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医療問題(その23)(精神病院に4年閉じ込められた彼女の壮絶体験 「入院は社会的制裁、市役所も児相も同意」、「精神病床数」が世界一レベルに多い日本の異様 精神疾患を持つ人の出口戦略を考えるべきだ、人権侵害が蔓延する「ブラック精神科」ついに患者たちの反撃が始まる 来春始動する「精神医療人権ネット」とは) [生活]

医療問題については、昨年11月14日に取上げた。今日は、(その23)(精神病院に4年閉じ込められた彼女の壮絶体験 「入院は社会的制裁、市役所も児相も同意」、「精神病床数」が世界一レベルに多い日本の異様 精神疾患を持つ人の出口戦略を考えるべきだ、人権侵害が蔓延する「ブラック精神科」ついに患者たちの反撃が始まる 来春始動する「精神医療人権ネット」とは)である。

先ずは、本年1月28日付け東洋経済オンライン「精神病院に4年閉じ込められた彼女の壮絶体験 「入院は社会的制裁、市役所も児相も同意」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/326880
・『精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本中で400万人を超えている。そして精神病床への入院患者数は約28万人、精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は2017年時点)。人口当たりで見ても世界でダントツに多いことを背景として、現場では長期入院や身体拘束など人権上の問題が山積している。本連載では日本の精神医療の抱える現実をレポートしていく。 まずは精神科病院の「深い闇」に分け入っていきたい』、どんな「闇」なのだろう。
・『「2度とここから出られないと…」  世間では正月休みが明けたばかりの、1月6日午前10時。米田恵子さん(42歳)は東京都八王子市にある精神科病院「多摩病院」(持田政彦院長)から退院した。2016年2月の入院から、すでに4年近くの歳月が流れていた。 「まだ夢を見ているような感じで、日常のささいなことがすごく幸せです」 退院から10日ほどたった1月半ば。取材に応じた米田さんは、そう笑顔で話した。病院では週に1度しか食べられなかった好物の麺類を好きなときに食べたり、少し夜更かしをしてテレビを見たりすることに、幸せを覚える日々だという。「何よりいちばんの幸せは、家族や友人と自由に連絡が取れることです」。 「逆に今のほうが本当は夢で、目が覚めたらやっぱり現実は閉鎖病棟内のままだった、と想像すると、怖くなって泣き出しそうになります。入院しているときは外で生活しているイメージがまったくできなくて、声を上げても誰も助けてくれず、2度とここから出られないと思ったこともありましたから」 米田さんはそう振り返ったあと、語気を強める。 「この4年間、家族とは面会はおろか、声を聞くことすらかないませんでした。入院当時、中学1年生だった次男は今では高校生。すっかり声変わりしていて成長がうれしい半面、一緒にいられなかった悲しみもあります。人生の貴重な時間を奪った病院のことは、決して許せません」 30代から40代にかけての、この4年間。米田さんが長期入院を余儀なくされた背景にはいったい何があったのか。 米田さんには男の子2人、女の子5人の計7人の子どもがいた。そのうち長女と次女は離婚した夫が親権を有している。2013年1月、地元の八王子児童相談所は、生後数ヵ月の四女を保護した。米田さんがうつ傾向にあり、一時パニック障害を生じ通院していたことから養育が難しいと判断したとみられる。その数日後、四女が救急搬送された病院で急死したと児相職員から告げられた。「乳児突然死」だった。 入院の前年である2015年、彼女にとってショッキングな出来事が相次いだ。1月には生まれたばかりの五女が、ついで9月には三女が、八王子児相に保護されていった。つまり米田さんにとってみれば、その保護下で四女を亡くした児相に、三女と五女も奪われたことになる。 「娘のなかでも、一番長くママをさせてくれた三女が、小学2年生のかわいい盛りに奪われたショックは言葉にできません。このとき以来、自分を責め精神的に追い詰められてしまいました」 その結果、精神安定剤などをオーバードーズ(大量服薬)したことで、2016年2月に多摩病院へ入院することになった』、最近はやるべきことをしない「児童相談所」がやり玉に挙げられているが、本件はやり過ぎのケースのようだ。「四女」が「乳児突然死」、「児相に、三女と五女も奪われた」、となれば、普通の母親でも「精神的に」不安定になるのは当然のことだ。この段階での「多摩病院へ入院」自体はやむを得ないだろう。
・『「あなたのことを信用していません」  「入院当初はすぐに退院できるものだと思っていました」 米田さんは入院から数カ月後には、作業療法のプログラムに参加するなど順調に体調を戻していた。通常はそこから、院内散歩、院外散歩、そして外出、外泊へと少しずつ行動領域を広げ、3カ月程度で退院する患者が多かったためだ。ところが同時期に院内の関係者間で開かれた「退院支援委員会」に出席した彼女は、主治医の言葉に耳を疑った。 「何でも自分の思うとおりになると思わないでください。私はあなたのことを信用していません」 後日、手元に届いた通知には、退院の見通しが立つまで、まだ1年近くかかると記されており、院内散歩すら認められなかった。思った以上に長い入院計画に驚いたのは、入院に同意した米田さんの妹も同様だった。「せいぜい1~2カ月だろうと思ったのでサインしたのに、まさかこんなに長くなるとは思わなかった」。 入院からほぼ1年経つころ、妹は面談した主治医からこう告げられた。「お姉さんの入院は社会的制裁です。退院するとあなたや社会に迷惑をかけることになる。市役所も児童相談所もこれに同意しています」』、「入院は社会的制裁」で「市役所も児童相談所もこれに同意」、犯罪行為に走ったわけでもないのに、「社会的制裁」とは全く理解できない。残された子どもたちを虐待する恐れがある、と判断したのだとしても、そんな根拠薄弱な理由で退院を許可しないのは不当だ。
・『この主治医が米田さんに付けた診断名は「パーソナリティ障害」。実際、主治医からはたびたび、「あなたはほかの患者を支配する『操作性』がある」と指摘されていた。 「統合失調症や認知症の人のなかには、相手との意思疎通や自己主張がうまくできない人がいます。私は病院スタッフの代わりに相談に乗ったり、病院への不満も聞いてそれを伝えたりする役も担っていたので、それが操作的とみられたのかも」。米田さんに思い当たる節は、それしかないという。 「そもそもパーソナリティ障害では通常は入院の適応とはならない。よほど社会的不適応性が大きいとすれば別だが、だとしたら長期入院などできないはずなので、やはり一般的ではない」。以前、別の精神科病院の院長だった、ことぶき共同診療所の越智祥太医師はそう疑問を呈する。 米田さんは4年間のほとんどを、4人の相部屋の病室で過ごした。うち2人が統合失調症で夜中に大声を上げることも多く、不眠に悩まされていた。そうした状況を主治医に訴え睡眠薬の処方を依頼したところ、「あなたは病気ではないから、薬は出さない」と言われたという。 実際、彼女が入院中に服薬していたのは鉄剤と耳鳴りの漢方薬などで、頓服で出されていた精神安定剤は1度も用いることはなかった。向精神薬等の薬物治療は4年間いっさい受けておらず、一般的な作業療法以外の治療プログラムもとくになかった。そのため看護師たちからも「米ちゃん、なんでここにいるの?」「米ちゃん、ぜんぜん病気に見えないんだけど」と不思議がられたという。 「面談した主治医からは、彼女には薬物治療も治療プログラムもないとはっきり言われ、ではなぜ退院できないのかと尋ねたら、『この人は操作的なんです』『人を支配しようとする』と言われ、これではまったく話にならないと感じた」。米田さんの退院を支援してきた、佐々木信夫弁護士はそう振り返る』、『この人は操作的なんです』『人を支配しようとする』と診断する「主治医」こそ精神に異常があるとしか思えない。
・『「4年間で湯船につかったのは数回だけ  閉鎖病棟内の生活においては、制約が多岐にわたる。 入浴は火曜、金曜午前中の週2回だけ。しかも4人一組で入り、制限時間は15分だ。一時は要介護者の入浴介助を男性スタッフが行い、浴室内で鉢合わせすることすらあった。 また男女交代制でその間の湯の交換が途中からなくなったことや、要介護者が湯を汚してしまうこともあり、「家ではぬるま湯で1時間ぐらいリラックスするのが楽しみだったが、4年間で湯船につかったのは数回だけ。頭皮のかゆみが悪化して、せめて手のかからない自立の人だけでも、週3回にしてほしいと交渉したけど駄目でした」。 食事も同様だ。「好物の牛肉やパンはほとんどメニューに入らず、パサついた鶏肉が多くて、あまり口に合わなかった」。代わりに売店で売っているスナック菓子やせんべいなどで空腹を紛らわせることもよくあった。ただし、「開いているのは週3日。またアメやガムなどは職員用に制限されていた」。 夕食後はテレビを見て過ごしたが、それは21時の消灯までだ。「夜9時に寝るなんて小学生以来で、4年近く病院での生活が続いても最後まですぐには眠れませんでした」。 最もつらかったのが、この4年の間、ほとんど外部と連絡が取れなかったことだ。主治医の指示で、友人・知人はおろか、子どもや親族ともいっさいの面会、そして通話すらできなかった。スマートフォンの持ち込みも禁じられたため、メールやSNSでのやりとりもできず、唯一許された外部との通信手段は手紙だけだった。 「刑務所だって直接面会できるのに、それ以下の扱いですね」。妹が主治医にそう詰め寄ると、「そんなことはない」とかわされたという』、「4年間で湯船につかったのは数回だけ」、入浴は精神安定にいい筈だが、制限がひど過ぎる。家族との「面会、そして通話すらできなかった」、禁止に合理的な理由は見出し難く、やはり「制裁」が目的なのだろうか。
・『ごまんとあるケース  インターネットも使えないため、情報収集には苦労したが、それでも患者同士の口コミなどで精神障害者の当事者団体などを知り、めげずに手紙を出し続けたことで、佐々木弁護士ら支援者たちとつながることができた。弁護士との面会は、病院側も制限できない。 さらに米田さんにとって幸運だったのが、昨年春に主治医が代わったことだった。その後、昨年8月には唯一妹とだけは面会や電話が可能となり、9月には病院敷地内での外出、その後は院外外出も可能となるなど、入院から3年半止まっていた時間が、一気に動き出した。 昨年10月からは病院、役所、弁護士、そして米田さんを交えて退院に向けた面談が始まった。家族の元に帰りたいと訴える米田さんに対して、病院と役所はグループホームへの入居を提案するなど、退院こそ認めるものの、あくまで彼女を管理下に置き続けることを求めた。妹や弁護士のバックアップもあり、交渉の末、最終的には自宅への退院が認められた。 「米田さんは自分から声をあげることができたからよかったが、精神科に入院している場合、まず弁護士につながることが非常に難しい。今回弁護士が介入しても、病院側は『社会に迷惑をかける』などと極めて抽象的で法的に根拠のない理由を繰り返し、なかなか話が進まなかった。医師は『まだ不安定だ』などとも言うが、4年近く閉鎖病棟にいればむしろ不安定にならないほうがおかしい」。佐々木弁護士とともに米田さんを支援した佐藤暁子弁護士も、病院側とのやりとりをそう振り返る。 長年、精神障害者の支援活動を行ってきた佐々木弁護士は、「なぜ彼女をこれほど長期に入院させたのか。その理由がわからないという点では、これまで携わった中でも最もひどいケース。ただひどいケースではあるが、同時にごまんとあるケースでもある」と話す。米田さんも「4年間の入院生活でさまざまな患者と会ったが、なぜ入院させられているのかわからない人も少なくなかった」という。 薬物治療も特別な治療プログラムもない中での長期入院、そして「社会的制裁だ」などという主治医の発言、家族との面会も不許可など厳しい行動制限の理由と真意について、多摩病院に取材を申し込んだところ、持田政彦院長名で下記のような書面回答が届いた』、「弁護士のバックアップ」、を受けられたからよかったようなものの、それがなければ、入院が続いていたのだろう。「4年近く閉鎖病棟にいればむしろ不安定にならないほうがおかしい」、その通りだ。
・『病院も市役所も児相も取材拒否  「弊院に入院されていた患者様の件について取材のご依頼を頂きました。しかしながら、弊院では取材はお受けしておりませんので対応できかねます。ご諒解下さいますようお願い致します。」 八王子市役所と八王子児童相談所は、「特定の個人に関する情報は、第三者の方にはお答えできないことになっています」などと回答した。 次回は米田さんを4年にわたり社会から隔離した「元凶」ともいえる、精神科特有の入院制度、「医療保護入院」の問題点について検討していく。(第2回に続く)』、「第2回」は本日まで掲載されてないが、掲載され、内容的にも面白ければ紹介する予定。「病院も市役所も児相も取材拒否」、とは酷い話だ。「米田さん」は損害賠償を提訴できる筈だ。「弁護士」と相談して提訴すれば、事実は明らかになるだろう。

次に、 作家で元東京都知事の猪瀬 直樹氏が1月20日付け東洋経済オンラインに掲載した「「精神病床数」が世界一レベルに多い日本の異様 精神疾患を持つ人の出口戦略を考えるべきだ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/325075
・『日本で精神的な「居場所」を見つけられず、心の病を抱えたり、引きこもりになったりしている人は少なくない。こうした問題を抱えるひとは欧米にも多く存在するが、日本のように医療の世界に「閉じ込める」ことはしていない。病院の外でそれぞれにあった働き方をし、自らの力で社会に役立っている。 ならば日本も欧米先進国を参考にできないか――。『日本国・不安の研究―「医療・介護産業」のタブーに斬りこむ!』著者の猪瀬直樹氏が、医療業界の歪んだ構造にメスを入れ、精神的な病気を抱える人が、自力で社会での役割を担うための方策を提案する』、「猪瀬」氏の東京都知事としての活動は酷いものだったが、この問題ではどういったの「提案」をするのだろう。
・『精神病床数はダントツで世界一  高齢化した親と無職の引きこもり、で生活に行き詰まる現象は「8050(はちまるごーまる)問題」と呼ばれたりし始めている。内閣府が、40歳から60歳で引きこもりにあたる人が全国で61万人と発表したのは、昨年の3月だった。これまで15歳から39歳の引きこもり調査で54万人の推計を出したが、40歳から60歳を調査したのは初だった。 カリタス学園バス停の死傷事件、元農林事務次官の家庭内暴力の息子刺殺事件、吹田市の交番襲撃事件など、連続した3つの事件、さらには「京アニ事件」もそうだが、その背景は一様ではないが、自分の居場所がないがために起こされた事件としては共通項があった。 この内閣府調査で「通院・入院経験のある病気」としては「精神的な病気」を挙げる人が32%、また「関係機関に相談したことがある」が44%、そのうち半数が「病院・診療所」を挙げている。 こうした事件の背景にはさまざまな要因があるけれど、日本の精神医療システムがうまく対応しきれていないことも挙げられよう。図(人口1000人当たり精神病床数の推移・国際比較)をご覧いただきたい。主要な欧米の国々の折れ線グラフは右肩下がりである。) ところが日本は1960年代の高度経済成長の時代から極端な右肩上がりが始まり、まるで持ち家政策が発動されたのではないかと勘違いするような展開になっている。高度経済成長期以前にあった郊外の結核用サナトリウムの転用も一因だった。不治の病と恐れられた結核は抗生物質の発達で治療効果が上がり不必要で空院となり、精神科病棟へ転換して入院患者を埋めるようにした。私宅監置など座敷牢的な処遇からすれば、近代化のプロセスといえなくもない。 ところが入院病床数はそのまま減るどころか増え続けた。1980代から1990年代がピークでその後も微減でしかない。精神病床数(人口1000人当たり)はダントツで世界一なのだ。しかも平均在院日数は1カ月以内の先進国が多いが、日本だけが9カ月と、これもまたダントツである。異様な風景である。 現在、精神疾患による入院患者数は28万人(2017年厚労省調査)、1年以上の入院患者は6割・17万人、5年以上は3割・9万人もいる。明らかに日本独特の課題がある、と診断できる。日本には優秀な精神科医がたくさんいるはずなのに、なぜこうなってしまうのか』、確かに人口当たり「精神病床数」、「平均在院日数」とも「ダントツ」に多いのは異常だ。どんな「日本独特の課題」があるのだろう。
・『ベッド数を多くして稼ぐビジネスモデル  精神科病院に対する日本政府の政策としては「ハンセン病問題」と同根の考え方、19世紀から始まる隔離収容政策があった。ヨーロッパでもこうした隔離収容政策は存在した。だが、すでに図で示したように、入院患者数が激減し始めている。ではこの差はどこにあるのか。 NHK『クローズアップ現代』(2014年7月24日放映)で証言した男性は、1968年、16歳で上京したが職場での慣れない環境や人間関係のストレスから体調を崩し、妄想などの症状があらわれ統合失調症と診断され、都内の精神科病院に入院した。 22歳のときに福島の病院に転院して2011年の東日本大震災で被災するまで、40年間も隔離収容されていた。症状はほとんどない状態であるにもかかわらず、退院させてもらえなかった。これはほんの一例で、あたかも終身刑のような事例はしばしば耳にする。 精神科病院が増えていったのは患者に対する医師・看護師数の比率が低い特例基準があるため、また抗精神病薬などの開発が進み、患者が興奮して暴れるなどということが少なくなり、病床数を増やせば増やすほど経営的に利益が出やすい構造が生まれたのも一因ではある。 精神科病院側では自嘲的に「薄利多売」と評している。通常の一般医療なら月額入院費100万円のところ、精神科月額入院費は約45万円と保険点数が低い。ベッド数を多くして稼ぐビジネスモデルである。) 厚労省は精神科病院の長期入院を減らそうとはしてきた。2004年に「入院医療中心から地域生活中心へ」との理念が示されている。「精神保健医療福祉の改革ビジョン」で「受入条件が整えば退院可能な者約7万人について、10年後の解消を図る」としていたが、33万人が29万人に減ったにすぎない。7万人の目標の半分強、4万人減った程度だった。入院患者が微減に留まっているのは、受け皿がつくられていないからだ。 「精神療養病棟に入院する患者の退院の見通し」(2014年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査)によると、入院患者の半分が、在宅サービスの支援体制が整えば退院可能とされている。そうであるなら受け皿を用意しなければならない。欠けているのは出口戦略である』、「出口戦略」が「欠けている」のは事実だろうが、入院者を確保したい病院側の事情もあるのではなかろうか。
・『新しいスタイルのグループホーム  東京の通勤圏、千葉県八千代市の住宅街に新しいスタイルのグループホームが始まりかけていた。わおん障害者グループホーム(株式会社ケアペッツ)は全国各地にフランチャイズで展開中だが、八千代市の住宅街の空き家7軒で精神障害者、知的障害者などがそれぞれ3人から4人ずつ居住している。 ふつうの一般家庭と変わらない木造2階建ての家の玄関を入ると、犬が1匹、尻尾を振りながら出迎える。どこにでもある家の風景なのだ。玄関の脇に個室が1部屋、リビングとダイニングキッチン、風呂場、トイレ、これは共有スペース。階段を昇った2階に3部屋、ごくふつうの間取りだが、違いは、個室がすべて鍵付きであること、つまりその点はアパートのように独立している。 共有スペースのリビングに4人でいると孤独にはならないし、戻りたいときには各個室に鍵をかけて寝ればよい。男性棟と女性棟は別にしてある。こうした家が、住宅街の中にバラバラに7軒ある。その7軒全体の27人を管理しているサービス管理責任者が1人、生活支援員、世話人、夜間職員を含め7人がスタッフである。 サービス管理者はそれぞれの財布の管理や書類の作成などを生活支援員に手伝ってもらったりしながらこなしており、生活支援員は入居者の必要なサポートをする。世話人は料理や掃除など身の回りの暮らしの支え、夜間職員はダブルワークの会社員や学生が担当している。 生活支援員からつぎの言葉を聞いた。「病院に行きたい、市役所に行きたいという要求があれば同行します。知的障害があると文章が読めなかったり、窓口でうまく説明できなかったりします。書類を書いてあげたりもします」 入居者にはさまざまな障害者がいる。精神障害者、知的障害者、身体障害者、発達障害者。入居者の大半は一般企業の障害者雇用枠で就職している。 例えば宅配便の倉庫で、仕分け作業で就労している知的障害者の男性、また夫のDVで右足の身体障害を抱えているうえに、今度は20歳になった発達障害の息子の暴力で精神障害者(PTSD)となった女性は、就労支援施設に通い地域新聞のポスティングなど軽作業の仕事をしている。 費用の計算をしてみよう。このグループホーム入居の家賃3万7000円、食費2万5000円、日用品3000円、光熱費1万3000円、計7万8000円。家賃補助が国庫から1万円、地方自治体から1万円が利用者に支払われ、自己負担は5万8000円となる。しかし障害者年金6万5000円、就労による収入が別途あるので生活費には余裕が生じる。 グループホームは、利用者4人に対して職員1人の配置基準にしたがえば、7軒のホームに27人がいる場合は、職員数は7人となる。グループホームに支給される事業費は2000億円(「共同生活援助」サービス費)で、入居者27人に対して1人16万円給付されるので432万円、これがグループホームの運営費(人件費含む)である。人件費が月額20万円なら7人で140万円、30万円なら210万円、つまり他の支出を入れても高い利益率が確保できる』、「グループホームに支給される事業費」を払っても、精神病院などでかかる医療費よりは安くなるのだろう。「入居者の大半は一般企業の障害者雇用枠で就職している」、というのはよさそうだ。
・『犬と猫が果たしている大きな役割  グループホームなら精神科病院の入院患者は半分のコストで済む。だが退院がしっかりと社会への通路になっていないと、また舞い戻ってしまう。グループホームは孤独からの帰還のプロセスである。 玄関に犬が出迎えた、と書いた。1軒に1匹の犬がいる。アニマルセラピーによる障害者の癒やし効果がようやく証明されはじめた。このグループホームのリビングでは会話が得意でない精神障害者に対して犬がコミュニティーの中心になっていた。 わが国の人口1億2500万人に対し、全国に犬が約1000万頭、猫が約1000万頭いる。過剰ではないか。殺処分、犬1.6万頭、猫6.7万頭という現実がある。わおん障害者グループホームでは殺処分される前の保護犬・保護猫を動物保護センターから引き取って、各ホームに供給している。 首都圏や大都市圏の郊外には、かつての高度経済成長の時代に造られた庭付き一戸建ての住宅が余っている。八千代市のグループホームはかつてサラリーマンが夢見た小奇麗なマイホームだった。いま空き家は売れない。売れても安く買いたたかれる。そのままだと固定資産税の負担が残る。家賃12万円ほどもらえれば家主は喜んで貸したい心境になる。 医療費削減だけでなく、障害者も健常者も共存できるノーマライゼーションの社会、就労促進、空き家対策、ペット殺処分対策とあわせて、課題先進国・日本の処方箋のひとつがここにある。一石二鳥どころか三鳥、四鳥は、市場の力を借りて成し遂げていけばよいのだ』、説得力に溢れた主張で、同意したい。

第三に、ジャーナリストの佐藤 光展氏が昨年12月15日付け現代ビジネスに掲載した「人権侵害が蔓延する「ブラック精神科」ついに患者たちの反撃が始まる 来春始動する「精神医療人権ネット」とは」を紹介しよう』、どんなものなのだろう。
・『精神医療で傷ついた人々が立ち上がる  患者たちの反撃が始まる──。過剰な投薬や強制入院、身体拘束などで、当然のように人権を侵害されてきた精神疾患の患者たちが、人として当たり前の権利や自由を守るために、自ら立ち上がろうとしているのだ。 舞台は375万都市、横浜。福祉現場でスタッフやボランティアとして働く約300人の患者(ピアサポーター)を核とした患者支援組織「横浜精神医療人権ネット(Yネット)」=仮称=が、来春活動を開始する。 市内の精神科病院を巡回して、入院患者と友達のような関係で接し、医師や家族には言えない悩みを把握する。退院促進や、退院後も患者を孤立させないためのきめ細かな支援を行っていく。また、患者の通報によって不適切な医療行為や人権侵害が発覚した場合は、協力関係にある精神科医や弁護士と連携して、医療機関に説明や改善を求める。 ピアサポーター主体の同種の組織は前例がなく、全国への波及効果が期待される。来年1月26日にはプレイベントとして、「医療者に身体拘束の苦しみを味わってもらう体験会」を計画している。 Yネットは、横浜ピアスタッフ協会(YPS)の組織をベースに誕生する。同協会の約300人のピアサポーターたちは、作業所で通所者を支援する活動などに従事する患者で、現在は病状は安定、寛解しているが、その多くは、回復までの間に精神医療によって著しく傷つけられた経験を持っている。 医師や看護師から暴力や暴言を浴びせられたり、暴れてもいないのに隔離や身体拘束をされたり、誤診や過剰投薬で病状をますます悪化させられたりしたことがあるのだ』、「ピアサポーターたちは、作業所で通所者を支援する活動などに従事する患者で、現在は病状は安定、寛解している」、のであれば、「患者」というより「元患者」のようだ。
・『人権侵害を信じてもらえず…  このような経験や悩みを、患者が行政の相談窓口などに伝えても、「被害妄想」などと症状のせいにされて信じてもらえなかったり、攻撃的な性格だと誤解されて「パーソナリティ障害」という新たなレッテルを貼られたり、「医師の裁量権には踏み込めない」と匙を投げられたりして、著しい人権侵害すらも顕在化しない状態が続いてきた。 これに危機感を抱いたYPSのピアサポーターたちは、患者同士が密接な連携を図り、病院や行政に対して団結し改善を求めることが不可欠だと考えて、専門組織の立ち上げを決めた。 Yネットの設立準備を中心的に進めるピアサポーターの堀合研二郎さん(39)は、大学在学中の22歳の時、被害妄想が表れて精神科を受診した。すると、すぐに統合失調症と診断された。 「当時は、皮膚疾患の影響で眠れない状態が続いていました。今から思えば、極度の疲労で一時的な精神症状が現れたのだと思います」 しかし、この時の主治医は「統合失調症」と決めつけて投薬を続けた。やがて、薬を減らすと症状が強まるようになり、服薬をやめられなくなった。 こうした不適切な診療が原因で、堀合さんは心身の不調が続いて就労できず、精神科病院への入退院を34歳までに4度繰り返した。その過程で、医療スタッフによる度重なる暴言や、安易な身体拘束、薬漬けの苦しみ、任意入院なのに退院できない理不尽さ、などを次々と味わった。 回復のきっかけは、今の主治医と交渉して減薬に成功したことと、それによって副作用が減り、30代半ばにして仕事ができるようになったことだった。仕事を通して多くの仲間ができ、なんでも話せるようになった。すると心が楽になり、1種類の薬で安定して過ごせるようになった』、「主治医」が変わったのは幸運だが、変わらなければ地獄の日々が続いたことになる。健康保険連合会などが、診断書をチェックするようにすれば、無駄な医療費削減、患者の幸福にもつながる筈だ。
・『精神科は「収容所」ではない  堀合さんは現在、作業所スタッフとして働く傍ら、精神科病院の訪問活動も積極的に続けている。「医療職や福祉職は立場上、患者と友達関係になれません。私たちにはそれができる」と堀合さん。野球などのレクリエーションで長期入院の患者と親しくなるうちに「本当は退院したい」という思いを打ち明けられたこともある。働く場所や家を確保して、退院につなげた。この患者は現在、元気に働いている。 「病院を訪問すると、提供しているサービスの質がすぐにわかります。医療スタッフが私たちにもひどい言葉を浴びせてくる病院もある。そういう施設が患者をどのように扱っているか、推して知るべしです」 退院促進というと、症状は安定しているのに地域の受け皿がなく、数十年入院している高齢患者を想像しがちだが、「若くて元気で、入院の必要性など感じないのに、入院期間が数年に及んでいる人も少なくない」と堀合さんは語る。 そのようなケースは、複雑な家庭環境などの環境要因が患者の背景にあることが多く、本来は長期的な入院医療の対象ではない。それなのに精神科病院が、いわば「収容所」として便利使いされているのだ。Yネットでは、こうしたケースについても問題提起を行う方針だ。 プレイベント「医療者に身体拘束の苦しみを味わってもらう体験会」は、精神科医療の身体拘束を考える会(代表・長谷川利夫杏林大学教授)と連携して、来年1月26日、横浜市での開催を計画している。看護師の指導のもと、精神科病院で頻繁に使われるマグネット式拘束具を用いて、医療職や福祉職の希望者に、身体拘束の苦しみや、そのまま放置される恐怖を体験、想像してもらう』、「医療者に身体拘束の苦しみを味わってもらう体験会」は効果がありそうなイベントだ。
・『病院とも良好な関係を築く  Yネットの活動開始は2020年4月を予定している。NPO法人横浜市精神障害者地域生活支援連合会や、弁護士グループなどとの連携も図る。 専用の相談電話を開設し、横浜市内の全精神科医療機関に電話番号の院内掲示を依頼するほか、病院訪問や患者の退院支援を積極的に進める。各病院の対応をネットで公開する計画もある。主な活動資金は、Yネットに関心を寄せる財団などからの助成金で賄う方針だ。 堀合さんは「患者の人権を守り、病状や生活環境を良くしたいという思いは、我々も精神科病院も変わらないはず。病院とは敵対関係ではなく、良好な関係を築きながら、精神医療の改善を求めていきたい」と話している』、今後の活動に期待したい。
タグ:医療問題 東洋経済オンライン 主治医 四女 猪瀬 直樹 現代ビジネス (その23)(精神病院に4年閉じ込められた彼女の壮絶体験 「入院は社会的制裁、市役所も児相も同意」、「精神病床数」が世界一レベルに多い日本の異様 精神疾患を持つ人の出口戦略を考えるべきだ、人権侵害が蔓延する「ブラック精神科」ついに患者たちの反撃が始まる 来春始動する「精神医療人権ネット」とは) 「精神病院に4年閉じ込められた彼女の壮絶体験 「入院は社会的制裁、市役所も児相も同意」」 精神科病院の「深い闇」 「2度とここから出られないと…」 精神科病院「多摩病院」 入院当時、中学1年生だった次男は今では高校生。すっかり声変わりしていて成長がうれしい半面、一緒にいられなかった悲しみもあります。人生の貴重な時間を奪った病院のことは、決して許せません 「乳児突然死」 五女が、ついで9月には三女が、八王子児相に保護 精神安定剤などをオーバードーズ(大量服薬) 多摩病院へ入院 「あなたのことを信用していません」 「お姉さんの入院は社会的制裁です。退院するとあなたや社会に迷惑をかけることになる。市役所も児童相談所もこれに同意しています 診断名は「パーソナリティ障害」 なぜ退院できないのかと尋ねたら、『この人は操作的なんです』『人を支配しようとする』と言われ、これではまったく話にならないと感じた」 「4年間で湯船につかったのは数回だけ 面会、そして通話すらできなかった ごまんとあるケース 4年近く閉鎖病棟にいればむしろ不安定にならないほうがおかしい 病院も市役所も児相も取材拒否 「「精神病床数」が世界一レベルに多い日本の異様 精神疾患を持つ人の出口戦略を考えるべきだ」 『日本国・不安の研究―「医療・介護産業」のタブーに斬りこむ!』 精神病床数はダントツで世界一 カリタス学園バス停の死傷事件、元農林事務次官の家庭内暴力の息子刺殺事件、吹田市の交番襲撃事件など、連続した3つの事件、さらには「京アニ事件」もそうだが、その背景は一様ではないが、自分の居場所がないがために起こされた事件としては共通項があった 平均在院日数は1カ月以内の先進国が多いが、日本だけが9カ月と、これもまたダントツ ベッド数を多くして稼ぐビジネスモデル 新しいスタイルのグループホーム 犬と猫が果たしている大きな役割 グループホームなら精神科病院の入院患者は半分のコストで済む 佐藤 光展 「人権侵害が蔓延する「ブラック精神科」ついに患者たちの反撃が始まる 来春始動する「精神医療人権ネット」とは」 精神医療で傷ついた人々が立ち上がる 横浜精神医療人権ネット(Yネット) 福祉現場でスタッフやボランティアとして働く約300人の患者(ピアサポーター)を核 人権侵害を信じてもらえず 精神科は「収容所」ではない 病院とも良好な関係を築く
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医療問題(その22)(「名医という言葉には抵抗を感じる」という医師が追求する 真の神業とは、国保料引き上げの真犯人 「ムダな医療費」を貪る人々の正体、徹底討論! それでも必要?一般病院の“身体拘束”) [生活]

医療問題については、9月10日に取上げた。今日は、(その22)(「名医という言葉には抵抗を感じる」という医師が追求する 真の神業とは、国保料引き上げの真犯人 「ムダな医療費」を貪る人々の正体、徹底討論! それでも必要?一般病院の“身体拘束”)である。

先ずは、医療ジャーナリストの木原洋美氏が9月29日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「「名医という言葉には抵抗を感じる」という医師が追求する、真の神業とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/215721
・『名医やトップドクターと呼ばれる医師、ゴッドハンド(神の手)を持つといわれる医師、患者から厚い信頼を寄せられる医師、その道を究めようとする医師を、医療ジャーナリストの木原洋美が取材し、仕事ぶりや仕事哲学などを伝える。今回は第17回。画期的な術式や医療機器、医療材料などの開発者として高く、現在も甲南病院(滋賀県)で消化器外科医として診療にあたっている谷徹医師(滋賀医科大学革新的医療機器・システム研究開発講座特任教授)を紹介する』、興味深そうだ。
・『内臓をじゃぶじゃぶ洗う手術も 敗血症を治療する血液浄化器も  「私、失敗しないので」の名セリフで人気を博した医療系ドラマ『ドクターX』(テレビ朝日)。主人公が毎度のように駆使する一見「ありえない」手術法も話題になったが、なかでも視聴者の度肝を抜いたのが、シーズン2で登場した、がん切除手術後に内蔵をお湯でじゃぶじゃぶと洗浄してしまう 「腹腔内温熱化学療法(HIPEC)」ではないだろうか。 驚くなかれ、この術式は、現滋賀医科大学 革新的医療機器・システム研究開発講座特任教授の谷徹先生が外科学講座現役の時に開発・実践したもので、実在している。 もちろん、内臓を洗うのには理由がある』、「がん切除手術後に内蔵をお湯でじゃぶじゃぶと洗浄してしまう」、家族が意味も分からずに見たら卒倒してしまいそうだ。
・『例えば進行性胃がんの場合、手術後の再発率は高く、ステージIIIBで患部を全部摘出したとしても、再発による5年生存率は31%。術前や術中に、がん細胞が腹膜内に散らばってしまうことが、再発の一番の原因と考えられている。 そこで先生たちは、手術でがんを取り去った後、生理食塩水に複数の抗がん剤を加えて加熱し、腹膜内を30分にわたり洗浄することにした。 「肉眼で確認できるがんを全部摘出した後、お湯の温度を抗がん剤の効果が最も高まる42~43度に保持しながら、お腹全体を洗います。そして、3種類の抗がん剤を入れてさらに洗います。この抗がん剤は、点滴などの濃度の70~80倍の濃さです。こうすることにより、腹膜内に拡散していた目に見えないがん細胞が死滅し、ステージIIIBの5年生存率は77.9%と生存率が飛躍的に高まりました。胃がん(IIIAまで)切除後の5年生存率は100%です」(谷先生) ちなみにその後、手術中にガン細胞が飛散する元凶としてリンパ管断端が特定され、飛散のある場合に再発率が高くなることも確認されたが、谷先生は、後で述べるマイクロ波手術器によってリンパ漏も抑制できるようにしてしまった』、「進行性胃がん」「ステージIIIB」の手術で、「再発による5年生存率は31%」から「77.9%」へ飛躍的に高まったとは驚くべき成果だ。
・『消化器外科医である谷先生は、現在も甲南病院(滋賀県)で診療にあたっているが、その名声はむしろ、画期的な術式や医療機器、医療材料などの開発者として高い。中でも、世界的に知られているのが東レ・メディカル株式会社との共同研究によって生み出した血液浄化器(製品名「トレミキシン」)だ。生産・販売開始は1994年で、なんと20年以上も前になる。 「当初は5年で競争相手があらわれると思っていましたが、意外なことに、未だ登場していません。欧米でも広く普及しており、本製品に関する論文は1000点を超えています」 敗血症は、大ケガや手術の後に起こりやすい病気で、医学が発達した今日でも死亡率は約30%と非常に高い。薬での治療が主だが特効薬はなく、発症は相変わらずの状況にある。感染症などで体に病原体(細菌など)が侵入することをきっかけに発症するのだが、その際、体内では菌の細胞壁の成分である「エンドトキシン」と呼ばれる毒素が発生し、悪さをする。トレミキシンは、このエンドトキシンなどの毒素を除去する血液浄化器で、これまでに、十数万人もの重症敗血症患者の治療に使われてきた。 また昨年には、血中エンドトキシン値に基づく対象患者において二重盲検法による臨床治験サブ解析にて有効性が確認され、今年から米国FDAの認可に向け、追加の臨床治験を実施中である』、「トレミキシン・・・十数万人もの重症敗血症患者の治療に使われてきた」、というのも画期的だ。
・『外科手術に革命を起こす 血の出ないメスを開発  谷先生の直近の功績は、独自に開発を重ね、医療機器メーカーの日機装と共に製品化した、電子レンジや携帯電話と同じマイクロ波を利用して切離と同時に止血もできる血の出ないメス「アクロサージ」だ。マイクロ波を用いる治療用製品は、1981年に針型で実用化されているが、ハサミ型と鑷子(ピンセット)型は世界初。 アクロサージがどれくらい役に立つのか、一般人には分かりにくいので、少し解説したい。 外科手術はある意味、出血との戦いだ。出血が少ないということは、即ち肉体に与えるダメージも小さいということにつながるし、大量に出血した場合には、いかに迅速かつ手際よく止血できるかが手術の成功、ひいては患者の生命を左右する。 電気メスは、そうした医療現場のニーズに応えて開発され、今やそれなしには外科手術が成り立たないほど、重要な医療機器になっている。 ただし従来の電気メスには、改良すべき点が多々あった。高周波や超音波を用いて、切離する箇所の組織表面を加熱することでその機能を果たすため、加温のON-OFF スピードは遅く、組織は焼け焦げ易く、周辺にも熱損傷を与えてしまう。電気メス使用中のオペ室には、肉の焦げる臭いと煙や湯気が漂い、切離部分にできた焦げは、剥がれる際に再出血の原因にもなる。煙やミストはしばしば視野を妨げ、手術の手を止めざるを得ない、などだ。 アクロサージは、電子レンジと同じ2.45GHz帯のマイクロ波を使い、生体組織を凝固することで切離と止血を同時に行う。生体組織の水分子にマイクロ波が直接作用し、水分子を励起して発熱するので、生体組織の外側だけでなく内側からも加熱される点で、高周波や超音波とは大きく異なる。加熱部分の温度は、高くても100℃を少し超える程度。生体を焦がす心配もなければ、煙も発生しないのだ。 谷先生は、こうしたマイクロ波の特性に独自の技術を掛け合わせることで、日本の消化器外科医が世界に誇るリンパ節廓清術をエネルギー器具にて実現するべく、刃の形をハサミ状とし、リンパ管の封止も完全にできる器具として、従来品が持つ数々の弱点解消に成功した。 「その昔、輸血の登場が外科手術に革命を起こしたように、アクロサージは、輸血不要の手術を可能にするでしょう。手術が身体に及ぼすダメージを最小限にすることで、身体の回復が早くなり、入院日数も短くなります。リンパ節廓清時には、リンパ網のシーリングができるため、術中がん細胞飛散を抑制し、予後改善に寄与できる可能性があります。ほかにもメリットは枚挙にいとまがありません。 電子レンジが台所に革命起こしたように、アクロサージは手術に革命を起こすでしょう」』、「手術に革命を起こす」「アクロサージ」は2017年に発売されたようだ。世界的な評価も知りたいところだ。
・『患者が元気で長生きすることが真に神業といえる手術の証  さて、これほど凄い功績をあげてきたにもかかわらず、谷先生は「アイデアマンと呼ばれるのは好きじゃない」と語る。 「アイデアって、何か天から、努力もなしに閃きが降ってくるような印象がありませんか。そうではないんです。常に、患者さんへの低侵襲と医療現場の労働環境を改善するには何が必要かを考え続けているからこそ、アイデアにもたどり着けるし、問題を解決するヒントに気づくこともできる。ぽっと思いつくわけじゃない、問題意識の継続性が重要なんです」 追求しているのは「患者さんのためになること」。加えて、大学で教鞭をとっていた頃には「できない理由を探すな、できることからやれ。」と教えていた。 「(滋賀医科大学)は新設医大ですから、従来の領域では、何十年も先行している大学に追いつくのは至難の業です。私たちが10年やったら、向こうも10年。だから、自分たちの特徴ある研究に取り組み、独自の武器を持たなければいけない」 谷先生は金沢大学医学部を76年に卒業し、東京の虎の門病院外科に4年間勤務したのち滋賀医科大学第一外科に入局。85年に同大学医学研究科外科学専攻博士課程を修了したのだが、まだ助手にもなっていなかった大学院生時代に着手し、10年近い歳月をかけて開発したのがトレミキシンだ。 一方アクロサージの開発にも10年余りの歳月をかけている。発端は放射線被曝のないMRI装置を術中モニターとして用いて、手術器具の位置をモニタリングしながら手術ができる「MR画像誘導下手術システム」の開発という壮大なプランだった。 「このシステムなら身体の深部を3次元で、リアルタイムで見ながら手術ができます。血管と神経の区別もできますし、温度も組織の代謝も画像化して表示される。同様の研究に取り組んでいる有名大学はたくさんありますが、リアルタイムに行えるシステムは我々が世界で唯一で、すでに動物を使った模擬手術実験に成功しています」 アクロサージは、この手術システムの開発過程での副産物だ。MR画像強磁場下では、高周波も超音波も使えないため、MRと干渉しないマイクロ波の手術器具がどうしても必要だった。 「しかしながら、『MR画像誘導下手術システム』を世に出すには、もう少し時間がかかります。でもアクロサージなら、マイクロ波を用いた一般の手術器具として世に出せば、多くの現場で早く使っていただけると考え、先に事業化しました」』、「常に、患者さんへの低侵襲と医療現場の労働環境を改善するには何が必要かを考え続けているからこそ、アイデアにもたどり着けるし、問題を解決するヒントに気づくこともできる。ぽっと思いつくわけじゃない、問題意識の継続性が重要なんです」、地に足がついた開発姿勢だ。「アクロサージ」は「MR画像誘導下手術システム」の「開発過程での副産物」、とはまだ開発中の「MR画像誘導下手術システム」もきっと凄いのだろう。
・『ところで、冒頭で紹介した「腹腔内温熱化学療法(HIPEC)」は、2016年に先進医療として認めてくれるよう国に申請したが、却下されてしまった。過去の治療成績に対するネガティブな意見があり、賛同が得られなかったからだが、「お湯の温度管理をしっかりやっていなかったのでは」と谷先生は悔しがっている。 MR画像誘導下手術システムにも、やるせないエピソードがある。 「十数年前に東京の新聞社が取材に来てくれましたが、『山の中の大学がこんな凄いことやるなんて腰が抜けた』と言ってくれました。でも掲載はしてもらえませんでした。『人口100万の滋賀県のニュースより、1000万の東京のニュースの方が読んでもらえるから』だそうです」 日本は狭い。どこの大学にいようが、谷先生が消化器外科医として常に患者のためを思い、手術法や医療機器を開発し、膨大な数の生命を救ってきた名医であることは間違いない。 「名医という言葉には抵抗があります。例えば、小説やドラマでは、早さと手際の良さが名医の条件のようになっていますが、少なくとも消化器外科の悪性腫瘍手術で一番大切なのは、なすべきことを丁寧に、正確に行うことです。なぜなら、手術の本当の結果が分るのは5年後、10年後で、手術直後ではありません。当然術後も患者さんが元気でいられ、さらに長く生きていただくことが、真の意味での神業であり、『失敗ではない手術』だからです」』、「HIPEC」が「先進医療として認め」られなかったのは残念だ。東大など医学会主流と距離があったことが影響したのかも知れない。「MR画像誘導下手術システム」も取材されながら、「掲載はしてもらえませんでした」のも残念だが、今回、ダイヤモンド・オンライン記事になったのは何よりだ。それにしても、凄い医師がいたものだ。

次に、フリーランス・ライターのみわよしこ氏が11月8日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「国保料引き上げの真犯人、「ムダな医療費」を貪る人々の正体」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/219866
・『国民健康保険料の引き上げは本当に「仕方ない」のか  2019年10月30日、厚労省の社保審・医療保険部会は、2020年、国民健康保険料の課税限度額を3万円引き上げる方針を示した。国民健康保険料は、ある程度は所得に比例する仕組みとなっているが、「年間所得2000万円の世帯は、年間所得400万円の世帯の5倍」となるわけではなく、課税限度額という“天井”がある。 この“天井”を引き上げ、「高額所得者には所得に見合う国民健康保険料を払っていただきましょう」というのが、現在検討されている改定の趣旨だ。同時に、中間所得層の負担を軽減する措置も検討されている。 しかし、10月1日に消費税率が8%から10%へと引き上げられてから、1ヵ月も経っていない。正直なところ、「また?」と言いたくなるが、高齢化が進行する日本で、増大する医療費が国家財政の大きな負担になり続けているのは事実である。国民健康保険が破綻すると、必要なときに医療を受けることはできなくなるかもしれない。日本の国民皆保険制度と良好な医療アクセスは、世界に誇るべき日本社会の宝物、社会の健康を底支えする重要な土台だ。 現在は「社保完」の会社員も、退職後はいつか、国民健康保険または後期高齢者医療のお世話になる。国民健康保険を維持するために必要な負担なら、「痛いけれど、仕方ない」と受け入れるしかないのかもしれない。 しかし医療費の内訳や削減の仕方には、数多くの疑問を感じている。それは、「医療費が無料だからといって、ムダな医療を欲しがる生活保護の人々」という都市伝説にも通じている』、「医療費の内訳や削減の仕方には、数多くの疑問を感じている」、同感だ。具体的に知りたいところだ。
・『多くの精神科入院患者は誰のために必要なのか  まず気になるのは、精神医療の医療費だ。 精神科病院の入院患者数は、世界において日本の「悪名が高い」点の1つだ。2017年度、日本には約28万人の精神科入院患者がいた。この人数は、全世界の精神科入院患者の約2割にあたる。しかも、平均入院日数は2014年に281日で、世界ダントツの長さであった。 日本に次いで平均入院日数が長いのは韓国だが、それでも同年に125日だった。他の先進国には50日を超える国はない。公費による医療が比較的充実している国々では、平均入院日数はやや長めになる傾向があるが、それでも30~45日程度にとどまる。 1970年代に法律で精神科入院を原則禁止して「どうしても」という場合に厳しく制限したイタリアや、米国のように高額化した入院医療費が退院を促進してきた国では、平均入院日数は10~20日前後となる。これらの国々では、家庭や地域から長期にわたって離れること自体が社会復帰の阻害要因になるということが、広く認識されている。 「日本人は精神疾患にかかりやすく重症化しやすい」という事実はない。長年にわたって、入院を短期化する努力が続けられており、精神医療そのものも進歩している。1990年ごろの平均入院日数が約500日だったことを考えると、2014年に281日まで短縮されていたことは、むしろ大きな進歩であろう。 しかし2014年、約18.5万人が1年以上にわたって入院していた。このうち約10万人は、5年以上の入院であった。長期にわたる入院は、それだけで大きな医療費負担となる。1年間の精神科入院に必要な医療費は、少なくとも500万円~600万円程度と見積もられる。すると、10万人分の入院医療費だけで、5000~6000億円となる。 この背景として、日本の精神科病院の約9割が私立精神科病院であるという事実は、どうしても考えざるを得ないだろう。厚労省は国内外からの長年の要請を受け、精神科入院患者の退院促進と地域移行に取り組んではいるのだが、「重度かつ慢性」ならば地域移行は考慮しなくても良いこととしている。 そして厚労省は、「重度かつ慢性」の入院患者数を見積もり、それに合わせた退院目標を設定し、各都道府県に実行を求めている。語弊を恐れずに言えば、これは「一定数の入院患者は確保し続ける」ということだ。認知症の高齢者を「重度かつ慢性」のカテゴリに含めれば、当面「重度かつ慢性」の入院患者数が減ることはない』、精神科の「平均入院日数」が短くなったとはいえ、「281日」と他の先進国の「30~45日程度」と比べ、飛躍的に長いのには改めて驚かされた。「家庭や地域から長期にわたって離れること自体が社会復帰の阻害要因になる」、のであれば、再考が必要だろう。「約18.5万人が1年以上にわたって入院」、入院医療費だけで、9250~11100億円、というのはベラボウな大きさだ。「精神科病院の約9割が私立精神科病院」で、「厚労省は、「重度かつ慢性」の入院患者数を見積もり、それに合わせた退院目標を設定し、各都道府県に実行を求めている。語弊を恐れずに言えば、これは「一定数の入院患者は確保し続ける」ということだ」、やる気のない厚労省に対し、財務省はもっと切り込むべきだろう。
・『交通が不便で偏見の強い地域に精神科病床が突出して多い現実  厚労省が毎年取りまとめている「医療費の地域差分析」の2016年版には、「地域差への寄与を疾病分類別に見ると、入院では『V 精神及び行動の障害』の寄与度が大」という記述がある。精神科入院患者数の多さは、公共の医療費を圧迫している。このことは、誰の目にも明らかだ。 精神科病棟が多い地域で、入院医療費が増大するのは当然だ。そして、人口あたり精神科病床数を県別に見ていくと、四国や九州などの交通が不便で偏見の強い地域が突出している。責任は、そのような地域に精神科病院を押し付けてきた他地域や政策にあるはずだが、たとえば「東京都が責任を持つから、栃木県や山梨県は精神科病床を減らしてください」という方向への動きは聞いたことがない。 そうこうする間にも、国民健康保険料の地域格差は拡大していく。地域の高齢化が進み、雇用が劣化し、納税者と納税額が減少すると、国民健康保険料は引き上げられる。そうしないと、医療ニーズに対応できないからだ。しかし、そのことが意味するのは、減少していく現役世代が、減少していく自らの所得から、さらに重い負担を強いられるということだ。公的健康保険の意義と必要性がわかっていても、「仕方ない」と納得できるとは限らない』、「責任は、そのような地域に精神科病院を押し付けてきた他地域や政策(正しくは:地域政策?)にあるはずだが」、意味不明だ。むしろ、国の精神医療政策の貧しさにあるのではなかろうか。
・『社会にコストを強いる人に「死んで」と望むことの是非  担い手や負担能力が増えない以上は、医療ニーズを減らす必要があるかもしれない。9月にも、花粉症薬が保険適用外になる可能性が関心を集めたばかりだ。精神科以外の入院医療に関しては、「極力、短期で」という方向での制度改革が進められてきている。 長年にわたって高額の医療費を必要とする疾患の患者に対しては、「治療しない」という方向性も検討されている。2018年、腎臓病で人工透析の開始を希望していた40代女性が、入院していた公立病院で希望に応じられず、死亡した。女性はいったん、透析治療を希望しないと述べたのだが、その後、やはり透析を受けて生き延びたいと望んだ。 しかし、病院は応じなかった。今年10月、遺族が病院を提訴したのだが、当事者らの主張も報道も、病院の判断を是とするか非とするかによって、二分された形となっている。日本透析医学会は、病院の判断を妥当としている。 筆者は、「社会コストが必要な状態で生き続け、メリットをもたらす見込みが薄いのなら、死んでください」という論理に賛成する気はない。その論理が言葉通りに実行されていたら、たとえば参議院議員の舩後靖彦氏と木村英子氏(れいわ新選組)は、とっくにこの世にいなくなっていたかもしれない。2人はALSや脳性麻痺の当事者として、日本社会が必要としている変革を実現することを期待され、立法府のプレーヤーとして活躍している。それが可能になったのは、2人が生き延びてきたからだ。 しかし、「命は大切」「かけがえのない人生」という言葉を、言葉通りに実行するのなら、実行するための医療経済の維持について考えることも、避けて通れないはずだ。そして日本の病院の経営は、財務省の方針に沿って、厚労省がベネフィットとコストの「アメとムチ」で統制している。統制が「医療費がかさみそうな場合、早く死なせれば評価して利益をバックする」という方向に向かうと、本人が「生きたい」「生きよう」と思っていても、生きられなくなってしまうかもしれない』、誠に難しい問題で、私も回答は持ち合わせない。
・『冷静に考えたい医療制度改革の「誰得」  今回の国民健康保険料の上限額引き上げは、仕方なく認めざるを得ないものかもしれない。しかし、高度成長期の恩恵を受けて長生きできた高齢者に怒りをぶつける前に、怒りのターゲットを考え直す必要はないだろうか。 2013年以後、水道や種子など日本の人々の生存にとっての重要な基盤を、日本と日本の人々のために保護するための規制が、次々に撤廃された。そして、必ずしも日本のために活動しているわけではない外国資本が参入している。地方行政や条例レベルでの抵抗は続いているが、国の政策に自治体が対抗することは容易ではない。 そして日本国内では、「いくつかの企業に日本の人々のお金を渡す」と見るのが妥当と言える動きが続く。2020年度から開始される予定の「大学入試共通新テスト」は、幸いにも英語民間試験の導入が見送られ、大手業者への文科省からの「天下り」などの背景が明らかにされつつある。少子化対策が必要な日本で、子育て世帯の教育資金が業者に移動させられることは、それだけで弊害となるはずだ。 2018年から今年にかけては、「“貧困ビジネス”に対する経済的保護ですか」と言いたくなるような無料定額宿泊所政策が検討され、現実になりつつある。そのことが意味するのは、「生活保護費が貧困ビジネス業者の利益になる」ということだ。 そしてもともと、精神医療の医療費の多くは、私立精神科病院の収入となってきた。そこには、国民健康保険料も生活保護費も含まれている。生活保護費のうち精神科入院費は、医療以外の日用品費などの費用を合わせ、国と自治体の負担分を合計すると、2500億円~3000億円程度の金額と見積もられる。1%の桁で四捨五入すれば、生活保護費総額の10%に達する。生活保護の医療費を本気で削減したいのなら、最初にすべきことは、「精神科病院からの、聖域なき退院促進」だろう。それは、国民健康保険料の負担にも、大いに関係している』、この部分はその通りだ。

第三に、10月16日付けNHKクローズアップ現代+「徹底討論! それでも必要?一般病院の“身体拘束”」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4342/
・『医療現場のスタッフ、患者の家族など関係者がスタジオで徹底討論!患者の体をベッドや車いすに縛る“身体拘束”。番組では先月、一般病院で広がる実態とその深刻な影響、そして、削減へ向けた現場の取り組みについて放送した。すると、放送直後から「現場の厳しさを分かっていない」「今後も拘束はなくせない」など、現場で働く医療関係者を中心に多くの批判が。拘束は本当に減らせないのか?声を寄せてくれた現場の人たち、患者の家族、専門家など総勢13名をスタジオに招いて議論、解決策の糸口を探る。 記事【身体拘束は減らせない?】① 医療の担い手は“孤立”している!? 出演者 宮田裕章さん (慶應義塾大学 教授) 小川朝生さん (国立がん研究センター東病院 医師) 田中志子さん (内田病院 理事長 医師) 小池京子さん (内田病院 看護師) 中西悦子さん (金沢大学附属病院 副看護部長) 小川聡子さん (調布東山病院 理事長 医師) 福地洋子さん (調布東山病院 看護部長) 番組に意見を寄せてくれた皆さん(看護師・介護福祉士など) 母親が身体拘束された息子さん 武田真一 (キャスター) 、 高山哲哉 (アナウンサー)』、見ごたえがある番組だったので紹介したい。
・『徹底討論 “身体拘束”  武田:一般病院での身体拘束は、今よりも減らすことができるのではないか。私たちの問題提起に対して多くの方から、現場を知らない、理想論だという批判の声がたくさん寄せられました。 高山:放送の直後からインターネット、SNSで本当に大きな反響を頂戴しまして、番組では改めて皆さんからご意見を募集しました。わずか3日間で200を超えるご意見が届いたんですが、その中の一部をご紹介していきたいと思います。 ある男性です。「1人で15~30人をみなければならない中、身体拘束を減らせというのは現実が見えていないとしか言いようがない」。 東京都にお住まいの40代の看護師の方です。「安静にさせるためには身体拘束をするしかないんです。暴力を振るわれても我慢。看護師も守らないといけません」。 そして、愛知県40代、公立病院に勤務されている方です。「誰もがインシデント、つまり事故につながるようなことは起こしたくないんです。拘束を解除して事故が起こったら後悔します。だから解除しない。できないんだよ!」。 武田:そこで私たちは、もう一度現場の声にしっかり耳を傾けてみることにしました。スタジオには、番組にこういった意見を寄せてくださった方にお越しいただいています。ありがとうございます。 長期入院の患者さんを主に担当しているという看護師のささきさん。やっぱり減らせないですか? ささきさん(仮名)(慢性期病院 看護師):そうですね。高齢の患者さんが増えてきてる中、事故を起こさないためにはやはり身体拘束はまぬがれないかなと思っています。 武田:いちばん減らせない理由はどういうことなんですか? ささきさん:看護師は患者さんを24時間みているのと、あと多重業務といいまして、ほかにも業務に追われていまして、ほかの業務をしながら、ほかの重症な患者さんをみながら、危険のある患者さんを集中してみるということは難しいので、やはり身体拘束という手段を使わざるを得ないことが多いです。 武田: そしてもうひと方、救急の患者も受け入れている病院の看護師のさとうさん。 さとうさん(仮名)(二次救急指定病院 看護師):認知症を持っている方もすごく多くて、現場でも「危ないから立っちゃだめだよ」と言った言葉が通じないことが大半なので、縛らざるを得ないというか、転倒・転落、また新しい傷を作らないために、安全のためにっていうことで、命を守るためにということで、やりたくはないですけどやらざるを得ない現状はあると思います。 武田:やりたくはないんですか? さとうさん:やりたくないですね、本当は。やりたくないっていう思いでやってますけど、だから「ごめんね」って言いながら、いつも「ごめんね」って言いながら(拘束具を)つけますね。 まみさん(仮名)(准看護師、学生):私は准看護師なんですけども、やっぱり身体拘束を選ばないと患者さんの命を守れないという状況が多くありました。 武田:命を守れないというのは、具体的にはどういうことなんでしょうか? まみさん:点滴を抜いてしまうとか。いろんなものが体についてるんですけど、胃ろうとかチューブとかついてるんですけど、それを自己抜去してしまうと生命に関わってしまったり、あと、骨折の恐れもありますし、点滴を見えないような位置に置いたりとか、看護師はみんな試行錯誤していろんな病院でやっているんですけども、やっぱりそれが防ぎようがないときがどうしてもあるので身体拘束を選ばざるをえない状況が多くありました。(※自己抜去(ばっきょ)=点滴やチューブなどを自分で抜き取ること)』、医療現場には「身体拘束」がやむを得ないという意見が予想通り多いようだ。
・『身体拘束 何が問題?  高山:すべての身体拘束が禁じられているというわけではありません。身体拘束は厚生労働省が作った手引きによると、こういったケースで認められています。 命が危険にさらされる可能性が著しく高い「切迫性」、ほかに替わる方法がない「非代替性」、そして、身体拘束が一時的なものである「一時性」。これらの3つの要件をすべて満たす「緊急やむをえない場合」は認められています。 武田:身体拘束が行われることで、さまざまな弊害も起きているということも私たちはお伝えしました。 <9月11日放送より>前回の番組に登場した、70代の女性と、その息子です。もともと自立していた母親が身体拘束され、心や体に大きな悪影響を受けたといいます。4年前、持病で入院した母親は、「治療と安全の確保のため」という理由で、両手両足を拘束されていたといいます。およそ2ヶ月にわたる拘束の後の母親の姿です。コミュニケーションはほとんどとれず、余命宣告されるほど衰弱していたといいます。足の筋肉が落ち、歩くこともできなくなっていました。転院した先の病院では、身体拘束せず、薬を減らしてリハビリに力を入れました。すると、普通に会話ができるほど回復しました。 (ディレクター「(100マス計算を)どうしてやられているんですか?」) 母親「どうして?頭がボケないように。」 武田:一時は、余命3か月と宣告もされたということですよね? 母親が身体拘束された息子さん:そのときには車いすにぐるぐる巻きの状態にされました。余命3か月ぐらいですねと言われたことはありました。 武田:拘束が患者さんの安全のためというお話もあったと思いますが、患者さんの状態を逆に悪化させてしまうという現実もあるということが浮かび上がってきてるんですけれども。 ささきさん:確かに身体拘束の期間とか時間が長くなると、歩けていた患者さんが筋力が落ちて歩けなくなったりですとか、動きが悪くなったりとか、そういうことはあるというのは実感としてはあります。 武田:状態が悪くなるかもしれない。だけど、いま目の前にある危険にも対処しなきゃいけない? まみさん:歩けなくなったりとかは、よく目にしていた光景なんですけども、やっぱり看護師とか現場にいる人たちはジレンマだと思うんです。それでも縛らなきゃいけないという現実を知っているので、それに替わるものがないというか、やっぱり、人手不足とか。人がずっとみていられない。 ささきさん:時間とか労力を考えたときに、効率というか、いちばんすぐに解決できる手段をみんな選んでしまうんではないかなと思います』、「2ヶ月にわたる拘束・・・余命宣告されるほど衰弱」、ここまでマイナス面があるというのに、改めて驚かされた。
・『現場の訴え① 深刻な人手不足  武田:皆さんから多く出ているご意見の1つに、人手の問題というのがあると思います。 高山:いただいた声の中にも「休憩なしで働かざるをえない」という現場からの声や、みている患者さんにもよると思うんですけど「計り知れない力で暴力を震われることもあります。こうなってくると、1人では夜とても対応できないんです。特に夜間は患者さんへの対応も手薄になってしまう」「看護師、患者さんを守るためなんだ」などがありました。 さとうさん:ひと晩で2人体制で、多いときは40~45人くらいを持ちますね。 武田:2人で? さとうさん:2人でです。1人が仮眠に入ってる時間はフロアに1人です。救急外来の対応もします。 武田:その間に入院患者さんに何かあったらどうなるんですか? さとうさん:ないように、縛ってるんですよね、結局は。お薬使って眠ってもらっているとか。そうじゃないと救急外来に対応ができないし。 ささきさん:患者さんが歩いて転んだりとかした場合、看護師の責任を問われることが多くて。みているのは看護師なので、直接的な事故報告書を書くのも看護師ですし、「もっとこうできなかったのか」とか、「こうすることができたんじゃないか」とか、後々責められたりするのも看護師ですし。 まみさん:私も夜間、顔を殴られることとかしょっちゅうありました。 武田:どうして殴られちゃうんですか。 まみさん:患者さんのご家族とか、ほかの職種の人は夜いないから分からないと思うんですけど、人って変わるんですよね。夜になったら、本当に。泣き叫んだり、すごく暴れたりとかして。そのときに、やっぱり身体拘束をしなければ転んでしまったりとか、看護師の責任がすぐ問われてしまう。下手をすれば訴訟問題になったりとか。 武田:人手もないし、責任の多くも現場の看護師に負わせられてしまうという現状があるわけですけども。 小川聡子さん(調布東山病院 理事長 医師):もう胸が詰まってくる。私たちも6年ぐらい前、取り組みを始めたときは、本当に同じ状況でした。働く看護師さんたちが本当にぼろぼろで、すばらしい仕事をしているのにやりがいを失っている。やりがいを失ってる看護師さんたちがいちばんそばで患者さんをみている。 田中志子さん(内田病院 理事長 医師):私たちの病院も、初めから身体拘束がなかったわけではなくて、かつてあった身体拘束を、いろんな工夫をしてみんなで減らしてきたというような歴史があります。49人に対して、夜間、看護師さんが2名と看護師さんをサポートするケアの方が1人でみています。だから、決して人数が多いわけではないんですけれども、患者さんが日中活動して、落ち着いて夜休むとか、BPSDが起こらないような、せん妄を起こさないような関わりを、医師も含めてすべての職種で作り上げていくということで、何とか穏やかな夜を積み重ねているという感じです。(※BPSD(行動心理症状)=暴言・暴行などの認知症の症状)(※せん妄=一時的な意識レベルの低下などを伴う症状) 高山:医療現場がいかに追いつめられているのかを物語るデータがあります。医療系の労働組合が全国3万人以上の看護師に聞いた調査の結果なんですが、7割以上が「仕事を辞めたいと思ったことがある」と回答してるんです。 高山:その理由についても尋ねています。およそ半数が「人手不足で仕事がきつい」。続いて「賃金が安い」「休暇が取れない」「夜勤がつらい」「思うような看護ができない」「医療事故が不安である」。労働環境も大きな負担になっていることがうかがえるんです。 宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授):病棟が努力していないのかと言えば、そんなこと全くなくて、本当に医療現場はギリギリの中で、患者さんのために最善を尽くすという中でやっている。ただ、高齢者がどんどん増えていると。80年代は65歳以上の入院患者さんは3割。これが2000年代に6割になって、いま7割以上になっている。さらにそれだけではなくて、医療の進歩で、これはすばらしいことなんですが、体への負担が少ない手術や治療を行うことができるようになって、いま高齢で入院する患者さんが急速に増えている。そういった現状が大きく変わる中で、これは現場の1人1人、あるいは病院だけではなくて、状況が変わったということを国が認識した上で、対策を行っていくことも必要なのかなと』、高齢化の急速な進展で、対策は待ったなしだ。
・『現場の訴え② 難しい家族との関係  武田:もう1つ寄せられた意見で多かったのは、家族との関わりですよね。 高山:結構来ています。「けがをさせるな、転ばせるな」「うば捨て山のように施設や病院を利用する家族もいらっしゃる」ということです。 ささきさん:私がとても感じているのは、いま日本の病院とか医療現場とかそうなんですけど、ご家族の協力を得られていないというか。例えば、家に帰りたいといって寝ない患者さん、帰宅願望というんですけど。帰りたいという患者さんに、ご家族が付き添ってくれれば、まだ落ち着いたりとかするんですけれど。協力をお願いしても、仕事があるんでとか、家が忙しいとか。高齢社会なので老老介護で、息子さん、娘さんとかが高齢だったりもするわけで、そこの協力が得られないというのも看護師としては苦しいところです。 さとうさん:ご家族もいろんな意見を持っていると思うんですけど、社会的な風潮が、訴訟とか事故を起こしたスタッフとか、病院が敵みたいな、悪みたいなところがあるから、なかなか(拘束が)なくならないんじゃないかなっていうのはありますね。 稲葉玲奈さん(訪問介護事業所 介護士):うば捨て山じゃないけど、全く無関心な家族っていうのもいらっしゃいます。「転倒しないように生命を守ってくださればいい」というような考え方のご家族ということですね。 宮田裕章さん:司法の判断で、かつて、転倒で重いけがをさせた病院が訴訟を受けて罪に問われた。このケースが、特に一般病棟、急性期病院ではすごく重くのしかかってるということですよね。 小川朝生さん(国立がん研究センター東病院 医師):他の手段がもうない。そういう中でやむを得ず実施しているという、その判断を現場のスタッフだけに、本当に忙しい、そして緊急の場面で求めるというのは非常に厳しい状況だと思います。何らかのガイドラインであるとか手引きというような、社会を含めたコンセンサスを作るとか。 小川聡子さん(調布東山病院 理事長 医師):拘束されたときに、された人がどうなるかというのは、ご家族もわれわれも本当の意味でまだ知らないと思います。実際、自分が縛られたらどうなるかを経験すれば、誰もが「あっ!」って思うんですけど、私も教わったことがないです。当然、看護教育もそういう教育はされてないし、まだまだ今の高齢社会に対応するような教育が追いついていない。そこが今のいちばんのジレンマではないか。 福地洋子さん(調布東山病院 看護部長):さまざまなジレンマはあると思うんですけど、家族とふだんから関係性を築いておくと、意外と転倒しても全然うまくいくっていうのは、私も何例か経験しています。患者さんも、骨折してほかで手術して、また当院に戻りたいっていう方もいますので、そこは重要かなと思っております。 小川朝生さん:いちばん大事なのは、認知症のご本人がどんなふうなことを望んでいるのか。それを、医療者もそうですし、ご家族も一緒に考えていくという、そういう姿勢をどう作っていくか。そこへの医療者の試みであるとか社会への働きかけとかが大事になってくるんじゃないかと思いますね。 高山:番組では、実際に身体拘束の削減に成功した病院に、あなたも視察・見学に行ってみませんかという呼びかけをしてみました。今回スタジオにいらっしゃっているさとうさんが参加してくださったんです』、「かつて、転倒で重いけがをさせた病院が訴訟を受けて罪に問われた」、患者が高齢者だったのかは不明だが、高齢者については拘束しない代わりに、けがをしてもやむを得ないとの認識に変えてゆくべきだろう。それが心配なら、家族が付添うべきだ。
・『どう実現? 身体拘束の削減  番組の呼びかけに応じたさとうさんたち、医療関係者です。さとうさんがまず驚いたのは、拘束をしないこの病院のケアが、患者に与える変化でした。 この病院に入院した直後の、認知症の男性。暴力や大きな声を上げるなどせん妄の症状があらわれています。それが、拘束をしないケアを続けること、10日間・・・。(笑ったり、盆踊りを踊るようになった男性) 次に、ふだん病院スタッフ向けに行われている研修も受けることにしました。認知症のお年寄りの立場を体験するという研修です。その際、看護師の都合を優先させたケアをあえて行うことで、患者の側の気持ちに気づいてもらおうという狙いです。そして、両手両足をしばられます。 さとうさん「これは厳しいですね、これは。でも良い患者体験でした。これをやってるんだなって思うと、悲しくなりますね本当に・・・。悲しすぎて涙が出てくる・・・。」 内田病院では、患者に対するケアは職種を越えて連携していました。 病院のスタッフ「ここで離床してるのナースじゃないんですよ。歯科衛生士とリハビリ職。ナース1人じゃ大変でしょ。」 さとうさんは、日々、看護を行うなかで気になっていたことを、質問しました。 さとうさん「やっぱりアクシデント、インシデントは起きていますか?」 病院のスタッフ「起きています。起きます。」 さとうさん「起きているんですね。起きてても、やっぱり縛らない?」 病院のスタッフ「縛りません。起きてしまって、そこを責めませんね、本当に。」 さとうさん「普通だったら(批判)されますもんね。アクシデント、インシデントが起きたら、『何してんだよ』ってなりますよね。」 武田:さとうさんの中で身体拘束に関するイメージ、あるいは、いままで思っていたことは変わりましたか? さとうさん:180度変わりました。がらっと変わって、これはできるなって。内田病院さんのことを聞いて魔法でも使ってるのかなぐらいに思っていて、第1回目(の番組)は理想論だっていう意見派でした。でも、視察が終わってから、早く伝えたいなっていう思いがすごく強くなって、これは本当に知ってもらいたい。 武田:個人の意識が変わったとして、周りはどういうふうに変わるべきだと感じました? さとうさん:病院のトップだったり、看護部だったり、各職トップがそういう覚悟というか「取り組んでいくんだよ。これだったらなくせるんだよ、やっていこう」と声を出してくれないと。看護師が「こんな視察に行ってきて、身体拘束ゼロの病院あるんです、やってみませんか?」と言ったところで、そんなの無理でしょみたいに言われると思うんですよね。 武田:ささきさんいかがですか。何か聞きたいことがあれば? ささきさん:病院が取り組みますって決めたときと、下の温度差ですよね。私たちはギリギリのモチベーションを保って、仕事をしている中で、さらにそういう取り組みをしましょうというのも1つの精神的な負担であることと。看護師としての根性論というか、1人1人が頑張ればできるんだぞみたいなことを求められたところで、全員のスタッフが、じゃあやりましょうってなったのかって。全員が全員、そうやって納得してというか。全体的にできないと意味がないことじゃないですか。 まみさん:私も看護師のモチベーションとしていまギリギリの状態でやってるのに、自分たちの仕事を増やすわけではないですけど、(削減への取り組みを)やっていくというのが、まだ現状としては厳しいのかなって率直に思いました。 小池京子さん(内田病院 看護師):(身体拘束削減への取り組みを)なんでやってるかって言ったら、患者さんが教えてくれた。楽しかったんです。本当にそれが私たちの喜びだった。それでいまも続けてるんですけど。患者さんがありがとうと言ってくれたり、ほどいていって目が合うようになってきた。この人たちはただ縛られてる人じゃないんだなって、1人の人なんだっていう思いがあって、そこからが私たちのスタートだった。 田中志子さん:理想論と方法論はセットでなければ、身体拘束は減らすこともできなくて。この人だけでも外してみようっていうような、本当に初めの一歩ができるとすごい自信になっていくんですよね。 武田:(急性期病院で身体拘束ゼロを実現している)中西さん、どうですか? 中西悦子さん(金沢大学附属病院 副看護部長):個人ではなくみんなで行います。ケアもチームで考えて決定していきますので、できるだけ個人の責任にはしたくないと思っています。最初、抑制(身体拘束)をしていたころは、チューブ類の自己抜去を防ぎたいってことでやってたんですけれども。例えば自己抜去が起こったときに、個人だけの責任ではなくて、そこはチームとしてケアが足りなかったんじゃないかとか、患者さんがチューブを持つという意味があるはずですので、何かしたかったんじゃないかとか、そこをちゃんとアセスメント(評価)できなかったんじゃないか、そういうところで必ず振り返りをみんなで行います。 小川朝生さん:重要なのは、これを看護だけの責任にしてはならない。具体的にいえば、医師とか、リハビリとか、多職種での問題意識の共有と連携、いわゆる多職種チームだと思うんですけれども、そういう現場の活性というのができるのかどうか、目標がどれだけ共有できるのか。そこの力というのは非常に大きいかなと思います。 山賀献夫さん(特別養護老人ホーム ヘルパー):たぶんですけど、ふだんのそこの関係性が。いちばん末端の仕事を現場でしている管理職ではない人たちからすると、(管理職と)話す機会って正直なかなかなくて。いざ何かそういう場になったときに、配慮した聞き方をしてくれるのか、上から聞いちゃうのかみたいなのことも、現場として受ける印象が違う。 稲葉玲奈さん:多職種で連携していくことに光があるんじゃないかなってすごく思うんですね。制度の問題だったりは結構あると思うので、その辺を、大きな部分でカバーしていただけるような社会体制みたいなものができたら、ナースさんの負担も減ると思いますし、私たち介護士も、よりよいケアを共有していくことができるんじゃないかな。 ささきさん:私もやりがいを感じているので看護師を続けてますけれども、いちばんは患者さんに寄り添いたいですし、看護師の味方でもありたいというか、医療者の味方でもありたい。これ以上辞めていく人たちとか、やりがいを感じられなくなる人が増えるのは嫌ですし、病院とかだけではなくて、世の中がいま高齢者の時代で、日本がどういう状況に置かれているかっていうのを社会全体で理解してもらうことも大事だと思うので、私自身は看護師として努力していきたいと思いますけども、世間の方との距離も縮められるように、今後もコミュニケーションを取っていきたいと思います。 武田:ありがとうございました。きょうは番組にご意見を寄せてくださった医療現場で働く皆さんとともに、身体拘束にまつわる医療のあり方を考えました』、「重要なのは、これを看護だけの責任にしてはならない。具体的にいえば、医師とか、リハビリとか、多職種での問題意識の共有と連携、いわゆる多職種チームだと思うんですけれども、そういう現場の活性というのができるのかどうか、目標がどれだけ共有できるのか。そこの力というのは非常に大きいかなと思います」、その通りで、先進的な取り組みが広がってほしいものだ。厚労省も「身体拘束」しない病院には何らかのインセンティブを与えることで、積極的に広げるべきだろう。
タグ:医療問題 ダイヤモンド・オンライン みわよしこ NHKクローズアップ現代+ 木原洋美 (その22)(「名医という言葉には抵抗を感じる」という医師が追求する 真の神業とは、国保料引き上げの真犯人 「ムダな医療費」を貪る人々の正体、徹底討論! それでも必要?一般病院の“身体拘束”) 「「名医という言葉には抵抗を感じる」という医師が追求する、真の神業とは」 甲南病院(滋賀県)で消化器外科医 谷徹医師(滋賀医科大学革新的医療機器・システム研究開発講座特任教授) 内臓をじゃぶじゃぶ洗う手術も 敗血症を治療する血液浄化器も 外科手術に革命を起こす 血の出ないメスを開発 患者が元気で長生きすることが真に神業といえる手術の証 「国保料引き上げの真犯人、「ムダな医療費」を貪る人々の正体」 多くの精神科入院患者は誰のために必要なのか 日本には約28万人の精神科入院患者がいた。この人数は、全世界の精神科入院患者の約2割 平均入院日数は2014年に281日で、世界ダントツの長さ 交通が不便で偏見の強い地域に精神科病床が突出して多い現実 社会にコストを強いる人に「死んで」と望むことの是非 冷静に考えたい医療制度改革の「誰得」 「徹底討論! それでも必要?一般病院の“身体拘束”」 徹底討論 “身体拘束” 身体拘束 何が問題? 現場の訴え① 深刻な人手不足 現場の訴え② 難しい家族との関係
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子育て(その2)(うつぬけ精神科医が見た「子どもの不調」の背景 「家」を子どもの"ホーム"にする大切な考え方、「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケ 7年間 うつを経験した医師が語る実際、日本の子どもは「世界一寝不足」 キレたり暴れたりする原因に?) [生活]

子育てについては、6月21日に取上げた。今日は、(その2)(うつぬけ精神科医が見た「子どもの不調」の背景 「家」を子どもの"ホーム"にする大切な考え方、「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケ 7年間 うつを経験した医師が語る実際、日本の子どもは「世界一寝不足」 キレたり暴れたりする原因に?)である。

先ずは、自ら7年間うつを患っていた経験を持つこころのクリニック 院長の宮島 賢也氏が2月16日付け東洋経済オンラインに掲載した「うつぬけ精神科医が見た「子どもの不調」の背景 「家」を子どもの"ホーム"にする大切な考え方」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/265515
・『今、「心の不調」を抱える小中学生が増えているという。大人の視点では、その世代の子どもと精神疾患はあまり結びつかない印象もあるが、インターネットやSNSの普及もあり、最近の子どもたちは、対人関係など「大人と同じストレス」を受けやすい世の中を生きているのだ。 この記事は、小中学生を取り巻く現在の生活環境をふまえつつ、新刊『うつぬけ精神科医が教える 心が折れない子を育てる親の習慣』を著した精神科医・宮島賢也医師に、子どものメンタルをサポートするために「親はまず何をすべきなのか」を教えていただく。宮島氏自身、かつて7年間うつを患っていた経験を持つ』、「自身、かつて7年間うつを患っていた経験」、大いに参考になりそうだ。
・『今、元気のない子どもが増えている現実  子どもの不登校、引きこもりが年々増加しています。文科省の調査(2017年)によると、不登校の子どもは小学生が3万5032人(1000人当たり5.4人)、中学生が10万8999人(同32.5人)でした。また、2017年度に自ら命を絶った児童生徒(高校生含む)は250人で、これは過去30年で最多です。 それと同時に、子どもの「心の不調」も増えています。小中学生の世代に精神疾患がある事実はあまり知られていないかもしれませんが、うつ病や不安障害などは小学生から見られ、10代後半になるとさらに増加しているのです。 私のクリニックにも、小学生のお子さんを連れた親御さんが訪れますし、大人の患者さんに「初めて精神科を受診したのは?」と聞くと、「小学校の頃」と答える方もいます』、「うつ病や不安障害などは小学生から見られ、10代後半になるとさらに増加している」、そんな若い時から発症しているとは、驚かされた。
・『実は、こんなことをお伝えしている私自身、かつて7年間もうつを患った当人です。私がうつになったのは研修医時代ですが、そのきっかけは、日々の激務に加え、「自分は医師としてふさわしくないのでは?」「診断を間違ったらどうしよう」などと不安にさいなまれたからだと、その当時は思っていました。 でも今になって思えば、その“根本”は少年期にありました。この記事をお読みになっている方の参考になるかもしれないので、まずは私の当時に触れておきたいと思います。 私が小さい頃、両親はしょっちゅうケンカをしていました。母は大学卒業後に英語教師となり、私を妊娠したあと仕事を辞めていました。父は外資系のエリートサラリーマンです。父は仕事で多忙でしたから、母の関心はやがて子どもの私に集中するようになりました。 私は小4から塾に通い、多いときで週6日。日曜ごとに試験の成績が発表されるのですが、いい成績をとらないと母がいい顔をしない。それを気にした私はカンニングをしたりもしましたが、そんなことをしても気持ちよくありません。そして、だんだんそんな自分が嫌になっていき、「何のために勉強しているのか」疑問を抱くようになりました。 それでも、「1校だけ」と受けた中高一貫の難関校・開成中学に合格します。入学後はラグビー部に入りましたが、実力は伸びず、やがて部活を辞め、家でゲームにはまりました。でも、家にいると母が怒るばかりで、まったく心が休まりません。 学校の試験には詰め込み暗記で臨んでいました。でも、高校になると実力テストではガクンと成績が下がります。そうなると学校もつまらなくなり、家でも落ちつかない毎日。家にいたくなくてバイトをしたり、髪を伸ばしたり、ピアスの穴を開けたりもしました。あるとき母に「勉強しなさい!」と包丁を持って追いかけられたことも。私は「大学なんて行くもんか」と、酒やたばこにも手を出し、まさに自暴自棄でした。 その後、ある女医さんに憧れたことをきっかけに、「医者なら価値のない自分でも人の役に立てるかも」と思い立ち、運よく1浪後に防衛医大に受かりましたが、私の少年時代は不安定極まりない日々だったのです』、うつになった「“根本”は少年期にありました」、そんなに長いタイムラグがあることに、改めて驚かされた。「開成中学に合格・・・高校になると実力テストではガクンと成績が下がります。そうなると学校もつまらなくなり、家でも落ちつかない毎日・・・母に「勉強しなさい!」と包丁を持って追いかけられたことも」、絵に描いたようなエリートの卵も、悪循環にはまると大変なようだ。「ある女医さんに憧れたことをきっかけに、「医者なら価値のない自分でも人の役に立てるかも」と思い立ち、運よく1浪後に防衛医大に受かりました」、ひょんなきっかけで立ち直ったものだ。
・『子どものメンタルを守る「親の考え方」  「今、心の不調を抱える子どもが増えている」とお伝えしましたが、その背景には、実はそうなる根本原因といえる「親子関係」が大きく関わっています。 先述のとおり、私自身子どもの頃、親子関係に苦しんだ一人です。当時、いい成績と学歴、地位ある職業に価値を見出していた親に育てられた私は、結局、親が望んだような仕事に就いたともいえますが、医者になってからも自分に自信が持てず、「自己肯定感の低い人間」になってしまったのです。 この記事を読んでいただいている方には、お子さんのことで今まさに悩んでいる方もおられるでしょう。そこでここでは、現在心の不調を抱えている、あるいは最近いつもと様子が違う子どもに対する「親の接し方」についてお伝えしておきます』、「医者になってからも自分に自信が持てず、「自己肯定感の低い人間」になってしまった」、親の接し方は難しいものだ。
・『学校から帰ってきて子どもの顔を見ると、なぜか元気がない。親なら誰しも気になるはずです。こんなとき、いったいどんな声がけをすればいいのでしょうか。 「どうしたの?」と聞くのはいいのですが、畳みかけるように「何かあった?」などと問い詰めるのはやめましょう。少しでも何か話をしてくれたら、まずは聞いてみること。たとえ何も話してくれなくても、「それもあり」と受け入れます。 小学校高学年以上になると、まったく返事をしてくれないこともあるでしょうが、そこで「何か言いなさい」などとは決して言わないでください。学校で何かあったのかもしれないし、子どもの心の中で何か思うことがあるのかもしれない。いずれにせよ、外で何か「居心地が悪いこと」があったのです。 そうであるにもかかわらず、家で親に問い詰められたら、その家自体、居心地が悪くなってしまいます。少なくとも、家だけは安心で安全で、子どもにとって「居心地のいい快適な場所」であることがまずは重要なのです。 「家が快適な場所だと、学校に行かなくなったり、引きこもりになったりしませんか?」。親御さんからこんなふうに聞かれることもあります』、「家で親に問い詰められたら、その家自体、居心地が悪くなってしまいます。少なくとも、家だけは安心で安全で、子どもにとって「居心地のいい快適な場所」であることがまずは重要なのです」、私もこんなことは知らずに、「問い詰め」たこともあったが、幸い悪影響は出なかったようだ。
・『“学校はオマケ”と思う親のスタンス  でも、家すら安心な場所でなくなったら、子どもは完全に居場所を失い、それがひいては自殺につながることさえあるのです。もしお子さんから「いじめられた」など何らかの返事が得られた場合も、まずは子どもが“どこにいたいのか”を第一に考えましょう。 私がここでぜひ親御さんにお伝えしたいのは、「学校に行っても行かなくてもいい」というスタンスを親御さん自身がとれるかどうかということ。もっと言えば“学校はオマケ”とすら思えるかどうかです。 これを言うと驚く親御さんも多いのですが、「学校には行かなくてはいけない」では、お子さんも親御さんも追い詰められてしまいます。でも、それとは逆のスタンスで構えていれば、お子さんへの声がけや問いかけがだいぶ変わってくるはずです。 まずは、「外で何かあった」子どもが家にいたければ家にいてもらう。「学校に行きなさい!」と追い立てるスタンスをやめ、「家」を子どもにとって本当の意味での“ホーム”にする。シンプルですが、これが、子どもの元気を取り戻し、彼らのメンタルを守っていくための“最初の一歩”になると私は考えています』、「家すら安心な場所でなくなったら、子どもは完全に居場所を失い、それがひいては自殺につながることさえあるのです」、確かにその通りだろう。しかし、「“学校はオマケ”と思う親のスタンス」は言うは易く、実行するのは難しそうだ。

次に、この続きを、2月28日付け東洋経済オンライン「「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケ 7年間、うつを経験した医師が語る実際」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/267965
・『最近、小中学生の間で、うつなど「心の不調」が増えているようだ。ネットやSNSの普及による情報化が進んで、対人関係に代表される「大人と同じストレス」に遭遇しやすい世の中になったことに、その一因があるとも考えられている。 この記事では、今の小中学生を取り巻く生活環境をふまえながら、新刊『うつぬけ精神科医が教える 心が折れない子を育てる親の習慣』を著した精神科医・宮島賢也氏に、子どもの心を守るために「親はどう行動すべきなのか」を教えていただく。この宮島医師自身、かつて7年間うつを患っていたという経験を持つ』、「親はどう行動すべきなのか」もずいぶん難しそうだが、どんなことだろう。
・『「ごく普通の家庭」で育っているのに…  「うちは子どもに愛情を注いで育ててきたつもりだ」「自分で言うのもなんだけど、わが家はいい家庭だと思う」。お子さんのことで悩みながらも、このように考える親御さんは少なくありません。 では、虐待があるわけでもない、夫婦ゲンカが絶えないわけでもない、いわゆる「ごく普通の家庭」で愛されて育ったお子さんでも、「心が折れてしまう」ことがあります。いったいなぜでしょうか。 「母原(ぼげん)病」という言葉があります。これは、母親の育児が原因で、子どもの病気や問題を引き起こしてしまうことを言います。もちろん、お母さん方を責めるつもりはありませんが、子どもを愛しているのは事実でも、子どもを「囲ってしまう」ような愛し方に問題があるのです。 これは知り合いから聞いた話ですが、客船に乗っていた際、日本人の親と外国人の親の、子どもへの接し方の違いに驚いたと言います。 日本人の親は、子どもが船上で遊んでいると、危ないところに行かないようつねにそばにいる。一方、外国人の親は、子どもを自由に遊ばせ、本当に危ないときにだけ、さっと駆けつけるのだそうです。 私は、子育てもこれに近いと思っています。本当に危険なときは当然守るべきですが、危ない目や嫌な目に遭わないようにいつも先回りしたり、問題が起きたときに親のほうで解決したりすると、「生きる力が弱い子」にもなりかねません』、「母原病」、「子どもを「囲ってしまう」ような愛し方に問題があるのです」、なるほどありそうな話だ。
・『痛い思いや失敗を経験して、人は「生きる力」を育んでいきます。例えば、公園で子ども同士が遊んでいてケンカをしても、最近はすぐ親が介入してしまいます。 おもちゃを取った取られたという程度のことでも、すぐに親が「謝りなさい」と言ったり、「だめでしょ!」と注意したりする。なかには子どもに代わって謝ってしまう親御さんも。もちろん、事の状況次第で解決策も変わるでしょうが、親の過度な介入は、子どもの「心の成長」の機会を奪うことになります。 では、本当に親御さんの育て方に問題があるのかというと、そうではありません。実は「親御さん自身の育てられ方」に問題の根源があったりするのです。 クリニックで親御さんに話を聞くと、ご自身が「親に愛されていなかった」という方が多いと私は感じています。愛されていなかったといっても、虐待や放任などだけではなく、親に育てられていくなかでそう思い込んでいった、というものです。 例えば「母はいつも兄ばかりかわいがっていた」とか「父はいつも怒ってばかりいた」というようなこともそうでしょう。一言でいうと、親御さん自身も忘れている「過去の記憶」が、自分自身の子育てに影響しているのです。 過去の記憶は、コミュニケーションにおける1つのパターンになっていきます。無意識に自分が親にされていた接し方を繰り返していることもあれば、逆に、親にされたことが嫌だったから、自分は子どもに同じことをしたくないと思っている場合もあります。 でも、どちらのパターンも親御さんが自分の親から影響されていることに変わりはなく、過去の記憶が蓄積した結果です。親を反面教師にしている場合も、親にされたことをひっくり返しているだけ。一見、愛にあふれているような子どもへの接し方も、実は、親御さん自身の「過去の記憶」の影響を受けているのです』、「親の過度な介入は、子どもの「心の成長」の機会を奪うことになります」、確かにその通りだろう。「本当に親御さんの育て方に問題があるのかというと、そうではありません。実は「親御さん自身の育てられ方」に問題の根源があったりするのです」、一世代に亘って影響するというのには本当に驚かされた。
・『子どもを追い詰める「ダブルお母さん」  ところで最近、「2人のお母さん」がいるご家庭が目につくようになりました。これまでは、「教育ママ」という言葉もあるとおり、子どもの塾や受験について調べたり、勉強に干渉したりといった、いわゆる「教育熱心」なのは母親がメインだったと思います。 私自身、母親が教育熱心すぎて、子どもの頃に苦しんだ経験があるのでよくわかるのですが、最近は「教育熱心な父親」も増えてきました。それが「ダブルお母さん」現象です。家の中に口うるさいお母さんが2人いる、そんな状態です。 子どもが家にいるとき、母親だけでなく父親もあれこれ干渉してくるとなると、子どもは家での居場所を失っていきます。) 家に帰りたくないお父さん「フラリーマン」も最近話題になっていますが、フラリーマンは、家に居場所がなくても職場や外に居場所があります。でも、子どもは家にも外にも居場所はなく、心が満たされない状態が続きます。 「ダブルお母さん」がいるご家庭は、両親が子どもによく接している分、周囲からは「いい家庭」に見えることもあります。それどころか、親御さんも「わが家はいい家庭」だと思っている。でも、肝心な「子どもの心」は置き去りです』、「最近は「教育熱心な父親」も増えてきました。それが「ダブルお母さん」現象です。家の中に口うるさいお母さんが2人いる、そんな状態です・・・子どもは家での居場所を失っていきます・・・親御さんも「わが家はいい家庭」だと思っている。でも、肝心な「子どもの心」は置き去りです」、確かに「子ども」にしたら、やり切れない状態だろう。
・『子どもは親の「言葉以外の部分」を察している  「過保護」の親とその娘をユニークに描いた『過保護のカホコ』というテレビドラマがありましたが、親の過保護が「過干渉」までいくと、子どもの決定権はほとんどなくなってしまいます。 親が先回りしてなんでも決めてしまう。あるいは、それしか選択できないような提案をしている場合も。「こうしなさい」とは言わなくても、「こうしたほうがいいよね」「そっちがいいんじゃない?」と提案しているようでいて、結果的には子どもに選択の余地がない状態にさせていることがあるのです。 もちろん、「親の言うことを聞いてよかった」というお子さんもいますが、なかには自分の気持ちを押し殺し、ため込んでしまうお子さんもいます。でも、たまったものは、いつか爆発します。自分自身で爆発する子もいれば、ため込んだまま大人になり、自分自身の子育てのとき、そのお子さんのトラブルとなって爆発する場合もあります。 子どもは言葉以上に、親の言葉以外の部分を感じ取っています。「私はなんでも子どもに決めさせている」と言う親御さんもいますが、「自分で決めていいんだよ」と子どもに言いながら、目つきや雰囲気で「選択肢はこっちしかない状態」にしていることもあるのです。 言葉に出さなくても、子どもは敏感に「こっちを選んでほしいんだろうな」という親の思いを読み取ります。親が想像する以上に、子どもは親の気持ちを察しているのです。 親子の関係は、短く見積もっても10~15年はあります。その間、子どもは親の背中を見て育っていく。ですから、口では言わないことも無意識のうちに感じ取りますし、すべて子どもの「潜在意識」の中に入っていきます。 子どもが何歳であっても、過度な干渉はおすすめしません。小さい頃から干渉しすぎると、一見しつけはうまくいくかもしれませんが、親の顔色をうかがう子どもになってしまいます。どんなに小さな子どもでも、何もわからない人として扱うのではなく、生きる力を持っている1人の人として、自分の人生を自分で決めていくためのサポートをしていくことが大切だと私は思います』、「結果的には子どもに選択の余地がない状態にさせていることがあるのです・・・たまったものは、いつか爆発します。自分自身で爆発する子もいれば、ため込んだまま大人になり、自分自身の子育てのとき、そのお子さんのトラブルとなって爆発する場合もあります」、「小さい頃から干渉しすぎると、一見しつけはうまくいくかもしれませんが、親の顔色をうかがう子どもになってしまいます。どんなに小さな子どもでも、何もわからない人として扱うのではなく、生きる力を持っている1人の人として、自分の人生を自分で決めていくためのサポートをしていくことが大切だと私は思います」、本当に親子関係は難しいものだ。筆者の宮島医師は自らはアドバイス通りに出来ているのだろうか。

第三に、ジャーナリストの岡田幹治氏が10月27日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「日本の子どもは「世界一寝不足」、キレたり暴れたりする原因に?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/218154
・『日本の子どもの睡眠時間は世界一短く、睡眠不足が子どもの発達と成長を妨げ、キレたり暴れたりする一因にもなっている。 社会の夜型化が進み、夫婦の共働きが普通になって、大人の睡眠時間も先進国では最も短い。 そんな事態を改善しようと、「産学連携」による斬新な取り組みをする自治体も出てきた』、確かに深刻な問題だ。
・『中学生で平均睡眠7時間 肥満や精神不安定の一因に  世界17ヵ国・地域で「0~3歳児の総睡眠時間」を調べたデータ(Mindellらの研究論文、2010年発表)によると、日本は11時間37分で最も短く、最長のニュージーランドの13時間19分より1時間42分も短い。 この傾向は子どもが成長しても変わらない。 思春期の若者(中学生)の睡眠時間の国際比較では、日本は平均7時間台で、米国より約30分、欧州諸国より約1時間30分も短い。 睡眠に関する研究や教育で著名なNPO・全米睡眠財団は子どもの睡眠時間について、3~5歳は10~13時間、小学生は9~11時間、中高生は8~10時間を推奨している。 これと比べても日本の子どもの睡眠不足は明らかだ。 睡眠不足が子どもの発達や成長の妨げになることは科学的に明らかになっている。 睡眠が短くなると、夜間の睡眠中に大量に分泌される「メラトニン」「セロトニン」「成長ホルモン」などの分泌が乱れるからだ。 メラトニンは、日々の生活リズムを調節する機能をもつホルモンで、不足すると良質な睡眠がとれなくなり、規則正しい生活リズムができない。このホルモンは抗酸化作用など、身体を守る作用もある。 またセロトニンは、脳の機能を高め、感情をコントロールする神経伝達物質であり、不足すれば、脳の発達の遅れや睡眠障害の原因になる。キレたり暴れたり、うつ状態になったりすることもある。 成長ホルモンは、骨や体をつくり、免疫力を高めて病気になりにくくする。脂肪を分解する作用もあるので、不足すると肥満になりがちだ。 睡眠不足で規則正しい生活リズムが乱れた子どもは、身体と脳の発達が遅れ、精神が不安定になる可能性が大きいのだ』、夜遅くまで勉強して「睡眠不足」になっているとすれば、非効率なことこの上ない。
・『大人の睡眠時間も先進国で一番短い  日本の子どもの睡眠不足はいくつもの事情が重なって起きている。 まず日本社会の夜型化が進み、共働きが普通になって、両親の睡眠時間が短くなったから、その影響を受ける。 経済協力開発機構(OECD)が調べた「15~64歳の睡眠時間」によると、日本は一日平均7時間22分と加盟国で最も短く、加盟国平均の8時間25分より1時間も短かった。 厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2017年)では、20歳以上の平均睡眠時間は6時間未満が約4割もいて、「睡眠で十分な休養がとれていない」と答える人が増え続けている。 子どもの睡眠不足をもたらす第二の事情は、子どもの生活が塾や習い事や部活動などで、幼いころから予定がびっしり詰まっていることだ。 しかも最近は、スマートフォン(スマホ)やSNS(LINE・ツイッター・インスタグラム)、ゲームなど、子どもを夜更かしに誘う要因が増えた。 保護者が睡眠の重要さを知らず、無関心であることも大きい。 子どもたちの現状を心配した文部科学省は2006年度から「早寝早起き朝ごはん運動」を推進している。 子どものすこやかな成長には、適切な運動・調和のとれた食事・十分な休養と睡眠が大切だとの考えのもとに、各地の自治体や学校が啓発活動をしている』、「保護者が睡眠の重要さを知らず、無関心であることも大きい」、もっとマスコミなどでもPRすべきだろう。「文部科学省は2006年度から「早寝早起き朝ごはん運動」を推進している」、いい試みではあるが、効果の報道を殆ど見かけないので、余り効果がなかったのだろう。
・『スマホや夜のコンビニ 利用多いほど睡眠短い  自治体の取り組みで注目されているのが、「子育て世帯が住み続けたいと思う街」をめざしている大阪市淀川区の「子どもの睡眠習慣改善支援事業」だ。 「ヨド川区の子どもは夜ネル、よくネル!」から4文字をとって「ヨドネル」と呼んでいる。 きっかけは、榊正文・前区長が、子どもの生活習慣の乱れと睡眠の関わりを取り上げたテレビ番組を見たことだ。保護者らとの会議で、区内の子どもの睡眠習慣も乱れていることを知り、「不規則な生活の改善が、学力アップにもつながっていくのではないかと考えた」 取り組みの特徴は、科学的根拠を明らかにしてまず保護者の意識を変えようとした点にある。 具体的には大阪市立大学と連携し、水野敬・同大学大学院医学研究科特任准教授の指導を受けた。 水野特任准教授は抗疲労研究が専門の脳研究者で、同大学健康科学イノベーションセンター副所長を務めている。 まず実施したのは、区内の小学4年~中学2年生の合計約5300人を対象にした詳細なアンケートだ。2016年と17年の各6~7月の2回行われた。 その結果、次のようなことが明らかになった。 回答した児童生徒の約4割が「疲れている」「とても疲れている」と回答し、約1割は疲れが3ヵ月以上続く「慢性疲労」だった。 疲れを感じている子どもほど睡眠時間が短いことも分かった。 「とても疲れている」と答えた子どもは「全く疲れていない」子どもに比べ、平日の平均睡眠時間が1時間も短かった。 疲れが強いほど、「注意制御力」が低く、注意制御力が高いほど授業の理解度が高いことも分かった。 注意制御力とは、2つ以上のことに同時に注意を向けたり、多くのものから1つの目的物をすばやく見つけたりする力のことで、大人になって最も大切な能力だ。 就寝時刻を遅くする要因として、スマホ、テレビや動画、SNS、夜のコンビニの4つを選んで調べたところ、これらの利用時間が長く、利用頻度が多いほど、睡眠時間が短いことも分かった。 たとえばスマホを「5時間以上」利用する子どもは、「全く使わない」子どもより睡眠時間が1時間半も短かった。 また、家族と一緒に夕食を食べたり、よくほめられたりする子どもほど、睡眠時間が長かった』、「平均睡眠時間」が短くなると、疲れやすくなり、大人になって最も大切な能力である「注意制御力」が低くなるというのは、初めて知った。「睡眠」が如何に重要なものかを再認識させられた。「大阪市淀川区の「子どもの睡眠習慣改善支援事業」」はなかなかいい取り組みのようだ。
・『「夜9時以降は“既読スルー”」「すいみんのオキテ」作り  区はこうした結果を分かりやすく解説した「淀川すいみん白書」を発行・配布するとともに、動画「すいみんドクターKのすいみん講座」をつくってYouTubeで公開した。保護者らを対象にした結果報告会も開いた。 同時に、睡眠習慣を改めるのに役立つ「小道具」をいくつも作成した。 たとえばこうだ。 年代別の「すいみんのオキテ」を記したちらし。「オキテ」には、「小学2年生は夜9時までに寝る」「中学1・2年生はゲーム機・携帯電話・スマホに夜10時以降はさわらない」といったものがある。 ▽家庭や学校で「すいみんルール」を定める際のひな型。 たとえば小学生は「夜9時以降は保護者がスマホを預かる」というルールを家庭でつくる。 中学生なら「夜9以降はLINEも既読スルーで(返信しない)」と生徒会で決めるといった例を挙げている。 市内の小中学校はこれらを使って睡眠習慣づくりを進めるわけだ。 このほかにも、生活のリズムが乱れがちな夏休みなどの長期休暇中、毎晩9時に区の公式アカウントLINE@から約5000の登録アカウントに向け、オリジナルキャラクターの「がんこおやじ夢さん」が「はよ寝んかい」と呼びかける取り組みをしていたこともある。 効果は短期間では現れない。16年と17年の調査結果を比べると、小学4~6年生の平日の睡眠時間は4分延びたが、中学1~2年生は逆に3分短くなった。 疲れも小学生は軽減されたが、中学生は増加した。 ただ、「勉強をがんばったとき、家の人はほめてくれるか」という問いに「いつも」「だいたい」と答えた子どもの割合は、小中学生とも増加した。 家族にほめられる子どもほど睡眠時間が長いことを知った保護者が、積極的にほめるようになった結果と考えられる。 淀川区の担当者は、「息長く続けたい」としており、今年3月には区と大阪市立大学に老舗寝具メーカー・西川株式会社を加えた3者の連携協定を結んだ。 良質の睡眠をとるための環境(温度・湿度・香り・寝具など)や子どもたちの行動(1日の過ごし方)について、「望ましいあり方」を例示したいという。そうした面での研究実績がある西川の協力を得たいとしている』、「小学4~6年生の平日の睡眠時間は4分延びたが、中学1~2年生は逆に3分短くなった。 疲れも小学生は軽減されたが、中学生は増加した」、やはり効果が表れるには時間もかかるようだ。 「保護者が、積極的にほめるようになった」のは好ましい結果だろう。こうした動きがもっと広がってほしいものだ。なお、「すいみんドクターKのすいみん講座」は、下記URL
https://www.city.osaka.lg.jp/yodogawa/page/0000394929.html
タグ:子育て 東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 岡田幹治 (その2)(うつぬけ精神科医が見た「子どもの不調」の背景 「家」を子どもの"ホーム"にする大切な考え方、「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケ 7年間 うつを経験した医師が語る実際、日本の子どもは「世界一寝不足」 キレたり暴れたりする原因に?) 宮島 賢也 「うつぬけ精神科医が見た「子どもの不調」の背景 「家」を子どもの"ホーム"にする大切な考え方」 『うつぬけ精神科医が教える 心が折れない子を育てる親の習慣』 今、元気のない子どもが増えている現実 小中学生の世代に精神疾患がある事実はあまり知られていないかもしれませんが、うつ病や不安障害などは小学生から見られ、10代後半になるとさらに増加 私自身、かつて7年間もうつを患った その“根本”は少年期にありました 開成中学に合格 高校になると実力テストではガクンと成績が下がります。そうなると学校もつまらなくなり、家でも落ちつかない毎日。家にいたくなくてバイトをしたり、髪を伸ばしたり、ピアスの穴を開けたりもしました 母に「勉強しなさい!」と包丁を持って追いかけられたことも ある女医さんに憧れたことをきっかけに、「医者なら価値のない自分でも人の役に立てるかも」と思い立ち、運よく1浪後に防衛医大に受かりました 子どものメンタルを守る「親の考え方」 医者になってからも自分に自信が持てず、「自己肯定感の低い人間」になってしまった 、家で親に問い詰められたら、その家自体、居心地が悪くなってしまいます。少なくとも、家だけは安心で安全で、子どもにとって「居心地のいい快適な場所」であることがまずは重要なのです “学校はオマケ”と思う親のスタンス 家すら安心な場所でなくなったら、子どもは完全に居場所を失い、それがひいては自殺につながることさえあるのです 「「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケ 7年間、うつを経験した医師が語る実際」 「ごく普通の家庭」で育っているのに… 「母原(ぼげん)病」 母親の育児が原因で、子どもの病気や問題を引き起こしてしまう 子どもを「囲ってしまう」ような愛し方に問題がある 親の過度な介入は、子どもの「心の成長」の機会を奪うことになります 実は「親御さん自身の育てられ方」に問題の根源があったりするのです 親御さんに話を聞くと、ご自身が「親に愛されていなかった」という方が多いと私は感じています 親御さん自身も忘れている「過去の記憶」が、自分自身の子育てに影響 子どもを追い詰める「ダブルお母さん」 「教育熱心な父親」 子どもは家にも外にも居場所はなく、心が満たされない状態が続きます 子どもは親の「言葉以外の部分」を察している なかには自分の気持ちを押し殺し、ため込んでしまうお子さんもいます。でも、たまったものは、いつか爆発します。自分自身で爆発する子もいれば、ため込んだまま大人になり、自分自身の子育てのとき、そのお子さんのトラブルとなって爆発する場合もあります 小さい頃から干渉しすぎると、一見しつけはうまくいくかもしれませんが、親の顔色をうかがう子どもになってしまいます。どんなに小さな子どもでも、何もわからない人として扱うのではなく、生きる力を持っている1人の人として、自分の人生を自分で決めていくためのサポートをしていくことが大切だと私は思います 「日本の子どもは「世界一寝不足」、キレたり暴れたりする原因に?」 中学生で平均睡眠7時間 肥満や精神不安定の一因に 日本は11時間37分で最も短く、最長のニュージーランドの13時間19分より1時間42分も短い 思春期の若者(中学生)の睡眠時間の国際比較では、日本は平均7時間台で、米国より約30分、欧州諸国より約1時間30分も短い 睡眠が短くなると、夜間の睡眠中に大量に分泌される「メラトニン」「セロトニン」「成長ホルモン」などの分泌が乱れる 睡眠不足で規則正しい生活リズムが乱れた子どもは、身体と脳の発達が遅れ、精神が不安定になる可能性が大きい 大人の睡眠時間も先進国で一番短い 子どもの生活が塾や習い事や部活動などで、幼いころから予定がびっしり詰まっていることだ 保護者が睡眠の重要さを知らず、無関心であることも大きい 文部科学省は2006年度から「早寝早起き朝ごはん運動」を推進 スマホや夜のコンビニ 利用多いほど睡眠短い 大阪市淀川区の「子どもの睡眠習慣改善支援事業」 大阪市立大学と連携 「とても疲れている」と答えた子どもは「全く疲れていない」子どもに比べ、平日の平均睡眠時間が1時間も短かった 疲れが強いほど、「注意制御力」が低く、注意制御力が高いほど授業の理解度が高いことも分かった 注意制御力とは、2つ以上のことに同時に注意を向けたり、多くのものから1つの目的物をすばやく見つけたりする力のことで、大人になって最も大切な能力だ 「夜9時以降は“既読スルー”」「すいみんのオキテ」作り 「すいみんのオキテ」 「小学2年生は夜9時までに寝る」 中学1・2年生はゲーム機・携帯電話・スマホに夜10時以降はさわらない」 家族にほめられる子どもほど睡眠時間が長いことを知った保護者が、積極的にほめるようになった結果 「すいみんドクターKのすいみん講座」
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医療問題(その21)(相次ぐ高額医薬品 国民皆保険制度は維持できるか、がん検診にデメリットはあるのか? 第49回 がん外科医の本音⑤、健保連が「医療費抑制」に向けた政策提言 花粉症、風邪ですぐ病院へ) [生活]

医療問題については、8月4日に取上げた。今日は、(その21)(相次ぐ高額医薬品 国民皆保険制度は維持できるか、がん検診にデメリットはあるのか? 第49回 がん外科医の本音⑤、健保連が「医療費抑制」に向けた政策提言 花粉症、風邪ですぐ病院へ)である。

先ずは、8月8日付け日経ビジネスオンライン「相次ぐ高額医薬品、国民皆保険制度は維持できるか」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/080600007/?P=1
・『発売当初は年間で約3500万円の費用がかかったオプジーボや、2019年5月に承認された1回投与で3349万円のキムリアなど、高額な医薬品の登場が相次いでいる。気になるのは医療保険財政への影響だ。日本が世界に誇る国民皆保険制度は、このまま維持できるのか。 このまま高額医薬品が増え続ければ、医療保険財政は破綻するのではないか――。オプジーボの登場以降、こうした議論が盛んに繰り広げられるようになった。財務省秘書課長の吉野維一郎氏(取材時の肩書は主計局主計官、厚生労働係第一担当)も「こうした高額医薬品が次々と出てくるようになれば、それなりに医療保険財政への影響はある」とみる。 医療保険財政が圧迫されれば、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入し、お互いの医療費を支え合う「国民皆保険制度」も揺らぎかねない。では、どう財政への影響を最小限にするか。現状は医薬品の公定価格(薬価)を下げる「薬価下げ」に頼っているが、これ以外にも財政負担を軽減するための手立てが検討されている。 代表的な例が、医療費の自己負担割合の見直しだ。現状では、病院や薬局で処方される医療用医薬品は原則3割負担で、75歳以上は1割負担となっている。 この負担率を、病気の重さによって変動させようという案がある。例えばドラッグストアなどでも購入できる一般用医薬品(OTC)があるなら、患者の負担額を引き上げるべきだという考え方だ。 湿布薬や鼻炎薬などのOTCには、医療用医薬品と同じ成分のものも多い。ところが、現状ではドラッグストアなどで市販薬を買うよりも、医師に処方してもらった方が患者が負担する金額は数分の1程度まで抑えられる。金銭的なメリットから気軽に病院に通う患者が少なくないが、負担率を上げれば、一定の歯止めをかけることができる。外来の診察料に定額負担を求めることで、割安な薬を求めて病院に足を運ぶ患者を減らす考え方もある。 財務省の吉野氏は「一般用医薬品がある薬は、保険でカバーするかどうかまで踏み込んでもよいのではないか。単価は小さいものの、合計すれば全体の薬剤費は決して小さくない」と話す。法政大学で財政学を専門とする小黒一正教授も、「市場規模が大きく、患者が負担する費用が小さいものから自己負担率を上げるといった見直しをすべきだ」と指摘する』、「ドラッグストアなどで市販薬を買うよりも、医師に処方してもらった方が患者が負担する金額は数分の1程度まで抑えられる。金銭的なメリットから気軽に病院に通う患者が少なくないが、負担率を上げれば、一定の歯止めをかけることができる」、こうした負担率引き上げは必須だろう。
・『一方で、強い口調でこれに反対するのが日本医師会だ。日本医師会は自由民主党の大票田としても知られ、政治的な影響力を持つ。日本医師会常任理事の松本吉郎氏は「“軽い病気の薬は保険から外すべき”という意見もあるが、日本医師会としては絶対に反対」と対抗姿勢を見せる。 同氏の説明によれば、初めは症状が軽くとも徐々に病気は重くなっていくのだから、軽症なときに医療保険でしっかりカバーして重症化を防ぐべきだという。また、そもそも実際に医師の診察を受けるまで本当に軽症かどうかは分からないとも説明し、医師による診察の重要性を訴える。 確かに、命に関わる病気であっても、軽い症状を示す病気はある。例えばがんの自覚症状は少なく、発熱や倦怠(けんたい)感、せきなど一見すると風邪と勘違いしかねない。患者の負担額を引き上げれば、通院を控える人が出て発見が遅れるということだ。 自己負担の在り方を巡っては、高額医薬品について、一定額を超える部分を自己負担にすべきだ、という案もある。所得水準によって、薬を手にできない患者も生まれかねないが、この場合は、民間の保険でカバーするという考え方だ。 製薬企業が取り組むべき課題もある。例えば、薬の値段の決め方。日本では製薬企業が開示する原価データを基に国が公定価格として決めるが、そもそもその原価計算が不透明との指摘がある。単にコスト面だけでなく、薬の価値を認めて欲しい、という意見も製薬業界にはあるが、少なくとも透明性を高める取り組みは欠かせないだろう。 医薬品の費用対効果を評価して、薬価に反映させる考え方もある。すでに2019年4月から同じ病気に使う新薬と既存薬の費用対効果を調べて、効果の割に新薬の価格が高いと判断されれば、薬価を下げる仕組みが導入されたが、これを古くからある薬にも適用すべきだ、という声も出ている。 40兆円を突破し、今後も高齢化を背景に増加するとみられている国民医療費。保険財政の破綻を危惧する声が大きくなる中で、国民一人ひとりがどう負担を分かち合うか。国民を巻き込んだ幅広い議論が欠かせないことだけは確かだ』、「同じ病気に使う新薬と既存薬の費用対効果を調べて、効果の割に新薬の価格が高いと判断されれば、薬価を下げる仕組みが導入されたが、これを古くからある薬にも適用すべきだ、という声も出ている」、当然のことだ。過度な抑制には問題があるとしても、まだまだ、抑制の余地は大きそうだ。

次に、外科医の中山 祐次郎氏が8月22日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「がん検診にデメリットはあるのか? 第49回 がん外科医の本音⑤」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00135/00010/?P=1
・『こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。 私の住む福島では、猛暑は足早に過ぎ去り、もう涼しくなってきました。考えてみればセミの声もそれほどうるさいと感じることはありませんでしたね。みちのくの夏はやっぱり少し短いのかな、と感じます。昨年は灼熱(しゃくねつ)の京都で過ごしたので、その落差で勘違いしているのかもしれませんが。 さて、今回も前回までに引き続き2019年6月に出した著書「がん外科医の本音」から、日経ビジネス電子版読者の皆様の関心が特に高そうな「がん検診」の項から引用してお届けします。 ここを書くにあたり、私は非常に多くの論文と医療ガイドラインを読み情報をあらためて精査し、市販のがん検診について書かれた本10冊以上に目を通すことで今世に流布している意見を把握しました。さらには、京都大学大学院医学研究科の健康情報学の教授に意見を仰ぎ、ディスカッションをした上で監修をしていただき、医学的な信頼性を担保しました。そこに、がんを専門とするいち医師である私の意見を付記しています。 非常に苦心して書きましたが、これほど情報を俯瞰(ふかん)し、さらに複数の専門家の見解をもとにまとめたものは他にないと自負しています。 それではどうぞ』、確かに「医学的な信頼性を担保」したのはさすがだ。
・『検診はすればするほどよいわけではない  誤解のある人が多いのですが、がん検診にはメリットとデメリットのどちらもあります。「検査をすればするほど、病気がちゃんと見つかっていいのではないか」「若い人全員にもしたほうがいいのではないか」と考えている方もいらっしゃるでしょう。実は、どちらも答えはNOです。 今回、皆さんにお伝えしたい最も大切なこと。それは、検診を受けるべきかどうかを決めるには「メリットとデメリットをてんびんにかけた結果、どちらが上回っているか」を考えなければならない、ということなのです。 そして、このてんびんにかけた結果は、「人によって答えが異なる」という点が極めて重要です。それはつまり、人それぞれの価値観によって結論が真逆になる可能性が十分にあるということを意味します。ですから、ここではまずメリットとデメリットを説明し、最後に私の価値観で考えた結果を本音でお話しすることにいたしましょう』、「メリットとデメリットをてんびんにかけた結果」は、「人によって答えが異なる」とhどういうことなのだろう。
・『ステージⅣで急激に悪くなる  まず、がん検診を受けることのメリットから。メリットは、「そのがんで死亡することを防ぐこと」です。がんというものは、原則的に「早期に見つけて早期に治療を行えば治るもの」。そして、「あるポイントを超えてしまうと、どんな名医がどれほどすごい治療を行ったとしても、どうしても治らないもの」でもあります。 では、あるポイントとはどこにあるのか。これは残念ながら、はっきり「ここ!」と分かるわけではありません。がんにかかってしまった人によっても、がんの種類によっても、そして治療法が年々進化している現代ではかかった時期によっても異なるでしょう。 ただ、だいたいの予測はつけられます。例えば私の専門の大腸がんであれば、ステージⅠの人が標準治療を受けると、5年後に生きている確率は97%を超えます。しかし、ステージⅡになると90%、ステージⅢでは84%と下がっていきます。そして、ステージⅣになると急に下がり、なんと20%ほどになってしまいます。 そうです。ステージⅣになると急激に悪くなるのです。これは大腸がんだけに限ったことではなく、多くのがんで見られます。それもそのはず。ステージは生存率を反映するように作っている面もあるからです。もう少し詳しくお話しすると、ステージⅣはほとんどのがんで「遠隔転移あり」という状況を指します』、「遠隔転移あり」では、「5年後に生きている確率」が「20%ほどになってしまいます」というのも納得だ。
・『2つの武器で「タチの悪さ」を見る  遠隔転移とは、最初にできたがんの臓器と離れた別の臓器にがんが転移してしまっている状態を指します。「なんだかタチが悪そう」と思いますよね。このタチの悪さを測るものは何でしょうか? そんな検査があったらいいのに、と思いますよね。 実は、現代の医学は2つの武器を持っています。1つは、「経過を見る」という方法です。これは、時間による経過を見ることで「がんの勢い」がどれほどかを推測するもの。例えば、もともとの大きさが1cmのがんがあったとして、2年かけて1.2cmになるものより、1カ月で大きさが5cmになり他の臓器に転移するもののほうがはるかにタチが悪そうです。現実的にはがんを放置することはなく、見つけたらすぐに治療をしますが、それでも検査や患者さんの仕事の都合などで1~2カ月ほど治療が遅れ、たまたま増殖スピードが見えてしまうことがあります。はからずもタチの悪さが見えてしまうのです。 もう1つは、「病理診断」という武器です。これは、調べたいがん細胞を取ってきて、その細胞を顕微鏡を通して見ることで、どれくらいタチが悪いかを測定することができます。現在では、乳がんなどでは「病理診断」の結果によって治療法が変わる場合もあるのです。 がん検診では、定期的に検査することで、がんがないかどうかをチェックします。ですから、タチがとても悪いものに対してはあまり効果を発揮することができません。1年間隔で検査しても、発生して半年で手がつけられないほど進行してしまうがんであれば、検診は無力です。 一方で、今の医学では「誰がどれくらいタチの悪いがんにかかるか」は分かりません。ですので、年齢を区切って全員一斉に検査をする。そして中には運良く早めにがんが見つかり、治療を受けて治る人がいる。ここまでが、がん検診のメリットの説明になります』、「1年間隔で検査しても、発生して半年で手がつけられないほど進行してしまうがんであれば、検診は無力です」、運が悪かったとあきらめるしかなさそうだ。
・『知られていないがん検診のデメリット  一方、がん検診のデメリットはどんなものでしょうか。 1つ目は「過剰診断・過剰治療」です。過剰という言葉が入っている通り、本来は不要だったのに検診を受けたことで生じてしまったものです。 具体例を挙げましょう。例えば、乳がん検診で、マンモグラフィー検査という乳房をレントゲンに撮る検査を受け、がんを疑うようなしこりが見つかったとします。すると、今度は「病院で精密検査を受けてください」ということになり、医師の診察を受けます。同時に採血検査、超音波検査、MRI(磁気共鳴画像)検査などを行います。その結果、「まずどう見ても良性なのでここでおしまい」となることもあれば、「悪性の可能性があるため、針生検をしましょう」となることもあります。針生検では、怪しいしこりそのものに針を刺し、しこりの成分を1mmほど取ってきて、顕微鏡でがん細胞やがんの組織がないかをチェックします。 その結果、もしがんの診断だったら手術や抗がん剤治療へ進みますし、がんではなかったら「大丈夫でした。よかったですね」で終わります。 さて、もし検診をしていなかったらどうなったでしょうか。病院で受診することはなく、従っていろいろな検査はしないでしょう。生検という、針を刺して傷をつくる検査もしなくてよかったことになります。 これが、過剰診断です。ここまでならまだよいのですが、「やはり悪性が否定できない」として、手術になることがあります。メスを入れ、手術をした結果「いやあ、良性でした。よかったですね」と言われることもあるのです。これは、人によって受け取り方が大きく変わるところでもあります。「ラッキーだった」と思う人がいる半面、「それならば最初からすべて不要だったのではないか」と思う人もいるでしょう』、医師が手術すべきと診断して手術を受けた結果が、「良性」だったのであれば、「ラッキーだった」と思うべきだろう。
・『検診そのもので起きる合併症もある  2点目は、「検診そのもので起きる合併症」です。合併症とは、「検査や治療によって起きた良くないこと」を指します。確率はさまざまですが、この世のあらゆる治療や検査にはすべて一定の割合で合併症が起こります。2人に1人以上起こるものから、隕石(いんせき)に当たるより確率が低いもの(インフルエンザワクチンの接種で死亡するなど)までさまざまです。 がん検診では、検査を行いますので、残念ながら検査に伴う合併症の危険性があります。胃がん検診を例に挙げましょう。胃がん検診では胃カメラもしくはバリウム検査があります。胃カメラの合併症について、2016年に発表された全国調査報告(08年~12年までの5年間)では、前処置(鎮静剤など)に関連した合併症は約3万6000人に1人(0.0028%)で、死亡数は9件で200万人に1人(0.00005%)でした。そして観察のみ(生検を含む)の胃カメラでは約7000人に1人(0.014%)の割合で合併症が起きています。合併症は出血や胃・食道に穴が空いたというものでした。 これを見ると、胃カメラを受けるだけで死亡する可能性がゼロではなく、合併症も起きていることが分かります。頻度が低いだけで、一定数は確実に起きているのです』、「胃カメラ」でも「死亡する可能性がゼロではなく、合併症も起きている」、というのは確かに留意すべきことのようだ。
・『根拠のない検診を避ける  もう1つ大切なことを述べます。「どんながん検診が採用されているかは、お住まいの市区町村によって異なる。中には科学的根拠がまだはっきりしないものを採用し、検診を受けてくださいと勧めているところもある」という点です。この点は本や雑誌ではあまり触れられていません。 がん検診を受けるかどうかは、3つの段階で決まります。 第1段階は国です。まず国がどんな検診を行うかを決めます。ここにガイドラインを作る集団が意見を言い、検診のためのガイドラインの案が作られます。第2段階は市区町村です。市区町村、つまり自治体ごとに、「どの検診をやり、どれをやらないか」を判断しています。そして最終である第3段階はあなた個人です。あなたがお住まいの市区町村などから届いたはがきを見て、実際に検診を受けるかどうかを決めるのです。 ここで注意すべきは第2段階です。実は、ガイドラインの対策型検診で推奨されていないが、市区町村の判断で行われているがん検診が非常に多いのです。国の資料から引用します。 「指針に定められていないがん種に対するがん検診を実施している市町村は、全体の86.5%(1496/1730)となっている」(平成29年度の市区町村におけるがん検診の実施状況調査集計結果) そのほとんどは前立腺がんの検診(1411自治体)で、続いて子宮体がん(501自治体)、卵巣がん(94自治体)、口腔(こうくう)がん(64自治体)、甲状腺がん(63自治体)……と続きます。 さて、事実はここまでです。ここからは私の個人的な意見になります』、「ガイドラインの対策型検診で推奨されていないが、市区町村の判断で行われているがん検診が非常に多い」、いささか驚かされた。市区町村は地域の医師会から圧力でもかけられているのだろうか。「ガイドラインで推奨されていない」ものについては、国からの補助金を出さず、独自財源とするべきだろう。
・『一人の医者の価値観は?  これは、医師一人の経験に基づく話なので、私の人生観、(偏っている可能性を否定できない)現場経験に基づいています。ですので、最も科学的根拠が低い(あるいはほとんどない)ことを先にお伝えしておきます。悲しいことに、どんな人間も自分の経験と知識の中でしか議論をすることはできません。また私の考えも今後、変わる可能性があります。 補足すると、世に出ている多くのがん検診にまつわる本や雑誌は、書き手の価値観を大きく押し出したものにすぎません。つまり、デメリットを重く感じた人は「がん検診はけしからん」となり、メリットが上回ると感じた人は「受けましょう」となるのです。 では私のチョイスはどうか。下記に要約します。 対策型検診は、すべて前述した日本の「科学的根拠に基づくがん検診」ガイドラインの推奨通りにきっちり受ける 「科学的根拠に基づくがん検診」ガイドラインでの推奨度が低い、あるいは現時点で不明のものは受けない です。そして推奨は変わる可能性があるため、きっちり情報を追いかけていき、推奨度が変更されたらそれに従います。 断っておきますが、私はガイドラインを推奨したところで利益を得る立場にはありません。「いやいや、あんたはがんの外科医なんだから、がん疑いの患者が増えたらうれしいのではないか」と言われるかもしれませんが、患者さんの人数で医師の給料は決まりません。ただでさえ多忙極まる現場ですし、がん患者さんが減ることでのメリットは少なくありません。 さらにここだけの話、私は医者業に経済的依存をしておらず、もの書きとしての収入もあります。「業界からの回し者では?」という陰謀論は、少なくとも私には当てはまりません。 では追加として、任意型、つまり人間ドックなどはどうするか。こちらは対策型検診で求められるレベルで見ると科学的な根拠が必ずしも十分とは言えないので、基本的には受けません。ただ、自分の専門である胃や大腸にがんが進行した状態で見つかったらいろいろカッコがつかないので、胃カメラ・大腸カメラは1~2年に1度やろうと思っています。胃については逆流性食道炎もあるので、悪くなっていないか、がん化していないか定期的にチェックしたいと思います。そして、妻や家族がそれ以外の検査の人間ドックをどうしても受けてくれ、と⾔ったら、まあしぶしぶ受けようかな、と思っています』、「人間ドックなどはどうするか。こちらは対策型検診で求められるレベルで見ると科学的な根拠が必ずしも十分とは言えないので、基本的には受けません」、なるほど。
・『高級人間ドックはどうか  いろいろな病院で、さまざまながん検診が提案され、また人間ドックが提案されています。中には超豪華なものまでありますが、過剰診断・過剰治療のことを考えると今はあまり乗り気になれません。お金ももったいないですし。 では、お金がジャブジャブあったらどうするだろうか、と私は考えてみます。私の知るお金持ちの多くは、1回10万円以上を支払って人間ドックを毎年受けています。しかし、がんについては、今のところメリットがデメリットを大きく上回るものは対策型の検診以外にないでしょう。ですから、私はお金があったらその分をがん予防のほうで、例えば、運動のためのパーソナルレーナーでもつけようかなと思います。お金持ちの皆さんには、過剰診断・過剰治療のデメリットについてご存じであることを心より願います。 そして、それらのデメリット以上に「検診を受け、がんによる死亡を避けたい」という気持ちになっておられるならよいのですが。 私の意見は以上です。お読みのあなたは、ご自身の価値観でがん検診を受けるかどうかを決めてください。あ、その前にまずたばこを吸っている人は、検診がどうのこうの悩むより、まず禁煙することをおすすめします。そして、私の父の話です。父は医療関係ではない仕事をしてきた60歳代後半の男性ですが、「がん検診は受けたくない」と言っています。毎年毎年、私は一生懸命、市区町村のがん検診を受けるよう説得しています。 最後に注意点として、「医学界の重鎮による意見は、偏っている可能性がある」とお伝えしておきます。重鎮とは、教授や〇〇学会の理事などです。別に重鎮が嫌いなわけではありませんが、彼ら、彼女らは業界の大切なポジションになり、ポジショントークが入ります。ポジショントークとは、例えば「本当は〇〇はあんまり勧められないんだけど、理事をやってるナントカ学会はこれを推進しているしな」というようなもの。偉くなれば、製薬会社や検査会社との関係も濃厚になっていくでしょう。もちろんポジショントークを一切排した、科学者としての誠意のみで動く重鎮もいらっしゃいます。しかし、まったく影響がないかと言われたら、言い切れないことはあるだろうと私は想像します。 さらに、重鎮になるとどうしても自身の経験が増えるため、自分の経験に引っ張られた発言になってしまうということです。これは、医者としての経験年数が増えれば増えるほど悪化していきます。これからは、この私も悲しいことに逃れることはできません。がん検診についての本稿は、元臨床医で長年、健康情報学の学者をやっている先生に加え、さらに2人の医師にも読んでもらい意見をいただきました。それほど、私は自身の意見が偏っていることを心配したのです。そういう極めてデリケートなテーマであることを、お伝えしたいと思います』、「父は医療関係ではない仕事をしてきた60歳代後半の男性ですが、「がん検診は受けたくない」と言っています。毎年毎年、私は一生懸命、市区町村のがん検診を受けるよう説得しています」、がん外科医でも検診を嫌がる父親を説得できないというのは、人生の皮肉だ。「医学界の重鎮による意見は、偏っている可能性がある」、というのはその通りなのだろう。

第三に、9月8日付けZAKZAK「【大前研一のニュース時評】健保連が「医療費抑制」に向けた政策提言 花粉症、風邪ですぐ病院へ」を紹介しよう。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190907/dom1909070004-n1.html
・『企業の健康保険組合で構成する健康保険組合連合会(健保連)が、急増する医療費の抑制に向けた政策提言をまとめた。柱の1つは、医療機関を受診して処方される花粉症薬のうち、同じような効果の市販薬で代替できる薬を公的医療保険の対象外とすること。実施されれば、薬剤費が年597億円削減できると試算している。 この件について、私が学長を務める「ビジネス・ブレークスルー大学」の大学院生から「アレルギー薬よりも、生活習慣病のような食事や運動で改善する可能性のある疾患こそ対象にするべきだ」という指摘があった。そのとおりだ。 ちなみに健保連では、比較的薬剤費の高い先発品が処方されることの多い生活習慣病の薬について、同じような効果のジェネリック医薬品(後発薬)を優先的に処方すれば薬剤費を年3141億円減らせるとの試算も示している。 日本の場合、花粉症はおろか、風邪をひいたというだけで、病院で薬をもらってくる。なぜそんなことをするのかというと、医療機関でかかる費用の7割以上を公的医療保険でまかなっているからだ。医者もそれに乗っかり、ほかの国では普通に薬局やドラッグストアで売っているOTC医薬品(いわゆる大衆薬と呼ばれる一般用医薬品)も医療用医薬品として処方している。 今回、健保連がこういうことを言い始めたのは、軽症の患者が薬目的で医療機関を受診すると、医療費が膨らんで企業健保の財政を圧迫し、健保組合そのものの存続が危なくなってきたからだ』、「健保連」の「政策提言」は当然の要求で、むしろ遅きに失した感すらある。
・『高齢化を背景に医療費は増え続け、この30年で倍増している。2017年度の医療機関に支払われた医療費の総額は、前年度より1兆円増加の約42兆円。過去最高を更新している。そのうち調剤費は約7兆円。馬に食わせるほど薬をくれる病院もある。 ビタミン剤を処方する医師もいれば、1回の診察で処方できる上限70枚の湿布をもらう患者もいる。どう考えても余ってしまう。 こういったものは、すべて市販品で代用できる。これらを含め、すべて費用対効果を考えないと、健康保険は持たない。だから、これを見直すというのは私も大賛成だ。 これに対し、日本医師会は「冗談ではない」と批判している。以前は医師会が反対するとニッチもサッチも行かなくなることが多かったが、現在ではそれほど強くない。 国民皆保険というのは素晴らしい制度だが、すべての病気を保険の対象にするというところが、ヨソの国とは違う。例えばオーストラリアは、医師が「はい、これは薬局で買ってください。ウチは関係ありません」とはっきりしている。 救急車についても、オーストラリアの場合、「救急車が早く来たおかげで助かった」ということを医師が証明してくれれば、その費用を払わなくて済むが、基本的には患者側が払うことになっている。呼んだ後、タクシー代よりも高い請求書がくる。だから、呼ぶ側も考えてしまう。 日本では軽症なのにタクシー代わりに救急車を呼んで病院に行く人も結構多い。その辺も医療費が下がらない理由。国民皆保険に甘えているところがある。これを見直すのは当然だと思う』、オーストラリアの救急車利用ルールは、極めて広い国土面積という要因もあるにせよ、日本でも参考にするべきだ。投薬ルールも同様だ。
タグ:医療問題 日経ビジネスオンライン ZAKZAK 中山 祐次郎 (その21)(相次ぐ高額医薬品 国民皆保険制度は維持できるか、がん検診にデメリットはあるのか? 第49回 がん外科医の本音⑤、健保連が「医療費抑制」に向けた政策提言 花粉症、風邪ですぐ病院へ) 「相次ぐ高額医薬品、国民皆保険制度は維持できるか」 高額医薬品が次々と出てくるようになれば、それなりに医療保険財政への影響はある ドラッグストアなどで市販薬を買うよりも、医師に処方してもらった方が患者が負担する金額は数分の1程度まで抑えられる。金銭的なメリットから気軽に病院に通う患者が少なくないが、負担率を上げれば、一定の歯止めをかけることができる 日本医師会としては絶対に反対 同じ病気に使う新薬と既存薬の費用対効果を調べて、効果の割に新薬の価格が高いと判断されれば、薬価を下げる仕組みが導入されたが、これを古くからある薬にも適用すべきだ、という声も出ている 「がん検診にデメリットはあるのか? 第49回 がん外科医の本音⑤」 京都大学大学院医学研究科の健康情報学の教授に意見を仰ぎ、ディスカッションをした上で監修をしていただき、医学的な信頼性を担保しました 検診はすればするほどよいわけではない がん検診にはメリットとデメリットのどちらもあります 検診を受けるべきかどうかを決めるには「メリットとデメリットをてんびんにかけた結果、どちらが上回っているか」を考えなければならない てんびんにかけた結果は、「人によって答えが異なる」という点が極めて重要 ステージⅣで急激に悪くなる ステージⅠの人が標準治療を受けると、5年後に生きている確率は97%を超えます。しかし、ステージⅡになると90%、ステージⅢでは84%と下がっていきます。そして、ステージⅣになると急に下がり、なんと20%ほどになってしまいます 「遠隔転移あり」 2つの武器で「タチの悪さ」を見る 1つは、「経過を見る」という方法 もう1つは、「病理診断」という武器 知られていないがん検診のデメリット 過剰診断・過剰治療 検診そのもので起きる合併症もある 根拠のない検診を避ける 市区町村によって異なる。中には科学的根拠がまだはっきりしないものを採用し、検診を受けてくださいと勧めているところもある 一人の医者の価値観は? 高級人間ドックはどうか 私はお金があったらその分をがん予防のほうで、例えば、運動のためのパーソナルレーナーでもつけようかなと思います 医学界の重鎮による意見は、偏っている可能性がある 父は医療関係ではない仕事をしてきた60歳代後半の男性ですが、「がん検診は受けたくない」と言っています。毎年毎年、私は一生懸命、市区町村のがん検診を受けるよう説得しています 「【大前研一のニュース時評】健保連が「医療費抑制」に向けた政策提言 花粉症、風邪ですぐ病院へ」 健康保険組合連合会(健保連) 急増する医療費の抑制に向けた政策提言 花粉症薬のうち、同じような効果の市販薬で代替できる薬を公的医療保険の対象外とすること。実施されれば、薬剤費が年597億円削減できると試算 生活習慣病の薬について、同じような効果のジェネリック医薬品(後発薬)を優先的に処方すれば薬剤費を年3141億円減らせるとの試算 オーストラリアは、医師が「はい、これは薬局で買ってください。ウチは関係ありません」とはっきりしている 救急車についても、オーストラリアの場合、「救急車が早く来たおかげで助かった」ということを医師が証明してくれれば、その費用を払わなくて済むが、基本的には患者側が払うことになっている
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健康(その8)(「根拠のない健康情報」はなぜ拡散されやすいか デマに加担しないためのリテラシーが必要だ、ニセ科学「ホメオパシー」の実践が危険な理由 毒物の「ヒ素」でさえ薬にしてしまう謎理論、毎日心地よく暮らす人の脳は危険な状態にある そのままだと人生が詰んでしまう) [生活]

健康については、4月28日に取上げた。今日は、(その8)(「根拠のない健康情報」はなぜ拡散されやすいか デマに加担しないためのリテラシーが必要だ、ニセ科学「ホメオパシー」の実践が危険な理由 毒物の「ヒ素」でさえ薬にしてしまう謎理論、毎日心地よく暮らす人の脳は危険な状態にある そのままだと人生が詰んでしまう)である。

先ずは、5月10日付け東洋経済オンライン「「根拠のない健康情報」はなぜ拡散されやすいか デマに加担しないためのリテラシーが必要だ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/279071
・『健康に関する情報はいまやウェブでも数多く読めるようになりました。しかし、効果や科学的根拠の不確かな情報がSNSを通じて広まってしまったこともあります。誤った情報の拡散に加担しないためにも、真偽を見極めるリテラシーが必要です。 医学部を卒業し、NHKチーフ・ディレクターとして医療、福祉、健康分野で番組を制作してきた市川衛氏の著書『教養としての健康情報』から一部抜粋し、再構成してお届けします。 【2019年5月16日17時40分追記】初出時から記事の署名を変更しました。 最近では、医療や健康の情報に接する最大のきっかけは、ツイッターやフェイスブックなどSNSという人も少なくないのではないでしょうか。 ネット上の医療・健康記事にはとても有用なものがある一方で、時に科学的な根拠が存在しない、いわゆる「デマ」が拡散されることもあります』、興味深そうだ。
・『事実よりも「感情」を揺さぶるコンテンツが拡散  2016年には、DeNAが運営する医療情報サイト「WELQ」に科学的な根拠に基づかない医療・健康情報が掲載され、大きな問題になりました。 なぜ、根拠に基づかない情報が拡散されるのか。背景にあるのは、根拠云々より「感情」を揺さぶるコンテンツが拡散されやすいという現実です。 2016年、米ウィスコンシン医科大学のメガ・シャルマ医師らはフェイスブックなどSNSを通じて、どのような医療・健康記事や動画が拡散されやすいかを調査しました。対象としたのは「ジカ熱」に関する記事や動画です。 ジカ熱は蚊や性行為によって広がるウイルスを原因とした感染症で、2015年から2016年にかけて流行し、妊娠中の女性が感染すると出生異常の原因になるとして、北米や南米を中心に大きな話題になりました。 シャルマ医師らがフェイスブック上に投稿されているジカ熱に関する記事や動画を調べたところ、多くアクセス・拡散されている200の記事のうち、8割以上は適切な情報源(アメリカ疾病管理予防センターなど)を基に、正確な情報を伝えていました。 一方で12%は、誤解を生む情報を伝えていました。例えば「ジカ熱は発展途上国の人口削減のために利用されている」とか、「大企業による陰謀」というようなものです。 この結果を見ると、フェイスブックにおける医療・健康情報の正確性はおおむね保たれているように思えます』、「WELQ」の問題は記憶に新しいところだ。
・『ところが「どの情報が拡散されたか」を調べると、驚くべき実態が見えてきました。12%の「誤解を生む」情報のほうが、はるかに多く拡散されていたのです。 200の記事のうちで最も拡散されていたのは「ジカウイルスの恐怖が不正なでっち上げである10の理由」という動画でした。ジカ熱は大企業によるでっち上げであると主張するこの動画は、フェイスブック上で53万回以上再生され、19万6000人によってシェアされていました。 「正確」とされたコンテンツで最も拡散されたのは、WHO(世界保健機関)によるプレスリリースでしたが、アクセス数は4万3000程度にとどまり、シェアは1000程度、先ほどの動画の200分の1にすぎなかったといいます。 この結果について、シャルマ医師はCBSのインタビューに次のように述べています。 「フェイスブック上の医療健康情報は規制されておらず、疑似科学的な陰謀論は人気があり、したがって正確な情報よりも多くの人に届く傾向があります。 この傾向は、パンデミック(世界的な流行)の際に有害になると考えられます。なぜなら感染を広げる原因となる行動やパニックを生み出す可能性があるからです。ジカ熱だけでなく、エボラ出血熱や新型インフルエンザ、鳥や豚インフルエンザでも同様です」』、「12%の「誤解を生む」情報のほうが、はるかに多く拡散されていた」、「疑似科学的な陰謀論は人気があり、したがって正確な情報よりも多くの人に届く傾向があります」、というのは困ったことだ。
・『「善意」からのシェアが狙われる  2016年に行われた、アメリカ大統領選では、クリントン候補を誹謗中傷するようなフェイクニュースがSNSを通じて拡散され、選挙の結果に一定の影響を与えたのではないかと指摘されています。 BuzzFeed Newsによる報道で、人口200万人ほどのヨーロッパの小国・マケドニアの若者たちが、これらフェイクニュースを量産していたことが判明し、大きな話題になりました。若者たちの動機は政治的なものではなく、「そのほうが儲かるから」だったとされています。 感情的・煽情的であればあるほど拡散され、よりアクセスが増える。その結果として広告収入を得ることができる。ある意味で「合理的」ともいえる考え方によって、フェイクニュースが量産され、SNSの手を経て拡散されたのです。 感情的で、煽情的なものほど「気になる」ということ自体は人間の性であり、致し方ない面もあると思います。でも、せめて命や幸福に直結する医療や健康の情報では、丁寧で正確なものがもっと日の目を見るようにならなければと思います。 日々、スマホやPCで目にする医療・健康情報の中で気になったものを、つながりのある人に「よかれ」と思ってシェアなど拡散されるケースもあると思います。 しかしその善意を狙い、「シェアさせる」ことを目的に製造される情報があなたのタイムラインにも登場しているかもしれません』、「感情的・煽情的であればあるほど拡散され、よりアクセスが増える。その結果として広告収入を得ることができる。ある意味で「合理的」ともいえる考え方によって、フェイクニュースが量産され、SNSの手を経て拡散された」、というのは「致し方ない面もあると思います。でも、せめて命や幸福に直結する医療や健康の情報では、丁寧で正確なものがもっと日の目を見るようにならなければと思います」、というのは同感である。
・『この項では、実際にSNS上で「拡散」された誤解を生む情報の事例をご紹介していきます。もし、ご自分のSNSのタイムライン上にこうした情報が現れたら、どうやって「見極め」ればよいのか、考えながら読み進めてみてください。 2017年、ツイッター上で1つの投稿が話題になりました。 あるユーザーが「温泉評論家さんから聞いた話」を投稿したところ、広く拡散。投稿に付いたリツイートと「いいね!」の数はそれぞれ5万件以上に上りました。 「毎年、温泉で1万5000人が亡くなる」は本当か  内容を要約すると、次のようなものです。 ・毎年風呂で亡くなる人は約2万人。5000人は自宅で、後の1万5000人は温泉などで亡くなっている ・防ぐには「旅館に着いたらお茶とお菓子をとる」「朝風呂の前には水分補給する」 本当だとしたら、とても重要な情報です。投稿した方も、誰かの役に立ちたいという思いからつぶやかれたのだろうと思います。ただ、もし情報が間違っていた場合、誤解が広がってしまう可能性もあります。そこで実際のデータを調べてみました。 まず調べたのは、厚生労働省の「人口動態統計」です。 1年間に亡くなった人の死因ごとにデータを公表しています。2016年の「不慮の溺死及び溺水」の数を確認すると、7705人となっています。川や海などでおぼれた人も含めての数ですので、入浴中のケースはもっと少なくなると考えられます。 溺死が交通事故(5278人)の死者数より多いというのは意外ですが、2万人と比べるとずいぶん少ないですね。ただこの数字には、入浴中に突然心臓発作を起こして、死因が「心臓病」となった場合などは含まれないのだそうです。 そこで、こうした入浴中の病気も含んだ死亡者数のデータがないか調べたところ、2014年に厚生労働省研究班による報告書が出されていることがわかりました。 報告書によると、病気なども含めた入浴中の死亡者数は、年間で1万9000人以上と推計されるとのことです。 ただし事故の8割以上は「自宅」で起きていました。さらに温泉地では、たとえ入浴中に異変があって救急車で搬送されても、心肺停止にまでは至らず救命される割合が多いとするデータがあることもわかりました。 考えてみれば、温泉地や銭湯など公衆浴場では、自分のほかにも入浴客がいるケースがほとんどです。異変が起きたとしても早く発見される可能性が高く、自宅より安全といえるかもしれません。つまりツイッターで拡散した「毎年、温泉で1万5000人が亡くなっている」という情報は誤りでした』、自宅での入浴中の死亡は、恐らく冬場のヒートショック(住環境における急激な温度変化によって血圧が乱高下したり脈拍が変動する現象)のためだろう。温泉ではあり得ない筈だろう。
・『よかれと思って誤った情報の拡散に加担すると、場合によっては誰かの営業活動の妨害となり、意図しないトラブルにもつながりかねません。 デマかどうかを見極める一番のポイントは、その情報やデータの根拠を示しているかどうかです。「●●の関係者に聞いた」というように、その部分をぼかしているような投稿は、シェアボタンを押す前に一呼吸おいて、その内容が本当に適切か少し調べてみることがおすすめです。 結論 温泉は自宅よりむしろ安全 よかれと思ってデマを拡散すると、トラブルにつながる可能性も』、「シェアボタン」(「いいね」など)を気軽に押す風潮も困ったことだ。いい加減なデマ情報拡散に手を貸しているということを認識すべきだろう。
・『「ありそう」な出来事こそ要注意  SNSで回ってきた医療・健康情報、要注意なものを見分けるポイントをまとめると、次の3つとなります。 1根拠となった発言者やデータがあいまい 2ドラマやマンガなどでありそうな「いかにもなシチュエーション」を描いている 3感情的な表現を使っている そう聞くと、なんだ、当たり前じゃないか?と思われたかもしれません。 でもここまでご紹介してきたように、実際に大きく拡散された投稿は、これらの特徴を満たしています。「感情的」で「ありそう」なものに注意を引きつけられ、誰かに知らせたくなってしまうことそのものは、人間である以上仕方のないことといえるかもしれません。 しかし心ならずもデマの拡散に手を貸してしまったら、知り合いに役に立たない行動を勧めてしまうリスクもあります。 SNSのタイムラインに回ってくる医療・健康系の情報。シェアのボタンを押す前に、前掲の3つの項目を思い出してみてください。そして当てはまりそうなら、1回深呼吸して、シェアするかどうかを一瞬だけでも考え直してみる。そうするだけで、デマの拡散に手を貸すリスクを減らすことができます』、「デマの拡散に手を貸してしま」うことは恥ずかしいとの認識を持って、冷静に対処してほしいところだ。

次に、内科医の名取 宏氏が7月16日付け東洋経済オンラインに寄稿した「ニセ科学「ホメオパシー」の実践が危険な理由 毒物の「ヒ素」でさえ薬にしてしまう謎理論」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/282404
・『今年2月、参議院議員の山本太郎氏が、日本母親連盟を批判する際に取り上げたことでも注目を集めた民間療法「ホメオパシー」。ヨーロッパ発祥の民間療法の実践が危険な理由とは?同療法に詳しい内科医の名取宏(なとり ひろむ)氏が解説する。 みなさんは「ホメオパシー」という言葉を聞いたことがありますか?ヨーロッパ発祥の民間療法の一種なのですが、日本では主に妊婦さんや出産後のお母さん方のあいだでホメオパシーが使われています。助産師から勧められたり 、母親同士のネットワークで広まったりしているようです。 みなさんも子育て中に「自然療法のホメオパシーを始めたんだけど、子どもの免疫力が上がって副作用もなくて、薬にも頼らなくてすむし本当にいいよ。やってみない?」と声をかけられることがあるかもしれません。ホメオパシーの利用者は、子どもに対しては化学物質を避け、できるだけ安全で安心なものを使いたいと考えている人に多いようです』、「ヨーロッパ発祥」とは初めて知った。
・『「ヒ素」が薬になる独自理論  ホメオパシーには、毒物を薄めると毒を打ち消す薬になり、しかも薄めれば薄めるほど効果が強くなるという独特の考え方があります。ヒ素が毒物であることは、みなさんご存じですね。そのヒ素を水やアルコールといった液体に溶かし、10倍や100倍に薄めて振り混ぜることを何十回も繰り返し、最終的にその液体を砂糖玉に染み込ませたものが、ヒ素の毒に効くという理屈です。 この砂糖玉を「レメディ」と言います。レメディは錠剤に似ていて、いかにも薬という形をしていますが、薬効成分は含まれていません。物質としてのヒ素は何度も繰り返し薄められているため、ヒ素のレメディには残っていません。 元の成分は含まれていないため、安全だというわけです。元の成分が残っていないのになぜ効果を発揮するのかというと、ヒ素の情報が水に記憶されているのだそうです。水の記憶は「バイタルフォース」や「波動」といった一見科学的に思える用語で説明されることもあります。 でも、効果だけあって副作用はないようなよいものであれば、病院でも使われているはずではないでしょうか。日本でホメオパシーを利用している医師は、きわめて少数です』、単なる「砂糖玉」を「レメディ」として有難がるのは、冷静に考えれば滑稽だ。
・『「ホメオパス」と呼ばれるホメオパシーの「専門家」がいるにはいますが、民間のホメオパシーの団体が独自に認定した資格にすぎず、国家資格ではありません。「水の記憶」や「波動」にも科学的根拠はありません。 ホメオパシーの理論で言えば、ヒ素のレメディはヒ素中毒に効くはずですが、実際にはヒ素中毒に対してではなく、不安や焦燥感に使われています。ヒ素中毒が、不安や焦燥感といった精神症状を引き起こすからでしょう。よく言えば柔軟で、悪く言えばいい加減です。 ヒ素だけでなく、ほかにもじつに多種類のレメディがあります。アロエ、ベラドンナ、毒グモ、ヒゼンダニ、犬の乳、亜鉛、硫黄、水銀など。変わったものでは、ベルリンの壁のレメディや般若心経のレメディがあります』、ここまで「多種類のレメディがあります」というのは驚きだ。
・『民間療法というより「加持祈祷」のたぐい  般若心経のレメディがいったい何に効くというのでしょうか。ホメオパシーの理論によると、般若心経のレメディは般若心経によって生じる症状に効くことになりますが、あるホメオパス(ホメオパシー治療を行う者)のブログによれば、成仏していない霊の憑依(ひょうい)や生霊に使うのだそうです。 もはや民間療法というより加持祈?の類ですね。生霊に効かすつもりなら、生霊を何度も繰り返し薄めたレメディを使わなければならないはずですが、さすがに材料の生霊が手に入らなかったのでしょう。 また、レメディは結構お高いです。例えば、小ビンに入った般若心経のレメディはネットショッピングのサイトで税込2052円で売られていました。ホメオパシーでは症状に合わせてレメディを選んで使うので、多種類のレメディを準備しなければなりません。 よく使う種類のレメディがセットになったものは1万円以上の値段がついています。ホメオパスに相談すると、これまたお金がかかります。保険はききませんので全額自費です。 値段が高くても、効けばまだいいでしょう。でも、これらのレメディに効果はありません。薬に効果があるかどうかは、その薬と似たニセの薬と比べてみることで証明できますが、臨床試験でレメディに似せたニセの薬と比較したところ、差がないことがはっきりわかっています(※1Shang A et al. Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? Comparative study of placebo-controlled trials of homoeopathy and allopathy., Lancet. 2005 Aug 27-Sep 2; 366 (9487): 726?32.)。 レメディには薬効成分は残っていませんから当然です』、。
・『レメディに特別な効果がなくても、効いたように誤解することはあります。例えば、不安に効くとされるヒ素のレメディを飲んで、不安がやわらぐこともあるでしょう。レメディに特別な効果がなくても、単になんだか薬っぽいものを飲んだことが安心感をもたらすのです。あるいはレメディを使ったあとに風邪が治ったとして、単に自然治癒しただけなのにレメディが効いたと誤認することもあります。 つまり、ホメオパシーは、いわばおまじないのようなもの。転んで膝を擦りむいた子どもに、「いたいのいたいの、とんでけー」と言ってあげると泣き止むのと同じです。薬効成分が含まれていないレメディには副作用はありません。おまじないとしてはよくできています。ホメオパシーがヨーロッパにおいて伝統的な民間療法として残ってきたのも、こうした理由があるのでしょう。おまじないですから、ベルリンの壁でも般若心経でもなんでもありなのです。 おまじないとしてだけ使用されていれば、ホメオパシーの問題点は高価であることくらいでした。しかし、残念なことに、おまじない以上の効果が信じられているせいで、子どもに実害が生じています』、プラセボ(偽薬)効果、そのものだ。
・『「ワクチンが毒」という謎理論  インターネットでは、さまざまなホメオパシーの体験談が語られています。例えば、中耳炎の子どもに対して母親がホメオパシーによる治療を続け、2週間以上も高熱が続いたケースでは、祖父母から「孫を殺す気か」と言われて総合病院を受診し入院となりました。 ホメオパシーは単なるおまじないだとわかっていれば、数日も熱が続けば病院を受診するでしょうに。この事例は、子どもに必要かつ適切な医療を受けさせていないので、児童虐待の一種である医療ネグレクトとみなされます。 ホメオパシーは「ワクチンは毒だ」という主張と結びついていることもあります。ホメオパシー団体の言い分によると、「ワクチンの成分を薄めたレメディによって病気が治った。よって、ワクチンは病気の原因に違いない」ということのようです(※2日本ホメオパシー医学協会の予防接種に対する見解)。 しかし、先に述べたとおり、レメディによって本当に病気が治ることは証明されていません。レメディを使ったことによる安心感や、レメディが効くに違いないという思い込みから、病気が治ったと誤認しただけだと私は思います。実際には、ワクチンはさまざまな病気を防ぎます(※3Facts for Parents: Diseases & the Vaccines that Prevent Them)。 レメディそのものは、ただの砂糖玉なので安全で無害ですが、「ワクチンは毒だ」という考えは有害です』、最後の部分はその通りだ。
・『ホメオパシーの有害な考えが引き起こした死亡事例もあります。赤ちゃんは出血を予防するビタミンKが不足しがちなため、本来は生後すぐにビタミンKのシロップが与えられます。 しかし、ホメオパシー団体の指導者は、「ビタミン剤の実物の投与があまりよくないと思うので、私はレメディーにして使っています」「ホメオパシーにもビタミンKのレメディーはありますから、それを使っていただきたい」などと言っていました(※4由井寅子 『ホメオパシー的妊娠と出産』 ホメオパシー出版)。 2009年、ビタミンK欠乏症による出血で生後2カ月の赤ちゃんが亡くなるという事件がありました。その赤ちゃんは、ホメオパシー団体に所属している助産師によって、本物のビタミンKではなく、ビタミンKのレメディを与えられていたのです。ビタミンKのレメディはただの砂糖玉ですから、ビタミンKの代わりにはなりません』、この事件は新聞で読んだ記憶がある。
・『医療関係者でさえ信じていた  ホメオパシーの指導者たちも、助産師もホメオパシーがおまじないであることをわかっていなかったのです。この事件は民事訴訟になり、助産師側が和解金を払うことで和解が成立しました。でも、いくらお金をもらっても、赤ちゃんの命は戻りません。 この事件を受け、日本学術会議は「ホメオパシーに頼ることによって、確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題」「医療関係者がホメオパシーを治療に使用することは認められません」という会長談話を発表しました(※5「ホメオパシー」についての会長談話)。 しかし、残念ながら、医療従事者であるはずの助産師の中には、ホメオパシーを使用している人もいます。 日本助産師会は「助産師がホメオパシーを医療に代わるものとして使用したり、勧めたりすることのないよう、継続的な指導や研修を実施し、会員への周知徹底」を図っています。もしみなさんが、助産師からホメオパシーを勧められたとしたら、その助産師は日本助産師会の指導に反しているものと思ってください』、日本学術会議や日本助産師会の声明は当然だ。
・『ホメオパシーを使用していた助産師は、自然な出産にこだわりがあったようです。ホメオパシーが受け入れられる背景に「自然は安全で、薬や注射は不自然で危険」という思い込みがあると思います。中耳炎が治らないのになかなか病院を受診しなかったり、ワクチンを否定したりするケースも、そうした考えが背景にあります。 自然が本当に安全なのか、よく考えてみましょう。医学が発展するまでは、たくさんの子どもたちが死んでいました。死亡統計がとられるようになった明治時代には、1年間における乳児死亡率は1000人あたり約150人でした』、「「自然は安全で、薬や注射は不自然で危険」という思い込み」、はもはや宗教がかっているようだ。
・『ホメオパシーが危険なシンプルな理由  現在の日本の乳児死亡率は1年間において1000人あたり約2人。 つまり、1歳になるまでに1000人の赤ちゃんのうち2人くらいが亡くなるということです。これは歴史的に見ても、現代において他国と比較しても大変少ない数です。 明治時代の日本では、現代の日本と比べて、約75倍もの赤ちゃんが亡くなっていました。江戸時代には、子どもの半数が成人するまでに死んだといいます。その死因の多くが天然痘(てんねんとう)や麻疹といった感染症でした。天然痘も麻疹も、今ではワクチンで予防できる病気です。 本来の「自然」は、多産多死です。現在の日本の社会では子どもが亡くなることが珍しくなったためか、自然が本来安全ではなかったことが忘れられています。 「自然は安全」という誤解に基づいて適切な医療を遠ざけるからこそ、ホメオパシーは危険なのです』、説得力溢れた主張だ。死亡事件まで引き起こしても、いまだに「ホメオパシー」信者がいるとすれば、驚きだ。

第三に、8月19日付けPRESIDENT Onlineが掲載した脳科学者の茂木 健一郎氏による「毎日心地よく暮らす人の脳は危険な状態にある そのままだと人生が詰んでしまう」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/29513
・『「毎日、心地よく暮らすことが理想だ」という人がいる。だが、脳科学者の茂木健一郎氏は「そうやってルーティンを繰り返し、決まった脳の回路ばかりを使っていると、脳だけでなく人生も固まってしまう」と指摘する――。 ※本稿は、茂木健一郎『ど忘れをチャンスに変える思い出す力』(河出書房新社)の一部を再編集したものです』、面白そうだ。
・『長期記憶とIQの高さは関係ない  記憶には、「長期記憶」と「短期記憶」の二種類があります。 前者は、海馬を使って形成される記憶で、文字どおり、何カ月、何年という長い間、頭の中に保存されている記憶です。後者は、主に前頭葉が司るもので、数秒から数分というほんの短い間だけ保存されている記憶です。 ここでみなさんに質問です。いわゆる「頭のよさ(IQ)」と言われるものは、長期記憶と短期記憶のどちらに関係していると思いますか。こうたずねると、多くの人が前者、長期記憶と答えるのですが、そうではありません。 どれくらい多くの長期記憶を貯えられているかには、IQと関係していないことがわかっています。確かに、IQが高い人は、頭の中にたくさんの知識を貯えていることがあります。だからと言って、たくさんの知識があっても、IQが高くなるわけではないのです』、「たくさんの知識があっても、IQが高くなるわけではない」、というのは意外だ。
・『「思い出す」ができないと記憶を使いこなせない  いわゆる「頭のよさ」に関係するのは、短期記憶だと言われています。短期記憶とは、前頭葉という脳の司令室にある、スクリーンのようなところに、今この瞬間にどれだけのことが同時に映し出されているか、だと考えることができます。11桁の電話番号を聞いて、メモする間だけ覚えていて、メモし終わったら忘れてしまうというのがそれにあたります。 「頭のいい人」というのは、話をするとき、それまでの自分が話してきた内容を、前頭葉のスクリーンに映し出して、はっきりと見渡すことができていて、そのうえで次に何を言うかを決められるために、筋の通った面白い話になります。前頭葉のスクリーンにほんの少ししか映し出されていなければ、前の話と今の話のつながりが見えない、支離滅裂な話になってしまうことでしょう。 長期記憶として、側頭連合野を中心とする大脳皮質にいくらたくさんの記憶を貯えることができていても、折に触れて前頭葉に引き出して、現実世界に参照する訓練をしていないと、記憶という宝をうまく使いこなすことはできません。「思い出す」つまり、記憶を引き出してきて現在の状況に照らして、編集するから、その宝を活かすことができます。思い出すことがどうして大事かを、脳の仕組みから理解していただけたでしょうか』、確かに「思い出す」ことは、「記憶という宝をうまく使いこなす」「大事」なことのようだ。
・『「脳が危険な状態」かを5項目でチェック  自分が培った記憶を必要なときに思い出せるかどうかをチェックするリストがあれば、自分の脳の状態を判定できます。それを判定する材料として、「こういう状態になっていたら危ない」というチェックリストを用意しました。あなた自身、いくつか当てはまるものがあるでしょうか。 1.毎日つつがなく暮らしている感じがする 意外に思うかもしれませんが、心地よく暮らしている感じがするときは、あなたは自分の人生を自分で導いているとは言えません。「最近、人生に力を入れる必要がなくなった。スムーズにものごとが運ぶようになって、心地いいな。平和だな」という凪(なぎ)の状態は、ルーティンを繰り返し、決まった脳の回路ばかりを使っていて、人生が固まってしまっているということです。 2.忙しすぎる 忙しくしていればいいのかというと、それも1と同じく危険です。忙しいのは、仕事であれ、家庭であれ、忙しい原因となっている、単一の回路ばかりを使っていることが多いからです。 3.最近不安になったり、ドキドキしたりしたことがない 不安になったり、ドキドキしたりしたことがないということは、新しいものに挑戦していない、新しい状況に遭遇していないということです。これも一つの危険な兆候になります。自分で自分の人生を導く、自分の欲求に従うのは、正解がないことですから、もともと不安に感じるものなのです。 4.他人の望みに「何でもいいよ」と言っている 「どこに行きたい?」「何食べたい?」と聞かれて、「何でもいい」「どこでもいい」と答えてしまっていたら、これも、自分の脳の欲求に気づけなくなっている証拠です。「こういうレストランがあるけれど、どう?」という提案に対して、「別にいいよ」と吞み込むだけになっているなら、自分の欲求を抑えてしまっているか、自分から望むことがなくなってしまっているのかもしれません。 5.同じものごとを繰り返す 大好きな音楽、大好きな映画、大好きな本に繰り返し戻っていくのは、もちろんよいことです。大抵「古典」と呼ばれる作品は、何度観ても聴いても、新しい発見があって、学びがあるものです。ただ、そのようにすでに自分が好きだとわかっているものの中だけで、生活を営むようになっているとしたら、実は、好奇心を失ってしまっているか、自分の欲望が見えなくなってしまっているのかもしれません。 これら5つのうち、当てはまるものが多ければ多いほど、「思い出す」機能が弱っていると言えるかもしれません。 ではもしあなたの脳の思い出す機能が弱っているとしたら、どうすればいいのでしょうか。その方法を次にお話ししていきます』、私の場合、1、3、5が該当した。「「思い出す」機能が弱っている」のであれば大変だ。次の処方箋を見ずには落ち着かない。
・『「何もしていないとき」に働く脳部位がある  思い出す方法には、実は、二種類あります。無意識的にやる方法と、意識的にやる方法です。 前者は、デフォルト・モード・ネットワークの働き。後者は、脳の司令塔である前頭葉が命令を出して、意識的に記憶を引っ張り出すようにすることです。 デフォルト・モード・ネットワークは、何かに集中しているときよりも、何もしていないとき、リラックスしているときに、よく働く脳部位です(海馬もこのネットワークの一部と考えることができます)。 多くの人は、脳は集中しているときによく働いていると思っているようですが、それは、間違いです。何もやっていないときでないと、働かない脳部位があり、それがデフォルト・モード・ネットワークなのです』、私の場合はデフォルト・モード・ネットワークが働いているらしい。
・『ぼーっとすると「記憶の整理」が始まる  休んでいるときに、脳は勝手にさまざまなことを思い出して、体験と体験とを結びつけ、記憶の整理をします。日中集中して仕事をしたり、たくさんの人に会ったりしているからこそ、脳は体験の整理をする時間が必要になります。何かに集中してばかりいたら、情報が入ってくるばかりで、脳が整理の時間を取ることができません。 ぼーっとしているのは「無駄」な時間にみえますが、大事な整理をしている時間なのです。何もしないでいると、脳はようやく記憶を整理し始めます。 デフォルト・モード・ネットワークが一番働くのは、眠っているときやシャワーを浴びているとき、散歩をしているときなどです。そうしたリラックスをしているときにこのネットワークが働いて、記憶と記憶を結びつけたり整理したりすることで、いいアイデアが浮かぶとか、ずっと忘れていたことを不意に思い出すことがあります。1日の中で5分でも10分でもぼーっとする時間を持ちたいものです』、「ぼーっとする」ことの重要性を再認識させられた。
・『前頭葉に記憶を引き出すとメンテナンスができる  もう一つの意識的に思い出す記憶の整理術を説明しましょう。はっきりと意識するということは、前頭葉に記憶が引き出されるということです。 前頭葉は脳の司令塔ですから、そこに記憶が引き出されることで、「この記憶をどうしようか」「どういう意味があったのか」と改めて脳のさまざまな領域に問い合わせができるようになります。現実世界にも照らし合わせて、広範な記憶のメンテナンスをしてくれます。 意識して思い出す仕組みは、前頭葉の短期記憶の回路に、主に側頭連合野から記憶を引き出すことです。今の自分の前頭葉のスクリーンの中に、昔の記憶を映し出して、これからの役に立てることなのです』、なるほど。
・『「ど忘れ」こそが脳を鍛えるチャンス  意識的に思い出す場面とは、実は忘れてしまったときです。「あれ、何だっけな?」とものの名前や誰かと会う約束などをど忘れしてしまうことが誰にでもよくありますが、そのときは実は脳を鍛えるチャンスでもあります。思い出そうとしても思い出せないことはよくあって、そういう状態はイライラするので、思い出そうとすること自体をやめてしまう人がいますが、とてももったいないことです。 思い出そうとするだけで効果があるので、実際には思い出せなくてもかまいません。思い出そうとする癖をつけることは、記憶を整理する一連の回路を鍛えることになるので、結果として物忘れを防止することになります。また最高の脳のアンチエイジングです。 思い出すだけで脳が鍛えられる。これこそ、新しい脳の活用法です』、「思い出そうとしても思い出せないことはよくあって、そういう状態はイライラするので、思い出そうとすること自体をやめてしまう人がいますが、とてももったいないことです」、私はこの傾向が強まっていたが、もっと頑張って「思い出そうとする癖をつける」べきなのだろう。「結果として物忘れを防止することになります。また最高の脳のアンチエイジングです」、というのは大いにためになる話だった。
タグ:健康 東洋経済オンライン 茂木 健一郎 PRESIDENT ONLINE 市川衛 (その8)(「根拠のない健康情報」はなぜ拡散されやすいか デマに加担しないためのリテラシーが必要だ、ニセ科学「ホメオパシー」の実践が危険な理由 毒物の「ヒ素」でさえ薬にしてしまう謎理論、毎日心地よく暮らす人の脳は危険な状態にある そのままだと人生が詰んでしまう) 「「根拠のない健康情報」はなぜ拡散されやすいか デマに加担しないためのリテラシーが必要だ」 『教養としての健康情報』 事実よりも「感情」を揺さぶるコンテンツが拡散 12%の「誤解を生む」情報のほうが、はるかに多く拡散されていた 「善意」からのシェアが狙われる 「ありそう」な出来事こそ要注意 「デマの拡散に手を貸してしま」 名取 宏 「ニセ科学「ホメオパシー」の実践が危険な理由 毒物の「ヒ素」でさえ薬にしてしまう謎理論」 「ヒ素」が薬になる独自理論 毒物を薄めると毒を打ち消す薬になり、しかも薄めれば薄めるほど効果が強くなるという独特の考え方 砂糖玉を「レメディ」 多種類のレメディがあります。アロエ、ベラドンナ、毒グモ、ヒゼンダニ、犬の乳、亜鉛、硫黄、水銀など。変わったものでは、ベルリンの壁のレメディや般若心経のレメディがあります 民間療法というより「加持祈祷」のたぐい プラセボ(偽薬)効果 「ワクチンが毒」という謎理論 ホメオパシーの有害な考えが引き起こした死亡事例も ビタミンK欠乏症による出血で生後2カ月の赤ちゃんが亡くなるという事件 ホメオパシー団体に所属している助産師によって、本物のビタミンKではなく、ビタミンKのレメディを与えられていた 医療関係者でさえ信じていた 「自然は安全で、薬や注射は不自然で危険」という思い込み ホメオパシーが危険なシンプルな理由 本来の「自然」は、多産多死です。現在の日本の社会では子どもが亡くなることが珍しくなったためか、自然が本来安全ではなかったことが忘れられています 「毎日心地よく暮らす人の脳は危険な状態にある そのままだと人生が詰んでしまう」 長期記憶とIQの高さは関係ない 「思い出す」ができないと記憶を使いこなせない 「脳が危険な状態」かを5項目でチェック 1.毎日つつがなく暮らしている感じがする 2.忙しすぎる 3.最近不安になったり、ドキドキしたりしたことがない 4.他人の望みに「何でもいいよ」と言っている 5.同じものごとを繰り返す 「何もしていないとき」に働く脳部位がある 思い出す方法には、実は、二種類あります。無意識的にやる方法と、意識的にやる方法 前者は、デフォルト・モード・ネットワークの働き。後者は、脳の司令塔である前頭葉が命令を出して、意識的に記憶を引っ張り出すようにすることです ぼーっとすると「記憶の整理」が始まる 前頭葉に記憶を引き出すとメンテナンスができる 「ど忘れ」こそが脳を鍛えるチャンス 思い出そうとしても思い出せないことはよくあって、そういう状態はイライラするので、思い出そうとすること自体をやめてしまう人がいますが、とてももったいないことです 思い出そうとする癖をつけることは、記憶を整理する一連の回路を鍛えることになるので、結果として物忘れを防止することになります。また最高の脳のアンチエイジングです
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医療問題(その20)(「謎の病気」に苦しむ患者を総合診療医はいかに診断するのか、「謎の病気」診断のスペシャリスト“ドクターG”が誤診撲滅を目指す理由、社会復帰に新展開! 最新のうつ病治療) [生活]

昨日に続いて、医療問題(その20)(「謎の病気」に苦しむ患者を総合診療医はいかに診断するのか、「謎の病気」診断のスペシャリスト“ドクターG”が誤診撲滅を目指す理由、社会復帰に新展開! 最新のうつ病治療)を取上げよう。

先ずは、医療ジャーナリストの木原洋美氏が7月10日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「謎の病気」に苦しむ患者を総合診療医はいかに診断するのか」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
https://diamond.jp/articles/-/208231
・『千葉大学医学部付属病院・総合診療科の生坂政臣医師のもとには、全国から「謎の病気」で悩む患者がやってくる。生坂医師はどんな診断を行っているのか、取材してみた』、私はかつてNHKで放映した「総合診療医ドクターG」を視聴し、本当の病気を探り当てていく手法の素晴らしさに感嘆していたので、とても興味深そうだ。
・『「腕が緑色になる」は重篤な疾患の関連痛だった  「どこの病院で診てもらっても診断がつかない」あるいは「何をやっても治らない。私は本当に○○病なのか」など、千葉大学医学部付属病院・総合診療科の生坂政臣医師のもとには、全国から“謎の病気”に苦しむ患者がやってくる。 地域の大学病院から紹介状を携えてやってくる患者の症状はじつに多種多彩で、ありとあらゆる症状を診てきている生坂医師をしても驚かされることがある。 「腕が緑色になる」――。 そう訴えて来院した40代男性会社員の場合もそうだった。 ◎ケース1  生坂:「右腕がしびれる、重い」から始まって、「なんだか緑色になるような気がする」と言うんです。これは精神科領域の患者さんかもしれないと疑いました。でも、緑色になるのは、いつもではないんですね。食後とか運動した後になるという。つまり、心臓に負担がかかった後に、症状が起きている。ということは、狭心症かもしれないと推察し、検査してみるとやはりそうでした。 腕のしびれも、重いのも、緑色になるような気がするのもすべて、関連痛だったわけです。 Q:関連痛というのは。 生坂:実際に問題が起きているのとは別の場所に痛みなどの症状が出ることです。患部とは別の神経が痛みを肩代わりして感じさせてくれている。狭心症で「緑色になる」というのは初耳でしたが、患者さんはそれぞれ、いろんな表現をします。 胸痛がなくて間欠的に、何かしら負担がかかる状況で出てくるへそから上の症状は、まず心臓病を考えます。例えば、何か食べた後に原因不明の頭痛がする、あるいは顎が痛い、耳が痛いとかいう場合、一度は心臓を疑います。 特に糖尿病、脂質異常症がある高血圧の人はそう考えた方がいいですね Q:心臓に負担がかかるというのはどういう状況ですか。 A:まず運動ですね、次に食事。あと排便も心臓に負担がかかりますから、排便中、排便直後に症状が起きてくる場合は要注意です。 狭心症は決して珍しい病気ではない。 それなのにこの男性は、複数の病院を渡り歩いた末に、生坂先生のもとにたどり着いた。ここに至るまで男性が診てもらった医師たちは、「緑色になる」との表現を聞いて即座に「気のせい」と思い込み、それ以上の問診をしなかったのだろう。 生坂先生によると、この手の思い込みは、ベテラン医師ほど気をつける必要があるという』、「この手の思い込みは、ベテラン医師ほど気をつける必要がある」、というのは医師に限らず、多くの職業でも共通するようだ。
・『「大したことない」が組み合わさった謎の腰痛  生坂医師のもとにたどり着く患者の症状にはもう1点、特徴がある。それは身体的要因、心理的要因、社会的要因が複合的に組み合わさって、1つの症状が出ていることだ。 ◎ケース2  生坂:複合的な要因が組み合わさって1つの症状が出ている病気の最たるものは「腰痛」です。慢性腰痛の診断で難しいのは、MRIとかを撮ると異常はあるんですね。ヘルニアとか脊柱管狭窄とか。でも、それだけでは特定の動作に伴う痛みは説明できても、「動作と関係なく痛い」とか「痛み止めが全く効かない」といった、患者さんが抱えている痛みの全部は説明できない。 Q:ということはつまり。 生坂:やはり身体的な要因だけでなく、心理的、社会的要因が複合的に組み合わさって1つの症状ができているということです。しかもそれらはバラバラに見ると、全部大したことない。メンタルの不調も、社会的なストレスも、腰のヘルニアも。でも全部が合わさると激痛になる。 だから内科や精神科医、整形外科医が別々に診察しても、腰痛の原因は突き止められないことがある。総合的視点で診て初めて分かるのです。本当に単純に、腰のヘルニアだけの痛みを訴えて私たちの外来を受診する患者さんはほとんどいません。 Q:腰痛で受診する患者さんは、複合的な原因によるものが多いですか。 生坂:その通りです。人間は、原因が分かっている痛みは我慢できるんですよ、コントロールできるというか。逆に、すぐにでも治療しないといけないような、重症のヘルニア患者さんは受診しない。気の持ちようで、我慢できてしまうんでしょうね。 受診行動を起こす人は基本的にはメンタルだとか、社会的にいろいろな理由がある場合が多い気がします。 Q:しかし40代を過ぎれば、誰でも複合的な要因を抱えています。むしろ、病気が1つしかない人のほうが珍しいのでは。 生坂:確かに。高齢になるほど、病気が1つということはありえない。必ず複数の病気を持っています。また若い人でも、実は臓器が侵されて症状が出るだけでなく、メンタルや社会的な要因の影響を強く受けている場合があります。臓器は悪くない、心も健康。だけど家庭や会社など、社会的に追い詰められることで、いろいろ症状が出る。原因不明の、謎の病気ということにされてしまう。 特に若い人は、心理的あるいは社会的に逼迫(ひっぱく)して、病気になってしまう人が増えています。 言われてみれば各診療科をバラバラに受診しても分からない病気・症状は多そうだ。苦痛は確かに感じているのに、検査をしても異常なし。どうしたらいいか分からず、途方に暮れている人は少なからずいるのではないだろうか』、「慢性腰痛の診断で難しいのは、MRIとかを撮ると異常はあるんですね。ヘルニアとか脊柱管狭窄とか。でも、それだけでは特定の動作に伴う痛みは説明できても、「動作と関係なく痛い」とか「痛み止めが全く効かない」といった、患者さんが抱えている痛みの全部は説明できない」、普通の医者であれば、そこまで深く考えずに、「ヘルニアとか脊柱管狭窄」と診断しているケースが多いのだろう。「やはり身体的な要因だけでなく、心理的、社会的要因が複合的に組み合わさって1つの症状ができているということです。しかもそれらはバラバラに見ると、全部大したことない。メンタルの不調も、社会的なストレスも、腰のヘルニアも。でも全部が合わさると激痛になる。 だから内科や精神科医、整形外科医が別々に診察しても、腰痛の原因は突き止められないことがある。総合的視点で診て初めて分かるのです」、総合診療の面目躍如だ。
・『「良性」なのに治らないめまい 薬が効く、新たな疾患の可能性も  筆者のもとに、時折相談が寄せられる症状に「めまい」がある。 ある朝突然、回転性の激しいめまいに襲われ、慌てて病院を受診したものの、病名と原因と予防法を簡単に告げられただけで帰され、どうしていいか分からないというビジネスマンは少なからずいる。 ◎ケース3  生坂:「めまい」で受診される方も多いですよ。医者にかかって「良性発作性頭位めまい症」と診断されたけど、ぜんぜんよくならないと。 Q:どういう病気ですか。 生坂:頭を動かしたときに起きるめまいで、「良性」という名前の通り、生命にかかわるような深刻なものではありません。「めまい」で医療機関を受診する患者さんの4割はこの病気だといわれています。 耳の奥の重力を感知する場所にある、小さな砂粒のようなカルシウム結晶「耳石」が、外傷など何らかの理由で剥がれ落ち、それが平衡感覚を司る「三半規管」に入り込んで動くことでめまいが起きます。 原因はよく分かっていませんが、加齢現象によって耳石が大きく、もろくなって剥がれる場合と、激しい運動によって剥がれ落ちる場合と両方考えられています。以前、女性サッカー選手でもこのめまいで入院した人がいましたが、彼女の場合はヘディング等の衝撃で、耳石が剥がれ落ちたものと思われます。 このめまいは長時間続くことはなく、多くは1分以内、長くても数分で完全に収まるといわれていますが、まったく収まらない人もいます。 Q:先生のところを受診するのは、めまいが収まらない患者さんですね。 生坂:そうです。医療機関で耳石を戻す「体操」を指導されたけれども効果がないといって見えられます。特にご高齢で不安の強い性格の方は、もともと身体を動かすのが難儀だったのが、めまいによる転倒が怖くて余計動かなくなる。頭を動かさないと耳石はズレた位置で固定されてしまうので、めまいは治りません。そのため症状が改善せず、久々に動こうとすると激烈な回転性のめまいに襲われ、さらに動けなくなる。この悪循環で、全く体を動かせなくなる恐怖症に陥ってしまいす。 もう1つ。実はなかなか治らないめまいの原因として良性発作性頭位めまい症と似た、「持続性知覚性姿勢誘発めまい」という別の病気があります。ぐるぐる目が回るのではなく、ふわふわしたした感じで1時間以上続く場合は、こちらを考えます。こちらは耳石がズレているわけではないので、頭位とめまいとの関係が曖昧で、体操も全く効かない。 Q:どうやって治すのですか。 生坂:この場合はSSRIなどの薬物療法が必要になります。どちらの場合も身体を動かすことが回復につながりますが、患者さんはめまいそのものや転倒に対して恐怖心があるので、ただ「動いてください」だけでは動けません。場合によっては、転倒予防のヒッププロテクターを付けるなど、総合的な対処をしながら、「これで大丈夫ですから動いてください」という具体的な指導が必要なのです。 Q:一般的な耳鼻科の外来では、そうした対応はしてもらえるのでしょうか。 生坂:一般的な外来は診察時間が短いので、治りが悪いようであれば、めまい専門の外来をお薦めします。 実は私も、良性発作性頭位めまい症の経験者。再発時は耳石を元に戻す効率的な頭の動かし方を知っているので、自分で治療できますが、その体操自体、かなりつらいです。その上、うまくいった場合、めまいはピタッと止まりますが、いつもうまくいくとは限らない。 最近は、ある一定の頭位さえとらなければ、めまいは起きないことが分かったので、発作が起きそうになった場合も、その頭位をとらないようにして動き回っています。ただ、その頭位は人それぞれ。治療には個別の指導・対策が必要ですので、継続的にかかれるお近くの専門外来を見つけてください。 この病気はつらいです。1回耳石がずれてしまうと、元に戻るのに1~2ヵ月かかります。 Q:実は筆者も「良性発作性頭位めまい症」の経験者だ。「これといった治療法はありません」「自然に治りますが、必ず再発します」「つらいなら、吐き気止めを出しましょう」と言われ、困惑した。 というのも、発作は突然だったからだ。 「もし、外出中に再発したらどうすればいいんですか」と聞くと、耳鼻科医は「そのときは、その場で安静にしてください」と言い放った。以来、しばらくの間、再発が怖くてびくびくする生活が続いた。あの時の耳鼻科医が、生坂医師のような説明をしてくれたら、どんなに安心できただろう』、「めまい」もやっかいなようだ。生坂医師も「良性発作性頭位めまい症の経験者」、とは驚いたが、患者の立場がよく理解できるのだろう。
・『病気の7割は問診でしか分からない  原因不明の病気にかかり、医療機関を渡り歩く人の共通する訴えに「検査をしても、異常なしと言われる」がある。検査をして、異常があれば病気、異常がなければ病気ではない、というのが“病院の常識”だ。しかし、生坂医師は「結局、総合診療科を受診される方の7~8割は問診で診断がつく」という。 大学病院も含め、複数の医療機関を受診し、ありとあらゆる検査を受けてきた患者にとって、これは結構、驚きの事実なのではないだろうか。 「7~8割が問診、2割ぐらいが診察で、検査で診断がつくのは1割ぐらい。『7、2、1の法則』と呼んでいます。 何が言いたいかというと、ほとんどの病気は、検査をやっても原因は分からないし、診察をいくら詳しくやっても分からない。 心理的、社会的なもの、あるいは初期で、まだ十分に検査に出るような臓器障害がないものであるからです。 これはもう問診でしか分からないので、私どもは問診に時間をかけます。慣れもありますが、私がお話を聞く場合でも20~30分はかかります。患者さんの言葉から、患者さんのイメージと病気のイメージの、両方をつくらなければいけません。 かかりつけ医であれば、患者さんのことはある程度わかっているので、いつものイメージはできていますよね。ですから病気のイメージだけ、加えて作ればいい。でも、私どものところは、全員初めての方ですので、ゼロからつくらなければいけないので時間がかかります。 大げさに言う人とか、嘘をつく人とかもいますので。 よく『そのうち診断にかかわることは、全部AIに置き換えられるんじゃないか』という話がありますよね。私どももそれを目指して研究していますが、やはり患者さんの話からイメージを作るというのはAIでは全然ダメ。人間の頭でも大変です。 AIに置き換わるとしたら、たぶん総合診療科の領域は、最後の方だと思いますね」 謎の病気に苦しむ患者が頼る「最後の砦(とりで)」は、人を人が診る医療の最後の砦でもあるのだ』、「「7~8割が問診、2割ぐらいが診察で、検査で診断がつくのは1割ぐらい」、というのは驚かされた。「ほとんどの病気は、検査をやっても原因は分からないし、診察をいくら詳しくやっても分からない。 心理的、社会的なもの、あるいは初期で、まだ十分に検査に出るような臓器障害がないものであるからです」、「AIに置き換わるとしたら、たぶん総合診療科の領域は、最後の方だと思いますね」、というのは納得させられた。

次に、この続きを、7月12日付けダイヤモンド・オンライン「「謎の病気」診断のスペシャリスト“ドクターG”が誤診撲滅を目指す理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/208436
・『名医やトップドクターと呼ばれる医師、ゴッドハンド(神の手)を持つといわれる医師、患者から厚い信頼を寄せられる医師、その道を究めようとする医師を、医療ジャーナリストの木原洋美が取材し、仕事ぶりや仕事哲学などを伝える。今回は第12回。「謎の病気」に苦しむ患者の“駆け込み寺”的な存在として有名な、千葉大学医学部付属病院総合診療科の生坂政臣医師を紹介する』、今回も興味深そうだ。
・『名医になるならしたほうがいいいろいろな病気経験  「総合診療医ドクターG」(NHK)の出題者として全国区の知名度を持つ生坂政臣先生(千葉大学医学部付属病院)の“ひそかな自慢”は、「いろいろな病気にかかった経験がある」ことだ。 「例えば、他人の痛みって100年でも我慢できるんですよ。でも自分で病気になると、『あー、あの患者さんつらかっただろうな』と共感できるし、対策も具体的に伝えられます。それが大事です。医者を目指す人は論理的に考える力は蓄えていますが、加えて、想像力とか共感力、患者さんになり切る力…立場に立つんじゃなくてね、これがないと良い医者にはなれないと思いますね。 すべての病気を経験するのは無理だし、いくつ命があっても足りませんが(笑)。考えてみると医者って、人のふんどしで相撲が取れる唯一の専門家なんですよね。自分で経験せず、人の経験を見るだけで診断したり、アドバイスしたりできる。だけど家を建てたことがない人が建築家にはなれないし、運転したことがない人が、自動車評論家にはなれない。 だから本当にいい医者になりたいなら、いろいろな病気を経験しているということは重要だと思います。僕がもしがんになったら、がんを経験したお医者さんに診てもらいたいです」 さらに生坂先生の場合、経験をものにしようとする姿勢が半端ない。 「去年、帯状疱疹(たいじょうほうしん)になった時には、早い段階で『これは帯状疱疹だ』と分かったのですが、『もうちょっと待ったら実際どうなるのかというのを、経験してもいいかな』と思ってしまったんですね。おかげで想像以上の痛みを経験し、良い勉強になりました。帯状疱疹後の神経の痛みっていうのが言語化できない、言葉にできない痛みなんですよ。『アロディニア』って僕ら言うんですが、わずかな刺激が激痛に認識される感覚異常です。 押しても痛くないんだけど、ひゅうっとなでられると、ウーッとうなるほど痛い。それまで僕にとって、アロディニアは単なる診断ツールでしかありませんでした。『患者さんに、ひゅうって触ってごらん。アロディニアがあったら神経痛、内臓じゃないね』みたいに若手にやらせたりして。そこに共感はなかったわけです。ところがね、自分でなってみると、地獄なんですよ。なってみないと分からない。経験してみてよかったなと思っていますが、もう二度とごめんですね(笑)」』、「医者を目指す人は論理的に考える力は蓄えていますが、加えて、想像力とか共感力、患者さんになり切る力…立場に立つんじゃなくてね、これがないと良い医者にはなれないと思いますね」、というのはその通りなのだろう。「帯状疱疹」の経験は微笑ましい。
・『3つの「誤診」に導かれ総合診療医になる  診断推論学に取り組み、総合診療医になったきっかけも、先生自身や家族が見たり経験したりした3つの『誤診被害』だった。 ◎その1.アメリカでようやく判明した本当の病名  生坂先生は学生時代「原因不明」の病気にかかった。 「食事のたびに顎に激痛が生じるようになり、怖くて食べられなくなりました。体重もだいぶ落ちましたね。医療機関をあちこち回りましたが診断がつかない。検査で異常がなかったので学業からのストレスと言われ、実際半年が過ぎた頃、自然と症状が治まってしまいました。 ところがアメリカ旅行をしている最中に再発しまして、現地で総合診療医的な位置づけにある家庭医を受診したんです。すると、日本ではぜんぜん分からなかった病気を、問診だけで診断してくれたんです。『三叉(さんさ)神経痛』でした。 三叉神経痛は今でこそ簡単に診断できるようになりましたが、当時の日本では神経を専門としない医師にとっては珍しい病気でした。僕も医学生なので名前だけは知っていましたが、まさか自分がなるとは思いもしなかった。神経内科や脳外科を受診していれば診断がついたのでしょうが、口と顔の症状で神経がやられていたというのは想像すらできませんでした。 結局アメリカでは、特効薬を処方してもらい、すぐ治りまして。『総合診療医(家庭医)ってすごいな』という思いで帰国しました」 生坂先生が学生だった80年代前半には、総合診療医という言葉はあっても、総合診療科は存在していなかった。それだけにアメリカの総合診療医が示した診断力は、生坂先生に鮮烈な印象を残したようだ。 「結局日本では診断がつかず、僕はいろんな病院で誤診されたわけです。アメリカで診断がついてよかったなと思った半面、日本の医療は専門が細分化されており、医師は専門領域以外の診断はできないんだと。だから患者自身が勉強して、専門領域を正しく選べるようにしなければならない。神経内科を選べなかった自分が悪い、と納得させていました」 ◎その2.スルーされた母親の薬害  2つめは、新米医師だった頃の話。 「おふくろが、高熱と全身にぶつぶつができる症状で入院したんです。原因不明とのことでしたが、その頃新たに尿酸値を下げる薬を飲み始めたと聞いたので、その薬が原因ではないかと、おふくろから主治医に伝えてもらいました。 知識として、その薬を飲むと、そうした症状を起こすことがあると知っていたからです。おふくろは、痛風はなかったけど尿酸値が高いということで、その薬を処方されました。でも主治医は『そんな話、聞いたことがない』と取り合ってくれなかった。僕のような新米に指摘されたのが気に食わなかったのかもしれません。 薬が中止されないまま症状は悪化し、ついに口の中が火傷(やけど)のようにただれてきて、あまりにもつらくなったおふくろは、病室から投身自殺を図ろうとしたんです。親父が止めて、事なきを得ましたが、親父からの連絡を受けて飛んで行くと、主治医はようやく薬を中止したものの、僕には会おうとしませんでした。『カルテも見せるな』と厳命されたそうです。 『スティーブンス・ジョンソン症候群』といって、薬を内服・注射することで生じる薬疹(やくしん)が重症化する病気でした。高熱が出て、全身の皮膚に発疹・発赤ができて、失明したり、場合によっては生命を落としたりすることもある病気。当時、何件か訴訟にもなっていました。母は、誤診されたわけです。やっぱり診断ってすごく大切だなと思いました」 息子が、生坂先生でよかった。そうでなかったら、お母さんの生命はなかったかもしれない。先生の「患者になり切る力」は、この時に芽生えたのではないだろうか』、母親の「主治医はようやく薬を中止したものの、僕には会おうとしませんでした。『カルテも見せるな』と厳命されたそうです』、なんと料簡が狭い医者もいたものだ。
・『◎その3.末期のはずの患者がV字回復  総合診療医、そして診断推論に取り組むことを決定づけたのは、アメリカ留学からの帰国後、神経内科医として勤めた病院での出来事だった。 「上司から患者さんの終末期医療を頼まれました。ある難病で、経鼻栄養チューブをつけた、数年間寝たきりの患者さんでした。あとは死を待つだけ…のはずだったんですが、最初にお会いした時、終末期ではないような気がして。勘なんですけど。 念のためいろいろ調べてみたら、外科領域の珍しい病気にかかっていることが分かり、すぐに手術しました。そして翌日、病室へ行ってみると、なんと身体を起こしてバナナを食べていたんです。驚きました。だって1年以上、経鼻チューブで栄養を取っていたんですよ。数ヵ月後には歩けるようになり、社会復帰していきました。つまり患者さんは、難病ではなかったわけです。 僕が尊敬するこの上司は日本を代表するその難病の権威ですが、権威が陥るスーパースペシャリストバイアス、すなわち自分の専門領域の病気である確率を知らず知らずのうちに高めてしまう心理規制に陥ったのだと思います。 それまで僕は、誤診は未熟な人が犯すものだと思っていました。でもそうじゃない。権威あるすごい医師でも誤診する。僕はそこに、日本の医療における未開拓の部分があるんじゃないかと感じました。 それで、診断を研究しようと。特に外来には、まだ診断がついてない人がいっぱい来るので、ここで診断できるようになろうと外来診断学を始めました。診る人が診れば助かるという命があるのなら、そこを学問にして、トレーニングして、広められるなら広めたいと思いました。専門に特化すると、権威ある先生でも誤診してしまう。だから狭い領域に特化せず、総合的に診られる総合診療を選んだというわけです」』、「権威が陥るスーパースペシャリストバイアス」、「権威あるすごい医師でも誤診する。僕はそこに、日本の医療における未開拓の部分があるんじゃないかと感じました。 それで、診断を研究しようと。特に外来には、まだ診断がついてない人がいっぱい来るので、ここで診断できるようになろうと外来診断学を始めました」、これだけ強い動機で「外来診断学を始めました」、とは本物だ。
・『毎日ジャンボジェット1機分 誤診死をゼロに近づけたい  2013年、総合診療科はようやく、厚労省から19番目の新しい基本診療科として認められ、2017年より専門医の育成が始まった。ただしそれは「患者のため」と喧伝されつつも、高齢化や超高額な薬の登場によって膨らみ続ける医療費を抑制する手段としての側面が強い、といわれている。総合診療科をつくり、1人の医師がいろいろな病気をまとめて診れば、各科を回ることで発生する初診料や再診料を節約できるという発想だ。 それはともかくとして、生坂先生率いる千葉大学医学部付属病院総合診療科は、「どこに行っても診断がつかない、臓器横断的な見方でないと診断がつかないような、隙間に落ち込んでいる病気、あるいは複合的な原因が合わさり、診断がつきにくい病気を診る、医療の駆け込み寺的な診断科」として、自費診療のセカンドオピニオン外来の形で稼働。紹介状を持つ全国の患者を受け入れている。 当初は保険診療で受け入れていたが、あまりにも患者が殺到するのと、1人の患者に対して3~4人の医師が問診し、十分な時間をかけて行う診断体制を維持するにはお金がかかり、患者が増えるほど病院が赤字になる事態を改善するためだ(近隣から訪れる急性疾患の患者は引き続き保険診療で受け入れている)。 「当科が診ているのは数年間、短くても数ヵ月、いろんな症状があって、どこに行っても分からない、という患者さんです。痛み、しびれ、めまい、ありとあらゆる症状を抱えた患者さんがたくさんいらっしゃいます。そこを丸ごと診る。 時折、“丸ごと診る”ことを、安易に、おおざっぱに診ると勘違いされている節がありますが、私は、それは許容しない。丸ごととは、社会的ストレス、メンタルの影響、身体的な異常等々複合的な要素を合わせて診るということであり、我々はそのなかで何割がバイオか心理かなど切り分けて、正確に整理しています。これがものすごく大変です。 それぞれ何割か割合を決めて、中心的な症状に対して最も大きな原因となっているものに対して、まず介入する。複数の要素をいっぺんに改善するのは難しいからです」 一般的に「自分を苦しめている病気は1種類」という認識がありがちだが、実は高齢になればなるほど複数の臓器が衰え、病気になっていることが多いし、若者の場合はストレス社会の中で、心理的、社会的要因で症状が形成されていることが普通にある。そういう意味でも、総合的に診る総合診療科的視点は、今後ますます必要になるだろう。 「一方、診断推論は、正しい診断ができるよう筋道を立てて考えるトレーニングを行う学問です。ある症例について、『こういうふうに考えた』とプレゼンで頭の中をさらしてもらい、それに対して『そこはおかしいよね』『ここでボタンの掛け違いが起こっているよね』など修正しながら、正しい診断ができるようにトレーニングを重ねる。要するに、名医を名医で終わらせず、名医の頭の中を共有するために必要な学問が診断推論学です」 例えば若き日の生坂先生が、「難病の誤診」を見抜けたのも、振り返ってみると「勘ではなかった」と言う。 「普通、その難病は舌が萎縮して食べられなくなるはずなのに、その患者さんの舌は正常だった。それで、権威である上司に、『舌が萎縮していないのはおかしい』と食い下がったのですが、『舌に萎縮がない患者もいる』と諭されました。確かにその通りなのですが、めったに起こらないことを目の当たりにした時は、尊敬する権威をも疑う目が必要です。 実際、この症例を発表して以降、『それらの患者さんも別の病気であった可能性がある』という報告が相次いでいます。診察時の“違和感”を大切にし、その理由を自問自答する習慣が必要なんです。 今は『誤診学』という学問が世界的にも注目され、米国には誤診学会もできています。 アメリカでは、心臓病、がんに続いて、3番目に多い死因が医療事故というデータがあります。このうち、誤診だけに限っても毎日ジャンボジェットが1機墜落したくらいの数が亡くなっている。日本医療機能評価機構によると、2018年のわが国の医療事故による死亡者は年間293人と報告されていますが、米国との比較では何百分の1です。日本の医療界の誤診率がそれほど低いとは考えられません」 誤診に対するNo blame文化(※)が醸成されていない日本では、隠された誤診が膨大な数に上るのではないかと、生坂先生は危惧している。 「ゼロは無理にしても、なんとかして誤診を減らしたいと努力しています。運がいいことに、この仕事自体は、やり甲斐と楽しさが前年度比5%増しでアップしています。知的好奇心が満たされますし、患者さんが涙を流して喜んでくださる。この仕事を選べてよかったです」 (※)No blame文化 非難することのない文化。 医療人が自らの過ちを告白し、過ちから学び、再発防止へ生かしていくためには、医療過誤に関してお互いに非難することのない(blame-free)文化の発展、即ち安全文化の醸成が不可欠であるとする考え方』、「自費診療のセカンドオピニオン外来の形で稼働」、というのは当面、やむを得ないようだ。「誤診に対するNo blame文化が醸成されていない日本では、隠された誤診が膨大な数に上るのではないかと、生坂先生は危惧している」、というのも大いに考えさせられる。

第三に、7月17日付けNHKクローズアップ現代+「社会復帰に新展開! 最新のうつ病治療」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4309/
・『うつ病患者が100万人を超える日本。最大の課題は、抗うつ薬が効かず再発を繰り返す患者の急増だ。こうしたなか、ことし6月から再発を防ぐための新たな治療法が保険診療に加わった。うつ病で低下した脳の働きを改善する治療法「TMS:経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激」だ。アメリカでは抗うつ薬が効かない患者の3割~4割に改善効果が認められ、日本でも社会復帰を後押しする治療法として注目されている。さらに、うつ病の復職や再就職を支援する新たな取り組みも去年からスタート。うつ病患者の“医療”と“雇用”の最新状況に迫る』、興味深そうだ。
・『うつ病100万人時代 注目される新治療法  今、注目されている最新のうつ病治療法。長年うつ病に苦しんできた男性がこの治療を受けたところ、1か月ほどで症状が改善。 「うつがよくなってきたことでマイナスがプラスになった。」 全国で患者が100万人以上と深刻化している、うつ病。今年(2019年)6月から、抗うつ薬などに加え、新たな治療法が保険診療で受けられるようになりました。うつ病で低下した脳の働きを改善する、経頭蓋磁気刺激(けいとうがいじきしげき)=「TMS」と呼ばれる治療法です。 実際にこのTMS治療によってうつ病が改善し、会社に復職するケースも出てきています。 TMS治療を受けた患者:「元の自分に戻ってこれたなと。私なりにできることを力を発揮して会社に貢献していきたいなと。」 武田:今夜は、うつ病の新しい治療法、そして復職や再就職を支援する新たな制度など、うつ病からの社会復帰に向けた最新情報をお伝えします』、「うつ病の新しい治療法」とは一筋の光明だ。
・『笑顔が戻った!?うつ病新治療法  高山:これが、うつ病を治すことができるという最新の治療装置です。 治療を詳しく見るために用意したのが、こちらの人形。磁気刺激に反応して脳が光る仕組みになっています。 東京慈恵会医科大学 准教授の鬼頭伸輔さん。うつ病TMS治療の第一人者です。 東京慈恵会医科大学 准教授 鬼頭伸輔さん:「治療を始めます。」 高山:けっこう、音がしますね。どの辺りを刺激するのでしょうか? 鬼頭准教授:「いま刺激をしている場所は、うつ病で機能が下がると言われている、背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)を刺激しています。」 うつ病では、思考や意欲を司る「背外側前頭前野」の働きが低下していることが知られています。 TMS治療を行った後の脳波の変化を見ると、背外側前頭前野の活動量が増加。つまり働きが改善することが分かったのです。 アメリカの調査では、抗うつ薬が効かない患者のうち、3割から4割にほぼ症状が見られなくなる効果が認められています。 鬼頭准教授:「抗うつ薬を使っても約3分の1の患者さんは、うつ病がよくならないことが報告されています。」 高山:けっこうな割合で(薬が)効いていないということなんですね? 鬼頭准教授:「抗うつ薬が効かないような患者さんに対して、治療効果が期待できる治療じゃないかと。」 実際にTMS治療はどのようにうつ病を改善させるのか。今回、密着取材に協力してくれたのは、長年うつ病に苦しむ、鈴木さん(仮名)。IT企業でシステムエンジニアとして活躍していました。 こちらは、入社間もない頃のバイクツーリングの様子。当時は、仕事もプライベートも充実していたといいます。 ところが10年前、月100時間を超える残業が連続。過労により、うつ病を発症したのです。 鈴木さん「不安感とか焦燥感で頭がいっぱいいっぱいになっている感じ。けっこうな頻度で遅刻したり休んだり、そんなことの繰り返しです。」 更に、外出する意欲もなくなり、食事の味さえも感じられなくなったといいます。その後、会社を休職し、薬での治療を続けますが、回復には至らず、4年前やむなく退職。今回、主治医の勧めでTMS治療に臨むことになりました。 鈴木さん「薬を飲んでも、ある程度はよくなっても、それ以上はよくならないっていうのがあったので、何でもいいから、それ(TMS治療)でよくなればという感じ。」 鈴木さんがTMS治療を受けるのは、東京の慶應義塾大学病院。5月下旬、治療が始まりました。 慶應義塾大学医学部 特任講師 野田賀大さん「きょうは初めての治療ですね。よろしくお願いいたします。」 担当するのは、医学部特任講師の野田賀大さん。去年(2018年)からTMSを用いたうつ病治療の臨床研究を行っています。顔がピクピク動くのは、磁気刺激が顔の筋肉に影響するためです。違和感は生じますが、健康には問題ないといいます。 ※臨床研究用の治療装置を使用しています 1回の治療時間は10分から40分ほど。これを週5回。6週間の計30回行います。 野田特任講師「終了です。お疲れさまでした。頭痛とか大丈夫ですかね?」 鈴木さん「ちょっと引きつるような、ビリッと痛みが、ちょっとですけれど。」 取材班「頭の状態というか気分の変化は?」 鈴木さん「正直この1回だけでは、変わりないのかなと思います。」 6月中旬、治療が始まって3週間後。 野田特任講師「調子のほうはいかがですか?」 鈴木さん「この2〜3日は、元気とまではいかないですけれど、多少気持ちよくなったという気はします。」 うつ病の症状がよくなったという鈴木さん。どんな変化があったのでしょうか? 鈴木さん「きのう久しぶりに食事をして、おいしいなっていうのがありました。ここの11階のレストランのビーフストロガノフを食べたんですよ。(TMS治療を)15回で半分ですよね。効果が出ているのかなという気がします。」 野田特任講師「食事の味が感じられるとか、おいしく感じることは、うつ症状が改善してきたことだと考えられます。」 でも、どのようにして「おいしい」という喜びの感情が戻ったのでしょうか?最新の研究から、うつ病では、TMSで刺激し改善を狙う背外側前頭前野とは別に、「扁桃体(へんとうたい)」という部位が関係していることが分かっています。扁桃体は喜びや不安など感情を司る場所。うつ病では、この扁桃体が過剰に活動して、不安を感じやすくなっています。 TMSによって背外側前頭前野が活性化すると、本来持っていた扁桃体の活動を抑制する力が回復。そのため、喜びを感じる力が戻ってくると考えられているんです。 野田特任講師「TMS治療は、うつ病で機能が低下している脳部位に直接刺激を与えることによって、ダイレクトに効果を引き出す治療法となります。」 6月下旬、治療が終わりに近づいた鈴木さん。この日訪ねたのは、バイクショップです。 うつ病になって以来、10年以上もの間、遠ざかっていた趣味のオートバイ。TMS治療によって、「再開したい」という意欲が次第に湧いてきたといいます。 鈴木さん:「やっぱり写真とかで見るのと違いますね。実際に見てみると。購買意欲がそそられます。ちょっとお値段が厳しいですけれど、まずはとりあえずアルバイトでも何でも、働かないとなというところです。」』、「TMSによって背外側前頭前野が活性化すると、本来持っていた扁桃体の活動を抑制する力が回復。そのため、喜びを感じる力が戻ってくると考えられている」、というのには驚かされた。
・『うつ病100万人時代 注目される新治療法  ゲスト 高木美保さん(タレント) ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授) 武田:うつ病に苦しむ人は100万人以上と言われます。患者さんの悩みには、「薬を飲んでもなかなか効かなくてよくならない」「再発を繰り返して復職など社会復帰が難しい」といった現実があります。 高山:厚生労働省が大企業を対象にした調査では、せっかく職場に復帰しても1年後にはおよそ3割、そして5年後にはおよそ5割の人が、また休職という状況になっているんです。 こうした現実の中で今、注目されている新たな治療が、今夜ご紹介しているTMSによる治療なんです。 武田:かつて、パニック障害に伴う重いうつ症状を経験された、高木さん。こういった新しい治療法をどういうふうにご覧になりますか? 高木さん:私は7年間苦しんだので、薬を継続して飲むことが依存につながるんじゃないかというのが一番怖くて、薬に頼りながら離脱するっていうことをいつも考えていましたから、同じことで悩んでいる方は多いので、これはもしかすると朗報になるかなという気はしますね。 武田:病気そのもののプレッシャーももちろんあると思いますし、薬を飲み続けなきゃいけない、治療法はこれでいいんだろうかという悩みもあるんですね。 高木さん:そうです。それも不安につながっちゃうんですね。 武田:この新治療法が一つの選択肢になる可能性があるということなんですね。 それにしても、脳を直接刺激するわけですよね。怖かったりするんじゃないかと思うんですけれども…。 高山:今回特別に、医師の監修のもと、私も磁気による刺激を受けてみたんですけれども、最初はちょっとピリピリとした強い痛みも感じるんですけれど、1分ぐらいすると、頭皮をマッサージされているような心地よさも感じます。ただ、半日ぐらいは筋肉痛に近い違和感も…。 武田:顔が? 高山:顔がちょっとピクピクピクッと、半日ぐらいしていました。先生に聞いてみると、後遺障害というのは確認されていなくて、副作用も少ないことが報告されています。アメリカの研究では、神経に影響を与えて、けいれんにつながるというケースも報告されているんですけれど、その確率は0.1%。これは、ほかのうつ病の治療方法に比べると圧倒的に低い確率なんだそうです。 武田:宮田さんは医療政策がご専門ですけれども、こうした新しい選択肢が増えることをどういうふうに捉えていらっしゃいますか? 宮田さん:うつ病の主な治療アプローチというのは、先ほどおっしゃられた薬物療法だったり、あるいは認知行動療法だったりするんですが、ここに新しく選択肢が加わる、これは患者さんにとって有益だと思います。ただ、過剰な期待というのはやはり禁物で、今回、通常の薬物療法で効果が得られない難治性の患者さんを対象にしたということですし、その中で約4割の方に効果があると、これは精神医学としては非常に画期的なことであるんですが、課題があるということもやはり注意が必要だと思います。 高山:確かに課題があるんですね。2008年から世界に先駆けてTMSの治療が行われているアメリカを取材しました』、薬物療法でも、「せっかく職場に復帰しても1年後にはおよそ3割、そして5年後にはおよそ5割の人が、また休職という状況になっている」、との再発率の予想外の高さには驚かされた。
・『うつ病新治療法 課題は?  取材班が訪ねたのは、アメリカ・シアトル。精神科医のダナーさん。10年前から、世界に先駆けてTMS治療を行ってきました。 うつ病・不安障害治療センター病院 デビッド・ダナー医師:「日本でもTMS治療が始まると聞き、大変うれしいです。」 この日クリニックに来ていたのは、現在うつ病に悩む、アンナさんです。 アンナさんは3年前、TMS治療を受け、うつ病が改善。大好きだった出産を補助する仕事に戻れるまでに回復していました。ところが、去年の夏からうつ症状がぶり返し、仕事も再び休まざるを得なくなりました。 ダナー医師「うつ病から回復して安定していたのは、どれくらいでしたか?」 アンナさん「2年くらいです。」 ダナー医師「そして、再発したんですね?」 アンナさん「はい。徐々にぶり返してきたんです。」 実は、ダナー医師によると、TMS治療後の再発は少なくないといいます。 ダナー医師「多くの場合、TMS治療を受けた患者はもう大丈夫だと考えています。しかし精神科の治療には、100%の方法はありません。」 再発率はどれくらいなのか。7年前、ダナーさんは、TMS治療を受けた患者を1年間追跡する調査を行いました。その結果、120人のうち、およそ4割が、治療後1年の間にうつ病を再発していたことが判明したのです。 ダナー医師「重度のうつ病患者にとって、TMSはとても効果があります。しかし全ての人に治療効果が長く続くとは限りません。うつ病が回復しても、経過を見守ることが大切なのです。」 うつ病が再発したアンナさん、再びTMS治療を受けることになりました。治療が始まって2か月ほど。ほぼ発症前の体調に回復したといいます。 アンナさん「症状がよくなってきて、希望が見えてきました。ふつうの生活に戻れるのが、とてもうれしいです。」 高山:ダナー先生もおっしゃっていましたが、TMSの治療は100%ではない。なので、継続して通院すること、あるいは処方されている薬をしっかりと継続して飲むことも望ましいというふうにおっしゃっていました。 武田:このTMS治療ですが、全てのうつ病が保険適用になっているわけではないんですよね。 高山:実は限られているんです。保険診療が適用されるのは、こちらの「難治性うつ病」。抗うつ薬でも治ることが困難である人。ですから、軽症のうつ病、それからほかの病気に伴ううつ症状は保険の適用にはなりません。そして、保険診療を行うことができる病院も限定されています。精神科の救急対応が可能なことなど、厳しい条件をクリアした病院だけです。 全額自己負担の自由診療だと自己責任にもなります。ですから、保険診療を希望される方は、事前に病院にしっかりと相談をされることをお勧めしたいと思います。 武田:宮田さん、限定的に保険が適用されているのは、どういうわけなんでしょうか? 宮田さん:今回の制度は、治療を一気に広げていくというものより、まずは世に届けようという、この第一歩です。やはり安全性が確保できる限られた施設で、治療の限界も含めて、理解納得していただける患者さん、こういった方々に治療を届けて、この中で治療を評価していこうというところですね。やはり新しい治療というのを導入する場合には、その効果だけではなくて、技術だけではなくて、どのように作用して、安全面にどういった配慮が必要か、こういった理解が必要になりますので、こういう形でデータを収集して、これから先、もっと広げていくべき治療なのか、あるいは限定的な選択肢にとどめるのか、こういった評価が必要になると考えられます』、保険の適用は、確かに当初は限定的に進めるべきだろう。
・『ゲスト 石井光太さん(作家) 武田:石井さんは、これまで多くの生きにくさを抱えた人たちを取材してこられましたけれども、こういった新しい治療法の登場をどういうふうにご覧になりましたか? 石井さん:僕は、治療法が登場するということ自体はすばらしいことだと思います。ただ、僕が今まで見てきたうつ病の方というのはいろんな方がいるんですけどれも、僕の中でかなり多いなというふうに思ったのが、いろんな問題を抱えている人、例えば家庭の問題だとか、あるいは仕事の問題だとか、あるいは地域の問題、友人の問題、そういったような問題を抱えているからこそ、うつ病の症状が出る。病院では、うつ病の症状を薬だとか、電気だとか、そういったもので治す…。それはそれでいいと思うんですけれども、ただ、この問題の根本にある、その本人を取り巻くいろんな環境だとか、そういったものが変わっていないと、なかなか、社会に1回戻ってきても、また同じような難しい生きにくさというのを抱えてしまう。だから、医療で治すことと、あと私生活で治していくことっていうのは、また違うものがあるんではないのかなというふうに思いますけれどね。 武田:TMS治療は万能ではないということですが、高木さんは回復まで7年間かかった。やっぱり時間がかかる、医療だけでもなかなかうまくいかないということなんですか? 高木さん:そうですね。今おっしゃったみたいに、原因は環境と本人のものの考え方の両方があると思うんです。私は「あなたは真面目過ぎます」とか「努力し過ぎます」ってよく言われるんだけれど、真面目と努力って、幼稚園の頃からすごく褒められてきたことなので、それを否定されると、ちょっと居所がなくなってしまったところもあるんですね。だから、もしかすると日本の組織の中に、そういう人に仕事の量がどんと行ってしまったり、責任がその人のところにどんとかぶってしまったりしてちょっと偏りがあるのかもしれない。むしろ本人の資質を注意するよりも、周りのそういった環境を直してほしいなって思ったこともあります。 あとクオリティ・オブ・ライフ(人生・生活の質)ってありますけれども、もちろんこれからまだまだ研究の余地はあるとしても、本当に僅かな時間であっても、うつの絶望的な状態から解放されるっていうのは、ものすごいクオリティ・オブ・ライフが上がるんですよ。全く考え方も違うので。それをやっぱり大事にしながらも、より改善をしていってほしいなと思いますね。 武田:医療だけではなくて、社会的なサポートも必要なんですね。 高山:ですから、置かれている環境、それから自分自身を見つめ直せる、こんな福祉サービスが今注目を集めています』、うつ病「問題の根本にある、その本人を取り巻くいろんな環境だとか、そういったものが変わっていないと、なかなか、社会に1回戻ってきても、また同じような難しい生きにくさというのを抱えてしまう。だから、医療で治すことと、あと私生活で治していくことっていうのは、また違うものがあるんではないのかなというふうに思いますけれどね」、というのはその通りだろう。
・『うつ病からの社会復帰 大切なのは?  全国に3,000か所以上あります、就労移行支援事業所です。 首都圏ですと、こんなふうに駅前にスペースが設けられているんですが、うつ病や障害のある人が一般企業に就職できるよう、国がバックアップをする形で開設されています。同じような悩みを持つ人たちが経験を共有したり、仕事に関する知識、それからコミュニケーションスキルを学ぶことができるんです。 武田:これは仕事に就くまでのサポートということですよね。その後も問題だと思うんですけれども。 高山:就労移行の支援だけでなくて、実は仕事に就いた後、長く支えていく取り組み、定着支援も去年から始まっています。 都内の福祉関連の会社です。 うつ病に悩む田中さん。就労移行支援事業所での就職活動を経て、一昨年(2017年)から、この会社に勤めています。 職場には慣れましたが、相談しにくい悩みを抱えることが少なくないといいます。 田中さん「何か問題が起きると自信をなくして、いままで一生懸命やっていた、積み重ねたことが崩れてしまうことがあるんです。」 今、田中さんが利用しているのは、去年から始まった就労定着支援という福祉サービス。こちらは、田中さんと契約した事業所から派遣された、社会福祉士の木之瀬さんです。 この日は、職場の上司も同席する、月に1度の面談。周りが気づきにくい悩みを共有し、改善していくのが目的です。 就労定着支援員(社会福祉士) 木之瀬友紀さん「実際に体の変化とかありました?寝られないとか?」 田中さん「寝られないことはなかったんですけれど、もやもやの原因が常に頭に残っている感じで。」 上司「分からない中でやる仕事っていうのは不安がいっぱいだよね。」 木之瀬さん「でも言ったほうがいいと思いますけれどね。」 田中さん「そうですね。すごく心に響きます。」 新たに始まった、この就労定着支援制度。うつ症状の悪化をとどめ、休職や退職を防ぐことができると期待されています。 田中さん「どんなときに傷ついたとか、こういったときは人とどう接したらいいのか、配慮していただけるようになったので、とても働きやすくなってきています。」 高山:ご紹介した定着支援は、就職してから3年間利用することができます。 武田:高木さんは、ひと言で言うのは難しいと思うんですけれど、どういうふうにして回復まで来られたのですか? 高木さん:私はある日バラエティー番組に出て、その中で思いっきり笑えた時に、私はちょっと戻ってきたなっていう実感を得たんですね。やっぱり職場が原因で発症したうつであれば、職場で取り戻せるのが一番自信につながるっていうことはあると思うんですよ。私、カミングアウトしたんですけれども、それは、黙っていても周りの人はうすうす気が付くんです。この人ちょっと変だなっていうのが。お互い遠慮して溝が出来るよりは、カミングアウトしてしまって、理解してもらう。遠慮しなくていいですと。穏やかな踏み込みっていうのが作れたらいいなと思って…。マイナスはなかったです。 武田:今はこうやってお仕事もされているわけですけれども、その後はどうなんですか?今のVTRのように、継続してサポートが必要な人もいるわけですけれど。 高木さん:私は、例えば調子が悪くなったなと思ったら、さっさとカウンセラーさんに、お友達になっていますから、その方に相談してみたりとか、あと薬も、内科の先生でもちょっと最近不安定ですよって言ったら、安定剤が出たりとかしますから、早め早めに甘えちゃいます。 武田:甘えちゃう。 高木さん:甘えちゃいます。 武田:真面目な高木さんが。 高木さん:真面目な私が、甘える高木さんに。 武田:必ずしも一生懸命頑張るわけじゃないということなんですね。 高木さん:前向き病だったので、自分で思うところが。後ろ向きに生きてみようかなと、ちょっと切り替えた瞬間はありました。 武田:生き方そのものの発想を変えるということなんですね。 石井さんはどういうふうにお聞きになりますか? 石井さん:今、高木さんがおっしゃったのは、やっぱり本人がいかに頑張るかということだったと思うんです。やはり本人が抱えている問題がたくさん、例えば家庭だとか仕事とかいろんなものがある。そういった中で、病院だけに任せる、本人だけに任せるということではなくて、その周りにいる人たちが、例えば職場をどうやって変えていこうか、家庭をどうやって変えていこうか、友人関係をどうやって変えていこうか、そういうふうに考えていかなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思うんですね。高木さんが分かってもらう、理解してもらうというような形でおっしゃっていましたけれども、それをなかなか言えない人たちというのはたくさんいるわけですよね。その時に、じゃあ周りの人たちがそのことをどういうふうに考えて、どうやってその方のことを理解していくのか。そういった相手の立場に立って、一生懸命理解していく。そういった姿勢が、最終的にはその人を支えることになっていくし、そして何か一緒になって、社会の中で頑張る。あるいはもう頑張らなくていいんだよと言ってあげる。そういった積み重ねが必要なんじゃないのかなというふうに思っています。 武田:今日はこうやって最新の治療法とか、サポートの仕組みをご紹介しているんですけれど、こういう情報をお伝えすればするほど、逆に患者さんは「回復しなきゃ」ってプレッシャーになってしまうんじゃないかという心配も、一方で我々は持っているんですよ。 宮田さん:そのとおりですね。国とか医療者から考えると、社会復帰とか、病気治癒とか、共通の物差しで考えがちなんですが、時にそういった復職という目標は重荷になってしまうんですよね。ここで今、異なるアプローチというのが非常に必要とされてきていると。これは病気の向き合い方、一人一人異なりますと。そうしたら、そのご本人の価値観の中で生き方をいかに支えていくのか。ある人は病気があっても、週に1日か2日、絵を描くこと、これが生きがいかもしれないし、あるいは病気に苦しむ症状を緩和して、自分1人で自立して生きる、これも目標になるかもしれません。生き方の基準も、例えば食べることが楽しいということだったり、あるいはよく眠れる。夢を持てるとか、自分らしく生きられるとか、一人一人やはり基準も違いますし、その過程でも上がったり下がったりしていいんです。こういった中で、これまでの医療は病気にならない、病気を治す、これだけだったんですが、これからは、病気があってもそのことが人生の妨げにならないということだったり、あるいは自分らしい生き方が自然に健康につながる。こういった中でお互い支え合うことが重要なのかなと思います。 武田:回復のしかたも自分なりでいいということですね。 高木さん:そうですね。怠けるということが、その人の誠実さがなくなるということではないと思うんです。 武田:自分のペースで焦らずに、前に進まなくてもいい、後ろ向きでもいいということですね』、「就労移行支援事業所」の取り組みだけでなく、周囲の「人たちが、例えば職場をどうやって変えていこうか、家庭をどうやって変えていこうか、友人関係をどうやって変えていこうか、そういうふうに考えていかなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思うんですね」、というのはその通りだろうが、現実にはなかなか難しい課題のようだ。
タグ:医療問題 帯状疱疹 ダイヤモンド・オンライン スティーブンス・ジョンソン症候群 就労移行支援事業所 NHKクローズアップ現代+ (その20)(「謎の病気」に苦しむ患者を総合診療医はいかに診断するのか、「謎の病気」診断のスペシャリスト“ドクターG”が誤診撲滅を目指す理由、社会復帰に新展開! 最新のうつ病治療) 木原洋美 「「謎の病気」に苦しむ患者を総合診療医はいかに診断するのか」 千葉大学医学部付属病院・総合診療科の生坂政臣医師 「腕が緑色になる」は重篤な疾患の関連痛だった 胸痛がなくて間欠的に、何かしら負担がかかる状況で出てくるへそから上の症状は、まず心臓病を考えます この手の思い込みは、ベテラン医師ほど気をつける必要がある 「大したことない」が組み合わさった謎の腰痛 MRIとかを撮ると異常はあるんですね。ヘルニアとか脊柱管狭窄とか。でも、それだけでは特定の動作に伴う痛みは説明できても、「動作と関係なく痛い」とか「痛み止めが全く効かない」といった、患者さんが抱えている痛みの全部は説明できない。 身体的な要因だけでなく、心理的、社会的要因が複合的に組み合わさって1つの症状ができている それらはバラバラに見ると、全部大したことない。メンタルの不調も、社会的なストレスも、腰のヘルニアも。でも全部が合わさると激痛になる。 だから内科や精神科医、整形外科医が別々に診察しても、腰痛の原因は突き止められないことがある。総合的視点で診て初めて分かるのです 「良性」なのに治らないめまい 病気の7割は問診でしか分からない 「7~8割が問診、2割ぐらいが診察で、検査で診断がつくのは1割ぐらい ほとんどの病気は、検査をやっても原因は分からないし、診察をいくら詳しくやっても分からない。 心理的、社会的なもの、あるいは初期で、まだ十分に検査に出るような臓器障害がないものであるからです。 これはもう問診でしか分からないので、私どもは問診に時間をかけます AIに置き換わるとしたら、たぶん総合診療科の領域は、最後の方だと思いますね 「「謎の病気」診断のスペシャリスト“ドクターG”が誤診撲滅を目指す理由」 名医になるならしたほうがいいいろいろな病気経験 「総合診療医ドクターG」(NHK) 医者を目指す人は論理的に考える力は蓄えていますが、加えて、想像力とか共感力、患者さんになり切る力…立場に立つんじゃなくてね、これがないと良い医者にはなれないと思いますね 3つの「誤診」に導かれ総合診療医になる その1.アメリカでようやく判明した本当の病名 その2.スルーされた母親の薬害 主治医はようやく薬を中止したものの、僕には会おうとしませんでした。『カルテも見せるな』と厳命されたそうです その3.末期のはずの患者がV字回復 権威が陥るスーパースペシャリストバイアス 専門に特化すると、権威ある先生でも誤診してしまう。だから狭い領域に特化せず、総合的に診られる総合診療を選んだ 毎日ジャンボジェット1機分 誤診死をゼロに近づけたい 実は高齢になればなるほど複数の臓器が衰え、病気になっていることが多いし、若者の場合はストレス社会の中で、心理的、社会的要因で症状が形成されていることが普通にある 『誤診学』という学問が世界的にも注目され、米国には誤診学会もできています 誤診に対するNo blame文化(※)が醸成されていない日本では、隠された誤診が膨大な数に上るのではないかと、生坂先生は危惧している 「社会復帰に新展開! 最新のうつ病治療」 うつ病患者が100万人を超える日本 TMS:経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激 アメリカの調査では、抗うつ薬が効かない患者のうち、3割から4割にほぼ症状が見られなくなる効果が認められています TMSによって背外側前頭前野が活性化すると、本来持っていた扁桃体の活動を抑制する力が回復。そのため、喜びを感じる力が戻ってくると考えられている せっかく職場に復帰しても1年後にはおよそ3割、そして5年後にはおよそ5割の人が、また休職という状況になっている うつ病新治療法 課題は? 再発率はどれくらいなのか。7年前、ダナーさんは、TMS治療を受けた患者を1年間追跡する調査を行いました。その結果、120人のうち、およそ4割が、治療後1年の間にうつ病を再発していたことが判明 保険診療が適用されるのは、こちらの「難治性うつ病」 いろんな問題を抱えている人、例えば家庭の問題だとか、あるいは仕事の問題だとか、あるいは地域の問題、友人の問題、そういったような問題を抱えているからこそ、うつ病の症状が出る 医療で治すことと、あと私生活で治していくことっていうのは、また違うものがあるんではないのかな うつ病からの社会復帰 大切なのは? その周りにいる人たちが、例えば職場をどうやって変えていこうか、家庭をどうやって変えていこうか、友人関係をどうやって変えていこうか、そういうふうに考えていかなきゃいけないんじゃないのかな
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医療問題(その19)(一介の外科医 是絶筆 がん外科医の本音シリーズ:「医者はがんを切りたがる」は本当か? 第45回 がん外科医の本音①、「抗がん剤の副作用」はなぜあるの? 第46回 がん外科医の本音②、セカンドオピニオンで医者は気分を害すのか? 第47回 がん外科医の本音③) [生活]

医療問題については、昨年11月20日に取上げた。久しぶりの今日は、(その19)(一介の外科医 是絶筆 がん外科医の本音シリーズ:「医者はがんを切りたがる」は本当か? 第45回 がん外科医の本音①、「抗がん剤の副作用」はなぜあるの? 第46回 がん外科医の本音②、セカンドオピニオンで医者は気分を害すのか? 第47回 がん外科医の本音③)である。

先ずは、外科医の中山 祐次郎氏が6月6日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「「医者はがんを切りたがる」は本当か? 第45回 がん外科医の本音①」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00135/00006/?P=1
・『こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。福島に戻りはや2カ月が過ぎ、日々是緊急手術の毎日を送っています。ほぼ週に2~3件は緊急手術をやっていると、だんだん「あれ? 今日は来ないのかな?」とさえ思うようになりました。ないに越したことはないのに、慣れって怖いですねえ。 さて、今回から当連載「一介の外科医 日々是絶筆」では、がんにまつわる私の本音シリーズをお伝えしたいと思います。2019年6月6日、『がん外科医の本音』という書籍を刊行することになりまして、その中からとっておきの内容を厳選して転載いたします。 これは、昨年夏に出版した13万部超えの『医者の本音』の続編として書いたものです。続編とはいえ、内容はずばり「がん」に絞っています。私は大腸癌の専門家ですので、その立場から広くがんにまつわる誤解、本音を記しました。 昨年1年間、住んでいた京都で、3月にこの本を著しました。学生だったので時間があるつもりでしたが、それでもかなりの時間を割いての執筆となりました。そして出版社の編集者の方も前作のときより心なしか厳しくなり、章によっては半分削られて書き直しをすることも。 さらにはがんの研究者お二人による全体監修と、京都大学の教授で医師でもある先生の部分監修で、私の思い込みや偏りを排除しました。 テーマ設定は編集者さんと私でやりましたが、非常に書きづらいものばかり。それでも、できる限りギリギリまで誠実に、真正面からテーマに取り組みました。 それでは第1回、どうぞ御覧ください』、「がんの研究者お二人による全体監修と、京都大学の教授で医師でもある先生の部分監修で、私の思い込みや偏りを排除しました」、とは素晴らしいことだ。自分に自信があるからこそ出来ることなのだろう。
・『ズバリ、外科医は「切りたがる」  世の中では、がんについて数多くのうわさがまことしやかにささやかれています。その一つに「医者はがんを切りたがる」というものがあります。まるで医者が、個人の趣味のように治療に当たっている印象を与えます。医者はがんを切りたがるか。答えとしては、「切りたがる」と答えましょう。なぜでしょうか。外科医として、理由をお話しします。 まず、がんが切れるかどうかは、外科医の技術ではなく、「がんの種類」と「そのがんがどれだけ進行しているか」によるのです。「がんが切れる」という言葉をもう少していねいに言うと、「がんを残すことなく取り切れる」とイコールになるのです。 昔は違うこともありましたが、現在は、どこの病院のどの医者にかかっても、「切るかどうか」はほとんど同じです。言い換えれば、がんの治療方針はどこでも同じなのです』、安心できる材料ではある。
・『「切らない」というより「切れない」  「ルールブックでもあるのだろうか?」と質問されそうですが、実はその通りで、ルールブックのようなものがあります。名前は「ガイドライン」といいます。日本語では「指針」という意味です。指針ですから、これに絶対に従わなければいけないものではありません。違う治療をしても法律違反というわけではありません。が、現状ではがんに携わるほぼすべての医者は、このガイドラインに従って治療しています。 そもそも「医者はがんを切りたがる」は本当か?という問いは、あまり意味がないのです。切りたがろうが嫌がろうが、どうしたって切るときは切るし、切らないときは切らないのです。 「切らない」は「切れない」とも言えます。これは、「切っても(=手術をしても)生存期間が延びるわけではない」ということを意味します。 ですから「医者はがんを切りたがる」は本当です。まだ切れる段階の進行度であるがん患者さんであれば、治る可能性があるので、医者としてはうれしいのですから。逆に、切れないがんは、非常に厳しいその後が予想されるということにもなります』、切りましょうと診断されることは、治る可能性があることと裏腹のようだ。
・『キレイごと抜きで明かすと……  もちろん、こういうキレイごとのような返答を期待しているわけではないことを私は理解しています。この俗説の本当の意味は、こういうことでしょう。 「医者は、切れる段階かどうかを無視して、自分の興味や趣味、練習のために患者さんの体にメスを入れているのではないか」 この質問については、はっきりとNOと申し上げられます。切っても切らなくても全く同じ結果なのであれば、外科医は「切る」を選択しません。 そう言い切りましたが、もちろん外科医によって考え方は少しずつ異なり、若干の幅というものは存在します。しかし、がんの治療については、かなり厳密に先ほどのガイドラインで「こういう人は切る、こういう人は切らずに他の治療」と決められています。しかもその根拠は、大規模な研究の結果や、どう考えたって疑いなくこちらのほうがよい、というような確かなものばかり。これに従わない医者はいないと言ってよいでしょう(ただし〇歳までは切るなど年齢についての記載はないガイドラインが多く、個々の患者さんごとに医者は議論して決めています)。 なぜなら、医者のもっとも重要な目標は、「患者さんが治ること。そして治らなかったとしても生存が少しでも延びたり、痛みや苦しみが取れること」だからです。これがブレる医者は、少なくともがんの領域ではまずいないのではないかと私は実感しています』、本当にそうであれば、安心できるのだが・・・。
・『黒男先生(仮名)の場合  まだ「ホントかよ?」と聞こえてきます。ですので、もっと踏み込んでみましょう。たまたま手術が大好きで、「今度はあんな手術をしてみよう」といつも思っている外科医がいるとします。仮に、黒男先生(40歳・仮名)としましょう。 その外科医・黒男先生のもとへ、「切れない」段階のがん患者さんが受診したとします。黒男先生は考えます。 「しめしめ、これは難しそうだ。オレでなければ取れないだろう。ふふふ、さっそく再来週に手術申し込みだ!」 なんという極悪……そして、翌週になります。外科医のみならず、医者には毎週担当患者さんの病状や治療方針を話し合うための会議があります。病院用語では「カンファ(カンファレンス)」といいます。 カンファで、黒男先生は「再来週、この方の手術を行います」と発表をします。 すると、外科部長の先生が「おい黒男、こりゃオペだめだろ」と一蹴。他の外科医も「手術適応外ですが、どういった理由で手術を考えているのですか?」と突っ込みます。黒男先生はタジタジで「いや、その、つまり……」。高速で頭を回転させ、「患者さんが希望しているものですから!」とウソをつきます。どうしても手術がしたいので、苦肉の策です。 「患者の希望があったらお前、なんでもやるのか」 部長はあきれ顔。若い医師も失笑しています。結果、この手術はキャンセルになりました。 このように、医者には多数の会議があり、医者同士で相互チェックのようなこともしています。医者は一人で治療をすると、ときに独善的になったり自分の利益へ誘導的になったりすることがあります。ですから、こうして風通しを良くして、コソコソ勝手に治療方針を決めないようにしているのです。もちろん業界の常識に反するような治療をして、明るみに出た場合、大きな問題になります』、手術前には「カンファレンス」で厳しい組織的なチェックを受けるのであれば、安心だ。
・『なぜ「切る」が有効なのか?  では、なぜ「切る」が有効なのでしょうか。ここでは、切ることができない白血病などのがんは除き、胃がんや大腸がん、肺がんや乳がんなどの固形のがんのお話をします。 がんの治療で、いまのところもっとも力を発揮するのは「切る」、つまり手術で切り取るという方法です。がんの治療法としては抗がん剤や放射線などもありますが、現在がん患者さんをもっとも根治に導けるのは手術です。そして、前述したように切れる早期のタイミングと、進行して切れないタイミングがあります。 なぜでしょうか。切って取るという、一見、原始的でとても単純な治療が、なぜこの21世紀にも有効なのでしょうか。 その理由として、がんは「切って、取り去れば治る」という性質がある点が挙げられます。がんの手術の原則は、「少しも残さずがんを取り去ること」です。9割がた取って1割は残ったけどまあいいか、では無意味なのです。これはあまり知られていないことです。 私は駆け出し外科医のころ、不思議でなりませんでした。カンファの際に、熟練の外科医が「取り切れないからオペはやめとこう」という発言をしていたのです。減らすだけだって効果はあるのではないか。そう思っていました。 しかし、残念ながら手術中に取り切ることができず、少しがんが残ってしまった患者さんを何人も見ていくと、残ったがんがあっという間に大きくなり、手術前の状態と同じくらいまでになってしまっていました。ああ、やっぱりちょっとでも残してはいけないんだな、と思ったのです。 私の経験だけでなく、このような全部取り切れない手術(専門的にはVolume reduction:腫瘍=しゅよう=の容量を減らす手術)は、患者さんのいのちを延ばさないことがほぼわかっています(一部、有効ながんもあります)。 ですから、なぜ「切る」が有効なのかは、「がんを完全に取り切れれば有効である」ということができます』、「少しがんが残ってしまった患者さん・・・残ったがんがあっという間に大きくなり」、空気に触れたことでがん細胞が活性化してしまうという理由を聞いたことがある。

次に、この続き、6月27日付け「「抗がん剤の副作用」はなぜあるの? 第46回 がん外科医の本音②」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00135/00007/
・『こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。今回は前回に続き、先日、出版した私の本『がん外科医の本音』から、抗がん剤についての解説をお送りしたいと思います。ありがたいことに出版後、多くの反響をいただいており、全国の本屋さんでもかなり大きく扱っていただいています。前作『医者の本音』がベストセラーだったからでしょうが、気が引き締まる思いです。 私はといえば、1年間の京都大学での学生生活を経て4月に福島の病院に戻り、再び一介の外科医として働いております。私の得意とする大腸がん患者さんの腹腔鏡手術を中心にしておりますが、それ以外にも鼠径(そけい)ヘルニア(昔は脱腸と呼んでいました)、虫垂炎(昔は盲腸と呼んでいました)なども腹腔(ふくくう)鏡の小さい傷だけの手術でやっています。手術室でも後輩医師への指導というシーンが増えてきましたが、夜も休日もガンガン緊急手術を担当しています。 さて近況はこの程度にして、本題に参りましょう』、「1年間の京都大学での学生生活」でリフレッシュして、「夜も休日もガンガン緊急手術を担当」というのは頼もしい存在だ。
・『確実に効果が上がった抗がん剤  抗がん剤は、非常に有効な治療法である一方で、その副作用からネガティブなイメージを持たれていることも事実です。「はきけがつらい」「髪が抜けて精神的ダメージを受ける」などがつらさの代表的なものでしょう。ではなぜ抗がん剤を飲むと髪が抜けるのでしょうか。なぜ副作用があるのでしょうか。 大ざっぱに言うと、抗がん剤は「がんも、自分の体もどちらも攻撃してしまう」という性質があるからです。ところが最近はそうともいえない面も出てきました。 抗がん剤は、歴史的に毒ガスから開発されたという経緯があります。この事実をもとに「抗がん剤は危険である」と主張する人がいますが、それは正確ではありません。たとえば、ビンブラスチンやビンクリスチンといった抗がん剤は、観賞用植物であるニチニチソウから作られています。 抗がん剤が開発されてからの歴史は浅く、まだ50年くらいしかたっていませんが、実に多くの種類が作られてきました。また驚くべきことに、2020年になろうとしている今でも、抗がん剤は30年前と同じ薬をよく使っています。 一方で、めざましい進歩を遂げているのもまた事実です。よく効くようになり、患者さんが長生きできるようになったのです。私の専門である大腸がんでは、ステージⅣの患者さんは30年前には平均6カ月ほどしか生きられませんでした。しかし最新の研究結果では、平均して約2年半に延びています。これは抗がん剤の進歩と研究のたまものです。この数字は今後も伸びていくでしょう』、「抗がん剤は、歴史的に毒ガスから開発された」、「ビンブラスチンやビンクリスチンといった抗がん剤は、観賞用植物であるニチニチソウから作られています」、などは初めて知った。
・『副作用として知られる「はきけ」はある?  さらにあまり知られていないことですが、副作用はだいぶマシなものになってきました。抗がん剤の副作用と言われるとどんなものを思いつくでしょうか? はきけ・嘔吐(おうと) 下痢 だるさ 毛が抜ける 手足のしびれ この中でもっとも「抗がん剤副作用」のイメージとして定着しているのが「はきけ」と「毛が抜ける」でしょう。 私は外科医ですが、大腸がんの患者さんの抗がん剤治療も専門的に行っています。その経験からまず申し上げたいのは、「はきけ」はかなりの人がほとんどゼロか、その日だけ少し感じる程度に緩和されてきたということ。かなり驚かれるのですが、はきけ止めの薬が非常に進歩したことによります。看護師さんにも確認をとるようにしていますが、ひどいはきけを訴える人はほとんどいなくなりました』、「はきけ止めの薬が非常に進歩した」、とは福音だ。
・『現代の医学で克服できていない副作用も……  では「毛が抜ける」についてはどうでしょうか。 よく知られているのは、乳がんの患者さんが多く使う抗がん剤の副作用です。乳がんは若い女性がかかることもあって、髪の毛が抜けることは精神的苦痛を伴い、非常に重大な副作用といえるでしょう。 いまのところ医学は毛が抜けるという副作用を克服できていません。いくら抗がん剤が終わってから3カ月程度で再び生えてくるとはいえ、治療から1~2年はウィッグ(かつら)や帽子をつけている人が多いのです。 アイドルグループSKE48に以前所属していた、矢方美紀(やかた・みき)さんという方がいます。彼女は18年、25歳で乳がんにかかり、その後手術、抗がん剤治療、ホルモン療法を受けています。彼女は抗がん剤治療でやはり髪の毛が抜けてしまい、ウィッグをつけながら芸能活動を続けていました。がんの啓発イベントで一度ご一緒したことがありましたが、そのときもウィッグをつけておられました。とてもキュートな方で、「ウィッグはかゆいし、暑い」とおっしゃっていました。 なお、彼女はNHKのウェブサイトで「乳がんダイアリー」というページを持っており、とても細かく治療や副作用のことを動画でお話しされています。2~3日に1度のペースで更新し、とてもリアルなお話をされています。その勇気に感服するとともに、皆さんも見てくださるようおすすめします』、「乳がんダイアリー」は確かになかなか充実した内容のようだ。
https://www.nhk.or.jp/nagoya/nyugan/diary/
・『オプジーボ──最新の薬はどうか  最後に抗がん剤自体の進歩についても述べておきます。「30年前と同じ薬をよく使っています」と前述しましたが、昔からの薬に加えて新しいメカニズムで効く薬がどんどん出てきています。 その一つが、「分子標的薬」と呼ばれるもの。簡単に言えば、がん細胞にだけ攻撃をしてがんではない正常な細胞には攻撃をしない薬です。この種類の薬はたしかに副作用が少なく、効果が高いものが増えてきました。さらに、最近になって「オプジーボ」に代表されるような新しい薬も出てきました。効果があり、副作用が少ない薬です。 ただ問題は「非常に高額である」という点です。患者さんは「高額療養費制度」という制度を使えば、「1カ月に自腹を切るのは◯円まで」となります。患者さんの出費は月7万~10万円くらいと、決して少額ではありませんが、50万円以上する薬の金額からすると支払いは軽くなるでしょう。一方で、その差額は国民みんなのお金でまかなわれています。 イギリスは、医療の費用対効果(=コスパと考えてください)を世界一研究し、先進国の中ではもっとも厳しく政策に取り入れている国です。そんな国が、日本では当然のように使われている抗がん剤を「効果のわりに、値段が高すぎる」という理由で使ってはいけないという勧告を出しました。しかし、これに怒った市民団体からの反発を受け、現在は別の抗がん剤基金を作ってそちらからお金を出すという迷走をしています。高い薬について、国全体の支出という意味で考えることは、決して私たち一人ひとりにとって人ごとではないのです』、高額の「抗がん剤」をどう扱うかは、確かに難しい問題で、今後、利用が広がれば、医療保険財政への影響も真剣に見直す必要が出てくるのかも知れない。

第三に、この続き、7月25日付け日経ビジネスオンライン「セカンドオピニオンで医者は気分を害すのか? 第47回 がん外科医の本音③」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00135/00008/?P=1
・『こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。梅雨が明け、全国が夏めいてきたようですが、こちら福島県郡山市は比較的過ごしやすい日々が続いています。暑くないわけではないのですが、時々出張で東京や大阪などへ赴くと、まるで違うなと感じるものです。 昨年1年間を大学院生として京都で過ごし、4月から臨床医に戻りました。私は外科医のなかでも極めて良い勤務時間設定をしていただいていますが、それでも体力的に厳しい日々が続いています。帰れない日もありますし、真夜中に呼び出されて疲れ切った研修医と一緒に緊急手術をすることもあります。病院の当番日などは、この30万人都市の街じゅうの重症ハライタ患者さんはすべて自分が診ているのです。重い責任を感じます。 そんな生活ですが、たまの休日には郡山の小さな図書館にこもり小説「泣くな研修医」(2019年2月に幻冬舎より出版)の続編を書いています。ありがたいことに3万部を超える部数となり、続編を書く許可を出版社からいただいたのです。売れなければすぐに執筆依頼は来なくなり食いっぱぐれるのが小説家稼業だそうで、そういうプレッシャーにおいて資格職の医者は気楽なものですね。1年目の研修医が今度は3年目の後期研修医という立場になり、後輩もできて病院で外科医の修行を本格化するという話になるのですが、いかんせんタイトルに悩んでいます。「泣くな研修医2」でも良いですけど、せっかくだから新しいタイトルをつけたいなあ。しかし「頑張れ後期研修医」とか、ちょっともっさりしてダサいですよね。そんなことを考える日々です』、「たまの休日には郡山の小さな図書館にこもり小説「泣くな研修医」・・・の続編を書いています」、というのは大したものだ。
・『2人目の医師の意見を聞くタイミングとは?  さて、今回は「セカンドオピニオン」について説明したいと思います。セカンドオピニオンとは、「自分のがんの診断や治療方針について、他の医師にも意見を聞いてみる」こと。セカンドは2人目、オピニオンは意見という意味で、一人の医者の判断だけだと間違っている可能性があるから、もう一人の医者の意見を聞いてみることを指します。引っ越しのときに業者3社から見積もりを出してもらって、比較をするようなものですね。 セカンドオピニオンに聞きに行くタイミングはいつでしょうか。決まりはないのですが、一番いいのはこういうタイミングです。医師からがんが疑われ、CTや採血検査などいろいろな検査をし終えた後、「あなたは○○がんのステージ○でした。治療方針はまず抗がん剤をやり、その後手術を考えています」と言われたタイミング。言い換えれば、診断が確定し、治療方針が決まった時になります。 ここで、「治療開始をちょっと待ってください。セカンドオピニオンを聞きたいので、紹介状を書いてください」と言うのがよいでしょう。この時、どこにセカンドオピニオンを聞きに行きたいかを決めておく必要があります。地元で信頼している病院でもいいですし、「がん相談支援センター」に聞いてもよいでしょう。 ただ、例外的に、がんの種類や病状によっては時間的な余裕がなく、セカンドオピニオンが不可能なこともあり得ます。例えば急性白血病で大急ぎで治療を開始しなければばならない場合や、胃がんや大腸がんで出血が止まらず緊急手術が必要な場合などです』、「セカンドオピニオンを聞きたいので、紹介状を書いてください」、と正々堂々と依頼する方がいいようだ。
・『費用は病院によって大きく異なる  セカンドオピニオンを受けたい病院が決まったら、病院の代表に電話し、セカンドオピニオンを受けるために何が必要かを尋ねてください。ほとんどの場合で予約が必要ですし、費用も病院によって異なります。 金額は、保険が適用されないため病院によってはかなり高額になります。あるサイトによると、東京都内の大病院、例えば、日本赤十字社医療センターなら4万6440円(1時間)、慶応義塾大学病院・東京大学医学部付属病院・癌研究会 有明病院なら4万3200円(1時間)でした。 都内では大学病院が高く、公立病院が安い設定になっているようです。私が以前、勤めていた都立駒込病院では1万2000円と、前出の病院に比べて3分の1以下という料金設定でした。不思議なものですね。また、地方を見ると、私の出身大学である鹿児島大学の大学病院では1万6200円でした。 東京都内の状況を見ただけでも、おそらくこの金額とセカンドオピニオンの質はほぼ無関係だと私は感じます。費用の問題はありますが、がんと診断された方全員がセカンドオピニオンを聞きに行ってもいいと個人的には思っています』、「金額は、保険が適用されないため病院によってはかなり高額になります』、というのは安心料だと割り切るべきだろう。
・『複数の医師に聞くことで得られる安心感  がんの治療は、患者さんの一生を左右するもの。どの病院のどんな医者がどのクオリティーの治療をやっているのか、完全に把握する方法はありません。もし万が一、変わった医者に当たってしまうリスクを考えたら、治療前に一度、他の医師の意見を聞く価値はあると私は考えます。珍しいがんでなければ、専門家の間で意見はほとんど変わりません。もし変わるとしたら、手術の方法が開腹手術か腹腔(ふくくう)鏡手術になるかというくらいです。 しかし意見が同じであったとしても、2人目の意見を聞く価値は高いと思います。なぜならセカンドオピニオンにより、「2人の医者の意見が一致している」という安心感を得られるからです。 また、がんが再発してしまったり、転移をしてしまったりしたときなども、セカンドオピニオンを聞くタイミングだと思います。病状が複雑になると、治療の作戦は医師によって少しずつ変わります。その理由は、高い医学的根拠の研究結果がないためです。この場合、医師は自身の経験と得意な方法の中で、患者さんの希望に沿って治療をしていくことになります。 ただ、このタイミングでのセカンドオピニオンは、患者さん側も非常に難しい選択を迫られることになるでしょう。正解はない中で、「AとB、どちらにするか」を決めねばならないのですから。こういうときは、どちらの医師、あるいは病院が信頼できるかで選んでもよいかもしれませんね』、なるほど。
・『激怒する医者もいる  このセカンドオピニオンについて、悲しい話があります。本当に信じられないのですが、セカンドオピニオンを患者さんが申し出たところ、激怒する医者がいるという話です。が、そういう小者の医者からはぜひ離れるべきです。ダメな医者ということが分かってラッキーだった、くらいにとらえていただければよいでしょう。 はっきり申し上げておきますが、私の知る、その腕や知識が一流だと思うがん専門医の中で、「セカンドオピニオンを」と言われて嫌な顔をする医者は一人もいません。怒る医者に限って、治療方針に自信がなく、自分の能力が足りないことを他の医者に露呈することが我慢ならない人です。もしくは、医者の権威にすがることで自らを高めたい哀れな人たちです。 ためらわず、セカンドオピニオンの意思を主治医に伝えてください。もし医者が怒ったら、このコラムを印刷してその医者に渡してあげてください。後に彼/彼女は自分の小さな器を恥じることでしょう。また、怒った医者の名前と病院を私にお教えください。それくらい私は、「セカンドオピニオンの申し出に怒る医者」に怒っています』、この場合は、「セカンドオピニオン」というより、転院した方がよさそうだ。
・『医者の「この言葉」が出たら転院を考える  「医者のこの言葉が出たら、転院を考える」。このテーマについて書いてほしいと書籍の編集者さんに依頼され、私は戸惑いました。いや、一言では決められないし、そもそもそんなひどいことを言う医者などいないのでは……と思ったからです。 よし、ここは書くのをよそう。そう思っていたある日のことです。私は東京で行われたあるイベントで司会の方のむちゃ振りにより「会場にいる方々からの質問になんでもお答えする」ことになりました。すると、「医師にこんなひどいことを言われたのだが、どう思いますか?」という質問が相次いだのです。聞けば、確かにかなりひどいことを言われている。驚きました。その中には前述の「セカンドオピニオンを申し出たら、怒られた」話もありました。 そのイベントの後から、この「医者のこの言葉が出たら、転院を考える」を再検討せざるを得なくなりました。ここでは、正確には転院というより、主治医の変更を考えるということです。 ずばり、この言葉があったら主治医を替えましょう。それは、「失礼だ!」という言葉です。 これは致命傷です。医者はなぜこんな言葉を使うのでしょうか? それは「私は医者なので、敬意を払うべきだ」という気持ちの現れであり、その裏には「治療してやってるんだから、敬いなさい」という考えが透けて見えます。このような医者は、すぐに替えた方がいい。間違いありません。このコラムを医師のみなさんも読んでいただいているかもしれませんが、お伝えしておきます。あの時代は終わったのです。医師は聖職で、白衣を着ているだけで敬意を集めるという時代は』、「「失礼だ!」という言葉」を吐く医師が例外的に少なければいいのだが、結構多いのではとの危惧も残る。
・『ドクハラを受けたらどうする?  ただ、医者をやっていると患者さんやご家族から「それはさすがに失礼なのでは」と思わざるを得ないレベルの「暴言」を逆にぶつけられることはあります。私も「このヤブ医者、とっとと辞めてしまえ!」「先生は人殺しですね」などと過去に言われたことがあります。 これは深くダメージを負います。こんな言葉を発するのは、多くは経過が悪く、亡くなってしまった患者さんのご家族などですが、そういう場合は私も八方手を尽くした場合が多いのでなおさらつらいです。が、やむなしと思うしかありません。自分の努力が足りなかった、配慮が足りなかったと思うしかないのです。 医師からのひどい態度のことを「ドクハラ」などと言うことがあります。和製英語ですが、ドクターズ・ハラスメント、略してドクハラです。ひどいドクハラの言葉を投げかけられたときは、どうすればよいのでしょうか。法的責任を問う、という方法はそれほど簡単ではありませんが、まずは「医師に謝罪を求める」とよいでしょう。直接その医師には言いづらいでしょうから、書面での謝罪の要求でもよいと思います』、「患者さんのご家族など」からの暴言も、確かに困ったことだ。
・『病院にある「ご意見箱」を活用しよう  また、病院にはほぼ必ず「ご意見箱」という名前の投書箱が目立つところに置いてあります。ここに、医師に言われたことを書いて入れるのも一つの手段です。内容によっては院長や事務長など病院幹部にまで届きます。もちろん事実関係の確認はあるでしょうが、本当にひどいことを言う医師に対しては病院側としても雇っているリスクがあります。病院というところは評判が命なので、そういう医師がいるだけで病院経営に関わります。ですから、高い可能性で本人のところへ事実確認と、本当にあった場合には注意がいくでしょう。 いや、そんなことしづらい……とお思いのあなた。インターネットで「ご意見箱 病院」と検索していただくと、とても多くの病院が、ご意見箱に入った投書の内容と、そのお返事を公開しています。「会計が遅すぎる。もっと迅速にしてほしい」「医師に『そのくらい大丈夫ですよ』と笑われた」「医師の説明がなさすぎるし、聞ける雰囲気ではない」「入院中、看護師に友達のような口の利き方をされ不快だった」などのご意見が見られます。こんなふうに書いていただいてかまいませんので、ぜひご活用ください』、「ドクハラ」には「病院にある「ご意見箱」を活用しよう」、というのは使いやすそうだ。それにしても、「医師に『そのくらい大丈夫ですよ』と笑われた」、のまで問題にするのは、患者にも問題がありそうだ。
タグ:医療問題 セカンドオピニオン カンファレンス 日経ビジネスオンライン 中山 祐次郎 (その19)(一介の外科医 是絶筆 がん外科医の本音シリーズ:「医者はがんを切りたがる」は本当か? 第45回 がん外科医の本音①、「抗がん剤の副作用」はなぜあるの? 第46回 がん外科医の本音②、セカンドオピニオンで医者は気分を害すのか? 第47回 がん外科医の本音③) 「「医者はがんを切りたがる」は本当か? 第45回 がん外科医の本音①」 一介の外科医 日々是絶筆 がんにまつわる私の本音シリーズ 『がん外科医の本音』 『医者の本音』の続編 がんの研究者お二人による全体監修と、京都大学の教授で医師でもある先生の部分監修で、私の思い込みや偏りを排除しました ズバリ、外科医は「切りたがる」 「がんが切れる」という言葉をもう少していねいに言うと、「がんを残すことなく取り切れる」とイコールになる がんの治療方針はどこでも同じなのです 「切らない」というより「切れない」 「ガイドライン」 切りたがろうが嫌がろうが、どうしたって切るときは切るし、切らないときは切らないのです 「医者はがんを切りたがる」は本当です。まだ切れる段階の進行度であるがん患者さんであれば、治る可能性があるので、医者としてはうれしいのですから 逆に、切れないがんは、非常に厳しいその後が予想されるということにもなります キレイごと抜きで明かすと…… 医者のもっとも重要な目標は、「患者さんが治ること。そして治らなかったとしても生存が少しでも延びたり、痛みや苦しみが取れること」 黒男先生(仮名)の場合 医者には多数の会議があり、医者同士で相互チェックのようなこともしています。医者は一人で治療をすると、ときに独善的になったり自分の利益へ誘導的になったりすることがあります。ですから、こうして風通しを良くして、コソコソ勝手に治療方針を決めないようにしているのです なぜ「切る」が有効なのか? がんは「切って、取り去れば治る」という性質がある 少しがんが残ってしまった患者さんを何人も見ていくと、残ったがんがあっという間に大きくなり、手術前の状態と同じくらいまでになってしまっていました 「「抗がん剤の副作用」はなぜあるの? 第46回 がん外科医の本音②」 確実に効果が上がった抗がん剤 抗がん剤は、歴史的に毒ガスから開発された ビンブラスチンやビンクリスチンといった抗がん剤は、観賞用植物であるニチニチソウから作られています 副作用として知られる「はきけ」はある? はきけ止めの薬が非常に進歩 現代の医学で克服できていない副作用も…… 「乳がんダイアリー」 オプジーボ──最新の薬はどうか 「高額療養費制度」 その差額は国民みんなのお金でまかなわれています 「セカンドオピニオンで医者は気分を害すのか? 第47回 がん外科医の本音③」 たまの休日には郡山の小さな図書館にこもり小説「泣くな研修医」(2019年2月に幻冬舎より出版)の続編を書いています 2人目の医師の意見を聞くタイミングとは? 医師からがんが疑われ、CTや採血検査などいろいろな検査をし終えた後、「あなたは○○がんのステージ○でした。治療方針はまず抗がん剤をやり、その後手術を考えています」と言われたタイミング 地元で信頼している病院でもいいですし、「がん相談支援センター」に聞いてもよい セカンドオピニオンを聞きたいので、紹介状を書いてください 費用は病院によって大きく異なる 金額は、保険が適用されないため病院によってはかなり高額になります 複数の医師に聞くことで得られる安心感 がんが再発してしまったり、転移をしてしまったりしたときなども、セカンドオピニオンを聞くタイミング このタイミングでのセカンドオピニオンは、患者さん側も非常に難しい選択を迫られることになるでしょう。正解はない中で、「AとB、どちらにするか」を決めねばならないのですから 激怒する医者もいる 怒る医者に限って、治療方針に自信がなく、自分の能力が足りないことを他の医者に露呈することが我慢ならない人です 医者の「この言葉」が出たら転院を考える 「失礼だ!」という言葉です ドクハラを受けたらどうする? 病院にある「ご意見箱」を活用しよう
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子育て(「親の言うことを聞く子どもになってほしくない」 入山章栄准教授が明かした「僕の子育て」論(前編)、「育児とは、答えが見えない永遠の学習」 入山章栄准教授が明かす「僕の子育て」(後編)、茂木健一郎氏が語る なぜ本に囲まれた家庭で「頭のいい子」が育つのか) [生活]

今日は、子育て(「親の言うことを聞く子どもになってほしくない」 入山章栄准教授が明かした「僕の子育て」論(前編)、「育児とは、答えが見えない永遠の学習」 入山章栄准教授が明かす「僕の子育て」(後編)、茂木健一郎氏が語る なぜ本に囲まれた家庭で「頭のいい子」が育つのか)を取上げよう。

先ずは、5月7日付け日経ビジネスオンライン「「親の言うことを聞く子どもになってほしくない」 入山章栄准教授が明かした「僕の子育て」論(前編)」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/skillup/16/030900024/050100001/
・『「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、様々な分野で活躍するプロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。 連載1回目に登場するのは、早稲田大学大学院経営管理研究科の入山章栄准教授。SNS(交流サイト)などで、子育ての様子を公開する入山准教授は普段、どんなふうに子供や妻と向き合っているのか。そして入山准教授自身は、どのように育てられてきたのか。直球で聞いた』、興味深そうだ(Qは聞き手の質問)。
・『Q:入山先生は気鋭の経営学者として活躍する一方、2児の父として育児に携わり、SNSでは頻繁に家族の写真をアップしています。「経営」と「育児」のどちらにも深く関わっている立場として、両者に共通点はあると思いますか?  入山先生(以下、入山):僕はあくまで学者なので、経営そのものを偉そうに語る資格はありません。でも、組織と子ども、この2つを育てるのに共通しているのは「自己肯定感を高めることの重要性」ではないかとは思います。 これは僕がいつも伝えていることですが、チャレンジングな事業に立ち向かうには、「自分はやればできる」という自信や、セルフエフィカシー(自己効力感)を備えていることが重要なのは、経営学の研究でも分かっていることです。 このロジックが子育てにも共通していると気づいたのは、医師・カウンセラーの明橋大二さんの『子育てハッピーアドバイス』(1万年堂出版)を読んだ時でした。 僕は普段、マニュアル本をほとんど読まないのですが、この本だけはすごく共感しました。子どものありのままの感情を受け入れて存在を尊重する考えは、そのまま組織論に生かせると思いますね。 一方で、経営と育児の決定的な違いもあります。それは育児に“答え”がないことでしょう。経営にも答えがないとよく言われますが、一定の期間でどれだけ企業が成長したかという結果と照らし合わせながら、経営手法の成否を評価することはできます。 けれど育児の場合、まず「何をもって成功とするか」というにも答えすらありません。たとえ有名大学に入って、一部上場企業に入社できて、結婚ができたとしても、その人が本当に幸せな人生を送れたかどうかは、本人が死ぬ瞬間まで分からない。そして、子どもが天寿を全うして死ぬ瞬間に、親が立ち会う確率は極めて低い。 ということは、育児に正解はないし、あったとしても立ち会えない。それでもなお、親として子どもに何を与えていくか。答えのない問いを永遠に立ち向かうのが子育てなのでしょうね』、「組織と子ども、この2つを育てるのに共通しているのは「自己肯定感を高めることの重要性」」、「育児に正解はないし、あったとしても立ち会えない。それでもなお、親として子どもに何を与えていくか。答えのない問いを永遠に立ち向かうのが子育てなのでしょうね」、などというのはその通りだろう。
・『わが子には、とにかく表情豊かに育ってほしい  Q:入山先生がわが子に与えていきたいと思うものは何ですか。 入山:これからの世界で生き抜くための共通言語を与えてあげたいですね。 これは、あくまで僕が考えていることですが、世界中の人とコミュニケートできる共通言語、つまりプロトコルをもっているほど、挑戦できるフィールドが広がるし、ビジネスであれば一気にスケールできる可能性が高まると思います。 現在、世界の共通言語(プロトコル)は4つあると思っていて、1つ目は現時点で世界最大の自然言語の共通語である英語。2つ目は数学。3つ目はプログラミング言語。そして4つ目が、意外に思うかもしれませんが“表情”です。 嬉しい時には笑う、悲しい時には泣く。感情にひも付いた表情は、人種や文化を問わず、すぐに交換し合える最強のプロトコルだと僕は思っています。人間どころか、犬だって悲しさが表情から伝わります。生物の種さえ越える共通言語の表情の力は、すごいんです。 だから、うちの子たちには、とにかく表情豊かな人間に育ってほしい。楽しい時にはワハハと笑って、悲しい時にはワーンと泣ける子になってほしい。子どもが泣いている時は、「思い切り泣け」って言っていますね。 あとは「子どもを自分のコピーだと思うな」と、自分自身に言い聞かせています。同性の息子に対しては特に。 息子と自分をつい重ねて、「昔のオレみたいに本を読んでないのはどうしてだ」といらだったりします。けれど、彼には、彼の得意分野がある。実際、僕よりも息子の方が、数学的な才能は断然高い。我が子に過去の自分をトレースさせるのではなく、全く別の人格であることを自覚しないといけません。 それに、僕らの世代が生き抜いてきた時代の環境と、息子たちがこれから生き抜く環境は全然違います。変化のスピードは、これからますます加速するでしょう。だから親世代の成功体験を押し付けることは、参考になるどころか、リスクでしかありません。あるメディアで社会学者の古市憲寿さんが、「親の言うことは聞くな」と言っていましたが、強く同意しますね。 とにかく、「親の言うことを聞く子どもにだけはなってほしくない」、「自分の価値観で自分のことを決めて欲しい」とだけは、強く思います』、「世界の共通言語(プロトコル)は4つあると思っていて、1つ目は・・・英語。2つ目は数学。3つ目はプログラミング言語。そして4つ目が、意外に思うかもしれませんが“表情”」、4つ目に“表情”を挙げたのは、言われてみればその通りなのかも知れない。「「古市憲寿さんが、「親の言うことは聞くな」と言っていましたが、強く同意しますね」、私は子育て時代には、「聞かそう」と悪戦苦闘したが、今になっては同意したい。
・『毎週月曜は育児の日  改めて、入山先生の育児の実情について聞かせてください。普段、お子さんとどんな関わり方をなさっていますか。 入山:うちの場合、妻は開発援助関係の機関で働いていて、たまにアフリカに1週間出張することもあるほど多忙です。ですから子育ては、夫婦で協力しています。 とはいえ、僕も忙しくて、偉そうにちゃんと育児に携わっているとはとても言えません。そもそもこの連載の第1回の取材対象が僕でいいのか、という気すらします。けれど、比較的時間の調整が自由にできる学者という職業を生かして、毎週月曜日、まずこの日だけは1日中家にいて、「育児にコミットする」ようには決めています。それ以外にも、大学の仕事のない日はなるべく家にいるようにしています。 月曜は、朝、子どもを幼稚園や小学校に送り出し、家で仕事をしながら、少し家事もやりつつ、息子が小学校から帰ってきたら塾に送り、17時半に幼稚園に娘を迎えに行く。息子が塾に通いだすまでは、習い事のテニスに連れていっていました。月曜日は、妻は遅くなっても大丈夫なので、思い切り残業して帰ってくることもありますね。 夕食の定番は、焼きそば。近所の食品スーパー「マルエツプチ」で、お気に入りの「深蒸し焼きそば」を5〜6玉買って、大量の焼きそばを作ります。 以前はあらかじめ妻に作ってもらった料理を温め直していたこともあったのですが、自分で作っちゃった方が子どもたちも喜ぶので、ホットプレートを引っ張り出してジャジャーッと。ビール片手に豚こま肉を1kgくらい焼いて、つまみながら、次はキャベツ1玉分と麺6玉を投入。「できたぞー」と。大食いですよね(笑)。 入山:子どもたちが焼きそばを頬張る顔を見るのが好きなので、よく写真を撮ってSNSに上げていたら、親しくさせていただいているユニリーバ・ジャパン取締役の島田由香さんが、「うちの息子も食べに行かせたい」とコメントしてくれました(笑)。念のためですが、他のメニューも作りますよ。餃子もチャーハンも、カルボナーラも得意です。 僕はたまたま、自分でスケジュールを調整できる学者という職業だから、こういう日常を送れるわけです。ただこれからは働き方改革が進んで、企業に勤めるビジネスパーソンの勤務スタイルも自由度が高まれば、日本の育児の風景は変わると思いますよ』、「日本の育児の風景」は変わってもらいたいところだ。
・『育児は「夫婦を映す鏡」  「できていない」とおっしゃりながら、しっかり育児に関わっていますね。多忙な入山先生を育児に向かわせている原体験は何でしょう。 入山:育児は「夫婦を映す鏡」だと思っています。うちの場合も、夫婦の成り立ちが関係しているような気がしますね。 僕が妻の裕実と出会ったのは、三菱総合研究所を退職して、アメリカのピッツバーグ大学経営大学院に留学していた頃のこと。彼女も同じく、日本から留学していた同級生でした。彼女はもともと、みずほ銀行の総合職で、M&A(合併・買収)向け融資などを担当していたのですが、国際開発援助に関わりたい気持ちを捨てきれず、銀行を辞めて渡米していた。 出会って2年後に彼女は修士を取って、日本の別の援助機関に就職。ベトナムのハノイで1年間働いていました。その間、僕はアメリカで博士課程の学生でした。ハノイの任期を終えた後で、彼女は契約を延長する選択肢があったのに、僕と結婚するためにアメリカに戻ってきてくれた。 その後、結婚してすぐに彼女は妊娠。僕が33歳、裕実が31歳の時でした。 ピッツバーグで長男が生まれた後、僕がニューヨーク州立大学の助教授の職を得て、一緒にバッファローへ移りました。当時のバッファローは、“ど”がつくほどの田舎で、開発援助に関われる仕事はなく、彼女はたまにボランティアをする程度。基本的には、主婦業が中心の生活を送っていました。 バッファローに移った後に長女も授かり、頼れる親類もいない環境の中、とにかく必死で、夫婦で育児をしていた記憶があります。 子どもが小さい時期ならではの夫婦ゲンカはしょっちゅうでした。互いにストレスで爆発しそうになったことも数知れず。それでも何とかしなくちゃならないと、2人とも学習しながら、価値観をすり合わせていきました。お金もあまりない時代、遠い異国の地で、2人で育児に奮闘した経験は、今の生活の源流になっているのかもしれません。 2人の性格は正反対。僕は「超」のつくいい加減な性格で、元銀行員の妻からすると「あり得ない」とよく叱られます。大事なのは、こまめに「ありがとう」と言うことでしょうか。なんだかんだ言って日常の家事や育児のほとんどは、妻がやってくれていますから。でも「ありがとう」も何度も言っていると、相手も慣れて喜ばなくなるので難しいところです(笑)。 つい先日も、彼女から「風呂掃除が雑だ」とダメ出しされたばかりです。だったらと、洗剤を多めにつけて一生懸命シュッシュッとやっていたら、今度は「洗剤、使い過ぎ!」と。「そういうの、家事ハラって言うらしいぞ!」と反論しましたが、全く届いていませんね(笑)』、微笑ましいやり取りだ。
・『赤ん坊を抱っこしながら大学の試験監督も  Q:夫婦が完全に対等なパートナーなのですね。アメリカならではの育児の価値観に触れたことによる影響はありましたか。 入山:日本と違う育児風景を目の当たりにしたことが、僕の育児観に影響を与えた可能性はあると思います。 まず、地域コミュニティの交流が活発であったこと。これは精神的な支えになりました。米国では「parent dating」といって、親子セットでご近所付き合いをする機会が多くて、互いの家に遊びに行ったりすることも頻繁にあります。だから育児の生活が孤独になる感覚はあまりなくて、長男も楽しかったと記憶しているようです。 父親の育児参加も当たり前。ただしアメリカ人の中には、「育児をやっているように見せているだけ」という男性も意外と少なくない、と僕は感じましたけれど。田舎にいたからかもしれないけど、やはり女性の負担が大きい家庭は多いと思います。 一番大きな影響を受けたのは、「子どもは無条件に可愛くウェルカムな存在である」という姿勢を見せる地域社会の姿です。とにかく、ただ赤ん坊を連れて歩いているだけで、道端で見知らぬ人が笑顔で寄ってきて「Oh, she is adorable!(なんて可愛いの!)」「Cutie!」といったポジティブな言葉を浴びまくる。ほめられるとやっぱり嬉しくなりますよね。 そういえば少し前に、議員が職場に子連れで訪れたことが話題になっていましたが、僕もニューヨーク州立大学の教員時代には、どうしても奥さんの用事がはずせず、赤ん坊だった長女を抱っこしながら大学の試験監督を務めたことがありました。お咎めは全くありませんでしたし、学生たちも「可愛い!」という人はいても、文句を言う人はいませんでしたね。 そういえば、中国人も子どもを無条件に歓迎する傾向がありますよね。長い間、一人っ子政策を続けてきたという背景があるのかもしれませんが、興味深いのは、米国も中国も、まだ経済が伸びている二大大国が、子どもを尊重する国であるということです。 Q:子どもをポジティブに受け入れる。つまり未来志向の社会である、ということでしょうか? 入山:まさに未来に投資する姿勢の、潜在的な表れなのかもしれませんね。子どもは社会の共有財であるという概念が浸透しているから、個人や組織が子育てに積極的であることが歓迎され、評価される。それがますます子どもを大切に扱う循環につながっているのかもしれません。経済大国の共通項がキッズファーストであるというのは、興味深い指標ですね』、「経済大国の共通項がキッズファーストであるというのは、興味深い指標」、その通りだ。日本では、保育園が出来ると「子供の声が煩い」と反対運動が起きるという身勝手さとは「生反対」のようだ。
・『アメリカでも日本語をしっかりと教えていた  ご長男は6歳まで、ご長女は2歳までアメリカで育児されたわけですが、言語教育はどうしていましたか。 入山:僕も妻も、まずは日本語の能力をしっかりと備えさせたいという考えだったので、家庭内では日本語オンリー。日本語の絵本を読み聞かせるのも当時の僕の役割でした。 長男はあちらで「day care」と呼ばれる幼稚園のような場所に通っていたので、彼の周辺でコミュニティができ始めると、自然と英語にも慣れてきたようです。 子どもたちは2人ともアメリカで生まれたので米国の国籍も持っていて、ミドルネームも付けました。使う機会はほとんどないんですけれど、せっかくだからと思って(笑)。長男はオーランド。長男を可愛がってくれたアメリカ人夫妻につけてもらったんです。今のところ、「オーランド感」はゼロですが(笑)。長女のミドルネームはキランで、僕の恩師のインド系アメリカ人につけてもらいました。サンスクリット語で「太陽の光」という意味だそうです』、子供たちの英語力を帰国後にどう維持するかは、難しい問題だ。
・『妻にも、やりたいことに打ち込んでほしい  2013年に日本に戻って現職に。教育のことを考えて帰国を決断したのでしょうか。 入山:それも大いにあります。長男がちょうど小学校に入学するタイミングに合わせて仕事を調整して、家族全員で帰国しました。 ただ、僕が重視したのはどちらかというと、妻のキャリアでした。ハノイ時代、かなえられたはずの自分の目標を一旦諦めて、僕のキャリアを優先してくれた。そんな彼女に感謝していましたし、「できるだけ早く、彼女も思い切りやりたいことに打ち込んでほしい」と思っていました。  実は、夫婦ともグリーンカードを取得していたので、アメリカに永住する人生も選べたわけです。それでも東京の方が彼女が活躍しやすい場所を選べる、と判断しました。その少し前に僕の父が亡くなり、母が東京で一人暮らしになったこともあって、生まれ育った東京に戻りました。僕、東京が大好きなんで。(後編に続く)』、「夫婦ともグリーンカードを取得」というのは驚かされた。後編が楽しみだ。

次に、後編として、5月8日付け日経ビジネスオンライン「「育児とは、答えが見えない永遠の学習」 入山章栄准教授が明かす「僕の子育て」(後編)」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
https://business.nikkei.com/atcl/skillup/16/030900024/050100002/
・『・・・Q:前編(「親の言うことを聞く子どもになってほしくない」では、普段の入山先生の育児の様子などをうかがいました。アメリカでの赴任経験を経て日本に帰国した後、お子さんが通う学校や幼稚園はどのような基準で選びましたか。 入山先生(以下、入山):すごく大事なテーマですよね。 アメリカでは、長男をモンテッソーリ教育の「day care」に一時期行かせてとても良かったので、日本でも子どもの好きなことを自由に伸ばしてくれる方針の学校や幼稚園に通わせたいと思っていました。 特に娘は、ちょうど幼稚園に入る年齢だったので、夫婦で家の近くの幼稚園を何カ所も回ってリサーチしました。娘を持っている父親なら分かると思うんですが、僕は本当に娘を溺愛しているので(笑)、足を運べるところにはできるだけ見学に行きました。 その時に妻が入手した情報が面白くて、「幼稚園の教育方針は、運動会を見れば分かる」と言うんです。なるほどと思って実際に見に行ったのですが、驚愕しました。かなり幼稚園で違いがあるのです。 中には、一糸乱れぬ統制で完璧に叩き込まれた組体操を運動会で披露するところもありました。これは価値観の違いなので、決してそういうところが悪いわけではないのですが、僕には違和感しかありませんでした。保護者たちから拍手をもらって満足そうなのは、それを指導している体育会系の男性教師だけだったような気がして、「それ、お前の自己満足だろ!?」と突っ込みたくなりました。 繰り返しますが、そういうところが悪いと言いたいわけではありません。ただ、やはり幼稚園は文科省下の“教育”をする組織ですから、規律が重視されるところが多いのかも、と思いました。僕も妻も幼稚園育ちだったので、何となく「保育園より幼稚園の方がいいんじゃないか」と思っていたのですが、その仮説が一気に揺らぎました。 絶望しかけた時、最後に見に行ったある幼稚園に救われたんです。ここは感動的なほどに“激ユル”だった(笑)。運動会の出し物は、大きな布の端を子どもたちが持って「せーの」で上げ下げするだけ。ぎちぎちに練習しなくてもできそうな演技です。 子どもたちは子どもらしく列を乱し、それぞれが伸びやかで、リラックスした表情をしている。運動会を終えて教室に戻る時、先生が一人ひとりを抱きしめていたのもいいなと思いました。 これは経営学の理論とも共通しているのですが、人が成長するには自己肯定感を高めることが重要だと僕は考えています。だから「ここにしよう!」と即決しました。妻も賛成で、こういう時に妻と価値観が揃っていたのは良かったですね。 今は妻も働いているので、その幼稚園で17時半までの預かり保育を利用しています。結果的には、娘を通わせる先としては素晴らしい幼稚園に出合えたので、とても満足しています。ただ「日本の幼稚園教育を変えないと、本当に優秀なビジネスパーソン・イノベーターは育たないのでは?」という仮説は持つようになりましたね』、「一糸乱れぬ統制で完璧に叩き込まれた組体操を運動会で披露するところもありました・・・保護者たちから拍手をもらって満足そうなのは、それを指導している体育会系の男性教師だけだったような気がして、「それ、お前の自己満足だろ!?」と突っ込みたくなりました」、私も同感で、そんな堅苦しい幼稚園は御免こうむりたい。
・『まずは幼児教育の現場を“カオス”に  Q:日本のビジネスの成長のために、幼稚園改革が必要だと。 入山:先日、ある方から、「幼稚園を出た子と保育園を出た子で、将来の活躍度を総合的に追跡すると、実は保育園出身者の方が活躍しているという結果が出た」と聞きました。 僕はこの研究の真偽は分からないのですが、もし仮にこの結果が確かなら、興味深いと思いますね。「幼稚園がダメで、保育園だからいい」という単純な問題ではなく、要はどんな環境を提供しているかという質の問題だと思うんですが、僕が考える決定的な違いは、「多様性」です。 一般的な保育園は、ひと言で言えば“カオス”。共働きで比較的裕福な家庭の子もいれば、厳しい家庭の子や、シングルペアレントの子もいたりして、バックグラウンドが実に多様です。 しかも、厚労省管轄の保育園は「教育の場ではない」から、基本的に先生たちに統一された教育方針が幼稚園よりはなくて、1日のカリキュラムもゆるくて自由時間が多い。いい意味で、子どもを“野放し”にしている環境とも言えます。 そこで何が起きるかというと、子どもたちのダイバーシティ・ソサエティが成り立つわけです。今まさに、日本の経営者が欲しているダイバーシティが、保育園には自然にある。様々な属性・タイプが入り混じるカオスの中で、子どもは自然と「異と交わるリーダーシップ」を獲得していくのではないでしょうか。 例えば、園庭で遊ぶ時間。ブランコで遊ぶ子、砂場で遊ぶ子とバラバラに散らばっている中で、「鬼ごっこしたい」と思ったら、複数の友だちを巻き込まないといけない。仲間を巻き込んで、やりたいことを実現していく。これは起業家の姿そのものですよね。 逆にリーダーではなく、フォロワーの資質を発揮する子どももいるかもしれない。この疑似体験を幼児期にしているかどうかが、実はものすごい差を生む可能性はあるかもしれない、と僕は思います。 だから、日本政府が本気で経済にイノベーションを起こしたいなら、「まずは幼児教育の現場を“カオス”にすることから始めよ」と言いたいですね』、私は3人の子供を幼稚園に行かせたが、「ダイバーシティが、保育園には自然にある」をもっと早く知っていれば保育園に行かせたのにと後悔した。
・『子どもたちを公立小学校に進ませたワケ  Q:早くからダイバーシティの経験をさせるのが、入山先生の育児ポリシーであるということですね。その娘さんも今春、小学校に入学しました。今後の教育プランは具体的に描いていますか。 入山:長女も、長男と同じ、自宅近くの公立小学校に入学しました。 小学校受験もちらっと考えなくもなかったのですが、夫婦とも忙しく働いている間に塾に通わせる余裕もなく、何もしないまま終わってしまいました。 ただ、先ほどと同じ理由で、様々なバックグラウンドを持つ子どもたちが通う公立小学校には、ダイバーシティ経験をさせられる価値があると思ってもいます。 逆に言えば、「小学校から一貫校に入れたから安心」と簡単に考えるのは、もしかしたらリスキーなのかもしれません。そういう私立の系列校は、同質性の高い環境になりがちかもしれないからです。そういった環境で長く過ごすと、いざ社会に出た時、異文化に対応できなくなっている可能性がある。 一貫教育を否定するつもりはありませんが、経営学的観点から見ると、これほど多様性が求められている時代に、同質性の高い人材を育てる教育に偏るのは、ますますイノベーションを遠ざけるんじゃないかと危惧しています。 「有名大学に入れるルートを確保すれば、将来の子どもの就職に有利になる」というロジックも、今後は怪しくなるはずです。大学全入時代と言われ、有名私立大も続々とOA入試を導入して、エントリーの間口を広げている。そんな中で、出身大学のブランド価値は薄れる一方でしょう。 実際、企業の人事担当者は、学生の大学名ではなく、高校名を見るようになったと言われています。学歴というのは「その人がいかに努力したかのシグナルになる」というのは経済学でよく言われることですが、「努力のシグナルとしての大学の名前」の価値が薄れてきているわけです。大学のブランドを獲得するだけの教育は過信しない方がいい。早稲田大学の教員をやっている僕が言うのも何ですが……。 ちなみに僕自身は、5~6歳の頃は、「右」と「左」の区別がつかないような子どもだったのですが、たまたま当てずっぽうの答えが当たって受験に受かり、学芸大附属の小学校に入学しました。その後、中学・高校と出て、一浪して慶応大学に入っています。妻は中学受験の経験者。教育の良し悪しは、結局は個人の経験からしか語れないのが難しいところですよね。 自分で納得できる人生を歩んでいたら、中学受験経験者は「中学受験がいい」と言いたくなるし、高校受験経験者は「いや、高校からでしょ」と考える。唯一の基準が自分の経験で、それ以外の経験とは結果を比較しようがありません。だから、夫婦間のすり合わせは結構、難しい。うちもまだ完全な結論は出ていません』、「一貫教育を否定するつもりはありませんが、経営学的観点から見ると、これほど多様性が求められている時代に、同質性の高い人材を育てる教育に偏るのは、ますますイノベーションを遠ざけるんじゃないかと危惧しています」、完全に同意する。
・『「総合的な判断力」を養うには?  Q:将来の海外経験についてはどうでしょうか。グローバル教育に関心はありますか。 入山:前向きに考えています。具体的には決めていませんが、いつか、家族一緒に海外で暮らす期間を少しでもつくれたらいいなと思っています。本当はパリに憧れるけれど、やはり子育てを考えるとアメリカですかね。 息子も、6歳まで過ごしたアメリカ生活を時々思い出すらしくて、「懐かしいな」と言ったりするんです。ただ子どもならではの順応力で、もうすっかり日本の暮らしに染まっていますね。今は「キュウレンジャー」(取材時に放送されていたテレビ朝日の戦隊ヒーロー番組)と「コロコロコミック」、スプラトゥーンとヒカキンのことしか考えていません(笑)。 Q:ほかに、日本の教育システムで気になっている点などはありますか。 入山:多様性に対応する教育を目指してほしいですね。同時に、縦割のセクショナリズムを取り払う必要もあるのでは、とも思っています。 例えば、科目別教育です。これはリスペクトしているニューヨーク州立大学ビンガムトン校教授の佐山先生がおっしゃっていたことなのですが、物事の原理原則を理解するのに、国語、算数、社会、理科……と科目を明確に分けるのは、実は不自然なことなのかもしれない。社会に出て意思決定する時には、頭の中ですべてをつなげた状態で思考しているはずですから。 文系・理系という分け方もナンセンスでしょう。理系出身者しかコンピュータサイエンティストになれないことは絶対になくて、自然言語の能力も問われるはずです。 世界で勝てるリーダーを育てるには、分野を自由に行き来する、総合的な判断力を培う教育を目指してほしい。それが僕の希望です』、「科目別教育」でなく横断的にやるとはいっても、子供たちに理解させるためには、かなり高度な教育方法が求められるのではなかろうか。
・『家族はいつも一緒にいよう  Q:夫婦で決める子育ての方針として、特に重視してきたことはありますか。 入山:「家族はいつも一緒にいよう」ということですね。これは夫婦の共有の価値観かもしれません。アメリカでも、日本でも、いつも4人で一緒に動いてきました。幸い僕の職業がそれを許した部分と、妻の寛容さが大きいですが。会社勤めだと単身赴任もやむをえない場合がありますよね。 長男はもう10歳になったので、いつまで一緒に絡んでくれるか分かりませんが、今でも寝る時は4人で川の字です。一緒の布団で寝るだけで、子どもたちがすごく嬉しそうなんです。 共働きだと、「関われる時間が少ないから充分に愛情をかけられない」と悩む人もいるようですが、僕はそうは思ません。むしろ時間に限りがある方が濃密な過ごし方ができるはずだし、「愛情は可能な限り注ぐ」というのは夫婦でずっとやってきたと思っています。 Q:では、子育てで迷いがちな点についていくつか教えてください。まずはお小遣いについて。 入山:お小遣い制はまだ導入していなくて、ほしいものがあれば申請を受け付ける感じです。でも、子どもたちにはそれほど物欲がないようで、「あれほしい」「これほしい」とはあまり言ってきませんね。今後そういう意思表示があったら、検討していこうと思っています』、なるほど。
・『ゲームをやりたいなら、無尽蔵にやっていい  Q:ゲームについては。 入山:ゲームに関しては、僕はちょっと妻と意見が違っています。 僕は「ゲームをやりたいなら、無尽蔵にやっていい」という考えなんです。ゲームに限らず、本人がやりたいと思うことは何でも、ということなんですけれどね。 これは、僕が母からしてもらったことがベースになっています。母はとにかく、僕の意志を尊重して自由にさせてくれた。高校時代、僕はハンドボール部に所属していて、高校3年の夏にインターハイ予選で負けた途端、燃え尽きて、しばらく学校に行かなくなったんです。別に学校が嫌いになったわけじゃなくて、単に気が抜けたんです。 朝起きたらゆっくりお風呂に入って、10時くらいからようやく学校に行く、みたいな。学校に行くふりをして、友だちと雀荘に入り浸ったことも多々あります。親には全部バレていたと思うんですが、でも何も言われなかったですね。 大学も、自宅から通っていましたが、ドラクエの新作が出ると、「お母さん、僕はこれから1週間くらい部屋から出ないから」と言って自室にこもってドラクエ三昧。そんな息子を、母は特にとがめずに放置してくれた。 僕は、親とはこういうものかと思っていたんですが、「いや、入山、それは普通じゃない」と周りから言われて、母の偉大さに気づいたわけです(笑)。 一事が万事、こんな調子で、僕が「これ、やってみたい」と意思表示したことに対して、母から否定されたことは一度ありませんでした。それって実は、すごく大事な気がしています。 僕は少なくとも、「こんなことをやってみたい」と自ら発したり、その通りに行動したりすることに抵抗がない大人に育った。そして他人に対しても、同じように受け入れることができるんです。 僕はたまに「入山さんが登壇するイベントはいい雰囲気で盛り上がる」と喜んでもらえることがあるのですが、もしそうだとしたら、それは僕が「何でもありですよ」という空気を醸し出しているからではないかと思います。 奥さんには僕のような経験がないので、結構細かく子どもに口を出したくなっちゃうようです。逆に僕は、息子が床にボーッと寝っ転がっているのを見ると、「いいぞ、いいぞ。いくらでも転がっとけ」と言いたくなります(笑)』、ここまでの自由放任主義は珍しいが、経営学の知見に裏付けられているだけに本物なのだろう。
・『育児は「答えが見えない永遠の学習」  Q:育児を円滑にするための工夫はほかにありますか。 入山:すごく助かっているのは、クルマで15分の距離に住んでいる母のサポートです。僕たちが甘え過ぎない、ほどよい距離を保つためにも同居はしていませんが、週に1回、多い時は2回、来てもらっています。妻が海外出張に行く時はもっとですね。 母はもともと家事が得意で、子どもたちもすっかり懐いている。高齢なので、体力と相談しつつではありますが、家族の中で「頼られている」ことが、母の健康寿命を延ばすのに一役買っているとも感じています。 僕が嬉しいのは、妻とうちの母の仲がいいこと。母が来てくれている日に、僕が遅くなって帰宅したら、2人でワイン片手にほろ酔いでしゃべっていたりして。 「お義母さん、いつもすみません」と言っている裕実に、母は「いいのよ。私は、子どもが生まれた後は家庭に入って働かなかったことを少し後悔しているから、あなたは思い切りやりなさいね」と。建前かもしれないけれど、奥さんと母がこういう会話をしているのは嬉しいじゃないですか。 何だかいいことばかり話していますが、実際には嵐のような衝突も経て、少しずつ学習して、やっとここまで来たという感じです。本当に「答えが見えない永遠の学習」の一言に尽きます』、子育てはどうも夫婦が置かれた環境によっても大きな影響を受け、「答えが見えない永遠の学習」なのだろう。

第三に、5月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した脳科学者・理学博士の茂木健一郎氏へのインタビュー「茂木健一郎氏が語る、なぜ本に囲まれた家庭で「頭のいい子」が育つのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/202512
・『近い将来、AIやロボットが多くの仕事を代替すると考えられている。そのときに人間に必要なのは、「AIにできない仕事をする」能力だ。脳科学者・茂木健一郎氏は、これからの時代には「自分の頭で考えられる力=地頭の良さ」が重要だと語る。氏の最新刊『本当に頭のいい子を育てる 世界標準の勉強法』から一部を抜粋して、自分の頭で考えられる力を育む「探究学習」を紹介する』、興味深そうだ。
・『小学生のエジソンは、先生を質問攻めにした  自分から進んで勉強や探究をする子に育てるには、親が教育に熱心であるよりも、むしろ「子どものことは見守りつつも野放し」である方が良いのです。 なぜかというと、親が教育熱心な場合は、親は本を読んだりインターネットを使ったり、知り合いからの情報を得ながら、集めた情報を子どもに教えたくなります。すると、つい「成績を上げるには〇〇をした方がいいよ」とか、あるいはもっと強い口調で「〇〇をしなさい」と指示を出してしまいがちです。 親から命令や指示を出されることに慣らされてしまった子どもは、やがて自分で考えて動けなくなってしまいます。親としては子どものためを思ってしていることが、かえって子どもから自主性や好奇心を奪い、親の顔色ばかりを窺う萎縮した子どもに育ってしまいます。 また、親から命令や指示ばかり出されている子は、何か疑問があってもすぐ親に聞いてしまい自分で調べなくなるか、疑問すら浮かばなくなることもあります。 子どもは本来、好奇心の塊で「なぜ?」「どうして?」が常に頭の中をかけめぐり、それが探究心へと繫がっていくものです。誰もが知っている偉大な発明家エジソンは、幼い頃から「なぜ、なぜ」と疑問を持つ好奇心旺盛な少年でした。 エジソンは小学校に上がっても、「なぜ、なぜ」がおさまらず、ときには先生を質問攻めにしました。そして学校の授業を妨害したという理由で、わずか3ヵ月で退学させられてしまいます。 そのため、元教師であった母親がエジソンに勉強を教えたという逸話が残されています。今でいう、ホームスクーリングというわけです。エジソンの母親は、エジソンの「なぜ?」に対して、できる限り丁寧に説明したと聞きます。また、自分がわからないところは、エジソンと一緒になって調べたとか。エジソンの母親は、「なぜ?」をとても重要視したということです。 繰り返しますが、子どもの「なぜ?」は子どもの探究心を刺激し、子どもの可能性を引き出してくれます。それは「なぜ?」という疑問の答えを見つけることが、子ども自身の考える力を養い、探究心を伸ばすことに繫がるからです。 さて、先ほど僕は「親に聞くよりも、自分で調べる子になろう」といいましたが、エジソンが母親に勉強を教わっていたくらい小さいうちは、親に教えてもらってもいいでしょう。ただし、エジソンの母親は元教師でしたから、普通の親とは違って親というより先生という感じだったと思いますが。 しかも、教師である母親さえもわからないことは一緒になって調べたわけですから、この時点でも2人の関係は、教える者と教えられる者という関係というよりは、同志に近かったかもしれません。やがてエジソンは科学に興味を持つようになり、母親が教えられない化学や物理学の知識は、図書館に通って独学で学びました。こうしてエジソンは、疑問を持ったら、自分で調べ学べる子どもへと変わっていったのです』、「エジソンは小学校に上がっても、「なぜ、なぜ」がおさまらず、ときには先生を質問攻めにしました。そして学校の授業を妨害したという理由で、わずか3ヵ月で退学させられてしまいます。 そのため、元教師であった母親がエジソンに勉強を教えた」、エジソンの母親は本当に立派な人物だったようだ。
・『子どもが自主的に動くように「誘導」する  子どもが小さいうちは、子どもが質問してきたら、一緒になって調べましょう。こうすることで、子どもは親に頼るばかりでなく、自分で考えることを学びます。そうなれば、しめたもので、子どもはやがて自分で興味を持ったテーマを、自ら学び始めます。そして、自分で決めたことをやり遂げたときには、ドーパミン・サイクルがまわり、達成感や喜びを感じることができます。 親や先生にいわれて「やらされている」と思ってやるのか、自分の課題として「やりたいからやる」のかは、全然違います。「やりたいからやる」のであれば、勉強も探究も苦痛ではなくなり、むしろ楽しみに変わるでしょう。そうなれば、親が口うるさくいわなくても、自分から進んで勉強する子になります。 とはいえ、そう簡単にはいかないのでは、と考えている親御さんも多いのではないでしょうか。とっておきの方法があります。 子ども自身に「どうする?」と問いかけて、自分で決めさせるのです。勉強してほしかったら、「勉強しなさい!」ではなく、「今日の宿題は何?」「今日は何から始めるの?」と、子どもから動くように「誘導」してあげましょう。 人は他者に命令されると、やる気を失う生き物です。ですから、それとは逆に「自分で決めたんだ」という自覚を持たせることで、やる気はアップします』、最後の部分は、その通りなのだろうが、「子どもから動くように「誘導」」するには、親にも心の余裕が必要で、簡単に出来る技ではなさそうだ。
・『16歳の時点で家に本が何冊あったかが、学力を決める  僕は子どもの頃、親から「勉強しなさい」といわれたことは一度もありません。「塾に行きなさい」ともいわれませんでした。ですから、僕は自主的に勉強はしたけれど、塾に通ったことも、家庭教師についたこともありません。 僕の両親の教育方針は、徹底的に子どもの自主性に任せるというものでした。ただ、前述したように、蝶好きな少年だった僕を日本鱗翅学会へ連れていってくれるなど、僕が興味を持っていることに対しては、力を尽くしてくれました。 また、家には父親のコレクションとしてクラシックのレコードとたくさんの本がありました。僕は幼い頃、父に隠れて父のレコードを聴き、本を読みました。その経験が、今の僕をつくったと思っています。 さて、僕が育った家庭環境、とくに父親の蔵書に関連しているな、と感じた面白い学術論文が発表されたので紹介したいと思います。 2018年秋、学術誌『ソーシャル・サイエンス・リサーチ』に、本にまつわる興味深い調査結果が発表されました。オーストラリア国立大学と米ネバダ大学の研究者たちが行なった調査です。彼らは、2011年から2015年に、31の国と地域で、25~65歳の16万人を対象にして行なわれた「国際成人力調査」のデータを分析しました。 その結果、「16歳の時点で家に紙の本が何冊あったかが、大人になってからの読み書き能力、数学の基礎知識、ITスキルの高さに比例する」ことがわかりました。そしてデータを分析した研究者たちは、「子どもの頃に自宅で紙の本に触れることで、一生ものの認知能力を高めることができる」といっています。 調査では、16歳のときに自宅に何冊本があったか、被験者に質問し、その後、読み書き能力、数学、情報通信技術のテストを受けてもらったといいます。すると、本がほぼない家庭で育った人の場合、読み書きや数学の能力が平均よりも低かったのです。自宅に本が多くあった人ほどテストの結果は良く、自宅に本が80冊ほどあった場合、テストが平均的な点数になりました。とはいえ350冊以上になると、本の数とテスト結果が比例するという傾向は見られなくなったということでした』、私の子供時代はまだ家にテレビがなかったので、大人用の本を理解も出来ないのに、乱読した記憶がある。しかし、私の子供たちは、テレビやゲームの虜になって、本は殆ど読んでなかったようだ。
・『大切なのは、本を「たくさん読む」ことではない  さらに、本に囲まれて育った中卒の人と、本がない環境で育った大卒の人はほぼ同じ学力だということもわかりました。調査によると、最終学歴が中学卒業程度であっても、たくさんの本に囲まれて育った人は、大人になってからの読み書き能力、数学、IT能力が、本がほぼない家庭で育った大卒の人と同程度(どちらも全体の平均程度)だということです。このことから、研究者たちは読み書きや数学の基礎知識において、子どもの頃に本に触れることは、教育的な利点が多いと述べています(『ニューズウィーク』日本版2018年10月18日記事)。 この調査結果の面白いところは、自宅に本が多いことで鍛えられると予想される読み書き能力だけでなく、数学の能力も強化することがわかったことです。これは「子どものときに本を読めば大人になって読み書きが得意になる」という単純な話ではないということでしょう。 また、自宅の本を読んでも読まなくても、効果は変わらなかったそうです。つまり「本をたくさん読めば学力が上がる」という単純な話ではなく、大切なのは「子どもたちが、親や他の人たちが本に囲まれている様子を目にすること」だと研究者たちは結論づけています。 よく「子どもは、親の背中を見て育つ」といいますが、家に本がたくさんあること、それ自体が「親の背中」なのだと思います。子どもにとっての「普通」は、常に自分の家庭が基準になっています。親が普段から本を読んでいたり、勉強をしたりしている姿を目にして育った子であれば、「どこの家庭でも、大人とは勉強しているものなのだ」と思います。反対に、親がテレビばかり観ている家庭の子は、それが大人のスタンダードだと感じるでしょう。 家に本がたくさんあれば、たとえ子どもがそれを読まなくても、子どもはそれが大人の姿なのだと思い、自ら勉強する子になります。 そのためにも、親は本を揃えたり、自らが勉強する姿を見せたりするなど、まずは自分が手本となる意識を持つことも必要でしょう』、「積読」にも教育的効果があるとは初めて知ったが、もう時すでに遅しだ。
タグ:子育て 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン (「親の言うことを聞く子どもになってほしくない」 入山章栄准教授が明かした「僕の子育て」論(前編)、「育児とは、答えが見えない永遠の学習」 入山章栄准教授が明かす「僕の子育て」(後編)、茂木健一郎氏が語る なぜ本に囲まれた家庭で「頭のいい子」が育つのか) 「「親の言うことを聞く子どもになってほしくない」 入山章栄准教授が明かした「僕の子育て」論(前編)」 「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある 組織と子ども、この2つを育てるのに共通しているのは「自己肯定感を高めることの重要性」ではないか 明橋大二さんの『子育てハッピーアドバイス』 子どものありのままの感情を受け入れて存在を尊重する考え 、経営と育児の決定的な違いもあります。それは育児に“答え”がないことでしょう 育児の場合、まず「何をもって成功とするか」というにも答えすらありません 本人が死ぬ瞬間まで分からない。そして、子どもが天寿を全うして死ぬ瞬間に、親が立ち会う確率は極めて低い 育児に正解はないし、あったとしても立ち会えない わが子には、とにかく表情豊かに育ってほしい 世界の共通言語(プロトコル)は4つある 1つ目は現時点で世界最大の自然言語の共通語である英語。2つ目は数学。3つ目はプログラミング言語。そして4つ目が、意外に思うかもしれませんが“表情”です 古市憲寿さんが、「親の言うことは聞くな」 これからは働き方改革が進んで、企業に勤めるビジネスパーソンの勤務スタイルも自由度が高まれば、日本の育児の風景は変わると思いますよ 育児は「夫婦を映す鏡」 赤ん坊を抱っこしながら大学の試験監督も 経済大国の共通項がキッズファーストである 「「育児とは、答えが見えない永遠の学習」 入山章栄准教授が明かす「僕の子育て」(後編)」 日本でも子どもの好きなことを自由に伸ばしてくれる方針の学校や幼稚園に通わせたいと思っていました 一糸乱れぬ統制で完璧に叩き込まれた組体操を運動会で披露するところもありました 保護者たちから拍手をもらって満足そうなのは、それを指導している体育会系の男性教師だけだったような気がして、「それ、お前の自己満足だろ!?」と突っ込みたくなりました ある幼稚園に救われたんです。ここは感動的なほどに“激ユル”だった 日本の幼稚園教育を変えないと、本当に優秀なビジネスパーソン・イノベーターは育たないのでは?」という仮説は持つようになりましたね まずは幼児教育の現場を“カオス”に 一般的な保育園は、ひと言で言えば“カオス”。共働きで比較的裕福な家庭の子もいれば、厳しい家庭の子や、シングルペアレントの子もいたりして、バックグラウンドが実に多様です。 しかも、厚労省管轄の保育園は「教育の場ではない」から、基本的に先生たちに統一された教育方針が幼稚園よりはなくて、1日のカリキュラムもゆるくて自由時間が多い。いい意味で、子どもを“野放し”にしている環境 子どもたちのダイバーシティ・ソサエティが成り立つわけです。今まさに、日本の経営者が欲しているダイバーシティが、保育園には自然にある。様々な属性・タイプが入り混じるカオスの中で、子どもは自然と「異と交わるリーダーシップ」を獲得していくのではないでしょうか 子どもたちを公立小学校に進ませたワケ 一貫教育を否定するつもりはありませんが、経営学的観点から見ると、これほど多様性が求められている時代に、同質性の高い人材を育てる教育に偏るのは、ますますイノベーションを遠ざけるんじゃないかと危惧しています 多様性に対応する教育を目指してほしいですね。同時に、縦割のセクショナリズムを取り払う必要もある 科目別教育 ゲームをやりたいなら、無尽蔵にやっていい 育児は「答えが見えない永遠の学習」 「茂木健一郎氏が語る、なぜ本に囲まれた家庭で「頭のいい子」が育つのか」 小学生のエジソンは、先生を質問攻めにした 子どもが自主的に動くように「誘導」する 人は他者に命令されると、やる気を失う生き物です。ですから、それとは逆に「自分で決めたんだ」という自覚を持たせることで、やる気はアップします 16歳の時点で家に本が何冊あったかが、学力を決める 親が普段から本を読んでいたり、勉強をしたりしている姿を目にして育った子であれば、「どこの家庭でも、大人とは勉強しているものなのだ」と思います。反対に、親がテレビばかり観ている家庭の子は、それが大人のスタンダードだと感じるでしょう。 家に本がたくさんあれば、たとえ子どもがそれを読まなくても、子どもはそれが大人の姿なのだと思い、自ら勉強する子になります 親は本を揃えたり、自らが勉強する姿を見せたりするなど、まずは自分が手本となる意識を持つことも必要でしょう
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誇大広告(その2)(消費者庁が初の措置命令「健康食品」のウソを見抜く方法 教えます コラーゲンで「お肌ぷるぷる」にはなりません、健康食品を信じ込んでいる人の大いなる誤解 青汁・酵素・グルコサミン…危害情報も急増、“最先端”がん治療トラブル) [生活]

誇大広告については、昨年7月17日に取上げた。今日は、(その2)(消費者庁が初の措置命令「健康食品」のウソを見抜く方法 教えます コラーゲンで「お肌ぷるぷる」にはなりません、健康食品を信じ込んでいる人の大いなる誤解 青汁・酵素・グルコサミン…危害情報も急増、“最先端”がん治療トラブル)である。なお、関連する機能性表示食品については、昨年4月10日に取上げた。

先ずは、教育学者・栄養学者で群馬大学名誉教授の髙橋 久仁子氏が昨年11月8日付け現代ビジネスに寄稿した「消費者庁が初の措置命令「健康食品」のウソを見抜く方法、教えます コラーゲンで「お肌ぷるぷる」にはなりません」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・2017年11月7日、消費者庁は「飲むだけで痩せられる」などと誤った印象を与える宣伝を繰り返していたとして、大手を含め「機能性表示食品」を扱う16社に対して、再発防止などを求める措置命令を出しました。
・「運動や食事制限なしで痩せられる」とうたっていたにもかかわらず、実際には試験を行った人々が普段以上に運動をしていたなど、科学的な知見とは異なる宣伝を行っていたというのです。
・2015年4月の制度開始以来、機能性表示食品に対する措置命令は初のこと。こうした健康に関する機能をうたった食品に潜む大げさすぎる、まぎらわしい「ウソ」を見抜く方法を、『「健康食品」ウソ・ホント』を上梓した髙橋久仁子氏が明かします。
▽コラーゲンファンには、残念なお知らせです
・「年齢とともに減少する軟骨成分・グルコサミン、コンドロイチン、コラーゲン。毎日上手に補うことが大切です。快適な毎日をサポートします」とか「高麗人参で健康の悩みがゴッソリ解消!」等々、それを利用しさえすれば若さも元気も取り戻せるかのような広告文言をあちこちで見かけます。
・確かな根拠がないにもかかわらず、多くの人々に信じられている事柄を比喩的に”神話”とよびます。健康に関連する食の情報にもたくさんの”神話”が紛れ込んでいますが、意図的に”神話”をつくって広め、それを広告に使っているのではないかと疑われる事例が、食品の世界には少なからず存在します。
・その代表例の一つが「コラーゲン」です。〈「健康食品」の安全性・有効性情報〉(https://hfnet.nih.go.jp/)というウェブサイト内に「話題の食品・成分」のページがあり、その中に「コラーゲンって本当に効果があるの?」と題する記事が掲載されています(http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail2204.html)。
・そこには「コラーゲンは『皮膚』『骨・軟骨』を構成する物質として、なくてはならないタンパク質なので、『それを食べれば、皮膚や関節によいに違いない』と思うかもしれませんが、残念なことに、現時点での科学的知見では、コラーゲンを食べても『美肌』『関節』に期待する効果が出るかどうかは不明です」とあり、詳しい理由が記されています。
・ところが、ちまたには”コラーゲン神話”が蔓延しており、「コラーゲンでお肌ぷるぷる、しっとりつやつや」など、あたかも美肌効果があるかのような文言をよく見かけます。 私は以前、コラーゲン摂取に美肌効果があるかのように広告する企業に「コラーゲンを食べると肌の状態が改善されるのか」などの質問状を送ったことがあります(2011年)。 回答のあった2社(K社とI社)への質問と返事をご紹介しましょう。
・まずK社には、同社の広告文言に関して「『飲むたびにうるおいを』というのは具体的にどういうことでしょうか」と訊ねました。この質問に対する答えは、「文字通り、飲んでいただいて喉をうるおしてほしいという意味です」でした。
・続いてI社にも、やはり同社の広告文言について、「『おいしくうるおう』とありますが、なにがうるおうのでしょうか」と質問したところ、「止渇作用によって喉をうるおします」との回答がありました。
・いずれの回答もうるおうのは「喉」であり、「肌」にはひと言も触れていません。「うるおい」「うるおう」などの文言を配して広告していながら、このような答えが返ってくるのです。  なるほど、「肌がうるおう」は消費者側の勝手な解釈なのでしょうが、”コラーゲン神話”に便乗して販売しているととられても、仕方がないのではないでしょうか?
▽「効く・効かない」より「安全か」が重要
・コラーゲンに限らず、食品に関する派手な広告や情報に出会って、心動かされそうになったときはどうしたらいいのでしょうか? なによりも大切なのは、「すぐに飛びつかない」ことです。まずは「○○って、何? そんないいことあるの?」と疑ってみましょう。一呼吸置いても、絶対に損はしないのですから
・華々しい効果を謳う「健康食品」やその広告が気になったら、まずは、先ほどもご紹介した国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の国立健康・栄養研究所が公開している〈「健康食品」の安全性・有効性情報〉というウェブサイトを確認するようにしましょう。 同研究所は、「国民の健康の保持・増進及び栄養・食生活に関する調査・研究を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図る公的機関」であり、信頼度の高い責任ある情報を発信しています。
・上のサイト上で、たくさんの種類の「健康食品」に関する情報を確認することができます。そこで情報をチェックすると、たいていの食品・食品成分の「有効性」に関して、ヒトにおけるきちんとしたデータがないだけでなく、むしろかなりの「危険情報」があることなどがわかります。
・販売企業に電話をして、直接訊ねてみるのも一つの方法です。「これは何に効くのか?」「私の不調が解消されるのか?」などの質問を、しつこいくらいぶつけてみてください。 ほとんどの企業が、明確に「効きます」とは答えないはずです。「効果があったとおっしゃるお客様がたくさんいらっしゃいます」とか「個人差があります」のように、答えをはぐらかすことが多いでしょう。
・企業の対応姿勢から、商品の質を見極めることができるのは、「健康食品」も他の商品と同様です。ただし、場合によっては執拗に勧められることもありえますので、すぐに購入してしまうことのないよう、問い合わせはくれぐれも慎重に行ってください。
・健康食品に関しては、「効く/効かない」がよく話題になりますが、それを論じる前に、「摂取して安全なのか?」をまず問う必要があります。 商品Aを摂取して「影響がなかった場合」には、「摂っても意味がない」と単純に理解できると思います。 では、「影響があった場合」はどうでしょうか。それが「悪い影響」であれば、「有害作用」としてすぐにやめる気になることでしょう。
・問題は、「期待していた影響があった場合」です。 たとえば糖尿病の人が、「これを飲むと血糖値が下がる」といわれてそれを利用したところ、確かに血糖値が下がったような場合です。「血糖値が低下した。だから効いている」と、素直に喜びたくなるのが人情です。しかし、「効いた」と感じたからといって、無条件に継続利用していいわけではありません
・「なぜ血糖値が低下したのか? どんな作用によるのか?」「ひょっとして違法に医薬品が添加されているんじゃないか?」「あるいは、体のどこかの機能を障害したから血糖値が低下したのかもしれない」といった疑問をきちんと検討してみる必要があります。
・医薬品の世界では、「効果が害(副作用)を上回る」なら医薬品として認めるという合意が成り立っています。「健康食品」に関しても、「少々の害があっても、利益があればそれでいいじゃないか」というきわめて乱暴な意見を耳にすることがあります。
・しかし、明白な疾病に対して治療の一環として服用する医薬品とは異なり、「健康食品」は”さらなる健康”を求めて利用するものであるはずです。 そのような目的で利用する商品に、「ここまでの有害作用は目をつぶろう」という”境界線”が存在しうるとは思えません。
▽自分の身は自分で守る
・健康を維持増進する三要素は、あくまでも「栄養・運動・休養」です。これ以外の「何か」が健康維持に必須であるかのように煽りたてて、「健康食品」の消費を増やすことを意図して、2015年に「機能性表示食品」制度が始まりました。
・この制度が誕生する契機となった、2013年6月5日公表の「規制改革に関する答申」の副題が「経済再生への突破口」であることを忘れてはいけません。 世の中に蔓延する「食品成分の機能性幻想」につけ込み、無益どころか有害かもしれない”余計なモノ”を摂取させることで、経済を活性化させようとする人たちにとって、国民の健康は「どうでもいい」ものなのでしょうか?
・コラーゲンにとどまらず、世の中には「本当に効果があるのか疑問」と思わざるを得ない健康食品、商品が多数あります。それらについて、私は『「健康食品」ウソ・ホント』という本にまとめました。ご興味、ご関心のある方に、一読いただければ幸いです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53446

次に、1月9日付け東洋経済オンライン「健康食品を信じ込んでいる人の大いなる誤解 青汁・酵素・グルコサミン…危害情報も急増」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・5600万人もの日本人が利用する健康食品・サプリメント。インテージの調べによれば、その市場規模は、年間で約1兆5600億円と巨大だ。2015年春に機能性表示食品制度が始まり、メーカーが科学的根拠を国に届ければ健康効果をパッケージに表示できるようになったことで、次々と新商品が登場。今後さらなる市場拡大が予想される。
・だが、その陰で有効性の根拠があやふやな商品が氾濫。さらには健康食品で体調を崩すなどした危害情報も急増している。1月9日発売の『週刊東洋経済』は「間違いだらけの健康常識」を特集。知らないと危ない健康ビジネスの裏側を徹底解剖した。
▽機能性表示食品は開始3年足らずで1200品目以上に
・一般的に健康食品は、「健康の保持・増進に資する食品として販売されるもの」を指す。その中で、「特定の成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の商品」をサプリメントと呼んでいる。 機能性表示食品の品目数は制度開始から3年足らずで1200を突破し、特定保健用食品(トクホ)を上回っている。「手元のピント調節力に」と表示したサプリや、「内臓脂肪を減らす」ヨーグルトなど健康機能をうたう商品が続々と登場している。
・日本通信販売協会の調べによると、健康食品のメーカーが取り扱う成分は青汁とコラーゲンが最も多く、それにグルコサミンが続く。ただ、こうした人気成分の大半は効果の根拠が不明だ。国立健康・栄養研究所のデータベースや、医療関係者も参照する『ナチュラルメディシン・データベース(NMCD)』(日本版の発売元は同文書院)によると、ほとんどの成分の有効性のデータが不十分となっている。
・たとえば、関節痛などの軽減効果をうたい、根強い人気のグルコサミン。同成分には2種類ある。このうちグルコサミン塩酸塩については「データが不十分」(NMCD)。グルコサミン硫酸塩は、「重篤で慢性的な骨関節炎の痛み緩和には効果がないことが示唆されている」(健康・栄養研)という。特集では約40種類の成分・素材を掲載しているが、コラーゲンや水素水、黒酢なども、データが十分でないようだ。
・実際に、健康食品の効果を明確に感じている人は利用者全体の1割程度にすぎない(インテージ調べ)。効果を感じたという人についても、「ほとんどの場合は、(効くと信じて摂取することによって得られる)プラセボ効果だろう」(東京都医師会の尾﨑治夫会長)という指摘がある。 それどころか、危害情報が相次ぐ健康食品もある。
▽青汁で下痢やじんましんなどの事故情報も
・消費者庁のデータバンクによると、便秘やダイエットによいとされる青汁は、下痢やじんましんなどの事故情報が2015年から3年間で300件以上報告されている。同庁消費者安全課の藤田佳代企画官は、「青汁の事故情報は注視しているが、何が原因か不明なため、現時点ではどのように注意喚起してよいかわからない」と頭を悩ませる。青汁の中には数十種類の原材料や成分を含む商品があり、「成分同士が相互作用して体調不良を引き起こす可能性もある」(尾﨑氏)。
・同じく多くの成分を含み、ダイエットや老化防止に効くとうたわれている酵素も、下痢などの危害情報が2015年度に190件あり、2016年度は534件に倍増した(国民生活センター調べ)。健康食品を摂取することで健康を害してしまっては元も子もない。
・こうした被害から身を守るためには、広告や表示の情報を見極めるリテラシーの向上が欠かせない。そもそも健康の大前提は規則正しい食生活と運動、そして睡眠の3要素であり、健康食品だけで健康になろうと考えるのは大間違いだ。
https://toyokeizai.net/articles/-/203612

第三に、6月5日のNHKNHKクローズアップ現代+「“最先端”がん治療トラブル」を紹介しよう(▽は小見出し、──は聞き手の質問)。
・“最先端”を掲げ、高額な料金がかかるがん治療で、トラブルが起きている。ネット上には “樹状細胞”“遺伝子治療”“NK細胞”など話題の医療用語をちりばめ、患者に期待を抱かせたり、事実と異なるウソや大げさな表現の広告が少なくない。ところが、そうした治療は大半が、有効性や安全性が十分に確認されておらず、保険も使えないものだという。わらにもすがる思いの患者たちは、玉石混交の「情報の海」でおぼれかけている。トラブルにあわないためにはどうすればいいのか?納得のいく治療法を選択するために必要なことを模索する。
・出演者 大野智さん (医師・大阪大学大学院准教授) 竹原慎二さん (元プロボクサー・がんサバイバー)  武田真一・田中泉 (キャスター)
▽“最先端”高額がん治療 トラブルの実態
・働き盛りの夫をがんで亡くした女性です。夫が受けたのは、“最先端”を掲げたがん治療でした。 夫をがんで亡くした女性 「あのとき、命を縮めたのかなって。本当に時が巻き戻せるなら。たぶん一生(悔いが)残ると思います。」
・こちらの女性は、がんの高額な治療法に多額の金をつぎ込み、貯金を取り崩したといいます。 「総額ではどれくらい?」 がん患者 「1,000万円近くいってる。家もなくなるかもしれません。」
・なぜ患者は、最先端を掲げた高額ながん治療に向かうのか。原因は、話題の医療用語をちりばめ、効果を期待させるインターネットの広告や、事実と異なる医師の説明だといいます。 医師 “人に投与できる用の遺伝子治療として、日本で第1号です。”
・。 厚生労働相 担当者 「『治療効果が期待できます』とか『副作用はありません』とか、こういった広告をなくしていきたい。」 がんの治療法を巡る情報の海の中、トラブルをなくすために何が必要なのか?徹底取材します。
・田中:がん治療のうち、国や学会が有効性・安全性を認めたものは「標準治療」と呼ばれ、手術、抗がん剤、放射線などがこれにあたります。この標準治療は「エビデンス」、つまり「科学的根拠」があり、今の時点で最良とされる治療で保険が適用されています(リンク先の図参照)。
・最近では、この青色の部分、最先端の治療法の研究も進み、免疫療法の一部は標準治療になっています。しかし、有効性・安全性が認められていない青の部分でも、効果が高いと期待させるような広告を出して治療を行う医療機関もあり、トラブルが起きています。
・4年前、52歳の夫をがんで亡くした女性です。 52歳の夫を亡くした女性 「これが主人が使っていたサーフボードなんですけど。」 医師から舌がんと診断を受けたとき、夫はステージ3でした。直ちに手術を受けたものの、がんは転移。主治医からは余命半年と告げられました。
・52歳の夫を亡くした女性 「言葉が出なかった。子ども3人いますし、今(夫を)失うわけにはいかない。」 ほかに有効な治療はないのか。頼ったのは、インターネットでした。当時、中学生だった息子が見つけたのは、がん遺伝子治療を掲げるクリニックのホームページ。「最先端の治療」という響きに期待を抱いた女性は、すぐにクリニックを訪れました。説明されたのは、点滴でがん抑制遺伝子を投与するという治療法。費用は、およそ550万円。クリニックの医師から標準治療をやめるよう勧められ、この治療に懸けることにしたといいます。
・52歳の夫を亡くした女性 「『本当によくたどり着きました、もう助かりますよ』という言葉をいただき、(夫は)これで本当に助かるんだという思いで。」
・ところが、期待に反し、がんの進行は止まりませんでした。疑念を抱いた家族は、医師に治療について改めて尋ねました。そのときの音声です。 夫“自分の感触だと、(がんは)小さくなっていないんじゃないかと。” 医師“小さくなっていない?” 夫の姉“よくなるんですかね?” 医師“前回まで順調に増殖を抑えてきているから。思い当たることはないですか?寝不足があったとか、強烈なスポーツをやったとか。” 夫“ないですね。” 
・さらに、点滴で投与しているという遺伝子の効果について、疑問を投げかけると…。 医師 “人に投与できる用の遺伝子治療として、国が初めて認めたのがここね。日本で第1号です。” 夫の姉“そうなんですか、ここが。” 
・しかし実際には、このクリニックの遺伝子治療が国に認められているという事実はありませんでした。まもなく夫は、余命といわれた半年を待たずに亡くなりました。女性と息子は、ネットの情報に頼ったことを今も悔やみ続けています。
・52歳の夫を亡くした女性 「本当に時が巻き戻しできるなら、『何やってんの、何信じてんの』と言いたい。たぶん一生(悔いが)残ると思う。」 女性は、事実と異なる説明により高額な代金を払わされたとして、クリニックを提訴。対するクリニックは、医師の説明が「不適切なものであった」と認めました。当時の治療をどう考えているのか、クリニックに直接問いました。
・患者に対して、効果が十分に証明されていない治療だと伝えたのか?」 電話:クリニック理事長“初めから言っていますからね。我々は最新医療だから、エビデンス(科学的根拠)はないですよと。『必ず治ります』なんていうことは、ひと言も言わないです。” 
・ならば、なぜ認めたのか尋ねると…。 電話:クリニック理事長“(裁判が)長引くほど、彼らは材料にして我々の悪宣伝を流しまくるので。戦う必要はないんで、別にそういう人にはお金を払えばいいことなんで。” 
・国は、標準治療でない高額な治療を巡るトラブルなどが相次いでいる事態を重くみて、医療法を改正。今月(6月)1日から、未承認の医薬品による治療の広告や、ネット上で虚偽や誇大な表現の広告を出すことを禁止しました。
・ゲスト大野智さん(大阪大学大学院 准教授) ゲスト竹原慎二さん(元プロボクサー)
── がんの治療に詳しい、医師の大野さん。有効性が十分には確かめられていない治療を多額の費用で行う、これは違法ではない?
・大野さん:そういった治療を行うこと自体は、医師の裁量権として認められてしまっています。ですので、結論から言えば「違法ではない」ということになります。ですが、今回のケースでも焦点にもなっておりますのが、標準治療などの正確な情報の説明が十分に行われていないケース、そういった説明が不十分なケース、その場合には罪に問われるケースがあるというふうにご理解いただけたらと思います。
── 広告の規制は始まったということだが、その治療内容そのものも適切に規制するということはできないのか?
・大野さん:最近になりまして、「免疫細胞療法」につきましては、再生医療法で厚生労働省も実態の把握というものに今、取り組んでおります。ですが一方で、今回例にありますような遺伝子治療などにつきましては、厚生労働省も実態すら把握できていないのが現状かと思います。
・田中:では現在、最先端の治療法はどこまで有効性が確認されているのでしょうか。まず、遺伝子治療で標準治療とされているものはありません。一方、免疫療法ですが、「オプジーボ」で知られる「免疫チェックポイント阻害剤」などは標準治療として推奨されているものもありますが、それ以外、例えば「樹状細胞ワクチン」や「NK細胞」を使った治療法は、十分に有効性が確認されていません。
・国立がん研究センターの若尾文彦さんは、「有効性・安全性について科学的根拠があり、現在利用できる最良の治療法が標準治療。高いお金を払ったから、よい効果を期待できるわけではない。医療はその点でほかのサービスとは違う」と話しています。
── これだけ最先端の治療が次々と出てくる中で、私たちは何を目安に治療法を選択すればよい?
・大野さん:3つあるかと思います。1つ目は、エビデンス(科学的根拠)が十分にあるかどうか。これは今出てきました若尾先生が作られている、国立がん研究センターのページを確認して、エビデンスがあるかどうか、それを確認するということが1つ。ない場合には少し怪しいと。もう1つは、費用の問題ですね。高額な費用がやはりかかるという場合には少し疑ってかかったほうがいいかなということ。最後に重要なポイントなんですけれども、標準治療を否定しているような場合、これはかなり危険なケースがあるのではないかと思います。
── そしてもう一方、元プロボクサーで、みずからもがんサバイバーでもある竹原さん。ご自身は標準治療に加えて、さまざまな治療法を試された?
・竹原さん:NK細胞の治療もやっておりましたけど、インターネットで調べて、女房がセミナー聞きに行ったんですよ。すごいよかったと。本も出してるから見てって言って、読んだんですよ。「やったらもう絶対に治るんじゃないか」と思うんですよ。それでやっちゃったんですけど。それとあと海藻エキスですか、1本3万するんですけど、24本(買って)。それも飲めば絶対治るんだと、単純なんでしょうね、僕、たぶん。
── でも、それを信じてしまうのは、なぜ?
・竹原さん:やっぱりインターネットを見たり、一番は、不安でしかたないんですよ。「治る」とかそういうのが書いてあれば確かめたくて、飲めば治るんだと信じてしまうんですよね。
── 標準治療は受けたうえで?
・竹原さん:僕の場合は標準治療を受けたあとで、それを確かめましたね。予防のために。
── やっぱり不安だという…。
・竹原さん:不安です。
▽がん代替療法 ネットにあふれる情報
── がんの治療としては、このほかにも健康食品や運動療法など、さまざまな情報が氾濫しているが、これはどう考えたらよい?
・大野さん:保険診療以外のさまざまな施術や療法につきましては、「補完代替療法」と呼ばれております。これら補完代替療法につきましては、残念ながら「がんが治る」というようなことについてのエビデンスがないのが現状です。ただ一方で、患者さんのさまざまな症状を和らげるという点については、エビデンスが最近、出つつあります。ただ、気をつけないといけない点としては、これらの施術や療法、ともすると体に優しいと思いがちなんですが、やはり副作用の問題であったり、今、受けている治療に影響を及ぼす場合もありますので、その点はよく主治医の先生と相談して決めていただけたらというふうに思います。
・田中:実際にこうした情報の海の中で、翻弄されたというがん患者もいます。 血液のがんと診断され、抗がん剤治療を続けている幡野広志さんです。ブログに闘病生活をつづったところ、がんを治す効果があるとうたう健康食品やサプリメントなど、さまざまな勧誘がSNSで送られてきました。中には「闘病ブログに書いてくれれば謝礼8万円を払う」というものもあったといいます。
・がん患者・写真家 幡野広志さん「こういう人たちが、がん患者を苦しめている元凶なんだと思いました。ふだんだったら『そんなわけないじゃん』てはねつけられるんですけど、気分が落ちている時というのは心が揺れますよね。」
── 竹原さんも同じような経験をされたのでは?
・竹原さん:ジムにたくさん物が届きましたね。「宣伝してくれ」、あとは「買ってくれ」とか、たくさん届きましたね。広島から、おふくろが、闘病中なんですけれども、風水の先生連れてきて、悪い所を見てもらって体も触ってもらって、「よし、治った」って。「手術すんなよ」と「手術したら死ぬぞ」って言われて。でも、うそとは(思いつつ)手術はしましたけど、落ち着くんですね、「もう治った」という言葉が。今までもう最悪なことばっかり言われたのに、その先生は「もう大丈夫だ」って言ってくれたんで、それがちょっとほっとするんですよね。本当に心は弱ってるんで、そういうので助かりますね。
── 取材を進めていく中で、その患者が標準治療以外の高額な治療に向かう背景には、医師とのコミュニケーションの問題があることも分かってきました。
▽総額1,000万円! なぜ高額がん治療に?
・卵巣がんの治療を続ける女性です。51歳のとき、がんと診断され、手術・抗がん剤・放射線と、勧められた標準治療はすべて受けました。それでも、がんは転移。主治医から「もう治療法はありません」と告げられました。
・卵巣がんの治療を続ける女性 「もう自分の人生は終わったかなっていう。頭の中真っ白ですね。こっちはわらにもすがるつもりで先生と向き合っていこうと思っていたのに、そんなの言われたときにはショックだったです。」
・女性は医師が自分を見放したと感じ、保険がきかない免疫療法など、最先端を掲げる治療に望みを懸けました。「総額ではどれくらい?」 卵巣がんの治療を続ける女性 「1,000万円近くいってる。家もなくなるかもしれません。」 大切な老後資金ですが、進行を止めたいという思いから、頼るしかないと考えています。
▽“最先端”高額がん治療 トラブルの実態
── 竹原さんも、医師とのやり取りの中でいろいろな体験があると?
・竹原さん:そうですね。心が弱ってるんですよ。そのときに高圧的にこられるんですよ。そうしたらもう、本当に「この人に逆らったら殺されるんじゃないか」っていう気持ちになっちゃうんですよね。もうその先生に質問してもちゃんと返してくれないし、とにかく不信感でいっぱいでしたね。
── やっぱり怖い?
・竹原さん:怖いです。まず病気、がんになったことも怖いし、その先生に逆らったらどうなるんだろうという怖さでいっぱいでしたね。
── なぜこういうことに?
・大野さん:今、プロボクサーのチャンピオンである竹原さんですら「医師が怖い」っていう話を伺って、やはり今の医療現場の中では、例えば患者と医師の力関係というのは、これは無視してはいけない、非常に大きな問題ではないかなというふうに思います。
・さらに医師のほうも、「インフォームド・コンセント」ということで、必要以上に患者さんに詳しく説明をしてしまっている。ともすると、抗がん剤の治療であれば、副作用の説明であったり、場合によっては、命に関わるかもしれない。さらに、その医療の不確実性というところを踏まえると、治るのか治らないかというところについてもやってみないと分からないというような形の説明に、ちょっとならざるをえないという、そういった現状が、やはり医師と患者との間のコミュニケーションがちょっと不十分になってしまってる原因になってるのじゃないかなと思います。
── 患者としては「大丈夫」と言ってもらいたいと思うが…。
・大野さん:今、お話にもありましたけれども、「大丈夫」っていう言葉が、今の医療現場ではほとんど医療者から口にされていないという、それがやはり不安を抱えて病院に来ている患者さんは、よけい不安になってしまっているという、そういった現状があるのではないかなというふうにも思います。
── どうすれば患者が納得して治療を選択できるのか。あふれる情報の中で、思い悩む患者をサポートするための仕組みを取材しました。
▽あふれるがん治療情報 納得して選ぶために
・30年以上にわたりがんの治療に取り組んできた、医師の寺嶋吉保さんです。患者が標準治療以外の高額な治療に向かう理由の1つは、医師が忙しくて患者に寄り添いきれていないからではないかと考えています。
・徳島県立中央病院 寺嶋吉保医師 「やりとりの中で、(患者は)聞きたくても聞けない。すごい不全感をもって(患者が)診察を受けている状況。」 せめて患者が医師や看護師などに悩みを相談できるようにと、週に1度、がん患者サロンを開いています。患者の多くが、新たな治療法が次々と出てくる中で戸惑いを感じていました。
・患者 「何を選んだらいいのか困ってしまう。」 患者 「エビデンス(科学的根拠)のある情報を流してほしい。」
・徳島県立中央病院 寺嶋吉保医師 「(ネットで)検索したら、国立がんセンターのホームページが真ん中に出ますよね。できたらそっちを先に見てください。」 しかし、サロンに参加しない患者も多く、一人一人へのフォローが十分にできないことが課題だといいます。
・そんな中、注目を集めているのが、「キャンサー・ナビゲーション」という制度です。アメリカのがん拠点病院で義務づけられています。国際医療経済学者のアキよしかわさんが、日本で紹介しています。
・国際医療経済学者 アキよしかわさん「どういうふうな治療法があって、どれが適切なのか、医療費はいくらかかるのか、そういうことを相談に乗る人、一緒に話をしてくれる人がナビゲーターの仕事。」 アキさんは3年前、ステージ3の大腸がんと診断され、手術。ハワイで抗がん剤治療を受ける際、ナビゲーターに出会いました。
・これは、病院専属のナビゲーターが、アキさんが海外から来ると知り、受診の前にくれたメールです。 アキさんがベストな状態で医師から最適な治療を受けられるよう希望に合わせてサポートするので、頼ってほしいと書かれていました。
・国際医療経済学者 アキよしかわさん「最初の外来診察の前に連絡が来たのは、すごいと思いました。こういうふうに相手からアプローチしてくれたら、ものすごく行きやすい。敷居が低くなって、気が楽になりました。」
・ナビゲーターは、実際どんなサポートをするのか。アキさんが治療を受けたハワイの病院を訪ねました。この病院では、7人のナビゲーターが常勤で働いています。半数は看護師で、半数はナビゲーターの訓練を受けた一般の人たちです。1人の患者を主に2人で担当。治療に関する情報から生活全般まで、忙しい医師ではフォローしきれない不安や悩みに対処します。
・キャンサー・ナビゲーター「今日は調子どう?」
・がん患者 ドワイト・カガワさん「いいよ。」
・こちらの患者は、肺がんの末期のステージ4。すでに脳にも転移がみられます。看護師のナビゲーターは、患者が医師の説明を理解し治療に納得しているか、丁寧に確認します。
・キャンサー・ナビゲーター「医師は何て?」
・がん患者 ドワイト・カガワさん「明日から使う抗がん剤は私の脳の腫瘍には効かないから、もしかしたら放射線もやるかもと言ってたよ。」
・キャンサー・ナビゲーター「そのとおりね。医師の言ったことをよく理解しているわね。」 そして、患者が抗がん剤の副作用への不安を抱えていることに気づきました。
・キャンサー・ナビゲーター「以前は別の薬と併用したから吐き気や疲れが出やすかったけれど、今回は1種類だけだからずっと楽なはずよ。きっと大丈夫。」 さらに、治療の説明が詳しい学会のサイトも紹介。このサイトはアプリもあるため、家で家族と見てはどうかと勧めました。
・がん患者 ドワイト・カガワさん「ナビゲーターは常に患者の側に立ち、何が起きているのか理解するのを助け、あらゆる手助けをしてくれて、全ての不安を取り除いてくれる存在なんです。」
── 日本でも、がん拠点病院などにがん相談支援センターの設置が義務づけられ、看護師などが常駐し、患者の相談に対応することになっているということだが、患者が納得して治療に向かえるようにするには、何が必要?
・大野さん:今お話がありました、がん相談支援センター、この存在をぜひ知っていただきたいということ。それ以外にも、がん診療拠点病院には「緩和ケアチーム」がございます。そちらも、決して終末期だけではなくて、診断されてからのサポートを受けられます。そのほか民間でも、例えば日本がん治療学会などが「認定がんナビゲーター」などの取り組みもスタートしてきております。
── どんな支援が必要? 
・竹原さん:孤独なんで、やっぱり相談できる場所ですよね。この間、「マギーズ東京」というところに行ったんですけど、本当に相談して、親身にアドバイスもしてくれるんで、そういう場所を見つけてもらいたいと。
── そういうサロンみたいなものが、病院の外にもあるわけですね。
・竹原さん:もう本当に、ああ、病気になる前に行けばよかったなと思いましたね。
── 語り合うということですね。 情報の海に途方に暮れるがん患者の皆さん。あらゆる治療が必ず治るというものではない中で、自分自身で命に関わる選択をしなくてはなりませんよね。患者が適切な情報にアクセスでき、納得いく選択をするための支援が、求められていると思います。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4141/index.html

第一の記事で、 『2017年11月7日、消費者庁は「飲むだけで痩せられる」などと誤った印象を与える宣伝を繰り返していたとして、大手を含め「機能性表示食品」を扱う16社に対して、再発防止などを求める措置命令を出しました』、というのは遅きに失したきらいがある。その後も、相変わらず、テレビでの派手なCMも続いているようだ。 『コラーゲンを食べると肌の状態が改善されるのか」などの質問状を送ったことがあります・・・いずれの回答もうるおうのは「喉」であり、「肌」にはひと言も触れていません。「うるおい」「うるおう」などの文言を配して広告していながら、このような答えが返ってくるのです。 なるほど、「肌がうるおう」は消費者側の勝手な解釈なのでしょうが、”コラーゲン神話”に便乗して販売しているととられても、仕方がないのではないでしょうか?』、『たいていの食品・食品成分の「有効性」に関して、ヒトにおけるきちんとしたデータがないだけでなく、むしろかなりの「危険情報」があることなどがわかります』、全く腹が立つ便乗商法だ。 『この制度が誕生する契機となった、2013年6月5日公表の「規制改革に関する答申」の副題が「経済再生への突破口」であることを忘れてはいけません。 世の中に蔓延する「食品成分の機能性幻想」につけ込み、無益どころか有害かもしれない”余計なモノ”を摂取させることで、経済を活性化させようとする人たちにとって、国民の健康は「どうでもいい」ものなのでしょうか?』、そもそも、体のなかで作られる成分を、直接、口などから摂取したところで、分解されてしまい、成分がきちんと作られる保証はない筈だ。こんないい加減な制度は、速やかに廃止してもらいたいものだ・・・無理だろうけど。
第二の記事で、 『機能性表示食品は開始3年足らずで1200品目以上に』、『青汁は、下痢やじんましんなどの事故情報が2015年から3年間で300件以上報告されている』、というのには驚かされた。青汁はどうも自然食品ではなく、青汁の粉に様々な薬品を添加してあるためだろう。『健康の大前提は規則正しい食生活と運動、そして睡眠の3要素であり、健康食品だけで健康になろうと考えるのは大間違いだ』、というのには強く同意したい。
第三の記事で、 『国は・・・医療法を改正。今月(6月)1日から、未承認の医薬品による治療の広告や、ネット上で虚偽や誇大な表現の広告を出すことを禁止しました』、というのも遅きに失したきらいがあるが、放置するよりはましだ。 まともな医者も、『「インフォームド・コンセント」ということで、必要以上に患者さんに詳しく説明をしてしまっている。ともすると、抗がん剤の治療であれば、副作用の説明であったり、場合によっては、命に関わるかもしれない。さらに、その医療の不確実性というところを踏まえると、治るのか治らないかというところについてもやってみないと分からないというような形の説明に、ちょっとならざるをえないという、そういった現状が、やはり医師と患者との間のコミュニケーションがちょっと不十分になってしまってる原因になってるのじゃないかなと思います』、というのはやむを得ない面がある。『「キャンサー・ナビゲーション」という制度』、は医師では出来ないような患者への親身のアドバイスが出来るだけに、なかなかいい制度だ。自分がガンで世話になる頃までには(すぐかも知れないが)、こうした制度がなるべく整ってほしいものだ。
タグ:東洋経済オンライン 誇大広告 現代ビジネス (その2)(消費者庁が初の措置命令「健康食品」のウソを見抜く方法 教えます コラーゲンで「お肌ぷるぷる」にはなりません、健康食品を信じ込んでいる人の大いなる誤解 青汁・酵素・グルコサミン…危害情報も急増、“最先端”がん治療トラブル) 髙橋 久仁子 「消費者庁が初の措置命令「健康食品」のウソを見抜く方法、教えます コラーゲンで「お肌ぷるぷる」にはなりません」 2017年11月7日、消費者庁は「飲むだけで痩せられる」などと誤った印象を与える宣伝を繰り返していたとして、大手を含め「機能性表示食品」を扱う16社に対して、再発防止などを求める措置命令を出しました ちまたには”コラーゲン神話”が蔓延しており、「コラーゲンでお肌ぷるぷる、しっとりつやつや」など、あたかも美肌効果があるかのような文言をよく見かけます いずれの回答もうるおうのは「喉」であり、「肌」にはひと言も触れていません。「うるおい」「うるおう」などの文言を配して広告していながら、このような答えが返ってくるのです。  なるほど、「肌がうるおう」は消費者側の勝手な解釈なのでしょうが、”コラーゲン神話”に便乗して販売しているととられても、仕方がないのではないでしょうか? 明白な疾病に対して治療の一環として服用する医薬品とは異なり、「健康食品」は”さらなる健康”を求めて利用するものであるはずです。 そのような目的で利用する商品に、「ここまでの有害作用は目をつぶろう」という”境界線”が存在しうるとは思えません 『「健康食品」ウソ・ホント』 「健康食品を信じ込んでいる人の大いなる誤解 青汁・酵素・グルコサミン…危害情報も急増」 機能性表示食品は開始3年足らずで1200品目以上に 効果を感じたという人についても、「ほとんどの場合は、(効くと信じて摂取することによって得られる)プラセボ効果だろう」(東京都医師会の尾﨑治夫会長) 青汁で下痢やじんましんなどの事故情報も そもそも健康の大前提は規則正しい食生活と運動、そして睡眠の3要素であり、健康食品だけで健康になろうと考えるのは大間違いだ NHKNHKクローズアップ現代+ +「“最先端”がん治療トラブル」 がん治療のうち、国や学会が有効性・安全性を認めたものは「標準治療」と呼ばれ、手術、抗がん剤、放射線などがこれにあたります。この標準治療は「エビデンス」、つまり「科学的根拠」があり、今の時点で最良とされる治療で保険が適用されています 女性は、事実と異なる説明により高額な代金を払わされたとして、クリニックを提訴 対するクリニックは、医師の説明が「不適切なものであった」と認めました 今月(6月)1日から、未承認の医薬品による治療の広告や、ネット上で虚偽や誇大な表現の広告を出すことを禁止 有効性・安全性について科学的根拠があり、現在利用できる最良の治療法が標準治療 高いお金を払ったから、よい効果を期待できるわけではない。医療はその点でほかのサービスとは違う 医師のほうも、「インフォームド・コンセント」ということで、必要以上に患者さんに詳しく説明をしてしまっている ともすると、抗がん剤の治療であれば、副作用の説明であったり、場合によっては、命に関わるかもしれない。さらに、その医療の不確実性というところを踏まえると、治るのか治らないかというところについてもやってみないと分からないというような形の説明に、ちょっとならざるをえないという、そういった現状が、やはり医師と患者との間のコミュニケーションがちょっと不十分になってしまってる原因になってるのじゃないかなと思います キャンサー・ナビゲーション 日本でも、がん拠点病院などにがん相談支援センターの設置が義務づけられ、看護師などが常駐し、患者の相談に対応することになっているということだが
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健康(その4)(トマト2個で肺機能を守る 前喫煙者でも効果あり、動きやすい部位の体操だけで満足してませんか?アンバランスなストレッチの習慣は逆効果の恐れも、「コレステロール=悪」は古い!控えるべきでない人もいる) [生活]

健康については、1月9日に取上げた。今日は、(その4)(トマト2個で肺機能を守る 前喫煙者でも効果あり、動きやすい部位の体操だけで満足してませんか?アンバランスなストレッチの習慣は逆効果の恐れも、「コレステロール=悪」は古い!控えるべきでない人もいる)である。

先ずは、フィットネスライターの松尾直俊氏が1月22日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「動きやすい部位の体操だけで満足してませんか?アンバランスなストレッチの習慣は逆効果の恐れも」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ 体を健康的に保ち、いつまでもパワフルに働くには、正しい運動と食事、そして休息のバランスが取れた生活が必要だ。そこで、著名なフィジカルトレーナーである中野ジェームズ修一氏が誤った健康常識を一刀両断。効果的で結果の出る、遠回りしないための健康術を紹介する。今回は、筋肉に張りやコリを感じた時に行うストレッチについて。仕事の合間などに行う人も多いだろうが、誤ったストレッチではかえって逆効果なこともあるようだ。
・仕事中は長時間のパソコン作業に、通勤途中の電車やバスの中ではスマートフォンの操作……。現代人は一日中同じ姿勢を続けることが多くなっている。さらに、歩くことや日常の家事で体を大きく動かすことも少なくなり、生活レベルでの活動量も減ってしまっている。
・筋肉は使わなければ、その能力が衰えていくと同時に、柔軟性も失われる。つまり体はどんどん硬くなってしまうのだ。「そこで多くの人は、柔軟性を回復させようとストレッチをしますよね。私はフィジカルトレーナーとして、そのこと自体は良いことだと思いますし、積極的にやってもらいたいと思っています。ただ、一般の方々が自己流で行っているストレッチには、いくつか見直してもらいたい点があるのです」と中野さんは語る。
▽可動域の限界を超えたストレッチは靭帯や腱を痛める
・一般の人がオフィスなどでよく手軽に行うのは、肩や首などの“静的ストレッチ”だ。長時間同じ姿勢を続け、凝り固まった筋肉を静的ストレッチで引き伸ばし、刺激を加えると、一時的だが気持ちがいいことは確かだ。定期的に行えば体の柔軟性が回復し、血行も良くなって、凝り固まりやすい体質が改善する。しかし、冬の気温が低い時期は注意が必要だ。
・「筋肉が冷えた状態で過剰な力で無理に引き伸ばすと、関節の可動域の限度を超えてしまい、筋肉だけでなく、靱帯や腱に大きな負担がかかります。すると、それらの組織を傷める可能性が高まります。運動後やお風呂から上がった後、まだ体が温かいうちに行うといいと思います」(中野さん)。
▽動かし難い部位こそ入念にストレッチ
・一般の人が行っているストレッチには、もう一つの問題点がある。多くの人が自分の知っている限られた部位のストレッチだけを繰り返す習慣があることだ。すると、柔らかい筋肉と硬いままの部位ができて、体の柔軟性のバランスが崩れてしまうのだ。「それが体の歪みにつながる場合があり、不快感を一層高める恐れがあります」(中野さん)
・筋肉は収縮することで力を発揮する。その際に、反対側の筋肉は引き伸ばされることになる。一方が収縮しているのに、反対側が硬いままだと、筋肉は無理に引っ張られて負担がかかる。その結果、前後・左右の筋肉の柔軟性のバランスがどんどん崩れていく可能性がある。それに、ほとんどの人が動かし難い筋肉を伸ばすことを避けてしまう傾向にある。本来であれば、硬くなって動きが鈍い部位こそストレッチをしなくてはいけない。
・「どこの筋肉が硬くなって、どの筋肉が緩んでいるかということを自覚できない人もいます。そういった人は、マッサージに行った時などに、どこが柔軟性が低く、硬くなっているかを、専門家に具体的な筋肉名を出して指摘してもらうといいですね。私自身もそうしてもらうことがあります。すると、自分では気がついていない部位が硬くなっていたり、逆に筋肉が、本来の良い意味での張りをなくしていたりすることがあるのです」(中野さん)
・伸びにくい箇所は、放っておくとさらに固縮が進んで動きが鈍くなってしまう。それを自覚して、積極的にストレッチすることが大切だ。 「こうした筋肉の柔軟性のアンバランスは、みなさんが知っているストレッチのバリエーションが少ないことも考えられます。今なら、「(筋肉名) ストレッチ」とネットの検索サービスで入力すれば、いろいろな方法が出てきます。一つの部位を伸ばすにしても、その人の筋肉の硬さやストレッチのやりやすさが異なりますから、いくつかの方法を試してみて自分に合ったものを取り入れてもらえればいいと思います」(中野さん)
・座ったままの姿勢で長時間の仕事をする人が硬くなりがちなのは、お尻の大殿筋と肩甲骨周辺の筋肉だが、この部分のストレッチを日常的に実践している人は多くないという。特にお尻の筋肉は、固縮しているのに気がつかない人も少なくない。今回は中野さんの実演動画で、大殿筋の静的ストレッチと肩甲骨周りの動的ストレッチを紹介する。ぜひとも生活の中に取り入れて、体の柔軟性をバランス良く確保し、快適な体を維持しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/110700081/011900019/?P=1

次に、医学ライターの井手ゆきえ氏が2月8日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「トマト2個で肺機能を守る、前喫煙者でも効果あり」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・あまり意識しないが呼吸機能も30代から衰え始める。 たとえば、息を思いっ切りはき出した際の「瞬間最大風速:ピークフロー」は年齢とともに減速し、肺活量や換気能力もじわじわ低下する。中高年以降にランニングや登山などきつめの有酸素運動がしんどくなるのは、心機能の低下に加えて、肺機能の衰えが影響するからだ。
・心機能と食事の関係については多数の研究報告があるが、ここ数年、肺機能を改善する食事についての報告が増えてきた。総合すると、野菜や果物に含まれる抗酸化ビタミン──ビタミンC、D、Eとβカロテン、そしてリコピンやフラボノイドなどの「フィトケミカル」が肺機能の衰えにブレーキをかける成分のようだ。
・昨年末に報告されたドイツ・英国・ノルウェー3カ国の住民を対象とした疫学調査では、果物(リンゴ、バナナ、オレンジ、ナシ、ベリー類)、そしてトマトは肺機能の低下を抑えることが示された。  同調査は、2002年に参加者680人(平均年齢43.8歳、男女比は1対1)について、食事の摂取状況と肺機能の検査値を調べ、10年後の数値と比較したもの。
・登録時、現役喫煙者は16.9%、過去1カ月間たばこを吸っていない前喫煙者が41%、非喫煙者は42.2%だった。 登録から10年後の検査では、肺機能は順調(?)に低下。しかし、果物類の総摂取量が多いほど衰えるスピードを抑えられることが判明したのだ。特に「生トマト」は、単独で有意に肺機能の低下を抑えた。生トマトの摂取量が1日1個未満の人は、1日2個以上を食べる人に比べ明らかに肺機能が衰えていたのである。
・研究者は「果物をたくさん含む食事は、加齢にともなう肺機能の衰えを抑える。たとえ喫煙歴があっても、肺のダメージを修復できるかもしれない」としている。 ただ、前喫煙者が食改善で利益を得るには、果物を毎日3人前ほど食べる必要があり、少々きつい。一方の生トマトは一年中出回っていることもあり、ハードルが低そうだ。朝昼のサラダと夜の冷やしトマトで肺機能を守ろう。
http://diamond.jp/articles/-/158943

第三に、管理栄養士の岡田明子氏が3月5日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「コレステロール=悪」は古い!控えるべきでない人もいる」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽コレステロールは悪者か 2014年から目標量の基準は撤廃
・コレステロールと聞くと悪いイメージを持っている人が多いのではないでしょうか? しかし、コレステロールは私たちの体にとって大切なものなのです。 コレステロールは体内で合成できる脂質で、細胞やホルモンの材料になります。機能が正反対になっている2種類があり、LDLコレステロールは、肝臓から全身の細胞にコレステロールを運ぶ役割を担っています。それに対してHDLコレステロールは、余分なコレステロールを全身から集めて肝臓に戻す役割を担っています。
・かつてはコレステロールの摂取基準(目標量)が定められていました。しかし、厚生労働省が2014年3月に発表した日本人の食事摂取基準(2015年版)から、コレステロールの摂取基準はなくなりました。食事から摂取されるコレステロールは、体内で作られるコレステロールの3分の1~7分の1ほどしか占めていないため、影響は少ないということが分かってきたからです。
・ただ、いくら基準がなくなったとしても、「コレステロールを多く含む食品をどれだけ食べてもOK」ということではありません。体内でコレステロールが合成される量や使われる量は、個人差が大きいということを覚えておかなければなりません。遺伝的背景や代謝状態に影響されるからです。
・つまり、コレステロールをどれくらい摂ればよいか? どれくらい抑えればよいか? は人それぞれと言えます。しかし、健康診断で「高コレステロール」と診断された人や遺伝的にコレステロールが高めの人は、心筋梗塞や脳梗塞などの病気にもつながりかねないので、摂取量に注意した方がよいでしょう。 注意の仕方は体型や年齢などの条件によって変わってきます。順にご説明していきます。
▽肥満・遺伝・更年期のタイプ別対策法
(1)太っている人
・まず、体重がオーバーしている人は、体重を減らすだけでもLDLコレステロールの数値を下げることができます。まずは、体重を落とすことを目標にして食事習慣の改善や運動習慣を取り入れていくとよいでしょう。 食習慣では特に、揚げ物や油物の料理、脂が多い肉、バターやクリームなどの油脂を含むお菓子を控え、その代わりに赤身の肉、魚、食物繊維を多く含む食品を意識して摂ることがポイントです。
・食物繊維は、余分なコレステロールの排出を促してくれます。野菜やきのこ、海藻、豆などの食物繊維を多く含む食品を毎食摂ることも意識していきましょう。毎食、副菜の小鉢や汁物を2皿食べることを目標にするとよいですね。
(2)更年期の人
・次に、女性の場合、更年期からコレステロールが上がってしまったという人も多いかと思います。女性ホルモンの「エストロゲン」にはLDLコレステロールの増加を抑える働きがあるため、閉経後にコレステロールが高くなることが多いのです。このケースも食事の見直しをしていくことが大切です。
 +3食以外に油脂の多いケーキやクッキーなどの間食を摂っていないか?
 +クロワッサンやデニッシュ系のパンや菓子パン、クリームチーズのような油脂の多いチーズを摂り過ぎていないか?
・このように、知らず知らずのうちに脂を摂り過ぎていることがあります。更年期は心身ともに大変な時期ですが、食習慣を改善するきっかけにしていきましょう。
(3)遺伝
・若い頃から健康診断でコレステロールが高めに診断される人は遺伝的なものかもしれません。この場合は、食事や運動などの生活習慣の改善だけでは難しいので早めに病院を受診しましょう。
(4)高齢者
・75歳以上の高齢の人は、コレステロールを多く含む食品を控えないようにしてください。コレステロールを多く含む食品は、タンパク質を多く含む動物性のものが多いため、控え過ぎるとタンパク質が不足しがちになり、低栄養になってしまうことがあります。
・高齢の方は、コレステロール値を気にして食事制限するよりも、低栄養にならないようにすることの方が大切です。
・コレステロールを多く含む食品には以下のようなものがあります。(1)~(3)に当てはまる人はこうした食品は控えるようにしましょう。 牛脂/ラード/バター/脂身の多い肉/ベーコン/サラミ/レバー/コンビーフ/卵/マヨネーズ/イカ/タコ/エビ/うなぎ/いくら/タラコ/クリームチーズ など
▽3択で傾向を知るコレステロールクイズ
・コレステロールが多い食事をもう少し詳しくお知らせするため、クイズ形式でご紹介します。
・クイズ1:この中でコレステロールが一番多い丼ぶりは? 1.親子丼 2.うな丼 3.海鮮丼  答え 3.の海鮮丼です。いくらやウニなどの魚卵、イカ、タコ、エビが入っている海鮮丼は一番コレステロ―ルが多いメニューです。続いて、親子丼、うな丼の順番になります。
・クイズ2:この中でコレステロールが一番多い鍋は? 1.おでん 2.豚キムチ鍋 3.もつ鍋  答え 1.のおでんです。ヘルシーな印象があるおでんですが、つみれやちくわなどの練り製品には意外とコレステロールが多く含まれています。また、卵、タコもコレステロールが多い食品です。おでんを食べる時は大根やこんにゃく、昆布など具材を選べばOKです。おでんに続いて、もつ鍋、豚キムチ鍋の順にコレステロールが多いメニューとなります。
・クイズ3:この中でコレステロールが一番多い居酒屋メニューは? 1.鶏の唐揚げ(6個) 2.子持ちししゃも(5尾) 3.出し巻玉子(卵3個分)  答え 3.の出し巻玉子です。卵を3個も使用している出し巻玉子が一番コレステロールが多いメニューです。続いて子持ちししゃも、鶏の唐揚げの順になります。居酒屋では、野菜のメニューと組み合わせてみんなでシェアしながら自分のお皿に取り分けて食べるようにしましょう。
・いかがでしょうか。コレステロールを多く含む食品の傾向が掴めてきたでしょうか。
▽食生活の影響を調べる 改善ポイントのまとめ
・最後に復習にもなりますが、コレステロールが高めの人に向けた食習慣改善ポイントをまとめます。 +揚げ物の回数を減らす
 +バターやクリームを多く含む間食を減らす
 +油脂を多く使用している食品を減らす(クロワッサン、クリームチーズなど)
 +脂身の多い肉を避ける
 +バターや牛脂などの油の使用を減らす
 +野菜、きのこ、海藻を毎食摂る
・コレステロールの上昇が食事によって影響されるかどうかは個人差があるため、高めの人は上記のような食習慣改善に取り組んでみてください。改善前よりもコレステロール値が下がれば食事に影響されているということが分かると思います。ぜひ、次回の健康診断に向けて食習慣の見直しをしていきましょう。
http://diamond.jp/articles/-/162046

第一の記事で、 『可動域の限界を超えたストレッチは靭帯や腱を痛める』、『動かし難い部位こそ入念にストレッチ』、などの指摘はk、言われてみれば、確かにその通りだ。紹介された 『大殿筋の静的ストレッチと肩甲骨周りの動的ストレッチ』、も含めこれから気をつけてやるようにしたい。
第二の記事で、『「トマト2個で肺機能を守る、前喫煙者でも効果あり」』、というのは、喫煙者である私にとってはとりわけ大きな朗報だ。トマトやサラダを大いに食べるようにしたい。
第三の記事で、 人間ドックで、コレステロールを注意されるようになって、10年以上になる。『コレステロールの摂取基準はなくなりました・・・ただ、いくら基準がなくなったとしても、「コレステロールを多く含む食品をどれだけ食べてもOK」ということではありません』、前半では喜んだが、後半になってやはり駄目かと、いささかガッカリした。ただ、『75歳以上の高齢の人は、コレステロールを多く含む食品を控えないようにしてください』、まだ75歳にはなっていないが、近づいているので、コレステロール値で一喜一憂するのはやめ、食事をもっと楽しむことにしたい。
タグ:健康 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 井手ゆきえ (その4)(トマト2個で肺機能を守る 前喫煙者でも効果あり、動きやすい部位の体操だけで満足してませんか?アンバランスなストレッチの習慣は逆効果の恐れも、「コレステロール=悪」は古い!控えるべきでない人もいる) 松尾直俊 「動きやすい部位の体操だけで満足してませんか?アンバランスなストレッチの習慣は逆効果の恐れも」 可動域の限界を超えたストレッチは靭帯や腱を痛める 動かし難い部位こそ入念にストレッチ 体の柔軟性のバランス 大殿筋の静的ストレッチ 肩甲骨周りの動的ストレッチ 「トマト2個で肺機能を守る、前喫煙者でも効果あり」 肺機能を改善する食事 野菜や果物に含まれる抗酸化ビタミン──ビタミンC、D、Eとβカロテン、そしてリコピンやフラボノイドなどの「フィトケミカル」が肺機能の衰えにブレーキをかける成分のようだ 10年後の数値と比較 果物類の総摂取量が多いほど衰えるスピードを抑えられることが判明したのだ。特に「生トマト」は、単独で有意に肺機能の低下を抑えた たとえ喫煙歴があっても、肺のダメージを修復できるかもしれない 岡田明子 「「コレステロール=悪」は古い!控えるべきでない人もいる」 厚生労働省が2014年3月に発表した日本人の食事摂取基準(2015年版)から、コレステロールの摂取基準はなくなりました 食事から摂取されるコレステロールは、体内で作られるコレステロールの3分の1~7分の1ほどしか占めていない コレステロールをどれくらい摂ればよいか? どれくらい抑えればよいか? は人それぞれと言えます 高齢の方は、コレステロール値を気にして食事制限するよりも、低栄養にならないようにすることの方が大切です
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