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健康(その27)(命を縮める睡眠時無呼吸症候群 「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法、炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由、生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」) [生活]

健康については、本年9月20日に取上げた。今日は、(その27)(命を縮める睡眠時無呼吸症候群 「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法、炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由、生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」)である。

先ずは、10月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した医療ライターの福島安紀氏による順天堂大学医学部附属順天堂医院睡眠・呼吸障害センター長の葛西隆敏氏へのインタビュー「命を縮める睡眠時無呼吸症候群、「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/330249
・『「いびきがひどい」「睡眠中に息が止まっている!と言われたことがある」「日中に耐え難い眠気がある」……。そんな症状に心当たりがある人は、睡眠時無呼吸症候群かもしれない。放置している人は少なくないが、仕事のパフォーマンスを低下させるばかりか、突然死の原因にもなる病気であることをご存知だろうか。職場や家庭での信頼と命を守るためにも知っておきたい睡眠時無呼吸症候群のリスクと最新治療について、専門医に話を聞いた。これを読めば、高いびきをかいて眠るのが怖くなるはずだ。(取材・文/医療ライター 福島安紀)』、「仕事のパフォーマンスを低下させるばかりか、突然死の原因にもなる病」、とは恐ろしい話だ。
・『なぜ太っている人はいびきをかきやすいのか?  睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸、あるいは低酸素状態になって、日中に強い眠気を感じたり集中力が低下したりするなど、仕事にも影響が出る病気だ。そもそも、睡眠時の無呼吸はなぜ起こるのだろうか。 「太っていて首や喉の周囲に脂肪がついている人、あるいは、もともと下あごが小さかったり扁桃腺が大きかったりする人は気道が狭く、仰向けになって眠ると、息を吸った時の圧力で舌の付け根の部分が喉の奥に落ち込み、気道が塞がれたり狭くなったりします。この狭い気道を無理に高速の気流が流れるときに生じるのが、いびきです。さらに喉が塞がって気道が確保できなくなると、無呼吸になります」 そう説明するのは、順天堂大学医学部附属順天堂医院睡眠・呼吸障害センター長の葛西隆敏氏。一緒に寝ている人にとって騒音でしかない「いびき」は、この病気の重要なサインというわけだ。 睡眠時無呼吸症候群になると、大事な商談や会議のときに眠ってしまったり、夜中に何度もトイレに行ったり、怒りっぽくなったり性欲が低下する人もいる。このような影響が出るのは、どうしてなのだろうか。 「睡眠中に無呼吸か低呼吸になって酸欠状態になると、その度に脳が覚醒して起きているのに近い状態になって酸素を取り入れようとするので眠りが浅くなります。毎晩その状態を繰り返していると本人は眠っているつもりなのに寝不足になりますし、眠りが浅くなった時に目が覚めてしまったりトイレに行きたくなったりするのです」 睡眠時無呼吸症候群かどうかの診断するためには、専門的な検査で、睡眠中に10秒以上無呼吸か低呼吸になる回数が1時間に何回起こるかを計測する必要がある』、「「太っていて首や喉の周囲に脂肪がついている人、あるいは、もともと下あごが小さかったり扁桃腺が大きかったりする人は気道が狭く、仰向けになって眠ると、息を吸った時の圧力で舌の付け根の部分が喉の奥に落ち込み、気道が塞がれたり狭くなったりします。この狭い気道を無理に高速の気流が流れるときに生じるのが、いびきです」、私は太ってはいないが、「いびき」は時たまかく。
・『睡眠時無呼吸症候群かどうか どうやったらわかる?  「睡眠中に1時間当たり平均5回以上無呼吸か低呼吸になっていることが確認され、日中の眠気や疲労感、睡眠中の息苦しさ、途中で何度も目が覚める、起床時の爽快感がない、集中力の低下などの症状がある場合に、睡眠時無呼吸症候群と診断します。1時間に平均15回以上無呼吸・低呼吸になっている人は中等症、30回以上なら重症の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態です」 1時間に15回なら4分ごと、30回なら2分ごとに呼吸が止まったり低酸素状態になったりしているということだ。そんなに頻繁に息が止まっていると考えると恐ろしいが、これを読んでいるあなたにとっても他人事ではないかもしれない。 何しろ日本では、34歳以上の男性の4人に1人、閉経後の女性の10人に1人が、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態と推計されている。しかし、適切な治療を受けている人はその10分の1程度で、約9割の人は自分の病気に気づいてないのが実態なのだ。 睡っているときに頻繁に無呼吸になっているかどうかを自分で客観的に判断することは不可能だ。睡眠中に低酸素状態になっているのに気づかず放置していると、なぜ危険なのだろうか』、「34歳以上の男性の4人に1人、閉経後の女性の10人に1人が、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態と推計されている。しかし、適切な治療を受けている人はその10分の1程度で、約9割の人は自分の病気に気づいてないのが実態なのだ」、なるほど。
・『自分だけの問題ではない 恐ろしい事故の危険性  「睡眠時無呼吸症候群を放置すると、仕事のパフォーマンスが下がるだけではなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になり、動脈硬化が進んで、心筋梗塞、不整脈、心不全や脳卒中を発症したり突然死を起こしたりするリスクが高まるからです」 さらに恐ろしいのは、睡眠時無呼吸症候群になると運転中に睡魔に襲われ、交通事故を起こして人の命を奪う危険性もあることだ。日本でこの病気が注目されたのは、2003年にJR山陽新幹線が岡山駅でホームからはみ出して停車し、車掌が見に行くと運転手が眠っていたケースがきっかけだった。 2013年には、関越自動車道でツアーバスの運転手が居眠りして防音壁に追突し、乗客7人が死亡する事故も起こっている。どちらの運転手も事故後に睡眠時無呼吸症候群と診断された。米国の研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者が交通事故を起こすリスクはそうではない人に比べて約7倍高く、そのために700億ドルもの経済損失が生じていると試算している。 「適切な治療を受けることで、事故を起こすリスクは減らせますし、高血圧や動脈硬化などが改善し、心臓病や脳卒中で入院したり死亡したりするリスクを軽減することが期待されます」 では、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合には、どのような治療が行われるのだろうか』、「睡眠時無呼吸症候群を放置すると、仕事のパフォーマンスが下がるだけではなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になり、動脈硬化が進んで、心筋梗塞、不整脈、心不全や脳卒中を発症したり突然死を起こしたりするリスクが高まる」、「2013年には、関越自動車道でツアーバスの運転手が居眠りして防音壁に追突し、乗客7人が死亡する事故も起こっている」、「米国の研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者が交通事故を起こすリスクはそうではない人に比べて約7倍高」いようだ。
・『肥満なら減量、仰向けは横向き、そしてまず試す治療法は?  「肥満の人には減量を勧めます。横向きに寝ることや、舌の付け根が喉の奥に落ちないように下あごを固定するマウスピースの着用によって、睡眠時に無呼吸になる回数が減る患者さんもいます」 また、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群の患者にとって第一選択となるゴールドスタンダードの治療は、CPAP(シーパップ)療法。 「CPAPは、専用の鼻マスクから空気を持続的に送り込んで気道を広げ、睡眠中の無呼吸を防ぐ装置です。装置自体はコンパクトなので、出張や旅行にも持参できます」 CPAP療法によって、無呼吸・低呼吸やいびきが消失し、日中の眠気や夜間頻尿が軽減する人は多く、高血圧、動脈硬化が改善し心臓病や脳卒中の予防にもつながることがわかっている。睡眠時無呼吸症候群の人にとっては恩恵の大きい治療法だ。 ただ、CPAP療法では鼻マスクが気になって寝付けなかったり、無意識のうちに途中で外してしまったりする人がいるのが難点といわれる。他に選択肢はないのだろうか』、「CPAP療法によって、無呼吸・低呼吸やいびきが消失し、日中の眠気や夜間頻尿が軽減する人は多く、高血圧、動脈硬化が改善し心臓病や脳卒中の予防にもつながることがわかっている。睡眠時無呼吸症候群の人にとっては恩恵の大きい治療法だ」、「ただ、CPAP療法では鼻マスクが気になって寝付けなかったり、無意識のうちに途中で外してしまったりする人がいるのが難点といわれる」、なるほど。
・世界で5万人が受けた満足度95%の治療法  「CPAP療法が継続できない人のために開発されたのが、2021年6月に新たに保険適用になった舌下神経電気刺激療法です。手術で鎖骨の下にパルスジェネレーターと呼ばれる小さな機器を植え込み、本人の呼吸サイクルに合わせて舌下神経に電気刺激を与えて舌の付け根を持ち上げ、気道が塞がらないようにする治療法です」 既に世界15カ国で4万6000人がこの治療を受け、8割の人が無呼吸や日中の眠気が改善し、患者満足度は95%と報告されている。 今のところ舌下神経電気刺激療法の対象となるのは、18歳以上で高度の肥満ではなく(BMI[体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)]が30未満)、CPAP療法の継続が困難などの条件を満たした患者だ。 この治療を受けるには1週間程度の入院が必要になる。それでも、これまでは他に選択肢がなかっただけに、この新治療の登場はCPAPの継続が困難、あるいはCPAPでは効果が得られなかった患者にとっては朗報といえる。 舌下神経電気刺激療法を実施している病院は、この手術に用いる機器を開発したインスパイア・メディカル・システムズ・ジャパンのホームページで調べられる。 心臓病が専門の葛西氏が、睡眠時無呼吸症候群の治療に力を入れるようになったのは、研修医時代に、不整脈を起こして心臓が止まる発作を夜中に頻繁に起こす重度の心不全の入院患者に出会ったのがきっかけという。 「その患者さんは睡眠時無呼吸症候群だったのでその治療をしたところ不整脈の発作が起こらなくなり、心不全が劇的に改善して自宅で日常生活が送れるほど回復されました。睡眠時無呼吸症候群かもしれないと思っている人は、仕事のパフォーマンスの低下を防ぎ、命を縮めないためにも、ぜひ、かかりつけ医や睡眠時無呼吸症候群の治療をしている医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けてほしいと思います」 (監修/葛西隆敏 順天堂大学医学部附属順天堂医院睡眠・呼吸障害センター長)』、「舌下神経電気刺激療法の対象となるのは、18歳以上で高度の肥満ではなく(BMI[体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)]が30未満)、CPAP療法の継続が困難などの条件を満たした患者だ。 この治療を受けるには1週間程度の入院が必要になる。それでも、これまでは他に選択肢がなかっただけに、この新治療の登場はCPAPの継続が困難、あるいはCPAPでは効果が得られなかった患者にとっては朗報といえる」、「世界で5万人が受けた満足度95%の治療法」、なるほど。

次に、10月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したシドニー大学生命環境科学部栄養生態学教授のデイヴィッド・ローベンハイマー氏とシドニー大学生命環境科学部教授のスティーヴン・J・シンプソン氏による「炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/328756
・『タンパク質の摂りすぎは早死にを招く?肥満は実は健康に悪いわけではない?シドニー大学の世界的栄養学者2人が、マウス数百匹を使った5年におよぶ実験で明らかにした、食事が寿命と健康に与える直接的影響とは――!?本稿は、デイヴィッド・ローベンハイマー、スティーヴン・J・シンプソン『食欲人』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『生物の老化は食事で調整可能!  読者の中には、すでに「テロメア」をご存じの人もいるだろう。寿命を延ばし老化を遅らせる役割を担うことから、テロメアはしばらく前から人気と名声を博している。 テロメアとは染色体の末端にあるキャップ状の構造で、細胞複製に欠かせない重要な要素が細胞分裂時にほつれてしまうのを防いでいる。 加齢とともに、傷ついて古くなった細胞の入れ替えが何度もくり返されるうちに、テロメアはどんどん短くなり、ついには染色体の末端部分が露出し、細胞分裂の際に複製エラーを犯すようになる。 やがてエラーが蓄積して、様々な組織や器官の老化を引き起こすのだ。 寿命をマッピングしたグラフをもとに、次の予測を立てることができた。 もし私たちが発見した餌に対する反応のパターンが、その根底にある老化の生物学的機構の違いから生じているのなら、マウスのテロメアの長さのマップの基本的な形状は、寿命のマップと同じになるはずだ。 ではどうだったのか? 低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、テロメアがより長く、より長生きした。高タンパク質/低炭水化物食のマウスは、テロメアと寿命がより短かった。 思ったとおりだ――この結果は、テロメアに関する一般常識(長いほどよい)を裏づけるとともに、低タンパク質と高炭水化物の組み合わせが長寿をもたらすという私たちの予想とも一致していた。 続いて、主要栄養素の摂取バランスと、ほかの老化を計るマーカー(指標)、たとえば免疫機能、主要な栄養シグナル経路の活性度、ミトコンドリア機能などとの関係を測定した。 これらのパターンはすべて一致した。つまり、食餌を利用して、老化の基本的な生物学的プロセスを強めたり弱めたりできる可能性があるということだ。 もし本当ならすごいことになる。 ヒト(やマウス、ハエ、それにイースト細胞)の生理的機構の中心には、2つの対立する生化学的経路がある。これらの経路は、すべての動物のまったく異なる2つの生命の「成果」を導いている。 1つ目を「長寿経路」――わかりやすくいうと「状況が好転するまで身を潜めてじっと待て」経路――もう1つを「成長・繁殖経路」――「チャンスを逃すな、あとは野となれ山となれ」経路――と呼ぼう。 重要な点として、これら2つのシステムは互いに抑制し合う関係にある。 一方が機能しているときは、もう一方は機能しない。食料と栄養が不足すると、長寿経路が作動し、成長・繁殖経路は停止する。細胞とDNAの修復・維持システムが活性化し、いつか世界が変化して食料が豊富になり、繁殖という進化上の目的を果たせるようになるまでの間、動物の健康を維持する。) いつまで続くかわからない期間を、この状態で待機する。世界が変化せず、成長・繁殖経路への切り替えに必要な栄養が不足した状態が続けば、動物は子孫をもたないまま長い一生を送ることになる』、「テロメアとは染色体の末端にあるキャップ状の構造で、細胞複製に欠かせない重要な要素が細胞分裂時にほつれてしまうのを防いでいる。 加齢とともに、傷ついて古くなった細胞の入れ替えが何度もくり返されるうちに、テロメアはどんどん短くなり、ついには染色体の末端部分が露出し、細胞分裂の際に複製エラーを犯すようになる。 やがてエラーが蓄積して、様々な組織や器官の老化を引き起こすのだ・・・低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、テロメアがより長く、より長生きした。高タンパク質/低炭水化物食のマウスは、テロメアと寿命がより短かった。 思ったとおりだ――この結果は、テロメアに関する一般常識(長いほどよい)を裏づけるとともに、低タンパク質と高炭水化物の組み合わせが長寿をもたらすという私たちの予想とも一致していた」、なるほど。「ヒト・・・の生理的機構の中心には、2つの対立する生化学的経路がある。これらの経路は、すべての動物のまったく異なる2つの生命の「成果」を導いている。 1つ目を「長寿経路」――わかりやすくいうと「状況が好転するまで身を潜めてじっと待て」経路――もう1つを「成長・繁殖経路」――「チャンスを逃すな、あとは野となれ山となれ」経路――と呼ぼう。 重要な点として、これら2つのシステムは互いに抑制し合う関係にある。 一方が機能しているときは、もう一方は機能しない。食料と栄養が不足すると、長寿経路が作動し、成長・繁殖経路は停止する。細胞とDNAの修復・維持システムが活性化し、いつか世界が変化して食料が豊富になり、繁殖という進化上の目的を果たせるようになるまでの間、動物の健康を維持する」、よく出来た仕組みだ。
・『長生きに効く「断食」という手法  だが食料が豊富で十分なタンパク質が得られるときには、長寿経路は停止し、成長・繁殖経路が作動する。 体は新しい細胞をつくり始めるが、それとともにDNAや細胞、組織を損傷や摩耗から保護し修復するシステムの「ダイヤル」を弱める。細胞は必要なタンパク質を生成する際にエラーを起こすようになり、異常な折りたたみ構造のタンパク質やそのほかの細胞のゴミが蓄積され、細胞分裂時のエラーの頻度が高まる。 こうした問題は、動物が生存し、成長していくうえで避けられない。呼吸をしないと生きていけないのと同じで、これらを避けることはできない。その結果、がんやそのほかの疾患リスクが高まり、寿命が縮まる可能性がある。 だが進化という観点からすれば、動物が成長し繁殖できる限り、それは容認できる代償ということになる。 低タンパク質/高炭水化物食が長寿経路を作動させ得ることを、このマウス研究は初めて明らかにしたのだ。 ここでカロリー制限の話に戻ろう。 私たちのマウスの実験は、40%のカロリー制限が寿命を延ばすのは、カロリーの摂取量が減るからではないことを示した。より重要なのは主要栄養素のバランスであり、またカロリー摂取を制限しなくても長寿効果が得られることがわかった。 しかし、これらの実験では、マウスに食料への無制限のアクセスを与えた。 つまり割り当てられた特定の餌だけを、いつでも好きなだけ食べることができた。 これは、マウスを使った従来型のカロリー制限研究で用いられてきた実験方法とは異なる。従来型の研究では、動物はカロリー制限食を一度にまとめて与えられ、それを1、2時間で食べ尽くしてしまえば、翌日まで何も食べるものがない。 そしていまや世界中の研究グループによって示されているとおり、そうした状況下で長寿経路を作動させるのは、カロリーを摂取しない時間、すなわち「断食」である。 つまりマウスの長寿経路は、(必ずしも摂取カロリーを減らさずに)炭水化物に対するタンパク質の比率を下げることによって、または断食によって、あるいはこれらの組み合わせによって、作動させることができる。) その後もマウスのデータ解析を続け、食餌のバランスと、老化の生物学だけでなく、私たちの測定した健康のさまざまな「成果」、たとえば耐糖能とインスリン値(これらはヒトの2型糖尿病の指標である)、血圧、コレステロール、炎症マーカーとの関係も調べられることがわかった。これらはどれも、健康診断で調べられるおなじみのマーカーだ。 そしてここでも明らかな関連性が認められた。 低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、グルコースが血液から除去されるまでの時間が最も短く(健康的だということ)、LDL(悪玉)コレステロールが最も低かった。 低タンパク質/高炭水化物食で生涯にわたり飼育されたマウスは、最も寿命が長いだけでなく、老化と老後の健康を測るマーカーが最も良好だった。 これは健康で長生きしたい人にとってすばらしい手がかりになりそうな発見である。 だが1つ難点があった。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは太っていたのだ』、「低タンパク質/高炭水化物食で生涯にわたり飼育されたマウスは、最も寿命が長いだけでなく、老化と老後の健康を測るマーカーが最も良好だった。 これは健康で長生きしたい人にとってすばらしい手がかりになりそうな発見である。 だが1つ難点があった。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは太っていたのだ」、なるほど。
・『肥満は本当に健康に悪いのか?  その理由は、低タンパク質/高炭水化物食のマウスは高タンパク質食のマウスよりも多くのカロリーを摂取したからだ。 脂肪または炭水化物の比率の高い餌だけを食べていると、十分なタンパク質を摂取しようとして食べすぎてしまう。その結果どうなるかはおわかりだろう。 実はこの反応は、ヒトよりマウスのほうが弱いのだが、それでも肥満を起こすには十分だった。 そして重要な点として、エネルギー密度の高い脂肪や炭水化物の代わりに、難消化性の(したがってカロリーゼロの)食物繊維を混ぜてタンパク質を薄めたところ、マウスはそれでも十分なタンパク質を得るためにより多くの餌を摂食し、長生きした。 そして、太らなかったのだ。 しかし、なぜ私たちの体は太るような方法でものを食べさせようとするのだろう?肥満は健康に悪いはずだろう? そうでもあるが、そうでもない。 低タンパク質/高炭水化物食の長寿で健康だが太ったマウスと、低タンパク質/高脂肪食の同じくらい太ったマウスを比較したところ、重要な違いがあった。 後者の集団は寿命が短いうえにかなり不健康だった。つまり、ただ脂肪に対する炭水化物の比率を変えるだけで、比較的良性の肥満か、不健康な肥満をつくり出せる、ということになる。 どちらのケースでも、マウスはより多くのタンパク質を得ようとして食べすぎたが、脂肪の摂取を増やすほうが、炭水化物の摂取を増やすより不健康になった。) そんなわけで、新しい疑問が生まれた。良性の肥満と不健康な肥満の違いはどこから来るのだろう? チャールズ・パーキンス・センターの研究仲間アンドリュー・ホームズとの共同研究で、その手がかりをマウスの結腸に見つけた。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、低タンパク質/高脂肪食のマウスに比べ、腸内により健康的な微生物叢をもっていた。 ほかにも違いがあった――肝臓から放出される「FGF」(繊維芽細胞成長因子)と呼ばれるホルモンの濃度が、低タンパク質/高炭水化物食のマウスは驚くほど高かったのだ。 FGFは、タンパク質欲の制御における重要なシグナルであることがわかっている。FGFはインスリン感受性を改善させ、代謝の健康を促進する効果がある。つまり、血液中のブドウ糖を細胞に取り込むためにインスリンをそれほど生成する必要がなくなる。 またFGFは、過食の状態でエネルギー消費を促す。 これらの要因は、マウスだけでなくヒトにおいても重要な役割を果たしている。ルイジアナ州立大学ペニントン研究所のクリス・モリソンと行った別の実験で、私たちはFGFの濃度が上昇すると、マウスはタンパク質豊富な餌を明確に選択することを明らかにした。 科学の歩みは速いもので、これを執筆している今も、FGFがこれまで見逃されていたタンパク質欲ホルモンであること、またFGFが炭水化物欲のスイッチオフに関与していることを裏づける、いくつかの重要な論文が発表されつつある。このように、肥満は予想以上に複雑だということをマウスは教えてくれた。 単にやせているからといって、健康で長生きできるわけではない。それどころか、 高タンパク質/低炭水化物食のセクシーなやせたマウスは、すべてのマウスの中で最も寿命が短く、見栄えのいい中年の死体になった。なぜなら、高いタンパク質対炭水化物比は、急速な老化に関連する経路を激しく活性化させ、細胞とDNAの修復・維持メカニズムを弱め、老化やがん、そのほか慢性病を促進する比率でもあるからだ。これは望ましい状態とはいえない。 そしてこれはおそらく、マウスに限った話ではない。なにしろ老化と代謝に関する限り、人間はマウスと生物学的に同じなのだ』、「高タンパク質/低炭水化物食のセクシーなやせたマウスは、すべてのマウスの中で最も寿命が短く、見栄えのいい中年の死体になった。なぜなら、高いタンパク質対炭水化物比は、急速な老化に関連する経路を激しく活性化させ、細胞とDNAの修復・維持メカニズムを弱め、老化やがん、そのほか慢性病を促進する比率でもあるからだ。これは望ましい状態とはいえない。 そしてこれはおそらく、マウスに限った話ではない」、なるほど。
・『100歳以上の人口割合が飛び抜けている沖縄の食事  マウスの実験を通して、餌を簡単に操作するだけで、様々な結果を引き起こせることがわかった。 まるでダイヤルをひねるように、これを少し増やしあれを少し減らすだけで、肥満を起こすことも止めることも、筋肉を増やし体脂肪を減らすことも、がんを予防することも促進することも、老化を遅らせることも速めることも、繁殖を促進することも抑制することも、腸内微生物叢を変化させることも、免疫系を起動させることもできるのだ。 私たちはただタンパク質と脂肪、炭水化物のダイヤルをひねるだけで、このすべてを実際にマウスで行った。またその結果をグラフで明確に視覚化して、マウスを健康にするための非常に正確な食餌を提案することができた。 そして原理上は、人間を健康にするための食事も提案できるはずだ。「低タンパク質/高炭水化物食」が、ヒトの長寿と健康をもたらすことを示唆する証拠はあるだろうか? それがあったのだ。「ブルーゾーン」と呼ばれる世界の超長寿地域に暮らすすべての人が、まさにそうした食事を摂っている。ブルーゾーンとは、ダン・ビュイトナーが2008年の著書『ブルーゾーン 世界の100歳人(センテナリアン)に学ぶ健康と長寿のルール』で流行らせた用語だ。 ブルーゾーンの住民の中でおそらく最も有名なのは、日本の沖縄の人々だろう。沖縄は100歳以上の人口割合がほかの先進国平均の5倍である。 サツマイモと葉物野菜を主体に、少量の魚と赤身肉を組み合わせた伝統的な沖縄食は、タンパク質比率がわずか9%(食糧難の地域を除けば世界最低水準)、炭水化物が85%、そして脂肪がわずか6%だ。これは実験の最長寿命のマウスが摂取していた比率にほぼ相当する。 伝統的な沖縄の食事を摂っている人は、肥満とほぼ無縁だった。その理由の1つは、食事の食物繊維含有率が高いからである。 食事に十分な食物繊維が含まれると、カロリーの過剰摂取を駆り立てるタンパク質レバレッジの効果が弱められる。食物繊維は胃で膨潤し、消化速度を遅らせ、腸内微生物の餌になる――これらすべてが組み合わさって、空腹感を抑える効果がある。 この食物繊維の多くが、沖縄の人の主な炭水化物源であるサツマイモや、そのほかの野菜や果物に含まれているのだ。 残念ながら現代の沖縄の人々の食事内容は、伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている』、「ブルーゾーンの住民の中でおそらく最も有名なのは、日本の沖縄の人々だろう。沖縄は100歳以上の人口割合がほかの先進国平均の5倍である。 サツマイモと葉物野菜を主体に、少量の魚と赤身肉を組み合わせた伝統的な沖縄食は、タンパク質比率がわずか9%(食糧難の地域を除けば世界最低水準)、炭水化物が85%、そして脂肪がわずか6%だ。これは実験の最長寿命のマウスが摂取していた比率にほぼ相当する。 伝統的な沖縄の食事を摂っている人は、肥満とほぼ無縁だった。その理由の1つは、食事の食物繊維含有率が高いからである・・・残念ながら現代の沖縄の人々の食事内容は、伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている」、やはり「沖縄」でも「伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている」、のは実に残念なことだ。

第三に、10月24日付け東洋経済オンラインが掲載したライターの堀尾 大悟氏による「生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/709645
・『フリーアナウンサーの生島ヒロシ氏。今年で73歳となる今もアナウンサーとして第一線で活躍し、パーソナリティーを務めるラジオ番組「生島ヒロシのおはよう定食/一直線」(TBSラジオ)は25年を迎えた長寿番組だ。 諏訪中央病院名誉院長・鎌田實氏との共著書である『70歳からの「貯筋」習慣』では、高齢者が長く健康を保つために、体の筋肉を蓄える「貯筋」の大切さを提唱している。ラジオ番組、イベント司会、講演と精力的な活動を続ける健康の達人・生島氏に、その「貯筋」をはじめ、健康を保つ食事や運動などのポイントを聞いた(Qは聞き手の質問、Aは生島氏の回答)』、「体の筋肉を蓄える「貯筋」」とは興味深い考え方だ。
・『朝のラジオ番組が健康のモチベーション  Q:今年で73歳とのことですが、とても70代には見えません!健康を保つ秘訣はなんですか? A:月曜から金曜まで、毎朝5時からラジオ番組の生放送があります。この生放送を全国のリスナーが楽しみにしてくれているので、僕が健康を害して放送を止めてしまってはいけません。それが、健康を維持するモチベーションになっています。 もう1つの秘訣として、このラジオ番組では、さまざまな分野の「名医」といわれる先生方をゲストにお招きしています。そこから知り合いになる先生もたくさんいて、『70歳からの「貯筋」習慣』の共著者の鎌田實先生もその1人。 何か気になることがあると、鎌田先生をはじめその分野の先生に相談しながら、自分に合った健康法を取り入れるようにしています。僕にとっては頭のてっぺんから足のつま先まで“主治医”がいるようなものですね(笑)。) Q:毎朝、生放送があるとのことですが、1日のスケジュールは? A:1日のスケジュールも、この毎日のラジオ番組を軸に組み立てています。朝は3時半~4時に起床してスタジオに行き、放送が終わってから少し仮眠をとって、昼食を食べる。 翌朝が早いので夕食は17時半くらいには済ませ、20時過ぎくらいからお風呂にゆっくり浸かり、ストレッチなど軽い運動をしてから1、2時間後には寝るようにしています。 ただ、その日に大きなニュースがあると、明日の放送のためにテレビのニュース番組などで情報収集しています。やっぱりアナウンサーですから、そこは常に「情報ファースト」ですね』、「朝は3時半~4時に起床してスタジオに行き、放送が終わってから少し仮眠をとって、昼食を食べる。 翌朝が早いので夕食は17時半くらいには済ませ、20時過ぎくらいからお風呂にゆっくり浸かり、ストレッチなど軽い運動をしてから1、2時間後には寝るようにしています」、確かに健康的な毎日だ。
・『肉と魚を1品ずつ「ダブルたん活」  Q:食事面で気をつけていることを教えてください。 A:朝食はほとんどとらず、葛湯や紅茶を飲む程度にしています。朝食をしっかり食べることを提唱する先生もいますが、僕の場合は早朝にラジオの生放送があるのと、もともと胃腸が弱いこともあって、朝を控えめにしたほうが体に合っていますね。 食べることは大好きなのですが、夕食を食べ過ぎてしまうと翌朝に響くので、なるべく控えめにして、金曜日以外は会食もできるだけ入れないようにしています。その代わり、昼食では好きなものを食べています。 また、鎌田先生も言っていますが、なるべく食事の間隔を空けることを意識しています。飢餓状態が16時間続くと「オートファジー」という細胞が若返る効果があるといわれていますが、現実的には仕事をしていると難しいので、僕は12時間を目安にしています。 A:『70歳からの「貯筋」習慣』では、たんぱく質を多くとる「たん活」を提唱しています。 A:妻は僕の健康を気遣ってくれて、夕食の食卓には魚料理と肉料理が1品ずつ並びます。ただ、70代になると若い頃のようにたくさんは食べられないので、プロテインでたんぱく質を補っています。) 「たん活」のほかには、以前に番組のゲストで来た北里大学の糖尿病センター長の山田悟先生から「ゆるやかな糖質制限」を教えていただき、炭水化物の量を減らすことを意識しています。おやつも、血糖値が上がりにくいチョコレートや、オメガ3系脂肪酸が豊富に含まれるナッツ類を選ぶようにしています』、「70歳からの「貯筋」習慣』では、たんぱく質を多くとる「たん活」を提唱しています・・・夕食の食卓には魚料理と肉料理が1品ずつ並びます。ただ、70代になると若い頃のようにたくさんは食べられないので、プロテインでたんぱく質を補っています」、「プロテインでたんぱく質を補っています」とはいささか幻滅だ。
・『3カ月で12キロ痩せたその後  Q:運動についてもお聞きしたいのですが、2015年には「ライザップ」のCMでダイエットに成功したことも話題になりました。 A:2カ月のトレーニングの予定が、撮影が1カ月延びたので3カ月になり、結果としてマイナス12キログラム減を達成しました。いやぁ、こんなに変われるものか!と自分でもビックリしましたね(笑)。 ただ、その後はコロナもあって外出機会が減ってしまい、体重が少し増えてしまいました。その反省もあって、今はラジオ番組が終わった後、週3~4日はジムに行ってプールで泳いだり、水中筋トレをしています。 あと、自宅の近くに「chocoZAP(チョコザップ)」ができたので、妻を誘って散歩がてら立ち寄って、一緒に筋トレをしています。 Q:鎌田先生は「夫婦間でほめ合うことが運動を続けるコツ」と言っていました。 A:いやいや、僕の妻は厳しくて、「あなたに厳しいことを言う人は周りにいないから、私が代表して言ってあげているのよ」と言うような人(笑)。ほめ合うというより、妻に「チョコザップに行こうよ」と背中を押されています。 ただ、最近ではご近所でもご主人が急に倒れたという話や、介護にまつわる話を聞くことが増えました。そのこともあって「お互い、介護保険料は払っても介護されないで済むようにしようね」と励まし合いながら運動を続けています。特に、70歳を過ぎるといちばん怖いのが転倒。つまずいても転ばないよう、自宅でもスクワットやプランク(注)をしています』、「今はラジオ番組が終わった後、週3~4日はジムに行ってプールで泳いだり、水中筋トレをしています。 あと、自宅の近くに「chocoZAP(チョコザップ)」ができたので、妻を誘って散歩がてら立ち寄って、一緒に筋トレをしています」、実に理想的に健康的な生活だ。
(注)プランク:うつ伏せになった状態で前腕・肘・つま先を地面につき、その姿勢をキープする体幹トレーニング(melos media)
タグ:(その27)(命を縮める睡眠時無呼吸症候群 「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法、炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由、生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」) 健康 (注)プランク:うつ伏せになった状態で前腕・肘・つま先を地面につき、その姿勢をキープする体幹トレーニング(melos media) 「今はラジオ番組が終わった後、週3~4日はジムに行ってプールで泳いだり、水中筋トレをしています。 あと、自宅の近くに「chocoZAP(チョコザップ)」ができたので、妻を誘って散歩がてら立ち寄って、一緒に筋トレをしています」、実に理想的に健康的な生活だ。 「70歳からの「貯筋」習慣』では、たんぱく質を多くとる「たん活」を提唱しています・・・夕食の食卓には魚料理と肉料理が1品ずつ並びます。ただ、70代になると若い頃のようにたくさんは食べられないので、プロテインでたんぱく質を補っています」、「プロテインでたんぱく質を補っています」とはいささか幻滅だ。 「朝は3時半~4時に起床してスタジオに行き、放送が終わってから少し仮眠をとって、昼食を食べる。 翌朝が早いので夕食は17時半くらいには済ませ、20時過ぎくらいからお風呂にゆっくり浸かり、ストレッチなど軽い運動をしてから1、2時間後には寝るようにしています」、確かに健康的な毎日だ。 「体の筋肉を蓄える「貯筋」」とは興味深い考え方だ。 堀尾 大悟氏による「生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」」 東洋経済オンライン ・・・残念ながら現代の沖縄の人々の食事内容は、伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている」、やはり「沖縄」でも「伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている」、のは実に残念なことだ。 「ブルーゾーンの住民の中でおそらく最も有名なのは、日本の沖縄の人々だろう。沖縄は100歳以上の人口割合がほかの先進国平均の5倍である。 サツマイモと葉物野菜を主体に、少量の魚と赤身肉を組み合わせた伝統的な沖縄食は、タンパク質比率がわずか9%(食糧難の地域を除けば世界最低水準)、炭水化物が85%、そして脂肪がわずか6%だ。これは実験の最長寿命のマウスが摂取していた比率にほぼ相当する。 伝統的な沖縄の食事を摂っている人は、肥満とほぼ無縁だった。その理由の1つは、食事の食物繊維含有率が高いからである 「高タンパク質/低炭水化物食のセクシーなやせたマウスは、すべてのマウスの中で最も寿命が短く、見栄えのいい中年の死体になった。なぜなら、高いタンパク質対炭水化物比は、急速な老化に関連する経路を激しく活性化させ、細胞とDNAの修復・維持メカニズムを弱め、老化やがん、そのほか慢性病を促進する比率でもあるからだ。これは望ましい状態とはいえない。 そしてこれはおそらく、マウスに限った話ではない」、なるほど。 「低タンパク質/高炭水化物食で生涯にわたり飼育されたマウスは、最も寿命が長いだけでなく、老化と老後の健康を測るマーカーが最も良好だった。 これは健康で長生きしたい人にとってすばらしい手がかりになりそうな発見である。 だが1つ難点があった。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは太っていたのだ」、なるほど。 一方が機能しているときは、もう一方は機能しない。食料と栄養が不足すると、長寿経路が作動し、成長・繁殖経路は停止する。細胞とDNAの修復・維持システムが活性化し、いつか世界が変化して食料が豊富になり、繁殖という進化上の目的を果たせるようになるまでの間、動物の健康を維持する」、よく出来た仕組みだ。 「ヒト・・・の生理的機構の中心には、2つの対立する生化学的経路がある。これらの経路は、すべての動物のまったく異なる2つの生命の「成果」を導いている。 1つ目を「長寿経路」――わかりやすくいうと「状況が好転するまで身を潜めてじっと待て」経路――もう1つを「成長・繁殖経路」――「チャンスを逃すな、あとは野となれ山となれ」経路――と呼ぼう。 重要な点として、これら2つのシステムは互いに抑制し合う関係にある。 やがてエラーが蓄積して、様々な組織や器官の老化を引き起こすのだ・・・低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、テロメアがより長く、より長生きした。高タンパク質/低炭水化物食のマウスは、テロメアと寿命がより短かった。 思ったとおりだ――この結果は、テロメアに関する一般常識(長いほどよい)を裏づけるとともに、低タンパク質と高炭水化物の組み合わせが長寿をもたらすという私たちの予想とも一致していた」、なるほど。 「テロメアとは染色体の末端にあるキャップ状の構造で、細胞複製に欠かせない重要な要素が細胞分裂時にほつれてしまうのを防いでいる。 加齢とともに、傷ついて古くなった細胞の入れ替えが何度もくり返されるうちに、テロメアはどんどん短くなり、ついには染色体の末端部分が露出し、細胞分裂の際に複製エラーを犯すようになる。 デイヴィッド・ローベンハイマー、スティーヴン・J・シンプソン『食欲人』(サンマーク出版) スティーヴン・J・シンプソン氏による「炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由」 デイヴィッド・ローベンハイマー氏 「舌下神経電気刺激療法の対象となるのは、18歳以上で高度の肥満ではなく(BMI[体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)]が30未満)、CPAP療法の継続が困難などの条件を満たした患者だ。 この治療を受けるには1週間程度の入院が必要になる。それでも、これまでは他に選択肢がなかっただけに、この新治療の登場はCPAPの継続が困難、あるいはCPAPでは効果が得られなかった患者にとっては朗報といえる」、「世界で5万人が受けた満足度95%の治療法」、なるほど。 「CPAP療法によって、無呼吸・低呼吸やいびきが消失し、日中の眠気や夜間頻尿が軽減する人は多く、高血圧、動脈硬化が改善し心臓病や脳卒中の予防にもつながることがわかっている。睡眠時無呼吸症候群の人にとっては恩恵の大きい治療法だ」、「ただ、CPAP療法では鼻マスクが気になって寝付けなかったり、無意識のうちに途中で外してしまったりする人がいるのが難点といわれる」、なるほど。 「2013年には、関越自動車道でツアーバスの運転手が居眠りして防音壁に追突し、乗客7人が死亡する事故も起こっている」、「米国の研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者が交通事故を起こすリスクはそうではない人に比べて約7倍高」いようだ。 「睡眠時無呼吸症候群を放置すると、仕事のパフォーマンスが下がるだけではなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になり、動脈硬化が進んで、心筋梗塞、不整脈、心不全や脳卒中を発症したり突然死を起こしたりするリスクが高まる」 「34歳以上の男性の4人に1人、閉経後の女性の10人に1人が、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態と推計されている。しかし、適切な治療を受けている人はその10分の1程度で、約9割の人は自分の病気に気づいてないのが実態なのだ」、なるほど。 「「太っていて首や喉の周囲に脂肪がついている人、あるいは、もともと下あごが小さかったり扁桃腺が大きかったりする人は気道が狭く、仰向けになって眠ると、息を吸った時の圧力で舌の付け根の部分が喉の奥に落ち込み、気道が塞がれたり狭くなったりします。この狭い気道を無理に高速の気流が流れるときに生じるのが、いびきです」、私は太ってはいないが、「いびき」は時たまかく。 「仕事のパフォーマンスを低下させるばかりか、突然死の原因にもなる病」、とは恐ろしい話だ。 葛西隆敏氏へのインタビュー「命を縮める睡眠時無呼吸症候群、「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法」 福島安紀氏 ダイヤモンド・オンライン
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大阪万博(その2)(大阪万博「請け負えばやけどする」ゼネコンの本音 万博の華「海外パビリオン」の工事遅れが超深刻、大阪万博が失敗確定な「4つの理由」世界もあきれる“驚きの開催目的”とは?) [国内政治]

大阪万博については、2018年11月30日付けで取上げた。今日は、(その2)(大阪万博「請け負えばやけどする」ゼネコンの本音 万博の華「海外パビリオン」の工事遅れが超深刻、大阪万博が失敗確定な「4つの理由」世界もあきれる“驚きの開催目的”とは?)である。

先ずは、本年9月5日付け東洋経済オンライン「大阪万博「請け負えばやけどする」ゼネコンの本音 万博の華「海外パビリオン」の工事遅れが超深刻」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/699259
・『「お盆休み前(の忙しいタイミング)なのに、無理矢理、説明会に参加させられた」。中堅ゼネコンの幹部はため息をつく。 この幹部の言う説明会とは、日本国際博覧会協会(万博協会)が建設業者向けに開いた会合のことだ。2025年4月に開催予定の「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)は、海外参加国のパビリオンの建設が大幅に遅れている。 この状況を受けて、運営主体の万博協会は8月7日、大阪府咲洲庁舎(大阪市住之江区)の2階にあるホールで、建設への協力を呼びかけようと説明会を実施した』、興味深そうだ。
・『「やけど程度では済まない」と吐き捨てる関係者も  会場には、100社を超える建設業者が詰めかけた。当日、万博協会は「参加国の準備状況やパビリオン建設に関する情報提供を行った」(中堅ゼネコンの幹部)という。 だが、海外パビリオンに対するゼネコン関係者の見方は冷ややかだ。 「儲からないであろう仕事に、社員や職人をつっこむわけにはいかない」(準大手ゼネコンの首脳)。「万博の海外パビリオン工事については、ゼネコンはどこもやりたがっていない」(ゼネコン各社と取引のある建設テックの社長)。 中には、「万博の工事には手を出さない方がいい。やけど程度では済まない」(中堅ゼネコンのベテラン社員)と吐き捨てる関係者もいる。ゼネコン業界では、海外パビリオンの工事について、もはや「総スカン」と言っても過言ではない状況なのだ。 各国の技術や文化を紹介する展示施設で、万博の華となる「海外パビリオン」については、工事の進捗遅れが深刻だ。 大阪・関西万博には、これまでに153の国と地域が参加を表明している。この中で、参加国が自ら費用を負担して自由に設計・建設するパビリオン「タイプA」について、「基本計画書」(設計図や工程表をまとめたもの)を大阪市に提出したのは韓国、チェコ、モナコなど4カ国しかない(9月4日現在)。ゼネコンとの工事契約締結後に大阪市から得る「仮設建築物許可」に至っては、本申請が一件もない。 パビリオンの建物本体の工事は2024年7月までに終え、2025年1月までに内装など展示関係の工事を完了することが目安とされていた。だが、このままでは、多くの海外パビリオンは、開催までに竣工が間に合わなくなる』、「パビリオンの建物本体の工事は2024年7月までに終え、2025年1月までに内装など展示関係の工事を完了することが目安とされていた」、やはり大変そうだ。
・『簡易パビリオン「タイプX」への関心も薄い  状況を打破すべく、万博協会は協会側が長方形の箱型の建物を建てて引き渡す簡易なパビリオン「タイプX」を参加国に提案。しかし、8月末の申請締め切りの時点で、タイプXに関心を示したのは5カ国だけだった。万博協会は「この後2週間をメドに、参加国などに再度、意向の確認をしていきたい」とする。 運営主体側の焦りは相当なものがある。8月3日には、経済産業省の大臣官房商務・サービス審議官から国土交通省へ、「海外パビリオン建設に関する建設業界への協力要請」を通達。そして、国交省から建設業界の主要団体に対して、8月3日と8月9日に協力要請の書簡を送っている。 8月9日の書簡には、「政府としては、万博を『予定通り開催する』という強い意思で臨んでおります。建設業界の皆様におかれましても、同じ想いの元で、ご協力をいただきたいと存じます」と記述されている。) ゼネコン各社はなぜ、海外パビリオンの工事を請け負いたがらないのか。それは資材高と労務費の高騰が影響している。 業界団体である日本建設業連合会(日建連)によると、2023年7月の鋼材や生コンクリートなどの建設資材の物価は2021年1月と比較して、26%上昇している。また建設業の現場で働く人の賃金(公共工事設計労務単価)は2020年度に比べて、足元では9%以上引き上げられている。 「九州などの地域で工場の建設ラッシュがあり、職人さんの人工(にんく・人件費のこと)が信じられないほど上がっている」(中堅ゼネコンのベテラン社員)。 現場監督者や職人などの人員不足も問題だ。「マンパワーが足りない。国内の建築工事は相当な数が積み上がっていて、いまは案件を絞って受注している。受注済みの工事を消化しないといけない状況で、ほかの工事をお願いされても断っている」(スーパーゼネコンの幹部)』、「マンパワーが足りない。国内の建築工事は相当な数が積み上がっていて、いまは案件を絞って受注している。受注済みの工事を消化しないといけない状況で、ほかの工事をお願いされても断っている」、なるほど。
・『「協会にプロジェクトをまとめる力がない」  建設業では2024年4月から罰則付きの時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」により、ただでさえ人員確保が困難な状況だ。政府は、万博関連工事についてはこの残業規制の対象外とすることを検討していると報じられている。 だが、これについて準大手ゼネコンの首脳は、「あってはならないことだ。『万博工事だけ、無制限に働け』なんて指示することは、社内にも社外向けにも説明できない」と語るなど、ゼネコン業界全体から反発を食らっている。 そもそも海外パビリオン工事の問題がこじれている背景として、万博協会の姿勢を問題視するゼネコン関係者は多い。前出とは別のスーパーゼネコンの幹部は、「ここまで遅々として進まないのは、協会にプロジェクトをまとめる力がないことが大きな要因」と憤る。) 大阪・関西万博では、ゼネコン業界が万博協会側に、再三にわたって積極的な関与を依頼してきた。例えば、3年前の2020年春には、日建連の関西支社幹部が万博協会に、タイプAの発注の仕方について業界の意向を伝えた。 「発注側の外国政府と国内のゼネコン各社が直接交渉することに、多くの会員が心配していた。どこの国の言葉でやりとりするのか。工事に日本の約款が適用されるのか。スーパーゼネコンならば交渉能力があるが、それ以外のゼネコン(準大手や中堅ゼネコン)は政府が間に入ってくれないと、交渉をうまくまとめられない」(日建連の山本徳治事務総長)。 2022年8月には、日建連が会員の不安の声をとりまとめて、万博協会に伝達した。「外国政府のパビリオンは工期が厳しくなると危惧されるので、『万博協会の積極的な関与をお願いします』と依頼した。残業規制も始まるため、それを踏まえた工期の確保も要望した」(山本事務総長)』、「政府は、万博関連工事についてはこの残業規制の対象外とすることを検討していると報じられている。 だが、これについて準大手ゼネコンの首脳は、「あってはならないことだ。『万博工事だけ、無制限に働け』なんて指示することは、社内にも社外向けにも説明できない」と語るなど、ゼネコン業界全体から反発を食らっている」、業界の言い分の方に分がありそうだ。「スーパーゼネコンの幹部は、「ここまで遅々として進まないのは、協会にプロジェクトをまとめる力がないことが大きな要因」と憤る」、「万博」は初回の大阪、その後の「愛知」など経験を積んでいるのに、「協会」は一体、何をやっているのだろう。
・『「1日も早く図面をほしい」  しかし、ゼネコン業界の意向を万博協会がまともに受け止めたのかどうかは疑わしく、今年7月に入ってからも、工事はほぼ進捗していなかった。「図面をもらってから着工まで資材の準備などに時間がかかるので、精度の高い設計図面を1日も早く出していただきたい」。同月に行われた日建連の定例会見で、宮本洋一会長は工事が遅延することへの懸念を率直に語った。 山本事務総長は、次のように指摘する。「(万博協会は)スケジュール管理ができていないことが明確だ。とくに、タイプAのスケジュール管理がうまくいっていない」。 この先、仮に工事契約が進んだとしても、建設工事が順調に進捗するとは限らない。) 大阪・関西万博の会場となる夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)は大阪湾の人工島であり、インフラ問題が工事の足かせとなるからだ。トラックなど車両での夢洲へのアクセスは、同じく人工島である舞洲(まいしま)とを結ぶ「夢舞大橋」と、咲洲(さきしま)とを結ぶ「夢咲トンネル」の2ルートしかない。工事が進捗し、資材を運ぶ車両の運搬量が増えれば、大きな混乱を招く懸念がある。 夢洲では、電気、ガス、水道などのインフラ整備も進んでいるとは言いがたい。現在は、関係各社が発電設備を持ち込んで、仮設の電力設備で対応している。ゼネコン関係者の間では、「日本中の発電機がすべて、夢洲に集められている」といった冗談がささやかれているほどだ。大阪市は目下、夢洲内の工事を一括管理する事業調整会議を設置し、工程管理や運行ルートの調整を行っている』、「「(万博協会は)スケジュール管理ができていないことが明確だ・・・大阪・関西万博の会場となる夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)は大阪湾の人工島であり、インフラ問題が工事の足かせとなるからだ。トラックなど車両での夢洲へのアクセスは、同じく人工島である舞洲(まいしま)とを結ぶ「夢舞大橋」と、咲洲(さきしま)とを結ぶ「夢咲トンネル」の2ルートしかない。工事が進捗し、資材を運ぶ車両の運搬量が増えれば、大きな混乱を招く懸念がある」、こんなボトルネックが予想されているのであれば、なおさら準備を急ぐ必要がある。
・『突貫工事で事故や品質問題が起きれば大問題  大阪・関西万博が計画通りに開催できるのか、待ったなしの状況と言えよう。工事の進捗が遅れ、突貫での工事となると、事故や品質問題などのトラブルが起きかねない。「しわ寄せがゼネコン業界に回ってくるのであれば、本当に勘弁してほしい」(スーパーゼネコンの幹部)。 万博協会はここにきて、タイプXへの切り替え提案のほかに、協会が代わりに工事を発注する建設代行や、外国語対応が可能な窓口の設置など、複数の支援策を打ち出した。参加国とゼネコンの間を取り持って、工事の遅れを取り戻せるか。迅速な対応が求められる』、「万博協会はここにきて、タイプXへの切り替え提案のほかに、協会が代わりに工事を発注する建設代行や、外国語対応が可能な窓口の設置など、複数の支援策を打ち出した。参加国とゼネコンの間を取り持って、工事の遅れを取り戻せるか。迅速な対応が求められる」、工事の安全が犠牲にならないようにしてほしいものだ。

次に、10月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したプリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役の秋山進氏による「大阪万博が失敗確定な「4つの理由」、世界もあきれる“驚きの開催目的”とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/330304
・『鮮烈な記憶を残した1970年大阪万博  大阪万博を楽しみにしている。子どもの頃、1970年の大阪万博に「月の石」を見に行った。アメリカ館で、月探索計画「アポロ計画」によって月面から持ち帰られた実物が展示されていたのだ。しかし、超人気で3時間くらい待たなくては入れなかったのであきらめた。3回行ったのだが、ついに一度も入れなった。 しかし、アメリカ館だけでなく、他国のパビリオンが相当面白かった。記憶が定かでないのだが、タンザニアのパビリオンではアウストラロピテクスの骨が展示されていたのではなかったか。今から考えれば間違いなくレプリカだったろう。タンザニアもアウストラロピテクスもそのときまでよく知らなかったのだが、何かしら大変興奮したことを覚えている。すごいものを見たと思った。 海外の国のパビリオンだけでなく、民間のパビリオンも良かった。日本ガス協会のガス・パビリオンの展示は、「笑いの世界」がテーマだった。笑った口をかたどった建物の造形がユニークで、建物すべてのエネルギーをガスで賄うシステムが展示され、オーブン料理が食べられるレストランもあり、楽しくて、おいしくて感動した。未来がそこにあった気がした。 当時の万博は、国家の威信をかけたプロジェクトでもあり、他国から興味深いパビリオンが集結し、企業も展示に相当力を入れていた。岡本太郎の彫刻をはじめ、文化的な側面でも有名な建築家やアーティストが参画するなど話題が多かった。 こういう思い出を持つ者にとって、あの感動をもう一度味わえるのであれば、本当に素晴らしいことだと思うのだ。しかしながら、直近の情報では、かなり雲行きが怪しい。大阪がいくら「笛吹けど、誰も踊らない」状況にあるようだ。特にパビリオンで何かを展示する外国や企業の誘致に苦心しているらしく、参加に乗り気でない国や企業が多そうなのだ』、興味深そうだ。
・『一地方の地域おこしに、世界も企業も協力できない  そもそも、この手のお祭り(イベント)に、積極的に参加する理由は何か。 第一は、目的や大義への賛同であろう。そこで、大阪万博のHPを開いてみると、開催目的として次のように記載されている。 <「万博」には、人・モノを呼び寄せる求心力と発信力があります。この力を2020年東京オリンピック・パラリンピック後の大阪・関西、そして日本の成長を持続させる起爆剤にします。> ちょっとびっくりである。地域の成長の起爆剤だったのだ。これでは、大阪以外の人の共感は得られまい。別途、万博の理念として、<世界の人びとと、「いのちの賛歌」を歌い上げ、大阪・関西万博を「いのち輝く未来をデザイン」する場としたい>という記述はあるし、当然、それに関連する展示などもありそうだから、それらしい格好はつくだろう。しかし、もともとの目的があまりに直截的で、これではパビリオンを出そうかなと思った国の大使も「どっちらけ」だろう。 次の理由は、名誉である。この栄えあるイベントに出展できることを喜びと思えることである。オリンピックの制服やユニホームを提供できることで、それが名誉となり、企業の格が上がり、ブランド力も向上することを狙い、みなし公務員に贈賄をして有罪判決を受けた例がある。したがって、これと同様に、パビリオンを出すことにメリットを感じてくれる企業もあると思われる。 しかしながら、すでに一流企業として認識されている企業にとって、今の時代に万博にパビリオンを出すメリットはあまりない。日本に来た外国人にアピールできるといっても、基本的には日本人が多く集まるイベントなのだ。さらには、22年までドバイでど派手な万博が開催されていたので、万博については食傷気味といったところではないだろうか』、「開催目的・・・<「万博」には、人・モノを呼び寄せる求心力と発信力があります。この力を2020年東京オリンピック・パラリンピック後の大阪・関西、そして日本の成長を持続させる起爆剤にします。> ちょっとびっくりである。地域の成長の起爆剤だったのだ。これでは、大阪以外の人の共感は得られまい。別途、万博の理念として、<世界の人びとと、「いのちの賛歌」を歌い上げ、大阪・関西万博を「いのち輝く未来をデザイン」する場としたい>という記述はあるし、当然、それに関連する展示などもありそうだから、それらしい格好はつくだろう。しかし、もともとの目的があまりに直截的で、これではパビリオンを出そうかなと思った国の大使も「どっちらけ」だろう」、確かに目的が余りに大阪色、ローカル過ぎる。
・『経済的なメリットもなく、付き合う義理もない  第三の理由は、経済的メリットである。このイベントに出展し、新たな驚きを提供することで話題になり、国家や企業の価値が上がり、商品が売れるといった事態が期待できるのかどうか。 確かに万博は、各国のおいしい食べ物や興味深い未知の文化に触れることができる機会となるだろうから、そこへの集客から経済的なメリットを獲得することはできそうである。とはいえ、昨今は各国・各企業とも、すでに日々、SNSなどのインフルエンサーを通して、ターゲットごとにメッセージを伝達する努力をしている。不特定多数相手の万博にどれだけ期待できるのかはかなり未知数である。 第四の理由は「お付き合い」である。大阪で一丸となって、関西で一丸となって、あるいは日本全体で一丸となって……という機運が高まっているなら、それを無視することはかなり難しい。しかしながら、目的のところにあったように、このイベントの主役は大阪であり、ちょっと拡大して関西、そして取って付けたかのように日本の経済発展のためにやるイベントであると明記されている以上、まずは大阪が頑張れば良いのであって、その他の地域の人は良くて様子見である。 ただ、関西といっても決して一枚岩ではない。対関東・対東京ということでは団結することもあるかもしれないが、大阪の近隣県はそれぞれ、「うちは大阪とは違いますから」と一くくりにされることにむしろ抵抗する傾向さえある。大阪の中であっても、「うちはみなさんが思っている大阪とは違いますから」と思っているに違いないし、必ずしも万博を歓迎していない人だってたくさんいるだろう。 無理にお付き合いをしなくて良いのであれば、誰も積極的に参加しようとはしない。そこで、今回はテコ入れが行われ、経済産業事務次官経験者が担当となり、大阪を地盤としていない企業も、お付き合いでも良いから、何らかの支援をしてほしいという依頼を受けることになるだろう。それで、仕方なく参加する国や企業が出てくることはあっても、あくまでお付き合いだから、手間もお金もかけず、お茶を濁したような展示が増えるだけとなるだろう。全体として、「しょぼい」ことになってしまう可能性は高い』、「目的のところにあったように、このイベントの主役は大阪であり、ちょっと拡大して関西、そして取って付けたかのように日本の経済発展のためにやるイベントであると明記されている以上、まずは大阪が頑張れば良いのであって、その他の地域の人は良くて様子見である」、「今回はテコ入れが行われ、経済産業事務次官経験者が担当となり、大阪を地盤としていない企業も、お付き合いでも良いから、何らかの支援をしてほしいという依頼を受けることになるだろう。それで、仕方なく参加する国や企業が出てくることはあっても、あくまでお付き合いだから、手間もお金もかけず、お茶を濁したような展示が増えるだけとなるだろう。全体として、「しょぼい」ことになってしまう可能性は高い」、その通りだ。しかし、「今回はテコ入れが行われ、経済産業事務次官経験者が担当」というのには違和感がある。開催の決定では維新の会が自分の手柄のように誇っていたのだから、維新の会の責任も大きいと思われる。維新の会に泣きつかれた岸田首相の指示で、経産省が前面に押し出されたのだろう。
・『「撤退」の英断を誰が下すのか  では、このように、かなり追い込まれているように見える万博をどうすれば良いのか。 この地域イベントを国家イベントとして捉え直し、大義・名誉・経済的メリットのあるものに仕立て直し、「ちゃんとお付き合いしないとまずいな」と他国、企業に思わせるだけのリセットができれば良い。しかし、そんなことが今からできるだろうか。開催は25年なのだから、残念ながら間に合わず、無理であろう。 だとすれば、もはや中止しかない。これまで費やした手間暇お金、国際的な恥辱……いろいろあろうが、そもそも、この万博というフォーマット自体、サイバー空間で世界がつながる時代には「オワコン」だ。このようなものの開催にエネルギーを注いだことが無駄だったのである。 大がかりな建設工事が始まる前にやめてしまえば被害も最小限で済む。なお、ゼネコン関係者は万博を開催した方がもうかるのではないかと思う向きもあるかもしれないが、昨今の資材の高騰や人手不足が続く現状では、なかなか手出ししにくいと思われる。というのは、こうした公共的な事業の場合、当初の予算以上にコストがかかった分は持ち出しになってしまうことが多いからだ。 70年の万博プロデューサーで、当時通商産業省(現在の経済産業省)官僚だった堺屋太一氏は、25年の大阪万博を提唱する際に、民の文化を醸成してきた大阪が万博を契機に、大阪という都市を日本だけでなく世界でどう位置付けるかを考えた。「自主独立の文化をもう一度生み出し、大阪の誇りを取り戻すことは、日本にとって有益になる。今こそ発想を大転換し、再び日本の中心たる大阪を目指そう」と考えたようである。今回の万博にはこの思想が確実に踏襲されている。 そう考えること自体が悪いことだとは思わないが、それであれば大阪かつ民間だけで完結する内容にすべきだったし、そのための媒体は万博という「オワコン」の様式ではなく、別のものを選ぶべきであったのであろう。私は堺屋太一氏を心から尊敬しているが、かつての万博で優れた手腕を発揮した人物であっても、晩年のその視点は、時代や社会の変化を正確に捉えることができていなかったと思わざるを得ない。 と、ここまで厳しいことばかりを書いてきたが、それでも再びあの感動を味わいたいという気持ちは今でも変わらない。今から中止することはないのであろうから、事務局の方、関係者の方、一筋縄ではいかない難しい局面だが、どうか頑張って素晴らしい万博にしてほしい』、「この地域イベントを国家イベントとして捉え直し、大義・名誉・経済的メリットのあるものに仕立て直し、「ちゃんとお付き合いしないとまずいな」と他国、企業に思わせるだけのリセットができれば良い。しかし、そんなことが今からできるだろうか。開催は25年なのだから、残念ながら間に合わず、無理であろう。 だとすれば、もはや中止しかない。これまで費やした手間暇お金、国際的な恥辱……いろいろあろうが、そもそも、この万博というフォーマット自体、サイバー空間で世界がつながる時代には「オワコン」だ。このようなものの開催にエネルギーを注いだことが無駄だったのである・・・今から中止することはないのであろうから、事務局の方、関係者の方、一筋縄ではいかない難しい局面だが、どうか頑張って素晴らしい万博にしてほしい」、なるほど。
タグ:「パビリオンの建物本体の工事は2024年7月までに終え、2025年1月までに内装など展示関係の工事を完了することが目安とされていた」、やはり大変そうだ。 東洋経済オンライン「大阪万博「請け負えばやけどする」ゼネコンの本音 万博の華「海外パビリオン」の工事遅れが超深刻」 ーを注いだことが無駄だったのである・・・今から中止することはないのであろうから、事務局の方、関係者の方、一筋縄ではいかない難しい局面だが、どうか頑張って素晴らしい万博にしてほしい」、なるほど。 「この地域イベントを国家イベントとして捉え直し、大義・名誉・経済的メリットのあるものに仕立て直し、「ちゃんとお付き合いしないとまずいな」と他国、企業に思わせるだけのリセットができれば良い。しかし、そんなことが今からできるだろうか。開催は25年なのだから、残念ながら間に合わず、無理であろう。 だとすれば、もはや中止しかない。これまで費やした手間暇お金、国際的な恥辱……いろいろあろうが、そもそも、この万博というフォーマット自体、サイバー空間で世界がつながる時代には「オワコン」だ。このようなものの開催にエネルギ それで、仕方なく参加する国や企業が出てくることはあっても、あくまでお付き合いだから、手間もお金もかけず、お茶を濁したような展示が増えるだけとなるだろう。全体として、「しょぼい」ことになってしまう可能性は高い」、その通りだ。 「目的のところにあったように、このイベントの主役は大阪であり、ちょっと拡大して関西、そして取って付けたかのように日本の経済発展のためにやるイベントであると明記されている以上、まずは大阪が頑張れば良いのであって、その他の地域の人は良くて様子見である」、「今回はテコ入れが行われ、経済産業事務次官経験者が担当となり、大阪を地盤としていない企業も、お付き合いでも良いから、何らかの支援をしてほしいという依頼を受けることになるだろう。 。しかし、もともとの目的があまりに直截的で、これではパビリオンを出そうかなと思った国の大使も「どっちらけ」だろう」、確かに目的が余りに大阪色、ローカル過ぎる。 「開催目的・・・<「万博」には、人・モノを呼び寄せる求心力と発信力があります。この力を2020年東京オリンピック・パラリンピック後の大阪・関西、そして日本の成長を持続させる起爆剤にします。> ちょっとびっくりである。地域の成長の起爆剤だったのだ。これでは、大阪以外の人の共感は得られまい。別途、万博の理念として、<世界の人びとと、「いのちの賛歌」を歌い上げ、大阪・関西万博を「いのち輝く未来をデザイン」する場としたい>という記述はあるし、当然、それに関連する展示などもありそうだから、それらしい格好はつくだろう 秋山進氏による「大阪万博が失敗確定な「4つの理由」、世界もあきれる“驚きの開催目的”とは?」 ダイヤモンド・オンライン 「万博協会はここにきて、タイプXへの切り替え提案のほかに、協会が代わりに工事を発注する建設代行や、外国語対応が可能な窓口の設置など、複数の支援策を打ち出した。参加国とゼネコンの間を取り持って、工事の遅れを取り戻せるか。迅速な対応が求められる」、工事の安全が犠牲にならないようにしてほしいものだ。 「「(万博協会は)スケジュール管理ができていないことが明確だ・・・大阪・関西万博の会場となる夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)は大阪湾の人工島であり、インフラ問題が工事の足かせとなるからだ。トラックなど車両での夢洲へのアクセスは、同じく人工島である舞洲(まいしま)とを結ぶ「夢舞大橋」と、咲洲(さきしま)とを結ぶ「夢咲トンネル」の2ルートしかない。工事が進捗し、資材を運ぶ車両の運搬量が増えれば、大きな混乱を招く懸念がある」、こんなボトルネックが予想されているのであれば、なおさら準備を急ぐ必要がある。 「スーパーゼネコンの幹部は、「ここまで遅々として進まないのは、協会にプロジェクトをまとめる力がないことが大きな要因」と憤る」、「万博」は初回の大阪、その後の「愛知」など経験を積んでいるのに、「協会」は一体、何をやっているのだろう。 「政府は、万博関連工事についてはこの残業規制の対象外とすることを検討していると報じられている。 だが、これについて準大手ゼネコンの首脳は、「あってはならないことだ。『万博工事だけ、無制限に働け』なんて指示することは、社内にも社外向けにも説明できない」と語るなど、ゼネコン業界全体から反発を食らっている」、業界の言い分の方に分がありそうだ。 「マンパワーが足りない。国内の建築工事は相当な数が積み上がっていて、いまは案件を絞って受注している。受注済みの工事を消化しないといけない状況で、ほかの工事をお願いされても断っている」、なるほど。
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本日の更新を休むので、明日にご期待を!

一昨日、予告した通り、本日の更新を休むので、明日にご期待を!
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本日と明日の更新を休むので、明後日にご期待を!

昨日、予告した通り、本日と明日の更新を休むので、明後日にご期待を!
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女性活躍(その29)(東大卒・山口真由が 松川るい氏のパリ視察炎上で考えた「女性議員」の育成問題、女性取締役はお飾り?タレント取締役に意味はある?ハーバードの専門家が出した答えとは コリーン・アマーマン氏インタビュー(後編)、女性活躍が進まない会社の言い訳ランキング!2位「経営が上向くのか?」 1位は?) [社会]

女性活躍については、本年9月9日に取上げた。今日は、(その29)(東大卒・山口真由が 松川るい氏のパリ視察炎上で考えた「女性議員」の育成問題、女性取締役はお飾り?タレント取締役に意味はある?ハーバードの専門家が出した答えとは コリーン・アマーマン氏インタビュー(後編)、女性活躍が進まない会社の言い訳ランキング!2位「経営が上向くのか?」 1位は?)である。

先ずは、10月11日付けFRaUが掲載した信州大学特任教授の山口 真由氏による「東大卒・山口真由が、松川るい氏のパリ視察炎上で考えた「女性議員」の育成問題」を紹介しよう。
・『信州大学特任教授で、法学博士・ニューヨーク州弁護士の山口真由さん。東大卒の才女として様々なメディアで活躍するが、Twitterでのつぶやきはコミカルで飾らないものが多い。FRaUwebの連載では、そんな意外な「素顔」を率直に綴っていただいている。 今回は、今年8月におこなわれた自民党の松川るい氏らによるフランス・パリ視察において、彼女たちがエッフェル塔前で撮った写真をSNSにアップし、非難が殺到した件について。松川氏は8月下旬に女性局長を辞任し、9月29日付で副幹事長に就いている。パリ視察の炎上、そして辞任、副幹事長就任にいたるまでの流れについて、山口さんが感じたことを綴っていただいた』、興味深そうだ。
・『なぜパリ視察がここまで炎上したのか  研修でフランスを訪れた松川るいさんが2人の地方議員と一緒にエッフェル塔の前でポーズを決めた写真をSNSに投稿して炎上したのは2ヵ月ほど前のことだった。費用に税金が投入されていないか、子どもを連れての研究が不適切ではないか――瞬く間に火の海と化したSNSに恐れをなして、当時の私は何も言えなかった。 責任を取る形で女性局長を辞任した彼女が、党の副幹事長に任命された先月末、またしても若干の波紋が広がっている。非難のひとつひとつには確かに理由がある。だが多少は冷静に語れるいま、本音を言えば、糾弾の激しさと罪の重さとが不釣り合いにも見えていた。同時期に受託収賄という刑事の疑惑をかけられた秋本真利議員の方がよほどひっそりとしているではないか。 それだけ潜在的に彼女のアンチが多かったのだろうか。外務省のキャリア、トレードマークはロングに伸ばした黒髪と胸元で結ばれた長い真珠のネックレス、さらに能弁な彼女は多くの討論番組の常連となり、次世代の女性政治家として頭角を現す。一方で、こうしたキラキラした要素の1つ1つが反感の源にもなる。 そして、円安やインフレの影響をもろに受けて旅行にも行けないと嘆く人々の前に、パリ、エッフェル塔、ポーズ……というキラキラの三重奏は、充満したガソリンを前にマッチの火をするようなものだったのだろう。 この騒動について「代議士とは『エリート』を選ぶものなのか、それとも『自分たちみたいな人』を選ぶものなのか。じつは議員内閣制には二つの発想があって、どちらも間違ってない」と三浦瑠麗さんが投稿しているが、松川さんはその「エリート性」ゆえに過剰に罰せられたという気がしてならない。 だが、ここで私が問いたいのは、なぜ男性社会の中で生きる女性たちは必要以上に「エリート性」を強調しなくてはならないのかということだ』、「円安やインフレの影響をもろに受けて旅行にも行けないと嘆く人々の前に、パリ、エッフェル塔、ポーズ……というキラキラの三重奏は、充満したガソリンを前にマッチの火をするようなものだったのだろう。 この騒動について「代議士とは『エリート』を選ぶものなのか、それとも『自分たちみたいな人』を選ぶものなのか。じつは議員内閣制には二つの発想があって、どちらも間違ってない」と三浦瑠麗さんが投稿しているが、松川さんはその「エリート性」ゆえに過剰に罰せられたという気がしてならない・・・ここで私が問いたいのは、なぜ男性社会の中で生きる女性たちは必要以上に「エリート性」を強調しなくてはならないのかということだ」、なるほど。
・『男社会に存在する「独自の教育システム」  例えば、2016年の大統領選挙では、ドナルド・トランプ氏が多くの労働者に「自分たちみたいな人」と思わせるのに成功した一方で、ヒラリー・クリントン氏はどこまでも「エリート」にしか見えず、共感を得るのに失敗した。父の不動産事業を引き継いだトランプ氏の方が、衣料品店を営む両親のもとから巣立ったクリントン氏よりも、見方によっては恵まれているにもかかわらず、である。 政治家という“大衆を相手にする職業”において、「自分たちみたいな人」と親近感を得るのがなによりも票への近道のはずだ。例えば、菅義偉さんは秋田の田舎出身、身ひとつで上京した叩き上げの苦労人というイメージを意図的に作り上げていた。その実、菅さんのお父様はイチゴ農家としてかなり成功した地元の名士で、お母様はあの時代の女性で教師という地域のエリート層である。菅さんの生い立ちの描き方は、自らをあえてダウングレードして庶民の目線を演出しているようにも見える。 安藤優子さんの『自民党の女性認識 「イエ中心主義」の政治指向』(明石書店、2022年)を読むと、自民党の国会議員の最大の輩出源は「地方議員」と「議員秘書」である。衆議院議員小此木彦三郎さんの秘書として家族同然の扱いを受けながら、横浜市議に当選し、国会議員へとステップアップしていった菅さんはまさにその典型だ。 安藤さんの本によれば、自民党の国会議員は、盆暮れの飲み会含めきめ細かく地方議員の面倒を見るのだという。そうやって選挙の最前線で闘ってくれる「自前の兵隊」を作る。おそらく、こういう集票のイロハは、秘書として仕えた国会議員を「オヤジ」と慕うみたいな、あの手の雰囲気の中で伝授されていくのだ。 そう、男社会には独自の教育システムが存在する。脈々と受け継がれた基盤はそう簡単には揺らがない。この安定感が男たちの自信の源になるのだろう。だから、地元に密着した親しみやすさという、あえての「下から目線」を強調できるのだという気もする。 ところが、女性議員には地方議員や議員秘書出身者が極端に少ない。官僚、弁護士、アナウンサーやジャーナリストといった「エリート」が「オヤジ」から一本釣りされる。そういう女性政治家たちはこれでもかというほど自身の華々しい経歴を書き連ねてなんだか嫌味である。 安藤さんの本によれば「県議は党派を超えて『同じ釜の飯を食ってきたという同族意識』が強く、突然ぽっと出てきたような『若くて、学歴がある』候補には冷ややかな傾向がある」とのこと。「エリート」性を強調するほどに、「自分たちみたいな人」から遠ざかって地元からも浮いていく』、「自民党の国会議員は、盆暮れの飲み会含めきめ細かく地方議員の面倒を見るのだという。そうやって選挙の最前線で闘ってくれる「自前の兵隊」を作る。おそらく、こういう集票のイロハは、秘書として仕えた国会議員を「オヤジ」と慕うみたいな、あの手の雰囲気の中で伝授されていくのだ。 そう、男社会には独自の教育システムが存在する。脈々と受け継がれた基盤はそう簡単には揺らがない。この安定感が男たちの自信の源になるのだろう・・・ところが、女性議員には地方議員や議員秘書出身者が極端に少ない。官僚、弁護士、アナウンサーやジャーナリストといった「エリート」が「オヤジ」から一本釣りされる。そういう女性政治家たちはこれでもかというほど自身の華々しい経歴を書き連ねてなんだか嫌味である・・・「県議は党派を超えて『同じ釜の飯を食ってきたという同族意識』が強く、突然ぽっと出てきたような『若くて、学歴がある』候補には冷ややかな傾向がある」とのこと。「エリート」性を強調するほどに、「自分たちみたいな人」から遠ざかって地元からも浮いていく」、なるほど。
・『構造の歪みを個人の肩に載せすぎている  でも他にどうすればよいのだろう。永田町を夢見る男たちの頭上を一足飛びに駆け上がるエクスキューズとして、「エリート」性を押し出すしかないのだ。ここに構造的な悪循環がある。 松川さんだけじゃなくて今井絵理子さんだって批判されたじゃないか。「エリート」性を強調するから嫌われるという道理はないといわれるかもしれない。確かにその通り。でも「エリート」性を「タレント」性に言い換えれば、真逆のようで極めてよく似た構造が見えてくる。 地元の人脈や地縁を「オヤジ」から徐々に引き継ぐという過程を経ずに、「オヤジ」から一本釣りされた女性政治家にとっては知名度が唯一の武器なのだ。だから、「エリート」性なり「タレント」性なりを売りにメディアへの露出を増やすしかないだろう。 思うに、「女性活躍」の旗を振られ、女性の「登用」をわかりやすく数字で顕在化させたいいまの日本社会には、女性を「育成」するシステムがない。伝統的に根付いてきた年長者を「オヤジ」と慕う男社会の疑似家族から、女性は排除されてきたからだ。 「エリート」性を強調すれば庶民の生活を知らないのにと、「タレント」議員であれば政治を知らないのにと真逆の方向から批判される女性政治家は、いずれにしろ、多くの場合、下からゆっくりと持ち上げられるのではなく、上から急激に一本釣りされている。システマティックな育成を経ずにアドホックに登用されているのだ。 批判するなというつもりは毛頭ない。税金の使い道は厳しい目でチェックされるべきだし、研修の成果を知りたいというのは当然だと思う。 だが、構造の歪みを個人の肩に乗っけすぎてやしないか。エッフェル塔の前でポーズを決めた政治家に辞任を迫るような言論すらある。だが、それではいつまで経っても女性議員なんて増えないだろう。子育てしながら地元と往復する葛藤みたいな、「自分たちみたいな人」の素顔を彼女たちが素直にさらせる日が来るといいのにな』、「「エリート」性を強調すれば庶民の生活を知らないのにと、「タレント」議員であれば政治を知らないのにと真逆の方向から批判される女性政治家は、いずれにしろ、多くの場合、下からゆっくりと持ち上げられるのではなく、上から急激に一本釣りされている。システマティックな育成を経ずにアドホックに登用されているのだ」、なるほど。

次に、10月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家/コンサルタントの佐藤智恵氏による「女性取締役はお飾り?タレント取締役に意味はある?ハーバードの専門家が出した答えとは コリーン・アマーマン氏インタビュー(後編)」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/330725
・『『ガラスの天井を破る戦略人事』の著者、ハーバードビジネススクールのコリーン・アマーマン氏は、日本の育休制度を「世界の中でも最も手厚い」と評価する。一方で、制度利用者が増えない現状には疑問を呈する。今の日本が抱える、ジェンダー平等実現への根深い課題とは。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵) >>前編から読む』、興味深そうだ。
・『ジェンダー平等には「男性の意識改革」が不可欠だ  佐藤智恵(以下、佐藤) 『ガラスの天井を破る戦略人事』では、ジェンダー平等を実現するためには男性側の当事者意識を高めて、協力してもらうことが不可欠だと繰り返し述べています。なぜ、男性の意識や行動が実現への鍵となってくるのでしょうか。 コリーン・アマーマン(以下、アマーマン) なぜなら権力を持っている人の大半は、男性だからです。変革を起こすには、何よりも権力が必要です。この問題に本気で取り組んでくれる男性リーダーがいなければ、ジェンダー不平等は永遠に解消されないままです。 例えば、米食品メーカー、キャンベルスープカンパニーの元CEOのダグ・コナント氏は、CEO就任早々、女性の活用を経営戦略の核として掲げ、女性リーダーの登用や育成に尽力し、企業再生に成功しました。また、英BBCのジャーナリスト、ロス・アトキンス氏は、自分のニュース番組の出演者の男女比を50:50にするプロジェクトを始め、その後、この取り組みはBBC全体へ広がっていきました。結局のところ、影響力のある地位に就いている男性が動いてくれなければ、扉は開かないのです。 佐藤 どういう男性リーダーが、女性の味方になってくれやすいのでしょうか。) アマーマン 私たちの調査では、「娘を持つ男性リーダー」「仕事をしている母親を持つ男性リーダー」は、ジェンダー平等の価値を理解し、働く女性の味方になってくれやすいことが分かっています。このほかにも、「マイノリティーの立場に置かれたことのある男性リーダー」も女性の登用に理解を示してくれやすいという結果があります。つまり、男性が実際に行動してくれるかどうかは、個人的な動機によるところが大きいのです。 日本の女性役員や女性管理職にも、まずはこうした男性を味方につけることを推奨したいですね。男性を巻き込んでジェンダー平等を推進したほうが、大きなインパクトを与えられるからです』、「「娘を持つ男性リーダー」「仕事をしている母親を持つ男性リーダー」は、ジェンダー平等の価値を理解し、働く女性の味方になってくれやすいことが分かっています。このほかにも、「マイノリティーの立場に置かれたことのある男性リーダー」も女性の登用に理解を示してくれやすいという結果があります・・・日本の女性役員や女性管理職にも、まずはこうした男性を味方につけることを推奨したいですね。男性を巻き込んでジェンダー平等を推進したほうが、大きなインパクトを与えられるからです」、なるほど。
・『育休を取らない男性社員が象徴する 「男女平等後進国日本」の姿  佐藤 本書では、組織の上に行けば行くほど女性の数が減ってくるのは、人事評価において男性よりも厳しい基準で評価されるからだ、と述べていますが、男性のどのような「アンコンシャス・バイアス」(無意識の思い込み)が女性の昇進を妨げていると思いますか。 アマーマン 一般的に、女性は、男性の上司からも同僚からも部下からも実際の地位よりも低く見られがちです。その主因となっているのが、男性側に「女性のリーダーとしての能力は男性よりも低い」という思い込みがあることです。そしてこのバイアスが、女性の採用、昇進、報酬を決める上で大きな影響を及ぼしています。ですから、まずは男性が知らず知らずのうちに女性を厳しく評価していることを男性に認識してもらうことが必要です。 また、「子どもを持つ女性は、子どもに気を取られて、仕事をおろそかにする傾向がある」という偏見を持っている男性もいます。子どもがいる女性の生涯年収や、子どもがいる女性が採用される確率は、子どものいない女性に比べても低いですが、このような「母親ペナルティー」(母親が採用・賃金において不利益を被ること)の背景にあるのも、男性のアンコンシャス・バイアスです。 こうした偏見を解消していくことは、会社の成長にとってもプラスとなりますから、「アンコンシャス・バイアス」の解消を男女共有の目標として掲げ、さまざまな研修などを行っていくことが大切です。 ただし、重要なのは、女性側が、男性を厳しく追及したり、非難したりしないこと。「もしかしたら気付いていないかもしれないけれど、それは『アンコンシャス・バイアス』かもしれないよ」といった感じで、さりげなく指摘するのがいいでしょう。) 佐藤 世界経済フォーラム(WEF)の2023年版「世界ジェンダーギャップ報告書」によれば、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位で、一向に改善の兆しが見られません。日本政府も日本企業も「ジェンダー平等に取り組んでいる」と言ってはいるものの、なぜ大きく改善しないのでしょうか。 アマーマン この問題を解決するには、政府の政策と個人の意識改革の両方が必要です。政策で特に重要なのが、税制です。女性が高収入を得たり、社会で活躍するのを阻んだりするような税制になっていないでしょうか。男性が働き、女性が子育てをすることが前提の税制になっていないでしょうか。まずはそこから変えていくことが必要でしょう。 また個人、特に男性の意識改革については、先ほど申し上げた通り、アンコンシャス・バイアスを取り除くことが何よりも大切です。会社では社内研修を実施するとともに、女性の登用が組織にとってもプラスになると考えるような組織風土を醸成していくことが大切です。 日本には世界の中でも最も手厚い育児休業制度があるのに、男性がこの制度を利用したがらないのは、興味深い現象です。正しい制度はあるのに、利用すれば自分のキャリアにとってマイナスになると考えてしまうのは、なぜでしょうか。そこに、ジェンダー平等が進まない根本的な要因があるように思います。 多くの国々においてジェンダー平等を実現するのが難しいのは、どの国の社会にも「男性はこれをやるべき」「女性はこれをやるべき」といった伝統的な規範があるからです。人々の文化や思想を変えるには長い時間がかかります。だからこそ、粘り強く取り組みを続けることが大切です』、「男性側に「女性のリーダーとしての能力は男性よりも低い」という思い込みがあることです。そしてこのバイアスが、女性の採用、昇進、報酬を決める上で大きな影響を及ぼしています。ですから、まずは男性が知らず知らずのうちに女性を厳しく評価していることを男性に認識してもらうことが必要です・・・多くの国々においてジェンダー平等を実現するのが難しいのは、どの国の社会にも「男性はこれをやるべき」「女性はこれをやるべき」といった伝統的な規範があるからです。人々の文化や思想を変えるには長い時間がかかります。だからこそ、粘り強く取り組みを続けることが大切です」、なるほど。
・『タレント社外取の起用は是か非か 女性役員に求められること  佐藤 ジェンダークオータ制(議会の議席や取締役会の人数などの一定割合を女性に割り当てる制度)の導入は有効だと思いますか。) アマーマン クオータ制導入の是非については、賛否両論があります。ただ、私は数値目標の設定やクオータ制の導入は、ジェンダー平等を推進する上で有効だと思います。 なぜなら、具体的な数値を掲げれば、「これは真剣に達成しなくてはならないものだ」という認識を持ってもらえるからです。「女性を増やさなければいけません」というような曖昧な目標では人は動かない。「何%がわが社の目標です」と伝えなければ、前には進まないのです。 ここで重要なのは、単に数値目標を掲げるだけではなく、なぜ多様性を実現することが不可欠なのかを理解してもらう教育を並行して行うことです。また、経営者自らが率先して、なぜ重要なのかを説明しなくてはなりません。「何のために行うのか」について社員が納得しなければ、自ら率先して実現しようとは思わないからです。 佐藤 本書では、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが、2010年、取締役会へのクオータ制の導入に伴い、「ファッションショーの常連だから」という理由でベルナデット・シラク氏(元フランス大統領夫人)を取締役に起用したことを指摘しています。 同じように、日本でも俳優・タレント・元スポーツ選手などの著名人を社外取締役に任命する事例が散見されますが、こうした現象は、女性取締役を増やす上で通らなくてはならない道なのでしょうか。 アマーマン 一般的には、専門知識、経営経験のあるなしにかかわらず、女性ゼロよりも女性がいるほうが、企業価値向上につながるのは確かです。 しかし、私が本書の「女性取締役はお飾りか」という項で言いたかったのは、「著名人を取締役に任命して安易に数合わせをするよりも、経済界には多くの有能な女性がいるのだから、その中から積極的に候補者を探しませんか」という点なのです。女性役員は、若い女子学生や女性社員にとってもロールモデルとなりますから、長期的には、経済界の中でいかに女性役員候補のパイプラインを構築していけるかが、重要になってきます。 もちろん、会社は取締役候補を外部から探してくるだけでなく、内部でも育成していかなければなりません。女性管理職がリーダーシップを学ぶ機会やスキルを身につける機会を提供することも必要です』、「私が本書の「女性取締役はお飾りか」という項で言いたかったのは、「著名人を取締役に任命して安易に数合わせをするよりも、経済界には多くの有能な女性がいるのだから、その中から積極的に候補者を探しませんか」という点なのです」、なるほど。
・『日本の女性リーダーに活用してほしい「WCD」  佐藤 アメリカでは、ハーバードビジネススクールの女性エグゼクティブ養成講座「ウィメン・オン・ボード」の修了生や、世界的な女性役員ネットワーク「ウィメン・コーポレート・ディレクターズ(WCD)」が、女性の取締役を増やすのに大きな役割を果たしていると聞いています。日本にもWCDの支部がありますが、日本の女性リーダーはこうしたネットワークをどのように活用していったらよいでしょうか。 アマーマン ハーバードビジネススクールの「ウィメン・オン・ボード」の参加者は修了後も交流を続け、お互いに取締役ポジションを紹介し合ったり、助言をし合ったりするなど、活発な活動を行っています。 また2001年にアメリカで創設されたWCDも、女性役員が集い、交流する場を提供するとともに、企業に取締役候補者を紹介するなど、女性役員を増やすためのさまざまな活動を行っています。WCDは、世界には実績と資質を兼ね備えた女性ビジネスリーダーがたくさんいることを多くの企業や経営者に知ってもらう上で、重要な役割を果たしていると思います。 日本のようにジェンダー不平等が根強い国においては、WCDのような女性役員のネットワークは特に価値あるものです。日本企業では、役員レベルにほとんど女性がいないため、日本の女性役員は、他の女性役員と意見交換する機会も少ないでしょう。こうした女性役員同士が助け合う場は、今後、さらに女性役員を増やしていく上で大きな役割を果たしていくと思います。 佐藤 最後に『ガラスの天井を破る戦略人事』を通じて、日本の読者に最も伝えたいことは何ですか。 アマーマン この本が日本で出版されたことをとてもうれしく思っています。私が日本の皆さんに最も伝えたいのは、ジェンダー平等の実現は全ての人が取り組むべき世界共通の課題であることです。ですから、女性だけではなく、男性にもぜひ読んでいただきたいですし、役員だけではなく、中間管理職の方々にも読んでいただきたい。そして、この本が日本のジェンダー平等に向けた取り組みの一助となることを願っています。(コリーン・アマーマン氏、’佐藤智恵氏の略歴はリンク先参照)』、「ハーバードビジネススクールの女性エグゼクティブ養成講座「ウィメン・オン・ボード」「の参加者は修了後も交流を続け、お互いに取締役ポジションを紹介し合ったり、助言をし合ったりするなど、活発な活動を行っています。 また2001年にアメリカで創設されたWCDも、女性役員が集い、交流する場を提供するとともに、企業に取締役候補者を紹介するなど、女性役員を増やすためのさまざまな活動を行っています。WCDは、世界には実績と資質を兼ね備えた女性ビジネスリーダーがたくさんいることを多くの企業や経営者に知ってもらう上で、重要な役割を果たしていると思います。 日本のようにジェンダー不平等が根強い国においては、WCDのような女性役員のネットワークは特に価値あるものです」、なるほど。

第三に、10月24日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した株式会社羽生プロ代表取締役社長、著作家・メディアプロデューサーの羽生祥子氏による「女性活躍が進まない会社の言い訳ランキング!2位「経営が上向くのか?」、1位は?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/328049
・『先日発表された世界経済フォーラムの男女格差報告で、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位と過去最低を更新、先進国で最下位という結果になった。「多様性」が叫ばれる時代でも、なぜ日本の男女格差は埋まらないのか。「男女平等」と言いつつも、女性の活躍が一向にすすまない企業にありがちな言い訳を紐解く。本稿は羽生祥子著『SDGs、ESG経営に必須! 多様性って何ですか? D&I、ジェンダー平等入門』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです』、「世界経済フォーラムの男女格差報告で、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位と過去最低を更新、先進国で最下位という結果」、いつものことながら恥ずかしい結果だ。
・『女性だけ特別視する必要あるの?  中長期の視点がなく、「女性活躍がなかなか進まない」と悩んでいる企業が世の中にはたくさんあります。ダイバーシティ推進担当者は頑張って取り組んでいるのに、現場や上層部の反対の声にあって困っているという声も、本当によく聞きます。そこで、毎月多数の記事を発信している『日経xwoman』の取材を経てわかった多様性がない企業によくある言い訳を挙げたいと思います』、興味深そうだ。
・『【言い訳トップ1】「女性だけ特別視する必要あるの?」  このセリフ、読者の皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?または、自分で言ったことがあるという方も少なくないと思います。さらにこのトップ1の言い訳は、実は女性自身が発言することが多いのも特徴です。具体的には、こういった内容です。 ・仕事の場では、男性も女性も関係ない ・実力主義でやっているので、性別で区別する必要はない ・自分は実力で認められたのであって、女性だから認められたのではない ・女性にだけ「ゲタ」を履かせて持ち上げるのはずるい ・LGBTQと自認している人もいるのに、今どき男女比率で測るのは古い  うーん、どれもすべて正しくて、間違ったことを言ってないような気がしますね。こんな言葉をかけられて反論や説得できずに困っている人事部の方々が目に浮かびます。しかし、この考え方こそが、世界に比して日本の女性活躍が遅れに遅れている理由なのです』、「この考え方こそが、世界に比して日本の女性活躍が遅れに遅れている理由なのです」、なるほど。
・『【言い訳トップ2】「D&Iやって、経営が上向くのか?」  この発言は、上層部がダイバーシティ推進の意義を理解しておらず、取り組みそのものがない会社でよく聞きます。または、社長など経営トップ本人はよく理解しているけれども、中間管理職など、現場に下ろしたときにささやかれる言葉です。具体的にはこんな意味の発言です。 ・ダイバーシティは人権問題であって、経営戦略とは関係がない ・女性を大事にすることは重要。だが業績がよくなることはない ・コロナ禍で業績が落ちて大変なので、悪いけれどD&Iをやっている余裕はない ・社長はカッコイイ顔をしたいだけで、現場は売り上げ確保で苦労する ・利益が出て、余ったおカネがあったらD&I室を立ち上げよう』、まったくやる気がなさそうな言い訳だ。
・『女性がみんなバリバリ働きたいとは限らない  【言い訳トップ3】「管理職に該当するような女性がいない」  女性登用がキーワードになってきた最近、急浮上してきた言い訳です。 ・女性管理職比率を上げたい。でも社内に適当な女性がいない ・取締役は、営業や社外交渉、新規事業など厳しいので女性には荷が重い ・ちょうど50代くらいの役員適齢期に、女性の絶対数が少ない ・今はいないが、最近は出産しても働くので、10年待てば女性管理職も出てくるだろう  この発言は悪気がないので、つい同調してしまいがちです、しかし、こういったマインドのままだと、10年たっても現状とあまり代わり映えのしない単一な組織として取り残されてしまいます』、「こういったマインドのままだと、10年たっても現状とあまり代わり映えのしない単一な組織として取り残されてしまいます」、その通りだろう。
・『【言い訳トップ4】「D&IはOKだけど、女性活躍はNGなんです」  この発言は、ダイバーシティやインクルージョンといった、カタカナ人事用語が浸透してきた数年前からよく聞くようになりました。私が社外研修セミナーなどに呼ばれ、女性活躍やジェンダー平等について講演をするときに、演目に「男女平等」と入れないでほしいと頼まれた経験は何度かあります。このような主旨の発言です。 ・ダイバーシティなら弊社は推進したい。しかし、女性だけに限ると不公平感が出る ・若手からも、女性活躍という言葉は不人気。別の角度から多様化を進めたい ・ジェンダーという言葉を使うと男性が怖がるので、性別の話はしない ・男女平等はもう古いので、LGBTQや人種のテーマを扱いたい 「総論賛成、各論反対」の典型とも言える事例ですね。これに似たような発言に、「SDGsは、環境問題を中心に取り組んでいます。ジェンダー平等はちょっとウチでは…」というものもあります。日本の組織や個人は、「男女平等」や「女性活躍」という言葉が、本当に苦手なんだなぁと感じます。しかし、言葉をカタカナ用語に変えて薄めていると、本来の目的や問題を見失い、ごまかしの対応策になってしまう危険があるのです』、「言葉をカタカナ用語に変えて薄めていると、本来の目的や問題を見失い、ごまかしの対応策になってしまう危険がある」、その通りで危険だ。
・『【言い訳トップ5】「女性がみんな、バリバリ働きたいとは限らない」  これは人事の担当者から、「女性管理職研修を社内に導入しようとしたときに、周囲から反対意見として上がる声なんです」と、半ば嘆きのようなかたちで相談されます。実際、管理職登用のために女性社員の育成に向き合っていると、否応なくぶち当たる“育成の壁”です。 ・全員が全員、管理職や取締役になるような企業なんてない ・子育てや介護がある時期は、ペースダウンして働きたい女性もいるだろう ・多様性というなら、管理職を目指さない女性を認めることも大事 組織作りの話と、個人の性格やライフステージの話が混同されがちなことも特徴です。 シンプルなことですが、男性だって皆がみな、バリバリ働きたいとは考えていません。家庭や趣味の時間の方が大切だという考えの男性もいらっしゃいます。特に若い世代では、自分時間を仕事と同じように大切にする生き方が、性別を問わずに求められています。育児休業を取りたい男性が増えているように、労働以外の時間を豊かに過ごすことへの熱は高まりつつあります。バリバリ働いて、リーダーシップにあふれる男性ばかりではないのは、皆さんの職場を見回してみても実感するのではないでしょうか? こう考えると、「バリバリ働きたい人ばかりではない」という理由で、女性にだけキャリアアップの機会を与えないのはアンバランスだということがわかると思います。性別や年齢によらず、職場でのあらゆる機会を公平・公正に提供する姿勢が重要になってきます』、「バリバリ働いて、リーダーシップにあふれる男性ばかりではないのは、皆さんの職場を見回してみても実感するのではないでしょうか? こう考えると、「バリバリ働きたい人ばかりではない」という理由で、女性にだけキャリアアップの機会を与えないのはアンバランスだということがわかると思います。性別や年齢によらず、職場でのあらゆる機会を公平・公正に提供する姿勢が重要になってきます」、その通りだ。こういった「言い訳」に騙されないようにしたいものだ。

なお、明日、明後日は更新を休むので、30日にご期待を!
タグ:「この考え方こそが、世界に比して日本の女性活躍が遅れに遅れている理由なのです」、なるほど。 ・・・ここで私が問いたいのは、なぜ男性社会の中で生きる女性たちは必要以上に「エリート性」を強調しなくてはならないのかということだ」、なるほど。 「円安やインフレの影響をもろに受けて旅行にも行けないと嘆く人々の前に、パリ、エッフェル塔、ポーズ……というキラキラの三重奏は、充満したガソリンを前にマッチの火をするようなものだったのだろう。 この騒動について「代議士とは『エリート』を選ぶものなのか、それとも『自分たちみたいな人』を選ぶものなのか。じつは議員内閣制には二つの発想があって、どちらも間違ってない」と三浦瑠麗さんが投稿しているが、松川さんはその「エリート性」ゆえに過剰に罰せられたという気がしてならない 山口 真由氏による「東大卒・山口真由が、松川るい氏のパリ視察炎上で考えた「女性議員」の育成問題」 FRaU 「男性側に「女性のリーダーとしての能力は男性よりも低い」という思い込みがあることです。そしてこのバイアスが、女性の採用、昇進、報酬を決める上で大きな影響を及ぼしています。ですから、まずは男性が知らず知らずのうちに女性を厳しく評価していることを男性に認識してもらうことが必要です・・・多くの国々においてジェンダー平等を実現するのが難しいのは、どの国の社会にも「男性はこれをやるべき」「女性はこれをやるべき」といった伝統的な規範があるからです。人々の文化や思想を変えるには長い時間がかかります。だからこそ、粘り強く 【言い訳トップ2】「D&Iやって、経営が上向くのか?」 (その29)(東大卒・山口真由が 松川るい氏のパリ視察炎上で考えた「女性議員」の育成問題、女性取締役はお飾り?タレント取締役に意味はある?ハーバードの専門家が出した答えとは コリーン・アマーマン氏インタビュー(後編)、女性活躍が進まない会社の言い訳ランキング!2位「経営が上向くのか?」 1位は?) なお、明日、明後日は更新を休むので、30日にご期待を! 「こういったマインドのままだと、10年たっても現状とあまり代わり映えのしない単一な組織として取り残されてしまいます」、その通りだろう。 佐藤智恵氏による「女性取締役はお飾り?タレント取締役に意味はある?ハーバードの専門家が出した答えとは コリーン・アマーマン氏インタビュー(後編)」 ほど。 ダイヤモンド・オンライン 女性活躍 羽生祥子氏による「女性活躍が進まない会社の言い訳ランキング!2位「経営が上向くのか?」、1位は?」 「「娘を持つ男性リーダー」「仕事をしている母親を持つ男性リーダー」は、ジェンダー平等の価値を理解し、働く女性の味方になってくれやすいことが分かっています。このほかにも、「マイノリティーの立場に置かれたことのある男性リーダー」も女性の登用に理解を示してくれやすいという結果があります・・・日本の女性役員や女性管理職にも、まずはこうした男性を味方につけることを推奨したいですね。男性を巻き込んでジェンダー平等を推進したほうが、大きなインパクトを与えられるからです」、なるほど。 「自民党の国会議員は、盆暮れの飲み会含めきめ細かく地方議員の面倒を見るのだという。そうやって選挙の最前線で闘ってくれる「自前の兵隊」を作る。おそらく、こういう集票のイロハは、秘書として仕えた国会議員を「オヤジ」と慕うみたいな、あの手の雰囲気の中で伝授されていくのだ。 そう、男社会には独自の教育システムが存在する。脈々と受け継がれた基盤はそう簡単には揺らがない。この安定感が男たちの自信の源になるのだろう こういった「言い訳」に騙されないようにしたいものだ。 「バリバリ働いて、リーダーシップにあふれる男性ばかりではないのは、皆さんの職場を見回してみても実感するのではないでしょうか? こう考えると、「バリバリ働きたい人ばかりではない」という理由で、女性にだけキャリアアップの機会を与えないのはアンバランスだということがわかると思います。性別や年齢によらず、職場でのあらゆる機会を公平・公正に提供する姿勢が重要になってきます」、その通りだ。 取り組みを続けることが大切です」、なるほど。 ・・・ところが、女性議員には地方議員や議員秘書出身者が極端に少ない。官僚、弁護士、アナウンサーやジャーナリストといった「エリート」が「オヤジ」から一本釣りされる。そういう女性政治家たちはこれでもかというほど自身の華々しい経歴を書き連ねてなんだか嫌味である・・・「県議は党派を超えて『同じ釜の飯を食ってきたという同族意識』が強く、突然ぽっと出てきたような『若くて、学歴がある』候補には冷ややかな傾向がある」とのこと。「エリート」性を強調するほどに、「自分たちみたいな人」から遠ざかって地元からも浮いていく」、なる 【言い訳トップ4】「D&IはOKだけど、女性活躍はNGなんです」 女性がみんなバリバリ働きたいとは限らない  【言い訳トップ3】「管理職に該当するような女性がいない」 まったくやる気がなさそうな言い訳だ。 「「エリート」性を強調すれば庶民の生活を知らないのにと、「タレント」議員であれば政治を知らないのにと真逆の方向から批判される女性政治家は、いずれにしろ、多くの場合、下からゆっくりと持ち上げられるのではなく、上から急激に一本釣りされている。システマティックな育成を経ずにアドホックに登用されているのだ」、なるほど。 WCDは、世界には実績と資質を兼ね備えた女性ビジネスリーダーがたくさんいることを多くの企業や経営者に知ってもらう上で、重要な役割を果たしていると思います。 日本のようにジェンダー不平等が根強い国においては、WCDのような女性役員のネットワークは特に価値あるものです」、なるほど。 「ハーバードビジネススクールの女性エグゼクティブ養成講座「ウィメン・オン・ボード」「の参加者は修了後も交流を続け、お互いに取締役ポジションを紹介し合ったり、助言をし合ったりするなど、活発な活動を行っています。 また2001年にアメリカで創設されたWCDも、女性役員が集い、交流する場を提供するとともに、企業に取締役候補者を紹介するなど、女性役員を増やすためのさまざまな活動を行っています。 「私が本書の「女性取締役はお飾りか」という項で言いたかったのは、「著名人を取締役に任命して安易に数合わせをするよりも、経済界には多くの有能な女性がいるのだから、その中から積極的に候補者を探しませんか」という点なのです」、なるほど。 【言い訳トップ1】「女性だけ特別視する必要あるの?」 「世界経済フォーラムの男女格差報告で、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位と過去最低を更新、先進国で最下位という結果」、いつものことながら恥ずかしい結果だ。 【言い訳トップ5】「女性がみんな、バリバリ働きたいとは限らない」 「言葉をカタカナ用語に変えて薄めていると、本来の目的や問題を見失い、ごまかしの対応策になってしまう危険がある」、その通りで危険だ。
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自動車(一般)(その6)(半導体不足 電力不足......日本の自動車産業は崖っぷち?、高校に行かなくても副社長になれる…トヨタ自動車が学歴や門閥を重んじない会社になったワケ むかしから多様性と自由を重んじているからこそ、「まさか売却とは…」ホンダが蜜月ケイレツ・八千代工業“放出”の衝撃) [産業動向]

自動車(一般)については、2021年7月6日に取上げた。久しぶりの今日は、(その6)(半導体不足 電力不足......日本の自動車産業は崖っぷち?、高校に行かなくても副社長になれる…トヨタ自動車が学歴や門閥を重んじない会社になったワケ むかしから多様性と自由を重んじているからこそ、「まさか売却とは…」ホンダが蜜月ケイレツ・八千代工業“放出”の衝撃)である。

先ずは、昨年3月23日付けNewsweek日本版が掲載した在米作家の冷泉彰彦氏による「半導体不足、電力不足......日本の自動車産業は崖っぷち?」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2022/03/post-1265_1.php
・『<日本型の「高付加価値部門の空洞化」に、クリーンエネルギーへの転換の遅れが追い討ちをかければ、自動車産業は風前の灯火に> アメリカの消費者は厳しいインフレに直面していますが、何よりも価格の上昇率が高いのは中古車です。つい先週、11年落ちで19万キロ走った小型SUVを「もらい事故」で廃車にした人の話では、車両保険で1万1000ドル(132万円)の保険金が出たそうです。中古としての市場価値からすると、そんな金額になるのです。 実際に中古車市場を見てみると、5年落ち10万キロ越えの車でも、トヨタの中型SUVで3万3000ドル(396万円)と価格はほとんど新車と変わりません。では、新車を買ったらいいかというと、それは不可能です。市場には在庫がないからです。そうなると売り手市場となって中古が新車と価格が変わらないというクレージーなことになるわけです。 それもこれも、日本の半導体工場が火災になったり、新型コロナの影響で生産が止まったりした影響で、自動車用の汎用半導体が極端な供給不足になっているからです。この種の製品は、日本のシェアが異常に高いので、日本での生産が止まると世界中の自動車メーカーが影響を受け、とりわけ米国では深刻な事態になっています』、「5年落ち10万キロ越えの車でも、トヨタの中型SUVで3万3000ドル(396万円)と価格はほとんど新車と変わりません。では、新車を買ったらいいかというと、それは不可能です。市場には在庫がないからです。そうなると売り手市場となって中古が新車と価格が変わらないというクレージーなことになるわけです。 それもこれも、日本の半導体工場が火災になったり、新型コロナの影響で生産が止まったりした影響で、自動車用の汎用半導体が極端な供給不足になっているからです。この種の製品は、日本のシェアが異常に高いので、日本での生産が止まると世界中の自動車メーカーが影響を受け、とりわけ米国では深刻な事態になっています』、「汎用半導体が極端な供給不足」の影響は想像以上に幅広いようだ。
・『日本の半導体産業が復興?  ここからが本論ですが、「自動車用の半導体」でそんなに日本が強いのなら、そして供給不足で世界中が困っているのなら、強気の価格交渉をして日本の半導体産業を20世紀のように再び強くすることができそうにも思えます。ですが、その可能性はありません。 日本の自動車部品産業は、半導体も含めて多くの場合が「本体」つまり最終組み立てメーカーの資本が入っており、親会社の意向によって価格は低く抑えられています。ですが、ここまで市場占有率が高く、需要と供給のバランスが崩れているのなら、思い切って世界から資金を集めて独立し、価格決定権も奪い返して半導体産業を活性化しても良いはずです。 ですが、多くの場合に経営者は「本体」から送り込まれており、「本体」の意向に沿うような経営しかしません。また仮にダイレクトに資金を集めようにも、日本国内にはリスクを許容するマネーは枯渇していますし、海外から借りるとなると専門性が必要な上、将来の円安を考えると怖くて借りられないということもあります。 そんなわけで、多くの部品産業は価格を安く叩かれており、納入先について日系企業だけでなく世界中を相手にするようになっても、そのデフレ体質を世界中から食い物にされているわけです。 しかも、トヨタをはじめ、多くの日本の最終組み立てメーカーは、国内販売比率が10%前後まで低下しています。そして、海外で販売する部分は、そのほとんどが現地生産になっています。さらに言えば、研究開発、デザイン、マーケティングなど主要な高付加価値部門も海外に出している企業が多くなっています。つまり、日本のGDPに寄与しているのは、日本国内の部品や素材メーカーが価格を叩かれて、薄い利幅にあえぎながら生産している部分が中心ということになります。 つまり、人件費の低い国に生産拠点を移したり、市場に近いところで生産するといったクラシックな空洞化、つまり設計や研究開発など知的で高付加価値な部分を「本国に残す」スタイルではないのです。自動車産業をはじめとした日本の多くの製造業の場合は、利幅の薄い部品と素材の一部だけと、生産性の低い事務部門だけが国内に残って、その他の高度な部分はどんどん海外に出す「日本形の空洞化」が進んでいると言えます』、「人件費の低い国に生産拠点を移したり、市場に近いところで生産するといったクラシックな空洞化、つまり設計や研究開発など知的で高付加価値な部分を「本国に残す」スタイルではないのです。自動車産業をはじめとした日本の多くの製造業の場合は、利幅の薄い部品と素材の一部だけと、生産性の低い事務部門だけが国内に残って、その他の高度な部分はどんどん海外に出す「日本形の空洞化」が進んでいる」、恐ろしいことだ。
・『見通せないエネルギー政策  これに追い討ちをかけそうなのが、エネルギー問題です。今回の電力逼迫が示しているように、もう日本の世論は原子力発電については、部分的であれ期限を限ったものであれ本格稼働を許容することはなさそうです。そうなると、トヨタの豊田章男社長が警告しているように、やがて「化石燃料まみれの電源」を使って作ったクルマは世界では売れなくなり、自動車産業は完全に日本から出ていく可能性もあるといいます。エネルギー政策に答えがなければ、やがて製鉄も国内では不可能になるでしょう。 産業自体が、EV(電気自動車)化や、AV(自動運転車)化へと大きな改革を進める中で、日本の自動車産業は本来であればそこで挽回を図らなければならないはずです。その日本の自動車産業が、空洞化とエネルギー問題で、崖っぷちまで追い詰められているというのは、大変に厳しい状況と思います。 日本の賃金が上がらないのも、貧困が広まっているのも、その多くはここに原因があります。より高付加価値な産業へ転換することもなく、製造業をどんどん国外流出させて、国内には利幅の薄い部品と素材産業だけが残っていくようでは、日本経済はさらに一層の衰退を覚悟しなくてはならなくなります』、「日本の賃金が上がらないのも、貧困が広まっているのも、その多くはここに原因があります。より高付加価値な産業へ転換することもなく、製造業をどんどん国外流出させて、国内には利幅の薄い部品と素材産業だけが残っていくようでは、日本経済はさらに一層の衰退を覚悟しなくてはならなくなります」、残念ながらその通りだ。

次に、本年4月12日付けPRESIDENT Onlineが掲載したノンフィクション作家の野地 秩嘉氏による「高校に行かなくても副社長になれる…トヨタ自動車が学歴や門閥を重んじない会社になったワケ むかしから多様性と自由を重んじているからこそ」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/68210
・『トヨタ自動車の河合満さんは中学卒業後、トヨタ技能者養成所(現トヨタ工業学園)を経て入社し、現場出身者初の副社長になった。なぜ河合さんはそこまで出世できたのか。なぜトヨタは学歴や門閥を重んじない会社になったのか。『図解 トヨタがやらない仕事、やる仕事』(プレジデント社)を上梓した野地秩嘉さんが解説する――』、興味深そうだ。
・『トヨタに学歴や門閥は関係ない  普通の企業では学歴や門閥を重んじる。一流大学を出ていたり、欧米大学のビジネススクールを出てMBAを持っていたりすると確実に得をする。また、企業トップ、医師、弁護士、有名人の子女が入社するとエリート部署に配属される。エリート部署とは経歴に傷がつかないセクションだ。企画室、秘書室、海外との窓口みたいなところだ。炎天下、靴をすり減らして飛び込み営業するような部署にはまず行かない。 ただし、良家の子女であっても「どぶ板営業をやらせてください」という骨のあるビジネスパーソンもいる。そういう人は必ず大成する。 話は戻る。 トヨタは学歴や門閥を重んじない。社内には一流大学を出た人もいればMBAを持っている人もいる。企業トップや有名人の子息もいる。だが、高学歴だからといって得をすることはない。有名人の子どもだからといって特別な配慮があるわけではない。豊田章男新会長はトヨタに入社してから、現場でしごかれた。社長の息子だからといって得をする会社ではない。 一方で、大学や普通高校を出ていなくとも役員になり、会社を引っ張る役職に就くことができるのがトヨタだ。f その典型が「おやじ」兼エグゼクティブフェローの河合満である』、「トヨタは学歴や門閥を重んじない。社内には一流大学を出た人もいればMBAを持っている人もいる。企業トップや有名人の子息もいる。だが、高学歴だからといって得をすることはない。有名人の子どもだからといって特別な配慮があるわけではない・・・大学や普通高校を出ていなくとも役員になり、会社を引っ張る役職に就くことができるのがトヨタだ」、なるほど。
・『ちゃんと叱ってくれ、一緒に謝ってくれる存在  彼は75歳だ。中学を出た1963年、トヨタ技能者養成所(現・トヨタ工業学園)に入所。トヨタに入って60年になる。肩書は「おやじ」。「おやじ」とは居酒屋で酒を飲んで、くだをまく、「オヤジ」のことではない。同社の正式な肩書である。 おやじの仕事は生産現場に目を光らせること。わたしは河合さんが豊田新会長とふたりで本社に隣接している工場にやってきて、若い作業者と話をしていた姿を見たことがある。 おやじについては豊田新会長が、こんな説明をしている。 「トヨタには、かつて、仲間から『おやじ』と呼ばれる人がたくさんいたと思います。 張相談役(富士夫、当時)は、大野耐一さんのことを親しみを込めて『おやじ』と呼ばれていますし、私にとっては張相談役、成瀬(弘、前マスタードライバー)さんらが『おやじ』と呼べる存在です。 もちろん、豊田(章一郎)名誉会長は本当の『おやじ』ですが(笑) 『おやじ』『おふくろ』という言葉に、『包容力』を感じるのは私だけでしょうか。 間違ったことをすれば、ちゃんと叱ってくれる。迷惑をかけた時には、一緒に謝ってくれる。口数は少なくても、いつも見守っていてくれる。職場にも、そんな『おやじ』や『おふくろ』が増えるといいな、と思っています」(トヨタイムズ 2020.6.17)』、「中学を出た1963年、トヨタ技能者養成所・・・に入所。トヨタに入って60年になる。肩書は「おやじ」。「おやじ」とは・・・同社の正式な肩書である。 おやじの仕事は生産現場に目を光らせること。わたしは河合さんが豊田新会長とふたりで本社に隣接している工場にやってきて、若い作業者と話をしていた姿を見たことがある」、なるほど。
・『現場出身者として初の副社長に  河合さんが副社長、そして、おやじになることができたのは、全体を見ることのできる人だったからだ。そして、彼は誰よりも勉強熱心だった。河合さんの職場は鍛造工場だ。鉄を叩いて成型する、うるさくて、暑くて、危ない職場だ。そこで河合さんは職場のカイゼンに励んだ。 少しでも仕事がしやすいよう鍛造機械を改良した。暑さを防ぐために自らミスト扇風機を設計して配置した。カイゼンすれば職場環境が良くなるし、対番(2交代の時の同僚)が喜んでくれるからだ。 河合さんは対番のこと、職場全体を考える人だった。そうしているうちに上司が河合さんを管理職に引き上げ、工場の責任者にした。そして彼は現場出身者として初めての副社長になり、おやじになった。トヨタ以外の会社ではまずありえない。学歴も門閥もないトヨタだからこその人事だ。 河合さんが副社長、おやじになることができたのはトヨタが多様性を重んじるからだ。意見が違うからといって排斥されることはない。国籍もジェンダーも何も関係ない。 ただし、仕事においては原則がある。それは現地現物を大切にすることだ。つねに現場で考え、現場では複雑な工作機械は使わない。 それはリーマンショックの後、赤字になった反省から来ている』、「河合さんの職場は鍛造工場だ。鉄を叩いて成型する、うるさくて、暑くて、危ない職場だ。そこで河合さんは職場のカイゼンに励んだ。 少しでも仕事がしやすいよう鍛造機械を改良した。暑さを防ぐために自らミスト扇風機を設計して配置した。カイゼンすれば職場環境が良くなるし、対番・・・が喜んでくれるからだ。 河合さんは対番のこと、職場全体を考える人だった。そうしているうちに上司が河合さんを管理職に引き上げ、工場の責任者にした。そして彼は現場出身者として初めての副社長になり、おやじになった」、素晴らしい。
・『トヨタが大切にする言葉はなぜ「幼稚」なのか  河合さんはこんな説明をする。 「リーマン(ショック)前には世界中で毎年50万台ずつ増産していき、ラインをどんどん作っていたが、それが設備余剰になってしまった。知恵や工夫、技術を入れない設備をどんどん並べてしまった。まさしく無駄なラインを作った結果だ」 「設備が複雑となり、コストが高くなった。故障しても現場で直せない。生産性は落ちていった」 「人がとことんこだわって手作業でラインを作り込み、改善の積み上げで作業を簡単にしていく。誰がやっても同じ作業となるようにしたうえで、自働化するのが基本だ。そうすることで、シンプル、スリム、フレキシブルなラインになる」(東洋経済オンライン「工場一筋トヨタ副社長が語る車づくりの真髄」2017.10.13) トヨタの現場は複雑な工作機械を使わない。そして、難解な経営用語もまた使わない。 豊田新会長が使ってきたのは「もっといいクルマ」「町いちばん」「自分以外の誰かのために」という3つの単純な言葉だ。 ただ……。評論家やマスコミからの評判はよくない。 「幼稚だ」「意味がわからない」 さんざんなことを言われてきた。 「選択と集中」とか「パーパス経営」とか言っておけば評論家やマスコミは「さすが」と感心する。それは重々、承知のうえで、豊田新会長や河合さんはユーザーや世間が理解しやすい言葉を使う』、「「リーマン(ショック)前には世界中で毎年50万台ずつ増産していき、ラインをどんどん作っていたが、それが設備余剰になってしまった。知恵や工夫、技術を入れない設備をどんどん並べてしまった。まさしく無駄なラインを作った結果だ」 「設備が複雑となり、コストが高くなった。故障しても現場で直せない。生産性は落ちていった」 「人がとことんこだわって手作業でラインを作り込み、改善の積み上げで作業を簡単にしていく。誰がやっても同じ作業となるようにしたうえで、自働化するのが基本だ。そうすることで、シンプル、スリム、フレキシブルなラインになる・・・豊田新会長や河合さんはユーザーや世間が理解しやすい言葉を使う」、なるほど。
・『本業と関係ないフェイスシールドを作った思い  河合さんはこんなことをしゃべっている。「『自分以外の誰かのために』が社会貢献だ」。対番のためにカイゼンを施した河合さんらしい話だ。 「社会貢献については、アメリカで3D(プリンター)を使って、フェイスシールドをつくり出し、欧州・日本の各所に横展(横展開)をして、昨日までで10万(個)以上を医療の方々に送り届けております。 工場ではマスクも自前で作り、近隣の方々にも提供しようとしています。 ちょうど(トヨタの)運動部が(活動を)自粛している最中なので、選手たちもマスク作りをしてくれています。 そこには当然、トヨタ生産方式があり徹底的にムダを排除して、“1枚でも多く”ということで(やっていますので)(TPSの)良い勉強の場となっております。 休校中の小学校・中学校・幼稚園・保育園に出向いて、草刈りや地域貢献をやったりもしてくれていました」(トヨタイムズ 2020.6.17) マスクを配ること、校庭の草刈りをすること。やらないよりもやったほうがいいに決まっている。小さな貢献かもしれないが、確実に喜ぶ人がいる。 トヨタは人事において多様性を大切にしてきた。そして、佐藤恒治新社長になってからはさらにその原則を推し進めている。以下は佐藤新社長の発言だ』、「『自分以外の誰かのために』が社会貢献だ」。対番のためにカイゼンを施した河合さんらしい話だ。 「社会貢献については、アメリカで3D(プリンター)を使って、フェイスシールドをつくり出し、欧州・日本の各所に横展(横展開)をして、昨日までで10万(個)以上を医療の方々に送り届けております。 工場ではマスクも自前で作り、近隣の方々にも提供しようとしています」、なるほど。
・『河合おやじがその身をもって示している  「『多様性』『成長』『貢献』の3つを柱に、人事制度や仕組みの見直しを進めたいと思います。トヨタで働く一人ひとりが、『多様』な個性を力に変えて、挑戦と失敗を繰り返す中で『成長』を実感できる。(中略) まず『多様性』です。 トヨタで働く皆さんが、自分らしい人生を歩むための多様な選択肢をつくってまいります。 そのひとつとして、年内に、製造現場も含めたあらゆる現場で、誰もが気兼ねなく、パートナー育休を取得できる環境を整えます。また、今年の10月からは、社内公募制を本格導入し、2024年4月からは、社内FA制度を新設いたします」(トヨタイムズ 2023.3.15) 河合さんは今も自分が育った鍛造セクションの仕事部屋にいる。そこから現場までは50メートルも離れていない。何があってもすぐに駆けつけることができる。 河合おやじがいるかぎり、トヨタは多様性と自由を重んじている。そして、偉そうな経営用語ではなく、わかりやすい言葉で経営を語る』、「河合さんは今も自分が育った鍛造セクションの仕事部屋にいる。そこから現場までは50メートルも離れていない。何があってもすぐに駆けつけることができる。 河合おやじがいるかぎり、トヨタは多様性と自由を重んじている。そして、偉そうな経営用語ではなく、わかりやすい言葉で経営を語る」、今後の活躍に期待したい。

第三に、本年7月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した佃モビリティ総研代表の佃 義夫氏による「「まさか売却とは…」ホンダが蜜月ケイレツ・八千代工業“放出”の衝撃」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325910
・『関係の深い八千代工業をホンダが売却方針  ホンダが7月4日に連結子会社の八千代工業をインドの自動車部品大手のサンバルダナ・マザーソン・グループに売却すると発表した。ホンダが165億円を投じてTOB(株式公開買い付け)を実施し、八千代工業株を取得した後にマザーソンのオランダ子会社に190億円で一部株式を売却する。TOBの開始は10月を見込んでいる。 八千代工業(ヤチヨ)といえば、ホンダと最も長く、深い関係を持ってきたサプライヤーだ。現在の主力は燃料タンクとサンルーフだが、かつてはホンダの軽自動車の受託生産を一手に引き受けていた。いわば、トヨタ自動車におけるトヨタ車体、日産自動車における日産車体のような位置付けでもあったのだ。 1947年に「大竹塗装所」として創業し、53年に「八千代塗装」を設立。ホンダ創業者の本田宗一郎氏とヤチヨ創業の大竹家の親交もあり、本田技研工業の指定工場となって以来、ホンダとの関係が続いてきた。2006年にホンダの出資比率が34.5%から50.41%に引き上げられホンダの連結子会社となっていた』、興味深そうだ。
・『ヤチヨとホンダの蜜月は長く、ホンダのバギー車や軽トラック「アクティ」、軽乗用車「ビート」、軽商用車「トゥデイ」の受託生産を手掛け、96年にはホンダ軽自動車生産の全面受託をするなど、ホンダの国内軽自動車生産子会社として大きくクローズアップされた頃もある。当時、筆者もヤチヨ鈴鹿工場のトゥディ生産ラインを取材してホンダとヤチヨとの連携を目の当たりにした体験もある。 過去には、ホンダ鈴鹿製作所に近接するヤチヨの鈴鹿工場敷地に新工場を建設して、ホンダの軽乗用N-BOXを集中生産する計画が打ち出されたこともあったほどだ。しかし、この新工場はリーマンショックで建設中止となり、その代わりに軽自動車はホンダ鈴鹿製作所での生産に変更となった。ヤチヨは、苦杯をなめて社員の早期退職を迫られたほどであった。 ホンダ系サプライヤーの中でもホンダの生産計画の変更に翻弄されてきた経験が多いのがヤチヨといえるが、今回も同様に、ホンダのEV(電気自動車)化に向けたサプライチェーン(部品・資材供給網)の構造転換・再構築の一環として、一気に売却されることになったといえよう』、「ホンダ系サプライヤーの中でもホンダの生産計画の変更に翻弄されてきた経験が多いのがヤチヨといえるが、今回も同様に、ホンダのEV(電気自動車)化に向けたサプライチェーン・・・の構造転換・再構築の一環として、一気に売却されることになった」、同情したくなる。
・『ヤチヨ売却とは反対にサプライヤーを取り込む動きも  そもそもホンダの三部敏宏社長は、40年にグローバル新車販売をEVかFCEV(燃料電池車)とする目標を打ち出しており、これに伴い、サプライチェーンの構造転換、見直しを積極的に進めているところだ。 すでに車載電池では、韓国・LGエナジーソリューションと米国に新工場を建設する計画を打ち出した。また、車載電池の素材調達では韓国・ポスコや阪和興業と提携している。 加えて、ホンダのEV戦略へのキーポイントになるとみられるのが、「日立Astemo(アステモ)」だ。近頃、同社の主導権をホンダが握る動きが目立っている。) 日立アステモは、日立製作所の完全子会社だった旧日立オートモーティブシステムズと、ホンダ系部品メーカーのケーヒン・ショーワ・日信工業の3社が21年1月に統合して誕生した企業だ。今年9月までに日立が株式の一部をホンダとJICキャピタルに売却する予定で、ホンダの出資比率は33.4%から40%となり、日立と同等の出資比率となる。 これは、実質的にホンダがアステモの主導権を握ることになるものだ。 さらに、7月1日には、アステモの新社長に竹内弘平ホンダ前副社長が就任した。アステモは、EV駆動装置のイーアクスルなどを基幹製品として手掛けている。このEVにおける重要製品を軸に、サプライヤーとして大きな期待をかけているということだ。 アステモは、元をただせば日立の自動車部品事業部門であり、日産と日立は同じ芙蓉グループとして歴史的つながりが深い。かつてはトヨタのデンソーに対抗して、取引も多かった日産の系列メガサプライヤーになる方向性を目指す動きもあったほどだ。しかし、結果的には、ホンダがEV戦略上のサプライヤーとして取り込むことになった。 アステモは実質的にホンダが日立から取り込みを見せた動きの例ということになるが、一方で、ホンダはEVとの相乗効果が薄い事業おいて、部品企業のドライな売却も進めている。 それが、まさに今回のヤチヨのケースといえるだろう。 ホンダ関係者からも「まさか売却するとは」との驚きの声が上がっているが、実はヤチヨが初のケースというわけではなく、例えば22年には100%子会社でキーレスシステムドア部品などを手掛ける「ホンダロック」をミネベアミツミに売却している。) 三部ホンダとしては、EV・FCEV戦略においてサプライチェーンの構造改革や見直しを図るべく、退路を断つように「ドライ」な経営を進めているところだ。 これは、「四輪事業の収益力向上」というホンダ内部の課題の影響も大きい。ホンダは23年3月期の決算の訂正で、米国リコール費用計上により四輪事業が166億円の営業赤字に転落したことも発表している。四輪事業が年度ベースで赤字となるのは、実に11年ぶりだ。 一方で、ホンダだけでなく、トヨタや日産などOEM各社も国内サプライチェーンの構造転換を迫られている。 トヨタは、EVの生産改革(一体成型で大型鋳造部品を作る新技術「ギガキャスト」など)で素材・部品の転換促進を進めている。 また、日産はすでに系列部品企業の再編の動きが表面化している。かつての日産系主力サプライヤーだったカルソニックカンセイは現マレリとして事業再生途上にあるが、最近では同じく日産系主力部品企業の河西工業が深刻な経営不振にあり、その動向が注目されている。 つまり、世界的な電動化の大きなうねりだけでなく、コロナ禍や半導体不足などを背景としたOEM各社の生産・供給体制の見直しの動きが活発化しているということだ。 これは、従来のOEMを支えてきたサプライチェーンの構造転換を迫るものであり、部品企業にとっては生き残りに向けた戦国時代に突入しているということだろう』、「世界的な電動化の大きなうねりだけでなく、コロナ禍や半導体不足などを背景としたOEM各社の生産・供給体制の見直しの動きが活発化しているということだ。 これは、従来のOEMを支えてきたサプライチェーンの構造転換を迫るものであり、部品企業にとっては生き残りに向けた戦国時代に突入しているということだろう」、大変な時代に入ったものだ。
タグ:「日本の賃金が上がらないのも、貧困が広まっているのも、その多くはここに原因があります。より高付加価値な産業へ転換することもなく、製造業をどんどん国外流出させて、国内には利幅の薄い部品と素材産業だけが残っていくようでは、日本経済はさらに一層の衰退を覚悟しなくてはならなくなります」、残念ながらその通りだ。 「河合さんは今も自分が育った鍛造セクションの仕事部屋にいる。そこから現場までは50メートルも離れていない。何があってもすぐに駆けつけることができる。 河合おやじがいるかぎり、トヨタは多様性と自由を重んじている。そして、偉そうな経営用語ではなく、わかりやすい言葉で経営を語る」、今後の活躍に期待したい。 ダイヤモンド・オンライン 「世界的な電動化の大きなうねりだけでなく、コロナ禍や半導体不足などを背景としたOEM各社の生産・供給体制の見直しの動きが活発化しているということだ。 これは、従来のOEMを支えてきたサプライチェーンの構造転換を迫るものであり、部品企業にとっては生き残りに向けた戦国時代に突入しているということだろう」、大変な時代に入ったものだ。 「ホンダ系サプライヤーの中でもホンダの生産計画の変更に翻弄されてきた経験が多いのがヤチヨといえるが、今回も同様に、ホンダのEV(電気自動車)化に向けたサプライチェーン・・・の構造転換・再構築の一環として、一気に売却されることになった」、同情したくなる。 「『自分以外の誰かのために』が社会貢献だ」。対番のためにカイゼンを施した河合さんらしい話だ。 「社会貢献については、アメリカで3D(プリンター)を使って、フェイスシールドをつくり出し、欧州・日本の各所に横展(横展開)をして、昨日までで10万(個)以上を医療の方々に送り届けております。 工場ではマスクも自前で作り、近隣の方々にも提供しようとしています」、なるほど。 「人件費の低い国に生産拠点を移したり、市場に近いところで生産するといったクラシックな空洞化、つまり設計や研究開発など知的で高付加価値な部分を「本国に残す」スタイルではないのです。自動車産業をはじめとした日本の多くの製造業の場合は、利幅の薄い部品と素材の一部だけと、生産性の低い事務部門だけが国内に残って、その他の高度な部分はどんどん海外に出す「日本形の空洞化」が進んでいる」、恐ろしいことだ。 「汎用半導体が極端な供給不足」の影響は想像以上に幅広いようだ。 冷泉彰彦氏による「半導体不足、電力不足......日本の自動車産業は崖っぷち?」 Newsweek日本版 佃 義夫氏による「「まさか売却とは…」ホンダが蜜月ケイレツ・八千代工業“放出”の衝撃」 「人がとことんこだわって手作業でラインを作り込み、改善の積み上げで作業を簡単にしていく。誰がやっても同じ作業となるようにしたうえで、自働化するのが基本だ。そうすることで、シンプル、スリム、フレキシブルなラインになる・・・豊田新会長や河合さんはユーザーや世間が理解しやすい言葉を使う」、なるほど。 「「リーマン(ショック)前には世界中で毎年50万台ずつ増産していき、ラインをどんどん作っていたが、それが設備余剰になってしまった。知恵や工夫、技術を入れない設備をどんどん並べてしまった。まさしく無駄なラインを作った結果だ」 「設備が複雑となり、コストが高くなった。故障しても現場で直せない。生産性は落ちていった」 「河合さんの職場は鍛造工場だ。鉄を叩いて成型する、うるさくて、暑くて、危ない職場だ。そこで河合さんは職場のカイゼンに励んだ。 少しでも仕事がしやすいよう鍛造機械を改良した。暑さを防ぐために自らミスト扇風機を設計して配置した。カイゼンすれば職場環境が良くなるし、対番・・・が喜んでくれるからだ。 河合さんは対番のこと、職場全体を考える人だった。そうしているうちに上司が河合さんを管理職に引き上げ、工場の責任者にした。そして彼は現場出身者として初めての副社長になり、おやじになった」、素晴らしい。 「中学を出た1963年、トヨタ技能者養成所・・・に入所。トヨタに入って60年になる。肩書は「おやじ」。「おやじ」とは・・・同社の正式な肩書である。 おやじの仕事は生産現場に目を光らせること。わたしは河合さんが豊田新会長とふたりで本社に隣接している工場にやってきて、若い作業者と話をしていた姿を見たことがある」、なるほど。 「トヨタは学歴や門閥を重んじない。社内には一流大学を出た人もいればMBAを持っている人もいる。企業トップや有名人の子息もいる。だが、高学歴だからといって得をすることはない。有名人の子どもだからといって特別な配慮があるわけではない・・・大学や普通高校を出ていなくとも役員になり、会社を引っ張る役職に就くことができるのがトヨタだ」、なるほど。 野地 秩嘉氏による「高校に行かなくても副社長になれる…トヨタ自動車が学歴や門閥を重んじない会社になったワケ むかしから多様性と自由を重んじているからこそ」 PRESIDENT ONLINE (その6)(半導体不足 電力不足......日本の自動車産業は崖っぷち?、高校に行かなくても副社長になれる…トヨタ自動車が学歴や門閥を重んじない会社になったワケ むかしから多様性と自由を重んじているからこそ、「まさか売却とは…」ホンダが蜜月ケイレツ・八千代工業“放出”の衝撃) 自動車(一般)
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投資(商品販売・手法)(その4)(岸田内閣は「企業年金」をどう改革したらいいのか?、「天皇」林野vs「王子」中野、セゾン投信巡る愛憎劇 なぜ60歳会長は81歳会長に解任されたのか?) [金融]

投資(商品販売・手法)については、本年7月13日に取上げた。今日は、(その4)(岸田内閣は「企業年金」をどう改革したらいいのか?、「天皇」林野vs「王子」中野、セゾン投信巡る愛憎劇 なぜ60歳会長は81歳会長に解任されたのか?)である。

先ずは、本年10月4日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家の山崎 元氏による「岸田内閣は「企業年金」をどう改革したらいいのか?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/330120
・『岸田内閣は、企業年金の改革へ乗り出す方針だという。政府は何を狙っているのか。現在出てきている改革案を実現したら何が起こるのか。そして、具体的に企業年金をどう改革したらいいのだろうか』、「運用」のプロの診断とは興味深そうだ。
・『企業年金の運用成績開示はDB(確定給付型)に効果あり  政府は企業年金の運用成績公開などを含む企業年金改革に乗り出す(日本経済新聞電子版「企業年金の運用成績公開へ 政府検討、予定利率上げ促す」、10月2日)。 公的年金(厚生年金)に上乗せする給付を目指す企業年金には、将来受け取る年金額が確定している確定給付型(以下「DB」)と、企業や社員の拠出額(積立額)が確定していて将来の年金受取額は加入者本人が選択した運用の結果による確定拠出型(DC)の2種類がある。 DBは企業年金基金という専門組織をつくって運用され、DCでは金融機関が提供する運営管理機関を通じて加入者本人が運用対象を選ぶ。どちらか一方を提供する会社もあるし、両方を併用して提供する会社もあれば、DBもDCもない企業もあるなど、さまざまだ。 政府は、何を狙っているのだろうか。) まず、DBにあっては、運用成績の相対比較を意識することを通じて、リスク資産への投資を増やすよう促したいのだと思われる。記事の見出しにある「予定利率」とは、年金制度設計上の積立金の想定利回りのことだ。予定利率を高くすると、同じ将来の給付に対して拠出すべき掛け金が少なくなるが、高い利回りを目指すために通常は株式などのリスク資産への投資を増やさなければならない。 一方、運用のリスクを最終的に負う企業の側では、DB年金の運用失敗による負担を避けたいと考えるため、長引く「ほぼゼロ金利」を背景に、予定利率はこれまで低下する傾向にあった。バブル崩壊を背景として、1990年代、2000年代に企業年金の損失負担に苦しんだ悪い記憶の影響もあって、企業年金では余計なリスクを取りたくないと考える企業が多かった。企業側に運用リスク負担があるDBを廃止ないしは縮小して、DCに移行する企業も少なくなかった。 多くの企業にとって、資産運用は本業ではない。企業年金でリスクを取りたくないという方針は経営判断として妥当だったといえるだろう』、「1990年代、2000年代に企業年金の損失負担に苦しんだ悪い記憶の影響もあって、企業年金では余計なリスクを取りたくないと考える企業が多かった。企業側に運用リスク負担があるDBを廃止ないしは縮小して、DCに移行する企業も少なくなかった。 多くの企業にとって、資産運用は本業ではない。企業年金でリスクを取りたくないという方針は経営判断として妥当だったといえるだろう」、なるほど。
・『運用成績が公開されると一体何が起こるのか?  では、ここでDBの企業年金基金ごとの運用成績が公開されて、加入者が横比較をすることができるようになると何が起こるだろうか。もちろん、マーケットの動向に左右されるのだが、予定利率を低く設定して安全第一で運営しているDB基金は、運用利回りが相対的に低くなって肩身の狭い思いをする公算が大きい。 早くても2、3年はかかるような時間軸の中でだが、DB企業年金基金の運用計画は比較的短期間のうちに相互に似たようなものになりながら、リスク資産への投資比率を高めることになりそうだ。 加入者は自分が加入する企業年金の運用利回りが他の基金に比べて低いと、不満に思うだろう。正しくはリスクまで考慮に入れて評価すべきだが、リターンの単純比較が注目されるはずだ。当該企業年金基金は、他の基金に合わせてリスク資産の組み入れ比率を上げる対応を取る場合が多いと予想される。 マーケットが不調な場合も「他の基金と同じくらい(悪い)なら言い訳ができる」と割り切れば、リスク資産を積み増すことに大きな抵抗はないのではないか。) DB年金の運用成績公開と、その分かりやすい提示は、大きな予算を使わず、かつ政府に直接的な責任が及ばない形でリスク資産積み増しの「成果」を得られる策になる可能性がある。年金はもともと大きな公的サポートを得ている制度なので、基金は情報公開に反対できる立場にない。分かりやすい情報公開を大々的に行うといいだろう。 母体企業の方針などでリスクを小さく抑えたい年金基金は、加入者向けに丁寧に説明したらいいだけのことだ』、「年金はもともと大きな公的サポートを得ている制度なので、基金は情報公開に反対できる立場にない。分かりやすい情報公開を大々的に行うといいだろう。 母体企業の方針などでリスクを小さく抑えたい年金基金は、加入者向けに丁寧に説明したらいいだけのことだ」、その通りだ。
・『DCで効果的なのは「デフォルトファンド」  DCでも、各企業の運営管理機関ごとにおける加入者の運用リターンの平均や分布状況、さらに全体の加入者のリターン分布を公表することは、情報提供として望ましいだろう。また、刺激を受けて運用に取り組む加入者がある程度出てくることは考えられる。 しかし、個々の加入者にとっては、自分の実名入りで「偏差値」に相当するものが公開されるわけではないし、何よりデータを見ることも、それを見て行動を起こすことも「面倒くさい」ので、DBの企業年金基金に対するほどの効果は期待できまい。 DCの場合は、運用開始時の初期設定状態(デフォルトファンド)について、リスクを取った状態のものからスタートすることが、行動経済学で言う「ナッジ」として有効であることが相当程度はっきりしている。 例えば、公的年金の基本ポートフォリオ(現在「国内株式25%、外国株式25%、国内債券25%、外国債券25%」の4資産均等)をインデックスファンドで作り、それを「デフォルトファンド」として企業型DCを運営するように義務づけるとしよう。そうすれば、「リスク資産に多く投資させて国民の資産を増やしたい」「日本株にもっと投資させたい」といった政府の目的が達成されるのではないだろうか。 もちろん、大前提としてDCの運用は加入者の自由であり、デフォルトファンドではなく、元本確保型資産100%でも、株式100%でも、加入者が自由に選択できることは確保されていなくてはならない。デフォルトファンドが常に絶対に望ましいとは誰も保証できないのだし、政府に最後の言い訳を用意するためにも、加入者における運用の自由は強調されるべきだ。それでも、デフォルトファンドに多くの加入者がとどまることが予想される。 成績公開とデフォルトファンドの両方をやればいいと思うが、より効果的なのはデフォルトファンドだろう』、「デフォルトファンドが常に絶対に望ましいとは誰も保証できないのだし、政府に最後の言い訳を用意するためにも、加入者における運用の自由は強調されるべきだ。それでも、デフォルトファンドに多くの加入者がとどまることが予想される。 成績公開とデフォルトファンドの両方をやればいいと思うが、より効果的なのはデフォルトファンドだろう」、なるほど。 
・『基金の集約と拡充、アセットオーナー活動も目的か?  さて、政府の目的は、単に国民の「貯蓄から投資へ」を一歩進めることだけではなさそうだ。 資産規模がせいぜい数百億円程度で、フルスペックの運用体制を持つには規模が小さいDB企業年金基金を集約して大きなものにしたいという思惑が見え隠れする。あるいは基金自体を集約しないまでも、運用を共通化するなどして、年金基金を「アセットオーナー」としてのスチュワードシップ活動(財産管理を任された者の責任を果たす活動)に取り組ませたいとの、「一見より高次元の」(もちろん皮肉だ!)目的もあるように推察される。基金が投資先企業と対話したり、ESG(環境・社会性・企業ガバナンス)投資に取り組んだりすることを期待しているようだ。 前述の日経の記事には、「投資先との建設的な対話を促す原則『スチュワードシップ・コード』を導入する年金基金は60程度にとどまっているのが実態だ」とあり、その背景として基金の人材難を挙げている。 基金は必要に応じて議決権行使に関心を持つべきだが、投資先との有効な対話を彼らに求めるのは「手段の割り当てが非効率的だ」と思われる。そのような本来手間のかかることを年金基金に担わせるのは余計だし、実際には、議決権行使アドバイス会社を使ってコストを掛けたり、世間の様子を見たりして、体裁を整えるだけに終わるだろう。 筆者がかつて関わった、運用資産数兆円レベルの年金基金にあっても、実質的に意味のある対話が企業とできるような体制には全くなかったし、そうした体制を真面目に作るのは運用の改善につながらない余計なコストであるように思われた』、「運用資産数兆円レベルの年金基金にあっても、実質的に意味のある対話が企業とできるような体制には全くなかったし、そうした体制を真面目に作るのは運用の改善につながらない余計なコストであるように思われた」、なるほど。
・『「ESG投資」は純粋な投資に劣後する  また、「ESG投資」が、純粋な投資と比較してリスク・リターンの特性において劣後する傾向があることは、データを見るまでもなく、論理的なレベルではっきりしている。 「E(環境)」「S(社会性)」「G(企業ガバナンス)」が投資評価の上で重要である(ただし、重要ではあるが重要なことの全てではない)ことは常識だが、これは基金に義務づけられている「普通の運用」の合理性の中で考慮されたらいいことだ。別途お金を払ってESG運用に取り組んだり、スタッフを確保して手間とコストを掛けたりすることは、合理的な年金基金運営ではない。 インデックス運用の広がりとともに、年金運用は、ここをターゲットとする業者にとってもうけにくい世界になった。そこで、「企業との対話」や「ESG活動」をアセットオーナーの義務であるかのように仕立てて、新たな商売の種にしようという意図が働いているように見えるが、年金基金はその手に乗らない方がいい。 だが、一方で、「新たな仕事が欲しい」事情は年金基金でも同様の面があるので、気を付けないと年金基金も取り込まれる可能性がある。彼らが余計な仕事をつくらないように、企業年金にあっては母体企業が、公的年金にあっては国民が、しっかりと監視する必要がある。 この点について、政府がどのような考えと立場なのか判然としないが、年金関連業界のビジネスの提灯(ちょうちん)持ちをして年金運用を非効率化するよりも、年金の制度と運用を徹底的に効率化することに取り組んでほしい』、「「企業との対話」や「ESG活動」をアセットオーナーの義務であるかのように仕立てて、新たな商売の種にしようという意図が働いているように見えるが、年金基金はその手に乗らない方がいい。 だが、一方で、「新たな仕事が欲しい」事情は年金基金でも同様の面があるので、気を付けないと年金基金も取り込まれる可能性がある。彼らが余計な仕事をつくらないように、企業年金にあっては母体企業が、公的年金にあっては国民が、しっかりと監視する必要がある」、その通りだ。
・『将来は企業年金を解体へ? 「公的年金+iDeCo」に集約はどうか  企業によっては、DBとDCが併用されるような現在の企業年金制度は、明らかに非効率的だし、複雑に過ぎる。そもそも、税金で大きくサポートする(年金掛け金の所得控除は加入者にメリットの大きい免税措置だ)年金制度にあって、加入者が所属する企業や企業集団によって異なる大きさのメリットを受け取るような制度は公平でない。 また、資産運用は大半の企業にとって専門分野ではないので、企業は年金運用でリスクを抱え込まないことが経営判断として合理的だ。 加えて、多くの年金基金があること、運用に不向きな人材が運用に取り組まされていることなど、制度としての無駄と不合理が大きい。 企業が社員に対して、年金の形で報いることがあってもいいだろうし、その規模において企業ごとに差が生じることは認めてもいいだろう。だが、そのためにDB、DC双方において無駄な組織をたくさんつくったり、余計なコストや手間をかけたりすることは制度設計として利口ではない。 理想的な整理の方向としては、国民の年金は、「公的年金+個人型DC(iDeCo)」に集約するといいと思う。企業や役所が年金の形で一定額まで拠出できるようにするといいし、自営業者もそれに見合う拠出ができるようにするとフェアだ。 そして、DCの運営管理機関は個人が選ぶ。全て個人単位が基本だ。日本の社会保障をフェアに整理するためには、現在、企業単位や世帯単位になっているものを個人単位に整理し直す必要がある。その中で、国はDCに必要なファンドとデフォルトファンドを指定するといい。 DB年金は企業にとって合理的でないし、基金の組織も要らない。まして、DCの運営管理機関が企業や企業グループごとにあって、金融機関に取り込まれていて、選択可能な運用対象商品に差があるような状況は無駄かつ不公平だ。 こうした方向に持って行く上では、公務員の共済年金の3階(職域加算)部分を個人型確定拠出年金にしなかったことが悔やまれる。まだ大した金額になっていないはずなので、DCに振り替えてしまってはどうだろうか。 現実には、企業のDBもDCも消滅させるまでのプロセスは長い道のりだろうし、その間をより合理的なものとして運営していく知恵と根気が要る』、「理想的な整理の方向としては、国民の年金は、「公的年金+個人型DC(iDeCo)」に集約するといいと思う。企業や役所が年金の形で一定額まで拠出できるようにするといいし、自営業者もそれに見合う拠出ができるようにするとフェアだ。 そして、DCの運営管理機関は個人が選ぶ。全て個人単位が基本だ。日本の社会保障をフェアに整理するためには、現在、企業単位や世帯単位になっているものを個人単位に整理し直す必要がある。その中で、国はDCに必要なファンドとデフォルトファンドを指定するといい・・・こうした方向に持って行く上では、公務員の共済年金の3階(職域加算)部分を個人型確定拠出年金にしなかったことが悔やまれる。まだ大した金額になっていないはずなので、DCに振り替えてしまってはどうだろうか。 現実には、企業のDBもDCも消滅させるまでのプロセスは長い道のりだろうし、その間をより合理的なものとして運営していく知恵と根気が要る」、なるほど。
・『現実のDB、DCの改善策とは?  DBにあっては、組織的コストの効率性を考えると、基金の集約や運用機能の共同化があってもいいだろう。ただし、こと運用だけなら、政府が非効率的だと考えている数十億円から数百億円規模の企業年金基金にあっても、「公的年金の運用をしているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)とほぼ同等、あるいは少し上回る効率の運用」は十分可能だ。 実現している基金もある。基本ポートフォリオ通りにインデックスファンドを買うのではない、多少の工夫が必要なのだが、考えてみてほしい。「どうしたらいいと思いますか」と総幹事会社(信託銀行または生命保険会社)に電話をかけるような常務理事・運用執行理事には絶対に無理だと思うが、そういう人が多いだろうから、今回、答えは書かない。 もっとも、運用の効率化は可能だが、長期的には制度としての効率性を考える必要があるだろう。 企業型DCは将来、個人型DC(iDeCo)に統合されるのが公平で合理的だと思うが、こちらもしばらくの間は残るだろう。 企業型DCは、特に導入が早かった企業にあって、信託報酬率の高い、加入者に不利益な商品ラインナップが残っていたり、加入者教育も含めて丸ごと取引先の金融機関グループに取り込まれていたりするケースがあって、「明らかに問題だ」といえる場合が少なくない。 (1)手始めに運営管理機関の金融機関グループ以外の専門家による加入者教育を行う、(2)商品に、デフォルトファンド用のバランスファンド(とりあえずGPIF型4資産均等か)、国内株式、外国株式、全世界株式のそれぞれのインデックスファンドで信託報酬率が年率0.1%未満のものを追加する、といった辺りから改善に着手するといいだろう。場合によっては、政府の介入があってもいい。 公的年金にも改善の余地があるが、企業年金には母体企業の経営的な意思で判断・実行できる改善策が少なくない。そして企業年金の改善は、企業側と加入者側双方のメリットになる。道のりは長いが、改善を目指す価値がある』、「企業年金には母体企業の経営的な意思で判断・実行できる改善策が少なくない。そして企業年金の改善は、企業側と加入者側双方のメリットになる。道のりは長いが、改善を目指す価値がある」、その通りだ。

次に、10月15日付け東洋経済オンライン「「天皇」林野vs「王子」中野、セゾン投信巡る愛憎劇 なぜ60歳会長は81歳会長に解任されたのか?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/705420
・『6月28日(水)、セゾン投信の株主総会で会長職を実質的に解任された、中野晴啓氏(60)。9月に新しい資産運用会社「なかのアセットマネジメント」を設立、日本株とグローバル株のアクティブファンド2本を主力とし、年内から年明けにかけて事業を開始したい意向だ。 もっとも、想定していたより、立ち上げは苦労しているようだ。資本金は当初12億円の予定で、まずは中野氏と、セゾン投信の元広報部長が各2500万円の計5000万円で会社を立ち上げた。その後は増資の形で、セゾン投信内部の人間2人と個人支援者10人から1.5億円を集めて2億円。さらに、銀行や保険など金融機関5社からも計10億円を募り、計12億円というのが当初の算段である。 2024年からスタートする新NISA(少額投資非課税制度)の仕組みや、お勧めの投資信託(ファンド)、さらにはセゾン投信をはじめ投信会社の最新動向まで、資産運用に絡む幅広いテーマを追った』、興味深そうだ。
・『カギ握るファンドマネージャーの移籍  新会社設立が思ったほどスムーズに進んでいない原因は2つある。 まず人の問題。注目されるのは、セゾン投信にいる人間で新会社の出資にも関わっている、現役のファンドマネージャー。日本株ファンドの運用の成功はこの人物の動向いかんなのは間違いない。グローバル株ファンドは海外運用会社への外部委託で補うつもりでいる。 ほかにメガバンク出身者も社外取締役に挙がっていたり、中野氏が長年コンビを組んで頼っていたアドバイザーも設立準備を手伝ったりしているもよう。なかのアセット側にしても、あまり露骨に引き抜けば、古巣からの訴訟リスクもまったくないとはいえず、慎重に事を進めていると聞く。 またお金の問題もある。新会社のスキームを描くにあたり、出資する金融機関にとっては、議決権のある株かない株かが焦点になっていた。中野氏は当初、増資で議決権のない株を与えようとしていたが、一部から反発の声があがったため、議決権を与えて資本調達を優先するもよう。株主が分散すれば、経営判断に時間を要することもありえよう。 新会社の拠点は、破綻した旧山一証券の兜町本社があった、兜町第一平和ビル(東京都中央区)。中野氏は個人のフェイスブックを通じ、運用からバックオフィスまで、新たなスタッフを募集しており、社員は15人程度で始まる見込み。バックオフィスに必要なシステムは日本資産運用基盤グループ(JAMP)に外注し、莫大とされるIT投資を最小限に抑える。金融庁からの認可も早く下りそうだが、年内はまだまだ紆余曲折があるだろう。 そもそもセゾン投信、いやクレディセゾンを含めたグループの”お家騒動”は、どんな経緯で起こったのか。 騒動の発端は4月5日(水)11時過ぎ。 中野氏が大株主のクレディセゾン(保有比率60%、残り40%は日本郵便)の林野宏会長兼CEO(81)から、サンシャイン60ビル52階のCEO執務室に呼び出され、セゾン投信会長を退任するよう告げられたことだった。林野氏といえば、クレディセゾンの”天皇”ともいえる権力者である。個人的に作成された非公式の議事録には、以下のやり取りが記されている(一部を抜粋。読みやすいよう補足してある)。 「今日はあなたに伝えなければならないことがある。セゾン投信の会長を退任してほしい。 (セゾン投信の運用資産残高は6000億円だが)もうすぐ5兆円にするんだ。あなたが16年間やってきた全国回って集めるやり方はもう通用しない。15万口座といったって、セゾンカードの3500万口座に比べるまでもなく、失敗だったんだよ。 これからは証券や銀行とも組んで、大々的にビジネスを拡大させていく。これまでのやり方を変えられない人間はダメなんだ。あなたには変えられないのは、ずっと見てきて明らかだ」 そう伝えた後、林野氏は中野氏に、セゾン文化財団副理事長のポストを用意してある旨を告げた。次の理事長含みの副理事長である。 セゾン文化財団と言えば、林野氏も尊敬し、セゾングループ代表だった故・堤清二氏(2013年没)が設立した財団である。そのトップに就くには、当然、堤家の了承を得なければならない。財団理事長につけば報酬が大きく減ることを考え、別にセゾン投信から差額を補填し、会長当時と同じ年収1700万円程度の水準を出す条件まで提示したという。その代わり、セゾン投信では経営から外れ、従来のように全国を講演する伝道師の役割をこなすよう求められた。話し合いの時間は15分ほどだった』、「騒動の発端は4月5日(水)・・・中野氏が大株主のクレディセゾン・・・の林野宏会長兼CEO(81)から・・・セゾン投信会長を退任するよう告げられたことだった。林野氏といえば、クレディセゾンの”天皇”ともいえる権力者・・・林野氏は中野氏に、セゾン文化財団副理事長のポストを用意してある旨を告げた。次の理事長含みの副理事長である・・・セゾン投信では経営から外れ、従来のように全国を講演する伝道師の役割をこなすよう求められた」、なるほど。
・『メディアにあふれた「積立王子」への同情  その後5月のゴールデンウィークから中旬にかけて、林野氏と、さらにセゾン投信の園部鷹博社長から、電話やSNSで中野氏に3度意思確認を求めたが、中野氏が明確に返答することはなかったようだ。結果的に退任は黙認のような形となった。長く顧客本位の長期投資を説き、投資家から「積立王子」と呼ばれてきた中野氏のプライドは、大きく傷ついただろう。 以降、中野氏は金融庁の元長官2人、さわかみ投信創業者の澤上篤人氏など、金融界の有力者たちの元を回っていた。余談だが、中野氏には金融庁からの信任も厚かった。 「セゾン投信、中野会長が退任経営路線の対立で更迭か」━━。 共同通信のスクープが躍ったのは、6月1日(木)のことだ。前日、5月31日(水)のセゾン投信の取締役会で、会長退任の人事が決定されたことを受けての報道だった。結論は覆ることなく、前述通り、同月28日(水)の定時株主総会で退任が決まった。さらには30日(金)付で内定していた投資信託協会の副会長職の続投も反故になった。 夏にかけては、新聞から雑誌、WEBを含め、怒涛のような「中野氏退任」関連の記事が世にあふれる。全国紙の編集委員や著名なファイナンシャルプランナーをはじめ、メディアや資産運用業界に中野氏のシンパは多い。中野氏は記者会見こそ開かなかったものの、事あるごとに単独インタビューに応じていったのである。世の風潮はクビになった中野氏への同情と、”斬った”クレディセゾンへのバッシングの一色になった。) 業界内でもHCアセットマネジメントの森本紀行社長のように、中野氏をブログで応援、「業界全体で中野氏を応援しなければならない」と、公然と支援する経営者も出てきた。 7月27日(木)夜には、「中野晴啓さんに感謝して応援する会」が兜町で開催。オンラインも含め、定員100人に達するほど、多くの業界関係者が集まった。「感謝して応援する会」は、9月14日(木)に関西編が神戸(兵庫県)でも開かれた。中野氏の第二の人生、そして次の攻勢に向けて、いい景気付けになったに違いない。 今改めて、林野氏と中野氏の衝突を振り返ると、感情的なもつれに加え、いずれかの時点で2人の決裂は避けられなかったのがわかる。 セゾン投信のサイトでは、中野会長が退任した株主総会の6月28日(水)当日、公式サイトを更新。先行した退任報道を受けて顧客の中に、「経営体制や運用不安への不安などをお感じになられ(中略)、長期投資の営みを止めてしまったお客さまが一部いらっしゃる」ことを認めた。しかしその一方、①顧客本位の経営理念、②主力の3つのファンド、③直販中心の販売経路などについて、いずれも従来と変わらないことを強調。引き続きファンドを持ち続けることを投資家に訴えたのである。 実際に「報道があった6月こそ、資金の流入は鈍ったが、プラスは維持。それも7月から通常に戻った」(園部社長)という。 特に両者が対立したのは販売方針だ。親会社の意向が反映されがちな大手証券やメガバンク系の運用会社と違い、セゾン投信は3本のファンド「セゾン・グローバルバランスファンド」「セゾン資産形成の達人ファンド」「セゾン共創日本ファンド」を、自らが直販することにこだわった。ただ現実には中野時代から、すでにネット証券などへも販路は広げている。 むしろ大株主のクレディセゾンとしては、システム面を中心に、3500万人いるセゾンカードの会員をもっとセゾン投信に取り込むような政策を進めてほしい、とかねて促していた。今やネット証券では、若い世代を軸にクレジットカードで投信を積み立てる「クレカ積立」がブームになっており、それに伴ってポイント還元をあてにする”ポイ活”ユーザーなども少なくないからからだ。 ところが現状、セゾンカードを持っている顧客は、クレカ積立で投信を積み立てることができない。腰の重かったセゾン投信も遅ればせながらシステム投資に踏み切った結果、ようやく2024年1月からクレカ積立を含め、口座開設など一連の手続きオンラインで完結できるようになる見込みだ』、「「セゾン投信、中野会長が退任経営路線の対立で更迭か」━━。 共同通信のスクープが躍ったのは、6月1日(木)のことだ。前日、5月31日(水)のセゾン投信の取締役会で、会長退任の人事が決定されたことを受けての報道だった・・・世の風潮はクビになった中野氏への同情と、”斬った”クレディセゾンへのバッシングの一色になった・・・7月27日(木)夜には、「中野晴啓さんに感謝して応援する会」が兜町で開催。オンラインも含め、定員100人に達するほど、多くの業界関係者が集まった。「感謝して応援する会」は、9月14日(木)に関西編が神戸(兵庫県)でも開かれた・・・大株主のクレディセゾンとしては、システム面を中心に、3500万人いるセゾンカードの会員をもっとセゾン投信に取り込むような政策を進めてほしい、とかねて促していた。今やネット証券では、若い世代を軸にクレジットカードで投信を積み立てる「クレカ積立」がブームになっており、それに伴ってポイント還元をあてにする”ポイ活”ユーザーなども少なくないからからだ・・・ネット証券では、若い世代を軸にクレジットカードで投信を積み立てる「クレカ積立」がブームになっており、それに伴ってポイント還元をあてにする”ポイ活”ユーザーなども少なくないからからだ。 ところが現状、セゾンカードを持っている顧客は、クレカ積立で投信を積み立てることができない。腰の重かったセゾン投信も遅ればせながらシステム投資に踏み切った結果、ようやく2024年1月からクレカ積立を含め、口座開設など一連の手続きオンラインで完結できるようになる見込みだ」、なるほど。
・『「カードで口座を」は自分の仕事ではない  一方、周囲からは、「中野氏の講演を聞きに来る客は同じ顔ぶれが多い。新規の人は少なくなった」(セゾン投信幹部)との声も漏れるようになっていた。 従来のやり方にこだわり、クレディセゾン側からややもすると時代遅れと指摘されていた中野氏だが、反論はあった。「『とにかくカードで口座を作ってください。そうすれば1000ポイントあげます』は僕らの仕事じゃない。積極的ではなかったが、やらないとはいってない。僕らは(運用会社という)製造業者なんだから」(中野氏)。 確かに、クリック1つで開設・解約できるような今風の客は、中野氏が顔を突き合わせてきたようなロイヤリティの高い”太客”とは、相通じないものなのかもしれない。クレディセゾンにとっては、競合する楽天カードを扱う楽天証券をセゾン投信が販売先に選んだのも、面白くなかった。 加えて、大株主のクレディセゾンや現経営陣から見れば、会長でありながら経営に深く関与せず、講演で飛び回る中野氏には、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の面で不満もあったようだ。忙しい中野氏が社内を把握し切れず、現場で摩擦が起こったこともなくはなかった。) 少しずつ溝が深まっていった両者。いつしか親会社は「新しいビジネスモデルには経営体制も刷新するほうがいい」(水野克己・クレディセゾン社長)との結論に至ったのである。 思い起こせば、新卒で旧西武クレジットに入社後、一時はセゾングループ内でほされていた中野氏を引っ張り出し、2006年のセゾン投信設立で全面的に協力したのは、当時の林野氏である。林野氏は中野氏からの手紙を読み、「面白い」と感じ、すぐ本人に電話。「顧客本位」「長期投資」の考え方に共鳴し、セゾン投信による5回もの増資の場面も後押しした。 それから途中で小さな食い違いはあっても、決定的な喧嘩は回避してきたつもりだった』、「確かに、クリック1つで開設・解約できるような今風の客は、中野氏が顔を突き合わせてきたようなロイヤリティの高い”太客”とは、相通じないものなのかもしれない。クレディセゾンにとっては、競合する楽天カードを扱う楽天証券をセゾン投信が販売先に選んだのも、面白くなかった。 加えて、大株主のクレディセゾンや現経営陣から見れば、会長でありながら経営に深く関与せず、講演で飛び回る中野氏には、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の面で不満もあったようだ・・・新卒で旧西武クレジットに入社後、一時はセゾングループ内でほされていた中野氏を引っ張り出し、2006年のセゾン投信設立で全面的に協力したのは、当時の林野氏である。林野氏は中野氏からの手紙を読み、「面白い」と感じ、すぐ本人に電話。「顧客本位」「長期投資」の考え方に共鳴し、セゾン投信による5回もの増資の場面も後押しした」、「林野氏」は「中野氏」にとって、本来は引き上げてくれた恩人だが、「中野氏」は運用業界でもてはやされやや不遜になっていたようだ。
・『将来、セゾン投信の売却はありうるか?  ゼロから運用資産6000億円以上、顧客数15万口座までセゾン投信を成長させたのは、紛れもなく中野氏の経営手腕である。それも一歩ずつじっくりとした歩みで、単独黒字には8年間、累損一掃までには10年間以上もかかったほど。確かに林野、中野の両氏は、ある時点まで同じ方向を向いていたはずである。 実は取締役会での退任決定前、中野氏はクレディセゾンの持つセゾン投信株の売却相手を探していたふしがある。セゾン投信のバリュエーション(企業価値評価)は推定で数百億円台。今は無理でも、将来のクレディセゾンの経営陣からすれば、セゾン投信の売却がまったく絵空事とはいい切れまい。 いずれにしても一連の退任劇は残念でならない。今回は林野氏にも取材を申し込んだものの、残念ながら実現しなかった。 2人が再び元のサヤに戻るのは難しいだろう。来るべく新NISAの時代、セゾン投信、なかのアセットともに、健全なる競争でともに発展していってもらいたいものだ』、「来るべく新NISAの時代、セゾン投信、なかのアセットともに、健全なる競争でともに発展していってもらいたいものだ」、同感である。
タグ:「来るべく新NISAの時代、セゾン投信、なかのアセットともに、健全なる競争でともに発展していってもらいたいものだ」、同感である。 ・・・新卒で旧西武クレジットに入社後、一時はセゾングループ内でほされていた中野氏を引っ張り出し、2006年のセゾン投信設立で全面的に協力したのは、当時の林野氏である。林野氏は中野氏からの手紙を読み、「面白い」と感じ、すぐ本人に電話。「顧客本位」「長期投資」の考え方に共鳴し、セゾン投信による5回もの増資の場面も後押しした」、「林野氏」は「中野氏」にとって、本来は引き上げてくれた恩人だが、「中野氏」は運用業界でもてはやされやや不遜になっていたようだ。 「確かに、クリック1つで開設・解約できるような今風の客は、中野氏が顔を突き合わせてきたようなロイヤリティの高い”太客”とは、相通じないものなのかもしれない。クレディセゾンにとっては、競合する楽天カードを扱う楽天証券をセゾン投信が販売先に選んだのも、面白くなかった。 加えて、大株主のクレディセゾンや現経営陣から見れば、会長でありながら経営に深く関与せず、講演で飛び回る中野氏には、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の面で不満もあったようだ 腰の重かったセゾン投信も遅ればせながらシステム投資に踏み切った結果、ようやく2024年1月からクレカ積立を含め、口座開設など一連の手続きオンラインで完結できるようになる見込みだ」、なるほど。 今やネット証券では、若い世代を軸にクレジットカードで投信を積み立てる「クレカ積立」がブームになっており、それに伴ってポイント還元をあてにする”ポイ活”ユーザーなども少なくないからからだ・・・ネット証券では、若い世代を軸にクレジットカードで投信を積み立てる「クレカ積立」がブームになっており、それに伴ってポイント還元をあてにする”ポイ活”ユーザーなども少なくないからからだ。 ところが現状、セゾンカードを持っている顧客は、クレカ積立で投信を積み立てることができない。 世の風潮はクビになった中野氏への同情と、”斬った”クレディセゾンへのバッシングの一色になった・・・7月27日(木)夜には、「中野晴啓さんに感謝して応援する会」が兜町で開催。オンラインも含め、定員100人に達するほど、多くの業界関係者が集まった。「感謝して応援する会」は、9月14日(木)に関西編が神戸(兵庫県)でも開かれた・・・大株主のクレディセゾンとしては、システム面を中心に、3500万人いるセゾンカードの会員をもっとセゾン投信に取り込むような政策を進めてほしい、とかねて促していた。 「「セゾン投信、中野会長が退任経営路線の対立で更迭か」━━。 共同通信のスクープが躍ったのは、6月1日(木)のことだ。前日、5月31日(水)のセゾン投信の取締役会で、会長退任の人事が決定されたことを受けての報道だった・・・世の風潮はクビになった中野氏への同情と、”斬った”クレディセゾンへのバッシングの一色になった・・・ 「騒動の発端は4月5日(水)・・・中野氏が大株主のクレディセゾン・・・の林野宏会長兼CEO(81)から・・・セゾン投信会長を退任するよう告げられたことだった。林野氏といえば、クレディセゾンの”天皇”ともいえる権力者・・・林野氏は中野氏に、セゾン文化財団副理事長のポストを用意してある旨を告げた。次の理事長含みの副理事長である・・・セゾン投信では経営から外れ、従来のように全国を講演する伝道師の役割をこなすよう求められた」、なるほど。 東洋経済オンライン「「天皇」林野vs「王子」中野、セゾン投信巡る愛憎劇 なぜ60歳会長は81歳会長に解任されたのか?」 「企業年金には母体企業の経営的な意思で判断・実行できる改善策が少なくない。そして企業年金の改善は、企業側と加入者側双方のメリットになる。道のりは長いが、改善を目指す価値がある」、その通りだ。 ・・・こうした方向に持って行く上では、公務員の共済年金の3階(職域加算)部分を個人型確定拠出年金にしなかったことが悔やまれる。まだ大した金額になっていないはずなので、DCに振り替えてしまってはどうだろうか。 現実には、企業のDBもDCも消滅させるまでのプロセスは長い道のりだろうし、その間をより合理的なものとして運営していく知恵と根気が要る」、なるほど。 「理想的な整理の方向としては、国民の年金は、「公的年金+個人型DC(iDeCo)」に集約するといいと思う。企業や役所が年金の形で一定額まで拠出できるようにするといいし、自営業者もそれに見合う拠出ができるようにするとフェアだ。 そして、DCの運営管理機関は個人が選ぶ。全て個人単位が基本だ。日本の社会保障をフェアに整理するためには、現在、企業単位や世帯単位になっているものを個人単位に整理し直す必要がある。その中で、国はDCに必要なファンドとデフォルトファンドを指定するといい 「「企業との対話」や「ESG活動」をアセットオーナーの義務であるかのように仕立てて、新たな商売の種にしようという意図が働いているように見えるが、年金基金はその手に乗らない方がいい。 だが、一方で、「新たな仕事が欲しい」事情は年金基金でも同様の面があるので、気を付けないと年金基金も取り込まれる可能性がある。彼らが余計な仕事をつくらないように、企業年金にあっては母体企業が、公的年金にあっては国民が、しっかりと監視する必要がある」、その通りだ。 「運用資産数兆円レベルの年金基金にあっても、実質的に意味のある対話が企業とできるような体制には全くなかったし、そうした体制を真面目に作るのは運用の改善につながらない余計なコストであるように思われた」、なるほど。 (その4)(岸田内閣は「企業年金」をどう改革したらいいのか?、「天皇」林野vs「王子」中野、セゾン投信巡る愛憎劇 なぜ60歳会長は81歳会長に解任されたのか?) 山崎 元氏による「岸田内閣は「企業年金」をどう改革したらいいのか?」 「1990年代、2000年代に企業年金の損失負担に苦しんだ悪い記憶の影響もあって、企業年金では余計なリスクを取りたくないと考える企業が多かった。企業側に運用リスク負担があるDBを廃止ないしは縮小して、DCに移行する企業も少なくなかった。 多くの企業にとって、資産運用は本業ではない。企業年金でリスクを取りたくないという方針は経営判断として妥当だったといえるだろう」、なるほど。 「運用」のプロの診断とは興味深そうだ。 「デフォルトファンドが常に絶対に望ましいとは誰も保証できないのだし、政府に最後の言い訳を用意するためにも、加入者における運用の自由は強調されるべきだ。それでも、デフォルトファンドに多くの加入者がとどまることが予想される。 成績公開とデフォルトファンドの両方をやればいいと思うが、より効果的なのはデフォルトファンドだろう」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン 「年金はもともと大きな公的サポートを得ている制度なので、基金は情報公開に反対できる立場にない。分かりやすい情報公開を大々的に行うといいだろう。 母体企業の方針などでリスクを小さく抑えたい年金基金は、加入者向けに丁寧に説明したらいいだけのことだ」、その通りだ。 投資(商品販売・手法)
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宗教(その13)(旧統一教会への解散請求…「次の標的はホストクラブ」をデタラメと笑えない理由、自民党と旧統一教会、50年以上の「おつきあい」 選挙に欠かせなくなった信者ボランティア、解散命令請求じゃない!旧統一教会と政治のズブズブを「絶縁」させる唯一の方法とは?) [社会]

宗教については、本年9月24日に取上げた。今日は、(その13)(旧統一教会への解散請求…「次の標的はホストクラブ」をデタラメと笑えない理由、自民党と旧統一教会、50年以上の「おつきあい」 選挙に欠かせなくなった信者ボランティア、解散命令請求じゃない!旧統一教会と政治のズブズブを「絶縁」させる唯一の方法とは?)である。

先ずは、10月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「旧統一教会への解散請求…「次の標的はホストクラブ」をデタラメと笑えない理由」を紹介しよう。
・『旧統一教会の次に「解散」させられるものとは  10月13日にも、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する解散命令請求がいよいよ出される見込みだという。 「霊感商法の被害者が救われる第一歩だ」と喜んでいる人も多いだろうが、残念ながら今回の動きは「自民党は旧統一教会とスパッと決別しました」という選挙前のパフォーマンス的な意味合いが強く、被害者救済につながるものではない。 これから始まる長い裁判の間、教団側は「任意団体」に格下げされることに備えて、当然ながら、財産を韓国本部に移したり、組織もスリム化していく。これまで礼拝や集会に使ってきた建物などもすべて処分されてしまう可能性もある。そしてカネもなくなり、人もいなくなった「宗教サークル」に被害者救済が十分にできるわけがない。 例えば、ジャニーズ事務所が今このタイミングで解散して市民団体になって、300人以上の被害を訴える人々に満足のいく補償ができるのかを想像してみたらいいだろう。 つまり、今回の解散命令は「世論」と「被害者」をスッキリさせる「ガス抜き」にしかならないのだ。「ガス抜き」ならまだマシだ。最悪、日本社会にさまざま災いと混乱を生み出す「パンドラの箱」になってしまう恐れもあるのだ。 それは具体的に何か。個人的に危ないと思っているのは、ホストクラブに代表される「恋愛商法」の規制だ。 ご存じのように、ホストの世界では「客と店員」という関係を超越して、客に恋心を抱かせて「オレがナンバーワンになるのを一緒に支えてほしい」なんて甘い言葉をささやいて、大金を貢がせる「色恋営業」と呼ばれる稼ぎ方がある。 これが「マインドコントロールで金をだましとる詐欺」として規制の対象となっていく恐れがあるのだ』、「今回の解散命令は「世論」と「被害者」をスッキリさせる「ガス抜き」にしかならないのだ。「ガス抜き」ならまだマシだ。最悪、日本社会にさまざま災いと混乱を生み出す「パンドラの箱」になってしまう恐れもあるのだ。 それは具体的に何か。個人的に危ないと思っているのは、ホストクラブに代表される「恋愛商法」の規制だ。 ご存じのように、ホストの世界では「客と店員」という関係を超越して、客に恋心を抱かせて「オレがナンバーワンになるのを一緒に支えてほしい」なんて甘い言葉をささやいて、大金を貢がせる「色恋営業」と呼ばれる稼ぎ方がある。 これが「マインドコントロールで金をだましとる詐欺」として規制の対象となっていく恐れがある」、なるほど。
・『ホストクラブと客の関係に似ている  「はあ?そんな飛躍した無茶苦茶な話がまかり通るわけがないだろ、しかもホストの営業手腕をカルト宗教の洗脳と一緒にするなんて職業差別だ!」と怒りに震えるホストの皆さんもいるだろう。しかし、残念ながら「旧統一教会問題」が注目を集めてから、「ホスト被害者」を「カルト被害者」と同一視する人が増えている。 わかりやすいのは、旧統一教会の解散命令請求がでる見込みだという情報が流れたタイミングで、「弁護士ドットコム」が報じた以下のニュースだ。 《「結婚しよう」ホストにニセ住所の婚姻届を渡され、大金つぎこむ…玄秀盛さんが語る「相談急増」の背景》(弁護士ドットコム10月7日) 記事によれば、今年7月に設立された「青少年を守る父母の連絡協議会」にこんな「相談」が多数寄せられたという。 「娘がホストにハマり、900万円の借金があると言われています」 「ホストに貢ぐために、風俗で働くという娘を止めたい」 「弁護士がいきなり、『お嬢さんがつくったホストクラブへの借金600万円を払ってほしい』と乗り込んできた」 このような親たちの悲痛な叫びを聞いて、「ん?最近こんな話をよく見たな」と思うだろう。そう、マスコミに登場をする旧統一教会の「元信者」「信者の家族」の皆さんが訴えていることとテイストが非常によく似ている。信仰にのめりこむ人も、ホストにのめりこむ女性も、家族からすれば「洗脳されてカネをだまし取られている被害者」なのだ。 実際、このニュースに対して「Yahoo!ニュースエキスパート」の碓井真史・新潟青陵大学大学院教授はこのようにコメントをされている。 =========================
<娘がホストにハマったら→カルト宗教から脱会させるような覚悟をせよ> 悪質で巧みなホストのワナにハマった女性は、カルト宗教の信者のような状態になります。私は両方見ていますが、似ていると感じました』、「悪質で巧みなホストのワナにハマった女性は、カルト宗教の信者のような状態になります。私は両方見ていますが、似ていると感じました」、恐ろしいものだ。
・『「ツケ」でアリ地獄…抜け出せない仕組みを社会が容認  そして、もうひとつホストと新興宗教が重なる部分があるのは、「高額献金」がもたらす悲劇が長年野放しにされ、最近になって「規制」の必要性を訴えられている点だ。 先ほどの記事の中で、「青少年を守る父母の連絡協議会」が入る公益社団法人「日本駆け込み寺」の理事である玄秀盛氏も下記の通り、提言されているが、実は近年、ホストクラブの「売掛」を法律で規制すべきという声が増している。 《一晩で50万円や100万円の支払いになるなんて、普通の女性が支払える金額じゃない。25歳以下の「青少年」に対しては、「売掛禁止条例」を作るしかない。もう東京都に対しては働きかけている》(同上) 「売掛」とは「ツケ」のことだ。ホストクラブの上客は1本何十万円のシャンパンやらを入れる。しかし、若い女性などは当然そんな大金をキャッシュでポーンと払えない。じゃあどうするのかというと、「ツケ」で飲む。その代金はホストクラブやホスト側が肩代わりをして後で女性へ請求する。そこでもし女性が返済できない場合、キャバクラや風俗にあっせんされる。そして細々と返済しながらまた「ツケ飲み」をして、アリ地獄のようにハマっていく。 しかも、近年この「アリ地獄」が犯罪の引き金にもなっている。先日、マッチングアプリで知り合った男性から、恋愛感情を利用し現金約2700万円をだまし取ったとして「頂き女子りりちゃん」と名乗る女が詐欺容疑で逮捕されたことも記憶に新しいだろう。実はこの女性、SNSでこんなことを「告白」している。 ========================= 「20~22歳では300万ホストに使うと褒められて23歳からは1000万が当たり前になって24歳では1000万じゃ足りないって世界になって、もうだれか止めてって思っててはやく抜け出したくて、誰かにおかしいから辞めなって言って欲しかった」 「私は今25歳で風俗と詐欺で何億か稼いで手元に1円も残らずホストさんの応援に使ってしまいました」 ========================= いかがだろう』、「実は近年、ホストクラブの「売掛」を法律で規制すべきという声が増している。 《一晩で50万円や100万円の支払いになるなんて、普通の女性が支払える金額じゃない。25歳以下の「青少年」に対しては、「売掛禁止条例」を作るしかない・・・「私は今25歳で風俗と詐欺で何億か稼いで手元に1円も残らずホストさんの応援に使ってしまいました」、なるほど。
・『マスコミが報じている、「カルトにハマって抜け出せない被害者」のイメージとまるっきり重ならないか。 実はこのような「ホストがもたらす悲劇」は筆者が事件記者をやっていた25年前から「ありふれた話」だった。繁華街を舞台にしいた凄惨な殺人事件などを取材すると、若い母親がホストに狂って子どもをネグレクトしたとか、ホストに風俗へ売られてメンタルをやられた女性などが、かなりの確率で登場した。2010年、大阪市内で母親が自宅アパートに幼児2人を放置して餓死させるという痛ましい事件があったが、これも原因は母親がホスト遊びにハマッていたからだ。 しかし、こんな「悲劇」が何度も繰り返されても、「ホストを規制せよ」という議論は盛り上がらない。ホストの業界団体が政界工作をして自民党とズブズブだったから……なんてわけではなく、過去の旧統一教会報道と同じで、瞬間風速的に注目を集めてもすぐに忘れ去られて、政治家もマスコミも特に問題視しなくなったのだ。むしろ、社会から受け入れられていくようになった。 それを象徴するのが、テレビ局だ。「ホスト相続しちゃいました」(カンテレ)、「田園ボーイズ」(TVK)、「埼玉のホスト」(TBS)、「貴族誕生 −PRINCE OF LEGEND−」(日本テレビ)、「トドメの接吻」(日本テレビ)などホストを題材にしたドラマが定期的に放映されている。 アイドルや若手俳優がホストを演じているうちに、ホストは若い男が一獲千金をつかむ憧れの職業となった。「ホストで借金まみれになる女性もいるにはいるけれど、それは自分の意志で貢いだのものだから自己責任じゃん」という感じで、「恋愛商法」を社会が受け入れるようになっていたのだ』、「こんな「悲劇」が何度も繰り返されても、「ホストを規制せよ」という議論は盛り上がらない・・・過去の旧統一教会報道と同じで、瞬間風速的に注目を集めてもすぐに忘れ去られて、政治家もマスコミも特に問題視しなくなったのだ。むしろ、社会から受け入れられていくようになった。 それを象徴するのが、テレビ局だ。「ホスト相続しちゃいました」(カンテレ)、「田園ボーイズ」(TVK)、「埼玉のホスト」(TBS)、「貴族誕生 −PRINCE OF LEGEND−」(日本テレビ)、「トドメの接吻」(日本テレビ)などホストを題材にしたドラマが定期的に放映されている」、「ホストを題材にしたドラマ」がそれほど多く「放映」されているとは初めて知った。
・『「自分の意志で貢いでいる」という考え方を否定  ところが、山上徹也被告が事件を起こして、「旧統一教会問題」が注目を集めて、「高額献金を払う=マインドコントロール」という話が連日のようにマスコミで騒がれるようになると、風向きが急に変わった。先ほど述べたように「家族」が徐々に声を上げて、被害者支援団体に相談が増えてきたからだ。この流れが、今回の旧統一教会への解散命令請求で一気に加速する恐れがある。 なぜかというと、これまで「恋愛商法」をセーフとしてきた「自分の意志で貢いだものだから自己責任じゃん」というロジックを、日本政府が全否定したからだ。 ご存じのように、マスコミや教団を追及するジャーナリストや弁護士の主張では、旧統一教会の信者が「高額献金」や「霊感商法」をしているのは「マインドコントロール」のせいという説明だ。日本国内の信者は、「韓国にいる韓鶴子総裁」にだまされているのですべて「気の毒な被害者」だという位置付けだ。 だから、信者を洗脳から解いてあげるためにも、1日でも早く教団の宗教法人格をはく奪して、金集めできないほど弱体化させなくてはいけない、というのがジャーナリストや弁護士の主張だ。 これに教団や現役信者たちは真っ向から反論をしている。自分たちはマインドコントロールなど受けていなくて、あくまで「信仰心」に基づいて、自分の意志で献金をしていると主張している。誰かに強要をされたものでもだまされたものではなく、納得して自分が稼いだお金を貢いでいるというのだ。 しかし、今回、文化庁が教団の解散請求を認めるという話だ。それはつまり、指摘される「霊感商法」について「悪質性・継続性・組織性」が認められたということなので、教団側の「自分の意志で貢いでいる」という主張を全否定したということだ。 これは旧統一教会以外の新興宗教にとっても「死刑宣告」をされたようなものだ。 本連載の《旧統一教会の解散請求秒読みで「第2の過払い金バブル」が来る!寄付金・献金が標的に》の中でも触れたように、理屈上はあらゆる新興宗教をターゲットにできる。反政府運動にも利用できる。自民と連立を組む公明党の支持母体・創価学会の被害を訴える「元信者」をたくさん集めて民事訴訟を起こして、政府に迫れば連立も解消させられる。「社会的に問題がある団体」とは関係を断つと岸田首相が宣言している以上、自民党は「問題」を指摘された団体はすべて切らなくてはいけない。 こういうカオスなことになることに加えて、ホスト業界も致命的なダメージだ。 神や天国の存在を信じて、自分が幸せになるため、自分自身で納得をしたうえでお金を払った人の「自由意志」を国家が否定した。この理屈が通るのなら、ホストから「ナンバーワンになったら一緒になろう」という言葉を信じて、自分が幸せになるため、自分自身で納得をしたうえでお金を払った人の「自由意志」も当然、否定されなくてはいけないからだ』、「これまで「恋愛商法」をセーフとしてきた「自分の意志で貢いだものだから自己責任じゃん」というロジックを、日本政府が全否定したからだ。 ご存じのように、マスコミや教団を追及するジャーナリストや弁護士の主張では、旧統一教会の信者が「高額献金」や「霊感商法」をしているのは「マインドコントロール」のせいという説明だ。日本国内の信者は、「韓国にいる韓鶴子総裁」にだまされているのですべて「気の毒な被害者」だという位置付けだ。 だから、信者を洗脳から解いてあげるためにも、1日でも早く教団の宗教法人格をはく奪して、金集めできないほど弱体化させなくてはいけない、というのがジャーナリストや弁護士の主張」、「神や天国の存在を信じて、自分が幸せになるため、自分自身で納得をしたうえでお金を払った人の「自由意志」を国家が否定した。この理屈が通るのなら、ホストから「ナンバーワンになったら一緒になろう」という言葉を信じて、自分が幸せになるため、自分自身で納得をしたうえでお金を払った人の「自由意志」も当然、否定されなくてはいけないからだ」、確かにその通りだ。
・『わかりやすい「被害」があれば「少数派」は無視?  「そんな無茶苦茶な話があるわけがない」と笑うかもしれない。しかし、他の宗教団体でも当たり前のようにやっている「超自然的な話をされて、それを信じた信者がたくさん献金をする」という宗教団体に対して、国家が「解散命令請求」をするのだ。世界的に見てもかなり珍しい「信教の自由の侵害」を我々は目撃している。 こんな「無茶苦茶」がまかり通る国ならば、「ホスト規制」があってもおかしくはない。 旧統一教会の被害者は「人生を狂わされた」というが、旧統一教会があるので人生が救われたという人もいる。マスコミが取材しないだけで、たくさんいる。 ホストも同じだ。これまで述べたようにホストで人生が狂った女性や、幼い子どもはたくさんいる。しかし、ホストで救われた、ホストクラブが生きがいだという女性もたくさんいる。 今の日本社会ではそういう多角的な見方を、マスコミもしないし、政府もしないし、大衆もしない。わかりやすい「被害」が確認されれば、そういう「少数派」の声は無視していいのだ。それを政府が認めたというのが、実は今回の政府の解散命令請求の本当の「意味」だ。 今はバカな妄想だと笑っているだろう。しかし、今から20年前くらいに、「サラ金に払いすぎた利息が返ってくる時代が来る」なんて言ったら「お前はバカか」と笑われだはずだ。では、今はどうなっている……?  「霊感商法」の次に「恋愛商法」がボロカスに叩かれる日も、そう遠くないのではないか』、「他の宗教団体でも当たり前のようにやっている「超自然的な話をされて、それを信じた信者がたくさん献金をする」という宗教団体に対して、国家が「解散命令請求」をするのだ。世界的に見てもかなり珍しい「信教の自由の侵害」を我々は目撃している。 こんな「無茶苦茶」がまかり通る国ならば、「ホスト規制」があってもおかしくはない」、ただ、宗教でもカルトとなると、西欧諸国でも規制する国はある。日本だけが「無茶」をしている訳ではない。

次に、10月16日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの池上 彰氏による「自民党と旧統一教会、50年以上の「おつきあい」 選挙に欠かせなくなった信者ボランティア」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/705815
・『「大事なことは、過去の歴史の事象が、いまにどのようにつながってくるのかということを理解することです」という池上彰さん。大学での集中講義を基にまとめられた『池上彰の日本現代史集中講義』は、旧統一教会と自民党の関わり、政治とメディアの関係など、戦後、現代の日本をつくってきたさまざまな事象を池上さんが現代史の観点から解説しています。今回は、旧統一教会と自民党、特に安倍派との長く深い関係について、本書から一部抜粋・編集して取り上げます』、興味深そうだ。
・『1960年代から続く自民党と旧統一教会の蜜月  第2次大戦後、世界はアメリカを中心とする西側諸国とソ連・東欧を中心とする東側諸国に分裂しました。日本の政治も東西冷戦を反映し、アメリカと仲良くやっていこうという自由民主党と、ソ連・中国との関係を重視する社会党・共産党が対峙するようになりました。 1960年代から1970年代にかけて、日本でも社会党や共産党が勢力を伸ばし、社会主義・共産主義をうたう学生運動が激しさを増していました。いまとなっては信じられないという方も多いでしょうが、やがて日本でも社会主義や共産主義による革命が起きるのではないかという危機意識が、保守派や財界を中心に広まっていたのです。 東西冷戦の最前線である韓国で生まれた旧統一教会は1968年、反共産主義を掲げる政治組織「国際勝共(しょうきょう)連合」を韓国と日本で創設しました。 日本での国際勝共連合の発起人のひとりとして名を連ね、創設を後押ししたとされるのが、安倍晋三元首相の祖父、岸信介元首相です。) 国際勝共連合の名誉会長は笹川良一氏が務めました。1970年代から1990年代にかけて日本船舶振興会のテレビCMに出演し、「一日一善」「人類みな兄弟」と訴えていた姿を覚えている方も多いでしょう。終戦直後、岸信介元首相、児玉誉士夫(よしお)氏とともに「A級戦犯」容疑者として東京巣鴨拘置所に収監され、後にマスコミから「右翼のドン」と称された人物です。 こうして自由民主党の中でも保守派にあたる勢力と旧統一教会は、反共産主義という共通の政治意識で結びつきを強めるようになったのです。 旧統一教会はアメリカにも影響力を広めようとしました。たとえば「ワシントンタイムズ」という新聞の発刊です。 聞いたことがあるような、ないような名前ですね。「ニューヨークタイムズ」「ワシントンポスト」という権威のある有力紙に似せたネーミングです』、「韓国で生まれた旧統一教会は1968年、反共産主義を掲げる政治組織「国際勝共(しょうきょう)連合」を韓国と日本で創設」、歴史は古いようだ。「日本での国際勝共連合の発起人のひとりとして名を連ね、創設を後押ししたとされるのが・・・岸信介元首相・・・国際勝共連合の名誉会長は笹川良一氏が務めました」、なるほど。
・『旧統一教会は選挙を通じて自民党との関わりを強めた  ソ連や中国、そして中国との関係を重視する民主党を非難する論調を展開し、共和党への浸透を図りました。のちにドナルド・トランプにも大きな影響を与えたといわれ、こうした活動の資金にも日本で集金された莫大な献金が流れたとされています。 一方、日本では、選挙を通じて自民党との関わりを強めました。教団関係者がボランティアとして選挙運動を支えるようになったのです。 公職選挙法により金銭のやりとりが厳しく制限されている日本の選挙運動では、ボランティアの協力が欠かせません。選挙カーの運転手や「ウグイス嬢」といったスタッフにのみ日当を支払うことができますが、たとえば「○○候補に投票をしてください」と一軒一軒呼びかけの電話をするのは無報酬のボランティアです。配布するビラに一枚一枚、選挙管理委員会のシール(証紙)を貼る作業など、多くの活動にボランティアが必要となります。 一般市民のボランティアを集めるのは本当に大変です。 アメリカなどでは、候補者の政策に賛同した学生や市民が自発的に協力することも珍しくありませんが、日本ではあまり聞いたことがありませんよね。 そこで重宝されるのが組織の力です。共産党や公明党には熱心な支持者がいるため、大勢のスタッフが動員できますし、投票も見込めます。農業や建設業といった政治の影響を受けやすい業界の関連団体にも一定の動員力があります。しかし、こうした基盤を持たない多くの候補者はボランティア集めに苦労しています。) 旧統一教会は選挙運動を支えるボランティアとして信者を送り込み、多くの政治家と関係を築くことに成功しました。選挙のたびに確実に戦力になってくれる旧統一教会は多くの政治家に重宝され、選挙に欠かせない存在になったのです』、「ドナルド・トランプにも大きな影響を与えたといわれ、こうした活動の資金にも日本で集金された莫大な献金が流れた・・・日本では、選挙を通じて自民党との関わりを強めました。教団関係者がボランティアとして選挙運動を支えるようになったのです。 公職選挙法により金銭のやりとりが厳しく制限されている日本の選挙運動では、ボランティアの協力が欠かせません。選挙カーの運転手や「ウグイス嬢」といったスタッフにのみ日当を支払うことができますが、たとえば「○○候補に投票をしてください」と一軒一軒呼びかけの電話をするのは無報酬のボランティアです。配布するビラに一枚一枚、選挙管理委員会のシール(証紙)を貼る作業など、多くの活動にボランティアが必要となります・・・旧統一教会は選挙運動を支えるボランティアとして信者を送り込み、多くの政治家と関係を築くことに成功しました。選挙のたびに確実に戦力になってくれる旧統一教会は多くの政治家に重宝され、選挙に欠かせない存在になった」、なるほど。
・『名前を変更できたのは安倍派のおかげ?  岸信介元首相の時代に始まった旧統一教会と自民党の関わりは、安倍晋太郎元外相を経て、安倍晋三元首相へと引き継がれました。 自民党はもともと自由党と日本民主党という2つの政党が一緒になってできた経緯もあり、実にさまざまな思想を持つ政治家が集まっている組織です。安倍派に代表される保守派もいれば、岸田首相につながるリベラルな政治家もいます。旧統一教会や国際勝共連合が接近したのは、自民党の中でも保守的な勢力である清和会(安倍派)でした。 2015年、旧統一教会は世界平和統一家庭連合へと名称を変更しました。かつて霊感商法で有名になってしまった過去を水に流そうとしたのでしょうか。教団は1997年から名称変更を文化庁に相談していました。 ようやく名称変更が認められた2015年は第2次安倍内閣時代。当時の下村博文文部科学大臣は安倍派の重鎮です。下村氏を巡っては、旧統一教会の関連団体から推薦状を受け取ったこと、選挙の際に旧統一教会や関連団体のボランティアの協力を受けたことなどが報道されています。 かねて安倍派と深い関係にあった旧統一教会が文部科学大臣に影響力を及ぼし、自分たちに有利になる名称変更を勝ち取った。そう勘ぐられるのも無理はありません。 旧統一教会との関わりを指摘された際、「名前が変わっていたからわからなかった」と主張した政治家もいます。 本当に別の団体だと考えた人もいるかもしれませんが、少なくとも、改名によって言い訳、言い逃れの余地ができてしまったことは間違いありません。 宗教団体や信者が政治に関わることに何も問題はありません。ただし、国が特定の宗教団体に対して有利なはからいをすれば政教分離に反します。仮に法的に問題がないとしても、そもそも反社会的な活動で社会問題となった宗教団体の協力を受けるという時点で、政治家のモラルが問われそうです。 旧統一教会との関わりを取り沙汰されている政治家たちは、宗教団体をただ「票」としてしか捉えていないのかもしれません。そうした脇の甘い意識ゆえに足をすくわれてしまったと言えるのではないでしょうか。 そもそも、政策で政治家を選び、選挙を積極的に手伝おうという人が大勢いれば、疑惑を招くような団体の動員力が当てにされることも減るでしょう。政治家のモラルだけでなく、国民の政治への関わり方も、この問題の根幹にありそうです』、「2015年、旧統一教会は世界平和統一家庭連合へと名称を変更しました。かつて霊感商法で有名になってしまった過去を水に流そうとしたのでしょうか。教団は1997年から名称変更を文化庁に相談していました。 ようやく名称変更が認められた2015年は第2次安倍内閣時代。当時の下村博文文部科学大臣は安倍派の重鎮です。下村氏を巡っては、旧統一教会の関連団体から推薦状を受け取ったこと、選挙の際に旧統一教会や関連団体のボランティアの協力を受けたことなどが報道されています。 かねて安倍派と深い関係にあった旧統一教会が文部科学大臣に影響力を及ぼし、自分たちに有利になる名称変更を勝ち取った・・・少なくとも、改名によって言い訳、言い逃れの余地ができてしまったことは間違いありません・・・国が特定の宗教団体に対して有利なはからいをすれば政教分離に反します。仮に法的に問題がないとしても、そもそも反社会的な活動で社会問題となった宗教団体の協力を受けるという時点で、政治家のモラルが問われそうです。 旧統一教会との関わりを取り沙汰されている政治家たちは、宗教団体をただ「票」としてしか捉えていないのかもしれません。そうした脇の甘い意識ゆえに足をすくわれてしまったと言えるのではないでしょうか」、その通りだ。

第三に、10月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「解散命令請求じゃない!旧統一教会と政治のズブズブを「絶縁」させる唯一の方法とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/330715
・『文部科学省が、旧統一教会に対する解散命令を東京地裁に請求した。命令が確定した場合は教団の宗教法人格が取り消される。ただし、安倍元首相の暗殺事件を機に問題視されてきた「政治と宗教」の関係が、これで解消されるかは疑問が残る。自民党をはじめとする政党と教団の関係は複雑に入り組んでいるからだ。では、この「あしき慣行」はどうすれば失われるのか』、興味深そうだ。
・『旧統一教会への「解散命令」で「政治と宗教」の問題は解決するのか?  文部科学省は10月13日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会、以下「教団」)に対する解散命令を東京地方裁判所に請求した。 文科省はこれまで、教団を巡る高額な献金や霊感商法の問題について、宗教法人法に基づく「質問権」の行使によって実態の把握を目指してきた。また、被害を訴える元信者らへの聞き取り調査も進めてきた。 ここにきて解散命令を出したということは、教団に解散を請求するのに十分な証拠がそろったとみられる。そして今後は、東京地裁が解散命令の適否を司法判断する。教団側はこれに強く反発し、最高裁まで争う構えだ。解散命令の確定まで長期間を要する可能性がある。 教団はかつて、高額な壺や印鑑を信者に売りつけて資金を集めていた。それが明るみに出て批判を浴びた後は、「勧誘」という真の目的を隠して一般市民に近づき、親しくなってから入信させる巧妙な手法に切り替えた。入信させた後で「先祖の因縁で不幸になる」などと恐怖を与え、「逃れるには多額の献金が必要」などと迫るのだ。 こうした悪質な手法の被害者といえるのは、信者本人だけではない。安倍晋三元首相を銃撃したとして殺人罪などで起訴されている山上徹也被告など、親が教団に高額な献金をしたことで家族が崩壊し、人生を破壊された「宗教2世」の問題も引き起こしている。 このような犯罪行為や人権侵害は厳しく罰せられるべきだ。また、教団の被害者救済は何よりも優先されるべきことだ(本連載第309回・p4)。教団への解散命令の請求は、そのための大きな一歩であろう。 ただし解散命令が確定しても、教団の宗教法人格が取り消され、税制上の優遇措置などが失われるだけだ。「任意団体」として活動を続けることは可能である。この処分だけで、長年問題視されてきた「政治と宗教」の問題が解決するかは疑問である。 岸田文雄首相や茂木敏充自由民主党幹事長は「自民党は教団との関係を完全に絶った」と主張しているが、それは本当なのだろうか。教団と政治の関係は複雑に入り組んでおり、簡単に切れるものではないように思える』、「今後は、東京地裁が解散命令の適否を司法判断する。教団側はこれに強く反発し、最高裁まで争う構えだ。解散命令の確定まで長期間を要する可能性がある・・・教団はかつて、高額な壺や印鑑を信者に売りつけて資金を集めていた。それが明るみに出て批判を浴びた後は、「勧誘」という真の目的を隠して一般市民に近づき、親しくなってから入信させる巧妙な手法に切り替えた。入信させた後で「先祖の因縁で不幸になる」などと恐怖を与え、「逃れるには多額の献金が必要」などと迫るのだ。 こうした悪質な手法の被害者といえるのは、信者本人だけではない・・・山上徹也被告など、親が教団に高額な献金をしたことで家族が崩壊し、人生を破壊された「宗教2世」の問題も引き起こしている・・・解散命令が確定しても、教団の宗教法人格が取り消され、税制上の優遇措置などが失われるだけだ。「任意団体」として活動を続けることは可能である。この処分だけで、長年問題視されてきた「政治と宗教」の問題が解決するかは疑問である。 岸田文雄首相や茂木敏充自由民主党幹事長は「自民党は教団との関係を完全に絶った」と主張しているが、それは本当なのだろうか。教団と政治の関係は複雑に入り組んでおり、簡単に切れるものではないように思える」、その通りだ。
・『教団の信者が「政治家の秘書」に政治と宗教「ズブズブ」の実態  過去の関係を振り返ってみよう。政治家が教団関連のイベントに祝電を送る。あるいは出席してあいさつする。逆に、政治家が団体関係者に政治資金パーティーの券を購入してもらう。こうした「議員と支持者」のような付き合いは、これまで当然のように行われてきた。 教団の信者が、国会議員の公設秘書や私設秘書として雇用されるケースもあった。信者が選挙の応援をボランティアで行うこともあった。選挙スタッフがやりたがらないような雑用も熱心にやるので重宝されてきたのだ。 その関係は中央だけでなく、地方の政界にも広がっていた。都道府県議会や市議会議員、地方の政党、後援会、支持団体なども教団と深く関わってきた。地方自治体が後援する各種イベントの裏側で、教団と政治家が結び付いている例も見られた。 例えば「世界平和と日韓友好」を掲げて、若者らが自転車で走行する「ピースロード」というイベント。教団の関連団体が共催している企画だが、その実行委員会には地元選出の国会議員や地方議員が参加していた。 また、教団は「平和ボランティア隊」を組織し、日本全国で自然災害からの復興支援を実施。2011年の東日本大震災から始まり、さまざまな大規模災害の現場にボランティア隊を派遣してきた。 ボランティア隊は教団であることを隠さず、災害現場での勤勉な働きぶりで高く評価された。19年に台風15号が上陸して記録的な暴風を巻き起こしたときは、大規模停電などの被害が出た千葉県を支援。南房総市の社会福祉協議会(社協)が「世界平和統一家庭連合 平和ボランティア隊 UPeace」宛てに感謝状を贈った。 この「社協」とは全国に約1800ある団体で、地域社会における民間福祉事業やボランティア活動の推進支援を行っている。教団は、この社協への寄付も行ってきた。一般的に、社協の運営資金は地方自治体の予算からの補助金だ。しかし、財政赤字に悩む自治体もあり、社協への補助金は十分ではない。そのため、教団からの寄付は主要な財源となってきたのだ。 要するに、教団は国政だけでなく、地方の行政・福祉などにも深く関わってきた。議員や自治体は、教団から票や寄付金、ボランティアを得る。そして教団は社会的信用を得る。安倍元首相の暗殺事件が起こるまでは、そうした「ギブ・アンド・テイク」の関係が出来上がっていたのだ』、「政治家が教団関連のイベントに祝電を送る。あるいは出席してあいさつする。逆に、政治家が団体関係者に政治資金パーティーの券を購入してもらう。こうした「議員と支持者」のような付き合いは、これまで当然のように行われてきた。 教団の信者が、国会議員の公設秘書や私設秘書として雇用されるケースもあった。信者が選挙の応援をボランティアで行うこともあった。選挙スタッフがやりたがらないような雑用も熱心にやるので重宝されてきたのだ。 その関係は中央だけでなく、地方の政界にも広がっていた。都道府県議会や市議会議員、地方の政党、後援会、支持団体なども教団と深く関わってきた。地方自治体が後援する各種イベントの裏側で、教団と政治家が結び付いている例も見られた・・・地方自治体が後援する各種イベントの裏側で、教団と政治家が結び付いている例も見られた。 例えば「世界平和と日韓友好」を掲げて、若者らが自転車で走行する「ピースロード」というイベント。教団の関連団体が共催している企画だが、その実行委員会には地元選出の国会議員や地方議員が参加していた。 また、教団は「平和ボランティア隊」を組織し、日本全国で自然災害からの復興支援を実施。2011年の東日本大震災から始まり、さまざまな大規模災害の現場にボランティア隊を派遣してきた。 ボランティア隊は教団であることを隠さず、災害現場での勤勉な働きぶりで高く評価された。19年に台風15号が上陸して記録的な暴風を巻き起こしたときは、大規模停電などの被害が出た千葉県を支援。南房総市の社会福祉協議会(社協)が「世界平和統一家庭連合 平和ボランティア隊 UPeace」宛てに感謝状を贈った。 この「社協」とは全国に約1800ある団体で、地域社会における民間福祉事業やボランティア活動の推進支援を行っている。教団は、この社協への寄付も行ってきた。一般的に、社協の運営資金は地方自治体の予算からの補助金だ。しかし、財政赤字に悩む自治体もあり、社協への補助金は十分ではない。そのため、教団からの寄付は主要な財源となってきたのだ。要するに、教団は国政だけでなく、地方の行政・福祉などにも深く関わってきた。議員や自治体は、教団から票や寄付金、ボランティアを得る。そして教団は社会的信用を得る。安倍元首相の暗殺事件が起こるまでは、そうした「ギブ・アンド・テイク」の関係が出来上がっていたのだ」、地方でも「教団」ががっちりと食い込んでいる様子は、想像以上で、根絶は容易ではなさそうだ。
・『「政治と宗教」のつながりは何らかの形で残るだろう  そして事件後、教団と政治の関係が世論の批判にさらされると、政党などは一斉に教団との関係解消に動いた。そして「教団との関係は一切ない」という旨の発表をし始めた。ただ繰り返しになるが、政党などが「自浄作用」を働かせ、これだけ深く政治に食い込んだ団体と関係を切ることは難しいと筆者は考える。 というのも、国会議員の選挙を実質的に仕切るのは、選挙区の首長、地方議員、スタッフらである(第314回・p4)。その中には、信者であることを隠して紛れ込んでいる人がいるかもしれない。 そうした末端の信者は、教団の教義を純粋に信じて、政治・行政やボランティアの活動に一生懸命取り組んでいる人たちだ。前述の通り、選挙スタッフがやりたがらないような雑用もこなすので、働きぶりも優秀だ。そうした人々を探し出して排除するのは至難の業である。 また、過去に教団の支援を得ていた国会議員には、選挙に弱い若手も多かった。自力での票集めが難しいからこそ、教団の力を借りたのだ。実際に自民党では「各業界団体の票だけでは足りない議員について、教団が認めてくれれば、その票を割り振る」ことをしていたという(第309回・p4)。 そうした“ギリギリ当選”を続けてきた議員が、一度票をもらった団体との関係を簡単に断ち切れるのだろうか。「政治家は、選挙に落ちればタダの人」である。 さらに、教団が保守的な思想の団体であることも重要なポイントだ。仮に解散命令が確定しても、教団関係者が左派野党に投票する可能性は極めて低いといえる(第309回・p3)。信者が「勝手に」自民党の政治家を応援し、選挙で一票を投じるかもしれないのだ。そして、それを止めることは誰にもできない。 日本では「政教分離」の原則の下、宗教団体が政治活動を行うこと自体は違法ではない(第309回・p5)。また、自由民主主義社会における、有権者の権利は守られねばならない。そのため、信者の「投票先」まで制限することは現実的に難しい。これを実行しようとすると、プライバシーや人権の侵害になり、宗教弾圧につながる危険性もある。 そのため、今後も何らかの形で「政治と宗教」のつながりは残っていくだろう。では、この「あしき慣行」はどうすれば失われるのか』、「末端の信者は、教団の教義を純粋に信じて、政治・行政やボランティアの活動に一生懸命取り組んでいる人たちだ。前述の通り、選挙スタッフがやりたがらないような雑用もこなすので、働きぶりも優秀だ。そうした人々を探し出して排除するのは至難の業である。 また、過去に教団の支援を得ていた国会議員には、選挙に弱い若手も多かった。自力での票集めが難しいからこそ、教団の力を借りたのだ・・・今後も何らかの形で「政治と宗教」のつながりは残っていくだろう。では、この「あしき慣行」はどうすれば失われるのか」、残念ながら「失われる」のは殆ど期待できない。
・『「政治と宗教」の問題を解決する唯一の方法とは?  その答えは極めてシンプルだ。国民が政治に関心を持ち、投票に積極的に参加し、「宗教団体による組織票」が選挙の勝敗を左右しない状況をつくることである。 何しろ、21年に行われた第49回衆議院議員総選挙における投票率は55.93%にとどまっている(総務省調べ)。そうした状況下では、政治家が有権者にさまざまな便宜を図り、その代わりに自身に投票してもらう「日本型どぶ板選挙」がいまだに有効な集票手段となる(第309回・p4)。 この「日本型どぶ板選挙」とは、政治家が選挙で票を得るために、どんな所へでも訪ねていき、どんなことでもする選挙を指す。勝つためなら何でもありだ。その結果、さまざまな集票団体に宗教団体が紛れ込み、政治との関係が深まってきた経緯がある。 そもそも多くの政党の議員は、初めて党公認の候補者となって選挙に出馬する前から宗教団体と関係があるわけではない。候補者として選挙区に入るとき、党や派閥の幹部、地元のベテランのスタッフから、支持団体など票を入れてくれる組織や人にあいさつをするように指示される。 候補者はわけもわからず、言われるがまま、選挙に勝つために多くの組織や人に頭を下げる。こうした支持団体に、教団をはじめとする宗教団体が紛れ込んでいる。そこから「ギブ・アンド・テイク」の付き合いが始まり、集票において便宜を図ってもらうようになる。 とはいえ、選挙において、政党の政策や政治家の人物像を見極めて投票するのは国民である。一人一人が有権者として責任ある投票行動ができるようになり、「集票マシーン」としての宗教団体が機能しなくなれば、どうなるだろうか。 政党・政治家と宗教団体の双方にとって、接点を持つ意味は薄れるはずだ。前述した「勝手に応援(投票)する信者」はいるかもしれないが、組織的なつながりは次第に解消していくだろう。他の支持団体との関係も含め、「日本型どぶ板選挙」は終わりに近づくことになる。 安倍元首相の暗殺事件以降、「政治と宗教」関連のニュースを見るたびに「まったく最近の政治家は…」と批判してきた人は多いかもしれない。だが、そうした人々がどれだけ投票に足を運んでいるだろうか。日本の政治を変えるには、むしろ国民自身が変わらなければならないということだ』、「日本の政治を変えるには、むしろ国民自身が変わらなければならないということだ」、筋論ではあるが、百年河清を待つようなものだ。
タグ:「ドナルド・トランプにも大きな影響を与えたといわれ、こうした活動の資金にも日本で集金された莫大な献金が流れた・・・日本では、選挙を通じて自民党との関わりを強めました。教団関係者がボランティアとして選挙運動を支えるようになったのです。 公職選挙法により金銭のやりとりが厳しく制限されている日本の選挙運動では、ボランティアの協力が欠かせません。 その関係は中央だけでなく、地方の政界にも広がっていた。都道府県議会や市議会議員、地方の政党、後援会、支持団体なども教団と深く関わってきた。地方自治体が後援する各種イベントの裏側で、教団と政治家が結び付いている例も見られた・・・地方自治体が後援する各種イベントの裏側で、教団と政治家が結び付いている例も見られた。 例えば「世界平和と日韓友好」を掲げて、若者らが自転車で走行する「ピースロード」というイベント。教団の関連団体が共催している企画だが、その実行委員会には地元選出の国会議員や地方議員が参加していた。 「政治家が教団関連のイベントに祝電を送る。あるいは出席してあいさつする。逆に、政治家が団体関係者に政治資金パーティーの券を購入してもらう。こうした「議員と支持者」のような付き合いは、これまで当然のように行われてきた。 教団の信者が、国会議員の公設秘書や私設秘書として雇用されるケースもあった。信者が選挙の応援をボランティアで行うこともあった。選挙スタッフがやりたがらないような雑用も熱心にやるので重宝されてきたのだ。 「任意団体」として活動を続けることは可能である。この処分だけで、長年問題視されてきた「政治と宗教」の問題が解決するかは疑問である。 岸田文雄首相や茂木敏充自由民主党幹事長は「自民党は教団との関係を完全に絶った」と主張しているが、それは本当なのだろうか。教団と政治の関係は複雑に入り組んでおり、簡単に切れるものではないように思える」、その通りだ。 入信させた後で「先祖の因縁で不幸になる」などと恐怖を与え、「逃れるには多額の献金が必要」などと迫るのだ。 こうした悪質な手法の被害者といえるのは、信者本人だけではない・・・山上徹也被告など、親が教団に高額な献金をしたことで家族が崩壊し、人生を破壊された「宗教2世」の問題も引き起こしている・・・解散命令が確定しても、教団の宗教法人格が取り消され、税制上の優遇措置などが失われるだけだ。 (その13)(旧統一教会への解散請求…「次の標的はホストクラブ」をデタラメと笑えない理由、自民党と旧統一教会、50年以上の「おつきあい」 選挙に欠かせなくなった信者ボランティア、解散命令請求じゃない!旧統一教会と政治のズブズブを「絶縁」させる唯一の方法とは?) 宗教 「日本の政治を変えるには、むしろ国民自身が変わらなければならないということだ」、筋論ではあるが、百年河清を待つようなものだ。 「こんな「悲劇」が何度も繰り返されても、「ホストを規制せよ」という議論は盛り上がらない・・・過去の旧統一教会報道と同じで、瞬間風速的に注目を集めてもすぐに忘れ去られて、政治家もマスコミも特に問題視しなくなったのだ。むしろ、社会から受け入れられていくようになった。 それを象徴するのが、テレビ局だ。 「実は近年、ホストクラブの「売掛」を法律で規制すべきという声が増している。 《一晩で50万円や100万円の支払いになるなんて、普通の女性が支払える金額じゃない。25歳以下の「青少年」に対しては、「売掛禁止条例」を作るしかない・・・「私は今25歳で風俗と詐欺で何億か稼いで手元に1円も残らずホストさんの応援に使ってしまいました」、なるほど。 「悪質で巧みなホストのワナにハマった女性は、カルト宗教の信者のような状態になります。私は両方見ていますが、似ていると感じました」、恐ろしいものだ。 ご存じのように、ホストの世界では「客と店員」という関係を超越して、客に恋心を抱かせて「オレがナンバーワンになるのを一緒に支えてほしい」なんて甘い言葉をささやいて、大金を貢がせる「色恋営業」と呼ばれる稼ぎ方がある。 これが「マインドコントロールで金をだましとる詐欺」として規制の対象となっていく恐れがある」、なるほど。 「今回の解散命令は「世論」と「被害者」をスッキリさせる「ガス抜き」にしかならないのだ。「ガス抜き」ならまだマシだ。最悪、日本社会にさまざま災いと混乱を生み出す「パンドラの箱」になってしまう恐れもあるのだ。 それは具体的に何か。個人的に危ないと思っているのは、ホストクラブに代表される「恋愛商法」の規制だ。 窪田順生氏による「旧統一教会への解散請求…「次の標的はホストクラブ」をデタラメと笑えない理由」 「韓国で生まれた旧統一教会は1968年、反共産主義を掲げる政治組織「国際勝共(しょうきょう)連合」を韓国と日本で創設」、歴史は古いようだ。「日本での国際勝共連合の発起人のひとりとして名を連ね、創設を後押ししたとされるのが・・・岸信介元首相・・・国際勝共連合の名誉会長は笹川良一氏が務めました」、なるほど。 池上 彰氏による「自民党と旧統一教会、50年以上の「おつきあい」 選挙に欠かせなくなった信者ボランティア」 東洋経済オンライン 「他の宗教団体でも当たり前のようにやっている「超自然的な話をされて、それを信じた信者がたくさん献金をする」という宗教団体に対して、国家が「解散命令請求」をするのだ。世界的に見てもかなり珍しい「信教の自由の侵害」を我々は目撃している。 こんな「無茶苦茶」がまかり通る国ならば、「ホスト規制」があってもおかしくはない」、ただ、宗教でもカルトとなると、西欧諸国でも規制する国はある。日本だけが「無茶」をしている訳ではない。 だから、信者を洗脳から解いてあげるためにも、1日でも早く教団の宗教法人格をはく奪して、金集めできないほど弱体化させなくてはいけない、というのがジャーナリストや弁護士の主張」、「神や天国の存在を信じて、自分が幸せになるため、自分自身で納得をしたうえでお金を払った人の「自由意志」を国家が否定した。この理屈が通るのなら、ホストから「ナンバーワンになったら一緒になろう」という言葉を信じて、自分が幸せになるため、自分自身で納得をしたうえでお金を払った人の「自由意志」も当然、否定されなくてはいけないからだ」、確かにそ 「これまで「恋愛商法」をセーフとしてきた「自分の意志で貢いだものだから自己責任じゃん」というロジックを、日本政府が全否定したからだ。 ご存じのように、マスコミや教団を追及するジャーナリストや弁護士の主張では、旧統一教会の信者が「高額献金」や「霊感商法」をしているのは「マインドコントロール」のせいという説明だ。日本国内の信者は、「韓国にいる韓鶴子総裁」にだまされているのですべて「気の毒な被害者」だという位置付けだ。 「ホスト相続しちゃいました」(カンテレ)、「田園ボーイズ」(TVK)、「埼玉のホスト」(TBS)、「貴族誕生 −PRINCE OF LEGEND−」(日本テレビ)、「トドメの接吻」(日本テレビ)などホストを題材にしたドラマが定期的に放映されている」、「ホストを題材にしたドラマ」がそれほど多く「放映」されているとは初めて知った。 ダイヤモンド・オンライン 「今後は、東京地裁が解散命令の適否を司法判断する。教団側はこれに強く反発し、最高裁まで争う構えだ。解散命令の確定まで長期間を要する可能性がある・・・教団はかつて、高額な壺や印鑑を信者に売りつけて資金を集めていた。それが明るみに出て批判を浴びた後は、「勧誘」という真の目的を隠して一般市民に近づき、親しくなってから入信させる巧妙な手法に切り替えた。 上久保誠人氏による「解散命令請求じゃない!旧統一教会と政治のズブズブを「絶縁」させる唯一の方法とは?」 旧統一教会との関わりを取り沙汰されている政治家たちは、宗教団体をただ「票」としてしか捉えていないのかもしれません。そうした脇の甘い意識ゆえに足をすくわれてしまったと言えるのではないでしょうか」、その通りだ。 かねて安倍派と深い関係にあった旧統一教会が文部科学大臣に影響力を及ぼし、自分たちに有利になる名称変更を勝ち取った・・・少なくとも、改名によって言い訳、言い逃れの余地ができてしまったことは間違いありません・・・国が特定の宗教団体に対して有利なはからいをすれば政教分離に反します。仮に法的に問題がないとしても、そもそも反社会的な活動で社会問題となった宗教団体の協力を受けるという時点で、政治家のモラルが問われそうです。 「2015年、旧統一教会は世界平和統一家庭連合へと名称を変更しました。かつて霊感商法で有名になってしまった過去を水に流そうとしたのでしょうか。教団は1997年から名称変更を文化庁に相談していました。 ようやく名称変更が認められた2015年は第2次安倍内閣時代。当時の下村博文文部科学大臣は安倍派の重鎮です。下村氏を巡っては、旧統一教会の関連団体から推薦状を受け取ったこと、選挙の際に旧統一教会や関連団体のボランティアの協力を受けたことなどが報道されています。 選挙カーの運転手や「ウグイス嬢」といったスタッフにのみ日当を支払うことができますが、たとえば「○○候補に投票をしてください」と一軒一軒呼びかけの電話をするのは無報酬のボランティアです。配布するビラに一枚一枚、選挙管理委員会のシール(証紙)を貼る作業など、多くの活動にボランティアが必要となります・・・旧統一教会は選挙運動を支えるボランティアとして信者を送り込み、多くの政治家と関係を築くことに成功しました。選挙のたびに確実に戦力になってくれる旧統一教会は多くの政治家に重宝され、選挙に欠かせない存在になった」、 は殆ど期待できない。 「末端の信者は、教団の教義を純粋に信じて、政治・行政やボランティアの活動に一生懸命取り組んでいる人たちだ。前述の通り、選挙スタッフがやりたがらないような雑用もこなすので、働きぶりも優秀だ。そうした人々を探し出して排除するのは至難の業である。 また、過去に教団の支援を得ていた国会議員には、選挙に弱い若手も多かった。自力での票集めが難しいからこそ、教団の力を借りたのだ・・・今後も何らかの形で「政治と宗教」のつながりは残っていくだろう。では、この「あしき慣行」はどうすれば失われるのか」、残念ながら「失われる」の 安倍元首相の暗殺事件が起こるまでは、そうした「ギブ・アンド・テイク」の関係が出来上がっていたのだ」、地方でも「教団」ががっちりと食い込んでいる様子は、想像以上で、根絶は容易ではなさそうだ。 この「社協」とは全国に約1800ある団体で、地域社会における民間福祉事業やボランティア活動の推進支援を行っている。教団は、この社協への寄付も行ってきた。一般的に、社協の運営資金は地方自治体の予算からの補助金だ。しかし、財政赤字に悩む自治体もあり、社協への補助金は十分ではない。そのため、教団からの寄付は主要な財源となってきたのだ。要するに、教団は国政だけでなく、地方の行政・福祉などにも深く関わってきた。議員や自治体は、教団から票や寄付金、ボランティアを得る。そして教団は社会的信用を得る。 また、教団は「平和ボランティア隊」を組織し、日本全国で自然災害からの復興支援を実施。2011年の東日本大震災から始まり、さまざまな大規模災害の現場にボランティア隊を派遣してきた。 ボランティア隊は教団であることを隠さず、災害現場での勤勉な働きぶりで高く評価された。19年に台風15号が上陸して記録的な暴風を巻き起こしたときは、大規模停電などの被害が出た千葉県を支援。南房総市の社会福祉協議会(社協)が「世界平和統一家庭連合 平和ボランティア隊 UPeace」宛てに感謝状を贈った。
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資本主義(その11)(資本主義は「加速し続けるランニングマシン」だ 「交換価値」を求め続ける自己増殖システム、トマ・ピケティ氏とは? 資本主義と格差問題への提言を考える、崩壊している資本主義の後に来るものは何なのか 「ラグビーワールドカップ」でわかる国家の行方) [経済]

資本主義については、本年5月28日に取上げた。今日は、(その11)(資本主義は「加速し続けるランニングマシン」だ 「交換価値」を求め続ける自己増殖システム、トマ・ピケティ氏とは? 資本主義と格差問題への提言を考える、崩壊している資本主義の後に来るものは何なのか 「ラグビーワールドカップ」でわかる国家の行方)である。

先ずは、5月11日付け東洋経済オンラインが掲載した経済人類学者のジェイソン・ヒッケル氏による「資本主義は「加速し続けるランニングマシン」だ 「交換価値」を求め続ける自己増殖システム」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/663945
・『環境破壊、不平等、貧困……今、世界中で多くの人々が、資本主義が抱える問題に気づき始めている。 経済人類学者のジェイソン・ヒッケル氏によれば、資本主義は自然や身体をモノと見なして「外部化」し、搾取することで成立している、「ニーズを満たさないことを目的としたシステム」であるという。 そしてヒッケルは、「アニミズム対二元論」というユニークな視点で、資本主義の歴史とそれが内包する問題を白日の下にさらし、今後、私たちが目指すべき「成長に依存しない世界」を提示する。 今回、日本語版が4月に刊行された『資本主義の次に来る世界』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする』、興味深そうだ。
・『資本主義に対する誤謬  数か月前、わたしは生放送されるテレビ討論会のステージにいた。テーマは資本主義の未来だ。観客(オーディエンス)が注視する中、論敵は立ち上がってこう言った。――資本主義自体には、問題はまったくない。問題は、強欲なCEOと金で動く政治家のせいで資本主義が腐敗していることだ。わたしたちがすべきことは腐ったリンゴを取り除くことだ。そうすれば、すべてうまくいく。 資本主義とは、突き詰めれば市場で物を売り買いしている人々のことだ。地元のファーマーズマーケットであれ、モロッコの青空市場(スーク)であれ、彼らは、自分の技能を活かして生計を立てている罪なき人々だ。それのどこが間違っていると言うのか?) 聞こえのいい話だし、筋が通っているように思える。しかし、ファーマーズマーケットやスークの小さな店は、資本主義とは何の関係もない。その喩えは間違っている。しかも資本主義がなぜ生態系を破壊しているのかを理解するためには何の役にも立たない。 資本主義の仕組みを本当に理解したいのであれば、もっと深く掘り下げる必要がある。 その第一歩は、人間の歴史の大半を通じて、経済は「使用価値」〔人間の必要(ニーズ)を満たす有用性〕を中心に回っていたことを理解することだ。 農家が梨を育てたのは、そのみずみずしい甘さが好きだから、あるいは午後の空腹を和らげるためだった。 職人が椅子を作ったのは、ポーチでくつろぐ時やテーブルで食事をとる時に座るためだった。彼らが梨や椅子を売ることにしたのは、庭で使う鍬(くわ)や娘のためのポケットナイフといった別の有用な物を買う資金を得るためだった。 今日でも多くの人はこうした形で経済に参加している。わたしたちが店に行くのは、夕食の材料や冬の寒さをしのぐためのジャケットなど、自分にとって有用な物を買うためだ』、「経済は「使用価値」〔人間の必要(ニーズ)を満たす有用性〕を中心に回っていたことを理解することだ」、「わたしたちが店に行くのは、夕食の材料や冬の寒さをしのぐためのジャケットなど、自分にとって有用な物を買うためだ」、なるほど。
・『資本家のいない経済システム  この種の経済は次のように表すことができる。Cは商品(梨や椅子)、Mはお金を表す。 C1→ M→C2 一見、これは資本主義を「個人間で有用な物を自由に交換すること」として、うまく説明しているように見える。ファーマーズマーケットやスークでの売買と同じだ。 しかし、ここに「資本家」は存在しない。人間の歴史のどの時代、どの場所でも、経済システムはおおむねこのようなものであった。それらと資本主義が異なるのは、資本家にとって価値の意味がまったく異なるからだ。 資本家は梨や椅子の有用性を認めるだろうが、彼らが梨や椅子を生産するのは、午後のおやつや座るための場所を得るためではなく、売って得たお金で他の有用な物を買うためでもない。目的はただ一つ、利益を生むことだ。) このシステムで重要なのは、物の使用価値ではなく、「交換価値」だ。それは次のように説明できる。 プライム(’)は量の増加を表す。 M→C→M’ これは使用価値経済とは正反対だ。だが、ここからが本題だ。 資本主義のもとでは、安定した利益を生むだけでは足りない。目標は、利益を再投資して生産プロセスを拡大し、前年より多くの利益を生むことだ。表すと次のようになる。 M→C→M’→C’→M”→C”→M’”……』、「資本主義のもとでは、安定した利益を生むだけでは足りない。目標は、利益を再投資して生産プロセスを拡大し、前年より多くの利益を生むことだ」、なるほど。 
・『地元のレストランと大企業の違い  ここで起きていることを理解するために、2つのタイプの企業を例に挙げよう。 1つは地元のレストランだ。その店は年末の収支決算では黒字になっているが、オーナーは毎年ほぼ同じ利益を出すことで満足している。家賃を支払い、家族を養い、夏の休暇に旅行するには十分な金額だ。 このビジネスは、「賃金を支払い、利益を出す」という資本主義論理の要素になっているかもしれないが、それ自体は資本主義ではない。 なぜなら、その利益は使用価値の概念に基づいているからだ。中小企業の大半はこうしたやり方で経営されており、このような店は資本主義が生まれる数千年前からあった。 では次に、エクソンモービル、フェイスブック、アマゾンといった大企業について考えてみよう。それらの企業の経営のあり方は、地元のレストランが好むような安定した手法ではない。 アマゾンの利益はジェフ・ベゾスの食卓に食べ物を並べるためだけでなく、会社を大きくするために使われる。競合他社を買収し、地元の小売店を廃業に追い込み、新しい国に進出し、より多くの支店をつくり、人々に不必要なものを買わせる広告キャンペーンを打つ。すべては、年々利益を増やし続けるためだ。) これは自己強化のサイクルであり、加速し続けるランニングマシンだ。お金は利益になり、その利益がより多くのお金をもたらし、そのお金がさらに多くの利益になる。 これが資本主義の特徴であることに、わたしたちは気づき始めている。要するに資本家にとって利益は、単に特定の必要(ニーズ)を満たすためのお金ではなく、資本なのだ』、「地元のレストランだ。その店は年末の収支決算では黒字になっているが、オーナーは毎年ほぼ同じ利益を出すことで満足している。家賃を支払い、家族を養い、夏の休暇に旅行するには十分な金額だ。 このビジネスは、「賃金を支払い、利益を出す」という資本主義論理の要素になっているかもしれないが、それ自体は資本主義ではない。 なぜなら、その利益は使用価値の概念に基づいているからだ。中小企業の大半はこうしたやり方で経営されており、このような店は資本主義が生まれる数千年前からあった」、「・・・アマゾンといった大企業について考えてみよう。それらの企業の経営のあり方は、地元のレストランが好むような安定した手法ではない。 アマゾンの利益はジェフ・ベゾスの食卓に食べ物を並べるためだけでなく、会社を大きくするために使われる。競合他社を買収し、地元の小売店を廃業に追い込み、新しい国に進出し、より多くの支店をつくり、人々に不必要なものを買わせる広告キャンペーンを打つ。すべては、年々利益を増やし続けるためだ。) これは自己強化のサイクルであり、加速し続けるランニングマシンだ。お金は利益になり、その利益がより多くのお金をもたらし、そのお金がさらに多くの利益になる。 これが資本主義の特徴である」、なるほど。
・『資本は永遠に自己増殖を求め続ける  重要なこととして、資本はさらなる資本を生み出すために再投資されなければならない。このプロセスは決して終わらず、ひたすら拡大し続ける。 地元のレストランが具体的な必要を満たすことを目指すのと違って、交換価値を蓄積するこのプロセスに明確な終点は存在しない。 それは根本的に人間の必要という概念から切り離されたものなのだ。 3つ目の公式を見れば、資本はウイルスに少々似たふるまいをすることがわかる。 ウイルスは自己複製するようプログラムされた遺伝子から成るが、それ自体は自己複製できない。自分を複製するには、宿主細胞に感染して、自分のDNAのコピーを作らせなければならない。 そうしてできたコピーが他の細胞に感染し、より多くのコピーを作らせる。ウイルスの唯一の目的は自己増殖だ。 資本もまた自己増殖の遺伝子から成り、ウイルスと同じように、触れるものすべてを自己増殖する自らのコピー、すなわち、より多くの資本に変えようとする。 このシステムは、永遠に拡大し続けるようプログラムされた圧倒的な破壊者、ジャガノート(注)になる』、「資本はさらなる資本を生み出すために再投資されなければならない。このプロセスは決して終わらず、ひたすら拡大し続ける」、「ウイルスの唯一の目的は自己増殖だ。 資本もまた自己増殖の遺伝子から成り、ウイルスと同じように、触れるものすべてを自己増殖する自らのコピー、すなわち、より多くの資本に変えようとする」、なるほど。
(注)ジャガノート:「止めることのできない巨大な力」「圧倒的破壊力」(Wikipedia)

次に、6月12日付け日経ビジネスオンライン「トマ・ピケティ氏とは? 資本主義と格差問題への提言を考える」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/010500499/
・『著書『21世紀の資本』で注目を集めたフランスの経済学者トマ・ピケティ氏。資本主義世界が自然発生的に格差を生み出すというピケティ氏の指摘は世界中で大きな反響を呼び、日本でも「ピケティ現象」を巻き起こした。ここではピケティ氏が指摘した格差問題について、過去記事から振り返っていく』、興味深そうだ。
・『資本主義が生む格差社会を指摘するトマ・ピケティ氏  トマ・ピケティ氏は、1971年生まれのフランスの経済学者だ。ピケティ氏が2013年に出版した『21世紀の資本』(英語版と日本語版は14年出版)は学術書としては異例の大ベストセラーとなり、ノーベル賞学者や米国の元財務長官からも絶賛された。 『21世紀の資本』でピケティ氏は、世界の約300年間の財務データから「資本主義の世界は格差を自然発生的に生み出す可能性がある」ことを実証した。そして格差是正のため国境を越えた「資産への累進課税」制度の導入を訴えている。 こうした提言は日本でも反響を呼び、15年にピケティ氏が初来日した際は「ピケティ現象」と呼ばれるブームを巻き起こした。 この記事ではピケティ氏が指摘する国内外の格差問題を取り上げた過去記事や、ピケティ氏のインタビュー記事を紹介していく』、「格差是正のため国境を越えた「資産への累進課税」制度の導入を訴えている」、筋が通った主張だ。
・『「市場で再分配が可能」という前提を疑え  ピケティ氏の『21世紀の資本』などをきっかけに、日本でも経済格差への新たな認識が広がりつつある。その認識とは、資本主義世界では政府による適切な介入や「何らかの大きな変革」がない限り、格差はますます拡大していくというものだ』、「再分配」は政府の役割だ。
・『「市場で再分配が可能」という前提を疑え  日本を含め、いま世界各国で貧富の格差や不平等への関心が高まっている。その認識とは、資本主義世界では政府による適切な介入や「何らかの大きな変革」がない限り、格差はますます拡大していくというものだ』、「政府による適切な介入」が必要だ。
・『「税金格差解消への処方箋」  社会問題となっている格差の中には「徴税の格差」もある。年収1000万円前後の給与所得者という「取りやすいところから取る」税制システムは日本の産業競争力にも影響すると考えられており、ピケティ氏の提言をきっかけに注目を集める「富裕税」の検討を求める声も上がりつつある』、「「取りやすいところから取る」税制システム」からの脱却が必要だ。
・『ピケティ氏×吉川洋教授「富の集中より重要な問題がある」  ピケティ氏は「高所得層には正直、あまり関心がない」と語る。世界中の格差問題において、高所得層の富のシェアがどの程度増えるかより、低所得層のシェアが減っていくことのほうが問題と考えているためだという』、「低所得層のシェアが減っていくことのほうが問題と考えている」、その通りだ。
・『文革から半世紀の分配政策  海外に目を向けると、特に格差の拡大が課題になっているのが中国だ。習近平(シー・ジンピン)氏は「共同富裕」を掲げて社会主義路線への回帰を進めるものの、上位1%の富裕層が国全体の富の約30%を占めるなど、格差は米国と同水準にまで広がっているという』、「上位1%の富裕層が国全体の富の約30%を占めるなど、格差は米国と同水準にまで広がっている」、中国は予想以上に「格差」が大きいようだ。
・中国が「新常態」に突き進む必然  ピケティ氏も「中国には経済が発展するほど格差が広がってしまう歴史的な構造要因がある」と指摘する。その上で「今のところ中国には格差を解消する手段がない。あったとしても不十分」とし、「税制度を改正して所得、不動産、相続に関する税の累進性を強化」することを提言している』、「税の累進性を強化」は格差解消の有力な手段だ。
・『「想定外」を生んだ米国の必然  格差問題が深刻な米国では、その影響が大統領選にまで及んでいる。16年にトランプ氏が「想定外」の勝利を収めた背景には、日本、韓国、中国などとの国際競争に苦しめられた白人低所得者層の怒りがあるという指摘もある』、その通りだ。
・『コロナ禍で広がる格差をどう是正するか  新型コロナウイルス禍において格差はますます広がっている。GAFA(米グーグル、米アップル、米フェイスブック=現メタ、米アマゾン・ドット・コム)に代表されるグローバルIT企業の時価総額は異常なほどの上昇を見せる中、観光業界や外食業界など対面サービスを基本とするサービス業では致命的なダメージを受ける企業が相次いでいるためだ』、「格差是正」は確かに重要な課題だ。
・『最後に  ピケティ氏が指摘した格差は、その後も解消に至らないどころか、コロナ禍でますます拡大している。格差問題の放置は経済界、ひいては国力にも深刻な影響を与えるだけに、ピケティ氏が提唱した累進課税制度はもちろん、ベーシックインカム(最低所得保障)などさまざまな政策の検討が必要だ。日本政府の動きにも引き続き注目していきたい』、「日本政府」は「格差問題」には残念ながら冷淡だ。
・『「市場で再分配が可能」という前提を疑え 「税金格差」解消への処方箋 ピケティ教授×吉川洋教授「富の集中より重要な問題がある」 文革から半世紀の分配政策 中国が「新常態」に 突き進む必然 「想定外」を生んだ米国の必然 コロナ禍で広がる格差をどう是正するか  さらに詳しい記事や、会員限定のコンテンツがすべて読める有料会員のお申し込みはこちら)』、「再分配」は政府の重要な役割で、「市場」に任せる訳にはいかない。

第三に、10月22日付け東洋経済オンラインが掲載した財務省出身で慶應義塾大学大学院教授の小幡 績氏による「崩壊している資本主義の後に来るものは何なのか 「ラグビーワールドカップ」でわかる国家の行方」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/710010
・『今回は、ラグビーワールドカップの話から始める。 この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら フランス大会も、準決勝が終われば、あとは10月29日の決勝(日本時間)を残すだけである。 私の印象に残っているのは、15日に行われた準々決勝の「アイルランド対ニュージーランド」。最後の10分、とくに約5分間の息もつかせぬ連続攻撃のアイルランド、しのぎ続けるニュージーランドの死闘はすばらしかった』、日本のマスコミは「日本」の対戦中心の偏った報道だ。
・『なぜ「つまらない日本戦」に国民の多くが感動したのか  一方、日本はアルゼンチンに負けてグループステージでの敗退となったが、これがつまらない試合だった。双方ノックオンなどミスの嵐だった。後半、疲れた日本は、底力の違いで完敗した。某民放のテレビ中継が、アナウンサーも解説者も騒ぎ立てる応援をしているのを見て、げんなりしてしまった。 しかし、このように日本戦がつまらなかったと言っているのは、日本では私だけで、多くの国民は感動の嵐に包まれたようだ。いったいなぜだろうか。 それは、私は「ラグビーの試合を見ていた」が、日本の国民の多くは「ワールドカップにおける日本を応援したいだけだったから」である。つまり、試合の内容など二の次、ラグビーでもサッカーでもバスケットボールでも何でもいい。日本代表が世界と戦っていればいいのである。 もちろん、オリンピックはこの状況が最高に盛り上がるイベントである。人間の肉体の限界を見たいのではなく、日本の選手が金メダルをとるのを見たいのである。 しかし、今後はこんな古臭い国家への愛着などとっくに消えうせ、これからはスポーツそのものを見ることだけに集中するような、成熟したエンターテインメント消費活動の形になっていくだろう。 と信じたいが、実際はむしろ逆だ。 ラグビーワールドカップは、年を追うごとに世界的な盛り上がりを高めているし、バスケットボールのワールドカップも始まった。もはや、3月にワールドベースボールクラシックで日本が優勝して国民が感動したのが忘れられかけているぐらい、毎日毎日、スポーツ観戦というエンターテインメント分野において、国家代表を応援して楽しむという消費活動がますます盛んになっているようだ』、「毎日毎日、スポーツ観戦というエンターテインメント分野において、国家代表を応援して楽しむという消費活動がますます盛んになっているようだ」、なるほど。
・『「国家代表が対決する世界大会」はすばらしいビジネス  なぜか。もちろん、それは、主催者側と広告代理店などのイベント屋が努力して動員を仕掛けているからである。この「国家代表が対決する世界大会」というイベントは盛り上がるし、何より儲かる。 なぜなら、すべての試合に一定数以上の観客が集まるからである。すなわち、日本戦であれば、日本の消費者は見る。フランス開催でフランス戦なら、スタジアムは超満員である。 しかし、スポーツだけを見るとなると、「日本対チリ戦」などという結果が見えている実力差のある試合など、ほとんど誰も見ない。「結局、今大会で楽しめた試合は『アイルランド対ニュージーランド戦』だけだった」ともなりかねない。 オリンピックの柔道なら、決勝戦だけ見ればいい。しかし、それではほとんどの試合がガラガラになってしまう。視聴率もゼロになってしまう。 一方、日本を応援して熱狂したい人々は、日本戦はすべて見る。ラグビーとしては接戦でなくとも、応援しているチームが圧倒的に勝つのを見るのは爽快である。だから、むしろみんな見るし、満足度も高い。盛り上がる。 各国代表それぞれに各国民がいるから、すべての試合がそうなる。だから、すべての試合で儲かる。そして、決勝戦はもちろん儲かる。すばらしいビジネスである。 オリンピックはまさにすばらしい発明である。1984年のロサンゼルスオリンピックは「商業五輪」の原点と言われるが、2002年のソルトレークシティーオリンピックなどは、IOC(国際オリンピック委員会)の理事のほとんどが賄賂をもらっていることが判明したにもかかわらず、公務員でないため罪にならず、辞職で済んでしまった。 2021年の東京オリンピックでも壮大な汚職が明らかになったが、大半の人々はオリンピックというエンターテインメントを失いたくないから、都合の悪い事件は忘れてしまい、オリンピックは依然盛り上がる。2030年の冬季オリンピックは、再びソルトレークシティーになる可能性もあるようだ。) つまり、国というのは、ビジネスにとって非常に便利なものなのである。国民国家とは、共同体という世界から抜け出すために生み出されたものであるにもかかわらず、なぜか強い「共同体的な」意識として、ビジネス界の権力者によって都合よく利用できるものとなっている』、「2021年の東京オリンピックでも壮大な汚職が明らかになったが、大半の人々はオリンピックというエンターテインメントを失いたくないから、都合の悪い事件は忘れてしまい、オリンピックは依然盛り上がる」、「国民国家とは、共同体という世界から抜け出すために生み出されたものであるにもかかわらず、なぜか強い「共同体的な」意識として、ビジネス界の権力者によって都合よく利用できるものとなっている」、なるほど。
・『なぜ国民国家が生まれ、今も残り続けているのか  そう考えると、国、国民国家というものはわれわれを知らず知らずのうちに不幸にしているものなのではないか。マルクス的な表現になるが、われわれを気づかないうちに搾取する手段にすぎないのではないか。 なぜ、こんな国民国家というものが生まれ、永続的と思えるまでに残り続けているのか。現代のわれわれから見ると、近代資本主義が誕生したときに、国民国家を受け入れてしまった近代欧州の人々は愚かだったのではないか。 すなわち、「ムラ」という共同体に所属するということは、中世の欧州では逃れられないしがらみでがんじがらめになることだと思われていた。それゆえ、中世の共同体的な社会から抜け出したのはすばらしいことのはずなのに、近代資本主義社会が始まると、中世までの共同体とは別の共同体にすぎない国民国家という新しいシステムに、なぜ「彼ら」は喜んで属してきたのだろうか。 しかし、逆に過去の「彼ら」からも、われわれは以下のような批判を受けるだろう。 君ら現代人こそ愚かではないか。オリンピックやワールドカップで、国別対抗世界選手権の祭りに動員され、金(カネ)を直接的(税金など)、間接的(CMを見ることにより洗脳される)に搾取されているのに、むしろそれを喜び、興奮している。馬鹿ではなかろうか、と。 しかも、21世紀の君たちは、もはや国民国家など必要ないはずだ。近代においては国民国家という枠組みがなければ、すぐに近隣の国民国家に取り込まれてしまう。国民国家という枠組みを超えた「帝国」に支配されてしまう。 国民国家は、自衛のための最強・最善の手段だったのだ。われわれはそういう必要性に基づき、国民国家を受け入れたのだ。君たちは国民国家というものを忘れている。いや、税金を取られたり、マスクをすることを強いられたり、面倒なことを強制される邪魔なものだと思っている。) しかし、法律には服さなければならず、それにもかかわらず、その法律を制定する議員たちも、そのトップの首相や大統領も、信用できない。好きでないどころか、支持すらできない。 不幸にも、19世紀か20世紀前半であるかのように勘違いした君主(あるいは帝国の皇帝)が武力で攻め込んできて、初めて国民国家の枠組みが必要であることを思い出す。しかし、そういう事件のない国の、平和ボケの人々や企業は、国境は邪魔で「なければいいのに」と思っている。国は経済活動を制約するだけの邪魔なものにすぎない。 それにもかかわらず、国民たちは、邪魔でいやなものだと思っている国民国家というものを、憂さ晴らしに(その憂鬱も国民国家という枠組みからきているかもしれないのに)、エンターテインメントの道具として、手っ取り早くストレス発散できる道具として活用している。 オリンピック、ワールドカップを楽しく使って、それが終わったら、首相の文句をいい、国というしがらみなんてなければいいのに、国籍なんて邪魔だという思いに戻る』、「平和ボケの人々や企業は、国境は邪魔で「なければいいのに」と思っている。国は経済活動を制約するだけの邪魔なものにすぎない。 それにもかかわらず、国民たちは、邪魔でいやなものだと思っている国民国家というものを、憂さ晴らしに・・・エンターテインメントの道具として、手っ取り早くストレス発散できる道具として活用している。 オリンピック、ワールドカップを楽しく使って、それが終わったら、首相の文句をいい、国というしがらみなんてなければいいのに、国籍なんて邪魔だという思いに戻る」、なるほど。
・『「近代資本主義」の本質とは何か  しかし実際には、たまに役に立つと思って利用しているワールドカップのときも、ビジネス権力を持つイベント会社やIOCに経済的に搾取されているだけなのだ。 こう考えてくると、戦争のために国民国家は必要なだけで、それ以外の局面では邪魔なだけになっているのではないか?人々を不幸にしているだけではないのか? 国民国家とは戦争のための動員手段であるというのは、高校の世界史教科書には出てこないが、それに近い常識であるから、今さらここで強調すべきことではない。 今、重要なのは、戦争以外の国家としての活動の意義を見いださない国民が大多数となっており、彼らはたまに国民のメリットを味わうが、そのときこそ国家君主による戦争への動員と同様に、ビジネス権力者によって搾取される被害が甚大になっていることに気づいていない、ということだ。 この事実こそが強調するように、国民国家という枠組みを利用して、ビジネス権力者が消費者かつ労働者である「国民」と名づけられた市民を搾取するというのが、近代資本主義の本質(の少なくとも1つ)なのである。) これは、さらに壮大な近代資本主義の構造を示唆している。すなわち、「国民国家」を要素の1つとして成立している近代資本主義とは、「ビジネス権力者」、もっと伝統的な言葉を使えば「資本家」が、国家を利用して、資本をさらに増大するシステムとして利用されてきたもののことである。 国民国家同士が戦争をすれば、兵隊と武器が必要となり、それらを調達するには金(カネ)が必要となる。そのカネを供給することで、資本家は戦争の勝敗を決定した。どの国家も資本を渇望したから、国家と資本の力関係は資本に圧倒的に有利だった。 だから、資本は増大し、戦争は続いた。経済成長も兵隊を増やし、兵隊となりうる国民の満足度、現代で言えば従業員満足度を上げるための手段であったから、資本は武器調達や傭兵というような目に見える資本調達を超えて、国家の命運を左右した』、「国民国家同士が戦争をすれば、兵隊と武器が必要となり、それらを調達するには金(カネ)が必要となる。そのカネを供給することで、資本家は戦争の勝敗を決定した。どの国家も資本を渇望したから、国家と資本の力関係は資本に圧倒的に有利だった。 だから、資本は増大し、戦争は続いた。経済成長も兵隊を増やし、兵隊となりうる国民の満足度、現代で言えば従業員満足度を上げるための手段であったから、資本は武器調達や傭兵というような目に見える資本調達を超えて、国家の命運を左右した」、なるほど。
・『近代資本主義、国民国家、民主主義が機能不全に  そして、これは武力による戦争以外でも同じことで、金融市場とは、まさに資本をどれだけ呼び込めるか、味方につけられるかで勝負は決まってきた。これがすべての面で成立してきた。 さらにいえば、民主主義というものもきれいなものとして人々に教え込まれているが、見方を変えれば、王侯貴族・旧領主層からブルジョワジーが権力を奪うために、民衆を「国民」と名付けて動員した仕組みと捉えられる。だからこそ、資本主義と民主主義は手に手を取って、同時期に発展してきたのである。 近代資本主義とは、市民を国民国家という形で君主が自分の国のために動員し、その国家を利用して資本が増殖していくという現象のことだった。市民は国家に搾取され、国家は資本に搾取された。そして、19世紀には資本家が労働者を搾取していることに悲鳴が上がったが、現代においては消費者は資本に直接搾取されても無自覚になってしまっているのである。 今や、近代資本主義と国民国家、この2つのシステムは同時に崩壊しかかっている。さらに民主主義も、明らかに機能不全に陥っている。) システムには寿命がある。しかも、資本主義は資本家たちが利用する中で形づくられてきたもので、制度設計をされて設置されたものではない。便宜上、システムと呼んで議論してきたが、それはシステムではなく、「設計図のない、事実上の擬似システム」にすぎないのである。だから、自然に経年劣化で崩壊していく。それが今起きているのだろう。 では、そのあとはどうなるのか。大混乱、アナーキズム(無政府主義)、カオス(渾沌状態)となるのだろうか。 私は、違うと思う。 人々は、ラグビーワールドカップで自国チームの選手を応援するのが大好きだ。しかし、国の代表選手は国籍は無関係に選ぶことができる。すなわち、(1)その国・地域で出生、(2)両親または祖父母のうち1人がその国・地域生まれ、(3)直前の5年間継続居住(2021年末までは3年間だった)、(4)通算10年居住――のうち、どれか1つを満たせば、その国の代表選手になれる。 しかも、1回限りではあるが、選手は所属する国を変更できるのである。つまり、過去にA国代表だった選手が、B国代表として出場でき、A国を倒して、B国の国民から喝采を浴びるのである。滅茶苦茶だ。しかし、国民たちは誰もそんなことは気にしない。この形での日本代表を喜んで応援するのである』、「システムには寿命がある。しかも、資本主義は資本家たちが利用する中で形づくられてきたもので、制度設計をされて設置されたものではない。便宜上、システムと呼んで議論してきたが、それはシステムではなく、「設計図のない、事実上の擬似システム」にすぎないのである。だから、自然に経年劣化で崩壊していく。それが今起きているのだろう。 では、そのあとはどうなるのか。大混乱、アナーキズム(無政府主義)、カオス(渾沌状態)となるのだろうか。 私は、違うと思う。 人々は、ラグビーワールドカップで自国チームの選手を応援するのが大好きだ。しかし、国の代表選手は国籍は無関係に選ぶことができる・・・しかも、1回限りではあるが、選手は所属する国を変更できるのである。つまり、過去にA国代表だった選手が、B国代表として出場でき、A国を倒して、B国の国民から喝采を浴びるのである。滅茶苦茶だ。しかし、国民たちは誰もそんなことは気にしない。この形での日本代表を喜んで応援するのである」、なるほど。
・『疲弊した資本主義の次に来るもの  これは何を意味するか。人々は、共同体に所属するのが大好きなのである。ただし、ご都合主義のいいとこ取りで、勝手に自由自在に共同体を都合よく変形し、次々と乗り換えるのである。SNSコミュニティーなどを見てもわかるように、便利な共同体を自由自在に好きなときに(大概は一時的にのみ)利用したいのである。 したがって、次の社会体制は、柔軟なローカルコミュニティー、国家は要らないが、ローカルでフレキシブルにしがらみと共感をバランスよく使い分けられる、小さな共同体から構成されるものとなるだろう。 国民国家は要らない。便利な共同体は要る。その結果、「コンビニエンス・コミュニティー・システム」という社会が、資本主義の次に来ることになるだろう。 (本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)』、「次の社会体制は、柔軟なローカルコミュニティー、国家は要らないが、ローカルでフレキシブルにしがらみと共感をバランスよく使い分けられる、小さな共同体から構成されるものとなるだろう。 国民国家は要らない。便利な共同体は要る。その結果、「コンビニエンス・コミュニティー・システム」という社会が、資本主義の次に来ることになるだろう」、小幡氏らしいユニークな問題提起だ。私自身は途中からついてゆけなくなった。ただ、頭の体操としては、極めて興味深いと感じる。
タグ:「再分配」は政府の重要な役割で、「市場」に任せる訳にはいかない。 「政府による適切な介入」が必要だ。 「再分配」は政府の役割だ。 「格差是正のため国境を越えた「資産への累進課税」制度の導入を訴えている」、筋が通った主張だ。 日経ビジネスオンライン「トマ・ピケティ氏とは? 資本主義と格差問題への提言を考える」 (その11)(資本主義は「加速し続けるランニングマシン」だ 「交換価値」を求め続ける自己増殖システム、トマ・ピケティ氏とは? 資本主義と格差問題への提言を考える、崩壊している資本主義の後に来るものは何なのか 「ラグビーワールドカップ」でわかる国家の行方) (注)ジャガノート:「止めることのできない巨大な力」「圧倒的破壊力」(Wikipedia) 「資本はさらなる資本を生み出すために再投資されなければならない。このプロセスは決して終わらず、ひたすら拡大し続ける」、「ウイルスの唯一の目的は自己増殖だ。 資本もまた自己増殖の遺伝子から成り、ウイルスと同じように、触れるものすべてを自己増殖する自らのコピー、すなわち、より多くの資本に変えようとする」、なるほど。 がより多くのお金をもたらし、そのお金がさらに多くの利益になる。 これが資本主義の特徴である」、なるほど。 「・・・アマゾンといった大企業について考えてみよう。それらの企業の経営のあり方は、地元のレストランが好むような安定した手法ではない。 アマゾンの利益はジェフ・ベゾスの食卓に食べ物を並べるためだけでなく、会社を大きくするために使われる。競合他社を買収し、地元の小売店を廃業に追い込み、新しい国に進出し、より多くの支店をつくり、人々に不必要なものを買わせる広告キャンペーンを打つ。すべては、年々利益を増やし続けるためだ。) これは自己強化のサイクルであり、加速し続けるランニングマシンだ。お金は利益になり、その利益 「地元のレストランだ。その店は年末の収支決算では黒字になっているが、オーナーは毎年ほぼ同じ利益を出すことで満足している。家賃を支払い、家族を養い、夏の休暇に旅行するには十分な金額だ。 このビジネスは、「賃金を支払い、利益を出す」という資本主義論理の要素になっているかもしれないが、それ自体は資本主義ではない。 なぜなら、その利益は使用価値の概念に基づいているからだ。中小企業の大半はこうしたやり方で経営されており、このような店は資本主義が生まれる数千年前からあった」、 「資本主義のもとでは、安定した利益を生むだけでは足りない。目標は、利益を再投資して生産プロセスを拡大し、前年より多くの利益を生むことだ」、なるほど。 資本主義 「システムには寿命がある。しかも、資本主義は資本家たちが利用する中で形づくられてきたもので、制度設計をされて設置されたものではない。便宜上、システムと呼んで議論してきたが、それはシステムではなく、「設計図のない、事実上の擬似システム」にすぎないのである。だから、自然に経年劣化で崩壊していく。それが今起きているのだろう。 では、そのあとはどうなるのか。大混乱、アナーキズム(無政府主義)、カオス(渾沌状態)となるのだろうか。 「経済は「使用価値」〔人間の必要(ニーズ)を満たす有用性〕を中心に回っていたことを理解することだ」、「わたしたちが店に行くのは、夕食の材料や冬の寒さをしのぐためのジャケットなど、自分にとって有用な物を買うためだ」、なるほど。 「日本政府」は「格差問題」には残念ながら冷淡だ。 「格差是正」は確かに重要な課題だ。 「税の累進性を強化」は格差解消の有力な手段だ。 『資本主義の次に来る世界』 「低所得層のシェアが減っていくことのほうが問題と考えている」、その通りだ。 「「取りやすいところから取る」税制システム」からの脱却が必要だ。 ジェイソン・ヒッケル氏による「資本主義は「加速し続けるランニングマシン」だ 「交換価値」を求め続ける自己増殖システム」 小幡氏らしいユニークな問題提起だ。私自身は途中からついてゆけなくなった。ただ、頭の体操としては、極めて興味深いと感じる。 東洋経済オンライン 小幡 績氏による「崩壊している資本主義の後に来るものは何なのか 「ラグビーワールドカップ」でわかる国家の行方」 「次の社会体制は、柔軟なローカルコミュニティー、国家は要らないが、ローカルでフレキシブルにしがらみと共感をバランスよく使い分けられる、小さな共同体から構成されるものとなるだろう。 国民国家は要らない。便利な共同体は要る。その結果、「コンビニエンス・コミュニティー・システム」という社会が、資本主義の次に来ることになるだろう」、 私は、違うと思う。 人々は、ラグビーワールドカップで自国チームの選手を応援するのが大好きだ。しかし、国の代表選手は国籍は無関係に選ぶことができる・・・しかも、1回限りではあるが、選手は所属する国を変更できるのである。つまり、過去にA国代表だった選手が、B国代表として出場でき、A国を倒して、B国の国民から喝采を浴びるのである。滅茶苦茶だ。しかし、国民たちは誰もそんなことは気にしない。この形での日本代表を喜んで応援するのである」、なるほど。 「上位1%の富裕層が国全体の富の約30%を占めるなど、格差は米国と同水準にまで広がっている」、中国は予想以上に「格差」が大きいようだ。 「国民国家同士が戦争をすれば、兵隊と武器が必要となり、それらを調達するには金(カネ)が必要となる。そのカネを供給することで、資本家は戦争の勝敗を決定した。どの国家も資本を渇望したから、国家と資本の力関係は資本に圧倒的に有利だった。 だから、資本は増大し、戦争は続いた。経済成長も兵隊を増やし、兵隊となりうる国民の満足度、現代で言えば従業員満足度を上げるための手段であったから、資本は武器調達や傭兵というような目に見える資本調達を超えて、国家の命運を左右した」、なるほど。 オリンピック、ワールドカップを楽しく使って、それが終わったら、首相の文句をいい、国というしがらみなんてなければいいのに、国籍なんて邪魔だという思いに戻る」、なるほど。 「平和ボケの人々や企業は、国境は邪魔で「なければいいのに」と思っている。国は経済活動を制約するだけの邪魔なものにすぎない。 それにもかかわらず、国民たちは、邪魔でいやなものだと思っている国民国家というものを、憂さ晴らしに・・・エンターテインメントの道具として、手っ取り早くストレス発散できる道具として活用している。 「国民国家とは、共同体という世界から抜け出すために生み出されたものであるにもかかわらず、なぜか強い「共同体的な」意識として、ビジネス界の権力者によって都合よく利用できるものとなっている」、なるほど。 「2021年の東京オリンピックでも壮大な汚職が明らかになったが、大半の人々はオリンピックというエンターテインメントを失いたくないから、都合の悪い事件は忘れてしまい、オリンピックは依然盛り上がる」、 「毎日毎日、スポーツ観戦というエンターテインメント分野において、国家代表を応援して楽しむという消費活動がますます盛んになっているようだ」、なるほど。 日本のマスコミは「日本」の対戦中心の偏った報道だ。
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イスラエル・パレスチナ(その1)(ハマス襲撃を許したイスラエル「4つの大失敗」 中東随一の「セキュリティ網」なぜ突破された?、イスラエル支援のアメリカが最も恐れるシナリオ 楽観から一転 望めなくなった中東の安定、イスラエルの歴史家が予見「ハマス紛争」次の展開 1948年以降で最大の危機 和平の機会はあるか?) [世界情勢]

今日は、イスラエル・パレスチナ(その1)(ハマス襲撃を許したイスラエル「4つの大失敗」 中東随一の「セキュリティ網」なぜ突破された?、イスラエル支援のアメリカが最も恐れるシナリオ 楽観から一転 望めなくなった中東の安定、イスラエルの歴史家が予見「ハマス紛争」次の展開 1948年以降で最大の危機 和平の機会はあるか?)を取上げよう。

先ずは、10月12日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「ハマス襲撃を許したイスラエル「4つの大失敗」 中東随一の「セキュリティ網」なぜ突破された?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/707835
・『10月7日の夜明けにイスラエルへの奇襲攻撃が行われる前、イスラエル情報部は、監視しているパレスチナ自治区の武装勢力のネットワークの一部で活動が急増しているのを察知していた。イスラエルの治安当局の高官2人によれば、異変を察知した彼らは、ガザ地区国境を警備するイスラエル軍兵士に警告を送った。 ところが、兵士がそれを受け取らなかったか、兵士がそれを読まなかったために、警告は実行されなかった』、「イスラエル軍兵士」はもっとピリピリしていると思っていたが、そうでもないようだ。
・『遠隔操作を「阻止」  その直後、ガザ地区を支配するイスラム勢力の1つ、ハマスが無人偵察機を送り込み、イスラエル軍の携帯通信局と国境沿いの監視塔のいくつかを機能停止させ、当直将校がビデオカメラで遠隔監視するのを妨げた。ドローンはまた、イスラエルが国境の要塞に設置した遠隔操作の機関銃を破壊し、地上攻撃に対抗する重要な手段を取り除いた。 そのため、ハマスの戦闘員が国境フェンスに近づき、その一部を爆破したり、数カ所で驚くほど簡単にブルドーザーで破壊したりすることが容易になり、何千人ものパレスチナ人がその隙間を通り抜けることができるようになった。 センシティブな案件であり、現段階での評価しかできないとの理由で匿名を条件に取材に応じたイスラエル安全保障当局の4人の高官によれば、当局による後方支援や情報面でのさまざまな不手際は、ガザからイスラエル南部への侵入を容易にした。) イスラエルの20以上の町と軍基地への大胆な侵入は、過去50年間で最悪のイスラエル防衛網の破壊であり、国民の安全意識を打ち砕いた。何時間にもわたって、中東最強の軍隊は、自軍よりはるかに戦力的に劣る敵を反撃する力を失い、下着姿の兵士を含む900人以上のイスラエル人を殺害し、少なくとも150人を拉致、4つの軍事キャンプを制圧し、イスラエル領土の30平方マイル以上にわたって拡散した攻撃者集団に対してほとんど無防備のままだった』、「ハマス」側の作戦は見事で、「イスラエル側」の対応はお粗末だったようだ。
・『安全保障上4つの致命的失敗  この4人の当局者は、初期の評価に基づくと、ハマスによる攻撃の成功は、イスラエルの情報機関や軍による以下のような安全保障上の失敗に根ざしているとしている。 ・パレスチナの攻撃者が使用する主要な通信チャネルを監視する情報将校の怠慢 ・国境監視装置に過度に依存し、攻撃者が簡単にシャットダウンできたため、攻撃者が軍事基地を襲撃し、兵士を寝床で殺害することができた ・侵攻の初期段階で制圧された単一の国境基地に司令官を集中させ、他の軍隊との連絡を妨げたこと ・そして、パレスチナ人がイスラエルに監視されていることを知りながら民間チャネルで行った、ガザ地区の軍事指導者たちによる「戦闘の準備はしていない」という主張を額面通りに受け入れる姿勢 「われわれはハマスの情報収集に何十億も何百億も費やしている」とイスラエル国家安全保障会議の元高官ヨエル・グザンスキーは語る。「そして一瞬にして、ドミノ倒しのようにすべてが崩壊した」。) 最初の失敗は攻撃の数カ月前に起こった。イスラエルの安全保障担当者が、ハマスがガザからイスラエルにもたらす脅威の程度について誤った推測をしたためだ。 ハマスが過去1年間に2度の戦闘に参加しなかったことで、ガザの小規模武装組織であるパレスチナ・イスラム聖戦が単独でイスラエルに対抗できるようになった。先月、ハマス指導部はまた、カタールの仲介による合意で、国境沿いの暴動を終結させ、エスカレートは考えていないとの印象を与えた』、「「われわれはハマスの情報収集に何十億も何百億も費やしている」とイスラエル国家安全保障会議の元高官ヨエル・グザンスキーは語る。「そして一瞬にして、ドミノ倒しのようにすべてが崩壊した」、「最初の失敗は攻撃の数カ月前に起こった。イスラエルの安全保障担当者が、ハマスがガザからイスラエルにもたらす脅威の程度について誤った推測をしたためだ。 ハマスが過去1年間に2度の戦闘に参加しなかったことで、ガザの小規模武装組織であるパレスチナ・イスラム聖戦が単独でイスラエルに対抗できるようになった。先月、ハマス指導部はまた、カタールの仲介による合意で、国境沿いの暴動を終結させ、エスカレートは考えていないとの印象を与えた」、なるほど。
・『ハマス側の「演出」にだまされた?  イスラエルの国家安全保障顧問であるツァチ・ハネグビは、襲撃の6日前にラジオのインタビューで、「ハマスがこれ以上反抗することの意味を理解している」と語った。 イスラエル情報当局が先週、国の防衛に対する最も差し迫った脅威について上級安全保障責任者に説明した際、彼らはイスラエル北部の国境沿いのレバノン過激派がもたらす危険に焦点を当てた。ハマスによる活動についてはほとんど触れられなかった。情報筋によると、イスラエル当局は、ハマス自体が抑止力になっていると伝えたという。 イスラエル諜報機関によって盗聴されたハマスの工作員たちによる通話では、2021年5月に起こった2週間にわたる衝突の後、すぐにイスラエルとの再戦を避けようとしているように感じたと、イスラエル政府高官の2人は語る。イスラエル諜報機関は現在、これらの通話が本物か演出かを調べているという。 次の失敗は作戦上のものだった。 2人の高官によれば、イスラエルの国境監視システムは、遠隔操作可能なカメラ、センサー、機関銃にほぼ全面的に依存していたという。 イスラエルの司令官たちは、このシステムが難攻不落だと過信していた。司令官らは遠隔監視と武器、地上のバリア、ハマスがイスラエルにトンネルを掘るのを阻止する地下の壁などがあれば、ガザからの大量侵入の可能性が低くなり、国境線に沿って物理的に駐留する兵士の数を減らすことができると考えていた。) 長年、イスラエル南部の地上部隊を指揮し、2003年から2005年までイスラエル国防軍の作戦部長を務め、最近、戦争のために再び予備役として採用されたイスラエル・ジブ退役少将によれば、この体制が整ったことで、軍はヨルダン川西岸を含む他の懸念地域に兵士を移動させ、部隊の数を減らし始めたという。 「部隊の間引きは、フェンスの建設と、あたかもフェンスが無敵で何者も通過できないかのようなオーラを醸し出していたため、合理的に思えた」とジブは話す』、「イスラエル諜報機関によって盗聴されたハマスの工作員たちによる通話では、2021年5月に起こった2週間にわたる衝突の後、すぐにイスラエルとの再戦を避けようとしているように感じたと、イスラエル政府高官の2人は語る。イスラエル諜報機関は現在、これらの通話が本物か演出かを調べているという」、偽のオトリ情報を信じ込むとは。 初歩的な失敗だ。「次の失敗は作戦上のものだった。 2人の高官によれば、イスラエルの国境監視システムは、遠隔操作可能なカメラ、センサー、機関銃にほぼ全面的に依存していたという。 イスラエルの司令官たちは、このシステムが難攻不落だと過信していた。司令官らは遠隔監視と武器、地上のバリア、ハマスがイスラエルにトンネルを掘るのを阻止する地下の壁などがあれば、ガザからの大量侵入の可能性が低くなり、国境線に沿って物理的に駐留する兵士の数を減らすことができると考えていた・・・イスラエル・ジブ退役少将によれば、この体制が整ったことで、軍はヨルダン川西岸を含む他の懸念地域に兵士を移動させ、部隊の数を減らし始めたという。 「部隊の間引きは、フェンスの建設と、あたかもフェンスが無敵で何者も通過できないかのようなオーラを醸し出していたため、合理的に思えた」、監視システムへの過信が原因になったようだ。
・『遠隔操作システムの「脆弱性」  しかし、遠隔操作システムには脆弱性があった。遠隔操作で破壊することも可能だったのだ。ハマスがその弱点を利用し、監視システムとの間で信号を送受信する携帯電話の電波塔を攻撃するためにドローンを飛ばしたと、関係者や、7日にハマスによって利用され、ニューヨーク・タイムズによって分析されたドローンの映像は示している。 携帯電話の信号がなければ、システムは役に立たない。前線後方の司令室に配置された兵士たちは、ガザとイスラエルを隔てるフェンスが破られたという警報を受け取れず、ハマスの攻撃者がバリケードをブルドーザーで壊している場所を映したビデオを見ることもできなかった。さらに、バリアはイスラエル当局が予想していたよりも簡単に突破できることが判明した。 そのため、1500人以上のハマスの戦闘員が国境沿いの30近い地点を突破し、そのうちの何人かはハングライダーでバリケードの上を飛び、少なくとも4つのイスラエル軍基地に到達した。 イスラエル政府関係者の1人が公開した写真によれば、多数のイスラエル軍兵士が宿舎で寝ているところを銃撃された。中には下着姿の兵士もいた。 第2の作戦上の失敗は、陸軍ガザ師団の指導者たちが国境沿いの1カ所に集まっていたことだ。イスラエル政府関係者2人によれば、基地が制圧されると、幹部のほとんどが殺されるか、負傷するか、人質に取られた。) この状況は、無人機による空爆によって引き起こされたコミュニケーションの問題と相まって、協調的な対応を妨げていた。このため、イスラエルのほかの地域から反撃に駆けつけた司令官を含め、国境沿いの誰もが攻撃の全容を把握することができなかった。 反撃の指揮を執ったイスラエル軍司令官のダン・ゴールドファス准将は、「さまざまなテロ攻撃の全体像を把握するのは非常に困難だった」と語る。 ある地点で、同氏は偶然、別隊の司令官と出会った。その場で2人は、それぞれの部隊が奪還を試みる村をその場その場で決めた。「自分たちだけで決めた」とゴールドファスは語る。「そうやって村から村へと移動していった」』、「遠隔操作システムには脆弱性があった。遠隔操作で破壊することも可能だったのだ。ハマスがその弱点を利用し、監視システムとの間で信号を送受信する携帯電話の電波塔を攻撃するためにドローンを飛ばした・・・携帯電話の信号がなければ、システムは役に立たない。前線後方の司令室に配置された兵士たちは、ガザとイスラエルを隔てるフェンスが破られたという警報を受け取れず、ハマスの攻撃者がバリケードをブルドーザーで壊している場所を映したビデオを見ることもできなかった。さらに、バリアはイスラエル当局が予想していたよりも簡単に突破できることが判明した。 そのため、1500人以上のハマスの戦闘員が国境沿いの30近い地点を突破し、そのうちの何人かはハングライダーでバリケードの上を飛び、少なくとも4つのイスラエル軍基地に到達した」、なんということだろう。
・『数分で着くところに数時間かかった  こうしたことから、特に初期の段階では、テルアビブの軍最高司令部に事態の深刻さを伝えるのは困難だった。 その結果、多くのコミュニティで攻撃の報告がソーシャルメディアに上がっても、大規模で迅速な航空援護が直ちに必要だとは誰も感じなかった。イスラエル政府関係者と奇襲の生存者の2人によれば、空軍は飛行時間にしてわずか数分の距離に基地があるにもかかわらず、この地域の上空に到着するまでに数時間を要したという。 この事態はイスラエルの安全保障に壊滅的な打撃を与え、信頼できる軍事パートナーとしてのイスラエルの地域的評判を損なう可能性もある。 7日以前は、「イスラエルは安全保障問題において、この地域の多くの国にとって資産だった」とグザンスキーは言う。「今のイメージは、イスラエルは資産ではないというものだ」。 イスラエル安全保障局は、最初の失敗の規模に異論はない。しかし、戦争が終わってからしか本格的な調査はできないとしている。 「まずはこれを終わらせる」と、軍のスポークスパーソンであるリチャード・ヘクト中佐は、軍がこの地域における支配権を取り戻そうとする準備をする中でこう語った。また、失敗についても「調査されるはずだ」と語っている』、「空軍は飛行時間にしてわずか数分の距離に基地があるにもかかわらず、この地域の上空に到着するまでに数時間を要したという。 この事態はイスラエルの安全保障に壊滅的な打撃を与え、信頼できる軍事パートナーとしてのイスラエルの地域的評判を損なう可能性もある。 7日以前は、「イスラエルは安全保障問題において、この地域の多くの国にとって資産だった」とグザンスキーは言う。「今のイメージは、イスラエルは資産ではないというものだ」。 「資産」ではなくなったとすれば、さしずめマイナスの効果を持つ負債なのかも知れない。

次に、10/14東洋経済オンラインが掲載した米州住友商事会社ワシントン事務所 調査部長の渡辺 亮司氏による「イスラエル支援のアメリカが最も恐れるシナリオ 楽観から一転、望めなくなった中東の安定」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/708324
・『「9.11(アメリカ同時多発テロ事件)の10倍に値する」。 10月12日、イスラエルを訪問したアントニー・ブリンケン米国務長官は、パレスチナ・ガザ地区を実効支配する武装組織ハマスによるイスラエル攻撃の被害の大きさを、アメリカ国民も理解できるよう国の人口に対する被害者数の比率の大きさで語った。 ハマスの攻撃後、バイデン政権はイスラエル支援を表明し、イスラエル軍のガザ地区への地上侵攻も事実上支持。イスラエル・ハマス紛争を契機に、アメリカは泥沼化する中東情勢に再び深く関与せざるをえない様相を呈している』、興味深そうだ。
・『アメリカ社会で影響力を持つユダヤ系  欧州などの迫害を逃れたユダヤ系がアメリカに移住した長い歴史から、アメリカとイスラエルの関係は近い。ハマスのイスラエル侵攻以降、ワシントン近郊在住のユダヤ系アメリカ人から、イスラエルに住む親戚や友人を心配する声を聞くようになった。 長年、アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)など圧力団体のロビー活動もあり、アメリカ政治では、イスラエル寄りの見方が支配的だ。産業界やメディアでも同じだ。この背景にはアメリカ社会におけるユダヤ系の大きな影響力がある。 ピュー研究所によるとアメリカ在住のユダヤ系は2020年時点で計750万人、全国民の約2.4%に過ぎない。とはいえ、その人口はイスラエルに住むユダヤ人に匹敵する。アメリカ在住のユダヤ系は都市部に集中し、金融をはじめとする産業界や大手メディア、シンクタンク、学界、政界などアメリカ社会の中枢で活躍している。) バイデン政権は2021年8月にアメリカ軍のアフガニスタン撤退を完了し、同年末にイラク駐留軍の戦闘任務を終了させた。2022年に発表した国家安全保障戦略(NSS)からも、バイデン政権は対テロ戦争から「唯一の競争相手」として位置付ける中国との覇権争いに焦点をシフトしたことが明確であった。 そのため、バイデン政権は中東の安定を望んできた。 バイデン政権の外交政策の中核を担うジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は9月末、「中東地域は、過去20年で最も安定している」と語り、楽観的な見方を示したばかりであった。 しかし、イスラエル・ハマス紛争は今後、ますます中東地域の不安定化をもたらし、アメリカの中東に対する関与の拡大は必至だ。アジアに焦点をシフトしていたバイデン政権だが、少なくとも当面は中東情勢に対処しなければならなくなった』、「アメリカ在住のユダヤ系は2020年時点で計750万人、全国民の約2.4%に過ぎない。とはいえ、その人口はイスラエルに住むユダヤ人に匹敵する。アメリカ在住のユダヤ系は都市部に集中し、金融をはじめとする産業界や大手メディア、シンクタンク、学界、政界などアメリカ社会の中枢で活躍している」、「アメリカ在住のユダヤ系は2020年時点で計750万人」と「イスラエルに住むユダヤ人に匹敵する」、とは初めて知った。
・『最大のリスクは中東全域への飛び火  今日、バイデン政権が最も恐れるのが、中東地域で戦火が拡大することだ。イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに侵攻すれば、レバノンを拠点とするシーア派組織ヒズボラが、イスラエルを北部から本格的に攻撃する可能性が高まる。ヒズボラはイスラエル全域を射程範囲とするミサイルを保有することからも、アメリカ政府はとくに警戒している。 イスラエルがヒズボラに応戦することで、ヒズボラの背後にいるイランも応戦するリスクがある。さらには、親イラン武装勢力のフーシ派などが、サウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸諸国・周辺国を攻撃するリスクなども懸念されている。 つまり、戦火はガザ・イスラエルに止まらず、中東全域に拡大するリスクを秘めている。 そのため、ワシントンでは今のうちに念のため、中東各国の駐在員などの国外退避計画を準備しておくべきといった議論も出てきている。仮に戦火が拡大した場合、フライト手配などがより困難となるリスクがあるというのだ。) 10月13日、首都ワシントンの南バージニア州ノーフォーク海軍基地より、ドワイト・アイゼンハワー航空母艦がイスラエル沖の東地中海に向け出航。イタリア海軍との軍事訓練を終えたばかりのジェラルド・フォード航空母艦とともにイスラエル沖に配備され、アメリカは戦火拡大を抑止することを狙っている。 しかし、ヒズボラなどがアメリカの意図を正確に把握するかどうか、あるいは把握していてもロジカルに行動するかは不明だ。ガザ地区にイスラエル軍が侵攻した後、事態がエスカレートすれば、航空母艦のプレゼンスなどによる抑止がどこまで効果を発揮するかは不透明だ』、「イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに侵攻すれば、レバノンを拠点とするシーア派組織ヒズボラが、イスラエルを北部から本格的に攻撃する可能性が高まる。ヒズボラはイスラエル全域を射程範囲とするミサイルを保有することからも、アメリカ政府はとくに警戒している。 イスラエルがヒズボラに応戦することで、ヒズボラの背後にいるイランも応戦するリスクがある。さらには、親イラン武装勢力のフーシ派などが、サウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸諸国・周辺国を攻撃するリスクなども懸念されている。 つまり、戦火はガザ・イスラエルに止まらず、中東全域に拡大するリスクを秘めている」、「事態がエスカレートすれば、航空母艦のプレゼンスなどによる抑止がどこまで効果を発揮するかは不透明だ」、なるほど。
・『原油価格の上昇でインフレ再燃も  仮にヒズボラが参戦すれば、バイデン政権はイランに対する原油制裁の取り締まりを厳格化し、イラン産原油の輸入国にも圧力を強めるであろう。またイラン政府によるホルムズ海峡封鎖の懸念の声もある。原油増産などでサウジアラビアの協力を得るのも、イスラエル軍を支援するアメリカはより困難となるであろう。 中東での戦火拡大は原油価格上昇、ガソリン価格上昇をもたらす公算が大きい。 9月、アメリカの消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.7%上昇と、2022年ピーク時の9.1%上昇からは大幅に下落。だが、中東情勢悪化を契機にインフレ懸念が再燃し、バイデン政権の経済政策に対する不満が高まるかもしれない。今後、大方の予想通り紛争が長引けば、2024年11月大統領選でバイデン再選に向かい風が吹くことが予想される。) 共和党の一部は、バイデン政権の対イラン弱腰外交がハマスのイスラエル攻撃の原因とも訴えている。バイデン政権のアメリカ軍アフガニスタン撤退の失態を発端に、ロシアのウクライナ侵攻、そしてイスラエル・ハマス紛争など連鎖が起きているとの指摘もある。 上院外交委員長や副大統領など経験が豊富なバイデン氏は、政権発足当初、外交政策が強みと見られていた。だが、今やその外交政策が同氏の信頼喪失を招き、支持回復の足を引っ張っている』、「上院外交委員長や副大統領など経験が豊富なバイデン氏は、政権発足当初、外交政策が強みと見られていた。だが、今やその外交政策が同氏の信頼喪失を招き、支持回復の足を引っ張っている」、確かに最近の「バイデン」は見ていられない。
・『国内でデモ拡大にテロリスクも  なお、イスラエル・ハマス紛争で、アメリカ国内のテロリスクも懸念され始めている。ここ数日、ワシントン近郊のユダヤ系の建物、教会などでは警備が強化されている。 アメリカ国内ではイスラエル支持が強い。だが、イスラエル政府によるパレスチナ人迫害が、ハマスのイスラエル攻撃を招いたとの主張も一部に存在する。全米の大学のキャンパスでは、イスラエル支持派とパレスチナ支持派で意見の対立が浮き彫りとなっている。筆者も、卒業生の間で非難の応酬を目の当たりにした。 今後、国内でのデモ活動拡大やテロなど社会不安リスクは懸念材料だ。 9.11から約2年後の2003年10月、ドナルド・ラムズフェルド国防長官(当時)は、国防総省幹部に送付した書簡で「神学校と過激な聖職者がアメリカに対抗する人物をリクルート、育成、派遣するよりも多く、われわれはテロリストを毎日、捕獲、殺害、抑止、説得しているだろうか」と記述。自らが指揮を執っていたアメリカの対テロ戦争の成果について疑問を投げかけた。 ハマス破滅を狙うイスラエルに強力な支援を表明しているアメリカ政府だが、中東での戦火が拡大し、人道危機が長期化すれば、国民から同様の疑問の声が出てくるかもしれない。その際、アメリカ社会の中枢にいるユダヤ系の政権への影響力が試される。 いずれにせよ、バイデン政権は再び中東情勢に深入りすることとなり、当面は同地域がアメリカの頭痛の種となること必至だ』、「ハマス破滅を狙うイスラエルに強力な支援を表明しているアメリカ政府だが、中東での戦火が拡大し、人道危機が長期化すれば、国民から同様の疑問の声が出てくるかもしれない。その際、アメリカ社会の中枢にいるユダヤ系の政権への影響力が試される。 いずれにせよ、バイデン政権は再び中東情勢に深入りすることとなり、当面は同地域がアメリカの頭痛の種となること必至だ」、ユダヤ系の政権への影響力がいくら強いとはいえ、「アメリカ」が「イスラエル」全面支持というは頂けない。アラブ諸国を再び敵に回すのはいかにも不味い。トランプだったら、どうするだろうか。

第三に、10月20日付け東洋経済オンラインが掲載した 歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏による「イスラエルの歴史家が予見「ハマス紛争」次の展開 1948年以降で最大の危機、和平の機会はあるか?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/709887
・『パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織「ハマス」は10月7日、イスラエルへの大規模な奇襲攻撃を仕掛けて以来、激しい軍事衝突が続いている。はたして和平は可能なのか。『サピエンス全史』著者でイスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏(ヘブライ大学教授)の寄稿文を掲載する』、興味深そうだ。
・『政治はしばしば科学実験のように行われる  イスラエルはつい先日、建国以来最悪の日を経験した。1956年のシナイ作戦(訳注:第2次中東戦争)と1967年の6日間戦争(訳注:第3次中東戦争)と2006年の第2次レバノン戦争で失った民間人と兵士の合計を上回る数のイスラエルの一般市民が、たった1日で虐殺されたのだ。イスラム原理主義組織ハマスに占領された地域からのニュースと画像には身の毛がよだつ。私自身の友人や親族の多くも、言語に絶する残虐行為の被害に遭った。これは、今やパレスティナの人々もまた、計り知れぬ危険に直面していることを意味する。中東で最強の国であるイスラエルが、痛みと恐れと怒りで青ざめているのだから。パレスティナの人々の目に現状がどう映っているか、私にはわからないし、それについて語る道徳的権限もない。だが、イスラエルがこの上ない痛みを覚えている今、フェンスのイスラエル側からは、状況がどのように見えるかに関して、警告を発したい。 政治はしばしば、科学実験のように行われる。膨大な数の人を対象にし、倫理的な限度もほとんどない。福祉予算を増やしたり、ポピュリズム(大衆迎合主義)の大統領を選出したり、和平を申し入れたりするなど、何かを試し、結果を見届け、さらにその路線で進むことにしたり、あるいは方針を変え、何か別のことを試したりする。イスラエルとパレスティナの紛争も、そのように試行錯誤を重ねながら、数十年にわたって展開してきた。) イスラエルは、1990年代にオスロでの交渉で和平の機会を作った。パレスティナ人や一部の外部オブザーバーの視点からは、イスラエルの和平の申し出が不十分で傲慢なものだったことは私も承知しているが、それでも、イスラエルがそこまで譲歩したことは後にも先にもない。この交渉の最中に、イスラエルはパレスティナの自治政府にガザ地区の支配権を部分的に譲り渡した。その結果、どうなったか? イスラエルは、それまで経験したなかで最悪のテロ活動にさらされた。イスラエル人は、バスやレストランが毎日のように爆破された2000年代前半の日常生活の記憶に、今なおつきまとわれている。このテロ活動のせいで、何百人ものイスラエルの一般市民が亡くなったばかりでなく、和平のプロセスとイスラエルの左派も葬り去られた。イスラエルの和平の申し出は、譲歩が足りなかったのかもしれない。だが、それにテロ行為で応じるしかなかったのだろうか?』、「イスラエルはつい先日、建国以来最悪の日を経験した。1956年のシナイ作戦(訳注:第2次中東戦争)と1967年の6日間戦争(訳注:第3次中東戦争)と2006年の第2次レバノン戦争で失った民間人と兵士の合計を上回る数のイスラエルの一般市民が、たった1日で虐殺されたのだ」、犠牲者数がそこまで多かったとは初めて知った。「イスラエルはパレスティナの自治政府にガザ地区の支配権を部分的に譲り渡した。その結果、どうなったか? イスラエルは、それまで経験したなかで最悪のテロ活動にさらされた」、いイスラエル」側の見方であるにしても、やはりやり切れない思いがありそうだ。
・『目指したのは「中東のシンガポール」  和平プロセスが頓挫した後、イスラエルは次の実験として、ガザから撤退した。2000年代半ば、イスラエルはガザ地区全域から一方的に撤兵し、地区内のすべての入植地から引き揚げ、国際的に認められた1967年以前の国境線まで退いた。たしかにイスラエルは、ガザ地区の部分的封鎖とヨルダン川西岸地区の占領を続けた。それでもイスラエルにとって、ガザ地区からの撤退は依然として重大な一歩だったので、この実験の結果がどうなるかを、イスラエルの人々は固唾(かたず)をのんで見守った。そして、パレスティナ人がガザを、中東のシンガポールとでも呼ぶべき、繁栄する平和な都市国家に変えようと真摯に努力し、自治の機会を与えられれば何ができるかを世界やイスラエルの右派に示すことを、左派の残党は願った』、「パレスティナ人がガザを、中東のシンガポールとでも呼ぶべき、繁栄する平和な都市国家に変えようと真摯に努力し、自治の機会を与えられれば何ができるかを世界やイスラエルの右派に示すことを、左派の残党は願った」、しかし、そうした実験は失敗し、右派のネタニヤフ政権が「ガザ」を締め上げるに至ったようだ。
・『避難民用のテント  もちろん、部分的封鎖の下でシンガポールのような国を築くのは難しい。それでもなお、誠実な試みはできたはずだ。そうしていれば、イスラエル政府は外国勢力と国民から、ガザ地区の封鎖を解除し、ヨルダン川西岸地区についても公正な合意に達するようにという、もっと大きな圧力がかかったことだろう。ところが、ハマスがガザ地区を武力制圧してテロ基地に変え、そこからイスラエルの一般市民に対する攻撃を繰り返した。こうして、この実験も失敗に終わった。 イスラエルの左派の残党は、これで完全に信用を失い、ベンヤミン・ネタニヤフが権力の座に就き、彼のタカ派の政権が成立した。そして、ネタニヤフが先頭に立って新たな実験を始めた。平和共存が失敗に終わったので、彼は暴力的共存政策を採用した。イスラエルとハマスは毎週のように攻撃し合い、ほぼ毎年大規模な軍事作戦を展開したが、それでもイスラエルの一般市民は15年にわたり、フェンスを挟んでハマスの基地から数百メートル以内で暮らし続けることができた。イスラエルの熱狂的なメシア(救世主)信仰者たちでさえ、ガザ地区の再占領にはほとんど熱意を示さなかったし、右派さえ、ハマスも200万を超える人々を統治する責任を負えば、徐々に過激でなくなるだろうと期待した。) 実際、イスラエルの右派には、ハマスのほうがパレスティナ自治政府よりも与(くみ)しやすいと見る人が多かった。イスラエルのタカ派は、ヨルダン川西岸地区の支配の継続を願っており、平和協定の締結を恐れていたからだ。ハマスはイスラエルの右派に、願ってもない状況をもたらしてくれるように見えた。すなわち、ガザ地区を治める義務からイスラエルを解放し、しかも、ヨルダン川西岸地区のイスラエル支配を放棄させかねない和平の申し出をせずに済むという状況だ。だが、イスラエルが経験したばかりの恐怖の1日は、暴力的な共存というネタニヤフの実験の終わりを告げた』、「ハマスはイスラエルの右派に、願ってもない状況をもたらしてくれるように見えた。すなわち、ガザ地区を治める義務からイスラエルを解放し、しかも、ヨルダン川西岸地区のイスラエル支配を放棄させかねない和平の申し出をせずに済むという状況だ。だが、イスラエルが経験したばかりの恐怖の1日は、暴力的な共存というネタニヤフの実験の終わりを告げた」、なるほど。
・『和平プロセスにとどめを刺す可能性が高い  では、次はどうなるのか? 確かなことは誰にもわからないが、イスラエルでは、ガザ地区の再征服、あるいは砲爆撃による粉砕に傾く声も一部で上がっている。そのような政策をとれば、この地域に1948年以降最悪の人道的危機を招きうる。イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとヨルダン川西岸地区のパレスティナ人の勢力がこの争いに加わればなおさらで、死者の数は何千人にも達し、それに加えて何百万もの人が住まいを追われることになりかねない。フェンスの両側には、神の約束と1948年の戦争(訳注:第1次中東戦争)に固執する宗教的狂信者がいる。パレスティナ人は、あの戦争の結果を覆すことを夢見る。ベザレル・スモトリッチ財務相のようなユダヤ教の熱狂的信者は、イスラエルのアラブ系市民に対してさえ、「諸君は手違いによってここにいるのだ。なぜならベン=グリオン[イスラエルの初代首相]が48年にけりをつけそこなって、諸君を追い出さなかったからだ」と警告した。2023年は、両陣営の狂信者たちが自らの宗教的幻想を追い求め、1948年の戦争を徹底的に再現することを許しうる。 たとえ事態がそこまで極端な局面を迎えることがなかったとしても、今回の争いは、イスラエルとパレスティナの和平プロセスにとどめを刺す可能性が高い。ガザ地区との境界に沿ったキブツはみな、これまでずっと社会主義のコミューンであり、イスラエルの左派のとりわけ頑強な砦だった。ガザ地区からの何年にもわたるほぼ連日のロケット弾攻撃の後でさえ、カルト宗教にしがみつくように、依然として和平の希望に執着していたそれらのキブツの住民を、私は知っている。だが、そうしたキブツは、今や跡形もなくなった。そして、最後まで残っていた平和運動家たちの一部は、殺害されたか、愛する者たちを埋葬しているか、ガザ地区に連れ去られて人質にされているかのいずれかだ。たとえば、長年ガザ地区の病人をイスラエルの病院に搬送してきた、キブツ・ベエリの平和活動家ヴィヴィアン・シルヴァーは行方不明になっており、人質としてガザ地区に拘束されているらしい。) すでに起こったことは、取り消しにはできない。死者を生き返らせることは不可能だし、個人的なトラウマも完全に癒えることはけっしてないだろう。だが、これ以上の事態の悪化は防がなければならない。現在この地域の勢力の多くは、無責任な宗教的狂信者が率いている。したがって、外部の勢力が介入して、この紛争を鎮静化させる必要がある。和平を望む人は誰であれ、ハマスの残虐行為を断固非難し、人質全員をただちに無条件解放するようハマスに圧力をかけ、ヒズボラとイランが介入するのを思いとどまらせるのに協力しなければならない。そうすれば、イスラエルの人々は一息ついて考え、かすかな希望を抱く余裕を得られるだろう』、「依然として和平の希望に執着していたそれらのキブツの住民を、私は知っている。だが、そうしたキブツは、今や跡形もなくなった。そして、最後まで残っていた平和運動家たちの一部は、殺害されたか、愛する者たちを埋葬しているか、ガザ地区に連れ去られて人質にされているかのいずれかだ。たとえば、長年ガザ地区の病人をイスラエルの病院に搬送してきた、キブツ・ベエリの平和活動家ヴィヴィアン・シルヴァーは行方不明になっており、人質としてガザ地区に拘束されているらしい」、イスラエルの左派が「キブツ」を中心に活動していたとは、初めて知った。
・『ガザ地区を非武装化すべき  さらに、アメリカ合衆国とEU(欧州連合)からサウジアラビアとパレスティナ自治政府に及ぶ有志連合を結成して、ガザ地区の支配権をハマスから取り去り、この地区を再建すると同時に、ハマスを完全に武装解除し、ガザ地区を非武装化するべきだ。 こうした措置が実行される可能性はわずかしかない。だが、今回の戦慄の事態の後、イスラエル人のほとんどは、それが実現しないかぎり、とうてい生きていけないと考えているのだ。 (訳・柴田裕之氏) ユヴァル・ノア・ハラリイスラエルの歴史学者、哲学者。ヘブライ大学教授。著書『サピエンス全史』『ホモ・デウス』、近著に『人類の物語 Unstoppable Us』シリーズなど(いずれも河出書房新社刊)。 *本寄稿文の英語版は、2023年10月12日、英ガーディアン紙に掲載された』、「ガザ地区を非武装化すべき」というのは、いいアイデアのようだが、「実行される可能性はわずかしかない」ようだ。ただ、それに向けた努力が必要だ。ただ、そのためには、ガザ地区へのイスラエル軍の侵攻は、極めて自制したものである必要がある。
タグ:「ハマス」側の作戦は見事で、「イスラエル側」の対応はお粗末だったようだ。 「イスラエル軍兵士」はもっとピリピリしていると思っていたが、そうでもないようだ。 「ガザ地区を非武装化すべき」というのは、いいアイデアのようだが、「実行される可能性はわずかしかない」ようだ。ただ、それに向けた努力が必要だ。ただ、そのためには、ガザ地区へのイスラエル軍の侵攻は、極めて自制したものである必要がある。 キブツ・ベエリの平和活動家ヴィヴィアン・シルヴァーは行方不明になっており、人質としてガザ地区に拘束されているらしい」、イスラエルの左派が「キブツ」を中心に活動していたとは、初めて知った。 The New York Times「ハマス襲撃を許したイスラエル「4つの大失敗」 中東随一の「セキュリティ網」なぜ突破された?」 「依然として和平の希望に執着していたそれらのキブツの住民を、私は知っている。だが、そうしたキブツは、今や跡形もなくなった。そして、最後まで残っていた平和運動家たちの一部は、殺害されたか、愛する者たちを埋葬しているか、ガザ地区に連れ去られて人質にされているかのいずれかだ。たとえば、長年ガザ地区の病人をイスラエルの病院に搬送してきた、 東洋経済オンラインが転載 「ハマスはイスラエルの右派に、願ってもない状況をもたらしてくれるように見えた。すなわち、ガザ地区を治める義務からイスラエルを解放し、しかも、ヨルダン川西岸地区のイスラエル支配を放棄させかねない和平の申し出をせずに済むという状況だ。だが、イスラエルが経験したばかりの恐怖の1日は、暴力的な共存というネタニヤフの実験の終わりを告げた」、なるほど。 「パレスティナ人がガザを、中東のシンガポールとでも呼ぶべき、繁栄する平和な都市国家に変えようと真摯に努力し、自治の機会を与えられれば何ができるかを世界やイスラエルの右派に示すことを、左派の残党は願った」、しかし、右派のネタニヤフ政権が「ガザ」を締め上げた点に触れてないのは、余りに「イスラエル色」が強いようだ。 「イスラエルはパレスティナの自治政府にガザ地区の支配権を部分的に譲り渡した。その結果、どうなったか? イスラエルは、それまで経験したなかで最悪のテロ活動にさらされた」、いイスラエル」側の見方であるにしても、やはりやり切れない思いがありそうだ。 「イスラエルはつい先日、建国以来最悪の日を経験した。1956年のシナイ作戦(訳注:第2次中東戦争)と1967年の6日間戦争(訳注:第3次中東戦争)と2006年の第2次レバノン戦争で失った民間人と兵士の合計を上回る数のイスラエルの一般市民が、たった1日で虐殺されたのだ」、犠牲者数がそこまで多かったとは初めて知った。 ユヴァル・ノア・ハラリ氏による「イスラエルの歴史家が予見「ハマス紛争」次の展開 1948年以降で最大の危機、和平の機会はあるか?」 ユダヤ系の政権への影響力がいくら強いとはいえ、「アメリカ」が「イスラエル」全面支持というは頂けない。アラブ諸国を再び敵に回すのはいかにも不味い。トランプだったら、どうするだろうか。 「ハマス破滅を狙うイスラエルに強力な支援を表明しているアメリカ政府だが、中東での戦火が拡大し、人道危機が長期化すれば、国民から同様の疑問の声が出てくるかもしれない。その際、アメリカ社会の中枢にいるユダヤ系の政権への影響力が試される。 いずれにせよ、バイデン政権は再び中東情勢に深入りすることとなり、当面は同地域がアメリカの頭痛の種となること必至だ」、 「上院外交委員長や副大統領など経験が豊富なバイデン氏は、政権発足当初、外交政策が強みと見られていた。だが、今やその外交政策が同氏の信頼喪失を招き、支持回復の足を引っ張っている」、確かに最近の「バイデン」は見ていられない。 つまり、戦火はガザ・イスラエルに止まらず、中東全域に拡大するリスクを秘めている」、「事態がエスカレートすれば、航空母艦のプレゼンスなどによる抑止がどこまで効果を発揮するかは不透明だ」、なるほど。 「イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに侵攻すれば、レバノンを拠点とするシーア派組織ヒズボラが、イスラエルを北部から本格的に攻撃する可能性が高まる。ヒズボラはイスラエル全域を射程範囲とするミサイルを保有することからも、アメリカ政府はとくに警戒している。 イスラエルがヒズボラに応戦することで、ヒズボラの背後にいるイランも応戦するリスクがある。さらには、親イラン武装勢力のフーシ派などが、サウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸諸国・周辺国を攻撃するリスクなども懸念されている。 「アメリカ在住のユダヤ系は2020年時点で計750万人、全国民の約2.4%に過ぎない。とはいえ、その人口はイスラエルに住むユダヤ人に匹敵する。アメリカ在住のユダヤ系は都市部に集中し、金融をはじめとする産業界や大手メディア、シンクタンク、学界、政界などアメリカ社会の中枢で活躍している」、「アメリカ在住のユダヤ系は2020年時点で計750万人」と「イスラエルに住むユダヤ人に匹敵する」、とは初めて知った。 渡辺 亮司氏による「イスラエル支援のアメリカが最も恐れるシナリオ 楽観から一転、望めなくなった中東の安定」 東洋経済オンライン 「空軍は飛行時間にしてわずか数分の距離に基地があるにもかかわらず、この地域の上空に到着するまでに数時間を要したという。 この事態はイスラエルの安全保障に壊滅的な打撃を与え、信頼できる軍事パートナーとしてのイスラエルの地域的評判を損なう可能性もある。 7日以前は、「イスラエルは安全保障問題において、この地域の多くの国にとって資産だった」とグザンスキーは言う。「今のイメージは、イスラエルは資産ではないというものだ」。 「資産」ではなくなったとすれば、さしずめマイナスの効果を持つ負債なのかも知れない。 さらに、バリアはイスラエル当局が予想していたよりも簡単に突破できることが判明した。 そのため、1500人以上のハマスの戦闘員が国境沿いの30近い地点を突破し、そのうちの何人かはハングライダーでバリケードの上を飛び、少なくとも4つのイスラエル軍基地に到達した」、なんということだろう。 「遠隔操作システムには脆弱性があった。遠隔操作で破壊することも可能だったのだ。ハマスがその弱点を利用し、監視システムとの間で信号を送受信する携帯電話の電波塔を攻撃するためにドローンを飛ばした・・・携帯電話の信号がなければ、システムは役に立たない。前線後方の司令室に配置された兵士たちは、ガザとイスラエルを隔てるフェンスが破られたという警報を受け取れず、ハマスの攻撃者がバリケードをブルドーザーで壊している場所を映したビデオを見ることもできなかった。 ヨルダン川西岸を含む他の懸念地域に兵士を移動させ、部隊の数を減らし始めたという。 「部隊の間引きは、フェンスの建設と、あたかもフェンスが無敵で何者も通過できないかのようなオーラを醸し出していたため、合理的に思えた」、監視システムへの過信が原因になったようだ。 「次の失敗は作戦上のものだった。 2人の高官によれば、イスラエルの国境監視システムは、遠隔操作可能なカメラ、センサー、機関銃にほぼ全面的に依存していたという。 イスラエルの司令官たちは、このシステムが難攻不落だと過信していた。司令官らは遠隔監視と武器、地上のバリア、ハマスがイスラエルにトンネルを掘るのを阻止する地下の壁などがあれば、ガザからの大量侵入の可能性が低くなり、国境線に沿って物理的に駐留する兵士の数を減らすことができると考えていた・・・イスラエル・ジブ退役少将によれば、この体制が整ったことで、軍は (その1)(ハマス襲撃を許したイスラエル「4つの大失敗」 中東随一の「セキュリティ網」なぜ突破された?、イスラエル支援のアメリカが最も恐れるシナリオ 楽観から一転 望めなくなった中東の安定、イスラエルの歴史家が予見「ハマス紛争」次の展開 1948年以降で最大の危機 和平の機会はあるか?) イスラエル・パレスチナ 「イスラエル諜報機関によって盗聴されたハマスの工作員たちによる通話では、2021年5月に起こった2週間にわたる衝突の後、すぐにイスラエルとの再戦を避けようとしているように感じたと、イスラエル政府高官の2人は語る。イスラエル諜報機関は現在、これらの通話が本物か演出かを調べているという」、偽のオトリ情報を信じ込むとは。 初歩的な失敗だ。 ハマスが過去1年間に2度の戦闘に参加しなかったことで、ガザの小規模武装組織であるパレスチナ・イスラム聖戦が単独でイスラエルに対抗できるようになった。先月、ハマス指導部はまた、カタールの仲介による合意で、国境沿いの暴動を終結させ、エスカレートは考えていないとの印象を与えた」、なるほど。 「「われわれはハマスの情報収集に何十億も何百億も費やしている」とイスラエル国家安全保障会議の元高官ヨエル・グザンスキーは語る。「そして一瞬にして、ドミノ倒しのようにすべてが崩壊した」、「最初の失敗は攻撃の数カ月前に起こった。イスラエルの安全保障担当者が、ハマスがガザからイスラエルにもたらす脅威の程度について誤った推測をしたためだ。
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