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保育園(待機児童)問題(その12)(ついに判明した「不当に低い保育士給与」の実際、「ほいくえんに行きたくない…」子どもが泣きながら拒否するワケ、「性犯罪者になるかもしれない」それでも私が男性保育士を積極的に雇うワケ 男女どちらもいたほうが絶対にいい) [生活]

保育園(待機児童)問題については、本年3月2日に取上げた。今日は、(その12)(ついに判明した「不当に低い保育士給与」の実際、「ほいくえんに行きたくない…」子どもが泣きながら拒否するワケ、「性犯罪者になるかもしれない」それでも私が男性保育士を積極的に雇うワケ 男女どちらもいたほうが絶対にいい)である。

先ずは、3月5日付け東洋経済オンライン「ついに判明した「不当に低い保育士給与」の実際」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/415046
・『これまで全国平均でしかわからなかった保育士の人件費の金額が、2021年度から地域ごとにわかるようになる。内閣府の初の試みで通知が改定され、全国を8つに分けた地域区分別の公費から出ている人件費額が示される。 本媒体でこの第一報を打った2月26日、内閣府は都道府県などの自治体に対し通知改定について知らせ、資料も公開した。 4月に新入園児として保育園に通う子も多いはず。子どもの安心、安全を守るには、低く抑えられている保育士の給与水準の改善は不可欠だ。その一端を担うであろう通知改定の意味について、考えたい』、保育士の「賃金」の低さの実態が明らかになるのだろうか。
・『依然として下回る保育士の処遇  「今まで全国各地域の保育士は、本来どのくらいの賃金をもらえるのか、もらえるはずの賃金が抑えられているのかどうか分からずにいました。そのため、私は国に対して、公費で出している人件費の額は全国平均ではなく、各地の数値を出すよう求めてきました。来年度から通知を改定して各地の人件費額を出すと内閣府から報告を受けました。 通知改定によって何が分かるようになるか。東京23区の場合、今年度でいうと処遇改善が最大でつくと、年間の賃金は約565万円になります。実際に受け取る年間賃金は約381万円ですから、約184万円もの差があることが分かるようになる。このような『見える化』は、保育士の処遇改善にとって大きな前進になると思います」 3月4日の参議院予算委員会で、片山大介議員が通知改定の意義について強調した。東京23区を例にした公費と実際の賃金の差額がパネルで示されると、その金額の大きさに議場はどよめいた。通知改定の効果について坂本哲志・少子化対策担当大臣は、こう答弁した。 「2021年度から初めての通知改定で地域区分別に『予算積算上の人件費額』を示すことで、各保育園の賃金水準について確認するための参考にできるようになります。これは各保育園にとっても人件費を支出する参考になります。自治体にとっては、各保育園の人件費の水準を確認するための参考になり、通知の金額と差があった場合、差が生じる理由について説明を求めることが可能となります。 一方、一定の注意も必要で、配置基準を超えて多くの保育士を配置すると一人当たりの賃金が低くなることもあります。保育士の経験年数、賃金体系も各園で違うため、通知の人件費との差だけを見るのは適当ではないことを、通知を出す時には自治体に周知したい」 保育士の処遇改善は急務の課題とされてきたが、依然として全産業平均を大きく下回っている状態だ。保育単価の「公定価格」(基本分)の内訳は通知で示され、2020年度の保育士の人件費額は全国平均で約394万円となっている(人件費額には賞与や手当を含むが、法定福利費や国の処遇改善加算は含まない)。ただ、全国平均では、各地の保育士のあるべき賃金水準が具体的にイメージできないこともあり、内閣府は8区分に分かれた地域区分の人件費の額を通知で出すことに踏み切ったのだった。) 前回の記事で明らかにしたように、公定価格が最も高い東京23区を例に考えてみよう。内閣府の内部資料から、2020年度は公定価格(基本分)の人件費は約443万円だということがわかった。そこに、国による全保育士対象の処遇改善加算Ⅰとキャリアに応じた処遇改善加算Ⅱ、東京都独自の処遇改善加算を加えていく。 すると想定される年間賃金は、処遇改善がまったくつかなくても年間で約443万円、処遇改善加算Ⅰと都独自の処遇改善費がつく場合で約517万円、おおむね経験3年目のキャリアに応じた処遇改善加算Ⅱがつけば約523万円、おおむね経験7年目の処遇改善加算Ⅱが最大でつくと約565万円になる計算だ。 しかし、実際に保育士が受け取る年間賃金の実績は、東京23区の平均が約381万円だ(内閣府の2019年度調査)。公費と実際の賃金の差は最大で約184万円、最小でも約136万円になる』、「公定価格(基本分)の人件費」約443万円、に「東京都独自の処遇改善加算を加えて」ると「経験7年目の処遇改善加算Ⅱが最大でつくと約565万円」、「実際に保育士が受け取る年間賃金の実績は、東京23区の平均が約381万円」、「公費と実際の賃金の差は最大で約184万円」、ずいぶんおおきな額だが、これはどこに流れているのだろう。
・『保育園運営会社大手や中堅の賃金はどうか  ただ、公定価格の人件費は保育士の最低配置基準に基づくため、基準より多い人数、保育士を雇っていれば1人当たりの賃金額はどうしても低くなる。 そのため、これまでの取材から「保育士の配置がギリギリだ」とわかった保育園運営会社大手や中堅の賃金はどうか、東京都がホームページ「こぽる」(とうきょう子供・子育て施設ポータル)で公開している2018年度の常勤保育従事者の賃金実績を調べた。 「1人たりとも最低配置基準以上に保育士を置かない」とされるX社が運営する、東京23区内の認可保育園の賃金を見てみよう。X社傘下のA園の年間賃金は約363万円(平均勤続年数は4年)、B園は同343万円(同2年)、C園は同358万円(同6年)だった。 同様に、経営方針として「配置基準以上に保育士を雇うための自治体からの補助金が出ない場合は配置基準通りにする」というZ社の保育士賃金も低い。Z社傘下の東京23区にあるD園では年間賃金で約392万円(平均勤続年数は6年)、E園では同372万円(同7年)、F園では同355万円(同8年)だった。 「こぽる」(1月15日時点の掲載分)から、株式会社大手9社の賃金状況を集計すると、年間賃金は約323万~386万円にとどまり、公定価格の基本分の約443万円の水準にも達していないことがわかった。想定される年間賃金とおおむね150万円の差が生じていた。ではいったい、差額はどこに消えているのか。 認可保育園の運営費用は公定価格に基づき、その園で必要な費用が「委託費」として各園に給付される。その8割以上が人件費を占める。ところが、「委託費の弾力運用」という制度によって、大部分を占める人件費をほかに流用してもいい仕組みがある。同一法人が運営する他の保育施設や介護施設への流用、新たな保育園を作る施設整備費にも回すことができ、多くは新しく保育園を作るための費用に委託費が流用されている。また、経営者による不正な私的流用も発覚している。 個人加入できる労働組合の介護・保育ユニオンの組合員になった中堅の男性保育士(経験11年、都内の認可保育園勤務)の年収は約360万円。保育士の配置が最低基準ギリギリで、人手不足状態で長時間労働が常態化しているという。男性は、「新しい保育園を作るために保育士の人件費が削られている」とみている。 彼の勤務先の保育園が該当する地域区分で計算すると、公定価格に国と都の処遇改善の最大額を足すと年間賃金は約550万円だった。公費との差は年200万円に上る計算だ。このような実態から、同ユニオンの三浦かおり共同代表は通知改定の効果を期待する。 「ユニオンに相談する保育士の多くが年収300万円台で、残業しても割増賃金が未払い状態になっています。保育士数は配置基準ギリギリです。通知改定により人件費との差額がどう使われているのかと団体交渉の場でも説明を求めやすくなり、検証もしやすくなります。その差額が何に使われたかがわかれば、保育がビジネス化されている実態の解明の後押しとなると思います。今後、事業者が言い逃れしないよう、国は適切な給与水準の基準を設け、国や自治体は給与の実態を調査して委託費の弾力運用に規制をかけていくことが求められます」』、「株式会社大手9社の賃金状況を集計すると、年間賃金は約323万~386万円にとどまり、公定価格の基本分の約443万円の水準にも達していないことがわかった。想定される年間賃金とおおむね150万円の差が生じていた」、「「委託費の弾力運用」という制度によって、大部分を占める人件費をほかに流用してもいい仕組みがある。同一法人が運営する他の保育施設や介護施設への流用、新たな保育園を作る施設整備費にも回すことができ、多くは新しく保育園を作るための費用に委託費が流用されている。また、経営者による不正な私的流用も発覚している」、「経営者による不正な私的流用」はともかく、「他の保育施設や介護施設への流用、新たな保育園を作る施設整備費」、「新しく保育園を作るための費用に委託費が流用」、こんなにも他の施設等に流用されているとは驚かされた。
・『低賃金で長時間労働の中、子どもを守れるのか  保育士の処遇の状況は、保育の質に大きく影響する。その一例として、保育事故の急増が挙げられる。 一般的に「認可保育園なら安心」と思われているが、保育士が低賃金で長時間労働となれば、子どもを守ることができるだろうか。保育施設で子どもを亡くした遺族らによる団体「赤ちゃんの急死を考える会」の小山義夫会長は、こう話す。 「保育士は子どもの命を守るという大きな責任があるのに、低賃金という状況に置かれています。仕事に熱心な保育士ほどバーンアウトして辞めていくため、処遇が不安定な非正規雇用でもクラス担任をもつことが増えています。 国の調査で骨折事故が増えていますが、私たちが事故の相談を受けて弁護士も交えて検証してきたなかでも、知識や経験のあるベテラン保育士がいれば防げたはずの事故が最近、増えている可能性があり、注意しなければなりません。せめて担任は正職員が担えるような処遇にすることが必要です。通知改定によって保育士から声があがることで処遇が改善され、保育士が辞めずに経験を積んでいける環境になることを期待したいです」』、「知識や経験のあるベテラン保育士がいれば防げたはずの事故が最近、増えている可能性があり、注意しなければなりません。せめて担任は正職員が担えるような処遇にすることが必要です」、その通りだろう。
・『通知改定で処遇改善につながる可能性が  これまで自治体の監査部門や保育課の職員からは「民間が運営すれば、あくまで民間の給与規定のため、行政は口を挟めない。園長兼経営者の年収が1000万~2000万円というのはザラにある。一方の保育士の年収が300万円程度だったとしても、最低賃金を下回るなど法令違反がなければ、給与額そのものを指導できない。保育士の適切な給与水準を国が示すことが必要だ」という声が大きかった。 今回の通知改定に伴い、内閣府が自治体向けに周知した動画では「監査のためのものではない」と強調するが、神奈川大学で地方自治を専門とする幸田雅治教授は、貴重な一歩として捉えるべきだと評価する。 「自治体は、通知改定で各地域区分の人件費額が公表されることで、保育士の処遇改善が前進するよう活用すべきです。それにとどまらず、自治体にはすべきことがあります。通知で示された保育士の年間人件費は最低限保障されるレベルですので、事業者が通知を基に給与水準を切り下げることがないよう、行政は厳しく人件費についての指導・監査を行わなければなりません。本来、“企業秘密”とされがちな保育士の給与や委託費の使い道については情報開示すべき内容と捉えるべきです。国が示した人件費の額以上に処遇改善をしていかなければなりません」 通知改定で一歩も二歩も処遇改善につながる可能性が出てくる。ある官僚は、「公務員として税金が保育士の処遇改善に正しく使われるよう、こうした通知を出すことは当然のことで、社会全体に関心を持ってもらいたい」と本音を語った。ややもすれば見逃されそうなこの通知改定は、役所が行う制度改定のただの1項目ではない大きな意味がある』、「通知改定」で「処遇改善につながる可能性が出てくる」のは好ましいことだ。「税金が保育士の処遇改善に正しく使われるよう、こうした通知を出すことは当然」、その通りだろう。

次に、4月12日付け現代ビジネス「「ほいくえんに行きたくない…」子どもが泣きながら拒否するワケ」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81955?imp=0
・『「子どもが毎朝、保育園に行きたがりません。『ほいくえんに行きたくない。せんせい、おこってばかり。ぜんぜん、やさしくない』と泣きながら抵抗する子を無理やり預けるのは、本当に胸が痛みました」 都内在住の野村裕子さん(仮名、30代)は保活の激戦を潜り抜け、子どもを認可保育園に入れることができたが、「これで認可保育園と言えるのか」という疑問が膨らんだ。 子どもの口から保育士が優しくないと聞かされ、仕事中も気持ちがモヤモヤして止まらなかった。それだけでなく、ケガや事故の不安が高まると気が気でなくなった。 「子どもが大きな傷を作って帰ってきても、保育士は『見ていませんでした』しか言いません。挙句の果てには『子どもはケガしても当たり前』。質どころの話ではなくなり、園長と話しても埒が明かないので、幼稚園に転園しました」 裕子さんの子だけでなく、その園では保育士が子どもにいうことを聞かせようと無理に腕を引っ張るため、肩が脱臼した子もいたという。子どもたちのケガも頻繁に起こり、「いつ事故に遭うか分からない」という状況で、毎日、1分でも早くお迎えに行こうと走って帰ったという』、「せんせい、おこってばかり。ぜんぜん、やさしくない』と泣きながら抵抗する子を無理やり預けるのは、本当に胸が痛みました」、「園長と話しても埒が明かないので、幼稚園に転園」、「認可保育園」に苦労して入れた意味がなかったことになる。「保育士が子どもにいうことを聞かせようと無理に腕を引っ張るため、肩が脱臼した子もいた」、これでは「ブラック保育園」だ。
・『骨折などの事故が急増中  実際、全国的にも認可保育園での保育事故は増えている。内閣府は、「治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故等」を集計しており、骨折などの事故が急増している。 「骨折」(切り傷やねんざ等の複合症状を伴うものを含む)は2015年の266件から2019年は676件に増え、「その他」(指の切断、唇、歯の裂傷等を含む)は同69件から194件という増加ぶりだ。次々に保育園が開園されるものの、人材育成が追い付かずに保育士が子どもを十分に見守ることができない状況がうかがえる。 年齢別の負傷等の件数は、認可保育園では0歳(3件)、1歳(34件)、2歳(78件)、3歳(138件)、4歳(198件)、5歳(306件)、6歳(124件)で、年齢が上がるにつれ事故が増えている傾向があり、保育士の配置が手薄になるほど事故が増える傾向がある。 保育士の配置基準は、0歳児の場合は子ども3人に保育士1人の「3対1」、1~2歳児で「6対1」、3歳児で「20対1」、4歳児以上で「30対1」となっている。新卒採用で経験の浅い保育士がいきなり1人でクラスを担任するケースもあり、保護者の心配は尽きないだろう。 裕子さんの家庭は夫婦ともに自営業のため、就労状況を何度も自治体の保育課に説明するなどして苦労して入った認可保育園だった。待機児童が多いなか、認可保育園の席を確保するのに有利なのは夫婦ともにフルタイム勤務の正社員。自営業は時間に融通をつけられるから保育の必要度が低いと見られる傾向があり、不利なことが少なくない。 地元で評判の良い保育園に入園でき、園長は保護者の目線になって「おかえりなさい。今日も忙しかった? お疲れ様」と、気軽に声をかけてくれ、育児の相談もしやすく頼れる存在だった。担任の保育士も日々、細かな子どもの様子を伝えてくれ、信頼関係が築けた。 ところが、園長が異動して新しい園長に代わるとまるで「天国から地獄」。みるみる保育の質が落ちていった。』、「認可保育園」で「骨折などの事故が急増中」、とは由々しい問題だ。
・『「認可保育園なんて、名ばかりだ」  待機児童対策で保育園の建設ラッシュが始まると、どこの園でも保育士確保が困難になった。新卒の保育士は争奪戦で、初任給の引き上げ合戦も起こる売り手市場だ。 そうしたなか、保育士が安易に辞めてしまって他の園に転職しがちにもなる。急な退職にでもなれば、派遣会社に頼まざるを得ず、費用もかかることから、裕子さんの子が通う園では経営側が園長に「とにかく保育士を辞めさせないように」と命じていた。 担任の保育士はお迎え時、「今日も変わりありません」「元気に過ごしていました」しか言わず、保育園で1日どんな様子で過ごしているか全く分からなくなった。保育士が子どもに乱暴したり、泣いている子が長時間放置されているのを見かけた保護者が園長に注意するよう求めても、園長はなんら指導することもなかった。 園長に苦情を言っても、園長は「一番、お子さんのことが分かっているのが担任」と言うばかり。保護者対応をしたくないのか、園長は「残業は致しません」と言って、定時ぴったりに帰ってしまうため、保護者が園長に会うこともなくなった。 こうした状況に耐えきれず、あと1年で卒園というところで裕子さんは、転園を決めた。周辺の保育園には空きがなく、やむなく幼稚園に通うことにしたのだった。裕子さんは、「認可保育園なんて、名ばかりだ」と、感じている』、「保育士が子どもに乱暴したり、泣いている子が長時間放置されているのを見かけた保護者が園長に注意するよう求めても、園長はなんら指導することもなかった」、「園長は「残業は致しません」と言って、定時ぴったりに帰ってしまうため、保護者が園長に会うこともなくなった」、酷い話だ。自治体に相談する他ないのだろうか。
・『「認可神話」が崩れている  保育園は規制緩和を受けて現在、多様になっている。認可保育園が保育士配置基準や面積基準が最も厳しい。認可外保育園は行政に縛られない独自の保育ができる良さがある一方で、認可保育園のような保育士配置や面積の最低基準を満たさない園もある。 統計上、死亡事故は認可保育園よりも認可外のほうが多いことや保育料が高い傾向があることから、多くの保護者がまず考えるのは認可保育園への入園だろう。 しかし、待機児童解消のため急ピッチで保育園が作られると、人材育成が追い付かず、裕子さんのケースのような「これで認可保育園といえるのだろうか」という現場が散見され、公立と同様もしくはそれ以上に「認可神話」が崩れている。 私立の認可保育園には、社会福祉法人、株式会社、NPO法人、宗教法人、学校法人がある。2000年までは認可保育園は自治体か社会福祉法人しか作ることができなかったが、規制緩和されて営利企業の参入も認められた。 保育は公共性が高く、労働集約的なため、決して“儲かる”わけではない。私立保育園の運営費は税金と保護者が支払う保育料という公費が充てられ、運営費は必要な経費が積み上げられて保育園に給付されている。国は「運営費は使い切る性格のものだ」と説明していることからも、儲かるものではない。 しかし、営利企業の参入がその様相を変えた。ある株式会社が運営する保育園では保護者サービスをウリにして、保護者は保育室に入って着替えの準備をすることなく、玄関先で子どもと荷物を保育士に渡すのだが、その保育園で働いていた保育士が「全く玩具がなく、絵本も園全体に数冊しかないという状況で、中を見せられないからだ」と明かした。筆者の取材から、玩具代までコストカットの対象になっている園がここ数年で目立って増えている。 株式会社が参入したことで、税金が原資であるはずの運営費の流用が株主配当にまで認められてしまっている。しかし、それらの費用は、もともとは、保育士の待遇や園児の玩具などを買うためのものである。 本来、その園の子どもために使うよう給付される運営費であっても、たとえば約2億円の収入のある認可保育園(約100人の定員)が毎年、3000万~5000万円もの運営費を園児のために使わず、他に回している実態もある。 ある自治体の監査担当者は、「ブラック保育園だと分かっていても、監査でできることは限られてしまう。保育士が数人辞めた程度ではニュースにもならない。一斉退職が起こってニュースになれば、保護者もブラック保育園の実態を知ることになって、事業者も改めるのではないか」と諦め顔だ。 子どもを預けた先、あるいは保育士として就職した先の園で、保育士の給与や平均経験年数、保育材料費や給食材料費がどのくらいかけられているのか。都内の保育園であれば、東京都が「とうきょう子供・子育て施設ポータル こぽる」によって公表しており、筆者の記事「想像以上に搾取される保育士たち……良い保育園と悪い保育園の『決定的な差』~データから見えてくる『重要ポイント』」も参考になるだろう。 ここ数年の間、保育士配置の規制緩和や園庭がないなどの保育園が急増したことで、保護者たちから「どこでも預けたいわけではない。安全で安心して過ごすことができる認可保育園を作ってほしい」との声があがった。 しかし、その声もむなしく、認可保育園の質は低下する一方だ。そして共働き世帯にとって、まさかの幼稚園への転園という事態に陥っている。幼稚園に転園することで就業継続を断念する保護者もいるため、何のための待機児童対策だったのかが問われる』、「「認可神話」が崩れている」のは、乱造したツケで、時間をかけて充実させてゆく他ないだろう。「ある株式会社が運営する保育園では・・・その保育園で働いていた保育士が「全く玩具がなく、絵本も園全体に数冊しかないという状況で、中を見せられないからだ」と明かした。「株式会社が参入したことで、税金が原資であるはずの運営費の流用が株主配当にまで認められてしまっている。しかし、それらの費用は、もともとは、保育士の待遇や園児の玩具などを買うためのものである。 本来、その園の子どもために使うよう給付される運営費であっても、たとえば約2億円の収入のある認可保育園(約100人の定員)が毎年、3000万~5000万円もの運営費を園児のために使わず、他に回している実態もある」、「「株式会社が参入」には原理的にも無理があったようだ。

第三に、4月16日付けPRESIDENT Onlineが掲載した元気キッズ保育園 代表の中村 敏也氏による「「性犯罪者になるかもしれない」それでも私が男性保育士を積極的に雇うワケ 男女どちらもいたほうが絶対にいい」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/45151
・『男性保育士による性犯罪事件がたびたび報じられている。男性保育士は本当に必要なのか。埼玉県で認可保育園「元気キッズ」など23の事業所を運営するSHUHARIの中村敏也代表は「男性保育士は絶対に必要。人手不足を解消するだけでなく、子どもたちにとっても男女どちらもいたほうがいい」という――』、何故なのだろう。
・『男性保育士がいると心配ですか?  皆さんは男性保育士、と聞いてどんなイメージをもちますか? 残念ながら、男性保育士と児童への性的虐待を結びつける方は、少なくないのではないでしょうか。最近、そうした事件が相次いで報じられました。 たとえばベビーシッターと利用者のマッチングサイト「キッズライン」では、2019年と2020年にそれぞれ別の男性シッターによる強制わいせつ事件が起きました。また2020年2月には、千葉県内の保育所で男性保育士が園児に性的暴行を加えたなどとして逮捕されました。この事件は2021年3月に千葉地裁で判決が下り、男性保育士は懲役6年の実刑となりました。保育士は公判で、約10人の園児にわいせつ行為をしたと認めています。 こうした事件を聞けば、男性保育士に対して親御さんが不安になるのは当然です。それでも私は、埼玉県で保育園など23事業所を運営する経営者として、保育現場に男性保育士が必要だと感じて、積極的に採用しています。当園の取り組みを紹介させてください。 現在、保育所の運営で一番難しいことが何か、ご存じでしょうか。それは、保育士の確保です。ここ10年の間に、保育士の採用は年々難しくなっているのです』、「保育士の確保」のために「男性保育士」を採用しても、「事件」を起こされれば本末転倒な気もするが・・・。
・『新規開所が増えて保育士獲得が困難に  平成24年に「子ども・子育て支援法」が制定され、平成27年から小規模保育園の実地などの具体的な待機児童対策が本格化したころより、新規開所の施設が急激に増えました。 その結果、今までの求人の窓口であった、学校求人、ハローワーク、新聞の折り込み広告、求人サイトなどで募集をしても、保育士を雇うことが難しくなりました(厳密にいうと望ましい保育士を雇用するのが難しい状況です)。 同時に、旧態依然とした保育業界の中では、新卒保育士の定着率が悪く、卒後2年目までに約3割が離職するというデータがあります(木曽陽子「保育者の早期離職に関する研究の動向:早期離職の実態、要因、防止策に着目して」2018-02-28社会問題研究. 67, p.11-22)。採用難になる施設が増えた結果、職員が一斉にやめて休園する施設もあらわれています。 そのような中でも、私が運営している保育園「元気キッズ」では、保育士の離職を防ぎ、安定した保育所運営を続けています。「8年間連続新卒離職0人」という記録を更新中で、離職の少ない園としてメディアでご紹介いただいたこともあります。 保育士の確保という点で、男性保育士の積極的活用というのは大変重要です。また、もちろん、私たちは、「人手が足りないから男性でも仕方ない」という理由で、男性保育士を採用しているわけではありません。男性保育士を採用するのは、いい保育をしていくために欠かせないと考えているからです』、「「8年間連続新卒離職0人」という記録を更新中」とは大したものだ。「男性保育士を採用するのは、いい保育をしていくために欠かせないと考えているからです」、どういうことなのだろう。
・『SNSや掲示板のリサーチは欠かせない  ただし、私たちも男性保育士の採用の際には、女性よりも慎重にならざるを得ません。例えばこんなことがありました。 ある男性が求人に応募してきました。私たちは採用の際、どの求職者に対しても、SNSなどで本人の公開情報を調べます。するとその男性は、YouTubeに半裸で絶叫する不可解な動画を投稿していたのです。 さらに詳しく調べてみると、その男性がある刑事事件にかかわっている疑いが浮上しました。私は不安を覚え、不採用とすることにしました。 本人に不採用の通知を送ったところ、「なぜ不採用なのか」などと執拗に電話をかけてくるようになりました。当初は女性の採用担当が応じていましたが、ある時点から私が引き継ぎ、YouTubeの動画のことなどを問い詰めました。案の定、明確な回答はなかったので、キッパリとお断りをしました。 それ以降は電話などがくることなくなりましたが、仮にもし採用まで至っていたらと思うと心の底からゾッとします。 この事例は必ずしも性別と関係がないかもしれませんが、男性保育士を採用する際には、女性保育士よりも一層慎重に人柄を調べるようにしています。親御さんが不安であるように、私たちにも不安があるからです。 さらに、採用後も事故を未然に防ぐ環境づくりに努めています。男性保育士に女児のおむつ替えはさせませんし、保育士と園児が二人だけの密室状態になることがないようにしています。 男性保育士にはさまざまなリスクがありますが、私はそれでも女性保育士だけの保育園にはしたくないと考えています。それは女性保育士だけになることにもリスクがあるからです』、「男性保育士を採用する際には、女性保育士よりも一層慎重に人柄を調べる」、「採用後も事故を未然に防ぐ環境づくりに努めています」、なるほど。
・『男性保育士がいると女子校ノリがおさまる  保育というのは、子どもの社会を形成する一部です。そこに、女性だけでなく男性が入ることで変化があります。子どもたちは偏りの少ない世界に触れることができます。 これは子どもたちだけでなく、大人の側も同じです。女性だけの職場になると、いわゆる”女子校のノリ”になることがあります。本来仕事には必要のない下ネタやうわさ話などが活発になるのです。これは男性が入ることで多少ブレーキがかかります。 さらに男性保育士は、子供たちから人気があります。女性よりも力があるのでダイナミックな遊びができるからです。遊びだけでなく、女性よりも男性に安心する「パパっ子」も少なくありません。男性と女性の両方がいるほうが、絶対にいいのです。 運営面に関しても、男性保育士の存在は欠かせません。男性保育士はキャリア形成に貪欲です。女性よりも男性のほうが、収入面でシビアに考えがちだからでしょうか。新しいIT機器や保育理論などに対して、男性保育士のほうが積極的な印象があります。そうした男性保育士がいると、女性保育士も引っ張られることになり、園全体として新しい取り組みが進みやすくなります。 保育業界はまだまだ女性社会なので、男性というだけで冷たく扱われることが少なくありません。しかし私は、男性の良いところを積極的に評価することで、男女ともにのびのびと仕事のできる環境をつくっていきたいと思っています』、「男性保育士がいると女子校ノリがおさまる」、「男性保育士は、子供たちから人気があります。女性よりも力があるのでダイナミックな遊びができるからです。遊びだけでなく、女性よりも男性に安心する「パパっ子」も少なくありません。男性と女性の両方がいるほうが、絶対にいいのです」、「新しいIT機器や保育理論などに対して、男性保育士のほうが積極的な印象があります」、説得力ある説明で、「男性保育士」の必要性が理解できた。
・『信頼できる園を探すために必要な3カ条  これから保育園を探していく方は、信頼できる園を探すために、ぜひ行ってほしい3つのことがあります。 1.利用希望の保育園のホームページをくまなくチェックする。 2.見学の予約をとる。その際の対応が、気持ちの良いものがどうか、違和感がないかをチェックする。 3.実際に見学に行き、園の雰囲気を肌で感じる。挨拶しているか、職員が笑顔か、園長先生は信頼できそうか、などを確認する。 ネットのクチコミはあてになりません。実際にご自身で調べて、直接見て、肌で感じた情報こそが、正しい情報だと思います。お子さまを安心して預けることができる、温かく信頼できる保育士のいる保育施設に出会えることを、心から願っております』、入園させることに焦る気持ちも分かるが、ブラック「保育園」に入った場合のリスクも大きいので、やはりこの「3カ条」をチェックする方がよさそうだ。
タグ:保育園 問題 東洋経済オンライン PRESIDENT ONLINE 現代ビジネス (待機児童) (その12)(ついに判明した「不当に低い保育士給与」の実際、「ほいくえんに行きたくない…」子どもが泣きながら拒否するワケ、「性犯罪者になるかもしれない」それでも私が男性保育士を積極的に雇うワケ 男女どちらもいたほうが絶対にいい) 「ついに判明した「不当に低い保育士給与」の実際」 「公定価格(基本分)の人件費」約443万円、に「東京都独自の処遇改善加算を加えて」ると「経験7年目の処遇改善加算Ⅱが最大でつくと約565万円」、「実際に保育士が受け取る年間賃金の実績は、東京23区の平均が約381万円」、「公費と実際の賃金の差は最大で約184万円」、ずいぶんおおきな額だが、これはどこに流れているのだろう 「株式会社大手9社の賃金状況を集計すると、年間賃金は約323万~386万円にとどまり、公定価格の基本分の約443万円の水準にも達していないことがわかった。想定される年間賃金とおおむね150万円の差が生じていた」、 「「委託費の弾力運用」という制度によって、大部分を占める人件費をほかに流用してもいい仕組みがある。同一法人が運営する他の保育施設や介護施設への流用、新たな保育園を作る施設整備費にも回すことができ、多くは新しく保育園を作るための費用に委託費が流用されている。また、経営者による不正な私的流用も発覚している」、「経営者による不正な私的流用」はともかく、「他の保育施設や介護施設への流用、新たな保育園を作る施設整備費」、「新しく保育園を作るための費用に委託費が流用」、こんなにも他の施設等に流用されているとは驚かされ 「知識や経験のあるベテラン保育士がいれば防げたはずの事故が最近、増えている可能性があり、注意しなければなりません。せめて担任は正職員が担えるような処遇にすることが必要です」、その通りだろう。 「通知改定」で「処遇改善につながる可能性が出てくる」のは好ましいことだ。「税金が保育士の処遇改善に正しく使われるよう、こうした通知を出すことは当然」、その通りだろう。 「「ほいくえんに行きたくない…」子どもが泣きながら拒否するワケ」 「せんせい、おこってばかり。ぜんぜん、やさしくない』と泣きながら抵抗する子を無理やり預けるのは、本当に胸が痛みました」、「園長と話しても埒が明かないので、幼稚園に転園」、「認可保育園」に苦労して入れた意味がなかったことになる。「保育士が子どもにいうことを聞かせようと無理に腕を引っ張るため、肩が脱臼した子もいた」、これでは「ブラック保育園」だ。 「認可保育園」で「骨折などの事故が急増中」、とは由々しい問題だ 「保育士が子どもに乱暴したり、泣いている子が長時間放置されているのを見かけた保護者が園長に注意するよう求めても、園長はなんら指導することもなかった」、「園長は「残業は致しません」と言って、定時ぴったりに帰ってしまうため、保護者が園長に会うこともなくなった」、酷い話だ。自治体に相談する他ないのだろうか 「「認可神話」が崩れている」のは、乱造したツケで、時間をかけて充実させてゆく他ないだろう。 「ある株式会社が運営する保育園では・・・その保育園で働いていた保育士が「全く玩具がなく、絵本も園全体に数冊しかないという状況で、中を見せられないからだ」と明かした。「株式会社が参入したことで、税金が原資であるはずの運営費の流用が株主配当にまで認められてしまっている。しかし、それらの費用は、もともとは、保育士の待遇や園児の玩具などを買うためのものである。 本来、その園の子どもために使うよう給付される運営費であっても、たとえば約2億円の収入のある認可保育園(約100人の定員)が毎年、3000万~5000万円も 中村 敏也 「「性犯罪者になるかもしれない」それでも私が男性保育士を積極的に雇うワケ 男女どちらもいたほうが絶対にいい」 「保育士の確保」のために「男性保育士」を採用しても、「事件」を起こされれば本末転倒な気もするが・・・ 「「8年間連続新卒離職0人」という記録を更新中」とは大したものだ。「男性保育士を採用するのは、いい保育をしていくために欠かせないと考えているからです」、どういうことなのだろう。 「男性保育士を採用する際には、女性保育士よりも一層慎重に人柄を調べる」、「採用後も事故を未然に防ぐ環境づくりに努めています」、なるほど 「男性保育士がいると女子校ノリがおさまる」、 「男性保育士は、子供たちから人気があります。女性よりも力があるのでダイナミックな遊びができるからです。遊びだけでなく、女性よりも男性に安心する「パパっ子」も少なくありません。男性と女性の両方がいるほうが、絶対にいいのです」、「新しいIT機器や保育理論などに対して、男性保育士のほうが積極的な印象があります」、説得力ある説明で、「男性保育士」の必要性が理解できた。 入園させることに焦る気持ちも分かるが、ブラック「保育園」に入った場合のリスクも大きいので、やはりこの「3カ条」をチェックする方がよさそうだ
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医療問題(その31)(スクープ!東京女子医大で医師100人超が退職 一方的な経営陣の方針に抗議の意思表示か、「医療のバカの壁」養老孟司が生死をさまよって感じた「データには出ない大切なこと」 「10万人に1人」をどう考えるか) [生活]

医療問題については、4月25日に取上げた。今日は、(その31)(スクープ!東京女子医大で医師100人超が退職 一方的な経営陣の方針に抗議の意思表示か、「医療のバカの壁」養老孟司が生死をさまよって感じた「データには出ない大切なこと」 「10万人に1人」をどう考えるか)である。

先ずは、4月21日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの岩澤 倫彦氏による「スクープ!東京女子医大で医師100人超が退職 一方的な経営陣の方針に抗議の意思表示か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/423926
・『女子医科大学の3つの付属病院で、100人を超える医師が3月までに一斉退職したことが、独自取材でわかった。辞めた分の補充が間に合わず、各病院は大幅に医師が減少した状態で、4月からの新年度を迎えているという。新型コロナ第4波を迎える中、東京の医療体制にも影響を及ぼしかねない。 昨年、「夏のボーナス支給ゼロ」に対して、看護師約400人が辞職の意向を示した混乱に続き、今回は医師100人超の一斉退職という異常事態。 医師たちは、なぜ東京女子医大を辞めなければならなかったのか? 名門ブランド医大の内部で起きた、深刻な問題の真相に迫る──』、一体、何があったのだろう。
・『100人以上の医師が次々と辞めていった  「若手医師たちから、もう辞めたいと言われた時、引き留める気にはなりませんでした。ここに残っても状況が良くなる保証は何もありませんし、私も若ければとっくに辞めていましたから」 電話から聞こえてくるベテラン医師の声は、疲れ切っていた。 医師が次々と辞めていくとの情報が寄せられて、筆者が複数の東京女子医大・関係者を取材したところ、尋常ではない数の医師が一気に辞めることが判明した。 東京・新宿区に位置する東京女子医科大学病院。「本院」と呼ばれ、国内最大規模の1193床、医師数は831人と公表されている。この本院に勤務していた内科の医師、約170人のうち50人以上が、今年3月末までに退職した。 内科の3割以上が去ったことで、残された医師は当直業務が一気に増えたという。当直後、そのまま翌朝からの診療を担当するので体力的な負担は大きい。これが長期化すると、通常診療にも影響がでてくる可能性が懸念される。このほか、外科の医師も10人以上が辞めている。 東京・荒川区にある、東京女子医大の東医療センターは450床。医師数258 人の2割にあたる、約50人の医師が退職した。 東医療センターは、足立区に新しい病院が建設され、今年度中に移転する予定だが、働く医師が足りなくなる事態も懸念される。 千葉・八千代市にある八千代医療センターは、501床で医師数233人。救命救急センターなど、地域の重要な拠点病院だが、ここでも相当数の医師が退職していた。(3病院の病床数と医師数は公式HPから引用) 東京女子医大3つの附属病院を合わせると、実に100人以上の医師が減った計算になる。今年度に採用した医師は、この数に到底及ばないという。) 関係者によると、一部の診療科が閉鎖され、入院治療の中止を余儀なくされた診療科も出ているという。 「あっという間に人が減ってしまいました。これまでと同じ診療ができなくなった科もあります。コロナの第4波が東京で始まっていますが、どこまで対応できるのか、まだわかりません」(ベテラン医師) 「全体で何人の医師が辞めたのか、まだ病院側から正式に知らされていません。ただ、当直業務ができる医師が、半分になったと聞きました。これからが、大変になると思います」(30代医師) 医師の一斉退職に関して、東京女子医大の広報室に質問状を送ったところ、「回答できない」という返事だった。 関係者によると、本院の内科医師が大量に退職したのは、新型コロナの対応をめぐって、臓器別に分かれている診療体系を再編する計画が影響した可能性もあるという。ただし、取材を進めていくと、決定的な理由は別にあるとわかった』、何が「決定的な理由」だったのだろう。
・『「名門」女子医大の光と影  東京女子医大が名門としての存在感を放っているのは、日本を代表するカリスマ的な医師が揃っていたからだ。 現在、本院の副院長を務める、心臓血管外科医の新浪博教授もその一人。群馬大学医学部を卒業後、東京女子医大の日本心臓血圧研究所に入局して、オーストラリアに渡り、日本とはケタ違いの手術数で腕を磨いた。帰国後、天皇陛下(当時)の執刀医を務めた天野篤氏と働くなどして、わが国を代表する心臓外科医となり、2018年から古巣の東京女子医大に復帰している。 伝統的に心臓外科、脳外科、臓器移植などの外科分野は、国内トップレベルの手術件数を誇ってきた東京女子医大。 新浪教授のようなカリスマ的な外科医の元には、全国の優秀な若手医師が必然的に集まる。そのため、唯一の女子大医学部でありながら、外科系の医局(診療科)は、他大学出身の男性医師が大半を占めるようになった。 その一方で、影の部分も存在する。あまり知られていないが、私立の医大病院に勤める医師給与は、一般病院に勤務する医師よりもかなり低い。 30歳の場合、東京女子医大の基本給は25.9万円、東京医大:31.1万円。これに対して、日赤医療センター:41.1万円、がん研有明病院:49.7万円。(東京医労連調査部「賃金・労働条件実態 2020年度版」より) 病院によって資格手当などが加算されているので、あくまで参考値だが、東京女子医大の給与が低いことに変わりはない。) 名門で華やかなイメージを持つ東京女子医大の医師給与が、最低ランクという自慢できない現実もある。 「給料が安くても東京女子医大の人気が高いのは、間違いなく国内トップレベルの医療が行われているからです。それに公的な資金を獲得して研究を行う場合には、女子医大のネームバリューが圧倒的に有利になります」(30代医師) このように目的意識を持つ医師が、安月給を承知のうえで、東京女子医大を選択しているのだという』、高い「目的意識を持つ医師が、安月給を承知のうえで、東京女子医大を選択」、とは感心なことだ
・『外部病院でのアルバイトという救済措置  ただし、それでは生活を維持できないので、救済措置が用意されている。それは、外部の病院でのアルバイト=「外勤」である。東京女子医大では週1回の研究日が設定されており、その日は「外勤」に当てられていた。 「外勤先の病院は大学の医局が斡旋します。医師の経験にもよりますが、報酬は、1日働いて8万~10万円。医局はスルーして、各医師に報酬は直接支払われます。これで安い給料を補填するのが、長年の慣行となっていました」(東京女子医大・元准教授) 医師のアルバイト料は、他の業種と比べると破格だ。ただし、医療ミスなどで、多額の賠償を医師個人が要求されるケースも増えている。つまり、医師個人がつねにリスクを負いながら仕事をしているのだ。 外勤中の賠償責任保険料は、基本的に各医師の自己負担になる。さらに、学会の会費や医学誌などの費用を合わせると、年間数十万円が自腹になるという。こうした経費を引くと、手元に残る金額はそれほど多くない。 こうした特殊な事情から、研究日の「外勤」は、東京女子医大だけでなく、大半の大学医学部でも認められてきた慣例だった。経営側としてはコストを抑えながら、優秀な医師を確保するための苦肉の策ともいえる。 しかし、東京女子医大の経営陣はこの慣例を一方的に破った。 「外勤」をやめなければ給与を下げる、という方針を今年2月に打ち出したのである。不意打ちを食らった医師たちの間に、衝撃が広がった』、「東京女子医大の経営陣はこの慣例を一方的に破った。 「外勤」をやめなければ給与を下げる、という方針を今年2月に打ち出した」、これでは「外勤」で食っていた「医師」たちは大変だ。
・『方針を受け入れるか、それとも大学を去るか──  選択を迫られた結果、100人を超える医師が退職を決断したのである。 東京女子医大の経営統括部が、教授ら管理職に対して配布した学外秘の資料を筆者は入手した。そこに記されたポイントを要約すると、次のようになる。
 +「研究日」に医師の「外勤」をあてる慣例があったが、国が推進する「医師の働き方改革」に合わせて、今年3月末で廃止する 
 +東京女子医大に勤務する医師は「週39時間」の労働義務を負う
 +「外勤」を継続する医師には「週32時間」勤務の選択肢を用意するが、給与は相応の水準とする 研究日の廃止によって、医師には2つの選択肢が与えられた。 まず、「週39時間」勤務を選ぶと、外勤をしていた1日分を東京女子医大で働き、現在と同じ額の本給が支給される。ただし、外勤で得ていた1カ月あたり32万~40万円分がなくなるので、そのまま減収になる計算だ(あくまでも概算。医師の経験や技量によって、外勤先からの収入はさまざま)。 一方、週1回の外勤を継続すると、これまでどおり1カ月あたり32万~40万円の収入は確保できる計算だが、毎週1日分は本給から引かれてしまう』、ずいぶん厳しい選択を迫ったものだ。
・『どちらを選んでも収入が大幅に減る  いずれにせよ、どちらを選んでも、現在より収入が大幅に減ることは間違いない。 研究日の廃止は、働き方改革に名を借りた、人件費のコスト削減が真の目的なのではないか? 医師たちの間に、疑念が深まった。アンフェアな経営側の姿勢に不信感を募らせた結果、東京女子医大を去るという決断は必然だった。 「うちの医局は大荒れになりました。学費や住宅ローンを払っている医局員は、外勤ができないと生活が立ち行かなくなりますから、すぐに退職を決めた者もいます。コロナ対応で疲弊している私たちに、なぜこのような仕打ちをするのか、理事会には怒りを覚えました」(ベテラン医師) 「経営側は、研究日の廃止について学内で説明会をしたといっていますが、私も含めて誰も知りませんでした。いきなり外勤の病院を辞めると迷惑がかかりますし、いちばん困るのは患者さんではないでしょうか。外勤を続けたら、ただでさえ安い基本給がカットされるなんて、絶対に納得がいきません」(30代医師) 東京女子医大・労働組合の顧問を務める、東京法律事務所の大竹寿幸弁護士は、法的な問題点を指摘する。 「東京女子医大の資料には、研究日の外勤を慣例として認めていたと記載されています。今回の規則改定では、研究日の外勤は所定労働時間に含まないとしたうえで、研究日だった1日分を東京女子医大で働くことを要求しています。 そうすると、医師の勤務労働時間が伸びるのに、東京女子医大が支払う賃金は同じ。つまり実質的な賃下げですので、医師にとって『不利益変更』にあたると考えられます」 不利益変更とは、合意がなく一方的に労働者にとって不利益な労働条件に変更することを指す。これは労働契約法第9条で禁じられている行為である(合理的な理由がある場合は別)。 強引とも言える規則改定をした背景には、人件費のコストをカットして経営収支を改善する、という東京女子医大の戦略が見え隠れする』、「医師の勤務労働時間が伸びるのに、東京女子医大が支払う賃金は同じ。つまり実質的な賃下げですので、医師にとって『不利益変更』にあたると考えられます」、というのは確かだ。
・『6年間の学費は1200万円増の4700万円  冷たい雨が降りしきる4月5日、東京女子医大の弥生記念講堂に新入生とその家族が集まった。エントランスで記念撮影する新入生たちの表情は、一様に屈託がなく明るい。 今年度から医学部の6年間の学費は1200万円も一気に値上げされ、学費総額は約4700万円。私立医大ではトップクラスだ。受験業界では「女子医大ショック」と言われ、財政状況の悪化がささやかれた。 昨年、コロナ対応に追われていた医師や看護師らに対して、「夏のボーナス支給ゼロ」と回答、大騒ぎになったことは記憶に新しい。 その理由について、理事会側の代理人(弁護士)は、コロナによる財政悪化で、30億円の赤字であると説明した。しかし、赤字30億円という数字は、ボーナスを前年並みに支給した場合の推計値にすぎないことが、筆者の調査で判明した。この問題は国会でも取り上げられて、最終的に東京女子医大は1カ月分を支給している。振り返れば、「ボーナス支給ゼロ」も人件費をカットする方針の一貫だったとみるべきだろう。 (参考記事:「東京女子医大病院『400人退職』の裏にある混沌」東洋経済オンライン2020年7月16日配信) 名門とされながら、東京女子医大は経営悪化に苦しんできた。 2001年の心臓手術後に子供が死亡した事故、そして2014 年に集中治療中の子供に禁止されていた鎮静剤「プロポフォール」の投与で死亡事故を起こし、厚労省から2度にわたって特定機能病院の認定を取り消された。 これによって患者数が一気に減り、事故の対応をめぐる混乱などから私学助成金も減額された。 存続の危機とまでいわれる中、創業者一族である岩本絹子氏は2014年に副理事長に就き、2015年度からは副理事長兼経営統括理事として辣腕を振るうようになる。東京女子医大の経営統括は事務局の責任者として、経営面での責任を負うポストだ。岩本氏は2019年度から理事長に就いたが、引き続き経営統括理事を兼ねる。 関係者によると、岩本氏はボーナスの大幅な減額や定期昇給の抑制など、徹底した人件費削減を実施したという』、「岩本氏」は「存続の危機」を「徹底した人件費削減」で乗り切ってきたようだ。
・『人件費を削り、50億円の黒字決算  これによって、収入に占める人件費比率は2015年に46.9パーセントだったが、19年には38.9パーセントまで下がり、開設以来、最高額の黒字を記録。間もなく20年度の決算が公表されるが、コロナ禍であっても、約50億円の黒字の見込みだという。 医師をはじめとする職員たちは、経営立て直しのために人件費の削減を受け入れてきた。だが、黒字経営になっても、理事会は職員に利益を還元するのではなく、大学施設の大半を建て替える計画に着手、莫大な資金を投入している。 さらに、施設の建設などにあてる、目標額50億円の募金を広く呼びかける文書が、職員にも回ってきたという。個人の場合、一口10万円を3口からの協力を求めたことから、職員の感情を逆なでした。 「大学病院に勤務するのは、高い給料を得たいからではありません。医師として高度な医療や臨床研究に携わって、患者さんの治療に貢献したいからです。しかし、東京女子医大の理事会は、別の方向を目指しているとしか思えません」 こう話してくれた30代医師の言葉は、去っていった100人超の医師たちの心を代弁しているような気がしてならない。 新型コロナは、医師や看護師たちの使命感によって、私たちの命が支えられていることを実感させてくれた。本当に必要な医師の働き方改革とは、大学病院に勤務する医師がアルバイトをしなくても済む、妥当な賃金を保証して、医療に打ち込む環境を整えることではないだろうか』、「人件費を削り、50億円の黒字決算」、さらに「寄付」として「一口10万円を3口からの協力を求めたことから、職員の感情を逆なでした」。かっての名声はなくなったのに、それにすがる強気の経営は、医師たちに通じないのは当然だ。今後、大学側はどうするのだろう。

次に、4/28PRESIDENT Onlineが掲載した東京大学名誉教授の養老 孟司氏による「「医療のバカの壁」養老孟司が生死をさまよって感じた「データには出ない大切なこと」 「10万人に1人」をどう考えるか」を紹介しよう。なお、この前編の「養老孟司「生死をさまよい、娑婆に戻ってきた」病院嫌いが心筋梗塞になって考えたこと」は、このブログの4月19日に紹介した。
https://president.jp/articles/-/45072?page=1
・『447万部の大ベストセラー『バカの壁』の著者として知られる解剖学者・養老孟司氏が、82歳で心筋梗塞に。長年健康診断も一切受けず、かねて避けてきた現代医療。しかし25年ぶりに東大病院にかかり入院することに……。そして考えた、医療との関わり方、人生と死への向き合い方。体験をもとに、教え子であり主治医の中川恵一医師とまとめた『養老先生、病院へ行く』を上梓。同書より第1章を2回に分けて特別公開する──。(第2回/全2回) ※本稿は、養老孟司、中川恵一『養老先生、病院へ行く』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです』、前編も面白かったので、今回も期待できそうだ。
・『統計が優越する現代医学  今回の心筋梗塞による入院体験を経て、現代の医療をどう思うかと何度か訊きかれたように思うけれども、その根本を考えたいとしばらくの間思っていました。でもなんだか面倒くさくなってきてしまいました。 一番のもとにあるのは、「統計」というものをどう考えるかという点です。 社会全体もそうですが、現代の医学は統計が優越しています。統計は数字で、数字は抽象的です。では抽象でないものとは何か。感覚に直接与えられるもの、『遺言。』(新潮社)ではそれを感覚所与と書きました。『遺言。』を書いた時点では、その程度で話を済ませましたが、その後あれこれ考えたら、感覚所与と意識の間の関係をもっと煮詰めないといけないと思うに至りました。 統計に関する本を集めて、基礎からあらためて勉強しようと思ったけれども、この本(『養老先生、病院へ行く』)にあるように、私は心筋梗塞を起こしたし、その背景にあるのは強い動脈硬化です。それなら当然、脳動脈も十分に硬化しているに違いありません。 その壊れかけた脳みそで、統計の基礎のようなややこしい問題を考えても、不十分な思考になるに決まっています。気を取り直して頑張ってみても、脳がさらに壊れるだけのことかもしれません。年寄りの冷や水でしょう』、「心筋梗塞を起こしたし、その背景にあるのは強い動脈硬化です。それなら当然、脳動脈も十分に硬化しているに違いありません。 その壊れかけた脳みそで、統計の基礎のようなややこしい問題を考えても、不十分な思考になるに決まっています」、ここまで冷静にみられるのはさすがだ。
・『統計データは「個人の差異」を無視する  私はタバコを吸っていますが、喫煙者はがんになりやすいというデータがあります。57歳のときに肺がんが疑われたことがありますが、当時はタバコを吸っていたので、検査の結果が出るまで、その可能性はあると覚悟していました。結局、肺がんではありませんでした。 がんになる要因は1つではありません。発症する現実の仕組みは複雑です。にもかかわらず、がんを予防するためには複雑化を取り払い、単純化して因果関係を絞り込んでいるように思われます。 統計で得られたデータというのは、そのように使うことも可能ですから、場合によっては、原因を1つに特定することもできます。 人間を喫煙者と非喫煙者に分けて、どちらががんの発症率が高いかどうかを調べるとします。その結果、タバコを吸う人のほうががんになる確率が高いことがわかります。これによって、喫煙とがんの因果関係が「実証」されるわけです。 統計というのは、個々の症例の差異を平均化して、数字として取り出せるところだけに着目してデータ化します。逆にいえば、統計においては、差異は「ないもの」として無視しなければなりません』、「統計においては、差異は「ないもの」として無視しなければなりません」、その通りだ。
・『データとノイズ、どちらが本物の自分なのか?  差異というのはノイズです。『養老先生、病院へ行く』の中で「現実の身体というのはノイズだらけ」という話をしていますが、統計を重視する医療の中にいると、データから読み取れる自分が本当の自分で、自分の身体はノイズであるということになってしまうのです。 本来、医療は身体を持った人間をケアし、キュア(治療)する営みです。それなのに、患者の身体がノイズだというのは、おかしなことです。 統計は事実を抽象化して、その意味を論じるための手段にすぎません。統計そのものに罪があるわけではありませんが、要は使い方の問題なのです』、「本来、医療は身体を持った人間をケアし、キュア(治療)する営みです。それなのに、患者の身体がノイズだというのは、おかしなことです。 統計は事実を抽象化して、その意味を論じるための手段にすぎません。統計そのものに罪があるわけではありませんが、要は使い方の問題なのです」、よくぞこんなに本質的な問題を考え貫けるものだ。
・『都市の中では「意味のあるもの」しか経験できない  統計は「意味を論じるための手段」ですが、意味はもともとあるものではありません。 都市に住んでいると、すべてのものに意味があるように思われます。それは周囲に意味のあるものしか置かないからです。 例えば、都市のマンションの中に住んでいるとします。部屋の中のテレビやテーブルやソファー、目につくものには、すべて意味があります。たまに何の役にもたたない無意味なものがあっても、「断捨離だんしゃり」とかいって片づけてしまいます。それを日がな一日見続けていれば、世界は意味で満たされていると思って当然です。それに慣れきってしまうと、やがて意味のない存在を許せなくなってしまうのです。 そう思うのは、すべてのものに意味がある、都市と呼ばれる世界を作ってしまい、その中で人間が暮らすようにしたからです。都市の中では、意味のあるものしか経験することができません』、「都市の中では、意味のあるものしか経験することができません」、言われてみれば、その通りで、「養老」氏の哲学的思索の深さには脱帽するしかない。
・『意味は「感覚所与」によって、脳の中で作られるもの  でも現実はそうではありません。山に行って虫でも見ていれば、すべてのものに意味があるのは誤解であることがすぐわかります。 虫捕りをしていると、「なんでこんな変な虫がいるんだ?」と感じることは日常茶飯事です。このような感覚には意味はありません。目に見える世界が変化したということを、とりあえず伝えてくれるだけです。意味というのは、感覚に直接与えられるもの(感覚所与)から、改めて脳の中で作られるものです。 都市はその典型で、道路もビルも、都市の人工物はすべて脳が考えたものを配置しています。自分の内部にあるものが外に表れたもの。人が作るものは、すべて脳の「投射」なのです。 都市化が進めば進むほど、周囲には人工物しかなくなり、脳が考えたものの中に人間が閉じ込められることになります。都市化も統計化も、抽象とか、解釈とか、脳が考える営みの中で進んできたものです。 がんにかかる人がたくさんいるという事実があり、それを把握するため、個別データを取捨選択して集め、特定の手順で抽象化します。そして抽象化されたデータは、現実の解釈に使われ、がん予防のための基礎情報になるのです』、なるほど。
・『病院に行くのは、現代医療システムに完全に取り込まれること  がん予防では禁煙がとても重要だといわれています。中川さんによると、喫煙者は膀胱ぼうこうがんになる確率が2倍になり、肺がんになる確率は5倍になるそうです。それはデータの解釈としては確かでしょう。 では1日1箱(20本)タバコを吸う人と、3日で1箱吸う人ではどうなのか。20歳からタバコを吸い始め、40歳でやめて、今60歳の人はどうなのか。 タバコとの付き合いは千差万別です。それを1つに丸めて、全体の数値を出して確率を提示しているのが統計データです。 中川さんはタバコを吸わないのに、膀胱がんになっています。タバコと無縁に生きている人でも、がんにかかることがあるのです。 では医療における統計を否定すればよいのかというと、そんなことは不可能です。そう願ったとしても、過去の医療に戻ることはありません。現在、病院に行くというのは、この医療システムに完全に取り込まれてしまうことなのです。これが2020年6月に、病院に行くべきかどうかで悩んだ理由です』、元東大医学部教授が、「現代医療システムに完全に取り込まれること」の是非で悩んだというのも興味深い。
・『今は昔の医療と未来の医療の中間の過渡期…  一方で、未来の医療は個人に合った医療にするとか、オーダーメードの医療にするとか言われています。ただしそれをやるには、膨大な情報量が必要です。AI化が進んで、いずれそんな時代がくるかもしれませんが、今は過渡期というか、昔の医療と未来の医療の中間にいるわけです。 その中間にいるときは、どうすればよいのでしょうか。新型コロナの対策では、みんなが勝手なことを言って、どういう対策をたてればいいのかはっきりしないまま1年以上も終息できずにいます。 でもそんなことは、はっきりしなくて当然です。誰かが1つの論理で決めていかなければはっきりさせることはできません。 自分が医療を受けるのも同じです。自分で決めるしかないのです。ところが、普通の人は決めるための十分な知識を持ち合わせていません。 自分で決めるために、セカンド・オピニオン(納得のいく治療法を選択することができるように担当医とは別の医療機関の医師に「第2の意見」を求めること)という制度もありますが、病気について十分な知識がなければ、結局、確率が高いほうを選ぶしかありません』、「オーダーメードの医療」になれば、統計にすがる必要もなくなる筈だが、現在は「確率が高いほうを選ぶしかありません」、なるほど。
・『医師もデータに乗っかって「楽」をしていないか?  医者のほうも、データばかり見ていると、確率的にあなたはこうだから、この治療が最善です、終わり。というようなことになってしまいます。 本当は治療しながら仕事を続けたいとか、家族との関わりとか、患者個人の事情をよく聞き出して、それに沿って治療方針を決めることが大事なのです。中川さんはそういうタイプの医者ですが、データに乗っかって楽をしている医者が圧倒的に多いような気がします。 統計的データは、あくまで判断材料の1つです。今後、医療システムの中にAIが本格的に入ってくるはずですが、事情は変わりません。 もしも最終的な判断をAIに預けるような医者が出てきたら、どうしようもありません』、「最終的な判断をAIに預けるような医者が出てきたら」、そんな「医者」に独自の役割はなく、AIによる代替が可能だ。
・『身体の状態から情報化されるのはほんの一部  身体がある状態を示す要因は複合的です。健康診断や人間ドックで、まったく異常が見つからなかったのに、突然倒れてしまうことがあります。 血圧とか血液検査の数値とか、身体の状態から情報化されるのはほんの一部です。だから、予想外の病気が見つかることがあります。私のような胸の激痛がまったく出ない心筋梗塞もその1つでしょう。 数値に目を奪われていると、健康のためにはそれだけが重要なことのように思われてきます。健康診断に一喜一憂する人は、この罠にはまっているといえます。 もちろん、私のように健康診断を受けないことを勧めるわけではありません。ただ、データさえ見ていれば病気にはかからない、という論理に囚とらわれないようにする必要はあると思います。なかなか難しいことではありますが』、私も「人間ドック」の「検査数値」に一喜一憂するタイプだが、これを機に余り気にし過ぎないようにしよう。
・『自分を「まっさら」にして身体の声を聞く  自分の身体の異変に気づいて、例えばがんかもしれないと思ったとき、ネットで検査して、「10万人に1人」という数字が出てきたとします。確率が低いので、「これは違うな」と思うかもしれません。身体に異変を感じていながら、それを無視する結果になるので、これは危険です。 私がさんざん悩んだ末に病院に行くことにしたのは、体調が悪くてどうしようもなかったからです。病院に行く前の3日間は眠くて眠くて、ほとんど寝てばかりいました。それが身体の声だったのでしょう。 動物は意味ではなく感覚だけで生きています。猫が日当たりのよいところにいるのは、そこにいるのが気持ちよいからです。すべての猫を見たわけではありませんが、少なくともうちの猫(まる)は正直です。そこにいたいからそこにいる。身体の声に従って生きているのです。 ただ、身体の声を聞こえるようにするには、自分が「まっさら」でなければなりません。私は花粉症がありますが、症状がひどくても、これまで薬は飲まないようにしてきました。薬で症状を抑えてしまうと、身体の声が聞こえなくなるのではないかと思うからです。 しかし、今回のように病院に行って、医療システムに取り込まれてしまうと、医者が出す薬を飲まないわけにはいきません。退院後は仕方がないので、処方された薬を毎日きちんと飲んでいます。身体は自分だけのものではないので、これまた仕方がありませんね』、奥さんや今回世話になった「中川」氏ことを考えると「身体は自分だけのものではない」、と達観したのだろう。
・『これからも医療とは距離をとって生きていく  なぜ病院に行きたくないのか、いろいろ理屈を言ってきましたが、今回は医療に助けられたことに感謝はしています。しかし、原則として医療に関わりたくないという気持ちは今も変わりません。 中川さんも言っていましたが、受診の予定を2020年6月ではなく7月にしていたら、もはや生きていなかったかもしれません。 そもそもかつての東大病院というのは、どこの医者に診てもらっても匙さじを投げられ、「最後の望み」として患者さんがやってくる病院だったからです。 とりあえず、今回は生きて帰ってきました。それどころか、病院嫌いの私が再び入院して、白内障の手術も受けました。 おかげで、メガネなしで本が読めるようになりました。本を読むのが仕事の一部なので、これはとても助かっています。 ただ、白内障の手術を受けたことで、中川さんなどは私の医療に対する考え方が変わったのではないかと言っていますが、実は何も変わっていません。 これからも、身体の声に耳を傾けながら、具合が悪ければ医療に関わるでしょうし、そうでないときは医療と距離をとりながら生きていくことになるでしょう』、「そもそもかつての東大病院というのは、どこの医者に診てもらっても匙さじを投げられ、「最後の望み」として患者さんがやってくる病院だった」、とは初めて知った。「これからも、身体の声に耳を傾けながら、具合が悪ければ医療に関わるでしょうし、そうでないときは医療と距離をとりながら生きていくことになるでしょう」、出来れば長生きして、洒脱な文章で楽しませてほしいものだ。
タグ:医療問題 東洋経済オンライン PRESIDENT ONLINE 岩澤 倫彦 (その31)(スクープ!東京女子医大で医師100人超が退職 一方的な経営陣の方針に抗議の意思表示か、「医療のバカの壁」養老孟司が生死をさまよって感じた「データには出ない大切なこと」 「10万人に1人」をどう考えるか) 「スクープ!東京女子医大で医師100人超が退職 一方的な経営陣の方針に抗議の意思表示か」 昨年、「夏のボーナス支給ゼロ」に対して、看護師約400人が辞職の意向を示した混乱に続き、今回は医師100人超の一斉退職という異常事態 「名門」女子医大の光と影 高い「目的意識を持つ医師が、安月給を承知のうえで、東京女子医大を選択」、とは感心なことだ 「東京女子医大の経営陣はこの慣例を一方的に破った。 「外勤」をやめなければ給与を下げる、という方針を今年2月に打ち出した」、これでは「外勤」で食っていた「医師」たちは大変だ。 ずいぶん厳しい選択を迫ったものだ。 医師の勤務労働時間が伸びるのに、東京女子医大が支払う賃金は同じ。つまり実質的な賃下げですので、医師にとって『不利益変更』にあたると考えられます」、というのは確かだ。 「岩本氏」は「存続の危機」を「徹底した人件費削減」で乗り切ってきたようだ。 「人件費を削り、50億円の黒字決算」、さらに「寄付」として「一口10万円を3口からの協力を求めたことから、職員の感情を逆なでした」。かっての名声はなくなったのに、それにすがる強気の経営は、医師たちに通じないのは当然だ。今後、大学側はどうするのだろう。 「「医療のバカの壁」養老孟司が生死をさまよって感じた「データには出ない大切なこと」 「10万人に1人」をどう考えるか」 前編の「養老孟司「生死をさまよい、娑婆に戻ってきた」病院嫌いが心筋梗塞になって考えたこと」 養老孟司、中川恵一『養老先生、病院へ行く』(エクスナレッジ) 「心筋梗塞を起こしたし、その背景にあるのは強い動脈硬化です。それなら当然、脳動脈も十分に硬化しているに違いありません。 その壊れかけた脳みそで、統計の基礎のようなややこしい問題を考えても、不十分な思考になるに決まっています」、ここまで冷静にみられるのはさすがだ 「統計においては、差異は「ないもの」として無視しなければなりません」、その通りだ。 「本来、医療は身体を持った人間をケアし、キュア(治療)する営みです。それなのに、患者の身体がノイズだというのは、おかしなことです。 統計は事実を抽象化して、その意味を論じるための手段にすぎません。統計そのものに罪があるわけではありませんが、要は使い方の問題なのです」、よくぞこんなに本質的な問題を考え貫けるものだ 都市の中では、意味のあるものしか経験することができません」、言われてみれば、その通りで、「養老」氏の哲学的思索の深さには脱帽するしかない。 意味は「感覚所与」によって、脳の中で作られるもの 元東大医学部教授が、「現代医療システムに完全に取り込まれること」の是非で悩んだというのも興味深い 「オーダーメードの医療」になれば、統計にすがる必要もなくなる筈だが、現在は「確率が高いほうを選ぶしかありません」、なるほど。 「最終的な判断をAIに預けるような医者が出てきたら」、そんな「医者」に独自の役割はなく、AIによる代替が可能だ。 奥さんや今回世話になった「中川」氏ことを考えると「身体は自分だけのものではない」、と達観したのだろう 「そもそもかつての東大病院というのは、どこの医者に診てもらっても匙さじを投げられ、「最後の望み」として患者さんがやってくる病院だった」、とは初めて知った。 「これからも、身体の声に耳を傾けながら、具合が悪ければ医療に関わるでしょうし、そうでないときは医療と距離をとりながら生きていくことになるでしょう」、出来れば長生きして、洒脱な文章で楽しませてほしいものだ
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医療問題(その30)(中学生で統合失調症を発症「計算ができない」「暴言を吐く」「死にたい」今振り返る当時の僕、中学で統合失調症 実名告白「自分なりに病気と闘っている葛藤をわかって」、「怒りっぽい子ども」が増加している悲しい事情 「義務教育を放棄する中学生」まで現れだす) [生活]

医療問題については、4月19日に取上げたばかりだが、今日は、(その30)(中学生で統合失調症を発症「計算ができない」「暴言を吐く」「死にたい」今振り返る当時の僕、中学で統合失調症 実名告白「自分なりに病気と闘っている葛藤をわかって」、「怒りっぽい子ども」が増加している悲しい事情 「義務教育を放棄する中学生」まで現れだす)である。

先ずは、4月18日付けAERAdot「中学生で統合失調症を発症「計算ができない」「暴言を吐く」「死にたい」今振り返る当時の僕」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2021041300073.html?page=1
・『統合失調症は脳の機能がうまく働かなくなり、考えや感情がまとまりにくくなる病気です。およそ100人に1人がかかり、10代後半から30代前半の若い世代に発症しやすいという特徴があります。 榛澤裕一さん(32)は、中学のときに統合失調症を発症して入退院を繰り返しました。現在は、ほぼ症状が見られない安定した状態になり、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンターのデイケア、イルボスコで、若い世代のデイケアを運営する仕事をしています。当時の様子やその後の経過をインタビューで語ってもらいました。前編・後編の2回に分けてお届けします。(匿名は精神疾患に対する偏見・差別を助長しかねないとの考えのもと、本人の承諾を得て実名で紹介します)(Qは聞き手の質問、Aは榛澤さんの回答) Q:榛澤さんが統合失調症を発症したときの状況を教えてください。 A:中学2年が終わって春休みに入り、学校のスキー教室があったんですね。そのころから夜眠れなくなり、妙にテンションが高くなって友だちに暴言を吐くなど、おかしくなりました。振り返ってみると、その1年くらい前から毎日頭が痛くて食欲がなくなってうつっぽくなったり、簡単な足し算や引き算ができなくなったり、死にたいと思ったこともありました。 でも「振り返ってみればそうだったな」と思い当たる程度で、当時自分ではおかしいと思ったことはなかった。だから母に「病院に行かない?」と言われたときも、「どこも悪くないのに、なぜ病院に行かなくちゃならないの?」と思っていましたね。 まず近所の内科の先生に診てもらったら、心とからだが乖離(かいり)しているから、専門の先生に診てもらったほうがいいと。そう言われても、よくわからなかったです。紹介された大学病院の精神科で診察を受けると、すぐに薬を処方されました。そのときも病気とは思っていないから「なぜ精神科?」「なぜ薬を飲まなければならないの?」と疑問だらけでした。 Q:精神科を受診するのは抵抗がありましたか? A:そうですね。当時、精神科が扱う病名で知っていたのは、うつ病や5月病くらい。精神に問題がある人が行く場所だから、自分にはまったく関係ないと思っていました』、「統合失調症」は私がよく理解していなかったので、本稿を取上げた次第である。
・『Q:治療が始まってからはどうでしたか? A:当初、大学病院の先生は躁うつ病(双極性障害)の可能性を考えていたようです。統合失調症なのか、うつ病なのか、躁うつ病なのか、判断が難しかったのだと思います。統合失調症だとはっきりわかったのは、20歳くらいだったかな。それまでは治療もうまくいかなかったですね。 発症当時、中学受験をして入学した私立の中高一貫校に電車通学をしていましたが、中学3年の1年間はほとんど通えなくて、勉強にもついていけなくなりました。なんとか中学は卒業できましたが、そのまま高校に内部進学して通い続けるのは難しかった。母がいろいろ考えて調べてくれて、近所の定時制高校に通うことにしました。 Q:最初に榛澤さんの異変に気づいて受診を勧めたのは、お母様だったのですね。 A:はい。母は「無理に学校に行かなくてもいいよ」と言ってくれて、すごく救われました。あのとき、「せっかく中学受験して入れたんだから、学校行きなさい!」みたいにお尻をたたかれるような言葉を投げかけられていたら、いたたまれなかったと思います。いつも病院についてきてくれて、ありがたかったですね。 父は最初は「急におかしくなってどうしたんだ」と驚いていましたが、学校を休んでいる僕を気分転換に外に連れ出してくれたり、優しかった。父にしてみれば将来こうなってほしいとかいろいろ希望はあったんでしょうけれど、直接言われることはありませんでした。両親も姉も祖母も、家族はずっと支えてくれました。 Q:中学の先生やお友だちの反応はどうでしたか? A:中学の先生は、今までとは違う僕の様子に「榛澤君、どうしたんだろう」と、ポカンとしたような印象でした。当時は先生も精神疾患についてそれほど知識がなかったでしょうし、母も具合が悪いことは伝えていたけれど精神疾患だとまでは伝えていなかったんじゃないかな。 学校を休んでいる僕を心配して担任の先生が自宅に様子を聞きに来てくれたことがありましたが、あいさつだけして自室に引っ込みました。変なプライドというか、自分がダメになってしまったという思いもあって、先生に合わせる顔がなかった。学校関係の人にはあまり会いたくなかったんですよね』、「診断」が確定するまで、中学3年生から「統合失調症だとはっきりわかったのは、20歳くらいだったかな」、ずいぶん長い時間がかかったことに驚かされた。「担任の先生が自宅に様子を聞きに来てくれたことがありましたが、あいさつだけして自室に引っ込みました。変なプライドというか、自分がダメになってしまったという思いもあって、先生に合わせる顔がなかった。学校関係の人にはあまり会いたくなかったんですよね」、なるほど。
・『僕は卓球部だったんですが、部の顧問の先生は1年生の時からずっと僕を見ていて、あるとき「そんなに頑張りすぎるとみんなも引くし、君の心が壊れてしまうよ」と言ってくれたことがありました。先生はわかっていたんだろうなと思います。 友だちは僕のおかしな行動が病気のせいだとわからないから、普段なら絶対言わないような友だちの悪口を言う僕に対して「なんでそんなことを言うの?」「なぜそんなにテンション高いの?」という反応でした。まだ中学生ですから、無理もないですよね。 でも一緒に電車通学をしていた友だちは、具合が悪そうだ、なにかある、と気づいたんでしょうね。「うちに泊まりに来なよ」と誘ってくれたことがあって、そのことは今も鮮明に覚えています。 Q:定時制高校に入学してからはどうでしたか? A:最初は「内部進学はあきらめざるを得ないから」というネガティブな感情が強かったですが、高校は自転車で10分くらい。朝起きられなかったから夕方から始まる定時制は好都合だったんですね。日中、母の実家の飲食店でアルバイトをさせてもらって、夜は学校に通ってという生活が、自分に合っていることに気づきました。 すぐに友だちもできて、病気のことも隠さず話しました。自分はちょっとこういう症状があるんだよとか。内心びっくりしていたかもしれませんが、みんな「ああ、そうなの」という感じでごく普通に接してくれました。普通に学校帰りに遊びに行って、特別扱いされることもない。それがとにかくうれしかったんです。 高校側には、入学前に精神疾患にかかっていることは伝えてあったんですね。だから先生が病気のことを理解してくれていて、「ちゃんと薬飲んだか?」「体調どうだ?」などと気にかけてくれました。精神疾患にかかわる知識も豊富。先生がわかってくれていることは、大きな安心感だったように思います。 高校生活はすごく楽しかったですが、病気のコントロールはうまくいきませんでした。薬を飲んでいても十分に症状が抑えきれないこともたびたびありました』、「朝起きられなかったから夕方から始まる定時制は好都合だったんですね」、ただ素人考えではあるが、無理してでも朝にキチンと起きるようにしていれば、体内時計がリセットされて、精神面にもいい効果が出た可能性があったかも知れない。ただ、医師からそうしたアドバイスがなかったようであれば、精神面への効果など期待できなかったのかも知れない。

次に、この続きを、4月18日付けAERAdot「中学で統合失調症 実名告白「自分なりに病気と闘っている葛藤をわかって」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2021041300074.html?page=1
・『統合失調症は脳の機能がうまく働かなくなり、考えや感情がまとまりにくくなる病気です。およそ100人に1人がかかり、10代後半から30代前半の若い世代に発症しやすいという特徴があります。 榛澤裕一さん(32)は、中学のときに統合失調症を発症して入退院を繰り返しました。現在は、ほぼ症状が見られない安定した状態になり、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンターのデイケア、イルボスコで、若い世代のデイケアを運営する仕事をしています。発症当時の様子やその後の経過を語ってもらった前編に続き、後編では病気を受け入れていった心境や精神疾患に悩む若者やそのご家族に伝えたいことを語ってもらいました。(匿名は精神疾患に対する偏見・差別を助長しかねないとの考えのもと、本人の承諾を得て実名で紹介します)(Qは聞き手の質問、Aは榛澤さんの回答)』、興味深そうだ。
・『Q:どのあたりから快方に向かわれたのでしょうか? A:高校を卒業しても具合が悪くなることが多くて入退院の繰り返しだったんですけれども、ようやく統合失調症の診断がつき、ある薬を使って治療していこうということになって少しずつ症状が改善していきました。その流れで25歳くらいから若者向けのデイケア(病気を抱えながら生活していくための対処法や工夫を学ぶ場)に通うようになって、本格的によくなってきたという実感があります。 デイケアは軽症の患者が通常の生活に戻っていくためのステップなのですが、以前の僕は病気が慢性化していて、その対象ですらなかった。デイケアに通えるくらい回復したということですね。 デイケアで病気について学ぶようになって、「なぜこのような症状が出るのか」をきちんと理解することができました。それまでは客観的に自分を見ることはできなかったんですよね。 また、病気を再燃させないための知恵を身につけてから、ごく自然に無理のない生活を心がけるようになりました。再燃の兆候やその対処法も学んでいるので、ちょっとおかしいなというときに早めに気づくことができます。上手に病気と付き合えるようになり、自信もつきました』、「病気を再燃させないための知恵を身につけてから、ごく自然に無理のない生活を心がけるようになりました。再燃の兆候やその対処法も学んでいるので、ちょっとおかしいなというときに早めに気づくことができます。上手に病気と付き合えるようになり、自信もつきました」、ずいぶん良くなったものだ。
・『デイケアで同病の仲間と出会えたことも、宝物です。つらかった経験を話してわかってもらえたときは、スッと気持ちが楽になった。結果論ですが、精神科の主治医だとかデイケアの仲間とか、この病気になったからこそ出会えた人もたくさんいます。前向きに考えられるようになったことも、デイケアのおかげかもしれません。 Q:病気を徐々に受け入れていったのでしょうか? A:統合失調症という病名がはっきりわかったのは20歳過ぎでしたが、それまで病名はあまり気にしたことはなくて、むしろ症状が気になりました。高校の頃だったか、精神疾患の本を見ると「こういう症状が出る場合は統合失調症が疑われる」というようなことが書いてあって、その通りのことが自分に起きているんですよね。「ああ自分の病気はこれだな」と病名を推測できました。あとから病名がついてきた感じでしょうか。 病名がある程度推測できたことで、半分はスッキリしました。不可解な症状が病気のせいだとわかれば、納得できますからね。だけど「自分は統合失調症なんだ」と認めるのはきつくて、現実を受け止めるまでにはかなりの時間がかかりました。 Q:現在はどのような生活を送っていますか? A:「寛解」といって、ほぼ症状が見られない安定した状態になり、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンターのデイケア、イルボスコで、若い世代のデイケアを運営する仕事をしています。再発する可能性もありますから、体調を維持するため、夜更かしをしない、お酒は飲まない。羽目を外すような遊び方はしません。気をつけることが当たり前の生活になりました。仕事をして終わったら一休みして家に帰ってご飯を食べてお風呂に入って寝て……つまらない生活だと思われるかもしれませんが、そんなありきたりの毎日が今はすごく楽しい。働けること、そして社会とかかわりがあることがうれしいんですよね。昔はそういうことすらあきらめていましたから』、「高校の頃だったか、精神疾患の本を見ると「こういう症状が出る場合は統合失調症が疑われる」というようなことが書いてあって、その通りのことが自分に起きているんですよね。「ああ自分の病気はこれだな」と病名を推測できました。あとから病名がついてきた感じでしょうか」、本人は「高校の頃」に「推測」していたのに、正式に「診断」が出たのは、前編では「20歳ぐらい]とずいぶん時間がかかったものだ。
・『自分で収入を得られるようになったことで、将来のために貯金をしようといった地道な目標もできました。 Q:ご自身の経験を踏まえて、精神疾患に悩む若者やそのご家族にどのようなことを伝えたいですか? A:精神疾患にかかると「とにかく早く治したい」と焦ってしまいがちですが、治療が長期間に及ぶことも少なくありません。長い闘いになることは覚悟しておいたほうがいい。焦らないこと、そして腰を据えて「きっとよくなる」「必ず元気になる」と信じて、あきらめずに治療に取り組むことが大切です。 本人は自分なりに病気と闘っているんですよね。何とかしなければならないと思っているんだけれど、自分一人の力ではどうにもできなくて、それが反抗的な態度になってしまうんです。だから家族など近くにいる人は、本人の葛藤をわかってあげてほしいと思います。 また、家族は本人の将来を心配するあまり「中学や高校は絶対行かなきゃダメ」とか、「大学に進学するのは当たり前」などと押し付けてしまいがちです。でも精神疾患によって日常生活にはリスクが生じているときに、そんなことを言われたら、さらに負担がかかってしまうことになる。 近くにいるからこそ本人の話にじっくり耳を傾けて、どういう形で社会とつながっていくのがよいのかを一緒に考えてほしい。形にこだわることなく、無理のない方法を選んでほしいと思います。あきらめなければならないこともあるけど、いろいろな道がありますから。 また僕自身はかなりこじらせてしまったのですが、早く症状に気づいて適切な治療を始めれば、回復も早い。でも具合が悪くても、なかなか精神疾患と結びつけることができません。特に中学生など若い世代では、気づけないんですよね。 本人はもちろん、親でも先生でも友だちでも誰かに精神疾患の知識があれば、ちょっとした変化でも気づき、受診につなげることができるのではないでしょうか。一人でも多くの人に精神疾患について知ってほしいと思っています』、「家族は本人の将来を心配するあまり「中学や高校は絶対行かなきゃダメ」とか、「大学に進学するのは当たり前」などと押し付けてしまいがちです。でも精神疾患によって日常生活にはリスクが生じているときに、そんなことを言われたら、さらに負担がかかってしまうことになる。 近くにいるからこそ本人の話にじっくり耳を傾けて、どういう形で社会とつながっていくのがよいのかを一緒に考えてほしい」、「早く症状に気づいて適切な治療を始めれば、回復も早い」、なるほど。

第三に、4月19日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医、ライフサポートクリニック院長の山下 悠毅氏による「「怒りっぽい子ども」が増加している悲しい事情、「義務教育を放棄する中学生」まで現れだす」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/422447
・『コロナ禍によって、子どものフラストレーションがたまっている。 「国立成育医療研究センター」(世田谷区)による、0歳から高校3年生までの子ども・保護者を対象とした「コロナ×こどもアンケート」によると、15~30%の子どもに中等度以上の「うつ症状」の傾向がみられたという。 同調査は、コロナ禍以降4回にわたって行われ、直近の2020年11~12月に実施したアンケートでは、回答した小学4~6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%に、中等度以上のうつ症状がある――ことに加え、その保護者の29%にも中等度以上のうつ症状がみられたと報告している』、「コロナ禍」の最中とはいえ、深刻だ。
・『子どもの相談が「以前の4倍」に  「当院でも中高生の子どもの相談がとても増えています。ここ3ヵ月で、以前の4倍ほどの急増です」と語るのは、うつ病のカウンセリングや依存症の認知行動療法を専門とするライフサポートクリニック(豊島区)の山下悠毅氏。 同クリニックは、基本的に成人を対象としているのだが、依存症を専門に取り扱うため、保護者が「ゲーム依存症になっているのではないか?」などの不安を覚え、親子で来院するそうだ。切羽詰まっている、そんな保護者が少なくないという。 実は、昨年9月に実施された「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」(厚生労働省)において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前と比べた変化の項で、約2割が「ゲーム時間が増加した」と回答している。 男性15〜19歳にいたっては58.1%、女性15〜19歳も43.2%という数字が示すように、10代のゲーム時間の増加は著しい。言わずもがな、休校や外出自粛などにともなうイエナカ時間の増加に比例する形でゲーム時間も増加しているわけだが、どうやら話はもっと複雑のようだ。 「私も、当初は『イエナカ時間の増加によるゲーム依存』といったケースを想像したのですが、ふたを開けると『子どもがコロナを怖がり学校に行かない』『感染しても無症状と伝えても家から出ない』といった相談ばかりでした。そのため、『過度に不安が強いお子さんや、理解力がまだ不十分なお子さんなのかな』と思ったのですが、診察室でお子さんと二人きりで話してみると、不安を語る子どもは少なく、新型コロナウイルスへの理解も問題のない子ばかりだったのです」(山下氏、以下同)) いったいどういうことか。 「診察を重ねていくと、どうやらこのたびの不登校の子どもたちは、私が今まで相談に乗ってきた、いわゆる“学校に行きたいのに行けない”子どもではなく、“学校には行く必要がないから行かない”と考えている印象です。もちろん、前者のようなケースの相談もありますが、緊急事態宣言の発令で学校が急に休みとなり、登校が再開したかと思えば、異なるクラスや学年の感染により再び休校となる。しかし、家族や友人が誰もが健康であり、『コロナはただの風邪』なんて話す大人までいる。その結果、一部の子どもは『学校は休んでも問題がないのでは』と疑い始めているのです」 これまでであれば、親が「学校へ行きなさい!」としかりつけることに、一定の効果はあっただろう。しかし、コロナ禍を経て、「え? どうして行かないといけないの。だって、学校へ行かなくても何とかなっているよ」が、一つの回答として間違いではないことが示されてしまった。 ゲームに依存しているのではないかという不安は、入り口にすぎず、奥へと進むと子どもと保護者の関係性に関する悩みがほとんどだという。「義務教育という、ある種の洗脳が解けてしまった。学力が低下することを危惧する保護者もいます」と山下氏が指摘するように、コロナ以前では通用した親から子への教育のフォーマットも、ニューノーマルを迎えているというわけだ』、「これまでであれば、親が「学校へ行きなさい!」としかりつけることに、一定の効果はあっただろう。しかし、コロナ禍を経て、「え? どうして行かないといけないの。だって、学校へ行かなくても何とかなっているよ」が、一つの回答として間違いではないことが示されてしまった。 ゲームに依存しているのではないかという不安は、入り口にすぎず、奥へと進むと子どもと保護者の関係性に関する悩みがほとんどだという」、ずいぶん本質的な問題があぶり出されたものだ。
・『どうすれば「子どもとの軋轢」を防げるのか?  保護者の戸惑いはイライラとなり、子どもにも伝わる。先の第4回「コロナ×こどもアンケート」では、「すぐにイライラするか?」という設問もあるのだが、小学生以上の子どもを持つ保護者の36%が該当すると答えている。さらに、子どもたち自身も、小学1~3年生32%、小学4~6年生37%、中学生42%、高校生27%が、「すぐにイライラする」と回答しているほどだ。いつ割れるともわからない巨大風船が膨らみ続けている。 こうした軋轢をどのように解決したらいいのか。山下氏に尋ねると、「我々としても初めてのケースなので、日々向き合っている最中」と前置きした上で、「親の価値観を見つめ直さないと、子どもを導くことは難しい」と説明する。 「私が、診察室で『どんな親だったら子どもは言うことを聞くと思いますか』と親御さんに尋ねると、多くの方が言葉に詰まってしまいます。『何と言えばいいか教えてください』と聞かれることもしばしばです。しかし、大切なことは“何を言うかではなく誰が言うか”です。『学校に行くのは当たり前。子どもの仕事は学校に行き勉強をすること』では、子どもは納得しないのです。この話は子どもに限った話ではなく、誰だって、尊敬や信頼できない人からのアドバイスに耳を傾けたいとは思わないですよね」) ライフサポートクリニックへ親とともに来院したある男子中学生は、「義務教育というのは子どもが学校へ行く義務ではなくて、親が子どもに教育を受けさせる義務であって、子どもの義務ではない」といった正論を展開したそうだ。感心してしまうほどの頭の良さ。だが、もし親である自分が言われたらと思うと頭が痛い。言い返す言葉がない……』、確かにその通りだ。
・『大事なのは「親としての器」  「『社会で生きていくことは大変。お父さんもお母さんも、必死で仕事を頑張っている。だからお前も学校へ行け』なんてことを言いたくなる気持ちは、もちろんわかります。しかし、子どもにしてみたら『そんな人生がつらそうな親のアドバイスを聞いたなら、自分も将来、同じ目に遭いかねない』と意識下で感じ取るため逆効果です。 そうではなく繰り返しになりますが、人を導びくには、相手からの信頼や尊敬が不可欠。『ゲームの時間を守らせたいなら、親も帰宅したらスマホをいじらない』『家で勉強させたいなら、まずは親が読書や勉強をする』『早く寝かせたいなら、親も一緒に早く寝る』というように説得力をともなわなければいけません。もちろん、『子どもと親は別』もその通りです。しかし、私たちだって『遅刻するな』と口うるさい社長がいつも遅刻していたら、『社員と社長は別』であることを知っていながらも、その社長を信頼や尊敬することは困難なわけです」 経済力や職業といったスペックが大事なのではない。大切なのは、親としての器をどう作り上げていくかということ。 そして、言葉で説明する際は、抽象的な説明は避けることも控えたほうがいいとも。例えば、「遅刻はよくない」ことを伝える際も、「ダメなものはダメ」ではなく、なぜ遅刻がいけないのかを具体的に伝えなければ信頼を得ることは難しいとも。たしかに成人すれば、遅刻=デメリットだとイヤでもわかる。しかし、子どもの時分では、せいぜい先生から注意される程度。子どもには理解できないだろうから、親自身が想像力を働かせて、伝えることが肝要となる。) 「心理学の世界に、“社会的結末を共有する”という考え方があります。遅刻を続ければ、いずれ保護者が先生に呼び出されて、子どもと一緒にしかられる。ところが、多くの親がそれを面倒くさがり嫌がるわけです。つまり、社会的結末を共有したがらない。ですが、それをやってあげることこそが親の愛情なのです」 診察では「先生の言いたこともわかるが、そもそも痛い目を見る前に行動を変えられる子どもにしたい」と補説する保護者もいるという。 「社会的結末を共有すれば、子どもは考えるきっかけを得ることができます。しかし、その共有もせずに親の言いつけを守らせたい気持ちは『親のコントロール願望』」と言えます。また、言われたことをむやみに実行する子どもは、将来、人から簡単に騙されかねないのです。子どもは子どものうちにたくさんの失敗をすることで、自分の頭で考える大切さを学び、人を見る目を養うのです」』、「子どもは子どものうちにたくさんの失敗をすることで、自分の頭で考える大切さを学び、人を見る目を養うのです」、正論だが、親としては、なるべく「失敗」せずに順調に行ってほしいと考えるのも人情だ。
・『特に大事なのは「良好な夫婦関係」  尊敬や信頼は、社会的結末を共有する際にも効果を発揮する。 「親子で先生に呼び出された際に、先に謝るのは子どもではなく保護者である場合が多いでしょう。なぜなら呼び出されて困るのは、子どもではなく親なわけですから。ただし、そうした場面でも子どもからの尊敬や信頼が強ければ強いほど、『親に迷惑がかかるから、同じ失敗は避けよう』と子どもは考えるのです。 最後に、私は夫婦そろって受診にいらしたケースでは、決まって良好な夫婦関係の再構築をお願いしています。言うまでもなく、子どもにとって両親はどちらも大切な存在です。そして、子どもはそんな二人が仲睦まじく生活する姿を通して、両親への尊敬や信頼を深めるからです」 コロナによって社会の様式やルールが刷新された。保護者自身、子どもとの向き合い方をバージョンアップする局面を迎えている』、「コロナ禍」は、「保護者自身、子どもとの向き合い方をバージョンアップする」チャンスと考えることも出来そうだ。
タグ:医療問題 東洋経済オンライン AERAdot (その30)(中学生で統合失調症を発症「計算ができない」「暴言を吐く」「死にたい」今振り返る当時の僕、中学で統合失調症 実名告白「自分なりに病気と闘っている葛藤をわかって」、「怒りっぽい子ども」が増加している悲しい事情 「義務教育を放棄する中学生」まで現れだす) 「中学生で統合失調症を発症「計算ができない」「暴言を吐く」「死にたい」今振り返る当時の僕」 「統合失調症」は私がよく理解していなかったので、本稿を取上げた次第である。 「診断」が確定するまで、中学3年生から「統合失調症だとはっきりわかったのは、20歳くらいだったかな」、ずいぶん長い時間がかかったことに驚かされた。 「担任の先生が自宅に様子を聞きに来てくれたことがありましたが、あいさつだけして自室に引っ込みました。変なプライドというか、自分がダメになってしまったという思いもあって、先生に合わせる顔がなかった。学校関係の人にはあまり会いたくなかったんですよね」、なるほど。 「朝起きられなかったから夕方から始まる定時制は好都合だったんですね」、ただ素人考えではあるが、無理してでも朝にキチンと起きるようにしていれば、体内時計がリセットされて、精神面にもいい効果が出た可能性があったかも知れない ただ、医師からそうしたアドバイスがなかったようであれば、精神面への効果など期待できなかったのかも知れない。 「中学で統合失調症 実名告白「自分なりに病気と闘っている葛藤をわかって」」 「病気を再燃させないための知恵を身につけてから、ごく自然に無理のない生活を心がけるようになりました。再燃の兆候やその対処法も学んでいるので、ちょっとおかしいなというときに早めに気づくことができます。上手に病気と付き合えるようになり、自信もつきました」、ずいぶん良くなったものだ。 「高校の頃だったか、精神疾患の本を見ると「こういう症状が出る場合は統合失調症が疑われる」というようなことが書いてあって、その通りのことが自分に起きているんですよね。「ああ自分の病気はこれだな」と病名を推測できました。あとから病名がついてきた感じでしょうか」、本人は「高校の頃」に「推測」していたのに、正式に「診断」が出たのは、前編では「20歳ぐらい]とずいぶん時間がかかったものだ。 「家族は本人の将来を心配するあまり「中学や高校は絶対行かなきゃダメ」とか、「大学に進学するのは当たり前」などと押し付けてしまいがちです。でも精神疾患によって日常生活にはリスクが生じているときに、そんなことを言われたら、さらに負担がかかってしまうことになる。 近くにいるからこそ本人の話にじっくり耳を傾けて、どういう形で社会とつながっていくのがよいのかを一緒に考えてほしい」、「早く症状に気づいて適切な治療を始めれば、回復も早い」、なるほど。 山下 悠毅 「「怒りっぽい子ども」が増加している悲しい事情、「義務教育を放棄する中学生」まで現れだす」 「コロナ禍」の最中とはいえ、深刻だ 「これまでであれば、親が「学校へ行きなさい!」としかりつけることに、一定の効果はあっただろう。しかし、コロナ禍を経て、「え? どうして行かないといけないの。だって、学校へ行かなくても何とかなっているよ」が、一つの回答として間違いではないことが示されてしまった。 ゲームに依存しているのではないかという不安は、入り口にすぎず、奥へと進むと子どもと保護者の関係性に関する悩みがほとんどだという」、ずいぶん本質的な問題があぶり出されたものだ 「義務教育というのは子どもが学校へ行く義務ではなくて、親が子どもに教育を受けさせる義務であって、子どもの義務ではない」といった正論を展開したそうだ。感心してしまうほどの頭の良さ。だが、もし親である自分が言われたらと思うと頭が痛い。言い返す言葉がない……』、確かにその通りだ 「子どもは子どものうちにたくさんの失敗をすることで、自分の頭で考える大切さを学び、人を見る目を養うのです」、正論だが、親としては、なるべく「失敗」せずに順調に行ってほしいと考えるのも人情だ。 「コロナ禍」は、「保護者自身、子どもとの向き合い方をバージョンアップする」チャンスと考えることも出来そうだ
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医療問題(その29)(森元首相も受ける人工透析 日本で増え続けるのはなぜ?、コロナ禍の今 日本医療の特徴を考えてみる この国の医療の形はどのように生まれたのか、ソフトバンクがオンライン診療に勝算見込む訳 孫正義氏が巨額を投じた中国企業と合弁設立、養老孟司「生死をさまよい 娑婆に戻ってきた」病院嫌いが心筋梗塞になって考えたこと 健康診断も医療も避け続けた理由) [生活]

医療問題については、3月18日に取上げた。今日は、(その29)(森元首相も受ける人工透析 日本で増え続けるのはなぜ?、コロナ禍の今 日本医療の特徴を考えてみる この国の医療の形はどのように生まれたのか、ソフトバンクがオンライン診療に勝算見込む訳 孫正義氏が巨額を投じた中国企業と合弁設立、養老孟司「生死をさまよい 娑婆に戻ってきた」病院嫌いが心筋梗塞になって考えたこと 健康診断も医療も避け続けた理由)である。

先ずは、3月8日付け読売新聞のyomiDr「森元首相も受ける人工透析 日本で増え続けるのはなぜ?」を紹介しよう。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20210301-OYTET50023/
・先日、「女性 蔑視べっし 発言」が原因で森喜朗・元首相(83)が東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長を辞任しました。この騒動は約2週間続きましたが、私が驚いたのは、騒動そのものではありませんでした。この間、森氏が元気で、言動に乱れがなく、かくしゃくとされていたことです。「逆ギレ会見」と言われた会見では、森氏は1人で立ったまま30分以上も記者の質問に答えていました。あの姿を見て私は、正直、とても透析患者とは言えないと思ったのです』、確かに元気そうだ。
・『前立腺がん、肺がん、透析…それでも働いた  森氏ががんを患ってきたのは、これまでの報道により、よく知られています。最初は前立腺がんで、これは2000年に見つかりました。当初、森氏は手術をせずにホルモン療法を中心に治療し、その後に摘出手術をされたと聞きます。 そして2015年には、今度は肺がんが見つかり、このときは手術を受けた後、当時、実用化されたばかりの抗がん剤「オプジーボ」による治療を受けています。副作用で肺に水がたまり、呼吸が苦しかったと本人が述べています。 そして、2019年2月から、森氏は人工透析を受けるようになりました。このことは、本人が新聞インタビューで公表し、週3回、透析のために病院に通っていると話しています。 森氏の人工透析が、がんの副作用なのかどうかはわかりませんが、腎機能が低下していることは確かです。腎機能は年を取るとともに低下するもので、ある限度を超えると人工透析が必要になります。糖尿病が悪化した場合も同じです。ただし、人工透析というのは、一種の「延命治療」です。なぜなら、いったん始めたらやめられないからです。止めれば、患者さんは確実に死亡します』、「2019年2月から、森氏は人工透析を受けるようになりました」、初めて知った。
・『人工透析は患者にとって非常につらいもの  しかも、人工透析は、患者さんにとって非常につらいものです。腕などに、動脈と静脈をつなげるシャント手術を行い、この手術で太くなった静脈に針を刺し、そこから1分間に200cc程度の血液を抜きます。その血液を、老廃物を取り除くダイアライザーという機械を通して透析し、再び体の中に戻します。これを週3回、1回3~5時間行います。 患者さんによっては、かなり強い血管痛や頭痛を起こします。また、心不全や感染症のリスクも高まります。いずれにしても、いったん始めれば、もうそれまでの日常生活には戻れないのです』、「感染症」は当然としても、「心不全」のリスクも高まるとは意外だ。「いったん始めれば、もうそれまでの日常生活には戻れない」、というのもつらい選択だろう。
・『腎不全の危険がある糖尿病だが、透析は受けないと決めた  私は現在、73歳で糖尿病を患い、血糖値を下げる薬を服用し、食事療法も行っています。いずれ腎臓の機能が低下する時が間違いなく来ると覚悟をしています。問題はそれがいつ来るのかですが、平均寿命を超えるような高齢で来たのなら、私はその時を自分の寿命と考える、つまり人工透析はやらないと決めています。 若い時は別として、透析が苦痛になって途中でやめると、さらに苦しんで死を迎えるからです。水分が一気にたまり、全身に痛みが回り、のたうち回ったりします』、「透析が苦痛になって途中でやめると」、「水分が一気にたまり、全身に痛みが回り、のたうち回ったりします」、悲惨なようだ。「糖尿病を患」っている筆者が「透析は受けないと決めた」、内情に通じた「医師」ならではの決断だ。
・『透析を拒否した先輩医師の死  私の先輩に、断固、透析を拒否した方がいます。87歳で亡くなられましたが、進行がゆっくりだったため、穏やかな死に方でした。腎機能の指標であるクレアチニン値が限界を超えたとき、家族から、なんとか説得して透析を受けさせてくださいと頼まれましたが、私はできませんでした。本人の意思が固かったからです。 様々な延命治療を続けると、最終的に体は水ぶくれで太っていき、ご遺体は丸太のように膨らみます。そういうことにならず、きれいなご遺体だったと聞きました。 私も担当医も本人の意思を尊重したのです』、「様々な延命治療を続けると、最終的に体は水ぶくれで太っていき、ご遺体は丸太のように膨らみます」、ぞっとする。
・『人工透析は病院の安定収入源  話はややそれますが、腎不全で人工透析が必要になった場合、それを積極的に勧めるのは、日本の医者だけです。日本の人工透析患者は年々増加していて、現在、33万人を超えています。患者に医療費があまりかからない制度があるからです。医療費としては月40万円ほどかかる高額な治療なのですが、患者負担は1万~2万円で済みます。また、身体障害者1級を申請すれば、様々なサポートがあります。一方、医療機関から言えば、透析患者がいれば逃げることのない安定収入が確保できるのです。 しかし、人工透析は腎不全に対する最良の治療法ではありません。欧米では透析は腎臓移植へのつなぎ医療という位置付けです。日本では、ドナーが少なく、多くが家族からの生体腎移植なので移植が広がらず、透析患者が増える一方なのです』、「腎不全で人工透析が必要になった場合、それを積極的に勧めるのは、日本の医者だけ」、「欧米では透析は腎臓移植へのつなぎ医療という位置付け」、「医師」を儲けさせる手段になっているとは、困ったことだ。
・『受けるかどうか、本人が納得の上で決める  日本透析医学会はガイドラインを定めています。医者は、透析をした場合としなかった場合どうなるかを患者さんと家族に詳しく説明するよう示しています。そうして、本人が納得した上で行うことになっています。「する」のか「しない」のか、医者に詳しい説明を求めてから決めるべきです。 ただ、終末期になると、多くの医者は自動的に透析を行います。とくに患者さんが認知症を発症している場合は、本人の意思を確かめようがありませんから、人工透析も含めた延命治療は家族が止めない限り延々と続くのです。今は、延命治療に関して、「人生会議」で本人、ご家族と医者が、事前に十分話し合うことが勧められているので、透析を行うかどうかは、最終的に本人の意思次第です(医師 富家孝)』、「医師」にとっては儲ける手段になっているのでは、「患者」に「人工透析」のデメリットを詳しく説明することはしないだろう。メリット、デメリットを詳しく解説したパンフレットに基づいて、「医師」から説明を受けるようにすべきだろう。

次に、3月12日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学商学部教授の権丈 善一氏による「コロナ禍の今、日本医療の特徴を考えてみる この国の医療の形はどのように生まれたのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/416258
・『日本の医療をほかの国々と比べた特徴が、新型コロナウイルスの影響の下で注目を浴びている。日本の医療提供体制については、目下、改革が進められている。ここ数年展開されていた提供体制の改革の青写真が描かれていた『社会保障制度改革国民会議』(2013年)の報告書には、「医療問題の日本的特徴」という項目があり、次のように書かれている』、興味深そうだ。
・『公的所有主体の欧米、私的所有主体の日本  日本の医療政策の難しさは、これが西欧や北欧のように国立や自治体立の病院等(公的所有)が中心であるのとは異なり、医師が医療法人を設立し、病院等を民間資本で経営するという形(私的所有)で整備されてきた歴史的経緯から生まれている。公的セクターが相手であれば、政府が強制力をもって改革ができ、現に欧州のいくつかの国では医療ニーズの変化に伴う改革をそうして実現してきた。 医療提供体制について、実のところ日本ほど規制緩和された市場依存型の先進国はなく、日本の場合、国や自治体などの公立の医療施設は全体のわずか14%、病床で22%しかない。ゆえに他国のように病院などが公的所有であれば体系的にできることが、日本ではなかなかできなかったのである(『社会保障制度改革国民会議』22ページ)。 この種の話では、アメリカにおいても、公的病院、および公益的な民間非営利病院は総病院数のおよそ80%、全病床数の約85%を占めているということを言うと、けっこう驚かれる。 また、2001年の総合規制改革会議における、当時、厚生労働省大臣官房審議官(医政局・保険局担当)であった中村秀一氏の「株式会社の病院というのは、世界の医療提供体制の中でごく例外的、ヨーロッパではほとんどネグリジブルでありますし、多いと言われているアメリカでも、全体の25%ということで、われわれ自身、株式会社を入れるということが、それほど医療改革につながるふうには思っておりません」という言葉も歴史に残しておきたい言葉である。官僚が忖度なく正論を言えた時代の記録でもある。 どうして日本は、医師が非営利の医療法人を設立し、病院などを民間資本で経営するという形(私的所有)で整備されてきたのか?そして、コロナ禍で注目されるようになったことだが、なぜ民間の病院は中小規模なのか? 新型コロナの感染拡大の下、医療と経済、どちらを優先するかという問いかけがなされる中、こうした問いについて、いくつかの考える材料を準備できればと思う。ただし、文字数の制限もあるので、歴史的事実を淡々と論じるにとどめておこうと思う。 日本の医療は、江戸時代に築かれた自由開業医制を基盤としてきたと評されてきた。明治に入り1887年の「医制」を機に漢方から西洋医学への転換が図られたが、それは従来医業に携わっていた人たちにも医師免許を付与して医師の総数を維持しながらという漸進的な方法で行われたために、自由開業医制の伝統は継承されていった。 明治以降に登場した日本の病院については、官立、特に公立の病院を軸に整備が進められていた。だが、松方デフレ後の財政再建を背景とする1887年の勅令により、公立病院への地方税の投入が禁じられて以降、提供体制は民間中心になっていった。しかし、第2次大戦直後の占領期から、病院を公的病院中心に再編成する動きも生まれた。戦後のそのあたりの話からはじめよう』、なるほど。
・『占領期にGHQが与えた影響  行政学者ワンデル博士を団長とする6名のアメリカ社会保障調査団が、ワンデル勧告と呼ばれる報告書を、日本政府に渡したのは、1948年7月である。ワンデル勧告は、医療は公的責任において提供すべきものであり、病院については、国・公立や公的な機関を中心にすべきであって、「公的財源による病院建設」が勧告されていた。 一方、ワンデル勧告を見たアメリカ医師会は、歴代3期に及ぶ医師会会長ら自らが日本を訪れ、アメリカ医師会の指向する医師の「自主性と企業性」を確保することを主張し、医療の提供面において医師会が主導的な役割を果たすことを強調した報告書をGHQに提出している。 つまり、戦後日本には、GHQを通じた提供体制のあり方に対する提言が、2つあったことになる。 日本が戦後継承していったのは、ワンデル勧告の流れである。 ワンデル勧告を受けて1949年に設置された社会保障制度審議会は、同年末に、「社会保障制度確立のための覚え書」を出し、「医療組織については、総合的計画の下に公的医療施設の整備拡充を図るとともに、開業医の協力しうる体制を整え、また公衆衛生活動の強化を図る必要がある」と論じていた。 社会保障制度審議会は、1950年に「社会保障制度に関する勧告」を出す。そこには、「人口2000の診療圏において、公私の医療機関のない場合には、少なくとも一診療所を有するように配置することを目標とし、都道府県は、無医地域を解消するため、自らその設置運営をなすものとする」と提言している。今の言葉で言えば、都道府県による提供体制の整備が勧告されていたわけである。 こうした動きと並行して、社会保障制度審議会の1956年勧告では、「いやしくも公的資金により開設設置される病院については、(中略)医療機関網の計画的見地から、強力に、その地理的配置、規模、設備、機能などについての規制を行うべきである」「医学、医術の進歩に伴い、精密かつ複雑な治療設備や検査設備も必要とするのであるから、その施設は単に当該病院の専有物にせず、医療機関相互の利用を認め、その有機的な連携をはかるとともに、施設設備に対する重複な投資を避けさせしめることが望ましい」との方針が提示されていた。 1948年、GHQの指示で「医療法」が制定されていた。この医療法は、20人以上の患者を入院させるための施設を病院として、病院と診療所を区分し、病院を尊重する立場に立っていた。GHQは、国・公立病院を中心に据えるワンデル勧告を考慮して、医療法で、国が自治体病院に国庫補助金を拠出できるようにした。 一方、1948年当時、日本の病院数の7割強が私的病院という戦前の状況とは大きく変わっていない現実があった。私的病院には、免税や国庫補助金のような支援制度はなく、自治体一般会計からの繰り入れもない。そして納税の義務があった。 この頃の国家財政は、1949年2月にドッジによって勧告されたドッジ・ライン下の均衡予算であることから、政府には、公的病院を拡充するための資金の余裕はなかった。そこで、医療法施行から2年後の1950年に法改正を行い、「医療法人制度」を導入している。大著『日本病院史』の著者である福永肇氏は、「このアイデアは、個人の資金を民間医療機関に出資させようとする世界に類を見ない日本独自のユニークな制度」と論じている。 民間医療機関に法人格を付することにより、銀行からの資金調達が容易になるとともに、法人であるゆえに相続税問題から解放され、私人とは異なる税の軽減などもあり、法人に対する各種の公的補助金や税制上の優遇も享受できた。これらの理由があり、医療法人は急速に普及していった』、「社会保障制度審議会の1956年勧告では、「いやしくも公的資金により開設設置される病院については・・・その施設は単に当該病院の専有物にせず、医療機関相互の利用を認め、その有機的な連携をはかるとともに、施設設備に対する重複な投資を避けさせしめることが望ましい」との方針が提示されていた」、無駄な投資抑制に向けた画期的な考え方だが、今はどうなっているのだろう。
・『独立後、高度成長期の医療政策はどうなったか  1951年9月8日、GHQによる占領が終了する。前年、1950年からの朝鮮特需で持ち直しはじめていた日本経済は、徐々に、欧米先進国の背中を見ながらキャッチアップ軌道に乗り始めていく。 高度経済成長期を迎えると、産業界の資金需要は活発となっていった。銀行は高い金利で融資を行うことができる大企業を私的病院よりも優先していくのは当然で、そうした中、1960年に、民間の診療所・病院に対して公的資金を超低利・超長期の条件で貸し付けを行う医療金融公庫が設立される。 医療金融公庫の主な資金源は、郵便貯金、簡易保険、公的年金であり、これらが国の財政投融資を通じて投入された。ただし、大蔵省資金運用部(当時)から医療金融公庫に回される資金にも制限があり、かつ、民間金融機関からは民業圧迫との声もあったため、病院は医療金融公庫から所要資金の全額を借り入れることはできない規定が設けられていた。それゆえ、一部自己資金ないしは銀行借り入れが必要であり、それが病院による規模拡張への投資の制約条件となっていく。 こうした環境の中で、1962年に医療法改正により、公的病院病床規制が導入される。目的は、都市部の病床過剰地域における公的病院の新設・増床を規制するというものであった。ちなみに、民間病院への病床規制は、23年後の1985年の第1次医療法改正により導入されることになる。 戦後は、医療の需要面を社会化する公的医療保険が整備されていき、1970年代に入ると医療費の9割弱を税・社会保険料という公的資金が占めるようになるのであるが、一方で供給面では、自由開業医制を基礎に置く民間経営の私的提供体制という日本の医療保障制度ができあがっていった』、「病床規制」「導入」は、「公的病院」先で、「民間病院」は「23年後」、どうして格差が生じたのだろう。
・『歴史的経緯が作っていった日本の医療のかたち  NHKの朝ドラで「梅ちゃん先生」が放映されていた2012年頃、このドラマの話をしながら、日本の医療の特徴の説明をしていた。第2次世界大戦末期の空襲により焦土となった東京の蒲田を物語の出発点とし、主人公が開業医として成長していく物語である。 日本では、梅ちゃん先生のようにスタートした診療所が、1961年施行の国民皆保険による患者の増加の中で、少しスペースを広げて病床を持ち、その病床もしばらくすると20床を超えて病院となって、民間中小病院へと成長していった。欧米では病院とは基本的に入院施設であって、外来部門を持たない病院も多いが、日本のほとんどの病院は大きな外来部門を持っている。日本の病院にとって、多くの標榜科を備えた外来部門は、入院患者への窓口として機能することになる。 医療金融公庫があったとはいえ、「医療法」により非営利であることが規定されているために、民間病院は借り入れによる資金調達しか許されていなかった。そうした資金面からの制約によって、病院規模は中小規模でとどまってきた。先述の福永氏によれば、「今日、300床未満の病院が日本の病院数の8割強を占めている状況は、以上の戦後の病院発展におけるファイナンス面での歴史的背景の結果である」ということになる』、「病院規模は中小規模でとどまってきた」、効率性での問題点の指摘はなかったのだろうか。
・『取り組まれている医療提供体制の改革  株式を通じた資本の供給は、医療においてはできるだけ避けておきたいという国際的にも広範囲な合意がある。ほかの先進諸国は、歴史的に、公的および慈善・宗教団体などの非営利の団体により医療提供体制が整備されてきており、医療が近代化した後も、それらが提供体制を支えてきた。 しかし日本は、非営利という条件の下に民間主体の提供体制の整備が進められた。医療法人制度、医療金融公庫という税の優遇や金利の優遇はあったが、資金は借り入れが主体となり、しかも低利借り入れの医療金融公庫には借り入れ上限もあって、大規模の病院に発展できたのはまれであった。したがって、日本では、民間の中小病院が主体の提供体制ができあがっていった。 公的医療保険と私的医療提供体制の組み合わせからなる日本では、長らく、医療改革が社会保障政策の中での最優先課題であった。繰り返し政局の混乱を引き起こしていた年金よりもはるかに重要な課題と認識されていた(「日本の医療は高齢社会向きでないという事実――『医療提供体制改革』を知っていますか?」<2018年4月21日>を参照)。 そして今の日本では、地域医療構想と地域包括ケアは「車の両輪」であるとか、地域医療構想・医療従事者の働き方改革・医師偏在対策を加えて「三位一体改革」であると言われている。 「車の両輪」、「三位一体改革」のいずれにも入る地域医療構想とは、高齢化・人口減少に伴う医療ニーズの質・量の変化や労働力人口の減少を見据えて、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するために、医療機関の機能分化・連携を行っていく改革のことである。地域包括ケアとは、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるネットワークのことである。 いわばこれらは、ニーズに見合った医療を提供し、医療の質を高めるための改革であり、この国が歴史的に形成してきた日本医療の特徴へのチャレンジであるともいえる。三位一体改革の中の医師偏在対策にしても、この国の医療政策の歴史上、ずっと手付かずのままでいた医師養成のあり方に対する大きな試みである(「日本の大学の医学部教育は何が問題なのか?――医療介護の一体改革に立ちはだかる大きな壁」<2018年12月27日>を参照)  この一連の取り組みには、地域の中での広範囲であり、かつ人口減少社会における患者減を見越した中・長期的な構想に基づいて既存の病院の選択と集中を図り、相互の連携を通じて、地域医療全体、高度急性期から在宅、さらには看取りまでのチーム医療、医療と介護を一体化した、多職種の連携による地域完結型の医療を目指そうとするビジョンがベースにある。 そうしたビジョンは、戦後形成されてきた個々の病院内で完結していた「治す医療」から、地域全体で「治し支える医療」への転換であるとも言われている。さらには、いくつもの中小の病院が競合していたのでは対応が難しい医療をそれぞれの地域で強化していく必要もある。かつての患者数、病院数の拡張期とは異なり、競争よりも協調が謳われる時代になっているのである。 今という時代は、歴史という経路に依存して形成されているものではある。歴史過程における今という時代において、根気強く継続する改革の意思が求められるゆえんでもある。だが今は、目の前の感染拡大の防止に集中しておくことが最優先されるべきなのであろう』、「地域医療構想と地域包括ケアは「車の両輪」であるとか、地域医療構想・医療従事者の働き方改革・医師偏在対策を加えて「三位一体改革」、などを着実に推進してほしいものだ。

第三に、4月12日付け東洋経済オンライン「ソフトバンクがオンライン診療に勝算見込む訳 孫正義氏が巨額を投じた中国企業と合弁設立」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/422294
・『コロナ禍で広がりつつあるオンライン診療で、新規参入が相次いでいる。通信大手のソフトバンクが2021年度上半期中にオンライン診療事業を始めることがわかった。手がけるのは、医療サービス子会社のヘルスケアテクノロジーズだ。 同社は昨年7月に健康医療相談アプリ「HELPO(ヘルポ)」の提供を開始。現在は診察ではなく一般的な医療情報をチャット相談の形式で提供しており、自社で採用した数十名規模の医師や看護師、薬剤師が24時間対応する。ユーザーが相談を書き込むと、30秒以内に返信が来る仕組みだ。 4月12日発売の『週刊東洋経済』は「沸騰!医療テックベンチャー」を特集。投資額が10年前の5倍に膨らみ、米中のIT大手なども参入する医療テックベンチャーの最前線を追っている。 「病院に行くほどではないが、グーグルで検索しても的確な答えが見つからないということはよくある。何でも相談を投げ込んでもらって、医療従事者の知見とノウハウを提供するのが狙いだ」。ヘルスケアテクノロジーズの大石怜史社長はそう話す』、興味深いサービスだ。
・『医薬品の即日配達も  ドラッグストアで購入できる一般用医薬品のネット販売や病院検索機能も提供し、相談内容に応じて薬の購入や病院での診察を促す。薬の配達地域は東京23区内のみだが、物流ベンチャーと提携し、夕方17時までに注文すればその日の夜21時までに届く。病院検索では「女性の医師がいる」「クレジットカード決済ができる」といった項目でフィルタリングが可能だ。また、ソフトバンクグループ内の検査会社と連携し、新型コロナウイルスのPCR検査も提供している。 現在は法人や自治体を顧客とし、法人では従業員の福利厚生の一環として、自治体では国民健康保険の加入者への健康指導などとして使われている。サービス開始前にはソフトバンクの社員に実証実験を行い、7割が継続的な利用意向を示した。現在のヘルポの利用者数は非公開だが、2021年度中には数十万人規模を目指すという。「将来的には一般消費者への提供も計画している」(大石怜史社長)。 今後展開するオンライン診療の事業は、独自にビデオ通話などのツールを開発するのではなく、医療機関に導入済みのシステムに接続する形になる計画だ。大石氏は、「クリニックごとにオンライン診療アプリを入れるのは不便。患者がヘルポのアプリを開けばワンストップで診察を受けられるようにしたい」と説明する。事前のチャット相談の内容を問診票として医療機関と共有し、診察時間を予測して予約を取りやすくするシステムも開発を進めている。) コロナ禍での特例措置として、昨年4月に「初診」でのオンライン診療が解禁されてから1年が経過した。初めての診察や新たな症状・疾患の診察の場合、従来は対面が原則だった。だが新型コロナウイルスの院内感染などを防ぐため、厚生労働省は時限措置として規制緩和に踏み切った。コロナ禍でデジタル政策が加速したことを受け、厚労省は初診からのオンライン診療の恒久化に向けた検討を進めており、今秋の指針改定を目指す。これを商機とみる企業は増えている。 実はヘルスケアテクノロジーズは、ソフトバンクグループの孫正義社長率いるソフトバンク・ビジョン・ファンドが400億円超を出資していた中国のヘルスケア企業、平安好医生(ピンアン・グッド・ドクター)との合弁事業だ。 中国ではオンライン診療や薬のネット販売が急速に広がっている。「平安はヘルスケアのテック企業としてパイオニア。事業のノウハウ面で協力を得ている」(大石氏)。ちなみにへルポのデータはすべて日本国内のサーバーに保管され、平安側がアクセスできない体制を取っているという』、「へルポのデータはすべて日本国内のサーバーに保管され、平安側がアクセスできない体制を取っているという」、のであれば、合弁先の「平安好医生」の影響は遮断されているようだ。
・『さまざまな企業との提携で事業拡大へ  将来的には健康診断のデータを活用した生活習慣病の予測や、ウェアラブル機器との連携、フィットネス動画の配信なども計画する。「すべてを自分たちではやらない。ベンチャーも含めてさまざまなソリューションを持つ企業と共創したい」と大石氏は話す。 ソフトバンクは2017年に新規事業開発を担う「デジタルトランスフォーメーション本部」という部門を設立。ヘルスケアテクノロジーズもこの中から生まれた新規事業の1つだ。河西慎太郎本部長は組織の狙いについて、「ソフトバンクにとって次の柱になるものを育てたい。単にベンチャー投資をやるということではなく、パートナー企業を探して社会課題を解決できるような事業を一緒に作っていく」と説明する。 「社内のハイパフォーマーを集めた」(河西氏)という本部のメンバーは、発足時に120人だったのが直近で240人まで増えた。そのうち半分がエンジニア、もう半分が事業企画やバックオフィスの人員が占めるという。ヘルスケア以外にも、物流やスマートシティなどの分野で事業提携や合弁設立などを進めている。 データやテクノロジーの力で医療やヘルスケアが大きく変わろうとしている。激しい競争の中でソフトバンクはどこまで存在感を示せるか』、「ソフトバンク」にとって、実業に近い部分で「次の柱」に育つとすれば、安定的基盤を若干なりとも強化することにつながるだろう。

第四に、4月18日付けPRESIDENT Onlineが掲載した東京大学名誉教授の養老 孟司氏による「養老孟司「生死をさまよい、娑婆に戻ってきた」病院嫌いが心筋梗塞になって考えたこと 健康診断も医療も避け続けた理由」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/45071
・『447万部の大ベストセラー『バカの壁』の著者として知られる解剖学者・養老孟司氏が、82歳で心筋梗塞に。長年健康診断も一切受けず、かねて避けてきた現代医療。しかし25年ぶりに東大病院にかかり入院することに……。そして考えた、医療との関わり方、人生と死への向き合い方。体験をもとに、教え子であり主治医の中川恵一医師とまとめた『養老先生、病院へ行く』を上梓。同書より第1章を2回に分けて特別公開する──。(第1回/全2回) ※本稿は、養老孟司、中川恵一『養老先生、病院へ行く』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『病気はコロナだけじゃなかった  2020年2月後半、新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」や「コロナ」とも表記)の感染者が急増してから、外出できなくなってしまい、鎌倉の自宅に缶詰状態になってしまいました。 取材や打ち合わせは鎌倉の家に来てもらって行うので、外出するのは自転車に乗ってタバコを買いに行くくらい。公衆衛生の観点でいうと、感染症は人にうつさないことが基本ですから、自分なりに人との接触は避けていました。 それでも感染するのは仕方のないことです。感染症は感染するかしないかのどちらかですから。感染しないつもりでいても、感染するときはします。高齢者ですから、重症化して亡くなることもあるでしょう。 同年3月26日に、このたび刊行した『養老先生、病院へ行く』の共著者で東京大学の後輩でもある医師の中川恵一さんと「猫的視点でがんについて考える」(『医者にがんと言われたら最初に読む本』所収)という対談を行ったときも、そんなお話しをしたのを覚えています。 ところが、病気はコロナだけではありませんでした。6月に入ってから、私自身が別の病気で倒れてしまったのです』、医者の不養生の典型の「養老」氏では何が飛び出しても驚かない。
・『「身体の声」に背中を押されて…  私はよっぽどのことがなければ、自分から病院に行くことはありません。ただ家内が心配するので、仕方なしに病院に行くことはあります。自分だけで生きているわけではないので、家族に無用な心配をかけるわけにはいきません。 ところが今回は様子がかなり違っていました。6月4日の「虫の日」に、北鎌倉の建長寺で虫塚法要を終えるまでは何でもなかったのが、10日くらいから体調が悪いと感じるようになりました。 在宅生活が続いたことによる「コロナうつ」かとも思いましたが、「身体の声」は病院に行くことを勧めているようでした。 身体の声というのは、自分の身体から発せられるメッセージのことです。例えば、昼に何か食べて、その日の夜、あるいは次の日の朝でも、「なんだか調子が悪いな」と思ったら、昼食に食べたものが悪いとわかります。このとき自分の身体は、いつもの状態と違う何かを伝えていると考えています』、さすが、解剖学の大家ならではの感覚だ。
・『現代の医療システムに巻き込まれたくない  家内も早く病院に行きなさいと催促しています。長年、健康診断の類いは一切受けていなかったこともあり、仕方なしに病院に行って検査してもらおうと決心したのです。 なぜ病院に行くのに決心がいるのかというと、現代の医療システムに巻き込まれたくないからです。このシステムに巻き込まれたら最後、タバコをやめなさいとか、甘いものは控えなさいとか、自分の行動が制限されてしまいます。コロナで自粛しているのに、さらなる自粛が「強制」されるようなものです。 なぜ医療システムに巻き込まれることにこれほど悩むのかについては、『養老先生、病院へ行く』の中で詳しく述べましたが、そのことで家内と対立するのも大人げないので、病院に行くことを決心したのです。 いったん医療システムに巻き込まれることになったら、つまり病院に行ったら、あとは「俎まないたの鯉こい」です。すべてを委ゆだねるしかありません。それは覚悟していました』、「現代の医療システムに巻き込まれたくないからです。このシステムに巻き込まれたら最後、タバコをやめなさいとか、甘いものは控えなさいとか、自分の行動が制限されてしまいます。コロナで自粛しているのに、さらなる自粛が「強制」されるようなものです」、なるほど理解できた。
・『25年ぶりに東大病院を受診する  受診の相談をしたのは、中川恵一さんです。東京大学医学部附属病院勤務で、がんの放射線治療が専門ですが、終末医療の造詣ぞうけいも深く、『自分を生きる 日本のがん治療と死生観』という本を一緒に書いたこともあります。 82歳の年寄りですから、重大な病気があれば、そのまま終末医療に入れるかもしれません。それはそれで好都合です。 また、中川さんは私のような「医療界の変人」への対処法もよくわかっています。その安心感もありました。そこで6月12日、中川さんに連絡を入れてみることにしたのです。 そのときの私の症状は、1年間で約15kgの体重減少、あとはなんだか調子が悪い、元気がない、やる気が出ないといった不定愁訴ふていしゅうそだけです。体重がなぜ10kg以上も減ったのか、理由はわかりません。 6月中は何かと忙しく、そのときは緊急性があると思っていなかったので、少し暇ができる7月に入ってから受診できるかどうか相談しました。 ところが、その直後、7月以降の予定がいくつも入ってしまい、身動きがとれなくなってしまったのです。そこで、6月20日過ぎに改めて受診の調整をしてもらい、6月26日に東大病院で中川医師の予約をとりました。東大病院を受診するのは25年ぶりのことでした。 今から思うと、この日に診てもらわなければ、自力で病院にたどり着くことは不可能だったかもしれません。というのは、受診日の直前3日間はやたらと眠くて、猫のようにほとんど寝てばかりだったからです』、眠気と心臓病は関係あるのだろうか。
・『まさかの心筋梗塞  6月26日、友人の運転で鎌倉から本郷の東大病院まで連れていってもらいました。中川医師の指示で心電図と血液検査を受けました。心電図をとってくれた検査技師は、特に何も言わず、表情も変えていないので、特に心臓に異変はないのだろうと、そのときは思っていました。 それから中川医師の部屋に行き、問診を受けました。血液検査は糖尿病の数値が高かったくらいだったので、次の受診の予約をとり、家内や秘書らとともに病院の待合室で待機していました。 東大病院のある本郷から近いので、御茶ノ水の山の上ホテルにある老舗天ぷら屋(てんぷらと和食 山の上)に行って、食事をしようかなどと話していたくらいで、今日はそのまま帰れると思っていたのです。 そこへ、中川医師が急ぎ足でやってきました。「養老先生、心筋梗塞です。循環器内科の医師にもう声をかけてありますから、ここを動かないでください」と言われ、そのまま心臓カテーテル治療を受けることになりました。その前後のことは、半分寝ているようだったのでよく覚えていません』、「心筋梗塞」で緊急手術とは、よほど切迫した病状だったのだろう。
・『生死をさまよい、娑婆に戻ってきた  カテーテル治療後は、ICU(集中治療室)で2日ほど過ごし、循環器内科の一般病棟に移りました。カテーテル治療の前後やICUにいたときは、意識がぼんやりしていて、お地蔵さんのような幻覚も見えました。お地蔵さんは、阿弥陀あみだ様だったのかもしれません。 病院から出るには2つの出口があります。1つは阿弥陀様から「お迎え」が来て、他界へと抜け出ます。もう1つは、娑婆しゃばに戻ります。現在の病院は後者の機能が大きくなっています。前者はホスピスと呼ばれる終末医療です。昔の病院がお寺や教会に属していたのは、この機能が大きかったからでしょう。 しかし、阿弥陀様には見放されたらしく、とりあえず私が出たのは娑婆の出口のほうでした。 成人してから2週間も入院したのはこれが初めてです。子どもの頃、赤痢(赤痢菌による感染症)で入院したことがあります。終戦の前でしたが、その頃、神奈川県津久井郡中野町(現在は相模原市緑区)に住んでいました。 そこは母の実家で、祖父母と叔母がいました。実家は山の中腹にあり、水道がないので山から水を引いていました。そのため、赤痢が流行し祖父母も叔母も赤痢で亡くなりました。 そのとき私も一緒に赤痢にかかり、鎌倉に戻って母の知り合いの女医さんの病院に1人で入院して、生き延びました。小さい頃から、感染症があたりまえの環境で暮らしていたのです。 退院したのがいつだったかはっきり覚えていませんが、昭和19年(1944年)の春だったと思います』、「病院から出るには2つの出口があります。1つは阿弥陀様から「お迎え」が来て、他界へと抜け出ます。もう1つは、娑婆しゃばに戻ります。現在の病院は後者の機能が大きくなっています」、面白い表現だ。
・『いつ死んでもおかしくなかった  赤痢で入院していたことを考えると、いつ死んでもおかしくないと思っています。今回、主治医の中川さんは、15kgやせたと聞いて糖尿病かがんを疑ったようです。検査の結果、体重減少の原因は糖尿病のようで、全身をくまなく調べても、がんは見つかりませんでした。 がんは年齢とともに発症率が高くなる病気です。今までがん検診を受けたことがありませんから、82歳ならがんの2つや3つあっても不思議はありません。 でも検査を受けなければ、病院に行かなければ、がんがあるかどうかはわかりません。中川さんは私よりずっと若いのに、膀胱ぼうこうがんが判明して大きなショックを受けたと言っています。だから私のような病院嫌いは、検査を受けないほうがいいと思っていたのです。 もしも、がんが見つかっていたら、それはそれで面倒なことになります。今回の入院で、いろんな検査をしましたが、大腸内視鏡検査では大腸ポリープが見つかりました。がん化する可能性があると言われましたが、放置することにしました』、「今までがん検診を受けたことがありませんから、82歳ならがんの2つや3つあっても不思議はありません」、医学的なことは全て承知している患者というのは、医師や看護士も騙すことができないので、やり難いのだろうか。
・『医者選びの基準は「相性」  がんであれば、家族は放置を認めないでしょうから、放射線治療くらいはやるかもしれません。手術はストレスが大きいので選ばないでしょう。抗がん剤もストレスが強ければやらないと思います。 だから、担当の医者が「がんは取れる限り取りましょう」というタイプだと困ってしまいます。もちろん、患者には治療法を選ぶ権利がありますが、主治医と患者で意見がずれてしまうと、ただでさえ楽ではない治療に余計なストレスがかかります。ですから、医者選びは大事なのです。 医者選びの基準は「相性」です。現在の医療は標準化が進んでいますから、基本的に誰が主治医になっても同じ治療が行われます。 一方、人には好き嫌いがあるので、相性が重要です。夫婦や、教師と生徒の関係にも似ています。 もう1つ、医者選びは自分と価値観が似ているかどうかも重要です。例えば、もう延命は望まないと思っているのに、主治医が延命を勧めたら、ストレスになってしまいます。 もう治療はここまでという私に対し、じゃあこのくらいにして、あとは様子を見ましょう、と言ってくれる医者でなくてはいけないのです。 こんな私と相性や価値観の似た医者というのはあまりいないのですが、中川さんはその期待に応えてくれたと思います。大変、お世話になりました』、「養老」氏と「相性や価値観の似た医者というのはあまりいない」。しかし。「養老」氏の強味は教え子のなかからよりどりに選べることだ。
・『医療のIT化が進むことで失われるもの  相性のよい中川さんに診てもらったことで、大きなストレスを抱えることなく、病院にいることができました。また中川さん以外の医師や看護師の対応もよかったと思います。 しかし、できることなら病院に行きたくないという思いは変わりません。中川さんに対しては意地悪な言い方になるかもしれませんが、先述したように、現代医療を受けるということは、現代医療のシステム全体に組み込まざるをえないからです。 現代医療は統計が支配する世界です。例えば、がんの5年生存率という言い方があります。5年生存率は、がんが治ったと見なされる数字です。患者さんから集められたこうした数字をデータとして集め、情報化するのが現代医療です。いわゆる医療のIT(インフォメーション・テクノロジー)化、そして目指すのは医療のAI(人工知能)化でしょう。 私が東大医学部にいた頃は、そうではなかったので、医療は経験に頼らざるをえませんでした。だから聴診器で胸の音を聴いたり、顔色を見たりすることが重要だったわけです。 その時代の医療から、情報化された医療に変わってきたのは、1970年代あたりからではないかと思っています。 医療のIT化が進むことによって失われるものがあります。患者の生き物としての身体よりも、医療データのほうが重視されるようになることです。それを突き進めると、われわれの身体がぜんぶ管理されてしまうことになります。そんなことを、私は25年くらい前に東大で講義した記憶があります』、「医療のIT化が進むことによって失われるものがあります。患者の生き物としての身体よりも、医療データのほうが重視されるようになることです」、確かにその通りだろう。
・『現代医療が扱うのは人工身体  その講義で話した通り、医療の情報化はどんどん進んできました。す。今の医者はパソコンの画面しか見ないとか言う人もいますが、それは当然なのです。データ化されていない、胸の音とか顔色がどうとかいうのは診療の邪魔になりま 逆にいえば、人間の観察力を信用していないということです。それでいて、数字に基づく理屈を信用しているのが不思議です。その理屈も人間の頭が考えているのですから。 医学や生物学を始め、いろんな学問は、私がやっていた解剖学の手法がベースになっています。その元になったのは何かというと、「物を見る」ということです。具体的に物を見るというのはいったいどういうことなのでしょうか? 情報化される前の医学は、ヒトそのものを見ることが重要視されていました。それで思い出したのが、東大病院で学生に口述試験を行ったときのことです。 頭の骨を2個、机の上に置いて、学生に「この2つの骨の違いを言いなさい」というのが試験内容でした。 するとある学生が、1分ぐらい黙って考えた末に、「先生、こっちの骨のほうが大きいです」と答えたのです。 ヒトの骨は1つとして同じものはありません。その学生には、大きさ以外の差は目に入っていなかったというか、目の前にある物を見て考える習慣がゼロだったということです。当時であれば、医者の資質に欠けているといっても過言ではありません。しかし、現在では、こういう学生も医者になれるのかもしれません』、「医学や生物学を始め、いろんな学問は、私がやっていた解剖学の手法がベースになっています。その元になったのは何かというと、「物を見る」ということです」、初耳だが、言われてみればそんな気もする。
・『現代医療が切り捨てる、生身の生き物の「ノイズ」  以前の医療が扱っていたのは現実の身体でしたが、今の医療が扱うのは人工身体です。現実の身体はもともとあるものです。これに対して、「人工」というのは頭の中で組み立てたものです。人工身体ばかりを見ていると、現実の身体というのはノイズだらけに見えてきます。 医療のIT化が進むと、ノイズは徹底的に排除され、統計的なデータに基づく確率に支配されていきます。病名を特定するときは、より確率の高いものから調べていきますし、治療法もより確率の高い治療法を選びます。 今回、病院に行ったときも、中川さんはまず15kgの体重減少という症状から、糖尿病かがんを疑いました。心筋梗塞が見つかったのは念のためにとった心電図の異常な波形を見たからだそうです。心筋梗塞は普通、激しい胸の痛みがあるのに、私はまったく痛みを感じませんでした。もしかしたら見逃されていた可能性があります。 このように、統計的データを重視する医療は、確率の低いケースを、ないものと見なすことにもつながっていくのです』、「医療のIT化が進むと、ノイズは徹底的に排除され、統計的なデータに基づく確率に支配されていきます。病名を特定するときは、より確率の高いものから調べていきますし、治療法もより確率の高い治療法を選びます」、ここまでくると医学というより、統計的処理の進歩で、何となく味気ない。
タグ:医療問題 東洋経済オンライン 養老 孟司 PRESIDENT ONLINE 権丈 善一 (その29)(森元首相も受ける人工透析 日本で増え続けるのはなぜ?、コロナ禍の今 日本医療の特徴を考えてみる この国の医療の形はどのように生まれたのか、ソフトバンクがオンライン診療に勝算見込む訳 孫正義氏が巨額を投じた中国企業と合弁設立、養老孟司「生死をさまよい 娑婆に戻ってきた」病院嫌いが心筋梗塞になって考えたこと 健康診断も医療も避け続けた理由) 読売新聞のyomiDr 「森元首相も受ける人工透析 日本で増え続けるのはなぜ?」 「2019年2月から、森氏は人工透析を受けるようになりました」、初めて知った。 「感染症」は当然としても、「心不全」のリスクも高まるとは意外だ。「いったん始めれば、もうそれまでの日常生活には戻れない」、というのもつらい選択だろう。 腎不全の危険がある糖尿病だが、透析は受けないと決めた 「透析が苦痛になって途中でやめると」、「水分が一気にたまり、全身に痛みが回り、のたうち回ったりします」、悲惨なようだ。「糖尿病を患」っている筆者が「透析は受けないと決めた」、内情に通じた「医師」ならではの決断だ 「様々な延命治療を続けると、最終的に体は水ぶくれで太っていき、ご遺体は丸太のように膨らみます」、ぞっとする 「腎不全で人工透析が必要になった場合、それを積極的に勧めるのは、日本の医者だけ」、「欧米では透析は腎臓移植へのつなぎ医療という位置付け」、「医師」を儲けさせる手段になっているとは、困ったことだ 「医師」にとっては儲ける手段になっているのでは、「患者」に「人工透析」のデメリットを詳しく説明することはしないだろう。メリット、デメリットを詳しく解説したパンフレットに基づいて、「医師」から説明を受けるようにすべきだろう 「コロナ禍の今、日本医療の特徴を考えてみる この国の医療の形はどのように生まれたのか」 『社会保障制度改革国民会議』(2013年)の報告書には、「医療問題の日本的特徴」という項目 公的所有主体の欧米、私的所有主体の日本 占領期にGHQが与えた影響 「社会保障制度審議会の1956年勧告では、「いやしくも公的資金により開設設置される病院については その施設は単に当該病院の専有物にせず、医療機関相互の利用を認め、その有機的な連携をはかるとともに、施設設備に対する重複な投資を避けさせしめることが望ましい」との方針が提示されていた」、無駄な投資抑制に向けた画期的な考え方だが、今はどうなっているのだろう 「病床規制」「導入」は、「公的病院」先で、「民間病院」は「23年後」、どうして格差が生じたのだろう 歴史的経緯が作っていった日本の医療のかたち 「病院規模は中小規模でとどまってきた」、効率性での問題点の指摘はなかったのだろうか。 「地域医療構想と地域包括ケアは「車の両輪」であるとか、地域医療構想・医療従事者の働き方改革・医師偏在対策を加えて「三位一体改革」、などを着実に推進してほしいものだ。 「ソフトバンクがオンライン診療に勝算見込む訳 孫正義氏が巨額を投じた中国企業と合弁設立」 「へルポのデータはすべて日本国内のサーバーに保管され、平安側がアクセスできない体制を取っているという」、のであれば、合弁先の「平安好医生」の影響は遮断されているようだ。 「ソフトバンク」にとって、実業に近い部分で「次の柱」に育つとすれば、安定的基盤を若干なりとも強化することにつながるだろう 養老孟司「生死をさまよい、娑婆に戻ってきた」病院嫌いが心筋梗塞になって考えたこと 健康診断も医療も避け続けた理由」 養老孟司、中川恵一『養老先生、病院へ行く』 医者の不養生の典型の「養老」氏では何が飛び出しても驚かない。 さすが、解剖学の大家ならではの感覚だ。 「現代の医療システムに巻き込まれたくないからです。このシステムに巻き込まれたら最後、タバコをやめなさいとか、甘いものは控えなさいとか、自分の行動が制限されてしまいます。コロナで自粛しているのに、さらなる自粛が「強制」されるようなものです」、なるほど理解できた。 眠気と心臓病は関係あるのだろうか。 「心筋梗塞」で緊急手術とは、よほど切迫した病状だったのだろう。 生死をさまよい、娑婆に戻ってきた 「病院から出るには2つの出口があります。1つは阿弥陀様から「お迎え」が来て、他界へと抜け出ます。もう1つは、娑婆しゃばに戻ります。現在の病院は後者の機能が大きくなっています」、面白い表現だ 「今までがん検診を受けたことがありませんから、82歳ならがんの2つや3つあっても不思議はありません」、医学的なことは全て承知している患者というのは、医師や看護士も騙すことができないので、やり難いのだろうか 「養老」氏と「相性や価値観の似た医者というのはあまりいない」。しかし。「養老」氏の強味は教え子のなかからよりどりに選べることだ。 「医療のIT化が進むことによって失われるものがあります。患者の生き物としての身体よりも、医療データのほうが重視されるようになることです」、確かにその通りだろう。 「医学や生物学を始め、いろんな学問は、私がやっていた解剖学の手法がベースになっています。その元になったのは何かというと、「物を見る」ということです」、初耳だが、言われてみればそんな気もする 「医療のIT化が進むと、ノイズは徹底的に排除され、統計的なデータに基づく確率に支配されていきます。病名を特定するときは、より確率の高いものから調べていきますし、治療法もより確率の高い治療法を選びます」、ここまでくると医学というより、統計的処理の進歩で、何となく味気ない。
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健康(その14)(精神科医が語る「うっせぇわ現象」の読み解き方 若者をメンタル不調からどう守れるか、精神科医が「絶対にやるべきだ」と断言する朝のベスト習慣) [生活]

健康については、1月31日に取上げた。今日は、(その14)(精神科医が語る「うっせぇわ現象」の読み解き方 若者をメンタル不調からどう守れるか、精神科医が「絶対にやるべきだ」と断言する朝のベスト習慣)である。

先ずは、3月16日付け東洋経済オンラインが掲載した国際ジャーナリストの高橋 浩祐氏による「精神科医が語る「うっせぇわ現象」の読み解き方 若者をメンタル不調からどう守れるか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/416734
・『世界でメンタルヘルス(心の健康)の問題が深刻化している。世界保健機関(WHO)によると、世界では毎年約80万人が自殺している。これは40秒ごとに1人が自ら命を絶っている計算になる。いうまでもないことではあるが、自殺は家族や友人、コミュニティーに深い悲しみと計り知れない衝撃をもたらす。 WHOはさらに若者の死亡の主要な要因の1つが自殺と指摘している。日本ではコロナ禍で子供たちの自殺が大幅に増加している。2020年に自殺した小中高校生は479人に達し、過去最多となった。 アメリカでもコロナ禍で若者がうつ病になるリスクが増えている。ウォール・ストリート・ジャーナルの2020年8月12日付の記事によると、アメリカ大学保健管理協会(ACHA)などが昨年3月末から5月にかけて学生1万8764人を対象に実施した調査では、大学生の約41%がうつの症状を報告した。自殺のリスクも2019年秋の25%から27.2%に上昇したという。 筆者は昨年1月から2月にかけ、日本人約120人を含む、世界11カ国の青年約240人が参加する内閣府主催の「世界青年の船」に日本ナショナルリーダー(NL)として参加し、客船「にっぽん丸」に乗船した。その際、船上でもメンタルヘルス問題がグローバルな課題として大いに議論された。 大切な命を救い、そして、若者の精神衛生を支えるために、私たちはいったい何をどうすればよいのか。現代社会の若者のメンタルヘルスや自殺の動向を見極め、対策を考えるために、精神科医の木村好珠さんに話を聞いた。木村さんはJリーグアカデミーなどのメンタルアドバイザーを務めている。 木村さんは、今はやりのAdoさんの曲「うっせぇわ」と尾崎豊さんの1980年代のヒット曲「15の夜」とを対比し、今どきの若者は鬱憤の晴らし方がより内側にこもり出していると指摘した(Qは聞き手の質問、Aは木村氏の回答)』、厚労省の自殺白書によれば、15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺、この世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国(G7)では日本のみのようだ。「Adoさんの曲「うっせぇわ」」は初耳なので、YouTubeで観てみたら、衝撃的な内容だ。確かに「鬱憤の晴らし方がより内側にこもり出している」のかも知れない。
https://www.youtube.com/watch?v=Qp3b-RXtz4w
・『自己主張を苦手とする日本人の気質  Q:日本は、東アジアでは韓国に次ぎ、自殺が多い国となっています。まず、この要因についてどのようにご覧になっていますか。 A:日本人の気質によるものがいちばん大きいと思います。性格的な面で完璧主義であったり、なかなか人に物も言えなかったりする社会の雰囲気があります。自分の意見を言うことがすごく難しくなっています。 本当は自分の意見を言うことは全然間違っていることではないし、人に批判されることでもない。しかし、自分の意見を言うことがなかなかできない人が多い。「言うと嫌われるのではないか」と思い、自己主張を苦手にしている。そうすると、心の中にどんどんと(ストレスや鬱憤が)たまっていってしまう。 若者の間に「うっせぇわ」という曲がとてもはやっています。現役女子高生シンガーAdoさんが歌っており、中高生や子どもたちの間で大ヒットしています。毒々しい歌詞と社会ルールに反抗する過激さが表されています。でも、もともと「うっせぇわ」という言葉自体は上品ではないし、今すごく問題になっています。「うっせぇわ」と叫び続けていることもよくないです。 ただ、私は、この曲が日本の若者たちが抱えている、心の叫びの1つなのだろうなと思っています。曲の内容は、簡単に言ってしまうと、もともと優等生で、気がついたらそのまま大人になっていた。ルールとかマナーとかそんなの糞くらえだ!みたいな感じの曲です』、「うっせぇわ」は、「もともと優等生で、気がついたらそのまま大人になっていた。ルールとかマナーとかそんなの糞くらえだ!みたいな感じの曲」、確かに「毒々しい歌詞と社会ルールに反抗する過激さが表されています」。
・『精神科医の木村好珠さん  先日Noteにも書いてまとめたのですが、昔の尾崎豊さんの時代なら、バイクを盗んで走り出すといったように行動に表すことができた。しかし、今は、親に言われるがまま優等生のように育って、自分の本音を吐き出すことが苦手な人も多い、と私は考えています。 親など大人に何かを自分から言ったとしても、結局、「それはダメだから」とか「何とかしなさい」と言われて終わってしまう。そして、「自分がどうしたいから、これをやったのか」とか「なんでこれをしたのか」といった理由には触れずじまいになる。結果として、自己主張することがすごく苦手になってしまいます。 ですので、そのまま大人になって、急に自己の意見を出せと言われても、それは無理な話です。なかなか人には伝えられない、自己主張できなくなっているんです。 そんな中で、SNSという空間では、相手が不特定なので自分自身を吐き出すことができる。SNSは匿名性があるので、そういう人がますます集まってくるわけです。そうすると、心理学的に「リスキーシフト」という言葉があるのですが、匿名性がある中で、どんどん考えが偏っていく。そして、「私みたいな人がこんなにたくさんいる」と同調し、気持ちがさらに膨らんでいく。こうしたことが若者のメンタルにも影響していると思います』、「SNSは匿名性があるので、そういう人がますます集まってくるわけです。そうすると」、「どんどん考えが偏っていく(心理学的に「リスキーシフト」)。そして、「私みたいな人がこんなにたくさんいる」と同調し、気持ちがさらに膨らんでいく。こうしたことが若者のメンタルにも影響」、極めて危険な社会現象で、日常的に発生している。
・『自分の長所も見つけられなくなっていく  Q:「ネットいじめ」の問題もそうした背景があるように感じます。私がかつて留学していたアメリカでは、みんなの前で自己主張ができる若者を育てるために、スピーチやディベートの教育を実践していたことを思い出しました。日本も早い段階からその実践教育をやるといいでしょうか。 A:大事だと思います。日頃スポーツメンタルの分野にも関わっているのですが、子どもたちには最初に「自分の長所と短所を言って」と聞くようにしています。 すると日本人は長所が言えないんです。自慢していると周囲に思われるから、遠慮して言えないんです。自分のアピールをすることがすごく苦手。日本は謙遜の文化で、自分の長所を言ったら「出る杭は打たれる」というような雰囲気があり、これは子どもの世界にもあります。 無理してアピールする必要はないかもしれませんが、自分の長所という事実があるのであれば、それはありのままの自分ですから、隠す必要もないと思います。 そうしていく弊害は、自分のよい部分も見つけようともしなくなることです。悪いことばかり気にかける。そういう日本の文化には問題があるように思います。若者が「私っていう存在がいてもいいんだ。私ってこんなすごいことがあるんだ」というふうに思えなくなりかねない、1つの原因かなと思います。 Q:確かに私もアメリカでは自分の長所を隠すどころか、Sell yourself!(自分を売り込め!)の精神を教わりました。あと、日本では人と違ったことをすると、「人様に迷惑をかけるからやめなさい」と親に言われることが多いと思うのですが、英語のmake a difference(違いを見せる)は人と違ったことをしてよいといったポジティブな意味があります。大きな違いですね。 A:そうですね。日本では個性的という言葉がよい意味で使われないことが多いですよね』、「自分の長所という事実があるのであれば、それはありのままの自分ですから、隠す必要もないと思います。 そうしていく弊害は、自分のよい部分も見つけようともしなくなることです。悪いことばかり気にかける。そういう日本の文化には問題があるように思います」、同感である。
・『優等生でいても、自分のやりたいことがわからない  Q:コロナによる影響もあると思われる中、若者はメンタルヘルスをどのように良好に改善していったらいいのでしょうか。長期と短期でいろいろと対策があるとは思うのですが。 A:長期的な面でいえば、やはり自分の意見をきちんと言える子どもたちを育てることが重要だと思います。私の患者さんは結構10代が多いのです。彼ら彼女らは「生きている意味がわからない」とよく言っています。 Q:その子たちの家庭の状況はどうなのでしょうか。 A:とくにそうした問題はない家庭のお子さんも多いのです。以前でしたら、家庭が崩壊している子が多かったのですが、最近はそうでもありません。 先ほどの「うっせぇわ」の曲のように、優等生でいた子は、あれしなさい、これしなさいと言われて生きてきた結果、自分が何をしたいかということに向き合わないできた子がとても多くいます。優等生で褒められて生きてきた分、なんとなく自分は何でもできると思っている場合もあります。 でも、実際には自分が何をやりたいのかが見つかっていない人が多くいます。いざ大学に入って、そのことに気づく。そして、「自分は何をしたいだろう。生きている意味って何だろう」と考えこんでしまう子が一定数いるのです。大人もそこに焦点を絞った質問をしっかりと聞いてこなかったのでしょう。 そうして、大学受験に落ちたり挫折に直面すると、どうしていいかわからなくなってしまうのです。もともと親に言われたように生きてきて、何かできると思っていたのに、失敗したときにどう改善すればよいのかがわからない。ここで、うつ病になってしまう子もいます。 Q:大学生に聞いても、将来何がやりたいかが見つかっていない子はかなりいるように感じます。 A:私の患者さんの中には10代の発達障害の子もいます。彼らの悩みの1つは、コロナでリモート環境になり、いきなり自分で予定を立てなくてはならなくなったことです。 大学に通学していれば、授業がコマになっているし、友達がいるので「次の授業は一緒に受けようね」といったふうになる。授業を決めるときも友達と相談しながら、決められる。 でも、いざリモートになると、人と相談もできず、全部自分で選択し、計画も立てないといけない。それが苦しいというんです。 それを急になんとかせよといっても難しい面があります。そこで一緒にスケジュールを立てたりしています。そうしたところから、やっていくことなのかなと思います』、「自分が何をやりたいのかが見つかっていない人が多くいます。いざ大学に入って、そのことに気づく。そして、「自分は何をしたいだろう。生きている意味って何だろう」と考えこんでしまう子が一定数いるのです・・・大学受験に落ちたり挫折に直面すると、どうしていいかわからなくなってしまうのです」、困ったことだ。
・『インタビューを終えて  現役医師で、キッズ・ジュニア年代のサッカー選手のメンタルアドバイザーも務められる木村好珠さん。話をうかがい、若者のメンタルヘルスを健全に保つためには、若い頃からしっかりと自己表現や自己主張ができ、長所を伸ばす教育が今の日本には必要だと感じた。子どもたちが伸び伸びと育ち、将来の夢や目的意識をしっかりと持てるような社会環境を整えていくのは、大人たちの役割だろう。 また、心が病む人々を社会で支える環境整備が重要だろう。精神科医の樺沢紫苑さんは筆者の取材に対し、「自殺の原因は心理的『孤立』『孤独』です。家族と住んでいても、あるいは遊び友達がいても、心を打ち明けられなければ『孤立』『孤独』の状態です」と指摘する。 さらに、「自殺の予防は『孤立』『孤独』の逆。つまり、『つながり』と『コミュニケーション』です。『相談』というとハードルが高くなるので、とにかく『話す』こと。それが、『ガス抜き』となり、自殺のエネルギーを減らします。今のコロナ禍で、リアルのコミュニケーション量が大きく減っている。自殺の増加につながってくるのは当然です。意識的に、人とつながっていくことが重要。SNSでのメンタル疾患の予防効果は限定的なので、特にリアルコミュニケーションによるガス抜きが重要と考えます」と話す。 コロナ禍の外出自粛下、いかにリアルなコミュニケーションの機会を確保していくか。孤立・孤独からの解放のアイデアが問われている。 
NPO法人自殺対策支援センターライフリンクいのちSOS 0120-061-338
公的な相談機関につながる「こころの健康相談統一ダイヤル」 0570-064-556
24時間対応の「よりそいホットライン」 0120-279-338
「いのちの電話」 0570-783-556
18歳までの子どもを対象とした「チャイルドライン」 0120-99-7777
子ども向けの相談窓口の「24時間子供SOSダイヤル」(年中無休) 0120-0-78310(なやみ言おう)
文部科学省が子どもの相談先の一覧をまとめたホームページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm
厚生労働省が設けているさまざまな相談機関を検索できるサイト http://shienjoho.go.jp/』、
「若者のメンタルヘルスを健全に保つためには、若い頃からしっかりと自己表現や自己主張ができ、長所を伸ばす教育が今の日本には必要だと感じた」、「自殺の予防は『孤立』『孤独』の逆。つまり、『つながり』と『コミュニケーション』です・・・『話す』こと。それが、『ガス抜き』となり、自殺のエネルギーを減らします』、同感である。

次に、4月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した精神科医、作家の樺沢 紫苑氏による「精神科医が「絶対にやるべきだ」と断言する朝のベスト習慣」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/267831
・『コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。 ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。 19万部を突破した『ストレスフリー超大全』で、著者の精神科医・樺沢紫苑氏は、ストレスフリーに生きる方法を、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介した。 「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫る――(この記事は2020年7月3日付け記事を再構成したものです)』、「ストレスフリーの本質に迫る」、とは興味深そうだ。
・『「朝の30分」で人生が変わる  いま、YouTubeなどで有名人によるモーニングルーティンが話題ですが、精神科医としておすすめの最高のモーニングルーティンがあります。 それが、「朝散歩」です。 方法は簡単です。朝起きてから1時間以内に15~30分の散歩をするだけです。それだけで、セロトニンが活性化し、体内時計がリセットされ、「副交感神経」から「交感神経」への切り替えがうまくいき、自律神経が整えられます。 ストレスフリーを目指すのに、こんなに効果的な健康習慣はありません』、「朝起きてから1時間以内に15~30分の散歩をするだけです。それだけで、セロトニンが活性化し、体内時計がリセットされ、「副交感神経」から「交感神経」への切り替えがうまくいき、自律神経が整えられます」、ずいぶん簡単なようだ。
・『朝散歩の科学的根拠とは  私は25年間以上、精神科医として、メンタル疾患が治りやすい人と治りにくい人の特徴を観察してきました。メンタル疾患が治りにくい人の特徴は、「昼まで寝ている」ことです。 実際に「昼まで寝ている」という患者さんが、「朝散歩」をはじめた途端に、症状が急激に改善する事例を多数観察し、現在では一般の人にも「朝散歩」をおすすめしています。何年も治らなかったうつ病やパニック障害などのメンタル疾患が、朝散歩をするようになってから「ものすごくよくなった」という報告をたくさんいただいています。 メンタル疾患がない人でも「朝散歩」をすることで、午前中の仕事のパフォーマンスがアップし、睡眠も深くなる効果が得られます。 朝散歩は健康になるためのすべての要素を含んでいます。朝散歩は、メンタルにおける最強の健康法といっていいのです。 朝散歩が効果的である科学的な理由を3つ紹介しましょう』、「何年も治らなかったうつ病やパニック障害などのメンタル疾患が、朝散歩をするようになってから「ものすごくよくなった」という報告をたくさんいただいています」、確かに効き目はバツグンのようだ。
・『(1)セロトニンの活性化 セロトニンは、「朝日を浴びる」「リズム運動」「咀嚼」によって活性化します。朝の散歩は、「朝日を浴びる」「リズム運動」(ウォーキングなどの規則的なリズムを刻む運動)の2つを兼ねているので、セロトニンを十分に活性化することができます。 セロトニンは、覚醒、気分、意欲と関連した脳内物質で、セロトニンが低下するとうつ的になります。セロトニンが活性化すると、清々しい気分となり、意欲がアップし、集中力の高い仕事ができます。 そして、セロトニンを材料に夕方から睡眠物質のメラトニンが作られます。セロトニンが十分に分泌されることで、結果、夜の睡眠が深まるのです。 普通の人でも、仕事が忙しくてストレスフルな生活をしていると、セロトニンを分泌するセロトニン神経が弱ってきます。朝散歩によって、毎日、セロトニン神経をしっかり活性化することで、ストレスを受け流し、脳の疲労を回復できます』、「セロトニンが活性化すると、清々しい気分となり、意欲がアップし、集中力の高い仕事ができます。 そして、セロトニンを材料に夕方から睡眠物質のメラトニンが作られます。セロトニンが十分に分泌されることで、結果、夜の睡眠が深まるのです」、万能の有難い物質のようだ。
・『(2)体内時計のリセット 人間には体内時計があり、平均24時間10分前後といいます。体内時計をリセットしないと、毎日10分ずつ寝つきの時間が遅くなり、昼夜逆転生活となってしまうのです。 体内時計をもとに、睡眠、覚醒、体温、ホルモン、代謝、循環、細胞分裂などがコントロールされているので、体内時計がズレると、「指揮者のいないオーケストラ」のように体内がバラバラの状態になり、高血圧、糖尿病、がん、睡眠障害、うつ病など、さまざまな病気の原因となります。 体内時計をリセットするには、太陽の光(2500ルクス以上)を5分浴びるのが効果的です。だからこそ、朝に外に出ることがいいのです』、「体内時計がズレると、「指揮者のいないオーケストラ」のように体内がバラバラの状態になり、高血圧、糖尿病、がん、睡眠障害、うつ病など、さまざまな病気の原因となります」、「太陽の光」できちんと「リセット」するのが大切なようだ。
・『(3)ビタミンD生成 ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にするホルモンです。ビタミンDは、非常に欠乏しやすい栄養素として知られ、日本人の8割がビタミンD不足ぎみで、4割で欠乏していると言われます。 ビタミンDが欠乏すると、骨粗鬆症になります。骨粗鬆症になると、ちょっとした転倒で簡単に骨折します。骨折するとしばらく安静が必要なため、一気に筋肉が衰えます。高齢者の場合は、それがきっかけで「要介護」「寝たきり」になる人も多いのです。 ビタミンDは食事から摂取もできますが、必要量の半分は自分で生成することができます。原料は「紫外線」です。皮膚に日光(紫外線)が当たると、ビタミンDが生成されます。 15~30分の朝散歩をすれば、1日に必要な量のビタミンDの生成が行われます。紫外線が気になる女性も多いでしょうが、だからこそ日差しの強い昼ではなく、日光が比較的弱い朝がベストなのです』、「ビタミンDは食事から摂取もできますが、必要量の半分は自分で生成することができます・・・皮膚に日光(紫外線)が当たると、ビタミンDが生成されます。 15~30分の朝散歩をすれば、1日に必要な量のビタミンDの生成が行われます。 以上をまとめると、メンタル疾患のある人から、夜の寝つきが悪い人、仕事でパフォーマンスを上げたい人まで、すべての人に朝散歩がおすすめです。少しでも身体的・メンタル的に不調がある人は、必ず習慣として取り入れてください」、重要なことだ。
・『具体的な朝散歩の方法(基本的な方法は、「起床後1時間以内に、15~30分の散歩を行う」です。午前中(できれば10時まで)に行いましょう。雨の日でも効果があります。サングラスはかけず、紫外線を防御しすぎないのがポイントです。 健康な人であれば、15分ほどでセロトニンが活性化します。「メンタル疾患のある人」「メンタルが弱っている人」「睡眠に問題がある人」などであれば、セロトニン神経が弱っている可能性が高いので、30分を目安にしてください。 ただし、30分を超えるとセロトニン神経が疲れてしまい、逆効果になるので注意しましょう。 また、起きて3時間以上が経ってから朝散歩をすると、体内時計が後ろに3時間ズレてしまうので逆効果です。必ず、起きて1時間以内に行ってください。 健康な人の場合は、室内でも日光の入る明るい部屋にいれば、ある程度体内時計はリセットされます。しかし、体調の悪い人、メンタル不調の人は室内では不十分ですので、起床後、1時間以内に屋外に出るべきです。 朝散歩の後には朝食を食べましょう。朝食を食べることで、さらに「脳の体内時計」と「体の体内時計」のズレが補正されます。 また、よく噛んで朝ご飯を食べましょう。「咀嚼」もリズム運動なので、それだけでセロトニン神経を活性化します。 「リズム運動」であれば、セロトニンは活性化するので、悪天候で外に出られないときは、室内で「ラジオ体操」で代用してもいいでしょう』、私も「朝散歩」を実践しているが、「30分を超えるとセロトニン神経が疲れてしまい、逆効果になるので注意しましょう」、はショックだ。というのも、私の時間は1時間半と長すぎ、朝食後なのも、推奨の形とは違っている。私は午後の散歩と合わせて1万歩を目標にしているので、とりあえず、このままでいくつもりだ。
・『さらに効果的な方法  朝散歩なので、ジョギングをする必要はありません。歩くときの「リズム」が重要なので、「ワン、ツー、ワン、ツー」と同じテンポでリズミカルに歩きましょう。体力に余裕のある人は、「早歩き」で軽快に歩くといいでしょう。 先ほど、午前中(できれば10時まで)にすべきだと書きましたが、それは午後に散歩しても、セロトニン活性効果が小さいからです。 体内時計がリセットされてから、15~16時間後にメラトニンが分泌されて「眠気」が出ます。逆算すると、午前7時に体内時計をリセットすると、22~23時に眠気が出るということです。午前8時に体内時計をリセットすると、23~24時に眠気が出ます。だから、午前11時に朝散歩をすると、体内時計のリセットが遅れてしまいます。 サングラスをかけるのがNGなのは、セロトニン神経が活性化するためには、ある程度の明るさの光が「網膜」から入らないといけないからです。 また、肌を覆う紫外線対策(UVクリームなども含む)をすると、ビタミンDは活性化しません。注意しましょう』、なるほど。
・『まずはハードルを下げて習慣化しよう  朝散歩をするといっても、「朝5時に起きなさい」ということはありません。「朝の調子が悪い人」「お疲れモードの人」「メンタル疾患の人」が、無理して早起きをすると、逆に調子を崩す可能性があります。最初は、自分に無理のない時間に起きて、その時間から朝散歩をすれば十分です。 毎日するのがベストですが、週1~2回でも、やっただけ効果があります。不定期でも、徐々に朝の目覚めがスッキリと改善していきます。 テンポよく「リズム」に集中するために、音楽を聴きながら歩くのもいいでしょう。好きな音楽であれば、寝起きの気分も上がるでしょう。 どうしても歩くのがしんどい場合、ベランダや庭に出て日向ぼっこをすることからはじめましょう。そこから、5分の散歩、10分の散歩、15分の散歩……と、少しずつハードルを上げていけばOKです。やればやっただけ効果が出ます。(樺沢紫苑略歴はリンク先参照)』、それにしても、「30分を超えるとセロトニン神経が疲れてしまい、逆効果になる」、というのはやはり気になる。もっと他の意見も調べてみるつもりだ。場合によって、改めて取上げるかも知れない。
タグ:健康 東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 高橋 浩祐 樺沢 紫苑 (その14)(精神科医が語る「うっせぇわ現象」の読み解き方 若者をメンタル不調からどう守れるか、精神科医が「絶対にやるべきだ」と断言する朝のベスト習慣) 「精神科医が語る「うっせぇわ現象」の読み解き方 若者をメンタル不調からどう守れるか」 厚労省の自殺白書によれば、15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺、この世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国(G7)では日本のみのようだ。 「Adoさんの曲「うっせぇわ」」は初耳なので、YouTubeで観てみたら、衝撃的な内容だ。確かに「鬱憤の晴らし方がより内側にこもり出している」のかも知れない。 「うっせぇわ」は、「もともと優等生で、気がついたらそのまま大人になっていた。ルールとかマナーとかそんなの糞くらえだ!みたいな感じの曲」、確かに「毒々しい歌詞と社会ルールに反抗する過激さが表されています 「SNSは匿名性があるので、そういう人がますます集まってくるわけです。そうすると」、「どんどん考えが偏っていく(心理学的に「リスキーシフト」)。そして、「私みたいな人がこんなにたくさんいる」と同調し、気持ちがさらに膨らんでいく。こうしたことが若者のメンタルにも影響」、極めて危険な社会現象で、日常的に発生している 「自分の長所という事実があるのであれば、それはありのままの自分ですから、隠す必要もないと思います。 そうしていく弊害は、自分のよい部分も見つけようともしなくなることです。悪いことばかり気にかける。そういう日本の文化には問題があるように思います」、同感である 自分が何をやりたいのかが見つかっていない人が多くいます。いざ大学に入って、そのことに気づく。そして、「自分は何をしたいだろう。生きている意味って何だろう」と考えこんでしまう子が一定数いるのです 大学受験に落ちたり挫折に直面すると、どうしていいかわからなくなってしまうのです」、困ったことだ 「若者のメンタルヘルスを健全に保つためには、若い頃からしっかりと自己表現や自己主張ができ、長所を伸ばす教育が今の日本には必要だと感じた」、「自殺の予防は『孤立』『孤独』の逆。つまり、『つながり』と『コミュニケーション』です 『話す』こと。それが、『ガス抜き』となり、自殺のエネルギーを減らします』、同感である。 「精神科医が「絶対にやるべきだ」と断言する朝のベスト習慣」 「ストレスフリーの本質に迫る」、とは興味深そうだ 「朝起きてから1時間以内に15~30分の散歩をするだけです。それだけで、セロトニンが活性化し、体内時計がリセットされ、「副交感神経」から「交感神経」への切り替えがうまくいき、自律神経が整えられます」、ずいぶん簡単なようだ 「何年も治らなかったうつ病やパニック障害などのメンタル疾患が、朝散歩をするようになってから「ものすごくよくなった」という報告をたくさんいただいています」、確かに効き目はバツグンのようだ (1)セロトニンの活性化 「セロトニンが活性化すると、清々しい気分となり、意欲がアップし、集中力の高い仕事ができます。 そして、セロトニンを材料に夕方から睡眠物質のメラトニンが作られます。セロトニンが十分に分泌されることで、結果、夜の睡眠が深まるのです」、万能の有難い物質のようだ (2)体内時計のリセット 「体内時計がズレると、「指揮者のいないオーケストラ」のように体内がバラバラの状態になり、高血圧、糖尿病、がん、睡眠障害、うつ病など、さまざまな病気の原因となります」、「太陽の光」できちんと「リセット」するのが大切なようだ (3)ビタミンD生成 「ビタミンDは食事から摂取もできますが、必要量の半分は自分で生成することができます 皮膚に日光(紫外線)が当たると、ビタミンDが生成されます。 15~30分の朝散歩をすれば、1日に必要な量のビタミンDの生成が行われます。 以上をまとめると、メンタル疾患のある人から、夜の寝つきが悪い人、仕事でパフォーマンスを上げたい人まで、すべての人に朝散歩がおすすめです。少しでも身体的・メンタル的に不調がある人は、必ず習慣として取り入れてください」、重要なことだ 私も「朝散歩」を実践しているが、「30分を超えるとセロトニン神経が疲れてしまい、逆効果になるので注意しましょう」、はショックだ。というのも、私の時間は1時間半と長すぎ、朝食後なのも、推奨の形とは違っている。私は午後の散歩と合わせて1万歩を目標にしているので、とりあえず、このままでいくつもりだ それにしても、「30分を超えるとセロトニン神経が疲れてしまい、逆効果になる」、というのはやはり気になる。もっと他の意見も調べてみるつもりだ。場合によって、改めて取上げるかも知れない
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子育て(その3)(東大理三に3男1女を合格させた母親の 「超時間術」とは?、子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される、親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ) [生活]

子育てについては、2019年11月2日に取上げた。今日は、(その3)(東大理三に3男1女を合格させた母親の 「超時間術」とは?、子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される、親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ)である。

先ずは、昨年11月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元高校教師で専業主婦の佐藤亮子氏による「東大理三に3男1女を合格させた母親の 「超時間術」とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/252490
・『学受験の最難関である東大理三に、4人のお子さん全員を合格させた佐藤亮子さん。2015年の秋に佐藤さんにお会いして以来、取材や講演などで軽く100回以上お話を伺った。驚くのは話の引き出しの多さだ。 今までに幼児教育の重要性、中学受験や大学受験のサポート方法、子育て論などについてたくさんお話を伺ったが、新著『東大理三に3男1女を合格させた母親が教える 東大に入るお金と時間の使い方』は「お金と時間」という新しい切り口。「佐藤さんはどのようにお金と時間を使ったか」に加え、子どもの学力を伸ばすためのさまざまな佐藤ママメソッドが紹介されている。 第一子であるご長男を授かった時、佐藤さんは「子どもの未来の可能性を拓くために重要なのは教育。本人が希望する道に進めるよう、能力を最大限に伸ばしてあげたい」と思ったという。ご長男が生まれる前から小学校の教科書に目を通し、童謡集を購入するなどの準備を始めた佐藤さんは、教育費は惜しまず、時間の無駄を省いてきた。 わが子の幸せな未来のために学力を伸ばしたい、わが子を東大に入れたいと考える方はもちろんのこと、社会人や専業主婦にとっても役に立つ情報が満載だ。5回に分けて、佐藤さんの魅力、独自の子育て、書籍の特徴などについて紹介したい。(教育ジャーナリスト 庄村敦子) 東京大学学生委員会が調査を実施し、「学生生活実態調査報告書」を公表している。最新の2018年のものをみると、東大生の母親の職業は「無職」が34.2%で一番多い。東大生のご家族の取材をしたときも、専業主婦が多かったように思う。 私の長女が通った都内の中高一貫の女子校は、東大や医学部を目指す生徒が多く、保護者会前のランチのときにお話しすると、専業主婦が思った以上に多かった。 話題は子どもや勉強のことがメイン。定期テストの暗記などを手伝ったり、勉強を教えてあげたりする母親と、「子どもに任せていて、何もしていない」という母親とに分かれた。 中学受験は「親子の受験」だから、親のサポートは必要不可欠だが、中学入学後は、引き続き母親がサポートを続けるご家庭と、子どもに任せるご家庭とに分かれるようだ。 東大理三に3男1女を合格させた佐藤亮子さんは、お子さんが生まれる前からサポートのための準備を始め、大学受験まで全力でサポートを続けた。 「きょうだい平等」を重んじ、中学受験までは同じようにサポートしてきた佐藤さんだが、中学受験以降はお子さんによってサポートの度合いが違った。それはお子さんたちの性格が違うからだ。 佐藤さんによると、ご長男は自分で計画を立て、自分で勉強するタイプで、一番手がかからなかったという。次男さん、三男さん、お嬢さんの勉強にはとことん付き合い、4人のお子さん全員の模試の整理や過去問の製本などのサポートを行った。 私はというと、長女が日能研に通っていた約2年間は仕事をセーブして、懸命に中学受験のサポートを行った。しかし、長女が志望校に合格したあとは、「勉強のやり方も教えたから、頑張って!」といった感じで、ほとんどサポートを行わなかった。セーブしていた仕事を増やしたこと、長女が中1のときに母が病気になり、看病のためにたびたび帰省していたことが主な理由だった。 佐藤さんの全力サポートの話を伺うと、「もう少し私がサポートをしてあげれば、もっと楽に勉強できたかな」と感じることもあった。今振り返ると、両親の帰りが遅いときには7歳下の妹の面倒を見てくれることもあり、よく頑張ってくれたと思う。 長女が通った学校の生徒のなかには、「勉強が趣味」「数学の問題を解くのが楽しい」というお子さんも少なくなかった。でも、そうではない子どもの方が世の中では多いだろう。その場合、佐藤さんが実践したようなサポートがあると、無駄な時間を省くことができ、勉強の効率がグンとあがる。 子どもの1日24時間をどのように使わせるか、が重要だ。 佐藤さんの口癖のひとつが「そんなの、時間の無駄でしょ」。著書『東大理三に3男1女を合格させた母親が教える 東大に入るお金と時間の使い方』には、佐藤さんの「時間」に対する考え方や「時間の無駄を省く」方法がたくさん出ている。そのなかのいくつかを紹介しよう』、「東大理三に3男1女を合格させた」、とは確かに凄いことだ。「佐藤さんの「時間」に対する考え方や「時間の無駄を省く」方法」、とは興味深い。
『●子どもの睡眠時間は削らない  睡眠時間を削ると体調を崩しやすいため、佐藤さんはお子さんたちが幼い頃から睡眠時間を大切に確保してきた。受験を目前に控えた冬休み以降も、睡眠不足にならないように十分注意したという。 「寝るときにはしっかりと寝させて、起きている時間は無駄に過ごさせない」というのが、佐藤さんの考えだ。このため、お子さんが勉強にすぐに取りかかれるよう、勉強の計画や準備を担当した』、睡眠時間は、その間に勉強した知識を脳に定着する重要な役割がある。
・『●探す時間は無駄  整理整頓ができていないと、必要なものを探すのに時間を費やしてしまうのは、大人も子どもも同じだ。「必要なものを探すところから始めるという行為ほど無駄なものはない」。そう考える佐藤さんは、100円ショップでクリアケースやクリアファイルを大量に買って、模試の問題と解答、プリントなどを整理整頓した。 お子さんが中高時代には、ご長男は青、次男さんは緑、三男さんは黄色、お嬢さんはピンクとパーソナルカラーを決め、ケースやファイルの背に、それぞれのカラーのビニールテープを貼り、ひと目で誰のものかわかるように工夫した。 また、参考書や問題集を本棚から探し出す手間を省くために、100円ショップで、高さ23cm、幅12cm、奥行35cmのボックスを購入して、それぞれのボックスに英文法、物理などの教科名を大きく書いて本棚に並べた。勉強するときにはボックスごと机に持って行き、脇に置いて利用したため、お子さんたちに喜ばれたという』、「探す時間は無駄」と「整理整頓」に力を入れたのも合理的だ。
・『●子どもの勉強が終わるまでそばにいる  「勉強は孤独な作業だから、子どもたちの勉強が終わるまではそばにいて、絶対に寝ませんでした」と語る佐藤さん。 3人の息子さんが灘に同時在籍していた3年間は、布団での睡眠時間はなんと2時間半! 著書『東大理三に3男1女を合格させた母親が教える 東大に入るお金と時間の使い方』にも出ている「ある日のスケジュール」の表を見てほしい。 息子さんたちと御主人のお弁当を作るため、朝4時半に起床。5時50分までお弁当を作った後、息子さんたちを起こす。7時にお嬢さんを起こして、御主人と3人で朝食。午前中は家事やお子さんのためのオリジナルノート作り。午後1時まで昼食をとって休憩したら、3時まで家事、ノート作り、お嬢さんの中学受験塾のお弁当づくり。それからお嬢さんを車で小学校に迎えに行き、塾まで送った後、近鉄奈良駅へ。 「3人の息子たちは、全員一緒に帰って来ないので、1人を駅から自宅まで送り届けたら、また連絡が入って駅に向かい、ピストン輸送を繰り返していました。子どもを待たせなくないので、早めに駅に行き、車中で爆睡していましたね」と笑う佐藤さんは、待ち時間も有効に使い、身体をいたわっていた。 夕食はピストン輸送の合間に作ることもあれば、日によっては、全員が帰宅してから作り始めることもあったという。夕食をすませた午後8時頃から午前0時までは、家事、ノート作り、勉強のサポート。お子さんの勉強が終わった0時から入浴とお弁当の下ごしらえをして、2時就寝というハードスケジュール!』、「母親」は僅か「2時就寝」とは確かにハードスケジュールだ。
・『次男さんが灘高校を卒業して上京した後は、急激に睡眠時間が増えたという。ご長男が灘中に入学し、お嬢さんが洛南高校を卒業するまでの13年間、ずっとお弁当を作り続けた佐藤さんには、「本当にお疲れ様でした」という想いしかない。 取材で4人のお子さんたちと電話で話したとき、全員が「お弁当作り」に感謝していた。 ご長男は、「毎朝4時半に起きて、お弁当だけではなく、おにぎりも作ってくれました。早朝に家を出ていたため、2時間目が終わった頃にお弁当、お昼におにぎりを食べ、高3の夏までサッカーに打ち込むことができました。勉強のサポートをはじめ、子どもたちのために時間を使ってくれ、子どもたちのやりたいことを尊重し、やらせてくれた母には感謝の気持ちでいっぱいです」と話してくれた。 もちろん、4人のお子さん全員が、教育費を惜しまずに使ってくれたこと、勉強をサポートしてくれたことに対して、異口同音に感謝の言葉を口にした。 佐藤さんのお子さんたちには、大きな反抗期はなかったという。いつも自分たちに寄り添ってくれて、お金と時間を惜しまずに使ってくれたことに感謝しているからだろう』、「子どもたちのために時間を使ってくれ、子どもたちのやりたいことを尊重し、やらせてくれた母には感謝の気持ちでいっぱいです」、「佐藤さんのお子さんたちには、大きな反抗期はなかった」、というのも当然なのかも知れない。

次に、本年3月7日付け東洋経済オンラインが掲載したIWA ACADEMYチーフディレクターの木村 匡宏氏による「子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/413523
・『コロナ禍で、子どもの運動不足や体力低下が懸念されています。基本的な運動は、野球やサッカーなどのスポーツへつながる運動能力をアップさせるのはもちろんのこと、脳の発達を促して学力の向上にもつながると、複合型スポーツ施設を運営するIWAアカデミーチーフディレクターで、トレーナーでもある木村匡宏氏は指摘します。では、どのように運動させるのがよいのでしょうか。『1日5分で運動能力と集中力が劇的アップ 5歳からの最新!キッズ・トレーニング』を上梓した木村氏が、その方法をお届けします』、興味深そうだ。
・『人は脳だけで生きているわけではない 「運動すると頭がよくなる」  こう言われて、どれだけの人がすんなり受け入れられるでしょうか? 運動は身体を使うことであり、それで本当に頭がよくなるの?と疑問に感じる人のほうが多いかもしれません。「頭がいい人=勉強ができる人」→「勉強ができる人は脳が発達している人」。こうやって考えていくと、運動と頭のよさは無関係のように感じるからです。 しかし、人間が脳を使うのは勉強の場面に限ったことではありません。走ったり、歩いたり、ジャンプしたりと、身体を動かす時にも、人間はすべて脳からの指令を受けています。計算問題を解いたり、漢字や英単語を覚えたりすることだけが脳の働きではなく、考える、怒る、泣く、楽しむ……これらの感情の動きもすべて、脳の働きによるものです。 人間にとって脳が極めて大事であることは誰にでも理解できると思いますが、人は脳だけで生きているわけではありません。身体があっての脳であるということを覚えておく必要があります。 とくに子どもの脳は、とてつもない勢いで育とうとしています。人間の脳はバランスよく全体的に発達するのではなく、場所によって司る役割が決まっていて、それぞれが順を追って発達していきます。 まず幼児期に発達するのが、運動をコントロールする「運動野」と呼ばれる場所。その影響で小さな子どもは、とにかく走り回ったりして動きたがります。これは脳が発達するために必要なことで、子どもは動くことで自分の身体を認識して成長していきます。つまり、幼児期から運動に親しませることは、脳の発達から考えても、とても重要なことなのです。 ところが昨今は子どもの運動不足が指摘されています。デジタル機器の普及により、日本では3~6歳の子どもの約半数が日常的にスマートフォンやタブレットを利用していると言います。スマートフォンやタブレットで動画コンテンツを見たり、ゲームをしたりしている時間は、まったく身体を動かしません。 本来、身体を使って遊ぶことが大切な時期に、身体を動かさないことが習慣化すると、深刻な運動不足になっていく危険があり、実際に子どものロコモティブシンドロームも多くみられます。これは単純に身体、運動の発達の問題だけでなく、脳の発達の問題でもあります。前述のように、運動と脳の発達には深い関係があるからです。 子どもがキャーキャー言いながら追いかけっこをしたり、サッカーやドッジボールで夢中になって遊んだりして、楽しく、気持ちよく身体を動かすことは、脳全体のネットワークが高い次元でつながることを促し、それは複雑なことを考える力へとつながっていきます。 夢中で遊んでいる時には、脳ではシナプス同士がパチパチと光を放ちながら、興奮状態に入っています。時間を忘れるくらい夢中になって遊ぶということは、物事に取り組む時の深い集中力を育みます』、「3~6歳の子どもの約半数が日常的にスマートフォンやタブレットを利用している」、「深刻な運動不足になっていく危険」、確かに深刻な問題だ。本来であれば、「夢中で遊んでいる時には、脳ではシナプス同士がパチパチと光を放ちながら、興奮状態に入っています。時間を忘れるくらい夢中になって遊ぶということは、物事に取り組む時の深い集中力を育みます」。
・『興奮を味わった脳のほうがコントロールが効く  興奮させてばかりいると、コントロールの効かない、落ち着きのない子になるのでは?と心配する方もいるかもしれません。これはまったくの逆で、正当な興奮を味わった脳のほうが、むしろコントロールが効くようになります。なぜなら「興奮」を経験することは、同時に「興奮を抑える」という経験を増やすことにもなるからです。 例えるなら、興奮を味わったことがない脳は、徐行運転の経験しかない車のようなもの。それではブレーキの使い方を練習できません。スピードを出すからこそ、ブレーキの使い方がわかるのです。興奮を味わってそれを抑えるというのは、これと同じことです。 ただし、気をつけなければいけないのは興奮の質です。スマートフォンやゲームを使って騒いでいる子どももいますが、そうした興奮は本物の興奮ではありません。スポーツのようにさまざまな感覚、身体のあらゆる場所への刺激を伴う興奮こそが本物の興奮で、子どもの脳の発達を促します。人は身体を動かすことによって、脳の発達が進んでいくのです。 子どもの成長には運動が大事だとわかっても、実際にはどんな運動をすればいいかわからないという人も多いと思います。とくに現在は新型コロナウイルスの影響もあり、制約のあるなかでの生活を余儀なくされ、大人も子どもも運動機会が減少しています。 事実、OECD(経済協力開発機構)をはじめ、多くの調査機関から日本など先進国で「子どもの運動時間、身体を使った遊びの時間が減っている」という報告がされています。 ここで誤解してはいけないのは、必ずしも「運動=スポーツ」ではないということ。ルールのあるスポーツだけが運動ではありません。 大人の場合、通勤で階段や坂道を歩く、買い物をする(荷物を持つ)、洗濯物を干すというように、日常生活の中にも運動はたくさんあります。子どもの場合は、スポーツに必要なスキルなど何も考えずに遊ぶだけでも十分な運動になります。ノンシステマティックにいろいろな遊びをすることで、身体が勝手に動きを吸収していきます』、「興奮を味わった脳のほうがコントロールが効く」、「子どもの場合は・・・ノンシステマティックにいろいろな遊びをすることで、身体が勝手に動きを吸収していきます」、言われてみれば納得できる。
・『日常生活の中に運動機会を取り入れる  「追いかける」「逃げる」「転ぶ」「駆け上がる・下りる」「投げる」「捕る」「打つ」「押す・引く」「よける」「切り返す」……無意識で遊んでいても、身体はいろいろな動きをしています。 日常生活の中に、こうした運動機会を取り入れることが、子どもには必要。それぞれの動作を上手にできるかどうかよりも、まずは機会を与えることが大事なのです。 運動機会を与えれば、子どもは自分の意思で夢中になって取り組み、うまくやるための身体の動かし方を勝手に覚えていきます。 ここで気をつけたいのは、「ああしなさい」「こうしなさい」と、大人が過剰なアドバイスをしてしまうことです。大人は安全を確保して見守っていれば十分。自主的に遊びに取り組むことで、子どもの集中力はどんどん深まっていきます。 自分で考えて取り組み、それを大人に否定することなく励まされれば、身体を通して“よい体験”として子どもの記憶に刻まれます。こうした体験を日常の中で重ねていくことで、脳の欲望や感情を扱う大脳辺縁系を刺激し、運動が「楽しい」「達成感」という意欲につながります。 そして「次は何をやろうかな?」と先の予定を計画しながらイメージを繰り返すことで、さまざまな知的活動を行う大脳皮質を使いつつ、脳全体のネットワークがつながっていきます』、なるほど「運動」は「脳」発達にとって不可欠だ。
・『体育の出席率と東大進学率には相関関係がある  こうして幼少期から運動による刺激を脳に与えながら育った子どもは、脳と身体が健全に発達していきます。運動が習慣化されると、それが勉強にも好影響を及ぼすという事例もいくつかあります。 ある有名私立中高一貫校では、体育への出席率と東京大学への進学率に相関関係があることがデータで導かれました。6年間一度も体育を休まない生徒ほど、東大への合格率が高まるというデータです。 また、0時限目に体育を取り入れた高校で、多くの生徒の成績が上がったという研究結果もあります。こうした事例は、運動することが脳や勉強にもよい影響を与えることの一つの証明と言えるでしょう。 運動能力を高めることで脳の発達を促す。これはまさしく子育ての鉄板とも呼べる一石二鳥大作戦。親として「子どもにはどんな習い事をさせたら将来のためになるか?」と考えるのもよいことですが、難しく考える必要はありません。 思い切り身体を使って遊ばせることで、子どもの身体も脳もしっかり成長していきます』、「体育の出席率と東大進学率には相関関係がある」、確かにその通りなのだろう。

第三に、3月26日付け東洋経済オンラインが掲載した 小児科医・小児神経科医の三池 輝久氏による「親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/417763
・『多くの家庭では、赤ちゃんが夜中に頻繁に目を覚ますことに悩まされています。いったいなぜ夜中に起きてしまうのでしょうか。小児神経科医の三池輝久氏が上梓した『赤ちゃんと体内時計』を一部抜粋・再構成してお届けします。 夜中に頻繁に目を覚まし、睡眠が細切れになる「睡眠の断片化(fragmentation)」は、私の臨床経験ではかなり心配な状態です。新生児期と同様に、眠りの深さが浅いレム睡眠のときに眠りの状態にとどまることができないために起こります。そしてその多くは夜泣き対応の不適切さと、先天的な素質が原因です。 睡眠の断片化は、母親の気分や感情をかなり損ねます。母子関係によい影響を与えず、心ならずも発作的な怒りから子どもに暴力的な行動を起こす危険性も指摘されているので、母子関係悪化の観点からも注視が必要です(Teti DM, 2016)。 非常に不思議で、またとても残念なことに、小児期の睡眠の断片化に関する信頼に足る論文はほとんど見当たりません』、「母子関係によい影響を与えず、心ならずも発作的な怒りから子どもに暴力的な行動を起こす危険性も指摘」、虐待の一因のようだ。
・『1歳を過ぎて夜間に3回以上起きる場合は要注意  私の追跡調査の結果では、睡眠の断片化はかなり大きな問題で楽観視できないものです。眠りの質を著しく低下させ、結果的に睡眠欠乏と同じ状態を作ります。それにより脳の働きのバランスを崩す可能性があるので早期の改善が必要です(Bonnet MH, 2003)。 特に1歳を過ぎても夜間に3回以上覚醒するようなときは、治療も視野に解決を図りましょう。投薬治療のデメリットよりも睡眠欠乏が脳に与える影響を重くみるべきです。 わが国では、夜一度眠りにつくと朝まで目覚めずに眠れるようになるのは、早い子どもでは4〜5カ月から、一般には1歳です。ただその後も1、2回程度の短い時間(数分)の中途覚醒は定型発達の範囲に入りますが、新生児でも、少なくとも2〜4時間程度は持続して眠ることができるので、30分ごと、あるいは1、2時間ごとに目を覚ます中途覚醒は問題と認識する必要があります。 「睡眠持続障害」は、睡眠障害の1つです(Yavuz-Kodat E, 2020)。睡眠の断片化と異なり、一度目が覚めると1時間以上も眠らない状態です。中には睡眠時間が十分でないのに、一度目が覚めると朝まで起きつづける赤ちゃんもいます。 睡眠が長時間分断されると、睡眠時間が不足します。生活のリズムも安定しません。このタイプでは昼間の機嫌や発達の進捗に留意してください。特に日中の様子はどうでしょうか。 不機嫌だったり泣いたりすることが多く、発達指数が境界領域かやや低い場合は、脳機能の発達が抑制されている恐れがあります。その時点で発達に目立った問題がなくても、安心せず新生児のときの様子や詳しい発達の状況を把握しておく必要があります。 なぜなら体内時計にずれや混乱が生じてあらわれた睡眠障害は、すぐに心身の症状がでなくてもあとになって少しずつ問題が起きることが多いからです。繰り返しますが、睡眠持続障害は発達障害の子どもがもつ睡眠障害の特徴の1つです(Krakowiak P, 2008)。専門医の治療を必要とします』、我が家では長女の「夜泣き」が酷く、次女の娘も同様なので、他人事とは思えない。ただ、幸いあとに深刻な影響はなかったようだ。
・『ADHD(注1)と睡眠の関係  「寝つき不眠」「入眠不眠(Sleep onset insomnia)」という言葉の使用は、小児科領域では2000年代から始まりました(Smits MG, 2001)。医学的には乳幼児を含む子どもたちを対象に「入眠困難」「入眠障害」または「睡眠相後退症候群」という表現が用いられています。 「不眠」とは必要に応じて入眠や睡眠の持続が困難な状態です。この入眠困難は、なかなか入眠できませんが、一度入眠すると睡眠は持続します。 治療に際してメラトニンを用いると症状が改善するので(Smits MG, 2001 およびvan Geijlswijk IM, 2011)、背景にはやはり生活リズムのずれに伴う体内時計のずれがあると考えます(Bijlenga D, 2019)。一番の心配は、この状態が将来のADHDなどと関連する可能性が高く、ADHDを含むASD児(注2)に共通して認められることです。 ここで少しADHDについて補足します。乳幼児期の睡眠の問題とADHDの関連を述べた論文数は、この3年間でゆうに450以上に及びます。それほどまでにADHDの睡眠に関心が集まってきています。 各報告を整理すると、ADHDに共通する睡眠は、①入眠時間のずれ(入眠困難・寝つき不眠)、②頻回の中途覚醒、または長時間の覚醒、③1日8時間以下の短い睡眠、④よく泣く子(持続的な泣き)です。報告では、①から③の睡眠障害のある乳幼児の20〜25%がのちにADHDと診断されています(Thumstöme M, 2002 および Wolke D, 2002)。 このように、ADHDの子どもには高頻度で概日リズムに異常があり、関連性が強く指摘されています(Coogan AN, 2016, 2017)。またこれらの睡眠問題に加えて、睡眠中の多動を指摘する報告があります(Cortese S, 2006)。) 入眠困難が要注意な睡眠障害であることがおわかりいただけたかと思います。 その原因ですが、1995年ごろ、私は乳児の寝つき不眠の一部が保護者の生活リズムと連動していることに気がつきました。きっかけとなったのは宮崎県北西部のある町での乳児健診です。 健診に際して、すべての乳児と保護者にボランティアで2週間の睡眠記録表を書いていただいたときのことです。寝つく時間が遅い乳児では母親の入眠時間も遅く、乳児と母親の生活リズムがピタリと見事に一致していたのです。さらにこの現象は、家族の生活リズムの立て直しによってきれいに改善することもわかりました』、「睡眠障害のある乳幼児の20〜25%がのちにADHDと診断」、発達障害に結びつく可能性があるとは恐ろしいことだ。「乳児の寝つき不眠の一部が保護者の生活リズムと連動している」、その通りなのかも知れない。
(注1)ADHD:注意欠陥・多動性障害(Wikipedia)
(注2)ASD:自閉症スペクトラム障害(Wikipedia)
・『午前2時過ぎに寝る生後5カ月の子  それから5年ほど経たったとき、私は生後5カ月の女の子が毎晩午前2時過ぎに眠っている睡眠記録表をみてやはりびっくりした記憶があります。夜遅くまで働く父親の帰りを母親は赤ちゃんと一緒に待っていました。その時点で臨床的な問題はありませんでしたが、赤ちゃんの将来を心配した私は家族全員で生活リズムを見直すように説明して協力を求めました。 この家族では父親が転職をし、夜9時までに家族全員で眠る努力をされました。その結果、1歳半の時点で見事に夜9時から朝7時まで眠る生活リズムを取り戻すことができました。 2012年から2014年にかけて実施した「アートチャイルドケア調査(現在も持続中)」では、夜11時以降、夜0時以降に眠る習慣のある乳児が少なからず存在し、赤ちゃんの寝つき不眠が決して珍しい現象ではないことが判明しています。 2017年に実施された、京都府木津川市における1〜6歳の乳幼児の調査でも、午後10時以降に入眠する習慣のある子どもは約30%に及ぶことがわかりました。興味深いのは、保護者は子どもの10時以降の入眠に対する問題意識がほとんどなかったことです(小西行郎、2019年)。 乳幼児期の寝つき不眠は、体内時計と生活リズムの不調和によって起こる睡眠障害です。寝ようとする時間に体内時計の準備が整っておらず、眠ることができないのです。時間が経つと眠れるし、睡眠も持続するので不眠とはいえない、という解釈です。ですが後に発達上の問題を招く原因となり、将来的にも情緒的な問題や病気に対する抵抗力を弱める免疫機能の問題を招きやすくします。 睡眠はただ眠りさえすればよいというものではなく、適切な時間帯でなければならないというルールがあるのです。 最近、私が診察した5歳の女の子の話をしましょう。彼女は日常的に午前3〜4時にならないと眠れないという状況に陥っていました。9時とか10時に寝かしつけようとしても眠れないのです。そして彼女もまた、マイペースな生活を送っていて、この時点で体調不良を抱えているわけではありませんでした。 しかし、朝、10〜11時に起こされて、ほぼ眠った状態で保護者の車で登園し、そのまま眠ったあと、午後1〜2時に目が覚めるとみんなと遊ぶ生活でした。 学校社会生活の最初でつまずくのを座視するわけにはいきません。直ちに治療を開始しました。治療の結果、女の子は、朝7時までに10時間ほど眠る生活を取り戻して、2020年に小学1年生となり、コロナ騒ぎのあと、6月から毎日元気に朝から登校しています。 ▽最大の問題は起床時間が遅くなること(寝つき不眠の最大の問題は起床時間が遅くなることです。遅寝・遅起きの生活習慣です。1日の生活リズムが遅いほうへずれると、体内時計もずれます。 実は、乳幼児の生活の時間帯が後ろにずれても、遅れて登園するといった問題はありますが、マイペースに自由な生活ができるなら目立った問題は起こらず、体調もほぼ変わりません。生活リズムと体内時計が「一緒にずれるという同調」を起こすからです。 問題は、就学を機に、学校社会生活というかなり厳格に設計された生活リズムに、そのずれた個人の生体リズムを無理やり合わせなければならないことです。 身体の中では異変がじわじわと蓄積して、結果的に大変な苦労を強いられます。合致させる作業の途中で無理が生じて、生体リズムの何もかもがバラバラになることもあります(図参照)。 散漫な注意力、低下するエネルギー産生、極度の疲れやすさなどの症状が起こり、登園、登校どころか1日を過ごすだけで精一杯です(Van der Heijden KB, 2005)。 少し長くなりますが、もう少しだけ解説をつづけさせてください。入眠が困難になると覚醒も困難になると書きました。これを専門的な用語で睡眠相後退症候群と呼びます。入眠困難と覚醒困難が慢性的につづく睡眠障害です。 この睡眠障害では夕方になると頭がすっきりとして調子が上がり、明け方近くに入眠することになります。一方で、学校や社会の活動開始時間である朝7時ごろには眠りが深くてまったく起きられません。学校社会に適した時間帯に眠り、起きる。このことが困難な状態です』、なるほど。
・『家族で早寝早起きの生活を  睡眠相後退症候群になると、生活リズムが周囲と合わないだけでなく、生命維持装置としての脳の視床下部機能に総合的な問題を抱えます。休養と活動の振幅(メリハリ)が低下する、いわば生命力の低下ともとれる現象があらわれてきます。 それが睡眠相後退症候群の小学生から高校生までの健康状態を調べたときに主訴としてみえてきた、朝の吐き気、気分の悪さ、頭痛・腹痛、めまいなどの自律神経失調症の症状です。 実は、この自律神経症状はより深刻な症状の発症を知らせる警報です。放置しておくと、目にみえない体温調節、ホルモン分泌、エネルギー産生、免疫機能、協調運動、脳機能バランス維持などの不調和と機能低下を起こし、全身のだるさや無気力などたとえようのない不調としてあらわれます。 この睡眠相後退症候群こそが「不登校」の原因背景として世界で注目されているのです(Tomoda A, 1994 およびSivertsen B, 2013 およびHochadel J, 2014 およびHysing M, 2015)。 このような体内時計と学校社会生活リズムの不一致を、乳児期という人生のスタート地点で起こさせてはいけません。寝つきが悪いと感じたら、すぐに家族全員で早寝早起きの生活を実践しましょう。素質もありますが、寝つき不眠は家族の生活(環境的要因)が影響する可能性大の睡眠障害です』、「睡眠相後退症候群こそが「不登校」の原因背景として世界で注目されている」、「不登校」になったら治癒は大変なので、「睡眠相後退症候群」の間に治しておく方がよさそうだ。「寝つきが悪いと感じたら、すぐに家族全員で早寝早起きの生活を実践しましょう」、40年早くこの記事を読んでいたらよかったのに・・・。
タグ:子育て 東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 佐藤亮子 (その3)(東大理三に3男1女を合格させた母親の 「超時間術」とは?、子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される、親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ) 「東大理三に3男1女を合格させた母親の 「超時間術」とは?」 「東大理三に3男1女を合格させた」、とは確かに凄いことだ。「佐藤さんの「時間」に対する考え方や「時間の無駄を省く」方法」、とは興味深い 子どもの睡眠時間は削らない 探す時間は無駄 子どもの勉強が終わるまでそばにいる 「母親」は僅か「2時就寝」とは確かにハードスケジュールだ 「子どもたちのために時間を使ってくれ、子どもたちのやりたいことを尊重し、やらせてくれた母には感謝の気持ちでいっぱいです」、「佐藤さんのお子さんたちには、大きな反抗期はなかった」、というのも当然なのかも知れない 木村 匡宏 「子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される」 「3~6歳の子どもの約半数が日常的にスマートフォンやタブレットを利用している」、「深刻な運動不足になっていく危険」、確かに深刻な問題だ 本来であれば、「夢中で遊んでいる時には、脳ではシナプス同士がパチパチと光を放ちながら、興奮状態に入っています。時間を忘れるくらい夢中になって遊ぶということは、物事に取り組む時の深い集中力を育みます」 「興奮を味わった脳のほうがコントロールが効く」、「子どもの場合は・・・ノンシステマティックにいろいろな遊びをすることで、身体が勝手に動きを吸収していきます」、言われてみれば納得できる なるほど「運動」は「脳」発達にとって不可欠だ 「体育の出席率と東大進学率には相関関係がある」、確かにその通りなのだろう。 三池 輝久 「親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ」 「母子関係によい影響を与えず、心ならずも発作的な怒りから子どもに暴力的な行動を起こす危険性も指摘」、虐待の一因のようだ 我が家では長女の「夜泣き」が酷く、次女の娘も同様なので、他人事とは思えない。ただ、幸いあとに深刻な影響はなかったようだ 「睡眠障害のある乳幼児の20〜25%がのちにADHDと診断」、発達障害に結びつく可能性があるとは恐ろしいことだ。「乳児の寝つき不眠の一部が保護者の生活リズムと連動している」、その通りなのかも知れない 「睡眠相後退症候群こそが「不登校」の原因背景として世界で注目されている」、「不登校」になったら治癒は大変なので、「睡眠相後退症候群」の間に治しておく方がよさそうだ 「寝つきが悪いと感じたら、すぐに家族全員で早寝早起きの生活を実践しましょう」、40年早くこの記事を読んでいたらよかったのに・・・。
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医療問題(その28)(精神病院「情報開示に消極的」な姿勢への大疑問 公的にも自主的にも隠し 患者には評価できない、引きこもりの彼が精神病院で受けた辱めの驚愕、東大医学部が医師国家試験の合格率で55位の下位に沈む理由) [生活]

医療問題については、本年1月17日に取上げた。今日は、(その28)(精神病院「情報開示に消極的」な姿勢への大疑問 公的にも自主的にも隠し 患者には評価できない、引きこもりの彼が精神病院で受けた辱めの驚愕、東大医学部が医師国家試験の合格率で55位の下位に沈む理由)である。

先ずは、昨年12月28日付け東洋経済オンライン「精神病院「情報開示に消極的」な姿勢への大疑問 公的にも自主的にも隠し、患者には評価できない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/398941
・『精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本中で400万人を超えている。そして精神病床への入院患者数は約28万人、精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は2017年時点)。人口当たりで見ても世界でダントツに多いことを背景として、現場では長期入院や身体拘束など人権上の問題が山積している。日本の精神医療の抱える現実をレポートする連載の第8回』、「精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占める」、全く歪な姿だ。
・『情報公開に積極的な精神科病院は少数派  東京・東村山市にある「多摩あおば病院」は、206床の入院病床を持つ精神科病院だ。東村山市とその周辺地域を中心に、他県からも多くの患者が訪れる、地域精神医療の拠点である。 診療内容は幅広く、統合失調症や発達障害、気分障害のほか認知症、アルコールや薬物依存症プログラム、児童思春期の問題にも対応している。患者は10代から90代まで、疾患にかかわらず精神科の治療を必要とする人たちだ。 同院では、病院ホームページに「患者統計」として、治療を行った患者に関する統計データを公開している(https://sinsinkai.com/about/statistics/)。主な項目は以下の通りだ。 +年間入退院数 +平均在院日数 +病院の回転率 +1年後残存率 +入院患者の退院先 +外来数 +デイケア数 副院長の中島直(なおし)医師は、「情報公開は当然のこと」と語る。しかし、実際に自ら、こうした統計データを公開している病院は少数派だ。 東京都内の私立の精神科病院団体である「東京精神科病院協会」に所属する63病院のホームページを調べたところ、スタッフ数の内訳や患者の治療状況がわかるデータを公開していたのはわずか6病院のみだった。多摩あおば病院のような詳細なデータに至っては、開示している病院はほぼ皆無だ。 本連載『精神医療を問う』でも報じてきたように、精神科病院は「精神保健福祉法」に基づき、患者が拒否しても医師の診断と家族の同意で強制的に入院させる権限や、病棟の入り口が常時施錠される閉鎖病棟を持つ。 入院患者には「携帯電話を持ち込めない」「面会を制限する」「外部とのやりとりは手紙だけ」などのルールが主治医の判断で課されることもあり、患者が病院内から情報を発信することも極めて難しい。そうした状況下で、根拠なく長期入院を強いられているケースや、看護師など病院スタッフによる虐待で患者が亡くなる事件が相次いできた。 そのため精神科病院には、通常の病院よりも自主的かつ積極的な情報開示が求められるはずだが、冒頭で見たとおり、その姿勢には乏しいのが現実だ。大多数の精神科病院の内情は、今もブラックボックス状態にある。) それでは公的に行われる情報開示についてはどうか。全国の精神科病院の現状を知る手段の1つに、毎年厚生労働省が各都道府県を通じて実施する「精神医療保健資料」という調査がある。毎年6月30日時点の精神科医療機関の実態を把握する目的で行われ、通称「630調査(ロクサンマル調査)」と呼ばれる。 調査の対象は精神科病院、病床を持たないクリニック、訪問看護ステーションだ。医師などのスタッフ数や病床数、隔離病棟の数、入院料などの病院自体の情報に加え、患者の年代、診断名、在院期間、身体拘束人数、隔離措置人数といった質問項目もある。 ただし公開されているのは、病院の設立区分や都道府県ごとに集計された数値にとどまる。本来、患者や家族が知りたいのは個別病院のデータのはずだが、そうした要望に応えるものにはなっていない。 この調査を活用して、患者たちの要望に応える取り組みを行ってきたのが、全国で当事者の権利擁護を目的に活動する、精神医療人権センターなどの市民団体だ。彼らは集計前の個別病院の実態がわかる個票を、情報公開制度を利用して集め、当事者が病院を選ぶときの参考にできる『精神病院事情』という冊子を各地域で作成してきた。冊子は病院に配布したり希望者に販売したりしている』、「精神科病院」はもともと閉鎖的になりやすいだけに、「公開されているのは、病院の設立区分や都道府県ごとに集計された数値にとどまる。本来、患者や家族が知りたいのは個別病院のデータのはずだが、そうした要望に応えるものにはなっていない」、やはり要開示項目を増やすべきだろう。
・『病院ごとの個別の事情を知ることが大切  「病院ごとに治療方針や患者の待遇が大きく異なるため、個別の事情を知ることが大切です」。精神科病院での長期入院や、身体拘束の問題に長年取り組んできた市民団体、「東京都地域精神医療業務研究会(地業研)」のメンバーで看護師の飯田文子氏は、冊子を作る意義をこう説明する。 実際に地業研が刊行する『東京精神病院事情2015年版』を見てみると、東京都内の70病院について、それぞれの病床数とレーダーチャートによる評価が記載されている。レーダーチャートの評価項目は「5年以上入院者率」「1年未満入院者率」「平均在院日数」「常勤医1人当たりの患者数」「常勤看護者1人当たりの患者数」「常勤コメディカル(ソーシャルワーカーや臨床心理技術者、作業療法士など)1人当たりの患者数」の6項目。 それぞれ5段階で点数化しており、高得点であるほうが、スタッフ数が多く活動性の高い「望ましい病院」としている。 統計データを踏まえた各院の特徴には、「平均在院日数は2424日(都平均230日)と断トツで都内最長。統合失調症の平均在院日数は何と3650日(同329日)に及ぶ」「死亡退院率が65%で群を抜いている」といった、驚きの記述もある。点数が高くても、身体拘束率などが高い場合もあり、特徴とチャート図を併せて見ることが大切だ。) こうした個別病院を評価する判断材料が少ない中、患者や家族は病院選びに苦心している。 東京都内で開かれた精神障害者の家族会に参加した女性は、統合失調症を患い入退院を繰り返す娘の病院選びに悩んできたという。「精神科の場合、歯医者などと違って近所の人に『どこの病院がいいですか』と気軽に聞くこともできません」。 また同じ家族会に参加した統合失調症の息子を持つ女性も、「病院のホームページの情報だけではあてにならないと思い、これまで保健所に紹介された病院や、ケースワーカーから話を聞いた病院に入院してきました。でも入ってみると看護師が少なくケアが不十分だったり、本人が合わなくて暴れてしまったりもする。どうしたらいいかわかりません」と悩みを打ち明けた。 この女性に地業研の作成した先の冊子について話すと、メモをとり「そうしたものがあるとは知らなかった。ぜひ読んでみたいです」と話し、会場を後にした』、「地業研が刊行する『東京精神病院事情2015年版』」、は数少ない情報源のようだ。
・『「速やかに破棄」を指示  ところが、こうした冊子の作成に欠かせないロクサンマル調査の個票の情報公開が、一時、全国で相次いで非開示となった。2017年度と2018年度のデータを中心に、個人情報の保護などを理由として、15の自治体が非開示や一部開示とした。そこには、それ以前までは全面的に開示をしてきた北海道、埼玉県、神奈川県、大阪府も含まれた。 ロクサンマル調査はここ3年で2度、調査・集計方式が大きく変更されている。1度目は、2017年度と2018年度分の調査だ。これまで紙ベースで集計していたものを、各医療機関がウェブ上から調査票をダウンロードし、1人の患者ごとに1行ずつのデータを入力してそのまま厚労省に送信する方式とした。 2度目は2019年度調査からで、この1行ずつの患者データを病院内で集計し、個別のデータはわからない状態で厚労省に送信する方式になっている。 このように、全面的に開示されてきた2016年度以前から集計方法が変わっているとはいえ、患者情報はすべて匿名であり、個人情報保護法上の「特定の個人を識別できるもの」は存在していない。 突然非開示となった本当の理由はわからないが、厚労省や病院団体が市民団体によるロクサンマル調査のこうした活用法について、「苦言」を呈したのも同時期である。 2018年7月、厚労省精神・障害保健課長名義で各都道府県や政令指定都市の精神保健福祉担当部局長宛に、ロクサンマル調査の依頼協力を求める文書が送られた。 同文書の別紙では、「調査票の取扱い」として「個人情報保護の観点から、定められた保存期間の経過後に速やかに廃棄する」よう指示している。さらに「精神科医療機関の個々の調査票の内容の公表は予定しておらず」、各自治体が医療機関に調査依頼を行う際は、この点を明示すべきとする文言が付記された。) 同年10月には精神科の私立病院団体である日本精神科病院協会(日精協)が、山崎學会長名で声明文を発表した。ロクサンマル調査は「個人情報保護の観点から問題の多いものであると認識していた」とし、声明文発表の2カ月前に毎日新聞が、50年以上入院する患者が全国に1700人以上いると報じた記事に触れ、「まさにわれわれの危惧が現実となったものである」と批判した。 調査主体である厚労省が個人情報保護のための必要な措置を行わない場合は、「ロクサンマル調査への協力について再検討せざるを得ない」と、調査の存続危機をも思わせる声明となっている。 こうした情報公開に逆行するような動きに、当事者たちからは反発の声が湧き起こった。非開示や一部開示決定について不服を申し立てる審査請求の実施、日精協の声明文への批判、反対集会の開催など強い抵抗もあってか、2019年度の調査協力依頼文からは調査票の扱いを制限する文言はなくなっている。ただし、各市民団体が行った情報公開請求の結果をみると、身体拘束数などの一部のデータは依然として非開示のままだ。 前出の地業研の飯田氏は、「これまでの情報開示も、簡単に達成できたことではありませんでした。東京都や京都府でロクサンマル調査結果の情報公開を求める裁判を起こし、1999年に京都地裁が開示を認めた判決をもとに、活動に取り組んできました」と、現在に至るまでの経緯を語る。 全国的には大幅な情報の非開示は改善されてきた中、例外的に2019年度分のデータさえも全面的に開示を拒んだのがさいたま市だ』、「日精協」が「声明文発表の2カ月前に毎日新聞が、50年以上入院する患者が全国に1700人以上いると報じた記事」に触れ、「まさにわれわれの危惧が現実となったものである」と批判」したのは、不都合な事実を「個人情報保護」とは本来、無関係なのに、強引にそれを大義名分に抑制しようとするものだ。
・『今も続く非公開  埼玉県の精神医療を考える会は、さいたま市内の7つの精神科病院についてロクサンマル調査結果の情報公開請求をしていた。2020年9月にさいたま市から送られてきた「行政情報一部開示決定通知書」は、48項目に及ぶ全調査票のうち、47項目が一部または全面的に非開示とされていた。 さいたま市が非開示とした理由は、主に2つ。1つは個人を特定できる可能性があるため、もう1つは病院の運営上の正当な利益を害するおそれがあるためである。 だが、同会が埼玉県に対して行った同じ2019年度のロクサンマル調査の情報公開請求では、当時県側にデータが提出されていなかった1病院を除き、市内の6病院分のデータがすでに得られている。まったく同じ情報にもかかわらず、なぜ市は開示できないのか。 さいたま市の健康増進課の職員は取材に対し、「あくまで市の情報公開条例に基づいて判断している。埼玉県や他の自治体が開示しているかどうかは知らず、考慮していない」と回答した。同会はこの結果を不当だとして、市に対し情報の開示を求める審査請求を行っている。 同会メンバーの女性は「困ったら病院に入れるのがゴールだと安易に思ったり、精神疾患を持つ患者が社会に出てきたら困ると思い込んだりしている私たち自身の偏見に向き合うためにも、ロクサンマル調査でわかるデータは行政や病院が抱え込むものではなく、市民にとってオープンであってほしい」と話す』、「困ったら病院に入れるのがゴールだと安易に思ったり、精神疾患を持つ患者が社会に出てきたら困ると思い込んだりしている私たち自身の偏見に向き合うためにも、ロクサンマル調査でわかるデータは行政や病院が抱え込むものではなく、市民にとってオープンであってほしい」、その通りだ。
・『「恥であっても、現実」  多摩あおば病院が患者の統計を公開し始めたのは、2006年頃からだ。 中島副院長は、「ロクサンマル調査はあくまで1つの指標であり、すべてがわかるわけではありません。自分たちもどうしたら病院や患者の状況が外に伝わるか試行錯誤しています」と、院内の情報公開の方針を語る。 例えば多摩あおば病院の場合、患者が他の精神科病院に転院することはなるべく避けている。治療を途中で他の病院に丸投げすることになるからだ。ホームページ上にある、「入院患者の退院先」のデータを見るとそのことがわかる。 「ロクサンマル調査にあるような情報は、出すか出さないかではなく出すのが当たり前。長期入院などの問題は恥であったとしても、現実ですから。精神疾患を持つ人の受け皿をどう見つけていくかは、病院だけの責任ではない。そういう人がどれだけいて、みんなでどう支援していくかは社会の問題です。別に隠す必要はないんです」(中島副院長) 精神科病院に入院する当事者や家族が情報公開を求めるのは、治療や病院のあり方に対する疑問が根強いためだ。 2020年5月に設立された神奈川県精神医療人権センター(KP)の相談窓口には、電話での相談が全国から寄せられている。家族が退院できなくて困っている、テレホンカードを購入させてもらえず病院の外と連絡が取れない、院内が清潔でない、など内容はさまざまだ。弁護士と連携し、退院支援などを行っている。 さらにKPが特徴的なのは、精神障害当事者がピアスタッフとしてイベントを仕掛けたり、病院選択の情報を発信したりしていることだ。長年精神医療の実態を報じてきた、ジャーナリストの佐藤光展さんも活動に加わっている。 「精神医療の世界では、これまで患者自身が声を上げる機会は乏しかった。それゆえ、危険な存在だと見下されているのが実態です。病院の情報開示はもちろんのこと、患者自身がもっと声を上げていくことが必要だと思っています」(佐藤さん)』、「病院の情報開示はもちろんのこと、患者自身がもっと声を上げていくことが必要」、同感である。

次に、本年3月16日付け東洋経済オンライン「引きこもりの彼が精神病院で受けた辱めの驚愕」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/415829
・『精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本中で400万人を超えている。そして精神病床への入院患者数は約28万人、精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は2017年時点)。人口当たりで見ても世界でダントツに多いことを背景として、現場では長期入院や身体拘束など人権上の問題が山積している。日本の精神医療の抱える現実をレポートする連載の第10回』、「人権上の問題が山積」とは見逃せない。
・『自立研修センターから病院へ強制連行  「今からあなたを『病院』に連れていきます。これは強制です」 2018年5月上旬、30代男性のAさんは9日間にわたり監禁状態に置かれた施設の職員にそう告げられた。施設の名は東京・新宿区にある「あけぼのばし自立研修センター」、ひきこもりの自立支援をうたう民間事業者が運営していた。いやがる当事者を自宅から無理やり連れ出し、施設に監禁・軟禁するなどで社会問題化した、いわゆる「引き出し屋」だ。 Aさんは大学卒業後、就職せず両親と同居し独学していた。親心からAさんの将来を心配し、就労することを希望していた両親は、Aさんの就職を支援するというセンターと契約し、約700万円を支払った。 職員に監視され、ドアには外からカギがかけられるなど監禁状態だったセンターの地下部屋から、職員とともにAさんを連れ出したのが、その8日前に両親と住む自宅から無理やり施設に連行した「民間救急会社」の男性たちだ(民間救急会社については、連載第4回「ある朝、精神病院に強制連行された男の凶体験」2020年9月25日配信で詳報)。 黒いジャンパーと手袋で身なりを固めた強靭な体躯の男性2人に両脇を固められ、Aさんを乗せた車は出発した。 Aさんはセンター入所後、抗議の意を込めてほとんど食事を取っておらず体力も著しく落ちていたので、それ以前にも職員から病院で点滴する必要があると告げられていた。そのため、具体的な行き先を告げられることはなかったが、「点滴をするため、近くの内科クリニックにでも連れていかれるのだろう」と思っていた。 だが車は近場では止まらなかった。到着したのは施設のある新宿区からは離れた病院の、救急搬送口だった。施設職員に連れられ建物に入ると、救急外来用の診察室へと通された。 「ここの病院は何科ですか?」。控室のような殺風景な小部屋の雰囲気に不安を覚えたAさんはセンターの職員に尋ねた。「精神科だ」。職員はそう手短に答えた。Aさんはそのとき初めて自らが連れてこられたのが精神科病院だと知らされた。 「点滴か健康診断かと思っていたので、まさか精神科病院に連れてこられるとは思わず、想定外の事態に心中ではそうとう動揺していた」(Aさん) 強い不安の中、10分ほど小部屋で待っていると、白衣を着た医師が現れた。「どうしてここに来たんですか?」、医師からそう問われたとき、Aさんは、「ああ、これで今までのことをきちんと説明すれば助けてもらえるだろう」と安堵。センター職員の同席にも構わず、医師に自らの置かれた状況を一気に打ち明けた。 「自宅にいたら無理やりセンターに連れてこられて、9日間も監禁されていました。人道的な見地から助けてください」 決死の訴えに対して医師は、「今日からここに入院してもらいます」とのみ告げた。驚いたAさんが再度「人道的な見地から助けてください」と懇願するも、「もう決まったことだから」などと言い(病院側は「診療録の生活歴・現病歴に記載されている経過を尋ね、精神科における入院治療の必要性を伝えた」と民事訴訟における準備書面で主張)、母親から同意を得て、本人の意に反した「医療保護入院」が決定された』、「両親は、Aさんの就職を支援するというセンターと契約し、約700万円を支払った」、そのあげく僅か7日間で、「センター」から「精神病院」に入院させたとは、「両親」は知っているのだろうか。
・『Aさんに精神疾患の既往歴はなかった  医療保護入院は精神科特有の制度で、本人が同意しなくても、家族など1人の同意に加え、1人の精神保健指定医の診断があれば強制入院させられる。ちなみにAさんには精神疾患の既往歴はいっさいない。 医師が話を打ち切ると、小部屋の隣の扉が開き複数の屈強な男性看護師たちに取り囲まれた。とっさに両手を挙げて、「先生、よくわかりません、助けてください!」と叫んだが無視され、隔離室へと連行された。 施錠された隔離室に入れられて数時間後、女性を含む4人の看護師が入ってきて、Aさんに服を脱ぐよう指示した。こんな入院はおかしいと反発すると、ベッドへと誘導され身体拘束され、あっという間に上半身、ついで下半身と順に裸にさせられた。) Aさんは看護師たちにおむつを履かされ甚平のような服を着せられた。手と胴がベッドに拘束されたことで、ほとんど身動きが取れなくなった。 この間、Aさんは身体的な抵抗はいっさいしなかった。「暴れたりしたら精神疾患だと受け取られかねないと、意識的に冷静に対応するよう努めた。それに実際9日間何も食べてないので、抵抗したり暴れたりする体力も気力もなかった」。 仰向けにベッドに固定され、寝返りを打つこともできないまま3日間過ごすことになった。なにより屈辱を感じたのは、トイレに行くことが許されず、おむつへの排泄を強要されたことだ。 「結局、大便も小便もおむつにするしかなかったが、おむつ交換の回数は限られ、不快感が強く、衛生的にもどうかと思った。これを看護師に交換されるというのも、とても屈辱的だった」(Aさん) 3日間の身体拘束が終わったのちも、Aさんは閉鎖病棟での日々が続いた。 2018年5月下旬、主治医から病名は発達障害の疑いだと告げられた。その診断理由を尋ねると、「あなたは今まで10年間教会のミサに通い続けていたよね。それは社会の一般通念からずれている。それが根拠です」と説明されたとAさんは話す(民事訴訟における準備書面で、病院側は説明内容を否定)。当然承服できないと反論したが、「それはあなたに病識がないからだ」と一蹴されたという。 翌月の6月に入ると退院調整が図られるようになったが、病院側は自立研修センターへの退院を強く求めた。退院時にはセンターの職員に連れて行ってもらうことになるが、もしこれを拒否したら、再度別の病院で入院になることが予想されると説明された。 Aさんは強く反発したが、結局、センターへの退院を了承した。閉鎖病棟での生活は50日間にわたった』、「仰向けにベッドに固定され、寝返りを打つこともできないまま3日間過ごすことになった。なにより屈辱を感じたのは、トイレに行くことが許されず、おむつへの排泄を強要されたことだ」、人権侵害の極致だ。「あなたは今まで10年間教会のミサに通い続けていたよね。それは社会の一般通念からずれている。それが根拠です」と説明された」、こんなのが「発達障害の疑い」の根拠とは聞いて呆れる。
・『誓約書を強要  退院するや否や、Aさんはセンターから「誓約書」(写真)へのサインを強要された。 ① 医師の診断に従い、通院・服薬を続けること ② 実家に帰らない、家族に連絡を取らないこと ③ (センターの)カリキュラムは全参加すること という内容だ。誓約書の文末には下記の一文があった。 「上記ルールを守れない場合は、再度入院する事に同意致します。」 少なくともセンター側が、身体拘束の恐怖や強制入院の理不尽といったAさんの心身に刻まれた精神科病院でのトラウマを、指示に従わせる「道具」として活用しようとしたことは明白だ。 Aさんはその後、弁護士らの援助でセンターを抜け出し、センターと病院の職員・医師らを逮捕監禁罪などで刑事告訴。別途、民事訴訟でも損害賠償を求めて争っている。センターの運営会社は2019年末に破産した。病院への刑事告訴は正式に受理されて、現在捜査中だ。 Aさんの代理人の1人で、同センターのほかの被害者からも相談を受けている、代々木総合法律事務所の林治弁護士は、「被害者たちはみな、センターの職員から言うことを聞かないと精神科病院に入れられ、身体拘束もされると脅されていた。Aさんが身体拘束されておむつで排泄していたことはみな知っていた。精神科病院への入院が引き出し屋によって、いわば見せしめ的に使われている」と実情を語る。 内閣府によれば、ひきこもりの人数は15~39歳で54万1000人(2016年発表)、40~64歳は61万3000人(2019年発表)と推計されている。総数は100万人を超えるとみられている。ひきこもりが長期化・高齢化しているとも報告され、本人や支える家族の不安や悩みは大きい。 そうした悩みにつけこんで、「半年で自立させる」などと甘言を用いて、両親など家族から高額な費用を巻き上げる引き出し屋は、決してこのセンターだけではない』、「センターの運営会社は2019年末に破産」、「700万円」はその前に返還されたのだろうか。「本人や支える家族の不安や悩みは大きい。 そうした悩みにつけこんで、「半年で自立させる」などと甘言を用いて、両親など家族から高額な費用を巻き上げる引き出し屋は、決してこのセンターだけではない」、全く悪質極まりないビジネスだ。これと手を組んでいる筈の「精神病院」も問題がある。
・『病院が著名教授を提訴  こうした悪質業者の手先ともいえる役割を、結果的に精神科病院が果たしてしまっていることについて、当の病院側はどう考えているのか。 取材に対して、病院側は「本件は現在係争中であり、また守秘義務もありお答えできない」としている。 ちなみに病院は、民事訴訟の準備書面において、「原告(Aさん)はあたかも被告病院が研修センターと一蓮托生であるかのごとき主張をするが、まったく研修センターと被告病院とは関係はなく、連携等もおこなっていない」「研修センターへの誓約書記載の入所条件については、原告と研修センターとの問題であり、被告病院が積極的に関与したものではない」などと主張している。 なおこの病院は昨年、ひきこもり問題の第一人者で筑波大学教授の斎藤環医師を名誉棄損であるとして、300万円の損害賠償を求め提訴した。斎藤教授がAさんの刑事告訴と民事訴訟に関する報道を引用して、ツイッターでコメントしたことがその理由だ。 取材に応じた斎藤教授は「近年、統合失調症への薬物治療が進んだことなどで、精神科病院への新規入院件数は減少傾向にある。そのため多くの病院はできるだけ多様な入院ニーズを確保したい。この病院が直接それにあたるかは別にして、引き出し屋と結託すれば相応の患者数を定期的に受け入れられると考える精神科病院があっても不思議ではない」と警鐘を鳴らす』、「精神科病院への新規入院件数は減少傾向にある。そのため多くの病院はできるだけ多様な入院ニーズを確保したい。この病院が直接それにあたるかは別にして、引き出し屋と結託すれば相応の患者数を定期的に受け入れられると考える精神科病院があっても不思議ではない」、医師がこんないかさまビジネスの片棒を担ぐとは世も末だ。
・『「拷問に等しい犯罪行為」  実際、ひきこもり状態にあったところ、精神科病院に強制入院させられたケースはAさんだけではない。 「身体拘束されて隔離室に入れられたときは、閉塞感と圧迫感で絶望的な気持ちになった」。埼玉県在住の30代男性のBさんは、精神科病院への入院体験を振り返る。 男性はいじめによる強迫性障害が原因で、高校1年からひきこもり状態となった。20代後半となったある日、寝ている間に父親と親戚など5人前後の男性に養生テープで簀(す)巻きにされ、そのまま車で大学病院へと搬送された。 隔離室でテープは剥がされたものの、搬送時に口中に砂が入り服薬をためらっていると、医師に投薬拒否と判断され、室内のベッドにそのまま拘束された。 万歳した状態で、手足と胴の「5点拘束」され、投薬、食事とも経鼻経管で行われた。BさんもAさんと同じく、拘束中はトイレにも行かせてもらえず、用便はおむつでの対応を余儀なくされた。 「交換は1日2回と決められており、隔離室前を通る看護師に交換をお願いしても無視され続けた」(Bさん) Bさんは退院後に大検に合格し、今は通信制の大学で学び、福祉系の資格を取得して働こうと考えている。フルタイムで事務職のアルバイトもしている。 ただ、当時の精神科病院での体験は確実にトラウマとなっていると振り返る。「今でも隔離室でされたことは拷問に等しい犯罪行為だと思っている」(Bさん)。 成人男性ですら、何年たっても深いトラウマとして心身に刻み込まれる精神科病院での身体拘束。こうした行為が未成年の少女に、驚くべきほど長期間実施されていたケースすらある。(第11回に続く)』、親や船籍にとっては、厄介者払い的な色彩もあるだろうが、ここまで酷い人権侵害が起きていることまでは知らない筈だ。「引き出し屋」がまだ営業を続けているのであれば、刑事告発したり、民事で損害倍書訴訟をしていくことにより、息の根を止めるべきだろう。

第三に、2月19日付けYahooニュースが転載した幻冬舎OLD ONLINE「東大医学部が医師国家試験の合格率で55位の下位に沈む理由」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/92101662413bbc6756ddac0d52dc691e8c6398e6?page=1
・『灘高→東大理3→東大医学部卒。それは、日本の偏差値トップの子どもだけが許された、誰もがうらやむ超・エリートコースである。しかし、東大医学部卒の医師が、名医や素晴らしい研究者となり、成功した人生を歩むとは限らないのも事実。自らが灘高、東大医学部卒業した精神科医の和田秀樹氏と、医療問題を抉り続ける気鋭の医療ジャーナリストの鳥集徹氏が「東大医学部」について語る。本連載は和田秀樹・鳥集徹著『東大医学部』(ブックマン社)から一部を抜粋し、再編集したものです』、興味深そうだ。
・『大学病院よりも一般病院での研修をする研修医が増えた  「新臨床研修制度」がもたらしたものとは? 鳥集 2004年には、「新臨床研修制度」が導入されました。この制度が導入された背景には、1990年代以降、医局人事を握る教授への賄賂や権威主義を背景にした医療事故の隠蔽などが、メディアの告発によって表沙汰となったこともあります。 また、1998年に関西医科大学で月額6万円の奨学金と、1回あたり1万円の宿直手当だけで土日も休みなく働かされていた研修医が、急性心筋梗塞で過労死するという事件が起きたことで、大学病院における若い研修医の奴隷のような働かせ方が社会問題となりました。これも、「新臨床研修制度」導入の後押しになったと言われています。 和田 もう一つは、当時、『ブラックジャックによろしく』*という漫画作品がベストセラーとなったことも影響していると思いますね。妻夫木聡さんが主演でドラマ化もされて人気を博しました。その漫画がヒットしていた頃、私は、「大学病院の今後のあり方」といったテーマのシンポジウムに登壇したことがあったのですが、同じシンポジウムに登壇していた厚生省(当時)の役人が、『ブラックジャックによろしく』を取り上げて、「今は情報化社会です。大学の名前にあぐらをかいて、何をやってもいいわけではない」という話をしたのです。ようやく厚生省が重い腰を上げたのかと驚いた記憶があります。 『ブラックジャック~』の舞台は大学病院で、主人公は研修医です。大学の医局の医者が、いかに臨床ができなくて実験ばかりに手を出しているか、たとえば教授はミミズの解剖はしたことがあるけれど、人間の解剖はしたことがなくて、助教授がいつも尻拭いをしているというようなリアルなエピソードがたくさん出てくるのです。あの作品は、一般市民に、大学の医局の実態とともに、病気を診るが人間を診ない、診られない医師がたくさんいることを知らしめたことになります』、「新臨床研修制度」により「大学病院よりも一般病院での研修をする研修医が増えた」、のは結構なことだ。
・『◆『ブラック・ジャックによろしく』(佐藤秀峰著、2002年、講談社刊。主人公は超一流私大附属病院に勤務する1年目研修医。理想とかけ離れた日本の医療の矛盾に苦悩しつつ、病院・医師ごとの技術レベルの違い、終末期医療と医療費問題、研修医のアルバイト問題、がん治療と緩和ケアなど、現在の大学病院のさまざまな問題に直面しながら、一人前の医師へと成長していく物語。連載早々大反響を巻き起こした衝撃の医療ドラマ。) 鳥集 「新臨床研修医制度」は、こうした医局講座制の悪しき慣習を一掃する形で制度設計されたと聞いています。変革の目玉は3つありました。 最大の目玉は、2年以上の臨床研修が必修化されたことです。いわゆる専門バカを生む徒弟制度を改めて、新米医師全員にまともな臨床教育を受けさせるようにしたのです。この初期研修を終えなければ、医師は事実上臨床に従事することができなくなりました。また、この期間は研修に集中してもらうため、アルバイトは原則禁止とし、研修医が生活するのに十分な給料を病院が支払うように決められたのです。 2つ目の目玉は、アメリカで行われている「スーパーローテート」という研修方式を採り入れたことです。初期研修医たちは、この方式によって2年の間に内科や外科だけでなく、救急、地域医療、小児科、産婦人科、精神科などを6ヵ月から1ヵ月単位でくまなく回ることも義務づけられました。これ以上、専門バカを量産させないようにするためです。 3つ目の目玉は、研修病院の選択に、「マッチング」という方式を採り入れたところです。医学生たちは6年になると、病院の面接や試験を受けて、研修先の希望順位を、厚労省の下にある機関〈医師臨床研修マッチング協会〉に提出することになりました。一方、病院側も採用したい学生の希望順位を協議会に提出します。それをコンピューターにかけて、順位の高いもの同士を優先して研修先を決められるようになりました。 和田 この制度によって、何が変わったかといえば、大学病院での研修よりも一般病院での研修を希望する研修医が増えたことです。医局が手薄になった大学病院が続出しています。そのため、この制度を批判する教授も少なくありません。 たとえば、岩手医科大学の学長(当時)の小川彰氏もそうです。 要するに岩手だとか山形、秋田など、過疎地と呼ばれる地域の大学にも、昨今の医学部人気によって東京の進学校からたくさん生徒が進学してきていた。彼らは、その生徒たちがいずれ自分の大学病院で働いてくれるものと思って大事に育てていた。しかし、このマッチング制によって、ほとんど東京に帰ってしまう。それで、田舎の医者不足が深刻になった。過疎地の病院を追い込むようなこの制度を廃止しろと政府に要望書を提出したのです。 鳥集 確かにこの制度が実施される前までは、医学部を卒業した後、約7割が自分の大学の医局に入局していました。しかしこれにより、半数以上の研修医が自分の大学以外の臨床研修病院に集まるようになりました。このマッチング結果は、「医師臨床研修マッチング協議会」のHPで誰でも見ることができます。 和田 だから、岩手医科大学の要望は一見、正論に見えるかもしれません。しかしちゃんと調べてみると驚くべきことがわかったのです。岩手県全体では、臨床研修が必修化された結果、臨床研修に訪れる研修医が倍近くまで増えていたのです。 岩手医大と同じ盛岡市にある岩手県立中央病院には、定員19名のところ、平成25年度の研修第一希望者は25名でした。岩手県立中央病院は臨床を一生懸命やる病院として、研修医の間でもよく知られていたからです。つまり、岩手医科大学附属病院に研修医が3人しか集まらなかったのは研修医が東京に行ってしまうことが理由ではなく、すぐ近くの県立病院に行っていたからなのです。実際、東京都の研修医はこの制度が採用されてから2割も減りました。厚労省が発表しているデータを見ればすぐにわかる嘘を言う小川氏も小川氏なら、調べもしないで小川氏の要望を擁護する大新聞の記者たちの無能ぶりもよくわかる話ですが』、「岩手医科大学附属病院に研修医が3人しか集まらなかったのは研修医が東京に行ってしまうことが理由ではなく、すぐ近くの県立病院に行っていたからなのです」、まるで笑い話だ。
・『東大医学部が「医師国家試験」の合格率55位の理由  鳥集 これは大きな地殻変動ですよね。協議会のHPを見る限り、研修医の大学病院離れはどんどん進んでいます。ただし、彼らがそのまま研修先の病院にとどまるとは限りません。2年間の初期研修を終えた後は、自分で決めた専門分野で学ぶために同じ病院や他の病院で専門的な後期研修を受ける者もいれば、大学院生として出身大学や有名大学の医局に入り直して、博士号を取るための研究を行う医師もいます。 とはいえ、徐々にではありますが、こうしてバラエティに富んだ研修医の存在が、相撲部屋然としていた医局制度のあり方に風穴を開けていくことは間違いありません。 和田 新制度の施行以来、大学の医局は慢性的な人手不足に悩まされています。今、ほとんどの大学病院で研修医は定員割れです。東大病院も定員割れですよ。 さらに東大病院においては、2019年度のデータを見ると、大学病院における自大学出身者の比率が2割程度ととても低いことがわかります。先の役人の言葉を借りれば、「この情報化時代に、大学の名前にあぐらをかいてはいけない」ということでしょう。 その一方で、たとえば、千葉の鴨川という、決して都会とは言えない立地の亀田総合病院*の倍率は、毎年2倍前後になっています。臨床をちゃんとやっている病院には、研修医はちゃんと集まるのです。いずれ患者の集まり具合も、単なるブランド志向ではなく、同じように変わっていくことでしょう。亀田総合病院の外来の待合室の賑わいを覗けば、もはやそういう流れになっていることがわかります。くだらない病院ランキングより、研修医の集まり具合を見るほうが、臨床の質がわかると思います』、「臨床をちゃんとやっている病院には、研修医はちゃんと集まるのです。いずれ患者の集まり具合も、単なるブランド志向ではなく、同じように変わっていくことでしょう」、「くだらない病院ランキングより、研修医の集まり具合を見るほうが、臨床の質がわかる」のは確かだ。
・『◆亀田総合病院 1948 年設立。千葉県鴨川市を中心に、各地に展開する亀田メディカルセンターの中核として機能する私立病院。95年より世界に先駆けて電子カルテシステムの本格運用を開始するなど、時代に先駆けた取り組みをすることで知られる。
・『東大医学部が、国家試験の合格率55位の謎  鳥集 教授の支配力が弱まったとはいえ、医局講座制による権力構造が完全に崩れるのは、まだまだ時間がかかるでしょう。しかし伝統校を出なくても、本人の努力次第で、就職差別的な医局の壁を打ち破れる可能性が出てきたのは事実です。今後、医師は「どこの大学を出たか」ではなく、臨床技術や研究者としての実力で評価される傾向がより強くなるでしょう。 それに関連することですが、私は、2019年文春オンラインに、〈なぜ日本最難関の東大医学部が、医師国家試験*で合格率「55位」なのか〉という記事を書きました。 全大学・全学部のなかで最高の英才たちが集まる東大医学部の合格率が全国平均と同じ、普通レベルになってしまうのです。順位も中の下で55位。受験が最も得意なはずの東大医学部の人たちは何をしているのだろう? どうして国試ではこんなにもふるわないのだろう? と誰もが不思議に思うでしょう。それには、いろいろな理由が考えられると思います。 まず、東大をはじめとする旧七帝大*のような伝統ある大学では、国試対策の授業やテストをほとんど行いません。旧七帝大は事実上、医学研究者や教育者、学会リーダーの育成機関としての役割を担ってきました。なので、国試を前提とした教育には力を入れてこなかったのです。 現役時代から国試予備校に通うような人も、プライドの高い旧七帝大の学生では少ないはずです。そんな予備校に通わなくても、自分の力で受かるはずだと思っているでしょうから。つまり、ほとんど自助努力で国試に挑むことになるために、一定数が落ちてしまうと考えられます。 和田 さらに言えば、旧七帝大は伝統という名のプライドからか、カリキュラム自体が旧態依然としているところがあります。偉い教授の意向を反映しがちなので、授業内容にその教授の専門分野だけというような偏りが出るのです。アメリカではかなり統一したカリキュラムがあります。日本でもコア・カリキュラム(以下コアカリ)ができましたが、アメリカのものと比べるとまだまだだと感じます』、「現役時代から国試予備校に通うような人も、プライドの高い旧七帝大の学生では少ないはずです」、納得した。
・『◆医師国家試験(医師になるためには、医師国家試験をパスし、厚生労働大臣から医師としての免許を受ける必要がある。医師国家試験に合格すると、医籍に登録されて、医師免許証が交付される。 ◆旧七帝大(旧七帝大とは、戦前、日本の国立総合大学だった北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の7校をまとめた大学群のこと。旧帝國大学、七帝大などの呼ばれ方をしている』、
・『試験問題は臨床をろくに知らない教授が作っている  鳥集 また、臓器、器官、骨、神経、血管、組織等の名前を細かく記憶しなければならない解剖学が典型ですが、医学というのは、大量暗記を求められることの多い学問です。難しい問題を工夫して自力で解くことに快感を覚えるような高偏差値の人のなかには、大量暗記を馬鹿らしく思ってしまう学生もいるのではないかと。東大生や京大生でも、国試浪人したのに再度落ちてしまう人が毎年一定数います。あげく医師になれないで終わる人がいるのです。 和田 その見方は正しいでしょうね。国家試験の合格率が高い医学部は、きちんと大学が対策をしてくれているわけです。国家試験だって、入試と同じで過去問をやらなければ合格は難しいのです。しかし、その国家試験自体に、問題があると私は思っています。 海外の医師国家試験は、ほぼ臨床をやっているドクターが問題を作っていますが、日本においては、未だに国家試験というのはそのほとんどが、臨床をろくに知らない医学部の教授が重箱の隅をつつくような試験問題を作っているわけです。本当は、がんの問題ならばがんセンターの部長とか、循環器の問題ならば循環器病センターの人が、リアルな内容の問題を作成すればいいはずです。だけど日本では、そういうことは許されていません。だから、実際に医者になったときに、役に立たない問題がたくさんありました。現在は、臨床のリアルな症例に基づいたD問題とかE問題とかが出てきて改善されつつありますが。 私が受けた当時の国家試験というのは、先述の通り、要するに過去問を愚直にやっている奴は受かるし、やっていない奴は落ちるという、ただそれだけの試験だったのです。しかし、その事実にさえ、遊び過ぎていた私は気がつかなかった。今思えば不思議なもので、人間というのは、優等生のときは優等生の発想ができるんです。灘の高3の頃は、理3は440点満点で290点を取ればいいんだという発想ができたのに、劣等生になると、そういう発想ができなくなっていた。ただただ、朝倉書店の「内科学」*を一生懸命読むとかね。医師国家試験を前にして私は、馬鹿な受験生そのものでしたから……。 ここは誤解されたくないので恥を忍んで言っておきましょう。灘高に入ったときから頭がいいという自覚もなかった私は、東大生になっても真面目に授業も出ずに、サブカル系雑誌ライターの仕事や映画の現場の使い走りなど、勉強以外に精を出していたため、気づけば、医師国家試験の不合格が確実視されていました。 東大理3は、毎年3~4人が医師国家試験に落ちています。たいていが心の病気が理由で不合格になっているのですが、私の場合は、遊びが過ぎたという情けない理由で、国家試験の模試で不合格判定されたのです。そのときに灘の同級生で一番の秀才だった伊佐正*氏が「和田、お前、このままじゃ落ちるで」と言って、勉強会に誘ってくれたのです、そこで過去問をやる意味を認識させられた。ありがたかったですね』、「難しい問題を工夫して自力で解くことに快感を覚えるような高偏差値の人のなかには、大量暗記を馬鹿らしく思ってしまう学生もいるのではないかと。東大生や京大生でも、国試浪人したのに再度落ちてしまう人が毎年一定数います。あげく医師になれないで終わる人がいるのです」、もったいない話だ。現在は受験指導もしている「和田」氏も「灘の同級生で一番の秀才だった」友人が「勉強会に誘ってくれた」ので、「国家試験」に合格したとは初めて知った。
・『◆朝倉書店の『内科学』(現在第11版を重ねる、医師国家試験問題基準の内科関連項目を網羅する参考書。 ◆伊佐正(いさ ただし。灘高卒、1985年東京大学医学部卒。医学博士。専門は運動制御の中枢機構、意識・注意の脳内メカニズム、脳・脊髄損傷からの機能回復機構など。京都大学大学院医学研究科医学専攻教授、京都大学医学研究科脳機能総合研究センター長、京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点副拠点長など歴任』、。
・『鳥集 高3のときは自ら戦術的な勉強法を生み出した和田さんが……。またもや同級生のノートで助けられたということですか。 和田 そうなんです。その勉強会に出てみると、みんなで過去問ばかりをひたすら解いているのがわかりました。特別に高度な勉強法をやっているかと思いきや、ただ、ひたすらに。そして、勉強するのは問題に出たところの周囲の知識ばかり。それを知って、私も勉強法がわかって、無事に国家試験に合格することができました。 鳥集 追い詰められるほど、周囲が見えなくなってしまうのでしょうね。しかしこれは和田さんに限ったことではなく、東大理3の入試の段階で日本一偏差値が高かったはずなのに、国試で苦労するという人も少なからずいるわけですよね。 和田 確かに理3の人間には、今さら丸暗記の勉強なんて馬鹿馬鹿しくてやってられないよ、と考える人もいるでしょう。 鳥集 もっとも、国家試験合格率の高さと優秀な医師を輩出している大学というのはイコールとは限りません。以前、ある合格率が高い私立大医学部の名誉教授がこう話してくれました。「合格率が高いのは、早々と臨床実習を切り上げて、6年生になったら国試対策ばかりをやっているからだ。でも、本当にこれが医師になるための教育? と疑問に思う。実際の臨床は座学では教えられません。医師を育てるための本来の教育が欠けているように感じる」と。 国試合格率が7割を切ると、補助金(大学院高度化推進特別経費)がカットされる恐れもありますから、特に歴史の浅い私立大学では学生に国試対策の勉強ばかりさせて、試験も国試の形式で出すそうです。そして、国試に受かりそうにない学生は卒業させず、国試を受けさせない。成績のいい学生だけに絞って国試を受けさせるので、見かけの合格率が一定以上に維持できているのです。私立大学のなかには、100人単位で「国試浪人」が溜た まっているところもあると聞きました。 和田 一方の東大は、マニアックな研究をしている教授が多いため、国試対策どころか、趣味的な講義しかしない教授も多かったのです。つまり、講義自体が国家試験に対応できていないのです。当時はコアカリがなかったので、かなり偏っていましたよ。それはそれで、先程も申し上げたように刺激的ではありましたがね。 鳥集 コアカリというのは、2001年に文科省が出した「医学教育モデル・コア・カリキュラム」のことですね。それまでは、医学部によって教える内容にバラつきがありました。たとえば、国立大学では座学が中心で臨床教育を軽視しているという批判がある一方で、一部の大学では医学生にお産を手伝わせるようなこともあったといいます。 また、先の話でも出たように、歴史の浅い私大では臨床実習をほどほどにして国試対策にばかり力を入れるところも多かったのです。こうした状況を打破するため、どの大学の医学部を出ても最低限必要な知識・技能・倫理を身につけられるように医学教育の内容を標準化しようというのが目的でした。さらに、コアカリは「よき臨床医」を育てることに主眼を置いています。今までこうした取り組みがなかったのが不思議なほどです。 これにより、医学部がより「職業訓練校」と化したと批判する向きもあるようです。確かに各大学には「良医を育てる」「医学のリーダーを養成する」といった理念の違いがあります。東大医学部のHPには、このように書かれています。 〈東京大学医学部の目的は生命科学・医学・医療の分野の発展に寄与し、国際的指導者になる人材を育成することにある。すなわち、これらの分野における問題の的確な把握と解決のために創造的研究を遂行し、臨床においては、その成果に基づいた全人的医療を実践しうる能力の涵かん養ようを目指す〉 つまり、東大医学部生は、国家試験は自助努力でなんとかしなさい、東大生なら自分たちでできるでしょ? ということなのでしょう』、「特に歴史の浅い私立大学では学生に国試対策の勉強ばかりさせて、試験も国試の形式で出すそうです。そして、国試に受かりそうにない学生は卒業させず、国試を受けさせない。成績のいい学生だけに絞って国試を受けさせるので、見かけの合格率が一定以上に維持できているのです」、「臨床実習をほどほどにして国試対策にばかり力を入れるところも多かった」、確かに見かけ上の合格率だけでは判断できないようだ。
タグ:医療問題 東洋経済オンライン yahooニュース (その28)(精神病院「情報開示に消極的」な姿勢への大疑問 公的にも自主的にも隠し 患者には評価できない、引きこもりの彼が精神病院で受けた辱めの驚愕、東大医学部が医師国家試験の合格率で55位の下位に沈む理由) 「精神病院「情報開示に消極的」な姿勢への大疑問 公的にも自主的にも隠し、患者には評価できない」 「精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占める」、全く歪な姿だ 「精神科病院」はもともと閉鎖的になりやすいだけに、「公開されているのは、病院の設立区分や都道府県ごとに集計された数値にとどまる。本来、患者や家族が知りたいのは個別病院のデータのはずだが、そうした要望に応えるものにはなっていない」、やはり要開示項目を増やすべきだろう 「地業研が刊行する『東京精神病院事情2015年版』」、は数少ない情報源のようだ。 「日精協」が「声明文発表の2カ月前に毎日新聞が、50年以上入院する患者が全国に1700人以上いると報じた記事」に触れ、「まさにわれわれの危惧が現実となったものである」と批判」したのは、不都合な事実を「個人情報保護」とは本来、無関係なのに、強引にそれを大義名分に抑制しようとするものだ 困ったら病院に入れるのがゴールだと安易に思ったり、精神疾患を持つ患者が社会に出てきたら困ると思い込んだりしている私たち自身の偏見に向き合うためにも、ロクサンマル調査でわかるデータは行政や病院が抱え込むものではなく、市民にとってオープンであってほしい」、その通りだ 「病院の情報開示はもちろんのこと、患者自身がもっと声を上げていくことが必要」、同感である。 「引きこもりの彼が精神病院で受けた辱めの驚愕」 「人権上の問題が山積」とは見逃せない 「両親は、Aさんの就職を支援するというセンターと契約し、約700万円を支払った」、そのあげく僅か7日間で、「センター」から「精神病院」に入院させたとは、「両親」は知っているのだろうか。 「仰向けにベッドに固定され、寝返りを打つこともできないまま3日間過ごすことになった。なにより屈辱を感じたのは、トイレに行くことが許されず、おむつへの排泄を強要されたことだ」、人権侵害の極致だ。「あなたは今まで10年間教会のミサに通い続けていたよね。それは社会の一般通念からずれている。それが根拠です」と説明された」、こんなのが「発達障害の疑い」の根拠とは聞いて呆れる 「センターの運営会社は2019年末に破産」、「700万円」はその前に返還されたのだろうか。「本人や支える家族の不安や悩みは大きい。 そうした悩みにつけこんで、「半年で自立させる」などと甘言を用いて、両親など家族から高額な費用を巻き上げる引き出し屋は、決してこのセンターだけではない」、全く悪質極まりないビジネスだ。これと手を組んでいる筈の「精神病院」も問題がある 「精神科病院への新規入院件数は減少傾向にある。そのため多くの病院はできるだけ多様な入院ニーズを確保したい。この病院が直接それにあたるかは別にして、引き出し屋と結託すれば相応の患者数を定期的に受け入れられると考える精神科病院があっても不思議ではない」、医師がこんないかさまビジネスの片棒を担ぐとは世も末だ 親や船籍にとっては、厄介者払い的な色彩もあるだろうが、ここまで酷い人権侵害が起きていることまでは知らない筈だ。「引き出し屋」がまだ営業を続けているのであれば、刑事告発したり、民事で損害倍書訴訟をしていくことにより、息の根を止めるべきだろう 幻冬舎OLD ONLINE 「東大医学部が医師国家試験の合格率で55位の下位に沈む理由」 和田秀樹・鳥集徹著『東大医学部』(ブックマン社) 「新臨床研修制度」により「大学病院よりも一般病院での研修をする研修医が増えた」、のは結構なことだ ブラック・ジャックによろしく 「岩手医科大学附属病院に研修医が3人しか集まらなかったのは研修医が東京に行ってしまうことが理由ではなく、すぐ近くの県立病院に行っていたからなのです」、まるで笑い話だ 「臨床をちゃんとやっている病院には、研修医はちゃんと集まるのです。いずれ患者の集まり具合も、単なるブランド志向ではなく、同じように変わっていくことでしょう」、「くだらない病院ランキングより、研修医の集まり具合を見るほうが、臨床の質がわかる」のは確かだ 「現役時代から国試予備校に通うような人も、プライドの高い旧七帝大の学生では少ないはずです」、納得した 「難しい問題を工夫して自力で解くことに快感を覚えるような高偏差値の人のなかには、大量暗記を馬鹿らしく思ってしまう学生もいるのではないかと。東大生や京大生でも、国試浪人したのに再度落ちてしまう人が毎年一定数います。あげく医師になれないで終わる人がいるのです」、もったいない話だ 現在は受験指導もしている「和田」氏も「灘の同級生で一番の秀才だった」友人が「勉強会に誘ってくれた」ので、「国家試験」に合格したとは初めて知った 「特に歴史の浅い私立大学では学生に国試対策の勉強ばかりさせて、試験も国試の形式で出すそうです。そして、国試に受かりそうにない学生は卒業させず、国試を受けさせない。成績のいい学生だけに絞って国試を受けさせるので、見かけの合格率が一定以上に維持できているのです」、「臨床実習をほどほどにして国試対策にばかり力を入れるところも多かった」、確かに見かけ上の合格率だけでは判断できないようだ
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保育園(待機児童)問題(その11)(保育園が突如閉園 広がる保護者の困惑と不安 閉園の2週間前に通知 市の通知にも応じず、川崎市「保育園落ちた」子が待機児童の200倍の訳 2015年に「待機児童数ゼロ」達成したものの…、保育士の「地域ごとの年収」開示が今必要な理由 「保育の質」に関わる超重要な問題だ) [生活]

保育園(待機児童)問題については、昨年7月12日に取上げた。今日は、(その11)(保育園が突如閉園 広がる保護者の困惑と不安 閉園の2週間前に通知 市の通知にも応じず、川崎市「保育園落ちた」子が待機児童の200倍の訳 2015年に「待機児童数ゼロ」達成したものの…、保育士の「地域ごとの年収」開示が今必要な理由 「保育の質」に関わる超重要な問題だ)である。

先ずは、昨年11月26日付け東洋経済オンライン「保育園が突如閉園、広がる保護者の困惑と不安 閉園の2週間前に通知、市の通知にも応じず」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/390512
・『「2020年10月31日をもって当施設を閉園することを判断いたしました」 千葉県印西市の小規模認可保育園「にこにこルーム原山」を利用する保護者が閉園を知らせる手紙を突然受け取ったのは、閉園2週間前の10月18日のことだった。 同園の運営会社は2020年10月末で閉園することを10月17日付で保護者に文書で通知した。保護者への説明会は一度も開かれないままだ。職員が閉園と他園への異動を通知されたのは、さらに遅い10月20日のことだった』、「保護者に文書で通知」が「閉園2週間前」、とこんな急な「閉園」が、「小規模」とはいえ、認可保育園で発生したとは驚いた。
・『「保育士不足と経営悪化」で閉園に  新しい保育園に通う場合は通常、子どもが環境に慣れるために短時間だけ子どもを預ける「慣らし保育」を行う。しかし、今回のような急な閉園の場合は十分な慣らし保育の期間を設けることができない。 同園の保護者らは「急な閉園で預かってもらえないと本当に困る。度重なる転園は子どもの精神的な負担が大きく、心配だ。子どもたちに負担がないように配慮してほしい」と当惑を隠せない。 にこにこルーム原山は少人数型の小規模保育園で、閉園の通知当時、3人の園児が在籍していた。運営するのは、東京都や千葉県で7カ所(同園含む)の小規模保育園を運営する都内の株式会社だ。運営会社は保護者宛の手紙で、「(閉園の理由は)保育士不足と経営悪化」と説明している。 認可保育園を閉園する場合、自治体首長の承認が必要になる。印西市は休園を承認しておらず、10月27日、運営会社に対して11月以降も運営を継続するよう文書で通知したが、運営会社は閉園の方針を撤回しなかった。 保育士ら3人の正社員らは運営会社に閉園の撤回を求め、11月以降も運営を続けようとしていた。 ところが、11月に入って運営会社は施設の鍵を変えたため、職員や園児の荷物が施設内に残されたまま、中に入れない状態になった。職員の保育士は「子どものことも、園を頼りにしている保護者のことも考えずに、閉園を強行するのは信じられない。運営会社は経営状況の悪化を理由にあげているが、いま閉園しようとしているのは別の理由があると思う」と話す。 ▽ベビーベッドも補修してもらえず(運営会社が正社員らに命じた異動先は、自宅から電車で片道2時間ほどかかる都内の保育園だ。職員らが個人加入している介護・保育ユニオンは、「職員はばらばらの遠い園に異動になる。閉園は団体交渉で声を上げた職員への報復の意味が大きい」と指摘する。 同園は新型コロナウイルスの影響で4~5月に休園になった。休園中も、自治体から認可保育園に支払われる委託費は変わらない。そのため、国は労働基準法に基づく平均賃金の6割の休業手当の支払いにとどまらず、通常と同水準の賃金を職員に支払うように都道府県に通知を出した。しかし、同園は職員に給料は6割しか支払っていなかった。 このため保育士らは2020年8月に同ユニオンに加入し、保育環境の改善と休園中の休業手当の支払いなどを求めて運営会社と団体交渉を行っていた。運営会社は2020年に入り、前年分の給料に過払いがあったとして、保育士らの給料から差し引くようなこともしていた。差し引かれた結果、ある正社員は月給1万7000円の月もあったという。 また、ベビーベッドが壊れても修理してもらえず、給食を作る調理員が2019年に辞めて後、補充されないなどの問題もあった。 「保育士は配置基準ぎりぎりで足りていない。1人でも欠ければ基準を満たさなくなる状態だ。畳がぼろぼろで、おもちゃを買ってあげたくてもお金がないと言われた。せめて子どもたちの設備だけでも、しっかり対応してほしい」(職員の保育士)) 保育士らから相談を受けた印西市は、2020年8月と10月、会社側に保育園の運営を改善するよう通知を出した。市は職員が配置基準に満たない日があるとして、保育士が休むときの対応方法を示すことや、園で調理を行う職員を配置するように指示した。 しかし、運営会社は市の通知に応えることもなく、職員は補充されることなく突如閉園となった』、「閉園の通知当時、3人の園児が在籍」、これでは赤字だろう。「新型コロナウイルスの影響で4~5月に休園になった。休園中も、自治体から認可保育園に支払われる委託費は変わらない」のに、「同園は職員に給料は6割しか支払っていなかった」、極めて悪質だ。
・『ハードルが低い民間保育園の閉園  それにしても、認可保育園はここまで急な閉園は可能なのだろうか。公立の認可保育園は、児童福祉法で3カ月前までに都道府県知事への届出が必要と定められているが、今回閉園した小規模認可保育園は届出から閉園までの期間の定めはなく、市区町村長の承認があれば閉園できる。 介護・保育ユニオンの三浦かおり共同代表は「規制緩和が今回の問題の背景にある。国は待機児童の解消を掲げて規制緩和を進め、2000年以降は株式会社が参入し、利益追求ありきの経営者が増えてきた。(閉園のハードルが低いため)利益が上がらないとなった時点で、閉園してしまう事業者が出てくる。今後も起こりうる問題だ」と指摘する。 小規模保育園は、通常の保育園よりも参入のハードルが低い。小規模保育園は定員が19人以下で、0歳~2歳児までを預かる。2015年の子ども・子育て支援制度で新たに国の認可事業になった。施設基準によってA型、B型、C型の3種類があり、最も定員が少ないC型では保育士資格の保有者が不要だ。 保育者や研究者ら約300人の会員で作る保育研究所の逆井直紀氏は「新たに小規模保育園を作ったのは、職員の資格要件を緩和する目的があった。認可保育園に入れない子どもの受け皿にするためだ」と指摘する。 厚生労働省の調査によると、小規模保育園の数は2016年の2429施設から、2018年には4267施設に急増している。4267施設のうち、企業立の割合が48%を占め、通常の認可保育園の割合が7%であるのと比べると、はるかに高い。 「保育園の運営は人件費と設備費が想像以上にかかる。国が定める職員の配置基準が低いため、実際には倍くらいの人手が必要だ。それを知らずに安易に開園すると、運営を見誤ることになる」(逆井氏) にこにこルーム原山は、定員9人に対して、2019年は7人、閉園時は3人の園児が在籍していた。保育士は「朝7時から19時まで開園しているため、(保育士のうちの)誰か体調不良で休めば長時間勤務を強いられることになる。会社に訴えても、園児を入れたら職員を増やすと言われるだけだった」と訴える』、「国が定める職員の配置基準が低いため、実際には倍くらいの人手が必要だ。それを知らずに安易に開園すると、運営を見誤ることになる」、「配置基準」を実態に合わせて多目にしておけば、「安易な開園」を防げる筈だ。何故なのだろう。
・『あいまいな公的責任  今回の閉園について、印西市保育課の担当者は「これまでも職員配置について改善を指導してきたが、改善されなかった。11月から休園状態になったが、市として休園を承認していないことは変わりないため、不承認での休園は児童福祉法に違反する」としている。 市は同園への認可を取り消す方向で検討している。しかし、児童福祉法違反に対する運営会社へのペナルティはない。 これに対し、運営会社の社長は「パート職員で十分に配置基準を満たしている。園児が少ないと委託費が少ないため、採算が合わない。これでは人件費を増やせない。卵が先か鶏が先かという話だ。市から安全面で指導を受けていたが、改善できなかった。子どもの安全が第一なので、そういう(市の)評価なら、潔く(運営を)やめるしかない」と話す。 民間の小規模保育園に対する公的責任はあいまいだ。通常の認可保育園は自治体が保護者から保育料を徴収し、入園する園児の調整も行う。小規模保育園も入園は自治体の調整によって決まることが多い。ただし、この調整は情報提供や紹介の域を出ないので拘束力はない。保育料も園が保護者から徴収する。 「小規模保育園については、行政は施設の入所もそこで提供される保育も、自治体は直接的な責任を負わない。公的責任において格差を是正するには、認可保育園と同じ扱いにすべきだ」(前出の逆井氏) 市によると、在籍していた園児の転園先が決まったため、廃園に向けて手続きが進んでいるという。結果的に短期間での閉園が認められる形となった。 待機児童の受け皿として増加する民間の小規模保育園だが、突然の閉園で何ら罪のない子どもたちが最もシワ寄せを受けている』、「閉園」に自治体の「認可」が必要といっても、辞める事業者には何の意味もない。「小規模保育園」の基準はやはり「認可保育園と同じ扱いにすべきだ」。

次に、本年1月8日付け東洋経済オンラインが掲載した 「保育園を考える親の会」代表の普光院 亜紀氏による「川崎市「保育園落ちた」子が待機児童の200倍の訳 2015年に「待機児童数ゼロ」達成したものの…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/399582
・『保育政策の充実度を測る指標は「待機児童数」だけではありません。過去20年にわたり主要100自治体へ保育施策に関する独自調査を行ってきた「保育園を考える親の会」の代表の普光院亜紀氏が、「入園決定率」「園庭保有率」「保育料」といった指標から、自治体ごとの真の「保育力」を分析します。第4回の今回は神奈川県川崎市です。 川崎市は、東京都と横浜市の間に帯状に広がる政令指定都市です。面積の割には人口が多く、全国の市で7位の約154万人を擁しています。市内をJRと私鉄が縦横に走り、都心部へのアクセスがよく、東京のベッドタウンとして発展してきました。代表的なエリアにはタワーマンションが林立する武蔵小杉駅があり、人口増加が続いています。 川崎市は7つの区から構成されています。保育に関する制度は川崎市全体で行われていますが、認可への入園申請は各区役所で受け付けています。川崎市民が居住区以外の区の認可保育施設を希望しても不利にはなりません。川崎市全体の数字を見ていきましょう』、興味深そうだ。
・『3つの指標で見る川崎市の保育力 入園決定率76.7%(主要89自治体*平均77.5%)園庭保有率70.7%(主要98自治体*平均71.8%) 中間的な所得階層の1歳児保育料3万3300円(主要98自治体*平均3万0587円) *首都圏の主要市区、政令指定都市100市区が調査対象だが、有効回答数は指標・年度によって若干異なる まずは入園決定率から見ていきましょう。保育園を考える親の会では、毎年、首都圏の主要市区と政令市の100市区について「100都市保育力充実度チェック」という調査を行っています。その中で、認可の保育(認可保育園、認定こども園、小規模保育、家庭的保育等)に新規に入園を申し込んだ子どものうち何パーセントが入園できたかという数値「入園決定率」を算出しています。 国が発表している待機児童数は人口が多い自治体の数値が多くなり、「入れなかった児童数」からさまざまな数字を差し引いた数になっているので、実際の入園の難易度とはかけ離れたものになっているからです。) 川崎市の「入園決定率」は、76.7%。主要89自治体の平均に近い数字で、認可に入園を申し込んだ児童のうちの約4分の3が認可に入園できているということになります(2020年4月1日入園での数字)。川崎市の入園決定率は、3年前の2017年度は71.2%でしたが、わずかずつ上昇してきました。この3年間の利用申請者数が4853人伸びたのに対して、認可の保育定員は5587人増となっていますので、ニーズ増を追いかける懸命の待機児童対策が行われていることが読み取れます』、「認可の保育定員は5587人増」と努力しても、「この3年間の利用申請者数が4853人伸びた」ので、焼け石に水のようだ。
・『「待機児童」にならない6つのケース  川崎市も横浜市と同様に「保留児童数」を公表しています。これは、本来の待機児童数ともいえるものです。ここから「国が待機児童数にカウントしなくてもよいとしている定義に該当する児童」を引いた数字が「待機児童数」になります。この「国が待機児童数にカウントしなくてもよい」としているケースは6つあります。 ①国が補助金を出す認可外保育施設に預けている場合(企業主導型保育事業) ②自治体が補助金を出す認可外保育施設に預けている場合(地方単独事業:東京都の認証保育所など) ③保護者が育児休業を延長していて復職の意思が確認できない場合(育児休業中の者) ④通える範囲に保育施設(認可外も含む)が空いていると判断され、そこを利用していない場合(特定の保育園等のみ希望している者) ⑤再就職希望で求職活動を十分に行っていないと見なされる場合(求職活動を休止している者) ⑥その他:幼稚園の預かり保育、認可に移行するための補助を受けている認可外保育施設、特例保育などを利用している場合 川崎市の「保留児童数」つまり「認可に申し込んで認可を利用できていない児童数」は2447人になりますが、ここから上記6つのケースに当てはまる2435人が差し引かれ、待機児童数は12人と発表されています) 川崎市の待機児童数が「認可に申し込んで認可を利用できていない児童数」(保留児童数)に占める割合はわずかに0.5%で、調査対象100市区の平均8.0%に比べると極端に小さくなっています。これは、前回の横浜市の場合の0.7%をさらに下回っており、「利用できていない児童数」(保留児童数)の99.5%が待機児童数にカウントされていないという、驚きの数字になっています。 川崎市の「利用できていない児童数」の内訳で特徴的なのは、「地方単独事業を利用している者」の割合が32%と高いことです(100市区平均は18.1%)。その分、「特定の保育園等のみ希望している者」は29.7%で調査対象100市区の平均(44.3%)を下回っています。川崎市では、以前から「おなかま保育室」や「川崎認定保育園」など、認可外保育施設の助成制度(地方単独事業)を複数つくって待機児童対策を行ってきており、それが「地方単独事業を利用している者」の割合を高くしていると思います。 利用者は認可での整備を望んでいるとは思いますが、入れなかったときに市の支援を受ける認可外保育施設で保育を受けられることは助かります。川崎市では、認可の不承諾通知を受け取った家庭に、これらの認可外保育施設を丁寧に案内することも待機児童対策のひとつとして挙げています。同時に、これらの認可外保育施設を認可に移行させて認可の受け皿を増やす待機児童対策にも力を入れています。 10年前の2010年、川崎市は横浜市に次いで待機児童数全国ワースト2の1076人を記録しましたが、5年後の2015年に待機児童数ゼロを達成しました。これを聞いて武蔵小杉に引っ越した保育園を考える親の会会員が区役所で入園の相談をしたところ「入れる見込みはない」旨を伝えられたそうです。「待機児童数ゼロ」には大きな落とし穴があります』、「待機児童数ゼロ」は定義からきちんと考える必要がありそうだ。
・『困窮度をより重視する川崎市  認可保育園等への入園申し込みは市区町村別に行われ、定員を上回る園・クラスについては市区町村が選考(利用調整)を行います。選考は保護者の就労状況やその他家庭の状況を点数化し、保育の必要性が高いと判断された児童から優先的に入園が決定します。) 点数化の方法は自治体によって異なります。川崎市の選考は3段階の判定があるのが特徴です。保育の必要性の理由や勤務時間などで判定するランク(基準指数)がA?Hの8ランクあり、父母のうち低いほうのランクが適用されます。同ランクになった子どもについて、主に世帯の状況について判定する指数(調整指数)で優先順位をつけます。さらに、同ランク・同指数になった子どもについて、主に子どもの状況について判定する項目点で優先順位をつける、という形です。 ランク(基準指数)では、勤務時間が長い世帯が有利である点はほかの自治体と同様ですが、同じ勤務時間では「居宅外労働(自営以外)」と「自営(中心者)」が同じランクになり、「自営(協力者)」はランクが1段階低くなります。つまり、自ら自営業を営む場合は居宅内外を問わず会社員などと同じ扱いで、配偶者や親族が営む自営業の協力者である場合には優先順位が下がるということです。また、指数(調整指数)の判定では、とくにひとり親世帯の加点が手厚く、指数が同点で並んだときは、まず「子どもが3人以上の世帯」、次に「世帯所得が低い世帯」を優先されます。 川崎市の場合、認可外保育施設の利用や上の子が在園していることによる加点は、同ランク・同指数になった場合の項目点(3段階目)での加点になっていて、ほかの自治体に比べると、これらの加点の影響は小さいと言えます。川崎市の入園選考は、世帯や子どもの困窮度をより重視する傾向にあります』、「世帯や子どもの困窮度をより重視する傾向」、とは好ましい。
・『待機児童対策を進めながら保育の質も守る  国は認可保育園の園庭の広さについて、「2歳以上児1人につき3.3㎡の屋外遊技場が必要」としていますが、近くの公園等での代替も認めています。保育園を考える親の会では、認可保育園のうち基準を満たす広さの園庭を保有する園が何%かという「園庭保有率」を独自に調査しています。都市部では、この園庭保有率が年々低下していて、園庭のない認可保育園が急増しています。点数化の方法は自治体によって異なります。川崎市の選考は3段階の判定があるのが特徴です。保育の必要性の理由や勤務時間などで判定するランク(基準指数)がA?Hの8ランクあり、父母のうち低いほうのランクが適用されます。同ランクになった子どもについて、主に世帯の状況について判定する指数(調整指数)で優先順位をつけます。さらに、同ランク・同指数になった子どもについて、主に子どもの状況について判定する項目点で優先順位をつける、という形です。 ランク(基準指数)では、勤務時間が長い世帯が有利である点はほかの自治体と同様ですが、同じ勤務時間では「居宅外労働(自営以外)」と「自営(中心者)」が同じランクになり、「自営(協力者)」はランクが1段階低くなります。つまり、自ら自営業を営む場合は居宅内外を問わず会社員などと同じ扱いで、配偶者や親族が営む自営業の協力者である場合には優先順位が下がるということです。また、指数(調整指数)の判定では、とくにひとり親世帯の加点が手厚く、指数が同点で並んだときは、まず「子どもが3人以上の世帯」、次に「世帯所得が低い世帯」を優先されます。 川崎市の場合、認可外保育施設の利用や上の子が在園していることによる加点は、同ランク・同指数になった場合の項目点(3段階目)での加点になっていて、ほかの自治体に比べると、これらの加点の影響は小さいと言えます。川崎市の入園選考は、世帯や子どもの困窮度をより重視する傾向にあります』、「入園選考は、世帯や子どもの困窮度をより重視する傾向にあります」、望ましい傾向だ。
・『待機児童対策を進めながら保育の質も守る  国は認可保育園の園庭の広さについて、「2歳以上児1人につき3.3㎡の屋外遊技場が必要」としていますが、近くの公園等での代替も認めています。保育園を考える親の会では、認可保育園のうち基準を満たす広さの園庭を保有する園が何%かという「園庭保有率」を独自に調査しています。都市部では、この園庭保有率が年々低下していて、園庭のない認可保育園が急増しています。 川崎市の2020年度の「園庭保有率」は70.7%で、横浜市とほぼ並んでいます。川崎市は、人口密度が高く、土地の確保が困難であることを待機児童対策の課題に挙げています。今後、保育ニーズが高い主要駅周辺の整備を進めるときに園庭を確保できなければ、園庭保有率は低下していく恐れがあります。 一方で、川崎市は、待機児童対策とともに、次のような保育の質の維持・向上策も掲げています。 +保育所等の新設や運営法人の選考にあたっては、有識者が参加する選考委員会を開く +各区の公立保育園が、民間の認可保育園の支援や指導をしたり、公民の交流によって保育技術を共有したり、公開保育で学び合ったりして連携して人材育成を行う +政令市である川崎市は自身で認可外の指導監査権限をもち、認可外保育施設244カ所すべての立ち入り調査・指導を実施している 急激な待機児童対策によって、川崎市においても保育事業者が多様化しており、このような施策は非常に重要といえます』、「待機児童対策とともに」、「保育の質の維持・向上策も掲げています」、「質の維持・向上」は重要だ。
・『保育料最高額は8万円台  川崎市の保育料は、平均と比べると高めです。認可の保育料は自治体が独自に決めており、3歳以上児は無償(別途、食材料費の負担あり)、3歳未満児は世帯所得によって額が異なります。川崎市の3歳未満児の最高所得階層の保育料は8万2800円(世帯市民税所得割額47万5300円以上)で、調査対象100市区では8番目に高い額になりました。保育園を考える親の会では中間的な所得階層*の保育料も調べていますが、川崎市は3万3300円で、有効回答98市区の平均(3万0587円)を上回っています。 *中間的な所得階層=所得控除前の年収が夫525万9156円・妻100万1161円、夫の社会保険料額を73万6282円、子ども1人とした、第1子保育料(総務省「家計年報」を参考に設定)。) また、3歳未満児の食事の費用はどこでも保育料に含まれていますが、3歳以上の食材料費は別途、保護者が負担するのが国の基準になっています(所得等による免除あり)。お隣の東京都では主食費部分について都がお金を出しているため、都内の市区では主食費は無料、副食費(おかず代)は自治体や施設ごとに違っています。 これに対して川崎市は、市の補助がなく、主食費も副食費も園によってさまざまになっています。公立園の場合、主食費は1000円、副食費(おかず代)は4500円を払います(月額)。民間園はそれぞれに費用を決めていますが、公立にそろえているところも多いと思います。民間園の中には、主食のごはんなどを家庭から持参する決まりのところもあります』、なるほど。
・『川崎市の保育の今後  川崎市は子どもの権利に関する条例を日本で最初につくった自治体です(川崎市子どもの権利に関する条例)。入園選考で困窮世帯を優先する加点があったり、待機児童対策とともに保育の質の維持・向上をアピールする姿勢をみると、子どもの権利の視点からの施策の検討がされていることを感じさせます。 しかし、待機児童をすぐに解消させるのは難しいでしょう。現在、川崎市の人口は全区で増加しています。市は待機児童対策をかなり頑張っていると思いますが、人気の沿線の急行停車駅などは入園状況の厳しさが続きそうです。川崎市に引っ越しを考えているのであれば、あらかじめその地域の入園状況を区役所に確認することをお勧めします』、「川崎市の保育」充実の取り組みを注目したい。

第三に、2月26日付け東洋経済オンラインが掲載した ジャーナリストの小林 美希氏による「保育士の「地域ごとの年収」開示が今必要な理由 「保育の質」に関わる超重要な問題だ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/412617
・『なかなか解決のメドが立たない、待機児童問題。その解決のため急ピッチで保育園の整備が行われるなか、保育士確保や質の維持のためにも保育士の処遇改善が重要という認識が広がっている。 ところがその処遇を改善しようにも、その人件費の実態が極めて捉えづらい。国は毎年度、公費で認可保育園に出している人件費(法定福利費は含まない年額)を通知で示しているが全国平均のため、地域によって異なる保育士の“適正な”賃金水準の手がかりがつかめないのだ』、なるほど。
・『保育士の低賃金問題の解決に向けての第一歩となるか  地域により、公費でいくら人件費が出ているかのか。具体的に「見える化」することが必要不可欠だと、筆者は約2年前から問題提起してきた。そうした中で内閣府は、初の通知改定に乗り出し、2021年度分から8つに分けた地域区分の人件費額を示す予定という。内閣府と議論を重ねてきた参議院の片山大介議員が3月の国会で質疑し、国が答える見通しだ。 国を挙げての保育士の処遇改善が始まったのは2013年度。処遇改善加算Ⅰが新設され、それから2020年度までに、保育士1人当たり月額で約4万5000円もの賃金アップが進んだ。 さらに、保育士の経験値によって最大で1人当たり月4万円も上乗せされる処遇改善加算Ⅱも設けられたが、保育士の低賃金問題が解決したわけではない。 保育士の賃金を見るうえで重要なのが、いったいいくらの賃金額が公費で保育園に給付されているかだ。認可保育園には、税金と保護者が支払う保育料が原資となる運営費の「委託費」が給付されている。委託費は、8つの地域区分、保育園の定員規模、園児の年齢別の保育単価である「公定価格」で計算される。 公定価格の「基本分内訳」として、国は毎年度「私立保育所の運営に要する費用について」という通知により、所長(園長)、主任保育士、保育士、調理員等の人件費の額を示してきた。この人件費は賞与や地域手当等を含む年額で、法定福利費や処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱを含まない。 2020年度の保育士の年間賃金は全国平均で約394万円となる(2021年1月に約395万円から約394万円に改定)。ただし金額はあくまで全国平均で、地域区分で異なる人件費の内訳は公表されてこなかった。 地域区分の人件費額と実際に支払われる金額を比較しなければ、事業者が適正に賃金を支払っているか曖昧になる。それを明確にするため、内閣府は2021年度からの通知に地域区分ごとの人件費額を掲載する前提で今、準備を進めており、筆者は2020年度の地域区分ごとの人件費の内部資料を入手した(表)。関係者によれば、「2021年度の金額も大きく変わらない」という。 この通知改定で期待されることは、保育士をはじめとした関係者が1人当たりの職員の人件費を具体的にイメージしやすくなること。もし現場の保育士や保護者が職員の待遇に疑問をもった場合に、園や事業者に説明を求めやすくなる。委託費の大部分は税金であることから、事業者側への情報開示や説明責任が一層促され、より透明性のある経営に改善されていくことが期待される』、透明性が高まるのはいいことだ。
・『地域区分別の人件費額が公表されることへの効果  ただ注意点として、公定価格を上回る賃金を払っている事業者が、賃金を切り下げる理由にしてはいけない。また、公定価格の金額はあくまで保育士の最低配置基準の人員体制に基づいている。 現場に余裕を持たせるために配置基準以上の人数の保育士を雇っている場合でも人件費総額は変わらないため、1人当たりの賃金が公定価格の金額より低くなってしまう。実際の人員配置や職員の年齢、各事業者の給与テーブルがどうなっているかも併せて見ることが必要だ。 とはいえ、地域区分別の人件費額が公表されることの効果は大きい。この通知を基準として、機械的にではあるが、本来はどの程度の賃金を各保育士が得ることが可能か計算できるからだ。公定価格の金額に処遇改善加算や自治体独自の処遇改善費を上乗せしていくと、単純計算という前提だとしても、得られるはずの賃金総額が見えてくる。 2020年度の全国平均では、おおよそ経験7年以上の保育士の年間賃金は最大で約465万円の計算となる。「公然と消える『保育士給与』ありえないカラクリ」(2020年6月17日)の記事を参照。 今回判明した、公定価格の人件費が最も高い東京23区で同様の計算してみよう。2020年度の公定価格の約443万円に、全職員対象の国の処遇改善加算Ⅰが月1万8000円つき、東京都独自の処遇改善費「東京都保育士等キャリアアップ補助金」(月額で平均4万4000円)もついた場合で足し上げると年間賃金は約517万円になる。 そこに、国のキャリアに応じた処遇改善加算Ⅱが月5000円(おおよそ経験3年以上)あるいは月4万円(同7年以上)が支給された場合、それぞれ約523万円、同約565万円に上る。 一方、内閣府「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」の2019年度調査(速報値)では、東京23区の常勤保育従事者が実際に手に取る年間賃金は約381万円(平均勤続年数7.9年)でしかない。公費上の保育士全員が対象の処遇改善費と東京都独自の処遇改善費を合わせた約517万円と比べると、その差だけでも約136万円にもなる。キャリアに応じた処遇改善が最大でつけば、差は約184万円もの開きが生じる。 この差の原因が何か、検証が必要だ。まず、賃金が低くなる正当な要因として、若い保育士が多いこと、人員体制に厚みがあることが挙げられる』、「差は約184万円もの開き」、「賃金が低くなる正当な要因として、若い保育士が多いこと、人員体制に厚みがあることが挙げられる」、なるほど。
・『保育士の平均勤続年数  待機児童の多くが東京都内で発生しており、都内の認可保育園は2015年4月の2184カ所から2020年4月には3325カ所へと、この5年で1141カ所も増えている。新規開設した保育園には新卒採用の若手が多い傾向があり平均賃金が低くなるが、実際の平均勤続年数はどうか。 前述の内閣府調査によれば、「100分の20地域」である東京23区の常勤で働く保育士の平均勤続年数(前職が保育園などの場合、その勤続年数も含まれる)は、7.9年だった。他の地域区分の平均勤続年数はほぼ9年台で、東京23区に次いで短いのが浦安市や神戸市など「100分の12地域」の8.6年、最も長いのが「その他地域」の10.6年だった。 都市部では保育士争奪戦で新卒初任給が上昇傾向にあることや、東京23区とほかの地域ともそう大きく平均勤続年数が変わらないことから、年間100万円以上もの公費との賃金差が生じることには疑問が残る。 公定価格の賃金は保育士の最低配置基準に沿ったものであるため、配置基準以上に保育士を雇って現場に余裕を持たせる努力をしている園の1人当たりの賃金が低くなるケースもある。その場合は正当な理由だと言えるだろう。 とはいえ、東京都の監査で文書指摘を受ける半数が「保育士配置違反」というのが現状だ。筆者は東京都がホームページで公開している監査結果を調べ、2017~2019年度に認可保育園に対して行われた監査を集計すると、合計153件の認可保育園で保育士配置違反の文書指摘を受けていた。そのうち7割が23区内の認可保育園だった。 東京23区の認可保育園は前述のとおり3300カ所以上あるので、その一部の例ではある。しかし、最も高い人件費を公費で受け取りながら、人員配置はギリギリである園が23区に多いことは事実だ。 保育士の平均勤続年数もそう大きく他の地域と乖離しているわけでもないのに、実際の賃金が低いということになる。こうしたことが、地域区分の人件費がわかることで分析できるため、通知改定には大きな意義がある。 ではいったい、人件費はどこに消えているのか。筆者は本媒体でも繰り返し、保育士が低賃金になる大きな原因を作る「委託費の弾力運用」という制度を問題視してきた。 委託費の大部分を占める人件費がほかに流用できる「委託費の弾力運用」という仕組みにより、本来はその保育園のために使う人件費であっても同一法人が運営するほかの施設への補填や施設整備費などに回されていき、人件費だけでなく子どもの玩具も満足に買えない状況もある』、「「委託費の弾力運用」という仕組みにより、本来はその保育園のために使う人件費であっても同一法人が運営するほかの施設への補填や施設整備費などに回されていき、人件費だけでなく子どもの玩具も満足に買えない状況もある」、なんでこのような不透明な「仕組み」があるのだろう。
・『人件費額がオープンになれば不正支出防止にも  さらには制度の網の目をかいくぐって数千万円単位の委託費が経営陣に私的流用される問題まで発覚している。 そして、事業者に性善説がまかり通らないことが新型コロナウイルス禍の中で露呈した。コロナが流行して保育園が臨時休園になったとしても、国は委託費を満額支給した。 それには保育士が休業しても人件費を通常どおり支払うことで離職を防止する意図があったが、国の通達に従わない事業者が現れ、全国各地で賃金カットが横行。事業者は人件費を切り詰めるが、自身は委託費から捻出した資金で高級外車に乗って不適切な支出を重ねる実態もある。 こうした中で各地の認可保育園の1人当たりの人件費額がわかることは、委託費の使い道の不正防止にもつながる。通知改定により、人件費が適切かと監視の目を光らせることもできるようになる。 保育士の処遇改善が一歩も二歩も前進し、保育の質の向上につながることが期待される。正しく税金が使われるようになれば、保育士にとっても、保護者にとっても、保育園を監督する自治体にとっても、通知改定は広く社会にとって意味あるものになるのではないか』、「数千万円単位の委託費が経営陣に私的流用される問題まで発覚」、「全国各地で賃金カットが横行。事業者は人件費を切り詰めるが、自身は委託費から捻出した資金で高級外車に乗って不適切な支出を重ねる実態も」、不透明さからこのような不正行為が横行しているとは、初めて知った。透明性向上で、不正の余地をなくすべきだ。
タグ:保育園 東洋経済オンライン (待機児童)問題 小林 美希 (その11)(保育園が突如閉園 広がる保護者の困惑と不安 閉園の2週間前に通知 市の通知にも応じず、川崎市「保育園落ちた」子が待機児童の200倍の訳 2015年に「待機児童数ゼロ」達成したものの…、保育士の「地域ごとの年収」開示が今必要な理由 「保育の質」に関わる超重要な問題だ) 「保育園が突如閉園、広がる保護者の困惑と不安 閉園の2週間前に通知、市の通知にも応じず」 「保護者に文書で通知」が「閉園2週間前」、とこんな急な「閉園」が、「小規模」とはいえ、認可保育園で発生したとは驚いた 「保育士不足と経営悪化」で閉園に 「閉園の通知当時、3人の園児が在籍」、これでは赤字だろう。 「新型コロナウイルスの影響で4~5月に休園になった。休園中も、自治体から認可保育園に支払われる委託費は変わらない」のに、「同園は職員に給料は6割しか支払っていなかった」、極めて悪質だ ハードルが低い民間保育園の閉園 「国が定める職員の配置基準が低いため、実際には倍くらいの人手が必要だ。それを知らずに安易に開園すると、運営を見誤ることになる」 「配置基準」を実態に合わせて多目にしておけば、「安易な開園」を防げる筈だ。何故なのだろう あいまいな公的責任 「閉園」に自治体の「認可」が必要といっても、辞める事業者には何の意味もない。「小規模保育園」の基準はやはり「認可保育園と同じ扱いにすべきだ」 「保育園を考える親の会」代表の普光院 亜紀氏による「川崎市「保育園落ちた」子が待機児童の200倍の訳 2015年に「待機児童数ゼロ」達成したものの…」 3つの指標で見る川崎市の保育力 入園決定率 園庭保有率 中間的な所得階層の1歳児保育料3万3300円 「認可の保育定員は5587人増」と努力しても、「この3年間の利用申請者数が4853人伸びた」ので、焼け石に水のようだ 「待機児童」にならない6つのケース 困窮度をより重視する川崎市 「世帯や子どもの困窮度をより重視する傾向」、とは好ましい。 待機児童対策を進めながら保育の質も守る 「入園選考は、世帯や子どもの困窮度をより重視する傾向にあります」、望ましい傾向だ 「待機児童対策とともに」、「保育の質の維持・向上策も掲げています」、「質の維持・向上」は重要だ 保育料最高額は8万円台 川崎市の保育の今後 「川崎市の保育」充実の取り組みを注目したい 「保育士の「地域ごとの年収」開示が今必要な理由 「保育の質」に関わる超重要な問題だ」 保育士の低賃金問題の解決に向けての第一歩となるか 透明性が高まるのはいいことだ 地域区分別の人件費額が公表されることへの効果 「差は約184万円もの開き」、「賃金が低くなる正当な要因として、若い保育士が多いこと、人員体制に厚みがあることが挙げられる」、なるほど 保育士の平均勤続年数 「「委託費の弾力運用」という仕組みにより、本来はその保育園のために使う人件費であっても同一法人が運営するほかの施設への補填や施設整備費などに回されていき、人件費だけでなく子どもの玩具も満足に買えない状況もある」、なんでこのような不透明な「仕組み」があるのだろう 人件費額がオープンになれば不正支出防止にも 「数千万円単位の委託費が経営陣に私的流用される問題まで発覚」 「全国各地で賃金カットが横行。事業者は人件費を切り詰めるが、自身は委託費から捻出した資金で高級外車に乗って不適切な支出を重ねる実態も」、不透明さからこのような不正行為が横行しているとは、初めて知った。透明性向上で、不正の余地をなくすべきだ
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ペット(その2)(猫が飼い主の顔色を読んで振る舞っている証拠 人との長い共生を経て進化した実はすごい能力、「犬は家族を順位付けする」が迷信にすぎない訳 体罰を用いる強制的なトレーニングを正当化、島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け 「ステイホーム」でペット人気が高まっている) [生活]

ペットについては、2018年1月31日に取上げた。今日は、(その2)(猫が飼い主の顔色を読んで振る舞っている証拠 人との長い共生を経て進化した実はすごい能力、「犬は家族を順位付けする」が迷信にすぎない訳 体罰を用いる強制的なトレーニングを正当化、島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け 「ステイホーム」でペット人気が高まっている)である。

先ずは、昨年10月29日付け東洋経済オンラインが掲載したネコ心理学者・麻布大学特別研究員の高木 佐保氏による「猫が飼い主の顔色を読んで振る舞っている証拠 人との長い共生を経て進化した実はすごい能力」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/383369
・『近年急速に進む猫の研究。そのなかで、これまで謎に包まれていた「猫の能力」が明らかになってきている。猫専用ヒーリングミュージックCD付きの『猫がゴロゴロよろこぶCDブック』を著した猫の心理学者が最新の研究から解説する』、興味深そうだ。
・『猫の鳴き声は人好みにかわいく進化した!?  仕事に集中していると、すたすたと歩いてきて、「にゃお~ん」とかわいく鳴く猫。ついついかまってあげては仕事が進まず……なんていう経験をしている飼い主は、私だけじゃないはず……。 猫の「ミャオ」という鳴き声は、意外にも大人になった猫同士ではほとんど使われません。本来、仔猫が母親の気を引くための鳴き声だからです。 つまり、大人の猫が「ミャオ」と鳴くのは、対人に限定されているのです。 猫は対人用コミュニケーションで自らの強力な武器である「かわいい」鳴き声を使って、人を見事に操っているのですね。 それではその鳴き声は、昔からかわいかったのでしょうか? 祖先種と比較して、本当にかわいくなっているのかを調べた論文があります。 アメリカのコーネル大学の研究者は、ヤマネコの「ミャオ」という鳴き声と猫の「ミャオ」という鳴き声の音響解析を行いました。 すると、猫の「ミャオ」の方がより短く、高くなっていることがわかりました。 一般的に高い声は「小さな生き物」を示唆します。 この解析結果からも、猫の声がかわいい鳴き声になっているといえそうです。 この研究のおもしろい点は、それを実際に人に聞かせて、「どれくらい心地よいのか」を評定してもらったところです。この評定を行うことで、人が聞いて「かわいい」声に進化したのかどうかが明らかになります。 その結果、ヤマネコの鳴き声よりも、猫の鳴き声の方がより心地よいと判断されました。 猫は人と共生するようになって、人が好むような声に変化させてきたといえます。 おそらく、猫と人の共生が始まった頃に、たくさんいる猫のなかでも、たまたま人が聞いてかわいい声で鳴く猫に、人が多くの餌をあげたりしたのでしょう。その猫の栄養状態はよくなり、より多くの子孫を残したと推測されます。 もしくは、甘え上手な猫が屋内で大切に育てられたなどの経緯があったのかもしれません。そのような共生の歴史のなかで、かわいく鳴く猫が多く生き残っていったのだと考えられます。 みなさんは、猫が窓の外を見ながら物思いにふけっているような様子を見たことはありませんか? このような猫の様子を見ていて、1つ気になることがありました。 それは、猫も人のように、楽しかった思い出などをなつかしく思い出したりするのだろうか?ということです。 いわゆる「思い出」を心理学では「エピソード記憶」と呼びます。 猫のエピソード記憶を調べる方法は次の通りです。 4つのさまざまなお皿を用意して、すべてにごはんを入れます。 お皿の前に猫を連れて行き、お皿に入ったごはんのうち2つは食べさせますが、残りの2つのお皿からは匂いを嗅がせるだけで、食べさせません。 その後15分程度、他の部屋で違う実験をしたり、一緒に遊んだりしてごはんのことをいったん忘れてもらいます。 15分後、もう一度お皿の置いてある部屋に猫を入れ、自由に探索させます。 猫が記憶を頼りに探索行動ができるように、お皿の中身は実験者によって取り除かれています(もしごはんがそのまま放置してあると、猫はごはんという外部の手掛かりを用いてしまうため)』、「大人の猫が「ミャオ」と鳴くのは、対人に限定されているのです。 猫は対人用コミュニケーションで自らの強力な武器である「かわいい」鳴き声を使って、人を見事に操っている」、「ミャオ」と鳴くのは、対人に限定とは初めて知った。確かに巧な戦略だ。
・『猫が探索したお皿は?  さて、猫はどのお皿を探索したでしょうか? 結果は、猫は先ほど食べ損ねたお皿を長く探索することがわかりました。 「あれ?さっき食べ残したはずなのに……」とでも思っているのでしょうか。 このような実験から、「猫もエピソード記憶をもつ」ということがわかりました。 実はこの実験は犬でも行われたのですが、結果は猫とほとんど一緒でした。 犬も猫もお留守番中や、ふとした瞬間に「昨日飼い主さんと遊んで楽しかったなあ」「さっきもらったおやつ、おいしかったな」などと思い出しているのかもしれませんね。 また、エピソード記憶は、未来に向けた想像力との関連も指摘されています。 もしかしたら窓の外や飼い主を見つめている猫は、これまでの猫生のいろいろな回想をしたり、「明日、あのおやつをもらえたらいいなあ」と思ったりしているのかもしれません。 猫と暮らしていると、猫の自由奔放な行動に悩まされることもあります。 そこで、日々の暮らしから疑問が湧いてきました。 猫は人の表情(顔色)を読むのでしょうか?そんな疑問に答えた研究があります。 2015年にアメリカの研究者が「猫は人の感情を区別できるのか」についての論文を発表しました。 実験はすごくシンプルです。 飼い主と知らない人がそれぞれ、楽しそうな表情/怒った表情を表出し、その際の猫の行動を観察します。 この実験のポイントは、声の効果を除外するために、表情のみを表出するところです。 怒り声を出してしまうと、本当に猫が表情を読んだのか、声を手掛かりにしたのかがわからないからです』、「猫」や「犬」に「エピソード記憶」があるのであれば、「窓の外や飼い主を見つめている」時には、「いろいろな回想をしたり」「しているのかもしれません」、と想像するだけで楽しくなる。
・『知らない人の表情には関心がない  その結果、猫は飼い主が楽しそうな表情をしているときによく接近し、猫自身ポジティブな行動(耳を前に向ける、リラックスした姿勢をとるなど)をよく見せることがわかりました。 一方で、知らない人が楽しそうな表情を見せても怒りの表情を見せても、猫の行動は変化しませんでした。大変おもしろい結果です。 おそらく猫は、人の表情を一般化して理解してはいないのでしょう。 「飼い主さんがこんな感じの顔をしているときは、近寄っていくといいことがある!」と個別の学習をしていると考えられます。 そのため、知らない人が同じ表情を見せても、猫にはなんのことかわからなかったのかもしれません。もしくは、知らない人に対しては親しくしてほしくなかった可能性もありますが……。 犬の場合、たとえ知らない人の刺激を用いてもポジティブな表情とネガティブな表情を区別できるといわれています。犬はより一般的な「人の表情の理解」が見られるといってもよいのかもしれません。 犬に対して猫は、飼い主の表情を地道に学んでくれているとすると、とってもかわいい結果だなと思います』、「犬」の場合は「猫」と違って、猟犬や犬ぞり牽引などのように、「飼い主」が複数になる場合もあるので、「たとえ知らない人の刺激を用いてもポジティブな表情とネガティブな表情を区別できる」ようになったのだろう。歴史的経緯がペットの世界にもあるようだ。

次に、本年1月4日付け東洋経済オンラインが掲載した獣医師の奥田 順之氏による「「犬は家族を順位付けする」が迷信にすぎない訳 体罰を用いる強制的なトレーニングを正当化」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/397957
・『「犬は家族に順位を付けている」という話が、実際は異なることが最近の研究で明らかになっています。獣医師の奥田順之氏の『“動物の精神科医"が教える 犬の咬みグセ解決塾』より一部抜粋・編集してお届けします』、「俗説」には「要注意」のものもあるようだ。
・『しつけに関する俗説に要注意  かむ犬に対するしつけに関しては、さまざまな俗説が聞かれます。 「かむ犬には上下関係を教えないといけない」 「リーダーウォークが大切」 「かまれたら、手を口の中に押し込め!」 よく聞くこのようなアドバイスは、本当にかむ行動を解決できるのでしょうか?結論からいいますと、これらの俗説を信じて対応することは、意味がないばかりか、攻撃行動を悪化させることすらあります。 もちろん、たまたまうまくいく場合もありますが、深刻な攻撃行動に対しては、大抵はうまくいきません。その理由は犬がかむ行動の原因に目を向けていないからです。 犬がかむ原因はひとつではなく、多様な要因が絡み合っており、改善には、それぞれの要因に合わせた対応を行う必要があります。かむ原因に目を向けずに、「かむ犬には〇〇をすればいい」という、短絡的な対応をしても、かみつきが改善されることは稀です。 たとえば、車が動かなくなった時、エンジンが悪いのか、タイヤが悪いのか、電気系統が悪いのか、バッテリーが悪いのか、わからずに対処するエンジニアはいません。 犬と人の関係も同じです。犬がかむ、人がかまれるという関係は、決して良い共生関係とはいえません。その共生関係の破綻がどのようにして起こっているか、その原因もわからずに、「リーダーウォークで上下関係を教える」という対処をしても、エンジントラブルで動かない車のタイヤ交換をするようなものです。 かむ行動には理由があります。それもとても多くの要因があり、親犬からの遺伝、胎児の時の発達、母犬の子育ての仕方、社会化などの発達の問題や、脳や身体の疾患が関わっていることもあります。 そして、どんな攻撃行動でも、飼い主との相互学習の影響は大きいといえます。そのうえ、それぞれの家庭において、それぞれ独自の学習が起こっています。それぞれの攻撃行動は、個々の環境で多様な要因が積み重なって発生しています。これらの要因を知らずして、攻撃行動への対処はできないわけです。 「犬は家族に順位をつけて、自分が上に立つからかむんでしょ?」という話は、飼い主さんからよく聞きますし、半ば常識化しているような気がしますが、この話は迷信だということをご存じでしょうか。 犬の群れでは、階層的な順位関係が観察されないことが、野犬の群れの観察から見出されています。犬同士ですら明確な順位をつけないのですから、人と犬の間で順位を付けるというのは論理が通りません。さらにその順位を理由にして、犬が上位だから、下位の家族を攻撃するという考え方はとても無理があります』、「犬の群れでは、階層的な順位関係が観察されないことが、野犬の群れの観察から見出されています。犬同士ですら明確な順位をつけないのですから、人と犬の間で順位を付けるというのは論理が通りません」、なるほど。
・『オオカミの行動研究を犬に当てはめていた  では、この順位づけの迷信はどこから生まれたのでしょうか。これはオオカミの行動研究を犬に当てはめて考えたことに起因しています。従来、オオカミの行動観察は、飼育下での行動を中心に研究されてきました。 飼育下のオオカミの群れでは、社会的階層構造が築かれることが知られています。群れの最上位の個体のことをα(アルファ)、その次の個体をβ(ベータ)、その次をθ(シータ)と呼称し、食事の摂取や心地よい寝床の使用など、資源が競合する場面で、順位が上の個体が優先権を持つことが観察されています。 そして、群れのなかはαの座を巡って常に緊張関係にあり、順位関係の挑戦に基づく攻撃行動が観察されたため、オオカミの群れでは、直線的で絶対的な順位関係が存在すると考えられてきました。 しかし、近年、野生のオオカミの群れを観察した研究によって、この考えは覆されました。野生のオオカミの群れは基本的に血縁のある家族であり、両親と子どもたちによって構成され、直線的で絶対的な順位関係を築くのではなく、親や若い個体が、幼い子どもに食餌を与えるなど、互いに支え合いながら生活していることがわかってきました。 「犬は家族との間に序列を作る」という話は、従来の絶対的順位関係を作ると考えられてきたオオカミ像を、犬に当てはめて考えるようになったことがきっかけでした。オオカミの群れのように、人と犬の間でも、人が犬のαにならなければならない、人が犬の絶対的上位者にならなければならないという考え方が広まったのです。 さらに、この考えを攻撃行動に当てはめたものが、アルファシンドローム(権勢症候群)です。アルファシンドロームは、犬が認識している自らの社会的順位が脅かされることによって生じる、もしくはその順位を誇示するためにみせるとして定義されてきました。 たとえば、犬が何か自分にとって嫌なことが起こりそうになった時、食べ物など良いものを取られそうになった時、ソファなど気持ちの良い寝床からどかされそうになった時などに、家族に対して攻撃する状態を指し、その原因について、犬が家庭内でαになってしまったためだと解釈されていました』、「アルファシンドローム」など「俗説」は、一見、もっともらしいだけに騙され易いようだ。
・『「犬が上に立っているからかむ」は迷信  犬をαにしてはいけない、飼い主がαにならなければならないという考え方は旧来行われてきた体罰を用いる強制的なトレーニングを正当化し、また、飼い主にそうしたトレーニングを指導するうえで、都合のいい考え方でした。 そのうえ、オオカミが順位を作り、犬も同じように順位を作るという話は、正しいかどうかは別として、専門家や飼い主にとってわかりやすかったため、世界的にもてはやされました。そして、日本では今でも信じられているという状況です。 しかしながら、野生のオオカミの群れの観察で、α理論の根拠となっている従来のオオカミ像が否定されたうえに、オオカミと犬の行動も大きく異なっていることがわかっている現在、α理論を、人と犬の関係を説明するために用いることは不適切であると考えられています。 かつて、アルファシンドロームと診断された犬でも、あらゆる場面で攻撃的になるわけではなく、攻撃的になる場面では、フードを守る、居場所を守る、触られるのが嫌・怖い等、それぞれに特定の原因が存在します。 
このことから、個別の場面では個別の動機づけを分析する必要があり、序列関係を攻撃行動の原因と考えることは適切ではないという考え方が、行動学者の間でも一般的になっています。「犬が上に立っているからかむんだ」という指摘は、根拠のない、迷信なのです』、「個別の場面では個別の動機づけを分析する必要があり、序列関係を攻撃行動の原因と考えることは適切ではないという考え方が、行動学者の間でも一般的になっています」、今回の「迷信」は「世界的」だったとはいえ、今だに信じる日本人が多いのは、残念なことだ。

第三に、2月14日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライターの圓岡 志麻氏による「島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け 「ステイホーム」でペット人気が高まっている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/409909
・『コロナによるライフスタイルの変化は、動物にも大きな影響を与えている。家にいる時間が長くなったことでペット需要が高まり、ペットショップでの販売数や、保護団体への譲渡申し込みが増えたというのだ。 国全体の犬猫の殺処分数は減っているものの、まだゼロには至っていない。共生社会に向けて、動物と暮らすという選択肢が増えるのは望ましいことだ。 ただ、ペットを巡る社会状況は大きな矛盾もはらんでいる。生きる場を与えられず処分されてしまう犬や猫がいるいっぽうで、ペットを販売するペットショップや繁殖させるブリーダーがいる。一概にどうとは言えず、簡単には答えの出ない問題だ。 こうした状況に一石を投じたのが、ホームセンターの島忠である』、日本は主要先進国のなかでも、「ペットショップ」で「ペット」が「販売」されている数少ない国だ。
・『ペット陳列販売を廃止、保護動物譲渡会の場に  島忠では2020年7月1日より、与野店、浦和南店においてのペット陳列販売を廃止。同店での販売方法を、島忠の認可を得たブリーダーを通じての紹介に切り換えた。また、ペットの陳列販売が行われていた、店内のケージの並ぶスペースは、両店で月に2~3回実施される保護動物譲渡会の場として活用する。 ペットをビジネスとする事業者にとって大きな決断であり、ここまで至るにはさまざまな障壁があったことだろう。それらを越えて一歩を踏み出した思いの強さもまた感じられる。 さいたま市の島忠本社を訪ね、今回の経緯や意図、今後の見通しなどについても聞いた。なお、以下レポートは2020年10月29日に取材した内容をもとに構成している。 まず同社での保護動物に関する一連の取り組みについて、島忠セールスインキュベーション部(取材当時)重田賢一氏は次のように説明する。 「当社での保護動物譲渡会などの取り組みは2017年からです。活動を行うなかで、社会の変化につれ、取り組みを応援するリアルなお客様の声がSNSなどを通じて寄せられるようになりました。もとは1人の社員の熱意から始まったことですが、社内でも意識が変わってきました。今、保護動物が家族としての新しい選択肢として当たり前になろうとしている。そうした大きな潮流を感じています」(重田氏) 同社ではさいたま市ほか都内近郊18店舗(2021年2月現在は実施店舗が増え、28店舗)で保護猫譲渡会を行うほか、「犬猫フード募金」として、犬猫フードの売り上げの一部を保護動物団体に寄付している。 譲渡会については、コロナによりイベント等が中止されていた状況下でも、「流れを止めてはいけない」という思いから、コロナウイルスの感染対策を講じ、6月末から開始していたそうだ。 2回目の宣言が発令されている現時点でも、「イベントではなく、保護動物を救うための社会貢献事業」(同社ホームページより)としての位置づけであるため、一部店舗を除いて、感染症対策に一層の留意をしながら継続させている』、昨年7月から「ペット陳列販売を廃止、保護動物譲渡会の場に」、とは思い切った戦略だ。
・『動物との共生社会…譲渡会を行う意義  同社の立場の難しさが、ペットやペットグッズでビジネスを行っている企業であるいっぽうで、保護動物活動に取り組んでいるところである。皮相的な見方をすれば、保護猫などを里親に譲渡する譲渡会は、ペットショップにとっては競争相手になるともいえる。 しかし同社は、「動物との共生社会」という、より大きな目標に向けて、取り組みを進めていこうとしている。 まず、譲渡会に関しては、全店舗中のペットショップのない店舗に限り行うこととしている。 また譲渡会には、地域における動物愛護活動や、保護猫活動にまつわる意識啓発という面もあるという。今はずいぶん意識が高まっているものの、昔は飼えなくなった動物を無責任に誰かにあげたり、捨てたりするのは当たり前に行われていた。こうしたことも結果的に行き場のない猫や、不幸な猫を増やす原因になる。 「まず地域地域で、意識を高めていく必要があります。その点で、店舗での譲渡会がお客様にとっては気づきの機会になると考えています」(重田氏) もちろん、譲渡会で里親になってくれる家庭が増える利点も大きい。地域にとってはいわゆる「野良猫」が減り、活動団体にとってはレスキューする猫が減るから助かる。そしてペットを飼う家庭ではペットフードやグッズが必要になるが、島忠ではペットフードについては売上金の一部が募金になるので、保護活動と地域の間でお金が循環する仕組みができあがる。 島忠という企業、保護団体、地域や飼い主という3者が連携しながら、共生社会へ向けて取り組みを継続させていくイメージだ。 そして、2020年7月の一部店舗における展示販売廃止はさらに2歩も3歩も先へ行く取り組みだ。同店舗では生体の陳列販売を廃止し、店頭でブリーダーとのマッチングを提案する。 このことについて、同じくセールスインキュベーション部の君島雄貴氏は次のように説明する。 「動物と飼い主が正しく出会う場の選択肢を増やしたいという思いがありました。ブリーダーがわが子のように手塩にかけて育てた動物たちを新しい家族に引き合わせる。命を大量生産して陳列するのではなく、地域のお客様と新しい家族のマッチングの場となるような場所にしたいです」(君島氏) また、ペットショップにとってもメリットがある、と君島氏は説明する。 「地域に飼い主が増えれば、動物病院よりはもう少し身近な相談所が必要になるはずです。現に、コロナ禍では病院が休みになったり、受け入れ制限があったりで、ペットショップに相談に来られた飼い主さんも増えたんですね。また療法食といったプロ用の商品の品揃えや、ケアなどのサービスも含めた、ペットに関する知識に裏付けられたより細やかな接客が求められるようになると考えます」(君島氏) ペットショップ側でも、展示販売といってもただ並べて売っているだけではない。動物の世話をしたり健康を維持する、いわば動物園で言う「バックヤード」の部分が存在する。そのバックヤード機能を前面に出し、より付加価値の高いサービスへと進化させていくということだろう』、「同店舗では生体の陳列販売を廃止し、店頭でブリーダーとのマッチングを提案する」、なるほど。
・『島忠の活動は「エポックメイキングな取り組み」  島忠の今回の取り組みには、ブリーダーの選別という利点もあるそうだ。ブリーダーの中には悪質な業者もあり、十分なスペースがない環境で飼ったり、動物の健康に配慮せず無理な繁殖をさせるところもあるという。 今は全国60店舗のうち2店舗で実験的に始めた取り組みだが、SNSなどでも消費者からポジティブな反響を受けており、広げていくことを願っているそうだ。 こうした島忠の活動について、保護猫団体にも話を聞いた。同社に2017年から協力している川越市の団体「ねこかつ」だ。 「島忠さんはわれわれにとっては希望の光です。島忠さんで譲渡会を開催していただいていることは、世の中をガラッと変える、エポックメイキングな取り組みだと思いますよ」(ねこかつ代表の梅田達也氏) 梅田氏は小学生の頃から「保健所などに送られる猫を助ける仕事がしたい」という目標をもち、会社員時代は休日を保護猫ボランティアに費やしていた。 2011年、東日本大震災における動物レスキューにボランティアで参加。 しかし、収容するための人手も場所も不足し「助けたくても助けられない」という悲しさ、悔しさを噛みしめた。このことをきっかけとし、保護すべき猫をゼロにすることを目標に、2013年、保護猫カフェである「ねこかつ」を始めた。 団体名には、猫の保護活動を「婚活」「就活」のように当たり前のこととしたい、という思いが込められている。 島忠と連携するようになったきっかけは、島忠側から保護猫譲渡会の依頼があったことだそうだ。 「いろいろな施設にご協力いただいて譲渡会を行ってきました。動物愛護に関する施設側の熱意や取り組みはそれぞれ異なりますが、その中でも島忠さんは一貫して続けてこられていて、しかも年を追うごとに、熱意が強くなっていった感じがしています」(梅田氏) 2017年当時窓口になっていた1人の担当者の思いが社内に広がっていったことを感じたという。 「社員の方による動物愛護センターの視察も不定期に行っており、私も3回ほど立ち会っています。つまり、殺処分を待っている動物たちがいる現場ということです。私たち保護活動家はかわいそうで見られないんです。でも、島忠の社員さんは『実際に見ないといけない』という覚悟を持っていらっしゃるようですね」(梅田氏) なお島忠ではこうした活動のほか、2019年には海外の現地調査も実施。社員を派遣し、アメリカの動物愛護活動に取り組んでいる企業を視察した。一般的に、動物保護の法制度や体制に関しては欧米のほうが先進的であるとされている』、「ブリーダーの中には悪質な業者もあり」、今回の措置は「ブリーダーの選別という利点もあるそうだ』、「悪質な業者」を淘汰する意義は大きそうだ。
・『コロナ禍でのペットブームとこれから  最後に、島忠、ねこかつ両者にコロナ禍でのペットブームについても聞いてみた。ペットを受け入れたものの、実際には飼えなくなるケースも出ているのでは、と考えたためだ。 「緊急事態宣言下では、HC(ホームセンター)の売り上げ同様、ペットの生体販売やペット用品の売り上げは伸長しておりました。また保健所への問い合わせが増えたということは耳にしました。都内近郊は保護団体が活発なのですが、地方に行くほど団体が少なくなるし、動物保護に対する意識も遅れているように感じます。自粛期間(筆者注:2020年4〜5月の緊急事態宣言期間)はまた保護団体も譲渡などの活動ができなくなりましたし……。近県での動物愛護センターが犬や猫で満杯になった、という話です」(君島氏) 一方、ねこかつでは里親を希望する家庭の面接をし、飼うのが難しいと判断した場合は譲渡を断る場合もある。そのため飼い続けられない、という相談は入っていないそうだ。 今は改定動物愛護法のもと、動物を捨てることは犯罪として禁じられている。また動物保護団体はねこかつのように、飼い主の家庭環境を見極めたうえで譲渡するところがほとんどだ。愛護動物を巡っては、人の意識も社会制度も、一昔前とはずいぶん変わってきているのだろう。 コロナ禍など社会の変化があったとしても、この流れを中断させるようなことがあってはならない。企業の保護活動についても、その火が絶えることのないよう、消費者自身も手を携えて守っていかねばならないだろう』、「愛護動物を巡っては、人の意識も社会制度も、一昔前とはずいぶん変わってきている」、他の先進国に比べ遅れていた日本も漸く変わりだしたのは好ましいことだ。広く定着してほしいものだ。
タグ:ペット 東洋経済オンライン (その2)(猫が飼い主の顔色を読んで振る舞っている証拠 人との長い共生を経て進化した実はすごい能力、「犬は家族を順位付けする」が迷信にすぎない訳 体罰を用いる強制的なトレーニングを正当化、島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け 「ステイホーム」でペット人気が高まっている) 高木 佐保 「猫が飼い主の顔色を読んで振る舞っている証拠 人との長い共生を経て進化した実はすごい能力」 『猫がゴロゴロよろこぶCDブック』 猫の鳴き声は人好みにかわいく進化した!? 「大人の猫が「ミャオ」と鳴くのは、対人に限定されているのです。 猫は対人用コミュニケーションで自らの強力な武器である「かわいい」鳴き声を使って、人を見事に操っている」 猫が探索したお皿は? 「猫」や「犬」に「エピソード記憶」があるのであれば、「窓の外や飼い主を見つめている」時には、「いろいろな回想をしたり」「しているのかもしれません」、と想像するだけで楽しくなる 知らない人の表情には関心がない 「犬」の場合は「猫」と違って、猟犬や犬ぞり牽引などのように、「飼い主」が複数になる場合もあるので、「たとえ知らない人の刺激を用いてもポジティブな表情とネガティブな表情を区別できる」ようになったのだろう。歴史的経緯がペットの世界にもあるようだ。 奥田 順之 「「犬は家族を順位付けする」が迷信にすぎない訳 体罰を用いる強制的なトレーニングを正当化」 『“動物の精神科医"が教える 犬の咬みグセ解決塾』 しつけに関する俗説に要注意 「犬の群れでは、階層的な順位関係が観察されないことが、野犬の群れの観察から見出されています。犬同士ですら明確な順位をつけないのですから、人と犬の間で順位を付けるというのは論理が通りません」 オオカミの行動研究を犬に当てはめていた 「アルファシンドローム」など「俗説」は、一見、もっともらしいだけに騙され易いようだ 「犬が上に立っているからかむ」は迷信 「個別の場面では個別の動機づけを分析する必要があり、序列関係を攻撃行動の原因と考えることは適切ではないという考え方が、行動学者の間でも一般的になっています」、今回の「迷信」は「世界的」だったとはいえ、今だに信じる日本人が多いのは、残念なことだ 圓岡 志麻 「島忠が目論む「動物保護活動新時代」の幕開け 「ステイホーム」でペット人気が高まっている」 日本は主要先進国のなかでも、「ペットショップ」で「ペット」が「販売」されている数少ない国だ ペット陳列販売を廃止、保護動物譲渡会の場に 昨年7月から「ペット陳列販売を廃止、保護動物譲渡会の場に」、とは思い切った戦略だ 動物との共生社会…譲渡会を行う意義 「同店舗では生体の陳列販売を廃止し、店頭でブリーダーとのマッチングを提案する」 島忠の活動は「エポックメイキングな取り組み」 「ブリーダーの中には悪質な業者もあり」、今回の措置は「ブリーダーの選別という利点もあるそうだ』、「悪質な業者」を淘汰する意義は大きそうだ コロナ禍でのペットブームとこれから 「愛護動物を巡っては、人の意識も社会制度も、一昔前とはずいぶん変わってきている」、他の先進国に比べ遅れていた日本も漸く変わりだしたのは好ましいことだ。広く定着してほしいものだ。
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飲料一般(その1)(精神医療の現場で感じるストロング系のヤバさ 精神科医の松本俊彦氏が感じる危機感とは?、金原ひとみ「ストロング系は罪深き飲み物」 『蛇にピアス』の作家が語る魅力と落とし穴、オリオンビールが「ストロング系」をやめた理由 9%チューハイ発売から7カ月で下した決断、ストロング系バブルを過熱させる「巣ごもり飲酒家庭」急増の深刻度) [生活]

今日は、飲料一般(その1)(精神医療の現場で感じるストロング系のヤバさ 精神科医の松本俊彦氏が感じる危機感とは?、金原ひとみ「ストロング系は罪深き飲み物」 『蛇にピアス』の作家が語る魅力と落とし穴、オリオンビールが「ストロング系」をやめた理由 9%チューハイ発売から7カ月で下した決断、ストロング系バブルを過熱させる「巣ごもり飲酒家庭」急増の深刻度)を取上げよう。

先ずは、昨年12月5日付け東洋経済オンライン「精神医療の現場で感じるストロング系のヤバさ 精神科医の松本俊彦氏が感じる危機感とは?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/393553
・『「ストロングZEROは『危険ドラッグ』として規制したほうがよいのではないか。半ば本気でそう思うことがよくあります」 2019年の大晦日。このような書き出しで始まる投稿をある医師がフェイスブックで行った。その後、この発言はネットを中心に波紋を広げることになる。 投稿者は、国立精神・神経医療研究センター病院の薬物依存症センター長を務める松本俊彦氏。過激とも受け取れる発言をしたのはなぜか。インタビューをしたところ、背景にあったのは精神医療の臨床現場で感じる危機感だった(Qは聞き手の質問、Aは松本氏の回答)』、興味深そうだ。
・『エチルアルコールは依存性薬物  Q:ストロング系酎ハイを危険ドラッグとみなす発言は、ネットニュースでも大きく報じられ話題になりました。酒類メーカーの反論などありましたか。 A:メーカーからクレームを受けると思っておびえていたが、それはなかった。まあ、放っておけということなのだろう。 一方、同業である精神科医たちからは、「そうだよね」と同意してくれる声が多かった。依存症を専門とする精神科医師の間では、「ストロング系はヤバい」という認識が以前からあった。ストロング系が登場してから、患者の酔い方がおかしくなってきていると臨床現場では感じている。 家庭の問題や不安定な雇用環境などが原因で生きづらさを抱えている人たちは、お酒を楽しむために飲んでいるのではなく、つらい気持ちを紛らわすため、意識を飛ばすために飲む。しんどい1日が終わった後、自分へのご褒美として飲んで気を失って、そしてトラブルを起こす。 酩酊した状態でコントロールが効かなくなり、リストカットの傷を深く入れてしまう女の子もいる。しらふだったらそこまで切らないのに、ざくざくと切ってしまって大騒ぎを起こす。精神科臨床の現場では、そういう事例をすごく見るようになった。 Q:先生の専門は薬物依存の治療です。それなのにアルコールの問題に声を上げたのはなぜですか。 A:覚醒剤などの薬物使用をがんばって断ち切っても、使いたいという欲求はやはり出てくる。そのときに「お酒ならいいだろう。薬物ではないのだから」と、酒に移行する人が一定数いる。 「酔っ払って訳がわからなくなれば薬物への欲求もなくなる」と思って一生懸命飲む。だけど、本当に訳がわからなくなって、売人に連絡を取ってしまい気づいたら注射器が腕に刺さっていました、というような人が結構いる。このようなケースは、ストロング系が出てきてから多くなったと感じる。 酒に含まれるエチルアルコールは、れっきとした依存性薬物。極端な言い方になるが、エチルアルコールは依存性という点で大麻よりもはるかに危ないと思っている』、「ストロング系が登場してから、患者の酔い方がおかしくなってきていると臨床現場では感じている」、「家庭の問題や不安定な雇用環境などが原因で生きづらさを抱えている人たちは、お酒を楽しむために飲んでいるのではなく、つらい気持ちを紛らわすため、意識を飛ばすために飲む」、こんな飲み方を放置すれば、かなりの人が「アルコール依存症」になってしまいそうだ。何らかの対策が必要だろう。

次に、12月6日付け東洋経済オンライン「金原ひとみ「ストロング系は罪深き飲み物」 『蛇にピアス』の作家が語る魅力と落とし穴」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/393675
・『「朝起きてまずストロングを飲み干す。化粧をしながら二本目のストロングを嗜む」――。 出版社で働くミナは他人に口外できない秘密を抱えていた。それは誰もがうらやむ存在だった同棲中のイケメン彼氏・行成が鬱(うつ)病で引きこもり状態になったことだ。 芥川賞作家の金原ひとみさんが文芸誌『新潮』2019年1月号で発表した短編小説『ストロングゼロ』。つらい現実から逃れるために、アルコール度数9%の缶チューハイ「ストロング」に依存していく女性が描かれている。 自身も愛飲しているという金原さんに、作品着想の経緯や、ストロング系飲料の魅力と落とし穴について聞いてみた(Qは聞き手の質問、Aは金原氏の回答)』、「自身も愛飲しているという金原さん」の見解とは興味深そうだ。
・『退廃的で何かに依存する人々の姿を描いた  Q:まずは『ストロングゼロ』を執筆した経緯を教えてください。 A:6年間住んだフランスから2年前に帰国して以来、日本人とお酒の関係をすごく特殊に感じてきました。仕事においてもお酒が関わってくる飲み会文化があったり、お酒に酔って人前で醜態をさらすことが日常化していたりする。フランスではあまり見ない光景が、数年ぶりに見たときにすごく印象的でした。 日本はコンビニがどこにでもあって、しかも24時間営業なのでいつでもお酒が買えます。これだけ誘惑が多いと、多少自制心があっても阻まれる。自分を甘やかすことのできる環境になっています。 ストロング系は飲んでいる層が若く、ほかのアルコール飲料よりもいろいろな層に広がっていると実感しました。自分自身も飲んでいたし、外でも日常的に目につくようになった。電車の中やコンビニの駐車場で飲んでいる人もいて、とても退廃的で興味深く感じていました。そこで、何かに依存する人々というテーマで書いてみたいと思ったんです。 Q:作中では主人公のミナがコンビニのアイスコーヒー用の氷入りカップに「ストロング」を入れて、社内でストローを使って堂々と飲むシーンがあります。「何飲んでるのと聞かれたらレモネードか炭酸水と言えばいいのだ」と妙にリアルです。 A:この方法は出版社に勤める知人の男性から聞きました。その話を別の知人にしたら、「うちの会社にもいますよ」と言う人もいて。酒飲みが考えることは同じなんだなと。「いつも酒臭くてバレバレだ」と言っていたけれども。これは依存の渦中にある人でないと思いつかない発想だなと、ありがたく使わせてもらいました。 Q:金原さん自身もお酒がお好きだそうですね。本作以外の作品にもお酒が登場することが多いように感じます。 A:自宅にはビールやワインを常備しています。基本的にビールから入って、次にチューハイやストロング、最終的にワインに行き着くという飲み方。ストロングゼロも自宅にいつも置いてあります。ネット通販で毎回1箱(24缶)を買うのですが、私も旦那も飲むので割とすぐなくなります。 Q:ストロング系の魅力はどこにありますか。 A:一番は手軽さと安さでしょうか。安く簡単に酔えるということを、ここまで鮮やかに実現してしまうと社会に浸透していくのは不思議ではないし、いろいろな問題も生じてくると思います。 本当に口当たりがよくて、ゴクゴクいけちゃうので、罪深い飲み物だと思う。ニーズに合っていて、かつ、人を魅惑する商品だと思います』、「日本はコンビニがどこにでもあって、しかも24時間営業なのでいつでもお酒が買えます。これだけ誘惑が多いと、多少自制心があっても阻まれる。自分を甘やかすことのできる環境になっています」、(「ストロング系」が)安く簡単に酔えるということを、ここまで鮮やかに実現してしまうと社会に浸透していくのは不思議ではないし、いろいろな問題も生じてくると思います。 本当に口当たりがよくて、ゴクゴクいけちゃうので、罪深い飲み物だと思う」、「罪深い飲み物」とは言い得て妙だ。

第三に、12月7日付け東洋経済オンライン「オリオンビールが「ストロング系」をやめた理由 9%チューハイ発売から7カ月で下した決断」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/393679
・『自社初となるチューハイ商品を出してからわずか7カ月で商品戦略を大きく転換した企業がある。沖縄のビールメーカーであるオリオンビールだ。 同社は2019年末、自社ブランド「WATTA(ワッタ)」の商品群からアルコール度数9%のストロング系を外した。ストロング系の生産停止を決断したのは、2019年7月から経営トップを率いる早瀬京鋳社長だ。 生産をやめた理由は何だったのか、オンライン形式のインタビューで真意を尋ねた(Qは聞き手の質問、Aは早瀬氏の回答)』、「ストロング系」「を出してからわずか7カ月で」「生産停止」とは何があったのだろう。
・『高アルと健康志向の商品を作る矛盾  Q:ストロング系の生産をやめた背景には何があったのですか。 A:2019年の11月頃、あるNPO団体が主催した会合でのやりとりが転機となった。社員と参加したその会合は社会問題を幅広く研究する場だった。私たちが自己紹介をすると、「今日はオリオンビールの方がいて、ちょっと言いにくいんですけど」と、参加者の1人が切り出した。 薬物やアルコールの依存症問題に関わるNPO団体の方で、次のような話をしてくれた。 「コンビニで買った高アルコール(高アル)チューハイを1~2本飲み、酔っ払って倒れるように寝る。そのような習慣を持つアルコール依存症の人はすごく多い」 ちょうどこの頃、社内ではアルコール度数の低い健康志向商品を作る企画を進めていた。われわれはアルコール依存症の温床とも指摘されている商品と同時に、健康志向のアルコール商品も作ろうとしている。そこに何か矛盾を感じた。 営業マーケティング部門や製品部門、幹部が全員集まる大きな会議がある。その場で私は「高アルをやめる?」と述べ問題提起した。 Q:突然の発言に反対の声が上がったのでは。 A:当然、その場はざわついた。「チューハイの売り上げの4割を占める商品ですよ」と。「でも4%がいちばん売れているんだよね」と返した。 実際、「ワッタ」の売り上げの4割はアルコール度数9%のストロング系だったが、度数4%の商品のほうが売れていた。つまり当社のチューハイで消費者が支持していたのは、アルコール度数ではないということ。シークヮーサーなど沖縄の県産品とコラボしていることなどを評価してくれていた。 コンビニやスーパーでぜひ確かめてほしい。お酒の売り場がどれだけ度数9%の商品で埋められているかを。 商品訴求の優先順位において、アルコール度数の位置づけを下げる会社が1社ぐらいあってもいい。しかも健康志向の商品を作っているのだから、高アルはもうやめようとなって、2019年12月に9%商品の生産を停止した』、「アルコール度数の低い健康志向商品を作る」際に、アルコール依存症の温床とも指摘されている商品(ストロング系)を止めたとは、「オリオンビール」の英断だ。

第四に、12月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「ストロング系バブルを過熱させる「巣ごもり飲酒家庭」急増の深刻度」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/256870
・『ストロング系チューハイが大人気 背後で何が起きているのか  最近、ストロング系チューハイの功罪両面についての話題が目につきます。ストロング系チューハイとは、価格が安くアルコール度数が高いチューハイの総称で、今若者を中心に大人気となっているお酒です。 功罪の「功」の面としては、ウィズコロナで低迷する消費のけん引役としての評価が高い商品だという点です。小売の酒類の現場で見れば、とにかく売れている。どれくらい売れているかというと、今年4月にストロングゼロを含むサントリーの缶チューハイ「-196℃」ブランドの売り上げが、ギネスブックで世界記録に選ばれたほどです。 ウィズコロナ期間に相当する今年4月から8月のお酒の累計課税数量は、全体で前年同期比6%のマイナスです。中でも清酒やビールなど主力製品の売れ行きが前年割れと振るわない中で、リキュール(缶チューハイはこの分類に含まれる)は対前年で16%のプラスとなっており、群を抜いています。 ひとことで言えば、世帯収入が減る中で「安くてすぐに酔えるストロング」は庶民の味方となっているわけです。 一方で功罪の「罪」の面として、そのアルコール度数の高さから、ストロング系缶チューハイの健康に対するリスクの指摘が相次いでいます。口当たりがよく簡単に酔えることから、これから先、依存症患者が増えてくるのではないかという懸念です。 私は医療ではなく経済の専門家なので、まず経済の切り口で、今ストロング系缶チューハイとウィズコロナ消費について何が起きているのかを、見てみたいと思います。そのうえで、社会全体としてこの問題が何を意味するのかをまとめてみます。 私たちコンサルが世の中の消費動向を把握する手がかりとしてよく使うデータが、国が発表する『家計調査』です。9000世帯の家計簿を統計にしたものですが、これがミクロの消費動向を把握するのにはとにかく役立ちます』、「口当たりがよく簡単に酔えることから、これから先、依存症患者が増えてくるのではないかという懸念」、確かにリスク要因だ。
・『「ウィズコロナ消費」を理解するという意味では、今年7~9月の四半期データを見るのがいいでしょう。典型的な家計という視点で「2人以上の勤労者世帯」のデータを見ると、この期間、支出全体は前の年と比べてマイナス8.3%でした。今夏はやはりコロナの影響で、消費は停滞していたことがわかります。 品目別に前年と比べて2割近く節約されたものを見ると、外食、旅行、交際費全般、そしてファッションといったお金の使途が並びます。これらは、ウィズコロナで悲鳴を上げている業界のリストと合致しています。しかも「GoTo」で政策的に需要を創り出したうえでの2割減ですから、この先GoToの自粛や停止が広がれば、さらに需要は低迷しそうです。 そのぶん、巣ごもり消費で食料全般への支出が増えていると思うかもしれませんが、実際には、食料全体の増加分は前年比プラス1%とわずかなものです。この時期、生鮮食料品の価格全般が値上がりしていたことを考えると、むしろ食費については巣ごもりが進んだにもかかわらず、節約が徹底していたと考えるべきでしょう』、なるほど。
・『コロナ禍の巣ごもり消費で顕著に増えたのは酒とたばこ  さて、ウィズコロナのこの時期に消費が対前年比で2割以上増えた品目を探すと、4つしかありません。1つは自転車。増えた理由も何となくわかる商品ではありますが、家計に占める支出額としてはそもそも非常に小さい品目です。2つ目は健康関連の商品。これが増えるのはまあ、当然でしょう。 そして残る2つの品目が、本稿のテーマにも関係するものなのですが、酒とたばこです。 今年7~9月期の2人以上の勤労者世帯で、酒の支出は前年から24%増、そしてたばこは何と31%増となっています。ちなみにこの統計データは、今年10月のたばこの値上げ前のデータなのですが、6月も30%増となっているので、駆け込み需要というよりも、単純に喫煙者の外出が減ったぶん、たばこを吸う本数が増えたということが、この統計からは読み取れます。 自宅での酒の支出の増加については、追加の考察が必要だと思います。ここまでの話で酒の課税データを見ると、ウィズコロナでの課税数量は6%のマイナスになっています。つまり、外食でお酒を飲まなくなった減少分の方が、自宅でお酒を飲むようになった増加分よりも寄与が多いのではないかという見方もありえます』、「外食でお酒を飲まなくなった減少分の方が、自宅でお酒を飲むようになった増加分よりも寄与が多い」、外飲みの方が飲む量が多いので、当然だろう。
・『課税数量は減ってもアルコール量は減っていない現実  では、酒飲みの方のアルコールの量は減ったのでしょうか、それとも増えたのでしょうか。 全体像を捉えるにあたって気を付けるべきポイントが、2つあります。1つは国税庁の課税データで、アルコール度数の少ないビールの数量が減って、アルコール度数の高い缶チューハイの数量が増えていることです。つまり、課税数量は減っていてもアルコールの量は減っていない可能性がある。これが1つ目のポイントです。 そしてもう1つは、外食が減った分、お付き合いでお酒を飲む人の消費はまるまる減ったということです。我が家は典型的にそういう家庭ですが、家族は外食するとお付き合い程度にアルコールを口にします。しかし、自宅の冷蔵庫にビールや缶チューハイは入っていません。そういった世帯のアルコール消費は、そもそも外食の自粛とともにすっかりなくなってしまいます。 そう考えると、逆に冷蔵庫にアルコールが常備されている家庭においては、ウィズコロナ期間、アルコールの消費量は増えているという風に統計を読み取るべきでしょう。 家庭内でのアルコールの支出を家計調査で見ると、緊急事態宣言が発令された4月、5月に対前年比で約3割も増加したうえで、解除後の6月以降も毎月約2割増をキープしています。それを考えると、コロナ第三波による自粛で巣ごもりが増えるであろうこの冬には、また支出が前年比3割増のラインに戻ることが予想されます。 さて、ここまでの話をまとめると、ウィズコロナ消費についての異様性が際立ちます。 平均的な国民の収入が減り、財布のひもが堅く締められている。緊急事態宣言後も旅行や外食は手控えられ、外出が減った関係で、ファッションにもお金は使わない。食費もそれなりに節約する中で、たばこと酒の量だけが増えている――。 統計を見る限り、今の日本の家庭はそういう状態になっています。結構思い当たることも多いと思いますが、これはかなり衝撃的な傾向ではないでしょうか』、「たばこと酒の量だけが増えている」、健全な姿とはいえないようだ。
・『コロナ禍で酒が精神安定剤に? ストロング系チューハイの功罪  酒とたばこの消費が増えているというのは、当たり障りのない表現です。経済的にはその通りなのですが、社会学的に言うと、これは「精神安定剤」の需要が増大していることを意味しています。コロナで健康面でも経済面でも先行きが不安だから、酒とたばこに手を伸ばす人が増えたということに他なりません。 現在、習慣的に喫煙をしている人は17%、週3~4回以上飲酒している人は約30%というのが、社会全体におけるだいたいの構成比です。全体から見れば少数派のこういった人たちが、この半年間、ウィズコロナの巣ごもり消費の中で、先行き不安からたばこと酒に依存する傾向が強まっている。だとしたら、全体の平均の数字よりも実態はさらに深刻なはずだというのが、医療関係者が問題提起し始めた警告の中身です。 その中で、特に問題視されているのが缶チューハイのストロングです。9%とアルコール度数が高いわりに、ビールよりもずっと安い。フルーツの風味で口当たりがよく、350ミリリットル缶があっという間に空いてしまう。そのアルコール量は、一缶で日本酒の1.5合に相当します。 「でも、何を飲もうと個人の勝手だろう?」という疑問がわいてくるかもしれません。お酒のメーカーにとっても、「不況下の数少ないビジネスチャンスなのだから、とやかく言われたくない」という気持ちはわかります。 しかし、私にはやはりこの問題が気になってしまいます。理由は「ある本」を読んだからかもしれません。イギリス人ジャーナリストのジェームズ・ブラッドワースが著した『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』という、かなり物騒な題名の本です。これは著者が、イギリスで最底辺と言われる職場に自ら身を置いた際の体験談です。 彼は著書の中で、自身がアマゾンの倉庫で働いた時期の平均的な支出を公表しています。1週間の手取り給与が147ポンド、つまり日本円でだいたい2万円です。うち1万円が家賃に消え、残りの大半が食費に消えます。 その1万円の内訳は、3000円が食堂のランチ代に、4000円はマクドナルドやシリアル、コンビニなどのジャンクフードに、1400円がビールに、そして700円がたばこに消えていきます。 このような収支ぎりぎりの日常に身を置いてみた著者のジェームズ・ブラッドワースが実感したのは、それらの支出の中でも「ビールとたばこは削れない」ということだったのです。 彼曰く、「健康のバランスについて考えることができるのは、中流以上の生活をする場合であって、ぎりぎりの生活で不安とともに暮らす中では、体に悪いとわかっていても、心を安定させてくれるものに手を出してしまうものなのだ」ということです』、「ウィズコロナの巣ごもり消費の中で、先行き不安からたばこと酒に依存する傾向が強まっている」、「特に問題視されているのが缶チューハイのストロングです。9%とアルコール度数が高いわりに、ビールよりもずっと安い」、「イギリス人ジャーナリスト」曰く、「健康のバランスについて考えることができるのは、中流以上の生活をする場合であって、ぎりぎりの生活で不安とともに暮らす中では、体に悪いとわかっていても、心を安定させてくれるものに手を出してしまうものなのだ」。
・『「巣ごもり飲酒」は社会不安によるアルコール依存症の拡大問題  つまり、ウィズコロナの時代になった今年4月以降、急激に家庭内でのアルコール消費量が増えているという事実は、経済と健康の両面に関わる社会不安に端を発した依存症の拡大問題として、捉えるべきではないでしょうか。 そして同時に、これは政治にしか解決できない問題でもあります。企業の収益が先細る中で、酒造メーカー各社が売れ筋の製品の製造を制限するのは、簡単にできることではありません。実際には、沖縄のオリオンビールがストロングを取りやめたというニュースがありますが、4大メーカーがそれに追随する気配はありません。ただでさえ、利益の追求をやめたら、株主から訴訟を起こされるかもしれない時代です。 一方で、政治ならこの流れを変えられる。その一例が酒税の改正です。アルコール度数に応じて課税するようにルールを変更すれば、少なくとも安くて簡単に酔える商品が売れ筋になることはなくなるでしょう。ウィズコロナ時代の「ストロング系問題」は、経済が解決できない社会問題であり、政治問題だと捉えることが正しいように思います。読者の皆さんはどう思うでしょうか』、「ウィズコロナ時代の「ストロング系問題」は、経済が解決できない社会問題であり、政治問題(酒税の改正)だと捉えることが正しい」、同感である。
タグ:オリオンビール 東洋経済オンライン 鈴木貴博 ダイヤモンド・オンライン 飲料一般 (その1)(精神医療の現場で感じるストロング系のヤバさ 精神科医の松本俊彦氏が感じる危機感とは?、金原ひとみ「ストロング系は罪深き飲み物」 『蛇にピアス』の作家が語る魅力と落とし穴、オリオンビールが「ストロング系」をやめた理由 9%チューハイ発売から7カ月で下した決断、ストロング系バブルを過熱させる「巣ごもり飲酒家庭」急増の深刻度) 「精神医療の現場で感じるストロング系のヤバさ 精神科医の松本俊彦氏が感じる危機感とは?」 ストロングZEROは『危険ドラッグ』として規制したほうがよいのではないか。半ば本気でそう思うことがよくあります エチルアルコールは依存性薬物 ストロング系が登場してから、患者の酔い方がおかしくなってきていると臨床現場では感じている 家庭の問題や不安定な雇用環境などが原因で生きづらさを抱えている人たちは、お酒を楽しむために飲んでいるのではなく、つらい気持ちを紛らわすため、意識を飛ばすために飲む。しんどい1日が終わった後、自分へのご褒美として飲んで気を失って、そしてトラブルを起こす 「金原ひとみ「ストロング系は罪深き飲み物」 『蛇にピアス』の作家が語る魅力と落とし穴」 金原ひと 『新潮』2019年1月号で発表した短編小説『ストロングゼロ』 退廃的で何かに依存する人々の姿を描いた 日本はコンビニがどこにでもあって、しかも24時間営業なのでいつでもお酒が買えます。これだけ誘惑が多いと、多少自制心があっても阻まれる。自分を甘やかすことのできる環境になっています ストロング系は飲んでいる層が若く、ほかのアルコール飲料よりもいろいろな層に広がっていると実感 (「ストロング系」が)安く簡単に酔えるということを、ここまで鮮やかに実現してしまうと社会に浸透していくのは不思議ではないし、いろいろな問題も生じてくると思います。 本当に口当たりがよくて、ゴクゴクいけちゃうので、罪深い飲み物だと思う 「オリオンビールが「ストロング系」をやめた理由 9%チューハイ発売から7カ月で下した決断」 商品群からアルコール度数9%のストロング系を外した 高アルと健康志向の商品を作る矛盾 「アルコール度数の低い健康志向商品を作る」際に、アルコール依存症の温床とも指摘されている商品(ストロング系)を止めたとは、「オリオンビール」の英断だ 「ストロング系バブルを過熱させる「巣ごもり飲酒家庭」急増の深刻度」 ストロング系チューハイが大人気 背後で何が起きているのか 「口当たりがよく簡単に酔えることから、これから先、依存症患者が増えてくるのではないかという懸念」、確かにリスク要因だ 「外食でお酒を飲まなくなった減少分の方が、自宅でお酒を飲むようになった増加分よりも寄与が多い」、外飲みの方が飲む量が多いので、当然だろう 課税数量は減ってもアルコール量は減っていない現実 「たばこと酒の量だけが増えている」、健全な姿とはいえないようだ コロナ禍で酒が精神安定剤に? ストロング系チューハイの功罪 「ウィズコロナの巣ごもり消費の中で、先行き不安からたばこと酒に依存する傾向が強まっている」 「特に問題視されているのが缶チューハイのストロングです。9%とアルコール度数が高いわりに、ビールよりもずっと安い」 「イギリス人ジャーナリスト」曰く、「健康のバランスについて考えることができるのは、中流以上の生活をする場合であって、ぎりぎりの生活で不安とともに暮らす中では、体に悪いとわかっていても、心を安定させてくれるものに手を出してしまうものなのだ」 「巣ごもり飲酒」は社会不安によるアルコール依存症の拡大問題 「ウィズコロナ時代の「ストロング系問題」は、経済が解決できない社会問題であり、政治問題(酒税の改正)だと捉えることが正しい」、同感である
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