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天皇制度(その1)(新天皇の「お言葉」で「日本国憲法」尊重姿勢が弱まった理由は…背景に安倍首相による取り込みと官邸の圧力、なぜ「次の天皇」が女性ではいけないのか "雅子皇后の苦しみ"を繰り返すのか、なぜ「女系・女王」をイギリスは容認してきたか 「男系・男子」に限る日本との歴史的な違い、反対の声の中、55万人に恩赦…小林節氏「時代錯誤だ。天皇陛下に成り代わり、総理がお仲間の公選法違反を赦すことになる」) [国内政治]

これまで、天皇陛下退位問題(その3)として取上げてきたが、新天皇の即位も終わったので、天皇制度(その1)(新天皇の「お言葉」で「日本国憲法」尊重姿勢が弱まった理由は…背景に安倍首相による取り込みと官邸の圧力、なぜ「次の天皇」が女性ではいけないのか "雅子皇后の苦しみ"を繰り返すのか、なぜ「女系・女王」をイギリスは容認してきたか 「男系・男子」に限る日本との歴史的な違い、反対の声の中、55万人に恩赦…小林節氏「時代錯誤だ。天皇陛下に成り代わり、総理がお仲間の公選法違反を赦すことになる」)として取上げることにした。

先ずは、昨年5月3日付けLITERA「新天皇の「お言葉」で「日本国憲法」尊重姿勢が弱まった理由は…背景に安倍首相による取り込みと官邸の圧力」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2019/05/post-4697.html
・『5月1日朝、即位した徳仁天皇が「即位後朝見の儀」の「お言葉」で、憲法の尊重に言及した。 「常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望いたします」 日本国憲法は、天皇に憲法を尊重し擁護する義務を課しており、明仁上皇も天皇即位の際、「即位後朝見の儀」の「お言葉」で「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、」と宣言をしていた。 そう考えれば、今回も憲法を尊重する言葉があるのは当たり前なのだが、しかし、その“当たり前”に、一部で安堵の声が上がっている。というのも、この間、安倍政権が「新天皇のお言葉」から憲法のくだりを削除しようと圧力をかけているとの情報が流れていたからだ。宮内庁担当記者が語る。 「天皇陛下は、上皇陛下の姿勢を受け継ぎ、同じように日本国憲法を守ることを宣言する姿勢を見せており、上皇陛下もそれを強く望まれていました。ところが、官邸は『新しい時代にふさわしいお言葉を』と、暗に護憲色を抑えることを宮内庁に求めていたようです。官邸の代理人とも言われる警察官僚出身の西村泰彦次長が、東宮を通じて陛下を説得したという情報も流れましたし、この間、宮内庁内部でお言葉を巡ってせめぎあいがあったことは間違いない」 しかし、実際に発せられた「お言葉」には「世界の平和と国民の幸せを願われ、いかなる時も国民と苦楽を共に」など、上皇の姿勢をたたえる言葉がふんだんに盛り込まれ、「憲法にのっとり」という文言もあった。そのため、「新天皇が安倍政権の圧力を押し返した」「平和と民主主義を守る上皇陛下の姿勢を引き継ぐことを力強く宣言された」という評価になったらしい。 だが、この「お言葉」、ほんとうにそう楽観できるものなのだろうか。というのも、明仁上皇の国民に寄り添う姿勢を受け継ぐ決意がきちんと盛り込まれている一方で、「憲法」への言及は明らかに弱くなっているからだ。 明仁上皇の天皇即位の際の「お言葉」は前述したように、「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たす」というものだった。ところが、今回の徳仁天皇の場合は「憲法にのっとって」と言っただけ。明仁天皇の国民と同じ目線に立った護憲の決意はなくなり、「日本国憲法」も「憲法」に省略されていた。ベテラン皇室ジャーナリストはこう分析する。 「率直に言って、あのお言葉には、妥協の印象を強く受けますね。上皇陛下の業績を最大限にたたえ、その姿勢を受け継ぐことは押し通すことができたものの、憲法のところでは安倍政権に配慮し、必要最小限にとどめられたんじゃないでしょうか。実際、官邸側から見ると、あの表現なら御の字。この間の働きかけが実ったと喜んでいるはずです」 そう、今回のお言葉は、新天皇が官邸の働きかけに屈した結果、とも読み取れるのだ』、「安倍政権が「新天皇のお言葉」から憲法のくだりを削除しようと圧力をかけているとの情報が流れていた」、「憲法のところでは安倍政権に配慮し、必要最小限にとどめられた」、安倍政権がここまで策謀するとは、改めて驚かされた。
・『安倍首相が元号決定前、新天皇に最終6案を伝えていた! 憲法違反の可能性  実際、明仁天皇の戦後民主主義や憲法を守る姿勢を嫌い、陰に陽に圧力をかけてきた安倍首相だが、生前退位が決まってからは、ターゲットを新天皇になる徳仁皇太子に移し、この間、しきりに取り込み工作を展開してきた。 極めつきが、2月22日、3月29日、4月8日と3度にわたる皇太子との面会だろう。総理大臣が天皇に国内外の情勢を報告する「内奏」は年に数回ほどおこなわれているが、現役の首相が皇太子と一対一で面会をするのは前代未聞。それを約1カ月ちょっとのあいだに3度もおこなったのだ。 しかも、そのうちの1回は、衝撃的な内容の会談をしていたことが明らかになった。朝日新聞がスクープしたのだが、3月29日、2回目に皇太子に面会した際、安倍首相は「令和」を含む新元号候補である6案を事前に説明していたというのである。 言わずもがな、憲法4条で「天皇は国政に関する権能を有しない」と定められており、新元号の事前選定に関わっていれば、明白な憲法違反だ。「平成」への代替わりのときも、即位したばかりの新天皇に新元号を伝えたことが問題になったが、これは閣議決定する直前に「平成」という最終案を伝えただけだった。ところが、今回の安倍首相の行動は、6案を提示して、次期天皇に元号選定にかかわらせるかたちをとったのだ。 「慎重な皇太子殿下のことですから、元号選定に意思を示すようなことはしておられないでしょうが、『陛下のことをこんなに尊重申し上げている』ことを示そうとした安倍首相のアピールにはなったはず。今回、陛下が“お言葉”で憲法に踏み込めなかったのは、その影響がなかったとは言えません」(前出・ベテラン皇室ジャーナリスト) なんとも暗澹とする話だが、安倍首相の新天皇取り込みはまだ始まったばかりだ。安倍首相はこれから、年に数回は「内奏」などで面談するが、その機会を利用してどんどん国家主義的な考え方を吹き込み、政治利用を強めていくだろう。 「表からのアプローチだけでなく、裏からの工作も激化するでしょう。すでに官邸は宮内庁だけでなく、皇后陛下にも、古巣である外務省を通じて働きかけをおこなっている。皇后陛下が外交に興味をもっていることを利用して“これまで以上に皇室外交にご尽力を”などのメッセージを伝え、取り込みを図っているようです」(全国紙政治部記者) もっとも、一方では、疎遠になっていた明仁上皇と徳仁天皇がここ数年、再び結びつきを強くし、明仁上皇が平和と憲法、民主主義を守る自分の姿勢を受け継いでほしいということを強く伝えているとも聞く。実際、その頃から徳仁皇太子も憲法について口にするようになり、明仁天皇・皇后が護憲姿勢を明確にしたすぐ後の2014年の誕生日会見では、徳仁皇太子も「今日の日本は、戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、現在、わが国は平和と繁栄を享受しております」などと語っていた。 新天皇は明仁上皇の護憲の意思を継ぐのか。それとも、安倍政権に取り込まれていくのか。明日4日は、新天皇の一般参賀がおこなわれ、国民に向けて再び「お言葉」を出す予定だ。その内容が今後を占う鍵になるかもしれない』、「「内奏・・・を約1カ月ちょっとのあいだに3度もおこなった」、ここまでミエミエで取り込みを図ろうとは酷い。「新元号の事前選定に関わっていれば、明白な憲法違反だ」、天皇を取り込むためとはいえ、安部首相がここまでやるとは恐れ入った。「皇后陛下にも、古巣である外務省を通じて働きかけをおこなっている」、官邸がここまで組織的に取り込み工作をやっているとは、初めて知ったが、改めて怒りを感じる。なお、4日の「新天皇の一般参賀」では、憲法には触れられなかったようだ。

次に、ジャーナリストの元木 昌彦氏が5月6日付けPRESIDENT Onlineに掲載した「なぜ「次の天皇」が女性ではいけないのか "雅子皇后の苦しみ"を繰り返すのか」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/28569
・『二度と戦争は起こしてはならないという強い決意  平成から令和になったが、私には何の感慨もわかない。 改元についての番組をNHKは3日間で33時間も放送したという。平成から令和へと変わる5月1日の午前0時、渋谷のスクランブル交差点を含めて、年明けのようなお祭り騒ぎが全国で繰り広げられた。 アベノミクスが失敗して景気が落ち込み、北方領土返還もプーチン大統領に無視され、万策尽きた安倍政権が、改元をお祭りにするという策を弄(ろう)したのかもしれない。その目論見はひとまず功を奏したということだろうか。 私は、明仁上皇が生前退位したことはよかったと思っている。第二次世界大戦で戦死した日本軍の激戦地を訪問する慰霊の旅を続けてこられたことに、尊敬の念を禁じ得ない。 天皇皇后が激戦地跡にたたずみ、深く首を垂れる姿には、二度と戦争は起こしてはならないという強い決意がにじみ出ていた。 長い旅を終えられ、体力の限界を感じた明仁上皇が、202年ぶりといわれる譲位を決断されたのは、よくよく考えてのことであったのだろう』、「改元をお祭りにするという策」は見事に功を奏したようだ。
・『「国民と共に憲法を守ることに努めていきたい」  皇太子徳仁親王が126代天皇の位に就かれた。5月1日、新天皇が即位後の朝見の儀で述べる「おことば」に注目が集まった。 昭和天皇が崩御して天皇に即位した明仁天皇は、そこでこう述べられた。 「皇位を継承するに当たり、大行天皇の御遺徳に深く思いをいたし、いかなるときも国民とともにあることを念願された御心を心としつつ、皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、国運の一層の進展と世界の平和、人類福祉の増進を切に希望してやみません」 また、その後の記者会見でも、陛下の憲法への思いをお聞かせくださいといわれて、「憲法は、国の最高法規ですので、国民と共に憲法を守ることに努めていきたいと思っています」と答えている。 「憲法を順守する」という強い決意を表明したのである』、「明仁天皇」の発言には確かに「強い決意」を感じた。
・『「憲法を守る」と「憲法にのっとり」の大きな違い  新天皇はどういわれたのか。 「憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望いたします」 毎日新聞(5月2日付)は社説で、「言葉遣いはやや変わっても、基本姿勢は同じとみられる」と書き、やや疑問を呈した。 朝日新聞(5月2日付)は、おことばは、「内容は似ているが、異なる点もあった」とし、古川隆久日大教授は、「憲法を『守り』は、改憲しないとの意図が感じられる。『のっとり』にはそのニュアンスはなく、改憲もありうるという内閣の考え方が反映されたようにみえる」と語っている。 さらに、天皇のおことばは、閣議決定を経ることになっていて、今回も閣議決定で決まったものだと、何らかのチェックが入ったのではないかとにおわせる。 のっとりという言葉を辞書で引くと、基準やルールを基準にし、従うという意味だと出ている。 われわれ国民も、憲法に定められていることに従って生活しているが、その憲法が改悪されたら、嫌でも、それに従わなければならない』、「天皇のおことばは、閣議決定を経ることになっていて、今回も閣議決定で決まった」、安部政権は何でも「閣議決定」にしているが、「天皇のおことば」までその対象にしているとは驚きだ。
・『天皇・皇族にとっての「自己実現」とは何か  だが、現憲法を守るというと、そこには憲法の三原則である国民主権、平和主義、基本的人権を堅持していく、それを改悪することは許さないという積極的な意味を持つことになるはずだ。 消極的な憲法護持と積極的に憲法を肯定し、それを遵守することの間には、かなりの隔たりがあると思うのは、私だけだろうか。 「国政に関する機能を持たない天皇に、国民が多くを期待することは健全ではない」という成城大学森暢平教授(朝日新聞5月2日付)の考え方もわかるが、森教授もいっているように、「国家システムとして求めているのは、あくまで記号としての天皇」だが、実際には記号ではなく人間である。「天皇・皇族にとっても、自己実現とは何か、何を為して生きるべきかは、最大の難関だと思います」(森教授) 新しい時代の天皇への国民の期待は大きい。平成の時代、天皇皇后が行動で示してきた平和を守るという意志を、どういう形で見せてくれるのか。国民の一人として見守りたい』、「国家システムとして求めているのは、あくまで記号としての天皇」だが、実際には記号ではなく人間である。「天皇・皇族にとっても、自己実現とは何か、何を為して生きるべきかは、最大の難関だと思います」、確かに難しい問題だ。
・『週刊新潮は令和時代の「壬申の乱」を危惧  一見、令和の幕開けは順調のように見えるが、多くの難問が前途に控えているといわれる。 その一つは、皇位継承順位第1位の「皇嗣」となり、長男の悠仁さんが同第2位になられた弟君、秋篠宮文仁親王の最近の言動である。 4月21日付の朝日新聞朝刊が、秋篠宮が「兄が80歳のとき、私は70代半ば。それからはできないです」といったと報じた。 この発言が物議を醸している。週刊誌はいち早くこのことを取り上げ、週刊新潮(5/2・9号)は、秋篠宮は自分が天皇を継ぐことになるのなら、できるだけ早くやりたいと考えている。自分の代は短くてもいいから、早く悠仁に継がせたいという思いが出ているのではないかと報じている。 しかし、兄が新天皇になる直前に、弟が皇位を早く譲ってほしいと急(せ)かせるような発言をするだろうか。もしそうだとしたら、新潮は令和時代の「壬申の乱」になるかもしれないと危惧している』、兄弟の関係も「皇位」が絡むと難しいようだ。
・『「皇嗣としての自覚があるのか」と問うている  週刊文春(5/2・9号)は、秋篠宮の発言の真意は「自分は天皇になるつもりはない」というもので、皇位継承順位第一位の秋篠宮が即位をしないためには、皇室典範の改正や特例法の制定が必要となるから、皇嗣になって同様の発言をすると、政治的な発言だと批判を浴びかねない。そのためギリギリのタイミングで自分の考えを朝日に書かせたのではないかと、河西秀哉名古屋大学大学院准教授の見解を掲載している。 しかし、これが秋篠宮の即位拒否だとすれば、今後も退位が繰り返され、短期間での退位や新天皇の即位拒否が繰り返され、天皇が空位になる可能性もある、という保守派の八木秀次麗澤大教授のような意見もある。 文春はその前の号で、皇太子(当時)が秋篠宮に対して、「もっと大きな志を持ってほしい」「(新天皇となる)自分の思いを理解してほしい」と知人に漏らしていたと報じていた。 秋篠宮に皇嗣としての自覚があるのかと問うているのである』、なるほど。
・『タイの新国王の戴冠式に出かけようとしていた秋篠宮  たとえば、5月4日には新しい天皇皇后と秋篠宮夫妻が初めて国民と対面する一般参賀が行われたが、秋篠宮は2日か3日にしてほしいと希望していたそうだ。 4日に、彼と親しいタイの新国王の戴冠式があり、それに出席したいと望んでいたからだという。結局、タイ側が、外国から賓客を招かないことになって事なきを得たそうだが。 私は、自由奔放な秋篠宮らしいと思うのだが、皇室にいる人間たちはそうは考えないようだ。 このたび皇太子が不在になるため、秋篠宮の役割はさらに重要になる。さらに、秋篠宮家は、長女眞子さんと小室圭さんとの結婚という深刻な問題を抱えている。 次女の佳子さんは、大学を卒業するにあたり記者の質問に答えて、姉の眞子さんの結婚を望んでいると発言し、さらに、姉と小室圭に関するマスコミ報道を真っ向から批判した』、「タイ側が、外国から賓客を招かないことになって事なきを得た」、日本側からの水面下の働きかけもあったのではなかろうか。
・『雅子妃ほど「バッシング」を受けた皇太子妃はいなかった  週刊誌報道によれば、姉と妹は母親の秋篠宮紀子さんと意思の疎通が行えない状態だといわれている。そうしたこともあって、秋篠宮はこの頃痩せて、薬を服用しているという報道まである。 天皇を支える立場の秋篠宮との関係、秋篠宮家の問題が、何らかの形で波風が立つようにでもなれば、徳仁天皇の前途にやや不安が残るかもしれない。 二つ目は雅子皇后の体調問題である。5月1日にティアラとローブデコルテを身につけて即位の儀式に臨む雅子皇后の晴れやかな笑顔を見て、私も含めて、かつて外交官として世界を舞台に活躍していた雅子妃のことを思い出した人は多かったのではないか。 雅子妃ほど、皇太子妃になられて、メディアや宮内庁の人間からバッシングされた女性はいなかったであろう。 初の平民出身の美智子皇太子妃(当時)も、お付きの人から厳しいことをいわれた、皇后との嫁姑戦争があったと報じられたことがあったが、雅子妃のそれは、その比ではなかった』、皇太子が「雅子」さんへの「バッシング」の酷さについて言及したのも記憶に新しいところだ。
・『「結婚に消極的な姿勢は一貫していた」  ハーバード大学を出て東大法学部に入った小和田雅子さんが、国家公務員試験に受かり、中退して外務省入りしたのは24歳の時だった。 父親は外交官で、旧ソ連でも過ごしたからロシア語も堪能だそうだ。皇太子・浩宮に誘われて御所で何度か会ったようだが、「陛下に好意は抱いていたようだが、『やりたいことがあって外務省に入ったのだから』と結婚に消極的な姿勢は一貫していた」と、当時親しく付き合っていた斎藤智子記者が朝日新聞デジタル(5月1日12時00分)に書いている。 この頃、プロポーズまで発展しなかったのは、彼女の祖父が水俣病を出したチッソの社長・会長を歴任したことがあり、宮内庁の中からだろう、反対の声があったという。 その後、イギリスのオックスフォード大学に留学したが、皇太子妃候補ということで留学先まで記者たちが追いかけてきた。 だが、浩宮の熱い思いに打たれ、92年に雅子さんが結婚を承諾したのである』、「皇太子妃候補ということで留学先まで記者たちが追いかけてきた」、マスコミも因果な商売だ。
・『結婚8年でやっと授かったのは「女の子」だった  婚約会見で、「皇太子殿下からプロポーズにあたり『雅子さんのことは僕が一生全力でお守りします』といわれたと、彼女が明かした。 その言葉にウソはなかった。しかし、皇太子妃になった雅子妃を待ち受けていたのは、あまりにも苛烈な日々であった。 宮内庁職員からの厳しい言葉もあったのだろう。だが彼女を一番苦しめたのは子どもをつくれ、男の子を産めというプレッシャーであったことは間違いない。 結婚して8年、やっと授かった子どもは女の子であった。周囲は素直に喜んではくれず、彼女は深く傷ついた。 その頃、宮内庁の人間から秋篠宮紀子さんに、男の子を産んでくださいという話があったといわれている。 幸福感に満ちあふれていたはずの愛子さんの誕生会見の席で、「私の胸元に連れてこられる生まれたての子供の姿を見て、本当に生まれてきてありがとうという気持ちで一杯になりました」といいながら、絶句した雅子妃に、そっと手を差し伸べられた皇太子の姿が忘れられない』、「宮内庁職員からの厳しい言葉」、守るべき立場をどう考えているのだろう。
・『まるで公務を怠けているかのような情報操作  2004年5月10日、皇太子が欧州歴訪前の会見で、「それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」と明言したのは、プロポーズの時、「あなたを全力で守る」といった言葉が真であったことを示す、皇太子の覚悟の現れであったのだろう。 事の重大さに驚いた宮内庁は、雅子妃に説明に上がりたいと申し出たが、雅子妃は「それなら私は皇太子妃を辞めます」と答えたと、当時の週刊誌に報じられている。 皇太子の深い愛に包まれていたものの、雅子妃の体調は次第に悪化していった。 帯状疱疹、適応障害などで公務もままならない日々が続いた。メディア、特に週刊誌は、公務に行かないのに、家族とは会って食事をたびたびしていると、心無い報道を続けた。 愛子さんの学校に付き添い、合宿にも一緒に行き、雅子妃だけがホテルをとって高額な部屋に泊まったことまで報じ、まるで公務を怠けているかのような印象を国民に流し続けたのである』、こうした「情報操作」は、「メディア」だけの責任ではなく、背後に「宮内庁」の影がありそうだ。
・『「女性天皇を認めること」に賛成は79.6%、反対は13.3%  だが、長い時間がかかったが、皇太子と並んで、公務や被災地を訪れる雅子妃の姿が見られるようになってきた。 皇后陛下になられた雅子妃を見ていると、そんな苦労の日々はなかったかのような晴れやかな表情をしている。これだけの苦労をしてきた雅子皇后だからこそできることがあると思う。これからも無理をせず、公務に家族団欒にと有意義な時間を過ごしてほしいと思う。 共同通信社の世論調査(5月1~2日実施)によると、新天皇陛下に「親しみを感じる」と回答した人は82.5%もいるという。それに皇室典範で「男系男子」に限るとしている皇位継承についても、女性天皇を認めることに賛成は79.6%、反対は13.3%しかなかった。 新しい天皇即位によって、皇位継承権のある男系男子は3人だけになってしまった。再び、雅子妃のようなことがあってはならない。そのためには、愛子さんが天皇に即位できるよう皇室典範を改正すべきであろう。 女系天皇にまで踏み込まずとも、歴史上、女性天皇はこれまで何人もいる。政権が、皇室の繁栄を本心から願うなら、すぐに手をつけるべきだと、私は思う。(文中敬称略)』、その通りだが、安部政権はやる気がなさそうだ。

第三に、著作家の宇山 卓栄氏が6月9日付け東洋経済オンラインに掲載した「なぜ「女系・女王」をイギリスは容認してきたか 「男系・男子」に限る日本との歴史的な違い」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/285588
・『日本とイギリスでは何が異なるのか?  先月、令和の時代が幕開けました。新天皇の御即位とともに、皇位継承に関する報道なども増え、この問題に注目が集まっています。 現在、わが国では、皇室典範の規定により、男系男子にしか皇位継承を認めていません。男系で、かつ男子の皇位継承者を永続的に多人数、確保することは容易ではないため、男系男子以外にも皇位継承権を広げるかどうかという問題提起や議論がなされています。 なお女系天皇は、母のみが皇統に属する天皇を指します。天皇個人の性別についての「女性天皇」とは異なる概念です。つまり男系男子とは、父が皇統に属し、かつ天皇個人の性別が男性であるということです。 先般もある通信社の世論調査によると、「女系・女性天皇に賛成7割」という結果が出ました。 この問題を考えるうえで、イギリス王室の例がよく引き合いに出されます。「イギリスにはエリザベス女王がおられるのに、なぜ、日本では女性天皇が認められないのか」「チャールズ皇太子が即位すれば女系王になる、なぜ、日本では女系天皇が認められないのか」などの声があります。 イギリス王室と日本皇室とでは、歴史背景、文化・伝統、制度・政治などすべてが異なり、単純比較することはできません。それでも、イギリス王室が歴史的に女王や女系王を認めたという事実や経緯を知ることは、日本皇室との違いを認識するうえで役立ちます。 12世紀、イギリスで初めて女王が出ました。イングランド王ヘンリー1世は男子の継承者がなく、娘のマティルダを王位継承者としたのです。しかし、マティルダは従兄との王位継承戦争に巻き込まれたため、父王の死後、ほんのわずかな期間、在位したにすぎず、追い出されてしまいます。 マティルダはフランス貴族のアンジュー伯と結婚しており、男子がいました。このマティルダの子が力をつけ、イギリスに攻め込み、イギリスの王位継承権を獲得、1154年、イギリス国王ヘンリー2世となります。ヘンリー2世は女系王として、プランタジネット朝を創始します。 こうして、イギリスでは、女王(マティルダ)と女系王(ヘンリー2世)の前例がつくられました。この前例から派生したイギリスの王族子孫らは、女王や女系王を否定することができなくなります。それでも、王位継承の男子優先という原則が守られたため、その後、しばらく女王は出ませんでした』、「イギリス」では「女系・女性」は認められているが、「王位継承の男子優先という原則」があるとは初めて知った。
・『女系で広がった王位継承権の拡大  14世紀、フランス王シャルル4世が継承者を残さず没すると、イギリス王エドワード3世は自らの母がフランス王家の出身であることを理由にフランス王位を要求します。フランスはこれを認めず対立、百年戦争がはじまります。 エドワード3世はフランスにおいては女系になります。イギリスでは、女系にも王位継承権が認められていたので、エドワード3世はフランス王位継承権を自らの権利であると主張したのです。 イギリスのように、女系王容認という立場であれば、母が外国からやってきた場合、その子には母の出身国の王位継承権があるということになります。母、祖母、祖々母とさかのぼって、母系の出身国のすべてに、王位継承権があるという理屈になります。 そして、ここが非常に大事なところなのですが、逆に、他国に嫁いだイギリス王族女性の子にも、王位継承権があるということです。例えば、スペイン王に嫁いだイギリス王族出身の女性から生まれた子孫はすべて、女系子孫として、イギリス王位継承権があるということになります。つまり、その場合、スペイン王族がイギリス王位継承権を主張することができるわけです。このように、女系継承により、際限なく、王位継承者が広がるのです。 実際、現在のイギリスの王位継承者は約5000人もいます。その中には他国の王も含まれます。 主な継承者とその順位の例として、ノルウェー国王ハーラル5世は第68位、プロイセン王家家長ゲオルク・フリードリヒ・フェルディナントは第170位、スウェーデン国王カール16世グスタフは第192位、デンマーク女王マルグレーテ2世は第221位、ギリシャ王妃アンナ=マリアは第235位、ギリシャ国王コンスタンティノス2世は第422位、オランダ前女王ベアトリクスは第812位、オランダ国王ウィレム=アレクサンダーは第813位となっています。 男系家系の派生範囲は限定的であるけれども、そこに女系が加わるとその範囲は膨大になります。このような継承者の範囲拡大を防ぐため、日本皇室では、皇族女性が嫁いだ際には、皇籍を離脱させます。女系継承を認めないという皇室の原理は天皇家の外に対しては際限のない継承者拡大を防ぐためであり、天皇家の内に対しては王朝の断絶を防ぐためであるのです(女系王即位による王朝断絶については、具体的にはヴィクトリア女王の子が即位したときに起りましたが、後段で改めて紹介します)。) 16世紀前半に絶対君主として、ヘンリー8世(テューダー朝)が君臨しました。ヘンリー8世の死後、嫡男のエドワード6世が王位を継ぎますが、病弱であったため、15歳で逝去します。ヘンリー8世の子は、エドワード6世以外は女子であったため、メアリー1世とエリザベス1世の姉妹が王位を継ぎます。 メアリー1世とエリザベス1世の2人の女王には子がなかったため、女系王はこの時代、誕生しませんでした。2人の女王は国内外の政治的事情が複雑に絡み、結婚できませんでした。エリザベス1世は「私は国と結婚した」という有名な言葉を残しています。ただし、レスター伯をはじめ愛人とされる男は多くいました。それでも、子に恵まれず、テューダー朝は断絶します。 次のステュアート朝でも、17世紀末から18世紀初頭、メアリー2世とアンの姉妹が王位を継ぎますが、後継者に恵まれず、断絶します。やはり、ここでも女系王は誕生しませんでした』、「女系継承を認めないという皇室の原理は天皇家の外に対しては際限のない継承者拡大を防ぐため」、一定の意味はありそうだが、一代限りで「女系」を認めてもいいのではなかろうか。
・『女系継承容認という価値観が国民にも共有されてきた  そして、19世紀に登場する女王がヴィクトリア(ハノーヴァー朝)です。ヴィクトリア女王は大英帝国の最盛期を担い、1837~1901年の64年間にわたり、君臨しました。ヴィクトリア女王は1840年、ザクセン=コーブルク=ゴータ家のアルバート公と結婚します。ザクセン=コーブルク=ゴータ家はドイツのザクセン家という有名な貴族の家系から派生した分家です。 コーブルク(ドイツ、バイエルン州北部の都市)とゴータ(テューリンゲン州の郡)を領有していたため、このような家名で呼ばれます。この家系が1831年以降、新たに独立したベルギー王位を世襲し、今日のベルギー王室に至っています。 ヴィクトリア女王が逝去すると、アルバート公との間に生まれた長男のエドワード7世が即位します。エドワード7世は女系王です。女系王であるため、父の家名に変更され、イギリスはザクセン=コーブルク=ゴータ朝(英語読みでサクス=コバータ=ゴータ朝)となります。つまり、ハノーヴァー朝の断絶です。 しかし、イギリスでは、女系継承容認の立場から、ヴィクトリア女王の直系血筋が断絶したわけでないため、ハノーヴァー朝の継続を主張する人もいます。また、ハノーヴァー=サクス=コバータ=ゴータ朝という折衷名が使われることもあります。 現在のイギリスはウィンザー朝です。エリザベス女王の後を、チャールズ皇太子が継ぐと、エリザベス女王の夫で、チャールズ皇太子の父であるエジンバラ公の家名を加えたマウントバッテン=ウィンザー朝と家名を変える予定です。 マウントバッテン朝ではなく、マウントバッテン=ウィンザー朝という折衷名にするのはやはり、ヴィクトリア女王の時代と同じく、エリザベス女王の直系血筋が絶えるわけではないという考え方で、ウィンザー朝の継続というニュアンスを出すために、この王朝名を引き続き使おうとしていると考えられます。 このように、女系継承容認というのがイギリス王室の歴史的文化・原理として長い間培われ、国民にもその価値観が共有されてきたのです。 イギリス王室はその歴史背景において、日本皇室とまったく異なります。その差異がどのようなものであるかを再認識することによって、皇室の歴史文脈の独自性が色濃く浮かび上がります。皇位継承問題を考えるにあたり、こうした観点は有用な視座を与えてくれるものであると思います』、安部政権は、この問題を取上げるのには後ろ向きだが、皇位継承の安定性を考慮すると、今から議論しておくべきだろう。

第四に、10月20日付けAbemaTIMES「反対の声の中、55万人に恩赦…小林節氏「時代錯誤だ。天皇陛下に成り代わり、総理がお仲間の公選法違反を赦すことになる」」を紹介しよう。
https://times.abema.tv/posts/7024482
・『政府は18日、天皇陛下が即位を国内外に宣言される「即位礼正殿の儀」に合わせ「恩赦」を実施することを閣議決定した。 国としてのお祝いや、悲しい出来事があった際に、罪を犯した人々の刑を軽くしたり、刑罰そのものを無効、つまり判決の効力を変更したりする恩赦は、世界各国で行われており、アメリカではオバマ前大統領は恩赦により終身刑の受刑者550人以上を釈放、話題となった。日本では昭和天皇の「大喪の礼」(1989年)の際に1000万人、上皇さまの即位礼正殿の儀(1990年)で250万人、そして直近で両陛下がご結婚された際(1993年)に実施されている。 今回、恩赦の対象は軽微な犯罪に限定、自民党の鈴木総務会長は15日の会見で対象が約55万人であるとしているが、「罪を犯したら相応の罰を受けるのが当然では?赦される意味がわからない」「三権分立してなくね」「冤罪なら救済になるけど、犯罪者が恩恵を受けるのは納得いかん」「象徴であるはずの天皇が政治利用されるじゃん」などの疑問の声も多い。こうした意見に対し、法務省は「有罪判決を受けた人にとって更正の励みとなり、再犯防止の効果も期待でき、犯罪のない安全な社会を維持するために重要な役割を果たしている」との声明を出している。 17日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、慶應大学名誉教授(憲法学)で弁護士の小林節氏に話を聞いた』、「55万人に恩赦」とは納得できない。
・『「制度はあるが使わないのが一番良い」  恩赦について、憲法では「恩赦は天皇の国事行為と規定」(7条)「内閣の職務として規定」(73条)と定めている。 小林氏は「そもそも恩赦という言葉には、“大御心”という意味が含まれている。天皇陛下のお気持ちで、まとめて赦してやるということだが、それは時代錯誤だ。神話の世界というか、法の世界の話ではない。また、現憲法下では天皇は象徴であり、天皇の名で政府が実施するということは、総理大臣が天皇陛下に成り代わり、3年前までのお仲間の公職選挙法違反、政治資金規正法違反を赦すということになる。こうした点を自民党の議員や党本部の職員に聞いてみても、あまり深く考えておらず、惰性でやっているように感じる。先例というものは時代状況によって変わっていくものだが、変えようという勇気がないと思う」と話す。 「今の日本は民主国家で、三権分立の法治国家だ。国民の代表が国会で“こういうことをしたらこういう犯罪になり、こういう刑罰がついてくる”ということを前もってリストにして皆に見せる。でもやってしまう人に対しては行政の一環として警察が摘発し、検察が起訴する。そして独立した裁判所が判断して個別に刑を決め、法務省に戻ってきて処遇されていく。そうやって世の中を回しているものを突然、せっかくのめでたい天皇の代替わりだからと変えてしまうということだ。メリットはない。政府の文書によれば、3年前までに罰金を食らって、医師・看護師免許や公職選挙の立候補資格などが停止されていた人々について、簡単にいえば“2年早く赦してやる”ということ。また、スピード違反、痴漢、未成年者買春、盗撮の類も赦されるだろう。 今回は様々な議論があり、評判が悪そうだからということで、かなり工夫をしてこれまでに比べて対象者を減らしているが、それでも私は納得していない」。 実際、共同通信による全国電話世論調査では、今回の恩赦について賛成が24.8%だったのに対し、反対は60.2%に上っている。また、海外に目を向けてみると、アメリカでは大統領と州知事が恩赦権を持っており、先述のとおりオバマ前大統領は過去1700件以上の恩赦を与えている。また、韓国では度々実施されており、朴槿恵政権下では実刑判決を受けた財閥オーナーにも恩赦を与えている。一方、イギリスでは国王が恩赦権を持っているものの、一律の恩赦は1930年代以降行われていない。 海外では死刑囚さえも恩赦になるケースがあることについて、小林氏は「我々日本人から見れば、アメリカは緻密な国ではなく、急ごしらえの開拓民の世界だ。元々はヨーロッパの王国と喧嘩別れしてできた国なので、王政に付随する恩赦などというものをきちんと受け継いで使えるはずがない。だから法の世界だと割り切って、お友達を許してさよなら、と。韓国も利害関係で同じようなことをしている。政治家によるこのような特権的な使い方は間違っている。逆にイギリスでは形骸化していて、女王が店じまいしたため、ほとんど“抜かずの刀”になっている。制度はあるが使わない。これが一番良い。やはり民度の問題で、世論調査で賛成が30%いなかったということは、これは決まりだ」と述べた』、仮に「恩赦」をするとしても、正々堂々と議論した上で、決めるべきなのに、今回は、議論抜きに陰で決められた不透明な印象だ。
・『「被害者に救いを与えることこそすべきではないか」  ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「SNSで情報が流通するようになって、慣例に対して疑問を呈しやすくなっているし、過度に公正さを求める人が増えているという時代状況もある。厳罰化も進む中、“恩赦はけしからん”となるというのは、少し嫌な感じがする。三権分立という中、天皇陛下が即位されたから赦しましょうというだけでは多くの人は納得しないのは確かだ。それでも公正さの保たれた恩赦というものはあり得ると思う。例えば長年にわたって再審が始まらない高齢の死刑囚などは特例的に釈放してもよいのではないか。あるいは大麻が合法化されたとしたら、それまでに逮捕されて服役している人を釈放するといったこともありえるのではないか」と問題提起。 これに対して小林氏は「死刑に関しては中央更正保護審査会が活動しているし、高裁がコントロールしている。そうしたバランスをとるのは恩赦ではないし、法律を変えればいい。あるいは法務省での処遇を科学的に高めていくことだ。私も弁護士として関わった場合は個別恩赦、特赦あるいは減刑を申請する手伝いはする。だがそれは法務省で行っている個別の処遇に関する行政処分の問題であって、天皇陛下の大御心の問題ではないと思う」とコメント。 「ハグ屋」「えろ漫画家」のピクピクン氏は「僕は国民として陛下が好きだ。その陛下の名の下に犯罪者を赦してしまえば、犯罪者は救われても被害者に救われない。お祝いという大義名分なのであれば、むしろ被害者に何らかの救いを与えることこそ、イメージもセンスも良いと思う」と提案。これに対し、小林氏は「全く同感で、専門家である私が教えられたような感じがする」とした上で、「だからこそ、一見して被害者のいない公職選挙法違反や、スピード違反などを対象に選んでいる。ところがスピード違反は全ての人が被害者だと言っていいし、公職選挙法違反も直接ではないが国民が共有する被害であり、国政の根本が疑わしくなるものだ。分かりにくいから、反発がこないからと思っているのだろう」と指摘した。さらにピクピクン氏「僕の職業で言えばモザイク規制を緩くし、カルチャーを発展させるようなものこそが赦しだ。今回、恩赦に賛成した国会議員はきちんと名前を出して言ったのか」と畳み掛けた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)』、「恩赦に賛成した国会議員は・・・」とあるが、今回は国会に諮ったわけではなく、政令一本で恩赦することになる。「公職選挙法違反や、スピード違反」であっても、恩赦でなかったことにするというのは、天皇の名を汚すことにもなり、極めて残念な決定だ。
タグ:東洋経済オンライン 天皇制度 PRESIDENT ONLINE litera 元木 昌彦 (その1)(新天皇の「お言葉」で「日本国憲法」尊重姿勢が弱まった理由は…背景に安倍首相による取り込みと官邸の圧力、なぜ「次の天皇」が女性ではいけないのか "雅子皇后の苦しみ"を繰り返すのか、なぜ「女系・女王」をイギリスは容認してきたか 「男系・男子」に限る日本との歴史的な違い、反対の声の中、55万人に恩赦…小林節氏「時代錯誤だ。天皇陛下に成り代わり、総理がお仲間の公選法違反を赦すことになる」) 「新天皇の「お言葉」で「日本国憲法」尊重姿勢が弱まった理由は…背景に安倍首相による取り込みと官邸の圧力」 安倍政権が「新天皇のお言葉」から憲法のくだりを削除しようと圧力をかけているとの情報が流れていた 官邸は『新しい時代にふさわしいお言葉を』と、暗に護憲色を抑えることを宮内庁に求めていた 宮内庁内部でお言葉を巡ってせめぎあいがあったことは間違いない 「憲法」への言及は明らかに弱くなっている 憲法のところでは安倍政権に配慮し、必要最小限にとどめられたんじゃないでしょうか 今回のお言葉は、新天皇が官邸の働きかけに屈した結果 安倍首相が元号決定前、新天皇に最終6案を伝えていた! 憲法違反の可能性 「内奏」 約1カ月ちょっとのあいだに3度もおこなった 「なぜ「次の天皇」が女性ではいけないのか "雅子皇后の苦しみ"を繰り返すのか」 二度と戦争は起こしてはならないという強い決意 「国民と共に憲法を守ることに努めていきたい」 「憲法を守る」と「憲法にのっとり」の大きな違い 天皇・皇族にとっての「自己実現」とは何か 週刊新潮は令和時代の「壬申の乱」を危惧 秋篠宮文仁親王の最近の言動 「皇嗣としての自覚があるのか」と問うている タイの新国王の戴冠式に出かけようとしていた秋篠宮 雅子妃ほど「バッシング」を受けた皇太子妃はいなかった 「結婚に消極的な姿勢は一貫していた」 結婚8年でやっと授かったのは「女の子」だった まるで公務を怠けているかのような情報操作 「情報操作」は、「メディア」だけの責任ではなく、背後に「宮内庁」の影 「女性天皇を認めること」に賛成は79.6%、反対は13.3% 宇山 卓栄 「なぜ「女系・女王」をイギリスは容認してきたか 「男系・男子」に限る日本との歴史的な違い」 日本とイギリスでは何が異なるのか? 女系で広がった王位継承権の拡大 現在のイギリスの王位継承者は約5000人 男系家系の派生範囲は限定的であるけれども、そこに女系が加わるとその範囲は膨大になります。このような継承者の範囲拡大を防ぐため、日本皇室では、皇族女性が嫁いだ際には、皇籍を離脱させます 女系継承を認めないという皇室の原理は天皇家の外に対しては際限のない継承者拡大を防ぐため 女系継承容認という価値観が国民にも共有されてきた AbemaTIMES 「反対の声の中、55万人に恩赦…小林節氏「時代錯誤だ。天皇陛下に成り代わり、総理がお仲間の公選法違反を赦すことになる」」 「即位礼正殿の儀」に合わせ「恩赦」を実施することを閣議決定 オバマ前大統領は恩赦により終身刑の受刑者550人以上を釈放 昭和天皇の「大喪の礼」(1989年)の際に1000万人、上皇さまの即位礼正殿の儀(1990年)で250万人、そして直近で両陛下がご結婚された際(1993年)に実施 今回、恩赦の対象は軽微な犯罪に限定、自民党の鈴木総務会長は15日の会見で対象が約55万人 制度はあるが使わないのが一番良い 慶應大学名誉教授(憲法学)で弁護士の小林節氏 賛成が24.8%だったのに対し、反対は60.2% イギリスでは国王が恩赦権を持っているものの、一律の恩赦は1930年代以降行われていない
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安倍内閣の問題閣僚等(その11)(萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金、案里議員認めた1億5000万円「安倍マネー」を原資に不正か、小田嶋氏:大臣の謝罪で得をしたのは誰?) [国内政治]

安倍内閣の問題閣僚等については、昨年11月8日に取上げた。今日は、(その11)(萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金、案里議員認めた1億5000万円「安倍マネー」を原資に不正か、小田嶋氏:大臣の謝罪で得をしたのは誰?)である。

先ずは、Frontline Pressが1月15日付け東洋経済オンラインに掲載した「萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/323883
・『選挙の際に立候補者のポスター代金を公費負担する制度をめぐり、「候補者側からの請求金額が過大だ」「水増し請求ではないか」といった疑念がつきまとっている。そのため、地方選挙では住民監査請求が引きも切らない。 この問題に関連し、2017年の衆議院選挙で東京都から選出された現職議員37人(小選挙区と比例復活)の実態を調べたところ、萩生田光一・文部科学相(24区・自民党)は2014、2017年の衆院選において、ポスター印刷を契約した業者からほぼ同時期に政治献金を受けていたことがわかった。 選挙制度に詳しい専門家は「業者と候補者が事前に何かを話し合っていたら詐欺罪になりかねない」と指摘している』、「文部科学相」になろうとする人物がなんとみみっちいことをするのか、と驚かされた。
・『萩生田氏のポスター本業「飲食店経営」が受注  「選挙ポスター公費負担『100万円超』への大疑問」(2020年1月11日配信)で既報のとおり、2017年の東京都から選出されている現職議員37人のうち9人は、公費負担制度で認められた限度額いっぱいを請求している。1枚当たりの単価も印刷枚数も規定の上限だった。 取材記者グループ「フロントラインプレス」が公表資料や情報開示請求で得た公文書を分析したところ、萩生田氏は2014、2017年の選挙の際、地元八王子市内のA社とポスター印刷の契約を結んだ。A社のホームページには事業内容として「デザイン・印刷広告」と記されているものの、本業はパブなど9店舗を経営する飲食業だ。 ところが、A社は実際に印刷をしておらず、この2回の選挙とも、同じ八王子市内の印刷業者B社にポスター印刷を“下請け”発注した。公職選挙法の規定では、法定ポスターには印刷責任者名をポスター表面に記載する必要があり、2014年も2017年も萩生田氏のポスターにはB社の社名が記されている。 このB社は毎年のように萩生田氏側からパンフレットやビラ、講演会ポスターなどの印刷を請け負っている業者だ。では、なぜ、この2度の選挙において萩生田氏側はポスター印刷をB社に直接発注せず、わざわざA社を介する形を取ったのか。 公開資料などによると、2014年の選挙時、A社は萩生田氏と交わした契約に沿って、制度上限額の99.9%に当たる111万9936円を東京都選挙管理委員会に請求した。さらに、2017年には上限額の100%に当たる115万1920円を請求。選挙後にそれぞれの代金は選管からA社に支払われている。 一方、萩生田氏が代表を務める政治団体「自民党東京都第24選挙区支部」には、選挙のあった2014年と2017年に限って、A社からの政治献金があった。2014年は投票日12月14日の5日前の同9日に10万円。2017年は投票日10月22日の3日前に10万円。また、実際のポスター印刷を“下請け”したかたちのB社も2014年と2017年、投票日の前後に計20万円を同じ政党支部に寄付している。 実際にポスターを印刷しない業者が「候補者からポスター印刷を請け負った」として選管に代金を請求する、その業者が選挙とほぼ同時期に候補者側に政治献金する――。こうした行為は法に抵触しないのか。さらに言えば、このケースでは、政治献金は、外形的にはポスター印刷を受注したことの“見返り”にも見える。 総務省選挙課の担当者はこう言う。 「公選法の規定では、国または地方公共団体と請負契約を結んでいる『会社や法人』は、当該選挙に関して寄付ができません。一方、請負契約の相手が『候補者』ならば、献金先がその候補者の政治団体であっても寄付を制限する規定はありません。ただし、公選法以外にも刑法なども当然、適用されるので、そちらに違反するものなら捜査の対象になるでしょう」』、明らかに「公選法の規定」の不備だが、刑法などに触れる可能性があるようだ。「わざわざA社を介する形を取ったのか」、不思議だ。
・『印刷業者からの献金に問題は?議員側「適正に処理」  萩生田氏のケースについて、関係資料を確認できたのは、2017年と2014年の衆院選のみである。それより前の資料は情報公開請求の対象外であり、ポスター印刷を請け負った業者名も確認できない。 ただ、政治団体の経理書類(政治資金収支報告書)を見ると、2012年の衆院選投票日の4日前にA社は10万円を、B社は社長名で計8万円を投票日前後に萩生田氏の政治団体に献金していた。 また衆院選のなかった2010、2011、2013、2015、2016、2018年については、A社とB社は共に衆院選萩生田氏の政治団体に献金したとの記載はなかった。 選挙ポスターの発注とA・B両社からの政治献金について、萩生田氏の事務所はこう回答した。 「選挙運動費用につきましては、法令に従い適正に処理し、その収支を選挙運動費用収支報告書に記載しているところです。また、政治資金につきましても同様に、法令に従い適正に処理し、その収支を報告しているところです」』、少なくとも「2012年」からやっていたようだ。
・『専門家「結託していれば詐欺罪の可能性」  「政治資金オンブズマン」共同代表を務める神戸学院大学法学部の上脇博之教授はこう指摘する。 「仮に候補者と印刷業者が意図的に寄付分を上乗せした高い金額でポスター制作の契約を交わしていた場合は、詐欺罪に該当する可能性もあります。(発注者である)候補者に公金がキックバックのような形で還流していると見えるだけでも、政治的・道義的に問題がある。寄付を受け取るべきではなかったでしょう」 政治資金・選挙資金問題に詳しい日本大学法学部の岩井奉信教授も「一般論として」と前置きしたうえで、こう語った。「仮に候補者と業者が結託し、不当な金額を乗っけて選管に請求して受け取っていたとしたら、詐欺罪に当たる。そもそも、当選議員の中で、税金で賄われるポスター代に4倍も5倍もの開きがあること自体に問題がある。適正な価格はいくらなのか。そこが不透明なままだとしたら、今後も(水増し請求などの)疑いが生まれる余地を残します」』、「ポスター代」は実費ではなく、一律の金額を候補者に渡すことにすれば、こうした不正はなくなる筈だ。

次に、1月24日付け日刊ゲンダイ「案里議員認めた1億5000万円「安倍マネー」を原資に不正か」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/268073
・『安倍首相の「私物化」や「身内びいき」が、ここにも表れている。 昨年7月の参院選で、ウグイス嬢に法定上限の倍額の報酬を支払った公選法違反容疑で広島地検が捜査している河井案里参院議員と河井克行前法相の夫婦の問題で、新たな事実が判明した』、興味深そうだ。
・『夫婦一帯で選挙違反の傍証か  選挙直前、河井夫妻それぞれの政党支部に自民党本部から7500万円ずつ振り込まれていたのだ。わずか3カ月で計1億5000万円。同じ広島選挙区で立候補していた自民党の溝手前参院議員への支給は1500万円というから、ケタ違いの巨額な選挙資金で優遇されていた。 案里議員は23日、1億5000万円もらったことを認め、「違法ではありません」と居直ったが、自民党内からも「聞いたことがない異常な額だ」と驚く声が上がっている。 「河井夫妻『買収』原資は安倍マネー1億5千万円だった」と報じた週刊文春によると、自民党関係者が「肩入れは安倍首相の意向があってこそ」「首相の後ろ盾は絶大で、案里氏は党本部からの『安倍マネー』を存分に使うことができた」などと証言。カネの面だけではなく、少なくとも4人の安倍事務所秘書が広島に入って案里議員の選挙を手伝うなど、案里議員の選挙は安倍首相丸抱えだったという』、法外な「1億5千万円」の他に、「少なくとも4人の安倍事務所秘書が広島に入って案里議員の選挙を手伝う」、とはまさに「安倍首相丸抱え」だ。
・『不正を奨励するような異常な金額  それにしても、1億5000万円ものカネは何に使ったのか。ウグイス嬢の買収だけでは、とても使い切れそうにない。 政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏が言う。 「選挙運動で使える金額は公選法で上限が定められていますが、1億5000万円は法定選挙費用を大幅に上回る。公示前の政党活動費は含まれないとはいえ、党側が法定選挙費用を上回る資金を振り込んだのは、裏ガネ、買収などなんでもアリの不正選挙を奨励しているようなものです。また、夫の政党支部に7500万円が振り込まれたことにも注目しています。この時期、同じように巨額資金が振り込まれた衆院議員は他にいるのでしょうか。夫婦一体の選挙で、克行氏が不正に関与した傍証になると考えられる。たしかに、党本部から支部への資金交付に上限はないが、政党交付金の原資は税金です。それが特定の候補者に集中して投入され、違法選挙に使われたのなら、自民党の安倍総裁にも説明責任がある。桜を見る会と同様に、政治や選挙の私物化は目に余ります」 河井前法相の「任命責任」だけでは済ませられない問題だ』、公職選挙法違反で立件されるのも時間の問題だろうが、自民党内でもここまでの恣意的な選挙資金配分には異論が強まるだろう。

第三に、コラムニストの小田嶋 隆氏が昨年11月1日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「大臣の謝罪で得をしたのは誰?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00042/?P=1
・『先週は体調不良のため、おやすみをいただいた。 今週も体調はたいして改善していない。でも、今回は書かないといけないと思っている。自分のためだけではない。この国の未来ために……と、別に恩に着せるつもりはないのだが、おおげさなことを言ってしまった。忘れてください。 萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言関連のニュースを眺めつつ、すでにうんざりしている人も少なくないことだろう。 なにしろ報道の量が多いし、その伝え方があまりにもカタにハマっている。そう思って大臣に同情を寄せている人もいるはずだ。 私自身、少なからずうんざりしている。 理由はいくつかある。 第一の理由は、萩生田発言をとらえて、自分が当欄に書くであろう原稿の内容が、あらかじめわかりきっているからだ。 いったいに、原稿を書く人間は退屈を嫌う。私も同じだ。自分が何を書くのかが、あらかじめ見えているタイプの原稿には、なるべくかかわりたくない。 できれば、脱稿するまで自分が何を書くのか見当がつかない原稿の方を書きたいと思っている。その方がずっと執筆意欲を刺激する。 むろん、書きながらあちこちに脱線するタイプのテキストは、そのまま失敗して終わるケースが少なくないのだが、それでも、書き手にとってはその種の扱いにくい原稿に取り組んでいる方がスリルを味わえることはたしかで、だから私は、この10年ほど、あえて自分ながら考えがまとまらないでいるネタをいじくりまわすことを選んでいたりする。 今回は違う。 書き始める前から、何を書くべきなのかが明瞭にわかっている。しかも、どうやって書き進めればよいのかについても手順が見えている。 つまり、執筆は手続きにすぎない。 となると、退屈してしまって、なかなか手をつけることができない。 おかげで、デッドラインが致死的な線に近づいてきている。逆に言えば、締め切りという物理的な圧力を借りないと書き始めることができなかったわけだ。 書くことがはっきりしている理由は、萩生田大臣の失言をめぐる論点が誰の目にも明白だからだ。 わざわざ自分が書くまでもないとさえ思う。誰だってわかっているはずじゃないか、と。 とはいえ、世間には、萩生田発言をめぐる明らかな論点をいまだにとらえきれていない人たちが依然として残っている。 今回はそういう人たちのために書く。 「なにをオダジマがわかりきったことを」と、そう思った人は、読み飛ばしていただいてかまわない。 そうでない人たち、たとえば安倍総理大臣閣下には、できれば熟読をお願いしたい。そして、萩生田発言の何が問題で、どうして人々があんなに憤っているのかについて、ぜひ考えてみてほしい』、「私は、この10年ほど、あえて自分ながら考えがまとまらないでいるネタをいじくりまわすことを選んでいたりする」、あえて困難な方を好むとは、コラムニストとはやはり常人とは違うようだ。
・『萩生田発言について書く前に、ほとんど同じ時期にメディアが取り上げた河野太郎防衛相による「雨男」発言に触れておく。 この二つの発言は相互に無関係なコメントでもあれば、意図にも効果にもほとんどまったく共通するところはないのだが、不幸なことに、ほぼ同じタイミングで「事件化」されたがために、一連の失言として扱われることとなった。 このこと(二つの別々の失言が「閣僚による相次ぐ失言」事案として一括処理されていること)は、事態を見えにくくしているばかりでなく、新聞読者やテレビ視聴者に不必要な腹部膨満感をもたらしている。 実にばかげた事態だと思う。 はじめから説明するのも面倒なので、以下、この2日ほどの間に投稿した自分のツイートを引用する。《河野防衛大臣の「雨男」発言を謝罪に追い込んだのは悪手だと思う。こんなゴミみたいなジョークの揚げ足を取っても、メディアの手柄にはならないし、野党の実績にもならない。ただただ政権側に「メディアの切り取りってウザいよね」という印象を広める絶好の宣伝機会を与えている。バカすぎる。午後6:38 ・ 2019年10月29日》 《河野防衛相の世にもくだらないジョークに鬼の首を取った的な反応を示した結果、同時期の萩生田文科相によるいわゆる「身の丈」発言への追及も同じ「揚げ足取り」と見られてしまっている。萩生田発言は「教育の機会均等」を全否定する深刻かつ重大な暴言だったのに、だ。午後6:47 ・ 2019年10月29日》 《考えの足りない調子ぶっこいた世襲のバカ大臣が、場違いなジョークをカマして赤っ恥をかいた案件と、文部科学行政全般に対して狂った予断を抱いている暴君志向のヤンキー大臣が、格差容認思想を露呈してみせた案件を一緒くたにしてはいけない。バカはバカ。悪は悪。きちんと分けて処理してほしい。午後6:55 ・ 2019年10月29日》 一連のツイートで私が言いたかったのは、単なる「口が滑った」カタチの失言に過ぎない河野防衛相のケースと、看過できない凶悪な本音を思わず露呈してしまった結果である萩生田文科相の暴言では、意味や重さが違うということだ。であるから、今回、これら二つの失言を「新任の大臣の不適切発言」という雑なタグにまとめて同一視して恥じなかったメディアの愚かさには心底から失望した。 河野大臣のスピーチについて申し上げるなら、たしかに、言葉の選び方において無神経だとは思う。 だが、それだけの話だ。「つまらないジョークだった」「センスがなかった」というツッコミも各方面から入っているし、私もたしかにその通りだとは思う。 だが、ジョークがスベった程度のことがいったい何の罪だというのだろうか。 ジョークはスベるものだ。 最高級に洗練されたジョークであっても、それが通じない聴衆の前ではスベることになっている』、「二つの失言を「新任の大臣の不適切発言」という雑なタグにまとめて同一視して恥じなかったメディアの愚かさには心底から失望した」、全く同感だ。悪質な「萩生田文科相の暴言」のインパクトを薄める狙いでは、と疑いたくもなる。
・『万人を爆笑させるジョークが原理的に存在し得ない以上、ジョークは必ずある局面においてスベるものなのであって、だとすれば、スベったことをとらえてジョークの発信者を断罪することは、野暮でしかない。 ばかばかしいにもほどがある。次に「不謹慎」という側面についてだが、たしかに、豪雨災害の当地に赴いた翌日に「雨男」というネタをカマしに行った大臣のチャレンジは、不謹慎と言われても仕方ないものだった。 しかし、では、不謹慎というのは、現職閣僚が記者の前で陳謝せねばならないほどの大罪なのだろうか。 それ以上に、あの場の大臣の不謹慎発言で、実際のところ、被災地の人間が本当に傷ついたのだろうか。 私は必ずしもそうは思わない。 どちらかといえば、記者が、例によって被害者の立場に立ったかのような語法で発言者を追い詰めにかかる常套手段を用いたに過ぎないように見える。 たしかに、河野防衛相のスピーチは適切でもなければ行き届いていたわけでもないし、面白くない上に厳粛でもなかった。 が、スピーチなどというものは、しょせんそんなものだ。 世界中が有意義で上品で目からウロコが落ちるようなスピーチだけで動いているわけでもあるまいし、たかが雨男程度のバカネタをどうして看過できないのだろうか。 本当のところを言うなら、河野大臣のスピーチより、先に引用した私のツイートの方が程度としてはずっとヒドい。何より失礼だし品がない。決めつけ方も一方的だし、表現に遠慮がなさすぎる。その私の罵詈雑言ツイートに比べれば、大臣のほんのちょっとスベったジョークの方がどれほどエレガントであることか、と、私は本心からそう思っている。 なのに、いちコラムニストの極悪卑劣な罵詈雑言はスルーされ、大臣のジョークは断罪される。 おどろくなかれ、「報道ステーション」は、この発言を伝えるにあたって、速報を打ってみせた。 大喜びで獲物に飛びつくサマが目に見えるようだ。 あんまりじゃないか。 新聞各紙も例によって 《河野太郎防衛相は28日、東京都内で開いた自身の政治資金パーティーで「私はよく地元で雨男と言われた。私が防衛相になってから既に台風は三つ」と発言した。災害派遣された自衛隊員らの苦労をねぎらう話の導入としての発言で、会場からは笑いも起こった。ただ相次いだ台風や大雨で多数の死者が出ただけに、発言は軽率だとの批判を浴びる可能性がある。─略─》てな調子で批判を煽りにかかった。 それにしても、「批判を浴びる可能性がある」「批判を呼びそうだ」という定番の記事文体は、新聞を読み慣れた人間の目には 「なあ、みんなで批判を浴びせようぜ」というふうにしか見えないはずなのだが、21世紀にもなって、あいも変わらずこんな書き方を採用していて、新聞社の中の人たちは、読者に見捨てられる可能性を多少とも考慮しないのだろうか』、メディアも表立って安倍政権批判が出来ないので、つまらない些事で、批判をした気になって自己満足に浸っているのだろうか。
・『でなくても、どうしてこういう見え透いた書き方の責任追及で仕事をしたつもりになれるのか、私にはそこのところがどうしてもわからない。 結果として、大臣に陳謝させることができたのだとして、いったい誰が得をするというのだ? 私の見るに、今回のケースでは、得をしたのはあきらかに政権側だ。 なぜというに、政府としては、河野防衛相がどうでもよい失言について潔く陳謝したことで、結果としてより深刻かつ重大な格差容認発言である萩生田文科相のケースの印象を薄めることに成功したからだ。 おそらく、河野大臣は大喜びで謝罪会見に臨んだはずだ。 実際、あの謝罪はたいした失点にならない。むしろ、素早い謝罪対応が得点になっている。 のみならず、 「あー、河野さんも重箱のスミばっかりつついているケツメドのちっちゃいメディアにあれこれいじめられて大変だよね」「野党ってこんなゴミみたいな追及しかできないわけ?」てな調子で、同情が集まる可能性さえ考えられる。 もちろん萩生田大臣も安堵しているはずだ。というのも、本来なら、自らの発言について、釈明と真意の説明を求められるはずのところを、撤回と謝罪という通り一遍の処置で逃げ切れたのは、同じ時期に弾除けになってくれる同僚の大臣がいてくれたおかげだからだ。 バカな話だ。 最後に、萩生田文科相の発言の悪質さについて説明しておく。 あれは、偶然の発言ではない。 テレビ出演の際の長尺の発言から一部を切り取った結果生じたニュアンスの変化による悪質さでもない。 萩生田文科相が、常々考えている自身の教育観をそのままテレビのカメラに向かって語って見せた、そのものズバリの格差容認発言そのものだ。 彼は、記事の中でこう言っている 「それを言ったら『あいつ予備校に通っていてずるいよな』というのと同じ」 そして、「裕福な家庭の子が回数受けてウオーミングアップできるみたいなことがもしかしたらあるのかもしれない」と、現状に経済的な格差による有利不利が存在していることを認めた上で、あらためて 「自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえれば」と述べている』、「萩生田文科相が、常々考えている自身の教育観をそのままテレビのカメラに向かって語って見せた、そのものズバリの格差容認発言そのものだ」、鋭い指摘で、その通りだ。
・『これは、どこをどう切り取ったところで、「すでに格差がある以上、これから導入する試験に格差があったところで大きな違いはない」 という格差容認論である点に違いはない。 いや、現実の世の中には、萩生田大臣と同じように、格差が実在することを認識することこそが「現実感覚」でありそれこそが「リアル」だと信じている人はたくさん(というか、日本人の半分以上は萩生田大臣に賛成でしょう)いる。それはわかっている。試験だったり入試だったりが、その格差を前提として実施されていることを「容認」している人間だって、決して少なくないはずだ。のみならず、これから導入される試験にしても、そりゃ当然富裕層に有利なものになるだろうさ、てな調子であらかじめあきらめている日本人も山ほどいるはずだ。 ただ、萩生田発言の問題点は、それを言ったのが、そこいらへんのスナックのカウンターに腰掛けているおっさんではなくて、文部科学行政のトップを担う役割の人間だったところにあるわけで、これはつまり、「軍隊なんだから兵隊が死ぬのは仕方ないよね」と言ったのが元帥閣下でしたみたいな、どうにもならない話であるわけです。 しかも、この話に救いがないのは、萩生田大臣の口吻の裏にうかがえる「格差容認」および「入試関連業務民営化」ならびに「大学入試基準の非学問化」あるいは「大学における研究ならびに学術教育の軽視と産業戦士育成過程の強化」といった諸要素が、そのまま現政権の主要メンバーがかねて抱いている共通の理念そのものだからだ。 いつだったかの当欄でご紹介した安倍首相によるスピーチを再掲しておく。この演説は、いまでも首相官邸のホームページに掲載されている。興味のある向きは全文を熟読してほしい。5年前の言葉だからこそ、いまになって気づかされる部分がいくつかあるはずだ。 平成26年5月6日 OECD閣僚理事会 安倍内閣総理大臣基調演説 平成26年の5月に開催されたOECDの閣僚理事会の席で、世界中のVIPを前に安倍首相は「ある調査では、大学の特許出願のうち、アメリカでは15%程度が新たなビジネスにつながっていますが、日本では0.5%程度しかない。 日本では、みんな横並び、単線型の教育ばかりを行ってきました。小学校6年、中学校3年、高校3年の後、理系学生の半分以上が、工学部の研究室に入る。こればかりを繰り返してきたのです。 しかし、そうしたモノカルチャー型の高等教育では、斬新な発想は生まれません。 だからこそ、私は、教育改革を進めています。学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています。」と述べている。 「学術研究を深めるのではなく」と、彼は言い、さらに「もっと実践的な職業教育を」と言ってしまっている。 もしかして、現政権の中枢にある人々は、「学問」とか「学術教育」全般に対して憎悪に似た感情を持っているのかもしれない。 そういうふうに考えないと説明がつかない。 体調が良くないので、オチを付けずに終わることにする。 私は特段に学問のサイドに立っている人間ではないのだが、それでも、ここまで教育やら大学やらをコケにされるとやはり気持ちが良くない。 ではまた来週』、「現政権の中枢にある人々は、「学問」とか「学術教育」全般に対して憎悪に似た感情を持っているのかもしれない」、その通りで、嘆かわしいことだ。安倍政権の「高等教育」改革全般について、体系的な批判記事が見つかれば、紹介するつもりである。
タグ:10万円 東洋経済オンライン 週刊文春 日刊ゲンダイ 日経ビジネスオンライン 安倍内閣の問題閣僚等 小田嶋 隆 (その11)(萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金、案里議員認めた1億5000万円「安倍マネー」を原資に不正か、小田嶋氏:大臣の謝罪で得をしたのは誰?) Frontline Press 「萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金」 ポスター代金を公費負担する制度 萩生田氏のポスター本業「飲食店経営」が受注 2014、2017年の選挙の際、地元八王子市内のA社とポスター印刷の契約 本業はパブなど9店舗を経営する飲食業 この2回の選挙とも、同じ八王子市内の印刷業者B社にポスター印刷を“下請け”発注 選挙のあった2014年と2017年に限って、A社からの政治献金 B社も2014年と2017年、投票日の前後に計20万円を同じ政党支部に寄付 政治献金は、外形的にはポスター印刷を受注したことの“見返り” 印刷業者からの献金に問題は?議員側「適正に処理」 専門家「結託していれば詐欺罪の可能性」 「案里議員認めた1億5000万円「安倍マネー」を原資に不正か」 安倍首相の「私物化」や「身内びいき」 夫婦一帯で選挙違反の傍証か 挙直前、河井夫妻それぞれの政党支部に自民党本部から7500万円ずつ振り込まれていた 同じ広島選挙区で立候補していた自民党の溝手前参院議員への支給は1500万円というから、ケタ違いの巨額な選挙資金で優遇 自民党内からも「聞いたことがない異常な額だ」と驚く声 河井夫妻『買収』原資は安倍マネー1億5千万円だった 自民党関係者が「肩入れは安倍首相の意向があってこそ」 「首相の後ろ盾は絶大で、案里氏は党本部からの『安倍マネー』を存分に使うことができた」 少なくとも4人の安倍事務所秘書が広島に入って案里議員の選挙を手伝う 案里議員の選挙は安倍首相丸抱えだった 不正を奨励するような異常な金額 1億5000万円は法定選挙費用を大幅に上回る 公示前の政党活動費は含まれないとはいえ、党側が法定選挙費用を上回る資金を振り込んだのは、裏ガネ、買収などなんでもアリの不正選挙を奨励しているようなもの 「大臣の謝罪で得をしたのは誰?」 萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言 河野太郎防衛相による「雨男」発言 ほぼ同じタイミングで「事件化」されたがために、一連の失言として扱われることとなった。 このこと(二つの別々の失言が「閣僚による相次ぐ失言」事案として一括処理されていること)は、事態を見えにくくしているばかりでなく、新聞読者やテレビ視聴者に不必要な腹部膨満感をもたらしている 二つの失言を「新任の大臣の不適切発言」という雑なタグにまとめて同一視して恥じなかったメディアの愚かさには心底から失望した 今回のケースでは、得をしたのはあきらかに政権側だ 萩生田大臣も安堵しているはずだ。というのも、本来なら、自らの発言について、釈明と真意の説明を求められるはずのところを、撤回と謝罪という通り一遍の処置で逃げ切れたのは、同じ時期に弾除けになってくれる同僚の大臣がいてくれたおかげだからだ 萩生田文科相が、常々考えている自身の教育観をそのままテレビのカメラに向かって語って見せた、そのものズバリの格差容認発言そのものだ 萩生田大臣の口吻の裏にうかがえる「格差容認」および「入試関連業務民営化」ならびに「大学入試基準の非学問化」あるいは「大学における研究ならびに学術教育の軽視と産業戦士育成過程の強化」といった諸要素が、そのまま現政権の主要メンバーがかねて抱いている共通の理念そのものだ OECD閣僚理事会 安倍内閣総理大臣基調演説 「学術研究を深めるのではなく」と、彼は言い、さらに「もっと実践的な職業教育を」と言ってしまっている 現政権の中枢にある人々は、「学問」とか「学術教育」全般に対して憎悪に似た感情を持っているのかもしれない
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日本の政治情勢(その41)(「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し、政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は、小田嶋氏:「募集」と「募る」の違いはどうでもいい) [国内政治]

日本の政治情勢については、2月1日に取上げたばかりであるが、今日は、(その41)(「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し、政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は、小田嶋氏:「募集」と「募る」の違いはどうでもいい)を取上げよう。

先ずは、1月31日付けNEWSポストセブン「「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20200131_1534048.html
・『安倍長期政権は国会の議決がいらない、いわば“安倍勅令”ともいえる「閣議決定」を乱発して行政府の役人たちを従わせ、政権の不祥事にフタをして思うままに政治を進めようとしている。 例えば、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に反社会的勢力とみられる人物が出席していた問題では、「定義が困難」というという理屈で反社対策に力を入れる政府方針に逆行する前代未聞の閣議決定をした。 また、小泉進次郎・環境相の国際会議での意味不明な「セクシー」発言についても、〈正確な訳出は困難であるが、例えば、ロングマン英和辞典(初版)によれば、「(考え方が)魅力的な」といった意味がある〉(2019年10月15日)といった政府の正式な解釈まで閣議決定された。 いずれも、野党の質問主意書に対する答弁書として閣議決定され、安倍首相名で国会(衆院議長)に提出されたものだが、答弁書の文言を作成するのは官邸や内閣府の事務方で、内容に応じて所管省庁が下書きをするという。 役人が答弁書を下書きする以上、絶対に首相に恥をかかせるわけにはいかない。とくに安倍首相は論戦で負けるのも、謝るのも大嫌いだ。 安倍首相はかつて党首討論で、志位和夫・日本共産党委員長からポツダム宣言の条文について質問され、「まだその部分をつまびらかに読んでおりません」と答弁したことがある。日頃、目の敵にしている共産党に背中を見せたことがよほど悔しかったのだろう。質問主意書で質されると、こんな閣議決定が。 〈安倍内閣総理大臣は、ポツダム宣言については、当然、読んでいる〉 恥をかかせてはならないのは大臣も同じだ。島尻安伊子・元沖縄北方相が記者会見で北方領土の一つ、「歯舞(はぼまい)」を「えー、何だっけ」と読めなかったことがある。だが、閣議決定では、〈同大臣が「歯舞」の読み方を知らないという事実はない〉と、いつの間にか読めることにされた。 こうしたやり方で、首相や大臣たちの失言は、訂正されないまま「閣議決定」でどんどん正当化されている』、「失言」隠しのために「閣議決定」を乱発するとは悪辣だ。「“安倍勅令”」とはまさに言い得て妙だ。
・『安倍首相は安保法制が審議された参院予算委員会(2015年)で、自衛隊を「わが軍」と呼んだ。口が滑ったのだろうが、「自衛隊は軍隊ではない」とする従来の政府解釈との矛盾が指摘されると、国会答弁を訂正するのではなく、こんな答弁書を閣議決定している。 〈自衛隊は、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものであると考えているが、(中略)国際法上、一般的には、軍隊として取り扱われるものと考えられる〉 こうして自衛隊は“晴れて”軍隊となった。 麻生太郎・副総理兼財務相の失言も閣議決定で“救済”された。2018年に財務省で発覚した福田淳一・事務次官(当時)の女性記者へのセクハラ問題について、麻生氏は「セクハラ罪っていう罪はない」と庇って批判を浴びた。政府はこの発言についてどう閣議決定したか。 〈セクシュアル・ハラスメントが、刑法第百七十六条(強制わいせつ)等の刑罰法令に該当する場合には、犯罪が成立し得るが、その場合に成立する罪は、(中略)強制わいせつ等の罪であり、お尋ねの「セクハラ罪」ではない〉 麻生氏は“間違ったことは言っていない”ことになる。 閣議決定で日本語の言葉の定義を書き換えたこともある。 国会が紛糾した2017年の「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法案)の審議では、安倍首相が共謀罪の対象について「そもそも犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない。これが(過去の法案と)全然違う」と答弁。野党から「オウム真理教はそもそもは宗教法人だから対象外か」と問われると、首相は「『初めから』という理解しかないと思っているかもしれないが、辞書で念のために調べたら『そもそも』には『基本的に』という意味もある」と主張した』、国会での答弁が、「閣議決定」により簡単に塗り変えられるのであれば、国会審議の意味は大きく損なわれる。
・『しかし、どの辞書にもそんな意味は載っていないと質問主意書で指摘されると、政府は閣議決定で次のように定義したのである。 〈「大辞林(第三版)」には、「そもそも」について、「(物事の)最初。起こり。どだい。」等と記述され、また、この「どだい」について、「物事の基礎。もとい。基本。」等と記述されていると承知している〉 政府は、そもそも→どだい→基本という三段論法で、安倍首相の言う通り、「そもそも」という言葉には「基本的に」という意味があるという日本語の新解釈を閣議決定した。 いかに安倍首相のメンツや失態隠しのためにいい加減な「閣議決定」が乱発され、役人たちの膨大な労力が使われているかがわかる』、「役人たちの膨大な労力が使われている」のは確かだ。「閣議決定」によるのではなく、本来の「訂正」で修正すべきだろう。

次に、2月4日付け東京新聞「政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は」を紹介しよう。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202002/CK2020020402100028.html?ref=rank
・『黒川弘務東京高検検事長(62)の定年が半年間延長された問題が波紋を広げている。検察庁法は検察官の定年を六十三歳、検事総長は六十五歳と規定。首相官邸に近いとされる検察ナンバー2の黒川氏を検事総長に据えようと、政府が異例の措置を取ったとの見方が出ている。ただ、この手法が認められるなら何でも許されることになり、各方面から疑問の声が上がっている。 「検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、引き続き勤務させることを決定した」。黒川氏の定年延長を決めた先月三十一日の閣議終了後、森雅子法相は記者会見でそう説明した。 黒川氏は今月八日で六十三歳になる。このため、四月に開かれる国際会議終了後に退くとの見方がある稲田伸夫検事総長(63)の後任には、七月で六十三歳を迎える林真琴名古屋高検検事長(62)が就くとの見方があった。 黒川氏は捜査現場よりも法務省勤務が長く、政治家との付き合いが多かったことから、法務・検察の中でも政界と関係が深いといわれる。二〇一六年九月に官房長から法務次官に就任した際は、地方の高検検事長に転出する案が、官邸の意向でひっくり返ったとの臆測が飛び交った』、2月1日付けのこのブログで、「IR汚職捜査、安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響」を紹介したが、これはもともと黒川氏が定年退官するとの観測で書かれたものだった。しかし、こうした観測が異例中の異例の「閣議決定」により覆されたので、訂正する意味も込めて紹介した次第である。
・『今回の定年延長については「日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)の事件の指揮に当たらせるのでは」とみる向きはあるものの、当の本人はレバノンに逃亡し、これ以上の捜査は難しい。黒川氏がどれだけ優秀だとしても、現職に据え続けなければならない理由は考えられない。 この問題は三日の衆院予算委員会で取り上げられたほか、立憲民主党の枝野幸男代表は二日にさいたま市で行った講演で「(検察官の定年に)国家公務員法の規定を使うのは違法、脱法行為」と主張。元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士も「検察官は刑事訴訟法で強大な権力を与えられている。検察庁法に従うべきで、法令違反の疑いがある」と説く。 一方、元経産官僚の古賀茂明氏は「政界捜査に当たる検察官は、他の官僚と違って政治の方を向いて仕事をしてはいけない」としつつ、「政権が検察のトップを決める力を持っていると示した。頑張って捜査をしてもトップにつぶされるとなれば、検察全体に士気の低下をもたらす。政権中枢に迫るような捜査はかなり難しくなるだろう」と懸念する。 検察はこれまで、数々の国会議員による事件を手掛けてきた。古くはロッキード事件で田中角栄元首相、巨額脱税事件で金丸信・元自民党副総裁を逮捕するなどしている。最近もカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、衆院議員秋元司被告(48)=収賄罪で起訴=らを摘発し、政界へ切り込む姿勢は堅持している。 また、「桜を見る会」を巡っては、背任容疑で安倍晋三首相の告発状が東京地検に提出されている。その検察組織のトップ人事に介入しようとするような政権のやり方は許されるのか。 検察に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏は「公選法違反疑惑が浮上している菅原一秀前経産相、河井案里参院議員と克行前法相夫妻の問題に加え、秋元容疑者の逮捕で中枢に捜査が伸びるのではないかという恐れからやったのだろう。政権の傲慢さを改めて国民に知らせる結果になった」と断じた』、検察人事への見え見えの介入により、検察による「桜を見る会」やIR捜査などに大きな影響を及ぼす懸念が強まりそうだ。

第三に、コラムニストの小田嶋 隆氏が1月31日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「「募集」と「募る」の違いはどうでもいい」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00055/
・『書斎として使っている部屋のPCの横に、小型(19インチ)のテレビ受像機を置いている。 仕事をはじめる気持ちになれない時、私は、このテレビをつけておくことが多い。もっとも、音声はミュート(消音)したままだ。おそらく、画面の中を右に左に動いている人間たちを眺めることが、私にとって、窓を開けて空気を入れ替えることの代償になっているのだと思う。あまり健康的なテレビの使い方ではない。本当は外に出て、自分の足で町を歩くべきなのだ。それはわかっている。しかし、いつもわかっている通りにできるわけではない。 この2日ほどは、音量を上げて国会中継を視聴していた。 しばらくぶりに見る国会は、頽廃している。 私は、こう見えて、他人を軽蔑することに慣れていない。誰かを軽蔑せねばならない事態に直面すると、いつも大変に疲労する。そんなわけで、私は、現在、ひどく疲れている。 国会でかわされているやりとりが、日本国民の言語運用の水準をそのまま代表するものだと考えているわけではないのだが、それでも、現実に目の前で展開されている対話の空疎さには、やはり唖然とさせられる。 あのやりとりを聞いていると、自分たちの暮らしているこの世界が、足元から崩れて行く感覚に襲われる。学生の頃に連れて行かれた出来の悪い前衛芝居を見ていた時の気分に近い。中途半端に無意味な脚本は、観客を解釈の地獄にひきずりこむ。国会の質疑を見ているわれわれも、たぶん、同じタイプの地獄の中にいるのだと思う。 今回は、わたくしがこの2日間、国会中継をしっかりと視聴したなかにおいて、印象に残ったところを、いわば、書いてみようかと思っている、ところで、ございます。 とは言ってみたものの、私が国会を見たのは2日間の通算でたったの3時間ほどだ。 それ以上は無理だった。 わがことながらなさけない始末だ。 ただ、3時間で視聴から撤退せねばならなかったことは、自覚の中では、美意識の問題だと思っている。 「あ? 美意識?」と思った向きもあるはずだ。 「何を利口ぶっているんだか(笑)」「還暦を過ぎたじいさんが繊細ぶるのもたいがいにしてほしいもんだぜ」 うん。そう言いたくなる気持ちはわかる。 でも、私は、繊細ぶっているのでもなければ、被害者ポジションにあぐらをかいてぬくぬくしているのでもない。現実に、私は、国会中継を視聴しはじめてほんの1時間ほどで、すっかり気勢をそがれてしまったのだ。 大げさに聞こえるかもしれないが、このままこんな不毛な言葉のやりとりを聞き続けていたら、自分の言語感覚が二度と正常さを取り戻せなくなると、そう感じて、護身のためにテレビの電源を落としたのである。 良心的な板前が腐った魚をさばくミッションに耐えられないのと同じことで、言葉を扱う仕事に従事している私のような人間は、国会でやりとりされている腐敗した言葉を我慢することができない』、「護身のためにテレビの電源を落とした」理由が理解できた。
・『あるいは、国会の言葉に耐えられないのは、なにもプロの文筆家に限った話ではないのかもしれない。 自分の中に新しい言葉を取り入れる作業に熱中している思春期の子供たちや、人と人との間に架橋する言葉の作用に敏感な青年たちも、私と同じように、あの空疎な言葉のやりとりに身の危険を感じたはずだ。 というよりも、あそこで使われているねじ曲がった言葉に対処できるのは、適応にともなって感覚を麻痺させることに成功した不死身の鈍感エリートだけなのかもしれない。 テレビを視聴した3時間ほどの間に、私は 「さきほど申し上げました通り」「これは、何回もお答えしているので繰り返しになるのですが」「さきほどらいお答えしております通り」「同じ質問ですので、同じお答えになって恐縮なんですが」「繰り返しになりますが、桜を見る会の個々の招待者につきましては、個人に関する情報であるため、従来から回答を控えさせていただいているところです」という、ほとんどまったく同じ意味のバカバカしい接頭辞を100回以上聞かされて、なによりもその言葉の無意味さとくだくだしさに気持ちをひしがれなければならなかった。 おそらく、安倍総理大臣ならびに菅官房長官が、質疑の冒頭の部分で 「さきほどらい申し上げております通り」というこのセリフを必ず申し述べてから回答に入るお約束は 「無能極まりない野党の議員たちが、毎度毎度代わり映えのしない質問を飽きもせずに繰り返しているから、自分たちも同じ無意味な回答をリピートせざるを得ないのである」ということを、テレビを通じて国会中継を見ている視聴者に印象づけるべく採用している、霞が関官僚発案によるあざといルーティンだと思うのだが、それ以上に、もしかしたら、彼らは、国会の質疑、ひいては、国権の最高機関たる国会の存在価値それ自体を貶める効果を狙っているのかもしれない。 というのも、安定多数の上にあぐらをかいている与党の政治家にとって、国会での論戦で勝敗を決する道を選ぶよりは、国会審議そのものを無効化する選択肢を取る方が簡単でもあれば有利でもあるからだ。 国会での与野党の攻防にうんざりした国民が、政治への真摯な関心を喪失すれば、それだけ多数派の立場は安定する。なんとなれば、不毛な言葉のやりとりに食傷するのは、どちらかといえば知的活性の高い国民であるはずで、だとすれば、それらのめんどうくさい批判者を政治の場から遠ざけるためには、真面目な政策論争を展開するよりは、バカな田舎芝居を繰り広げておくほうが有効だからだ。 もう一つ目についたのは、「その質問は事前通告に無いので、お答えは差し控えさせていただきます」という意味の言葉で締めくくられる定番のやりとりだった。 この言葉を口から発する時、安倍総理は、明らかに昂然と、事前通告の無い質問を繰り出してきた野党議員をたしなめにかかっている』、「めんどうくさい批判者を政治の場から遠ざけるためには、真面目な政策論争を展開するよりは、バカな田舎芝居を繰り広げておくほうが有効だからだ」、鋭く本質を突いた指摘だ。
・『ところが、調べてみると、事前通告云々は、与野党の国対委員長が、議事進行の円滑化のために申し合わせた「紳士協定」にすぎない。 つまり、仮に野党議員が通告の範囲から外れた質問を投げかけたのだとしても、それは「ルール違反」ではない。ましてや「反則」でもなければ法律違反でもない。 回答を拒絶する側の議員が威張ってよいなりゆきではない。質問者を断罪できる筋合いの話でもない。 「いまのご質問は、通告の中になかったので、即座にお答えする十分な準備ができていません。申し訳ありませんが、この場での回答はご容赦ください」と、むしろ、せめて形式上だけでもアタマを下げておくのが穏当な態度だろう。 質疑が進む中で、「いまのお答えは、これこれこういう意味ですか?」「あなたがそうお答えになるのであれば、では、こういう場合はどうお答えになりますか?」という補足的な質問が必要になる場面はいくらでもある。 それらに対して、回答側が居丈高に「通告にないのでお答えしかねる」と言い放っていたのでは議論が議論にならない。 じっさい、国会での質疑に先立って、質問側が回答側に質問内容を事前通告する慣習は、議事進行を円滑化している一方で、本来なら自由闊達な議論の場であるはずの国会を、「事前に準備した台本」に沿った「官僚作文朗読劇場」ないしは「国会芝居」に堕落させている元凶でもある。 おそらく、わが国の国会で、こんななさけない慣習が定着しているのは、議事進行の円滑化とは別に、つまるところ、与野党の国会議員が人前で恥をかきたくないからなのではなかろうか。 無論、行政の細部に関する詳細なデータは、事前に官僚が準備しておかなければ提示できないのだろう。その意味では、質問を投げかける側の議員が、あらかじめ内容を伝えておくことは、ある部分、必要悪として、不可欠な手続きであるのかもしれない。とはいえ、議員同士の対論の中で、アドリブの質問が出ることは当然あるはずだし、その種の予定外の言葉に、臨機応変な対応ができない人間は、そもそも政治家を志すべきではない。 ともあれ、事前に準備した原稿から一歩も外に出ようとしない態度を、誇らしげにアピールする政治家は、何かを見失っているのだと思う。 さらに、与党の面々は、言葉の定義を破壊しにかかっている。 ちょっと前に、菅官房長官が「『反社会的勢力』という言葉の定義が定まっていないので、この言葉に関連するご質問にはお答えできない」という旨の答弁したことがあったが、結局、あの答弁書を読み上げてからこっち、菅さんは、何かを諦めてしまったように見える。 要するに、あれは、何より菅さん本人の心に大きなダメージをもたらしたということなのだと思う。 なにしろ、質問を無効化するために、質問者が使っている単語の定義を無効化したのだから、これは驚天動地の答弁だったと評価するほかにない』、海外ではマネーロンダリング、テロ資金供与、贈収賄などに対する金融機関の取引への規制が強化される流れにあることと、如何に整合性を取ってゆくのだろうか。国内政治の観点からの「定義無効化」は許されない筈だ。
・『加えて、政府は、野党側が「桜を見る会」に招待されていたとして、その招待の真意および根拠を求める質問を投げかけていた「反社会的勢力」について 「あらかじめ限定的、統一的に定義するのは困難」との閣議決定をしている。 思うに、あれ以来、官邸の機能の半分ほどは壊死している。 今回はさらにひどいことが起こった。 28日の衆院予算委員会で、共産党の宮本徹議員が文書を示しながら発した、 「この文書は見たことがなくても、募集していることはいつから知っていたのか」という質問に対して、安倍首相は、「私は、幅広く募っているという認識だった。募集しているという認識ではなかった」と回答したのである。 いったいどこの世界のナンセンスコントだろうか。 つまり、首相は、「募ってはいたが、募集はしていない」と述べたことになる。 この珍無類な回答を聞かされた宮本議員は、さすがに 「私は日本語を48年間使ってきたが、『募る』というのは『募集する』というのと同じですよ。募集の『募』は『募る』っていう字なんですよ」と強い口調で首相に食い下がった。 しかしながら、安倍さんは、少しも動じることなく、 「ふさわしい方ということでいわば募っているという認識があった。例えば新聞などに広告を出して『どうぞ』ということではないんだろう」というほとんど意味不明の説明を開陳した。 なんという肝の太さだろうか。 あるいは、人並み外れて肝が据わっているのでなかったのだとすると、著しくアタマが悪いのか、あきれるほど神経が鈍いのかのどちらかということになるわけなのだが、あるいはそれらのすべてなのかもしれない。私にはわからない。どっちにしても私の持ち歩いているちっぽけな物差しで測れる人物ではなさそうだ』、「募ってはいたが、募集はしていない」、国会で首相が答弁したとはまさに驚天動地の出来事だ。しかも、質問をした「宮本議員」が「食い下がっ」ても、「ほとんど意味不明の説明を開陳した」、開いた口が塞がらない。
・『さて、話題をもとに戻す。 思うにこれは、「募集」と「募る」という2つの言葉をめぐる定義の問題ではない。 同じ意味の言葉を二通りに解釈してみせただけのことなら、朝日新聞が見出しで形容したように 「珍答弁」てなことで笑って退けてもよいのかもしれない。しかし、ここには、もっと深刻な詐術が隠されている。 というのも、本来なら首相は、「え? 招待客って、募ったり募集したりできるの?」という、より本質的かつ素朴な質問に答えなければならなかったはずだからだ。 詳しく説明する。 どういうことなのかというと、「募る」という言葉を使うのであれ、「募集する」と表現するのであれ、その意味するところは、「招待」「選定」「資格審査」とは絶対的に相容れないということだ。 まず、前提としてはっきりしているのは、「桜を見る会」への出席者が、最終的に、政府なり内閣府なり首相なりの責任において、「選定」され、「招待」された人物であるということだ。 このことはつまり「選ばれ」「選定され」「評価検討の上、ふさわしい人物として招待され」た名誉ある「招待客」は、断じて「広く募」ったり「募集」したりした「チケット購入者」とは別枠の人間だということだ。 というのも、募集に応じて応募した人間はどこからどう見ても「選ばれた人」ではないからで、とすると、「安倍事務所の募集に応募して会に参加した後援会のメンバー」は、言葉の正確な意味において絶対に「招待客」ではあり得ないからだ。 当たり前の話だが、「招待客を募集する」という言い方自体が、そもそも矛盾している。 「殴ってください」と申し出た人間が被害者とは呼べないのと同じことだ。あるいは、入学試験を実施していないにもかかわらず合格通知を配布している学校がインチキ大学と言われても仕方がないのと同じ理路において、功労者を選定する作業を省略して単に特定の政治家の支持者や取り巻きを集めた形で開催されている功労者慰安イベントは、どこからどう見ても茶番なのである。 この先、果たして国会が正常化する日がやってくるものなのか、正直な話、確信が持てない。 その一方で、こんなバカな状態がそんなに何年も長く続いてたまるものか、とも思っている。 でもまあ、あと10年続くようなら、ピリオドを打つのは戦争だけなのだろうとも思っている』、「「安倍事務所の募集に応募して会に参加した後援会のメンバー」は、言葉の正確な意味において絶対に「招待客」ではあり得ないからだ。 当たり前の話だが、「招待客を募集する」という言い方自体が、そもそも矛盾している」、安倍答弁の破綻を的確に示している。「でもまあ、あと10年続くようなら、ピリオドを打つのは戦争だけなのだろうとも思っている」、あり得ないことだろうが、不吉な締めではあある。
タグ:東京新聞 日経ビジネスオンライン Newsポストセブン 日本の政治情勢 小田嶋 隆 (その41)(「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し、政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は、小田嶋氏:「募集」と「募る」の違いはどうでもいい) 「「トンデモ閣議」乱発の背景に首相のメンツや閣僚失態隠し」 安倍長期政権は国会の議決がいらない、いわば“安倍勅令”ともいえる「閣議決定」を乱発して行政府の役人たちを従わせ、政権の不祥事にフタをして思うままに政治を進めようとしている 安倍首相のメンツや失態隠しのためにいい加減な「閣議決定」が乱発され、役人たちの膨大な労力が使われているかがわかる 「政権に近い黒川東京高検検事長 "異例"の定年延長の背景は」 黒川弘務東京高検検事長 定年が半年間延長 黒川氏を検事総長に据えようと、政府が異例の措置を取ったとの見方 検察人事への見え見えの介入により、検察による「桜を見る会」やIR捜査などに大きな影響を及ぼす懸念 「「募集」と「募る」の違いはどうでもいい」 こんな不毛な言葉のやりとりを聞き続けていたら、自分の言語感覚が二度と正常さを取り戻せなくなると、そう感じて、護身のためにテレビの電源を落とした 質疑の冒頭の部分で 「さきほどらい申し上げております通り」というこのセリフを必ず申し述べてから回答に入るお約束は 「無能極まりない野党の議員たちが、毎度毎度代わり映えのしない質問を飽きもせずに繰り返しているから、自分たちも同じ無意味な回答をリピートせざるを得ないのである」ということを、テレビを通じて国会中継を見ている視聴者に印象づけるべく採用 霞が関官僚発案によるあざといルーティン 彼らは、国会の質疑、ひいては、国権の最高機関たる国会の存在価値それ自体を貶める効果を狙っているのかもしれない 与党の政治家にとって、国会での論戦で勝敗を決する道を選ぶよりは、国会審議そのものを無効化する選択肢を取る方が簡単でもあれば有利でもあるから 事前通告云々は、与野党の国対委員長が、議事進行の円滑化のために申し合わせた「紳士協定」にすぎない 反社会的勢力』という言葉の定義が定まっていないので、この言葉に関連するご質問にはお答えできない 質問を無効化するために、質問者が使っている単語の定義を無効化したのだから、これは驚天動地の答弁 「反社会的勢力」について 「あらかじめ限定的、統一的に定義するのは困難」との閣議決定 募ってはいたが、募集はしていない ほとんど意味不明の説明を開陳した 「安倍事務所の募集に応募して会に参加した後援会のメンバー」は、言葉の正確な意味において絶対に「招待客」ではあり得ないからだ 当たり前の話だが、「招待客を募集する」という言い方自体が、そもそも矛盾している こんなバカな状態がそんなに何年も長く続いてたまるものか、とも思っている。 でもまあ、あと10年続くようなら、ピリオドを打つのは戦争だけなのだろうとも思っている
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日本の政治情勢(その40)(安倍VS菅「官邸内政局」がIRスキャンダルの背景に、IR汚職捜査 安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響、安倍総理の親衛隊「官邸ポリス」のリークで自民党議員の疑惑続出?) [国内政治]

日本の政治情勢については、1月4日に取上げた。今日は、(その40)(安倍VS菅「官邸内政局」がIRスキャンダルの背景に、IR汚職捜査 安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響、安倍総理の親衛隊「官邸ポリス」のリークで自民党議員の疑惑続出?)である。昨日のカジノ問題とも関連する話題だ。

先ずは、1月8日付けYahooニュースがNEWSSOCRAを転載した「安倍VS菅「官邸内政局」がIRスキャンダルの背景に」を紹介しよう。
・『【小塚かおる(日刊現代第一編集局長)の政治メモ】菅官房長官追い落としが政権弱体化を招いた皮肉  「安倍政権肝入りのIR(カジノを含む統合型リゾート)なのに事件化したのは、相手が米国企業ではなく中国だったからだ」 こんな憶測が永田町では流れる。日本でのIR参入を目指していた中国企業から賄賂を受け取ったとして秋元司衆院議員が逮捕された汚職事件。「中国」といえば政界で太いパイプを持つのは、自民党の二階俊博幹事長だ。秋元議員も二階派所属。まるで二階幹事長がターゲットかのようないかにも永田町らしいキナ臭い噂である。 背景にあるのは「ポスト安倍」をめぐる権力闘争。安倍首相は自身の後継者として岸田文雄政調会長を思い描き、秋の人事では二階氏を交代させその岸田氏を幹事長に据えようとした。これに対して、今後もキングメーカーでいたい二階幹事長は盟友の公明党とも組んで安倍首相に「交代というなら憲法改正は協力しない」などと徹底抗戦し留任を勝ち取った。その怨念は今も水面下に存在する。今回の汚職事件の構図もその延長線上、つまり「官邸が二階つぶしのために仕掛けた」というわけだ。 2019年の政局を振り返った時、あまり表面化していないが官邸内や自民党内では新たな権力闘争が始まっていた。「安倍vs二階」にはさらに様々な役者が絡みつく。もっとも政権に深刻なのは菅官房長官がそこに入っていることだ。 菅氏は安倍首相にとって大事なスポークスマンであり、政権の危機管理を一手に引き受ける参謀であり女房役。本来、その2人が対立するなど考え難い。だが、いまや霞が関の人事を掌握するなど絶大な力をつけてきた菅氏は、4月の新元号「令和」の発表会見以来、「令和おじさん」として国民的な注目度まで高まった。ポスト安倍の1人に躍り出るとともに、キングメーカーにもなり得る可能性を見せ始めたことで、安倍首相や周辺の側近らが菅氏への警戒心を強めてきていたのだ。 安倍首相の菅氏への不快感は感情論にまで達し、8月に小泉進次郎氏とその婚約者・滝川クリステル氏と官邸で面会した際は、「進次郎の面会目的は菅だったのに、自分はダシに使われた」などと怒っていたという。 そんな菅氏が一気に墜落の道をたどったのが、菅原一秀前経産相と河井克行前法相という系列2人の閣僚の公選法違反疑惑による辞任だった。いずれも菅氏を支える勉強会を主催する無派閥議員で、閣僚に推薦したのは菅氏だ。もちろん安倍首相の任命責任が問われる場面だったが、自民党内の批判の矛先は菅氏に向かい、菅氏の責任だという声が高まった。安倍首相は「内心は菅氏の求心力低下を安堵し、ほくそ笑んでいた」(自民党ベテラン)のだという』、「安倍首相」と「菅官房長官」の溝がここまで深くなっていたとは、面白い。
・『ところが、である。11月以降、世間を騒がすことになった「桜を見る会」問題で安倍首相は一気に窮地に立たされる。 安倍首相は、この危機管理について、不信感を抱いている菅氏に任せずに周辺の側近らと対応してしまった。安倍首相自身が記者のぶら下がり取材に応じることで収束を図ろうとしたのだが、国民を納得させられる説明ができず、逆にあれこれ喋りすぎたことで新たな矛盾も出て、むしろ火に油を注ぐ形になってしまった。 一方で、菅氏もまた、安倍首相やその周辺ときちんと打合せをすることなく記者会見や国会答弁に臨んでいるため、発言や説明に齟齬を来たし、ますます墓穴を掘ることになってしまった。 前述したように、第2次安倍政権が7年の長期に渡って続いた理由の一端には、安倍-菅ラインでの危機管理が機能していたことがあった。不祥事閣僚をすばやく更迭して表に出さないようにしたり、例えば、参院選への影響を避けるため「老後に年金2000万円必要」という金融庁のレポートをなかったことにしたり。政治的には許しがたいが、政権としては危機管理を働かせたということになる。 菅氏が記者会見で「指摘はあたらない」「全く問題ない」という木で鼻をくくったような発言をして記者の質問をはねつけてきたのも、菅氏に力があればこそ通用していたといえる。 しかし、いまや菅氏は記者会見で答えに詰まり、事務方からメモを差し入れられるほどにボロボロ。「令和おじさん」人気も過去のものになりつつある。 いま菅氏の本音はどこにあるのか。 菅氏を支えてきた無派閥議員は「連日の桜問題についての会見対応には相当疲れている。菅氏には、最初の危機管理で首相が早々に表に出たことが尾を引いているという不満がある。安倍首相と側近たちに嫌気がさしている。私たちの中では、首相を守るのはもう止めたらどうかと話している」 実は、その菅氏に、なんと安倍首相に自分を切ろうとした怒りを抱いている二階氏が接近している。事あるごとに連絡を取り合っているという。もはや「安倍vs二階」にとどまらず、「安倍・岸田vs二階・菅」というさらに深い溝が政権内に横たわるということなってきた。 直近12月の世論調査で、安倍内閣の支持率が軒並み下落し、共同通信や朝日新聞で支持と不支持が逆転した(共同は支持42.7%、不支持43.0%、朝日は支持38%、不支持42%)。 安倍首相が望んだ菅氏の求心力低下。しかしそれは結果的に、さらに複雑な権力闘争を生み出し、安倍政権の弱体化に直結するという皮肉となっている。安倍首相は分かっているのだろうか』、「第2次安倍政権が7年の長期に渡って続いた理由の一端には、安倍-菅ラインでの危機管理が機能していたことがあった」、長期政権の屋台骨にヒビが入ったようだ。「「安倍・岸田vs二階・菅」というさらに深い溝が政権内に横たわるということなってきた」、いよいよ政権末期の断末魔が近づいているのだとすれば、嬉しいのだが・・・。

次に、1月21日付けNEWSポストセブン「IR汚職捜査、安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20200121_1528627.html
・『昨年12月29日、安倍晋三首相はBSテレビ東京の番組『NIKKEI 日曜サロンSP』に登場し、ポスト安倍について岸田文雄・政調会長、茂木敏充・外相、加藤勝信・厚労相と並べて菅義偉・官房長官の名前を挙げた。首相が菅氏を後継首相候補の1人に名指ししたのは初めてだ。 「菅さんはその言葉を聞いてゾッとしたのではないか」と語るのは自民党ベテラン議員だ。 「次期総裁選への出馬に意欲満々な岸田、茂木、加藤の3人は総理に名前を出してもらって喜んでいる。しかし、菅さんはマスコミではポスト安倍の有力候補と報じられていても、本人は一貫して『総裁選に出る気は全くない』と否定してきた。総理に忠誠心を疑われないために神経質なほど総裁候補と言われることを嫌がっている。 安倍首相はそれを百も承知のはずなのに、菅さんがバッシングを受けている微妙な時期に総裁候補として名前を挙げた。総理の真意がどうであれ、うがち過ぎた見方をすれば、“こいつは総理を狙っているぞ。もっと叩いていい”とけしかけているように聞こえる」』、「菅さんがバッシングを受けている微妙な時期に総裁候補として名前を挙げた・・・“こいつは総理を狙っているぞ。もっと叩いていい”とけしかけているように聞こえる」、政治の世界の裏表は本当に難しいものだ。
・『倍首相の発言には他にも注目すべき点がある。自民党内ではポスト安倍候補として「河泉敏信」(河野太郎防衛相、小泉進次郎・環境相、茂木敏充氏、加藤勝信氏)と呼ばれる4人が浮上していた。 とくに河野氏と「育休宣言」した進次郎氏は、新聞の世論調査の「次の首相にふさわしい人」でも他の候補より上位にランクインしている。 ところが、安倍首相は後継者発言でその2人に全く言及しなかったのはなぜか。政治アナリスト・伊藤惇夫氏はその意図をこう読み解く。 「進次郎氏は将来の総理総裁候補ではあっても、出番はまだ先でしょうから名前を出さなかったのはわからなくもないが、河野氏は次期首相候補として支持率を上げている存在。外した理由として挙げられるのは、菅官房長官への牽制です。河野氏と進次郎氏はどちらも菅さんが将来の首相候補として名前を挙げている。河野氏が有力な首相候補になればポスト安倍レースで菅さんの影響力が高まる。それは認められないという思いがあるから敢えて名前を外したと考えられる」 安倍首相が河野氏と進次郎氏を外し、菅氏を総理候補にあげたのは、菅氏への牽制効果を十二分に計算したうえでの発言だったと言えそうだ』、さすが「政治アナリスト」らしい深い読みだ。
・『安倍首相が菅氏のことを「自分の権力を脅かす存在」と警戒するきっかけは、昨年秋の内閣改造での人事介入だった。 首相が“イエスマン”の岸田氏を幹事長に起用して「安倍傀儡政権」のレールを敷こうとしたのに対し、菅氏は二階俊博・幹事長と手を組んで岸田幹事長構想をつぶし、二階留任を認めさせた。 「人事は菅官房長官主導で行なわれ、河井法相、菅原一秀・経産相、小泉環境相、そして河野防衛相ら菅氏に近い人材が起用された。閣僚の人事権は総理の権力の源泉だが、菅さんが手を突っ込んだことで総理は決定的な不信感を抱いた」(安倍側近) 内閣改造の後、ポスト安倍の後継総理選びの主導権をめぐって「安倍-麻生」陣営VS「菅-二階」陣営による水面下の権力抗争が激化した。 先に劣勢に立たされたのは菅氏だった。側近の菅原、河井両大臣が公選法違反疑惑で失脚し、「総裁候補」である河野氏や進次郎氏にも失言批判や不祥事が報じられて大きなダメージを受けたが、一方の安倍首相も「桜を見る会」問題で支持率が急落するという“痛み分け”状態となった。 安倍―菅の権力バランスに決定的な影響を与えたのが東京地検特捜部のIR汚職捜査だ。二階派の秋元氏が逮捕され、「菅―二階」陣営が直撃されただけではない。菅氏にとってより大きな打撃は権力基盤だった検察に対するグリップが効かなくなったことだ。 菅氏の権力を支えてきたのは、霞が関の中央官庁幹部の人事権を握ったからだ。法務省人事を通じて政治家にとって怖い存在である検察に強い影響力を持ち、政官財界ににらみを利かせてきた。 ところが、この土壇場で法務・検察の逆転人事が固まった。菅氏に近く、政界捜査の“ストッパー役”とみられてきた検察ナンバー2の黒川弘務・東京高検検事長が2月に退官し、後任に菅氏の“天敵”ともいえる林真琴氏(現・名古屋高検検事長)が就任して政界捜査をコントロールする立場に立つ。ノンフィクション作家の森功氏が語る。 「黒川氏は菅さんとのパイプが太く、“官邸の代理人”などと呼ばれている。法務官房長時代、検察が首相側近の甘利明・元経済再生相の口利き疑惑や下村博文・元文科相の加計学園からの裏献金疑惑を形だけの捜査で終わらせた。菅さんは政権を守るために黒川氏をトップの検事総長に就任させたかったと思うが、河井前法相の捜査やIR汚職捜査など、官邸を取り巻く状況の変化で検察人事への介入が難しくなり、結果として黒川氏は今年2月7日に定年を迎えて退官する。 後任の東京高検検事長には黒川氏のライバルの林真琴氏が就任し、林氏はさらに検事総長への就任も確実視されています」 次期検事総長候補の林氏はもともと法務事務次官候補だったが、菅氏に次官就任を拒否され、かわりに同期の黒川氏が次官に抜擢された。いわば菅氏に煮え湯を飲まされた人物だ。菅氏にとっては、検察のIR汚職事件や側近の河井夫妻の公選法違反捜査が本格化するタイミングで、“天敵”ともいうべき人物が事実上の検察トップに座るのだから脅威だろう。安倍首相はこの人事を認めているとされる。 最高権力者から見れば、検察捜査さえも、権力争奪ゲームの有力な駆け引き材料なのだ』、「東京地検特捜部のIR汚職捜査だ。二階派の秋元氏が逮捕され、「菅―二階」陣営が直撃されただけではない。菅氏にとってより大きな打撃は権力基盤だった検察に対するグリップが効かなくなったことだ」、「菅氏にとっては、検察のIR汚職事件や側近の河井夫妻の公選法違反捜査が本格化するタイミングで、“天敵”ともいうべき人物が事実上の検察トップに座るのだから脅威だろう」、新たな「検察」がどこまで本気で捜査するか、大いに注目される。

第三に、2月1日付けYahooニュースがFRIDAY DIGITAL記事を転載した「安倍総理の親衛隊「官邸ポリス」のリークで自民党議員の疑惑続出?」を紹介しよう。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200201-00000008-friday-soci
・『1月20日、通常国会が召集された。疑惑の渦中にいる議員たちも登院したが、捜査中であることを理由に、誰も何も説明をしようとしなかった。昨年から今年にかけて相次ぐ自民党議員の不祥事――。その背後で安倍晋三総理の親衛隊「官邸ポリス」が出動中だという。 「その組織は警察庁幹部と有力OBで構成され、政権を背後で支えています。実態はベールに包まれていますが、組織のトップは杉田和博・官房副長官で、実権を握るのは北村滋・国家安全保障局長(前・内閣情報官)とされています」(全国紙政治部記者) 彼らは警察組織を動員して情報を集め、ときには民間の調査会社も活用して、政権のダメージとなる兆候を事前に掴んで潰す、危機管理のプロだ。だが、今回の場合は、あえてメディアを使ってスキャンダルを仕掛けたという見方がある。 「昨年の内閣改造で菅義偉官房長官は、自身と近い菅原一秀氏を経産相、河井克行氏を法相として入閣させました。取り巻きを大臣にした菅氏に『総理になりたい』という色気が出てくるのも当然でしょう。しかし、安倍総理にとっては、既定路線である岸田(文雄)政調会長への禅譲が思うようにいかなくなる。 そんななか、両大臣の疑惑が次々と報じられて、二人は辞任しました。それだけでなく、菅氏の腹心である和泉洋人・首相補佐官も女性技官との京都旅行が報じられた。これはがメディアに情報をリークした可能性が高いと考えられます」(ジャーナリストの伊藤博敏氏) 要するに「官邸ポリス」とは、安倍総理の親衛隊として、安倍総理と菅官房長官の力関係が微妙になれば、菅官房長官の力を削ぐ方向に動く。そのときのために、常日頃、ありとあらゆる情報を収集している。 「恐ろしい話ですが、実際に日本は『警察国家』になりつつあります。昨年6月に施行された『改正通信傍受法』で、警察は裁判所が出した令状があれば、警察署内からリアルタイムで他人の通信を傍受できるようになりました。また、監視カメラの映像を差し押さえれば、行動も容易に知ることができます。こうした情報を『官邸ポリス』が『悪用』しないとは限らないのです」(伊藤氏) 犯罪抑止のための警察情報が政敵を倒すために悪用されたら、民主主義は成り立たない。日本はとんでもない方向に進み始めたのかもしれない』、「安倍総理を支える『官邸ポリス』」、「犯罪抑止のための警察情報が政敵を倒すために悪用されたら、民主主義は成り立たない。日本はとんでもない方向に進み始めたのかもしれない」、明らかにやり過ぎだが、官邸内での警察畑の優遇をみると頷ける。恐ろしい時代になったものだ。
タグ:yahooニュース Newsポストセブン 日本の政治情勢 FRIDAY DIGITAL (その40)(安倍VS菅「官邸内政局」がIRスキャンダルの背景に、IR汚職捜査 安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響、安倍総理の親衛隊「官邸ポリス」のリークで自民党議員の疑惑続出?) NEWSSOCRA 「安倍VS菅「官邸内政局」がIRスキャンダルの背景に」 小塚かおる 菅官房長官追い落としが政権弱体化を招いた皮肉 中国」といえば政界で太いパイプを持つのは、自民党の二階俊博幹事長だ。秋元議員も二階派所属。まるで二階幹事長がターゲットかのようないかにも永田町らしいキナ臭い噂 背景にあるのは「ポスト安倍」をめぐる権力闘争 秋の人事では二階氏を交代させその岸田氏を幹事長に据えようとした 今後もキングメーカーでいたい二階幹事長は盟友の公明党とも組んで安倍首相に「交代というなら憲法改正は協力しない」などと徹底抗戦し留任を勝ち取った 「官邸が二階つぶしのために仕掛けた」 安倍首相や周辺の側近らが菅氏への警戒心を強めてきていた 系列2人の閣僚の公選法違反疑惑による辞任 安倍首相は「内心は菅氏の求心力低下を安堵し、ほくそ笑んでいた」 「桜を見る会」問題で安倍首相は一気に窮地に 安倍首相は、この危機管理について、不信感を抱いている菅氏に任せずに周辺の側近らと対応してしまった 国民を納得させられる説明ができず、逆にあれこれ喋りすぎたことで新たな矛盾も出て、むしろ火に油を注ぐ形に 菅氏もまた、安倍首相やその周辺ときちんと打合せをすることなく記者会見や国会答弁に臨んでいるため、発言や説明に齟齬を来たし、ますます墓穴を掘ることになってしまった 第2次安倍政権が7年の長期に渡って続いた理由の一端には、安倍-菅ラインでの危機管理が機能していたことがあった いまや菅氏は記者会見で答えに詰まり、事務方からメモを差し入れられるほどにボロボロ 菅氏に、なんと安倍首相に自分を切ろうとした怒りを抱いている二階氏が接近 「安倍・岸田vs二階・菅」 安倍首相が望んだ菅氏の求心力低下。しかしそれは結果的に、さらに複雑な権力闘争を生み出し、安倍政権の弱体化に直結するという皮肉となっている 「IR汚職捜査、安倍首相・菅官房長官の権力バランスに大きな影響」 首相が菅氏を後継首相候補の1人に名指ししたのは初めて “こいつは総理を狙っているぞ。もっと叩いていい”とけしかけているように聞こえる 河野氏は次期首相候補として支持率を上げている存在。外した理由として挙げられるのは、菅官房長官への牽制 安倍首相が河野氏と進次郎氏を外し、菅氏を総理候補にあげたのは、菅氏への牽制効果を十二分に計算したうえでの発言 首相が“イエスマン”の岸田氏を幹事長に起用して「安倍傀儡政権」のレールを敷こうとしたのに対し、菅氏は二階俊博・幹事長と手を組んで岸田幹事長構想をつぶし、二階留任を認めさせた 安倍―菅の権力バランスに決定的な影響を与えたのが東京地検特捜部のIR汚職捜査だ 菅氏にとってより大きな打撃は権力基盤だった検察に対するグリップが効かなくなったことだ 菅氏に近く、政界捜査の“ストッパー役”とみられてきた検察ナンバー2の黒川弘務・東京高検検事長が2月に退官し、後任に菅氏の“天敵”ともいえる林真琴氏(現・名古屋高検検事長)が就任して政界捜査をコントロール 「安倍総理の親衛隊「官邸ポリス」のリークで自民党議員の疑惑続出?」 安倍晋三総理の親衛隊「官邸ポリス」 警察庁幹部と有力OBで構成され、政権を背後で支えています 彼らは警察組織を動員して情報を集め、ときには民間の調査会社も活用して、政権のダメージとなる兆候を事前に掴んで潰す、危機管理のプロだ 今回の場合は、あえてメディアを使ってスキャンダルを仕掛けたという見方 菅氏の腹心である和泉洋人・首相補佐官も女性技官との京都旅行が報じられた。これはがメディアに情報をリークした可能性が高い 実際に日本は『警察国家』になりつつあります。昨年6月に施行された『改正通信傍受法』で、警察は裁判所が出した令状があれば、警察署内からリアルタイムで他人の通信を傍受できるようになりました 犯罪抑止のための警察情報が政敵を倒すために悪用されたら、民主主義は成り立たない。日本はとんでもない方向に進み始めたのかもしれない
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カジノ解禁(その9)(IR汚職事件でアメリカ系企業の動きを黙認する検察の不可解、IR汚職~秋元議員をバックアップしていた大物議員の名、「秋元議員逮捕」はカジノ利権の末端の“小事”に過ぎない) [国内政治]

カジノ解禁については、昨年11月11日に取上げた。今日は、(その9)(IR汚職事件でアメリカ系企業の動きを黙認する検察の不可解、IR汚職~秋元議員をバックアップしていた大物議員の名、「秋元議員逮捕」はカジノ利権の末端の“小事”に過ぎない)である。

ずは、元イラン大使で外交評論家の孫崎享氏が本年1月10日付け日刊ゲンダイに掲載した「IR汚職事件でアメリカ系企業の動きを黙認する検察の不可解」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/267346
・『カジノを含むIR事業をめぐる汚職事件は拡大する一方だ。元日には、東京地検特捜部に逮捕された秋元衆院議員に現金を渡したとされる中国企業側が、特捜部の調べに対し、自民党などに属する他の国会議員5人の名前を挙げ、「それぞれに100万円前後の現金を配った」と供述した、と報じられた。 カジノでは、たまたま勝つ人もいるだろう。しかし、最終的には胴元が儲かるシステムだ。つまり、カジノは利用者が負け、彼らを不幸にする前提で成り立つ産業である。人の不幸を前提にする事業を国が推進するべきではない。まして、それに関連する贈収賄があるなら、厳しく追及するのは当然だろう。 一連の動きの中で興味深い報道があった。秋元議員が、朝日新聞の取材に対し、「中国企業なんて相手にしてないよ、こっちは。正直言って米国の企業の方がたくさん来てる」と答えていたというものだ。まさに、これが「核心」であろう』、「中国企業」は脇役に過ぎず、本命はやはり「米国の企業」のようだ。
・『カジノを最初に許可する都市は大阪とみられており、カジノ業界の働きかけも活発だった。 米MGMリゾーツ・インターナショナルはオリックスと共同で取り組むと表明し、米最大手ラスベガス・サンズ、香港企業なども積極的に関与した。産経新聞は<MGM、サンズなどが進出する中国・マカオのIR市場では、2020年以降に各社のカジノ免許が順次失効する。米中対立を背景に、米系企業には免許が再交付されない恐れが指摘され、対日進出意欲を高める一因になっているようだ>と報じた。 こうした状況を考えれば、カジノ参入に最も力を入れているのは米国企業のはずである。 安倍首相が2017年に訪米した際、全米商工会議所との朝食会にトランプ大統領を支援するカジノ企業代表が同席した。この件について、米調査報道専門のニュースサイトは<トランプ大統領が安倍氏に対し、トランプ氏の大口献金者が会長を務めるカジノ運営大手「ラスベガス・サンズ」の日本参入を働きかけていた>と報じた。 さらに週刊文春では<米カジノ大手 安倍政権中枢に「脱法献金」>とも報じている。 検察はなぜ、今回の贈収賄事件で中国企業だけを捜査し、米系企業の動きを黙認しているのか。疑問を持つ国民は少なくない』、「マカオのIR市場では・・・各社のカジノ免許が順次失効・・・米系企業には免許が再交付されない恐れが指摘され、対日進出意欲を高める一因に」、初めて知ったが、「トランプ大統領」まで使って大々的に働きかける筈だ。「検察はなぜ、今回の贈収賄事件で中国企業だけを捜査し、米系企業の動きを黙認しているのか」、その通りだ。

次に、1月20日付けYahooニュースがニッポン放送を転載した「IR汚職~秋元議員をバックアップしていた大物議員の名」を紹介しよう。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200120-00000005-nshaberu-soci&p=1
・『ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月20日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。通常国会が20日に召集されるニュースについて解説した』、「須田」氏の「解説」とは興味深そうだ。
・『通常国会召集  第201国会が20日に召集され、政府与党は2019年度補正予算案と2020年度予算案の早期成立を目指す。一方、野党はIR事業に絡む汚職事件や総理主催の「桜を見る会」の問題を取り上げ、徹底追及する構えである。 飯田)総理は20日に施政方針演説を行いますけれども、内閣最大のチャレンジと位置付ける全世代型社会保障制度改革、年金受給開始の選択肢を75歳に広げるというようなことも明記されています。演説は総花的にいろいろなことを言う、そのなかにはこういうことも入っているようです。 須田)「全世代型社会保障制度の改革」に注目しています。消費税増税は3党合意のなかで5%から10%に上げて、年金・介護・医療にお金を使うということでした。ところが10月1日に増税になったときから、これを待機児童問題の解消と幼児教育の無償化に振り分けるということになった。しかし、これは当初の目的と違うではないかと思ったのですよ。言い換えて全世代型、幼児の方にまで向けるということを意味するのですが、これは国民の了解・合意を取ったのかなと、私は疑問を持っています』、「3党合意」を完全に無視し、目的外に使うとは、安倍首相らしい。
・『「全世代型社会保障制度の改革」が当初の目的と違うところを野党は議論すべきなのだが  (須田)こういう部分に関して、特に旧民主党サイドは「3党合意の精神と違うではないか」と、政策論争を挑んで欲しいと思うのですが、そうはならないでしょうね。やはり「桜を見る会」を再び焼き直して、できるならばIR事業汚職の方で政権追及をするという方向に打って出るのでしょう。桜を見る会に関しても、国会開会を意識したのだと思います。責任の所在を明確にして、とりあえず官僚役人に責任を負わせるというところで、一旦幕を引いてしまいましたからね。 飯田)その文書を破棄したというところですね』、野党ももっとしっかりしてもらいたい。
・『特捜部の関心はパチンコ問題にある  (須田)破棄をするにあたって指揮命令がどういう形であったのか、これは出て来ないのだろうと思います。むしろIR汚職の方をきちんと追及してもらいたいと思うのですが、ここも野党としてはどうなのか。徹底追及ができないのではと思います。そもそも、IR汚職としていますが、結果的にはパチンコ汚職になりそうなのです。 飯田)そっちですか?  須田)この番組でも申し上げたように、秋元司衆議院議員が逮捕された翌日、大手パチンコホールチェーンのガイアが家宅捜索を受けています。やはりパチンコ問題の方に特捜部の関心があるようで、どちらかというと北海道留寿都村を舞台としたIR汚職の方は、目くらましではないかなと思います。むしろ、ここで秋元氏を逮捕して完落ちにさせ、彼も関わっていたパチンコ汚職の方へ、徹底的に捜査の矛先を向けて行きたいのではないでしょうか。 飯田)須田さんが前に指摘されていましたけれども、IR議連とパチンコ議連はほとんど重なっているところが多いとなると、そちらの方面の人たちへ広がる可能性がある』、検察としても、IRを突き詰めていくと、米国企業に突き当たるので、避けたのだろう。
・『パチスロの自主規制緩和の裏でパチンコ議連の議員が暗躍  (須田)2018年1月に、パチスロの自主規制が大幅に緩和されています。業界が自主規制していたのですね。 飯田)嗜好習慣が高まり過ぎるということもあって、という話ですね。 須田)よく出る台については、ホールの何%以下に抑えるという自主規制をしていたのです。これは警察の要請に基づいてのことでしたが、この自主規制が解除された。解除するに当たっては、それを警察庁が黙認しています。業界と警察庁の間にパチンコ議連の政治家が入って、警察庁に強烈な働きかけをしたのです。その辺りに特捜部が興味関心を持っているのではないか。2018年ですから、直近の話です。しかもそこで金が動いていたり、警察庁官僚という公務員に対して、特別公務員である国会議員が働きかけをしていたということになれば、これは綺麗な汚職事件につながりますから』、「パチンコ」疑惑も徹底的に解明してほしいが、これでお茶を濁されてはならない。
・『背後でバックアップしていた大物議員は誰なのか  (飯田)人事も含めて権限を持っているとなると、与党になりますか? 野党も含めて広範囲にやるかもしれませんが。 須田)そうですね。その働きかけたキーパーソンが秋元議員です。事務方として動いていた。では、それに誰が指示をしていたのか。背後でバックアップしていた大物議員が誰なのか。ここがポイントですね』、「大物議員は誰なのか」、と期待だけもたせて終わるとは、腹が立つ。

第三に、デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員の山田厚史氏が1月27日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「「秋元議員逮捕」はカジノ利権の末端の“小事”に過ぎない」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/226741
・『秋元議員らへの金のバラマキは「カジノの闇」の片隅の出来事  通常国会が始まり、「カジノ=統合型リゾート(IR)問題」は、与野党攻防の焦点だが、なんと情けないことか、という思いが強い。 この国の成長戦略は「賭博」で、人々から巻き上げるテラ銭に自治体や政府・企業が群がろうとしている。 それだけではなく、元内閣府副大臣でIR担当副大臣だった秋元司議員(自民)の贈収賄事件が発覚。秋元議員のほかにも、複数の国会議員に日本への進出を狙ったカジノ関連企業から金が流れていたとされる。 中国企業「500ドットコム」は、秋元議員に前後2回、計500万円を渡し、ほかの国会議員には100万円ずつが配られた疑いがある。 北海道・留寿都村にIR(カジノを核とする複合リゾート施設)を誘致しようと政治家に接近した。 同社は深センでオンラインカジノを営んでいたが、当局の取り締まりが厳しくなり、窮余の一策として国外のリアルなカジノに目をつけた。 カジノを事業化するほどの力はなく、周辺事業で稼ごうと留寿都村を標的にした。 受け取った政治家の脇の甘さには驚く。 「中国企業のカネとは知らなかった」「観光会社からの献金だと認識している」「講演の謝礼として受け取った」など、説明はまちまちだが、いずれもとってつけたようで説得力に欠ける』、「中国企業」といっても、「カジノを事業化するほどの力はなく、周辺事業で稼ごうと留寿都村を標的にした」、大したことはない企業で、「片隅の出来事のようだ」とは言い得て妙だ。
・『大もうけできる利権を得るための投資の一部  ビジネスや事業の進出をめぐって札束が飛び交い政治家が群がることは少なくはないが、この事件を考えるヒントは中国にある。 腐敗・汚職の横行と社会主義市場経済は無関係ではない。 「市場経済」は自由に金もうけをしていいシステムで、政府の統制を意味する「社会主義」と相容れない。それが中国で成功しているのは、社会主義とは、国家の経済への関与、すなわち「許認可」で産業を動かす仕組みになっているからだ。 大事な産業や商売は政府の許可がなければ参入できない。業者の適格性や市場規模を政府が判断し、認可を与える。「お墨付き」を得て初めて市場で自由にもうけることができる。 事業のスタートラインに付く前に「許認可獲得」というハードルがある。 企業にとって大事なのは「役所の認可」で、ハンコに「値段」がつく。賄賂はハンコ代だから、汚職・腐敗がまん延する。 カジノも同じ構造なのだ。限られた業者にしか許可が出ない。権益を得れば大もうけできる。ロビー活動(賄賂?)は投資の一部なのだ。 「500ドットコム」から100万円を受け取りながら政治資金報告書に記載しなかったことを問われた日本維新の会の下地幹郎議員(衆議院沖縄比例区)は、「私だけのことか」と居直った。 政治資金報告書の不記載を修正するのは大勢の議員がしている、というが、「カネを受け取って知らんふりをしているのは私だけじゃない」と言っているようにも聞こえた』、その通りだろう。早く全貌を明らかにしてもらいたいものだ。
・『秋元議員も逮捕直前にインタビューで「オレだけじゃない」と言っていた。 そうだろう。カジノビジネスでは政治家に現ナマ攻勢をかけることは当たり前の感覚なのだ。過疎の村を舞台に、中国企業が国会議員にカネをばらまいたことは、「カジノの闇」の片隅の出来事だ。 本筋は日米に横たわる利権構造にある。 アメリカの調査報道メディア「プロパブリカ」は、トランプ大統領とカジノ業界のつながりを暴いた記事にカジノ大手のラスベガス・サンズが出したコメントを以下のように紹介している。 「ゲーミング業界は長い間、日本市場に参入する機会を求めていた。ゲーミング会社はそれを実行すべく多大な資金を費やしており、ラスベガス・サンズも例外ではない」 サンズのアデルソン会長はトランプ大統領の最大の資金提供者として有名だ。 トランプ大統領が2017 年2月の日米首脳会談の後、フロリダの別荘で安倍首相に、カジノ業者の名を示し、日本でのビジネスを認めるよう要請したことは本コラム「世界かわら版」(2019年11月8日付)でも書いた。 アデルソン氏が日本を訪れ、政治家や自治体関係者と頻繁に会っていることは周知の事実だ。 政府が決めようとしたカジノ床面積の上限を撤廃させようと動いたのもアデルソン氏 である。(この動きが報じられ批判を受けて、その後、日本政府が「自主的に」上限規制をとりやめ、IR面積に比例する基準に変えた) アメリカでカジノは先住民の「貧困対策」として特別に許可されたものだった。 カジノを中核にする統合型リゾートは砂漠都市ラスベガスが発祥の地だが、味をしめたカジノ業者は東海岸にまで手を広げる。 過当競争になり共倒れという手痛い結果となった。不動産業からカジノに進出し失敗したトランプ氏も、事情は分かっているはずだ』、「本筋は日米に横たわる利権構造にある」、「カジノ床面積の上限を撤廃させようと動いたのもアデルソン氏」、「アデルソン氏」は「トランプ大統領」とのつながりもあって、やはり相当の力を持っているようだ。「アメリカでカジノは先住民の「貧困対策」として特別に許可されたものだった」、あくまでも昔の導入時のことにしても、初めて知った。
・『日本市場をこじ開けた大手カジノ 「当面3カ所」限定で寡占狙う?  「日本進出でカジノ資本が重視したのは過当競争の防止でした。許可する業者を制限し、地域独占を保証する仕組みを求めたのです」 カジノ業界に詳しい有識者の一人は指摘する。 政府が掲げた「大都市圏で2カ所、地方都市で1カ所」という方針はカジノ資本の要請とピタリ一致している。 米国での共倒れの後、成長市場をアジアに求めたカジノ資本は、マカオ、シンガポールで「参入規制」に成功、自らの「枠」を確保した。 マカオは、サンズ、MGMリゾーツインターナショナル、ウィンリゾーツの米国大手3社と中国資本3社。シンガポールはサンズとマレーシアの華人資本ゲンティンが権益を得た。 処女地・日本で「大都市2、地方1」の「3枠」をどこが取るか。ロビー活動が熱を帯びることになった。 政府による昨年の調査では、IR誘致を検討している自治体は8カ所あったが、北海道と千葉市が相次いで「断念」を表明した。「3枠に入るのは難しい」と判断したからだろう。 政府は自治体と運営業者をワンセットで認可する方針だ。北海道は自治体が苫小牧市、業者で意欲を示したのはハードロックカフェという中堅カジノ業者だった。 アメリカのようにカジノの認可が州によって決まるなら、北海道の過疎地でも可能だろう。だが、日本は、政権の成長戦略として位置付けられ中央が決める。 北海道の鈴木直道知事は、菅官房長官の直系で苫小牧は「地方枠1」に入るのではと見られたこともあったが脱落した。 鈴木知事は「環境対策が間に合わない」と断念の理由を語ったが、カジノ業界では「ハードロックカフェでは力不足。ふるい落とされた」と見られている。 日本市場をこじ開けたのはサンズをはじめとする大手カジノ資本だ。ハードロックカフェや中国企業など「便乗組は圏外」ということらしい。 つまり米国の大手カジノは「当面3カ所」に限定させて、寡占体制を確実にし、安値競争を仕掛けそうなライバルを締め出したのだ』、「米国の大手カジノ」の手回しの良さには、驚く他ない。
・『受け皿になったIR議連 注目は岩屋議連幹事長の“職務権限”  誰がそんなルールを決めたのか。 カジノ資本は他国で制度を作る権限はない。動いたのは超党派の国会議員による国際観光産業振興議員連盟だった。 通称「IR議連」といわれ、カジノをIRの中核に位置付け、外国から観光客を呼び込み、地域経済の起爆剤にするという。 2010年4月に74人で発足し、今や200人を超える大勢力になっている。 最高顧問に安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相らが就いた。その後、国会で追及されて辞任したが、議連は学者や商社、広告代理店などを呼んで勉強会を重ねカジノ推進法案をまとめ、2016年12月の国会で可決した。 今回、「500ドットコム」から100万円前後のカネが流れたとされる5人は、同社がIR参入を目指していた沖縄と北海道の議員やIR議連の幹部だったが、注目すべきは、議連幹事長の岩屋毅議員の名前があがっていることだ。 岩屋氏は、「500ドットコム」の3人の幹部とともに贈賄罪で起訴された北海道観光会社会長から200万円の「寄付」を受けた中村裕之議員(自民)から、そのうちの100万円の「寄付」を受けたとされる。「(中国企業から)金銭を受け取った事実はない」と会見で話したが、関係者の間で「カジノ資本と接点のあるキーマン」とされている。 2018年7月「週刊文春」が、カジノ大手のシーザーズ・エンターテインメントのアドバイザーが作成したという「パーティー券購入リスト」を報じた。 金額が突出していたのが岩屋議員で74万円だった。 日本にカジノ案が浮上したのは1999年、お台場カジノ構想として石原慎太郎都知事が打ち上げたことが発端といわれるが、それ以前から米国のカジノ大手は政治家などに働きかかけていた、という。 「衆議院議員だった鳩山邦男さんが窓口だった時期があり、秘書をしていた岩屋さんがカジノに詳しくなり国会議員になってからは議連作りに汗をかいた」と、鳩山事務所の関係者はいう。 カジノ資本の要望を一番よく知っている人が議連の幹事長を務めている、ということのようだ。 報道によると、東京地検特捜部は秋元議員を贈収賄で起訴する方針だが、国会議員5人の立件は難しいと見ている、という。 秋元議員にはIR担当副大臣として業者に便宜を図る「職務権限」があるが、岩屋議員を含め5人には職務権限がない。だから贈収賄にはならない、という理屈だ。 だが、どうだろう。「カジノ市場開放」を決めたのは役所ではなく、政治家だった。2016年のカジノ推進法案は議員立法である』、「秋元議員」よりも「議連幹事長の岩屋毅議員」の方が、立法過程では「職務権限」がある筈なのに、形式論で野放しとは確かに納得できない。
・『国会に提出される法律は、ほとんどが政府提出、つまり関係省庁で立案される。だが、政府の方針とは異なるような法案は、議員が提出するし審議する。 カジノは賭博であり、刑法で禁止されている。違法である賭博を合法にするカジノ解禁は、従来の政府の方針と違うので議員立法となった。推進母体はIR議連だった。 岩屋幹事長は法案の共同提案者の一人、「産みの親」だ。カジノを含むIRの整備地域を選ぶ基準を示す基本方針の策定に強い影響力を持つ岩屋氏は、秋元議員よりはるかに大きな力を持っている。 「職務権限なし」というのは上っ面だけを見た判断ではないか』、その通りだ。
・『「秋元議員逮捕」は巨悪から目をそらすいけにえ?  アメリカの業界が、長い時間と多額の投資で日本市場をこじ開け、いよいよ果実を手にする時というのが今の構図である。 北海道の過疎の村に進出を狙って「500ドットコム」がカネをばらまいたことは、カジノ狂想曲が巻き起こした末端の騒動で、副大臣になった政治家が業者からカネをかすめ取った情けない悪事にすぎないのだ。 アデルソン会長は、日本で認可を得られれば100億ドル(1兆1000億円)投資する用意がある、という。100億ドルを投資しても回収できる「もうけ」が期待できるからだ。 日本はマカオに次ぐカジノ市場に成長する、という。1兆円の事業ならロビー活動に億単位のカネが投じられてもおかしくない。 秋元議員が受け取った数百万円などと桁の違うカネが、さまざまな姿でカジノ実現に向けてばらまかれているのだろう。 アデルソン氏は、2016年の大統領選で選挙資金として2200万ドル(24億円)を寄付し、大統領就任式には500万ドル(5.5億円)を提供した。 今年の大統領選でも献金を惜しまないだろう。再選されれば首都圏はサンズが認可される、と関係者は見ている。 アメリカでは、政治献金に上限はない。その代わり金額と寄付者の名前を公開することが義務付けられている。だから「アデルソンはトランプ最大のスポンサー」と知られる。 日本はパーティー券を誰がどれだけ買ったかさえ不透明だ。カジノ事業者から政治家がどれだけ金銭的支援を受けているのか、その実態さえ明らかにされていない。 国会は、パーティー券の購入を含め、カジノ資本と利害関係のある企業とのカネのやりとりを透明にする責任がある』、説得力溢れた主張で、全面的に賛成する。
タグ:ニッポン放送 yahooニュース 日刊ゲンダイ 須田慎一郎 ダイヤモンド・オンライン 孫崎享 山田厚史 カジノ解禁 「飯田浩司のOK! Cozy up!」 (その9)(IR汚職事件でアメリカ系企業の動きを黙認する検察の不可解、IR汚職~秋元議員をバックアップしていた大物議員の名、「秋元議員逮捕」はカジノ利権の末端の“小事”に過ぎない) 「IR汚職事件でアメリカ系企業の動きを黙認する検察の不可解」 カジノは利用者が負け、彼らを不幸にする前提で成り立つ産業である。人の不幸を前提にする事業を国が推進するべきではない 中国・マカオのIR市場では、2020年以降に各社のカジノ免許が順次失効する。米中対立を背景に、米系企業には免許が再交付されない恐れが指摘され、対日進出意欲を高める一因になっているようだ 2017年に訪米した際、全米商工会議所との朝食会にトランプ大統領を支援するカジノ企業代表が同席 検察はなぜ、今回の贈収賄事件で中国企業だけを捜査し、米系企業の動きを黙認しているのか。疑問を持つ国民は少なくない 「IR汚職~秋元議員をバックアップしていた大物議員の名」 消費税増税は3党合意 年金・介護・医療にお金を使うということでした これを待機児童問題の解消と幼児教育の無償化に振り分ける 「全世代型社会保障制度の改革」が当初の目的と違うところを野党は議論すべきなのだが 特捜部の関心はパチンコ問題にある 大手パチンコホールチェーンのガイアが家宅捜索 北海道留寿都村を舞台としたIR汚職の方は、目くらましではないか パチスロの自主規制緩和の裏でパチンコ議連の議員が暗躍 背後でバックアップしていた大物議員は誰なのか 「「秋元議員逮捕」はカジノ利権の末端の“小事”に過ぎない」 秋元議員らへの金のバラマキは「カジノの闇」の片隅の出来事 中国企業「500ドットコム」 同社は深センでオンラインカジノを営んでいたが、当局の取り締まりが厳しくなり、窮余の一策として国外のリアルなカジノに目をつけた カジノを事業化するほどの力はなく、周辺事業で稼ごうと留寿都村を標的にした 大もうけできる利権を得るための投資の一部 秋元議員も逮捕直前にインタビューで「オレだけじゃない」と言っていた 本筋は日米に横たわる利権構造にある ゲーミング業界は長い間、日本市場に参入する機会を求めていた。ゲーミング会社はそれを実行すべく多大な資金を費やしており 政府が決めようとしたカジノ床面積の上限を撤廃させようと動いたのもアデルソン氏 である アメリカでカジノは先住民の「貧困対策」として特別に許可されたものだった 日本市場をこじ開けた大手カジノ 米国の大手カジノは「当面3カ所」に限定させて、寡占体制を確実にし、安値競争を仕掛けそうなライバルを締め出したのだ 受け皿になったIR議連 注目は岩屋議連幹事長の“職務権限” 秋元議員にはIR担当副大臣として業者に便宜を図る「職務権限」があるが、岩屋議員を含め5人には職務権限がない。だから贈収賄にはならない、という理屈 カジノを含むIRの整備地域を選ぶ基準を示す基本方針の策定に強い影響力を持つ岩屋氏は、秋元議員よりはるかに大きな力を持っている 「職務権限なし」というのは上っ面だけを見た判断ではないか 「秋元議員逮捕」は巨悪から目をそらすいけにえ? 国会は、パーティー券の購入を含め、カジノ資本と利害関係のある企業とのカネのやりとりを透明にする責任がある
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日本郵政(その14)(かんぽ不正3社長辞任「官僚の人事」が郵政をいよいよつぶす 民営化が逆回転しはじめた、クローズアップ現代+:検証・かんぽ問題① 実態解明と顧客救済は?、② 郵政グループ 再生への課題は?) [国内政治]

昨日に続いて、日本郵政(その14)(かんぽ不正3社長辞任「官僚の人事」が郵政をいよいよつぶす 民営化が逆回転しはじめた、クローズアップ現代+:検証・かんぽ問題① 実態解明と顧客救済は?、② 郵政グループ 再生への課題は?)を取上げよう。

先ずは、1月26日付け現代ビジネス「かんぽ不正3社長辞任「官僚の人事」が郵政をいよいよつぶす 民営化が逆回転しはじめた」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69924
・『「民間」とは遠い人物  2019年末、日本郵政の長門正貢氏ら3社長辞任のニュースが世間を騒がせた。事の発端は、日本郵政傘下のかんぽ生命での不適切な商品販売である。 また、この問題が明るみに出たのと同時期に総務省幹部による行政処分情報の漏洩問題が起こっていた。これにより鈴木茂樹前総務事務次官は辞任。その後を追うかたちで、長門氏らも引責辞任となった。 新たに日本郵政のトップに就いたのは、元総務大臣の増田寛也氏である。増田氏は「消滅可能性都市」への言及など、メディア露出も多い人物だが、官僚から政治家に転身した経歴の、「民間」とは遠い人物である。 1月9日の就任後初会見で、増田氏は行政処分情報の漏洩問題に関して「調査を行うべく準備を進めている」と述べた。情報漏洩とは具体的に、総務省(旧郵政省)キャリアの先輩・後輩の関係である鈴木康雄・日本郵政上級副社長と鈴木茂樹前事務次官とのあいだで行われた。茂樹事務次官から康雄副社長に対し、行政処分内容を伝えたとされている。 昨年の記者会見長門前社長は「鈴木康雄氏が退職しているので、情報の漏洩問題での調査は行わない」としていた。新体制になり、これを翻したことはいいことだ。 「辞めた人間を調べられない」というのは、民間でありがちな回答で、民間出身の長門氏らしい対応とも言える。一方で、元建設省キャリアで政治家出身の増田新社長は「説明責任」のようなことを考えたのだろう』、「辞めた」といってもまだ退職金を払っておらず、退職金に査定部分があるのであれば、強制力はないにしても調べることは可能だ。まして、半官半民の中途半端な状態にあるので、調べるのは当然だろう。
・『増田氏のようなキャリア官僚であれば、各省の官僚の序列などは周知のはずだ。しかも増田氏は'07年8月から'08年9月まで総務大臣を務めている。そのとき、鈴木前事務次官も鈴木前副社長もともに部下であったはずだ。情報漏洩に関わった二人について多少なりとも知っているだろう。 増田氏のほか、かんぽ生命には千田哲也氏、日本郵便は衣川和秀氏が新社長に任命された。千田氏と衣川氏はともに総務省(旧郵政省)キャリアである。9日の3社長が一堂に並んだ会見は、役人の会見を見ているかのような雰囲気だった。 新体制の下、情報漏洩問題はある程度解明されるだろう。ただ、その原因は、結局のところ現役事務次官も先輩に逆らえない霞が関の強固な上下関係だ、と指摘されるにとどまるはずだ。官庁を離れた後も、退職時のポストと先輩後輩とがあるから、平然と天下りが行われる。キャリア官僚の常であり、新3トップも官僚時代は身の回りで当たり前のように起こっていた出来事だから、深い問題意識は持っていないかもしれない。 それ以上に問題なのは、今後の郵政の経営である。小泉政権の時に「民営化」された郵政は、民主党時代に民間出身の幹部が追い出され、「再国有化」が進んだ。安倍政権では経営陣は民間出身に戻したが、今回の人事では元官僚が3トップとなり、まさに国営企業のようだ。 今の郵政に必要なのは、民間の経営者による事業の徹底的な見直しである。民間の物流・金融業界は生き残りをかけた激動の時代を迎えているというのに、なぜ逆行するような人事を行うのか。官僚のせいで郵政が潰れる日が来ても、まったくおかしくない』、「今の郵政に必要なのは、民間の経営者による事業の徹底的な見直しである」、もっともらしいが、昨日、郷原氏が指摘した「ユニバーサルサービスの確保義務」を外す法律改正がまず先だろう。

次に、1月15日付けNHKクローズアップ現代+「シリーズ 検証・かんぽ問題① 実態解明と顧客救済は?」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4372/index.html
・『2年前からの郵便局の不適正な保険契約の問題を指摘してきたクローズアップ現代+。当時、番組の中で郵政グループの幹部が問題を認識し再発防止を約束したにも関わらず、その後、事態は社会問題化。郵政トップの3社長が辞任する事態にまで発展した。番組では2夜にわたって、再発防止のために何が必要か、多角的に検証する。 第1夜は、問題の全容解明と顧客への救済はどこまで進んだのか、検証する。郵政トップが「1人残らず、最後の1円まで不利益を解消する」と語った、18万3000件におよぶ「特定事案」への調査では、社内ルールや法令に違法する契約が670件に上るとしたが、調査からこぼれ落ちながら、顧客に不利益を生じさせる疑いがある契約が数多く残されている。我々の取材からは、郵政グループによる対応は未だ十分進んでいない実態が浮かび上がってきた。番組では、2年前に再発防止を約束した郵政グループの幹部に直撃。なぜ問題はここまで広がったのか。また本当に顧客本位の救済は進むのか。これまでの経緯を踏まえ、徹底的に聞いていく。 出演者 郷原信郎さん (弁護士、元日本郵政ガバナンス検証委員長) 宮田裕章さん (慶応義塾大学教授) 武田真一 (キャスター)』、この番組は、日本郵政の鈴木前副社長がNHKにねじ込んで、公表が遅れていたいわくつきのものである。
・『検証2年 かんぽ問題 あなたの保険は大丈夫?  武田:信頼していた郵便局に裏切られたという高齢者の声。ノルマに追い詰められて、顧客のためにならない契約を勧めてしまったという現場の局員の告白。私たちは、寄せられたこうした多くの声を埋もれさせてはならないと、2年前から取材を続けてきました。 そして、去年この問題が社会を揺るがし、郵政グループは大規模な調査に踏み切りました。およそ3000万件のすべての契約を対象とした全件調査。さらに、顧客に不利益を生じさせた疑いがある特定事案の調査。これは「二重払い」や「無保険」と呼ばれる状態のものなどで、対象は18万3000件に上ります。 この調査はどこまで進んでいるのか? 先月までに、特定事案の中で法令や社内ルールに違反した契約が670件確認され、契約の解除や生じた損失の返金など、救済が始まっています。しかし、弁護士で作る特別調査委員会の報告書には、不適正な契約はこうした特定事案だけではないことが記されています。 どんな実態があるのでしょうか』、「特定事案だけではない」とすれば、「不適正な契約」の件数はもっと膨らむようだ。
・『検証・かんぽ問題 埋もれた不適正契約とは?  埋もれた不適正な契約の実態とは? 関西在住の80代の母親と、その息子です。 母親の保険が特定事案に該当し、調査の対象となりました。 ところが、その調査の過程で思わぬ事実が発覚したといいます。 母親「1、2、3、4、5、6、7件、保険証券。」特定事案以外にも、見過ごされていた不適正な疑いのある契約が次々と見つかったのです。 息子「毎月60万円あまりの保険を、それを10年もかけるって。そんな金どないすんのやって。」 去年10月、かんぽ生命の社員が特定事案の調査のため自宅を訪ねてきました。母親が加入していた2件の保険が「無保険」に該当するため、その時の状況を調べに来たのです。 「無保険」とは、加入していた保険から新たな保険の契約に切り替える際に、保険のない期間が生じるもの。これによって、郵便局員は新規契約を獲得したと見なされ、手当が満額得られます。そのため、新契約の加入時期を意図的に遅らせた疑いがあります。 ところが、調査に同席した息子が「母親が加入している保険すべての詳しい状況を知りたい」と社員に申し出たところ、調査対象以外にも不審な契約が相次いで見つかったというのです。 息子「『これは大丈夫なんですか』っていうふうな感じでね。そうしたら、2件の事案どころじゃなしに、えらい(大変な)保険。ぞっとしてね。」 特定事案のほかに、母親が最近2年間で加入した保険契約は全部で7件。支払い額は月60万円で、90歳までの支払い総額は7000万円以上に上っていました。 顧客の支払い能力を超える多額の契約を多数取り交わすことは「多額契約」と呼ばれ、不適正の疑いがあります。 しかも、母親は最近、認知機能が低下。 会社のルールでは、顧客が70歳以上の場合は家族の同席を求める必要がありますが、息子が同席を求められたことは一度もありませんでした。 母親「郵便局から来はる人も、ほんまにええ人が来てはったなあと思うねんけど、こんなことしてはるとは思わへんだわ。」 息子「同席していなかったら、しまいですね。こんなん全然出てこなかったんです。末端まで、それ(調査)が行き届いているのか。今のところは届いていないでしょうね。」 息子は7件の保険すべてを解約。契約の無効と、解約で生じたおよそ200万円の損失の返金を求めています。 かんぽ生命は取材に対し、個別のケースについては答えられないとしたうえで、「特定事案以外でも、お時間をいただく場合もございますが、1件1件丁寧にお客様の声をお聞きし、不利益解消のための対応を進めております」としています。 なぜ、不適正な契約が見過ごされていたのか。これまで、みずからも不適正な契約を行ってきたという現役の郵便局員が取材に応じました。会社は、特定事案以外にも不適正な疑いのある契約があることを把握しているはずなのに、手がつけられていないと言います。 現役郵便局員 Aさん「今(特定事案が)調査されているんですが、一番取っかかりやすいようなところを見ているのかなと。(他にも)会社が把握していた、あくどい話法があります。こちらの方が(特定事案より)圧倒的に多い。」 さらに局員は、そうした不適正な疑いのある契約は仕組みが複雑で、顧客が問題を認識していないケースが少なくないと言います。 現役郵便局員 Aさん「(契約が)継続するような形なので、お客さまも自分が損をしたって気づきづらいんですよね。ほとんどのお客さまは(問題に)気づいていない。」 これは、かんぽ生命が不適正な契約をなくそうと、疑いのある契約を分類・集計した内部資料。今回の問題が大きく報じられる以前から作成されていました。 特定事案にあたる「無保険」や「二重払い」以外にも、さまざまな契約が集計されています。この数年、増加傾向にあったのが「料済(りょうずみ)」と呼ばれるケースです。 「料済」とは本来、保険を契約した顧客の利益を守るための仕組みです。例えば、契約した保険の支払いが難しくなった場合。最低2年以上支払っていれば、保険料支払い済み、つまり「料済」として、加入時にかかった手数料を差し引いた額を残りの期間の支払いにあてます。もらえる保険金や保障の額は下がりますが、保険を継続することができるのです。 この仕組みが悪用されたケースがありました。例えば、顧客が年間12万円で10年、総額120万円の保険を一括で支払おうとする場合。郵便局員は顧客に十分説明せずに、年間60万円を10年間支払う保険契約に切り替えるのです。そして3年目に、顧客に新たに60万円の支払いが発生したところで「料済」という方法を提示し、残りの期間の保険を継続させます。 こうすることで、郵便局員は本来の5倍の年間60万円の契約をしたという実績が残ります。しかし、顧客は意図していない契約で予定外に高い手数料を差し引かれるため、保険金や保障額が下がります。それでも、保険契約は継続するため、実態に気づきにくいのだといいます。 去年、作成された内部文書でも、「料済」や、同じく支払額を減額して契約を継続する「減額」などの手法について、顧客の意図に反して行うことを“絶対に行ってはいけない募集行為”として厳しく禁じています。 しかし、かんぽ生命の内部資料によれば「料済」と「減額」は、2018年度だけで6万5000件以上。 この中に、どれだけ不適正なケースが含まれているのか明らかになっていません。 弁護士でつくる特別調査委員会も、報告書の中で特定事案に含まれない不適正な契約について言及。「料済」を前提とした契約についても「2年話法」と呼ばれ、広く認知されていたと指摘しています。 さらに、郵便局員に行われたアンケート調査から、他にもさまざまな不適正な契約があるという声があがっています。 顧客の支払い能力を超えて、多数の契約を結ばせる「多額契約」をしたことがあると答えたのが、およそ1200人。契約者は変えずに、保険の対象となる被保険者の名義を変え、多数の契約をする「ヒホガエ」を行ったことがあると答えたのが、およそ4000人に上っていました。 現役郵便局員 Aさん「営業マンのスキルなんかも、さらに巧妙に悪質になったんじゃないか。これから先、5年後、10年後(問題が発覚したときに)お客さまにご迷惑をおかけするんじゃないかなと。今の私の一番感じていることですね。」 さらに、調査に消極的な会社の姿勢に問題があるとする声もあがっています。 実際に調査を行ってきた、かんぽ生命の現役社員は、調査が行き届いていない実情を明かしました。 現役かんぽ生命社員 Bさん「言い方は悪いですが、(調査の)数をこなす。完了率を求められている。簡単な仕組みになっているって、おかしいなって思いを抱えている社員も少なからずはいますけれども、そういう声を聞いてもらえるような会社にまだなっていないなというのは、現状として認識はあります。」 顧客の救済、本当に進むのでしょうか? 武田:この問題を2年にわたって取材してきた、ディレクターの望月さん。まだまだ調査、そして救済までは到達できていないというのが現実ですけど、いわゆる「二重払い」や「無保険」といった特定事案以外にも、どんなケースが埋もれている可能性があるのでしょうか。 望月ディレクター:例えば、VTRで紹介しました「料済」「減額」「ヒホガエ」「多額契約」のほかに、「相続話法」という手法もあります。「相続話法」は、実際には節税効果が見込めないような場合でも、保険に入れば相続税対策になりますなどと言って勧誘をする手法です。このような不適正な契約を結んでしまっている高齢者の方の場合ですと、郵便局に対して大きな信頼を持っている場合が多いので、詳しい保険の内容を分からないまま契約をしているというケースも本当に少なくないのです。 このようなケースに思い当たることがあれば、番組のホームページにも参考の情報を載せていますので、ご覧になっていただければと思います。 https://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/153/index.html 武田:ご家族の方はぜひ、ご覧いただきたいです。 この郵政グループ、どのような会社か。持ち株会社の日本郵政のもとに、全国に郵便局網を持つ「日本郵便」という会社があります。さらには、保険を扱う「かんぽ生命」。貯金や投資信託を扱う「ゆうちょ銀行」というのがあります。この問題は、保険の販売をかんぽ生命から委託され、手数料を受け取る形で募集をしてきた日本郵便のもとにある郵便局で起きました。その実態調査は、かんぽ生命が担っています。 弁護士の郷原さん。かつて、かんぽの宿の売却問題で検証委員会の委員長も務められましたが、これだけ大規模な問題に発展していながら、いまだに不適正契約の全容が見えてこない。どう受け止めていらっしゃいますか。 ゲスト 郷原信郎さん(弁護士、元日本郵政ガバナンス検証委員長)郷原さん:日本郵政グループの保険事業で全体として、顧客の利益を損なうような契約が行われていたことが、ある程度は推測できるのですが、それに関して必要なことは、そういった問題の背景や構造を明らかにしていくこと。そして、個別の不適正事案について何が行われたのか、その原因はどういうところにあるのか、という両面から事案の全体像を明らかにする必要があるのですが、なかなかその背景や構造の解明が進まない。それによって、共通項となる原因が見えてこない。一方で、特定事案が中心となって調査の対象になっているんですが、それ以外に、どのような顧客の利益を損なうものがあるのかということがなかなか見えてこないので、調査の対象が具体的に定まらない。この両面から、事案の全体像が明らかになってこないのではないかと思います。 武田:経済部の安藤記者にも聞きたいと思います。 特定事案以外の契約について、郵政グループは全件調査として3000万件を調査して、一人も取りこぼさないとしていますが、こちらの実態はどんな調査なのでしょうか。 安藤記者:契約者の数にしてみますと1900万人という膨大な調査ですが、こちらの書類が契約者に届くようなことになっています。「ご加入いただいている保険契約は、お客さまのご意向に沿ったものでしょうか。」と契約者自身にチェックを求めて、そして、はがきを送り返してもらうというシンプルなものなんです。 今のところ、1900万人のうち100万通ほどのはがきが送り返されています。特別調査委員会の分析でも、不適正販売の契約者というのは7割以上が60歳以上ではないかということがありまして、なかなか自分の保険を正確に把握しているというケースも少ない可能性がありますので、調査の在り方というのが問われていると思います。 武田:データによる社会課題について研究されている宮田さんは、こういった調査の手法はどう見られていますか。 ゲスト 宮田裕章さん(慶応義塾大学教授)宮田さん:顧客目線で問題を把握する視点で考えると、データの取り方に改善の余地はあると思います。意向に沿っているかどうかという、あいまいな言葉では顧客はなかなかイメージすることができないので、支払いに困難を感じたか、契約時に不安を感じたか、具体的な言葉で把握させて、そこから不適正事案を絞り込むことも必要です。また、先ほどの映像でも、多くの顧客側は問題に気付いていないという指摘もありましたが、こういった場合には、主観的なデータではなく、収入や貯蓄に対して支払いのバランスが悪くないのかという客観的データを使うことで、被害を受けている可能性がある人を把握することも重要なのかなと思います。 武田:今後の調査をどう進めていくのか。かんぽ生命の幹部に聞きました』、「現役郵便局員 Aさん「・・・一番取っかかりやすいようなところを見ているのかなと。(他にも)会社が把握していた、あくどい話法があります。こちらの方が(特定事案より)圧倒的に多い。」、驚くべき証言だ。「意向に沿っているかどうかという、あいまいな言葉では顧客はなかなかイメージすることができないので、支払いに困難を感じたか、契約時に不安を感じたか、具体的な言葉で把握させて、そこから不適正事案を絞り込むことも必要」、その通りだ。
・『かんぽ問題 救済は?幹部に問う  2年前、私たちの取材に対し、不適正な契約を発生させないよう経営陣を挙げて取り組むと語っていた、かんぽ生命の幹部です。問題をどう認識しているのか、改めて問いました。 クロ現ディレクター:今の特定事案というのは、ほんの一部ですよね。問題が疑われる可能性のある類型、これらは調査の対象にはならないのでしょうか? かんぽ生命 堀家吉人専務執行役「お客さまのご意向に沿わないような多数のご加入をされているお客さま、特に高齢者のお客さまですね。こういったところにつきましては、当然、お客さまの不利益解消にむけて取り組む必要があると思っておりますし、また、そういったお客さまに不利益が生じるような募集をした募集人についても、しっかり調査をしていく必要があるということで進めて参ります。」 クロ現ディレクター:単にお客さまからの返事を待つということだけではなくて、能動的な調査に踏み込んでいくことを、今後お考えになられるのでしょうか? かんぽ生命 堀家吉人専務執行役「やはり(不利益の回復を)お申し出にならないお客さまがいらっしゃる。高齢のお客さまも含めて。そういったことも認識してございますので、お客さまからのお申し出を待つまでもなく、こちらから、しっかりとご対応すべきものがあるというふうにも考えております。 顧客本位について、われわれ意識をどう変えていくか、あるいは、どう浸透させていくかということにつきましては、まさにこの半年間の、たいへん世の中の厳しいご指摘であり、お客さまのことに思いを致す、あるいは、そのはざまで苦しんでいる社員に思いを致す、こういったことが足りなかったということだと思いますので、これを会社のあらゆる仕組みの中で、しっかりと取り上げていく。言葉だけに終わってはいけませんけれども、本当の意味で、これを進めていく必要がある。」 武田:郷原さん、顧客本位の姿勢を徹底するよう改めるということでしたが、これまでなぜ、こうした実態を把握できなかったのでしょうか。 郷原さん:日本郵政におけるコンプライアンスが、法令遵守に偏りすぎていたところに根本的な原因があると思いますね。法令違反やルール違反、こういったものがなくすべきもので、それには取り組んでいたのでしょうけど、実際には、いろんな事業の環境の変化の中で、法令やルールが追いついていない部分があると思うんですね。もっとストレートに、社会の要請、そして、その中のまさに重要なのは顧客の利益。本当に実績に沿うということですから、そこに目を向けてこなかったから問題が見えてこなかった。結局、そういうことだと思います。 武田:安藤さん、今回の調査や救済の在り方について、監督官庁はどのように指摘しているのでしょうか。 安藤記者:監督省庁の総務省と金融庁は先月、郵政グループに対して、3か月間の一部業務停止などを含む厳しい行政処分を行いました。そして、特定事案以外の契約に関しても、「多数・多額契約」ですとか、「ヒホガエ」といった契約調査をして、適切な顧客対応をするように求めました。そして、結果として解約、合意解除となっているようなもので、顧客に経済的な損失は発生していなくても、販売した時点で不適正なものがあったのではないか。こういった指摘もしています。 こうした指摘について先月、日本郵政グループの新しい社長に就任した増田氏は次のように会見で話しています。 日本郵政 増田寛也社長「一刻も早く全容を解明して、それでやるべきことをやる。それから、被害を解消するということは、どんな状況であっても、もう過去に起こったことですから、それは急いでやっていかなければいけません。全件調査の対象に入ってくるものの中で、ふるい分けをして、類型化できるものは、また別途、調査をしていきたいというふうに考えております。どういう類型のものについて、どういう網をかけていくかという詳細について、またこれから優先度を高めて、調査するということになると思います。」』、郷原氏の「いろんな事業の環境の変化の中で、法令やルールが追いついていない部分があると思うんですね。もっとストレートに、社会の要請、そして、その中のまさに重要なのは顧客の利益。本当に実績に沿うということですから、そこに目を向けてこなかったから問題が見えてこなかった」、持論のコンプライアンス論だ。
・『検証2年 かんぽ問題 顧客の救済に何が必要か?  安藤記者:日本郵政としては、詳しい調査を行っていく対象を広げていく方針を示しまして、今月中にも、より詳しい具体的な調査のやり方を固めていきたい意向です。そして、これまでは販売した社員が認めなければ不適正なものではないとしてきたんですけども、それも改めて、外形上で強く疑われる場合には、顧客側に立って救済などを進めていくとしています。今、日本郵政グループとして保険の営業活動というのはしていない状況で、再開のめどはたっていませんが、それだけに、今度こそ顧客の立場に立った調査で全容解明する。これが重要だと思います。 武田:その調査、そして救済をどう進めていくのか、そのために何が必要なのかという点ですが、宮田さんはどう考えますか。 宮田さん:長門前社長はじめ、今回辞任した首脳陣は外部から雇用された人材で、今日に至る郵政を形作ったのは、その下にいる人たち。そして、その中で長年にわたって積み上げられてきた仕組みですね。単にトップを代えるだけでは、恐らく問題は解決しません。巨大な組織を変革する道のりは長く険しいというのは、増田新社長、麻生財務相もすでに指摘していますが、非常にタフだろうと思います。一方で監督省庁である金融庁ともお話しましたが、今回のケースにもかかわらず、通常、販売停止を解除するには問題の実態を明らかにするだけではなくて、新たな被害者が出ないことを保証する必要があります。組織としての課題を改善するだけではなく、改革を継続するための仕組みを示す必要が、今の郵政にはあると思います。 武田:原因究明だけではなく、これからどうやって新しい仕組みを作っていくのかというところまで示すべきだということですね。 郷原さんは、何が必要だとお考えですか? 郷原さん:これまでのやり方というのは、不適切を自認した場合が調査の対象になると。 武田:みずから募集人が認めた場合ですね。 郷原さん:その場合は、厳しいペナルティーの対象になることが前提になっているので、その事案自体が広がってこないということがありました。そうすると、その事案を通して原因を究明して、さらにそれを再発防止につなげていくのはなかなか困難になる。今後は、あまり悪性のない事案であれば、制裁を軽減するとか免除するということも含めて、事案の実態を把握して、救済をしていくというのを結び付けていくことも必要ですし、そのために、世の中の理解、納得が得られるように、新たにトップが十分な説明をしていくことも必要ではないかと思います。 武田:あくまで実態を解明するためのひとつの手法として、ペナルティーを科さない。 郷原さん:悪質な事案はもちろん厳しいペナルティーの対象になりますが、流されてしまって、その状況の下で不適切に手を染めてしまった募集人に、ある程度話しやすい環境を作っていくのも、このようなタイプの問題には必要ではないかと思います。 武田:自分も不適正な契約を結んでしまったかもしれない人たちは、どうすればいいんでしょうか。 望月ディレクター:チェックリストを作ってみました。「記憶にない保険の加入・解約」がないか。「短期間に保険の解約・新規契約」が繰り返されていないか。あるいは、「保険料の支払額が認識以上に高い」。 こういった項目に思い当たる人は、かんぽのコールセンターや家族、保険に詳しい人と相談して、慎重に対応していただければと思います。 公的な相談先などもホームページに載せていますので、ご覧いただければと思います。 武田:高齢者の中には、なかなか自分では分からない方もいらっしゃると思いますが、ご家族の方もこういった項目に思い当たるところがあれば、ぜひ、かんぽのコールセンターや保険に詳しい人に相談していただければと思います』、「これまでは販売した社員が認めなければ不適正なものではないとしてきたんですけども、それも改めて、外形上で強く疑われる場合には、顧客側に立って救済などを進めていくとしています」、これまでの定義が余りに甘過ぎただけで、当然のことだ。郷原氏の「今後は、あまり悪性のない事案であれば、制裁を軽減するとか免除するということも含めて、事案の実態を把握して、救済をしていくというのを結び付けていくことも必要ですし、そのために、世の中の理解、納得が得られるように、新たにトップが十分な説明をしていくことも必要ではないかと思います」、現実的な対応策で、大いに検討に値する。

第三に、上記の続き、1月16日付けNHKクローズアップ現代+「シリーズ 検証・かんぽ問題② 郵政グループ 再生への課題は?」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4373/index.html
・『第2夜は、再発防止に向け、郵政グループの体質改善にどこまでメスが入るのか、検証する。調査報告書では、「一部のコンプライアンスの低い職員」の問題を指摘。経営陣は「現場の実情を把握していなかった」とされている。しかし、我々の取材から浮かび上がってきたのは、「優績者」と呼ばれる販売実績の高い社員が、不適正な疑いがある契約を行うのを許容する「不適正を誘因」するかのような仕組みだった。さらに、民営化途上の制約を抱えたまま、無理な販売を拡大していく構造も浮かび上がってきた。今月から経営陣を刷新した郵政グループ。真に再生するためには何が必要なのか?幹部への直撃インタビューのほか、スタジオに識者を招き徹底討論する。 出演者 郷原信郎さん (弁護士、元日本郵政ガバナンス検証委員長) 宮田裕章さん (慶應義塾大学 教授) 武田真一 (キャスター)』、「「優績者」と呼ばれる販売実績の高い社員が、不適正な疑いがある契約を行うのを許容する「不適正を誘因」するかのような仕組みだった」、多かれ少なかれ、日本の組織にはあるがちな傾向だ。
・『検証2年 かんぽ問題 巨大組織の体質に迫る  武田:昨日から2夜連続でお伝えしている、日本郵政グループの保険の不適正契約問題。今夜は一連の問題がなぜ起きたのか。二度と被害を出さないために何が必要かを考えていきます。 郵政グループには、持ち株会社の「日本郵政」と全国に郵便局を持つ「日本郵便」、そして「かんぽ生命」、「ゆうちょ銀行」があります。「かんぽ生命」や「ゆうちょ銀行」は、金融商品などの販売を郵便局に委託。郵便局は業績によって手数料を得ます。 問題の調査にあたった特別調査委員会は報告書で抜本的解決を先延ばしにし、「問題わい小化の組織風土」であったなど、組織の体質に言及しました。とりわけ「高い実績の局員に依存」せざるを得ない状況の中、「不適正を黙認する風潮」が形成されたと指摘しています。 この高い販売実績の局員の中でも、特に会社から評価されているのが“優績者”と呼ばれる人たちです。彼らを取材しますと、組織の中に長年染みわたっていた深刻な問題が見えてきました』、「「高い実績の局員に依存」せざるを得ない状況の中、「不適正を黙認する風潮」が形成された」、大いにありそうな話だ。
・『かんぽ問題 組織を支える“成績優秀者”の実態  問題の原因のひとつとして報告書が指摘しているのが、“成績優秀者”の存在です。1%あまりしかいない販売実績の優秀者が、違反が疑われる契約の、実に4分の1以上に関与していたと指摘しています。 こうした人たちはどのような契約をしていたのか。成績優秀者の中でも、会社が高く評価する“優績者”が取材に応じました。 みずからも不適正契約を行っていたことを認めたうえで、その手法について語りました。 郵便局 優績者 Cさん「ゆるいお客さん、こちらの言っていることに言いなりになってくれるお客さん。『ゆるキャラ』ですとか、1年間で何度も契約を交わす方もおいでになりますので、そういった世帯ばかりを訪問していました。」 主に高齢者や、持ちかけた話に疑いを持たない人にねらいを定め、契約数を稼いでいたといいます。 契約の数は、会社内での評価に直結していました。年間、数百万円から数千万円以上の販売実績を上げる局員だけが“優績者”と呼ばれ、模範として位置づけられていました。優績者の中でも、「ゴールド」「ダイヤモンド」などの称号でランク付けがなされ、契約額の多さなどで手当を支給。年収が2000万円を超える局員もいたといいます。 さらに取材を進めると、優績者であれば不適正の疑いのある契約でも、一定程度は許容されていたとも受け取れる実態が浮かび上がってきました。 取材に応じた優績者が差し出した内部資料。日本郵便の保険の販売実績、上位1000人のリストです。年間販売実績・数百万円から、トップクラスは1000万円以上が並んでいます。そこに示されていた、ある数値。契約に問題がないかどうかを示す、品質基準です。優績者の基準は甘く設定されていました。 不要な保険料を払い込ませ、客の不利益となる「二重払い」などの疑いがある契約については、全体の5%以下。本来、顧客の利益を守るための仕組みを悪用している可能性がある「料済」や「減額」は12%以下。こうした基準は、一般の局員を含む全局員の不適正な疑いのある契約の、実際の発生率よりも高いものだったのです。 郵政グループも取材に対して、「結果として優績者への基準は緩かった面があった」と認めています。こうした仕組みから、この優績者は「利益さえ上げれば、ある程度の不適正な契約は許される」と受け止めていたと言います。 郵便局 優績者 Cさん「会社も形の上では『不適正な行為は行うな』と言っていましたけれども、実際のところ不適正な募集をしても、会社から処分を受けることはないという感覚でした。優績者には数字を、契約を取ってきてもらわなければならないといった、会社のひとつの合図だったのかなと。」 さらに、優績者の手法が組織の中で広がっていた可能性も内部資料から浮かび上がってきました。これは、優績者などが有志の局員に販売手法を指導する、自主的な勉強会で配られた資料です。契約がたくさんある顧客ほど勧誘しやすいなど、ねらい目となる顧客の特徴などが具体的に記されています。ほかにも、特定事案にもなった「二重払い」については“いつやめるの?あとでしょ!”と解約時期を遅らせ、客に不利益を生じさせることを推奨するかのようなタイトルが付けられていました。 “自主研”と呼ばれる、こうした勉強会は全国で開かれていました。 自主研に参加し、優績者から指導を受けたという一般局員がその内容を語りました。 自主研の参加者「管理者である部長が『お前は参加しろ』という感じで、ほぼ強制的に参加させられました。二重払いとか、こういうやり方ですよと教えてもらいました。こういう方法で頑張っている人は推進しているから、それをまねしろみたいな形です。数字をやる(上げる)ものが全てだっていうような体質があった。」 優績者による手法が組織で共有され、顧客の利益はないがしろにされてきました。 優績者によって被害を受けたと訴える家族です。 契約した保険は、確認されただけで68件に上っていました。この契約に関わっていたのは、全国で上位30位以内に入り、9年連続ダイヤモンドの表彰を受けていた優績者。その優績者が母親の担当になった10年前から、毎年のように新規契約が繰り返されていました。最も契約数が多い2015年には、わずか2か月で20件の新規契約が行われ、1000万円以上の保険料が支払われていました。 娘「『保険に入れば(税金を)免れる』ということを聞いて『はい、わかりました』って。調べてもらったら、もう(お金が)減っていて。郵便局の人ということだけで信頼しきっていて。本当に悲しいですね。」 保険の多くは2年あまりで次々と解約され、払い戻された金を元手に新たな保険契約が繰り返されていました。その際、優績者が最大限の営業実績や手当を得るため、保険の対象となる被保険者を次々と変更する手法が用いられたとみられています。 異変に気づいた娘は郵便局に抗議。 しかし、自宅を訪れた上司は優績者をかばうかのような発言を繰り返したといいます。その音声記録を入手しました。 娘「どう思いました?あなたは。」 管理者「(担当の優績者は)お客さまの立場にたった仕事は一応させていただいておりますので。」 娘「親の財産が減っとるん。なんでそんなの勧めとんのよ。それを何とも思わんのよ。」 管理者「どうしたらよろしいんでしょうか?」 娘「母のもとに全部お金を戻してよ。」 管理者「それは、できることとできないことがございますので。」 娘「どうにもならんことぐらいわかるやん、私だって。取り返しのつかんことをやってくれたのは、あんたんとこなんやで。」 娘の再三にわたる抗議の結果、かんぽ生命は63件の契約を解約して、生じた損失1100万円の返還を認めました。 娘「本当にあきれるっていうか、会社は大丈夫なのって。おかしくないですかって。怒りが収まらないですね。」 別の郵便局の管理者が取材に応じました。 会社も売り上げ達成のために優績者に依存し、不適正な手法を黙認してきた風潮があると語りました。 郵便局 管理者 Dさん「優績者が頼りですから。頼りなんですよ。なので、どうしても営業優先のなかで、やっぱり優績者を守っていく、かばう形になる。いつの間にか、適正なのか不適正なのかがマヒしながらになったのかなと。経営陣の責任でしょうし、本社も支社も一番の責任かなと。」 問題を解決し、再発を防ぐことはできるのでしょうか? 武田:取材にあたった望月さん。新体制になった郵政グループ、この優績者の問題に厳しく対応していくとしていますが、なぜ、ここまで十分に対処しきれていなかったのでしょうか? 望月ディレクター:優績者が処分されにくい仕組みがありました。これは、実際に販売した局員本人が認めなければ不適正と認められなかったんですね。もし顧客側から強い苦情があったとしても、返金をして契約自体をなかったことにすると。これが問題として明るみに出ることはなくて、処分もほとんどされていなかったという状況で。これについては、実態を調査報告書も指摘をしています。 武田:昨夜に続いて弁護士の郷原さんに伺いますが、報告書も指摘するとおり、優績者個人の問題にとどまらず、むしろ利益を上げさえすれば一定の不適正は見過ごすという組織の問題もあったのではないかと思うのですが、いかがですか? ゲスト 郷原信郎さん(弁護士、元日本郵政ガバナンス検証委員長)郷原さん:本来、顧客の利益にかなっているかどうかを見たいのであれば、一人一人の顧客がどういう契約をしているのか、それがプラスになっているのかマイナスになっているのかをしっかり見極めるべきですね。ところが、実際には募集品質の向上という言葉でそれを隠れみのにして、顧客の利益に目をそむけてきたのではないかという気がします。募集品質というのは、法令違反とか社内規定違反があるかないか、しかも、それを認めるかどうかの問題です。そういうことであれば、優績者と言われる人たちは、不適正にならないようにうまくすり抜けながら、どんどん営業成績を上げている。そういった実態が放置されていたということは、組織として顧客の利益に本当の意味で向き合ってなかった。このような体質がずっと続いてきたということではないかと思います。 望月ディレクター:取材した優績者は、これまで散々自分たちをもてはやしてきた会社が、問題が明るみに出て以降、今度は自分たちを犯人扱いすると。これはトカゲの尻尾切りだということで、強く憤りを感じていました。もちろん不適正契約に携わった局員は責任を取るべきだとは思いますが、管理者も含めた組織全体に重い責任があると思います。 武田:果たして、対策がきちんと実効性を持って進められるのか。優績者の問題や、それを助長してきた組織の体質を変えられるのか。日本郵便の幹部に聞きました』、郷原氏の「実際には募集品質の向上という言葉でそれを隠れみのにして、顧客の利益に目をそむけてきたのではないかという気がします・・・優績者と言われる人たちは、不適正にならないようにうまくすり抜けながら、どんどん営業成績を上げている。そういった実態が放置されていたということは、組織として顧客の利益に本当の意味で向き合ってなかった。このような体質がずっと続いてきたということではないかと思います」、は鋭い本質を突く指摘だ。
・『かんぽ問題 幹部に問う 組織の体質は変わるのか?  以前、番組のインタビューで「踏み込んだ対策をする」と語っていた日本郵便の佐野公紀常務執行役員。保険の営業推進の責任者です。2年前の放送を踏まえ、今回の事態をどう受け止めるのか改めて問いました。 日本郵便 佐野公紀常務執行役員「(2年前の)番組放送後、私どもはかんぽ生命とともに募集品質改善に努めてきたつもりでございました。しかし今回、明るみになってきた事実を見ると、その取り組みというものが非常に不十分であったと。」 クロ現ディレクター:優績者が一般社員よりも緩い基準になっているのではないかと? 日本郵便 佐野公紀常務執行役員「従来に比べて、ここ近年、2年ぐらい、募集品質の水準は厳しく引き上げたわけではございますけれども、それでも今のこの状況で考えますと、募集品質を欠格にする水準は緩かったと思います。優績者のあり方も、これから見直しを考えることになる。自主研自体、いろいろな問題と不適正な話法の伝播の一因になっているというご指摘もいただいているところ。自主研のあり方ということも当然、見直しをこれからかけていくということだと思います。まだまだ遠い道のりですけど、お客さまへの信頼回復に向けては、お客さま本位の営業活動を組織全体として覚悟を持って取り組んでいく。」』、いまだに、「優績者のあり方」については、奥歯にモノ挟まったような言い方だ。
・『検証2年 かんぽ問題 再生への課題は?  武田:経済部の安藤さん。郵政グループは具体的に、どう対処していこうとしているのでしょうか? 安藤記者:郵政グループの再発防止策、主なものをまとめました。まず「営業目標の見直し」。新規契約の獲得に偏っていたものを改めて、「継続性も重視」して目標を決めていくとしています。それから「70歳以上への営業とりやめ」のほか、「顧客との会話を録音」。もし何かあったときに不適正な営業がなかったか確認できるような体制にするといいます。そして、「局員が否認しても不適正を認定」。不適正な販売だと認めなかったということも、外形上で十分に疑わしい場合は不適正だと認め、顧客の対応にあたっていくとしています。 武田:ただ、宮田さん、そうはいっても巨大な組織です。対策が実効性を持ってなされるためには、何が必要だと考えますか? ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授)宮田さん:問題の原因に一つ一つ対応していくことも重要ですが、一方、全社員の問題として改革に取り組むことで、問題を生まない土壌を作ることも必要なんです。この点については、規模の違いはありますが、同じ旧官営企業のJALのケースが参考になります。経営破綻から再生した現在、振り返って何が一番大事なのかを考えたとき、その要素の1つが全従業員に行った意識改革です。例えば、顧客目線を徹底するということ。前線に立つ営業担当だけではなく、バックオフィスも含めて一人一人の従業員が目標を共有することで、マニュアルやコンプライアンスの外側の問題も含めて、真に質の高いサービスを実現することができるようになった。あるいは、体質性を作ることによって一部の暴走をみんなで抑えて、サービスの質を変えていくということにもつながったともいわれています。 武田:今回の報告書では、問題の背景に民営化の過程で生じた構造的な課題もあると指摘されています。長年、郵政問題を研究してきた田尻嗣夫さんは、利益優先の体質に変わってしまったのではと指摘しています。 東京国際大学 名誉教授 田尻嗣夫さん「民間企業として配当もしなきゃいかん、株主を喜ばせないといかん、ということです。国民を喜ばせなくてはいかんと考えていないんですよ。そこが問題なんです。民営化企業だから、新しいものをどんどん売り込めと。それは、だって能力主義で目標達成主義でね。(民営化前は)ノルマ、ノルマ、ノルマということを言う必要がなかったのですから。」 武田:一方で、民営化が徹底されていないことが問題の背景にあるという意見もあります。日本郵政公社の初代総裁を務めた生田正治さんです。日本郵政公社 初代総裁 生田正治さん「中途半端な民営化。(官と民の)中間にいると、両方のいいとこ取りでやれるならいい。ところが要は、悪いとこ取りになっちゃう。新商品の開発ができない。これは致命的。こういう状態がずっと残るわけですよ。半官半民の、変な不自由な事態が。普通の人と同じように商売できるようにならないと大変困る。」 武田:安藤さん、お二人が指摘したことを含めて、日本郵政グループが抱える構造的な問題はどういう点がありますか? 安藤記者:2007年に民営化した郵政グループですが、民間企業として当然、利益を追求していくことが求められるようになりました。一方で歴史的な低金利ということで、本来、かんぽ生命が得意としてきた貯蓄性の商品の魅力が大変に落ちてしまったと。こうなれば何か別の商品をということですが、まだ民営化のプロセスの途中ということもあって、政府が間接的に出資をしている状態なのが、かんぽ生命です。このため、ほかの民間の保険会社と競争条件を平等に保つために、新商品の開発などに制約もあるのです。こうした制約がある中で、2015年から2017年といった時期には“高齢者らの深耕”、つまり既存の高齢者のお客さんたちを深掘りしようということを経営計画上、掲げていた時期もあります。そして、終身保険の加入の年齢の上限も引き上げられました。不適正な契約を防ぐ体制が十分ならよかったんですけれども、結果的には、こうした体制が十分ではなかったことで、問題を広げた根っこになってしまったと思います。 武田:郷原さんは、背景にある構造的な課題はどう捉えていらっしゃいますか? 郷原さん:全国の郵便局網、ユニバーサルサービスの義務をそのままにしていこうと思えば、どうしても民業圧迫という観点からの制約を受けざるを得ない。そうした中で、民営化でどんどん利益を得ていこうと思えば、そこに無理がかかってしまうのです。そこに、かつての保険商品とは、魅力の問題というよりも全く性格の違う保障性商品を売っていくことになって。昔のように保険に入っても特に損はない。元本が保証されたものの販売と、入れば入るだけ、リスクによって逆に損失が生じてしまう商品の販売とは全く違うやり方をとらなくちゃいけないんです。どんどん契約を取っていく旧来のやり方で利益を確保してきた。これが結局、顧客の利益に反する結果につながったということなのではないかと思います。 武田:大きな課題を抱えて新たに組織を運営することになった増田社長は、次のように語ります。 日本郵政 増田寛也社長「民営化を進めていくという方針は揺るぎないもの。それは、いささかも変わっていない。われわれは半官半民のような形になっているので(商品開発などの)上乗せ規制もありますけれども、(不適正問題を)民営化の中途半端なことのせいにすべきではないというか、それをしては本当の民営化もできないしサービスの向上にはつながらない。愚直に感謝の気持ちを持って、1つ1つお客さまに対しての応対をしていくことが一歩一歩の信頼回復につながるのではないかと。」 安藤記者:民営化の推進そのものに変わりはないという話でした。政府は保有する郵政株を売却して、東日本大震災の復興に充てる財源にしたい方針なのです。ただ、今回の問題が起きて以降、次の売却の時期が不透明になっています。ですから、日本郵政が信頼回復をできるかどうかは、東日本大震災の復興という点で広く国民に影響する話でもあるんです。 武田:二度とこうした問題を繰り返さないためにどうするのか。そして、郵便局がこれからどういうふうに進んでいくのか。そのために何を考えるべきなのか。宮田さんは、いかがですか。 宮田さん:昨年、私はG20の生命保険会合に出席したのですが、いま業界を越えた大変革の中、単に契約を取り付ければいいという時代ではなくなっています。つまり契約をしたあと、一人一人、顧客はよりよい人生を歩む。あるいは病や事故に遭遇しても、その人らしく生きることができるという顧客目線の体験にコミットできなければ生き残ることができない。例えば、携帯のアプリを通して、その人を支え続けるというサービスだったり、健康にいい行動をとったら保険料が安くなる。こういう人生に寄り添うサービスが出始めています。事件が起きたからといって郵政が行ってきたすべてが否定されるのではなくて、地域を支えるサービスは今もありますし、あるいは実態調査を適切に行えば、顧客が何に困難を抱えるかという点を明らかにして、新しいサービスを開発するチャンスにもつながります。立ち止まらざるを得ない今だからこそ、マイナス面をなくすだけではなく、プラス面も含めて顧客視点に立ったビジョンを作り、そして、われわれ国民はそれを見守っていくことが必要かなと思います。 武田:郷原さんは? 郷原さん:郵政民営化の歩みも、常に同じ方向ではなかったということが言えます。一気に民営化を進めようとした時期と、それにブレーキがかかった時期がありました。そういう民営化のぶれが、いろんな問題を生じさせていることは間違いないです。日本郵政をどういうものとしていくのか、全国の郵便局網をどう守っていくのか、それとも、どんどん収益を上げる方向にいくのかという選択肢を、この辺りで政治が示していく必要があるのではないか。国民がそれを選択する必要があるのではないかと私は思います。 武田:最後に望月さん、取材を通じて何を感じますか。 望月ディレクター:ひとたび保険のトラブルが起きますと、専門知識があるわけでもないですし、すごく長い時間と労力がかかるのです。「おばあちゃん、なんでそんな保険に入ったの?」みたいなことで家族の中で不和が起こったりだとか。本来、もともと保険というのは安心を得るためのものなので、絶対あってはならないことだということを本当に重く受け止めて、再生に向けた取り組みに向かっていってほしいと思います。 武田:高齢者の中には、なかなか自分では分からない方もいらっしゃると思いますが、ご家族の方もこういった項目に思い当たるところがあれば、ぜひ、かんぽのコールセンターや保険に詳しい人に相談していただければと思います』、安藤記者の「2015年から2017年といった時期には“高齢者らの深耕”、つまり既存の高齢者のお客さんたちを深掘りしようということを経営計画上、掲げていた時期もあります。そして、終身保険の加入の年齢の上限も引き上げられました。不適正な契約を防ぐ体制が十分ならよかったんですけれども、結果的には、こうした体制が十分ではなかったことで、問題を広げた根っこになってしまった」、経営計画に問題があったとの指摘は新鮮だ。郷原氏の「民営化のぶれが、いろんな問題を生じさせていることは間違いないです。日本郵政をどういうものとしていくのか、全国の郵便局網をどう守っていくのか、それとも、どんどん収益を上げる方向にいくのかという選択肢を、この辺りで政治が示していく必要があるのではないか。国民がそれを選択する必要があるのではないか」、説得力がある主張だが、現実にはいまさらそんな原点に立ち返る議論をする政治家はいないだろう。残念だ。
タグ:日本郵政 現代ビジネス 増田寛也 NHKクローズアップ現代+ (その14)(かんぽ不正3社長辞任「官僚の人事」が郵政をいよいよつぶす 民営化が逆回転しはじめた、クローズアップ現代+:検証・かんぽ問題① 実態解明と顧客救済は?、② 郵政グループ 再生への課題は?) 「かんぽ不正3社長辞任「官僚の人事」が郵政をいよいよつぶす 民営化が逆回転しはじめた」 「民間」とは遠い人物 「シリーズ 検証・かんぽ問題① 実態解明と顧客救済は?」 検証2年 かんぽ問題 あなたの保険は大丈夫? 検証・かんぽ問題 埋もれた不適正契約とは? 「料済」「減額」「ヒホガエ」「多額契約」のほかに、「相続話法」という手法も 一番取っかかりやすいようなところを見ているのかなと。(他にも)会社が把握していた、あくどい話法があります。こちらの方が(特定事案より)圧倒的に多い 意向に沿っているかどうかという、あいまいな言葉では顧客はなかなかイメージすることができないので、支払いに困難を感じたか、契約時に不安を感じたか、具体的な言葉で把握させて、そこから不適正事案を絞り込むことも必要 かんぽ問題 救済は?幹部に問う 検証2年 かんぽ問題 顧客の救済に何が必要か? 「シリーズ 検証・かんぽ問題② 郵政グループ 再生への課題は?」 「優績者」と呼ばれる販売実績の高い社員が、不適正な疑いがある契約を行うのを許容する「不適正を誘因」するかのような仕組みだった 検証2年 かんぽ問題 巨大組織の体質に迫る 「高い実績の局員に依存」せざるを得ない状況の中、「不適正を黙認する風潮」が形成された かんぽ問題 組織を支える“成績優秀者”の実態 実際には募集品質の向上という言葉でそれを隠れみのにして、顧客の利益に目をそむけてきたのではないかという気がします・・・優績者と言われる人たちは、不適正にならないようにうまくすり抜けながら、どんどん営業成績を上げている。そういった実態が放置されていたということは、組織として顧客の利益に本当の意味で向き合ってなかった。このような体質がずっと続いてきたということではないかと思います かんぽ問題 幹部に問う 組織の体質は変わるのか? 検証2年 かんぽ問題 再生への課題は? 2015年から2017年といった時期には“高齢者らの深耕”、つまり既存の高齢者のお客さんたちを深掘りしようということを経営計画上、掲げていた時期もあります。そして、終身保険の加入の年齢の上限も引き上げられました。不適正な契約を防ぐ体制が十分ならよかったんですけれども、結果的には、こうした体制が十分ではなかったことで、問題を広げた根っこになってしまった 民営化のぶれが、いろんな問題を生じさせていることは間違いないです。日本郵政をどういうものとしていくのか、全国の郵便局網をどう守っていくのか、それとも、どんどん収益を上げる方向にいくのかという選択肢を、この辺りで政治が示していく必要があるのではないか。国民がそれを選択する必要があるのではないか
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日本郵政(その13)(日本郵便「社員が社長にぶつけた不満」の全記録 返答はノルマ肯定、お付き合い容認 自爆放置、副社長が社長や総務次官より“偉い”「民営化郵政」の多重権力、保険不適切販売の背景としての「政治との関係」~政府は日本郵政を一体どうしようとしているのか) [国内政治]

日本郵政については、昨年8月12日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その13)(日本郵便「社員が社長にぶつけた不満」の全記録 返答はノルマ肯定、お付き合い容認 自爆放置、副社長が社長や総務次官より“偉い”「民営化郵政」の多重権力、保険不適切販売の背景としての「政治との関係」~政府は日本郵政を一体どうしようとしているのか)である。

先ずは、8月27日付け東洋経済オンライン「日本郵便「社員が社長にぶつけた不満」の全記録 返答はノルマ肯定、お付き合い容認、自爆放置」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/299500
・『保険料の二重払いなど少なくとも18万件に上る不適切販売が発覚したかんぽ生命保険。そのかんぽの約9割を販売代行しているのが日本郵便だ。8月下旬には同じく委託販売しているアフラックのがん保険でも10万件の保険料の二重払いが発覚。事態は収束に向かうどころか悪化の一途をたどっている。 非常事態を受けて、日本郵便の横山邦男社長は8月23日に本社22階「前島ルーム」で、首都圏の現場社員のうち400人との対話集会を開催した。 『週刊東洋経済』は8月26日発売号で「かんぽの闇 金融商品の罠」を特集。契約獲得に伴って支払われる「募集手当」を目当てに郵便局員が行う悪質な営業実態に迫った。 「かんぽの闇 金融商品の罠」特集取材班は校了後に開かれたこの対話集会の模様を追った。質問は抽選方式。参加者には番号が振られていて、質問があろうがなかろうが、抽選に当たった社員は質問用のマイクを持ち、発言をした(質疑応答2.8万字全文はこちら)』、やや古い記事だが、営業現場とトップとの認識のズレが如実に表れているので、紹介した次第である。
・『「ノルマは個人も組織も育てる」?  南関東の郵便局員は、「1年前(の2018年4月)にNHK『クローズアップ現代プラス』で不適切営業が取り上げられた段階で対策していれば、ここまで問題が大きくならなかったのではないか」と横山社長に疑問を投げかけた。 横山社長は、「この(不適切販売の)問題は今、クローズアップされているけれども」と、番組名になぞらえて語り始めた。「これは何年も続いていた話ですよね。(不適切募集は)企業風土になっている面もあるかもしれない。一部の人(=販売実績が高い社員)がやっていたことだが、その一部の人を褒めてきた本社がよくなかった。(販売)品質がどんどん悪くなっていったというのはそういうことだ」と、問題は今に始まったことではなく、販売実績が高い一部の社員の仕業であり、それを本社も容認。その結果、営業の仕方が悪質化してきたという見方を示した。 不適切営業の原因として厳しい営業ノルマの存在が複数の報道で指摘されている。が、横山社長は営業ノルマを肯定するような発言をした。北関東の郵便局員から「何で目標が達成できないのかを(研修などで上司が保険販売担当者を)恫喝するのではなく、一緒に原因を掘り下げるような、風通しのよい環境があったらいい」と意見を言うと、横山社長は「恫喝」については言及せずに「ちょっとストレッチ(背伸び)をして、(ノルマの数字に)届くということが、組織や個人の成長につながる」と答えたのだ』、民間出身の実務家社長らしい建前論だ。
・『「お付き合いはどこにでもある」?  横山社長は「お付き合い(で買ってもらう)というのはどこにでもある。他の金融機関にも自動車(ディーラー)にもある。それは信頼関係だからね」と、顧客ニーズとは無関係に保険に加入してもらうことを肯定する発言もした。 「高齢者は郵便局のファンです。われわれを助けてくれる。ところが(高齢者が)お亡くなりになった瞬間に(家族から)『なんでこんな経済合理性のない取引をやっているのだ』ということになる。(信頼関係で入ってもらうにしても)ご家族の納得のうえでないといけない。それが今回の反省だと思う」(横山社長)。 「お付き合いで」ニーズのない保険に加入してもらうこと自体は問題ではなく、それを家族に納得してもらえていなかったことが反省点だという、世間の常識とはかけ離れた見解を示したのだ。かんぽの監督官庁である金融庁は、現在、顧客ニーズに沿ったリテール営業を推進している。この横山社長の「お付き合いはどこにでもある」発言が耳に入ったら、遠藤俊英・金融庁長官はどう思うだろうか。 さすがにまずいと思ったのだろうか、その後に、横山社長は「今、ゼロベースで見直している。(過去を)断ち切っていくから。新たな金融ビジネスを立ち上げていきます。よろしくね」と言葉をつないだ。「新たな金融ビジネス」とは何か。横山社長から具体的な発言はなかったので不明だが、ほかの質疑応答や集会冒頭の話から総合すると、不適切な営業をしなくても保険契約を取ってくる仕組みづくり、手数料稼ぎではなく、ストック(=預かっている資産)の増加を評価する仕組みづくりなどを指しているようだった。 南関東で保険販売を担当しているという郵便局員は「ここ2年くらい本当に売りづらかった。ほとんどの客に断られ続けている」と、かんぽ生命の保険商品がニーズに合っていないことを訴えた。 横山社長は「保険というのは非常に難しい。ライフプラン・コンサルタントも『家計のリストラはまず保険の見直しだ』と言う。今、『この商品が顧客ニーズに刺さるんだ』という商品は確かに必要ですね。機会をつくるから主要メンバーになってください」とした。 その後に横山社長は南関東の郵便局員と以下のやり取りをした。 横山社長「逆にどんな商品が欲しいですか?」 郵便局員「死亡保障はいらないとか、医療を充実してほしいと言われている」 横山社長「わかりました。やります」』、商品性で逃げ切れるような問題ではない筈だ。
・『現場には手応えがない  かんぽ問題が最大の課題であるにもかかわらず、かんぽ関連の質問はそう多くなかった。むしろ、荷物の集配作業や郵便作業をしている社員から不満が噴出する結果となった。 別の南関東の郵便局員が「先ほど社長は『私が就任してから3年で日本郵便は変わった』と言ったが、現場では手応えがない」と指摘すると、 横山社長「何も変わってない?」 郵便局員「現場にいる者としては(変化が)体感できない。給料も上がっていない。業績上がったならきちんと社員に還元すべき。年収は数十万円、下がっている。公務員時代に入社して『年収は35歳くらいから上がっていく』と聞いていたが、民営化で給料が上がらなくなった。もらえる退職金が減るのも不満だ」 横山社長「信賞必罰、(結果だけではなく)プロセスを評価する会社、のびのび働ける会社にしていく」 郵便局員「評価と言うが、(上司は)よく見ていないじゃないか」 横山社長「(上司が)好き嫌いで評価を決めることがあるということ?」 郵便局員「私が嫌われているということはある。短期間に3回転勤させられた」 横山社長「ちゃんと働いているのに?」 郵便局員「そうでないとこんな大きな口、たたけませんから」 「局長と私の2人だけでやっている」という山梨の別の郵便局員は「客が1日に5人くらいしか来ない。今日は午前中、1人も客が来なかった。新しい客を探すこと自体難しい。局外活動(郵便局の外に営業に出かけること)をしない局は、目標(=営業ノルマ)未達が慣れっこになってきている。悲しいことに、今回、(積極的な)営業をしてはいけないことになってよかったな、と思っている人もいるだろう。未達の局がだんだん増えてきている。私自身は仕事がつまらない、将来が不安だなと感じている。局長自体、(数人でやっている郵便局の)マネジメントができていないのかなとも思う」と訴えた。 横山社長は、「(局長たちを)ちゃんと指導しますけど、あなたも局長を突き上げてください。それでもダメなら電話をちょうだい。私が強烈な指導をしますから」と語気を強めた』、特に、縁故や世襲でなる特定郵便局の局長なら大いにあり得るだろう。
・『「自爆営業はかなり多いんだろうな」  営業ノルマを達成するために社員や社員の家族・親族が買う「自爆営業」。東京23区内の郵便局員から「社員は実需のあるなしにかかわらず、営業ノルマのある物販を当たり前のように買っている。社員がどのくらい買っているかを把握しているか」と質問すると、横山社長は「ごめん、私はわかっていない」と断ったうえで、「しかし、(社長就任から)この3年間で何となくかなり多いんだろうなという気はしている」とした。 そのうえで、「もちろん愛社精神で実需に基づいて買うのはいいことだと思うが、それを超えるものは異常だと思う。物販のビジネスモデルは合っているのか、他社やライバルと比べてどんな強みや弱みがあるのか。(自爆営業は)かなりのレート(比率)に上るということは認識しています。だから手をつけていきます」と回答した。 社員に自爆営業を事実上強いておき、それを認識しておきながら放置していた責任は軽くないだろう。 別の局員は退職者の多さを指摘した。「新人が毎年140?150人入ってくるが、10年後に10人しか残っていない。数字(=営業ノルマ)に追われて、結果が出ないから退職していった人がたくさんいる」。 横山社長は「保険会社に転職したの?」と聞き、社員が「まったく別の仕事です。辞めてよかったと皆、言っている」と答えると、 「(辞めた人は)損したね。これからいい会社になるよ。(今でも)異次元の業績になっている」と横山社長は強気の姿勢を崩さなかった。 北関東のほかの郵便局員は、「8年前に入社したが、7人いた同期で残っているのは私ともう1人の2人。残っている1人も先月から休んでいる」と訴えた。 横山社長は「『こいつ、いいな』というのが辞めている?」と逆質問。この郵便局員は「いい人材でも目標が達成できなくて辞めている。同じ職場の人間としてお互いに長くやっていきたいと思っているがそうなっていない。人材確保にもっとカネをかけてほしい」と回答した。 横山社長は「人件費をどうするかはいろんな変数要因があるが、意欲のある人間に長く愛社精神を持ってやっていただきたいというのがあるので、採用の仕方も見直しさせていきます。仕事の厳しさに応じた報酬体系にするのが企業として当たり前」とした。 対話集会の最後に、横山社長は1人だけ、挙手による質問を許した。東京23区内の局員だった』、「退職者の多さ」には改めて驚かされた。
・『「現場が知らないだけじゃないの?」  郵便局員「『(本社の人間を)必ず現場に行かせます』と歴代社長は言ったが、本社の人間は誰もこない。これでは面従腹背ではないか。面従腹背をしている本社の部長などを処分すべきではないか。それと、(壇上など前にいる本社の幹部で)かんぽに入っている人、どれだけいますか?手を挙げてください。半分もいないでしょう?(研修などで)『家族や恋人に勧めるつもりでかんぽの保険を勧めてください』とよく言われるが、あなた方の半分も入っていない保険をどうして家族や恋人に勧めるように勧められますか? 某国の野菜を勧めろと言われているのと一緒。農薬だらけで某国の国民は誰も食べていませんよ。当局は近隣他局との合併で、かつて倉庫だったところに保険担当者が押し込められている。現場に来てくださいよ、そうすればこうしたこともわかるはずだから」 横山社長「現場に行きます。約束しますよ」 郵便局員「そう言って誰も来ないじゃないか。本当はこの会だって、現場の局員が本社に集まるのではなくて、本社の人間が現場に来るのが筋ではないか」 横山社長「この人たち(=本社の人間)はつねに現場に行っています」 郵便局員「来ていません」 横山社長「それは(君が)知らないだけじゃないの?」 現場の声を虚心坦懐に聞くはずが、最後は「現場が知らないだけではないか」と横山社長が現場に疑問を呈して終わった今回の対話集会。質問に立った社員21人の話で目立ったのは「報道が先行している」「新聞に書いてあったことを局長に聞いても『わからない』と言われた」という意見だった。横山社長は「対応が後手後手に回っている。申し訳ない」と繰り返した。 顧客への全件調査(契約数約3000万件、加入者数約2000万人)は始まったばかり。郵送で確認書類を送り終えるのは9月下旬だという。「9月末までには中間報告をする」としているが、これでは中間報告までに全件調査の全容は見えてこないだろう。 「これから全国を回る」という横山社長だが、社員との対話集会を契機にウミを出し切れるのか。首都圏社員との対話集会のように冒頭で延々と社長自らが独演をし、質問は抽選とし、質問をしたくても抽選に当たらなかった人には紙に質問を書くように促すという運営では、問題の洗い出しは難しいように思える』、こんな「対話集会」では、出席した郵便局員たちのフラストレーションが、ますます高まったのではなかろうか。

次に、デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員の山田厚史氏が12月28日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「副社長が社長や総務次官より“偉い”「民営化郵政」の多重権力」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/224926
・『「処分」の情報を漏洩した相手は「郵政のドン」、天下りの先輩次官  郵便局職員によるかんぽ生命の保険不正販売をめぐる処分は、土壇場で、監督官庁の総務省次官のクビが飛ぶ「波乱」が起きた。 大臣室の密談を、次官が処分対象の日本郵政に漏らすという前代未聞の出来事だが、この一件で、誰が郵政の実力者なのか、はからずも明らかになった。 「民営化」は掛け声だけで、実権は社長より「偉い」、「郵政のドン」である副社長が握り、その背後に官邸の実力者がいる。 日本郵政グループは27日、3社長の辞任と、日本郵政の後継社長に増田寛也元務総相の就任を発表。この「実力副社長」も退任させて、政府は立て直しを図ろうとする。 だが民営化から12年たっても続く「旧体制」を変えるのは容易なことではない。 組織で力を握っているのは誰か。外からは見えにくいが、中に入ればすぐわかる。管理職が、誰を見て仕事をしているか、である。 日本郵政グループの場合は、民間から来た日本郵政や日本郵便の社長ではなく、要所に据えられている旧郵政官僚であり、その「ドン」が総務次官から天下った鈴木康雄副社長だった。 その「力」は、出身母体の総務省にまでいまだ及んでいたことが、今回の情報漏洩事件はわかりやすい形で示した。 事務次官といえば官僚組織の最高位で、見識・実績の申し分ない人物が就く役所を代表するポストだ。 その「ミスター総務省」である鈴木茂樹次官(すでに辞職)は、郵政グループの違法販売とその責任を高市総務相と話し合ってきたが、その密談の内容を逐一、先輩の次官でもある、鈴木副社長に報告していた。 天下った先輩に、行政情報をこっそり伝える不心得者が官僚組織にいるとは聞いていたが、事務次官が大臣の処分方針を相手側に漏らすのは前代未聞だ。 「断れない事情があったのでしょう」と高市早苗総務相は言う。だが相手が先輩であっても、「処分方針についてはご勘弁を」とやんわり断るのが普通の対応だ。 二人の間に、情実を超えた「力関係」があったとしか思えない』、図らずも日本郵政と監督官庁である総務省の本当の力関係を示してしまったようだ。
・『菅官房長官を後ろ盾に郵政の内外に威光  鈴木康雄氏は73年に旧郵政省入省。情報通信や放送行政を手がけ、2005年に郵政行政局長になる。小泉首相が郵政民営化をはげしく論じていた時期だ。 当時の総務相は竹中平蔵氏。その下で省内人事を握っていたのは、総務副大臣だった菅義偉官房長官だ。 郵政改革法案は自民党から造反者が出て否決されたが、小泉首相は「郵政解散」に打って出て勝利。翌年、菅氏が総務相になると鈴木は情報通信局長に就いた。 政権との良好な関係を追い風に09年に事務次官に就任したが、この年、民主党政権が誕生し、わずか半年で退職した。 自民党が政権に復帰すると、13年6月、日本郵政の取締役副社長として復帰する。 郵政人事は一新され、安倍政権は財務省出身の坂篤郎社長を外し、財界に顔が利く東芝出身の西室泰三氏を社長に据えた。 民間人による経営を印象つけようとしたが、西室氏は郵政との馴染みは薄く、複雑な組織問題に手を付ける意欲はなかったようだ。 補佐役として旧郵政官僚のボスだった鈴木を送り込んだのが、官房長官になった菅氏だった。 鈴木副社長は西室氏と同じ山梨出身という縁で食い込み、懐に飛び込んだ。西室氏はのちに大失敗が明らかになる国際物流事業への進出問題に傾注し、経営の実務一切を鈴木氏が引き受けた。 菅官房長官が安倍政権で存在感を誇示するようになったのもそのころからだ。 「首相の女房役」の官房長官が、「携帯料金の引き下げ」など独自の政策を掲げ「ポスト安倍」を伺うかのような振る舞いを始めた。 鈴木氏は、官房長官として政権内や霞が関ににらみを利かすが、政治家として何をしたいのか、いまいちはっきりしないとの声もあった菅氏の政策ブレーンとしても仕え、日本郵政グループの外でも存在感が増すようになった。 菅長官の威を借りて「郵政のドン」として振る舞う鈴木副社長に、現役の事務次官も逆らえないことを示したのが、「処分案漏洩」の一件だった』、さすがの「菅長官」も自ら選任した閣僚が相次いで不祥事で辞任するなど、権力にも陰りが出てきたなかでの、今回の問題だ。
・『怒った高市総務相、首相に直訴 郵政内も二重権力構造、根ずく  情報漏洩を知って怒った高市総務相が官邸に駆け込んで、ことは表面化する。 12月19日の「首相動静」に「午後3時5分から28分まで高市早苗総務相」とある。次官の更迭の報告が話し合われたのだろう。 翌日、緊急記者会見が開かれ、秘密漏洩の事実と相手が鈴木副社長であることが公表された。「政権内部の暗闘が始まった」と霞ヶ関では語られている。 「高市さんは、2度目の総務大臣への就任。情報通信や放送行政は自分の縄張り、という意識が強い。菅さんが官房長官でありながら、管轄外の通信行政に口出しするのを苦々しく思っていたに違いない。高市氏は安倍首相と近い。菅氏の子分がこんなことをしていますよ、と直訴したのでしょう」。ある現役官僚はこう解説する。 似たような二重の権力構造は日本郵政内部にも根づき、旧郵政官僚による支配の体制ができあがっていた。 西室氏が東芝の不正会計問題への関与などを疑われ、病気を理由に退任した後、日本郵政社長には、ゆうちょ銀行社長だった長門氏が就いたが、すでに日本郵政は鈴木氏の顔を見て仕事する組織になっていた。 長門氏は「表の顔」でしかなく、責任はあるが実権はない。責任の軽い副社長が組織を仕切る。 日本郵便も三井住友銀行から来た横山邦男氏が社長を務めるが、「民営化反対」の牙城・全国郵便局長会(全特)の会長から抜擢された大澤誠副社長が睨みを利かす。会長は旧郵政官僚の高橋亨氏だ。 かんぽ生命も旧東京海上火災保険からトップが来たが、損保と生保は業務が全然違う。旧郵政官僚の堀金正章副社長が実務を握っている。 金融機関からやってきて、数年しかたっていないトップが、重層的で独特の職場慣行がまかり通る郵政の現場を理解するのは困難だ。 「現場の情報が上がってこなかった。日本郵便の社長もかんぽ生命の社長も気づいていなかった」と長門氏は、かんぽ保険の不正販売の調査報告書がまとまった際の記者会見で釈明したが、その通りだろう。 3社長は郵政組織にとって「他所からやってきたお客様」でしかない。責任と実権のねじれは、情報を遮断し、判断を誤らす』、「二重の権力構造は日本郵政内部にも根づき、旧郵政官僚による支配の体制ができあがっていた」、のでは、「お客様」の「3社長」はさぞかし居心地が悪かったろう。
・『NHKへの「抗議」問題でゆがんだ統治が露呈  「今回の郵政不祥事の責任を問うなら、鈴木副社長の責任抜きに語れない」と、事情を知る財務官僚は指摘する。 「表の顔」である3社長は、経営計画を立案、業務の執行状況を確認など会議や決済で忙殺される。現場で起こる違法行為などトラブルは、「募集品質改善委員会」が報告する仕組みになっていた。 不正行為を「募集品質」と呼ぶ“社風”も異様だが、「募集品質は改善されている」という報告がされていた。 副社長たちは実情を知っていても、面倒な話は社長の耳には届いていなかった。件数を減らすため報告事項の基準を狭くするなど、問題を隠蔽する方向へと組織は動いた。 旧郵政官僚が実効支配する二重権力の現実が世に知られるようになったのは、「かんぽの不正」が社会問題になる中で、この問題を放映したNHKに対する「抗議」だった。 「(NHKは)まるで暴力団と一緒。殴っておいて、これ以上殴ってほしくないならやめたるわ、俺の言うことを聞けって。バカじゃねぇの」と鈴木副社長は囲み取材の記者たちに語った。 「クローズアップ現代+」は昨年4月、「郵便局が保険を押し売り」という番組を放映。続編を製作するため7月、情報提供を求める動画を流した。 郵政側は「内容が一方的だ」と 当時の上田良一NHK会長に文書で抗議、動画の削除を要求した。 NHKが「政策と経営は分離されている。番組政策に会長は関与しない」と応じなかったことに郵政側は反発。「放送法で会長は協会(NHK)を代表し、その業務を総理する、となっている」と、NHK経営委員会(石原進会長)に「ガバナンスの検証」を求めた。 経営委員会は郵政側の主張を受け入れ、上田会長に「厳重注意」した。会長は放送局長に「詫び状」を持たせ、収拾をはかった。郵政側の意向に沿って動画は削除され、続編は放送されなかった。 一連の抗議を主導した鈴木副社長は、NHKに宛てた文書で、自分を「かつて放送行政に携わり、協会のガバナンス強化を目的にする放送法改正案の作成責任者であった」と強調するなど威圧的な態度に終始した。 上司である長門社長が「NHKの報道は正しかった。あの時点でもっと気をつけていれば」と反省の言葉を述べていることなど眼中にない振る舞いに、「社長より偉い副社長」が日本郵政にいることを世間は感じ取った』、問題のNHKの「クローズアップ現代+」は、今月になって2回にわたって放映された。これは明日、紹介する予定。
・『民営化から12年たっても利害もミッションもばらばら  「持ち株会社として日本郵政が果たすべき役割やグループガバナンスのあり方について、全役員のコンセンサスが得られておらず、持ち株会社としてのガバナンスに問題があったと言わざるをえない」 18日に発表された、保険の不正販売をめぐる調査特別委員会報告書にそう書かれている。 持ち株会社がグループを統括する、という仕組みが機能していない、というのである。 だがそれはいまさらの話で、持ち株会社の社長より偉い副社長が、政治とつながって裏で仕切る組織に透明なガバナンスが育つはずもなかったのだ。 問題の根深さを感じさせるのは、民営化から12年が経過しても、郵政グループがワンチームではないことだ。民営化についての考えや利害が異なる勢力の「混成組織」である。 このことは、調査報告書でも、郵政グループ内で意見はバラバラで「ミッションが定まっていない」という経営幹部の意見を紹介している。 竹中・小泉路線のような郵政民営化を掲げているのは、内閣官房に設けられた郵政民営化委員会(岩田一政委員長)であり、政府にありながら郵政グループの経営の指針を決める。 だが、現場は民営化委員会には同調していない。 労働組合の主流は連合に所属する日本郵政グループ労働組合(JP労組)で、23万人が参加している。参議院全国区に立憲民主党から二人の国会議員を送り出している。郵政民営化法案には反対した。 株式会社になると組合幹部が監査役に入り、態度は曖昧になっているが、民営化委員会とは距離を置いている。 特定郵便局長会が前身の全国郵便局長会(全特)は自民党から参議院議員二人を送り出しているが、こちらも民営化委員会とは溝がある。 郵便局長も労組員も、「民営化」に反対だったり距離を置いたりし、選挙でも、かつて民営化に反対して自民党を除名された造反議員を密かに応援している。 市場で競争にさらせば非効率な郵政事業は効率化する、という民営化万能の考えはすでにメッキが剥げたが、ではどうしたらいいのか、という議論は封じらたままだ』、中途半端な「民営化」、それを後押しする勢力によって、今日の事態が引き起こされたのは確かだ。
・『現場は「ノルマ」で疲弊 新体制で立て直しできるか  「かんぽの不正」は、市場原理では売れない保険の現実を晒した。郵便局の信用を悪用した「押し込み販売」でかろうじてノルマが達成されていた。 ゆうちょ銀行の投資信託販売も同じ構造。日銀による異次元金融緩和で国債がマイナス金利というご時世で、郵貯資金は深刻な運用難に陥っている。 数年のうちに「お宝国債」と呼ばれる利率の高い国債が償還され、収益減は避けられない。投信を売って手数料を稼ぐことがノルマになった。郵便局員はお客の資産を知っている。金利がほぼゼロでしかない郵貯を解約させ、手数料を稼げる外貨建て投信などを買わせたりする。 こんな経営のままで、「ゆうちょ」も「かんぽ」も、さらには郵便局網を抱える日本郵政がやってゆけるのだろうか。 郵政グループの従業員は、将来不安を抱えながら、目先の目標達成に追われている。世の中に貢献するお仕事と考えてきた郵政事業が、いつの間にかノルマ達成の苦役に変わってしまった。 政府は立て直しのため、3社長を「更迭」、また鈴木副社長も退任させる。日本郵政の後継社長には、第一次安部内閣で総務相を務め、第二次安倍政権で郵政民営化委員長を務めた増田氏を据え、また、かんぽ生命と日本郵便の後継社長にはいずれも旧郵政出身者を昇格させる。 増田氏も旧建設省出身で、3社のトップはいずれも官僚出身者。新体制は機能するのだろうか。 「民営化」を語る社長たちの陰で旧郵政官僚らが虎視眈々と失地回復を図る、「民営化」のますますの後退を予兆する人事といえないか』、その通りだ。となると、財務省が当てにしている政府保有株の売り出しは、遠い先のことになりそうだ。

第三に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が12月28日付け同氏のブログに掲載した「保険不適切販売の背景としての「政治との関係」~政府は日本郵政を一体どうしようとしているのか」を紹介しよう。なお、同氏は2010年に総務省が設置した「日本郵政ガバナンス検討委員会」の委員長を務めた経歴の持ち主である。
https://nobuogohara.com/2019/12/28/%e4%bf%9d%e9%99%ba%e4%b8%8d%e9%81%a9%e5%88%87%e8%b2%a9%e5%a3%b2%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%ae%e8%83%8c%e6%99%af%e3%81%a8%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%ae%e3%80%8c%e6%94%bf%e6%b2%bb%e3%81%a8%e3%81%ae%e9%96%a2/
・・・・『3社長の引責辞任は当然  今回、かんぽ生命の保険の不適切販売問題の表面化以降、私は、長門社長・横山社長などの対応を批判してきた。 長門社長は、問題発覚前の今年4月に日本郵政がかんぽ生命株式を売却したことに関して、郵政民営化委員会の岩田一政委員長と日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)から、適切な情報開示がなかったことについて問題を指摘された際にも、直後に開いた記者会見で、「株式売却の際には不祥事について全く認識がなかった」「冗談ではない」と憤ってみせるなどした。保有していたかんぽ生命株式を一般投資家に売却した後、同社の保険販売に重大な問題が発生していることが明らかになって、株価が大きく値下がりしていることについて、長門社長個人としてではなく、日本郵政グループの経営トップとしての責任が問われているのに、個人レベルでの言い訳をするなど、長門社長の対応には重大な問題があった(【長門社長「冗談ではない」発言で、日本郵政株売却は絶望か】)。 日本郵便の横山社長も、保険不適切販売の原因について、記者会見などで、超低金利など販売環境が激変し、郵便局がこれまで多数販売してきた貯蓄型の商品は魅力が薄れているにもかかわらず「営業推進体制が旧態依然のままだった」と原因を説明したが、なぜ営業推進体制が旧態依然の営業体制のままであった原因についての言及も、それに対する反省も全くなかった。(【「日本郵政のガバナンス問題」としての保険不適切販売問題~日本郵便横山社長への重大な疑問】)。 これらの経過からしても、不適切販売の直接の当事者企業のかんぽ生命のトップ植平社長も含め、3社長の辞任は当然であり、むしろ遅きに失したと言うべきであろう』、その通りだ。
・『日本郵政をめぐる根本的問題は全く解消されていない  しかし、今回の問題は、日本郵政グループの経営トップの個人の問題ではない。民間金融機関出身の3社長は、全く弁解の余地のない、苦しい状況に晒された末に、結局、辞任に追い込まれた。民営化後の日本郵政の社長の辞任は5人目である。このような状況の日本郵政グループの経営トップに、民間企業から経営者を迎えることは困難だったために、日本郵便、かんぽ生命も含め官僚出身者3人を社長に就任させることにせざるを得なかったのであろう。 今回の日本郵政グループ3社長が辞任し、増田氏を中心とする新経営体制に代わることで、今後、日本郵政の経営が正常化するのだろうか。残念ながら、それは、全く期待できない。「郵政民営化をめぐる根本的な問題」が解消されない限り、今後も日本郵政をめぐる混乱が続くことは避けられない。 12月18日には、日本郵政が設置した「特別調査委員会報告書」が公表されたが、その内容は、ほとんどが一般的な民間生保会社の視点によるものであり、「日本郵政」という組織の特異性、それが一般の民間会社とは大きく異なっているという視点が欠けている。一般の民間会社で起きたことであれば、この報告書に書かれているような再発防止策も有効であろうが、日本郵政においては、それで問題が解決するとは思えない。  横山社長は、日本郵便の保険営業の在り方に関して、「お客様本位がすべてに優先するという考えが全局に徹底すれば、ユニバーサルサービスの一環として、全国津々浦々で郵便局員が保険を適切に販売することは十分可能」とも述べた。金融庁が、金融モニタリングの基本方針として掲げているのが、「顧客本位の業務運営」であり、それは、保険を含む金融商品の販売において重要な原則とされている。しかし、日本郵政をめぐる根本問題が解決されていない以上、顧客本位の業務運営を日本郵便の保険販売において徹底していくことは決して容易ではない』、「特別調査委員会報告書」は弁護士が中心になってまとめたのだろうが、「ほとんどが一般的な民間生保会社の視点によるものであり、「日本郵政」という組織の特異性、それが一般の民間会社とは大きく異なっているという視点が欠けている」、発注した3社長の意向を踏まえたとはいえ、情けない内容だ。
・『郵政民営化をめぐる政治情勢とユニバーサルサービス   日本郵政は、小泉純一郎首相が2005年の総選挙で「郵政民営化」を公約に掲げて圧勝したことで、2007年に民営化されて株式会社となり、日本郵政を中心とする巨大な企業グループが生まれた。しかし、第一次安倍政権になって以降、郵政民営化に反対する政治勢力が勢いを回復し、日本郵政への逆風が強まっていった。そして、民主党への政権交代後に、郵政民営化は大幅に見直され、2012年に成立した改正郵政民営化法で、日本郵政には、日本郵便の完全親会社として同社にユニバーサルサービスを提供させる責務が定められた。ユニバーサルサービスというのは、「社会全体で均一に維持され、誰もが等しく受益できる公共的なサービス」という意味であり、郵便局のサービスについては、(1)利用者本位の簡便な方法で、 (2)郵便局において一体的に、(3)あまねく全国において公平に利用できるようにすることが、郵便の役務だけでなく、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務、簡易に利用できる生命保険の役務についても義務づけられている。 今回の保険の不適切販売の問題が発生した要因として、かんぽ生命では、民業圧迫の懸念などから保険金の上限額が2千万円と決まっていて、一般的に保険の「転換」の際に用いられる「新旧の契約の一時的併存」ができないため、旧契約を解約した後に新契約に入り直す「乗り換え」で新旧の契約に切れ目が生じることによって問題が生じるということが指摘できる。一般の民間企業とは異なる条件による制約を受けることは、巨大であり民業圧迫の恐れが高いうえ、全国に販売網を持ち、法的にもユニバーサルサービスの確保義務を負う日本郵政グループにおいては致し方ないこととも言える。 横山社長が言う「お客様本位の営業」を徹底しようと思えば、顧客の多種多様な立場や事情に適合する多様な商品を提供することが必要となる。しかし、ユニバーサルサービスとの関係で、日本郵政グループが取り扱う生命保険は、「簡易に利用できる生命保険」でなければならない。全国で均一な商品の提供が求められている関係で、基本的に商品の内容も単純なものでなければならない。顧客への「個別適応」を追求することには限界があるのである。 ユニバーサルサービスの責務との関係で制約を受けることから、結局のところ、日本郵便という企業が行う保険販売の事業に、競争価値(コアコンピタンス)を見出すことは困難なのである。 そのような制約があるにもかかわらず、投資信託や保障性商品などというコンプライアンスリスクが高い商品について、郵便局員にノルマや営業上のプレッシャーを与えながら販売実績を上げようとしていた経営方針そのものに問題があったのであるが、その背景に、2022年に日本郵政の株式をすべて売却することが法律上義務づけられ、その時点までに、日本郵政グループを民間企業として自立させることが政治的な至上命題とされているという事情があった。それが、郵便局の現場に過大な負荷をかけることにつながったのである』、「ユニバーサルサービスの責務との関係で制約を受ける・・・そのような制約があるにもかかわらず、投資信託や保障性商品などというコンプライアンスリスクが高い商品について、郵便局員にノルマや営業上のプレッシャーを与えながら販売実績を上げようとしていた経営方針そのものに問題があった」、問題の本質を極めて明確に指摘しているのはさすがだ。
・『「政治情勢の変化の影響」と日本郵政のガバナンス問題  私は、郵政民営化後の西川善文日本郵政社長時代に起きた「かんぽの宿」問題などの一連の不祥事を受けて2010年に総務省が設置した「日本郵政ガバナンス検討委員会」の委員長を務めた。その際、不祥事の事実関係の調査、原因分析、再発防止策の策定を行い、成果として公表したのが「日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書」であった。 同報告書では、日本郵政のガバナンス問題について、「西川社長時代の日本郵政においては、政治情勢の激変の中、『郵政民営化を後戻りさせないように』との意図が背景あるいは誘因となって、拙速に業務執行が行われたことにより多くの問題の発生につながった」との基本認識に基づき、「日本郵政の事業をめぐる環境は、外部要因に強く影響される。そのため、今回の個別検証でも明らかになったが、これまでの日本郵政の経営をみると、その変化を見越し、環境が大きく変化する前に短期的に結果を出そうとして拙速に経営上の意思決定が行われ、事業が遂行される危険性を有しているものと推察される。」と述べている。 不動産売却やゆうパック事業とペリカン便事業との統合等の経営上の意思決定に関する問題であった西川社長時代の日本郵政の不祥事と、営業の現場で発生した今回の保険商品の不適切販売に関する問題は、性格が異なる問題ではある。しかし、日本郵政グループには、とりわけ日本郵便という組織に対して、民営化による成果の早期実現を求める政治的バイアスと、全国の郵便局網を活用し、日本社会全体に対してユニバーサルサービスを提供する責務を従来どおりに維持することを求める政治的バイアスの両方が働くという「ガバナンス問題」が、事業場のコンプライアンスリスクにつながるという面では共通している』、「民営化による成果の早期実現を求める政治的バイアスと、全国の郵便局網を活用し、日本社会全体に対してユニバーサルサービスを提供する責務を従来どおりに維持することを求める政治的バイアスの両方が働くという「ガバナンス問題」が、事業場のコンプライアンスリスクにつながる」、これも適格な指摘だ。
・『保険不適切販売問題と日本郵政の完全民営化に向けてのスケジュール  今回の保険不適切販売問題の背景には、株式会社化されたものの、その事業に様々な制約を課せられている日本郵政グループにおいて、その制約を無視して、日本郵政株式の全株売却という民営化スケジュールを進め、売却によって得た資金を東日本大震災の復興財源に充てることを予定していた政府の方針がある。 まさに政治的判断によって決められていた民営化スケジュールに沿って、それを可能にする業績目標を掲げざるを得なかったために、営業目標実現のために、保険営業の現場へのインセンティブや、ノルマの押しつけが行われ、高齢者を中心とする郵便局の顧客の利益を大きく損なう結果となったのである。 横山氏が保険不適切販売の原因としている「旧態依然の営業推進体制」は、保険営業に関する限り、日本郵政が公社であった昔から続いているものではない。2015年に、営業を担当する郵便局員の基本給を1割削減し、代わりに手当を手厚くする給与体系の見直しが行われたことで、インセンティブ中心の営業が導入されたものであり(7月24日毎日「かんぽ不正、被害拡大 暴走助長、問われる体質」)、正確に言えば、民営化された日本郵政において、民営化の成果を上げるためにインセンティブ・ノルマ中心の営業推進手法が導入されたことが、今回の保険の不適切販売につながったのである。 それは、小泉首相が進めようとした郵政民営化の流れが、民主党への政権交代で「再国有化」されたことが原因という単純なものでは決してない。 小泉首相による「郵政選挙圧勝」によって、「日本郵政の株式会社化」だけは、短兵急に実現した。しかし、全国の郵便局網、その全国特定郵便局長会による政治力などは、旧来のまま残っていた。それは、自民党が、民主党政権から政権を奪還し、第二次安倍政権になった後も変わらなかった。 日本郵政に関する法的枠組みは、民主党政権時代の2012年の改正郵政民営化法以降変わっていない。それは、自民党内でも、郵政民営化に対する反対勢力が厳然たる力を持っているからである。そのために、ユニバーサルサービスの義務という、完全民営化に対しては明らかに「足かせ」になる要因が残ったまま、日本郵政の株式売却の予定は法的に義務付けられ、その方向に向かって、日本郵政の経営が行われた結果が、今回の保険不適切販売となった。 政治的バイアスは、民営化を促進する方向にも、抑制する方向にも働く。民営化され、上場企業になったにもかかわらずユニバーサルサービスの責務を負っているというのも、まさに、両面の政治的バイアスの産物だと言える。日本郵政は、このような政治的バイアスを受けて、無理に短期的な目標設定をしたり、強引に成果を実現しようとした結果、問題や不祥事が発生するということが繰り返されてきた。 日本郵政を完全に民営化し、純粋に民間会社として運営し、利潤の極大化という株式会社の論理を貫徹していく、というのは一つの選択である。その場合は、ユニバーサルサービスの責務は見直さなければならないし、過疎地も含め全国に残る郵便局のうち、不採算局は統廃合し、郵便局員の人員整理も行わなければならないであろう。 一方、日本の「田舎」「故郷」の最後の砦とも言える郵便局網を最後まで守り抜いていく、というのも選択肢としてあり得る。その場合は、日本郵政の民営化の進め方も相当な制約を受けざるを得ないであろう。 いずれの方向を指向するのか、それは、日本社会の選択であり、政治の決断である。その根本問題をなおざりにしたまま、民間会社的な考え方による「不正の再発防止」だけで、今回の問題を決着させた場合には、日本郵政グループ内で、金融商品販売をめぐる問題が今後も多発し、混迷が一層深まることにつながりかねない。 政府は、日本郵政を、今後どうしようとしているのだろうか』、説得力に溢れた主張で、全面的に同意する。民営化時に守旧派が課した「ユニバーサルサービスの責務」がこうした矛盾の根源にあるようだ。私は増田氏はこれまで評価してきたのだが、日本郵政の社長という「火中の栗を拾う」に至った背景も知りたいものだ。
タグ:東洋経済オンライン 日本郵政 郷原信郎 ダイヤモンド・オンライン 山田厚史 同氏のブログ (その13)(日本郵便「社員が社長にぶつけた不満」の全記録 返答はノルマ肯定、お付き合い容認 自爆放置、副社長が社長や総務次官より“偉い”「民営化郵政」の多重権力、保険不適切販売の背景としての「政治との関係」~政府は日本郵政を一体どうしようとしているのか) 「日本郵便「社員が社長にぶつけた不満」の全記録 返答はノルマ肯定、お付き合い容認、自爆放置」 首都圏の現場社員のうち400人との対話集会 「ノルマは個人も組織も育てる」? 「お付き合いはどこにでもある」? 現場には手応えがない 「自爆営業はかなり多いんだろうな」 「現場が知らないだけじゃないの?」 「副社長が社長や総務次官より“偉い”「民営化郵政」の多重権力」 「処分」の情報を漏洩した相手は「郵政のドン」、天下りの先輩次官 菅官房長官を後ろ盾に郵政の内外に威光 怒った高市総務相、首相に直訴 郵政内も二重権力構造、根ずく NHKへの「抗議」問題でゆがんだ統治が露呈 「クローズアップ現代+」 民営化から12年たっても利害もミッションもばらばら 現場は「ノルマ」で疲弊 新体制で立て直しできるか 「保険不適切販売の背景としての「政治との関係」~政府は日本郵政を一体どうしようとしているのか」 3社長の引責辞任は当然 日本郵政をめぐる根本的問題は全く解消されていない 郵政民営化をめぐる政治情勢とユニバーサルサービス ユニバーサルサービスの責務との関係で制約を受ける そのような制約があるにもかかわらず、投資信託や保障性商品などというコンプライアンスリスクが高い商品について、郵便局員にノルマや営業上のプレッシャーを与えながら販売実績を上げようとしていた経営方針そのものに問題があった 「政治情勢の変化の影響」と日本郵政のガバナンス問題 民営化による成果の早期実現を求める政治的バイアスと、全国の郵便局網を活用し、日本社会全体に対してユニバーサルサービスを提供する責務を従来どおりに維持することを求める政治的バイアスの両方が働くという「ガバナンス問題」が、事業場のコンプライアンスリスクにつながる 保険不適切販売問題と日本郵政の完全民営化に向けてのスケジュール
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公文書管理(その5)(森友問題の背後に透ける「保守派の影響力」と「他国の政治介入」、ディストピアを現実化 安倍政権の正体を忘れてはいけない、行政文書を捨てない「ドイツ」のアーカイブ感覚 専門の教育を受けているアーキビストがいる) [国内政治]

公文書管理については、2018年7月20日に取上げた。久しぶりの今日は、(その5)(森友問題の背後に透ける「保守派の影響力」と「他国の政治介入」、ディストピアを現実化 安倍政権の正体を忘れてはいけない、行政文書を捨てない「ドイツ」のアーカイブ感覚 専門の教育を受けているアーキビストがいる)である。

先ずは、立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏が昨年3月27日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「森友問題の背後に透ける「保守派の影響力」と「他国の政治介入」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/164815
・『学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざんを巡り、与野党は、3月27日に当時財務省理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問を行うことで合意した。 麻生太郎副総理・財務相は記者会見で、自らの書き換え指示を否定し、「理財局で行ったものであり、外部からの指示で行われたことはない」とも述べ、「責任は佐川にある」と断じた。麻生財務相のみならず、予算委員会で質問に立った自民党議員も、次々と批判の矛先を財務省ばかりに向けている。だが、今頃になって財務省を「スケープゴート」にしても遅すぎた(本連載第172回)。 また、安倍晋三首相は予算委員会で、「書き換え前の文書を見ても、私や私の妻が関わっていないことは明らかだ」と答弁した。それならば、昨年2月の時点で言っておけば、財務省が公文書書き換えに手を染める必要などなかった。結局、今更財務省に全ての責任を負わせようとしても、「限りなくクロ」の印象は拭えなくなってしまった。 世論の批判が高まる中、安倍政権は証人喚問容認に追い込まれてしまった。国有地が破格で売却されたことと、膨大な文書改ざんには多くの謎がある。証人喚問によって真実に迫ることが重要であるのは言うまでもない。しかし今回は、そのこととは少し距離を置きたい。 この連載では、森友学園問題について最初に論考を書いた時、この問題が「安全保障問題化」するリスクを指摘していた(第151回)。現在、与野党、官僚、メディアの終わりの見えない「潰し合い」の様相となっているが、この問題が起きた時に考えたことに戻りたい。それは、森友学園問題を国際社会に広がっている2つのリスク、「ナショナリズム」と「外国による国内政治への介入」に位置づけて、「潰し合い」の背景にある、より本質的な問題を考えてみることだ』、「森友学園問題」の「より本質的な問題」とは、興味深そうだ。
・『森友学園問題の本質は「保守系の団体」の政治・行政への強い影響力の広がりではないか  まず、「ナショナリズム」の問題を考える。国会が森友学園問題で紛糾する間に、新たな問題が発覚した。自民党の赤池誠章参院議員と池田佳隆衆院議員が複数回に渡って文科省初等中等教育局に電話をし、天下りあっせん問題による引責辞任や「出会い系バーの利用」の問題があった前川喜平・前文部科学事務次官が名古屋市内の中学校で講師を務めた授業の内容や経緯を照会した。文科省は、照会に基づき、名古屋市教育委員会に授業の内容の報告や録音データの提供を求めていた。 赤池氏、池田氏は文科省に経緯を照会していたことを認めた上で、「法令違反をした人が教壇に立っていいのか事実確認した。文科省への圧力には当たらない」と説明した。一方、文科省幹部は「問い合わせたのは省としての判断だ」と説明している。 赤池氏、池田氏は、「日本会議国会議員懇談会」と「神道政治連盟国会議員懇談会」のメンバーである。メディアの報道は、直接的ではないものの、教育行政に対して政治家の背後にいる「保守系の団体」の政治的介入が頻繁に行われていることを暗に匂わせている。 昨年2月に森友学園問題が明らかになった当初、その教育や運営の異様な実態が注目されたものだった。籠池泰典森友学園理事長は、「日本会議」(第144回)のメンバーであり、同学園系列の幼稚園は、明治天皇の名で教育理念などを規定した「教育勅語」を暗唱させる教育方針で知られた。新たに設立しようとした小学校は「日本で初めてで唯一の神道の小学校」を謳っていた(第153回)。 そして、この問題に関して、次々と地方議員や国会議員の名前が浮上すると、彼らに対する日本会議など「保守系の団体」の影響力の強さが指摘されていた。だが、籠池理事長の政治家への接触が、合法的な「陳情」の範囲内の行為で、政治家は単に「役所の担当者につないだ」というだけであることが判明していくと、次第に世間の焦点は、「安倍夫妻の関与」「財務省の忖度」に集中するようになった(第152回)。そして、「保守系の団体の政治・行政への異様な影響力」という話は、どこかに消え去ってしまったのだ。 しかし、佐川前国税庁長官・元理財局長への証人喚問で野党、メディアがヒートアップし、野党が元々「敵」であったはずの籠池理事長に接見してヒアリングしている状況を見ると、逆に「首相夫妻の関与か財務省の忖度か」だけに過度に注目が集まることに、少し距離を置きたくなってくる。要は、財務省の忖度が仮にあっても、それは「首相夫妻」に対する忖度だと単純に済ませていいのかということだ。 赤池氏、池田氏の文科省への照会から垣間見えた「保守系の団体」による政治・行政に対する働きかけが日常的に行われているであるならば、「合法的な陳情」とされた森友学園問題の「書き換え前の文書」に記載されていた政治家の名前も、もう一度見直す必要が出てくるのではないか。 自民党や維新の会のような「保守」の地方政治家や国会議員と、保守系の団体の間に日常的に様々な接触があると考えるのは、いまや「常識」だ。なんと、現在の安倍政権の閣僚20人中19人が神道政治連盟メンバーだ(週刊ダイヤモンド2018年3月24日号『特集:劣化する伝統宗教 神社・仏教 大騒乱』)。 政治家が「団体」の会員となる目的は、普通に考えれば、その団体の思想信条に賛同するからではない。選挙での集票を期待するからだ。換言すれば、いまや保守系の団体は自民党の非常に有力な「集票マシーン」となっているということだ。 逆に、「集票マシーン」の団体が自民党に期待することは、自民党を通じて自らの「利益」を実現することだ。保守系団体の様々な「声」が、全国の国会議員や地方議員が日常の政治活動を通じて、財務省や文科省などの中央の官僚組織に多く届けられていたことは、容易に想像できる。そして、官僚はそれらの「声」を無視できなくなっているのではないか。 日本会議は「同一視されるのは心外」と籠池理事長を切り捨てた。森友学園問題は、籠池理事長という「変わった人」が「首相夫妻と深い関係にある」と言って財務省に絡んだ「特殊な問題」という扱いだ。だが、むしろこの問題は、全国の政治の現場と霞が関に広がっていることの「氷山の一角」が見えたということではないか。保守系の団体が、政治家の日常活動への影響力を次第に強めていき、中央の政治・行政への介入が日常的に起こるようになり、官僚が無視できないレベルに達したという、日本社会に起きている深刻な構造的問題と捉えるべきなのではないだろうか。 この連載では、保守派の神がかったような非科学的な主張が、日本を衰退させると批判してきた(第144回)。野党は、この問題をどうしても「首相夫妻の資質問題」に持っていきたいようだ。だが、もっと根深く、面倒で、深刻な問題を、逃げることなく追及すべきなのではないだろうか」、「保守系の団体が、政治家の日常活動への影響力を次第に強めていき、中央の政治・行政への介入が日常的に起こるようになり、官僚が無視できないレベルに達したという、日本社会に起きている深刻な構造的問題と捉えるべき」、その通りだ。ただ、「野党は、この問題をどうしても「首相夫妻の資質問題」に持っていきたいようだ」、としているが、根深い問題よりも、攻め易い問題に絞ったのは、政治的には理解できる。
・『「南スーダンPKO日報破棄問題」に関してある専門家から聞いた話  次に、「外国による国内政治への介入」という、国際社会に広がるもう1つのリスクを考えてみたい。2017年の通常国会で、森友学園問題、加計学園問題とともに野党やメディアから厳しく追及されたのが「南スーダンPKOの日報破棄問題」であった。南スーダンで自衛隊の任務遂行中に「戦闘」があったという文言が記載された日報が、ジャーナリストの布施祐仁氏が情報公開請求したことで発見された。だが、当初防衛省の回答は、開示でも不開示でもなく「日報は既に破棄しており不存在」だった。 これに対して、布施氏が「常識的に考えても廃棄したというのはおかしい」とSNSで発信して拡散し、防衛省に対する批判が殺到した。結局、防衛省相は日報を出さざるを得なくなり、国会で野党から「隠ぺい」と厳しく追及された。最終的には、安倍首相は南スーダンからのPKO部隊の撤退を決定し、答弁が迷走した稲田朋美防衛相は国会閉会後の内閣改造で退任となった(第164回)。 要するに、森友学園問題や南スーダンPKO日報問題など、国会で野党やメディアが厳しく追及を続けてきたことの本質は、「中央官庁における情報公開と公文書管理」の杜撰さだといえる。この連載では何度でも繰り返すが、「公文書書き換え」は、議会制民主主義の根幹にかかわる深刻な事態であり、国会でこの問題が徹底的に追及されるのは当然だ(第178回)。だが、ここでも連日メディアが安倍夫妻の関与の有無をスキャンダラスに報道し、国民が感情的になる状況で、より深刻な問題が隠れていくように思える。 筆者が、日本のある専門家から聞いた話がある。防衛省には「日本の市民団体」から多くの情報公開請求が来る。防衛省がその内容を確認すると、明らかに外国の「代理人」として請求していると見られるものが多数あるという。これに対して防衛省では、国家安全保障の観点から海外に漏洩させたくない情報を、保存せずに破棄していた。防衛省内では、このような文書の破棄がなかば習慣化しており、その延長線上に南スーダンPKO日報破棄の問題があったというのだ。 残念ながら、この専門家から聞いた情報は裏が取れない。だが、物事は最悪の事態を想定しておくべきだ。ここからは、仮にこの情報が真実だという前提で考えていきたい』、「防衛省には「日本の市民団体」から多くの情報公開請求が来る・・・明らかに外国の「代理人」として請求していると見られるものが多数あるという。これに対して防衛省では、国家安全保障の観点から海外に漏洩させたくない情報を、保存せずに破棄していた」、いくら「外国の「代理人」として請求」があるとしても、開示を安全保障に係るとして拒否すればいいだけで、「破棄」までしてしまうのは、余りにも乱暴だ。
・『日本の情報公開法は行政機関の裁量権が広い半面、情報公開圧力を強く受ける  日本では、「行政機関情報公開法」が1999年に成立し、2001年から施行されている。国や地方自治体の行政機関全般と独立行政法人等、防衛研究所図書館、外務省外交史料館などが保有する文書について、国民の知る権利に基づき原則、公開することを定めた法律である。 情報公開法の制定は、政治腐敗や汚職、公害問題などに対する追及が、情報の非公開という壁に阻まれていた1970年代に、その機運が盛り上がった。情報公開法制定を目的とした市民団体が発足し、少しずつ地方自治体において情報公開制度の制定が進み、1999年に国会で成立した。 情報公開法が成立した当時は、日本では自民党一党の長期政権時代が終結し、自民党は都市部を支持基盤とする公明党と連立を組む、「自公政権」が誕生していた。また、リベラルな民主党が台頭した時代でもあった。行政情報公開法は、それらの政党が、都市部のリベラルな「市民団体」の強い要求を受けて動くことで、実現したともいえる。 情報公開法では、請求されたことは原則公開することになっているが、個人情報に該当する情報、外交や防衛など国の安全に関する情報、国民に誤解と混乱をもたらす恐れのある情報、国民のプライバシーを侵害するような事項、捜査に関する情報などは公開できないこと、外交、防衛、警察、治安などは例外的に行政機関の判断で非開示にできる。 このように、非開示の判断について、行政機関の裁量が広く認められている点が批判されている。一方、開示した内容に不服がある場合は行政訴訟を起こすことができるし、日本人だけではなく外国人も請求できる。情報公開への圧力が非常に強いものになっている側面もある。 この制度的な矛盾によって、行政機関は、市民団体からの膨大な情報公開請求を前にして、右往左往してきた。そして、「森友学園」や「南スーダンPKO」の問題発覚は、「隠ぺい」「破棄」「改ざん」が横行する、日本の中央官庁の「前近代的」な公文書管理を白日に晒したのだ』、やはり日本では、「寄らしむべし知らしむべからず」(《「論語」泰伯から》人民を為政者の施政に従わせることはできるが、その道理を理解させることはむずかしい。転じて、為政者は人民を施政に従わせればよいのであり、その道理を人民にわからせる必要はない(goo辞書))、といった伝統的考え方が、いまだに政治・行政の側には強いのだろうか。
・『中央官庁の情報公開と公文書管理の徹底化が日本を外国から「丸裸」にすることは避けるべき   「公文書書き換え問題」を受けて、今後日本の中央官庁の情報公開と公文書管理が徹底化されることになるだろう。何よりも、公文書の保存期間が短すぎるとともに、規定が曖昧であることは問題だ。 森友学園問題の国会審議では、政府側が交渉記録の保存期間は「1年未満」なので、保存していなくても「法令に即して適切に処理した」という答弁を連発した。実際には、具体的な「文書保存期間」は省庁レベルの文書管理規則によって定められているが、今後はこのような行政機関の裁量の幅は大幅に狭められていくだろう。 国会では、公文書の管理のあり方をどのように改善すべきか、既に議論が始まっている。例えば参議院予算委員会では、浅田均参院議員(維新)が「ブロックチェーンを公文書管理に取り入れるべき」と発言し、麻生財務相も前向きに対応すると答えざるを得なかった(高橋洋一『森友問題、公文書改ざんの首謀者は「オールド世代」の官僚だ』)。「前近代的」な制度をテクニカルに改革していくことは、当然必要なことだ。 だが、情報公開と公文書管理の徹底化は、単にテクニカルな問題にとどまらず、政治問題化する可能性がある。野党が麻生財務相の辞任など、国会で大きな成果を挙げた場合、勢いに乗って「特定秘密保護法」(第72回)の撤廃を目指すかもしれない。野党を支持する「市民団体」からの行政訴訟の頻発による情報公開の圧力も、これまで以上に強まることになるだろう。 安倍政権の支持率低下が続き、9月の自民党総裁選で、安倍首相が不出馬あるいは敗北する事態となれば、後継の首相は安倍政権との違いを出すために、野党側に寄り、「特定秘密保護法」や「対テロ準備法」(第154回)、「安保法制」(第115回)の修正に向かうかもしれない。 だが、その際に考えなければならないことがある。国際社会を見れば、米国の大統領選挙や、英国のEU離脱の国民投票におけるロシアの介入が明らかになっている。英国では、亡命中の元スパイ毒殺事件が起きて、英国政府がロシアの犯行と断定し、外交官を国外追放した。韓国の朴槿恵大統領の汚職による辞職も、中国の関与が取りざたされた(第151回)。いまや、国内政治への外国の介入は普通に起こりえるリスクと考えねばならない。 例えば、森友学園問題の傍らで、日本年金機構が個人情報の入力を委託していた会社が、中国の業者に入力業務を再委託していたという事件が発覚している(『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実』)。中国は、日本のマイナンバーを狙っており、それに対する、日本年金機構の情報管理意識が低すぎることが問題となっているという。 情報公開請求を熱心に行う日本の「市民団体」が、日本の機密情報を狙う外国政府と直接つながっていると言うつもりはない。だが、間違いなく安全保障に対する感覚は薄いだろうし、団体の内部に誰が入り込んでいてもおかしくない。入手した情報を他者に渡して、広げていくことには、むしろ積極的だろう。 少なくとも、強力な諜報機関を持ち、情報管理が徹底した英国(第157回)でさえ起こったようなことが、日本では起きないという楽観的な考えには、何も根拠がなく同意できない。 この連載では、安全保障問題は争点化すべきではないと主張してきた。テロの脅威、中国の海洋進出、北朝鮮のミサイル危機、外国の内政への介入などのリスクに対しては、与野党が現実的に議論して最善の策を打つべきである(第168回・P4)。中央官庁の情報公開と公文書管理の徹底化が、結果的に日本を外国から「丸裸」にするということは、与野党の激突を超えて、絶対に避けなければならないことである』、「結果的に日本を外国から「丸裸」にする」、というのには違和感がある。前述のように、「情報公開法では」「外交や防衛など国の安全に関する情報、国民に誤解と混乱をもたらす恐れのある情報」などは公開不要なのであるから、仮に請求があっても、堂々と拒否できる。「丸裸」などになることなどない筈だ。

次に、作家の適菜収氏が本年1月18日付け日刊ゲンダイに掲載した「ディストピアを現実化 安倍政権の正体を忘れてはいけない」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/267723
・『安倍政権がまた公文書を改ざんした。もはや反国家的な犯罪組織と言っていい。菅義偉は事実を認め(1月14日)、内閣府が昨年11月に国会に「桜を見る会」の推薦者名簿を提出した際に、推薦した部局名を隠す加工をしていたと明らかにした。「極めて不適切な対応で、今後、このような行為を厳に慎むよう内閣府に徹底した」とのこと。菅はつい先日(1月9日)にも、招待者名簿の廃棄記録を内閣府が残していなかった件について「文書管理の徹底を指示した」などと言っていたが、アホにも限度がある。腐敗した組織の幹部が指示しても意味がない。第三者が徹底的に検証すべきだ。 近代の悪はどのような形で現れるか。ジョージ・オーウェルの近未来小説「一九八四年」の主人公の仕事は公文書の改ざんである。「党」にとって都合が悪い過去の事実を抹消し、新たに歴史を捏造する。そこでは、言葉の破壊活動が継続的に行われる。たとえば強制収容所を「歓喜キャンプ」と言い換える。「党」の目的は国民の思考を止めることだ』、「ジョージ・オーウェルの近未来小説「一九八四年」」を持ち出すとはさすがだ。
・『これは全体主義国家のパロディーだが、こうしたディストピア(注)をそのまま現実化したのが安倍政権だった。安保法制騒動では憲法の解釈をひっくり返し、最後には首相補佐官が「法的安定性は関係ない」と言い放った。一連の安倍晋三事件では、省庁をまたがる形で公文書改ざん、日報隠蔽、データ捏造などが行われ、嘘とデマ、プロパガンダが連日のように社会に垂れ流された。連中が説明を拒絶し、証拠隠滅を図ろうとするのには理由がある。これまでも時間稼ぎをして新しいトピックを打ち出すことで逃げ切ってきたからだ。 だからわれわれは何度も思い出さなければならない。「桜を見る会」には、統一教会の関係者、悪徳マルチ商法の「ジャパンライフ」会長、反社会的勢力のメンバー、半グレ組織のトップらが呼ばれていた。安倍と周辺の一味は税金を使って支援者を接待し、後援会関係者による前夜祭の明細書も隠蔽。「反社」の定義も勝手に変更した。嘘と現実の矛盾が生まれ、整合性が取れなくなれば、現実のほうを歪めていく。今回の改ざんも、「推薦者名簿は廃棄済み」という国会答弁との整合性を図るためだった。安倍政権は日本の敵であるだけではなく、人類の敵、文明の敵である』、(注)ディストピア:ユートピア(理想郷)とは逆の社会(ニコニコ大百科)。「ディストピアをそのまま現実化したのが安倍政権だった」、「嘘と現実の矛盾が生まれ、整合性が取れなくなれば、現実のほうを歪めていく」、その通りで、例示されたものを眺めるだけで、腹が立ってくる。 

第三に、ドイツ在住ジャーナリストの高松 平藏氏が1月22日付け東洋経済オンラインに掲載した「行政文書を捨てない「ドイツ」のアーカイブ感覚 専門の教育を受けているアーキビストがいる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/324873
・『公文書のずさんな扱いが露呈する日本。一方、欧米の国々の公文書管理、ひいてはそれらを保管しておくアーカイブが充実している。公文書の扱いに関する制度整備を見ることも大切だが、制度の背景には歴史観や国家観、デモクラシーといったことがある。ドイツの例を見ながら考えてみたい』、興味深そうだ。
・『後世に残す文書はアーカイブの専門家が選ぶ  日本は公文書の扱いや、それらを永続的に保管するアーカイブの位置づけが脆弱である。これは専門家のあいだで度々指摘され、主に欧米を見ながら、法整備が少しずつ行われてきた。筆者が住むドイツも参照にされる国のひとつだ。 現在のドイツ連邦アーカイブは1952年に発足。1949年以降の連邦の記録、ドイツ帝国/ドイツ民主共和国、旧東ドイツ、軍事、フィルムといったように扱う部門がある。実際の施設はドイツ全国8箇所に分散しており、ドイツ西部の人口11万人の都市、コブレンツがその本部だ。 永久に増え続ける文書類、デジタル化などの新技術への信頼性、旧来の紙やフィルムの経年劣化との戦いなど課題は多い。それにしても、連邦政府のすべての記録は同アーカイブに渡されることが法律で義務化されている。そして大切なのは、後世に残すべきかどうか判断する権限は政府ではなく、アーカイブにある点だろう。 アーカイブは誰でも利用可能だ。すなわち、収蔵された行政文書で施策をたどることができる。政府側からすれば情報開示である。これらはデモクラシーとも重要な関係がある。 どういうことかというと、デモクラシーの国では選挙の投票がある。これは政治的な「自己決定」のひとつだが、大切なのはそこへ至るための意見形成だ。場合によっては「投票率」よりも重要なことである。そのためには正しい情報が必要で、時には過去の行政文書にあたる必要性も出てくるだろう。このときにアーカイブが力を発揮する。 アーカイブで働くアーキビストの資質も見るべきものがある。彼らは歴史的知識、複雑な思考スキル、ラテン語などの言語スキルを有している。ドイツは一般に職業教育が強いが、アーキビストも同様で、専門の教育がなされている。後に述べるが、この歴史的知識の有無がとても大切だ。 中央政府全体のアーカイブは現在の連邦アーカイブに先立ち1919年に「中央アーカイブ」として設立された。他のヨーロッパ諸国に比べると遅かったが、アーカイブそのものは中世からある』、「アーカイブそのものは中世からある」、歴史的に根付いているようなのはさすがだ。
・『年度始まりの9月に起きること  また日本に目を転じると、昔から記録類を残す重要性は認知されており、数々の古文書があるのはその証左だ。むしろなぜ、現代日本がこれほど文書類の扱いがずさんになったのか考察する必要もあるだろう。 しかし本稿ではドイツの強い「アーカイブの感覚」がなぜあるのかについて続ける。この感覚はドイツの人々が一般に持っているように思われる。ドイツに住む筆者にとって、それを感じるのが、年度始まりの9月。書類をファイリングするバインダーがスーパーの特売品として大量にワゴンに並ぶのだ。スタンダードのバインダーは幅8センチ程度。A4の用紙を保管していけるものだ。 この理由は明らかで、授業で大量に教材としてプリントが配布される生徒や学生のためでもあるが、新しい年度がはじまり、証明書や領収書の類を保管するためだ。 もとより、ドイツは文書類を大量に作り、何かにつけ文書・証明書類を重要視する「文書国家」だ。実際、ドイツの人々は出生証明書から成績表、職業証明書まですべてきれいにファイリングしている。個人でさえこうなのだから、官庁、企業、非営利組織などは言わずもがなだ。 個人的な体験をいうと、「ドイツという国は『文書主義』の国だね」とドイツの友人に少々皮肉っぽく話したことがある。友人は「む、いや、そのとおり」と肩をすくめて、ニヤっと笑った。 この「文書主義」を歴史的にさかのぼると、ローマ時代あたりから見いだすことができる。ローマ帝国は紀元前4世紀あたりから、イタリア半島からアフリカ、アジアにまで勢力を伸ばした。各領域はローマと同盟を結ぶかたちで統治を行ったが、言語や文化も異なる領域を統治するにはラテン語の文書をベースに執り行った』、「日本に目を転じると、昔から記録類を残す重要性は認知されており、数々の古文書があるのはその証左だ。むしろなぜ、現代日本がこれほど文書類の扱いがずさんになったのか考察する必要もあるだろう。 しかし本稿ではドイツの強い「アーカイブの感覚」がなぜあるのかについて続ける」、確かに日本で酷くなったのは、安倍政権になってからだと思う。古代から国家の統治の正当性や効率性を確保するには、文書の保管は重要だった筈だ。
・『中世の都市も文書の保管は大切だった。都市は領主に対して自治権などを獲得していくが、その証明書がとても重要だったからだ。 また中世都市は市壁に囲まれた人工空間だった。壁の内と外が明確で、市壁は明示的な「国境」のようなものだ。そのためパスポートといった「証明書」の感覚も強くなる。そして内側では当然、管理や所有関係など重要な公文書も出てくる。また、公文書によって人々の権利が保証される案件もある。この感覚が先述した年度始まりのバインダー販売ともつながっているように思えてならない。 翻って、都市文書類を蓄積しなければどうなるか?都市の信頼性を失い、アイデンティティーを証明できなくなるだろう。ましてや改ざんや、後世を考えずに廃棄をしてしまうと信頼性は言うにおよばず、都市のアイデンティティーすら怪しげなものになる。 現代ドイツの都市は日本に比べると小ぶりなところが多いが、小都市でも自律性と自立性が比較的高い。これは地方分権の傾向をつくる連邦制など、制度的な理由もあるが、公文書の蓄積で作られてきた、「独自の歴史がある自立したわれわれの都市」という感覚のひとつの背景だ。 そして現代においては、自治体はアーカイブを設置する義務と権利を有している』、日本よりはるかに地方分権的なので、国家だけでなく、「自治体」も「アーカイブを設置する義務と権利を有している」のだろう。
・『歴史とアーカイブへの偏執的態度  自治体のアーカイブには行政文書、新聞、書籍、写真、フィルムなどかなりのものを保存している。働いている人たちも専門教育を受けたアーキビストで、修士・博士号の取得者も多い。 アーカイブに保管されているものは、自治体の「物語」とでもいえる歴史の源泉であり、言い換えれば「都市の背骨」である。それが都市のアイデンティティーを作るわけだが、「国」に置き換えてもアーカイブの重要性は十分見いだせるだろう。行政の記録ということ以上に、国や自治体というコミュニティー全体の記憶なのである。 地元のミュージアムや歴史・郷土クラブなどと協力することも多い。節目に展覧会の開催や歴史書が書かれるが、アーカイブがその第一次資料だ。当然のことだが、過去の歴史は時代によって評価が変わる。展覧会や出版される歴史書は、その時代の目で都市の過去を見直すことにほかならない。 同時に人間の行動には時代が変われども普遍的なものもある。歴史をきちんと見るということは、現在と未来を理解するということだ。「歴史的専門知識」を持つアーキビストたちは、こういうことをよくわかっているのだろう。そんな彼らが、大量の行政文書から後世に残すものを選んでいるのだ。 現代において行政文書の保存はデモクラシーにとって重要であることは言うまでもない。同時にドイツの都市を見ていくと、歴史から導かれるアイデンティティー、都市の独立性と信頼性などのためにアーカイブは不可欠という態度がある。これが行政文書を捨てない感覚を作っているのだと思う』、ドイツなどの欧州大陸諸国は、都市国家から出発したので、「歴史から導かれるアイデンティティー、都市の独立性と信頼性などのためにアーカイブは不可欠という態度がある」、日本は江戸時代から明治時代に切り替わる際に、余りに強く中央集権化を図り、地方統治機構も再編成したことが、「アーカイブ」文化を壊してしまったのかも知れない(後半は小生の独断と偏見)。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ 選挙の投票 ダイヤモンド・オンライン 適菜収 上久保誠人 高松 平藏 公文書管理 (その5)(森友問題の背後に透ける「保守派の影響力」と「他国の政治介入」、ディストピアを現実化 安倍政権の正体を忘れてはいけない、行政文書を捨てない「ドイツ」のアーカイブ感覚 専門の教育を受けているアーキビストがいる) 「森友問題の背後に透ける「保守派の影響力」と「他国の政治介入」」 森友学園問題の本質は「保守系の団体」の政治・行政への強い影響力の広がりではないか 赤池氏、池田氏は、「日本会議国会議員懇談会」と「神道政治連盟国会議員懇談会」のメンバー 赤池氏、池田氏は文科省に経緯を照会していたことを認めた上で、「法令違反をした人が教壇に立っていいのか事実確認 世間の焦点は、「安倍夫妻の関与」「財務省の忖度」に集中 「保守系の団体」による政治・行政に対する働きかけが日常的に行われているであるならば、「合法的な陳情」とされた森友学園問題の「書き換え前の文書」に記載されていた政治家の名前も、もう一度見直す必要が出てくるのではないか 保守系の団体は自民党の非常に有力な「集票マシーン」 保守系の団体が、政治家の日常活動への影響力を次第に強めていき、中央の政治・行政への介入が日常的に起こるようになり、官僚が無視できないレベルに達したという、日本社会に起きている深刻な構造的問題と捉えるべき 「南スーダンPKO日報破棄問題」に関してある専門家から聞いた話 防衛省には「日本の市民団体」から多くの情報公開請求が来る。防衛省がその内容を確認すると、明らかに外国の「代理人」として請求していると見られるものが多数ある 防衛省では、国家安全保障の観点から海外に漏洩させたくない情報を、保存せずに破棄 日本の情報公開法は行政機関の裁量権が広い半面、情報公開圧力を強く受ける 外交や防衛など国の安全に関する情報、国民に誤解と混乱をもたらす恐れのある情報、国民のプライバシーを侵害するような事項、捜査に関する情報などは公開できない 「結果的に日本を外国から「丸裸」にする」 「ディストピアを現実化 安倍政権の正体を忘れてはいけない」 ジョージ・オーウェルの近未来小説「一九八四年」 主人公の仕事は公文書の改ざんである。「党」にとって都合が悪い過去の事実を抹消し、新たに歴史を捏造 全体主義国家のパロディーだが、こうしたディストピア(注)をそのまま現実化したのが安倍政権 「行政文書を捨てない「ドイツ」のアーカイブ感覚 専門の教育を受けているアーキビストがいる」 後世に残す文書はアーカイブの専門家が選ぶ 連邦政府のすべての記録は同アーカイブに渡されることが法律で義務化 後世に残すべきかどうか判断する権限は政府ではなく、アーカイブにある 正しい情報が必要で、時には過去の行政文書にあたる必要性も出てくる アーカイブそのものは中世からある ドイツは文書類を大量に作り、何かにつけ文書・証明書類を重要視する「文書国家」 「文書主義」を歴史的にさかのぼると、ローマ時代あたりから見いだすことができる 日本に目を転じると、昔から記録類を残す重要性は認知されており、数々の古文書があるのはその証左だ。むしろなぜ、現代日本がこれほど文書類の扱いがずさんになったのか考察する必要もあるだろう。 しかし本稿ではドイツの強い「アーカイブの感覚」がなぜあるのかについて続ける 中世の都市も文書の保管は大切だった 歴史とアーカイブへの偏執的態度 ドイツの都市を見ていくと、歴史から導かれるアイデンティティー、都市の独立性と信頼性などのためにアーカイブは不可欠という態度がある。これが行政文書を捨てない感覚を作っているのだと思う
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”右傾化”(その11)(古谷 経衡氏3題:1冊3000万円も ネット右翼のビジネスモデル――なぜ私は「愛国商売」と決別したか、「終身会員なら100万円!?」ネトウヨ向け“サロンビジネス”はどのくらい儲かるのか、「左翼に転向した」と叩かれる私が見た“愛国ビジネス”――「保守ムラ」底辺の人びとの金銭事情) [国内政治]

”右傾化”については、昨年10月16日に取上げた。今日は、(その11)(古谷 経衡氏3題:1冊3000万円も ネット右翼のビジネスモデル――なぜ私は「愛国商売」と決別したか、「終身会員なら100万円!?」ネトウヨ向け“サロンビジネス”はどのくらい儲かるのか、「左翼に転向した」と叩かれる私が見た“愛国ビジネス”――「保守ムラ」底辺の人びとの金銭事情)である。

先ずは、文筆家の古谷 経衡氏が11月14日付け文春オンラインに掲載した「1冊3000万円も ネット右翼のビジネスモデル――なぜ私は「愛国商売」と決別したか「保守系言論人」の財布の中身 #1」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/15454
・『現在、テレビ・ラジオなど多方面で活躍する文筆家・古谷経衡氏(37)が、およそ10年前、ブレイクする足場を築いたのがインターネットで新たな展開を見せていた保守論壇だった。いわゆる黎明期の「ネット右翼」である。その後、ヘイトスピーチの温床になった古巣に対し、深い反省をもとに小説として上梓したのが『愛国商売』(小学館文庫)である。現在は「2度とあの業界には戻らないし戻りたくない」と指弾する古谷氏が、小説の舞台となった「愛国ビジネス」の内実を明かす』、元祖「ネット右翼」が現在の「ネット右翼」を批判するこの3部作は、興味深そうだ。
・『「ネット右翼」最も多い職業は中小零細企業の自営業者  私の独自推計で日本全国に200万~250万人存在するネット右翼の中で、最も多い職業は中小零細企業の自営業者で、次に会社役員・管理職などが続く。社会的には中産階級が主流で、決して貧者の巣窟などではない。丸山眞男のいう「日本型ファシズム」を支えた「中間階級第一類(零細企業経営者、工場管理者や主任、独立自営農民、下級官吏など)」とうり二つなのが彼らの実態だ。 もはや「インターネットで右派的な言説やコメントをする人」と定義することが難しくなるほど肥大化したネット右翼は、現在では公道でのヘイトスピーチ、自治体や運営体への脅迫(逮捕者も)、はたまた選挙制度を利用して立候補も行なうなど、到底「インターネットの中で…」という風にくくることが難しくなった。 そこで私は(これまで再三再四様々な媒体で述べているが)ネット右翼の定義を、「保守系言論人(自称)」の言説に無批判にぶら下がる(寄生する)ファン、と再定義することによって解決している。星の数ほど存在する所謂「保守系言論人」は、右傾雑誌・SNS・ネット動画番組の「三位一体」の中で寡占的地位を占めることで、その下に膨大なファン層を獲得することにより、生活の糧にしている。まさにこの無批判に寄生するファン層こそがネット右翼の本体なのである。 では、そのネット右翼に「寄生される」側の保守系言論人が、いかにして彼らから生活の糧秣を搾り取っているのか。その実態はほとんど知られていない。 これは、所謂「保守論壇」に長年身を置いた私にしか書けない分野であろう、という事で今般、そのまさに「愛国商売」ともいえる赤裸々な「保守の世界」の生活構造をエンタメ的に面白おかしく長編小説に仕立て上げたのが拙著『愛国商売』であるが、こちらはあくまで登場人物・法人の全てがフィクションであるので、参考程度に楽しんでほしい。本稿では、保守系言論人の財布の中身の省察、として筆を進めることにしたい』、「日本全国に200万~250万人存在するネット右翼の中で、最も多い職業は中小零細企業の自営業者で、次に会社役員・管理職などが続く。社会的には中産階級が主流・・・丸山眞男のいう「日本型ファシズム」を支えた「中間階級第一類(零細企業経営者、工場管理者や主任、独立自営農民、下級官吏など)」とうり二つなのが彼らの実態」、「ネット右翼の定義を、「保守系言論人(自称)」の言説に無批判にぶら下がる(寄生する)ファン、と再定義」、なるほど。「そのネット右翼に「寄生される」側の保守系言論人が、いかにして彼らから生活の糧秣を搾り取っているのか。その実態はほとんど知られていない」、これは面白そうだ。
・『平均年収440万円よりももっと儲かる  結論を言えば、「愛国商売」は社会通念上、一般的な給与所得者(※平均年収440万円、2018年国税庁調査)よりももうかるし、うまくやればとんでもない額のゼニが転がり込んで来る世界だ。私は5、6年位前から「カネの為に左翼(ネット右翼用語ではパヨク)に転向した」とさんざん言われ続けてきて、その根拠のない謗りは現在進行形で散見される(とはいえ一時期よりはずいぶんと減ったようだが)――馬鹿を言ってはいけない。 純粋にカネのためならば私は保守業界に今でも身を置いていたであろう。彼らと永別したのは、彼らの表現者としての矜持の無さと、物書きや発信者としての知性レベルの貧弱さ、そして界隈全般に漂うむき出しの差別感情に対する、身体的な嫌悪からである。 数年前、ある右派ネット番組局と永別したときの話。局の某責任者に「古谷君は最近ウチを軽視しているようだ」からはじまって小言が多くなり、最終的には事実上のクビを宣告される段になって「古谷君、これから生活はどうするんだい?」などと嫌味を言われたことがあった。でも大丈夫。その後、なんとか生きているし猫3匹を養って庭いじりをやる余裕が出るくらいの仕事量はある。 あの時、平身低頭して右派ネット局に齧り付き、面従腹背でニコニコしながら「保守ムラ」の老人たちに追従する道を取っていたならば、私の財布の中身と貯金残高は潤っていただろうが、ニンゲン・古谷経衡はその時点で死んでいただろう』、「「愛国商売」は社会通念上、一般的な給与所得者・・・よりももうかるし、うまくやればとんでもない額のゼニが転がり込んで来る世界だ」、そんなボロイ商売の秘訣を知りたいものだ。「彼らと永別したのは、彼らの表現者としての矜持の無さと、物書きや発信者としての知性レベルの貧弱さ、そして界隈全般に漂うむき出しの差別感情に対する、身体的な嫌悪からである」、いさぎよい態度だ。
・『「愛国ビジネス」4パターン  さて、話を戻そう。ネット右翼に寄生される「保守系言論人」はどうやって生活をしているのか? 大きく分けて4パターンに分かれる。 (1)出版専業の保守系言論人として(地上波露出なし) (2)信者を囲い込む(各種勉強会、私塾等を主宰) (3)中小零細企業経営者などのパトロンを付ける (4)活動家方面に軸足を置いて任意団体を設立し、寄付や会費を募る である。多くの場合、(1)、(2)、(3)は単独では成立せず、これらの混合型が圧倒的である。(4)は、(1)~(3)にすらなれない、「保守業界(ムラ)」の中でも底辺に位置する言論人がとる常套パターンである。 では、(1)からみていこう。出版業界は1990年代中盤にその最盛期を迎えたが、いわゆる活字離れ・書籍離れと、書店数の漸減により往時の面影は無く、現在その市場規模はピーク時の半分以下(約1兆3000億円)にまで激減した。 こういった出版業界の大不況が「悪貨が良貨を駆逐する」のごとく、良質な本を滅失させ、トンデモ本やヘイト本を粗製乱造させる温床となっていった。嫌韓本もこの中に含まれるが、実際にこう言った類の本は、ゼロ年代後半~2010年代前半に雨後の筍のごとく出ては消え、おおむね2015年以降はヘイト本、嫌韓本ですらもなかなか売れないようになった。 とはいえ、韓国・中国・朝日新聞をぶっ叩くというスタイルの「ホシュの定番本」は、校閲もろくに通さないケースが散見され、筆者の主観と偏見によってスピード出版できるという観点から、現在でも重宝される傾向にあるのは事実である。 嫌韓本、ヘイト本の黄金期、「保守業界ではまだ前座」というレベルの著者でも印刷部数で1万部前後は余裕だった。さすがに現在では6000部くらいにまで落ちているだろうが、新人作家など3000部通すのも至難、というこの出版大不況の時代に「嫌韓」「ヘイト」を旗印に6000部で通すのはやはり優遇である。この場合の収入計算式は以下の通り。四六判(ソフトカバーで最も定番の部類)で定価1300円の場合、通常印税率は10%なので、 1,300円×0.1×10,000部=1,300,000円 1冊出せば130万円の単純収入になる(税等は除く)。また、ヘイト本・嫌韓本の原価は極めて安くつくのも特徴だ。本を書いている著者自身が、取材などに一切行かない場合が多く、ネットで拾ったコピペや妄想で書いているから、原稿執筆にあたって経費がかからないのである』、「原稿執筆にあたって経費がかからない」、というのは確かだろう。
・『訪韓経験ゼロで韓国経済を語って「3000万」  私など、韓国に一度も行ったことがないのに「韓国経済は崩壊する」という類の本を書いて20万部当てた自称経済評論家を知っている。韓国経済のことを一冊の本にするのに、一度も韓国に行かなくて良いのだから、取材費が全くかからない丸儲けである。実に羨ましい。この場合の推定収入計算式は以下の通り。 1400円×0.1×200,000部=28,000,000(本体定価を1400円、印税を10%として) テキトーにネットで拾い読みした嫌韓情報を現地に行かずに書いただけで、一発当てれば約3,000万円の世界である。これが印税を8%に下げて推定したとしても約2,240万円。千葉や埼玉なら新築が買える。そう、嫌韓本で一山当たれば家が買えた時代があったのである。これをボロ儲けといわずして何というのだろうか? むろん、印刷部数20万部、という数字は、さらにますます出版不況の度を増している現在にあってはなかなか出ない数字ではある。しかし、3万部以上8万部未満、というクリティカルヒットならば、まだまだこのヘイト本や嫌韓本の世界では「ありうる」部数であり、要するにみんなこの一発を狙って、必死なのである。 彼らは、一発当ててしまえば、次作、次次作は当然のこと、「売れる」企画に餓えた出版社から10冊くらいオファーが殺到するので、基本的には何年も食いっぱぐれがない。「愛国商売」とは本当に楽な稼業ときたものだ。実に羨ましい。(#2、#3に続く)』、「訪韓経験ゼロで韓国経済を語って「3000万」」とは、「「愛国商売」とは本当に楽な稼業」なようだ。

次に、この続きを、11月16日付け文春オンライン「「終身会員なら100万円!?」ネトウヨ向け“サロンビジネス”はどのくらい儲かるのか「保守系言論人」の財布の中身 #2」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/15529
・『・・・第2回は、保守系言論人が主催する各種勉強会、いわゆる「私塾」の旨みを解説する(全3回の2回目/#1、#3を読む)』、「各種勉強会」ごときで儲かるものなのだろうか。
・『「信徒囲い込みビジネス」こそ生活の中核  ネット右翼に寄生される「保守系言論人」はどうやって生活をしているのか? 前回4パターンを紹介した。 (1)出版専業の保守系言論人として(地上波露出なし) (2)信者を囲い込む(各種勉強会、私塾等を主宰) (3)中小零細企業経営者などのパトロンを付ける (4)活動家方面に軸足を置いて任意団体を設立し、寄付や会費を募る そして地上波テレビには滅多に出ない(出られない――ただしネット番組を除く)が、出版の世界の中では不況を救う救世主として大きな権勢を誇る(1)「出版専業の保守系言論人」の生活や収入について書いた。 前回、嫌韓本を20万部当てると推計で、その印税収入は約3,000万円としたが、正確に言えばここから翌年度以降、各種税金が差っ引かれるので、いかに原価がタダ同然だったとしても、3,000万円が丸々著者の手元に残るわけではない。 よしんば、ほぼ全額が残ったとしても、3,000万円の財貨で5年、10年は安泰だとしても、50年は持つまい。そこでこういった保守系言論人は、出版という一発屋的な「水モノ」に頼らない、「恒常的な集金装置」を創り出すことに躍起となる。それが、各種勉強会、私塾と名を打った(2)エンクロージャー(信徒囲い込み)ビジネスである。実はこの商法こそ、保守系言論人にとって最も重要な生活の中核なのである。 「貴方だけの」「特別な」「真実の」で勧誘(保守系言論人が主催する各種勉強会、私塾というのは、ちょっと前に流行った(――或いは今でも?)オンラインサロンの走りであると考えれば理解がしやすいであろう。勉強会に来たり、私塾の会員になれば「貴方だけに特別の情報を教えますよ。マスコミや学校では教えない、真実の歴史や社会や経済のことが分かりますよ」という点においてある種宗教的でもある。 特定の保守系言論人に無批判に追従するネット右翼は、磁石に張り付く砂鉄のように、こういった「貴方だけの」「特別な」「真実の」を謳う会や私塾の勧誘に弱い。元来ネット右翼は虫食い状の歴史知識しか持っておらず、体系的なオピニオンを自ら生成することができない。よってどこかで誰かが言っていた言説をコピペする性質があるから、まさしくこの勉強会・私塾は寄生者にとって格好の「カンダタの糸」(注)である』、「保守系言論人は、出版という一発屋的な「水モノ」に頼らない、「恒常的な集金装置」を創り出すことに躍起となる。それが、各種勉強会、私塾と名を打った(2)エンクロージャービジネスである。実はこの商法こそ、保守系言論人にとって最も重要な生活の中核」、上手いこと考えたものだ。
(注)カンダタの糸:芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」で、地獄に落ちたカンダタという名の泥棒の男が、蜘蛛を助けたことがあったことから、釈迦がこの男に手を差し伸べるという話(Wikipedia)
・『「私塾」はどのくらいの収入になるのか?  実際に保守系言論人のほとんどが、何らかの形でこの勉強会・私塾を運営しているのが現状である。その規模は数十名から数百名以上と幅広く、月会費も数千円から数万円など、中心価格帯を見出すのはなかなか至難の業であるが、多くの保守系言論人は、出版と併用して、自らの勉強会・私塾に会員を誘導するパターンが多い。 現在では、とりわけネット動画(ネット番組)への出演を一種の出演広告として、自らの勉強会・私塾に間接誘導するのが定石となっている。こういった込み入った利権事情は、拙著『愛国商売』のなかにエンタメとして縷々出てくるのだが、こちらは小説であるから本稿では真面目な省察として考える。私塾の会費が3,000円/月で会員が50名という、比較的小規模・低料金の勉強会の月額収入を想定すると、 3,000円×50人=150,000円 である。月に15万円。額としては小ぶりに思うかもしれないが、年に換算すると180万円。けっして馬鹿にできる金額ではない。そもそも、40年間国民年金保険料を毎月律義に遅滞なく納めて、やっとこさ老後貰える国民年金の満額が月額約65,000円なのだから、15万円/月というのは安定した収入だと言えるだろう』、「比較的小規模・低料金の勉強会の月額収入」が「15万円/月」、収入の下支えにはなるだろう。
・『私塾には明確な目標がない  またこれらの勉強会や私塾の運営費には、原価というものがほとんどかかっていない。オンラインサロンと同様、これらの会はネット上で会員入会から会費決済までを完結している場合が多く、かかるのはシステム運営費くらいのものである。 ただし、主催者である保守系言論人との交流が必須となってくるから、都内交通至便地域などに貸会議室を都度借りる室料というのがしいて言えば原価となろう。 また、学習塾や予備校と違って、保守系言論人の主催する私塾には明確な目標や目的が定まっていない。単なるネット右翼を相手としたファンサービスにすぎないからである。学習塾や予備校は、偏差値の向上、試験の結果、そして志望校の合否という、年限の定まった最終目標があるのでその消費者による査定はシビアにならざるを得ない』、「単なるネット右翼を相手としたファンサービスにすぎない」、それでも会費を払って集まる「ネット右翼」とは不思議なグループのようだ。
・『「終身会員100万円より」  私がリサーチしたところ、某保守系言論人の主催する勉強会は、一般会員年間12,000円(月額1,000円)、賛助会員年間5万円(月額約4,000円)というのがあって、まあ標準的な部類と思ったが、最後に「終身会員100万円より」と書いてあって思わずウーロン茶を吹き出してしまった。凄まじい商魂である。どこかの篤志家が1名入会するだけでただ100万円が降ってくるのだ。 この終身会員の「終身」というのは、篤志家の寿命を言うのか。はたまた保守系言論人の寿命を指すのか。篤志家よりも早く主催者が死んだらどうなるのだろうか? 大した説明もなく「100万円より」と書くところが私にはすさまじいエセ商人の魂魄を感じる処である。 そして当該勉強会はどうかわからないが、この手の勉強会や私塾では会費や追加費用をその場で現金にてやり取りするケースも多々見受けられる。その収入は税務申告されているのかどうか、私は知らない』、「大した説明もなく「100万円より」と書くところが私にはすさまじいエセ商人の魂魄を感じる処である」、同感だ。
・『「中小企業経営者」というパトロン  しかしまあ、適当に話して、アイドルでも何でもない右傾おじさんが、毎月ファンから15万とか20万とかが定期で入ってくるのだから、こんなに楽な商売はないとは思わないだろうか。 それは私塾の参加者の主体であるネット右翼が、何を隠そう中産階級だからに他ならない。こういう私塾に参加する中年のおじさんには中小零細企業経営者が多い。さらにその中から、熱狂的に保守系言論人を思慕し、既定の会費を超えて、自分から積極的に寄進し、金銭的便宜を図ることを名乗り出てくるものがいる。先に述べた「(3)中小零細企業経営者などのパトロンを付ける」だ。 中小零細企業経営者の中でも、社員が10名以上100名未満、という絶妙な規模であって、しかも自身は創業者ではなく、二代目、三代目、という経営者には、この手のエンクロージャー商法に嵌って、いわれもしないのにパトロン、スポンサーを買って出る人が少なくない。 私の知っているこの手の経営者には、わざわざ自社のウェブサイト1ページ目に保守系言論人の講演会情報などを堂々と載せていたりする例がある。その保守系言論人の講演会情報が、自社の製品と少しでも関連があるモノや話題ならばまだしもわかるが、自社と全く関係がないどころか、ガソリンとトマトジュースぐらい異質なものを堂々と併記して憚らないこの経営者の経営感覚の無さというか、異常な塩梅を疑う。 良く調べてみるとやはり、くだんの経営者は三代目で創業者ではなかった。創業者はきっと墓の下で泣いているだろう。 誰か1人でもパトロンを見つけさえすれば、ひょっとしたら一生食っていけるかもしれない。出版は二の次で、保守系言論人がせっせと私塾の経営に奔走するのはこうしたうま味が無尽蔵に広がっているからだ。「愛国商売」とは本当に楽な稼業ときたものだ。実に羨ましい。(#1を読む/#3に続く)』、「誰か1人でもパトロンを見つけさえすれば、ひょっとしたら一生食っていけるかもしれない。出版は二の次で、保守系言論人がせっせと私塾の経営に奔走するのはこうしたうま味が無尽蔵に広がっているからだ」、信じられないような世界だ。

第三に、この続き、11月21日付け文春オンライン「「左翼に転向した」と叩かれる私が見た“愛国ビジネス”――「保守ムラ」底辺の人びとの金銭事情「保守系言論人」の財布の中身 #3」を紹介しよう。
・『・・・最終回は、「保守ムラ」最底辺の人びとがいかに生業を営んでいるかを解説する(全3回の3回目/#1、#2より続く)』、興味深そうだ。
・『狙い目は「地方の市議会議員」  本稿では、保守系言論人の「愛国商売」下記4パターンのうち、 (1)出版専業の保守系言論人として(地上波露出なし) (2)信者を囲い込む(各種勉強会、私塾等を主宰) (3)中小零細企業経営者などのパトロンを付ける (4)活動家方面に軸足を置いて任意団体を設立し、寄付や会費を募る  「(4)活動家方面に軸足を置いて任意団体を設立し、寄付や会費を募る」という形態を見ていくことにしよう。#1で、私はこの手法を採るのは「保守業界(ムラ)の中でも底辺に位置する言論人」であると書いたが、実際にそうである。 保守系言論人の「夢」である出版媒体で一発も当たらず、「小ヒット(1万~3万部未満での重版等)」さえ出せず(そもそも筆が遅い&文章構成力がない)……それが故にと言うべきか、#2で書いた勉強会・私塾を運営するという方法でのエンクロージャー(信徒囲い込み)商法も上手くいかない、という鳴かず飛ばずの保守系言論人は、大体においてこの活動家方面に行く。 拙著『愛国商売』の中でもある男が、右派のネットワークを通じて地方の市議会議員に立候補する策謀をめぐらす場面が出てくる。現実にも、保守界隈(ムラ)の人的リソースを最大限に活用して、人口5万~50万人くらいの、中堅都市の市議会議員に立候補して生活を成り立たせようという者は大勢いる。 むろん、市議会議員への立候補=被選挙権の行使は国民に認められた権利だ。なぜ右派のネットワークを通じて地方の市議会議員に立候補する策謀をめぐらすのか。それは選挙告示時にポスターを張ったり、チラシを配ったりする、なんやかやのボランティアスタッフが、いくら小さな市であったとしても、最低限度必要だからである。 そのネットワークは、政治的イデオロギーで結びついている保守界隈から都合をつけるのが、一番手っ取り早い。そういう目論見で、出版人にも教祖にもなれない保守系言論人は、尖閣に公務員常駐とか、憲法改正して国防軍にとか、韓国に対して物言う姿勢をとか、およそ地方議会議員としては疑問符が付くようなことをまくしたてれば、ボランティアの5名や10名は集まってくるのだから楽ちんである。 そうしてこういった者が、あっけらかんと最下位付近で当選してしまうのも現実で、これはもう、右派がどうのという以前に、日本の地方自治のあり方が問われていると思う』、「尖閣に公務員常駐とか、憲法改正して国防軍にとか、韓国に対して物言う姿勢をとか、およそ地方議会議員としては疑問符が付くようなことをまくしたてれば、ボランティアの5名や10名は集まってくるのだから楽ちんである」、「地方議会議員」にこのような輩が紛れ込んでいるとは、思いのほか広がりがあるようだ。
・『右派の政治目標「ウ台在」とは  さらに、議員立候補の方面に行かない「保守業界の底辺」にいる保守系言論人は、右傾雑誌・SNS・ネット動画という「三位一体」の中で細々と原稿を書いて口を糊する場合が多いが、最も多いのが強烈なオピニオンを打ち出して政治活動のための寄付を募るというやり方である。 私が「ウ台在(うたいざい)」と呼んでいる右派特有の政治活動目標がある。ウはウイグル問題の「ウ」、台は台湾独立の「台」、在は在日コリアンの「在」で、この三つのどれか一つを政治目標として強烈にアピールすることにより、原稿やネット番組での出演収入と共に、支援者からの寄付で自らの生活を支えていこうという不埒な者が使う手である。 そもそも、これらは法人格を持たない任意団体が圧倒的で、自分のブログ兼ウェブサイトに堂々と寄付口座を明示している場合が多く、収入の実態がどうなっているかの監視体制はない。 むろん、ウイグル問題、台湾独立(――というか、反中国共産党)問題でまじめにやっている活動家もいるのだろうし、私は彼らの全てを否定するわけではないが、寄付の使途を公開している例を私は寡聞にして聞かないので、生活と混同してしまっていると疑われても仕方ないのではないか。 また「ウ台在」の最後の「在」については、在日コリアンへのヘイトスピーチが主体であり、政治活動ではなく単なる差別扇動であるが、寄付から生まれたのが在特会(在日特権を許さない市民の会)であることは知っておいたほうが良いだろう』、「寄付の使途を公開」しなくても、寄付が集まるのも不思議だ。
・『ほぼ寄付だけで運営されていたネット放送局  最後に、私は事実上支援者からの寄付だけで運営されていたネット放送局について小項を割かなければならないと思う。この局は、#1で「古谷君、これから生活はどうするんだい?」などと嫌味を言われた局と同一である。 この局の凄いところは、番組制作費の大半を寄付で賄っているばかりか、別口で政治団体を作り、そこでも寄付を募っていたことである。やれ「NHKを訴える」、やれ「尖閣諸島に行く船を買う」、やれ「朝日新聞を訴える」……。何か活動があると、必ず支援者から寄付を募り、しかもその額は数百万円ではなく、もっと上の、数千万円から億に到達する金額である。 ここでも、彼らを支えるのは中高年の中産階級の男性で、自営業者が極端に多い。私は政治活動をするのにカンパを集めるのが「まるで商売の様だ」と揶揄するつもりはない。だが、時としてそういった風に思える、思われてしまうことを誰が否定できようか、と問うているだけである。 当該局にしたところで、寄付先は番組と政治団体で厳格に分けられていると主張するが、寄付で賄われている政治団体の活動の様子を番組で紹介し、番組制作スタッフに給与が支払われているのだから自家消費といえなくもない。ようするに、民間の政治活動における寄付は、どこからが純然たる政治活動で、どこからが「商売的である」のかを線引きすることが極めて難しいという事だ』、「支援者から寄付を募り、しかもその額は数百万円ではなく、もっと上の、数千万円から億に到達する金額である」、よくぞカキ集められるものだ。「政治団体」であれば、本来は政治資金規正法に従って収支を届け出る必要があるが、もともとがザル法なので、実効性が乏しいのだろう。
・『なぜ私は「愛国商売」と決別したか  以上、3回にわたって、保守系言論人がどうやって生活しているのか、を省察してまとめて筆を進めてみた。実際にはもっと細かい類型があり、当然個々別々の事情が勘案されるので、私の書いたことが全ての事例に当てはまる、というものではない。 地上波に出ることはもとより、右傾雑誌に寄稿する事すらも筆不精で面倒だが、ネット番組では好き放題なトンデモ政権擁護発言をする、という正真正銘の「自称」保守系言論人の収入源を調べていくと、一生涯働く必要がない評価額の都内一等地の土地の所有権者であり、その上に建てたビルのテナント収入で何不自由なく暮らしていたり、或いは大手上場企業を退職して悠々年金暮らしをして後顧の憂いが無いから好き勝手に差別活動をやっています、という人物もいる。 100人の商人(あきんど)が居れば、100通りの商売がある。「愛国商売」にも、愛国の名をかさに着て、保守や祖国を叫ぶ人々の数だけ、独特の商法があると思ってよろしいが、大体が本稿で書いた通り、4つのパターンのどれかに当てはまるのが常である。しかしこの「愛国商売」を概観すると、はっきり言って他の商売よりも楽だと思う。商圏調査も要らない。客単価の向上に努める必要もない。なにより原価がかからない。 #1の記事冒頭で述べた通り、私は5、6年前から、かつて「同じ釜の飯を食」った人々から「カネの為に左翼(ネット右翼用語ではパヨク)に転向した」といわれる。私から言わせると、差別と品性下劣の宴会芸に堕落して転向したのはそっちの方で、私は小学生のころからタカ派で何も変わっていないと言いたい。 なにより、カネを優先するなら今でも我慢して保守論壇(ムラ)の辺境に居を構えていたであろう。 私は他人を騙し、或いは隣国人を傷つけてまで、ガラクタを高く売りつける商人にだけはなりたくないだけだ。そんなものは商人の風上にも置けぬ。(#1、#2を読む)』、さすが気骨のある「タカ派」の面目躍如だ。この連載を通じて「ネット右翼」の実態が掴めた気がする。
タグ:政治資金規正法 ”右傾化” 文春オンライン 古谷 経衡 (その11)(古谷 経衡氏3題:1冊3000万円も ネット右翼のビジネスモデル――なぜ私は「愛国商売」と決別したか、「終身会員なら100万円!?」ネトウヨ向け“サロンビジネス”はどのくらい儲かるのか、「左翼に転向した」と叩かれる私が見た“愛国ビジネス”――「保守ムラ」底辺の人びとの金銭事情) 「1冊3000万円も ネット右翼のビジネスモデル――なぜ私は「愛国商売」と決別したか「保守系言論人」の財布の中身 #1」 『愛国商売』(小学館文庫) 「ネット右翼」最も多い職業は中小零細企業の自営業者 ネット右翼に「寄生される」側の保守系言論人が、いかにして彼らから生活の糧秣を搾り取っているのか 平均年収440万円よりももっと儲かる 「愛国ビジネス」4パターン (1)出版専業の保守系言論人として(地上波露出なし) (2)信者を囲い込む(各種勉強会、私塾等を主宰) (3)中小零細企業経営者などのパトロンを付ける (4)活動家方面に軸足を置いて任意団体を設立し、寄付や会費を募る 出版業界の大不況 良質な本を滅失させ、トンデモ本やヘイト本を粗製乱造させる温床となっていった 著者自身が、取材などに一切行かない場合が多く、ネットで拾ったコピペや妄想で書いているから、原稿執筆にあたって経費がかからない 訪韓経験ゼロで韓国経済を語って「3000万」 「「終身会員なら100万円!?」ネトウヨ向け“サロンビジネス”はどのくらい儲かるのか「保守系言論人」の財布の中身 #2」 「信徒囲い込みビジネス」こそ生活の中核 各種勉強会、私塾と名を打った(2)エンクロージャー(信徒囲い込み)ビジネスである。実はこの商法こそ、保守系言論人にとって最も重要な生活の中核 「私塾」はどのくらいの収入になるのか? 私塾には明確な目標がない 「終身会員100万円より」 「中小企業経営者」というパトロン 誰か1人でもパトロンを見つけさえすれば、ひょっとしたら一生食っていけるかもしれない。出版は二の次で、保守系言論人がせっせと私塾の経営に奔走するのはこうしたうま味が無尽蔵に広がっているからだ 「「左翼に転向した」と叩かれる私が見た“愛国ビジネス”――「保守ムラ」底辺の人びとの金銭事情「保守系言論人」の財布の中身 #3」 狙い目は「地方の市議会議員」 保守系言論人は、尖閣に公務員常駐とか、憲法改正して国防軍にとか、韓国に対して物言う姿勢をとか、およそ地方議会議員としては疑問符が付くようなことをまくしたてれば、ボランティアの5名や10名は集まってくるのだから楽ちんである 右派の政治目標「ウ台在」とは ほぼ寄付だけで運営されていたネット放送局 何か活動があると、必ず支援者から寄付を募り、しかもその額は数百万円ではなく、もっと上の、数千万円から億に到達する金額である どこからが純然たる政治活動で、どこからが「商売的である」のかを線引きすることが極めて難しいという事だ なぜ私は「愛国商売」と決別したか 差別と品性下劣の宴会芸に堕落して転向したのはそっちの方で、私は小学生のころからタカ派で何も変わっていないと言いたい 私は他人を騙し、或いは隣国人を傷つけてまで、ガラクタを高く売りつける商人にだけはなりたくないだけだ。そんなものは商人の風上にも置けぬ
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日本の政治情勢(その39)(京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る“最悪カップル”、「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由、「桜を見る会」「身の丈」「上級国民」……“選民意識”で見る2019年の日本と政治、「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害) [国内政治]

日本の政治情勢については、昨年12月29日に取上げたばかりだが、今日は、(その39)(京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る“最悪カップル”、「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由、「桜を見る会」「身の丈」「上級国民」……“選民意識”で見る2019年の日本と政治、「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害)である。

先ずは、昨年12月29日付けYahooニュースがFRIDAY DIGITAL記事を転載した「京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る“最悪カップル”」を紹介しよう。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191229-00000001-friday-soci
・『「いま、医療に携わる人間の中で、最も評判が悪いのが、大坪寛子・厚生労働省大臣官房審議官(52)でしょう。彼女は慈恵会医科大学から厚労省に入った医系技官ですが、医師としての実力はたいしたことはありません。ところが、菅義偉官房長官の信頼が厚い和泉洋人・首相補佐官(66)と極めて近い関係になったことで、とんでもない権力を握ってしまったのです」(厚労省の行政に詳しい医師)・・・今年8月に和泉補佐官と大坪氏は、山中伸弥教授が所長を務める京都大学iPS細胞研究所を訪問。予算削減を一方的に通達し、山中教授を「恫喝した」と医薬専門メディアで報じられた。一方の山中教授は会見を開いて予算削減の理不尽を訴え、最終的に削減は見送られる見通しになった。そこに週刊文春が二人の京都旅行と銀座デートを報じたのだ。 「和泉補佐官と大坪氏の『ただならぬ関係』が厚労省内で噂されるようになったのは、夏頃でした。内閣官房に出向していた大坪氏は7月に厚労省に戻ってきて、審議官に抜擢されます。しかし、課長になったことのない大坪氏が、なぜ(課長よりも上の)審議官をやるのかと話題になり、和泉補佐官と『昵懇(じっこん)の仲』だったことが判明した」(全国紙厚労省担当記者)』、驚くべきスキャンダルだ。しかも、「山中教授を「恫喝した」」とは・・・。
・『前出の医師が続ける。 「山中教授と同じような手口で予算をカットされた『被害者』の話はよく耳にします。厚労省には自由に使える数十億円規模の『調整費』というものがあり、大坪氏がその予算を握っている。そのため、彼女の傍若無人な振る舞いを知っていながら、誰も表立って批判することができないのです。ただ、疑問なのが、なぜ彼女はそんなに権力を行使したいのか、ということ。威張りたいだけで日本の医療行政がねじ曲げられているとしたら、彼女の罪は大きいと思います」 それにしても、この「最悪カップル」がこれほどの権力を握っているのはなぜか――。『官邸官僚』の著書があるジャーナリストの森功氏はこう説明する。 「和泉補佐官は菅官房長官の腹心と言われ、その威光を背景に自分の好きなように政策を進めてきました。元々は国土交通省の技官ですから、国土交通分野の政策には以前から強かったのですが、最近はそれに限らず、『官邸官僚』として省庁に関係なく首を突っ込んでいて、医療分野まで牛耳ろうとしているのです」 無能な人物が能力以上の権力を握ると組織を根っこから腐らせる――。そんな恐ろしい状況が、この国の中枢で進行しているようだ』、「厚労省には自由に使える数十億円規模の『調整費』というものがあり、大坪氏がその予算を握っている」、「「和泉補佐官は菅官房長官の腹心と言われ、その威光を背景に自分の好きなように政策を進めてきました・・・最近は・・・『官邸官僚』として省庁に関係なく首を突っ込んでいて、医療分野まで牛耳ろうとしているのです」、いやはや安倍政権の『官邸官僚』の傍若無人ぶりは酷いものだ。長期政権の歪の典型だ。

次に、12月31日付け文春オンラインが掲載したプチ鹿島氏と地獄耳師匠の対談「「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由 プチ鹿島×地獄耳師匠 #1」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/22687
・『永田町や霞ヶ関のあちこちで政界の情報に耳をそばだて、問題点に切り込む日刊スポーツの名物政治コラム「政界地獄耳」。時事芸人・プチ鹿島が「地獄耳師匠」と敬愛してやまない執筆者(K)とは一体何者なのか? 今回は、立場や顔を明かさないことを条件に対談が実現。表面だけではわからない、政界の裏の裏をスポーツ紙でとことん書き続ける意味を聞いた(全2回の1回目/後編に続く)』、私は「日刊スポーツ」を購読してないので、初めて知ったが、興味深そうだ。
・『“永田町読者率”の高さ  鹿島 日刊スポーツのコラム「政界地獄耳」は与党だけじゃなくて野党にも厳しいし、永田町のディープなネタだけじゃなくて、ツイッターなどのネットの話題も放り込んできますよね。僕は新聞読み比べの原稿で敬意を込めて、「地獄耳師匠」と書かせてもらってます。「政界地獄耳」のコラムが出るたびに、永田町界隈でものすごく話題になっているという噂を耳にしたんですが、それは本当ですか? 地獄耳 私も知らなかったんです。スポーツ新聞ですから日本中に配られているんですけど、最初に「あれ?」と思ったきっかけは、朝のラジオ番組で紹介され始めたことですかね。一般紙にも書いていないことや、いささか踏み込んで書いた内容について、だんだん朝も昼も取り上げられるようになって、「また、地獄耳が読まれてたぞ」という話を人づてに聞くようになりました。そのうち、“永田町読者率”が高いことが分かってきたんです。 鹿島 永田町読者率! どんなリアクションがあるんですか。 地獄耳 まず誰が書いているのか分からないので、中身よりも「こいつは誰だ」と。 鹿島 コラム末尾の(K)という署名しか手がかりがないから、変な話、犯人探しみたいなことが始まるわけですね。 地獄耳 永田町はまずそういうところから入るものですから。それから、国会内にある国会対策委員会(国対)の部屋では、その日の政治記事を閲覧できるよう、徹底的に切り抜かれていて、「政界地獄耳」を国対でむさぼり読む人もいるらしいんですよ。 鹿島 すごいですね。そういえば週刊誌にスキャンダルが出たりすると、その記事のコピーを読むまぬけな姿を後ろから撮られてる国会議員が時々います。 地獄耳 よくあるでしょ。だいたいどの党でも国対に行けば記事が読めて、各社の記事を読みやすく綴じてあるようです。 鹿島 そういうのは、捨てないでちゃんと保存してあるわけですね(笑)。 地獄耳 まずい資料は1週間以内に急いでシュレッダーにかけて捨てると。まあそういう訳で、「政界地獄耳」は何人で書いているか分からないとか、年齢不詳だとか、今でもいろんな噂がたくさんあるようです。 鹿島 いいですね、気になる覆面レスラーみたいです。永田町じゃなくて、一般の読者から反響は来てますか? 地獄耳 私のところへ直接には来ないんですが、新聞社には電話で応援コメントをいただいたり、「もっと正論をやってくれ」というご意見もあるようですよ。あとは当事者の人たちからの文句とかね(笑)。 覆面はたまにもげそうになるんだけど、何とかまだ取られていないという感じで……。とはいえ、もう十数年続けているので、本気で探している人もいないみたいだということも分かってきました』、「スポーツ新聞」に有名な政治コラムがあって、「もう十数年続けている」とは本当に驚かされた。ちなみに、ウェブ版のURLは以下
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/
・『コラムは雨の日も風の日も、台風の日も、新聞休刊日にも  鹿島 そもそも、地獄耳師匠はいつからこのコラムを書いているんですか? 地獄耳 第一次安倍政権発足後くらいですかね。 鹿島 ある意味、安倍政権とともに地獄耳師匠はあるわけですね。 地獄耳 そうなんです、これはポイント。それから実は、「政界地獄耳」のコラム自体は1990年10月から続いています。初代からたすきをつなぎながら、そろそろ30周年という長寿コーナーなんです。 鹿島 じゃあ(K)さんが書き始めた当時、そのことは読者にあまり伝わらずに……。 地獄耳 だって匿名ですから、告知がないんですよ。何事もないように変わりました。そのうちに、「何か変わった?」みたいなことを言われ始めて。 鹿島 じわじわ伝わっていったと。それぞれの書き手によって、少しずつ芸風も変わってきそうですもんね。すごいなと思うのは「政界地獄耳」って、長谷川町子さんの4コマ漫画ぐらいの勢いで、ほとんど毎日載ってますよね? 今ではウェブ版にも掲載されていますし。 地獄耳 これ、本当に大変なんですよ。厳しい新聞社でして、日曜以外は雨の日も風の日も、台風の日も、新聞休刊日にも書かされるんです(涙)。 鹿島 僕、そういう日はコンビニとかキオスクで買ってます。新聞ってだいたい朝、読むじゃないですか。あの朝読む時にちょうどいいあんばいの情報というか、「あ、これについて読みたかったんだよ」というテーマで書かれていることが多くて。 地獄耳 ありがとうございます。もちろん明日の朝の雰囲気がどうなっているかな、ということも考えますし、タイムリーなネタを入れたいから、どうしても書きだめができないんですよ。 鹿島 となると、年末年始もお休みどころではないですか? 地獄耳 元旦は書かないですが、大晦日は書いてますね。通常は700字から800字(400字詰め原稿用紙2枚程度)くらいで、スペシャルなんかの時は1200字以上。まずネタを何にするか悶々として、最後の5行でまた迷うんですよね』、「元旦」以外は毎日書いているとは大したものだ。
・『意識高めの人が「政界地獄耳」をSNSでシェア  鹿島 現象として見ていて面白いのが、スポーツ新聞を買わないような感じの人が、「政界地獄耳」の内容をSNSで意識高めにシェアしたりツイートしたりしてるんですよね。そういうの見かけると、ほら、スポーツ新聞て面白いでしょ? ってニヤニヤしちゃいます。 コラムでは、まだ新聞には反映されていないようなネットで議論になっていることやSNSの動向もこまめに注目して、取り上げていますよね。情報収集の秘訣はありますか。 地獄耳 情報収集というか、先ほど言ったような“永田町読者率”の高さが分かってきた時に、彼らが持っていないものはネットの情報だと直感したんです。 鹿島 なるほど。最近では、毎日新聞や東京新聞がネットで議論や話題になっていることを取り上げていますけど、僕が見ている限りでは、地獄耳師匠のほうがそのことに気付いたのは早かったんじゃないかと。 地獄耳 玉石混交ではあるけれども、いわゆる大手マスコミよりも2歩3歩進んだことが書いてあったり、もっと言うと、ネット民の調査能力のすごさには脱帽することがあって。ただ単に「ネットにはこんな話がある」では、怪しい情報でも何でも紙に載せてしまうことになるので、そう簡単にはいきません。つまり、ネット世論というのが一般の世論とは別のところにあることを、永田町の読者に伝えたいと思ったんですね』、ネットの記事をフェイクニュースにならないよう検証した上で、掲載しているのだろう。
・『今の政治家には“デジタルどぶ板”も必要  鹿島 じゃあ「政界地獄耳」を読んで「ネットではこんな論議になっているのか」と気付く政治家が普通だったり。 地獄耳 というか、国会議員の中には、ネットというのは怪情報や未確認情報の渦で、いい加減な話が飛び交っている場所だと思い込んでいる人も多いんです。いまだにネットは敵だと思っている議員もたくさんいると思います。 でも一方で、ネットをうまく自分のものにしていかないと、今の政治家はやっていけないはずなんです。 鹿島 僕も絶対にそうだと思います。 地獄耳 自分たちの手に届く話だけを知っていればいい時代は、とっくに終わっているんですよね。事実、今年の参議院選挙ではネットマーケティングを上手に使った、れいわ新選組の山本太郎やN国党の立花孝志、立憲民主党の須藤元気のような人たちが、グンと注目されて伸びた。もともとYouTubeなどを利用して自分のやっていることを見せてきた人たちです。 参議院の比例代表では、何年も前から公認が決まっていて、汗をかきながら全国行脚を続けてきた人たちよりも、よっぽど票を獲得したわけです。一見、お手軽に見える方法かもしれないけれども、彼らはネット世論のつかみ方を知っている人たちでもあった。 鹿島 もちろん、田中角栄や小沢一郎氏のように、一軒一軒回って靴底をすり減らして……というやり方も、いまだに効果があるとは思います。でも、ネット空中戦をやるにはマーケティングも必要だし、同じぐらい“デジタルどぶ板”が必要なんですよね。 地獄耳 デジタルどぶ板、その通りなんです。もっと言うと、毎朝、駅頭に立って演説をやってます、という人が悪いわけじゃない。こういう地上戦も続ければいいんですけど、同時にネットも取り入れたら票は倍になるんです。“リアルどぶ板”ではリーチできない人まで、投票してくれる可能性が広がるかもしれない。これを理解した人と、そうじゃない人。その分かれ道が、はっきりした参院選だったような気がしますね。 鹿島 ネットの議論を「政界地獄耳」が取り上げることで、それが実は永田町では「ほら、こんな世界があるらしいぞ」という窓口になっているわけですね。 地獄耳 もしかしたら、そういう役割はあるかもしれないです』、「今の政治家には“デジタルどぶ板”も必要」、確かにその通りなのだろう。
・『「どうよ」で聞き出す雑談力  鹿島 永田町という独特な世界に住んでいる人に話を聞くにあたって、地獄耳師匠の独自の取材方法を教えてください。 地獄耳 今時こんな言い方をする人はいないかもしれませんけど、私は「廊下とんび」といって、議員会館のいろんなところをのぞきに行くんですよ。「どうもどうも」って。ところが、王道の政治部の記者って、与党の岸田派だとか細田派担当だとか、派閥が決まっているので、例えば今、与党担当なのに共産党の部屋をのぞいたりすることはできないんですよね。 鹿島 そうか、スパイ扱いされちゃいますもんね。 地獄耳 私は長くやっているので、そんな風にふらふらと無駄な雑談をする中で、例えば「こんな怪文書があるよ」と。 鹿島 はあ~。確かに、雑談力ってものすごく大事ですよね。単刀直入に「この事案について聞きたい」って言っても、正攻法かもしれませんけど、相手は身構えますもんね。 地獄耳 したことないですね。そんな聞き方で、本当のことを言うとは思えないし。 鹿島 地獄耳師匠は、どんな質問の仕方をするんですか。 地獄耳 うーん、例えば議員がいない間、秘書の人たちと雑談していて、「どうよ」とか。 鹿島 ああ、いいですね。地獄耳っちゃ地獄耳ですけど、雑談師匠でもあるわけですね。でもここで言う雑談って、すごくのんびりしたイメージもありますけど、実はヒリヒリした情報戦かもしれない。 地獄耳 聞いたその日に書くことは、あんまりないですけどね。国会議員の部屋で椅子を借りて書く日もあれば、喫茶店で書いている日もあるし。電源があればどこでも書けます。 鹿島 そうか、地獄耳師匠はどこで書いているか分からない。これもファンからするとロマンがありますね。僕、新聞の社説って、絶対にふかふかの椅子に座って、暖かくて広い部屋で書いているだろうというイメージがあるんです。 地獄耳 私は、雑談しながら書いちゃう時もありますからね。時間がない時とか。 鹿島 ああ、面白い。神出鬼没、とんでもないところで書いているかも。さすがは雑談師匠です。 地獄耳 雑談って、出てくるのはよその人の話が多いんですよ。 鹿島 「こんな話があるらしいですよ」って言いたくてしょうがない人がいるのか。すごい心理戦ですね。政治家やマスコミから「政界地獄耳の方ですよね」って言われた時は、どうするんですか?』、「私は、雑談しながら書いちゃう時もありますからね。時間がない時とか」、すごい能力だ。
・『大物議員からの電話 とっさに答えた“一言”  地獄耳 ケースバイケースですね。私の正体を知ってか知らずか、ある大物議員に「あることないこと書きやがって」と直接電話で怒られたことがあります。 鹿島 ああ、直接……。何て言ったんですか? 地獄耳 つい「ああ、あの人は結構いい人ですよ」って言っちゃいました。 鹿島 それは煙に巻かれますね! 地獄耳 「ちょっと言っておきますよ」と、とぼけ続けました。 鹿島 いい話です。スポーツ紙の政治コラムや社会面って、実は何でもできるし、深いなと思うんですよ。ネットと一般朝刊紙の真ん中くらい、絶妙な立ち位置なんですよね。 地獄耳 そう言っていただけて、有り難いです。W杯やオリンピックで、スポーツと政治がものすごく近くなってしまった今だからこそ、スポーツ紙で政治コラムをやる意味があるのかなと。日刊スポーツも柔軟なところがあって、東京五輪のマラソン札幌開催案が出てきた時は、「政界地獄耳」が二面あたりに載ってました。 鹿島 読みました。大きいネタの時は、本紙の記事と一緒に、地獄耳師匠のコラムがドーンと社説のように載りますよね。本紙の社会面との連携プレーを見るのも、新聞読み比べをする楽しみの一つです。 地獄耳 事前に打ち合わせる時もあれば、黙ってやってうまくいくこともあります。コラボできる時は、事実関係をあまりだらだら書かなくても、社会面できっちり説明してくれていて、助かるんですよ。 今、オリンピックを目前にして、アマチュアスポーツ界の問題が目立っていますよね。テコンドーもボクシングも、もともとは性善説、お金がない中で組織を作って、競技を盛り上げようとしていたはずなんですが、それがだんだん形骸化して、いつの間にか選手や世間から見れば「なんだこりゃ」みたいな人たちが牛耳っていた。こういう時は、政治が手をつっこまないと動かせないこともたくさんあるんです。そう考えれば、スポーツ新聞と政治の記事は、もしかしたらやっといい関係になるのかもしれません。昔は疑獄や事件と政治が近かったけど、今はそういうものだけじゃなくなっちゃった。 鹿島 確かにそうですよね。立ち位置の話に戻ると、一般紙が書きにくいところをスポーツ紙やタブロイド紙、週刊誌が取り上げることが増えたので、ちょっと持ち上げられる風潮もありますよね。でも僕が読んでいて思うのは、実は中の人は「俺たちはベンチのヤジ将軍なのに、4番を打たされるのはおかしい」と内心思っているんじゃないかと。そのあたりはどうですか? 地獄耳 そうなんです。本来は、朝日や毎日が書けばいいだろうという話ではあるんです。 鹿島 スポーツ紙には、ゲリラ的な面白さがあるじゃないですか。それを読む方が「待ってました」とか言うのは、なんか違うでしょって思います。 地獄耳 そういえば、朝日新聞の政治部OB会は毎回ものすごく荒れるそうですよ。「なんだこの紙面は!」と、上の世代になればなるほど怒り狂う。 鹿島 「何やってるんだ、お前ら!」って、巨人のOB会みたいな感じでしょうか。 地獄耳 アハハ。私も、一般紙に負けたくない思いはもちろんあって、まだ何が起こっているかはっきりとは分からないうちに、ちょっと早く書きすぎることがあるんです。担当デスクからも「早すぎます」と怒られる(笑)。 鹿島 時代が追いつけない。そのことを頭に入れておくと、一つの醍醐味というか「政界地獄耳」の新しい読み方ができますよね。「今日はちょっと早いぞ」と。 地獄耳 まあ、そうですね(笑)。毎日読んでいないと分からないですよ、というマニアックな人向けの楽しみ方かもしれませんが』、「スポーツ紙の政治コラムや社会面って、実は何でもできるし、深いなと思うんですよ。ネットと一般朝刊紙の真ん中くらい、絶妙な立ち位置なんですよね」、なるほど、1つの強味のようだ。今後、ウェブ版の「政界地獄耳」もチェックしていきたい。

第三に、上記の続きを、12月31日付け文春オンライン「「桜を見る会」「身の丈」「上級国民」……“選民意識”で見る2019年の日本と政治 プチ鹿島×地獄耳師匠 #2」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/22688
・『「桜を見る会」、「身の丈」発言、「上級国民」。2019年に政界を揺るがした問題の中には、インターネットから火が付き弾けたトピックが多かった。日刊スポーツの名物政治コラム「政界地獄耳」を執筆する地獄耳師匠こと(K)と、時事芸人・プチ鹿島が、令和に突入したこの1年を振り返る』、「この1年を振り返る」、とは面白そうだ。
・『「桜を見る会」ツイッター投稿数の多さ  鹿島 2019年の政界も色々ありました。年の瀬には“カジノ疑惑”の一報も入りましたが、下半期は「桜を見る会」に持っていかれた感じがありますよね。公私混同、公選法抵触疑惑、公文書廃棄問題……。ここ数年の論点が詰まってました。「桜を見る会」のツイッター投稿数は、閣僚の辞任や英語民間試験の導入と比べても、多かったみたいです(「『桜を見る会』SNS投稿で突出」、日本経済新聞11月26日)。 地獄耳 「桜を見る会」もネットが早かったですね。11月以降、「政界地獄耳」で10回は「桜を見る会」にまつわる問題に言及していると思います。このコラム、日曜以外はほとんど毎日書いているようなものだから、ネタ選びに悶々とする日も多いんですが、こういう桜とかがあれば、ネタがいっぱいあるので助かる……とはいえ、ちょっとひどいです。 鹿島 参加者のブログ発信を今さら削除したのもお粗末でした。菅(義偉)官房長官だって、ほんの2カ月くらい前までは涼しい顔で全てに答えていたのに、今では「もしハードディスクまで破棄したということであれば、なぜ、そこまで内閣府がやっているのか。いつ、どこで、誰が、なぜやったのか」と詰問されて……。時に苦笑いみたいな表情が出ちゃってます。 地獄耳 会見でも、あっぷあっぷですよね。菅官房長官は「私人である昭恵夫人が人選に関わった」ことを質問されて「最後は内閣官房が精査する」と答えましたが、それによって自分と首相の両方に責任が発生してしまうことになりました。一時期、安倍さんと菅さんの関係は菅原・河井の2閣僚辞任の時以上にギクシャクしていたようです。 鹿島 それにしても、「桜を見る会」は「小さなこと」なんでしょうか。「産経抄」は《「桜を見る会」をめぐって、小事を天下の一大事のように騒ぎ立てる野党の手法》(11月25日)とご立腹でしたが、僕は人間の本質って、小さいことにこそ表れると思うんです。むしろ天下国家を論じたがっている保守派の新聞が、「こんなことしてたらプーチンやトランプ相手にまともに戦えないぞ」と怒るべきなんじゃないかと。なんか二分されてませんか? 地獄耳 袈裟まで憎い人もいれば、袈裟まで許しちゃう人もいる。桜は論点が多すぎましたよね。「桜を見る会」に招待されたとマルチ商法の営業ツールに使っていたジャパンライフだって、政界の古株はみんなよく知ってますよ。30年以上にわたって被害者がいるんだから、そりゃあいろんな材料があるに決まっていますよね。今、野党のところには桜がらみで相当タレコミが来ているらしいです。 鹿島 僕は、桜の問題が弾ける前から「桜を見る会を見る会」が必要だと思っていました。《令和おじさん人気が証明された形だが、しかし「桜を見る会」に招かれる人は政権側が呼びたい人でもある。ネットで影響力があるインフルエンサーたちが狙い通りに首相や菅氏の“にこやかな顔”をSNSで発信すればこれ以上ないイメージ戦略になる。》(文春オンライン6月7日) この好感度キャンペーンを国民の税金で行うのはおかしいんじゃないかと。 地獄耳 いわゆる前夜祭なるホテルのパーティーも焦点の一つになりました。今回、野党の攻勢はそのほとんどが公開情報に基づいていますが、前夜祭は公職選挙法や政治資金規正法に抵触するのか? 野党が立証するのも、安倍サイドが問題ないと立証するのも難しいから、何となくうやむやになってしまいました。それで私は、ウラは取れないんだけど、「機密費の運用」という可能性について書きました。《最初から官邸機密費がホテルに支払われていれば説明がつくのではないか。金額が足りたとか足りないとかの問題より悪質だが、それも立証するすべはなく首相が別の部分の非を認めることで、機密費の運用という公金の私物化への疑惑をそらした可能性はないか。やはり検証のすべはない。》(日刊スポーツ「政界地獄耳」11月22日) ちょっとこれは早く書きすぎたみたいで、どこも後追いしてないですけどね(苦笑)』、「菅官房長官は「私人である昭恵夫人が人選に関わった」ことを質問されて「最後は内閣官房が精査する」と答えましたが、それによって自分と首相の両方に責任が発生してしまうことになりました。一時期、安倍さんと菅さんの関係は菅原・河井の2閣僚辞任の時以上にギクシャクしていたようです」、「菅官房長官」は自ら選んだ閣僚の相次ぐ辞任もあって、ボロボロのようだ。
・『「上級国民」の都市伝説がリアルになった  鹿島 地獄耳師匠らしい、絶妙な回でした。ネットの盛り上がりで言えば、「上級国民」も2019年のパワーワードの一つ。4月に池袋の暴走事故を起こした高齢ドライバーに対して、「『上級国民』だから逮捕されないのか」という声がネットにあふれました。あれも紙ベースだけで読んでいたら、なかなか届かない言葉でしたよね。 地獄耳 本当にそう。これ、新聞に「上級国民」の解説なんかがあっても、全然乗れないです。 鹿島 あれだけ話題になったということは、多くの人に「上級国民、どうやら本当にいるんじゃないの?」と思わせる状況が確かにあった。そこが問題です。 地獄耳 そもそも上級国民なんかないし、超法規が適用されることはないはずなんですけど、池袋の男性は元通産官僚幹部で元機械メーカーの副社長、さらには叙勲まで受けていました。パッと上級国民と言うだけで、「あ、こういう人のことを言うんじゃないかな」と誰もがイメージできたんですよね。桜の首相推薦枠「60」もそうだし、オリンピックのチケットや聖火ランナー枠、あとはやっぱり萩生田(光一)文科相の「身の丈」発言ですね。これで都市伝説がリアルになった』、確かに「上級国民」とは言い得て妙だ。「萩生田(光一)文科相の「身の丈」発言ですね。これで都市伝説がリアルになった」、とは絶妙な表現だ。
・『安倍政権の本質は「せこさ」  鹿島 安倍政権の本質って何だろうと考えた時に、一般紙はいろいろ硬い言葉で説明するんですけれども、「やっぱり、上級国民の特権があるんじゃないの?」というスタンスがすごくスポーツ新聞に合っているし、それが本質かもしれないと思うんですよ。 地獄耳 第一次安倍内閣ができたての頃から、自分の近しい人を周りに集めた「お友達内閣」と呼ばれていましたよね。それがとうとう憲政史上最長の長期政権になると、「桜を見る会」に呼ばれる人と呼ばれない人が出てきた。「誰がこの人呼んだの?」という入っちゃいけないような人まで呼ばれていた。お友達を選ぶだけじゃなくて、まるで国民を敵と味方に分けようとする安倍政治の本質を、国民はマスコミよりもずっと明確に見抜いていたからこそ、「上級国民」という言葉が生まれたんじゃないかと思うんです。 鹿島 僕がなるほどなと思ったのは、来年度の「桜を見る会」中止が発表された3日後、地獄耳師匠は安倍政権のやり方をただ一言、「せこい」って書いたじゃないですか。《昨年の桜を見る会からその異常性が発揮されたという指摘がある。「自民党総裁選挙で3選がかかっていた首相は桜を見る会で大盤振る舞いをすることで支持者の取り込みを図った」というのだ。地方議員や地元の後援会を連れていくことで票固めとは税金を使った一見合法的なようなせこいやり方。総裁選挙は選挙法に触れずやり放題なところを利用したのだろうが、その総裁が自動的に首相になると思うと随分とお手軽な手法で首相の座を手に入れた薄っぺらい話になってくる。自民党は首相を守り切れるのか。逃げ切る策は尽きたようにも見えるが。》(11月16日) 地獄耳 そう、巨悪じゃないんです。つまり、「権力の行使」と言うと絶対的なものすごいパワーだと感じるけど、そうじゃない。ちっちゃなところで権力を使うんです。そうすると、すごいせこい感じがしちゃって。何か困った時には「これは民主党政権でもやってました」と言い逃れに使うところも、せこさです。 鹿島 「ああ、なんて的確な表現」と思いました。安倍政権の本質は「せこさ」って、これも一般紙では書けない。 地獄耳 確かに、「上級国民」や「せこさ」なんていう言葉は、一般紙の政治面では絶対に生まれないですよね。なぜなら、我が国は三権分立の民主国家で、選別はあり得ないし、なくさなきゃいけないと大真面目に書いているから。でも実際に社会で生きていれば、いろんな権力とか、「何でこんなことがまかり通るんだろう」という壁にぶち当たるわけです。 まだまだ「桜を見る会」問題が終わらないのは、やっぱりその直前に「身の丈」発言が飛び出したからに他ならないんですよ。全部つながっているんです。「そう簡単に子どもたちの将来を、政治家の舌先三寸で変えないで」と思う親御さんたち全員を敵に回してしまいました。経済力や地域格差をさらっと「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」って、これはものすごい選民意識に基づいた言葉ですよ。 鹿島 そしたら、桜が弾けました。呼ばれた人、呼ばれない人。 地獄耳 選ぶか、選ばないか。あるいは安倍さん側かそうじゃないか。そういう選民意識に明け暮れた1年だったと思うんですよね。 鹿島 安倍首相が、立憲民主党の杉尾(秀哉)議員に「共産党」とヤジを飛ばして……「桜を見る会」問題はあの後に起きたんですもんね。「あれ、もしかして何か予期していた発言だったのかな」と思っちゃうくらい。 地獄耳 もしかしたら、図らずも出ちゃったのかもしれません。それはともかく、あれでスイッチは入りましたよね。でも、昔はロッキードにリクルート、東京佐川急便といった大事件では、野党の中にどこからともなくペーパーを手に入れてくる「爆弾男」が何人もいました。いろんな階層の人たちとネットワークを持っている怪しげな人がね。 鹿島 今回は“仕掛け人”の共産党・田村智子議員が目立っていて、それを野党みんなが「俺たちの手柄」みたいな感じでアピールしてますね。 地獄耳 それが野党統一の拍車になるなら結構なんですけどね。今の野党にスマートな議員はたくさんいるけれども、正直頭でっかちな印象は否めません。 鹿島 そんなとき、実際に会えば会うほど、半径5メートル以内の人を虜にしちゃう昭和自民党的な国会議員がまだいるとしたら、そちらの伝統のほうが勝っちゃいそうです。 地獄耳 私みたいにほとんどを褒めないで、噛みついてきた者からしても、自由民主党という政党自体がもっと大人の政党だったなと思いますね。五大派閥の弊害とかいろんなことを言われましたが、そこで1年生、2年生、3年生を教育し、徹底的に保守政治家として、与党政治家としての教育をやったものです』、「とうとう憲政史上最長の長期政権になると、「桜を見る会」に呼ばれる人と呼ばれない人が出てきた。「誰がこの人呼んだの?」という入っちゃいけないような人まで呼ばれていた。お友達を選ぶだけじゃなくて、まるで国民を敵と味方に分けようとする安倍政治の本質を、国民はマスコミよりもずっと明確に見抜いていたからこそ、「上級国民」という言葉が生まれたんじゃないかと思うんです」、「ちっちゃなところで権力を使うんです。そうすると、すごいせこい感じがしちゃって」、説得力がある。
・『結婚&初入閣 進次郎節が消えた  鹿島 長らく自民党のプリンスと呼ばれ、2019年は結婚と初入閣を果たした小泉進次郎さんについてはどうですか? 地獄耳 環境大臣になって一番もったいないのは、進次郎節が消えたことですよ。小泉さんのいいところは、お父さんと同じで自民党批判をするところ。それが党内の人からも喜ばれていたわけでしょう。ところが、今では環境省の言いなりになっちゃった。 鹿島 「ネット圏外」でふわっとした民意を掴むのは抜群だった小泉さんも、環境大臣に就任して早々に「セクシー」発言や「小泉ポエム」が飛び出して、本当はどういう人か、可視化され始めてしまいましたね。 地獄耳 最初にガツンとやられて慎重になっているのかもしれませんが、もし進次郎節が封印されるなら、もう魅力はなくて普通の人になっちゃうわけです。 鹿島 進次郎さんって、2~3日寝かせてから一番おいしいところで、今まで出ていない意見を言うところがありますよね。 地獄耳 そうなんですよ。政治家としては、ちょっとずるいところです。質問された時、瞬発的に大臣としてのコメントを出せないとやっぱりダメなんです。昔からロングインタビューを受けていないし、政策を語り切るまでの力がなかった。農政、震災復興、環境とやってきたけれど……。 鹿島 もうバレちゃったら、SNSでガンガン発信したらいいんじゃないかと思うんですけどね。いっそ妻の滝川クリステルさんのほうが政治家へ転身するということは……。 地獄耳 専門外だからよく分からないですけど、河井案里さんにならないでほしいと願うばかりですね』、「もし進次郎節が封印されるなら、もう魅力はなくて普通の人になっちゃうわけです」、すっかり馬脚を現してしまったようだ。
・『小沢一郎と中村喜四郎が知恵袋に?  鹿島 そうなってくると、自民党が大人の政党だったことを叩きこまれてよく知っている人って、政界には誰が残っているんでしょうか。 地獄耳 かつては、ベテランになればなるほど振る舞いが丁寧になってくるという自民党のすごみが確かにあったんですよ。細川政権や鳩山政権の時には自民党から飛び出した人たちがいっぱいいたので、かつての野党も「政権とは何か、与党とは何か」ということをよく知っていた。だけど今、自民党出身でそのことを分かっている人が野党全体にどれくらいいるだろうか……と考えると、結局小沢一郎さんと中村喜四郎さんかなと。 鹿島 逆に言えば、まだ小沢さんと中村喜四郎さんが知恵袋にならなくちゃいけないというのが、現状を見る思いですね。 地獄耳 ところが今ね、野党の中で中村喜四郎さんが脚光を浴びているのは、小沢さんみたいに自分を押し付けないからなんです。もちろん一度はゼネコン汚職事件で逮捕されて議員失職した人なので、政治的に特別なポジションを得ることはないかもしれないけれども、当選回数14回・無所属の中村喜四郎という男の生き方は一つのキーワードかもしれないですよ。遅咲きの昭和の政治家が平成の30年間沈黙を守って、ついに令和に目覚めたら、ひょっとして野党取りまとめの救世主になるとかね。寡黙な男が本当に怒っているというのは、説得力があるし。 鹿島 ああ、そうか。平成の間、雌伏して時を待っていたと思えばゾクゾクしますね。 地獄耳 こういう人って、なかなかいなかったんですよ。中村喜四郎は、かつて小沢一郎自民党幹事長時代の総務局長をやっていて、田中角栄の政治、田中角栄の選挙を学んだ。その後、2人は袂を分かち、接点はなくなったかに見え、今はまだちょっと距離があるようですけど、こういう政治のドロドロしたところを分かっている人たちが野党でタッグを組むと、だいぶ空気は変わるかもしれない。中村喜四郎は野党を「子ども」だと言っていましたけど、それを大人にしてくれるのは、もしかしたら彼自身なのかもしれません』、「野党」が「中村喜四郎」に「大人にして」もらうようでは、情けない限りだ。
・『「山本太郎現象」から、失われた自民党寄りの匂い  鹿島 中村喜四郎さんは全然メディアに出なかった人で、『無敗の男』と朝日新聞のインタビューくらいからでしたよね。自民党がどうやってダメになっていったか、そしていかに今の自民党に絶望しているかがものすごくよく分かる。僕は今年、「山本太郎現象」に、したたかさとフットワークの軽さ……ちょっと失われた自民党寄りの匂いを感じたんですが、地獄耳師匠はいかがですか。 地獄耳 なるほどね。タイプや時代は違うけど、田中角栄さんや竹下登さんは、とにかく一度会った人のことは忘れないんです。何でもかんでもよく覚えていて、「私のことだけでなく、娘の年や名前まで覚えていてくれた」と。それは虜になるじゃないですか。 ネットだけじゃなくて、いろんな現場を見ていてつくづく感じたんですが、山本太郎さんはまず話術にとても長けていて、真夏の参院選で、都内の街頭演説に3000人を集めてしまう。彼はとにかく声を枯らして話しかけ、質問を投げかけることで、対話に持っていくんです。政治の世界では、対話集会や車座集会は少人数で膝をつきあわせてやるのがいいんだと言われるんですが、山本太郎は、数千人を相手に一人で立ち向かうんです。それでもみんな飽きないし、途中で帰らない。例えば小池百合子や小泉進次郎が来たといっても、対話集会にまで残っていこうと思う人はなかなかいないでしょ。今の政治家にとって、そう簡単にできることではないですよ。 鹿島 対話って、まさに半径5メートル、10メートルの人を虜にする方法なんじゃないかと思っていて。あと、山本太郎さんは政策のことを語られがちなんですが、参院選の前に、「もし安倍首相から『山本さんの政策を一部採り入れるから手を組もう』と誘われたらどうしますか」と聞かれて、「自民党が本気で減税すると言うならば、そちらに乗ります。何がなんでも野党陣営ということではない。我々の政策が実現できるなら、手をつなげるところとはつなぎますよ」(「AERA」2019年6月24日号)と言っていたのが、政局好きの僕としてはすごく面白くて。ちょっと炎上しかけてましたけど。 地獄耳 実は野党の国民も立憲も、れいわ新選組と同じようなことを言っているんです。でも、迫力と覚悟が違う。つまり、「こういう政策を持っているんです」というのと、「皆さん、話しましょうよ。あなたのSOSを受け止めますよ」という気迫の違いですね。おかしな話があります。ミカン箱の上に乗って演説するのがいいらしいと聞くと、「じゃあ、俺たちもそうしよう」といって与野党ともにミカン箱。ある大臣経験者の議員が、「それなら俺もミカン箱やろう。汚いから洗ってこい」と言ったというんです。 鹿島 マニュアル、象徴としてのミカン箱になっちゃったわけですね。それじゃあ響かない。 地獄耳 2019年が選民意識の年だったこととつながるのは、山本太郎さんは、誰からも見向きもされない、一生懸命SOSを出しているけど行政にも振り向いてもらえないという思いを持っている人に、「最後に手を差し伸べてくれるんじゃないか」と期待してもいいかもしれないと思わせる政治家なんでしょうね』、「山本太郎さんは、誰からも見向きもされない、一生懸命SOSを出しているけど行政にも振り向いてもらえないという思いを持っている人に、「最後に手を差し伸べてくれるんじゃないか」と期待してもいいかもしれないと思わせる政治家なんでしょうね」、私は「山本太郎」を余り評価してなかったが、改めて再評価した。
・『2020年、激動の大政局 秋以降は「オリパラロス」に  鹿島 それでは、最後に2020年の展望について。地獄耳師匠は、どんな風に予測していますか? 地獄耳 2020年はオリンピックで華やかな話題も多そうですが、激動の大政局になると思っています。まず、トランプ大統領の再選があるかどうか。それによって日本の空気は大きく変わる。夏の都知事選も注目です。そして、オリンピックで世界中からインバウンドのお客さんがやってくると、日本のいいところより、どうも悪いところが目立ってくるんじゃないだろうかと。 鹿島 「日本スゴイ」が「日本スゴかった」状態に。2020年って、ずーっとオリンピックのことしか言われていないから、夢みたいなお祭り感は漂うと思うんですが、一方でどこかパッとしないまま終わったら、その後どうなるんだろうと……。安倍政権の政策も、憲法改正だけでなく、いろんなもののゴールを2020年に設定しています。おじさんたちの特徴として、一区切り、大団円を迎えたい気持ちがそうさせているのかもしれません。お祭りが終わってからの反動が心配ですね。 地獄耳 経済的な落ち込みと、精神的な「オリパラロス」が起こるかもしれません。そんなこと言っても、スポーツ新聞は日夜ありとあらゆるスポーツのことを書いているわけだし、今や日本人とスポーツは切っても切れないですけどね。 鹿島 そうですね。まずはオリンピックが始まれば、アスリートたちが素晴らしいから絶対に盛り上がる。その中で政界はどうなるか。例えば解散総選挙という可能性はありそうですか? 地獄耳 自民党の中には「今がチャンスだ」と言う人もいますけど、勝つか負けるかという意味では、与党を維持できるとは思いますよ。だけど、信頼関係がどんどん崩れていっている中で、令和という新しい時代を迎えたのに、なぜか閉塞感だけは続いている。この空気を国民自身が打破したくなるんじゃないか。つまり、安倍政権を倒せば打破できるという短絡的な話ではなくて、もっと冷静に、「この空気を変えるにはどうしたらいいか」というクールな世論が出てくる時期なのではないかと思います。 さらに来年、もし安倍さんが辞めたとしますね。次の人はやっと総理大臣になれるわけですけど、7年間の尻ぬぐいは相当大変ですよ。 鹿島 ものすごい荷物を背負うということですよね。 地獄耳 つまり、安倍政治を継承するふりをして、安倍政治を否定していかなきゃいけない。オリンピックイヤーの2020年は、狂気とクールさが複雑に絡み合う年になりそうです。秋以降、国民とともに、総理自身も喪失感を抱えるかもしれません。これだけ長く続けていると、やる気がなくなった瞬間の「もういいや」が一瞬見えた段階で、真っ先に気が付くのは官僚でしょう。「この人についていっても、もういいことはなさそうだ」と。 鹿島 じゃあ、それぐらいの時期に捨てたはずの名簿が出てきたり。 地獄耳 過去を振り返ってみても、何でもかんでも後から出てくるんだから。 鹿島 自民党総裁任期の2021年9月末までやったとしても、そろそろ終わりが見えてくる。そんな時、誰かが何かをポッと出しちゃったりする2020年になるでしょうか。小さく見えて、実は小さくない反乱。そんなことが起きるかもしれないなと思います。 ――2019年「今年の漢字」は、令和の「令」でした。早すぎる「2020年の漢字」予想をお願いします。 地獄耳 私は「乱」か「激」かな。うーん、「乱」にします。 鹿島 僕は……虚脱感と虚々実々の「虚」。なんか夢がないか(笑)』、「小さく見えて、実は小さくない反乱。そんなことが起きるかもしれないなと思います」、大いに期待したい。

第四に、東京新聞の官邸記者で菅官房長官とのバトルで有名な望月 衣塑子氏が1月3日付け文春オンラインに掲載した「「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害 2020年の論点100」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/19977
・『第1次内閣を含めた安倍晋三首相の通算在職期間は2019年11月に桂太郎内閣を超えて憲政史上最長となり、同年末には第2次内閣発足から数えて8年目に突入する』、望月記者の見方とは興味深い。
・『「得意分野」の外交を振り返ると……  安倍首相の「得意分野」という外交では、1年ごとに首相が交代していた頃に比べれば、国際的なプレゼンスも交渉力も高いはずだが、拉致問題や領土問題で結果を出せていないどころか、対米追従の結果、農畜産と防衛分野で大きな負担を国民に強いているのが実態だ。 私は武器輸出解禁と米国製兵器の「爆買い」を取材してきた。日本の2019年度の防衛予算は5兆2500億円を突破し、これには総額1757億円超といわれるイージス・アショアなどのミサイル防衛システムの購入費が含まれている。 対米交渉はトランプ大統領に押し込まれている。2019年9月の日米貿易協定交渉では、日本が米国から購入する牛肉・豚肉の関税について、TPP(環太平洋パートナーシップ)並みまで引き下げることで合意したが、日本が求めていた自動車関係の関税撤廃は棚上げされ、再交渉の時期すら明記されなかった。安倍首相は会談後、「自動車関係の追加関税を課さない趣旨を確認した」と“成果”を強調した。 だが、それは1年前に武器の爆買いで一度阻止したはずだ』、交渉の成果は、確かに時系列的に見ていく必要がありそうだ。
・『自動車関税でカードを切らされた日本  2018年9月、国連総会後の会見でトランプ大統領は「貿易赤字はもう嫌だと日本に言ったら、日本はすごい量の武器を買うことになった」と述べ、その後、貿易格差是正のため、F35AB戦闘機計147機に、総額1兆5000億円が費やされることがわかった。官邸周辺を取材すると、乗用車の輸入関税を2.5%から25%へ引き上げることを検討していたホワイトハウスを思いとどまらせるために切った「カード」だという。 つまり、自動車関税で日本は2枚もカードを切らされたのだ。完全に負けである。2019年のG7で約束したトウモロコシの爆買いもしかり。安倍首相は「害虫対策の観点で輸入が必要」と説明したが、輸入量は害虫被害を大きく超える』、「自動車関税で日本は2枚もカードを切らされた」、安倍政権に忖度する一般の新聞では、こうした不都合な事実は隠蔽されるようだ。
・『外務省の力が低下している安倍政権  他の外交でも成果がない。トップ会談を重ねたロシアとは、平和条約・領土問題交渉が進まず、2019年度の外交青書からは、北方四島にからみ「日本に帰属する」の記述が消えてしまった。北朝鮮とは、交渉の糸口すら見えず、拉致問題の解決の見通しは立たない。徴用工訴訟の大法院判決をきっかけに輸出管理強化にいたった日韓関係も1965年の国交正常化後で最悪だ。 首相官邸に権限が集中した結果、外務省の力が相対的に低下し、国会議員や民間のチャンネルは細り、交渉の弾力性を失っている。9月に国家安全保障局長が外務省出身の谷内正太郎氏から、警察庁出身の北村滋・前内閣情報官に交代したことで、この傾向はさらに強まるだろう』、安倍政権と「警察庁」との結びつきの強さは、安倍首相と親しい元TBS記者が伊藤詩織さんをレイプした事件のもみ消しでも如何なく発揮された。
・『目立つ強弁と責任転嫁  一方、内政に目を向けると長期政権の歪(ひず)みと硬直化が現れている。カジノ法案、改正水道法案、外国人労働者受け入れ拡大に向けた入管法改正法案などが相次いで強行採決され、国会軽視も甚だしい。これでは憲法改正で野党が協議に応じるはずもなく、いまや「改憲やるやる詐欺」と揶揄される始末だ。 政権で目立つのが強弁と責任転嫁だ。入管法改正法案の委員会採決では、朝日・毎日・東京の各紙が「採決強行」と見出しで報じたが、菅義偉官房長官は「強行採決なんかやっていない」と言い張った。衆参でわずか計約35時間の審議だったにもかかわらず、だ。辺野古沖埋め立てでも、明らかに赤土混じりの土砂が目の前で投入されているが、土砂の性状検査の結果は示さないまま「適切」と主張した。 官僚への責任転嫁はさらに見苦しい。森友学園問題をめぐり、安倍首相が国会で「私や妻が関係していれば、首相も国会議員もやめる」とたんかを切ると、財務省がつじつま合わせのため決裁文書を改竄。自殺者も出た。ところが、安倍首相は「しっかりと調査し、膿(うみ)を出し切り、組織を立て直す」と財務省に全責任を押しつけた。膿の原因が誰なのかは明らかだ。 加計学園の獣医学部設置問題では、「総理のご意向」発言があったと記した文部科学省の文書を「怪文書」と決めつけ、防衛大臣が「ない」と答弁したイラク派遣自衛隊日報は存在が隠されていた』、ここまで嘘と責任転嫁で政局を乗り切ってきた政権の神通力も官房長官の権威失墜で、そろそろ「年貢の納め時」なのではなかろうか。
・『「アベノミクス」に「老後2000万問題」まで  「アベノミクス」はどうか。GDPの成長率、実質賃金、物価上昇率のいずれも低調で、失敗は明らかだ。それどころか、景気動向や賃金の指標となる毎月勤労統計の不正が発覚し、政府の統計に対する国民の信頼が損なわれている。 直近では「95歳までに夫婦で2000万円不足する可能性がある」と試算した金融審議会の市場ワーキング・グループの報告書が批判を浴びると、麻生太郎金融担当大臣は受理を拒否。不手際があったとして金融庁長官が陳謝させられた。安倍首相は「対案もないまま、ただ不安をあおるような無責任な議論は決してあってはならない」と批判したが、諮問機関の報告書は、政策を議論するための重要な材料だ。もし政策に失敗したとしても、その原因を分析して改善策を打つのが政治だ。だが、客観的データから目を背けることは、改善のきっかけを失うことになり、二重の罪だ』、その通りだが、一般のマスコミにこうした批判が余り見られなかったのは残念でならない。
・『お手盛り成果の限界  首相の権力基盤は、麻生財務相と菅官房長官、二階俊博自民党幹事長がキーマンで、誰か1人でも代わることがあればパワーバランスが崩れ、政権は衰退する。責任転嫁も強弁も改竄もごまかしも、政権に都合の悪い真実を国民の目から隠す、という目的と動機が共通している。 7月の参院選。安倍首相は福島市での第一声で「あの時代に逆戻りするわけにはいかない」と民主党政権を引き合いに出した。民主党政権は1200日。その後の安倍政権は倍以上だ。いまさら「あのころよりもマシ」とアピールせざるを得ないことが、お手盛り成果の限界を示している。目をそらされてはならない』、「責任転嫁も強弁も改竄もごまかしも、政権に都合の悪い真実を国民の目から隠す、という目的と動機が共通している」、説得力に溢れた主張で、全面的に同意できる。
タグ:yahooニュース 山中伸弥教授 京都大学iPS細胞研究所 日本の政治情勢 文春オンライン (その39)(京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る“最悪カップル”、「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由、「桜を見る会」「身の丈」「上級国民」……“選民意識”で見る2019年の日本と政治、「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害) FRIDAY DIGITAL 「京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る“最悪カップル”」 大坪寛子・厚生労働省大臣官房審議官 医系技官 菅義偉官房長官の信頼が厚い和泉洋人・首相補佐官(66)と極めて近い関係になったことで、とんでもない権力を握ってしまった 予算削減を一方的に通達し、山中教授を「恫喝した」 山中教授は会見を開いて予算削減の理不尽を訴え、最終的に削減は見送られる見通し 週刊文春が二人の京都旅行と銀座デートを報じた 厚労省には自由に使える数十億円規模の『調整費』というものがあり、大坪氏がその予算を握っている 和泉補佐官は菅官房長官の腹心 国土交通分野の政策には以前から強かったのですが、最近はそれに限らず、『官邸官僚』として省庁に関係なく首を突っ込んでいて、医療分野まで牛耳ろうとしている 「「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由 プチ鹿島×地獄耳師匠 #1」 日刊スポーツの名物政治コラム「政界地獄耳」 “永田町読者率”の高さ コラムは雨の日も風の日も、台風の日も、新聞休刊日にも 意識高めの人が「政界地獄耳」をSNSでシェア 今の政治家には“デジタルどぶ板”も必要 「どうよ」で聞き出す雑談力 大物議員からの電話 とっさに答えた“一言” スポーツ紙の政治コラムや社会面って、実は何でもできるし、深いなと思うんですよ。ネットと一般朝刊紙の真ん中くらい、絶妙な立ち位置なんですよね 「「桜を見る会」「身の丈」「上級国民」……“選民意識”で見る2019年の日本と政治 プチ鹿島×地獄耳師匠 #2」 「桜を見る会」ツイッター投稿数の多さ 「上級国民」の都市伝説がリアルになった 安倍政権の本質は「せこさ」 結婚&初入閣 進次郎節が消えた 「山本太郎現象」から、失われた自民党寄りの匂い 2020年、激動の大政局 秋以降は「オリパラロス」に 小さく見えて、実は小さくない反乱。そんなことが起きるかもしれないなと思います 望月 衣塑子 「「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害 2020年の論点100」 「得意分野」の外交を振り返ると…… 拉致問題や領土問題で結果を出せていないどころか、対米追従の結果、農畜産と防衛分野で大きな負担を国民に強いているのが実態 「自動車関係の追加関税を課さない趣旨を確認した」と“成果”を強調した。 だが、それは1年前に武器の爆買いで一度阻止したはずだ 自動車関税でカードを切らされた日本 自動車関税で日本は2枚もカードを切らされた 外務省の力が低下している安倍政権 目立つ強弁と責任転嫁 「アベノミクス」に「老後2000万問題」まで お手盛り成果の限界 責任転嫁も強弁も改竄もごまかしも、政権に都合の悪い真実を国民の目から隠す、という目的と動機が共通している
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