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原発問題(その24)(NHKメルトダウン取材班後半2題:「福島第一原発事故」の「緊急記者会見」を遮った「東京電力社員の怒声」の衝撃的な内容、「お前、うるせえ 官邸が もうグジグジ言ってんだよ」…福島第一原発への「海水注入」をめぐる「緊迫したやり取り」)) [国内政治]

昨日に続き、原発問題(その24)(NHKメルトダウン取材班後半2題:「福島第一原発事故」の「緊急記者会見」を遮った「東京電力社員の怒声」の衝撃的な内容、「お前、うるせえ 官邸が もうグジグジ言ってんだよ」…福島第一原発への「海水注入」をめぐる「緊迫したやり取り」))を取上げよう。

先ずは、本年3月10日付け現代ビジネスが掲載したNHKメルトダウン取材班による「「福島第一原発事故」の「緊急記者会見」を遮った「東京電力社員の怒声」の衝撃的な内容」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/124773?imp=0
・『東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間13年、のべ1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、単行本『福島第一原発事故の「真実」』は、2022年「科学ジャーナリスト大賞」受賞するなど、各種メディアで高く評価された。今回、その文庫化にあたって、収録内容を一部抜粋して紹介する』、興味深そうだ。
・『午前3時 霞が関 紛糾する会見 1号機爆発まで12時間36分  午前3時すぎ。霞が関の経済産業省で、東京電力が緊急の記者会見を始めた。会見に臨んだのは本店対策本部の代表代行の小森だった。経産大臣の海江田と保安院院長の寺坂も陪席した。 小森は、開口一番、ベントを実施すると述べ、「午前3時くらいを目安に速やかに手順を踏めるように現場には指示しています」と語った。 
すかさず、記者から疑問の声があがった。 「3時って、もう3時ですよ」 すでに午前3時を10分回っていた。 小森は「目安としては早くて3時くらいからできるように準備をしておりますので、少し戻って段取りを確認してから……」と返すのがやっとだった。 当初、東京電力は、午前3時を目標にベントをすると考えていたが、準備をしているうちに、あっという間に午前3時になっていたのだ。 小森はベントについて説明を続けた。 「まずは2号機について圧力の降下をするというふうに考えております。2号機は、夕方くらいから、原子炉に給水するポンプの作動状況がかなり見えない状況になっています」 にわかに会見場がざわついた。 記者の誰もが、1号機の格納容器の圧力が異常上昇したので、当然、1号機からベントすると思っていたからだ。混乱する記者から矢継ぎ早に質問が飛んだ。 「まず、1号機ではないのですか?」 「今、1号機の話をしているんじゃないの?」 小森が答える。 「圧力が上がっているのは、1号機でございますが、1号機も2倍にいっているわけでなくて……。注水機能がブラインドに(見えなく)なっている時間が長い2号機のほうが本当かと疑っていくべきだと」 1号機の格納容器の圧力は8.4気圧。設計時に想定した最高圧力の5.28気圧の2倍までには達していないため、まだ猶予がある。むしろ全電源喪失以降、注水が確認できていない2号機のほうに不安要素があるという説明だった。 しかし、8.4気圧は通常、格納容器にかかる圧力のおよそ8倍にあたる異常な値である。納得できない記者から、質問が投げかけられる。 「1号機は、もうレット・イット・ゴー(対応必要)の状態なんですよね。2号機はなぜですか? 突然、出たのでびっくりです」 小森はあくまで2号機の危機を強調する。 「本当に給水できているかどうかというのが、一番最初に怪しくなったプラントが2号機です」 「我々が技術的に理解しているものから見て、なかなか説明がつかないというのが2号機であります」 会見が始まる直前の午前2時半すぎ、免震棟と本店は2号機のベントを優先する方針を決めていた。1号機のベント弁を開ける作業は、高い放射線量のため、準備に時間がかかる。1号機は深刻な状況にあるが後回しにして、まず放射線量が高くなく、作業が可能な2号機からベントを実施するという戦略だった。しかし、刻々と変わる情報の中で、小森はこの複雑な戦略を咀嚼し切れずに会見に臨んでいた。その後も、小森は繰り返し、1号機ではなく、2号機が危機的状況にあることをことさらに強調するという奇妙な説明を続けた。納得できない記者の質問が、次第に詰問調になり、記者会見は紛糾し始めた。) 会見が始まって30分近くが経った頃だった。突然、東京電力の原子力担当の社員が会見を遮り、怒鳴るように告げた。 「今、入った情報でございますけど、現場で、RCICという設備で2号機に水が入っていたことが確認できたという話が、今入りました! 申し訳ありません」 午前2時55分に、2号機の原子炉建屋に入っていた運転員が、RCICの作動を確認したという情報が、免震棟の吉田から東京の本店を経由して、ようやく経済産業省の会見場に届いたのだった。 すかさず、記者から確認の質問が飛んだ。 「それを受けて2号機からやるか1号機からやるか判断し直すということですね」 「そういうことですね。申し訳ございません。申し訳ございません」 一転して2号機ではなく、1号機の危機がクローズアップされてくる。錯綜する情報に小森は、翻弄されるばかりだった。 さらに連載記事<1号機爆発まで24時間50分…東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の「あまりに緊迫した状況」>では、発災直後の緊迫した様子を詳細に語っています。 *本記事の抜粋元・NHKメルトダウン取材班『福島第一原発事故の「真実」 検証編』では、福島第一原発事故を13年にわたって検証取材してきた内容を報告書としてまとめています。ぜひお買い求めください』、会見が始まる直前の午前2時半すぎ、免震棟と本店は2号機のベントを優先する方針を決めていた。1号機のベント弁を開ける作業は、高い放射線量のため、準備に時間がかかる。1号機は深刻な状況にあるが後回しにして、まず放射線量が高くなく、作業が可能な2号機からベントを実施するという戦略だった」、これであれば、「2号機のベントを優先する方針」は問題なく、記者会見でも通っていただろう。「しかし、刻々と変わる情報の中で、小森はこの複雑な戦略を咀嚼し切れずに会見に臨んでいた。その後も、小森は繰り返し、1号機ではなく、2号機が危機的状況にあることをことさらに強調するという奇妙な説明を続けた。納得できない記者の質問が、次第に詰問調になり、記者会見は紛糾し始めた」、記者会見での説明役の「小森はこの複雑な戦略を咀嚼し切れずに会見に臨んでいた」、のであれば、「記者」が納得する筈はなく、紛糾の度を増すばかりだった。これは、完全に「東電」側の致命的な手落ちだ。

次に、3月17日付け現代ビジネスが掲載したNHKメルトダウン取材班による「「お前、うるせえ。官邸が、もうグジグジ言ってんだよ」…福島第一原発への「海水注入」をめぐる「緊迫したやり取り」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/124776?imp=0
・『東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間13年、のべ1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、単行本『福島第一原発事故の「真実」』は、2022年「科学ジャーナリスト大賞」受賞するなど、各種メディアで高く評価された。今回、その文庫化にあたって、収録内容を一部抜粋して紹介する』、興味深そうだ。
・『吉田の英断 海水注入騒動  免震棟では、水素爆発をした1号機に、現場が被ばくの危険を冒しながら粘り強く敷設し直した消防ホースを通じて、午後7時4分から海水注入が始まったことに安堵の空気が流れていた。水素爆発から4時間、絶望の淵からなんとか這い上がった。荒れ狂う原子炉をなだめようとする長い闘いが再び幕を開けた。その現場を率いる吉田は、次なる指揮をどうすべきか休む間もなく目まぐるしく頭を働かせていた。 午後7時25分。その吉田に電話が入った。総理官邸にいた武黒からだった。 「お前、海水注入は?」 「やってますよ」 「えっ?」 「もう始まってますから」 「おいおい、やってんのか。止めろ」 「何でですか?」 「お前、うるせえ。官邸が、もうグジグジ言ってんだよ」 「何言ってんですか」 電話は、そこで唐突に切れた。 吉田は、すぐにテレビ会議を通じて本店に武黒からの電話を短く報告し、本店は聞いているのかと尋ねた。) 本店は、武黒から同じ趣旨の連絡があったと話したうえで、ちょっと判断を曖昧にしていると含みを持たせる言い方をした。吉田は、一瞬、この話を本店の判断で握りつぶそうとしているのかと思った。しかし、本店は「官邸が言っているならしようがない」と言い出した。でも、午後7時すぎから海水注入はすでに始まっている。本店は、試験注入という位置づけにしようと提案してきた。ホースを繋いだ注水ラインが生きているかどうかを確かめる試験注入をしていたが、その後止めて、本当の注入を始めるかどうか判断を待っていた。そういう話にしよう。官邸の意向に沿って事実を書き換えて辻褄を合わせる。組織に染み付いた処世術が編み出すいつもながらの知恵だった。 だけど、と吉田は思った。すでに一度できている注入をやめて、もし事態が悪くなったら、誰が責任をとるのか。吉田は自問自答した。本来、本店が止めろというなら、そこで議論できるが、まったく脇にいるはずの官邸から電話までかかってきてやめろというのは、一体何なのか。指揮命令系統が完全に崩れている。これは、もう最後は自分の判断だ。吉田は腹をくくった。 現場の、部下の命を守るのは所長である自分しかいない。吉田は、消防注水を担当している防災班長のそばに歩み寄り、周りには聞こえないように小声で囁いた。 「ここで海水注入を中止するとテレビ会議で命令するが、絶対に中止しては駄目だ」 防災班長は、身体を固くして頷いた。次の瞬間、吉田は、テレビ会議のマイクに口を近づけ、免震棟中に響き渡るような大声で本店に向かって言った。 「海水注入を中止する!」 テレビ会議を見ていた本店はもちろん免震棟の誰もが吉田の命令を微塵(み じん)も疑うことなく聞いていた。 午後7時55分。官邸では、班目や武黒らが菅に改めて海水注入の必要性とリスク対策を説き、菅も納得した。 午後8時10分。武黒から吉田に海水注入を開始してよいという連絡が入った。午後8時20分。吉田は素知らぬ顔をしてテレビ会議に向かって大声で「海水注入を開始する」と指示を出した。しかし実際には、午後7時すぎから1時間あまりの間、海水注入は一度も中断されることなく、ずっと続けられていたのである。これが、後に語り継がれる海水注入騒動の一部始終だった。 事故後、この顛末が明らかにされると、1号機の事態悪化を食い止めた英断だと、日本中が吉田に喝采を送った。一方、官邸や本店の意思決定の乱れは、様々な角度から検証され、悪しき現場介入と批判された。 海水注入騒動は、吉田の名を一躍あげた。しかし、事故から5年半がたった2016年9月、思わぬ後日譚が明らかにされた。 日本原子力学会で、事故後長く原子炉の注水を分析してきた国際廃炉研究開発機構が最新の研究結果を発表した。その発表は、1号機への注水は、注水ルートを変更した3月23日までは、原子炉冷却への寄与はほぼゼロであるというものだった。にわかには信じがたい解析結果だった。3月12日の時点では、1号機への注水は、配管の様々な箇所から漏洩し、ほぼ原子炉に届いていなかったり、メルトダウンした核燃料に注がれていなかったりして、冷却にほぼ寄与していなかったというのである。実は、これより2年前の2014年8月に東京電力が事故をめぐる未解明事項の2回目の検証結果を発表した際、1号機の消防注水は、原子炉に通じる一本道の注水ラインの10ヵ所で水漏れしていたという見解を明らかにしていた。国際廃炉研究開発機構が発表した1号機への注水が3月23日までほぼ原子炉に届いていなかったという研究結果は、東京電力の消防注水の水漏れの検証結果をさらに進めたもので、より衝撃的な結果だった。 その後、NHKと専門家が「サンプソン」を使って行ったシミュレーションでも同様の結果が出たことから、3月12日から23日まで1号機の原子炉へ水がほぼ入っていなかったことは、定説になりつつある。 吉田が、菅が、武黒が、はからずもそれぞれの生き様をあらわにして必死に考え、行動した結果が織りなした海水注入騒動。しかし、膨大な核のエネルギーを放つ原子炉は、人間の意思をまったく超えたところで、事態をさらに悪化させていたのである。 さらに連載記事<1号機爆発まで24時間50分…東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の「あまりに緊迫した状況」>では、発災直後の緊迫した様子を詳細に語っています。 *本記事の抜粋元・NHKメルトダウン取材班『福島第一原発事故の「真実」 検証編』では、福島第一原発事故を13年にわたって検証取材してきた内容を報告書としてまとめています。ぜひお買い求めください』、「本来、本店が止めろというなら、そこで議論できるが、まったく脇にいるはずの官邸から電話までかかってきてやめろというのは、一体何なのか。指揮命令系統が完全に崩れている。これは、もう最後は自分の判断だ。吉田は腹をくくった。 現場の、部下の命を守るのは所長である自分しかいない。吉田は、消防注水を担当している防災班長のそばに歩み寄り、周りには聞こえないように小声で囁いた。 「ここで海水注入を中止するとテレビ会議で命令するが、絶対に中止しては駄目だ」 防災班長は、身体を固くして頷いた。次の瞬間、吉田は、テレビ会議のマイクに口を近づけ、免震棟中に響き渡るような大声で本店に向かって言った。 「海水注入を中止する!」 テレビ会議を見ていた本店はもちろん免震棟の誰もが吉田の命令を微塵(み じん)も疑うことなく聞いていた。 午後7時55分。官邸では、班目や武黒らが菅に改めて海水注入の必要性とリスク対策を説き、菅も納得した。 午後8時10分。武黒から吉田に海水注入を開始してよいという連絡が入った。午後8時20分。吉田は素知らぬ顔をしてテレビ会議に向かって大声で「海水注入を開始する」と指示を出した。しかし実際には、午後7時すぎから1時間あまりの間、海水注入は一度も中断されることなく、ずっと続けられていたのである。これが、後に語り継がれる海水注入騒動の一部始終だった。 事故後、この顛末が明らかにされると、1号機の事態悪化を食い止めた英断だと、日本中が吉田に喝采を送った。一方、官邸や本店の意思決定の乱れは、様々な角度から検証され、悪しき現場介入と批判された。 海水注入騒動は、吉田の名を一躍あげた」、「吉田所長」もなかなかの役者だ。3月12日の時点では、1号機への注水は、配管の様々な箇所から漏洩し、ほぼ原子炉に届いていなかったり、メルトダウンした核燃料に注がれていなかったりして、冷却にほぼ寄与していなかったというのである・・・1号機の消防注水は、原子炉に通じる一本道の注水ラインの10ヵ所で水漏れしていたという見解を明らかにしていた。国際廃炉研究開発機構が発表した1号機への注水が3月23日までほぼ原子炉に届いていなかったという研究結果は、東京電力の消防注水の水漏れの検証結果をさらに進めたもので、より衝撃的な結果だった・・・3月12日から23日まで1号機の原子炉へ水がほぼ入っていなかったことは、定説になりつつある。 吉田が、菅が、武黒が、はからずもそれぞれの生き様をあらわにして必死に考え、行動した結果が織りなした海水注入騒動。しかし、膨大な核のエネルギーを放つ原子炉は、人間の意思をまったく超えたところで、事態をさらに悪化させていたのである」、情報が限定されたなかでの人間の判断が如何に頼りないものであるかを如実に示した。やはり、原子力発電は、人間の手には負えないものと考えるべきだ。
タグ:(その24)(NHKメルトダウン取材班後半2題:「福島第一原発事故」の「緊急記者会見」を遮った「東京電力社員の怒声」の衝撃的な内容、「お前、うるせえ 官邸が もうグジグジ言ってんだよ」…福島第一原発への「海水注入」をめぐる「緊迫したやり取り」)) 原発問題 現代ビジネス NHKメルトダウン取材班による「「福島第一原発事故」の「緊急記者会見」を遮った「東京電力社員の怒声」の衝撃的な内容」 『福島第一原発事故の「真実」』 会見が始まる直前の午前2時半すぎ、免震棟と本店は2号機のベントを優先する方針を決めていた。1号機のベント弁を開ける作業は、高い放射線量のため、準備に時間がかかる。1号機は深刻な状況にあるが後回しにして、まず放射線量が高くなく、作業が可能な2号機からベントを実施するという戦略だった」、これであれば、「2号機のベントを優先する方針」は問題なく、記者会見でも通っていただろう。 「しかし、刻々と変わる情報の中で、小森はこの複雑な戦略を咀嚼し切れずに会見に臨んでいた。その後も、小森は繰り返し、1号機ではなく、2号機が危機的状況にあることをことさらに強調するという奇妙な説明を続けた。納得できない記者の質問が、次第に詰問調になり、記者会見は紛糾し始めた」、記者会見での説明役の「小森はこの複雑な戦略を咀嚼し切れずに会見に臨んでいた」、のであれば、「記者」が納得する筈はなく、紛糾の度を増すばかりだった。これは、完全に「東電」側の致命的な手落ちだ。 NHKメルトダウン取材班による「「お前、うるせえ。官邸が、もうグジグジ言ってんだよ」…福島第一原発への「海水注入」をめぐる「緊迫したやり取り」」 「本来、本店が止めろというなら、そこで議論できるが、まったく脇にいるはずの官邸から電話までかかってきてやめろというのは、一体何なのか。指揮命令系統が完全に崩れている。これは、もう最後は自分の判断だ。吉田は腹をくくった。 現場の、部下の命を守るのは所長である自分しかいない。吉田は、消防注水を担当している防災班長のそばに歩み寄り、周りには聞こえないように小声で囁いた。 「ここで海水注入を中止するとテレビ会議で命令するが、絶対に中止しては駄目だ」 防災班長は、身体を固くして頷いた。次の瞬間、吉田は、テレビ会議のマイクに口を近づけ、免震棟中に響き渡るような大声で本店に向かって言った。 「海水注入を中止する!」 テレビ会議を見ていた本店はもちろん免震棟の誰もが吉田の命令を微塵(み じん)も疑うことなく聞いていた。 午後7時55分。官邸では、班目や武黒らが菅に改めて海水注入の必要性とリスク対策を説き、菅も納得した。 午後8時10分。武黒から吉田に海水注入を開始してよいという連絡が入った。午後8時20分。吉田は素知らぬ顔をしてテレビ会議に向かって大声で「海水注入を開始する」と指示を出した。しかし実際には、午後7時すぎから1時間あまりの間、海水注入は一度も中断されることなく、ずっと続けられていたのである。これが、後に語り継がれる海水注入騒動の一部始終だった。 事故後、この顛末が明らかにされると、1号機の事態悪化を食い止めた英断だと、日本中が吉田に喝采を送った。一方、官邸や本店の意思決定の乱れは、様々な角度から検証され、悪しき現場介入と批判された。 海水注入騒動は、吉田の名を一躍あげた」、「吉田所長」もなかなかの役者だ。 3月12日の時点では、1号機への注水は、配管の様々な箇所から漏洩し、ほぼ原子炉に届いていなかったり、メルトダウンした核燃料に注がれていなかったりして、冷却にほぼ寄与していなかったというのである・・・1号機の消防注水は、原子炉に通じる一本道の注水ラインの10ヵ所で水漏れしていたという見解を明らかにしていた。国際廃炉研究開発機構が発表した1号機への注水が3月23日までほぼ原子炉に届いていなかったという研究結果は、東京電力の消防注水の水漏れの検証結果をさらに進めたもので、より衝撃的な結果だった・・・ 3月12日から23日まで1号機の原子炉へ水がほぼ入っていなかったことは、定説になりつつある。 吉田が、菅が、武黒が、はからずもそれぞれの生き様をあらわにして必死に考え、行動した結果が織りなした海水注入騒動。しかし、膨大な核のエネルギーを放つ原子炉は、人間の意思をまったく超えたところで、事態をさらに悪化させていたのである」 、情報が限定されたなかでの人間の判断が如何に頼りないものであるかを如実に示した。やはり、原子力発電は、人間の手には負えないものと考えるべきだ。
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原発問題(その23)(NHKメルトダウン取材班4題:「巨大津波」はいったいどのように「福島第一原発」を襲ったのか…「電源喪失」の真相、「東日本大震災」発生直後、東京・内幸町「東京電力本店・原子力部門」の「緊迫した状況」、「東日本大震災」発生時、「福島第一原発」の事故対応を大きく左右することになった「所長の思い込み」、1号機爆発まで24時間50分…東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の「あまりに緊迫した状況」) [国内政治]

原発問題については、本年2月27日に取上げた。今日は、(その23)(NHKメルトダウン取材班4題:「巨大津波」はいったいどのように「福島第一原発」を襲ったのか…「電源喪失」の真相、「東日本大震災」発生直後、東京・内幸町「東京電力本店・原子力部門」の「緊迫した状況」、「東日本大震災」発生時、「福島第一原発」の事故対応を大きく左右することになった「所長の思い込み」、1号機爆発まで24時間50分…東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の「あまりに緊迫した状況」)である。

先ずは、本年2月20日付け現代ビジネスが掲載したNHKメルトダウン取材班による「「巨大津波」はいったいどのように「福島第一原発」を襲ったのか…「電源喪失」の真相」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/124581
・『東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間13年、のべ1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、単行本『福島第一原発事故の「真実」』は、2022年「科学ジャーナリスト大賞」受賞するなど、各種メディアで高く評価された。今回、その文庫化にあたって、収録内容を一部抜粋して紹介する』、興味深そうだ。
・『電源喪失の真相  先例のない危機のとば口となった巨大津波。それは、いったいどのように福島第一原発の電源を奪っていったのだろうか。 事故から7年近くが経った2017年12月、東京電力は未解明事項の5回目の検証結果を明らかにし、中央制御室で目撃された1号機から2号機へと、実に4分の時間差を経て照明や計器が消えていった不思議な現象に着目して、次のように説明した。 原発沖合の波高計から、原発を襲った津波は、巨大津波の第2波の3つある波のうちの2番目の波で、その高さは13メートルあまりあった。津波は、高さ5・5メートルの防波堤をやすやすと乗り越え、海岸に平行して高さ10メートルの敷地に建てられた1号機から4号機のタービン建屋に、大きな時間差なく到達した。この時刻は、午後3時36分頃。このとき、1号機のタービン建屋の海側にある大物搬入口は、いつもは閉じられている防護扉が作業のため開けっ放しで、シャッターだけが閉められていた。シャッターは、津波がもつ50トンの強い水圧に耐え切れず、ひしゃげて押しつぶされ、大量の海水が建屋内に流れ込む。シャッターの先には、非常用発電機の電源盤が2系統仲良く並んでいた。海水は、2メートルある電源盤のほぼ真ん中の高さを走りぬけた。電源盤は、家庭でいうとブレーカーのようなものである。海水を浴びた電源盤は、たちどころにショートし、繋がっていた地下1階の非常用発電機は、家庭でブレーカーが飛ぶと電化製品が停電するように、その動きを止めた。これが午後3時37分頃のことだった。 一方、2号機のタービン建屋1階の海側には、給気ルーバと呼ばれる非常用発電機の換気口が、ぽっかりと口を開けていた。午後3時36分頃、大量の海水が給気ルーバから一気に地下1階へと流れ込んだ。2号機の非常用発電機の電源盤は、地下1階の電気品室にあった。地下1階に流れ込んだ海水は、電気品室の仕切り扉を乗り越えて、徐々に電気品室に溜まっていき、電源盤をショートさせた。繋がっていた非常用発電機が停止した時間は、午後3時41分頃。こうして、1号機から2号機は4分の時間差をもって、電源を失っていった。これが、津波が押し寄せる様子をとらえた連続写真や、電源盤と非常用発電機のデータを分析して打ち立てた東京電力の「説明」だった。 ここには、津波から避難する前に大物搬入口の防護扉を閉めていなかったことや、大物搬入口すぐ近くに非常用の電源盤を2系統とも並べて配置していたという危機分散の基本がなっていなかった痛恨の教訓がこめられている』、「津波から避難する前に大物搬入口の防護扉を閉めていなかったことや、大物搬入口すぐ近くに非常用の電源盤を2系統とも並べて配置していたという危機分散の基本がなっていなかった痛恨の教訓」、なるほど。
・『ところが、専門家らと福島第一原発の事故検証を続けている新潟県技術委員会は、事故から10年近くが経った2020年10月に公表した報告書で、東京電力の「説明」に疑義を唱えている。その理由は、津波の原発敷地への到達時間が、東京電力の言う午後3時36分台ではなく、もっと遅かったのではないかという点にあった。津波の到達時間については、当初から国会事故調査委員会が津波の連続写真の分析から、原発を襲った津波は、東京電力の言う巨大津波第2波の2番目の波ではなく、その後の3番目の波であり、その到達時間は、午後3時38分台だったと主張している。すると、午後3時37分とされる電源喪失の原因は、原発敷地を乗り越えた津波が電源盤を被水させたためという東京電力の「説明」は崩れてしまう。 新潟県技術委員会は、この説をベースにしながら、電源喪失は、原発の地下に張り巡らされた循環水系や冷却系の配管のどこかが地震で損傷し、そこから津波が流入し、地下1階の非常用発電機が浸水したことによって起きた可能性が否定できないと指摘している。1号機の循環水系の配管は、建設当時、耐震評価されていないことから地震の揺れで損傷した恐れを否定できないというのだ。もし、この「仮説」が真相に近いとすれば、原発地下にある配管の安全性に疑義があるという重大な教訓を突きつけることになる。ただし、この「仮説」を裏づけるためには、タービン建屋地下を詳細に調査し、配管が損傷していることを示す有力な証拠を見つける必要がある。しかし、タービン建屋地下の調査は、事故から10年あまりが経っても強い放射能に阻まれ、実現する見通しすら立っていない。 巨大津波は、どのように福島第一原発の電源を奪っていったのか。その真相は、今もまだ謎に包まれたままなのである。 さらに連載記事<1号機爆発まで24時間50分…東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の「あまりに緊迫した状況」>では、発災直後の緊迫した様子を詳細に語っています』、「1号機の循環水系の配管は、建設当時、耐震評価されていないことから地震の揺れで損傷した恐れを否定できないというのだ。もし、この「仮説」が真相に近いとすれば、原発地下にある配管の安全性に疑義があるという重大な教訓を突きつけることになる・・・この「仮説」を裏づけるためには、タービン建屋地下を詳細に調査し、配管が損傷していることを示す有力な証拠を見つける必要がある。しかし、タービン建屋地下の調査は、事故から10年あまりが経っても強い放射能に阻まれ、実現する見通しすら立っていない。 巨大津波は、どのように福島第一原発の電源を奪っていったのか。その真相は、今もまだ謎に包まれたままなのである」、こんな重大なことが今だに「謎に包まれたまま」というのは初めて知った。

次に、2月20日付け現代ビジネスが掲載したNHKメルトダウン取材班による「「東日本大震災」発生直後、東京・内幸町「東京電力本店・原子力部門」の「緊迫した状況」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/124582
・『東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間13年、のべ1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、単行本『福島第一原発事故の「真実」』は、2022年「科学ジャーナリスト大賞」受賞するなど、各種メディアで高く評価された。今回、その文庫化にあたって、収録内容を一部抜粋して紹介する』、興味深そうだ。
・『東京・内幸町 東京電力本店  福島第一原発から南に230キロ。東京・内幸町の東京電力本店も激しい揺れに襲われていた。 午後2時46分、原子力部門ナンバー2の常務の小森明生(こもり あきお)(58歳)は、会議室で打ち合わせをしていた。波を打つような激しい上下動に見舞われた。震度5強だった。小森は、揺れが収まるのを待って、会議室を飛び出した。東京電力は、電力を供給している地域に震度6弱以上の地震があったとき、2階の緊急時対策室に対策本部を設置することにしている。フロアのエレベーターは、揺れを感知してすべて止まっていた。小森は急いで階段で2階まで駆け下りた。緊急時対策室は、200人を収容できるスペースに、原発や火力発電所のほか各支店の対策本部を結ぶテレビ会議システムを備えていた。小森が対策室に入ったときには、すでにテレビ会議は立ち上がり、大型のディスプレイ画面に各地の対策本部の様子が映し出されていた。 金曜日の午後とあって、本店の緊急要員に指定されている社員が続々と集まってきた。しかし、対策本部長を務めるはずの社長の清水正孝(しみず まさたか)(66歳)はこの日、不在だった。電気事業連合会の会長として、夫人を伴って奈良県の平城宮跡を視察していたのだ。会長の勝俣恒久(かつまた つねひさ)(70歳)も副社長の一人と中国の北京に出張中だった。 原子力部門トップの副社長の武藤栄(むとう さかえ)(60歳)がほどなく駆け込んできた。武藤は東京大学で原子力工学を学び、入社後にカリフォルニア大学にも留学した原子炉と安全解析の専門家で、原発の補修・建設畑が長かった小森にとっては、緊急時に頼りになる存在だった。) 小森と武藤は、原発の状況を確認し合った。 「福島第一と第二はどうなっている?」 「福島第一、スクラム成功」 「福島第二もスクラムしています」 震源に近い福島第一原発は震度6強だった。福島第一原発と第二原発はスクラムに成功していた。冷却装置も始動していることが確認された。 「柏崎刈羽は?」 100万キロワットを超える大型の原子炉7基が並ぶ新潟県の柏崎刈羽原発は、震度5弱で、稼働していた4基の原子炉は運転を続けていた。小森も武藤も対策室のメンバーもほっとしていた。地震で原子炉がスクラムし、停止するのはみな何度か経験している。あとは原子炉を手順どおり冷やしていけばいい。 午後3時を過ぎた頃だっただろうか』、「福島第一原発と第二原発はスクラムに成功していた。冷却装置も始動していることが確認された」、なるほど。
・『「外部電源を失っています」  ひやりとさせる報告がきた。福島第一原発からだった。外から供給を受けていた電気が途絶えたという連絡だった。対策室がざわついた。しかし、小森は慌てていなかった。その福島第一原発の所長を小森は2年にわたって務めていた。外部電源の喪失は事故対応マニュアルに記してある。外からの電気が絶たれても、発電所には軽油で動く非常用発電機とバッテリーも8時間もつ機器が備えられている。 テレビ会議の画面では、8ヵ月前に引き継ぎをした後任の吉田が、そうしたバックアップの電源が所定どおり動き始めていることを報告していた。対策室の空気が和らいできた。 テレビ会議を通して、福島第一原発だけでなく、福島第二原発や柏崎刈羽原発から現状や対処の方法について、報告や指示を求める連絡が次から次に飛び込んできた。対策室はごった返していた。 停止した原子炉内の温度を100℃以下に冷やす「冷温停止」に向けて、みな、担当の仕事をあわただしくこなしていた。 途絶えることのない報告を受けていた小森のもとに、武藤が対策本部から離れるという連絡が入ってきた。東京電力は、中越沖地震の原発火災の際、地元への説明が不十分だったと厳しい批判を受けて、大きな地震発生時は、原子力・立地本部長自らが原発に赴き、地元支援にあたることにしていた。) 武藤は、福島第一原発から南西に5キロ離れた大熊町役場近くに建てられたオフサイトセンターと呼ばれる国や福島県など関係機関が集まって避難対策を協議する拠点に行くことになった。 武藤が小森に近寄り「よろしく頼みます」と短く声をかけ、部下3人と一緒にあわただしく対策室を後にしていった。午後3時半、武藤は本店を出発し、新木場のヘリポートに向かった。 頼りになるはずの武藤がいなくなり、会長も社長も不在の対策室のリーダーは、名実ともに小森となった。責任が小森の肩に重くのしかかってきた。その10分後の午後3時42分のことだった。 「10条の発令をお願いします」 吉田の声だった。本店対策室の緊張が一気に高まった。福島第一原発の免震棟を映し出すディスプレイ画面から円卓を行き交う「SBO!」という言葉が何度も漏れ聞こえた。非常用発電機が動かなくなった。電源が失われた。信じられない異常事態だった。その原因もわからないという。どうすればいいのか。テレビ画面を通して、230キロ離れた東京本店と福島第一原発との間で、もどかしいやりとりが続いていた。 しばらくすると、テレビ画面の吉田が、電源車を用意してほしいと要望してきた。小森は、すぐに本店の配電部門に電源車を福島に送るよう指示を飛ばした。とにかく電源確保だ。そのためには電源車だった。午後4時10分、本店の配電部門から東京電力全店の配電担当者に、電源車を確保するよう一斉に指示が出た。東京電力は各支店に、6900ボルト用の高圧電源車と、100ボルト用の低圧電源車を多数所有していた。20分もすると、配電担当者のもとに、高圧電源車48台、低圧電源車79台が準備できると報告があがった。電源車は、用途によってボルト数や仕様が様々だった。しかし、今は、何より早く到着できるかが問題だった。配電担当者は、どの電源車もすぐに出発するよう指示を出した。福島に近い東北電力にも電源車の救援を依頼した。全国各地から手当たり次第に電源車が福島第一原発に向かい始めた。 ちょうどこの頃だった。午後4時45分、本店対策室の緊迫度をさらに高める状況になった。吉田がテレビ会議で原災法15条を通報したのだ。福島第一原発1号機と2号機の中央制御室では、原子炉の冷却が行われているかどうか確認できないというのだ。 送られてきた15条通報のファックスを手に、小森は言葉を失った。「これはえらいことになるかもしれない」と思った。 一方、新木場に向かっていた武藤は、車の中で電源喪失の連絡を受けた。とにかく一刻も早く福島に行かねばならない。焦る気持ちと裏腹に、普段は20分で行く道が大渋滞となり、車はまったく前に進まなくなった。ついに武藤らは、ヘリポートまで数キロというところで、車を降りて歩いて行こうとした。ところが、歩き始めたら液状化のため、膝まで泥に浸かり、二進(にっち)も三進(さっち)もいかなくなってしまった。困り果てた武藤は60歳にして生まれて初めてヒッチハイクを試みた。緊急時においても親切な人はいるもので、武藤らはヒッチハイクを2回重ねて、泥だらけになって新木場にたどり着いた。待ちかねていたヘリコプターに乗り込んで福島へと飛び立ち、午後6時過ぎ福島第二原発のヘリポートに降り立った。あたりはすっかり薄暗くなっていた。 こうして中央制御室も免震棟も東京本店も、電源を奪われた原発がどうなっていくか、実感もなく想像もつかないまま、日本はおろか世界中を震撼させる未曾有の危機に飲み込まれていったのである。 さらに連載記事<1号機爆発まで24時間50分…東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の「あまりに緊迫した状況」>では、発災直後の緊迫した様子を詳細に語っています。 *本記事の抜粋元・NHKメルトダウン取材班『福島第一原発事故の「真実」 検証編』では、福島第一原発事故を13年にわたって検証取材してきた内容を報告書としてまとめています。ぜひお買い求めください』、「非常用発電機が動かなくなった。電源が失われた。信じられない異常事態だった。その原因もわからないという。どうすればいいのか。テレビ画面を通して、230キロ離れた東京本店と福島第一原発との間で、もどかしいやりとりが続いていた。 しばらくすると、テレビ画面の吉田が、電源車を用意してほしいと要望してきた。小森は、すぐに本店の配電部門に電源車を福島に送るよう指示を飛ばした・・・こうして中央制御室も免震棟も東京本店も、電源を奪われた原発がどうなっていくか、実感もなく想像もつかないまま、日本はおろか世界中を震撼させる未曾有の危機に飲み込まれていった」、なるほど。

第三に、2月20日付け現代ビジネスが掲載したNHKメルトダウン取材班による「「東日本大震災」発生時、「福島第一原発」の事故対応を大きく左右することになった「所長の思い込み」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/124452
・『東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間13年、のべ1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、単行本『福島第一原発事故の「真実」』は、2022年「科学ジャーナリスト大賞」受賞するなど、各種メディアで高く評価された。今回、その文庫化にあたって、収録内容を一部抜粋して紹介する』、興味深そうだ。
・『錯綜する免震棟  中央制御室の異変は、免震棟にもすぐに伝えられていた。 「SBO! DGトリップ! 非常用発電機が落ちた」連絡を受けた発電班長の大声が円卓に響いた。 本部長席の吉田が思わず「えっ?」と声を出した。非常用発電機がやられた? 握りしめていた頼みの綱が唐突に切れてしまったようなものだった。 「大変なことになった」吉田は頭の中でぐるぐると考えを巡らせていた。非常用発電機を生き返らせられないのか。それがなくなったらどうする。イソコンやRCICがあれば、とりあえず、数時間は冷却できる。けれど、次はどうする? しかし、不安がまとわりついた自らの思考を、部下に向けて口には出さなかった。所長の仕事はまず対外的な連絡だった。 吉田は、テレビ会議のマイクをとった。「10条の発令をお願いします」 午後3時42分。原子力災害対策特別措置法にもとづく特定事象、全交流電源喪失が通報された瞬間だった。230キロ先にいる大型ディスプレイに映る東京本店の幹部の顔に驚きが走った。免震棟の円卓を囲む幹部にも緊張と当惑が入り混じった表情が浮かんだ。吉田の隣に座るユニット所長の福良は、「訓練でしか起きたことのない10条がまさか現実になるとは」と、どこか半信半疑の心地だった。 しかし3号と4号もSBOだと報告されていた。 10条通報はまぎれもない現実だった。なぜだ。非常用発電機に何が起きたのか。) このとき、まだ吉田や免震棟幹部の頭の中には、非常用発電機の停止と津波を結びつける回路はなかった。免震棟には窓がなく、外の様子をうかがい知ることはできなかった。免震棟の壁面には、テレビ会議のほかに、NHKや民放テレビ局の放送を6分割で映し出す大型ディスプレイがあった。その画面は、東北地方から関東沿岸まで赤い線がチカチカと光り、大津波警報が発令されていることを告げていた。しかし、この時点で、福島県沿岸の津波の高さは3メートルから5メートルと報じられていた。10メートルを超える津波が原発を襲ったとは、想像がつかなかったのである。 何とか電源を確保しなければならない。ほどなく吉田がテレビ会議で本店に向かって声をあげた。 「電源車を持ってきてください。どこからでもいいから」 このとき、福島第一原発には、1台も電源車がなかった。4年前の中越沖地震で柏崎刈羽原発3号機の変圧器が火を吹いた際、鎮火に2時間もかかったという批判を受けて、福島第一原発にも3台の消防車が配備された。しかし、この時点で、東京電力には、電源喪失という危機に思いを馳せて、電源車を原発構内に配備するという発想はなかったのである。 本店からは、すぐに電源車を手配するという回答が返ってきた。 午後4時を過ぎた頃だった。にわかには信じられない話が円卓に飛び込んできた。 原発敷地の海岸沿いにあった重油タンクが根こそぎ津波で流されたというのだ。さらに、外の避難場所にいた何人もが大きな津波が来たのを見たと報告してきた。 この段階で初めて、吉田は、非常用発電機が動きを止めた原因は、津波ではないかと思い始めた。 「1号、2号の計器が見えないそうです」 発電班長が中央制御室からの新たな報告を伝えてきた。 中央制御室の計器類の電源は、交流の非常用発電機ではなく、直流のバッテリーだった。津波で非常用発電機だけでなく、同じ地下1階にあるバッテリーも水をかぶって動かなくなったのではないか。吉田や幹部は、信じたくない現実に向き合わざるを得なかった。 電源を担当する復旧班長の稲垣武之(いながき たけゆき)(47歳)は、同僚の第二復旧班長と思わず顔を見合わせていた。稲垣は、大学院で機械工学を専攻し、原発の補修畑を歩んできたキャリア組だった。一方、第二復旧班長は、東電学園を卒業後福島第一原発に長く勤め、原発の隅々までよく知っている56歳の叩き上げの技術者だった。奪われた電源を取り戻さなければならない。2人の肩に困難で重い任務がずっしりとのしかかってきた。 吉田は、電源をなんとかするよう2人に指示した。ただ、原発の補修畑を長く歩み機械屋を自負する自分でもどうすればいいのか、良い知恵は浮かんでこなかった。) 電源の復旧だけではない。計器が見えなければ、中央制御室の運転員はどうするのか。原発の運転操作はどうすべきなのか。改めて大変なことになったと吉田は思った。しかし、原発の操作に関しては、運転員たちのほうがプロだ。箸の上げ下ろしまで、ああやれ、こうやれと部下に指示するのは、トップの所長がするようなことではない。運転操作は、中央制御室の運転員や発電班長ら信頼できる現場に任せておくべきものだ。リーダーたる所長のやるべきことは、全体を見据えた指揮であり、今は状況把握と対外連絡と考えていた。 計器が見えないことは、核燃料が冷却されているかどうかわからないことを意味した。それは、全交流電源喪失よりさらに一段高い危機だった。 吉田はテレビ会議に映る本店に向かって声をあげた。 「原災法15条です。15条の通報をお願いします」 午後4時45分。原子力緊急事態にあたる原子力災害対策特別措置法15条が通報された。 本店の幹部が居並ぶテレビ会議の映像からも明らかな動揺が伝わってきた。 原発はスクラムが成功して止まったとは言え、300℃あった核燃料は強い熱を帯びている。その核燃料に水を注ぐことで熱を徐々に冷まし、100℃まで下げる作業が続いていたのだ。その注水が止まったとなると、原子炉温度は、熱を帯びた核燃料によって、再び上昇し始める。その行く末は……。 ただ、この時点で、吉田は、計器が見えなくなったことで、原子炉が冷却されているかわからなくなったが、冷却は続いていると考えていた。1号機はイソコン、2号機はRCICが動いていると思っていたからだ。 ほどなく円卓に、3号機は、バッテリーが生きていて、計器は見えているという連絡が届いた。3号機は、地下1階と1階の間にある中地下室にバッテリーが設置されていた。地下1階にバッテリーがある他の号機より高い位置にあったことが幸いして、津波の被害を免れたのだった。3号機の中央制御室は、バッテリーを使ってRCICを手動で起動させ、原子炉への注水を続けていた。 2号機からは、電源が失われる直前にRCICを手動で起動させたと連絡を受けていた。RCICは、起動するときは電源が必要だが、後は蒸気の力で動き続ける。蒸気の流れを調整する機器を動かすバッテリーが途絶えた今、不安はあったが、動き続けているのではないか。吉田はそう考えていた。 そして、1号機のイソコン。一度起動すると、電気の力を使わなくても、蒸気の力で循環して動く仕組みを持つ。バッテリーがなくても、動き続けるはずだ。「イソコンは動いている」この吉田の思い込みが、後の事故対応を大きく左右することになる。 さらに連載記事<1号機爆発まで24時間50分…東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の「あまりに緊迫した状況」>では、発災直後の緊迫した様子を詳細に語っています。 *本記事の抜粋元・NHKメルトダウン取材班『福島第一原発事故の「真実」 検証編』では、福島第一原発事故を13年にわたって検証取材してきた内容を報告書としてまとめています。ぜひお買い求めください』、「吉田は、計器が見えなくなったことで、原子炉が冷却されているかわからなくなったが、冷却は続いていると考えていた。1号機はイソコン、2号機はRCICが動いていると思っていたからだ。 ほどなく円卓に、3号機は、バッテリーが生きていて、計器は見えているという連絡が届いた。3号機は、地下1階と1階の間にある中地下室にバッテリーが設置されていた。地下1階にバッテリーがある他の号機より高い位置にあったことが幸いして、津波の被害を免れたのだった。3号機の中央制御室は、バッテリーを使ってRCICを手動で起動させ、原子炉への注水を続けていた」、なるほど。

第四に、2月20日付け現代ビジネスが掲載したNHKメルトダウン取材班による「1号機爆発まで24時間50分…東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の「あまりに緊迫した状況」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/124773
・『東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間13年、のべ1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、単行本『福島第一原発事故の「真実」』は、2022年「科学ジャーナリスト大賞」受賞するなど、各種メディアで高く評価された。今回、その文庫化にあたって、収録内容を一部抜粋して紹介する』、興味深そうだ。
・『3・11 そのとき、吉田は 1号機爆発まで24時間50分  窓の外の太平洋に灰色の雲が垂れ込めていた。 2011年3月11日午後2時半すぎ。福島第一原子力発電所の事務本館2階にある所長室で、吉田昌郎((*)56歳 *年齢・肩書はすべて当時のもの)は、机に広げた書類に目を走らせながら、午後3時から始まる会議を待っていた。会議は、原子力部門から他部署に出向している部下たちの報告を受け、部署を超えた交流の成果について話し合うものだった。きょうは金曜日。会議の後には懇親会も開かれる。久しぶりに会う顔なじみの部下と杯を傾け、週末は休めるはずだった。 福島第一原発は、福島県浜通りの太平洋に面した広大な敷地に、6つの原子炉を有していた。1967年にアメリカGE社によって建設が開始され、東京電力が運転する初の原発となった1号機。国内メーカー各社が国産の技術を開発し建設にあたった2号機から6号機。この日、4号機から6号機は定期検査のため運転を停止し、1号機から3号機の3つの原子炉がフルパワーで電気を作り出していた。原子炉の核燃料は臨界状態を維持し、高温高圧の蒸気が巨大なタービンを回して、およそ200万キロワットもの電気を、最大の電力消費地である東京をはじめとする首都圏へと送り出していた。構内では、東京電力や協力会社の社員がそれぞれのマニュアルに従って、規則正しく作業にあたっていた。原発はいつものような週末を迎えようとしていた。 午後2時46分のことだった。吉田は所長室がかすかに揺れ始めるのを感じた。あっ地震だ。反射的に立ち上がった。揺れは次第に大きくなり、立っていられなくなるほどの強烈な上下動になった。これは大きい。がちゃという金属音が聞こえ、テレビがひっくり返った。吉田は机の下にもぐろうとしたが、揺れが激しく185センチほどある長身を思うように動かすことができず、机にしがみついているのがやっとだった。 三陸沖深さ24キロを震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が原発を襲った瞬間だった。震源に近く最も揺れが激しかった宮城県栗原市では最大震度7。震源から180キロ離れた福島第一原発は、震度6強を観測した。 5分は続いたと感じられた長い揺れは、実際には3分後にようやく収まった。 吉田は所長室を飛び出した。目の前に広がる総務班の部屋は、本棚が倒れ、至る所に書類が散乱していた。天井の化粧板がほぼすべて落下し、白い煙のようなほこりがあたり一帯にもうもうと漂っていた。数人の総務班の部下が目に入り、吉田は思わず「どうだっ」と大声を出した。「みんな避難しています」比較的冷静な声が返ってきた。ちょうど1週間前に、避難訓練を行ったばかりだった。吉田は残っていた総務班員と一緒に、1週間前に確認した避難通路を通って、避難場所に定められていた事務本館の西にある駐車場に向かった。ところが、避難通路の途中まで来ると、舞い上がっていたほこりを煙と感知したのか、火災は起きていないのに防火シャッターが下りていて、行く手を阻まれてしまった。何事も訓練通りにはいかない。吉田と部下は、遠回りをして階段を下り、他の所員よりやや遅れて避難場所の駐車場にたどり着いた。駐車場には、すでに大勢の東京電力の社員や協力会社の社員が集まっていた。吉田の目には、ざっと700~800人は集まっていると映った。4号機から6号機が定期検査を行っているため、構内には、作業にあたるメーカーの社員も含めいつもより多い6350人もの人が働いていた。その一人一人の安全が、リーダーである吉田の肩に重くのしかかっていた。この日は、日中になっても気温が10度に届かず、どんよりした雲から小雪もちらつき始めた。寒さに震えている女性社員もいた。吉田は、すぐにグループマネージャーと呼ばれる課長級の社員に指示を出した。「グループごとに安否確認して報告しろ」まず、安否確認であり、何より所員の安全だと考えていた。駐車場では総務班長がトラックの荷台に立ち、拡声器を手にしてグループごとに安否を確認するよう叫んでいた。 吉田は足早に避難場所のすぐ南に建つ免震重要棟に向かった。 免震棟は、8ヵ月前に完成したばかりだった。4年前の2007年7月に起きた新潟県中越沖地震で柏(かしわ)崎(ざき)刈羽(かり わ)原発の事務棟が破損し、対策本部の機能を十分果たせなかった教訓を受けて建設されたものだった。その名のとおり震度7の地震に耐えられる免震構造で、放射性物質を除去する高性能のフィルター付きの換気装置やガスタービンによる大型の自家発電機を完備していた。 小さな体育館ほどある550平方メートルの2階フロアには、25人が座れる楕円形の円卓があり、その円卓を取り囲むように、発電班、復旧班、医療班、通報班など12班の緊急対応の担当チーム用の大型の机が配置されている。緊急時には406人が集まり、事故対応にあたることになっていた。 地震から15分が経った午後3時すぎ、吉田が円卓中央にある本部長席に駆け上がってきた。すでに到着していた発電班長が緊張した面持ちで指示を飛ばしていた。「浮き足立たないで落ち着いて確認しろ」吉田はまず言った。「余震があるかもしれないから、その注意はちゃんとしておけ」と念を押した。 円卓に近い壁面には、200インチある大型プラズマディスプレイ画面が光っていた。緊急時に各原発と本店を結ぶテレビ会議システムだった。東京電力の鉄塔の送電網を走る光ケーブル回線で結ばれたこのシステムは、前年6月に画面を鮮明なハイビジョンテレビに更新し、操作も簡便になっていた。激しい揺れで各社の電話回線が不通になったり、輻輳(ふく そう)したりする中で、中越沖地震で耐震対策を強化したこともあって、テレビ会議システムは支障なく立ち上がっていた。6分割の画面には、本店の緊急時対策室が映し出されていた。本店は「大丈夫か?」「安否確認はどうだ?」とさかんに聞いてきていた。遠く離れた大勢の関係者をリアルタイムに結ぶ、時代を先取りしたこのシステムが、この後の事故対応に微妙な影響を与えていく。 吉田のもとには、各グループから次々と安否確認の報告があがってきた。幸い大きなけが人はなく、最大の心配事がひとまずなくなった。吉田は胸を撫で下ろした。右隣には、1号機から4号機を統括するユニット所長の福良昌敏(ふくら まさとし)(53歳)が座った。福良は吉田の右腕として、福島第一原発の運転指揮にあたってきた幹部だった。 「1号、2号、3号ともスクラムしました」発電班長が報告した。 円卓近くには、ホワイトボードが引っ張り出され、1号機から6号機までの状態が書き込まれた。1号機から3号機の下には、「スクラム成功」と書かれていた。 スクラムとは、制御棒を原子炉に挿入することだ。制御棒は核分裂反応を止めるホウ素でできている。いわば原発のブレーキだった。原発は、大きな揺れを感知すると制御棒が自動的に原子炉の中に入って、核分裂反応を止める仕組みになっている。運転中だった3つの原子炉は想定通りスクラムし、止まったのだ。「大丈夫だ」吉田はそう思った。 「DG起動しています」発電班長が続けて報告した。吉田は即座に「外部電源がやられたのか」と思った。DGとは、Diesel Generator、軽油で動く非常用のディーゼル発電機のことだった。皮肉なことだが、原発は、自分を動かす電気を外から送電線でもらう仕組みになっている。地震で送電線か何らかの電源機器が壊れ、外部からの電源を失ったのだと吉田は推測した。外部電源を失うのは、初めての事態だった。 ただ、外部の電源がなくなったにしろ、非常用発電機は動いている。 「ひと安心というところか」福良はそう思った。「とりあえず電源はあるな」吉田もこの段階では、緊張の中にもいつもの平静さを保っていた。 <職員も初めて聞いた…「東日本大震災」発生直後、福島第一原発で「ゴー」という轟音が響き渡ったワケ>の記事に続きます。 *本記事の抜粋元・NHKメルトダウン取材班『福島第一原発事故の「真実」 検証編』では、福島第一原発事故を13年にわたって検証取材してきた内容を報告書としてまとめています。ぜひお買い求めください』、「4号機から6号機は定期検査のため運転を停止し、1号機から3号機の3つの原子炉がフルパワーで電気を作り出していた。原子炉の核燃料は臨界状態を維持し、高温高圧の蒸気が巨大なタービンを回して、およそ200万キロワットもの電気を、最大の電力消費地である東京をはじめとする首都圏へと送り出していた」、「4号機から6号機は定期検査のため運転を停止」していたのは不幸中の幸いだった。「1号機から3号機の下には、「スクラム成功」と書かれていた。 スクラムとは、制御棒を原子炉に挿入することだ。制御棒は核分裂反応を止めるホウ素でできている。いわば原発のブレーキだった・・・地震で送電線か何らかの電源機器が壊れ、外部からの電源を失ったのだと吉田は推測した。外部電源を失うのは、初めての事態だった。 ただ、外部の電源がなくなったにしろ、非常用発電機は動いている。 「ひと安心というところか」福良はそう思った。「とりあえず電源はあるな」吉田もこの段階では、緊張の中にもいつもの平静さを保っていた」、この時点ではまだ最悪の状態に追い込まれたことが認識できなかったようだ。
タグ:原発問題 (その23)(NHKメルトダウン取材班4題:「巨大津波」はいったいどのように「福島第一原発」を襲ったのか…「電源喪失」の真相、「東日本大震災」発生直後、東京・内幸町「東京電力本店・原子力部門」の「緊迫した状況」、「東日本大震災」発生時、「福島第一原発」の事故対応を大きく左右することになった「所長の思い込み」、1号機爆発まで24時間50分…東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の「あまりに緊迫した状況」) 現代ビジネス NHKメルトダウン取材班による「「巨大津波」はいったいどのように「福島第一原発」を襲ったのか…「電源喪失」の真相」 単行本『福島第一原発事故の「真実」』 「津波から避難する前に大物搬入口の防護扉を閉めていなかったことや、大物搬入口すぐ近くに非常用の電源盤を2系統とも並べて配置していたという危機分散の基本がなっていなかった痛恨の教訓」、なるほど。 「1号機の循環水系の配管は、建設当時、耐震評価されていないことから地震の揺れで損傷した恐れを否定できないというのだ。もし、この「仮説」が真相に近いとすれば、原発地下にある配管の安全性に疑義があるという重大な教訓を突きつけることになる・・・この「仮説」を裏づけるためには、タービン建屋地下を詳細に調査し、配管が損傷していることを示す有力な証拠を見つける必要がある。 しかし、タービン建屋地下の調査は、事故から10年あまりが経っても強い放射能に阻まれ、実現する見通しすら立っていない。 巨大津波は、どのように福島第一原発の電源を奪っていったのか。その真相は、今もまだ謎に包まれたままなのである」、こんな重大なことが今だに「謎に包まれたまま」というのは初めて知った。 NHKメルトダウン取材班による「「東日本大震災」発生直後、東京・内幸町「東京電力本店・原子力部門」の「緊迫した状況」」 「福島第一原発と第二原発はスクラムに成功していた。冷却装置も始動していることが確認された」、なるほど。 「非常用発電機が動かなくなった。電源が失われた。信じられない異常事態だった。その原因もわからないという。どうすればいいのか。テレビ画面を通して、230キロ離れた東京本店と福島第一原発との間で、もどかしいやりとりが続いていた。 しばらくすると、テレビ画面の吉田が、電源車を用意してほしいと要望してきた。小森は、すぐに本店の配電部門に電源車を福島に送るよう指示を飛ばした・・・ こうして中央制御室も免震棟も東京本店も、電源を奪われた原発がどうなっていくか、実感もなく想像もつかないまま、日本はおろか世界中を震撼させる未曾有の危機に飲み込まれていった」、なるほど。 NHKメルトダウン取材班による「「東日本大震災」発生時、「福島第一原発」の事故対応を大きく左右することになった「所長の思い込み」」 「吉田は、計器が見えなくなったことで、原子炉が冷却されているかわからなくなったが、冷却は続いていると考えていた。1号機はイソコン、2号機はRCICが動いていると思っていたからだ。 ほどなく円卓に、3号機は、バッテリーが生きていて、計器は見えているという連絡が届いた。3号機は、地下1階と1階の間にある中地下室にバッテリーが設置されていた。地下1階にバッテリーがある他の号機より高い位置にあったことが幸いして、津波の被害を免れたのだった。 3号機の中央制御室は、バッテリーを使ってRCICを手動で起動させ、原子炉への注水を続けていた」、なるほど。 NHKメルトダウン取材班による「1号機爆発まで24時間50分…東日本大震災が発生した「まさにその瞬間」の「福島第一原発」の「あまりに緊迫した状況」」 「4号機から6号機は定期検査のため運転を停止し、1号機から3号機の3つの原子炉がフルパワーで電気を作り出していた。原子炉の核燃料は臨界状態を維持し、高温高圧の蒸気が巨大なタービンを回して、およそ200万キロワットもの電気を、最大の電力消費地である東京をはじめとする首都圏へと送り出していた」、「4号機から6号機は定期検査のため運転を停止」していたのは不幸中の幸いだった。 「4号機から6号機は定期検査のため運転を停止」していたのは不幸中の幸いだった。「1号機から3号機の下には、「スクラム成功」と書かれていた。 スクラムとは、制御棒を原子炉に挿入することだ。制御棒は核分裂反応を止めるホウ素でできている。いわば原発のブレーキだった・・・地震で送電線か何らかの電源機器が壊れ、外部からの電源を失ったのだと吉田は推測した。外部電源を失うのは、初めての事態だった。 ただ、外部の電源がなくなったにしろ、非常用発電機は動いている。 「ひと安心というところか」福良はそう思った。「とりあえず電源はあるな」吉田もこの段階では、緊張の中にもいつもの平静さを保っていた」、この時点ではまだ最悪の状態に追い込まれたことが認識できなかったようだ。
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維新の会(その10)(日本維新の会に名古屋地裁が異例の「ガサ入れ」した理由がヤバすぎる…維新国会議員をパワハラ告発したら即刻「クビ」、“兵庫のおねだり知事”斎藤元彦と“公務員はタダ働き”大阪維新の凶悪すぎるタッグ…「阪神・オリ優勝パレード」担当はなぜ自死するほど追い詰められたのか、大阪 箕面市長選 新人の原田亮氏が初当選) [国内政治]

維新の会については、本年7月3日に取上げた。今日は、(その10)(日本維新の会に名古屋地裁が異例の「ガサ入れ」した理由がヤバすぎる…維新国会議員をパワハラ告発したら即刻「クビ」、“兵庫のおねだり知事”斎藤元彦と“公務員はタダ働き”大阪維新の凶悪すぎるタッグ…「阪神・オリ優勝パレード」担当はなぜ自死するほど追い詰められたのか、大阪 箕面市長選 新人の原田亮氏が初当選)である。

先ずは、本年7月22日付け現代ビジネス「【独自】日本維新の会に名古屋地裁が異例の「ガサ入れ」した理由がヤバすぎる…維新国会議員をパワハラ告発したら即刻「クビ」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/133883?imp=0
・『裁判官まで出動、証拠品を押収  今年4月30日午前のことだった。国政政党「日本維新の会」の愛知県総支部がおかれる名鉄瀬戸線、尾張旭駅前の雑居ビルの一室に緊張が走った。 急襲したのは、名古屋地方裁判所の職員たちだった。執行官が文書を読み上げ、女性の裁判官も出動し「証拠保全」手続きを行った。裁判所による「ガサ」が打たれ、これは夕方まで続いたのである。 捜索差押許可状などで「ガサ」を入れ強制的に証拠品を押収するのは基本的に警察や検察庁である。裁判所によるガサ入れなど異例のことだ。 「民事事件で証拠隠滅などの恐れがあると判断したとき、裁判所が証拠保全として証拠品の差し押さえをすることができます。たとえば医療訴訟では、カルテの保存期間が5年なので、そうした場合に行われるものです。ただその場合でも、裁判所に訴状が出てから行われることが多い。民事提訴がされる前で、しかも国政政党相手に裁判所がガサを入れるなんて、あまり聞いたことがない」 現代ビジネスの取材に「異例だ」と繰り返しながらこう応えるのは、民事が専門だった元裁判官のひとりだ。 このガサ入れから2ヶ月あまり経った7月10日、名古屋地裁で民事裁判が起こされた。原告は、今年2月まで愛知維新の会に所属していた北名古屋市の小村貴司市議。被告は、愛知維新の会代表の浦野靖人衆議院議員である。 今年2月に、小村市議は愛知維新の会から除名処分を下されており、それが無効であることを求める内容だった。 小村市議は、維新所属の岬まき衆議院議員の秘書を経て、2022年4月の北名古屋市議選で初当選を果たした。岬議員は、過去に選挙公報に虚偽の経歴を記載し、党本部から処分を受けるなど、これまで複数のトラブルが確認されている。 愛知維新の会でも同様だったようで、2023年11月、小村市議のもとに、岬議員の複数の秘書から「パワハラ」「公私混同」などの苦情が寄せられた。小村市議が説明する。 「岬議員の秘書、運転手など10人近くから助けてくれというクレームが寄せられました。私も岬議員から土下座を強要され『お前の根性どこまでひん曲がっている』などと罵声を浴びせられたことがあるので、よくわかります。 日本維新の会の規約では国会議員や地方議員である特別党員以外、ハラスメントの被害の訴えができないシステム。そこで、私が被害にあった元秘書やスタッフをとりまとめて、党のハラスメント相談窓口に訴えを起こしたのです」』、「国政政党「日本維新の会」の愛知県総支部がおかれる名鉄瀬戸線、尾張旭駅前の雑居ビルの一室に緊張が走った。 急襲したのは、名古屋地方裁判所の職員たちだった。執行官が文書を読み上げ、女性の裁判官も出動し「証拠保全」手続きを行った。裁判所による「ガサ」が打たれ、これは夕方まで続いたのである。 捜索差押許可状などで「ガサ」を入れ強制的に証拠品を押収するのは基本的に警察や検察庁である。裁判所によるガサ入れなど異例のことだ・・・民事提訴がされる前で、しかも国政政党相手に裁判所がガサを入れるなんて、あまり聞いたことがない」 現代ビジネスの取材に「異例だ」と繰り返しながらこう応えるのは、民事が専門だった元裁判官のひとりだ・・・「岬議員の秘書、運転手など10人近くから助けてくれというクレームが寄せられました。私も岬議員から土下座を強要され『お前の根性どこまでひん曲がっている』などと罵声を浴びせられたことがあるので、よくわかります」、なるほど。
・『気に入らないと土下座で謝罪させた  現代ビジネスでも、岬議員の元秘書らがパワハラを訴えったLINEを入手している。 《毎日労働時間が14時間ほどとなることが常態化》《(岬議員の私物のために)最大で70万円も秘書が立て替え》《日常的に人格否定、罵声、罵詈雑言の数々。机をたたき相手を追い込む》《夏の炎天下の中で休みもなくポスターノルマ、1日10枚を課す》《岬議員が気に入らないと土下座で謝罪させた》《新型コロナに罹患して休むと、給料が20万円から10万円に下げられた》 
数々のパワハラや不透明な金銭のやりとりが書かれている。これらを小村市議が代表して訴え出た。しかし、1か月、2か月たっても党から回答が得られなかった。維新の弁護士から「待ってほしい」というメールが1度、届いただけだった。 一方で、小村市議は愛知維新の会の副代表・守島正衆議院議員と連絡を取り合っていた。守島氏からは、 《ハラスメント窓口へのアプローチお願いします。僕は報告すべきところにしておきます》とLINEでメッセージが届いていたので安心していたという。 だが2月20日に愛知維新の会は臨時の役員会を開催し、告発した小村市議を除名処分とした。 維新は地方議員に対して、「身を切る改革」として議員報酬の一定額を災害の被災地やボランティア団体に寄付することを求めている。小村市議は「身を切る改革」を実行していないことが除名処分の理由とされた。 愛知維新の会は《「身を切る改革」の実行は本会公認の必須条件であり、選挙公約》《北名古屋市民の皆様との公約を反故にすることは、断じて許されるものではない》と理由を説明している。 「すでにそのころ、身を切る改革の一部は支払いをすませてやっていました。残りの寄付も、今年3月と6月に近く実行することで話をしており、了承してもらっていました。維新では全国的にも、身を切る改革を実行していない地方議員はかなりいます。 いきなり除名処分としたのは岬議員のパワハラを訴える私が煙たくて、意趣返しで除名処分に追い込んだのではないかとみています」 小村市議はそう話す。数々のパワハラや不透明な金銭のやりとりが書かれている。これらを小村市議が代表して訴え出た』、「《日常的に人格否定、罵声、罵詈雑言の数々。机をたたき相手を追い込む》《夏の炎天下の中で休みもなくポスターノルマ、1日10枚を課す》《岬議員が気に入らないと土下座で謝罪させた》・・・愛知維新の会は臨時の役員会を開催し、告発した小村市議を除名処分とした。 維新は地方議員に対して、「身を切る改革」として議員報酬の一定額を災害の被災地やボランティア団体に寄付することを求めている。小村市議は「身を切る改革」を実行していないことが除名処分の理由とされた・・・いきなり除名処分としたのは岬議員のパワハラを訴える私が煙たくて、意趣返しで除名処分に追い込んだのではないかとみています」、なるほど。
・『党規委員会も開催せずに除名処分  冒頭の「ガサ」では重要な証拠が確保できたという。 「4月30日の証拠保全では、私の除名を決めた役員会の動画や議事録などが抑えられました。名古屋地裁がまだ提訴前でも証拠保全を認めてくれたのがよかった。 押さえた証拠からわかったのが、除名処分を決めた役員会は2月18日に開催されていたことです。その翌日には、維新の本部に報告するFAXが送信されていた。規約にもある党紀委員会も開催せずに、除名処分を決めたというのは、手続き違反で処分は無効。かなりあわてていたのだと思います」 小村市議によると、維新の地方組織では長崎県、和歌山県、石川県などでパワハラや政治とカネをめぐるようなトラブルが相次いでいるという。 維新は国政でも馬場伸幸代表と共同代表でもある大阪府の吉村洋文知事の間で対立が勃発している。国会でも政策活動費を巡って一度は自民党と合意するも、すぐに反故にされた。馬場代表は「第二自民党」を主張するが、「自民党と一緒になれば維新はつぶれてしまう」「自民党とぶつかっていく、それがケンカのやり方だ」と吉村知事は猛反発。 7月7日に小池百合子知事が3期目の当選を果たした東京都知事選では、2位と大健闘した、前安芸高田市長の石丸伸二氏を支援するかどうかでも揉めに揉めた。 石丸氏の選対本部長だった藤川晋之助氏がこう明かす。 「選挙前、維新の幹部がごぞって石丸氏と面会しにきたが、政党の推薦などは不要だと断った。ところが、石丸氏が156万票をとる躍進を果たすと維新は後出しじゃんけんのように『石丸氏から推薦してくれと持ち掛けられた』といいはじめた。真相はまったく違う」 内部告発で大混乱し、「死者」も出ている兵庫県の斎藤元彦知事は、吉村知事の元部下だ。維新が推薦し、兵庫県知事となった。 維新の国会議員はこう溜息をつく。 「党の県連本部に裁判所からガサってウワサは聞いたけど、本当だったんですね。都知事選でも候補者を擁立できず、国会でもダメダメぶりを露呈しています。『この党は長くない』とそんな話ばかり出ますね。実際、そう感じます」 国会でも地方でも、お粗末ぶりをさらけだす維新だが、裁判所からの異例の「ガサ」が決定打になるかもしれない』、「石丸氏が156万票をとる躍進を果たすと維新は後出しじゃんけんのように『石丸氏から推薦してくれと持ち掛けられた』といいはじめた。真相はまったく違う」、「維新」の主張は信頼できない。「内部告発で大混乱し、「死者」も出ている兵庫県の斎藤元彦知事は、吉村知事の元部下だ。維新が推薦し、兵庫県知事となった」、「兵庫県の斎藤知事」が「吉村知事の元部下」だったとは初めて知った。

次に、7月30日付け文春オンライン「“兵庫のおねだり知事”斎藤元彦と“公務員はタダ働き”大阪維新の凶悪すぎるタッグ…「阪神・オリ優勝パレード」担当はなぜ自死するほど追い詰められたのか」を紹介しよう。
・『兵庫県の斎藤元彦知事をめぐる問題。果たしてワイドショーなどでやっている「おねだり」疑惑中心の視点でよいのだろうか。 「公益通報」など重要な論点があるが、今回ここで注目したいのは「阪神・オリックス優勝パレード」である。あれはいったい何だったのか。知れば知るほどゾッとするのだ。 まず、先週またしてもショッキングなニュースがあった。 「阪神・オリックス優勝パレード担当 兵庫県元課長が死亡 告発文で『疲労し療養中』と記載 斎藤知事が公表」(毎日放送7月25日) 《兵庫県の斎藤知事を告発した文書で、阪神・オリックスの優勝パレードの業務で疲弊し療養中と記載されていた元課長の男性(53)が、今年4月に死亡していたことがわかりました。》 ここで言う「斎藤知事を告発した文書」とは、この春まで兵庫県で西播磨県民局長を務めていた60歳の男性職員(以下X氏)による文書のことだ。 X氏は3月中旬、知事による部下へのパワハラや視察先企業からの贈答品の受け取りなど7項目の疑惑を指摘した文書を、一部の報道機関や県議に送付。県はX氏が文書作成者だと断定し、X氏の公用PCを押収した。 その2日後、斎藤知事は定例会見で「業務時間中に『うそ八百』を含め、文書を作って流す行為は公務員として失格だ」と述べた。県はX氏を停職3カ月の懲戒処分にした。 X氏は7月7日に急死。「死をもって抗議する」という文言を遺していた(週刊文春7月25日号)。 X氏の告発には2023年11月23日に開催された阪神タイガースとオリックス・バファローズのリーグ優勝を記念したパレードもあった。兵庫と大阪を本拠地とする関西のチームがセ・パ両リーグで優勝したことを祝うために大阪市と神戸市でおこなわれた』、「X氏は3月中旬、知事による部下へのパワハラや視察先企業からの贈答品の受け取りなど7項目の疑惑を指摘した文書を、一部の報道機関や県議に送付。県はX氏が文書作成者だと断定し、X氏の公用PCを押収した。 その2日後、斎藤知事は定例会見で「業務時間中に『うそ八百』を含め、文書を作って流す行為は公務員として失格だ」と述べた。県はX氏を停職3カ月の懲戒処分にした。 X氏は7月7日に急死。「死をもって抗議する」という文言を遺していた」、なるほど。
・『優勝パレードで見え隠れする維新の影  文書には、兵庫県は「必要経費を補うため、信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせた」旨の告発もあった。担当部局は当初1億円で予算要求したが、副知事の指示で4億円に増額したという。 さらに告発文書には「パレードを担当した課長はこの一連の不正行為と難しい調整に精神が持たず、うつ病を発症した」と記されていた。この課長は告発文書が公になった後の4月20日に自死していると週刊文春は7月25日号で伝えた。 そして先週24日、兵庫県は阪神・オリックス優勝パレード担当課長の死を認めた。県は死亡から3カ月にわたって公表していなかった。 3月に斎藤知事をめぐる疑惑が浮上して以降、X氏と優勝パレード担当課長の2人の職員の死亡が明らかになったのである』、「3月に斎藤知事をめぐる疑惑が浮上して以降、X氏と優勝パレード担当課長の2人の職員の死亡が明らかになったのである」、「2人の職員の死亡」とは衝撃的だ。
・『維新には「公務員は働かせてナンボ」という考え方がある  ではあらためて阪神・オリックス優勝パレードを振り返ろう。実は当初から数々の問題が指摘されていた。 「阪神・オリックス優勝パレード 教職員に大阪府 ネット募金要求 「寄付で評価?」組合懸念」(しんぶん赤旗2023年11月9日) 2023年6月、プロ野球交流戦で写真撮影に応じる(右から)斎藤元彦知事、大阪府の吉村洋文知事、万博協会の石毛博行事務総長 時事通信 パレードの開催費用を集めるため、大阪府が府立学校の校長・准校長に、教職員がクラウドファンディング(CF)に協力するよう事務連絡を出したことがわかったと記事は伝えている。 大阪府はパレード開催のため警備費、交通規制告知などに5億円かかると説明。しかし集まりが悪いから教職員に協力を「求めている」という。 さらに大阪府と市は、パレードの現地で来場者の誘導などを担う要員として各1500人のボランティアも募っていた。 「勤労感謝の日に職員3000人を7時間タダ働きさせようとする大阪府・大阪市のヤバさ これが『維新流』?」(東京新聞2023年11月9日 ) 府市トップの所属はいずれも維新だが、記事の中で大阪在住のジャーナリスト吉富有治氏は、 「もともと維新は大阪府市を統合する大阪都構想が党是。その中で『税金の無駄遣いをなくす』ことや『コストカット』を言い続けてきた。根本に『公務員は働かせてナンボ』という考え方がある」と解説。 ここで維新の名前が出てきたが、阪神とオリックスのパレードの資金集めは当初は万博を前面に押し出していた』、「教職員がクラウドファンディング(CF)に協力するよう事務連絡を出した・・・「勤労感謝の日に職員3000人を7時間タダ働きさせようとする大阪府・大阪市のヤバさ」、「職員」の「犠牲」は当然とする維新の会ならではだ。
・『阪神もオリックスも悪くない。優勝のめでたさに名を借りた「万博PR」が批判されていたのだ    《9月下旬の発表では、名前が「兵庫・大阪連携『阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード』~2025年大阪・関西万博500日前!~」と、なぜか無関係の万博が盛りこまれていたため炎上。》(中日スポーツ2023年10月18日) これには「パレードの政治利用だ」と批判が噴出。専門家はスポーツを使って体制側の悪評を隠す「スポーツウオッシング」に当たる、と指摘した。※『優勝パレード、万博PRに? 「政治利用」と批判噴出』(共同通信2023年11月18日) 当時も今も阪神ファンとオリックスファンの中にはせっかくの優勝に水を差されたようで気分がよくない方もいるだろう。 ポイントはまさにそこで、阪神もオリックスも悪くない。優勝のめでたさに名を借りた「万博PR」が批判されていたのだ。 万博の建設費用が当初の計画より高騰し、批判が高まっていた時期だけにどさくさ感があった』、「阪神もオリックスも悪くない。優勝のめでたさに名を借りた「万博PR」が批判されていたのだ」、なるほど。
・『一体何のための、誰のためのパレードだったのか?  さらにパレードでは大阪府・大阪市の職員へのタダ働きや募金要求などが問題となった。維新による公務員残酷物語だ、と。 大阪府の吉村洋文知事はパレード後にXに次のようにポストした。 【速報】阪神とオリックス、史上初の優勝記念同時パレードは計96万人の観客 大阪会場は前回の阪神パレード超える55万人 →監督、選手、パレードに来てくれた人達96万人のこの笑顔。やって良かったよ。メディアからは、散々批判を受けたけどね。この笑顔。これが答え。 午後5:59 ・ 2023年11月23日 ところが今回「カネ集め」に奔走させられた兵庫県のパレード担当課長が自死していたことが明らかになり、そのカネも「信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせた」と告発されていた。 一体何のための、誰のためのパレードだったのか? 万博PRのために懸命になったのも大きな要因にみえるが、万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマである。ゾッとする。 兵庫県の斎藤元彦知事は3年前の知事選で自民と維新が推薦して当選している。「おねだり」以外にも、知事の背景を含め、告発内容にあらためて注目すべきではないか』、「今回「カネ集め」に奔走させられた兵庫県のパレード担当課長が自死していたことが明らかになり、そのカネも「信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせた」と告発されていた。 一体何のための、誰のためのパレードだったのか?・・・兵庫県の斎藤元彦知事は3年前の知事選で自民と維新が推薦して当選している。「おねだり」以外にも、知事の背景を含め、告発内容にあらためて注目すべきではないか」、その通りだ。

第三に、8月26日付けNHK NEWS Web「大阪 箕面市長選 新人の原田亮氏が初当選」を紹介しよう。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20240826/2000087055.html
・『任期満了に伴う大阪・箕面市の市長選挙は、無所属で新人の原田亮氏が初めての当選を果たしました。 箕面市長選挙の開票結果です。 原田亮、無所属・新。当選。3万2448票。 上島一彦、大阪維新・現。1万8309票。 小林友子、無所属・新。3768票。 無所属で新人の原田氏が、大阪維新の会の現職と共産党が推薦した無所属の新人を抑え、初めての当選を果たしました。原田氏は38歳。箕面市議会議員を経て、大阪府議会議員を2期務めました。 原田氏は「今の箕面市を変えてほしい、新しい箕面市をつくってほしいという支援の輪が広がり、大きなうねりを起こして勝利をつかむことができた。バス路線網を変え、緑を増やし、子育て・教育世界一のまちにしていく」と述べました。 大阪府内の首長選挙で大阪維新の会の現職が敗れるのは初めてです』、「維新の会」が足元の自治体の首長選挙で敗北したのは、初めてだ。「兵庫県の斎藤知事」を巡る問題が跳ね返ってきたとみるべきだろう。いよいよ「維新の会」も年貢の収め時なのかも知れない。
タグ:維新の会 (その10)(日本維新の会に名古屋地裁が異例の「ガサ入れ」した理由がヤバすぎる…維新国会議員をパワハラ告発したら即刻「クビ」、“兵庫のおねだり知事”斎藤元彦と“公務員はタダ働き”大阪維新の凶悪すぎるタッグ…「阪神・オリ優勝パレード」担当はなぜ自死するほど追い詰められたのか、大阪 箕面市長選 新人の原田亮氏が初当選) 現代ビジネス「【独自】日本維新の会に名古屋地裁が異例の「ガサ入れ」した理由がヤバすぎる…維新国会議員をパワハラ告発したら即刻「クビ」」 「国政政党「日本維新の会」の愛知県総支部がおかれる名鉄瀬戸線、尾張旭駅前の雑居ビルの一室に緊張が走った。 急襲したのは、名古屋地方裁判所の職員たちだった。執行官が文書を読み上げ、女性の裁判官も出動し「証拠保全」手続きを行った。裁判所による「ガサ」が打たれ、これは夕方まで続いたのである。 捜索差押許可状などで「ガサ」を入れ強制的に証拠品を押収するのは基本的に警察や検察庁である。裁判所によるガサ入れなど異例のことだ・・・ 民事提訴がされる前で、しかも国政政党相手に裁判所がガサを入れるなんて、あまり聞いたことがない」 現代ビジネスの取材に「異例だ」と繰り返しながらこう応えるのは、民事が専門だった元裁判官のひとりだ・・・「岬議員の秘書、運転手など10人近くから助けてくれというクレームが寄せられました。私も岬議員から土下座を強要され『お前の根性どこまでひん曲がっている』などと罵声を浴びせられたことがあるので、よくわかります」、なるほど。 「《日常的に人格否定、罵声、罵詈雑言の数々。机をたたき相手を追い込む》《夏の炎天下の中で休みもなくポスターノルマ、1日10枚を課す》《岬議員が気に入らないと土下座で謝罪させた》・・・愛知維新の会は臨時の役員会を開催し、告発した小村市議を除名処分とした。 維新は地方議員に対して、「身を切る改革」として議員報酬の一定額を災害の被災地やボランティア団体に寄付することを求めている。小村市議は「身を切る改革」を実行していないことが除名処分の理由とされた・・・いきなり除名処分としたのは岬議員のパワハラを訴える私が煙た くて、意趣返しで除名処分に追い込んだのではないかとみています」、なるほど。 「石丸氏が156万票をとる躍進を果たすと維新は後出しじゃんけんのように『石丸氏から推薦してくれと持ち掛けられた』といいはじめた。真相はまったく違う」、「維新」の主張は信頼できない。「内部告発で大混乱し、「死者」も出ている兵庫県の斎藤元彦知事は、吉村知事の元部下だ。維新が推薦し、兵庫県知事となった」、「兵庫県の斎藤知事」が「吉村知事の元部下」だったとは初めて知った。 文春オンライン「“兵庫のおねだり知事”斎藤元彦と“公務員はタダ働き”大阪維新の凶悪すぎるタッグ…「阪神・オリ優勝パレード」担当はなぜ自死するほど追い詰められたのか」 「X氏は3月中旬、知事による部下へのパワハラや視察先企業からの贈答品の受け取りなど7項目の疑惑を指摘した文書を、一部の報道機関や県議に送付。県はX氏が文書作成者だと断定し、X氏の公用PCを押収した。 その2日後、斎藤知事は定例会見で「業務時間中に『うそ八百』を含め、文書を作って流す行為は公務員として失格だ」と述べた。県はX氏を停職3カ月の懲戒処分にした。 X氏は7月7日に急死。「死をもって抗議する」という文言を遺していた」、なるほど。 「3月に斎藤知事をめぐる疑惑が浮上して以降、X氏と優勝パレード担当課長の2人の職員の死亡が明らかになったのである」、「2人の職員の死亡」とは衝撃的だ。 「教職員がクラウドファンディング(CF)に協力するよう事務連絡を出した・・・「勤労感謝の日に職員3000人を7時間タダ働きさせようとする大阪府・大阪市のヤバさ」、「職員」の「犠牲」は当然とする維新の会ならではだ。 「阪神もオリックスも悪くない。優勝のめでたさに名を借りた「万博PR」が批判されていたのだ」、なるほど。 「今回「カネ集め」に奔走させられた兵庫県のパレード担当課長が自死していたことが明らかになり、そのカネも「信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせた」と告発されていた。 一体何のための、誰のためのパレードだったのか?・・・兵庫県の斎藤元彦知事は3年前の知事選で自民と維新が推薦して当選している。「おねだり」以外にも、知事の背景を含め、告発内容にあらためて注目すべきではないか」、その通りだ。 NHK NEWS Web「大阪 箕面市長選 新人の原田亮氏が初当選」 「維新の会」が足元の自治体の首長選挙で敗北したのは、初めてだ。「兵庫県の斎藤知事」を巡る問題が跳ね返ってきたとみるべきだろう。いよいよ「維新の会」も年貢の収め時なのかも知れない。
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日本の政治情勢(その72)(苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い「データで政策効果を検証」ができない政党政治、経済学者が「ポスト岸田」に提言!自民党総裁選で誰が勝っても絶対やるべきこと) [国内政治]

日本の政治情勢については、本年5月10日に取上げた。今日は、(その72)(苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い「データで政策効果を検証」ができない政党政治、経済学者が「ポスト岸田」に提言!自民党総裁選で誰が勝っても絶対やるべきこと、「党運営の時代遅れともいえる実態を正す」自民党次世代リーダー福田達夫・大野敬太郎・小倉將信が〈改革試案〉を緊急提言)である。

先ずは、本年7月23日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏による「苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い「データで政策効果を検証」ができない政党政治」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/782209
・『7月19日に開催された経済財政諮問会議で、EBPM(証拠に基づく政策立案)の強化に向けてアクションプランを取りまとめるよう、岸田文雄首相は指示を出した。 同日の会議に提出された民間議員ペーパーによると、重要政策・計画ごとに収集データや検証方法、実効性あるEBPMの体制等を定める「EBPMアクションプラン」を本年内に策定する、としている』、興味深そうだ。
・『EBPMの発端は「GDP推計の改善」  EBPMとは何か。 Evidence-Based Policy Makingの頭字語だが、それを解説した内閣府の説明文が興味深い。EBPMとは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすること、である。 「エピソード・ベース」とは、たまたま見聞きした事例や経験(エピソード)のみに基づき政策を立案してしまい、これだけでは根拠や分析が不十分となる。これに対して、「エビデンス・ベース」は、変化が生じた要因についての事実関係をデータで収集し、どのような要因がその変化をもたらしたかをよく考え、データで検証して政策を立案するものであると位置づける。 日本において、EBPMが意味ある形で初めて政治の俎上に載ったのは、2016年12月に経済財政諮問会議で決定した「統計改革の基本方針」だった。 当時は、GDP(国内総生産)の推計が不安定だったことから、正確な景気判断のためにGDP統計を軸にした経済統計の改善を図ることと合わせて、EBPMの定着と推進を図ろうとするものだった。自民党内にも、この時期にEBPMに期待を寄せる議員が複数いた。) これを受けて、2017年1月に、内閣官房に統計改革推進室(2023年11月以降は同行政改革推進本部事務局に業務移管)を設置するとともに、菅義偉官房長官(当時)を議長とする統計改革推進会議が設けられ、EBPMのための体制構築などが議論された。そして、同年5月「最終取りまとめ」を公表した。 その中では、EBPMを推進する取り組みを総括する政策立案総括審議官などを各府省に設置し、その下で所管する行政に関してEBPMを進める体制整備を行うよう提言された。それに基づき、現在では各府省に政策立案総括審議官などのポストが設けられている。 こうして、EBPMは官邸主導で推進されるものと期待された』、「内閣官房に統計改革推進室(2023年11月以降は同行政改革推進本部事務局に業務移管)を設置するとともに、菅義偉官房長官(当時)を議長とする統計改革推進会議が設けられ、EBPMのための体制構築などが議論』、「EBPMを進める体制整備を行うよう提言・・・現在では各府省に政策立案総括審議官などのポストが設けられている。 こうして、EBPMは官邸主導で推進されるものと期待された」、なるほど。
・『「過ちを認めない」官僚の特性がEBPMを阻む  しかし、コロナ禍での政策立案では、それと逆行する動きさえあった。真にEBPMが推進されていれば、2020年度から2023年度まで10兆円単位の巨額の補正予算が組まれることはなかっただろう。そこでは、エビデンス・ベースというよりエピソード・ベースが跋扈した。 これまで、なぜEBPMが浸透してこなかったのか。 一因として挙げられるのは、官僚の無謬性である。 官僚は行政において誤ったことはしない、とか誤ったことをするはずがない、という認識がある。加えて、国民の側も、官僚は誤ったことをしてはならない、という見方が強い。そうすると、前任者が決定した政策について、誤っていたとしてもそれを否定するように改めることは難しい。 しかし、EBPMの発想は、「過ちては改むるに憚ること勿れ」である。過ちと気づいたならばためらうことなく改めるべきである。官僚の無謬性にこだわりが強いと、「改めたほうがよい」というエビデンスがあっても受け入れられない。政権交代がほぼない日本においては、なおさらである。) もう一つの原因は、EBPMに使えるデータが整備されていなかったり、分析体制が整っていなかったりすることである。EBPMを推進する体制は、外部人材を多く採用しなければ、一朝一夕には構築できない。 そうした経緯もあって、冒頭に記したように、「EBPMアクションプラン」の策定という議論になった。 ただ、今般の「EBPMの強化」には、これまでの「EBPMの推進」と違うニュアンスを感じる。それは、これから求められる霞が関におけるEBPMの取り組みににじみ出ているように思える』、「真にEBPMが推進されていれば、2020年度から2023年度まで10兆円単位の巨額の補正予算が組まれることはなかっただろう。そこでは、エビデンス・ベースというよりエピソード・ベースが跋扈した・・・今般の「EBPMの強化」には、これまでの「EBPMの推進」と違うニュアンスを感じる」、なるほど。
・『政策効果を検証できるデータはあるか  まず、行政改革推進会議は、国の全事業(約5000事業)について、その具体的内容について記載する行政事業レビューシートの改訂を行った。そこでは、行政事業レビューシートを作成する段階から、担当部局にEBPMの発想を浸透させるべく、政策のロジックモデルを記載するよう求めた。 ロジックモデルとは、政策を実現するために投入される資源(インプット)、政策を実施することに伴う活動(アウトプット)と、その結果、期待される成果(アウトカム)について、論理的関係を説明するフローチャートである。 これまでは、政策を講じる際に用いる達成手段(インプット)と期待される成果(アウトカム)の間の因果関係があいまいだったり、こじつけて関係づけてごまかしたりしていた。 今後は、行政事業レビューシートにおいて、政策のロジックモデルに沿った説明を記載することによって、EBPMに向けた端緒となる。 しかし、それだけではEBPMは貫徹しない。最も重要なのは、政策が奏功したか否かを検証できるデータである。しかも、それは、相関関係ではなく因果関係を突き止めるのに資するデータである。単にデータがあったらそれでよいわけではない。) 政策のインプットを表す変数とそのアウトカムを表す変数があって、2つの変数の間にどのような関係があるかについて、一方が増えるときに、他方が増えるとか減るとかという関係を統計学的に確認することはできる。 しかし、それは相関関係であって因果関係ではない。2つの変数の間に正の相関関係があるからといって、一方の変数が原因で、他方の変数が結果という関係にあると断じてはならない。 しかも、2つの変数以外の別の変数が作用して、一見するとその両者には強い相関関係があるように見えても、実は「見せかけの相関関係」にすぎない場合もある』、経済分性でも「見せかけの相関関係」は大いに気を付ける必要がある。
・『政策対象者だけに変化が生じれば「効果アリ」  因果関係を分析するには、そうした分析が可能な形でデータが入手できなければならない。典型的なケースでは、政策の対象となった企業や個人と対象となっていない企業や個人のデータがそれぞれ入手でき、かつ政策を講じる前と後のデータがそれぞれ入手できると、因果関係の分析が可能になるケースがある。 政策の中には、その対象を絞るケースがある。そうしたケースには、政策を講じる前後の変化と対象者と対象外の者との違いに着目して、その政策にしかるべき効果があったか否かを確認できる。 例えば、ある政策を講じる前は、対象者も対象外の者も違いはなかったものの、政策が講じられた後に対象者にだけある変化が生じたのに対して、対象外の者にはそうした変化がまったく生じていなかった、ということなら、その変化はその政策によって引き起こされたと考えられる。 こうした動きをデータで分析できれば、因果関係を確認することができ、当該政策を原因としてしかるべき成果という結果を引き起こしたという立論が可能となる。こうしたケースならば、まさにEBPMといえるものである。) しかし、いつでもこうした形で因果関係を突き止められるとは限らない。特に、全員を対象とした政策は、対象外となる者がいないため、対象者と対象外の者との間の違いが区別できず、当該政策が原因なのか他の要因が原因なのかが判別できない。 今後策定予定の「EBPMアクションプラン」では、前述のように、収集データや検証方法も視野に入れており、さらなるEBPMの強化が期待される。 こうした取り組みは、なぜ今唱えられているのか。官僚の無謬性があって元来不得手であるEBPMを、ここまで強力に推すからにはワケがあろう。 そのワケは、予算において無理筋な政治的要求を断るための効果的な手段だからだとにらむ』、「こうした取り組みは、なぜ今唱えられているのか。官僚の無謬性があって元来不得手であるEBPMを、ここまで強力に推すからにはワケがあろう。 そのワケは、予算において無理筋な政治的要求を断るための効果的な手段だからだとにらむ」、その通りだろう。
・『エビデンスを示せるのは政治家より官僚  コロナ禍では、与党側から過剰な予算要求が横行した。官僚側もそれに悪乗りした面もあるが、無理筋な予算要求を効果的に止める手段がなかった。 しかし、EBPMでは、提案する政策にエビデンスがないなら却下される。EBPMでは、エビデンスを解明する分析を必要とするが、今のところわが国の政党にはそうした機能があまりなく、むしろ中央省庁にその機能がある。 最後の関門は、EBPMについての首相官邸の理解であろう。 官僚がEBPMに則して政策に効果がないと否定しても、「自らの政策に反対するのであれば異動してもらう」などとして聞き入れなかったり、政策の実施を事務方に事前の相談もなく突如決めたりするような首相官邸の姿勢である限り、誰が総理大臣になっても、わが国にEBPMは定着しない。 EBPMによって、国民のためになる政策が選りすぐられてゆくことが、今求められる』、「最後の関門は、EBPMについての首相官邸の理解であろう。 官僚がEBPMに則して政策に効果がないと否定しても、「自らの政策に反対するのであれば異動してもらう」などとして聞き入れなかったり、政策の実施を事務方に事前の相談もなく突如決めたりするような首相官邸の姿勢である限り、誰が総理大臣になっても、わが国にEBPMは定着しない。 EBPMによって、国民のためになる政策が選りすぐられてゆくことが、今求められる』、「最後の関門は、EBPMについての首相官邸の理解であろう。 官僚がEBPMに則して政策に効果がないと否定しても、「自らの政策に反対するのであれば異動してもらう」などとして聞き入れなかったり、政策の実施を事務方に事前の相談もなく突如決めたりするような首相官邸の姿勢である限り、誰が総理大臣になっても、わが国にEBPMは定着しない」、その通りだ。

次に、8月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「経済学者が「ポスト岸田」に提言!自民党総裁選で誰が勝っても絶対やるべきこと」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/348964
・『自民党は岸田首相の後任を選ぶ総裁選挙を、9月12日に告示し27日に投開票を行う方針だと報じられた。立候補者の多さ、告示期間の長さ、共に異例の展開だという。国政がさまざまな課題を抱える中で、人口減少などに端を発して日本経済が「限界」を迎えていることは明らかである。人々の労働意欲を高め、企業の生産性を上げ、経済の持続的な回復を目指すにはどうしたらいいのか』、興味深そうだ。
・『「新卒一括採用、年功序列、終身雇用」 雇用3点セットはなぜ改革できないのか(世界経済が大きく変貌を遂げる中、わが国の雇用慣行はなかなか変わらない。「新卒一括採用、年功序列、終身雇用」の雇用慣行は、かつて高度成長期には労働力の確保に相応の効果をもたらした。しかし現在、人口減少などわが国経済の「限界」は明らかである。必要な分野で必要な人材が働けるよう、労働市場を改革することが経済の活性化に欠かせない。 欧米の主要国でも、古い雇用慣行のせいで経済成長が阻害されるケースがある。それに対して、1980年代の英国やオランダ、90年代以降のドイツは、いずれも痛みを伴う改革を進めて労働市場の流動性を高めた。その結果、人々の就業意欲は自律的に高まり企業の生産性が回復した例もある。 雇用慣行を一朝一夕に改革するのは難しい。わが国の年金の仕組みは、旧来の雇用慣行を前提にしている。人々の労働意欲を高め、経済の持続的な回復を目指すにはどうしたらいいのか。リスキリング(学び直し)に加え、年金のポータビリティー制度を確立し、職を変える人が不利にならないようにすることが大切だ。つまり、労働市場だけでなく社会保障制度の改革も合わせて議論することが肝心なのである』、「労働市場だけでなく社会保障制度の改革も合わせて議論することが肝心なのである」、なるほど。
・『日本人の「働きがい」が125カ国中で最低レベルのワケ  なぜ、わたしたちは働くか。それは、人生を豊かにするためだろう。趣味のために働く、好きなことを仕事にして自己実現を目指す。所得を得るには人生のかなりの時間を仕事に費やす。やりがい、情熱を感じられれば、働きがいは高まるはずだ。その結果、新しいことへの挑戦が増え、新しい商品やサービス(需要)が創出されて経済が成長する期待も高まる。 ところが、過去30年間、わが国の「働きがい」(ワーク・エンゲージメント)は、主要先進国の中で最低水準にある。ワーク・エンゲージメントとは、オランダのユトレヒト大学のウィルマー・シャウフェリ教授が提唱したものだ。「活力」(仕事中にあふれる活力)、「熱意」(仕事を愛している、誇りを感じる)、「没頭」(仕事に夢中になる)の3つで構成される。 また、米国の調査企業によると、22年まで4年連続で、日本の働きがいの水準はデータのある125カ国中で最低レベルだった。主要因は、バブル崩壊後の景気停滞だろう。1990年1月、わが国では株式バブルが崩壊し、景気は減速し、企業の投資活動なども低下した。そして97年、金融システム不安が発生して大手銀行が次々と経営破綻した。この時すでに雇用慣行は事実上、限界を迎えつつあった。 しかし、わが国の政治は雇用の維持を優先し、労働市場の改革を進めて成長期待の高い分野に経営資源を再配分することを行わなかった。この時、日本全体で近視眼的な損失回避の心理が高まったとも言い換えられる。 一方、世界経済はグローバル化した。90年代に米国ではIT革命が起き、先端企業は高付加価値のソフトウエア分野に選択と集中を行った。また、中国は「世界の工場」としての地位を確立し、これにより世界中で工業製品の価格競争が激化した。さらに、台湾と韓国は、半導体やデジタル家電の受託製造体制の整備にまい進した。 翻ってわが国産業界の競争力は低下した。既存分野に人材が固着し、賃金は伸び悩んだ。その結果、わが国のワーク・エンゲージメントは世界最低水準に甘んじることになる。 他方、株主が経営者に改革を求めることを、エンゲージメントと呼ぶこともある(シェアホルダー・エンゲージメント)。わが国企業の経営者は、株主からのエンゲージメント要請にも十分に対応することができなかった』、「97年、金融システム不安が発生して大手銀行が次々と経営破綻した。この時すでに雇用慣行は事実上、限界を迎えつつあった。 しかし、わが国の政治は雇用の維持を優先し、労働市場の改革を進めて成長期待の高い分野に経営資源を再配分することを行わなかった。この時、日本全体で近視眼的な損失回避の心理が高まったとも言い換えられる・・・わが国産業界の競争力は低下した。既存分野に人材が固着し、賃金は伸び悩んだ。その結果、わが国のワーク・エンゲージメントは世界最低水準に甘んじることになる。 他方、株主が経営者に改革を求めることを、エンゲージメントと呼ぶこともある(シェアホルダー・エンゲージメント)。わが国企業の経営者は、株主からのエンゲージメント要請にも十分に対応することができなかった」、なるほど。
・『海外の過去の好例から何を学べるか 人々の就業意欲と生産性を高める方法  海外では、景気の停滞を克服するため、財政や金融政策で目先の景気を支えつつ、中長期の視点で労働市場などの改革を進めた国があった。80年代、サッチャー政権下の英国は、首相のリーダーシップの下で労働市場改革を比較的スピーディーに実行した。 当時のサッチャー首相は、労働組合中心の雇用の慣行を規制し賃金決定を柔軟化した。失業保険の給付に関しても、所得比例から定額方式に修正した。国有企業の民営化も進め経済全体で市場原理は発揮されやすくなった。 また、70年代にオランダ経済は第1次オイルショックなどの影響で停滞した。その後80年代、オランダ政府は労使の協力を前提に、規制緩和や失業給付の引き下げなどを段階的に実現した。景気停滞を克服し、持続的な経済成長の基盤を整備した。 90年代、ドイツは旧東ドイツ統合の負担などで景気停滞に陥った。一時は、「欧州の病人」などとやゆされた。停滞を脱する起爆剤になったのは、2002年から始まったシュレーダー改革だ。ドイツ政府は、経済全体で市場原理を高め、成長が期待できる分野にヒト、モノ、カネの再配分を促進した。そのために、企業の解雇規制を緩和した一方、職業訓練や紹介制度を拡充した。その際、政府系と民間の職業紹介サービス企業の競争も促進した。 同時にドイツは、失業保険の給付期間を短くした。人々の就業意欲は上昇し、自動車や精密機械など主力産業で雇用のマッチングが進んだ。それは、リーマンショック後の欧州財政危機から、ユーロ圏経済の回復をも支えたと考えられる。 いずれも、失業者の増加など一時的な痛みを伴う改革だったが、労働市場全体の流動性を高め、失業保険など社会保障も見直したことが重要だ。職業訓練・紹介制度も整え、人々の就業意識を高めたことで、全体で生産性は高まった。さらに、失業給付の削減は財政健全化にも有効だった。人的資本の強化こそ経済・社会の効率性向上に欠かせない』、英国でも80年代前半、炭鉱ストをサッチャー首相が断固とした姿勢で握り潰し、それ以降は労働運動は大人しくなった。
・『働き方改革と年金改革は両輪 確定拠出型年金の拡充は道半ば  雇用慣行は、人々の生き方を形成する。サッチャー改革以前の英国は、「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれた手厚い社会保障制度があった。これにより、生産性は停滞し、財政も悪化した。労働組合は構成員の雇用維持を優先したことで、新規参入者である若年層の雇用機会を結果的に奪っていた。それが、サッチャー改革によって経済と社会の推進力が高まった。 日本も今、労働慣行やそれに付随する社会の仕組みを改革することが求められている。わが国の企業年金は、あらかじめ給付額の算定方法が決まっている「確定給付企業年金」と、拠出額は決まっており将来の受取額が個人の資金運用の結果で変化する「確定拠出年金」の二つに分かれる。2023年度末時点の加入者数は前者の方が多い(企業年金連合会の報告)。政府は、「個人型確定拠出年金」(iDeCo)など確定拠出型年金の制度を拡充したが、道半ばだ。 確定給付の年金加入者の場合、定年前に転職すると受取額が減少することもある。そのため、確実な受取額をあえて手放したくないと考える人もいるだろう。景気低迷に加え、企業年金の制度面から個人が不利になる部分があることも、労働市場の流動性向上を妨げ、働きがいの低下につながったと考えられる。企業の収益力が低下し、リスクを避けたいという心理に加え、企業年金制度の改革の遅れも、雇用慣行の改革を妨げた可能性は否定できない。 近年では、年功に基づいた評価制度をやめ、年齢、性別に関係なく能力、収益貢献などの実績で人事評価を行う企業が増えている。6月、わが国の実質賃金は27カ月ぶりのプラスだった。賃上げの持続性は、働きがいを感じ、成長を目指す人の増加、それを通した企業の収益の増加と長期存続に不可欠だ。 諸外国とは条件の違いはあるものの、それでもなお日本は、海外の労働・社会保障制度改革を参考に、学び直しや職業紹介サービスを拡充すべきだ。加えて、政府は、成長を目指し勤め先を変える人が不利にならない環境整備を急ぐべきである』、「日本は、海外の労働・社会保障制度改革を参考に、学び直しや職業紹介サービスを拡充すべきだ。加えて、政府は、成長を目指し勤め先を変える人が不利にならない環境整備を急ぐべきである」、その通りだ。
タグ:経済分性でも「見せかけの相関関係」は大いに気を付ける必要がある。 「真にEBPMが推進されていれば、2020年度から2023年度まで10兆円単位の巨額の補正予算が組まれることはなかっただろう。そこでは、エビデンス・ベースというよりエピソード・ベースが跋扈した・・・今般の「EBPMの強化」には、これまでの「EBPMの推進」と違うニュアンスを感じる」、なるほど。 「内閣官房に統計改革推進室(2023年11月以降は同行政改革推進本部事務局に業務移管)を設置するとともに、菅義偉官房長官(当時)を議長とする統計改革推進会議が設けられ、EBPMのための体制構築などが議論』、「EBPMを進める体制整備を行うよう提言・・・現在では各府省に政策立案総括審議官などのポストが設けられている。 こうして、EBPMは官邸主導で推進されるものと期待された」、なるほど。 土居 丈朗氏による「苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い「データで政策効果を検証」ができない政党政治」 東洋経済オンライン (その72)(苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い「データで政策効果を検証」ができない政党政治、経済学者が「ポスト岸田」に提言!自民党総裁選で誰が勝っても絶対やるべきこと) 日本の政治情勢 「こうした取り組みは、なぜ今唱えられているのか。官僚の無謬性があって元来不得手であるEBPMを、ここまで強力に推すからにはワケがあろう。 そのワケは、予算において無理筋な政治的要求を断るための効果的な手段だからだとにらむ」、その通りだろう。 「最後の関門は、EBPMについての首相官邸の理解であろう。 官僚がEBPMに則して政策に効果がないと否定しても、「自らの政策に反対するのであれば異動してもらう」などとして聞き入れなかったり、政策の実施を事務方に事前の相談もなく突如決めたりするような首相官邸の姿勢である限り、誰が総理大臣になっても、わが国にEBPMは定着しない。 EBPMによって、国民のためになる政策が選りすぐられてゆくことが、今求められる』、 「最後の関門は、EBPMについての首相官邸の理解であろう。 官僚がEBPMに則して政策に効果がないと否定しても、「自らの政策に反対するのであれば異動してもらう」などとして聞き入れなかったり、政策の実施を事務方に事前の相談もなく突如決めたりするような首相官邸の姿勢である限り、誰が総理大臣になっても、わが国にEBPMは定着しない」、その通りだ。 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫氏による「経済学者が「ポスト岸田」に提言!自民党総裁選で誰が勝っても絶対やるべきこと」 「労働市場だけでなく社会保障制度の改革も合わせて議論することが肝心なのである」、なるほど。 「97年、金融システム不安が発生して大手銀行が次々と経営破綻した。この時すでに雇用慣行は事実上、限界を迎えつつあった。 しかし、わが国の政治は雇用の維持を優先し、労働市場の改革を進めて成長期待の高い分野に経営資源を再配分することを行わなかった。この時、日本全体で近視眼的な損失回避の心理が高まったとも言い換えられる・・・わが国産業界の競争力は低下した。既存分野に人材が固着し、賃金は伸び悩んだ。その結果、わが国のワーク・エンゲージメントは世界最低水準に甘んじることになる。 他方、株主が経営者に改革を求めることを、エンゲージメントと呼ぶこともある(シェアホルダー・エンゲージメント)。わが国企業の経営者は、株主からのエンゲージメント要請にも十分に対応することができなかった」、なるほど。 英国でも80年代前半、炭鉱ストをサッチャー首相が断固とした姿勢で握り潰し、それ以降は労働運動は大人しくなった。 「日本は、海外の労働・社会保障制度改革を参考に、学び直しや職業紹介サービスを拡充すべきだ。加えて、政府は、成長を目指し勤め先を変える人が不利にならない環境整備を急ぐべきである」、その通りだ。
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アベノミクス(その36)(経済学者・浜田宏一氏がいま語るアベノミクスの功罪 「安倍首相も自民党に残る男性優位の考え方から解放されていなかった」 内田舞+浜田宏一『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)より、必要な助けを求めるのを躊躇してしまう日本人 状況を改善するために働きかけるアメリカ人ーー病のときに医療とどう向き合うか? 内田舞+浜田宏一『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)より) [国内政治]

アベノミクスについては、2021年8月7日に取上げた。久しぶりの今日は、(その36)(経済学者・浜田宏一氏がいま語るアベノミクスの功罪 「安倍首相も自民党に残る男性優位の考え方から解放されていなかった」 内田舞+浜田宏一『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)より、必要な助けを求めるのを躊躇してしまう日本人 状況を改善するために働きかけるアメリカ人ーー病のときに医療とどう向き合うか? 内田舞+浜田宏一『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)より)である。

先ずは、本年7月31日付け文春オンラインが掲載した「経済学者・浜田宏一氏がいま語るアベノミクスの功罪。「安倍首相も自民党に残る男性優位の考え方から解放されていなかった」 内田舞+浜田宏一『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)より」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/72391
・『アベノミクスのブレーンとして知られる経済学者の浜田宏一氏。その活躍の裏側で長らく躁うつ病に苦しんできた。さらに回復の途上、実の息子を自死で亡くす。人生とは何か? ともにアメリカで活躍するハーバード大学医学部准教授で小児精神科医の内田舞氏を聞き手に、その波乱に満ちた半生を語る。7月19日に発売になった『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)から、精神医学と経済学の相似性について語られた箇所から一部抜粋してお届けします』、「浜田氏」が「うつ」になったとは初めて知った。
・『アベノミクスが実現したこと、やり残したこと  浜田 さて、戦後の歴史を見ると、円安だった時期のほうが日本経済は生き生きとしていた。円安でエズラ・ヴォ―ゲルから「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とおそらく揶揄をも含めて言われていた日本の成長経路は、日本の貿易相手、欧米の産業にとってはハンディがきつすぎたと思います。そこで円高を是正しようとして、米・英・独・仏そして日本の代表がニューヨークのプラザ・ホテルに集まり各国の金融政策を変えて円高の体制に変えようとしたのが、「プラザ合意」です。 円高を保つには、日本の金融政策を諸国より引き締め気味に保っていかねばなりません。それに最大限の協力をしようとして、そしてまた1990年に向けて起こったバブルの後遺症を警戒しすぎて、引き締め政策を長く続けて円高に続けたのが、日銀総裁の三重野康、松下康雄、速水優、福井俊彦(彼は金融緩和をかなり効果的に続けたのですが、ゼロ金利解除を急ぎすぎた。しかし最後に引き締めました)、そして白川方明の各総裁です。これらの日本銀行総裁は、変動為替制度の下では為替レートが金融政策で操作可能なことを十分に理解しなかったか、理解していても正しい政策を実行できなかったわけです。日本が貿易立国を続けるのを完全に阻害し、平成時代の「デフレと沈滞の20年間」をもたらしたのです。 この状態から日本経済を救ったのが、「アベノミクス」を実践し、そのために最適任の黒田東彦日銀総裁を指名した安倍晋三首相でした。第二次安倍政権は、2012年末から始まりましたが、そのもっとも成果を上げたのは、新コロナ禍のはじまる2019年の終わりごろまででした。年度から年度で見て400万人以上の新雇用が生まれたことが知られています。ところで、私に都合よく統計を見ますと、四半期とのデータで、第二次安倍政権の初め(2013年、1-3月)からコロナ勃発の前年(2019年、10月-12月)を比較すると、かする程度ではありますが、実は550万人の新雇用を生んだのです。550万人と一言で言いますが、後楽園ドーム満員の収容人数が約5万5000人ですから、その100個分の雇用が生まれたわけです。新卒の就職状況も緩和して、大学教授がゼミの学生の就職先を心配しないでよくなった。これは、人々に幸福感をもたらしたといえないでしょうか。 非正規社員の雇用、とくに女性の雇用はめざましく増えた。しかし、日本の支配層にあたる中年の正社員の給与はあまり上がらなかった。よい教育を受けて、正社員でいる人の方が必ずしも生産性が高いとは限らないので、これも自然なことではありますが。ただ、みんながたくさん働いて外国からの企業収益も高まって、国民総所得(GNI)も増えたけれども、人々が豊かになった感覚がないと言われているのは、雇用が増えてもそれは非正規の部分が多くて賃金があまり上昇しなかったことによります。安倍さんは、為替レートが高すぎて日本企業が国内で生産できない苦しみを、金融緩和と円安で解消しまし、女性を含め非正規の人が増えた。日本の労働市場の民主化を助けたのです。労働者全体の平均賃金はあまり増えなかったのですが』、「女性を含め非正規の人が増えた。日本の労働市場の民主化を助けたのです。労働者全体の平均賃金はあまり増えなかったのですが」。これはやはり問題だ。
・『もっと冒険してアイデアを育てる政策が必要だった  浜田 これはわたくしの反省でもありますが、安倍さんの時代に国民がもっと冒険してアイデアを育て、労働生産性をあげる政策も同時に必要だったんでしょう。各人の得意な点をより伸ばして個性を磨くような教育を普及しなければならなかった。それに、私も2019年の三度目の消費税増税の決断には反対の意見を述べるべきでした。そういった政策の不備もあって、いまも国民に豊かになった感覚がない状態が続いているようなのは残念です。 内田 550万人の新しい雇用というのは歴史的に見ても偉業ですよね。多くの人が働けるようになったことで国全体の生産量や労働生産性も向上し、新卒者の就職の心配も少なくなった。このように日本経済を豊かにしたのは評価されるべきアベノミクスの貢献ではないでしょうか。 浜田 その点を認めないジャーナリズムは間違っています。 内田 日本社会で一人ひとりがそれぞれのユニークな能力を伸ばして冒険ができるような文化が広がることは私も強く願っていますし、先ほど申し上げた通り、私はそれこそが一番長期的に効果のある経済政策なのではないかと思っています。 ▽何が女性の労働を妨げているのか?(内田 ここで、女性の非正規雇用が増えたということについて質問させてください。もちろん雇用はないよりもあった方がいいので、女性の雇用の受け皿が非正規であれ増えたことは良かったということは間違いないでしょう。しかし、日本の女性の労働者の正社員比率が低く、非正規雇用率が高いことは、やはり男性と比較すると考えさせられるところがあります。男性の非正規雇用も同じく増えているものの、正社員における男性比率が圧倒的に高く、この差異は男女間の大きな賃金格差をはじめとする経済的ジェンダーギャップの大きな要因でもあると語られています。 こう考えると、女性の職が増えたことが事実であっても、低賃金で雇われる女性労働者が増えたことは、誰にとっても暮らしやすくなったとは安易に言えないところもあるのではないかと思うのですが、この点はどのようにお考えでしょうか。 浜田 そうですね。現状を見ると本来なら実現されるべき同一労働、同一賃金の姿はかけ離れた形で雇用全体だけ増えたのを喜んでいていいのかが、正しい意味でのアベノミクス批判として残ります。日本女性の貢献度、活躍度を国際的に比較してみても、各先進国に劣るのをどう考えるかというのが、舞さんの指摘でしょう。 ただ、たんなる雇用量の改善、そして女性雇用量の改善も基本的に重要で、その点ではアベノミクスは当時の状況ではよく機能したことは間違いがないのです。とはいえ、理想の労働市場の姿から言えば、日本の労働市場に男女同一賃金、同一能力=同一賃金の原則が成り立つように変えていかねばならないのです。 内田 そのためには具体的にどういった道筋が考えられるのでしょう?  浜田 手始めとして、いまの女性労働の活用を阻害している、税法にある主婦の年収約130万円近くにある共稼ぎの壁を撤廃する必要があります。これはおそらく、女性をなるべき家庭のとどめようという男性本位のイデオロギーに依拠した法制であると思います。つまり、いま共稼ぎの主婦が年106万円、または約130万円を超えて働こうとすると、それ以下で免除されていた社会保障税を支払わなければならなくなっている。これが、非正規労働の女性の一層長く就業しようとする意欲を妨げています。 したがって、この壁がなかったならば、アベノミクスの女性労働増加はもっと顕著であったと考えられるのです。またこの制度の下では、雇用者も、賃金を増やすと税金も増えますよという形で、女性労働者を安く使うインセンティブが生まれるのです。世界的に見ても、日本で職場での女性の活躍度が低いのはこのような制度的条件、税法上のハンディが女性にはあるからです』、「日本が貿易立国を続けるのを完全に阻害し、平成時代の「デフレと沈滞の20年間」をもたらしたのです。 この状態から日本経済を救ったのが、「アベノミクス」を実践し、そのために最適任の黒田東彦日銀総裁を指名した安倍晋三首相でした。第二次安倍政権は、2012年末から始まりましたが、そのもっとも成果を上げたのは、新コロナ禍のはじまる2019年の終わりごろまででした」、個人的には「アベノミクス」を持ち上げ過ぎだと感じる。「この制度の下では、雇用者も、賃金を増やすと税金も増えますよという形で、女性労働者を安く使うインセンティブが生まれるのです。世界的に見ても、日本で職場での女性の活躍度が低いのはこのような制度的条件、税法上のハンディが女性にはあるからです」、これはその通りだ
・『「安倍首相も自民党に残る男性優位の考え方から解放されていなかった」  浜田 要するにアベノミクスの円安誘導とそれにともなう量的改善は有効でしたが、そこで男女の本質的な平等を実現するには、より根本的に法制度を含めた質的改善が必要なのです。このような制度的条件が不備であり、自民党にまだ残る男性優位の考え方から安倍首相も全く解放されていなかったのです。そのあたりにアベノミクスに対する世間の関心が冷えている理由があるのかもしれません。そして以上のことは、アドバイザーとしてのわたくしの自己反省であり、将来に向けては現岸田政権に対する要望でもあります。 内田 アベノミクスが実現した成果は大きいけれども、同時に浜田さんとしてはやり残したと思われる点もあるのですね。日本政府に残る男性優位的な価値観にも踏み込んで具体的に発言してくださってありがとうございます。きっと読者の方もこの箇所を読んでハッとされるのではないかと思います。 男性優位な価値観が自民党政治に留まらず日本社会全体において揺るがないこと、まさにそこが最後の砦だと私もアメリカにいてもどかしく感じるところなのですが、その砦を崩すには日本にどういったことが求められると考えられていますか。 浜田 まずは、日本のように学歴がいいだけで会社にいつまでも勤めていられる制度は、日本経済の成長阻害要因です。男女それぞれの能率の良さで賃金は払われなければなりません。 安倍さんはわたくしとの対談で、安倍家で初めは夫が60万の月給をもらっていたのに、妻が月給10万円で働けるようになったという事態を提起しています。家計は(したがって国民経済も)総合的に改善します。正規雇用と非正規雇用を分ける市場は問題がありますが、失業がなくなるのが第一で、雇用を増やすことにより国民全体が豊かになったことは確かです。そこからさらに男女均等にするには、別の努力が必要ですね』、「失業がなくなるのが第一で、雇用を増やすことにより国民全体が豊かになったことは確かです。そこからさらに男女均等にするには、別の努力が必要ですね」、その通りだ。
・『「女性の働き方」の問題は男性の問題でもある  内田 私がハーバードの研修医だった頃、指導医から「研修医として果たすべき責任は全員同じで、そして休む権利も同じようにある」と言われたことを思い出します。男性でも女性でも同じ責任を果たす機会が与えられ、果たした責任が同じであれば、同じ給与と待遇を得られるべきでしょう。 また、責任という点で、日本では女性が家事育児を担う時間が男性の5.5倍であるという調査が発表されました。家事育児という誰かがやらなければならない無償労働の責任と評価に不均衡があることも含めて、ジェンダー不平等問題は法や政策を使ったアプローチと同時に、教育や啓発による意識のアップデートも国全体で必要な状況だと感じます。 浜田さんがいい学歴さえあれば会社にずっと勤めていられる日本の労働システムの問題点を挙げられましたが、学歴一つとっても、女の子は男の子に比べて進学を期待されない無意識のバイアスがあったり、あるいは近年露呈したように、医学部入試では男性と同じ点数を取っても女性が入学できないような仕組みも暗黙裡に残されています。あるいは就職してからも、男女に寄せられる期待度には依然として開きがあり、同じ企業の中で学歴も実力も同等かそれ以上であっても、男性に比べて昇進がまわってこないような構造的差別のなかで女性たちは生きています。 また、こういった労働に関わるイシューは「女性の働き方の問題」として扱われがちですが、女性が働きにくい労働環境というのは実は男性をも苦しめているものだと思います。例えば、医学部入試の女性差別問題が発覚した際に、多くの医師が「出産する女性医師が欠けることで病棟は破綻するから、なるべく女性を医師にさせない施策は必要だ」と語りました。 こういった意見を聞いて、私は女性差別は他の問題、具体的には長時間労働の隠れ蓑にされていると思いました。病気や怪我は誰に起こるかわからないし、あるいは休暇は誰でも必要なのに、一人でも欠けたら破綻するほど過酷な職場での長時間労働が当たり前とされていること自体がそもそも問題だと思います。そしてその前提が男性には自明のこととされていていることもまた問題だと思ったのです。医師の過労死や自死率は男女ともに他の職種よりも高いことも考えると、ジェンダーに目が行きがちな話題ですが、同時に根幹にはもっと根深い問題も潜んでいるのですよね。 税制のことも、雇用のことも、全て個人の生活や社会のあり方にまで直接影響することであり、あらゆる角度からのアプローチが必要なのかと思います。 浜田 そうですね。そのためにも、まずは雇用を増やし、次にその雇用の条件や内容を吟味する、などと手を付けられる問題を一つずつこなしていくことが大切ですね。このようにどうしたら国民を豊かにしたらよいかに頭を使っていると、自分がうつ病であるということを忘れてしまうわけですね。 (内田舞氏の略歴はリンク先参照) (浜田宏一氏の略歴はリンク先参照))』、「病気や怪我は誰に起こるかわからないし、あるいは休暇は誰でも必要なのに、一人でも欠けたら破綻するほど過酷な職場での長時間労働が当たり前とされていること自体がそもそも問題だと思います。そしてその前提が男性には自明のこととされていていることもまた問題だと思ったのです。医師の過労死や自死率は男女ともに他の職種よりも高いことも考えると、ジェンダーに目が行きがちな話題ですが、同時に根幹にはもっと根深い問題も潜んでいるのですよね。 税制のことも、雇用のことも、全て個人の生活や社会のあり方にまで直接影響することであり、あらゆる角度からのアプローチが必要なのかと思います」、その通りだ。

次に、この続きを、7月19日付け文春オンライン「必要な助けを求めるのを躊躇してしまう日本人、状況を改善するために働きかけるアメリカ人ーー病のときに医療とどう向き合うか? 内田舞+浜田宏一『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)より」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/72071
・『アベノミクスのブレーンとして知られる経済学者の浜田宏一氏。その活躍の裏側で長らく躁うつ病に苦しんできた。さらに回復の途上、実の息子を自死で亡くす。人生とは何か? ともにアメリカで活躍するハーバード大学医学部准教授で小児精神科医の内田舞氏を聞き手に、その波乱に満ちた半生を語る。7月19日発売の『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)から一部抜粋してお届けします。(全2回の2回目/前編を読む)』、興味深そうだ。
・『「重いうつ病」という診断  浜田 このような日常を送るにつれうつ気分が進み、「これでは大変」だと思って、イェールの職員のための診療所に行って初診をしてもらいましたら、「重いうつ病」だと診断されました。それまで、うつ的な症状を実は経験しながらも、自分は精神科医とは全く無関係と思っていた私には驚きでした。医者はまったく笑わずこちらを見ていて、まるで患者たちの全手の重荷を背負っているような風情でした。こちらがうつだから冷たく見えただけかもしれませんが。 内田 いただいた手記には、最初は全然笑わないから印象はネガティブだったけれども、でも実際に初診が終わってからは、うつの症状が少し軽減したと書いてありましたね。 浜田 そのように言っていましたか。その医師が今度はある街の精神科医を紹介してくれました。僕が“ケミスト(chemist)”と呼びたくなるような薬一辺倒の人でした。なぜケミストと呼ぶかというと、彼とはわたくしの精神状態を議論した覚えはほとんどなく、私が高コレステロール症といったとたんに抗コレステロール薬の話に花が咲いたことがあったからです。とはいっても彼が入院を勧めてくれたので実は恩人の一人なのですが。パメラーを処方されました。 内田 三環系というひと昔前によく使われていた抗うつ剤ですね。 浜田 でもなかなか良くならなかった。当時、薬を飲みながらも講義はしていたものの、眠気は絶えず襲ってくるし、頭に靄がかかったような感じで全然自信がなくなって、博士課程の院生の授業が教えられなくなったんですね。修士課程の授業には集中できたけれど、博士課程を教えるのはどんどん難しくなっていった。 内田 うつの症状で頭が働かなかったせいもあると思います。また、近年使われている抗うつ薬の副作用はずいぶん減ってきましたが、当時使われていた三環系の薬は頭をぼんやりさせてしまう副作用もあったので、それで頭に靄がかかったように感じられたのかもしれないですね。 浜田 初診の診療所の医者は、「ロラゼパムというマイナー・トランキライザーを処方しますか」と言っていましたが、僕はそのとき「要らない」と言ったんですね。これは大失敗だったのかもしれない。そして彼に紹介された「ケミスト」の先生は、マイナー・トランキライザーは抗うつではなく、むしろ昂うつ剤で、結局はうつを悪化させてしまうので飲まないように、という方針でした。アルコールのような依存性があるからと。すると心の休まる時間が一日中ないのです』、「「ケミスト」の先生は、マイナー・トランキライザーは抗うつではなく、むしろ昂うつ剤で、結局はうつを悪化させてしまうので飲まないように、という方針でした」、「「ケミスト」の先生」の方針が正しかったことになる。
・『抗うつ薬に依存性はあるのか  内田 ロラゼパムはベンゾジアゼピンというカテゴリーに入る薬で、ひと昔前は「マイナー・トランキライザー」、直訳すると「少し鎮静化させる薬」と呼ばれておりました。 このカテゴリーの薬は、その場で高まっている感情、特に怒りや不安を下げてくれる薬で、どうしたらいいかわからないと感じるパニック状態などには最もよく効くものです。高所恐怖症の方が飛行機に乗らなければならないとき、先端恐怖症の方が予防接種を受けるときなどに予防的に飲むこともありますね。ただ、確かに依存性があるので、効果のベネフィット(利点)と依存性のリスクのバランスを、その人、その状況によって判断する必要があります。 もちろん依存性は回避したいものですが、ここでは投薬のリスクとともに投薬をしないリスクも考えなければなりません。ついつい副作用や依存性といった投薬のリスクに目が行きがちですが、逆に投薬を避けて、どうしようもない不安に駆られる時間が続いてしまうのもとても苦しいことです。そういった状況では、不安を取り除いてあげることのベネフィットが上回ることも多いのです。 そして、薬というのは処方の仕方次第でリスクを低くおさえることもできます。私自身、医師としては、なるべく低いリスクで一番高いベネフィットをもたらすようなプランを常に考えようとしていますね。さらに、不安とうつは頻繁に共存して、お互いを悪化させ合うものです。高まる不安や強い不快感などをベンゾジアゼピンで取り除くことで、うつ気分が少し改善するということもあるので、マイナー・トランキライザーが必ずしも「うつを悪化させる」わけではないように思えます。 浜田 なるほど、そういう説明は初めて聞きました。 私が経験したうつ病には、「日まわり症状」といって、午前中にうつが強くなって、午後になるとつらさが和らぐサイクルがありました。これは1986年に病院に入ってからのことですが、朝になると今日こそは薬なしで我慢しようと毎日頑張ったわけです。でもうつの状況がよくならず、いよいよその薬(ロラゼパム)を医局室の窓口までもらいに行くとなった時のみじめな感じをよく覚えています』、「不安とうつは頻繁に共存して、お互いを悪化させ合うものです。高まる不安や強い不快感などをベンゾジアゼピンで取り除くことで、うつ気分が少し改善するということもあるので、マイナー・トランキライザーが必ずしも「うつを悪化させる」わけではないように思えます」、なるほど。
・『薬に頼ること=敗北、ズルという考え方  内田 この薬なしでは一日耐えられなかったという敗北感のような感覚だったのでしょうか。 浜田 まさに敗北感です。しかし、その薬なしでは死んでしまいたい気持ちになることもありました。 内田 そうですか。「薬を飲むこと=敗北」のように捉える見方はいまもありますし、メンタルの不調で薬に頼るのはよくないという考えはうつ病患者さんだけではなく、社会で広く共有されているところがあります。でも、私はそう感じる必要はないと思うのです。 もちろん薬ではなく、心理療法や、趣味、運動や人との交流による気分転換、環境への働きかけなどで抑うつ気分が治るのであれば、その方がいいとは思います。しかしそれらの手段をどんなに試してもよくならないうつ症状もあれば、さらにうつ気分が重症すぎて気分転換すら手につかないという状況もあります。そんなときにもし気持ちを回復させてくれる安全な薬があるのであれば、それは選択肢の一つであってもいいのではないでしょうか。 頭痛がするときには頭を冷やしたり、首の筋肉をもみほぐしたりしますよね。それでも痛みが止まないときには頭痛薬を飲んだり、あるいは頭痛の原因となっている疾患を治療します。それと同じように、抑うつ気分も薬によって症状を軽くすることで心の痛みが軽減することはあるし、うつ病という病の治療に薬が必要なことも多いのです。 それは決して失敗でも敗北でもなく、自分のケアをしているだけなのです。そういった考え方へと少しずつ個人個人、そして社会の認識が変わっていけば、もしかしたらうつ病に苦しむ人がいまより減るかもしれない、現に苦しんでいる人がもう少し早い段階で助けを求められるようになるかもしれない、と思います』、「抑うつ気分も薬によって症状を軽くすることで心の痛みが軽減することはあるし、うつ病という病の治療に薬が必要なことも多いのです。 それは決して失敗でも敗北でもなく、自分のケアをしているだけなのです。そういった考え方へと少しずつ個人個人、そして社会の認識が変わっていけば、もしかしたらうつ病に苦しむ人がいまより減るかもしれない、現に苦しんでいる人がもう少し早い段階で助けを求められるようになるかもしれない、と思います」、なるほど。
・『必要な助けを求めるのを躊躇してしまう日本人  浜田 日本人は特に苦しんでいても、必要な助けを求めるのを躊躇してしまいますね。アメリカだったら、自分がある問題で悩んでいるとなれば、「まずは専門家に相談してみたら」とサポートにつながることを促されたり、あるいは「あなたを困らせている人と交渉してみたら」とその状況を変えるための働きかけを示唆されることが一般的ですよね。でも日本では、「自分に悪いところがないかもまず考えてみなさい」となるのではないでしょうか。 内田 あとは日本では「とにかく耐えなさい」と我慢を強いられることが多いかもしれませんね。 先日、ボストンに住んでいる同世代の日本人の方に街で偶然出会ったときに、その人がご自身の不安について話されたことがありました。そこで私は、認知行動療法をはじめ、不安を和らげるストレスマネージメントやリラクゼーションの方法を少し紹介した後に、「必要であれば、こういう薬も効くよ」と思いつく選択肢をパパッとアドバイスのつもりで伝えたんですね。そうしたら、薬の話をした途端に、「そんなチート(cheat)するのなんて嫌ですよ」という反応が返ってきて。 浜田 ああ、ズルをすると思われたんですか。 内田 不安をコントロールするためにはいろんな手段があって、その一つの中に薬も入っていてもいいと思うんです。でも精神科の治療薬に関しては、必要が生じて頼ることになったとしても、処方されては「負け」あるいは「ずるい」というネガティブな印象がもたれているのだなと感じた会話でした。 浜田 ズルをするということに関して、思い出すことがあります。私がうつになったあとで、日本の尊敬する経済学者から「浜田くんは学問がうまく行かないことをうつのせいにして、言い訳をしている」と言われたことがありました。この言葉にはあとで述べるような経済学、数理経済学の本質にかかわるような問題提起もあるのですが、精神医学上、これはうつ患者に対して言ってはならないことでしょう。私としては、とても辛い経験だったのにもかかわらず、「言い訳」として捉えられてしまった。 内田 それは酷いですね。しかし、残念ながら近年も同じような話をよく耳にします。  例えば、テニスの大坂なおみ選手が自身の抑うつ気分について語り、メンタルヘルスを守るために試合直後の記者会見には出席しないと発言したときには、多くの人が「うつを言い訳にして、義務を放棄している」と彼女を非難しました。あるいは逆に、「うつなのに、ファッション誌の撮影はできるのか」と仕事を選択的にこなせていることを取り上げて、「こういった仕事ができているのであれば、うつではないはずだ」と彼女を嘘つき扱いをしたのです。 うつなどの精神科の病があったとしても、それで社会的機能がすべて失われるわけではなく、むしろうつに苦しむ人のほとんどは仕事や家事育児をこなしながら生きています。たとえば足の怪我をしたときに、長時間の立ち仕事はできなくとも、座りながらの事務作業ならばできるといったこともあるでしょう。しかし痛みが強すぎたら、座りながらの仕事でさえ手につかなくなることもある。同じようにうつも症状によって、できることとできないことがあるのは当然で、重症の場合には生活のすべてに影響が及ぶものなのです。 また、大坂選手は試合後の記者会見を取りやめた理由として、試合が終わったばかりの気持ちが未整理のタイミングで、記者からの批判的な質問に晒される場に自分自身を置きたくないという説明がありました。次の試合が控えていればなおさらです。こういった自尊心を守る選択というのは、うつであったとしてもなかったとしても、あるいは大坂選手のように公の目にさらされるテニスプレーヤーであったとしてもなかったとしても、誰もが自分のためにしていい選択だと思うのです』、「こういった自尊心を守る選択というのは、うつであったとしてもなかったとしても、あるいは大坂選手のように公の目にさらされるテニスプレーヤーであったとしてもなかったとしても、誰もが自分のためにしていい選択だと思うのです」、なるほど。
・『希死念慮とはーー「この世界から隠れたい」と思うまで  内田 手記の中では、うつの状態が重くなっていくのを感じられる過程も書かれていましたね。当時の奥様に「あんなに大好きだった音楽を楽しめなくなったのはおかしいよね。」と言われたことがうつの重症度を物語っていた、との記述が大変印象的でした。好きだったはずのことも楽しくない、楽しめないというのはうつの大きな特徴ですね。 浜田 はい、大好きだった音楽会も楽しめなくなりました。治療中でも鬱々として音楽会に行きたいと言うと、家内が一緒にニューヨークに日帰りで連れて行ってくれたのを覚えています。 主に天井桟敷でしたが、メトロポリタン・オペラで未見だったオペラの『ボリス・ゴドゥノフ』、モーツアルトの『魔笛』などを見ることができました。また、ベートーヴェンのピアノ協奏曲を全部弾くというシリーズを聴きに行ったこともあります。しかし、うつ気分の中では、アバドとポリーニという大演奏家の演奏を聴いても、ただ機械的に演奏しているように聴こえてしまった。 僕の趣味は童謡やクラシックの作曲なのですが、後に自作集のCDを作っていただいた中野雄先生は、大演奏家でも時々、音楽的センスから言うと冴えない演奏をすることがあると。特にその2人は浮き沈みが高いから、自分のせいだけと考えないほうがいいと後になって言われました。しかし、音楽も楽しめなくなってしまったのはその通りで、「これは重大な事態だ」と自分でも気づくきっかけだったんです。 コネチカット州にノーウィッチという温泉がありまして、日本の温泉とはずいぶん違って、ゆっくり浸かって気分が豊かになるという趣ではないんですが、家内がうつに効くかもと連れて行ってくれました。しかし、ニューヘイブンに戻る帰り道ではまた講義が不安で暗雲に包まれた気持ちになってなかなか心が晴れない。次第に手紙を開けるのさえ、悪い知らせがあるのではないかと怖くなって、ごく限られた親しい人を除いては付き合いを避け、「この世界から隠れたい」という気持ちが強まってきました。 そんなことでだんだん疲れてきて、あるとき夜思い余って一人になったら、自分の頭が破裂しそうだと感じました。これ以上この生活を続けていると自分がだめになるという恐怖にさらされました。自分はいくつもの間違いをおかして人生を台無しにしてしまった、子どもたちや家内の反対にもかかわらず安定した有名大の地位もなげうって間違った道を選んでしまった、そんな間違いをするなんて自分はダメな人間だ、という思考が止まらなくなった。 ジェームズ・トービンという私の先生は、単にノーベル経済学賞授賞者であるだけでなく、経済学史上に残る大先生で、僕のことを心配しては食事に誘って慰めてくれたりもしました。しかし、料理屋で近くの食卓に座る人が、わたくしの講義を批判してくる大学院生に妄想で見えてくることがありました。そうすると、いつしか自殺したいという思いが出てくる。この苦しみはなかなか終わらない。どうしたら無事に自殺できるかまで考えるようになったんです。 (内田舞氏の略歴はリンク先参照) 浜田宏一氏の略歴はリンク先参照)』、「ジェームズ・トービンという私の先生は、単にノーベル経済学賞授賞者であるだけでなく、経済学史上に残る大先生で、僕のことを心配しては食事に誘って慰めてくれたりもしました。しかし、料理屋で近くの食卓に座る人が、わたくしの講義を批判してくる大学院生に妄想で見えてくることがありました。そうすると、いつしか自殺したいという思いが出てくる。この苦しみはなかなか終わらない。どうしたら無事に自殺できるかまで考えるようになったんです』、「希死念慮」は確かに厄介だが、どのように克服したのだろう。それにしても、「トービン」氏が「食事に誘って慰めてくれたりもしました」とはさすがだ。
タグ:(その36)(経済学者・浜田宏一氏がいま語るアベノミクスの功罪 「安倍首相も自民党に残る男性優位の考え方から解放されていなかった」 内田舞+浜田宏一『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)より、必要な助けを求めるのを躊躇してしまう日本人 状況を改善するために働きかけるアメリカ人ーー病のときに医療とどう向き合うか? 内田舞+浜田宏一『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)より) アベノミクス 文春オンライン 「経済学者・浜田宏一氏がいま語るアベノミクスの功罪。「安倍首相も自民党に残る男性優位の考え方から解放されていなかった」 内田舞+浜田宏一『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)より」 『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書) 「浜田氏」が「うつ」になったとは初めて知った。 「女性を含め非正規の人が増えた。日本の労働市場の民主化を助けたのです。労働者全体の平均賃金はあまり増えなかったのですが」。これはやはり問題だ。 個人的には「アベノミクス」を持ち上げ過ぎだと感じる。「この制度の下では、雇用者も、賃金を増やすと税金も増えますよという形で、女性労働者を安く使うインセンティブが生まれるのです。世界的に見ても、日本で職場での女性の活躍度が低いのはこのような制度的条件、税法上のハンディが女性にはあるからです」、これはその通りだ 「失業がなくなるのが第一で、雇用を増やすことにより国民全体が豊かになったことは確かです。そこからさらに男女均等にするには、別の努力が必要ですね」、その通りだ。 「病気や怪我は誰に起こるかわからないし、あるいは休暇は誰でも必要なのに、一人でも欠けたら破綻するほど過酷な職場での長時間労働が当たり前とされていること自体がそもそも問題だと思います。そしてその前提が男性には自明のこととされていていることもまた問題だと思ったのです。医師の過労死や自死率は男女ともに他の職種よりも高いことも考えると、ジェンダーに目が行きがちな話題ですが、同時に根幹にはもっと根深い問題も潜んでいるのですよね。 税制のことも、雇用のことも、全て個人の生活や社会のあり方にまで直接影響することであり、あらゆる角度からのアプローチが必要なのかと思います」、その通りだ。 文春オンライン「必要な助けを求めるのを躊躇してしまう日本人、状況を改善するために働きかけるアメリカ人ーー病のときに医療とどう向き合うか? 内田舞+浜田宏一『うつを生きる 精神科医と患者の対話』(文春新書)より」 「「ケミスト」の先生は、マイナー・トランキライザーは抗うつではなく、むしろ昂うつ剤で、結局はうつを悪化させてしまうので飲まないように、という方針でした」、「「ケミスト」の先生」の方針が正しかったことになる。 「不安とうつは頻繁に共存して、お互いを悪化させ合うものです。高まる不安や強い不快感などをベンゾジアゼピンで取り除くことで、うつ気分が少し改善するということもあるので、マイナー・トランキライザーが必ずしも「うつを悪化させる」わけではないように思えます」、なるほど。 「抑うつ気分も薬によって症状を軽くすることで心の痛みが軽減することはあるし、うつ病という病の治療に薬が必要なことも多いのです。 それは決して失敗でも敗北でもなく、自分のケアをしているだけなのです。そういった考え方へと少しずつ個人個人、そして社会の認識が変わっていけば、もしかしたらうつ病に苦しむ人がいまより減るかもしれない、現に苦しんでいる人がもう少し早い段階で助けを求められるようになるかもしれない、と思います」、なるほど。 「こういった自尊心を守る選択というのは、うつであったとしてもなかったとしても、あるいは大坂選手のように公の目にさらされるテニスプレーヤーであったとしてもなかったとしても、誰もが自分のためにしていい選択だと思うのです」、なるほど。 「ジェームズ・トービンという私の先生は、単にノーベル経済学賞授賞者であるだけでなく、経済学史上に残る大先生で、僕のことを心配しては食事に誘って慰めてくれたりもしました。しかし、料理屋で近くの食卓に座る人が、わたくしの講義を批判してくる大学院生に妄想で見えてくることがありました。そうすると、いつしか自殺したいという思いが出てくる。この苦しみはなかなか終わらない。どうしたら無事に自殺できるかまで考えるようになったんです』 「希死念慮」は確かに厄介だが、どのように克服したのだろう。それにしても、「トービン」氏が「食事に誘って慰めてくれたりもしました」とはさすがだ。
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日本郵政(その19)(民のカネを投入してまで維持する意味があるのか」組織に根付いた"郵便局体質"の害悪 民間企業で十分カバーできるのに、ゆうちょ銀行 「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう、ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること) [国内政治]

日本郵政については、昨年3月26日に取上げた。今日は、(その19)(民のカネを投入してまで維持する意味があるのか」組織に根付いた"郵便局体質"の害悪 民間企業で十分カバーできるのに、ゆうちょ銀行 「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう、ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること)である。

先ずは、昨年6月5日付け現代ビジネス「日本国民は気づいていない「郵便局長組織」のヤバすぎる実態…毎年40億円が吸い上げられていく」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/111188?imp=0
・『「全特」とも呼ばれる郵便局の裏組織・全国郵便局長会。各地方、地区の郵便局長会を土台とした郵便局長たちによる上意下達のピラミッド型組織だが、その実態は明らかになっていない。そのような組織の“闇”を暴き出した新刊『郵便局の裏組織』より、内部での異様なカネの流れを明らかにしていこう』、興味深そうだ。
・『マンション投資にまで乗り出した  広島駅から歩いて10分ほどの国の名勝「縮景園」。広島藩の初代藩主・浅野長晟が造らせた大名庭園を見下ろすように、地上13階建てのマンションは隣接している。 2016年築で、ワンルーム24戸と2LDK12戸の計36戸。賃料は30平米台のワンルームが7万〜9万円台。60平米弱の2LDKで14万〜15万円台が中心で、典型的な投資用1棟マンションだ。 所有しているのは、一般財団法人である中国地方郵便局長協会だ。所在地や役員は、任意団体である中国地方郵便局長会とほぼ同じで、法人格のない局長会に代わり、不動産保有や積立金運用などによる収益事業を行っている。いわゆる「サイフ」役の組織である。 マンションの登記簿謄本によると、中国地方郵便局長協会が山口銀行から、計7億円を年0.7%の金利で借りていた。2021年末時点では満室で、賃料収入は年間4837万円。借入利息や管理委託費、固定資産税で年1千万円超の出費があるものの、法人による不動産投資としては十分な利回りが見込めそうだ。 中国地方郵便局長協会がマンション経営に乗り出したのは、「10年後の収益事業に資する目的」だと内部文書に記されている。協会自体の目的は「郵便局の業務の円滑な運営及び会員相互の扶助に関する事業」によって「郵政事業の発展に寄与・地域貢献活動を推進」すると定款で定めている。 マンション投資が郵政事業にどう資するかは不明だが、超低金利環境が続くなか、局長向けの融資だけでは稼ぎにくくなったため、新たな収益源の開拓を「不動産投資」に見いだしたとみられる。) マンション投資に乗り出した事例は、ほかにもある。 九州郵便局長協会も、熊本市の中心部にある熊本大学病院のそばに、投資用マンション1棟を保有している。2001年築の6階建てで、九州郵便局長協会が2019年9月に無担保で購入したものだ。 1階には歯科クリニックが入居、40平米台の1LDKを中心に十数戸あり、2021年3月期には計1460万円の家賃収入があった。修繕費などの371万円を引いても1089万円の利益があり、不動産投資としては好調だ。 自社ビルでのテナント経営は、古くから続く。全国郵便局長会(全特)が財団法人を介して東京・六本木に全特ビルを所有するように、全国に12ある地方会のうち、少なくとも四つの地方会がそれぞれの拠点に自前のビルを建てて保有している。ビル内には郵便局を入居させるなどして、賃料収入を得ている。 中国地方郵便局長協会の場合、冒頭のマンションからもほど近い一等地に6階建ての自社ビル「中特会館」を持ち、1階に入居する郵便局も含めて、年4千万円超のテナント収入を得ていた。1970年竣工で電気系統機器の故障や漏水が続発したため、2023年に解体して「中特ビル(仮称)」を建て直す。新たなビルにも郵便局を置こうと画策しており、中長期の安定収益を見込んでいる。 局長組織の潤沢な投資マネー。元手となるのは、会員たちの身銭である』、「全国に12ある地方会のうち、少なくとも四つの地方会がそれぞれの拠点に自前のビルを建てて保有している・・・元手となるのは、会員たちの身銭である」、なるほど。
・『酷熱の河川敷でソフトボール  2019年9月7日、40度近い残暑が続いた東京・八王子の河川敷。青空にときおり打ち上がる白球を追いかけながら、ユニフォーム姿の男たちが歓声を上げていた。 都内16のソフトボールチームが全国大会への出場をかけて争うトーナメント戦。六つの野球グラウンドで、敗者復活や3位決定戦も含めて1日で22試合の熱戦が繰り広げられた。試合の参加者だけで200人規模。応援団や審判も入れると300人以上が週末の河川敷に集まり、汗を流した。ほぼ全員が局長である。 ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く。 1990年から続く恒例行事で、最近は新型コロナの影響で中止されてきたが、2022年から徐々に再開し、秋には沖縄県で全国大会を催した(試合は雨に見舞われ、ジャンケン大会に代わった)。 2019年の東京地方会では、出場者はみな地区会の名前が入ったユニフォームを身にまとい、運営スタッフのTシャツも地方大会のためにデザインされたものだ。計6面の野球グラウンドにそれぞれ数人の審判員を配置し、バットやグローブといった備品もそろえる。 ソフトボール大会にかかる費用は、局長限定のお遊びだけに、さすがに日本郵便の経費をあてるわけにもいかず、会員から徴収するお金が元手になる。うっかり全国大会に勝ち抜くと、臨時の遠征費まで払わされる。こうして費用を積み上げていくと、会員の負担がいかに重たいかが浮かび上がる』、「ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く・・・ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く」、なるほど。
・『巨額の集金システム  局長1人が組織のために払わされる費用の総額は、ヒラの局長でも年20万円を優に超える。積立金や保険の支払いなどを足せば、金額はもっと大きい。臨時の出費も少なくなく、部会長や地区役員といった役職に就くと徴収額はさらに増える。局長の数で単純計算すれば、少なく見積もっても年40億円超が全国で安定的に吸い上げられるシステムになっている。 年収が額面ベースで800万円程度の40代の局長を事例に、局長会活動の費用負担を概算で示すと、下記の表のようになる。 局長が負担するお金はピラミッド組織の各階層から徴収される会費だけで、年20万円前後に上る。多くの局長は就任してまもなく、局長会主催の「新任局長研修」といった場で銀行口座の引き落とし伝票を書かされる。勝手がわからないうちに「そういうものだ」と思い込ませ、自動引き落としのシステムに局長の口座をはめ込んでおく。 任意団体である郵便局長会には法人格がないため、契約を交わしたり、不動産物件を保有したりするときには、一般財団法人の地方郵便局長協会が使われる。局長から集めた積立金を元手に、局長向けの融資で利息を稼ぎ、会館やマンションといった不動産事業によって賃料収入を得る。積立金は、局長の退職時や局舎の建設時などに払い出される。 局長協会が提供する団体共済も、各地の地方会、地区会でノルマ化されている例が多い。) 局長1人につき自動車と火災、生命共済などで1件ずつ加入させるのが鉄則で、地方会事務局が地区会ごとの達成率をまとめた「推進管理表」や「未加入者リスト」を作成。総務担当の局長会役員が部会長を通じて未加入の局長に圧力をかけて回る。新米の局長には、郵便局の提携保険を解約させてでも乗り換えさせる。財政難の協会ほどノルマや進捗管理が厳しくなる。 郵政退職者連盟は、地域ごとで異なる名前の地方組織があり、現役の局長も加入させられる。選挙で協力してもらうOBへの義理立てで、毎年恒例の総会や旅行、マージャンなどに付き合う。旅行や総会に一定数の局長を参加させ、積立金や臨時出費を請求されるケースもある。 全特の元幹部が役員を務める法人が扱う地方の名産品を、郵便局の物販サービスで扱わせたり、組織を通じて局長に買わせたりしている例もある。元全特会長の個人会社が扱う青森のリンゴジュース、元副会長が手がける北海道の夕張メロンあたりが典型だ。 局長会では「防災士」の資格取得も推進している。毎年一定数の局長が1人数万円をかけて資格を得ている。費用の一部を部会費などで補助する場合もあるが、多くが局長の負担であることに変わりはない。 さらに、全特が例年5月に開く総会に参加させられるときも、そのつど10万〜20万円の臨時出費が課せられる。 部会や地区会レベルでは、強制参加の懇親行事や飲み会が数多い。局長会の会員として組織のために負担する費用は、ことのほか重い』、「局長1人につき自動車と火災、生命共済などで1件ずつ加入させるのが鉄則で、地方会事務局が地区会ごとの達成率をまとめた「推進管理表」や「未加入者リスト」を作成。総務担当の局長会役員が部会長を通じて未加入の局長に圧力をかけて回る。新米の局長には、郵便局の提携保険を解約させてでも乗り換えさせる。財政難の協会ほどノルマや進捗管理が厳しくなる」、さすがノルマと「進捗管理」に長けた組織だ。「部会や地区会レベルでは、強制参加の懇親行事や飲み会が数多い。局長会の会員として組織のために負担する費用は、ことのほか重い」、想像以上に負担が重そうだ。

次に、3月6日付け東洋経済オンライン「ゆうちょ銀行、「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/738905
・『ゆうちょ銀行は2月28日、8年ぶりとなる社長交代を発表した。 池田憲人社長は3月31日付で取締役と社長を退任し、4月1日付で笠間貴之副社長が昇格する。約200兆円もの貯金を抱える巨大金融機関の舵取りを任されたのは、長年ゆうちょの運用部隊を率いてきた人物だ』、「長年ゆうちょの運用部隊を率いてきた人物」だが、「2015年11月。当時、ゆうちょはゴールドマン・サックス証券」から移ってきたようだ。
・『「中で見つめてきた人がいい」  「(外部登用ではなく、ゆうちょを)中で見つめてきた人がいいだろうと。指名委員会ではかなりの議論をした」。3月1日に開いた記者会見で、池田社長は社長人事の経緯をこう述べた。 2007年の民営化以後、ゆうちょは5人の社長を迎えてきた。いずれも国内の行政や金融機関、事業会社での勤務経験が長い。対照的に、笠間氏はゴールドマン・サックス証券などの外資系証券会社で債券や証券化商品の運用を担ってきた。) 笠間氏がゆうちょに参画したのは2015年11月。当時、ゆうちょはゴールドマン・サックス証券やバークレイズ証券といった外資系企業から、株式や債券、デリバティブなど各部門の運用担当者を相次いで起用した。 「ゴールドマン・サックス証券時代の先輩が(ゆうちょに)入社し、『運用改革をするから、一緒に携わってくれないか』と誘いがあった」(笠間氏)。笠間氏を含めて当初7人だった外資系出身のトレーダーを、当時の長門正貢社長は「七人の侍」と称した』、給与は触れられてないが、きっと高かったのだろう。
・『外国証券・投信が国債残高を逆転  背景にあるのが、ゆうちょが推し進めてきた「脱国債」だ。銀行の名を冠しながら融資業務をほとんど認められていないゆうちょは、収益の大部分を有価証券運用に依存する。民営化当初は貯金の大半を日本国債で運用していたが、低金利政策で国債の利ザヤは潰れる一方だった。 そこでゆうちょは、ハイリスク・ハイリターンな金融商品の運用へと軸足を移す。民営化直後の2008年3月末と株式上場直前の2015年3月末における有価証券運用残高を比較すると、150兆円あった国債が3分の2に減った一方、残高がほとんどなかった外国証券や投資信託は30兆円超にまで膨らんだ。 2015年11月に株式上場を果たすと、ゆうちょ銀行はいっそうの利益成長を求められる。「侍」たちの引き抜きは、有価証券運用でさらなる収益を上げる必要に迫られる中で行われた。) 「国内の金利低下に対応して、運用資産を日本国債からリスク性資産に大きくシフトしてきた。運用のパラダイムシフトと呼び、PE(プライベートエクイティー)などのオルタナティブ投資を含めて多様化・分散化してきた」と、笠間氏は語る。 2023年12月末時点で、外国証券や投信の運用残高は83.3兆円と国債の41.6兆円にダブルスコアをつけ、PEや不動産といったオルタナティブ資産の残高も10兆円に達している。 市場部門のマネジメント職を歴任してきた笠間氏を新社長に据えるゆうちょにとって、目下の経営課題は2つある。1つは、有価証券運用やリテール業務と並ぶ、新たな収益柱の育成だ。 新社長発表と同日、ゆうちょはPE投資を担う子会社「ゆうちょキャピタルパートナーズ」の設立を金融庁に申請した。同社は2016年度からPE投資を始めたが、投資先はもっぱら海外企業だ。加えて、ゆうちょは投資家として出資するだけで、ファンドの組成や運用には携わっていなかった。 新会社では、ゆうちょ自らファンドマネジャーの役割を担い、国内企業へのPE投資を推進する。郵便局の店舗網や地域金融機関のネットワークを活用し、地域で活動する中小企業を発掘する』、「新会社では、ゆうちょ自らファンドマネジャーの役割を担い、国内企業へのPE投資を推進する。郵便局の店舗網や地域金融機関のネットワークを活用し、地域で活動する中小企業を発掘する」、目利きの能力はどう磨くのだろう。
・『金利上昇局面で問われる次の一手  もう1つは、金利上昇局面でのポートフォリオ構築だ。折からの海外金利の上昇を受けて、これまで収益を下支えしてきた外債では外貨調達コストが膨らみ、一部の北米オフィスビル向けローンでも引き当てが生じている。 同様に、金利に先高観がある国内では国債への回帰が焦点となりそうだ。ゆうちょの国債運用残高は2022年末の37兆円を底に、足元では反転している。日本銀行による金融緩和政策の修正で長期金利が上昇し、日本国債の投資妙味が増しているためだ。 「今まで日銀当座預金に60兆円程度を置いていたが、これからは日本国債の投資に振り向けたい」と、笠間氏は意気込む。 金融庁や大手銀行などからの「落下傘社長」が続いたゆうちょにとって、笠間氏は民営化後初の内部昇格でもある。有価証券運用やリテールなど、社内で業務経験を積んだ人物の社長就任が今後も続けば、人事面でも「民営化」に近づくことになりそうだ』、「人事面でも「民営化」に近づくことになりそうだ」とは、どう考えても、羅漢的に過ぎるようだ。

第三に、7月8日付け現代ビジネス「ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること」を紹介しよう。
・『放っておけば「経営が持たない」  日本郵政の経営が迷走している。祖業である郵便事業の赤字を主因に、2024年3月期連結決算は2期連続の最終減益に沈んだ。 今年10月には郵便料金の大幅な引き上げに踏み切るが、「2年後には赤字に逆戻りする」(日本郵便幹部)という危機的な状況。郵便事業の立て直しは焦眉の急だが、増田寛也社長(1977年旧建設省、元総務相)をはじめ、日本郵政経営陣は明確な手立てを見出せていない。 それどころか、令和国民会議(令和臨調)の共同代表や財政制度審議会の会長代理など公職をいくつも抱える増田氏は、人口減少問題への対応や財政健全化に関する提言など“副業”に熱心な様子。 「放置すれば、経営が持たなくなる」と危惧した総務省は水面下でポスト増田の人選を探るが、「政治銘柄」の日本郵政のトップを引き受けようなどという奇特な財界人はそうそう現れそうにない。 内閣支持率の低迷で岸田文雄政権のレームダック化が進む中、自民党の郵政族議員の間では郵政民営化法を改正して、日本郵政やグループ3社(日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)に対する国の経営関与を強める「先祖返り」を目指す動きまで出ており、経営の先行きは混迷を極めている』、「自民党の郵政族議員の間では郵政民営化法を改正して、日本郵政やグループ3社(日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)に対する国の経営関与を強める「先祖返り」を目指す動きまで出ており、経営の先行きは混迷を極めている」、「先祖返り」とは飛んでもない話だ。
・『自民党「族議員」と「集票マシーン」「このままでは数年で郵便事業はやっていけなくなる。郵政民営化法の)改正が急がれる」 自民党の郵政族議員らでつくる「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」が4月下旬に開いた総会。会長の山口俊一・衆院議院運営委員長(元総務副大臣)は約170人の参加議員を前にこう気勢を上げた。 議連が検討する郵政民営化法の改正案は、国政選挙における自民党の「集票マシーン」全国郵便局長会(全特)の意向を全面的に反映したものだ。 慢性赤字の日本郵便を、国の3分の1超の出資が残る親会社の日本郵政と一体化して経営基盤を強化するとともに、ゆうちょ銀行(日本郵政が現在約61%出資)と、かんぽ生命(同約49%出資)の株式の完全売却方針を撤回、日本郵政が株式3分の1超を持ち続けるのが柱となっている。 小泉純一郎政権以降の政府の郵政民営化方針を覆すような内容だが、全特にとっては政治力の源泉である地方の小規模な郵便局(旧特定郵便局)も含め全国2万4000の郵便ネットワークを確実に維持する道筋が付く』、「自民党の郵政族議員らでつくる「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」が「慢性赤字の日本郵便を、国の3分の1超の出資が残る親会社の日本郵政と一体化して経営基盤を強化するとともに、ゆうちょ銀行(日本郵政が現在約61%出資)と、かんぽ生命(同約49%出資)の株式の完全売却方針を撤回、日本郵政が株式3分の1超を持ち続けるのが柱』、業務の自由化は郵政民営化が条件だったので、従来の認可制に戻ることになる。
・『ゆうちょ銀行の「郵便局離れ」  山口会長ら議連幹部は当初、この改正案を議員立法で通常国会に提出する構えだった。ただ、自民党の派閥裏金事件を受けた政治資金改正法改正案に多くの審議時間が取られたこともあり、「臨時国会への提出を目指す方針に仕切り直しした」(同議連幹部)。 関係筋によると、郵政族議員や全特が将来の郵便局削減への危機感をにわかに高めた背景には、ゆうちょ銀行の郵便局離れの動きがあったとされる。 他の民間金融機関と同様に、窓口業務をネットバンキングサービスに置き換えて経営効率化を図りたいゆうちょ銀は今年に入り、この意向を日本郵便に正式に伝達した。 これに、ゆうちょ銀から受け取る業務委託手数料(年間3200億円弱)が減ることを恐れた日本郵便が猛反発。ゆうちょ銀社長が今春、日本郵便の経営に理解があった横浜銀行出身の池田憲人氏から、合理主義経営で鳴らすゴールドマン・サックス証券出身の笠間貴之氏に交代したこともあり、両社の関係は抜き差しならない状況となったという。 本来なら、親会社の日本郵政が調整すべき問題だが、増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ。代わって全特や自民党族議員が、日本郵政やゆうちょ銀に銀行窓口業務を縮小しないように圧力をかける動きを強め、法改正論議にまで発展した』、「窓口業務をネットバンキングサービスに置き換えて経営効率化を図りたいゆうちょ銀は今年に入り、この意向を日本郵便に正式に伝達した。 これに、ゆうちょ銀から受け取る業務委託手数料(年間3200億円弱)が減ることを恐れた日本郵便が猛反発。ゆうちょ銀社長が今春、日本郵便の経営に理解があった横浜銀行出身の池田憲人氏から、合理主義経営で鳴らすゴールドマン・サックス証券出身の笠間貴之氏に交代したこともあり、両社の関係は抜き差しならない状況となったという。 本来なら、親会社の日本郵政が調整すべき問題だが、増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ。代わって全特や自民党族議員が、日本郵政やゆうちょ銀に銀行窓口業務を縮小しないように圧力をかける動きを強め、法改正論議にまで発展した』、「増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ」、無責任ぶりもここに極まれりだ。
・『先が思いやられる  情けないのは、グループ総帥である増田社長のこの間の言動だ。 本来、「一丁目一番地」の任務であるはずの郵便事業立て直しの有効策を打ち出せないばかりか、自民党議連に対して「法改正で郵便局の位置付けが明確になれば、抜本的な財政支援につながる期待がある」などと迎合したという。 周辺筋は「元全特会長の柘植芳文氏(元総務副大臣)ら自民党の先生の機嫌を損ねないための方便」などと庇うが、民営化推進のリーダー役のトップがこんな体たらくでは、先が思いやられるというものだ。 2020年に社長に就任した増田氏は、鳴り物入りで「物流・デジタルの協業」をぶち上げた楽天グループへの1500億円もの出資が目ぼしい成果を生まないまま、楽天株価の急落で巨額の減損処理を食らう羽目になるなど、経営手腕自体も疑問視されている。 「官僚上がりのトップでは日本郵政グループの経営改革はやはり無理」と見切りを付けた総務省は、前事務次官の内藤尚志氏(1984年旧自治省)や前官房長の竹村晃一氏(1989年旧郵政省)を中心に水面下でポスト増田の社長候補を探ってきた。 ただ、初代の西川善文氏(元三井住友銀行頭取)をはじめ歴代社長は、政治と対立したり、不祥事で引責辞任を迫られたりして、ことごとく財界人としての晩節を汚している。自民党族議員や全特による“経営介入”も日常茶飯事だ。 このため「火中の栗を拾う人物が容易に見つかるとは思えない」(霞が関の経済官庁幹部)のが実情だ。かくして増田氏は6月19日の株主総会で再任され、社長5年目に突入したが、郵政民営化の先行きには暗雲が広がる』、「官僚上がりのトップでは日本郵政グループの経営改革はやはり無理」ではあっても、「民間」には「火中の栗を拾う人物が容易に見つかるとは思えない」ため、「増田氏は・・・再任され」たようだが、このままでは「日本郵政」は古い形のまま塩漬けとなり、日本経済の効率性を阻害する懸念も強い。
タグ:現代ビジネス「日本国民は気づいていない「郵便局長組織」のヤバすぎる実態…毎年40億円が吸い上げられていく」 (その19)(民のカネを投入してまで維持する意味があるのか」組織に根付いた"郵便局体質"の害悪 民間企業で十分カバーできるのに、ゆうちょ銀行 「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう、ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること) 「官僚上がりのトップでは日本郵政グループの経営改革はやはり無理」ではあっても、「民間」には「火中の栗を拾う人物が容易に見つかるとは思えない」ため、「増田氏は・・・再任され」たようだが、このままでは「日本郵政」は古い形のまま塩漬けとなり、日本経済の効率性を阻害する懸念も強い。 「増田社長ら経営陣は傍観を決め込んだ」、無責任ぶりもここに極まれりだ。 業務の自由化は郵政民営化が条件だったので、従来の認可制に戻ることになる。 「自民党の郵政族議員の間では郵政民営化法を改正して、日本郵政やグループ3社(日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)に対する国の経営関与を強める「先祖返り」を目指す動きまで出ており、経営の先行きは混迷を極めている」、「先祖返り」とは飛んでもない話だ。 現代ビジネス「ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること」 日本郵政 「人事面でも「民営化」に近づくことになりそうだ」とは、どう考えても、羅漢的に過ぎるようだ。 目利きの能力はどう磨くのだろう。 給与は触れられてないが、きっと高かったのだろう。 「長年ゆうちょの運用部隊を率いてきた人物」だが、「2015年11月。当時、ゆうちょはゴールドマン・サックス証券」から移ってきたようだ。 東洋経済オンライン「ゆうちょ銀行、「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう」 以上に負担が重そうだ。 「局長1人につき自動車と火災、生命共済などで1件ずつ加入させるのが鉄則で、地方会事務局が地区会ごとの達成率をまとめた「推進管理表」や「未加入者リスト」を作成。総務担当の局長会役員が部会長を通じて未加入の局長に圧力をかけて回る。新米の局長には、郵便局の提携保険を解約させてでも乗り換えさせる。財政難の協会ほどノルマや進捗管理が厳しくなる」、さすがノルマと「進捗管理」に長けた組織だ。「部会や地区会レベルでは、強制参加の懇親行事や飲み会が数多い。局長会の会員として組織のために負担する費用は、ことのほか重い」、想像 「ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く・・・ソフトボール大会は、組織の結束力や個人の忠誠心を試す重要行事の一つ。多くの局長は、強制参加だ。県単位で予選を開き、本戦の地方大会で勝者を決める地方が多い。地方大会を勝ち抜くと全国大会に招かれ、大会前夜にはホテルのホールで大宴会を開く」、なるほど。 「全国に12ある地方会のうち、少なくとも四つの地方会がそれぞれの拠点に自前のビルを建てて保有している・・・元手となるのは、会員たちの身銭である」、なるほど。 『郵便局の裏組織』
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小池都知事問題(その13)(「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない.」、都知事選 小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す) [国内政治]

小池都知事問題については、本年6月23日に取上げた。投開票日の今日は、(その13)(「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない」、都知事選 小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す)である。

先ずは、7月6日付けデイリー新潮「「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない」」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/07060558/?all=1
・『都幹部14人が三井不動産グループに天下り(神宮外苑、築地市場跡地、五輪選手村を改修した「晴海フラッグ」。東京都内で進められるこれら三つの「巨額再開発事業」を、同じ企業が主導している事実をご存じだろうか。都庁OB14人の天下りを受け入れる三井不動産グループと都の、「癒着の構図」とは――。【前後編の前編】 「週刊新潮」7月4日号では、小池百合子都知事(71)がついぞメスを入れられなかった都の「暗部」、都庁OBの外郭団体への天下りの実態について詳報した。小池氏に尽くして出世すれば「東京地下鉄株式会社」(東京メトロ)社長などの天下り先が用意され、1500万円以上の年収が保障される。庶民感覚からかけ離れた「天下り天国」。それと同等、いやそれ以上に闇が深いのが、民間企業への天下りである』、都庁幹部の「民間企業への天下り」とはいい着眼点だ。
・『〈都幹部14人 三井不天下り〉(6月16日、そんな見出しで都庁OBの三井不動産グループ2社への天下りについて報じたのは「しんぶん赤旗」だ。記事によると都市整備局(旧都市計画局)元局長や同局元参事ら12人が三井不動産に、同局元所長ら2人が三井不動産レジデンシャルに天下っていたという。同社グループへの天下りが特に問題視されるのは、都の大型再開発事業を同社が複数主導しているからである。具体的には、神宮外苑、築地市場跡地、東京五輪・パラの選手村を改修した「晴海フラッグ」の三つだ。「元総理の影」「疑惑の都技監」――再開発事業の背景にちらつくキーワードを踏まえながら闇の奥に光をあてたい』、出所が「しんぶん赤旗」とは、さすがよく調べている。
・『坂本龍一、桑田佳祐も再開発に反対  まずは神宮外苑。ここで進められている「神宮外苑地区まちづくり」の事業者は三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事の4社である。老朽化が進む神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えた上でそれぞれ建て直し、新しい神宮球場の近くに三井不動産や伊藤忠商事が超高層ビルを建てる――というのが再開発計画の中身だ。 外苑内の樹木が伐採されることに対する批判の声が広がるにつれて注目を集めるようになったこの再開発計画。特に都が再開発を認可した直後の昨年3月、がん闘病中だった音楽家の故・坂本龍一氏が再開発見直しを訴える手紙を小池氏らに送ったことの影響は大きかった。同年9月には歌手の桑田佳祐氏も再開発を憂える曲を発表し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が緊急声明を発する事態に。こうした動きの末、小池氏は事業者に対して、樹木保全の具体策を、伐採開始前に報告することを求めた。つまり小池氏が伐採に「待った」をかけたわけである。 「都合が悪くなったらこっちのせいにしてくると思っていた」 「小池都知事はデベロッパーに責任を押し付けているみたいだけど、彼女のことだから都合が悪くなったらこっちのせいにしてくるとは思っていたよ」 恨み節を述べるのは、さる三井不動産OBである。 「神宮外苑の再開発地域の土地の所有者は明治神宮やJSCでしょ。自分たちのものではない樹木の伐採で、なぜ三井不動産が批判され、悪者にされなければならないのか……」 今回の都知事選でも取り沙汰されることになった神宮外苑の再開発計画に都がゴーサインを出すまでの経緯をたどっていくと、ある人物に行き当たる。森喜朗元総理だ』、「森喜朗元総理」が黒幕とはあり得る話だ。
・『「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」  「神宮外苑の再開発計画は、故・石原慎太郎都知事の時代にスタートしています。そして、オリンピック招致に失敗した後、森元総理が石原さんを“もう一度オリンピック招致に挑戦しよう”と説得するあたりから本格化します」 元都庁幹部の澤章氏はそう語る。 「明治神宮外苑は都市公園で風致地区でもあるので元々、いろいろな規制がかかっています。その規制をかけているのが、都の都市整備局です。そこが神宮外苑の規制を取っ払う手続きをして、容積率をバーンと上げて、三井不動産などが高層ビルを建てて儲けられるようにお膳立てをしてきたわけです」 石原元知事がオリンピック招致への再挑戦を表明したのは東日本大震災から4カ月後の2011年7月。翌12年5月、当時の東京都副知事の佐藤広氏と都市整備局幹部の安井順一氏の二人が、議員会館に森元総理を訪ねた時の興味深いやり取りが都の内部記録に残されている。 神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て直すという、まさに今現在進んでいる再開発計画と同じ構想を安井氏が示すと、森元総理は次のように応じたという』、「「明治神宮外苑は都市公園で風致地区でもあるので元々、いろいろな規制がかかっています。その規制をかけているのが、都の都市整備局です。そこが神宮外苑の規制を取っ払う手続きをして、容積率をバーンと上げて、三井不動産などが高層ビルを建てて儲けられるようにお膳立てをしてきたわけです」、やはり東京都側の規制緩和が大きな役割を果たしたようだ。
・『〈素晴らしい案じゃないか。長生きしないと〉  構想を示した安井氏はその後、役人として副知事に次ぐナンバー2の地位「都技監」に昇進している。 都議も「これほど怪しい話はない」  三井不動産などがこの構想に沿う形で再開発に向けた協議を始めたのは13年ごろ。当時の都知事は石原氏の後継の猪瀬直樹氏である。その後、都知事の座は舛添要一氏を経て小池氏に移り、21年12月、都は再開発の詳細な内容を示した都市計画案を公表。翌22年8月には、再開発で建て替えられる新秩父宮ラグビー場を整備、運営する事業者を選ぶ一般競争入札が行われている。 入札に臨んだのは以下の三つの企業グループだ。「楽天、清水建設、TBS」「鹿島建設、三井不動産、東京ドーム」「三菱地所、大成建設、電通」。選ばれたのは、「鹿島建設、三井不動産、東京ドーム」のグループだった。入札価格は清水建設のグループが約226億円、三菱地所のグループが約358億円だったのに対し、三井不動産のグループは1桁少ない約82億円だった。 この再開発の問題点を都議会で追及してきた日本共産党の原田あきら都議が言う。 「そもそも神宮外苑の再開発は、三井不動産が主導している事業です。その企業が、新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札していく。これほど怪しい話はありません」 出来レース。そう批判する声が聞こえてくるのも無理からぬことだが、やはり同様のささやき声が聞こえてくるのが、築地市場跡地の再開発事業「築地地区まちづくり事業」である。 後編「『“松井秀喜監督誕生”と築地への本拠地移転を狙う読売』『晴海フラッグは9割引きで投げ売りされた』 東京都と三井不動産の“癒着”、驚愕の裏側とは」では、「築地地区まちづくり事業」「晴海フラッグ」など三井不動産が再開発を手がける案件について紹介しながら、都政と同社の“癒着”の裏側について徹底取材をしている。 週刊新潮 2024年7月11日号掲載 特集「『巨額再開発事業』の本丸に『幹部14人が天下り』『小池知事』が肥大させる『東京都』と『三井不動産』癒着の伏魔殿」より』、「そもそも神宮外苑の再開発は、三井不動産が主導している事業です。その企業が、新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札していく。これほど怪しい話はありません」 出来レース。そう批判する声が聞こえてくるのも無理からぬことだが、やはり同様のささやき声が聞こえてくるのが、築地市場跡地の再開発事業「築地地区まちづくり事業」である」、叩けばホコリがいくらでも出てきそうだが、小池都知事の当選で闇に葬られるのだろう。

次に、7月7日20:02付け日経新聞「都知事選、小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す」を紹介しよう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC036MD0T00C24A7000000/
・『任期満了に伴う東京都知事選挙が7日投開票され、現職の小池百合子氏(71)が3選を確実にした。子育て世帯への支援拡大や医療体制の充実といった2期8年の実績を掲げ、前参院議員の蓮舫氏(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)らを破った。 小池氏は自民、公明両党、蓮舫氏は立憲民主党や共産党がそれぞれ支援した。 選挙戦の序盤から小池氏が一歩先行し、蓮舫氏や石丸氏が追う展開だった。小池氏は政治資金問題を抱える自民党への逆風などを意識し、選挙運動では政党色を抑えた。支援を受ける政党のほか無党派層も取り込み、リードを守った。 公約に保育料無償化の拡大、無痛分娩への助成といった子育て支援策のほか、認知症専門病院の新設などを掲げ、支持を集めた。日本経済新聞の情勢調査では小池都政を「評価する」と答えた有権者が「評価しない」を上回り、2期8年の実績への評価も安定した戦いにつながった。 自民党は4月の衆院3補欠選挙の全敗に続き、地方選挙での敗北が目立っていた。独自候補ではないものの、自主的に支援した小池氏の勝利を党内では前向きに受け止める声が多い。 連敗は止めた格好だが、都知事選と同日投開票の都議補選では苦戦している選挙区が多い。都知事選の勝利がどこまで党勢回復につながるか不透明感が残る。 蓮舫氏が告示直前まで所属した立民は都知事選での勝利を次期衆院選の弾みにする狙いだったが、思惑通りにならなかった。蓮舫氏は立民、共産両党の支持層には浸透したものの、無党派層への広がりを欠いた。次期衆院選での「野党共闘」に影響する可能性がある。 石丸氏は敗れたものの、主要政党の支援を受けずに支持層を拡大し、小池氏や蓮舫氏と並んで注目された。既成政党への不満や政治不信を抱える有権者の一定の受け皿になったとみられる。元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)は支持層が広がらず伸び悩んだ。 都知事選には過去最多の56人が立候補した。ポスター掲示板の枠が足りなくなったり、候補者と関係のないポスターが多数張られたりと混乱やトラブルが相次いだ。政見放送でも都政とは無関係の主張やパフォーマンスが目立ち、選挙をめぐる現行制度のあり方が問われた。 東京都選挙管理委員会によると7日午後6時時点の投票率は33.07%だった。2020年の前回選挙の同時刻に比べて0.43ポイント低かった。期日前の投票者数は215万1251人で投票率は18.65%だった』、開票直後に当確が出るとは余程大差がついたのだろう。「蓮舫氏は立民、共産両党の支持層には浸透したものの、無党派層への広がりを欠いた。次期衆院選での「野党共闘」に影響する可能性がある」、「蓮舫」陣営は運動が上滑り気味だった。選挙運動などについての詳細な分析は今後出てきた段階で紹介したい。
タグ:小池都知事問題 (その13)(「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない.」、都知事選 小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す) デイリー新潮「「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない」」 都庁幹部の「民間企業への天下り」とはいい着眼点だ。 出所が「しんぶん赤旗」とは、さすがよく調べている。 「森喜朗元総理」が黒幕とはあり得る話だ。 「「明治神宮外苑は都市公園で風致地区でもあるので元々、いろいろな規制がかかっています。その規制をかけているのが、都の都市整備局です。そこが神宮外苑の規制を取っ払う手続きをして、容積率をバーンと上げて、三井不動産などが高層ビルを建てて儲けられるようにお膳立てをしてきたわけです」、やはり東京都側の規制緩和が大きな役割を果たしたようだ。 「そもそも神宮外苑の再開発は、三井不動産が主導している事業です。その企業が、新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札していく。これほど怪しい話はありません」 出来レース。そう批判する声が聞こえてくるのも無理からぬことだが、やはり同様のささやき声が聞こえてくるのが、築地市場跡地の再開発事業「築地地区まちづくり事業」である」、叩けばホコリがいくらでも出てきそうだが、小池都知事の当選で闇に葬られるのだろう。 日経新聞「都知事選、小池百合子氏の3選確実 蓮舫・石丸氏ら下す」 開票直後に当確が出るとは余程大差がついたのだろう。「蓮舫氏は立民、共産両党の支持層には浸透したものの、無党派層への広がりを欠いた。次期衆院選での「野党共闘」に影響する可能性がある」、「蓮舫」陣営は運動が上滑り気味だった。選挙運動などについての詳細な分析は今後出てきた段階で紹介したい。
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維新の会(その9)(維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO、維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」、吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」、迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及) [国内政治]

維新の会については、昨年12月28日に取上げた。今日は、(その9)(維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO、維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」、吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」、迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及)である。

先ずは、本年4月23日付け日刊ゲンダイ「維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/339291
・『勢いに陰りか。「維新の会」が隆盛を誇るはずの大阪で、大東市長選(21日投開票)が維新公認候補の敗北に終わった。同市を含む衆院大阪12区は日本維新の会の藤田幹事長の地元。何があったのか。 今回の市長選は、3期務めた現職の東坂浩一市長が4選不出馬を表明したことで、新人3人が争う構図に。維新は大東市長選で初の公認候補として石垣直紀前市議を擁立。無所属新人の逢坂伸子元市課長と、無所属新人の松浦哲朗元中学校教諭(共産推薦)としのぎを削った。結局、1万7204票を獲得した逢坂氏が石垣氏に約2000票差をつけて接戦を制した。 維新内部はまさかの敗北に激震が走るが、無理もない。大阪12区は幹事長の地元でありながら、四條畷市長選(2020年)と寝屋川市長選(23年)も落としているからだ。 来年4月に開幕を控える大阪・関西万博の準備をめぐるゴタゴタも“維新離れ”に拍車をかけている感は否めないが、地元の政界関係者は次のように解説する。 「藤田幹事長の“お膝元”なので、当然、市長候補を出さないわけにはいかないし、事前の調査では維新が候補を立てれば他の候補にダブルスコアをつけられるとの見立てすら出ていた。楽観視されていたものの、肝心の人選がまったく進まず、候補者が正式に決まったのは告示の1週間前。『維新の看板なら勝てるやろ』ということで急きょ、市議の石垣さんに白羽の矢が立ったのです。いくら幹事長の地元でも、急ごしらえの候補者では勝てませんよ」』、「大阪12区は幹事長の地元でありながら」、「今回の「大東市市長選」だけでなく、「四條畷市長選(2020年)と寝屋川市長選(23年)も落としているからだ」、しかも「候補者が正式に決まったのは告示の1週間前」、これでは勝てる選挙も落とすのは必死だ。
・『■人選が良ければ勝てる戦いだった  市長選は調子に乗って痛い目を見るダサい敗北だったわけだが、面白いことに市議選は維新が1議席増。計17議席のうち5議席を占めた。 「維新に対する風当たりは、強くないとはいえ、党勢拡大の数字にとらわれたやり口は市長選を通じて市民に見透かされたと思います。逆に人選が良ければ勝てる戦いだったわけですから」(前出の関係者) 有権者は候補者をちゃんと見ている。ノリでイケると思ったら、また痛い目に遭うで』、「有権者は候補者をちゃんと見ている。ノリでイケると思ったら、また痛い目に遭うで」、その通りだ。

次に、6月4日付け日刊ゲンダイ「維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/341074
・『まさか、こんな簡単にパクッと食いつくとは──。自民党議員も驚いているらしい。 自民党が新たに提示した「政治資金規正法改正案」に賛成すると決めた「日本維新の会」。維新の馬場代表は、自民党の岸田総裁と「合意書」までかわしている。 馬場代表は「一歩でも二歩でも改革を進めていくのが維新だ」「100%我が党の考え方が通った」と満足げだったが、さすがに、維新の議員からは「次期衆院選にマイナスだ」と嘆きの声があがっている。自民党案は、実際にはほぼ「ゼロ回答」だからだ。 もともと維新は主要野党と一緒に、+企業・団体献金の禁止+政策活動費の廃止または領収書の全面公開+議員が会計責任者と同等の責任を負う「連座制」の導入--の3点セットを自民党に求めていたが、自民党の修正案にはまったく入っていない。 しかも、自民党と「合意」した、①旧文通費の使途公開②政策活動費の領収書などの10年後の公開--も、実行される保証がない。維新が自民とかわした「合意文書」は、旧文通費をめぐって維新が求めていた「今国会で結論を得る」ことに触れていない。さらに、政策活動費の公開についても、領収書の公開のあり方は「細部はこれから詰めていく」という。) これには、維新を創設した橋下徹弁護士も「当初は(自民党が)維新の案を丸のみしたのかと思ったが、(改正案の)文面を見てみると、全部『検討』ばかり」「検討すると言って結局やっていないのが、いまの自民党政治だ」「維新が『検討』のままで(改革案に)賛成したら、国民から総スカンを食らうんじゃないのか」と疑問視していたほどだ。 なのに、どうして馬場代表は、自民党が差し出した餌にパクッと食いついたのか。政界では、馬場代表の「入閣説」が囁かれている。 「もともと自民党の地方議員だった馬場さんは、自民党と連立を組むことにまったく抵抗がないのだと思う。5月17日に配信されたラジオNIKKEIのポッドキャスト番組に出演した時、『政策が実現するなら与党に入る選択肢は排除しないのか』と問われ、『そういうことです』と答えただけでなく、その後、吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている。『万博担当大臣』として入閣する“密約”があるのではないか、という見方もでています」(政界関係者) 「維新は第2自民党」と公言している馬場代表。連立入りした方が、有権者もスッキリするのではないか』、「橋下徹弁護士も「当初は(自民党が)維新の案を丸のみしたのかと思ったが、(改正案の)文面を見てみると、全部『検討』ばかり」「検討すると言って結局やっていないのが、いまの自民党政治だ」「維新が『検討』のままで(改革案に)賛成したら、国民から総スカンを食らうんじゃないのか」と疑問視していたほどだ。 なのに、どうして馬場代表は、自民党が差し出した餌にパクッと食いついたのか。政界では、馬場代表の「入閣説」が囁かれている。 「もともと自民党の地方議員だった馬場さんは、自民党と連立を組むことにまったく抵抗がないのだと思う。5月17日に配信されたラジオNIKKEIのポッドキャスト番組に出演した時、『政策が実現するなら与党に入る選択肢は排除しないのか』と問われ、『そういうことです』と答えただけでなく、その後、吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている。衆院では自民党案に賛成、参院では反対するというみっともない行動を取った裏には、「馬場代表の「入閣説」」があったというのは説得的だ。「吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている」、これは確信犯だ。

第三に、6月12日付けNEWSポストセブン「吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20240612_1970112.html?DETAIL
・『2023年の大阪府知事選で70%超の得票率で当選した吉村洋文・知事には、メディアを通じた歯切れの良い発言で“改革派”のイメージが強い。そこに実態は伴っているのか。ノンフィクション作家・広野真嗣氏が追った。 5月31日、吉村知事は「“期限を定めない検討”って何なんですか」と、吐き捨てるように言った。その前日、自家用車を使って客を運ぶ「ライドシェア(RS)」の全面解禁の判断を先送りした政府をこきおろしたのである。 政府は4月以降、東京都や大阪府などの主要都市で地域と時間を限定した「日本版RS」を解禁したが、吉村氏は「極めて不十分」と批判し、返す刀で大阪万博期間中の大幅な緩和を要求する。 だが、この吉村氏の主張には、「派手な“改革”に飛びつくが、国民の切実な課題は後回し」という姿勢が端的に現われてはいないか──。 日本国際博覧会協会(以下、万博協会)は、2025年4月の開幕から184日間で、延べ2820万人の来場を見込む。最大で1日22.7万人が足を運ぶという。東京ディズニーリゾートの1日平均の来場者8万9000人(過去最多の2018年)の3倍近い数字だ。 “そんなに来るのか”というのが率直な感想だが、府の局長経験者は「見込み通りだと輸送がパンクしかねない」と話した。 「本来、輸送を牽引するのは鉄道ですが、万博開催までに会場の夢洲につながるのは、東西を結ぶ大阪メトロ中央線1本だけ。梅田に直結してないから不便だし、通勤と重なる時間帯に大量の乗り換えが生じる。客だけやなしに、数万人の万博スタッフも運ぶわけで、えらい混雑になる」 JRや京阪電鉄にも夢洲延伸案はあるが、IR実現を見極めているのか進んでいない。前出・府の局長経験者が続ける。 「中央線の増便や主要駅からのシャトルバスが頼りですが、水上交通や自転車ルートも打ち出して、もう必死ですわ」 そんななか吉村氏が横山英幸・大阪市長とともにRS推進をぶち上げたのは昨年10月のこと。小泉進次郎・元環境相らに協力を求めつつ、次のような主張を明らかにした。 〈1日あたり最大で約2300台のタクシーが足りなくなる。解消のためRSを府内全域で24時間運行可能にすべき〉 在阪メディアは吉村氏の政府への対抗姿勢を好意的に報じるが、中身を吟味すると、いくつもの疑問が湧く』、「1日あたり最大で約2300台のタクシーが足りなくなる。解消のためRSを府内全域で24時間運行可能にすべき」との主張には違和感がある。輸送力の観点からはシャトルバスの増発が本筋だ。万博期間中の一時的問題に、「ライドシェア(RS)」のような構造的対策を当てるのも筋違いだ。
・『「厳しい問いですね」  第1に、そもそも〈2300台不足する〉という予測は本当なのか。 大阪府のタクシー車両数は約1万7100台で、東京都の約4万1000台に次ぐ第2位(2022年)。 人口あたりの数字だと順位は10位になるが、鉄道が乏しく、タクシーに頼らざるをえない沖縄や北海道を入れてのことだ。 府ライドシェア事業推進グループの担当者に訊くと2300台の不足は「万博協会が昨年11月20日に発表した『大阪・関西万博来場者輸送具体方針(以下、輸送方針)』に基づく試算」と強調する。 ただ、吉村氏のRS推進が唐突だったためか、ちぐはぐなのは輸送方針そのものにRSの一文字も書いていないことだ。府担当者が続ける。 「輸送方針は、鉄道やタクシーなど各移動手段で分担すればピーク時も運べるとの内容になっています。ただ、ことタクシーを見ると、万博需要だけでなく、単純なインバウンドの増加もある。これらを合わせると、現在のタクシーの稼働状況では足りなくなる」 ここで浮かぶのが第2の疑問。それはRSで解決することなのか──。 そもそも混雑対策は、交通体系全体で考えるのが普通で、タクシーはその一部。しかも輸送方針のタクシー部分は、来場者2820万人のうちたった45万人分に過ぎない。 まずは他県のタクシーの増援を求めたり、動かせるところから議論し直すのが王道だろう。 しかし、府担当者から返ってきたのは、「輸送全体のことは万博協会に聞いてください」と縦割り丸出しの回答。これでは派手なRS推進で「改革」を打ち出すのが目的で、万博の輸送対策というのは口実にさえ見える。) 第3は、かえって渋滞を深刻化させるリスクだ。 吉村氏はRS車の会場乗り入れに前向きだが、夢洲へのルートは1本の通り抜け道路のみ(別掲図)。車両数を増やして混雑を助長したら本末転倒ではないか。 そう疑問をぶつけると、府担当者は「2000台程度増えても、数百万台が走る大阪で、インパクトはありますか?」との返事だったが、万博協会交通局の部長のニュアンスはより実際的だ。 「渋滞要因になるかはボリューム次第ですね。一気に2300台が増えれば交通に負荷が生じるかもしれないし、日々の変動量の範囲に収まる可能性もある。国と大阪の協議の結論により影響は変わりますが、まだそこは見えていません」 万博協会は府市からの出向のみならず、国や民間からも人が入った混成部隊。その知恵を結集した輸送方針を読み直すと、発見もあった。 客が偏らないよう、予約制を取り入れ、企業にも通勤時間の変更を要請する。需要を「均す」という“引き算”の戦略が貫かれている。他方、吉村氏のRS施策は供給を増やす“足し算”である。 「思想が逆ですね」と聞くと、前出・部長は「うーん、なかなか厳しい問いですね」と独り言ちた』、「客が偏らないよう、予約制を取り入れ、企業にも通勤時間の変更を要請する。需要を「均す」という“引き算”の戦略が貫かれている。他方、吉村氏のRS施策は供給を増やす“足し算”である。 「思想が逆ですね」と聞くと、前出・部長は「うーん、なかなか厳しい問いですね」と独り言ちた」、なるほど。
・『本当に深刻な課題は後回し  吉村氏の打ち出す“改革”が現場の助けになるのか、交通分野の行政改革の実務家も首を傾げる。 関空、南紀白浜空港の民営化に携わり、現在は南紀白浜エアポート(和歌山県)の社長を務める岡田信一郎氏は「規制に風穴を空ける構えでしょうが、世の中の切実な課題とはミスマッチがある」と苦言を呈する。 地方では、タクシー運転手が高齢化。観光地の乗り場に行列ができ、住民の通院・買い物にも支障を来す「移動難民」が深刻化している。) 本来、タクシーの規制を緩和して自家用車を活用する制度は約20年前、そうした地方の「交通空白地」のために始まった。が、制度は十分に活用されず「地方の変革」が進まずに、現在に至る。 昨年8月、菅義偉・前首相の解禁を求める発言から、都市を中心に日本版RSが動き出したが、より切実な「地方」ではこれからの話になる。前全国知事会長の平井伸治氏(鳥取県知事)は語る。 「大都市と違って地方は生活や命がかかっている深刻な状況で、大きな目で見た交通政策の仕組みが必要です。空白があるからと軽々に新規参入者を認めると、これまで支えてきた担い手が撤退するような事例もある。どうネットワークを守るかを考える必要がある」 RS推進のような“派手な改革”だけでは本当の課題は解決しないのだ。 大阪府下でも昨年12月、富田林市など4市町の足だった金剛バスが破綻。一部は他社が引き受けたものの、多くの枝線が消えた。この破綻を受け、吉村氏が「解決策」として言及したのは“万博印”の自動運転バスだった。万博会場外周などで使う技術を転用するという。海外では自動運転タクシーの相次ぐ事故などが絶えないなかで、本気で言っているのだろうか。 “派手な改革”に内実は伴っているのか──「高校完全無償化」や「0歳児選挙権」など、ぶち上げた政策が、その空疎さを指弾される事例が続く。こうしたことを繰り返す吉村氏の心中を前出・府の局長経験者が読み解く。 「“ババをつかまされた”という思いではないか。IRも万博も橋下徹・松井一郎の維新の創業者が風呂敷を広げるだけ広げた後の尻拭いです。せめて負でない正のレガシーを、と焦っているのでは」 吉村氏が派手な「改革」を求めるほど、その空疎さは際立つ。地味でも本丸の課題に向き合わなければ、流れは止まらない』、「IRも万博も橋下徹・松井一郎の維新の創業者が風呂敷を広げるだけ広げた後の尻拭いです。せめて負でない正のレガシーを、と焦っているのでは」 吉村氏が派手な「改革」を求めるほど、その空疎さは際立つ。地味でも本丸の課題に向き合わなければ、流れは止まらない」、その通りだ。

第四に、7月3日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/770408
・『「大阪から全国政党へ」を合言葉に躍進してきた日本維新の会が、ここにきて、党内の「東西対立」の深刻化などで、馬場伸幸代表の指導力が厳しく問われ、近い将来の党崩壊の危機すらささやかれる事態となっている。 与野党の思惑が複雑に交錯した “裏金国会”最終盤での改正政治資金規正法を巡る維新の対応迷走や、維新主導で進む大阪・関西万博開催を巡る国民的批判拡大などで、永田町では「“落ち目”の三度笠」と揶揄する声も広がるからだ。 特に、通常国会閉幕後、同党「大阪組」を代表する吉村洋文共同代表(大阪府知事)や、創業者の橋下徹元大阪市長が、馬場氏らの最近の党運営について口を極めて批判。これを受け、今後の政治路線を巡って党内で「大阪組」と「東京組」による対立が激化している。 加えて、東京都知事選(7月7日投開票)でも、同党の推薦を拒否した石丸伸二・前安芸高田市長に対し、馬場氏らが党内に「反石丸」での選挙活動を通達したのに対し、「東京維新」の石丸氏支持派の造反も表面化した。 このため、永田町では「すべてが支離滅裂で、国政政党としての存在意義すら問われかねない」(政治ジャーナリスト)との厳しい指摘が相次ぎ、維新内部からも「このままでは遠からず党崩壊の危機を迎える」(若手地方議員)との声が出始めている』、「維新内部からも「このままでは遠からず党崩壊の危機を迎える」(若手地方議員)との声が出始めている」、なるほど。
・『馬場氏「ぬるま湯につかっている」  毎日新聞の記事によると、こうした窮状に対し、馬場氏は6月27日の地方講演で、「自民、立憲民主の両党がもたれ合い、ぬるま湯につかっている」「熱湯を入れて震え上がるくらい活を入れないと日本の政治は良くならない」と断じ、改めて次期衆院選で野党第1党を目指す方針を強調したという。 併せて、岸田文雄首相(自民総裁)との党首会談で合意したはずの調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の見直しを自民が先送りしたことについても、「『だまされたほうが悪い』という理屈が通るのであれば夢も希望もない」と反論した。) その一方で、政治資金パーティーの禁止を訴える立憲民主の最高幹部が、パーティーを計画していたことについて、「有言不実行だ」と非難するなど、「非自民・反立憲」の立場も改めてアピールした』、「『だまされたほうが悪い』という理屈が通るのであれば夢も希望もない」、酷い居直りだ。「立憲民主の最高幹部が、パーティーを計画していた」のは、「「立憲民主」の完全な落ち度だ。
・『吉村氏らの政策活動費廃止要求で方針転換  これに先立ち、馬場氏ら党執行部は6月26日、党所属の首長や地方議員らを交えたオンライン説明会を開催した。吉村氏らが、前通常国会終盤の改正政治資金規正法への対応などでの同党迷走の「総括」を求めたことを受けたもので、馬場氏は、「仲間を後ろから撃つということだけは控えてほしい」と党内からの突き上げを強い言葉で牽制した。 しかし、一連の国会対応についての馬場氏や藤田文武幹事長の説明には、出席者から批判が噴出。特に、温存された形の政策活動費については吉村氏が廃止を強く要求し、多くの地方議員らも同調。これを受け、藤田氏は説明会後に記者団に対し、「党としても政策活動費の支出をなくす」と述べるなど、従来の方針の転換を余儀なくされた。 そもそも維新は、与野党協議が始まった段階では、政党の支出に機密性を持たせることにも一定の理解を示していた。そのうえで、自民党に政策活動費領収書の10年後公開案を提案し、岸田首相(自民総裁)との党首会談で合意が得られたとして、衆院では政治資金規正法の改正案に賛成した経緯がある。 それだけに、説明会での吉村氏らの批判を受けての、政策活動費支出廃止への方針転換については、すぐさま泉健太・立憲民主代表が6月28日の会見で「対応が支離滅裂で政党の体をなしていない。国民があきれる形で妥結し、今になって廃止では済まない。岸田文雄政権への最大の助け舟を出した罪はものすごく大きい」と厳しく批判。そのうえで、維新との連携についても「自民党と戦う決意がないなら一緒にできない」と断言した。) 一連の党内混乱と同時進行となったのが、都知事選での「東京組」の“造反”の動き。維新の支援を拒否した石丸氏に怒った馬場氏らが、党内に「反石丸を明確にしたうえでの他候補支援への禁止令」を通達したのに対し、「東京維新」の複数の地方幹部議員が「自由な支援活動の容認」を要求したからだ。 同幹部議員らは「東京維新の地方議員の多くは支援者から『維新は不祥事ばかり』『維新なんかやめたほうがいい』と突き上げられており、禁止令を破ってでも石丸さんを支援しようという動きがある」と執行部の対応に反発。多数の地方議員らが公然と石丸氏支援に動いている。 一連の党内対立や混乱を踏まえ、今も党内に強い影響力を持つとされる橋下氏が、6月27日に自らのX(旧ツイッター)を更新。その中で、まず旧文通費を巡る自民・維新党首会談を取り上げ、「自民党が嘘をついたわけでなく、単純に馬場さんや維新執行部の確認ミス」と指摘。さらに次期衆院選への対応についても「今なんとなくある支持率に乗っかって比例復活議員を増やす戦略なら、どの道維新はなくなる」と指弾した』、「旧文通費を巡る自民・維新党首会談を取り上げ、「自民党が嘘をついたわけでなく、単純に馬場さんや維新執行部の確認ミス」と指摘。さらに次期衆院選への対応についても「今なんとなくある支持率に乗っかって比例復活議員を増やす戦略なら、どの道維新はなくなる」と指弾した」、その通りだ。
・『“馬場首相”説に、他野党は「誇大妄想」と冷笑  こうした橋下氏の言動について、永田町では「創業者が、党運営への不満から近い将来の党崩壊にまで言及するのは極めて異常な事態」(政治ジャーナリスト)との声が拡大。自民党内でも「もはや、維新の取り込みによる連立政権の組み直しなどは無理筋」(国対幹部)との見方も広がり始めている。 その中で、馬場氏周辺は「岸田内閣の支持率が最低レベルから抜け出せない状況なのに、立憲民主への国民の不信感が政権交代への大きな障害となっている」と指摘したうえで、「次期衆院選で自公の過半数獲得を阻止し、自民が維新に協力を求めざるを得ない状況に追い込めば、『馬場首相』だってあり得る」となお強気だが、他野党は「誇大妄想の類」(立憲民主幹部)と冷笑するばかりだ』、「「次期衆院選で自公の過半数獲得を阻止し、自民が維新に協力を求めざるを得ない状況に追い込めば、『馬場首相』だってあり得る」となお強気だが、他野党は「誇大妄想の類」(立憲民主幹部)と冷笑するばかりだ」』、「誇大妄想の類」とは笑うに笑えない批判だ。 
タグ:維新の会 (その9)(維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO、維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」、吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」、迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及) 日刊ゲンダイ「維新赤っ恥!藤田幹事長の“お膝元”大阪・大東市長選まさかの敗北…党勢拡大のやり口に有権者NO」 「大阪12区は幹事長の地元でありながら」、「今回の「大東市市長選」だけでなく、「四條畷市長選(2020年)と寝屋川市長選(23年)も落としているからだ」、しかも「候補者が正式に決まったのは告示の1週間前」、これでは勝てる選挙も落とすのは必死だ。 「有権者は候補者をちゃんと見ている。ノリでイケると思ったら、また痛い目に遭うで」、その通りだ。 日刊ゲンダイ「維新・馬場代表に飛び交う“入閣密約”説…規正法改革法案で自民にスリ寄り「賛成」」 「橋下徹弁護士も「当初は(自民党が)維新の案を丸のみしたのかと思ったが、(改正案の)文面を見てみると、全部『検討』ばかり」「検討すると言って結局やっていないのが、いまの自民党政治だ」「維新が『検討』のままで(改革案に)賛成したら、国民から総スカンを食らうんじゃないのか」と疑問視していたほどだ。 なのに、どうして馬場代表は、自民党が差し出した餌にパクッと食いついたのか。政界では、馬場代表の「入閣説」が囁かれている。 「もともと自民党の地方議員だった馬場さんは、自民党と連立を組むことにまったく抵抗がないのだと思う。 5月17日に配信されたラジオNIKKEIのポッドキャスト番組に出演した時、『政策が実現するなら与党に入る選択肢は排除しないのか』と問われ、『そういうことです』と答えただけでなく、その後、吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている。衆院では自民党案に賛成、参院では反対するというみっともない行動を取った裏には、「馬場代表の「入閣説」」があったというのは説得的だ。 「吉村洋文共同代表から『与党入りしたら維新は消滅する』とクギを刺されても、23日の会見で『たとえば連立入り、閣外協力、パーシャル連合などいろんな連携の形がある』と、再び、連立入りを口にしている」、これは確信犯だ。 NEWSポストセブン「吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」」 「1日あたり最大で約2300台のタクシーが足りなくなる。解消のためRSを府内全域で24時間運行可能にすべき」との主張には違和感がある。輸送力の観点からはシャトルバスの増発が本筋だ。万博期間中の一時的問題に、「ライドシェア(RS)」のような構造的対策を当てるのも筋違いだ。 「IRも万博も橋下徹・松井一郎の維新の創業者が風呂敷を広げるだけ広げた後の尻拭いです。せめて負でない正のレガシーを、と焦っているのでは」 吉村氏が派手な「改革」を求めるほど、その空疎さは際立つ。地味でも本丸の課題に向き合わなければ、流れは止まらない」、その通りだ。 東洋経済オンライン 泉 宏氏による「迷走を続ける「維新」で党内の"東西対立"が深刻化 「馬場vs吉村」、橋下氏が"党崩壊"にまで言及」 「維新内部からも「このままでは遠からず党崩壊の危機を迎える」(若手地方議員)との声が出始めている」、なるほど。 「『だまされたほうが悪い』という理屈が通るのであれば夢も希望もない」、酷い居直りだ。「立憲民主の最高幹部が、パーティーを計画していた」のは、「「立憲民主」の完全な落ち度だ。 「旧文通費を巡る自民・維新党首会談を取り上げ、「自民党が嘘をついたわけでなく、単純に馬場さんや維新執行部の確認ミス」と指摘。さらに次期衆院選への対応についても「今なんとなくある支持率に乗っかって比例復活議員を増やす戦略なら、どの道維新はなくなる」と指弾した」、その通りだ。 「「次期衆院選で自公の過半数獲得を阻止し、自民が維新に協力を求めざるを得ない状況に追い込めば、『馬場首相』だってあり得る」となお強気だが、他野党は「誇大妄想の類」(立憲民主幹部)と冷笑するばかりだ」』、「誇大妄想の類」とは手痛い批判だ。 「誇大妄想の類」とは笑うに笑えない批判だ。
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小池都知事問題(その12)(ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア、「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し、都知事選に出馬する蓮舫氏の実態 「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】、《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は) [国内政治]

小池都知事問題については、本年6月13日に取上げた。今日は、(その12)(ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア、「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し、都知事選に出馬する蓮舫氏の実態 「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】、《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は)である。

先ずは、本年6月20日付けdmenuニュースが転載した日刊ゲンダイ「ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア」を紹介しよう。
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nikkangendai/life/nikkangendai-1051491
・『予想通り、消化不良だった。東京都知事選の告示前日の19日、日本記者クラブで行われた候補者の公開討論。呼ばれたのは、学歴詐称疑惑の再燃をものともせずに3選を目指す小池百合子知事(71)、「反自民党、非小池都政」を掲げる前参院議員の蓮舫氏(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)の4人。セットされたのは1時間だけ。議論はちっとも煮詰まらず、ドッチラケだった。 今夏の首都決戦には史上最多の50人ほどが名乗り。これまで過去最多だった4年前の22人から倍増だ。そうした事情もあって、討論に「どこまで呼ぶか」でひと悶着あったという。 「今回の構図は小池氏と蓮舫氏による事実上の与野党対決。小池氏が逃げ切るか、蓮舫氏が追い上げるか。三つ巴の戦いは想定されていません。有権者の投票行動に資することを第一に考えれば、2人の1対1討論で問題点をあぶり出すべきだという意見があった。一方で、候補者に対する公平性を担保するため、首長経験のある石丸氏らも呼ぶべきだとの声もあり、網が広げられた」(大手紙記者) 田母神氏は「普通の保守系の都民が投票する人がいない」という理由で2度目の挑戦。もっとも、2014年の選挙をめぐり、公職選挙法違反(買収)で有罪が確定し、5年間の公民権停止を食らっている。だったら、知名度のあるタレントの清水国明氏(73)はなぜはじかれたのか。災害支援活動を生かした減災政策の充実を訴えている。陣営関係者は「勝敗に絡む得票数が見込めないと軽く見られたのでしょう」と寂しげだ。 政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。 「このクラブ討論はむしろフェアじゃない。争点のひとつと言っていい小池氏の公選法違反(虚偽事項公表罪=学歴詐称)疑惑を深掘りさせないために、人数を増やしたのではないか。そんな印象が拭えません。小池氏を応援する自民党や公明党の支持者は高齢者が多く、NHKなどの大手メディアしか見ていない人が少なくないですから、今回も小池氏にまんまとだまされてしまうかもしれない。カイロ大の元幹部が学歴詐称を打ち消すために表に出てきたり、イカサマのにおいがますます強まっている。小池3選を許せば、民主主義の根幹をなす選挙は台無しです」 蓮舫はこの4人による討論会の継続開催を求めていたが、どうなるか』、「「今回の構図は小池氏と蓮舫氏による事実上の与野党対決。小池氏が逃げ切るか、蓮舫氏が追い上げるか。三つ巴の戦いは想定されていません。有権者の投票行動に資することを第一に考えれば、2人の1対1討論で問題点をあぶり出すべきだという意見があった。一方で、候補者に対する公平性を担保するため、首長経験のある石丸氏らも呼ぶべきだとの声もあり、網が広げられた」(大手紙記者) 田母神氏は「普通の保守系の都民が投票する人がいない」と・・・「政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。 このクラブ討論はむしろフェアじゃない。争点のひとつと言っていい小池氏の公選法違反(虚偽事項公表罪=学歴詐称)疑惑を深掘りさせないために、人数を増やしたのではないか。そんな印象が拭えません。小池氏を応援する自民党や公明党の支持者は高齢者が多く、NHKなどの大手メディアしか見ていない人が少なくないですから、今回も小池氏にまんまとだまされてしまうかもしれない。カイロ大の元幹部が学歴詐称を打ち消すために表に出てきたり、イカサマのにおいがますます強まっている。小池3選を許せば、民主主義の根幹をなす選挙は台無しです」 蓮舫はこの4人による討論会の継続開催を求めていたが、どうなるか」、「本澤二郎氏」の解釈は説得的だ。それにしても、「蓮舫氏」が「この4人による討論会の継続開催を求めていた」とは残念だ。本来の「与野党対決」に持ち込むべきなのに、すっかり小池側の手のなかにあるようだ。まだまだ未熟のようだ。

次に、6月20日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/764944
・『都民だけでなく全国民が注目する東京都知事選が6月20日に告示され、56人という過去最多の立候補者による多彩な選挙活動がスタートした。7月7日投開票の「七夕決戦」となり、「その結果は、支持率低迷にあえぐ岸田文雄首相の政権運営にも大きな影響を及ぼす」(政治ジャーナリスト)ことは間違いない。 話題満載の首都決戦の“主役”は、やはり3選に挑む小池百合子知事(71)と立憲民主党参院議員だった蓮舫氏(56)という「政治家としての知名度や実績が群を抜く二人の女傑」(政治ジャーナリスト)だ。ただ、“脇役陣”もこれまで以上に多士済々で、「巨大都市・東京」の次の顔を巡る選挙戦は、「異例づくめで、異様さも際立つ展開」(同)が想定される。このため、岸田首相をはじめ、与野党首脳らはそれぞれの立場から「固唾をのんで結末を見守る」(自民幹部)ことになりそうだ』、どうもマスコミには、「二人の女傑」の争いを他の多くの候補者にかまけて薄めようとの狙いがありそうだ。
・『注目集める「似た者同士」の闘い  告示前から、主要メディアが「どちらが勝つか」と煽り立てている「小池vs蓮舫」だが、そもそも、「首相とも比肩される都知事が“女の闘い”となるのは史上初」(自民幹部)となる。しかも、小池、蓮舫両氏は「いずれも民放テレビのキャスターを経て中央政界に華々しくデビューし、主要政党の党首も経験して初の女性首相候補と目されてきた似た者同士」(政治ジャーナリスト)だけに、「注目度の高さは過去最高」(選挙アナリスト)とみる向きが多い。 その一方で、今回都知事選には、前安芸高田市長・石丸伸二氏(41)、元航空幕僚長・田母神俊雄氏(75)、有名タレント・清水国明氏(73)らが参戦。さらに、先の衆院東京15区補欠選挙での度を超えた他候補攻撃で警視庁に公職選挙法違反容疑で逮捕され、現在も拘置中のつばさの党代表・黒川敦彦氏(45)も立候補している。) これら知名度の高い各候補は、黒川氏以外は政党色のない無所属で、メディアや各関連団体の「候補者討論会」にはそれぞれの立場で参加する構えだ。その一方で、近年急速に拡大しているいわゆる「SNS選挙」として、ネット上でも独自のアピールを展開する候補も多く、選挙アナリストの間では、「ネット選挙がどれだけ得票に結びつくかを検証できる絶好のチャンス」(有力アナリスト)とも言われている。 さらに、今回の「小池vs蓮舫」の政治的位置づけでは、両氏とも無所属での出馬だが、小池氏は自民、公明両党と地域政党「都民ファーストの会」に加え、連合や国民民主党が支持する構え。対する蓮舫氏は、立憲民主、共産、社民の各党が前面に出て支援する方針のため、「事実上の保革対決の構図」(選挙アナリスト)となっている。 東京都選挙管理委員会によると、19日現在の選挙人名簿登録者数は1153万3132人。前回都知事選の告示日前日に比べ約6万4000人多い。その上、「巨大都市・東京はその経済規模でも欧州の中堅国会に比肩する」(政治ジャーナリスト)こともあり、「世界でも例の少ない空前の大都市選挙」(同)であることは間違いない』、「事実上の保革対決の構図」が候補者乱立のため、「「主要4氏」が候補者討論会で舌戦」と形を変えたのは「蓮舫氏」には不利に作用したようだ。
・『「主要4氏」が候補者討論会で舌戦  こうした状況を踏まえ、告示前日の19日夕刻には、多くのメディアが「主要候補」と位置づけている小池、蓮舫、石丸、田母神の4氏が、恒例の「日本記者クラブ候補者討論会」で舌戦を展開。NHKの完全中継だけでなく、民放各局も定時ニュースや情報番組などで「ハイライト」として報じた。また、ネット上でも各媒体が生中継し、X(旧ツイッター)での書き込みでも「候補者討論会」がトレンド上位となった。 討論会は合計1時間余と短かく、候補者同士の質疑応答と、クラブ側からの代表質問の二部構成で進行。冒頭には4氏がボードで「政治屋の一掃」(石丸氏)、「首都防衛・大改革3.0」(小池氏)、「若者の手取り増・ガラス張りの都政」(蓮舫氏)、「結果を出す政治」(田母神氏)と掲げて所信を熱い口調でアピールした。) さらに、代表質問を軸に、少子化対策、原発とエネルギー政策という重要課題から、神宮外苑の再開発の是非や小池氏の学歴詐称疑惑まで、多岐にわたる論戦を展開。4氏とも20日からの選挙戦本番での街頭演説や各種討論会でも連日相まみえることになりそうだ』、「多くのメディアが「主要候補」と位置づけている小池、蓮舫、石丸、田母神の4氏が、恒例の「日本記者クラブ候補者討論会」で舌戦を展開。NHKの完全中継だけでなく、民放各局も定時ニュースや情報番組などで「ハイライト」として報じた。また、ネット上でも各媒体が生中継し、X(旧ツイッター)での書き込みでも「候補者討論会」がトレンド上位となった。 討論会は合計1時間余と短かく、候補者同士の質疑応答と、クラブ側からの代表質問の二部構成で進行。冒頭には4氏がボードで「政治屋の一掃」(石丸氏)、「首都防衛・大改革3.0」(小池氏)、「若者の手取り増・ガラス張りの都政」(蓮舫氏)、「結果を出す政治」(田母神氏)と掲げて所信を熱い口調でアピールした」、主要メディアはすっかり小池氏の狙いに乗せられたようだ。
・『半世紀前の「美濃部vs石原」と同様の競り合いか  そこで、改めて都知事選の歴史などを振り返ると、現職が立候補した場合はすべて勝利しており、もし小池氏が敗れれば史上初の事態となる。また、投票率の推移をみると、1971年の72.36%が最高で、1987年の43.19%が最低。小池氏が出馬した2016年は59.73%、2020年は55.00%と近年では高率となっており、「話題性が高い今回は60%を超える可能性がある」(選挙アナリスト)との指摘も多い。 そうした中、今回と対比されるのが、現職と新人の大接戦となった1975年の美濃部亮吉知事(3選出馬)と石原慎太郎前参院議員(いずれも当時)の対決。結果的に美濃部氏268万余、石原氏233万余の得票で美濃部氏が3選に成功したが、「史上初の200万票台の競り合いという構図は今回にも当てはまる」(同)との見方も少なくない。 その一方で、注目度が高い都知事選だけにこれまでも「売名目的の立候補者の多さ」(同)が話題となってきたが、今回の立候補者数は、過去最多だった前回2020年の22人を大幅に上回る56人に激増。このため都内各所に設置される候補者の選挙ポスターを貼る掲示板も前回の倍以上となる大きさの48人分を用意していたが、それでも8人分不足し、都選管は49人目以降の届け出候補者分については当該各候補者にクリアファイルなどを支給し、それぞれが自ら掲示板に固定するよう求めることにした。こうした一連の作業のあおりで本来の都選管の業務遂行にも支障が出る事態ともなった。) さらに、政治団体「NHKから国民を守る党」(立花孝志党首)がなんと24人もの候補者を立て、現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」(同)も表面化した』、「政治団体「NHKから国民を守る党」(立花孝志党首)がなんと24人もの候補者を立て、現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」(同)も表面化した」、こんな「現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」」を許すべきではない。
・『「何でもありのカオス」にどう対応?  こうした選挙の本質とかけ離れた騒動は「次回以降もさらに拡大するのは確実」(都選管)で、その先駆けとして「今回都知事選はすべて異例ずくめで、しかも、選挙の在り方自体が問われかねない、まさに何でもありのカオス」(選挙アナリスト)となり、関係者の頭痛の種は増すばかりだ。 このため、政界関係者の間では「今後の国政選挙や地方選挙のルールの歪みを正すため、政府や与野党が早急に公選法改正などに取り組む必要がある」(自民選対)との声が高まっている。 ただ、「基本的人権の1つである立候補の自由とどう折り合いをつけるか」(選挙アナリスト)など難題が多く、1年後の次期参院選や2025年秋までには確実に実施される次期衆院選までに法改正などにこぎつけられるかどうかは極めて不透明だ』、「まさに何でもありのカオス」(選挙アナリスト)となり、関係者の頭痛の種は増すばかりだ。 このため、政界関係者の間では「今後の国政選挙や地方選挙のルールの歪みを正すため、政府や与野党が早急に公選法改正などに取り組む必要がある」(自民選対)との声が高まっている」、なるほど。

第三に、6月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家・元外務省主任分析官の佐藤 優氏による「都知事選に出馬する蓮舫氏の実態、「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】」を紹介しよう。
・『6月20日に告示、7月7日に投開票が行われる今回の都知事選挙には40人以上が立候補の意向を表明。蓮舫氏は国政レベルでの政権交代を目指している?今回の都知事選は、共産党を含む政治勢力が都の権力を握ることの是非が争点に…。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が読み解く』、興味深そうだ。
・『今回の選挙で鍵を握る日本共産党は、蓮舫氏の支持を表明  東京都の小池百合子知事(71)がようやく、3期目を目指して出馬することを明らかにしました。6月20日に告示、7月7日に投開票が行われる今回の都知事選挙には40人以上が立候補の意向を表明、過去最多だった前回の22人を大きく更新する見通しです。 しかし事実上、現職の小池知事と、無所属で立候補する立憲民主党参議院議員の蓮舫氏(56)、広島県安芸高田市の石丸伸二・前市長(41)らの間で争われることになります。 蓮舫氏は、5月27日に立候補の記者会見を開きました。同日の「日本経済新聞」電子版は、こう伝えています。 〈「反自民党政治、非小池都政の姿勢で都知事選に臨みたい」と明言した。 自民党派閥の政治資金問題を受け、衆院3補欠選挙で立憲民主党が3勝し、26日投開票の静岡県知事選でも立民が推薦した候補が勝利したと強調した。「国民の声ははっきりしている。自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットしてほしい。その先頭に立つのが私の使命だ」と強調した』、「立憲民主党」が前面に立つのは当然だ。
・『共産党との共闘は国の体制転換にまで関わる  大企業の利益を代表する経団連は、共産党だけは絶対に支持しません。立憲民主党の有力な支持母体である連合傘下に労働組合を持つ企業も、ほとんどが経団連に加盟する大企業です。 共産党との共闘をここまで明確にした蓮舫氏を、連合はどこまで支持してくれるのか。連合の芳野友子会長は「連合は共産党とは考え方が全く違う。そこの考え方を再度、立憲民主党には申し上げることになる」と述べています。 前回の都知事選で、連合東京が小池知事を支持したことも忘れてはなりません。蓮舫氏は共産党を除いて“反自民”だけ打ち出した方が、よほど票になったのではないでしょうか。 蓮舫氏の姿勢を、マスメディアは「反自公、非小池都政」と表現しています。しかしこれでは、最重要事項が隠れてしまいます。実態は「親共産、反自民、非小池都政」なのです。 ようやく、国民民主党の榛葉賀津也幹事長が5月31日に、「共産党と連携する人が東京の知事では困る」と述べましたが、今回の都知事選は、共産党を含む政治勢力が都の権力を握ることの是非が争点になります。 ここまでけんかを売られた以上、自民党は小池知事を応援せざるを得ません。見返りとして、都知事選と同じ日に行われる八つの都議の補選で、小池知事側の支援を得たいという思惑もあります。公明党の支持母体である創価学会も、蓮舫氏を都知事にしないために全力を挙げます。 その上で蓮舫氏が国政レベルでの政権交代を目指していることは、以下の発言から明白です。 〈(蓮舫氏は)「日本の政治の行方と都民の命、暮らしがかかった大事な選挙だ」と強調。「首都東京から日本の政治の流れを変え、岸田自公政権に審判を下していく」と述べました。 小池(晃)氏は「同時に小池都政は財界の目先の利益だけを最優先にしている自民党政治そのものだ。2期8年間の小池都政の転換を実現するという立場で選挙戦に臨み、必ず勝利したい」と語りました〉(5月27日「しんぶん赤旗」) 東京都には都政独自の課題があり、都民の生活を良くしてくれる知事を選ぶために行われるのが都知事選です。にもかかわらず蓮舫氏は、「首都東京から日本の政治の流れを変え、岸田自公政権に審判を下していく」と述べました。都知事になることは手段にすぎず、真の目的は自公連立政権を打倒することだと述べたのです。 筆者の臆測が現実にならないことを願うばかりですが、ここで参院議員を辞任して都知事選に出馬し、仮に落選したならば次は衆議院選に打って出て、総理の座を目指す。そんな考えがあるとしたら、東京都民を愚弄していることになります。 しかし一般の新聞を読んでいるだけでは、そんな臆測もできません。ここに紹介したように蓮舫氏の発言を最も詳しく説明している「しんぶん赤旗」を丁寧に読まなければ、真意はつかめないのです。 一連の発言からみて、「蓮舫氏は共産党を、未来の政権のパートナーとして考えている」というのが筆者の受け止めです。共産党の田村智子委員長も同調するように、5月29日に「蓮舫さんを全力で応援する。都政を変え、国政を大きく転換する流れを東京から全国へ広げていきたい」と宣言しました。 どうやら今回の都知事選は、国政並みの意味合いを帯びてきたようです。政権交代どころか、国の体制転換まで内包した大きな選挙になったといえます。) 今回の選挙で鍵を握るのが、日本共産党です。共産党は早々と、蓮舫氏への支持を表明しました。5月27日の「しんぶん赤旗」は、次のように報じています。〈(共産党初期局長の)小池(晃)氏は選定委後の記者会見で、蓮舫氏が都知事選への立候補を表明したことについて「最強・最良の候補者が名乗りを上げてくれた。日本共産党として、勝利のために全力を尽くしたい」と表明しました〉 蓮舫氏も、共産党との協力に意欲的です。出馬会見で、支援を受ける意思を明確にしました。 〈これまでの市民と野党の共闘をベースに「反自民、非小池都政のオール東京の枠組みで支援いただきたい」と述べ、「共産党も含めた野党共闘をやらなければ勝てないのでは」という記者の質問に対して「いまおっしゃった方たちとの信頼関係ももちろん大事にしていきたい」と答えた〉(同前)
 29日には都議会の共産党控室を訪れ、「一緒に明るい温かな東京をつくらせていただきたい」とあいさつして、大山とも子・都議団長から花束を受け取っています。 蓮舫氏は、共産党の組織票を計算しているはずです。しかし、人気がないだけの立憲民主党と違い、共産党に対しては忌避反応を示す個人や組織がどれだけ多いかを、考えているでしょうか』、「共産党」はここは一歩引いて、「蓮舫氏」を裏面から支持する形とすれば、「連合」や「国民民主党」も「蓮舫氏」を支持し易かった筈だ。「蓮舫氏」も残念ながら考えが浅いようだ。

第四に、6月21日付けNEWSポストセブン「《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は」を紹介しよう。
・『東京都知事選(7月7日投開票)が6月20日に告示され、過去最多となる56人もの立候補者が出たことが話題となっている。都内各地に設置されたポスター掲示場では、「NHKから国民を守る党」が大量に同一のポスターを貼っていることなどが騒ぎとなっているが、そうした中で異例の動きがあったのが「ほぼ裸」の女性の姿を大写しにしたポスターの問題だった。 白塗りメイクで“ジョーカー議員”を自称する河合悠祐候補(43)が貼ったもので、「子どもが見る場所にこんなものを貼るな」と批判が殺到。警視庁にも苦情が寄せられた。 これを受けて警視庁は告示当日の夜に河合候補を呼び出し、東京都迷惑防止条例違反(ひわいな言動)に当たるとして口頭で警告。みだらな姿の女性の裸体が強調されていることが条例違反に当たる可能性があると指摘されたという。 同候補は警視庁前で報道陣の取材に応じ、「都迷惑防止条例に違反する可能性があるということで警告をいただいた。速やかに剥がすように求められた。それに従って剥がしていく」と語ったうえで、「合法の範囲だと思っていた」「性的な表現の自由も強く保障するべきと思っている」とも主張した。 問題となったポスターの上部には「モデル:桜井MIU」と記されており、実際に彼女が河合候補と一緒にポスター掲示場に貼る場面もSNSで拡散された』、全く呆れ果てるほどの悪ノリだ。公職選挙法の改正も検討すべきだろう。
タグ:dmenuニュース (その12)(ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア、「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し、都知事選に出馬する蓮舫氏の実態 「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】、《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は) 小池都知事問題 日刊ゲンダイ「ドッチラケだった都知事候補4人討論会…顔ぶれ中途半端、公平性担保でむしろアンフェア」 「「今回の構図は小池氏と蓮舫氏による事実上の与野党対決。小池氏が逃げ切るか、蓮舫氏が追い上げるか。三つ巴の戦いは想定されていません。有権者の投票行動に資することを第一に考えれば、2人の1対1討論で問題点をあぶり出すべきだという意見があった。一方で、候補者に対する公平性を担保するため、首長経験のある石丸氏らも呼ぶべきだとの声もあり、網が広げられた」(大手紙記者) 田母神氏は「普通の保守系の都民が投票する人がいない」と・・・「政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。 このクラブ討論はむしろフェアじゃない。 争点のひとつと言っていい小池氏の公選法違反(虚偽事項公表罪=学歴詐称)疑惑を深掘りさせないために、人数を増やしたのではないか。そんな印象が拭えません。小池氏を応援する自民党や公明党の支持者は高齢者が多く、NHKなどの大手メディアしか見ていない人が少なくないですから、今回も小池氏にまんまとだまされてしまうかもしれない。カイロ大の元幹部が学歴詐称を打ち消すために表に出てきたり、イカサマのにおいがますます強まっている。小池3選を許せば、民主主義の根幹をなす選挙は台無しです」 蓮舫はこの4人による討論会の継続開催を求めていたが、どうなるか」、「本澤二郎氏」の解釈は説得的だ。それにしても、「蓮舫氏」が「この4人による討論会の継続開催を求めていた」とは残念だ。本来の「与野党対決」に持ち込むべきなのに、すっかり小池側の手のなかにあるようだ。まだまだ未熟のようだ。 東洋経済オンライン 泉 宏氏による「「小池vs蓮舫」の都知事選"何でもあり"の異常事態 売名目的も多数で候補者56人、掲示板に継ぎ足し」 どうもマスコミには、「二人の女傑」の争いを他の多くの候補者にかまけて薄めようとの狙いがありそうだ。 「事実上の保革対決の構図」が候補者乱立のため、「「主要4氏」が候補者討論会で舌戦」と形を変えたのは「蓮舫氏」には不利に作用したようだ。 「多くのメディアが「主要候補」と位置づけている小池、蓮舫、石丸、田母神の4氏が、恒例の「日本記者クラブ候補者討論会」で舌戦を展開。NHKの完全中継だけでなく、民放各局も定時ニュースや情報番組などで「ハイライト」として報じた。また、ネット上でも各媒体が生中継し、X(旧ツイッター)での書き込みでも「候補者討論会」がトレンド上位となった。 討論会は合計1時間余と短かく、候補者同士の質疑応答と、クラブ側からの代表質問の二部構成で進行。 冒頭には4氏がボードで「政治屋の一掃」(石丸氏)、「首都防衛・大改革3.0」(小池氏)、「若者の手取り増・ガラス張りの都政」(蓮舫氏)、「結果を出す政治」(田母神氏)と掲げて所信を熱い口調でアピールした」、主要メディアはすっかり小池氏の狙いに乗せられたようだ。 こんな「現行の公職選挙法の“抜け穴”を突く形で、掲示板の占拠部分を“販売”して資金調達するという「狡猾な手法」」を許すべきではない。 「まさに何でもありのカオス」(選挙アナリスト)となり、関係者の頭痛の種は増すばかりだ。 このため、政界関係者の間では「今後の国政選挙や地方選挙のルールの歪みを正すため、政府や与野党が早急に公選法改正などに取り組む必要がある」(自民選対)との声が高まっている」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン 佐藤 優氏による「都知事選に出馬する蓮舫氏の実態、「親共産、反自民、非小池都政」【佐藤優】」 「立憲民主党」が前面に立つのは当然だ。 「共産党」はここは一歩引いて、「蓮舫氏」を裏面から支持する形とすれば、「連合」や「国民民主党」も「蓮舫氏」を支持し易かった筈だ。「蓮舫氏」も残念ながら考えが浅いようだ。 NEWSポストセブン「《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は」 「ほぼ裸」の女性の姿を大写しにしたポスターの問題 全く呆れ果てるほどの悪ノリだ。公職選挙法の改正も検討すべきだろう。
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小池都知事問題(その12)(【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】、都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に、蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決、小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」) [国内政治]

小池都知事問題については、本年4月24日に取上げた。今日は、(その12)(【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】、都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に、蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決、小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」)である。

先ずは、本年4月24日付けJBPressが掲載した作家の黒木 亮氏による「【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】」を鍾愛しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/80469
・『元側近が「文藝春秋」5月号に発表した手記をきっかけに、小池百合子・東京都知事の学歴問題が再びクローズアップされています。この問題の詳細について人気作家、黒木亮氏がJBpressでレポートした連載(全6回)をもう一度お届けします。(初出:2020年1月19日)※内容は掲載当時のものです。 これまでたびたび週刊誌などでも取り上げられながら、決定的な証拠を突き付けるまでには至らなかった小池百合子・東京都知事の「学歴詐称疑惑」。アラビア語やエジプト事情に疎い日本のメディアは小池氏の学歴詐称疑惑の追及に消極的で、このままでは、この疑惑は、永遠に疑惑のまま終わってしまうかもしれない。 小池氏の「お使い」レベルのアラビア語を聞けば、カイロ大学卒業という学歴は即座におかしいと分かる。筆者はアラビア語を学び、エジプトの大学(カイロ・アメリカン大学大学院中東研究科)を卒業した者の責務として、複数回の現地取材を含む調査で疑惑を徹底検証した。その結果、小池氏がカイロ大学の卒業要件を満たして卒業したという証拠、印象、片鱗は何一つ見出せなかった。 これまで他のメディアが報じてこなかった小池氏の「学歴詐称」を徹底検証するレポートの最終回をお届けする』、「筆者はアラビア語を学び、エジプトの大学(カイロ・アメリカン大学大学院中東研究科)を卒業した者の責務として、複数回の現地取材を含む調査で疑惑を徹底検証」、これは信頼性が高そうだ。
・『限られたメディアにチラ見せしただけの卒業証書  小池氏の学歴詐称疑惑は、すでに述べた通り、単なる書類の問題ではなく、入学の実態および卒業に必要な学業実態の有無である。もし学長、学部長などが関与して作られた“不正卒業証書”なら、成績表など大学内の書類も正規の卒業生同様に捏造されているので、いくらペーパーを出しても説得力がない。 ただ念のために、小池氏がテレビで“チラ見せ”している卒業証明書、卒業証書について、気づいた点を指摘しておく。 カイロ大学をはじめとするエジプトの国立大学において、卒業を証明する書類は3種類ある。卒業後1カ月以内程度で発行される「卒業証明書」、もう少し後に発行される「卒業証書」、科目別の成績が記載されている「成績証明書」である。 卒業証明書は、収入印紙が貼られた、実務色の強い書類である。卒業証書のほうは、それよりも大きなサイズで、日本の卒業証書や賞状あるいは免状に似た書類である。前者は基本的に全部の卒業生が取得し、後者は特に希望する学生が大学に申請して入手する。成績証明書は、外国の大学院などに進むときに必要になる。) 小池氏は、政治家になって27年経つが、この間、卒業証明書や卒業証書を見せたのは、「週刊ポスト」やフジテレビなど、ごく限られたメディアに対してのみで、都議会での公開要請にも応じていない(しかも「週刊ポスト」・・・の画像はごく小さなもので、文字はまったく判読不能)。また成績証明書は公開していない』、「卒業証明書や卒業証書を見せたのは、「週刊ポスト」やフジテレビなど、ごく限られたメディアに対してのみで、都議会での公開要請にも応じていない」、なるほど。
・『不鮮明な印影  小池氏が卒業関係書類を、明瞭な形で一般に公開していないため、それらが本物かどうかは、唯一文字が判読できるフジテレビのスクリーンショットで検討するしかない(2016年6月30日放送の「とくダネ!」)。
・『小池氏がフジテレビの番組で公開した卒業証明書  この検討にあたって筆者は、現地で会ったカイロ大学の卒業生やインターネット・サイトから20通ほどの卒業証明書を集め、小池氏のものと比較してみた。それらは1973年から2015年の間に、文学部、工学部、政経学部、商学部、医学部、薬学部、法学部などを卒業した人々のものである。 カイロ大学の卒業証明書は、学部や発行年度によって署名者、スタンプ、用紙の形が少しずつ違っている。署名者は、1つの卒業証明書に3~5人で、ムハッタス(specialist)、ムサッジル(registrar)、ムラーキブ(controller)、ムラージウ(checker)などがサインし、その下に、ムディール・アーンム・アッ・シュウーニ・タアリーミーヤ(general director for educational matters)やアミード・ル・クッリーヤ(学部長)などのサインがあるものが多い。また収入印紙が貼られ、大学の総合管理部(アル・イダーラト・ル・アーンマ)や学部のスタンプが、収入印紙の割り印を含め、1~5カ所に押されている。用紙は正方形に近いものもあるが、縦長の長方形が多い。 小池氏の卒業証明書はスクリーンショットで見る限り、証明書として通用しない代物である。なぜなら、最重要要件である大学のスタンプの印影がいずれも判読不明だからだ。 日本の銀行でも払い戻し請求書の印影が不鮮明だと、お金を下ろすことができないのと同じである。小池氏の卒業証明書には、3つのスタンプが押してあるが、右下の1つだけが、かろうじて鷲のマークがあるように見え、残り2つは何のスタンプか判然としない。筆者が集めた他の20通ほどの卒業証明書はいずれもスタンプが鮮明で、鷲のマークも、その周囲に書いてある学部名や大学の総合管理部というアラビア語の文字も鮮明に読める。 筆者はカイロ大学文学部の教授や日本の援助機関に管理職として勤務するカイロ大学工学部出身者に小池氏の卒業証明書を見せたが「これでは卒業証明書として通用しない」と言われた。前述の“不正卒業証書”作成業者を潜入取材したダリヤ・シェブル氏は「当時は優れた偽造技術を持った業者はいなかったと思うので、小池氏の卒業証明書は大学内部の人間が関与して作成した物だろう」とコメントした』、「ダリヤ・シェブル氏は「当時は優れた偽造技術を持った業者はいなかったと思うので、小池氏の卒業証明書は大学内部の人間が関与して作成した物だろう」とコメントした」、ここまで専門家に調べられたら、不自然な点は明確にならざるを得ない。
・『小池氏の卒業証書にある「乱れ」  スタンプ以外にも、小池氏の卒業証明書には、他の正規の卒業生のものと異なる「乱れ」がある。 第1に、小池氏の卒業証明書の文章が男性形で書かれていることだ。すなわち敬称に「サイイダ」(Ms.)ではなくサイイド(Mr.)が、生年月日を示す「生まれ」にも「マウルーダ(女性形)」ではなく「マウルード(男性形)」が、学位を「取得した」という語にも「ハサルト(女性形)」ではなく「ハサラ(男性形)」が、「(~の)求め」にも「タラブハー(彼女の求め)」ではなく「タラブフ(彼の求め)」と、すべて男性形で書かれている。 アラビア語では書類に男女の別を記載しなくても、語形でそれが分かるのである。他の卒業証明書でこのような性別の不一致があるものは1枚もなく、2通ある女性のものもきちんと女性形で書かれている。 「乱れ」の第2は、4人の署名者のうち、スクリーンショットでは、2人の署名しか確認できないことだ。同氏の卒業証明書の署名者の肩書は、右から「ムハッタス(specialist)」「ムラーキブ(controller)」「ムラーキブ・アーンム(general controller)」のサインの欄があり、サインがあると確実に言えるのは、真ん中の「ムラーキブ」のみである(そのさらに下には学部長のサインがある)。他の20通ほどの卒業証明書では、4つの署名のうち1つだけが欠けているものが1通だけあるが、それ以外はすべての署名者の欄にサインがある。 「乱れ」の3点目は、小池氏の卒業証明書には大学の収入印紙が逆さまに貼られていることだ。他の卒業証明書には、そういう例は1つもない。スペースの都合上やむなく、収入印紙を横に貼ったものはあるが、小池氏のものは、スペース確保とは関係なく逆さまに貼ってある。 第4に小池氏の写真がピンで留めてあることだ。筆者が集めた他の卒業証明書の写真はすべて糊付けかホッチキスである。就職活動等に使う大切な書類なので、しっかり留めるのは当然だろう。小池氏のものは別ルートで作られたという印象を受ける。 全体として、小池氏以外の卒業証明書は、スタンプの押し方、署名、収入印紙の貼り方など、非常に丁寧に作成されている点が印象的である。これで就職活動等をする重要な書類なので、当然だと言える。ところが、小池氏が卒業証明書だとしているものは、ずいぶんと杜撰に作られた印象を受ける。 小池氏が、卒業証明書と卒業証書はごく一部のメディアにしか見せず、成績証明書はいまだ誰にも見せていないというのも奇妙である。 筆者が取材で会ったカイロ大学の卒業生たちは、依頼すれば、全員、卒業証明書や卒業証書の画像を送ってくれたし、小笠原良治氏や中田考氏(1992年、カイロ大学から博士号を取得)の卒業証明書はネット上で公開されている。 本当に正規ルートで卒業したというのなら、これは実に奇妙な態度である。もし筆者自身がカイロ・アメリカン大学の卒業(大学院中東研究科修士課程)を疑われたら、即座に、卒業証書、成績表、卒業生名簿、卒業式の写真、同ビデオ(業者が撮影し、各卒業生に売っていた)、派遣元である当時の勤務先(三和銀行)に毎月送っていた研修報告書の控え、当時の講義ノートなどを公開し、場合によっては名誉棄損訴訟を提起する。これは誰しも同じだろう。ましてや小池氏は公人で、かつ気に入らないことには強硬に反論する性格の人物である。ひたすら逃げの姿勢に終始しているのは、下手に喋れば卒論の件のようにボロが出ると思っているのかもしれない』、「卒業証書にある」、「乱れの第1に、小池氏の卒業証明書の文章が男性形で書かれていること・・・他の卒業証明書でこのような性別の不一致があるものは1枚もなく、2通ある女性のものもきちんと女性形で書かれている・・・第2は、4人の署名者のうち、スクリーンショットでは、2人の署名しか確認できないことだ・・・3点目は、小池氏の卒業証明書には大学の収入印紙が逆さまに貼られていることだ。他の卒業証明書には、そういう例は1つもない・・・第4に小池氏の写真がピンで留めてあることだ。筆者が集めた他の卒業証明書の写真はすべて糊付けかホッチキスである。就職活動等に使う大切な書類なので、しっかり留めるのは当然だろう」、しっかりして信頼に足る検証だ。特に第一の「卒業証明書の文章が男性形で書かれていること」は致命t機な欠陥だ。小池氏は公人で、かつ気に入らないことには強硬に反論する性格の人物である。ひたすら逃げの姿勢に終始しているのは、下手に喋れば卒論の件のようにボロが出ると思っているのかもしれない」、その通りだろう。
・『「卒業証書」についても、フジテレビのスクリーンショットで見る限り、正式な文書である要件のいくつかを欠いている。また裏面の記載も見ないと、真贋は判断できない。この点については、裏面も含めてきちんと公開された時点で指摘する。なお、石井妙子氏は文春オンラインに寄稿した「小池百合子都知事のカイロ大学『卒業証書』画像を徹底検証する」で、『振り袖、ピラミッドを登る』の扉に掲載された卒業証書のロゴとフジテレビで放送された卒業証書のロゴが異なることを指摘している。 筆者も2つの画像をカイロ大学の文学部の教授に見せたが「確かにロゴが違う!」と驚いていた。小池氏は定例会見で「卒業証書は1枚しかない。大学が正式に発行した唯一のもので、それ以上のものはない」と答えたが、そのようには思えない。 (参考記事)https://bunshun.jp/articles/-/8551』、「「卒業証書」についても、フジテレビのスクリーンショットで見る限り、正式な文書である要件のいくつかを欠いている」、これも十分におかしな事実だ。
・『小池氏への質問と回答  これらの疑問点について、筆者は小池氏に書面で質したことがある。 2018年11月にある雑誌の編集部を通じて小池氏に送った質問とそれに対する小池氏の回答は以下の通りである。 ①貴殿は著書『振り袖、ピラミッドを登る』の奥付で、「1971年カイロ・アメリカ大学・東洋学科入学(翌年終了)」と書かれていますが、私どもの調査では当時(現在も)東洋学科というものは同大学に存在せず、貴殿が在籍したのはCASA(Center for Arabic Study Abroad=海外アラビア語学習センター)の初級(未修者)アラビア語コースであると理解していますが、この理解は違っているでしょうか? また同アラビア語コースでは各コース(レベル)の修了者に修了証と成績表を与えていますので、もし修了されたのでしたら、それらを拝見・写真撮影させて頂きたく存じます。 ②カイロ大学に入学したのは1972年10月でしょうか。 それとも1973年10月でしょうか? ③カイロ大学を卒業したのは事実でしょうか。卒業された場合、それは何年何月でしょうか? ④カイロ大学を卒業された場合、首席だったというのは事実でしょうか? ⑤カイロ大学の貴卒業証明書には、テレビのスクリーンショットで見る限り、署名者欄にサインがない箇所があり、スタンプの印影がいずれも不鮮明で、貴殿に関わる敬称・動詞・形容詞・人称代名詞がすべて男性形で書かれているようですが、この証明書はいつ、どのような経緯で取得したものでしょうか? また上記の諸点を考慮した場合、卒業証明書としての有効性に疑義があるように思われますが、どのようにお考えでしょうか? ⑥カイロ大学の卒業証明書、卒業証書、成績証明書を拝見して、写真撮影をさせて頂けないでしょうか? ⑦カイロ大学卒業後、貴殿は大協石油などで「アラビア語の通訳をされていた」というインタビューの記事がありますが、「アラビア語の通訳」というのは事実でしょうか? 果たして小池氏は、これに対してどう応じたのか。) 同年11月9日付で、小池氏から弁護士を通じて次のような回答があった。 「小池氏は、カイロ・アメリカン大学にてアラビア語を学んだ後、1976年10月にカイロ大学を卒業しました。同氏は、帰国後、官庁はじめ、企業の依頼により、アラビア語通訳を務めておりました。以上」 結論 以上述べた諸点の評価を踏まえ、小池氏がカイロ大学を卒業していないという同居女性の証言を疑う理由はないと筆者は考える。弁護士を通じて卒論がなかったと回答しているのは、同居女性が証言するとおり、4年生になれていなかったので、卒論の存在を知らなかったのだろう。 小池氏は学歴に関する嘘が非常に多い。都議会で、教授の一人から成績はトップなので大学院に進んだらどうかと言われたので、著書に首席卒業と書いたと答弁しているが、仮にチラ見せしている卒業証書が本物であったとしても、成績は合格点の下から2番目の「ジャイイド(good)」なので、明らかに嘘である。 小池氏は、24歳でカイロから帰国したとき、政治家になるなどとは思っておらず、マスコミが物珍しさで飛びついてきたので、調子に乗って嘘の経歴を話したというのが事の始まりなのかもしれない。その後、テレビキャスターになるにあたり、大学を出ていないのでは恰好がつかないと思い、嘘を上塗りし、政治家になってからは後戻りできなくなって、卒業したと強弁しているように見える。 もちろん許される話ではない。事実なら犯罪である。小池氏がアラブ諸国の大使などが集まった席で、一言か二言初歩的なアラビア語で話し、「今のは〇〇という意味のアラビア語です」と日本のメディアに向けて得意げに語っている姿には赤面を禁じ得ない。このような人物がカイロ大学を卒業したと自称するのは、懸命にアラビア語やアラブ文化を学び、きちんと試験を受け、卒論を提出してカイロ大学を卒業した人々に対する冒とくであろう。 取材で会った小池氏を知る複数の日本人は「小池さんは自分の利益になる人としか付き合わない」と言う。石井妙子氏による『小池百合子「虚飾の履歴書」』(「文藝春秋」2018年7月号)にも一時期結婚していた男性が「はじめから利用されるとわかっていた」と顔をこわばらせたという同居女性の証言がある。その小池氏が、今もエジプトに出かけ、ターリク・ハーテム氏とのコンタクトを続け、来日したエジプトの高官やカイロ大学関係者に会うのは「ほら、彼らも何も言わないでしょ? だから私はカイロ大学を出ているのよ」と言っているように見える(事実、都議会でそういう趣旨の答弁をしている)。小池氏は、東京とカイロの友好都市協定30周年の行事にも乗り気で、昨年11月頃、その調査のためなどに都職員をカイロに派遣しているが、これもそうしたデモンストレーションを兼ねてのことのようにも感じられる。 筆者には小池氏がカイロ大学の条件を満たして卒業したとは到底思えない。 小池氏は本件につき、公人として事情を詳しく説明する責任があるのは当然だ。繰り返しになるが、手紙やメモという証拠にもとづいた同居女性の証言が存在し、”不正入学”と"不正卒業"の可能性がある限り、「卒業証明書も卒業証書もある。カイロ大学も認めている」では、誰も永遠に納得しない。疑惑を払拭したいのなら、疑問点にきちんと答えるべきである。そういう基本的なこともできないのなら、学歴詐称をしているということだ。(了)』、「東京とカイロの友好都市協定30周年の行事にも乗り気で、昨年11月頃、その調査のためなどに都職員をカイロに派遣しているが、これもそうしたデモンストレーションを兼ねてのことのようにも感じられる・・・「手紙やメモという証拠にもとづいた同居女性の証言が存在し、”不正入学”と"不正卒業"の可能性がある限り、「卒業証明書も卒業証書もある。カイロ大学も認めている」では、誰も永遠に納得しない。疑惑を払拭したいのなら、疑問点にきちんと答えるべきである。そういう基本的なこともできないのなら、学歴詐称をしているということだ」、これはまさに決定打だ。

次に、5月29日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/757401
・『首都の顔を選ぶ東京都知事選(7月7日投開票)が6月20日の告示まで4週間足らずとなる中、3選を目指して5月29日にも出馬宣言する見通しの小池百合子知事(71)に先んじて、立憲民主の蓮舫参院議員(56)が27日に出馬表明した。これにより、4年に1度の首都決戦は「小池VS蓮舫」という女性同士の“頂上決戦”の構図が固まった格好だ。 蓮舫氏は27日午後、党本部で記者会見。冒頭に都知事選出馬を宣言したうえで「『反自民・非小池』を掲げて、広範な都民の支援を得る」との理由から、無所属で戦う考えを示した。もちろん、蓮舫氏を担ぎ出した立憲民主と共産両党は、「事実上の統一候補」として全面支援する構えで、これまで小池氏支持を模索してきた連合も、蓮舫氏支援に回るとみられる。 対する小池氏は3選出馬にあたり、表向きは無所属だが、自らが率いる地域政党・都民ファーストを推薦母体とし、現在の都議会運営で協力関係にある公明党に加え、自民党の協力も受ける構えだ。このため、今回の首都決戦は「小池、蓮舫両氏を与野党それぞれが支援する『与野党対決』の構図」となる見通しだ。 都知事選にはすでに、広島県安芸高田市の石丸伸二市長(41)ら20人以上が出馬を表明するなど、候補者数は過去最多となりそうだ。ただ、いずれも「初の女性総理候補」に名前が挙がってきた小池、蓮舫両氏の“2強対決”となることで、維新や新興勢力の日本保守党など他陣営が、「影が薄れるため、候補擁立を見送る可能性」(選挙アナリスト)も出てきた』、昨日、小池氏も都議会の最終日に正式に出馬表明した。
・『互いに「戦闘モード」、本番前にも舌戦激化へ  蓮舫氏は出馬会見の中で、「小池氏が公約に掲げた電柱ゼロや満員電車ゼロといった『七つのゼロ』は何も達成できていない」と厳しく批判。ここにきての小池氏の自民への接近についても「自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする先頭に立つ」と高らかに“打倒小池”を宣言した。 蓮舫氏は青山学院大在学中にグラビアアイドルとして活躍。その後、民放テレビの情報番組のキャスターを務め、2004年参院選東京選挙区に旧民主党から出馬して初当選し、現在4期目。2009年に誕生した民主党政権では、行政刷新担当相などを務め、野党転落後は、民進党代表などを務めた。) 蓮舫氏は2028年参院選東京選挙区の改選組だが、改選定数6の同区では現時点で補選対象にならず、2025年夏の参院通常選挙に併せて非改選組の欠員を補う「合併選挙」が実施される見通しだ。 蓮舫氏の挑戦に対し、小池氏は27日、視察先の八丈島で記者団に対し「報道で伺ってそれ以上の詳しいことは存じ上げていない」とことさら平静を装った。ただ、周辺には「絶対に負けられない。過去8年の実績には都民の評価もあり、(蓮舫氏の)批判のための批判は論破する」(側近)と対決姿勢を鮮明にしているとされる。 その一方で小池氏は28日午前に都庁で記者団に「29日から都議会が始まる。現職知事としてしっかり取り組みたい」と出馬は明言しなかった。その後、都民ファーストの会と公明党から、さらに都内の自治体トップの有志らから、相次いで出馬要請されたが「重く受け止める」と語った。小池氏としては29日の都議会定例会開会時に出馬宣言するとみられている』、前述の通り都議会の最終日に正式に出馬表明した。
・『静岡知事選や目黒都議補選で出馬決断  今回の蓮舫氏出馬決断について、立憲幹部は「26日の2つの選挙での立憲勝利がある」と解説する。その1つは、事実上の与野党対決だった静岡県知事選で、立憲と国民民主党が推薦した鈴木康友前浜松市長(66)が接戦を制したこと。もう1つは、同じ26日実施の都議補選(目黒区=欠員2)で、立憲の候補が激戦を勝ち抜き、小池氏が支援した自民候補が落選したことだ。 蓮舫氏自身は出馬会見で決断の時期について「ごく最近」ととぼけたが、「最近の各種選挙での自民不振を受け、今の政治状況なら当選のチャンスがあると判断した」(立憲幹部)のは間違いない。同氏は永田町だけでなく全国的知名度でも小池氏に引けはとらない。ここ数年の国会論戦でも、岸田首相や主要閣僚らへの鋭い追及の場面は、情報番組を軸に各メディアが大きく取り上げるケースが目立っている。) そうした状況も踏まえ、現段階での「小池VS蓮舫」を予測すると、「過去に例のない200万票台の競り合い」(選挙アナリスト)とみる向きが多い。というのも、蓮舫氏は、前回2022年参院選では、改選議席6の東京選挙区で、約67万票の4位当選。その一方で、民主党政権だった2010年参院選東京選挙区では2位の倍以上の約171万票でトップ当選している。このため、「今回、立憲、共産両党に下支えと無党派層の取り込みに成功すれば200万票の大台に手が届く」(同)可能性は十分だ。 これに対し小池氏は、2020年の前回都知事選では366万票超の記録的大勝。初出馬で、自民も含め各党が有力候補を擁立した2016年選挙でも約291万票を獲得、2位の自民支持候補に100万票以上の大差で圧勝している。しかも、最新の世論調査でも都民の5割以上が「小池都政を評価」しており、「どんなに逆風が吹いても、200万票を下回る事態は想定できない」(同)との見方が支配的だ』、「最新の世論調査でも都民の5割以上が「小池都政を評価」しており、「どんなに逆風が吹いても、200万票を下回る事態は想定できない」(同)との見方が支配的だ」、なるほど。
・『過去に例のない「200万票台の大勝負」に  過去の都知事選の「数字的構造」からみても、東京の有権者は約1100万人で、投票率50%と仮定すれば、総投票数は550万。その場合、小池、蓮舫両氏を除く今回予想される候補者の顔ぶれからみて、「その他候補の得票総数は100万票前後」(同)となることが想定される。とすれば、「小池、蓮舫両氏は450万票を取り合うことになり、まさに200万票台の大勝負」(同)となるわけだ。 そこで問題となるのが、小池、蓮舫両氏がそれぞれ抱える「負の要因」の影響。まず、小池氏については前回も大きな話題となった「カイロ大卒」を巡る学歴詐称疑惑。今回も月刊『文藝春秋』が5月号で、元小池氏側近で都民ファーストの事務局も仕切ってきた人物と小池氏のエジプト留学時代の同居人女性の「実名告発」を掲載、疑惑が再燃したが、「その内容は、これまで以上に信憑性が高い」(政治ジャーナリスト)とみられている。 この点については、蓮舫氏の出馬会見でも「小池氏の疑惑をどう見ているか」との質問が相次いだが、蓮舫氏は「報道内容はすべて読んだが、まずはご本人(小池氏)が説明すべきだ」と繰り返した。もちろん、同氏周辺は「候補者討論で、厳しく追及する」としており、日本記者クラブや各テレビ局、さらには関係団体主催の候補者討論会でのメインテーマとなることは確実だ。 その一方で、蓮舫氏も過去に「二重国籍」疑惑で追及された経緯もある。同氏陣営は「すでに決着した問題」(立憲幹部)と胸を張るが、最近急拡大し、選挙戦にも一定の影響を及ぼすとみられているSNSでも「学歴詐称疑惑と二重国籍疑惑の対決」などの口さがない書き込みも目立つ』、「「カイロ大卒」を巡る学歴詐称疑惑」は、第一の記事で「黒木 亮」氏が決定的な内容で報じている。
・『SNSには「緑のタヌキと白いキツネ」の書き込みも  蓮舫氏は出馬会見にトレードマークの白のスーツに黒のインナーで登場した。一方の小池氏はこれまで通り「緑」をメインとしたいでたちで選挙戦に臨むとみられる。これについてSNSでは、有名な食品コマーシャルをもじって「今回は緑のタヌキと白いキツネ」と揶揄する書き込みが目立つ。 まさに、「小池が勝か蓮舫が勝つかで、関係者だけでなく都民の多くが手に汗を握る戦い」(閣僚経験者)になりそうだ。ただ、冷静な有権者の間では「派手なアピール合戦やけなし合いより、都政の今後の在り方について地に足の着いた政策論争をしてほしい」との切実な声も広がっている』、「蓮舫氏」には神宮外苑再開発問題を取上げてもらいたいものだ。

第三に、6月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決」』、「「姑目線」で斬る」とは興味深そうだ。
・『もしもあなたが蓮舫氏と小池百合子氏の“姑”だったら?  東京都知事選は、現職の小池百合子氏と東京都選出参院議員の蓮舫氏の一騎打ちになりそうです。二人とも、熱烈なファンとアンチファンがいること、大きなスキャンダルを抱えていることが共通しています。前者はカイロ大学卒業疑惑、後者は台湾との二重国籍問題です。 その双方の疑惑報道に私も文春時代に関わってきましたが、今回は視点を変えて、「姑目線」で二人の女性候補を見てみましょう。もちろん、都知事選は小さな国家なみの首長選挙ですから、「姑目線」だけで決めていいとは思いません。しかし、口先の公約や演説が得意な人ほど、実際の私生活は真逆というのもよくある政治家の姿です。やはり私生活でも「公約」に近い暮らしをしている政治家の方が信用できます。  一応、議員の息子だった私も、父の「公約」によって家族の私生活が縛られました。私の父の公約は「麻雀、競馬、パチンコ、ゴルフはやりません」。そんな公約を掲げた政治家の息子が、これらの遊戯をするわけにはいきません。落選したら議員はただの人、家族の生活も零落します。だから、必死で父の公約を守りました。おかげで、いまだに賭け事もゴルフもできません(笑)。 小池氏も蓮舫氏も、今は独身ですが、二人とも結婚していた時代も恋人がいた時代もあります。残念ながら、二人の姑はともにメディアで発言していないので、息子のお相手をどう思っていたのかわかりませんが、姑が気になりそうな話をいくつかご紹介したいと思います。 まず、私が若いころをよく知っている蓮舫氏から始めましょう。クラリオンガールとしてモデルデビューした蓮舫氏は、週刊文春のグラビアにも登場。当時編集部員で、のちにエッセイストとなった故勝谷誠彦氏が惚れ込んで、マニラで撮影するグラビアまで企画していました。その後、キャスターとなってからも、私は記者仲間として付き合いがありました。 飲み会も何度もやりましたが、彼女が興味を持つのは「解散」がいつか。つまり政局ばかりで、政策やこの国をどうするのかといった議論には全然興味を示しません。私は、「ああ、彼女はこの国の政治記者、いや実際には政局記者になりたい人で、そのうち政治家になるのだろうけど、大成しないだろうな」と思っていました』、「(蓮舫氏)彼女が興味を持つのは「解散」がいつか。つまり政局ばかりで、政策やこの国をどうするのかといった議論には全然興味を示しません。私は、「ああ、彼女はこの国の政治記者、いや実際には政局記者になりたい人で、そのうち政治家になるのだろうけど、大成しないだろうな」と思っていました」、なるほど。
・『「お小遣い」は仕分けの必要さえなし? 蓮舫氏「びっくり格差婚」の顛末  しかし一番驚いたのが、リベラル系雑誌『インサイダー』の編集長・高野孟さんのスタッフだった村田信之記者と唐突に結婚したことでした。村田氏自身も週刊文春に出入りしていた記者でしたが、地味な存在で、記者というより高野氏や田原総一朗氏のスタッフという感じでした。そんな若者とニュース番組『ステーションEYE』でメインキャスターを勤める美人キャスターの結婚(当時は番組スタッフでもありました)ですから、格差婚としか言いようがありません。 プロポーズの言葉は「芥川賞をとるから結婚してくれ」だったらしいのですが、結婚している間はいつも「いつとるの?」といじられ、ついにはテレビで「ペット以下」と言われてしまいました。これには、世間から猛烈な批判が沸き起こりましたが、本人は「ふざけあっているだけ」と鷹揚な対応。いかにも、実質「ヒモ」というか「妻の七光」生活に浸りきっていたように見えました。 蓮舫氏が政治家になる前、北京大学に留学するため夫婦で中国にわたり、子供も授かりますが、大学に行く彼女を支えて主夫業を果たすのは、妻から「ムラ」と呼ばれていた彼ばかり。その後議員になり、民主党政権で有名な「仕分け」を仕切り、「2位じゃダメなんでしょうか?」と有名なセリフを吐いた時期も、夫の村田さんは「家庭内でも仕分けはあるんですか?」と問われ、「お小遣いも『仕分けしている』と言うんですが、もらった記憶もないんで(笑)」と自嘲していました。 1993年早稲田大学政治経済学部卒業、2005〜2006年早稲田大学大学院公共経営研究科で修士号を取得、鳩山由紀夫内閣で内閣官房専門調査員に就任と経歴は立派そうですが、妻と高野・田原人脈の影を感じます。 そして、2011年目黒区議選に出馬するも惨敗。妻の蓮舫氏も応援しましたが、彼女の持つ基礎票さえ獲得できませんでした。二人には双子の男女の子どもがいて、息子さんの方はタレントを経験したあと、なぜか自民党に入党して糸山英太郎氏の養子となり、政治の勉強をしているそうです。 蓮舫氏は議員になってからも、さまざまなトラブルを起こしました。ファッション雑誌『VOGUE NIPPON』2010年11月号に、国会議事堂の中央階段などで撮影した写真を掲載し、「議事堂内での撮影について、私的な宣伝や営利目的に当たる行為は許可されていない」と厳しく糾弾されました。 結局2020年に「価値観が違う」を理由に村田氏と離婚。彼はその後、釜石市の市議会議員に当選して、現在は東北で活動中です。 私は「主夫業」を否定はしません。が、蓮舫氏の場合、いかにも金持ちのお嬢様が、都合よく男性をこき使っている感があります。子育てについても、保育所は利用せず、村田氏と彼の友人のベビーシッターと本人の3人で分担。彼女は「私も主人も仕事がフリーランスですから、自由に行動できます。ベビーシッターは元保育士の男性で、彼は基本的に私と考え方が似ているし、子どもたちもなついてる。いろんな子を見てますから、私たちより子どものことがわかっていて、彼の判断やアドバイスは正しいですね」と自信満々に子育てを語ります。これが一般庶民の女性層の共感を得られるのか。私には「上から目線」発言が気になります。 そして、最初から気になっていた「政治ではなく政局好き」は今も変わりません。都知事出馬宣言でも、小池都政攻撃の舌鋒は説得力のあるものでしたが、彼女が東京をどうしたいのか、具体的な政策は何もありませんでした』、「具体的な政策」はこれから公表する政策に盛り込まれる予定だ。
・『小池百合子氏も出馬確実? 周囲を戸惑わせる「ある言動」  一方、挑戦を受けて立つ形になった(まだ出馬しない可能性も10%程度はあるという人もいますが)小池氏は、高飛車なお嬢様「蓮舫」と比べると、苦労して成り上がった老練さが特徴です。もっとも彼女も政策型ではなく、政局型。機を見るに敏な政治行動でここまで登りつめました。 ただ、実際に小池氏に仕えた官僚たちの評判は必ずしも悪くありません。官僚の提案をよく聞いて実行してくれるという評価が多いです。ただ、「パーティのスピーチを始めるとき、必ず『今日は日本語ですか?英語でやりますか?』と聞くのが厭味……」なのだそうです。 さて、大学卒業疑惑ばかりが話題になる小池氏ですが、実は結婚歴があります。その詳細は今でも不明ですが、彼女自身の著書『振り袖、ピラミッドを登る』のあとがきに、お世話になった人として登場する男性がその人です。かなり激烈な離婚騒動があったらしく、それ以外は彼女の著書には一言も彼のことは出てきません。また、小池氏が結婚を望んだと言われる男性の恋人も存在しました。 では、「姑目線」で見た小池氏はどんな女性なのか。カイロ大学の卒業疑惑については、ここでは触れません。ただ、彼女のカイロ大学での生活ぶりは、小池氏という人物のことがよくわかるエピソードに満ちています。ここからは、ほとんどをベストセラー『女帝 小池百合子』(石井妙子著)から、ご紹介します(一応、私は取材の協力もしたので、石井さんには長い引用をお許しいただけると幸いです)。) (1)アラビア語の勉強はせず、カイロの日本人商社マンの相手ばかりしていました。小池氏の父がエジプトで利権漁りをするため、カイロを訪れるたびに娘と商談の席にホステス代わりに連れ出されます。カタコトのアラビア語を話し、振り袖の彼女はモテたそうで、口の悪い日本人留学生はゲイシャガールと呼んでいたそうです。 (2)彼女はルームメイトとともに、アラビア語を勉強するために部屋をシェアしていました。しかし、ルームメイトによると次々と男性客が訪れてきます。ルームメイトはお茶を出したり、料理を作ったりで勉強などするヒマがなく、小池氏が日本の商社の男性に誘われて、ゴルフやテニスに出かけるとき、集中的に勉強したということです。 (3)仕送りは全くなく、どうやって生計を立てていたかは、友人もよくわからなかったそうですが、あるとき強烈な体験をします。父親がカイロに来てヒルトンホテルに宿泊。小池は父親に会った後に大きな巾着袋を持って帰ってきました。中から出てきたのは、ヒルトンの備品であるコーヒーカップ、皿、ナイフ、フォーク、シュガーポット。白い巾着袋に見えたのは、テーブルクロスでした。最初は悪戯だと思っていたルームメイトも、同じことが度重なるのを見て、小池氏の生活が厳しいことがわかったといいます。 (4)結局、全然アラビア語を勉強しないまま、パリ短期留学などをしている彼女を、ルームメイトが心配し、一度アラビア語のノートを見たことがありました。そこには、あまりに拙いアラビア語が書かれてあり、英語でいえば「This is a pen 」にあたるような言葉がぎこちなく上下していました。「大学入学は大丈夫なのか」と聞いても、本人は「父がドクター・ハーテムという実力者と親しいから、頼んでくれる」と言うばかり。実際、少し時間はかかったものの、ハーテムルートで2年生からの編入入学が実現したそうです』、「ハーテムルートで2年生からの編入入学が実現」、なるほど。
・『敵を作り出すのがうまい 「オヤジキラー」の選挙戦  こうしたカイロ生活の果てに、前述の男性との結婚生活が始まり、ルームメイトとの生活は終わりました。その男性がその後彼女にアラビア語を教える係になったようですが、彼も彼女を支え切れず、短い期間で離婚しました。うまく利用されたとも言えるでしょう。 その後、帰国してからの親父キラーぶりと出世ぶりは、みなさんもご存じの通りです。オヤジキラーは敵を創り出して選挙をするのがうまく、郵政選挙では兵庫から東京に鞍替えして小泉政権大勝の大功労者となり、都知事選では都議会のドンを徹底的に攻撃して大勝しました。一方の蓮舫氏は、お嬢さん育ちですが、同じく敵を作り叩きのめす言葉が売りものです。 今回は「姑目線」で2人の私生活から浮かび上がる人物像を見てきましたが、一体どんな罵り合いが始まるのか、ある意味面白い選挙になるのは間違いないでしょう。(元週刊文春・月刊文芸春秋編集長 木俣正剛)』、「小池氏」は、「帰国してからの親父キラーぶりと出世ぶりは、みなさんもご存じの通りです。オヤジキラーは敵を創り出して選挙をするのがうまく、郵政選挙では兵庫から東京に鞍替えして小泉政権大勝の大功労者となり、都知事選では都議会のドンを徹底的に攻撃して大勝しました」、「蓮舫氏は、お嬢さん育ちですが、同じく敵を作り叩きのめす言葉が売りものです」、「一体どんな罵り合いが始まるのか」、大いに楽しみだ。

第四に、6月8日付け文春オンライン「小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/71228
・『小池百合子都知事が2020年の再選時に公約に掲げ、2022年3月から運用が開始された東京都のドクターヘリ。そのドクターヘリ事業において、キャンセル率が約8割という異常事態に陥っていることがジャーナリストの赤石晋一郎氏の取材で分かった。 「誰もが、どんな時にでも、症状に応じた適切な医療を迅速に受けられる体制作りというのが救急医療の基本です。ドクターヘリの運用を開始することで、さらに都民の医療支援を拡充させていきたい!」 2022年3月30日、杏林大学医学部付属病院で開かれた東京都ドクターヘリ就航式。主賓として登壇した小池都知事は高揚した様子でこう語った』、興味深そうだ。
・『「このままでは救える命も救えなくなる」  ドクターヘリとは、医師や看護師を乗せて傷病者のもとへ向かう救急医療用ヘリコプターのことである。 小池都知事は2020年の2度目の出馬の際に政策集「東京大改革2・0」を発表。そのなかで、街づくりの一環として「ドクターヘリの強化」を明記したのだ。 「かねてからドクターヘリ事業については都議会公明党が推進を働きかけてきました。小池氏は2期目の出馬に際し、公明党案を丸呑みし、自らの肝煎り政策として掲げるようになった。都のドクターヘリ事業は、杏林大学医学部付属病院が医師・看護師を派遣する『基地病院』となり、ヘリの運航は入札の結果、学校法人ヒラタ学園に委託された。現在は多摩地区などの西東京エリアのみで運航されています」(都政関係者) ドクターヘリの就航から2年。都内の医療関係者は「小池政策は穴だらけ。このままでは救える命も救えなくなるのではないか」と危機感を募らせる。 都のドクターヘリ事業が抱える大きな問題のひとつが「異常なキャンセル率の高さ」である』、「異常なキャンセル率の高さ」はどうしてなのだろう。
・『東京だけ異常に高いキャンセル率  都道府県ごとの運航データが明記されている「2023年度ドクターヘリ事業運航実績」(全日本航空事業連合会作成)によれば、都のドクターヘリの運航回数1360回のうち、患者を運んだ回数は306回、患者を運ばずに戻ってきたキャンセルの回数は1054回だという。 計算するとキャンセル率は77%、実に約8割となっている。前年度における東京都のキャンセル率を調べてみると、やはり78%と高い数字である。 隣県の数字をみると、埼玉県は10.7%、千葉県は27.9%。東京都を除いた全国平均を調べると、18%と低い水準で収まっており、東京都の数字がいかに異常であるかが判る。 これには日本航空医療学会のトップである猪口貞樹理事長も首をかしげる。 「東京都のキャンセル率はあり得ない数字です。他の都道府県の数字を見ても、通常のキャンセル率は20%、高くて50%程度です。ドクターヘリは、症状を重めに判断し、出動のハードルを低くするオーバートリアージという考え方で運用されますが、それはどの都道府県も同じ。なぜ東京都だけが8割近いキャンセル率になるのか不可解です」 6月5日(水)配信の「週刊文春 電子版」および6月6日(木)発売の「週刊文春」では、赤石氏による東京都のドクターヘリに関するレポートを3ページにわたって掲載する。不透明な落札経緯、国交省が運航事業者であるヒラタ学園に出した「事業改善命令」と「警告書」の中身、医師・看護師を派遣する杏林学園の理事長が「委託会社の変更を真剣に検討する」と語ったインタビューなどを詳しく報じる。 ※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください』、「患者を運ばずに戻ってきたキャンセルの回数は1054回だという。 計算するとキャンセル率は77%、実に約8割となっている。前年度における東京都のキャンセル率を調べてみると、やはり78%と高い数字である。 隣県の数字をみると、埼玉県は10.7%、千葉県は27.9%。東京都を除いた全国平均を調べると、18%と低い水準で収まっており、東京都の数字がいかに異常であるかが判る」、「キャンセル率」の異常な高さはやはり未解決のままだ。 
タグ:小池都知事問題 (その12)(【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】、都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に、蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決、小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」) JBPRESS 黒木 亮氏による「【最終回】小池百合子「カイロ大卒」の真偽 卒業証明書、卒業証書から浮かび上がる疑問符【JBpressセレクション】」 「筆者はアラビア語を学び、エジプトの大学(カイロ・アメリカン大学大学院中東研究科)を卒業した者の責務として、複数回の現地取材を含む調査で疑惑を徹底検証」、これは信頼性が高そうだ。 「卒業証明書や卒業証書を見せたのは、「週刊ポスト」やフジテレビなど、ごく限られたメディアに対してのみで、都議会での公開要請にも応じていない」、なるほど。 「ダリヤ・シェブル氏は「当時は優れた偽造技術を持った業者はいなかったと思うので、小池氏の卒業証明書は大学内部の人間が関与して作成した物だろう」とコメントした」、ここまで専門家に調べられたら、不自然な点は明確にならざるを得ない。 「卒業証書にある」、「乱れの第1に、小池氏の卒業証明書の文章が男性形で書かれていること・・・他の卒業証明書でこのような性別の不一致があるものは1枚もなく、2通ある女性のものもきちんと女性形で書かれている・・・第2は、4人の署名者のうち、スクリーンショットでは、2人の署名しか確認できないことだ・・・3点目は、小池氏の卒業証明書には大学の収入印紙が逆さまに貼られていることだ。他の卒業証明書には、そういう例は1つもない・・・ 第4に小池氏の写真がピンで留めてあることだ。筆者が集めた他の卒業証明書の写真はすべて糊付けかホッチキスである。就職活動等に使う大切な書類なので、しっかり留めるのは当然だろう」、しっかりして信頼に足る検証だ。特に第一の「卒業証明書の文章が男性形で書かれていること」は致命t機な欠陥だ。小池氏は公人で、かつ気に入らないことには強硬に反論する性格の人物である。ひたすら逃げの姿勢に終始しているのは、下手に喋れば卒論の件のようにボロが出ると思っているのかもしれない」、その通りだろう。 「「卒業証書」についても、フジテレビのスクリーンショットで見る限り、正式な文書である要件のいくつかを欠いている」、これも十分におかしな事実だ。 「東京とカイロの友好都市協定30周年の行事にも乗り気で、昨年11月頃、その調査のためなどに都職員をカイロに派遣しているが、これもそうしたデモンストレーションを兼ねてのことのようにも感じられる・・・「手紙やメモという証拠にもとづいた同居女性の証言が存在し、”不正入学”と"不正卒業"の可能性がある限り、「卒業証明書も卒業証書もある。カイロ大学も認めている」では、誰も永遠に納得しない。疑惑を払拭したいのなら、疑問点にきちんと答えるべきである。そういう基本的なこともできないのなら、学歴詐称をしているということだ」 、これはまさに決定打だ。 東洋経済オンライン 泉 宏氏による「都知事選「小池VS蓮舫」の"頂上決戦"という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に」 昨日、小池氏も都議会の最終日に正式に出馬表明した。 前述の通り都議会の最終日に正式に出馬表明した。 「最新の世論調査でも都民の5割以上が「小池都政を評価」しており、「どんなに逆風が吹いても、200万票を下回る事態は想定できない」(同)との見方が支配的だ」、なるほど。 「「カイロ大卒」を巡る学歴詐称疑惑」は、第一の記事で「黒木 亮」氏が決定的な内容で報じている。 「蓮舫氏」には神宮外苑再開発問題を取上げてもらいたいものだ。 ダイヤモンド・オンライン 木俣正剛氏による「蓮舫氏と小池百合子氏、信用できるのはどちら?「姑目線」で斬る都知事選の頂上対決」』 「「姑目線」で斬る」とは興味深そうだ。 「(蓮舫氏)彼女が興味を持つのは「解散」がいつか。つまり政局ばかりで、政策やこの国をどうするのかといった議論には全然興味を示しません。私は、「ああ、彼女はこの国の政治記者、いや実際には政局記者になりたい人で、そのうち政治家になるのだろうけど、大成しないだろうな」と思っていました」、なるほど。 「具体的な政策」はこれから公表する政策に盛り込まれる予定だ。 「ハーテムルートで2年生からの編入入学が実現」、なるほど。 「小池氏」は、「帰国してからの親父キラーぶりと出世ぶりは、みなさんもご存じの通りです。オヤジキラーは敵を創り出して選挙をするのがうまく、郵政選挙では兵庫から東京に鞍替えして小泉政権大勝の大功労者となり、都知事選では都議会のドンを徹底的に攻撃して大勝しました」、「蓮舫氏は、お嬢さん育ちですが、同じく敵を作り叩きのめす言葉が売りものです」、「一体どんな罵り合いが始まるのか」、大いに楽しみだ。 文春オンライン「小池都知事の公約“東京ドクターヘリ”キャンセル率8割の異常事態「このままでは救える命も救えなくなる」」 「異常なキャンセル率の高さ」はどうしてなのだろう。 「患者を運ばずに戻ってきたキャンセルの回数は1054回だという。 計算するとキャンセル率は77%、実に約8割となっている。前年度における東京都のキャンセル率を調べてみると、やはり78%と高い数字である。 隣県の数字をみると、埼玉県は10.7%、千葉県は27.9%。東京都を除いた全国平均を調べると、18%と低い水準で収まっており、東京都の数字がいかに異常であるかが判る」、「キャンセル率」の異常な高さはやはり未解決のままだ。
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