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核武装・核兵器(その2)(核兵器禁止条約に加入すれば 日本は「丸腰」に 『核兵器禁止条約は日本を守れるか』著者・佐野利男氏、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を日本で今すぐ公開するべき理由、原爆投下のネタ画像に批判殺到→ハリウッド映画『バービー』が謝罪…大炎上の背景は?) [安全保障]

核武装・核兵器については、昨年6月14日に取上げた。今日は、(その2)(核兵器禁止条約に加入すれば 日本は「丸腰」に 『核兵器禁止条約は日本を守れるか』著者・佐野利男氏、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を日本で今すぐ公開するべき理由、原爆投下のネタ画像に批判殺到→ハリウッド映画『バービー』が謝罪…大炎上の背景は?)である。

先ずは、昨年6月13日付け東洋経済オンライン「核兵器禁止条約に加入すれば、日本は「丸腰」に 『核兵器禁止条約は日本を守れるか』著者・佐野利男氏」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/595600
・『唯一の戦争被爆国である日本にとって核廃絶は悲願だ。しかし2021年に発効し、61カ国が締約した核兵器禁止条約に日本は背を向けている。この6月に核兵器禁止条約の第1回締約国会議、8月には核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議が予定され、核廃絶・禁止への関心が高まる中、日本はこのままでいいのか(Qは聞き手の質問、Aは佐野氏の回答)』、興味深そうだ。
・『核兵器禁止条約は日本を守れるか  Q:日本人の多くが、なぜ核兵器禁止条約に参加しないのかと思っているのではないでしょうか。 A:広島・長崎を経験し、核廃絶運動に共鳴してきた日本国民にとって同条約が人類の夢のように映り、加入しないことに義憤を感じる人も多いと思います。それゆえに同条約の正確な姿を伝え、日本がなぜ参加できないのかという疑問に答えようと筆を執りました。 Q:日本は中国とロシア、さらに北朝鮮と、核兵器を持つ国に囲まれています。 A:核武装国に囲まれた東アジアにおける日本の安全保障環境はとても厳しい。そのような状況に対処するのが防衛力であり、日米安全保障条約です。日米安保は米国の「核の傘」という核抑止力がコアになっています。ところが、核兵器禁止条約はその核抑止力を否定します。この条約に日本が入った途端、核の傘がなくなり、日本は「丸腰」の状態になってしまう。隣国の核の恫喝になすすべもなく、極めて危険な状況に陥るのです。日本を守れる代替策がない以上、核兵器禁止条約は、政策オプションにはなりえないのです』、「核兵器禁止条約はその核抑止力を否定します。この条約に日本が入った途端、核の傘がなくなり、日本は「丸腰」の状態になってしまう。隣国の核の恫喝になすすべもなく、極めて危険な状況に陥るのです。日本を守れる代替策がない以上、核兵器禁止条約は、政策オプションにはなりえない」、なるほど。
・『核兵器禁止条約は核抑止力を否定  Q:日本は核兵器国(米、ロ、英、仏、中)と核兵器禁止条約推進派との橋渡し役を果たし、6月の締約国会議にオブザーバーとして出席すべきだとの声があります。 A:「橋渡し」にはそれなりの実力と双方からの厚い信頼が必要です。「言うは易く行うは難し」で、日本にそれができると過信しないほうがよいと思います。核の傘の下にいる日本は、条約推進派とはすでにたもとを分かっており、決して「中間派」ではありません。 また、自国の安全を依存する核抑止を否定する同条約の締約国会議への参加は、基本的には自己矛盾であり、オブザーバーという形であれ慎重であるべきです。 Q:核兵器禁止条約が持つ欠点は何でしょうか。 A:前述のとおり日本が依存する核抑止を否定していること以外にも、何点かあります。 第1に、同条約は安全保障観の転換を求めます。条約推進派は核爆発の影響が国境を超えて地球規模に及ぶことから、「国家の安全保障より人類の安全保障を優先すべきだ」と主張します。しかし、国際社会は主権国家で成り立っており、核兵器から人類の安全を保障する統合的な機関はありません。結局、自国の安全は自らの手で守らざるをえない。ですから人類の安全保障を優先する安全保障観へ転換することは無理なのです。) 第2に、核兵器の禁止と廃絶は別物です。禁止しても核兵器国が乗ってこなければ核廃絶はありえません。実際、核兵器国は乗るどころか激しく反発しており、禁止条約はNPT加盟国間に亀裂をもたらしてしまいました。 第3に、核兵器廃棄の検証過程が中途半端です。核兵器国がこの条約に入っていないうえに、具体的な廃棄の検証に必要なノウハウを締約国は持っていません。米国とロシアは冷戦後、軍縮条約を結び、衛星情報や相互の現地査察などを通じて核解体を検証してきた歴史があります。そうしたノウハウを持たない条約締約国に、どこまで確実な廃棄の検証ができるでしょうか』、「核の傘の下にいる日本は、条約推進派とはすでにたもとを分かっており、決して「中間派」ではありません。 また、自国の安全を依存する核抑止を否定する同条約の締約国会議への参加は、基本的には自己矛盾であり、オブザーバーという形であれ慎重であるべきです」、「核兵器禁止条約が持つ欠点」としては、「第1に「核兵器から人類の安全を保障する統合的な機関はありません。結局、自国の安全は自らの手で守らざるをえない。ですから人類の安全保障を優先する安全保障観へ転換することは無理」、「第2に、核兵器の禁止と廃絶は別物です。禁止しても核兵器国が乗ってこなければ核廃絶はありえません」、「第3に、核兵器廃棄の検証過程が中途半端です。核兵器国がこの条約に入っていないうえに、具体的な廃棄の検証に必要なノウハウを締約国は持っていません」、なるほど。
・『核廃絶への王道はNPT  Q:現在の日本にとって、北朝鮮の核兵器が脅威となっています。 A:核兵器禁止条約の成立を推進し、ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のベアトリス・フィン事務局長は、北朝鮮の脅威に対し核抑止が必要ならば、北朝鮮にとっても核兵器国の米国の脅威があるから自国を守るために核が必要だということになり、核兵器国がやっていることを他人にさせないという主張は通らない、と述べています。しかし、これには無理があります。 まず、核抑止力を認めることは北朝鮮の核保有を承認することではありません。北朝鮮の核保有が認められないのは、北朝鮮が法的な核不拡散義務を負っているにもかかわらず、それに違反しているからです。 03年に北朝鮮がNPTからの脱退を宣言して以降、北朝鮮がNPT加盟国かどうかについて解釈が分かれています。脱退は認められないとする立場からは、北朝鮮はNPT上の非核兵器国であり核不拡散の義務を負っています。他方で北朝鮮は国連の加盟国であり、安全保障理事会での数回にわたる北朝鮮に対する決議がありました。それゆえ、もはやNPT加盟国ではないとする立場からも、法的拘束力を持つ安保理決議に北朝鮮が違反しているがゆえに核保有は認められないのです。 Q:「自分がやっていることを他人にさせないという主張は通らない」という部分については? A:その主張は「通る」のです。核が拡散しないように、あえて5カ国の「核クラブ」による独占を認め、核兵器国に特別の地位を与えたのがNPTだからです。 NPTが成立したのは、各国が主権平等の原則を犠牲にしてまで核の拡散を防ごうとした「知恵」だったのです。それゆえに、自分がやっている核の保有を他人にさせないという核兵器国の主張は「通る」のです。 Q:北朝鮮の核開発や、最近ではロシアのプーチン大統領によるウクライナに対する「核使用」の可能性発言に影響を受け、日本の一部では「核武装論」が出ています。 A:核武装は論外です。過去半世紀にわたり、曲がりなりにも核の拡散を最小限に抑え、核廃絶へのベクトルを失わず、核秩序の礎となってきたのがNPTです。わが国が核武装をすれば、核軍縮・核不拡散に率先して努力してきた日本が、隣国を含む、世界的な核武装のドミノ現象を誘発してしまうでしょう。それは、1962年のキューバ危機の際、ケネディ米大統領が恐れた「核のカオス(混沌)」への引き金を日本自らが引いてしまうことを意味するのです』、「NPTが成立したのは、各国が主権平等の原則を犠牲にしてまで核の拡散を防ごうとした「知恵」だったのです。それゆえに、自分がやっている核の保有を他人にさせないという核兵器国の主張は「通る」のです」、「わが国が核武装をすれば、核軍縮・核不拡散に率先して努力してきた日本が、隣国を含む、世界的な核武装のドミノ現象を誘発してしまうでしょう。それは、1962年のキューバ危機の際、ケネディ米大統領が恐れた「核のカオス(混沌)」への引き金を日本自らが引いてしまうことを意味する」、「核武装は論外です」、なるほど。

次に、本年7月26日付けNewsweek日本版が掲載した在米作家の冷泉彰彦氏による「クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を日本で今すぐ公開するべき理由」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2023/07/post-1319_1.php
・『<原爆開発をテーマにしたこの作品を、被爆国日本は当事者として評価する権利がある> 現在、世界で最も注目されている映画監督の1人、クリストファー・ノーラン監督(『ダークナイト』『インターステラー』)の最新作『オッペンハイマー』がアメリカで公開されました。7月21~23日という、最初の週末の興行収入は8250万ドル(約117億円)と、科学者の伝記映画としては例外的なヒットとなっています。 内容は、アメリカ陸軍による原子爆弾開発計画「マンハッタン・プロジェクト」のリーダーを務めた物理学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描くものですが、単に原爆開発のストーリーだけでなく、非常に複雑な構成が取られています。主人公の半生に加えて、後に「赤狩り」の犠牲者として追及を受けた尋問の様子、さらに彼を陥れた黒幕に対する議会の審議という3つの時間軸がモザイクのように散りばめられ、それぞれが緊張感のある対話劇になっているのです。 ちなみに、主人公を演じたキリアン・マーフィー、その夫人を演じたエミリー・ブラント、さらには陸軍のグローブス中将を演じたマット・デイモン、主人公を陥れようとしたストラウス(後の商務長官)を演じたロバート・ダウニー・ジュニアの4名の演技は、おそらく彼らのキャリアの頂点とも言うべきクオリティです。 ですが、作品として「マンハッタン・プロジェクト」を中心に据え、特に試作された核弾頭「トリニティ」の臨界実験を映像的なクライマックスに据えているのは事実です。ですから、被爆国である日本の人々には、当事者として、この作品を評価する権利があると思います。具体的には次の3点、重要な論点があります』、「原子爆弾開発計画「マンハッタン・プロジェクト」のリーダーを務めた物理学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描くものですが、単に原爆開発のストーリーだけでなく、非常に複雑な構成が取られています。主人公の半生に加えて、後に「赤狩り」の犠牲者として追及を受けた尋問の様子、さらに彼を陥れた黒幕に対する議会の審議という3つの時間軸がモザイクのように散りばめられ、それぞれが緊張感のある対話劇になっているのです」、「被爆国である日本の人々には、当事者として、この作品を評価する権利があると思います」、当然だろう。
・『臨界実験の描写のインパクト  1つは、原爆開発の倫理的責任の描き方です。作品の中では「ナチスが原爆で先行することを防ぐ」というのが主要な動機だとされています。また、降伏寸前の日本に投下して非戦闘員の大量殺戮を行うべきではないという表現もあります。その一方で、軍部、特にスチムソン陸軍長官や、トルーマン大統領は投下に積極的だったという描写がされています。作品の全体としては高いレベルの歴史的考証がされているというのですが、被爆国の立場から見て十分に正確で誠実な描写であるかは、検証が必要と思います。 特に試作弾頭「トリニティ」の臨界実験の描写は、凝りに凝ったCGと音響で圧倒的なインパクトがあります。それが、原爆の恐怖の表現として成功しているのか、それとも「開発成功の勝利感」と取られかねない表現になっているのかも、厳しい検証が求められます。なお、アメリカの配給会社は、この「火球の映像」をマーケティングに使っていますが、少なくとも、このことには被爆国として抗議の声を挙げてもいいと思います。 2つ目は、広島、長崎の惨状に関する描写です。作品では「明らかに違うサイズの2つの木箱」で、広島の攻撃に使用された「リトルボーイ」と、長崎に落とされた「ファットマン」が表現され、ロスアラモス研究所の職員たちが「実際に使われてしまうのでは」という不安な表情で「2つの木箱」の搬出を見守るシーンがあります。私はこの木箱のシーンに鳥肌の立つような戦慄を覚えました。 また、戦後になって広島の惨状を記録したフィルムがロスアラモス研究所で上映され、主人公がその内容に衝撃を受けるシーンがあります。ですが、肝心の広島、長崎の惨状に関するビジュアルの描写はありません。これは、今回2023年5月の広島G7でバイデン大統領が原爆資料館を訪問した際に「悲惨な展示は見なかった」とされ、報道も限定されていたことと関係があります。) 現在のアメリカでは、広島の悲惨な映像を公開すること、あるいは首脳が見ることは一種のタブーになっています。それは、そうした行動自体が「アメリカにとっての謝罪行為」であり、国家への反逆だという言い方で批判される危険があるからです。バイデンはそれゆえに、資料館の一部しか見なかったし、この『オッペンハイマー』も同じ理由から惨状の描写を控えたと考えられます。この点に関しては、被爆国である日本として、改めて真剣な問題提起をするべきです。 3番目は、映画の構成です。ノーラン監督は、時間軸に沿って「原爆が開発され、使用され」た後に「オッペンハイマーが赤狩りで追及を受け」、その後に「その黒幕も追及を受ける」という順序で映画を構成しませんでした。先程申し上げたように、この3つの時間軸をバラバラにし、冒頭から「赤狩り疑惑」の要素を観客に突き付けます。要するに「オッペンハイマーはソ連のスパイで、だから水爆開発に反対するなど、反米的だったのか?」という疑問を映画の冒頭で提示しているのです。 これは、あくまで私の私見ですが、保守派もリベラルも含めた広範な観客を、一種のサスペンスに引き込むのが監督の作戦だったと思われます。最終的には「オッペンハイマーは広島・長崎で起きたことに衝撃を受けて、核兵器への疑問を強く持つようになった」という展開を観客に理解させて、「だから水爆開発に反対したのはアメリカへの裏切りではなかった」という「結論」に着地させるようにしています』、「現在のアメリカでは、広島の悲惨な映像を公開すること、あるいは首脳が見ることは一種のタブーになっています。それは、そうした行動自体が「アメリカにとっての謝罪行為」であり、国家への反逆だという言い方で批判される危険があるからです。バイデンはそれゆえに、資料館の一部しか見なかったし、この『オッペンハイマー』も同じ理由から惨状の描写を控えたと考えられます。この点に関しては、被爆国である日本として、改めて真剣な問題提起をするべきです」、「「現在のアメリカでは、広島の悲惨な映像を公開すること、あるいは首脳が見ることは一種のタブーになっています」、というのは初めて知った。
・『ノーマンが仕掛けるマジック  これは非常に高度な脚本、演出のチャレンジで、これによって「核兵器性悪説」を幅広い観客に「漠然と納得させる」というマジックを実現していると評価できます。保守系の映画評サイト「見る価値あり? それともポリコレ?("Worth it or Woke?")」が公開後、数日を経てから、「ポリコレでない」と断定して100点満点の79点をつけていますが、ノーラン監督のマジックに見事に騙されている(?)とも言えます。 ですが、ノーラン監督が巧妙に反核思想を仕込んだというのは、あくまで私個人の感想です。この映画が本当に反核メッセージを込めた作品なのか、この点こそ、被爆国日本、そして被爆者とその周囲の方々の厳しい評価に晒されるべきものと思います。 しかしながら現時点では、この『オッペンハイマー』の日本公開日は決まっていません。日本語字幕の付いた予告編も公になっていないのです。配給会社が政治的論争に巻き込まれるのを嫌っているとか、少なくとも原爆忌や終戦記念日をスルーした後で公開日を決めるのでは、などという憶測が流れています。もしかしたら、日本の観客が「原爆開発映画」を嫌って劇場に行かず、配給しても赤字ということをおそれているのかもしれません。 ですが、ここまで述べてきたように、この映画は明らかに被爆国日本の人々によって評価されるべき作品です。今すぐ公開して、しっかりと必要な論争を行うことが必要です。ノーラン監督も、おそらくはそれを望んでいると思いますし、日本で賛否両論を浴びることで初めて、本当の意味で完結する作品と言っても良いかもしれません。とにかく、現時点で公開が決まっていないというのは異例です。即時公開を強く望みます』、「日本で賛否両論を浴びることで初めて、本当の意味で完結する作品と言っても良いかもしれません」、「現時点で公開が決まっていないというのは異例です。即時公開を強く望みます」、その通りだ。 

第三に、8月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの武藤弘樹氏による「原爆投下のネタ画像に批判殺到→ハリウッド映画『バービー』が謝罪…大炎上の背景は?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/327249
・『アメリカで公開中の映画『オッペンハイマー』と『バービー』の上映開始日が同じだったことから「バーベンハイマー(Barbenheimer)」というネットミーム(※)が生まれた。これをめぐって、日本でひと騒動が巻き起こっている。  ※SNSなどで人々が模倣し拡散される、いわゆる「ネタ」要素の強い画像や文章のこと』、興味深そうだ。
・『「バーベンハイマー」誕生から映画『バービー』炎上 一連の流れおさらい  「バーベンハイマー」にまつわる騒動を、筆者は日本人として嫌な気分で見ていたが、ひょっとしたら必要以上に不快に感じられている部分があるかもしれないと気づいた。 バーベンハイマー」騒動に感じた嫌な気持ちを、わずかでも軽減させられるかもしれない可能性が本稿にはあるので、(風呂敷を広げておきながら、回収できなかったらとても申し訳ないが)心の健康を取り戻したい方には、ぜひご一読願いたい。筆者も必死に脳を稼働させて書き進めるつもりである。 まず、一連の出来事は次のとおりである。 「原爆の父」として知られるロバート・オッペンハイマーをモデルにした伝記映画『オッペンハイマー(原題:Oppenheimer)』(日本公開は未定)と、おもちゃの人形で有名なバービーが主人公となった実写コメディ映画『バービー』(8月11日に日本公開予定)が、米国で7月21日に同時公開された。 ともに大ヒットしていて、その盛り上げといった意味合いで、バービーとオッペンハイマーをかけ合わせた「バーベンハイマー(Barbenheimer)」という造語が誕生した。 さらに、バービーときのこ雲をかけ合わせる類の画像が一般ユーザーらによっていくつも作成されてX(Twitter)に投稿された。これに映画『バービー』の米国公式アカウントが好意的なリプライをつけて反応した。 その様子を見ていた日本人ユーザーから批判が殺到して、映画『バービー』の日本公式アカウントが、配給元の子会社であるワーナー ブラザース ジャパン(以下、ワーナー日本法人)の声明として、7月31日に次のようなメッセージを発信した。 ・「バーベンハイマー」は公式の活動でない。 ・米国本社の公式アカウントの配慮にかけた反応は極めて遺憾。本社にしかるべき対応を求めている。 ・「不快な思いをされた方々には、お詫びを申し上げます」 その後、翌8月1日(現地時間では7月31日夜)、本社ワーナー・ブラザースは各メディアに寄せる形で遺憾と謝罪を表明する声明を発表した。炎上の発端となったTwitter上の一連の投稿は削除されたが、米国側の映画『バービー』Twitter公式アカウントでは発信はなく(8月3日時点)、やや見つかりにくい情報となっている。 8月2日、映画『バービー』のジャパンプレミアが開催され、監督とプロデューサーが来日、主演の吹き替えを担当した女優の高畑充希も出席した。高畑は出席前に、自身のInstagramでバーベンハイマーに関する複雑な思いを誠実な姿勢と言葉で語ったが、ジャパンプレミア本番において監督やプロデューサーがバーベンハイマーに触れることはなかった。これを受けて日本では、落胆や幻滅の声が広がっている。 ここまでが今である』、「バービーときのこ雲をかけ合わせる類の画像が一般ユーザーらによっていくつも作成されてX(Twitter)に投稿された。これに映画『バービー』の米国公式アカウントが好意的なリプライをつけて反応した。 その様子を見ていた日本人ユーザーから批判が殺到」、しかし、その後、「公式アカウント」は謝罪し、「画像」を削除したようだ。
・『<着眼点1>『オッペンハイマー』は原爆投下を肯定する映画なのか(不快感を軽減できるかもしれない着眼点その1は、映画『オッペンハイマー』に対する先入観の可能性である。 オッペンハイマーは原爆開発の中心的人物である。また日本人の多くは「米国は広島・長崎への原爆投下を正しいことだと考えている」という認識を共有している。だから「オッペンハイマーという人物も当然自国の正義を遂行するために原爆開発に携わっただろうし、映画『オッペンハイマー』は原爆投下を肯定するトーンを含んでいるだろう」と多くの日本人は捉えている(なお、近年は、米国内でも原爆投下の是非についての風向きはやや変わってきているようではある)。 また、ワーナー日本法人が「バーベンハイマー」の件で本社に異議を唱える姿勢を見せながら、まず謝罪を表明したのは非常に好ましかったと思う。しかし、それによって「謝罪したということは、映画『オッペンハイマー』はやっぱり日本人には到底受け入れられないような、原爆肯定映画なんだ」という印象が、意図せずして国内に広まってしまった部分があった。 ワーナー日本法人が謝罪をしたのは、「本社によるきのこ雲とバービーのかけ合わせ画像に対する好意的な反応が配慮を欠いていた」という点だ。しかし、ネットで出回る情報というのはトピックの表層だけで判断されていったりするものなので、正確な事実や意図が伝わらないことはままあり、この点でワーナー日本法人に過失や責任を求めるべきではない。 蛇足だが、一般ユーザーにも「原爆ファンアートは百歩譲って我慢するが、映画公式がそれに乗っかるのはありえない」という立ち位置を取る人は一定数いる。ギリギリのところまで相手国の文化を許容しようとする、理知的で寛容な姿勢である。 さて、「映画『オッペンハイマー』=原爆肯定映画なのだ」という着想があって、さらにその映画が米国で絶賛されているという事実は多くの日本人を暗たんたる気分にさせる。しかし、そもそも映画『オッペンハイマー』は、原爆肯定映画ではないかもしれないのだ。 というのも、すでにご存じの教養ある方々もおられようが、ロバート・オッペンハイマーは必ずしも原爆肯定派ではなかった。むしろ原爆の使用には当初から懐疑的で、戦後「科学者は罪を知った」と発言したり、一生涯FBIにマークされながら水爆に反対するなど、一貫して核兵器に対してブレーキをかけるスタンスを取ったという。 その人物がモデルの映画なのだから、単純に原爆肯定がされている内容ではないのではないか、と考えられるのである。 日本公開が未定の作品なので、米国で鑑賞し、がっつり内容を解説してくれている日本人の記事を、筆者は複数読んだ。そこから得た範囲での情報を極力ネタバレしないように、ここにシェアするが、これまで米国で想定されてきた「原爆投下は正義」といったイデオロギーが、同作品内においては反省や葛藤なく描かれているわけではなさそうである。つまり、どうやら映画『オッペンハイマー』は単純な原爆肯定映画ではないようなのである。 これは、オッペンハイマーの人物像を知らずに今回の「バーベンハイマー」で、胸を痛める日本人にとっては、いくらか救いのある情報ではあるまいか。 原爆全肯定でないのであれば、日本人には到底受け入れがたい死体蹴りのごとき、米国の“正義”を押し付けられることは、少なくとも本件(映画そのもの)に関しては心配する必要がなさそうである。 さらにいえば、映画『オッペンハイマー』を通して、原爆投下の罪深さが米国内で改めて意識されることもあろう。この映画によって、日本人が望む形での原爆への理解が、米国内で、わずかばかりでも進むことが期待されうる』、「どうやら映画『オッペンハイマー』は単純な原爆肯定映画ではないようなのである」、「映画『オッペンハイマー』を通して、原爆投下の罪深さが米国内で改めて意識されることもあろう。この映画によって、日本人が望む形での原爆への理解が、米国内で、わずかばかりでも進むことが期待されうる」、なるほど。
・『着眼点3 「作品に罪はない」という思考  不快感を軽減できるかもしれない着眼点その3は、「作品に罪はない」である。これに関しては捉え方がさまざまなので、必ずしもこの考え方をした方がいいというわけではない。ここでは、思考の選択肢の一つとして、紹介する。 そもそも、両作品そのものに罪はなかった。 原爆投下のネタ画像に批判殺到→ハリウッド映画『バービー』が謝罪…大炎上の背景は? 作品の内容とほぼ関係ない(特に『バービー』は原爆とは全く関係ない)ところで起きた炎上が、作品の方まで飛び火した。作品にとっては完全なとばっちりである。『バービー』の公開を心待ちにしていた知人は、作品がすっかりいわくつきになってしまった今のこの状況に、悲しそうにしている。 炎上が作品の方に飛び火していったさまを同情的に観察する人は、「作品だけにフォーカスして、作品を評価しよう」と心がけるようである。 一方で、「ここまで話題になっているのに沈黙を貫くのは宣伝に利用しているということ――つまり加担している」との考え方もある。 また、「話題になった以上、関係者サイドから一言あってしかるべきだ」という考え方もある。映画『バービー』日本公式Twitterアカウントがジャパンプレミアを取り上げた投稿には、バーベンハイマーについての説明がなかったことに失望するファンたちのリプライで埋め尽くされている。中には、主演の「マーゴット・ロビーが出演する映画は金輪際見ない」という人もいて、とばっちりがすさまじいが、一般観客の心情としてはわからないでもない。そう思わされるくらいのショックが、この一連の騒動にはあったわけである。 さて、心の健康を保ちうるかもしれないいくつかの着眼点を紹介したが、わざわざそんなことを考えて自衛する必要が生じてきている展開がもとより非常事態である。 先に書いた通り、米国本社のワーナーは謝罪声明を出しているが、それでは不十分と考える人も多数いるようで、日本国内では事態はいまだ沈静化の兆しが見えない。 原爆投下を巡る国家間の認識の違いは、時折表面化して問題となり、今に始まったことではない。2018年には、人気K-POPグループBTSのメンバーが原爆投下を描いたTシャツを着ていたことを受けて、日本の音楽番組が出演を見送りにしたことがあった。 他国の原爆投下に対する認識は、日本人のそれとは大きく異なるという現実を突きつけられたとき、日本人は尊厳を踏みにじられるかのような絶望に直面する。国という巨大な共同体同士だから彼我それぞれに立場や正義があるのは当然なのだが、越えてはならない一線がいともたやすく越えられるような悲しさがつきまとう。 しかし他国の原爆投下への認識に対して、日本が異を唱えるようになった――正確にいうなら「“異を唱える”ことが市民権を帯びてきた」のもSNSが浸透したごくごく最近ではあるまいか。つまり他国に理解を求めようという試みが自国内で多数の同意のもと、きちんと始められた段階であり、これは必ず成果となって未来にあらわれるはずである。 なお、「バーベンハイマー」は現在#NoBarbenheimerに対抗して、原爆投下肯定を含意する#YesBarbenheimerというハッシュタグが生まれている。個人的には気が狂いそうなくらい嫌な気分になるが、諸外国から日本を理解してもらうためのプロセスとしては痛みを伴うのも必要なのかもしれない。この騒動も、全体の流れの中ではポジティブに位置づけられるものと信じて、現況に向き合いたい次第である』、「他国の原爆投下への認識に対して、日本が異を唱えるようになった――正確にいうなら「“異を唱える”ことが市民権を帯びてきた」のもSNSが浸透したごくごく最近ではあるまいか。つまり他国に理解を求めようという試みが自国内で多数の同意のもと、きちんと始められた段階であり、これは必ず成果となって未来にあらわれるはずである」、「この騒動も、全体の流れの中ではポジティブに位置づけられるものと信じて、現況に向き合いたい次第である」、同感である。
タグ:核武装・核兵器 (その2)(核兵器禁止条約に加入すれば 日本は「丸腰」に 『核兵器禁止条約は日本を守れるか』著者・佐野利男氏、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を日本で今すぐ公開するべき理由、原爆投下のネタ画像に批判殺到→ハリウッド映画『バービー』が謝罪…大炎上の背景は?) 東洋経済オンライン「核兵器禁止条約に加入すれば、日本は「丸腰」に 『核兵器禁止条約は日本を守れるか』著者・佐野利男氏」 「核兵器禁止条約はその核抑止力を否定します。この条約に日本が入った途端、核の傘がなくなり、日本は「丸腰」の状態になってしまう。隣国の核の恫喝になすすべもなく、極めて危険な状況に陥るのです。日本を守れる代替策がない以上、核兵器禁止条約は、政策オプションにはなりえない」、なるほど。 「核の傘の下にいる日本は、条約推進派とはすでにたもとを分かっており、決して「中間派」ではありません。 また、自国の安全を依存する核抑止を否定する同条約の締約国会議への参加は、基本的には自己矛盾であり、オブザーバーという形であれ慎重であるべきです」、「核兵器禁止条約が持つ欠点」としては、「第1に「核兵器から人類の安全を保障する統合的な機関はありません。結局、自国の安全は自らの手で守らざるをえない。ですから人類の安全保障を優先する安全保障観へ転換することは無理」、 「第2に、核兵器の禁止と廃絶は別物です。禁止しても核兵器国が乗ってこなければ核廃絶はありえません」、「第3に、核兵器廃棄の検証過程が中途半端です。核兵器国がこの条約に入っていないうえに、具体的な廃棄の検証に必要なノウハウを締約国は持っていません」、なるほど。 「NPTが成立したのは、各国が主権平等の原則を犠牲にしてまで核の拡散を防ごうとした「知恵」だったのです。それゆえに、自分がやっている核の保有を他人にさせないという核兵器国の主張は「通る」のです」、 「わが国が核武装をすれば、核軍縮・核不拡散に率先して努力してきた日本が、隣国を含む、世界的な核武装のドミノ現象を誘発してしまうでしょう。それは、1962年のキューバ危機の際、ケネディ米大統領が恐れた「核のカオス(混沌)」への引き金を日本自らが引いてしまうことを意味する」、「核武装は論外です」、なるほど。 Newsweek日本版 冷泉彰彦氏による「クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を日本で今すぐ公開するべき理由」 「原子爆弾開発計画「マンハッタン・プロジェクト」のリーダーを務めた物理学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描くものですが、単に原爆開発のストーリーだけでなく、非常に複雑な構成が取られています。主人公の半生に加えて、後に「赤狩り」の犠牲者として追及を受けた尋問の様子、さらに彼を陥れた黒幕に対する議会の審議という3つの時間軸がモザイクのように散りばめられ、それぞれが緊張感のある対話劇になっているのです」、 「被爆国である日本の人々には、当事者として、この作品を評価する権利があると思います」、当然だろう。 「現在のアメリカでは、広島の悲惨な映像を公開すること、あるいは首脳が見ることは一種のタブーになっています。それは、そうした行動自体が「アメリカにとっての謝罪行為」であり、国家への反逆だという言い方で批判される危険があるからです。バイデンはそれゆえに、資料館の一部しか見なかったし、この『オッペンハイマー』も同じ理由から惨状の描写を控えたと考えられます。 この点に関しては、被爆国である日本として、改めて真剣な問題提起をするべきです」、「「現在のアメリカでは、広島の悲惨な映像を公開すること、あるいは首脳が見ることは一種のタブーになっています」、というのは初めて知った。 「日本で賛否両論を浴びることで初めて、本当の意味で完結する作品と言っても良いかもしれません」、「現時点で公開が決まっていないというのは異例です。即時公開を強く望みます」、その通りだ。 ダイヤモンド・オンライン 武藤弘樹氏による「原爆投下のネタ画像に批判殺到→ハリウッド映画『バービー』が謝罪…大炎上の背景は?」 「バービーときのこ雲をかけ合わせる類の画像が一般ユーザーらによっていくつも作成されてX(Twitter)に投稿された。これに映画『バービー』の米国公式アカウントが好意的なリプライをつけて反応した。 その様子を見ていた日本人ユーザーから批判が殺到」、しかし、その後、「公式アカウント」は謝罪し、「画像」を削除したようだ。 「どうやら映画『オッペンハイマー』は単純な原爆肯定映画ではないようなのである」、「映画『オッペンハイマー』を通して、原爆投下の罪深さが米国内で改めて意識されることもあろう。この映画によって、日本人が望む形での原爆への理解が、米国内で、わずかばかりでも進むことが期待されうる」、なるほど。 「他国の原爆投下への認識に対して、日本が異を唱えるようになった――正確にいうなら「“異を唱える”ことが市民権を帯びてきた」のもSNSが浸透したごくごく最近ではあるまいか。つまり他国に理解を求めようという試みが自国内で多数の同意のもと、きちんと始められた段階であり、これは必ず成果となって未来にあらわれるはずである」、「この騒動も、全体の流れの中ではポジティブに位置づけられるものと信じて、現況に向き合いたい次第である」、同感である。
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核武装(その1)(日本はなぜ世界で唯一の「無法」国家なのか? 被爆国に問われる責務 9条があるから大丈夫 ではない!、日本における核共有(シェアリング)の効果とコスト、暴走プーチンの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら…その「地獄」を完全シミュレーションする、埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来 その驚愕の「威力と死者数」) [安全保障]

今日は、核武装(その1)(日本はなぜ世界で唯一の「無法」国家なのか? 被爆国に問われる責務 9条があるから大丈夫 ではない!、日本における核共有(シェアリング)の効果とコスト、暴走プーチンの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら…その「地獄」を完全シミュレーションする、埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来 その驚愕の「威力と死者数」)を取上げよう。

先ずは、2020年8月26日付け現代ビジネスが掲載した東京外語大学教授・紛争屋の伊勢崎 賢治氏による「日本はなぜ世界で唯一の「無法」国家なのか? 被爆国に問われる責務 9条があるから大丈夫、ではない!」を紹介しよう。
・『オバマの戦争  覚えていらっしゃるでしょうか? 2016年に、オバマは、現職大統領として初めて広島を訪問しました。安倍首相と並んで記者会見をしたのですが、その時のアメリカの女性記者がオバマに向けた辛辣な質問。アメリカのメディアは、日本のみたいに“やらせ”の受け答えはしませんからね(安倍首相への質問はNHKの女性記者でした)。それは、今でも続くアフガン戦のことだったのです。 この数日前、アメリカ軍が、アフガン戦争での敵タリバンの新しいトップだったマンスールをパキスタンとの国境付近で無人爆撃機の空爆で殺害したばかりだったのです。 記者はそのことを取り上げて、「あなたが終わらせることができないこの戦争を、こういう形で次の大統領に引き継ぐのか?」と。 アメリカ大統領として初めて訪れた広島で、初っ端の質問ですよ。日本の視聴者には、何が何だか分からなかったでしょうが。 軍事的な勝利があげられない中で、アメリカは、アフガニスタンのタリバンと政治的な和解をずっと試行錯誤していたのです。もうこれ以外には、この泥沼化した戦争の打開策はなかったし、トランプ大統領に引き継がれた今も、ありません。だからこそ、この女性記者の、それも広島訪問という場所での、この質問だったのです。 しかし、首謀者のリーダー格を殺害し続けることしか、大統領としてアメリカ国民に顕示できる「戦果」がないのです。政治的和解の交渉には、相手の指揮命令系統を温存し、常にそのトップと交渉しなければならないのに、これを壊すと相手側の構造が無秩序となり、交渉どころではなくなります。こんな簡単なことが分かっていても、「ドローン攻撃」をやるしかない。まさに堂々巡りです。 結果、相手の指揮命令系統が破壊され、かろうじて保たれていた秩序が喪失し、首を失った蛇が暴れるように、下部組織がどんどん分派し、派生し、過激さを競うように、わけのわからない連中が出てくる。この泥沼…。 敵のリーダーを標的に、それが地球上のどこに潜伏していようと、それが国際法でアメリカの交戦相手国と説明できない国であろうと、その国の主権を気にせず、空から、「機械」によって、殺害する。 アフガン戦は、前任者のブッシュが始めたものですが、歩兵・部隊を現地に投入して古典的な軍事戦術をもって、そして後述する国際人道法という戦争のルールに則って”正々堂々”と戦うのではない、後任の大統領が始めたこの超法規的な異様な戦争は、いつしか、「ブッシュの戦争」と区別して「オバマの戦争」と呼ばれるようになりました』、「首謀者のリーダー格を殺害し続けることしか、大統領としてアメリカ国民に顕示できる「戦果」がないのです。政治的和解の交渉には、相手の指揮命令系統を温存し、常にそのトップと交渉しなければならないのに、これを壊すと相手側の構造が無秩序となり、交渉どころではなくなります。こんな簡単なことが分かっていても、「ドローン攻撃」をやるしかない。まさに堂々巡りです」、その後、バイデン大統領が強引に撤兵し、タリバン支配に委ねた。
・『国際人道法の努力  機械が、超法規的に、人間を殺す。 大量の民間人の殺害や核施設への攻撃などを「戦争犯罪」として禁止するジュネーブ諸条約等の「交戦法規」は、化学兵器や対人地雷など、交戦中に使われる武器も、一つ一つ、その使用を禁止する合意を取り付ける努力を続けています。これらの総体が「国際人道法」と呼ばれるものです。その違反が、いわゆる「戦争犯罪」です。 その最新のものが、やっと成立した「核兵器禁止条約」です。 まだ、核を実際に保有している国々が批准していないので、「国際人道法」の一つと見なされるには更なる努力が必要ですが、中身を読めば(ぜひ読んでください https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000433139.pdf )、この条約が核兵器の製造、維持、使用を、「化学兵器条約」(1992年)のように、国際人道法上の「戦争犯罪」に位置付けることを目的にしていることが分かります。 それと同時に、国際人道法のもう一つの努力が、ドローンをはじめとするロボット兵器をどう違法化するか、もしくは、少なくともどう規制するか、です。国連を中心として国際社会では活発に議論がおこなわれていますが、まだ条約として、成立にも、いたっておりません。 こうして国際人道法は、今でも弛まない発展を続けているわけですが、オバマは、それにネガティブに貢献した特筆すべきアメリカ大統領だったのです』、「「核兵器禁止条約」は、「まだ、核を実際に保有している国々が批准していないので、「国際人道法」の一つと見なされるには更なる努力が必要ですが」、「国際人道法上の「戦争犯罪」に位置付けることを目的にしている」、なるほど。
・『戦争犯罪の考え方  ここで、国際人道法に関して、忘れてはならない、特に日本人が、しっかりと考えを改めなくてはならない点が、一つあります。 国際人道法が定義する「戦争犯罪」は、個々の殺人事件の集まりではない、ということです。 戦争犯罪とは、「敵国」とかジェノサイドでのそれのように、国際人道法が定めたルールに則って双方の戦闘員が相まみえる交戦ではなく、戦闘員でない人々を、その国籍とか民族や宗教など特定の人間の集団のアイデンティティをターゲットにして、抹消する行為です。 戦争の主体が国家であった時代は去り、内戦の時代を迎え、国家ではない武装集団が国家と交戦するようになってからは、一つの国の中で、これが頻繁に起こるようになりました。ルワンダ内戦に代表されるジェノサイドですね。 そして、そういう行為は、個々の殺人犯ではなく、一つの政治意思による決定行動です。ですから、必ず、それを発案し、扇動し、徒党を組み、それに財政を与え、一つにまとめる指揮命令系統があるはずです。そして、人間のアイデンティティの抹消を政治行為として実行する。 ですから、「戦争犯罪」では、命令した者、もしくは、直接その命令を発さなくてもその地位にいた者を、誰より優先的に裁くことが求められるのです。 軍事組織では、上官の命令に従う義務があり、実行者は攻撃対象に対する正確な情報を持ち合わせていない場合も多いので、手を血で染めた実行犯が起訴の起点ではありません。これが、個人の生命身体を守るために、実行犯を中心に罰することを目的とした「刑法」とはベクトルが違う、国際人道法が目指す法益です』、「「戦争犯罪」では、命令した者、もしくは、直接その命令を発さなくてもその地位にいた者を、誰より優先的に裁くことが求められるのです」。「これが、個人の生命身体を守るために、実行犯を中心に罰することを目的とした「刑法」とはベクトルが違う、国際人道法が目指す法益です」、確かに「実行犯を中心に罰」しても意味はな」く、「命令した者・・・その地位にいた者を裁くことが求められる」、よく理解できた。
・『主権国家の義務を世界で唯一果たさない国  それでは誰に、それを裁くことを求めるのか? 国際人道法を批准した、各々の国家に、です。 国際人道法のような国際法の役目は、何が違反行為かを国家間で合意するまで、です。違反行為がその主権領域内で発生した時、それ立件し、裁きを下すために国内法を整備することは、それを批准した国家の義務なのです。特に、命令した者を裁く責任は、主権国家の義務として明確に謳われています(1949年 ジュネーヴ諸条約 第一条約 第49条)。 ここで説明している考え方は、人類はいまだに、地球上で起きる違反行為の全てを断罪できる強力な国際司法を執行する仕組みを持ちあわせていないことが理由でもあります。 特に、アメリカのような超大国がおかしたそれらは、どうするのか? 前述のロボット兵器のように、まだ規制が合意されていない最新兵器で戦争に邁進する超大国をどうするのか? だからこそ、前述のように国際法は発展し続ける、ということでもありますが。 繰り返します。国際人道法が、その違反行為を国家間に合意させることによって実現する法益とは、人間をアイデンティティの抹消から保護することです。そして、その違反行為をおかした指揮命令系統の立件は、主権国家に課せられているのです。 日本はどうでしょう? 主権国家として、それを実現すべく国内法整備の義務を果たしているか? 否。戦後70年以上経った今も、です。国際人道法の法益に応える国内法はありません。 たぶん、世界で唯一、です』、「日本」は「国際人道法の法益に応える国内法はありません。 たぶん、世界で唯一」、何故なのだろう。
・『 刑法があるから大丈夫?  最近、僕は、知り合いの政治家(山尾しおり衆議院議員)を通じて、衆議院法制局にチームをつくってもらい、それに同議員と僕を含めた5人(他に倉持麟太郎弁護士、水上貴央弁護士、松竹伸幸かもがわ出版編集主幹)が向き合う形で、この問題への取り組みを始めました。 一応、日本は、そういったジュネーブ諸条約をはじめとする国際人道法を批准していますから、それに伴う国内法整備の必要性について、チームの法務官僚たちも十分承知しておりました。しかし、それは刑法を中心とする現行法で対応できている、と。少なくとも、それが歴代の日本政府の見解だったことを彼らから聞かされました。 彼らとの作業は、国際人道法の主軸であるジュネーブ条約及び第一追加議定書上の「重大な違反行為」、いわゆる戦争犯罪にあたるものを列記し、その一つ一つに対して、日本の現行の国内法のどれが対応しているかの精査から始まりました。 その列記した表は、国際刑法典の制定を国家に求める会 http://kokusaikeijihou.org にあります(リンク内の【国際人道法等での重大な違法行為と刑法】をクリックしてください)。 同表の【重大な違反行為の内容】欄の中で、戦争犯罪として日本人にも分かりやすいのは、「軍事上の必要によって正当化されない不法かつ恣意的な財産の広範な破壊・徴発」(第一条約50条等)、「⒜ 文民たる住民等を攻撃の対象とすること ⒝ 文民又は民用物に対する無差別攻撃 ⒟ 無防備地区・非武装地帯を攻撃の対象とすること」(第一追加議定書85条3)でしょうか? それらに対して、日本の現行法がどう対応しているか? 【刑法等上の該当犯罪・法定刑】の欄を見てください。「建造物等損壊(5年以下の懲役)、器物損壊(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金・科料)、強盗(5年以上の有期懲役)、恐喝(10年以下の懲役)等」や「殺人、殺人未遂、傷害、傷害致死等」、すべて個別の財産権や身体等を保護するために、実行犯を中心に処罰する犯罪です』、確かに「日本」の「刑法」では「実行犯を中心に処罰」する体系だ。
・『命令した者の責任は?  みなさんもヤクザ映画をご覧になってお馴染みとは思いますが、臭い飯を食うのは多くの場合、鉄砲玉であって親分ではありません。親分の責任が問われても、主犯と認定することは極めて難しいのです。特に鉄塔玉に正当防衛が成立するような場合には、指示をした親分だけが裁かれることはありません。 つまり、どういうことかというと、歴代の日本政府は、批准したジュネーブ条約群の国際法が求める国内立法義務を現行法で果たしているという説明をしてきたのですが、それはあくまで、親分と鉄砲玉の前提で、ということなのです。 もう一度繰り返しますと、ジュネーブ条約を主軸とする国際人道法が求める法益の実現は、あくまで、命令した者を犯罪の中心とし、その下位の者の責任をどこまで問えるかを考えるのです。実行犯は、その命令不服従への報復とか無知が勘案され、赦される場合があり、日本の現行法とは、ベクトルが真逆、ということになります。 つまり、国際人道法が求める法益に、それを批准しているのにもかかわらず、日本の現行法は、(ベクトルが逆なので)対応できていないということになります。 そこで、衆議院法制局のチームと達した結論は、刑法をはじめとする現行法の微調整では、国際人道法の法益に応えるのは不可能であり、まったく新しい法体系を日本に導入するしかないという結論に達しました。 そして、彼らと立案した新法が、前掲のリンク【国際刑法典の制定を国家に求める会】です。ぜひご覧になってください』、「歴代の日本政府は、批准したジュネーブ条約群の国際法が求める国内立法義務を現行法で果たしているという説明をしてきた」、しかし、「国際人道法が求める法益の実現は、あくまで、命令した者を犯罪の中心とし、その下位の者の責任をどこまで問えるかを考えるのです・・・日本の現行法とは、ベクトルが真逆」、「衆議院法制局のチームと達した結論は、刑法をはじめとする現行法の微調整では、国際人道法の法益に応えるのは不可能であり、まったく新しい法体系を日本に導入するしかないという結論に達しました」、なるほど。
・『なぜ日本では放置されてきたのか  核兵器禁止条約が、それを国際人道法上の戦争犯罪にするべく訴える、核兵器がらみの事犯は、国家レベルの組織犯罪と考えるべきです。その製造は言うまでもなく、核物質・転用技術の取り引き、それらの移動・集積、そして使用…。すべて綿密な計画と資金が必要な組織犯罪になるはずです。 それが、テロ集団・結社など非国家を装ったものであっても、それを発案した者に実行犯よりずっとずっと重い刑を課すべく、どんな手をつかって身を隠そうと、命令してないと言い張っても、公訴時効の制限なく最後まで追い詰め(「戦争犯罪」に時効はないのですが、日本は「戦争犯罪及び人道に対する罪に対する時効不適用に関する条約」に加入さえしていません)、立件する法体系そのものが、日本にはないのです。 なぜ、唯一の被爆国として、核兵器がらみ事犯への警戒とその懲罰に一番積極的になるべき日本が? 本当に、なぜ、なんでしょうか。 国際人道法が求める法益に対する現行法の「空白」は、僕たちが提案する新法の成立によって埋められます。そのために、僕たちは引き続きロビー活動を続ける所存です。 これは与野党を超えて取り組むべき問題であり、政局にすることなく、日本国民全体が一丸となって、そして、政権交代してから云々の話ではなく、即座に、解決するべき国民的課題ですので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。 しかし、一方で、なぜ、こんな重要なことが、日本で、こんなに長い間にわたって、そして現在でも、放置されてきたのか? これを、全ての日本人は自問自答するべきです。 僕は、憲法第9条問題が原因であると思います。 前述のように、内戦の時代を迎え、国際人道法がその違反行為を戒める対象は、いわゆる軍隊、正規軍だけではなく、ゲリラ組織のような非国家主体にまで及ぶようになりました。 ここは、日本人にとって、非常に大切です。自衛隊を軍と呼ぶか否かは、もはや国際人道法は問題にしないのです。しかし、それを国をあげて政局化してきたのが我々日本人なのです。 そして「9条が戦争しないと誓っているのだから戦争犯罪を想定しなくていい」。これが、9条下でも必要最小限であれば実力組織が持てるとしてきた日本の憲法学、そして日弁連などの法曹界。他方、9条下でもできると軍拡(世界屈指の通常戦力になるまで)を推し進めてきた歴代の自民党政権。この双方の安全神話になってきたのです。無法の安全神話です。 もし、核兵器の唯一の被害国である日本が、被爆者の方々の命がけのキャンペーンで核兵器禁止条約の成立の立役者になった日本が、核兵器禁止条約が最も重要視する国際人道法の法理を全く受け入れていない無法国家だと、世界が知ったら、どうなるか? 想像してみてください。 以上、国際人道法の発展にネガティブに貢献し続けるアメリカ。そして、賛意を見せかけるも国際人道法の肝心の法益を蔑ろにしている日本。オバマ大統領の広島訪問の持つ意味を、別の角度で、反核運動にかかわる全ての善意の関係者に、再考をお願いしたいのです。 反核に向かう日本の良識を代表する表現者のみなさま。 もう一度、核兵器禁止条約の中身を熟読いただき、同条約と国際人道法の関係を、そして同法への日本の立法状況を、そして、みなさまが同時に礼賛する(少なくとも僕にはそう見えます)9条主義と、その立法状況との関係を、ご再考ください。 核兵器禁止条約の成立への貢献でノーベル平和賞に輝いたICANのかけがえのない一員となったピースボート(https://peaceboat.org/34282.html)のみなさま。 僕自身、同船に水先案内人として何度も乗船した、勝手知ったるあなたたちですので、親愛を込めてキツイことを言います。あなたたちには、核兵器禁止における国際人道法の意味と、その日本の立法状況を、誰よりも被爆者の皆さんに説明する義務があります。さもないと、あなたたちも礼讃している9条を護憲するという運動に、被爆者の人たちを政治利用しているとしか、僕には見えません。 最後に、核兵器禁止運動にかかわる被爆者のみなさん。 ぜひ、国際人道法に関するレクチャーを、ピースボートをはじめとする国際法を十分に理解する関係者から、お受けになってください。そして、核兵器を国際人道法による明確な戦争犯罪にするべく、誰にも負けない厳しい国内法を日本が持つことで、国際社会において名誉ある地位を占めるよう、引き続きお力をお貸しください』、「「9条が戦争しないと誓っているのだから戦争犯罪を想定しなくていい」。これが、9条下でも必要最小限であれば実力組織が持てるとしてきた日本の憲法学、そして日弁連などの法曹界。他方、9条下でもできると軍拡・・・を推し進めてきた歴代の自民党政権。この双方の安全神話になってきたのです。無法の安全神話です」、これが本当の要因か否かはもっと検討する必要がある。ただ、国内法整備に向けた伊勢崎氏の努力は大いに評価すべきだ。

次に、本年3月9日付けが掲載した在米作家の冷泉彰彦氏による「日本における核共有(シェアリング)の効果とコスト」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2022/03/post-1263_1.php
・『<「核の傘」以上に抑止力が強化されるのか、その効果とコストを見極める議論は必要> ウクライナにおける戦争を遂行する中で、ロシアのプーチン大統領はNATOへの威嚇として2月27日に「核抑止力部隊による警戒体制」を命令しました。もちろんこの行動を、アメリカのブリンケン国務長官は「核レトリック」つまり軍事上の「舌戦」に過ぎないとしています。3月1日に行った一般教書演説の中でバイデン大統領が、この点に一言も触れなかったのはこのためです。 一方で、日本では大きな反応がありました。核武装論などと並んで、かなり大きな声として出てきたのは「核シェアリング」構想です。難しいテーマですが、この機会に議論を行うのは良いことだと思います。 まず、日本が核シェアリングを行うというのは、NPT(核拡散防止条約)の枠組みの中で認めてもらわねばなりません。NATOの5カ国(ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコ)の前例があるものの、NPT交渉の時点ではNATOのシェアリングは秘匿されており、なし崩し的に既成事実化したものです。 そもそも、NPTの条文では「核保有国が非保有国に核兵器を供与」することは禁止されています。ですから米国が日本にシェアリングを行うと、常識的に考えると両国が脱退することでNPTの枠組みは崩壊する可能性が大きいわけです。ですが、それでも実現しようとするならば、これを避けながら加盟国との条約改定交渉で合意を取り付けて乗り切るという難しいプロセスを経なくてはなりません。本当にNPTが崩壊したら、地球全体が危機に陥って日本の抑止力確保どころではなくなるからです』、「NPT維持」のためには、「加盟国との条約改定交渉で合意を取り付けて乗り切るという難しいプロセスを経なくてはなりません。
・『外交含めた有形無形の負荷  しかしNPTの問題が出てくるのは、日本が仮に決意したとして、その後の話です。そもそも決意するのかどうかを決めるには、シェアリングのコストと効果の見極めが必要です。コストとしては、NPT体制を維持しつつシェアリングを認めさせるという困難な外交プロセスに加えて、周辺国との外交関係調整の困難、日米における費用負担、日本国内における政治や社会の混乱といった有形無形の負荷を覚悟しなくてはなりません。 では、効果について考えてみます。つまり、現在の「核の傘」に比べて抑止力がどう改善するかということです。 まず、「傘」と「シェアリング」の違いとして、物理的な核兵器の場所が異なります。「傘」の場合は米国支配下のどこか、多くの場合は深海で任務に就いているミサイル原潜になります。一方で「シェアリング」の場合は、明確に日本領内ということになります。また「シェアリング」の場合は、その核弾頭は明確に日本に供与され、NATOの前例を参考にするのであれば有事においては日米の共同管理になります。 仮に日本が核攻撃の第1撃を受けたとします。その場合に核抑止力の理論としては、攻撃した国への反撃が行われることになっています。その場合に、「傘」には問題があります。つまり米国は、日本が核攻撃された場合、自国への核攻撃(第3撃としての反撃)を覚悟し、自国民を危険に晒してまで反撃(第2撃)をするかという問題です。 どうして「シェアリング」の可能性が議論されるのかというと、この米国が危険を冒して反撃してくれる可能性が100%ではないという疑念があるからです。もっと言えば、日本が疑うというよりも、相手国が「米国によって反撃されない可能性」に賭けて第1撃を撃ってくる可能性があるということです。 では「シェアリング」の場合はどうかというと、これは核弾頭が日本に抑止目的で配備されているわけですから、核攻撃に対する反撃はその弾頭になります。仮にそうであっても持ち主が米国であれば、第2撃に対する反撃、つまり第3撃が米国に来る可能性があり、それを考慮して米国が躊躇する可能性はあるでしょう。ですが「傘」の場合よりは、低くなります。なぜならば、日本に配備されている核弾頭による反撃は、日本との共同ということになり、再反撃のリスクの一部は日本に行くからです。 つまり、米国としては第3撃が日本に向かう、つまり米国に来ないという判断を前提に、日本と一緒に反撃(第2撃)を行うわけです。その分、日本には反撃後にその再反撃(第3撃)を受けるリスクは高くなります。 問題は米国が反撃を躊躇する可能性とか、反撃後に第3撃が日本に飛んでくる可能性といったリスクの総計を考えて、どちらが日本に有利かという比較をすることではありません。そうではなくて、どちらが「より相手に第1撃を思いとどまらせる」か、つまり「確実な抑止力になるか」ということだと思います』、「持ち主が米国であれば、第2撃に対する反撃、つまり第3撃が米国に来る可能性があり、それを考慮して米国が躊躇する可能性はあるでしょう。ですが「傘」の場合よりは、低くなります。なぜならば、日本に配備されている核弾頭による反撃は、日本との共同ということになり、再反撃のリスクの一部は日本に行くからです」、「問題は」、「どちらが「より相手に第1撃を思いとどまらせる」か、つまり「確実な抑止力になるか」ということ」、なるほど。
・『軍拡競争を招く危険  これとは別に、いくら抑止力確保のためであっても、相手国から見れば日本が核攻撃能力を得たという理解から、日本が「第1撃」を撃ってくる可能性は否定できなくなります。そうすると、相手国は核弾頭をより多く日本に向けることとなり、そうすると核による軍拡競争となって当初想定していた配備と維持のコストが増加し、いつまでも「安全が保障されない」危険もあります。 以上は「戦略核」の場合ですが、例えば上陸作戦部隊や戦車部隊の侵入を抑止するための「戦術核」をシェアリングする場合は、効果の計算は別になります。ですが、NPT条約改定という難しい交渉、外交による周辺国との関係の再調整、国論分裂による社会の混乱など、コストの部分は同じように重くのしかかってきます。 いずれにしても、NPTとの両立の方策はあるのか、そもそも確実に抑止力が向上するのか、外交や通常兵器によるバランスなどを含めて、より日本の安全は確保されるのか、それに対してコストは十分に見合うのかという議論はやっておいた方がいいと思います。入り口のところでタブー視するというのは、かえって推進派を勢い付かせるだけですし、安全保障に関する重要な議論を曖昧なまま放置することにもなりかねません』、「いくら抑止力確保のためであっても、相手国から見れば日本が核攻撃能力を得たという理解から、日本が「第1撃」を撃ってくる可能性は否定できなくなります。そうすると、相手国は核弾頭をより多く日本に向けることとなり、そうすると核による軍拡競争となって当初想定していた配備と維持のコストが増加し、いつまでも「安全が保障されない」危険もあります」、「NPTとの両立の方策はあるのか、そもそも確実に抑止力が向上するのか、外交や通常兵器によるバランスなどを含めて、より日本の安全は確保されるのか、それに対してコストは十分に見合うのかという議論はやっておいた方がいいと思います。入り口のところでタブー視するというのは、かえって推進派を勢い付かせるだけですし、安全保障に関する重要な議論を曖昧なまま放置することにもなりかねません」、同感である。

第三に、6月6日付け現代ビジネス「暴走プーチンの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら…その「地獄」を完全シミュレーションする」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95814?imp=0
・『人類史上、3度目の災禍がついに起こってしまうのか。世界の命運は暴走する独裁者たちに握られ、日本人の命もその例外ではない。恐ろしくても現実を直視しなければ、生き延びることはできない』、興味深そうだ。
・『核兵器は再び使われるのか  1945年10月。東京帝国大学理学部教授・渡邊武男は、核爆弾投下直後の広島市中心部に入り、目をみはった。散乱する煉瓦や屋根瓦の表面に細かな泡が見える。鉱物が沸騰した痕跡だ。数千℃を超える熱線を浴びなければ、このような現象は起こらない。 それから77年、核の脅威が再び人類に鎌首をもたげている。他ならぬロシアによってである。 これほど「核兵器が使われたら」という議論が盛んになったのは、冷戦終結後初めてのことだ。しかし一方で、もし頭上で核が炸裂したときに何が起きるか、生き残る術はあるのか、正確に知る人は少ない。核の脅威が現実のものとなった以上、その知識は誰もが持っておく必要があるだろう。 本誌は今回、物理学・工学分野で世界トップクラスの名門校、米スティーブンス工科大学で核兵器開発史を研究するアレックス・ウェラースタイン教授の協力を得た。核攻撃シミュレーションプログラム「NUKEMAP」の開発者だ。 「このプログラムを使うと、世界各地の任意の場所に任意の破壊力の核爆弾を落とすシミュレーションができます。最大の特徴は、破壊範囲だけでなく死傷者数も計算できること。人口のリアルタイム推定値を利用し、爆風の圧力や温度などを求める特殊な方程式を当てはめて割り出しています」』、「核攻撃シミュレーションプログラム「NUKEMAP」」があるとはさすが米国だ。
・『新宿上空で炸裂したら  このNUKEMAPを用いて、日本の大都市や防衛拠点が核攻撃を受けた場合の詳細なシミュレーションをおこなった。結果は本記事の後編『埼玉・川崎・浦安まで壊滅 プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来、その驚愕の「威力と死者数」』の図に示している。東京を例にして、詳しく見ていこう。 条件はこうだ。広島型原爆の50倍、800キロトンの威力をもつ戦略核兵器を搭載したロシアの大陸間弾道ミサイル(ICBM)が、東京を目標として飛来。核弾頭が大気圏へ突入し、西新宿にある東京都庁の上空、高度600m地点で炸裂すると仮定する。 ロシアの戦略核は、全て水素爆弾(核融合爆弾)だ。現代の大型核兵器は、かつて広島や長崎を焦土にした原子爆弾(核分裂爆弾)を、水爆の「起爆装置」として利用する仕組みになっている。 「弾頭の前側にある核分裂爆弾が爆発し、放出された中性子と高熱が、後部に仕込まれた『セカンダリ』と呼ばれる水爆本体を起爆させる。この過程はわずか100万分の1秒の間に起こります」(自衛隊関係者) その瞬間、東京のど真ん中にまばゆい太陽が出現する。表面温度30万℃の火の球は、1秒足らずで半径900mまで膨張し、直下にある建物、人、全てを蒸発させる』、「広島型原爆の50倍、800キロトンの威力をもつ」「水素爆弾」、とは恐ろしい。
・『「ホープレス・ゾーン」  「爆心付近のこの領域を、私は『ホープレス・ゾーン』と呼んでいます。運悪くここにいた場合、気の毒ですが、何もできることはありません」(前出・ウェラースタイン氏) 都庁周辺には深さ100m・直径400mのクレーターができるが、それを生きて目にする人はいない。JR新宿駅のあたりまで数万度の高温にさらされ、人も物も原子へと還ってしまう。 火球は3秒ほどで消えるように見えるが、終わりではない。目に見えない超高熱の赤外線が、全方向を焼き尽くすのだ。爆心地から半径3kmほどの範囲では、熱線で人や物の影が地面に焼き付けられる。それより遠くにいる人も、肉まで焦がされて焼け死ぬことになる。 次に襲ってくるのが衝撃波、つまり爆風だ。核爆発で生まれた火球は音速をはるかに超えるスピードで膨張するため、空気と衝突して衝撃波が発生する。かろうじて熱線に耐えた建物なども粉砕され、砕かれたガラスや瓦礫が弾丸のように飛ぶ。ここまで、まだ起爆後10秒も経っていない。 「図のエリア2、半径約6.5kmの範囲では、ほとんどの建造物が破壊されます」(前出・ウェラースタイン氏) 東京でいえば、東は皇居を越えて丸の内や東京駅まで。西は環状8号線のあたりまでがこの範囲に該当する。衝撃波のもたらす圧力はあまりに強く、エリアの外周にいた場合でも、衝撃で内臓や骨、脳を破壊されたり、脳震盪を起こしたりして意識を失うケースが多い。 超高温で加熱された爆心周辺の空気は、猛烈な上昇気流を巻き起こし「キノコ雲」が生じる。同時に、衝撃波で一度吹き飛ばされた空気が一気に戻ってくるため、至るところで火災が起きる。木造の建物や布はひとりでに燃え出し、灼熱地獄と化すのだ。 プーチンの核ミサイルが東京都心を直撃した場合、被害はこれだけでは収まらない。日本の首都機能はどうなるのか。後編記事「埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル『東京都心』に襲来、その驚愕の『威力と死者数』」で引き続き紹介する』、「「ホープレス・ゾーン」では、人々は瞬時に蒸発してしまうので、ある意味で楽だといえるかも知れない。

第四に、この続きを、6月6日付け現代ビジネス「埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来、その驚愕の「威力と死者数」」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95815?imp=0
・『もし、ロシアの弾道ミサイルに搭載された核兵器が新宿上空で炸裂したら……第二次大戦で使用された核をはるかに超える威力の熱線と衝撃波によって、東京23区の大部分が焼き尽くされてしまうことを前編記事「暴走プーチンの核ミサイルが『東京・新宿上空』で炸裂したら…その『地獄』を完全シミュレーションする」で見てきた。後編では、図解で被害の範囲を明らかにし、生き延びるための術をお伝えする』、興味深そうだ。
・『被害はさいたま市、川崎市にも及ぶ  後掲の図に(3)の円で示した半径約11kmの範囲にある人や物は、エリア2内のように瞬間的に焼き尽くされ破壊されるわけではないが、それでも危険なことに変わりはない。 「この範囲では、真皮を越えて皮下組織まで及ぶ、3度の重い火傷を負う人が多数出ます。広島では、爆心地から4km離れた場所にいた人が火傷を負ったとの報告もありました。水爆の威力は広島に投下された核の数十倍ですから、熱線のもたらす被害ははるかに広範囲に及ぶでしょう」(同) 葛飾区・墨田区・江戸川区を除く東京23区のほぼ全域が、このエリア3に含まれる。 衝撃波は爆心地から離れるほど衰えてゆくが、800キロトンの戦略核兵器の場合、それでも半径約18.4kmの範囲では窓ガラスが割れるなどの被害が生じる。図中の(4)で示したエリアだ。南は多摩川を越えて神奈川県川崎市のほぼ全域、北は埼玉県さいたま市の浦和駅周辺、東は江戸川区と千葉県市川市の境界である江戸川までが含まれる。 「被害が比較的軽いエリアと言っていいですが、爆心地からやや離れているため、火球を直視してしまう可能性が高い。網膜に火傷を負い、視力を失ってしまうことも考えられます。閃光で一時的に何も見えなくなるため、交通事故などの二次災害も懸念されます」(同)』、「半径約11kmの範囲」、「では、真皮を越えて皮下組織まで及ぶ、3度の重い火傷を負う人が多数出ます」、そんなので苦しむより都心部のように瞬時に蒸発した方が楽かも知れない。
・『日本各地が同時に壊滅  一連の爆発で発生するキノコ雲は高度30kmに達し、晴れていれば東海地方や東北からも視認できる。予想される被害は、死者133万9000人、負傷者429万4920人。東京23区住民の半分以上が死傷し、日本の国家機能は停止する。 さらに悪いことに、破壊されるのは東京だけではないかもしれない。この秋にもロシアが配備する大型ICBM「サルマト」は、MIRVと呼ばれる多弾頭システムを採用し、一発に10以上の核弾頭を搭載している。800キロトンの威力を持つ弾頭それぞれがマッハ20の超スピードで独立して飛び、複数の目標めがけて落下する。爆撃機からゆっくり投下された、77年前の核とは全く違うのだ。 大気圏に突入するMIRVの弾頭は、空を切り裂く美しい光の筋のように見えるという。だが、目撃した人は次の瞬間に蒸発する。迎撃はまず不可能だ。たった一発のサルマトによって、日本全土に地獄絵図が現出するのである。 中国はサルマトと同様のMIRVミサイル「DF-5」シリーズを持つ。中でも'15年に就役したDF-5Bには、一発に400キロトンの核弾頭が3つ搭載されている。サルマトには及ばないが、壊滅的な威力であることに変わりはない』、「大型ICBM「サルマト」は、MIRVと呼ばれる多弾頭システムを採用し、一発に10以上の核弾頭を搭載している。800キロトンの威力を持つ弾頭それぞれがマッハ20の超スピードで独立して飛び、複数の目標めがけて落下」、「中国はサルマトと同様のMIRVミサイル「DF-5」シリーズを持つ」、恐ろしいことだ。
・『北朝鮮もロシア並みの核を持つ  気になるのは、実験と称して弾道ミサイルを撃ちまくっている北朝鮮だ。拓殖大学海外事情研究所客員教授の武貞秀士氏が言う。 「これまで『北朝鮮は核の小型化に苦労している』と言われてきましたが、金正恩体制はむしろ核の運搬手段であるミサイルの高性能化や大型化に成功しつつある。たとえば最近、同じ日に弾道ミサイルを何発も撃っていますが、これは同じ気象条件で燃料の量や点火のタイミングを微妙に変えて実験を行っているということ。つまり高性能ミサイルの開発が最終調整段階にあるということです」 さらに金正恩は、'17年9月に水爆実験も成功させたと発表している。もし事実ならば、北朝鮮はロシアや中国のものと遜色ない威力の核兵器を手にしていることになる。 「もし現実に北朝鮮が核を使用する場合、反撃を防ぐために沖縄や三沢、横須賀など自衛隊・米軍の拠点を狙う可能性が高い。アメリカは『北朝鮮が核ミサイル発射の兆候を見せただけでも即、先制攻撃する』との原則を守っていますが、ウクライナの状況を見ると、実際には難しいでしょう。 核の先制使用のゴーサインを出し、責任を取れる政治家は、今のアメリカにはいないのです」(武貞氏)』、「北朝鮮はロシアや中国のものと遜色ない威力の核兵器を手にしていることになる」、「核の先制使用のゴーサインを出し、責任を取れる政治家は、今のアメリカにはいないのです」、「北朝鮮が核ミサイル発射の兆候を見せただけでも即、先制攻撃する』との原則」は現実に適用するのは、確かに難しそうだ。
・『その瞬間、まずやること  北朝鮮やロシア極東、中国から核ミサイルが発射された場合、時間的猶予は最短30秒、最長でも10分ほどしかない。生き残る術はあるのか。ウェラースタイン氏が語る。 「日本にはJアラートという緊急警報があると聞いています。警報が鳴ったら、どこでもいいのでコンクリートの建物に入ってなるべく奥へ逃げるか、地下街や地下鉄駅に逃げ込んでください。地下にいれば衝撃波や熱線、放射性物質を浴びずに済む可能性が高まります」 地下へ逃げ込むなら、入り口からできるだけ離れる。衝撃波で吹き飛ばされたり、その後の吹き戻しで外へ吸い出される可能性があるためだ。広島や長崎でも、運よく防空壕や地下室へ逃げ込んでも、爆風が流れ込んで亡くなった人がいた。 「それが難しければ、地震のときと同様に、窓から離れて机の下へ入り、体を可能な限り小さく丸めてください。衝撃波や熱線に触れる面積をできるだけ少なくするのです。 爆発が収まっても、すぐ外へ出てはいけません。大量の放射線や放射性物質にさらされるからです。最低でも数時間、できれば数日はその場を動かないのが賢明です」(同) もっとも、この地獄を生き延びたとして、平穏な日常が戻ってくることはないだろう。核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器なのである』、「北朝鮮やロシア極東、中国から核ミサイルが発射された場合、時間的猶予は最短30秒、最長でも10分ほどしかない」、「警報が鳴ったら、どこでもいいのでコンクリートの建物に入ってなるべく奥へ逃げるか、地下街や地下鉄駅に逃げ込んでください。地下にいれば衝撃波や熱線、放射性物質を浴びずに済む可能性が高まります」、「この地獄を生き延びたとして、平穏な日常が戻ってくることはないだろう。核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器なのである」、「核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器」とは言い得て妙である。
タグ:核武装 (その1)(日本はなぜ世界で唯一の「無法」国家なのか? 被爆国に問われる責務 9条があるから大丈夫 ではない!、日本における核共有(シェアリング)の効果とコスト、暴走プーチンの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら…その「地獄」を完全シミュレーションする、埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来 その驚愕の「威力と死者数」) 現代ビジネス 伊勢崎 賢治氏による「日本はなぜ世界で唯一の「無法」国家なのか? 被爆国に問われる責務 9条があるから大丈夫、ではない!」 「首謀者のリーダー格を殺害し続けることしか、大統領としてアメリカ国民に顕示できる「戦果」がないのです。政治的和解の交渉には、相手の指揮命令系統を温存し、常にそのトップと交渉しなければならないのに、これを壊すと相手側の構造が無秩序となり、交渉どころではなくなります。こんな簡単なことが分かっていても、「ドローン攻撃」をやるしかない。まさに堂々巡りです」、その後、バイデン大統領が強引に撤兵し、タリバン支配に委ねた。 「「核兵器禁止条約」は、「まだ、核を実際に保有している国々が批准していないので、「国際人道法」の一つと見なされるには更なる努力が必要ですが」、「国際人道法上の「戦争犯罪」に位置付けることを目的にしている」、なるほど。 「「戦争犯罪」では、命令した者、もしくは、直接その命令を発さなくてもその地位にいた者を、誰より優先的に裁くことが求められるのです」。「これが、個人の生命身体を守るために、実行犯を中心に罰することを目的とした「刑法」とはベクトルが違う、国際人道法が目指す法益です」、確かに「実行犯を中心に罰」しても意味はな」く、「命令した者・・・その地位にいた者を裁くことが求められる」、よく理解できた。 「日本」は「国際人道法の法益に応える国内法はありません。 たぶん、世界で唯一」、何故なのだろう。 確かに「日本」の「刑法」では「実行犯を中心に処罰」する体系だ。 「歴代の日本政府は、批准したジュネーブ条約群の国際法が求める国内立法義務を現行法で果たしているという説明をしてきた」、しかし、「国際人道法が求める法益の実現は、あくまで、命令した者を犯罪の中心とし、その下位の者の責任をどこまで問えるかを考えるのです・・・日本の現行法とは、ベクトルが真逆」、「衆議院法制局のチームと達した結論は、刑法をはじめとする現行法の微調整では、国際人道法の法益に応えるのは不可能であり、まったく新しい法体系を日本に導入するしかないという結論に達しました」、なるほど。 「「9条が戦争しないと誓っているのだから戦争犯罪を想定しなくていい」。これが、9条下でも必要最小限であれば実力組織が持てるとしてきた日本の憲法学、そして日弁連などの法曹界。他方、9条下でもできると軍拡・・・を推し進めてきた歴代の自民党政権。この双方の安全神話になってきたのです。無法の安全神話です」、これが本当の要因か否かはもっと検討する必要がある。ただ、国内法整備に向けた伊勢崎氏の努力は大いに評価すべきだ。 Newsweek日本版 冷泉彰彦氏による「日本における核共有(シェアリング)の効果とコスト」 「NPT維持」のためには、「加盟国との条約改定交渉で合意を取り付けて乗り切るという難しいプロセスを経なくてはなりません。 「持ち主が米国であれば、第2撃に対する反撃、つまり第3撃が米国に来る可能性があり、それを考慮して米国が躊躇する可能性はあるでしょう。ですが「傘」の場合よりは、低くなります。なぜならば、日本に配備されている核弾頭による反撃は、日本との共同ということになり、再反撃のリスクの一部は日本に行くからです」、「問題は」、「どちらが「より相手に第1撃を思いとどまらせる」か、つまり「確実な抑止力になるか」ということ」、なるほど。 「いくら抑止力確保のためであっても、相手国から見れば日本が核攻撃能力を得たという理解から、日本が「第1撃」を撃ってくる可能性は否定できなくなります。そうすると、相手国は核弾頭をより多く日本に向けることとなり、そうすると核による軍拡競争となって当初想定していた配備と維持のコストが増加し、いつまでも「安全が保障されない」危険もあります」、「NPTとの両立の方策はあるのか、そもそも確実に抑止力が向上するのか、外交や通常兵器によるバランスなどを含めて、より日本の安全は確保されるのか、それに対してコストは十分に見合 現代ビジネス「暴走プーチンの核ミサイルが「東京・新宿上空」で炸裂したら…その「地獄」を完全シミュレーションする」 「核攻撃シミュレーションプログラム「NUKEMAP」」があるとはさすが米国だ。 新宿上空で炸裂したら 「広島型原爆の50倍、800キロトンの威力をもつ」「水素爆弾」、とは恐ろしい。 「「ホープレス・ゾーン」では、人々は瞬時に蒸発してしまうので、ある意味で楽だといえるかも知れない。 現代ビジネス「埼玉・川崎・浦安まで壊滅…プーチンの核ミサイル「東京都心」に襲来、その驚愕の「威力と死者数」」 「半径約11kmの範囲」、「では、真皮を越えて皮下組織まで及ぶ、3度の重い火傷を負う人が多数出ます」、そんなので苦しむより都心部のように瞬時に蒸発した方が楽かも知れない。 「大型ICBM「サルマト」は、MIRVと呼ばれる多弾頭システムを採用し、一発に10以上の核弾頭を搭載している。800キロトンの威力を持つ弾頭それぞれがマッハ20の超スピードで独立して飛び、複数の目標めがけて落下」、「中国はサルマトと同様のMIRVミサイル「DF-5」シリーズを持つ」、恐ろしいことだ。 「北朝鮮はロシアや中国のものと遜色ない威力の核兵器を手にしていることになる」、「核の先制使用のゴーサインを出し、責任を取れる政治家は、今のアメリカにはいないのです」、「北朝鮮が核ミサイル発射の兆候を見せただけでも即、先制攻撃する』との原則」は現実に適用するのは、確かに難しそうだ。 「北朝鮮やロシア極東、中国から核ミサイルが発射された場合、時間的猶予は最短30秒、最長でも10分ほどしかない」、「警報が鳴ったら、どこでもいいのでコンクリートの建物に入ってなるべく奥へ逃げるか、地下街や地下鉄駅に逃げ込んでください。地下にいれば衝撃波や熱線、放射性物質を浴びずに済む可能性が高まります」、「この地獄を生き延びたとして、平穏な日常が戻ってくることはないだろう。核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器なのである」、「核はまさに、全てを破壊し尽くす悪魔の兵器」とは言い得て妙である。
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