも信者を住まわせます。こうした施設は修行や祈りの場というだけでなくて、労働や生活の場。親が入信したら、何も知らない幼い子どもまで連れていかれるという世界も現出します。 ここで、カルトに引き込まれて深いマインド・コントロール状態にある人を、いかにして教団施設から引き離し、取り戻すかが大問題となります。その始まりは日本では、やはり統一教会でした。 統一教会は、日本と韓国の間に国交がなかった1958年に宣教師を密入国させ、日本で伝道を始めたといわれています。59年に日本統一教会が創立されると、高校生や大学生などの若者を中心に「原理運動」が活発におこなわれました。統一教会の学生向け布教団体が原理研究会(「CARP」という言い方もします)です。 統一教会は、早稲田大学や東京大学をはじめとする大学を舞台に、「聖書に興味はありませんか」とサークル活動を装って勧誘を繰り返し、学生たちを原理研に引きずり込んだのです。研修は合宿生活を通じておこなわれるため、家に帰らない学生が増大し、62年には原理運動対策父母の会ができました。 これが1967年に新聞に取り上げられて社会問題になったのが「親泣かせの『原理運動』」です。これこそが日本のカルト問題の原点といえるでしょう』、「親泣かせの『原理運動』」、僅かに記憶に残っている。
・『統一教会に破壊された親子の関係  統一教会の大学における勧誘は、今日も続いています。統一教会に入信する学生の多くは、このルートで引きずり込まれた若者たちです。 親が子どもを探して連れ戻そうとすると、組織的に行方不明にしてしまうことも統一教会の常套手段です。 たとえば大阪で勧誘された学生の親が猛反対していると、統一教会はその子を東日本にある施設に移し、隠してしまいます。統一教会本部に行って問い合わせると、「知らない」などといいます。信者登録カードがあって信者は管理されていますから、知らないはずはありませんが、居場所はわからないとウソをつくのです。 移した先の「ホーム」と呼ばれる施設でも、バレないように偽名を使わせたり、外に出て勧誘する仕事ではなく「食当」という食事当番を担当させたりします。統一教会のホームは、最盛期には全国に1000カ所はあり、現在でも数百カ所以上あるのではないかと推測されますが、住所は公開されていません。なお、公にしている教会は約290あり、こちらはホームページをつくるなどして住所を公開しています。 このような統一教会の家族破壊にあって、子どもが何年も消息不明で悩んでいる親も数多くいます。これは、その子が親のことを何も考えず、親を見捨てて行方不明になったわけではなく、親が地獄に堕ちて苦しまないように、自ら行方不明になっているのです』、「親が子どもを探して連れ戻そうとすると、組織的に行方不明にしてしまうことも統一教会の常套手段です。 たとえば大阪で勧誘された学生の親が猛反対していると、統一教会はその子を東日本にある施設に移し、隠してしまいます。統一教会本部に行って問い合わせると、「知らない」などといいます」、信じ難い不誠実さだ。「その子が親のことを何も考えず、親を見捨てて行方不明になったわけではなく、親が地獄に堕ちて苦しまないように、自ら行方不明になっているのです」、「子ども」なりに考えて、あえて親不幸をしているようだ。
・『マインド・コントロールの恐ろしさ  どういうことかというと、信者は、統一教会の活動を続けなければ自分は地獄に堕ち、親も死んで地獄に堕ち、先祖もみんな地獄に堕ちて苦しんで二度と這い上がることはできない、と教え込まれているのです。 自分は磔になったイエスの心をもって捨て石となり、「氏族メシア」として親も含めた氏族全員を救わなければならないと信じ込まされている。だから、親に会いたくないとか親を否定するのではなく、親を救うために、親から隠れて活動を継続する。親も子に会えずに苦しむが、子も苦しみながら姿を隠す。なんとも非人道的で不条理な話だと思いますが、これが現実です。 統一教会の例を見ていると、もともとが優しく親思いで、生真面目で、悪いことなど微塵もしそうにない、ようするにとても誉められる人格を持っている子どもほど、統一教会の活動に熱中してしまうことがよくわかります。 つねに心底、人のため親のためにやっているので、弱者からなけなしのおカネをだましとっても平気です。カネを持つこと自体が財の因縁にとらわれているから、それを解いてあげればその人の功徳になり地獄に堕ちないですむという発想だからです。オウム真理教のポアと同じです。 本人は、「自分はこの人をだましておカネを取る」ということはわかっていますが、罪悪感がほとんどありません。罪悪感を持たないようにマインド・コントロールされています。自立した主体的な考えを持たず、教祖と教義に依存するよう仕向けられています。 信仰というのは本来、依存的なものではなく主体的なものです。どの教会でもお寺でも「依存せずに自立しなさい」というはずです。ところがカルトのやっていることは、まったく逆。信者から主体性を奪い、依存しなければ生きていけない多くの人間を、日々組織的に生み出すのがカルトだ、ともいえます』、「信仰というのは本来、依存的なものではなく主体的なものです。どの教会でもお寺でも「依存せずに自立しなさい」というはずです。ところがカルトのやっていることは、まったく逆。信者から主体性を奪い、依存しなければ生きていけない多くの人間を、日々組織的に生み出すのがカルトだ、ともいえます」、不通の宗教とは逆に、「信者から主体性を奪い、依存しなければ生きていけない多くの人間を、日々組織的に生み出すのがカルトだ」、罪作りなことだ。
・『弱い者から切り捨てる…カルトは本当の宗教なのか  統一教会が桜田淳子さんを広告塔として利用できると考えて特別扱いした戦略的、合理的な思考は、まったく逆の方向にも向いています。つまり、カルトは、信者が使い物にならなくなると、情け容赦なくあっさり切り捨ててしまいます。 ある宗派が、本当に人助けのために信仰を広めているのであれば、あまりおカネのない人からおカネをむしり取るようなことはしないでしょう。そのような宗派は、ちゃんとした宗教に育っていくだろうと思います。 ところが統一教会のようなカルトは違います。比較的おカネのない若い人からも、おカネを取ります。もともと持っている額が少なく、ある程度以上は取れませんから、今度は街に送り出しておカネを集めさせます。 比較的おカネのある高齢の人からは、もっとおカネを取ります。どんどんおカネを取ってもう取れないとなると、伝道の対象者からははずし、捨ててしまいます。高齢者は労働力としての価値がないからです。 オウム真理教も、地下鉄サリン事件のあと、高齢の出家信者を追い出していきました。一生面倒を見るからといって、全財産を貢がせて出家させたおじいちゃんおばあちゃんたちを、搾れるだけ搾ったらもう用済みとばかり捨てました。 つまりは、つねにカルトの教祖や教団が第一で、利他ではなく私利私欲で動いているのです。伝統的な一般の宗教と、この点がまったく異なります。) 宗教は普通は弱い人に手を差し伸べるもので、身障者や精神を病んでいる人、判断能力の減退している人などの弱者に対し、健康な人以上に気をかけ、支援するものですし、そう期待されていると思います。 ところが統一教会の伝道の実態は、お金があれば別ですが、そういう社会的弱者を最初から救済の対象にしないのです』、「比較的おカネのある高齢の人からは、もっとおカネを取ります。どんどんおカネを取ってもう取れないとなると、伝道の対象者からははずし、捨ててしまいます。高齢者は労働力としての価値がないからです」、「統一教会の伝道の実態は、お金があれば別ですが、そういう社会的弱者を最初から救済の対象にしないのです」、酷い話だ。
・『日本は「世界的なカルトの吹きだまり」になっている  統一教会は、世界190カ国以上に進出していると豪語しています。全世界の信者の数は、せいぜい数十万人というところでしょう。 このうち日本の信者の数はせいぜい数万人規模ですが、それでも日本は世界でも信者数が多い国と思われます。そして出家信者(統一教会では「献身者」と言っています)の数では、ほとんどが日本人ではないかと思います。というのは、韓国にいる信者のうち関連企業などで働く社員は出家信者ではありませんから。 統一教会というカルトは日本でもっとも繁栄し、霊感商法や献金集めで巨大な収益を上げているわけです。そんな国は、日本以外にはありません。 オウム真理教は、東京の住民を万人単位で無差別殺傷してよいのだと考えて化学テロを実行し、実際に5500人以上を死傷させました。そんなことができた国も、日本以外にはありません。 そのうえ、最近、統一教会の被害者と思われる容疑者が、安倍元首相を銃撃して殺害するという深刻かつ重大な事件がおこってしましました。世界を騒がせるカルトに関する事件が、たった30年程度の間に2回もおこる国も世界で日本だけです。 日本が世界の中でもカルトに対する規制が甘いから、統一教会が多くの被害者を生み出し、オウム真理教が数千人を巻き込む無差別テロを実行できたのです。日本という国はカルトの穴場で、カルトの世界的な吹きだまりになっています。これは、きわめて深刻な問題です』、「世界を騒がせるカルトに関する事件が、たった30年程度の間に2回もおこる国も世界で日本だけです」、本当にみっともないことだ。
・『法的規制も、社会的規制も緩すぎる  日本では多くの家で、キリスト教徒ではないのに、クリスマスにはツリーを飾ってお祝いをします。神道を信仰しているわけではないのに、正月には神社へ初詣にいき「賽銭」という献金をします。 仏教徒ではないのに、その前日の大晦日にはお寺で除夜の鐘をついたりもします。七五三は神社に行き、結婚式は教会で挙げ、葬式はお寺と、考えてみればムチャクチャです。 日本人は、宗教にはきわめて寛容で、悪くいえばだらしない感じすらします。 もちろんこれは、柔軟で融通がきくとか、新しもの好きで好奇心も旺盛だとか、日本人のよいところの表れですから、一概に否定すべき話ではありませんが、それにしても、という印象を受けます。 結局、日本には宗教のオーソドキシー(正統的な信仰)がない、つまり基準となる背骨のような宗教がなく、信教の自由の幅が大きいために、カルトを問題視したり監視したり批判したりすることが少ないのです。だから、カルトが繁栄してしまいます。 別の言葉でいうと、世の中の規制に「法的規制」と「社会的規制」があるなかで、日本にはカルトに対する社会的規制がほとんどなく、機能していないわけです。そのうえ均質社会の日本は、以心伝心という言葉があるように、法律やルールはあまり細かく決めなくてもよいという考え方が根強く、法的規制も緩みがちです。このような考えが背景にあり、統一教会と政治家との癒着を生んだ可能性があります。 欧米は、キリスト教が主流ですから、カルトに対して社会的規制が働きます。そのうえ欧米はルール重視の社会ですから、法的規制も厳しく働きます。 カルトの穴場にも吹きだまりにもなっている現在の日本の状況を、どう変えていけばよいのか。このままでよいとはとても思えません。 安倍元首相の銃撃事件を契機に、きちんと国政の場で、カルトの発生原因を突き詰め、どうすればカルト被害を防止できるのか、カルトをなくすにはどうすればよいのか、どのような対策が必要なのか、などをきちんと検討し、答えを出すときが来ていると思います。もはやカルトを放置できないと思います』、法律家や宗教学者らを中心に、「カルト対策」を幅広く検討する場を設けるべきと思うが、「統一教会」の影響を強く受ける自民党をいかに巻き込むかが難題だ。

第三に、7月24日付けAERAdot.「この世はサタンに毒されている、ハルマゲドンが来れば楽園に行ける…「カルト2世」が明かす生きづらさと解けない呪縛」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022072200011.html?page=1
・『安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)。母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に多額献金した結果、家庭が崩壊したことで、教団への恨みが凶行の動機につながったと見られている。山上容疑者は、いわゆる“宗教2世”だ。信仰の種類や教義にかかわらず、親が信じる宗教を自分も信じなければいけないという点は共通しており、親の宗教や信仰によって精神的、経済的に追い詰められたり、現実生活や人生設計が思い通りにいかない「2世」は少なくないとされる。AERA dot.では昨年、「カルト2世に生まれて」として、親の信仰によって苦悩し、生きづらさを抱えた2世たちのインタビューを短期連載した。2世たちの声を改めて再掲する(年齢、肩書などは記事掲載時のもの)。 ※カルトは「宗教的崇拝。転じて、ある集団が示す熱烈な支持」(大辞泉)とあり、本稿でもその意味で使用している。親が子に信仰の選択権を与えないほどに熱狂的な信者であり、そうした家庭環境で育った子どもを「カルト2世」と定義している。本稿は教団の教義や信者の信仰を否定するものではなく、一部の2世が感じている“生きづらさ”に焦点を当てることを目的としている。 「私は両親の宗教がなかったら、ありえなかった命です。だから生まれ育った環境が“普通”で“当たり前”だと、ずっと思って生きてきました。でも、宗教のない家だったらよかったのに、と他の子の家がうらやましかった……」 田代まゆみさん(39・仮名)は、自身の子ども時代をそう語る。 まゆみさんの両親はある教団の信者で、まゆみさんは生まれた時から教団の影響を受けて成長した「カルト2世」だ。 カルト2世として生まれた子どもは教団の教えと、その特有の価値観に基づいて育てられるため自分で環境を選べない。そのため友人関係や恋愛、部活動、学校行事、進学・就職、結婚など人生におけるさまざまな場面で、自分の意思とは異なる選択を強いられたり、葛藤や苦悩を味わったりすることが多い。 こうした違和感や生きづらさは、これまであまり外に向けて語られることはなかったが、SNSの発達により2世同士の交流の場を持てるようになり、当事者同士が本音を漏らせる環境が少しずつできてきた。それに伴い、ここ数年は「カルト2世」たちの内なる叫びをつづった漫画や手記なども出版され、ドキュメンタリー番組などでも扱われるようになったことで世間の認知も広がりつつはある』、「「カルト2世に生まれて」として、親の信仰によって苦悩し、生きづらさを抱えた2世たちのインタビューを短期連載した。2世たちの声を改めて再掲する」、なかなかいい企画だ。「カルト2世として生まれた子どもは教団の教えと、その特有の価値観に基づいて育てられるため自分で環境を選べない。そのため友人関係や恋愛、部活動、学校行事、進学・就職、結婚など人生におけるさまざまな場面で、自分の意思とは異なる選択を強いられたり、葛藤や苦悩を味わったりすることが多い。 こうした違和感や生きづらさは、これまであまり外に向けて語られることはなかったが、SNSの発達により2世同士の交流の場を持てるようになり、当事者同士が本音を漏らせる環境が少しずつできてきた」、「SNS」で繋がりが出来たとはいいことだ。
・『もともと一般的な常識とはかけ離れた価値観で育てられたまゆみさんは、学校へ通うようになると苦痛と恐怖のくり返しに変わり、次第に自分の考え方や日常生活が同級生とは異なる現実に戸惑い、心を悩ませることになる。 「友達と誕生日もお祝いしてはダメ、テレビはなく、漫画などもすべて父と母が検閲して許可されたものだけ。友達になるのも父から許可が下りた人だけで、『サタンの悪影響がある』『頭が悪くなる』という理由でその子の家では遊んではいけない。学校で七夕の飾りをしても、神の教えに反するからと飾れない……。」 まゆみさんは小学校に入学する前から、“この世には善と悪の2種類しか存在しない”という二元的な思考と“愛されるには一定の要求を満たさねばならない”という教えを親からたたき込まれ、その手段の一つとしてゴムホースや皮のベルトでお尻をたたかれていたという。 「たたくことで悪魔を追い出せるといいますが、親からの体罰は屈辱と恐怖以外の何物でもありません。思い出すと手が震えることもありました。でも、屈辱と恐怖と裏腹に、私は自分が異性の前で下半身をさらされて親にたたかれたり、目の前で他の子たちがやられたりしているのを見てつらかったはずが、いつの間にか性的興奮に結び付くようになっていました。そんな記憶を喚起したことで、こんな感情になる自分が気持ち悪くて、こんな自分にした宗教団体と親をどういう気持ちで受け入れていいかわからなくなっていました」 「カルト」は、ある日突然誰かの日常に入り込んでその後の人生を大きく左右する。その親に育てられた2世は、親や教団側からの強い働きかけ、特有の価値観で縛られ、教団の教理と価値観が『絶対』であり、それがすべてだと教え込まれる。しかし、その宗教から離れた後も生きづらさを抱えてしまう。本人からは言い出しづらい過去であるがゆえに、周囲から理解されるのはなかなか難しい。だから、未来にも不安が残る』、「その親に育てられた2世は、親や教団側からの強い働きかけ、特有の価値観で縛られ、教団の教理と価値観が『絶対』であり、それがすべてだと教え込まれる。しかし、その宗教から離れた後も生きづらさを抱えてしまう」、誠に気の毒な境遇だ。
・『山岡美保さん(35・仮名)は、教団から離れて10年以上になる。物心ついた時から20年間も信仰し続けた宗教は、家族全員を巻き込み、そして壊していった。 「10年という長い時間がたった今でも、私たち家族の問題は解決していません」 美保さんの母親は、美保さんの5歳年上の兄を出産後すぐに宗教と聖書の勉強に熱中した。そして、美保さんを妊娠中に洗礼を受けて信者になったという。 「母は早くに自身の兄と姉をがんで亡くしています。それゆえ自分の家族は健康で幸せでいてほしいという願望が人一倍強かったようです。だから病気で苦しむのはサタンのせいで、この世はサタンに毒された人たちばかりだけれども、いずれハルマゲドンで世界が滅びれば信者は楽園へ行ける、という教団の教えにのめり込んでいったのだと思います」 夫を愛し子どもをかわいがっていた母親は、いつしか「神様第一」に変わっていった。その頃から、父親が帰宅する時間になっても家には誰もおらず、母親は子どもたちを連れて教団の集会へ行っていることが多くなった。 そして、家族には亀裂が入り始める。普段は無口で物静かな父親が、いきなり部屋のふすまを何度も殴って、ビリビリに破り捨てたという。 「父の前では宗教はタブーなんだと思い知りました。それから間もなく、父から『お母さんと一緒にいて、このまま宗教を続けるのか、それともお父さんと一緒にいるか、どちらかを選びなさい』と言われました。まだ物心がついたばかりの私は、何を言われているのかもわかりませんでしたが、しばらくすると父は家に帰らなくなりました」 それ以来、父親は家族と別々に暮らすことになったが、最低限の生活費だけはくれたという。週末には父親の実家に行って家族全員で食事をすることが習慣になっていたが、それも10代半ばで途切れた。 教団では、立場が上の信者がいうことは絶対で、少しでも教団の規律に“ふさわしくない”と判断されれば白い目で見られる。常にお互いを監視し合っているような状況だった。自分の考え、自分の感覚、自分の価値観はすべて無意味で持ってはいけないものとされていたので、美保さんは常に“自分を殺している状態”を求められ、徐々に苦痛を感じるようになったという』、「教団では、立場が上の信者がいうことは絶対で、少しでも教団の規律に“ふさわしくない”と判断されれば白い目で見られる。常にお互いを監視し合っているような状況だった。自分の考え、自分の感覚、自分の価値観はすべて無意味で持ってはいけないものとされていたので、美保さんは常に“自分を殺している状態”を求められ、徐々に苦痛を感じるようになったという」、「2世」にこんあ苦しみを与える「カルト」のマイナス面を、マスコミはもっと取上げるべきだ。
・『「そんな状態で教えられたことをただ信じているのが本当に信仰と言えるのだろうか? という疑問が湧いてきました。何度も年配の人や偉い人に疑問をぶつけて相談してみましたが、言われることは『神のお考えは人間にはわからないのだから、学んで布教しなさい』ということだけ。私がどんな疑問を持っても『考えるな。行動しろ』と一蹴されるだけでした」 こうした疑問を持つ信者は教団のコミュニティーからは疎まれる。まるで“不満分子”のような存在となった美保さんは、その後、教団幹部から積極的に布教活動に参加していないことを理由に布教する資格を奪われ、母は子どもたちを洗礼に導けていないことを責められた。 「幸せになるために始めた宗教なのに、ただただ家族が壊れていくことに母は疲弊していました。しかも幹部の言葉でそれまで自分が行ってきたことがすべて否定されたように感じた母は、ついに『もうやめましょう』と言ったんです。でも、今思えば、私も洗脳されていたのでしょう。やめよう、という母に対して私は『これは試練なんだから、ここで負けちゃいけない!』となぜか奮起していたのです。私は20年間も信じてきたものが“うそ”だと認めるのが恐ろしかったんだと思います」 教団にのめり込んでいった母に従っていた娘、という構図は逆転して、教団から距離を置こうという母親を美保さんが説得するという関係になっていた。 「脱会へ傾いた母に対して教団は態度を一変させ、徹底的に冷徹になりました。でも、その異様な豹変ぶりのおかげで、私も冷静さを取り戻すことができました。あれだけ熱心な信者だった母をやすやすと切り捨てようとする教団とは一体何なのか、という不信感がどんどん膨らんでいきました。そこで、心のどこかで教団を“信じ切れていなかった”自分は間違ってなかったんだと気づくことができて、むしろ気が晴れたというかとてもスッキリしました」 こうして、美保さんが22歳の時に家族は全員脱会した。 美保さんは7年前に仕事仲間の紹介で知り合った夫と結婚し、現在は一児のママとなったが、新たな生活にも“過去”が影を落としている。 「子育てをする中で自分でも驚いたのは、自分の子ども時代がフラッシュバックすることです。子どもが言うことを聞かない時やかんしゃくを起こした時など、気持ちに余裕がないと『私たちが子どもの時にこんなことしたら、ムチでたたかれていたのに』と思い出してしまうんです。私は子どもらしいことをしただけでムチをちらつかされて怖かったのに、この子は自由に子どもらしくいられるのを見ると、うらやましい気持ちと同時に、親や宗教に対してやり場のない怒りが込み上げてくるんです。でもそんな時に、ふと母の気持ちが理解できたような、不思議な感覚にもなるんです」』、「教団にのめり込んでいった母に従っていた娘、という構図は逆転して、教団から距離を置こうという母親を美保さんが説得するという関係になっていた。 「脱会へ傾いた母に対して教団は態度を一変させ、徹底的に冷徹になりました。でも、その異様な豹変ぶりのおかげで、私も冷静さを取り戻すことができました。あれだけ熱心な信者だった母をやすやすと切り捨てようとする教団とは一体何なのか、という不信感がどんどん膨らんでいきました。そこで、心のどこかで教団を“信じ切れていなかった”自分は間違ってなかったんだと気づくことができて、むしろ気が晴れたというかとてもスッキリしました」 こうして、美保さんが22歳の時に家族は全員脱会した」、「母」「子」とも無事脱会できたのは喜ばしいが、かれらにこれだけの苦しみを与えた「教団」を放置すれば、犠牲者が再び生まれていまう。前述の通り「カルト」に対する法的・宗教学的観点から考え方を真剣に検討すべきだ。
タグ:(その7)(友達をカルト宗教から救いだそうとして…心優しい早大生が「坂本一家殺人事件の実行犯」に堕ちたワケ 「自分は大丈夫」という人が一番危ない、日本は世界最悪のカルトの吹き溜まり…統一教会がデタラメな教義で大金を巻き上げられた根本理由 規制の緩い日本は「世界的な穴場」になっている、この世はサタンに毒されている ハルマゲドンが来れば楽園に行ける…「カルト2世」が明かす生きづらさと解けない呪縛) 宗教 PRESIDENT ONLINE 江川 紹子氏による「友達をカルト宗教から救いだそうとして…心優しい早大生が「坂本一家殺人事件の実行犯」に堕ちたワケ 「自分は大丈夫」という人が一番危ない」 江川紹子『「カルト」はすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者たち』(岩波ジュニア新書) 「カルトは正体を隠して近づいてくるため、騙されていることに気づくのは難しい。『自分は大丈夫』と考えないほうがいい」、興味深そうだ。 「『日本書紀』にもカルト集団が描かれていた」、「人々は家の財宝を投げ出し、酒を並べ、野菜や六種の家畜(馬・牛・羊・豚・犬・鶏)を道ばたに並べ、「新しい富が入ってきたぞ」と連呼した。都でも田舎でも、常世の虫をとって安置し、歌い踊って福さいわいを求め、財宝を投げ出したが、何の益もなく損ばかりが極めて多かった」 民が惑わされているのを見かねて、聖徳太子の側近秦河勝はたのかわかつが大生部多を成敗した」、社会秩序を揺るがせにしたので、「成敗」されたようだ。 「浅間山荘事件」、「も、閉鎖的な集団の中で、メンバーが歪んだ価値観に心を支配され、反社会的で命や人権をないがしろにする行動を繰り返したカルト的犯罪」、言われてみれば、7その通りだ。 「イスラム国とオウム真理教の共通点」、確かにありそうだ。 「TOSHI」が「稼いだ金の多くは搾取されていました。その金額は、12年間で10億円以上」、かなり多額だ。 「人間関係に悩んだり、努力が報われなかったり、選択に迷ったりします。病気をする、事故に遭う、父母や友人が亡くなる、恋人と別れる、友達と深刻な喧嘩をする、受験に失敗する、職を失う……こうした予定外の出来事に見舞われることもあります。 そんな時、人はカルトに巻き込まれやすい」、確かにその通りだろう。 「カルトはカルトの顔をして近づいてきたりはしません。たとえば、ボランティア団体を装って、「人の役に立ちたい」と思っている人に接近したりします。なので騙されたことにも気がつかないことが多いのです」、なるほど、複雑だ。 「大人たちにも堂々と伝えればいいのです。それを秘密にしようとするのは、まだマインド・コントロールが十分完成していない段階で、大人に反対され、考え直して脱会してしまうことを恐れているのです」、やはり悪質だ。 「坂本一家殺人事件の実行犯である端本悟も友達を救い出そうとして早稲田大学在学中にオウムに近づき、「ミイラ取りがミイラになる」結果となってしまいました」、まるでウソのような話だ。 まるでウソのような出来過ぎた話だ。 「「studyを許さず、learnばかりをさせるところは、気をつけなさい」、さすが「ダライ・ラマ法王」らしく、本質をズバリ突いた含蓄のある言葉だ。 紀藤 正樹氏による「日本は世界最悪のカルトの吹き溜まり…統一教会がデタラメな教義で大金を巻き上げられた根本理由 規制の緩い日本は「世界的な穴場」になっている」 「「日本はカルトの世界的な吹きだまりになっている。軸となる宗教がなく、信教の自由の幅が大きいために、カルトを規制できず繁栄を許してしまった」、大変だ。 「カルトが大きくなっていくときは、四つの要素が必要」、「四つの要素」とも確かに重要そうだ。 「親泣かせの『原理運動』」、僅かに記憶に残っている。 「親が子どもを探して連れ戻そうとすると、組織的に行方不明にしてしまうことも統一教会の常套手段です。 たとえば大阪で勧誘された学生の親が猛反対していると、統一教会はその子を東日本にある施設に移し、隠してしまいます。統一教会本部に行って問い合わせると、「知らない」などといいます」、信じ難い不誠実さだ。「その子が親のことを何も考えず、親を見捨てて行方不明になったわけではなく、親が地獄に堕ちて苦しまないように、自ら行方不明になっているのです」、「子ども」なりに考えて、あえて親不幸をしているようだ。 「信仰というのは本来、依存的なものではなく主体的なものです。どの教会でもお寺でも「依存せずに自立しなさい」というはずです。ところがカルトのやっていることは、まったく逆。信者から主体性を奪い、依存しなければ生きていけない多くの人間を、日々組織的に生み出すのがカルトだ、ともいえます」、不通の宗教とは逆に、「信者から主体性を奪い、依存しなければ生きていけない多くの人間を、日々組織的に生み出すのがカルトだ」、罪作りなことだ。 「比較的おカネのある高齢の人からは、もっとおカネを取ります。どんどんおカネを取ってもう取れないとなると、伝道の対象者からははずし、捨ててしまいます。高齢者は労働力としての価値がないからです」、「統一教会の伝道の実態は、お金があれば別ですが、そういう社会的弱者を最初から救済の対象にしないのです」、酷い話だ。 「世界を騒がせるカルトに関する事件が、たった30年程度の間に2回もおこる国も世界で日本だけです」、本当にみっともないことだ。 法律家や宗教学者らを中心に、「カルト対策」を幅広く検討する場を設けるべきと思うが、「統一教会」の影響を強く受ける自民党をいかに巻き込むかが難題だ。 AERAdot.「この世はサタンに毒されている、ハルマゲドンが来れば楽園に行ける…「カルト2世」が明かす生きづらさと解けない呪縛」 「「カルト2世に生まれて」として、親の信仰によって苦悩し、生きづらさを抱えた2世たちのインタビューを短期連載した。2世たちの声を改めて再掲する」、なかなかいい企画だ。「カルト2世として生まれた子どもは教団の教えと、その特有の価値観に基づいて育てられるため自分で環境を選べない。そのため友人関係や恋愛、部活動、学校行事、進学・就職、結婚など人生におけるさまざまな場面で、自分の意思とは異なる選択を強いられたり、葛藤や苦悩を味わったりすることが多い。 こうした違和感や生きづらさは、これまであまり外に向けて語られる 「その親に育てられた2世は、親や教団側からの強い働きかけ、特有の価値観で縛られ、教団の教理と価値観が『絶対』であり、それがすべてだと教え込まれる。しかし、その宗教から離れた後も生きづらさを抱えてしまう」、誠に気の毒な境遇だ。 「教団では、立場が上の信者がいうことは絶対で、少しでも教団の規律に“ふさわしくない”と判断されれば白い目で見られる。常にお互いを監視し合っているような状況だった。自分の考え、自分の感覚、自分の価値観はすべて無意味で持ってはいけないものとされていたので、美保さんは常に“自分を殺している状態”を求められ、徐々に苦痛を感じるようになったという」、「2世」にこんあ苦しみを与える「カルト」のマイナス面を、マスコミはもっと取上げるべきだ。 「教団にのめり込んでいった母に従っていた娘、という構図は逆転して、教団から距離を置こうという母親を美保さんが説得するという関係になっていた。 「脱会へ傾いた母に対して教団は態度を一変させ、徹底的に冷徹になりました。でも、その異様な豹変ぶりのおかげで、私も冷静さを取り戻すことができました。あれだけ熱心な信者だった母をやすやすと切り捨てようとする教団とは一体何なのか、という不信感がどんどん膨らんでいきました。そこで、心のどこかで教団を“信じ切れていなかった”自分は間違ってなかったんだと気づくことができて、むし
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