発達障害(その6)(大人のADHD→44歳で米マイクロソフト転職!異色の日本人が「怠惰であれ」と説く理由~『世界一流エンジニアの思考法』(牛尾 剛 著)を読む、【高学歴発達障害】上智大卒の女性に親は「社会不適合者だから家庭に入れ」→ブラック企業経てたどり着いた天職) [生活]
発達障害については、本年1月15日に取上げた。今日は、(その6)(大人のADHD→44歳で米マイクロソフト転職!異色の日本人が「怠惰であれ」と説く理由~『世界一流エンジニアの思考法』(牛尾 剛 著)を読む、【高学歴発達障害】上智大卒の女性に親は「社会不適合者だから家庭に入れ」→ブラック企業経てたどり着いた天職)である。
先ずは、本年1月26日付けダイヤモンド・オンライン「大人のADHD→44歳で米マイクロソフト転職!異色の日本人が「怠惰であれ」と説く理由~『世界一流エンジニアの思考法』(牛尾 剛 著)を読む」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337666
・『視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします。今回取り上げるのは、大人になってからADHDと診断された後、44歳で米マイクロソフトに転職した異色の日本人エンジニアが一流の同僚たちに学んだ仕事術を徹底解説した一冊です』、「米マイクロソフトに転職」とはすごい経歴だ。
・『ADHDと診断→米マイクロソフトで活躍! 異色エンジニアの書籍に学ぶ 本連載のようにWebメディアに寄稿する際、書き手が陥りやすい罠がある。自分の意見や集めたネタなどを、一つの記事の中にできるだけ多く盛り込もうとすることだ。すると時間ばかりかかって、無駄に長いだけの焦点のぼやけた記事になりかねない。 良い文章を書くには、思い切って「捨てる」覚悟が必要だ。10のネタがあったら、その中で3~4つだけをピックアップする。残りは捨てるか、次の機会まであたためておく。その後は選んだものに集中し、最良のものに磨き上げる。 筆者は薬の専門家ではないが、文章は医薬品と似ているように思える。発熱、頭痛、せき、目まい、鼻水、腹痛――。これらに効く成分を全部混ぜ合わせたら、果たして「万病に効く薬」が出来上がるのか。 実際は決してそうではなく、薬として意味をなさないだろう。「解熱剤」「頭痛薬」「せき止め」など、特定の症状に絞って調合した方が、間違いなく効果を発揮するはずだ。 Webメディアにおける記事も、どのネタが読者のニーズにマッチするかを熟慮して、その内容に特化して書き上げた方が、手当たり次第に材料を盛り込むよりも読者の心に残るはずだ。そのピックアップする技術こそ、執筆や編集の「妙」というべきものだろう。 この考え方はもちろん、文筆業以外の業種・職種にも応用可能だ。どの業界においても、とりあえず目の前の仕事から手をつけていくという働き方は効率的とはいえず、良い成果も期待しづらい。不要なものを捨て、重要なものに絞って取り組む。この判断が重要なのである。 今回紹介する書籍『世界一流エンジニアの思考法』では、海外の一流ITエンジニアが実践している「取捨選択の妙」などを、著者の豊富なビジネス経験をもとに紹介している。 著者の牛尾剛氏は、国内大手SIerのITエンジニアを経て2009年に独立。15年に米マイクロソフトに入社し、19年から同社のクラウドサービス「Azure Functions」のプロダクトチームでシニアソフトウエアエンジニアを務める人物だ(肩書は刊行当時のもの)。 牛尾氏は、今でこそ世界最高峰ともいえるマイクロソフトのソフトウエア開発チームで活躍しているが、「幼い頃から要領が良くなく、大人になってからADHD(注意欠如・多動症)と診断された」と、本書の冒頭で明かしている。 だからこそ、「どうやったら不得意なことでも効率よく人並みのことができるのか、仕事の生産性を上げる方法を意識的に研究してきた」という。そして努力の末、44歳で米マイクロソフトに転職。「世界一流」のエンジニアとともに仕事をすることになった』、同氏は「幼い頃から要領が良くなく、大人になってからADHD・・・と診断された」・・・だからこそ、「どうやったら不得意なことでも効率よく人並みのことができるのか、仕事の生産性を上げる方法を意識的に研究してきた」という。そして努力の末、44歳で米マイクロソフトに転職。「世界一流」のエンジニアとともに仕事をすることになった」、なるほど。
・『米マイクロソフトの一流エンジニアは「意外と怠惰」だった!? 牛尾氏は転職後、同僚のエンジニアたちが、高い生産性を実現するための「思考法(マインドセット)」を身に付けていることを知る。 彼・彼女らの思考法を注意深く観察し、実践しながら、牛尾氏自身も「世界一流」となるべくさらなる努力を重ねてきた。そのノウハウをまとめたのが本書というわけだ。 「Be Lazy(怠惰であれ)」。牛尾氏は、同僚エンジニアたちのマインドセットを端的に表すものとして、こんな言葉を紹介している。もちろんマイクロソフトがそうした標語を公に掲げているわけではないが、上司などから「Be Lazy」「働きすぎないで」と声を掛けられることがあったという。 より具体的に言うと、一流のエンジニアは「より少ない時間で価値を最大化する」ことを目指している。そのために同僚が実践している習慣として、牛尾氏は以下に示す7つのポイントを挙げている。 (1)望んでいる結果を達成するために、最低限の努力をする (2)不必要なものや付加価値のない仕事(過剰な準備含む)をなくす (3)簡潔さを目指す (4)優先順位をつける (5)時間や費やした努力よりも、アウトプットと生産性に重点を置く (6)長時間労働しないことを推奨する (7)会議は決められた時間内で効率的かつ生産的に行う 一見すると、ビジネスの世界では当たり前の標語だ。だが、同じようなことを意識していても、日本人と「世界一流エンジニア」は捉え方に違いがあるという。 例えば「(4)優先順位をつける」というと、日本人は「重要なタスクから順番に手をつけ、最終的には全部やる」という前提で物事を考える。「その日のうちに」とは限らないが、最初のタスクを終えたら、次、またその次……というように仕事をこなす。多少時間がかかっても、最終的には自身のやるべきことを完璧に処理する。 だが驚くことに、海外の一流エンジニアたちの間では完璧主義は悪手とされる。その証拠に、上記の7項目は、全てが「いかにやることを減らすか」という目的意識に基づいている。 そして一流エンジニアたちには、日本では当たり前の「時間をかけて結局全部やる」という概念がない。「優先順位をつけた後は、最初の1個(最も重要なもの)だけをピックアップしてやる。そして他はやらない。その1つにフォーカスしよう」という感覚らしいのだ。 最重要なタスクだけを優先して集中的に取り組めば、当然短時間で終わる。そこだけにフォーカスしているから生産性が上がり、アウトプットの質も向上するというわけだ』、「一流エンジニアたちには、日本では当たり前の「時間をかけて結局全部やる」という概念がない。「優先順位をつけた後は、最初の1個(最も重要なもの)だけをピックアップしてやる。そして他はやらない。その1つにフォーカスしよう」という感覚らしいのだ」、なるほど。
・『「試行」の前に「思考」! 手を動かす前に仮説を立てるべし 日本のビジネスパーソンには身に覚えのある人も多いだろうが、「時間をかけて結局全部やる」という考え方だと、優先順位の高いものに取り組んでいる時でも、他のタスクがどうしても気になる。その結果、焦りが生じて生産性が下がりがちだ。「2番目以降は割り切って捨てる」という、マイクロソフト流の思い切りの良さを見習うべきだろう。 なお、上記の「(6)長時間労働しないことを推奨する」「(7)会議は決められた時間内で効率的かつ生産的に行う」とも関連しているが、米国には「時間を固定する」という考え方もあるそうだ。 「すべきこと」が終わるまで延々と作業を続けるのではなく、「何時から何時までこれをやる」と時間の枠を決める。そして、その枠の中で成果を最大化することを目指す。「限られた時間内で確実にできること」だけをピックアップし、集中するのだ。日本人が長時間だらだらと会議をしないためにも、有用な考え方だろう。 さらに、「試行錯誤をしない」という考え方も本書で紹介されている。 これに違和感を覚えた人もいるのではないだろうか。日本企業では「結果」だけでなく「プロセス」を評価しがちだ。トライアンドエラーを繰り返しながらじっくり検討を重ねた末に、最適解にたどり着くことが良しとされる。海外の一流企業では、それは重要ではないというのか――。 その答えを示す、一つのエピソードがある。 ある日、牛尾氏は自分のプログラムがうまく動かないときがあった。自力で直そうとすると、原因究明に途方もない時間がかかると考え、ポールという同僚のトップエンジニアに声をかけて「ペアプログラミング」を依頼した。ペアプログラミングとは、2人1組で1台のPCを共有し、一緒にプログラミングする手法だ。 セッションが始まると、PCの画面には、牛尾氏のプログラムに問題があることを示すログ(プログラムが内部でどのように動いているかを示す記録)が表示された。 するとポールは手を一切動かさず、最初の1つのログだけを見て、頭の中で「仮説」を立て始めた。ぶつぶつと独り言を言いながらしばらく考え、データベースを閲覧するソフトを起動。クエリ(システムへの命令文)を1つだけ書いて、「ここだろう」と一言。そのクエリの結果は、エラーの根本原因を正しく示すものだったという。 牛尾氏のかつてのやり方は、「的確な仮説を導き出すべく『思考』を巡らせる」という過程を省き、ひたすら「試行」を繰り返すものだったのかもしれない。その手法では、どれだけ時間がかかるかわからない』、「自力で直そうとすると、原因究明に途方もない時間がかかると考え、ポールという同僚のトップエンジニアに声をかけて「ペアプログラミング」を依頼した。ペアプログラミングとは、2人1組で1台のPCを共有し、一緒にプログラミングする手法だ。 セッションが始まると、PCの画面には、牛尾氏のプログラムに問題があることを示すログ(プログラムが内部でどのように動いているかを示す記録)が表示された。 するとポールは手を一切動かさず、最初の1つのログだけを見て、頭の中で「仮説」を立て始めた。ぶつぶつと独り言を言いながらしばらく考え、データベースを閲覧するソフトを起動。クエリ(システムへの命令文)を1つだけ書いて、「ここだろう」と一言。そのクエリの結果は、エラーの根本原因を正しく示すものだったという」、さすがだ。
・『マジメすぎる日本人は「Be Lazy」の精神で働こう! しかし、前述した7項目の「(5)時間や費やした努力よりも、アウトプットと生産性に重点を置く」にもある通り、重要なのは所要時間ではない。あくまで結果なのである。だからこそ、困ったときは試行錯誤に長時間かけるのではなく、優秀な仲間の助けを借り、素早く解決していい。「Be Lazy」の精神で働いていいのだ。 なお、これは筆者の見解だが、本書では必ずしも「試行錯誤自体が悪手」と言いたいわけではないのだろう。本書の例では、ポールがプログラムの問題点を一発で見抜いた。だが、より複雑な問題の場合は、そのプロセスを何度か繰り返す必要も出てこよう。 だからこそ、重要なのは「仮説→検証」を繰り返すことなのではないか。頭の中で論理的に、エラーの原因をいくつか考える。どの仮説が正しいのかを、優先順位に基づいて一つ一つ順に検証する。何番目かの仮説が正解で、エラーの原因を突き止められたならば、それは結局「最低限の努力」で済んでいる。これらは「正しい試行錯誤」だという見方もできる。 どんな仕事でもそうだが、多くの人は大量のタスクを抱え込みがちだ。どれから手を付けていいか分からず「時間がない」と焦る。不安になり、いろいろな方法を試してみる。そうする中で、時間だけが過ぎていく。 だが、困った時こそ「急がば回れ」である。深呼吸して、「最低限の努力」で済ませるにはどうすべきかを考える。このことが重要なのだ。 優先順位はどうか。「捨てる」べきタスクは何か。絞ったタスクを、どう効率的にやっていくか。それらを考える時間を惜しんではいけない。不安だからと、やみくもに手を動かすのは我慢しよう。 壁にぶつかった際は「仮説→検証」によって解決策を探る。どうにもならなければ、あっさりと仲間に頼っていい。「Be Lazy」の精神で働くのだ。 これらを意識するだけでも、皆さんの仕事の生産性は確実に上がっていくはずである。 (情報工場チーフ・エディター 吉川清史)』、「困った時こそ「急がば回れ」である。深呼吸して、「最低限の努力」で済ませるにはどうすべきかを考える。このことが重要なのだ。 優先順位はどうか。「捨てる」べきタスクは何か。絞ったタスクを、どう効率的にやっていくか。それらを考える時間を惜しんではいけない。不安だからと、やみくもに手を動かすのは我慢しよう。 壁にぶつかった際は「仮説→検証」によって解決策を探る。どうにもならなければ、あっさりと仲間に頼っていい。「Be Lazy」の精神で働くのだ」、なるほど、その通りなのだろう。
次に、2月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの姫野 桂氏による「【高学歴発達障害】上智大卒の女性に親は「社会不適合者だから家庭に入れ」→ブラック企業経てたどり着いた天職」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338574
・『幼少期から発達障害(ASD)扱いされて精神科に通っていた女性は、得意の数学で上智大に入学。卒業後は大学院に進むほどの優秀な頭脳を持っていたが、ドロップアウトして不本意な職場を転々とするハメに……。ようやくたどり着いた「天職」は、なにが彼女にフィットしたのだろうか。※本稿は、姫野 桂『ルポ 高学歴発達障害』(ちくま新書)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『医師の父は心を病んで家庭は機能不全 娘の小中時代はほぼ不登校だった 待ち合わせ場所に現れた高橋希美さん(45歳)はすらっとしたモデル体型の女性だった。上智大学の理工学部を卒業、同大学院を中退している。 高橋さんは4~5歳の時点でASD(自閉スペクトラム症)傾向が見つかり、はやくから精神科に通っていた。発達障害をこじらせたことから、義務教育をほとんど受けられない状態になってしまった。多くの人とかかわらなければならない「学校」という空間が高橋さんにとっては苦痛な空間だったのだ。また、家族とも折り合いが悪かった。 「父は医師なのですが、私が幼稚園に入る前に精神を病んでしまって半年くらい精神科に入院していたんです。父は勤務医で、職場の人間関係や激務のストレスなどを全部私にぶつけていました。ひとりっ子でほかにきょうだいはいないし、母は気が強いので、母には当たらず子どもの私に来るんですよね」 「私が小学校低学年の頃まで父は単身赴任をしていて、週1くらいで家に帰ってきていたのですが、その1日が毎週地獄でした。単身赴任が終わってからは父が毎朝毎晩家にいるし、もうどうしようと、死にたいとずっと思っていました。その頃くらいから小学校に行ってないです」 高橋さんはいわゆる機能不全家族で育った。小中学校にはほとんど行くことができず、高校は不登校の生徒や高校中退者を受け入れる高校に4年間通うことになった。高橋さんの学校生活はどのようなものだったのだろうか。 「女子って『一緒にトイレに行こう』とかの集団行動があるじゃないですか。それが私嫌なんです。高校時代は同じ時間に国語を受ける人もいれば数学を受ける人もいれば化学を受けている人もいる。みんな教室はバラバラなのにそうやってつるんでいる人たちを見て、『なんで一緒にトイレに行くの?個人行動すればいいのに』と思っていました」) 周りには勉強熱心な人はあまり多くなく、大学に進学する生徒の数も全体の半分くらいで、進学する大学のレベルもそれほど高くなかった。定期試験もちょっと勉強しただけで90点台が取れるレベルの学校だった。 そのため、評定平均が非常に高く、せっかくだからと推薦入試を受けることにした。しかし、文章を書くのはあまり得意ではなかった高橋さんは、入試に小論文がなく、そこそこレベルの高い大学の中から、数学科のある上智大学を選んだ。 「小さい頃から算数・数学がとにかく好きだったんです。小学校入学前にはもう足し算と引き算はできていたと思います。問題集があればひとりでできるところが数学の魅力です。家でもひとりでできる数学には没頭していました。数学ができることが、得意なことと苦手なことの凸の部分なんだと思います」。 晴れて上智大学に合格して、地方から上京することとなった。だが、入学した理工学部数学科(現在は情報理工学科へ再編)は理系学科であるがために女子が少なく、1年の頃は学科で高橋さんを入れて女子が十数名しかいなかった。 加えて、高橋さん以外の女子が全員自宅から通学していること、女子高出身だったことから、女子は常に固まって行動していたため、その輪に高橋さんは馴染めずにつらい思いをした。 結局、同じ学年の人と仲良くなれることはなかったという。休学も挟み、卒業まで5年かかってしまった。しかし、相変わらず勉強は得意で特に幾何学のテストではベスト3に入っていた』、「問題集があればひとりでできるところが数学の魅力です。家でもひとりでできる数学には没頭していました。数学ができることが、得意なことと苦手なことの凸の部分なんだと思います」。 晴れて上智大学に合格して、地方から上京することとなった。だが、入学した理工学部数学科(現在は情報理工学科へ再編)は理系学科であるがために女子が少なく、1年の頃は学科で高橋さんを入れて女子が十数名しかいなかった・・・同じ学年の人と仲良くなれることはなかったという。休学も挟み、卒業まで5年かかってしまった。しかし、相変わらず勉強は得意で特に幾何学のテストではベスト3に入っていた」、なるほど。
・『就職せず大学院に進むが中退し学生バイトの下で働くみじめさ 卒業後はそのまま大学院へと進学したが、持病のてんかん発作が頻繁に起こるようになったこと、親から「あなたは社会不適合者だから家庭に入るのがいい。地元に戻ってきて結婚相談所に入りなさい」と言われたことでだんだんとメンタルがすり減っていき、勉強にもついていけなくなったことを理由に大学院を中退してしまった。) 「大学院を中退後、しばらくブラブラとニートをしていて、それから発達障害の就労訓練事業をしているところで訓練を受けました。私としては最低2カ月は訓練を受けたかったのですが、1カ月の訓練を終えた時点で団体の代表から猛烈に『早く就職しなさい』と言われたんです」 「そこでハローワークの障害者ブースに行ったら予備校の教材部の求人があって、障害者雇用でパートという形で入社しました。でも、その会社特有だと思うんですけど、なぜか『障害をオープンにしないでくれ』と言われたんです」 高橋さんは障害者雇用で入ったこの会社を3年で辞めている。数学科に所属していたが、別の科の社員でそりが合わない人がいたのと、大学生のアルバイトがバイトリーダー的な存在となり、大学生の部下になってしまったことを惨めに感じてしまったのだという。体重もさらに落ちて40kgを切ってしまい、「これは危ない」と思って退職した。 2社目も教材関係の仕事に就いた。ここではクローズ(自身の障害を企業に開示しない)で、派遣として入社した。この会社がブラックだった。 「数学課の社員の方がパワハラ気質の人で、何をやっても怒られました。私が入社する前に私のポジションにいた人は男性だったらしいのですが、その人が職務中に泣いたというレベルのパワハラ具合で。私もパワハラが嫌になって2~3日無断欠勤したこともあって、もうクビでいいと思ったこともありました。それでも派遣元から『無断欠勤した期間は有給ということにしてあげるから戻ってこないか』ということを言われて戻りました」 「派遣は3カ月ごとの更新制なので、次の更新はもうないだろうなと思っていたら、なぜかまた『お願いします』と言われて。結局2年少々引っ張られて在籍し、最後はもうこっちから辞めたいと言って辞めました」』、なるほど。
・『発達障害であることを伏せて正社員採用された職場の居心地は その後また別の会社を経て、現在の天職だと語る職場にたどり着くこととなった。塾や予備校などで使用する参考書や教材を編集する仕事だ。もともと数学が好きで、数学を扱えるだけで嬉しいのだという。 高校教科書の練習問題の模範解答がずらっと書かれた本や、学校の教師向けの指導書の作成、中学生向けの高校入試対策模擬試験の作成を行なっている。編集のみならず、ときには執筆や校正を行なうこともある。他にも、中学生向けの高校入試の指導書を作成したり、タブレット教材の制作にも関わっている。 今の仕事で一番楽しいのは、自分が書いたものが本や模擬テストとなって製品になることだという。ここにはクローズで正社員として入社している。 「数学が好きだというのもあるのですが、すごく小さな会社で、上司である社長が穏やかな人だから続けられています。環境がとてもいいんです。もともと数学ができる人ってASD気質の人が多いので、そんなに私が浮いていないんです。これが英語や国語だったら浮いていたと思います」。 なお、クローズで入社しているが、高橋さんは障害者手帳を持っている。障害者控除を受けるために経理に通す必要があるのではないかと尋ねると、会社側には発達障害ではなく、併発しているてんかんで手帳を持っていると伝えているのだという。 クローズで働いている最大の理由はやはりお金だ。障害者雇用の多くは低賃金である。以前、障害者雇用で働いていたときは幸い、親がワンルームマンションを購入してくれて、家賃の負担がなかった。そして今でもその部屋に住み続けている。 「私という人間は数学がなければ何もありません。発達障害があって、数学に秀でていたから今の職に就けたので、一概に発達障害が悪いとは思っていません。社長が元気なうちはずっとこの会社で働き続けたいです」 天職と語る職業に恵まれた一方で、全く苦難がないわけではない。交際中の男性が詳細は話さずざっくりと「彼女は障害者だ」と男性の親に伝えたところ、「障害者の嫁なんていらない」と会わせてもらえなかったことがあったという。高橋さんは障害者差別を受けたことになる。少しでも障害についての理解が一般の人にも認知されることを願うばかりだ』、「もともと数学ができる人ってASD気質の人が多いので、そんなに私が浮いていないんです。これが英語や国語だったら浮いていたと思います・・・クローズで働いている最大の理由はやはりお金だ。障害者雇用の多くは低賃金である。以前、障害者雇用で働いていたときは幸い、親がワンルームマンションを購入してくれて、家賃の負担がなかった。そして今でもその部屋に住み続けている・・・交際中の男性が詳細は話さずざっくりと「彼女は障害者だ」と男性の親に伝えたところ、「障害者の嫁なんていらない」と会わせてもらえなかったことがあったという。高橋さんは障害者差別を受けたことになる。少しでも障害についての理解が一般の人にも認知されることを願うばかりだ」、結婚を前提とした付き合いで「親」の反対は、困ったものだが、やはり現状ではしょうがないと受け止めざるを得ないようだ。
先ずは、本年1月26日付けダイヤモンド・オンライン「大人のADHD→44歳で米マイクロソフト転職!異色の日本人が「怠惰であれ」と説く理由~『世界一流エンジニアの思考法』(牛尾 剛 著)を読む」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337666
・『視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします。今回取り上げるのは、大人になってからADHDと診断された後、44歳で米マイクロソフトに転職した異色の日本人エンジニアが一流の同僚たちに学んだ仕事術を徹底解説した一冊です』、「米マイクロソフトに転職」とはすごい経歴だ。
・『ADHDと診断→米マイクロソフトで活躍! 異色エンジニアの書籍に学ぶ 本連載のようにWebメディアに寄稿する際、書き手が陥りやすい罠がある。自分の意見や集めたネタなどを、一つの記事の中にできるだけ多く盛り込もうとすることだ。すると時間ばかりかかって、無駄に長いだけの焦点のぼやけた記事になりかねない。 良い文章を書くには、思い切って「捨てる」覚悟が必要だ。10のネタがあったら、その中で3~4つだけをピックアップする。残りは捨てるか、次の機会まであたためておく。その後は選んだものに集中し、最良のものに磨き上げる。 筆者は薬の専門家ではないが、文章は医薬品と似ているように思える。発熱、頭痛、せき、目まい、鼻水、腹痛――。これらに効く成分を全部混ぜ合わせたら、果たして「万病に効く薬」が出来上がるのか。 実際は決してそうではなく、薬として意味をなさないだろう。「解熱剤」「頭痛薬」「せき止め」など、特定の症状に絞って調合した方が、間違いなく効果を発揮するはずだ。 Webメディアにおける記事も、どのネタが読者のニーズにマッチするかを熟慮して、その内容に特化して書き上げた方が、手当たり次第に材料を盛り込むよりも読者の心に残るはずだ。そのピックアップする技術こそ、執筆や編集の「妙」というべきものだろう。 この考え方はもちろん、文筆業以外の業種・職種にも応用可能だ。どの業界においても、とりあえず目の前の仕事から手をつけていくという働き方は効率的とはいえず、良い成果も期待しづらい。不要なものを捨て、重要なものに絞って取り組む。この判断が重要なのである。 今回紹介する書籍『世界一流エンジニアの思考法』では、海外の一流ITエンジニアが実践している「取捨選択の妙」などを、著者の豊富なビジネス経験をもとに紹介している。 著者の牛尾剛氏は、国内大手SIerのITエンジニアを経て2009年に独立。15年に米マイクロソフトに入社し、19年から同社のクラウドサービス「Azure Functions」のプロダクトチームでシニアソフトウエアエンジニアを務める人物だ(肩書は刊行当時のもの)。 牛尾氏は、今でこそ世界最高峰ともいえるマイクロソフトのソフトウエア開発チームで活躍しているが、「幼い頃から要領が良くなく、大人になってからADHD(注意欠如・多動症)と診断された」と、本書の冒頭で明かしている。 だからこそ、「どうやったら不得意なことでも効率よく人並みのことができるのか、仕事の生産性を上げる方法を意識的に研究してきた」という。そして努力の末、44歳で米マイクロソフトに転職。「世界一流」のエンジニアとともに仕事をすることになった』、同氏は「幼い頃から要領が良くなく、大人になってからADHD・・・と診断された」・・・だからこそ、「どうやったら不得意なことでも効率よく人並みのことができるのか、仕事の生産性を上げる方法を意識的に研究してきた」という。そして努力の末、44歳で米マイクロソフトに転職。「世界一流」のエンジニアとともに仕事をすることになった」、なるほど。
・『米マイクロソフトの一流エンジニアは「意外と怠惰」だった!? 牛尾氏は転職後、同僚のエンジニアたちが、高い生産性を実現するための「思考法(マインドセット)」を身に付けていることを知る。 彼・彼女らの思考法を注意深く観察し、実践しながら、牛尾氏自身も「世界一流」となるべくさらなる努力を重ねてきた。そのノウハウをまとめたのが本書というわけだ。 「Be Lazy(怠惰であれ)」。牛尾氏は、同僚エンジニアたちのマインドセットを端的に表すものとして、こんな言葉を紹介している。もちろんマイクロソフトがそうした標語を公に掲げているわけではないが、上司などから「Be Lazy」「働きすぎないで」と声を掛けられることがあったという。 より具体的に言うと、一流のエンジニアは「より少ない時間で価値を最大化する」ことを目指している。そのために同僚が実践している習慣として、牛尾氏は以下に示す7つのポイントを挙げている。 (1)望んでいる結果を達成するために、最低限の努力をする (2)不必要なものや付加価値のない仕事(過剰な準備含む)をなくす (3)簡潔さを目指す (4)優先順位をつける (5)時間や費やした努力よりも、アウトプットと生産性に重点を置く (6)長時間労働しないことを推奨する (7)会議は決められた時間内で効率的かつ生産的に行う 一見すると、ビジネスの世界では当たり前の標語だ。だが、同じようなことを意識していても、日本人と「世界一流エンジニア」は捉え方に違いがあるという。 例えば「(4)優先順位をつける」というと、日本人は「重要なタスクから順番に手をつけ、最終的には全部やる」という前提で物事を考える。「その日のうちに」とは限らないが、最初のタスクを終えたら、次、またその次……というように仕事をこなす。多少時間がかかっても、最終的には自身のやるべきことを完璧に処理する。 だが驚くことに、海外の一流エンジニアたちの間では完璧主義は悪手とされる。その証拠に、上記の7項目は、全てが「いかにやることを減らすか」という目的意識に基づいている。 そして一流エンジニアたちには、日本では当たり前の「時間をかけて結局全部やる」という概念がない。「優先順位をつけた後は、最初の1個(最も重要なもの)だけをピックアップしてやる。そして他はやらない。その1つにフォーカスしよう」という感覚らしいのだ。 最重要なタスクだけを優先して集中的に取り組めば、当然短時間で終わる。そこだけにフォーカスしているから生産性が上がり、アウトプットの質も向上するというわけだ』、「一流エンジニアたちには、日本では当たり前の「時間をかけて結局全部やる」という概念がない。「優先順位をつけた後は、最初の1個(最も重要なもの)だけをピックアップしてやる。そして他はやらない。その1つにフォーカスしよう」という感覚らしいのだ」、なるほど。
・『「試行」の前に「思考」! 手を動かす前に仮説を立てるべし 日本のビジネスパーソンには身に覚えのある人も多いだろうが、「時間をかけて結局全部やる」という考え方だと、優先順位の高いものに取り組んでいる時でも、他のタスクがどうしても気になる。その結果、焦りが生じて生産性が下がりがちだ。「2番目以降は割り切って捨てる」という、マイクロソフト流の思い切りの良さを見習うべきだろう。 なお、上記の「(6)長時間労働しないことを推奨する」「(7)会議は決められた時間内で効率的かつ生産的に行う」とも関連しているが、米国には「時間を固定する」という考え方もあるそうだ。 「すべきこと」が終わるまで延々と作業を続けるのではなく、「何時から何時までこれをやる」と時間の枠を決める。そして、その枠の中で成果を最大化することを目指す。「限られた時間内で確実にできること」だけをピックアップし、集中するのだ。日本人が長時間だらだらと会議をしないためにも、有用な考え方だろう。 さらに、「試行錯誤をしない」という考え方も本書で紹介されている。 これに違和感を覚えた人もいるのではないだろうか。日本企業では「結果」だけでなく「プロセス」を評価しがちだ。トライアンドエラーを繰り返しながらじっくり検討を重ねた末に、最適解にたどり着くことが良しとされる。海外の一流企業では、それは重要ではないというのか――。 その答えを示す、一つのエピソードがある。 ある日、牛尾氏は自分のプログラムがうまく動かないときがあった。自力で直そうとすると、原因究明に途方もない時間がかかると考え、ポールという同僚のトップエンジニアに声をかけて「ペアプログラミング」を依頼した。ペアプログラミングとは、2人1組で1台のPCを共有し、一緒にプログラミングする手法だ。 セッションが始まると、PCの画面には、牛尾氏のプログラムに問題があることを示すログ(プログラムが内部でどのように動いているかを示す記録)が表示された。 するとポールは手を一切動かさず、最初の1つのログだけを見て、頭の中で「仮説」を立て始めた。ぶつぶつと独り言を言いながらしばらく考え、データベースを閲覧するソフトを起動。クエリ(システムへの命令文)を1つだけ書いて、「ここだろう」と一言。そのクエリの結果は、エラーの根本原因を正しく示すものだったという。 牛尾氏のかつてのやり方は、「的確な仮説を導き出すべく『思考』を巡らせる」という過程を省き、ひたすら「試行」を繰り返すものだったのかもしれない。その手法では、どれだけ時間がかかるかわからない』、「自力で直そうとすると、原因究明に途方もない時間がかかると考え、ポールという同僚のトップエンジニアに声をかけて「ペアプログラミング」を依頼した。ペアプログラミングとは、2人1組で1台のPCを共有し、一緒にプログラミングする手法だ。 セッションが始まると、PCの画面には、牛尾氏のプログラムに問題があることを示すログ(プログラムが内部でどのように動いているかを示す記録)が表示された。 するとポールは手を一切動かさず、最初の1つのログだけを見て、頭の中で「仮説」を立て始めた。ぶつぶつと独り言を言いながらしばらく考え、データベースを閲覧するソフトを起動。クエリ(システムへの命令文)を1つだけ書いて、「ここだろう」と一言。そのクエリの結果は、エラーの根本原因を正しく示すものだったという」、さすがだ。
・『マジメすぎる日本人は「Be Lazy」の精神で働こう! しかし、前述した7項目の「(5)時間や費やした努力よりも、アウトプットと生産性に重点を置く」にもある通り、重要なのは所要時間ではない。あくまで結果なのである。だからこそ、困ったときは試行錯誤に長時間かけるのではなく、優秀な仲間の助けを借り、素早く解決していい。「Be Lazy」の精神で働いていいのだ。 なお、これは筆者の見解だが、本書では必ずしも「試行錯誤自体が悪手」と言いたいわけではないのだろう。本書の例では、ポールがプログラムの問題点を一発で見抜いた。だが、より複雑な問題の場合は、そのプロセスを何度か繰り返す必要も出てこよう。 だからこそ、重要なのは「仮説→検証」を繰り返すことなのではないか。頭の中で論理的に、エラーの原因をいくつか考える。どの仮説が正しいのかを、優先順位に基づいて一つ一つ順に検証する。何番目かの仮説が正解で、エラーの原因を突き止められたならば、それは結局「最低限の努力」で済んでいる。これらは「正しい試行錯誤」だという見方もできる。 どんな仕事でもそうだが、多くの人は大量のタスクを抱え込みがちだ。どれから手を付けていいか分からず「時間がない」と焦る。不安になり、いろいろな方法を試してみる。そうする中で、時間だけが過ぎていく。 だが、困った時こそ「急がば回れ」である。深呼吸して、「最低限の努力」で済ませるにはどうすべきかを考える。このことが重要なのだ。 優先順位はどうか。「捨てる」べきタスクは何か。絞ったタスクを、どう効率的にやっていくか。それらを考える時間を惜しんではいけない。不安だからと、やみくもに手を動かすのは我慢しよう。 壁にぶつかった際は「仮説→検証」によって解決策を探る。どうにもならなければ、あっさりと仲間に頼っていい。「Be Lazy」の精神で働くのだ。 これらを意識するだけでも、皆さんの仕事の生産性は確実に上がっていくはずである。 (情報工場チーフ・エディター 吉川清史)』、「困った時こそ「急がば回れ」である。深呼吸して、「最低限の努力」で済ませるにはどうすべきかを考える。このことが重要なのだ。 優先順位はどうか。「捨てる」べきタスクは何か。絞ったタスクを、どう効率的にやっていくか。それらを考える時間を惜しんではいけない。不安だからと、やみくもに手を動かすのは我慢しよう。 壁にぶつかった際は「仮説→検証」によって解決策を探る。どうにもならなければ、あっさりと仲間に頼っていい。「Be Lazy」の精神で働くのだ」、なるほど、その通りなのだろう。
次に、2月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの姫野 桂氏による「【高学歴発達障害】上智大卒の女性に親は「社会不適合者だから家庭に入れ」→ブラック企業経てたどり着いた天職」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338574
・『幼少期から発達障害(ASD)扱いされて精神科に通っていた女性は、得意の数学で上智大に入学。卒業後は大学院に進むほどの優秀な頭脳を持っていたが、ドロップアウトして不本意な職場を転々とするハメに……。ようやくたどり着いた「天職」は、なにが彼女にフィットしたのだろうか。※本稿は、姫野 桂『ルポ 高学歴発達障害』(ちくま新書)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『医師の父は心を病んで家庭は機能不全 娘の小中時代はほぼ不登校だった 待ち合わせ場所に現れた高橋希美さん(45歳)はすらっとしたモデル体型の女性だった。上智大学の理工学部を卒業、同大学院を中退している。 高橋さんは4~5歳の時点でASD(自閉スペクトラム症)傾向が見つかり、はやくから精神科に通っていた。発達障害をこじらせたことから、義務教育をほとんど受けられない状態になってしまった。多くの人とかかわらなければならない「学校」という空間が高橋さんにとっては苦痛な空間だったのだ。また、家族とも折り合いが悪かった。 「父は医師なのですが、私が幼稚園に入る前に精神を病んでしまって半年くらい精神科に入院していたんです。父は勤務医で、職場の人間関係や激務のストレスなどを全部私にぶつけていました。ひとりっ子でほかにきょうだいはいないし、母は気が強いので、母には当たらず子どもの私に来るんですよね」 「私が小学校低学年の頃まで父は単身赴任をしていて、週1くらいで家に帰ってきていたのですが、その1日が毎週地獄でした。単身赴任が終わってからは父が毎朝毎晩家にいるし、もうどうしようと、死にたいとずっと思っていました。その頃くらいから小学校に行ってないです」 高橋さんはいわゆる機能不全家族で育った。小中学校にはほとんど行くことができず、高校は不登校の生徒や高校中退者を受け入れる高校に4年間通うことになった。高橋さんの学校生活はどのようなものだったのだろうか。 「女子って『一緒にトイレに行こう』とかの集団行動があるじゃないですか。それが私嫌なんです。高校時代は同じ時間に国語を受ける人もいれば数学を受ける人もいれば化学を受けている人もいる。みんな教室はバラバラなのにそうやってつるんでいる人たちを見て、『なんで一緒にトイレに行くの?個人行動すればいいのに』と思っていました」) 周りには勉強熱心な人はあまり多くなく、大学に進学する生徒の数も全体の半分くらいで、進学する大学のレベルもそれほど高くなかった。定期試験もちょっと勉強しただけで90点台が取れるレベルの学校だった。 そのため、評定平均が非常に高く、せっかくだからと推薦入試を受けることにした。しかし、文章を書くのはあまり得意ではなかった高橋さんは、入試に小論文がなく、そこそこレベルの高い大学の中から、数学科のある上智大学を選んだ。 「小さい頃から算数・数学がとにかく好きだったんです。小学校入学前にはもう足し算と引き算はできていたと思います。問題集があればひとりでできるところが数学の魅力です。家でもひとりでできる数学には没頭していました。数学ができることが、得意なことと苦手なことの凸の部分なんだと思います」。 晴れて上智大学に合格して、地方から上京することとなった。だが、入学した理工学部数学科(現在は情報理工学科へ再編)は理系学科であるがために女子が少なく、1年の頃は学科で高橋さんを入れて女子が十数名しかいなかった。 加えて、高橋さん以外の女子が全員自宅から通学していること、女子高出身だったことから、女子は常に固まって行動していたため、その輪に高橋さんは馴染めずにつらい思いをした。 結局、同じ学年の人と仲良くなれることはなかったという。休学も挟み、卒業まで5年かかってしまった。しかし、相変わらず勉強は得意で特に幾何学のテストではベスト3に入っていた』、「問題集があればひとりでできるところが数学の魅力です。家でもひとりでできる数学には没頭していました。数学ができることが、得意なことと苦手なことの凸の部分なんだと思います」。 晴れて上智大学に合格して、地方から上京することとなった。だが、入学した理工学部数学科(現在は情報理工学科へ再編)は理系学科であるがために女子が少なく、1年の頃は学科で高橋さんを入れて女子が十数名しかいなかった・・・同じ学年の人と仲良くなれることはなかったという。休学も挟み、卒業まで5年かかってしまった。しかし、相変わらず勉強は得意で特に幾何学のテストではベスト3に入っていた」、なるほど。
・『就職せず大学院に進むが中退し学生バイトの下で働くみじめさ 卒業後はそのまま大学院へと進学したが、持病のてんかん発作が頻繁に起こるようになったこと、親から「あなたは社会不適合者だから家庭に入るのがいい。地元に戻ってきて結婚相談所に入りなさい」と言われたことでだんだんとメンタルがすり減っていき、勉強にもついていけなくなったことを理由に大学院を中退してしまった。) 「大学院を中退後、しばらくブラブラとニートをしていて、それから発達障害の就労訓練事業をしているところで訓練を受けました。私としては最低2カ月は訓練を受けたかったのですが、1カ月の訓練を終えた時点で団体の代表から猛烈に『早く就職しなさい』と言われたんです」 「そこでハローワークの障害者ブースに行ったら予備校の教材部の求人があって、障害者雇用でパートという形で入社しました。でも、その会社特有だと思うんですけど、なぜか『障害をオープンにしないでくれ』と言われたんです」 高橋さんは障害者雇用で入ったこの会社を3年で辞めている。数学科に所属していたが、別の科の社員でそりが合わない人がいたのと、大学生のアルバイトがバイトリーダー的な存在となり、大学生の部下になってしまったことを惨めに感じてしまったのだという。体重もさらに落ちて40kgを切ってしまい、「これは危ない」と思って退職した。 2社目も教材関係の仕事に就いた。ここではクローズ(自身の障害を企業に開示しない)で、派遣として入社した。この会社がブラックだった。 「数学課の社員の方がパワハラ気質の人で、何をやっても怒られました。私が入社する前に私のポジションにいた人は男性だったらしいのですが、その人が職務中に泣いたというレベルのパワハラ具合で。私もパワハラが嫌になって2~3日無断欠勤したこともあって、もうクビでいいと思ったこともありました。それでも派遣元から『無断欠勤した期間は有給ということにしてあげるから戻ってこないか』ということを言われて戻りました」 「派遣は3カ月ごとの更新制なので、次の更新はもうないだろうなと思っていたら、なぜかまた『お願いします』と言われて。結局2年少々引っ張られて在籍し、最後はもうこっちから辞めたいと言って辞めました」』、なるほど。
・『発達障害であることを伏せて正社員採用された職場の居心地は その後また別の会社を経て、現在の天職だと語る職場にたどり着くこととなった。塾や予備校などで使用する参考書や教材を編集する仕事だ。もともと数学が好きで、数学を扱えるだけで嬉しいのだという。 高校教科書の練習問題の模範解答がずらっと書かれた本や、学校の教師向けの指導書の作成、中学生向けの高校入試対策模擬試験の作成を行なっている。編集のみならず、ときには執筆や校正を行なうこともある。他にも、中学生向けの高校入試の指導書を作成したり、タブレット教材の制作にも関わっている。 今の仕事で一番楽しいのは、自分が書いたものが本や模擬テストとなって製品になることだという。ここにはクローズで正社員として入社している。 「数学が好きだというのもあるのですが、すごく小さな会社で、上司である社長が穏やかな人だから続けられています。環境がとてもいいんです。もともと数学ができる人ってASD気質の人が多いので、そんなに私が浮いていないんです。これが英語や国語だったら浮いていたと思います」。 なお、クローズで入社しているが、高橋さんは障害者手帳を持っている。障害者控除を受けるために経理に通す必要があるのではないかと尋ねると、会社側には発達障害ではなく、併発しているてんかんで手帳を持っていると伝えているのだという。 クローズで働いている最大の理由はやはりお金だ。障害者雇用の多くは低賃金である。以前、障害者雇用で働いていたときは幸い、親がワンルームマンションを購入してくれて、家賃の負担がなかった。そして今でもその部屋に住み続けている。 「私という人間は数学がなければ何もありません。発達障害があって、数学に秀でていたから今の職に就けたので、一概に発達障害が悪いとは思っていません。社長が元気なうちはずっとこの会社で働き続けたいです」 天職と語る職業に恵まれた一方で、全く苦難がないわけではない。交際中の男性が詳細は話さずざっくりと「彼女は障害者だ」と男性の親に伝えたところ、「障害者の嫁なんていらない」と会わせてもらえなかったことがあったという。高橋さんは障害者差別を受けたことになる。少しでも障害についての理解が一般の人にも認知されることを願うばかりだ』、「もともと数学ができる人ってASD気質の人が多いので、そんなに私が浮いていないんです。これが英語や国語だったら浮いていたと思います・・・クローズで働いている最大の理由はやはりお金だ。障害者雇用の多くは低賃金である。以前、障害者雇用で働いていたときは幸い、親がワンルームマンションを購入してくれて、家賃の負担がなかった。そして今でもその部屋に住み続けている・・・交際中の男性が詳細は話さずざっくりと「彼女は障害者だ」と男性の親に伝えたところ、「障害者の嫁なんていらない」と会わせてもらえなかったことがあったという。高橋さんは障害者差別を受けたことになる。少しでも障害についての理解が一般の人にも認知されることを願うばかりだ」、結婚を前提とした付き合いで「親」の反対は、困ったものだが、やはり現状ではしょうがないと受け止めざるを得ないようだ。
タグ:発達障害 (その6)(大人のADHD→44歳で米マイクロソフト転職!異色の日本人が「怠惰であれ」と説く理由~『世界一流エンジニアの思考法』(牛尾 剛 著)を読む、【高学歴発達障害】上智大卒の女性に親は「社会不適合者だから家庭に入れ」→ブラック企業経てたどり着いた天職) ダイヤモンド・オンライン「大人のADHD→44歳で米マイクロソフト転職!異色の日本人が「怠惰であれ」と説く理由~『世界一流エンジニアの思考法』(牛尾 剛 著)を読む」 「米マイクロソフトに転職」とはすごい経歴だ。 同氏は「幼い頃から要領が良くなく、大人になってからADHD・・・と診断された」・・・だからこそ、「どうやったら不得意なことでも効率よく人並みのことができるのか、仕事の生産性を上げる方法を意識的に研究してきた」という。そして努力の末、44歳で米マイクロソフトに転職。「世界一流」のエンジニアとともに仕事をすることになった」、なるほど。 牛尾氏は以下に示す7つのポイントを挙げている。 (1)望んでいる結果を達成するために、最低限の努力をする (2)不必要なものや付加価値のない仕事(過剰な準備含む)をなくす (3)簡潔さを目指す (4)優先順位をつける (5)時間や費やした努力よりも、アウトプットと生産性に重点を置く (6)長時間労働しないことを推奨する (7)会議は決められた時間内で効率的かつ生産的に行う 「一流エンジニアたちには、日本では当たり前の「時間をかけて結局全部やる」という概念がない。「優先順位をつけた後は、最初の1個(最も重要なもの)だけをピックアップしてやる。そして他はやらない。その1つにフォーカスしよう」という感覚らしいのだ」、なるほど。 「試行」の前に「思考」! 手を動かす前に仮説を立てるべし 「自力で直そうとすると、原因究明に途方もない時間がかかると考え、ポールという同僚のトップエンジニアに声をかけて「ペアプログラミング」を依頼した。ペアプログラミングとは、2人1組で1台のPCを共有し、一緒にプログラミングする手法だ。 セッションが始まると、PCの画面には、牛尾氏のプログラムに問題があることを示すログ(プログラムが内部でどのように動いているかを示す記録)が表示された。 するとポールは手を一切動かさず、最初の1つのログだけを見て、頭の中で「仮説」を立て始めた。ぶつぶつと独り言を言いながらしばらく 考え、データベースを閲覧するソフトを起動。クエリ(システムへの命令文)を1つだけ書いて、「ここだろう」と一言。そのクエリの結果は、エラーの根本原因を正しく示すものだったという」、さすがだ。 マジメすぎる日本人は「Be Lazy」の精神で働こう! 「困った時こそ「急がば回れ」である。深呼吸して、「最低限の努力」で済ませるにはどうすべきかを考える。このことが重要なのだ。 優先順位はどうか。「捨てる」べきタスクは何か。絞ったタスクを、どう効率的にやっていくか。それらを考える時間を惜しんではいけない。不安だからと、やみくもに手を動かすのは我慢しよう。 壁にぶつかった際は「仮説→検証」によって解決策を探る。どうにもならなければ、あっさりと仲間に頼っていい。「Be Lazy」の精神で働くのだ」、なるほど、その通りなのだろう。 ダイヤモンド・オンライン 姫野 桂氏 「【高学歴発達障害】上智大卒の女性に親は「社会不適合者だから家庭に入れ」→ブラック企業経てたどり着いた天職」 姫野 桂『ルポ 高学歴発達障害』(ちくま新書) 「問題集があればひとりでできるところが数学の魅力です。家でもひとりでできる数学には没頭していました。数学ができることが、得意なことと苦手なことの凸の部分なんだと思います」。 晴れて上智大学に合格して、地方から上京することとなった。だが、入学した理工学部数学科(現在は情報理工学科へ再編)は理系学科であるがために女子が少なく、1年の頃は学科で高橋さんを入れて女子が十数名しかいなかった・・・ 同じ学年の人と仲良くなれることはなかったという。休学も挟み、卒業まで5年かかってしまった。しかし、相変わらず勉強は得意で特に幾何学のテストではベスト3に入っていた」、なるほど。 「もともと数学ができる人ってASD気質の人が多いので、そんなに私が浮いていないんです。これが英語や国語だったら浮いていたと思います・・・クローズで働いている最大の理由はやはりお金だ。障害者雇用の多くは低賃金である。以前、障害者雇用で働いていたときは幸い、親がワンルームマンションを購入してくれて、家賃の負担がなかった。そして今でもその部屋に住み続けている・・・ 交際中の男性が詳細は話さずざっくりと「彼女は障害者だ」と男性の親に伝えたところ、「障害者の嫁なんていらない」と会わせてもらえなかったことがあったという。高橋さんは障害者差別を受けたことになる。少しでも障害についての理解が一般の人にも認知されることを願うばかりだ」、結婚を前提とした付き合いで「親」の反対は、困ったものだが、やはり現状ではしょうがないと受け止めざるを得ないようだ。
健康(その26)(冬場の「浴室での突然死」を防ぐ超シンプルな方法 大切な家族を守るための「血流改善」習慣とは、「健康診断の数値」を気にする50代が失うもの 一昔前の医学の常識を信じているかもしれない、「夜中にトイレで目が覚める」は早死のサイン…泌尿器の専門医が指摘する"おしっこ"と"寿命"の知られざる関係 夜3回以上トイレに起きる人は死亡率が2倍になる) [生活]
健康については、昨年6月14日に取上げた。今日は、(その26)(冬場の「浴室での突然死」を防ぐ超シンプルな方法 大切な家族を守るための「血流改善」習慣とは、「健康診断の数値」を気にする50代が失うもの 一昔前の医学の常識を信じているかもしれない、「夜中にトイレで目が覚める」は早死のサイン…泌尿器の専門医が指摘する"おしっこ"と"寿命"の知られざる関係 夜3回以上トイレに起きる人は死亡率が2倍になる)である。
先ずは、本年1月14日付け東洋経済オンラインが掲載した 富永ペインクリニック院長・医学博士・日本麻酔科学会認定麻酔科指導医の富永 喜代氏による「冬場の「浴室での突然死」を防ぐ超シンプルな方法 大切な家族を守るための「血流改善」習慣とは」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/724389
・『寒い冬は、とくに血流に気をつけることが大切です。のべ2万人の臨床麻酔実績で、全身の血流について詳しい富永喜代医師の著書『血流がすべて血流コントロールの名医が教える わずか1分でできる「すごい血流改善法」』より一部引用・再編集し、全身を元気にし、突然死も防ぐことができる入浴方法をご紹介します』、興味深そうだ。
・『交通事故よりもこわい「冬の浴室」 寒い日は、早く家に帰って温まりたい。そう思いますが、家の中に思わぬ危険があります。それは、浴室。 厚生労働省の統計によると、浴室で亡くなる高齢者の数は、交通事故で亡くなる人の約2倍。特に65歳以上の高齢者の死亡事故が多く、毎年11月から4月にかけて多く発生しているそうです。 ピンピンコロリがいいとはよく言われますが、まだやりたいことがあったのに、伝えたいことがあったのに、本意ではないタイミングで大切な人に会えなくなってしまったら、それはとても切ないことですよね。 防げるものなら、防ぎたい。そう願うあなたに。そして、突然いなくなってほしくない大切な人がいるあなたのために、知っておいてほしいお風呂での血流対策をお伝えします。) まずお話ししたいのは、「お湯の量」についてです。 体をどこまでお湯につけるか。これがとても重要なんです。 子どものころ、両親からこんなふうに言われたことはないでしょうか? 「肩までしっかりつかりなさい!」 「100数えてから上がりなさい!」 もしかすると、今はあなたがお子さんにそう言い聞かせているかもしれません』、「浴室で亡くなる高齢者の数は、交通事故で亡くなる人の約2倍。特に65歳以上の高齢者の死亡事故が多く、毎年11月から4月にかけて多く発生しているそうです」、それは大変だ。
・『心臓に無理をさせないために「お湯の量」が大切 じつはこの入浴方法、血流改善の観点から考えると、とっても危険。 悪い入浴方法の代表例なんですよ。 理由はかんたん。肩までつかると、血管が、水圧によってギューッと押さえつけられてしまうからなんです。 心臓よりも高い位置まで湯につかってしまうと、静脈の圧よりも水圧が高くなります。それによって、手足や内臓の静脈がギュッと圧迫され、血液が心臓に向かって一気に移動。すると、心臓は増えた分の血液をくみ出すために、無理して働くようになります。 肩までつかっている本人は、「いい湯だな」と思っていても、体は心臓に負担がかかるという「緊急事態」への対応に大わらわとなっているわけです。) 仮にこの状態のまま長風呂をしてしまうと、血流が落ちていき、心臓や肺に大きな負担がかかります。 そして、さらに大きな問題が、「お湯から上がるとき」に起こります』、「肩までつかると、血管が、水圧によってギューッと押さえつけられてしまうからなんです。 心臓よりも高い位置まで湯につかってしまうと、静脈の圧よりも水圧が高くなります。それによって、手足や内臓の静脈がギュッと圧迫され、血液が心臓に向かって一気に移動。すると、心臓は増えた分の血液をくみ出すために、無理して働くようになります。 肩までつかっている本人は、「いい湯だな」と思っていても、体は心臓に負担がかかるという「緊急事態」への対応に大わらわとなっているわけです』、「肩までつかる」べきでないとは、寂しい感じだ。
・『浴室での「立ちくらみ」が命をうばう 水圧でぐっと収縮し、心臓へ血液を戻していた手や足の静脈は水圧から解放され、一気に弛緩します。しかも立ち上がりますから、重力によって下半身に向かって血液が勢いよく流れ出していく。 すると、一時的に脳へ送られる血液量が減り、目の前が暗くなります。起立性低血圧症といって、いわゆる立ちくらみが起き、フラフラと倒れてしまうわけです。 これは、大変危険です。 もし、昔ながらの深い湯船だった場合、倒れた拍子に頭を打ち、意識を失い、溺れてしまうといった最悪のケースにおちいる可能性もあります。 最初にお伝えしたように、自宅で亡くなる人が命を落としている場所は、圧倒的に「浴室」です。特に高齢の方は、加齢によって血管のやわらかさが失われているため、リスクが高まるのです。 また、医師から心臓が弱いと指摘を受けている方、高血圧の方は肩までしっかりつかってはいけません。立ちくらみ、脳虚血、失神の原因になります。 おすすめは、みぞおちまでつかる半身浴。これを守るためにも「湯量は腰まで」をルールにしましょう。) あなたは毎日、何℃のお風呂に入っていますか? 血流を整える入浴法で湯量と並んで大切なのが、「お湯の温度」です。 入浴に関する全国調査によると、日本人のお風呂の平均湯温は「41℃」だそうです。 この数字を目にして、「ぬるめだな」と思った人は要注意。きっと、あなたが入っているお風呂は熱すぎます』、「水圧でぐっと収縮し、心臓へ血液を戻していた手や足の静脈は水圧から解放され、一気に弛緩します。しかも立ち上がりますから、重力によって下半身に向かって血液が勢いよく流れ出していく。 すると、一時的に脳へ送られる血液量が減り、目の前が暗くなります。起立性低血圧症といって、いわゆる立ちくらみが起き、フラフラと倒れてしまうわけです。 これは、大変危険です・・・おすすめは、みぞおちまでつかる半身浴。これを守るためにも「湯量は腰まで」をルールにしましょう・・・日本人のお風呂の平均湯温は「41℃」だそうです。 この数字を目にして、「ぬるめだな」と思った人は要注意。きっと、あなたが入っているお風呂は熱すぎます」、「半身浴」、「ぬるめ」では、私はとても「風呂」に入った気がしない。
・『高齢者ほど「熱すぎてキケン」なお湯につかってしまう とりわけ、高齢者になればなるほど、熱いお風呂を好む傾向があります。これは皮膚の「温熱感受性」の劣化によるもの。 皮膚の表面に温点、冷点と呼ばれる熱い、冷たいを感じとるセンサーがあります。じつはこの温点、冷点の数は、年齢を重ねるごとに減っていきます。 最新の研究によると、温点・冷点は、20代と70代を比べると約半分になってしまうというデータもあります。なかでも湯船に入るとき、最初にお湯に触れる足先の温点・冷点は、20代に比べ、70代では3分の1ほどに。 その結果、熱い、冷たい、の識別が鈍くなり、子どもなら「絶対ムリ!」と飛び出すような湯温でも、おじいちゃんおばあちゃんは「ほぉう」と吐息をもらしながら肩までつかることができるわけです。 しかも、とくに冬場はついつい長風呂になってしまいがち。そのとき湯温が高いと、疲労、脱水、血管虚脱(血管がひろがりすぎて、血流が落ち、脳へ必要な酸素や栄養素が届かなくなる)といった症状を引き起こす可能性があり、かなり危険な状態です。 湯温は自分の肌感覚だけではなく、「数値」で見て把握しておくべきです。 また、高温のお湯につかることは、入浴のメリットであるリラックス効果を妨げてしまいます。お風呂でリラックスするかどうかは「交感神経」と「副交感神経」の働きと深く関連し、湯温がその切り替えスイッチのような働きを果たしています。 副交感神経の働きが高まれば、精神的に落ち着き、末梢血管も拡張し、血圧は下がっていき、血流が向上。心臓の負担も軽くなります。 一方、交感神経の働きが過度に高まると末梢血管が収縮。末梢の血流が落ちるため、心臓はより多くの血液を循環させようと負担を強いられながら、働くようになります。当然、血圧は上昇してしまいます。 お湯がぬるめか、熱めかによって、入浴時に交感神経と副交感神経のどちらの働きが高まるかが決まるわけですね。) 私のおすすめは、断然ぬるめです。 ぬるめの湯温とは、冬なら40℃、夏なら38℃。一方、41℃以上が熱めの湯温です。 体が疲れているときは、ぬるめのお湯に10分ほどゆっくりつかりましょう。 これで副交感神経が働き、末梢血管が拡張。入浴から5分経過すると、白血球、リンパ球、がん細胞を倒すNK細胞など免疫力を支える免疫細胞が増えることがわかっています。 もちろん、血流も整い、体のすみずみまで栄養と酸素が行き届き、疲労物質も回収・排出されるので、疲れが軽くなります』、「湯船に入るとき、最初にお湯に触れる足先の温点・冷点は、20代に比べ、70代では3分の1ほどに。 その結果、熱い、冷たい、の識別が鈍くなり、子どもなら「絶対ムリ!」と飛び出すような湯温でも、おじいちゃんおばあちゃんは「ほぉう」と吐息をもらしながら肩までつかることができるわけです・・・とくに冬場はついつい長風呂になってしまいがち。そのとき湯温が高いと、疲労、脱水、血管虚脱(血管がひろがりすぎて、血流が落ち、脳へ必要な酸素や栄養素が届かなくなる)といった症状を引き起こす可能性があり、かなり危険な状態です・・・高温のお湯につかることは、入浴のメリットであるリラックス効果を妨げてしまいます。お風呂でリラックスするかどうかは「交感神経」と「副交感神経」の働きと深く関連し、湯温がその切り替えスイッチのような働きを果たしています。 副交感神経の働きが高まれば、精神的に落ち着き、末梢血管も拡張し、血圧は下がっていき、血流が向上。心臓の負担も軽くなります。 一方、交感神経の働きが過度に高まると末梢血管が収縮。末梢の血流が落ちるため、心臓はより多くの血液を循環させようと負担を強いられながら、働くようになります。当然、血圧は上昇してしまいます・・・私のおすすめは、断然ぬるめです。 ぬるめの湯温とは、冬なら40℃、夏なら38℃。一方、41℃以上が熱めの湯温です。 体が疲れているときは、ぬるめのお湯に10分ほどゆっくりつかりましょう。 これで副交感神経が働き、末梢血管が拡張。入浴から5分経過すると、白血球、リンパ球、がん細胞を倒すNK細胞など免疫力を支える免疫細胞が増えることがわかっています。 もちろん、血流も整い、体のすみずみまで栄養と酸素が行き届き、疲労物質も回収・排出されるので、疲れが軽くなります」、「ぬるめのお湯に10分ほどゆっくりつか」れば、「入浴から5分経過すると、白血球、リンパ球、がん細胞を倒すNK細胞など免疫力を支える免疫細胞が増えることがわかっています」、素晴らしい効能だ。
・『第二の心臓を動かす「足先クイクイ体操」 みぞおちまでの湯量、ぬるめの湯温と入浴時のポイントをお伝えしてきましたが、最後に、お風呂でできる「血流アップ体操」をご紹介します。 その名も、「足先クイクイ体操」。 湯船につかり、足を伸ばして(伸ばせない浴槽なら、入浴後に行ってもOK)、つま先を上、前、上、前と、クイ、ストン、クイ、ストンと前後に10回ずつ動かします。 そうすると、すぐに「第二の心臓」と言われるふくらはぎの筋肉がググッと動いているのを感じるはず。温まり、血流のアップしている体に対して、さらなる刺激を加え、すっきりと疲労物質を洗い流す効果が期待できます。 ちなみに、この「足先クイクイ体操」には中高年の女性に多い「深部静脈血栓症」を予防する効果があります。深部静脈血栓症は、別名「エコノミークラス症候群」と呼ばれ、亡くなる方も少なくない怖い病気です。 飛行機や自動車などの狭い座席に長時間座り、立ち上がって歩き出したときに呼吸困難に襲われ、倒れてしまう。飛行機の乗客だけでなく、タクシードライバーなど、座りっぱなしの状態が続いた方が多くこの症状に見舞われています。 同じ症状は、手術後に入院する場合があるICU(集中治療室)でも発生しやすく、医療関係者は大いに注意を払っています。特に、しばらく寝たきりで過ごす患者さんの足には、電動でふくらはぎをもみあげていくフットポンプと呼ばれる機器を取りつけることも。 血液がスムーズに流れることは、体にとってそれだけ大切なことなんです』、「足先クイクイ体操」は簡単そうなので、是非、習慣づけたい。
次に、1月14日付け東洋経済オンラインが掲載した 精神科医の和田 秀樹氏による「「健康診断の数値」を気にする50代が失うもの 一昔前の医学の常識を信じているかもしれない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/727220
・『仕事・お金・健康・生きがなど50歳を過ぎると、今後の不安がどうしても頭をよぎります。特に50代ともなれば、急に気になり始めるのが「健康」で、会社などで受ける検診結果にドギマギしているという人もいるのではないでしょうか。 が、高齢者の健康についての著書も多い、精神科医の和田秀樹さんは「検診の数値は気にしなくていい」と断言します。その理由を、和田さんの新著『50歳からの脳老化を防ぐ 脱マンネリ思考』より、一部引用・再編集してご紹介します』、私も40代までは指摘事項が殆どなかったが、「50代」になると急に増え、戸惑った記憶がある。
・『50代の老いの自覚は曖昧なもの 50代の方なら覚えがあると思いますが、「このごろ疲れやすくなった」「熟睡できない」「根気が続かない」「どうもやる気が出ない」といったさまざまなの身体や心の不調、これといった病気もなく、体力だってまだまだ十分なのに、ちょっとしたことで「老い」を自覚することが多くなります。 といっても50代の老いの自覚は曖昧なものです。 以前の自分(20代や30代の自分)と比べてみたり、同世代の友人や仲間の中でも若々しくて元気な人間と比べてみたりして、「やはり齢のせいかな」と思いこもうとします。 齢のせいにすれば「仕方ない」とか「まあぼちぼちやっていこう」と自分を落ち着かせることができます。「何かの病気が隠れているんじゃないか」と思うより安心できるからです。) 逆に言えば、「まさかと思うけど、やっかいな病気にはなりたくない」という気持ちがつねにあります。あとわずかですから、定年までは何とか勤め上げたいと思うからです。ここで重い病気にでもなったら、人生設計を大きく狂わせてしまいます』、私も現役時代を無事に過ごせたのは幸運だった。
・『数値を気にした途端待ち受ける地獄 そこでつい気にしてしまうのが健診の数値です。 主に血圧、血糖値、コレステロール値などですが、50代というのはいろいろな数値に異常が出始める年齢ですから、健診が近づくとお酒を減らしたり甘いものや脂っこいものを控えたりする人が結構います。 もちろん気休めですが、それくらい数値を気にするのです。なぜなら一般的な健診で数値の異常が出ると、要精密検査となります。混雑している大きな病院まで出かけて検査を受けなければいけません。これだけでも憂鬱になります。 そしてたいていの場合は、検査データをもとに医者の診断があり、ほぼ間違いなく薬を処方されます。血圧や血糖値やコレステロール値を下げる薬です。 「あーあ、とうとうわたしも薬を飲む身体になってしまったなあ」とガッカリします。しかもさまざまな注意や指導を医者から受けます。 「塩分は控えなさい」「脂っこいものはダメ」「甘いものもダメ」「お酒はほどほどに」「運動を心がけましょう」……並べて言われるとだんだん気持ちが沈んできます。お酒が好きで肉料理も好き、飲んだ後のラーメンが楽しみという人にとっては、これでは張り合いのない毎日になってしまいます。 そして医者はとどめのひと言を告げます。 「1か月後にまた検査しましょう。正常値に戻っているといいですね」 おまけに血圧手帳を渡されますから、これからの1カ月間、血圧計をにらみながら好きな食べ物を我慢することになります。健診と聞いただけで憂鬱になるのも無理はありません』、私の場合、「コレステロール値」が高目だったが、「血圧」が正常だったこともあり、幸い薬の処方はなかった。
・『なぜ「健診の数値は気にしなくていい」のか わたしは高齢者向けの本を何冊か書いてきましたが、そのすべてに「健診の数値は気にしなくていい」と書いてきました。ほんとうは「受けなくていい」と断言したいのですが、職場の健診というのはそうもいきません。50代には言いにくいのです。 でもここはあえて言っておきましょう。 たとえ健診を受けて数値の異常があれこれ見つかっても、気にしないことです。実際に体調の悪さやいつもと違う異常を感じているというのでしたら別ですが、気分もいいし食欲もやる気も十分というのでしたら、いまがベストなのですから何も気にすることはありません。 その理由を簡単に説明してみます。 血圧と並んで健診の数値で気になる(引っ掛かりやすい)のが血糖値です。例のヘモグロビンAIc(エーワンシー)で示される数値が6・0を超えると糖尿病の予備軍となります。この時点でウンザリするほどの食事制限を受けるのは言うまでもありません。 つまり一度でも健診の数値が引っ掛かってしまうと、長い期間、食事内容を制限され、薬を飲まされ、定期的に検査を受け続けることになります。数値が異常というだけでいきなり病気が見つかったり入院治療ということはありませんが、ふだんの生活が健診の数値でものすごく不自由になってくるのです。) では何のために医学は数値の異常に介入してくるのでしょうか。言うまでもなく、数値を正常に戻すためです。正常に戻せば、病気のリスクが減ると信じられているからです。 ところが、それを真っ向から否定するデータがあります。 アメリカの国立衛生研究所の下部組織がこんな研究を行なっています。糖尿病患者1万人を2つのグループに分けて1つは標準療法、もう1つのグループには強化療法を試みます。「強化療法群」はヘモグロビンAlcを正常値の6・0%以下に抑え、「標準療法群」は7%~7・9%に抑える緩めの療法です。 いまの日本の医学常識を当てはめれば、結果は明白です。「強化療法群」のほうが健康を維持できるはずです。ところが3年半後の死亡率は「強化療法群」のほうが「標準療法群」より高かったのです。 同じようなデータはほかにもありますが、今度はコレステロール値についてのデータを紹介してみます』、「アメリカの国立衛生研究所の下部組織がこんな研究を行なっています。糖尿病患者1万人を2つのグループに分けて1つは標準療法、もう1つのグループには強化療法を試みます。「強化療法群」はヘモグロビンAlcを正常値の6・0%以下に抑え、「標準療法群」は7%~7・9%に抑える緩めの療法です・・・3年半後の死亡率は「強化療法群」のほうが「標準療法群」より高かったのです」、このような矛盾が出てくるほどまだ医学の世界は発展途上のようだ。
・『医学常識はいまも変わり続けている フィンランド保健局が1974年から1989年にかけてコレステロール値などが高い40~45歳の男性管理職1222人を対象に調査したデータです。 4カ月ごとの健康診断に基づいて数値が高い人には薬を処方し、塩分制限などの健康管理を行う「介入群」612人と、健康管理に介入しない「放置群」610人に分けて追跡調査をしたところ、がんによる死亡率、心血管系の病気の罹患率や死亡率、挙げ句は自殺者数に至るまですべて「介入群」のほうが「放置群」より高かったのです。) ここでちょっと補足しておきますが、コレステロールは細胞膜の主原料で人間が生きていくためには欠かせないものです。よく「悪玉」「善玉」と呼んで区分することがありますが、どちらも人間にとって重要な働きをしていることに変わりはありません。 けれども循環器の医者から見ればLDLコレステロール、つまり「悪玉」が増えすぎると血管壁に入りこんで動脈硬化の原因になるとされます』、「フィンランド保健局が1974年から1989年にかけてコレステロール値などが高い40~45歳の男性管理職1222人を対象に調査したデータ」も、これまでの日本の常識とは相いれないようだ。
・『コレステロールが高いほどうつになりにくい? ところが免疫学者に言わせればコレステロールは免疫細胞の材料になるからコレステロール値が高い人のほうが免疫力が高いとなります。あるいはコレステロールは脳にセロトニンを運ぶ働きもあるとされますから、数値が高い人ほどうつになりにくいという報告もあります。 さらには老年医学の立場から見れば、コレステロール値の高い人のほうが男性ホルモンが多いため、齢を取っても活性が高いといった研究もあります。 「コレステロール値が多少高いほうが病気も少なく、長生きできる」と主張する医者だっているのです。つまり「こっちにとっては悪くても、あっちにとってはいいこと」というのはしばしば起こり得るのです。 しかしいくらこういうデータを並べても、循環器の医者が自分の狭い立場にこだわる限り、「そっちには良くてもこっちには悪いこと」となります。健診で数値に異常が見つかればそれを正常に戻すことだけ考えますから、相変わらず薬と食事制限を申し渡すでしょう。 ちなみに2015年には、コレステロールを「悪玉」視していた厚生労働省も摂取制限を撤廃しました。卵や肉などいくら食べても大丈夫ということになりました。10年も発てば医学常識が変わることなど、いくらでもあるのです』、「コレステロール値の高い人のほうが男性ホルモンが多いため、齢を取っても活性が高いといった研究もあります。 「コレステロール値が多少高いほうが病気も少なく、長生きできる」と主張する医者だっているのです。つまり「こっちにとっては悪くても、あっちにとってはいいこと」というのはしばしば起こり得るのです・・・2015年には、コレステロールを「悪玉」視していた厚生労働省も摂取制限を撤廃しました。卵や肉などいくら食べても大丈夫ということになりました。10年も発てば医学常識が変わることなど、いくらでもあるのです」、何事も柔軟に考える必要がありそうだ。
第三に、1月19日付けPRESIDENT Onlineが掲載した順天堂大学大学院 教授の堀江 重郎氏による「「夜中にトイレで目が覚める」は早死のサイン…泌尿器の専門医が指摘する"おしっこ"と"寿命"の知られざる関係 夜3回以上トイレに起きる人は死亡率が2倍になる」を紹介しよう。
・『就寝中に尿意で目が覚める夜間頻尿にはどんなリスクがあるのか。泌尿器科医の堀江重郎さんは「夜3回以上トイレに起きる人は死亡率が2倍になるという調査結果がある。夜間頻尿は、寿命を縮める病気にかかっているサインの恐れがあり、ただの老化と軽視しないほうがいい」という――。 ※本稿は、堀江重郎『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える腎臓・膀胱 最高の強化法』(SB新書)の一部を再編集したものです』、私は前立腺肥大なので、「夜間頻尿」は3,4回と酷い。
・『60代以上の8割超が夜中にトイレに起きている みなさんは、自分が1日に何回、排尿しているか意識していますか? 若いうちはともかく、中高年に差しかかってきたら、気にしたほうがいいでしょう。 一般的に、「正常な排尿は1日に5~7回」です。1日に8回以上、排尿していたら「頻尿」、また就寝後から起床前の就寝中に1回以上、トイレに起きると「夜間頻尿」と見なされます。 いずれも、クオリティー・オブ・ライフにもかかわってくる不快な症状ですが、より深刻にとらえたほうがいいのは夜間頻尿です。 日本人の夜間頻尿の調査によると、40~50歳になると半数以上の人が夜中に1回はトイレに起きるようになります。さらに60代以上になると、約8割以上もの人が、夜間にトイレに起きています。夜間頻尿は、次のように、さまざまな要因が単発で、あるいは連鎖的にかかわっている症状です。 高齢者の集団を6年間にわたり調査したところ、「夜間に3回以上、トイレに起きる人は、2回以下の人の2倍も死亡率が高い」――スウェーデンで行われたある調査で、こんな衝撃的なデータが示されました。 これは、夜間頻尿そのものが寿命を縮めているということではありません。重要なのは、寿命を縮めるような病気になると、1つの症状として夜間頻尿が起こる場合が多いということです。つまり夜間頻尿は、寿命を縮める病気にかかっているサインかもしれないのです』、「「夜間に3回以上、トイレに起きる人は、2回以下の人の2倍も死亡率が高い」――スウェーデンで行われたある調査で、こんな衝撃的なデータが示されました。 これは、夜間頻尿そのものが寿命を縮めているということではありません。重要なのは、寿命を縮めるような病気になると、1つの症状として夜間頻尿が起こる場合が多いということです。つまり夜間頻尿は、寿命を縮める病気にかかっているサインかもしれないのです」、なるほど。
・『糖尿病が多尿を生んでいるケースも 夜間頻尿の原因①【おしっこが多すぎる】 そもそも尿の量が多くなると、起きている日中にたびたびトイレに行くだけでは出し切れず、夜中にトイレに行くことにつながります。多尿になる原因は単純に「水分のとりすぎ」ですが、それとは別に、糖尿病が多尿を生んでいるケースもあります。 糖尿病になると、血糖値(血液中の糖濃度)が高くなるため、血液の浸透圧が高くなります。すると、細胞の水分が血液に引っ張られ、血液の量が増えて、通常より尿量が多くなってしまうのです。 この結果、体内の水分が足りなくなり、のどの渇きを強く感じるようになります。そのため水分をたくさんとることになり(多飲)、トイレの回数が増えるという悪循環が生じるのです。夜中にのどが渇いて起きて水分をとるというのは、重症の糖尿病の可能性があります』、私の場合は該当しない。
・『夜間頻尿の原因②【からだのなかに水分が溜まる】 水分のとりすぎなどにより、水分がからだのなかに溜まってしまうことも夜間頻尿の原因になります。水分を摂取すると、水分は腎臓でろ過されて血液のなかに行きます。そして、その水分は血管から心臓まで戻り、心臓から送り出された血液は、動脈から末梢血管に行って、静脈をとおって、また心臓に戻ってきます』、私の場合は該当しない。
・『水分の摂りすぎの可能性 ところが、全部の量が戻ってこないで、からだの筋肉や脂肪の外の組織に水分が溜まってしまうことがあります。よく夕方になると足がむくむという人もこれが原因です。このような人たちは、就寝時、寝ているとからだが横になるため、からだのなかに溜まっていた水分がもう一度心臓に戻ってきます。そして、そこで尿をつくるので、夜中に尿量が増えます。 これを予防するためには、ストッキングが効果的です。足に弾性のあるストッキングを履いて、余分な水分が溜まらないようにするのです。 また、最近開発された高出力の磁気治療器は、骨盤の筋肉を細かく振動させることによって、水分をからだのなかに戻して、夜間頻尿を改善します』、私の場合はこれも該当しない。
・夜間頻尿の原因③【おしっこが濃くならない】(通常、覚醒時より睡眠時のほうが尿の回数が少ないのは、眠っている間に「バソプレシン」というホルモンが分泌されているからです。尿の90パーセントは水分ですが、バソプレシンには、腎臓での水分の再吸収量を増やすことで、睡眠時に膀胱に溜まる尿の量を、覚醒時より少なくする作用があります。いい換えれば「尿を濃くする」ということです』、私の場合は多少は該当する可能性がある。
・『尿が濃くならず、膀胱がいっぱいになる つまり、眠っている夜間は、起きている日中ほど尿がつくられなくなるため、膀胱がなかなかいっぱいにならず、トイレに起きなくてよいのです。朝の起き抜けの尿の色が濃いのも、バソプレシンによって尿の成分が濃くなっているためです。 バソプレシンの合成や作用に支障が起こったものが、「尿崩症にょうほうしょう」と呼ばれる症状です。そうなると、日中と同じくらいのペースで膀胱がいっぱいになるため、夜間に尿意で目が覚めるという症状が起こってきます。 このバソプレシンの分泌は、加齢に伴い夜間での分泌量が減っていきます。夜の間に1日のおしっこの3分の1以上がつくられている場合、たとえば、1日1.5リットルであれば、500ミリリットル以上、夜、寝ている間に出る人は、バソプレシンの分泌が減り、夜間多尿になっていると考えられます。こういう方には、バソプレシンに似たお薬、デスモプレシンという薬が有効です。 また、バソプレシンは、お子さんのおねしょにも効果的です。小児のなかにはバソプレシンが十分に分泌されていない人もいます。お子さんのおねしょにお困りの方は検討してみてください』、私の場合は該当しない。
・『膀胱が硬くなる、腎機能の低下… 夜間頻尿の原因④【膀胱の柔軟性が下がる】 膀胱でつくられるガス「一酸化窒素」には、膀胱や膀胱の出口の筋肉に柔軟性を与える作用があります。高血圧や糖尿病、高脂血症、動脈硬化など、いわゆる「生活習慣病」にかかると、この一酸化窒素が十分につくられなくなります。 一酸化窒素が足りず、膀胱の柔軟性が損なわれると、膀胱が硬くなり、尿が溜まる量も減って、通常より早くいっぱいになってしまいます。そして起きている日中のみならず、眠っている夜間にも、たびたび尿意をもよおすことになります。 そのうえ、一酸化窒素の不足によって膀胱の出口も緩みにくくなるため、トイレに行っても「尿が詰まった感じがする」「スムーズに出切らない」、だから余計に「何度もトイレに行きたくなる」という悪循環が生じてしまうのです』、私の場合、【膀胱の柔軟性が下がる】は多少該当する可能性がある。
・『夜間頻尿の原因⑤【腎機能の低下】 腎臓の機能が低下して、尿を濃くすることができなくなると、尿が多くなります。腎不全、慢性腎臓病でも、夜間頻尿が起こります。 ・夜間頻尿の原因⑥【睡眠時無呼吸症候群】(睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」が、最近注目されています。いびきをかく人や、昼間に強い眠気を感じる人に多いのですが、30代、40代で夜中にトイレに起きる人は睡眠時無呼吸症候群のチェックをおすすめします。 睡眠時無呼吸症候群があると、脳の交感神経の高ぶりや一酸化窒素が減って膀胱が硬くなると同時に、睡眠中に心臓から「利尿ホルモン」が出るために尿量が増える傾向があります』、私の場合【腎機能の低下】は該当しない。
・『男性特有の病気も夜間頻尿の原因になる 睡眠時無呼吸症候群の治療であるCPAP(持続陽圧呼吸療法)は、機械で圧力をかけた空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法です。CPAPによって、心臓の利尿ホルモンも減り、トイレに起きることなくぐっすり眠れます。また、心臓病で心臓のポンプの機能が低下すると、この心臓の利尿ホルモンが出て就寝中の尿量が増えます』、私の場合「睡眠時無呼吸症候群」は該当しない。
・『夜間頻尿の原因⑦【前立腺肥大症】 男性だと、前立腺肥大症も夜間頻尿につながります。前立腺が肥大すると、膀胱が交感神経の刺激を受けやすくなって過敏になり、急な尿意が起こりやすくなるためです。さらに深刻になると、前立腺がんが夜間頻尿を引き起こしているケースもあります。 ・夜間頻尿の原因⑧【加齢】(また、年をとると眠りが浅くなる傾向があるために、尿意を感じやすくなり、夜間に何度もトイレに行きたくなるというのも見逃せない要因です』、【前立腺肥大症】と【加齢】の2つは最も該当する。
・『夜間頻尿の原因⑨【精神的な理由】 ストレスなど精神的な理由でも頻尿が起こります。からだの緊張がとれないと、交感神経が働いて、昼も夜もおしっこが近くなるためです。ストレスが解消されたら頻尿が治ることもありますし、なかなか治らない場合、抗不安薬や抗うつ薬が有効です。逆に、うつ病などで抗うつ薬を投与していると、尿が出にくくなることもあります。 ・夜間頻尿の原因⑩【カフェイン、アルコール、喫煙】(コーヒー、紅茶、お酒、タバコには、膀胱を過敏にする作用があります。夜のカフェイン、アルコールの摂取、喫煙が、夜間頻尿に直結しているかもしれないということです。これは生活習慣の見直しによって、比較的すぐに解消できるでしょう』、【精神的な理由】と「夜間頻尿の原因⑩」の2つは該当しない。
・『夜間頻尿は、重大な病気を知らせるサイン このように、夜間頻尿の要因は多岐たきにわたります。自分の心がけで対処できるものもあれば、医師にかかったほうがいいものもあります。 医師にかかる場合も、行くべき科は泌尿器科とは限りません。高血圧や心臓病が疑われるのなら循環器科ですし、肥満が睡眠時無呼吸症候群につながっているとしたら、肥満外来に行ったほうが適切に対処してもらえるかもしれません。 夜間頻尿が起こると、たびたび睡眠が妨げられるために、日中のパフォーマンスはいやが上にも下がります。夜間に何度もトイレに起きることで睡眠不足になり、日中にボーッとすることが多くなれば、事故などにもつながりかねません。 また、眠い目をこすりながらトイレに向かう途中で転倒し、骨折する危険もあります。骨折は寝たきり、要介護への悪あしき近道ですから、決して侮れません。 夜中にトイレに起きるようになったら、まず数々の要因がありうることを知ったうえで、自分はどれに当てはまるのかと考えてみること。あるいは泌尿器科医に聞いてみること。それが、おしっこのアンチエイジングにつながります。70歳以上で夜中にトイレに起きなければ、年齢よりかなり若いといえます』、私の場合は、PSA値が4以上あったので、初めから「泌尿器科」にかかり、生検も2回したが、異常なしだった。
・『「サビない腎臓」が健康長寿のヒケツ おしっこのアンチエイジングに欠かせないのが、腎臓のアンチエイジングです。つまりさびない腎臓をつくることです。 腎臓には血液の老廃物をろ過する機能があります。血液は、糸球体という腎臓の器官に入り、そこで物質をこしとり、なおかつ尿細管のなかに尿が流れているうちに、必要な栄養素やミネラルを吸収し、老廃物や食事で摂取した過剰な酸性の物質を排出していきます。結果として尿は、基本的には酸性のものでできていきます。 こういった臓器の仕事というのは、大変なエネルギーを使います。そのため、活性酸素が出やすくなります。この活性酸素からからだを守らないと、細胞が老化し、結果として動脈硬化、そして腎臓の機能の低下につながっていくのです。 ただし、腎臓はもともとからだにとって十分に余裕のある機能としてつくられていますから、血液検査では腎臓の機能の低下はかなり深刻になるまで出てきません。ところが、いったん異常になってくると、そこから5年、10年の間に腎臓の機能が低下していき、最終的には人工透析や腎移植などを必要とする腎不全になっていきます。) サビない腎臓をつくるためには、まずは活性酸素をなるべく減らすものとして、ストレスの解消やカロリー過多を減らす、肥満を避ける、運動をすることが大事です。 また、食事についていえば、お肉のなかにはリン酸や塩酸といった物質が含まれているので、このなかの酸の部分を外に排出しなければいけません。これも腎臓に負担をかける大きな原因となります』、「腎臓はもともとからだにとって十分に余裕のある機能としてつくられていますから、血液検査では腎臓の機能の低下はかなり深刻になるまで出てきません。ところが、いったん異常になってくると、そこから5年、10年の間に腎臓の機能が低下していき、最終的には人工透析や腎移植などを必要とする腎不全になっていきます・・・いったん異常になってくると、そこから5年、10年の間に腎臓の機能が低下していき、最終的には人工透析や腎移植などを必要とする腎不全になっていきます」、やっかいな臓器だ。「サビない腎臓をつくるためには、まずは活性酸素をなるべく減らすものとして、ストレスの解消やカロリー過多を減らす、肥満を避ける、運動をすることが大事です。 また、食事についていえば、お肉のなかにはリン酸や塩酸といった物質が含まれているので、このなかの酸の部分を外に排出しなければいけません。これも腎臓に負担をかける大きな原因となります」、なるほど。
・『肉、インスタント食品、ファストフード、加工品には要注意 最近わかってきたのが、リンという物質の過剰摂取の問題です。リンというのは基本的には、からだを構成するのに必須のミネラル物質で、カルシウムとともに骨をつくっています。食事で摂取したリンの量は、本来非常に厳密に調整されています。 ところがリンを必要以上に摂取すると、血管が硬くなり石灰化が起きて、動脈硬化につながります。リンの濃度が上がると、からだが老化していくということです。ですから、リンの量をきちんと調整することが、からだにとって大事です。 このリンをからだの外に出す重要な物質が、腎臓に多く存在するクロトーと呼ばれる遺伝子です。クロトーは寿命や老化にも関係していることが知られています。このクロトーを守るために、リンの過剰摂取を防ぎ、腎臓の機能を保護する必要があるのです。 わたしたちの現代の食事には、肉、インスタント食品、ファストフード、ハムやウインナーなどの加工品、お菓子やコーラなどの炭酸飲料に、必要以上にリンが含まれています。ですから、リンを過剰摂取しやすく、腎臓が老化しやすくなりました。 腎臓の老化、要するに腎臓がサビるということは、酸化するということです。腎臓がサビると、ろ過装置である糸球体の数が減り、慢性腎臓病になっていきます。これを防ぐためには、4章で紹介するように食生活に注意しなければなりません。
(堀江 重郎氏の略歴はリンク先参照)』、私の場合、臓器や「血管」に「石灰化」が起きているので、「リンの過剰摂取を防ぎ、腎臓の機能を保護する必要がある」ようだ。「肉、インスタント食品、ファストフード、ハムやウインナーなどの加工品、お菓子やコーラなどの炭酸飲料に、必要以上にリンが含まれています」、今さら遅いかも知れないが、「「リンの過剰摂取」を防いでいきたい。
先ずは、本年1月14日付け東洋経済オンラインが掲載した 富永ペインクリニック院長・医学博士・日本麻酔科学会認定麻酔科指導医の富永 喜代氏による「冬場の「浴室での突然死」を防ぐ超シンプルな方法 大切な家族を守るための「血流改善」習慣とは」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/724389
・『寒い冬は、とくに血流に気をつけることが大切です。のべ2万人の臨床麻酔実績で、全身の血流について詳しい富永喜代医師の著書『血流がすべて血流コントロールの名医が教える わずか1分でできる「すごい血流改善法」』より一部引用・再編集し、全身を元気にし、突然死も防ぐことができる入浴方法をご紹介します』、興味深そうだ。
・『交通事故よりもこわい「冬の浴室」 寒い日は、早く家に帰って温まりたい。そう思いますが、家の中に思わぬ危険があります。それは、浴室。 厚生労働省の統計によると、浴室で亡くなる高齢者の数は、交通事故で亡くなる人の約2倍。特に65歳以上の高齢者の死亡事故が多く、毎年11月から4月にかけて多く発生しているそうです。 ピンピンコロリがいいとはよく言われますが、まだやりたいことがあったのに、伝えたいことがあったのに、本意ではないタイミングで大切な人に会えなくなってしまったら、それはとても切ないことですよね。 防げるものなら、防ぎたい。そう願うあなたに。そして、突然いなくなってほしくない大切な人がいるあなたのために、知っておいてほしいお風呂での血流対策をお伝えします。) まずお話ししたいのは、「お湯の量」についてです。 体をどこまでお湯につけるか。これがとても重要なんです。 子どものころ、両親からこんなふうに言われたことはないでしょうか? 「肩までしっかりつかりなさい!」 「100数えてから上がりなさい!」 もしかすると、今はあなたがお子さんにそう言い聞かせているかもしれません』、「浴室で亡くなる高齢者の数は、交通事故で亡くなる人の約2倍。特に65歳以上の高齢者の死亡事故が多く、毎年11月から4月にかけて多く発生しているそうです」、それは大変だ。
・『心臓に無理をさせないために「お湯の量」が大切 じつはこの入浴方法、血流改善の観点から考えると、とっても危険。 悪い入浴方法の代表例なんですよ。 理由はかんたん。肩までつかると、血管が、水圧によってギューッと押さえつけられてしまうからなんです。 心臓よりも高い位置まで湯につかってしまうと、静脈の圧よりも水圧が高くなります。それによって、手足や内臓の静脈がギュッと圧迫され、血液が心臓に向かって一気に移動。すると、心臓は増えた分の血液をくみ出すために、無理して働くようになります。 肩までつかっている本人は、「いい湯だな」と思っていても、体は心臓に負担がかかるという「緊急事態」への対応に大わらわとなっているわけです。) 仮にこの状態のまま長風呂をしてしまうと、血流が落ちていき、心臓や肺に大きな負担がかかります。 そして、さらに大きな問題が、「お湯から上がるとき」に起こります』、「肩までつかると、血管が、水圧によってギューッと押さえつけられてしまうからなんです。 心臓よりも高い位置まで湯につかってしまうと、静脈の圧よりも水圧が高くなります。それによって、手足や内臓の静脈がギュッと圧迫され、血液が心臓に向かって一気に移動。すると、心臓は増えた分の血液をくみ出すために、無理して働くようになります。 肩までつかっている本人は、「いい湯だな」と思っていても、体は心臓に負担がかかるという「緊急事態」への対応に大わらわとなっているわけです』、「肩までつかる」べきでないとは、寂しい感じだ。
・『浴室での「立ちくらみ」が命をうばう 水圧でぐっと収縮し、心臓へ血液を戻していた手や足の静脈は水圧から解放され、一気に弛緩します。しかも立ち上がりますから、重力によって下半身に向かって血液が勢いよく流れ出していく。 すると、一時的に脳へ送られる血液量が減り、目の前が暗くなります。起立性低血圧症といって、いわゆる立ちくらみが起き、フラフラと倒れてしまうわけです。 これは、大変危険です。 もし、昔ながらの深い湯船だった場合、倒れた拍子に頭を打ち、意識を失い、溺れてしまうといった最悪のケースにおちいる可能性もあります。 最初にお伝えしたように、自宅で亡くなる人が命を落としている場所は、圧倒的に「浴室」です。特に高齢の方は、加齢によって血管のやわらかさが失われているため、リスクが高まるのです。 また、医師から心臓が弱いと指摘を受けている方、高血圧の方は肩までしっかりつかってはいけません。立ちくらみ、脳虚血、失神の原因になります。 おすすめは、みぞおちまでつかる半身浴。これを守るためにも「湯量は腰まで」をルールにしましょう。) あなたは毎日、何℃のお風呂に入っていますか? 血流を整える入浴法で湯量と並んで大切なのが、「お湯の温度」です。 入浴に関する全国調査によると、日本人のお風呂の平均湯温は「41℃」だそうです。 この数字を目にして、「ぬるめだな」と思った人は要注意。きっと、あなたが入っているお風呂は熱すぎます』、「水圧でぐっと収縮し、心臓へ血液を戻していた手や足の静脈は水圧から解放され、一気に弛緩します。しかも立ち上がりますから、重力によって下半身に向かって血液が勢いよく流れ出していく。 すると、一時的に脳へ送られる血液量が減り、目の前が暗くなります。起立性低血圧症といって、いわゆる立ちくらみが起き、フラフラと倒れてしまうわけです。 これは、大変危険です・・・おすすめは、みぞおちまでつかる半身浴。これを守るためにも「湯量は腰まで」をルールにしましょう・・・日本人のお風呂の平均湯温は「41℃」だそうです。 この数字を目にして、「ぬるめだな」と思った人は要注意。きっと、あなたが入っているお風呂は熱すぎます」、「半身浴」、「ぬるめ」では、私はとても「風呂」に入った気がしない。
・『高齢者ほど「熱すぎてキケン」なお湯につかってしまう とりわけ、高齢者になればなるほど、熱いお風呂を好む傾向があります。これは皮膚の「温熱感受性」の劣化によるもの。 皮膚の表面に温点、冷点と呼ばれる熱い、冷たいを感じとるセンサーがあります。じつはこの温点、冷点の数は、年齢を重ねるごとに減っていきます。 最新の研究によると、温点・冷点は、20代と70代を比べると約半分になってしまうというデータもあります。なかでも湯船に入るとき、最初にお湯に触れる足先の温点・冷点は、20代に比べ、70代では3分の1ほどに。 その結果、熱い、冷たい、の識別が鈍くなり、子どもなら「絶対ムリ!」と飛び出すような湯温でも、おじいちゃんおばあちゃんは「ほぉう」と吐息をもらしながら肩までつかることができるわけです。 しかも、とくに冬場はついつい長風呂になってしまいがち。そのとき湯温が高いと、疲労、脱水、血管虚脱(血管がひろがりすぎて、血流が落ち、脳へ必要な酸素や栄養素が届かなくなる)といった症状を引き起こす可能性があり、かなり危険な状態です。 湯温は自分の肌感覚だけではなく、「数値」で見て把握しておくべきです。 また、高温のお湯につかることは、入浴のメリットであるリラックス効果を妨げてしまいます。お風呂でリラックスするかどうかは「交感神経」と「副交感神経」の働きと深く関連し、湯温がその切り替えスイッチのような働きを果たしています。 副交感神経の働きが高まれば、精神的に落ち着き、末梢血管も拡張し、血圧は下がっていき、血流が向上。心臓の負担も軽くなります。 一方、交感神経の働きが過度に高まると末梢血管が収縮。末梢の血流が落ちるため、心臓はより多くの血液を循環させようと負担を強いられながら、働くようになります。当然、血圧は上昇してしまいます。 お湯がぬるめか、熱めかによって、入浴時に交感神経と副交感神経のどちらの働きが高まるかが決まるわけですね。) 私のおすすめは、断然ぬるめです。 ぬるめの湯温とは、冬なら40℃、夏なら38℃。一方、41℃以上が熱めの湯温です。 体が疲れているときは、ぬるめのお湯に10分ほどゆっくりつかりましょう。 これで副交感神経が働き、末梢血管が拡張。入浴から5分経過すると、白血球、リンパ球、がん細胞を倒すNK細胞など免疫力を支える免疫細胞が増えることがわかっています。 もちろん、血流も整い、体のすみずみまで栄養と酸素が行き届き、疲労物質も回収・排出されるので、疲れが軽くなります』、「湯船に入るとき、最初にお湯に触れる足先の温点・冷点は、20代に比べ、70代では3分の1ほどに。 その結果、熱い、冷たい、の識別が鈍くなり、子どもなら「絶対ムリ!」と飛び出すような湯温でも、おじいちゃんおばあちゃんは「ほぉう」と吐息をもらしながら肩までつかることができるわけです・・・とくに冬場はついつい長風呂になってしまいがち。そのとき湯温が高いと、疲労、脱水、血管虚脱(血管がひろがりすぎて、血流が落ち、脳へ必要な酸素や栄養素が届かなくなる)といった症状を引き起こす可能性があり、かなり危険な状態です・・・高温のお湯につかることは、入浴のメリットであるリラックス効果を妨げてしまいます。お風呂でリラックスするかどうかは「交感神経」と「副交感神経」の働きと深く関連し、湯温がその切り替えスイッチのような働きを果たしています。 副交感神経の働きが高まれば、精神的に落ち着き、末梢血管も拡張し、血圧は下がっていき、血流が向上。心臓の負担も軽くなります。 一方、交感神経の働きが過度に高まると末梢血管が収縮。末梢の血流が落ちるため、心臓はより多くの血液を循環させようと負担を強いられながら、働くようになります。当然、血圧は上昇してしまいます・・・私のおすすめは、断然ぬるめです。 ぬるめの湯温とは、冬なら40℃、夏なら38℃。一方、41℃以上が熱めの湯温です。 体が疲れているときは、ぬるめのお湯に10分ほどゆっくりつかりましょう。 これで副交感神経が働き、末梢血管が拡張。入浴から5分経過すると、白血球、リンパ球、がん細胞を倒すNK細胞など免疫力を支える免疫細胞が増えることがわかっています。 もちろん、血流も整い、体のすみずみまで栄養と酸素が行き届き、疲労物質も回収・排出されるので、疲れが軽くなります」、「ぬるめのお湯に10分ほどゆっくりつか」れば、「入浴から5分経過すると、白血球、リンパ球、がん細胞を倒すNK細胞など免疫力を支える免疫細胞が増えることがわかっています」、素晴らしい効能だ。
・『第二の心臓を動かす「足先クイクイ体操」 みぞおちまでの湯量、ぬるめの湯温と入浴時のポイントをお伝えしてきましたが、最後に、お風呂でできる「血流アップ体操」をご紹介します。 その名も、「足先クイクイ体操」。 湯船につかり、足を伸ばして(伸ばせない浴槽なら、入浴後に行ってもOK)、つま先を上、前、上、前と、クイ、ストン、クイ、ストンと前後に10回ずつ動かします。 そうすると、すぐに「第二の心臓」と言われるふくらはぎの筋肉がググッと動いているのを感じるはず。温まり、血流のアップしている体に対して、さらなる刺激を加え、すっきりと疲労物質を洗い流す効果が期待できます。 ちなみに、この「足先クイクイ体操」には中高年の女性に多い「深部静脈血栓症」を予防する効果があります。深部静脈血栓症は、別名「エコノミークラス症候群」と呼ばれ、亡くなる方も少なくない怖い病気です。 飛行機や自動車などの狭い座席に長時間座り、立ち上がって歩き出したときに呼吸困難に襲われ、倒れてしまう。飛行機の乗客だけでなく、タクシードライバーなど、座りっぱなしの状態が続いた方が多くこの症状に見舞われています。 同じ症状は、手術後に入院する場合があるICU(集中治療室)でも発生しやすく、医療関係者は大いに注意を払っています。特に、しばらく寝たきりで過ごす患者さんの足には、電動でふくらはぎをもみあげていくフットポンプと呼ばれる機器を取りつけることも。 血液がスムーズに流れることは、体にとってそれだけ大切なことなんです』、「足先クイクイ体操」は簡単そうなので、是非、習慣づけたい。
次に、1月14日付け東洋経済オンラインが掲載した 精神科医の和田 秀樹氏による「「健康診断の数値」を気にする50代が失うもの 一昔前の医学の常識を信じているかもしれない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/727220
・『仕事・お金・健康・生きがなど50歳を過ぎると、今後の不安がどうしても頭をよぎります。特に50代ともなれば、急に気になり始めるのが「健康」で、会社などで受ける検診結果にドギマギしているという人もいるのではないでしょうか。 が、高齢者の健康についての著書も多い、精神科医の和田秀樹さんは「検診の数値は気にしなくていい」と断言します。その理由を、和田さんの新著『50歳からの脳老化を防ぐ 脱マンネリ思考』より、一部引用・再編集してご紹介します』、私も40代までは指摘事項が殆どなかったが、「50代」になると急に増え、戸惑った記憶がある。
・『50代の老いの自覚は曖昧なもの 50代の方なら覚えがあると思いますが、「このごろ疲れやすくなった」「熟睡できない」「根気が続かない」「どうもやる気が出ない」といったさまざまなの身体や心の不調、これといった病気もなく、体力だってまだまだ十分なのに、ちょっとしたことで「老い」を自覚することが多くなります。 といっても50代の老いの自覚は曖昧なものです。 以前の自分(20代や30代の自分)と比べてみたり、同世代の友人や仲間の中でも若々しくて元気な人間と比べてみたりして、「やはり齢のせいかな」と思いこもうとします。 齢のせいにすれば「仕方ない」とか「まあぼちぼちやっていこう」と自分を落ち着かせることができます。「何かの病気が隠れているんじゃないか」と思うより安心できるからです。) 逆に言えば、「まさかと思うけど、やっかいな病気にはなりたくない」という気持ちがつねにあります。あとわずかですから、定年までは何とか勤め上げたいと思うからです。ここで重い病気にでもなったら、人生設計を大きく狂わせてしまいます』、私も現役時代を無事に過ごせたのは幸運だった。
・『数値を気にした途端待ち受ける地獄 そこでつい気にしてしまうのが健診の数値です。 主に血圧、血糖値、コレステロール値などですが、50代というのはいろいろな数値に異常が出始める年齢ですから、健診が近づくとお酒を減らしたり甘いものや脂っこいものを控えたりする人が結構います。 もちろん気休めですが、それくらい数値を気にするのです。なぜなら一般的な健診で数値の異常が出ると、要精密検査となります。混雑している大きな病院まで出かけて検査を受けなければいけません。これだけでも憂鬱になります。 そしてたいていの場合は、検査データをもとに医者の診断があり、ほぼ間違いなく薬を処方されます。血圧や血糖値やコレステロール値を下げる薬です。 「あーあ、とうとうわたしも薬を飲む身体になってしまったなあ」とガッカリします。しかもさまざまな注意や指導を医者から受けます。 「塩分は控えなさい」「脂っこいものはダメ」「甘いものもダメ」「お酒はほどほどに」「運動を心がけましょう」……並べて言われるとだんだん気持ちが沈んできます。お酒が好きで肉料理も好き、飲んだ後のラーメンが楽しみという人にとっては、これでは張り合いのない毎日になってしまいます。 そして医者はとどめのひと言を告げます。 「1か月後にまた検査しましょう。正常値に戻っているといいですね」 おまけに血圧手帳を渡されますから、これからの1カ月間、血圧計をにらみながら好きな食べ物を我慢することになります。健診と聞いただけで憂鬱になるのも無理はありません』、私の場合、「コレステロール値」が高目だったが、「血圧」が正常だったこともあり、幸い薬の処方はなかった。
・『なぜ「健診の数値は気にしなくていい」のか わたしは高齢者向けの本を何冊か書いてきましたが、そのすべてに「健診の数値は気にしなくていい」と書いてきました。ほんとうは「受けなくていい」と断言したいのですが、職場の健診というのはそうもいきません。50代には言いにくいのです。 でもここはあえて言っておきましょう。 たとえ健診を受けて数値の異常があれこれ見つかっても、気にしないことです。実際に体調の悪さやいつもと違う異常を感じているというのでしたら別ですが、気分もいいし食欲もやる気も十分というのでしたら、いまがベストなのですから何も気にすることはありません。 その理由を簡単に説明してみます。 血圧と並んで健診の数値で気になる(引っ掛かりやすい)のが血糖値です。例のヘモグロビンAIc(エーワンシー)で示される数値が6・0を超えると糖尿病の予備軍となります。この時点でウンザリするほどの食事制限を受けるのは言うまでもありません。 つまり一度でも健診の数値が引っ掛かってしまうと、長い期間、食事内容を制限され、薬を飲まされ、定期的に検査を受け続けることになります。数値が異常というだけでいきなり病気が見つかったり入院治療ということはありませんが、ふだんの生活が健診の数値でものすごく不自由になってくるのです。) では何のために医学は数値の異常に介入してくるのでしょうか。言うまでもなく、数値を正常に戻すためです。正常に戻せば、病気のリスクが減ると信じられているからです。 ところが、それを真っ向から否定するデータがあります。 アメリカの国立衛生研究所の下部組織がこんな研究を行なっています。糖尿病患者1万人を2つのグループに分けて1つは標準療法、もう1つのグループには強化療法を試みます。「強化療法群」はヘモグロビンAlcを正常値の6・0%以下に抑え、「標準療法群」は7%~7・9%に抑える緩めの療法です。 いまの日本の医学常識を当てはめれば、結果は明白です。「強化療法群」のほうが健康を維持できるはずです。ところが3年半後の死亡率は「強化療法群」のほうが「標準療法群」より高かったのです。 同じようなデータはほかにもありますが、今度はコレステロール値についてのデータを紹介してみます』、「アメリカの国立衛生研究所の下部組織がこんな研究を行なっています。糖尿病患者1万人を2つのグループに分けて1つは標準療法、もう1つのグループには強化療法を試みます。「強化療法群」はヘモグロビンAlcを正常値の6・0%以下に抑え、「標準療法群」は7%~7・9%に抑える緩めの療法です・・・3年半後の死亡率は「強化療法群」のほうが「標準療法群」より高かったのです」、このような矛盾が出てくるほどまだ医学の世界は発展途上のようだ。
・『医学常識はいまも変わり続けている フィンランド保健局が1974年から1989年にかけてコレステロール値などが高い40~45歳の男性管理職1222人を対象に調査したデータです。 4カ月ごとの健康診断に基づいて数値が高い人には薬を処方し、塩分制限などの健康管理を行う「介入群」612人と、健康管理に介入しない「放置群」610人に分けて追跡調査をしたところ、がんによる死亡率、心血管系の病気の罹患率や死亡率、挙げ句は自殺者数に至るまですべて「介入群」のほうが「放置群」より高かったのです。) ここでちょっと補足しておきますが、コレステロールは細胞膜の主原料で人間が生きていくためには欠かせないものです。よく「悪玉」「善玉」と呼んで区分することがありますが、どちらも人間にとって重要な働きをしていることに変わりはありません。 けれども循環器の医者から見ればLDLコレステロール、つまり「悪玉」が増えすぎると血管壁に入りこんで動脈硬化の原因になるとされます』、「フィンランド保健局が1974年から1989年にかけてコレステロール値などが高い40~45歳の男性管理職1222人を対象に調査したデータ」も、これまでの日本の常識とは相いれないようだ。
・『コレステロールが高いほどうつになりにくい? ところが免疫学者に言わせればコレステロールは免疫細胞の材料になるからコレステロール値が高い人のほうが免疫力が高いとなります。あるいはコレステロールは脳にセロトニンを運ぶ働きもあるとされますから、数値が高い人ほどうつになりにくいという報告もあります。 さらには老年医学の立場から見れば、コレステロール値の高い人のほうが男性ホルモンが多いため、齢を取っても活性が高いといった研究もあります。 「コレステロール値が多少高いほうが病気も少なく、長生きできる」と主張する医者だっているのです。つまり「こっちにとっては悪くても、あっちにとってはいいこと」というのはしばしば起こり得るのです。 しかしいくらこういうデータを並べても、循環器の医者が自分の狭い立場にこだわる限り、「そっちには良くてもこっちには悪いこと」となります。健診で数値に異常が見つかればそれを正常に戻すことだけ考えますから、相変わらず薬と食事制限を申し渡すでしょう。 ちなみに2015年には、コレステロールを「悪玉」視していた厚生労働省も摂取制限を撤廃しました。卵や肉などいくら食べても大丈夫ということになりました。10年も発てば医学常識が変わることなど、いくらでもあるのです』、「コレステロール値の高い人のほうが男性ホルモンが多いため、齢を取っても活性が高いといった研究もあります。 「コレステロール値が多少高いほうが病気も少なく、長生きできる」と主張する医者だっているのです。つまり「こっちにとっては悪くても、あっちにとってはいいこと」というのはしばしば起こり得るのです・・・2015年には、コレステロールを「悪玉」視していた厚生労働省も摂取制限を撤廃しました。卵や肉などいくら食べても大丈夫ということになりました。10年も発てば医学常識が変わることなど、いくらでもあるのです」、何事も柔軟に考える必要がありそうだ。
第三に、1月19日付けPRESIDENT Onlineが掲載した順天堂大学大学院 教授の堀江 重郎氏による「「夜中にトイレで目が覚める」は早死のサイン…泌尿器の専門医が指摘する"おしっこ"と"寿命"の知られざる関係 夜3回以上トイレに起きる人は死亡率が2倍になる」を紹介しよう。
・『就寝中に尿意で目が覚める夜間頻尿にはどんなリスクがあるのか。泌尿器科医の堀江重郎さんは「夜3回以上トイレに起きる人は死亡率が2倍になるという調査結果がある。夜間頻尿は、寿命を縮める病気にかかっているサインの恐れがあり、ただの老化と軽視しないほうがいい」という――。 ※本稿は、堀江重郎『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える腎臓・膀胱 最高の強化法』(SB新書)の一部を再編集したものです』、私は前立腺肥大なので、「夜間頻尿」は3,4回と酷い。
・『60代以上の8割超が夜中にトイレに起きている みなさんは、自分が1日に何回、排尿しているか意識していますか? 若いうちはともかく、中高年に差しかかってきたら、気にしたほうがいいでしょう。 一般的に、「正常な排尿は1日に5~7回」です。1日に8回以上、排尿していたら「頻尿」、また就寝後から起床前の就寝中に1回以上、トイレに起きると「夜間頻尿」と見なされます。 いずれも、クオリティー・オブ・ライフにもかかわってくる不快な症状ですが、より深刻にとらえたほうがいいのは夜間頻尿です。 日本人の夜間頻尿の調査によると、40~50歳になると半数以上の人が夜中に1回はトイレに起きるようになります。さらに60代以上になると、約8割以上もの人が、夜間にトイレに起きています。夜間頻尿は、次のように、さまざまな要因が単発で、あるいは連鎖的にかかわっている症状です。 高齢者の集団を6年間にわたり調査したところ、「夜間に3回以上、トイレに起きる人は、2回以下の人の2倍も死亡率が高い」――スウェーデンで行われたある調査で、こんな衝撃的なデータが示されました。 これは、夜間頻尿そのものが寿命を縮めているということではありません。重要なのは、寿命を縮めるような病気になると、1つの症状として夜間頻尿が起こる場合が多いということです。つまり夜間頻尿は、寿命を縮める病気にかかっているサインかもしれないのです』、「「夜間に3回以上、トイレに起きる人は、2回以下の人の2倍も死亡率が高い」――スウェーデンで行われたある調査で、こんな衝撃的なデータが示されました。 これは、夜間頻尿そのものが寿命を縮めているということではありません。重要なのは、寿命を縮めるような病気になると、1つの症状として夜間頻尿が起こる場合が多いということです。つまり夜間頻尿は、寿命を縮める病気にかかっているサインかもしれないのです」、なるほど。
・『糖尿病が多尿を生んでいるケースも 夜間頻尿の原因①【おしっこが多すぎる】 そもそも尿の量が多くなると、起きている日中にたびたびトイレに行くだけでは出し切れず、夜中にトイレに行くことにつながります。多尿になる原因は単純に「水分のとりすぎ」ですが、それとは別に、糖尿病が多尿を生んでいるケースもあります。 糖尿病になると、血糖値(血液中の糖濃度)が高くなるため、血液の浸透圧が高くなります。すると、細胞の水分が血液に引っ張られ、血液の量が増えて、通常より尿量が多くなってしまうのです。 この結果、体内の水分が足りなくなり、のどの渇きを強く感じるようになります。そのため水分をたくさんとることになり(多飲)、トイレの回数が増えるという悪循環が生じるのです。夜中にのどが渇いて起きて水分をとるというのは、重症の糖尿病の可能性があります』、私の場合は該当しない。
・『夜間頻尿の原因②【からだのなかに水分が溜まる】 水分のとりすぎなどにより、水分がからだのなかに溜まってしまうことも夜間頻尿の原因になります。水分を摂取すると、水分は腎臓でろ過されて血液のなかに行きます。そして、その水分は血管から心臓まで戻り、心臓から送り出された血液は、動脈から末梢血管に行って、静脈をとおって、また心臓に戻ってきます』、私の場合は該当しない。
・『水分の摂りすぎの可能性 ところが、全部の量が戻ってこないで、からだの筋肉や脂肪の外の組織に水分が溜まってしまうことがあります。よく夕方になると足がむくむという人もこれが原因です。このような人たちは、就寝時、寝ているとからだが横になるため、からだのなかに溜まっていた水分がもう一度心臓に戻ってきます。そして、そこで尿をつくるので、夜中に尿量が増えます。 これを予防するためには、ストッキングが効果的です。足に弾性のあるストッキングを履いて、余分な水分が溜まらないようにするのです。 また、最近開発された高出力の磁気治療器は、骨盤の筋肉を細かく振動させることによって、水分をからだのなかに戻して、夜間頻尿を改善します』、私の場合はこれも該当しない。
・夜間頻尿の原因③【おしっこが濃くならない】(通常、覚醒時より睡眠時のほうが尿の回数が少ないのは、眠っている間に「バソプレシン」というホルモンが分泌されているからです。尿の90パーセントは水分ですが、バソプレシンには、腎臓での水分の再吸収量を増やすことで、睡眠時に膀胱に溜まる尿の量を、覚醒時より少なくする作用があります。いい換えれば「尿を濃くする」ということです』、私の場合は多少は該当する可能性がある。
・『尿が濃くならず、膀胱がいっぱいになる つまり、眠っている夜間は、起きている日中ほど尿がつくられなくなるため、膀胱がなかなかいっぱいにならず、トイレに起きなくてよいのです。朝の起き抜けの尿の色が濃いのも、バソプレシンによって尿の成分が濃くなっているためです。 バソプレシンの合成や作用に支障が起こったものが、「尿崩症にょうほうしょう」と呼ばれる症状です。そうなると、日中と同じくらいのペースで膀胱がいっぱいになるため、夜間に尿意で目が覚めるという症状が起こってきます。 このバソプレシンの分泌は、加齢に伴い夜間での分泌量が減っていきます。夜の間に1日のおしっこの3分の1以上がつくられている場合、たとえば、1日1.5リットルであれば、500ミリリットル以上、夜、寝ている間に出る人は、バソプレシンの分泌が減り、夜間多尿になっていると考えられます。こういう方には、バソプレシンに似たお薬、デスモプレシンという薬が有効です。 また、バソプレシンは、お子さんのおねしょにも効果的です。小児のなかにはバソプレシンが十分に分泌されていない人もいます。お子さんのおねしょにお困りの方は検討してみてください』、私の場合は該当しない。
・『膀胱が硬くなる、腎機能の低下… 夜間頻尿の原因④【膀胱の柔軟性が下がる】 膀胱でつくられるガス「一酸化窒素」には、膀胱や膀胱の出口の筋肉に柔軟性を与える作用があります。高血圧や糖尿病、高脂血症、動脈硬化など、いわゆる「生活習慣病」にかかると、この一酸化窒素が十分につくられなくなります。 一酸化窒素が足りず、膀胱の柔軟性が損なわれると、膀胱が硬くなり、尿が溜まる量も減って、通常より早くいっぱいになってしまいます。そして起きている日中のみならず、眠っている夜間にも、たびたび尿意をもよおすことになります。 そのうえ、一酸化窒素の不足によって膀胱の出口も緩みにくくなるため、トイレに行っても「尿が詰まった感じがする」「スムーズに出切らない」、だから余計に「何度もトイレに行きたくなる」という悪循環が生じてしまうのです』、私の場合、【膀胱の柔軟性が下がる】は多少該当する可能性がある。
・『夜間頻尿の原因⑤【腎機能の低下】 腎臓の機能が低下して、尿を濃くすることができなくなると、尿が多くなります。腎不全、慢性腎臓病でも、夜間頻尿が起こります。 ・夜間頻尿の原因⑥【睡眠時無呼吸症候群】(睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」が、最近注目されています。いびきをかく人や、昼間に強い眠気を感じる人に多いのですが、30代、40代で夜中にトイレに起きる人は睡眠時無呼吸症候群のチェックをおすすめします。 睡眠時無呼吸症候群があると、脳の交感神経の高ぶりや一酸化窒素が減って膀胱が硬くなると同時に、睡眠中に心臓から「利尿ホルモン」が出るために尿量が増える傾向があります』、私の場合【腎機能の低下】は該当しない。
・『男性特有の病気も夜間頻尿の原因になる 睡眠時無呼吸症候群の治療であるCPAP(持続陽圧呼吸療法)は、機械で圧力をかけた空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法です。CPAPによって、心臓の利尿ホルモンも減り、トイレに起きることなくぐっすり眠れます。また、心臓病で心臓のポンプの機能が低下すると、この心臓の利尿ホルモンが出て就寝中の尿量が増えます』、私の場合「睡眠時無呼吸症候群」は該当しない。
・『夜間頻尿の原因⑦【前立腺肥大症】 男性だと、前立腺肥大症も夜間頻尿につながります。前立腺が肥大すると、膀胱が交感神経の刺激を受けやすくなって過敏になり、急な尿意が起こりやすくなるためです。さらに深刻になると、前立腺がんが夜間頻尿を引き起こしているケースもあります。 ・夜間頻尿の原因⑧【加齢】(また、年をとると眠りが浅くなる傾向があるために、尿意を感じやすくなり、夜間に何度もトイレに行きたくなるというのも見逃せない要因です』、【前立腺肥大症】と【加齢】の2つは最も該当する。
・『夜間頻尿の原因⑨【精神的な理由】 ストレスなど精神的な理由でも頻尿が起こります。からだの緊張がとれないと、交感神経が働いて、昼も夜もおしっこが近くなるためです。ストレスが解消されたら頻尿が治ることもありますし、なかなか治らない場合、抗不安薬や抗うつ薬が有効です。逆に、うつ病などで抗うつ薬を投与していると、尿が出にくくなることもあります。 ・夜間頻尿の原因⑩【カフェイン、アルコール、喫煙】(コーヒー、紅茶、お酒、タバコには、膀胱を過敏にする作用があります。夜のカフェイン、アルコールの摂取、喫煙が、夜間頻尿に直結しているかもしれないということです。これは生活習慣の見直しによって、比較的すぐに解消できるでしょう』、【精神的な理由】と「夜間頻尿の原因⑩」の2つは該当しない。
・『夜間頻尿は、重大な病気を知らせるサイン このように、夜間頻尿の要因は多岐たきにわたります。自分の心がけで対処できるものもあれば、医師にかかったほうがいいものもあります。 医師にかかる場合も、行くべき科は泌尿器科とは限りません。高血圧や心臓病が疑われるのなら循環器科ですし、肥満が睡眠時無呼吸症候群につながっているとしたら、肥満外来に行ったほうが適切に対処してもらえるかもしれません。 夜間頻尿が起こると、たびたび睡眠が妨げられるために、日中のパフォーマンスはいやが上にも下がります。夜間に何度もトイレに起きることで睡眠不足になり、日中にボーッとすることが多くなれば、事故などにもつながりかねません。 また、眠い目をこすりながらトイレに向かう途中で転倒し、骨折する危険もあります。骨折は寝たきり、要介護への悪あしき近道ですから、決して侮れません。 夜中にトイレに起きるようになったら、まず数々の要因がありうることを知ったうえで、自分はどれに当てはまるのかと考えてみること。あるいは泌尿器科医に聞いてみること。それが、おしっこのアンチエイジングにつながります。70歳以上で夜中にトイレに起きなければ、年齢よりかなり若いといえます』、私の場合は、PSA値が4以上あったので、初めから「泌尿器科」にかかり、生検も2回したが、異常なしだった。
・『「サビない腎臓」が健康長寿のヒケツ おしっこのアンチエイジングに欠かせないのが、腎臓のアンチエイジングです。つまりさびない腎臓をつくることです。 腎臓には血液の老廃物をろ過する機能があります。血液は、糸球体という腎臓の器官に入り、そこで物質をこしとり、なおかつ尿細管のなかに尿が流れているうちに、必要な栄養素やミネラルを吸収し、老廃物や食事で摂取した過剰な酸性の物質を排出していきます。結果として尿は、基本的には酸性のものでできていきます。 こういった臓器の仕事というのは、大変なエネルギーを使います。そのため、活性酸素が出やすくなります。この活性酸素からからだを守らないと、細胞が老化し、結果として動脈硬化、そして腎臓の機能の低下につながっていくのです。 ただし、腎臓はもともとからだにとって十分に余裕のある機能としてつくられていますから、血液検査では腎臓の機能の低下はかなり深刻になるまで出てきません。ところが、いったん異常になってくると、そこから5年、10年の間に腎臓の機能が低下していき、最終的には人工透析や腎移植などを必要とする腎不全になっていきます。) サビない腎臓をつくるためには、まずは活性酸素をなるべく減らすものとして、ストレスの解消やカロリー過多を減らす、肥満を避ける、運動をすることが大事です。 また、食事についていえば、お肉のなかにはリン酸や塩酸といった物質が含まれているので、このなかの酸の部分を外に排出しなければいけません。これも腎臓に負担をかける大きな原因となります』、「腎臓はもともとからだにとって十分に余裕のある機能としてつくられていますから、血液検査では腎臓の機能の低下はかなり深刻になるまで出てきません。ところが、いったん異常になってくると、そこから5年、10年の間に腎臓の機能が低下していき、最終的には人工透析や腎移植などを必要とする腎不全になっていきます・・・いったん異常になってくると、そこから5年、10年の間に腎臓の機能が低下していき、最終的には人工透析や腎移植などを必要とする腎不全になっていきます」、やっかいな臓器だ。「サビない腎臓をつくるためには、まずは活性酸素をなるべく減らすものとして、ストレスの解消やカロリー過多を減らす、肥満を避ける、運動をすることが大事です。 また、食事についていえば、お肉のなかにはリン酸や塩酸といった物質が含まれているので、このなかの酸の部分を外に排出しなければいけません。これも腎臓に負担をかける大きな原因となります」、なるほど。
・『肉、インスタント食品、ファストフード、加工品には要注意 最近わかってきたのが、リンという物質の過剰摂取の問題です。リンというのは基本的には、からだを構成するのに必須のミネラル物質で、カルシウムとともに骨をつくっています。食事で摂取したリンの量は、本来非常に厳密に調整されています。 ところがリンを必要以上に摂取すると、血管が硬くなり石灰化が起きて、動脈硬化につながります。リンの濃度が上がると、からだが老化していくということです。ですから、リンの量をきちんと調整することが、からだにとって大事です。 このリンをからだの外に出す重要な物質が、腎臓に多く存在するクロトーと呼ばれる遺伝子です。クロトーは寿命や老化にも関係していることが知られています。このクロトーを守るために、リンの過剰摂取を防ぎ、腎臓の機能を保護する必要があるのです。 わたしたちの現代の食事には、肉、インスタント食品、ファストフード、ハムやウインナーなどの加工品、お菓子やコーラなどの炭酸飲料に、必要以上にリンが含まれています。ですから、リンを過剰摂取しやすく、腎臓が老化しやすくなりました。 腎臓の老化、要するに腎臓がサビるということは、酸化するということです。腎臓がサビると、ろ過装置である糸球体の数が減り、慢性腎臓病になっていきます。これを防ぐためには、4章で紹介するように食生活に注意しなければなりません。
(堀江 重郎氏の略歴はリンク先参照)』、私の場合、臓器や「血管」に「石灰化」が起きているので、「リンの過剰摂取を防ぎ、腎臓の機能を保護する必要がある」ようだ。「肉、インスタント食品、ファストフード、ハムやウインナーなどの加工品、お菓子やコーラなどの炭酸飲料に、必要以上にリンが含まれています」、今さら遅いかも知れないが、「「リンの過剰摂取」を防いでいきたい。
タグ:「コレステロール値の高い人のほうが男性ホルモンが多いため、齢を取っても活性が高いといった研究もあります。 「コレステロール値が多少高いほうが病気も少なく、長生きできる」と主張する医者だっているのです。つまり「こっちにとっては悪くても、あっちにとってはいいこと」というのはしばしば起こり得るのです・・・2015年には、コレステロールを「悪玉」視していた厚生労働省も摂取制限を撤廃しました。 私の場合、「コレステロール値」が高目だったが、「血圧」が正常だったこともあり、幸い薬の処方はなかった。 私も現役時代を無事に過ごせたのは幸運だった。 私も40代までは指摘事項が殆どなかったが、「50代」になると急に増え、戸惑った記憶がある。 和田さんの新著『50歳からの脳老化を防ぐ 脱マンネリ思考』 和田 秀樹氏による「「健康診断の数値」を気にする50代が失うもの 一昔前の医学の常識を信じているかもしれない」 「足先クイクイ体操」は簡単そうなので、是非、習慣づけたい。 「ぬるめのお湯に10分ほどゆっくりつか」れば、「入浴から5分経過すると、白血球、リンパ球、がん細胞を倒すNK細胞など免疫力を支える免疫細胞が増えることがわかっています」、素晴らしい効能だ。 昇してしまいます・・・私のおすすめは、断然ぬるめです。 ぬるめの湯温とは、冬なら40℃、夏なら38℃。一方、41℃以上が熱めの湯温です。 体が疲れているときは、ぬるめのお湯に10分ほどゆっくりつかりましょう。 これで副交感神経が働き、末梢血管が拡張。入浴から5分経過すると、白血球、リンパ球、がん細胞を倒すNK細胞など免疫力を支える免疫細胞が増えることがわかっています。 もちろん、血流も整い、体のすみずみまで栄養と酸素が行き届き、疲労物質も回収・排出されるので、疲れが軽くなります」、 高温のお湯につかることは、入浴のメリットであるリラックス効果を妨げてしまいます。お風呂でリラックスするかどうかは「交感神経」と「副交感神経」の働きと深く関連し、湯温がその切り替えスイッチのような働きを果たしています。 副交感神経の働きが高まれば、精神的に落ち着き、末梢血管も拡張し、血圧は下がっていき、血流が向上。心臓の負担も軽くなります。 一方、交感神経の働きが過度に高まると末梢血管が収縮。末梢の血流が落ちるため、心臓はより多くの血液を循環させようと負担を強いられながら、働くようになります。当然、血圧は上 「湯船に入るとき、最初にお湯に触れる足先の温点・冷点は、20代に比べ、70代では3分の1ほどに。 その結果、熱い、冷たい、の識別が鈍くなり、子どもなら「絶対ムリ!」と飛び出すような湯温でも、おじいちゃんおばあちゃんは「ほぉう」と吐息をもらしながら肩までつかることができるわけです・・・とくに冬場はついつい長風呂になってしまいがち。そのとき湯温が高いと、疲労、脱水、血管虚脱(血管がひろがりすぎて、血流が落ち、脳へ必要な酸素や栄養素が届かなくなる)といった症状を引き起こす可能性があり、かなり危険な状態です・・・ 日本人のお風呂の平均湯温は「41℃」だそうです。 この数字を目にして、「ぬるめだな」と思った人は要注意。きっと、あなたが入っているお風呂は熱すぎます」、「半身浴」、「ぬるめ」では、私はとても「風呂」に入った気がしない。 「水圧でぐっと収縮し、心臓へ血液を戻していた手や足の静脈は水圧から解放され、一気に弛緩します。しかも立ち上がりますから、重力によって下半身に向かって血液が勢いよく流れ出していく。 すると、一時的に脳へ送られる血液量が減り、目の前が暗くなります。起立性低血圧症といって、いわゆる立ちくらみが起き、フラフラと倒れてしまうわけです。 これは、大変危険です・・・おすすめは、みぞおちまでつかる半身浴。これを守るためにも「湯量は腰まで」をルールにしましょう・・・ おすすめは、みぞおちまでつかる半身浴。これを守るためにも「湯量は腰まで」をルールにしましょう・・・日本人のお風呂の平均湯温は「41℃」だそうです。 この数字を目にして、「ぬるめだな」と思った人は要注意。きっと、あなたが入っているお風呂は熱すぎます」、「半身浴」、「ぬるめ」では、私はとても「風呂」に入った気がしない。 「水圧でぐっと収縮し、心臓へ血液を戻していた手や足の静脈は水圧から解放され、一気に弛緩します。しかも立ち上がりますから、重力によって下半身に向かって血液が勢いよく流れ出していく。 すると、一時的に脳へ送られる血液量が減り、目の前が暗くなります。起立性低血圧症といって、いわゆる立ちくらみが起き、フラフラと倒れてしまうわけです。 これは、大変危険です・・・ 「肩までつかる」べきでないとは、寂しい感じだ。 「浴室で亡くなる高齢者の数は、交通事故で亡くなる人の約2倍。特に65歳以上の高齢者の死亡事故が多く、毎年11月から4月にかけて多く発生しているそうです」、それは大変だ。 「すごい血流改善法」 富永 喜代氏による「冬場の「浴室での突然死」を防ぐ超シンプルな方法 大切な家族を守るための「血流改善」習慣とは」 東洋経済オンライン 「フィンランド保健局が1974年から1989年にかけてコレステロール値などが高い40~45歳の男性管理職1222人を対象に調査したデータ」も、これまでの日本の常識とは相いれないようだ。 「アメリカの国立衛生研究所の下部組織がこんな研究を行なっています。糖尿病患者1万人を2つのグループに分けて1つは標準療法、もう1つのグループには強化療法を試みます。「強化療法群」はヘモグロビンAlcを正常値の6・0%以下に抑え、「標準療法群」は7%~7・9%に抑える緩めの療法です・・・3年半後の死亡率は「強化療法群」のほうが「標準療法群」より高かったのです」、このような矛盾が出てくるほどまだ医学の世界は発展途上のようだ。 健康 (その26)(冬場の「浴室での突然死」を防ぐ超シンプルな方法 大切な家族を守るための「血流改善」習慣とは、「健康診断の数値」を気にする50代が失うもの 一昔前の医学の常識を信じているかもしれない、「夜中にトイレで目が覚める」は早死のサイン…泌尿器の専門医が指摘する"おしっこ"と"寿命"の知られざる関係 夜3回以上トイレに起きる人は死亡率が2倍になる) 卵や肉などいくら食べても大丈夫ということになりました。10年も発てば医学常識が変わることなど、いくらでもあるのです」、何事も柔軟に考える必要がありそうだ。 PRESIDENT ONLINE 堀江 重郎氏による「「夜中にトイレで目が覚める」は早死のサイン…泌尿器の専門医が指摘する"おしっこ"と"寿命"の知られざる関係 夜3回以上トイレに起きる人は死亡率が2倍になる」 堀江重郎『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える腎臓・膀胱 最高の強化法』(SB新書) 私は前立腺肥大なので、「夜間頻尿」は3,4回と酷い。 「「夜間に3回以上、トイレに起きる人は、2回以下の人の2倍も死亡率が高い」――スウェーデンで行われたある調査で、こんな衝撃的なデータが示されました。 これは、夜間頻尿そのものが寿命を縮めているということではありません。重要なのは、寿命を縮めるような病気になると、1つの症状として夜間頻尿が起こる場合が多いということです。つまり夜間頻尿は、寿命を縮める病気にかかっているサインかもしれないのです」、なるほど。 私の場合は該当しない。 私の場合はこれも該当しない。 私の場合は多少は該当する可能性がある。 私の場合、【膀胱の柔軟性が下がる】は多少該当する可能性がある。 私の場合【腎機能の低下】は該当しない。 私の場合「睡眠時無呼吸症候群」は該当しない。 【前立腺肥大症】と【加齢】の2つは最も該当する。 【精神的な理由】と「夜間頻尿の原因⑩」の2つは該当しない。 私の場合は、PSA値が4以上あったので、初めから「泌尿器科」にかかり、生検も2回したが、異常なしだった。 「腎臓はもともとからだにとって十分に余裕のある機能としてつくられていますから、血液検査では腎臓の機能の低下はかなり深刻になるまで出てきません。ところが、いったん異常になってくると、そこから5年、10年の間に腎臓の機能が低下していき、最終的には人工透析や腎移植などを必要とする腎不全になっていきます・・・いったん異常になってくると、そこから5年、10年の間に腎臓の機能が低下していき、最終的には人工透析や腎移植などを必要とする腎不全になっていきます」、やっかいな臓器だ。 「サビない腎臓をつくるためには、まずは活性酸素をなるべく減らすものとして、ストレスの解消やカロリー過多を減らす、肥満を避ける、運動をすることが大事です。 また、食事についていえば、お肉のなかにはリン酸や塩酸といった物質が含まれているので、このなかの酸の部分を外に排出しなければいけません。これも腎臓に負担をかける大きな原因となります」、なるほど。 私の場合、臓器や「血管」に「石灰化」が起きているので、「リンの過剰摂取を防ぎ、腎臓の機能を保護する必要がある」ようだ。「肉、インスタント食品、ファストフード、ハムやウインナーなどの加工品、お菓子やコーラなどの炭酸飲料に、必要以上にリンが含まれています」、今さら遅いかも知れないが、「「リンの過剰摂取」を防いでいきたい。
子育て(その6)(子どもの「脳育て」で高学歴の親がつまずく罠 見落としがちな脳の発達とは、「子どもが誰かにくっついている」ことが 子どもの発達にここまで重要である「これだけの理由」) [生活]
子育てについては、昨年3月16日に取上げた。今日は、(その6)(子どもの「脳育て」で高学歴の親がつまずく罠 見落としがちな脳の発達とは、「子どもが誰かにくっついている」ことが 子どもの発達にここまで重要である「これだけの理由」)である。
先ずは、昨年5月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した小児科医・医学博士の成田奈緒子氏による「子どもの「脳育て」で高学歴の親がつまずく罠、見落としがちな脳の発達とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/321688
・『「塾での成績別席順は常に最前列で、名門中学の模試でA判定。そんな優秀な我が子が、朝はなかなか起きられない、家で暴力的な態度になる」といった悩みを持つ親がいます。子育ては「脳育て」と表現していいくらい、脳は段階的な発達を伴いますが、ここで「高学歴親」は脳育てへの誤った考え方に陥りがちです。寝る、起きる、食べる、からだをうまく動かすことをつかさどる「からだの脳」、言語機能や思考、スポーツの技術的なものを担う「おりこうさんの脳」、人間的な論理的思考や問題解決能力を担う「こころの脳」の発達には、守られるべき順番があることを知っていますか? ※本稿は、成田奈緒子『高学歴親という病』(講談社+α新書)の一部を抜粋・編集したものです』、「子育ては「脳育て」と表現していいくらい、脳は段階的な発達を伴いますが、ここで「高学歴親」は脳育てへの誤った考え方に陥りがちです」、興味深そうだ。
・『脳には育つ順番がある 人間が生きてゆく機能の大部分は、脳が担っています。ですから子育てイコール「脳育て」と表現していいくらいです。首がすわる前に言葉を話す子がいないように、脳の発達には段階があります。したがって、この脳育てにも守られるべき順番があります。 子どもが生まれてから5歳くらいまでに、まず「からだの脳」を育てなくてはなりません。寝る、起きる、食べる、からだをうまく動かすことをつかさどる脳です。これは主に、内臓の働きや自律機能の調節を行う視床下部などの間脳や脳幹部を含む部位を指します。 生まれたときは寝たきりで、昼夜関係なく泣いておっぱいやミルクをねだります。徐々に夜起きずにまとめて眠ってくれます。首がすわり、寝返りを打ち、お座りをしてハイハイができるようになります。そのうち、朝家族とともに目覚め、夜になったら眠り、食事を3回とり、喜怒哀楽を表現し始めます。要するに、人が生まれてから最初に始まるからだと脳の発達です。 (図版:脳の発達は順序が大切 はリンク先参照) このからだの脳が育つ時期を追いかけるように1歳から「おりこうさんの脳」の育ちが始まります。主に、言語機能や思考、スポーツの技術的なもの(微細運動)を担う大脳新皮質のことです。小中学校での学習を中心にぐんと発達しますが、当然ながら個人差があります。おおむね18歳くらいまで時間をかけて育ちます。 最後に10歳から18歳までにかけて育つのが「こころの脳」です。大脳新皮質のなかでも最も高度な働きを持つ前頭葉を用いて、人間的な論理的思考を行う問題解決能力を指します。 このように3段階で脳は育つのですが、多くの親たちが「からだの脳」を育てずに、「おりこうさんの脳」と「こころの脳」の機能を求めています。それが、高学歴親が子育てでつまずく大きな要因です。 子どもは、親の言動を見て育ちます。早寝早起き朝ごはんを大事にしている。それを実現すべく頑張ろうとしている親かどうか、ともに生活するなかで価値観が刷り込まれていきます。 物事のとらえかた、発する言葉の内容、子どもに見せる表情、子どもとの遊びかたひとつとっても、子どもへの影響ははかりしれません』、「子どもが生まれてから5歳くらいまでに、まず「からだの脳」を育てなくてはなりません。寝る、起きる、食べる、からだをうまく動かすことをつかさどる脳です・・・1歳から「おりこうさんの脳」の育ちが始まります。主に、言語機能や思考、スポーツの技術的なもの(微細運動)を担う大脳新皮質のこと・・・10歳から18歳までにかけて育つのが「こころの脳」です。大脳新皮質のなかでも最も高度な働きを持つ前頭葉を用いて、人間的な論理的思考を行う問題解決能力を指します・・・このように3段階で脳は育つのですが、多くの親たちが「からだの脳」を育てずに、「おりこうさんの脳」と「こころの脳」の機能を求めています。それが、高学歴親が子育てでつまずく大きな要因です」、なるほど。
・『「原始人のような子」に育てる 「からだの脳」時代における親の役割は、とにかく「昼行性動物」のリズムを脳に覚えこませることに尽きます。昼行性動物というのは夜行性の反対ですから、「朝太陽が昇ったら活動を開始し、夜太陽が沈んだら眠る」生活をする動物のことです。人間は人間なのですが、まだまだ現代人には程遠い、原始人のイメージです。 端的に言うと、赤ちゃんが生まれてから親が行う「育児」とは、5歳までに立派な原始人を作り上げることと言っても過言ではない。これが「からだの脳」育てです。5歳までに、動物の本能というか、自分が生き延びるために環境に適応する力を身に付けなければならないのです。 たとえば、あちらの藪が動いている。カサカサと音がする。敵がいるかもしれないと察知する視覚と聴覚。何か匂いがするぞと感じる嗅覚。何かの実を拾って食べたときに、味がおかしい、食べちゃダメだとなる味覚。風が湿っぽいから雨が降るぞと察知する触覚。これら五感を使って身を守るのです。 そうやって安全を確認したらリラックスする。そして、きちんと一日3回空腹を感じて食事を自発的に摂る。時々刻々と変わる気温や湿度の環境に適応するよう、自律神経を働かせて体内環境を維持できる。敵が現れれば感情むき出しにして怒り、恐怖し、逃げる、戦う。これが原始人の力です。 本能といってもいいでしょう。この力を作るために、大人が日々の「生活」から脳に刺激を入れ続けることが、「からだの脳育て」というわけです。 また、この時期には「からだの脳」に基地を持つ原始的な3つの神経伝達物質「ドーパミン・セロトニン・ノルアドレナリン」の分泌を促進することも重要です。それをすることで生きるための力の土台を作ります。 この三大神経伝達物質は、生まれてから5歳までにしっかり分泌されることが大事です。脳にしっかりと良い刺激を与えておくと、高度な神経ネットワークが形成され、最終的に「こころの脳」育ての時代になると、ストレスに強く論理的思考や抑制機能が高い脳になるのです。) では、この原始人の脳を作るうえで一番カギになるのは何か。それは現代社会では「年齢相応の十分な睡眠時間」ということになります。講演会などで話をすると、皆さん「え? うちの子ちゃんと寝てますけど……」とおっしゃいます。実は、この「ちゃんと」が曲者なのです。 皆さん「子どもは8時間寝ればいい」と思っていらっしゃる方が多いようです。5歳の幼児も小学校高学年と同じように考えています。大人の睡眠は6時間か7時間くらいだから、子どもは8時間だと言うわけです。しかし、年齢によって必要な睡眠時間、そして推奨される就寝時刻も決まっています。どちらも科学的・医学的な根拠に基づいたものです。 まずは睡眠時間から見直しましょう。5歳児は11時間寝かせることが正しい発達のために必要と、小児科の教科書に書いてあります。加えて重要なのは睡眠の「時間帯」です。午後7時に就寝、午前6時起床が望ましいと考えます。 しかし、現代日本の現状からいうと午後7時就寝はほとんどの家庭で不可能に近いので、私は午後8時就寝、午前6時起床の10時間を目指すようにお願いしています。その理由は、原始人が「太陽が沈んだら寝る」「太陽が昇ったら起きる」からです。ちなみに小学生の場合、教科書的には10時間の睡眠時間を推奨していますが、私は午後9時就寝、午前6時起床の9時間睡眠を目指してもらうようにお話ししています。 「うちの子ちゃんと寝てます」という家庭の状況をよく聞いてみると、寝る時刻が23時以降だったりします。また寝たように見えて寝返りが多いなど浅い眠りだったり、おねしょして夜中に起きることもあり、深く正しく眠っていません。そうなってしまうと、脳は健全に育っていないと考えられます。 日が昇る朝6時前後に起きて活動を開始し、日が沈む午後7時前後に活動を終えて8時には眠りにつく。この睡眠のゴールデンタイムは、昼行性の動物である人間の子ども、原始人にとって不可欠な脳育ての基礎と言えます』、「5歳児は11時間寝かせることが正しい発達のために必要と、小児科の教科書に書いてあります。加えて重要なのは睡眠の「時間帯」です。午後7時に就寝、午前6時起床が望ましいと考えます。 しかし、現代日本の現状からいうと午後7時就寝はほとんどの家庭で不可能に近いので、私は午後8時就寝、午前6時起床の10時間を目指すようにお願いしています・・・日が昇る朝6時前後に起きて活動を開始し、日が沈む午後7時前後に活動を終えて8時には眠りにつく。この睡眠のゴールデンタイムは、昼行性の動物である人間の子ども、原始人にとって不可欠な脳育ての基礎と言えます」、なるほど。
・『脳育てができる親、できない親 「本当にもう、毎朝気を遣いながら声かけするんですけど、ものすごく不機嫌な日はもう怒鳴られっぱなしです。うるさいとか言って、本当に怖いです。夜中になると、部屋からガチャガチャ音が聞こえてきます。オンラインゲームをやってひとりで騒いでいます。どうしたらいいでしょう?」 20歳過ぎて家に引きこもっている子どもたちと同居する母親が、げっそりした顔で私のところにやってきます。
・『「とにかくね、早寝早起きをして生活リズムを整えよう!」 私は病院の外来やアクシスでこう伝え続け、溺れかけた親子を何とか川や海から引き揚げてきました。すんでのところで生き直せた彼らは「とにもかくにも生活リズム」を深く理解しています。 ところが、多くの人たちはすぐに信じてはくれません。効果が見えにくいからです。特に高学歴の親御さんは、目に見える成果を求めやすいと感じます。絵画や楽器など取り組んだものの出来栄え、テストの点数、通知表、模試のランク付け。学力、計算力、文章力といった「認知能力」です。 対する「非認知能力」は、意欲や自己肯定感、自立や協調、共感できる力といったこころの部分を指します。この非認知能力は生活リズムが整うとドンとアップするのですが、測定したり評価する数値がないので親御さんには届きません。 「からだの脳」が育てられていない子どものなかには、不登校、引きこもり、家庭内暴力、リストカットといった事態を引き起こすケースもあります。そこで私のほうから「こういうリスクがあるよ」と警告するのですが、多くの方が「うちはそうはならない」と思っています。 器械体操で全国大会出場を決めた。 水泳の記録会でいつもトップを飾る。 塾での成績別席順は常に最前列で、名門中学の模試でA判定。 そんな子どもたちが、朝はなかなか起きられない、家で暴力的な態度になる。理由がわからない頭痛や腹痛があるといった問題があっても、親子はエリート街道を走り続けます。優秀なわが子が放つ光は、その影を覆い隠すのです。脳育ての価値がわからない人は、先のことを考えるのが苦手なのかもしれません。 目の前の些末なことよりも、大局を見ることができれば変われるのに。それを私はひしひしと感じます』、「多くの人たちはすぐに信じてはくれません。効果が見えにくいからです。特に高学歴の親御さんは、目に見える成果を求めやすいと感じます。絵画や楽器など取り組んだものの出来栄え、テストの点数、通知表、模試のランク付け。学力、計算力、文章力といった「認知能力」です。 対する「非認知能力」は、意欲や自己肯定感、自立や協調、共感できる力といったこころの部分を指します。この非認知能力は生活リズムが整うとドンとアップするのですが、測定したり評価する数値がないので親御さんには届きません。 「からだの脳」が育てられていない子どものなかには、不登校、引きこもり、家庭内暴力、リストカットといった事態を引き起こすケースもあります。そこで私のほうから「こういうリスクがあるよ」と警告するのですが、多くの方が「うちはそうはならない」と思っています・・・優秀なわが子が放つ光は、その影を覆い隠すのです。脳育ての価値がわからない人は、先のことを考えるのが苦手なのかもしれません。 目の前の些末なことよりも、大局を見ることができれば変われるのに。それを私はひしひしと感じます」、なるほど。
次に、 7月11日付け現代ビジネスが掲載した遠藤 利彦氏による「「子どもが誰かにくっついている」ことが、子どもの発達にここまで重要である「これだけの理由」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/112152
・『「アタッチメント」という言葉をご存じでしょうか? 心理学の分野では「愛着」と訳されて使われてきた用語で、不安なとき「特定のだれか」にくっついて安心感を得ようとする欲求や行動を指す言葉です。 いわば「不安解消のシステム」ともいえるアタッチメントは、とりわけ乳幼児期の経験が重要だといわれています。どのようにして形成されていくのかを『アタッチメントがわかる本 「愛着」が心の力を育む』から、一部抜粋してご紹介します』、興味深そうだ。
・『不安なときにくっつきたい――。それが「アタッチメント」 幼い子どもにとって世界は未知のことばかり。まわりに人がいない、暗くなってきた、転んでひざから血が出た、見たことがない人がきた……。ちょっとしたことで不安を感じたり、怖くなったりするものです。そんなネガティブな感情が生じたときに、特定のだれかにくっつきたいと願い、行動し、安心感を得ようとすること――。これが「アタッチメント」です。 多くの生きものの子どもには、くっつくこと自体を目的として行動するシステムが組み込まれています。だれか、あるいはなにかにくっついていれば、未成熟な子どもも危険な状況を生き延びやすくなるからです。 人間の場合も同じです。怖いから、不安だからだれかにくっつこうとする傾向は、もともとだれにでもみられるものです。とくに乳幼児の場合は、くっつこうとする傾向を、親や自分の世話をしてくれる大人に対して向け、「怖かったよね」、「もう大丈夫だよ」となぐさめられることで、安心・安全な感覚を得ます。 くっついて、感覚の調整をしてもらう経験を繰り返すうちに、実際にはくっつかなくても、気持ちを立て直せるようになっていきます。安定したアタッチメントは、子どものすこやかな育ちを支える土壌となるものです』、「多くの生きものの子どもには、くっつくこと自体を目的として行動するシステムが組み込まれています。だれか、あるいはなにかにくっついていれば、未成熟な子どもも危険な状況を生き延びやすくなるからです・・・くっついて、感覚の調整をしてもらう経験を繰り返すうちに、実際にはくっつかなくても、気持ちを立て直せるようになっていきます。安定したアタッチメントは、子どものすこやかな育ちを支える土壌となるものです」、なるほど。
・『アタッチメントの安定化は乳幼児期に決まる 乳幼児期は、「不安だからくっつきたい」という欲求が切実、かつひんぱんに生じます。そのため、その後のアタッチメントが安定的なものになるかが決まる重要な時期といえます。 なぜなら、生後3年ほどの期間は、成長するにつれ感情の種類が多様化し、ネガティブな感情が生じることも増えるからです。アタッチメントは、そうした感情の崩れを整えるのに重要な役割を果たします。 子どもの感情の発達のしかたを具体的にみていきましょう。 【新生児期】—快・不快・興味 新生児の頃から「快」」と「不快」は異なるものとして存在し、さまざまな刺激に対する「興味」も持っています。 【生後半年くらいまで】—喜び・悲しみ・嫌悪・怒り・恐れ・驚き 生後2~3ヵ月頃には、「快」から「喜び」の感情が、「不快」から「悲しみ」「嫌悪」の感情が生まれます。その後、「怒り」「恐れ」「驚き」の感情もみられるようになります。はっきりした対象のない、漠然とした恐れが「不安」です。 【1歳半ごろ】—自己意識に伴う感情 「自分は本来こういうものだ」という自己認識をもちはじめる時期です。他者を意識するようになり、「てれ」や「共感」、「羨望」などの感情が生まれます(自己意識的感情)。 【2歳半ごろ】—自己評価的な感情 いろいろなルールや基準に興味を示す時期。自分がそれにかなった行動ができているかどうかで、「恥ずかしい」「誇らしい」感情や「罪悪感」などを示すようになります(自己評価的感情)』、「生後3年ほどの期間は、成長するにつれ感情の種類が多様化し、ネガティブな感情が生じることも増えるからです。アタッチメントは、そうした感情の崩れを整えるのに重要な役割を果たします」、なるほど。
・『秘訣は「かかわり」を積み重ねること ここまで、アタッチメントは『子どもの感情の崩れを整えるのに重要な役割を果たす』ことをお伝えしました。それでは、乳幼児期の子どもを支えるアタッチメントは、どのようにして形成されていくのでしょうか。 生まれて間もない赤ちゃんは、「不快」な状態に陥ると大きな声で泣き出します。このとき、まわりの大人がタイミングよくそばに来てくれて、おなかが満たされたり、おむつを替えてくれたりすると「快」が得られます。 初めのうちは、泣いたときに来てくれる人がだれであっても、不快さを取り除いてくれれば赤ちゃんは満足をします。この状態を「ジョイントネス」といい、互いに応答しあい、情緒的につながろうとします。 泣いている赤ちゃんの世話を継続的におこなうのは養育者であり、多くの場合、主な養育者は親です。養育者がかかわり続けること、つまり養育者との十分な「ジョイントネス」の経験により、赤ちゃんは「泣いたときに来てくれる『この人』」を認識するようになります。そして、不快さを含め、ネガティブな感情で心の状態が崩れると、その人にくっつきたくなるのです。 赤ちゃんと養育者との間で、このような関係が成立することを「アタッチメントの形成」といいます。泣いている赤ちゃんを抱き上げてあやす――こうした当たり前ともいえるかかわりを続けることで、養育者がその子にとっての特別な人、くっつきたい特定のだれかになり、アタッチメントは形成されるのです』、「泣いている赤ちゃんを抱き上げてあやす――こうした当たり前ともいえるかかわりを続けることで、養育者がその子にとっての特別な人、くっつきたい特定のだれかになり、アタッチメントは形成されるのです」、なるほど。
・『子どもは「安心感の輪」をめぐるうちに成長する アタッチメントそのものは、「不安を解消するためにくっつく」というだけのことですが、十分にくっついて安心できたら、子どもは離れて遊び出します。遊びは子どもの発達にかかせない活動です。遊びを通じて、新たな発見を重ねていきます。 くっついては出かけ、またくっつきに戻るという経験は、子どもの「心の力」になります。「安心感の輪」を何度も何度もめぐるうちに、子どものなかに「なにかあったら戻ればいい」という確信が生まれます。そうした確信が得られれば、「だから、もうちょっと先までいってみよう」と、チャレンジできるようにもなっていきます。 ひとりでいられる時間は徐々に増え、子どもの活動範囲は広がっていくでしょう。心身の発達とは、「安心感の輪」が拡大していくことと同義なのです』、「遊びは子どもの発達にかかせない活動です。遊びを通じて、新たな発見を重ねていきます。 くっついては出かけ、またくっつきに戻るという経験は、子どもの「心の力」になります。「安心感の輪」を何度も何度もめぐるうちに、子どものなかに「なにかあったら戻ればいい」という確信が生まれます。そうした確信が得られれば、「だから、もうちょっと先までいってみよう」と、チャレンジできるようにもなっていきます。 ひとりでいられる時間は徐々に増え、子どもの活動範囲は広がっていくでしょう。心身の発達とは、「安心感の輪」が拡大していくことと同義なのです」、なるほど。
・『安定したアタッチメントが心の力を育む そうしてアタッチメントが安定してくると、「心の力」が自然に育まれていくようになります。「心の力」とは「社会のなかでよりよく生きるために役立つ力」のこと。近年、幼児教育の分野で「非認知能力」として注目されています。 たとえば、自己にかかわる力が育まれると、「自分なんか」「どうせ無理」などとあきらめず、いろいろなことに挑戦しやすくなります。社会性にかかわる力として「自分はこうしたいけど、ほかの子はいやかもしれない」など、他者を思いやる気持ちがあると、人とうまくつきあっていきやすいでしょう。 【自己にかかわる力】 自分を大切にしながら自分をコントロールし、自分を高めようとする力 ●自尊心・自己肯定感 ●自己効力感・自信 ●自立心・自律性 ●自制心・自己防御・粘り強さ ●好奇心・意欲 など 【社会性にかかわる力】 人とうまく協働して生活していくために必要な力 ●心の理解能力 ●協調性・協働性 ●共感する力・思いやり ●社交性・コミュニケーションの力 ●良いか悪いかを判断する道徳性 など アタッチメントが安定すると、下記のような感覚ももたらされます。 【「人は信じられる存在」だという確信】 助けを求めれば応えてくれる、人を信じていいという信頼の感覚が育まれます。人を信じる力は、社会性にかかわる力を育む大前提となります。人を信じられなければ、みんなで協力しようとも、ルールを大切にしようとも思えません。 【「自分には愛される価値がある」という感覚】 「どんな自分でも大切にしてもらえる」「自分には愛される価値がある」という感覚がもたらされます。自分は大切な存在であるという確信が根っことなり、自己にかかわる力が育っていきます。 このように、幼児期に経験した安定的なアタッチメントは、心の力を育み、将来の幸せにつながる土台となっていきます。だからこそ、安定的なアタッチメントを経験できるような対応が大切なのです。 【しがみつく子、うつろな表情のまま動かなくなってしまう子……「アタッチメント」にここまで個人差が生まれる理由】に続きます 『アタッチメントがわかる本 「愛着」が心の力を育む』(監修:遠藤 利彦(東京大学大学院教育学研究科教授)…不安なとき「特定のだれか」にくっついて安心感を得たい。そんな子どもにとって当たり前の欲求や行動であるとされる「アタッチメント」。その形成から生涯にわたる影響まで解説した一冊。) 『アタッチメントがわかる本 「愛着」が心の力を育む』(監修:遠藤 利彦(東京大学大学院教育学研究科教授)…不安なとき「特定のだれか」にくっついて安心感を得たい。そんな子どもにとって当たり前の欲求や行動であるとされる「アタッチメント」。その形成から生涯にわたる影響まで解説した一冊』、「アタッチメントが安定してくると、「心の力」が自然に育まれていくようになります。「心の力」とは「社会のなかでよりよく生きるために役立つ力」のこと。近年、幼児教育の分野で「非認知能力」として注目されています。 たとえば、自己にかかわる力が育まれると、「自分なんか」「どうせ無理」などとあきらめず、いろいろなことに挑戦しやすくなります」、確かにそんなものなのかも知れない。
先ずは、昨年5月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した小児科医・医学博士の成田奈緒子氏による「子どもの「脳育て」で高学歴の親がつまずく罠、見落としがちな脳の発達とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/321688
・『「塾での成績別席順は常に最前列で、名門中学の模試でA判定。そんな優秀な我が子が、朝はなかなか起きられない、家で暴力的な態度になる」といった悩みを持つ親がいます。子育ては「脳育て」と表現していいくらい、脳は段階的な発達を伴いますが、ここで「高学歴親」は脳育てへの誤った考え方に陥りがちです。寝る、起きる、食べる、からだをうまく動かすことをつかさどる「からだの脳」、言語機能や思考、スポーツの技術的なものを担う「おりこうさんの脳」、人間的な論理的思考や問題解決能力を担う「こころの脳」の発達には、守られるべき順番があることを知っていますか? ※本稿は、成田奈緒子『高学歴親という病』(講談社+α新書)の一部を抜粋・編集したものです』、「子育ては「脳育て」と表現していいくらい、脳は段階的な発達を伴いますが、ここで「高学歴親」は脳育てへの誤った考え方に陥りがちです」、興味深そうだ。
・『脳には育つ順番がある 人間が生きてゆく機能の大部分は、脳が担っています。ですから子育てイコール「脳育て」と表現していいくらいです。首がすわる前に言葉を話す子がいないように、脳の発達には段階があります。したがって、この脳育てにも守られるべき順番があります。 子どもが生まれてから5歳くらいまでに、まず「からだの脳」を育てなくてはなりません。寝る、起きる、食べる、からだをうまく動かすことをつかさどる脳です。これは主に、内臓の働きや自律機能の調節を行う視床下部などの間脳や脳幹部を含む部位を指します。 生まれたときは寝たきりで、昼夜関係なく泣いておっぱいやミルクをねだります。徐々に夜起きずにまとめて眠ってくれます。首がすわり、寝返りを打ち、お座りをしてハイハイができるようになります。そのうち、朝家族とともに目覚め、夜になったら眠り、食事を3回とり、喜怒哀楽を表現し始めます。要するに、人が生まれてから最初に始まるからだと脳の発達です。 (図版:脳の発達は順序が大切 はリンク先参照) このからだの脳が育つ時期を追いかけるように1歳から「おりこうさんの脳」の育ちが始まります。主に、言語機能や思考、スポーツの技術的なもの(微細運動)を担う大脳新皮質のことです。小中学校での学習を中心にぐんと発達しますが、当然ながら個人差があります。おおむね18歳くらいまで時間をかけて育ちます。 最後に10歳から18歳までにかけて育つのが「こころの脳」です。大脳新皮質のなかでも最も高度な働きを持つ前頭葉を用いて、人間的な論理的思考を行う問題解決能力を指します。 このように3段階で脳は育つのですが、多くの親たちが「からだの脳」を育てずに、「おりこうさんの脳」と「こころの脳」の機能を求めています。それが、高学歴親が子育てでつまずく大きな要因です。 子どもは、親の言動を見て育ちます。早寝早起き朝ごはんを大事にしている。それを実現すべく頑張ろうとしている親かどうか、ともに生活するなかで価値観が刷り込まれていきます。 物事のとらえかた、発する言葉の内容、子どもに見せる表情、子どもとの遊びかたひとつとっても、子どもへの影響ははかりしれません』、「子どもが生まれてから5歳くらいまでに、まず「からだの脳」を育てなくてはなりません。寝る、起きる、食べる、からだをうまく動かすことをつかさどる脳です・・・1歳から「おりこうさんの脳」の育ちが始まります。主に、言語機能や思考、スポーツの技術的なもの(微細運動)を担う大脳新皮質のこと・・・10歳から18歳までにかけて育つのが「こころの脳」です。大脳新皮質のなかでも最も高度な働きを持つ前頭葉を用いて、人間的な論理的思考を行う問題解決能力を指します・・・このように3段階で脳は育つのですが、多くの親たちが「からだの脳」を育てずに、「おりこうさんの脳」と「こころの脳」の機能を求めています。それが、高学歴親が子育てでつまずく大きな要因です」、なるほど。
・『「原始人のような子」に育てる 「からだの脳」時代における親の役割は、とにかく「昼行性動物」のリズムを脳に覚えこませることに尽きます。昼行性動物というのは夜行性の反対ですから、「朝太陽が昇ったら活動を開始し、夜太陽が沈んだら眠る」生活をする動物のことです。人間は人間なのですが、まだまだ現代人には程遠い、原始人のイメージです。 端的に言うと、赤ちゃんが生まれてから親が行う「育児」とは、5歳までに立派な原始人を作り上げることと言っても過言ではない。これが「からだの脳」育てです。5歳までに、動物の本能というか、自分が生き延びるために環境に適応する力を身に付けなければならないのです。 たとえば、あちらの藪が動いている。カサカサと音がする。敵がいるかもしれないと察知する視覚と聴覚。何か匂いがするぞと感じる嗅覚。何かの実を拾って食べたときに、味がおかしい、食べちゃダメだとなる味覚。風が湿っぽいから雨が降るぞと察知する触覚。これら五感を使って身を守るのです。 そうやって安全を確認したらリラックスする。そして、きちんと一日3回空腹を感じて食事を自発的に摂る。時々刻々と変わる気温や湿度の環境に適応するよう、自律神経を働かせて体内環境を維持できる。敵が現れれば感情むき出しにして怒り、恐怖し、逃げる、戦う。これが原始人の力です。 本能といってもいいでしょう。この力を作るために、大人が日々の「生活」から脳に刺激を入れ続けることが、「からだの脳育て」というわけです。 また、この時期には「からだの脳」に基地を持つ原始的な3つの神経伝達物質「ドーパミン・セロトニン・ノルアドレナリン」の分泌を促進することも重要です。それをすることで生きるための力の土台を作ります。 この三大神経伝達物質は、生まれてから5歳までにしっかり分泌されることが大事です。脳にしっかりと良い刺激を与えておくと、高度な神経ネットワークが形成され、最終的に「こころの脳」育ての時代になると、ストレスに強く論理的思考や抑制機能が高い脳になるのです。) では、この原始人の脳を作るうえで一番カギになるのは何か。それは現代社会では「年齢相応の十分な睡眠時間」ということになります。講演会などで話をすると、皆さん「え? うちの子ちゃんと寝てますけど……」とおっしゃいます。実は、この「ちゃんと」が曲者なのです。 皆さん「子どもは8時間寝ればいい」と思っていらっしゃる方が多いようです。5歳の幼児も小学校高学年と同じように考えています。大人の睡眠は6時間か7時間くらいだから、子どもは8時間だと言うわけです。しかし、年齢によって必要な睡眠時間、そして推奨される就寝時刻も決まっています。どちらも科学的・医学的な根拠に基づいたものです。 まずは睡眠時間から見直しましょう。5歳児は11時間寝かせることが正しい発達のために必要と、小児科の教科書に書いてあります。加えて重要なのは睡眠の「時間帯」です。午後7時に就寝、午前6時起床が望ましいと考えます。 しかし、現代日本の現状からいうと午後7時就寝はほとんどの家庭で不可能に近いので、私は午後8時就寝、午前6時起床の10時間を目指すようにお願いしています。その理由は、原始人が「太陽が沈んだら寝る」「太陽が昇ったら起きる」からです。ちなみに小学生の場合、教科書的には10時間の睡眠時間を推奨していますが、私は午後9時就寝、午前6時起床の9時間睡眠を目指してもらうようにお話ししています。 「うちの子ちゃんと寝てます」という家庭の状況をよく聞いてみると、寝る時刻が23時以降だったりします。また寝たように見えて寝返りが多いなど浅い眠りだったり、おねしょして夜中に起きることもあり、深く正しく眠っていません。そうなってしまうと、脳は健全に育っていないと考えられます。 日が昇る朝6時前後に起きて活動を開始し、日が沈む午後7時前後に活動を終えて8時には眠りにつく。この睡眠のゴールデンタイムは、昼行性の動物である人間の子ども、原始人にとって不可欠な脳育ての基礎と言えます』、「5歳児は11時間寝かせることが正しい発達のために必要と、小児科の教科書に書いてあります。加えて重要なのは睡眠の「時間帯」です。午後7時に就寝、午前6時起床が望ましいと考えます。 しかし、現代日本の現状からいうと午後7時就寝はほとんどの家庭で不可能に近いので、私は午後8時就寝、午前6時起床の10時間を目指すようにお願いしています・・・日が昇る朝6時前後に起きて活動を開始し、日が沈む午後7時前後に活動を終えて8時には眠りにつく。この睡眠のゴールデンタイムは、昼行性の動物である人間の子ども、原始人にとって不可欠な脳育ての基礎と言えます」、なるほど。
・『脳育てができる親、できない親 「本当にもう、毎朝気を遣いながら声かけするんですけど、ものすごく不機嫌な日はもう怒鳴られっぱなしです。うるさいとか言って、本当に怖いです。夜中になると、部屋からガチャガチャ音が聞こえてきます。オンラインゲームをやってひとりで騒いでいます。どうしたらいいでしょう?」 20歳過ぎて家に引きこもっている子どもたちと同居する母親が、げっそりした顔で私のところにやってきます。
・『「とにかくね、早寝早起きをして生活リズムを整えよう!」 私は病院の外来やアクシスでこう伝え続け、溺れかけた親子を何とか川や海から引き揚げてきました。すんでのところで生き直せた彼らは「とにもかくにも生活リズム」を深く理解しています。 ところが、多くの人たちはすぐに信じてはくれません。効果が見えにくいからです。特に高学歴の親御さんは、目に見える成果を求めやすいと感じます。絵画や楽器など取り組んだものの出来栄え、テストの点数、通知表、模試のランク付け。学力、計算力、文章力といった「認知能力」です。 対する「非認知能力」は、意欲や自己肯定感、自立や協調、共感できる力といったこころの部分を指します。この非認知能力は生活リズムが整うとドンとアップするのですが、測定したり評価する数値がないので親御さんには届きません。 「からだの脳」が育てられていない子どものなかには、不登校、引きこもり、家庭内暴力、リストカットといった事態を引き起こすケースもあります。そこで私のほうから「こういうリスクがあるよ」と警告するのですが、多くの方が「うちはそうはならない」と思っています。 器械体操で全国大会出場を決めた。 水泳の記録会でいつもトップを飾る。 塾での成績別席順は常に最前列で、名門中学の模試でA判定。 そんな子どもたちが、朝はなかなか起きられない、家で暴力的な態度になる。理由がわからない頭痛や腹痛があるといった問題があっても、親子はエリート街道を走り続けます。優秀なわが子が放つ光は、その影を覆い隠すのです。脳育ての価値がわからない人は、先のことを考えるのが苦手なのかもしれません。 目の前の些末なことよりも、大局を見ることができれば変われるのに。それを私はひしひしと感じます』、「多くの人たちはすぐに信じてはくれません。効果が見えにくいからです。特に高学歴の親御さんは、目に見える成果を求めやすいと感じます。絵画や楽器など取り組んだものの出来栄え、テストの点数、通知表、模試のランク付け。学力、計算力、文章力といった「認知能力」です。 対する「非認知能力」は、意欲や自己肯定感、自立や協調、共感できる力といったこころの部分を指します。この非認知能力は生活リズムが整うとドンとアップするのですが、測定したり評価する数値がないので親御さんには届きません。 「からだの脳」が育てられていない子どものなかには、不登校、引きこもり、家庭内暴力、リストカットといった事態を引き起こすケースもあります。そこで私のほうから「こういうリスクがあるよ」と警告するのですが、多くの方が「うちはそうはならない」と思っています・・・優秀なわが子が放つ光は、その影を覆い隠すのです。脳育ての価値がわからない人は、先のことを考えるのが苦手なのかもしれません。 目の前の些末なことよりも、大局を見ることができれば変われるのに。それを私はひしひしと感じます」、なるほど。
次に、 7月11日付け現代ビジネスが掲載した遠藤 利彦氏による「「子どもが誰かにくっついている」ことが、子どもの発達にここまで重要である「これだけの理由」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/112152
・『「アタッチメント」という言葉をご存じでしょうか? 心理学の分野では「愛着」と訳されて使われてきた用語で、不安なとき「特定のだれか」にくっついて安心感を得ようとする欲求や行動を指す言葉です。 いわば「不安解消のシステム」ともいえるアタッチメントは、とりわけ乳幼児期の経験が重要だといわれています。どのようにして形成されていくのかを『アタッチメントがわかる本 「愛着」が心の力を育む』から、一部抜粋してご紹介します』、興味深そうだ。
・『不安なときにくっつきたい――。それが「アタッチメント」 幼い子どもにとって世界は未知のことばかり。まわりに人がいない、暗くなってきた、転んでひざから血が出た、見たことがない人がきた……。ちょっとしたことで不安を感じたり、怖くなったりするものです。そんなネガティブな感情が生じたときに、特定のだれかにくっつきたいと願い、行動し、安心感を得ようとすること――。これが「アタッチメント」です。 多くの生きものの子どもには、くっつくこと自体を目的として行動するシステムが組み込まれています。だれか、あるいはなにかにくっついていれば、未成熟な子どもも危険な状況を生き延びやすくなるからです。 人間の場合も同じです。怖いから、不安だからだれかにくっつこうとする傾向は、もともとだれにでもみられるものです。とくに乳幼児の場合は、くっつこうとする傾向を、親や自分の世話をしてくれる大人に対して向け、「怖かったよね」、「もう大丈夫だよ」となぐさめられることで、安心・安全な感覚を得ます。 くっついて、感覚の調整をしてもらう経験を繰り返すうちに、実際にはくっつかなくても、気持ちを立て直せるようになっていきます。安定したアタッチメントは、子どものすこやかな育ちを支える土壌となるものです』、「多くの生きものの子どもには、くっつくこと自体を目的として行動するシステムが組み込まれています。だれか、あるいはなにかにくっついていれば、未成熟な子どもも危険な状況を生き延びやすくなるからです・・・くっついて、感覚の調整をしてもらう経験を繰り返すうちに、実際にはくっつかなくても、気持ちを立て直せるようになっていきます。安定したアタッチメントは、子どものすこやかな育ちを支える土壌となるものです」、なるほど。
・『アタッチメントの安定化は乳幼児期に決まる 乳幼児期は、「不安だからくっつきたい」という欲求が切実、かつひんぱんに生じます。そのため、その後のアタッチメントが安定的なものになるかが決まる重要な時期といえます。 なぜなら、生後3年ほどの期間は、成長するにつれ感情の種類が多様化し、ネガティブな感情が生じることも増えるからです。アタッチメントは、そうした感情の崩れを整えるのに重要な役割を果たします。 子どもの感情の発達のしかたを具体的にみていきましょう。 【新生児期】—快・不快・興味 新生児の頃から「快」」と「不快」は異なるものとして存在し、さまざまな刺激に対する「興味」も持っています。 【生後半年くらいまで】—喜び・悲しみ・嫌悪・怒り・恐れ・驚き 生後2~3ヵ月頃には、「快」から「喜び」の感情が、「不快」から「悲しみ」「嫌悪」の感情が生まれます。その後、「怒り」「恐れ」「驚き」の感情もみられるようになります。はっきりした対象のない、漠然とした恐れが「不安」です。 【1歳半ごろ】—自己意識に伴う感情 「自分は本来こういうものだ」という自己認識をもちはじめる時期です。他者を意識するようになり、「てれ」や「共感」、「羨望」などの感情が生まれます(自己意識的感情)。 【2歳半ごろ】—自己評価的な感情 いろいろなルールや基準に興味を示す時期。自分がそれにかなった行動ができているかどうかで、「恥ずかしい」「誇らしい」感情や「罪悪感」などを示すようになります(自己評価的感情)』、「生後3年ほどの期間は、成長するにつれ感情の種類が多様化し、ネガティブな感情が生じることも増えるからです。アタッチメントは、そうした感情の崩れを整えるのに重要な役割を果たします」、なるほど。
・『秘訣は「かかわり」を積み重ねること ここまで、アタッチメントは『子どもの感情の崩れを整えるのに重要な役割を果たす』ことをお伝えしました。それでは、乳幼児期の子どもを支えるアタッチメントは、どのようにして形成されていくのでしょうか。 生まれて間もない赤ちゃんは、「不快」な状態に陥ると大きな声で泣き出します。このとき、まわりの大人がタイミングよくそばに来てくれて、おなかが満たされたり、おむつを替えてくれたりすると「快」が得られます。 初めのうちは、泣いたときに来てくれる人がだれであっても、不快さを取り除いてくれれば赤ちゃんは満足をします。この状態を「ジョイントネス」といい、互いに応答しあい、情緒的につながろうとします。 泣いている赤ちゃんの世話を継続的におこなうのは養育者であり、多くの場合、主な養育者は親です。養育者がかかわり続けること、つまり養育者との十分な「ジョイントネス」の経験により、赤ちゃんは「泣いたときに来てくれる『この人』」を認識するようになります。そして、不快さを含め、ネガティブな感情で心の状態が崩れると、その人にくっつきたくなるのです。 赤ちゃんと養育者との間で、このような関係が成立することを「アタッチメントの形成」といいます。泣いている赤ちゃんを抱き上げてあやす――こうした当たり前ともいえるかかわりを続けることで、養育者がその子にとっての特別な人、くっつきたい特定のだれかになり、アタッチメントは形成されるのです』、「泣いている赤ちゃんを抱き上げてあやす――こうした当たり前ともいえるかかわりを続けることで、養育者がその子にとっての特別な人、くっつきたい特定のだれかになり、アタッチメントは形成されるのです」、なるほど。
・『子どもは「安心感の輪」をめぐるうちに成長する アタッチメントそのものは、「不安を解消するためにくっつく」というだけのことですが、十分にくっついて安心できたら、子どもは離れて遊び出します。遊びは子どもの発達にかかせない活動です。遊びを通じて、新たな発見を重ねていきます。 くっついては出かけ、またくっつきに戻るという経験は、子どもの「心の力」になります。「安心感の輪」を何度も何度もめぐるうちに、子どものなかに「なにかあったら戻ればいい」という確信が生まれます。そうした確信が得られれば、「だから、もうちょっと先までいってみよう」と、チャレンジできるようにもなっていきます。 ひとりでいられる時間は徐々に増え、子どもの活動範囲は広がっていくでしょう。心身の発達とは、「安心感の輪」が拡大していくことと同義なのです』、「遊びは子どもの発達にかかせない活動です。遊びを通じて、新たな発見を重ねていきます。 くっついては出かけ、またくっつきに戻るという経験は、子どもの「心の力」になります。「安心感の輪」を何度も何度もめぐるうちに、子どものなかに「なにかあったら戻ればいい」という確信が生まれます。そうした確信が得られれば、「だから、もうちょっと先までいってみよう」と、チャレンジできるようにもなっていきます。 ひとりでいられる時間は徐々に増え、子どもの活動範囲は広がっていくでしょう。心身の発達とは、「安心感の輪」が拡大していくことと同義なのです」、なるほど。
・『安定したアタッチメントが心の力を育む そうしてアタッチメントが安定してくると、「心の力」が自然に育まれていくようになります。「心の力」とは「社会のなかでよりよく生きるために役立つ力」のこと。近年、幼児教育の分野で「非認知能力」として注目されています。 たとえば、自己にかかわる力が育まれると、「自分なんか」「どうせ無理」などとあきらめず、いろいろなことに挑戦しやすくなります。社会性にかかわる力として「自分はこうしたいけど、ほかの子はいやかもしれない」など、他者を思いやる気持ちがあると、人とうまくつきあっていきやすいでしょう。 【自己にかかわる力】 自分を大切にしながら自分をコントロールし、自分を高めようとする力 ●自尊心・自己肯定感 ●自己効力感・自信 ●自立心・自律性 ●自制心・自己防御・粘り強さ ●好奇心・意欲 など 【社会性にかかわる力】 人とうまく協働して生活していくために必要な力 ●心の理解能力 ●協調性・協働性 ●共感する力・思いやり ●社交性・コミュニケーションの力 ●良いか悪いかを判断する道徳性 など アタッチメントが安定すると、下記のような感覚ももたらされます。 【「人は信じられる存在」だという確信】 助けを求めれば応えてくれる、人を信じていいという信頼の感覚が育まれます。人を信じる力は、社会性にかかわる力を育む大前提となります。人を信じられなければ、みんなで協力しようとも、ルールを大切にしようとも思えません。 【「自分には愛される価値がある」という感覚】 「どんな自分でも大切にしてもらえる」「自分には愛される価値がある」という感覚がもたらされます。自分は大切な存在であるという確信が根っことなり、自己にかかわる力が育っていきます。 このように、幼児期に経験した安定的なアタッチメントは、心の力を育み、将来の幸せにつながる土台となっていきます。だからこそ、安定的なアタッチメントを経験できるような対応が大切なのです。 【しがみつく子、うつろな表情のまま動かなくなってしまう子……「アタッチメント」にここまで個人差が生まれる理由】に続きます 『アタッチメントがわかる本 「愛着」が心の力を育む』(監修:遠藤 利彦(東京大学大学院教育学研究科教授)…不安なとき「特定のだれか」にくっついて安心感を得たい。そんな子どもにとって当たり前の欲求や行動であるとされる「アタッチメント」。その形成から生涯にわたる影響まで解説した一冊。) 『アタッチメントがわかる本 「愛着」が心の力を育む』(監修:遠藤 利彦(東京大学大学院教育学研究科教授)…不安なとき「特定のだれか」にくっついて安心感を得たい。そんな子どもにとって当たり前の欲求や行動であるとされる「アタッチメント」。その形成から生涯にわたる影響まで解説した一冊』、「アタッチメントが安定してくると、「心の力」が自然に育まれていくようになります。「心の力」とは「社会のなかでよりよく生きるために役立つ力」のこと。近年、幼児教育の分野で「非認知能力」として注目されています。 たとえば、自己にかかわる力が育まれると、「自分なんか」「どうせ無理」などとあきらめず、いろいろなことに挑戦しやすくなります」、確かにそんなものなのかも知れない。
タグ:子育て (その6)(子どもの「脳育て」で高学歴の親がつまずく罠 見落としがちな脳の発達とは、「子どもが誰かにくっついている」ことが 子どもの発達にここまで重要である「これだけの理由」) ダイヤモンド・オンライン 成田奈緒子氏による「子どもの「脳育て」で高学歴の親がつまずく罠、見落としがちな脳の発達とは」 成田奈緒子『高学歴親という病』(講談社+α新書) 「子育ては「脳育て」と表現していいくらい、脳は段階的な発達を伴いますが、ここで「高学歴親」は脳育てへの誤った考え方に陥りがちです」、興味深そうだ。 「子どもが生まれてから5歳くらいまでに、まず「からだの脳」を育てなくてはなりません。寝る、起きる、食べる、からだをうまく動かすことをつかさどる脳です・・・1歳から「おりこうさんの脳」の育ちが始まります。主に、言語機能や思考、スポーツの技術的なもの(微細運動)を担う大脳新皮質のこと・・・ 10歳から18歳までにかけて育つのが「こころの脳」です。大脳新皮質のなかでも最も高度な働きを持つ前頭葉を用いて、人間的な論理的思考を行う問題解決能力を指します・・・このように3段階で脳は育つのですが、多くの親たちが「からだの脳」を育てずに、「おりこうさんの脳」と「こころの脳」の機能を求めています。それが、高学歴親が子育てでつまずく大きな要因です」、なるほど。 「5歳児は11時間寝かせることが正しい発達のために必要と、小児科の教科書に書いてあります。加えて重要なのは睡眠の「時間帯」です。午後7時に就寝、午前6時起床が望ましいと考えます。 しかし、現代日本の現状からいうと午後7時就寝はほとんどの家庭で不可能に近いので、私は午後8時就寝、午前6時起床の10時間を目指すようにお願いしています・・・日が昇る朝6時前後に起きて活動を開始し、日が沈む午後7時前後に活動を終えて8時には眠りにつく。この睡眠のゴールデンタイムは、昼行性の動物である人間の子ども、原始人にとって不可 欠な脳育ての基礎と言えます」、なるほど。 「多くの人たちはすぐに信じてはくれません。効果が見えにくいからです。特に高学歴の親御さんは、目に見える成果を求めやすいと感じます。絵画や楽器など取り組んだものの出来栄え、テストの点数、通知表、模試のランク付け。学力、計算力、文章力といった「認知能力」です。 対する「非認知能力」は、意欲や自己肯定感、自立や協調、共感できる力といったこころの部分を指します。この非認知能力は生活リズムが整うとドンとアップするのですが、測定したり評価する数値がないので親御さんには届きません。 「からだの脳」が育てられていない子どものなかには、不登校、引きこもり、家庭内暴力、リストカットといった事態を引き起こすケースもあります。そこで私のほうから「こういうリスクがあるよ」と警告するのですが、多くの方が「うちはそうはならない」と思っています・・・優秀なわが子が放つ光は、その影を覆い隠すのです。脳育ての価値がわからない人は、先のことを考えるのが苦手なのかもしれません。 目の前の些末なことよりも、大局を見ることができれば変われるのに。それを私はひしひしと感じます」、なるほど。 遠藤 利彦氏による「「子どもが誰かにくっついている」ことが、子どもの発達にここまで重要である「これだけの理由」」 『アタッチメントがわかる本 「愛着」が心の力を育む』 「多くの生きものの子どもには、くっつくこと自体を目的として行動するシステムが組み込まれています。だれか、あるいはなにかにくっついていれば、未成熟な子どもも危険な状況を生き延びやすくなるからです・・・くっついて、感覚の調整をしてもらう経験を繰り返すうちに、実際にはくっつかなくても、気持ちを立て直せるようになっていきます。安定したアタッチメントは、子どものすこやかな育ちを支える土壌となるものです」、なるほど。 「生後3年ほどの期間は、成長するにつれ感情の種類が多様化し、ネガティブな感情が生じることも増えるからです。アタッチメントは、そうした感情の崩れを整えるのに重要な役割を果たします」、なるほど。 「泣いている赤ちゃんを抱き上げてあやす――こうした当たり前ともいえるかかわりを続けることで、養育者がその子にとっての特別な人、くっつきたい特定のだれかになり、アタッチメントは形成されるのです」、なるほど。 「遊びは子どもの発達にかかせない活動です。遊びを通じて、新たな発見を重ねていきます。 くっついては出かけ、またくっつきに戻るという経験は、子どもの「心の力」になります。「安心感の輪」を何度も何度もめぐるうちに、子どものなかに「なにかあったら戻ればいい」という確信が生まれます。そうした確信が得られれば、「だから、もうちょっと先までいってみよう」と、チャレンジできるようにもなっていきます。 ひとりでいられる時間は徐々に増え、子どもの活動範囲は広がっていくでしょう。心身の発達とは、「安心感の輪」が拡大していくこ と同義なのです」、なるほど。 「アタッチメントが安定してくると、「心の力」が自然に育まれていくようになります。「心の力」とは「社会のなかでよりよく生きるために役立つ力」のこと。近年、幼児教育の分野で「非認知能力」として注目されています。 たとえば、自己にかかわる力が育まれると、「自分なんか」「どうせ無理」などとあきらめず、いろいろなことに挑戦しやすくなります」、確かにそんなものなのかも知れない。
タウン情報・街並み(その1)(「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ、【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」、食堂 住居 テレビさらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」) [生活]
今日は、タウン情報・街並み(その1)(「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ、【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」、食堂 住居 テレビさらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」)を取上げよう。
先ずは、昨年5月12日付け日刊SPA!「「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ」を紹介しよう。
https://nikkan-spa.jp/1962910
・『2023年、反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。SNSでも話題だったニュースなどから1年を振り返る「炎上」部門、第9位はこちら!(集計期間は2023年1月~10月まで。初公開2023年5月12日 記事は取材時の状況。ご注意ください) 「日本がヤバい!」と言われ始めてしばらくたつが、本当にヤバくなってきた。国が貧乏になると悪いことしか起きないのだ。繁華街では、各地で目を覆いたくなるような犯罪が頻発している。日本に住んでいる身として、知っておいて損はない』、「「日本がヤバい!」と言われ始めてしばらくたつが、本当にヤバくなってきた」、どういうことなのだろう。
・『メイドカフェ5店舗が摘発、客引きの数も減ったようだが… 秋葉原 秋葉原では客引きは1店舗一人までというルールがある。通りでは行政から委託を受けた業者が注意喚起のアナウンスを行っていた 秋葉原がオタクの街から繁華街へと様子を変え始めたのは、’10年代後半のことだ。「メイド通り」と呼ばれるエリアにはコスプレ姿の若い女性たちがズラリと並び、通行人に対して常に声をかけていた。 しかし繁華街の宿命か、ぼったくりや風営法に違反する営業が横行し、’21年5月には過剰な接待を行っていたメイドカフェ5店舗が摘発。現在、秋葉原の路上に立つ客引きの数は減っているようにも思う』、「メイドカフェ5店舗」が「ぼったくりや風営法に違反」で「摘発」とは残念だ。
・『昼の客引きはむしろ増えている? だが、ぼったくりはまだまだ健在だ。秋葉原でコンカフェを営む男性が実情を話す。 「夜の客引きの数は確かに減りましたが、昼はむしろ増えています。ターゲットをサラリーマンから外国人観光客と地方から来る客に替えたみたいですね。ぼったくりで稼ぐ店は依然として存在し、8000円ほどのシャンパンを頼まないとキャストと話せなかったり、無断でキャストがドリンクを飲みまくったりして、最後に4万~5万円を請求されます」』、「ターゲットをサラリーマンから外国人観光客と地方から来る客に替えたみたい」、「8000円ほどのシャンパンを頼まないとキャストと話せなかったり、無断でキャストがドリンクを飲みまくったりして、最後に4万~5万円を請求されます」、昔の素朴な「メイド」喫茶が懐かしい。
・『ホス狂いのメイドたちがオタクをカモに かつて「オタクに優しい街」だった秋葉原は、「オタクに厳しい街」となった。その理由は街で働く女性たちの質が変わったことにある。 「ひと昔前までのメイドカフェといえば、オタクの女のコが勇気を出して面接に来るような場所でした。しかし、今メイドカフェやコンカフェで働いている女のコたちの中には歌舞伎町のホストクラブで夜な夜な遊んでいるコもたくさんいます。そのうち遊ぶカネがなくなり風俗嬢に転身するコもいるくらいです」(同) 男性いわく、ぼったくりで稼ぐ店のオーナーは「オタク出身の半グレにもなりきれないような不良」だという。当然、彼らの指示でぼったくりが行われているわけだが、キャストの女性たちも遊ぶカネ欲しさからぼったくりをしているのだ。 秋葉原では心の荒んだメイドに注意が必要だ』、「今メイドカフェやコンカフェで働いている女のコたちの中には歌舞伎町のホストクラブで夜な夜な遊んでいるコもたくさんいます・・・キャストの女性たちも遊ぶカネ欲しさからぼったくりをしているのだ。 秋葉原では心の荒んだメイドに注意が必要だ」、その通りだ。
次に、本年1月22日付け現代ビジネス「【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」」を紹介しよう。
・『江戸川区西葛西はインド人が集う街として知られる。その多くがIT技術者で日本のインフラを陰で支えている。この街を作り上げたのは、たった一人のインド人。彼が歩んだ壮絶な半生を辿ろう』、興味深そうだ。
・『インドと下町の融合 平日の夕方5時すぎ、東京メトロ東西線・西葛西駅のホームに降り立つと、授業終わりの学生やくたびれたサラリーマンにまじって、ラフな格好をしたインド人らしき姿が多く目に入る。タブレットを片手に、早足で改札をくぐる一人のインド人男性の後を追うと、そこには日本とは思えない異国情緒あふれる街並みが広がっていた。 ランドセルを背負った子ども、買い物袋を手に持った女性などインド人らしき人々の姿が当たり前の風景として視界に入る。駅周辺に立ち並ぶインド料理店や食材店の周囲では香辛料の香りが漂い、それらが混然となって街に溶け込んでいる。 ここ西葛西は日本でも屈指のインド人居住者の多い街であり、「リトル・インディア」とも呼ばれる。この街に暮らすインド人は3000人を超える。これは日本在留者の1割の人口だ』、「西葛西は日本でも屈指のインド人居住者の多い街であり、「リトル・インディア」とも呼ばれる。この街に暮らすインド人は3000人を超える。これは日本在留者の1割の人口だ」、ずいぶん多くの「インド人」が集中したものだ。
・『西葛西にインド人が多い理由 多くのインド人がこの街に居住する理由は3つある。 1つは西葛西周辺に貿易の拠点となる港や湾岸が点在しており、大きな貸倉庫があること。 2つめはビジネスの中心地である大手町や日本橋へ乗り換えなしで行くことのできる交通の利便性だ。 そして最も大きいのが3つめ――ある一人のインド人の功績だ。 「リトル・インディアの父」と呼ばれるその人物は現在71歳で、'70年代後半に単身、日本に渡り、紅茶の貿易、卸売事業で成功。以来、来日した同胞のため、無償で衣食住のサポートを行ってきたという。 いま、日本ではクルド人やミャンマー、カンボジアなど東南アジア系の外国人による犯罪やトラブルが顕在化しているが、ここ西葛西ではインド人による犯罪はほとんど起きていない。それも、この「リトル・インディア」の父を中心に強固なコミュニティが築かれているからだという。 いかにして西葛西はインド人の街となったのか。リトル・インディアが形成されるまでの足跡を解き明かすべく、本誌は在日インド人から「父」と尊敬を集める、その人物に取材を申し込んだ』、「多くのインド人がこの街に居住する理由は3つある。 1つは西葛西周辺に貿易の拠点となる港や湾岸が点在しており、大きな貸倉庫があること。 2つめはビジネスの中心地である大手町や日本橋へ乗り換えなしで行くことのできる交通の利便性だ。 そして最も大きいのが3つめ――ある一人のインド人の功績だ」、「3つめ」の「ある一人のインド人の功績」とはどういうことなのだろう。「西葛西ではインド人による犯罪はほとんど起きていない。それも、この「リトル・インディア」の父を中心に強固なコミュニティが築かれているからだという」、大したものだ。
・『リトル・インディアンの父の実像に迫る 取材当日、指定されたのは彼が経営する「シャンティ紅茶」だった。扉を開けると、複雑な紅茶の香りが鼻腔を抜けていく。店内はそう広くはないが、棚には白いパックに入れられた多種多様な紅茶が並んでいる。 レジに立っていた日本人女性のスタッフの案内に従い、店の中央にあるテーブルに座りながら彼を待った。 15分後、ストライプの入ったスーツに身を包んだインド人男性が奥の事務所から現れた。身長は170cm後半、顎には長い白ひげをたくわえており、威厳に満ちた風格だ。 記者があいさつをすると、 「どうもどうも。お待たせしてすみません。こういう者です」 という言葉とともに名刺を差し出す。いかにも日本的な所作に面食らいながら名刺を見ると、「ジャグモハン・チャンドラニ」と書いてある』、「ストライプの入ったスーツに身を包んだインド人男性が奥の事務所から現れた。身長は170cm後半、顎には長い白ひげをたくわえており、威厳に満ちた風格だ・・・いかにも日本的な所作に面食らいながら名刺を見ると、「ジャグモハン・チャンドラニ」、なるほど。
第三に、1月22日付け現代ビジネス「食堂、住居、テレビ、さらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/122818?imp=0
・『江戸川区西葛西はインド人が集う街として知られる。その多くがIT技術者で日本のインフラを陰で支えている。この街を作り上げたのは、たった一人のインド人。彼が歩んだ壮絶な半生を辿ろう。 この記事は前編『【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」』の続編記事です』、興味深そうだ。
・故郷を追われた過去 「この地で随分とご尽力なされたと伺いました。ぜひお話を聞かせてください」 記者がそう伝えると、チャンドラニさんは「いえいえ」と謙遜しながら、穏やかな口調でその半生を語り始めた。 「私の一族はもともと、インド西部のカラチ(現在はパキスタン領)に住んでいました。父はエンジニアでありながら貿易商もしており、音響機器の輸入販売で生計を立てていました。映画館も5つ所有しており、比較的裕福な家庭だったと記憶しています。 しかし、'40年代後半にインドで独立紛争があって、ヒンドゥー教徒の多くが故郷を追われました。暴力を振るわれたり、家を潰されたり、中には殺されたりしてしまう人もいた。両親はほとんど荷物も持たずにジョードプルという街に避難しました。私の家族は運よく飛行機で移動できましたが、船や汽車で移動した人たちの多くはその道中で殺されました。逃げるとき、母が服に縫い付けていた貴金属を換金し、私たちはジョードプルから、さらにコルカタに移動して何とか新たな生活を始めました」 一度はすべてを失ったチャンドラニさん一族だったが、長年、培ってきた商才を武器に親族が世界各国へ散らばり、貿易業で再び財を成した。 「私も大学院卒業後、父親の貿易会社に就職しました。転機が訪れたのは、ビジネスチャンスを求めてニューヨークへ向かう準備をしていたときのこと。関西で繊維業を営んでいた従兄弟から『日本のほうがチャンスがある』と言われたのです。当時は1ドル360円の時代。日本製の繊維、精密部品は品質が高く、人気が高かった。私は急遽、行き先を変えて貿易の仕事を東京で始めることにしました。いま思えば、これが運命の分かれ目だったのでしょうね」 当初は精密部品などの買い付けが目的で、短期滞在の予定だった。しかし、20代だったチャンドラニさんは血気盛んで、自分の力でビジネスを成功させたい、という気持ちが大きくなっていった。 そこで目を付けたのが、インドの紅茶の輸入販売だ。ただ、そこには言語の壁が立ちはだかる。買い付けだけだったら英語で事足りるが、日本人を相手に商売するとなるとそうはいかない』、「「私の一族はもともと、インド西部のカラチ(現在はパキスタン領)に住んでいました。父はエンジニアでありながら貿易商もしており、音響機器の輸入販売で生計を立てていました。映画館も5つ所有しており、比較的裕福な家庭だったと記憶しています。 しかし、'40年代後半にインドで独立紛争があって、ヒンドゥー教徒の多くが故郷を追われました。暴力を振るわれたり、家を潰されたり、中には殺されたりしてしまう人もいた。両親はほとんど荷物も持たずにジョードプルという街に避難しました。私の家族は運よく飛行機で移動できましたが、船や汽車で移動した人たちの多くはその道中で殺されました。逃げるとき、母が服に縫い付けていた貴金属を換金し、私たちはジョードプルから、さらにコルカタに移動して何とか新たな生活を始めました・・・「私も大学院卒業後、父親の貿易会社に就職しました。転機が訪れたのは、ビジネスチャンスを求めてニューヨークへ向かう準備をしていたときのこと。関西で繊維業を営んでいた従兄弟から『日本のほうがチャンスがある』と言われたのです。当時は1ドル360円の時代。日本製の繊維、精密部品は品質が高く、人気が高かった。私は急遽、行き先を変えて貿易の仕事を東京で始めることにしました。いま思えば、これが運命の分かれ目だったのでしょうね」 当初は精密部品などの買い付けが目的で、短期滞在の予定だった。しかし、20代だったチャンドラニさんは血気盛んで、自分の力でビジネスを成功させたい、という気持ちが大きくなっていった。 そこで目を付けたのが、インドの紅茶の輸入販売だ。ただ、そこには言語の壁が立ちはだかる。買い付けだけだったら英語で事足りるが、日本人を相手に商売するとなるとそうはいかない」、どうやって「日本」での「商売」を軌道に乗せたのだろう。
・『日本でのビジネス チャンドラニさんは日本語学校に通い始めるものの、当時、インド人の生徒はほとんどいない。周りの生徒は中国人、台湾人、シンガポール人などもともと漢字になじみのある民族ばかり。自分のせいで授業に遅れが生じてしまうことに負い目を感じた彼は3ヵ月で学校を辞め、独学で日本語を身に着けた。 「拙い日本語で、必死に営業しました。当時は百貨店のお歳暮やお中元商戦が盛んでした。そこで百貨店の外商担当者にアプローチをしました。商品は自分で小分けにして瓶詰め箱詰めをし、ラップをかけて運びました。実際に飲んでいただき、顧客を獲得していきました。当時はまだ紅茶は狭い市場でしたが、少しずつホテルやレストランなどに納入できるようになっていったのです」』、「日本語学校に通い始めるものの、当時、インド人の生徒はほとんどいない。周りの生徒は中国人、台湾人、シンガポール人などもともと漢字になじみのある民族ばかり。自分のせいで授業に遅れが生じてしまうことに負い目を感じた彼は3ヵ月で学校を辞め、独学で日本語を身に着けた。 「拙い日本語で、必死に営業しました。当時は百貨店のお歳暮やお中元商戦が盛んでした。そこで百貨店の外商担当者にアプローチをしました。商品は自分で小分けにして瓶詰め箱詰めをし、ラップをかけて運びました。実際に飲んでいただき、顧客を獲得していきました。当時はまだ紅茶は狭い市場でしたが、少しずつホテルやレストランなどに納入できるようになっていった」、「非漢字圏」なので「独学で日本語を身に着けた」とは大したものだ。「顧客」「獲得」にはきっと大変な苦労があったのだろう。
・『時代の波に導かれて そうして事業が軌道に乗り始めたチャンドラニさんは、再開発の始まった西葛西に倉庫を借りた。それがこの街が「リトル・インディア」になる始まりだった。 転機が訪れたのは、'97~'98年のこと。当時、日本では2000年問題(コンピューターシステムに不具合が生じると示唆された問題)が叫ばれ、企業の多くが不安に駆られていた。 そこで、企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった。 「人は家族や友人、社会から施してもらってはじめて生きていくことができる。自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない』、「2000年問題」で「企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった・・・自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない」、必要に応じて商売の範囲を着実に広げていったようだ。
・『私財もなげうった さらに、家父長制が根強いインドでは食事は妻や母親が作っているので、男性には自炊の習慣がない。バナナ1本で日々を凌ぐなど、「お金はあるのに食べられない」という状況に多くのインド人が苦しんでいた。 「そこで彼らのためにボランティアの食堂をつくることにしました。そのためにインドから2人の料理人も呼んだ。在日インド人専用で、一食700円で自由に食べに来られる場所にしました。料理人の2人がスーパーに行って食材を買い、毎日違うメニューで家庭料理を提供するようにした。食事に関してはインドと同じ環境を作れば、心も安らぐだろうと思ったのです。 心の拠り所にもなりますし、ネットワーク作りにも役立ちました。経済的に大変でしたが、それ以上にみんなが喜んでいる姿を見られて嬉しかったですね」 2000年問題が過ぎた後も、インド人のITスキルを重宝した企業はそのまま彼らを正規雇用で迎えた。これまでは短期滞在が大半だったが、本格的に西葛西に根を下ろす人も増えてきた。 すると、彼らは本国から妻や家族を呼び寄せて生活を始める。自宅で食事が取れるようになったので、チャンドラニさんは若い夫婦のためにインド食材店をオープン。 さらに、家で時間を持て余す女性がインドの番組を見られるように香港からブロードバンド回線も買い取って視聴環境を整えた。 ほとんど持ち出しのお金で同胞のために尽くしてきたチャンドラニさんだが、次なる問題も起きた。それは育児環境。インドでは家族や隣人が手伝ってくれるのが当たり前だったが、日本では妻一人だけだ。疲労のあまりノイローゼになる人もいたという。 「ゲストハウスの一部を託児所に変え、日本で言う保育園を開設したのです。教師経験のあるインド人女性を雇い、遊具も設置しました。 いまはもう別の方に運営は譲りましたが、規模を拡大した現在では1200人ものインド人がこの施設で働き、学んでいます」 西葛西でかつて暮らしていたインド人の子どもたちは海外の大学を出て米国や英国の一流IT企業に勤める人も少なくない。それでも彼らにとっての「心のふるさと」は西葛西にある。休暇中に帰ってくると、地域住民は「おかえり」と暖かく迎え入れる。 「大人になった彼らはもちろん、京都や広島の観光地に遊びに行く。だけど、『やっぱり西葛西がいい』って言うんですよ。昔遊んだ公園、母親と買い物に行ったスーパーなどに行き、長い間、離れていたのに『昨日の続きのようだ』って笑顔を見せる。 かつては同じインド人のために活動してきましたが、いまはこの西葛西を日本人とインド人だけではなく、どんな国籍の人でも暮らしやすい街にしていきたいですね」 チャンドラニさんが作り上げたリトル・インディアには、かつての日本にあった「地域社会の繋がり」が強く残されていた』、「企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった。 「人は家族や友人、社会から施してもらってはじめて生きていくことができる。自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない・・・「ゲストハウスの一部を託児所に変え、日本で言う保育園を開設したのです。教師経験のあるインド人女性を雇い、遊具も設置しました。 いまはもう別の方に運営は譲りましたが、規模を拡大した現在では1200人ものインド人がこの施設で働き、学んでいます・・・西葛西でかつて暮らしていたインド人の子どもたちは海外の大学を出て米国や英国の一流IT企業に勤める人も少なくない。それでも彼らにとっての「心のふるさと」は西葛西にある。休暇中に帰ってくると、地域住民は「おかえり」と暖かく迎え入れる・・・チャンドラニさんが作り上げたリトル・インディアには、かつての日本にあった「地域社会の繋がり」が強く残されていた」、「リトル・インディア」はすっかり日本に定着したようだ。「チャンドラニ」氏が必要に応じて商売の範囲を拡大していった姿は見事という他ない。
先ずは、昨年5月12日付け日刊SPA!「「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ」を紹介しよう。
https://nikkan-spa.jp/1962910
・『2023年、反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。SNSでも話題だったニュースなどから1年を振り返る「炎上」部門、第9位はこちら!(集計期間は2023年1月~10月まで。初公開2023年5月12日 記事は取材時の状況。ご注意ください) 「日本がヤバい!」と言われ始めてしばらくたつが、本当にヤバくなってきた。国が貧乏になると悪いことしか起きないのだ。繁華街では、各地で目を覆いたくなるような犯罪が頻発している。日本に住んでいる身として、知っておいて損はない』、「「日本がヤバい!」と言われ始めてしばらくたつが、本当にヤバくなってきた」、どういうことなのだろう。
・『メイドカフェ5店舗が摘発、客引きの数も減ったようだが… 秋葉原 秋葉原では客引きは1店舗一人までというルールがある。通りでは行政から委託を受けた業者が注意喚起のアナウンスを行っていた 秋葉原がオタクの街から繁華街へと様子を変え始めたのは、’10年代後半のことだ。「メイド通り」と呼ばれるエリアにはコスプレ姿の若い女性たちがズラリと並び、通行人に対して常に声をかけていた。 しかし繁華街の宿命か、ぼったくりや風営法に違反する営業が横行し、’21年5月には過剰な接待を行っていたメイドカフェ5店舗が摘発。現在、秋葉原の路上に立つ客引きの数は減っているようにも思う』、「メイドカフェ5店舗」が「ぼったくりや風営法に違反」で「摘発」とは残念だ。
・『昼の客引きはむしろ増えている? だが、ぼったくりはまだまだ健在だ。秋葉原でコンカフェを営む男性が実情を話す。 「夜の客引きの数は確かに減りましたが、昼はむしろ増えています。ターゲットをサラリーマンから外国人観光客と地方から来る客に替えたみたいですね。ぼったくりで稼ぐ店は依然として存在し、8000円ほどのシャンパンを頼まないとキャストと話せなかったり、無断でキャストがドリンクを飲みまくったりして、最後に4万~5万円を請求されます」』、「ターゲットをサラリーマンから外国人観光客と地方から来る客に替えたみたい」、「8000円ほどのシャンパンを頼まないとキャストと話せなかったり、無断でキャストがドリンクを飲みまくったりして、最後に4万~5万円を請求されます」、昔の素朴な「メイド」喫茶が懐かしい。
・『ホス狂いのメイドたちがオタクをカモに かつて「オタクに優しい街」だった秋葉原は、「オタクに厳しい街」となった。その理由は街で働く女性たちの質が変わったことにある。 「ひと昔前までのメイドカフェといえば、オタクの女のコが勇気を出して面接に来るような場所でした。しかし、今メイドカフェやコンカフェで働いている女のコたちの中には歌舞伎町のホストクラブで夜な夜な遊んでいるコもたくさんいます。そのうち遊ぶカネがなくなり風俗嬢に転身するコもいるくらいです」(同) 男性いわく、ぼったくりで稼ぐ店のオーナーは「オタク出身の半グレにもなりきれないような不良」だという。当然、彼らの指示でぼったくりが行われているわけだが、キャストの女性たちも遊ぶカネ欲しさからぼったくりをしているのだ。 秋葉原では心の荒んだメイドに注意が必要だ』、「今メイドカフェやコンカフェで働いている女のコたちの中には歌舞伎町のホストクラブで夜な夜な遊んでいるコもたくさんいます・・・キャストの女性たちも遊ぶカネ欲しさからぼったくりをしているのだ。 秋葉原では心の荒んだメイドに注意が必要だ」、その通りだ。
次に、本年1月22日付け現代ビジネス「【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」」を紹介しよう。
・『江戸川区西葛西はインド人が集う街として知られる。その多くがIT技術者で日本のインフラを陰で支えている。この街を作り上げたのは、たった一人のインド人。彼が歩んだ壮絶な半生を辿ろう』、興味深そうだ。
・『インドと下町の融合 平日の夕方5時すぎ、東京メトロ東西線・西葛西駅のホームに降り立つと、授業終わりの学生やくたびれたサラリーマンにまじって、ラフな格好をしたインド人らしき姿が多く目に入る。タブレットを片手に、早足で改札をくぐる一人のインド人男性の後を追うと、そこには日本とは思えない異国情緒あふれる街並みが広がっていた。 ランドセルを背負った子ども、買い物袋を手に持った女性などインド人らしき人々の姿が当たり前の風景として視界に入る。駅周辺に立ち並ぶインド料理店や食材店の周囲では香辛料の香りが漂い、それらが混然となって街に溶け込んでいる。 ここ西葛西は日本でも屈指のインド人居住者の多い街であり、「リトル・インディア」とも呼ばれる。この街に暮らすインド人は3000人を超える。これは日本在留者の1割の人口だ』、「西葛西は日本でも屈指のインド人居住者の多い街であり、「リトル・インディア」とも呼ばれる。この街に暮らすインド人は3000人を超える。これは日本在留者の1割の人口だ」、ずいぶん多くの「インド人」が集中したものだ。
・『西葛西にインド人が多い理由 多くのインド人がこの街に居住する理由は3つある。 1つは西葛西周辺に貿易の拠点となる港や湾岸が点在しており、大きな貸倉庫があること。 2つめはビジネスの中心地である大手町や日本橋へ乗り換えなしで行くことのできる交通の利便性だ。 そして最も大きいのが3つめ――ある一人のインド人の功績だ。 「リトル・インディアの父」と呼ばれるその人物は現在71歳で、'70年代後半に単身、日本に渡り、紅茶の貿易、卸売事業で成功。以来、来日した同胞のため、無償で衣食住のサポートを行ってきたという。 いま、日本ではクルド人やミャンマー、カンボジアなど東南アジア系の外国人による犯罪やトラブルが顕在化しているが、ここ西葛西ではインド人による犯罪はほとんど起きていない。それも、この「リトル・インディア」の父を中心に強固なコミュニティが築かれているからだという。 いかにして西葛西はインド人の街となったのか。リトル・インディアが形成されるまでの足跡を解き明かすべく、本誌は在日インド人から「父」と尊敬を集める、その人物に取材を申し込んだ』、「多くのインド人がこの街に居住する理由は3つある。 1つは西葛西周辺に貿易の拠点となる港や湾岸が点在しており、大きな貸倉庫があること。 2つめはビジネスの中心地である大手町や日本橋へ乗り換えなしで行くことのできる交通の利便性だ。 そして最も大きいのが3つめ――ある一人のインド人の功績だ」、「3つめ」の「ある一人のインド人の功績」とはどういうことなのだろう。「西葛西ではインド人による犯罪はほとんど起きていない。それも、この「リトル・インディア」の父を中心に強固なコミュニティが築かれているからだという」、大したものだ。
・『リトル・インディアンの父の実像に迫る 取材当日、指定されたのは彼が経営する「シャンティ紅茶」だった。扉を開けると、複雑な紅茶の香りが鼻腔を抜けていく。店内はそう広くはないが、棚には白いパックに入れられた多種多様な紅茶が並んでいる。 レジに立っていた日本人女性のスタッフの案内に従い、店の中央にあるテーブルに座りながら彼を待った。 15分後、ストライプの入ったスーツに身を包んだインド人男性が奥の事務所から現れた。身長は170cm後半、顎には長い白ひげをたくわえており、威厳に満ちた風格だ。 記者があいさつをすると、 「どうもどうも。お待たせしてすみません。こういう者です」 という言葉とともに名刺を差し出す。いかにも日本的な所作に面食らいながら名刺を見ると、「ジャグモハン・チャンドラニ」と書いてある』、「ストライプの入ったスーツに身を包んだインド人男性が奥の事務所から現れた。身長は170cm後半、顎には長い白ひげをたくわえており、威厳に満ちた風格だ・・・いかにも日本的な所作に面食らいながら名刺を見ると、「ジャグモハン・チャンドラニ」、なるほど。
第三に、1月22日付け現代ビジネス「食堂、住居、テレビ、さらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/122818?imp=0
・『江戸川区西葛西はインド人が集う街として知られる。その多くがIT技術者で日本のインフラを陰で支えている。この街を作り上げたのは、たった一人のインド人。彼が歩んだ壮絶な半生を辿ろう。 この記事は前編『【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」』の続編記事です』、興味深そうだ。
・故郷を追われた過去 「この地で随分とご尽力なされたと伺いました。ぜひお話を聞かせてください」 記者がそう伝えると、チャンドラニさんは「いえいえ」と謙遜しながら、穏やかな口調でその半生を語り始めた。 「私の一族はもともと、インド西部のカラチ(現在はパキスタン領)に住んでいました。父はエンジニアでありながら貿易商もしており、音響機器の輸入販売で生計を立てていました。映画館も5つ所有しており、比較的裕福な家庭だったと記憶しています。 しかし、'40年代後半にインドで独立紛争があって、ヒンドゥー教徒の多くが故郷を追われました。暴力を振るわれたり、家を潰されたり、中には殺されたりしてしまう人もいた。両親はほとんど荷物も持たずにジョードプルという街に避難しました。私の家族は運よく飛行機で移動できましたが、船や汽車で移動した人たちの多くはその道中で殺されました。逃げるとき、母が服に縫い付けていた貴金属を換金し、私たちはジョードプルから、さらにコルカタに移動して何とか新たな生活を始めました」 一度はすべてを失ったチャンドラニさん一族だったが、長年、培ってきた商才を武器に親族が世界各国へ散らばり、貿易業で再び財を成した。 「私も大学院卒業後、父親の貿易会社に就職しました。転機が訪れたのは、ビジネスチャンスを求めてニューヨークへ向かう準備をしていたときのこと。関西で繊維業を営んでいた従兄弟から『日本のほうがチャンスがある』と言われたのです。当時は1ドル360円の時代。日本製の繊維、精密部品は品質が高く、人気が高かった。私は急遽、行き先を変えて貿易の仕事を東京で始めることにしました。いま思えば、これが運命の分かれ目だったのでしょうね」 当初は精密部品などの買い付けが目的で、短期滞在の予定だった。しかし、20代だったチャンドラニさんは血気盛んで、自分の力でビジネスを成功させたい、という気持ちが大きくなっていった。 そこで目を付けたのが、インドの紅茶の輸入販売だ。ただ、そこには言語の壁が立ちはだかる。買い付けだけだったら英語で事足りるが、日本人を相手に商売するとなるとそうはいかない』、「「私の一族はもともと、インド西部のカラチ(現在はパキスタン領)に住んでいました。父はエンジニアでありながら貿易商もしており、音響機器の輸入販売で生計を立てていました。映画館も5つ所有しており、比較的裕福な家庭だったと記憶しています。 しかし、'40年代後半にインドで独立紛争があって、ヒンドゥー教徒の多くが故郷を追われました。暴力を振るわれたり、家を潰されたり、中には殺されたりしてしまう人もいた。両親はほとんど荷物も持たずにジョードプルという街に避難しました。私の家族は運よく飛行機で移動できましたが、船や汽車で移動した人たちの多くはその道中で殺されました。逃げるとき、母が服に縫い付けていた貴金属を換金し、私たちはジョードプルから、さらにコルカタに移動して何とか新たな生活を始めました・・・「私も大学院卒業後、父親の貿易会社に就職しました。転機が訪れたのは、ビジネスチャンスを求めてニューヨークへ向かう準備をしていたときのこと。関西で繊維業を営んでいた従兄弟から『日本のほうがチャンスがある』と言われたのです。当時は1ドル360円の時代。日本製の繊維、精密部品は品質が高く、人気が高かった。私は急遽、行き先を変えて貿易の仕事を東京で始めることにしました。いま思えば、これが運命の分かれ目だったのでしょうね」 当初は精密部品などの買い付けが目的で、短期滞在の予定だった。しかし、20代だったチャンドラニさんは血気盛んで、自分の力でビジネスを成功させたい、という気持ちが大きくなっていった。 そこで目を付けたのが、インドの紅茶の輸入販売だ。ただ、そこには言語の壁が立ちはだかる。買い付けだけだったら英語で事足りるが、日本人を相手に商売するとなるとそうはいかない」、どうやって「日本」での「商売」を軌道に乗せたのだろう。
・『日本でのビジネス チャンドラニさんは日本語学校に通い始めるものの、当時、インド人の生徒はほとんどいない。周りの生徒は中国人、台湾人、シンガポール人などもともと漢字になじみのある民族ばかり。自分のせいで授業に遅れが生じてしまうことに負い目を感じた彼は3ヵ月で学校を辞め、独学で日本語を身に着けた。 「拙い日本語で、必死に営業しました。当時は百貨店のお歳暮やお中元商戦が盛んでした。そこで百貨店の外商担当者にアプローチをしました。商品は自分で小分けにして瓶詰め箱詰めをし、ラップをかけて運びました。実際に飲んでいただき、顧客を獲得していきました。当時はまだ紅茶は狭い市場でしたが、少しずつホテルやレストランなどに納入できるようになっていったのです」』、「日本語学校に通い始めるものの、当時、インド人の生徒はほとんどいない。周りの生徒は中国人、台湾人、シンガポール人などもともと漢字になじみのある民族ばかり。自分のせいで授業に遅れが生じてしまうことに負い目を感じた彼は3ヵ月で学校を辞め、独学で日本語を身に着けた。 「拙い日本語で、必死に営業しました。当時は百貨店のお歳暮やお中元商戦が盛んでした。そこで百貨店の外商担当者にアプローチをしました。商品は自分で小分けにして瓶詰め箱詰めをし、ラップをかけて運びました。実際に飲んでいただき、顧客を獲得していきました。当時はまだ紅茶は狭い市場でしたが、少しずつホテルやレストランなどに納入できるようになっていった」、「非漢字圏」なので「独学で日本語を身に着けた」とは大したものだ。「顧客」「獲得」にはきっと大変な苦労があったのだろう。
・『時代の波に導かれて そうして事業が軌道に乗り始めたチャンドラニさんは、再開発の始まった西葛西に倉庫を借りた。それがこの街が「リトル・インディア」になる始まりだった。 転機が訪れたのは、'97~'98年のこと。当時、日本では2000年問題(コンピューターシステムに不具合が生じると示唆された問題)が叫ばれ、企業の多くが不安に駆られていた。 そこで、企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった。 「人は家族や友人、社会から施してもらってはじめて生きていくことができる。自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない』、「2000年問題」で「企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった・・・自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない」、必要に応じて商売の範囲を着実に広げていったようだ。
・『私財もなげうった さらに、家父長制が根強いインドでは食事は妻や母親が作っているので、男性には自炊の習慣がない。バナナ1本で日々を凌ぐなど、「お金はあるのに食べられない」という状況に多くのインド人が苦しんでいた。 「そこで彼らのためにボランティアの食堂をつくることにしました。そのためにインドから2人の料理人も呼んだ。在日インド人専用で、一食700円で自由に食べに来られる場所にしました。料理人の2人がスーパーに行って食材を買い、毎日違うメニューで家庭料理を提供するようにした。食事に関してはインドと同じ環境を作れば、心も安らぐだろうと思ったのです。 心の拠り所にもなりますし、ネットワーク作りにも役立ちました。経済的に大変でしたが、それ以上にみんなが喜んでいる姿を見られて嬉しかったですね」 2000年問題が過ぎた後も、インド人のITスキルを重宝した企業はそのまま彼らを正規雇用で迎えた。これまでは短期滞在が大半だったが、本格的に西葛西に根を下ろす人も増えてきた。 すると、彼らは本国から妻や家族を呼び寄せて生活を始める。自宅で食事が取れるようになったので、チャンドラニさんは若い夫婦のためにインド食材店をオープン。 さらに、家で時間を持て余す女性がインドの番組を見られるように香港からブロードバンド回線も買い取って視聴環境を整えた。 ほとんど持ち出しのお金で同胞のために尽くしてきたチャンドラニさんだが、次なる問題も起きた。それは育児環境。インドでは家族や隣人が手伝ってくれるのが当たり前だったが、日本では妻一人だけだ。疲労のあまりノイローゼになる人もいたという。 「ゲストハウスの一部を託児所に変え、日本で言う保育園を開設したのです。教師経験のあるインド人女性を雇い、遊具も設置しました。 いまはもう別の方に運営は譲りましたが、規模を拡大した現在では1200人ものインド人がこの施設で働き、学んでいます」 西葛西でかつて暮らしていたインド人の子どもたちは海外の大学を出て米国や英国の一流IT企業に勤める人も少なくない。それでも彼らにとっての「心のふるさと」は西葛西にある。休暇中に帰ってくると、地域住民は「おかえり」と暖かく迎え入れる。 「大人になった彼らはもちろん、京都や広島の観光地に遊びに行く。だけど、『やっぱり西葛西がいい』って言うんですよ。昔遊んだ公園、母親と買い物に行ったスーパーなどに行き、長い間、離れていたのに『昨日の続きのようだ』って笑顔を見せる。 かつては同じインド人のために活動してきましたが、いまはこの西葛西を日本人とインド人だけではなく、どんな国籍の人でも暮らしやすい街にしていきたいですね」 チャンドラニさんが作り上げたリトル・インディアには、かつての日本にあった「地域社会の繋がり」が強く残されていた』、「企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった。 「人は家族や友人、社会から施してもらってはじめて生きていくことができる。自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない・・・「ゲストハウスの一部を託児所に変え、日本で言う保育園を開設したのです。教師経験のあるインド人女性を雇い、遊具も設置しました。 いまはもう別の方に運営は譲りましたが、規模を拡大した現在では1200人ものインド人がこの施設で働き、学んでいます・・・西葛西でかつて暮らしていたインド人の子どもたちは海外の大学を出て米国や英国の一流IT企業に勤める人も少なくない。それでも彼らにとっての「心のふるさと」は西葛西にある。休暇中に帰ってくると、地域住民は「おかえり」と暖かく迎え入れる・・・チャンドラニさんが作り上げたリトル・インディアには、かつての日本にあった「地域社会の繋がり」が強く残されていた」、「リトル・インディア」はすっかり日本に定着したようだ。「チャンドラニ」氏が必要に応じて商売の範囲を拡大していった姿は見事という他ない。
タグ:タウン情報・街並み 。両親はほとんど荷物も持たずにジョードプルという街に避難しました。私の家族は運よく飛行機で移動できましたが、船や汽車で移動した人たちの多くはその道中で殺されました。逃げるとき、母が服に縫い付けていた貴金属を換金し、私たちはジョードプルから、さらにコルカタに移動して何とか新たな生活を始めました・・・ 「チャンドラニ」氏が必要に応じて商売の範囲を拡大していった姿は見事という他ない。 「リトル・インディア」はすっかり日本に定着したようだ。「チャンドラニ」氏が必要に応じて商売の範囲を拡大していった姿は見事だ。 いまはもう別の方に運営は譲りましたが、規模を拡大した現在では1200人ものインド人がこの施設で働き、学んでいます・・・西葛西でかつて暮らしていたインド人の子どもたちは海外の大学を出て米国や英国の一流IT企業に勤める人も少なくない。それでも彼らにとっての「心のふるさと」は西葛西にある。休暇中に帰ってくると、地域住民は「おかえり」と暖かく迎え入れる・・・チャンドラニさんが作り上げたリトル・インディアには、かつての日本にあった「地域社会の繋がり」が強く残されていた」、 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない・・・「ゲストハウスの一部を託児所に変え、日本で言う保育園を開設したのです。教師経験のあるインド人女性を雇い、遊具も設置しました。 「人は家族や友人、社会から施してもらってはじめて生きていくことができる。自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 「企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった。 これで万全かと思いきや、次なる問題が浮かび上がってくる。それが一番の難問である食事だった。インド人にはベジタリアンが多く、どんな原材料が使われているかわからないので、日本のレストランに行くこともできない」、必要に応じて商売の範囲を着実に広げていったようだ。 自分が受けたものを別の形で他者に返――。これはヒンドゥー教の原点にある教えです」 まずは住居の問題。IT関係の仕事に就いているので家賃の支払いは問題ない。ただ保証人がいないので、チャンドラニさんがその役目を負った。縁が人と人とをつなげ、100人以上がチャンドラニさんを頼った。 さらに短期滞在のインド人が増えてくると、彼は水道光熱費込みで、1日3000円で泊まれるゲストハウスも作った。冷暖房、テレビ、その他家具も取り揃えた施設だ。 「2000年問題」で「企業はすでにIT大国となっていたインドから大量の人材を迎え、予測不能の事態に備えようとした。結果的に大きな混乱は起きなかったが、これを契機にインド人の流入が加速した。 だが、当時の日本には、まだインド人が暮らしやすい環境が整っていなかった。チャンドラニさんはかつて自分がそうであったように、日本で暮らす難しさを痛いほど知っていた。だからこそ、困る同胞を無視することなどできなかった・・・ 「非漢字圏」なので「独学で日本語を身に着けた」とは大したものだ。「顧客」「獲得」にはきっと大変な苦労があったのだろう。 現代ビジネス「食堂、住居、テレビ、さらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」」 いま思えば、これが運命の分かれ目だったのでしょうね」 当初は精密部品などの買い付けが目的で、短期滞在の予定だった。しかし、20代だったチャンドラニさんは血気盛んで、自分の力でビジネスを成功させたい、という気持ちが大きくなっていった。 そこで目を付けたのが、インドの紅茶の輸入販売だ。ただ、そこには言語の壁が立ちはだかる。買い付けだけだったら英語で事足りるが、日本人を相手に商売するとなるとそうはいかない」、どうやって「日本」での「商売」を軌道に乗せたのだろう。 たものだ。 現代ビジネス「【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」」 「メイドカフェ5店舗」が「ぼったくりや風営法に違反」で「摘発」とは残念だ。 「多くのインド人がこの街に居住する理由は3つある。 1つは西葛西周辺に貿易の拠点となる港や湾岸が点在しており、大きな貸倉庫があること。 2つめはビジネスの中心地である大手町や日本橋へ乗り換えなしで行くことのできる交通の利便性だ。 そして最も大きいのが3つめ――ある一人のインド人の功績だ」、「3つめ」の「ある一人のインド人の功績」とはどういうことなのだろう。「西葛西ではインド人による犯罪はほとんど起きていない。それも、この「リトル・インディア」の父を中心に強固なコミュニティが築かれているからだという」、大し 日刊SPA!「「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ」 「ターゲットをサラリーマンから外国人観光客と地方から来る客に替えたみたい」、「8000円ほどのシャンパンを頼まないとキャストと話せなかったり、無断でキャストがドリンクを飲みまくったりして、最後に4万~5万円を請求されます」、昔の素朴な「メイド」喫茶が懐かしい。 「「私の一族はもともと、インド西部のカラチ(現在はパキスタン領)に住んでいました。父はエンジニアでありながら貿易商もしており、音響機器の輸入販売で生計を立てていました。映画館も5つ所有しており、比較的裕福な家庭だったと記憶しています。 しかし、'40年代後半にインドで独立紛争があって、ヒンドゥー教徒の多くが故郷を追われました。暴力を振るわれたり、家を潰されたり、中には殺されたりしてしまう人もいた。 「今メイドカフェやコンカフェで働いている女のコたちの中には歌舞伎町のホストクラブで夜な夜な遊んでいるコもたくさんいます・・・キャストの女性たちも遊ぶカネ欲しさからぼったくりをしているのだ。 秋葉原では心の荒んだメイドに注意が必要だ」、その通りだ。 「私も大学院卒業後、父親の貿易会社に就職しました。転機が訪れたのは、ビジネスチャンスを求めてニューヨークへ向かう準備をしていたときのこと。関西で繊維業を営んでいた従兄弟から『日本のほうがチャンスがある』と言われたのです。当時は1ドル360円の時代。日本製の繊維、精密部品は品質が高く、人気が高かった。私は急遽、行き先を変えて貿易の仕事を東京で始めることにしました。 「ストライプの入ったスーツに身を包んだインド人男性が奥の事務所から現れた。身長は170cm後半、顎には長い白ひげをたくわえており、威厳に満ちた風格だ・・・いかにも日本的な所作に面食らいながら名刺を見ると、「ジャグモハン・チャンドラニ」、なるほど。 「西葛西は日本でも屈指のインド人居住者の多い街であり、「リトル・インディア」とも呼ばれる。この街に暮らすインド人は3000人を超える。これは日本在留者の1割の人口だ」、ずいぶん多くの「インド人」が集中したものだ。 「「日本がヤバい!」と言われ始めてしばらくたつが、本当にヤバくなってきた」、どういうことなのだろう。 (その1)(「オタクに優しい秋葉原」はもうない…ぼったくりで稼ぐ“心の荒んだメイド”が増加したワケ、【ルポ】たった一人の男が…東京都西葛西が「インド人の街」になるまでの「驚きの理由」、食堂 住居 テレビさらに学校まで…西葛西で暮らすインド人を無償でサポート…「リトル・インディアの父」が語った「壮絶過去」)
発達障害(その5)(ベゾスやマスクが社会性は低いのに成功した理由 注目の発達障害「グレーゾーン」、「ADHDは薬が効くのに見逃されている」発達障害治療の第一人者が訴える大問題、「本当の天才」は東大理三に面接で落ちる…ホリエモン×和田秀樹が日本の教育を斬る!、堀江貴文×和田秀樹が語る「情報との正しいつきあい方」…なぜ日本人は“まともじゃない医者”を信じるのか?) [生活]
昨日に続いて、発達障害(その5)(ベゾスやマスクが社会性は低いのに成功した理由 注目の発達障害「グレーゾーン」、「ADHDは薬が効くのに見逃されている」発達障害治療の第一人者が訴える大問題、「本当の天才」は東大理三に面接で落ちる…ホリエモン×和田秀樹が日本の教育を斬る!、堀江貴文×和田秀樹が語る「情報との正しいつきあい方」…なぜ日本人は“まともじゃない医者”を信じるのか?)を取上げよう。
先ずは、昨年2月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した精神科医・作家・医学博士の岡田尊司氏による「ベゾスやマスクが社会性は低いのに成功した理由、注目の発達障害「グレーゾーン」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/317753
・『発達障害という言葉が広く知られるようになり、自分もそうかもしれないと医療機関を訪れる人が増えている。そんな中で急増しているのが、徴候はあっても診断はおりない「グレーゾーン」。障害未満でありながら、ときに障害を抱えた人より深刻な困難になりやすいとされるが、時代の寵児であるジェフ・ベゾスやイーロン・マスクにもその気があったといわれる。彼らの抱えていた生きづらさについて、岡田尊司『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』より一部抜粋・編集し紹介する』、興味深そうだ。
・『ものごとを図式化し分析する“知覚統合”が強い人たち 世のなかには、知覚統合が突出して強いタイプの人がいる。 知覚統合は、ものごとを図式化し分析する能力や、状況を判断し、変化や未来を予測し、損害を避け、有利な選択をする能力でもあり、また、ものごとを客観的に達観して、冷静な判断をする能力にも通じている。数学や物理の能力のベースにある能力だが、哲学者や文学者にも、意外に優れた知覚統合が推測される人もいる。 イギリスの作家で、『息子と恋人』などの傑作を遺したD・H・ロレンスは、貧しい労働者階級の出身だったため、奨学金をもらってハイスクールに進んだが、彼がそこで優秀賞をとったのは、国語(英語)ではなく数学だった。ロレンスの文章は、細密な絵画のような自然描写でも卓越していたが、その優れた描写力は、彼のイメージする力と無縁ではないだろう。 作家の安部公房は、中学高校時代、数学が得意科目で、ドストエフスキーを愛読するとともに、高木貞治の『解析概論』を読み耽っていたという。安部は、フッサールの現象学にも傾倒し、彼の文学の手法の根底には現象学の考え方があった。東大医学部に進むも、医者にならず、文学者の道を選んだのは、彼の関心が、生身の人間よりも、もっと抽象的な概念やその土台にある構造にあったからだろうか。 もっとも、数学が苦手な文学者や作家のほうが、もっとたくさんいるのは言うまでもない。 優れた知覚統合は、客観化や図式化の能力によって、複雑な現実の状況を前にしても、冷静に最適解を導き出し、賢く対処することを助ける。 ただ、知覚統合が優れている人も、いいことばかりというわけにはいかない。知覚統合が高い人は、客観視の力によって、些細なことや感情的なことで悩まない傾向はあるのだが、何ごとも行きすぎると弊害が生じる。 客観視ばかりで、共感やコミットメント(関与)が不足して、いかにも他人ごとという冷ややかな態度が見え見えだったり、分析して説明してくれるものの、自分のことは自分でやってという突き放した姿勢で、優しさが欠けていたりするのだ。 知覚統合は、パターンや規則性を見つけ出して推理したり、新しいものを構成したりする能力にかかわる。地図を読むといったことも、単に視覚的な認知の能力というよりは、視覚情報が表している意味を読みとる能力だと言える。 さらには、ものごとの根底にある構造を見抜き、その構造から世界を理解し、目の前の見えない現象を推測することを可能にする。つまり、現象をその根底にあるシステムから理解する能力だとも言える。 自閉症研究の世界的な第一人者の一人であるバロン=コーエンは、人間の脳には、共感(empathy)を得意とするEタイプと、システム(system)思考を得意とするSタイプがあり、自閉症は極端なSタイプで、共感が極度に苦手であると考えた。 コーエンによると、ルールや同一性へのこだわりも、システムで考えるのを好み、同じ規則を求めようとするためだということになる。 システム思考を好み、ものごとを一つのルールや法則で理解したがる傾向は、グレーゾーンから健常レベルの人に至るまで、Sタイプに属する人たちの重要な特徴と言えるだろう』、「人間の脳には、共感(empathy)を得意とするEタイプと、システム(system)思考を得意とするSタイプがあり、自閉症は極端なSタイプで、共感が極度に苦手であると考えた。 コーエンによると、ルールや同一性へのこだわりも、システムで考えるのを好み、同じ規則を求めようとするためだということになる。 システム思考を好み、ものごとを一つのルールや法則で理解したがる傾向は、グレーゾーンから健常レベルの人に至るまで、Sタイプに属する人たちの重要な特徴と言えるだろう」、なるほど。
・『Sタイプのジェフ・ベゾスが祖母を泣かせた言葉 アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾスは、いまや世界一のビリオネアだが、その生い立ちは、波乱に富んだものだった。 じつの父親はサーカスの団員で、一輪車乗りを得意技としていた。高校時代の後輩で、まだ16歳だった女性とつき合う仲になり、妊娠して生まれたのがベゾスだった。 しかし、父親の仕事は不安定で、二人とも家庭をもつには若すぎたと言える。結局、2年で離婚し、母親は別の男性と再婚。ジェフはその男性の養子として育てられることになる。養父となった男性はキューバからの政治難民だったが、奨学金とアルバイトで大学も出て、大手の石油会社に勤めはじめていた。一方、じつの父親との連絡はその後途絶えてしまう。 何かに熱中するとほかのことが目に入らなくなる傾向は、幼稚園児だったころから顕著だったようだ。 公園の池に浮かんだ足こぎのボートに乗ったときも、ほかの子は母親に手を振っていたのに、ベゾスは、ボートが動く仕組みを知ろうと、そちらに夢中で、母親のほうなど一顧だにしなかった。何かをやり出すと、やめさせて次のことに切り換えさせるのが至難の業で、仕方なく幼稚園の先生は、椅子ごと彼を移動させていたという。 そんな彼は、宇宙飛行士と発明家になることを夢見るメカ好きの少年に育っていく。 ジェフ少年は、あるとき祖母を泣かせてしまったことがあった。喫煙による死亡率の上昇に警鐘を鳴らす公共広告を見ていたジェフは、自分で計算して、喫煙している祖母の寿命が9年短くなるという答えを導き出し、それを祖母に告げたのだ。祖母は泣き出したが、無理もなかった。祖母は肺ガンにかかってもう何年も闘病中だったのだ。) 彼の計算結果は正しかったかもしれないが、それが祖母を傷つけることには、彼は無頓着だった。ジェフ少年の悪意のない失言に対して、祖父は孫を優しくたしなめたという。「ジェフ。賢くあるよりも優しくあるほうが難しいと、いつかわかる日が来るよ」と。 高校では科学部とチェス部に籍を置き、さまざまな賞を獲得した。負けず嫌いなベゾスは、卒業生総代になるために首席の成績を修めると公言していたが、その通り実行した。プリンストン大学に進むと、電気工学とコンピュータサイエンスで学位を取得。そして、彼が卒業後に就職先として選んだのは、株式投資の世界だった。数学とコンピュータを駆使する金融工学の手法でウォールストリートを席巻する先駆けとなった投資会社で、ベゾスは頭角を現していく。 こうしたベゾスの経歴には、彼のシステムへのこだわりと嗜好が感じられる。プログラムに従って、コンピュータが自動的に取引を行っていく手法は、情緒的な関与を一切排して、定められたルールに従って淡々と取引を行うというものだった。 ベゾスのある部下は、彼の思考や行動が、極めて論理的で、「どのようなことでも体系的に(システマティックに)対処する」という特徴があることを指摘している。ベゾスは女性との出会いにさえ、「ウーマンフロー」(投資案件と出会う機会を表すディールフローに対して、女性との出会いの機会をそう呼んだ)を増やすという方法を実践していたという。 こうしたエピソードからも、システムでものごとを考え、制御しようとするSタイプの思考がはっきり見てとれると言えるだろう』、「何かに熱中するとほかのことが目に入らなくなる傾向は、幼稚園児だったころから顕著だったようだ。 公園の池に浮かんだ足こぎのボートに乗ったときも、ほかの子は母親に手を振っていたのに、ベゾスは、ボートが動く仕組みを知ろうと、そちらに夢中で、母親のほうなど一顧だにしなかった。何かをやり出すと、やめさせて次のことに切り換えさせるのが至難の業で、仕方なく幼稚園の先生は、椅子ごと彼を移動させていたという・・・あるとき祖母を泣かせてしまったことがあった。喫煙による死亡率の上昇に警鐘を鳴らす公共広告を見ていたジェフは、自分で計算して、喫煙している祖母の寿命が9年短くなるという答えを導き出し、それを祖母に告げたのだ。祖母は泣き出したが、無理もなかった。祖母は肺ガンにかかってもう何年も闘病中だったのだ。) 彼の計算結果は正しかったかもしれないが、それが祖母を傷つけることには、彼は無頓着だった・・・ベゾスのある部下は、彼の思考や行動が、極めて論理的で、「どのようなことでも体系的に(システマティックに)対処する」という特徴があることを指摘している」、なるほど。
・『1日10時間読書に没頭した イーロン・マスクの幼少期 ベゾスと並んで、驚異的な成功を成し遂げてきた時代の寵児に、イーロン・マスクがいる。電気自動車で世界をリードするテスラ社のみならず、夢物語と思われていた民間での宇宙事業に突破口を開いたスペースX社を創立し、一大企業に育て上げた型破りの人物だ。 歴史に匹敵する人物を探すとすれば、アレクサンダー大王やチンギス・ハンをもち出すしかないかもしれない。2人の英雄の事業は、軍事的な征服によるものだったが、マスクは、科学技術と経営力によって、誰も成し得なかったような事業を成し遂げようとしている。こうした偉業を可能にしたのは、いかなる情熱と能力だったのだろうか。 イーロン・マスクは南アフリカ共和国の首都プレトリアで生まれた。父親は電気や機械のエンジニア、母親は栄養士だったが、学校時代には理科や数学が得意な、いわゆるリケジョだった。両親ともに理系の能力に恵まれていたということになる。) 少年イーロンは、好奇心旺盛で、活発な子だったが、ときどき自分の世界に入ると、呼びかけてもまったく反応がなくなることがあった。両親は心配して、耳鼻科の医者に診てもらったこともあるが、別に聴力に異常は見つからなかった。 こうしたエピソードは、自閉的な傾向をもつ子どもで、ときに見られるものである。内的世界に没入し、自分の考えに過集中するため、外界からの声や物音がまったく耳に入らなくなってしまうのだ。外からはうかがい知れないことだったが、イーロンのなかでは、その後の彼の能力の源となるようなことが起きていた。イーロンはインタビューに答えてこう述べている。 「5~6歳のころ、外界と断絶して一つのことに全神経を集中させる術を身につけた」 「脳のなかには普通ならば、目から入ってきた視覚情報の処理にしか使われない部分があるが、その部分が思考プロセスに使われるような感じかな。とにかく、視覚情報を処理する機能の大部分がものごとを思考する過程に使われていた。いまはいろいろなことに注意を払わなければならない身なので、以前ほどではなくなったが、子ども時代は頻繁にハマっていた」 視覚情報を処理する脳の領域で思考すること、それは、まさしく視覚統合の働きにほかならない。イーロン少年は白昼夢に耽りながら、視覚統合の能力をフル活用するようになっていたのだ。視覚統合は、現実にはないものをイメージし、思考を展開する能力でもある。イーロンはこうも述べている。 「イメージとか数字の場合は、相互の関係や数学的な関連性を把握・処理できる。加速度とか運動量とか運動エネルギーなんかが物体にどういう影響を与えるのか、鮮明に浮かんでくるんだ」 彼はイメージによって思考する技を、子どものころから身につけていた。 そんなイーロンは、ただ空想に耽っているだけではなかった。彼が子どものころから熱中したもう一つのことは、読書だった。いつも片手に本をもっていたという。 弟の証言によると、1日10時間読書に没頭することも珍しくなかったし、週末には必ず2冊の本を1日で読破していたという。学校の図書館の本を読み尽くして、読むものがなくなったため、ブリタニカ百科事典を読み耽った。小学生の間に、2つのシリーズの百科事典を読破していたイーロンは、「歩く百科事典」と言われるほどのもの知り少年になっていた。) 一方、イーロン少年にも苦手なことがあった。それは社会性の面と運動だった。 イーロン少年は相手がどう思うかよりも、正しいかどうかを優先するところがあり、間違っていることを指摘せずにはいられなかったのだ。そのため、相手をいらだたせ、鬱陶しがられることも多かった。 友だちはおらず、いつもひとりぼっちだった。弟でさえ、兄と遊ぼうとしなかった。「お兄ちゃんと遊ぶの楽しくないんだもん」というわけだ。何年もいじめを受けたのも、そうした特性が関係していたのだろうか。 さらにイーロン少年を孤独にしたのは、両親の関係が悪化し、やがて離婚してしまったことだ。イーロンは最初母親と暮らしたが、そのとき、仕事で忙しい母親の代わりにイーロンの面倒を見てくれたのは祖母だった。学校の送り迎えも、ゲームの相手も祖母が務めたのだ。 数年後、父親と暮らすことを選ぶことになる。しかし、父親も相当な変わり者だったらしく、イーロンが期待したような愛情や優しさが与えられることはあまりなかった。 イーロンはやがて南アフリカを捨てて、アメリカを目指すが、父親と暮らしたころのことを振り返って、こう述べている。 「いいことがまったくなかったわけではないが、幸せではなかった。惨めというのかな。父は、人の人生を惨めにする特技の持ち主。それは確か。どんないい状況でも、ダメにしてしまう」 高い知覚統合の能力をもってしても、父親から受けた愛情のない仕打ちを乗り越えることは、イーロン・マスクにとっても容易ではなかったということだろうか。 しかし、その満たされない思いを、宇宙に対する野心へと昇華させたマスクは、大事業を着々と進めていくのである』、「1イーロン少年は白昼夢に耽りながら、視覚統合の能力をフル活用するようになっていたのだ。視覚統合は、現実にはないものをイメージし、思考を展開する能力でもある・・・日10時間読書に没頭することも珍しくなかったし、週末には必ず2冊の本を1日で読破していたという。学校の図書館の本を読み尽くして、読むものがなくなったため、ブリタニカ百科事典を読み耽った。小学生の間に、2つのシリーズの百科事典を読破していたイーロンは、「歩く百科事典」と言われるほどのもの知り少年になっていた・・・高い知覚統合の能力をもってしても、父親から受けた愛情のない仕打ちを乗り越えることは、イーロン・マスクにとっても容易ではなかったということだろうか。 しかし、その満たされない思いを、宇宙に対する野心へと昇華させたマスクは、大事業を着々と進めていくのである」、不幸な生い立ちを人生の肥やしにしていったのは、大したものだ。
次に、昨年3月4日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した岩波 明・昭和大学医学部精神医学講座主任教授、同大学烏山病院院長インタビュー「「ADHDは薬が効くのに見逃されている」発達障害治療の第一人者が訴える大問題」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/317899
・『ここ10数年ですっかり世に浸透した「発達障害」。しかし第一人者によれば、未だに適切な診断・治療が行われているとは言い難く「権威でも誤診するケースは多い」という。特集『選ばれるクスリ』(全36回)の#12では、昭和大学烏山病院の岩波明院長が、日本における発達障害治療の大問題を説く』、興味深そうだ。
・『ADHDで薬物治療が施されない裏に自閉症スぺクトラム障害との誤診 われわれ精神科領域では、臨床試験で有効性が認められている薬でも、いざ現場で患者さんに処方してみると効果がないケースが少なくありません。 例えばうつ病の場合、外来の患者さんで抗うつ剤が著効するケースは残念ながらその3~4割というのが、現場の精神科医の実感です。一方で、ADHD(注意欠如多動性障害)は、薬物療法が最も奏功する疾患の一つです。 しかし、誤診によって適切な投薬がされていないケースが数多く見られ、最も多いのは同じ発達障害の一種で、アスペルガー症候群などを含む「ASD(自閉症スぺクトラム障害)」と誤診されているケースです』、「誤診によって適切な投薬がされていないケースが数多く見られ、最も多いのは同じ発達障害の一種で、アスペルガー症候群などを含む「ASD(自閉症スぺクトラム障害)」と誤診されているケースです」、なるほど。
・『児童精神医療のメインは重度自閉症だった だからASDと結び付けがちになる(ASDには、抗不安薬や抗うつ剤を対症療法として使うことはありますが、対人関係の障害などの中核症状に有効な薬はありません。 当院の発達障害外来には、他の病院でASDと診断された方も多く来られますが、およそ3分の2は他の疾患です。その中にはADHDも多く見られますが、ASDと診断されていたということは、これまで必要な薬物治療は受けてこなかったことを意味します。 確かにADHDとASDには、横断面では、ミスや忘れ物が多い、衝動的で対人関係がうまくいかないなどの共通点があり(下図参照)、見分けるのは難しいのですが、実は“大家”といわれる医師でも、ADHDをASDと誤診してしまうケースが多々存在しています。 (ADHDとASDの特徴 リンク先参照) なぜ権威も間違うのか。これは、児童精神医療の分野が伝統として重度の自閉症をメインに扱ってきた歴史的背景から、診断にバイアスが生じ、発達障害に関連する症状があれば真っ先にASDを考える傾向があるためです。 特に、対人関係に問題が見られるとASDと結び付けられがちなのですが、学校で孤立して不登校になり、一見ASDのように見える子供が、ADHDの薬物治療を行うと見違えるように復活して、進学校や名門大学に合格するケースも複数見てきました。 だからこそ薬が効かない症例の多い精神科領域で、ADHDをしっかり診断して適切な投薬に導くことが極めて重要なのです。 現状の小児に対するガイドライン(『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版』)の記載も問題です』、「大家”といわれる医師でも、ADHDをASDと誤診してしまうケースが多々存在しています。 (ADHDとASDの特徴 リンク先参照) なぜ権威も間違うのか。これは、児童精神医療の分野が伝統として重度の自閉症をメインに扱ってきた歴史的背景から、診断にバイアスが生じ、発達障害に関連する症状があれば真っ先にASDを考える傾向があるためです・・・一見ASDのように見える子供が、ADHDの薬物治療を行うと見違えるように復活して、進学校や名門大学に合格するケースも複数見てきました・・・薬が効かない症例の多い精神科領域で、ADHDをしっかり診断して適切な投薬に導くことが極めて重要なのです」、なるほど。
・『成人は薬物治療の必要性が高い 「ビバンセ」は成人に適応拡大を ガイドラインでは「ADHDの治療・支援は環境調整に始まる多様な心理社会的治療から開始すべきであり、薬物療法ありきの治療姿勢を推奨しない」とされていますが、小児においても投薬は重要な治療法であり、成人であれば、なおさら薬物治療の必要性は高いものです。 (岩波 明・昭和大学医学部精神医学講座主任教授、同大学烏山病院院長 の略歴はリンク先参照) 「環境調整」といっても、成人の場合、職場や家庭など周囲の環境を変えることは極めて難しいのが現実ですから、薬に抵抗感が強くない限り、多くの場合、成人のADHDには薬物治療をお勧めしています。 個人的には、本邦で保険適用されているADHD治療薬4剤のうち、6歳以上18歳未満への処方に限られている「ビバンセ」(一般名:リスデキサンフェタミンメシル酸塩)の適応を成人に拡大することが必要であると考えています。 覚醒剤に似た構造を持つため、厚生労働省が適応の拡大に後ろ向きのようですが、ビバンセは欧米では成人に対しても第一選択薬になっています。 日本で最も多く使われている「コンサータ」(一般名:メチルフェニデート塩酸塩)より有効性が高いという報告も見られ、成人にも適応が拡大されれば、コンサータが効かない患者さんにとっては貴重な治療の選択肢になるでしょう。(談)』、「個人的には、本邦で保険適用されているADHD治療薬4剤のうち、6歳以上18歳未満への処方に限られている「ビバンセ」(・・・)の適応を成人に拡大することが必要であると考えています」、なるほど。
第三に、4月2日付け現代ビジネスが掲載した堀江 貴文氏と和田 秀樹氏の対談「「本当の天才」は東大理三に面接で落ちる…ホリエモン×和田秀樹が日本の教育を斬る!」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108096?imp=0
・『経営者と医者──それぞれの視点から「医療と健康」について分析した書籍が話題を呼んでいる。堀江貴文の『不老不死の研究』と、2022年に最も売れた本となった和田秀樹の『80歳の壁』、そして今年1月に発売し、たちまち10万部を突破した『ぼけの壁』だ。 今回、「堀江貴文 ホリエモン」チャンネルにて、堀江氏と和田氏の特別対談が実現した。その模様を、一部編集のうえお届けする(第一回)』、興味深そうだ。
・『学校に行かなくても、自習でいい 堀江 僕は基本的に学校教育って、いまの時代には全く不適合だと思っているんですね。和田さん、小学校とか行きました? 和田 あ、僕ね、小学校は6回転校しているんです。 堀江 (笑) 和田 もともとADHDの気がすごく強くて「立ち歩き」したから、親がすごく心配して。授業を座って聞いていられない生徒でした。いまだったら、まず間違いなしにADHDで「特別支援学級にいきなさい」みたいになっていたかもしれないですけど。 堀江 でもね、別に学校行かなくても、学力という意味で言ったら自習でいいわけじゃないですか。自習をして、それこそメンター的な人に会えるようにしておけば、それでいい。 東大の先端科学技術研究センターには、変な奴らを集めたクラスみたいなのがあって。メンターとかにたまに会えて、「こういうことやったらいいよ」って言われるだけで「あとは学校なんか行かないよ」みたいな人たちがいるそうです。 俺はそういう人って、結構な人数いると思うんですよ。そういう人をのびのびと伸ばすだけでも全然違う。いまなんて学校に行ったら「給食の時にマスクして黙って食いなさい」みたいな感じですから。耐えられないと思うんですよね。 和田 いまの学校のシステムは、僕もおかしいと思う。僕なんか特に「発達障害」で、みんなと一緒にしてられない人たちだから。 堀江 僕はそれ、障害じゃないと思うんですけどね』、「和田 もともとADHDの気がすごく強くて「立ち歩き」したから、親がすごく心配して。授業を座って聞いていられない生徒でした。いまだったら、まず間違いなしにADHDで「特別支援学級にいきなさい」みたいになっていたかもしれないですけど・・・和田 いまの学校のシステムは、僕もおかしいと思う。僕なんか特に「発達障害」で、みんなと一緒にしてられない人たちだから。 堀江 僕はそれ、障害じゃないと思うんですけどね」、確かに何を「障害」と考えるかは、幅がありそうだ。
・『「共感脳」と「システム化脳」 和田 おっしゃる通りですよ。名前は発達障害だけど、いまの考え方だとそれを「ダイバーシティ」だって言ってるわけだから。 人間の脳には「2つの脳」のパターンがあるとされています。1つが「共感脳」っていって、他人とうまくコミュニケーションをとったり、合わせたり、人の気持ちがわかるの。もう1つが「システム化脳」っていって、何かあったときに「システムがどんな風な仕組みになっているのか」ばかり興味を持ってしまう脳。 「共感脳」が全然ダメで、「システム化脳」がすごい人たちが自閉症になるらしいのね。でも、そういう人たちの方が天才として活躍する。両方の脳を持っている人もごく稀にいるんだけども、多くの人は「共感脳」で、言ってみれば日本的、文系的な人たちです。でも、「共感脳」ばかりが世の中を牛耳っているのはマズいんじゃないのって思うんです。 堀江 「共感脳」の人たちが(システム化脳の人のことを)わからないだけだと思うんですよ。だって、見た目は一緒じゃないですか。見た目が一緒だから、そんな考えになるってことが、まったく想定されていない。 和田 おっしゃる通りで、「共感脳」の人たちというのは、世の中の暗黙のルールみたいなものにわりと素直に順応できちゃう。「システム化脳」のとんがった考え方っていうか、「世の中にはこんな風な仕組みがあるはずだ」とか、「この考え方はおかしい」とかって思っている人のことを、わからないんだと思うんだけど』、「人間の脳には「2つの脳」のパターンがあるとされています。1つが「共感脳」っていって、他人とうまくコミュニケーションをとったり、合わせたり、人の気持ちがわかるの。もう1つが「システム化脳」っていって、何かあったときに「システムがどんな風な仕組みになっているのか」ばかり興味を持ってしまう脳。 「共感脳」が全然ダメで、「システム化脳」がすごい人たちが自閉症になるらしいのね。でも、そういう人たちの方が天才として活躍する。両方の脳を持っている人もごく稀にいるんだけども、多くの人は「共感脳」で、言ってみれば日本的、文系的な人たちです・・・「共感脳」の人たちというのは、世の中の暗黙のルールみたいなものにわりと素直に順応できちゃう。「システム化脳」のとんがった考え方っていうか、「世の中にはこんな風な仕組みがあるはずだ」とか、「この考え方はおかしい」とかって思っている人のことを、わからないんだと思うんだけど」、その通りだ。
・『「頭が固い医者」が生まれる理由 和田 だけど例えば全国に82の国公立の医学部があってね、医学部の中で「入試面接」をやらない学校がなくなっちゃったんですよ。そうすると医者でも、「共感脳」の人たちがすごい多くなるんですね。彼らはこれが正しいと決めたら「血圧下げろ」だの、「塩分摂るな」だの、何でもかんでも決めてかかってくる。 堀江 じゃあ、「システム化脳」の人たちどこに行ってるんですか? 和田 僕がYouTubeで見た限りでは、東大の理3の面接で落とされた子は、慶應に受かったって言っていましたね。 堀江 東大理3に面接で落とされるって結構辛いですね。 和田 辛いでしょう。(試験は)合格者の最低点の20点ぐらい上だったって、その子が言ってたけど。 堀江 それ超ヤバいっすね。 第二回『堀江貴文×和田秀樹が語る「情報との正しいつきあい方」…なぜ日本人は“まともじゃない医者”を信じるのか?』に続く』、「医学部の中で「入試面接」をやらない学校がなくなっちゃったんですよ。そうすると医者でも、「共感脳」の人たちがすごい多くなるんですね。彼らはこれが正しいと決めたら「血圧下げろ」だの、「塩分摂るな」だの、何でもかんでも決めてかかってくる。 堀江 じゃあ、「システム化脳」の人たちどこに行ってるんですか? 和田 僕がYouTubeで見た限りでは、東大の理3の面接で落とされた子は、慶應に受かったって言っていましたね」、なるほど。
第四に、この続きを、4月2日付け現代ビジネスが掲載した「堀江貴文×和田秀樹が語る「情報との正しいつきあい方」…なぜ日本人は“まともじゃない医者”を信じるのか?」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108097?imp=0
・『経営者と医者──それぞれの視点から「医療と健康」について分析した書籍がいま話題を呼んでいる。堀江貴文の『不老不死の研究』と、2022年に最も売れた本となった和田秀樹の『80歳の壁』、そして今年1月に発売し、たちまち10万部を突破した『ぼけの壁』だ。 「堀江貴文 ホリエモン」チャンネルにて実現した、堀江氏と和田氏の特別対談。その模様を、一部編集のうえお届けする(第二回)。 第一回『「本当の天才」は東大理三に面接で落ちる…ホリエモン×和田秀樹が日本の教育を斬る!』、興味深そうだ。
・『「文字が読めない人」がたくさんいる 堀江 脳の問題の何が難しいかって言うと、見た目でわからないんですよ。例えば「境界性知能」の人っていうのが、結構いるんですよね。ちょっと前ぐらいにTwitterとかで話題になっていたと思うんですけど。 要はIQ60以下とかの人たちの“ちょっと上”ぐらい。IQ85~60ぐらいの人たちが「境界性知能」って言われていて、障害者手帳ももらえないし、知的障害とも認定されないので、普通に社会で生活しているんです。知的障害は1%ぐらいしかいないらしいんですけど、境界性知能は10%以上いるらしくて。 和田 あぁ、ほんとに。 堀江 だから、クラスに1人は絶対いる。2、3人いる。 和田 いますね。 堀江 で、この人たちって、わからないんですよ。見た目は普通だから。だけどよく見るとすごい髭の剃り残しがあったりとか……。 和田 なるほど。まあよく言いますよね。ほら、少年犯罪をやった人たちには比較的そういう人たちが多いらしくて。ハサミが使えないとかさ、実は知的な問題が見過ごされているっていう解説を書いたことがあるんだけど。 堀江 もちろん犯罪に走る人たちもそういう人たちが実はめちゃくちゃ多いですし、僕は実際に刑務所にいたので、(境界性知能の人たちが)いっぱいいましたよ。 でも、それわからないじゃないですか。一見すると普通に喋れるし。その「境界性知能」はともかくとして、僕が最近ここ2~3年で一番衝撃だったのは、文字が読めない人が相当いるということです。だからここをどうするか問題っていうのは結構あって』、「堀江 もちろん犯罪に走る人たちもそういう人たちが実はめちゃくちゃ多いですし、僕は実際に刑務所にいたので、(境界性知能の人たちが)いっぱいいましたよ。 でも、それわからないじゃないですか。一見すると普通に喋れるし。その「境界性知能」はともかくとして、僕が最近ここ2~3年で一番衝撃だったのは、文字が読めない人が相当いるということです。だからここをどうするか問題っていうのは結構あって」、なるほど。
・『医師国家試験の教材×米倉涼子 堀江 「IT革命」の本質って、誰でも、どんな情報にも触れられるようになったということだと思うんです。要は貧しい人だって、スマホを持っていればどんな情報にも触れられるわけじゃないですか。だけど、教育システムがそれを前提とされていないから、結局そこにはアクセスしないわけですね。むしろ「スマホなんて持つなよ」って言われるわけじゃないですか。公立の高校、中学とか小学校に通っていたら。 和田 医学系の予備校とかで年間1000万とか2000万とか取られるとこがあるんだけど、そういうとこに限ってさ「こいつを浪人させた方がまた2000万取れる」とかって思っていい加減な手抜き教育をする。けどさ、例えば受験テクニックの本を600円で買えば、読んでない子よりは勝っちゃうみたいなことが起こり得るんですよね。 堀江 まあそれはそうでしょうね。僕は別に医学部行ったわけじゃないですけど、別の事業で「自動車学校のコンサル」をやっていて。CGを使っためちゃくちゃ面白いビデオ教材を作ったんですよ。そういう流れの中で、医学部の医師国家試験予備校の教材をつくろうよっていう話をしていて。 和田 それはいいアイディアだと思います。 堀江 しかもそれを「米倉涼子」にやらせようみたいな話をしていて。米倉涼子が、全部台本あるんですけど、講義をするわけですよ。みんな聞くじゃないですか、喋りは上手いし。それで色々調べたら(国家試験には)「ドボン問題」があるんですよね? 和田 ああ、ありますね』、「国家試験には)「ドボン問題」があるんですよね?・・・間違えたら絶対落ちる問題ってあるんですよね。 和田 導入されたんでしょうね。こんなことも知らないで医者にしちゃいけないって」、なるほど。
・『「まともじゃない医者」に騙されないために 堀江 間違えたら絶対落ちる問題ってあるんですよね。 和田 導入されたんでしょうね。こんなことも知らないで医者にしちゃいけないって。 堀江 そうそう。たまにすごい優秀な人でも、ドボン問題で間違えて落ちたりするみたいですけど、要はそういう要点だけを教える予備校があるんですよね。そのテキストだけ読んでれば、頭いいやつだったら絶対受かるよねみたいな。 和田 そうだと思いますよ。 堀江 そういう「勘所」みたいなものは、すべてにおいて存在する。 僕は「情報の民主化」っていうのは、それを活用するかしないかでめちゃくちゃ差がつくということなんですよ。それを分かっている人と、分かってない人がいて。僕も『不老不死の研究』という本を出しているんですけど、読まないんですよ、みんな。 和田 こういう本を読まないからさ、結局医者の言いなりになっているわけじゃないですか。 堀江 そうですよ。僕の友だちでも医者がいっぱいいるんですけど「まともな人」と「まともじゃない人」がいるんですよ。まともじゃないやつって、本当にまともじゃないから。でも、僕のいうことよりその人のいうことを信じるんですよ』、「(堀江)僕は「情報の民主化」っていうのは、それを活用するかしないかでめちゃくちゃ差がつくということなんですよ。それを分かっている人と、分かってない人がいて。僕も『不老不死の研究』という本を出しているんですけど、読まないんですよ、みんな。 和田 こういう本を読まないからさ、結局医者の言いなりになっているわけじゃないですか」、『不老不死の研究』を読むつもりはないが、「医者の言いなりに」なるつもりもない。「情報の民主化」は十分に「活用する」つもりだ。
先ずは、昨年2月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した精神科医・作家・医学博士の岡田尊司氏による「ベゾスやマスクが社会性は低いのに成功した理由、注目の発達障害「グレーゾーン」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/317753
・『発達障害という言葉が広く知られるようになり、自分もそうかもしれないと医療機関を訪れる人が増えている。そんな中で急増しているのが、徴候はあっても診断はおりない「グレーゾーン」。障害未満でありながら、ときに障害を抱えた人より深刻な困難になりやすいとされるが、時代の寵児であるジェフ・ベゾスやイーロン・マスクにもその気があったといわれる。彼らの抱えていた生きづらさについて、岡田尊司『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』より一部抜粋・編集し紹介する』、興味深そうだ。
・『ものごとを図式化し分析する“知覚統合”が強い人たち 世のなかには、知覚統合が突出して強いタイプの人がいる。 知覚統合は、ものごとを図式化し分析する能力や、状況を判断し、変化や未来を予測し、損害を避け、有利な選択をする能力でもあり、また、ものごとを客観的に達観して、冷静な判断をする能力にも通じている。数学や物理の能力のベースにある能力だが、哲学者や文学者にも、意外に優れた知覚統合が推測される人もいる。 イギリスの作家で、『息子と恋人』などの傑作を遺したD・H・ロレンスは、貧しい労働者階級の出身だったため、奨学金をもらってハイスクールに進んだが、彼がそこで優秀賞をとったのは、国語(英語)ではなく数学だった。ロレンスの文章は、細密な絵画のような自然描写でも卓越していたが、その優れた描写力は、彼のイメージする力と無縁ではないだろう。 作家の安部公房は、中学高校時代、数学が得意科目で、ドストエフスキーを愛読するとともに、高木貞治の『解析概論』を読み耽っていたという。安部は、フッサールの現象学にも傾倒し、彼の文学の手法の根底には現象学の考え方があった。東大医学部に進むも、医者にならず、文学者の道を選んだのは、彼の関心が、生身の人間よりも、もっと抽象的な概念やその土台にある構造にあったからだろうか。 もっとも、数学が苦手な文学者や作家のほうが、もっとたくさんいるのは言うまでもない。 優れた知覚統合は、客観化や図式化の能力によって、複雑な現実の状況を前にしても、冷静に最適解を導き出し、賢く対処することを助ける。 ただ、知覚統合が優れている人も、いいことばかりというわけにはいかない。知覚統合が高い人は、客観視の力によって、些細なことや感情的なことで悩まない傾向はあるのだが、何ごとも行きすぎると弊害が生じる。 客観視ばかりで、共感やコミットメント(関与)が不足して、いかにも他人ごとという冷ややかな態度が見え見えだったり、分析して説明してくれるものの、自分のことは自分でやってという突き放した姿勢で、優しさが欠けていたりするのだ。 知覚統合は、パターンや規則性を見つけ出して推理したり、新しいものを構成したりする能力にかかわる。地図を読むといったことも、単に視覚的な認知の能力というよりは、視覚情報が表している意味を読みとる能力だと言える。 さらには、ものごとの根底にある構造を見抜き、その構造から世界を理解し、目の前の見えない現象を推測することを可能にする。つまり、現象をその根底にあるシステムから理解する能力だとも言える。 自閉症研究の世界的な第一人者の一人であるバロン=コーエンは、人間の脳には、共感(empathy)を得意とするEタイプと、システム(system)思考を得意とするSタイプがあり、自閉症は極端なSタイプで、共感が極度に苦手であると考えた。 コーエンによると、ルールや同一性へのこだわりも、システムで考えるのを好み、同じ規則を求めようとするためだということになる。 システム思考を好み、ものごとを一つのルールや法則で理解したがる傾向は、グレーゾーンから健常レベルの人に至るまで、Sタイプに属する人たちの重要な特徴と言えるだろう』、「人間の脳には、共感(empathy)を得意とするEタイプと、システム(system)思考を得意とするSタイプがあり、自閉症は極端なSタイプで、共感が極度に苦手であると考えた。 コーエンによると、ルールや同一性へのこだわりも、システムで考えるのを好み、同じ規則を求めようとするためだということになる。 システム思考を好み、ものごとを一つのルールや法則で理解したがる傾向は、グレーゾーンから健常レベルの人に至るまで、Sタイプに属する人たちの重要な特徴と言えるだろう」、なるほど。
・『Sタイプのジェフ・ベゾスが祖母を泣かせた言葉 アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾスは、いまや世界一のビリオネアだが、その生い立ちは、波乱に富んだものだった。 じつの父親はサーカスの団員で、一輪車乗りを得意技としていた。高校時代の後輩で、まだ16歳だった女性とつき合う仲になり、妊娠して生まれたのがベゾスだった。 しかし、父親の仕事は不安定で、二人とも家庭をもつには若すぎたと言える。結局、2年で離婚し、母親は別の男性と再婚。ジェフはその男性の養子として育てられることになる。養父となった男性はキューバからの政治難民だったが、奨学金とアルバイトで大学も出て、大手の石油会社に勤めはじめていた。一方、じつの父親との連絡はその後途絶えてしまう。 何かに熱中するとほかのことが目に入らなくなる傾向は、幼稚園児だったころから顕著だったようだ。 公園の池に浮かんだ足こぎのボートに乗ったときも、ほかの子は母親に手を振っていたのに、ベゾスは、ボートが動く仕組みを知ろうと、そちらに夢中で、母親のほうなど一顧だにしなかった。何かをやり出すと、やめさせて次のことに切り換えさせるのが至難の業で、仕方なく幼稚園の先生は、椅子ごと彼を移動させていたという。 そんな彼は、宇宙飛行士と発明家になることを夢見るメカ好きの少年に育っていく。 ジェフ少年は、あるとき祖母を泣かせてしまったことがあった。喫煙による死亡率の上昇に警鐘を鳴らす公共広告を見ていたジェフは、自分で計算して、喫煙している祖母の寿命が9年短くなるという答えを導き出し、それを祖母に告げたのだ。祖母は泣き出したが、無理もなかった。祖母は肺ガンにかかってもう何年も闘病中だったのだ。) 彼の計算結果は正しかったかもしれないが、それが祖母を傷つけることには、彼は無頓着だった。ジェフ少年の悪意のない失言に対して、祖父は孫を優しくたしなめたという。「ジェフ。賢くあるよりも優しくあるほうが難しいと、いつかわかる日が来るよ」と。 高校では科学部とチェス部に籍を置き、さまざまな賞を獲得した。負けず嫌いなベゾスは、卒業生総代になるために首席の成績を修めると公言していたが、その通り実行した。プリンストン大学に進むと、電気工学とコンピュータサイエンスで学位を取得。そして、彼が卒業後に就職先として選んだのは、株式投資の世界だった。数学とコンピュータを駆使する金融工学の手法でウォールストリートを席巻する先駆けとなった投資会社で、ベゾスは頭角を現していく。 こうしたベゾスの経歴には、彼のシステムへのこだわりと嗜好が感じられる。プログラムに従って、コンピュータが自動的に取引を行っていく手法は、情緒的な関与を一切排して、定められたルールに従って淡々と取引を行うというものだった。 ベゾスのある部下は、彼の思考や行動が、極めて論理的で、「どのようなことでも体系的に(システマティックに)対処する」という特徴があることを指摘している。ベゾスは女性との出会いにさえ、「ウーマンフロー」(投資案件と出会う機会を表すディールフローに対して、女性との出会いの機会をそう呼んだ)を増やすという方法を実践していたという。 こうしたエピソードからも、システムでものごとを考え、制御しようとするSタイプの思考がはっきり見てとれると言えるだろう』、「何かに熱中するとほかのことが目に入らなくなる傾向は、幼稚園児だったころから顕著だったようだ。 公園の池に浮かんだ足こぎのボートに乗ったときも、ほかの子は母親に手を振っていたのに、ベゾスは、ボートが動く仕組みを知ろうと、そちらに夢中で、母親のほうなど一顧だにしなかった。何かをやり出すと、やめさせて次のことに切り換えさせるのが至難の業で、仕方なく幼稚園の先生は、椅子ごと彼を移動させていたという・・・あるとき祖母を泣かせてしまったことがあった。喫煙による死亡率の上昇に警鐘を鳴らす公共広告を見ていたジェフは、自分で計算して、喫煙している祖母の寿命が9年短くなるという答えを導き出し、それを祖母に告げたのだ。祖母は泣き出したが、無理もなかった。祖母は肺ガンにかかってもう何年も闘病中だったのだ。) 彼の計算結果は正しかったかもしれないが、それが祖母を傷つけることには、彼は無頓着だった・・・ベゾスのある部下は、彼の思考や行動が、極めて論理的で、「どのようなことでも体系的に(システマティックに)対処する」という特徴があることを指摘している」、なるほど。
・『1日10時間読書に没頭した イーロン・マスクの幼少期 ベゾスと並んで、驚異的な成功を成し遂げてきた時代の寵児に、イーロン・マスクがいる。電気自動車で世界をリードするテスラ社のみならず、夢物語と思われていた民間での宇宙事業に突破口を開いたスペースX社を創立し、一大企業に育て上げた型破りの人物だ。 歴史に匹敵する人物を探すとすれば、アレクサンダー大王やチンギス・ハンをもち出すしかないかもしれない。2人の英雄の事業は、軍事的な征服によるものだったが、マスクは、科学技術と経営力によって、誰も成し得なかったような事業を成し遂げようとしている。こうした偉業を可能にしたのは、いかなる情熱と能力だったのだろうか。 イーロン・マスクは南アフリカ共和国の首都プレトリアで生まれた。父親は電気や機械のエンジニア、母親は栄養士だったが、学校時代には理科や数学が得意な、いわゆるリケジョだった。両親ともに理系の能力に恵まれていたということになる。) 少年イーロンは、好奇心旺盛で、活発な子だったが、ときどき自分の世界に入ると、呼びかけてもまったく反応がなくなることがあった。両親は心配して、耳鼻科の医者に診てもらったこともあるが、別に聴力に異常は見つからなかった。 こうしたエピソードは、自閉的な傾向をもつ子どもで、ときに見られるものである。内的世界に没入し、自分の考えに過集中するため、外界からの声や物音がまったく耳に入らなくなってしまうのだ。外からはうかがい知れないことだったが、イーロンのなかでは、その後の彼の能力の源となるようなことが起きていた。イーロンはインタビューに答えてこう述べている。 「5~6歳のころ、外界と断絶して一つのことに全神経を集中させる術を身につけた」 「脳のなかには普通ならば、目から入ってきた視覚情報の処理にしか使われない部分があるが、その部分が思考プロセスに使われるような感じかな。とにかく、視覚情報を処理する機能の大部分がものごとを思考する過程に使われていた。いまはいろいろなことに注意を払わなければならない身なので、以前ほどではなくなったが、子ども時代は頻繁にハマっていた」 視覚情報を処理する脳の領域で思考すること、それは、まさしく視覚統合の働きにほかならない。イーロン少年は白昼夢に耽りながら、視覚統合の能力をフル活用するようになっていたのだ。視覚統合は、現実にはないものをイメージし、思考を展開する能力でもある。イーロンはこうも述べている。 「イメージとか数字の場合は、相互の関係や数学的な関連性を把握・処理できる。加速度とか運動量とか運動エネルギーなんかが物体にどういう影響を与えるのか、鮮明に浮かんでくるんだ」 彼はイメージによって思考する技を、子どものころから身につけていた。 そんなイーロンは、ただ空想に耽っているだけではなかった。彼が子どものころから熱中したもう一つのことは、読書だった。いつも片手に本をもっていたという。 弟の証言によると、1日10時間読書に没頭することも珍しくなかったし、週末には必ず2冊の本を1日で読破していたという。学校の図書館の本を読み尽くして、読むものがなくなったため、ブリタニカ百科事典を読み耽った。小学生の間に、2つのシリーズの百科事典を読破していたイーロンは、「歩く百科事典」と言われるほどのもの知り少年になっていた。) 一方、イーロン少年にも苦手なことがあった。それは社会性の面と運動だった。 イーロン少年は相手がどう思うかよりも、正しいかどうかを優先するところがあり、間違っていることを指摘せずにはいられなかったのだ。そのため、相手をいらだたせ、鬱陶しがられることも多かった。 友だちはおらず、いつもひとりぼっちだった。弟でさえ、兄と遊ぼうとしなかった。「お兄ちゃんと遊ぶの楽しくないんだもん」というわけだ。何年もいじめを受けたのも、そうした特性が関係していたのだろうか。 さらにイーロン少年を孤独にしたのは、両親の関係が悪化し、やがて離婚してしまったことだ。イーロンは最初母親と暮らしたが、そのとき、仕事で忙しい母親の代わりにイーロンの面倒を見てくれたのは祖母だった。学校の送り迎えも、ゲームの相手も祖母が務めたのだ。 数年後、父親と暮らすことを選ぶことになる。しかし、父親も相当な変わり者だったらしく、イーロンが期待したような愛情や優しさが与えられることはあまりなかった。 イーロンはやがて南アフリカを捨てて、アメリカを目指すが、父親と暮らしたころのことを振り返って、こう述べている。 「いいことがまったくなかったわけではないが、幸せではなかった。惨めというのかな。父は、人の人生を惨めにする特技の持ち主。それは確か。どんないい状況でも、ダメにしてしまう」 高い知覚統合の能力をもってしても、父親から受けた愛情のない仕打ちを乗り越えることは、イーロン・マスクにとっても容易ではなかったということだろうか。 しかし、その満たされない思いを、宇宙に対する野心へと昇華させたマスクは、大事業を着々と進めていくのである』、「1イーロン少年は白昼夢に耽りながら、視覚統合の能力をフル活用するようになっていたのだ。視覚統合は、現実にはないものをイメージし、思考を展開する能力でもある・・・日10時間読書に没頭することも珍しくなかったし、週末には必ず2冊の本を1日で読破していたという。学校の図書館の本を読み尽くして、読むものがなくなったため、ブリタニカ百科事典を読み耽った。小学生の間に、2つのシリーズの百科事典を読破していたイーロンは、「歩く百科事典」と言われるほどのもの知り少年になっていた・・・高い知覚統合の能力をもってしても、父親から受けた愛情のない仕打ちを乗り越えることは、イーロン・マスクにとっても容易ではなかったということだろうか。 しかし、その満たされない思いを、宇宙に対する野心へと昇華させたマスクは、大事業を着々と進めていくのである」、不幸な生い立ちを人生の肥やしにしていったのは、大したものだ。
次に、昨年3月4日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した岩波 明・昭和大学医学部精神医学講座主任教授、同大学烏山病院院長インタビュー「「ADHDは薬が効くのに見逃されている」発達障害治療の第一人者が訴える大問題」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/317899
・『ここ10数年ですっかり世に浸透した「発達障害」。しかし第一人者によれば、未だに適切な診断・治療が行われているとは言い難く「権威でも誤診するケースは多い」という。特集『選ばれるクスリ』(全36回)の#12では、昭和大学烏山病院の岩波明院長が、日本における発達障害治療の大問題を説く』、興味深そうだ。
・『ADHDで薬物治療が施されない裏に自閉症スぺクトラム障害との誤診 われわれ精神科領域では、臨床試験で有効性が認められている薬でも、いざ現場で患者さんに処方してみると効果がないケースが少なくありません。 例えばうつ病の場合、外来の患者さんで抗うつ剤が著効するケースは残念ながらその3~4割というのが、現場の精神科医の実感です。一方で、ADHD(注意欠如多動性障害)は、薬物療法が最も奏功する疾患の一つです。 しかし、誤診によって適切な投薬がされていないケースが数多く見られ、最も多いのは同じ発達障害の一種で、アスペルガー症候群などを含む「ASD(自閉症スぺクトラム障害)」と誤診されているケースです』、「誤診によって適切な投薬がされていないケースが数多く見られ、最も多いのは同じ発達障害の一種で、アスペルガー症候群などを含む「ASD(自閉症スぺクトラム障害)」と誤診されているケースです」、なるほど。
・『児童精神医療のメインは重度自閉症だった だからASDと結び付けがちになる(ASDには、抗不安薬や抗うつ剤を対症療法として使うことはありますが、対人関係の障害などの中核症状に有効な薬はありません。 当院の発達障害外来には、他の病院でASDと診断された方も多く来られますが、およそ3分の2は他の疾患です。その中にはADHDも多く見られますが、ASDと診断されていたということは、これまで必要な薬物治療は受けてこなかったことを意味します。 確かにADHDとASDには、横断面では、ミスや忘れ物が多い、衝動的で対人関係がうまくいかないなどの共通点があり(下図参照)、見分けるのは難しいのですが、実は“大家”といわれる医師でも、ADHDをASDと誤診してしまうケースが多々存在しています。 (ADHDとASDの特徴 リンク先参照) なぜ権威も間違うのか。これは、児童精神医療の分野が伝統として重度の自閉症をメインに扱ってきた歴史的背景から、診断にバイアスが生じ、発達障害に関連する症状があれば真っ先にASDを考える傾向があるためです。 特に、対人関係に問題が見られるとASDと結び付けられがちなのですが、学校で孤立して不登校になり、一見ASDのように見える子供が、ADHDの薬物治療を行うと見違えるように復活して、進学校や名門大学に合格するケースも複数見てきました。 だからこそ薬が効かない症例の多い精神科領域で、ADHDをしっかり診断して適切な投薬に導くことが極めて重要なのです。 現状の小児に対するガイドライン(『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版』)の記載も問題です』、「大家”といわれる医師でも、ADHDをASDと誤診してしまうケースが多々存在しています。 (ADHDとASDの特徴 リンク先参照) なぜ権威も間違うのか。これは、児童精神医療の分野が伝統として重度の自閉症をメインに扱ってきた歴史的背景から、診断にバイアスが生じ、発達障害に関連する症状があれば真っ先にASDを考える傾向があるためです・・・一見ASDのように見える子供が、ADHDの薬物治療を行うと見違えるように復活して、進学校や名門大学に合格するケースも複数見てきました・・・薬が効かない症例の多い精神科領域で、ADHDをしっかり診断して適切な投薬に導くことが極めて重要なのです」、なるほど。
・『成人は薬物治療の必要性が高い 「ビバンセ」は成人に適応拡大を ガイドラインでは「ADHDの治療・支援は環境調整に始まる多様な心理社会的治療から開始すべきであり、薬物療法ありきの治療姿勢を推奨しない」とされていますが、小児においても投薬は重要な治療法であり、成人であれば、なおさら薬物治療の必要性は高いものです。 (岩波 明・昭和大学医学部精神医学講座主任教授、同大学烏山病院院長 の略歴はリンク先参照) 「環境調整」といっても、成人の場合、職場や家庭など周囲の環境を変えることは極めて難しいのが現実ですから、薬に抵抗感が強くない限り、多くの場合、成人のADHDには薬物治療をお勧めしています。 個人的には、本邦で保険適用されているADHD治療薬4剤のうち、6歳以上18歳未満への処方に限られている「ビバンセ」(一般名:リスデキサンフェタミンメシル酸塩)の適応を成人に拡大することが必要であると考えています。 覚醒剤に似た構造を持つため、厚生労働省が適応の拡大に後ろ向きのようですが、ビバンセは欧米では成人に対しても第一選択薬になっています。 日本で最も多く使われている「コンサータ」(一般名:メチルフェニデート塩酸塩)より有効性が高いという報告も見られ、成人にも適応が拡大されれば、コンサータが効かない患者さんにとっては貴重な治療の選択肢になるでしょう。(談)』、「個人的には、本邦で保険適用されているADHD治療薬4剤のうち、6歳以上18歳未満への処方に限られている「ビバンセ」(・・・)の適応を成人に拡大することが必要であると考えています」、なるほど。
第三に、4月2日付け現代ビジネスが掲載した堀江 貴文氏と和田 秀樹氏の対談「「本当の天才」は東大理三に面接で落ちる…ホリエモン×和田秀樹が日本の教育を斬る!」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108096?imp=0
・『経営者と医者──それぞれの視点から「医療と健康」について分析した書籍が話題を呼んでいる。堀江貴文の『不老不死の研究』と、2022年に最も売れた本となった和田秀樹の『80歳の壁』、そして今年1月に発売し、たちまち10万部を突破した『ぼけの壁』だ。 今回、「堀江貴文 ホリエモン」チャンネルにて、堀江氏と和田氏の特別対談が実現した。その模様を、一部編集のうえお届けする(第一回)』、興味深そうだ。
・『学校に行かなくても、自習でいい 堀江 僕は基本的に学校教育って、いまの時代には全く不適合だと思っているんですね。和田さん、小学校とか行きました? 和田 あ、僕ね、小学校は6回転校しているんです。 堀江 (笑) 和田 もともとADHDの気がすごく強くて「立ち歩き」したから、親がすごく心配して。授業を座って聞いていられない生徒でした。いまだったら、まず間違いなしにADHDで「特別支援学級にいきなさい」みたいになっていたかもしれないですけど。 堀江 でもね、別に学校行かなくても、学力という意味で言ったら自習でいいわけじゃないですか。自習をして、それこそメンター的な人に会えるようにしておけば、それでいい。 東大の先端科学技術研究センターには、変な奴らを集めたクラスみたいなのがあって。メンターとかにたまに会えて、「こういうことやったらいいよ」って言われるだけで「あとは学校なんか行かないよ」みたいな人たちがいるそうです。 俺はそういう人って、結構な人数いると思うんですよ。そういう人をのびのびと伸ばすだけでも全然違う。いまなんて学校に行ったら「給食の時にマスクして黙って食いなさい」みたいな感じですから。耐えられないと思うんですよね。 和田 いまの学校のシステムは、僕もおかしいと思う。僕なんか特に「発達障害」で、みんなと一緒にしてられない人たちだから。 堀江 僕はそれ、障害じゃないと思うんですけどね』、「和田 もともとADHDの気がすごく強くて「立ち歩き」したから、親がすごく心配して。授業を座って聞いていられない生徒でした。いまだったら、まず間違いなしにADHDで「特別支援学級にいきなさい」みたいになっていたかもしれないですけど・・・和田 いまの学校のシステムは、僕もおかしいと思う。僕なんか特に「発達障害」で、みんなと一緒にしてられない人たちだから。 堀江 僕はそれ、障害じゃないと思うんですけどね」、確かに何を「障害」と考えるかは、幅がありそうだ。
・『「共感脳」と「システム化脳」 和田 おっしゃる通りですよ。名前は発達障害だけど、いまの考え方だとそれを「ダイバーシティ」だって言ってるわけだから。 人間の脳には「2つの脳」のパターンがあるとされています。1つが「共感脳」っていって、他人とうまくコミュニケーションをとったり、合わせたり、人の気持ちがわかるの。もう1つが「システム化脳」っていって、何かあったときに「システムがどんな風な仕組みになっているのか」ばかり興味を持ってしまう脳。 「共感脳」が全然ダメで、「システム化脳」がすごい人たちが自閉症になるらしいのね。でも、そういう人たちの方が天才として活躍する。両方の脳を持っている人もごく稀にいるんだけども、多くの人は「共感脳」で、言ってみれば日本的、文系的な人たちです。でも、「共感脳」ばかりが世の中を牛耳っているのはマズいんじゃないのって思うんです。 堀江 「共感脳」の人たちが(システム化脳の人のことを)わからないだけだと思うんですよ。だって、見た目は一緒じゃないですか。見た目が一緒だから、そんな考えになるってことが、まったく想定されていない。 和田 おっしゃる通りで、「共感脳」の人たちというのは、世の中の暗黙のルールみたいなものにわりと素直に順応できちゃう。「システム化脳」のとんがった考え方っていうか、「世の中にはこんな風な仕組みがあるはずだ」とか、「この考え方はおかしい」とかって思っている人のことを、わからないんだと思うんだけど』、「人間の脳には「2つの脳」のパターンがあるとされています。1つが「共感脳」っていって、他人とうまくコミュニケーションをとったり、合わせたり、人の気持ちがわかるの。もう1つが「システム化脳」っていって、何かあったときに「システムがどんな風な仕組みになっているのか」ばかり興味を持ってしまう脳。 「共感脳」が全然ダメで、「システム化脳」がすごい人たちが自閉症になるらしいのね。でも、そういう人たちの方が天才として活躍する。両方の脳を持っている人もごく稀にいるんだけども、多くの人は「共感脳」で、言ってみれば日本的、文系的な人たちです・・・「共感脳」の人たちというのは、世の中の暗黙のルールみたいなものにわりと素直に順応できちゃう。「システム化脳」のとんがった考え方っていうか、「世の中にはこんな風な仕組みがあるはずだ」とか、「この考え方はおかしい」とかって思っている人のことを、わからないんだと思うんだけど」、その通りだ。
・『「頭が固い医者」が生まれる理由 和田 だけど例えば全国に82の国公立の医学部があってね、医学部の中で「入試面接」をやらない学校がなくなっちゃったんですよ。そうすると医者でも、「共感脳」の人たちがすごい多くなるんですね。彼らはこれが正しいと決めたら「血圧下げろ」だの、「塩分摂るな」だの、何でもかんでも決めてかかってくる。 堀江 じゃあ、「システム化脳」の人たちどこに行ってるんですか? 和田 僕がYouTubeで見た限りでは、東大の理3の面接で落とされた子は、慶應に受かったって言っていましたね。 堀江 東大理3に面接で落とされるって結構辛いですね。 和田 辛いでしょう。(試験は)合格者の最低点の20点ぐらい上だったって、その子が言ってたけど。 堀江 それ超ヤバいっすね。 第二回『堀江貴文×和田秀樹が語る「情報との正しいつきあい方」…なぜ日本人は“まともじゃない医者”を信じるのか?』に続く』、「医学部の中で「入試面接」をやらない学校がなくなっちゃったんですよ。そうすると医者でも、「共感脳」の人たちがすごい多くなるんですね。彼らはこれが正しいと決めたら「血圧下げろ」だの、「塩分摂るな」だの、何でもかんでも決めてかかってくる。 堀江 じゃあ、「システム化脳」の人たちどこに行ってるんですか? 和田 僕がYouTubeで見た限りでは、東大の理3の面接で落とされた子は、慶應に受かったって言っていましたね」、なるほど。
第四に、この続きを、4月2日付け現代ビジネスが掲載した「堀江貴文×和田秀樹が語る「情報との正しいつきあい方」…なぜ日本人は“まともじゃない医者”を信じるのか?」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108097?imp=0
・『経営者と医者──それぞれの視点から「医療と健康」について分析した書籍がいま話題を呼んでいる。堀江貴文の『不老不死の研究』と、2022年に最も売れた本となった和田秀樹の『80歳の壁』、そして今年1月に発売し、たちまち10万部を突破した『ぼけの壁』だ。 「堀江貴文 ホリエモン」チャンネルにて実現した、堀江氏と和田氏の特別対談。その模様を、一部編集のうえお届けする(第二回)。 第一回『「本当の天才」は東大理三に面接で落ちる…ホリエモン×和田秀樹が日本の教育を斬る!』、興味深そうだ。
・『「文字が読めない人」がたくさんいる 堀江 脳の問題の何が難しいかって言うと、見た目でわからないんですよ。例えば「境界性知能」の人っていうのが、結構いるんですよね。ちょっと前ぐらいにTwitterとかで話題になっていたと思うんですけど。 要はIQ60以下とかの人たちの“ちょっと上”ぐらい。IQ85~60ぐらいの人たちが「境界性知能」って言われていて、障害者手帳ももらえないし、知的障害とも認定されないので、普通に社会で生活しているんです。知的障害は1%ぐらいしかいないらしいんですけど、境界性知能は10%以上いるらしくて。 和田 あぁ、ほんとに。 堀江 だから、クラスに1人は絶対いる。2、3人いる。 和田 いますね。 堀江 で、この人たちって、わからないんですよ。見た目は普通だから。だけどよく見るとすごい髭の剃り残しがあったりとか……。 和田 なるほど。まあよく言いますよね。ほら、少年犯罪をやった人たちには比較的そういう人たちが多いらしくて。ハサミが使えないとかさ、実は知的な問題が見過ごされているっていう解説を書いたことがあるんだけど。 堀江 もちろん犯罪に走る人たちもそういう人たちが実はめちゃくちゃ多いですし、僕は実際に刑務所にいたので、(境界性知能の人たちが)いっぱいいましたよ。 でも、それわからないじゃないですか。一見すると普通に喋れるし。その「境界性知能」はともかくとして、僕が最近ここ2~3年で一番衝撃だったのは、文字が読めない人が相当いるということです。だからここをどうするか問題っていうのは結構あって』、「堀江 もちろん犯罪に走る人たちもそういう人たちが実はめちゃくちゃ多いですし、僕は実際に刑務所にいたので、(境界性知能の人たちが)いっぱいいましたよ。 でも、それわからないじゃないですか。一見すると普通に喋れるし。その「境界性知能」はともかくとして、僕が最近ここ2~3年で一番衝撃だったのは、文字が読めない人が相当いるということです。だからここをどうするか問題っていうのは結構あって」、なるほど。
・『医師国家試験の教材×米倉涼子 堀江 「IT革命」の本質って、誰でも、どんな情報にも触れられるようになったということだと思うんです。要は貧しい人だって、スマホを持っていればどんな情報にも触れられるわけじゃないですか。だけど、教育システムがそれを前提とされていないから、結局そこにはアクセスしないわけですね。むしろ「スマホなんて持つなよ」って言われるわけじゃないですか。公立の高校、中学とか小学校に通っていたら。 和田 医学系の予備校とかで年間1000万とか2000万とか取られるとこがあるんだけど、そういうとこに限ってさ「こいつを浪人させた方がまた2000万取れる」とかって思っていい加減な手抜き教育をする。けどさ、例えば受験テクニックの本を600円で買えば、読んでない子よりは勝っちゃうみたいなことが起こり得るんですよね。 堀江 まあそれはそうでしょうね。僕は別に医学部行ったわけじゃないですけど、別の事業で「自動車学校のコンサル」をやっていて。CGを使っためちゃくちゃ面白いビデオ教材を作ったんですよ。そういう流れの中で、医学部の医師国家試験予備校の教材をつくろうよっていう話をしていて。 和田 それはいいアイディアだと思います。 堀江 しかもそれを「米倉涼子」にやらせようみたいな話をしていて。米倉涼子が、全部台本あるんですけど、講義をするわけですよ。みんな聞くじゃないですか、喋りは上手いし。それで色々調べたら(国家試験には)「ドボン問題」があるんですよね? 和田 ああ、ありますね』、「国家試験には)「ドボン問題」があるんですよね?・・・間違えたら絶対落ちる問題ってあるんですよね。 和田 導入されたんでしょうね。こんなことも知らないで医者にしちゃいけないって」、なるほど。
・『「まともじゃない医者」に騙されないために 堀江 間違えたら絶対落ちる問題ってあるんですよね。 和田 導入されたんでしょうね。こんなことも知らないで医者にしちゃいけないって。 堀江 そうそう。たまにすごい優秀な人でも、ドボン問題で間違えて落ちたりするみたいですけど、要はそういう要点だけを教える予備校があるんですよね。そのテキストだけ読んでれば、頭いいやつだったら絶対受かるよねみたいな。 和田 そうだと思いますよ。 堀江 そういう「勘所」みたいなものは、すべてにおいて存在する。 僕は「情報の民主化」っていうのは、それを活用するかしないかでめちゃくちゃ差がつくということなんですよ。それを分かっている人と、分かってない人がいて。僕も『不老不死の研究』という本を出しているんですけど、読まないんですよ、みんな。 和田 こういう本を読まないからさ、結局医者の言いなりになっているわけじゃないですか。 堀江 そうですよ。僕の友だちでも医者がいっぱいいるんですけど「まともな人」と「まともじゃない人」がいるんですよ。まともじゃないやつって、本当にまともじゃないから。でも、僕のいうことよりその人のいうことを信じるんですよ』、「(堀江)僕は「情報の民主化」っていうのは、それを活用するかしないかでめちゃくちゃ差がつくということなんですよ。それを分かっている人と、分かってない人がいて。僕も『不老不死の研究』という本を出しているんですけど、読まないんですよ、みんな。 和田 こういう本を読まないからさ、結局医者の言いなりになっているわけじゃないですか」、『不老不死の研究』を読むつもりはないが、「医者の言いなりに」なるつもりもない。「情報の民主化」は十分に「活用する」つもりだ。
タグ:発達障害 (その5)(ベゾスやマスクが社会性は低いのに成功した理由 注目の発達障害「グレーゾーン」、「ADHDは薬が効くのに見逃されている」発達障害治療の第一人者が訴える大問題、「本当の天才」は東大理三に面接で落ちる…ホリエモン×和田秀樹が日本の教育を斬る!、堀江貴文×和田秀樹が語る「情報との正しいつきあい方」…なぜ日本人は“まともじゃない医者”を信じるのか?) ダイヤモンド・オンライン 岡田尊司氏による「ベゾスやマスクが社会性は低いのに成功した理由、注目の発達障害「グレーゾーン」」 岡田尊司『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』 「人間の脳には、共感(empathy)を得意とするEタイプと、システム(system)思考を得意とするSタイプがあり、自閉症は極端なSタイプで、共感が極度に苦手であると考えた。 コーエンによると、ルールや同一性へのこだわりも、システムで考えるのを好み、同じ規則を求めようとするためだということになる。 システム思考を好み、ものごとを一つのルールや法則で理解したがる傾向は、グレーゾーンから健常レベルの人に至るまで、Sタイプに属する人たちの重要な特徴と言えるだろう」、なるほど。 「何かに熱中するとほかのことが目に入らなくなる傾向は、幼稚園児だったころから顕著だったようだ。 公園の池に浮かんだ足こぎのボートに乗ったときも、ほかの子は母親に手を振っていたのに、ベゾスは、ボートが動く仕組みを知ろうと、そちらに夢中で、母親のほうなど一顧だにしなかった。何かをやり出すと、やめさせて次のことに切り換えさせるのが至難の業で、仕方なく幼稚園の先生は、椅子ごと彼を移動させていたという・・・ あるとき祖母を泣かせてしまったことがあった。喫煙による死亡率の上昇に警鐘を鳴らす公共広告を見ていたジェフは、自分で計算して、喫煙している祖母の寿命が9年短くなるという答えを導き出し、それを祖母に告げたのだ。祖母は泣き出したが、無理もなかった。祖母は肺ガンにかかってもう何年も闘病中だったのだ。) 彼の計算結果は正しかったかもしれないが、それが祖母を傷つけることには、彼は無頓着だった・・・ ベゾスのある部下は、彼の思考や行動が、極めて論理的で、「どのようなことでも体系的に(システマティックに)対処する」という特徴があることを指摘している」、なるほど。 「1イーロン少年は白昼夢に耽りながら、視覚統合の能力をフル活用するようになっていたのだ。視覚統合は、現実にはないものをイメージし、思考を展開する能力でもある・・・日10時間読書に没頭することも珍しくなかったし、週末には必ず2冊の本を1日で読破していたという。学校の図書館の本を読み尽くして、読むものがなくなったため、ブリタニカ百科事典を読み耽った。 小学生の間に、2つのシリーズの百科事典を読破していたイーロンは、「歩く百科事典」と言われるほどのもの知り少年になっていた・・・高い知覚統合の能力をもってしても、父親から受けた愛情のない仕打ちを乗り越えることは、イーロン・マスクにとっても容易ではなかったということだろうか。 しかし、その満たされない思いを、宇宙に対する野心へと昇華させたマスクは、大事業を着々と進めていくのである」、不幸な生い立ちを人生の肥やしにしていったのは、大したものだ。 岩波 明 「「ADHDは薬が効くのに見逃されている」発達障害治療の第一人者が訴える大問題」 「誤診によって適切な投薬がされていないケースが数多く見られ、最も多いのは同じ発達障害の一種で、アスペルガー症候群などを含む「ASD(自閉症スぺクトラム障害)」と誤診されているケースです」、なるほど。 「大家”といわれる医師でも、ADHDをASDと誤診してしまうケースが多々存在しています。 (ADHDとASDの特徴 リンク先参照) なぜ権威も間違うのか。これは、児童精神医療の分野が伝統として重度の自閉症をメインに扱ってきた歴史的背景から、診断にバイアスが生じ、発達障害に関連する症状があれば真っ先にASDを考える傾向があるためです・・・一見ASDのように見える子供が、ADHDの薬物治療を行うと見違えるように復活して、進学校や名門大学に合格するケースも複数見てきました・・・ 薬が効かない症例の多い精神科領域で、ADHDをしっかり診断して適切な投薬に導くことが極めて重要なのです」、なるほど。 「個人的には、本邦で保険適用されているADHD治療薬4剤のうち、6歳以上18歳未満への処方に限られている「ビバンセ」(・・・)の適応を成人に拡大することが必要であると考えています」、なるほど。 現代ビジネス 堀江 貴文氏と和田 秀樹氏の対談「「本当の天才」は東大理三に面接で落ちる…ホリエモン×和田秀樹が日本の教育を斬る!」 「和田 もともとADHDの気がすごく強くて「立ち歩き」したから、親がすごく心配して。授業を座って聞いていられない生徒でした。いまだったら、まず間違いなしにADHDで「特別支援学級にいきなさい」みたいになっていたかもしれないですけど・・・和田 いまの学校のシステムは、僕もおかしいと思う。僕なんか特に「発達障害」で、みんなと一緒にしてられない人たちだから。 堀江 僕はそれ、障害じゃないと思うんですけどね」、確かに何を「障害」と考えるかは、幅がありそうだ。 「人間の脳には「2つの脳」のパターンがあるとされています。1つが「共感脳」っていって、他人とうまくコミュニケーションをとったり、合わせたり、人の気持ちがわかるの。もう1つが「システム化脳」っていって、何かあったときに「システムがどんな風な仕組みになっているのか」ばかり興味を持ってしまう脳。 「共感脳」が全然ダメで、「システム化脳」がすごい人たちが自閉症になるらしいのね。でも、そういう人たちの方が天才として活躍する。両方の脳を持っている人もごく稀にいるんだけども、多くの人は「共感脳」で、言ってみれば日本的、 文系的な人たちです・・・「共感脳」の人たちというのは、世の中の暗黙のルールみたいなものにわりと素直に順応できちゃう。「システム化脳」のとんがった考え方っていうか、「世の中にはこんな風な仕組みがあるはずだ」とか、「この考え方はおかしい」とかって思っている人のことを、わからないんだと思うんだけど」、その通りだ。 「医学部の中で「入試面接」をやらない学校がなくなっちゃったんですよ。そうすると医者でも、「共感脳」の人たちがすごい多くなるんですね。彼らはこれが正しいと決めたら「血圧下げろ」だの、「塩分摂るな」だの、何でもかんでも決めてかかってくる。 堀江 じゃあ、「システム化脳」の人たちどこに行ってるんですか? 和田 僕がYouTubeで見た限りでは、東大の理3の面接で落とされた子は、慶應に受かったって言っていましたね」、なるほど。 「堀江貴文×和田秀樹が語る「情報との正しいつきあい方」…なぜ日本人は“まともじゃない医者”を信じるのか?」 「堀江 もちろん犯罪に走る人たちもそういう人たちが実はめちゃくちゃ多いですし、僕は実際に刑務所にいたので、(境界性知能の人たちが)いっぱいいましたよ。 でも、それわからないじゃないですか。一見すると普通に喋れるし。その「境界性知能」はともかくとして、僕が最近ここ2~3年で一番衝撃だったのは、文字が読めない人が相当いるということです。だからここをどうするか問題っていうのは結構あって」、なるほど。 「国家試験には)「ドボン問題」があるんですよね?・・・間違えたら絶対落ちる問題ってあるんですよね。 和田 導入されたんでしょうね。こんなことも知らないで医者にしちゃいけないって」、なるほど。 「(堀江)僕は「情報の民主化」っていうのは、それを活用するかしないかでめちゃくちゃ差がつくということなんですよ。それを分かっている人と、分かってない人がいて。僕も『不老不死の研究』という本を出しているんですけど、読まないんですよ、みんな。 和田 こういう本を読まないからさ、結局医者の言いなりになっているわけじゃないですか」、 『不老不死の研究』を読むつもりはないが、「医者の言いなりに」なるつもりもない。「情報の民主化」は十分に「活用する」つもりだ。
発達障害(その4)(発達障害と知的障害 「IQ70以上」が生きづらいのはなぜか?、不登校といじめの裏に発達障害 なぜ「IQ130」を喜べないのか?、発達障害は海外赴任で治る? 狩猟採集社会ならばむしろ有利) [生活]
発達障害については、2022年4月17日に取上げた。今日は、(その4)(発達障害と知的障害 「IQ70以上」が生きづらいのはなぜか?、不登校といじめの裏に発達障害 なぜ「IQ130」を喜べないのか?、発達障害は海外赴任で治る? 狩猟採集社会ならばむしろ有利)である。
先ずは、2022年6月10日付け日経ビジネスオンラインが掲載したフリーランス編集者・ライターの黒坂 真由子氏による「発達障害と知的障害 「IQ70以上」が生きづらいのはなぜか?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00369/052700021/
・『「発達障害のリアル」を、自身も発達障害(学習障害)の息子を育てるフリーランス編集者・ライターの私(黒坂真由子)が模索する本連載。 発達障害に対応するとき、直視せざるを得ないのが、知的障害の有無だ。 「発達障害に知的障害が伴うかどうかで、生じる課題や対応策は違ってくる」。こう指摘するのは、立命館大学教授で医学博士、臨床心理士でもある宮口幸治氏。『ケーキの切れない非行少年たち』『どうしても頑張れない人たち』(ともに新潮新書)などの著作でも知られる。 『ケーキの切れない非行少年たち』は、発達障害の問題を取り上げた本として読まれることも多いが、この本で宮口氏が本当に問題視しているのは「気づかれない境界知能と軽度知的障害」なのだという。 発達障害と知的障害は、どのような関係にあるのか。知的障害があるかどうかで、発達障害への対応はどう変わるのか。見過ごされやすいという「境界知能」と「軽度知的障害」の問題と絡めて尋ねた。(Qは聞き手の質問) Q:先生は著書『ケーキの切れない非行少年たち』で、発達障害や知的障害のある子どもたちの存在について、社会に問題を投げかけておられます。 宮口幸治氏(以下、宮口氏):いえ、それが違うのです。誤解している方が多いのですが、あの本で私が問題にしているのは「発達障害」というより、「気づかれない境界知能と軽度知的障害」なのです。 Q :そうだったのですか。では、先生が問題とされている「気づかれない境界知能と軽度知的障害」とは何でしょうか。定義から教えていただけますか? 宮口:まず「知的障害」の定義を確認しましょう』、「先生が問題とされている「気づかれない境界知能と軽度知的障害」とは何でしょうか。定義から教えていただけますか? 宮口:まず「知的障害」の定義を確認しましょう」、なるほど。
・『「知的障害」の認定基準が厳しくなった 宮口:知的障害の障害認定基準は、都道府県によって多少の違いはありますが、今はだいたい「IQ(知能指数)70未満」で、「IQ75未満」とするところも一部あります。さらに日常生活における援助の必要が認められると「知的障害」と判断されます。 知的障害と障害認定されれば、障害者手帳(療育手帳)がとれますね(療育手帳については、「なぜ『発達障害で障害者手帳を取ることに損はない』のか?」で取り上げた)。 宮口:はい。そして「IQ70未満」の知的障害のうち、だいたい「IQ50~70」が「軽度知的障害」です。 Q:なるほど、知的障害のなかでは相対的にIQが高いから「軽度」の知的障害、ということですか。でも、日常生活に支障がなければ、知的障害とは判断されないのですよね。IQだけで決まるものではないのですね。 宮口:ええ。不登校になったり、勤め続けられなかったり、対人関係がうまくいかなかったり、何らかの社会的な障害があって、初めて知的障害と診断されます。ですからIQ65でも、普通に社会で生活できている人に「あなたは知的障害ですよ」という必要はないわけです。それは発達障害と同じです。社会での生きにくさがプラスされて、初めて診断がつきます。 Q: IQと社会的な生きづらさと、両方の基準を満たすことが必要なんですね。 宮口:逆にいえば、原則としてIQが70、もしくは75以上あると、どんなに社会的な障害を感じていても知的障害とはされない。それが一般的な診断基準です。しかし、そこでスパッと切ってしまうのが問題なのです。 実は、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のもので、それ以前には「IQ85未満」とされていた時期もあるのです。この2つの基準の境となる「IQ70~85」に該当する部分は「境界知能」と位置付けられています。一般に「グレーゾーン」と呼ばれることもあります。かつては知的障害とされていた時期があったのに、今は障害とされなくなったのが境界知能です。 次のグラフをご覧いただければ、分かりやすいと思います。) Q: 薄い網掛け部分が境界知能となるわけですね。結構多いように感じられますが。 宮口:IQだけで判断すると統計上14%いることになります。単純に数字だけで考えれば、35人クラスのなかに5人は境界知能の子がいることになります。日本の人口に当てはめると約1700万人。 Q: 思いのほか多いのですね。発達障害との関係は、どうなのでしょうか。境界知能や知的障害は、発達障害とどう違うのでしょうか? 宮口:発達障害というのは発達に凸凹があるイメージですよね。いろいろな能力のなかに、ほかの能力と比べて、著しく高いものや低いものがある。それに対して知的障害は全体的に低いというイメージです。発達がゆっくりしていると考えるといいかもしれません。どこかの能力が欠けているのではなく、全体的にゆっくり成長する。例えば、IQ60の10歳児であれば、精神年齢は6歳くらいです。そしてそのゆっくりとした成長が12歳くらいの水準で止まるというのが、軽度知的障害です。ただ、絶対に12歳で止まるかというとそうでもなく、介入次第で伸ばせるところはあります。 発達障害との違いは、この図を見ると分かりやすいかもしれません。 (図はリンク先参照) Q: なるほど、発達障害の子どもには、知能が正常域にある子もいれば、境界知能の子も知的障害の子もいるし、逆に知能が平均より高い子もいる、ということですね。一口に「発達障害の子」といっても、それぞれの子どもの特性や課題は千差万別ですが、そんな個々人の違いの大きさにも関係していそうです。 宮口:この図からは、境界知能の子が、支援の枠から外れやすいことも分かります。 Q: 知的障害(①)と診断された子どもは、療育手帳がとれれば福祉サービスを受けることができる。けれど、境界知能(③)では、手帳はとれません。ただし今は、発達障害(②)で障害者手帳をとることもできますよね(発達障害が障害者手帳=主に「精神障害者保健福祉手帳」=をとる条件などについては「なぜ『発達障害で障害者手帳を取ることに損はない』のか?」で取り上げた)。 Q:宮口:そこで問題なのが、発達障害ではない境界知能の子どもたち(③)です、知的障害の子が受けられる支援と発達障害の子が受けられる支援の両方から漏れてしまいます。そこをなんとかしないといけないと思ったのが、現在の活動のきっかけとなりました』、「そこで問題なのが、発達障害ではない境界知能の子どもたち(③)です、知的障害の子が受けられる支援と発達障害の子が受けられる支援の両方から漏れてしまいます。そこをなんとかしないといけないと思ったのが、現在の活動のきっかけとなりました」、なるほど。
・『医療少年院で初めて認識したのはなぜか? 宮口先生が、「気づかれない境界知能や軽度知的障害」に課題意識を抱いたきっかけを教えてください。 宮口:私はもともと、公立の精神科の病院で児童精神科医として働いていました。発達外来、児童思春期外来などが専門で、患者さんのほとんどが発達障害のお子さんでした。自閉症(*)が多く、ADHD(*)のお子さんもいました。ですから私のなかでの「困っている子ども」のイメージは、もっぱら発達障害だったのです。その後、さまざまな経緯があり、医療少年院で働くことになったのですが、そこで問題になっていたのは知的障害でした。軽度知的障害や境界知能の子たちが多くいたのです。病院ではあまり見ることのなかった知的障害の子どもたちの課題を、医療少年院で初めて認識したのです。 *自閉症:自閉スペクトラム症、ASD(Autism Spectrum Disorder) *ADHD:注意欠如・多動症、Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Q: 病院では知的障害の子にはあまり出会わなかった。それはなぜですか? 宮口:知的障害だけだと福祉と教育の問題になり、医療は関係しないんですね。しかし、医療少年院に行ってみると、境界知能や軽度知的障害の子が多くいて、知能の問題が一つのきっかけで非行に走り、犯罪の加害者になっていることを知りました。これが子どもの生きづらさや困難を語る上で避けて通れない問題なのだと気づいたのです。 Q: 発達障害に知的障害が伴うかどうかで、生じる課題や対応策は大きく違ってくるのでしょうか? 宮口:やはり違います。知的障害を伴う場合は、まず知的障害に対応することが必要です。 Q: 発達障害のところだけを見てもうまくいかないと。 宮口:そうですね。発達障害の特徴よりも、知的障害の程度がどうかというところが非常に重要になるからです。社会的な生活を送る上での困りごとは、知的な障害から生じる部分がほとんどです。発達障害でも、IQが高ければ、今の社会を生き抜いていく方法は結構あります。けれど知的な能力が低いと、それだけで生きにくさが増えてしまいます。知的障害の程度を知ることは重要です』、「原則としてIQが70、もしくは75以上あると、どんなに社会的な障害を感じていても知的障害とはされない。それが一般的な診断基準です。しかし、そこでスパッと切ってしまうのが問題なのです。 実は、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のもので、それ以前には「IQ85未満」とされていた時期もあるのです。この2つの基準の境となる「IQ70~85」に該当する部分は「境界知能」と位置付けられています。一般に「グレーゾーン」と呼ばれることもあります。かつては知的障害とされていた時期があったのに、今は障害とされなくなったのが境界知能です・・・社会的な生活を送る上での困りごとは、知的な障害から生じる部分がほとんどです。発達障害でも、IQが高ければ、今の社会を生き抜いていく方法は結構あります。けれど知的な能力が低いと、それだけで生きにくさが増えてしまいます。知的障害の程度を知ることは重要です」、なるほど。
・『厚労省が把握する知的障害者は少ない? 知的障害の診断は、どこで受けるのでしょうか? 一斉テストとかないですよね? 宮口:ありません。知的障害に関しては、困ったことがあって初めて児童相談所や病院などで発達検査を受けるといったことになります。困りごとが浮かんでこなければ気づかれないままです。知能指数は正規分布ですから、統計的には人口の約2%の人がIQ70未満に該当し、知的障害の可能性を持つはずです。しかし、厚生労働省が把握している知的障害者は1%未満です。2000年代まで遡ると0.5%もいませんでした。それだけの人が支援の枠から漏れてしまっているのです。 つまり、日本の人口の1%以上を占める人たちが、IQ70未満なのに知的障害と診断されていない。いい見方をすれば、社会のなかでうまくやれている人が多いのかもしれないし、悪く考えれば、気づかれないまま困っている人が多いのかもしれない。 宮口:その通りです。 Q: 境界知能の人を含めたら、困っている人はもっと多い可能性がありますね。 宮口:そもそも「境界知能というものがある」ということが、ほとんど知られていませんから。 確かに私も「知的障害かそうじゃないか」という考え方をしていました。私のように「AかBか」みたいな考えをしている人の周りでは、「知的障害じゃないなら、普通にできるはず」と判断されて、苦しんでいる人が多いかもしれません。 宮口:知的障害があっても気づかれずに療育手帳もなければ、普通だと思われているわけです。本人が気づいていない場合もあります。「どうして仕事がうまくできないんだろう」「どうして勉強ができないんだろう」と思っていたとしても、それだけで知能検査を受けに行く人など、ほとんどいませんから。 Q: 境界知能や軽度知的障害が気づかれないことで生じる問題には、どのようなものがありますか? 宮口:例えば、冤罪(えんざい)事件が起こり得ます。 境界知能や経度知的障害を見落とすことが、冤罪につながる。それが事実とすれば衝撃的ですが、どういうことなのでしょうか』、「境界知能や経度知的障害を見落とすことが、冤罪につながる。それが事実とすれば衝撃的ですが、どういうことなのでしょうか」、次の記事が残念ながら見つからなかったのをお詫びしたい。
次に、2023年1月6日付け日経ビジネスオンラインが掲載したフリーランス編集者・ライターの黒坂 真由子氏による「不登校といじめの裏に発達障害 なぜ「IQ130」を喜べないのか?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00369/120700035/
・『「発達障害のリアル」を、自身も発達障害(学習障害)の息子を育てるフリーランス編集者・ライターの私(黒坂真由子)が模索する本連載。 不登校が急増している。文部科学省の調査によると、小・中学校の不登校児童・生徒の数は、2022年度、前年比24.9%増え、在籍児童・生徒の2.6%を占める。 「不登校の原因として大きいのは、学習の困難。学習障害をはじめとする発達障害の存在を見逃してはいけない」と指摘するのは、東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)シニアリサーチフェローの中邑賢龍氏だ。 中邑氏は、今の教育の仕組みを抜本的に変えるべきだと提言する。例えば……。 「漢字を鉛筆で書ける必要があるのか? キーボードで打てればいい」 「算数のテストで計算機を使ってもいいのではないか?」 「英語を全員が全員、学ばなくてもいいのではないか?」 さらに今、盛り上がりを見せる「ギフテッド(突出した才能を持つ子)」教育にも、警鐘を鳴らす。前回(「発達障害の子はイノベーションを生むか? 『家出』を教える理由」)に引き続き、中邑氏に話を聞く。 Q:不登校の子どもは増え続けています。文部科学省の調査(「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)によると、令和3年度(2021年度)、小・中学校の不登校児童・生徒の数は24万4940人で過去最高。前年度と比べて24.9%増加し、在籍児童・生徒に占める割合は約2.6%になります。 中邑先生が不登校傾向のある子ども約800人を調査したところ、1年以上勉強が遅れている子どもの80%に「書きの困難」が疑われるとご著書(『育てにくい子は、挑発して伸ばす』)にありました。これは「書けない」ことで学校に行きにくくなる子が多いということでしょうか。 中邑賢龍氏(以下、中邑):当然です。内容がわかっていても、文字に書けなければ、学校での評価は低くなりますから。 この連載でこれまで、学習障害(*)や発達性読み書き障害(*)などについて取材をしてきて、「不登校の背景に、学習障害の問題がある」という話に触れたことはありませんでした。 * 学習障害:知能が正常だとしても、学校の勉強に関連する能力に困難があることを一般に指す(詳しくは、「読み書きが苦手な『発達障害』はクラスに3人 知能と違う課題」参照)。「LD (Specific Learning Disorder)」「限局性学習症」とも呼ばれる。 * 発達性読み書き障害:学習障害のなかで、文字を読むことや書くことに困難があるケースを指す。学習障害のなかで現実に問題になることが特に多いとされる。 中邑:それには理由があるんです』、「不登校の背景に、学習障害の問題がある」、なるほど。
・『不登校と学習障害の深い関係 中邑:文部科学省のなかで、調査をしている部署が違うんですね。不登校は初等中等教育局の「児童生徒課」、学習障害だったら「特別支援教育課」といった具合に、別のセクションが担当していて、基本的に縦割りなんです。 別々に調査をしているために、背景がわかりにくくなっているのです。不登校の調査のなかに、学習障害の問題が入っていない。それは「ほかの課」のことだからです。不登校は生徒指導の問題、学習障害は特別支援の問題と、切り分けられています。私は「調査の枠組みを変えよう」と、何度も提言してきたのですが、一朝一夕には変わりません。 Q:不登校と学習障害は、別の事柄として扱われている。 中邑:でも、調べてみれば明らかに関係しているんですよ。不登校の原因がいじめだと思っている人も多いのですが、いじめは必ずしも直接の原因ではありません。文字が書けない、勉強ができない結果として、いじめが起きていることもあるんです。いじめの前に、読み書きの問題や学習障害があるのにそれを見逃している。縦割りの調査では見えてこないんです。 Q:ということは、学習障害がある子を早期に発見してサポートすれば、不登校の子が減る可能性があるということですよね。 中邑:減りますよ、きっと。 Q: 国の体制が変わることを期待したいところですが、子どもは日々成長していきます。学習障害の子を早期に見つけるために、今、できることはありますか? 中邑:現場の先生に期待したいです。特に低学年の担任の先生です。一番簡単なのは、漢字の書き取りの宿題に「何分かかったか」を書く欄をつくっておくことです。かかった時間を書いてもらうだけです。するとだいたいの平均がわかります。そのなかに、みんながだいたい10分で終わっている宿題に、30分や1時間かかっている子がいるはずです。 Q:それで「書きの困難」がわかるんですね。これは学習障害かもしれない、と。 中邑:何より子どもがしんどい、ということがわかります。そういう子がいたら、「書き取りは1文字10回じゃなく、3回でいい」というふうに宿題を変えればいい。量を減らすのです。ムリにほかの子と同じようにさせようとすると、心に傷を残したり、勉強や学校が嫌いになったりする恐れがあります。それをまず防ぐ。宿題のコントロールは重要です。 ほかにも現場の工夫でできることは、いろいろとあります』、「文部科学省のなかで、調査をしている部署が違うんですね。不登校は初等中等教育局の「児童生徒課」、学習障害だったら「特別支援教育課」といった具合に、別のセクションが担当していて、基本的に縦割りなんです。 別々に調査をしているために、背景がわかりにくくなっているのです。不登校の調査のなかに、学習障害の問題が入っていない。それは「ほかの課」のことだからです。不登校は生徒指導の問題、学習障害は特別支援の問題と、切り分けられています。私は「調査の枠組みを変えよう」と、何度も提言してきたのですが、一朝一夕には変わりません」、セクショナリズムの典型だ。この当時から存在したとは驚かされた。
・『なぜ、テストで計算機を使わせるべきか? 中邑:例えば、テスト。学校では普段、問題用紙を配ってテストをしますよね。それだと子どもたちは、問題を解く前に、問題を「読む」必要があって、読むのが苦手な子は不利になります。そこで、「今日のテストは先生が問題を読むよ」と、音読のサポートをつけてテストをします。音読のサポートがあるときだけ点数が上がる子がいたら、その子は「読み」に困難があるということがわかります。算数の計算も同じです。「今日のテストは電卓を使っていいよ」ということにしたときに成績が上がる子は、「計算」が苦手なんだということがわかる。 Q:ちょっとした工夫で、特定の分野に苦手を持っている子を見つけることができるのですね。 中邑:子どもの答案を注意深く見るだけでも、わかることがあります。平仮名ばかりで書く子がいますから。それはやっぱり、書くのが苦手なんですね。そういった先生の注意や工夫によって、子どもの読み書きや計算の困難を見つける方法はいくらでもあるんです。 Q:小学校低学年の先生の力が必要ということですね。発達性読み書き障害を研究する宇野彰先生は、読み書きの困難を見つけるタイミングとして重要なのは「小学校1年生の夏」だとおっしゃっていました(「発達障害と読み書き なぜ『小学1年生の夏』が大事なのか?」参照)。 中邑:ええ。今は現場に知識を持った先生方が増えてきました。希望は持てます。読み書きが苦手な子を小学校の低学年のうちに見つけなくてはならないのは、アウトプットをする練習を積むためです。 Q: アウトプットをする練習、ですか』、「読み書きが苦手な子を小学校の低学年のうちに見つけなくてはならないのは、アウトプットをする練習を積むためです」、なるほど。
・『鉛筆で書かずとも、作文はできる 中邑:心のなかにあるものを吐き出して、それを構成し、文章にする。そういう練習をしなければなりません。小学校の授業では「鉛筆で書く」という方法で練習しますが、鉛筆で書くのが苦手な子は、なんらかのテクノロジーを利用して練習をしておいたほうがいい。スマホを渡して、親御さんとテキストメッセージのやり取りをするだけでもいいんです。 Q:それだけでいいんですか? 中邑:いいんです。書くことの意味を知ることができますから。しゃべることと書くことって違うでしょ? 頭のなかにあるモヤモヤしたものを、テキストとしてアウトプットすることは、話すこととは違うスキルなので、別の練習が必要なんです。 Q: 先生のお話を聞いて、発達性読み書き障害を持つ息子が、初めてパソコンで日記を書いたときのことを思い出しました。それまで書いていた作文は、本当にそっけなくて、「運動会がありました。楽しかったです。以上」みたいなものしか見たことがなかったんです。でも、パソコンを使うようなった途端、そのときの状況や感情をちゃんと表現した日記を、普通に書いていて。正直、息子に文章を構成する能力があると思っていなかったんです。ああ、頭のなかには文章があったんだ、と思いました。 中邑:「鉛筆で書く」という行為にリソースを取られすぎて、余力がなくなってしまったんですね。 鉛筆だと書けなくても、パソコンやスマホを使えば、困難を感じずに文章を書ける子はたくさんいます。ただし、小学生のころから、文章をアウトプットする経験を積んでおかないと、文章化のスキルは伸びません。注意しなければいけないのは、鉛筆で書けないために、文章を書くことそのものが面倒になって、文章を組み立てるトレーニングが不十分になってしまうことです。だからこそ、鉛筆で書くことにこだわらず、パソコンでもスマホでも方法はなんでもいいので、自分の頭のなかにあるものを文章として外に出す習慣をつけることが必要なんです。 大人は結局、「子どもを変える」議論ばかりしているんですよ。そうではなくて、子どもたちがそのままでいいように、外部にある仕組みや制度、社会を変えなければならないんです』、「大人は結局、「子どもを変える」議論ばかりしているんですよ。そうではなくて、子どもたちがそのままでいいように、外部にある仕組みや制度、社会を変えなければならないんです」、その通りだ。
・『なぜ、英語必修を「やめたほうがいい」のか? 僕は「英語必修をやめよう」といっています。英語圏では、ディスレクシア(*)が10%ほどいて、日本語圏やスペイン語圏などより高い。英語の読み書きはそもそも難しいということです。そのため、数学が抜群にできる子がいても、英語が必修だと、行きたい高校になかなか行けません。そのために、せっかくの数学の能力を十分に伸ばせない。英語を必修から外し、入試科目から外しやすくすることで、才能のある子がもっと花開いていくはずです。 大学だって、全員が同じ単位で卒業する必要はないでしょう。大学の入試はすでに多様化していて、今なら1科目で受験できる学校も結構あります。けれど、卒業単位はだいたい一律です。そのために、入試で免除された科目が関係する分野ですごく苦労する子たちがいるんです。 なんで子どもばかりが変わらなければいけないのか。大人は子どもに、変わることを当たり前のように求めます。制度に適応し、社会に適応するように変わりなさいと。発達障害の子どもたちなんて、その最たるものです。療育(*)も投薬もいいですが、子どもではなく制度や社会を変えたほうがいいに決まっています。 僕が今働いている「大学」なんて、実にいい環境ですよ。これはあくまで私見ですが、僕の見るかぎり、発達障害の特性を持った人たちがむしろそれを強みとして働いている職場だと感じます。大学で働くようになって生きやすくなったという人は、確実にいるはずです。そんなふうに環境を変えていったほうがいいんです。世の中は今、間違いなくそういう方向に向かっています。追い風が来ていると、勝手ながら思っています。 * ディスレクシア:発達性読み書き障害とほぼ同義で使われる言葉。発達性読み書き障害は診断名だが、ディスレクシアの場合、「読むことに困難がある」という症状を指すのに使われることもある(詳しくは、「読み書きが苦手な『発達障害』はクラスに3人 知能と違う課題」参照)。 * 療育(発達支援):障害やその可能性がある子どもに対しての支援。日常や勉強での困りごとの解決に取り組むだけでなく、将来の社会参加を視野に入れた活動を行う。自治体が運営する児童発達支援センターのほか、民間の教室などがある。 Q:本当ですか? 追い風、来ていますか? 中邑:だって、僕らの社会はこれまで散々、人間を変えようとしてきて、行き詰まっているじゃないですか。だからいいかげん、制度や社会を変える方向に向かうと思うんです。もっと寛容で、緩やかな社会をつくっていかなければならないはずです。 こういった活動をしていて最近気になっているのが、「ギフテッド」の存在です。 Q:突出した才能を持った子どものことですね。このごろ、よく耳にする話題の言葉です。 中邑:「うちの子はギフテッドなんです」と相談にくる親御さんが増えてきていて、それも課題の一つなんです。 Q: なぜそれが「課題」なのですか? 突出した才能を持つギフテッドの子どもが認知されるのは、中邑先生の考え方からすると、いいことではないのでしょうか?』、「僕らの社会はこれまで散々、人間を変えようとしてきて、行き詰まっているじゃないですか。だからいいかげん、制度や社会を変える方向に向かうと思うんです。もっと寛容で、緩やかな社会をつくっていかなければならないはずです」、なるほど。
・『「IQ130ある子ども」をどう見るべきか? 中邑:親御さんが、わが子はギフテッドだと主張する根拠は大抵、知能検査です。東京近郊に住む親御さんなどは、将来の受験のことが早くから頭にあって、幼稚園の時期から塾通いをさせたりしています。そういう塾では、クイズやパズルみたいな問題をたくさんやって、子どもの「知的反射神経」を鍛えるんですね。すると、知能検査が得意になります。知能検査というのは要するに、知的反射神経を試すテストです。だから、IQ(*)が高く出る。 * IQ(Intelligence Quotient):知能指数。知能検査結果の表示法の一つ。指数 100が平均値。 Q: 練習の成果が出る、ということですね。 中邑:慣れてくるんです。知能検査の平均値は100ですが、幼いころから練習している子は、それより高くなります。IQ130くらい、わりと簡単にいっちゃう。そういう子にとって小学校1、2年生の授業は、確かに簡単で、「バカみたい」と感じてしまうのです。子どもはその気持ちを親に伝えます。「簡単すぎてつまんない」と。それで学校とトラブルになって、親が僕のところにやってくるわけです。 Q:うちの子はギフテッドなのに、学校が対応してくれないと。 中邑:「IQが130以上もあって、大変なんです」って、真面目な顔しておっしゃるんですね。僕は「安心してください、お母さん。小学校5年生ぐらいになったら普通の子になりますから」というんですが、ものすごく不快な顔をされる。 失礼な先生だと。 中邑:相談にいらしたのですから、伝えないといけないこともあります。「お母さん、そんなことをいっていると、思春期になったとき、お子さんが荒れるかもしれませんよ」って。そこまでいっても、なかなかわかってもらえません。 実際、「かつてギフテッドだった子ども」との関係が修復不可能なくらいにこじれてから、相談に来る親御さんもいます。子どもだって傷つくんですよ。「普通になった今の自分」に、親ががっかりしているわけですから。ギフテッド教育の弊害は、もっと知られるべきだと思います。 Q: 教育って、本当に難しいですね。 中邑:子どもの特性に合わせて育てるのが一番いいんですよ。 けれど、IQ130のわが子をギフテッドだと主張する親御さんも、それが子どもの特性だと信じているわけですから……。いろんな意味で凸凹があるわが子を育てるときに、親としてできることはなんでしょうか? 中邑:楽しいこと、やりたいことをつくってあげる。趣味でいいですよ。 Q: それを将来の自立につなげていくには、どういうことに気をつければいいですか? 中邑:放っとくのがいいんじゃないかと思います。無責任なようですが、気をつけようがないんですよ。あえて気をつけることを挙げるなら、子どもの心を傷つけないようにする。そして、好きなことができる環境をつくってあげる。 とりあえず勉強する、とりあえず学校へ行かなきゃいけない。そういう価値観から抜け出せるといいですね。野菜作りでも、魚釣りでも、何か好きなことができたなら、素晴らしいじゃないですか。好きなことを見つけて、好きなことを思いっきりやるのが一番です。変わった子が、変わったままで生きられるのが一番。そのためには、子どもではなく社会のほうを変えていく必要があるのです』、「「かつてギフテッドだった子ども」との関係が修復不可能なくらいにこじれてから、相談に来る親御さんもいます。子どもだって傷つくんですよ。「普通になった今の自分」に、親ががっかりしているわけですから。ギフテッド教育の弊害は、もっと知られるべきだと思います・・・好きなことを見つけて、好きなことを思いっきりやるのが一番です。変わった子が、変わったままで生きられるのが一番。そのためには、子どもではなく社会のほうを変えていく必要があるのです」、その通りだ。
第三に、本年1月4日付け日経ビジネスオンラインが掲載したフリーランス編集者のライターの黒坂 真由子氏による「発達障害は海外赴任で治る? 狩猟採集社会ならばむしろ有利」を紹介しよう』、
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00369/121200040/
・『「発達障害のリアル」を、自身も発達障害(学習障害)の息子を育てるフリーランス編集者・ライターの私(黒坂真由子)が模索する本連載。このたび『発達障害大全』として1冊の本にまとめ、発売した。 発達障害は脳の特性であり、「治る」ことはない。けれど、海外赴任した途端に「治った」と感じることがある。医師や専門家などの証言から「環境を変える」ことの重要性が見えてくる。 「発達障害は治らない」という話をしてきました(前回「発達障害に必要なのは『治療』でなく『対応』 仕事選びが大切」参照)。 しかし、実はこの言い方そのものが間違いかもしれません。 なぜかというと、発達障害の人が「障害がある」とされるのは、「今、この場所で生きることに困難を感じている」からです。今ではない時代、ここではないどこかであれば、困難を感じない可能性があります。つまり、障害にはならない時代や場所があるということです。 ベストセラーとなった『スマホ脳』(新潮新書)は、ADHD(*) の特性が、有利に働く時代があったことを指摘しています。 *ADHD:注意欠如多動症。注意・集中力の欠如と多動・衝動性が見られる障害。Attention-Deficit/Hyperactivity Disorderの略称』、「発達障害の人が「障害がある」とされるのは、「今、この場所で生きることに困難を感じている」からです。今ではない時代、ここではないどこかであれば、困難を感じない可能性があります。つまり、障害にはならない時代や場所があるということです」、なるほど。
・『狩猟採集の時代に活躍したADHD 「常に周囲を確認し、異常なほど活発で、すぐに他の事に気を取られる」ような子どもが、現代社会にいれば、教室でじっと座っていられず、「ADHDの診断が下る」はずだと著者のアンデシュ・ハンセン氏はいいます。しかし、狩猟採集社会だったらどうでしょう? 「かつてはそんな性格のおかげで、危険を速やかに避けることができたのだ。茂みの中でカサカサと音を立てているのは、食べられる物かもしれない。すぐに見てみよう!」(『スマホ脳』) そんなADHDの特性のおかげで、生存競争を勝ち抜けたのです。 また、学習障害(*)があったとしても、文字のない社会では問題にはならないかもしれません。 これほど大きな時代の変化でなくても、「小さな自営業が減ると、発達障害は増える」と精神科医の岩波明氏が指摘するように、この数十年だけを考えても、社会は発達障害の人が生きにくい方向へと変化してきました。 *学習障害:「読む」「書く」「計算する」など、学習に関連する特定の能力に困難がある障害。限局性学習症/限局性学習障害、LD、SLD(Specific Learning Disorder)ともいう』、「ADHDの特性のおかげで、生存競争を勝ち抜けたのです。 また、学習障害(*)があったとしても、文字のない社会では問題にはならないかもしれません・・・社会は発達障害の人が生きにくい方向へと変化してきました」、なるほど。
・『発達障害は、日常生活のなかにある 小児科医の高橋孝雄氏は、発達障害の本質を「発達が進むに従って、次第に明らかになってくる日常生活上の困難さ」としています(「『発達障害』でよくある“勘違い” 心配が要らないケースも」参照)。 ADHDの診断を受けている借金玉氏は、それを「生活のなかで生じる具体的な問題」と表現しています(「借金玉さん、発達障害の僕が『治療よりライフハック』と思う理由」参照)。 障害は「現代社会における日常生活」のなかにあります。社会の側の変化が、人に新しい障害を生じさせるともいえます。 このような捉え方は国連総会で採択された「障害者権利条約」にも通じます。障害を個人の心身の特徴としてではなく、取り巻く環境との相互作用で捉える「社会モデル」の考え方です。自分の特徴と社会のミスマッチが起こったとき、それが障害となるわけです。 社会モデルの考え方を知ったとき、正岡子規の『病牀六尺』(岩波書店)のなかにある一節を思い出しました。子規が1902年、新聞「日本」に連載した日記的随筆ですが、こんな記述があります。 「近眼の人は遠方が見えぬこと、すべての物が明瞭に見えぬこと、これだけでも…(中略)…既に半分の知識を失ふて居る。まして近眼者は物を見ることを五月蠅さがる(引用注:うるさがる)やうな傾向が生じて来ては、どうしても知識を得る機会が少くなる」 「なるほど100 年前だと、眼鏡がないと本も読めない近眼の私は、普通に学ぶことはできなかったのか」と思いました。眼鏡がまだ高価だった時代の話です。現在、眼鏡やコンタクトレンズを使う人に、障害があるとされることはありません。社会の変化で、障害の定義が変化した身近な例です。 時間的変化だけでなく、場が変わるだけでも障害にならないことがあります』、「障害は「現代社会における日常生活」のなかにあります。社会の側の変化が、人に新しい障害を生じさせるともいえます。 このような捉え方は国連総会で採択された「障害者権利条約」にも通じます。障害を個人の心身の特徴としてではなく、取り巻く環境との相互作用で捉える「社会モデル」の考え方です。自分の特徴と社会のミスマッチが起こったとき、それが障害となるわけです・・・子規が1902年、新聞「日本」に連載した日記的随筆ですが、こんな記述があります。「近眼の人は遠方が見えぬこと、すべての物が明瞭に見えぬこと、これだけでも…(中略)…既に半分の知識を失ふて居る。まして近眼者は物を見ることを五月蠅さがる(引用注:うるさがる)やうな傾向が生じて来ては、どうしても知識を得る機会が少くなる」 「なるほど100 年前だと、眼鏡がないと本も読めない近眼の私は、普通に学ぶことはできなかったのか」と思いました。眼鏡がまだ高価だった時代の話です。現在、眼鏡やコンタクトレンズを使う人に、障害があるとされることはありません。社会の変化で、障害の定義が変化した身近な例です。 時間的変化だけでなく、場が変わるだけでも障害にならないことがあります」、なるほど。
・『海外赴任で、発達障害が「治る」? ある銀行員の方は、発達障害の特性から、職場でのコミュニケーションに悩んでいました。ところが、米国に赴任になった途端に悩みは「まったくなくなった」といいます。米国社会では、明確な言葉で説明するのが当たり前で、「空気を読む」必要がないからです。 海外まで行かなくとも、集まるメンバーが変わるだけで障害が消えることがあります。発達障害の当事者が集まる「自助グループ」の場であれば、発達障害の特性があっても、あまりコミュニケーションに困りません。このような場で「空気が読めない」とされるのは、むしろ定型発達(*)の人たちです。 *定型発達:発達障害ではない多数派の人々の発達を指す言葉。 当事者の集まりを運営する松本敏治氏(「もしも発達障害が多数派ならば、『普通の人』とはどんな人?」など参照)と横道誠氏(「発達障害を持って生きるのは、エヴァンゲリオンの操縦と似ている」など参照)はいいます。 ASD の人が多数派で、定型発達の人が少数派の世界になったら、定型発達の人たちのほうが「何かおかしい」ということになるでしょう。「なんで、表情を読もうとするの?」「発言で判断したほうが、合理的でしょ」などと。(松本氏) 私たちはよく、「KY(空気が読めない)」といわれますが、自助グループでは逆の現象が起きます。自助グループの集まりでは、発達障害者が多数派です。そこに支援者など定型発達の人が混ざると、定型発達者こそがKYなんです。(横道氏) 発達障害だとされるのは、今、この時代の日本で、多数派のなかで暮らしているから。それが約2年に及ぶインタビューから見えてきたことです。 『発達障害大全 —「脳の個性」について知りたいことすべて』
【大反響・発売前重版】生きづらさを軽くするため、知りたいことすべて — ありそうでなかった「発達障害の教科書」。「日経ビジネス電子版」の人気連載を大幅加筆し書籍化。発達障害の子を育てる編集者・ライターが、各界第一人者の医師、研究者など13人に、あらゆる疑問をぶつけてとことん聞いた。発達障害の解像度が上がる、入門書にして決定版!』、「ある銀行員の方は、発達障害の特性から、職場でのコミュニケーションに悩んでいました。ところが、米国に赴任になった途端に悩みは「まったくなくなった」といいます。米国社会では、明確な言葉で説明するのが当たり前で、「空気を読む」必要がないからです」、「空気を読む」必要がある日本社会特有の病理だ。「ASD(注) の人が多数派で、定型発達の人が少数派の世界になったら、定型発達の人たちのほうが「何かおかしい」ということになるでしょう。「なんで、表情を読もうとするの?」「発言で判断したほうが、合理的でしょ」などと。(松本氏) 私たちはよく、「KY(空気が読めない)」といわれますが、自助グループでは逆の現象が起きます。自助グループの集まりでは、発達障害者が多数派です。そこに支援者など定型発達の人が混ざると、定型発達者こそがKYなんです。(横道氏) 発達障害だとされるのは、今、この時代の日本で、多数派のなかで暮らしているから。それが約2年に及ぶインタビューから見えてきたことです」、「発達障害だとされるのは、今、この時代の日本で、多数派のなかで暮らしているから」、これがエッセンスのようだ。(注)ASD:自閉スペクトラム症。
先ずは、2022年6月10日付け日経ビジネスオンラインが掲載したフリーランス編集者・ライターの黒坂 真由子氏による「発達障害と知的障害 「IQ70以上」が生きづらいのはなぜか?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00369/052700021/
・『「発達障害のリアル」を、自身も発達障害(学習障害)の息子を育てるフリーランス編集者・ライターの私(黒坂真由子)が模索する本連載。 発達障害に対応するとき、直視せざるを得ないのが、知的障害の有無だ。 「発達障害に知的障害が伴うかどうかで、生じる課題や対応策は違ってくる」。こう指摘するのは、立命館大学教授で医学博士、臨床心理士でもある宮口幸治氏。『ケーキの切れない非行少年たち』『どうしても頑張れない人たち』(ともに新潮新書)などの著作でも知られる。 『ケーキの切れない非行少年たち』は、発達障害の問題を取り上げた本として読まれることも多いが、この本で宮口氏が本当に問題視しているのは「気づかれない境界知能と軽度知的障害」なのだという。 発達障害と知的障害は、どのような関係にあるのか。知的障害があるかどうかで、発達障害への対応はどう変わるのか。見過ごされやすいという「境界知能」と「軽度知的障害」の問題と絡めて尋ねた。(Qは聞き手の質問) Q:先生は著書『ケーキの切れない非行少年たち』で、発達障害や知的障害のある子どもたちの存在について、社会に問題を投げかけておられます。 宮口幸治氏(以下、宮口氏):いえ、それが違うのです。誤解している方が多いのですが、あの本で私が問題にしているのは「発達障害」というより、「気づかれない境界知能と軽度知的障害」なのです。 Q :そうだったのですか。では、先生が問題とされている「気づかれない境界知能と軽度知的障害」とは何でしょうか。定義から教えていただけますか? 宮口:まず「知的障害」の定義を確認しましょう』、「先生が問題とされている「気づかれない境界知能と軽度知的障害」とは何でしょうか。定義から教えていただけますか? 宮口:まず「知的障害」の定義を確認しましょう」、なるほど。
・『「知的障害」の認定基準が厳しくなった 宮口:知的障害の障害認定基準は、都道府県によって多少の違いはありますが、今はだいたい「IQ(知能指数)70未満」で、「IQ75未満」とするところも一部あります。さらに日常生活における援助の必要が認められると「知的障害」と判断されます。 知的障害と障害認定されれば、障害者手帳(療育手帳)がとれますね(療育手帳については、「なぜ『発達障害で障害者手帳を取ることに損はない』のか?」で取り上げた)。 宮口:はい。そして「IQ70未満」の知的障害のうち、だいたい「IQ50~70」が「軽度知的障害」です。 Q:なるほど、知的障害のなかでは相対的にIQが高いから「軽度」の知的障害、ということですか。でも、日常生活に支障がなければ、知的障害とは判断されないのですよね。IQだけで決まるものではないのですね。 宮口:ええ。不登校になったり、勤め続けられなかったり、対人関係がうまくいかなかったり、何らかの社会的な障害があって、初めて知的障害と診断されます。ですからIQ65でも、普通に社会で生活できている人に「あなたは知的障害ですよ」という必要はないわけです。それは発達障害と同じです。社会での生きにくさがプラスされて、初めて診断がつきます。 Q: IQと社会的な生きづらさと、両方の基準を満たすことが必要なんですね。 宮口:逆にいえば、原則としてIQが70、もしくは75以上あると、どんなに社会的な障害を感じていても知的障害とはされない。それが一般的な診断基準です。しかし、そこでスパッと切ってしまうのが問題なのです。 実は、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のもので、それ以前には「IQ85未満」とされていた時期もあるのです。この2つの基準の境となる「IQ70~85」に該当する部分は「境界知能」と位置付けられています。一般に「グレーゾーン」と呼ばれることもあります。かつては知的障害とされていた時期があったのに、今は障害とされなくなったのが境界知能です。 次のグラフをご覧いただければ、分かりやすいと思います。) Q: 薄い網掛け部分が境界知能となるわけですね。結構多いように感じられますが。 宮口:IQだけで判断すると統計上14%いることになります。単純に数字だけで考えれば、35人クラスのなかに5人は境界知能の子がいることになります。日本の人口に当てはめると約1700万人。 Q: 思いのほか多いのですね。発達障害との関係は、どうなのでしょうか。境界知能や知的障害は、発達障害とどう違うのでしょうか? 宮口:発達障害というのは発達に凸凹があるイメージですよね。いろいろな能力のなかに、ほかの能力と比べて、著しく高いものや低いものがある。それに対して知的障害は全体的に低いというイメージです。発達がゆっくりしていると考えるといいかもしれません。どこかの能力が欠けているのではなく、全体的にゆっくり成長する。例えば、IQ60の10歳児であれば、精神年齢は6歳くらいです。そしてそのゆっくりとした成長が12歳くらいの水準で止まるというのが、軽度知的障害です。ただ、絶対に12歳で止まるかというとそうでもなく、介入次第で伸ばせるところはあります。 発達障害との違いは、この図を見ると分かりやすいかもしれません。 (図はリンク先参照) Q: なるほど、発達障害の子どもには、知能が正常域にある子もいれば、境界知能の子も知的障害の子もいるし、逆に知能が平均より高い子もいる、ということですね。一口に「発達障害の子」といっても、それぞれの子どもの特性や課題は千差万別ですが、そんな個々人の違いの大きさにも関係していそうです。 宮口:この図からは、境界知能の子が、支援の枠から外れやすいことも分かります。 Q: 知的障害(①)と診断された子どもは、療育手帳がとれれば福祉サービスを受けることができる。けれど、境界知能(③)では、手帳はとれません。ただし今は、発達障害(②)で障害者手帳をとることもできますよね(発達障害が障害者手帳=主に「精神障害者保健福祉手帳」=をとる条件などについては「なぜ『発達障害で障害者手帳を取ることに損はない』のか?」で取り上げた)。 Q:宮口:そこで問題なのが、発達障害ではない境界知能の子どもたち(③)です、知的障害の子が受けられる支援と発達障害の子が受けられる支援の両方から漏れてしまいます。そこをなんとかしないといけないと思ったのが、現在の活動のきっかけとなりました』、「そこで問題なのが、発達障害ではない境界知能の子どもたち(③)です、知的障害の子が受けられる支援と発達障害の子が受けられる支援の両方から漏れてしまいます。そこをなんとかしないといけないと思ったのが、現在の活動のきっかけとなりました」、なるほど。
・『医療少年院で初めて認識したのはなぜか? 宮口先生が、「気づかれない境界知能や軽度知的障害」に課題意識を抱いたきっかけを教えてください。 宮口:私はもともと、公立の精神科の病院で児童精神科医として働いていました。発達外来、児童思春期外来などが専門で、患者さんのほとんどが発達障害のお子さんでした。自閉症(*)が多く、ADHD(*)のお子さんもいました。ですから私のなかでの「困っている子ども」のイメージは、もっぱら発達障害だったのです。その後、さまざまな経緯があり、医療少年院で働くことになったのですが、そこで問題になっていたのは知的障害でした。軽度知的障害や境界知能の子たちが多くいたのです。病院ではあまり見ることのなかった知的障害の子どもたちの課題を、医療少年院で初めて認識したのです。 *自閉症:自閉スペクトラム症、ASD(Autism Spectrum Disorder) *ADHD:注意欠如・多動症、Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Q: 病院では知的障害の子にはあまり出会わなかった。それはなぜですか? 宮口:知的障害だけだと福祉と教育の問題になり、医療は関係しないんですね。しかし、医療少年院に行ってみると、境界知能や軽度知的障害の子が多くいて、知能の問題が一つのきっかけで非行に走り、犯罪の加害者になっていることを知りました。これが子どもの生きづらさや困難を語る上で避けて通れない問題なのだと気づいたのです。 Q: 発達障害に知的障害が伴うかどうかで、生じる課題や対応策は大きく違ってくるのでしょうか? 宮口:やはり違います。知的障害を伴う場合は、まず知的障害に対応することが必要です。 Q: 発達障害のところだけを見てもうまくいかないと。 宮口:そうですね。発達障害の特徴よりも、知的障害の程度がどうかというところが非常に重要になるからです。社会的な生活を送る上での困りごとは、知的な障害から生じる部分がほとんどです。発達障害でも、IQが高ければ、今の社会を生き抜いていく方法は結構あります。けれど知的な能力が低いと、それだけで生きにくさが増えてしまいます。知的障害の程度を知ることは重要です』、「原則としてIQが70、もしくは75以上あると、どんなに社会的な障害を感じていても知的障害とはされない。それが一般的な診断基準です。しかし、そこでスパッと切ってしまうのが問題なのです。 実は、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のもので、それ以前には「IQ85未満」とされていた時期もあるのです。この2つの基準の境となる「IQ70~85」に該当する部分は「境界知能」と位置付けられています。一般に「グレーゾーン」と呼ばれることもあります。かつては知的障害とされていた時期があったのに、今は障害とされなくなったのが境界知能です・・・社会的な生活を送る上での困りごとは、知的な障害から生じる部分がほとんどです。発達障害でも、IQが高ければ、今の社会を生き抜いていく方法は結構あります。けれど知的な能力が低いと、それだけで生きにくさが増えてしまいます。知的障害の程度を知ることは重要です」、なるほど。
・『厚労省が把握する知的障害者は少ない? 知的障害の診断は、どこで受けるのでしょうか? 一斉テストとかないですよね? 宮口:ありません。知的障害に関しては、困ったことがあって初めて児童相談所や病院などで発達検査を受けるといったことになります。困りごとが浮かんでこなければ気づかれないままです。知能指数は正規分布ですから、統計的には人口の約2%の人がIQ70未満に該当し、知的障害の可能性を持つはずです。しかし、厚生労働省が把握している知的障害者は1%未満です。2000年代まで遡ると0.5%もいませんでした。それだけの人が支援の枠から漏れてしまっているのです。 つまり、日本の人口の1%以上を占める人たちが、IQ70未満なのに知的障害と診断されていない。いい見方をすれば、社会のなかでうまくやれている人が多いのかもしれないし、悪く考えれば、気づかれないまま困っている人が多いのかもしれない。 宮口:その通りです。 Q: 境界知能の人を含めたら、困っている人はもっと多い可能性がありますね。 宮口:そもそも「境界知能というものがある」ということが、ほとんど知られていませんから。 確かに私も「知的障害かそうじゃないか」という考え方をしていました。私のように「AかBか」みたいな考えをしている人の周りでは、「知的障害じゃないなら、普通にできるはず」と判断されて、苦しんでいる人が多いかもしれません。 宮口:知的障害があっても気づかれずに療育手帳もなければ、普通だと思われているわけです。本人が気づいていない場合もあります。「どうして仕事がうまくできないんだろう」「どうして勉強ができないんだろう」と思っていたとしても、それだけで知能検査を受けに行く人など、ほとんどいませんから。 Q: 境界知能や軽度知的障害が気づかれないことで生じる問題には、どのようなものがありますか? 宮口:例えば、冤罪(えんざい)事件が起こり得ます。 境界知能や経度知的障害を見落とすことが、冤罪につながる。それが事実とすれば衝撃的ですが、どういうことなのでしょうか』、「境界知能や経度知的障害を見落とすことが、冤罪につながる。それが事実とすれば衝撃的ですが、どういうことなのでしょうか」、次の記事が残念ながら見つからなかったのをお詫びしたい。
次に、2023年1月6日付け日経ビジネスオンラインが掲載したフリーランス編集者・ライターの黒坂 真由子氏による「不登校といじめの裏に発達障害 なぜ「IQ130」を喜べないのか?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00369/120700035/
・『「発達障害のリアル」を、自身も発達障害(学習障害)の息子を育てるフリーランス編集者・ライターの私(黒坂真由子)が模索する本連載。 不登校が急増している。文部科学省の調査によると、小・中学校の不登校児童・生徒の数は、2022年度、前年比24.9%増え、在籍児童・生徒の2.6%を占める。 「不登校の原因として大きいのは、学習の困難。学習障害をはじめとする発達障害の存在を見逃してはいけない」と指摘するのは、東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)シニアリサーチフェローの中邑賢龍氏だ。 中邑氏は、今の教育の仕組みを抜本的に変えるべきだと提言する。例えば……。 「漢字を鉛筆で書ける必要があるのか? キーボードで打てればいい」 「算数のテストで計算機を使ってもいいのではないか?」 「英語を全員が全員、学ばなくてもいいのではないか?」 さらに今、盛り上がりを見せる「ギフテッド(突出した才能を持つ子)」教育にも、警鐘を鳴らす。前回(「発達障害の子はイノベーションを生むか? 『家出』を教える理由」)に引き続き、中邑氏に話を聞く。 Q:不登校の子どもは増え続けています。文部科学省の調査(「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)によると、令和3年度(2021年度)、小・中学校の不登校児童・生徒の数は24万4940人で過去最高。前年度と比べて24.9%増加し、在籍児童・生徒に占める割合は約2.6%になります。 中邑先生が不登校傾向のある子ども約800人を調査したところ、1年以上勉強が遅れている子どもの80%に「書きの困難」が疑われるとご著書(『育てにくい子は、挑発して伸ばす』)にありました。これは「書けない」ことで学校に行きにくくなる子が多いということでしょうか。 中邑賢龍氏(以下、中邑):当然です。内容がわかっていても、文字に書けなければ、学校での評価は低くなりますから。 この連載でこれまで、学習障害(*)や発達性読み書き障害(*)などについて取材をしてきて、「不登校の背景に、学習障害の問題がある」という話に触れたことはありませんでした。 * 学習障害:知能が正常だとしても、学校の勉強に関連する能力に困難があることを一般に指す(詳しくは、「読み書きが苦手な『発達障害』はクラスに3人 知能と違う課題」参照)。「LD (Specific Learning Disorder)」「限局性学習症」とも呼ばれる。 * 発達性読み書き障害:学習障害のなかで、文字を読むことや書くことに困難があるケースを指す。学習障害のなかで現実に問題になることが特に多いとされる。 中邑:それには理由があるんです』、「不登校の背景に、学習障害の問題がある」、なるほど。
・『不登校と学習障害の深い関係 中邑:文部科学省のなかで、調査をしている部署が違うんですね。不登校は初等中等教育局の「児童生徒課」、学習障害だったら「特別支援教育課」といった具合に、別のセクションが担当していて、基本的に縦割りなんです。 別々に調査をしているために、背景がわかりにくくなっているのです。不登校の調査のなかに、学習障害の問題が入っていない。それは「ほかの課」のことだからです。不登校は生徒指導の問題、学習障害は特別支援の問題と、切り分けられています。私は「調査の枠組みを変えよう」と、何度も提言してきたのですが、一朝一夕には変わりません。 Q:不登校と学習障害は、別の事柄として扱われている。 中邑:でも、調べてみれば明らかに関係しているんですよ。不登校の原因がいじめだと思っている人も多いのですが、いじめは必ずしも直接の原因ではありません。文字が書けない、勉強ができない結果として、いじめが起きていることもあるんです。いじめの前に、読み書きの問題や学習障害があるのにそれを見逃している。縦割りの調査では見えてこないんです。 Q:ということは、学習障害がある子を早期に発見してサポートすれば、不登校の子が減る可能性があるということですよね。 中邑:減りますよ、きっと。 Q: 国の体制が変わることを期待したいところですが、子どもは日々成長していきます。学習障害の子を早期に見つけるために、今、できることはありますか? 中邑:現場の先生に期待したいです。特に低学年の担任の先生です。一番簡単なのは、漢字の書き取りの宿題に「何分かかったか」を書く欄をつくっておくことです。かかった時間を書いてもらうだけです。するとだいたいの平均がわかります。そのなかに、みんながだいたい10分で終わっている宿題に、30分や1時間かかっている子がいるはずです。 Q:それで「書きの困難」がわかるんですね。これは学習障害かもしれない、と。 中邑:何より子どもがしんどい、ということがわかります。そういう子がいたら、「書き取りは1文字10回じゃなく、3回でいい」というふうに宿題を変えればいい。量を減らすのです。ムリにほかの子と同じようにさせようとすると、心に傷を残したり、勉強や学校が嫌いになったりする恐れがあります。それをまず防ぐ。宿題のコントロールは重要です。 ほかにも現場の工夫でできることは、いろいろとあります』、「文部科学省のなかで、調査をしている部署が違うんですね。不登校は初等中等教育局の「児童生徒課」、学習障害だったら「特別支援教育課」といった具合に、別のセクションが担当していて、基本的に縦割りなんです。 別々に調査をしているために、背景がわかりにくくなっているのです。不登校の調査のなかに、学習障害の問題が入っていない。それは「ほかの課」のことだからです。不登校は生徒指導の問題、学習障害は特別支援の問題と、切り分けられています。私は「調査の枠組みを変えよう」と、何度も提言してきたのですが、一朝一夕には変わりません」、セクショナリズムの典型だ。この当時から存在したとは驚かされた。
・『なぜ、テストで計算機を使わせるべきか? 中邑:例えば、テスト。学校では普段、問題用紙を配ってテストをしますよね。それだと子どもたちは、問題を解く前に、問題を「読む」必要があって、読むのが苦手な子は不利になります。そこで、「今日のテストは先生が問題を読むよ」と、音読のサポートをつけてテストをします。音読のサポートがあるときだけ点数が上がる子がいたら、その子は「読み」に困難があるということがわかります。算数の計算も同じです。「今日のテストは電卓を使っていいよ」ということにしたときに成績が上がる子は、「計算」が苦手なんだということがわかる。 Q:ちょっとした工夫で、特定の分野に苦手を持っている子を見つけることができるのですね。 中邑:子どもの答案を注意深く見るだけでも、わかることがあります。平仮名ばかりで書く子がいますから。それはやっぱり、書くのが苦手なんですね。そういった先生の注意や工夫によって、子どもの読み書きや計算の困難を見つける方法はいくらでもあるんです。 Q:小学校低学年の先生の力が必要ということですね。発達性読み書き障害を研究する宇野彰先生は、読み書きの困難を見つけるタイミングとして重要なのは「小学校1年生の夏」だとおっしゃっていました(「発達障害と読み書き なぜ『小学1年生の夏』が大事なのか?」参照)。 中邑:ええ。今は現場に知識を持った先生方が増えてきました。希望は持てます。読み書きが苦手な子を小学校の低学年のうちに見つけなくてはならないのは、アウトプットをする練習を積むためです。 Q: アウトプットをする練習、ですか』、「読み書きが苦手な子を小学校の低学年のうちに見つけなくてはならないのは、アウトプットをする練習を積むためです」、なるほど。
・『鉛筆で書かずとも、作文はできる 中邑:心のなかにあるものを吐き出して、それを構成し、文章にする。そういう練習をしなければなりません。小学校の授業では「鉛筆で書く」という方法で練習しますが、鉛筆で書くのが苦手な子は、なんらかのテクノロジーを利用して練習をしておいたほうがいい。スマホを渡して、親御さんとテキストメッセージのやり取りをするだけでもいいんです。 Q:それだけでいいんですか? 中邑:いいんです。書くことの意味を知ることができますから。しゃべることと書くことって違うでしょ? 頭のなかにあるモヤモヤしたものを、テキストとしてアウトプットすることは、話すこととは違うスキルなので、別の練習が必要なんです。 Q: 先生のお話を聞いて、発達性読み書き障害を持つ息子が、初めてパソコンで日記を書いたときのことを思い出しました。それまで書いていた作文は、本当にそっけなくて、「運動会がありました。楽しかったです。以上」みたいなものしか見たことがなかったんです。でも、パソコンを使うようなった途端、そのときの状況や感情をちゃんと表現した日記を、普通に書いていて。正直、息子に文章を構成する能力があると思っていなかったんです。ああ、頭のなかには文章があったんだ、と思いました。 中邑:「鉛筆で書く」という行為にリソースを取られすぎて、余力がなくなってしまったんですね。 鉛筆だと書けなくても、パソコンやスマホを使えば、困難を感じずに文章を書ける子はたくさんいます。ただし、小学生のころから、文章をアウトプットする経験を積んでおかないと、文章化のスキルは伸びません。注意しなければいけないのは、鉛筆で書けないために、文章を書くことそのものが面倒になって、文章を組み立てるトレーニングが不十分になってしまうことです。だからこそ、鉛筆で書くことにこだわらず、パソコンでもスマホでも方法はなんでもいいので、自分の頭のなかにあるものを文章として外に出す習慣をつけることが必要なんです。 大人は結局、「子どもを変える」議論ばかりしているんですよ。そうではなくて、子どもたちがそのままでいいように、外部にある仕組みや制度、社会を変えなければならないんです』、「大人は結局、「子どもを変える」議論ばかりしているんですよ。そうではなくて、子どもたちがそのままでいいように、外部にある仕組みや制度、社会を変えなければならないんです」、その通りだ。
・『なぜ、英語必修を「やめたほうがいい」のか? 僕は「英語必修をやめよう」といっています。英語圏では、ディスレクシア(*)が10%ほどいて、日本語圏やスペイン語圏などより高い。英語の読み書きはそもそも難しいということです。そのため、数学が抜群にできる子がいても、英語が必修だと、行きたい高校になかなか行けません。そのために、せっかくの数学の能力を十分に伸ばせない。英語を必修から外し、入試科目から外しやすくすることで、才能のある子がもっと花開いていくはずです。 大学だって、全員が同じ単位で卒業する必要はないでしょう。大学の入試はすでに多様化していて、今なら1科目で受験できる学校も結構あります。けれど、卒業単位はだいたい一律です。そのために、入試で免除された科目が関係する分野ですごく苦労する子たちがいるんです。 なんで子どもばかりが変わらなければいけないのか。大人は子どもに、変わることを当たり前のように求めます。制度に適応し、社会に適応するように変わりなさいと。発達障害の子どもたちなんて、その最たるものです。療育(*)も投薬もいいですが、子どもではなく制度や社会を変えたほうがいいに決まっています。 僕が今働いている「大学」なんて、実にいい環境ですよ。これはあくまで私見ですが、僕の見るかぎり、発達障害の特性を持った人たちがむしろそれを強みとして働いている職場だと感じます。大学で働くようになって生きやすくなったという人は、確実にいるはずです。そんなふうに環境を変えていったほうがいいんです。世の中は今、間違いなくそういう方向に向かっています。追い風が来ていると、勝手ながら思っています。 * ディスレクシア:発達性読み書き障害とほぼ同義で使われる言葉。発達性読み書き障害は診断名だが、ディスレクシアの場合、「読むことに困難がある」という症状を指すのに使われることもある(詳しくは、「読み書きが苦手な『発達障害』はクラスに3人 知能と違う課題」参照)。 * 療育(発達支援):障害やその可能性がある子どもに対しての支援。日常や勉強での困りごとの解決に取り組むだけでなく、将来の社会参加を視野に入れた活動を行う。自治体が運営する児童発達支援センターのほか、民間の教室などがある。 Q:本当ですか? 追い風、来ていますか? 中邑:だって、僕らの社会はこれまで散々、人間を変えようとしてきて、行き詰まっているじゃないですか。だからいいかげん、制度や社会を変える方向に向かうと思うんです。もっと寛容で、緩やかな社会をつくっていかなければならないはずです。 こういった活動をしていて最近気になっているのが、「ギフテッド」の存在です。 Q:突出した才能を持った子どものことですね。このごろ、よく耳にする話題の言葉です。 中邑:「うちの子はギフテッドなんです」と相談にくる親御さんが増えてきていて、それも課題の一つなんです。 Q: なぜそれが「課題」なのですか? 突出した才能を持つギフテッドの子どもが認知されるのは、中邑先生の考え方からすると、いいことではないのでしょうか?』、「僕らの社会はこれまで散々、人間を変えようとしてきて、行き詰まっているじゃないですか。だからいいかげん、制度や社会を変える方向に向かうと思うんです。もっと寛容で、緩やかな社会をつくっていかなければならないはずです」、なるほど。
・『「IQ130ある子ども」をどう見るべきか? 中邑:親御さんが、わが子はギフテッドだと主張する根拠は大抵、知能検査です。東京近郊に住む親御さんなどは、将来の受験のことが早くから頭にあって、幼稚園の時期から塾通いをさせたりしています。そういう塾では、クイズやパズルみたいな問題をたくさんやって、子どもの「知的反射神経」を鍛えるんですね。すると、知能検査が得意になります。知能検査というのは要するに、知的反射神経を試すテストです。だから、IQ(*)が高く出る。 * IQ(Intelligence Quotient):知能指数。知能検査結果の表示法の一つ。指数 100が平均値。 Q: 練習の成果が出る、ということですね。 中邑:慣れてくるんです。知能検査の平均値は100ですが、幼いころから練習している子は、それより高くなります。IQ130くらい、わりと簡単にいっちゃう。そういう子にとって小学校1、2年生の授業は、確かに簡単で、「バカみたい」と感じてしまうのです。子どもはその気持ちを親に伝えます。「簡単すぎてつまんない」と。それで学校とトラブルになって、親が僕のところにやってくるわけです。 Q:うちの子はギフテッドなのに、学校が対応してくれないと。 中邑:「IQが130以上もあって、大変なんです」って、真面目な顔しておっしゃるんですね。僕は「安心してください、お母さん。小学校5年生ぐらいになったら普通の子になりますから」というんですが、ものすごく不快な顔をされる。 失礼な先生だと。 中邑:相談にいらしたのですから、伝えないといけないこともあります。「お母さん、そんなことをいっていると、思春期になったとき、お子さんが荒れるかもしれませんよ」って。そこまでいっても、なかなかわかってもらえません。 実際、「かつてギフテッドだった子ども」との関係が修復不可能なくらいにこじれてから、相談に来る親御さんもいます。子どもだって傷つくんですよ。「普通になった今の自分」に、親ががっかりしているわけですから。ギフテッド教育の弊害は、もっと知られるべきだと思います。 Q: 教育って、本当に難しいですね。 中邑:子どもの特性に合わせて育てるのが一番いいんですよ。 けれど、IQ130のわが子をギフテッドだと主張する親御さんも、それが子どもの特性だと信じているわけですから……。いろんな意味で凸凹があるわが子を育てるときに、親としてできることはなんでしょうか? 中邑:楽しいこと、やりたいことをつくってあげる。趣味でいいですよ。 Q: それを将来の自立につなげていくには、どういうことに気をつければいいですか? 中邑:放っとくのがいいんじゃないかと思います。無責任なようですが、気をつけようがないんですよ。あえて気をつけることを挙げるなら、子どもの心を傷つけないようにする。そして、好きなことができる環境をつくってあげる。 とりあえず勉強する、とりあえず学校へ行かなきゃいけない。そういう価値観から抜け出せるといいですね。野菜作りでも、魚釣りでも、何か好きなことができたなら、素晴らしいじゃないですか。好きなことを見つけて、好きなことを思いっきりやるのが一番です。変わった子が、変わったままで生きられるのが一番。そのためには、子どもではなく社会のほうを変えていく必要があるのです』、「「かつてギフテッドだった子ども」との関係が修復不可能なくらいにこじれてから、相談に来る親御さんもいます。子どもだって傷つくんですよ。「普通になった今の自分」に、親ががっかりしているわけですから。ギフテッド教育の弊害は、もっと知られるべきだと思います・・・好きなことを見つけて、好きなことを思いっきりやるのが一番です。変わった子が、変わったままで生きられるのが一番。そのためには、子どもではなく社会のほうを変えていく必要があるのです」、その通りだ。
第三に、本年1月4日付け日経ビジネスオンラインが掲載したフリーランス編集者のライターの黒坂 真由子氏による「発達障害は海外赴任で治る? 狩猟採集社会ならばむしろ有利」を紹介しよう』、
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00369/121200040/
・『「発達障害のリアル」を、自身も発達障害(学習障害)の息子を育てるフリーランス編集者・ライターの私(黒坂真由子)が模索する本連載。このたび『発達障害大全』として1冊の本にまとめ、発売した。 発達障害は脳の特性であり、「治る」ことはない。けれど、海外赴任した途端に「治った」と感じることがある。医師や専門家などの証言から「環境を変える」ことの重要性が見えてくる。 「発達障害は治らない」という話をしてきました(前回「発達障害に必要なのは『治療』でなく『対応』 仕事選びが大切」参照)。 しかし、実はこの言い方そのものが間違いかもしれません。 なぜかというと、発達障害の人が「障害がある」とされるのは、「今、この場所で生きることに困難を感じている」からです。今ではない時代、ここではないどこかであれば、困難を感じない可能性があります。つまり、障害にはならない時代や場所があるということです。 ベストセラーとなった『スマホ脳』(新潮新書)は、ADHD(*) の特性が、有利に働く時代があったことを指摘しています。 *ADHD:注意欠如多動症。注意・集中力の欠如と多動・衝動性が見られる障害。Attention-Deficit/Hyperactivity Disorderの略称』、「発達障害の人が「障害がある」とされるのは、「今、この場所で生きることに困難を感じている」からです。今ではない時代、ここではないどこかであれば、困難を感じない可能性があります。つまり、障害にはならない時代や場所があるということです」、なるほど。
・『狩猟採集の時代に活躍したADHD 「常に周囲を確認し、異常なほど活発で、すぐに他の事に気を取られる」ような子どもが、現代社会にいれば、教室でじっと座っていられず、「ADHDの診断が下る」はずだと著者のアンデシュ・ハンセン氏はいいます。しかし、狩猟採集社会だったらどうでしょう? 「かつてはそんな性格のおかげで、危険を速やかに避けることができたのだ。茂みの中でカサカサと音を立てているのは、食べられる物かもしれない。すぐに見てみよう!」(『スマホ脳』) そんなADHDの特性のおかげで、生存競争を勝ち抜けたのです。 また、学習障害(*)があったとしても、文字のない社会では問題にはならないかもしれません。 これほど大きな時代の変化でなくても、「小さな自営業が減ると、発達障害は増える」と精神科医の岩波明氏が指摘するように、この数十年だけを考えても、社会は発達障害の人が生きにくい方向へと変化してきました。 *学習障害:「読む」「書く」「計算する」など、学習に関連する特定の能力に困難がある障害。限局性学習症/限局性学習障害、LD、SLD(Specific Learning Disorder)ともいう』、「ADHDの特性のおかげで、生存競争を勝ち抜けたのです。 また、学習障害(*)があったとしても、文字のない社会では問題にはならないかもしれません・・・社会は発達障害の人が生きにくい方向へと変化してきました」、なるほど。
・『発達障害は、日常生活のなかにある 小児科医の高橋孝雄氏は、発達障害の本質を「発達が進むに従って、次第に明らかになってくる日常生活上の困難さ」としています(「『発達障害』でよくある“勘違い” 心配が要らないケースも」参照)。 ADHDの診断を受けている借金玉氏は、それを「生活のなかで生じる具体的な問題」と表現しています(「借金玉さん、発達障害の僕が『治療よりライフハック』と思う理由」参照)。 障害は「現代社会における日常生活」のなかにあります。社会の側の変化が、人に新しい障害を生じさせるともいえます。 このような捉え方は国連総会で採択された「障害者権利条約」にも通じます。障害を個人の心身の特徴としてではなく、取り巻く環境との相互作用で捉える「社会モデル」の考え方です。自分の特徴と社会のミスマッチが起こったとき、それが障害となるわけです。 社会モデルの考え方を知ったとき、正岡子規の『病牀六尺』(岩波書店)のなかにある一節を思い出しました。子規が1902年、新聞「日本」に連載した日記的随筆ですが、こんな記述があります。 「近眼の人は遠方が見えぬこと、すべての物が明瞭に見えぬこと、これだけでも…(中略)…既に半分の知識を失ふて居る。まして近眼者は物を見ることを五月蠅さがる(引用注:うるさがる)やうな傾向が生じて来ては、どうしても知識を得る機会が少くなる」 「なるほど100 年前だと、眼鏡がないと本も読めない近眼の私は、普通に学ぶことはできなかったのか」と思いました。眼鏡がまだ高価だった時代の話です。現在、眼鏡やコンタクトレンズを使う人に、障害があるとされることはありません。社会の変化で、障害の定義が変化した身近な例です。 時間的変化だけでなく、場が変わるだけでも障害にならないことがあります』、「障害は「現代社会における日常生活」のなかにあります。社会の側の変化が、人に新しい障害を生じさせるともいえます。 このような捉え方は国連総会で採択された「障害者権利条約」にも通じます。障害を個人の心身の特徴としてではなく、取り巻く環境との相互作用で捉える「社会モデル」の考え方です。自分の特徴と社会のミスマッチが起こったとき、それが障害となるわけです・・・子規が1902年、新聞「日本」に連載した日記的随筆ですが、こんな記述があります。「近眼の人は遠方が見えぬこと、すべての物が明瞭に見えぬこと、これだけでも…(中略)…既に半分の知識を失ふて居る。まして近眼者は物を見ることを五月蠅さがる(引用注:うるさがる)やうな傾向が生じて来ては、どうしても知識を得る機会が少くなる」 「なるほど100 年前だと、眼鏡がないと本も読めない近眼の私は、普通に学ぶことはできなかったのか」と思いました。眼鏡がまだ高価だった時代の話です。現在、眼鏡やコンタクトレンズを使う人に、障害があるとされることはありません。社会の変化で、障害の定義が変化した身近な例です。 時間的変化だけでなく、場が変わるだけでも障害にならないことがあります」、なるほど。
・『海外赴任で、発達障害が「治る」? ある銀行員の方は、発達障害の特性から、職場でのコミュニケーションに悩んでいました。ところが、米国に赴任になった途端に悩みは「まったくなくなった」といいます。米国社会では、明確な言葉で説明するのが当たり前で、「空気を読む」必要がないからです。 海外まで行かなくとも、集まるメンバーが変わるだけで障害が消えることがあります。発達障害の当事者が集まる「自助グループ」の場であれば、発達障害の特性があっても、あまりコミュニケーションに困りません。このような場で「空気が読めない」とされるのは、むしろ定型発達(*)の人たちです。 *定型発達:発達障害ではない多数派の人々の発達を指す言葉。 当事者の集まりを運営する松本敏治氏(「もしも発達障害が多数派ならば、『普通の人』とはどんな人?」など参照)と横道誠氏(「発達障害を持って生きるのは、エヴァンゲリオンの操縦と似ている」など参照)はいいます。 ASD の人が多数派で、定型発達の人が少数派の世界になったら、定型発達の人たちのほうが「何かおかしい」ということになるでしょう。「なんで、表情を読もうとするの?」「発言で判断したほうが、合理的でしょ」などと。(松本氏) 私たちはよく、「KY(空気が読めない)」といわれますが、自助グループでは逆の現象が起きます。自助グループの集まりでは、発達障害者が多数派です。そこに支援者など定型発達の人が混ざると、定型発達者こそがKYなんです。(横道氏) 発達障害だとされるのは、今、この時代の日本で、多数派のなかで暮らしているから。それが約2年に及ぶインタビューから見えてきたことです。 『発達障害大全 —「脳の個性」について知りたいことすべて』
【大反響・発売前重版】生きづらさを軽くするため、知りたいことすべて — ありそうでなかった「発達障害の教科書」。「日経ビジネス電子版」の人気連載を大幅加筆し書籍化。発達障害の子を育てる編集者・ライターが、各界第一人者の医師、研究者など13人に、あらゆる疑問をぶつけてとことん聞いた。発達障害の解像度が上がる、入門書にして決定版!』、「ある銀行員の方は、発達障害の特性から、職場でのコミュニケーションに悩んでいました。ところが、米国に赴任になった途端に悩みは「まったくなくなった」といいます。米国社会では、明確な言葉で説明するのが当たり前で、「空気を読む」必要がないからです」、「空気を読む」必要がある日本社会特有の病理だ。「ASD(注) の人が多数派で、定型発達の人が少数派の世界になったら、定型発達の人たちのほうが「何かおかしい」ということになるでしょう。「なんで、表情を読もうとするの?」「発言で判断したほうが、合理的でしょ」などと。(松本氏) 私たちはよく、「KY(空気が読めない)」といわれますが、自助グループでは逆の現象が起きます。自助グループの集まりでは、発達障害者が多数派です。そこに支援者など定型発達の人が混ざると、定型発達者こそがKYなんです。(横道氏) 発達障害だとされるのは、今、この時代の日本で、多数派のなかで暮らしているから。それが約2年に及ぶインタビューから見えてきたことです」、「発達障害だとされるのは、今、この時代の日本で、多数派のなかで暮らしているから」、これがエッセンスのようだ。(注)ASD:自閉スペクトラム症。
タグ:(その4)(発達障害と知的障害 「IQ70以上」が生きづらいのはなぜか?、不登校といじめの裏に発達障害 なぜ「IQ130」を喜べないのか?、発達障害は海外赴任で治る? 狩猟採集社会ならばむしろ有利) 発達障害 日経ビジネスオンライン 黒坂 真由子氏による「発達障害と知的障害 「IQ70以上」が生きづらいのはなぜか?」 「先生が問題とされている「気づかれない境界知能と軽度知的障害」とは何でしょうか。定義から教えていただけますか? 宮口:まず「知的障害」の定義を確認しましょう」、なるほど。 「そこで問題なのが、発達障害ではない境界知能の子どもたち(③)です、知的障害の子が受けられる支援と発達障害の子が受けられる支援の両方から漏れてしまいます。そこをなんとかしないといけないと思ったのが、現在の活動のきっかけとなりました」、なるほど。 「原則としてIQが70、もしくは75以上あると、どんなに社会的な障害を感じていても知的障害とはされない。それが一般的な診断基準です。しかし、そこでスパッと切ってしまうのが問題なのです。 実は、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のもので、それ以前には「IQ85未満」とされていた時期もあるのです。この2つの基準の境となる「IQ70~85」に該当する部分は「境界知能」と位置付けられています。一般に「グレーゾーン」と呼ばれることもあります。 かつては知的障害とされていた時期があったのに、今は障害とされなくなったのが境界知能です・・・社会的な生活を送る上での困りごとは、知的な障害から生じる部分がほとんどです。発達障害でも、IQが高ければ、今の社会を生き抜いていく方法は結構あります。けれど知的な能力が低いと、それだけで生きにくさが増えてしまいます。知的障害の程度を知ることは重要です」、なるほど。 「境界知能や経度知的障害を見落とすことが、冤罪につながる。それが事実とすれば衝撃的ですが、どういうことなのでしょうか」、次の記事が残念ながら見つからなかったのをお詫びしたい。 黒坂 真由子氏による「不登校といじめの裏に発達障害 なぜ「IQ130」を喜べないのか?」 「不登校の背景に、学習障害の問題がある」、なるほど。 「文部科学省のなかで、調査をしている部署が違うんですね。不登校は初等中等教育局の「児童生徒課」、学習障害だったら「特別支援教育課」といった具合に、別のセクションが担当していて、基本的に縦割りなんです。 別々に調査をしているために、背景がわかりにくくなっているのです。不登校の調査のなかに、学習障害の問題が入っていない。それは「ほかの課」のことだからです。不登校は生徒指導の問題、学習障害は特別支援の問題と、切り分けられています。私は「調査の枠組みを変えよう」と、何度も提言してきたのですが、一朝一夕には変わりま 「読み書きが苦手な子を小学校の低学年のうちに見つけなくてはならないのは、アウトプットをする練習を積むためです」、なるほど。 「大人は結局、「子どもを変える」議論ばかりしているんですよ。そうではなくて、子どもたちがそのままでいいように、外部にある仕組みや制度、社会を変えなければならないんです」、その通りだ。 「僕らの社会はこれまで散々、人間を変えようとしてきて、行き詰まっているじゃないですか。だからいいかげん、制度や社会を変える方向に向かうと思うんです。もっと寛容で、緩やかな社会をつくっていかなければならないはずです」、なるほど。 「「かつてギフテッドだった子ども」との関係が修復不可能なくらいにこじれてから、相談に来る親御さんもいます。子どもだって傷つくんですよ。「普通になった今の自分」に、親ががっかりしているわけですから。ギフテッド教育の弊害は、もっと知られるべきだと思います・・・好きなことを見つけて、好きなことを思いっきりやるのが一番です。変わった子が、変わったままで生きられるのが一番。そのためには、子どもではなく社会のほうを変えていく必要があるのです」、その通りだ。 黒坂 真由子氏による「発達障害は海外赴任で治る? 狩猟採集社会ならばむしろ有利」 『発達障害大全』 「発達障害の人が「障害がある」とされるのは、「今、この場所で生きることに困難を感じている」からです。今ではない時代、ここではないどこかであれば、困難を感じない可能性があります。つまり、障害にはならない時代や場所があるということです」、なるほど。 「ADHDの特性のおかげで、生存競争を勝ち抜けたのです。 また、学習障害(*)があったとしても、文字のない社会では問題にはならないかもしれません・・・社会は発達障害の人が生きにくい方向へと変化してきました」、なるほど。 「障害は「現代社会における日常生活」のなかにあります。社会の側の変化が、人に新しい障害を生じさせるともいえます。 このような捉え方は国連総会で採択された「障害者権利条約」にも通じます。障害を個人の心身の特徴としてではなく、取り巻く環境との相互作用で捉える「社会モデル」の考え方です。自分の特徴と社会のミスマッチが起こったとき、それが障害となるわけです・・・ 子規が1902年、新聞「日本」に連載した日記的随筆ですが、こんな記述があります。「近眼の人は遠方が見えぬこと、すべての物が明瞭に見えぬこと、これだけでも…(中略)…既に半分の知識を失ふて居る。まして近眼者は物を見ることを五月蠅さがる(引用注:うるさがる)やうな傾向が生じて来ては、どうしても知識を得る機会が少くなる」 「なるほど100 年前だと、眼鏡がないと本も読めない近眼の私は、普通に学ぶことはできなかったのか」と思いました。眼鏡がまだ高価だった時代の話です。現在、眼鏡やコンタクトレンズを使う人に、障害が あるとされることはありません。社会の変化で、障害の定義が変化した身近な例です。 時間的変化だけでなく、場が変わるだけでも障害にならないことがあります」、なるほど。 「ある銀行員の方は、発達障害の特性から、職場でのコミュニケーションに悩んでいました。ところが、米国に赴任になった途端に悩みは「まったくなくなった」といいます。米国社会では、明確な言葉で説明するのが当たり前で、「空気を読む」必要がないからです」、「空気を読む」必要がある日本社会特有の病理だ。 「ASD(注) の人が多数派で、定型発達の人が少数派の世界になったら、定型発達の人たちのほうが「何かおかしい」ということになるでしょう。「なんで、表情を読もうとするの?」「発言で判断したほうが、合理的でしょ」などと。(松本氏) 私たちはよく、「KY(空気が読めない)」といわれますが、自助グループでは逆の現象が起きます。自助グループの集まりでは、発達障害者が多数派です。そこに支援者など定型発達の人が混ざると、定型発達者こそがKYなんです。(横道氏) 発達障害だとされるのは、今、この時代の日本で、多数派のなかで暮らしているから。それが約2年に及ぶインタビューから見えてきたことです」、「発達障害だとされるのは、今、この時代の日本で、多数派のなかで暮らしているから」、これがエッセンスのようだ。(注)ASD:自閉スペクトラム症。
認知症(その2)(中高年に多い「前頭側頭型認知症」発症が疑われる“10の行動”とは、「持続泣き型認知症」の79歳女性が デイケアに来ているあいだ涙を流し続けたワケ 『人はどう老いるのか』、認知症の親に「介護施設へ入所して」どう伝える 親子なのにイライラしてしまうのは親不孝?) [生活]
認知症については、昨年5月5日に取上げた。今日は、(その2)(中高年に多い「前頭側頭型認知症」発症が疑われる“10の行動”とは、「持続泣き型認知症」の79歳女性が デイケアに来ているあいだ涙を流し続けたワケ 『人はどう老いるのか』、認知症の親に「介護施設へ入所して」どう伝える 親子なのにイライラしてしまうのは親不孝?)である。
先ずは、昨年5月9日付けダイヤモンド・オンライン「中高年に多い「前頭側頭型認知症」、発症が疑われる“10の行動”とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/321449
・『「ダイ・ハード」「アルマゲドン」などの作品で知られる米俳優、ブルース・ウィリスが「前頭側頭型認知症」を公表した。40代、50代の働き盛りの中年が発症することも多いという「前頭側頭型認知症」。一体どのような病なのか。認知症専門医の長谷川嘉哉医師に話を聞いた』、「40代、50代の働き盛りの中年が発症することも多い」、穏やかではない。
・『異常行動があっても認知症診断が難しい理由 先日68歳の誕生日を迎えたばかりのブルース・ウィリス。2022年に失語症のため俳優引退を発表し、惜しまれつつ表舞台を去ったハリウッドの名俳優だ。そして約1年後、ブルースの家族によって公表されたのが、「前頭側頭型認知症」の発症だった。聞き慣れない病名だが、どのような認知症なのか。 「前頭側頭型認知症は、非常に診断が難しい認知症です。異常行動により家族や周囲の方を困らせている人に対して、専門医としてあらゆる検査を駆使しても、はっきりしないこともあります」 そう話すのは、認知症専門医の長谷川嘉哉医師だ。前頭側頭型認知症の発症年齢の平均は50代。65歳未満で発症することが多い若年性認知症の一種だ。言語・感情をコントロールする脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで、理性的な振る舞いや言動ができなくなってしまうのだという。) 「前頭側頭型認知症の特徴は人格変化です。急に怒りっぽくなる、他人を思いやる気持ちがなくなり善悪の判断が曖昧になる、といった症状が顕著に出ます。ただ初期の段階では記憶障害や認知機能の異常などはあまり見られず、本人も病気の自覚がなかなか持てないため、認知症と診断するには時間がかかることも多いのです」 以下は長谷川医師による、前頭側頭型認知症のチェックリストだ。 ・状況に合わない行動…場所や状況に不適切な悪ふざけ、身勝手な行動をする ・意欲減退…引きこもり、何もしないなどの状態が続く ・無関心…周囲の出来事に無関心、身だしなみに気を使わない ・逸脱行為…万引などの軽犯罪に当たる行為をしても、それについて説明や反省ができない ・繰り返し行動…散歩や食事、入浴などを決まった時間に行う、やめさせると怒る ・食べ物へのこだわり…毎日同じものしか食べない。際限なく食べる場合も ・言葉の繰り返し…同じ言葉の繰り返しや、他人の言葉をオウム返ししたりする ・好みの変化…食などの好みが大きく変わる。酒やたばこを大量にとるなど ・発語の障害…無口、語彙(ごい)が少なくなる。品物の名前や使い方がわからない ・短期記憶の維持…最近の出来事など短期記憶は保たれる。日時も間違わない 上記に三つ以上あてはまる場合、前頭側頭型認知症の疑いがあるという。 「たとえば食事などに異常なこだわりを持ち始めます。同じメニューを毎日食べたり、味付けが極端になったり、それを周囲の人に注意されても聞く耳を持ちません。機嫌もコロコロ変わります。ニコニコしていたと思ったら怒ったり、声を荒らげたり、また理屈に合わないことを口走り、行動するようになります。このような症状が続くので、前頭側頭型認知症は家族や周囲との人間関係の崩壊を招くことも少なくありません」 ブルース・ウィリスの家族はSNSで「残念ながら、コミュニケーションの難しさは、ブルースが直面している病気の症状の一つに過ぎません」とつづっている。とはいえ、いくら行動面での異常があっても、認知機能に大きな変化がみられなければ、認知症と診断することは難しいのだ。) 「兆候があっても経過観察をしないことには、なかなか判断できないのが、前頭側頭型認知症の厄介な点。また人格変化が進行すると、周囲に迷惑をかけるだけでなく、医療機関への受診のハードルも上がっていく。若年で発症した患者は体力がありあまっているため、施設への入所も難しい。家族もどう対応すればいいのかわからず、悲観しているケースも多いのです」』、「前頭側頭型認知症の発症年齢の平均は50代。65歳未満で発症することが多い若年性認知症の一種だ。言語・感情をコントロールする脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで、理性的な振る舞いや言動ができなくなってしまうのだという。) 「前頭側頭型認知症の特徴は人格変化です。急に怒りっぽくなる、他人を思いやる気持ちがなくなり善悪の判断が曖昧になる、といった症状が顕著に出ます」、「人格変化」とはやっかいだ。
・『反社会的な逸脱行為の有無が前頭側頭型認知症の見極めポイント そんな「前頭側頭型認知症」の大きなポイントは「反社会的な逸脱行為」だ。 「反社会的な逸脱行為というのは、たとえば万引をする、痴漢行為、信号無視、部屋を片付けられず家がゴミ屋敷化する……といった行動です。前頭側頭型認知症は、理性や感情のコントロールができなくなるので、暴力や反社会的行動をちゅうちょなく行えるようになってしまうのです」 こうした症状は、実は医師の間でもいまだに認知が広まっておらず、この病気が理解されにくい一つの要因となっているという。 「前頭側頭型認知症患者は、周囲を無視したりばかにしたりと、自己中心的な行動をとることが多く見られます。そのため病院でも診察拒否や不真面目な態度で、医師とけんかになるケースもあります。また治療法については特徴的な症状に対して、抗精神病薬を処方する対症療法のみで、進行を遅らせる薬はありません。ハッキリとした予防策もなく、原因も解明されていないのです」 日本の認知症患者は600万人以上と推計され、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている。もし身近に万引や窃盗、ゴミ屋敷化や信号無視など問題行動が表れるようになった人がいたら、「認知症」の可能性も考えたほうがいいだろう』、「抗精神病薬を処方する対症療法のみで、進行を遅らせる薬はありません。ハッキリとした予防策もなく、原因も解明されていないのです」 日本の認知症患者は600万人以上と推計され、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている・・・身近に万引や窃盗、ゴミ屋敷化や信号無視など問題行動が表れるようになった人がいたら、「認知症」の可能性も考えたほうがいいだろう」、やっかいで、なりたくない病気だ。
次に、 昨年12月28日付け現代ビジネスが掲載した作家の久坂部 羊氏による「「持続泣き型認知症」の79歳女性が、デイケアに来ているあいだ涙を流し続けたワケ 『人はどう老いるのか』」を紹介しよう』、興味深そうだ。
・『老いればさまざまな面で、肉体的および機能的な劣化が進みます。目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになります。 世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれていますが、果たしてそのような絵空事で安心していてよいのでしょうか。 医師として多くの高齢者に接してきた著者が、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見てきた経験から、初体験の「老い」を失敗しない方法について語ります。 *本記事は、久坂部羊『人はどう老いるのか』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです』、「目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになります。 世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれていますが、果たしてそのような絵空事で安心していてよいのでしょうか。 医師として多くの高齢者に接してきた著者が、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見てきた経験から、初体験の「老い」を失敗しない方法について語ります」、興味深そうだ。
・『“泣き型”“情緒不安定型”にも困惑 わけもわからず怒るのも困りますが、あり得ない理由で泣かれるのも困ります。 Aさん(79歳・女性)は“持続泣き型”で、デイケアに来ている間もずっと泣いていました。 「もう帰らせてください。子どもが心配です。幼稚園に迎えに行かんといかんのです」 「いろいろお世話になりました。もうお別れです。つらいですけど、どうしても行かんならんのです」 「落ち葉がなぜ木から落ちるのか、わたしにはわかりません。あんまりかわいそうです。植木屋さん、なんとかしてください」 か細い声でそんな繰り言を続け、涙を流していました。職員がその場を離れると、フラフラと立ち上がって帰ろうとします。足も頼りないし、目も涙でかすんでいるのでいつ転倒するかもしれず、調子の悪いときは一日中、職員が横についていなければなりませんでした。 A′さん(78歳・女性)は“情緒不安定型”で、朗らかに笑っていたかと思うと、突然、テーブルに突っ伏してワーワー泣きはじめます。宥めようもないほどの号泣で、別の部屋へ行きましょうと促しても応じません。 「もうこんなとこにはおれん。泥棒やなんて言われて、だれがおれるもんか」 興奮して自分の鞄を床に投げ捨てます。 「息子が北海道から帰ってきて、怒るから怖い」 「どうせわたしは貧乏人の子や。ここらはええし(上流階級)の子ばっかりが来るとこやから、わたしらは来られへん」 そんなことはない、だれも泥棒だなんて思っていないと宥めても、聞く耳を持ちません。どうやら幼少時のつらい記憶が未だに彼女を苦しめているようでした。) ほかにもある七十四歳の男性は、恒例の誕生日会で花束を受け取ったとたん、顔をクシャクシャにして泣きだしました。みんなが拍手をすると「おおぉーっ」と声をあげて号泣し、花束を持ったままその場に泣き崩れてしまいました。誕生日祝いなど何十年もしてもらっていなかったので、感激したようです。 別の八十一歳の女性は、歌合戦のプログラムで「花」が歌われると、何を思い出したのか、急に顔を覆って泣きだしました。 朝のプログラムで、職員が「これまででいちばん楽しかったことは何ですか」とみんなに聞くと、夫が戦死したこと、空襲で家が焼けたこと、栄養失調で子どもを死なせたことなど、逆の話題ばかりで、そこここで涙があふれたこともあります。 さらに連載記事<「上手に楽に老いている人」と「下手に苦しく老いている人」の意外な違い>では、症状が軽いのに老いに苦しむ人と、そうでない人の実例を紹介しています。 *本記事の抜粋元・久坂部羊『人はどう老いるのか』(講談社現代新書)では、医師として多くの高齢者に接してきた著者が、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見てきた建研から、初体験の「老い」を失敗しない方法について詳しく解説しています。ぜひお買い求めください』、出来れば「上手に楽に老いている人」になりたいものだが、そうは問屋が卸さない可能性もありそうだ。
第三に、本年1月4日付け東洋経済オンラインが掲載した大阪大学名誉教授の佐藤 眞一氏による「認知症の親に「介護施設へ入所して」どう伝える 親子なのにイライラしてしまうのは親不孝?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/722853
・『家族が認知症になったら、誰しも戸惑うものです。 認知症研究の第一人者、佐藤眞一・大阪大学名誉教授は著書『認知症心理学の専門家が教える認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』で、家族から寄せられるよくある悩みについて回答しています。 同書から一部を抜粋、再編集して、「認知症の親にイライラしてしまう」と「介護施設に入所してほしいと伝えたい」という2つの悩みについて解説します』、興味深そうだ。
・『認知症の親にイライラしてしまう これまで当たり前にできていたことができなくなる親を見ていると、イライラしてしまう自分がいます。 親子なのに、認知症だとわかっているのに、イライラしてしまうのは親不孝でしょうか。 認知症になった親を見ていると、「昔はもっとしっかりしていたのに」「こんな言葉は言わなかったのに」など、若くてしっかりしていて、子どものことを真剣に考えてくれた頃を思い出してしまうものです。 楽しく、和気あいあいと暮らしていた頃のよい思い出と、認知症になってすっかり変わってしまった今の親の言動を比べてイライラしてしまうのは、実の子どもだからこそのことなのでしょう。 イライラしてしまうのは、親なのだからと懸命に介護しようとすればするほど、理想とはかけ離れたことしかできない自分に向かっている感情でもあります。 どうしてもイライラを抑えることができないときは、いったんその場から離れて、興奮している自分の感情を落ち着かせて、「認知症なのだから、わからないことや、できないことがある」ということを改めて思い起こすことが大事です。) そして、冷静になって、自分は親のどのような行動に対してイライラしてしまうのか、なぜイライラしてしまうのか、を考えてみてください。 通常は、自分の想定している通りに行動してくれない、振る舞ってくれない、ということが原因である場合が多いようです。 認知症の親御さんとあなたの考えのどこがすれ違っているのか、すれ違っているのはなぜなのか、を考えてください。 例えば、お風呂に入ってもらおうとして、そのことを伝えても、嫌がって入ってくれないという場合、なぜお風呂に入ってくれないのか、お風呂を嫌がるのか、を考えてみてください。 そもそもお風呂に入るということの意味がわからないのかもしれませんし、お風呂に入ってもどうすればよいのかがわからずに戸惑った、という経験が記憶に残っているからかもしれません。 「お風呂に入って」と声をかけられる前にゆったりとした気持ちでいたのに、別のことをしろと言われて、せっかくの落ち着いていた気持ちを邪魔されたと感じたからなのかもしれません。 イライラさせられる行動の前後を、冷静になって観察する習慣をつけると、親の不可解な行動の意味が、なんとなくわかってくるものです。 認知症の人の言動にも、必ずその人なりのなんらかの理由があるのです。そのことを考えるようにすると、徐々にイライラする回数も減ってくると思います』、私の亡き母は認知症でこそなかったが、ほぼそれに近いほど自分のことが出来なくなり、公的介護施設に入所していたが、私からは叱られてばかりいた。確かに、「冷静になって観察する習慣をつけると、親の不可解な行動の意味が、なんとなくわかってくるものです」を試してみるべきだった。
・『介護施設に入所してほしいと伝えたい 共働きで、親とは離れ遠方に住んでいるため、どうしても施設に入所してもらうことになりそうです。 ですが、本人は慣れた自宅で過ごしたいと言っており迷っています。 自宅を離れて、見ず知らずの人ばかりが暮らす施設に入りたくないと言うのは、当然の反応だと思います。まずは、施設に入ってほしいと思う家族の理由を説明してください。 認知症で言葉での説明の理解が難しい場合は、デイサービスで他の人と触れ合う機会を持ったり、「用事があって今日は一緒にいられないから」などと説明したりして、ショートステイの短期入所から始めて、施設に慣れてもらうという方法もあります。 しかし、本人がまだある程度しっかりしている場合に、家族に迷惑をかけるよりはそのほうがよいというような「諦め」によって施設に入ろうとする場合は、本人の気持ちに寄り添うことが必要です。 「自宅での生活で日中に一人きりになってしまうよりも、グループホームのほうが家族も安心だし、本人にも仲間ができて楽しい」などの前向きな説明をして、いくつかの施設を訪れて職員の話を聞いたり、雰囲気を感じてもらったりして、気に入った施設を選ぶとよいでしょう。) 老人保健施設は主にリハビリの施設で、医師や看護師、リハビリ職員がいて、在宅復帰を目指している施設なので、病院の延長と考えればスムーズに入所できます。 ただし、状態が回復すれば退所が必要になることもありますし、身体的な不自由がなければ入所自体ができません。 他の介護施設にもそれぞれの入所基準があります。 公的な施設の場合、特別養護老人ホームは要介護3以上、それ以外のグループホームや老人保健施設などは要介護1以上の人が利用できます。民間の介護付有料老人ホームは施設ごとの規定があるので確認が必要です。 (介護施設の種類はリンク先参照) 以上のように、施設にもいろいろと種類がありますし、施設の雰囲気も違います。事前に施設を訪問して様子を見たり、職員に話を聞いてみたりすることも大事だと思います。 親身になって話を聞いてくれる施設に出合えることを願っています』、母が入居していた施設は、「親身になって話を聞いてくれ」た。
・『介護施設への入所を検討するなら 認知症が進行すると、在宅での介護から切り替えて、施設入所を真剣に検討する必要も出てくることでしょう。 施設に入れることに抵抗がある人もいるかもしれません。しかし、施設への入所によって体調がよくなるケースはかなりあります。 施設では、健康チェックや水分補給、口腔ケア、栄養バランスがよく食べやすい食事など、その人に合わせた環境が用意されています。 入所を決める前に、必ず見学に行きましょう。設備、医療体制、食事内容、他の入居者や介護スタッフの様子などをしっかり観察します』、しかし、「健康チェック」が不十分で、肺気腫を見逃していたので、これが最終的な死因になった。ただ、「肺気腫」は慢性的疾患なので、気付くのが多少早くなったとしても、大局的には変化なかったと諦めている。
先ずは、昨年5月9日付けダイヤモンド・オンライン「中高年に多い「前頭側頭型認知症」、発症が疑われる“10の行動”とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/321449
・『「ダイ・ハード」「アルマゲドン」などの作品で知られる米俳優、ブルース・ウィリスが「前頭側頭型認知症」を公表した。40代、50代の働き盛りの中年が発症することも多いという「前頭側頭型認知症」。一体どのような病なのか。認知症専門医の長谷川嘉哉医師に話を聞いた』、「40代、50代の働き盛りの中年が発症することも多い」、穏やかではない。
・『異常行動があっても認知症診断が難しい理由 先日68歳の誕生日を迎えたばかりのブルース・ウィリス。2022年に失語症のため俳優引退を発表し、惜しまれつつ表舞台を去ったハリウッドの名俳優だ。そして約1年後、ブルースの家族によって公表されたのが、「前頭側頭型認知症」の発症だった。聞き慣れない病名だが、どのような認知症なのか。 「前頭側頭型認知症は、非常に診断が難しい認知症です。異常行動により家族や周囲の方を困らせている人に対して、専門医としてあらゆる検査を駆使しても、はっきりしないこともあります」 そう話すのは、認知症専門医の長谷川嘉哉医師だ。前頭側頭型認知症の発症年齢の平均は50代。65歳未満で発症することが多い若年性認知症の一種だ。言語・感情をコントロールする脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで、理性的な振る舞いや言動ができなくなってしまうのだという。) 「前頭側頭型認知症の特徴は人格変化です。急に怒りっぽくなる、他人を思いやる気持ちがなくなり善悪の判断が曖昧になる、といった症状が顕著に出ます。ただ初期の段階では記憶障害や認知機能の異常などはあまり見られず、本人も病気の自覚がなかなか持てないため、認知症と診断するには時間がかかることも多いのです」 以下は長谷川医師による、前頭側頭型認知症のチェックリストだ。 ・状況に合わない行動…場所や状況に不適切な悪ふざけ、身勝手な行動をする ・意欲減退…引きこもり、何もしないなどの状態が続く ・無関心…周囲の出来事に無関心、身だしなみに気を使わない ・逸脱行為…万引などの軽犯罪に当たる行為をしても、それについて説明や反省ができない ・繰り返し行動…散歩や食事、入浴などを決まった時間に行う、やめさせると怒る ・食べ物へのこだわり…毎日同じものしか食べない。際限なく食べる場合も ・言葉の繰り返し…同じ言葉の繰り返しや、他人の言葉をオウム返ししたりする ・好みの変化…食などの好みが大きく変わる。酒やたばこを大量にとるなど ・発語の障害…無口、語彙(ごい)が少なくなる。品物の名前や使い方がわからない ・短期記憶の維持…最近の出来事など短期記憶は保たれる。日時も間違わない 上記に三つ以上あてはまる場合、前頭側頭型認知症の疑いがあるという。 「たとえば食事などに異常なこだわりを持ち始めます。同じメニューを毎日食べたり、味付けが極端になったり、それを周囲の人に注意されても聞く耳を持ちません。機嫌もコロコロ変わります。ニコニコしていたと思ったら怒ったり、声を荒らげたり、また理屈に合わないことを口走り、行動するようになります。このような症状が続くので、前頭側頭型認知症は家族や周囲との人間関係の崩壊を招くことも少なくありません」 ブルース・ウィリスの家族はSNSで「残念ながら、コミュニケーションの難しさは、ブルースが直面している病気の症状の一つに過ぎません」とつづっている。とはいえ、いくら行動面での異常があっても、認知機能に大きな変化がみられなければ、認知症と診断することは難しいのだ。) 「兆候があっても経過観察をしないことには、なかなか判断できないのが、前頭側頭型認知症の厄介な点。また人格変化が進行すると、周囲に迷惑をかけるだけでなく、医療機関への受診のハードルも上がっていく。若年で発症した患者は体力がありあまっているため、施設への入所も難しい。家族もどう対応すればいいのかわからず、悲観しているケースも多いのです」』、「前頭側頭型認知症の発症年齢の平均は50代。65歳未満で発症することが多い若年性認知症の一種だ。言語・感情をコントロールする脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで、理性的な振る舞いや言動ができなくなってしまうのだという。) 「前頭側頭型認知症の特徴は人格変化です。急に怒りっぽくなる、他人を思いやる気持ちがなくなり善悪の判断が曖昧になる、といった症状が顕著に出ます」、「人格変化」とはやっかいだ。
・『反社会的な逸脱行為の有無が前頭側頭型認知症の見極めポイント そんな「前頭側頭型認知症」の大きなポイントは「反社会的な逸脱行為」だ。 「反社会的な逸脱行為というのは、たとえば万引をする、痴漢行為、信号無視、部屋を片付けられず家がゴミ屋敷化する……といった行動です。前頭側頭型認知症は、理性や感情のコントロールができなくなるので、暴力や反社会的行動をちゅうちょなく行えるようになってしまうのです」 こうした症状は、実は医師の間でもいまだに認知が広まっておらず、この病気が理解されにくい一つの要因となっているという。 「前頭側頭型認知症患者は、周囲を無視したりばかにしたりと、自己中心的な行動をとることが多く見られます。そのため病院でも診察拒否や不真面目な態度で、医師とけんかになるケースもあります。また治療法については特徴的な症状に対して、抗精神病薬を処方する対症療法のみで、進行を遅らせる薬はありません。ハッキリとした予防策もなく、原因も解明されていないのです」 日本の認知症患者は600万人以上と推計され、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている。もし身近に万引や窃盗、ゴミ屋敷化や信号無視など問題行動が表れるようになった人がいたら、「認知症」の可能性も考えたほうがいいだろう』、「抗精神病薬を処方する対症療法のみで、進行を遅らせる薬はありません。ハッキリとした予防策もなく、原因も解明されていないのです」 日本の認知症患者は600万人以上と推計され、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている・・・身近に万引や窃盗、ゴミ屋敷化や信号無視など問題行動が表れるようになった人がいたら、「認知症」の可能性も考えたほうがいいだろう」、やっかいで、なりたくない病気だ。
次に、 昨年12月28日付け現代ビジネスが掲載した作家の久坂部 羊氏による「「持続泣き型認知症」の79歳女性が、デイケアに来ているあいだ涙を流し続けたワケ 『人はどう老いるのか』」を紹介しよう』、興味深そうだ。
・『老いればさまざまな面で、肉体的および機能的な劣化が進みます。目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになります。 世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれていますが、果たしてそのような絵空事で安心していてよいのでしょうか。 医師として多くの高齢者に接してきた著者が、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見てきた経験から、初体験の「老い」を失敗しない方法について語ります。 *本記事は、久坂部羊『人はどう老いるのか』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです』、「目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになります。 世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれていますが、果たしてそのような絵空事で安心していてよいのでしょうか。 医師として多くの高齢者に接してきた著者が、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見てきた経験から、初体験の「老い」を失敗しない方法について語ります」、興味深そうだ。
・『“泣き型”“情緒不安定型”にも困惑 わけもわからず怒るのも困りますが、あり得ない理由で泣かれるのも困ります。 Aさん(79歳・女性)は“持続泣き型”で、デイケアに来ている間もずっと泣いていました。 「もう帰らせてください。子どもが心配です。幼稚園に迎えに行かんといかんのです」 「いろいろお世話になりました。もうお別れです。つらいですけど、どうしても行かんならんのです」 「落ち葉がなぜ木から落ちるのか、わたしにはわかりません。あんまりかわいそうです。植木屋さん、なんとかしてください」 か細い声でそんな繰り言を続け、涙を流していました。職員がその場を離れると、フラフラと立ち上がって帰ろうとします。足も頼りないし、目も涙でかすんでいるのでいつ転倒するかもしれず、調子の悪いときは一日中、職員が横についていなければなりませんでした。 A′さん(78歳・女性)は“情緒不安定型”で、朗らかに笑っていたかと思うと、突然、テーブルに突っ伏してワーワー泣きはじめます。宥めようもないほどの号泣で、別の部屋へ行きましょうと促しても応じません。 「もうこんなとこにはおれん。泥棒やなんて言われて、だれがおれるもんか」 興奮して自分の鞄を床に投げ捨てます。 「息子が北海道から帰ってきて、怒るから怖い」 「どうせわたしは貧乏人の子や。ここらはええし(上流階級)の子ばっかりが来るとこやから、わたしらは来られへん」 そんなことはない、だれも泥棒だなんて思っていないと宥めても、聞く耳を持ちません。どうやら幼少時のつらい記憶が未だに彼女を苦しめているようでした。) ほかにもある七十四歳の男性は、恒例の誕生日会で花束を受け取ったとたん、顔をクシャクシャにして泣きだしました。みんなが拍手をすると「おおぉーっ」と声をあげて号泣し、花束を持ったままその場に泣き崩れてしまいました。誕生日祝いなど何十年もしてもらっていなかったので、感激したようです。 別の八十一歳の女性は、歌合戦のプログラムで「花」が歌われると、何を思い出したのか、急に顔を覆って泣きだしました。 朝のプログラムで、職員が「これまででいちばん楽しかったことは何ですか」とみんなに聞くと、夫が戦死したこと、空襲で家が焼けたこと、栄養失調で子どもを死なせたことなど、逆の話題ばかりで、そこここで涙があふれたこともあります。 さらに連載記事<「上手に楽に老いている人」と「下手に苦しく老いている人」の意外な違い>では、症状が軽いのに老いに苦しむ人と、そうでない人の実例を紹介しています。 *本記事の抜粋元・久坂部羊『人はどう老いるのか』(講談社現代新書)では、医師として多くの高齢者に接してきた著者が、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見てきた建研から、初体験の「老い」を失敗しない方法について詳しく解説しています。ぜひお買い求めください』、出来れば「上手に楽に老いている人」になりたいものだが、そうは問屋が卸さない可能性もありそうだ。
第三に、本年1月4日付け東洋経済オンラインが掲載した大阪大学名誉教授の佐藤 眞一氏による「認知症の親に「介護施設へ入所して」どう伝える 親子なのにイライラしてしまうのは親不孝?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/722853
・『家族が認知症になったら、誰しも戸惑うものです。 認知症研究の第一人者、佐藤眞一・大阪大学名誉教授は著書『認知症心理学の専門家が教える認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』で、家族から寄せられるよくある悩みについて回答しています。 同書から一部を抜粋、再編集して、「認知症の親にイライラしてしまう」と「介護施設に入所してほしいと伝えたい」という2つの悩みについて解説します』、興味深そうだ。
・『認知症の親にイライラしてしまう これまで当たり前にできていたことができなくなる親を見ていると、イライラしてしまう自分がいます。 親子なのに、認知症だとわかっているのに、イライラしてしまうのは親不孝でしょうか。 認知症になった親を見ていると、「昔はもっとしっかりしていたのに」「こんな言葉は言わなかったのに」など、若くてしっかりしていて、子どものことを真剣に考えてくれた頃を思い出してしまうものです。 楽しく、和気あいあいと暮らしていた頃のよい思い出と、認知症になってすっかり変わってしまった今の親の言動を比べてイライラしてしまうのは、実の子どもだからこそのことなのでしょう。 イライラしてしまうのは、親なのだからと懸命に介護しようとすればするほど、理想とはかけ離れたことしかできない自分に向かっている感情でもあります。 どうしてもイライラを抑えることができないときは、いったんその場から離れて、興奮している自分の感情を落ち着かせて、「認知症なのだから、わからないことや、できないことがある」ということを改めて思い起こすことが大事です。) そして、冷静になって、自分は親のどのような行動に対してイライラしてしまうのか、なぜイライラしてしまうのか、を考えてみてください。 通常は、自分の想定している通りに行動してくれない、振る舞ってくれない、ということが原因である場合が多いようです。 認知症の親御さんとあなたの考えのどこがすれ違っているのか、すれ違っているのはなぜなのか、を考えてください。 例えば、お風呂に入ってもらおうとして、そのことを伝えても、嫌がって入ってくれないという場合、なぜお風呂に入ってくれないのか、お風呂を嫌がるのか、を考えてみてください。 そもそもお風呂に入るということの意味がわからないのかもしれませんし、お風呂に入ってもどうすればよいのかがわからずに戸惑った、という経験が記憶に残っているからかもしれません。 「お風呂に入って」と声をかけられる前にゆったりとした気持ちでいたのに、別のことをしろと言われて、せっかくの落ち着いていた気持ちを邪魔されたと感じたからなのかもしれません。 イライラさせられる行動の前後を、冷静になって観察する習慣をつけると、親の不可解な行動の意味が、なんとなくわかってくるものです。 認知症の人の言動にも、必ずその人なりのなんらかの理由があるのです。そのことを考えるようにすると、徐々にイライラする回数も減ってくると思います』、私の亡き母は認知症でこそなかったが、ほぼそれに近いほど自分のことが出来なくなり、公的介護施設に入所していたが、私からは叱られてばかりいた。確かに、「冷静になって観察する習慣をつけると、親の不可解な行動の意味が、なんとなくわかってくるものです」を試してみるべきだった。
・『介護施設に入所してほしいと伝えたい 共働きで、親とは離れ遠方に住んでいるため、どうしても施設に入所してもらうことになりそうです。 ですが、本人は慣れた自宅で過ごしたいと言っており迷っています。 自宅を離れて、見ず知らずの人ばかりが暮らす施設に入りたくないと言うのは、当然の反応だと思います。まずは、施設に入ってほしいと思う家族の理由を説明してください。 認知症で言葉での説明の理解が難しい場合は、デイサービスで他の人と触れ合う機会を持ったり、「用事があって今日は一緒にいられないから」などと説明したりして、ショートステイの短期入所から始めて、施設に慣れてもらうという方法もあります。 しかし、本人がまだある程度しっかりしている場合に、家族に迷惑をかけるよりはそのほうがよいというような「諦め」によって施設に入ろうとする場合は、本人の気持ちに寄り添うことが必要です。 「自宅での生活で日中に一人きりになってしまうよりも、グループホームのほうが家族も安心だし、本人にも仲間ができて楽しい」などの前向きな説明をして、いくつかの施設を訪れて職員の話を聞いたり、雰囲気を感じてもらったりして、気に入った施設を選ぶとよいでしょう。) 老人保健施設は主にリハビリの施設で、医師や看護師、リハビリ職員がいて、在宅復帰を目指している施設なので、病院の延長と考えればスムーズに入所できます。 ただし、状態が回復すれば退所が必要になることもありますし、身体的な不自由がなければ入所自体ができません。 他の介護施設にもそれぞれの入所基準があります。 公的な施設の場合、特別養護老人ホームは要介護3以上、それ以外のグループホームや老人保健施設などは要介護1以上の人が利用できます。民間の介護付有料老人ホームは施設ごとの規定があるので確認が必要です。 (介護施設の種類はリンク先参照) 以上のように、施設にもいろいろと種類がありますし、施設の雰囲気も違います。事前に施設を訪問して様子を見たり、職員に話を聞いてみたりすることも大事だと思います。 親身になって話を聞いてくれる施設に出合えることを願っています』、母が入居していた施設は、「親身になって話を聞いてくれ」た。
・『介護施設への入所を検討するなら 認知症が進行すると、在宅での介護から切り替えて、施設入所を真剣に検討する必要も出てくることでしょう。 施設に入れることに抵抗がある人もいるかもしれません。しかし、施設への入所によって体調がよくなるケースはかなりあります。 施設では、健康チェックや水分補給、口腔ケア、栄養バランスがよく食べやすい食事など、その人に合わせた環境が用意されています。 入所を決める前に、必ず見学に行きましょう。設備、医療体制、食事内容、他の入居者や介護スタッフの様子などをしっかり観察します』、しかし、「健康チェック」が不十分で、肺気腫を見逃していたので、これが最終的な死因になった。ただ、「肺気腫」は慢性的疾患なので、気付くのが多少早くなったとしても、大局的には変化なかったと諦めている。
タグ:認知症 (その2)(中高年に多い「前頭側頭型認知症」発症が疑われる“10の行動”とは、「持続泣き型認知症」の79歳女性が デイケアに来ているあいだ涙を流し続けたワケ 『人はどう老いるのか』、認知症の親に「介護施設へ入所して」どう伝える 親子なのにイライラしてしまうのは親不孝?) ダイヤモンド・オンライン「中高年に多い「前頭側頭型認知症」、発症が疑われる“10の行動”とは」 「40代、50代の働き盛りの中年が発症することも多い」、穏やかではない。 「前頭側頭型認知症の発症年齢の平均は50代。65歳未満で発症することが多い若年性認知症の一種だ。言語・感情をコントロールする脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで、理性的な振る舞いや言動ができなくなってしまうのだという。) 「前頭側頭型認知症の特徴は人格変化です。急に怒りっぽくなる、他人を思いやる気持ちがなくなり善悪の判断が曖昧になる、といった症状が顕著に出ます」、「人格変化」とはやっかいだ。 「抗精神病薬を処方する対症療法のみで、進行を遅らせる薬はありません。ハッキリとした予防策もなく、原因も解明されていないのです」 日本の認知症患者は600万人以上と推計され、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている・・・身近に万引や窃盗、ゴミ屋敷化や信号無視など問題行動が表れるようになった人がいたら、「認知症」の可能性も考えたほうがいいだろう」、やっかいで、なりたくない病気だ。 現代ビジネス 久坂部 羊氏による「「持続泣き型認知症」の79歳女性が、デイケアに来ているあいだ涙を流し続けたワケ 『人はどう老いるのか』」 「目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになります。 世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれていますが、果たしてそのような絵空事で安心していてよいのでしょうか。 医師として多くの高齢者に接してきた著者が、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見てきた経験から、初体験の「老い」を失敗しない方法について語ります」、興味深そうだ。 出来れば「上手に楽に老いている人」になりたいものだが、そうは問屋が卸さない可能性もありそうだ。 東洋経済オンライン 佐藤 眞一氏による「認知症の親に「介護施設へ入所して」どう伝える 親子なのにイライラしてしまうのは親不孝?」 私の亡き母は認知症でこそなかったが、ほぼそれに近いほど自分のことが出来なくなり、公的介護施設に入所していたが、私からは叱られてばかりいた。確かに、「冷静になって観察する習慣をつけると、親の不可解な行動の意味が、なんとなくわかってくるものです」を試してみるべきだった。 母が入居していた施設は、「親身になって話を聞いてくれ」た。 しかし、「健康チェック」が不十分で、肺気腫を見逃していたので、これが最終的な死因になった。ただ、「肺気腫」は慢性的疾患なので、気付くのが多少早くなったとしても、大局的には変化なかったと諦めている。
2024年展望(その1)(2024年は「大混乱」の年に…徹底すべき3大対策!生活防衛、資産形成、意外な最後の1つは?: [生活]
今日は、更新を休むと予告していたが、更新することにした。昨年12月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「2024年は「大混乱」の年に…徹底すべき3大対策!生活防衛、資産形成、意外な最後の1つは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/336586
・『2024年は「混乱」の年になるでしょう。岸田政権は今の支持率を見る限りそう長くは持たないと予測できますし、政府頼りではいろいろ不安定。そんな今こそ、個人で徹底すべき3大対策があるのです』、興味深そうだ。
・『2024年は「混乱」の年 今こそ始めるべきは3つ 未来予測専門の評論家として2024年がどのような年になるのか?を先に一言で予測すれば「混乱」の年になるでしょう。岸田政権は今の支持率を見る限りそう長くは持たないと予測されます。検討中の事柄が多い政権ですが、いろいろな検討が無になる可能性も危惧されます。 とはいえ、賃上げは次の政権にも引き継がれるはずで、結果としてインフレ基調が続くことは確実です。安倍派の裏金問題が長引けば、中国が何かを仕掛けてくる可能性が高まります。日本国内の混乱は長く続くでしょう。 世界でも3年目に入るウクライナ侵攻と、イスラエルのガザ侵攻、さらには米国の大統領選挙と足元の米中対立など、混乱の種は無数に存在しています。何が起きてもおかしくはなく、何かが起きれば安定した生活は脅かされるわけで、安穏とできない一年を覚悟しなければならないというのが予測の結論です。 さて、その前提で2024年に私たち個人がやっておくべきことを3つ挙げたいと思います。「以前からやってるよ」という方も多いかもしれませんが、このような混乱の時代ですから、それを徹底的に始めてみるという意味で記事にまとめてみます。 その3つとは、(1)生活防衛 (2)資産形成 (3)脱炭素 の3項目です。順にお話ししたいと思います』、「安倍派の裏金問題が長引けば、中国が何かを仕掛けてくる可能性が高まります」、「裏金問題」と「中国」は一見、関係ないようだが、どのようにつながるのだろう。
・『(1)生活防衛は「抜本的」に 私は年末は自分へのご褒美を込めて海外で過ごすことにしています。この原稿は滞在先のホテルで書いているのですが、この年末の滞在はそれほど優雅ではありません。物価が高いのです。 10月に香港、この年末は米国で過ごしてみた感想は、どちらの国や地域も物価は日本の倍という感覚です。とはいえ旅の間は価格よりも体験重視ですから、極力気にせず現地滞在を楽しんでいます。それはそれで経済評論家の矜持なのでよいのですが、仮にこれが日常になったら生活が成り立たないなというのも実感です。もはや日本人にとって「日本の稼ぎで海外移住」は難しいのかもしれません。 一歩思考を進めて、仮に日本の物価がそこまで進んでしまったらどうなるでしょうか。 直近の消費者物価指数は前年比で2.8%の上昇と、相変わらず穏やかなインフレが進行しています。ちょうど1年前の11月が前年比で3.8%のインフレでしたから2年間で6.7%の物価高になった計算です。さらに生活必需品の値上がりが総合指数より大きかった様子で、それで家計では指数以上に物価高を実感していたというのがこれまでの経緯です。 国内要因としては2024年には「賃上げ」が加わります。 そもそも企業物価指数はこれまでも消費者物価指数よりも大きかったのですが、そこを企業努力で値上げを我慢してきた企業が多かったのです。そこに賃上げが加わるので、2024年はこれまで我慢できていた企業の価格据え置き努力にはもう期待できません。 さらに、海外要因が加わります。具体的には商品相場の上昇と円安が物価高のリスク要因です。これについては過去2年と比較して「元に戻る」可能性もあるのですが、頭に入れておかなければならないのは冒頭のキーワードである「混乱」です。 ひとつだけ大きなリスク要因を名指しておきますと、世界がイスラエル情勢に注目しているのはオイルショックにつながる危険性が常に存在するからです。そして、もしイランなどが戦争に参加することでオイルショックが起きてしまえば、日本の物価がこれまでの倍に感じられるほどのインフレが起きることを覚悟する必要があります。 少なくとも過去、二度のオイルショックを経験してきた私のような世代から見れば、デフレしか経験してこなかった20代・30代とは世の中の振れ幅のリスクが違って見えています。 物価が倍になるというところまではいかないとしても、物価が今の1.2~1.3倍になったときに生活が成立するかどうかについては2024年の初めに少し真面目に考えてみたほうがいいかもしれません。 シミュレーションの仕方としては物価高の逆数で考えて、「手取りが今よりも2割減ったら生活が成立するだろうか?」などと実際に計算してみることをお勧めします。当然ですが、そうなったら「何かをやめないと生活が防衛できない」という事実に気づくことになると思います。 家計のぜい肉というものは常に存在するものです。これはファイナンシャルプランナーに相談すればより明確になることだと思います。生活が苦しくなってから慌てるのではなく、今のうちに生活防衛の計画をきちんと立てておく。それを一年の初めに行ってみるのは、2024年に関しては重要かもしれません』、「生活が苦しくなってから慌てるのではなく、今のうちに生活防衛の計画をきちんと立てておく。それを一年の初めに行ってみるのは、2024年に関しては重要かもしれません」、なるほど。
・『(2)資産形成は「長期的」に 2023年の私の記事では資産形成絡みの記事もよく読まれました。直近ですと新NISAの記事に注目が集まった様子です。日本の場合、多くの家庭が十分な老後の蓄えができていないという問題を抱えています。これまでも、そしてこれからも銀行の預金金利では十分な資産形成は望めません。リスクを取った投資を始めなければ老後は厳しいことになるかもしれません。 一方で「株はギャンブルのようだ」と感じる方も多いでしょう。順調そうに見える会社の株を買ったら、その後勢いが止まって株価が大きく下がってしまうような経済現象は頻繁に起きます。どの株を買ったらいいか迷う人も多いのです。 新NISAの記事でも書きましたが、資産形成を狙って株式投資をする場合の基本は3つです。 「なるべく多くの株に分散投資する」 「日本以外の株にも分散する」 「投資を長期継続する」 この3つを心がけることで株への投資リスクは大きく下がります。その条件に合致するのが今、人気の国際型インデックス投資信託に積み立て投資をすることです。 ちなみに「日本以外の株にも分散する」理由は、日本経済が堅調なら給料や年金で生活が成立するけれども、日本経済がうまくいかない場合は海外投資がその穴埋めになるという考え方です。 失われた30年はトータルで考えれば日本株に投資するよりも米国株に投資したほうが財産は形成しやすかったし、それで給料が上がらなかった分を補填できたわけで、その考え方は今後も念頭に置いたほうがいいというのはひとつの投資戦略です。 いずれにしても、今や老後の生活は年金だけではどうにもならない時代です。2024年の初めに「本格的な資産形成のための計画を立てる」ということをきちんと考えてみてはどうでしょうか?』、「2024年の初めに「本格的な資産形成のための計画を立てる」ということをきちんと考えてみてはどうでしょうか?」、その通りだ
・『(3)脱炭素は「意図的」に (1)と(2)の計画は比較的読者の皆さんには実感の湧くテーマだったかと思います。 一方で私はせっかく2024年の混乱に備えて本格的に生活を変えていこうと考えるのであれば、これからお話しする三つ目の脱炭素の話をしっかりと考えることが個人にとっても重要ではないかと思います。 多くの読者の皆さんにとっては脱炭素というのは国のテーマであって、自分自身のテーマとしては距離が遠いと感じているのではないでしょうか。ただし手段としての脱炭素は遠いテーマだとしても、その目的である「気候変動の抑止」は皆さんに実感のあるテーマなのではないでしょうか。 なにしろこのところ毎年夏になると、酷暑で日中に外出することで命の危険を感じることがあるぐらいです。異常気象による豪雨災害も増加していて、いつそれに巻き込まれるのか、誰にとっても温暖化リスクが大きくなりつつあります。 そのような異常気象の進行を遅くするのが脱炭素ですから、それについて早期に本格的に取り組むことを考えてみるというのは年初のよいテーマかもしれません。 たとえば太陽光発電の投資対効果はこの20年でかなりよくなってきています。もし自宅が一戸建てであれば、今年は屋根の上に太陽光パネルを設置することを考えてみるのはいい考えかもしれません。そうすれば高騰する電気代を抑えて、逆に売電することで副収入を増やすことにつながるかもしれません。その上で脱炭素にも大いに貢献することができます』、「異常気象の進行を遅くするのが脱炭素ですから、それについて早期に本格的に取り組むことを考えてみるというのは年初のよいテーマかもしれません。 たとえば太陽光発電の投資対効果はこの20年でかなりよくなってきています。もし自宅が一戸建てであれば、今年は屋根の上に太陽光パネルを設置することを考えてみるのはいい考えかもしれません。そうすれば高騰する電気代を抑えて、逆に売電することで副収入を増やすことにつながるかもしれません」、その通りだ。
・『脱炭素関連の補助金が出る可能性は高い さて、この「年初に脱炭素の計画を立ててみる」ということですが、実はそれをお勧めする重要な理由が補助金です。脱炭素のための投資についてはさまざまな補助金制度があるのですが、その補助金が年度の途中で使い切られてしまうケースが増えています。 たとえばEVの購入に対して補助金がたくさん出ることが知られていますが、EVがそれほど売れない日本でも、ここ2年ぐらいEV補助金は年度終盤で終わりになるケースが続いています。それでも補正予算で打ち切り後も補助金が新たに継続する場合もあるのですが、今後、みんながEVを買う時代になればそれもいずれ打ち切られるでしょう。 私は今年、EVを購入してそれをしばらく使っているうちに、自宅に200Vの電源を設置したほうがいいと考えるようになり、それで電気工事を行いました。10月に工事を注文したのですが、実は9月までなら補助金でその工事は自分のお金を使わないでもできたのでした。それが9月末で打ち切りになったことを後から知って残念な思いをしたものです。 2024年は多くの補助金は新年度に入って予算が決まる5~6月頃から始まるはずです。いずれどの家庭も脱炭素投資をしなければならないことになるはずですから、意図的に今のうちに自分の家の脱炭素投資を前倒しで計画して、できれば補助金が出る可能性が高いうちにそれを済ませてしまうことは、生活防衛にも後々の資産形成にもつながるのではないでしょうか? 「一年の計は元旦にあり」 と言います。2024年のいつか途中で大混乱が始まってから慌てるのではなく、このタイミングで実行することを決めておくことは、2024年は特に重要だと私は思います』、「いずれどの家庭も脱炭素投資をしなければならないことになるはずですから、意図的に今のうちに自分の家の脱炭素投資を前倒しで計画して、できれば補助金が出る可能性が高いうちにそれを済ませてしまうことは、生活防衛にも後々の資産形成にもつながるのではないでしょうか?」、私の場合、太陽光発電は屋上が使えなくなると、いち早く断念したので、この記事のアドバイスは無関係だが、断念してなければ、目の色を変えて「補助金」あさりをしていることだろう。
https://diamond.jp/articles/-/336586
・『2024年は「混乱」の年になるでしょう。岸田政権は今の支持率を見る限りそう長くは持たないと予測できますし、政府頼りではいろいろ不安定。そんな今こそ、個人で徹底すべき3大対策があるのです』、興味深そうだ。
・『2024年は「混乱」の年 今こそ始めるべきは3つ 未来予測専門の評論家として2024年がどのような年になるのか?を先に一言で予測すれば「混乱」の年になるでしょう。岸田政権は今の支持率を見る限りそう長くは持たないと予測されます。検討中の事柄が多い政権ですが、いろいろな検討が無になる可能性も危惧されます。 とはいえ、賃上げは次の政権にも引き継がれるはずで、結果としてインフレ基調が続くことは確実です。安倍派の裏金問題が長引けば、中国が何かを仕掛けてくる可能性が高まります。日本国内の混乱は長く続くでしょう。 世界でも3年目に入るウクライナ侵攻と、イスラエルのガザ侵攻、さらには米国の大統領選挙と足元の米中対立など、混乱の種は無数に存在しています。何が起きてもおかしくはなく、何かが起きれば安定した生活は脅かされるわけで、安穏とできない一年を覚悟しなければならないというのが予測の結論です。 さて、その前提で2024年に私たち個人がやっておくべきことを3つ挙げたいと思います。「以前からやってるよ」という方も多いかもしれませんが、このような混乱の時代ですから、それを徹底的に始めてみるという意味で記事にまとめてみます。 その3つとは、(1)生活防衛 (2)資産形成 (3)脱炭素 の3項目です。順にお話ししたいと思います』、「安倍派の裏金問題が長引けば、中国が何かを仕掛けてくる可能性が高まります」、「裏金問題」と「中国」は一見、関係ないようだが、どのようにつながるのだろう。
・『(1)生活防衛は「抜本的」に 私は年末は自分へのご褒美を込めて海外で過ごすことにしています。この原稿は滞在先のホテルで書いているのですが、この年末の滞在はそれほど優雅ではありません。物価が高いのです。 10月に香港、この年末は米国で過ごしてみた感想は、どちらの国や地域も物価は日本の倍という感覚です。とはいえ旅の間は価格よりも体験重視ですから、極力気にせず現地滞在を楽しんでいます。それはそれで経済評論家の矜持なのでよいのですが、仮にこれが日常になったら生活が成り立たないなというのも実感です。もはや日本人にとって「日本の稼ぎで海外移住」は難しいのかもしれません。 一歩思考を進めて、仮に日本の物価がそこまで進んでしまったらどうなるでしょうか。 直近の消費者物価指数は前年比で2.8%の上昇と、相変わらず穏やかなインフレが進行しています。ちょうど1年前の11月が前年比で3.8%のインフレでしたから2年間で6.7%の物価高になった計算です。さらに生活必需品の値上がりが総合指数より大きかった様子で、それで家計では指数以上に物価高を実感していたというのがこれまでの経緯です。 国内要因としては2024年には「賃上げ」が加わります。 そもそも企業物価指数はこれまでも消費者物価指数よりも大きかったのですが、そこを企業努力で値上げを我慢してきた企業が多かったのです。そこに賃上げが加わるので、2024年はこれまで我慢できていた企業の価格据え置き努力にはもう期待できません。 さらに、海外要因が加わります。具体的には商品相場の上昇と円安が物価高のリスク要因です。これについては過去2年と比較して「元に戻る」可能性もあるのですが、頭に入れておかなければならないのは冒頭のキーワードである「混乱」です。 ひとつだけ大きなリスク要因を名指しておきますと、世界がイスラエル情勢に注目しているのはオイルショックにつながる危険性が常に存在するからです。そして、もしイランなどが戦争に参加することでオイルショックが起きてしまえば、日本の物価がこれまでの倍に感じられるほどのインフレが起きることを覚悟する必要があります。 少なくとも過去、二度のオイルショックを経験してきた私のような世代から見れば、デフレしか経験してこなかった20代・30代とは世の中の振れ幅のリスクが違って見えています。 物価が倍になるというところまではいかないとしても、物価が今の1.2~1.3倍になったときに生活が成立するかどうかについては2024年の初めに少し真面目に考えてみたほうがいいかもしれません。 シミュレーションの仕方としては物価高の逆数で考えて、「手取りが今よりも2割減ったら生活が成立するだろうか?」などと実際に計算してみることをお勧めします。当然ですが、そうなったら「何かをやめないと生活が防衛できない」という事実に気づくことになると思います。 家計のぜい肉というものは常に存在するものです。これはファイナンシャルプランナーに相談すればより明確になることだと思います。生活が苦しくなってから慌てるのではなく、今のうちに生活防衛の計画をきちんと立てておく。それを一年の初めに行ってみるのは、2024年に関しては重要かもしれません』、「生活が苦しくなってから慌てるのではなく、今のうちに生活防衛の計画をきちんと立てておく。それを一年の初めに行ってみるのは、2024年に関しては重要かもしれません」、なるほど。
・『(2)資産形成は「長期的」に 2023年の私の記事では資産形成絡みの記事もよく読まれました。直近ですと新NISAの記事に注目が集まった様子です。日本の場合、多くの家庭が十分な老後の蓄えができていないという問題を抱えています。これまでも、そしてこれからも銀行の預金金利では十分な資産形成は望めません。リスクを取った投資を始めなければ老後は厳しいことになるかもしれません。 一方で「株はギャンブルのようだ」と感じる方も多いでしょう。順調そうに見える会社の株を買ったら、その後勢いが止まって株価が大きく下がってしまうような経済現象は頻繁に起きます。どの株を買ったらいいか迷う人も多いのです。 新NISAの記事でも書きましたが、資産形成を狙って株式投資をする場合の基本は3つです。 「なるべく多くの株に分散投資する」 「日本以外の株にも分散する」 「投資を長期継続する」 この3つを心がけることで株への投資リスクは大きく下がります。その条件に合致するのが今、人気の国際型インデックス投資信託に積み立て投資をすることです。 ちなみに「日本以外の株にも分散する」理由は、日本経済が堅調なら給料や年金で生活が成立するけれども、日本経済がうまくいかない場合は海外投資がその穴埋めになるという考え方です。 失われた30年はトータルで考えれば日本株に投資するよりも米国株に投資したほうが財産は形成しやすかったし、それで給料が上がらなかった分を補填できたわけで、その考え方は今後も念頭に置いたほうがいいというのはひとつの投資戦略です。 いずれにしても、今や老後の生活は年金だけではどうにもならない時代です。2024年の初めに「本格的な資産形成のための計画を立てる」ということをきちんと考えてみてはどうでしょうか?』、「2024年の初めに「本格的な資産形成のための計画を立てる」ということをきちんと考えてみてはどうでしょうか?」、その通りだ
・『(3)脱炭素は「意図的」に (1)と(2)の計画は比較的読者の皆さんには実感の湧くテーマだったかと思います。 一方で私はせっかく2024年の混乱に備えて本格的に生活を変えていこうと考えるのであれば、これからお話しする三つ目の脱炭素の話をしっかりと考えることが個人にとっても重要ではないかと思います。 多くの読者の皆さんにとっては脱炭素というのは国のテーマであって、自分自身のテーマとしては距離が遠いと感じているのではないでしょうか。ただし手段としての脱炭素は遠いテーマだとしても、その目的である「気候変動の抑止」は皆さんに実感のあるテーマなのではないでしょうか。 なにしろこのところ毎年夏になると、酷暑で日中に外出することで命の危険を感じることがあるぐらいです。異常気象による豪雨災害も増加していて、いつそれに巻き込まれるのか、誰にとっても温暖化リスクが大きくなりつつあります。 そのような異常気象の進行を遅くするのが脱炭素ですから、それについて早期に本格的に取り組むことを考えてみるというのは年初のよいテーマかもしれません。 たとえば太陽光発電の投資対効果はこの20年でかなりよくなってきています。もし自宅が一戸建てであれば、今年は屋根の上に太陽光パネルを設置することを考えてみるのはいい考えかもしれません。そうすれば高騰する電気代を抑えて、逆に売電することで副収入を増やすことにつながるかもしれません。その上で脱炭素にも大いに貢献することができます』、「異常気象の進行を遅くするのが脱炭素ですから、それについて早期に本格的に取り組むことを考えてみるというのは年初のよいテーマかもしれません。 たとえば太陽光発電の投資対効果はこの20年でかなりよくなってきています。もし自宅が一戸建てであれば、今年は屋根の上に太陽光パネルを設置することを考えてみるのはいい考えかもしれません。そうすれば高騰する電気代を抑えて、逆に売電することで副収入を増やすことにつながるかもしれません」、その通りだ。
・『脱炭素関連の補助金が出る可能性は高い さて、この「年初に脱炭素の計画を立ててみる」ということですが、実はそれをお勧めする重要な理由が補助金です。脱炭素のための投資についてはさまざまな補助金制度があるのですが、その補助金が年度の途中で使い切られてしまうケースが増えています。 たとえばEVの購入に対して補助金がたくさん出ることが知られていますが、EVがそれほど売れない日本でも、ここ2年ぐらいEV補助金は年度終盤で終わりになるケースが続いています。それでも補正予算で打ち切り後も補助金が新たに継続する場合もあるのですが、今後、みんながEVを買う時代になればそれもいずれ打ち切られるでしょう。 私は今年、EVを購入してそれをしばらく使っているうちに、自宅に200Vの電源を設置したほうがいいと考えるようになり、それで電気工事を行いました。10月に工事を注文したのですが、実は9月までなら補助金でその工事は自分のお金を使わないでもできたのでした。それが9月末で打ち切りになったことを後から知って残念な思いをしたものです。 2024年は多くの補助金は新年度に入って予算が決まる5~6月頃から始まるはずです。いずれどの家庭も脱炭素投資をしなければならないことになるはずですから、意図的に今のうちに自分の家の脱炭素投資を前倒しで計画して、できれば補助金が出る可能性が高いうちにそれを済ませてしまうことは、生活防衛にも後々の資産形成にもつながるのではないでしょうか? 「一年の計は元旦にあり」 と言います。2024年のいつか途中で大混乱が始まってから慌てるのではなく、このタイミングで実行することを決めておくことは、2024年は特に重要だと私は思います』、「いずれどの家庭も脱炭素投資をしなければならないことになるはずですから、意図的に今のうちに自分の家の脱炭素投資を前倒しで計画して、できれば補助金が出る可能性が高いうちにそれを済ませてしまうことは、生活防衛にも後々の資産形成にもつながるのではないでしょうか?」、私の場合、太陽光発電は屋上が使えなくなると、いち早く断念したので、この記事のアドバイスは無関係だが、断念してなければ、目の色を変えて「補助金」あさりをしていることだろう。
タグ:2024年展望(その1)(2024年は「大混乱」の年に…徹底すべき3大対策!生活防衛、資産形成、意外な最後の1つは?: ダイヤモンド・オンライン 鈴木貴博氏による「2024年は「大混乱」の年に…徹底すべき3大対策!生活防衛、資産形成、意外な最後の1つは?」 2024年は「混乱」の年 今こそ始めるべきは3つ 「安倍派の裏金問題が長引けば、中国が何かを仕掛けてくる可能性が高まります」、「裏金問題」と「中国」は一見、関係ないようだが、どのようにつながるのだろう。 (1)生活防衛は「抜本的」に 「生活が苦しくなってから慌てるのではなく、今のうちに生活防衛の計画をきちんと立てておく。それを一年の初めに行ってみるのは、2024年に関しては重要かもしれません」、なるほど。 (2)資産形成は「長期的」に 「2024年の初めに「本格的な資産形成のための計画を立てる」ということをきちんと考えてみてはどうでしょうか?」、その通りだ (3)脱炭素は「意図的」に 「異常気象の進行を遅くするのが脱炭素ですから、それについて早期に本格的に取り組むことを考えてみるというのは年初のよいテーマかもしれません。 たとえば太陽光発電の投資対効果はこの20年でかなりよくなってきています。もし自宅が一戸建てであれば、今年は屋根の上に太陽光パネルを設置することを考えてみるのはいい考えかもしれません。そうすれば高騰する電気代を抑えて、逆に売電することで副収入を増やすことにつながるかもしれません」、その通りだ。 脱炭素関連の補助金が出る可能性は高い
健康(その27)(命を縮める睡眠時無呼吸症候群 「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法、炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由、生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」) [生活]
健康については、本年9月20日に取上げた。今日は、(その27)(命を縮める睡眠時無呼吸症候群 「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法、炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由、生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」)である。
先ずは、10月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した医療ライターの福島安紀氏による順天堂大学医学部附属順天堂医院睡眠・呼吸障害センター長の葛西隆敏氏へのインタビュー「命を縮める睡眠時無呼吸症候群、「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/330249
・『「いびきがひどい」「睡眠中に息が止まっている!と言われたことがある」「日中に耐え難い眠気がある」……。そんな症状に心当たりがある人は、睡眠時無呼吸症候群かもしれない。放置している人は少なくないが、仕事のパフォーマンスを低下させるばかりか、突然死の原因にもなる病気であることをご存知だろうか。職場や家庭での信頼と命を守るためにも知っておきたい睡眠時無呼吸症候群のリスクと最新治療について、専門医に話を聞いた。これを読めば、高いびきをかいて眠るのが怖くなるはずだ。(取材・文/医療ライター 福島安紀)』、「仕事のパフォーマンスを低下させるばかりか、突然死の原因にもなる病」、とは恐ろしい話だ。
・『なぜ太っている人はいびきをかきやすいのか? 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸、あるいは低酸素状態になって、日中に強い眠気を感じたり集中力が低下したりするなど、仕事にも影響が出る病気だ。そもそも、睡眠時の無呼吸はなぜ起こるのだろうか。 「太っていて首や喉の周囲に脂肪がついている人、あるいは、もともと下あごが小さかったり扁桃腺が大きかったりする人は気道が狭く、仰向けになって眠ると、息を吸った時の圧力で舌の付け根の部分が喉の奥に落ち込み、気道が塞がれたり狭くなったりします。この狭い気道を無理に高速の気流が流れるときに生じるのが、いびきです。さらに喉が塞がって気道が確保できなくなると、無呼吸になります」 そう説明するのは、順天堂大学医学部附属順天堂医院睡眠・呼吸障害センター長の葛西隆敏氏。一緒に寝ている人にとって騒音でしかない「いびき」は、この病気の重要なサインというわけだ。 睡眠時無呼吸症候群になると、大事な商談や会議のときに眠ってしまったり、夜中に何度もトイレに行ったり、怒りっぽくなったり性欲が低下する人もいる。このような影響が出るのは、どうしてなのだろうか。 「睡眠中に無呼吸か低呼吸になって酸欠状態になると、その度に脳が覚醒して起きているのに近い状態になって酸素を取り入れようとするので眠りが浅くなります。毎晩その状態を繰り返していると本人は眠っているつもりなのに寝不足になりますし、眠りが浅くなった時に目が覚めてしまったりトイレに行きたくなったりするのです」 睡眠時無呼吸症候群かどうかの診断するためには、専門的な検査で、睡眠中に10秒以上無呼吸か低呼吸になる回数が1時間に何回起こるかを計測する必要がある』、「「太っていて首や喉の周囲に脂肪がついている人、あるいは、もともと下あごが小さかったり扁桃腺が大きかったりする人は気道が狭く、仰向けになって眠ると、息を吸った時の圧力で舌の付け根の部分が喉の奥に落ち込み、気道が塞がれたり狭くなったりします。この狭い気道を無理に高速の気流が流れるときに生じるのが、いびきです」、私は太ってはいないが、「いびき」は時たまかく。
・『睡眠時無呼吸症候群かどうか どうやったらわかる? 「睡眠中に1時間当たり平均5回以上無呼吸か低呼吸になっていることが確認され、日中の眠気や疲労感、睡眠中の息苦しさ、途中で何度も目が覚める、起床時の爽快感がない、集中力の低下などの症状がある場合に、睡眠時無呼吸症候群と診断します。1時間に平均15回以上無呼吸・低呼吸になっている人は中等症、30回以上なら重症の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態です」 1時間に15回なら4分ごと、30回なら2分ごとに呼吸が止まったり低酸素状態になったりしているということだ。そんなに頻繁に息が止まっていると考えると恐ろしいが、これを読んでいるあなたにとっても他人事ではないかもしれない。 何しろ日本では、34歳以上の男性の4人に1人、閉経後の女性の10人に1人が、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態と推計されている。しかし、適切な治療を受けている人はその10分の1程度で、約9割の人は自分の病気に気づいてないのが実態なのだ。 睡っているときに頻繁に無呼吸になっているかどうかを自分で客観的に判断することは不可能だ。睡眠中に低酸素状態になっているのに気づかず放置していると、なぜ危険なのだろうか』、「34歳以上の男性の4人に1人、閉経後の女性の10人に1人が、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態と推計されている。しかし、適切な治療を受けている人はその10分の1程度で、約9割の人は自分の病気に気づいてないのが実態なのだ」、なるほど。
・『自分だけの問題ではない 恐ろしい事故の危険性 「睡眠時無呼吸症候群を放置すると、仕事のパフォーマンスが下がるだけではなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になり、動脈硬化が進んで、心筋梗塞、不整脈、心不全や脳卒中を発症したり突然死を起こしたりするリスクが高まるからです」 さらに恐ろしいのは、睡眠時無呼吸症候群になると運転中に睡魔に襲われ、交通事故を起こして人の命を奪う危険性もあることだ。日本でこの病気が注目されたのは、2003年にJR山陽新幹線が岡山駅でホームからはみ出して停車し、車掌が見に行くと運転手が眠っていたケースがきっかけだった。 2013年には、関越自動車道でツアーバスの運転手が居眠りして防音壁に追突し、乗客7人が死亡する事故も起こっている。どちらの運転手も事故後に睡眠時無呼吸症候群と診断された。米国の研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者が交通事故を起こすリスクはそうではない人に比べて約7倍高く、そのために700億ドルもの経済損失が生じていると試算している。 「適切な治療を受けることで、事故を起こすリスクは減らせますし、高血圧や動脈硬化などが改善し、心臓病や脳卒中で入院したり死亡したりするリスクを軽減することが期待されます」 では、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合には、どのような治療が行われるのだろうか』、「睡眠時無呼吸症候群を放置すると、仕事のパフォーマンスが下がるだけではなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になり、動脈硬化が進んで、心筋梗塞、不整脈、心不全や脳卒中を発症したり突然死を起こしたりするリスクが高まる」、「2013年には、関越自動車道でツアーバスの運転手が居眠りして防音壁に追突し、乗客7人が死亡する事故も起こっている」、「米国の研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者が交通事故を起こすリスクはそうではない人に比べて約7倍高」いようだ。
・『肥満なら減量、仰向けは横向き、そしてまず試す治療法は? 「肥満の人には減量を勧めます。横向きに寝ることや、舌の付け根が喉の奥に落ちないように下あごを固定するマウスピースの着用によって、睡眠時に無呼吸になる回数が減る患者さんもいます」 また、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群の患者にとって第一選択となるゴールドスタンダードの治療は、CPAP(シーパップ)療法。 「CPAPは、専用の鼻マスクから空気を持続的に送り込んで気道を広げ、睡眠中の無呼吸を防ぐ装置です。装置自体はコンパクトなので、出張や旅行にも持参できます」 CPAP療法によって、無呼吸・低呼吸やいびきが消失し、日中の眠気や夜間頻尿が軽減する人は多く、高血圧、動脈硬化が改善し心臓病や脳卒中の予防にもつながることがわかっている。睡眠時無呼吸症候群の人にとっては恩恵の大きい治療法だ。 ただ、CPAP療法では鼻マスクが気になって寝付けなかったり、無意識のうちに途中で外してしまったりする人がいるのが難点といわれる。他に選択肢はないのだろうか』、「CPAP療法によって、無呼吸・低呼吸やいびきが消失し、日中の眠気や夜間頻尿が軽減する人は多く、高血圧、動脈硬化が改善し心臓病や脳卒中の予防にもつながることがわかっている。睡眠時無呼吸症候群の人にとっては恩恵の大きい治療法だ」、「ただ、CPAP療法では鼻マスクが気になって寝付けなかったり、無意識のうちに途中で外してしまったりする人がいるのが難点といわれる」、なるほど。
・世界で5万人が受けた満足度95%の治療法 「CPAP療法が継続できない人のために開発されたのが、2021年6月に新たに保険適用になった舌下神経電気刺激療法です。手術で鎖骨の下にパルスジェネレーターと呼ばれる小さな機器を植え込み、本人の呼吸サイクルに合わせて舌下神経に電気刺激を与えて舌の付け根を持ち上げ、気道が塞がらないようにする治療法です」 既に世界15カ国で4万6000人がこの治療を受け、8割の人が無呼吸や日中の眠気が改善し、患者満足度は95%と報告されている。 今のところ舌下神経電気刺激療法の対象となるのは、18歳以上で高度の肥満ではなく(BMI[体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)]が30未満)、CPAP療法の継続が困難などの条件を満たした患者だ。 この治療を受けるには1週間程度の入院が必要になる。それでも、これまでは他に選択肢がなかっただけに、この新治療の登場はCPAPの継続が困難、あるいはCPAPでは効果が得られなかった患者にとっては朗報といえる。 舌下神経電気刺激療法を実施している病院は、この手術に用いる機器を開発したインスパイア・メディカル・システムズ・ジャパンのホームページで調べられる。 心臓病が専門の葛西氏が、睡眠時無呼吸症候群の治療に力を入れるようになったのは、研修医時代に、不整脈を起こして心臓が止まる発作を夜中に頻繁に起こす重度の心不全の入院患者に出会ったのがきっかけという。 「その患者さんは睡眠時無呼吸症候群だったのでその治療をしたところ不整脈の発作が起こらなくなり、心不全が劇的に改善して自宅で日常生活が送れるほど回復されました。睡眠時無呼吸症候群かもしれないと思っている人は、仕事のパフォーマンスの低下を防ぎ、命を縮めないためにも、ぜひ、かかりつけ医や睡眠時無呼吸症候群の治療をしている医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けてほしいと思います」 (監修/葛西隆敏 順天堂大学医学部附属順天堂医院睡眠・呼吸障害センター長)』、「舌下神経電気刺激療法の対象となるのは、18歳以上で高度の肥満ではなく(BMI[体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)]が30未満)、CPAP療法の継続が困難などの条件を満たした患者だ。 この治療を受けるには1週間程度の入院が必要になる。それでも、これまでは他に選択肢がなかっただけに、この新治療の登場はCPAPの継続が困難、あるいはCPAPでは効果が得られなかった患者にとっては朗報といえる」、「世界で5万人が受けた満足度95%の治療法」、なるほど。
次に、10月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したシドニー大学生命環境科学部栄養生態学教授のデイヴィッド・ローベンハイマー氏とシドニー大学生命環境科学部教授のスティーヴン・J・シンプソン氏による「炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/328756
・『タンパク質の摂りすぎは早死にを招く?肥満は実は健康に悪いわけではない?シドニー大学の世界的栄養学者2人が、マウス数百匹を使った5年におよぶ実験で明らかにした、食事が寿命と健康に与える直接的影響とは――!?本稿は、デイヴィッド・ローベンハイマー、スティーヴン・J・シンプソン『食欲人』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『生物の老化は食事で調整可能! 読者の中には、すでに「テロメア」をご存じの人もいるだろう。寿命を延ばし老化を遅らせる役割を担うことから、テロメアはしばらく前から人気と名声を博している。 テロメアとは染色体の末端にあるキャップ状の構造で、細胞複製に欠かせない重要な要素が細胞分裂時にほつれてしまうのを防いでいる。 加齢とともに、傷ついて古くなった細胞の入れ替えが何度もくり返されるうちに、テロメアはどんどん短くなり、ついには染色体の末端部分が露出し、細胞分裂の際に複製エラーを犯すようになる。 やがてエラーが蓄積して、様々な組織や器官の老化を引き起こすのだ。 寿命をマッピングしたグラフをもとに、次の予測を立てることができた。 もし私たちが発見した餌に対する反応のパターンが、その根底にある老化の生物学的機構の違いから生じているのなら、マウスのテロメアの長さのマップの基本的な形状は、寿命のマップと同じになるはずだ。 ではどうだったのか? 低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、テロメアがより長く、より長生きした。高タンパク質/低炭水化物食のマウスは、テロメアと寿命がより短かった。 思ったとおりだ――この結果は、テロメアに関する一般常識(長いほどよい)を裏づけるとともに、低タンパク質と高炭水化物の組み合わせが長寿をもたらすという私たちの予想とも一致していた。 続いて、主要栄養素の摂取バランスと、ほかの老化を計るマーカー(指標)、たとえば免疫機能、主要な栄養シグナル経路の活性度、ミトコンドリア機能などとの関係を測定した。 これらのパターンはすべて一致した。つまり、食餌を利用して、老化の基本的な生物学的プロセスを強めたり弱めたりできる可能性があるということだ。 もし本当ならすごいことになる。 ヒト(やマウス、ハエ、それにイースト細胞)の生理的機構の中心には、2つの対立する生化学的経路がある。これらの経路は、すべての動物のまったく異なる2つの生命の「成果」を導いている。 1つ目を「長寿経路」――わかりやすくいうと「状況が好転するまで身を潜めてじっと待て」経路――もう1つを「成長・繁殖経路」――「チャンスを逃すな、あとは野となれ山となれ」経路――と呼ぼう。 重要な点として、これら2つのシステムは互いに抑制し合う関係にある。 一方が機能しているときは、もう一方は機能しない。食料と栄養が不足すると、長寿経路が作動し、成長・繁殖経路は停止する。細胞とDNAの修復・維持システムが活性化し、いつか世界が変化して食料が豊富になり、繁殖という進化上の目的を果たせるようになるまでの間、動物の健康を維持する。) いつまで続くかわからない期間を、この状態で待機する。世界が変化せず、成長・繁殖経路への切り替えに必要な栄養が不足した状態が続けば、動物は子孫をもたないまま長い一生を送ることになる』、「テロメアとは染色体の末端にあるキャップ状の構造で、細胞複製に欠かせない重要な要素が細胞分裂時にほつれてしまうのを防いでいる。 加齢とともに、傷ついて古くなった細胞の入れ替えが何度もくり返されるうちに、テロメアはどんどん短くなり、ついには染色体の末端部分が露出し、細胞分裂の際に複製エラーを犯すようになる。 やがてエラーが蓄積して、様々な組織や器官の老化を引き起こすのだ・・・低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、テロメアがより長く、より長生きした。高タンパク質/低炭水化物食のマウスは、テロメアと寿命がより短かった。 思ったとおりだ――この結果は、テロメアに関する一般常識(長いほどよい)を裏づけるとともに、低タンパク質と高炭水化物の組み合わせが長寿をもたらすという私たちの予想とも一致していた」、なるほど。「ヒト・・・の生理的機構の中心には、2つの対立する生化学的経路がある。これらの経路は、すべての動物のまったく異なる2つの生命の「成果」を導いている。 1つ目を「長寿経路」――わかりやすくいうと「状況が好転するまで身を潜めてじっと待て」経路――もう1つを「成長・繁殖経路」――「チャンスを逃すな、あとは野となれ山となれ」経路――と呼ぼう。 重要な点として、これら2つのシステムは互いに抑制し合う関係にある。 一方が機能しているときは、もう一方は機能しない。食料と栄養が不足すると、長寿経路が作動し、成長・繁殖経路は停止する。細胞とDNAの修復・維持システムが活性化し、いつか世界が変化して食料が豊富になり、繁殖という進化上の目的を果たせるようになるまでの間、動物の健康を維持する」、よく出来た仕組みだ。
・『長生きに効く「断食」という手法 だが食料が豊富で十分なタンパク質が得られるときには、長寿経路は停止し、成長・繁殖経路が作動する。 体は新しい細胞をつくり始めるが、それとともにDNAや細胞、組織を損傷や摩耗から保護し修復するシステムの「ダイヤル」を弱める。細胞は必要なタンパク質を生成する際にエラーを起こすようになり、異常な折りたたみ構造のタンパク質やそのほかの細胞のゴミが蓄積され、細胞分裂時のエラーの頻度が高まる。 こうした問題は、動物が生存し、成長していくうえで避けられない。呼吸をしないと生きていけないのと同じで、これらを避けることはできない。その結果、がんやそのほかの疾患リスクが高まり、寿命が縮まる可能性がある。 だが進化という観点からすれば、動物が成長し繁殖できる限り、それは容認できる代償ということになる。 低タンパク質/高炭水化物食が長寿経路を作動させ得ることを、このマウス研究は初めて明らかにしたのだ。 ここでカロリー制限の話に戻ろう。 私たちのマウスの実験は、40%のカロリー制限が寿命を延ばすのは、カロリーの摂取量が減るからではないことを示した。より重要なのは主要栄養素のバランスであり、またカロリー摂取を制限しなくても長寿効果が得られることがわかった。 しかし、これらの実験では、マウスに食料への無制限のアクセスを与えた。 つまり割り当てられた特定の餌だけを、いつでも好きなだけ食べることができた。 これは、マウスを使った従来型のカロリー制限研究で用いられてきた実験方法とは異なる。従来型の研究では、動物はカロリー制限食を一度にまとめて与えられ、それを1、2時間で食べ尽くしてしまえば、翌日まで何も食べるものがない。 そしていまや世界中の研究グループによって示されているとおり、そうした状況下で長寿経路を作動させるのは、カロリーを摂取しない時間、すなわち「断食」である。 つまりマウスの長寿経路は、(必ずしも摂取カロリーを減らさずに)炭水化物に対するタンパク質の比率を下げることによって、または断食によって、あるいはこれらの組み合わせによって、作動させることができる。) その後もマウスのデータ解析を続け、食餌のバランスと、老化の生物学だけでなく、私たちの測定した健康のさまざまな「成果」、たとえば耐糖能とインスリン値(これらはヒトの2型糖尿病の指標である)、血圧、コレステロール、炎症マーカーとの関係も調べられることがわかった。これらはどれも、健康診断で調べられるおなじみのマーカーだ。 そしてここでも明らかな関連性が認められた。 低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、グルコースが血液から除去されるまでの時間が最も短く(健康的だということ)、LDL(悪玉)コレステロールが最も低かった。 低タンパク質/高炭水化物食で生涯にわたり飼育されたマウスは、最も寿命が長いだけでなく、老化と老後の健康を測るマーカーが最も良好だった。 これは健康で長生きしたい人にとってすばらしい手がかりになりそうな発見である。 だが1つ難点があった。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは太っていたのだ』、「低タンパク質/高炭水化物食で生涯にわたり飼育されたマウスは、最も寿命が長いだけでなく、老化と老後の健康を測るマーカーが最も良好だった。 これは健康で長生きしたい人にとってすばらしい手がかりになりそうな発見である。 だが1つ難点があった。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは太っていたのだ」、なるほど。
・『肥満は本当に健康に悪いのか? その理由は、低タンパク質/高炭水化物食のマウスは高タンパク質食のマウスよりも多くのカロリーを摂取したからだ。 脂肪または炭水化物の比率の高い餌だけを食べていると、十分なタンパク質を摂取しようとして食べすぎてしまう。その結果どうなるかはおわかりだろう。 実はこの反応は、ヒトよりマウスのほうが弱いのだが、それでも肥満を起こすには十分だった。 そして重要な点として、エネルギー密度の高い脂肪や炭水化物の代わりに、難消化性の(したがってカロリーゼロの)食物繊維を混ぜてタンパク質を薄めたところ、マウスはそれでも十分なタンパク質を得るためにより多くの餌を摂食し、長生きした。 そして、太らなかったのだ。 しかし、なぜ私たちの体は太るような方法でものを食べさせようとするのだろう?肥満は健康に悪いはずだろう? そうでもあるが、そうでもない。 低タンパク質/高炭水化物食の長寿で健康だが太ったマウスと、低タンパク質/高脂肪食の同じくらい太ったマウスを比較したところ、重要な違いがあった。 後者の集団は寿命が短いうえにかなり不健康だった。つまり、ただ脂肪に対する炭水化物の比率を変えるだけで、比較的良性の肥満か、不健康な肥満をつくり出せる、ということになる。 どちらのケースでも、マウスはより多くのタンパク質を得ようとして食べすぎたが、脂肪の摂取を増やすほうが、炭水化物の摂取を増やすより不健康になった。) そんなわけで、新しい疑問が生まれた。良性の肥満と不健康な肥満の違いはどこから来るのだろう? チャールズ・パーキンス・センターの研究仲間アンドリュー・ホームズとの共同研究で、その手がかりをマウスの結腸に見つけた。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、低タンパク質/高脂肪食のマウスに比べ、腸内により健康的な微生物叢をもっていた。 ほかにも違いがあった――肝臓から放出される「FGF」(繊維芽細胞成長因子)と呼ばれるホルモンの濃度が、低タンパク質/高炭水化物食のマウスは驚くほど高かったのだ。 FGFは、タンパク質欲の制御における重要なシグナルであることがわかっている。FGFはインスリン感受性を改善させ、代謝の健康を促進する効果がある。つまり、血液中のブドウ糖を細胞に取り込むためにインスリンをそれほど生成する必要がなくなる。 またFGFは、過食の状態でエネルギー消費を促す。 これらの要因は、マウスだけでなくヒトにおいても重要な役割を果たしている。ルイジアナ州立大学ペニントン研究所のクリス・モリソンと行った別の実験で、私たちはFGFの濃度が上昇すると、マウスはタンパク質豊富な餌を明確に選択することを明らかにした。 科学の歩みは速いもので、これを執筆している今も、FGFがこれまで見逃されていたタンパク質欲ホルモンであること、またFGFが炭水化物欲のスイッチオフに関与していることを裏づける、いくつかの重要な論文が発表されつつある。このように、肥満は予想以上に複雑だということをマウスは教えてくれた。 単にやせているからといって、健康で長生きできるわけではない。それどころか、 高タンパク質/低炭水化物食のセクシーなやせたマウスは、すべてのマウスの中で最も寿命が短く、見栄えのいい中年の死体になった。なぜなら、高いタンパク質対炭水化物比は、急速な老化に関連する経路を激しく活性化させ、細胞とDNAの修復・維持メカニズムを弱め、老化やがん、そのほか慢性病を促進する比率でもあるからだ。これは望ましい状態とはいえない。 そしてこれはおそらく、マウスに限った話ではない。なにしろ老化と代謝に関する限り、人間はマウスと生物学的に同じなのだ』、「高タンパク質/低炭水化物食のセクシーなやせたマウスは、すべてのマウスの中で最も寿命が短く、見栄えのいい中年の死体になった。なぜなら、高いタンパク質対炭水化物比は、急速な老化に関連する経路を激しく活性化させ、細胞とDNAの修復・維持メカニズムを弱め、老化やがん、そのほか慢性病を促進する比率でもあるからだ。これは望ましい状態とはいえない。 そしてこれはおそらく、マウスに限った話ではない」、なるほど。
・『100歳以上の人口割合が飛び抜けている沖縄の食事 マウスの実験を通して、餌を簡単に操作するだけで、様々な結果を引き起こせることがわかった。 まるでダイヤルをひねるように、これを少し増やしあれを少し減らすだけで、肥満を起こすことも止めることも、筋肉を増やし体脂肪を減らすことも、がんを予防することも促進することも、老化を遅らせることも速めることも、繁殖を促進することも抑制することも、腸内微生物叢を変化させることも、免疫系を起動させることもできるのだ。 私たちはただタンパク質と脂肪、炭水化物のダイヤルをひねるだけで、このすべてを実際にマウスで行った。またその結果をグラフで明確に視覚化して、マウスを健康にするための非常に正確な食餌を提案することができた。 そして原理上は、人間を健康にするための食事も提案できるはずだ。「低タンパク質/高炭水化物食」が、ヒトの長寿と健康をもたらすことを示唆する証拠はあるだろうか? それがあったのだ。「ブルーゾーン」と呼ばれる世界の超長寿地域に暮らすすべての人が、まさにそうした食事を摂っている。ブルーゾーンとは、ダン・ビュイトナーが2008年の著書『ブルーゾーン 世界の100歳人(センテナリアン)に学ぶ健康と長寿のルール』で流行らせた用語だ。 ブルーゾーンの住民の中でおそらく最も有名なのは、日本の沖縄の人々だろう。沖縄は100歳以上の人口割合がほかの先進国平均の5倍である。 サツマイモと葉物野菜を主体に、少量の魚と赤身肉を組み合わせた伝統的な沖縄食は、タンパク質比率がわずか9%(食糧難の地域を除けば世界最低水準)、炭水化物が85%、そして脂肪がわずか6%だ。これは実験の最長寿命のマウスが摂取していた比率にほぼ相当する。 伝統的な沖縄の食事を摂っている人は、肥満とほぼ無縁だった。その理由の1つは、食事の食物繊維含有率が高いからである。 食事に十分な食物繊維が含まれると、カロリーの過剰摂取を駆り立てるタンパク質レバレッジの効果が弱められる。食物繊維は胃で膨潤し、消化速度を遅らせ、腸内微生物の餌になる――これらすべてが組み合わさって、空腹感を抑える効果がある。 この食物繊維の多くが、沖縄の人の主な炭水化物源であるサツマイモや、そのほかの野菜や果物に含まれているのだ。 残念ながら現代の沖縄の人々の食事内容は、伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている』、「ブルーゾーンの住民の中でおそらく最も有名なのは、日本の沖縄の人々だろう。沖縄は100歳以上の人口割合がほかの先進国平均の5倍である。 サツマイモと葉物野菜を主体に、少量の魚と赤身肉を組み合わせた伝統的な沖縄食は、タンパク質比率がわずか9%(食糧難の地域を除けば世界最低水準)、炭水化物が85%、そして脂肪がわずか6%だ。これは実験の最長寿命のマウスが摂取していた比率にほぼ相当する。 伝統的な沖縄の食事を摂っている人は、肥満とほぼ無縁だった。その理由の1つは、食事の食物繊維含有率が高いからである・・・残念ながら現代の沖縄の人々の食事内容は、伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている」、やはり「沖縄」でも「伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている」、のは実に残念なことだ。
第三に、10月24日付け東洋経済オンラインが掲載したライターの堀尾 大悟氏による「生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/709645
・『フリーアナウンサーの生島ヒロシ氏。今年で73歳となる今もアナウンサーとして第一線で活躍し、パーソナリティーを務めるラジオ番組「生島ヒロシのおはよう定食/一直線」(TBSラジオ)は25年を迎えた長寿番組だ。 諏訪中央病院名誉院長・鎌田實氏との共著書である『70歳からの「貯筋」習慣』では、高齢者が長く健康を保つために、体の筋肉を蓄える「貯筋」の大切さを提唱している。ラジオ番組、イベント司会、講演と精力的な活動を続ける健康の達人・生島氏に、その「貯筋」をはじめ、健康を保つ食事や運動などのポイントを聞いた(Qは聞き手の質問、Aは生島氏の回答)』、「体の筋肉を蓄える「貯筋」」とは興味深い考え方だ。
・『朝のラジオ番組が健康のモチベーション Q:今年で73歳とのことですが、とても70代には見えません!健康を保つ秘訣はなんですか? A:月曜から金曜まで、毎朝5時からラジオ番組の生放送があります。この生放送を全国のリスナーが楽しみにしてくれているので、僕が健康を害して放送を止めてしまってはいけません。それが、健康を維持するモチベーションになっています。 もう1つの秘訣として、このラジオ番組では、さまざまな分野の「名医」といわれる先生方をゲストにお招きしています。そこから知り合いになる先生もたくさんいて、『70歳からの「貯筋」習慣』の共著者の鎌田實先生もその1人。 何か気になることがあると、鎌田先生をはじめその分野の先生に相談しながら、自分に合った健康法を取り入れるようにしています。僕にとっては頭のてっぺんから足のつま先まで“主治医”がいるようなものですね(笑)。) Q:毎朝、生放送があるとのことですが、1日のスケジュールは? A:1日のスケジュールも、この毎日のラジオ番組を軸に組み立てています。朝は3時半~4時に起床してスタジオに行き、放送が終わってから少し仮眠をとって、昼食を食べる。 翌朝が早いので夕食は17時半くらいには済ませ、20時過ぎくらいからお風呂にゆっくり浸かり、ストレッチなど軽い運動をしてから1、2時間後には寝るようにしています。 ただ、その日に大きなニュースがあると、明日の放送のためにテレビのニュース番組などで情報収集しています。やっぱりアナウンサーですから、そこは常に「情報ファースト」ですね』、「朝は3時半~4時に起床してスタジオに行き、放送が終わってから少し仮眠をとって、昼食を食べる。 翌朝が早いので夕食は17時半くらいには済ませ、20時過ぎくらいからお風呂にゆっくり浸かり、ストレッチなど軽い運動をしてから1、2時間後には寝るようにしています」、確かに健康的な毎日だ。
・『肉と魚を1品ずつ「ダブルたん活」 Q:食事面で気をつけていることを教えてください。 A:朝食はほとんどとらず、葛湯や紅茶を飲む程度にしています。朝食をしっかり食べることを提唱する先生もいますが、僕の場合は早朝にラジオの生放送があるのと、もともと胃腸が弱いこともあって、朝を控えめにしたほうが体に合っていますね。 食べることは大好きなのですが、夕食を食べ過ぎてしまうと翌朝に響くので、なるべく控えめにして、金曜日以外は会食もできるだけ入れないようにしています。その代わり、昼食では好きなものを食べています。 また、鎌田先生も言っていますが、なるべく食事の間隔を空けることを意識しています。飢餓状態が16時間続くと「オートファジー」という細胞が若返る効果があるといわれていますが、現実的には仕事をしていると難しいので、僕は12時間を目安にしています。 A:『70歳からの「貯筋」習慣』では、たんぱく質を多くとる「たん活」を提唱しています。 A:妻は僕の健康を気遣ってくれて、夕食の食卓には魚料理と肉料理が1品ずつ並びます。ただ、70代になると若い頃のようにたくさんは食べられないので、プロテインでたんぱく質を補っています。) 「たん活」のほかには、以前に番組のゲストで来た北里大学の糖尿病センター長の山田悟先生から「ゆるやかな糖質制限」を教えていただき、炭水化物の量を減らすことを意識しています。おやつも、血糖値が上がりにくいチョコレートや、オメガ3系脂肪酸が豊富に含まれるナッツ類を選ぶようにしています』、「70歳からの「貯筋」習慣』では、たんぱく質を多くとる「たん活」を提唱しています・・・夕食の食卓には魚料理と肉料理が1品ずつ並びます。ただ、70代になると若い頃のようにたくさんは食べられないので、プロテインでたんぱく質を補っています」、「プロテインでたんぱく質を補っています」とはいささか幻滅だ。
・『3カ月で12キロ痩せたその後 Q:運動についてもお聞きしたいのですが、2015年には「ライザップ」のCMでダイエットに成功したことも話題になりました。 A:2カ月のトレーニングの予定が、撮影が1カ月延びたので3カ月になり、結果としてマイナス12キログラム減を達成しました。いやぁ、こんなに変われるものか!と自分でもビックリしましたね(笑)。 ただ、その後はコロナもあって外出機会が減ってしまい、体重が少し増えてしまいました。その反省もあって、今はラジオ番組が終わった後、週3~4日はジムに行ってプールで泳いだり、水中筋トレをしています。 あと、自宅の近くに「chocoZAP(チョコザップ)」ができたので、妻を誘って散歩がてら立ち寄って、一緒に筋トレをしています。 Q:鎌田先生は「夫婦間でほめ合うことが運動を続けるコツ」と言っていました。 A:いやいや、僕の妻は厳しくて、「あなたに厳しいことを言う人は周りにいないから、私が代表して言ってあげているのよ」と言うような人(笑)。ほめ合うというより、妻に「チョコザップに行こうよ」と背中を押されています。 ただ、最近ではご近所でもご主人が急に倒れたという話や、介護にまつわる話を聞くことが増えました。そのこともあって「お互い、介護保険料は払っても介護されないで済むようにしようね」と励まし合いながら運動を続けています。特に、70歳を過ぎるといちばん怖いのが転倒。つまずいても転ばないよう、自宅でもスクワットやプランク(注)をしています』、「今はラジオ番組が終わった後、週3~4日はジムに行ってプールで泳いだり、水中筋トレをしています。 あと、自宅の近くに「chocoZAP(チョコザップ)」ができたので、妻を誘って散歩がてら立ち寄って、一緒に筋トレをしています」、実に理想的に健康的な生活だ。
(注)プランク:うつ伏せになった状態で前腕・肘・つま先を地面につき、その姿勢をキープする体幹トレーニング(melos media)
先ずは、10月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した医療ライターの福島安紀氏による順天堂大学医学部附属順天堂医院睡眠・呼吸障害センター長の葛西隆敏氏へのインタビュー「命を縮める睡眠時無呼吸症候群、「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/330249
・『「いびきがひどい」「睡眠中に息が止まっている!と言われたことがある」「日中に耐え難い眠気がある」……。そんな症状に心当たりがある人は、睡眠時無呼吸症候群かもしれない。放置している人は少なくないが、仕事のパフォーマンスを低下させるばかりか、突然死の原因にもなる病気であることをご存知だろうか。職場や家庭での信頼と命を守るためにも知っておきたい睡眠時無呼吸症候群のリスクと最新治療について、専門医に話を聞いた。これを読めば、高いびきをかいて眠るのが怖くなるはずだ。(取材・文/医療ライター 福島安紀)』、「仕事のパフォーマンスを低下させるばかりか、突然死の原因にもなる病」、とは恐ろしい話だ。
・『なぜ太っている人はいびきをかきやすいのか? 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸、あるいは低酸素状態になって、日中に強い眠気を感じたり集中力が低下したりするなど、仕事にも影響が出る病気だ。そもそも、睡眠時の無呼吸はなぜ起こるのだろうか。 「太っていて首や喉の周囲に脂肪がついている人、あるいは、もともと下あごが小さかったり扁桃腺が大きかったりする人は気道が狭く、仰向けになって眠ると、息を吸った時の圧力で舌の付け根の部分が喉の奥に落ち込み、気道が塞がれたり狭くなったりします。この狭い気道を無理に高速の気流が流れるときに生じるのが、いびきです。さらに喉が塞がって気道が確保できなくなると、無呼吸になります」 そう説明するのは、順天堂大学医学部附属順天堂医院睡眠・呼吸障害センター長の葛西隆敏氏。一緒に寝ている人にとって騒音でしかない「いびき」は、この病気の重要なサインというわけだ。 睡眠時無呼吸症候群になると、大事な商談や会議のときに眠ってしまったり、夜中に何度もトイレに行ったり、怒りっぽくなったり性欲が低下する人もいる。このような影響が出るのは、どうしてなのだろうか。 「睡眠中に無呼吸か低呼吸になって酸欠状態になると、その度に脳が覚醒して起きているのに近い状態になって酸素を取り入れようとするので眠りが浅くなります。毎晩その状態を繰り返していると本人は眠っているつもりなのに寝不足になりますし、眠りが浅くなった時に目が覚めてしまったりトイレに行きたくなったりするのです」 睡眠時無呼吸症候群かどうかの診断するためには、専門的な検査で、睡眠中に10秒以上無呼吸か低呼吸になる回数が1時間に何回起こるかを計測する必要がある』、「「太っていて首や喉の周囲に脂肪がついている人、あるいは、もともと下あごが小さかったり扁桃腺が大きかったりする人は気道が狭く、仰向けになって眠ると、息を吸った時の圧力で舌の付け根の部分が喉の奥に落ち込み、気道が塞がれたり狭くなったりします。この狭い気道を無理に高速の気流が流れるときに生じるのが、いびきです」、私は太ってはいないが、「いびき」は時たまかく。
・『睡眠時無呼吸症候群かどうか どうやったらわかる? 「睡眠中に1時間当たり平均5回以上無呼吸か低呼吸になっていることが確認され、日中の眠気や疲労感、睡眠中の息苦しさ、途中で何度も目が覚める、起床時の爽快感がない、集中力の低下などの症状がある場合に、睡眠時無呼吸症候群と診断します。1時間に平均15回以上無呼吸・低呼吸になっている人は中等症、30回以上なら重症の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態です」 1時間に15回なら4分ごと、30回なら2分ごとに呼吸が止まったり低酸素状態になったりしているということだ。そんなに頻繁に息が止まっていると考えると恐ろしいが、これを読んでいるあなたにとっても他人事ではないかもしれない。 何しろ日本では、34歳以上の男性の4人に1人、閉経後の女性の10人に1人が、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態と推計されている。しかし、適切な治療を受けている人はその10分の1程度で、約9割の人は自分の病気に気づいてないのが実態なのだ。 睡っているときに頻繁に無呼吸になっているかどうかを自分で客観的に判断することは不可能だ。睡眠中に低酸素状態になっているのに気づかず放置していると、なぜ危険なのだろうか』、「34歳以上の男性の4人に1人、閉経後の女性の10人に1人が、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態と推計されている。しかし、適切な治療を受けている人はその10分の1程度で、約9割の人は自分の病気に気づいてないのが実態なのだ」、なるほど。
・『自分だけの問題ではない 恐ろしい事故の危険性 「睡眠時無呼吸症候群を放置すると、仕事のパフォーマンスが下がるだけではなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になり、動脈硬化が進んで、心筋梗塞、不整脈、心不全や脳卒中を発症したり突然死を起こしたりするリスクが高まるからです」 さらに恐ろしいのは、睡眠時無呼吸症候群になると運転中に睡魔に襲われ、交通事故を起こして人の命を奪う危険性もあることだ。日本でこの病気が注目されたのは、2003年にJR山陽新幹線が岡山駅でホームからはみ出して停車し、車掌が見に行くと運転手が眠っていたケースがきっかけだった。 2013年には、関越自動車道でツアーバスの運転手が居眠りして防音壁に追突し、乗客7人が死亡する事故も起こっている。どちらの運転手も事故後に睡眠時無呼吸症候群と診断された。米国の研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者が交通事故を起こすリスクはそうではない人に比べて約7倍高く、そのために700億ドルもの経済損失が生じていると試算している。 「適切な治療を受けることで、事故を起こすリスクは減らせますし、高血圧や動脈硬化などが改善し、心臓病や脳卒中で入院したり死亡したりするリスクを軽減することが期待されます」 では、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合には、どのような治療が行われるのだろうか』、「睡眠時無呼吸症候群を放置すると、仕事のパフォーマンスが下がるだけではなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になり、動脈硬化が進んで、心筋梗塞、不整脈、心不全や脳卒中を発症したり突然死を起こしたりするリスクが高まる」、「2013年には、関越自動車道でツアーバスの運転手が居眠りして防音壁に追突し、乗客7人が死亡する事故も起こっている」、「米国の研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者が交通事故を起こすリスクはそうではない人に比べて約7倍高」いようだ。
・『肥満なら減量、仰向けは横向き、そしてまず試す治療法は? 「肥満の人には減量を勧めます。横向きに寝ることや、舌の付け根が喉の奥に落ちないように下あごを固定するマウスピースの着用によって、睡眠時に無呼吸になる回数が減る患者さんもいます」 また、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群の患者にとって第一選択となるゴールドスタンダードの治療は、CPAP(シーパップ)療法。 「CPAPは、専用の鼻マスクから空気を持続的に送り込んで気道を広げ、睡眠中の無呼吸を防ぐ装置です。装置自体はコンパクトなので、出張や旅行にも持参できます」 CPAP療法によって、無呼吸・低呼吸やいびきが消失し、日中の眠気や夜間頻尿が軽減する人は多く、高血圧、動脈硬化が改善し心臓病や脳卒中の予防にもつながることがわかっている。睡眠時無呼吸症候群の人にとっては恩恵の大きい治療法だ。 ただ、CPAP療法では鼻マスクが気になって寝付けなかったり、無意識のうちに途中で外してしまったりする人がいるのが難点といわれる。他に選択肢はないのだろうか』、「CPAP療法によって、無呼吸・低呼吸やいびきが消失し、日中の眠気や夜間頻尿が軽減する人は多く、高血圧、動脈硬化が改善し心臓病や脳卒中の予防にもつながることがわかっている。睡眠時無呼吸症候群の人にとっては恩恵の大きい治療法だ」、「ただ、CPAP療法では鼻マスクが気になって寝付けなかったり、無意識のうちに途中で外してしまったりする人がいるのが難点といわれる」、なるほど。
・世界で5万人が受けた満足度95%の治療法 「CPAP療法が継続できない人のために開発されたのが、2021年6月に新たに保険適用になった舌下神経電気刺激療法です。手術で鎖骨の下にパルスジェネレーターと呼ばれる小さな機器を植え込み、本人の呼吸サイクルに合わせて舌下神経に電気刺激を与えて舌の付け根を持ち上げ、気道が塞がらないようにする治療法です」 既に世界15カ国で4万6000人がこの治療を受け、8割の人が無呼吸や日中の眠気が改善し、患者満足度は95%と報告されている。 今のところ舌下神経電気刺激療法の対象となるのは、18歳以上で高度の肥満ではなく(BMI[体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)]が30未満)、CPAP療法の継続が困難などの条件を満たした患者だ。 この治療を受けるには1週間程度の入院が必要になる。それでも、これまでは他に選択肢がなかっただけに、この新治療の登場はCPAPの継続が困難、あるいはCPAPでは効果が得られなかった患者にとっては朗報といえる。 舌下神経電気刺激療法を実施している病院は、この手術に用いる機器を開発したインスパイア・メディカル・システムズ・ジャパンのホームページで調べられる。 心臓病が専門の葛西氏が、睡眠時無呼吸症候群の治療に力を入れるようになったのは、研修医時代に、不整脈を起こして心臓が止まる発作を夜中に頻繁に起こす重度の心不全の入院患者に出会ったのがきっかけという。 「その患者さんは睡眠時無呼吸症候群だったのでその治療をしたところ不整脈の発作が起こらなくなり、心不全が劇的に改善して自宅で日常生活が送れるほど回復されました。睡眠時無呼吸症候群かもしれないと思っている人は、仕事のパフォーマンスの低下を防ぎ、命を縮めないためにも、ぜひ、かかりつけ医や睡眠時無呼吸症候群の治療をしている医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けてほしいと思います」 (監修/葛西隆敏 順天堂大学医学部附属順天堂医院睡眠・呼吸障害センター長)』、「舌下神経電気刺激療法の対象となるのは、18歳以上で高度の肥満ではなく(BMI[体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)]が30未満)、CPAP療法の継続が困難などの条件を満たした患者だ。 この治療を受けるには1週間程度の入院が必要になる。それでも、これまでは他に選択肢がなかっただけに、この新治療の登場はCPAPの継続が困難、あるいはCPAPでは効果が得られなかった患者にとっては朗報といえる」、「世界で5万人が受けた満足度95%の治療法」、なるほど。
次に、10月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したシドニー大学生命環境科学部栄養生態学教授のデイヴィッド・ローベンハイマー氏とシドニー大学生命環境科学部教授のスティーヴン・J・シンプソン氏による「炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/328756
・『タンパク質の摂りすぎは早死にを招く?肥満は実は健康に悪いわけではない?シドニー大学の世界的栄養学者2人が、マウス数百匹を使った5年におよぶ実験で明らかにした、食事が寿命と健康に与える直接的影響とは――!?本稿は、デイヴィッド・ローベンハイマー、スティーヴン・J・シンプソン『食欲人』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『生物の老化は食事で調整可能! 読者の中には、すでに「テロメア」をご存じの人もいるだろう。寿命を延ばし老化を遅らせる役割を担うことから、テロメアはしばらく前から人気と名声を博している。 テロメアとは染色体の末端にあるキャップ状の構造で、細胞複製に欠かせない重要な要素が細胞分裂時にほつれてしまうのを防いでいる。 加齢とともに、傷ついて古くなった細胞の入れ替えが何度もくり返されるうちに、テロメアはどんどん短くなり、ついには染色体の末端部分が露出し、細胞分裂の際に複製エラーを犯すようになる。 やがてエラーが蓄積して、様々な組織や器官の老化を引き起こすのだ。 寿命をマッピングしたグラフをもとに、次の予測を立てることができた。 もし私たちが発見した餌に対する反応のパターンが、その根底にある老化の生物学的機構の違いから生じているのなら、マウスのテロメアの長さのマップの基本的な形状は、寿命のマップと同じになるはずだ。 ではどうだったのか? 低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、テロメアがより長く、より長生きした。高タンパク質/低炭水化物食のマウスは、テロメアと寿命がより短かった。 思ったとおりだ――この結果は、テロメアに関する一般常識(長いほどよい)を裏づけるとともに、低タンパク質と高炭水化物の組み合わせが長寿をもたらすという私たちの予想とも一致していた。 続いて、主要栄養素の摂取バランスと、ほかの老化を計るマーカー(指標)、たとえば免疫機能、主要な栄養シグナル経路の活性度、ミトコンドリア機能などとの関係を測定した。 これらのパターンはすべて一致した。つまり、食餌を利用して、老化の基本的な生物学的プロセスを強めたり弱めたりできる可能性があるということだ。 もし本当ならすごいことになる。 ヒト(やマウス、ハエ、それにイースト細胞)の生理的機構の中心には、2つの対立する生化学的経路がある。これらの経路は、すべての動物のまったく異なる2つの生命の「成果」を導いている。 1つ目を「長寿経路」――わかりやすくいうと「状況が好転するまで身を潜めてじっと待て」経路――もう1つを「成長・繁殖経路」――「チャンスを逃すな、あとは野となれ山となれ」経路――と呼ぼう。 重要な点として、これら2つのシステムは互いに抑制し合う関係にある。 一方が機能しているときは、もう一方は機能しない。食料と栄養が不足すると、長寿経路が作動し、成長・繁殖経路は停止する。細胞とDNAの修復・維持システムが活性化し、いつか世界が変化して食料が豊富になり、繁殖という進化上の目的を果たせるようになるまでの間、動物の健康を維持する。) いつまで続くかわからない期間を、この状態で待機する。世界が変化せず、成長・繁殖経路への切り替えに必要な栄養が不足した状態が続けば、動物は子孫をもたないまま長い一生を送ることになる』、「テロメアとは染色体の末端にあるキャップ状の構造で、細胞複製に欠かせない重要な要素が細胞分裂時にほつれてしまうのを防いでいる。 加齢とともに、傷ついて古くなった細胞の入れ替えが何度もくり返されるうちに、テロメアはどんどん短くなり、ついには染色体の末端部分が露出し、細胞分裂の際に複製エラーを犯すようになる。 やがてエラーが蓄積して、様々な組織や器官の老化を引き起こすのだ・・・低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、テロメアがより長く、より長生きした。高タンパク質/低炭水化物食のマウスは、テロメアと寿命がより短かった。 思ったとおりだ――この結果は、テロメアに関する一般常識(長いほどよい)を裏づけるとともに、低タンパク質と高炭水化物の組み合わせが長寿をもたらすという私たちの予想とも一致していた」、なるほど。「ヒト・・・の生理的機構の中心には、2つの対立する生化学的経路がある。これらの経路は、すべての動物のまったく異なる2つの生命の「成果」を導いている。 1つ目を「長寿経路」――わかりやすくいうと「状況が好転するまで身を潜めてじっと待て」経路――もう1つを「成長・繁殖経路」――「チャンスを逃すな、あとは野となれ山となれ」経路――と呼ぼう。 重要な点として、これら2つのシステムは互いに抑制し合う関係にある。 一方が機能しているときは、もう一方は機能しない。食料と栄養が不足すると、長寿経路が作動し、成長・繁殖経路は停止する。細胞とDNAの修復・維持システムが活性化し、いつか世界が変化して食料が豊富になり、繁殖という進化上の目的を果たせるようになるまでの間、動物の健康を維持する」、よく出来た仕組みだ。
・『長生きに効く「断食」という手法 だが食料が豊富で十分なタンパク質が得られるときには、長寿経路は停止し、成長・繁殖経路が作動する。 体は新しい細胞をつくり始めるが、それとともにDNAや細胞、組織を損傷や摩耗から保護し修復するシステムの「ダイヤル」を弱める。細胞は必要なタンパク質を生成する際にエラーを起こすようになり、異常な折りたたみ構造のタンパク質やそのほかの細胞のゴミが蓄積され、細胞分裂時のエラーの頻度が高まる。 こうした問題は、動物が生存し、成長していくうえで避けられない。呼吸をしないと生きていけないのと同じで、これらを避けることはできない。その結果、がんやそのほかの疾患リスクが高まり、寿命が縮まる可能性がある。 だが進化という観点からすれば、動物が成長し繁殖できる限り、それは容認できる代償ということになる。 低タンパク質/高炭水化物食が長寿経路を作動させ得ることを、このマウス研究は初めて明らかにしたのだ。 ここでカロリー制限の話に戻ろう。 私たちのマウスの実験は、40%のカロリー制限が寿命を延ばすのは、カロリーの摂取量が減るからではないことを示した。より重要なのは主要栄養素のバランスであり、またカロリー摂取を制限しなくても長寿効果が得られることがわかった。 しかし、これらの実験では、マウスに食料への無制限のアクセスを与えた。 つまり割り当てられた特定の餌だけを、いつでも好きなだけ食べることができた。 これは、マウスを使った従来型のカロリー制限研究で用いられてきた実験方法とは異なる。従来型の研究では、動物はカロリー制限食を一度にまとめて与えられ、それを1、2時間で食べ尽くしてしまえば、翌日まで何も食べるものがない。 そしていまや世界中の研究グループによって示されているとおり、そうした状況下で長寿経路を作動させるのは、カロリーを摂取しない時間、すなわち「断食」である。 つまりマウスの長寿経路は、(必ずしも摂取カロリーを減らさずに)炭水化物に対するタンパク質の比率を下げることによって、または断食によって、あるいはこれらの組み合わせによって、作動させることができる。) その後もマウスのデータ解析を続け、食餌のバランスと、老化の生物学だけでなく、私たちの測定した健康のさまざまな「成果」、たとえば耐糖能とインスリン値(これらはヒトの2型糖尿病の指標である)、血圧、コレステロール、炎症マーカーとの関係も調べられることがわかった。これらはどれも、健康診断で調べられるおなじみのマーカーだ。 そしてここでも明らかな関連性が認められた。 低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、グルコースが血液から除去されるまでの時間が最も短く(健康的だということ)、LDL(悪玉)コレステロールが最も低かった。 低タンパク質/高炭水化物食で生涯にわたり飼育されたマウスは、最も寿命が長いだけでなく、老化と老後の健康を測るマーカーが最も良好だった。 これは健康で長生きしたい人にとってすばらしい手がかりになりそうな発見である。 だが1つ難点があった。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは太っていたのだ』、「低タンパク質/高炭水化物食で生涯にわたり飼育されたマウスは、最も寿命が長いだけでなく、老化と老後の健康を測るマーカーが最も良好だった。 これは健康で長生きしたい人にとってすばらしい手がかりになりそうな発見である。 だが1つ難点があった。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは太っていたのだ」、なるほど。
・『肥満は本当に健康に悪いのか? その理由は、低タンパク質/高炭水化物食のマウスは高タンパク質食のマウスよりも多くのカロリーを摂取したからだ。 脂肪または炭水化物の比率の高い餌だけを食べていると、十分なタンパク質を摂取しようとして食べすぎてしまう。その結果どうなるかはおわかりだろう。 実はこの反応は、ヒトよりマウスのほうが弱いのだが、それでも肥満を起こすには十分だった。 そして重要な点として、エネルギー密度の高い脂肪や炭水化物の代わりに、難消化性の(したがってカロリーゼロの)食物繊維を混ぜてタンパク質を薄めたところ、マウスはそれでも十分なタンパク質を得るためにより多くの餌を摂食し、長生きした。 そして、太らなかったのだ。 しかし、なぜ私たちの体は太るような方法でものを食べさせようとするのだろう?肥満は健康に悪いはずだろう? そうでもあるが、そうでもない。 低タンパク質/高炭水化物食の長寿で健康だが太ったマウスと、低タンパク質/高脂肪食の同じくらい太ったマウスを比較したところ、重要な違いがあった。 後者の集団は寿命が短いうえにかなり不健康だった。つまり、ただ脂肪に対する炭水化物の比率を変えるだけで、比較的良性の肥満か、不健康な肥満をつくり出せる、ということになる。 どちらのケースでも、マウスはより多くのタンパク質を得ようとして食べすぎたが、脂肪の摂取を増やすほうが、炭水化物の摂取を増やすより不健康になった。) そんなわけで、新しい疑問が生まれた。良性の肥満と不健康な肥満の違いはどこから来るのだろう? チャールズ・パーキンス・センターの研究仲間アンドリュー・ホームズとの共同研究で、その手がかりをマウスの結腸に見つけた。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、低タンパク質/高脂肪食のマウスに比べ、腸内により健康的な微生物叢をもっていた。 ほかにも違いがあった――肝臓から放出される「FGF」(繊維芽細胞成長因子)と呼ばれるホルモンの濃度が、低タンパク質/高炭水化物食のマウスは驚くほど高かったのだ。 FGFは、タンパク質欲の制御における重要なシグナルであることがわかっている。FGFはインスリン感受性を改善させ、代謝の健康を促進する効果がある。つまり、血液中のブドウ糖を細胞に取り込むためにインスリンをそれほど生成する必要がなくなる。 またFGFは、過食の状態でエネルギー消費を促す。 これらの要因は、マウスだけでなくヒトにおいても重要な役割を果たしている。ルイジアナ州立大学ペニントン研究所のクリス・モリソンと行った別の実験で、私たちはFGFの濃度が上昇すると、マウスはタンパク質豊富な餌を明確に選択することを明らかにした。 科学の歩みは速いもので、これを執筆している今も、FGFがこれまで見逃されていたタンパク質欲ホルモンであること、またFGFが炭水化物欲のスイッチオフに関与していることを裏づける、いくつかの重要な論文が発表されつつある。このように、肥満は予想以上に複雑だということをマウスは教えてくれた。 単にやせているからといって、健康で長生きできるわけではない。それどころか、 高タンパク質/低炭水化物食のセクシーなやせたマウスは、すべてのマウスの中で最も寿命が短く、見栄えのいい中年の死体になった。なぜなら、高いタンパク質対炭水化物比は、急速な老化に関連する経路を激しく活性化させ、細胞とDNAの修復・維持メカニズムを弱め、老化やがん、そのほか慢性病を促進する比率でもあるからだ。これは望ましい状態とはいえない。 そしてこれはおそらく、マウスに限った話ではない。なにしろ老化と代謝に関する限り、人間はマウスと生物学的に同じなのだ』、「高タンパク質/低炭水化物食のセクシーなやせたマウスは、すべてのマウスの中で最も寿命が短く、見栄えのいい中年の死体になった。なぜなら、高いタンパク質対炭水化物比は、急速な老化に関連する経路を激しく活性化させ、細胞とDNAの修復・維持メカニズムを弱め、老化やがん、そのほか慢性病を促進する比率でもあるからだ。これは望ましい状態とはいえない。 そしてこれはおそらく、マウスに限った話ではない」、なるほど。
・『100歳以上の人口割合が飛び抜けている沖縄の食事 マウスの実験を通して、餌を簡単に操作するだけで、様々な結果を引き起こせることがわかった。 まるでダイヤルをひねるように、これを少し増やしあれを少し減らすだけで、肥満を起こすことも止めることも、筋肉を増やし体脂肪を減らすことも、がんを予防することも促進することも、老化を遅らせることも速めることも、繁殖を促進することも抑制することも、腸内微生物叢を変化させることも、免疫系を起動させることもできるのだ。 私たちはただタンパク質と脂肪、炭水化物のダイヤルをひねるだけで、このすべてを実際にマウスで行った。またその結果をグラフで明確に視覚化して、マウスを健康にするための非常に正確な食餌を提案することができた。 そして原理上は、人間を健康にするための食事も提案できるはずだ。「低タンパク質/高炭水化物食」が、ヒトの長寿と健康をもたらすことを示唆する証拠はあるだろうか? それがあったのだ。「ブルーゾーン」と呼ばれる世界の超長寿地域に暮らすすべての人が、まさにそうした食事を摂っている。ブルーゾーンとは、ダン・ビュイトナーが2008年の著書『ブルーゾーン 世界の100歳人(センテナリアン)に学ぶ健康と長寿のルール』で流行らせた用語だ。 ブルーゾーンの住民の中でおそらく最も有名なのは、日本の沖縄の人々だろう。沖縄は100歳以上の人口割合がほかの先進国平均の5倍である。 サツマイモと葉物野菜を主体に、少量の魚と赤身肉を組み合わせた伝統的な沖縄食は、タンパク質比率がわずか9%(食糧難の地域を除けば世界最低水準)、炭水化物が85%、そして脂肪がわずか6%だ。これは実験の最長寿命のマウスが摂取していた比率にほぼ相当する。 伝統的な沖縄の食事を摂っている人は、肥満とほぼ無縁だった。その理由の1つは、食事の食物繊維含有率が高いからである。 食事に十分な食物繊維が含まれると、カロリーの過剰摂取を駆り立てるタンパク質レバレッジの効果が弱められる。食物繊維は胃で膨潤し、消化速度を遅らせ、腸内微生物の餌になる――これらすべてが組み合わさって、空腹感を抑える効果がある。 この食物繊維の多くが、沖縄の人の主な炭水化物源であるサツマイモや、そのほかの野菜や果物に含まれているのだ。 残念ながら現代の沖縄の人々の食事内容は、伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている』、「ブルーゾーンの住民の中でおそらく最も有名なのは、日本の沖縄の人々だろう。沖縄は100歳以上の人口割合がほかの先進国平均の5倍である。 サツマイモと葉物野菜を主体に、少量の魚と赤身肉を組み合わせた伝統的な沖縄食は、タンパク質比率がわずか9%(食糧難の地域を除けば世界最低水準)、炭水化物が85%、そして脂肪がわずか6%だ。これは実験の最長寿命のマウスが摂取していた比率にほぼ相当する。 伝統的な沖縄の食事を摂っている人は、肥満とほぼ無縁だった。その理由の1つは、食事の食物繊維含有率が高いからである・・・残念ながら現代の沖縄の人々の食事内容は、伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている」、やはり「沖縄」でも「伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている」、のは実に残念なことだ。
第三に、10月24日付け東洋経済オンラインが掲載したライターの堀尾 大悟氏による「生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/709645
・『フリーアナウンサーの生島ヒロシ氏。今年で73歳となる今もアナウンサーとして第一線で活躍し、パーソナリティーを務めるラジオ番組「生島ヒロシのおはよう定食/一直線」(TBSラジオ)は25年を迎えた長寿番組だ。 諏訪中央病院名誉院長・鎌田實氏との共著書である『70歳からの「貯筋」習慣』では、高齢者が長く健康を保つために、体の筋肉を蓄える「貯筋」の大切さを提唱している。ラジオ番組、イベント司会、講演と精力的な活動を続ける健康の達人・生島氏に、その「貯筋」をはじめ、健康を保つ食事や運動などのポイントを聞いた(Qは聞き手の質問、Aは生島氏の回答)』、「体の筋肉を蓄える「貯筋」」とは興味深い考え方だ。
・『朝のラジオ番組が健康のモチベーション Q:今年で73歳とのことですが、とても70代には見えません!健康を保つ秘訣はなんですか? A:月曜から金曜まで、毎朝5時からラジオ番組の生放送があります。この生放送を全国のリスナーが楽しみにしてくれているので、僕が健康を害して放送を止めてしまってはいけません。それが、健康を維持するモチベーションになっています。 もう1つの秘訣として、このラジオ番組では、さまざまな分野の「名医」といわれる先生方をゲストにお招きしています。そこから知り合いになる先生もたくさんいて、『70歳からの「貯筋」習慣』の共著者の鎌田實先生もその1人。 何か気になることがあると、鎌田先生をはじめその分野の先生に相談しながら、自分に合った健康法を取り入れるようにしています。僕にとっては頭のてっぺんから足のつま先まで“主治医”がいるようなものですね(笑)。) Q:毎朝、生放送があるとのことですが、1日のスケジュールは? A:1日のスケジュールも、この毎日のラジオ番組を軸に組み立てています。朝は3時半~4時に起床してスタジオに行き、放送が終わってから少し仮眠をとって、昼食を食べる。 翌朝が早いので夕食は17時半くらいには済ませ、20時過ぎくらいからお風呂にゆっくり浸かり、ストレッチなど軽い運動をしてから1、2時間後には寝るようにしています。 ただ、その日に大きなニュースがあると、明日の放送のためにテレビのニュース番組などで情報収集しています。やっぱりアナウンサーですから、そこは常に「情報ファースト」ですね』、「朝は3時半~4時に起床してスタジオに行き、放送が終わってから少し仮眠をとって、昼食を食べる。 翌朝が早いので夕食は17時半くらいには済ませ、20時過ぎくらいからお風呂にゆっくり浸かり、ストレッチなど軽い運動をしてから1、2時間後には寝るようにしています」、確かに健康的な毎日だ。
・『肉と魚を1品ずつ「ダブルたん活」 Q:食事面で気をつけていることを教えてください。 A:朝食はほとんどとらず、葛湯や紅茶を飲む程度にしています。朝食をしっかり食べることを提唱する先生もいますが、僕の場合は早朝にラジオの生放送があるのと、もともと胃腸が弱いこともあって、朝を控えめにしたほうが体に合っていますね。 食べることは大好きなのですが、夕食を食べ過ぎてしまうと翌朝に響くので、なるべく控えめにして、金曜日以外は会食もできるだけ入れないようにしています。その代わり、昼食では好きなものを食べています。 また、鎌田先生も言っていますが、なるべく食事の間隔を空けることを意識しています。飢餓状態が16時間続くと「オートファジー」という細胞が若返る効果があるといわれていますが、現実的には仕事をしていると難しいので、僕は12時間を目安にしています。 A:『70歳からの「貯筋」習慣』では、たんぱく質を多くとる「たん活」を提唱しています。 A:妻は僕の健康を気遣ってくれて、夕食の食卓には魚料理と肉料理が1品ずつ並びます。ただ、70代になると若い頃のようにたくさんは食べられないので、プロテインでたんぱく質を補っています。) 「たん活」のほかには、以前に番組のゲストで来た北里大学の糖尿病センター長の山田悟先生から「ゆるやかな糖質制限」を教えていただき、炭水化物の量を減らすことを意識しています。おやつも、血糖値が上がりにくいチョコレートや、オメガ3系脂肪酸が豊富に含まれるナッツ類を選ぶようにしています』、「70歳からの「貯筋」習慣』では、たんぱく質を多くとる「たん活」を提唱しています・・・夕食の食卓には魚料理と肉料理が1品ずつ並びます。ただ、70代になると若い頃のようにたくさんは食べられないので、プロテインでたんぱく質を補っています」、「プロテインでたんぱく質を補っています」とはいささか幻滅だ。
・『3カ月で12キロ痩せたその後 Q:運動についてもお聞きしたいのですが、2015年には「ライザップ」のCMでダイエットに成功したことも話題になりました。 A:2カ月のトレーニングの予定が、撮影が1カ月延びたので3カ月になり、結果としてマイナス12キログラム減を達成しました。いやぁ、こんなに変われるものか!と自分でもビックリしましたね(笑)。 ただ、その後はコロナもあって外出機会が減ってしまい、体重が少し増えてしまいました。その反省もあって、今はラジオ番組が終わった後、週3~4日はジムに行ってプールで泳いだり、水中筋トレをしています。 あと、自宅の近くに「chocoZAP(チョコザップ)」ができたので、妻を誘って散歩がてら立ち寄って、一緒に筋トレをしています。 Q:鎌田先生は「夫婦間でほめ合うことが運動を続けるコツ」と言っていました。 A:いやいや、僕の妻は厳しくて、「あなたに厳しいことを言う人は周りにいないから、私が代表して言ってあげているのよ」と言うような人(笑)。ほめ合うというより、妻に「チョコザップに行こうよ」と背中を押されています。 ただ、最近ではご近所でもご主人が急に倒れたという話や、介護にまつわる話を聞くことが増えました。そのこともあって「お互い、介護保険料は払っても介護されないで済むようにしようね」と励まし合いながら運動を続けています。特に、70歳を過ぎるといちばん怖いのが転倒。つまずいても転ばないよう、自宅でもスクワットやプランク(注)をしています』、「今はラジオ番組が終わった後、週3~4日はジムに行ってプールで泳いだり、水中筋トレをしています。 あと、自宅の近くに「chocoZAP(チョコザップ)」ができたので、妻を誘って散歩がてら立ち寄って、一緒に筋トレをしています」、実に理想的に健康的な生活だ。
(注)プランク:うつ伏せになった状態で前腕・肘・つま先を地面につき、その姿勢をキープする体幹トレーニング(melos media)
タグ:(その27)(命を縮める睡眠時無呼吸症候群 「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法、炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由、生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」) 健康 (注)プランク:うつ伏せになった状態で前腕・肘・つま先を地面につき、その姿勢をキープする体幹トレーニング(melos media) 「今はラジオ番組が終わった後、週3~4日はジムに行ってプールで泳いだり、水中筋トレをしています。 あと、自宅の近くに「chocoZAP(チョコザップ)」ができたので、妻を誘って散歩がてら立ち寄って、一緒に筋トレをしています」、実に理想的に健康的な生活だ。 「70歳からの「貯筋」習慣』では、たんぱく質を多くとる「たん活」を提唱しています・・・夕食の食卓には魚料理と肉料理が1品ずつ並びます。ただ、70代になると若い頃のようにたくさんは食べられないので、プロテインでたんぱく質を補っています」、「プロテインでたんぱく質を補っています」とはいささか幻滅だ。 「朝は3時半~4時に起床してスタジオに行き、放送が終わってから少し仮眠をとって、昼食を食べる。 翌朝が早いので夕食は17時半くらいには済ませ、20時過ぎくらいからお風呂にゆっくり浸かり、ストレッチなど軽い運動をしてから1、2時間後には寝るようにしています」、確かに健康的な毎日だ。 「体の筋肉を蓄える「貯筋」」とは興味深い考え方だ。 堀尾 大悟氏による「生島ヒロシさん73歳「筋トレがピンチを救った」 ラジオ番組を25年続ける「健康の達人」」 東洋経済オンライン ・・・残念ながら現代の沖縄の人々の食事内容は、伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている」、やはり「沖縄」でも「伝統食から欧米型に近づきつつあり、それとともに肥満や糖尿病が増えている」、のは実に残念なことだ。 「ブルーゾーンの住民の中でおそらく最も有名なのは、日本の沖縄の人々だろう。沖縄は100歳以上の人口割合がほかの先進国平均の5倍である。 サツマイモと葉物野菜を主体に、少量の魚と赤身肉を組み合わせた伝統的な沖縄食は、タンパク質比率がわずか9%(食糧難の地域を除けば世界最低水準)、炭水化物が85%、そして脂肪がわずか6%だ。これは実験の最長寿命のマウスが摂取していた比率にほぼ相当する。 伝統的な沖縄の食事を摂っている人は、肥満とほぼ無縁だった。その理由の1つは、食事の食物繊維含有率が高いからである 「高タンパク質/低炭水化物食のセクシーなやせたマウスは、すべてのマウスの中で最も寿命が短く、見栄えのいい中年の死体になった。なぜなら、高いタンパク質対炭水化物比は、急速な老化に関連する経路を激しく活性化させ、細胞とDNAの修復・維持メカニズムを弱め、老化やがん、そのほか慢性病を促進する比率でもあるからだ。これは望ましい状態とはいえない。 そしてこれはおそらく、マウスに限った話ではない」、なるほど。 「低タンパク質/高炭水化物食で生涯にわたり飼育されたマウスは、最も寿命が長いだけでなく、老化と老後の健康を測るマーカーが最も良好だった。 これは健康で長生きしたい人にとってすばらしい手がかりになりそうな発見である。 だが1つ難点があった。低タンパク質/高炭水化物食のマウスは太っていたのだ」、なるほど。 一方が機能しているときは、もう一方は機能しない。食料と栄養が不足すると、長寿経路が作動し、成長・繁殖経路は停止する。細胞とDNAの修復・維持システムが活性化し、いつか世界が変化して食料が豊富になり、繁殖という進化上の目的を果たせるようになるまでの間、動物の健康を維持する」、よく出来た仕組みだ。 「ヒト・・・の生理的機構の中心には、2つの対立する生化学的経路がある。これらの経路は、すべての動物のまったく異なる2つの生命の「成果」を導いている。 1つ目を「長寿経路」――わかりやすくいうと「状況が好転するまで身を潜めてじっと待て」経路――もう1つを「成長・繁殖経路」――「チャンスを逃すな、あとは野となれ山となれ」経路――と呼ぼう。 重要な点として、これら2つのシステムは互いに抑制し合う関係にある。 やがてエラーが蓄積して、様々な組織や器官の老化を引き起こすのだ・・・低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、テロメアがより長く、より長生きした。高タンパク質/低炭水化物食のマウスは、テロメアと寿命がより短かった。 思ったとおりだ――この結果は、テロメアに関する一般常識(長いほどよい)を裏づけるとともに、低タンパク質と高炭水化物の組み合わせが長寿をもたらすという私たちの予想とも一致していた」、なるほど。 「テロメアとは染色体の末端にあるキャップ状の構造で、細胞複製に欠かせない重要な要素が細胞分裂時にほつれてしまうのを防いでいる。 加齢とともに、傷ついて古くなった細胞の入れ替えが何度もくり返されるうちに、テロメアはどんどん短くなり、ついには染色体の末端部分が露出し、細胞分裂の際に複製エラーを犯すようになる。 デイヴィッド・ローベンハイマー、スティーヴン・J・シンプソン『食欲人』(サンマーク出版) スティーヴン・J・シンプソン氏による「炭水化物を減らしてタンパク質モリモリ…こんなダイエットが体に良いとは言い切れない理由」 デイヴィッド・ローベンハイマー氏 「舌下神経電気刺激療法の対象となるのは、18歳以上で高度の肥満ではなく(BMI[体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)]が30未満)、CPAP療法の継続が困難などの条件を満たした患者だ。 この治療を受けるには1週間程度の入院が必要になる。それでも、これまでは他に選択肢がなかっただけに、この新治療の登場はCPAPの継続が困難、あるいはCPAPでは効果が得られなかった患者にとっては朗報といえる」、「世界で5万人が受けた満足度95%の治療法」、なるほど。 「CPAP療法によって、無呼吸・低呼吸やいびきが消失し、日中の眠気や夜間頻尿が軽減する人は多く、高血圧、動脈硬化が改善し心臓病や脳卒中の予防にもつながることがわかっている。睡眠時無呼吸症候群の人にとっては恩恵の大きい治療法だ」、「ただ、CPAP療法では鼻マスクが気になって寝付けなかったり、無意識のうちに途中で外してしまったりする人がいるのが難点といわれる」、なるほど。 「2013年には、関越自動車道でツアーバスの運転手が居眠りして防音壁に追突し、乗客7人が死亡する事故も起こっている」、「米国の研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者が交通事故を起こすリスクはそうではない人に比べて約7倍高」いようだ。 「睡眠時無呼吸症候群を放置すると、仕事のパフォーマンスが下がるだけではなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になり、動脈硬化が進んで、心筋梗塞、不整脈、心不全や脳卒中を発症したり突然死を起こしたりするリスクが高まる」 「34歳以上の男性の4人に1人、閉経後の女性の10人に1人が、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要な状態と推計されている。しかし、適切な治療を受けている人はその10分の1程度で、約9割の人は自分の病気に気づいてないのが実態なのだ」、なるほど。 「「太っていて首や喉の周囲に脂肪がついている人、あるいは、もともと下あごが小さかったり扁桃腺が大きかったりする人は気道が狭く、仰向けになって眠ると、息を吸った時の圧力で舌の付け根の部分が喉の奥に落ち込み、気道が塞がれたり狭くなったりします。この狭い気道を無理に高速の気流が流れるときに生じるのが、いびきです」、私は太ってはいないが、「いびき」は時たまかく。 「仕事のパフォーマンスを低下させるばかりか、突然死の原因にもなる病」、とは恐ろしい話だ。 葛西隆敏氏へのインタビュー「命を縮める睡眠時無呼吸症候群、「たかがいびき」と侮れない理由と最新治療法」 福島安紀氏 ダイヤモンド・オンライン
認知症(その2)(中高年に多い「前頭側頭型認知症」 発症が疑われる“10の行動”とは、「1人を楽しめる人」は認知症が進まない深い理由 65歳以降の夫婦関係は「つかず離れず」が理想、「脳のゴミ」を洗い流す睡眠が認知症予防する訳 睡眠障害と認知症の関係とは?医師が徹底解説) [生活]
認知症については、本年5月5日に取上げた。今日は、(その2)(中高年に多い「前頭側頭型認知症」 発症が疑われる“10の行動”とは、「1人を楽しめる人」は認知症が進まない深い理由 65歳以降の夫婦関係は「つかず離れず」が理想、「脳のゴミ」を洗い流す睡眠が認知症予防する訳 睡眠障害と認知症の関係とは?医師が徹底解説)である。
先ずは、5月9日付けダイヤモンド・オンライン「中高年に多い「前頭側頭型認知症」、発症が疑われる“10の行動”とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/321449
・『「ダイ・ハード」「アルマゲドン」などの作品で知られる米俳優、ブルース・ウィリスが「前頭側頭型認知症」を公表した。40代、50代の働き盛りの中年が発症することも多いという「前頭側頭型認知症」。一体どのような病なのか。認知症専門医の長谷川嘉哉医師に話を聞いた』、「40代、50代の働き盛りの中年が発症することも多い」のであれば、深刻だ。
・『異常行動があっても認知症診断が難しい理由 先日68歳の誕生日を迎えたばかりのブルース・ウィリス。2022年に失語症のため俳優引退を発表し、惜しまれつつ表舞台を去ったハリウッドの名俳優だ。そして約1年後、ブルースの家族によって公表されたのが、「前頭側頭型認知症」の発症だった。聞き慣れない病名だが、どのような認知症なのか。 「前頭側頭型認知症は、非常に診断が難しい認知症です。異常行動により家族や周囲の方を困らせている人に対して、専門医としてあらゆる検査を駆使しても、はっきりしないこともあります」 そう話すのは、認知症専門医の長谷川嘉哉医師だ。前頭側頭型認知症の発症年齢の平均は50代。65歳未満で発症することが多い若年性認知症の一種だ。言語・感情をコントロールする脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで、理性的な振る舞いや言動ができなくなってしまうのだという。) 「前頭側頭型認知症の特徴は人格変化です。急に怒りっぽくなる、他人を思いやる気持ちがなくなり善悪の判断が曖昧になる、といった症状が顕著に出ます。ただ初期の段階では記憶障害や認知機能の異常などはあまり見られず、本人も病気の自覚がなかなか持てないため、認知症と診断するには時間がかかることも多いのです」 以下は長谷川医師による、前頭側頭型認知症のチェックリストだ。 ・状況に合わない行動…場所や状況に不適切な悪ふざけ、身勝手な行動をする ・意欲減退…引きこもり、何もしないなどの状態が続く ・無関心…周囲の出来事に無関心、身だしなみに気を使わない ・逸脱行為…万引などの軽犯罪に当たる行為をしても、それについて説明や反省ができない ・繰り返し行動…散歩や食事、入浴などを決まった時間に行う、やめさせると怒る ・食べ物へのこだわり…毎日同じものしか食べない。際限なく食べる場合も ・言葉の繰り返し…同じ言葉の繰り返しや、他人の言葉をオウム返ししたりする ・好みの変化…食などの好みが大きく変わる。酒やたばこを大量にとるなど ・発語の障害…無口、語彙(ごい)が少なくなる。品物の名前や使い方がわからない ・短期記憶の維持…最近の出来事など短期記憶は保たれる。日時も間違わない 上記に三つ以上あてはまる場合、前頭側頭型認知症の疑いがあるという。 「たとえば食事などに異常なこだわりを持ち始めます。同じメニューを毎日食べたり、味付けが極端になったり、それを周囲の人に注意されても聞く耳を持ちません。機嫌もコロコロ変わります。ニコニコしていたと思ったら怒ったり、声を荒らげたり、また理屈に合わないことを口走り、行動するようになります。このような症状が続くので、前頭側頭型認知症は家族や周囲との人間関係の崩壊を招くことも少なくありません」 ブルース・ウィリスの家族はSNSで「残念ながら、コミュニケーションの難しさは、ブルースが直面している病気の症状の一つに過ぎません」とつづっている。とはいえ、いくら行動面での異常があっても、認知機能に大きな変化がみられなければ、認知症と診断することは難しいのだ。) 「兆候があっても経過観察をしないことには、なかなか判断できないのが、前頭側頭型認知症の厄介な点。また人格変化が進行すると、周囲に迷惑をかけるだけでなく、医療機関への受診のハードルも上がっていく。若年で発症した患者は体力がありあまっているため、施設への入所も難しい。家族もどう対応すればいいのかわからず、悲観しているケースも多いのです」』、「「前頭側頭型認知症は、非常に診断が難しい認知症です。異常行動により家族や周囲の方を困らせている人に対して、専門医としてあらゆる検査を駆使しても、はっきりしないこともあります」・・・前頭側頭型認知症の発症年齢の平均は50代。65歳未満で発症することが多い若年性認知症の一種だ。言語・感情をコントロールする脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで、理性的な振る舞いや言動ができなくなってしまうのだという」、恐ろしい病気だ。
・『反社会的な逸脱行為の有無が前頭側頭型認知症の見極めポイント そんな「前頭側頭型認知症」の大きなポイントは「反社会的な逸脱行為」だ。 「反社会的な逸脱行為というのは、たとえば万引をする、痴漢行為、信号無視、部屋を片付けられず家がゴミ屋敷化する……といった行動です。前頭側頭型認知症は、理性や感情のコントロールができなくなるので、暴力や反社会的行動をちゅうちょなく行えるようになってしまうのです」 こうした症状は、実は医師の間でもいまだに認知が広まっておらず、この病気が理解されにくい一つの要因となっているという。 「前頭側頭型認知症患者は、周囲を無視したりばかにしたりと、自己中心的な行動をとることが多く見られます。そのため病院でも診察拒否や不真面目な態度で、医師とけんかになるケースもあります。また治療法については特徴的な症状に対して、抗精神病薬を処方する対症療法のみで、進行を遅らせる薬はありません。ハッキリとした予防策もなく、原因も解明されていないのです」 日本の認知症患者は600万人以上と推計され、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている。もし身近に万引や窃盗、ゴミ屋敷化や信号無視など問題行動が表れるようになった人がいたら、「認知症」の可能性も考えたほうがいいだろう』、「「前頭側頭型認知症患者は、周囲を無視したりばかにしたりと、自己中心的な行動をとることが多く見られます。そのため病院でも診察拒否や不真面目な態度で、医師とけんかになるケースもあります。また治療法については特徴的な症状に対して、抗精神病薬を処方する対症療法のみで、進行を遅らせる薬はありません。ハッキリとした予防策もなく、原因も解明されていないのです・・・2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている」、「周囲を無視したりばかにしたりと、自己中心的な行動をとることが多く見られます。そのため病院でも診察拒否や不真面目な態度で、医師とけんかになるケースもあります」、本当に深刻だが、これという打開策もないようだ。
次に、5月29日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「「1人を楽しめる人」は認知症が進まない深い理由 65歳以降の夫婦関係は「つかず離れず」が理想」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/700681
・『65歳以下の人がうつ病になる割合はおよそ3%。それが定年を迎える65歳以降になると5%に急増するといわれています。老後への不安やストレス、加齢とともに幸せホルモン・セロトニンが分泌されにくくなること、感情をコントロールする前頭葉が萎縮することなどがその原因です。 しかし人生100年時代では、65歳はまだ後半が始まったばかり。いわば人生の黄金期です。 ベストセラー『80歳の壁』の和田秀樹さんが、不安やストレスのもとを消し去り、心を若く機嫌よく保つことで、うつや認知症を寄せつけないための《50の「気づき」》を提言する新刊『65歳から始める 和田式 心の若がえり』より、一部を紹介します』、「65歳以下の人がうつ病になる割合はおよそ3%。それが定年を迎える65歳以降になると5%に急増するといわれています。老後への不安やストレス、加齢とともに幸せホルモン・セロトニンが分泌されにくくなること、感情をコントロールする前頭葉が萎縮することなどがその原因です」、なるほど。
・『夫婦の関係を一度リセットする ◎ストレスを抱えながら付き合い続けるのは人生のムダ うつ病など心の病の原因は、およそ4割が対人関係にあるとされています。老人性うつを防ぐ、あるいは改善していくには、対人関係を見直していく必要があります。そういう意味で、現役をリタイアしたあとは、わずらわしい人間関係を解消するのに、最適な時期です。 ところが、定年退職したのちも、現役時代の人間関係を変えられない人がいます。 上司と部下の関係は、会社を離れればもう終わりです。それなのに、元上司に気を遣うようなことを今も続けていませんか。こちらが元部下という態度を続けていると、相手は永遠に「元上司」という態度でやってきます。これは相当なストレスです。 ですから、ストレスを感じる人とは、ダラダラと付き合い続けないようにしましょう。「この人とはもう十分」と思ったら縁を切れるのも、自由に生きられる65歳以上の特権。一緒にいると居心地よく、楽しい人との付き合いを大事にしたほうがよいです。 もう1つ、65歳以降になったら見直したほうがよいのが、「夫婦関係」です。) 理解する必要があるのは、男女の体の仕組みです。男性は加齢とともに男性ホルモンの分泌が減り、活動意欲も停滞します。一方、女性は閉経後から男性ホルモンの分泌が増えて、活動意欲も社交性も高まっていきます。 ところが、現在の高年世代の男性は、家事をあまりせず、妻任せにしている人が目立ちます。妻は社交性が増していてどんどん外に出て行きたいのに、「家のこともせずに、出かけてばかりいる」と夫に恨みごとをいわれ続ければ、「いい加減、別の人生を歩みたい」と思うようになって当然です。 人生100年時代といわれる現代です。「残りの人生も、この人の面倒を見ながら生きていくのか」と思えば、「離婚」の2文字が頭に浮かびます。しかし、リタイア後は妻とゆっくり過ごそうと思っていた夫は、「裏切られた」との思いに陥るでしょう。 ▽ガマンの毎日は人生の無駄遣い(お互いを理解し合えていない状態で夫婦関係を続けても、幸せな晩年が過ごせるでしょうか。家という場所が、ストレスの原因になったときの精神的負担は計り知れません。何より、我慢しながら毎日を過ごすのは、人生のムダ遣いです。 ◎「つかず離れず婚」が心を健康にする(熟年離婚や卒婚は、よく考えてみると、起こるべくして起こる現象といえます。 そもそも一夫一妻制は、人間の自然な本能に沿った制度ではなく、人類が社会化するにつれて、さまざまなルールとともに生まれた制度です。子孫を残し、子育てをしていくという本能を、高度化した人間社会に定着させるために、一夫一妻制が合理的であっただけのことです。 それも人生50年の時代であれば、問題は起こりませんでした。しかし、寿命が大幅に延びたうえに、価値観が多様化した現在、人生100年を添い遂げるべきとする従来の婚姻制度には、明らかに無理があります。 それならば、子育てが終わってからの夫婦関係は、もっと自由でよいのではないでしょうか。 現役をリタイアする65歳からは、夫婦関係を一度リセットするよい機会です。お互いに精神的に自立し、第二の人生を歩んでいく関係性を新たに築いていくチャンスです。どちらかが介護の必要な体になってからでは、リセットは難しくなります。 離婚の道を選ぶにしても、憎み合って別れるのでないのならば、ときどき会って食事をするといった、よき友人のような関係を築き直すこともできます。 夫婦関係を続ける場合には家事の分担はもちろんのこと、お互いに相手を束縛することなく自由に生きていくことが、心の健康にとって大切です。 それぞれ好きなものを食べ、好きなところへ出かけ、好きな仲間と交際し、ときには一緒に外食を楽しむ――。そんな「つかず離れず婚」こそが、65歳以降のよき夫婦のあり方ではないでしょうか。 ◎一人暮らしは認知症を予防する最高の方法(人生を楽しむうえで、高年者の思考を邪魔するのが、「孤独」への恐れです。高年になると、「一人ぼっちにはなりたくない」「孤独死したらどうしよう」という発想が強くなります。これも予期不安が起こす恐れです。 現在、一人暮らしの65歳以上の高年者は、日本では670万人を超えています(少年、青年、中年を経て緩やかに移行していった先にあるという意味で、ここでは65歳以上の人々を高齢者ではなく「高年者」と呼びます)。単身の高年者が大きな事件・事故などを起こすと、高年者の孤立や孤独の問題がメディアで大きく取り上げられます。しかし、実際には、独居の高年者全員が孤独感に苛まれているわけではありません。) 一人暮らしで誰にも看取られず、何日も経ってから発見される、という「孤独死」を恐れる人も多いでしょう。しかし、よくよく考えてみれば、数日経ってから発見されるということは、死ぬ直前まで元気だった可能性が高いわけです。 今は、要介護認定を受けた高年者であれば、ほぼ例外なく、なんらかの福祉サービスとつながっています。日常的な支援が行われているので、体調が悪ければすぐに病院に連れて行かれて、孤独死はなかなかできないのです。 孤独死したということは、自殺などのケースを除き、理想の生き方とされる「ピンピンコロリ」が実現できたということ。直前まで寝たきりにもならず、元気に生き、眠るように最期を迎えるという、なかなかできない死に方ができたわけです』、「上司と部下の関係は、会社を離れればもう終わりです。それなのに、元上司に気を遣うようなことを今も続けていませんか。こちらが元部下という態度を続けていると、相手は永遠に「元上司」という態度でやってきます。これは相当なストレスです。 ですから、ストレスを感じる人とは、ダラダラと付き合い続けないようにしましょう。「この人とはもう十分」と思ったら縁を切れるのも、自由に生きられる65歳以上の特権。一緒にいると居心地よく、楽しい人との付き合いを大事にしたほうがよいです」、「「つかず離れず婚」が心を健康にする・・・子育てが終わってからの夫婦関係は、もっと自由でよいのではないでしょうか。 現役をリタイアする65歳からは、夫婦関係を一度リセットするよい機会です。お互いに精神的に自立し、第二の人生を歩んでいく関係性を新たに築いていくチャンスです。どちらかが介護の必要な体になってからでは、リセットは難しくなります」、なるほど。
・『一人暮らしの人ほど認知症は進まない 皆さんは「認知症になりたくない」とおっしゃいますが、一人暮らしは認知症予防の最高の方法です。私は、一人暮らしを続けている認知症の患者さんもおおぜい診ていますが、独居の人ほど、認知症の症状は進みにくいと思っています。 一人暮らしをしていれば、日々の生活で頭をフル回転させながら過ごすことになります。必要に迫られて買い物に行って、毎日、料理を作り、食事をして、皿を洗う。ゴミを出しに行き、洗濯をし、掃除をする。このように、家の中にはやることがたくさんあります。そのすべてが、心身、そして脳によい刺激を与えてくれます』、「「一人暮らしの人ほど認知症は進まない・・・一人暮らしをしていれば、日々の生活で頭をフル回転させながら過ごすことになります。必要に迫られて買い物に行って、毎日、料理を作り、食事をして、皿を洗う。ゴミを出しに行き、洗濯をし、掃除をする。このように、家の中にはやることがたくさんあります。そのすべてが、心身、そして脳によい刺激を与えてくれます」、なるほど。
・『孤独の楽しみ方を少しずつ覚えよう 「認知症になると1人で生活できなくなるのでは」と思う人も多いのですが、不思議なことに、認知症になると、生きるための防御反応が高まります。そのため、「自分で買い物に行って、食事を作らなければ死ぬ」と脳がよく認識しているのか、意欲がなくても買い物には行くし、おなかが空いたら料理を作ります。 「計算ができなくなるから、買い物もできなくなるだろう」と不安になる人もいますが、これもいらぬ心配です。認知症になると、自分の身を守るために、より安全に振る舞おうとする傾向が強くなるからです。 計算が間違っていたら恥ずかしいし、店員からとがめられるのも怖いため、お店ではとりあえず、お札を出すようになります。なんでもお札で買い物するようになるので、財布が小銭だらけになります。それでも、上手に買い物をしている証です。 私は、一人暮らしを無理にお勧めしているわけではありません。家族と一緒にいることが幸せな人もいれば、1人が好きな人もいます。配偶者と死別して1人になる人もいます。「みんな違って、みんないい」のです。 ただし、老人ホームなどへの入居を決めない限り、高年になれば子どもは巣立ち、親や配偶者と死別し、独居になる可能性は高まります。 孤独への不安感が強い人は、孤独の楽しみ方を少しずつ覚えておくとよいのではないでしょうか。予期不安にかられてビクビクするくらいなら、予行演習しておきましょう。 一人旅をする、ウィークリーマンションで1週間暮らしてみるなど、不安に思っていることが、実際にどの程度のものかを体験してみると、「1人でもけっこう楽しめるし、大したことはないな」とわかるはずです。 実践こそが予期不安を解消し、心の余裕を増やす最良の方法といえます』、「認知症になると、生きるための防御反応が高まります。そのため、「自分で買い物に行って、食事を作らなければ死ぬ」と脳がよく認識しているのか、意欲がなくても買い物には行くし、おなかが空いたら料理を作ります」、なるほど。「孤独への不安感が強い人は、孤独の楽しみ方を少しずつ覚えておくとよいのではないでしょうか。予期不安にかられてビクビクするくらいなら、予行演習しておきましょう。 一人旅をする、ウィークリーマンションで1週間暮らしてみるなど、不安に思っていることが、実際にどの程度のものかを体験してみると、「1人でもけっこう楽しめるし、大したことはないな」とわかるはずです」、「予行演習」とはいいアイデアだ。
第三に、10月7日付け東洋経済オンラインが掲載した 日本認知症学会専門医・指導医 おくむらメモリークリニック理事長の奥村 歩氏による「「脳のゴミ」を洗い流す睡眠が認知症予防する訳 睡眠障害と認知症の関係とは?医師が徹底解説」を紹介しよう。
・『日本では認知症患者が増える中で、認知症は睡眠障害と密接な関係がある、と指摘されています。日本認知症学会専門医・指導医 おくむらメモリークリニック理事長の、奥村歩氏の新著『スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』を一部抜粋・再構成し、認知症の原因と、予防につながる質の高い睡眠について解説します』、興味ふかそうだ。
・『認知症と睡眠障害の関係 「日本人は世界ワーストレベルで睡眠時間が短い」 日本人の平均睡眠時間は7時間22分。加盟国など平均と比べると1時間3分も、短いのです(OECD2・2018データより)。 さらに認知症と睡眠障害の密接な関係は、以前から指摘されています。 人口1000人当たりの認知症患者数について、OECD諸国とその他主要国計44カ国の2021年の実績と2050年の予測値を示したデータによると、その数はOECD平均で15.7人。それに比べて日本は最多ダントツの26.7人です。さらに2050年の予測値では、OECD平均29.4人に対して日本は44.7人と、ますます認知症患者が増えると考えられています。 これまでにも認知症患者増加に対する警告はありました。 エビデンスに基づいた第1報は、2012年、朝田隆先生の研究チームによる調査報告を厚生労働省が発表したデータです。) 日本の認知症患者数が約462万人。認知症予備軍のMCIもほぼ同数の約400万人。そして、2025年の認知症患者数は約700万人を超えると予測されています。高齢者65歳以上で5人に1人というものすごい数です。 認知症になるかどうかの運命の分かれ道は、「この65歳の壁をいかにうまく乗り越えることができるかにある」とも言えるでしょう。 これらのデータからもわかるように、日本は世界ワーストレベルの睡眠負債国であり、その結果、認知症大国になっているのです。 また、最近のデータでは認知症患者の睡眠障害の有病率は50~80%と報告されている一方で、不眠症やうつ病が、認知症の大きな危険因子になっていることも指摘されています。まさに、睡眠障害と認知症との関係は、「鶏が先か?卵が先か?」。日本人は睡眠時間が極端に短いのですが、実はそれ以上に、熟睡できていない人が多いことのほうが問題なのです』、「日本は世界ワーストレベルの睡眠負債国であり、その結果、認知症大国になっているのです。 また、最近のデータでは認知症患者の睡眠障害の有病率は50~80%と報告されている一方で、不眠症やうつ病が、認知症の大きな危険因子になっていることも指摘されています」、「睡眠負債国」の是正が急務だ。
・『アルツハイマー病の元凶は赤ちゃんでも発生する! 認知症とは、脳に問題が生じて、生活に支障が出る状態のこと。一つの病名ではありません。その原因となる病気は100種類以上(!)あります。 最も多いのは、脳にアミロイドβと呼ばれるゴミ(老廃物)がたまるアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)。統計ではすべての認知症の70%も占めると言われています。このアルツハイマー型認知症は、睡眠負債との因果関係がとても深いのです!この脳のゴミ(老人斑)は、高齢者だけに発生するものではありません。最近の研究で、赤ちゃんでも子どもでもアミロイドβは発生することがわかっています。しかし、赤ちゃんや子どもの脳にゴミはたまりません。なぜなら、若いうちは脳のゴミを掃除する機能がしっかりしているからです。 一方、高齢になってゴミ掃除が思うようにできなくなるとアミロイドβは脳のいたるところで凝集化(フィブリル)し、次第に“認知症予備軍”と言われるMCIの状態になっていきます。) 現在では、アミロイドPETという検査で生体脳のアミロイドβを可視化することができます。このような技術の進歩で、私たちの脳には、何歳くらいからアミロイドβがたまり始めるのかが正確にわかるようになりました。 研究では、アミロイドβは40歳からたまり始めることがわかっています。この時期は、睡眠負債を自覚する時期と重なっていて、また心身ともに疲れが蓄積してくる時期なのです。 つまり、この世代になると発生するゴミの量にゴミ掃除が追いつけなくなって、じわじわとアミロイドβがたまり始めるのです』、「認知症とは、脳に問題が生じて、生活に支障が出る状態のこと。一つの病名ではありません。その原因となる病気は100種類以上(!)あります。 最も多いのは、脳にアミロイドβと呼ばれるゴミ(老廃物)がたまるアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)」、なるほど。
・『脳のゴミ掃除の仕組み 「脳は神秘のベールに包まれている」と言われます。 一般的には、「脳が人体の臓器の中でも特に仕組みが複雑で、いまだ十分に解明されていない」という感覚的なイメージ表現として使われますが、医療の実際では「神秘のベール」はイメージではなく、現実的に物理的に、まさに脳は神秘のベールに包まれているのです。 そのベールとは、「脳脊髄液」と呼ばれる透明の液体です。 私は脳神経外科手術をする際、患者さんやご家族に、以下のような例え話をします。 「脳は頭蓋骨の中で、脳脊髄液と呼ばれる無色透明な液体に包み込まれています。その状態は、例えばスーパーで売っている“水の入った密閉パックの中の豆腐”を思い浮かべていただくといいでしょう。密閉パックが頭蓋骨で、豆腐が脳です。脳は頭蓋骨の中でパック内の豆腐と同じように、水に満たされているのです」 この例え話は、実はかなり的確に脳の構造を表しています。 もし誤って豆腐のパックを落としても豆腐がつぶれないように、パックの中の水がクッションの役割を果たしています。同様に私たちの脳は、堅く分厚い頭蓋骨とともに、しなやかな脳脊髄液によって、頭部の衝撃から脳を護っています。 ただし、脳脊髄液と豆腐パックの水には、大きな違いがあります。豆腐パックの水は一度パッキングされたらそのままなのに対して、脳脊髄液は、周期的に、たえず入れ替わっているのです。) 脳脊髄液は、脳室(脳の深部にある部屋)と呼ばれる場所で1日に約500?作り出され、深部から脳表に循環して脳脊髄全体を覆い尽くし、そして古くなった脳脊髄液は、脳表の静脈へと排出されます。 日々、排出される脳脊髄液の量は、作り出される500?と同じ。つまりつねに同じ量が脳内に存在するものの、脳脊髄液自体は1日に約4回程度(500÷120≒4)入れ替わっていることになります。 このように、ダイナミックに活動する脳脊髄液は、以前から栄養物質の輸送や老廃物の排出など、脳の新陳代謝に重要な役割を果たしていると考えられてきました。そして近年、認知症に関連するアミロイドβの排出にも、この脳脊髄液が大きな働きをしていることが発見されました。 脳のゴミは、この脳脊髄液によって「水洗い」されていたのです。 人の体内の老廃物は血液やリンパ液によって体外へ排出されますが、脳にはリンパ管が存在しないため、従来は、脳に老廃物を排出するリンパ系はないと考えられてきました。 ところが、最近になって、脳にも身体のリンパ系と同じような働きをして、老廃物を排出させるユニークな仕組みがあることが発見されたのです。 それが、2012年にロチェスター大学のネーデルガード氏らが発見したグリンファティックシステム(Glymphatic System)です』、「ダイナミックに活動する脳脊髄液は、以前から栄養物質の輸送や老廃物の排出など、脳の新陳代謝に重要な役割を果たしていると考えられてきました。そして近年、認知症に関連するアミロイドβの排出にも、この脳脊髄液が大きな働きをしていることが発見されました。 脳のゴミは、この脳脊髄液によって「水洗い」されていたのです」、なるほど。
・『脳脊髄液がアミロイドβを水洗いする仕組み グリンファティックシステムは以下にあるように、睡眠と認知症が密接につながっていることを証明することになりました。 脳表を循環する脳脊髄液は、動脈の血管周囲腔に沿って脳内に流入します。そして脳脊髄液は、血管周囲に密着している神経膠細胞(グリア)の水門(アクアポリン4)から脳内に流入して、脳脊髄液=グリンファティック液となります。この液は、図の「[→]」のように、静脈側の血管周囲腔の方向に流れます。(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) 「グリンファティックシステムで睡眠中にアミロイドβを水洗いする」というのは、質の良い睡眠が十分にとれていることが条件です』、「「グリンファティックシステムで睡眠中にアミロイドβを水洗いする」というのは、質の良い睡眠が十分にとれていることが条件です」、やはり「質の良い睡眠」がカギのようだ。
・『脳のゴミ掃除には、「上質な睡眠」が絶対条件 このことを証明する2019年10月に『サイエンス』誌で発表されたボストン大学の研究を見てみましょう。 研究対象は人間。実験は生理的な睡眠を再現するため、夜中の0時から行われ、被検者に脳波計をつけてMRIの中で眠ってもらったのです。つまり、睡眠の状態を脳波でチェックしつつ、同時に脳血流量や脳脊髄液の動態も測定したわけです。 その結果は「人が熟睡(ノンレム睡眠)するときに、ノルアドレナリンに連動する神経細胞の活動が減少し、脳の血流は停滞する。逆に脳脊髄液の流れが活発になる」というものでした。 つまり、「熟睡中にはグリアがアクアポリン4から脳脊髄液を積極的に取り込み、脳内組織は空間を拡大させ、組織抵抗を減少させ、アミロイドβの解毒の場を拡大する」ことが示唆されたのです。 スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」 そして、老廃物を含んだグリンファティック液は、静脈側の神経膠細胞の足突起のアクアポリン4から、髄液腔に脱出します。この脳内の流れの過程で、アミロイドβは水洗いされて脳外に排出されます』、「スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」 そして、老廃物を含んだグリンファティック液は、静脈側の神経膠細胞の足突起のアクアポリン4から、髄液腔に脱出します。この脳内の流れの過程で、アミロイドβは水洗いされて脳外に排出されます」、「アミロイドβは水洗いされて脳外に排出されます」、そうなってほしいものだ。
先ずは、5月9日付けダイヤモンド・オンライン「中高年に多い「前頭側頭型認知症」、発症が疑われる“10の行動”とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/321449
・『「ダイ・ハード」「アルマゲドン」などの作品で知られる米俳優、ブルース・ウィリスが「前頭側頭型認知症」を公表した。40代、50代の働き盛りの中年が発症することも多いという「前頭側頭型認知症」。一体どのような病なのか。認知症専門医の長谷川嘉哉医師に話を聞いた』、「40代、50代の働き盛りの中年が発症することも多い」のであれば、深刻だ。
・『異常行動があっても認知症診断が難しい理由 先日68歳の誕生日を迎えたばかりのブルース・ウィリス。2022年に失語症のため俳優引退を発表し、惜しまれつつ表舞台を去ったハリウッドの名俳優だ。そして約1年後、ブルースの家族によって公表されたのが、「前頭側頭型認知症」の発症だった。聞き慣れない病名だが、どのような認知症なのか。 「前頭側頭型認知症は、非常に診断が難しい認知症です。異常行動により家族や周囲の方を困らせている人に対して、専門医としてあらゆる検査を駆使しても、はっきりしないこともあります」 そう話すのは、認知症専門医の長谷川嘉哉医師だ。前頭側頭型認知症の発症年齢の平均は50代。65歳未満で発症することが多い若年性認知症の一種だ。言語・感情をコントロールする脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで、理性的な振る舞いや言動ができなくなってしまうのだという。) 「前頭側頭型認知症の特徴は人格変化です。急に怒りっぽくなる、他人を思いやる気持ちがなくなり善悪の判断が曖昧になる、といった症状が顕著に出ます。ただ初期の段階では記憶障害や認知機能の異常などはあまり見られず、本人も病気の自覚がなかなか持てないため、認知症と診断するには時間がかかることも多いのです」 以下は長谷川医師による、前頭側頭型認知症のチェックリストだ。 ・状況に合わない行動…場所や状況に不適切な悪ふざけ、身勝手な行動をする ・意欲減退…引きこもり、何もしないなどの状態が続く ・無関心…周囲の出来事に無関心、身だしなみに気を使わない ・逸脱行為…万引などの軽犯罪に当たる行為をしても、それについて説明や反省ができない ・繰り返し行動…散歩や食事、入浴などを決まった時間に行う、やめさせると怒る ・食べ物へのこだわり…毎日同じものしか食べない。際限なく食べる場合も ・言葉の繰り返し…同じ言葉の繰り返しや、他人の言葉をオウム返ししたりする ・好みの変化…食などの好みが大きく変わる。酒やたばこを大量にとるなど ・発語の障害…無口、語彙(ごい)が少なくなる。品物の名前や使い方がわからない ・短期記憶の維持…最近の出来事など短期記憶は保たれる。日時も間違わない 上記に三つ以上あてはまる場合、前頭側頭型認知症の疑いがあるという。 「たとえば食事などに異常なこだわりを持ち始めます。同じメニューを毎日食べたり、味付けが極端になったり、それを周囲の人に注意されても聞く耳を持ちません。機嫌もコロコロ変わります。ニコニコしていたと思ったら怒ったり、声を荒らげたり、また理屈に合わないことを口走り、行動するようになります。このような症状が続くので、前頭側頭型認知症は家族や周囲との人間関係の崩壊を招くことも少なくありません」 ブルース・ウィリスの家族はSNSで「残念ながら、コミュニケーションの難しさは、ブルースが直面している病気の症状の一つに過ぎません」とつづっている。とはいえ、いくら行動面での異常があっても、認知機能に大きな変化がみられなければ、認知症と診断することは難しいのだ。) 「兆候があっても経過観察をしないことには、なかなか判断できないのが、前頭側頭型認知症の厄介な点。また人格変化が進行すると、周囲に迷惑をかけるだけでなく、医療機関への受診のハードルも上がっていく。若年で発症した患者は体力がありあまっているため、施設への入所も難しい。家族もどう対応すればいいのかわからず、悲観しているケースも多いのです」』、「「前頭側頭型認知症は、非常に診断が難しい認知症です。異常行動により家族や周囲の方を困らせている人に対して、専門医としてあらゆる検査を駆使しても、はっきりしないこともあります」・・・前頭側頭型認知症の発症年齢の平均は50代。65歳未満で発症することが多い若年性認知症の一種だ。言語・感情をコントロールする脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで、理性的な振る舞いや言動ができなくなってしまうのだという」、恐ろしい病気だ。
・『反社会的な逸脱行為の有無が前頭側頭型認知症の見極めポイント そんな「前頭側頭型認知症」の大きなポイントは「反社会的な逸脱行為」だ。 「反社会的な逸脱行為というのは、たとえば万引をする、痴漢行為、信号無視、部屋を片付けられず家がゴミ屋敷化する……といった行動です。前頭側頭型認知症は、理性や感情のコントロールができなくなるので、暴力や反社会的行動をちゅうちょなく行えるようになってしまうのです」 こうした症状は、実は医師の間でもいまだに認知が広まっておらず、この病気が理解されにくい一つの要因となっているという。 「前頭側頭型認知症患者は、周囲を無視したりばかにしたりと、自己中心的な行動をとることが多く見られます。そのため病院でも診察拒否や不真面目な態度で、医師とけんかになるケースもあります。また治療法については特徴的な症状に対して、抗精神病薬を処方する対症療法のみで、進行を遅らせる薬はありません。ハッキリとした予防策もなく、原因も解明されていないのです」 日本の認知症患者は600万人以上と推計され、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている。もし身近に万引や窃盗、ゴミ屋敷化や信号無視など問題行動が表れるようになった人がいたら、「認知症」の可能性も考えたほうがいいだろう』、「「前頭側頭型認知症患者は、周囲を無視したりばかにしたりと、自己中心的な行動をとることが多く見られます。そのため病院でも診察拒否や不真面目な態度で、医師とけんかになるケースもあります。また治療法については特徴的な症状に対して、抗精神病薬を処方する対症療法のみで、進行を遅らせる薬はありません。ハッキリとした予防策もなく、原因も解明されていないのです・・・2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている」、「周囲を無視したりばかにしたりと、自己中心的な行動をとることが多く見られます。そのため病院でも診察拒否や不真面目な態度で、医師とけんかになるケースもあります」、本当に深刻だが、これという打開策もないようだ。
次に、5月29日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「「1人を楽しめる人」は認知症が進まない深い理由 65歳以降の夫婦関係は「つかず離れず」が理想」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/700681
・『65歳以下の人がうつ病になる割合はおよそ3%。それが定年を迎える65歳以降になると5%に急増するといわれています。老後への不安やストレス、加齢とともに幸せホルモン・セロトニンが分泌されにくくなること、感情をコントロールする前頭葉が萎縮することなどがその原因です。 しかし人生100年時代では、65歳はまだ後半が始まったばかり。いわば人生の黄金期です。 ベストセラー『80歳の壁』の和田秀樹さんが、不安やストレスのもとを消し去り、心を若く機嫌よく保つことで、うつや認知症を寄せつけないための《50の「気づき」》を提言する新刊『65歳から始める 和田式 心の若がえり』より、一部を紹介します』、「65歳以下の人がうつ病になる割合はおよそ3%。それが定年を迎える65歳以降になると5%に急増するといわれています。老後への不安やストレス、加齢とともに幸せホルモン・セロトニンが分泌されにくくなること、感情をコントロールする前頭葉が萎縮することなどがその原因です」、なるほど。
・『夫婦の関係を一度リセットする ◎ストレスを抱えながら付き合い続けるのは人生のムダ うつ病など心の病の原因は、およそ4割が対人関係にあるとされています。老人性うつを防ぐ、あるいは改善していくには、対人関係を見直していく必要があります。そういう意味で、現役をリタイアしたあとは、わずらわしい人間関係を解消するのに、最適な時期です。 ところが、定年退職したのちも、現役時代の人間関係を変えられない人がいます。 上司と部下の関係は、会社を離れればもう終わりです。それなのに、元上司に気を遣うようなことを今も続けていませんか。こちらが元部下という態度を続けていると、相手は永遠に「元上司」という態度でやってきます。これは相当なストレスです。 ですから、ストレスを感じる人とは、ダラダラと付き合い続けないようにしましょう。「この人とはもう十分」と思ったら縁を切れるのも、自由に生きられる65歳以上の特権。一緒にいると居心地よく、楽しい人との付き合いを大事にしたほうがよいです。 もう1つ、65歳以降になったら見直したほうがよいのが、「夫婦関係」です。) 理解する必要があるのは、男女の体の仕組みです。男性は加齢とともに男性ホルモンの分泌が減り、活動意欲も停滞します。一方、女性は閉経後から男性ホルモンの分泌が増えて、活動意欲も社交性も高まっていきます。 ところが、現在の高年世代の男性は、家事をあまりせず、妻任せにしている人が目立ちます。妻は社交性が増していてどんどん外に出て行きたいのに、「家のこともせずに、出かけてばかりいる」と夫に恨みごとをいわれ続ければ、「いい加減、別の人生を歩みたい」と思うようになって当然です。 人生100年時代といわれる現代です。「残りの人生も、この人の面倒を見ながら生きていくのか」と思えば、「離婚」の2文字が頭に浮かびます。しかし、リタイア後は妻とゆっくり過ごそうと思っていた夫は、「裏切られた」との思いに陥るでしょう。 ▽ガマンの毎日は人生の無駄遣い(お互いを理解し合えていない状態で夫婦関係を続けても、幸せな晩年が過ごせるでしょうか。家という場所が、ストレスの原因になったときの精神的負担は計り知れません。何より、我慢しながら毎日を過ごすのは、人生のムダ遣いです。 ◎「つかず離れず婚」が心を健康にする(熟年離婚や卒婚は、よく考えてみると、起こるべくして起こる現象といえます。 そもそも一夫一妻制は、人間の自然な本能に沿った制度ではなく、人類が社会化するにつれて、さまざまなルールとともに生まれた制度です。子孫を残し、子育てをしていくという本能を、高度化した人間社会に定着させるために、一夫一妻制が合理的であっただけのことです。 それも人生50年の時代であれば、問題は起こりませんでした。しかし、寿命が大幅に延びたうえに、価値観が多様化した現在、人生100年を添い遂げるべきとする従来の婚姻制度には、明らかに無理があります。 それならば、子育てが終わってからの夫婦関係は、もっと自由でよいのではないでしょうか。 現役をリタイアする65歳からは、夫婦関係を一度リセットするよい機会です。お互いに精神的に自立し、第二の人生を歩んでいく関係性を新たに築いていくチャンスです。どちらかが介護の必要な体になってからでは、リセットは難しくなります。 離婚の道を選ぶにしても、憎み合って別れるのでないのならば、ときどき会って食事をするといった、よき友人のような関係を築き直すこともできます。 夫婦関係を続ける場合には家事の分担はもちろんのこと、お互いに相手を束縛することなく自由に生きていくことが、心の健康にとって大切です。 それぞれ好きなものを食べ、好きなところへ出かけ、好きな仲間と交際し、ときには一緒に外食を楽しむ――。そんな「つかず離れず婚」こそが、65歳以降のよき夫婦のあり方ではないでしょうか。 ◎一人暮らしは認知症を予防する最高の方法(人生を楽しむうえで、高年者の思考を邪魔するのが、「孤独」への恐れです。高年になると、「一人ぼっちにはなりたくない」「孤独死したらどうしよう」という発想が強くなります。これも予期不安が起こす恐れです。 現在、一人暮らしの65歳以上の高年者は、日本では670万人を超えています(少年、青年、中年を経て緩やかに移行していった先にあるという意味で、ここでは65歳以上の人々を高齢者ではなく「高年者」と呼びます)。単身の高年者が大きな事件・事故などを起こすと、高年者の孤立や孤独の問題がメディアで大きく取り上げられます。しかし、実際には、独居の高年者全員が孤独感に苛まれているわけではありません。) 一人暮らしで誰にも看取られず、何日も経ってから発見される、という「孤独死」を恐れる人も多いでしょう。しかし、よくよく考えてみれば、数日経ってから発見されるということは、死ぬ直前まで元気だった可能性が高いわけです。 今は、要介護認定を受けた高年者であれば、ほぼ例外なく、なんらかの福祉サービスとつながっています。日常的な支援が行われているので、体調が悪ければすぐに病院に連れて行かれて、孤独死はなかなかできないのです。 孤独死したということは、自殺などのケースを除き、理想の生き方とされる「ピンピンコロリ」が実現できたということ。直前まで寝たきりにもならず、元気に生き、眠るように最期を迎えるという、なかなかできない死に方ができたわけです』、「上司と部下の関係は、会社を離れればもう終わりです。それなのに、元上司に気を遣うようなことを今も続けていませんか。こちらが元部下という態度を続けていると、相手は永遠に「元上司」という態度でやってきます。これは相当なストレスです。 ですから、ストレスを感じる人とは、ダラダラと付き合い続けないようにしましょう。「この人とはもう十分」と思ったら縁を切れるのも、自由に生きられる65歳以上の特権。一緒にいると居心地よく、楽しい人との付き合いを大事にしたほうがよいです」、「「つかず離れず婚」が心を健康にする・・・子育てが終わってからの夫婦関係は、もっと自由でよいのではないでしょうか。 現役をリタイアする65歳からは、夫婦関係を一度リセットするよい機会です。お互いに精神的に自立し、第二の人生を歩んでいく関係性を新たに築いていくチャンスです。どちらかが介護の必要な体になってからでは、リセットは難しくなります」、なるほど。
・『一人暮らしの人ほど認知症は進まない 皆さんは「認知症になりたくない」とおっしゃいますが、一人暮らしは認知症予防の最高の方法です。私は、一人暮らしを続けている認知症の患者さんもおおぜい診ていますが、独居の人ほど、認知症の症状は進みにくいと思っています。 一人暮らしをしていれば、日々の生活で頭をフル回転させながら過ごすことになります。必要に迫られて買い物に行って、毎日、料理を作り、食事をして、皿を洗う。ゴミを出しに行き、洗濯をし、掃除をする。このように、家の中にはやることがたくさんあります。そのすべてが、心身、そして脳によい刺激を与えてくれます』、「「一人暮らしの人ほど認知症は進まない・・・一人暮らしをしていれば、日々の生活で頭をフル回転させながら過ごすことになります。必要に迫られて買い物に行って、毎日、料理を作り、食事をして、皿を洗う。ゴミを出しに行き、洗濯をし、掃除をする。このように、家の中にはやることがたくさんあります。そのすべてが、心身、そして脳によい刺激を与えてくれます」、なるほど。
・『孤独の楽しみ方を少しずつ覚えよう 「認知症になると1人で生活できなくなるのでは」と思う人も多いのですが、不思議なことに、認知症になると、生きるための防御反応が高まります。そのため、「自分で買い物に行って、食事を作らなければ死ぬ」と脳がよく認識しているのか、意欲がなくても買い物には行くし、おなかが空いたら料理を作ります。 「計算ができなくなるから、買い物もできなくなるだろう」と不安になる人もいますが、これもいらぬ心配です。認知症になると、自分の身を守るために、より安全に振る舞おうとする傾向が強くなるからです。 計算が間違っていたら恥ずかしいし、店員からとがめられるのも怖いため、お店ではとりあえず、お札を出すようになります。なんでもお札で買い物するようになるので、財布が小銭だらけになります。それでも、上手に買い物をしている証です。 私は、一人暮らしを無理にお勧めしているわけではありません。家族と一緒にいることが幸せな人もいれば、1人が好きな人もいます。配偶者と死別して1人になる人もいます。「みんな違って、みんないい」のです。 ただし、老人ホームなどへの入居を決めない限り、高年になれば子どもは巣立ち、親や配偶者と死別し、独居になる可能性は高まります。 孤独への不安感が強い人は、孤独の楽しみ方を少しずつ覚えておくとよいのではないでしょうか。予期不安にかられてビクビクするくらいなら、予行演習しておきましょう。 一人旅をする、ウィークリーマンションで1週間暮らしてみるなど、不安に思っていることが、実際にどの程度のものかを体験してみると、「1人でもけっこう楽しめるし、大したことはないな」とわかるはずです。 実践こそが予期不安を解消し、心の余裕を増やす最良の方法といえます』、「認知症になると、生きるための防御反応が高まります。そのため、「自分で買い物に行って、食事を作らなければ死ぬ」と脳がよく認識しているのか、意欲がなくても買い物には行くし、おなかが空いたら料理を作ります」、なるほど。「孤独への不安感が強い人は、孤独の楽しみ方を少しずつ覚えておくとよいのではないでしょうか。予期不安にかられてビクビクするくらいなら、予行演習しておきましょう。 一人旅をする、ウィークリーマンションで1週間暮らしてみるなど、不安に思っていることが、実際にどの程度のものかを体験してみると、「1人でもけっこう楽しめるし、大したことはないな」とわかるはずです」、「予行演習」とはいいアイデアだ。
第三に、10月7日付け東洋経済オンラインが掲載した 日本認知症学会専門医・指導医 おくむらメモリークリニック理事長の奥村 歩氏による「「脳のゴミ」を洗い流す睡眠が認知症予防する訳 睡眠障害と認知症の関係とは?医師が徹底解説」を紹介しよう。
・『日本では認知症患者が増える中で、認知症は睡眠障害と密接な関係がある、と指摘されています。日本認知症学会専門医・指導医 おくむらメモリークリニック理事長の、奥村歩氏の新著『スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』を一部抜粋・再構成し、認知症の原因と、予防につながる質の高い睡眠について解説します』、興味ふかそうだ。
・『認知症と睡眠障害の関係 「日本人は世界ワーストレベルで睡眠時間が短い」 日本人の平均睡眠時間は7時間22分。加盟国など平均と比べると1時間3分も、短いのです(OECD2・2018データより)。 さらに認知症と睡眠障害の密接な関係は、以前から指摘されています。 人口1000人当たりの認知症患者数について、OECD諸国とその他主要国計44カ国の2021年の実績と2050年の予測値を示したデータによると、その数はOECD平均で15.7人。それに比べて日本は最多ダントツの26.7人です。さらに2050年の予測値では、OECD平均29.4人に対して日本は44.7人と、ますます認知症患者が増えると考えられています。 これまでにも認知症患者増加に対する警告はありました。 エビデンスに基づいた第1報は、2012年、朝田隆先生の研究チームによる調査報告を厚生労働省が発表したデータです。) 日本の認知症患者数が約462万人。認知症予備軍のMCIもほぼ同数の約400万人。そして、2025年の認知症患者数は約700万人を超えると予測されています。高齢者65歳以上で5人に1人というものすごい数です。 認知症になるかどうかの運命の分かれ道は、「この65歳の壁をいかにうまく乗り越えることができるかにある」とも言えるでしょう。 これらのデータからもわかるように、日本は世界ワーストレベルの睡眠負債国であり、その結果、認知症大国になっているのです。 また、最近のデータでは認知症患者の睡眠障害の有病率は50~80%と報告されている一方で、不眠症やうつ病が、認知症の大きな危険因子になっていることも指摘されています。まさに、睡眠障害と認知症との関係は、「鶏が先か?卵が先か?」。日本人は睡眠時間が極端に短いのですが、実はそれ以上に、熟睡できていない人が多いことのほうが問題なのです』、「日本は世界ワーストレベルの睡眠負債国であり、その結果、認知症大国になっているのです。 また、最近のデータでは認知症患者の睡眠障害の有病率は50~80%と報告されている一方で、不眠症やうつ病が、認知症の大きな危険因子になっていることも指摘されています」、「睡眠負債国」の是正が急務だ。
・『アルツハイマー病の元凶は赤ちゃんでも発生する! 認知症とは、脳に問題が生じて、生活に支障が出る状態のこと。一つの病名ではありません。その原因となる病気は100種類以上(!)あります。 最も多いのは、脳にアミロイドβと呼ばれるゴミ(老廃物)がたまるアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)。統計ではすべての認知症の70%も占めると言われています。このアルツハイマー型認知症は、睡眠負債との因果関係がとても深いのです!この脳のゴミ(老人斑)は、高齢者だけに発生するものではありません。最近の研究で、赤ちゃんでも子どもでもアミロイドβは発生することがわかっています。しかし、赤ちゃんや子どもの脳にゴミはたまりません。なぜなら、若いうちは脳のゴミを掃除する機能がしっかりしているからです。 一方、高齢になってゴミ掃除が思うようにできなくなるとアミロイドβは脳のいたるところで凝集化(フィブリル)し、次第に“認知症予備軍”と言われるMCIの状態になっていきます。) 現在では、アミロイドPETという検査で生体脳のアミロイドβを可視化することができます。このような技術の進歩で、私たちの脳には、何歳くらいからアミロイドβがたまり始めるのかが正確にわかるようになりました。 研究では、アミロイドβは40歳からたまり始めることがわかっています。この時期は、睡眠負債を自覚する時期と重なっていて、また心身ともに疲れが蓄積してくる時期なのです。 つまり、この世代になると発生するゴミの量にゴミ掃除が追いつけなくなって、じわじわとアミロイドβがたまり始めるのです』、「認知症とは、脳に問題が生じて、生活に支障が出る状態のこと。一つの病名ではありません。その原因となる病気は100種類以上(!)あります。 最も多いのは、脳にアミロイドβと呼ばれるゴミ(老廃物)がたまるアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)」、なるほど。
・『脳のゴミ掃除の仕組み 「脳は神秘のベールに包まれている」と言われます。 一般的には、「脳が人体の臓器の中でも特に仕組みが複雑で、いまだ十分に解明されていない」という感覚的なイメージ表現として使われますが、医療の実際では「神秘のベール」はイメージではなく、現実的に物理的に、まさに脳は神秘のベールに包まれているのです。 そのベールとは、「脳脊髄液」と呼ばれる透明の液体です。 私は脳神経外科手術をする際、患者さんやご家族に、以下のような例え話をします。 「脳は頭蓋骨の中で、脳脊髄液と呼ばれる無色透明な液体に包み込まれています。その状態は、例えばスーパーで売っている“水の入った密閉パックの中の豆腐”を思い浮かべていただくといいでしょう。密閉パックが頭蓋骨で、豆腐が脳です。脳は頭蓋骨の中でパック内の豆腐と同じように、水に満たされているのです」 この例え話は、実はかなり的確に脳の構造を表しています。 もし誤って豆腐のパックを落としても豆腐がつぶれないように、パックの中の水がクッションの役割を果たしています。同様に私たちの脳は、堅く分厚い頭蓋骨とともに、しなやかな脳脊髄液によって、頭部の衝撃から脳を護っています。 ただし、脳脊髄液と豆腐パックの水には、大きな違いがあります。豆腐パックの水は一度パッキングされたらそのままなのに対して、脳脊髄液は、周期的に、たえず入れ替わっているのです。) 脳脊髄液は、脳室(脳の深部にある部屋)と呼ばれる場所で1日に約500?作り出され、深部から脳表に循環して脳脊髄全体を覆い尽くし、そして古くなった脳脊髄液は、脳表の静脈へと排出されます。 日々、排出される脳脊髄液の量は、作り出される500?と同じ。つまりつねに同じ量が脳内に存在するものの、脳脊髄液自体は1日に約4回程度(500÷120≒4)入れ替わっていることになります。 このように、ダイナミックに活動する脳脊髄液は、以前から栄養物質の輸送や老廃物の排出など、脳の新陳代謝に重要な役割を果たしていると考えられてきました。そして近年、認知症に関連するアミロイドβの排出にも、この脳脊髄液が大きな働きをしていることが発見されました。 脳のゴミは、この脳脊髄液によって「水洗い」されていたのです。 人の体内の老廃物は血液やリンパ液によって体外へ排出されますが、脳にはリンパ管が存在しないため、従来は、脳に老廃物を排出するリンパ系はないと考えられてきました。 ところが、最近になって、脳にも身体のリンパ系と同じような働きをして、老廃物を排出させるユニークな仕組みがあることが発見されたのです。 それが、2012年にロチェスター大学のネーデルガード氏らが発見したグリンファティックシステム(Glymphatic System)です』、「ダイナミックに活動する脳脊髄液は、以前から栄養物質の輸送や老廃物の排出など、脳の新陳代謝に重要な役割を果たしていると考えられてきました。そして近年、認知症に関連するアミロイドβの排出にも、この脳脊髄液が大きな働きをしていることが発見されました。 脳のゴミは、この脳脊髄液によって「水洗い」されていたのです」、なるほど。
・『脳脊髄液がアミロイドβを水洗いする仕組み グリンファティックシステムは以下にあるように、睡眠と認知症が密接につながっていることを証明することになりました。 脳表を循環する脳脊髄液は、動脈の血管周囲腔に沿って脳内に流入します。そして脳脊髄液は、血管周囲に密着している神経膠細胞(グリア)の水門(アクアポリン4)から脳内に流入して、脳脊髄液=グリンファティック液となります。この液は、図の「[→]」のように、静脈側の血管周囲腔の方向に流れます。(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) 「グリンファティックシステムで睡眠中にアミロイドβを水洗いする」というのは、質の良い睡眠が十分にとれていることが条件です』、「「グリンファティックシステムで睡眠中にアミロイドβを水洗いする」というのは、質の良い睡眠が十分にとれていることが条件です」、やはり「質の良い睡眠」がカギのようだ。
・『脳のゴミ掃除には、「上質な睡眠」が絶対条件 このことを証明する2019年10月に『サイエンス』誌で発表されたボストン大学の研究を見てみましょう。 研究対象は人間。実験は生理的な睡眠を再現するため、夜中の0時から行われ、被検者に脳波計をつけてMRIの中で眠ってもらったのです。つまり、睡眠の状態を脳波でチェックしつつ、同時に脳血流量や脳脊髄液の動態も測定したわけです。 その結果は「人が熟睡(ノンレム睡眠)するときに、ノルアドレナリンに連動する神経細胞の活動が減少し、脳の血流は停滞する。逆に脳脊髄液の流れが活発になる」というものでした。 つまり、「熟睡中にはグリアがアクアポリン4から脳脊髄液を積極的に取り込み、脳内組織は空間を拡大させ、組織抵抗を減少させ、アミロイドβの解毒の場を拡大する」ことが示唆されたのです。 スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」 そして、老廃物を含んだグリンファティック液は、静脈側の神経膠細胞の足突起のアクアポリン4から、髄液腔に脱出します。この脳内の流れの過程で、アミロイドβは水洗いされて脳外に排出されます』、「スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」 そして、老廃物を含んだグリンファティック液は、静脈側の神経膠細胞の足突起のアクアポリン4から、髄液腔に脱出します。この脳内の流れの過程で、アミロイドβは水洗いされて脳外に排出されます」、「アミロイドβは水洗いされて脳外に排出されます」、そうなってほしいものだ。
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