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教育(その25)(学校で人事評価が始まり「みんな校長のごますりに」【教師座談会・前編】、教職員組合に諫言 「平和や憲法は大事でも、実務がこれでは…」【教師座談会・後編】、角川ドワンゴ「N高」に労基法違反で是正勧告!150人を担任し休憩も取れず) [社会]

教育については、4月17日に取上げた。今日は、(その25)(学校で人事評価が始まり「みんな校長のごますりに」【教師座談会・前編】、教職員組合に諫言 「平和や憲法は大事でも、実務がこれでは…」【教師座談会・後編】、角川ドワンゴ「N高」に労基法違反で是正勧告!150人を担任し休憩も取れず)である。

先ずは、6月7日付けダイヤモンド・オンライン「学校で人事評価が始まり「みんな校長のごますりに」【教師座談会・前編】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/273066
・『『週刊ダイヤモンド』6月12日号の第1特集は「教師大全 出世・カネ・絶望」です。文部科学省は教師の仕事の魅力を広めようと、Twitter(ツイッター)で「#教師のバトン」のハッシュタグを付けた発信をするように現場へ呼び掛けました。ところが教師たちは過酷な現場の惨状をどんどん投稿し、プロジェクトは大炎上。特集では、絶望を深める現場とともに、出世や人事、給与の面で教師の実態に迫り、彼らが抱える問題を多方面からえぐり出しました。このテーマの下、現役教師たちが内情を赤裸々に語る覆面座談会をお届けします。(Qは聞き手の質問)』、興味深そうだ。
・『A?Dまでランク付け その評価が給料に反映される  Q:2016年に教師の能力や業績を評価する人事評価制度の導入が義務化され、全国の自治体に広がりました。実際に現場ではどんな評価が行われていますか。 九州の公立学校教師A A?Dまでランク付けされて、その評価が給料に反映されます。上のお気に入りはいい評価になりやすいっていうのは、一般企業みたいな感じですよ。 首都圏の公立中学校教師B 昔、学校の職場は「座布団型」と呼ばれる組織で、校長と教頭以外はみんなフラットでお互いフォローし合うかたちになっていました。それを国がピラミッド組織にしようとする裏には、日教組(日本教職員組合。最大の教職員労働組合)つぶしの狙いがあったと知り合いの校長が言っていました。役職をたくさんつくって、D評価をくず扱いする。そうすれば組合の団結を崩せると。 評価は校長による一方的なもの。こんなに頑張っていますと文書を提出したところで、読む気がない。で、自分の言うことを聞く子分をA評価にする。それが給料に反映されるんだから、結局みんな校長のごますりになります。 一方でこちらが校長を評価することはない。校長を評価するのは、学内での仕事ぶりを知りもしない教育委員会。だから校長は自分に都合のいいピラミッド型、つまりはお気に入り組織をつくれるんです。 Q:A評価の顔触れは? 教師B うちの学校の場合、部活動を仕切る中体連(日本中学校体育連盟。中学生のスポーツ振興を図る財団法人)に関わる教師たちがA評価になっています。 Q:昔の組織を知らない若手教師の中には、民間企業と同じように評価システムがあった方が働きがいがあるという人もいるのでは? 教師B 若い教師はアピールしまくります。勤務時間を超えて何時間も居残って仕事したり、校長に言われれば何でもやる。部活動の顧問も断りません。 Q:どんな評価の内訳になっているんですか』、「自分の言うことを聞く子分をA評価にする。それが給料に反映されるんだから、結局みんな校長のごますりになります」、現場は「人事評価制度」により歪められているようだ。「日本中学校体育連盟・・・に関わる教師たちがA評価」、この組織がそんなに力を持っているのも不思議だ。
・『A評価とD評価は各20% その給料差は10%  教師B 教師のうち20%はA評価。20%がD評価。教師たちは自分がD評価になりたくないから誰かをD評価にしようとおとしめたりする。それに死ぬほど働くし、絶対に上に逆らわない。働き方改革どころじゃありません。 学校の労働問題に詳しい労働組合(労組)関係者D 一般的に公立学校教員の給与には年齢給があるので、成果報酬に徹した民間企業における職務や評価で報酬を決める仕組みとは違います。B先生のところではA評価とD評価で月給にどれくらい差がつくんですか。 教師B 10%ぐらい違ってくるみたい。D評価の削られた給料が高い評価の人の給料に回るので、財政的な痛手はなし。 労組関係者D 公立学校の場合、教師の労働条件は基本的に自治体の条例で決めます。だから自治体によって給料への反映の仕方は違います。 首都圏の私立学校教師C 力量形成は1年で成せるものではないということで長期的に評価したり、教育っていうのはみんなでやる営みであるからとチームワークでの評価を取り入れたり、よくよく考えている自治体もあります。 ※参考…ダイヤモンド編集部による東京都教育委員会へのヒアリングと「東京都教育職給料表」に基づく東京都の昇給モデル例は次の通り。 +職員の区分には「級」と「号級」がある。級は1級(講師など)、2級(教諭)、3級(主任)、4級(主幹・指導教諭)、5級(副校長)、6級(校長)に分かれる。40歳教諭(4年制大学をストレートに卒業して22歳で教員採用試験に合格したと仮定)の場合、40歳時点で77号級に相当し、月給は33万6800円。 +東京都では勤務の成績を5?1の5段階で評価(5が最高)。これを号級に換算すると、最上位は6号級(8700円分)昇給する。上位は5号級(7300円分)、中位は4号級(5900円分)、下位は3号級(4500円分)、最下位は昇給なし。査定は年に1回。懲戒処分はもちろん、病気などで半年以上休むと昇給なしとなるケースがある。 +最上位は教師全体のトップ10%以内、上位は最上位を除いたトップ30%以内に限定される。 Q:学校のピラミッド組織において、校長の力って強いんですか』、「A評価とD評価で月給にどれくらい差・・・ 10%ぐらい違ってくる」、この他に職務での差による違いはないのだろうか。
・『校長、中体連、教育委員会 この誰かに逆らうと「冷や飯」  教師B 校長権限は校内では絶大です。私、校長命令で机を事務室に移動させられ、「そこにいろ」と1年間干されました。他の先生から隔離するというパワーハラスメント。 他にも私の授業をちょっと見に来て、空き時間に校長室に呼ばれて「さっきの授業の話ね……」と授業の指導をするふり。「座ってろ」と言って校長本人は部屋を出ていってしまったりする。 空き時間がつぶされて仕事が終わらず、残業せざるを得なくなる。これ、校長たちの間でよく出回っている手口です。 Q:なんで目を付けられたんですか。 教師B 「部活動をやりません」って言ったことから全てが始まりました。「おまえは中体連に逆らうのか」と怒鳴られた。地域の運動活動に参加しているので「私は地元でやります」と返したら、校長の気に障った。 部活を断ると仕返しがやってきます。他の県で「部活はやりたくない」って言った結果、片道3時間のところに転勤させられたっていう例もあります。 中体連、校長が入る校長会、教育委員会の各組織が同じようなメンツで入れ替わったりするので、この誰かに逆らうと冷や飯を食わされる。異動までさせられちゃう。 Q:ルール的には部活動の強制はできないのでは? 労組関係者D 公立学校において、部活動を強制できないのではなく、“勤務時間外の”部活動は強制できない。現実には、部活ってほとんどが勤務時間外ですけどね。 現場にそれを拒否なんかできる雰囲気はない。民間企業で残業を拒否しづらいのと似たような感覚だと思います。残業分の給料が払われていないところが決定的に違うんですけどね。 私立学校の場合は、労働契約・就業規則でどのようになっているかによります。 教師C うちは部活動に不熱心な学校なので、部活動でどうこうはないですが、校長は権力を握る絶対的な存在。仕事外しは私もやられました。クラスや学年の担当を外されたり、生徒の保護者もいる席で説教を垂れられたり。 教師B 叱責は今ほとんどしませんね。言質を取られるから。やんわりと丁寧に権力を使っていじめてくる。 うちの学校は主任以上が全員、中体連の幹部です。自分たちの仲間を上に引っ張る構造で、上は体育会系ばかり。校長の中には漢字を書けないとか笑っちゃうような人もいます。 このエリアでは校長の3割が体育教科の出身。異様に多い。彼らは残業で部活動を何十時間やろうが、趣味なんで倒れたりしない。一方で体育じゃない教師は部活を強制されると過労で倒れてしまうんです。 教師A B先生のところも、C先生のところも、ものすごいパワハラですね。そこまでパワハラしてたら、うちは組合が動きますよ。 >>6月8日(火)公開の後編に続きます』、「部活はやりたくない」って言った結果、片道3時間のところに転勤させられたっていう例もあります」、「パワハラ」の最たるもので、組合に訴えれば、何とかなるかも知れない。「うちの学校は主任以上が全員、中体連の幹部です。自分たちの仲間を上に引っ張る構造で、上は体育会系ばかり。校長の中には漢字を書けないとか笑っちゃうような人もいます。 このエリアでは校長の3割が体育教科の出身。異様に多い」、信じられないような偏りだ。体育会系であれば、命令への服従など、上司には使い勝手がいいのだろう。

次に、この続き、6月8日付けダイヤモンド・オンライン「教職員組合に諫言 「平和や憲法は大事でも、実務がこれでは…」【教師座談会・後編】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/273298
・『『週刊ダイヤモンド』6月12日号の第1特集は、「教師大全 出世・カネ・絶望」です。絶望を深める過酷な現場とともに、出世や人事、給与の面で教師の実態に迫り、彼らが抱える問題を多方面からえぐり出しました。このテーマの下、現役教師たちが内情を赤裸々に語る覆面座談会の後編をお届けします。(Qは聞き手の質問)』、「後編」も期待できそうだ。
・『若い教師は「日教組に入るな」と親から言われている  Q:教師の労働組合(公立では教職員団体)には、長い歴史を持つ日教組、そこから分裂した全日本教職員組合(全教)、最近では私学教員ユニオンなど、いろいろな組合があります。しかし加入率はどんどん下がり、今や非加入が7割(公立学校教職員の加入状況)で「組合離れ」が起きています。A先生のエリアは組合がパワーを持っているんですか。 九州の公立学校教師A 組織率はとても低くなっていますけどね。 Q:どちらの組合? 教師A 日教組です。私はイデオロギーが入っていて選挙活動もバリバリやる。市、県、国などに議員を出すことを目指します。 でも、職場ではそういう話はできません。田舎で保守的な土地柄なので。若い教師からは「日教組に入るなと親から言われています」とか「組合って政治活動ばっかりしているんですよね」とか言われます。実際にパワハラに遭った人とかは加入してくれるんですが。 私自身も組合に助けてもらった経験があります。組合員は職場の小さな声を拾って組合上層部に上げていく活動を続けているし、歴史が長い分、培った知識は生きてはいます。 世の中に出回っている組合のネガティブな話を耳にした若い人たちが「組合って駄目なんだな」と思い込んで参加してくれないままだと、衰退していくよねと思ったりします。 Q:A先生自身や周囲は職場の労働環境改善にも取り組んでいるにしても、日教組に限らず年配の組合幹部にはイデオロギーの活動ばかりの人がいませんか。 首都圏の私立学校教師C 現場の中で感じるのは、失礼ながら先輩幹部たちの実務的な能力が弱いこと。労働協約(使用者と労働組合の間の取り決め)なんて結ばなくたって口約束で大丈夫だと言ってきたり、就業規則や法律系の知識がない。恐ろしいぐらいに。 介護のために短時間勤務できるはずなのに、組合員に対して、「いや~、就業規則にないから駄目ですね」と言って退職させちゃうなんてことが起きているんですよ。 平和だとか憲法だとかは大事でしょうが、実務の力がこれでは「何だよ、職場の労働問題も解決できないのに」と見られてしまう。同僚たちから信頼を得られない。 学校の労働問題に詳しい労働組合(労組)関係者D それはまっとうなお話なんじゃないですか。私は組合の人に言ったことがあるんです。平和だとか憲法問題で国家権力と闘っているけど、もっとわがままに自分や身近な仲間を守る闘いをすればいいじゃないかって。嫌みでなく、本心から。 あのときは私、誤解していました。大きい敵だから彼らは気楽に物が言えたんですよね。身近な敵と闘ったら、攻撃を食らってしまう。 首都圏の公立中学校教師B Dさんの言う通りなんですよ。私はアウトロータイプでつるむのが好きではなくて組合に入っていないんですが、私がパワハラに遭っているとき、組合の人は見て見ぬふりでした。日教組も頼りにならなくて、校長や管理職とつながって私に嫌がらせをする人もいました。 教師C 若い子たちは組合ってなんか怖いなと思っている一方で、頼れるものが欲しいとも思っています。「教職員組合はアカだ!」みたいに悪く宣伝する勢力もあるけど、そんなものを乗り越えられるぐらいに、職場で教師が生きるために必要な存在であると認識してもらえるか。そこが勝負どころだと私は思います』、「今や非加入が7割・・・で「組合離れ」が起きています」、「介護のために短時間勤務できるはずなのに、組合員に対して、「いや~、就業規則にないから駄目ですね」と言って退職させちゃうなんてことが起きているんですよ。 ・・・実務の力がこれでは「何だよ、職場の労働問題も解決できないのに」と見られてしまう」、「組合」は身近な問題にもっと力を入れるべきだろう。
・『非正規はへつらわないと正規になれない圧力  学校の労働問題に詳しい労組関係者E 若者の視線で言えば、非正規雇用の教員が増えており、組合がその受け皿にどれだけなっているのかというのも大事ではないですか。今の私立学校では、卒業後にストレートで専任(正規職員)になれる道は細くて、4割が非正規雇用。正規雇用というニンジンをぶら下げられながら働き、合理的な理由もなく雇い止めされて学校を転々としています。 教師C うちの組合は、ハラスメントがあってもすぐに辞めないように相談を受けたり、職能を身に付けて正規の登用試験に受かるようにサポートしたりしている。そうした経験を経た教師は、非正規の人たちに対する良いまなざしを持っていますから、一緒に非正規の問題に取り組んでくれる。そういう戦略でやっています。 教師B 若い非正規教師は、常にへつらっていないと正規になれないなっていう圧力を感じていると思います。校長の推薦があれば正規になりやすいですから。 教師C 教師のブラック問題の構造って、この座談会で出てきた昇給の査定だとか、非正規から正規になれるか否かとか、そういうところでしっぽ振り競争をするような構造が出来上がっている。特に非正規教師はしっぽを振らないとご飯を食えないから、いやが応でもなびいて、無理して働かざるを得ません。 労働組合はそれに対して力を発揮できているかというと、うまくできていない感じがします。 労組関係者E 正規だと年功処遇で安定しているけれど、非正規は同じ仕事をしているのに年収で200万円ぐらいしかもらえなかったりする。若い世代が切実なのはそういうところにあります。ここの受け皿になるのが労働組合を再生するきっかけにもなるんじゃないでしょうか』、「今の私立学校では、卒業後にストレートで専任(正規職員)になれる道は細くて、4割が非正規雇用。正規雇用というニンジンをぶら下げられながら働き、合理的な理由もなく雇い止めされて学校を転々としています」、「うちの組合は、ハラスメントがあってもすぐに辞めないように相談を受けたり、職能を身に付けて正規の登用試験に受かるようにサポートしたりしている」、「非正規」の「受け皿になるのが労働組合を再生するきっかけにもなるんじゃないでしょうか」、その通りだろう。
・『Q:労働問題を抱えながらも、お三方はなぜ教師を続けるのですか。 教師A 私はもともと子どもが好きで、子どもたちと一緒に楽しくやっていきたかったので。教師って業務の範囲が広いから、忙しいけれど楽しめる面もある。 教師B 私が就職した当時、教師は裁量労働制が一番進んだ労働形態でした。部活指導やデスクワークの残業も多くて、時には深夜まで働くこともあった。それでもテスト期間の午後とか夏休みとか、裁量労働で休めました。ところが今は、「勤務時間を守りましょう」となった。残業代も出ないのに。もっと給料が良くて首にならない仕事があるならそっちをやりますよ。 教師C 教師は社会的に意味のある仕事という認識があるのと、仕事としてやっぱり面白い。教え方を工夫すると子どもの反応が良いものも悪いものもいろいろ出てくることにすごく面白みを感じるんです。先輩たちがいろんなものを積み重ねて、実践や手法を編み出したのを学ぶのも楽しかった。 今、大変な中でも続けているのは、子どもたちは教師の鏡みたいなところがあると感じるから。大変でも自分で手を動かしてやっていくということを、教師がしっかりやらなくちゃいけないと考えています』、「テスト期間の午後とか夏休みとか、裁量労働で休めました。ところが今は、「勤務時間を守りましょう」となった」、現実には下記リンクのように、「夏休み」期間中も勤務し、「研修会」「講習会」『研究大会」などが、この時とばかり開かれるようだ。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1367648423

第三に、6月13日付けダイヤモンド・オンライン「角川ドワンゴ「N高」に労基法違反で是正勧告!150人を担任し休憩も取れず」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/273873
・『インターネットで学べる高校として日本一の生徒数を誇る角川ドワンゴ学園の「N高」が労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かった。ダイヤモンド編集部では『週刊ダイヤモンド』6月12日号の第1特集「教師大全 出世・カネ・絶望」で、教師1人で150人の生徒を担任するといったN高の過酷な労働の実態を報じていた』、いくらインターネットを活用するとしても、「教師1人で150人の生徒を担任」はやはり多過ぎるようだ。
・『残業代の支払いが不適切 労基法違反で是正勧告  「N高等学校(N高)」を運営する角川ドワンゴ学園が亀戸労働基準監督署(東京・江東区)から労働基準法違反に基づく是正勧告を受けていたことが分かった。N高教師に対する残業代の支払いが不適切だったことなどに対して、5月19日付で是正勧告が出されたもので、この教師らが加入する労働組合の私学教員ユニオンが6月11日に都内で会見を開いて明らかにした。 ダイヤモンド編集部では『週刊ダイヤモンド』6月12日号の第1特集「教師大全 出世・カネ・絶望」で、教師1人で150人の生徒を担任するといったN高の過酷な労働の実態を報じていた。 インターネット授業と通信制高校の制度を組み合わせた“ネットの高校”である角川ドワンゴ学園の「N高等学校(N高)」は2016年4月に開校した。ビジネス界の著名人、教育界の大物、革新的な取り組みで実績を持つメンツを幹部にそろえる人気校で、生徒数は1万7000人超(21年5月時点)と日本一だ。 N高には、高校卒業要件を満たすために年5日間スクーリング(通学)する以外は全てインターネットで完結する「ネットコース」、全国にあるキャンパスに通う「通学コース」などがある。 ネットコースを担当する教師は、スクーリングに対応しながら担任業務をこなす。担任業務は、チャットツールのSlack(スラック)や電子メール、電話などを使った生徒への対応やビデオ会議ツールのZoom(ズーム)を使った面談、保護者対応などだ。加えて「レポートを年に1万件以上採点している」(N高教師)という。 是正勧告が出された背景には、こうした業務に追われて長時間労働が続く過酷な労働実態があった』、「この教師らが加入する労働組合の私学教員ユニオン」が支援しているようだ。
・『当該教師は実質的な残業が約90時間 過労死ラインを超えていたと主張  是正勧告は複数項目におよび、その一つは残業代の支払いが不適切だった点にある。労基署に通報した教師の場合、20年10月における所定時間外労働24時間分に対する賃金支払いが、本来支払われるべき金額よりもはるかに少なかった。学校側は、年度内に振替休日を取得することを前提に支払っていたためと弁明しており、是正勧告を受けて改善するという。 また、スクーリング授業の際に休憩時間が取れていない点について勧告が出された。これに対しても学校側は運営方法を見直すとしている。 当該の教師は、20年10月における実質的な残業が過労死ラインを超える約90時間に及んだと主張している。担任として約150人の生徒を受け持った上に、スクーリング授業に追われ、授業の合間に休憩を取ることはほぼできなかったという。なおN高は固定残業手当(みなし残業代)を設けており、40時間分は固定残業の範囲となる。 教師側からは「きちんと(生徒の)相談に乗れるように担任数の減少を望んでいる」との声が挙がる。教師の受け持ち生徒数は150名(1・2年次を受け持つ場合)がほぼ標準になっていることについて、学校側は「適正な数である」と認識している。 「専門チームによるオンライン授業を取り入れているため、教員の授業担当の負荷は全日制高校とは異なる」とし、ICT(情報通信技術)を活用した業務の効率化を図り、進路指導、部活動、事務作業、生徒指導等を行う専門・支援チームを設け、担任教員の負荷を減らす分業を進めているという』、「20年10月における実質的な残業が過労死ラインを超える約90時間に及んだと主張」、他の月はどうなのだろう。
・『Slackの通知音や着信音が幻聴で聞こえてきた  会見に出席した教師たちは「長時間労働、残業代不払いは教員業界全体に広がる普遍的な問題。特にN高は利益ばかりを追い求める中で、教員の労働問題だけでなく教育の質の劣化によって生徒、保護者も犠牲になっている」と訴えた。 このうちの一人は「給与はほぼ最低賃金。拠点で授業満足度1位になっても給与に反映されず、退職金もない」とし、今後の生活への不安をのぞかせた。 また、最近退職した教師は「業務過多で日に日に疲弊し、ピークで忙しかった時期には、休日にもSlackの通知音や着信音が幻聴で聞こえてきたり、エアコンの音が着信音に聞こえることがあった」と嘆いた。 学校側は「教員の過重労働や待遇改善を目指して、分業化やIT化、残業時間の削減を積極的に行っているという自負を持っている」としている。 是正勧告を機に、教師側と学校側の間にある隔たりを埋められるか。ICT活用と分業化で、働きやすい環境と教育の質の両方を高めたいという理想を共に目指せるか否か、その分岐点に立つ』、「N高は利益ばかりを追い求める中で、教員の労働問題だけでなく教育の質の劣化によって生徒、保護者も犠牲になっている」、「学校側は」強弁しているが、「是正勧告」が出るからには、よほど酷いのだろう。「教育の質の劣化」は今後の生徒募集に影響して来るのではなかろうか。
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不登校(その2)(「孫の不登校」に祖父母が取った意外すぎる行動 右往左往する母親を尻目に…、急増する不登校の子どもたち…「学校に行きたくない」に求められる3つの親の対応、有名中高一貫校の不登校生が通う施設の持ち味 元校長らが支援 修学支援センターに集まる志) [社会]

不登校については、2019年12月19日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(「孫の不登校」に祖父母が取った意外すぎる行動 右往左往する母親を先ずは…、急増する不登校の子どもたち…「学校に行きたくない」に求められる3つの親の対応、有名中高一貫校の不登校生が通う施設の持ち味 元校長らが支援 修学支援センターに集まる志)である。

先ずは、昨年12月16日付け東洋経済オンラインが転載した不登校新聞「「孫の不登校」に祖父母が取った意外すぎる行動 右往左往する母親を尻目に…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/393115
・『息子は覚えているでしょうか。 幼かったころ、誕生日会を開くとお友だちが押し寄せて超満員になるほどでした。 土曜日になれば、必ずと言っていいほどお友だちの家に泊まりたいと言い出し、実際に泊まってきてしまいました。それだけでなく、夏休みになれば、お友だちどうしでのキャンプ、プール、お祭り……。 あるときは、お友だちが自転車のカギをなくしたため、みんなで自転車を担いで帰って来たこともありました。あまりに帰りが遅くなったので、私は叱りながらも「お友だち思いだな」と感じていました。中学に入れば部活動が忙しく、休みもなく朝7時から家を出て行きました』、かつては、ずいぶんいい子だったようだ。
・『笑わなくなった息子  本当によく頑張っていたと思います。なのに急に中学2年生から学校へ行けなくなりました。外へ出られなくなり、お友だちにも会わなくなり、笑わなくもなりました。 原因もわからず慌てた私は、とにかく息子を変えようとがんばりました。だって学校へ行かずゲームばかりなんです。 朝、起きない息子を蹴とばしたり、叩いたり、下心から優しい言葉を使ってみたり。そんなことをしても息子は責められている気持ちになるばかりで意味のないことでした。 息子が頼ったのは、私の両親、息子にとっては祖父母でした。ある日、息子は祖父母に「家を出て暮らすにはどうしたらいいのか」「どれぐらいのお金が必要なのか」と聞いたそうです。 祖父母は息子の要望を聞いて、それに見合った職種を一つひとつ丁寧に説明してくれたそうです。 その後、息子は面接へ行き、働くようになって2年目になりました。祖父母はいつも、息子はとても素直な子で、おかしいのは母親の私だと言います。あんなにも怖くて厳格だった祖父は、優しいおじいちゃんになり、息子については「こんなにかわいくていい子はいない!」と言います。そういう眼で見ていたから、息子も祖父母を頼る気になり、変わるためのアドバイスを受けいれたのだろうと思います。(愛知県・平井雅美)』、「急に中学2年生から学校へ行けなくなりました」、この原因について、学校の担任の先生に尋ねたのだろうか。いきなり「祖父母」が登場してきたのには違和感がある。不登校になった原因が触れられてないので、「祖父母」のアドバイスが適切だったのかも判断し難い。

次に、本年5月5日付け現代ビジネスが掲載した『不登校新聞』編集長の石井 志昂氏による「急増する不登校の子どもたち…「学校に行きたくない」に求められる3つの親の対応」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82714?imp=0
・『「学校に行きたくない」という子どもが増えるというGW明け。とくにコロナ禍の不安定な状況にあって、学校生活だけでなく様々な側面で不安を抱え、精神的なストレスを感じている子どもが増えています。 もし、自分の子どもが「学校に行きたくない」と言ったら…。子どもはどういう気持ちなのか、そして保育者はどう対処すべきなのかーー『不登校新聞』編集長であり、不登校の問題に20年携わっている石井志昂さんに寄稿いただきました』、興味深そうだ。
・『増え続ける不登校の子どもたち  ある日突然、子どもが「学校へ行きたくない」と親に相談することは珍しくないようです。 雑誌『LEE』(集英社)の読者アンケートによれば、「子どもから学校へ行きたくないと言われたり、子どもが学校へ行かなくなったことがある」と答えた親は、回答者全体の55%いました(※『LEE』2019年11月号。2019年8月1日~8月9日にLEEweb会員LEEメンバー452人回答)。およそ半数の親は不登校や行き渋りに悩んだことがあるそうなんです。 国の調査によれば、2019年度、不登校の小中学生は約18万人(※文科省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。少子化で子どもの数が減るなか、不登校の子は7年連続で増え続け、2019年度の調査では過去最多を更新しました。 不登校の要因・背景のトップは「いじめを含む人間関係」で約半数を占めています(※文科省「不登校に関する実態調査」)。これに続くのが「勉強がわからない」が1/3、「生活リズムの乱れ」が1/3、「先生との関係」が1/4と続きます。これらの回答は複数回答で原因が重複している場合がほとんどです。 ちなみに「なんとなく」「怠けたいから」などの理由で自分の不登校を説明する人もいますが、よく話を聞けば「先生からのいじめ」や「親の期待」などの理由で不登校をしていました。「怠けたい」「遊びたい」が真の理由で不登校をした人は、私の20年間の不登校取材で一人もいませんででした』、「先生からのいじめ」が要因の1つにあるというのは、ありそうだが、腹立たしい。
・『不登校の子の心理状態と、親ができること  ほとんどの不登校の人は、学校などで深く悩み傷ついたため、学校と距離を取っています。不登校新聞が主催する講演で、この状態を心療内科医・明橋大二先生は「心がオーバーヒートした状態」だと表現しました。車のサーモスタットが発動してモーターのスイッチが切れるように体が動かなくなる、つまり安全装置が発動して急停止した状態だと言うのです。そんな子どもに対して、親や祖父母といった周囲の人は、どんなサポートができるのかを解説します。 多くの人は、不登校になった日からどんどん状態が悪くなり、子どもが社会から切り離されていくようなイメージを持つかもしれません。しかし、本人にとっては心身ともに傷ついた場から離れられたわけです。不登校になった瞬間から心に溜まったダメージの回復が始まります。 カゼと同じような状態を想像をしてほしいと思います。熱が上がって子どもが「苦しい」「学校を休みたい」と訴えた瞬間は悪い状態です。しかし、そこに至った経緯、たとえば裸で寝ころんでいたとか、そういう「カゼになりやすい状態」は回避されました。 さらに言えば、熱が上がっているのは、体がウイルスをやっつけてる証拠。しっかりと体を休めば回復していきます。むしろ無理をして「学校へ行きたい」「勉強しないと遅れる」と思う子に「今は休んで」と諭すほうが重要です。 不登校もまったく同じ構造で捉えられます。不登校になる前が一番きつい状態です。学校で苦しいことがあっても親や先生には言えず、それを溜め込んで、行けなくなりました。多くの親は、この瞬間から学校へ戻すことを考え、登校を促します。極力、休ませない方向で考えがてしまうのですが、それはカゼをひいた子を裸で外へ放り出すようなものです。 いま説明したことの反対の行動が「親ができることのベスト対応」です。休ませないことが子どもを追い詰めるのなら、休ませるのが最善の選択肢です。不登校への「処方箋」はただひとつ、休むことだけ、というのが20年間の取材で得た私の結論です』、一旦、「休ませる」とますます学校に行き難くなるのではと思ってしまうが、「休ませるのが最善の選択肢」とは驚かされた。
・『子どもの心が回復する地図  具体的に子どもがどんな段階をたどって心を回復させていくのかを説明します。以下の段階の途中、途中で学校へ行くこともあれば、再度、不登校になることもあります。どんな状態であれ、以下の段階を経ていけば確実に状況はよくなっていきます。 第一段階は「身体症状」です。頭痛や腹痛、どうしても朝、起きられないなど、心に溜まったストレスが具体的な身体症状として現れます。この際には無理をさせず、学校を休むことによって体の回復期が始まります。不登校になった直後は、極度な緊張から解放されたため、寝てばかりいるかもしれません。 この際は生活リズムを無理に立て直させようとせず、できるだけ、本人のペースを尊重してあげてください。学校の先生や友だちが訪問してくるかもしれませんが、かならず本人の意思を確認してください。「会いたい」と言ったら会わせるし、何も答えなかったらそれは「NO」の意思表示です。 学校の休み始めは、すぐに症状が治まらないかもしれませんが、あせらず休ませてください。症状が治まらないのは、体は休んでいても「心の中では登校している」からです。「学校へ行かなければ」と本人が強く思い込み、一秒でも学校へと念じているため、ストレスを感じて症状が出てしまいます。しかし、苦痛の原因と離れていれば状況はしだいに安定してきます。 第二段階は「感情の噴出」です。体が回復したところで「感情の噴出」という時期に入ります。ものすごく甘える、突如として怒りだす、泣きだすなど感情のコントロールができない状況になります。小学校高学年でも、まるで赤ちゃん返りしたように 甘えたり、フラッシュバックが起きたように泣いたりすることもあります。この時期、保護者はそばにいて、その気持ちに付き合うしかありません。とてもたいへんですが、本人の苦しんでいる気持ちに付き合うことで、子どもには愛情が伝わってしみこんでいき、心の傷が癒されていきます』、「感情の噴出」「段階」を、「保護者はそばにいて、その気持ちに付き合う」には、予め対処方法を理解しておく必要がありそうだ。
・『「回復のプロセス」で親が気をつけるべきこと  第三段階は「言語化」です。学校や自分の身に何が起きたのかを言語化する時期がきます。この際、何度も同じ話をしたり、ネガティブな話もしたりするので、聞いてるほうはまいってしまうかもしれません。しかし、本人はアドバイスがほしくて話しているのではなく、話すことで気持ちの整理をしています。保護者はひたすら話を聞いてあげてください。もっと踏み込んで言うと「聞いているふり」でも構いません。半分ぐらいの対応が「相手の言葉のオウム返し」でも構いません。 たとえば、子どもが「なんであんなことをしてしまっただろう」と言ったら、「なんでだろうね」と聞き返すだけ。「悔しかった」といったら「悔しかったんだよね」と返す。本当は、相手はこういうことを考えているのかなと確認したり、子どもの気持ちを想像するほうがよいです。よいのですが、ずっと傾聴していると疲れてしまうので、親もほどほどでよいのです。 言語化を終えると、ほぼ親の役割は終わります。心が回復されたからです。また「段階」と言ってますが、実際には各段階を行ったり来たりをしながら、しだいに最終段階へと向かっていきます。この「回復のプロセス」のなかで、保護者が気をつけたいことがいくつかあります。大前提として学校へ無理に戻そうとしないこと。焦って子どもを学校へ戻らせても、「不登校の問題」は終わりません。学校へ行くことが不登校のゴールでもありません。 また、大人が心配するのは学習面の遅れかもしれません。とくに受験を控えた場合は焦りがちです。しかし本人に勉強する体力も気力もないときに、何かさせようとしてもどうにもなりません。逆に言えば、本当にやる気が出たときには、学習面はいくらでも追いつくことができる、ということです。本人の意思が一番大事なのです』、「焦って子どもを学校へ戻らせても、「不登校の問題」は終わりません。学校へ行くことが不登校のゴールでもありません」、というのは確かに重要そうだ。
・『子どもは今という本番を生きている  ポーランド医師ヤヌシュ・コルチャックは「子どもには失敗する権利がある」と説いていました。遊びでも、勉強でも、進路でも、子どもはあらゆる局面で自分なりに必死に考えた結論で選択します。しかし、それは間違えることもあります。とくに幼児期は、食べちゃいけないものを食べようとしたり、熱いものを触ろうとしたりします。 親としての正解は、深刻な傷を負わない程度ならば、本人の意思を尊重して失敗も含めて学ぶことだと思います。親が不安だからと言って頭ごなしになんでも子どもの行動を禁止したら、子どもは委縮してしまいます。 不登校も同じではないでしょうか。学校へ行くことが正解であり、その道を選ばせようと親が腐心してしまいがちです。しかし、それは本当に正解でしょうか。また学校へ行かないことが失敗だとしても、親が無下に否定してもいいのでしょうか。子どもは自分で選んだ道ならば、反省してもそれを糧にできます。しかし、誰かが決めた道のりで失敗しても恨みや自己否定感しか培われません。 発達心理学者・浜田寿美男さんは、講演で現在の子育て観を下記のように批判しています。「いまの子育て観、教育観では『子どもは大人になるための準備の時代』であるかのように思われていますが、そもそも人生に準備の時代というものがあるでしょうか。子どもは『子どものいま』という本番を生きています」。 「子どもを大人にする」のが親や教師の目標だと感じている人は多いのではないでしょうか。しかし、浜田さんが指摘するように、子どもは、いまを生きているわけです。大事なのは、子どもがいま、幸せかどうかです。死にたいほど行きたくない学校へ行くことや、まったく手につかない宿題をするのは、あまりに「いま」が犠牲になっています。いまを大切にしてあげる視点が子育てや教育においても大事だと思えてなりません』、「いまを大切にしてあげる視点が子育てや教育においても大事」、というのは確かにその通りだが、「教育」には「いまを」多少我慢してでも、将来に備えるという重要な側面も忘れてはならないことも事実だ。要はアリとキリギリスのバランスの問題なのではなかろうか。

第三に、5月21日付け東洋経済オンラインが掲載した育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏による「有名中高一貫校の不登校生が通う施設の持ち味 元校長らが支援、修学支援センターに集まる志」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/427900
・『文部科学省が2019年10月に発した通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」によれば、2018年時点での不登校の中学生は全国で約12万人、高校生は約5万3000人。同じく1000人当たりの不登校生徒数は、中学生36.5人、高校生16.3人。その"受け皿"となることが多い通信制高校の在籍者数は、直近2年連続で過去最高を更新している。 中高一貫校の場合でも、中学生のうちはなんとか進級させてもらえるが、高校進学時に他校受験を勧められるケースも多い。高校生になると学校が定める出席日数規定に足りない場合、留年あるいは自主退学を勧告されることになる。特に私立では、「うちは私立です。うちの校風が合わなければよそへお行きください」という理屈がまかり通りやすい。 しかし、「生徒を集めるだけ集めておいて、うまく行かなくなったら『よそへお行きください』では無責任だろう」と、神奈川県の私立中学高等学校協会(以下、協会)が動いた。県下の私立中高で校長や教頭を経験したベテラン教師たちに呼びかけて、2020年6月、「神奈川私学修学支援センター(以下、センター)」を開所したのだ』、「生徒を集めるだけ集めておいて、うまく行かなくなったら『よそへお行きください』では無責任だろう」と「「神奈川私学修学支援センター」を開所した」、いい試みだ。
・『有名私立中高一貫校の生徒たちが集まる  神奈川県私立中学高等学校協会の加盟校に在籍しながら不登校状態になっている生徒が、在籍校の代わりに"通学"し、現場を引退したベテラン教師たちから個別指導を受けられる"教室"が、協会の建物内にできた。学習指導を受けられるだけでなく、ここでの学習が在籍校での出席日数に加算され、在籍校によって単位にも換算されるしくみだ。 センター利用希望者は、学校を通じて利用を申し込む。学校から連絡を受けると、センター長の安宅克己さん自らが学校に出向き、担任や管理職と面談する。センターのしくみを説明し、学校のカリキュラムや使用している教材に至るまで事細かに聞き取りを行い、受け入れの準備をする。 2020年度は20人の中学生がセンターを利用し、3人が在籍校に戻った。4人が外部受験をして中学とは違う高校へ進んだ。13人がセンターへの通所を継続している。2021年4月現在のセンター利用者は、中学生22人、高校生11人。有名私立中高一貫校の生徒が圧倒的に多い。 センター運営費用は協会が負担している。利用者が支払うお金は、映像授業視聴のための年間4000円と、アクティビティを行う場合の実費のみ。 2021年4月某日、センターを訪問した。始業時間の9時30分近くになっても生徒の数はまばらである。「誰が来て誰が来ないかは、毎日わかりません」と言いながら、安宅さんは慣れた様子で生徒たちを待つ。 来られる日、来られる時間に来てくれれば、いつでも歓迎する。朝1時間だけ勉強して帰るという生徒もいれば、お昼過ぎに来る生徒もいる。学校に通う日とセンターに通う日を曜日によって決めている生徒もいる。「学校に合わせるのではなく、子どもに合わせる」が基本スタンス。 一応時間割はある。中学生の履修内容は学校による違いが大きくないので、センターでの中学生の時間割はみな共通にしているが、高校生となると、学校のカリキュラムの差異が大きいので、1人ひとりにカスタマイズされた時間割を用意する。ただし、個別指導が基本なので、臨機応変に対応する』、「利用者が支払うお金は、映像授業視聴のための年間4000円と、アクティビティを行う場合の実費のみ」、というのは「在籍校」に授業料などを払っているので、二重の負担にならないようにするためなのだろう。
・『センターで学べば在籍校で単位認定も  高校生の教室では、ホワイトボードを使って古文の指導が行われていた。古文の歴史的背景も踏まえながら、古文を学ぶ際の要点を体系化して説明してくれる。中学生の教室では、数学の指導が行われていた。例題を解説し、問題を解いてみる。その間ずっと先生が手元を見ていてくれる。 錚々たる経歴をもつベテラン教師たちが、これだけ丁寧に個別指導をしてくれるのなら、わからないわけがない。実際、この日ある中学生が取り組んでいた数学の内容は、学校よりも先に進んでいるという。 センターでの学習状況は毎月1回、在籍校に報告される。その報告をもとに、各学校で評価をつけ、校長の権限で単位認定する。在籍校の定期試験についてもセンターと学校の間で柔軟に対応する。 「その学校に憧れて、大変な中学受験勉強をして入ってきてくれたんだから、何かの巡り合わせで不登校になってしまったとしても、焦らずにここで勉強を進めながら、できることなら在籍校に戻っていってほしい。ここで在籍校の卒業証書を 渡してやったっていいと思う。一度引き受けた生徒は、最後まで面倒を見る。それが神奈川私学だと言えるようにしていきたい」とは某校元校長。 この日、午後からは中学生を対象にした「アクティビティ」の時間があった。新学年が始まったばかりということもあり、親睦を深める意味でのゲーム大会を行った。参加者は3人だったが、そこに先生たちと大学生ボランティアと私が加わった。教員志望だという大学生ボランティアがうまく場を盛り上げる。 隣の教室(会議室)では、高校生たちが事務用のテーブルを卓球台に見立て、スマホをラケットにして、ピンポンに興じていた。中学生のゲーム大会が終わっても、まだピンポンが終わる気配がない。"放課後"のセンターが彼らの居場所になっていた。 大学生ボランティアが言う。「ここに来ている子どもたちは、コミュニケーション能力もあるし、学習意欲も高いし、『君が不登校って、うそでしょ!?』って子がほとんどです」。ある元校長は「ここの子はみんな真面目で意欲的です。逆に雑談がしづらくて困ってます」とおどける。 不登校になった理由はさまざまだ。「起立性調節障害」といって、朝どうしても起きられない生徒もいる。大人数の集団の中に身を置くこと自体に不安を感じる生徒もいる。たまたま担当教師やまわりの友達とそりが合わないというケースもあるが、その場合は、環境が変われば学校に復帰する可能性が高い』、「錚々たる経歴をもつベテラン教師たちが、これだけ丁寧に個別指導をしてくれるのなら、わからないわけがない。実際、この日ある中学生が取り組んでいた数学の内容は、学校よりも先に進んでいるという」、確かに恵まれた環境のようだ。
・『元校長が告白する懺悔の気持ち  また別の元校長は「ここに係わるようになってからというもの、懺悔の日々ですよ」と苦笑いする。管理職として、生徒やそのご家族にとって大変厳しい判断をしたことも一度や二度ではない。しかしここでの子どもたちの様子を見ていると、学校には通えていなくても、学校にいたい、学びたいと思っていることが直にわかる。学校のルールに生徒を合わせることが当たり前だと思っていた若かりし自分を悔いるのだという。 先の大学生ボランティアが付け加える。「私はここでお手伝いを経験することで、不登校に対するイメージが変わりました。たとえば若手教員の研修として、このセンターに数週間勤務してみるのもいいのではないかと思います。そうすれば、学校での生徒たちに対する態度も変わるのではないでしょうか」。 これはすばらしいアイデアだ。しかも、私立中高一貫校にいったん就職するとその学校の文化しか知らないでキャリアを重ねてしまうことがあるが、修学支援センターでは各私学から来たベテラン教師たちの指導を間近に見ることもできる。いろいろな意味で教員としての視野が広がることは間違いない。 センターを丸1日見学して最も印象的だったのは、安宅さんが非常にきめ細かに1人ひとりの生徒の状況を把握し、サポートしていることだ。 一般的な学校では、たとえば担任や教頭にいくら意欲があったとしても、不登校状態にある生徒1人ひとりにこれだけの手間暇をかけてかかわることは現実的に難しい。だからこそ、複数の学校のネットワークとして、セーフティーネットを提供することに大きな意味がある。 似たような取り組みは、福岡県と京都府にもある。福岡県私学協会の「学習支援センター」は高校生が対象で、現在、県内に4カ所もある。京都府私立中学高等学校連合会の「京都府私学修学支援相談センター」は、小学生から高校生までを対象としており、5教科について週1回の学習支援が受けられる。ちなみに、公立の教育支援センターは、全国の約6割の自治体に設置されており、文科省は設置の推進を呼びかけている』、「公立の教育支援センターは、全国の約6割の自治体に設置」、まだまだ少ないようだ。
・『希望者すべてを受け入れられないという課題  安宅さんは「現状のセンターのいちばんの課題は希望者全員を受け入れるキャパがないことです」と指摘する。受け入れられない子どもたちは、空きが出るのを自宅で待つしかない。それが切ない。また、センターが神奈川県東部にあるため、西湘エリア在住の生徒たちには通いづらい。「湘南エリアにもセンターをつくれると良いと思う」と安宅さん。 最後に、大事なポイントを押さえておきたいと思う。義務教育の中学校はもとより、高校であっても進級に必要な出席日数に対する法的な決まりはない。出席日数を根拠にして自主退学を迫られるケースがあるとすれば、その規定は学校が独自に決めたものである。そして、実際には学校に来られていない生徒でも、学校外で適切な学習指導が受けられていると校長が認めれば、学校として単位認定することはできる。 わが子が不登校になるかならないかにかかわらず、考えてみてほしい。「うちは私学ですから、うちの校風に合わないのならよそへお行きください」と言う学校と「いちど引き受けたからにはあらゆる手段を用いて最後まで面倒を見ます」と言う学校のどちらでわが子を育てたいか。そこにその人の教育観があぶり出されるはずだ』、その通りだ。「現状のセンターのいちばんの課題は希望者全員を受け入れるキャパがないことです」、個別指導がネックになっている以上、やむを得ないのかも知れないが、セーフティネットの役割を何とか果たしてもらいたいものだ。
タグ:不登校 東洋経済オンライン 現代ビジネス 不登校新聞 おおたとしまさ (その2)(「孫の不登校」に祖父母が取った意外すぎる行動 右往左往する母親を尻目に…、急増する不登校の子どもたち…「学校に行きたくない」に求められる3つの親の対応、有名中高一貫校の不登校生が通う施設の持ち味 元校長らが支援 修学支援センターに集まる志) 「「孫の不登校」に祖父母が取った意外すぎる行動 右往左往する母親を尻目に…」 かつては、ずいぶんいい子だったようだ。 「急に中学2年生から学校へ行けなくなりました」、この原因について、学校の担任の先生に尋ねたのだろうか。いきなり「祖父母」が登場してきたのには違和感がある。不登校になった原因が触れられてないので、「祖父母」のアドバイスが適切だったのかも判断し難い。 石井 志昂 「急増する不登校の子どもたち…「学校に行きたくない」に求められる3つの親の対応」 不登校の問題に20年携わっている石井志昂さんに寄稿 「先生からのいじめ」が要因の1つにあるというのは、ありそうだが、腹立たしい。 一旦、「休ませる」とますます学校に行き難くなるのではと思ってしまうが、「休ませるのが最善の選択肢」とは驚かされた。 「感情の噴出」「段階」を、「保護者はそばにいて、その気持ちに付き合う」には、予め対処方法を理解しておく必要がありそうだ。 「焦って子どもを学校へ戻らせても、「不登校の問題」は終わりません。学校へ行くことが不登校のゴールでもありません」、というのは確かに重要そうだ。 「いまを大切にしてあげる視点が子育てや教育においても大事」、というのは確かにその通りだが、「教育」には「いまを」多少我慢してでも、将来に備えるという重要な側面も忘れてはならないことも事実だ。要はアリとキリギリスのバランスの問題なのではなかろうか 「有名中高一貫校の不登校生が通う施設の持ち味 元校長らが支援、修学支援センターに集まる志」 「生徒を集めるだけ集めておいて、うまく行かなくなったら『よそへお行きください』では無責任だろう」と「「神奈川私学修学支援センター」を開所した」、いい試みだ 「利用者が支払うお金は、映像授業視聴のための年間4000円と、アクティビティを行う場合の実費のみ」、というのは「在籍校」に授業料などを払っているので、二重の負担にならないようにするためなのだろう。 「錚々たる経歴をもつベテラン教師たちが、これだけ丁寧に個別指導をしてくれるのなら、わからないわけがない。実際、この日ある中学生が取り組んでいた数学の内容は、学校よりも先に進んでいるという」、確かに恵まれた環境のようだ 「公立の教育支援センターは、全国の約6割の自治体に設置」、まだまだ少ないようだ。 「うちは私学ですから、うちの校風に合わないのならよそへお行きください」と言う学校と「いちど引き受けたからにはあらゆる手段を用いて最後まで面倒を見ます」と言う学校のどちらでわが子を育てたいか。そこにその人の教育観があぶり出されるはずだ』、その通りだ 「現状のセンターのいちばんの課題は希望者全員を受け入れるキャパがないことです」、個別指導がネックになっている以上、やむを得ないのかも知れないが、セーフティネットの役割を何とか果たしてもらいたいものだ
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発達障害(その2)(精神科医が語る「発達障害に医学的に効果があること やってはいけないこと【5月病に効く記事】、対人トラブルを招く「大人の算数障害」 見分けるための4つの特徴とは) [生活]

発達障害については、昨年8月12日に取上げた。今日は、(その2)(精神科医が語る「発達障害に医学的に効果があること やってはいけないこと【5月病に効く記事】、対人トラブルを招く「大人の算数障害」 見分けるための4つの特徴とは)である。

先ずは、本年5月10日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した発達障害当事者・借金玉氏と精神科医の樺沢紫苑氏の対談「精神科医が語る「発達障害に医学的に効果があること、やってはいけないこと【5月病に効く記事】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/270177
・『『ストレスフリー超大全』の著者で精神科医の樺沢紫苑さんは、借金玉さんの著書『発達障害サバイバルガイド』について、「このリアリティ、具体性は当事者の経験あってのもの。精神科医や研究者には、絶対に書けません」と絶賛しています。 今回この二人の対談が実現。医師、当事者、それぞれの立場から、発達障害に悩む人たちに伝えたいことを語ってもらいました。(こちらは2020年12月13日の記事の再掲載です)』、興味深そうだ。
・『発達障害の「診断」にはほとんど意味がない  樺沢紫苑(以下、樺沢) 僕は精神科医なので、「発達障害かもしれないのですが、どうしたらいいですか?」という相談をたくさん受けます。以前は個別に対応していたんですが、借金玉さんのこの本を読んで、これからは「『発達障害サバイバルガイド』を読んで実行してください」と答えることにしました。 借金玉 ありがとうございます。最近は大人の発達障害の本もたくさん刊行されていて、当事者ながら「発達障害ブームか?」と思うくらいです。 樺沢 確かに発達障害は今ブームになっていて、僕ら医師の間では「メンタル・バブル」とも言われています。精神疾患にも流行があり、かつては、多重人格、アダルトチルドレン、新型うつなどにも注目が集まったことがありました。 発達障害は今、様々な本、メディアでも診断基準が紹介されたり、チェックシートのようなもので簡単に調べられたりするので、「自分も発達障害かもしれない。どうしよう?!」と不安になっている人が多いようです。ただし、情報が多くなっただけに混乱が生じていて、専門的な立場から見ると、実際にはそうした情報に踊らされた「自称発達障害」の人が増えているだけという印象です。 借金玉 本の序盤に書いているのですが、僕は当事者として発達障害の「診断」がどう出るかってほとんど意味がないと思うんです。それがわかったところで、「あたり前のことができない」という問題は相変わらず存在し続ける。今のところ、発達障害は「治る」ものではないですから。 樺沢 僕もまさしくそう思います。発達障害は根本的に治るものではありません。だから、医者が一生懸命診察して厳密に診断を下したところで、結局はこの借金玉さんの本に書かれているような“TO DO”(すべきこと)を実践し、症状を改善するのが一番幸せな道です。この本が何より素晴らしいのは、診断について一切書いていないことです。 医者が書く本は、「発達障害とは何か」から入り、症状について詳しく説明した後、肝心のTO DOの部分は非常に薄いものが多い。当事者にとっては、「どうすればいいのか」「自分には何ができるのか」が一番知りたくて買ったのに、期待外れに終わってしまう本がこれまでは多かったのではないでしょうか。 借金玉 診断について一切触れていないのは、素人だからこそできる「反則ワザ」かもしれませんね。この本には、一人の発達障害者としての僕が、少しでもまともな「生活」を送れるように試行錯誤して見つけたささやかな工夫を紹介しています。すべて自分ごと、実体験なので、医学的な裏付けがあることを調べて書いたわけではありません。とにかく「自分ができる具体的な改善を積み重ねていくしかない」というのが僕の当事者としての考えです。 借金玉(しゃっきんだま) 1985年、北海道生まれ。ADHD(注意欠如・多動症)と診断されコンサータを服用して暮らす発達障害者。二次障害に双極性障害。幼少期から社会適応がまるでできず、小学校、中学校と不登校をくりかえし、高校は落第寸前で卒業。極貧シェアハウス生活を経て、早稲田大学に入学。卒業後、大手金融機関に就職するが、何ひとつ仕事ができず2年で退職。その後、かき集めた出資金を元手に一発逆転を狙って飲食業界で起業、貿易事業等に進出し経営を多角化。一時は従業員が10人ほどまで拡大し波に乗るも、いろいろなつらいことがあって事業破綻。2000万円の借金を抱える。飛び降りるためのビルを探すなどの日々を送ったが、1年かけて「うつの底」からはい出し、非正規雇用の不動産営業マンとして働き始める。現在は、不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。最新刊は『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』』、「発達障害は今ブームになっていて、僕ら医師の間では「メンタル・バブル」とも言われています」、「ブーム」にまでなっているとは初めて知った。「発達障害は根本的に治るものではありません。だから、医者が一生懸命診察して厳密に診断を下したところで、結局はこの借金玉さんの本に書かれているような“TO DO”(すべきこと)を実践し、症状を改善するのが一番幸せな道です」、なるほど。「借金玉」氏は、「早稲田大学に入学。卒業後、大手金融機関に就職するが、何ひとつ仕事ができず2年で退職。その後、かき集めた出資金を元手に一発逆転を狙って飲食業界で起業・・・一時は従業員が10人ほどまで拡大し波に乗るも、いろいろなつらいことがあって事業破綻」、こんなケースもあるとは驚かされた。
・『「もうダメだ死ぬしかない」は間違い  樺沢 あくまでも精神科の診断は「仮説」でしかありません。発達障害に限らず、精神疾患全部に言えることなんですが、症状から目ぼしいものをピックアップして診断基準にしているので、目の前の患者さんの「状態」を見て判断する以外に方法がない。 だから、例えば以前はASD(自閉スペクトラム症)と診断された人が、衝動性が強くなってくれば、ADHD(注意欠如・多動症)と診断が変わる可能性だってあるし、両方の症状が併存している人も少なくありません。また、二次障害として、うつ病などを併発する人もいます。 つまり、医者が下す診断にこだわる必要はなく「困っていることは何か」、それに「どう対応していくか」ということに注目する方が、症状は改善されやすくなるんです。でも、多くの人は診断の段階で止まってしまって、その後のTO DOまで行こうとしないんですよね。 借金玉 はい、僕も先生と全く同じ考えです。それに加えて、その症状が「どのレベルか」という視点も重要だと思います。 僕のところにも「自分が発達障害ではないか」という悩みが寄せられますが、ある時、会社で管理職を務めているという方から「自分は仕事のミスが多すぎて発達障害ではないかと落ち込んでいる」と相談されたことがあります。ご苦労されているのはわかるのですが、僕に言わせれば、同じ会社で10年以上働けて、管理職になれているという時点で本当に素晴らしい。社会生活をきちんと送れているわけで、まず問題はないんじゃないかと。 樺沢 そうそう。「発達障害」というラベルは、不安をあおるためではなく、悩んでいる状況を改善するために作られたわけですから。 でも、大抵の人は、自分が何に悩んでいるかわからないんですよね。僕の個人的な感覚ですけど、自分が困っている問題に必要な情報を調べて解決できる能力がある人って、世の中で1割以下じゃないかな。そもそも大半の人は、「自分が悩んでいること」を言語化できていない気がします。 借金玉 それ、よくわかります。発達障害というラベルを貼られると、全てを発達障害のせいにして思考が止まり、かえって自分の困り事に対する解像度が落ちてしまうんですよ。この気持ちは僕自身よくわかります。 「どうせ自分は障害者だから無理」「全部ダメだ。僕は動けない」、最悪の場合は「死ねばいいや」となる。でも、そういう人の相談にのって具体的な悩みを整理すると、真っ先にやるべきことは「コンビニに行って、遅れている光熱費の支払いをする」とかなんです。意外とひとつひとつの問題は小さいんですね。対処する範囲や事柄を明確にすると、死ぬほどのことではないとわかる。 別に発達障害じゃなくても、大事なものをすぐになくしてしまうとか、部屋が汚いとか、そういう生きづらさを抱えている人は世の中にたくさんいます。だからこの本は、読者が発達障害の人に限らず、多くの人が生活をよりラクに、快適に送るためのヒントとして読んでもらえたらと思っています。 精神科医が語る「発達障害に医学的に効果があること、やってはいけないこと【5月病に効く記事】 樺沢紫苑(かばさわ・しおん) 精神科医、作家。1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ70万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、16万部『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、10万部『神・時間術』(大和書房)など、30冊以上の著書がある。 YouTube「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」)  』、「医者が下す診断にこだわる必要はなく「困っていることは何か」、それに「どう対応していくか」ということに注目する方が、症状は改善されやすくなるんです」、「発達障害というラベルを貼られると、全てを発達障害のせいにして思考が止まり、かえって自分の困り事に対する解像度が落ちてしまうんですよ。この気持ちは僕自身よくわかります。 「どうせ自分は障害者だから無理」「全部ダメだ。僕は動けない」、最悪の場合は「死ねばいいや」となる。でも、そういう人の相談にのって具体的な悩みを整理すると、真っ先にやるべきことは「コンビニに行って、遅れている光熱費の支払いをする」とかなんです。意外とひとつひとつの問題は小さいんですね。対処する範囲や事柄を明確にすると、死ぬほどのことではないとわかる」、確かにその通りなのだろう。 
・『「あたりまえ」がやれないあなたへ(みんながあたりまえにやれていることがうまくやれない。人生がまるでうまくいかない。僕は若い頃、漠然とそう感じていました。「まともな人」があたりまえとしてこなす日常的な物事は、どれもこれも僕にとってあまりに過酷なもののように思われました。 いつも部屋の中はめちゃくちゃでした。出かけようと思っても、アイロンのかかったシャツも清潔な靴下の一足もなく、かばんの中からは大事な書類がいつも消失しました。電気やガスはしばしば止まり、住民税の滞納金を何度も払いました。朝は起きられず、夜は眠れず、いつも何かに追い立てられているような焦燥感を感じていた気がします。 実際のところ、いつも何かに追い立てられていました。それは払い忘れたままずっとテーブルに放置された請求書や、クリーニングに出し忘れたスーツ、目を覚まして仕事に向かわなければいけない朝、税金や年金といった行政手続き、冷蔵庫の中で腐っていく食材、たまりにたまった洗濯物、そういったものでした。 かつて発達障害と診断されたとき、僕の生活におけるさまざまな問題が発生する理由について、深く納得できました。「なるほど、そういうことだったのか!」という感動を今でも覚えています。しかし、それがわかったところで「問題」は相変わらず存在し続けていました。今のところ、発達障害を「治す」のはあまり現実的ではありません。となれば、障害を抱えたまま人生をうまくやっていくためのノウハウをつくりだしていく以外に、結局のところ選べる道はないのです』、「障害を抱えたまま人生をうまくやっていくためのノウハウをつくりだしていく以外に、結局のところ選べる道はない」、なるほど。
・『サバイバルとは「よりラクな、より快適な、より優雅な」生活  本書は「サバイバルガイド」、生き延びるための本です。 しかし、木の皮をかじり泥水をすすり、塗炭の苦しみの中でかろうじて命をつなぐ状況を「サバイバル」と僕は呼びたくありません。サバイバルとはよりラクに、より快適に、より優雅に生きられる環境を自らつくり上げていくことであると、本書では定めています。 「食うや食わずで苦しんで書くより肉と肉汁のかかった芋を腹いっぱい食ったほうが、いいものが書けるに決まっているだろう」 チャールズ・ブコウスキーという作家がこんなことをいっていました(細かいところはうろ覚えですが、ニュアンスは合っているはずです)。本書のモットーは、この言葉に集約されます。 「きちんと生活をしよう」は「快適な生活をしよう」と同義でなければいけないと僕は思います。しかし、なぜか人は「不便で快適ではない生活」を志向してしまうところがあります。「自分はまともな生活ができていない」と感じている人ほど、まるで自分に快適な生活をする権利はないとでもいうようなある種の自罰性─贅沢は敵だ!─を持っているように僕は思えてならないのです。この本は、そういった方向を一切目指しません。ストイックさは、むしろ悪徳とさえ考えます。 人類が井戸を掘るのはなぜか。つまるところ、川まで水を汲みにいくのがめんどくさいからです。人類がカマドをつくるのはなぜか、ラクに炊事をしたいからですね。この「ラクに」というのは非常に重要な概念だといえます。具体的な工夫やノウハウで労力と時間を削減し、生活を快適にした分だけ、人類は発展してきたのです。僕らの人生も、同じです。 みんなでうまいこと生き延びて、幸せになりましょう。やっていきましょう』、「「ラクに」というのは非常に重要な概念」、その通りなのだろう。
・『「できない」のその先を書きました  障害を抱えて苦しんでる人に、何の具体性もなく「頑張れ」というのは、サバンナに放り出されたコアラに全力ダッシュでインパラを狩れって話ですよね。本書はそういう内容にならないよう心掛けました。意識の高い自己啓発書みたいに「インパラは首が弱点」とかは書いてないので安心してください。どの項目も必ず「あたりまえのことはできないのが前提」で、その先に何をすればいいかを書いています。さらに、本当に使ってもらえる本にするため、次の3つの工夫をしています。 【工夫①】「やる理由」が書いてある(僕も含め、発達障害傾向のある方は「とりあえずやって」といわれるのがとても苦手だと思います。僕自身、丸暗記がダメで、何事もメタ的に理解しないと、行動できません。それに、「とりあえずやって」のハックだけを読んで一度はわかった気になっても、自分で応用できません。やる理由、背景となる思想を知って、ぜひ自分なりに実践してみてください。) 【工夫②】「イラスト」でひと目でわかる(ハックの内容を感覚的につかめるよう、すべての項目にイラストをつけました。長い文章を読むのが苦手な方、お子さんと一緒に読む方にも少し助けになったらうれしいです。) 【工夫③】「具体的なグッズ」も紹介!(本の中に出てくる商品のうち、具体的に「これを買った方がいい」というものは、写真をつけて解説しています。さらに、巻末に「借金玉愛用品」として僕が使っているグッズ一覧と、商品名を全て掲載しました。「どれを買ったらいいかな」と悩んだときの参考にしてみてください。) 本書の主な内容(以下省略)』、なかなかよく出来た本のようだ。

次に、5月21日付けダイヤモンド・オンライン「対人トラブルを招く「大人の算数障害」、見分けるための4つの特徴とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/270685
・『他の勉強は普通にできるのに、計算や数学的な推論を行うのがめっきり苦手。そんな人はもしかしたら、現在国内で40~50人に1人程度の割合で存在するとされる「算数障害」なのかもしれない。発達障害心理学を専門とする筑波大学教授の熊谷恵子氏にその特徴と向き合い方について聞いた』、「算数障害」まであるとは初めて知った。これも「発達障害」の1つなのだろうか。
・『算数障害の人数は全国で推定約300万人か  学習障害を抱えている人は、全体的な知的水準は低くないにもかかわらず、特定のスキルを学んだり、遂行したりすることに著しい困難が生じることで知られている。算数障害もその一種だ。 脳機能の先天的な問題により、「計算する・推論する」能力が突出して低く、基本的な四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)を理解するのも困難だとされている。 2012年に行われた文部科学省の調査では、小中学生では2.3%ほど存在するとされる。基本的には生まれながらにしてその状態にあるので国民全体に拡大して推定すると、その数約300万人。義務教育課程で発見されるケースがほとんどだが、同じ学習障害であっても、文字の読み書きの正確性や流ちょう性に問題が生じる「読み書き障害」に比べ、自覚を持たないまま大人になる人は多いのではないか。 「算数が苦手な人」と「算数障害を抱えている人」の違いはどこにあるのだろうか。熊谷氏に、算数障害の特徴を挙げながら解説をしてもらった。 「算数障害には、数処理、数概念、計算、文章題いう4つの下位分類があり、障害を抱えているか否かを見極めるためには、それぞれの特徴を見ていく必要があります」 4つの下位分類の内、聞きなれないのが数処理と数概念だろう。 まず、数処理に障害を抱えている人の特徴とはどういうものか。 「数処理に問題がある場合、文字記号である数字と音声記号である数詞をうまく結びつけられず、例えば、『数字の“さんびゃくごじゅうよん”を書いて』と指示をしても『30054』と書いてしまったり、『1001』を『ひゃくいち』と読んだりといった例が見受けられます」 では数概念に障害を抱えている人の特徴とはどういうものか。 「数概念は順番を表す『序数性』が理解できないケースと、量に関わる『基数性』の理解に困難を示すケースに分けることができます。例えば、100ページの本を渡されて『53ページ目を開いて』と指示された場合、通常の人はまず全体の半分くらいに目星をつけて開くことが自然にできますが、『基数性』がわからない人は初めや終わりからページをめくっていき、番号を目でゆっくり追いながらでないと探り当てることができません。数の大まかな量が理解できないために、順番をたどっていくことに頼っているからです。また、序数性が理解できない場合には、18はだいたい20、289はだいたい300などと量的に大まかにはわかるのですが、279と297、11025と11250などはどっちらが先にでてくる数かの順番を間違ってしまうこともあります」』、確かに「『基数性』がわからない人」は大変で、周囲は何と要領が悪い馬鹿としか見ないだろう。
・『算数障害が原因で対人トラブルを抱える可能性も  熊谷氏によると、大人になるまで算数障害であることに気付かない人の多くは、数概念における「基数性」や、計算と文章題の理解に問題を抱えているケースがほとんどだという。 「『基数性』の理解が困難な人の場合、計算の操作自体は問題なくできるのですが、『3は1の3倍である』といった数の量的な性質が掴めません。例えば“30分”がどのくらいの時間なのかをイメージすることが難しいんです。このタイプは量に関わる把握が他の人と著しくズレたりするため、それが原因で対人トラブルを抱えるケースも見られます」 「また計算は、暗算と筆算に分けて考えます。通常の人は「1+4=5」といったレベルの簡単な数式であれば、かなり早い段階で数的事実として記憶してしまい、単純な加減算なら1秒程度で暗算することができます。しかし計算に障害を抱えている人は、数的事実が何歳になっても記憶に定着せず、どんな簡単な計算でも解くのに時間がかかってしまう。筆算の方では、機械的な計算の手続きがうまくこなせないために正答がでないことがあります。しかし、これらは電卓があれば日常生活に支障をきたすことがほとんどないため、算数障害として意識されにくいでしょう」 熊谷氏によると、文章題において、立式ができなくても、だいたいの答えが出せるタイプと、立式はできるが、答えがとんでもない数になっても気づかないというような2つのタイプがあるという。推論を苦手とする人において、間違え方にこのような傾向が見られる場合、算数障害を疑ってもいいかもしれない』、なるほど。
・『努力不足のレッテルで苦しむ人も多い  脳機能、特に認知能力のアンバランスに問題があるとされる算数障害。残念ながら算数には、様々な脳の部位が関係するため詳しい部位はわかっていない。社会における認知度も低いため、算数障害を抱えている人の中には、周囲から「できないのは勉強する努力が足りなかったからだ」と決めつけられて苦しむ者も多い。 「算数障害の問題は小学生の児童期には顕著になりますが、算数というのは、テストで『できるか、できないか』、『○か×か』という2択しかないために、それに×ばかりついてしまうこと、計算などができないことは自尊感情に強い影響を与えることが指摘されています。先天的な理由によって計算ができないのにもかかわらず、周囲か」をら努力不足のレッテルを貼られることで自信を失い、思春期や青年期には引きこもりや不登校などの『二次障害』に陥ってしまう危険性がある。それを防ぐためには、算数障害への世間的な理解が深まることに加え、当事者が算数障害であることを認識した上で、自分を決してダメな人間だと思わず、自分の得意な能力を生かしていくような発想に切り替えるしかありません。苦手なことを突き詰めすぎない。これが算数障害と向き合う上で大切なポイントなんです。また、最近では、障害のための合理的配慮がされる時代になってきました。それらもうまく活用するとよいと思います」 ここで説明した算数障害の特徴にピタリと当てはまる人は、苦手な計算の習得に躍起になるのではなく、得意なことでカバーしていく方向に思考をシフトしてみるといいかもしれない』、「算数障害」を抱えた故に不登校になった生徒もかなりいる筈だ。親や先生たちの理解が進み、つまはじきされないようになってほしいものだ。
タグ:発達障害 樺沢紫苑 ダイヤモンド・オンライン 借金玉 (その2)(精神科医が語る「発達障害に医学的に効果があること やってはいけないこと【5月病に効く記事】、対人トラブルを招く「大人の算数障害」 見分けるための4つの特徴とは) 「精神科医が語る「発達障害に医学的に効果があること、やってはいけないこと【5月病に効く記事】」 『ストレスフリー超大全』の著者で精神科医の樺沢紫苑 借金玉さんの著書『発達障害サバイバルガイド』 「発達障害は今ブームになっていて、僕ら医師の間では「メンタル・バブル」とも言われています」、「ブーム」にまでなっているとは初めて知った。 「発達障害は根本的に治るものではありません。だから、医者が一生懸命診察して厳密に診断を下したところで、結局はこの借金玉さんの本に書かれているような“TO DO”(すべきこと)を実践し、症状を改善するのが一番幸せな道です」、なるほど。 「借金玉」氏は、「早稲田大学に入学。卒業後、大手金融機関に就職するが、何ひとつ仕事ができず2年で退職。その後、かき集めた出資金を元手に一発逆転を狙って飲食業界で起業・・・一時は従業員が10人ほどまで拡大し波に乗るも、いろいろなつらいことがあって事業破綻」、こんなケースもあるとは驚かされた 「医者が下す診断にこだわる必要はなく「困っていることは何か」、それに「どう対応していくか」ということに注目する方が、症状は改善されやすくなるんです」、 「発達障害というラベルを貼られると、全てを発達障害のせいにして思考が止まり、かえって自分の困り事に対する解像度が落ちてしまうんですよ。この気持ちは僕自身よくわかります。 「どうせ自分は障害者だから無理」「全部ダメだ。僕は動けない」、最悪の場合は「死ねばいいや」となる。でも、そういう人の相談にのって具体的な悩みを整理すると、真っ先にやるべきことは「コンビニに行って、遅れている光熱費の支払いをする」とかなんです。意外とひとつひとつの問題は小さいんですね。対処する範囲や事柄を明確にすると、死ぬほどのことではない 「障害を抱えたまま人生をうまくやっていくためのノウハウをつくりだしていく以外に、結局のところ選べる道はない」、なるほど 「「ラクに」というのは非常に重要な概念」、その通りなのだろう。 【工夫①】「やる理由」が書いてある 【工夫②】「イラスト」でひと目でわかる 【工夫③】「具体的なグッズ」も紹介! なかなかよく出来た本のようだ 「対人トラブルを招く「大人の算数障害」、見分けるための4つの特徴とは」 「算数障害」まであるとは初めて知った。これも「発達障害」の1つなのだろうか。 算数障害の人数は全国で推定約300万人か 脳機能の先天的な問題により、「計算する・推論する」能力が突出して低く、基本的な四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)を理解するのも困難 小中学生では2.3%ほど存在 確かに「『基数性』がわからない人」は大変で、周囲は何と要領が悪い馬鹿としか見ないだろう。 、文章題において、立式ができなくても、だいたいの答えが出せるタイプと、立式はできるが、答えがとんでもない数になっても気づかないというような2つのタイプがあるという。推論を苦手とする人において、間違え方にこのような傾向が見られる場合、算数障害を疑ってもいいかもしれない 「算数障害」を抱えた故に不登校になった生徒もかなりいる筈だ。親や先生たちの理解が進み、つまはじきされないようになってほしいものだ
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今日も更新を休むことになりそうなので、明日にご期待を!

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米国・韓国関係(米韓関係)(その1)(日本メディアは報じない…韓国・文在寅が「米韓首脳会談」で見せた「意外すぎる変化」、文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手) [世界情勢]

今日は、米国・韓国関係(米韓関係)(その1)(日本メディアは報じない…韓国・文在寅が「米韓首脳会談」で見せた「意外すぎる変化」、文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手)を紹介しよう。

先ずは、本年5月27日付け現代ビジネスが掲載した元駐韓国特命全権大使の武藤 正敏氏による「日本メディアは報じない…韓国・文在寅が「米韓首脳会談」で見せた「意外すぎる変化」」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83519?imp=0
・『文在寅とバイデンの「落としどころ」  米韓首脳会談共同声明の最初の小題目に「同盟:新たなページを開く」という内容が入った。今後協力の幅を広げていくことに期待を示した形だ。 日米首脳会談の共同声明では「同盟:自由で開かれたインド太平洋を作る」とあった。まさに今回の米韓首脳会談は「米韓同盟の復元・拡大」をうたったものといえよう。 今回の米韓首脳会談は、対中戦略で韓国を中国から引き離し、日米韓協力の中に引きつけたい米国バイデン大統領と、米国バイデン大統領に北朝鮮金正恩総書記との首脳会談を行ってもらいたい文在寅大統領との駆け引きだった。 それでも、米韓双方にとって、同盟関係を再構築する上で成果のあった会談であった。文在寅氏は「最高の歴訪であり、最高の会談だった」と評価した。バイデン氏にとっても韓国と中国の関係に楔を打つための一歩となった。 韓国の元外務次官で駐日大使を務めた申ガク秀(シン・ガクス)氏は「日米韓協力で北朝鮮核問題の優先順位は従来よりも下がり、米国は対中政策の大きな枠組みの中で北朝鮮を扱おうとするだろう」と分析している。 「アメリカは北朝鮮に”よりソフト“に、韓国は中国に”よりタフ”に、お互いが譲歩したということだ」との元米政府高官の会談内容の総括もある。米韓共にその力点は異なっていたが、上手に対立点は避け、譲歩できるところを探り合った会談であった。 米国が最も韓国に求めたかったのはクアッドへの参加であったであろう。事前準備期間ではその点突っ込んで話し合われたと思われる。しかし、文在寅氏が中国への気遣いからこれに応じないことが明らかとなると無理に押すことはしなかった。 首脳会談後の共同記者会見で、ある記者が「中国が台湾に取る立場に対し、バイデン大統領は(韓国に)より強力な立場を取ることを要求していないのか」と問うと、バイデン大統領は文在寅大統領を見て「幸運を祈る(Good Luck)」といった。文在寅大統領が困ることをよく理解しているという意味だろう。 今回の会談に臨んだ米国側の配慮が良く出ている』、「上手に対立点は避け、譲歩できるところを探り合った会談」、トランプ時代とは大違いで、伝統的な米国外交に戻ったようだ。
・『目立った「バイデンのもてなし」  今回の首脳会談の焦点は、トランプ前大統領と文在寅氏の不仲によって形骸化していた米韓同盟の新たな再出発になるかどうかである。2018年の文在寅氏とトランプ大統領との会談では、トランプ氏は文大統領を隣に座らせておきながら、記者団の前で36分間も国内の政治問題について答弁し続けた。 しかし、文在寅氏によれば、バイデン氏は「皆が誠意をもって接してくれた。本当に待遇を受けているという感じだった」「会談の結果は期待以上だった」「米国が韓国の立場を理解し、反映するのに大いに力を注いだ」(文在寅氏)と礼節をもって接してくれたことに感謝した。 文在寅氏はもともと心情的に中国や北朝鮮に近い。経済的にみても韓国は中国との関係が深い。そのため、過度に中国に気を使う傾向にあった。 しかし、今回の会談を通じ文在寅氏はバイデン氏に好感を抱いたことだろう。韓国は米国や中国にコンプレックスを抱いている。 文在寅氏が中国を国賓訪問した時には、中国側主催の食事会は2回のみで、帰国後「ボッチ飯」であったとの批判を受けた。バイデン氏が丁重に文在寅氏をもてなしたということは、われわれ日本人が考える以上に重要なことである』、屈辱的な「2018年の文在寅氏とトランプ大統領との会談」とは、違って「礼節をもって接してくれたことに感謝した」ようだ。
・『北朝鮮への「温度差」  文在寅氏にとって重要だったことは、対北朝鮮で米国が韓国の立場に歩み寄ったと受け止められる内容だったことだろう。 共同声明では、「北朝鮮と外交を通じて緊張緩和のための現実的な措置を取る考えで一致した」と述べ、「2018年の(南北首脳による)板門店宣言と(米朝首脳による)シンガポール共同声明など南北・米朝の約束に基づく対話が朝鮮半島の完全な非核化に欠かせないことを再確認した」と記している。 青瓦台関係者は「米国は米朝合意だけではなく南北合意も尊重」「トランプ政権で進行した朝鮮半島平和プロセスの流れをバイデン政権も継続する」という意味だと評価している。 韓国はこの声明の内容をもとに、北朝鮮との交渉再開にめどをつけたい考えであり、この声明を踏まえ、文大統領は共同記者会見で「肯定的な反応に期待する」と北朝鮮側に秋波を送った。 しかし、同じ場所でバイデン大統領は金正恩総書記との首脳会談を行う条件を問われ「国務長官らが交渉をして、しっかりとした道筋がなければ会わない」と回答している。首脳間の温度差も浮き彫りになった形だ。 声明ではさらに「われわれはまた、われわれの対北朝鮮アプローチ法が完全に一致するよう調整していくことに合意した」と記している。もちろん今後北朝鮮との交渉を行っていく過程で、米韓の調整は必要であるが、この声明の内容は既に米韓では対北朝鮮アプローチに見解の相違があることを物語っているとする分析もある』、「首脳会談」ありきだった「トランプ」と違って、「国務長官らが交渉」を優先するオーソドックスなやり方をとる「バイデン」の下では「北朝鮮」問題は進展しないだろう。
・『韓国は中国の「拘束」から逃れられる…のか?  米韓首脳会談の共同声明には「中国」という言葉はなかった。その一方で「韓国と米国は、規範に基づいた国際秩序を阻害したり、不安定にしたり、脅かしたりするすべての行為に反対する」として、秩序を乱す主体を明示しないで迂回的に中国の行動を批判する形となった。 台湾問題は明示し、南シナ海の平和と安定も強調した。 米国は韓国の対中板挟み状態に配慮し、対中けん制の文面は抑えながらも、実質的に韓国の立場を米国に近づけることに成功した。これに対し、韓国は中国が台湾への干渉は内政干渉であり、容認できないと反発していることに関し、米韓と日米の共同声明の違いを説明し、中国の理解をうることに努めている。 鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官は、「朝鮮半島問題を平和的方法で解決すべきという原則と、両岸関係の問題も平和的に解決すべきという原則は同じ性格」と述べるとともに「韓国政府は『一つの中国』の原則を確実に維持しながら、韓米同盟と韓中間の戦略的パートナーシップ間の調和を取りながら発展させていくという基本原則を持っている」とし、「中国も韓国政府の立場に対し理解してくれるものと期待している」と述べた。 また、外交部のチェ・ジョンゴン第一次官は「中国を露骨に名指ししなかった」点を強調、事態の鎮静化に乗り出した。しかし、「ルールに基づいた国際秩序を損ない……」「台湾海峡における平和と安定」など米国の対中戦略に歩調を合わせていることが明らかな表現がある。 特に、韓国が米韓共同文書で台湾に言及したのは初めてであり、「一つの中国」原則に触れるという意味合いを含んでいる』、「韓国」としても、「米国」側に精一杯すり寄る姿勢を示したかったのだろう。
・『米中対立と「安保問題」  韓国は「安保は米国、経済は中国」と言いながら、中国にすり寄ってきた。その後遺症が鮮明である。安全保障面の中韓関係には、台湾の問題のほかTHAADの正式配備問題がある。 現在までの4年間、在韓米軍のTHAADは臨時配備の状態が続いており、「三不合意(米国のMD)ミサイル防衛には参加しない、THAADの追加配備はしない、日米韓の軍事同盟は行わない)」の問題も残されている。 今回の首脳会談を通じ米国が韓国にミサイル技術を移転する見返りとして、その射程、重量などに対する制限指針を解除した。そのため韓国の軍事専門家も理論的には中国を攻撃するミサイルの開発も可能となり、この状態では北朝鮮の核ミサイル開発を防ぐTHAADの正式配備をためらう理由はないと指摘する。 また、三不合意もこれを機会に全面再修正すべきだとの指摘がなされている。韓国が中国の拘束から脱し、米韓首脳の共同声明に基づき米国に軸足を移すまでにはまだ、いくつものハードルがある。 今回の会談で米側はクアッドの問題で韓国を追求することはしなかった。韓国はそれでホッとしていることだろう。ただ、文在寅政権は何事も自分たちに都合のいいように解釈するネロナンブル(注)(自分がやればロマンス、他人がやれば不倫)の人たちだ。文在寅氏をホットさせてはいけない。問題があれば厳しく指摘すべきだ。この問題はいずれ出てくるだろう。 韓国は中国の圧迫を恐れ弁明に努めているが、これで中国は収まるのか。日本では台湾有事事態に備え「日米同盟の抑止力、対処力を絶えず強化していく」(菅総理国会答弁)ことにしているが、韓国にその覚悟はあるのか。 いずれ米中で立場を鮮明にしなければならない時が来るであろう』、「文在寅氏」があと1年の任期に「立場を鮮明に」するとは考え難い。
(注)ネロナンブル:韓国語でダブルスタンダード(Wikipedia)
・『ワクチン外交の行方  韓国は、クアッド本体への参加には慎重であるが、ワクチン、気候、先端技術などの作業部会参加を検討しているという事前の報道があった。米韓共同声明にはそのことに明示的には言及されていないが、実質は取ったということであろう。米韓共同声明では、半導体は3回、ワクチンは6回登場した。日米共同声明ではそれぞれ1回と3回であった。 首脳会談を契機に、サムスン、SKなど韓国大企業が計44兆ウォン(約4.3兆円)の大規模投資計画を発表したが、そのような実質的な協力成果を盛り込んだ形だ。 韓国国内が求めたワクチン供給の拡大やワクチンスワップでは米国の対応は文在寅氏にとって期待値以下であったかもしれない。青瓦台関係者は「米国側はワクチン支援を要請する国が多すぎる」と述べており、「特定国家とワクチンスワップを結ぶことは難しい」と理解したとしている。 また、「米国が韓国軍に対するワクチン支援を通じて55万人が接種できるワクチンを提供」するのも「ワクチン供給に関連した公平性と韓米同盟に対する配慮」の特別措置と考える、と評価した。 何よりも重要なことは、ワクチンの受託生産に合意するなどの成果である。 文在寅大統領は帰国後、内部会議で「訪米の成果を経済協力、ワクチン、韓米同盟や朝鮮半島平和プロセスなどの分野別に各部署から国民に詳しく知らせ、国民が体感できるように具体化してほしい」と訓示した。 兪英敏(ユ・ヨンミン)青瓦台秘書室長は、韓米首脳会談の後続措置関係首席秘書官会議において後続措置の点検と推進のために青瓦台タスクフォース(TF)を運営することにしたと報告した。 報告内容は、(1)半導体都バッテリーなど中核産業、ワクチンに対する「汎部署TF」を構成して米国との協力策模索、(2)グローバルワクチンパートナーシップの策定に向けた全部署と製薬会社が参加する専門家ワーキンググループの構成、(3)韓国側企業のコンソーシアム構成、原副資材の受給及び技術移転、コバックス(COVAX)との協力策などである。 韓国はファウェーの問題で米国から、米中どちらを取るのか態度を鮮明にするよう求められた時、政府は企業に対応を丸投げし、方針を示さなかった。今回財界人を同伴し、最先端分野に多額の投資を行うこととし、それを韓国政府もバックアップする体制を構築するというのは一定の前進である。 特に韓国にとって、経済的に中国の影響が大きくなりすぎており、これを分散させることは、中国リスクを軽減する上で必須である。また、財界にしてみれば、韓国内の各種規制が大きく米国に投資することにメリットは大きい。 ただ、中国にはすでに多額の投資をしており、こうした動きに中国が反発する場合には悩ましいところである。その場合企業に対応を任せるのではなく、韓国政府がしっかりバックアップをすることが重要である。首脳会談がそのスタートとなれば米韓同盟のすそ野は広がっていくだろう』、「文在寅大統領」が今後、「米韓関係」をどのように再構築してゆくのか注目したい。

次に、5月29日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋大学教授の薬師寺 克行氏による「文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手」を紹介しよう。
・『同盟国間の首脳外交にはたいていの場合、失敗がない。 実際の会談でいくら気まずい空気が漂っても、あるいは首脳同士の肌が合わなかったり、深刻な意見の違いがあっても、記者会見になると互いににこやかな笑顔で握手し、「信頼関係が構築された」などと演出する。そして、さまざまな合意内容が列挙された共同声明などの文書が公表される。 もちろん対立点が記録されることはないし、一方の国の主張だけが色濃く反映されることもない。表向きはすべてがうまくいったように装われ、首脳は自国民に向けて会談の成果を強調できるように作られている』、「同盟国間の首脳外交にはたいていの場合、失敗がない」とは言い得て妙だ。
・『韓国大統領は会談成果を「自画自賛」  5月22日(日本時間)、ワシントンでのバイデン大統領と韓国の文在寅大統領との会談も「失敗のない」外交の一例だろう。文大統領は「最高の歴訪、最高の会談だった」などと自画自賛している。 韓国国内で新型コロナウイルスのワクチンの委託生産ができるようになったことや、韓国軍55万人へのワクチン提供を確約してもらったことなど、わかりやすい成果が強調されている。事あるごとに激しく大統領を批判する野党からも厳しい声は上がっていない。 もちろん、今回の首脳会談がそんな単純なものではないことは言うまでもない。 アメリカにとって韓国は付き合いやすい同盟国ではない。文大統領は核問題などを脇に置いてでも北朝鮮との関係改善を急ぎ、同時に中国との良好な関係を重視している。「日米同盟関係が外交の基軸」とうたって何でも言うことを聞いてくれる日本とは異なり、今一つ信用のおけない相手でもある。 だからといって中国との対立を強めるバイデン政権は、そんな韓国を放っておくつもりはなかったようだ。共同声明の文言や首脳会談に伴うイベントなどを詳細にみると、アメリカにも中国にもいい顔をしようとする韓国との同盟関係を修復し、自陣営にしっかりと取り込んでおこうというアメリカ側の戦略がはっきりと見えてくる。 それに対し、文在寅大統領はとにかくバイデン大統領と会談をしたかったようだ。最大の理由は、残り1年足らずとなった任期中に南北関係の改善を実現したいことにある。 北朝鮮に対する国連安保理事会の経済制裁が継続しているため、韓国は北朝鮮に援助をしたくても身動きがまったく取れない。何か成果を上げるにはアメリカの協力が不可欠で、同時に中国への経済的依存が高まっているため、中国との良好な関係も維持したい』、「文在寅大統領」の「八方美人的外交」は上手くいくのだろうか。
・『矛盾に満ちた文大統領の「願望」  ところが、アメリカは北朝鮮問題に完全な非核化を求めており、甘い対応をする気はない。また中国との間ではかつてないほど対立が激化している。そして韓国とアメリカは相互防衛条約を結ぶ、れっきとした同盟関係にある。 つまり、文大統領の願望は矛盾に満ちているのである。アメリカよりも中国や北朝鮮に比重を置く文大統領は、八方美人的外交を維持するためにアメリカの理解が不可欠である。だから直接の首脳会談を求めていたのだ。 となると首脳会談でバイデン大統領の方が優位に立てるわけで、それを生かして、アメリカはいろんなところに仕掛けを用意したようだ。 まず会談に先立って、アメリカ側は朝鮮戦争に従軍した退役軍人に名誉勲章を贈る行事を設定し、文大統領を同席させた。朝鮮戦争でアメリカは180万人の兵を出し、13万人が死亡している。そして94歳の元軍人は人海戦術を展開した中国軍を相手に激しい戦闘を生き残った人物だった。) このイベントに文大統領を同席させたのは、アメリカと韓国はともに戦い血を流した「血盟関係」であること、そして共通の敵は中国であったことを韓国側に想起させようという意図が浮かんでくる。文大統領がどう思うかはともかく、韓国の政府や国民に対する強烈なメッセージであることは間違いない。 朝鮮戦争は共同声明にも登場する。冒頭、いきなり「大韓民国とアメリカ合衆国との間の同盟は70年前の戦場で肩を寄せ合って一緒に戦い」と切り出している。さらに「韓国とアメリカは国内外で民主的規範、人権と法治の原則が支配する地域のビジョンを共有している」と続く。 間違っても韓国はバイデン大統領が「専制主義」と呼ぶ中国の仲間ではないのだということを念押しするとともに、韓国が過剰に中国に接近することをけん制している』、「会談に先立って、アメリカ側は朝鮮戦争に従軍した退役軍人に名誉勲章を贈る行事を設定し、文大統領を同席させた」、「アメリカと韓国はともに戦い血を流した「血盟関係」であること、そして共通の敵は中国であったことを韓国側に想起させようという意図」、「アメリカ」の演出は心憎いばかりだ。
・『「ミサイル指針」を終了させた背景  共同声明には、韓国がかねて要求していた「ミサイル指針」の終了も盛り込まれた。これは韓国側の得点のように見えるが、やはりそんな単純な話ではない。 ミサイル指針というのは、朴正煕政権時代の1979年、アメリカが韓国にミサイル技術を供与するときに設けられたものだ。韓国が開発する弾道ミサイルの射程距離や弾頭の重量を制限することが目的で、アメリカの意向を無視して韓国が勝手に能力の高いミサイルを開発できなくなった。 韓国側からすれば、自らの主権が制限されていることになり、これまで何度かこの制限が緩和されてきた。文大統領はこの問題に特に熱心に取り組み、在任中に2回も見直しを実現した。その結果、当初180キロだった射程距離は800キロに延び、500キログラムだった弾頭重量の制限もなくなった。そして今回の終了合意で射程距離の制限もなくなることになる。 800キロという射程距離には大きな意味がある。800キロの射程は韓国から発射するミサイルが北朝鮮全土をカバーすることができる。しかし、ソウルと北京は950キロあることから、北京には届かない。軍事的には絶妙の数字なのだ。 つまり、射程距離の制限撤廃は、韓国のミサイルが北朝鮮を超えて北京に届くことが可能になることを意味する。もちろん韓国が直ちに北京に届くミサイルを開発するわけではないだろう。しかし、中国にとっては穏やかな話ではない。 アメリカ軍のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)が2017年に韓国に配備されると、中国政府が中国人の韓国旅行をストップしたり、韓国製品の徹底した不買運動を展開するなど激しく反発したことは記憶に新しい。今回のミサイル指針の撤廃に対して中国は今のところ強い反発はしていない。しかし、中国と韓国の間にすき間風を吹かせる効果を持っていることは間違いない』、「ミサイル指針」の「終了」は日本に悪影響はないのだろうか。
・『北朝鮮問題にアメリカは「ゼロ回答」  一方、文大統領がこだわった北朝鮮問題について、アメリカは事実上のゼロ回答だった。首脳会談でどこまで話されたかは知る由もないが、国連安保理制裁の緩和や韓国が独自に実施する北朝鮮への支援の容認などは、共同声明でまったく触れられていない。そして、北朝鮮の完全な非核化や人権状況の改善など、これまでと変わらない方針が合意されている。 韓国側はバイデン大統領に対し、トランプ前大統領のようなトップダウンによる米朝首脳会談を期待していたようだが、バイデン大統領にそんな気はなさそうだ。かといってオバマ元大統領時代の「戦略的忍耐」という名のもと、何もしないというわけでもなさそうだ。一気に問題解決を図るのではなく、実務家同士の交渉を積み上げ、北朝鮮から譲歩を引き出していくボトムアップ方式で臨むようだ。 であれば文大統領の任期中に、北朝鮮問題の大きな進展は期待できない。つまり、文大統領の要求は受け入れられなかったに等しい。 結局、共同声明の全体を見ると、美辞麗句で装いながらも韓国を同盟国の一員として対中戦略に組み込もうというアメリカの戦略がしっかりと盛り込まれている。自らの主張を強引に受け入れさせることしか考えなかったトランプ政権の直線的外交とは対照的に、バイデン政権の外交ははるかに洗練されていると言えそうだ』、同感である。
タグ:東洋経済オンライン 現代ビジネス 薬師寺 克行 武藤 正敏 米国・韓国関係 (米韓関係) (その1)(日本メディアは報じない…韓国・文在寅が「米韓首脳会談」で見せた「意外すぎる変化」、文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手) 「日本メディアは報じない…韓国・文在寅が「米韓首脳会談」で見せた「意外すぎる変化」」 「上手に対立点は避け、譲歩できるところを探り合った会談」、トランプ時代とは大違いで、伝統的な米国外交に戻ったようだ。 屈辱的な「2018年の文在寅氏とトランプ大統領との会談」とは、違って「礼節をもって接してくれたことに感謝した」ようだ 「首脳会談」ありきだった「トランプ」と違って、「国務長官らが交渉」を優先するオーソドックスなやり方をとる「バイデン」の下では「北朝鮮」問題は進展しないだろう。 「韓国」としても、「米国」側に精一杯すり寄る姿勢を示したかったのだろう。 「文在寅氏」があと1年の任期に「立場を鮮明に」するとは考え難い。 「文在寅大統領」が今後、「米韓関係」をどのように再構築してゆくのか注目したい。 「文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手」 「同盟国間の首脳外交にはたいていの場合、失敗がない」とは言い得て妙だ。 「文在寅大統領」の「八方美人的外交」は上手くいくのだろうか。 「会談に先立って、アメリカ側は朝鮮戦争に従軍した退役軍人に名誉勲章を贈る行事を設定し、文大統領を同席させた」、「アメリカと韓国はともに戦い血を流した「血盟関係」であること、そして共通の敵は中国であったことを韓国側に想起させようという意図」、「アメリカ」の演出は心憎いばかりだ。 「ミサイル指針」の「終了」は日本に悪影響はないのだろうか。 自らの主張を強引に受け入れさせることしか考えなかったトランプ政権の直線的外交とは対照的に、バイデン政権の外交ははるかに洗練されていると言えそうだ』、同感である
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海外事業(海外投資)(その2)(元日経のエースも参画 「深圳再開発」への疑問 宮越HD 1200億円の巨大プロジェクトの不可解、資生堂 「ドルガバ終了」から始まる欧米撤退戦 赤字続く欧米事業 ブランド整理加速の序章か、スズキが直面「インドとミャンマー」という難関 積年の課題「インド一本足」から脱却できるか) [企業経営]

海外事業(海外投資)については、2016年8月18日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その2)(元日経のエースも参画 「深圳再開発」への疑問 宮越HD 1200億円の巨大プロジェクトの不可解、資生堂 「ドルガバ終了」から始まる欧米撤退戦 赤字続く欧米事業 ブランド整理加速の序章か、スズキが直面「インドとミャンマー」という難関 積年の課題「インド一本足」から脱却できるか)である。なお、タイトルから「の失敗・不振」は削除した。

先ずは、3月17日付け東洋経済オンライン「元日経のエースも参画、「深圳再開発」への疑問 宮越HD、1200億円の巨大プロジェクトの不可解」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/416702
・『2021年に入り、東証1部上場の宮越ホールディングス(HD)の株価がにわかに上昇している。背景にあるのが中国で行うとしている巨大な再開発計画だ。 同社は長年、中国などで音響・映像機器の製造を手がけてきたが、バブル崩壊後の1990年代に業容が悪化し、その後撤退。生産工場として1987年に取得したという深圳市福田区の工場跡地13.6万平方メートル(一部譲渡し現在は12.7万平方メートル。東京ドーム3個分)を活用し、中小事業者向けのオフィスや運動場として貸し出してきた。現在は収益のすべてがこの不動産の賃貸収入だ。 それが2018年に突如、深圳の工場跡地に建設費70億元(当時の為替レートで約1200億円)を投じて大規模再開発を行うとぶち上げた。具体的には、テナントとして世界中からイノベーション企業500社を誘致し、研究開発拠点、オフィス、商業、住宅を含むアジア最大級のワールド・イノベーション・センター(WIC)に生まれ変わらせるというものだ。 当初、2019年に現地政府から開発許可を得たうえで、2020年上半期に建設工事を開始、2021年に開業するというものだったが、計画発表後、現地政府からの開発許認可が下りることはなかった。しかし2021年1月8日、「WIC開発構想進捗」「平井卓也デジタル改革担当大臣との会談」と題した情報を自社サイトで発信。時を同じくして株価も上昇しはじめた。 「ちょうどよいところに来た」 2021年2月下旬、大田区の宮越HD本社に取材に訪れると、事前の予告なしに宮越邦正会長兼社長が記者を出迎えた。「あなたはちょうどよいところに来た。中国の旧正月が明けて、2月23日に深圳市福田区の政府から今年この地域一帯を重点プロジェクトとして開発するという方針が正式に打ち出された」(宮越社長)と切り出したのだ。 会社側の説明と資料内容をまとめるとこうだった。まだ現地政府の開発許認可は下りておらず、いくつかのプロセスを経る必要があるものの、順調にいけば2021年の夏前に開発許認可を得たのち設計に入り、2022年初に既存施設を取り壊して着工、早ければ2023年半ばに4つに区分けしたうちの第1期ビルを開業する予定だという。 「傘下に設計や不動産開発会社を持つシンガポールの(政府系投資会社)テマセク・ホールディングスが事業提携をしたいという話も来ていて、彼らは2年で全部建てられるという。コロナで開発が遅れた分を取り戻せるかもしれない」「(再開発計画が軌道に乗ったら)バークシャー・ハサウェイのような少数精鋭の投資会社として本格的にやろうと」。今年で80歳の宮越社長は、はきはきとした口調で1時間近く壮大な深圳の計画を披露した。 この日の取材には日本経済新聞社で経済部長兼日経フィナンシャル編集長を務めていた矢沢俊樹氏が、宮越HDの広報IR担当者として同席。矢沢氏は日経新聞の中では社長候補とも目されたエースだったが、 2021年2月に宮越HDの常務執行役員経営企画本部長に就任している。 業容拡大に必要な陣容を整えるため、 宮越HDは、ほかにも大手ゼネコンや証券会社の元幹部などを次々に迎え入れている。 その後、3月8日の朝に「2030年に時価総額1兆円 少数精鋭のエクセレントな投資会社へ飛躍」と題したトップメッセージが同社のホームページ掲載されると、宮越HDの株価はストップ高となった。2020年末に666円(終値)だった株価は3月11日のザラバで一時1366円まで急騰した。 だが、深圳での巨大な再開発計画について、関係者に取材を進めていくと不可解な点がいくつか出てきた』、「平井卓也デジタル改革担当大臣との会談」は、同社のHPから削除されたようだ。社長はかなり山っ気がありそうだ。株価は足元でも1068円と高値圏にある。HPの「深センプロジェクトは下記の通り。
http://www.miyakoshi-holdings.com/project/
・『入居意向書に記された有名企業に尋ねた  取材当日、宮越社長が「これは、本当は見せてはいけないから、ささっと飛ばしますけども」と前置きしつつも、記者にぱらぱらとめくってみせる中国語のタイトルが書かれた赤い装丁の立派な冊子には、有名な東証1部上場の企業名とハンコがずらり。日本の大手企業の入居意向を取り付け現地政府に提出したとする「意向書」をまとめた名簿だという。 取材時、宮越社長は「時価総額10兆円以上もあるあの会社も、出てくるとは言いませんけど、この名簿の中にはそれに似たような会社さんが全部入っています」「(日本企業の誘致目標100社のうち)すでに7割超を取り付けた。なかなかのものでしょう?」と説明した。 記者は後日、宮越社長から見せられた冊子の中で社名が目視で確認できた複数の上場企業に、匿名を条件に事実関係の確認を申し込んだ。深圳市福田区で計画されている不動産再開発について、テナントとして入居する意向書を提出している事実もしくは予定があるかを、中国の関連子会社も含めて照会してもらったのだ。 すると、いずれの企業も進出を否定。「そのような事実は確認できませんでした。計画もないと聞いています」という答えのほか、「海外事業の統括部門や中国子会社の経営陣にも確認しましたが、そういった情報はありません。そもそもうちは深圳に進出できておらず……。他社との間違いではないですか?」という困惑した回答もあった。 宮越HDは、1966年に宮越社長が25歳で東邦電器製作所を創業、電子部品の製造を開始したのが発祥だ。その後オーディオメーカーのユニセフグループとして業容を拡大。1983年にはダイエーから東証1部上場の音響機器メーカーであったクラウンを買収、1984年には東芝から東証2部上場の冷凍機器メーカー・田尻機械工業の経営権を取得するなど新興の投資グループとしても名を馳せた。 だが音響機器の基幹事業は新興国との価格競争で1990年代以降、大幅に縮小。財テクの失敗が追い打ちをかけ、バブル崩壊とともに凋落の一途をたどった。株価操縦を狙った仕手筋が暗躍していた銘柄として取り沙汰されたこともある。そんな中、生産工場向けに取得したという深圳市の土地が、今やハイテク都市の一角となったことで億円単位の賃料収入を生んでいる。 実は宮越HDによる深圳での再開発計画が浮上したのはこれが初めてではない。現地メディアによれば、宮越社長は2006~2007年に深圳をたびたび訪問。当時の陳応春副市長と面談し、19億元(現在の為替レートで約310億円)を投じて「ハイテク企業園区」へと再開発し、日本企業100社前後を誘致する計画だと報じられた。 2010年には深圳市省エネ協会と省エネルギー・環境保護事業で提携し合弁会社「深圳国際省エネセンター(仮称)」を設立するとのリリースを出している』、「テナントとして入居する意向書を提出」、については裏付けが取れないようだ。同社の1980年代以降の戦略をみると「山っ気」が伺える。「深圳市の土地が・・・億円単位の賃料収入」、これが主たる収入源のようだ。
・『当局は重点プロジェクトを発表していない  しかしその後、再開発計画は進展が見られなかった。会社側は「(2012年に起きた)尖閣諸島の反日デモ問題が影響した」(板倉啓太常務取締役)と説明してきたが、現地の不動産関係者からは、「深圳市政府は外資単独での開発は支持できないというのが一貫した態度。宮越側も過大な要求を続けて立ち消えになった」という話が聞かれる。 近年の状況についても、「現地のパートナー企業である美芝電器(宮越HDの子会社で深圳の不動産賃貸事業を手がける皇冠電子に10%出資)の創業者が亡くなり、 現地政府が同社の過去の放漫経営を問題視。(皇冠電子が所有するという)工場用地に関しても、当局の資産調査が入るかもしれない」(前出の関係者)といった不穏な指摘も聞かれる。 宮越社長が語った同社の工場用地一帯が「重点プロジェクトに認定されることになった」という情報は、少なくとも現時点では現地政府から対外的な発表はされていない。宮越HDはホームページで「できるだけ速やかに正式な開発許可を取得すべく精力的に協議」としているが、当局から開発許可が下りるかどうかは定かでない。 宮越HDが深圳での再開発計画を進めるとした場合、もう一つハードルになりそうなのが開発資金だ。総額1200億円(4区画の合算、1区画300億円)もの巨大プロジェクトを実現するには、同社の財務規模では自己資金(2020年末の現預金は114億円)と事業収益だけでまかなうのは現実的に不可能で、今後、何らかの資金調達が必要になる。 実際、宮越HDは再開発計画を公表した2018年、大株主クラウンユナイテッド(宮越社長一族が100%の議決権を保有するネットホールディングの完全子会社)に対する第三者割当増資で77.4億円を調達している。 このスキームはやや複雑で、まず東京スター銀行が宮越社長個人に対して融資を行い、その後、宮越社長がクラウンユナイテッドに融資。同社への第三者割当増資により宮越HDに資金が入るという形式をとっている。クラウンユナイテッドは、第三者割当増資で取得した宮越HDの株式を担保として東京スター銀行に提供している』、「東京スター銀行が宮越社長個人に対して融資」から「スキーム」が始まっているのは、同社そのものより「社長個人」の方は信用力があるともいたためだろう。なお、同社HPの「深センプロジェクト」は以下。
http://www.miyakoshi-holdings.com/project/
・『日経の元経済部長を財務担当に  なぜ宮越社長個人を介して融資する必要があるのか。会社側は「クラウンユナイテッドが債務超過で融資審査基準に適さないため」(板倉常務)と説明している。 宮越社長は2月下旬の取材時、金融業界に幅広いネットワークを持つ日本経済新聞出身の矢沢氏に財務本部長を兼任させる予定だと語っていた。「(再開発の資金として)自己資金のほか、国内金融機関や政府系金融機関から調達していきたい」(宮越社長)としているが、矢沢氏はその責務を担うことになるのだろうか。 時価総額1兆円を目指すというホームページ上の社長メッセージは、「さて、次はどんな宮越流の一手をポケットから取り出そうか。山あり谷ありの人生でしたが、私は今ほど胸がワクワクしていることはありません」と締めくくられている』、「日本経済新聞出身の矢沢氏」を獲得というのは驚きだが、FACTA Online4月号によれば、「昨年11月下旬、矢沢氏は突如、依願退職してしまう。その真相は謎だが、社内での女性ハラスメント問題が一因だったともされる ………」、もっともらしい説明ではあるが、やはり「真相は謎だ」。いずれにせよ、壮大なプロジェクトの今後が注目される。

次に、5月11日付け東洋経済オンライン「資生堂、「ドルガバ終了」から始まる欧米撤退戦 赤字続く欧米事業、ブランド整理加速の序章か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/427335
・『「ドルチェ&ガッバーナの その香水のせいだよ」――。キャッチーなフレーズと独特のハスキーボイスで一躍ヒット曲となった、瑛人の「香水」。この歌詞を思わず口ずさんでしまいそうな動きが、化粧品メーカー最大手の資生堂で起きた。 資生堂は4月28日、2021年12月期に350億円の特別損失を計上する見込みとなったと発表した。原因となったのは、ドルチェ&ガッバーナ社との香水などに関するライセンス契約の解消だった。 ドルチェ&ガッバーナはバッグや化粧品を展開するイタリアの高級ファッションブランド。資生堂は2016年にドルチェ&ガッバーナ社と、香水やメイク化粧品などの開発・生産、販売などを世界各国で行う契約を締結した。しかし、2021年12月31日をもって、その契約を解消するという』、出資した時は威勢良かったが、撤退する時は悲惨だ。
・『国内で販路拡大を進めていたが・・・  350億円という特別損失の額は、アメリカの子会社・ベアエッセンシャルの減損損失などで811億円を計上した2017年12月期以来の大きさとなる。資生堂が期初に示した2021年12月期の純利益予想は115億円。5月12日に予定している2021年1~3月期の決算発表時に、7月の日用品事業売却(譲渡額は1600億円)と併せて、通期業績への影響が説明される見込みだ。 「豪華なおまけなどを付けて販促を頑張っていたし、私の店舗では売れていたブランドだった。まさか契約を解消するとは」。資生堂のある美容部員は驚きを隠せない様子だ。 2019年にはドルチェ&ガッバーナのブランドで国内の常設店舗をオープン。その後も取り扱い店舗を増やしてきた。注力していたブランドを手放す展開にはちぐはぐな印象を受けるが、国外に目を移すと厳しい事情が見えてくる。ドルチェ&ガッバーナは中国で苦戦を強いられていた。きっかけは2018年に起きた広告をめぐる騒動。本国のドルチェ&ガッバーナ社が、箸を使ってピザやスパゲッティを不器用に食べる中国人女性の動画を公開したところ、侮蔑した内容であり人種差別的だとして、中国で批判の的となった。 批判の矛先はドルチェ&ガッバーナ社に向けられたとはいえ、資生堂も影響を免れなかった。中国の大手ECサイトでは、今もドルチェ&ガッバーナの商品が販売されていないからだ。アリババの「天猫(Tモール)」や京東集団の「JD.com」では、同ブランドを検索しても「関連する商品は見つかりません」と表示される。事実上、中国市場から締め出されているのだ。 また、ドルチェ&ガッバーナが得意とする香水やメイク化粧品は外出時に使用することが多く、コロナ禍で売り上げの落ち込みが激しかった。資生堂における、同ブランドの2020年12月期の売り上げは前期比28%減。これは日本国内の化粧品市場の20%減やアメリカの同市場の8%減(2020年、イギリスの市場調査会社ユーロモニター調べ)を大きく上回る』、「本国のドルチェ&ガッバーナ社が、箸を使ってピザやスパゲッティを不器用に食べる中国人女性の動画を公開したところ、侮蔑した内容であり人種差別的だとして、中国で批判の的となった」、海外投資の難しさだ。
・『欧米での拡大策は惨憺たる結果に  資生堂は2010年のベアエッセンシャル社買収を皮切りに、欧米で積極的な拡大策を続けてきた。メイク化粧品のローラ メルシエや自然派スキンケアのドランクエレファントを立て続けに買収した。 しかし、結果は惨憺たるものだ。2016年以降、アメリカ事業とヨーロッパ事業で計上した営業赤字は累計1000億円を超える。加えて、今まで稼ぎ頭だった日本と中国事業がコロナ禍の影響で低迷し、欧米事業の赤字をカバーできなくなってしまった。今年2月に開催された決算説明会で、魚谷雅彦社長は「欧米の収益性の改善は最大の課題」と危機感をあらわにした。 「欧米事業はブランドの価値を上げるために採算度外視で進出しており、もともと赤字体質だった。さらにM&Aを中心とした拡大戦略によって、のれん償却などのコストがかさみ、赤字幅が拡大していた」。資生堂の元役員の1人はそう指摘する。) 資生堂は戦略の転換を余儀なくされている。「(ブランド)ポートフォリオを変更し、『SHISEIDO』や『クレ・ド・ポー ボーテ』など日本発の収益性の高いスキンケアブランドを徹底的に強化していく」と、魚谷社長は2月の決算説明会で表明した。欧米事業ではドルチェ&ガッバーナ以外にもブランドの撤退や売却を進めることが予想される。 次の売却ブランドはどこになるのか。それを探る手がかりとなるのが、「(欧米では)メーキャップとフレグランス事業は抜本的に収益構造の改革をしていく」という魚谷社長の発言だ。 資生堂はドルチェ&ガッバーナ以外にも、2020年1月にアメリカのファッションブランド・トリーバーチとライセンス契約を結び、香水などの製造・販売を行っている。ただ香水の原料となる香料やアルコールは、化粧品としては原価が高い。容器などの包装にもコストがかかり利益率は低い。 「利益率を高めるのであれば採算性の低い香水から撤退し、儲かるスキンケアの売上比率を高める戦略は正しい」(あるOB)。このような見方に立てば、トリーバーチからの撤退も十分に考えられる』、「「欧米事業はブランドの価値を上げるために採算度外視で進出しており、もともと赤字体質だった。さらにM&Aを中心とした拡大戦略によって、のれん償却などのコストがかさみ、赤字幅が拡大していた」、そんな甘い姿勢では、「欧米での拡大策は惨憺たる結果に」、なったのは当然の結果だ。
・『最大の焦点はベアエッセンシャル  とはいえ、売却対象の最有力候補はなんといってもアメリカのベアエッセンシャルだ。 2010年に1800億円で買収したものの、その直後から業績が悪化。2013年3月期と2017年12月期に、計900億円を超える減損を計上した。現在も店舗の縮小などを続けている「お荷物ブランド」だ。一刻も早く手放したいのはやまやまだろうが、問題は売却先が見つかるかどうかだ。 香水やメイク化粧品からの撤退を進め、利益率が高い高価格帯スキンケア領域の比率を上げていく構えを取る資生堂。一方で、この新戦略を不安視する向きもある。「香水が中心のヨーロッパやメイクが中心のアメリカで、スキンケア商品が売れるとは考えづらい」。前出とは別のOBはその実現性に疑問を投げかける。 資生堂は2020年に7年ぶりの最終赤字に転落し、大手化粧品メーカーでは"独り負け"となった。「プロ経営者」として2014年に就任した魚谷社長は、同社の業績を復活させ長期的な成長に向けた道筋を示すことができるのか。その手腕が問われる正念場を迎えている』、「香水が中心のヨーロッパやメイクが中心のアメリカで、スキンケア商品が売れるとは考えづらい」、との懸念ももっともだ。「プロ経営者」の化けの皮が剥がれたようだ。

第三に、5月29日付け東洋経済オンライン「スズキが直面「インドとミャンマー」という難関 積年の課題「インド一本足」から脱却できるか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/430792
・『今年、どういうふうにインド市場が回復していくのか、明確に生産計画を言えない状況にある」 国内軽自動車大手・スズキが5月13日に開いた決算説明会。鈴木俊宏社長は終始厳しい表情で語った。 スズキの2021年3月期決算は、売上高が前期比8.9%減の3兆1782億円、営業利益は同9.6%減の1944億円に沈んだ。3期連続の営業減益となる』、「インド市場」が「低迷」しては打つ手もなさそうだ。
・『コロナで3000店舗が営業停止に  スズキはこの2年間、インド市場の低迷に苦しんできた。スズキにとってインドは世界販売台数の半分以上、売上高の約3割を占める主要マーケットだ。インドでは銀行の不良債権問題が発端となり、自動車ローンを提供するノンバンクの貸し渋りが2019年に発生。自動車販売が大きく減少し、これに引きずられてスズキの業績も大きな打撃を受けた。 2019年末にはいったん販売が上向き、市場回復の兆しが見えていたが、その矢先に新型コロナウイルスがインド全土を直撃した。厳格なロックダウンが実施され、スズキがインドで展開する約3000店の自動車販売店も全店営業できず、インド国内に3カ所ある生産工場も稼働停止を強いられた。 2020年4月にはインドに展開する全自動車メーカーの販売台数合計がゼロ台となる前代未聞の出来事も起きた。その結果、スズキは2期連続の減収減益決算に陥った。 しかもスズキは国内の自動車メーカーで唯一、2022年3月期の業績予想を公表できなかった。2020年5月に2021年3月期の業績予想を公表できたのは最大手のトヨタ自動車だけだったが、2021年はスズキを除く各社とも業績予想を発表している。 他社と同様、半導体不足や原材料費の高騰といった不安要素を抱えてのスタートとなったスズキだが、他社と大きく異なるのがインドに収益を大きく依存していることだ。 インドが好調だった2018年3月期、スズキは営業利益の4割以上をインド子会社のマルチスズキで稼いでいた。それが2021年3月期には17%まで低下した。日本市場のこれ以上の成長が厳しい中、スズキが大きな成長を期待できる市場がインドなのだ。 インドの感染状況は深刻だ。陽性者数は5月27日時点で240万人以上、累計で31万人以上が死亡している。インドでは感染拡大当初から、症状が出てもPCR検査を受けない人もいることなどから陽性者数のカウント漏れが指摘されており、実態はより厳しいとみられる。 インド国内に36ある州のうち、5月13日時点で28州がロックダウンを行っている。2020年の厳格な措置とは違い、物流など一部機能は維持されているが、スズキの販売店は13日時点で8割が休業を余儀なくされている』、「8割が休業」とは深刻だ。
・『酸素不足で自動車生産を一時停止  感染者が一気に増加したことで2020年にはなかった問題も発生した。医療用酸素の不足だ。自動車の生産にも部品製造の段階などで工業用酸素を使用する工程がある。各事業者はインド政府からの要請で工業用酸素を医療向けに提供しており、自動車の生産が難しくなった。 スズキもこれを受けて、現地の生産拠点すべての稼働を5月1日から停止した。当初は6月に予定していたメンテナンスの前倒しという形で5月9日までの停止としていたが、最終的には減産期間を5月16日まで延長した。 5月17日には酸素を使わない生産方式に切り替え、全工場の稼働を再開した。とはいえ、フル稼働ではなく、販売店の休業も続いている。そうした状況でも財政赤字を抱える政府の企業支援策は手薄だ。ジェトロの村橋靖之ニューデリー事務所長は「今回の第2波はあまりに短期間に感染者が急増したため、政府支援も酸素の確保や医療体制支援等に集中した。企業活動の一部も継続しているので、現時点で具体的な企業支援策は講じられていない」と指摘する。 インド経済に詳しい日本総合研究所の熊谷章太郎副主任研究員も「政府が景気刺激策を実施しても、そのために必要な国債の増発により、長期金利が上昇して景気浮揚効果を打ち消してしまう展開も想定される」と話す。かえって景気の悪化が長引くことになってしまううえ、2019年にインド減速の原因となった金融不安も残る。 悩ましいのは、スズキの「外患」がインドだけでないことだ。2月に国軍がクーデターを起こし、現在も市民の弾圧を続けるミャンマーも大きなリスクを抱えている』、「ミャンマーも大きなリスク」とは踏んだり蹴ったりだ。
・『ミャンマー工場は稼働停止に  スズキがミャンマーで自動車生産を始めたのは1999年のこと。現在は4輪車工場が2カ所あり、スイフトやキャリイなど4車種を年間約1.3万台、生産している。2019年の市場シェアは約60%とトップシェアを誇っており、2020年には120億円を投じ、年間4万台の生産能力を持つ新工場の建設をヤンゴン市南東にあるティラワ工業団地で進めていた。 ティラワ新工場の稼働予定は2021年9月だったが、鈴木社長は「(ミャンマーは)先行きが読める状況ではない、ミャンマーの情勢をしっかりみながら、どの時期に生産を開始するのがいいか判断する。常識的に考えると9月の稼働は難しい」と話す。ミャンマーの現状を考えると稼働延期の可能性が高く、既存工場も2月から稼働停止が続いている。 5月の決算説明会で鈴木社長は「(インド以外の新市場といっても)他の市場はリスクが低いかというと、ミャンマーの例があったりする。新しい市場に行くというのは簡単に見えて非常にリスクが高い。僕はインド以上に(新市場は)リスクが高いと思っている」と語り、インドに収益を依存した現状からの脱却には否定的な考えだ。 6月の株主総会で鈴木社長の実父である鈴木修会長が引退し、スズキの舵取りは鈴木社長の肩に全面的にのしかかる。インドの新経営体制は発足して早々、難題が突きつけられることになった』、「インド」の「感染拡大」は、ワクチンが遅れていることもあって、当面、続きそうだ。「スズキ」としては、固定費負担圧縮などで耐え忍ぶほかなさそうだ。
タグ:東洋経済オンライン 海外事業 (海外投資) (その2)(元日経のエースも参画 「深圳再開発」への疑問 宮越HD 1200億円の巨大プロジェクトの不可解、資生堂 「ドルガバ終了」から始まる欧米撤退戦 赤字続く欧米事業 ブランド整理加速の序章か、スズキが直面「インドとミャンマー」という難関 積年の課題「インド一本足」から脱却できるか) 「元日経のエースも参画、「深圳再開発」への疑問 宮越HD、1200億円の巨大プロジェクトの不可解」 「平井卓也デジタル改革担当大臣との会談」は、同社のHPから削除されたようだ。社長はかなり山っ気がありそうだ。株価は足元でも1068円と高値圏にある。HPの「深センプロジェクトは下記の通り。 http://www.miyakoshi-holdings.com/project/ 「テナントとして入居する意向書を提出」、については裏付けが取れないようだ。同社の1980年代以降の戦略をみると「山っ気」が伺える。「深圳市の土地が・・・億円単位の賃料収入」、これが主たる収入源のようだ。 「東京スター銀行が宮越社長個人に対して融資」から「スキーム」が始まっているのは、同社そのものより「社長個人」の方は信用力があるともいたためだろう。なお、同社HPの「深センプロジェクト」は以下。 http://www.miyakoshi-holdings.com/project/ 「日本経済新聞出身の矢沢氏」を獲得というのは驚きだが、FACTA Online4月号によれば、「昨年11月下旬、矢沢氏は突如、依願退職してしまう。その真相は謎だが、社内での女性ハラスメント問題が一因だったともされる ………」、もっともらしい説明ではあるが、やはり「真相は謎だ」。いずれにせよ、壮大なプロジェクトの今後が注目される。 「資生堂、「ドルガバ終了」から始まる欧米撤退戦 赤字続く欧米事業、ブランド整理加速の序章か」 出資した時は威勢良かったが、撤退する時は悲惨だ。 「本国のドルチェ&ガッバーナ社が、箸を使ってピザやスパゲッティを不器用に食べる中国人女性の動画を公開したところ、侮蔑した内容であり人種差別的だとして、中国で批判の的となった」、海外投資の難しさだ。 「「欧米事業はブランドの価値を上げるために採算度外視で進出しており、もともと赤字体質だった。さらにM&Aを中心とした拡大戦略によって、のれん償却などのコストがかさみ、赤字幅が拡大していた」、そんな甘い姿勢では、「欧米での拡大策は惨憺たる結果に」、なったのは当然の結果だ。 「香水が中心のヨーロッパやメイクが中心のアメリカで、スキンケア商品が売れるとは考えづらい」、との懸念ももっともだ。「プロ経営者」の化けの皮が剥がれたようだ。 「スズキが直面「インドとミャンマー」という難関 積年の課題「インド一本足」から脱却できるか」 「インド市場」が「低迷」しては打つ手もなさそうだ。 「8割が休業」とは深刻だ。 「ミャンマーも大きなリスク」とは踏んだり蹴ったりだ。 「インド」の「感染拡大」は、ワクチンが遅れていることもあって、当面、続きそうだ。「スズキ」としては、固定費負担圧縮などで耐え忍ぶほかなさそうだ。
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防衛問題(その17)(自衛隊とは大違い 米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない、コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…) [国内政治]

防衛問題については5月11日に取上げた。今日は、(その17)(自衛隊とは大違い 米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない、コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…)である。

先ずは、5月6日付けJBPressが掲載した軍事社会学者の北村 淳氏による「自衛隊とは大違い、米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65176
・『トランプ政権時代にアメリカの国防戦略が大転換され、中国とロシアを筆頭とする軍事強国がアメリカ軍にとっての主たる仮想敵として位置づけられた。 それを受けてアメリカ海兵隊も、基本戦略の徹底的な見直しを基に昨年(2020年)3月末に公表された「フォースデザイン2030」というガイドラインに準拠して、組織全体にわたる抜本的大改革を開始した』、「国防戦略が大転換」に伴って、「海兵隊も、基本戦略の徹底的な見直し」をしたのは、さすがだ。日本のように古びた戦略にしがみつくのはいただけない。
・『順調に進展し始めた大改革  このほどこの組織改革努力が1年経過したため、その進捗具合と修正検討事項などが公表された(『フォースデザイン2030 年次更新』)。) それによると、戦車部隊(M1戦車を400両ほど保有していた)の全廃、重砲(M777 155mm牽引式榴弾砲)部隊の大削減、憲兵隊の全廃、といった大削減計画は順調に進展しており、すでに米海兵隊から戦車は姿を消してしまった。 自ら身を切る大削減の一方で、全く新しい部隊の編成と育成も急ピッチで進んでいる。 それは「海兵沿岸連隊」と呼ばれる戦闘部隊で、地上から沖合の艦艇を攻撃する長射程ロケット砲システムや地対艦ミサイルシステムを保有し、自らを敵のミサイル攻撃や航空機攻撃から守るための防空ミサイルシステムも備えた、海兵隊にとっては全く新機軸の部隊である。今なおハワイで実験的育成中であるが、順調に建設が進んでおり、間もなく本格的に部隊を追加していき、沖縄を中心に実戦配備が開始されることになる。 米海兵隊でこのような大改革が進められているのは、海兵隊の主たる仮想敵がこれまで四半世紀にわたって戦闘を続けてきたテロリスト集団から「中国人民解放軍の海洋戦力」という先進兵器で武装した正規軍へと転換され、想定される戦域が南シナ海や東シナ海の島嶼や第一列島線上の沿岸地帯ということになったためである。つまりこれまでの海兵隊では戦闘にならなくなってしまったということだ』、「主たる仮想敵が」、「テロリスト集団から「中国人民解放軍の海洋戦力」という先進兵器で武装した正規軍へと転換」、確かに大きな「転換」だ。
・『海兵隊の伝統的イメージと現実  これまで長きにわたってアメリカ海兵隊といえば、最も危険な軍事作戦の1つである強襲上陸作戦に代表される水陸両用戦を“表看板”に掲げる軍隊と一般的にはみなされてきた。また自らもそのように宣伝してきた。強襲上陸作戦とは、敵が待ち構えている海岸線に殺到して沿岸域の敵を撃破し、橋頭堡を確保する作戦である。 しかしながら米海兵隊が戦闘を交えながらの強襲上陸作戦を最後に実施したのは朝鮮戦争における仁川上陸(クロマイト作戦、ただし米海兵隊だけではなく米陸軍、韓国陸軍、韓国海兵隊も参加)である。もしくはかろうじて強襲上陸作戦とみなしうる戦闘を経験したのは、グレナダ侵攻(1983年10月)が最後である。1995年にソマリアで上陸作戦が実施されたが、これは戦闘が生起しない地点への単なる上陸であった。 そして、湾岸戦争(1991年1月)以後これまで30年にわたって海兵隊が戦闘を繰り広げてきたのは、イラクやアフガニスタンでのサダムフセイン軍閥やテロリスト集団相手の戦闘であった。 要するに、アメリカ海兵隊は一般に流布している“表看板”とは違って、実際に実戦経験を積み重ねてきたのは、米陸軍と同じく砂漠地帯や山岳荒地での地上戦や市街地での近接戦が中心となっている。強襲作戦や襲撃作戦といった水陸両用戦闘の実戦経験は持ち合わせていないのだ』、「海兵隊」といっても、「強襲作戦や襲撃作戦といった水陸両用戦闘の実戦経験は持ち合わせていない」、というのは意外だが、言われてみればその通りなのだろう。
・『対中戦に適合できない伝統的水陸両用戦  これまで80年以上にわたって海兵隊が“表看板”に掲げてきた水陸両用戦は、強襲上陸作戦を主軸に据えた軍事作戦である。その基本的コンセプトは、1920年代から1930年代にかけて「来たるべき日本との太平洋の島嶼をめぐっての攻防戦に備えるために」海兵隊の鬼才と言われたアール・ハンコック・エリス中佐が策定した作戦計画(『マイクロネシアにおける前進基地作戦』)に起源を持つ“時代物”の作戦概念ということができる。 もちろん、ヘリコプター、強襲揚陸艦、VTOL攻撃機、ホバークラフトやオスプレイなど新兵器の誕生によって作戦概念に修正が加えられてはいるものの、水陸両用戦の基本的アイデアそのものは極めて伝統的なコンセプトに立脚しているのである。 ところが、中国海洋戦力を相手に実際に水陸両用戦を準備することになるや、伝統的な水陸両用戦のアイデア自体を抜本的に見直さなければならなくなってしまった。というのは、中国軍の接近阻止戦力が予想をはるかに上回るスピードで充実してしまったため、そもそも海兵隊上陸侵攻部隊を積載した艦隊が、作戦目的地沖合に接近することすら不可能に近い状況になってしまったからである』、「海兵隊上陸侵攻部隊を積載した艦隊が、作戦目的地沖合に接近することすら不可能に近い状況になってしまった」ほど、「中国軍の接近阻止戦力」が「充実」したとは驚かされた。
・『接近阻止戦闘が新たな水陸両用戦  そこで海兵隊首脳陣が打ち出した新機軸の水陸両用戦は、 +中国軍の手に落ちていない島嶼や第1列島線上の沿岸地域に海兵沿岸連隊を展開させて、中国艦隊や航空戦力が接近するのを迎撃する態勢を固める、+そして中国側の隙を突いて、さらに前方の島嶼などに海兵沿岸連隊を急展開させて対中国軍接近阻止エリアを拡大する、 +こうして中国軍が南シナ海や東シナ海を自由自在に動き回れる範囲を狭めることにより、中国による海洋侵出政策を封じ込める一助となる、 というものである。 一言で言うと、太平洋側から中国大陸に向けて侵攻してくるアメリカ軍を、強力な接近阻止戦力によって南シナ海や東シナ海で釘付けにしてしまう中国軍の対米接近阻止戦略と真逆の態勢をとることにより、中国軍が南シナ海や東シナ海の中国より海域から第一列島線に向けて接近することを阻止する戦略を実施しようというわけである。 そのため大改革を進めている米海兵隊は、少なくとも南シナ海の島嶼環礁や第1列島線周辺における中国海洋戦力相手の戦闘においては、中国軍が防御を固めている島嶼や海岸線に上陸作戦を敢行するなどという伝統的水陸両用戦のようなアイデアは捨て去ってしまったのである(そのアイデアの典型例が陸上自衛隊が固執している島嶼奪還作戦である)』、「アメリカ」が「伝統的水陸両用戦のようなアイデアは捨て去ってしまった」のであれば、「陸上自衛隊が固執している島嶼奪還作戦」も早急に組み直す必要がある。

次に、5月22日付け現代ビジネスが掲載した防衛ジャーナリストの半田 滋氏による「コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83353
・『新型コロナウイルス対策に5兆円の予備費を計上した日本政府。医療資源の不足から無駄なカネは1円も使いたくないはずである。 その政府がイージス・システム搭載艦の建造に巨額の国費を投入する。1隻あたりの建造費は2500億円以上と既存のイージス護衛艦よりはるかに高いばかりでなく、30年間使い続けた場合の総費用が4500億円に上ることが新たに判明した。 建造を予定する2隻で合計9000億円。総費用は地上配備型のイージス・アショアの2倍となり、巨大なカネ食い虫となることが確定した。 イージス・システム搭載艦は、秋田市と山口県萩市に配備する予定だったイージス・アショアの代替策。政府は昨年6月、イージス・アショアの推進装置「ブースター」を安全に落下させるには2400億円の追加費用が必要になるとして導入断念を決め、昨年12月、菅義偉首相がイージス・システム搭載艦2隻の新規建造を閣議決定した。 防衛省は2隻の建造費について「2400億円~2500億円以上」と発表し、最新のイージス護衛艦「はぐろ」の建造費より最大で766億円以上、つまり汎用護衛艦1隻分の建造費と同じくらい高いことがわかっていた。 総費用については「お示しすることは困難」(2月9日衆院予算委員会、岸信夫防衛相)と非公表としてきたが、30年間の維持、整備にかかる総費用は「3792億~3842億円+α」と21日、朝日新聞が報じて明らかになった。 イージス・システム搭載艦が高額になるのは、地上に置くべきイージス・アショアの大型レーダーをイージス護衛艦に搭載することから船体が大型化し、推進性能、船体構造、重量重心などの見直しが必要になり、建造費が跳ね上がるからだ。 いわば天守閣を船に載せるがごとき、珍妙なアイデアをひねり出した末の無駄遣いといえる』、「イージス・アショア」導入時も大きな問題があったが、代替策はそれ以上に問題が大きいようだ。
・『米国製兵器の「爆買い」  昨年6月、国家安全保障会議で正式にイージス・アショアの導入断念を決めたにもかかわらず、防衛省は米政府との契約を解除せず、「地上イージス」を海に移して「洋上イージス」に変える検討を始めた。 そもそもイージス・アショアは、安倍晋三前首相がトランプ前米大統領に迫られて購入を約束した米国製兵器の「爆買い」のひとつだ。 政府が導入を決めるまでの経緯について、防衛省の事務方ナンバー2だった真部朗元防衛審議官が今年3月、元文官らが運営するサイトに記事を投稿したが、すぐに削除されるドタバタ騒ぎが起きた。 寄稿の中で真部氏は2018年度防衛費の概算要求に「事項要求」として金額未定のまま「イージス・アショアを中心に検討」と書き込まれたことを疑問視し、「主要な防衛装備品を導入するにしては行政実務的にあまりに性急で、当初から政治主導案件であった」と批判した。 つまりイージス・アショアは、安全保障上の必要性からではなく、政治案件として予算化されたことを指摘し、これに異を唱えたのである。 皮肉にも真部氏の投稿を削除し、「洋上イージス」として蘇らせて製造元の米国にカネを払い続ける仕組みを維持して、安倍前首相の顔が立つよう尽力したのは真部氏の同僚たちである』、「イージス・アショアは、安全保障上の必要性からではなく、政治案件として予算化された」、まさに「安倍前首相」のための案件だったようだ。
・『安倍路線を継承する官僚人事  政府が「地上イージス」の導入断念を決めた当時の防衛事務次官は、第2次安倍政権で内閣府審議官を務めた高橋憲一氏。ナンバー2の官房長は島田和久氏だ。 島田氏は安倍首相の秘書官を7年近くも務め、安倍氏の「大のお気に入り」とされた。2019年7月、島田氏が首相官邸から防衛省へ戻るのに合わせて、官房長になって1年も経たない武田博史氏が防衛装備庁長官に異動し、同長官だった深山延暁氏は定年まで1年を残し、就任1年未満で退職した。 島田氏のためにポストを空ける玉突き人事が行われたのである。これらは内閣承認人事にあたり内閣の意に沿わなければ差し戻される。防衛省が安倍氏の意向を忖度して人事案を提出したのは間違いない。 そして高橋事務次官、島田官房長のナンバー1、2コンビのもとで防衛省は「地上イージス」を「洋上イージス」に置き換える荒技を進めた。 その途中の昨年8月には島田氏が事務次官に昇格し、高橋氏は内閣副官房長官補に栄転した。事務次官経験者がこのポストに就くのは初めてであり、防衛省同期の前田哲内閣副官房長官補を退任させての内閣官房入りである。 省内では「イージス・アショアをつなぎ止めた論功行賞」と見られた。これにより、安倍路線を継承する防衛省関連の官僚人事が完成した』、「イージス・アショアをつなぎ止め」るために、膨大な費用が必要になったことは本来、財務省が指摘すべきだが、財務省もいち早く忖度官庁になっているので、期待できない。野党は防衛予算には余り詳しくないので、期待薄だ。
・『兄の期待に応え続ける岸防衛相  支えるのは官僚だけではない。菅内閣のもとで安倍氏実弟の岸信夫氏が初入閣し、防衛相の職に就いた。 岸氏は就任してすぐに電話やオンラインで各国との協議や大使との対面会談を繰り返した。その中で安倍氏が打ち出した「自由で開かれたインド太平洋」を強調し、兄の期待通りの活動を続けている。 昨年9月25日、防衛省であった記者会見で「洋上イージスとする場合、(イージス・アショアのレーダーの)SPY7を活用するのか」と問われた岸氏は「契約済みのレーダーを活用することが合理的ではないか。契約を維持していく」と述べ、安倍路線の忠実な継承者を印象づけている。 安倍氏は首相辞任するタイミングで実弟を防衛相として送り込み、気心の知れた官僚に防衛政策を任せた。米国と約束した「爆買い」路線を破綻させない政官の枠組みがつくられたことになる。 防衛省が従順なのは人事を通じて権力の恐さを見せつけられたことだけではない。安倍氏を守れば、自らの「失策」を隠すことにもつながるからだ』、「安倍氏は首相辞任するタイミングで実弟を防衛相として送り込み、気心の知れた官僚に防衛政策を任せた。米国と約束した「爆買い」路線を破綻させない政官の枠組みがつくられたことになる」、トランプからバイデンに変わったことで、「爆買い」の「約束」を守る必要は薄れたにも拘わらず、これだけ大掛かりな「政官の枠組み」をつくった背景には何があるのだろうか。
・『レーダー選定のナゾ  イージス・アショアのレーダーは当初、米国のレイセオン社で開発中の「SPY6」が有力視されたが、突然、ロッキード・マーチン社が米本土防衛用にアラスカで建造中の長距離識別レーダー「LRDR」をイージス・アショア向けに転用する「LMSSR(後のSPY7)」を提案し、2社の競合となった。 防衛省で比較検討した結果、基本性能、整備性などの後方支援、経費の3点で「LMSSR」に軍配が上がったとされる。 防衛省の選定時点で、米イージス艦への採用が決まり、開発が先行した「SPY6」に対し、「LMSSR」は構想段階に過ぎなかった。現物がないのだから性能を確かめようがない。本来なら比較できない2つのレーダーをカタログ性能だけで1つに絞ったことになる。 最大の選定理由は、米国防総省の「いち推し」が「LMSSR」だったからである。そのナゾは後になって判明する。 2019年になって米国防総省は「LMSSR」を「SPY7」と命名して制式化した。これに伴い「SPY7」の派生型レーダーをカナダとスペインに売却し、両国の新型戦闘艦に搭載することが決まった。 一方、防衛省が「SPY7」を選定した理由のひとつに富士通のレーダー素子を採用する国内企業参画を挙げていたが、米側から納期遅れと価格高騰を指摘され、参画を断念した。 実はロッキード・マーチン社はスペインのインドラ社のレーダー素子を採用しており、「SPY7」を売買する米国とスペイン間のオフセット取引によって富士通は排除された疑いが濃厚になっている。 防衛省が「LMSSR」を選定した後になって米国防総省は、当初の日米協議にはなかった模擬ミサイルを発射してレーダーの性能を確認する実射試験の費用負担を求めた。防衛省は応じることを決め、約6億ドル(約660億円)の支払いが見込まれている。 つまり、米国は日本のカネで「SPY7」を開発しながらも日本の企業は排除し、日本のカネで実射試験まで行って性能を確かめ、その結果、完成したレーダーを海外に売ってもうけようというのだ。日本はまんまと米国の罠にはまったのである。) 米国で開発中のイージス艦専用レーダー「SPY6」ならそのまま「まや」型に搭載できるため、船体の大型化は不要となるうえ、米政府の保証も受けられる。 それでも「SPY7」の採用にこだわるのは、2019年度の防衛費でイージス・アショア2基の取得費などに1757億円を計上し、米政府との間で支払い契約を済ませていることが大きい。 契約破棄となれば、巨額の違約金を求められる。その結果、責任問題に発展して、イージス・アショアの導入が安倍氏主導の政治案件であることや防衛省によるレーダー選定の異様が一気に表面化する。 元を正せば、安倍氏がトランプ氏の求めるままに購入を約束したことが間違いだった。そこに防衛官僚によるレーダー選定の「誤り」が重なった。誤解を恐れずにいえば、安倍氏と防衛省は「共犯関係」に等しく、防衛省と岸氏は今、「臭いものに蓋」をしているのではないだろうか』、「安倍氏と防衛省は「共犯関係」に等しく、防衛省と岸氏は今、「臭いものに蓋」をしているのではないだろうか」、恥ずべき行為だ。
・『海上自衛隊OBも痛烈批判!  当然ながら海上自衛隊は反対し、OBからも計画の撤回を求める声が上がっている。 元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は「現在の防衛省は、善意に解釈しても、わが国防衛と予算取得上の根本的な疑問や問題を残したまま、見切り発車的に代替案の実現に驀進しているように映る。厳しい言い方になるが、この姿勢はわが国の防衛力整備の体をなしていないといわざるを得ない」(『正論』1月号)と痛烈に批判している。 地上配備を前提に設計したレーダーを艦艇に載せる愚は犯すべきではない。真に国益を考えるならば、しがらみを振り払い、米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう』、「海上自衛隊OBも痛烈批判」、「真に国益を考えるならば、しがらみを振り払い、米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべき」、同感である。
タグ:防衛問題 JBPRESS 現代ビジネス 北村 淳 半田 滋 (その17)(自衛隊とは大違い 米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない、コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…) 「自衛隊とは大違い、米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない」 「国防戦略が大転換」に伴って、「海兵隊も、基本戦略の徹底的な見直し」をしたのは、さすがだ。日本のように古びた戦略にしがみつくのはいただけない。 「主たる仮想敵が」、「テロリスト集団から「中国人民解放軍の海洋戦力」という先進兵器で武装した正規軍へと転換」、確かに大きな「転換」だ。 「海兵隊」といっても、「強襲作戦や襲撃作戦といった水陸両用戦闘の実戦経験は持ち合わせていない」、というのは意外だが、言われてみればその通りなのだろう。 「海兵隊上陸侵攻部隊を積載した艦隊が、作戦目的地沖合に接近することすら不可能に近い状況になってしまった」ほど、「中国軍の接近阻止戦力」が「充実」したとは驚かされた。 「アメリカ」が「伝統的水陸両用戦のようなアイデアは捨て去ってしまった」のであれば、「陸上自衛隊が固執している島嶼奪還作戦」も早急に組み直す必要がある。 「コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…」 「イージス・アショア」導入時も大きな問題があったが、代替策はそれ以上に問題が大きいようだ。 「イージス・アショアは、安全保障上の必要性からではなく、政治案件として予算化された」、まさに「安倍前首相」のための案件だったようだ。 「イージス・アショアをつなぎ止め」るために、膨大な費用が必要になったことは本来、財務省が指摘すべきだが、財務省もいち早く忖度官庁になっているので、期待できない。野党は防衛予算には余り詳しくないので、期待薄だ。 「安倍氏は首相辞任するタイミングで実弟を防衛相として送り込み、気心の知れた官僚に防衛政策を任せた。米国と約束した「爆買い」路線を破綻させない政官の枠組みがつくられたことになる」、トランプからバイデンに変わったことで、「爆買い」の「約束」を守る必要は薄れたにも拘わらず、これだけ大掛かりな「政官の枠組み」をつくった背景には何があるのだろうか。 「安倍氏と防衛省は「共犯関係」に等しく、防衛省と岸氏は今、「臭いものに蓋」をしているのではないだろうか」、恥ずべき行為だ。 「海上自衛隊OBも痛烈批判」、「真に国益を考えるならば、しがらみを振り払い、米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべき」、同感である。
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今日も更新できないので、明日にご期待を!

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昨日は無断で更新を休み失礼。今日は、更新できることに期待。

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