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中国経済(その15)(「こんな要求は前代未聞」中国ビジネスに異変続出で 日本の中小企業が困惑、「奇跡の都市」深センが暗転 中国経済の未来を暗示か、習近平のゼロコロナ政策が新卒大学生を空前の就職難に突き落とす、中国で「大学卒業=失業だ」の悲鳴…中国の失業問題に建国以来最悪の恐れ) [世界経済]

中国経済については、本年2月19日に取上げた。今日は、(その15)(「こんな要求は前代未聞」中国ビジネスに異変続出で 日本の中小企業が困惑、「奇跡の都市」深センが暗転 中国経済の未来を暗示か、習近平のゼロコロナ政策が新卒大学生を空前の就職難に突き落とす、中国で「大学卒業=失業だ」の悲鳴…中国の失業問題に建国以来最悪の恐れ)である。

先ずは、6月10日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「「こんな要求は前代未聞」中国ビジネスに異変続出で、日本の中小企業が困惑」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304536
・『中国の対外貿易の窓口といわれる上海で断行されたロックダウンは、一部の日本の経営者の心理にも微妙な影を落とした。新型コロナウイルス感染拡大から約2年半が経過した今、中小・零細企業の対中ビジネスには微妙な変化が表れ、中国との距離が一段と広がっている』、「中国との距離が一段と広がっている」とは穏やかではない。
・『「海外からの輸入品は要注意」 比較的自由だった貿易も“終わり”の兆候  今年3月末から上海で強行されたロックダウンによって、世界の物流網が大混乱したことは報道のとおりだ。上海は2021年に4.3兆元(約85兆円)のGDPをたたき出した中国最大の経済都市だが、同市における物流のまひは多くの日本企業に打撃を与えた。 夫婦で貿易業(本社・東京都)を営む林田和夫さん(仮名)も、上海のロックダウンで通関を待たされた一人だ。中国向けに日本製の生活雑貨を輸出している林田さんは、「貨物は3月中旬に上海に到着しましたが、通関したのは6月1日。2カ月半も止められていました」と打ち明ける。 林田さんの対中貿易はこれまでトラブルもなく順調だった。ところが今回は、上海の税関から「製品に含まれる成分について、追加資料を提出せよ」と要求され、植物由来の成分についてはラテン語の学術名訳まで求められたという。 約20年にわたり対中貿易に携わってきた林田さんだが「こんな要求は前代未聞です。コロナ禍の2年半で、対中貿易がとてもやりにくくなりました」と嘆く。輸出製品は毎月同じだが、抜き取り検査(ランダムに一部を抜き取って検査)も頻度を増した。 一方、2020年に武漢のロックダウンが解除され、「中国はコロナの感染拡大を抑え込んだ」と宣言して以降、中国では「感染ルートは海外から輸入した貨物にある」という解釈が定着した。 その後も中国内で局所的に感染者が出るが、中国政府はその原因を「海外からもたらされたものだ」と主張し、今春の上海市におけるオミクロン株の拡大についても、同様の説明を行った。習近平指導部は「海外からの輸入品は要注意だ」と警告して国内の防疫体制を強化したが、“海外”を過剰に意識したアナウンスは「別の目的があるのではないか」と疑う声もある。) コロナ禍直前まで、林田さんのビジネスは、中国での日本製品ブームを追い風に上昇気流に乗っていたが、この2年半で大きく狂ってしまった。林田さんは“時計の針の逆戻り現象”を敏感に感じ取り、「中国が対外貿易のハードルを高めているのは明らか。比較的自由になった対中貿易も、この2年半ですっかり後退してしまいました」と語る』、「上海の税関から「製品に含まれる成分について、追加資料を提出せよ」と要求され、植物由来の成分についてはラテン語の学術名訳まで求められた」、明らかな嫌がらせだ。
・『中国に呑み込まれる前に、国内事業に軸足をシフト  ササキ製作所(本社・埼玉県、佐々木久雄代表取締役)は、自動車・家電部品を中心としたプラスチック材料の金型を製作する中小企業だ。 50年近い歴史を持つが、10年ほど前から中国に加工拠点を設け、仕事をシフトさせてきた。日本で受注した金型を中国で製作し、最終加工を日本で行うというモデルを構築するために、佐々木社長自らが中国に何度も訪れ、現地企業に技術指導を行ってきた。 長江デルタ地帯を中心に同社が築いてきた中国の加工拠点は、約10年の歳月とともに成熟期を迎え、上海のロックダウンでも長年培った信頼関係が力を発揮した。中国からの貨物の遅れに気をもむこともあったが、「中国人パートナーが奔走してくれて、4月23日に上海港を出る船に金型を積んでくれた」(佐々木社長)と、胸をなでおろす場面もあった。 中国には自動運転やEVなど金型の仕事が山のようにある――と語る佐々木社長だが、そこにのめり込むつもりはない。「我々のような金型業界はいずれ苦境に陥る」と楽観を許さない理由を次のように説明する。 「中国の金型業界は資金力もあれば、設備もすごい。早晩ものづくりの主流は中国になり、我々はいずれ中国から金型の仕事をもらうようになるでしょう。放っておけば“お払い箱”になりかねない。そのためにも事業構造の転換を急がなくてはいけないのです」 今、同社が心血を注ぐのは、日本の国内工場での新規事業だ。コロナ禍の混乱とはいえ、そこでつかんだのは、長期安定性が見込める日本の鉄道インフラに関わる通信機器の製造だった。 「不謹慎かもしれないですが、弊社はコロナに助けられた面もあります。銀行から調達できなかった資金を国の支援制度で工面できたおかげで、今は日本国内の3工場がフル稼働しています」(同) 事業構造の転換を進める中、同社の中国事業もメインからサブに存在価値を変えつつある』、「武漢のロックダウンが解除され、「中国はコロナの感染拡大を抑え込んだ」と宣言して以降、中国では「感染ルートは海外から輸入した貨物にある」という解釈が定着した。 その後も中国内で局所的に感染者が出るが、中国政府はその原因を「海外からもたらされたものだ」と主張し、今春の上海市におけるオミクロン株の拡大についても、同様の説明を行った。習近平指導部は「海外からの輸入品は要注意だ」と警告して国内の防疫体制を強化したが、“海外”を過剰に意識したアナウンスは「別の目的があるのではないか」と疑う声も」、「「海外からの輸入品は要注意だ」と警告」、とは完全な責任転嫁だ。
・『中国企業とオープンな会話は不可能 “まるごと中国生産”を見直す  2020年上半期、日本はコロナ感染拡大により、医療用品や衛生用品が品薄となった。 当時、「人命にかかわる医療・衛生用品の中国依存は見直すべきだ」という世論が強まった。 こうした中でも、東京に拠点を置く衛生用品メーカーのA社は、上海からマスクを調達し続けていた。今回の上海ロックダウンを経ても、長年のパートナーである上海企業のB社とは安定的な取引が続いているという。 目下、“サプライチェーンの脱中国”が取り沙汰されているが、A社は「高品質を実現できる中国の生産拠点を別の国にシフトさせる考えはない」という。 その一方、A社管理職の坂場健氏(仮名)は、上海のパートナーであるB社とのやりとりに微妙な変化が生じていることを感じ取っていた。 「今回の上海ロックダウンもそうでしたが、B社の歯切れの悪さを感じています。ロックダウン中も『大丈夫ですか』の一言さえ掛けられませんでした。答えにくいことが想像できるからです。今の中国の状況を思えば、当社としてもメールやチャットに余計な履歴を残さないよう用心しなければなりません。コロナの2年半はB社への忖度(そんたく)ばかりが増え、これまでのようなオープンな会話は、ほとんどできなくなってしまいました」(坂場氏) 長年の協力先でありながらも、日本のA社が上海パートナーB社に対し “虎の尾”を踏まないよう神経を使う様子がうかがえる。幸い、A社がB社から輸入する製品は、長年のリピート注文がベースだ。リピート注文であれば、新たな問題や交渉が生じる余地はほとんどない。 しかし、仮にA社がB社との間で新たな事業を一から立ち上げるとなると話は別だ。中国の地方政府の介入やB社の緊張が高まる中で、取引条件はさまざまな制約を受けることが目に見えているからだ。坂場氏は、今後の方向性をこう見据えている。 「新規事業については、原材料のみ中国から調達して、日本国内で製造する計画です。これができれば、為替リスクも減らせます。確かに中国は“安定したパートナー”ではあるのですが、新たな製品を企画しそれを完成品として生産する場所ではなくなりました」 ちなみに、海外現地法人を持つ日本企業を対象に、国際協力銀行(JBIC)が行った「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(2021年度海外直接投資アンケート調査結果・第33回)」を見ると、2020~2021年度にかけて「海外事業は現状維持」「国内事業は強化・拡大」する傾向が高まっていることがわかる。 一昔前、「中国を制する者が世界を制す」といった言葉も流行したものだが、最近は「中国をあてにしていたら、食いはぐれる」という正反対の受け止め方を耳にするようになった。 “コロナの2年半”を経て転換点を迎えた中小企業の中国ビジネスは、今後ますます国内回帰を進める気配だ』、「コロナの2年半はB社への忖度・・・ばかりが増え、これまでのようなオープンな会話は、ほとんどできなくなってしまいました」(坂場氏) 長年の協力先でありながらも、日本のA社が上海パートナーB社に対し “虎の尾”を踏まないよう神経を使う様子がうかがえる」、信じ難い取引関係の変化だ。「“コロナの2年半”を経て転換点を迎えた中小企業の中国ビジネスは、今後ますます国内回帰を進める気配だ」、その通りなのだろう。

次に、6月22日付け日経ビジネスオンラインが転載したロイター「「奇跡の都市」深センが暗転 中国経済の未来を暗示か」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/062000388/
・『デービッド・フォンさんが中国中部の貧しい村を出て、急発展を遂げる南部の深センに移り住んだのは、若かった1997年のことだ。それから25年間、外資系メーカーを転々とした末、通学かばんから歯ブラシまで幅広い製品を手がける数百万ドル(数億円)規模の企業設立にこぎ着けた。 47歳になったフォンさんには、インターネットに接続できる消費者向け機器を製造して海外進出する計画がある。しかし新型コロナウイルス対策で2年にわたってロックダウン(都市封鎖)が繰り返されたことで、出荷コストは上がって消費者心理は冷え込んでしまった。今では会社が存続できるかどうかを心配している。 「この1年、持ちこたえられればよいのだが」とフォンさん。高層ビルが立ち並ぶ街を見下ろす最上階のオフィスで、商品に囲まれながら「商売の正念場だ」と語った。 フォンさんの出世物語は、深センそのものの歩みと重なる。 深セン市は、中国が経済改革に乗り出した1979年に誕生。経済特区に指定された同市は、農村が集まる地域から主要な国際港湾都市へと変貌を遂げ、中国の名だたるハイテク、金融、不動産、製造企業が拠点を置くようになった。 過去40年間は、毎年少なくとも20%の経済成長を記録。オックスフォード・エコノミクスは昨年10月時点で、2020年から22年に深センが世界トップの成長率を達成すると予想していた。 しかし今では、米カリフォルニアのシリコンバレーにあるサンノゼにその地位を奪われた。深センの今年第1・四半期の経済成長率はわずか2%と、新型コロナの第一波で中国経済が停止状態となった20年第1・四半期を除くと、過去最低となった。 深センは今も中国最大の輸出都市ではあるが、3月にはロックダウンの影響で海外向け出荷が14%近く落ち込んだ。 深センは長年、中国の改革開放政策の成功ぶりを示す都市と見なされてきた。習近平・国家主席は19年に同市を訪問した際、「奇跡の都市」と呼んだ。 オックスフォード・エコノミクスの世界都市調査ディレクター、リチャード・ホルト氏は、深センは「炭鉱のカナリア」であり、ここが苦しくなることは中国経済全体への警戒信号だと指摘する』、「習近平・国家主席は19年に・・・「奇跡の都市」と呼んだ」のが、いまや「「炭鉱のカナリア」であり、ここが苦しくなることは中国経済全体への警戒信号だと指摘」されるまでになったようだ。
・『ロックダウンで魅力あせる  人口約1800万人の深センではここ数年、地元を拠点とする大手企業が次々と災難に見舞われた。通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は米国の制裁を受け、不動産開発大手、中国恒大集団は経営危機に陥った。 加えて3月には深センその他の都市で新型コロナ感染対策のロックダウンが敷かれ、深センで製造される製品への国内需要が落ち込んだ。 政府系シンクタンク、中国開発研究所のディレクター、ソン・ディン氏は5月のエッセーに、「深センの経済はぐらつき、傾き、低迷している。深センは十分な勢いを失ったのではないかとの見方もある」と記した。 ロイターは深セン政府にコメントを要請したが、回答は得られなかった。 しかし市当局者らは内々に、深センの「奇跡」を持続させることが日増しに難しくなっていると認めている。 中国行きの国際便はほとんど停止し、ロックダウンにより港湾の作業は滞り、かつてにぎわった香港との境界も閉鎖同然となった今、深センはビジネスに向かない都市になってしまった。深セン、香港、マカオなどを結ぶ中国の「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア、GBA)」構想は棚上げになったようにみえる。 かつて自社デザインを製品化しようと深センに押しかけていた海外企業家らの来訪も途絶え、数十軒の駐在員向けバーやレストランは閉店、もしくは地元民の嗜好に合わせた店に変わった。 外国の商工会議所は中国政府に対し、海外人材が大量流出すると警告している。 「中国のシリコンバレー」とも言われる深センは、野心と才能を備えた新卒者が中国全土から集まる都市でもあり、平均年齢は34歳と全国屈指の若さだ。しかし景気減速によって新卒者の職探しも難しくなった。 ハイテク企業が集まる「ハイ・テク・パーク」地区近くにはアパートが密集しており、例年5月には不動産屋が家探しの新卒者でごった返す。しかしある不動産代理店経営者は先月ロイターに対し、取り扱い件数が昨年の半分になったと明かした。「貸します」の看板も目立つようになっている。 低賃金で働く出稼ぎ労働者の状況は厳しい。生計費の上昇に苦しみ、不動産価格は全国有数の高さとあって家を持つこともかなわない。 マッサージ師のシュー・ジュアンさん(44)の友達は最近、成都市の故郷に帰って火鍋屋を始めた。シューさん自身もそうしようかと考えている。 「飲食代ですら値上がりし過ぎているし、仕事はきついし、他の地方の生活水準はすごく良くなった。そろそろここを離れる時かもしれない」とシューさんは語った』、「中国行きの国際便はほとんど停止し、ロックダウンにより港湾の作業は滞り、かつてにぎわった香港との境界も閉鎖同然となった今、深センはビジネスに向かない都市になってしまった」、「景気減速によって新卒者の職探しも難しくなった。 ハイテク企業が集まる「ハイ・テク・パーク」地区近くにはアパートが密集しており・・・しかしある不動産代理店経営者は先月ロイターに対し、取り扱い件数が昨年の半分になったと明かした」、「カナリア」は生き続けられるだろうか。

第三に、6月27日付けNewsweek日本版「習近平のゼロコロナ政策が新卒大学生を空前の就職難に突き落とす」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2022/06/post-98970_1.php
・『ジェニー・バイさんは、北京のあるインターネット企業の厳しい面接を4回もくぐり抜け、最終的に内定を勝ち取った優秀なコンピューター科学専攻の10人の大学生の1人だった。 しかし、5月になってこの企業から内定取り消しを通告された。新型コロナウイルスの感染拡大や中国経済全般の悪化が理由だ。この点に今年1080万人と過去最高となった中国の大学新卒者が直面している大きな問題がある。 今月卒業したバイさんは「心配だ。就職先を見つけられない場合、どうすれば良いか分からない」と不安を隠せない。ただ、内定を取り消された企業名については、今後もその企業と良好な関係を維持したいと明らかにしなかった』、「内定取り消し」とは深刻だ。
・『若者の失業率は18.4%  中国経済は昨年の不動産市場の冷え込みや地政学的問題、当局によるハイテク、教育など幅広い産業への締め付けで既に減速していた。そこに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ政策」と言える。 一方で、数十年来で最悪の状況となった労働市場に、ポルトガルの全人口を上回る規模の中国の大学新卒者が、一斉に参入しようとしている。足元の若者の失業率は、全世代の3倍以上で過去最高の18.4%に達している。 こうした就職できない若者の大量発生が、中国社会にどう影響するかは全く読めない。 中国が何十年も高成長を続けてきた後で、職探しに苦労するという事態は、せっかく高等教育を受けてきた若者にとって全くの想定外だ。 社会の安定を最優先に考える共産党指導部にとっても、特に今年は習近平国家主席の続投が秋に正式に決まろうかという局面で、若者の雇用不安が起きるのはあまりにも間が悪い。 北京大学のマイケル・ペティス教授(ファイナンス)は「(中国の)政府と人民が交わした社会契約では、人民が政治に参加しない代わりに、生活水準が年々向上すると保証されている。だから、懸念されるのはいったんこの保証が崩れれば、契約の他の部分も変わらざるを得なくなるのではないか、という点にある」と述べた』、「足元の若者の失業率は、全世代の3倍以上で過去最高の18.4%」、「中国が何十年も高成長を続けてきた後で、職探しに苦労するという事態は、せっかく高等教育を受けてきた若者にとって全くの想定外だ」、「北京大学のマイケル・ペティス教授(ファイナンス)は「(中国の)政府と人民が交わした社会契約では、人民が政治に参加しない代わりに、生活水準が年々向上すると保証されている。だから、懸念されるのはいったんこの保証が崩れれば、契約の他の部分も変わらざるを得なくなるのではないか、という点にある」と述べた」、「習近平国家主席の続投が秋に正式に決まろうかという局面で、若者の雇用不安が起きるのはあまりにも間が悪い」、その通りだ。
・『ハイテク雇用が大幅縮小  李克強首相は、大学新卒者の雇用確保が政府の最優先課題だと明言している。実際、新卒者向けにインターンシップ枠を設けている企業には、他の一般的な雇用支援措置を差し置いて補助金が支給される。 一部の地方政府は、起業する新卒者に低利の融資を提供。いくつかの国有企業は、民間で余剰化した非熟練雇用の一部を吸収する見通しだ。) 総合人材サービス企業・ランドスタッドの広域中華圏マネジングディレクター、ロッキー・チャン氏は、中国の非熟練雇用市場は2008─09年の世界金融危機時よりも悪化しており、新規雇用は昨年比で20─30%減ると見積もっている。 20年にわたって求人業務に携わってきた同氏は、今年はこれまで見てきた中で市場が最も低調だと指摘した。 大手求人サイト、智辯招聘によると、予想給与水準も6.2%低下するとみられる。 最近まで中国の大学新卒者の大量採用してきたのが、ハイテクセクターだった。ところが、業界全体では今、雇用を縮小する動きが広がっている。 インターネットサービスのテンセント(騰訊控股)から電子商取引のアリババまで、多くの大手IT企業は規制当局の取り締まり強化のあおりで、大規模な人員削減を強いられた。ハイテクセクター全体で今年、何万人もが職を失った、と5人の業界関係者がロイターに明かした。 上海を拠点する人材管理サービスの許姆四達集団が4月に公表したリポートを見ると、ハイテク大手約10社のほぼ全てが最低でも10%の人員を減らし、動画配信の愛奇芸などさらに削減幅が大きくなったケースもあった。 教育サービスも当局からにらまれた業界の1つで、やはり何万人も解雇した。最大手の新東方教育科技集団は6万人の削減を発表している。 逆に新規採用の動きは鈍い。テンセントの人事部門幹部の1人は、「数十人」の新卒者採用を検討中と話した。以前の同社は年間に約200人を採用していた。 人材紹介会社ロバート・ウォルターズのジュリア・ジュー氏は「インターネット企業は多くの雇用を減らしている。今、彼らに採用資金があるなら、新卒者よりも経験者を選んでいる」と説明した』、「新規雇用は昨年比で20─30%減る」、「20年にわたって求人業務に携わってきた同氏は、今年はこれまで見てきた中で市場が最も低調」、「多くの大手IT企業は規制当局の取り締まり強化のあおりで、大規模な人員削減を強いられた。ハイテクセクター全体で今年、何万人もが職を失った」、「規制当局の取り締まり強化」も最悪のタイミングだ。
・『ヘッドハンターも政府系企業に鞍替え  近年はハイテク企業との仕事がほとんどだった北京拠点のヘッドハンター、ジェーソンウォン氏は目下、政府系通信企業が主な顧客だ。「インターネット企業の採用が、活発化する黄金時代は終わりを迎えた」と言い切る。 中国では大学を出た後、しばらく仕事がないまま過ごす若者は企業側から歓迎されないのが普通だ。多くの家庭もそれを不運とみなすより「一家の恥」と考える。 かといって学士号を得ながらブルーカラーの仕事に就くというのも社会的に認められにくいため、大学院などの研究職に応募する人数が過去最高に上ったことが、公式統計から確認できる。 昨年大学を卒業したビセンテ・ユーさんは、その暮れにメディア企業での仕事を失って以来、再就職できていない。貯金は1─2カ月の家賃と生活費を賄える程度。不安感や不眠症と向き合う毎日で「父親には二度と家に帰るなと言われた。私の代わりに犬を育てた方がましだったという言葉も浴びせられた」とやつれた様子で語った。 ユーさんが夜間に訪れるのがソーシャルメディア。そこには同じ境遇の若者が集う。「私のように、仕事が見つからない人たちばかりで、それが多少慰めになる」という』、「ヘッドハンターも政府系企業に鞍替え」、さすが先読みの鋭さでならすだけある。「大学院などの研究職に応募する人数が過去最高に上った」、そこでの吸収力は僅かの筈だ。「ソーシャルメディア」の動向は当局も神経質に目を光らせているのだろうが、突如、爆発しかねないだけに要注意だ。

第四に、7月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「中国で「大学卒業=失業だ」の悲鳴…中国の失業問題に建国以来最悪の恐れ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/305892
・『中国で16~24歳の失業率が上昇し続けている。2022年5月の水準は18.4%と統計開始来の最高水準を更新した。SNS上では、「大学卒業イコール失業者生活の始まりだ」などと将来の悲観を吐露する若者が増えている。より自由かつ安心できる生活の基盤を手に入れたいと考え、わが国での就職を目指す人も増えているようだ』、興味深そうだ。
・『建国以来最悪の中国の失業問題  中国で失業者が急増している。その状況はかなり深刻で、中国の労働市場は1949年の建国以来、最悪期を迎える懸念が高い。特に、16~24歳の若年層の雇用環境の厳しさが増している。中国の新卒者の中には、わが国での就職を目指す若者も増えていると聞く。 失業者急増の最大の要因は、経済成長が限界を迎えていることだ。改革開放以来、天安門事件という大きな混乱を挟みつつ、共産党政権は党の指揮によって需要増加が期待される分野に生産要素を再配分し、実質GDP成長率が10%を超える高度経済成長期を実現した。しかし、2017年の党大会以降、成長率の低下は鮮明だ。米中対立やゼロコロナ政策の徹底、ウクライナ危機などが成長率低下に拍車をかけている。 当面の間、世界の供給制約は深刻化する。資源価格の高騰も長引くだろう。中国では石炭不足などによって電力供給も不安定だ。在来分野から先端分野、中小零細企業から大企業までコスト削減を優先せざるを得ず、追加的に雇用を削減する企業が増えるだろう。中国の失業問題の深刻化が懸念される』、「建国以来最悪の中国の失業問題」とは深刻だ。
・『「大学卒業イコール失業者生活の始まりだ」  中国では、全国を対象とした失業率ではなく、都市部の調査ベースによる失業率が発表されている。21年10月に4.9%だった失業率は、11月以降に急上昇。特に、ゼロコロナ政策による物流・人流寸断のインパクトは大きく、22年4月に失業率は6.1%に達した。5月は5.9%に低下したが、状況は楽観できない。 特に、16~24歳の失業率が上昇し続けていることは深刻だ。18年5月に9.6%だった若年層の失業率は、20年2月に13.6%に上昇。22年5月の水準は18.4%と統計開始来の最高水準を更新した。若年層が労働市場から勢いよくはじき出されるかのような構図が鮮明になっている。 中国では科学技術の向上のために高等教育が強化され、22年の学部卒業生は1000万人を超えるといわれている。新卒学生の多くは、外国語やプログラミングなどの専門スキルを身に付けるなどしてより良い条件での就職を目指す。しかし、本来であれば成長期待の高いIT先端分野の企業であっても、新卒学生を雇い入れることが難しくなっている。IT企業で内定の取り消しに直面する新卒学生も増えているようだ。 中国のSNS上では、「大学卒業イコール失業者生活の始まりだ」などと将来の悲観を吐露する若者が増えている。より自由かつ安心できる生活の基盤を手に入れたいと考え、わが国での就職を目指す人も増えているようだ。 IT以外の業種でも雇用環境は厳しい。過剰生産能力の削減、ゼロコロナ政策や不動産バブルの崩壊、それらによる債務問題の深刻化によって、鉄鋼や不動産など在来分野の雇用環境が悪化している。 15~64歳の生産年齢人口の減少を背景とする労働コストの増加、トランプ政権以降の米中対立などを背景に中国での生産を見直し、ベトナムなどのASEAN地域やインドなどに事業拠点を移す海外の企業も増えた。都市への人口流出に直面してきた内陸部では需要が急速に縮小均衡していると考えられる。黒竜江省鶴崗市のように事実上の財政破綻に陥る地方政府も出始めた』、「16~24歳の失業率が18.4%」とは本当に深刻だ。「事実上の財政破綻に陥る地方政府」はこの他にも出てきそうだ。
・『限界を迎えている共産党主導の雇用創出  深刻化する失業問題の主たる要因として、改革開放以来の共産党政権の雇用政策が限界を迎えたことが大きい。 共産党政権は、人々の雇用・所得環境の安定を実現することによって求心力を維持してきた。1978年12月に改革開放路線が策定されて以降、共産党政権は一党独裁体制を維持したまま経済特区を設けて海外の企業の直接投資を呼び込んだ。それによって軽工業の基盤が整備され製鉄など重工業化も進み、社会インフラ整備によって雇用が生み出された。 さらに、国有・国営企業が事業活動を行なっていない分野では民間企業の設立を認め、今日のアリババやテンセント、ファーウェイなどの先端企業が急成長を遂げた。その結果、共産党政権による経済運営の下で雇用が増えて所得も伸びた。膨大な消費需要の獲得と生産コストの引き下げを目指してより多くの海外企業が対中直接投資を積み増すという流れも連鎖反応的に強まった。 中国の国民は、党の指示に従うことによって豊かになることができるという考えを強めたはずだ。それがあったからこそ、89年の天安門事件の後も、中国では共産党政権が一党独裁体制を維持し、党の指揮による経済運営が続いた。リーマンショック後、共産党政権はインフラ整備や不動産開発など投資を積み増すことによって景気を押し上げ、雇用の創出に励んだ。 しかし、2018年頃から党主導で雇用を生み出すことが難しくなっている。17年の党大会の終了後に公共事業が絞られた結果、想定外に景気が減速した。投資に頼った経済運営が限界を迎えた。その中で米中対立が先鋭化し、中国をはじめ世界の企業がサプライチェーンの混乱と寸断に陥った。 さらに、コロナ禍におけるゼロコロナ政策が経済成長率を低下させ、失業問題が輪をかけて深刻化している。習近平政権は金融の緩和を進め、公共事業の積み増しなど企業の経営体力を支えて雇用を増やそうとしているが十分な効果は出ていない。習政権の経済運営は正念場を迎えている』、「コロナ禍におけるゼロコロナ政策が経済成長率を低下させ、失業問題が輪をかけて深刻化している」、「ゼロコロナ政策」へのこだわりが強いようだ。
・『今後もヒト・モノ・カネの海外流出は増加  今後も若年層を中心に中国の失業問題は深刻化するだろう。中国では経済全体で資本の効率性が低下している。 まず、不動産バブル崩壊によって「灰色のサイ」と呼ばれる債務問題の厳しさが増している。共産党政権は恒大集団など債務返済能力が大きく低下した不動産デベロッパーに公的資金を注入して金融システムの健全化を目指さなければならない。 しかし、公的な救済措置の発動は民間企業の創業経営者を救済することになるため、共同富裕の考えに逆行する。結果的に不動産バブル崩壊はさらに深刻化せざるを得ない。それによって、土地の利用権の売却益は減少し、財政運営が難航する地方政府も増えるだろう。 IT先端分野の民間企業の締め付けも強められる。8月からは改正独占禁止法が施行され、データ利用などに関する罰則が強化される。貧富の格差の拡大をなんとしても阻止するために、共産党政権は改革開放の果実として成長した民間企業に対する統制を強めなければならない。 習近平政権の経済運営は、成長期待の高い分野のアニマルスピリットを伸ばすのではなく、カンナでそぎ落としているかのようにみえる。そうして浮き出た資金を、貧困や失業問題に直面する層に配分し、社会の閉塞感の解消を目指す「ポーズ」を示している。 他方で、ゼロコロナ政策の長期化懸念、台湾海峡の緊迫感の高まり、半導体や人工知能など先端分野を中心とする米中対立の先鋭化リスク上昇などを背景に、中国から逃避する資本は増えるだろう。ウクライナ危機によるインフレ懸念の高まりが加わることによって、人民元で保有してきた財産を海外に持ち出し、その価値を守らなければならないと危機感を急速に強める国民も増えるだろう。 習政権にとって、人々の自由な発言や行動を認め、人材や資本を中国国内につなぎ留めることは容易ではない。それよりも習氏は長期の支配体制の確立に向けて社会と経済の統制を強化している。今後も、中国のアニマルスピリットは減殺されてヒト・モノ・カネの海外流出は増加し、雇用・所得環境は悪化するだろう』、「習氏は長期の支配体制の確立に向けて社会と経済の統制を強化」、「中国のアニマルスピリットは減殺されてヒト・モノ・カネの海外流出は増加し、雇用・所得環境は悪化するだろう」、同感である。
タグ:ダイヤモンド・オンライン 姫田小夏氏による「「こんな要求は前代未聞」中国ビジネスに異変続出で、日本の中小企業が困惑」 「中国との距離が一段と広がっている」とは穏やかではない。 「武漢のロックダウンが解除され、「中国はコロナの感染拡大を抑え込んだ」と宣言して以降、中国では「感染ルートは海外から輸入した貨物にある」という解釈が定着した。 その後も中国内で局所的に感染者が出るが、中国政府はその原因を「海外からもたらされたものだ」と主張し、今春の上海市におけるオミクロン株の拡大についても、同様の説明を行った。習近平指導部は「海外からの輸入品は要注意だ」と警告して国内の防疫体制を強化したが、“海外”を過剰に意識したアナウンスは「別の目的があるのではないか」と疑う声も」、「「海外からの輸入 「コロナの2年半はB社への忖度・・・ばかりが増え、これまでのようなオープンな会話は、ほとんどできなくなってしまいました」(坂場氏) 長年の協力先でありながらも、日本のA社が上海パートナーB社に対し “虎の尾”を踏まないよう神経を使う様子がうかがえる」、信じ難い取引関係の変化だ。「“コロナの2年半”を経て転換点を迎えた中小企業の中国ビジネスは、今後ますます国内回帰を進める気配だ」、その通りなのだろう。 次に、6月22日付け日経ビジネスオンラインが転載したロイター「「奇跡の都市」深センが暗転 中国経済の未来 日経ビジネスオンライン ロイター「「奇跡の都市」深センが暗転 中国経済の未来を暗示か」 「習近平・国家主席は19年に・・・「奇跡の都市」と呼んだ」のが、いまや「「炭鉱のカナリア」であり、ここが苦しくなることは中国経済全体への警戒信号だと指摘」されるまでになったようだ。 「中国行きの国際便はほとんど停止し、ロックダウンにより港湾の作業は滞り、かつてにぎわった香港との境界も閉鎖同然となった今、深センはビジネスに向かない都市になってしまった」、「景気減速によって新卒者の職探しも難しくなった。 ハイテク企業が集まる「ハイ・テク・パーク」地区近くにはアパートが密集しており・・・しかしある不動産代理店経営者は先月ロイターに対し、取り扱い件数が昨年の半分になったと明かした」、「カナリア」は生き続けられるだろうか。 Newsweek日本版「習近平のゼロコロナ政策が新卒大学生を空前の就職難に突き落とす」 「内定取り消し」とは深刻だ。 「足元の若者の失業率は、全世代の3倍以上で過去最高の18.4%」、「中国が何十年も高成長を続けてきた後で、職探しに苦労するという事態は、せっかく高等教育を受けてきた若者にとって全くの想定外だ」、「北京大学のマイケル・ペティス教授(ファイナンス)は「(中国の)政府と人民が交わした社会契約では、人民が政治に参加しない代わりに、生活水準が年々向上すると保証されている。だから、懸念されるのはいったんこの保証が崩れれば、契約の他の部分も変わらざるを得なくなるのではないか、という点にある」と述べた」、「習近平国家主席 「新規雇用は昨年比で20─30%減る」、「20年にわたって求人業務に携わってきた同氏は、今年はこれまで見てきた中で市場が最も低調」、「多くの大手IT企業は規制当局の取り締まり強化のあおりで、大規模な人員削減を強いられた。ハイテクセクター全体で今年、何万人もが職を失った」、「規制当局の取り締まり強化」も最悪のタイミングだ。 「ヘッドハンターも政府系企業に鞍替え」、さすが先読みの鋭さでならすだけある。「大学院などの研究職に応募する人数が過去最高に上った」、そこでの吸収力は僅かの筈だ。「ソーシャルメディア」の動向は当局も神経質に目を光らせているのだろうが、突如、爆発しかねないだけに要注意だ。 真壁昭夫氏による「中国で「大学卒業=失業だ」の悲鳴…中国の失業問題に建国以来最悪の恐れ」 「建国以来最悪の中国の失業問題」とは深刻だ。 「16~24歳の失業率が18.4%」とは本当に深刻だ。「事実上の財政破綻に陥る地方政府」はこの他にも出てきそうだ。 「コロナ禍におけるゼロコロナ政策が経済成長率を低下させ、失業問題が輪をかけて深刻化している」、「ゼロコロナ政策」へのこだわりが強いようだ。 「習氏は長期の支配体制の確立に向けて社会と経済の統制を強化」、「中国のアニマルスピリットは減殺されてヒト・モノ・カネの海外流出は増加し、雇用・所得環境は悪化するだろう」、同感である。
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中国経済(その13)(中国から外国企業が「大脱出」する予兆が見え始めた 駐在員は歓迎されなくなった、三峡ダム2題:世界が騒いだ中国・三峡ダムが「決壊し得ない」理由、決壊のほかにある、中国・三峡ダムの知られざる危険性) [世界経済]

中国経済については、10月25日に取上げた。今日は、(その13)(中国から外国企業が「大脱出」する予兆が見え始めた 駐在員は歓迎されなくなった、三峡ダム2題:世界が騒いだ中国・三峡ダムが「決壊し得ない」理由、決壊のほかにある、中国・三峡ダムの知られざる危険性)である。

先ずは、10月26日付けPRESIDENT Onlineがニューズウィーク日本版を転載した「「ニューズウィーク日本版」現地取材:中国から外国企業が「大脱出」する予兆が見え始めた 駐在員は歓迎されなくなった」を照会しよう。
https://president.jp/articles/-/51153
・『<人質外交に新たな規制、そして「自給自足」体制の構築。中国に限界を感じる外資企業の幹部があげる悲鳴が聞こえ始めてきた:メリンダ・リウ> 中国の特色ある企業ミステリー——沈棟の著書はそんな本だ。沈と元妻の段偉紅は、かつては全てを手に入れた大金持ちだった。だが温家宝前首相の親族関連の資産をめぐり、段の名前がニュースの見出しになった。そして2017年9月、段は消息を絶った。 沈は外国に移住し、中国の富裕層と権力者の汚職を告発する回顧録を書いた。本の出版直前、段は出し抜けに元夫に電話して出版中止を懇願した。さもないと息子が危険だ、と。 その後『レッド・ルーレット——現代中国の富・権力・腐敗・報復についてのインサイダー物語』は出版され、評判を呼んだ。中国のVIPに焦点を当てた内容だったが、外国人の経営幹部も警告を読み取った。中国の「人質外交」である。 現地駐在の経営幹部は「中国での潜在的ビジネスパートナーが4年間も行方不明になりかねない」現実を認識しつつあると、米シンクタンク、アトランティック・カウンシルのアジア安全保障イニシアチブ上級研究員のデクスター・ロバーツは言う』、「「中国での潜在的ビジネスパートナーが4年間も行方不明になりかねない」現実を認識しつつある」、のであれば、商売上がったりだ。
・『相次ぐ規制強化とスローガンの刷新  外国人経営者が不安と混乱を覚えるのも無理はない。中国では今年に入ってから、規制強化とスローガンの刷新が相次いでいる。テクノロジー業界の大物、暗号資産、過剰なスター崇拝、外国への依存度が高過ぎるサプライチェーンなど、締め付けのターゲットはさまざまだ。 8月には、左派ブロガーの李光満が「深遠なる変革」を予言した。「資本市場は成り金資本家の天国ではなくなる。文化市場は女々しい男性アイドルの天国ではなくなり、ニュースや評論は……欧米文化を崇拝することはなくなるだろう」 この予言が話題になると、一部の政府当局者は事態の沈静化に動いた。財政・通商担当の劉鶴副首相は、「民間企業、イノベーション、起業家の発展を支援する」と宣言し、中国の都市雇用の80%は民間企業が生み出していると指摘した。 こうした複雑なメッセージは、複雑な臆測を呼んだ。ある視点から見ると、目先の未来は明るく見える。ユニバーサル・スタジオは北京近郊に新しいテーマパークを開園。スターバックスは7~9月に162店舗をオープンし、コロナ禍以前の水準を回復した。上海の米国商工会議所が発表した21年の報告書によれば、調査回答企業の60%が対中投資を昨年から増やしたと答えた。 最も劇的だったのは9月25日、1028日間にわたり中国の対米・カナダ関係を緊張させてきた騒動が終結したことだ。カナダで拘束・保釈中だった通信機器大手・華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)が、米司法省との司法取引に合意して中国への帰国が認められたのだ。ほぼ同時に、スパイ容疑で中国に身柄を拘束されていた2人のカナダ人も釈放され、母国に送還された。 だが視点を変えると、この一件は「人質外交」の露骨な事例だ。中国当局は何年もの間、カナダ人2人の拘束と孟の逮捕は無関係だと主張していた。だが孟が自由の身になると、2人をすぐに釈放した。「中国の国力がこの結果をもたらしたのだ」と、人民日報系タブロイド紙・環球時報の論説は勝ち誇った。 中国駐在の外国企業幹部の中には、習近平国家主席が唱え始めた「共同富裕」という新しいスローガンに不安を感じている向きもある。中国の知識人の間でも論争が起こり、北京大学の張維迎教授(経済学)は、「(これでは政府の)市場介入がますます増え……中国を共同貧困へと導くだけだ」と批判している』、「(これでは政府の)市場介入がますます増え……中国を共同貧困へと導くだけだ」と批判」、その通りだ。
・『新しい「文革」の始まり?  このスローガンは「美しいフレーズだが、見ていて心配だ」と、上海の多国籍企業に所属する日本人幹部(匿名希望)は言った。「60年代の中国のように暴力的でも感情的でもないが、もっと洗練された形で『文化大革命』が始まるのではないか。今回は規制を使って外国企業を徐々に追い出そうとしている」 この幹部は3年前、中国当局が外資系企業内部に共産党の支部を作るよう党員に促す告知を目にしたという。「党は究極の権威だ。会社に何か要求してきたら? それは依頼であって既に依頼ではない」 そのため、現地駐在の外資幹部の間には不安と疑念が広がっている。「不安を抱えて息を潜めている会社もある」と、アトランティック・カウンシルのロバーツは言う。「駐在員は歓迎されなくなったと感じている。いずれ、もうここにいたくないと思うようになるだろう」 中国に残りたいと望む人々も、変化を痛感している。数十年かけて地方でいくつも企業を立ち上げた欧米人起業家は、規制の山や裏切り、官僚主義の壁に疲れ果てたという。撤退する気はないが、「私は中国を愛している。だが中国が私を愛してくれなければ何もできない」と語る。 半導体、金融、医療など、当面は大事にされる分野もあるだろうが、中国政府の最終目標は技術的な「自給自足」だ。さらにデータの使用や送信に関する規制が強化されていることもあり、外国企業は厳しい選択に直面している。 在中国EU商工会議所が9月初めに公表した年次報告書にはこうある。「国家安全保障の概念が中国経済の多くの分野に拡大され、自給自足の方針が強化されるなか、ますます多くの欧州企業が技術の現地化とサプライチェーンの国内完結か、市場からの退場かの選択を迫られている」 EU商工会議所が半年足らず前に出した報告書のトーンは今回とは全く異なる。前回はコロナ禍が収まり(デルタ株はまだ広がっていなかった)、中国経済は急回復しつつあるように見えたため楽観的なムードが支配的だった。だが今はどうか。EU商工会議所のイエルク・ブトケ会頭に悲観的な気分を1から10までで表すとどのくらいかと聞くと「8くらいだ」との答えが返ってきた。 こうした悲観論の根底には複雑に絡み合ったさまざまな事情があるが、中国のエネルギー危機もその1つだ。中国東北部の3省は「予想外で前例のない」大停電に見舞われ、電力使用の割当制を導入したと、環球時報は報じた。工場が操業停止に追い込まれたり、妊婦が高層マンションの20階まで歩いて上がる羽目になったりと、このところ停電の話題が中国メディアをにぎわせている。 電力不足の原因の1つは、中国経済、特に電力を大量に消費する建設・製造業がコロナ後の急回復を遂げている点にある。建設ブームの余波で、21年第1四半期に中国の二酸化炭素(CO2)排出量はこの10年間で最大級の増加率を記録したと中国の研究所は報告している』、「自給自足の方針が強化されるなか、ますます多くの欧州企業が技術の現地化とサプライチェーンの国内完結か、市場からの退場かの選択を迫られている」、「中国東北部の3省は「予想外で前例のない」大停電に見舞われ、電力使用の割当制を導入」、これでは。「市場からの退場」を選択するEU系企業も増えるだろう。
・『炭素排出ゼロを目指す中国政府  一方で、習は炭素排出量を30年までに減少に転じさせ、60年には実質的な排出ゼロを達成すると宣言。中国政府は主要地域の自治体に年末までGDP単位当たりの電力消費量を監視するよう命じた。 「グリーン化」に成功すれば、習の大きな功績となる。そのため地方の党官僚は習に忖度して過剰なまでに排出量減らしに努めているようだ。それでもピークアウト目標の30年までには炭素排出量が「制御不能なほど急増する」時期が多くあるだろうと、EU商工会議所はみている。 同会議所の加盟企業には、自国の法律などで排出削減を義務付けられた企業が少なくない。その場合、どこから電力を調達するかが問題になる。「中国で排出ゼロを達成できなければ、本国などで法令遵守義務を果たせなくなり、中国からの撤退を余儀なくされる場合もあり得る」と、報告書は指摘している。 今はまだ中国からの外国企業の大脱出は起きていないが、コロナ下での強権的な規制に嫌気が差したり、以前ほど歓迎されていないと感じて中国を去った外国人は少なくない。 外国人の流出が最も顕著なのは大都市だ。外国のパスポートを所持する上海在住者(16万3954人)と北京在住者(6万2812人)は、1年前に比べて28%超も減った。中国の税制が変わり、家賃や学費の税控除が受けられなくなったため、年末までにはさらに多くの外国人が中国から出て行くとみられる。 中国の大都市で働く外国人の減少は看過できない問題だとEU商工会議所の報告書は指摘している。「先進国出身のグローバルな人材の流出が止まらなければ、イノベーションに支障を来す」恐れがあるからだ。 「中国では多様な人材がイノベーションを支えてきた」と、ブトケは言う。「だが今では外国人の居住率は世界の最低レベルだ。ルクセンブルクのような小国でも外国人人口は上海と北京を合わせたよりも多い」) 一方で、中国経済は今年に入ってコロナ後の力強い回復基調を見せたものの、今は足踏み状態に陥っている。国内消費が期待されたほど伸びていないのは、家計所得、特に低賃金の出稼ぎ労働者の所得が伸び悩んでいるためだろう』、「外国のパスポートを所持する上海在住者・・・と北京在住者・・・は、1年前に比べて28%超も減った」、「「先進国出身のグローバルな人材の流出が止まらなければ、イノベーションに支障を来す」恐れがある」、その通りだ。
・『「ほとんど階級闘争」の言説  上海在住の日本企業の幹部は、問題の根源には極端に大きい貧富の格差があると話す。「上海では配達員が10元(約170円)で昼食を済ます横で、ビジネスマンが500元を惜しみなくはたいて豪勢な食事をしている。これは危険な状況だ」 この幹部が指摘するように、中国では所得格差の指標であるジニ係数がアジア諸国の平均の0.34よりはるかに高く、アメリカの0.41よりもさらに高い0.47前後で、「極めて不平等な状態」だ(1.0が最も不平等な状態)。 彼が恐れる最悪のシナリオは、経済が不安定になるかバブルがはじけて低所得層の不満が爆発することだ。当局は民衆の怒りをそらすため外国人を格好の標的に仕立てるだろう。 既に持てる者と持たざる者の対立をあおるような政治的レトリックが飛び交っている。最近ブルームバーグ主催のフォーラムで、PR会社アプコの中国法人会長、ジム・マクレガーは左派ブロガーの李の主張を問題にした。 李は、最近の中国政府の規制強化の動きを文化大革命を彷彿させる「社会主義の本質への回帰」だと賛美したのだ。「富豪は階級の敵だと言わんばかりの……ほとんど階級闘争のような」言説だと、マクレガーは危惧する。 もっとも、今の状況を毛沢東時代の文革に例えれば、重要な違いを見逃すことになる。「毛は(集団的な指導)体制を壊して権力を一手に握るため、混乱を引き起こそうとした」と、調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの共同創業者アーサー・クローバーは言う。それに対し「習は儒教的な国家の復興を目指している」というのだ。 文革のトラウマゆえ、中国の人々は混乱よりは極端な儒教的統治のほうがましだと思っているのかもしれない。どちらも、中国の持続的な成長を支える創造性とイノベーションを育むには役立ちそうにないが』、「中国では所得格差の指標であるジニ係数がアジア諸国の平均の0.34よりはるかに高く、アメリカの0.41よりもさらに高い0.47前後で、「極めて不平等な状態」だ」、「アメリカ」より「格差」が大きいとは危険な兆候だ。

次に、昨年10月24日付けNewsweek日本版が掲載したノンフィクション作家の譚璐美(たん・ろみ)氏による「世界が騒いだ中国・三峡ダムが「決壊し得ない」理由」を紹介しよう。見逃していたため、遅れたことをお詫びする。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/10/post-94797_1.php
・『<世界最大のダムが「決壊する!」と注目を浴びたが、今も決壊しないまま。そこで専門家に話を聞き、堤体の構造や今夏の洪水時に何が行われたかを検証した。三峡ダムは本当に大丈夫なのか。なぜ決壊しないのか> (本記事は2020年10月13日号「中国ダムは時限爆弾なのか」特集収録の記事の前編です) 中国では今年6月半ばの梅雨入り以来、62日間にわたって大雨と集中豪雨が続き、190以上の河川が氾濫し、四川省から江蘇省まで至る所で洪水が発生した。6300万人以上が被災し、5万棟以上の家屋が倒壊する被害が出た。 ネット上では、長江沿川の町や村が冠水する様子や、世界最大の三峡ダムの放流状況が刻一刻と伝えられ、今しもダムが決壊するのではと不安視する声があふれた。 YouTubeには「三峡ダムの決壊シミュレーション」まで登場し、もし決壊すれば、約30億立方メートルの濁流が下流を襲い、武漢、南京が水没し、上海付近の原子力発電所や軍事基地まで甚大な被害を受けるだろうと危機感をあおった。4億人が被災するとの試算もあった。 幸いにも三峡ダムは決壊しなかったが、たまたま決壊を免れただけで、いつかまた危機が訪れるのか。それともダムの構造は強固で、決壊は杞憂にすぎないのか。豪雨の季節が過ぎた9月上旬になっても、長江上流域ではまだ洪水が続いていた。 三峡ダムは70万キロワットの発電機32基を備え、総発電量は2250万キロワット。放流量を調節して下流の洪水被害を防ぐ機能も持つ、世界最大の多目的ダムだ。堤体(ダムの本体)の重さで水の力を支える構造の重力式コンクリートダムで、2009年に長江中流域の湖北省宜昌市に近い三峡地区に建設された。 いま振り返れば、三峡ダムの決壊説に沸いていたのは主として欧米や台湾の中国系メディアと日本メディア(私も記事を書いた)だけで、コメントしているのもごく限られた人物ばかりだった。あるいは科学的考察が不十分だったのではないか。日本や欧米の水利専門家はこの状況をどう捉えていたのだろうか。 そんな疑問に駆られ、改めて信頼できる専門家に話を聞き、中国ダム事情と三峡ダムについて検証した。 京都大学防災研究所水資源環境研究センターの角哲也教授は、日本の河川、特にダム工学研究の第一人者で、黄河の環境問題を扱った『生命体「黄河」の再生』の編著者の1人として中国の事情にも明るい。 角教授は「決壊説」を一蹴する。その説明に入る前に、やや遠回りになるが黄河の話から始めよう』、「ダム工学研究の第一人者で・・・中国の事情にも明るい」、とは信頼できそうだ。
・『ビルと違って半永久的に堅牢  黄河は長江に次ぐ中国第2の河川で、水源の青海省からチベット高原、黄土高原を横切り、西安や洛陽を経て、渤海湾へ注ぐ。 その中流域にあるのが三門峡ダムだ。1960年代に中国が社会主義の兄貴と慕うソ連(当時)の設計で建設されたダムだったが、竣工直後から貯水池(ダム湖)に黄砂がたまり、20年で約40%が埋まった。 私の記憶では、1980年代に「黄河は死んだ」と聞かされた。水量が減り、生活用水や工業用水を垂れ流した揚げ句、毒々しい赤色や紫色の溜水ができて大量の魚が死滅したからだ。 「黄河の最大の特徴は、シルトと呼ばれる細かい粒子の土砂が黄土高原から運ばれて高密度で河川に含まれていること。上流域の開発が断流と呼ばれる流れの変化をもたらし、下流に(流れ切れない)土砂が堆積して河床が上昇し、洪水を多発させました」と、角教授は口火を切った。 そこで三門峡ダムに土砂を通過させる改修工事が行われ、その後、下流に水と土砂の調節を目的として小浪底ダムが建設された。 日本ではダムに堆積する土砂を排出する方法を「通砂」「排砂」と呼ぶが、中国では「調水調砂」と呼び、下流の河床の調整と「通砂」を同時に行う考え方をするという。 「小浪底ダムは三門峡ダムと連携して調水調砂を行い、また密度流(ダム湖の底をはう高濃度の土砂の流れ。これを利用して通砂が行われる)の効果を高めるために、世界初の『人工密度流』という排砂方法も実施されました」 「人工密度流」とは、上流ダム群の放流に合わせて、下流ダムの貯水池内に堆積した土砂を高圧水ジェットで攪拌し、より高密度の流れを人工的につくり出してダムの底部にある排砂管から下流へ排出することだ。黄河は特にシルトが圧倒的に多く、その特徴を生かした方法と言える。 ここから分かるのは、中国の河川管理・洪水管理の技術が決して劣っているわけではないということだ。では、実際のところ、長江の三峡ダムはどうだったのか。 長江は中国最長の河川で全長約6300キロ。チベット高原を水源とし、四川盆地から東へ流れて、河口部の上海で東シナ海へ注ぐ。 上流域の成都や重慶、中流域の武漢は中国屈指の工業都市で、中下流域の安徽省、江蘇省は全中国の農産物の約40%を占める穀倉地帯だ。下流域の南京から上海までは商業都市がひしめき、長江はこれら19の省・市・自治区を結ぶ水運の大動脈である。 噂されている三峡ダム決壊説について質問すると、角教授は「コンクリートダムは決壊しません!」と、明快に言い切った。 コンクリートは砂と砂利と水とセメントを混ぜた自然素材で、アルカリ性である。空気に触れると中性に変化し、劣化する。例えばビルを建てた場合、コンクリートの中には鉄筋を入れるので、鉄筋が腐食するとコンクリートも劣化してもろくなるし外気に触れる部分は風化する。 一方、ダムには鉄筋がほとんど入っていないので、堤体の水につかっていない下流側の表面など劣化する部分はあっても、水につかった部分や堤体内部はアルカリ性のまま変化せず、半永久的に堅牢だと言ってもよい。 「コンクリートダムの決壊というのは、基礎岩盤が脆弱だったり、地震や水圧で河床部が変形したり、岩盤との接合部分がズレたりすることで起こります」) では、三峡ダムの岩盤は安全なのか。調べてみると、三峡ダムは先カンブリア紀の花崗岩中に造られたとされており、どうやら良好だ。先カンブリア紀は地質時代の年代区分の1つで約5億4100万年前(諸説ある)までのおよそ40億年間を指し、花崗岩は御影石とも呼ばれて堅牢な性質を持っている。 2019年にグーグルアースの航空写真で、「三峡ダムが歪(ゆが)んでいる」という噂が広まったこともある。あれは本当なのだろうか。 「笑い話でしょう」と、角教授はにべもない。「でも、ダムは本来、動くようにできています」 コンクリートは温度により膨張・収縮するため、堤体は建設時の温度対策として、15メートル幅のブロックをジョイントでつなぎ合わせて造られる。ジョイントにはゴム製の止水板を設けてある。その後も、水圧や気温の変化などの影響で、ダムは年間数ミリ単位で常に上下流方向に動いている。 ただし、これは「動いている」と体感できるほどのものではない。 既に多くの専門家が指摘しているが、グーグルアースの写真は航空カメラで撮影され、レンズの中心に光束が集まる中心投影になるため、レンズの中心から対象物までの距離の違いによって対象物の像にズレが生じる。 三峡ダムの「歪み」はこのズレだったようだ。現在は正しく修正されている』、「コンクリートダムは決壊しません!」、一安心だ。「ダムには鉄筋がほとんど入っていないので、堤体の水につかっていない下流側の表面など劣化する部分はあっても、水につかった部分や堤体内部はアルカリ性のまま変化せず、半永久的に堅牢」、初めて知った。
・『放流量を操作し洪水をならす  それよりもっと気になっていたことがある。中国中央電視台(CCTV)によると、8月17日、「第5号洪水」(洪水に番号が付けられていた)の発生が発表された後、三峡ダムの流入量は過去最大の毎秒7万5000立方メートルに達し、11門全ての放水ゲートから過去最大となる毎秒4万8000立方メートルを放流した。 それでも追い付かず、水位は夏期の実績最高の167メートルを記録。堤頂の標高は185メートルだから、間もなく越水するのではないかとの声が高まった。実態はどうだったのだろうか。 「いいえ、越水はしません。(定められた)最高水位の175メートルになれば、ゲートを全て開けて、洪水を通過させればよいのです。このグラフを見てください」と、差し出されたのは、中国側の公式記録を基に角教授の研究室で作成した、5月12日から9月12日までの日別の記録だった(下図参照)。 角教授は次のように分析した。 前提として、ダムの役割には(1)洪水調節、(2)水資源の確保、(3)発電、(4)河川の環境保全の4つがある。これらを担うのが管理者(この場合は長江水利委員会)の役目だ。 洪水調節において管理者は、平時から気象情報をチェックして今後の予測雨量や台風情報を収集し、気象の変化に合わせて、流入量に応じた放流量を調節する。ここで重要なのはダムの貯水容量である。) 先日、角教授らの属するダム工学会が公開した動画によれば、洪水時のダムの操作には3段階あり、第1段階の平常時(下流へ必要な水量だけ放流する)、第2段階の大雨時(あらかじめ確保したダムの洪水調節容量を用いて、流入量に応じて放流量を調節する)、第3段階の異常豪雨時(緊急放流とも呼ばれ、ダムの容量では処理し切れない際、上部のゲートを開けて洪水をそのまま通過させる)に分けられる。 三峡ダムのデータを見ると、平常時から大雨時、異常豪雨時へと段階を踏んで、操作方法を変化させていった様子がはっきり見て取れる。 まず6月上旬に、大雨が予想される梅雨期に備えて、あらかじめ貯水池の貯水量を減らす事前放流を行った。7月中旬に長江中下流で洪水が発生したことから、ダムでは洪水をため込んで増水を防いだ。 特に7月18日のピーク時には毎秒6万立方メートルの流入量を毎秒3万5000立方メートルまで減らす放流を行った。この際に水位は一時164メートルまで高まったが、その後流入量が低下した際に、再度事前放流を行って容量回復を行ったことにより、7月27日の次の洪水ピーク時にも放流量を低減させた。 それでも豪雨はやまず、最後のピークは8月19日に訪れた。ダム流入量で毎秒7万立方メートルを超えて記録的に増加し、11門の放水ゲートを全て開放して放流を行った。ただしその間も、流入量から毎秒2万立方メートルを差し引いた程度の放流を保ち続け、これにより貯水位は165メートルを超えたが、その後流入量が減少した。 「洪水ピーク時の複数回の事前放流がなければ、水位はもっと上昇していた危険性もあった。長江水利委員会は下流の洪水と上流の洪水を見ながら放流量を巧みに操作し、洪水をならしながら無事に通過させました」と、角教授は太鼓判を押した。 ※後編:「決壊のほかにある、中国・三峡ダムの知られざる危険性」に続く』、「長江水利委員会は下流の洪水と上流の洪水を見ながら放流量を巧みに操作し、洪水をならしながら無事に通過させました」、日本のお粗末なダムの「放流量」調節より遥かに上手そうだ。 

第三に、この続きを、昨年10月24日付けNewsweek日本版が掲載したノンフィクション作家の譚璐美(たん・ろみ)氏による「決壊のほかにある、中国・三峡ダムの知られざる危険性」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/10/post-94801_1.php
・『<「決壊説」が繰り返されてきたが、専門家によれば、中国の河川管理・洪水管理の技術は決して劣ってはいない。だが、問題は他にある。汚職と環境破壊、三峡ダムの相反する「致命的な欠陥」も明らかになった> (本記事は2020年10月13日号「中国ダムは時限爆弾なのか」特集収録の記事の後編です)※前編:「世界が騒いだ中国・三峡ダムが『決壊し得ない』理由」から続く』、相反する「致命的な欠陥」とは何なのだろう。
・『黄河と異なる「河床低下」問題  なるほど。三峡ダムは当面は決壊しそうにない。だが問題がないわけではない。 例えば、三峡ダムの周辺では地質のもろさが問題になっている。2005年の土木学会「第34回岩盤力学に関するシンポジウム講演論文集」には、三峡ダム周辺の地区は「砂岩、泥岩、砂泥互層、頁岩(石灰を含む)、ジュラ紀と三畳紀上統の地層が分布し......長江周辺の90%以上の地滑りは、ジュラ紀と三畳紀の地層に発生している」とする論文がある。 そして貯水池周辺で計283カ所の地滑りと斜面崩壊が起きていることが報告されている。岩盤は安全でも、周辺の地質が緩ければ、貯水池に土砂が流入するなど影響が及びそうだ。 また、角教授の話では、黄河の三門峡ダムなどでの経験を生かし、長江でも土砂管理に取り組んでいるものの、黄河とは違った堆砂(堆積する土砂)の問題があるという。 長江は土砂の粒径が粗く、ダム湖にとどまりやすいために、ダムからの放流水は土砂が少ない清水となります。黄河では調水調砂でダム下流の『河床上昇』がうまくコントロールされたが、長江ではむしろ土砂が不足するために『河床低下』、さらに河口部まで土砂が供給されずに『海岸浸食』が起きている。河床が低下することで、長江に接続する湖との水の交換が変化したり、上海の海岸線が年々減退したりしているのです」と、角先生は眉をひそめた。 これは重大な指摘だ。土砂の供給量が減少すると、河口デルタが縮小するだけでなく、川が運ぶ栄養豊富な土壌がもたらす河口や沿岸域の干潟が劣化し、さらには河床低下が海からの塩水遡上(そじょう)をもたらし、塩分濃度が高まって魚類が死滅したり、農作物が塩害を受けたりするなど、甚大な悪影響を及ぼすことになる。 これはメコン川などでも大きな課題となってきており、広域的な課題解決のための連携が必要だ。 一方、上智大学大学院地球環境学研究科の黄光偉教授は、三峡ダムの問題点について「重慶市にもっと着目すべき」と指摘する。 「重慶は人口3000万人の工業都市です。世界でどこのダムの上流にこんな重要都市がありますか? 中国だけです。その重慶で堆砂による河床上昇が起こり、洪水が頻発しているのです」 浮遊砂と掃流砂という、大粒で重い堆砂が貯水池に大量にたまるのは大きな問題だ。しかも、三峡ダムの上流には狭い峡谷が連なり、地質がもろく、崖崩れや地滑りが頻発して岩石や土砂が長江に流れ込む。 その結果、全長660キロにも及ぶ、ダム湖からバックウォーター(背水池)に掃流砂が大量にたまる。 重慶はそのバックウォーターの先端にある。堆砂がたまって河床が上がった重慶では、水位が上がり、水害が頻繁に起きているのだ。これは見過ごせない一大事である。 2020年現在、バックウォーターの堆砂は16億トンに上るという推量もあり、2030年には40億トンまで増えて、どうにも対処できなくなる。「そうなる前に三峡ダムを破壊すべきだ」と、一部の三峡ダム批判派が主張するゆえんでもある』、「長江は土砂の粒径が粗く、ダム湖にとどまりやすいために、ダムからの放流水は土砂が少ない清水となります。黄河では調水調砂でダム下流の『河床上昇』がうまくコントロールされたが、長江ではむしろ土砂が不足するために『河床低下』、さらに河口部まで土砂が供給されずに『海岸浸食』が起きている」、「長江」と「黄河」でずいぶん異なるようだ。「重慶はそのバックウォーターの先端にある。堆砂がたまって河床が上がった重慶では、水位が上がり、水害が頻繁に起きているのだ・・・2020年現在、バックウォーターの堆砂は16億トンに上るという推量もあり、2030年には40億トンまで増えて、どうにも対処できなくなる。「そうなる前に三峡ダムを破壊すべきだ」と、一部の三峡ダム批判派が主張するゆえんでもある」、大変だ。
・『建設への意見書は発禁処分に  ところで、日本のダムは「異常洪水時」の緊急放流に際して、事前警報でサイレンを鳴らし、沿川の自治体に事前通告して、住民が避難する時間をつくることが鉄則だという。では、中国はどうだったか。 中国のSNS上には、「ダムが警報なしに放流した」「堤防をブルドーザーで破壊したが、住民に予告しなかった」「深夜に急に浸水し、着の身着のまま逃げ出した」などという不満が相次いだ。 被災者は避難する十分な時間も与えられずに、家も田畑も財産も失って逃げ出したことが推察できる。これは行政の怠慢で、政治の問題ではないのか。 三峡ダムは1912年、孫文が国家建設のために「鉱山開発」「鉄道網の普及」「三峡ダムによる発電」を構想したことに始まるが、日中戦争で計画倒れに終わった。 1949年に中華人民共和国が誕生した後も、長引く政治運動で手を付けられず、文化大革命が終息した後の80年代にようやく現実味を帯びてきた。だが、発展途上の中国ではまだ「時期尚早」との声が高かった。 1989年1月、光明日報の記者の戴晴(タイ・チン)が編纂した『長江 長江』が出版された。三峡ダム建設計画について水利専門家や有識者、政治家に取材して編纂した意見書だ。「資金不足」「技術力不足」「生態系の破壊」「大量の移住者が出る」などの理由で、慎重論がほとんどだった。 その中で、戦前、米イリノイ大学で工学博士号を取得した著名な水利学者で、清華大学の黄万里(ホアン・ワンリー)教授は、堆砂の深刻さを問題視した。 「長江の三峡地区は堆積性河段(土砂が沈殿・堆積する河床部分)で、このような場所にダムを造ってはいけない。宜昌市の砂礫の年間流動量を推算すると、およそ1億トンに上る。上流域にも土砂が堆積し、ダム完成後10年以内に重慶港が土砂で塞がれる事態が発生する恐れがある」 同書をきっかけに、三峡ダムプロジェクト論争が熱を帯びた。李鵬(リー・ポン)首相を中心とする中国政府が強引に計画を推し進めるなか、同年6月4日、天安門事件が起きた。政府は民主化運動を武力で弾圧し、戴晴は「騒乱と暴乱の世論作りのために準備した」との罪で逮捕・拘禁され、今に至るまで中国では意思発表の場はない。 『長江 長江』も出版を禁止され、焼却処分になった。同書で取材を受けた有識者らも共産党から除名、降格、失業、亡命を余儀なくされた』、「「ダムが警報なしに放流した」「堤防をブルドーザーで破壊したが、住民に予告しなかった」・・・被災者は避難する十分な時間も与えられずに、家も田畑も財産も失って逃げ出したことが推察できる」、こんな荒っぽい行政を続けることは出来ない筈だ。「李鵬・・・首相を中心とする中国政府が強引に計画を推し進めるなか、同年6月4日、天安門事件が起きた。政府は民主化運動を武力で弾圧し、戴晴は「騒乱と暴乱の世論作りのために準備した」との罪で逮捕・拘禁され・・・『長江 長江』も出版を禁止され、焼却処分に」、「天安門事件」をはさんでいたとは初めて知った。
・『日本企業が知った「環境無視」  そして1992年4月、徹底した言論統制の下、全国人民代表大会で「三峡プロジェクト建設決議」が、強行採択された。 1994年12月、着工式が盛大に挙行された。当初予算の総工費約2000億元(約232億ドル)は、1年で2500億元に増え、インフレでさらに膨らみつつあった。大幅な不足資金は外資に頼り、建設技術と重要機材も外国製を購入、技術移転も強要するという「おんぶにだっこ」のスタイルだった。 国際入札が始まると、世界中の企業の注目が集まった。最初は870件で合計38億ドルの発注だった。ゼネラル・エレクトリック(GE)のカナダ子会社や米キャタピラー、ドイツのデマーグ、クルップなどが受注した。 1995年の建設機械、1997年の水力発電機の国際入札でも日本企業は敗退した。 1999年5月、総額2億ドルの水力発電所変電変圧施設の国際入札。満を持して応札した日本の三菱電機・住友商事連合は、計17グループがひしめくなかで最も技術的に優れ、最低価格で応札した。 ところが、中国は9月、日本より数千万ドル高いドイツのシーメンスとスイスのABBの連合が落札したと発表した。 衝撃を受けた日本は、各種ルートをたどって理由を問いただし、11月末、日中投資促進機構の訪中団が北京を訪れた際、個別に会談した中国の呉儀(ウー・イー)国務委員と対外貿易省の常暁村(チャン・シアオツン)機電局長から、こう告げられた。 「日本企業連合を排したのは、融資条件の中に環境保護規定の遵守が入っていたからだ」 この前年、アメリカは国内の環境保護機運の高まりを背景に、国際入札からの撤退を表明していた。それに動揺した日本は、入札前日に急きょ「環境保護規定」を盛り込んだのだ。 中国はその規定が邪魔だと判断して日本を退けた。当初から環境保護などまるで無視していたのである。 中国政府はダム建設予定地に住む120万人以上を強制移転させたが、2000年1月、移転費用の1割に当たる4億7300万元(5700万ドル)を地元政府や移転企業が不正流用した事実が発覚した。 だがこれは氷山の一角にすぎなかった。李鵬以下、中央から地方へ建設予算が振り分けられるたびに、各レベルの役人が着服し、果ては現場で工事を請け負う建設会社もコンクリートの品質をごまかしていた疑いが持たれたのだ。李の息子と娘は、長江三峡集団傘下の長江電力グループの企業トップに就任し、「電力ファミリー」の異名をとどろかせた。 2009年、三峡ダムが完成すると、竣工式はわずか8分で終了した。汚職の責任を押し付けられたくない政府高官がみな出席しなかったからだ。その様子を見て、地元の人々は「豆腐渣(トウフーチャー、おから)」ダムだと揶揄した』、「総額2億ドルの水力発電所変電変圧施設の国際入札。満を持して応札した日本の三菱電機・住友商事連合は、計17グループがひしめくなかで最も技術的に優れ、最低価格で応札した。 ところが、中国は9月、日本より数千万ドル高いドイツのシーメンスとスイスのABBの連合が落札」、「アメリカは国内の環境保護機運の高まりを背景に、国際入札からの撤退を表明していた。それに動揺した日本は、入札前日に急きょ「環境保護規定」を盛り込んだのだ。 中国はその規定が邪魔だと判断して日本を退けた」、「日本」の対米追随の足元を見られたようだ。
・『相反する課題をどう解決する  環境破壊と汚職にまみれた三峡ダムの「悲劇」は、取りも直さず、今夏の豪雨による被災者の悲劇に通じている。 今年7月下旬、香港メディアが豪雨の甚大な被害を報じる一方、管制メディアの新華社ネットは洪水を擬人化し、ちゃかしてみせた。人民網は、湖南省で水没した名所、鳳凰古城の惨状を「まるで桃源郷にいるようだ」と美化した。 無論、SNSには人々の怒りの声があふれ返ったが、それらは瞬時に中国政府によって削除された。戦前、魯迅が慈しんだ「声なき民の声」は今も昔と同じように記録に残ることはない。 現在、中国では長江上流の金沙江に巨大なダムを次々に建設している。最先端技術を誇る烏東徳ダムは一部稼働を始めた。渓洛渡ダムは発電量1万3860メガワットで世界第3位だ。これに向家覇ダムと白鶴灘ダムを加えたダム4基の発電量は、三峡ダムの発電量の2倍になる。 こうしたスーパーダム群が、三峡ダムの堆砂を少しでも減少させるために役立つのか。あるいは、中国のはるか奥地まで堆砂問題を拡大させようとしているのだろうか。 「これらのダムには、三峡ダムの堆砂を軽減する目的もありました」と、前出の黄光偉教授は言う。 「しかしダムをいくつ造っても、堆砂や洪水、水質汚染、水問題などをバラバラに研究していては問題解決にならない。問題を1つ解決しても、さらに出てくる問題のほうが多いのが現状です。研究者は『学融合』して協力し合い、統合的なアプローチをすることが大事。私自身は、今後は生態系の復元が最も大切なポイントだと考えています」 三峡ダムは、今後も決壊するかどうかに関心が集まるだろう。だが真の問題は、上流の河床上昇と下流の河床低下という、相反する課題をどう解決するかだ。海岸浸食と生態系の破壊という根深い問題も秘めていることが浮き彫りになった。 国民不在の政治体質はさらに根深い。容易ならざる事態はこれからも続く。 <2020年10月13日号「中国ダムは時限爆弾なのか」特集より>』、「ダム4基の発電量は、三峡ダムの発電量の2倍になる。 こうしたスーパーダム群が、三峡ダムの堆砂を少しでも減少させるために役立つのか。あるいは、中国のはるか奥地まで堆砂問題を拡大させようとしているのだろうか」、「真の問題は、上流の河床上昇と下流の河床低下という、相反する課題をどう解決するかだ。海岸浸食と生態系の破壊という根深い問題も秘めていることが浮き彫りになった。 国民不在の政治体質はさらに根深い。容易ならざる事態はこれからも続く」、習近平氏の強権政治のもとでは、問題解決は難しそうだ。
タグ:中国経済 (その13)(中国から外国企業が「大脱出」する予兆が見え始めた 駐在員は歓迎されなくなった、三峡ダム2題:世界が騒いだ中国・三峡ダムが「決壊し得ない」理由、決壊のほかにある、中国・三峡ダムの知られざる危険性) PRESIDENT ONLINE ニューズウィーク日本版 「ニューズウィーク日本版」現地取材:中国から外国企業が「大脱出」する予兆が見え始めた 駐在員は歓迎されなくなった 『レッド・ルーレット——現代中国の富・権力・腐敗・報復についてのインサイダー物語』 「「中国での潜在的ビジネスパートナーが4年間も行方不明になりかねない」現実を認識しつつある」、のであれば、商売上がったりだ。 「(これでは政府の)市場介入がますます増え……中国を共同貧困へと導くだけだ」と批判」、その通りだ。 「自給自足の方針が強化されるなか、ますます多くの欧州企業が技術の現地化とサプライチェーンの国内完結か、市場からの退場かの選択を迫られている」、「中国東北部の3省は「予想外で前例のない」大停電に見舞われ、電力使用の割当制を導入」、これでは。「市場からの退場」を選択するEU系企業も増えるだろう。 「外国のパスポートを所持する上海在住者・・・と北京在住者・・・は、1年前に比べて28%超も減った」、「「先進国出身のグローバルな人材の流出が止まらなければ、イノベーションに支障を来す」恐れがある」、その通りだ。 「中国では所得格差の指標であるジニ係数がアジア諸国の平均の0.34よりはるかに高く、アメリカの0.41よりもさらに高い0.47前後で、「極めて不平等な状態」だ」、「アメリカ」より「格差」が大きいとは危険な兆候だ。 Newsweek日本版 譚璐美 「世界が騒いだ中国・三峡ダムが「決壊し得ない」理由」 「ダム工学研究の第一人者で・・・中国の事情にも明るい」、とは信頼できそうだ。 「コンクリートダムは決壊しません!」、一安心だ。「ダムには鉄筋がほとんど入っていないので、堤体の水につかっていない下流側の表面など劣化する部分はあっても、水につかった部分や堤体内部はアルカリ性のまま変化せず、半永久的に堅牢」、初めて知った。 「長江水利委員会は下流の洪水と上流の洪水を見ながら放流量を巧みに操作し、洪水をならしながら無事に通過させました」、日本のお粗末なダムの「放流量」調節より遥かに上手そうだ。 「決壊のほかにある、中国・三峡ダムの知られざる危険性」 相反する「致命的な欠陥」とは何なのだろう。 「長江は土砂の粒径が粗く、ダム湖にとどまりやすいために、ダムからの放流水は土砂が少ない清水となります。黄河では調水調砂でダム下流の『河床上昇』がうまくコントロールされたが、長江ではむしろ土砂が不足するために『河床低下』、さらに河口部まで土砂が供給されずに『海岸浸食』が起きている」、 「長江」と「黄河」でずいぶん異なるようだ。「重慶はそのバックウォーターの先端にある。堆砂がたまって河床が上がった重慶では、水位が上がり、水害が頻繁に起きているのだ・・・2020年現在、バックウォーターの堆砂は16億トンに上るという推量もあり、2030年には40億トンまで増えて、どうにも対処できなくなる。「そうなる前に三峡ダムを破壊すべきだ」と、一部の三峡ダム批判派が主張するゆえんでもある」、大変だ。 「「ダムが警報なしに放流した」「堤防をブルドーザーで破壊したが、住民に予告しなかった」・・・被災者は避難する十分な時間も与えられずに、家も田畑も財産も失って逃げ出したことが推察できる」、こんな荒っぽい行政を続けることは出来ない筈だ。 「李鵬・・・首相を中心とする中国政府が強引に計画を推し進めるなか、同年6月4日、天安門事件が起きた。政府は民主化運動を武力で弾圧し、戴晴は「騒乱と暴乱の世論作りのために準備した」との罪で逮捕・拘禁され・・・『長江 長江』も出版を禁止され、焼却処分に」、「天安門事件」をはさんでいたとは初めて知った。 「総額2億ドルの水力発電所変電変圧施設の国際入札。満を持して応札した日本の三菱電機・住友商事連合は、計17グループがひしめくなかで最も技術的に優れ、最低価格で応札した。 ところが、中国は9月、日本より数千万ドル高いドイツのシーメンスとスイスのABBの連合が落札」、「アメリカは国内の環境保護機運の高まりを背景に、国際入札からの撤退を表明していた。それに動揺した日本は、入札前日に急きょ「環境保護規定」を盛り込んだのだ。 中国はその規定が邪魔だと判断して日本を退けた」、「日本」の対米追随の足元を見られたようだ。 「ダム4基の発電量は、三峡ダムの発電量の2倍になる。 こうしたスーパーダム群が、三峡ダムの堆砂を少しでも減少させるために役立つのか。あるいは、中国のはるか奥地まで堆砂問題を拡大させようとしているのだろうか」、「真の問題は、上流の河床上昇と下流の河床低下という、相反する課題をどう解決するかだ。海岸浸食と生態系の破壊という根深い問題も秘めていることが浮き彫りになった。 国民不在の政治体質はさらに根深い。容易ならざる事態はこれからも続く」、習近平氏の強権政治のもとでは、問題解決は難しそうだ。
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中国経済(その7)(中国「AAA社債」デフォルト 不正容疑で当局介入 国有大手の永煤集団、財務諸表を違法に改竄か、アントはなぜ「上場延期」に追い込まれたのか?、危機を脱したのは本当?、コロナ禍「一人勝ち」の中国・習近平体制が 揺らぎかねない難問) [世界経済]

中国経済については、10月5日に取上げた。今日は、(その7)(中国「AAA社債」デフォルト 不正容疑で当局介入 国有大手の永煤集団、財務諸表を違法に改竄か、アントはなぜ「上場延期」に追い込まれたのか?、コロナ禍「一人勝ち」の中国・習近平体制が 揺らぎかねない難問)である。

先ずは、昨年12月9日付け東洋経済オンラインが財新 Biz&Techを転載した「中国「AAA社債」デフォルト、不正容疑で当局介入 国有大手の永煤集団、財務諸表を違法に改竄か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/392417
・『国河南省の国有石炭大手、永城煤電控股集団(永煤集団)が発行した社債が、発行体として「AAA」の格付けを得ていたにもかかわらずデフォルトした事件が波紋を広げている。同社が財務の実態を隠すため不正行為に手を染めていた疑いが強まり、当局が調査に乗り出した(訳注:事件の経緯は『中国の石炭大手、格付け「AAA」の社債デフォルト』を参照)。 11月27日夜、中国証券監督管理委員会 (証監会)は永煤集団および監査法人の希格瑪会計事務所を証券法違反などの容疑で立件・調査すると発表した。中国国務院金融安定発展委員会の「不正は一切容赦しない」という方針に基づき、関係部門と協力して厳しく取り調べる。 当局介入の引き金となった額面10億元(約159億円)の超短期社債「20永煤SCP003」のデフォルトは、中国の債券市場に大きな衝撃を与えた。永煤集団は償還期限の11月10日に「元利の支払いができない」と唐突に発表。その直後から、中国各地の石炭関連企業や(資金繰りの悪化がささやかれている)地方の国有企業が社債発行のキャンセルを迫られたり、発行済み社債の取引価格が急落したりするなどの連鎖反応を引き起こした』、「格付け「AAA」の社債デフォルト」、とは確かに衝撃的だ。
・『債務踏み倒しや市場操縦の嫌疑も  市場関係者の疑心暗鬼を招いた最大の要因は、永煤集団がデフォルトの20日前にも中期社債を発行したばかりで、その目論見書で開示した財務諸表には十分な資金が計上されていたことだ。 財務諸表によれば、同社には2020年9月末時点で328億2100万元(約5205億円)の現金および現金等価物があった。また、格付け会社の中債資信評估は「永煤集団の石炭事業は月間10億元を超える営業キャッシュフローを生み出しており、短期的な流動性は良好」との評価を付与していた。これらが事実なら、10億元程度の支払いは何ら問題ないはずだったのだ。 永煤集団の不正疑惑をめぐっては、証監会の介入に先立ち、銀行間債券市場の自主規制機関である中国銀行間市場交易商協会が自主調査を進めてきた。 関係者に対する財新記者の取材によれば、永煤集団には債務の踏み倒し、自社の社債を担保にした銀行借入、詐欺、市場操縦、不適切なデューデリジェンス(投資のリスクやリターンの適正評価手続き)、財務諸表の改竄、虚偽の格付け、ウソの情報開示など、多数の違法行為の嫌疑がかかっているという』、「デフォルトの20日前にも中期社債を発行したばかりで、その目論見書で開示した財務諸表には十分な資金が計上されていた」、というのでは、不正は「永煤集団」だけでなく、「格付け会社の中債資信評估」にも広がる可能性がありそうだ。

次に、12月9日付け日経ビジネスオンラインが掲載した中国の対外経済貿易大学教授の西村 友作氏による「アントはなぜ「上場延期」に追い込まれたのか?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00109/00026/?P=1
・『アリババグループ傘下の金融テクノロジー企業「アント・グループ(螞蟻集団)」が計画していた上海と香港での新規株式公開(IPO)が延期された。 「決済」というアリババ経済圏の中核を担うアントの上場は注目度も極めて高く、個人投資家も殺到し、調達額も史上最大になると期待されていた。上場2日前の延期発表は市場に大きな衝撃を与えた。 突然の延期の理由は何だったのだろうか。 上海証券取引所の発表によると、同社の幹部が関連規制当局から聴取を受け、金融テクノロジー規制環境の変化を含む重要事項が報告されており、公募・上場の条件や情報開示の要件を満たさなくなる可能性があるためだという。 聴取を受けた幹部には、アントの議決権の5割強を握るアリババ創業者のジャック・マー(馬雲)氏も含まれており、10月下旬の講演会での彼の発言が問題視されている』、私も「上場2日前の延期発表」には驚かされ、中国の未熟さを再認識させられた。
・『ジャック・マー氏は何を語ったのか?  問題の講演は10月24日に上海市で開催された「第2回外灘金融サミット」の開幕式。王岐山・国家副主席がオンラインで祝辞を寄せ、周小川・中国人民銀行前行長(総裁)が基調講演を行うなど、中国の金融関係者が一堂に会する場だった。 そのような場でジャック・マー氏が展開したのは、金融業界に対する痛烈な批判だった。 マー氏は、「中国の金融は未熟」で「銀行は考えが古い」だから「イノベーションが必要」だと説いた。その上で、中国は「管理能力は強いが、監督能力が欠乏している」「昨日の方法では未来は管理できない」とし、古い規制で新しい取り組みを縛るとイノベーションは生まれないという考えを示した。 私が注目したのが、「バーゼル合意は老人クラブのようなものだ」と、多くの国で導入され、中国でも採用されている銀行規制を批判した点だ。バーゼル合意は、ヨーロッパでは金融デジタル化といったイノベーションの足かせとなっており、中国には合わないとも述べている。 中国ではフィンテック企業に対する規制強化の声が高まってきているが、上場を控えたアントに対しては規制で縛らずに自由にやらせるべきだ、と言いたかったのだろう。 金融とテクノロジーを融合したフィンテック企業は比較的新しい概念であり、新しいサービスも次々と開発され、事業の領域が複雑で曖昧だ。「フィン(金融)」企業と見るか、「テック(技術)」企業と見るかによって当然規制の在り方が変わってくる』、「マー氏」が「第2回外灘金融サミット」の開幕式で、「金融業界に対する痛烈な批判」を展開したとは、ずいぶん思い切った本音を語ったものだ。自分の名声に自信があったのだろうが、それは裏切られたようだ。
・『アントはフィン企業かテック企業か?  アリペイが代名詞のアントであるが、上場目論見書のセグメント情報を見ると、2020年上期(1~6月)の売り上げの63.4%を占めるのが「融資・投資・保険」事業だ。中でも、中小・零細事業者や個人向けの融資を行う部門が同39.4%と最も高い。 これを見る限り銀行業を営んでいるようにも見えるが、実際に融資を実施しているのは、アントではなく、提携先の金融機関だ。アントは、AIを駆使して自身が持つ膨大な顧客データの分析を行い、与信枠や金利などを算出、それを提携金融機関に提供して技術サービス料を得て稼いでいる。 つまり、アントは情報を提供しているにすぎず、実際の融資はほとんど行っていない。そのため、講演でマー氏も述べているように、アントは自らを「テクノロジー企業」と標榜している。 一方、実際に融資を行い、信用リスクを負うのは銀行だ。アントの情報が融資先の与信判断を左右するのは事実であり、それに対しアントがリスクを負わないというのは確かに不自然だろう。そして、金融規制を受けるのもアントではなく銀行というゆがみも生じる。そのため、金融当局はアントを「金融企業」と見なし、他の金融機関同様の規制強化が必要だと考えていた。 アントと当局の間でこのような綱引きが展開されていたと想像できるが、マー氏の講演直後に事態は急展開する。 国務院金融安定発展委員会は10月31日に会議を開催し、「フィンテックと金融イノベーションは急速に発展を遂げており、金融の発展、安定、安全のバランスを図る必要がある」とした上で、「イノベーションを奨励し、企業家精神を発揚させると同時に、監督管理を強化し、法に基づき金融活動を全面的に監督管理に組み込み、効果的にリスクを防止しなければならない」と表明した。つまり、フィンテック企業を「フィン」企業と位置づけ、金融規制の対象としたのである。 アントが上場を予定していたのは新興企業向け株式市場「科創板」。「科創」とは中国語で「科学技術・イノベーション」を指し、その名の通り、多くのテクノロジー企業が上場する。また、スタートアップ向けということで、上場基準も比較的緩やかだ。アントも「テクノロジー企業」として上場しようとしていたし、実際に、証券監督管理委員会からは認可も出ていた。 それが、土壇場で「金融企業」と見なされ、「公募・上場の条件や情報開示の要件を満たさなくなる可能性」(上海証券取引所)が出てきたため、急きょ上場延期となったと考えられる。 今後は金融企業としての条件を満たした上で、再度上場を目指すことになるだろう』、「テクノロジー企業」ではなく、「金融企業としての条件」とは厳しそうだ。
・『時間を要するアントの上場  上場で調達できる資金はアントの中長期的発展に欠かせない。フィンテックに対する規制強化が進む中、国内業務の多角化が必要であり、「ノウハウ輸出+戦略投資」モデルによる国際市場の開拓にも巨額の資金を要する。 ※上場した場合の調達資金の運用方法に関しては、「アリババ傘下アント、上場資金3.7兆円で『世界展開』へ」を参照。 アントは上場に向けすでに準備を始めている。中国メディアによると、新たに最高コンプライアンス責任者(CCO)の役職を設け、規制に対するコンプライアンス強化を図っているという。 しかし、上場の見通しは全く立っていない。中国証券監督管理委員会の方星海副主席は11月17日に開催されたフォーラムで、アント・グループの上場に関して、「政府がいかにフィンテック企業の監督管理の枠組みを再構築するかによるし、企業がいかにその環境に対応するかにもよる」と述べている。つまり、これから政府がフィンテック企業に対する規制を再構築するのを待ち、それに対するアントの対応が終わってようやくめどが立つ。 アントにとって悲願の上場は、長く険しい道となりそうだ』、「テクノロジー企業」ではなく、「金融企業としての条件」というのは、当然のことだ。

第三に、本年1月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元外務審議官で日本総合研究所国際戦略研究所理事長の田中 均氏による「コロナ禍「一人勝ち」の中国・習近平体制が、揺らぎかねない難問」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/260204
・『経済は回復軌道に乗ったが共産党統治と成長モデルの矛盾課題に  中国国家計画局が18日、発表した2020年の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年比2.3%増で、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない主要国がマイナス成長の中で、いち早く経済回復軌道に戻りつつある。 他方で、中国経済を引っ張ってきたファーウェイやアリババなどの巨大IT関連企業は米国市場では中国当局とのつながりを疑われて排除の傾向が強まる一方で、中国国内では当局のより強い監視下に置かれようとしている。 グローバルな市場経済と結び付く中で高い成長を維持してきた中国の経済モデルは、「中国排除」の動きに対抗して国内の締め付けを強めようとする共産党独裁の政治体制との矛盾の中で重大な岐路にあるようだ。 共産党の統治がこれまで揺らぐことはなかったのは経済成長が維持されてきたことが大きいが、指導部は体制を守るために経済にブレーキをかけることになるのだろうか。場合によっては指導部内での路線闘争となり得る。 中国はどのような選択をしていくのか、世界に与える影響は大きい』、「中国の経済モデルは、「中国排除」の動きに対抗して国内の締め付けを強めようとする共産党独裁の政治体制との矛盾の中で重大な岐路にあるようだ」、その通りだろう。
・『公の場から姿を消したアリババ創業者 グローバルIT企業も監視下に  アジア最大のIT企業グループとなったアリババの創設者ジャック・マー氏がここ数カ月、公の場から姿を消している。 それに先立ち、昨年10月に上海で行われた金融サミットでは、ジャック・マー氏は中国には金融システムが存在せず市場の改革が急務であるとして中国の金融当局や国有銀行を激しく非難した。 その後、11月に香港・上海市場で予定されていたアリババ・グループの金融会社であるアント・フィナンシャルの調達額350億ドル(3兆6000億円)に上るといわれた史上最大規模のIPO(新規株式公開)が予定の2日前に突如、延期された。 これら一連の出来事から読み取れるのは、アリババに代表される巨大IT関連企業が中国の発展に大きく貢献していることは認識しつつも、共産党のコントロールが利かなくなることへの中国当局の強い警戒心だ。 昨年末の民主派議員の大量逮捕など、香港で起こっていることも同じような文脈で理解できる。 昨年6月に香港国家安全維持法(国安法)が導入されて以降、「香港の中国化」が急速に進んでいる。中国の思惑は今年9月に予定される立法会選挙までに民主派を事実上、排除することだろう。 国安法に基づき多数の民主派を逮捕拘束するのもその一環であり、中国政府を批判するメディアに対しても厳しいコントロールを行っている。 「一国二制度」に沿った香港の自治と自由な資本主義は形骸化した。中国にとって香港は、中継貿易や投資基地として、或いは人民元の国際化を図る上で大きなメリットをもたらしてきたが、国内でも上海や深センなどの金融拠点は育ちつつあり香港の重要性は下がった。 一方で香港の民主化運動が中国本土へ波及する可能性がある。中国の指導部はそのことを危惧し、経済的にはマイナスでも政治的には共産党のコントロール下に置くことが重要と考えたのだろう』、「アリババに代表される巨大IT関連企業が中国の発展に大きく貢献していることは認識しつつも、共産党のコントロールが利かなくなることへの中国当局の強い警戒心だ」、習近平指導部は規律強化にカジを切ったようだ。
・『「中国排除」に備え民営企業にも党の指導強化  米中対立も直接のきっかけは膨大な貿易不均衡を中心とした経済摩擦だったが、対立の本質は、貿易の量的バランスの問題から経済システムの問題にシフトした。 米国をはじめとする自由主義諸国から見れば、中国の共産党統治の下での「国家資本主義」は、補助金などによる国営企業優遇、さらには進出外国企業に対する技術移転の強要など、市場メカニズムを害する構造的問題となった。 それだけではなくファーウェイ排除にも見られるように、中国の情報通信機器を通じて情報が中国政府に筒抜けになってしまうことを危惧し、経済安全保障の観点からも中国排除の動きが進んできた。 こうした中で、中国はハイテク産業を中心に部品や素材も外国に依存しない国内生産体制の強化を掲げ、昨年秋の5中全会で決まった2021年からの「第14次5カ年計画」でも内需と外需の「双循環」を維持しつつも、内需への重点化が中心概念となっている』、かつて毛沢東時代に「自力更生路線」を採ったが、改革開放以降は、相互の結びつきの高まりから、もはや「自力更生」など出来る筈がない。
・『改革開放路線か、共産党の規律強化か 指導部で路線闘争再燃の可能性  中国は1970年代後半以降、鄧小平(とうしょうへい)氏によって唱えられた改革開放路線に従って外国資本・技術を取り入れ、安い労働力を駆使し「世界の工場」として輸出先導型経済成長を遂げ、世界2位の経済大国に上り詰めた。 韓国や香港、台湾、シンガポールといった欧米先進国に次いで経済成長を達成したアジア諸国・地域が、当初はいわゆる「開発独裁」といわれ、権力が政府・当局に集中する形で計画的に経済成長を達成したのと似ているが、中国の場合は共産党一党独裁の下での飛躍的な経済成長達成だった。 だが一方で、今の中国の成長はグローバリゼーションで圧倒的に深まった国際経済との相互依存関係を切り離して考えるわけにはいかない。 むしろ今の状況では、共産党の強い監督下で資本主義的発展を追求するのは限界に来ているのではないか。 グローバルな市場で民営企業が自由な経済活動を行うためには、共産党の締め付けは緩和していかざるを得ない。共産党の規律を強化し厳しい規制の下でしか経済活動も認められないのであれば、アリババのようなグローバル企業はなりたたない。 一方で他国からは、中国企業は中国当局との結び付きを疑われ、市場から排除されていく傾向がますます強くなるのだろう。 今後、中国の指導部内で路線の対立があるとすれば、最大の対立点はおそらくこの経済ガバナンスの問題なのだろう。 改革開放路線は基本的には民営大企業にグローバルな活動を認め、グローバルスタンダードに従った規制にとどめることを基本にする。これまで習近平体制では李克強首相らがこの路線の強力な推進者と考えられてきた。 しかし昨今の習近平路線は、民営企業でも共産党がより大きな指導力を発揮すべきという姿勢だ。 科学技術力強化の国家戦略、食料安全保障戦略など、米国への依存からの脱却を図り、内需を重視し、自由な経済活動に制約を設け、共産党体制を強化していくという方向性が明確に示されている。 この路線の下で「第14次5カ年計画」は進められていくのだろう』、「共産党の規律を強化し厳しい規制の下でしか経済活動も認められないのであれば、アリババのようなグローバル企業はなりたたない」、「他国からは、中国企業は中国当局との結び付きを疑われ、市場から排除されていく傾向がますます強くなるのだろう」、「習近平路線」は大きな試練に直面せざるを得ないだろう。
・『成長が失速すれば習体制の権力基盤揺らぐ  習近平体制が今後、安定を保つのかどうかのカギは、共産党の指導強化の下で経済発展が順調に続けられるのかどうかだ。 この点ではコロナ後の経済パフォーマンスが重要な意味を持つ。 世界銀行は中国の2021年の実質GDP成長率を前年比+7.9%と予測しているが、これはコロナ禍で成長率が落ち込んだ20年からの回復期なので、おのずと高い成長率になる面がある。 問題は2022年以降だろう。 22年以降も年率平均5%程度の成長を続けられれば、「ビジョン2035」に掲げられた1人当たりGDPを2035年までに中程度の先進国並みにするという中期目標や、中華人民共和国創立100周年の2049年までに「最も豊かな社会主義現代化強国」になることを掲げる「中国の夢」も達成可能だ。 しかし、いずれ米国の強い締め付けやハイテクを中心とした中国排除(デカップリング)の影響が出てくると予想される。加えて国内での金融・ITバブルの崩壊などで経済停滞の事態に陥る可能性は払拭できない。 もしそうなれば共産党の強い規律の下での資本主義的経済成長はやはり無理だということで、改革開放路線に基づき経済システムの再調整を余儀なくされるだろう。 このような状況になれば習近平国家主席(共産党総書記)の権力基盤は揺らぐだろうし、共産党統治の正統性に疑問符がつけられることになる。 2022年に共産党大会が予定されているが、過去2代の総書記の例に従えば、2期10年の任期を終える習近平総書記は引退することになるのだが、現状では中国ウオッチャーや専門家の多くは留任を予想している。 コロナ禍の経済回復が順調なことも背景にあるが、しかし経済に対するガバナンスが崩れていけば、シナリオ通りにいくのかどうかは予断を許さなくなる。 さらにより深刻な事態にもなり得る。共産党内で強硬路線が台頭し、権力闘争が激化することだ。 いまだ習近平総書記の後継候補が明らかになっていないこともあり、そうなれば中国は相当な混乱に陥るだろう』、「共産党内で強硬路線が台頭し、権力闘争が激化」、イヤなシナリオだ。
・『懸念されるのは台湾情勢 日本は開放路線支持を明確  習近平体制が揺らいだ時、最も懸念すべきは台湾情勢だ。 トランプ政権下の米国の台湾問題に対する姿勢は急速に変わってきており、閣僚や国務次官を含む政権幹部の訪台や武器売却が行われてきた。最近でもポンぺオ国務長官は、「一つの中国」に米国がコミットしているわけではなく、米国の台湾に対する自制はもはや存在しないと発言した。 バイデン政権がどのような軌道修正を行うのかを見守る必要があるが、香港問題もあって台湾の独立志向は一層、強まるだろう。 一方で中国にとって台湾統一は「核心的利益」とみなされ、平和的統一が無理であれば軍事的統一も辞さず、という強硬論が人民解放軍を中心に台頭する余地は大きく、中台間の軍事的衝突の可能性が出てくる。 これは何としてでも避けなければならない。 中国のガバナンスの唐突な崩壊は国際社会にとっても影響は大きい。隣国であり中国市場への依存度が大きい日本にとっても最も好ましいシナリオは、中国が改革開放路線を一層強化して企業の自由度、ひいては個人の自由度が拡大していくことだろう。 外から変化を促すには限界はあるにしても、中国内には改革を求める勢力も存在している。二国間の対話のほかにも、東アジアサミットやAPEC、さらには最近成立した「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」の枠組みを通じて改革開放路線の推進支持を明確にしていくことは重要だ』、「日本にとっても最も好ましいシナリオは、中国が改革開放路線を一層強化して企業の自由度、ひいては個人の自由度が拡大していくことだろう」、その通りだ。しかし、「中国内には改革を求める勢力も存在している。二国間の対話のほかにも、東アジアサミットやAPEC、さらには最近成立した「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」の枠組みを通じて改革開放路線の推進支持を明確にしていくことは重要だ」、正論ではあるが、残念ながら実効性は乏しそうだ。
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バブル(最近)(その1)(今は「リーマンショック物語」の続編が進行中だ バブルに乗る「悪質な確信犯」と犠牲者は誰か、2020年 意外なところからバブル崩壊は始まる ウォールストリートの一部も巻き込まれる?) [世界経済]

今日は、バブル(最近)(その1)(今は「リーマンショック物語」の続編が進行中だ バブルに乗る「悪質な確信犯」と犠牲者は誰か、2020年 意外なところからバブル崩壊は始まる ウォールストリートの一部も巻き込まれる?)を取上げよう。

先ずは、 経済評論家の山崎 元氏が10月19日付け東洋経済オンラインに掲載した「今は「リーマンショック物語」の続編が進行中だ バブルに乗る「悪質な確信犯」と犠牲者は誰か」のうち4頁目までを紹介しよう。
・『はじめに言っておくが、筆者は、現在進行中のバブルが近いうちに弾けるとは思っていない。全体の構造を考えると、「風船」は幸か不幸か、まだまだ膨らむ余地を残している。相場格言風に言うと「もうは、まだなり」がしばらく続く状況だろう』、一安心できる予言だ。
・『現在は「リーマンショック物語」続編の企画が進行中  だが、バブルの構造は見えて来た。 一般に言える教訓なのだが、「これがバブルだ!」と少し敏感な人が気付いた頃から、バブルが実際に弾けて、それがバブルであったことを証明するまでには、かなりの時間(典型的には2~3年)を要する。 じれったいと思ったり、イライラしたりする向きもあろうが、これが相場というものなので仕方がない。さて、前回の記事「ぐっちーさんは『リーマンショック』を予言した」で申し上げたが、今回のバブルのネタは株式や不動産といった古典的なリスク資産であるよりも、どうやら債券であるらしい。 どう見てもクレジットリスクが大きいのではないかと思われる企業の社債などがそこそこに人気を集めていて、こうした企業向けの貸し付けを多数集めて証券化した「CLO」(担保付ローン債務)が投資対象として販売されており、低金利で運用に困っている機関投資家がこれを大量に購入している。 この状況はリーマンショック以前の時期に、サブプライムローンを証券化した金融商品(CDO)を内外の金融機関が大量に保有していた状況によく似ている。言わば、「リーマンショック物語」の続編が企画されていて、目下着々と進行中なのだ。今のところ筋書きに工夫のない「2番煎じのドラマ」だが、スポンサーの了解は得られており、配役が固まりつつある。 民放のドラマや映画と一緒で、スポンサーがいないとバブルの物語は製作出来ない。バブルは「借金して、投資しすぎること」によって起こるので、借金が容易である必要があり、金融政策が緩和的であることがその生成の「必要条件」だ。今回は、スポンサーとして、FRB(米連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)、日銀など、錚々たる大手が競うように金を出している。  当欄の巡回筆者だったぐっちーさん(山口正洋氏)が9月24日に亡くなったことを、前回の当欄でお伝えした。 もう一人の連載筆者であるかんべえ先生(吉崎達彦氏)が書かれていたように、外資系金融マンであった当時のぐっちーさんは、かつて、日本の機関投資家などにCDOを売っていた。当時のぐっちーさんが「良いもの」を売っていたとは言いがたいが、これを買った金融機関も一応は「プロ」なのであり、彼らが心底阿呆だったのだと言っておく』、今回のクレジット・バブルは主要中央銀行が火つけ役だけに、彼らの罪は深い。日本以外では、せっかく出口に向かい始めたのに、トランプに脅されて、再び緩和強化に向かうとは・・・。
・『ぐっちーさんなら、今の問題をこう分析するかも  ここは、架空のぐっちーさん(故山口正洋氏)にご登場頂こう(もちろん、以下の山口氏の台詞は、彼の口調を借りた筆者の意見だ)。 山崎「ぐっちーさん、いきなり死なれると、さびしいよ」 山口「あいさつもなしに死んでスミマセン。ツイていなかったんです」 山崎「運は仕方がないね。お気の毒でした。『ご冥福』っていうのがそっちの世界にあるのなら、是非それをゲットして下さい。ところで、最近のCLOって、サブプライムの頃のCDOと変わらない代物だよね?」 山口「おっしゃる通りでございます。わたくし、昔、CDOを売っていた張本人なんで、それは、その通りだと断言致しますよ」 山崎「あの種の仕組み物は、100億円売れると利益が数億円みたいな感じで儲かるから、セールスマンは必死に売るよね」 山口「その通りです。あいつらは、稼がないとクビになるし、稼ぐとボーナスをいっぱいもらえる。泳いでいないと生きられないマグロみたいなものなんでございますよ」 山崎「あんな毒まんじゅうを、今回は、誰が買っているの?」 山口「金は集まるけれども、運用に困っていて、中途半端に専門家を気取っている分外資のセールスには弱い日本の大手金融機関は、前回以上に買っていますね。あれを売るのは、私はもう嫌だけど、彼らは相変わらずいいお客さんですよ」 山崎「○○○○金庫とか、×××××銀行、なんて名前をよく聞くけど、あの辺り?」 山口「お客様の名前は、私の口からは言えませんよ。死人に口なしってことで勘弁して下さい」 天国に行ってもぐっちーさんは、骨の髄までプロの金融マンだった。顧客の名前は死んでも言えない。しかし、今回、日本の金融機関はゼロ金利・マイナス金利で運用に困っており、どうやら「毒まんじゅう」の大手の買い手であるようだ。 ドラマの筋書きでは、事件のスケールを感じさせるために無駄にたくさんの人が死ぬような形で、あまり同情されない被害者がよく出て来るが、今回はその種の役に多くの日本人(日系金融機関)がキャスティングされている』、死んだぐっちーさん(山口氏)と対談して、語らせるとは面白い試みだ。「山口氏の台詞は、彼の口調を借りた筆者の意見」とはいえ、いかにも「ぐっちーさん」らしい。
・『信用度の低い社債を発行しまくる「ずる賢い経営者たち」  一方、前回のサブプライム問題のストーリーには、住宅ローンを返せなくて家を手放すアメリカの低所得層が「同情を買う可哀想な人の役」で出て来た。CDOは、彼らに向けた住宅ローンを束ねて、一見低リスクに見えるように作り込まれた商品だった。 ところが、今回のCLOの中に組み込まれているブツは、信用度の低い企業が発行した社債であり、その担い手は企業の経営者だ。はっきり言って、お金をたくさんもらっているずる賢い人達だ。社債がデフォルトしたり、企業が破産したりした時には、すでに企業から逃げているか、少なくとも個人資産は別の場所に逃がしているかなので、全く同情出来ない。 東日本に台風が来ていた10月13日の日曜日の『日本経済新聞』の朝刊一面に、「資金吐き出す株式市場」、「過去5年『自己株買い>調達』200兆円」と、世界の(ということは主にアメリカのなのだが)株式市場で、企業が自己株買いに励んでいることが報じられていた。) この記事の後の方に「低迷する株式発行と対照的なのが年間2兆ドル規模と過去最高の発行ペースになっている社債市場だ」、「アメリカでは債務超過でありながら自己株買いを実施する企業すら存在する」とあるように、社債で資金を調達してでも、自己株買いを行って、株価を上げようとする経営者が多数いて、それが経営者自身の個人的な利益にもつながっているという構図が見える。 彼らは、金融マンと同じくらい強欲で自分本位だから、現在の環境と自らが持っているチャンスを徹底的に利用するはずだ』、ジャンク級の低格付け企業までが起債できるのは、超金融緩和で投資先発掘に必死になる機関投資家が投資するからだ。
・『「壮大な悪の物語」が進行、「正義の味方」は誰か?  今回のバブルの物語は、同情される可哀想な大衆が登場するのではなく、借金をしている連中も確信犯であるという、「壮大な悪の物語」だ。 ちなみに、日本の企業経営者達は彼らほどまだ悪に染まっていないが、「コーポレートガバナンス改革」を旗印に、何周回か遅れて、アメリカ企業の経営者のような企業経営を目指しているのが、現在の日本企業の姿である。地味すぎて、注目されない。今回も台詞があるような役は振ってもらえそうにない。 今のところ、将来起こる大ピンチを救う、正義の味方のキャスティングが決まっていない点が気懸かりだ。スポンサー達が前のめりであるだけに、脚本家もエンディングを決められないが、命懸けのアクションになるだろうから、引き受け手がいない。大穴として、世界経済を救う正義の味方は、ジャッキー・チェンのような東洋人かも知れないと想像しておこう。 ハリウッドの映画だと、始まってから1時間50分くらいでクライマックスになって問題が解決するのだが、今回の物語はもう少し長尺になりそうだ。 個人投資家の皆さん(読者の多くが、実質的に個人投資家のはずだ)は、物語の構造を頭に入れて、じっくりとストーリーに付き合って欲しい。凄惨な場面に出くわしても、決して視聴を止めずに、「地球が救われる日」を信じてスクリーンを見続けて下さい。万が一損をしても、お金で済む話である(本編はここで終了です。次ページでは競馬好きの筆者が週末のレースを予想します。あらかじめご了承下さい)』、「世界経済を救う正義の味方」は、リーマン・ショック時には中国だったが、今回は自らバブルで疲弊し切っているので、無理そうだ。「今回の物語はもう少し長尺になりそうだ・・・じっくりとストーリーに付き合って欲しい」、到底、新年のお楽しみとは言えないが、注視だけはしていきたい。

次に、財務省出身で慶應義塾大学大学院准教授の小幡 績氏が12月31日付け東洋経済オンラインに掲載した「2020年、意外なところからバブル崩壊は始まる ウォールストリートの一部も巻き込まれる?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/322543
・『「株は高すぎる」「世界中の中央銀行による債券バブルだ」「アベノミクスは中身のないマーケティングキャッチコピーだからすぐに行き詰る」「ビットコインはバブルそのものだ」。 私はここ数年、数々の資産市場の過熱現象を指摘してきた。長いものに巻かれるという世間の風潮に反発していたからではない。単に、事実を指摘してきたまでだ』、小幡 績氏の見方も興味深そうだ。
・『株とオリンピックは全くの無関係  しかし、これらのバブルは、いくつかの仮想通貨(暗号資産)以外は破綻しなかった。ビットコインでさえ、いまだ一定の価値を残している。そのほかの資産市場のバブルは、バブルとしては僅かではあるが、むしろ膨らみを増した。私の悲観予想は外れたのである。 なぜ私の悲観予想は外れたのか。理由は一つだ。2020年に当たるからである。バブルはついに2020年崩壊する。 なぜか。東京オリンピックが終わって株が下落するからではない。素人はオリンピック、オリンピックと騒ぐが、株とオリンピックは全くの無関係。また、不動産は訪日観光客がらみの特殊なエリアが上昇したこともあったが、不動産はすでにピークアウトしている。オリンピックまで、などと言っているのは無知の極みで、お祭り騒ぎが終わったときにはもう下落は進んでいるのである。しかし、日本人はいつからこんなに祭り好きになったのだろうか。 では、中央銀行、とりわけ日本銀行の量的緩和により国債バブルが極限まで膨らみ、ついに崩壊するのだろうか。それでもない。確かに、もっとも膨らんでおり、異常であり、前代未聞であり、金融市場と実体経済に最も大きな打撃を与えるのは、国債バブルの崩壊である。しかし、重大で巨大なバブルである一方、だからこそ、このバブルはしぶとい。なかなか崩壊しない』、「なぜ私の悲観予想は外れたのか。理由は一つだ。2020年に当たるからである。バブルはついに2020年崩壊する」、これだけ自信を持って言い切れるのは、ある意味でうらやましい。
・『ヘッジファンドは日本国債の売り仕掛けをやめた  1990年代後半以降、海外のヘッジファンドは日本国債の暴落は必至とみて、空売りを何度も仕掛けてきた。日本銀行がゼロ金利を採用した2000年以降、そして量的緩和の始まった2001年以降は、日本銀行自らが最大の買い手に回る日本国債バブルを膨らませてきたが、これに対してヘッジファンドは悲惨なまでに売り負けてきた。返り討ちにあって、彼らは大きな損失を出して退散していった。彼らが、ポジションを清算し、買い戻しを余儀なくされ、日本国債はさらに値上がりしていった。黒田東彦日銀総裁の異次元緩和という異常な緩和が始まってからは、彼らはついに学習し、一緒に買うことにした。バブルに乗ることにしたのである。 中央銀行が最後の買い手になっているバブル。これは崩壊しにくい。なぜなら、中央銀行は儲けるために買っているわけではないから、暴落懸念が出たときに売り逃げるどころか、その時こそ暴落を阻止するために買いまくるからである。暴落懸念で売りが殺到することでしかバブルは崩壊しないのだから、これではバブルは永遠に崩壊しない。 崩壊するのは中央銀行がつぶれたとき、あるいは彼らの使命が変わった時で、日本国債よりも日本経済を守るべきであると気づいたときに、あるいはそう行動することが許されたときに、国債を買うのをやめる。その時初めてバブルは崩壊するのだ。ふつうは、一国の中央銀行よりも世界中のトレーダーの方が強いのであるが、アメリカと日本、そして中国は例外である』、「ヘッジファンドは日本国債の売り仕掛けをやめた」、「中央銀行が最後の買い手になっているバブル。これは崩壊しにくい・・・暴落懸念で売りが殺到することでしかバブルは崩壊しないのだから、これではバブルは永遠に崩壊しない」、もっともらしく思えるが、私見では、バブルが崩壊する1つのルートが残っている筈だ。それは、なんらかのきっかけで円が信認を失って、円からドルへの大量の資金逃避が発生する場合で、国債利回りも暴騰する懸念もあり、そうなればまさに「日本沈没」だ。
・『一方で、ソフトバンクグループの投資先の一つである、シェアオフィス大手のウィーワークの親会社、ウィーカンパニーの破綻の可能性が指摘されている。この企業は、ユニコーン(すなわち上場前に10億ドルの企業価値を持った世界の企業群)のトップを走っている、とされていた。ところが、上場直前になって上場を延期し、それにとどまらず市場での信用リスクまで言及されるようになっている。事実上救済が必要となり、ソフトバンクグループが約1兆円を突っ込んで最大の株主となり、再建を主導することとなった。「ソフトバンクグループのバブル崩壊」が始まったと言えるのではないか。 しかし、問題はそこではない。バブルが崩壊するのはソフトバンクグループではなく、シリコンバレーであり、ユニコーン市場であり、すなわち、現在の資本主義の中心地アメリカだ。そのなかでももっとも最先端と思われる、大規模未上場新興企業市場である。資本主義のど真ん中のバブルが崩壊するのである。 2008年のリーマンショックによる投資銀行のバブル崩壊、それによる投資銀行の消滅に続き、もう一つのアメリカ金融社会の中心である起業市場のバブル崩壊は、ユニコーンの消滅となり、今後、起業市場は急速に縮小していくだろう。アメリカ金融市場の二つの柱が21世紀に立て続けに崩壊するのである。それはなぜか』、ソフトバンクGについては、このブログでは11月27日付けで取上げたが、ここでの主題は、「資本主義のど真ん中のバブルが崩壊するのである」、確かに広がりも大きく深刻だ。
・『ウィーワークは「ただの不動産のサブリース」  まず、ウィーワークのバブルがなぜここまで膨らんだかを解明しなくてはならない。これは普通に考えるとあり得ないことである。同社は筆者に言わせれば、いかなる面においても長所のない企業であった。そもそもビジネスモデルが駄目である。アダム・ニューマン氏という創業者のイカレ振りが話題となっているが、それ以前の問題である。 まず、このビジネスはつきつめれば、ただの又貸しビジネスに近く、サブリースである。そして不動産のサブリースはあまり儲からない。儲けるには、愚かな消費者を見つけて、彼らからむしり取らなくてはならない。ここではシェアオフィスに喜んで入居する自称起業家たちであるが、机を一つ借りるのに月20万円などありえない。数人でスペースとともに借りれば、すぐに100万円となってしまう。 リモートオフィスが可能になって世界が広がったのに、あえて、もっとも高いところに集まって、高い金を払ってオフィスにしがみつく必要はない。一時のファッションであり、そもそも実質的な需要は大きくないのである。 これがプラットフォームビジネスなら話は別だ。業界1位のポジションを取って、独占的立場から顧客を支配し、ブランドとして高価格をチャージするのがプラットフォームビジネスの基本だ。ここから拡大していけば(いわゆるスケールしていけば)利益は急激に増えていく。 しかし、ウィーワークはプラットフォームビジネスでない。ただのサブリースのようなものである。だから、スケールするためには、つまり、顧客が増えれば、ビルを借りるか買うかしないといけないから、スケールしないのである。この場合、売り上げもコストも比例的に伸びていくだけであり、普通の企業の売り上げ増加と同じである。 そもそも儲かっていない。黒字になったのは立ち上げ当時の2012年くらいで、後は赤字が拡大していった。売り上げが増えれば増えるほど赤字になったのである。なぜ儲からないのか。 サブリースはそもそも儲からない、理由は簡単で、オフィスをサブリースするだけなので、アイデアの価値はゼロ、誰でもできるビジネスであり、誰でも参入できるのであり、実際、参入したのである。となると、顧客獲得競争が起きる。顧客を取るために、マンハッタンなどの一等地(起業家に受けそうな、あるいはほかのテナントに受けそうな)が奪い合いになる。仕入れコストは急激に上がる。広告宣伝費もいる。マーケティングの優秀な人材が必要になる。コストがかさむ』、言われてみれば、その通りだが、これを見抜けなかった「ソフトバンクG」の底の浅さが露呈した形だ。
・『アドバンテージはブランドだけ  一方で、ライバルに対するアドバンテージは何もない。ブランドだけである。ブランドと言っても、先に有名になっただけだから、ブランドポジションを維持するためには、ひたすらオフィスを増やし、顧客を増やし、業界1位を確保しなければならない。だから、体力勝負になる。そうなると、カネや資本がある方が勝つ。逆に言うと、カネの差しかない。だから、増資を繰り返し、借り入れも最大限行う。だから、カネが詰まればすぐに破綻するのであり、それを避けるためにはカネを注入し続けなければいけない。ソフトバンクグループは、出資者としてこの罠にはまったのである。 ではソフトバンクグループはそんなに馬鹿なのか。やはり、日本でお山の大将だっただけで、シリコンバレーでは通用しなかったのか。そうではない。シリコンバレー、ベンチャーファンド、ウォールストリートの金融マン、ファンドすべてが馬鹿だったのである』、「馬鹿なの」は、「ソフトバンクG」だけでなく、「シリコンバレー、ベンチャーファンド、ウォールストリートの金融マン、ファンドすべてが馬鹿だった」、なるほど。
・『彼らは、なぜウィーワークに群がったか。バブルだったからである。バブルでは馬鹿になって、合理性を捨てて群がることが勝利の法則である。しかし、ここではバブルに簡単に参入できなかった。上場していなかったからである。ニューマン氏に新たに株を売ってもらわなくてはいけない。増資するか、彼の持ち分を売ってもらうかしないといけない。そして、この売り出しに、ファンドやウォールストリートの一流金融機関は群がったのである。 売り出すたびに、価格は切り上げられていった。バブルだからである。後から来るものはより高い入場料を支払わないといけない。そして最後にバカ高い入場料を払ったのがソフトバンクグループではなかったか。これはウォールストリートやシリコンバレーのファンドは(中国のファンドも)嫌がるはずだったが、ソフトバンクグループを嫌いながらも甘受した。なぜなら、同社が高い価格で出資または買えば、時価が上がり、自分たちの保有する株式に高い時価が付き、ファンドに含み益が生じ、それが客観性を持つようになるからである。 しかし、彼らは、最後はどうなると思っていたのか。そんな高い価格に吊り上げるゲームが持続できると思っていたのか。ソフトバンクグループのさらに後から来る大バカ者、クレイジーな投資家がいると思ったのだろうか。いた。いると思っていた。それが上場である。公開時に株を買ってくれる一般の個人投資家である』、「バブルでは馬鹿になって、合理性を捨てて群がることが勝利の法則である」、言い得て妙だ。「ソフトバンクグループのさらに後から来る大バカ者、クレイジーな投資家がいると思った」、公開が流れて、「ソフトバンクG」そのものが「大バカ者」になったようだ。
・『上場が延期になると一気に厳しい状況が目の前に  しかし、個人投資家はそれほど甘くなかった。いや、上場のプロセスはまだ常識を残していた。客観的にウィーワークの業績をチェックすると、6兆円とも7兆円とも言われていた企業価値は幻で、せいぜいゼロ円、素直に査定すれば赤字が膨らむ一方であるからマイナスの価値しか生まないのではないか、などと指摘されたからである。 さらに、彼らは資金繰りに問題を抱えていた。だから早めに上場を決断せざるをえなかったのである。ニューマン氏にとっても楽しい非上場でのバブルゲームを終える時が迫られていたのである。しかし、上場が延期になると一気に資金の問題が目の前に迫ってきた。そこで、ようやくガバナンスが効き始めたのである。 初めてニューマン氏は企業の支配権を手放し、ソフトバンクグループがそれを入手したのである。ガバナンスも滅茶苦茶であったのは、報道されている通りだが(ニューマン氏が議決権を支配し、親族やあらゆる仲間たちにカネを流出させていたなど)、なぜそれを一流のベテラン投資家たちが放置していたのか。 その理由は簡単だ。バブルだと認識していたからである。バブルに乗るには理屈は言っていられない。ニューマン氏に気に入られて、バブルゲーム参入チケットを分けてもらわないといけない。だから、老獪なベテラン投資家たちは、ニューマン氏の言いなりになってしまったのである。 ニューマン氏もそれを知って、彼らを競わせた。「自分の言うことを聞かなければ株は分けてやらないぞ」、と。都合がいいことに、中国のファンド、日本のファンドという新参者が興奮していた。老獪な投資家たちは、彼ら初心者が荒っぽいことを知っていたから、仲間内だけなら、自分たちが結束して、ニューマン氏に譲歩させたはずだが、それができず、奪い合いに参加した。だからバブルは膨らんでいったのである。 ここに起業家が「起業している」という独占的な地位を利用して、わざと上場を遅らせた。だからユニコーンという不思議な上場しない巨大新興企業が生まれたのである、起業家にとっては、取引所という頭の固い、バブルに興味のない人々のチェックを受けずにバブルを煽ることができる。そのバブルに乗ったファンドも後で上場時により馬鹿な投資家に売りつけることができるから、馬鹿のふりをしてバブルゲームに興じていた』、「都合がいいことに、中国のファンド、日本のファンドという新参者が興奮していた」、「ユニコーン」に踊らされ、煽っていたのは、日経新聞である。日経はどう自己批判するのだろうか、恐らく沈黙を守るだろう。
・『バブルゲームは終わった  このバブルゲームが事実上ウィーワークで終わったのである。ウーバーはなんとか上場できた。こちらは上場もできなかった。残っているユニコーンはほとんどすべて衰退していくだろう。少なくとも、赤字に見合った企業価値に評価が下がっていくだろう。そうなると誰も引き取る人はいないから、多くの企業、特に大きな未上場新興企業は行き詰っていくだろう。このように、ソフトバンクグループの試練は、シリコンバレーの一部を困難な状況に追い込み、ウォールストリートの一部も巻き込まれるのではないか。 これが2020年のバブル崩壊だ。そうなれば、普通の株式市場も盛り上がることは難しいだろう。だから、株式バブルはこれで終わる。不動産も同じだ。低金利で無理して投資している投資家も行き詰まるか、少なくとも苦境に陥るだろう。 実はソフトバンクグループは、まだアリババの含み益などがある。だから、バブル崩壊のきっかけはソフトバンクの周辺なのに、アメリカの中心の金融市場のバブルが崩壊するということがおこりうる。なぜなら、ソフトバンクグループや他の買い手が積極的に買わなければ、彼らは参加したバブルゲームから、投資した資金の大半を諦めて、撤退しなければいけないからである。 2020年、良いお年をお迎えください』、「バブルゲーム」の今後の行方は要注意だ。
タグ:サブリースはそもそも儲からない、理由は簡単で、オフィスをサブリースするだけなので、アイデアの価値はゼロ、誰でもできるビジネスであり、誰でも参入できるのであり、実際、参入したのである ウィーカンパニーの破綻の可能性が指摘 「ソフトバンクグループのバブル崩壊」が始まった 問題はそこではない。バブルが崩壊するのはソフトバンクグループではなく、シリコンバレーであり、ユニコーン市場であり、すなわち、現在の資本主義の中心地アメリカだ。そのなかでももっとも最先端と思われる、大規模未上場新興企業市場である ウィーワークは「ただの不動産のサブリース」 資本主義のど真ん中のバブルが崩壊するのである 借金をしている連中も確信犯であるという、「壮大な悪の物語」 円が信認を失って、円からドルへの大量の資金逃避が発生する場合 なぜなら、中央銀行は儲けるために買っているわけではないから、暴落懸念が出たときに売り逃げるどころか、その時こそ暴落を阻止するために買いまくるからである ヘッジファンドは日本国債の売り仕掛けをやめた 暴落懸念で売りが殺到することでしかバブルは崩壊しないのだから、これではバブルは永遠に崩壊しない 中央銀行が最後の買い手になっているバブル。これは崩壊しにくい 金融市場と実体経済に最も大きな打撃を与えるのは、国債バブルの崩壊である。しかし、重大で巨大なバブルである一方、だからこそ、このバブルはしぶとい。なかなか崩壊しない 「CLO」(担保付ローン債務) ビジネスモデルが駄目 なぜ私の悲観予想は外れたのか。理由は一つだ。2020年に当たるからである。バブルはついに2020年崩壊する 株とオリンピックは全くの無関係 世界経済を救う正義の味方 小幡 績 「2020年、意外なところからバブル崩壊は始まる ウォールストリートの一部も巻き込まれる?」 「今は「リーマンショック物語」の続編が進行中だ バブルに乗る「悪質な確信犯」と犠牲者は誰か」 クレジットリスクが大きい 「壮大な悪の物語」が進行、「正義の味方」は誰か? 信用度の低い社債を発行しまくる「ずる賢い経営者たち」 今回のバブルのネタは株式や不動産といった古典的なリスク資産であるよりも、どうやら債券であるらしい ぐっちーさんなら、今の問題をこう分析するかも バブルは「借金して、投資しすぎること」によって起こるので、借金が容易である必要があり、金融政策が緩和的であることがその生成の「必要条件」だ バブルが実際に弾けて、それがバブルであったことを証明するまでには、かなりの時間(典型的には2~3年)を要する 東洋経済オンライン 現在は「リーマンショック物語」続編の企画が進行中 ぐっちーさん(山口正洋氏) 山崎 元 「もうは、まだなり」がしばらく続く状況だろう 今回は、スポンサーとして、FRB(米連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)、日銀など、錚々たる大手が競うように金を出している (その1)(今は「リーマンショック物語」の続編が進行中だ バブルに乗る「悪質な確信犯」と犠牲者は誰か、2020年 意外なところからバブル崩壊は始まる ウォールストリートの一部も巻き込まれる?) シリコンバレー、ベンチャーファンド、ウォールストリートの金融マン、ファンドすべてが馬鹿だったのである アドバンテージはブランドだけ ソフトバンクグループのさらに後から来る大バカ者、クレイジーな投資家がいると思ったのだろうか バブルでは馬鹿になって、合理性を捨てて群がることが勝利の法則である 都合がいいことに、中国のファンド、日本のファンドという新参者が興奮していた バブルゲーム 上場が延期になると一気に厳しい状況が目の前に バブルゲームは終わった バブル(最近)
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中国経済(その4)(中国が経常赤字に転落 日本への影響は 「爆買い」の減少に警戒必要、追いつめられた中国経済 2019年の動向を占う 習近平重要講話と中央経済工作会議から読み解く、中国経済「崩壊」の始まりを感じさせるこれだけの理由) [世界経済]

中国経済については、2016年9月7日に取上げたままだった。2年以上経った今日は、(その4)(中国が経常赤字に転落 日本への影響は 「爆買い」の減少に警戒必要、追いつめられた中国経済 2019年の動向を占う 習近平重要講話と中央経済工作会議から読み解く、中国経済「崩壊」の始まりを感じさせるこれだけの理由)である。

先ずは、小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEOの小宮 一慶氏が昨年12月21日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「中国が経常赤字に転落、日本への影響は 「爆買い」の減少に警戒必要」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/011000037/122000049/?P=1
・『今年上半期、中国の経常収支が赤字に転落しました。中国国家外貨管理局が発表した2018年1~6月の経常収支は、283億ドル(約3兆1500億円)の赤字となりました。 経常収支とは、貿易収支・サービス収支・所得収支(海外から得た利子や配当など)を合計したもの。海外との総合的な取引状況を示します。これが赤字になったということは、海外から稼げなくなりつつあるということと同義です。これは中国経済には大きな問題となります。 2000年代から急成長を遂げ、世界第2位の経済大国に成長した中国が、なぜ今になって経常赤字に陥ったのか。日本への影響はどのように考えればいいのか。今回は、中国経済の現状と展望について考えます』、中国の経常収支赤字化は、確かに目をひく数字だった。
・『18年1~3月期、17年ぶりの経常赤字に  まずは、経常収支の中でも最も大きなウェイトを占める「貿易収支」の推移から見てみましょう。 貿易収支は大幅な黒字を続けています。2016年は5097億ドル(約57兆円)、2017年も4215億ドル(約47兆円)の黒字です。そのかなりの部分は対米黒字です。米国が不満を持つのも分かります。特にここ数カ月は、米中貿易摩擦による関税率の引き上げを見込んだ駆け込み需要が発生しており、中国側の貿易収支の黒字幅が増加しやすい傾向があります。 ところが、中国の経常収支は2018年1~3月におよそ17年ぶりの赤字に転落し、4~6月は黒字となったものの、1~6月では赤字となりました。 一体、何が原因だったのでしょうか。 経常収支は、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支(海外からの金利や配当等)、第二次所得収支(政府開発援助や国際機関への分担金等)の合計です。 中国の内訳を見ますと、先ほども見たように貿易収支は順調ですが、それと同時に「サービス収支」の赤字が拡大しているのです。サービス収支の赤字は2010年あたりから増加し始め、季節要因によって貿易黒字が縮小した2018年1~3月にはカバーしきれず経常赤字になりました。 1~3月期は春節の時期が含まれているため、毎年、この四半期の貿易黒字は一時的に減る傾向がありますが、サービス収支赤字が拡大し続けていることには変わりありません。なぜでしょうか。 主な原因は、中国人による海外旅行の増加による「旅行収支」の悪化です。これは、旅行者の滞在先での宿泊費や交通費などが主なものです。中国からの海外旅行者の増加により、旅行収支の赤字が拡大しているというわけです。 中国経済が成長してくるにつれ国民の生活は豊かになり、海外への旅行熱が高まり、さらには、高品質な海外製品に対する需要が高まりました。税制上、輸入品よりも海外で購入した方が安いこともあり、海外旅行先で爆買いする中国人も多くいます。これらは経常収支の悪化をもたらすのです』、旅行収支赤字が主因であれば、対策は簡単だが、影響は日本にも及ぶ。
・『中国政府が旅行収支赤字を縮小しようとする可能性がある  日本経済もそんな中国人旅行客による恩恵を受けてきました。しかし、それもいつまで続くのかは分かりません。 というのは、中国政府がこの先、旅行収支赤字を縮小しようと動き出す可能性があるからです。 中国の成長率の推移を見ますと、かつては二ケタ成長を続けていましたが、直近の2018年7~9月期は前年同期比6.5%まで鈍化しています。今後は米中貿易摩擦の影響もありますから、ますます厳しい状況に陥るでしょう。長期的には、一人っ子政策の影響で労働力人口が長期的に減少しますから、これも経済成長を鈍化させます。このことは、中国の成長を見込んでの海外からの投資を鈍化させることにつながります。 その中で中国人旅行客が世界各国に旅行を続け、爆買いをすれば、経常収支を悪化させ、人民元売りが起こります。ただでさえ、国内経済の鈍化によって人民元安の傾向が続いている上に、海外旅行や爆買いの影響が重なるのです。 さらに、米中貿易摩擦によって貿易黒字が縮小していく可能性もあります。米国は、それを狙っているわけですからね。貿易黒字の縮小によって経常赤字が拡大すれば、人民元がますます下落し、下手をすれば暴落する可能性も否定できません。 中国政府としては、こういった状況を看過できるはずがありません。人民元安が進みすぎるのを防ぐため、せめて旅行収支赤字だけでも縮小して人民元安に歯止めをかけようと対策を打ち出す可能性は大いにあるでしょう。旅行そのものを規制すれば、当然、爆買いもなくなります。 そうなれば、日本経済への影響も避けられません。2017年の訪日客による消費額は、16年に比べて18%増加し約4兆4000億円に上り、5年連続で最高額を更新し続けています。中でも、中国人観光客による消費は約1兆7000億円と首位に位置しています。 消費額自体は4兆4000億円ですが、波及効果も加味すれば、GDPベースで約10兆円の経済効果があるとの見方もあります。 中国政府が旅行収支赤字の縮小を視野に入れ始めると、この莫大な観光収入が大幅に減少する可能性も少なくありません。 訪日客数の推移を見ますと、2018年8月は前年同月比4.1%増の257万8021人、9月は北海道での地震の影響もあり5.3%減の215万9600人、10月は1.8%増の264万600人となっています。2018年の訪日客数は3000万人を超えましたが、2017年は前年同月比で20%前後の伸びを維持していたことを考えますと、増加ペースが鈍化していると言えるでしょう。 中国政府が手を打ち始めたら、この伸びは止まるどころか、減少に転じる可能性もあります。台湾は反中国政権の影響もあり、中国本土からの旅行客が減少し、経済にも悪影響が出ています』、インバウンド・ブームについては、影の部分の指摘も増えていることから、「中国本土からの旅行客が減少」はやむを得ないことなのだろう。
・『東京のマンション投資、地方の観光地にも影響  さらに言えば、単純に旅行収支だけではなく、海外への投資、例えば不動産投資などを抑制することも考えられます。そうなると、中国人投資家による日本国内、特に東京都内のマンションへの投資、あるいは北海道などでの観光地への投資などに影響が出るでしょう。 しかもここへきて日本経済のトレンドが変わり始めています。2018年7~9月期のGDP実質成長率はマイナス2.5%(季節調整済み、年率換算)と、減少幅は前回の消費増税後の2014年4~6月期以来の大きさとなりました。2019年1月まで成長が続けば、戦後最長の景気拡大となると期待されていますが、その先は黄信号が灯っているのです。 ここで中国からの訪日客が急減するようなことがあれば、日本の景気に大きな影響があることは間違いありません。 米中貿易摩擦の解決の仕方にもよりますが、この先、中国の経常収支は悪化してゆく可能性があります。日本企業も中国を大きな市場としているところも多く、また、訪日客の動向によっては、日本への影響の度合いも大きく変わってきますので、注意が必要です』、既に弱まり始めている日本の景気をさらに下押ししたり、不動産市況に悪影響があることは覚悟する必要があるが、インバウンドに過度に依存した姿こそが異常なのであり、持続性ある成長路線に戻すためには、不可避なことであるように思う。

次に、元産経新聞北京特派員でジャーナリストの福島 香織氏が12月26日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「追いつめられた中国経済、2019年の動向を占う 習近平重要講話と中央経済工作会議から読み解く」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/218009/122500193/?P=1
・『新華社が21日に報じたところによれば、19-21日に中央経済工作会議が開催された。中央委員会総会(四中全会、政治政策の決定を中央委員会によって可決する)を開かずに経済政策を決める中央経済工作会議を先に開くのはやはり異例だ。しかも、その直前に行われた改革開放40周年記念の習近平重要講話を仔細に読めば、経済の習近平路線は大きく変わりそうにない。中国の来年の経済動向を、習近平重要講話と中央経済工作会議の中身から占ってみたい』、これまでからバブルの歪みが指摘されてきた中国経済も、いよいよ「弾ける」とすれば、影響は深刻だ。
・『倒産500万件、失業200万人か  簡単に2018年の中国経済を概観すると、今年の経済鈍化は、庶民が肌身で切実に感じるレベルである。党大会後から始まった債務圧縮政策は中国の雇用を支えてきた民営中小零細企業を直撃、報道ベースでざっくり500万件が倒産し200万人が路頭に迷い、740万人の出稼ぎ者が都市部から農村に戻った。その原因を習近平路線にあるとする声は党内でも大きい。習近平の政策の一番強烈なところは「習近平を核心とする党中央」が一切を指導する独裁路線であり、株式市場も為替市場も民営企業も債務も、党(習近平の意向)が完璧にコントロールしてやろう、という点だ。そんなものを完璧にコントロールできる天才的指導者などいるか、という話だ。 これは鄧小平の改革開放路線(資本主義を経済の手段として容認し、経済活動については政治的制約を極限まで減らし、結果的に豊かになった企業家および中間層を党に取り込むことで共産党の権力を強くする)とは真逆。だから、習近平路線の呼び名は「逆走路線」あるいは「改毛超鄧」(毛沢東のやり方を改良して鄧小平を超越する)と表現される。 胡錦濤政権末期を振り返ると、鄧小平路線を長年継続してきた結果、(資本家を受け入れた)共産党の腐敗と風紀の乱れが激化し、貧富の差の拡大によって大衆の不満が膨らみ、経済が資本主義(自由主義)、政治が社会主義(全体主義)という不均衡によって、共産党は経済の資本主義化にブレーキをかけるか、政治の社会主義体制の看板を下ろすかの選択の岐路に立たされていた。この選択をできずにいた胡錦濤政権から、矛盾が極限まで膨らんだ状態の中国を受けついだ習近平政権は、高度経済成長の持続を諦め、成長減速を「新常態」(ニューノーマル)と受け入れて、経済構造の大改革を行うとした。だが、文革時代に思春期を過ごし、大した経験や知識をもたない習近平には参考となる政治家手本は毛沢東しかおらず、毛沢東のやり方を模倣する以外なかった。 結果として起きた現象を上げれば、安邦保険や海南航空集団といったメガ民営企業の事実上の国有化などによる民営企業のパニック、2015年上海“株災”から始まった中国株式市場の信用失墜、意見の対立する政治家、官僚排除による党内組織機能の硬直化やサボタージュ、中国製造2025(製造業の高度化)や一帯一路(国内余剰生産などの矛盾を国外に移転、拡大することによる問題解消を狙った中華式経済圏の拡大)といった戦略を中国の覇権主義台頭と警戒した米国との貿易戦争などが重なって、中国経済は急減速した。外資引き上げが加速し、キャピタルフライトはとどまらず、人民元は急落を続け、不動産バブル、地方債務ははじける寸前であり、社会消費の鈍化が目立つようになった』、改革開放以来の経済政策の流れが理解できたが、習近平にとっては、内憂外患の極致にあるようだ。
・『「鄧小平路線に戻すべき」との声も  2017年暮れごろから中国政府内の金融官僚たちは「ミンスキーモーメント」という言葉を口にし始めた。これを警戒し、習近平政権は金融バブル崩壊圧力を緩めるために2018年6月、P2P金融業者(ネットなどをプラットフォームに使った個人間融資)を選んで破綻させたのだが、大量の自殺者、失踪者が出て数百万単位の金融難民を出した苛酷なものだった。ネット上で怨嗟の声が渦巻き、習近平政権に対する大衆、特に中間層の敵意を形成することになった。しかも、P2Pを破綻させたところで、中国の巨大な金融破たんリスクが解消されるわけもなく、むしろ次はより大きなショックがくると国内外のアナリストたちは恐怖を感じるようになった。ここに、米国との貿易戦争が重なり、中国経済は改革開放以来、例をみないほどに追いつめられている。 党内では現状を改善するためには路線を旧鄧小平路線に戻すべきだと主張する声が強くなっていた。だが、習近平にとって旧鄧小平路線に戻ることは自身の敗北を認め、下手をすれば引退という形で責任を取らされる可能性があり、簡単には認められない。習近平は最終的にどうするのか、その答えが改革開放40周年記念日に行われた演説であった。 演説の内容を簡単にいえば、旧鄧小平路線には戻らない、という習近平の決意が打ち出されている。見出し的には「改革開放路線の継続宣言」と報じてるメディアもあるが、中身はあくまで習近平路線維持を押し通したものだった。鄧小平の言葉よりも毛沢東の言葉を多く引用しているし、なにより胡錦濤政権時代の2008年に行われた改革開放30周年記念行事には江沢民ら長老が勢ぞろいしたが、今回、長老連は軒並み欠席。現役指導部と習近平の取り巻きだけが参加した習近平独演ショーのようになっていた。 まず「党が一切を指導する」(経済、市場を含めた国家占有至上主義路線)の維持を繰り返した。 また中国を国際秩序の擁護者としながら、「中国人民にあごで偉そうに指図できる教師様はいない」と毛沢東風に語り、中国が目指すのは米国はじめ西洋社会が示す民主主義モデルではなく、中国が独自の道をいくのだと主張している。これは既存の国際秩序への挑戦姿勢と受け取れよう。米国を暗にさして「覇権主義と強権主義に旗幟鮮明に反対する」と牽制している。また国有経済優先姿勢も明確にし、「公有経済制はみじんもゆるがさない」としている。改革開放路線継続といいながら、実は逆走路線である。党内改革派からは鄧小平路線に回帰し、国際社会との融和・妥協点を探るべきだという意見が出ているが、それにも習近平はノーだということだ。 「改革すべきところ、改革できるところは必ず改革する、改革すべきでないところ、改革できないところは絶対改革しない」とのべているが、これは事実上の「これ以上改革開放しない」宣言といえるだろう。習近平の本音はもとのまま毛沢東時代逆走路線ということだ。とりあえず、鄧小平を少し持ち上げてみせるが、「できないものはできない」と、開き直ったようにもみえる。さらに一流の軍隊を作って中華民族の復興路線の後ろ盾とする社会主義現代強国化路線の堅持を訴えた。 また「党の集中統一指導により、我々は歴史の偉大なる転換を実現し、改革開放新時代と中華民族の偉大なる復興の新たな道のりを切り開くことができる。一連の重大なリスクの挑戦を受けて立つことができる。無限の艱難辛苦を克服し、変局、風波、洪水、パンデミック、地震、危機もろもろに対応でき防止できる能力がある。古臭くなった過去のやり方でもなく、旗印を安易に挿げ替えただけの邪道でもなく、ゆるぎない中国社会主義路線を堅持するのだ」と語っている』、「習近平の本音はもとのまま毛沢東時代逆走路線」とはいうものの、毛沢東時代とは比較にならないほど経済構造が複雑化したなかで、統制強化路線が機能するのだろうか。
・『「旗印を安易に挿げ替えた邪道」とは  「旗印を安易に挿げ替えた邪道」とは、経済の資本主義化を社会主義初級段階に言い換えて自由主義路線を推し進めた鄧小平を念頭に置いているとすれば、習近平の本音がどこにあるかは明らかだ。しかも、習近平が考えうるリスクの羅列の筆頭に「変局」「風波」が挙がっている。変局を直訳すれば非常事態だが、これには政治的意味が含まれており、革命や政変、戦争などを連想させる言葉である。風波は動乱、天安門事件のような社会や政治の動乱を差す言葉だ。習近平が自分の路線を押し通す先に、政変や動乱のリスクも想定しているともとれる。この重要講話を読む限り、習近平は妥協しないつもりであり、いざとなったら政変も動乱も受けてたつ、といわんばかりのやけっぱちで暴走気味であるとも受け取れるのではないか。 さて、この重要講話発表の翌日に中央経済工作会議が開催された。新華社によれば会議では「世界は百年に一度の大変局に直面している。変局中には危機と同時にチャンスが併存しており、これは中華民族の偉大なる復興に重大なチャンスをもたらす」と指摘されたという。ここでも、「変局」が意識されている。とにかく来年は、世界も中国も政治体制、経済や秩序のフレームワークが激変するような非常事態がおきうる危険な一年という意識がにじみでている。だから、経済工作会議の前に開かれた政治局会議で2019年、2020年経済成長目標は6.1%に設定すべしと提言された。今年の経済成長は6.6%前後の見込みで、それでも肌身に厳しい状況を感じるのだから、来年の厳しさは想像以上だろう。ちなみに国家統計局内の特別チームが内部報告用に取りまとめた統計によれば今年の本当の成長率は1.67%という(向松祚・人民大学貨幣研究所副所長、NYT)。 会議ではマクロ政策方針は積極財政、穏健通貨政策をとり、よりカウンターシクリカル(逆周期調節)な対応を強化する、とした。さらに積極財政を効果的にするために、大幅減税を実施し、地方政府の専項債権(インフラプロジェクトなどの資金調達のための特別債)規模を大幅に拡大させる、とした。同時に地方債務リスクを穏健に妥当にコントロールする。貨幣政策は適度に緩め、流動性を確保し貨幣政策メカニズムの改善を図りつつ、直接融資比重を上げて民営の中小零細企業の融資困難問題を解決するとした。穏当をキーワードにした慎重な政策で痛みを最小限にとどめるつもりなのか。 構造改革については、国有企業改革が首位におかれた。珍しく踏み込んできたと思える発言は「政企分開、政資分開と公平競争原則を堅持する。国有資本を強く優位に大きくし、企業を管理することから資本を管理することへの転換実現を加速する」とした点だ。国有企業の競争力を強化することを政策の基礎として、党と国有企業の関係を、あくまで国有資本の管理者として、企業自体の管理は政治と切り離す、という意味だとしたら、これは習近平路線の逆をいく話だ。しかも、「民営企業の発展を支持し、制度環境を法治化し、民営企業家人身の安全と財産の安全を保護する」としている。民営企業家の不審死、自殺が相次ぎ、不自然なやり方で民営企業の国有化を進めた、習近平のこれまでのやり方を改める、という意味にもとれる』、ここには触れられてないが、財政赤字はさらに大きく拡大し、中央銀行がそれを支えることになるのだろう。その場合、資本主義国であれば、インフレが激化するが、統計操作では、安倍政権より遥かに手慣れているので、そんな気配も見せないのだろう。不思議な国だ。
・『米中貿易戦争が再燃したら…  こうして見てみると、経済政策に関していえば、習近平路線と離れて独自に動きだしているように見える。だが改革開放記念演説に見た習近平の自分のやり方への執着をみれば、本当に経済工作会議のもとに打ち出された方針で運営されるのかも定かではない。そもそも、中央委員会総会によって次の5年の政策の大枠の方向性が可決されていないのだ。 ちなみに会議に国家副主席の王岐山が欠席したのは、党内で意見分裂があったからだ、という見方もあった。すでに中央委員でもない王岐山の欠席に意味があるかどうか別として、党内で習近平派とアンチ習近平派に分かれて、政策の方向性が紛糾しているという話は私も各方面から仄聞(そくぶん)している。習近平の権力への執念が経済政策の方向性の定まりがたさの原因とすると、今後の見通しは不確定きわまりない。しかも90日停戦を経て3月1日には、米国との貿易戦争が再燃するかもしれない。そうなれば、中国経済のハードランディング回避は難しくなろう。今年のP2P破綻のような選択的破綻でしのぐにしても、規模はリーマンショック級以上、という予想をいうアナリストたちは少なくない』、ただ、トランプも本格的な貿易戦争は望んでないと見られることから、貿易戦争再燃はかろうじて避けられるのではなかろうか。それでも、国内での歪み蓄積による経済悪化といったリスクは十分あり得るだろう。

第三に、ジャーナリストの姫田小夏氏が1月11日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国経済「崩壊」の始まりを感じさせるこれだけの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/190528
・『実態と乖離した不動産価格の裏側  中国経済がおかしくなっている。「IT、製造業、不動産業で雇用削減」「消費が曲がり角」――年明け早々、日本経済新聞は中国経済の変調をこう報じた。中国の主要な経済紙を開いても、「債務危機」「連鎖破綻」「不良資産処理」など、先行きの不穏さを暗示する経済用語が目を引く。2019年の中国経済は見通しが悪い。 昨冬、筆者が訪れた上海の街は「真っ暗」だった。その元凶は不動産市況だろう。もとより上海では、マンションの乱開発と投機が生んだ「空室」が社会問題になっていたが、その数が激増し、夜間マンションにともる灯りが減ったのだ。 上海在住で複数の事業用マンションを持つ富裕層のひとりは「売りに出した住宅を見に来る客はいても契約には至りません」と語る。上海では2017年以降、住宅の中古市場が動かなくなった。 上海市黄浦区の不動産屋に張り出された住宅情報を見ると、1000万元台、2000万元台のマンションが目に付く。特別な仕様でも立地でもないごく普通の住宅だが、1億円はざら、2億円、3億円の高値がつくのだ。 その不動産屋の前に、近隣居住者とおぼしき老人が立っていたので話かけた。この老人は最近、所有していた物件を680万元(約1億1000万円)でやっとの思いで売却したという。このエリアでの成約額といえば680万元がせいぜいなのだ。2000万元越えの “バブル物件”など簡単には売れはしない。 その売却で手にしたお金は何に投資したのかと聞いたら、「借金返済ですべて消えてなくなった」と上海なまりの中国語で明かした。金融機関のみならず、親戚や友人から借りまくって買ったまではよかったが、老人の手元には何も残らなかったのだ。 インターネットでは「房奴」「車奴」など、「~奴」という言葉を見るようになった。住宅ローン、自動車ローン、カードローンを返せない個人が増えているのだ。中国人民銀行は2018年第3四半期末、クレジットカード支払いの不良債権(半年の遅延)額は880億元になったと発表した。2011年同期の106億元と比べると8倍以上の増加だ。 高額な負債を負った生活者は急増する中、中国では今、「個人破産制度を設けよ」という声が高まっている』、個人破産制度がないということは、返済できない個人はどうなってしまうのだろう。
・『改革開放のシンボル民営企業も八方ふさがり  中央政府は今、民営企業の救済と金融破綻の回避に必死だ。中国では企業の倒産が増えている。 中国の改革開放のシンボルとしての役割を背負った民営企業。その数は2017年末までに2726万社に増えた。これに「個体戸」と呼ばれる自営業を加えると、実に中国企業の95%が私企業で成り立っている計算になる。しかしこれら民営企業の多くは、経営コスト増、資金調達難、構造転換の困難という三重苦で経営難に直面している。 筆者は中国で、ある民営企業経営者と面会した。中国の民営企業トップ500の上位にランキングする、中国では有名なアパレル企業の経営陣である。 仮に彼を陳氏と呼ぶことにしよう。陳氏一族は浙江省温州市で、それぞれ工程ごとに独立したグループ会社を経営する同族企業だ。1970年代生まれの陳氏は、製造販売に従事し、全国チェーンを発展させた。そのブランド名は中国人なら誰もが知るところだが、中国の経営環境に対する陳氏の見通しは悲観的だ。 「生存競争があまりに激しい。中国では今、年商1億元規模の企業がバタバタと倒産しています。その原因の1つは、一瞬で価格の比較ができるネット販売。消費者は同じものなら少しでも安いものを選ぶため、競争力のない多くのアパレル工場がつぶれてしまったのです」 同社製品は「タオバオ」でも販売し、大きな商機につながったという。しかし、同時にこれがデフレを招き、2005年前後に高額衣料品の値段はどんどん落ちていった。 一方で、陳氏は経営環境を悲観するもう1つの要因を「信用破綻」だと指摘する。 「温州ではもともと『民間借貸』(個人や企業間での融資)が発達しており、銀行からの借り入れなしに独自に資金調達ができましたが、これが2011年に破綻してしまったのです」 この信用破綻は連鎖を呼び、陳氏のビジネスも一気に暗転した。自社ブランドを持ち、店舗展開を一気に加速させようとした矢先、店舗開発は行き詰まり、数億円の資金を投じて大量生産した商品は瞬く間に在庫の山と化した。その痛手は8年を経た現在も癒えてはいないという。その理由を陳氏は次のように語っている。 「2011年までは中央政府も『民間借貸』を認めていました。商業銀行が中小の民営企業に貸したがらない環境の中で、『民間借貸』は唯一の血流だったのです。けれども2011年に不動産バブルが崩壊すると、住宅を担保に高利で借り入れていた経営者はもはや夜逃げするしかありませんでした」「この破綻の元凶を『民間借貸』にあるとした中央政府は、その後の金融改革の中で、『民間貸借』を規制し、銀行融資を奨励するようになりました。しかし表向きの政策とは違い、銀行は貸したがらない。結局、資金が行き渡らず、多くの企業が今なお厳しい状況に置かれているのです」』、金融面の傷は極めて深そうだ。
・『信用破綻の元凶は不動産バブル崩壊  温州といえば、陳氏のように商才ある経営者を数多く輩出し、民間経済が発達した土地柄だ。改革開放の初期、軽工業が盛んだった温州は“脱国有”のモデル都市として注目を集めた。先に富んだ温州人たちは2000年代に入ると一早く沿海部の不動産に手を出した。地元温州のみならず、上海を含む中国各地の住宅価格は、彼らの大胆なマネーゲームで“身の丈”をはるかに超えるバブルと化した。 身から出た錆とはこのことである。バブル化した不動産市場に浙江省政府が購入を制限する「限購」を発令すると、市場は一気に冷えた。2011年、温州市では事実上、不動産バブルが崩壊した。買い手を市場に参入させないことでバブル抑制を試みたまではよかったが、その「劇薬」が、不動産価格の予想外のハードランディングを招いてしまい、不動産を担保に資金繰りをつけていた温州経済を破綻させてしまったのである。 2014年、筆者は不動産価格が激しく暴落した温州市を訪れた。その温州で目の当たりにしたのは、3年を経てもなお高止まりしたまま売れ残るマンションと、膨大な借金を抱えたまま経営者が戻らない工場だった。不動産価格が高騰したといわれる中心部の宿から見えるのは、数えるほどしか灯りがつかない真っ暗な高級住宅街だった。 さらにそれから4年経った2018年、温州は2019年明けの税率引き上げを前に“駆け込み特需”で製造業が活気づいていた。だが、温州を頻繁に訪れる日本人ビジネスマンによれば「温州経済は今なお暗中模索だ」という。 「温州経済は立ち直たっとは言い難い。抵当に押さえられたままの不動産も少なくありません。主力のアパレルや日用品などの産業も縮小し、次の産業は育っていないのが現状です」』、「「劇薬」が、不動産価格の予想外のハードランディングを招いてしまい」というのは、日本のバブル潰しで、不動産融資の総量規制導入で、不動産市場の崩壊、金融機関の不良債権問題深刻化を招いたオーバーキル策と似ている。
・『突き抜けた民営企業は一握り  日本でもその名をよく聞くアリババやテンセント、OPPOやシャオミなども民営企業だが、こうした“突き抜けた企業”は、実はほんの一握りだ。他方、シェアサイクルでも民営企業が大きなリードを見せたが、3年を経ずして参入企業の多くが消えた。「多産多死」で強者を生み出すのが中国流ともいえるが、上海在住の一部の消費者は「決断は大胆だが経営は問題が多い」と不安を隠さない。ちなみにシェアサイクルのofoは昨年日本から撤退したが、「その後日本支社と連絡がつかなくなった」と協力した自治体を困惑させている。 そんな民営企業に特効薬はないと踏んだのか、昨年、「私営経済退場論」「新公私合営論」といった論文が相次いで発表された。共産党の支配が強まる近年、これらは「中国を再び公有経済に戻すのか」という不安すら煽った。 民営企業は結局のところシャドーバンクから資金調達するしかなく、またしても借りた金の不良債権化が問題になっている。中国の有力経済紙「21世紀経済報道」は、「ここ数年の借り入れが返済期を迎えるが、返済できない企業は多い」、「違約に陥る民営企業が信用破綻を生んでいる」と報じる。 振り返れば2011年、中国のメディアはこぞって温州企業のこげつきと経営者の夜逃げを取り上げた。あれから8年を経た今、上海で感じるのは当時の“温州クラッシュ”の再現だ。 「政府がコントロールできる限りにおいてバブル崩壊はない」とする強気の中国だが、果たして市場は有効に制御されているといえるのだろうか。あるいは温州のバブル崩壊の検証を十分に行ったといえるのだろうか。もしかすると中国経済は今まさに、暗くて長いトンネルの入り口に立たされているのかもしれない』、不良債権といっても、その定義が緩く、処理も先送りが認められていれば、マイナス効果は裏で累積されるだけで、表に出てこない状態なのだろう。しかし、そうした危険な状態はやがて崩壊せざるを得ないが、現政権は先送りを優先するのだろう。
タグ:中国経済は今まさに、暗くて長いトンネルの入り口に立たされているのかもしれない 中国経済 「中国経済「崩壊」の始まりを感じさせるこれだけの理由」 今年上半期、中国の経常収支が赤字に転落 ダイヤモンド・オンライン 倒産500万件、失業200万人か 東京のマンション投資、地方の観光地にも影響 「鄧小平路線に戻すべき」との声も 日経ビジネスオンライン 突き抜けた民営企業は一握り 信用破綻の元凶は不動産バブル崩壊 実態と乖離した不動産価格の裏側 中国政府が旅行収支赤字を縮小しようとする可能性 「追いつめられた中国経済、2019年の動向を占う 習近平重要講話と中央経済工作会議から読み解く」 (その4)(中国が経常赤字に転落 日本への影響は 「爆買い」の減少に警戒必要、追いつめられた中国経済 2019年の動向を占う 習近平重要講話と中央経済工作会議から読み解く、中国経済「崩壊」の始まりを感じさせるこれだけの理由) 「中国が経常赤字に転落、日本への影響は 「爆買い」の減少に警戒必要」 「旗印を安易に挿げ替えた邪道」とは 姫田小夏 米中貿易戦争が再燃したら 福島 香織 18年1~3月期、17年ぶりの経常赤字に 小宮 一慶 改革開放のシンボル民営企業も八方ふさがり
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株式・為替相場(その8)(円はもはや安全資産ではないのか 今年は安値圏で推移 その背景は、“下落相場入り”で迎える2019年 個人投資家は「買いのチャンス」か、2019年にもう一度大きな暴落がやって来る 今は「静かなバブル崩壊」が続いているだけだ) [世界経済]

株式・為替相場については、世界同時株安(その7)として、2月16日に取上げた。久しぶりの今日は、(その8)(円はもはや安全資産ではないのか 今年は安値圏で推移 その背景は、“下落相場入り”で迎える2019年 個人投資家は「買いのチャンス」か、2019年にもう一度大きな暴落がやって来る 今は「静かなバブル崩壊」が続いているだけだ)である。

先ずは、12月25日付けダイヤモンド・オンラインが米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を転載した「円はもはや安全資産ではないのか 今年は安値圏で推移、その背景は」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/189430
・『ボラティリティが猛烈な勢いで復活している。そして混乱期に資産の逃避先になることが多い日本円は相変わらず弱い。 何が起きているのか  株や社債、そして商品(コモディティ)は今年そろって売られてきた。こうした市場では通常、安全資産とされる円がドルに対して上昇する。 S&P500種株価指数は9月20日につけた過去最高値から14.5%下落した。以来、リスクを回避したい投資家に人気の金は3.8%上昇している。一方、円は方向性を欠いている。 最近では1ドル=111.88円をつけた。これは、円がなお今年の安値圏にあることを意味する。先週1.6%上昇したにもかかわらずだ。 円が安全資産の地位を得た一因として、日本の超低金利を背景に、同国投資家が数年にわたって海外の株や債券をせっせと購入してきたことがある。そうした投資家は混乱時に海外資産を売って日本に還流させる傾向があるため、円が上昇する。  アナリストらはキャリートレードでの円人気にも言及している。これは新興国市場などで見られる高いリターンを狙い、借り入れをして資産を買う戦略だ。こうした取引から引き揚げる運用会社は円を買い戻さなければならず、円相場が上昇する』、今日の円相場は1ドル=110.57円と僅かながら円高気味だ。
・『それが意味すること  ドイツ銀行シンガポール支店のアジアマクロ戦略責任者サミーア・ゴエル氏は「ドル・円の今年の動きが奇妙で普通と違う」と述べた。 ゴエル氏らは今年の変則的な動きについて、いくらか説明はできるものの、安全資産という円の地位は長期的には変わらないと考えている。日本の多額の経常黒字などが根拠だ。 円は依然キャリートレードに使われているが、運用会社はユーロなど他の通貨に手を伸ばしている。そして日本の投資家はここ数週間、海外資産を売るのではなく買っている。株よりも債券に殺到してはいるが。 中央銀行の動きも背景となっている。連邦準備制度理事会(FRB)は19日に今年4回目となる利上げを決めた。 これに対し日本銀行は20日の会合で、超緩和的な金融政策を維持することを決定した。この違い――日米の政策金利の差がこれほど広がったことは10年以上なかった――は円に対するドル高を意味する。 日本では機械受注や工業生産といった経済指標がこのところ予想を下回っているため、一部の投資家は日銀による金融政策正常化が一段と遠のくと確信するかもしれない。アライアンス・バーンスタインのポートフォリオマネジャー、モーガン・ハーティング氏は「円に安全資産の性質を与えている要素が相殺される可能性がある」と述べた』、円が万一、安全資産の座からすべり落ちるようだと、一国だけ取り残された異次元緩和、財政赤字の大きさなどに焦点が当たって、一気に暴落し、異次元緩和の副作用といわれたリスクが顕在化し得る点には最大限の注意が必要だろう。

次に、経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏が12月26日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「“下落相場入り”で迎える2019年、個人投資家は「買いのチャンス」か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/189582
・『少し早めの下落相場入り(先週から週明けにかけて、内外の株価が大きく下落した。米国、日本ともに代表的な株価指数は直近の高値から2割以上下落したので、株式市場関係者の慣例的定義によると「下落相場入り」だ。 率直に言うと、株価の本格的な下落は予想よりも少し早く現れた。ただし、意外感はあまりない。 今回の株価の下落要因とされている、米中貿易摩擦などを背景とした「世界景気の減速への懸念」も、米国FRB(連邦準備制度理事会)の金融引き締め継続も、あるいは来年秋に予定されている日本の消費税率引き上げや、五輪関連特需の息切れ懸念も、いずれも既に投資家の視野に入っていた材料だ。 株価が経済の動きに対して先取り気味に動くことを考えると、今回の株価下落を大いに意外だと思う市場関係者は少ないのではないか。 下落の原因の中で最も本質的な要因は、金融引き締めの継続に伴う米国の長短の金利上昇だ。金融引き締めによる金利の上昇は、いつかはリスク資産の価格下落をもたらすし、最終的に金融引き締めに勝てる上昇相場はない。 ただし、経験則的には長期金利で4%くらいの水準が、株式に対する債券の魅力が高まって株価下落のトリガーになるレベルであったものが、インフレ率が低下した今日の世界経済にあっては、3%近辺の米国長期国債利回りでも十分に高かったようだ』、「下落の原因の中で最も本質的な要因は、金融引き締めの継続に伴う米国の長短の金利上昇だ」、なるほど。
・『「バブル崩壊」ではなさそうだが  株価が下落局面入りした場合に、確認が必要なのは、それが本格的なバブル崩壊なのかどうかだ。 今のところ、リーマンショックに至ったサブプライム問題がはらんでいた米国の不動産バブルのような大物の歪みは、存在していないように見受けられる。 12月24日に米国のムニューシン財務長官が大手金融機関6社に対し、流動性の供給を念押ししたというニュースは、「どこかにヤバい金融機関でもあるのか?」との不安を喚起する逆効果的な情報発信だったが、現段階では危機が噂されるような大手金融機関はない。 大手の米銀は、十分な自己資本を備えているように思われる。問題があるとすると、例えば高いレバレッジを掛けて、信用度の低い債券に投資してサヤ抜きを狙うポジションを取っていたヘッジファンドのような主体が破綻することだろうか。 保有ポジションの投げ売りのようなことが起きると市場への影響が大きいし、ファンドの破綻が連鎖した場合に、大手金融機関に影響が及ぶ可能性がゼロではない。ゴールドマン・サックス出身のムニューシン氏がこうした情報をつかんで懸念しているというのであれば、投資家にとってはさらに気持ちの悪い局面が訪れそうだ。 ただし、大きな歪みがないとしても、現在の大統領がトランプ氏で、財務長官がこのムニューシン氏、さらにFRB議長がいかにも素人臭いパウエル氏という米国経済政策の布陣は、危機対応の点では不安が残る。 トランプ大統領は、パウエルFRB議長が普通のFRB議長のように、物価と雇用を見て小刻みに利上げを続けていることに不満を隠さない。トランプ氏が任命したスタッフがトランプ氏への忠誠よりも通常の職責を果たすことに対してトランプ氏が不満を持つ、というパターンは何度も繰り返されておなじみになっているが、FRB議長の解任は難しそうだ』、トランプにしてみれば、解任による巨大なリスクを取るよりも、株価下落の言い訳としてFRB議長を批判しているだけなのかも知れない。
・『市場の予想通りに、世界経済がやや減速するとすれば、物価に掛かる上昇圧力も収まるので、FRBは追加的な利上げをしなくても顔が立つようになる可能性があるが、パウエル氏にはそのような融通性はないかもしれない。現在予想されているように、来年あと2回利上げがあるとすると、株価の反転には時間がかかるかもしれない。 また、もう一方の経済的懸念である米中貿易摩擦は、トランプ大統領の政治的人気取りの手段であることに加えて、情報産業をめぐる米中の主導権争いの意味が出てきたので、簡単に収束しそうにない。 当面、中国側の方が影響は大きそうだが、中国経済の減速は世界景気を通じて米国企業の業績にも影響してくるので、世界の株式市場にとってリスク要因であり続けるだろう』、中国側は米中貿易摩擦に融和的姿勢を取り始めたようだが、問題が「情報産業をめぐる米中の主導権争い」にまで拡大してきたので、収束は確かに簡単ではなさそうだ。
・『株価水準そのものは高いのか  米国企業の株価はどうか。いわゆる「GAFA」の株価をPERで見ると、グーグルの親会社アルファベットが36.64倍、アップルが12.33倍、フェイスブックが18.7倍、アマゾンが75.3倍とまちまちである(いずれも米国版ヤフー・ファイナンスによる)。 率直に言って、いずれも「安くない」と思うが、「半値になれば十分安い」というくらいの株価なので、株価自体が大きなバブルを形成しているという印象はない。 では、日本の株価はどうか。 東証一部の株式の平均PERは12月25日の株価で計算すると、12倍を割り込んでいる。益利回りで8.5%以上あることになり、仮に来年の経済成長がマイナスに落ち込んでも「高くはない」というレベルにある。加重平均では年率2.5%を超える配当利回りから考えても株価は高くない。 ただし、今年の投資主体別の動きを大雑把に見ると、日銀が6兆円買ったが、外国人投資家が5兆円売り越した。株価動向に対して決定的だったのは、外国人の売りであり、今後の海外のマーケットで株式が売られると、日本株も連れ安する状況は続くだろう。 日銀のETF買いをどう評価するのかは、市場関係者の間でも意見の割れるところだろう。「日銀が買わなければ、もっと株価は安かったはずだ」という意見もあり、否定しきることは難しいが、さりとて日銀が買うから株価は上がるだろうとの印象は乏しい。 日銀の株式買いは、株価の大勢への影響は乏しく、個人投資家の押し目買いの機会を相当程度奪っただけではないかという意見があり、筆者も概ね同意する。現在の状況で日銀がETF買いから手を引くことは考えにくいが、あまりいい政策手段ではなかったとの印象を持っている』、「日銀の株式買いは、株価の大勢への影響は乏しく、個人投資家の押し目買いの機会を相当程度奪っただけ」との見方は、その通りなのかも知れない。
・『当面の投資方針はいかに  当面、(1)米国の金融引き締め政策継続、(2)米中貿易摩擦の緩和観測なし、(3)日本では消費増税予定、(4)欧州経済も不安定で、(5)世界経済の減速は新興国に悪影響、といった悪材料が実現レベルではまだ出尽くしていない感じだが、「予想」のレベルでは概ね織り込まれているように思われる。 特に、日本の株価は少なくとも「高過ぎる」ことはなさそうなので、今後、主に海外要因での下落があるとしても、下落した株価に対しては、「買いのチャンス」ではないかという視点から考えたい。 2018年は、つみたてNISAが始まり、iDeCo(個人型確定拠出年金)の口座数が100万口座を超えた。初心者の投資家がかなり増えたことになるが、こうした制度で投資をしている投資家は、積立投資で徐々に株式投資額を増やして長期で保有する投資家なので、積立投資を継続することでいいだろう。 これらの積立投資口座で、株式への投資比率に引き上げの余地がある投資家は、今後の株価下落を期待して、株式への投資比率を上げることも考慮に値するように思われる。 一方、通常の株式投資家は、当面、持ち株を維持しながら、「もう1割下がったら、買い増しする」という心積もりを持って、追加投資のチャンスをうかがうのがいいのではないか。 今回の株価下落は、米国の金融引き締めに伴う循環的なものであり、規模はそれほど大きくないはずだ。株式投資のコツは株価が下がったところで行うことにあるのだから、「買いチャンスを待つ」のが基本的な戦略になる。 一方、心配なのは不動産投資だ。経験則的には、株価が下落して数ヵ月後くらいに中古マンションの価格が下がる。マンション投資などのセールスを受けている方は、当面買いを見送る方がいいだろう。買いそうになっている方も、キャンセルが可能なら、いったんキャンセルが正解になる可能性があるように思う。 もちろん、株式も不動産も、投資は読者ご自身の判断で行ってほしい』、「特に、日本の株価は少なくとも「高過ぎる」ことはなさそうなので、今後、主に海外要因での下落があるとしても、下落した株価に対しては、「買いのチャンス」ではないか」との山崎氏の「ご宣託」は、個人的には嬉しいが、証券業界の一員の言い分として、割り引いて捉える必要もありそうだ。

第三に、財務省出身で慶應義塾大学大学院准教授の小幡 績氏が12月29日付け東洋経済オンラインに寄稿した「2019年にもう一度大きな暴落がやって来る 今は「静かなバブル崩壊」が続いているだけだ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/257942
・『世界的に株価が暴落している。アメリカの株価は、テクノロジーが中心のナスダック市場が高値から一時20%以上下落した。高値からの20%下落は一般的に弱気相場入りと呼ばれる。 それでも12月26日のアメリカの株式市場は、この大暴落の後を受けて大幅反発し、NYダウ工業株30種平均は史上初めて1日で1000ドル以上の上昇という記録的な上げ幅となったし、ナスダックも5%以上上昇した。27日もダウは下落後最終的には260ドル上昇したが、これで一息ついたのだろうか』、小幡 績氏の「ご宣託」はどんなものなのだろう。
・『暴落と「米中貿易戦争」「トランプ」は無関係  日本時間12月26日朝のメディアは25日の日本株の暴落を受けて、一般紙も含めて大騒ぎだった。彼らの解説は、背景にあるのは米中貿易戦争による世界景気減速懸念やドナルド・トランプ大統領の政治の不透明さによるものというものだった。 しかし、貿易戦争はずっと続いており、ここにきてむしろ解決へ向かうために中国側が譲歩する兆しもあり、暴落とは無関係のはずだ。また、トランプ大統領の政治的不透明さに関しては、メキシコ国境の壁を巡り議会の予算審議が難航し、政府機関の閉鎖などが起きている、ということがテレビの絵になりやすいため、主な理由の一つとして取り上げられているが、これも株価とはまったく関係がないはずだ。 一方、市場関係者のコメントとしては、FRB(米連邦準備制度理事会)議長の利上げ姿勢が問題であるとしている。「市場環境がこれだけ悪いのに、なぜ利上げを続けるのか?」という非難あるいは愚痴として報じられている。そこだけはトランプの主張と市場関係者の主張は一致しているようだ。 しかし、それ以外の点ではトランプ大統領の動きは、市場からは批判を浴びている。利上げは問題だが、FRB議長の解任検討は、市場を根底から壊す可能性のあるニュースだった。次は「スティーブン・ムニューシン財務長官の解任検討」だ。同氏が「株価急落対策委員会」のようなものを招集したという報道で下落が加速したこともあり、ある意味市場に寄った動きかもしれない。だが、いざ解任となれば経済の司令塔が不在になり、何もかも大混乱となる可能性もあり、結局市場は一瞬パニックになった。すでにジェームズ・マティス国防長官が政権中枢から去ることにより、「アメリカの外交、軍事戦略はついに破綻するのでは?」という恐怖が広がっている中で、「経済もか?」という恐怖感があった。 総合すると、一般メディアも市場関係者も、暴落の原因はトランプ大統領とFRBにあると非難しているが、これは全くの間違いだ。その証左は、12月26日にアメリカの株価が暴騰したことだ。26日にトランプ大統領の何が変わったか?FRBの姿勢に変化はあったのか?そんなニュースは一つもない。貿易戦争はすぐに大きく動くはずもない。 何もないのに株価は急激に回復した。暴騰した。これは何を意味するのか?この乱高下は、マーケットセンチメントが非常に怯えた状態になっているということを示しているということだ。 投資家たちが怯えていれば短期の仕掛けにもなすすべなく、恐怖から投売りをするか、怯えて凍り付いているしかない。だから、連日の下げになすすべもなく暴落が続いた。押し目買いの動きなどほとんどなく、反発の気配もなかった。 その一方で、反発の気配も全くなく、誰も買わなかったのに急激に反発した。それは一部のヘッジファンドしか買い上げた主体がいなかったのだ。マーケットが薄いから少しの買いで一気に上げることができる。下げたときは売りを膨らませ、段階的に買い戻しては売りを繰り返した。だから、朝方は少し反発して始まって、後場から大きく下げるということが繰り返されたのだ』、いつもながら小幡 績氏の解説は明快で、説得力がある。ヘッジファンドが買い上げの主体というのも、ありそうな話だ。
・『しかし、26日の回復は一気だった。象徴的なのは、アメリカ市場ではなく、日本市場だ。日経平均株価は朝方大幅反発で始まったのが、前場の後半から上げ幅を縮小していき、一時的にはマイナスにもなった。だがそこから引け際だけで先物は約400円も急回復したのだ。チャートの様相は異常で、少しの取引で一気に戻した。売りのときは枚数を膨らまし、鞘を少しずつ抜きながら利益を膨らませ、買い戻しのときは自作自演で損は出るが取引量は少ないので、利益の一部しか相殺されない。この異常な短時間の反発こそが、仕掛けであることを明確に物語っていると同時に、相場心理が弱気に傾いていることを表している』、行動ファイナンスの専門家らしい明快な分析だ。
・『もう一度必ず「仕掛け」が来て「成立する」はずだ  この一連の動きに対し、強気派たちは(要はマーケット関係者)、全員といっていいほど、「下げたのがそもそもの間違いで、取引がクリスマスで薄くなっているところへ、今年儲かっていないヘッジファンドが小遣い稼ぎのために暴れただけだ」、と偉そうに解説するだろう。 しかし、それは間違っている。ヘッジファンドの仕掛けが成功するということは、しかも暴落の仕掛けが成功するということは、あるいは暴落で仕掛けようとするということは、相場の心理が非常に弱っており、びくついているからなのだ。相場の心理が健全なら、そんな仕掛けは跳ね返されてしまうし、わざわざ損するリスクがあるような仕掛けはしない。 逆に、暴騰することもおかしい。普通なら心理が弱っているから戻してくれば安心してしまい、ナイーブな投資家なら買いをいれたりできない。恐怖は残ったまま、いや、むしろ一度暴落を目の当たりにし、さらに弱っているはずだ。結局大きく戻したのは、もう一度仕掛けるときに下落幅を確保しておくためのもので、暴落をむしろ仕掛けやすいのだ。したがって、もう一度同じ仕掛けが来る。成立する。 私は、今後、全体としては下落方向に向かいつつ、株価の乱高下が継続すると予想する。相場心理は何も改善していない。相場の恐怖はまだまだ続くのだ。これは静かなバブル崩壊局面の中の乱高下なのだ』、先の山崎氏の見方よりも、はるかに信頼性が高そうだ。2019年の株式相場動向には、大いに気をつける必要がありそうだ。
タグ:もう一度必ず「仕掛け」が来て「成立する」はずだ 日本の投資家はここ数週間、海外資産を売るのではなく買っている 「2019年にもう一度大きな暴落がやって来る 今は「静かなバブル崩壊」が続いているだけだ」 (その8)(円はもはや安全資産ではないのか 今年は安値圏で推移 その背景は、“下落相場入り”で迎える2019年 個人投資家は「買いのチャンス」か、2019年にもう一度大きな暴落がやって来る 今は「静かなバブル崩壊」が続いているだけだ) この乱高下は、マーケットセンチメントが非常に怯えた状態になっているということを示しているということだ FRB議長の解任は難しそうだ 在の大統領がトランプ氏で、財務長官がこのムニューシン氏、さらにFRB議長がいかにも素人臭いパウエル氏という米国経済政策の布陣は、危機対応の点では不安が残る 次は「スティーブン・ムニューシン財務長官の解任検討」 FRB議長の解任検討は、市場を根底から壊す可能性のあるニュース 暴落と「米中貿易戦争」「トランプ」は無関係 円に安全資産の性質を与えている要素が相殺される可能性 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル ダイヤモンド・オンライン 「円はもはや安全資産ではないのか 今年は安値圏で推移、その背景は」 運用会社はユーロなど他の通貨に手を伸ばしている 結局大きく戻したのは、もう一度仕掛けるときに下落幅を確保しておくためのもので、暴落をむしろ仕掛けやすいのだ 「“下落相場入り”で迎える2019年、個人投資家は「買いのチャンス」か」 混乱期に資産の逃避先になることが多い日本円は相変わらず弱い この異常な短時間の反発こそが、仕掛けであることを明確に物語っていると同時に、相場心理が弱気に傾いていることを表している 日本の株価 26日の回復は一気だった。象徴的なのは、アメリカ市場ではなく、日本市場だ 株価水準そのものは高いのか 一部のヘッジファンドしか買い上げた主体がいなかった 小幡 績 今回の株価下落は、米国の金融引き締めに伴う循環的なものであり、規模はそれほど大きくないはずだ 日本の株価は少なくとも「高過ぎる」ことはなさそうなので、今後、主に海外要因での下落があるとしても、下落した株価に対しては、「買いのチャンス」ではないかという視点から考えたい 株価の大勢への影響は乏しく、個人投資家の押し目買いの機会を相当程度奪っただけではないかという意見 日銀の株式買い 仮に来年の経済成長がマイナスに落ち込んでも「高くはない」というレベルにある これは静かなバブル崩壊局面の中の乱高下なのだ 山崎 元 「バブル崩壊」ではなさそうだが したがって、もう一度同じ仕掛けが来る。成立する 東洋経済オンライン 下落の原因の中で最も本質的な要因は、金融引き締めの継続に伴う米国の長短の金利上昇だ 株価の本格的な下落は予想よりも少し早く現れた 世界同時株安 株式・為替相場
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世界同時株安(その6)世界的マネー萎縮2(世界株安の波紋 トランプ・バブルの矛盾が露呈 新任のパウエルFRB議長を直撃、株安の裏側で渦巻く「債券バブル崩壊」の恐怖 もし起きたら日本は大きな影響を受ける) [世界経済]

世界同時株安については、昨年2月16日に取上げたままであったが、今日は、(その6)世界的マネー萎縮2(世界株安の波紋、トランプ・バブルの矛盾が露呈 新任のパウエルFRB議長を直撃、株安の裏側で渦巻く「債券バブル崩壊」の恐怖 もし起きたら日本は大きな影響を受ける)である。

先ずは、元日経新聞論説主幹の岡部 直明氏が2月8日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「世界株安の波紋、トランプ・バブルの矛盾が露呈 新任のパウエルFRB議長を直撃」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・米国の株式市場は2月5日、史上最大の下落を記録し、世界中を株安の連鎖に巻き込んだ。米国株の暴落は、雇用の拡大で賃金が予想以上に上がり、長期金利上昇を招いたのが直接の引き金だが、その背景には、トランプ大統領が打ち出した大規模減税、インフラ投資、さらには新たな核軍拡によって米国の財政赤字が拡大する危険が潜んでいることがある。
・いわば景気過熱と財政赤字拡大による「トランプ・バブル」の矛盾が露呈したとみておかなければならない。それは好調を維持してきた世界経済を混迷させ、リーマンショック後の超金融緩和からの出口戦略を進める米連邦準備理事会(FRB)をはじめ各国中央銀行の舵取りをむずかしくしかねない。
▽パウエルFRB新体制に試練
・トランプ大統領らしいのは、世界経済フォーラムのダボス会議や一般教書演説などで米株価の「記録更新」を繰り返し誇ってきたのに、「史上最大の下げ」には口をつぐんでいることだ。しかし、この米株価暴落でだれよりも衝撃を受けたのは、当のトランプ大統領より5日に就任したばかりの新任のパウエルFRB議長だろう。
・米国株の暴落は、FRBにパウエル新議長が登場するのを待っていたかのように起きた。1987年10月のブラックマンデー(米国株の暴落)はグリーンスパンFRB新議長に試練を与えたが、それでも議長就任から2カ月を経ていた。このコラムでパウエル氏とグリーンスパン氏の共通項を分析した(2017年11月7日付記事「FRB次期議長にグリーンスパンの教訓」参照)が、株価暴落が新議長就任を「直撃」することになるとは予想しなかった。
・グリーンスパン氏の場合は、このブラックマンデーを受けてウォール街の友人たちに電話をかけまくり、その実態を把握する。そして流動性供給によって危機を最小限に食い止めた。その実績は高く評価され「マエストロ」(巨匠)への道を歩むことになる。
・しかし、パウエル新議長の場合、対応はそう簡単ではない。議長宣誓式後のビデオメッセージで「用心深くあり続け、湧き起こるリスクに対処する用意がある」と述べているが、対応を誤れば、危機を増幅する恐れがある。
・すでに世界の先頭を切って出口戦略に乗り出しているFRBは、2018年中に3度の利上げを予定しているが、景気好転による物価上昇にはずみがつくようなら、利上げのテンポを速めなければならない。しかし、景気好転の証とはいえ長期金利上昇で市場が混乱するなら、利上げのテンポを緩めることも考えなければならなくなるだろう。エコノミスト出身ではないパウエル議長がこの微妙な舵取りを市場の反応も読みながら実行できるかどうかである。
▽大規模減税・インフラ投資で財政赤字拡大
・米国経済が好調であるおかげで雇用が拡大し賃金上昇が実現し、それが低位安定を続けてきた長期金利を上昇させたとすれば、「良い金利上昇」である。「健全な経済」の循環だといえる。むしろ景気が良くても長期金利がいつまでたっても上がらず、それが株高を招いてきたとすれば、その方が「いびつな経済」といえる。
・しかし、長期金利上昇が経済の好循環とは別の要因によってもたらされているとすれば、話は別である。トランプ政権が打ち出す経済戦略が米国に巨額の財政赤字を積み残すことが懸念される。巨額の財政赤字が長期金利上昇の背景にあるとすれば、「悪い金利上昇」というしかない。
・法人減税など大規模減税を柱とするトランプ税制改革によって、連邦政府債務は10年間に1兆ドル積み上がる見通しだ。さらにトランプ大統領は1.5兆ドルという戦後最大のインフラ投資計画を打ち出した。このままでは財政赤字の国内総生産(GDP)比は5%に近づき、連邦債務残高のGDP比は100%を超える恐れが出てきている。これはユーロ圏の問題国並みの危機レベルである。
▽核軍拡で財政赤字拡大に拍車
・さらに、問題なのはトランプ政権が核軍拡を軸に国防費増大を鮮明にしていることだ。オバマ前大統領が打ち出した「核兵器なき世界」への核軍縮路線を逆転させる危険な選択である。核戦略の指針となる「核体制の見直し」(NPR)は、核兵器の使用条件の緩和など核の役割拡大を打ち出した。爆発力を抑制した小型の核弾頭を開発するなど「使える核兵器」をめざしている。核抑止力を高めるのが狙いだが、トランプ政権の路線転換にロシアや中国は強く反発しており、核軍拡競争が再燃する危険がある。
・このトランプ政権の核軍拡は世界の安全保障環境を危険にさらすだけではなく、ただでさえ危機レベルに近づく米国の財政赤字をさらに拡大させる恐れがある。とくに冷戦期のような核軍拡競争に発展すれば、財政赤字に歯止めがきかなくなる。それは、米国の長期金利上昇を招き、世界の金融、為替市場を混乱させる要因になる。米の核戦略見直しは米株価暴落と連動したとみるべきだろう。
▽一時的調整か構造的矛盾か
・米株価暴落は一時的調整や構造的調整か市場の見方は分かれるが、米株暴落は、トランプ政策の矛盾が露呈したとみるべきだろう。法人税率引き下げなど大規模減税やインフラ投資による需要刺激は企業収益を押し上げる一方で、景気を過熱させる危険をはらむ。劣勢が予想される11月の中間選挙を前にした大盤振る舞いには不安がつきまとう。それは「適温経済」を超えてインフレ懸念につながる。
・合わせて、大規模減税、インフラ投資、核軍拡というトランプ版「3本の矢」は、財政赤字を拡大させる。 すべては長期金利の上昇要因につながってくる。それはトランプ政策が抱える構造問題といえる。市場は乱高下を繰り返しながらも、トランプ政策の構造的矛盾をつくことになるだろう。
▽中央銀行が試される出口戦略
・米株価の暴落は、世界の市場を巻き込んだ。政策協調によって危機の拡散を防ぐのは当然だが、ここで重要なのは、FRBをはじめとする中央銀行が「政治との距離」を保ちながら出口戦略を実行できるかどうかである。 トランプ大統領はかねて「低金利が好きだ」と公言している。パウエルFRB議長はそのトランプ大統領に任命された「トランプ印」と受け止められている。そのために、もし本来必要な利上げを見送ることになれば、リスクがさらに高まることになる。パウエル議長が大統領とのあつれきを恐れず政策を実行できるかどうかで市場の信認が決まる。それこそが市場の安定につながる。
・FRBに続いて、出口戦略に動き出した欧州中央銀行(ECB)にも課題は多い。今年半ばに資産購入を終了できるか、利上げは来年半ばまで先送りできるかなどである。来年10月に任期満了を迎えるドラギ総裁は後任にタカ派のワイトマン独連銀総裁が浮上する中で、ユーロ危機を打開したときのような「ドラギ・マジック」を発揮できるかどうかである。ECBの場合、FRBとは逆にドイツを中心とする利上げ圧力にどう対応するかが問われるだろう。
▽日本が抱える複合リスク
・深刻なのは日本である。米国株の暴落を最もまともに受けたのは東京市場だった。東京市場はまるでニューヨーク市場の写真相場だった。そこには、日本が抱える財政と金融の複合リスクがある。 日本の財政赤字は先進国最悪であり、長期債務残高のGDP比は2.3倍に膨らんでいる。日銀の国債購入を通じて、膨らむ財政赤字がファイナンスされている状況だ。にもかかわらず、安倍晋三政権に危機感は乏しく、大甘である基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標さえ先送りされている。このままで長期金利が上昇に転じれば、財政赤字は雪だるま式に膨らむ。
・黒田東彦総裁は近く任期満了を迎えるが、続投するかどうかは別にして、日銀総裁はこの財政危機について政治に直言できる人物でなければならならない。合わせて出口戦略について議論し、市場に織り込ませることも肝心だろう。 米国株の暴落は「対岸の火事」ではない。火の粉を払えば済む問題ではない。日本自身が複合リスクを直視すべきことを示唆している。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/020700053/?P=1

次に、経済ジャーナリストの岩崎 博充氏が2月16日付け東洋経済オンラインに寄稿した「株安の裏側で渦巻く「債券バブル崩壊」の恐怖 もし起きたら日本は大きな影響を受ける」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・史上最高値を続けていたニューヨークダウ株平均が、2月に入って歴史的な大暴落を記録した。2月5日には、1日の下落幅では史上最大となる1175ドル(終値ベース、-4.60%)の大暴落を記録。その3日後の8日にも1033ドル(同、-4.15%)と暴落した。
・連日、史上最高値を更新し続けてきたものの金利が上昇しない「ゴルディロックス・マーケット(適温経済相場)」が、ここにきて大きく崩れ始めた。きっかけは、米国の長期金利急騰だと言われているが、むしろリーマン・ショック以来続いてきた中央銀行による金融緩和が招いた過剰流動性相場の崩壊シーンがいよいよ始まった、とみるべきなのかもしれない。 今回の世界同時株安の背景にあるもの、そしてこれからどうなるのかを検証してみたい。
▽金融引き締め観測+北朝鮮リスクか?
・リーマン・ショック時の最大下落幅が777ドル(2008年9月29日、-6.98%)だったことを考えると今回のニューヨークダウの下落幅はいずれも1000ドルを超えている。下落率では、まだリーマン級とは言えないが、株価が大きく上昇しているため、どうしても変動幅(ボラティリティ)は大きくなってしまう。 
・今回の株価急落の原因をどう見るか。少なくとも株価だけを見るとトランプ大統領誕生以来、続いてきたトランプラリーが名実ともに終了したとみていいのではないだろうか。1月30日に行われたトランプ大統領の一般教書演説では、大型減税の実現とインフラ整備の拡大をアピールした。しかし、金融マーケットはこれを今後の「金利上昇」のシナリオととらえて、長期金利が上昇し株価が大きく下落した。
・数値が高くなるほど投資家が相場の先行きに不安を持つと言われる「VIX(Volatility Index)指数」もハネ上がった。恐怖指数ともいわれるこの指数がハネ上がったことで、相場全体に悲観的な見方が多くなってきた。
・金利上昇が株価暴落につながるケースはよくあることで、1987年の「ブラックマンデー」や2000年の「ITバブル崩壊」も金利上昇が株価暴落の直接原因となった。ブラックマンデーやITバブル崩壊も、共に直近の「金融引き締め観測」が原因で株価が急落している。
・特に、ブラックマンデーは、米国の中央銀行に当たるFRB(米連邦準備制度理事会)議長にグリーンスパン氏が就任して2カ月の頃で、今回のパウエル新議長誕生直後のタイミングと似ている。さらに当時は、イランと米国の軍事衝突が懸念されていた時期でもある。
・不安になるのは、「100年に1度」と言われたリーマン・ショック級の株価暴落が再び襲うかもしれない、という恐怖だ。今回の株価暴落を、単なる一時的な調整局面とみていいのか。それとももっと構造的なものなのか。その部分をきちんと見極める必要があるだろう。
・ただでさえ、ITやAI(人工知能)、ロボティクス、フィンテック、仮想通貨といった時代の大きな変革期に差し掛かっている現在、そうした時代の変革を株式市場は取り込みながら、大きく株価を上げてきた。そんな時代の変化に対して、株価が大きく調整すれば変革のスピードも減速することになる。
・問題はなぜ金利が上昇してきたのかだ。ただでさえ景気がいいところに、トランプ政権が打ち出してきた経済政策は、大型減税やインフラ投資、軍事力増強といったインフレを招くような景気政策が並んだ。景気過熱=金利上昇圧力の高まりに投資家が警戒して利益確定を早めた、とみるのがいいだろう。しかし、そんな単純でわかりやすい説明だけで本当にいいのか……。そこに疑問が残る。
▽本質は「債券バブル崩壊」の前兆現象か?
・今回の株価暴落の原因をもう一度整理してみよう。大きく挙げて3つある。
 1. 長期金利の急騰……1月の米雇用統計の結果でもわかるように米国経済は好景気そのものだ。にもかかわらずトランプ政権が打ち出す大型減税やインフラ投資は、本来なら景気後退局面に打ち出す景気刺激策と言っていい。当然、インフレ懸念が出て金利が上昇。FRB理事の中には、2018年中にさらに3~4回の利上げが必要という発言も出てきた。  金利上昇は債券価格の下落を意味するものだが、株式市場にとってはマイナス材料で、その目安は3%と言われる。長期金利が3%を超えると、資金が株式市場からより安全性の高い債券市場に移動を開始するために、株式は売られやすくなる。現在、10年物米国国債の金利は2.857%(2月9日現在)。株式市場が金利上昇によって売られやすくなる水準まであと一歩というところだ。
 2. 北朝鮮による地政学リスクの高まり……トランプ大統領が読めない政治家であり、しかも気まぐれであることから「米朝開戦」のリスクが依然として続いている。平昌五輪で、韓国と北朝鮮が融和ムードを演出しているものの、北朝鮮が米国に届く核ミサイル開発を続けていることは事実だ。「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」という投資格言があるが、米国本土にも届く核ミサイルや潜水艦から発射されるミサイルの開発によって、北朝鮮リスクは米国市場にとって「近くの戦争」になってしまった。
 3. 過剰流動性を招いた「緩和マネー」バブル……リーマン・ショック以降、各国の中央銀行は競ってゼロ金利、マイナス金利、量的緩和策を実行してきた。ここにきて米国が金利を引き上げ始め、欧州のECB(欧州中央銀行)やBOE(イングランド銀行)なども、量的緩和の縮小や金利引き上げの金融政策に転換を始めている。 「現在の金融緩和策を継続する」と言いながらも、実質的にはテーパリング(量的緩和の縮小)をこっそりやり始めている日本のような国もあるが、いずれにしても世界中にバラまかれた緩和マネーが縮小の方向に向かっている、と言っていい。
・緩和マネーの過剰流動性が原因で、株式市場をはじめとして債券や原油、不動産、金、仮想通貨といった資産に資金がバラまかれて、大きなバブルをつくっていたと考えることもできる。リスクマネーと呼ばれる潤沢なマネーが、世界中の金融市場に流れ込んだわけだ。
・そしていま、この緩和マネーバブルが弾けようとしている。株式市場はそうした大きな流れを、いち早く察知して株価下落に陥った、という見方もできる。 これら緩和マネーの縮小によっていったい何が起こるのか。
・あらゆる金融市場が、ゴルディロックス経済の下で拡大したバブルが、ここにきて弾けようとしているわけだが、中でもとりわけ心配されているのが「債券バブルの崩壊」だ。緩和10年で膨れに膨れ上がった債券市場はここにきて大きく動き始めている。 グリーンスパン元FRB議長も、「本当のバブルは株ではなく債券」とコメントしているように、債券バブルがここ10年間の過剰流動性相場の最たる懸念材料と言っていいのかもしれない。いわゆる「緩和マネーバブル」は、株式よりもむしろ債券市場にある、というわけだ。
▽500年の歴史を持つ債券バブルの崩壊が招く悲劇か?
・ブルームバーグTVは、2017年11月9日の番組で「債券には500年以上の歴史:市場規模は過去最大に」として、米国の債券市場がいまや40兆ドルに達し、株式市場の時価総額30兆ドルを10兆ドルも上回っており、史上最高になっていると指摘している。 ちなみに、リーマン・ショック翌年、2009年末の米国の債券残高総額は約31兆ドル(米国Asset Allocation Advisor社調べ、2009年末調査、以下同)、株式市場は時価総額で14兆ドルで、両市場を合わせた世界の合計は126兆ドルだった。
・統一されたデータがないため、はっきりした数字はわからないが、2009年末の世界の債券残高総額は82兆ドル、2012年末には100兆ドルを超えて、2017年には170兆ドル前後に達しているという報道もある。この8年で2倍に拡大したことになる。
・債券バブルの崩壊は、簡単に言えば金利の急騰を招く。リーマン・ショックからの立ち直りを早めるあまり、この10年、世界は米国FRBの「非伝統的金融緩和」に始まり、日本銀行の「異次元緩和」など、やや強引と思えるような金融緩和を実施してきた。その緩和マネーの行き着く先で最も多かったのが債券と考えていい。
・14世紀のイタリア・フィレンツェが発祥の地と言われる債券の歴史の中で、初めてマイナス金利や非伝統的、異次元の量的緩和が実施され、世界中で金利のほとんどつかない債券が発行され、流通したわけだ。
・一部では「現在の経済は株ではなく債券が動かしている」とも評されている。この歴史ある債券市場を、景気後退を避けるために無理やりバブルをつくったのが、この10年の歴史だったと考えていいだろう。 そしていま、この債券バブルが弾けようとしている可能性がある。
・問題は、この債券市場のバブルが崩壊したとき、どんな影響が出てくるのかだ。とりあえず、金利上昇によって、株式市場が暴落の危機にさらされることがわかったが、この程度の影響で済むのか。そのあたりの見極めを誤ると大変なことになるのかもしれない。
▽米国よりもっと怖い日本の債券バブル崩壊?
・債券バブル崩壊によって何が起こるのか。最もわかりやすいのは、金利が高騰(債券価格は下落)して株式市場が下落する、というメカニズム。そのほかにも為替市場で金利が上昇する通貨の変動幅が大きくなるなど、さまざまな弊害がもたらされてくる。
・たとえば、1994年のメキシコ危機は米国の利上げによって資金が米国に流失し、通貨のペソが暴落。通貨の暴落をきっかけにメキシコが急激なインフレや失業率の悪化に陥っている。 同様に、1997年に起きたアジア通貨危機も、米国の金利上昇と直接の関係はないが、米ドルとリンクしていた通貨が売り浴びせられて下落。タイ、インドネシア、マレーシア、韓国といったアジア諸国の通貨が売られて経済危機が起きた。
・要するに、米国の株価が下落したのは「債券バブル崩壊」の前兆である可能性があるということだ。そういう意味では、今後起こることに注視する必要がある。もともとリーマン・ショックは米国が発生源であり、その対応も早かった。したがって、相場の歪みが現れるのも米国が真っ先になる可能性が高い。
・そのシナリオとは何か。残念ながら、未来のことは誰にもわからないが、これまでの歴史を繰り返すとすれば、いくつかのシナリオは想定できる。たとえば――  ➀米国の金利の引き上げが続く  ➁ドル高傾向が強まる  ③株価は調整局面を繰り返す  ④新興国で通貨下落による経済危機が頻発する  ⑤不動産価格、資源価格、仮想通貨などの価格が低迷する  ⑥地政学リスクがいま以上に高まる 
・債券バブルの崩壊によって日本に何がもたらされるか。日本の場合、世界的な規模で債券バブルが崩壊した場合、最も大きな影響を受けることになりそうだ。たとえば、株式市場と債券市場の比率を見ると、先進国の平均では株式、民間債券、政府債券の比率がほぼ同程度だが、日本の場合は全体の6割以上が政府債券によって占められている。
・それだけ、日本国債の発行比率が高いことを意味しているわけだが、ある意味で日本は歪んだ証券市場と言っていい。言い換えれば、“政府債券バブル”がずっと続いてきたことを示している。 世界の債券バブルが崩壊すれば、日本の政府債券バブルも崩れる可能性が高まる。実際、このところの株価急落で、本来であればもっと円が買われて円高になるのが普通だが、為替市場があまり反応していない。さすがにここにきて1ドル=106円台にまで円高が進んできたが、米国の債券市場で起きていることの影響が、日本でも起きつつあるのかもしれない。 債券バブルの崩壊という事態が訪れないことを祈るばかりだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/208813

第一の記事で、 『パウエルFRB新体制に試練』、というのは、 『トランプ大統領はかねて「低金利が好きだ」と公言している』、だけに厳しい試練だ。  『米株価暴落は一時的調整や構造的調整か市場の見方は分かれるが、米株暴落は、トランプ政策の矛盾が露呈したとみるべきだろう。法人税率引き下げなど大規模減税やインフラ投資による需要刺激は企業収益を押し上げる一方で、景気を過熱させる危険をはらむ。劣勢が予想される11月の中間選挙を前にした大盤振る舞いには不安がつきまとう。それは「適温経済」を超えてインフレ懸念につながる。 合わせて、大規模減税、インフラ投資、核軍拡というトランプ版「3本の矢」は、財政赤字を拡大させる。 すべては長期金利の上昇要因につながってくる。それはトランプ政策が抱える構造問題といえる。市場は乱高下を繰り返しながらも、トランプ政策の構造的矛盾をつくことになるだろう』、ということは構造的調整とみていることになる。 『日本が抱える財政と金融の複合リスク』、は本当に深刻だ。黒田総裁の続投が決まったようだが、彼にきちんと「落とし前」をつけてもらう必要がある。
第二の記事で、 『緩和マネーバブルが弾けようとしている。株式市場はそうした大きな流れを、いち早く察知して株価下落に陥った、という見方もできる・・・・あらゆる金融市場が、ゴルディロックス経済の下で拡大したバブルが、ここにきて弾けようとしているわけだが、中でもとりわけ心配されているのが「債券バブルの崩壊」だ』、 『日本の場合、世界的な規模で債券バブルが崩壊した場合、最も大きな影響を受けることになりそうだ』、と日本の影響は深刻だが、異次元緩和により日銀が国債市場のマーケットメカニズムを利かなくしているだけに、市場の膨大な売り圧力に、日銀が買いオペでどこまで対抗できるかが見物だ。
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韓国(財閥問題)(その2)(「ワル」に狙われたサムスン電子、ギャラクシー発火問題、ロッテのずさんな内情) [世界経済]

韓国(財閥問題)については、10月2日に取上げたが、今日は、(その2)(「ワル」に狙われたサムスン電子、ギャラクシー発火問題、ロッテのずさんな内情) である。

先ずは、闇株新聞が10月13日付けで掲載した「正真正銘の「ワル」に狙われたサムスン電子」を紹介しよう。
・世界にはヘッジファンドとかLBOファンドとか、あるいはアクティビストとか、いわゆる「著名ファンド」が数多くあると思われていますが、その実態は玉石混交というより本物はごく一部です。 そもそもこれらのファンドをカテゴリーに分類することもあまり意味がありませんが、ヘッジファンドの主催者では、世界最大のマクロ型ヘッジファンド・ブリッジウォーターのレイモンド・ダリオ、2年連続で個人所得No.1となったシタデルのケネス・グリフィン、ディストレスの雄・アパルーサのデビッド・テッパー、それにクォンツの雄・ルネッサンス・テクノロジーのジェイムス・シモンズあたりが数少ない「本物」です。 LBOファンドでは、KKR、カーライル、ブラックストーンが御三家で(あとはかなり実力が落ちます)、またアクティビストといっても所詮は会社資産をかすめ取ろうとしているだけで「本物」はいません。
・ところが昨年からサムスングループに狙いを定めているエリオット・マネジメントを主宰するポール・シンガーは、あまり活動を自ら喧噪しないため日本での知名度は落ちますが、間違いなく「本物」で正真正銘の「ワル」です。 「ワル」と言っても反社会勢力というような意味ではなく、ちょっと常人では思いつかないところに狙いを定め、絶対不可能に見える要求を繰り出し、それを何年かけてでも成功させるという意味で、どちらかといえば「誉め言葉」です。
・そのポール・シンガーが、10月5日にエリオット傘下の2つのファンド名でサムスン取締役会に公開書簡を送付し、合理化と2社への会社分割(持ち株会社と事業会社への分割)を要請するとともに、30兆ウォン(2兆8000億円)の特別配当支払いや事業会社のナスダック市場への二重上場、さらに取締役会に3名の社外取締役を加えることによるガバナンス改善などを求めました。
・エリオットは昨年(2015年)7月にも、サムスングループの実質持ち株会社である第一毛織とサムスン物産の合併を承認する臨時株主総会を差し止めたのですが、ソウル中央地裁民事部は「当然のように」サムスン寄りの判断で、エリオットの差し止めを却下していました。
・今回の要求も、サムスンに限らず複雑怪奇な韓国財閥の資本関係を解消させて経営の透明性と時価総額の増大を目論んだもので、いよいよ中核企業のサムスン電子に狙いを定めたことになります。 また今回の公開書簡は、そのサムスン電子の臨時株主総会が10月27日に開催される直前であり、たまたまかもしれませんが10月11日には火を噴いたギャラクシーノート7の生産と販売の中止を発表したタイミングも捉えたものとなりました。
・サムスン電子の臨時株主総会は、李健熙会長の長男である李在鎔(イ・ジェヨン)副会長を登記理事(取締役のこと)に選任するためのものです。またギャラクシーノート7の生産・販売中止を受けてサムスン電子の株価は153万ウォン(10月12日終値)と、10月7日の170万ウォンから1割下落しており、時価総額も2120億ドル(22兆円)と日本最大のトヨタ自動車(19.9兆円)が迫っています。
・さてそんなエリオットですが、グループ全体でサムスン電子株を0.62%保有しているだけです。いくらサムスン電子の外国人持ち株比率が50%をこえており、他の外国人株主の賛同をアテにしているとしても「勝ち目はないだろう?」と思われますが、そこは正真正銘の「ワル」であるポール・シンガーの深謀遠慮は想像がつきません。
・何しろポール・シンガーといえば、2001年にデフォルトしたアルゼンチンの93%の国債保有者が75%の債権カットを呑んだにもかかわらず、わずか額面の数%で買ったアルゼンチン国債の満額元本と利息合計・13億3000万ドルの支払いを求め、何と債権カットを呑んだ投資家への弁済の差し止めを求めてNY地裁に提訴していました。 「そんな無茶な」と思っていたら、何と2012年11月にNY地裁が満額支払いと他の投資家への支払いを差し止める判決を下し、さらに何と2014年6月に米国最高裁がアルゼンチン政府の不服申し立てを却下し、ポール・シンガーは巨額の(全体で24億ドルだったようです)利益を得てしまいました。
・2014年7月29日付け「アルゼンチンがなぜデフォルトするのか?」に書いてありますが、こんな正真正銘の「ワル」であるポール・シンガーがサムスン電子(あるいはサムスングループ全体)に狙いを定めたことになります。 今後の展開に注目すべきと考えます。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1847.html

次に、11月4日付けダイヤモンド・オンライン「韓国経済を震撼させる「Galaxy Note7」発火事故 事態はもはや“IT立国”の信用問題に」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・サムスン電子が満を持して発売した「Galaxy Note7」に、原因不明の発火事故が相次いだ。これにより同社の業績が大きく落ち込んだことはもちろん、「Galaxy」は、IT関連製品・サービスの輸出を国の一大産業と位置付ける韓国の代表ブランドだけに、韓国経済全体への大打撃が懸念されている。
▽いまだ正確な原因不明のGalaxy Note7発火事故
・まさか、自分が人生初の予約購入までして手に入れたスマートフォンが、ネット上で「時限爆弾」と揶揄されることになるとは。 今年8月、歴代「Galaxy」シリーズので中でも、機能性やデザイン性のどれを取っても有数の作になるだろうといわれ、鳴り物入りで発売されたサムスン電子の「Galaxy Note7」が突然発火する事故が相次ぎ、2度のリコールが行われるという事態に至った。
・9月2日には出荷が停止されたが、この時点ですでに250万台が市場に出回っており、同社では、これらを全てリコール対象とすると共に、発火の原因はバッテリーにあるとして、別メーカーのバッテリーを実装した同端末との交換を行った。 しかしその後、バッテリーを入れ替えた端末でも発火事故が続いたため、同社は10月に入り、韓国とアメリカで製造販売を中止。日本やヨーロッパなどでの発売も見送りとなった。
・本稿を執筆中の10月26日時点でも、発火原因は一向に不明のままだ。この事態に、政府機関である韓国産業技術試験院、国家技術標準院も調査に乗り出した。これらの調査過程では、バッテリーだけでなく、アプリケーションプロセッサや端末設計自体など、あらゆる不具合の可能性が取りざたされている。
・実際、発火事故が起きる前からサムスン電子のホームページには、「Galaxy Note7」に関しての色々な不具合が書き込まれていた。代表的なものが「充電中の過熱」と「急速な放電」である。 「ワイヤレス充電すると充電しても、かえってバッテリー残量が減る」「100%充電しても数分後には30%まで落ちる」「ゲームも動画も利用していないのにバッテリーの減りが激しすぎる」「充電を始めると怖いほどバッテリーのところが熱くなる」――などなど。
・私の場合、リコールのために3度もサムスン電子のサービスセンターを訪問し、新しい端末が届くまでの1週間ほどは端末が使えなかった。
▽リコールや損害賠償請求 サムスン電子に大打撃
・そこまでして交換した新しい「Galaxy Note7」だったが、結局、バッテリーが過熱することもなく充電にも問題はなかった。しかし、巷間いわれているように、万一発火すると自分がケガすることはもとより周りの人に迷惑を掛けてしまうことになる。そうなっては一大事だ。 そんなこんなで、しぶしぶながら私は「Galaxy Note7」を捨て、「Galaxy S7」に機種変更した。ところが、韓国国内で販売された約55万台の「Galaxy Note7」のうち、回収されたのはわずか10%程度で、残りの約50万台近くが、いまだに国内のどこかで使われているというではないか。ちなみにアメリカでは、まだ100万台ほどがそのまま使われているそうだ。
・その一方で、訴訟を起こすユーザーもいる。10月24日、韓国で「Galaxy Note7」の購入者527人が、サムスン電子を相手に損害賠償を求める訴訟を起こした。購入者らは、端末交換や払い戻しのためにセンターを訪問した際の交通費や製品使用に伴う不安などの損害賠償金として、1人当たり50万ウォン(≒4万6000円)を要求している。
・10月18日には、アメリカニュージャージー州でも、「Galaxy Note7」を購入したユーザー3人がサムスン電子米国法人を相手に損害賠償訴訟を起こした。 発火の恐れがあるとして何週間も電源を切ったまま端末を使えなかったにも関わらず、端末の月賦と通信料を払い続けなければならなかったこと、端末の交換がスムーズに行われずユーザーを危険にさらしたことを賠償すべきと主張した。 このアメリカでの訴訟は、原告が勝訴すれば他の購入者も賠償金を得られる集団訴訟であるため、サムスンが負ければ莫大な賠償金が必要となるだろう。
・「Galaxy Note7」の製造販売中止で、サムスン電子の経営実績は急速な落ち込みを見せる。同社が公式に発表した「Galaxy Note7」関連の損失だけで7兆ウォン(≒6426億円)を超えるからだ。 同社が10月12日発表した、2016年7~9月の暫定業績によると、売上は前年同期比9.06%減の47兆ウォン(≒4兆3158億円)、営業利益は、前年同期比29.63%減の5兆2000億ウォン(≒4775億円)である。
▽事態はもはや国レベル 経済減速に追い打ちか
・「Galaxy Note7」の生産台数は推定で430万台(このうち韓国とアメリカでの販売台数は約250万台)なので、これを全て廃棄すれば相当な損失になる。 加えて、協力会社が生産途中だった「Galaxy Note7」の部品や、部品を生産するために購入した原材料も全てサムスン電子が買い取ることになった。韓国国内のサムスン電子スマートフォン製造関連協力会社は、中小企業を中心に1000社近くある。「Galaxy Note7」の製造中止で無期限休業した会社もあると報じられているほど、その打撃は大きい。
・実は、日本の大手企業にも「Galaxy Note7」向けの部品を同社に供給している企業は少なからずあるため、今回の事態は、日本としても決して他人ごとではない。
・何よりも、「Galaxy」ブランドのイメージダウンは大きな痛手だろう。特に、「Note7」は、サムスン電子としても前作の「Note5」や「S6」よりも遥かに力を入れて世に送り出した自慢のスマートフォンで、ファンを中心に購入予約が殺到するほどマーケットの期待も大きかった。 それが、まさかの原因不明の発火事故である。その打撃は損失金額以上に大きいはずだ。
・サムスン電子は今回のリコールを機に、製品の安全性強化のため、品質点検プロセスを全て見直すと発表した。どのように見直すのか、具体的な実行計画はまだ発表されてないが、まずは「Galaxy Note7」の発火原因を究明し、スマートフォンビジネスを担う無線事業部をはじめ、全社の業務プロセスを見直すとしている。
・同社はスマートフォンの販売台数では世界1位(営業利益ではアップルが世界1位)であり、今まで年間3億台を超えるスマートフォンを販売してきた。これは当然、韓国経済にも大きな影響を与える。 未来創造科学部(「部」は日本の「省」)のデータによると、2016年9月の韓国のICT産業全体の輸出額は145億3000万ドル、輸入額は73億4000万ドルで、71億9000万ドルの黒字だったが、携帯電話端末の完成品と部品の輸出額は18億7000万ドルで、前年同月比33.8%の減となった。
・韓国では今回の発火事件によって韓国産携帯電話全体のイメージが悪くなり、輸出がさらに冷え込むのではないかと深刻に懸念する声もある。 その一方でサムスン電子は、2017年春リリース予定の新機種「Galaxy S8」の話題を広げようとしているが、その前に、今回の発火原因を究明することが先決である。
http://diamond.jp/articles/-/106472

第三に、11月1日付けダイヤモンド・オンライン「ロッテのずさんな内情を暴露、覆面座談会で不安と怒り大爆発!「週刊ダイヤモンド」2016年11月5日号特集「暗黒のロッテ」より」を紹介しよう(▽は小見出し、──は聞き手の質問)。
・昨年初からのお家騒動に裏金疑惑が拍車を掛け、不安を抱えるロッテ社員たち。社内では恐怖政治がはびこり、多くの社員が萎縮しているという。一連の騒動を、社内から冷静に観察してきた日本の現役社員が、ロッテの内情をぶちまけた。(対談内容を本誌編集部で再編集・「週刊ダイヤモンド」2016年11月5日号特集「暗黒のロッテ」より
▽社員食堂に響くみんなのうた
──お家騒動に裏金疑惑。明るい話がありません。今、社内はどんな雰囲気ですか。
A氏そりゃあもう、不安だらけ。一連の騒動が自分の会社のことだと信じたくない。もう悲しいというか情けないというか。
B氏ほとんどの社員が同じ気持ちだろうね。でも、驚くことに社内では誰も騒動について触れない。皆が何事もなかったかのように、ただ黙々と働いている。現経営陣にビビっているわけだけど、シュールな光景だね、あれは。
A氏そもそも、ここまで世間を騒がせておいて、経営陣がお家騒動や検察の捜査に関して社員に説明しないのがおかしい。取締役たちの「われわれは知りません」という態度は本当にあり得ない。
C氏そういえば、昭夫さんの逮捕状請求が行われた9月末ごろからかな。新宿本社の食堂にあるテレビのチャンネルが、それまでのNHKから急に教育テレビになったよね。当時はテレビでロッテの話題が多かったから、社員に見せないようにしたんだろうけど、「おお、こうきたか」と思わず笑いそうになったよ。サラリーマンが昼飯食いながら「みんなのうた」とか見てるからね(笑)。
D氏それは取締役からの「ロッテは子供向けのお菓子を作っているんだから、少しは童謡も勉強しなさい」というありがたき訓示でしょ。違うか(一同爆笑)。
B氏テレビも見られないし説明もないから、社員は状況を全部Yahoo!ニュースで知る。韓国ロッテの李仁源副会長の自殺報道が流れたときは、社内もザワついて、もうロッテは駄目なんじゃないかと本気で思ったよ。
A氏こんな状況だから、当然、会社を去る者も出てくる。私の部下も最近、優秀なのが複数人辞めてしまった。どうやらうちは今、競合メーカーの草刈り場になっているらしい。「ロッテから根こそぎエース級社員を取れ」って。
D氏今年の新卒内定者も2割が辞退したみたいだしね。銀行から来た佃社長と小林副社長はお菓子やアイス事業についてよく理解していないから、経営に軸がない。
B氏それどころかマイナスでしょ。佃社長の趣味が植物観賞なのは社内で有名だけど、昨年6月に浦和工場が竣工したとき、工場の敷地内に総額1500万円掛けてヤシの木を植えたんだよ。最初はコケモモがいいって言っていたみたいだけど、あれは虫害がひどい。だから害が少ないヤシになった。食品工場に虫害のある植物を植えるという発想が理解できない。
D氏武雄総括会長が主導していたころは、いつでもベンチャー企業のような気持ちで商品開発にしてもチャレンジさせてくれた。彼は「できません」という言葉が嫌いで、本気で挑戦した社員には責任を問わなかった。でも今の経営陣は責任のなすり合い。特に佃社長と小林副社長は自分の失敗を人のせいにするから、いつ飛び火してくるか気が気じゃないよ。
C氏実はあの2人も仲が悪い。小林副社長は社長の座を狙っていて、佃社長と争っている。そのためには、昭夫さんに気に入られる必要があるから、2人とも失敗を認めたりしない。
▽短気で激高型の昭夫さん 人が良すぎる宏之さん
──昭夫会長の人柄は?
A氏一言で表現すれば、短気で激高型。1990年代の後半は日本で事業会社を見ていて、そのときも評判は良くなかった。例えばロッテリアの社長時代は、エース級の社員を本社から引き抜いた。でも結局5年の間に、課長以上のほとんどの管理職が依願退職や左遷で複数回入れ替わったよね。周りはあきれてた。
D氏韓国では日本よりも長男が大切にされるでしょ。武雄総括会長の場合も例に漏れず、宏之さんをかわいがっていたし、多くの社員は少なくとも日本は宏之さんに継がせるんだろうなと思っていた。昭夫さんもそれは感じていただろうから、成果を挙げることで覆そうと背伸びしたんじゃないかな。
B氏そういう意味では、昭夫さんってかわいそうなところもあるよね。
C氏ただ、宏之さんを追い出したのは強引過ぎた。とにかく権威とか名誉とか、そういうものに対する執着がすごいんだよ。会議の席でも、成功は自分の功績にするからね。ファッションもブランド物ばかりだし。
A氏宏之さんは、昭夫さんとは対照的にブランド物とか全く興味ない。かばんも安そうだし、物欲とかないんだろうね(笑)。
B氏とにかく人が良過ぎるんだよ。人をだましたり、裏切ったりする人間じゃないだけに、経営権争いが起こるなんて夢にも思ってなかったんだろ。だから気付けば周りにまんまとはめられて追い出された。
A氏ある意味、経営権争いは、宏之さんの甘さが招いた悲劇ともいえる。ただ、彼は穏やかな割に頑固だから、いつまでも争いを諦めない。周りからの評価を気にしない頑固者が戦ったら、実は最強かもしれない。
D氏昭夫さんはお家騒動にも平気なふりをしているけど、実際は“最恐”の存在だろうね(笑)。
▽宏之派は左遷される 完全な恐怖政治
──これからロッテはどうなるべきなんでしょう。
B氏日本ロッテの社員の大半は宏之派。ただ、この際どっちが勝つかより、とにかく現経営陣を追い出してほしい。ロッテは武雄体制の下、長期利益を重視して慎重に成長してきた。でも、今の経営陣は武雄体制で避けてきた大手コンビニエンスストアのプライベートブランド製品を看板ブランドの「ガーナ」で開発したり、短期利益の確保に動いていて心配だよ。
C氏社員に佃社長と小林副社長に対する忠誠心はない。われわれはあくまで武雄総括会長をはじめとする重光家に仕えているわけで、われわれ社員のマインドはまだ「武雄商店」だよね。
D氏古いといわれればそれまでだけど、創業家の総意なく佃社長らに仕えろと言われても気持ちがついていかない。
A氏でもさ、株主総会で鍵を握る従業員持株会はなかなか動きそうにないね。
B氏法的には株主総会で持ち株会員の個別投票もできるみたいだけど、誰が宏之さんに投票したかがバレる仕組みになっていて、怖くて誰もできないみたい。
C氏実際に、宏之派だとバレた人は、優秀であっても地方やグループ会社に左遷されているもんね。完全な恐怖政治だよ。
D氏最近は、毎月21日に発令される人事異動で不可解な内容が多い。全く優秀じゃない人が、いきなり昇進したり。人事を見て皆、鼻で笑ってるよ。ああ、あいつも落ちたかって。
A氏従業員持株会も経営陣の脅しに抵抗できないでいる。今年、退職者分株式の配分先を新規募集したでしょ。抽選で行われているという体だけど、10月初旬の発表を見ると、宏之派とおぼしき社員は誰も当選していない。
D氏従業員持株会も経営陣の息が掛かった会員がどんどん増えていく。130人の会員は6兆円の巨大財閥の命運を握っているんだから、もっと真剣に考えないと駄目だよ。彼ら一人一人の決断が全社員とその家族の生活を変える。恐怖政治の下で我慢し続けるか、武雄商店に戻って再出発するか。答えは明白でしょ。
http://diamond.jp/articles/-/106395

闇株新聞の記事にある ポール・シンガーがデフォルトしたアルゼンチンの国債をわずか額面の数%で買って、満額での償還を要求、米国最高裁もこれ認めた出来事は、米国の裁判制度もいいかげんだと驚いた記憶がある。サムスン電子がそうした悪どい「ワル」に狙われたとは、今後の展開が注目される。サムスン電子は半導体部門は堅調のようだが、11月5日付け日経新聞によれば、米で280万台の洗濯機リコールを命じられたようだ。
第二の記事のギャラクシー発火問題は、今だに原因が不明のようだ。250万台販売したうち、未回収なのが韓国で50万台、米国では100万台も残っているとは大変だ。世界一のスマホメーカーがつまずいたのに、アップルは恩恵を受けるが、日本の大手メーカーには出る幕がないというのも寂しい話だ。「ガラパゴス化」のツケが出ているのだろうか。
ロッテの記事には、創業家の3人が在宅起訴された件については、一切、触れられてないのが玉にキズだ。お家騒動で内部情報が検察に流出したとも言われているが、この座談会に出席したロッテ社員たちは、韓国の裁判はどうとでもなると思っているのだろうか。それにしても、銀行から来た佃社長と小林副社長の評判の悪さにも驚かされる。
韓国は大統領も辞任の一歩前まで追い込まれている。そろそろ、日韓スワップ協定で、万一の備えをした方がよいのではなかろうか。
タグ:Galaxy Note7 韓国経済を震撼させる「Galaxy Note7」発火事故 事態はもはや“IT立国”の信用問題に アルゼンチンの93%の国債保有者が75%の債権カットを呑んだにもかかわらず、わずか額面の数%で買ったアルゼンチン国債の満額元本と利息合計・13億3000万ドルの支払いを求め 原因不明の発火事故 (財閥問題) 日本ロッテの社員の大半は宏之派 新卒内定者も2割が辞退 約50万台近くが、いまだに国内のどこかで使われているというではないか 短気で激高型の昭夫さん 人が良すぎる宏之さん 競合メーカーの草刈り場になっているらしい。「ロッテから根こそぎエース級社員を取れ」って 経営陣がお家騒動や検察の捜査に関して社員に説明しないのがおかしい 日本の現役社員が、ロッテの内情をぶちまけた ロッテのずさんな内情を暴露、覆面座談会で不安と怒り大爆発!「週刊ダイヤモンド」2016年11月5日号特集「暗黒のロッテ」より 「Galaxy」ブランドのイメージダウンは大きな痛手 日本の大手企業にも「Galaxy Note7」向けの部品を同社に供給している企業は少なからずあるため、今回の事態は、日本としても決して他人ごとではない 訴訟を起こすユーザーもいる アメリカでは、まだ100万台ほどがそのまま使われているそうだ 銀行から来た佃社長と小林副社長はお菓子やアイス事業についてよく理解していないから、経営に軸がない ダイヤモンド・オンライン 韓国国内 バッテリーを入れ替えた端末でも発火事故が続いたため、同社は10月に入り、韓国とアメリカで製造販売を中止 250万台が市場に出回っており 韓国経済全体への大打撃 発火原因は一向に不明のままだ リコールや損害賠償請求 サムスン電子に大打撃 サムスン取締役会に公開書簡 エリオット・マネジメント 正真正銘の「ワル」に狙われたサムスン電子 NY地裁が満額支払いと他の投資家への支払いを差し止める判決を下し、さらに何と2014年6月に米国最高裁がアルゼンチン政府の不服申し立てを却下し、ポール・シンガーは巨額の(全体で24億ドルだったようです)利益を得てしまいました 30兆ウォン(2兆8000億円)の特別配当支払いや事業会社のナスダック市場への二重上場、さらに取締役会に3名の社外取締役を加えることによるガバナンス改善などを求めました (その2)(「ワル」に狙われたサムスン電子、ギャラクシー発火問題、ロッテのずさんな内情) 合理化と2社への会社分割(持ち株会社と事業会社への分割)を要請 ポール・シンガー 闇株新聞 韓国
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ドイツ銀行はどうしたのか?(その3)米司法省の巨額罰金をめぐる交渉の行方 [世界経済]

ドイツ銀行はどうしたのか?については、3月11日に取上げた。その後も、株価暴落が続く今日は、(その3)米司法省の巨額罰金をめぐる交渉の行方 である。

先ずは、9月29日付け日刊ゲンダイ「ドイツ銀行が破綻危機…市場が怯える「ABCDショック」」を紹介しよう。
・“Dショック”に襲われる――。兜町が震撼している。Dは『Deutsche Bank』のことで、ドイツ銀行を指す。  「ここへきてドイツ銀行の経営不安説が急浮上しています。米国の住宅担保ローンに絡む不正販売を巡って、米司法省が同行に対し140億ドル(約1兆4000億円)の支払いを求めています。簡単に払える金額ではないので、経営危機説が流れているのです」(金融関係者)
・ドイツのメディアは、メルケル首相が「(ドイツ銀行を)救済しない」とコメントしたと報じた。これで危機説の真実味が一気に増し、同行の株価は暴落。26日に過去最安値を更新した。 「現在、市場の懸念は“ABCDショック”です。Aはアメリカ(America)におけるトランプ大統領の誕生、Bは英国のEU離脱(Brexit)、Cはチャイナ(China)の景気減速、そしてDのドイツ銀行です。今まさに、Dショックの深刻度が増してきたのです」(株式評論家の杉村富生氏)
・ドイツ銀行は住宅担保ローンに関わる引当金を約50億ドル積み立てているといわれるが、米国が求める140億ドルには程遠い。しかもドイツ政府の支援が期待できなとなれば、市場は破綻を想定し始める。  「本当に経営破綻なんて事態になったら、世界は金融パニックに陥ります。日経平均は2000~3000円、いや、それ以上に暴落する恐れがあります」(株式評論家の倉多慎之助氏)
・驚愕の予測がある。未曽有の金融危機を招いた2008年のリーマン・ショックでは、リーマン・ブラザーズの負債総額は約70兆円と度肝を抜いたが、ドイツ銀行はもっと上を行くというのだ。ドイツ銀行の負債総額は260兆円に達するといわれる。実にリーマン・ブラザーズの4倍近い。 「リーマン・ショックの再来ではすまない規模のショックが世界経済を襲うことになります。ドイツ銀行の次に破綻するのはどこかが焦点となり、金融市場は機能不全となりかねません」(杉村富生氏)
・ドイツ2位の銀行「コメルツ」やイタリアの金融機関に連鎖破綻の懸念があると市場は危惧する。スイス大手の「クレディスイス」が危なくなるという見方も水面下では流れる。 “Dショック”の先には、世界金融危機、いや世界恐慌が待っている危険性が高い。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/190663

次に、闇株新聞が9月28日付けで掲載した「ドイツ銀行は本当に大丈夫なのか?」を紹介しよう。
・ドイツ銀行の株価が急落しています。欧州時間で本日(9月27日)昼過ぎには一時10.19ユーロと、昨年末の22.52ユーロから半値以下になり、時価総額も140億ユーロ(1.6兆円)しかありません。 ちなみにDAXが史上最高値(12374)となった2015年4月10日の32.26ユーロから3分の1以下であり、リーマンショック時はもちろん1999年のユーロ導入時以来の安値を更新しています。
・直接のきっかけは9月16日に米国司法省が、2005~2007年当時のMBS(住宅ローン担保証券)不正販売に対してドイツ銀行に、現在の時価総額に近い140億ドル(1.4兆円)の巨額和解金を要求したため、株価が一時9%以上の下落となり11.98ユーロ(終値)となっていました。
・このMBS不正販売とは、そもそも米国が一時国有化したFNMAとFHLMC(下記の私のコメント欄で説明)が組成した(保証もしていた)不良ローンを「しこたま」含んだ住宅ローン債権を証券化したもので、その最大の販売先もFNMAとFHLMCだったところ「不良MBSを騙されて買わされた」と米国司法省が訴えた「滅茶苦茶な米国の巨額罰金ビジネス」のことです。
・しかし米国大手金融機関はとっくに諦めて、バンカメ(メリルリンチ)が166億ドル、JPモルガンが130億ドル、シティバンクが70億ドルなどの巨額和解金を支払っています。 別に米国でMBSを大々的に販売していたわけでもないドイツ銀行が140億ドルというのは確かに解せない数字で、同じ海外金融機関の和解金ではHSBCが6億ドル、野村証券が11億ドル(まだ係争中のはず)と1桁以上も少なくなっています。
・つまりドイツ銀行は米国政府との間に「何か表に出ていない大きなトラブル」があり、それも含めた懲罰的な意味合いのような気もします。 それに加えて昨日(9月26日)には、メルケル首相がドイツ銀行への公的支援を明確に否定しました。もっともギリシャ政府やイタリアの銀行への金融支援に強硬に反対するドイツ政府としても、身内に甘い顔ができるはずがありません。
・ドイツ銀行も「自力で問題を解決する」と精一杯の意地を表明しましたが、それで本日の株価続落となっています。
・さてドイツ銀行の危機は今に始まったわけではなく、本年1月28日には2015年通年の最終損益が68億ユーロ(当時の為替で8600億円)もの巨額赤字だったと公表し、それに中国ショックが重なった2月10日には13.68ユーロまで下落していました。 この時はドイツ銀行が抱えるデリバティブの想定元本がドイツGDPの20倍をこえる75兆ドルもあると囁かれていました。この数字は直近でも55兆ユーロ(62兆ドル)のようで、あまり改善しているようにも見えません。
・また2月当時は46億ユーロ(当時の為替で5800億円)ものCoCo債(偶発転換社債、ドイツ銀行の自己資本が減少すると強制的に元本が召し上げられるシロモノ)が発行されており、その価格も額面の7割以下になり市場を不安にさせていました。 現在は当然にもっと悲惨な状況になっているはずですが、情報がありません。たぶん世界中からビットが消えているのでしょう。日本の外貨建て投資信託に「知らないうちに」組み込まれていないことを祈るだけです。
・さてだいたいこういう時期には大手格付け機関が「ヒステリック」に格下げを繰り返してパニックを拡大させるものです。ドイツ銀行の格付けはMoody’sが本年5月にBaa2に格下げしていますが、これは無担保優先債の格付けで一般的な長期預金格付けはA3であり、実感では「かなり高い」と感じます。 近いうちにMoody’sお得意の「ヒステリック」な格下げが繰り返され、パニックを拡大させるような気がします。
・さてかつての名門銀行だったドイツ銀行が、なぜこのようにボロボロになってしまったのでしょう?これは(ドイツ銀行だけに限りませんが)1995年頃から商業銀行業務より投資銀行業務に力を入れ、一時的に収益が拡大した2005年頃から「さらに」のめり込んだところにリーマンショックの直撃をうけたものの、めげずに世界中で投資銀行業務の拡大を止めていなかったからです。
・このMBS不正販売や、デリバティブ想定元本の天文学的拡大だけに限らず、世界中で発生したLIBOR不正操作なども、すべてこの背伸びした投資銀行業務の爪痕となります。 冗談ではなく今後のドイツ銀行を巡る状況によっては、欧州だけでなく世界中の金融市場に「原爆級」の災害を及ぼす恐れがあります。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1836.html

第三に、本日付けロイター「米司法省、ドイツ銀の罰金54億ドルで近く合意=報道」を紹介しよう。
・米司法省はドイツ銀行に科すモーゲージ担保証券(MBS)の不正販売問題をめぐる罰金について、当初科すとしていた最大140億ドルから54億ドルに大幅に削減することで合意に近づいている。AFPが30日、関係筋の話として報じた。AFPによると、合意は向こう数日以内に発表される可能性がある。ただ関係筋は罰金の最終的な額は若干変わる可能性があるとも話したとしている。
・ドイツ銀はこの報道についてコメントを控えている。米司法省のほか、ドイツ財務省もコメントを控えている。  ドイツ銀の株価は一時10ユーロを割り込み最安値をつけたもののその後は回復し、前日終値比6.39%高の11.57ユーロで取引を終えた。ドイツ銀の米預託証券(ADR)は大商いのなか、米市場午後の取引で約14.9%高の13.19ドル近辺で推移。一時は13.28ドルまで上げた。
http://jp.reuters.com/article/deutsche-bank-doj-idJPKCN12029G

日刊ゲンダイがドイツ銀行の負債総額を、米金融危機で破綻した投資銀行のリーマン・ブラザーズと比較しているのはナンセンスだ。本来の投資銀行は、資産・負債を余り持たないのが一般的で、商業銀行が中心のドイツ銀行は大きくなるのは当然のことだ。
闇株新聞の記事を若干、補足しておこう。米国のFNMA、FHLMCは、各々、ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)、フレディマック(連邦住宅金融抵当金庫)と呼ばれる住宅金融会社である。これらが、モーゲッジバンク(住宅金融専門業者)や米銀が組成した住宅ローンを買い取り、證券化したMBSをドイツ銀行や米銀などが購入してさらに證券化して、CDO(債務担保証券)として売却したのを、住宅金融会社が資産運用のために購入したという構図である。もともとは自分たちが保有していたのだから、リスクなどは分かり切っている筈だという趣旨で書かれているが、これは闇株新聞にしては珍しい誤解である。證券化を二次、三次と繰り返すうちに、リスクの特性は当初のものとは大きく異なってしまうので、FNMA、FHLMCといえどもリスクの特性は本当のところでは把握できないというのが、金融危機での教訓の1つだった。ドイツ銀行が発行したCoCo債が、『日本の外貨建て投資信託に「知らないうちに」組み込まれていないことを祈るだけです』、との指摘は同感だ。『メルケル首相がドイツ銀行への公的支援を明確に否定』した理由は、闇株新聞が指摘したもの以外にも、米国当局との罰金引下げ交渉の途中で、公的支援を表明してしまえば、米国当局に塩を送ってしまうからと、考えるべきだろう。引下げ交渉がドイツ銀行不利になれば、CoCo債などで吸収できない部分はやはり公的支援をせざるを得ないのではなかろうか。
幸い、ロイターが、フランスの通信社AFP伝として罰金半減で合意する可能性が出てきたという記事は、まだ確定はしていないにせよ、一安心させる材料だ。引下げ交渉の最終的な結果に注目したい。
タグ:リーマン・ブラザーズの4倍近い ドイツ銀行の負債総額は260兆円に 市場は破綻を想定 引当金を約50億ドル ドイツ銀行が抱えるデリバティブの想定元本 Dのドイツ銀行 coco債 015年通年の最終損益が68億ユーロ(当時の為替で8600億円)もの巨額赤字 不良ローンを「しこたま」含んだ住宅ローン債権を証券化 Cはチャイナ(China)の景気減速 最大140億ドルから54億ドルに大幅に削減することで合意に近づいている 巨額和解金 ドイツ銀行は本当に大丈夫なのか? Bは英国のEU離脱(Brexit)、 166億ドル Aはアメリカ(America)におけるトランプ大統領の誕生 シティバンクが70億ドル 株価は暴落 メルケル首相が「(ドイツ銀行を)救済しない AFPによると、合意は向こう数日以内に発表される可能性 1995年頃から商業銀行業務より投資銀行業務に力を入れ、一時的に収益が拡大した2005年頃から「さらに」のめり込んだところにリーマンショックの直撃をうけたものの、めげずに世界中で投資銀行業務の拡大を止めていなかったからです 米司法省が同行に対し140億ドル(約1兆4000億円)の支払いを求めています 世界中で発生したLIBOR不正操作 Deutsche Bank ドイツGDPの20倍をこえる75兆ドル バンカメ 兜町が震撼 「不良MBSを騙されて買わされた」と米国司法省が訴えた「滅茶苦茶な米国の巨額罰金ビジネス」 「ドイツ銀行が破綻危機…市場が怯える「ABCDショック」 背伸びした投資銀行業務の爪痕 日刊ゲンダイ 最大の販売先もFNMAとFHLMC その価格も額面の7割以下になり (その3)米司法省の巨額罰金をめぐる交渉の行方 JPモルガンが130億ドル ドイツ銀行はどうしたのか? 米司法省、ドイツ銀の罰金54億ドルで近く合意=報道 闇株新聞 大手格付け機関が「ヒステリック」に格下げを繰り返してパニックを拡大させるものです 。日本の外貨建て投資信託に「知らないうちに」組み込まれていないことを祈るだけです ロイター ドイツ銀行の危機 FHLMC デリバティブ想定元本の天文学的拡大 ドイツ銀行が140億ドルというのは確かに解せない数字 MBS不正販売 欧州だけでなく世界中の金融市場に「原爆級」の災害を及ぼす恐れがあります 米国政府との間に「何か表に出ていない大きなトラブル」 ドイツ銀の株価は一時10ユーロを割り込み最安値をつけたもののその後は回復 FNMA ギリシャ政府やイタリアの銀行への金融支援に強硬に反対するドイツ政府としても、身内に甘い顔ができるはずがありません “Dショック”の先には、世界金融危機、いや世界恐慌が待っている危険性が高い それも含めた懲罰的な意味合いのような
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中国経済(その3)続出するゴーストタウン、バブル肥大の残酷な真相、推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷 [世界経済]

中国経済については、昨年12月17日に取上げたが、今日は、(その3)続出するゴーストタウン、バブル肥大の残酷な真相、推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷 である。

先ずは、中国出身の作家・ジャーナリストの莫 邦富氏が8月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国でゴーストタウン続出、無謀な開発が止まらない実態」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・いまから5年前のことになる。2011年夏、シルクロード沿線を訪問した私は、中国西部の甘粛省の首都蘭州市で、当時開発中だった「蘭州新城」といわれる大規模土地開発の現場を視察した。
・そこで現場幹部が披露した開発プランを見て呆れてしまい、30分も経たずに現場を離れた。降水量が非常に少ない蘭州に、杭州の西湖のような湖を造成して世界中の企業を誘致したいという紹介を聞かされたからだ。
・さらに2年が経った2013年、中国は水増しのGDPは要らないと公式に宣言した習近平時代になった。その蘭州新城の開発現場を暴露する報道がどっと溢れ出た。このコラムでは、その記事の一部を読者に紹介した。詳しくは「習政権の経済運営方針を反映する中国西部・蘭州新城開発のストップ」をご参照されたい。  経済が低迷しているいま、中国はゾンビ企業を問題にしている。この蘭州新城(現在は蘭州新区となっている)も、ある意味ではゾンビ企業のような存在となっている。最近の中国の報道をまとめてここでお伝えしたい。
▽ゴーストタウン化する高層ニュータウン
・蘭州中川空港の西南方向にある中川大道は、蘭州新区で最もにぎやかなエリアである。2階建ての建物が連なる商店街は伝統的な地方の自由市場のような趣である。だが、この通りをはずれると、新区の夜は明かりのない真っ暗な高層住宅が立ち並び、ひっそりとしている。
・4年前、秦王川に位置する蘭州新区が正式に承認され、中国で5番目の国家級新区となり、狭い蘭州が外側に拡大発展する使命を担った。 新区の概念、素晴らしい計画、安い土地がデベロッパーを引きつけ、緑地・碧桂園・龍林・亜太など多くの開発業者がもとは田畑だった秦王川の3つの鎮(町)を瞬く間に高層マンションが立ち並ぶニュータウンに変えた。
・それから4年後、ここは相変わらず土地はあるが人影はまばらで、空き家のままの建物がブラックホールのように蘭州新区の未来を飲みこんでいるように見える。 蘭州新区のマンション価格は1平方メートルあたり4000元(約6万1000円)前後で、蘭州市内と比べると5割近く安いという。だがそれでも新区はやはりマンション購入者を引きつけることができない。 市街地から離れていて不便、というのが蘭州市民の新区に対する第一印象である。都市間鉄道が開通したがそれでも50分ほどかかり、計画中の地下鉄5号線が新区に通じる予定だが具体的な着工時期は未定だ。
・蘭州新区の広々とした道路を車で走ると、通行人はほとんど見かけない。まるで巨大な工事現場のように、内部が空っぽのマンションやタワークレーンが到るところに見られ、削られた小山が岩肌をむき出しにし、路傍には建築ゴミが積まれている。夜になると、立退き者用住宅である彩虹城と蘭石集団の従業員用住宅以外、大部分のマンションは真っ暗である。
▽工業生産額は当初予想の10分の1
・新区で指折りの有名デベロッパーである碧桂園は、城市花園という開発プロジェクトを手掛けたが、現在引くに引けない状況にある。城市花園は2014年に販売を開始し、全697戸のうち買い手がついたのは211戸とたったの3割である。
・地元の開発業者はさらに厳しい状況で、新区で販売されている住宅の大部分で販売率が3割前後である。遠東錦繍華府のように、価格が1平方メートルあたり2400元(約3万6000円)で、全634戸のうち36戸しか売れていないところも現れた。価格が1平方メートルあたり8600元(約13万1000円)の朱雀湖別墅はなんと販売数ゼロである。
・蘭州新区の今年3月末の統計によれば、新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートルだという。 低迷する住宅市場は不動産業者に多大な資金的圧力をもたらしている。工事の中止も珍しいことではない。すでに撤退した企業も出ている。
・蘭州新区管理委員会関係者が語ったところによると、今後アウトレットなどの複合商業施設が続々と開業予定だが、こうしたプロジェクトもまた同じような運命をたどる可能性があるという。
・「蘭州新区産業発展計画」によれば、2015年までの蘭州新区の工業固定資産投資の累計額は800億元(約1兆2200億円)、工業総生産額は2015年には1200億元(約1兆8200億円)に達するというものだった。だが、2014年に蘭州新区が実現した工業総生産額は105.94億元(約1600億円)で、計画の10分の1に満たない。
▽2014年以降、乱立した国家級経済開発新区
・現在、蘭州新区にある企業のほとんどが従来型の製造業で、関係者は「蘭州新区の企業誘致のためのデータが素晴らしくても、実際に着工に到るものは少ない」と嘆く。新区への移転が決まった蘭州石化公司も足踏み状態にある。 計画によれば、2020年までに蘭州新区の都市人口は60万人、2030年までには100万人となる予定である。2014年10月31日の時点で、蘭州新区の総人口は15万人、流入人口は2万2000人台にとどまっている。蘭州新区は全国に17ある国家級新区のなかで最も人口の少ない新区となっている。
・その局面を打破するために、2013年より蘭州市共産党委員会、市政府機関、一部の市直属部門など計16のセクションと700名近い職員が正式に蘭州新区に移った。だが莫大な行政コストがかかるため、いったんは新区に移転した機関がまた続々と蘭州市内に戻りつつある。
・蘭州新区が直面している現状は、この地域に限ったことではない。 1992年から2013年までの22年間で承認された国家級経済開発新区は6つだが、2014年以降の2年間で11もの国家級経済開発新区が承認されている。2015年の全国17の国家級新区ランキングのうち、第1位の濱海新区(天津市)のGDPは最下位の貴安新区(貴州省貴陽市)の155倍であった。一部の新区、特に中西部では売れ残り物件の山を抱えてゴーストタウンと化している。蘭州新区はまさにその後者に属している。
・経済発展の原理を無視した蘭州新区のような無謀な開発は、もはやこれ以上続けられなくなっている。その巨大な損失の穴埋めは誰が負担するのだろうか?
http://diamond.jp/articles/-/99173

次に、在北京ジャーナリストの陳言氏が8月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国経済、実業低迷・バブル肥大の残酷な真相」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・あらためて上海の繁栄ぶりを証明する最新データが公表された。上海の財政局によると、今年上半期の一般公共予算収入は4196億元(約6兆3000億円)で、前年同期比で30.6%も激増しているという。 この30.6%という数値は何を意味しているのか?今年上半期、全中国の財政収入増加率は前年同期比でわずか7.1%と低調で、中でも遼寧省は同増加率がマイナス18.6%と低迷している。つまり、今年上半期は中国にある都市の大半が、財政収入の面で伸び悩んでおり、特に東北、北西の各地方ではマイナスが際立っている。
・少数ながら大きな増加を維持している主要都市もあるが、せいぜい15%前後で、上海同様に24.4%という顕著な増加を見せているのは深センだけである。とはいえ、上海の財政収入総額が深センの2倍以上であることを考慮すると、やはり上海市政府の資金吸引力が全国でトップということになる。
▽喜べない上海の財政収入の増加
・問題は上海がどうやってそれを成し遂げたかということだ。 GDP成長率において、上海はここ数年間ずっと四つの一級都市(北京、天津、上海、重慶)の中で最下位だっただけでなく、全国の大半の都市よりも低かった。 人口増加率においても、珍しいことに上海は昨年マイナスに転じるという現象が見られた。
・一定規模以上の工業企業においては、総生産額と総利益がいずれもマイナスで、今年の1月から5月まで、6つの主要な工業分野のうち鋼材製造、設備製造、自動車製造、電子機器製造はいずれも後退し、石油化学とバイオ医薬だけが若干増加した。第2次産業の業績がこれほど悪いのは、4つの一級都市の中で上海だけであった。 経済を牽引する3つの原動力を見ると、今年の1月から5月まで上海の輸出入増加率はマイナスで、固定資産投資増加率は8.0%(工業投資はマイナス)、そして小売総額の増加率は7.1%だった。まさに「可もなく不可もなし」という表現がよく似合う状況だ。
・上海はどうやって財政収入の激増を達成することができたのか?その答えは、上海の経済構造から見出すことができる。すでに定着している印象として、上海は中国で最大の工業都市と見なされているが、今日の上海経済において工業が占める割合は今や3分の1以下で、サービス業が全体の3分の2以上(67.8%)を占めている。また財政収入の構造から見ると、上海の経済力に対するサービス業の貢献度はすでに80%を上回っている。
・では、その上海のサービス業界で納税力が最も高いのはどの業種なのか。それは、金融業と不動産業である。上海市の公式サイトに掲載されたデータによると、不動産、卸売・小売、金融、ビジネスサービス、交通・運輸という五つの業種だけで、地方財政収入全体の60%以上を占めている。
・それゆえ、一般の人々からすれば今日の上海経済は、鋼鉄や自動車、設備製造などの従来型産業が不振にあえいでいる一方で、金融と不動産が大盛況といういわゆる「氷火両重天(両極端のものが混在する)」の状態にある。 昨年、上海の金融業における付加価値額は4052億2300万元に達し、前年比で22.9%も増加した。 昨年、上海金融市場の取引総額は1463兆元に達し、前年の2倍と激増、証券市場の株式取引額は世界第2位となった。 昨年末から今年上半期までに、上海の住宅価格上昇率は深センを抜いて全国でトップとなった。今年上半期、上海の不動産投資額は工業投資とインフラ投資を足した額の2倍を上回り、固定資産投資総額の62%を占めている。
・明らかに、上海の財政収入の激増は深センと同様、金融市場と不動産市場における盛んな取引に依存したものであり、現地の実体経済はいかなる貢献もしていない。北京、広州、杭州などの主要都市には証券取引所がない上に、巨額の資金を呼び寄せる投機的な不動産市場もないため、当然ながら財政収入の増加において上海と深センには遠く及ばない。
▽元気があるのは金融と不動産だけ
・上海とは対照的に、深センにはとにもかくにも安定かつ程よく成長している実体経済があり、特に先端製造業は好調を維持している。それゆえ、上海経済のバーチャル化はとりわけ顕著だ。上海はすでに上海人のための上海ではなく、全国ひいては世界中の資本のための上海となっている。 同市で大盛況の金融と不動産は、もはや現地の経済と住民にとってあまり縁のないものとなっているばかりか、全国的なバブル経済の影を感じさせる。これこそ、中国経済の最も華やかかつ最も非現実的な一面だ。
・この点において、上海経済はいわば中国経済の現状をそのまま反映した縮図である。米国の経済誌『フォーチュン』に掲載されたデータによると、中国の上位企業500社(営業収入で判定)の中で、最も収入の高い上位40社のうち、24社は金融業界の企業となっている。 これらの金融企業の規模は他者を寄せ付けないばかりか、財務指標においても優位を保っている。商業銀行の純利益だけで、これら500社中の黒字企業の44.3%を占めている。そして、最も赤字を計上している企業53社のうち、IT企業3社以外はみな従来型産業の業界に属しており、特に鉄鋼とエネルギー業界の企業が多い。
・実体経済の深刻な不振とバーチャル経済の活況は、全国的な状況と上海の現状に見られる驚くべき一致である。中国経済に関して、『フォーチュン』誌は次のような懸念を示している。「金融業の大盛況は、中国経済のモデルチェンジおよびグレードアップによる必然的な現象である一方で、もし金融業の発展と実体経済との乖離があまりに大きくなれば、資金の空回りが引き起こす経済バブルが国家の持続的な発展を脅かす恐れがある。バブルを引き起こした1980年代の日本を教訓とするべきだ」。
・上海と深センの財政収入の激増、そして不動産市場の大盛況は、政府や金融・不動産投資家に手厚い利益をもたらしたとはいえ、その代償として全国的な金融バブルとその崩壊を招くかもしれない。しかし、その代償を負うのはバブルから利益を手にする者たちではなく、バブルに苦しめられる一般中国市民たちなのだ。
▽注目される東北特殊鋼のデフォルト
・最近、東北特殊鋼グループ(本社・大連)のデフォルト(債務不履行)問題が、債券市場および金融市場全体の一大事になっている。今回のデフォルトは、地方の国有企業のデフォルトの先駆けというだけではなく、空前の規模だということだ。 2016年3月28日から4ヵ月の間に東北特鋼関連のデフォルトは7件あり、金額は47.7億元(約700億円)に及ぶ。東北特鋼が債権者に対して債務を株式に転換する「債務株式化」をしないと約束して、まだ1ヵ月余しかたっていないが、同特鋼は再び、一方的に「債務株式化」を通じて苦境脱出を計画し始め、市場に恐慌を引き起こしている。
・東北特鋼のデフォルトは、債券市場の持続的なデフォルト発生という大きな背景の下で発生した。これまで、中国における債券デフォルトの発生率は概ね低かった。しかし、生産能力過剰企業の製品需要が急速に低下し、加えて国有企業の改革を強化するために、政府当局は多数の「ゾンビ企業」の閉鎖に力を入れ、デフォルトはますます当たり前の行為になってきた。統計によると、今年上半期、国内非金融系企業のデフォルトは30件発生し、昨年の全件数を上回った。
・地方の国有企業のデフォルトが極めて危険なのは、それが工業部門の債務問題を金融システムに伝染させるからだ。すでに中国の金融システムにおける不良債権問題は、非常に深刻化している。工業企業、金融企業と投資家の間でいかにリスク分担をするかが、かなり緊迫した問題になっている。こうした背景の下で、いかにして東北特鋼問題を処理するかは、他の債券デフォルト処理に対するモデルとなろう。
・東北特鋼のデフォルト問題をどのような状況下で処理できるのかということが、問題解決の鍵である。まず、破産による清算は論外だろう。遼寧省の数少ない中核企業として、破産に踏み切ると、東北地区に国有企業破産の潮流と職工失業の潮流を作りだしてしまい、さらに社会不安を引き起こすことにもなり、中央政府、遼寧省政府ともにこの手法を採るのは明らかに不可能である。
・東北特鋼について言えば、最も現実的で、最も頼りになる解決策は、やはり債務の株式化である。 しかし、債務株式化は東北特鋼の債券所有者の猛反対にあっている。債券所有者は地方政府の介入を求め、東北特鋼の代わりに債務の大部分を返済するよう求めているが、実際には全く現実的ではなく、地方政府がこの要求をのむわけがない。
・表面上、中国の金融、不動産業は、収益がたいへん高いが、実業経済の衰退が続く中で、果たしてこの金融、不動産の景気は維持されるだろうか。国の投資以外に、民間の投資がめっきりと衰退していき、国営企業の改革はほとんど進まず、また道路、教育、病院、介護などの成長分野では、国営企業の独占を少しも緩和しないままでは、金融、不動産業の収益の減退も、目前に迫っているように思われる。
http://diamond.jp/articles/-/99170

第三に、9月6日付けダイヤモンド・オンライン「中国の推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・今年に入り、中国では社債市場のデフォルト(債務不履行)が急増し、金融不安が高まっている。日本総研の試算によれば、推定不良債権は公式統計の10倍に達する。昨年来、小規模な取り付け騒ぎも発生している。金融危機かはたまた問題先送りによる長期停滞か。中国経済の綱渡りが続く。(「週刊ダイヤモンド」編集部原 英次郎)
・この数年にわたり、中国の不良債権問題はいつ爆発するか分からない時限爆弾として、最大の懸念材料となってきた。最近の焦点は、債券(社債)市場におけるデフォルト(債務不履行)の増加。日本総合研究所の関辰一副主任研究員によれば「デフォルトの件数は、前年の倍の勢いで増えている」。 このため金融システム不安にまでつながるのではとの懸念も高まっている。背景には、中国の不良債権の全体像が不透明であるという根本的な問題が潜む。関氏の推計によれば、潜在不良債権比率は公式統計の5倍、不良債権の規模は公式統計の10倍にも達する。
・この数年、中国では企業債務残高が急膨張している。2015年末の非金融企業の債務残高は約115.5兆元(15年の平均レート1元=19.4円換算で約2241兆円)で、わずか7年間で3.7倍に膨らんだ。対GDP(国内総生産)比で見ると、170%にも達し、日本のバブル期をも上回る(図参照)。
・このうち潜在的な不良債権はどうなっているのか。関氏は広義の営業キャッシュフローであるEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)が、支払利息を下回っている企業の借入金を不良債権と定義して、潜在不良債権比率を推計している。 借入金および支払利息のある上場企業2327社について試算したのが、下表である。15年末で「潜在的に危険な企業」数は223社あり、その借入金の合計は7367億元。2327社の借入金総額8兆5499億元に対する比率は8.6%となる。中国の金融当局、中国銀行業監督管理委員会によれば、同時期の不良債権比率は1.7%となっているから、その5倍に達する水準だ。
・問題はこれにとどまらない。公式統計にはオフバランス(簿外)の融資、いわゆるシャドーバンキングが含まれていないからだ。シャドーバンキングとは銀行融資以外のルートで、資金を仲介することを指す。中小の不動産業の主な資金源にもなっている。 関氏によれば、銀行の理財商品と委託融資、信託会社の信託融資の三つを合わせたシャドーバンキングの合計は、15年末で49.1兆元になる。これに銀行のオンバランスの融資95.8兆元を加えると、与信総額は144.9兆元。8.6%が不良債権と仮定すると、その残高は約12.5兆元となり、公式統計1.3兆元の10倍、GDPの18.5%にも達する。
▽金融危機か先送りかそれとも外科手術 綱渡りの対応が続く
・今後、不良債権問題には、三つのシナリオが考えられるだろう。 第1が最も悲観的なシナリオ。金融危機が発生し、その結果、金融機関の企業に対する貸し渋り、貸し剥がしが発生して、景気後退に陥る。昨年来、すでに小規模な金融機関の破綻や取り付け騒ぎも発生している。
・第2が外科手術。政府が主導して一気に不良債権を損失処理し、公的資金を投入して損失を穴埋めすると同時に、業績不振企業の淘汰・再編成という構造改革を進める。この場合、一時的に景気は大きく後退し、失業者も増えるが、その後の回復は早いだろう。 ただし、推定不良債権12.5兆元に対して、15年末の銀行の貸倒引当金はわずか2.3兆元で、その差は10.2兆元もある。これに対して、15年の中央政府の財政収入は6.9兆元、地方政府は8.3兆元。不良債権の財政収入に対する規模は大きい。
・第3が先送り戦略。追加融資をしながら企業を延命させつつ、景気回復によって不良債権を減らしていくという戦略だ。
・実現性の高いシナリオは順に第3→第1→第2か。バブル崩壊後の日本も1990年代初めから第3の対応を採ったが、景気は回復せず不良債権が増大を続け、97年、98年の金融危機の発生、その後の長期停滞へと突入していった。 中国の習近平政権内部でも、構造改革派と景気重視派の路線対立があるといわれる。政権内部の路線対立をはらみながら、不良債権処理は綱渡りの対応が続く。
http://diamond.jp/articles/-/100945

第一の記事で、『城市花園は2014年に販売を開始し、全697戸のうち買い手がついたのは211戸とたったの3割である』、『新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートル』、というのでは、見るも無残な不動産開発バブルの崩壊ぶりである。
第二の記事にある、『上海の財政収入の激増』、は金融機関がまだ不良債権の処理をする前だからこその現象だろう。今後、処理に向かえば、収入も激減する筈である。東北特鋼のデフォルト問題は、不動産開発ではなく、通常の実業部分での過剰投資が要因と思われるが、債務株式化での処理は余りに安易である。中国の会計基準がどうなっているかは分からないが、貸出債権を株式に振り替えさせられた金融機関側で、価値の差額に損失を計上するという先進国のようなルールは、恐らく存在しないか、あっても適用しないのではなかろうか。とすれば、不良債権が、貸出債権から株式に移っただけとなり、何ら問題解決にはならない筈だ。
第三の記事で、シャドーバンキングを含めた不良債権残高が、『約12.5兆元となり、公式統計1.3兆元の10倍、GDPの18.5%にも達する』というのは、やはり絶対絶命の状態だ。これまでから採ってきた『先送り戦略』もいよいよ限界なのかも知れない。ただ、『外科手術』をするにしても、経済・社会の混乱を抑えて「軟着陸」してもらいたいものだ。
タグ:中国経済 (その3)続出するゴーストタウン、バブル肥大の残酷な真相、推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷 莫 邦富 ダイヤモンド・オンライン 中国でゴーストタウン続出、無謀な開発が止まらない実態 蘭州新城 ゾンビ企業を問題にしている ゴーストタウン化する高層ニュータウン 都市間鉄道が開通したがそれでも50分ほどかかり 工業生産額は当初予想の10分の1 城市花園は2014年に販売を開始し、全697戸のうち買い手がついたのは211戸とたったの3割 新区で販売されている住宅の大部分で販売率が3割前後 新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートルだという 2014年以降、乱立した国家級経済開発新区 蘭州新区の総人口は15万人、流入人口は2万2000人台 陳言 中国経済、実業低迷・バブル肥大の残酷な真相 上海の財政局によると、今年上半期の一般公共予算収入は4196億元(約6兆3000億円)で、前年同期比で30.6%も激増 GDP成長率において、上海はここ数年間ずっと四つの一級都市(北京、天津、上海、重慶)の中で最下位だっただけでなく、全国の大半の都市よりも低かった サービス業が全体の3分の2以上(67.8%) 納税力が最も高いのはどの業種なのか。それは、金融業と不動産業 元気があるのは金融と不動産だけ 実体経済の深刻な不振とバーチャル経済の活況 金融業の発展と実体経済との乖離があまりに大きくなれば、資金の空回りが引き起こす経済バブルが国家の持続的な発展を脅かす恐れがある。バブルを引き起こした1980年代の日本を教訓とするべきだ 注目される東北特殊鋼のデフォルト 債務の株式化 中国の推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷 社債市場のデフォルト(債務不履行)が急増 日本総研の試算 推定不良債権は公式統計の10倍 時限爆弾 企業債務残高が急膨張 わずか7年間で3.7倍に膨らんだ。対GDP(国内総生産)比で見ると、170%にも達し、日本のバブル期をも上回る 潜在的に危険な企業」数は223社 入金総額8兆5499億元に対する比率は8.6% シャドーバンキング 与信総額は144.9兆元。8.6%が不良債権と仮定すると、その残高は約12.5兆元となり、公式統計1.3兆元の10倍、GDPの18.5%にも達する 三つのシナリオ 第1が最も悲観的なシナリオ。金融危機が発生し、その結果、金融機関の企業に対する貸し渋り、貸し剥がしが発生して、景気後退に陥る 第2が外科手術 第3が先送り戦略 習近平政権内部でも、構造改革派と景気重視派の路線対立
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