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2023年の回顧(その1)(政治家だけじゃない「耳を疑った失言集2023」 もはや開き直り…こんな国でいいのか?、「じゃこ天は貧乏くさい」「頭悪いね」…国民の胸に深く刺さった政治家の失言集2023) [経済政治動向]

今日は、2023年の回顧(その1)(政治家だけじゃない「耳を疑った失言集2023」 もはや開き直り…こんな国でいいのか?、「じゃこ天は貧乏くさい」「頭悪いね」…国民の胸に深く刺さった政治家の失言集2023)を紹介しよう。

先ずは、本年12月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの鎌田和歌氏による「政治家だけじゃない「耳を疑った失言集2023」、もはや開き直り…こんな国でいいのか?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/335693
・『早いもので2023年ももう師走。今年のニュースを失言とともに振り返りたい。失言といえば政治家に付き物だが、今年は組織や企業、個人からの“失言”も目立った。並べてみると想像以上にヒドイ。その傾向から読み取れる深い教訓とは? 近年では“炎上“する一般人が多い。飲食店で調味料の容器をくわえるような迷惑行為が拡散され、高額な損害賠償を請求されるまでに発展したし、以前からひんしゅくを買っていた迷惑系YouTuberが「私人逮捕」を理由に逮捕された。 失言といえば政治家に付き物だが、今年は政治家以外の人々からの“失言”も目立ったように感じられる。これも、SNSで誰もがスポットライトを浴びる可能性がある時代となったゆえのことなのかもしれない。 また、組織や企業の不祥事が相次ぎ、記者会見や追及の場でのトップによる失言・迷言も生まれた。 年の瀬に、政治家ではない人々の「失言」とともに今年のニュースを振り返ってみたい。なお、2023年の政治家失言まとめは来週に予定している』、興味深そうだ。 
・『【ジャニーズ事務所】 「被害者ではない可能性が高い方々が虚偽の話をされているケース」(エンタメ界において今年最大のニュースとなった、旧ジャニーズ事務所で故・ジャニー喜多川氏の長年にわたる性加害が放置されていた問題。 旧ジャニーズ事務所は第三者的立場の有識者からなる調査とその報告会見、さらに謝罪・説明のための記者会見を開いたが、会見の場で記者の「NGリスト」の存在が明らかになるなど、その対応や会見内容に疑問符がついた。 さらに10月9日に発表された声明「故ジャニー喜多川による性加害に関する一部報道と弊社からのお願いについて」の中には、「被害者でない可能性が高い方々が、本当の被害者の方々の証言を使って虚偽の話をされているケースが複数あるという情報にも接しており、これから被害者救済のために使用しようと考えている資金が、そうでない人たちに渡りかねないと非常に苦慮しております」という一文があった。) 被害を名乗り出た人たちは「金目的」といったネット上での誹謗中傷に苦しんでおり、この後、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバーだった男性が自死していたことも明らかになった。 この段階でこのような声明を出すことが果たして本当に必要だったのか。「複数あるという情報にも接しており」とあるが、どの程度の確度での情報だったのか明らかにされていないことも問題を感じる点だ』、「旧ジャニーズ事務所は第三者的立場の有識者からなる調査とその報告会見、さらに謝罪・説明のための記者会見を開いたが、会見の場で記者の「NGリスト」の存在が明らかになるなど、その対応や会見内容に疑問符がついた。 さらに10月9日に発表された声明「故ジャニー喜多川による性加害に関する一部報道と弊社からのお願いについて」の中には、「被害者でない可能性が高い方々が、本当の被害者の方々の証言を使って虚偽の話をされているケースが複数あるという情報にも接しており、これから被害者救済のために使用しようと考えている資金が、そうでない人たちに渡りかねないと非常に苦慮しております」という一文があった。 被害を名乗り出た人たちは「金目的」といったネット上での誹謗中傷に苦しんでおり、この後、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバーだった男性が自死していたことも明らかになった。 この段階でこのような声明を出すことが果たして本当に必要だったのか。「複数あるという情報にも接しており」とあるが、どの程度の確度での情報だったのか明らかにされていないことも問題を感じる点だ」、確かに「旧ジャニーズ事務所」からの情報開示には問題が多かった。
・『【宝塚(阪急電鉄)】「証拠となるものをお見せいただけるよう提案したい」(ジャニーズと同様に、その会見が悪い意味で話題となったのが宝塚歌劇団の記者会見。同劇団では9月末に女優が転落死し、その原因がいじめや嫌がらせ、長時間労働にあったのではないかと報道されていた。 11月に行われた記者会見で、同劇団の次期理事長であり阪急電鉄の取締役でもある村上浩爾氏は再検証を求める遺族に対して「そのように言われているのであれば、証拠となるものをお見せいただけるよう提案したい」と発言。 劇団員の死というあってはならない事態に際してのトップのこの発言は、冷酷を通り越して遺族や世論への好戦的な態度にさえ見えた』、「劇団員の死というあってはならない事態に際してのトップのこの発言は、冷酷を通り越して遺族や世論への好戦的な態度にさえ見えた」、その通りだ。
・『【経団連会長】「何が問題なのか」 12月4日の会見で、自民党への毎年約24億円への政治献金について問われた経団連の十倉雅和会長が放った一言「何が問題なのか」がネットで炎上。 十倉会長はさらに「社会貢献の一つ」「世界各国でも同様のことが行われている」と続けた。 政治献金は利権政治に直結する。さらに利権政治からの脱却を目指すべく導入された政党交付金制度があるにもかかわらず、企業からの献金が今なお廃止されていないことが批判されている。 金持ちのためだけの政治をいつまで続けるのか。開き直りとしか受け取れないこの失言に、庶民の怒りは止まらない』、「十倉会長」も「毎年約24億円への政治献金」の妥当性を説明すべきだ。さらに足元で、安倍派でパーティ券割り当て超過分を無申告で処理していたことが発覚し、国民の怒りは爆発寸前だ。
・『【林真理子・日大理事長】「違法な薬物が見つかったとか、 そういうことは一切ございません」 8月5日に大麻取締法違反で逮捕者が出た日大アメフト部。学生寮へ捜索が入ったのは8月3日だが、その前日の2日、マスコミの囲み取材に答えた林真理子理事長は「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ございません」と発言していた。 元を辿れば2018年の「悪質タックル問題」が発端となり、名門とされてきた部の体質が批判された。その記憶が残る中での不祥事だけに、呆れ返る声は大きい。  10月末に日大の対応を検証する第三者委員会は調査報告を発表し、この際の記者会見で、林理事長のコメントについて「失言に近い」と明言している。 また、12月に行われた逮捕された元部員の初公判では、中村敏英監督の「副学長に見つかって良かった」という発言を聞いたこの部員が「もみ消してもらえると思い、安心した」と当時の正直な心境を語ったことも報道された。 巨大組織の不健全な力学は、この際全て明らかになってほしいものだ』、「林真理子理事長」の余りに素人ぽいやり方には、呆れ果てた。
・【ビッグモーター社長】 「ゴルフを愛する人への冒涜」  ちなみに不祥事からの記者会見といえば今年は保険金不正請求が発覚した中古車販売大手のビッグモーター社もかなりインパクトがあった。しかし残念ながら、記憶に残るほどの失言が残っていない。 強いていえば、ゴルフボールを使って車両を損傷させた行為について、兼重宏行社長が「ゴルフを愛する人に対する冒涜だ」と語ったことだろうか。当時の報道でもズレたコメントだと言及されているが、これは失言というより迷言の類かもしれない』、「兼重宏行社長が「ゴルフを愛する人に対する冒涜だ」と語ったこと」は、「失言というより迷言の類かもしれない」、その通りだ。
・【人気ラッパー】「男子生徒はのぞけるならばのぞく」 スマートフォンの普及から増加傾向にあり、今年の刑法改正で「撮影罪」が新設されることになった盗撮問題。教育現場での教師から生徒・児童への盗撮や、生徒同士の盗撮について報道が増える中で、人気ラッパーの投稿が波紋を呼んだ。 発端は、6月下旬に熊本県立高校の修学旅行で複数の男子生徒が女子生徒の入浴を盗撮したり、のぞいていたりしたと報道されたことだった。) このニュースを引用して「のぞこうと思えばのぞけるような露天風呂を選んだ学校が悪い。男子生徒はのぞけるならばのぞく。当たり前だろ。」と投稿したのがラッパーの呂布カルマ。この投稿に共感や理解を示すファンもいた一方で、強い批判も巻き起こった。 これまで未成年同士の性犯罪は「子ども同士のこと」と矮小化される傾向があり、被害者側が泣き寝入りを余儀なくさせられることも珍しくなかった。その背景には「男の子なのだから多少のやんちゃは仕方ない」といった誤った認識と対応があったことは想像に難くない。 呂布が昨年ACジャパンのCM(「寛容ラップ」)に出演して、一般からの知名度・好感度を上げていたことや、10月にはNHKの性教育関連の特番に出演したことも、炎上が長引く理由となった』、私は「「のぞこうと思えばのぞけるような露天風呂を選んだ学校が悪い。男子生徒はのぞけるならばのぞく。当たり前だろ。」と投稿したのがラッパーの呂布カルマ」の意見に賛成だ。
・【アニメーター】「公開型のつつもたせ」 夏に大きく報道されたのが、韓国の人気女性DJが大阪のイベントで観客の男女3人から胸などを触られたと訴えた事件。その後、女性は3人を刑事告発したが、当事者間の和解によって不起訴となったことが報道されている。 この件でネット上では女性の露出度の高い衣装やパフォーマンスを非難する声が多く上がり、日本における性暴力被害者への二次加害として海外でも取り上げられる事態となっていた。 その中で特に話題となったのが、ジブリ作品の監督を務めたこともあるアニメーターの男性が「公開型のつつもたせなのだろう」「音楽フェスの主催者は、彼女の芸に加担しないことだ」などと投稿したこと。 数日後にこの男性は投稿が不適切であったことを認めて謝罪と撤回を行ったが、ネット上ではいまだに女性へ誹謗中傷が多く、日本のネット社会の残念さが浮き彫りになった。 まとめてみると、不祥事を報道された組織の開き直りに近い失言が目立った2023年。あなたの記憶に残る失言はあっただろうか』、「韓国の人気女性DJが大阪のイベントで観客の男女3人から胸などを触られたと訴えた事件」については、私は「女性の露出度の高い衣装やパフォーマンスを非難する声」に同意する。「日本のネット社会の残念さが浮き彫りに」、といわれては面目ないが、本音を隠す必要はないと思う。

次に、12月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの鎌田和歌氏による「「じゃこ天は貧乏くさい」「頭悪いね」…国民の胸に深く刺さった政治家の失言集2023」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/336371
・『今年もやってきた、1年を振り返る年末。失言がつきものの政治家たちのご発言、2023年はどのようなものがあっただろうか。改めて並べてみると、耳を疑うようなものばかり。あなたの胸に刺さった「失言」はどれだろうか。 1年を振り返る上で欠かせないのが政治家の失言だ。その年がどんな年だったのか改めて考える良いきっかけにもなる。言葉が商売である代議士のセンセイたちは、たびたびメディアの前でホンネを漏らしてしまう。そしてそれが、普段の行い以上に人となりを感じさせるから面白い。早速今年の失言を振り返ってみよう。(※各見出しの肩書は当時のもの)』、「言葉が商売である代議士のセンセイたちは、たびたびメディアの前でホンネを漏らしてしまう」、興味深そうだ。
・『「女性議員は割と発言しない人が多い」桜田義孝・元五輪相(11月1日)  猪口邦子参議院議員の政治資金パーティーで、「猪口議員は男の人より発言が多い」と、持ち上げる意図で述べられた発言。 すぐに思い出すのが、森喜朗氏の「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」(2021年2月)だろう。女性は話が長いのか、それとも発言しないのかどっちなんだいと言いたくなる。すぐに「女性は」とひとくくりにしてしまう森氏や桜田氏にありがちな傾向に問題がある。 女性の発言が少ない(あるいは話が長く感じられて鬱陶しい)のであれば、そのように決めつけられることが女性の発言を少なくさせたり、あるいは過度に説明せざるを得ない状況を招いたりしているとは考えないのだろうか。 桜田氏は昨年7月にも街頭演説で少子化問題や若者世代の未婚化をめぐり「女性はもっと男の人に寛大になっていただけたらありがたい」と述べ、その見識の古臭さを露呈させてしまっている。 また、今回の失言があったパーティーで桜田氏は「失言をしたことはない。本当のことを言うと『失言』と(周囲が)言う」と重ねたと報道されており、これも森喜朗氏の「女の人はよくしゃべると言っただけだ。本当の話をするので叱られる」(2022年6月)と相似している。 彼らの発言力がもう少し弱まれば、高齢男性政治家以外の多様な皆さんがもっと生き生きと発言できるのではないかと思わざるを得ない』、「桜田氏」と「森喜朗氏」の「発言力がもう少し弱まれば、高齢男性政治家以外の多様な皆さんがもっと生き生きと発言できるのではないかと思わざるを得ない」、その通りだ。
・『「差別がなくなっては困る人たちと戦ってきた」  杉田水脈衆院議員(10月27日) 失言する政治家として、ここ数年名前が挙がらないことがない杉田水脈議員。2022年末には総務政務官に就任したことへの批判が止まらず、辞表を提出していた。 その後しばらく名前を聞かなかったものの、今年後半から自身のYouTubeチャンネルで立て続けに4本のショート動画を更新し、その度に問題視する声が上がった。 発端は9月に札幌法務局から、10月には大阪の法務局から人権侵害の認定を受けたことで、杉田氏は動画の中でこれらに反論を行った。 「杉田水脈は差別主義者か」というタイトルの動画では、「私はアイヌや在日の方々に対する差別はあってはならないと思っています。LGBTや女性に対する差別も当然です」とした上で、「しかし、逆差別、エセ、そしてそれに伴う利権。差別を利用して日本を貶める人たちがいます」と続け、「差別がなくなっては困る人たちと戦ってきました」と述べた。 差別を受けてきたマイノリティが「利権」「逆差別」といった言葉を浴びせられ、差別の存在を訴えること自体を困難にされてきた過去から、何も学んでいないような発言だ。 法務局が人権侵害認定したのは、杉田氏が2016年のネット上に書き込んだ「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」といった文章だ。こういった表現が、なぜ「差別がなくなっては困る人たち」との戦いなのか。杉田氏が説明することはあるのだろうか』、「こういった表現が、なぜ「差別がなくなっては困る人たち」との戦いなのか。杉田氏が説明することはあるのだろうか」、「杉田氏が説明する」のはおよそ不可能だろう。
・『「支援者がウィシュマさんに淡い期待抱かせた」  梅村みずほ参議院議員(5月12日) 入管難民法改正案の審議で、日本維新の会の梅村みずほ議員の発言に、議場が一時騒然。報道されると市民からの抗議も殺到した。 2021年に名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33)について、梅村氏は「資料と映像を総合的に見ると、よかれと思った支援者の一言が、ウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながった恐れも否定できない」と述べた。 「詐病」は入管における問題についてネット上でよく見かける収容者や支援者への非難だが、ウィシュマさんは実際に亡くなっている。医師の「誤診」を、当事者や支援者に向けるのはお門違いが過ぎるだろう。 梅村氏の発言に根拠がなかったことは、この数日後に行われた遺族弁護団の質問で明らかになっている。この発言が想定以上の反発を招いたためなのか、維新の会はこの後梅村議員を6カ月の党員停止処分とした』、「梅村氏は「資料と映像を総合的に見ると、よかれと思った支援者の一言が、ウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながった恐れも否定できない」と述べた」、「維新の会はこの後梅村議員を6カ月の党員停止処分とした」、なるほど。
・『「じゃこ天は貧乏くさい」  佐竹敬久・秋田県知事(10月23日) 今どきYouTuberでもこの手の炎上には気をつけているであろうに、なぜ知事が他県の名産品をディスるのか。秋田市内で行われた講演会で、愛媛県名物のじゃこ天について「メインディッシュがいいステーキだと思って開けたらじゃこ天です。貧乏くさい。四国なんか大変ですよ。酒もうまくない」と発言。 直後に記者から問われ「事実だもの」と述べたとも報道されている。「貧乏くさい」は事実というより主観であるし、事実であれば何を言ってもいいわけではないし、開き直りは二重の失言である。 まずいと思ったのかこの2日後の緊急会見で佐竹知事は謝罪。さらに四国4県の知事に対してお詫びの書簡を送付したという。騒動の余波でじゃこ天の売れ行きが伸び、佐竹知事が「地元の居酒屋では注文していないじゃこ天が出されるようになった」と述べたとも報じられた。 クスッとしてしまう展開もあったものの、これ以前にも「比内地鶏は硬い」(8月26日)と言って謝罪するなど、かねてから失言が多いと地元紙は冷ややかに報道した』、「「メインディッシュがいいステーキだと思って開けたらじゃこ天です。貧乏くさい。四国なんか大変ですよ。酒もうまくない」と発言。 直後に記者から問われ「事実だもの」と述べたとも報道されている。「貧乏くさい」は事実というより主観であるし、事実であれば何を言ってもいいわけではないし、開き直りは二重の失言である・・・これ以前にも「比内地鶏は硬い」(8月26日)と言って謝罪するなど、かねてから失言が多いと地元紙は冷ややかに報道した」、なるほど。
・『「ブタ」「早めに封じておかないとね!」  澤田伸・渋谷区副区長(8月頃) 渋谷区の職員120人が閲覧できる公用チャットシステムで、特定の区議を名指しして「ブタ」「早めに封じておかないとね!」などと書き込んでいたことが発覚したのは澤田伸副区長。 書き込みを読んだ職員が匿名で区議団に情報を提供し、区議団が区に調査を要求したという。問題を感じた職員がいたから良かったものの、もし黙認されていたらと想像すると恐ろしい。 実名を挙げて中傷されたのは桑水流(くわずる)弓紀子議員で、区側に厳しい質問を行なっていたといい、副区長は区の職員も全員と同じ意見だと思い込んでいたのかもしれない。実際にチャットには「相手をするのも大変です」と副区長をたしなめるどころか同調するように見える返信もあったという。 澤田副区長は問題が明らかになった翌日にスピード辞職。同じ博報堂出身の澤田氏を登用した長谷部健区長も陳謝した。 「ブタ」についてはもはや、失言を超えた侮辱的な暴言と言ったほうが正しいかもしれない。いい大人がこんな侮辱を、大勢の人が目にする中で書き込んでいたというのが衝撃だ』、「渋谷区の職員120人が閲覧できる公用チャットシステムで、特定の区議を名指しして「ブタ」「早めに封じておかないとね!」などと書き込んでいたことが発覚したのは澤田伸副区長・・・澤田副区長は問題が明らかになった翌日にスピード辞職。同じ博報堂出身の澤田氏を登用した長谷部健区長も陳謝した。 「ブタ」についてはもはや、失言を超えた侮辱的な暴言と言ったほうが正しいかもしれない。いい大人がこんな侮辱を、大勢の人が目にする中で書き込んでいたというのが衝撃だ」、「博報堂出身」がこんな低次元の争いをしたとは世も末だ。
・『「頭悪いね」  谷川弥一衆議院議員(12月10日) 連日大きく報道されている政治資金パーティーをめぐる裏金問題。検察の手がどこまで及ぶかが注目される中、記者からの追及に逆ギレしたのが文科副大臣の経験もある谷川弥一議員。 谷川氏は4000万円超のキックバックが行われたとされており、発覚している中ではかなり高額にあたる1人。記者の前で「適切に対応してまいりたい」というお決まりの文句を読み上げた後、質問を重ねる記者に対して「今言った通り」「頭悪いねえ?言っているじゃないの。質問しても、これ以上、今日 言いませんと言っているじゃない。わからない?」とカメラの前で逆ギレした。 このような態度が国民の反発を招かないと思っているのであれば、政治家としての資質に大きな疑問符がつくと言わざるを得ない。 後援会への説明も全くないといい、後援会会長が「疑惑が事実かどうか明確になって、市民・後援会のみんなに対して安心させてほしい」とするコメントも報道されている』、「お決まりの文句を読み上げた後、質問を重ねる記者に対して「今言った通り」「頭悪いねえ?言っているじゃないの。質問しても、これ以上、今日 言いませんと言っているじゃない。わからない?」とカメラの前で逆ギレした。 このような態度が国民の反発を招かないと思っているのであれば、政治家としての資質に大きな疑問符がつくと言わざるを得ない。 後援会への説明も全くないといい、後援会会長が「疑惑が事実かどうか明確になって、市民・後援会のみんなに対して安心させてほしい」とするコメントも報道されている、テレビのニュースでも観たが、こんな酷い政治家がいるのかと信じ難い思いがした。
・『「LGBT見るのも嫌だ」  荒井勝喜首相秘書官(2月3日) 政治家の発言ではないものの、政治記者が報じて大きく話題になったのが首相秘書官の失言。 同性婚をめぐる記者団の取材に対して、「心の底では嫌だ」「認めたら国を捨てる人が出てくる」「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「(他の)秘書官もみんな、反対だ」などと述べたとする。 取材は非公式の場だったが、毎日新聞がこれを速報して他紙が続いた。記者が報じなければ問題化されずにすんでしまったかもしれないが、「オフレコ破り」ではないかという意見も飛び交った。 しかし、政治の中枢にいる人々のこのようなホンネを国民が知ることは必要だ。荒井秘書官はこの後、謝罪して発言を撤回したものの更迭となった』、「政治家の発言ではないものの、政治記者が報じて大きく話題になったのが首相秘書官の失言。 同性婚をめぐる記者団の取材に対して、「心の底では嫌だ」「認めたら国を捨てる人が出てくる」「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「(他の)秘書官もみんな、反対だ」などと述べたとする・・・取材は非公式の場だったが、毎日新聞がこれを速報して他紙が続いた・・・「オフレコ破り」ではないかという意見も飛び交った」、なるほど。
・『「女性ならではの感性」  岸田文雄首相(9月13日) 内閣改造で過去最多タイとなる女性閣僚5人を登用した岸田首相の一言が批判を招いた。 これについては9月15日の記事「岸田首相『女性ならではの感性』に批判殺到、なぜウンザリ発言を繰り返してしまうのか?」で詳述したので繰り返さないが、(https://diamond.jp/articles/-/329017)「男性ならでは」とは言われずに「女性ならでは」ばかりが繰り返されるのはなぜなのかを、構造的な問題として考えてほしい。これに尽きる。 2023年を代表する政治家たちの失言。これ以外にも、あなたの心に残るものはあっただろうか』、記事のポイントは「「女性ならではの感性」は「女性ならではの、しなやかな感性」などとも言われることがあるが、女性が生まれつき、男性よりも「しなやかな感性」を持っているという科学的根拠はない。もしそう見えるとすれば、男性中心社会が女性に対しては「適応力」や「調整力」、あるいは「職場の潤滑油」といったアシスタント的な役割を期待してきたことと無関係ではないはずだ。 さらに言えば、女性登用の際に「女性ならではの感性」に言及する違和感は、これまでも繰り返し指摘されてきたところだ。繰り返し批判され、うんざりの声が噴出してきた表現を、このタイミングで首相が使うガッカリ感がある」、「繰り返し批判され、うんざりの声が噴出してきた表現を、このタイミングで首相が使うガッカリ感」、とは言い得て妙だ。
タグ:った男性が自死していたことも明らかになった。 この段階でこのような声明を出すことが果たして本当に必要だったのか。「複数あるという情報にも接しており」とあるが、どの程度の確度での情報だったのか明らかにされていないことも問題を感じる点だ」、確かに「旧ジャニーズ事務所」からの情報開示には問題が多かった。 さらに10月9日に発表された声明「故ジャニー喜多川による性加害に関する一部報道と弊社からのお願いについて」の中には、「被害者でない可能性が高い方々が、本当の被害者の方々の証言を使って虚偽の話をされているケースが複数あるという情報にも接しており、これから被害者救済のために使用しようと考えている資金が、そうでない人たちに渡りかねないと非常に苦慮しております」という一文があった。 被害を名乗り出た人たちは「金目的」といったネット上での誹謗中傷に苦しんでおり、この後、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバーだ 「旧ジャニーズ事務所は第三者的立場の有識者からなる調査とその報告会見、さらに謝罪・説明のための記者会見を開いたが、会見の場で記者の「NGリスト」の存在が明らかになるなど、その対応や会見内容に疑問符がついた。 【ジャニーズ事務所】 「被害者ではない可能性が高い方々が虚偽の話をされているケース」 鎌田和歌氏による「政治家だけじゃない「耳を疑った失言集2023」、もはや開き直り…こんな国でいいのか?」 ダイヤモンド・オンライン (その1)(政治家だけじゃない「耳を疑った失言集2023」 もはや開き直り…こんな国でいいのか?、「じゃこ天は貧乏くさい」「頭悪いね」…国民の胸に深く刺さった政治家の失言集2023) 2023年の回顧 【宝塚(阪急電鉄)】「証拠となるものをお見せいただけるよう提案したい」 「劇団員の死というあってはならない事態に際してのトップのこの発言は、冷酷を通り越して遺族や世論への好戦的な態度にさえ見えた」、その通りだ。 【経団連会長】「何が問題なのか」 「十倉会長」も「毎年約24億円への政治献金」の妥当性を説明すべきだ。さらに足元で、安倍派でパーティ券割り当て超過分を無申告で処理していたことが発覚し、国民の怒りは爆発寸前だ。 【林真理子・日大理事長】「違法な薬物が見つかったとか、 そういうことは一切ございません」 「林真理子理事長」の余りに素人ぽいやり方には、呆れ果てた。 【ビッグモーター社長】 「ゴルフを愛する人への冒涜」 「兼重宏行社長が「ゴルフを愛する人に対する冒涜だ」と語ったこと」は、「失言というより迷言の類かもしれない」、その通りだ。 【人気ラッパー】「男子生徒はのぞけるならばのぞく」 私は「「のぞこうと思えばのぞけるような露天風呂を選んだ学校が悪い。男子生徒はのぞけるならばのぞく。当たり前だろ。」と投稿したのがラッパーの呂布カルマ」の意見に賛成だ。 【アニメーター】「公開型のつつもたせ」 「韓国の人気女性DJが大阪のイベントで観客の男女3人から胸などを触られたと訴えた事件」については、私は「女性の露出度の高い衣装やパフォーマンスを非難する声」に同意する。「日本のネット社会の残念さが浮き彫りに」、といわれては面目ないが、本音を隠す必要はないと思う。 鎌田和歌氏による「「じゃこ天は貧乏くさい」「頭悪いね」…国民の胸に深く刺さった政治家の失言集2023」 「言葉が商売である代議士のセンセイたちは、たびたびメディアの前でホンネを漏らしてしまう」、興味深そうだ。 「桜田氏」と「森喜朗氏」の「発言力がもう少し弱まれば、高齢男性政治家以外の多様な皆さんがもっと生き生きと発言できるのではないかと思わざるを得ない」、その通りだ。 「差別がなくなっては困る人たちと戦ってきた」  杉田水脈衆院議員(10月27日) 「こういった表現が、なぜ「差別がなくなっては困る人たち」との戦いなのか。杉田氏が説明することはあるのだろうか」、「杉田氏が説明する」のはおよそ不可能だろう。 「支援者がウィシュマさんに淡い期待抱かせた」  梅村みずほ参議院議員(5月12日) 「梅村氏は「資料と映像を総合的に見ると、よかれと思った支援者の一言が、ウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながった恐れも否定できない」と述べた」、「維新の会はこの後梅村議員を6カ月の党員停止処分とした」、なるほど。 「じゃこ天は貧乏くさい」  佐竹敬久・秋田県知事(10月23日) 「「メインディッシュがいいステーキだと思って開けたらじゃこ天です。貧乏くさい。四国なんか大変ですよ。酒もうまくない」と発言。 直後に記者から問われ「事実だもの」と述べたとも報道されている。「貧乏くさい」は事実というより主観であるし、事実であれば何を言ってもいいわけではないし、開き直りは二重の失言である・・・これ以前にも「比内地鶏は硬い」(8月26日)と言って謝罪するなど、かねてから失言が多いと地元紙は冷ややかに報道した」、なるほど。 「ブタ」「早めに封じておかないとね!」  澤田伸・渋谷区副区長(8月頃) 「渋谷区の職員120人が閲覧できる公用チャットシステムで、特定の区議を名指しして「ブタ」「早めに封じておかないとね!」などと書き込んでいたことが発覚したのは澤田伸副区長・・・澤田副区長は問題が明らかになった翌日にスピード辞職。同じ博報堂出身の澤田氏を登用した長谷部健区長も陳謝した。 「ブタ」についてはもはや、失言を超えた侮辱的な暴言と言ったほうが正しいかもしれない。いい大人がこんな侮辱を、大勢の人が目にする中で書き込んでいたというのが衝撃だ」、「博報堂出身」がこんな低次元の争いをしたとは世も末だ。 「頭悪いね」  谷川弥一衆議院議員(12月10日) 「お決まりの文句を読み上げた後、質問を重ねる記者に対して「今言った通り」「頭悪いねえ?言っているじゃないの。質問しても、これ以上、今日 言いませんと言っているじゃない。わからない?」とカメラの前で逆ギレした。 このような態度が国民の反発を招かないと思っているのであれば、政治家としての資質に大きな疑問符がつくと言わざるを得ない。 後援会への説明も全くないといい、後援会会長が「疑惑が事実かどうか明確になって、市民・後援会のみんなに対して安心させてほしい」とするコメントも報道されている、テレビのニュースでも観た が、こんな酷い政治家がいるのかと信じ難い思いがした。 「LGBT見るのも嫌だ」  荒井勝喜首相秘書官(2月3日) 「政治家の発言ではないものの、政治記者が報じて大きく話題になったのが首相秘書官の失言。 同性婚をめぐる記者団の取材に対して、「心の底では嫌だ」「認めたら国を捨てる人が出てくる」「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「(他の)秘書官もみんな、反対だ」などと述べたとする・・・取材は非公式の場だったが、毎日新聞がこれを速報して他紙が続いた・・・「オフレコ破り」ではないかという意見も飛び交った」、なるほど。 「女性ならではの感性」  岸田文雄首相(9月13日) 記事のポイントは「「女性ならではの感性」は「女性ならではの、しなやかな感性」などとも言われることがあるが、女性が生まれつき、男性よりも「しなやかな感性」を持っているという科学的根拠はない。もしそう見えるとすれば、男性中心社会が女性に対しては「適応力」や「調整力」、あるいは「職場の潤滑油」といったアシスタント的な役割を期待してきたことと無関係ではないはずだ。 さらに言えば、女性登用の際に「女性ならではの感性」に言及する違和感は、これまでも繰り返し指摘されてきたところだ。繰り返し批判され、うんざりの声が噴出してきた表現を、このタイミングで首相が使うガッカリ感がある」、「繰り返し批判され、うんざりの声が噴出してきた表現を、このタイミングで首相が使うガッカリ感」、とは言い得て妙だ。
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鉄道(その11)(富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行、開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調) [産業動向]

鉄道については、本年9月1日に取上げた。今日は、(その11)(富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行、開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調)である。

先ずは、本年12月4日付け東洋経済オンライン「富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/718700
・『富士山のふもとと5合目を結ぶ自動車道路・富士スバルライン上に軌道を整備して、富士山にLRT(軽量軌道交通)の車両を走らせるという「富士山登山鉄道構想」が山梨県で進められている。これに対し、スバルライン5合目の所在地である富士吉田市の堀内茂市長は「電気バスで十分」と反対、「そもそも地元への説明なしに進めているのがおかしい」と批判する。 合意形成を急ぐ長崎幸太郎知事は地元自治体向けの説明会を始めた。その第1弾は11月21日の山中湖村。さらに2024年1月にかけて忍野村、鳴沢村などでも開催する。とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた』、「とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた」、なるほど。
・『富士山「世界遺産の地位喪失」の危機  当日、会場となったふじさんホールにやってきた住民の数はおよそ780人。会場はほぼ満席で後方には立ち見客も出るほど。説明会は定刻の16時にスタートし、冒頭から約45分は知事が登山鉄道構想について説明した。 知事はまず、かなり長い時間をかけて現在の富士山が置かれた状況について説明した。アメリカのCNN、フランスのAFP、イギリスのロイターといった海外メディアの報道を引き合いに、弾丸登山が登山者を危険にさらしていることや、登山道沿いの汚れたトイレやゴミの山で「世界遺産の地位喪失」の危機に直面しているとした。) こんなエピソードも紹介された。富士山は2013年に世界文化遺産として登録されたが、登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」(長崎知事)。 富士山の現状に関する説明に続き、知事は会場に2つの同意を求めた。「富士山が地元の宝、日本の宝であるということに対して、私たちの間に意識の違いはないと思う」、「富士山の世界文化遺産としての価値を後世に引き継がないといけないということに反対する人はいないと思う」。知事が会場に対して「これらの点において私たちとみなさんは共通している。いかがでしょうか」と問うと大きな拍手が起きた』、「登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」・・・」、私は「富士山」が「世界遺産」から外されても、鉄道建設には絶対反対だ。
・『電気バスにも「大いに関心がある」  登山鉄道構想の反対派も拍手をしたかどうかはわからない。しかし、富士山が日本の宝であり、その価値を守らなくてはいけないという理念に反対する人はいないだろう。その点において、知事は登山鉄道構想の賛成派と反対派の共通認識を明確にすることには成功した。 「ではどうやって共通の目標を実現するか。その方法を議論したい」として、知事が「県の案」として持ち出したのが登山鉄道構想である。その内容は9月19日付記事(富士山「登山鉄道」、山梨県がこだわる真の理由)にあるとおりだが、それだけではなく、「LRTは街中にも延ばせる」として、富士山麓から山口湖や河口湖方面への延伸の可能性についても付け加えた。1400億円とされる総事業費については、「すべて県が負担するわけではない」として、国の補助金や民間企業の参加を示唆した。 電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした。最後に、知事は「あくまで提案であり、もっとよいアイデアはあるはず。ご関心のある人といっしょに考えて最善のアイデアを作り上げたい」と発言し、説明の内容を締めくくった。 その後は、会場の参加者との質疑応答に移った。すべての質問は知事が自ら回答した。堀内市長が会場から質問することはなかったため、知事と市長の直接対決を見たかった人は肩すかしをくらったことになるが、県と市は富士山のオーバーツーリズム対策で協力関係を築いていることもあり、あからさまな対決は避けたのだろう。大人の対応だ』、「電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした」、「電気バス」の優先順位は低いようだ。
・『地元住民「本当の議論をしていない」  気になった会場からの質問とそれに対する知事の回答をいくつか挙げてみる。たとえば、LRTの運賃が1万円というのは高すぎるという質問が出た。知事は「県民は1万円でなくてもいい。無料にすることも考えられる」と回答した。しかし、国費投入を想定するプロジェクトであることを考えれば、山梨県民が無料でそれ以外の日本国民が1万円というのは虫がよすぎる。あくまで地元向けのリップサービスと理解したい。 世界文化遺産登録が抹消されたらどんな影響があるかという質問もあった。知事は「想像もつかない。調べてみる」と回答した。登録抹消とは世界中から「富士山の価値を守っていない」と非難されることを意味するのだからそれを望む人はいないだろう。しかし、世界遺産登録が富士山の来訪者増に拍車をかけたのは間違いなく、登録が抹消されると登山者数は減り、オーバーツーリズムの問題も解消されるかもしれない。その意味では問題の本質を突く”怖い”質問だった。 「地元には反対意見が多いと思う。それは本当の議論をしていないからだ」という地元住民からの発言もあった。これはまったくそのとおり。県はあらゆる交通モードを比較検討してLRTが最善だと判断を下したというが、その過程で地元への説明が行われていなかった。それだけに、なんの議論もなくいきなりLRTという案が出てきたことに不信感を抱く地元住民は少なくない。知事は「今日は議論の始まりだ。LRTはあくまで1つのアイデアだ」と返した。) 数多くの質疑応答の中でも、知事は「これからみなさんといっしょに考えていきたい」と何度も繰り返した。その意味で「鉄道ありきではない」ことを宣言する説明会だったともいえる。 ところが、水面下では大学教授、JR職員など専門家による「富士山登山鉄道構想事業化検討会」が設けられており、事業面、技術面の課題を洗い出し、構想を事業化レベルまで引き上げるための検討が進められている。その第1回の会合が10月30日に都内で行われた。今後も議論を重ね、今年度末をめどに報告書をまとめる予定だ』、「富士山登山鉄道構想事業化検討会」は秘密会なのだろうか。「報告書をまとめる」前に検討状況を開示すべきだ。
・『本当に「鉄道ありきでない」のか  第1回会合の後、県で富士山登山鉄道推進事業を担当する和泉正剛知事政策局次長に「登山鉄道構想の事業化に関する研究を進めているということは、結局のところ”鉄道ありき、LRTありき”ということなのか」と尋ねると、「LRTありきではない。現実的かつ具体的な提案が出れば検討する」という返答があった。とはいえ、「登山鉄道構想事業化検討会」という名前の検討会で、委員が電気バスなど鉄道以外の交通モードについて提案するということは考えにくい。 また、知事が今後行う説明会の質疑応答の場で会場からほかの交通モードの検討を求める発言があったとして、知事がそれを「現実かつ具体的な提案」と認めるかどうか。知事は地域住民と「議論をしたい」「いっしょに考えていきたい」というが、それはどのような形を指すのだろう。少なくとも今回のような説明会で議論をしたり、いっしょに考えたりすることは難しい。 LRTと電気バスのどちらがふさわしいのかはさておき、知事が「鉄道ありきではない」というなら、今後についてはそれを前提に進めていくべきだ。山梨県の組織図を見ると、知事政策局の中に「富士山登山鉄道推進グループ」という部署がある。こういう部署があること自体、「鉄道ありきではない」という発言と矛盾している。本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう』、「本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう」、その通りだ。

次に、12月30日付け東洋経済オンライン「開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/722179
・『2023年の鉄道界は、新幹線の開業のような「大物」はなかったものの、地域の交通や鉄道ネットワークの姿を変える注目すべき新路線の開業や延伸があった。 3月18日には、東急電鉄東横線・目黒線と相模鉄道(相鉄)線を新横浜駅経由で結ぶ「相鉄・東急新横浜線」が開業。同月27日には、福岡市地下鉄七隈線が従来の終点だった天神南駅から博多駅まで延伸した。そして8月26日には、日本初の全線新設LRT(次世代型路面電車)として、栃木県宇都宮市と隣接する芳賀町を結ぶ「芳賀・宇都宮LRT」(ライトライン)が走り始めた。 地域の期待を集めて開業した各線。「その後」の姿はどうなっているのだろうか』、「その後」の姿をフォローする意味は大きい。
・『予想を下回る新横浜線  首都圏の鉄道ネットワークに新たな変化をもたらしたのが、相鉄・東急直通線だ。2023年3月に新規開業したのは、東急線の日吉駅から新横浜駅を経て、相鉄線の羽沢横浜国大駅までの約10km。東急線側の日吉―新横浜間を「東急新横浜線」、相鉄線側は新横浜―羽沢横浜国大間と、2019年に開業した同駅―西谷間を合わせて「相鉄新横浜線」と呼ぶ。 新規に開業した区間は約10km。これによって相鉄線と東急東横線・目黒線、そして両線に直通する東京メトロ副都心線・東武東上線、メトロ南北線・埼玉高速鉄道、都営地下鉄三田線を結ぶ直通運転がスタートした。直接の乗り入れはないものの、東横線と副都市線を介して線路のつながる西武鉄道を含めると、神奈川・東京・埼玉の1都2県にまたがる7社局14路線、計約250kmにおよぶネットワークが誕生した。 新横浜駅を経由することから、東海道新幹線へのアクセス路線としても注目される同線。JR東海も新横浜駅6時03分発の臨時「のぞみ」を新設し、東京駅や品川駅の始発列車よりも大阪方面へ早く着けることをPRしている。 では、開業後の利用実態はどうか。相鉄ホールディングスの2023年度第2四半期決算発表時の資料によると、相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果となった。東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている。 相鉄にとっては2019年11月開業の「相鉄・JR直通線」に次ぐ2つ目の都心直通ルート、東急にとっては東海道新幹線と接続する新横浜へのアクセス路線として期待を集めて開業した相鉄・東急新横浜線。定期外客の利用は堅調というが、定期客の利用が定着するまでにはまだ時間がかかりそうだ』、「相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果・・・東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている」、「定期客」の利用が思わしくないようだが、この要因はもっとじっくり分析する必要がありそうだ。
・『大混雑の七隈線、予測上回る宇都宮LRT  一方、好調なのが3月27日に天神南―博多間約2kmが延伸開業した福岡市地下鉄七隈線だ。同線は2005年2月に福岡市西南部の橋本と天神南を結ぶ約12kmが開業。東京の都営地下鉄大江戸線や大阪メトロ長堀鶴見緑地線などと同じ、リニアモーター駆動によってレールの上を車輪で走る「鉄輪式リニアモーター」の地下鉄で、JR在来線などの一般的な車両と比べてやや小ぶりな電車が4両編成で走る。 同線は開業以来、輸送人員が予想を大きく下回る状態が続いていた。当初の1日平均乗車人員の目標値は11万人だったが、2005年4月の1日平均乗車人員は約4万6000人と4割程度で、その後も低迷。天神南駅が繁華街である天神地区の中心から外れており、福岡市地下鉄空港線や西日本鉄道(西鉄)天神大牟田線の駅とも離れていることなどが要因だったとみられる。 だが、博多駅への直結で利用者数は急増。3月に1日当たり約7万5000人だった輸送人員は、延伸開業後の4月には約12万人と一気に1.6倍に。混雑の緩和が課題として急浮上し、8月にはダイヤ改正を実施してラッシュ時の列車を増便するまでになった。約2kmの延伸が大変貌をもたらした。) 8月26日には、栃木県宇都宮市と芳賀町に、LRT(次世代型路面電車)「芳賀・宇都宮LRT」(ライトライン)が開業した。同線はJR宇都宮駅東口から市内の清原工業団地などを経由し、隣接する芳賀町の芳賀・高根沢工業団地まで約15kmを結ぶ。 日本で初めて全線を新設したLRTとしても話題を呼んだ同線。開業初年度の需要予測は平日が1日当たり約1万2800人、休日は約4400人だったが、開業後1カ月の実績は平日がほぼ同程度の一方、休日は1万5000~1万6000人と大幅に予測を上回った。その後も利用は堅調で、11月15日には開業以来の累計利用者数が100万人に達した。 建設費の度重なる増加などで批判を受けたものの、クルマ社会の宇都宮で好調な滑り出しを見せているLRT。開業後の熱気が一段落する2024年からが本番といえる。今後はさらなる増発や快速運転の実施予定なども注目される』、「宇都宮」「LRT」の2024の「本番」が注目される。
・『2024年は北陸新幹線と北急(2024年も新たな路線が開業する。「目玉」となるのは、3月16日に開業する北陸新幹線の金沢(石川県)―敦賀(福井県)間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される。 初の新幹線開業となる福井県は「100年に1度のチャンス」として、観光振興などに期待を寄せる。一方で並行在来線は第三セクターに分離され、関西方面とを結ぶ在来線特急は敦賀止まりとなり、乗り換えを強いられることになる。 もう1つは北陸新幹線の1週間後、3月23日に開業する北大阪急行電鉄(大阪府)の千里中央―箕面萱野(みのおかやの)間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる。 新路線の開業は鉄道界にとって明るい話題だが、重要なのは「その後」だ。2023年開業の路線はおおむね好調に推移しているといえる。2024年開業の路線は期待通りの効果を生み出せるか』、「北陸新幹線の金沢―敦賀・・・間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される、これは便利そうだ。「北大阪急行電鉄・・・の千里中央―箕面萱野・・・間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる」、これも注目路線だ。 
タグ:「その後」の姿をフォローする意味は大きい。 「本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう」、その通りだ。 東洋経済オンライン「開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調」 「北陸新幹線の金沢―敦賀・・・間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される、これは便利そうだ。「北大阪急行電鉄・・・の千里中央―箕面萱野・・・間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる」、これも注目路線だ。 「宇都宮」「LRT」の2024の「本番」が注目される。 「相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果・・・東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている」、「定期客」の利用が思わしくないようだが、この要因はもっとじっくり分析する必要がありそうだ。 「富士山登山鉄道構想事業化検討会」は秘密会なのだろうか。「報告書をまとめる」前に検討状況を開示すべきだ。 「電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした」、「電気バス」の優先順位は低いようだ。 「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」・・・」、私は「富士山」が「世界遺産」から外されても、鉄道建設には絶対反対だ。 「登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。 「とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた」、なるほど。 東洋経済オンライン「富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行」 (その11)(富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行、開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調) 鉄道
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教育(その31)(名門・平安女学院の「クーデター事件」が恐ろしすぎる…辞任に追い込まれた名物理事長の告白《女性校長は 中高生までストライキに巻き込んだ》、港区の公立中学「修学旅行はシンガポール」は“格差”の象徴か ネットは炎上も専門家は「評価すべき」、「ロースクールは意味ない」現役学生が断言のワケ 抜け道“予備試験”こそ本命の皮肉) [社会]

教育については、本年7月11日に取上げた。今日は、(その31)(名門・平安女学院の「クーデター事件」が恐ろしすぎる…辞任に追い込まれた名物理事長の告白《女性校長は 中高生までストライキに巻き込んだ》、港区の公立中学「修学旅行はシンガポール」は“格差”の象徴か ネットは炎上も専門家は「評価すべき」、「ロースクールは意味ない」現役学生が断言のワケ 抜け道“予備試験”こそ本命の皮肉)である。

先ずは、8月23日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの井上 久男氏による「名門・平安女学院の「クーデター事件」が恐ろしすぎる…辞任に追い込まれた名物理事長の告白《女性校長は、中高生までストライキに巻き込んだ》」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/115198?imp=0
・『80億円近い累積債務  1875(明治8)年に設立され、日本で最初にセーラー服を制服に導入したと言われる老舗の女子中高を抱え、法人本部が京都御所の向かいにある名門の学校法人・平安女学院(京都市)で、理事長や学院長を長年務めていた山岡景一郎氏(92歳)が今年4月2日付で突如、辞任に追い込まれた。氏は経営破たん寸前の同学院を救済した功労者で、高齢ながらも、頭脳明晰で教育への熱意は衰えることがなく、政財界に太いパイプがある「名物理事長」として知られていた。 辞任の背景には「クーデターがあった」と指摘する声も出ている。なぜなら辞任に至る半年ほど前から一部の幹部らが週刊誌に対し、山岡氏にパワハラがあるかのような情報を流し、氏を追い出そうとしていると見られても仕方ない動きが起こっていたからだ。 学校法人内で起こったクーデターと見られる動きや辞任の経緯などについて山岡氏に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは山岡氏の回答)』、「名物理事長」に対しクーデター」とは穏やかではない。
・『Q:今年4月2日付で辞任した理由を教えてください。 A:「そのことを説明するためには、私が2003年に平安女学院の理事長に就任した経緯からお話しする必要があるでしょう。21年前の2002年当時、私の仕事は経営コンサルタントで、法人を運営していたキリスト教の聖公会の主教と当時の理事長から法人の再建のために理事長就任を要請されましたが、あまりに杜撰な経営体制と負債の多さに驚き、断りました。 しかし、亡妻が聖公会の熱心な信者であったため、見捨てるわけにもいかず、顧問・改革委員長として法人の再建を引き受けたわけですが、実際に法人の経営を目の当たりにすると、80億円近い累積債務があり、事実上、経営は破たんしていました。その債務のうち15億円は理事会の承認を得ていない、ノンバンクからの隠れ債務でした。 杜撰な経営体制だった理由は、教職員組合が学校経営を支配していたからでした。経営破たん寸前なのに教職員の賃金水準は京都府下でトップクラス。その賃金を支払うために、規律のない借り入れを行い、挙句には主要キャンパスまで売却するようなことをしていました。当時の経営陣も教職員の選挙で選ばれるなど、労組が背後から経営を操りやすい状況にありました。 私が自ら交渉し、わずか1年近くで債務整理に目途をつけました。教職員に対しては、いったん退職金を支払ってやめてもらい、新人事制度の下、賃金を30%カットして再雇用しました。同時に経営に対する労組の関与も排除しました。 こうした改革を踏まえて2003年に私は理事長に就任しました。その後、経営上負担となっていた滋賀県・守山キャンパスの廃止なども行い、法人存続のために、リストラを続けましたが、同時に、大学は実学重視で就職率を高め、中・高は教育の質を高めることなどで入学者を増やし、経営を再建しました。私が理事長就任以来、赤字になったことはありません」』、「80億円近い累積債務があり、事実上、経営は破たんしていました。その債務のうち15億円は理事会の承認を得ていない、ノンバンクからの隠れ債務でした・・・杜撰な経営体制だった理由は、教職員組合が学校経営を支配していたからでした。経営破たん寸前なのに教職員の賃金水準は京都府下でトップクラス。その賃金を支払うために、規律のない借り入れを行い、挙句には主要キャンパスまで売却するようなことをしていました。当時の経営陣も教職員の選挙で選ばれるなど、労組が背後から経営を操りやすい状況にありました・・・私が自ら交渉し、わずか1年近くで債務整理に目途をつけました。教職員に対しては、いったん退職金を支払ってやめてもらい、新人事制度の下、賃金を30%カットして再雇用しました。同時に経営に対する労組の関与も排除しました。 こうした改革を踏まえて2003年に私は理事長に就任しました。その後、経営上負担となっていた滋賀県・守山キャンパスの廃止なども行い、法人存続のために、リストラを続けましたが、同時に、大学は実学重視で就職率を高め、中・高は教育の質を高めることなどで入学者を増やし、経営を再建しました。私が理事長就任以来、赤字になったことはありません」、事実上の「破綻」状態から、「再建」したとは大したものだ。
・『元労組委員長の女性校長  「理事長辞任までの間に、私財で現金約1200万円、私が経営していた旅館の備品類約1500万円相当を法人に寄付しています。 また、傘下の平安女学院大学は小規模私学であり、定員が多い大規模私学に学生を奪われる傾向がありましたので、それを是正するために、下村博文・文科相(当時)に事情を詳しく話し、小規模校のハンディキャップを取り除く対策の実現に繋げることができました。 自ら功労者というのは憚られますが、法人を再建した功績は棚の上に上げ、今回のクーデターは20年前の意趣返しと言っても過言ではないでしょう。はっきりと申し上げますが、その首謀者は、平安女学院中・高校の校長を務める今井千和世氏(70歳)です。今井氏は労組委員長を務めていた関係で今でも労組への影響力があります。彼女が中心となって私の追い出し工作を進めました。今井氏の動きに協力したメンバーはほとんどが20年前に労組幹部だった面々です。 私を追い出した後、彼女は法人の理事に就き、理事会を実質支配しているようです。私の後任の理事長に就いた毛利憲一氏はほとんど影響力を持っていないようです。今井氏らは早速、理事の定年を80歳に延長しました。自らが居座るつもりでしょう。さらに、一時金15万円の支給や幹部に対する手当の増額を決め、少子化の影響で23年には経常赤字に転落する可能性がある中で、教職員に大盤振る舞いしている。20年前の悪夢の再来です」 Q:追い出し工作とは、どのようなことがあったのですか。 A:「2021年3月1日に行われた高校の卒業式での私の挨拶の言葉尻をとらえて今井氏が一部の保護者らを巻き込んで私を辞めさせる運動を展開しました。 私は式辞で、「世の中には、どうしてもいて欲しい人、どちらかと言えばいて欲しい人、いてもいなくてもいい人、いたらあまりよくない人、いたら害になる人の5種類のタイプがいる」と語りました。卒業生に世の中で必要とされる人材になってくださいという激励の意味がありました。 私は、拙著『平安女学院の奇跡』(2017年、PHP研究所)でも同じことを言っていますし、文科省が後援するマナー講座の教科書にも同様のことが紹介されています。卒業式の2ヵ月前にあった教職員の研修会でも同じ話をしていますが、何も問題は起こりませんでした」』、「今井氏は労組委員長を務めていた関係で今でも労組への影響力があります。彼女が中心となって私の追い出し工作を進めました。今井氏の動きに協力したメンバーはほとんどが20年前に労組幹部だった面々です。 私を追い出した後、彼女は法人の理事に就き、理事会を実質支配しているようです。私の後任の理事長に就いた毛利憲一氏はほとんど影響力を持っていないようです。今井氏らは早速、理事の定年を80歳に延長しました。自らが居座るつもりでしょう」、なるほど。
・『中高生まで参加したストライキ  「ただ、私の発言が多くの人に誤解や不快感を与えるなら、反省しないといけませんが、常識に照らしてもまっとうなことを言ったつもりです。 しかし、この発言が学院の掲げるキリスト教の教えに反するとして、今井氏らが中心となって私の排斥運動を始めました。私には単なる言いがかりのようにしか見えません。 今井氏は校長という立場を利用して、教職員会議を二度にわたって理事長糾弾の決起集会の場に使ったり、配下の教員を使って勤務時間中に理事長排斥の賛同集めを繰り返したり就業規則などに著しく反する行動を行ったため、2021年6月に法人の懲戒委員会にかけられた結果、懲戒解雇が相当との判断が下されました。 これに対し、今井氏は京都地裁に懲戒処分をしないことを求める仮処分申請を行い、一連の動きをメディアに流しました。私は学校のイメージが悪化することを憂慮して、今井氏と話し合って、懲戒解雇処分の撤回を決めました。 もともと今井氏は、65歳の定年を延長して中高の校長を務めていたので、これを機会に退任し、後任含みで有力な提携校である学校法人立命館から羽田澄氏を副校長で迎え入れる人事が2022年1月に決まりました。約1年かけて今井氏から羽田氏に校長業務が引き継がれるはずでしたが、パソコン内の管理職フォルダが削除され、教職員会議をはじめとする各種の会議での執拗な嫌がらせが続きました。それらの行為について、私は今井氏や組合幹部が行ったものと見ています。その影響で、羽田氏は身心に不調をきたして23年3月に退任しました。羽田氏は文書で、詳細にどのような嫌がらせが行われたのか提出しています。 かつて今井氏は手下の教職員と一緒に「庭を掃除したい」と言って、私の自宅に来たことがあります。彼女は私に対する「二つの顔」を巧みに使い分け、定年後も校長として居座って何とか自分の生き残りを図り、その間に私を引きずり下ろすことを狙っていたのだと思います」 Q:辞任の決定打となるような動きは他にもあったのですか。 A:2023年1月に教職員組合が私の退任を求めてストライキを断行し、理事長退任を求める約5000人の署名が提出されました。ストライキには、中高生まで参加するという異常事態です。今井氏は参加した生徒らに向けて拍手していました。 その署名活動などを調べると、どうも教職員の力だけでできるような規模ではなく、外部と結んだ政治活動の様相を帯びていました。生徒を政治活動に参加させても良いものかと私は疑問を感じています」』、「2023年1月に教職員組合が私の退任を求めてストライキを断行し、理事長退任を求める約5000人の署名が提出されました。ストライキには、中高生まで参加するという異常事態です。今井氏は参加した生徒らに向けて拍手していました。 その署名活動などを調べると、どうも教職員の力だけでできるような規模ではなく、外部と結んだ政治活動の様相を帯びていました。生徒を政治活動に参加させても良いものかと私は疑問を感じています」、「外部と結んだ政治活動の様相」とは穏やかならざる事態だ。
・『率直に言えば、裏切られた 「ただ、今井氏は校長として、進学に関しての推薦や授業料減免で権限を持っているため、生徒や保護者が今井氏の方を向いてしまう現実は仕方ないので、ストライキに参加した学生や署名した保護者を恨む気持ちは全くなく、自分の権力を利用して、法人内の争いに生徒や保護者を巻き込んだ今井氏の手法が許せません。 このストライキと前後して、一部の週刊誌やネットメディアで、今井氏が、私が独裁やパワハラを行っているような発言をする記事が掲載されて世間を騒がし始め、私も心労が重なって体調が崩れかけたため、これ以上、法人に迷惑をかけたくないと思いから辞任を決めました。 自分の名誉のために敢えて申し上げますが、私にパワハラがあった否か法人の監事である弁護士が調査して、2023年3月29日付で報告書が提出されていますが、その中では、パワハラ行為は認められなかったと報告されています。 独裁か否かについては、私はかねてより私の経営手法は「衆議独裁」と法人内でも言ってきました。厳しい経営判断は、経営トップが責任をもって一人で行うが、判断に至るまでのプロセスにおいては意見を吸い上げるという意味です。 また、私が就任当初、影響力を排除した労組の幹部でも活用できる人材は活用してきました。その典型が今井氏でしょう。率直に言えば、裏切られたとの思いもあります。 また、法人監事による調査はそもそも保護者や教員からの要望で行われたものですが、私を追い出した連中にとっては都合の悪い調査結果になったため、非公開の扱いにしてくれと言いました。私は、それはおかしいと思いますので、中高のすべての保護者にそれを送ったところ、その行為に対して、法人の現理事長である毛利憲一氏から内容証明の郵便が届き、名誉理事長職や名誉学院長職をはく奪する可能性があると通告してきました。そもそもこうした報告書を非公開とすることがおかしいし、メディアを使って私にパワハラ行為があることをでっち上げておきながら、よくそんなことが言えるなと思います。私の行為にパワハラがあると吹聴した今井氏に対しては法的措置も検討したいと思っています」 Q:現在も名誉理事長であり、20年近く法人の経営を担ってきた立場として、今後の平安女学院に対して何かメッセージはありますか。 A:「私が理事長に就いた当初、平安女学院高校と言えば、制服の着こなしが乱れ、茶髪もOKで、地元でも評判が悪い学校でした。私はこうした校風の立て直しにも注力しましたが、今井氏は茶髪もOK、スマートフォンの利用も自由というふうに生徒心得を教職員の合意がないまま変えました。以前の平安女学院に戻ってしまうことを危惧しています。 2023年度には、大学の入学者が定員の半分程度になっており、これでは経常赤字に陥る可能性が高く、この少子高齢化で回復させるのは至難の業です。 経営状況の悪化を受けて、理事会は、私が苦心して購入し、法人の迎賓館として、あるいは教養のために茶道を学ぶ場として活用してきた旧有栖川宮邸を売却する方向で動いているようです。売却すれば20億円程度の利益が出るので、その売却益で退職金などを捻出し、一息つく算段であることが透けて見えます。 また、最近発売された『宗教問題』という雑誌で、宗教系学校の経営問題が取り上げられ、そこで今井氏が、2024年に平安女学院大学の募集を停止する可能性に言及し、中高にも大胆な改革が必要になるとか、人員整理が必要だと述べていますが、私から見れば元労組の委員長で雇用を守る立場にあった者が理事になって立場が変わると豹変し、随分勝手なことを言っていると思います」』、「最近発売された『宗教問題』という雑誌で、宗教系学校の経営問題が取り上げられ、そこで今井氏が、2024年に平安女学院大学の募集を停止する可能性に言及し、中高にも大胆な改革が必要になるとか、人員整理が必要だと述べていますが、私から見れば元労組の委員長で雇用を守る立場にあった者が理事になって立場が変わると豹変し、随分勝手なことを言っていると思います」、その通りだ。
・『当の校長本人を直撃すると  山岡氏へのインタビューを受け、筆者は平安女学院の関係者に見解を聞いた。対応したのは、常務理事法人事務局長である栗田康文氏と、理事で中高学校長を務める今井千和世氏。 Q:山岡氏は、自身の辞任はクーデターであり、その首謀者が今井氏であると言っているが、それは事実か。 栗田氏「今井先生は今年5月24日付で理事に就きました。山岡前理事長体制下では理事ではなく、理事長人事を決めることにタッチできる立場ではなかったので、扇動して理事長を降ろしたということはありません」 今井氏「山岡前理事長の辞任は、2021年3月1日の卒業式における式辞の問題が原因です。その発言を聞いた保護者らから抗議があり、校長としてそれに対応せざるを得なかった。山岡前理事長は自らお辞めになったので、私が引きずり下ろしたのではありません」 Q:教職員会議を山岡氏排斥のための決起集会の場などに使ったことはあるか。懲戒解雇処分を受けたことは事実か。 今井氏「卒業式の式辞の問題に関して卒業生・保護者から電話が殺到し、教職員会議で対策を協議したことはありますが、排斥の場にしたことは全くありません。懲戒解雇処分を受けたことは事実ですが、山岡前理事長は騒ぎの拡大を心配したのか処分は撤回されました」 栗田氏「これまでの就業規則では、『上司に逆らえば厳重に処罰する』といった文言が細かく盛り込まれていましたが、それを今年4月3日付で改定しました。これまでも懲戒解雇処分を受けた職員がいますが、過去の労働裁判で法人側が敗訴していたこともあって改定しました。山岡前理事長の法人再建の実績は素晴らしいが、在任期間の晩年は法人が「個人商店化」した面は否めないと思います」 Q:立命館から校長含みで来た羽田澄氏に対して今井氏や組合幹部による嫌がらせが行われたなどと、羽田氏本人が文書で提出しています。 今井氏「校長でありながら私を外して会議が行われるなど、いじめられたのは私の方だと思っています。むしろ私は羽田先生にアドバイスを送り、助けたつもりです。羽田氏より管理職フォルダが消されたと聞きましたが、紙では残っているので、これを見てくださいとお示ししました』、「羽田氏より管理職フォルダが消されたと聞きましたが、紙では残っているので、これを見てくださいとお示ししました」、明らかに「管理職フォルダが消された」のは事実のようだ。「紙では残っている」という言い訳にすぎず、効率が著しく低下するので、明確な嫌がらせだ。

次に、9月6日付けAERAdot「港区の公立中学「修学旅行はシンガポール」は“格差”の象徴か ネットは炎上も専門家は「評価すべき」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/articles/-/200630?page=1
・『9月4日、高級住宅街が多いことで知られる東京・港区が、来年度から全ての区立中学校で修学旅行を海外で実施することを発表した。だが、これに対してネット上では異論や反論が噴出し、なかば炎上に近い状態となっている。 港区の公式サイトによると、最初の対象となるのは、2024年度の区立中3年生の生徒約760人。実施時期は24年6月から9月ごろで3泊5日を予定しており、行き先はシンガポール。事業費として約5億1200万円を計上するという。 教育問題に詳しいライターが言う。 「港区は全国でも屈指の“金持ち自治体”として知られています。修学旅行でシンガポールを訪れる意義として、『異文化を体験して国際理解を深めてもらう』『区立中の魅力向上』などを挙げています。これまで港区立中に通う生徒は修学旅行で京都や奈良を訪れ、約7万円を負担していました。一部報道によると、訪問先をシンガポールに変更しても、1人あたり約68万円を区が支払い、7万円の自己負担分は変わらないとのことです。いずれにしても中学生の修学旅行に5億円を超える予算を計上できる自治体は、そうはないでしょう」) だがこれに対して、X(旧Twitter)では批判の声が圧倒的に多い。「義務教育でわざわざ行く必要があるのか疑問」「地域格差、港区内格差、まぁ〜言えばキリがない。上級国民の子供だけが行けるんやろなー」「今井絵理子や松川るいと発想が同じ」などの声で埋め尽くされている。その理由を前出の教育ライターはこう分析する。 「これが高校や私立中学校の修学旅行なら、全く批判は起きなかったでしょう。しかし公立中学校は義務教育ですし、公教育は全国一律が基本です。財政破綻した北海道夕張市であっても東京都港区であっても、教育の質に違いがあってはいけない。港区の取り組みに対する反対意見を『嫉妬』と一蹴する人も多いですが、『裕福な港区に住む中学生は最高レベルの修学旅行を体験し、貧乏な自治体の中学生は内容に乏しい修学旅行しかできないということを看過していいのか』という本質的な問題提起があることも事実です」(同) その理由は何か。親野氏は「中学生が海外を訪れるメリットは極めて大きい」と述べたうえで、こう語る。 「特にシンガポールは多民族国家であり、世界中から観光客が訪れる人気スポットでもあります。文化資本も充実しており、シンガポールに旅行することは世界を見ることと同義です。教育的な価値は計り知れません。また普通の中学生は英語を『授業だからやる』『受験に必須だからやる』といった受け身の姿勢で学んでいることが多いと思いますが、シンガポールでは実際に英語を使うことができます。英語学習のモチベーションにつながることも期待できます」 Xでは「中学生の修学旅行なのだから、海外の文化に触れるより、伝統的な日本文化を体験するほうが価値がある」という意見も多くみられた。シンガポールより京都、奈良のほうが修学旅行先にはいいという指摘に対してはどうか。 「『日本文化が重要だ』という指摘は正論だと思います。とはいえ、『海外に行ったことで日本文化について何も知らないことを痛感し、帰国してから学ぶようになった』といった経験をした留学生も珍しくはありません。世界を見ることで自国文化の重要性を再認識することもあります」(親野氏) 港区の修学旅行で、自治体間の格差が浮き彫りになったのは事実だろう。とはいえ、その責任は中学生には全くないことは言うまでもない。) 専門家はどう見るのか。教育評論家の親野智可等氏は「ネット上で批判が投稿されるのはとてもよく理解できます」と言う。 「Xを利用する年齢層を考えれば、当事者である中学生が批判の投稿を行っているとは考えにくい。似た年齢層のお子さんをお持ちの保護者が『私たちも一生懸命に働いて税金を納めているのに、港区の修学旅行だけシンガポールというのは不平等で納得できない』と考えて投稿したケースも多いと思います。しかしながら、やはり港区の取り組みは評価すべきですし、むしろ積極的に全国の自治体が参考にする必要があるではないでしょうか」) 「本来なら、全国の中学生が修学旅行で海外に行くぐらいが理想的なのです。とはいえ、実際問題として全国一律を目指していると物事は何も動きません。一種の“悪平等”になってしまうより、財政に余裕がある自治体は独自施策として見切り発車し、修学旅行で海外に向かう公立中学生を増やしていくのが現実的ではないでしょうか。行ける余裕がある自治体なら、どんどん行ったほうがいいのです」(親野氏) 22年10月、経済協力開発機構(OECD)は教育機関における公的支出の割合(2019年時点)を発表した。OECDの加盟国でデータある37カ国のなかで、日本はわずか2・8パーセント(平均4・1%)。順位は36位という低水準だった。 「ノミとガラスの蓋の寓話(ぐうわ)があります。本来ノミは高い跳躍ができるのですが、コップに入れてガラスの蓋をすると跳躍力が下がってしまう。蓋を取っても跳躍力は低いまま。そこに本来の跳躍力のあるノミを新たに入れて高く跳躍する姿を見せる。すると跳躍力が下がっていたノミもまた本来の跳躍ができるようになるという話。つまり、修学旅行で海外に行ける自治体が出れば、それを見た他の自治体も『うちもできるはず』となり、それが広がっていく可能性があるということです。そもそも予算というものは、『あるようでなかったり、ないようであったり』するものです。教育のために公的支出を増やすという意思を強く持てば国レベルでも自治体レベルでもなんとかなるものです」(同・親野氏) 港区の“炎上事例”として終わらせずに、公教育全体の底上げという議論につながることを期待したい。(井荻稔)』、私は義務教育期間中は、こうした格差は望ましくないと思う。「修学旅行で海外に行ける自治体が出れば、それを見た他の自治体も『うちもできるはず』となり、それが広がっていく可能性がある」というのは幻想だ。

第三に、12月22日付けダイヤモンド・オンラインが転載した弁護士ドットコムニュース「「ロースクールは意味ない」現役学生が断言のワケ、抜け道“予備試験”こそ本命の皮肉」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/336255
・『司法制度改革の“目玉”として注目されたロースクール開校から20年。多様な人材を確保しようと未修者コースをもうけたものの、思うように合格率は上がっていない。当初は合格率7~8割との触れ込みで「自分も文系最強資格が得られるのでは?」と夢見た者もいた。 しかし、ふたを開けてみれば合格率は半分にも満たず。3割以下に落ち込んだ2010年代初頭には「国家的詐欺では?」との指摘すら現れた。2011年にローを経ない「予備試験」が始まると、合格率には大きな差が出て、ロースクール離れが加速した。 「ロースクールは意味ない」「予備試験が本命」。現役学生からは、こんな本音も聞こえてくる。ロースクールの存在意義とは』、「当初は合格率7~8割との触れ込みで「自分も文系最強資格が得られるのでは?」と夢見た者もいた。 しかし、ふたを開けてみれば合格率は半分にも満たず。3割以下に落ち込んだ2010年代初頭には「国家的詐欺では?」との指摘すら現れた。2011年にローを経ない「予備試験」が始まると、合格率には大きな差が出て、ロースクール離れが加速した」、なるほど。
・『「ローは受験資格を得るためだけのもの」  (図表1:司法試験の最終合格者数とロー修了者と予備試験の合格率 はリンク先参照) 「ローは受験資格を得るためだけのもの」。国立大ロー既習者コースを修了したAさん(25歳)は、きっぱりと語る。 自主ゼミなど同級生との人脈はできたものの、試験対策はローだけでは不十分だといい、周囲のほとんどが予備校にも通っている。ローにもOBや弁護士が答案を見てくれる制度はあるが、利用している人は少ない。 「予備試験が通れば中退するつもりでした。予備校には予備試験+司法試験対策とセットのコースもあるし、効率がいい」 予備試験が最優先という姿勢は、他のロー生や法学部生からも見える。 早稲田大法学部3年のBさん(20歳)は「予備通った人が9割受かるんだったら、ローって要ります? ローは学生の身分を得るためのもの。在学中に予備試が無理だったら、ローの2年は猶予期間かなというのが、周りの考えとしては定番です」と手厳しい。 できるだけ早く予備試験に通り、会計士資格も取って、ビジネスシーンで使える人になるのが夢だという。 「学部在学中の予備試組が最強で、次がロー在学中の予備試。ローを出て一発合格は3番手と階層ができています」と慶応ロー1年Cさん(23歳)は語る。 事務所訪問をすると、予備試組は優秀さの指標とされていて「市場価値が高い」と感じるという。 2020年に運用が始まった「法曹コース」(通称3+2)については価値を判断しかねている様子。「勉強一辺倒になってしまい、生き急いでいる気がする」(Cさん)「大学で勉強以外のサークル活動もできない。交流したことないですね」(Bさん)』、「「学部在学中の予備試組が最強で、次がロー在学中の予備試。ローを出て一発合格は3番手と階層ができています」と慶応ロー1年Cさん(23歳)は語る。 事務所訪問をすると、予備試組は優秀さの指標とされていて「市場価値が高い」と感じるという」、なるほど。
・『「合格率約7~8割」の幻想  ロースクールは法曹養成に特化した教育をおこなうために2004年に設置された。68校が開校し、翌年の2005年には74校になった。ロースクールの志願者数は減少傾向が続き、2018年度には過去最低となる8058人に落ち込んだ。2011年度からは学生募集の停止や廃止が続き、2023年度はピーク時の半数以下となる34校だった。 法学を学んだ既修者コース(2年)に加え、社会人や他学部出身者などの多様な人材を呼び込むため、未修者コース(3年)がもうけられた。司法制度改革の審議会では修了者のうち「相当程度(例えば約7~8割)の者が新司法試験に合格できる」よう、充実した教育をおこなうべきとされた。 約7~8割が合格できるかもしれない――。新たな制度は注目を集め、開設当初の入学志願者数は7万2800人、倍率は13倍にも上った。2005年度には4万1756人に落ち着いたが、2007年度まで4万人台を維持していた。 2006年に新司法試験が始まったが、期待されていた「約7~8割」どころか、48.3%、翌年は40.2%、その後は20~30%台に落ち込んだ。 既修者と未修者の合格率にも歴然とした差がある。修了後、リミットである5年以内に最終的に合格する割合(司法試験累積合格率)をみても、未修者は7割に届いていない』、「2006年に新司法試験が始まったが、期待されていた「約7~8割」どころか、48.3%、翌年は40.2%、その後は20~30%台に落ち込んだ。 既修者と未修者の合格率にも歴然とした差がある。修了後、リミットである5年以内に最終的に合格する割合(司法試験累積合格率)をみても、未修者は7割に届いていない」、当初の想定と現実のこんな格差が発生した要因を、きちんと分析する必要がある。
・『勢いづく予備試験組、揺らぐ“中核”  そもそも司法制度改革審議会の意見書では、学部や大学院の教育が法曹養成の役割を果たしてきたとは言い難いこと、学生が受験予備校に依存し「ダブルスクール化」「大学離れ」の状況になっていることなどが問題点として指摘されていた。 ロースクールは法曹養成の重要な「プロセス」として位置付けられていた。 ところが、2011年に予備試験がスタートすると、その位置が揺らぎ始める。予備試験は、ロー修了者と「同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定すること」を目的とする試験だ(司法試験法5条)。 意見書には「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保すべき」とされていた。 「予備」という名前通り、本来はローに行けない人のために取られた救済措置だったはずだった。 (図表4:予備試験合格者の司法試験合格率 はリンク先参照) しかし、予備試験組の合格率はロー組を大幅に上回り、人気が集中。レベルが上がり、合格率も上昇した。2012~2018年度には6~7割台だったが、2022年度には97.5%と驚異的な数字を記録。2023年度は在学中受験が始まったこともあり、微減の92.6%だった。法務省によると、これは純粋な予備試験組のみの数字で、在学中かつ予備試験通過の場合は「在学中」にカウントされるという。 2023年11月8日の合格発表会場にも、「在学中かつ予備突破組」の学生が複数いた。中央大と青山学院大から東大ローに入ったという2人は「留学のために学位が欲しいためローを修了する」「ローの学習は試験というより知的好奇心を満たすもの」などと話していた。 20年前、大きな夢の象徴として誕生したロースクールだが、度重なる制度変更を経て、「司法試験の受験資格を得る手段」以外の要素に着目する学生も出てきているようだ』、「「予備」という名前通り、本来はローに行けない人のために取られた救済措置だったはずだった。・・・しかし、予備試験組の合格率はロー組を大幅に上回り、人気が集中。レベルが上がり、合格率も上昇した。2012~2018年度には6~7割台だったが、2022年度には97.5%と驚異的な数字を記録。2023年度は在学中受験が始まったこともあり、微減の92.6%だった。法務省によると、これは純粋な予備試験組のみの数字で、在学中かつ予備試験通過の場合は「在学中」にカウントされるという」、それにしても、「ロースクール」の設立ブームと、その後の廃止騒ぎは官僚主導の限界を如実に示したようだ。 
タグ:現代ビジネス (その31)(名門・平安女学院の「クーデター事件」が恐ろしすぎる…辞任に追い込まれた名物理事長の告白《女性校長は 中高生までストライキに巻き込んだ》、港区の公立中学「修学旅行はシンガポール」は“格差”の象徴か ネットは炎上も専門家は「評価すべき」、「ロースクールは意味ない」現役学生が断言のワケ 抜け道“予備試験”こそ本命の皮肉) 教育 井上 久男氏による「名門・平安女学院の「クーデター事件」が恐ろしすぎる…辞任に追い込まれた名物理事長の告白《女性校長は、中高生までストライキに巻き込んだ》」 「名物理事長」に対しクーデター」とは穏やかではない。 「80億円近い累積債務があり、事実上、経営は破たんしていました。その債務のうち15億円は理事会の承認を得ていない、ノンバンクからの隠れ債務でした・・・杜撰な経営体制だった理由は、教職員組合が学校経営を支配していたからでした。経営破たん寸前なのに教職員の賃金水準は京都府下でトップクラス。その賃金を支払うために、規律のない借り入れを行い、挙句には主要キャンパスまで売却するようなことをしていました。 当時の経営陣も教職員の選挙で選ばれるなど、労組が背後から経営を操りやすい状況にありました・・・私が自ら交渉し、わずか1年近くで債務整理に目途をつけました。教職員に対しては、いったん退職金を支払ってやめてもらい、新人事制度の下、賃金を30%カットして再雇用しました。同時に経営に対する労組の関与も排除しました。 こうした改革を踏まえて2003年に私は理事長に就任しました。 その後、経営上負担となっていた滋賀県・守山キャンパスの廃止なども行い、法人存続のために、リストラを続けましたが、同時に、大学は実学重視で就職率を高め、中・高は教育の質を高めることなどで入学者を増やし、経営を再建しました。私が理事長就任以来、赤字になったことはありません」、事実上の「破綻」状態から、「再建」したとは大したものだ。 「今井氏は労組委員長を務めていた関係で今でも労組への影響力があります。彼女が中心となって私の追い出し工作を進めました。今井氏の動きに協力したメンバーはほとんどが20年前に労組幹部だった面々です。 私を追い出した後、彼女は法人の理事に就き、理事会を実質支配しているようです。私の後任の理事長に就いた毛利憲一氏はほとんど影響力を持っていないようです。今井氏らは早速、理事の定年を80歳に延長しました。自らが居座るつもりでしょう」、なるほど。 「2023年1月に教職員組合が私の退任を求めてストライキを断行し、理事長退任を求める約5000人の署名が提出されました。ストライキには、中高生まで参加するという異常事態です。今井氏は参加した生徒らに向けて拍手していました。 その署名活動などを調べると、どうも教職員の力だけでできるような規模ではなく、外部と結んだ政治活動の様相を帯びていました。 生徒を政治活動に参加させても良いものかと私は疑問を感じています」、「外部と結んだ政治活動の様相」とは穏やかならざる事態だ。 「最近発売された『宗教問題』という雑誌で、宗教系学校の経営問題が取り上げられ、そこで今井氏が、2024年に平安女学院大学の募集を停止する可能性に言及し、中高にも大胆な改革が必要になるとか、人員整理が必要だと述べていますが、私から見れば元労組の委員長で雇用を守る立場にあった者が理事になって立場が変わると豹変し、随分勝手なことを言っていると思います」、その通りだ。 「羽田氏より管理職フォルダが消されたと聞きましたが、紙では残っているので、これを見てくださいとお示ししました」、明らかに「管理職フォルダが消された」のは事実のようだ。「紙では残っている」という言い訳にすぎず、効率が著しく低下するので、明確な嫌がらせだ。 AERAdot「港区の公立中学「修学旅行はシンガポール」は“格差”の象徴か ネットは炎上も専門家は「評価すべき」」 私は義務教育期間中は、こうした格差は望ましくないと思う。「修学旅行で海外に行ける自治体が出れば、それを見た他の自治体も『うちもできるはず』となり、それが広がっていく可能性がある」というのは幻想だ。 ダイヤモンド・オンライン 弁護士ドットコムニュース「「ロースクールは意味ない」現役学生が断言のワケ、抜け道“予備試験”こそ本命の皮肉」 「当初は合格率7~8割との触れ込みで「自分も文系最強資格が得られるのでは?」と夢見た者もいた。 しかし、ふたを開けてみれば合格率は半分にも満たず。3割以下に落ち込んだ2010年代初頭には「国家的詐欺では?」との指摘すら現れた。2011年にローを経ない「予備試験」が始まると、合格率には大きな差が出て、ロースクール離れが加速した」、なるほど。 「「学部在学中の予備試組が最強で、次がロー在学中の予備試。ローを出て一発合格は3番手と階層ができています」と慶応ロー1年Cさん(23歳)は語る。 事務所訪問をすると、予備試組は優秀さの指標とされていて「市場価値が高い」と感じるという」、なるほど。 「2006年に新司法試験が始まったが、期待されていた「約7~8割」どころか、48.3%、翌年は40.2%、その後は20~30%台に落ち込んだ。 既修者と未修者の合格率にも歴然とした差がある。修了後、リミットである5年以内に最終的に合格する割合(司法試験累積合格率)をみても、未修者は7割に届いていない」、当初の想定と現実のこんな格差が発生した要因を、きちんと分析する必要がある。 「「予備」という名前通り、本来はローに行けない人のために取られた救済措置だったはずだった。・・・しかし、予備試験組の合格率はロー組を大幅に上回り、人気が集中。レベルが上がり、合格率も上昇した。2012~2018年度には6~7割台だったが、2022年度には97.5%と驚異的な数字を記録。2023年度は在学中受験が始まったこともあり、微減の92.6%だった。 法務省によると、これは純粋な予備試験組のみの数字で、在学中かつ予備試験通過の場合は「在学中」にカウントされるという」、それにしても、「ロースクール」の設立ブームと、その後の廃止騒ぎは官僚主導の限界を如実に示したようだ。
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維新の会(その8)(米山 隆一衆議院議員 前新潟県知事 トンデモ暴言・梅村みずほ議員はこうやって生まれた…“恫喝音声”入手「ほんま次ないで」 維新・女性府議が吉村知事SPからのハラスメント被害を党に申告、【1か月で8人が離党】「原因は立候補を巡る嫉妬、やっかみ」「党内ではイジメ」渦中の強制離党の維新県議が語る「お家騒動」 維新の県総支部は「処分は妥当」と回答) [国内政治]

維新の会については、本年5月1日に取上げた。今日は、(その8)(米山 隆一衆議院議員 前新潟県知事 トンデモ暴言・梅村みずほ議員はこうやって生まれた…“恫喝音声”入手「ほんま次ないで」 維新・女性府議が吉村知事SPからのハラスメント被害を党に申告、【1か月で8人が離党】「原因は立候補を巡る嫉妬、やっかみ」「党内ではイジメ」渦中の強制離党の維新県議が語る「お家騒動」 維新の県総支部は「処分は妥当」と回答)である。

先ずは、本年5月21日付け現代ビジネスが掲載した衆議院議員・前新潟県知事の米山 隆一氏による「トンデモ暴言・梅村みずほ議員はこうやって生まれた…維新に蔓延する思いつきだけの「逆張り提案」の愚かさを考える」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/110584?imp=0
・『「いかにも維新」の酷い連鎖  日本維新の会の梅村みずほ議員が、5月12日の参議院の本会議等で、以下のように発言しました。 「よかれと思った支援者の一言が、ウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながったおそれも否定できない」 この発言は「大炎上」しましたが、梅村議員は16日には参議院法務委員会において「ハンガーストライキによる体調不良によって亡くなったのかもしれない」などとさらに激しい言葉を浴びせました。 翌17日、維新の音喜多政調会長は「問題提起として間違ったことをしたとは思っていない」として擁護。だが世論の批判が高まったことに危機感を覚えたのか、18日になるや突然手のひらを返し、「ウイシュマさんのご家族らには、不適切な発言で深くお詫び申し上げる」と謝罪しました。 また藤田文武幹事長も「自分の思い込みや想像で感情的な質疑をしたことは極めて不適切」、馬場伸幸代表は「政治家としてまだまだ未熟。居酒屋で仲間同士が話しているのとは違う」として、入管難民法改正案を審議中の参院法務委員会の委員から梅村議員を更迭。党紀委員会に諮り、党としての処分を行うと発表しました。 連載「維新戦記」で書いてきたように、私は維新で候補者として参議院選挙、衆議院選挙を戦い、弁護士としてトラブル解決にもあたりました。また、弁護士であり、医師免許も持っており、現在は立憲民主党所属の衆議院議員です。 梅村議員のひどい発言の繰り返しは「いかにも維新」を象徴するものだと考えています。これまでの経験も踏まえて、この問題を論じたいと思います』、「梅村議員」は一般の議員ではなく、本来、専門性を求められる「法務委員会の委員」なので、驚きは一層だ。「馬場伸幸代表は「政治家としてまだまだ未熟。居酒屋で仲間同士が話しているのとは違う」として、入管難民法改正案を審議中の参院法務委員会の委員から梅村議員を更迭。党紀委員会に諮り、党としての処分を行うと発表しました」、なるほど。
・『ウィシュマさんのビデオ画像を見ると  2021年3月6日、名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ国籍の女性、ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなられました。入管で収容中に、体調不良を訴えていたのにもかかわらず、十分な医療が提供されなかったことが明らかになり、大きな社会問題となり国会でも追及が続いています。 ウイシュマさん事件の事実関係について、衆議院、参議院の法務委員会の委員の希望者は、名古屋入管に保管されていた死亡前2週間(2011年2月11日~3月6日)の防犯ビデオの画像のうち、提出された5時間ほどの動画を閲覧しました(ただし梅村議員は、参議院本会議の演説で「10時間」と言っています)。 この動画は私も見ています。) ここには41場面が収録され、そのうち14場面は、ウィシュマさんが一人では食事ができず、入管職員が介助している様子がおさめられています。 ウイシュマさんが、食事をとれなかったり、食べた直後に吐いている動画はありますが、食事を拒んでいる映像はまったくありません。それどころか、「〇〇なら食べられる」などとしてなんとか食べようと努力をしている場面もあります。 また、動けない、食べられと職員の指示通りにできないシーンはありました。しかし、ウィシュマさんは指示に従おうとはしており、意図的に指示に従わなかったり、逆らうシーンはは全くありません。 名古屋入管の調査報告書の記録によると、ウィシュマさんの入管収容時の令和2年8月20日の身長は158cm、体重84.9kg。お亡くなりになったときは、69.9kg。もっとも体重が減少した2月23日は65.5kgでした。私が医師としての目で動画を見ても、やせてがりがりの骨と皮の状態ではありません。 あの動画・調査報告書のどこをどう見れば「ハンガーストライキによる体調不良によって亡くなった」と思えるのか。梅村議員は、動画や調査報告書をきちんと見てはいないのではないかとの疑念を持っています』、「体重84.9kg」とは「身長」からみて多過ぎる印象を受けるが、何か事情があるのだろう。「食事を拒んでいる映像はまったくありません。それどころか、「〇〇なら食べられる」などとしてなんとか食べようと努力をしている場面もあります。 また、動けない、食べられと職員の指示通りにできないシーンはありました。しかし、ウィシュマさんは指示に従おうとはしており、意図的に指示に従わなかったり、逆らうシーンはは全くありません」、なるほど。
・『なぜこれが詐病といえるのか  梅村議員が声高に国会で述べている「詐病の可能性」。その根拠は1月20日の支援者との面談だと推測されます。ウィシュマさんが体調の不良と食欲不振を訴えたところ、支援者からこう言われたといいます。 「病院に行って検査をしないと原因が分からないので早く病院に連れて行ってもらえるよう担当にアピールした方がいい。病院に行って体調不良を訴えないと仮放免されない。仮放免されたいのであれば、病院嫌いでも病院に行ったほうがいい」(調査報告書 別紙4) そこで、入管職員は食事がとれないと、診療に当たった精神科の医師に伝えています(調査報告書47頁)。すると精神科の医師が入管の意思への「詐病の可能性もある」と記した(調査報告書 別紙16)ことから、広がっていたものです。 しかし普通に読む限り、前述の支援者のアドバイスは「病院が嫌いでもきちんとかかった方がいい」という当り前のことを言っているだけと思われます。 調査報告書とその別紙をきちんと読めば、ウィシュマさんは支援者からアドバイスを受ける前、1月18日に、自ら食欲不振と体調不良を訴えて薬を飲むことを検討していることがわかります。2月下旬になってからは、明らかに呂律も回らず姿勢の保持ができなくなっており、とうてい詐病の演技でできるようなものには見えません。 また、血圧、脈拍はほぼ毎日測定されているのですが、全体に脈拍が安定せず120以上の頻脈もままあります(調査報告書 別紙5)。脱水を含む循環機能の障害までもが疑われます。動画や調査報告書をきちんと読めば「詐病の可能性」などないことは明らかです。) 梅村議員の事実関係の理解があまりにおかしいことも不可解ですが、さらに「被収容者は支援者と自由に面会できていいのか?」という趣旨の問題提起を行い、音喜多政調会長も「問題提起として間違ったことをしたとは思っていない」としています。 しかし、ウィシュマさんはオーバースティ状態で入管に収容されていましたが、裁判において有罪の確定判決を受けたわけではなく、「罪人(受刑者)」ではありません。重罪を犯しているわけでもなく、入管施設は自由を奪う等の刑罰を与えるための刑務所ではありません。 出入国管理及び難民認定法第61条の7も《入国者収容所又は収容場(以下「入国者収容所等」という。)に収容されている者(以下「被収容者」という。)には、入国者収容所等の保安上支障がない範囲内においてできる限りの自由が与えられなければならない。》としています。 自由に人と会うことは重要な人権の一つであり、よほど具体的な逃亡の恐れがある状況でもないかぎり、入管施設で面会できる人を制限するのは、憲法31条他国内諸法令や、国連自由権規約他、日本が批准して遵守しなければならない諸条約に違反すると思われます。 要するに梅村議員のみならず、音喜多政調会長も、入管施設や収容者の法的位置づけ、人権保障の在り方について碌な知識もないまま、不当に人権を制限し、諸法令、諸条約に反する疑いの高い思い付きの提案を「問題ない」としていたと感じます』、「梅村議員のみならず、音喜多政調会長も、入管施設や収容者の法的位置づけ、人権保障の在り方について碌な知識もないまま、不当に人権を制限し、諸法令、諸条約に反する疑いの高い思い付きの提案を「問題ない」としていた」、その通りだ。
・『維新の若手議員たちを見て思うこと  私は2021年10月31日の衆議院選挙で当選してから今に至る1年半の間、国会の論戦の場で相まみえた中で見えてきた維新の在り方を、正に象徴するのが、ウィシュマさんを冒とくする今回の事件だと私は思います。 衆議院議員に当選してから、国会の場で始めて会った維新の議員の方々の第一印象は、意外かもしれませんが「あれ? 皆若くてかっこよくて、熱意もあって感じよくない?」と言うものでした。 私は1期生なので、維新の初当選組とも席が近く、旧知の顔もあることも一因なのですが。今、政治に熱意のある若い人達の少なくない割合が、立憲ではなく維新の門を叩いている事実は事実として、認めなければいけません。 一方、彼らの質疑を聞いた私の印象は、大変恐縮ながら「え? この程度?」でした。もちろん、きちんと法案を読み込んで専門的知識に基づいて要点を捉えた質疑をする人もいます。しかし、少なくない割合で「思い付きのご提案質疑の独演会」を展開するのです。) 昨今、政府提出の法案を批判することがまるで悪いことかのように言われ、「提案型」がもてはやされる風潮を永田町では感じます。 しかし、国会に提出される法案が解決しようとする問題点は極めて複雑多岐に渡ります。様々な問題点を立法によって解決するには、立法事実を確認したうえ、他の法令との整合性を精査。その立法によって生じうる様々な影響などを検討して、予算や実行上の制約まで考えなければいけません。正直「熱意」だけがあっても、そう簡単にできることではないのです。 一方「提出された法案を読み込み、その問題点を批判し、修正を求める」であれば、法案作成過程の立法事実・議論を確認し、法案の条文と資料を丁寧に読み込んだうえで、付加的な情報を収集して考えれば、一定レベルの、意味ある批判はできます』、「国会に提出される法案が解決しようとする問題点は極めて複雑多岐に渡ります。様々な問題点を立法によって解決するには、立法事実を確認したうえ、他の法令との整合性を精査。その立法によって生じうる様々な影響などを検討して、予算や実行上の制約まで考えなければいけません。正直「熱意」だけがあっても、そう簡単にできることではないのです。 一方「提出された法案を読み込み、その問題点を批判し、修正を求める」であれば、法案作成過程の立法事実・議論を確認し、法案の条文と資料を丁寧に読み込んだうえで、付加的な情報を収集して考えれば、一定レベルの、意味ある批判はできます」、なるほど。
・『選挙では確かに勝ちやすくなる  おそらく維新の一期生の人達は、党から「批判ではなく提案型の質問をするように」と勧められており、自分達でも最初から「批判より提案」と思っていて、結果、ネットに流れているような「現行制度への逆張り」のような「思い付き案」を拾って質疑原稿を作成し、国会の場で「独演会」を展開してしまっているのだと感じています。 本来なら政策調査会のような経験豊富な執行部が、若手の質問をチェックし修正すべきです。だが維新は、音喜多政調会長はじめ執行部自体が若く、さしたる専門知識も持たずに、「100兆円BI」「核共有」のような、おおよそ現実味のない「現行制度への逆張り」を堂々と公約に掲げています。 最初から、立法事実確認や精査、制約などを考えるつもりもなく、できる人員もなかったのではと思ってしまいます。それが最も典型的で、極端な形で現れたのが、今回の一連の梅村「暴言」事件につながったのではないでしょうか。 さてここまで、梅村「暴言」事件と、日本維新の会の在り方を辛辣に批判してきました。しかしこの話は、これで終わりません。 実のところ、「ネットに流れている現行制度への逆張り的思い付き案」を堂々と掲げることは「人気を博し選挙に勝つ」と言う観点では、むしろ効果的だからです。この戦法は、維新のみならず、その他の諸政党で一定の効果を挙げています。 広島サミットにウクライナのゼレンスキー大統領が出席して世間の耳目が集まり、今回の梅村議員の「暴言」で勢いがそがれる維新。永田町では一旦下火になっていた早期解散の噂が再度くすぶりだしています。 私自身その只中にいますが、次の選挙は、日本が維新のようなポピュリズムに流れるのか。それとも、立法事実に即し、実現可能な政策をきちんと議論して実行していく政治の原点に戻るかの、分水嶺になるはずです。私は、ポピュリズムに流されないように全力を尽くします』、「維新は、音喜多政調会長はじめ執行部自体が若く、さしたる専門知識も持たずに、「100兆円BI」「核共有」のような、おおよそ現実味のない「現行制度への逆張り」を堂々と公約に掲げています。 最初から、立法事実確認や精査、制約などを考えるつもりもなく、できる人員もなかったのではと思ってしまいます。それが最も典型的で、極端な形で現れたのが、今回の一連の梅村「暴言」事件につながったのではないでしょうか」、その通りだ。

次に、6月14日付け文春オンライン「“恫喝音声”入手「ほんま次ないで」 維新・女性府議が吉村知事SPからのハラスメント被害を党に申告」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/63576
・『吉村洋文大阪府知事ら歴代党幹部のSP役を務めてきた日本維新の会交野市支部の高石康幹事長(54)から、繰り返し威圧的な言動を受けたとして、大阪維新の会の女性府議が党のハラスメント調査に対し、被害を申告していることが、「週刊文春」の取材でわかった。また、高石氏が過去に女性府議らに対し、高圧的に「死ねばもろともでやる気あんのか」「ほんま次ないで」などと発言する音声データも入手した』、「高石」氏は後述のように物理的にも「威圧的」な存在のようだ。
・『美好かほる府議が高石氏からのハラスメント被害を申告  190センチ超で、スキンヘッドという風貌の高石氏。維新関係者の間では「入道さん」と呼ばれる有名人だ。 「もともとは、維新の創設者である橋下徹氏の後援会の青年部部長だった古参党員です。吉村氏や松井一郎前市長のSP役として警護も担当してきました。街頭での威圧行為が問題視され、関西写真記者協会が抗議した過去もあります」(維新担当記者) 大阪維新の会は現在、「週刊文春」5月18日発売号や5月25日発売号などで報じた笹川理前府議団代表(除名処分)による女性議員へのセクハラ問題を受け、全所属議員を対象にしたハラスメント被害の調査を実施している。その過程で、高石氏からのハラスメント被害を申告したのが、美好かほる府議(52)だ。医療機器販売会社の社長などを経て、現在2期目。交野市支部の支部長でもある』、「190センチ超で、スキンヘッドという風貌の高石氏。維新関係者の間では「入道さん」と呼ばれる有名人・・・高石氏からのハラスメント被害を申告したのが、美好かほる府議(52)だ」、なるほど。
・『恫喝や暴言など、計9項目にわたる被害を訴えていた  「週刊文春」は、美好氏が大阪維新の会のハラスメント調査に対し、6月2日付で提出した〈ハラスメント申告について〉と題した文書を入手。そこでは〈私が支部長を務めている交野支部における高石幹事長(交野支部役員)のハラスメント事案に該当もしくは準ずる行為について、以下、ご報告いたします〉として、高石氏の行為を列挙している。 例えば、〈支部会議での暴力的言動〉については、以下のように記している。) 〈月一回、支部役員により支部会議が行われているが、暴力的言動が多い。交野市議会議員3名を含む交野支部役員はその暴力的言動に委縮(ママ)。190cmを超える身長と威圧的言動に、私も、体格的に劣る女性であるため時に恐怖を感じる。具体的には、(1)意見を聞かず一方的に主張する、(2)怒鳴る、(3)机を叩く、(4)支部役員を「お前」呼ばわりするなど。直近では、今年、5月20日の支部会議において、(1)(2)(3)(4)があり、(3)については、当該会議に出席していた顧問の中司参議院議員(ママ=中司宏氏は衆院議員)に注意を受けた。なお、当該会議は公的な場所である交野青年の家で行っていたので、会議室の外にいた支部会議後の政務報告会参加者(維新党員)及び隣室を使用していた一般市民の方数名(別の党の交野市市議会議員もその中にいた)が聞こえてきた当該言動に驚いたとの報告があった。一般市民の方に、この暴力的言動が話題になり始めた〉(下線ママ) 他にも、〈維新公認で現役市議会議員を恫喝〉〈統一地方選挙の集会時等における暴言〉など計9項目にわたってハラスメント被害を訴えていた。(美好氏が党に提出したハラスメント申告はリンク先参照)』、「高石」氏なら「ハラスメント」はありそうだ。
・『橋下氏や松井氏の名前を出し、自らの影響力を誇示する場面も  また、「週刊文春」は、高石氏が交野市支部の会議で美好氏らに高圧的な発言を重ねる音声を入手した。日時は2020年6月15日。高石氏は次期衆院選に向けた支部の準備が不十分だとして、冒頭から次のようにダメ出しを始めた。 「美好、あんのか? 死ねばもろともでやる気あんのか。返事してくれよ。ないんならないでええさ。ないんやろ? しょせん他人事やろ? ちゃうのん?」 府議や市議らを前に、約40分間ほぼ一人で喋り続けた高石氏。橋下氏や松井氏の名前を出し、自らの影響力を誇示する場面もあった』、「橋下氏や松井氏の名前を出し、自らの影響力を誇示する場面もあった」、小者によくありがちな行為だ。
・『「次偉そうなこと言うたら、ほんま次ないで」  「あの橋下徹でも、俺が怒り狂っているとき、『高石さん、ちゃんと話するから待ってや』みたいに言うから、もの言われへん。松井一郎でもそうや」 そのうえで、以下のように述べていた。 「わかってるけ、美好。次偉そうなこと言うたら、ほんま次ないで」 美好氏に対し、自身に反抗的な態度を取った場合、次の府議選における公認など、今後の政治生命に影響しかねないという意味にも受け取れる発言をしたのだ。) 交野支部関係者が言う。 「こうしたハラスメント的言動は以前から繰り返されてきました。他の市議に『アイツの公認でんようにしてやった』『お前絶対潰すからな』などと言うこともあった。高石氏は、吉村氏らと直接やり取りでき、維新幹部と太いパイプを持ち、その影響力は侮れない。誰も何も言えないのです」 高石氏に事実確認の取材をすると… 美好氏に高石氏からのハラスメント被害などについて直撃すると、「事実です」と認め、こう語った。 「高石さんは『資質がない』『活動してない』と何度も言うが、府議団の役員や駅立ち、府政報告会も定期的にやっており、個人攻撃、人格否定にしか思えません」 一方、高石氏は約60分にわたって、事実確認などの取材に応じた。 ――今年5月20日の件。 「ポスターの話で揉めて、『それやったら俺がお前に金払うたるわ』という感じで財布を机にバーンと叩きつけた。すぐパワハラって言うから『パワハラ、パワハラって言うなら、訴えてみたらどう?』と。カッとなったので美好府議に申し訳なかったとお詫びはした」』、「それやったら俺がお前に金払うたるわ』という感じで財布を机にバーンと叩きつけた。すぐパワハラって言うから『パワハラ、パワハラって言うなら、訴えてみたらどう?』と。カッとなったので美好府議に申し訳なかったとお詫びはした」、よほど短気なようだ。
・『「私の一言で、公認が出ないとか、そんなアホな組織ではない」、Qは聞き手の質問、Aは回答。  Q:美好氏に「次はない」とも? A:「美好もほかの議員たちも活動しないので。僕は維新の志を広めたいので、叱咤激励の中で言うかもしれないけど。ただ、幹事長名でコイツは公認出さないようにと文書出したりとか、そういうのはないんで。ただ、だいぶ前から、正直今でも思いますけど、それは公でいいんですけど、(美好氏は)支部長としての資質はないんじゃないかと。『長』としてのねっていうのがあって」 Q:他の市議にも「お前潰す」と。 「活動してますとかいうのが、嘘ついたりとかもあったんで、お前ええ加減にせえよと言ったこともあるし。おいコラお前と、怒って言うこともあります」 Q:橋下氏、松井氏、吉村氏との個人的な関係がある。公認権含め、影響力が大きいと市議らが捉えているというが? A:「ないですね。周りの人がどう思ってるか知らんですよ。けど、私の一言で、公認が出ないとか、そんなアホな組織ではないと思うし。たとえば、冗談でね、『お前、そんなんアホばっかりしとったら次ないぞ』とかね、会話の中ではいうかもしれないけど。叱咤激励の一つですわね」 次の「ないですね。周りの人がどう思ってるか知らんですよ。けど、私の一言で、公認が出ないとか、そんなアホな組織ではないと思うし。たとえば、冗談でね、『お前、そんなんアホばっかりしとったら次ないぞ』とかね、会話の中ではいうかもしれないけど。叱咤激励の一つですわね」』、「私の一言で、公認が出ないとか、そんなアホな組織ではないと思うし。たとえば、冗談でね、『お前、そんなんアホばっかりしとったら次ないぞ』とかね、会話の中ではいうかもしれないけど。叱咤激励の一つですわね」」、その通りだろう。
・『「それこそ、僕へのハラスメントやと思います」  Q:恫喝やモラハラでは? A:「それこそ、僕へのハラスメントやと思います。身体が大きいから乱暴やと言われる。恫喝って受け止められたら直さなというのはもちろんわかっているけど、こっちの言い分としては怒るには理由があるやんかと」 Q:交野支部のことを思って? A:(維新を)立ち上げ前から見ているんで。こいつ死ぬんじゃないかという活動している(議員もいた)。忙しさ的にね。なので、なんでできないかなって。足らんなぁと歯がゆく思っています。高石、お前反省するところないの? と言われたら、そりゃ人間やからいっぱいありますわ。それは自分でもわかってます。それの一個は、言い方キツイってこと。それはね、僕はね、何十年も言われているんで」』、「「それこそ、僕へのハラスメントやと思います。身体が大きいから乱暴やと言われる。恫喝って受け止められたら直さなというのはもちろんわかっているけど、こっちの言い分としては怒るには理由があるやんかと」、こうした居直り発言をしているようでは、解決にはほど遠そうだ。
・『大阪維新の会からの見解は、期日までに得られず  Q:吉村知事も市議時代から? A:「はい、知ってます。知ってます。彼は(市議時代の)活動は言い方あれやけど、おろそかな部分あるんやけど、例えば駅立ちとかね。あんまりしないですわ。やけども、政策的に勉強とか、それを周りの人に意見を聞きに回ったりとかっていうのはすごいしているので。支部でも『駅立ちがすべてじゃないよ』と。維新の党勢拡大とか議員としての資質を高める活動ならなんでもいいと」 大阪維新の会に、高石氏による美好氏へのハラスメントについて見解を求めたが、期日までに回答はなかった。 大阪維新の会を率いる吉村氏はハラスメント根絶を掲げ、今回、党所属議員のハラスメント調査に乗り出した。そうした中、自身のSP担当でもあった高石氏によるハラスメント被害の申告についてどのように対応するのか、注目される。大阪維新の会は6月中旬をめどに被害の申告件数について公表するとしている。 6月14日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および6月15日(木)発売の「週刊文春」では、高石氏による威圧的な言動の数々や、高石氏が怒号をあげた5月20日の交野市支部総会の様子などについても報じている。また、「週刊文春 電子版」では、2020年6月の交野市支部会議での高石氏の“恫喝発言”を収めた音声データを公開している』、「吉村氏はハラスメント根絶を掲げ、今回、党所属議員のハラスメント調査に乗り出した。そうした中、自身のSP担当でもあった高石氏によるハラスメント被害の申告についてどのように対応するのか、注目される」、おそらく「高石」氏については沈黙を守るだろう。

・第三に、12月26日付けNEWSポストセブン「【1か月で8人が離党】「原因は立候補を巡る嫉妬、やっかみ」「党内ではイジメ」渦中の強制離党の維新県議が語る「お家騒動」 維新の県総支部は「処分は妥当」と回答」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20231226_1930525.html?DETAIL
・『「身を切る改革」とは日本維新の会の代名詞とも言える公約。その公約をめぐり、和歌山県総支部でお家騒動が表面化したが、騒動から1か月以上が経つもいまだ収束の兆しは見えず、離党者が増え続けている。 10月、議員報酬の一部を被災地などに寄付するという党の方針に従わなかったとして、県総支部が林隆一県議(60)に離党勧告を通達した。同県議は反発。弁護士を通じて意見書を提出した上で、同月27日付に維新を離党した。現在は「無所属の会」に加入している。 大阪維新の会所属の地方議員は「身を切る改革」についてこう説明する。 「『身を切る改革』とはその名の通り、議員自ら身を切ることによって、行政改革を推進させていくというもの。そこで維新では議員報酬の一部を寄付するよう義務付けられている。維新独自の算定で年間の寄付額が決められ、議員報酬の5、10%、20%の3段階。報酬によって寄付額も変動しますが、寄付額が足りないからといって、離党勧告された議員はこれまで聞いたことがない」 しかもこの騒動、収束するどころか広がりを見せている。 林県議の離党から4日後の10月31日のこと。和歌山県総支部で開催された全体会議は「林県議の離党」についての議論に終始した。その際、許可なく林県議の記者会見に同席した新古祐子和歌山市議に対し、複数の議員らが「なんで(林県議の記者会見に)出たんや」と糾弾。尋問のような様相だったというから穏やかではない。 林県議の記者会見に同席した、志賀弘明和歌山市議もこう苦言を呈す。 「私は都合がつかず(全体会議に)出席できなかったのですが、後から新古市議に聞くと予想外の展開だったようで、『除名するぞ』『離党勧告するぞ』と一人、矢面に立たされたそうです。私は林議員の後援会長でもあるし、新古市議も役員をつとめている。当然のマナーとして私たちは同席しただけで、言論の自由を奪う発言を平気で行なっている」 2人は林県議の処遇をめぐり、「今年6月に和歌山県紀美野町に災害支援金500万円を寄付しており、寄付が2期目の選挙後になることは当時の県幹事長だった山野麻衣子市議(42)に了解を得ていた」として11月18日に、和歌山県総支部の代表である井上英孝衆院議員を含めた役員5名の解任請求を党本部に提出した。「事情を知りながら違法な離党勧告を主導した」として、両氏は県総支部に対して徹底抗戦の構えを見せている』、「2人は林県議の処遇をめぐり、「今年6月に和歌山県紀美野町に災害支援金500万円を寄付しており、寄付が2期目の選挙後になることは当時の県幹事長だった山野麻衣子市議(42)に了解を得ていた」として11月18日に、和歌山県総支部の代表である井上英孝衆院議員を含めた役員5名の解任請求を党本部に提出した。「事情を知りながら違法な離党勧告を主導した」として、両氏は県総支部に対して徹底抗戦の構えを見せている」、事実関係については、よく分からないが、水かけ論のようだ。
・『林県議の妻への嫉妬がきっかけ  当の林県議はどう考えているのか。直撃するとこんな答えが返ってきた。 「(同じ維新の議員の)妬みややっかみ。ようは嫉妬から始まったんです」 事の発端は、今年4月の衆議院和歌山1区の補欠選挙に始まる。維新から出馬した林佑美氏(当時和歌山市議)が初当選し、同県で初めて自民党の牙城を崩して大きな話題を呼んだのは記憶に新しい。 和歌山に楔を打ち込んだ林佑美衆院議員は今回、離党勧告を受けた林県議の配偶者である。夫の林県議が無所属になる一方で、妻・佑美氏は維新所属のままだ。林県議はこう語る。 「補選には当初、自民党の鶴保庸介参院議員が衆院に鞍替えして出馬予定だと言われていた。維新の公募で私とほかの市議が手を挙げたのですが、最終的には『候補者を擁立せず』との判断が党の方針で決まった。 ところが、直前になって自民党は鶴保参院議員ではなく、候補者に門氏を選んだ。門氏は過去に女性スキャンダルを報道された方なので、女性候補者のほうが勝てるチャンスがある。そこで馬場伸幸共同代表に直談判したのが2月25日のこと。面談を兼ねて私たち夫婦が堺市まで出向いた。翌日に馬場代表から『出す』との電話連絡があって、佑美の出馬が正式に決まったのです。 佑美も当時は和歌山市議という立場で、県議の経験はなかった。それでも妻が衆院選出馬となったので、出馬できなかった市議は『林候補も県議の経験がないじゃないか』と周りにふれ回っていた。こうした嫉妬が遠因で、私への離党勧告も山野市議らが主導したと見ています」(林県議)』、「こうした嫉妬が遠因で、私への離党勧告も山野市議らが主導したと見ています」、ずいぶん次元の低い話だ。
・『わずか1か月で8人の地方議員が離党  和歌山において林県議は、維新の議員の中では山野市議と並んで最古参。維新で和歌山支部を立ち上げたのは、林県議と山野市議の2人である。いわば盟友関係にあるはずだった。しかし、昨年8月、和歌山市議会議員の補欠選挙に関係性を悪化させた原因があるという。佑美市議はこの補選で初当選している。 「妻の佑美が候補者となると、『キチンと審査できてない』『妻の出馬は不可』と山野市議らが不満を漏らしていた」(林県議) こうした経緯も重なり、妻の佑美氏は当選当初から立場が危うかったと志賀市議も続けて言う。 「林(佑美)市議はほかの市議らからイジメのような扱いを受けていた。『4年間、意地悪されるのが嫌だ』と嘆いていましたから。今年4月の衆院の補選がなかったら彼女は議員を辞めていたかもしれない」 冒頭の通り、林県議は10月27日に離党。12月5日には林県議の記者会見に参加した志賀市議、新古市議についてもそれぞれ除名と離党勧告を決めた。その後、新古市議も12月14日に離党届けを提出した。 林県議の主張について、維新の和歌山県総支部に見解を聞くと、林県議から解任請求を受けている代表の井上衆院議員が書面で回答した。今年5月に林県議も出席した総支部全体会議を行なった際に、「もし身を切る寄付を何らかの理由で行なっていない者がいれば相談するように」と指示が下され、その後、書面でも通達を送ったという。 寄付についての報告を所属議員に求めたところ、林隆一議員は何らの相談もなく唐突に500万円を寄付したという証明を総支部事務局員に提出したのが事実だと認識しています。指示に従わず、何らの相談もなく、任期終了後に前任期分の領収書の提出を求められると唐突に寄付を行ない、それをもって寄付を行なったのだから問題がなく処分は不当だと強弁されていることは大変遺憾です〉 つまり、林県議の寄付は認めるが、指示やルールに従わなかったというのが離党勧告の理由のようだ。また、林県議への離党勧告に関わった一部の維新の議員らが寄付をしていなかったとの主張には〈当時のルールに従った金額以上の寄付を行なっていることを領収書等により確認済みです〉と回答した。 この和歌山から始まった“維新離れ”は香川や神奈川、長崎と全国に波及し、地方議員の離党が相次いでいるのも事実だ。11月下旬には、長崎県総支部に至っては3名が「執行部によるパワハラで離党する」と記者会見を開いたばかり。林県議の離党からわずか1か月強で8人の地方議員が離党したことになる。しかも、和歌山では離党の動きがいまだに燻っているともいう。 ただでさえ大阪・関西万博の建設費増額をめぐり、矢面に立たされている維新。有権者はこの身内争いにどう断を下すのか──』、「11月下旬には、長崎県総支部に至っては3名が「執行部によるパワハラで離党する」と記者会見を開いたばかり。林県議の離党からわずか1か月強で8人の地方議員が離党したことになる。しかも、和歌山では離党の動きがいまだに燻っているともいう。 ただでさえ大阪・関西万博の建設費増額をめぐり、矢面に立たされている維新。有権者はこの身内争いにどう断を下すのか──」、「維新」の組織のタガが緩み出したようだ。
タグ:文春オンライン「“恫喝音声”入手「ほんま次ないで」 維新・女性府議が吉村知事SPからのハラスメント被害を党に申告」 「維新は、音喜多政調会長はじめ執行部自体が若く、さしたる専門知識も持たずに、「100兆円BI」「核共有」のような、おおよそ現実味のない「現行制度への逆張り」を堂々と公約に掲げています。 最初から、立法事実確認や精査、制約などを考えるつもりもなく、できる人員もなかったのではと思ってしまいます。それが最も典型的で、極端な形で現れたのが、今回の一連の梅村「暴言」事件につながったのではないでしょうか」、その通りだ。 ば、一定レベルの、意味ある批判はできます」、なるほど。 「国会に提出される法案が解決しようとする問題点は極めて複雑多岐に渡ります。様々な問題点を立法によって解決するには、立法事実を確認したうえ、他の法令との整合性を精査。その立法によって生じうる様々な影響などを検討して、予算や実行上の制約まで考えなければいけません。正直「熱意」だけがあっても、そう簡単にできることではないのです。 一方「提出された法案を読み込み、その問題点を批判し、修正を求める」であれば、法案作成過程の立法事実・議論を確認し、法案の条文と資料を丁寧に読み込んだうえで、付加的な情報を収集して考えれ 「梅村議員のみならず、音喜多政調会長も、入管施設や収容者の法的位置づけ、人権保障の在り方について碌な知識もないまま、不当に人権を制限し、諸法令、諸条約に反する疑いの高い思い付きの提案を「問題ない」としていた」、その通りだ。 「体重84.9kg」とは「身長」からみて多過ぎる印象を受けるが、何か事情があるのだろう。「食事を拒んでいる映像はまったくありません。それどころか、「〇〇なら食べられる」などとしてなんとか食べようと努力をしている場面もあります。 また、動けない、食べられと職員の指示通りにできないシーンはありました。しかし、ウィシュマさんは指示に従おうとはしており、意図的に指示に従わなかったり、逆らうシーンはは全くありません」、なるほど。 「梅村議員」は一般の議員ではなく、本来、専門性を求められる「法務委員会の委員」なので、驚きは一層だ。「馬場伸幸代表は「政治家としてまだまだ未熟。居酒屋で仲間同士が話しているのとは違う」として、入管難民法改正案を審議中の参院法務委員会の委員から梅村議員を更迭。党紀委員会に諮り、党としての処分を行うと発表しました」、なるほど。 米山 隆一氏による「トンデモ暴言・梅村みずほ議員はこうやって生まれた…維新に蔓延する思いつきだけの「逆張り提案」の愚かさを考える」 現代ビジネス (その8)(米山 隆一衆議院議員 前新潟県知事 トンデモ暴言・梅村みずほ議員はこうやって生まれた…“恫喝音声”入手「ほんま次ないで」 維新・女性府議が吉村知事SPからのハラスメント被害を党に申告、【1か月で8人が離党】「原因は立候補を巡る嫉妬、やっかみ」「党内ではイジメ」渦中の強制離党の維新県議が語る「お家騒動」 維新の県総支部は「処分は妥当」と回答) 維新の会 「高石」氏は後述のように物理的にも「威圧的」な存在のようだ。 「190センチ超で、スキンヘッドという風貌の高石氏。維新関係者の間では「入道さん」と呼ばれる有名人・・・高石氏からのハラスメント被害を申告したのが、美好かほる府議(52)だ」、なるほど。 「高石」氏なら「ハラスメント」はありそうだ。 「橋下氏や松井氏の名前を出し、自らの影響力を誇示する場面もあった」、小者によくありがちな行為だ。 「それやったら俺がお前に金払うたるわ』という感じで財布を机にバーンと叩きつけた。すぐパワハラって言うから『パワハラ、パワハラって言うなら、訴えてみたらどう?』と。カッとなったので美好府議に申し訳なかったとお詫びはした」、よほど短気なようだ。 「私の一言で、公認が出ないとか、そんなアホな組織ではないと思うし。たとえば、冗談でね、『お前、そんなんアホばっかりしとったら次ないぞ』とかね、会話の中ではいうかもしれないけど。叱咤激励の一つですわね」」、その通りだろう。 「「それこそ、僕へのハラスメントやと思います。身体が大きいから乱暴やと言われる。恫喝って受け止められたら直さなというのはもちろんわかっているけど、こっちの言い分としては怒るには理由があるやんかと」、こうした居直り発言をしているようでは、解決にはほど遠そうだ。 「吉村氏はハラスメント根絶を掲げ、今回、党所属議員のハラスメント調査に乗り出した。そうした中、自身のSP担当でもあった高石氏によるハラスメント被害の申告についてどのように対応するのか、注目される」、おそらく「高石」氏については沈黙を守るだろう。 NEWSポストセブン「【1か月で8人が離党】「原因は立候補を巡る嫉妬、やっかみ」「党内ではイジメ」渦中の強制離党の維新県議が語る「お家騒動」 維新の県総支部は「処分は妥当」と回答」 「2人は林県議の処遇をめぐり、「今年6月に和歌山県紀美野町に災害支援金500万円を寄付しており、寄付が2期目の選挙後になることは当時の県幹事長だった山野麻衣子市議(42)に了解を得ていた」として11月18日に、和歌山県総支部の代表である井上英孝衆院議員を含めた役員5名の解任請求を党本部に提出した。「事情を知りながら違法な離党勧告を主導した」として、両氏は県総支部に対して徹底抗戦の構えを見せている」、事実関係については、よく分からないが、水かけ論のようだ。 「こうした嫉妬が遠因で、私への離党勧告も山野市議らが主導したと見ています」、ずいぶん次元の低い話だ。 「11月下旬には、長崎県総支部に至っては3名が「執行部によるパワハラで離党する」と記者会見を開いたばかり。林県議の離党からわずか1か月強で8人の地方議員が離党したことになる。しかも、和歌山では離党の動きがいまだに燻っているともいう。 ただでさえ大阪・関西万博の建設費増額をめぐり、矢面に立たされている維新。有権者はこの身内争いにどう断を下すのか──」、「維新」の組織のタガが緩み出したようだ。
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高齢化社会(その24)(パーキンソン病との折り合い日記(第1回 「うちのパーちゃん」と呼ばれるまで、第2回 主治医の選び方&付き合い方、第6回 DBS(脳深部刺激療法)手術とその効果) [社会]

高齢化社会については、本年7月25日に取上げた。今日は、(その24)(パーキンソン病との折り合い日記(第1回 「うちのパーちゃん」と呼ばれるまで、第2回 主治医の選び方&付き合い方、第6回 DBS(脳深部刺激療法)手術とその効果)である。

先ずは、本年8月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの原 英次郎氏による「「俺は今やアンドロイド」元経済誌編集長、パーキンソン病との折り合い日記 第1回 「うちのパーちゃん」と呼ばれるまで」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325402
・『『会社四季報』『週刊東洋経済』編集長、そして『ダイヤモンド・オンライン』編集長を歴任した著者が、60歳からパーキンソン病と共に生きるようになった日々を赤裸々に告白する。連載第1回は、発症と初診を振り返る』、興味深そうだ。
・『俺は今やアンドロイドだ  俺は、2016年11月に「パーキンソン病」と診断されました。パーキンソン病は脳の神経伝達物質が減少する病で、静止時の震えや筋肉のこわばりなどの運動障害が起きる(詳細は記事末へ)。 パーキンソン病と聞くと、少し知識のある人は、「だんだん体の自由が利かなくなり、最後は寝たきりに。もう、人生終わりだろう」と、思うかもしれない。 ところがどっこい、患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、パーキンソン病と聞くと、少し知識のある人は、「だんだん体の自由が利かなくなり、最後は寝たきりに。もう、人生終わりだろう」と、思うかもしれない。 ところがどっこい、患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、伝伝えていきたい。 もちろん、治療の結果、何か得ると何かを失うことも往々にして起こる。俺の場合は、診断から6年を経て、DBS(Deep Brain Stimulation)という治療法を決断し、22年9月に手術を受けた。頭に穴を開けて、細い針金状の電極を脳の中心部に刺す手術だ。 その電極からは微弱な電気が流れている。だから今、俺はまるで“アンドロイド”だ。でも、1日の多くを寝たきりだった状態から抜け出せたし、筋肉のこわばりが改善し、動きもずっとスムーズになった。薬の量も3分の2程度に減らせた。 とはいえ、もちろん、病気が完治するわけではない。術後、いいことずくめともいかないものだ。新たに、転倒や腰痛(の激化)、失禁の症状が出るようになった。今はこの治療のデメリットを最小限にしようと悪戦苦闘中である。 しかし、手術の直前、妻が俺を撮影した動画を見返すと、DBSの効果を実感する。だから、手術を受けなければよかったとは全く思わない。 何より、こうしてパソコンに向かって原稿が書ける。周りの協力があれば、仕事ができるようになったのは大きな喜びだ。ちなみに先日、飛行機に乗って田舎に帰省することもできた』、「パーキンソン病と聞くと、少し知識のある人は、「だんだん体の自由が利かなくなり、最後は寝たきりに。もう、人生終わりだろう」と、思うかもしれない。 ところがどっこい、患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、パーキンソン病と聞くと、少し知識のある人は、「だんだん体の自由が利かなくなり、最後は寝たきりに。もう、人生終わりだろう」と、思うかもしれない。 ところがどっこい、患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、伝伝えていきたい」、大いに参考になりそうだ。
・『「あなた、歩き方が変よ。老人みたい」  さて、改めて、パーキンソン病に気づいた経緯を振り返ってみたい。実は、父とその姉(つまり伯母)をパーキンソン病で亡くしている。父は4人姉弟なので、発病率は50%にも達する。だから、俺の兄(医者で専門は精神科)は、この病気に詳しかった。 兄から、「パーキンソン病は遺伝する。兄妹3人のうち誰かがパーキンソン病になる可能性は高い」「けれど現代医学では、寿命が尽きるまで日常生活を送れる」と聞いていた(もちろん個人差もあるし、前述した通りそう簡単ではないのも確かだが)。 あれはちょうど60歳、ダイヤモンド社を定年退職する年の夏だった。妻が、「あなた、歩き方が明らかに変よ。老人みたい」と言う。恐らく、やや腰が曲がって、歩幅の小さい歩き方をしていたのだろう。兄によるパーキンソン病の遺伝の話を、妻も聞いていたから、ピンと来たのかもしれない。 そのとき、ひどい頭痛がしたので、近所の脳内科の医者に紹介状を書いてもらい、近くのT大学病院へ。担当の医者は見たところ30歳代で、すぐにパーキンソン病か見極める主要検査をした。 その結果、さらに2週間ほどの検査入院が必要だと言われた。まだ現役バリバリ(週刊ダイヤモンド編集委員)だったので、検査だけで2週間は長すぎるなと思った。そこで、セカンド・オピニオンを取ることに。少し遠慮がちに、その旨をT大学病院の医者に告げると、嫌な顔一つせずに全ての資料を出してくれた。 当時から、順天堂大学病院(正式には順天堂大学付属順天堂医院という)がパーキンソン病の治療と研究で進んでいると聞いていた。病院のホームページを見ると、H医師だけが3カ月待ちとなっている。パーキンソン病は急速に進行する病気ではないし、きっと人気があるのだろうな、とH医師にセカンド・オピニオンをお願いした』、「父とその姉(つまり伯母)をパーキンソン病で亡くしている。父は4人姉弟なので、発病率は50%にも達する。だから、俺の兄(医者で専門は精神科)は、この病気に詳しかった。 兄から、「パーキンソン病は遺伝する。兄妹3人のうち誰かがパーキンソン病になる可能性は高い」「けれど現代医学では、寿命が尽きるまで日常生活を送れる」と聞いていた(もちろん個人差もあるし、前述した通りそう簡単ではないのも確かだが)、事前に予備知識は十分に持っていたようだ。「順天堂大学病院・・・がパーキンソン病の治療と研究で進んでいると聞いていた。病院のホームページを見ると、H医師だけが3カ月待ちとなっている。パーキンソン病は急速に進行する病気ではないし、きっと人気があるのだろうな、とH医師にセカンド・オピニオンをお願いした」、いい医師を見つけたものだ。
・『茫洋としたH医師の即断、命運を委ねた俺  秋も深まった11月、ようやくH医師との面会の日がやってきた。率直に言うと、ファーストインプレッションは、「本当にこの医者、大丈夫かいな?」――。俺と妻があいさつをしても、パソコンの画面をにらみ続けている。髪の毛は白髪混じりで、肩に届かんばかりに長く伸ばし、茫洋としてつかみどころのない人だと感じた。 一通り手足の動作を点検した後、俺の父と母がいとこの子ども同士であることや出身地の話に及ぶと、H医師の口数も増えていったのが印象的だった。パーキンソン病の中でも遺伝性のパーキンソン病が、H医師の専門だということは後に知ることになる。 そうして、一通り話をし終えるとH医師は、「遺伝性のパーキンソン病ですね」と即断した。俺と妻は目配せすること数秒後、「先生にお世話になりたいのですが…」と伝えた。それは何といっても、H医師が自信を持って「即断」されたからに他ならない。 実は、パーキンソン病を診断するのは非常に難しいといわれている。検査は似たような症状を引き起こす病気が他にないかを調べるために行う。なぜならパーキンソン病は、それを示す指標となるものがないからだ。要するに、症状の原因が他の病気のせいではないと分かった上で、医者が患者の動きを見て判断する。だから、数多くのパーキンソン病の症例を見てきた医者が、判断しやすいということになる。 このように経験の要素が多いとすれば、若い医師はとうていベテラン医師に追いつけない。兄からは、「若い医者を育てるつもりで、そっちを選ぶのも一つの考え方だ」などと言われていたが、俺はそこまで広い度量を持てなかった。名医と呼ばれるH医師を頼り、自分の命運を委ねることにした。 H医師は診察初日、俺に、「お父さまは何歳で亡くなったの? 83歳ですか。じゃあ、その年までは生きましょう」と言った。その後も診察の度、「(パーキンソン病に)なったものは、くよくよしても仕方ない」「何でも前向きに捉えていこう」と聞かされる。 実は昔、兄が寝ているときに体が勝手に動く姿を目撃したことがあり、兄がパーキンソン病を発症するのではと心配していた。だから、60歳のあの夏、「えっ、なんで俺が!?」と恨み節の一つくらいは出た。 けれど結局、兄とH医師のおかげで、パーキンソン病を「恐れず、騒がず、悲観せず」の態度で迎えることができた。さらに、ノリのいい妻は、俺のことを「うちのパーちゃん(パーキンソン病のパ)」と呼ぶことにしたのだった。 連載の次回は、主治医の選び方・付き合い方(セカンド・オピニオンの重要性)について、H医師と俺と妻のやりとりの詳細をさらに書いてみたい』、「パーキンソン病は、それを示す指標となるものがないからだ。要するに、症状の原因が他の病気のせいではないと分かった上で、医者が患者の動きを見て判断する。だから、数多くのパーキンソン病の症例を見てきた医者が、判断しやすいということになる・・・兄とH医師のおかげで、パーキンソン病を「恐れず、騒がず、悲観せず」の態度で迎えることができた」、なるほど。 
・『パーキンソン病とは~  パーキンソン病という名前は、約200年も前に、イギリスのジェームズ・パーキンソン医師が、振戦麻痺(まひ)に関して発表した論文に由来する。パーキンソン病は脳の神経伝達物質であるドパミンが減少することによって起こる。 ドパミンは体をスムーズに動かすために、脳の指令を筋肉に伝える物質(ホルモンの一種)で、脳の中の黒質神経細胞で作られる。この黒質神経細胞が壊れることで、ドパミンの量が減ってしまうのが、パーキンソン病だ。なぜ黒質細胞がより多く死滅するのかについては、まだ明確な原因は特定されていない。 パーキンソン病になると、さまざまな運動障害が出てくる。次の四つが典型的だ。(1)静止時の震え、(2)筋肉が硬くこわばる筋固縮、(3)動きが遅くなる寡動・無動、(4)転びやすくなる姿勢反射障害。 パーキンソン病を発症した有名人では、ボクシング・ヘビー級の偉大なチャンピオンだったモハメド・アリがいる。1996年のアトランタ五輪で、震える腕で聖火をかざす姿を思い出す人も多いだろう。また、人気映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの主演を務めたマイケル・J・フォックスは、発症後も俳優の仕事を長年にわたり続けている』、「パーキンソン病になると、さまざまな運動障害が出てくる。次の四つが典型的だ。(1)静止時の震え、(2)筋肉が硬くこわばる筋固縮、(3)動きが遅くなる寡動・無動、(4)転びやすくなる姿勢反射障害」、なるほど。
・『俺の場合~  静止時の震えは全くなく、筋肉が硬くこわばる筋固縮が症状の中心だった。筋固縮による腰痛にも悩まされていた。それがDBS手術後、全般的に症状は改善し、寝込むこともなくなったものの、姿勢反射障害による転倒がひどくなり、これをどうコントロールするかが目下の課題だ』、「姿勢反射障害による転倒がひどくなり」、これは危険で注意が必要だ。

次に、8月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの原 英次郎氏による「パーキンソン病になった元経済誌編集長、主治医の選び方&付き合い方の大切さを思い知る 第2回 主治医の選び方&付き合い方~セカンド・オピニオンは大事~」を紹介しよう。
・『会社四季報』『週刊東洋経済』編集長、そして『ダイヤモンド・オンライン』編集長を歴任した著者が、60歳からパーキンソン病と共に生きるようになった日々を赤裸々に告白する。連載第2回は、主治医の選び方&付き合い方について』、興味深そうだ。
・『長く付き合う病で大切な主治医の存在(連載第1回の『「俺は今やアンドロイド」元経済誌編集長、パーキンソン病との折り合い日記』では、パーキンソン病の発症と初診を振り返り、俺が「うちのパーちゃん」と妻に呼ばれるまでの顛末を書いた。 俺が60歳で診断されたパーキンソン病は、完治することはない。ゆっくりと病状が進行していく病だ(もちろん、症状や、病の進行度合いには個人差がある)。 パーキンソン病とは「長い付き合い」になるので、主治医との相性はとても重要だ。俺と主治医のH医師は、出会ってもう7年。順天堂大学病院にセカンド・オピニオンを申し込んだとき、H医師に担当をお願いして初診を受け、そのまま主治医となった。 なぜH医師にお願いしたかというと、H医師だけが3カ月待ちと知り、きっと人気があるのだろうな、とその人気に引かれたまでだ。要するに、ミーハー心だった。ふたを開けてみると、H医師はパーキンソン病の権威であり、この病気に関わる人なら誰もが知っているほどの有名人だった。 前回、H医師の第一印象が「茫洋としてつかみどころがない」と書いたが、実はその雰囲気がとても「いい味」を生んでいた。H医師の口癖は、「(パーキンソン病に)なってしまったものは仕方がない。何でも前向きに考えていこう」だ。 「これもできなくなった。あれもできなくなった…」と嘆くのではなく、「あれもまだできる。これもまだまだできる!」と考えるのがいかに大切かは、老いや病に直面するとよく分かる。 俺の場合は発症してしばらくすると、食器棚からコップを取り出したり、冷蔵庫からペットボトルを取り出したりすると9割の確率で床に落とすようになり、イライラするようになった。 けれど、「落ち着いてよくよく注意して取り出しさえすれば、落とすことはないんだ」と思うようにした。H医師の助言を受けての、発想の転換だ。 もちろん、そう思うようになっても往々に失敗するときもある。けれど、そうやって気持ちを切り替えれば、「できることは、まだたくさん残っている」と思える。 パーキンソン病患者の約20パーセントが、「レビー小体型認知症」を発症するといわれている。H医師の思考の習慣に倣えば、「5人に1人も認知症になるんだ…」ではなく、「5人のうち4人は認知症にならないんだ!」と、いうことだ。考える方向を変えるだけで、物事は全く違った見え方をする。 H医師はユーモアのセンスもある。定期診断で患者を歩かせるとき、「かかと、かかと」と号令をかけてくれるのだが、あるときの会話はこんな感じだった。 「かかとから下りないと、転ぶよ」とH医師。 「そういうふうに声をかければいいんですね」と俺の妻。 「奥さんではダメなんだな。いつも聞いている奥さんの声じゃあ、脳の刺激にならないんだ。若い女の子なら、なおいいね」。 なんてやりとりに、その場に居合わせた一同、大笑いだ。なお、俺の場合は妻の声でも大いに助かっている(と、ここでは一応、書いておこう…)』、「パーキンソン病患者の約20パーセントが、「レビー小体型認知症」を発症するといわれている。H医師の思考の習慣に倣えば、「5人に1人も認知症になるんだ…」ではなく、「5人のうち4人は認知症にならないんだ!」と、いうことだ。考える方向を変えるだけで、物事は全く違った見え方をする」、前向きな捉え方が大切なようだ。
・『パーキンソン病で「世界一」目指すH医師  われわれ夫婦が、H医師に大きな信頼を寄せるようになったきっかけは他にもある。初めて会ってから3~4年たった頃、いつものように診断も終わりかけ、会話が漫談のようになってきたとき、妻が単刀直入に「先生はどうしてパーキンソン病を専門にしようと思ったのですか」と、尋ねたのだ。すると、 「先々代も先代の担当教授もパーキンソン病が専門でした。初めは精神科医になりたいと思ったんだけど、もう少し、科学の力で証明できるようなものが好きだったので、パーキンソン病を選んだんです」と、H医師は話し始めた。 「それで、『パーキンソン病なら、Hだ』と言われる存在になりたいなと。実際、自分は世界で一番パーキンソン病に詳しい…(と、言いかけて)、世界一パーキンソン病患者を診ている。だから、臨床と研究の両方やっているんです」 俺と妻はこの話にすっかり感心してしまった。ジャーナリストという職業柄、自分が納得する説明にたどり着くまで満足しないタイプであり、H医師に対してたまに、「やや言葉足らずだな」などと、俺は少し不満を抱いていた。 しかし先の話を聞いた途端、「俺はなんて小さなことにこだわっていたのか…」と反省した。「世界一」という高い目標を掲げて、それを患者に公言するなんて、そうとう覚悟がないとできないことだ。H医師は、強い決心と人並み外れた努力をしたに違いない。 ここで、自分の拙い話をさせてもらう。俺が20代後半に経済誌の記者として金融業を担当していた頃、「スワップ取引」が始まった。今では一般的になった、金融デリバティブ商品のことだ。俺は、「金融の最新テーマに一番詳しい記者になろう」と目標を立て、取材と執筆に精を出した。が、しばらくして担当業種が変わると、あっという間にそのテーマを追うのをやめてしまった。 そんな若き日の俺に比べたら、H医師の志はなんと気高いことだろう。自分が恥ずかしい気持ちになったことは、言うまでもない。そしてこのときから、H医師に全幅の信頼を寄せるようになった』、「「世界一」という高い目標を掲げて、それを患者に公言するなんて、そうとう覚悟がないとできないことだ。H医師は、強い決心と人並み外れた努力をしたに違いない」、その通りだ。
・『主治医の条件は人それぞれだが…  もちろん、どんなタイプの医師が主治医に向いているかは、人それぞれだ。俺にとってのH医師が、他の誰に対しても良き主治医になるとは限らない。相性の良しあしというものがある。 では、主治医の条件とは何だろう。パーキンソン病患者となって思うのは、不治の病だからこそ、自分の病気のこと、つらいことなど、とにかく話を聞いてほしいということだ。しゃべるだけでも、身も心も軽くなるような気がする。 だから、「思いを受け止めてくれている」と患者が感じられること、そして診察が終わる頃には明るい気持ちにしてくれる医者こそ、この種の病の主治医にふさわしいと思う。コミュニケーションの仕方や表現のスタイルは、人それぞれ違って構わない。 俺は、セカンド・オピニオンを行うことで幸運にも、自分にぴったりの主治医を見つけることができた。つい最近も、新聞の見だし風に言えば、「H医師、○年連れ添った熟年夫婦を“離婚の危機”から救う」なんて出来事があったのだが、それはまた改めて書くことにする。 連載の次回は、「人は優しく、街は冷たい」だ。難病になって以降、人々の優しさに触れる機会が多く感動することもしばしば。対して街の作りのなんと冷たいことか。難病者の実体験に基づいた「ここがダメだよ東京のバリアフリー」とでも予告しておこう。乞うご期待』、「パーキンソン病患者となって思うのは、不治の病だからこそ、自分の病気のこと、つらいことなど、とにかく話を聞いてほしいということだ。しゃべるだけでも、身も心も軽くなるような気がする。 だから、「思いを受け止めてくれている」と患者が感じられること、そして診察が終わる頃には明るい気持ちにしてくれる医者こそ、この種の病の主治医にふさわしいと思う」、確かにその通りだろう。

第三に、11月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの原 英次郎氏による「脳の手術後「夫の人格が変わった」「電極を抜いて」と語る妻…本当の闘いはこれからだ 第6回 DBS(脳深部刺激療法)手術とその効果【後編】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/333023
・『60歳で難病の診断を受けた筆者が闘病生活を赤裸々につづる連載。第6回以降は、頭に穴を開けるDBS(脳深部刺激療法)手術とその効果について前・中・後編に分けてお届けしている。今回は、2022年9月30日に手術を受けてから1年をつづる後編』、興味深そうだ。
・『手術が終わってからが治療の始まり そもそも効果の期待できない3things  DBS(脳深部刺激療法)は、「手術が終わってからが治療の始まり」だという。実際、この言葉の通りだというのが1年たった俺の感想だ。得たものも大きかったが、新しく克服しなければならならない課題も生じた。 (図1:DBSシステム はリンク先参照) 得たものは、差が大きくて苦しめられていたオン(薬が効いている時間)とオフ(薬の効いていない時間)の差がなくなり、一日中活動できるようになったことだ。オフの時間に寝込む必要がなくなったのは、本当にうれしい。 一方、新たな課題は、とても転びやすくなったこと、言葉が出にくくなったことだ。 そもそもDBSでは、改善の効果が期待できない3thingsというものがある(図2参照)。俺の新たな課題はこの中にも入っていて、DBSではそもそも改善は期待できない。「新たな」といったが、この1年でいっそう悪化したことといった方がいいだろう。 (図2:効果の期待できない“3 things”はリンク先参照) 2022年9月30日に手術を受け、10月21日に退院、そして同月31日は初めての外来による診察だった。オンとオフがなくなったのは、まさにDBS手術の狙い通りだが、新しい課題については担当医のO先生に相談した(下記は、その時の様子を友人たちへ報告したメールから引用)。 「左後方に倒れやすいこと、足の裏のしびれ、それから私の性欲が強いことについて相談しました。 転倒と足の裏の痺れについては、0.2mmA電流を強くし、性欲についてはやる気を刺激する貼り薬のニュープロバッチを18mgから15.75mgへと減らすことになりました。まだ、脳の腫れが残っており、腫れが引くにつれ、電流を強くし薬を減らして行く予定です」 O先生によれば、退院した後も電極を入れただけで良くなってしまう一時的な効果もあるので、それが落ち着く半年間は、月1回の外来診療で微調整する必要があるという。その後、もちろん医師の指示通り月1ペースで通院したが、転びやすいという姿勢反射障害はなかなか克服されなかった。
 人間の生活は、「無意識」が多い。俺は、無意識に方向転換する時が危ない。牛乳をコップ1杯飲み干したのでもう1杯飲もうと、冷蔵庫のドアを開けた瞬間に後ろにひっくり返る。階段から無事に降りたと思ったのも束の間、左右どちらかに方向転換するとひっくり返るといった具合である。特に、自宅にいる時が危ない。壁までの距離が近い上に、家具なども並べてあるからだ。 どうしたものかと思っていた時、実兄のアイデアで、ラグビーのヘッドキャップをかぶるようにした(俺は、高校時代ラガーマンだった)。これが、いかように転んでも頭を保護してくれて、すごい威力を発揮している。外出時にかぶる時もあるが、ラグビー好きのおじさんくらいにしか思われない(と思う…)。 キャップ姿の写真をこの連載の担当者に送ったら、「似合っていますね、すごく若々しく見えますよ!」なんておだてられてしまい、いつの間にか連載のトップ画像になっていた。>>『元経済誌編集長、パーキンソン病と闘う』』、「転倒と足の裏の痺れについては、0.2mmA電流を強くし、性欲についてはやる気を刺激する貼り薬のニュープロバッチを18mgから15.75mgへと減らすことになりました。まだ、脳の腫れが残っており、腫れが引くにつれ、電流を強くし薬を減らして行く予定です」 O先生によれば、退院した後も電極を入れただけで良くなってしまう一時的な効果もあるので、それが落ち着く半年間は、月1回の外来診療で微調整する必要があるという」、手術しても「電流」の強さの「微調整」などが必要なようだ。
・『母の危篤と死に伴い九州を何度も往復 腰~太ももの裏側を貫く激痛に襲われる  ただ、O先生からは念のため、「自宅キッチン出入り禁止令」を出されてしまった。23年の初め頃には、姿勢反射障害、腰痛、失禁が新たな3大課題となった。 失禁については、外出時は紙おむつを利用することで対応可能だし、街のバリアフリーについて考える良いきっかけにもなった(連載の第3回『ヤマダデンキの「神トイレ」に感激…難病患者が「本当にありがたかった」と語る理由』を参照してほしい)。 腰痛も徐々に和らぎつつあった。問題は、姿勢反射障害だ。そんなとき、思わぬ不幸が俺を襲った。 九州にいる俺の母が危篤に陥り、そのまま帰らぬ人となり、葬儀、四九日法要と何度も九州と自宅(千葉県)を往復することになったのだ。忙しさと長時間の移動で、急激に腰から臀部(でんぶ)、太ももの裏側を貫く激痛に襲われるようになった。 この痛みに対して、持病の脊柱管狭窄(きょうさく)症による神経圧迫と、さらにパーキンソン病による筋肉固縮が血液循環を悪化させ、神経を圧迫し、いっそう痛みが増しているという点では、どの医師の見立ても変わらない。しかし、痛みの期間が長引くにつれ、治療に関しては少しずつ意見が異なるようになってきた。 (図3:DBSの適応基準(一般的な例) はリンク先参照) (表:DBSが効く症状、DBSが効かない症状 はリンク先参照)』、「この痛みに対して、持病の脊柱管狭窄(きょうさく)症による神経圧迫と、さらにパーキンソン病による筋肉固縮が血液循環を悪化させ、神経を圧迫し、いっそう痛みが増しているという点では、どの医師の見立ても変わらない。しかし、痛みの期間が長引くにつれ、治療に関しては少しずつ意見が異なるようになってきた」、痛みの治療法で医者間の意見がまとまらないというのは困ったことだ。
・『手術への期待と現実のギャップ 俺の「人格が変わってきた」という妻  6年間にわたる薬物治療とDBSを通じて感じたのは、パーキンソン病の個別性の高さである。薬物治療は個人の症状の違いに合わせて常に、薬の種類と量を調整していく必要がある(第5回『「高をくくっていた…」難病患者が明かす、“薬がよく効く期間”の後に下した2度の大決断』参照)。 DBS治療の場合は、手術前の検査が何よりも大切だと思う。DBSが効くかどうかを判断するだけでなく、患者が抱いた期待と、その後の現実とのギャップに戸惑うことも多いからだ。 DBSで外来に通っていると、似た境遇の患者と話をする機会がある。ある中年女性はジスキネジア(本人の意思とは関係なく、体の一部が勝手に不規則で異様な動きする現象)がひどい。彼女は「こんなことなら手術なんかするんじゃなかった」とぼやいていた。もちろん、手術によって以前よりジスキネジアが軽くなっているのかもしれない。ただ、本人としては、頭に穴を開けたのだから、もっと良い結果を想像していたのだろう。 我が家の“山の神”も、当初はDBSをとても評価していた。だが、手術から1年たち、DBSによって俺の人格が変わってきた、という。性格が変化する上に、毎朝、痛みで七転八倒している俺を見かねて、「電極を抜いてください」ともう一人の主治医であるH先生に要望するほど、評価が一転してしまった。 かみさんに言わせると、DBS手術で性格が変わり得ること、意思疎通に問題が生じるほど言葉が出にくくなること、手術をしても強烈な腰の痛みがとても長く続く可能性については、「聞いていない」というのだ。 先生方からすれば、一通り説明したということになるが、なにせ専門家と素人である。そこに、誤解や理解の差があって当然だ。問題はその差が明らかになった時、どうやって互いが納得するような対策を見いだせるかだろう。 一方、術後1年してパーキンソン病そのものに対する診断は、病気の進行はほとんど見られない、つまりDBSは有効であるという上々の結果となった。手術現場で起こった視床下核の異常な反応の悪影響は、杞憂(きゆう)に終わったようだ。 では、この結果と痛みに追いまくられる現実をどう考えたらいいのか――。パーキンソン病が主因なのか、脊柱管狭窄症が主因なのか、痛みの原因は複雑に絡んでいて、明確な答えは出ていない。 痛みは、体力のみならず気力までも奪い取る。だから、この痛みさえ取れれば、やれることは大きく広がるはずだ。オンとオフがなくなったメリットはそれだけ大きい。そのメリットを生かすためにも、本当の「闘い」はこれからだと思っている』、「我が家の“山の神”も、当初はDBSをとても評価していた。だが、手術から1年たち、DBSによって俺の人格が変わってきた、という。性格が変化する上に、毎朝、痛みで七転八倒している俺を見かねて、「電極を抜いてください」ともう一人の主治医であるH先生に要望するほど、評価が一転してしまった。 かみさんに言わせると、DBS手術で性格が変わり得ること、意思疎通に問題が生じるほど言葉が出にくくなること、手術をしても強烈な腰の痛みがとても長く続く可能性については、「聞いていない」というのだ・・・痛みの原因は複雑に絡んでいて、明確な答えは出ていない。 痛みは、体力のみならず気力までも奪い取る。だから、この痛みさえ取れれば、やれることは大きく広がるはずだ。オンとオフがなくなったメリットはそれだけ大きい。そのメリットを生かすためにも、本当の「闘い」はこれからだと思っている」、やはり「パ-キンソン病」の手術は術後の対応も大変のようだ。
タグ:原 英次郎氏による「脳の手術後「夫の人格が変わった」「電極を抜いて」と語る妻…本当の闘いはこれからだ 第6回 DBS(脳深部刺激療法)手術とその効果【後編】」 「パーキンソン病患者となって思うのは、不治の病だからこそ、自分の病気のこと、つらいことなど、とにかく話を聞いてほしいということだ。しゃべるだけでも、身も心も軽くなるような気がする。 だから、「思いを受け止めてくれている」と患者が感じられること、そして診察が終わる頃には明るい気持ちにしてくれる医者こそ、この種の病の主治医にふさわしいと思う」、確かにその通りだろう。 「「世界一」という高い目標を掲げて、それを患者に公言するなんて、そうとう覚悟がないとできないことだ。H医師は、強い決心と人並み外れた努力をしたに違いない」、その通りだ。 「パーキンソン病患者の約20パーセントが、「レビー小体型認知症」を発症するといわれている。H医師の思考の習慣に倣えば、「5人に1人も認知症になるんだ…」ではなく、「5人のうち4人は認知症にならないんだ!」と、いうことだ。考える方向を変えるだけで、物事は全く違った見え方をする」、前向きな捉え方が大切なようだ。 原 英次郎氏による「パーキンソン病になった元経済誌編集長、主治医の選び方&付き合い方の大切さを思い知る 第2回 主治医の選び方&付き合い方~セカンド・オピニオンは大事~」 「姿勢反射障害による転倒がひどくなり」、これは危険で注意が必要だ。 「パーキンソン病になると、さまざまな運動障害が出てくる。次の四つが典型的だ。(1)静止時の震え、(2)筋肉が硬くこわばる筋固縮、(3)動きが遅くなる寡動・無動、(4)転びやすくなる姿勢反射障害」、なるほど。 「パーキンソン病は、それを示す指標となるものがないからだ。要するに、症状の原因が他の病気のせいではないと分かった上で、医者が患者の動きを見て判断する。だから、数多くのパーキンソン病の症例を見てきた医者が、判断しやすいということになる・・・兄とH医師のおかげで、パーキンソン病を「恐れず、騒がず、悲観せず」の態度で迎えることができた」、なるほど。 「順天堂大学病院・・・がパーキンソン病の治療と研究で進んでいると聞いていた。病院のホームページを見ると、H医師だけが3カ月待ちとなっている。パーキンソン病は急速に進行する病気ではないし、きっと人気があるのだろうな、とH医師にセカンド・オピニオンをお願いした」、いい医師を見つけたものだ。 「父とその姉(つまり伯母)をパーキンソン病で亡くしている。父は4人姉弟なので、発病率は50%にも達する。だから、俺の兄(医者で専門は精神科)は、この病気に詳しかった。 兄から、「パーキンソン病は遺伝する。兄妹3人のうち誰かがパーキンソン病になる可能性は高い」「けれど現代医学では、寿命が尽きるまで日常生活を送れる」と聞いていた(もちろん個人差もあるし、前述した通りそう簡単ではないのも確かだが)、事前に予備知識は十分に持っていたようだ。 患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、伝伝えていきたい」、大いに参考になりそうだ。 患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。そのことを古巣、ダイヤモンド・オンラインに連載の形を借りて、パーキンソン病と聞くと、少し知識のある人は、「だんだん体の自由が利かなくなり、最後は寝たきりに。もう、人生終わりだろう」と、思うかもしれない。 ところがどっこい、患者から見れば、ゆっくりとはいえ確実に医学は進歩していて、パーキンソン病はもう「失意の病」ではない。 原 英次郎氏による「「俺は今やアンドロイド」元経済誌編集長、パーキンソン病との折り合い日記 第1回 「うちのパーちゃん」と呼ばれるまで」 ダイヤモンド・オンライン (その24)(パーキンソン病との折り合い日記(第1回 「うちのパーちゃん」と呼ばれるまで、第2回 主治医の選び方&付き合い方、第6回 DBS(脳深部刺激療法)手術とその効果) 高齢化社会 「転倒と足の裏の痺れについては、0.2mmA電流を強くし、性欲についてはやる気を刺激する貼り薬のニュープロバッチを18mgから15.75mgへと減らすことになりました。まだ、脳の腫れが残っており、腫れが引くにつれ、電流を強くし薬を減らして行く予定です」 O先生によれば、退院した後も電極を入れただけで良くなってしまう一時的な効果もあるので、それが落ち着く半年間は、月1回の外来診療で微調整する必要があるという」、手術しても「電流」の強さの「微調整」などが必要なようだ。 「この痛みに対して、持病の脊柱管狭窄(きょうさく)症による神経圧迫と、さらにパーキンソン病による筋肉固縮が血液循環を悪化させ、神経を圧迫し、いっそう痛みが増しているという点では、どの医師の見立ても変わらない。しかし、痛みの期間が長引くにつれ、治療に関しては少しずつ意見が異なるようになってきた」、痛みの治療法で医者間の意見がまとまらないというのは困ったことだ。 「我が家の“山の神”も、当初はDBSをとても評価していた。だが、手術から1年たち、DBSによって俺の人格が変わってきた、という。性格が変化する上に、毎朝、痛みで七転八倒している俺を見かねて、「電極を抜いてください」ともう一人の主治医であるH先生に要望するほど、評価が一転してしまった。 かみさんに言わせると、DBS手術で性格が変わり得ること、意思疎通に問題が生じるほど言葉が出にくくなること、手術をしても強烈な腰の痛みがとても長く続く可能性については、「聞いていない」というのだ・・・ 痛みの原因は複雑に絡んでいて、明確な答えは出ていない。 痛みは、体力のみならず気力までも奪い取る。だから、この痛みさえ取れれば、やれることは大きく広がるはずだ。オンとオフがなくなったメリットはそれだけ大きい。そのメリットを生かすためにも、本当の「闘い」はこれからだと思っている」、やはり「パ-キンソン病」の手術は術後の対応も大変のようだ。
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女性活躍(その29)(〈女性総理争い勃発!?〉“味方は杉田水脈”の高市氏VS“軽い神輿”の上川氏 「ポスト岸田レース」有力候補が続々脱落のなか 初の女性総理 誕生なるか?【2023政治記事 5位】、女性管理職が増えた大企業で男性社員の仕事満足度が急降下…経済学の研究が明かす「女性活躍の不都合な真実」 1000人以上の大企業で起きている男性社員の異変、江戸時代の女性は銭湯から裸で歩いて帰った…かつての日本で女性たちが上半身裸でうろついていた理由 何を"恥ずかしい"と感じるかは文化の中で形成される) [社会]

女性活躍については、本年9月9日に取上げた。今日は、(その29)(〈女性総理争い勃発!?〉“味方は杉田水脈”の高市氏VS“軽い神輿”の上川氏 「ポスト岸田レース」有力候補が続々脱落のなか 初の女性総理 誕生なるか?【2023政治記事 5位】、女性管理職が増えた大企業で男性社員の仕事満足度が急降下…経済学の研究が明かす「女性活躍の不都合な真実」 1000人以上の大企業で起きている男性社員の異変、江戸時代の女性は銭湯から裸で歩いて帰った…かつての日本で女性たちが上半身裸でうろついていた理由 何を"恥ずかしい"と感じるかは文化の中で形成される)である。

先ずは、本年11月28日付けgooニュースが集英社オンラインを転載した「〈女性総理争い勃発!?〉“味方は杉田水脈”の高市氏VS“軽い神輿”の上川氏。「ポスト岸田レース」有力候補が続々脱落のなか、初の女性総理、誕生なるか?【2023政治記事 5位】」を紹介しよう。
https://news.goo.ne.jp/article/shueisha/nation/shueisha-182370.html
・『2023年度(1月〜12月)に反響の大きかった政治記事ベスト10をお届けする。第5位は、内閣支持率が急降下している岸田政権の中で注目が集まる2人のベテラン女性議員についての記事だった(初公開日:2023年11月28日)。岸田内閣の支持率が報道各社で軒並み過去最低を記録し、永田町に衝撃が走っている。「政権交代を許した2009年の麻生政権末期に似た雰囲気だ」との悲鳴も上がっており、永田町の関心は一気にポスト岸田に向かっている。悪循環の空気をがらりと変えるための注目が集まっているのが、ベテラン女性議員2人の動向だ。 2023年度(1月〜12月)に反響の大きかった政治記事ベスト10をお届けする。第5位は、内閣支持率が急降下している岸田政権の中で注目が集まる2人のベテラン女性議員についての記事だった。(初公開日:2023年11月28日。記事は公開日の状況。ご注意ください』、興味深そうだ。
・『菅直人政権以来の低支持率も、ポスト岸田の本命不在  「時事通信、毎日新聞、朝日新聞、読売新聞の今月の世論調査は、いずれも内閣支持率25%以下。30%を割り込むと、『危険水域』と言われますが、旧民主党の菅直人政権以来の水準という、あまりに低い支持率に『民主党に政権交代を許した、麻生政権の末期のようだ』『もう何をしてもダメだ』との声が上がっています。 さらに、ここにきて5派閥の政治資金パーティー収入の不記載問題も発覚し、政権はさらにピンチに追い込まれています」(全国紙政治部記者) それゆえに自民党内では「岸田総理のもとでは、衆院選を戦えない」との悲鳴が相次ぎ、ポスト岸田が取りざたされている。 「岸田総理の弱点は、自身の派閥が党内第4派閥で、安倍派や麻生派、茂木派にはしごを外されたら、来年秋の総裁選での再選がかなわなくなることです。それだけに今後、主要派閥が岸田氏を担ぎ続けるのか、新たな総理を誕生させるのかが焦点となります」(同) ただ、現時点でポスト岸田の本命は不在だ。前回2021年の総裁選で次点だった河野太郎デジタル相は、マイナ問題をめぐる迷走もあり、失速中。「次の総理」にふさわしい人物として上位の常連である石破茂氏は無派閥で、党内での支持基盤は築けていないまま。 茂木敏充幹事長も「『私も出る』となれば、『令和の明智光秀』になってしまう」と、岸田氏の対抗馬として総裁選に出るつもりはないと強調する。 前回の総裁選に出馬した野田聖子氏も、前回は推薦人20人を集めるため、二階派に推薦人を出してもらうなど全面的に協力を受けたが、「岸田政権になって非主流派になってしまった二階派が大臣ポストを2つしかとれなかったのに、野田聖子は二階派に大臣ポストを譲ることもせず、こども担当大臣になった。次は支援しない」(二階派ベテラン)と怒りを買っており、苦しい状況だ』、「岸田氏」は本来であれば登場する筈の「対抗馬」がそれぞれの事情で、「登場できない」のは幸運なことかも知れない。
・『「取り巻きのメンバーが過激」勉強会開催の高市氏には冷ややかな声  そんななか、今、永田町の注目を集めているのが、2人のベテラン女性議員だ。 1人目は、いち早く総裁選をにらんだ動きを見せた高市早苗経済安保相。11月15日には安全保障などをテーマにした勉強会「『日本のチカラ』研究会」を開き、派閥横断の13人が参加した。岸田政権を支える閣僚でありながら、事実上の総裁選出馬に向けた準備を始めたとみられ、党内で波紋を呼んでいる。 「高市氏はX(旧Twitter)で『現職閣僚が担務外の政策を同僚議員と一緒に勉強することの何が悪いの、意味が分からん』と投稿していましたが、総裁選出馬について『また戦わせていただく』と明言した高市氏が勉強会を開催すれば、総裁選に向けた地ならしだととらえられるのは、当たり前でしょう」(全国紙政治部記者) ただ、勉強会に参加した顔ぶれを見ると、アイヌ民族などへの人権侵犯発言で物議をかもしている杉田水脈氏ら自民党内でも右派とされる議員が中心だ。「安倍さんの後ろ盾もなくなった今、高市さんが支持を広げるのは難しいのでは。取り巻きのメンバーも過激で、ついていけない」(自民党ベテラン)と冷ややかな声も。 安倍派の世耕弘成参院幹事長も勉強会に「いかがなものか」と苦言を呈し、高市氏が思惑通りに総裁選に向けた党内の支持基盤づくりを進められるかどうかは微妙だ』、「安倍さんの後ろ盾もなくなった今、高市さんが支持を広げるのは難しいのでは。取り巻きのメンバーも過激で、ついていけない・・・と冷ややかな声も。 安倍派の世耕弘成参院幹事長も勉強会に「いかがなものか」と苦言を呈し、高市氏が思惑通りに総裁選に向けた党内の支持基盤づくりを進められるかどうかは微妙」、なるほど。
・『非主流派も、上川氏に太鼓判?  一方、ここにきてポスト岸田として名前が急浮上しているのが、上川陽子外相だ。 上川氏は東大卒業後、三菱総合研究所の研究員を経て、ハーバード大学ケネディ・スクールで政治行政学修士号を取得。2000年に初当選を果たした。これまで男女共同参画相や法務大臣を歴任し、2018年にはオウム真理教の教祖だった麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚ら13人の死刑執行を命令したことでも知られる。 今年9月の内閣改造では、岸田派の林芳正外相が続投するとみられていたが、ノーマークだった上川氏が外相に就任。上川氏も岸田派に所属している。 「上川氏は米国の上院議員の政策スタッフを務めていた経験もあるが、外交手腕は未知数。それでも総理が林氏を交代させ、上川氏を外相にしたのは、自身と同じ岸田派内で総理を狙う林氏の力をそぎたいという思惑があったのでしょう」(自民党関係者) その上川氏について全国紙政治部記者は「能力が高いと言われているが、決まったことをこなす能力には長けていても、新しく自分で何かを作り出したり、決めたりすることは苦手だ」と厳しい見方をする。 ただ、その分、「神輿は軽いほうがいい。茂木幹事長、菅義偉前総理らも、上川さんなら自分たちがグリップできると思っています。女性初の総理を誕生させれば、衆院選も有利に戦える。『岸田では戦えない』と判断したベテランたちが、流れをつくるときは一瞬で動くのでは」(同)とみる。 実際に、自民党内からは「『ポスト岸田は上川外相だといかがでしょう』と聞くと、非主流派の重鎮も笑顔を見せた。2年間冷や飯を食わされ、そろそろ権力を手にしたい非主流派にとっても、上川外相なら乗れるのだろう」(自民党ベテラン議員)との声も漏れる。 あと1年を切ったポスト岸田レース。誰が権力を手にし、誰が冷や飯を食うのか……』、「総理が林氏を交代させ、上川氏を外相にしたのは、自身と同じ岸田派内で総理を狙う林氏の力をそぎたいという思惑があったのでしょう・・・「神輿は軽いほうがいい。茂木幹事長、菅義偉前総理らも、上川さんなら自分たちがグリップできると思っています。女性初の総理を誕生させれば、衆院選も有利に戦える。『岸田では戦えない』と判断したベテランたちが、流れをつくるときは一瞬で動くのでは」(同)とみる。 実際に、自民党内からは「『ポスト岸田は上川外相だといかがでしょう』と聞くと、非主流派の重鎮も笑顔を見せた。2年間冷や飯を食わされ、そろそろ権力を手にしたい非主流派にとっても、上川外相なら乗れるのだろう」、次期「総理」の要件は意外に複雑なようだ。

次に、11月24日付けPRESIDENT BOOKSが掲載した拓殖大学政経学部教授の佐藤 一磨氏による「女性管理職が増えた大企業で男性社員の仕事満足度が急降下…経済学の研究が明かす「女性活躍の不都合な真実」 1000人以上の大企業で起きている男性社員の異変」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/76078
・『2016年の女性活躍推進法施行以降、大企業を中心に女性管理職の数が増えている。それによる男性への影響はあるのか。拓殖大学教授で『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社)を上梓した佐藤一磨さんは「1000人以上の大企業で男子非管理職の仕事満足度がガクッと下がっている。比較的女性管理職が増えた企業で働く男性ほど、昇進機会が制限され仕事満足度が下がってしまったと考えられ、この結果は女性活躍推進法の副作用といえるのかもしれない」という――。 ※本稿は、佐藤一磨『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社)の一部を抜粋し加筆したものです。
https://president.jp/articles/-/76078
・『法律の思わぬ影響を考える  私たちが生きている社会には、さまざまな法律が存在しています。 法律は一定の目的をもって施行されるわけですが、中には思わぬ影響をもたらす場合があります。 今回はその一例として、2016年4月に施行された「女性活躍推進法」を取り上げてみたいと思います。この法律は、国、地方公共団体、労働者数301人以上(2022年からは101人以上)の事業主に女性が活躍できる行動計画を策定・公表するよう義務付けています。 狙いは労働力不足や男女間格差の解消、そして、女性のさらなる社会進出の促進です。 この法律では、管理職に占める女性の割合の把握・公表が義務付けられています。さらに、同法では「女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用」の実施が求められているため、対象となる企業、国、自治体で女性管理職が増加したと考えられます』、「女性活躍推進法」の影響とは興味深そうだ。
・『女性活躍推進法で気になる2つのポイント  さて、ここで気になることが2つあります。 1つ目は、女性活躍推進法によって女性管理職の割合がどの程度増えたのか、という点です。 実は女性活躍推進法は10年間の時限立法であるため、その進捗状況の確認は重要です。女性管理職が増えるぶんにはいいかもしれませんが、女性管理職がぜんぜん増えていなかった場合、制度の見直しが必要となります。はたして法の施行以降、女性管理職割合は順調に増えているのでしょうか。 2つ目は、女性活躍推進法の男性への影響です。 管理職のポスト数は限られているため、女性の数が増えれば男性の数は減少します。つまり、女性活躍推進法の施行以降、非管理職の男性の昇進機会が制限された可能性があるのです。 これは、昇給及び昇進時期の遅れや、そもそも昇進機会の消失につながった恐れもあり、非管理職の男性にとってマイナスの影響があったと予想されます。また、日本の強い性別役割分業意識を考えれば、男性は家庭での稼ぎ頭であることが求められるため、昇進機会の低下は、男性に心理負担をもたらしたとも考えられます。 以上の点を考慮すると、女性活躍推進法の施行は、非管理職男性の満足度、特に仕事満足度を悪化させたのではないでしょうか。この点は気になるところです。 以下でこれら2つの疑問に答えていきたいと思います』、「女性活躍推進法の施行は、非管理職男性の満足度、特に仕事満足度を悪化させたのではないでしょうか・・・以下でこれら2つの疑問に答えていきたい」、なるほど。
・『女性活躍推進法以降、女性管理職は「ちょっとだけ」増えた  まず、女性管理職割合は増えたのかという疑問から検証していきましょう。 図表1は厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を用いて、民間企業における女性管理職割合を見ています。女性活躍推進法は2016年の施行当初、301人以上の企業を対象としていたため、ここでは企業規模で女性管理職割合を分けてみました。なお、データの都合上、就業者が500人より多いか、少ないかで分類しています。 【図表】女性管理職比率の推移図表=筆者作成 この図から、女性活躍推進法の適用対象となっている企業で女性管理職割合が緩やかに増加したことがわかります。500人以上の企業では、女性管理職割合が2015年で7.5%だったのですが、2019年には9.2%へと微増しました。増加幅は1.8%です。これに対して、女性活躍推進法の適用対象外の企業の多い500人未満の企業では女性管理職はほぼ変化していませんでした。 この結果から、女性活躍推進法によって「ちょっとだけ」女性管理職割合が増えたと言えるでしょう』、「女性活躍推進法の適用対象となっている企業・・・500人以上の企業では、女性管理職割合が2015年で7.5%だったのですが、2019年には9.2%へと微増・・・増加幅は1.8%」、確かに「「ちょっとだけ」女性管理職割合が増えた」、ようだ。
・『女性管理職の増加は大企業で  図表1から、女性活躍推進法の適用対象企業で女性管理職割合がやや増えたと言えそうですが、適用対象企業の中には従業員が1000人以上を超える大企業もあれば、中規模の企業も混じっています。これらの企業で法への対応が異なっていてもおかしくありません。特に、大企業は社会の目もあるため、比較的真剣に女性管理職問題に取り組んだ可能性があります。 そこで、図表2では500人以上の企業を500~999人と1000人以上に分けてみました。これを見ると、女性活躍推進法の施行以降に女性管理職割合が増えたのは、1000人以上の大企業だとわかります。 【図表】企業規模別の女性管理職比率の推移図表=筆者作成 1000人以上の企業では、女性管理職割合が2015年で7.1%だったのですが、2019年には9.2%になり、この間に2.1%の増加となっていました。これに対して、500~999人の企業では、この間わずか0.3%しか女性管理職割合が増えていませんでした。 これらの結果から、女性活躍推進法によって女性管理職割合が増えたのは大企業のみであり、他はほぼ影響がなかったといえるでしょう』、「女性活躍推進法の施行以降に女性管理職割合が増えたのは、1000人以上の大企業・・・女性管理職割合が2015年で7.1%だったのですが、2019年には9.2%になり、この間に2.1%の増加となっていました。これに対して、500~999人の企業では、この間わずか0.3%しか女性管理職割合が増えていませんでした」、「大企業」では明確な効果が実証された。
・『男性の仕事満足度は女性活躍推進法の施行によって低下  次に見ていきたいのが女性活躍推進法の男性への影響です。結論から言えば、女性活躍推進法の施行によって、男性の仕事満足度は低下していました(※1)。 図表3は、女性活躍推進法の施行前後の非管理職正社員の男性の仕事満足度の推移を示しています。これを見ると、女性活躍推進法の適用対象であった301人以上の企業及び官公庁で働く男性の仕事満足度は、2016年以降ガクッと下がっていました。これに対して、300人未満の企業で働く男性の仕事満足度は大きな変化を経験しておらず、法の影響がなかったと考えられます。 【図表】非管理職正社員男性の仕事満足度の推移図表=筆者作成 ちなみに、統計的な手法を用いて年齢、学歴、世帯年収といったさまざまな要因の影響を除去しても、女性活躍推進法の適用対象であった男性の仕事満足度が低下するという傾向に変化は見られませんでした。 また、企業規模をさらに分けると、男性の仕事満足度の低下は1000人以上の大企業で働く場合で顕著に見られることもわかりました。やはり比較的女性管理職が増えた企業で働く男性ほど、昇進機会が制限され、仕事満足度が下がってしまったと考えられます。 この結果は、女性活躍推進法の副作用と言えるのかもしれません』、「男性の仕事満足度の低下は1000人以上の大企業で働く場合で顕著に見られることもわかりました。やはり比較的女性管理職が増えた企業で働く男性ほど、昇進機会が制限され、仕事満足度が下がってしまったと考えられます。 この結果は、女性活躍推進法の副作用と言えるのかもしれません」、なるほど。
・『女性の活躍推進は継続すべき  さて、この結果を男性の視点から見た場合、「けしからん!」となるかもしれません。これまで得ていたものを失い、不満が溜まっているからです。ただ、だからといって昔の日本の姿に戻るのは、難しいでしょう。 佐藤一磨『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社) もし企業や官公庁の管理職が男性で占められていた場合、イノベーションが起きないといった経営上の課題が解決されないことに加え、女性の賃金が伸びず、男女間賃金格差が温存されることになります。男女間賃金格差が温存された場合、出産・子育ての際に相対的に賃金の低い女性にその負担が偏る合理的な理由となってしまいます。 出産後に増える家事・育児負担を誰が担うのかと夫婦で話し合う場合、賃金が低くて世帯所得があまり減らないほうが担うのが得策となれば、どうしても女性に負担が偏るでしょう。それは男性の「大黒柱プレッシャー」や「男性のほうがポジションが上であるべき」という価値観が温存し続けることも意味し、結局は男性の仕事満足度へのネガティブな影響が残ることにつながります。 このように夫婦で合理的に考えた結果、女性の負担と男性の心理的プレッシャーが偏る状況が今後も続かないようにするためにも、女性活躍推進策を推し進めることが重要です。 (※1)佐藤一磨, 影山純二(2023)「女性活躍推進法は非管理職男性の主観的厚生にどのような影響を及ぼしたのか」日本人口学会第75回大会(南山大学、2023年6月10日発表). 佐藤 一磨(さとう・かずま)拓殖大学政経学部教授 (略歴はリンク先参照)』、「夫婦で合理的に考えた結果、女性の負担と男性の心理的プレッシャーが偏る状況が今後も続かないようにするためにも、女性活躍推進策を推し進めることが重要です」、同感である。

第三に、12月18日付けPRESIDENT Onlineが掲載した明治大学文学部 非常勤講師の三橋 順子氏による「江戸時代の女性は銭湯から裸で歩いて帰った…かつての日本で女性たちが上半身裸でうろついていた理由 何を"恥ずかしい"と感じるかは文化の中で形成される」を紹介しよう。
・『なぜ日本人男性の多くは「乳房」に性的欲望を覚えるのか。明治大学文学部非常勤講師の三橋順子さんは「かつての日本では乳房に性的な意味はなく、女性が上半身裸で過ごしているのも当たり前だった。人が何に性的欲望を感じるかは文化の中で形成される」という――。 ※本稿は、三橋順子『これからの時代を生き抜くためのジェンダー&セクシュアリティ論入門』(辰巳出版)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『「性的欲望」とはいったい何か セクシュアリティ(Sexuality)の学問的な定義とはなんでしょうか。セクシュアリティとは「性欲、性的欲望」のことです。いちばん短い定義、置き換え(翻訳)ですが、ちょっと露骨ですね。もう少し穏やかな言い方を好む人は「性愛」の言葉で置き換えます。ただこれは「『愛』とは何か?」というそれなりに厄介な問題をはらみます。もっと即物的には「性現象」と置き換えられます。 上野千鶴子さんは、日本におけるフェミニズムの大家ですが、日本のフェミニズム研究者には珍しく、若い頃からセクシュアリティへの関心をはっきりと持っていた方です(その点では尊敬しています)。その上野さんが、セクシュアリティとは「性をめぐる観念と欲望の集合」と定義しています(上野千鶴子「『セクシュアリティの近代』を超えて」)。 おおよそ良いと思うのですが「観念と欲望」だと「行為」が抜け落ちてしまいます。そこで私は、セクシュアリティとは、「性についての欲望と行為に関わる事象の総合」と定義しています。これだと「行為」も入りますし、かなり広い定義になります』、「上野さんが、セクシュアリティとは「性をめぐる観念と欲望の集合」と定義しています・・・おおよそ良いと思うのですが「観念と欲望」だと「行為」が抜け落ちてしまいます。そこで私は、セクシュアリティとは、「性についての欲望と行為に関わる事象の総合」と定義しています。これだと「行為」も入りますし、かなり広い定義になります」、なるほど。
・『ジェンダーとセクシュアリティを分けるのは「他者」の存在  ジェンダーとの区分を意識して、もっと細かく言いますと、「『性』に関わる事象のうち、性的指向(Sexual Orientation)、性的嗜好しこう(Sexual Preference)、性幻想(Sexual Fantasy)、性的技巧(Sexual Technique)などを中心とする概念」になります。ちなみに、普通のセクシュアリティ研究者は性的指向、性的嗜好、性幻想の3つで語ります。私は性的技巧を入れて4つなので、「性的技巧など学問ではない!」と叱られます。 セクシュアリティで重要なことは、基本的に「性的他者」が存在することです。「性的自己」(自分)と「性的他者」の関係性がセクシュアリティなのです。この場合、「性的他者」は実在か非実在かは問いません。また、必ずしも一対一である必要もありません。「性的他者」が非実在だったり、複数であるセクシュアリティを否定する人もいますが、私はその立場はとりません。 「ジェンダーとセクシュアリティの違いは何ですか?」という質問がときどきあります。なかなか良い質問ですが、簡潔に答えるのは難しいです。あえて答えれば、ジェンダーとは、私(性的自己)と社会との関係性です。それに対して、セクシュアリティとは、先ほど述べたように私(性的自己)とあなた(性的他者)の関係性になります。もちろんその背景(環境)として社会はあるのですが、それは第二義的です』、「ジェンダーとは、私(性的自己)と社会との関係性です。それに対して、セクシュアリティとは、先ほど述べたように私(性的自己)とあなた(性的他者)の関係性になります。もちろんその背景(環境)として社会はあるのですが、それは第二義的です」、なるほど。
・『何が欲情装置になるかは歴史と文化によって異なる  つぎに、セクシュアリティの構築性の話です。「ジェンダーが構築される話はまだわかるけど、セクシュアリティは本能でしょう?」と考える人は世の中にたくさんいます。たしかに人間も動物ですから、子孫を残す本能、そのための生殖行動をとる身体機能を持っています。ですから性的欲望の存在そのものは、生物学的な身体に由来する本能的なものと言えます。 しかし、その性的欲望が何に向かうか、何に性的欲望を覚えるかになると、本能的とは言えない多様性を持っています。それは、社会・文化的に構築されたものと考えるのが妥当です。 この点について上野千鶴子さんは、「欲望もまた社会的に構築されるものであるならば、セクシュアリティとはすぐれて文化的なものである」と言っています。私もほぼ同じ見解です。性的欲望、存在そのものは本能に由来するものであっても、その質は社会的・文化的に構築されたものになります。つまり何に対して性的欲望を抱くか、何が欲情装置(欲情の引き金)になるかは、歴史的・文化的に異なるのです』、「性的欲望、存在そのものは本能に由来するものであっても、その質は社会的・文化的に構築されたものになります。つまり何に対して性的欲望を抱くか、何が欲情装置(欲情の引き金)になるかは、歴史的・文化的に異なるのです」、なるほど。
・『「巨乳」も「貧乳」もわずか40年ほど前につくられた  例をあげて解説しましょう。近代日本における女性の乳房への視線の変化について話をします。「乳」の漢字を目にしてニヤニヤする人、もしくは恥ずかしいと感じる人がいます。そういった反応は「乳」の文字から女性の乳房を連想してのことだと考えられます。でも、それは間違いです。 「乳」という漢字の意味は、哺乳類の雌が子どもを養育するために分泌する栄養価の高い液体、つまりミルクです。女性の胸のふくらみといった意味は本来ありません。それを言うなら「乳房」であり、膨らんでいるとか、やや垂れ下がっているの意味は「乳」ではなく、「房」の字のほうにあります。大きな乳房を漢字で表現するなら「巨乳」ではなく「巨房」と言うべきです。 歴史的に見ても「乳」の用例は、「母乳」「授乳」「牛乳」「脱脂粉乳」など、「ミルク」の意味が圧倒的でした。「乳房」もミルクを出すふくらみという意味です。それが、1980年代の後半になって、「巨乳」「爆乳」「美乳」「貧乳」といった言葉がメディアによってつくられ(新造語)、「乳」に「乳房」の意味がつけ加えられました』、「歴史的に見ても「乳」の用例は、「母乳」「授乳」「牛乳」「脱脂粉乳」など、「ミルク」の意味が圧倒的でした。「乳房」もミルクを出すふくらみという意味です。それが、1980年代の後半になって、「巨乳」「爆乳」「美乳」「貧乳」といった言葉がメディアによってつくられ(新造語)、「乳」に「乳房」の意味がつけ加えられました」、なるほど。
・『「女性の乳房は大きいほどエロい」という認識はいつ生まれたか  本来の意味なら「爆乳」は爆発性のあるミルク、「貧乳」は栄養価の低いミルクでしょう。「巨乳」は1983年頃にアダルト系の男性雑誌が使い始めたとする説が有力です。それが1980年代後半に雑誌メディア、とくに写真週刊誌に転用されて広まります。 そもそも日本には、「女性の乳房は大きいほどエロい(性欲刺激的である)」との認識はありません。大きい乳房が好きな男性はいたかもしれませんが、少ないです。女性たちも乳房が大きいことを悩みこそすれ、誇ることはありませんでした。ところが、現代では「女性の乳房は大きいほどエロい」は社会通念化しています。それは、どこかの時点で価値観が変化したことを示しています』、「そもそも日本には、「女性の乳房は大きいほどエロい・・・」との認識はありません。大きい乳房が好きな男性はいたかもしれませんが、少ないです。女性たちも乳房が大きいことを悩みこそすれ、誇ることはありませんでした。ところが、現代では「女性の乳房は大きいほどエロい」は社会通念化しています。それは、どこかの時点で価値観が変化したことを示しています」、確かに言われてみれば、その通りだ。
・『わずか10年弱の間に「性的視線」が変化した  私の友人に、若い頃、モデル・女優をしていた人がいます。一緒に温泉に入っているので知っているのですが、乳房は大きくありません。モデル時代はAカップでしょう。それでも当時、一流の男性週刊誌『週刊プレイボーイ』や『週刊平凡パンチ』のカラーグラビアを飾り、写真集も出せたのです。 現在、そうしたグラビアアイドルは、D、E、Fカップは当たり前、G、Hカップの人もいます。グラビアアイドルは巨乳でないとできないのが社会通念になっています。その彼女に「グラビアモデルの巨乳化の転機はいつだと思う?」と尋ねました。すると「それ以前にも大きな(乳房の)モデルはいたけど、負ける気はしなかった。でも、フーミン(細川ふみえ、1990年デビュー)が出てきて、これはもう私の時代じゃないと思った」との返事でした。「現場」にいた人の証言だけに貴重です。転機は1980年代最末~90年代最初期、30数年前になります。性的視線、セクシュアリティの変化がごく短い間に起きたと言えるでしょう』、「若い頃、モデル・女優をしていた人がいます・・・モデル時代はAカップでしょう。それでも当時、一流の男性週刊誌『週刊プレイボーイ』や『週刊平凡パンチ』のカラーグラビアを飾り、写真集も出せたのです。 現在、そうしたグラビアアイドルは、D、E、Fカップは当たり前、G、Hカップの人もいます。グラビアアイドルは巨乳でないとできないのが社会通念になっています。その彼女に「グラビアモデルの巨乳化の転機はいつだと思う?」と尋ねました。すると「それ以前にも大きな(乳房の)モデルはいたけど、負ける気はしなかった。でも、フーミン(細川ふみえ、1990年デビュー)が出てきて、これはもう私の時代じゃないと思った」との返事でした・・・転機は1980年代最末~90年代最初期、30数年前になります。性的視線、セクシュアリティの変化がごく短い間に起きたと言えるでしょう」、なるほど。
・『「乳房」の意味が変化して人前で授乳しなくなった  さて、そうした「乳」の文字の意味が変化したのと時をほぼ同じくして、公共の場、たとえば、電車の中、公園のベンチ、食堂など、他人(男性を含む)の視線がある場所での授乳行為が急速に見られなくなりました。少なくとも1970年代までの日本では、母親が人前で乳房を出して赤ちゃんにお乳をあげることは珍しいことではありませんでした。 私は1970年代の前半、高校時代に電車通学をしていましたが、車中で何度も目撃しています。隣の席でもありました。乳首こそ赤ちゃんが含んでいるので見えませんが、白く張った大きな乳房は丸見えです。ただ、お母さんの乳房は赤ちゃんのもので、性的な視線で見てはいけない、というマナーは男子高校生でもわかっていました。 そうした授乳行為は性的なものではない、性的視線では見てはいけないものという社会的な認識が崩れていったのは、都会と地方で若干の時間差があると思いますが、だいたい1980年代です。新幹線に「授乳室」ができたのもその頃だと記憶しています。 こうした変化は、男性の女性の乳房に対する欲情が、本能ではなく社会的に構築されたもので、「乳房はエロい」「大きいほどエロい」は一種の「共同幻想」であることを示しています』、「お母さんの乳房は赤ちゃんのもので、性的な視線で見てはいけない、というマナーは男子高校生でもわかっていました。 そうした授乳行為は性的なものではない、性的視線では見てはいけないものという社会的な認識が崩れていったのは、都会と地方で若干の時間差があると思いますが、だいたい1980年代です・・・こうした変化は、男性の女性の乳房に対する欲情が、本能ではなく社会的に構築されたもので、「乳房はエロい」「大きいほどエロい」は一種の「共同幻想」であることを示しています」、その通りだ。
・『混浴を「恥ずかしい」と感じていなかった江戸時代の日本人  その仕組みとして、「男性が性的欲望の視線で見る→女性が恥ずかしいから隠す→男性は隠されるから余計に見たくなる」といった「欲望の視線と羞恥心の往復回路」が存在すると思われます。 男性からすると、「女性が恥ずかしがって隠す→男性は隠されるから見たくなる→女性はますます隠す」と思うかもしれませんが、「鶏が先か卵が先か」のような議論になるので止めておきましょう。つまり、性的欲望と同様に羞恥心もまた、歴史的・文化的に形成されるのです。何が「恥ずかしい」かは、時代・地域によって異なるということです。 20世紀中頃に欧米人女性が恥ずかしいと感じたことを、それより100年前の日本人女性が同じく恥ずかしいと感じていたか? というと必ずしもそうとは言えません。この話については、中野明『裸はいつから恥ずかしくなったか 日本人の羞恥心』がとても参考になります。 以下の図は、アメリカ海軍提督M.C.ペリーの『日本遠征記』(1853〜54年)に記録画家として随行したヴィルヘルム・ハイネが描いた「下田の公衆浴場図」(1854年)です。 画面左手のボックス状に区切られた棚のある場所が脱衣所です。脱衣所は男女別になっているようです(棚の裏側が女性スペース)。しかし、L字形に溝がある洗い場はまったくの男女共用です。中央手前に女性のグループ、その右に男性のグループ、そして奥の壁際にまた女性のグループと分かれていますが、男女混浴です。 そして、女性たちはまったく乳房を隠していません。つまり、男性は女性の乳房を日常的に見慣れていることになります。ちなみに湯舟は左奥の「屋形」がついているところ(入口で屈んでいる)の中にあり、男女一緒です』、「男性からすると、「女性が恥ずかしがって隠す→男性は隠されるから見たくなる→女性はますます隠す」と思うかもしれませんが、「鶏が先か卵が先か」のような議論になるので止めておきましょう。つまり、性的欲望と同様に羞恥心もまた、歴史的・文化的に形成されるのです。何が「恥ずかしい」かは、時代・地域によって異なるということです。 20世紀中頃に欧米人女性が恥ずかしいと感じたことを、それより100年前の日本人女性が同じく恥ずかしいと感じていたか? というと必ずしもそうとは言えません・・・「下田の公衆浴場図」(1854年)・・・男女混浴です。 そして、女性たちはまったく乳房を隠していません。つまり、男性は女性の乳房を日常的に見慣れていることになります」、なるほど。
・『・・・江戸時代の伊豆下田の女性たちは、男性と混浴して全裸を見られても、ほぼ羞恥心を感じなかったのです。ただし注意しなければならないのは、羞恥心がないのではなく、羞恥心の在り方が現代の女性とは違っていたということです。 将軍様のお膝元の江戸では、町奉行所が「男女入り込み湯」(男女混浴)を禁止するお触れを何度も出していて、それに応じて、男湯と女湯を仕切っていました。でも遮蔽はされていません。男湯と女湯を見えないように遮蔽する(しなければならない)発想は、完全に近代(明治時代以降)のものです。 余談ですが、この「下田の公衆浴場図」は、ペリー提督『日本遠征記』の数ある挿絵の中で、最も欧米世界に衝撃を与えた絵でした。反応は大きく2つに分かれ、男女が裸で入浴するなんてなんと淫らで未開な民族だという批判。もうひとつは、すばらしい! 失われたギリシャ・ローマ的世界の習俗が、極東の島国に残っていたという賛美です。後者の人たちの中には、混浴を体験したくてはるばる海を渡って日本に来た人もいたようです。 同時に、こうしたすばらしい習俗も、キリスト教徒の目に触れたら遅かれ早かれ消えるだろうといった予言もありました。その予言は約20年後に現実になります』、「こうしたすばらしい習俗も、キリスト教徒の目に触れたら遅かれ早かれ消えるだろう」との「予言」が「約20年後に現実になります」のは残念なことだ。
・『銭湯から上がったら素裸のまま家まで帰る  さらに傍証になるのは、幕末に来日した外国人の観察です。1858年8月、真夏の長崎に上陸したローレンス・オリファントというイギリス使節の随員は、「女はほとんど胸を覆わず、男は簡単な腰布をまとっているだけである」と記しています(『エルギン卿遣日使節録』)。つまり、庶民の男性は褌一丁、女性は下半身に腰巻を巻いただけの上半身裸体です。 また、1857~62年に日本に滞在し、日本近代医学の始祖になったオランダ人医師ポンペ・ファン・メールデルフォールトは「一風呂浴びたのち、男でも女でも素裸になったまま浴場から街路に出て、近いところならばそのまま自宅に帰ることもしばしばある」(『ポンペ日本滞在見聞記』)と記しています。おそらく夏の湯上りのあと、暑くて汗が引かないので、男性も女性も裸のまま家に帰ってしまうのです(実際には男性は褌、女性は腰巻をしていたと思いますが)』、「夏の湯上りのあと」、「銭湯から上がったら」「男性は褌、女性は腰巻」で「家に帰ってしまうのです」、なるほど。
・『明治でも女性が上半身裸で働いているのは普通の光景だった  ラグーザ・お玉(1861~1939年)という、明治初期に西洋絵画を学んだ女性が旅行先で描いた1880年頃の京都の旅館の光景では、旅館の上がり口で若い女性2人が、もろ肌脱ぎの上半身裸で石臼をまわしています。肉体労働、とくに汗をかく夏の時期に、女性が上半身裸体になるのは、明治期になっても珍しいことではなかったことがわかります。 私も小学生の頃、夏の夕暮れ、往来の縁台で近所のおばさんが、乳房が見える状態で夕涼みをしていた記憶があります。たぶん1963年前後でしょう。「おばさん」と言っても実年齢はおそらく40歳前後、今風に言えばアラフォーの女性です。生活習慣的には、1960年代まで、江戸時代的な羞恥感覚が残っていたのかもしれません』、「明治初期に西洋絵画を学んだ女性が旅行先で描いた1880年頃の京都の旅館の光景では、旅館の上がり口で若い女性2人が、もろ肌脱ぎの上半身裸で石臼をまわしています。肉体労働、とくに汗をかく夏の時期に、女性が上半身裸体になるのは、明治期になっても珍しいことではなかったことがわかります」、なるほど。
・『パンツを履くようになったから「パンチラ」が恥ずかしくなる  今まで述べたような性的視線と羞恥心の構築性、つまり歴史的に変化することを詳細に論じたのが、井上章一『パンツが見える。 羞恥心の現代史』です。書名や表紙からは怪しいエロ本に見えなくもないですが、掛け値なしに名著です。この本の内容を要約すれば、つぎのようになります。 “60年ほど前まで、女性のパンツを見て興奮する「パンチラ」好きの男性はいなかった。なぜなら和装の女性はパンツを履いていなかったから。スカートの下のパンツに男性がときめくようになり、パンツを見られた女性が恥ずかしく思うようになったのは、日本の女性がパンツを履くようになってから。たかが半世紀ほどのこと。男性の性的視線と女性の羞恥心は、歴史の中で形成され、変化するものであることを論証する。” 』、「スカートの下のパンツに男性がときめくようになり、パンツを見られた女性が恥ずかしく思うようになったのは、日本の女性がパンツを履くようになってから。たかが半世紀ほどのこと。男性の性的視線と女性の羞恥心は、歴史の中で形成され、変化するものである」、その通りだ。
・『人間は生殖とセクシュアリティが必ずしも結びつかない  さて、長くなりましたがまとめになります。人間の場合、動物と違って生殖とセクシュアリティとは必ずしも結びつきません。そうした意味で、セクシュアリティは本能だけでは語れないのです。むしろ、生殖とは無縁な性行動、たとえば、同性間の性愛やオナニー(Onanie)などが、しばしば見られます。換言すれば、生殖と関わらない性行動の比重が高いところに、人間のセクシュアリティの特質があると言えるのです。 と、まとめましたが、最新の研究で、人類以外のさまざまな動物にも同性のカップリングが観察されることがわかってきました。同性のカップリングは、生殖に直結しないものの、なんらかの形で生物進化のシステムに寄与している可能性が出てきました。今後の注目点です』、「生殖とは無縁な性行動、たとえば、同性間の性愛やオナニー(Onanie)などが、しばしば見られます。換言すれば、生殖と関わらない性行動の比重が高いところに、人間のセクシュアリティの特質があると言えるのです。 と、まとめましたが、最新の研究で、人類以外のさまざまな動物にも同性のカップリングが観察されることがわかってきました。同性のカップリングは、生殖に直結しないものの、なんらかの形で生物進化のシステムに寄与している可能性が出てきました。今後の注目点です」、「人類以外のさまざまな動物にも同性のカップリングが観察されることがわかってきました」、今後、こうした研究が進み「セクシュアリティ」がより深いレベルで解明されることを期待したい。 
タグ:gooニュース (その29)(〈女性総理争い勃発!?〉“味方は杉田水脈”の高市氏VS“軽い神輿”の上川氏 「ポスト岸田レース」有力候補が続々脱落のなか 初の女性総理 誕生なるか?【2023政治記事 5位】、女性管理職が増えた大企業で男性社員の仕事満足度が急降下…経済学の研究が明かす「女性活躍の不都合な真実」 1000人以上の大企業で起きている男性社員の異変、江戸時代の女性は銭湯から裸で歩いて帰った…かつての日本で女性たちが上半身裸でうろついていた理由 何を"恥ずかしい"と感じるかは文化の中で形成される) 女性活躍 集英社オンライン 「〈女性総理争い勃発!?〉“味方は杉田水脈”の高市氏VS“軽い神輿”の上川氏。「ポスト岸田レース」有力候補が続々脱落のなか、初の女性総理、誕生なるか?【2023政治記事 5位】」 「岸田氏」は本来であれば登場する筈の「対抗馬」がそれぞれの事情で、「登場できない」のは幸運なことかも知れない。 「安倍さんの後ろ盾もなくなった今、高市さんが支持を広げるのは難しいのでは。取り巻きのメンバーも過激で、ついていけない・・・と冷ややかな声も。 安倍派の世耕弘成参院幹事長も勉強会に「いかがなものか」と苦言を呈し、高市氏が思惑通りに総裁選に向けた党内の支持基盤づくりを進められるかどうかは微妙」、なるほど。 「総理が林氏を交代させ、上川氏を外相にしたのは、自身と同じ岸田派内で総理を狙う林氏の力をそぎたいという思惑があったのでしょう・・・「神輿は軽いほうがいい。茂木幹事長、菅義偉前総理らも、上川さんなら自分たちがグリップできると思っています。女性初の総理を誕生させれば、衆院選も有利に戦える。 『岸田では戦えない』と判断したベテランたちが、流れをつくるときは一瞬で動くのでは」(同)とみる。 実際に、自民党内からは「『ポスト岸田は上川外相だといかがでしょう』と聞くと、非主流派の重鎮も笑顔を見せた。2年間冷や飯を食わされ、そろそろ権力を手にしたい非主流派にとっても、上川外相なら乗れるのだろう」、次期「総理」の要件は意外に複雑なようだ。 PRESIDENT BOOKS 佐藤 一磨氏による「女性管理職が増えた大企業で男性社員の仕事満足度が急降下…経済学の研究が明かす「女性活躍の不都合な真実」 1000人以上の大企業で起きている男性社員の異変」 佐藤一磨『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社) 「女性活躍推進法」の影響とは興味深そうだ。 「女性活躍推進法の施行は、非管理職男性の満足度、特に仕事満足度を悪化させたのではないでしょうか・・・以下でこれら2つの疑問に答えていきたい」、なるほど。 「女性活躍推進法の適用対象となっている企業・・・500人以上の企業では、女性管理職割合が2015年で7.5%だったのですが、2019年には9.2%へと微増・・・増加幅は1.8%」、確かに「「ちょっとだけ」女性管理職割合が増えた」、ようだ。 「女性活躍推進法の施行以降に女性管理職割合が増えたのは、1000人以上の大企業・・・女性管理職割合が2015年で7.1%だったのですが、2019年には9.2%になり、この間に2.1%の増加となっていました。これに対して、500~999人の企業では、この間わずか0.3%しか女性管理職割合が増えていませんでした」、「大企業」では明確な効果が実証された。 「男性の仕事満足度の低下は1000人以上の大企業で働く場合で顕著に見られることもわかりました。やはり比較的女性管理職が増えた企業で働く男性ほど、昇進機会が制限され、仕事満足度が下がってしまったと考えられます。 この結果は、女性活躍推進法の副作用と言えるのかもしれません」、なるほど。 「夫婦で合理的に考えた結果、女性の負担と男性の心理的プレッシャーが偏る状況が今後も続かないようにするためにも、女性活躍推進策を推し進めることが重要です」、同感である。 PRESIDENT ONLINE 三橋 順子氏による「江戸時代の女性は銭湯から裸で歩いて帰った…かつての日本で女性たちが上半身裸でうろついていた理由 何を"恥ずかしい"と感じるかは文化の中で形成される」 三橋順子『これからの時代を生き抜くためのジェンダー&セクシュアリティ論入門』(辰巳出版) 「上野さんが、セクシュアリティとは「性をめぐる観念と欲望の集合」と定義しています・・・おおよそ良いと思うのですが「観念と欲望」だと「行為」が抜け落ちてしまいます。そこで私は、セクシュアリティとは、「性についての欲望と行為に関わる事象の総合」と定義しています。これだと「行為」も入りますし、かなり広い定義になります」、なるほど。 「ジェンダーとは、私(性的自己)と社会との関係性です。それに対して、セクシュアリティとは、先ほど述べたように私(性的自己)とあなた(性的他者)の関係性になります。もちろんその背景(環境)として社会はあるのですが、それは第二義的です」、なるほど。 「性的欲望、存在そのものは本能に由来するものであっても、その質は社会的・文化的に構築されたものになります。つまり何に対して性的欲望を抱くか、何が欲情装置(欲情の引き金)になるかは、歴史的・文化的に異なるのです」、なるほど。 「歴史的に見ても「乳」の用例は、「母乳」「授乳」「牛乳」「脱脂粉乳」など、「ミルク」の意味が圧倒的でした。「乳房」もミルクを出すふくらみという意味です。それが、1980年代の後半になって、「巨乳」「爆乳」「美乳」「貧乳」といった言葉がメディアによってつくられ(新造語)、「乳」に「乳房」の意味がつけ加えられました」、なるほど。 「そもそも日本には、「女性の乳房は大きいほどエロい・・・」との認識はありません。大きい乳房が好きな男性はいたかもしれませんが、少ないです。女性たちも乳房が大きいことを悩みこそすれ、誇ることはありませんでした。ところが、現代では「女性の乳房は大きいほどエロい」は社会通念化しています。それは、どこかの時点で価値観が変化したことを示しています」、確かに言われてみれば、その通りだ。 「若い頃、モデル・女優をしていた人がいます・・・モデル時代はAカップでしょう。それでも当時、一流の男性週刊誌『週刊プレイボーイ』や『週刊平凡パンチ』のカラーグラビアを飾り、写真集も出せたのです。 現在、そうしたグラビアアイドルは、D、E、Fカップは当たり前、G、Hカップの人もいます。グラビアアイドルは巨乳でないとできないのが社会通念になっています。その彼女に「グラビアモデルの巨乳化の転機はいつだと思う?」と尋ねました。すると「それ以前にも大きな(乳房の)モデルはいたけど、負ける気はしなかった。でも、フーミ ン(細川ふみえ、1990年デビュー)が出てきて、これはもう私の時代じゃないと思った」との返事でした・・・転機は1980年代最末~90年代最初期、30数年前になります。性的視線、セクシュアリティの変化がごく短い間に起きたと言えるでしょう」、なるほど。 「お母さんの乳房は赤ちゃんのもので、性的な視線で見てはいけない、というマナーは男子高校生でもわかっていました。 そうした授乳行為は性的なものではない、性的視線では見てはいけないものという社会的な認識が崩れていったのは、都会と地方で若干の時間差があると思いますが、だいたい1980年代です・・・ こうした変化は、男性の女性の乳房に対する欲情が、本能ではなく社会的に構築されたもので、「乳房はエロい」「大きいほどエロい」は一種の「共同幻想」であることを示しています」、その通りだ。 「男性からすると、「女性が恥ずかしがって隠す→男性は隠されるから見たくなる→女性はますます隠す」と思うかもしれませんが、「鶏が先か卵が先か」のような議論になるので止めておきましょう。つまり、性的欲望と同様に羞恥心もまた、歴史的・文化的に形成されるのです。何が「恥ずかしい」かは、時代・地域によって異なるということです。 20世紀中頃に欧米人女性が恥ずかしいと感じたことを、それより100年前の日本人女性が同じく恥ずかしいと感じていたか? というと必ずしもそうとは言えません・・・「下田の公衆浴場図」(1854年)・・・男女混浴です。 そして、女性たちはまったく乳房を隠していません。つまり、男性は女性の乳房を日常的に見慣れていることになります」、なるほど。 「こうしたすばらしい習俗も、キリスト教徒の目に触れたら遅かれ早かれ消えるだろう」との「予言」が「約20年後に現実になります」のは残念なことだ。 「夏の湯上りのあと」、「銭湯から上がったら」「男性は褌、女性は腰巻」で「家に帰ってしまうのです」、なるほど。 「明治初期に西洋絵画を学んだ女性が旅行先で描いた1880年頃の京都の旅館の光景では、旅館の上がり口で若い女性2人が、もろ肌脱ぎの上半身裸で石臼をまわしています。肉体労働、とくに汗をかく夏の時期に、女性が上半身裸体になるのは、明治期になっても珍しいことではなかったことがわかります」、なるほど。 「スカートの下のパンツに男性がときめくようになり、パンツを見られた女性が恥ずかしく思うようになったのは、日本の女性がパンツを履くようになってから。たかが半世紀ほどのこと。男性の性的視線と女性の羞恥心は、歴史の中で形成され、変化するものである」、その通りだ。 「生殖とは無縁な性行動、たとえば、同性間の性愛やオナニー(Onanie)などが、しばしば見られます。換言すれば、生殖と関わらない性行動の比重が高いところに、人間のセクシュアリティの特質があると言えるのです。 と、まとめましたが、最新の研究で、人類以外のさまざまな動物にも同性のカップリングが観察されることがわかってきました。同性のカップリングは、生殖に直結しないものの、なんらかの形で生物進化のシステムに寄与している可能性が出てきました。今後の注目点です」、 「人類以外のさまざまな動物にも同性のカップリングが観察されることがわかってきました」、今後、こうした研究が進み「セクシュアリティ」がより深いレベルで解明されることを期待したい。
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哲学(その3)(出口治明氏のシリーズ2題):“知の爆発”が起きた古代ギリシャの哲学者 ソクラテスプラトンアリストテレスが私たちに教えてくれる「真の教養」とは?、“ヘーゲルの3兄弟”キルケゴールマルクス ニーチェは哲学をどう変えたのか?) [人生]

哲学については、2020年5月26日に取上げた。今日は、(その3)(出口治明氏のシリーズ2題):“知の爆発”が起きた古代ギリシャの哲学者 ソクラテスプラトンアリストテレスが私たちに教えてくれる「真の教養」とは?、“ヘーゲルの3兄弟”キルケゴールマルクス ニーチェは哲学をどう変えたのか?)である。

先ずは、2019年8月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏による「“知の爆発”が起きた古代ギリシャの哲学者、ソクラテス、プラトン、アリストテレスが私たちに教えてくれる「真の教養」とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/270328
・『世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”、稀代の読書家として知られる出口治明APU(立命館アジア太平洋大学)学長。歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。 その出口学長が、3年をかけて書き上げた大著がついに8月8日にリリースされた。聞けば、BC1000年前後に生まれた世界最古の宗教家・ゾロアスター、BC624年頃に生まれた世界最古の哲学者・タレスから現代のレヴィ=ストロースまで、哲学者・宗教家の肖像100点以上を用いて、世界史を背骨に、日本人が最も苦手とする「哲学と宗教」の全史を初めて体系的に解説したとか。 なぜ、今、哲学だけではなく、宗教を同時に学ぶ必要があるのか? 脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏が絶賛、小説家の宮部みゆき氏が推薦、原稿を読んだ某有名書店員が激賞する『哲学と宗教全史』。発売直後に大きな重版が決まった出口治明氏を直撃した(Qは聞き手の質問)』、興味深そうだ。
・『ソクラテスのいう「不知の自覚」とは?  Q:ソクラテス、プラトン、アリストテレスの3人は、古代ギリシャの哲学者として知られていて、ソクラテスはプラトンの師であり、プラトンはアリストテレスの師に当たります。出口学長は、3人の哲学の特徴をどのように解釈されていますか? 出口:かつては、哲学を学ぶとき、「ソクラテス以前」と「ソクラテス以後」に分ける考え方をしていたようです。ソクラテスの登場が哲学的に見て、一つの大きな転換点になったと考えられていたからです。詳しくは本書に譲りますが、現在では、ソクラテスの登場がそれほど大きな事件だったかどうかについては争いがあり、価値中立的な「初期ギリシャ哲学」と呼ぶ場合が多いようです。 ソクラテスは、人間の内面に思索(しさく)の糸をおろしています。 「世界はどうなっているんですか」と問う人に対して、ソクラテスは逆にこう問いかけたのです。 「世界はどうなっているのか、と考えるあなたはあなた自身について何を知っていますか。人間は何を知っているのですか」ソクラテスはこの質問を人々に投げかけ、対話することで考えを深め、人々に「不知の自覚」を教えようと努めました。「ソクラテス以後」の哲学は、人間の内面に向かい、生きることについての問いかけを始めたことに大きな意味がありました。 Q:「不知の自覚」とは、どういうことですか? 出口:わかりやすく述べると、暗闇の中で何人かの人が集まって象を撫(な)でている状態と似ています。 鼻を撫でた人は、細長い生き物だと思い、足を撫でた人は太い柱みたいだと思い、耳を撫でた人は大きな団扇(うちわ)みたいだと思う。誰もが本当の象の姿を知らないまま、自分は象の姿形を知っていると思っている。ソクラテスのいう「不知の自覚」とは、まさにこのような状態を指していたのではないでしょうか。 世界は広くて複雑である、それなのに人間はついつい「何でも知っている」と過信しがちです。そのことがいかに愚かなことであるかは、繰り返される争乱や支配者のあやまちを見れば、明らかです。 哲学の歴史を振り返るとき、ソクラテスをどのように評価するかは、実はかなり難しい問題です。なぜなら、彼自身が書き記した文献が何も残っていないからです。 Q:では、ソクラテスの哲学や人物について、何を資料として今日まで語り継がれてきたのですか? 出口:プラトンをはじめとする彼の弟子や、同時代の劇作家や哲学者が残した文献です。特に、資料の中で圧倒的な量を占めるのは、ソクラテスの弟子の一人、プラトンの著作物です。 プラトンが叙述したソクラテスの発言は、真に迫るリアリティがあります。それだけに信じたくなります。けれども冷静に考えてみれば、それが事実のみを記しているのかどうかは不明です。 実際、ソクラテスが生活していたアテナイ(アテネの古名)には、ソクラテスに対して批判的な立場の人も存在しました。 ソクラテスが非常に優れた人物であったことは、確かです。しかしこれまでのように、常人とは隔絶した偉大な人物であったとイメージすることは、プラトンがつくったソクラテス像にいささか踊らされているのではないか、と僕はひそかに考えています。 ソクラテスについてもっと勉強したい人には、『哲学者の誕生 ソクラテスをめぐる人々』(納富信留著/ちくま新書)をお薦めします』、「「不知の自覚」とは、どういうことですか? 出口:わかりやすく述べると、暗闇の中で何人かの人が集まって象を撫(な)でている状態と似ています。 鼻を撫でた人は、細長い生き物だと思い、足を撫でた人は太い柱みたいだと思い、耳を撫でた人は大きな団扇(うちわ)みたいだと思う。誰もが本当の象の姿を知らないまま、自分は象の姿形を知っていると思っている。ソクラテスのいう「不知の自覚」とは、まさにこのような状態を指していたのではないでしょうか。 世界は広くて複雑である、それなのに人間はついつい「何でも知っている」と過信しがちです。そのことがいかに愚かなことであるかは、繰り返される争乱や支配者のあやまちを見れば、明らかです」、なるほど。
・『「人間は真実の影を見て生きている」と説いたプラトン  Q:プラトンの哲学の本質はどのようなものですか? 出口:プラトンは80歳まで生きた長命の人で、さまざまに意見が変化していきます。そのこともあって、何をプラトン哲学の本質であるかを考えることは難しいのですが、一般には「イデア論」であると考えられています。 Q:「イデア論」とはどういうものですか? 出口:「現実の世界に存在するものは、イデアの影である。物事の真の姿は、別のところに存在する」とする説です。 物心ついてから大人になるまで、首や手足を固定され、地下の洞窟の壁面に向かって椅子に腰かけている人がいたとします。 彼の後方で、明るい火が燃えさかっています。燃えさかる火の前には一本の道があり、そこをさまざまな動物や人間や馬車が通ると、椅子に固定されている人は、眼前の壁面に映る人間や動物の影を真実の姿と考えてしまいます。仮にその人が自由になって、明るい火に眼を向けたとします。火を見た瞬間は目がくらみますが、まぶしさに慣れてくると、影の本体が見えるようになる。そして、「洞窟の中で自分が見ていたものは、実体の影にすぎなかった。自分は影を実体だと思い込んでいた」ことを理解するようになります。 現実のわれわれも、洞窟の中の人と同様の間違いをしていて、「壁に映る影を真実と見誤っている」とプラトンは説いたのです。 これがプラトンの有名な「洞窟の比喩」と呼ばれるイデアについてのたとえ話です。 洞窟の外にある実在の世界がイデアです。考えれば考えるほど、ややこしくなりますが(笑)、「ものごとには本質がある。それがイデアである。われわれが現世で見ているのは本質の模造品である」とするのがプラトンの考え方です。 プラトンについてもっと勉強したい人には、『プラトン『国家』 逆説のユートピア』(内山勝利著/岩波書店、書物誕生あたらしい古典入門シリーズ)をお薦めします』、「これがプラトンの有名な「洞窟の比喩」と呼ばれるイデアについてのたとえ話です。 洞窟の外にある実在の世界がイデアです。考えれば考えるほど、ややこしくなりますが(笑)、「ものごとには本質がある。それがイデアである。われわれが現世で見ているのは本質の模造品である」とするのがプラトンの考え方です」、なるほど。
・『論理学を体系化したアリストテレス  Q:プラトンの主宰するアカデメイア(プラトンが建てた学園)で才能を開花させたアリストテレスは、どのような哲学を持っていたのですか? 出口:プラトンと比べると、とても実証的です。プラトンのイデアは、観念上の直観です。ロジックで「イデアがある」と論証しているわけではありません。「世界にはイデアがある」ということを前提として、論理を展開しています。「洞窟の比喩」はわかりやすいのですが、なぜイデアがあるのか、その点が論証されていません。「神の世界にイデアがあった」という前提から論理が始まります。 一方のアリストテレスは実証的であり、経験論を大切にしました。 さまざまな経験の中から真実を導き出すために、アリストテレスは経験による結果を分析し、理論化することを重視しました。そのために論理学を体系化しました。 たとえば三段論法があります。「AはBである、BはCである、それゆえCはAである」という論理展開です。もしかするとアリストテレスは、師であるプラトンの直観についていけない自分に悩んでいたのかもしれません。 イデア論がなんとなくピンとこない……そんなところから、自らの方法論として論理学を大切にしていった、とも推察できます。 ソクラテスは人間の内面に思索の糸を伸ばし、プラトンは哲学の問題提起を数多く行いました。それに対してアリストテレスは、政治、文学、倫理学、論理学、博物学、物理学など、あらゆる学問領域を対象とし分類と総括を行なっています。その意味でもまさしく万学の祖でした。 アリストテレスについてもう少し勉強したい人は、『ニコマコス倫理学』(高田三郎訳/岩波文庫、全2冊)や『形而上学』(出隆訳/岩波文庫、全2冊)と『世界の名著8 アリストテレス』(田中美知太郎責任編集、中公バックス)から始めることをお薦めします』、「アリストテレスは、師であるプラトンの直観についていけない自分に悩んでいたのかもしれません。 イデア論がなんとなくピンとこない……そんなところから、自らの方法論として論理学を大切にしていった、とも推察できます。 ソクラテスは人間の内面に思索の糸を伸ばし、プラトンは哲学の問題提起を数多く行いました。それに対してアリストテレスは、政治、文学、倫理学、論理学、博物学、物理学など、あらゆる学問領域を対象とし分類と総括を行なっています。その意味でもまさしく万学の祖でした」、なるほど。
・『【著者からのメッセージ】なぜ、今、「哲学と宗教」を 同時に学ぶ必要があるのか? 現代の知の巨人・出口治明が語る  はじめまして。出口治明です。 今回、『哲学と宗教全史』を出版しました。 僕はいくつかの偶然が重なって、還暦でライフネット生命というベンチャー企業を開業しました。 個人がゼロから立ち上げた独立系生保は戦後初のことでした。 そのときに一番深く考えたのは、そもそも人の生死に関わる生命保険会社を新設するとはどういうことかという根源的な問題でした。 たどり着いた結論は「生命保険料を半分にして、安心して赤ちゃんを産み育てることができる社会を創りたい」というものでした。 そして、生命保険料を半分にするためにはインターネットを使うしかないということになり、世界初のインターネット生保が誕生したのです。 生保に関わる知見や技術的なノウハウなどではなく、人間の生死や種としての存続に関わる哲学的、宗教的な考察がむしろ役に立ったのです。 古希を迎えた僕は、また不思議なことにいくつかの偶然が重なって、日本では初の学長国際公募により推挙されてAPU(立命館アジア太平洋大学)の学長に就任しました。 APUは学生6000名のうち、半数が92の国や地域からきている留学生で、いわば「若者の国連」であり「小さな地球」のような場所です。 もちろん宗教もさまざまです。 APUにいると、世界の多様性を身に沁みて感じます。 生まれ育った社会環境が人の意識を形づくるという意味で、クロード・レヴィ=ストロースの考えたことが本当によくわかります。 僕は人生の節目節目において哲学や宗教に関わる知見にずいぶんと助けられてきた感じがします。 そうであれば、哲学や宗教の大きな流れを理解することは、間違いなくビジネスに役立つと思うのです。 神という概念が生まれたのは、約1万2000年前のドメスティケーションの時代(狩猟・採集社会から定住農耕・牧畜社会への転換)だと考えられています。 それ以来、人間の脳の進化はないようです。 そしてBC1000年前後にはペルシャの地に最古の宗教家ゾロアスターが生まれ、BC624年頃にはギリシャの地に最古の哲学者タレスが生まれました。 それから2500年を超える長い時間の中で数多の宗教家や哲学者が登場しました。 本書では、可能な限りそれらの宗教家や哲学者の肖像を載せるように努めました。 それは彼らの肖像を通して、それぞれの時代環境の中で彼らがどのように思い悩み、どのように生きぬいたかを読者の皆さんに感じ取ってほしいと考えたからに他なりません。 ソクラテスもプラトンもデカルトも、ブッダや孔子も皆さんの隣人なのです。 同じように血の通った人間なのです。 ぜひ彼らの生き様を皆さんのビジネスに活かしてほしいと思います。 本書では世界を丸ごと把握し、苦しんでいる世界中の人々を丸ごと救おうとした偉大な先達たちの思想や事績を、丸ごと皆さんに紹介します。 皆さんが世界を丸ごと理解するときの参考になればこれほど嬉しいことはありません』、「たどり着いた結論は「生命保険料を半分にして、安心して赤ちゃんを産み育てることができる社会を創りたい」というものでした。 そして、生命保険料を半分にするためにはインターネットを使うしかないということになり、世界初のインターネット生保が誕生したのです」、同氏が設立した「インターネット生保」が「世界初」とは初めて知った。「ソクラテスもプラトンもデカルトも、ブッダや孔子も皆さんの隣人なのです。 同じように血の通った人間なのです。 ぜひ彼らの生き様を皆さんのビジネスに活かしてほしいと思います。 本書では世界を丸ごと把握し、苦しんでいる世界中の人々を丸ごと救おうとした偉大な先達たちの思想や事績を、丸ごと皆さんに紹介します』、「本書では世界を丸ごと把握し、苦しんでいる世界中の人々を丸ごと救おうとした偉大な先達たちの思想や事績を、丸ごと皆さんに紹介します」、意欲的な試みだ。

第二に、2019年8月31日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏による「“ヘーゲルの3兄弟”キルケゴール、マルクス、ニーチェは哲学をどう変えたのか?」を紹介しよう。
・『ヘーゲルの弁証法をどのように理解すればいいか  Q:19世紀のヨーロッパでは、ヘーゲルを超えることが哲学者たちの目標だったそうですね。ヘーゲルとは、どのような人物だったのですか? 出口:ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル(1770-1831)は、カントより半世紀ほど後に、ドイツのシュトゥットガルトで生まれた哲学者です。 ヘーゲルは弁証法を駆使して壮大な学問的体系を築きあげ、当時のプロイセンやヨーロッパ全体に影響を及ぼしました。ヘーゲルといえば「弁証法」といわれています。弁証法という哲学用語自体は、すでに古代ギリシャで登場しています。 たとえば、ソクラテスのように、「ある人の主張に対して、質問を投げかけながら問答を続け、その主張に内在する誤りに気づかせる。そうしながら正解に導くこと手法」のことを弁証法と呼びます。 Q:ヘーゲルの弁証法は違うのですか? 出口:ヘーゲル以降の弁証法の基本論理の概略は、こうです。 「すべての有限なるもの、永遠不変でない存在は、その内部に相容れない矛盾を抱えている。この矛盾はテーゼ(正)とアンチテーゼ(反)によって構成される。矛盾は静止したままでは止まらず、対立し運動を起こして、その存在はテーゼとアンチテーゼを綜合した新たな段階の存在となる。この新たな存在をジンテーゼ(正反合)と呼ぶ。そしてこの新たな段階の存在もまた、新しいテーゼ(正)とアンチテーゼ(反)を内包している」 ヘーゲルは弁証法の理論を展開して、その新たな段階に達することを「止揚(しよう)」と呼びました。止揚はドイツ語のアウフヘーベンの和訳です。 Q:テーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼ、アウフヘーベン……? どういうことですか? 出口:要するに、矛盾や対立する2つの事柄を二者択一ではなく統合して、高い次元の結論に結びつけて解決しようとする思考法です。次のように考えてみてください。 「ある問題について、Aという人とBという人がいる。2人はあるオフィスの1階で議論していた。どうも議論が嚙み合わない。2人は2階に行って改めて議論した。すると両者は理解し合うことができた。その代わり、新たにCという問題が出現した。そこで2人の論争は継続され、3階に移った。するとCは解決され、より高度なDという問題が出現した。2人は4階に行き……」 ヘーゲルの弁証法はダイナミックでおもしろいのですが、どうしてテーゼとアンチテーゼが一緒になれるのか、もう一つ納得できないという批判があります。しかもアウフヘーベンされて、一段上がって進歩するというのも、わかったようでわからない。議論の次元を変えてしまうのですから、対立が変化するのは当たり前のようにも思えます。 ともかく、このように理論的なあいまいさは残るのですが、ヘーゲルの弁証法は「ものごとは進歩する」という前提に立っています。明日は今日よりよくなるという理論は、素朴に人間の気持ちにフィットします。) キルケゴールが考えた主体的な実存を保障してくれる生き方は、「倫理的実存」です。わかりやすくいえば、たとえばボランティア活動に生きることです。人のために生きることを、いつも大切にすることです。 けれども、このような充実感は、偽善的な行為と紙一重でもあります。人のために生きることも、必ずしも主体的な実存を得ることにはつながりません。 そうなると最終的に人が主体的な実存を得るために、行き着く先は神なのだ、「宗教的実存」なのだ、とキルケゴールは考えました。 盲目的な信仰の対象であった神を一度は否定した後に、人は理性を越えた神の存在を信じ、改めて自らの心を神のもとに投じる。そのことで人は、主体的な実存を得られる。宗教的な実存としての自分になれる、とキルケゴールは結論づけたのです。 キルケゴールの著書『死に至る病』は、「第一部 死に至る病とは絶望のことである」、「第二部 絶望とは罪である」という構成になっています。中公クラシックスから桝田啓三郎による新訳も出ています』、「ヘーゲルといえば「弁証法」といわれています。弁証法という哲学用語自体は、すでに古代ギリシャで登場しています。 たとえば、ソクラテスのように、「ある人の主張に対して、質問を投げかけながら問答を続け、その主張に内在する誤りに気づかせる。そうしながら正解に導くこと手法」のことを弁証法と呼びます。 Q:ヘーゲルの弁証法は違うのですか? 出口:ヘーゲル以降の弁証法の基本論理の概略は、こうです。 「すべての有限なるもの、永遠不変でない存在は、その内部に相容れない矛盾を抱えている。この矛盾はテーゼ(正)とアンチテーゼ(反)によって構成される。矛盾は静止したままでは止まらず、対立し運動を起こして、その存在はテーゼとアンチテーゼを綜合した新たな段階の存在となる。この新たな存在をジンテーゼ(正反合)と呼ぶ。そしてこの新たな段階の存在もまた、新しいテーゼ(正)とアンチテーゼ(反)を内包している」 ヘーゲルは弁証法の理論を展開して、その新たな段階に達することを「止揚(しよう)」と呼びました」、「弁証法」や「止揚」など、うろ覚えだった知識が多少整理された感じがする。
タグ:哲学 (その3)(出口治明氏のシリーズ2題):“知の爆発”が起きた古代ギリシャの哲学者 ソクラテスプラトンアリストテレスが私たちに教えてくれる「真の教養」とは?、“ヘーゲルの3兄弟”キルケゴールマルクス ニーチェは哲学をどう変えたのか?) ダイヤモンド・オンライン 出口治明氏による「“知の爆発”が起きた古代ギリシャの哲学者、ソクラテス、プラトン、アリストテレスが私たちに教えてくれる「真の教養」とは?」 『哲学と宗教全史』 「「不知の自覚」とは、どういうことですか? 出口:わかりやすく述べると、暗闇の中で何人かの人が集まって象を撫(な)でている状態と似ています。 鼻を撫でた人は、細長い生き物だと思い、足を撫でた人は太い柱みたいだと思い、耳を撫でた人は大きな団扇(うちわ)みたいだと思う。誰もが本当の象の姿を知らないまま、自分は象の姿形を知っていると思っている。ソクラテスのいう「不知の自覚」とは、まさにこのような状態を指していたのではないでしょうか。 世界は広くて複雑である、それなのに人間はついつい「何でも知っている」と過信しがちです。そのことがいかに愚かなことであるかは、繰り返される争乱や支配者のあやまちを見れば、明らかです」、なるほど。 「これがプラトンの有名な「洞窟の比喩」と呼ばれるイデアについてのたとえ話です。 洞窟の外にある実在の世界がイデアです。考えれば考えるほど、ややこしくなりますが(笑)、「ものごとには本質がある。それがイデアである。われわれが現世で見ているのは本質の模造品である」とするのがプラトンの考え方です」、なるほど。 「アリストテレスは、師であるプラトンの直観についていけない自分に悩んでいたのかもしれません。 イデア論がなんとなくピンとこない……そんなところから、自らの方法論として論理学を大切にしていった、とも推察できます。 ソクラテスは人間の内面に思索の糸を伸ばし、プラトンは哲学の問題提起を数多く行いました。それに対してアリストテレスは、政治、文学、倫理学、論理学、博物学、物理学など、あらゆる学問領域を対象とし分類と総括を行なっています。その意味でもまさしく万学の祖でした」、なるほど。 「たどり着いた結論は「生命保険料を半分にして、安心して赤ちゃんを産み育てることができる社会を創りたい」というものでした。 そして、生命保険料を半分にするためにはインターネットを使うしかないということになり、世界初のインターネット生保が誕生したのです」、同氏が設立した「インターネット生保」が「世界初」とは初めて知った。「ソクラテスもプラトンもデカルトも、ブッダや孔子も皆さんの隣人なのです。 同じように血の通った人間なのです。 ぜひ彼らの生き様を皆さんのビジネスに活かしてほしいと思います。 本書では世界を丸ごと把握し、苦しんでいる世界中の人々を丸ごと救おうとした偉大な先達たちの思想や事績を、丸ごと皆さんに紹介します』、「本書では世界を丸ごと把握し、苦しんでいる世界中の人々を丸ごと救おうとした偉大な先達たちの思想や事績を、丸ごと皆さんに紹介します」、意欲的な試みだ。 口治明氏による「“ヘーゲルの3兄弟”キルケゴール、マルクス、ニーチェは哲学をどう変えたのか?」 「ヘーゲルといえば「弁証法」といわれています。弁証法という哲学用語自体は、すでに古代ギリシャで登場しています。 たとえば、ソクラテスのように、「ある人の主張に対して、質問を投げかけながら問答を続け、その主張に内在する誤りに気づかせる。そうしながら正解に導くこと手法」のことを弁証法と呼びます。 Q:ヘーゲルの弁証法は違うのですか? 出口:ヘーゲル以降の弁証法の基本論理の概略は、こうです。 「すべての有限なるもの、永遠不変でない存在は、その内部に相容れない矛盾を抱えている。この矛盾はテーゼ(正)とアンチテーゼ(反)によって構成される。矛盾は静止したままでは止まらず、対立し運動を起こして、その存在はテーゼとアンチテーゼを綜合した新たな段階の存在となる。この新たな存在をジンテーゼ(正反合)と呼ぶ。そしてこの新たな段階の存在もまた、新しいテーゼ(正)とアンチテーゼ(反)を内包している」 ヘーゲルは弁証法の理論を展開して、その新たな段階に達することを「止揚(しよう)」と呼びました」、 「弁証法」や「止揚」など、うろ覚えだった知識が多少整理された感じがする。
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今日は更新を休むので、明日にご期待を!

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商社問題(その4)(三菱商事が純利益1兆円突破!バフェットが見初めた「日本独自」の強みとは、伊藤忠がCTCに「3800億円の巨額投資」をする事情 アクセンチュア台頭でIT業界の競争環境が激変、「三方よし資本主義」を標榜 伊藤忠を変えた現場視点の経営哲学) [企業経営]

商社問題については、2021年1月24日に取上げた。今日は(その4)(三菱商事が純利益1兆円突破!バフェットが見初めた「日本独自」の強みとは、伊藤忠がCTCに「3800億円の巨額投資」をする事情 アクセンチュア台頭でIT業界の競争環境が激変、「三方よし資本主義」を標榜 伊藤忠を変えた現場視点の経営哲学)である。

先ずは、本年5月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「三菱商事が純利益1兆円突破!バフェットが見初めた「日本独自」の強みとは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/323295
・『三菱商事の2023年3月期連結決算は、初めて純利益が1兆円を超えた。実は海外には、日本の総合商社に相当する企業の形態は見当たらない。「ラーメンから航空機まで」と称されるように総合商社の事業領域は幅広く、資源や穀物を輸入に頼る日本ならではのビジネスモデルだ。一方で株価には割安感があり、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が三菱商事など総合商社株を買い増してもいる』、興味深そうだ。
・『バフェットも見初めた日本の5大総合商社  三菱商事の2023年3月期の連結決算は、初めて純利益が1兆円台を上回り、2年連続で過去最高益を更新した。同社は2月に公表していた株主への価値還元も強化するという。 今年4月、著名な投資家ウォーレン・バフェット氏(バークシャー・ハサウェイCEO)は、三菱商事をはじめとした日本の5大総合商社への追加投資を表明した。バフェット氏は、5大総合商社の株価の割安さ、独自のビジネスモデルに支えられた中長期的な成長性を評価している。 三菱商事に関する今後の注目点の一つは、世界経済の環境変化にいかに対応するかだ。地政学リスクは、台湾問題の緊迫感や、ウクライナ紛争の今後の展開など見通しづらい要素が山積している。 また、脱炭素の動きも加速するだろう。洋上風力発電など、再生可能エネルギー由来の電力供給体制はいっそう強化されるはずだ。三菱商事はエネルギー分野での強みを発揮することで、収益獲得のさらなる機会につなげることができるかもしれない。大手商社の業務展開には、大いに期待を持って注視したい』、「著名な投資家ウォーレン・バフェット氏・・・は、三菱商事をはじめとした日本の5大総合商社への追加投資を表明した。バフェット氏は、5大総合商社の株価の割安さ、独自のビジネスモデルに支えられた中長期的な成長性を評価」、なるほど。
・『三菱商事はいかに純利益1兆円を突破したか  23年3月期の三菱商事の連結純利益は、前年度比25.9%増の1兆1807億円だった。従来の自社予想(1兆1500億円)も上回った。 純利益の増加によって、同社は1株当たりの配当金を前年度実績の150円から180円に増やした。自社株取得の上限金額も同700億円から3700億円へ拡充された。 現在、同社の事業ポートフォリオは10分野から構成されている。具体的に、天然ガス、総合素材、石油・化学ソリューション、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンビニのローソンなどコンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発だ。 セグメントごとに決算内容を確認すると、9分野で純利益は増加した。増えなかった1分野は食品産業で、海外事業における固定資産からの減損の発生などが減少要因だ。 純利益1兆円突破の背景にはいくつかの要因がある。まず、円がドルなど主要な通貨に対して減価した(円安の進行)。22年5月時点、同社予想の年度末ドル円レートは1ドル=120.00円だった。対して実際に着地した為替レートは1ドル=135.50円だった。 同社は、1円の円安/円高が、年間50億円の増減益の要因になるとしている。日米の金融政策の違いなどによって円安が進んだ結果、同社の収益は上振れた。また、原油など世界的な資源価格の上昇も大きい。 そうした外的要因だけでなく、事業ポートフォリオの見直しと入れ替えの加速も好影響を与えた。具体的には、不動産運用会社や海外での発電事業の一部を売却し、投資資金を回収した。資金が再配分されている分野の一つが、脱炭素関連分野である。 異常気象や大気汚染などの問題に対応するために、脱炭素は急務と化している。主要先進国では、石炭などの火力発電を減らし、再生エネルギーを用いた発電が強化されている。世界的な「エネルギー・トランスフォーメーション(EX)」に対応しようと、事業分野を拡大した結果、純利益1兆円を突破したのだ』、「22年5月時点、同社予想の年度末ドル円レートは1ドル=120.00円だった。対して実際に着地した為替レートは1ドル=135.50円だった。 同社は、1円の円安/円高が、年間50億円の増減益の要因になるとしている」、とすると750億円の増益要因になる。
・『強みを見せつけた三菱商事の洋上風力発電コンペ EXの中でも注目を集めているのが洋上風力発電だ。三菱商事は、日本の電力関係者を驚かせる象徴的な出来事を成し遂げた。 さかのぼること20年11月、政府は秋田県沖と千葉県沖において、三つの洋上風力案件を公募した。原子力発電所の稼働が遅れるわが国にとって、再成可能エネルギーをいかに増やすかは、産業競争力、経済安全保障体制にかなりの影響を与える。 台湾海峡の緊迫感の高まりやウクライナ紛争の長期化懸念などを背景に、わが国に直接投資を増やす企業も増えている。台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムスン電子は良い例だ。そうした海外企業が安心して長期に事業を運営するためにも、洋上風力を用いた発電体制の強化は、わが国のEXの切り札といっても過言ではない。 公募の結果、3区域のすべてで三菱商事を中心とする企業連合が事業者に選定された。日本には、洋上風力に必要な大型風車を生産するメーカーがない。だから三菱商事は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米Amazonなどの協力を取り付けた。 GEなどが製造する機器や設備を用いて洋上発電を行い、その電力をAmazonなどの顧客が消費する。川上から川下までをつなぐ事業体制を早期に確立できる計画に加えて、三菱商事は競合相手を引き離す低料金などを提示したのだった。 総合商社の強みは、世界中に情報網を張り巡らせていることだ。それをベースに、収益増加が見込まれる分野に経営資源を再配分して需給のマッチングを図れば、新しい技術や理論を導入して収益性を高めることができる。三菱商事はそうした強みを、資源や機械、素材などの分野で発揮してきた。そして今は、洋上風力発電や鉱山での再エネ電力の利用増などに結びつけているというわけだ』、「三菱商事はそうした強みを、資源や機械、素材などの分野で発揮してきた。そして今は、洋上風力発電や鉱山での再エネ電力の利用増などに結びつけている」、なるほど。
・『世界でまれなビジネスモデルと株価の割安感  三菱商事の24年3月期の業績見通しは、一転して、純利益は9200億円に減少すると予想している。市況の反落などが要因だという。ただそれでも、過去の純利益の推移で見れば、9000億円台は相応に高い水準だ。資産の売却、得られた資金の再配分によるデジタル化や脱炭素関連分野での事業運営体制の強化といった成長戦略に支えられ、業績は底堅く推移しそうだ。 世界各国の主要企業のビジネスモデルを比較すると、三菱商事など日本の総合商社に相当する企業の形態は見当たらない。「ラーメンから航空機まで」と称されるように、総合商社は経済活動の川上から川下までを広くカバーする。エネルギー資源や穀物などを輸入に頼るわが国経済が生み出した、独自性の高いビジネスモデルであるともいえる。 一方で株価には割安感がある。1990年代初頭にバブル経済が崩壊して以降、わが国経済の成長率は停滞した。ごく最近でこそ日経平均株価は好調なものの、世界的に見て、日本株は長らく割安感が強かった。 総合商社は複合的な事業ポートフォリオを持つため、これまで、ともすれば事業内容が分りにくいといった投資家の見方(コングロマリット・ディスカウント)が多かった。そうした事情もあり、総合商社株は割安に推移してきた。 5月15日時点で、三菱商事の株価純資産倍率(PBR)は0.95倍である。理論上、今すぐに企業が解散する場合、株主が受け取れる純資産の価値を下回る水準で株価は放置されている。他国にはない独自性の高いビジネスモデルや株価の割安感こそ、バフェット氏が三菱商事など総合商社株を買い増した理由だ。 中期的に、脱炭素やデジタル化の加速を背景に、わが国の素材、精密機械、発電装置などへの需要は増えるだろう。米国との関係を基礎に安全保障体制を整備してきた日本で、事業運営体制を強化する海外企業も増えている。 三菱商事がいっそう事業環境の変化に対応し、収益性を向上する展開を期待したい。それは、わが国経済の活力向上に大きく影響するはずだ。 【訂正】記事初出時より以下の通り訂正します。 11段落目:「1円の円安/円高が、年間40億円の増減益の要因」→「1円の円安/円高が、年間50億円の増減益の要因」 (2023年5月29日16:10 ダイヤモンド編集部)』、「他国にはない独自性の高いビジネスモデルや株価の割安感こそ、バフェット氏が三菱商事など総合商社株を買い増した理由だ。 中期的に、脱炭素やデジタル化の加速を背景に、わが国の素材、精密機械、発電装置などへの需要は増えるだろう。米国との関係を基礎に安全保障体制を整備してきた日本で、事業運営体制を強化する海外企業も増えている。 三菱商事がいっそう事業環境の変化に対応し、収益性を向上する展開を期待したい」、なるほど。

次に、8月8日付け東洋経済オンライン「伊藤忠がCTCに「3800億円の巨額投資」をする事情 アクセンチュア台頭でIT業界の競争環境が激変」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/692943
・『伊藤忠商事が巨額投資に打って出る。 8月2日、連結子会社の伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表したのだ。公開買い付け期間は9月14日まで。現在の出資比率は61.24%で、TOBが成立すればCTCは上場廃止となり完全子会社化される。 投じる資金は3876億円。中国政府系コングロマリットのCITIC(中国中信集団)への6000億円の出資(2015年)、5800億円を投じたファミリーマート完全子会社化(2020年)以来の規模となる』、投下資本は過去3番目の大きさだ。
・『記者会見は30分で打ち切られた  CTCの非公開化で企業改革に向けたさらなる経営資源投入、機動的な施策の実行が可能となり、当社およびCTCの収益拡大を実現できる」。会見で石井敬太社長は、CTC完全子会社化の意義をそう語った。 だが、これだけの大型案件にもかかわらず、記者会見は慌ただしくオンラインで開かれ、30分ほどで打ち切られた。 CTCへのTOBを巡っては、8月4日に開かれた第1四半期(4~6月期)決算説明会でも質問が集中した。冒頭、鉢村剛最高財務責任者(CFO)は「安いかどうかは別として、適正な価格で買えたと思っている」と言葉を濁した。) CTC株の買い付け価格は1株4325円。公表資料によれば、7月7日に伊藤忠が提示した買い付け価格は3800円(6日の終値比6.77%のプレミアム)だ。その後の交渉で、価格は4000円、4080円、4090円とじりじりと引き上げられ、7月31日には4200円(前営業日の終値比19.69%のプレミアム)を提案した。 それでも首を縦に振らないCTC側に対して、伊藤忠側は「これ以上引き上げるのは困難」といったん通知したものの、翌8月1日には4325円(7月31日終値から20.07%のプレミアム)を提示して「応諾」となった。 伊藤忠による子会社のTOBを巡っては現在、係争中の案件がある。2020年のファミリーマートへのTOBでは当初1株2600円を提示したものの、その後、コロナ禍による環境変化を理由に2000円まで引き下げ(特別委員会は2800円が適正価格と主張)、結局、2300円に引き上げた。 今年3月、元株主のファンドから買い取り価格決定の申し立てを受けた東京地方裁判所は1株2600円が妥当などとする判断を下し、ファミリーマートが東京高等裁判所に抗告している(「安すぎた」ファミマTOB、伊藤忠との攻防の全内幕)』、「伊藤忠」は総じて「買い取り価格」の引上げには慎重なようだ。
・『「考え方の開きはずいぶんあった」  今回、「引き上げ困難」の通知からわずか1日でCTCの買い付け価格が引き上げられた背景について伊藤忠は「交渉上の判断」(広報部)とだけ回答。鉢村CFOは説明会で、「CTCとわれわれのCAGR(年平均成長率)に対する考え方の開きはずいぶんあった」と明かしたうえで、「最終的に合意した4325円は、今後の(CTCの)成長と合致する計算にはなっている」と述べた。 買い付け価格については伊藤忠側が折れた形となったが、ではなぜ、そこまでして伊藤忠はCTCの非公開化にこだわったのか。 鉢村CFOは「情報産業分野の大きな成長率、市場の評価、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)の高さを伊藤忠に取り込んでいく」と話した。CTCの完全子会社化は、5~6年前から議論を続けてきた案件だったが、「IT分野は2024~2027年にかけて成長率が大きく伸びる」(鉢村氏)という見通しが背中を押したようだ。) だが、CTCの企業価値最大化のために伊藤忠から資金や人材を投入しても、出資比率が現状の6割程度では利益が少数株主に外部流出していく。 「こうした外部流出を考えると意思決定のスピードが遅くなる」(情報・金融カンパニープレジデントの新宮達史氏)という課題を抱えていた。完全子会社化で、迅速な意思決定が可能になり、思い切った経営資源の投入が可能になるというわけだ。 CTCを取り巻く競争環境の変化もTOBを後押しした大きな要因と言える。 CTCの歴史は1958年、伊藤忠などが設立した東京電子計算サービスにさかのぼる。当時ではまだ珍しかったコンピュータの輸入販売、計算機センターの運営事業を始めた。その後、事業再編を続けながら電子機器の販売、保守点検を収益柱に成長し、1999年に東証一部に上場(当時は伊藤忠テクノサイエンス)。初日は買いが殺到して値がつかない人気ぶりで、気配値による時価総額は親会社の伊藤忠を抜いていた』、「初日は買いが殺到して値がつかない人気ぶりで、気配値による時価総額は親会社の伊藤忠を抜いていた」、異常な買い人気だったようだ。
・『クラウド化が進むにつれ強力なライバル登場  当時の佐武広夫社長は、日刊工業新聞のインタビューに、「一部上場による知名度の向上で人材確保の幅が広がる。日本はこれから本格的なウェブ活用時代に突入するので、これに対応する商品の先行開発が必要だ」と語っていた。 インターネット時代をリードし、伊藤忠グループのIT部門の中核として機能し続けたCTCだったが、クラウド化が進むにつれ、最新機器を販売する「プロダクトアウト」の発想から、顧客が求めるサービスを提供する「マーケットイン」への転換を迫られている。 IT業界では、川上の戦略コンサルから川下のシステム運用や業務受託まで請け負うアクセンチュアなど強力なライバルが現れ、「CTCが気づいた時にはもう案件を取られているケースが多発している」(伊藤忠の情報・通信部門幹部)。しかも、アクセンチュアは川上から川下まで自前でそろえ、一気通貫でサービスを提供する。) これに対抗する形で伊藤忠は2019年以降、電子帳票システムに強いウイングアーク1stのほか、コンサルやデータ分析の「川上」を得意とするシグマクシスやブレインパッドへ3~25%出資し、「緩やかな群戦略」で顧客の要望に応える体制をつくってきた。川上企業が戦略コンサルに入り、最終的にはCTCでシステム販売・運用を担うイメージだ。 しかし、新宮氏は「従来のビジネスモデルとサービス範囲で持続的に成長していくことは難しい。伊藤忠グループの海外ネットワーク、ビジネスノウハウ、経営資源をこれまで以上に活用した事業投資、ビジネスモデルの変革、事業領域、提供機能の大幅な拡充が必要」と危機感をあらわにする』、「アクセンチュアは川上から川下まで自前でそろえ、一気通貫でサービスを提供する。) これに対抗する形で伊藤忠は2019年以降、電子帳票システムに強いウイングアーク1stのほか、コンサルやデータ分析の「川上」を得意とするシグマクシスやブレインパッドへ3~25%出資し、「緩やかな群戦略」で顧客の要望に応える体制をつくってきた。川上企業が戦略コンサルに入り、最終的にはCTCでシステム販売・運用を担うイメージだ」、なるほど。
・『修正を迫られる伊藤忠の「群戦略」  今後、CTC自体も海外展開を積極化し、コンサルやデータ分析機能を強化して素早く顧客ニーズに応えていく必要がある。「CTCにお金を突っ込んで、今の状況よりさらに企業価値を上げていかなければ乗り遅れてしまう」(鉢村氏)。「緩やかな群戦略」は、修正を迫られている。 CTCと並び、伊藤忠のIT企業群の中核となるコールセンター最大手「ベルシステム24」へのテコ入れも必須だろう。最下流のBPO(業務委託)の分野でカギとなる企業で、伊藤忠は40%超を出資している。 コールセンター業界では今年9月、三井物産持ち分法適用会社のりらいあコミュニケーションズとKDDI完全子会社のエボルバが経営統合し、従業員5万8000人規模の「アルティウスリンク」が発足する。ベルシステム24と並ぶ規模となり、コールセンターを含むBPO事業の競争が激化することは必至だ。 今回のTOBは伊藤忠の「群戦略」が変貌していく起点となるのか。IT業界は固唾をのんで注視している』、「コールセンター業界では今年9月、三井物産持ち分法適用会社のりらいあコミュニケーションズとKDDI完全子会社のエボルバが経営統合し、従業員5万8000人規模の「アルティウスリンク」が発足する。ベルシステム24と並ぶ規模となり、コールセンターを含むBPO事業の競争が激化することは必至だ。 今回のTOBは伊藤忠の「群戦略」が変貌していく起点となるのか。IT業界は固唾をのんで注視している」、「伊藤忠」の出方が要注目だ。

第三に、12月9日付けForbes「「三方よし資本主義」を標榜。伊藤忠を変えた現場視点の経営哲学」を紹介しよう。
https://forbesjapan.com/articles/detail/67762
・『ステークホルダー資本主義ランキング2位、自然資本ランキングでは1位を獲得した伊藤忠商事。「万年4位」から脱却、時価総額を約5倍に引き上げた会長 CEO・岡藤正広に見る「三方よし」の経営戦略。 伊藤忠商事には「社友会」というOB・OG組織がある。会長CEOの岡藤正広は、社友会メンバーからの手紙を楽しみにしている。これまでに多数の人から、「いい会社にしてくれてありがとう」という感謝がつづられていたことがあったからだ。 「大学時代の友人でほかの商社で働いていた人から『伊藤忠は変わった』と褒められて、自分は鼻が高いという話でした。これはうれしいわな。業績を良くしたり時価総額で上を目指すのも、“ええ会社”と言われたくてやってますから」 岡藤がいい会社と評価されて喜ぶのは、かつてはそうではなかったことの裏返しでもある。社長就任は2010年。当時は商社の中で万年4位。ある取引先に社長就任のあいさつに行くと、待たされたあげく、相手の社長は腰を下ろすことなく立ち話で済ませて帰っていったという。 あれから13年。伊藤忠は21年3月期決算で、株価、時価総額、純利益の3つで五大商社トップとなる「3冠」を初めて達成した。資源高の影響で、非資源の割合が大きい伊藤忠はその後2年は首位を明け渡しているが、それぞれの指標は3冠達成時より伸びている。投資の神様ウォーレン・バフェットが日本の五大商社の株を取得して話題になったが、23年4月の来日時、真っ先に会ったのが岡藤だった。堂々の“ええ会社”である。 ただし、株価などの指標は、いい会社の一面に過ぎない。岡藤は、いい会社について次のように語る。 「もちろん稼がなければダメですよ。でも、稼ぐだけでもダメ。定量・定性の両面でいい会社を目指さなければいけません。最近はステークホルダー資本主義というらしいけど、横文字でわかりにくい。ひらたく言えば、”三方よし”でしょう」 三方よしのひとつが「世間よし」だ。岡藤は社会貢献についてこう話す。 「当然のことながら意識しています。社会主義の国と違って、資本主義の国では企業単位でやっていく。ですからSDGsの問題は、まず企業がサステナブルでないとダメ。企業にも規模や得手不得手がありますから、それに応じてできることをやっていくことになると思います」 商社だからできることのひとつがエネルギーシフトだ。伊藤忠は脱炭素を進めるため、21年4月、コロンビアのドラモンド炭鉱の権益を売却した。 「石炭はものすごく値段が上がりましたから、継続保有していたら1年で数百億円は儲かった可能性はあります。でも、大きな出血を伴ってもやるんだと伊藤忠の真剣度を示すことが大事。小さなものをコツコツやるより、コアになってるものを大きく変えれば、自分たちも追い込まれて変わらざるをえない」 実際、ビジネスは変わりつつある。今年6月、伊藤忠は北米の再生可能エネルギー資産に投資する国内最大級のファンドを三井住友信託銀行と共同で立ち上げた。社会貢献につながる新しいビジネスを模索する様からは、「稼がなければダメだが稼ぐだけではダメ」という、岡藤のいい会社像が見えてくる』、「岡藤は、いい会社について次のように語る。 「もちろん稼がなければダメですよ。でも、稼ぐだけでもダメ。定量・定性の両面でいい会社を目指さなければいけません。最近はステークホルダー資本主義というらしいけど、横文字でわかりにくい。ひらたく言えば、”三方よし”でしょう」 三方よしのひとつが「世間よし」だ。岡藤は社会貢献についてこう話す。 「当然のことながら意識しています。社会主義の国と違って、資本主義の国では企業単位でやっていく。ですからSDGsの問題は、まず企業がサステナブルでないとダメ。企業にも規模や得手不得手がありますから、それに応じてできることをやっていくことになると思います」 商社だからできることのひとつがエネルギーシフトだ。伊藤忠は脱炭素を進めるため、21年4月、コロンビアのドラモンド炭鉱の権益を売却した。 「石炭はものすごく値段が上がりましたから、継続保有していたら1年で数百億円は儲かった可能性はあります。でも、大きな出血を伴ってもやるんだと伊藤忠の真剣度を示すことが大事。小さなものをコツコツやるより、コアになってるものを大きく変えれば、自分たちも追い込まれて変わらざるをえない・・・今年6月、伊藤忠は北米の再生可能エネルギー資産に投資する国内最大級のファンドを三井住友信託銀行と共同で立ち上げた。社会貢献につながる新しいビジネスを模索する様からは、「稼がなければダメだが稼ぐだけではダメ」という、岡藤のいい会社像が見えてくる」。なるほど。
・『「ロイヤルティをもて」は通用しない  岡藤が考えるいい会社をさらに掘り下げてみよう。人的資本経営が注目を集めているが、岡藤は「社員がロイヤルティをもってくれる会社がいい会社」と言う。 「もちろん会社が一方的に社員に『ロイヤルティをもて』と言うだけでは愛情をもってくれません。まずは会社が社員に対して、ほかの会社よりうちがいいと思われるような動きをしないといけない」 社員にロイヤルティをもってもらうために力を入れてきた施策がふたつある。ひとつは健康経営。がんで闘病していた社員の死をきっかけに、がんの特別検診や、がんと仕事の両立支援制度を導入した。 もうひとつは、朝型勤務だ。昔はモーレツに働くことが商社の誇りだったが、今は長時間勤務が忌避される。ただ、単に時短にするだけでは稼げなくなる。生産性を高めるために13年に導入したのが朝型勤務だった。 「最初は不評でしたよ。フレックスで10時に来て、新聞を30分読んで、『そろそろランチか。食堂行こ』と言うとる社員もおったから。文句たらたらの匿名メールもたくさん来ました。朝だと食事の準備が大変だし、残業代で生活してたから困るというわけです。だから朝来たら残業代は1.5倍にして、食事の提供も始めた。すると、早ければ3時に『お先に』と帰れる。今はもう、元には戻れないという社員ばかりです」 早く帰れば家族と過ごしたり自己研さんに充てたりと、一人ひとりが自分の人生を充実させるために時間を使える。朝型勤務は多様な働き方が求められる時代にふさわしい制度だ。 一方で、リモートワークに懐疑的なのは岡藤らしい。コロナ禍ではリモートワークを導入したが、感染が収束するといち早く原則出社の方針を打ち出した。「在宅は生産効率が落ちまっせ。画面の下はみんなパジャマでしょ。なかには画面切った途端に横になって、横に子どもがいたら遊んでしまうこともありますわな。そうなると効率は7掛けくらいですわ。そもそも商社は人に会わないとダメ。スクリーン越しだと肌感覚がいまひとつわからへん」 副業に対する考え方も独特だ。伊藤忠は22年10月からバーチャルオフィス制度をトライアル導入した。希望する社員はオンラインで週5時間、本業以外の案件に従事できる社内兼業制度で、トライアル時には40人、23年4月の本格導入後は約80人が制度を利用している。フェムテックビジネスの取り組みが始まるなど、バーチャルオフィスからの新規事業創出に期待がかかる。 「副業はどっちつかずで中途半端でしょう。本当にその人間が成長できるかどうか疑問です。かといって、新規事業開発室みたいに組織ありきなのもダメ。うまくいかなかったときに元に戻られへんからね。バーチャルオフィスはダメだったら戻れるし、うまくいきだしたら本人の希望でそっちにいってもいい。社員からすると、組織のなかで違う領域に挑戦するほうが思い切ってやれると思う」 働き方改革といっても、単に楽をしたり楽しいことをやるのは改革ではない。大切なのは生産性向上や本人の成長につながるかどうか。その軸に共感する社員には、伊藤忠は居心地のいい会社だろう』、「「副業はどっちつかずで中途半端でしょう。本当にその人間が成長できるかどうか疑問です。かといって、新規事業開発室みたいに組織ありきなのもダメ。うまくいかなかったときに元に戻られへんからね。バーチャルオフィスはダメだったら戻れるし、うまくいきだしたら本人の希望でそっちにいってもいい。社員からすると、組織のなかで違う領域に挑戦するほうが思い切ってやれると思う」 働き方改革といっても、単に楽をしたり楽しいことをやるのは改革ではない。大切なのは生産性向上や本人の成長につながるかどうか。その軸に共感する社員には、伊藤忠は居心地のいい会社だろう」、「バーチャルオフィス」がお勧めのようだ。
・『あるべき論は誰でも言える  いい会社には業績や社会貢献、社員のロイヤルティなどさまざまな要素があるが、岡藤は「たくさん言いすぎるとピンとこない。簡潔に言うと、親、兄弟、親戚が『誰々ちゃんがあそこに入ったよ』と誇りに思える会社がいい会社。それを目指せばいい」と説明する。 その意味で特に気にしている指標がある。学生の就職人気企業ランキングだ。) 「学生さんは会社や社会のことを知らないなかで真剣に就職先を選びます。となると、親、友達、先生などまわりの人の評価を参考にするしかない。就職ランキングは、いい会社かどうかの世間の評価がそのまま投影されていると思えばいい」 実際に、伊藤忠のランキングはどうか。さまざまなメディアが人気ランキングを発表しているが、今年は7媒体で伊藤忠が商社部門1位だった。4年連続の快挙だが、その結果に満足はしていない。「ある調査では全業種で3位でした。これを1位にせいと人事・総務部に目標設定しました。人事・総務部だけじゃない。これまで目標は営業カンパニーにしか設定してなかったのですが、いい会社になるには職能の人間にも目標を設定したほうがいいと考え、この4月からやってます。例えば統合報告書の評価を上げるとか、広告なら大きな賞を取るとか。具体的な目標ができると集中してやれる」 岡藤は社長を退いた今も会長CEOとして全権を掌握する。後任のリーダー像についてはどう考えているのか。 「社長になったら本当に毎日細かい判断をせなあかん。そのときトンチンカンな答えをしていたら会社は大変なことになる。商社はまず稼がなあかんから、営業感覚のない人はダメでしょうね」 リーダーの役割は大局観をもって方向性を指し示すことだと考える人も多いが、そうした見方を一蹴する。 「伊藤忠は、こうあるべきだということをやって失敗してきた歴史があります。66年には、織維商社からの総合化を進めるには石油だと言って東亜石油を買収。当時、伊藤忠は20億〜30億円の利益しかなかったのに1800億円の損を出した。石油を扱うのはいいんです。しかし、経験がないからタンカーを10年間の長期契約して失敗した。それから、バブルのときの不動産もそう。国土が限られているから絶対上がると、現地も見ないで地図だけで買った。あるべき論は誰でも言える。それを実現するために必要なものが備わっているかどうかのほうが大事です」 ビジョナリーなリーダーがもてはやされるなか、現場感覚を重視する岡藤のスタイルはひときわ目立つ。 原点は大阪の繊維部門で生地売りをしていたころだ。当時から、会社でみんなが話していることと客先で聞く話にズレがあることが気になっていた。東京出張のとき、代理店の人に「明日、帝国ホテルで展示会がある」と誘われた。もともとの予定にはなく、着替えももってきていない。しかし、現場に答えがあると気づき始めていた岡藤は大阪に帰らずに展示会に行った。 「ここがターニングポイントでした。展示会に行くと、旦那さんは営業と話していて、実際に生地を選んでるのは奥さんか娘さんでした。それを見て、英国のお堅いブランドじゃなく、女性が知ってるブランドにしたら目立つんとちゃうかと。それでイブ・サンローランと交渉して名前をつけたら、ものすごく売れた。あのとき大阪に帰っていたら今の僕はない」 経営者が「いい会社像」を語ると、どうもきれいごとに響くことがある。だが、岡藤の語る“ええ会社”に建前がもつ空虚さはない。そこには常に足元から考える岡藤の哲学が反映されているに違いない。 (岡藤正広氏の略歴、伊藤忠商事の概要はリンク先参照)』、「伊藤忠のランキングはどうか。さまざまなメディアが人気ランキングを発表しているが、今年は7媒体で伊藤忠が商社部門1位だった。4年連続の快挙だが、その結果に満足はしていない。「ある調査では全業種で3位でした。これを1位にせいと人事・総務部に目標設定しました。人事・総務部だけじゃない。これまで目標は営業カンパニーにしか設定してなかったのですが、いい会社になるには職能の人間にも目標を設定したほうがいいと考え、この4月からやってます。例えば統合報告書の評価を上げるとか、広告なら大きな賞を取るとか。具体的な目標ができると集中してやれる」 岡藤は社長を退いた今も会長CEOとして全権を掌握・・・伊藤忠は、こうあるべきだということをやって失敗してきた歴史があります。66年には、織維商社からの総合化を進めるには石油だと言って東亜石油を買収。当時、伊藤忠は20億〜30億円の利益しかなかったのに1800億円の損を出した。石油を扱うのはいいんです。しかし、経験がないからタンカーを10年間の長期契約して失敗した。それから、バブルのときの不動産もそう。国土が限られているから絶対上がると、現地も見ないで地図だけで買った。あるべき論は誰でも言える。それを実現するために必要なものが備わっているかどうかのほうが大事です」 ビジョナリーなリーダーがもてはやされるなか、現場感覚を重視する岡藤のスタイルはひときわ目立つ」、「伊藤忠」の2つの「失敗」については、初めて知った。「現場感覚を重視する岡藤のスタイル」は手堅そうだ。
タグ:真壁昭夫氏による「三菱商事が純利益1兆円突破!バフェットが見初めた「日本独自」の強みとは」 ダイヤモンド・オンライン 「初日は買いが殺到して値がつかない人気ぶりで、気配値による時価総額は親会社の伊藤忠を抜いていた」、異常な買い人気だったようだ。 「伊藤忠」は総じて「買い取り価格」の引上げには慎重なようだ。 商社問題 (その4)(三菱商事が純利益1兆円突破!バフェットが見初めた「日本独自」の強みとは、伊藤忠がCTCに「3800億円の巨額投資」をする事情 アクセンチュア台頭でIT業界の競争環境が激変、「三方よし資本主義」を標榜 伊藤忠を変えた現場視点の経営哲学) Forbes「「三方よし資本主義」を標榜。伊藤忠を変えた現場視点の経営哲学」 「コールセンター業界では今年9月、三井物産持ち分法適用会社のりらいあコミュニケーションズとKDDI完全子会社のエボルバが経営統合し、従業員5万8000人規模の「アルティウスリンク」が発足する。ベルシステム24と並ぶ規模となり、コールセンターを含むBPO事業の競争が激化することは必至だ。 今回のTOBは伊藤忠の「群戦略」が変貌していく起点となるのか。IT業界は固唾をのんで注視している」、「伊藤忠」の出方が要注目だ。 「アクセンチュアは川上から川下まで自前でそろえ、一気通貫でサービスを提供する。) これに対抗する形で伊藤忠は2019年以降、電子帳票システムに強いウイングアーク1stのほか、コンサルやデータ分析の「川上」を得意とするシグマクシスやブレインパッドへ3~25%出資し、「緩やかな群戦略」で顧客の要望に応える体制をつくってきた。川上企業が戦略コンサルに入り、最終的にはCTCでシステム販売・運用を担うイメージだ」、なるほど。 投下資本は過去3番目の大きさだ。 東洋経済オンライン「伊藤忠がCTCに「3800億円の巨額投資」をする事情 アクセンチュア台頭でIT業界の競争環境が激変」 「他国にはない独自性の高いビジネスモデルや株価の割安感こそ、バフェット氏が三菱商事など総合商社株を買い増した理由だ。 中期的に、脱炭素やデジタル化の加速を背景に、わが国の素材、精密機械、発電装置などへの需要は増えるだろう。米国との関係を基礎に安全保障体制を整備してきた日本で、事業運営体制を強化する海外企業も増えている。 三菱商事がいっそう事業環境の変化に対応し、収益性を向上する展開を期待したい」、なるほど。 「三菱商事はそうした強みを、資源や機械、素材などの分野で発揮してきた。そして今は、洋上風力発電や鉱山での再エネ電力の利用増などに結びつけている」、なるほど。 「22年5月時点、同社予想の年度末ドル円レートは1ドル=120.00円だった。対して実際に着地した為替レートは1ドル=135.50円だった。 同社は、1円の円安/円高が、年間50億円の増減益の要因になるとしている」、とすると750億円の増益要因になる。 「著名な投資家ウォーレン・バフェット氏・・・は、三菱商事をはじめとした日本の5大総合商社への追加投資を表明した。バフェット氏は、5大総合商社の株価の割安さ、独自のビジネスモデルに支えられた中長期的な成長性を評価」、なるほど。 「岡藤は、いい会社について次のように語る。 「もちろん稼がなければダメですよ。でも、稼ぐだけでもダメ。定量・定性の両面でいい会社を目指さなければいけません。最近はステークホルダー資本主義というらしいけど、横文字でわかりにくい。ひらたく言えば、”三方よし”でしょう」 三方よしのひとつが「世間よし」だ。岡藤は社会貢献についてこう話す。 「当然のことながら意識しています。社会主義の国と違って、資本主義の国では企業単位でやっていく。ですからSDGsの問題は、まず企業がサステナブルでないとダメ。企業にも規模や得手不 得手がありますから、それに応じてできることをやっていくことになると思います」 商社だからできることのひとつがエネルギーシフトだ。伊藤忠は脱炭素を進めるため、21年4月、コロンビアのドラモンド炭鉱の権益を売却した。 「石炭はものすごく値段が上がりましたから、継続保有していたら1年で数百億円は儲かった可能性はあります。でも、大きな出血を伴ってもやるんだと伊藤忠の真剣度を示すことが大事。小さなものをコツコツやるより、コアになってるものを大きく変えれば、自分たちも追い込まれて変わらざるをえない・・・ 今年6月、伊藤忠は北米の再生可能エネルギー資産に投資する国内最大級のファンドを三井住友信託銀行と共同で立ち上げた。社会貢献につながる新しいビジネスを模索する様からは、「稼がなければダメだが稼ぐだけではダメ」という、岡藤のいい会社像が見えてくる」。なるほど。 「「副業はどっちつかずで中途半端でしょう。本当にその人間が成長できるかどうか疑問です。かといって、新規事業開発室みたいに組織ありきなのもダメ。うまくいかなかったときに元に戻られへんからね。バーチャルオフィスはダメだったら戻れるし、うまくいきだしたら本人の希望でそっちにいってもいい。社員からすると、組織のなかで違う領域に挑戦するほうが思い切ってやれると思う」 働き方改革といっても、単に楽をしたり楽しいことをやるのは改革ではない。大切なのは生産性向上や本人の成長につながるかどうか。その軸に共感する社員には、伊 藤忠は居心地のいい会社だろう」、「バーチャルオフィス」がお勧めのようだ。 「伊藤忠のランキングはどうか。さまざまなメディアが人気ランキングを発表しているが、今年は7媒体で伊藤忠が商社部門1位だった。4年連続の快挙だが、その結果に満足はしていない。「ある調査では全業種で3位でした。これを1位にせいと人事・総務部に目標設定しました。人事・総務部だけじゃない。これまで目標は営業カンパニーにしか設定してなかったのですが、いい会社になるには職能の人間にも目標を設定したほうがいいと考え、この4月からやってます。例えば統合報告書の評価を上げるとか、広告なら大きな賞を取るとか。具体的な目標がで できると集中してやれる」 岡藤は社長を退いた今も会長CEOとして全権を掌握・・・伊藤忠は、こうあるべきだということをやって失敗してきた歴史があります。66年には、織維商社からの総合化を進めるには石油だと言って東亜石油を買収。当時、伊藤忠は20億〜30億円の利益しかなかったのに1800億円の損を出した。石油を扱うのはいいんです。しかし、経験がないからタンカーを10年間の長期契約して失敗した。それから、バブルのときの不動産もそう。 国土が限られているから絶対上がると、現地も見ないで地図だけで買った。あるべき論は誰でも言える。それを実現するために必要なものが備わっているかどうかのほうが大事です」 ビジョナリーなリーダーがもてはやされるなか、現場感覚を重視する岡藤のスタイルはひときわ目立つ」、「伊藤忠」の2つの「失敗」については、初めて知った。「現場感覚を重視する岡藤のスタイル」は手堅そうだ。
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大学(その13)(国立大学法人法改正案に教職員 学生らから怒りの声 「学問の自由」を殺すな、「林真理子さんを助けてやってくれ」就任1年以上経っても林理事長が日大改革を進められない"根本原因" カギを握るのは「ド派手なスーツの強力な助っ人弁護士」、林真理子氏が気づかない「日大にやらされていること」と「本当にやるべきこと」の違い) [社会]

大学については、本年8月13日に取上げた。今日は、(その13)(国立大学法人法改正案に教職員 学生らから怒りの声 「学問の自由」を殺すな、「林真理子さんを助けてやってくれ」就任1年以上経っても林理事長が日大改革を進められない"根本原因" カギを握るのは「ド派手なスーツの強力な助っ人弁護士」、林真理子氏が気づかない「日大にやらされていること」と「本当にやるべきこと」の違い)である。

先ずは、本年11月30日付けAERA「国立大学法人法改正案に教職員、学生らから怒りの声 「学問の自由」を殺すな」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/articles/-/207625?page=1
・『国立大学をめぐる「第二の学術会議問題」と呼ばれる、法改正案が国会で審議中だ。「学問の自由の危機」「大学自治への死刑宣告」と教員や学生らから怒りの声が上がる。 「心からのお願いです。皆様、憲法第23条の『学問の自由』の守護者になってください」 隠岐さや香・東京大教授(科学史)は衆議院の参考人質疑でそう訴えた。 現在、「第二の日本学術会議問題」「大学の自治への死刑宣告」と呼ばれる、国立大学法人法の改正案が国会で審議中だ。衆議院を通過し、参議院での本格的な討議に入る』、「国立大学法人法の改正案」については、マスコミが余り伝えないので、初めて知った。
・『文科相が委員を承認  改正案は、東京大や京都大など、一定以上の規模の国立大学5法人に、強い権限を持つ合議体「運営方針会議」の設置を義務づけるもの。 合議体は学長と学外の有識者も想定した3人以上の委員で構成され、文部科学相が承認し学長が任命する。大学の中期目標や計画、予算や決算の決定を行い、それに基づいた運営でない場合、学長に改善を要求できる。さらに学長選考に関して意見を述べることも可能だ。 前出の隠岐教授は「非常に危険な法改正」と話す。 特に危険なのが『強力なトップダウン+委員は文科相の承認が必要』の部分です。国が大学運営に介入することを可能にし、『学問の自由』が危ぶまれます。盛山正仁文科相は委員の承認について、政府と主義主張が異なる人物だったとしても、明らかに不適切な場合などを除き『拒否できない』と国会で答弁しましたが、学術会議の前例があります。日本は国際的な『学問の自由度指数』で下位30%台と現状でもけっして良くありません」 2004年の国立大学法人化以降、国はトップダウン型のガバナンス改革を一貫して大学に要求してきた。 「スタンフォード大など米大学をまねようとしているのだと思います。しかし、米大学はトップダウン型である一方、ボトムアップの仕組みもきちんと確立されています。これに対し、日本は一連の大学改革でボトムアップの仕組みを無効化させてきました。改正案が通ったら、大学は『ブレーキを欠いた車』になってしまいます」(隠岐教授)』、「日本は国際的な『学問の自由度指数』で下位30%台と現状でもけっして良くありません」 2004年の国立大学法人化以降、国はトップダウン型のガバナンス改革を一貫して大学に要求してきた。 「スタンフォード大など米大学をまねようとしているのだと思います。しかし、米大学はトップダウン型である一方、ボトムアップの仕組みもきちんと確立されています。これに対し、日本は一連の大学改革でボトムアップの仕組みを無効化させてきました。改正案が通ったら、大学は『ブレーキを欠いた車』になってしまいます」、大変だ。
・『軍事研究の狙いも  国は大学に「選択と集中」によるイノベーションを求め、「稼げる大学」になるよう促してきたことも、法改正の背景にある。本田由紀・東京大教授(教育社会学)はこう憤る。 「政界では与党の支持率はダダ下がり。経済界も30年間低迷を続けている。そんなグダグダな人たちが法改正で大学に介入し、『この研究は稼げる』『あれは稼げない』と選別することになったら取り返しのつかないことになります」 大学には非常に多様な研究があり、一見「稼げない」ように見える基礎研究や地域研究なども重要な役割を担っている。 「学外の委員の中には、所属する組織の利益を近視眼的に追い求める人が出てくる可能性もある。そうしたら、大学が営々と築いてきた、公共財である『知の土台』は壊され、取り戻すのは容易なことではありません」 合議体の設置はもともと、東北大が候補として決定した、10兆円規模の大学ファンドの支援を受ける「国際卓越研究大学」が対象とされていた。それが一方的に拡大された形で、将来的には私大にも及ぶと見られている。 京都大の駒込武教授(教育史)は「法改正の根拠に整合性がない」と批判する。「突然閣議決定され、国会でスピード可決を図ろうとした点も不審。これほど強引に推し進めるのは、軍事研究に消極的な旧帝大を法改正で組み込ませたい狙いがあるのではと思わざるをえません」 学生も声を上げ始めた。東北大4年の山下森人さんは言う。 「僕は文学部で、学びたい研究があったのですが、指導者のポストがなくなり学べなかった。こうしたことは複数起きていて、さらに悪化しないか心配です」 改正案には、大学の土地の貸し付けの緩和も盛り込まれている。「稼ぐ」ことが優先され、学生のサークルスペースや福利厚生施設がつぶされていくことも懸念されている。 山下さんは訴える。 「学生にこれほど影響を与える法改正なのに、学生は置き去りにされています。国は大学を道具のように扱わないでほしい。私物化するな、と言いたい」(フリー記者 石田かおる)』、「経済界も30年間低迷を続けている。そんなグダグダな人たちが法改正で大学に介入し、『この研究は稼げる』『あれは稼げない』と選別することになったら取り返しのつかないことになります」 大学には非常に多様な研究があり、一見「稼げない」ように見える基礎研究や地域研究なども重要な役割を担っている・・・大学の土地の貸し付けの緩和も盛り込まれている。「稼ぐ」ことが優先され、学生のサークルスペースや福利厚生施設がつぶされていくことも懸念されている・・・学生にこれほど影響を与える法改正なのに、学生は置き去りにされています。国は大学を道具のように扱わないでほしい。私物化するな、と言いたい」、極めて危険な法案のようだ。

次に、12月9日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの磯山 友幸氏による「「林真理子さんを助けてやってくれ」就任1年以上経っても林理事長が日大改革を進められない"根本原因" カギを握るのは「ド派手なスーツの強力な助っ人弁護士」」を紹介しよう。
・『記者会見に現れた「ド派手なスーツの強力な助っ人」  「何合目と言うより富士吉田の駅に着いたくらい。まだバスにも乗っていない」  12月4日に開いた記者会見で、日本大学の改革の進行状況を「いま何合目か」と問われた林真理子理事長は、富士山に例えてまだ麓の駅だと答えた。就任から1年以上過ぎたにもかかわらず、改革は進むどころか、再び発覚した不祥事への対応に追われている。不祥事の淵に沈んだ日本大学は再生・復活できるのだろうか。 記者会見にはこれまで登場しなかった強力な「助っ人」が登場した。久保利英明弁護士。ド派手なスーツと真っ黒に日焼けした風貌で知られるガバナンス問題の第一人者である。黒に幅広の白いストライプが入ったこの日のスーツは、長年、久保利氏を取材してきた筆者から見ると、極めて地味な出で立ちだったが、それでも、ネット界隈やテレビのワイドショーの人々は度肝を抜かれたようで、一気に話題をさらっていた。 派手な出で立ちは自らを奮い立たせる「戦闘服だ」と言い続けてきた久保利氏は、常に「不正」に立ち向かってきた。防弾チョッキを備えての総会屋と対峙たいじするなど、その「正義感」は正真正銘、筋金入りだ。そんな闘う弁護士に「林真理子さんを助けてやってくれ」といくつものルートで依頼が飛び込んだという。林氏の著書を刊行する出版社の幹部や、久保利氏が顧問を務める企業の創業者、芸能人、そして日本大学の監事を務める弁護士からも連絡がきた。それほどに林理事長が改革に苦戦して追い詰められている様子を周囲が心配していたのだろう』、「「林真理子さんを助けてやってくれ」といくつものルートで依頼が飛び込んだ」、やはり「久保利氏」の名声は轟き亘っているのだろう。
・『「久保利弁護士の議長就任を文科省が了解したのは意外」  今年8月、アメリカンフットボール部員が寮で大麻を所持していた容疑で逮捕されたのを受けて、日大は「第三者委員会」を設置した。その第三者委員会が10月30日に報告書を日大に提出。管理運営体制の再構築など改善計画を策定する「第三者委員会答申検討会議」を設置した。その会議の議長に久保利氏を迎えたのだ。 アメフト部は2018年の危険タックル問題に次ぐ不祥事で、その後の田中英寿前理事長による乱脈経営から脱却を図ろうとしていたまさにその最中に起きた。ガバナンスの不全が再び明らかになったわけだ。 相次ぐ不祥事で、日大は文科省の厳しい監督下に置かれている。第三者委員会の設置は文科省の行政指導を受けたものだった。当然、その後の検討会議の設置も日大は文科省にお伺いを立てている。「正直、久保利弁護士の議長就任を文科省が了解したのは意外でした」と関係者は語る。というのも、久保利氏と文科省には因縁があったからだ』、「「第三者委員会答申検討会議」を設置した。その会議の議長に久保利氏を迎えたのだ」、「久保利氏と文科省には因縁があった」、どんな「因縁」なのだろう。
・『文科省からすれば「過激な」ガバナンス体制を求める危険人物  2021年7月、文科省は「学校法人ガバナンス改革会議」(座長・増田宏一元日本公認会計士協会会長)を設置した。久保利氏はその会議の中心メンバーだったのだ。ちょうど田中理事長が逮捕されるなど日大の不祥事が噴出しているタイミングと重なったため、大学のガバナンスのあり方が大きく関心を呼んだ。そんな流れの中で、12月8日にはその会議が報告書をまとめる。その内容は、公益財団や社会福祉法人など公益法人の仕組みに沿った厳格なガバナンス体制を求めるものだった。 これに私学経営者らが猛烈に反発。自民党の文教族政治家らに働きかけて、改革案を骨抜きにしたのだ。文科省からすれば「過激な」ガバナンス体制を求める危険人物が久保利氏だった。それにもかかわらず久保利氏に日大改革を委ねることに文科省が踏み切ったことを、経緯を知る大学関係者は驚きを持って見ているのだ。 しかも、会議の設置を仕掛けた塩崎恭久元厚生労働相の強い意向で、報告書の作成には文科省の役人は一切関わっていないとされる。一説には久保利氏の事務所の弁護士がボランティアで作成したとも言われているのだ。文科省からすれば、久保利氏は敬して遠ざけたい人物に違いないとみられていたのだ。それが、久保利氏の議長就任を渋々認めるどころか、むしろ歓迎したというのだ』、「文科省は「学校法人ガバナンス改革会議」(座長・増田宏一元日本公認会計士協会会長)を設置した。久保利氏はその会議の中心メンバーだったのだ・・・報告書をまとめる。その内容は、公益財団や社会福祉法人など公益法人の仕組みに沿った厳格なガバナンス体制を求めるものだった。 これに私学経営者らが猛烈に反発。自民党の文教族政治家らに働きかけて、改革案を骨抜きにしたのだ。文科省からすれば「過激な」ガバナンス体制を求める危険人物が久保利氏だった・・・会議の設置を仕掛けた塩崎恭久元厚生労働相の強い意向で、報告書の作成には文科省の役人は一切関わっていないとされる。一説には久保利氏の事務所の弁護士がボランティアで作成したとも言われているのだ」、なるほど。
・『私学法改正で注目されている日大の行方  私学法の改正で2025年から学校法人のガバナンスが大きく変わる。全国の大学はいま、定款に当たる「寄付行為」をどう変え、どんなガバナンス体制にするかを検討している真っ最中だ。改正私学法では、各学校法人が寄付行為で定めれば、多くでほぼ現行通りの体制を維持できるように「骨抜き」になった。学校法人自身の改革姿勢によって寄付行為はいかようにでも書ける形になったのだ。例えば、理事の選出方法などは法律では明確に示されず、各大学に自由度がある。 そんな中で、注目されているのが日大の寄付行為の行方だ。日大は田中元理事長の不祥事を受けてガバナンス体制を見直したが、第三者委員会の調査報告書では、一定の改革が行われたものの、今回の不祥事で理事会への報告がなされなかったり、遅れたりしたことなどガバナンスが機能しなかったことが問題視されている。つまり、経営を行い教学を監督する理事会の機能が十分に働く仕組みになっていなかったとした上で、経営層によるガバナンスを機能させるためには独立性のある理事、監事が必要だと結論付けている』、「改正私学法では、各学校法人が寄付行為で定めれば、多くでほぼ現行通りの体制を維持できるように「骨抜き」になった。学校法人自身の改革姿勢によって寄付行為はいかようにでも書ける形になったのだ。例えば、理事の選出方法などは法律では明確に示されず、各大学に自由度がある・・・日大は田中元理事長の不祥事を受けてガバナンス体制を見直したが、第三者委員会の調査報告書では、一定の改革が行われたものの、今回の不祥事で理事会への報告がなされなかったり、遅れたりしたことなどガバナンスが機能しなかったことが問題視されている」、なるほど。
・『見直された「寄付行為」でも理事長の権限は大きい  記者会見で久保利氏が読み上げた「今後の対応及び方針」では、ウチのことはウチで収めるという「ムラ社会」の組織や、「秘密主義」、学外者を含む組織に対して必要な情報を全く提供しようとしない「排外主義」などがあったとしている。そのうえで、「方針」では理事長のあり方としてこう書いている。 「理事長の権限及び責任を明確にし、業務執行理事へのガバナンスを強化させる仕組みを設け、理事長がガバナンスをより強化させる仕組みを設けます。また、理事長就任後の業績評価制度の見直しや理事長選考委員会の在り方の再確認も含め、法人ガバナンスを強化します」 田中前理事長の不祥事をきっかけに見直した「寄付行為」でも理事長の権限は大きい。選任方法や任期などは変わったが、「理事長は、この法人を代表し、法人の業務を総理する」「理事長以外の理事は、この法人の業務について、この法人を代表しない」といった唯一絶対の権限規定は田中時代と同じだ。また、理事の中から「理事長の推薦により理事会の議を経て常務理事となる」という、事実上理事長が常務理事を選ぶ権限などは、規定上は変わっていない』、「見直された「寄付行為」でも理事長の権限は大きい」、なるほど。
・『学長と3人の副学長の発言力が大きくなっていた  ところが、「林理事長はどうも学長らの教学部門に遠慮があるようだ」と日大関係者は言う。理事会の構成人数は「27人以上36人以内」だったものを「14人以上24人以内」に減らされ、日大以外の学外者が増えた一方で、「副学長」を新設したため、学長と3人の副学長の発言力が大きくなり、理事長や理事会による「教学」への監督が弱くなった大きな要因だろう。田中前理事長による不祥事への反省で、理事長の暴走を防ぐことを最優先し、結果的に学長と副学長の力が増すことになったのだろう。今回の不祥事を受けて、副学長のあり方など寄付行為が再度見直されることになるのだろう。 「もはや一刻の猶予もできません。今、改善・改革を行わなければ本法人は、再生・復活の機会を失い、先人が永年にわたり築きあげた価値などを致命的に喪失することとなります」 田中前理事長の不祥事を機にガバナンスを見直した日本大学で、繰り返される不祥事は、ガバナンスがまだまだ脆弱ぜいじゃくなことの証明でもある。2年前に久保利氏らのガバナンス改革会議が示した強力なガバナンス体制を、少しでも自主的に導入していこうという動きが広がっていくことになるのだろう。多くの学校法人が、今後の日大の再改革の行方を固唾かたずを飲んで見守っている』、「日大以外の学外者が増えた一方で、「副学長」を新設したため、学長と3人の副学長の発言力が大きくなり、理事長や理事会による「教学」への監督が弱くなった大きな要因だろう・・・日本大学で、繰り返される不祥事は、ガバナンスがまだまだ脆弱ぜいじゃくなことの証明でもある。2年前に久保利氏らのガバナンス改革会議が示した強力なガバナンス体制を、少しでも自主的に導入していこうという動きが広がっていくことになるのだろう』、「久保利氏らのガバナンス改革会議が示した強力なガバナンス体制を、少しでも自主的に導入していこうという動きが広がっていくことになるのだろう」、林理事長の謝罪を見なくて済む体制に早くしてもらいたいものだ。

第三に、12月19日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「林真理子氏が気づかない「日大にやらされていること」と「本当にやるべきこと」の違い」を紹介しよう。
・『元文春編集長があえて批評する日大理事長としての林真理子氏  林真理子理事長による日大改革が厳しい批判に晒されています。林さんは『週刊文春』で長い間連載をしているため、「文春は林さんの批判はしないのでは?」という質問も記者会見で出てきました。 もちろん、連載中の作家の悪口を雑誌で書くことは、編集部の掲載判断が間違っていたことを自ら認めることになりかねないので、慎重に考えなくてはいけないと思います。ただ、書き手が公人として、公の仕事をしている場合は話が別です。元文集編集長の私が、彼女を公人として、第三者的な立場から批評してみたいと思います。 林さんに対する「お飾りにすぎない」「目立つ地位がほしかっただけ」といった批判は、この時期に日大理事長をやるということの大変さをあまりにも理解していないと私は思っています。 大学の経営は私も少し経験したので、民間から見るといかに不思議なものか、少しはわかっているつもりです。しかし、現在の林真理子批判は、(1)「作家」林真理子さんにできること、(2)林さんに求められていること、(3)林さんが求められてもできないことについて、彼女の作品の愛読者だけでなく、記者や日大関係者、そして林さん自身も誤った認識を持っているからこそ、起きているものだと思います。 まず、ボタンの掛け違いがありました。8月8日、澤田康広副学長が「大麻を12日間保管した」と説明した記者会見では、あの場に林さんが出る必要などまったくなかったのです。多くの読者は理事長と学長は同格だと考えています。しかし、理事長は会社でいうなら社長。学長は教育とそれに伴う部活やイベントだけを統括する工場長のようなものです。 当日の記者会見は、学生数7万人のマンモス大学の一部でしかない生徒が犯した大麻所持問題が議題でした。7万人の企業といえば、林さんの立場は三菱商事の社長クラスです。社員の1人が大麻を所持した程度で、社長が記者会見に出る必要があるでしょうか。昨今、組織のコンプライアンスが厳格化しているとはいえ、第一段階では、監督責任もその後の報告も学長と副学長で十分なのです。 たぶん、林さんは真面目で、記者会見には出なければいけないと考えたのでしょうが、最終決定権のある理事長があの段階で出席すると、物事の是非を断言したり、重要な決定をしたりする必要に迫られます。案の定、記者の質問に対して「スポーツのほうにはまだ手を付けていなかったことを反省する」といった趣旨の、絶対にしてはならない失言をしてしまいました。 日大改革の発端は、アメフト部の危険タックル問題でした。理事長就任から1年経ってそこに手を付けていないという発言は、誰もが失望するものでした。 ボタンの掛け違いはその後も続きます。本来は、1回目の記者会見を受けて状況を精査し、第三者委員会の意見を取り入れて、澤田氏や学長の処分という話になれば、林さんが裏できちんと事件をグリップしていると見られたに違いありません。しかしそうはならず、12月に入っても要領を得ない会見が開かれました。 林さんが理事長という役割を生真面目に考えすぎた結果、「林さんのカリスマで記者会見をなんとかしたい」という周囲の目論見に嵌められたのではないかと思います』、「第一段階では、監督責任もその後の報告も学長と副学長で十分なのです。 たぶん、林さんは真面目で、記者会見には出なければいけないと考えたのでしょうが、最終決定権のある理事長があの段階で出席すると、物事の是非を断言したり、重要な決定をしたりする必要に迫られます。案の定、記者の質問に対して「スポーツのほうにはまだ手を付けていなかったことを反省する」といった趣旨の、絶対にしてはならない失言をしてしまいました・・・本来は、1回目の記者会見を受けて状況を精査し、第三者委員会の意見を取り入れて、澤田氏や学長の処分という話になれば、林さんが裏できちんと事件をグリップしていると見られたに違いありません。しかしそうはならず、12月に入っても要領を得ない会見が開かれました。 林さんが理事長という役割を生真面目に考えすぎた結果、「林さんのカリスマで記者会見をなんとかしたい」という周囲の目論見に嵌められたのではないかと思います」、なるほど。
・『林氏が周囲に求められてもできないことはある  次に、林さんに求められてもできないことがあるということを、大学もご本人もわかっていない例についてお話します。 アメフト部の問題に端を発し、田中前理事長の逮捕・退陣に至った日大の独裁体質、パワハラ経営、そしてあまり表には出てきませんが前理事長の反社会勢力との繋がりを全部きれいにするというのが、日大改革の大きな目標でした。そのためには、彼の息がかかった人間の更迭と、田中的パワハラ体質の改善、つまりは人事の大刷新が絶対の目標であったはずです。 田中氏は長期間にわたり大学を支配してきたため、隅々にまで情実関係にある部下が配置されていました。その人々はまだ大学に残っています。彼らをリストラするか、パワハラ的運営を改めさせるのが、改革の具体策です。 しかし、これは林さん一人では絶対にできません。確かに、第三者委員会に久保利英明弁護士を起用するなど、反社会勢力との対決をも意識した意欲は感じられます。しかし、久保利氏は総会屋対策で名を売った人。総会屋が壊滅された現在では一昔前の人と言わざるを得ません。反社会性力と絶縁するには、相当な豪腕が必要です。)  たとえば、カナダに亡命中の香港のアグネス・チョウ氏(周庭氏)を、教授に招聘できないでしょうか。香港の自由を守るために戦い、投獄されても屈しなかった彼女から学生が学ぶことは多いはずです。日本企業の最大の問題の一つが男女の不平等なのだから、彼女の起用自体が林日大からの象徴的なメッセージとなります。 台湾のオードリー・タン氏、北欧の女性首相経験者、日本が大好きな経営者・ビル・ゲイツ氏など、日本の良さや改革の方向性についての知見が深い海外の著名人の講座を設けるのもいいでしょう。 ChatGPTをはじめとするAIを教育の中心に置く文科系学科など、教育者にICT教育を徹底させるのも今後の道です。 こういう新鮮な大学づくりを目指す一方で、廃部が決まったアメフト部に対しては、アメフトを続けたい学生の他大学への移籍をサポートするなど、細かい気配りも必要です。先日の説明会を見ている限り、学生からの質問を禁じるという体育会系体質は少しも改まっていません。ここにこそ、林理事長の新発想が必要ではないかと思います。 たとえば、戦火に包まれたウクライナでは、アメリカンフットボールが人気スポーツになりました。ただ廃部にするのではなく、ウクライナチームを招待し合宿所で一緒に練習するなどの施策を講じれば、学生にとっては国際交流の面でも大変良い人生勉強ができるはずです。 日大には多くの部活が存在します。その財力を活かし、母国でスポーツができないパレスチナやシリアの人々を招き、国際的なスポーツ人を養うのも「日大が変わった」というアピールになり、日本の国際的評価の向上に貢献するはずです』、「田中氏は長期間にわたり大学を支配してきたため、隅々にまで情実関係にある部下が配置されていました。その人々はまだ大学に残っています。彼らをリストラするか、パワハラ的運営を改めさせるのが、改革の具体策です。 しかし、これは林さん一人では絶対にできません。確かに、第三者委員会に久保利英明弁護士を起用するなど、反社会勢力との対決をも意識した意欲は感じられます。しかし、久保利氏は総会屋対策で名を売った人。総会屋が壊滅された現在では一昔前の人と言わざるを得ません。反社会性力と絶縁するには、相当な豪腕が必要です・・・戦火に包まれたウクライナでは、アメリカンフットボールが人気スポーツになりました。ただ廃部にするのではなく、ウクライナチームを招待し合宿所で一緒に練習するなどの施策を講じれば、学生にとっては国際交流の面でも大変良い人生勉強ができるはずです。 日大には多くの部活が存在します。その財力を活かし、母国でスポーツができないパレスチナやシリアの人々を招き、国際的なスポーツ人を養うのも「日大が変わった」というアピールになり、日本の国際的評価の向上に貢献するはずです」、なるほど。
・本当は今までになかった大学をつくれるはず  部外者が勝手なことを言いましたが、大学経営は文部科学省の厳しいチェックの下で行わねばなりません。なにしろ私学といえども、経営の4割は助成金に頼るっているのが現状だからです。しかし、林さんの声望と人望があれば、こうしたチェックを沈黙させ、今までの日本になかったような大学がつくれるはずです。 どうか日大の過去の負債の清算にばかり力を注ぐのではなく、そこには適任者を探して配置し、ご自身は林さんらしい大学つくりをしていただきたいと思っています』、「日大の過去の負債の清算にばかり力を注ぐのではなく、そこには適任者を探して配置し、ご自身は林さんらしい大学つくりをしていただきたいと思っています」、強く同意する。 
タグ:大学 (その13)(国立大学法人法改正案に教職員 学生らから怒りの声 「学問の自由」を殺すな、「林真理子さんを助けてやってくれ」就任1年以上経っても林理事長が日大改革を進められない"根本原因" カギを握るのは「ド派手なスーツの強力な助っ人弁護士」、林真理子氏が気づかない「日大にやらされていること」と「本当にやるべきこと」の違い) AERA「国立大学法人法改正案に教職員、学生らから怒りの声 「学問の自由」を殺すな」 「国立大学法人法の改正案」については、マスコミが余り伝えないので、初めて知った。 「日本は国際的な『学問の自由度指数』で下位30%台と現状でもけっして良くありません」 2004年の国立大学法人化以降、国はトップダウン型のガバナンス改革を一貫して大学に要求してきた。 「スタンフォード大など米大学をまねようとしているのだと思います。しかし、米大学はトップダウン型である一方、ボトムアップの仕組みもきちんと確立されています。これに対し、日本は一連の大学改革でボトムアップの仕組みを無効化させてきました。改正案が通ったら、大学は『ブレーキを欠いた車』になってしまいます」、大変だ。 「経済界も30年間低迷を続けている。そんなグダグダな人たちが法改正で大学に介入し、『この研究は稼げる』『あれは稼げない』と選別することになったら取り返しのつかないことになります」 大学には非常に多様な研究があり、一見「稼げない」ように見える基礎研究や地域研究なども重要な役割を担っている・・・大学の土地の貸し付けの緩和も盛り込まれている。「稼ぐ」ことが優先され、学生のサークルスペースや福利厚生施設がつぶされていくことも懸念されている ・・・学生にこれほど影響を与える法改正なのに、学生は置き去りにされています。国は大学を道具のように扱わないでほしい。私物化するな、と言いたい」、極めて危険な法案のようだ。 PRESIDENT ONLINE 磯山 友幸氏による「「林真理子さんを助けてやってくれ」就任1年以上経っても林理事長が日大改革を進められない"根本原因" カギを握るのは「ド派手なスーツの強力な助っ人弁護士」」 「「林真理子さんを助けてやってくれ」といくつものルートで依頼が飛び込んだ」、やはり「久保利氏」の名声は轟き亘っているのだろう。 「「第三者委員会答申検討会議」を設置した。その会議の議長に久保利氏を迎えたのだ」、「久保利氏と文科省には因縁があった」、どんな「因縁」なのだろう。 「文科省は「学校法人ガバナンス改革会議」(座長・増田宏一元日本公認会計士協会会長)を設置した。久保利氏はその会議の中心メンバーだったのだ・・・報告書をまとめる。その内容は、公益財団や社会福祉法人など公益法人の仕組みに沿った厳格なガバナンス体制を求めるものだった。 これに私学経営者らが猛烈に反発。自民党の文教族政治家らに働きかけて、改革案を骨抜きにしたのだ。文科省からすれば「過激な」ガバナンス体制を求める危険人物が久保利氏だった ・・・会議の設置を仕掛けた塩崎恭久元厚生労働相の強い意向で、報告書の作成には文科省の役人は一切関わっていないとされる。一説には久保利氏の事務所の弁護士がボランティアで作成したとも言われているのだ」、なるほど。 「改正私学法では、各学校法人が寄付行為で定めれば、多くでほぼ現行通りの体制を維持できるように「骨抜き」になった。学校法人自身の改革姿勢によって寄付行為はいかようにでも書ける形になったのだ。例えば、理事の選出方法などは法律では明確に示されず、各大学に自由度がある・・・日大は田中元理事長の不祥事を受けてガバナンス体制を見直したが、第三者委員会の調査報告書では、一定の改革が行われたものの、今回の不祥事で理事会への報告がなされなかったり、遅れたりしたことなどガバナンスが機能しなかったことが問題視されている」、なる ほど。 「見直された「寄付行為」でも理事長の権限は大きい」、なるほど。 「日大以外の学外者が増えた一方で、「副学長」を新設したため、学長と3人の副学長の発言力が大きくなり、理事長や理事会による「教学」への監督が弱くなった大きな要因だろう・・・日本大学で、繰り返される不祥事は、ガバナンスがまだまだ脆弱ぜいじゃくなことの証明でもある。2年前に久保利氏らのガバナンス改革会議が示した強力なガバナンス体制を、少しでも自主的に導入していこうという動きが広がっていくことになるのだろう』、 「久保利氏らのガバナンス改革会議が示した強力なガバナンス体制を、少しでも自主的に導入していこうという動きが広がっていくことになるのだろう」、林理事長の謝罪を見なくて済む体制に早くしてもらいたいものだ。 ダイヤモンド・オンライン 木俣正剛氏による「林真理子氏が気づかない「日大にやらされていること」と「本当にやるべきこと」の違い」 「第一段階では、監督責任もその後の報告も学長と副学長で十分なのです。 たぶん、林さんは真面目で、記者会見には出なければいけないと考えたのでしょうが、最終決定権のある理事長があの段階で出席すると、物事の是非を断言したり、重要な決定をしたりする必要に迫られます。案の定、記者の質問に対して「スポーツのほうにはまだ手を付けていなかったことを反省する」といった趣旨の、絶対にしてはならない失言をしてしまいました・・・ 本来は、1回目の記者会見を受けて状況を精査し、第三者委員会の意見を取り入れて、澤田氏や学長の処分という話になれば、林さんが裏できちんと事件をグリップしていると見られたに違いありません。しかしそうはならず、12月に入っても要領を得ない会見が開かれました。 林さんが理事長という役割を生真面目に考えすぎた結果、「林さんのカリスマで記者会見をなんとかしたい」という周囲の目論見に嵌められたのではないかと思います」、なるほど。 「田中氏は長期間にわたり大学を支配してきたため、隅々にまで情実関係にある部下が配置されていました。その人々はまだ大学に残っています。彼らをリストラするか、パワハラ的運営を改めさせるのが、改革の具体策です。 しかし、これは林さん一人では絶対にできません。確かに、第三者委員会に久保利英明弁護士を起用するなど、反社会勢力との対決をも意識した意欲は感じられます。しかし、久保利氏は総会屋対策で名を売った人。総会屋が壊滅された現在では一昔前の人と言わざるを得ません。反社会性力と絶縁するには、相当な豪腕が必要です・・・ 戦火に包まれたウクライナでは、アメリカンフットボールが人気スポーツになりました。ただ廃部にするのではなく、ウクライナチームを招待し合宿所で一緒に練習するなどの施策を講じれば、学生にとっては国際交流の面でも大変良い人生勉強ができるはずです。 日大には多くの部活が存在します。その財力を活かし、母国でスポーツができないパレスチナやシリアの人々を招き、国際的なスポーツ人を養うのも「日大が変わった」というアピールになり、日本の国際的評価の向上に貢献するはずです」、なるほど。 「日大の過去の負債の清算にばかり力を注ぐのではなく、そこには適任者を探して配置し、ご自身は林さんらしい大学つくりをしていただきたいと思っています」、強く同意する。
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