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ウクライナ(その9)(「核兵器を除く世界最強の爆弾」 ハルキウ州での「巨大爆発」映像をロシア側が公開 その真偽は、増加し続けるウクライナ軍の「脱走兵」は20万人に.…「限界見えたプーチン」との妥協はあるか) [世界情勢]

ウクライナについては、昨年9月7日に取上げた。今日は、(その9)(「核兵器を除く世界最強の爆弾」 ハルキウ州での「巨大爆発」映像をロシア側が公開 その真偽は、増加し続けるウクライナ軍の「脱走兵」は20万人に.…「限界見えたプーチン」との妥協はあるか)である。

先ずは、昨年10月5日付けNewsweek日本版が掲載した「「核兵器を除く世界最強の爆弾」 ハルキウ州での「巨大爆発」映像をロシア側が公開、その真偽は」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/10/518159_1.php
・『<ハルキウ州ボルチャンスクに投下された爆弾は「すべての爆弾の父」と呼ばれる燃料気化爆弾ODAB-9000だったのか? 公開された動画をめぐり議論が起きている> ロシア軍が、ウクライナの町を攻撃する新たな動画が公開された。親ロシア派の情報筋は、この動画内に映し出されている巨大な爆発を起こしたのは、「核兵器を除く世界最強の爆弾」であり、「すべての爆弾の父」と呼ばれる燃料気化爆弾ODAB-9000だとしている。 ■【動画】ロシア軍、「世界最強の非核兵器」を使用か...ハルキウ州での「巨大爆発」動画を公開、ウクライナ側は否定  ウクライナ北東部ハルキウ州の町ボルチャンスクに「真空爆弾」が投下されたという動画が、10月1日朝、ロシアとウクライナ双方のメディアで掲載され始めた。 ウクライナの報道機関インサイダーUAはテレグラムチャンネルにこの動画を投稿し、ロシアの軍事ブロガーの発言を引用する形で、この爆弾はODAB-9000だとしている。このODAB-9000なる爆弾は巨大な滑空爆弾で、「すべての爆弾の父」と呼ばれることもあるという。 動画では、画面右上から爆弾が落下し、すでに荒廃している街で爆発。周辺の建物に被害を与える様子が映し出されている。 一方、親ウクライナ派のテレグラムチャンネルもこの動画を共有しているが、動画の爆弾は別の燃料気化爆弾であり、より強力な爆弾が使用されたという言説は「ラシスト」が広めた嘘だと述べている。「ラシスト」とは、ロシア軍のメンバーや支援者を呼ぶ際のウクライナ側の表現だ。 「真空爆弾」とも呼ばれる燃料気化爆弾は、周囲から酸素を取り込み、激しい高温燃焼を起こす。国際法に焦点を当てた赤十字の学術誌インターナショナル・レビュー・オブ・ザ・レッドクロスによれば、民間人が暮らす市街地で燃料気化爆弾を使用することは戦争犯罪にあたる可能性がある』、「「真空爆弾」とも呼ばれる燃料気化爆弾は、周囲から酸素を取り込み、激しい高温燃焼を起こす。国際法に焦点を当てた赤十字の学術誌インターナショナル・レビュー・オブ・ザ・レッドクロスによれば、民間人が暮らす市街地で燃料気化爆弾を使用することは戦争犯罪にあたる可能性がある」、なるほど。
・『「最強の非核兵器ODAB-9000が初めて使われた」は本当か  ロシアの「ミリブロガー(軍事ブロガー)」はこの動画を共有し続け、爆弾はODAB-9000だという主張を繰り返している。あるブロガーはODAB-9000を、「世界最強の非核兵器」と呼んでいる。 別の親ロシア派チャンネルは、この動画を共有したうえで、「ボルチャンスクで素晴らしいものを使う決定が下された。真空爆弾ODAB-9000だ。この戦争で初めての使用だ」と述べている。さらに、ウクライナ人を差別用語で呼びながら、「(彼らのうち)生き残った者はいないだろう」と続けている。 これらの主張に対し、ハルキウ州作戦戦術部隊(OTU)のテレグラムチャンネルが反応した。ハルキウ州OTUのテレグラムチャンネルは、「ロシア占領軍がボルチャンスクで滑空爆弾ODAB-9000を使用したという情報は事実ではない」と述べたうえで、報道官ヴィタリー・サランツェフの声明を引用した。 「この兵器を使用するには、適切な航空機が必要だ。理論的には、戦略爆撃機Tu-160などが考えられるが、そのような航空機の移動は記録されていない」「重量も威力ももっと小さい兵器が使用された。その爆発は、プロパガンダとして、『壮観』な写真をつくるために利用された」) サランツェフは声明の中で、爆撃の動画と、それがODAB-9000によるものだという主張には、ウクライナ軍と地元住民の士気を低下させる意図があった可能性が高いと述べている。 ロシア軍がボルチャンスクを爆撃したのは、ウクライナ軍によって現地の化学工場からロシア軍が撤退させられた、わずか数日後のことだった。キーウ・インディペンデントは、サランツェフが9月30日、ロシア軍の撤退後、ボルチャンスクは「(ロシア)兵器の最大射程」に入っていると発言したと報じ、今回の爆撃は、恥ずべき領土喪失に対する一種の報復だと主張している』、「滑空爆弾ODAB-9000」「を使用するには、適切な航空機が必要だ。理論的には、戦略爆撃機Tu-160などが考えられるが、そのような航空機の移動は記録されていない」、なるほど。
・『ロシア軍はウクライナで実際に燃料気化爆弾を使用してきた  英王立防衛安全保障研究所の海軍担当リサーチフェロー、シッダールト・カウシャル博士によれば、爆弾が(Xアカウント「クラッシュ・レポート」が述べているように)燃料気化爆弾ODAB-9000だったのか、それとも、航空機搭載爆弾FAB-9000だったのかについては、動画だけではわからないという。 ただしカウシャルは、ウクライナで真空爆弾が使用されるのは珍しいことではなく、ロシアは過去に、燃料気化爆弾を発射できるロケットランチャーTOS-1、TOS-2と、燃料気化爆弾ODAB-1500を使用してきたと指摘している。 今回の動画の中でどの爆弾が使用されたかは不明であるにせよ、その壊滅的な爆発は、ロシアの攻撃が、ウクライナの諸都市に多大な影響を与え続けていることを示している。 この紛争が始まって以来、FAB-1500のような精密誘導滑空爆弾が、ウクライナ東部に配備される頻度が高まっている。さらにウクライナ当局は、ロシアが侵攻の初期段階で真空爆弾を使用したと非難していた。 カウシャルは本誌の取材に対し、「ロシアは、前線付近と後方地域の両方で、航空ミサイル活動を強化している」と述べた。「後方地域でのミサイル攻撃は、ウクライナのエネルギー網に負荷を与え、冬が訪れる前に迎撃機の燃料備蓄を消耗させることが狙いだ」 また、前線付近での活動は、ウクライナが防空を優先せざるを得なくなり、ロシア航空宇宙軍がその状況を「利用した」結果だ、とカウシャルは補足している。ロシアの滑空爆弾FABシリーズは射程が大きく、「より遠い(つまり、より安全な)距離から」発射できるため、「一部の地上配備型防空システムで彼ら(ロシア側)が直面するリスクを軽減」できる。 こうした攻撃の結果、ウクライナにとっては、ロシアの空軍基地を標的とすることが優先事項になっている。そしてこれが、西側の兵器を使ってロシア領の奥深くを攻撃するという考えをウクライナ側にもたらしている』、「ロシアの滑空爆弾FABシリーズは射程が大きく、「より遠い(つまり、より安全な)距離から」発射できるため、「一部の地上配備型防空システムで彼ら(ロシア側)が直面するリスクを軽減」できる。 こうした攻撃の結果、ウクライナにとっては、ロシアの空軍基地を標的とすることが優先事項になっている。そしてこれが、西側の兵器を使ってロシア領の奥深くを攻撃するという考えをウクライナ側にもたらしている」、なるほど。

次に、昨年12月12日付けNewsweek日本版が掲載した在英ジャーナリストの木村正人氏による「増加し続けるウクライナ軍の「脱走兵」は20万人に.…「限界見えたプーチン」との妥協はあるか」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2024/12/20-2_1.php
・『<ロシア軍はこの数カ月間、1日1000人超の犠牲者を出し続けているが、一方のウクライナ軍も苦しい状況に追い込まれている> [ロンドン発]半世紀以上にわたりシリアを支配してきたアサド独裁政権の呆気ない崩壊で有力支援国ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の限界が浮き彫りになる中、ロシアの侵略に抗してきたウクライナ軍からの脱走兵は累計で20万人に達したとの見方もある。 プーチン寄りの発言を繰り返し「大統領に返り咲いたら1日でウクライナ戦争を片付ける」と豪語してきたドナルド・トランプ米次期大統領の復活で、消耗戦に疲れ果てたロシアとウクライナが歩み寄る可能性も急浮上してきた。 2022年2月にロシアの全面侵攻が始まったウクライナ戦争の犠牲者はロシア軍の死傷者70万人以上。この数カ月、1日1000人以上の犠牲者を出している(米国防総省)。プーチンは北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記に北朝鮮兵1万1000人の援軍を頼んだ。 一方、ウクライナ軍は死者4万3000人、負傷者37万人(ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領)とされる。ロシア軍の攻勢が増す中、戦死するか、重傷でも負わない限り、ウクライナ兵に休息は認められない。 「トランプが戦争を早く終わらせてくれることを祈る」 英大衆紙デーリー・メール(12月12日付)は「トランプが戦争を早く終わらせてくれることを祈るばかりだ」というウクライナ軍脱走兵の言葉を伝えている。この脱走兵は「週末、地元の市場を訪れた時、今やどこにでもいるウクライナ軍のプレスギャングに連行された」という。) プレスギャングとは政府や軍によって公認され、しばしば本人の意思に反して強制的に個人を軍務に就かせる集団のことだ。英国では17~18世紀にプレスギャングが都市、港、町を歩き回り、英海軍の艦船で働かせる男たちを強制的に連れて行った。 この脱走兵はウクライナ軍の基地に連行され、ほとんど何の軍事訓練も受けずにウクライナ北東部ハルキウ近郊の最前線に送られると告げられた。「ふざけるな」と軍を脱走した。かつて脱走兵はウクライナでは「臆病者」と罵られたが、今年1~10月に約6万人が脱走したという』、「ロシアの全面侵攻が始まったウクライナ戦争の犠牲者はロシア軍の死傷者70万人以上。この数カ月、1日1000人以上の犠牲者を出している(米国防総省)。プーチンは北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記に北朝鮮兵1万1000人の援軍を頼んだ。 一方、ウクライナ軍は死者4万3000人、負傷者37万人(ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領)とされる・・・プレスギャングとは政府や軍によって公認され、しばしば本人の意思に反して強制的に個人を軍務に就かせる集団のことだ・・・かつて脱走兵はウクライナでは「臆病者」と罵られたが、今年1~10月に約6万人が脱走したという」、なるほど。
・『脱走法で起訴された兵士は10万人  ウクライナ検察庁によると、22年2月以降、脱走法で起訴された兵士は10万人超。米AP通信は、軍事問題に詳しいウクライナ最高議会議員の話として脱走兵の数は20万人にのぼると報じた。先月、同議会は脱走法を改正、初犯の脱走兵は部隊に戻れば起訴されないようにした。 これにより脱走兵の約2割が部隊に戻ったとデーリー・メール紙は報じている。ロシアの侵攻後、ウクライナは戒厳令を出し、十分な兵員を確保するため18~60歳の男性の出国を禁止した。16万人を追加動員するため今年4月、徴兵年齢が27歳から25歳に引き下げられた。) 18歳から志願による任意入隊は認められている。筆者は昨年5月、ウクライナ中部クリヴィー・リフの民間訓練キャンプで、アゾフ海に面した港湾都市マリウポリのアゾフスタリ製鉄所籠城戦でその名を鳴り響かせたアゾフ連隊を志願する若者たちを取材したことがある』、「脱走法で起訴された兵士は10万人超。米AP通信は、軍事問題に詳しいウクライナ最高議会議員の話として脱走兵の数は20万人にのぼると報じた」、なるほど。
・『15歳の「ヤクブ」は2回の戦闘任務を経験していた  9週間に及ぶ激しい訓練の後、アゾフ連隊に入隊できるかどうか試験を受ける。「アゾフ連隊に入って祖国を守りたい」と語った15歳の救急隊員ナザールは「ヤクブ」というコードネームを持ち、すでに2回の戦闘任務を経験していた。 武器弾薬を出し惜しみ、ロシア軍を蘇らせてしまったバイデン米政権は「ウクライナ軍は戦場での損失を補うための兵士を動員したり訓練したりしていない」と最低徴兵年齢を25歳から18歳に引き下げるよう求めている。 ゼレンスキー氏は第一の問題は兵士の数ではなく、適切な武器と訓練だと反論する。しかしポーランドの訓練キャンプからは月平均12人のウクライナ兵が脱走する。戦争で荒廃した祖国を再建するには若者たちの力が必要だ。ゼレンスキー氏はいま苦しい決断を迫られている』、「武器弾薬を出し惜しみ、ロシア軍を蘇らせてしまったバイデン米政権は「ウクライナ軍は戦場での損失を補うための兵士を動員したり訓練したりしていない」と最低徴兵年齢を25歳から18歳に引き下げるよう求めている。 ゼレンスキー氏は第一の問題は兵士の数ではなく、適切な武器と訓練だと反論する。しかしポーランドの訓練キャンプからは月平均12人のウクライナ兵が脱走する。戦争で荒廃した祖国を再建するには若者たちの力が必要だ。ゼレンスキー氏はいま苦しい決断を迫られている」、かつて。ウクライナ軍は士気が高く、脱走など考え難かったが、もはや普通の軍隊になったようだ。
タグ:(その9)(「核兵器を除く世界最強の爆弾」 ハルキウ州での「巨大爆発」映像をロシア側が公開 その真偽は、増加し続けるウクライナ軍の「脱走兵」は20万人に.…「限界見えたプーチン」との妥協はあるか) ウクライナ 「武器弾薬を出し惜しみ、ロシア軍を蘇らせてしまったバイデン米政権は「ウクライナ軍は戦場での損失を補うための兵士を動員したり訓練したりしていない」と最低徴兵年齢を25歳から18歳に引き下げるよう求めている。 ゼレンスキー氏は第一の問題は兵士の数ではなく、適切な武器と訓練だと反論する。しかしポーランドの訓練キャンプからは月平均12人のウクライナ兵が脱走する。戦争で荒廃した祖国を再建するには若者たちの力が必要だ。ゼレンスキー氏はいま苦しい決断を迫られている」、なるほど。 「脱走法で起訴された兵士は10万人超。米AP通信は、軍事問題に詳しいウクライナ最高議会議員の話として脱走兵の数は20万人にのぼると報じた」、なるほど。 かつて脱走兵はウクライナでは「臆病者」と罵られたが、今年1~10月に約6万人が脱走したという」、なるほど。 「ロシアの全面侵攻が始まったウクライナ戦争の犠牲者はロシア軍の死傷者70万人以上。この数カ月、1日1000人以上の犠牲者を出している(米国防総省)。プーチンは北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記に北朝鮮兵1万1000人の援軍を頼んだ。 一方、ウクライナ軍は死者4万3000人、負傷者37万人(ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領)とされる・・・プレスギャングとは政府や軍によって公認され、しばしば本人の意思に反して強制的に個人を軍務に就かせる集団のことだ・・・ 木村正人氏による「増加し続けるウクライナ軍の「脱走兵」は20万人に.…「限界見えたプーチン」との妥協はあるか」 Newsweek日本版 「ロシアの滑空爆弾FABシリーズは射程が大きく、「より遠い(つまり、より安全な)距離から」発射できるため、「一部の地上配備型防空システムで彼ら(ロシア側)が直面するリスクを軽減」できる。 こうした攻撃の結果、ウクライナにとっては、ロシアの空軍基地を標的とすることが優先事項になっている。そしてこれが、西側の兵器を使ってロシア領の奥深くを攻撃するという考えをウクライナ側にもたらしている」、なるほど。 「滑空爆弾ODAB-9000」「を使用するには、適切な航空機が必要だ。理論的には、戦略爆撃機Tu-160などが考えられるが、そのような航空機の移動は記録されていない」、なるほど。 「「真空爆弾」とも呼ばれる燃料気化爆弾は、周囲から酸素を取り込み、激しい高温燃焼を起こす。国際法に焦点を当てた赤十字の学術誌インターナショナル・レビュー・オブ・ザ・レッドクロスによれば、民間人が暮らす市街地で燃料気化爆弾を使用することは戦争犯罪にあたる可能性がある」、なるほど。 「真空爆弾」とも呼ばれる燃料気化爆弾は、周囲から酸素を取り込み、激しい高温燃焼を起こす。国際法に焦点を当てた赤十字の学術誌インターナショナル・レビュー・オブ・ザ・レッドクロスによれば、民間人が暮らす市街地で燃料気化爆弾を使用することは戦争犯罪にあたる可能性がある Newsweek日本版が掲載した「「核兵器を除く世界最強の爆弾」 ハルキウ州での「巨大爆発」映像をロシア側が公開、その真偽は」
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中国国内政治(その16)(中国の権力闘争が止まらない…習近平が文革を想起させる地で「軍への逆襲」始める中 李強が打って出た まさかの「除習」行動、中国・習近平 いよいよ「終わりの始まり」か…軍の「個人独裁」連続批判に追い詰められた習主席が孤独な恫喝、習近平 トランプ政権が仕掛ける「対中強硬」に防戦一方…!「関税」「合成麻薬」 そして再燃する「コロナ中国流出説」で 万事休すか、中国 チベットに世界最大級の水力発電ダム建設へ) [世界情勢]

中国国内政治については、昨年10月29日に取上げた。今日は、(その16)(中国の権力闘争が止まらない…習近平が文革を想起させる地で「軍への逆襲」始める中 李強が打って出た まさかの「除習」行動、中国・習近平 いよいよ「終わりの始まり」か…軍の「個人独裁」連続批判に追い詰められた習主席が孤独な恫喝、習近平 トランプ政権が仕掛ける「対中強硬」に防戦一方…!「関税」「合成麻薬」 そして再燃する「コロナ中国流出説」で 万事休すか、中国 チベットに世界最大級の水力発電ダム建設へ)である。

先ずは、昨年11月21日付け現代ビジネスが掲載した評論家の石 平氏による「中国の権力闘争が止まらない…習近平が文革を想起させる地で「軍への逆襲」始める中、李強が打って出た、まさかの「除習」行動』
https://gendai.media/articles/-/141820
・『排除された習近平が  11月6日掲載の「中国の『独裁体制』にいったい何が…『習近平の名前』が党中央政治局と人民解放軍の重要文書から消えた!」で、中国人民解放軍が10月30日に公表の重要文書において露骨な「習近平排除」を行ったことを伝えた。それから2週間が経ったころ、習近平主席は早速、軍への逆襲を始めた模様である。 11月4日、湖北省で視察中の習主席は、湖北某所に駐屯の解放軍落下傘部隊を視察した。習主席は地方視察中に解放軍部隊を視察することは往々にあるが、今回の場合、制服組トップの張又侠・中央軍事委員会副主席が習主席を実質上軍から排除して解放軍の掌握に成功したと観察されている中で、習主席の軍視察は大変注目すべき動きである。 10月15日から2日間、習主席は福建省を視察したが、その直前の14日に解放軍がまさに福建省を最前線にして台湾を囲んで軍事演習を行った。にもかかわらず、習主席が福建省視察中に軍の視察も軍との接触もいっさいなかったことは上記記事でも伝えたが、これと比べると、11月4日の解放軍視察はわざとらしくて、何かの特別な政治的意図があることは考えられる』、「解放軍視察はわざとらしくて、何かの特別な政治的意図があることは考えられる」、その通りだ。
・『何衛東・中国共産党中央軍事委員会副主席  そこで注目されるのは、習主席の落下傘部隊視察に同伴したのが、中央軍事委員会副主席で解放軍制服組No.2の何衛東氏であることだ。10月30日掲載の「習近平はもうおしまいなのか…中国人民解放軍で『静かなクーデター』!粛清に反抗してとうとう制服組トップが軍を掌握」で伝えたように、何氏は9月13日に北京で開催された安全保障関係の国際フォーラムに参加して以来、9月、10月中には公の場から姿を消して動静はいっさい伝わっていない。) 文化大革命前夜と同じく湖北省から(特に、10月中に軍事委員会副主席の張又侠氏が主宰した二つの軍の重要会議・イベントに、同じ副主席の何氏が連続的に欠席したことはもはや異常事態である。つまり、張氏が「静かな政変」を起こして軍からの習主席排除に成功した中で、主席側近の何氏も一緒に排除されたのではないかとの観測も成り立つのである。 しかし今、約50日間にわたって姿を消して何氏が突如現れて、習主席の落下傘部隊に視察に同伴した。そのことの意味するところは、習主席が側近の何氏と共に、張又侠たちの下剋上の「静かな政変」に対し「上からの政変」を起こして、軍への掌握権を奪い返しに奇襲してきたのではないかと見ることができる。 その際、習主席の「上からの政変」は地方の解放軍部隊への視察から始まったことも興味深い。つまり、軍の中央が張氏たちによって掌握される中で、習主席側は地方からそれを打破する突破口を作り、中央への逆襲に打って出た訳である。 かつての毛沢東時代、文化大革命の前夜、毛沢東が劉少奇一派より中央での発言力を排除された時、まさに地方視察を行なって中央への反撃を開始した。そして奇しくも、当時の毛沢東は湖北省視察の直後に、北京に戻って劉少奇一派打倒の文化大革命を発動した。今、「第二の毛沢東」を目指した習近平は、湖北省視察から、軍の掌握権の奪い返しに動き出した模様であるが、それが成功できるかどうかは、まさにこれからの見どころである』、「「第二の毛沢東」を目指した習近平は、湖北省視察から、軍の掌握権の奪い返しに動き出した模様であるが、それが成功できるかどうかは、まさにこれからの見どころである」、その通りだ。
・『古い休日復活の意味  習主席と解放軍との亀裂が深まる中で、今や政府の長として習主席と対立関係にある李強首相の動向が注目されている。その李強は最近になって再び、「習近平排除」とも思われるような小さな政治行動に出た。 11月12日配信の新華社通信報道によると、李首相は近日、「全国の祭日及び記念日休暇に関する条例を改定する国務院の決定」に署名し、それを実施に移したという。それによって、来年1月1日から、全国の法定休日が2日分増やされる。その中で大変注目されているのは、「除夕」という伝統祭日を法定休日に再び定めたことである。 「除夕」とは、旧正月の元旦の前日のこと、日本の「大晦日」にあたる。それは、中国人にとっては一家団欒の大切な日であって、除夕の夜、家族が集まって「年夜飯」という宴会の食卓を囲むのは遠い昔からの習俗である。従って遠い昔から、除夕の日に(あるいはその前日から)いっさいの仕事をやめて休むのは当たり前のことで不動の習慣であった。そして2008年1月から、除夕は国務院令をもって法定休日にも定められた。 しかし、2014年1月から、除夕はどういうわけか、同じ国務院令をもって法定休日から外された。除夕が休日ではなくなるのはおそらく、中国史上初めてのことであろう。その時、国務院は徐夕の休日外しの理由をきちんと説明しなかった』、「2014年1月から、除夕はどういうわけか、同じ国務院令をもって法定休日から外された。除夕が休日ではなくなるのはおそらく、中国史上初めてのことであろう。その時、国務院は徐夕の休日外しの理由をきちんと説明しなかった」、なるほど。
・『「除夕」、その発音の意味するところ  それに関する様々な推測が出ていたが、その中の有力説の一つは、2013年3月に中国の国家主席になったばかりの習近平氏が「除夕」を嫌っているからだ、というものである。 実は中国語では、「夕」という単語は習主席の名字の「習」とは全く同じ発音の「Xi」である。「除夕」は中国語で発音すればそのまま「除習=習近平を除く」となる。だから習主席がそれを忌避して除夕を休法定休日から外させた、ということが、民間での「定説」となっていた。 しかし10年後の今になって、李首相が国務院の決定として「除夕」を再び法定休日に指定して昔の伝統を回復させた。当然、李首相としては「除夕」が習近平政権の下で休日から外されたその経緯が分かっているはずだし、「習主席が除夕を嫌う」という広く流布されている民間の言い伝えを全く知らないとは思えない。 もし、李首相が全てを知った上で日この挙動に出たのであれば、これは李首相による一連の「習近平排除」の政治行動の一環として解釈することもできる。どうやら李首相は何の遠慮もなく、「除習」を着々とやって行くつもりのようだ。今後の展開は楽しみであろう』、「実は中国語では、「夕」という単語は習主席の名字の「習」とは全く同じ発音の「Xi」である。「除夕」は中国語で発音すればそのまま「除習=習近平を除く」となる。だから習主席がそれを忌避して除夕を休法定休日から外させた、ということが、民間での「定説」となっていた・・・10年後の今になって、李首相が国務院の決定として「除夕」を再び法定休日に指定して昔の伝統を回復させた。当然、李首相としては「除夕」が習近平政権の下で休日から外されたその経緯が分かっているはずだし、「習主席が除夕を嫌う」という広く流布されている民間の言い伝えを全く知らないとは思えない。 もし、李首相が全てを知った上で日この挙動に出たのであれば、これは李首相による一連の「習近平排除」の政治行動の一環として解釈することもできる。どうやら李首相は何の遠慮もなく、「除習」を着々とやって行くつもりのようだ。今後の展開は楽しみであろう」、その通りだ。

次に、12月22日付け現代ビジネスが掲載した評論家の石 平氏による「「中国・習近平体制、いよいよ「終わりの始まり」か…軍の「個人独裁」連続批判に追い詰められた習主席が孤独な恫喝」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/143662
・『習主席、「外野」からの反撃  中国の習近平国家主席と人民解放軍との「政治闘争」が、いよいよ佳境に入ってきた。これまでに習主席の側近幹部らが腐敗摘発などでその座を追われ、軍の伝統的な主流派である陸軍が習主席の影響力を排除し、人事面で支配権を握ることに成功している。そして、12月に入ってから、両者の言論戦はますます激しくなっているのである。 優勢なのは軍の側で、習近平主席は実は追い詰められている。この抗争で軍は、単に習主席の軍への支配権の喪失だけではなく、もはや、明らかに中国共産党内での習主席の個人独裁体制の否定を目指している。 そして12月16日、習主席はとうとう自ら反撃に出た。この日、習主席は共産党長老で故人となっている喬石氏の生誕百周年を記念する座談会に出席した。じつは国家主席がわざわざ出席するほどの行事では無いのだが別な意図があったのだろう。その中で「党の全面的指導と党中央の集中統一指導を終始堅持しなければならない」という「重要講話」を発したのである。 習主席がここで強調した「党中央の集中統一指導の堅持」は明らかに、12月11日に軍の機関紙「解放軍報」が集団指導体制を意味する「民主集中制」を提唱したことに対し反撃を行ったものだ。 習主席は軍事委員会主席として解放軍の名目上の最高統帥者である。にもかかわらず「解放軍報」の展開する「習近平批判」を圧殺することも、止めることもできなかった。「喬石生誕」という軍とは関係のない「外野」から反撃を行うしか無かったということは、習主席がすでに、軍に対するコントロールを完全に失っていることを意味する。さらいえば、こうした反撃が側近や子分によってではなく、習主席自身によって行われたことは、子分たちがすでに習近平と距離をおいたことの兆候であるのかもしれない』、「習主席は軍事委員会主席として解放軍の名目上の最高統帥者である。にもかかわらず「解放軍報」の展開する「習近平批判」を圧殺することも、止めることもできなかった。「喬石生誕」という軍とは関係のない「外野」から反撃を行うしか無かったということは、習主席がすでに、軍に対するコントロールを完全に失っていることを意味する・・・子分たちがすでに習近平と距離をおいたことの兆候であるのかもしれない」、なるほど。
・『「恫喝」するまでに追い詰められたのか  そして、同時に、習主席はもう一つの行動に出た。同じ16日の「人民日報」の一面トップには、習主席の文章が党機関誌の「求是」に掲載されることを予告する記事がでた。そこで紹介されている「習近平文章」の中には、「党の自己革命」の命題に関連して次のような言葉があった。 「外部環境の変化と党員集団自身の変化に伴って、党内では不可避的にさまざまな矛盾と問題が生じてくる。われわれは刃を内部に向ける勇気を持って、あらゆる消極的な影響を除去しなければならない」という。 ここでは習近平は、「党内でさまざま矛盾や問題が生じている」との表現を使って、党内で対立が生じてきていることを認めた上で、それへの対策としては「刃を内部に向ける」という殺気の立つ、際どい言葉を使って、自分への攻撃に対する恫喝を行ったのである。 習主席が、ここまでの反撃に出たのには理由がある。11月に習主席が抜擢した、党中央軍事委員会政治工作部の苗華・主任が失脚したことで、軍内部での習主席の影響力排除は完結していた。しかし、軍の習主席批判は、それで終わりにはならなかった。12月に入ってから、軍の機関紙「解放軍報」が執拗に、批判論評を掲載し続けているのである。このことは、習主席と反習派の「政治抗争」が新たな段階に入ったことを示唆している』、「軍の機関紙「解放軍報」が執拗に、批判論評を掲載し続けているのである。このことは、習主席と反習派の「政治抗争」が新たな段階に入ったことを示唆している」、なるほど。
・『鄧小平を持ち出して習近平批判の意味  12月9日、「解放軍報」は「集団的指導体制を堅持せよ」と題する論評を掲載した。「集団的指導体制」というのは、鄧小平時代の共産党指導部が、文革などの災難をもたらした毛沢東の個人独裁体制に対する反省から提唱したものであって、江沢民・胡錦濤政権時代も共産党指導体制の「基本原則」として貫徹されていた。 しかし習近平政権時代になると、習主席はそれを徐々に破壊して、一昨年の党大会では毛沢東以上の個人独裁体制を確立した。したがって今回の解放軍報論評は、タイトル一つにしても、まさに「鄧小平回帰、習近平批判」の色彩の強いものである。 そして内容を見てみると、冒頭から「我が党においては、重大な意思決定は個人によってではなく集団によって行われるのは伝統である」と鄧小平の発言を引用。 さらに「党の指導というのは党委員会による集団的指導であって、一人、二人の指導者の指導ではない。つまり、各級党組織の指導体制の中では、何人といえども、集団的指導体制を堅持なければならないし、重大問題の意思決定は集団の討議によって行うべきである。個人は組織に従い、少数は多数に従う。個人が上から指導集団を凌駕するようなことは絶対あってはならない」。 「一部の党委員会では、重要な決定は党委員会会議によってではなく、個人が決めることとなっている。党委員会は飾り物となっている。個別の主要指導者が集中を口実にして家父長的な“鶴の一声”で物事を決め、集団的指導体制を無きもの同然にしている」と続く。 ここでは名指しはされていないものの、ほぼ完全に習主席その人に矛先を向けたものであることは現在の中国政治の現状を多少とも知っている人であれば直ぐに分かる。中でも「個別の主要指導者」という表現は相当露骨なものである。要するに、読む人がすぐに分かってくれるように、批判の対象が習主席であることを強く示唆しているのである』、「ここでは名指しはされていないものの、ほぼ完全に習主席その人に矛先を向けたものであることは現在の中国政治の現状を多少とも知っている人であれば直ぐに分かる。中でも「個別の主要指導者」という表現は相当露骨なものである。要するに、読む人がすぐに分かってくれるように、批判の対象が習主席であることを強く示唆しているのである」、なるほど。
・『「個人独裁批判」  そして12月11日、「解放軍報」はまたもや、「個人独裁批判」の論評を掲載した。「先頭に立って党内民主を発揚させよう」をタイトルとするこの論評は、「民主集中制」という言葉を持ち出して次のように論じている。 「民主集中制というのは、先に民主があって後に集中がある。党の組織の中では、書記・副書記は平の委員とは平等の関係であり、問題を討議し決定するときには平等の発言権と表決権を有する。……書記は“班長”」ではあるが、“一家の主人”ではない。書記と委員との関係は上下関係ではない」と。 9日掲載の解放軍報論評は「党の指導というのは党委員会による集団的指導であって、一人、二人の指導者の指導ではない」と述べてかなり露骨な「習近平批判」を行ったが、ここで、「書記」という言葉を使ってより一層明確に、その矛先はまさに「習近平総書記」に向けていることを示唆している。そして「書記は一家の主人ではない」という言葉はまた、習近平のワンマン独裁体制に対する真正面からの否定と批判であるに他なない。 論評がここで持ち出した「民主集中制」というのは一応、中国共産党(そして、日本共産党も)の政治伝統の一つであるが、それはかなり玉虫色のものであって、同じ「民主集中制」と言っても「民主」を強調する場合と「集中」を強調するのと全然違う。しかし上述の解放軍報は明らかに「民主」の方を強調するものであって、要するに共産党の政治伝統を持ち出して今の習近平独裁政治を批判しているのである。 12月18日、「解放軍報」はさらに論評を掲載した。今回のタイトルは「先頭に立って実のあることを確実にやろう」というようなものであって一見、今までの論評とは無関係であるが、実はそうではない。中国国内では、「大言壮語ばかり吐いて実際のことは何できない」という「習近平像」が定着している中で、そのタイトル自体は習近平風刺だと理解できるし、さらにその内容はやはり、上述の「民主集中制」を持ち出してその重要性を強調しているのである。 このようにして、軍の「習近平独裁体制批判」は収束することなく、むしろバージョンを変えてエスカレートしてきている観であるが、それは、1)解放軍の「習近平批判」は発作的・偶発的なものではなく、計画的・確信犯的なものであることを示している。2)さらに、軍は全く習近平を恐れていないこと、自分たちが習近平によって何かをされるのを心配していないことを意味する。習近平の軍支配が、すでに終わったことはこれでよく分かる』、「1)解放軍の「習近平批判」は発作的・偶発的なものではなく、計画的・確信犯的なものであることを示している。2)さらに、軍は全く習近平を恐れていないこと、自分たちが習近平によって何かをされるのを心配していないことを意味する。習近平の軍支配が、すでに終わったことはこれでよく分かる」、なるほど。
・『抗争は激化する  以前、7月27日に、同じ「解放軍報」は、「党内政治生活の低俗化は戒めるべき」という論評の中で、「いま、個別なところでは党内政治生活が正常さを失い、個人は党組織の上に凌駕し、家長制的なやり方で、鶴の一声で物事を決めるようなことが起きている」と、独裁者の習近平主席を暗に批判した。今回の一連の論評はこの延長線の上でより露骨な習近平批判を展開し、さらに鄧小平時代の集団的指導体制を持ち出してそれを高く評価したところに注目のポイントがある。 習政権3期目に入り、ここまで習主席が引き上げた軍幹部の腐敗問題での粛清が続き、11月の党中央軍事委員会政治工作部の苗華・主任失脚で、制服組トップの張又侠軍事委員会副主席らの勢力が習主席の指導権を軍から排除することに成功した。 しかし、その後の12月の一連の解放軍報論評を見ていると、どうやら張副主席らは、習主席の指導権を軍から排除しただけでは満足しておらず、党の指導体制を鄧小平の集団的指導体制に戻すことによって、党全体に対する習近平個人独裁体制の終了を目指している模様である。 冒頭で紹介した、習主席の「恫喝」は、このような自分に対する攻撃への威嚇である。しかし、それに、どれほどの効果があるかは疑問である。問題は、張又侠氏らの軍の実力者たちたちはこのような恫喝を受けて、自分たちを守っていくためにはむしろより一層「反習近平」に走ってしまい、習主席と軍との対立がより深まって激化する可能性が十分にあることだ。 来年からの展開はまさに「楽しみ」である。 【さらに詳しく】中国の権力闘争が止まらない…習近平が文革を想起させる地で「軍への逆襲」始める中、李強が打って出た、まさかの「除習」行動』、「習主席の「恫喝」は、このような自分に対する攻撃への威嚇である。しかし、それに、どれほどの効果があるかは疑問である。問題は、張又侠氏らの軍の実力者たちたちはこのような恫喝を受けて、自分たちを守っていくためにはむしろより一層「反習近平」に走ってしまい、習主席と軍との対立がより深まって激化する可能性が十分にあることだ。 来年からの展開はまさに「楽しみ」である」、なるほど。

第三に、12月4日付け現代ビジネスが掲載した経済産業研究所コンサルティングフェローの藤 和彦氏による「習近平、トランプ政権が仕掛ける「対中強硬」に防戦一方…!「関税」「合成麻薬」、そして再燃する「コロナ中国流出説」で、万事休すか」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/142540?imp=0
・『再燃する「新型コロナ“中国”流出説」 トランプ次期政権の主要人事がほぼ固まりつつある。とりわけ対中国、習近平国家主席にとって厳しい人事となったのが、前国家情報長官のジョン・ラトクリフ氏が中央情報局(CIA)長官に指名されたことだろう。 なにしろ、彼は対中強硬派であり、ウイグル人の強制労働など人道的罪や武漢ウイルス研究所から新型コロナウイルスが流出したことを隠蔽していたと主張していることで知られているからだ。 折しも、中国で厳格なゼロコロナ政策に抗議する「白紙運動」が起きてから、11月27日で2年が経過した。 2年が経過した今も当局による監視が続いているが、景気低迷のせいで社会全体に不満がたまり、やり場のない怒りが無差別殺傷事件(社会報復事件)という形で、中国各地で噴出している感がある。 「社会報復事件を起こす犯罪予備軍の数は億単位に上る」との分析もあり、世界に冠たる監視システムを構築した中国政府はさらなる対策の実施を余儀なくされている。 米トランプ政権の復活で、中国の置かれる立場はますます厳しいものとなるだろう』、「世界に冠たる監視システムを構築した中国政府はさらなる対策の実施を余儀なくされている」、なるほど。
・『国防予算を上回る「治安維持費」1  1月24日付シンガポール華字メデイア「聯合早報」は「中国の司法当局はビッグデータを活用した予測により防犯能力を高めようとしている」と報じた。 それによれば、中国共産党中央政法委員会は地方当局に対し、ビッグデータの分析を通じて事件発生のリスクを予測し、正確かつ精密な防犯能力を向上させるための調査研究を要求したという。 中国政府ご自慢のハイテクを駆使した犯罪抑止策だ。これにより、一定の効果が出るかもしれないが、不満を抱える国民に対し、中国政府が真摯な態度で向き合わなければ抜本的な治安の改善は望めないのではないかとの不安が頭をよぎる。 中国政府が国内の治安維持などに使う公共安全予算は、2015年以来、国防予算を上回っている。 昨今の治安悪化を踏まえ、公共安全予算はさらに拡大し、中国政府にとって大きな圧迫要因となる可能性は十分にある』、「中国政府が国内の治安維持などに使う公共安全予算は、2015年以来、国防予算を上回っている。 昨今の治安悪化を踏まえ、公共安全予算はさらに拡大し、中国政府にとって大きな圧迫要因となる可能性は十分にある」、なるほど。
・『「チャイナ・ガール」の規制  さらに、トランプ次期政権が大きな圧迫要因となることは避けられない。 トランプ次期大統領は、11月25日「中国からのほぼ全ての輸入品に対して追加で10%の関税をかける」と自身のSNSに投稿した。中国からメキシコなどを経由し、合成麻薬「フェンタニル」が米国に流入していることがその理由だ。 トランプ氏は「中国と何度も話し合ったが無駄だった。フェンタニルはこれまでにない水準で米国に流れ込んでいる」と批判している。 米国では毎年、フェンタニルの過剰摂取で約7万人が死亡している。フェンタニルを米国に持ち込んでいるのはメキシコの麻薬組織だが、その原材料を供給しているのは中国であることから、米国では「チャイナ・ガール」と呼ばれている。 トランプ氏は選挙期間中「メキシコと中国がフェンタニルの米国の流入を阻止するまで両国からの輸入品に25%の関税をかける」と主張しており、その公約を早期に実施する構えを見せた形だ。 これに対し、中国政府は「フェンタニルの原料に対する統制を既に実施しており、バイデン政権はこれを評価している」と猛反発している。 「デイール(取引)」に応じようとしない中国に対し、トランプ氏がさらに圧力をかけてくるのは時間の問題だ』、「バイデン政権はこれを評価している」と猛反発」、「バイデン」のような甘い姿勢でなく、「トランプ」が「さらに圧力をかけてくるのは時間の問題だ」、楽しみだ。
・『アヘン戦争から「コロナ戦争」へ  トランプ氏は「関税」を武器としているが、大統領に自由裁量が与えられているわけではなく、法的な根拠が必要だ。 トランプ氏が拠り所にしているのは、通商法232条だとされている。国家安全保障のために関税を利用する権限を大統領に与えた条項で、トランプ氏は1期目にこれを根拠に鉄鋼やアルミニウムの輸入関税を引き上げた。フェンタニルについては、「21世紀版アヘン戦争を仕掛ける中国に対する対抗措置だ」という正当な理由があるというわけだ。 これに加えて、筆者は「『2匹目のドジョウ』がいる」と考えている。それが、もちろん冒頭に紹介した「新型コロナウイルス」の流出隠蔽への追及が高まることだ。 後編『アメリカ諜報機関が狙う「新型コロナ起源説」で習近平、万事休すか…!中国を丸裸にする次期CIA長官の「ヤバすぎる履歴書」』でじっくりとお伝えしていこう』、「「新型コロナウイルス」の流出隠蔽への追及が高まる」を『2匹目のドジョウ』として活用するのであれば、成果が楽しみだ。

第四に、9月6日付け現代ビジネスが掲載した経済産業研究所コンサルティングフェローの藤 和彦氏による「習近平の大誤算…!現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/115662
・『中国系企業から「ヤバいウイルス」が見つかった!  新型コロナウイルスの起源が、中国の「武漢ウイルス研究所」であるとの認識がアメリカの政府系機関の間で広がっている。 前編『習近平は何を隠したのか…?新型コロナの“起源”がアメリカで次々と明らかとなる「ヤバすぎる事情」』でお伝えしたとおり、今年に入ってからも米ウオール・ストリート・ジャーナルや、英「サンデータイムズ」(イギリスの日刊紙「タイムズ」の週末版)などで次々に報じられた。 サンデータイムズによれば、遅くとも2017年から中国軍事医学科学院と共同で秘密裡にコロナウイルス研究を実施していた武漢ウイルス研究所は、アメリカの非営利団体「エコヘルス・アライアンス」を介して65万ドルもの米連邦資金を得ていたという(なお、米国政府は7月17日、武漢ウイルス研究所の米連邦資金へのアクセスを停止する決定を行った)。 しかし、この8月、さらに衝撃的な事実が明らかになった。 カリフォルニア州フレズノ郡リードレー市にある中国系企業プレステージ・バイオテック社が運営する研究施設から、新型コロナウイルスを含む20種類以上の病原体が見つかったのだ』、「武漢ウイルス研究所は、アメリカの非営利団体「エコヘルス・アライアンス」を介して65万ドルもの米連邦資金を得ていたという」、「カリフォルニア州フレズノ郡リードレー市にある中国系企業プレステージ・バイオテック社が運営する研究施設から、新型コロナウイルスを含む20種類以上の病原体が見つかったのだ」、後者に至ってはとんでもないことだ。
・『なんと「流出説」は中国体制派からも飛び出した!  新型コロナ以外の病原体では、HIV、マラリア、風疹、ヘルペス、デングなどのウイルスが検出されている。 研究施設からは、新型コロナに感染するよう遺伝子操作された約1000匹のネズミや800に及ぶ化学物資、血液などの体液、大量の医療廃棄物なども発見されている。プレステージ・バイオテック社は、新型コロナなどの迅速検査法を開発していたようだが、リードリー市から正式なライセンスを取得していなかったため、同市は今年3月に同施設に立ち入り調査を実施するまでその活動を全く把握していなかった。 中国系企業が新型コロナを使った実験を秘密裡に実施していたことが明るみになったことで、米国では「武漢ウイルス研究所説」への関心が再び高まっている。 中国側からも驚くべき発言が飛び出している。 英BBCは5月30日「中国の疾病管理センター(CDC)の責任者を辞任した高福氏が、『新型コロナが研究施設から流出した可能性を排除すべきではない』と述べた」と報じた。 中国政府は、これまで武漢ウイルス研究所流出説に声高に反論してきたが、高福氏の発言は明らかに毛色が異なる。 さらに、高氏は「武漢ウイルス研究所に対して何らかの正式調査が行われた」と指摘しており、中国政府は公式発表以上に研究所流出説を深刻に受け止めていることがうかがえる』、これらの事実関係をもっと明確に調べるべきだ。
・『習近平の見る「悪夢」  足元の状況は習近平国家主席にとって悪夢だと言っても過言ではない。 トランプ前大統領は、今年3月「中国にパンデミックの責任をとらせる」という2020年の大統領選の公約を再び持ち出している。補償金の総額は60兆ドル、中国の国内総生産(GDP)の4倍近くに相当する。 ポピュリストのトランプ氏は、新型コロナに関する中国への懲罰は米国を始め国際社会の支持を得やすいと考えているようだ。) 2020年半ばに国際社会から中国に賠償を求める声が出始めたとき、中国メデイアは「八カ国連合軍の再現だ」と猛反発した。1900年、義和団の暴徒に包囲された北京の公使館の解放を理由に、日本を始め列強8ヵ国は中国に軍隊を派遣した。 その後、清朝は巨額の賠償金を課され、1912年に滅亡した。 新型コロナに関する「不都合な真実」が白日の下にさらされるような事態になれば、中国共産党政府も清朝の二の舞を踏むことになってしまうのだろうか。  さらに関連記事『中国「最新官製地図」がヤバすぎる…! 南シナ海とインド国境地帯を勝手に自国領表記のやりたい放題を看過すべきか』では、いま起きている“もうひとつの異変”について詳しくお伝えしている』、中国政府の主張は必ずしも筋が通ったものばかりではないので、「中国共産党政府も清朝の二の舞を踏むことになってしまう」可能性も否定できない。

第五に、12月27日付けNewsweek日本版「中国、チベットに世界最大級の水力発電ダム建設へ」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/12/530826.php
・『中国はチベット自治区を流れるヤルンツァンポ川の下流に世界最大級の水力発電ダムを建設する計画を承認した。 中国の二酸化炭素(CO2)排出量削減目標の達成において大きな役割を果たし、関連産業を刺激し、チベットでの雇用を創出すると期待されている。新華社通信が25日に報じた。 ダム建設費用は、2542億元(348億3000万ドル)を要した三峡ダムを上回ると予想されている。 ダム建設費用は、2542億元(348億3000万ドル)を要した三峡ダムを上回ると予想されている。 当局はこのプロジェクトがどれだけの人々を移住させ、地域の多様な生態系にどのような影響を与えるかを明らかにしていない。 ただ、当局によれば、チベットでの水力発電プロジェクトは、中国の水力発電能力の3分の1以上を保持しており、環境や下流の水供給に大きな影響を与えることはないという。 それにもかかわらず、インドとバングラデシュはダムに対する懸念を表明している。このプロジェクトは、地元の生態系だけでなく、下流の川の流れや流路をも変える可能性があるとみられているためだ。 ヤルンツァンポ川はチベットを離れるとブラマプトラ川となり、南下してインドのアルナーチャル・プラデーシュ州とアッサム州に流れ込み、最終的にバングラデシュに流れる』、中国政府は三峡ダムを例にみても、環境問題に正しく取り組むインセンティブを欠いているだけに、問題が多い。「インド」と「バングラデシュ」など利害が絡む国も交えた国際的な解決も、リダーダーシップを取る中立的な国がないだけに難しいだろう。
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中国情勢(軍事・外交)(その17)(アメリカ諜報機関が狙う「新型コロナ起源説」で習近平 万事休すか…!中国を丸裸にする次期CIA長官の「ヤバすぎる履歴書」、習近平 トランプ政権が仕掛ける「対中強硬」に防戦一方…!「関税」「合成麻薬」 そして再燃する「コロナ中国流出説」で 万事休す) [世界情勢]

中国情勢(軍事・外交)については、昨年10月29日に取上げた。今日は、(その17)(アメリカ諜報機関が狙う「新型コロナ起源説」で習近平 万事休すか…!中国を丸裸にする次期CIA長官の「ヤバすぎる履歴書」、習近平 トランプ政権が仕掛ける「対中強硬」に防戦一方…!「関税」「合成麻薬」 そして再燃する「コロナ中国流出説」で 万事休す)である。 
https://gendai.media/articles/-/142541?imp=0
先ずは、昨年12月4日付け現代ビジネスが掲載した経済産業研究所コンサルティングフェローの藤 和彦氏による「アメリカ諜報機関が狙う「新型コロナ起源説」で習近平、万事休すか…!中国を丸裸にする次期CIA長官の「ヤバすぎる履歴書」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/142541?imp=0
・『「コロナ中国流出説」の復活  中国で厳格なゼロコロナ政策に抗議する「白紙運動」が起きてから、11月27日で2年が経過した。 前編『習近平、トランプ政権が仕掛ける「対中強硬」に防戦一方…!「関税」「合成麻薬」、そして再燃する「コロナ中国流出説」で、万事休すか』で紹介したように、2年が経過した今も当局による監視が続いているが、景気低迷のせいで社会全体に不満がたまり、やり場のない怒りが無差別殺傷事件(社会報復事件)という形で、中国各地で噴出している感がある。 CIA長官に指名されたジョン・ラトクリフ前国家情報長官 トランプ次期政権の主要人事がほぼ固まりつつある。とりわけ対中国、習近平国家主席にとって厳しい人事となったが、前国家情報長官のジョン・ラトクリフ氏が中央情報局(CIA)長官に指名されたことだろう。 なにしろ、彼は対中強硬派であり、武漢ウイルス研究所から新型コロナウイルスが流出したことを隠蔽していたと主張していることで知られているからだ。 トランプ氏は7月の共和党の大統領候補指名受諾演説で、新型コロナウイルスのことを「中国ウイルス」と呼び捨てた。「中国発の新型コロナのせいで自身の再選が阻まれた」との思いが去来したのだろう。 バイデン政権は情報機関に新型コロナの起源に関する調査を指示したが、「自然発生説」と「武漢ウイルス研究所」からの流出説を巡って意見が分かれ、結論が出なかった。だが、トランプ次期政権下で結論が下される可能性が高まっている』、煮え切らない「バイデン」よりも、「トランプ」の方が分かり易い。
・『「対中強硬派」ラトクリフの主張  米国の保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」は今年7月、新型コロナのパンデミックに対して中国の責任を追及する報告書を発表した。 その作成のために設置された超党派委員会のトップを務めたのが、CIA長官に就任するラトクリフ氏だった。 報告書は「安全管理が杜撰な武漢ウイルス研究所から新型コロナウイルスが流出した」と断定した上で「パンデミックによる米国の経済的損失は昨年の米国のGDPの65%に相当する18兆ドル(約2700兆円)に上る。ドイツ政府がホロコースト被害者に補償したように、中国政府に損害の賠償を求めるべきだ」と結論づけている。 糾弾された側の中国政府は「新型コロナの起源は米国だ」とする従来の主張を変えていない。米国では「中国では新型コロナウイルスを生み出した『機能獲得研究』がさかんに実施されており、次のパンデミック発生の脅威が迫っている」との危機感も強い』、「米国の保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」は「「安全管理が杜撰な武漢ウイルス研究所から新型コロナウイルスが流出した」と断定した上で「パンデミックによる米国の経済的損失は昨年の米国のGDPの65%に相当する18兆ドル(約2700兆円)に上る。ドイツ政府がホロコースト被害者に補償したように、中国政府に損害の賠償を求めるべきだ」と結論づけ」、「中国政府に損害の賠償を求めるべき」との結論は勇ましい。
・『関税はまちがいなく中国を追い詰める…!  18兆ドルの損害を出しても一向に改悛の姿勢を示さない中国に対して、安全保障上の要請から追加関税を10%から60%に引き上げれば、インフレが再発したとしても多くの米国人は拍手喝采を送ることだろう。 ロイターのエコノミストたちは、「トランプ次期政権は来年序盤に中国からの輸入品に40%近い関税を課し、中国の経済成長率は最大1ポイント押し下げられる」と予測しており、デフレ地獄に陥りつつある中国経済にとって致命傷になってしまう。 トランプ氏の関税攻勢に「勝者はない」とうそぶく中国だが、確実な敗者が中国であることは間違いないのではないだろうか。 さらに連載記事『習近平の大誤算…!現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身』では、これまでのトランプの発言からコロナ起源論争の行方を考えてみよう』、「ロイターのエコノミストたちは、「トランプ次期政権は来年序盤に中国からの輸入品に40%近い関税を課し、中国の経済成長率は最大1ポイント押し下げられる」と予測しており、デフレ地獄に陥りつつある中国経済にとって致命傷になってしまう」、なるほど。

次に、12月4日付けYahooニュースが転載した藤 和彦経済産業研究所コンサルティングフェローによる現代ビジネス「習近平、トランプ政権が仕掛ける「対中強硬」に防戦一方…!「関税」「合成麻薬」、そして再燃する「コロナ中国流出説」で、万事休す』、興味深そうだ。
・『再燃する「新型コロナ“中国”流出説」  トランプ次期政権の主要人事がほぼ固まりつつある。とりわけ対中国、習近平国家主席にとって厳しい人事となったのが、前国家情報長官のジョン・ラトクリフ氏が中央情報局(CIA)長官に指名されたことだろう。 なにしろ、彼は対中強硬派であり、ウイグル人の強制労働など人道的罪や武漢ウイルス研究所から新型コロナウイルスが流出したことを隠蔽していたと主張していることで知られているからだ。 折しも、中国で厳格なゼロコロナ政策に抗議する「白紙運動」が起きてから、11月27日で2年が経過した。 2年が経過した今も当局による監視が続いているが、景気低迷のせいで社会全体に不満がたまり、やり場のない怒りが無差別殺傷事件(社会報復事件)という形で、中国各地で噴出している感がある。 「社会報復事件を起こす犯罪予備軍の数は億単位に上る」との分析もあり、世界に冠たる監視システムを構築した中国政府はさらなる対策の実施を余儀なくされている』、「景気低迷のせいで社会全体に不満がたまり、やり場のない怒りが無差別殺傷事件(社会報復事件)という形で、中国各地で噴出している感がある。 「社会報復事件を起こす犯罪予備軍の数は億単位に上る」との分析もあり、世界に冠たる監視システムを構築した中国政府はさらなる対策の実施を余儀なくされている」、なるほど。
・『米トランプ政権の復活で、中国の置かれる立場はますます厳しいものとなるだろう。 国防予算を上回る「治安維持費」  11月24日付シンガポール華字メデイア「聯合早報」は「中国の司法当局はビッグデータを活用した予測により防犯能力を高めようとしている」と報じた。 それによれば、中国共産党中央政法委員会は地方当局に対し、ビッグデータの分析を通じて事件発生のリスクを予測し、正確かつ精密な防犯能力を向上させるための調査研究を要求したという。 中国政府ご自慢のハイテクを駆使した犯罪抑止策だ。これにより、一定の効果が出るかもしれないが、不満を抱える国民に対し、中国政府が真摯な態度で向き合わなければ抜本的な治安の改善は望めないのではないかとの不安が頭をよぎる。 「中国政府ご自慢のハイテクを駆使した犯罪抑止策だ。これにより、一定の効果が出るかもしれないが、不満を抱える国民に対し、中国政府が真摯な態度で向き合わなければ抜本的な治安の改善は望めないのではないかとの不安が頭をよぎる」、同感である。中国政府が国内の治安維持などに使う公共安全予算は、2015年以来、国防予算を上回っている。 昨今の治安悪化を踏まえ、公共安全予算はさらに拡大し、中国政府にとって大きな圧迫要因となる可能性は十分にある』、「公共安全予算」が「2015年以来、国防予算を上回っている」とは驚かされた。「昨今の治安悪化を踏まえ、公共安全予算はさらに拡大し、中国政府にとって大きな圧迫要因となる可能性は十分にある」、同感である。
・「チャイナ・ガール」の規制  さらに、トランプ次期政権が大きな圧迫要因となることは避けられない。 トランプ次期大統領は、11月25日「中国からのほぼ全ての輸入品に対して追加で10%の関税をかける」と自身のSNSに投稿した。中国からメキシコなどを経由し、合成麻薬「フェンタニル」が米国に流入していることがその理由だ。 トランプ氏は「中国と何度も話し合ったが無駄だった。フェンタニルはこれまでにない水準で米国に流れ込んでいる」と批判している。 米国では毎年、フェンタニルの過剰摂取で約7万人が死亡している。フェンタニルを米国に持ち込んでいるのはメキシコの麻薬組織だが、その原材料を供給しているのは中国であることから、米国では「チャイナ・ガール」と呼ばれている。 トランプ氏は選挙期間中「メキシコと中国がフェンタニルの米国の流入を阻止するまで両国からの輸入品に25%の関税をかける」と主張しており、その公約を早期に実施する構えを見せた形だ。 これに対し、中国政府は「フェンタニルの原料に対する統制を既に実施しており、バイデン政権はこれを評価している」と猛反発している。 「デイール(取引)」に応じようとしない中国に対し、トランプ氏がさらに圧力をかけてくるのは時間の問題だ』、「トランプ氏は選挙期間中「メキシコと中国がフェンタニルの米国の流入を阻止するまで両国からの輸入品に25%の関税をかける」と主張しており、その公約を早期に実施する構えを見せた形だ・・・「トランプ」頑張れ」、。
・『アヘン戦争から「コロナ戦争」へ  トランプ氏は「関税」を武器としているが、大統領に自由裁量が与えられているわけではなく、法的な根拠が必要だ。 トランプ氏が拠り所にしているのは、通商法232条だとされている。国家安全保障のために関税を利用する権限を大統領に与えた条項で、トランプ氏は1期目にこれを根拠に鉄鋼やアルミニウムの輸入関税を引き上げた。フェンタニルについては、「21世紀版アヘン戦争を仕掛ける中国に対する対抗措置だ」という正当な理由があるというわけだ。 これに加えて、筆者は「『2匹目のドジョウ』がいる」と考えている。それが、もちろん冒頭に紹介した「新型コロナウイルス」の流出隠蔽への追及が高まることだ。 後編『アメリカ諜報機関が狙う「新型コロナ起源説」で習近平、万事休すか…!中国を丸裸にする次期CIA長官の「ヤバすぎる履歴書」』でじっくりとお伝えしていこう』、「「新型コロナウイルス」の流出隠蔽への追及が高まること」が「「『2匹目のドジョウ』がいる」とは言い得て妙だ。「アヘン戦争から「コロナ戦争」へ」、これも「トランプ」頑張れだ。
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韓国(尹錫悦大統領)(その3)(韓国戒厳令 「第2次朝鮮戦争」寸前の危機だった? 韓国メディアが報じている“衝撃シナリオ”の全貌、大統領の「自爆」クーデターと 韓国で続いていた「軍人政治」) [世界情勢]

韓国(尹錫悦大統領)については、12月18日に取上げた。今日は、(その3)(韓国戒厳令 「第2次朝鮮戦争」寸前の危機だった? 韓国メディアが報じている“衝撃シナリオ”の全貌、大統領の「自爆」クーデターと 韓国で続いていた「軍人政治」)である。
・先ずは、12月23日付け デイリー新潮が掲載した「韓国戒厳令 「第2次朝鮮戦争」寸前の危機だった? 韓国メディアが報じている“衝撃シナリオ”の全貌」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/12231053/?all=1
・『内乱容疑で次々と逮捕  突如、戒厳令を宣布して国民の強い怒りを買った韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が、2度目の国会採決でついに可決された。前代未聞の展開のウラで、一体何が起こっていたのか。韓国メディア、関係者の証言から紐解く。 これまで、首謀者とされる金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防相、呂寅兄(ヨ・インヒョン)前国軍防諜司令官、辞任した李祥敏(イ・サンミン)前行政安全相、戒厳司令官を務めた朴安洙(パク・アンス)陸軍参謀総長、警察庁の趙志浩(チョ・ジホ)長官、ソウル警察庁の金峰埴(キム・ボンシク)長官らが内乱容疑で次々と逮捕・告発された。...』、「首謀者とされる金龍顕・・・前国防相、呂寅兄・・・前国軍防諜司令官、辞任した李祥敏・・・前行政安全相、戒厳司令官を務めた朴安洙・・・陸軍参謀総長、警察庁の趙志浩・・・長官、ソウル警察庁の金峰埴・・・長官らが内乱容疑で次々と逮捕・告発された」、なるほど。
・『明かされた戒厳軍の計画  韓国の脱北者団体が体制批判ビラを飛ばしたことへの報復として、北朝鮮が5月末から大量の汚物風船を韓国領土へ飛ばした。そのさなか、ユン大統領の頭の中には「ドローン機による平壌侵入→北朝鮮軍部の反撃→韓国側による汚物風船拠点への攻撃→南北局地戦→戒厳令宣布→野党党首らの逮捕」というロードマップが描かれていたのかもしれない。 実際、10月11日、北朝鮮外務省は「韓国が2週間にわたり平壌にドローンを夜間侵入させ我が国を批判するビラを飛ばした。侵犯が再び確認されれば宣戦布告と見なし即時報復する」と非難した。 金正恩(キム・ジョンウン)総書記の実妹で強い影響力を持つ朝鮮労働党中央委員会宣伝扇動部の金与正(キム・ヨジョン)副部長は「ドローン機が再び飛来すれば恐ろしい結果につながる。挑発行為をしている韓国軍の中にギャング集団がいる明確な証拠がある」と警告していた。 北朝鮮はこのドローン機の写真を公開しており韓国軍の偵察ドローン機であると主張している。韓国は当初、北朝鮮側にドローン機を飛ばした事実を否定していたが、韓国軍合同参謀本部はその後、「北朝鮮政府の主張について肯定も否定もできない」と立場をあいまいにしている。 北朝鮮が名指しした「ギャング集団」とは、ユン大統領と同じソウル市内の名門私立である沖岩(チュンアム)高校の先輩であるキム前国防相、後輩のヨ前国軍防諜司令官、イ前行政安全相らクーデターを画策した「沖岩派」の面々だったのか。 ユン大統領の戒厳クーデターにあたり、革新系ジャーナリストでユーチューバーの金於俊(キム・オジュン)氏が13日に国会審議に出席し「非常戒厳時に逮捕班ではなく暗殺班が動いたという情報提供を受けた。逮捕移送されている与党・国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表を射殺、チョ・グク祖国革新党代表、そして私を逮捕護送する部隊を(北朝鮮の軍服を着て)襲撃して逃走する』というのが戒厳軍の計画だった」と爆弾発言をした。ただ、情報の出どころについては「韓国国内に大使館がある友好国」とだけしか述べなかった。 一方で、保守系有力紙の朝鮮日報は「野党・共に民主党は内部検討文書の中で、北朝鮮の仕業であるかのように装おうとするのは、戒厳についての根拠をつくるためだが、戒厳宣布された後に作戦を実施すること自体が理にかなっていない、とした」(18日付)とキム・オジュン氏の主張に疑義を唱える論調だ』、「北朝鮮が名指しした「ギャング集団」とは、ユン大統領と同じソウル市内の名門私立である沖岩(チュンアム)高校の先輩であるキム前国防相、後輩のヨ前国軍防諜司令官、イ前行政安全相らクーデターを画策した「沖岩派」の面々だったのか」、なるほど。
・『北朝鮮は以前から察知か  とはいえ、ユン大統領の意を汲むキム前国防相が主導して汚物風船の発射地点を攻撃する戦術的な討議が行われたことは事実のようだ。野党の共に民主党はキム前国防相が北朝鮮の汚物風船による挑発を口実に北朝鮮との局地戦を引き起こし、非常事態を誘発しようとしたとの疑惑を提起しており、朝鮮日報は「この疑惑が事実であればキム前国防相 が南北間の緊張を意図的に高めることで非常戒厳の正当性を確保しようとした可能性があると指摘されている」と報じている。 仮に本格的な戦闘にエスカレートした場合、在韓米軍や隣接する中国、ロシアを巻き込んだ“第2次朝鮮戦争”に発展しかねない非常事態となる。1950年から53年まで続いた朝鮮戦争は現在、休戦協定下にあり終戦には至っていない。それだけに局地的衝突だけで終わる保証はどこにもない。 ただし、北朝鮮はユン大統領の戒厳クーデター計画をかなり前から察知していた可能性は高い。ユン大統領は8月にクーデターに意欲を見せるキム氏を国防相に抜擢しその後、戒厳令が本格的に検討されたという。野党は国会で「ユン大統領が戒厳令を宣布することはあるのか」と何度も追及しているため、それに北朝鮮が気付かないはずはないからだ。 万が一の事態に備えるためか、北朝鮮は有事の際の相互軍事支援などを明記したロシアとの包括的戦略パートナーシップ条約を、12月4日に発効させている。不思議なことに朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、憲政の秩序を守るとしてユン大統領が3日に非常戒厳を宣言した後の4日以降、韓国の動向をまったく伝えなくなった。 現地の政治ジャーナリストは「第2の戒厳令を防ぐため韓国側を刺激するのは得策ではない、との判断から自制したようです。北朝鮮はウクライナに侵攻したロシアに大規模な兵力を派遣しているため国内兵力が不足していることも理由の1つです。12月11日になってようやく朝鮮中央通信が、非常戒厳を巡る韓国内の抗議デモや政治的混乱に初めて言及しました。相次ぐ軍高官の逮捕や急ピッチで進む捜査を見て攻撃を受ける可能性は低くなったと見たのでしょう」と分析。そのうえで、「北朝鮮はロシアと軍事同盟を結んでいるため、ユン大統領の命令で韓国軍が北朝鮮領土を攻撃した場合、ロシア軍とも交戦となる危機的事態になるところでした」と振り返る。 結局、ユン大統領が企図した北朝鮮への攻撃計画は、軍内部高官の消極姿勢で頓挫。非常戒厳令も宣布から約3時間後、一部軍隊の厭戦気分や韓国国会(定数300)の動議可決によって無効になった。ユン大統領も受け入れざるを得ず戒厳令はわずか6時間で撤回された。 「国内外のメディアはユン大統領弾劾を求めるK-POP集会の平和的光景を繰り返し報道していますが、北朝鮮への攻撃が実行されていたら韓国内は戦慄のパニック状態になっていたでしょう。日本政府も在韓日本人の救出移送をめぐって混乱は避けられなかった。ユン大統領に対する一刻も早い本格的捜査が必要です」(前出の現地ジャーナリスト) 出頭要請を拒否し続けているユン大統領。取り巻きはほとんど逮捕されてしまったが、今後どうなるのだろうか』、「「北朝鮮はロシアと軍事同盟を結んでいるため、ユン大統領の命令で韓国軍が北朝鮮領土を攻撃した場合、ロシア軍とも交戦となる危機的事態になるところでした」と振り返る。 結局、ユン大統領が企図した北朝鮮への攻撃計画は、軍内部高官の消極姿勢で頓挫。非常戒厳令も宣布から約3時間後、一部軍隊の厭戦気分や韓国国会(定数300)の動議可決によって無効になった」、どうやら真相は本当に危機一髪だったようだ。

第三に、12月26日付けNewsweek日本版が掲載した元CIA諜報員グレン・カール氏による「大統領の「自爆」クーデターと、韓国で続いていた「軍人政治」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/glenn/2024/12/post-133_1.php
・『<韓国では尹錫悦大統領が合同捜査本部の出頭を拒否し続けているが、そもそも尹が「自爆」クーデターを起こした原因は、87年の民主化後も水面下で続いていた「軍人政治」にある> 12月3日夜に韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)統領が非常戒厳を宣布して「自己クーデター」を試みた動きが失敗に終わったことは、この国の政治文化が持つ重大な欠陥を改めて浮き彫りにした。その欠陥は、韓国の民主政治の安定を脅かす要因であり続けてきた。 1980年に全斗煥(チョン・ドゥファン)が非常戒厳の拡大措置を行って以来、クーデターそのものは実現していないが、その後の40年余りの間にもクーデターが起きそうになったことはたびたびあった。最も新しいところでは、当時の朴槿恵(パク・クネ)政権が汚職疑惑で揺れていた2017年に、戒厳令宣布の一歩手前まで行ったことがあったという。 今回のクーデターは未遂に終わり、尹の弾劾手続きが進められている。しかし将来、韓国で再びクーデターが起きる可能性は残っている。その危険を取り除くためには、軍と軍出身者が政府で極めて大きな役割を担っている状況と、2大政党が互いを国家の敵と非難し合うほど分極した政治文化を改めなくてはならない。 私がCIAで働いていた頃、思慮深い同僚たちは、米軍出身者をCIAや国務省の要職に据えるべきではないと言っていた。確かにCIAと軍は使命が異なり、職員の世界観も違うし、権力に対する姿勢も違う。特に軍の人間は上下関係を重んじ、組織の上層部への忠誠心を抱く傾向が強い。こうした軍の性質は、組織への忠誠心よりも「法の支配」を優先させるべき民主国家の文民政府にとって、危険な要素になりかねない』、「特に軍の人間は上下関係を重んじ、組織の上層部への忠誠心を抱く傾向が強い。こうした軍の性質は、組織への忠誠心よりも「法の支配」を優先させるべき民主国家の文民政府にとって、危険な要素になりかねない」、その通りだ。
・『人気ドラマ『愛の不時着』を槍玉に挙げる心理  その点、アメリカの軍人たちはこれまで250年近く、組織より憲法に忠誠を誓い、文民主導の「法の支配」への服従を徹底して貫いてきた。しかし、韓国の軍と政党にそのような姿勢は見られない。 韓国では、軍出身者が治安関連の要職に就くケースが多い。そうした高官たちは軍との結び付きが強く、民政が軍政的な性格を帯び、危機の際に反射的に軍を動かそうとする試みに歯止めがかかりにくい。 もう1つの危険な要素は、韓国の軍が保守政党と強力な一体感を抱く一方、進歩派政党と対立関係にあることだ。現在、保守政党の「国民の力」は、進歩派の「共に民主党」を親北朝鮮派と批判している。 主要政党が自分たちを「愛国者」と位置付け、対立政党を「裏切者」と批判するとき、民主政治の基盤は常に揺らぐ。韓国ではそのような政治文化の下、保守派が人気ドラマ『愛の不時着』を「北朝鮮を美化して国家安全保障法に違反している」とやり玉に挙げたこともあった。 尹のクーデター未遂の背景には、大統領の汚職疑惑と逮捕への不安があった。韓国の歴代大統領はしばしば、自身の生き残りと国家の防衛を同一視してきた。今回の騒動では、国会が戒厳令の解除を求める決議を可決したにもかかわらず、高い地位に就いている職業軍人たちは、尹が戒厳令解除の方針を示すまで国会の要求に従うことを拒み続けた』、「尹のクーデター未遂の背景には、大統領の汚職疑惑と逮捕への不安があった。韓国の歴代大統領はしばしば、自身の生き残りと国家の防衛を同一視してきた。今回の騒動では、国会が戒厳令の解除を求める決議を可決したにもかかわらず、高い地位に就いている職業軍人たちは、尹が戒厳令解除の方針を示すまで国会の要求に従うことを拒み続けた」、なるほど。
・『政党や軍や政治家より「法の支配」を重んじる  皮肉なことに、尹は検察官時代の16年に朴の汚職疑惑の捜査を指揮した人物だ。その捜査をきっかけに朴の弾劾手続きが始まり、戒厳令の宣布が水面下で準備されるに至った。今回のクーデター未遂では、尹自身も民主主義者というより、儒教的な独裁者だったことが明らかになった。 それとは別に、もう1つ明らかになったことがある。尹の戒厳令宣布に対して韓国社会がほぼ足並みをそろえて反対し、その企てを失敗に追い込んだことは、韓国の政治文化に強力な民主主義的性質が根付いている証拠だ。政党や軍や政治家よりも法の支配を重んじる考え方が、そこには確かにあった』、「尹の戒厳令宣布に対して韓国社会がほぼ足並みをそろえて反対し、その企てを失敗に追い込んだことは、韓国の政治文化に強力な民主主義的性質が根付いている証拠だ」、心強くなれる要素だ。 
タグ:「特に軍の人間は上下関係を重んじ、組織の上層部への忠誠心を抱く傾向が強い。こうした軍の性質は、組織への忠誠心よりも「法の支配」を優先させるべき民主国家の文民政府にとって、危険な要素になりかねない」、その通りだ。 グレン・カール氏による「大統領の「自爆」クーデターと、韓国で続いていた「軍人政治」」 Newsweek日本版 「尹のクーデター未遂の背景には、大統領の汚職疑惑と逮捕への不安があった。韓国の歴代大統領はしばしば、自身の生き残りと国家の防衛を同一視してきた。今回の騒動では、国会が戒厳令の解除を求める決議を可決したにもかかわらず、高い地位に就いている職業軍人たちは、尹が戒厳令解除の方針を示すまで国会の要求に従うことを拒み続けた」、なるほど。 「尹の戒厳令宣布に対して韓国社会がほぼ足並みをそろえて反対し、その企てを失敗に追い込んだことは、韓国の政治文化に強力な民主主義的性質が根付いている証拠だ」、心強くなれる要素だ。 「「北朝鮮はロシアと軍事同盟を結んでいるため、ユン大統領の命令で韓国軍が北朝鮮領土を攻撃した場合、ロシア軍とも交戦となる危機的事態になるところでした」と振り返る。 結局、ユン大統領が企図した北朝鮮への攻撃計画は、軍内部高官の消極姿勢で頓挫。非常戒厳令も宣布から約3時間後、一部軍隊の厭戦気分や韓国国会(定数300)の動議可決によって無効になった」、どうやら真相は本当に危機一髪だったようだ。 「北朝鮮が名指しした「ギャング集団」とは、ユン大統領と同じソウル市内の名門私立である沖岩(チュンアム)高校の先輩であるキム前国防相、後輩のヨ前国軍防諜司令官、イ前行政安全相らクーデターを画策した「沖岩派」の面々だったのか」、なるほど。 「首謀者とされる金龍顕・・・前国防相、呂寅兄・・・前国軍防諜司令官、辞任した李祥敏・・・前行政安全相、戒厳司令官を務めた朴安洙・・・陸軍参謀総長、警察庁の趙志浩・・・長官、ソウル警察庁の金峰埴・・・長官らが内乱容疑で次々と逮捕・告発された」、なるほど。 デイリー新潮が掲載した「韓国戒厳令 「第2次朝鮮戦争」寸前の危機だった? 韓国メディアが報じている“衝撃シナリオ”の全貌」 (その3)(韓国戒厳令 「第2次朝鮮戦争」寸前の危機だった? 韓国メディアが報じている“衝撃シナリオ”の全貌、大統領の「自爆」クーデターと 韓国で続いていた「軍人政治」) 韓国(尹錫悦大統領) 韓国(尹錫悦大統領)(その3)(韓国戒厳令 「第2次朝鮮戦争」寸前の危機だった? 韓国メディアが報じている“衝撃シナリオ”の全貌、大統領の「自爆」クーデターと 韓国で続いていた「軍人政治」)
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韓国(尹錫悦大統領)(その2)(韓国「戒厳令」報道で露呈…日本メディアは英米より「圧倒的にレベルが低かった」!「隣国の暴挙」でさえ、まともに報じることができないのか、尹錫悦は「何を間違えた」のか?...お粗末すぎた大統領の自作自演クーデター計画を解説、韓国のレトロな戒厳令騒ぎ つながり強い〝高校閥 の先輩後輩 飲食しながら極秘の話か、ついに職務停止…尹錫悦大統領「5回の談話」の恐るべきKY度 「北京のランダム・ウォーカー」第763回) [世界情勢]

韓国(尹錫悦大統領)については、昨年2月5日に取上げた。今日は、(その2)(韓国「戒厳令」報道で露呈…日本メディアは英米より「圧倒的にレベルが低かった」!「隣国の暴挙」でさえ、まともに報じることができないのか、尹錫悦は「何を間違えた」のか?...お粗末すぎた大統領の自作自演クーデター計画を解説、韓国のレトロな戒厳令騒ぎ つながり強い〝高校閥 の先輩後輩 飲食しながら極秘の話か、ついに職務停止…尹錫悦大統領「5回の談話」の恐るべきKY度 「北京のランダム・ウォーカー」第763回)である。

先ずは、12月7日付け現代ビジネスが掲載した京都大学大学院工学研究科教授の藤井 聡氏による「韓国「戒厳令」報道で露呈…日本メディアは英米より「圧倒的にレベルが低かった」!「隣国の暴挙」でさえ、まともに報じることができないのか」を紹介しよう。
・『尹大統領自身は「憲法に則ったクーデター」  韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は3日午後10時半ごろ、国会での野党について「内乱を企てる明白な反国家行為だ」と指弾し「非常戒厳を宣布する」と表明しました。 そして、戒厳令を受けて「戒厳司令部」を発足し、国会と地方議会、全ての政党活動と集会、デモを禁ずるとの布告を出しました。その上で、司令部の命令で、国会での活動を禁ずるために兵士らが国会議事堂に突入しました。 これは所謂、クーデター(非合法的手段に訴えて政権を奪うこと)です。 21世紀のこの時代に、隣の韓国でクーデターが起こるなど皆様も大層驚いたことだろうと思いますが(ちなみに韓国での戒厳令は、45年ぶりです)、韓国大統領には北朝鮮との有事などを想定し、こうした「戒厳令」を出す権限が与えられているのです。 実際、尹大統領は非常戒厳を宣言した際、国会そのものが「北朝鮮の共産主義勢力」と結託した「恥知らずな親北朝鮮勢力や反国家勢力」である野党議員達に占拠されており、「自由民主主義の基盤であったはずの国会が、それを破壊する怪物と化した」が故に、「北朝鮮に従う勢力を撲滅し、自由憲政秩序を守る」と宣言しています。こうした発言は全て、自らの戒厳令は憲法に乗っ取った正当な政治判断なのだという事を主張するものです。 しかし、このクーデターに対して国民は猛反発します。 司令部が禁じている筈の「デモ」が拡大し、国会議事堂の門に殺到し、議員たちは司令部が同じく禁じている筈の「国会決議」を行い、大統領の措置解除を決定しました。 その結果、尹大統領は「立法府の命令に従う」と述べ、戒厳令をわずか6時間で解除する決定を下しました』、「韓国での戒厳令は、45年ぶりです」、しかし、「このクーデターに対して国民は猛反発します。 司令部が禁じている筈の「デモ」が拡大し、国会議事堂の門に殺到し、議員たちは司令部が同じく禁じている筈の「国会決議」を行い、大統領の措置解除を決定しました。 その結果、尹大統領は「立法府の命令に従う」と述べ、戒厳令をわずか6時間で解除する決定を下しました」、なるほど。
・『国民の7割、今回のクーデターを「内乱罪に該当する」  この顛末を見れば、尹大統領は、この戒厳令が「成功」し、国民が一定程度「受け入れる」と考えていたように思われます。 繰り返しますが、尹大統領が言うように、野党が「恥知らずな親北朝鮮勢力や反国家勢力」であり、「自由民主主義の基盤を破壊する怪物」であるとするなら、戒厳令を出し、国会活動を軍隊で強制的に禁止することが正当化されるのであり、かつ、そうした尹大統領の見解を多くの国民が支持してくれるのなら、その戒厳令は、民主主義的にも正当化され得るからです。 しかし、その尹大統領の目算は完全に外れたわけです。実際、国民の7割が今、「大統領のこの戒厳令は内乱罪に該当する」と回答しているからです。(NHK、12月5日「韓国 大統領の弾劾議案 採決は見通せない状況【5日の動き】」) ですがそんなこと、別にアンケートするまでもなくスグに想像できそうなことです。今年の総選挙で野党が圧倒的な勝利を収め、そして、大統領支持率は2割を割り込んでいるわけですから、自身のクーデターという「トンデモ無い」決断が国民的支持を受ける等、万に一つもあり得ないだろうと、いとも容易く想像できる筈です。 つまり、尹大統領は、妄想でも見ていたかのように、完全に世論を読み誤ったものと推察されます。誠に愚か極まりない話しですが、少なくとも公表された情報から推察するに(無論、新たな情報が明らかになればその限りではありませんが)、その可能性以外思い当たりません』、「尹大統領は、妄想でも見ていたかのように、完全に世論を読み誤ったものと推察されます。誠に愚か極まりない話しですが、少なくとも公表された情報から推察するに・・・、その可能性以外思い当たりません』、なるほど。
・『尹大統領は何故、クーデターに踏み切ったのか?  ではなぜ、尹大統領はこんな「少し考えれば誰もが勝算等ない」と分かる悪手であるクーデターに踏み切ったのでしょうか? この点については、日本のNHKやANN、毎日新聞や読売新聞等の大手メディアの報道に目を通しても殆ど何も書かれていません。(NHK、上記記事:毎日新聞、12月4日「韓国戒厳令、2時間半で効力失う 尹大統領は弾劾危機で窮地に」:読売新聞、12月4日「韓国が戒厳令、尹大統領『野党が反国家行為』…戒厳軍が国会に入る」:ANN、12月4日「韓国“大混乱”45年ぶり『戒厳令』なぜ」) せいぜいが、「妻のスキャンダルもあり、支持率が下がっていた」くらいの解説しかありません。しかし当たり前ですが妻のスキャンダルで人気が無くなったからという程度の理由でクーデターを起こすとは到底思えません。 その他の日本の記事を見てみても「韓国の国民性はそんなものだ」というものや、「大統領に進言できる人間がいない」等の、周辺的な情報ばかりで、クーデターが起こる必然性は明確には書かれていません。 そんな中、しっかりと腑に落ちる解説が書かれている記事が二つありました。BBC(12月5日「【解説】 韓国大統領は何を考えていたのか 裏目に出た『非常戒厳』」)とNew York Times(12月4日「戒厳令で露呈した『韓国社会が抱える圧倒的な闇』~ 結局何が突然の戒厳令を招いてしまったのか」)の記事です。 アメリカとイギリスという別々の国の記事ですから、両者は独立に書かれたと考えられますが、両者の解説は驚く程に一致しています。 両記事の内容をまとめると次のようになります。 (1)今回のクーデターは、尹大統領による「権力の掌握」を目的としたものであった。 (2)そもそも、尹大統領は韓国大統領選挙の歴史の中でも最も僅差の勝利で就任した大統領である。しかも、尹大統領の得票の多くが、前大統領の文在寅大統領の批判票であった。つまり、そもそも尹大統領は国民からの強い支持で誕生した大統領ではなかった。大統領就任後も様々な事件やスキャンダルが続き、支持率は2割を切るほどに低い水準が続いていた。 (3)そんな中行われた、今年2024年4月総選挙では、尹大統領の与党「国民の力」は惨敗し、野党「共に民主党」が圧勝した。与党の議席数は全体の三分の一程度に過ぎず、「共に民主党」の半分強の議席数しかなかった。 (4)「共に民主党」と「国民の力」との対立はそもそも根深く極めて深刻な状況であった.そんな中で圧倒的多数野党をとなった「共に民主党」は必然的に大統領の予算や法案に悉く反対し、国会が麻痺する状況となっていた。すなわち、尹大統領は大統領でありながら、自らが思う政治が全くできなくなっていたのである。つまり彼は「権力を掌握できていない」状況が政権誕生以降続き、かつ、その深刻さは今年の選挙を通してますます酷い状況に立ち至っていたのであった。 (5)この「国会運営の行き詰まり」を打開するために、クーデターという乱暴な手段を選択するに至った。 もちろん、「国会運営の行き詰まり」を打開するために軍隊を使うなど常識では到底考えられない暴挙ですが、以上の経緯を踏まえれば、尹大統領はまさに、その許されざる暴挙を選択したのだという実態が浮かび上がってきます。(文化放送、12月5日「韓国、一時『非常戒厳』宣言 藤井氏『国会運営の行き詰まりを打開するためにやったのだとしたら、許しがたい暴挙』」) この全体の基本的経緯を踏まえるなら、「妻のスキャンダル」や「大統領に進言する人間がいなかった」事、さらには、韓国人の国民性等が影響を及ぼしていることが見えてきますが、話しの本筋は以上に述べた(1)~(5)の流れなのです(今後新たな事実が明らかになる可能性も考えられますが、それでもなおこの(1)~(5)の経緯は大筋として正当であることに代わりはないものと考えられます)』、「日本の記事を見てみても「韓国の国民性はそんなものだ」というものや、「大統領に進言できる人間がいない」等の、周辺的な情報ばかりで、クーデターが起こる必然性は明確には書かれていません。 そんな中、しっかりと腑に落ちる解説が書かれている記事が二つありました。BBC(12月5日「【解説】 韓国大統領は何を考えていたのか 裏目に出た『非常戒厳』」)とNew York Times(12月4日「戒厳令で露呈した『韓国社会が抱える圧倒的な闇』~ 結局何が突然の戒厳令を招いてしまったのか」)の記事です」、全く日本のマスコミの取材力のお粗末さには呆れ果てた。
・『韓国の政治はこれからどうなるのか?  ……とはいえ、尹大統領は、クーデターの際に宣言したように、野党が本当に「北朝鮮の共産主義勢力」「恥知らずな親北朝鮮勢力や反国家勢力」「自由民主主義の基盤を破壊する怪物」、「北朝鮮に従う勢力」だと認識していた、あるいは、それに準ずる存在であったと認識していたのであろうと思われます。 なぜなら、尹大統領は、国民の反発を受けて戒厳令を解除することを宣言した時でさえ、「弾劾、立法操作、予算操作で国の機能を麻痺させている非道な行為を直ちに止めるよう、国会に求める」と表明していたからです。 そこまで大統領と議会の対立は深刻な状況に立ち至っているわけです。 そんな深刻な対立を抱えた韓国ははたして、これからどうなるのでしょうか…? 大多数の国民、そして、野党は大統領の弾劾を求めていますが、与党は弾劾には反対すると当初表明していました。ただし、その後、与党代表から弾劾賛成の意向が表明されるなど、弾劾濃厚の状況となっています。 しかし仮に尹大統領が弾劾されなかったとしても、支持率の下落、そして、野党の反発はこれまで以上により過激なものとなるのは必至であり、「国会運営の行き詰まり」は、クーデター前よりもさらに酷くなることは確実です。 かくして韓国の政治状況は全く予断を許さない状況にあると言えるでしょう…』、「仮に尹大統領が弾劾されなかったとしても、支持率の下落、そして、野党の反発はこれまで以上により過激なものとなるのは必至であり、「国会運営の行き詰まり」は、クーデター前よりもさらに酷くなることは確実です。 かくして韓国の政治状況は全く予断を許さない状況にあると言えるでしょう」、なるほど。
・『英米に比した日本のオールドメディア「レベルの低さ」  ところで、今回の件はそういう韓国の問題のみならず、欧米に比した日本のマスメディア(所謂オールドメディア、という奴ですね)のレベルの低さを露呈するものでもありました。 何と言っても日本のマスメディアは、公表された事実情報だけを列挙し、一部識者達の声を断片的に挿入しているだけで、英米が的確に伝えている「物事の本質」についての情報を一切提供してはいなかったのです。 今回は「海外の重大ニュース」だということで、日本、米国、イギリスというそれぞれの国が『外国』のニュースを報道するという同一条件で書かれた記事を、横並びに比べることができたが故に、「日本のオールドメディア」のレベルの低さがクッキリと浮かび上がったわけです。 日本では兎に角、我々一人一人が、日本のオールドメディアの情報には十分に注意しつつ(もちろん、SNSにはもっと胡散臭い情報も多数あるでしょうからそれにも警戒しつつ)、個々の報道情報の「真贋」を見極めて行かざるを得ないでしょうね。 是非、これからもメディアやSNS情報には注意して参りましょう。「欧米に比した日本のマスメディア(所謂オールドメディア、という奴ですね)のレベルの低さを露呈するものでもありました。 何と言っても日本のマスメディアは、公表された事実情報だけを列挙し、一部識者達の声を断片的に挿入しているだけで、英米が的確に伝えている「物事の本質」についての情報を一切提供してはいなかったのです」、致命的な欠陥だ。

次に、12月10日付けNewsweek日本版が掲載した米「責任ある外交に関するクインシー研究所」研究員のネーサン・パク氏による「尹錫悦は「何を間違えた」のか?...お粗末すぎた大統領の自作自演クーデター計画を解説」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/12/528198.php
・『<深夜の戒厳令を食い止めたのは、独裁政治を経て勝ち取った韓国民主主義の底力> まさか、まさかの一夜だった。確かに野党議員の金民錫(キム・ミンソク)はこの夏から、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が戒厳令を出しかねないと警告していた。しかし誰もが、さすがにそれはないと思っていたし、そう思いたかった』、「野党議員の金民錫(キム・ミンソク)はこの夏から、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が戒厳令を出しかねないと警告していた。しかし誰もが、さすがにそれはないと思っていたし、そう思いたかった」、なるほど。
・『【年表で振り返る】戒厳令とクーデター続きの韓国現代史  もちろん、あの頃から右派で少数与党の尹政権が強権的な傾向を強めていたのは事実。彼の支持率は10%台後半から20%台前半に低迷し、大統領夫妻の不正疑惑も深まるばかりだった。 それで尹はリベラル派の政治家やジャーナリストの事務所や自宅を片っ端から捜索させ、ろくな根拠もないのに野党指導者・李在明(イ・ジェミョン)を刑事告発した。過去の遺物のような軍事パレードもやってみせた。 それでも尹が戒厳令を敷いて自作自演のクーデターをやり、民主的に選ばれた現職大統領が独裁者に変身するなどという金民錫の主張はあまりにも荒唐無稽と思われていた。 金は1987年に全斗煥(チョン・ドゥファン)軍事独裁政権を終わらせた民主化運動の元リーダーだが、それにしても党派色むき出しの発言だと、みんな眉をひそめていた。87年の民主化以降に韓国で戒厳令が敷かれたことは一度もない。 ただし、北朝鮮との軍事衝突で戦時の非常事態となれば戒厳令を出せるという法律は残っていた。) その戒厳令が急に現実となった。12月3日の午後10時23分、尹は予告なしの記者会見を開いた。6分間にわたって声明を読み上げ、「非常戒厳」を宣布すると表明した。 理由はリベラル派の野党「共に民主党」が政権幹部に対して22件もの弾劾訴追案を発議し、来年度予算を大幅に削減すると脅し、国会を「自由民主主義体制を破壊する怪物」に変えたというものだった。 尹は政敵を「親北朝鮮の反国家勢力」と決め付けた。それは韓国の過去の独裁者たちが自らを正当化するために使ったのと同じ表現だった。 1時間後には朴安洙(パク・アンス)陸軍参謀総長が戒厳司令官に任命されていた。戒厳司令部は国会と地方議会に一切の政治活動を禁じ、全ての言論と出版を統制し、市民の集会を禁じると命じた。首都ソウル市内には装甲車やヘリコプターが出現した』、「戒厳司令部は国会と地方議会に一切の政治活動を禁じ、全ての言論と出版を統制し、市民の集会を禁じると命じた。首都ソウル市内には装甲車やヘリコプターが出現した」、いきなりの「戒厳司令部」の出現には心底驚かされた。
・『過去の悪夢がよみがえった  戒厳宣布を伝える国内のニュースキャスターたちは、見るからに身を震わせていた。多くの国民同様、戒厳令下の日々を体験し、知っていたからだ。 韓国で最後に戒厳令が敷かれたのは1979年10月、独裁者・朴正煕(パク・チョンヒ)が殺害されたときだ。その後に全斗煥が権力を掌握したが、戒厳令は1981年1月まで維持された。その間に南西部の光州で戒厳軍の空挺部隊が少なくとも数百、あるいは数千人のデモ隊を虐殺した。) この光州事件は現代韓国史の節目となった。当時のことは今年のノーベル文学賞を受賞した韓江(ハン・ガン)が小説『少年が来る』で詳しく描いている。 しかし2024年の今、国民の大半はあの虐殺も歴史上の出来事、悲劇だけれど昔の話と信じていた。だからみんな、装甲車やヘリコプターが国会を包囲する様子を見て愕然とした。その国会には、多数決で戒厳令を解除する権限があった。 幸い、歴史は繰り返さなかった。理由の1つは、毎度のことながら尹の行動が道化師さながらに拙速かつ無能だったことにある。普通、クーデターで権力奪取を狙うような人間は綿密な台本を用意しておくものだ。テレビを乗っ取り、ネット接続を妨害し、野党指導者を逮捕し、検問所を設ける──。 今回も、そうした計画はあったはずだ。少なくともメディアの統制は目指していた。しかし、当てが外れた。12月3日の深夜にもテレビの取材班は国会議事堂周辺で自由に取材していた。 リベラル派の指導者たちはSNSで大統領への抗議を呼びかけた。主要な野党指導者を逮捕せよという命令は出たらしいが、のろのろしていて逃げられた。 兵士たちは武力行使に及び腰で、非武装のデモ隊に押し戻されるままだった(本稿は戒厳宣布の約24時間後に書いているので、その後にも起きたであろう「まさか」の事態についてはご容赦いただきたい)。) ともかく尹の行動はお粗末すぎた。秘密裏に事を進めつつもキーパーソンは抱き込んでおくというバランス感覚に欠けていた。戒厳宣布を進言したのは金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防相とされるが、金の命令に従った軍人はごくわずか。 兵士や警官の大半は動かなかった。与党「国民の力」の重鎮も何も知らされていなかったようで、代表の韓東勲(ハン・ドンフン)はすぐにクーデター非難の声明を出している。 とはいえ、一歩間違えば大混乱と血の海になりかねない場面も多々あった。法律上、国会は多数決で戒厳令を解除することができるが、そのためには議員が集まって投票できる環境が必要だった。 しかし超法規的な戒厳令の発動によって国会は閉鎖され、武装した兵士が議事堂の外をパトロールし、機関銃を備えたヘリコプターが上空を旋回していた。 それでも韓国の議員たちはやり遂げた。議事堂周辺に集まった市民は配備された特殊部隊ともみ合い、兵士や装甲車を止め、議員たちが建物に入る道を開いた。 共に民主党の女性政治家・安貴朎(アン・グィリョン)は、武装した兵士を素手で押しのけて議事堂に入った。党首の李在明は59歳にしては驚くべき運動能力を見せ、兵士たちを避けるために議事堂の壁を乗り越えた。幸いにして、誰も彼に発砲しなかった。) 建物に入った議員とスタッフたちは入り口にバリケードを築き、午前0時49分に開会が宣言された。議長の禹元植(ウ・ウォンシク)は、全ての法的な手続きを踏み、投票結果に疑問の余地が残らないようにしようと強調した。 その間にも空挺部隊が窓ガラスを割って侵入を試みたが、議会スタッフが消火器や携帯電話のフラッシュで応戦し、どうにか押しとどめた。 国会の手続きにのっとって法案をタイプし、提出するのに12分かかった。しかし午前1時1分、300人の国会議員のうち、なんとか議場に入ることのできた190人が全員一致で戒厳令の解除を決議した。 なかには与党・国民の力に属する議員18人も含まれていた。しばらくためらった後、ヘリコプターと装甲車、そして兵士たちは議事堂を離れ始めた。 しかし、尹大統領が国会決議に従う保証はなかった。だから議員たちは議場にとどまり、尹が再び軍を出動させたり、新たな戒厳令を発したりする事態に備えた。 敗北を認め、屈辱にまみれた尹が記者会見に臨み、戒厳令解除を発表したのは午前4時27分だった』、「午前1時1分、300人の国会議員のうち、なんとか議場に入ることのできた190人が全員一致で戒厳令の解除を決議した。 なかには与党・国民の力に属する議員18人も含まれていた。しばらくためらった後、ヘリコプターと装甲車、そして兵士たちは議事堂を離れ始めた」、クーデターは僅差で阻止されたようだ。
・『保守勢力には「恥の上塗り」  現時点では、状況はまだ流動的だ。しかし尹大統領が27年までの任期を務め上げる可能性は低い。野党は尹の即刻辞任を求めたが、応じないとみて弾劾の手続きに入った。) 弾劾には議会(定員300)の3分の2以上の賛成が必要だ。尹の与党は108人の議員を擁し、3分の1をわずかに上回っている。建前上、与党が大統領を支持するのは間違いない。しかし18人の議員が既に戒厳令解除に賛成票を投じている。弾劾決議でも8人以上の造反者が出る可能性は高い。 尹が不名誉な弾劾より辞任を選んでも、たぶん起訴は免れない。韓国には過去3代の大統領のうち、保守系の李明博(イ・ミョンバク)と朴槿恵(パク・クネ)を起訴し、投獄した輝かしい歴史がある。 この先がどう転ぼうと、これだけは言える。韓国の民主主義はそう簡単に負けない。40数年ぶりの戒厳令はたった6時間で、議会の投票によって解除された。一発の銃弾、一滴の血も流れなかった。一発の銃弾でも放たれていたら流れは変わっていただろう。 しかし抗議の民衆は民主主義の規範に従っていたし、軍隊に包囲された議員たちも粛々と投票した。これが民主主義。兵士たちも、その重さを感じていた。 韓国の保守勢力にとっては恥の上塗りとなった。自分たちの担いだ朴大統領を弾劾裁判で失ったのが2017年。家賃の高騰に対する国民の不満を追い風に、奇跡的に大統領府を奪還したのが2022年。そこへ今度の、自作自演のクーデター未遂。 この国の保守勢力はしょせん軍政時代の独裁者の末裔で、何かあればすぐに隠していた専制の牙をむく。そう言われても抗弁できまい。 悲しいかな、保守派の中でもそれなりに分別のある議員たちはまたしても、自分たちの担いだ大統領を弾劾するしかないのだ。 Foreign Policy logoFrom Foreign Policy Magazine)』、「悲しいかな、保守派の中でもそれなりに分別のある議員たちはまたしても、自分たちの担いだ大統領を弾劾するしかないのだ」、なるほど。
・『戒厳令とクーデター続きの韓国現代史  北朝鮮との緊張関係が続く韓国では、建国直後から独裁者たちが立て続けに戒厳令を発令。共産主義の取り締まりを名目に、反対派の市民や学生を弾圧した。 1948年 韓国政府樹立からわずか2カ月後、初代大統領の李承晩が共産主義者鎮圧のため初めて戒厳令を布告。弾圧で数千人の死者が。 1950年 朝鮮戦争中の1950年から1952年まで李承晩が断続的に戒厳令を敷いた。 1960年 反政府デモの高まりに李承晩が再び戒厳令を発令。デモ参加者と警察との衝突で数百人が死亡し、李は辞任を余儀なくされた。 1961年 軍事クーデターで陸軍少将だった朴正煕が政権を掌握。戒厳令発令。63年に大統領に就任した。 1972年 朴正煕が新たなクーデターを実行し、戒厳令を発令。ソウルの街頭に戦車を配備した。72年末に戒厳令は解除されたが、朴はその後何百人もの政敵や民主活動家を投獄した。 1979年 独裁者の朴が暗殺された後、済州島を除く全土に戒厳令を布告。陸軍少将の全斗煥がクーデターで政権を掌握し、後に大統領に就任した。戒厳令は81年に解除されたが、全による軍事独裁体制が87年の民主化まで続いた』、「韓国」では民主主義が着実に根付きつつある。その基盤を揺るがすのが「クーデター騒ぎ」だ。

第三に、12月14日付け産経新聞「韓国のレトロな戒厳令騒ぎ つながり強い〝高校閥〟の先輩後輩 飲食しながら極秘の話か」を紹介しよう。
・『韓国の戒厳令騒ぎに国民のほとんどは「今の時代になぜ?」と驚きあきれているが、外国人記者としては騒ぎの中での韓国的風景が気になる。その一つが戒厳令を画策したのが大統領とその高校同窓生だったという話。組織より人脈重視の韓国では血縁・地縁・学縁が3大人脈だが、今回は〝高校閥〟が事を左右したというのだ。戒厳令もそうだがいかにもレトロ(復古調)で興味をそそられる。 話題の高校はソウルにある冲岩(チュンアム)高校。大統領とその指示で軍隊を動かした国防相(当時)および防諜司令官(旧保安司令官)の3人はこの高校の先輩後輩で、韓国紙の報道によるとこれまで一緒に飲食を共にしながらひそかに戒厳令の話をしていたという。同窓だから極秘の話もできる。学縁でも高校同窓は最もつながりが強いといわれ、お互い無条件で面倒を見合い助け合う。 ところがこの話が伝わるや冲岩高校には非難、抗議の電話が殺到し、在校生も街で通行人から文句を言われる場面も出ている。そこで学校では通学時にそれとわかる制服は着なくてもいいと指示し、登下校時には警察がパトロールしているとか。大統領を輩出して一躍有名になり格が上がったのに、一転して悪の巣窟みたいになってしまった。そのうち大統領以下を同窓会名簿からはずせとなるかもしれない』、いかにも韓国らしいエピソードだ。

第四に、12月17日付け現代ビジネスが掲載した『現代ビジネス』編集次長の近藤 大介氏によ「ついに職務停止…尹錫悦大統領「5回の談話」の恐るべきKY度 「北京のランダム・ウォーカー」第763回」を紹介しよう。
・『尹大統領を巡る状況が二転三転 「事実は韓ドラより奇なり」――今月の韓国政治は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を巡る状況が、二転三転。前世紀末に国民が「民主」を闘い取った隣国で、実にダイナミックな権力闘争が展開されている。 まず、12月3日からの状況を簡単に整理してみよう。 12月3日22:30頃 尹錫悦大統領が、国会での野党の行動によって政治が壟断(ろうだん)されているとして、「非常戒厳」を宣言(1回目の談話) 4日1:00頃 国会が「戒厳令の解除」を決議 4日4:30頃 尹錫悦大統領が、「戒厳令の解除」を宣言(2回目の談話) 4日                           「共に民主党」など野党6党が、国会に尹錫悦大統領を罷免(ひめん)するための弾劾(だんがい)訴追案を提出  6日 与党「国民の力」韓東勲(ハン・ドンフン)代表が尹錫悦大統領の早急な職務執行停止が必要と発言 7日午前  尹錫悦大統領が、「与党などの決定に従う」と国民向けに謝罪する、3回目の談話を発表 7日 「国民の力」が弾劾訴追案への反対を決める 7日21:30頃  国会で「国民の力」の大部分が決議を欠席し、弾劾訴追案が廃案となる 12日午前  尹錫悦大統領が29分の4回目の談話を発表し、一転して「戒厳の正当性」を主張 12日午後 「共に民主党」など野党6党が再び、国会に尹錫悦大統領の弾劾訴追案を提出13日  「国民の力」韓東勲代表が弾劾訴追案への賛成を呼びかける。この日選出された「国民の力」権性東(クォン・ソンドン)院内代表(党ナンバー2の幹事長)は、断固反対を宣言 14日午後 「国民の力」が弾劾訴追案への反対を決議 14日17:00  弾劾訴追案が可決 14日18:30頃 尹錫悦大統領が「絶対に放棄しない」との5回目の談話を発表 14日19:30頃 尹錫悦大統領の執務停止、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が代行』、誠に目まぐるしい状況の変化だ。
・『弾劾訴追案が2回目の採決で可決  激しい抵抗を続けた尹錫悦大統領及び与党「国民の力」だったが、12月14日土曜日夕刻に、「大韓民国の歴史が動いた」(YTNアナウンサーの言葉)。午後5時、ソウル・汝矣島(ヨイド)の国会本会議場の壇上に立った禹元植(ウ・ウォンシク)議長が、宣言した。 「全投票数300、『可』(賛成)204票(ウワーッと歓声が上がる)、『不』(反対)85票、棄権3票、無効8票。弾劾訴追案が可決したことを宣言します」 韓国の国会議員は計300人。内訳は、与党「国民の力」が108人、最大野党「共に民主党」が170人、その他野党が22人だ。弾劾訴追案の可決には、全議席の3分の2にあたる200人の賛成が必要で、そのためには最低8人の与党議員が「造反」する必要があった。 結果は、少なくとも12人の与党議員が造反した。現在の「国民の力」は、尹錫悦大統領及び権性東院内代表の派閥と、韓東勲代表の派閥に分断されつつあるので、後者の一部が造反したということだ。 今後は「国民の力」が、二つの党に分裂する可能性がある。特に、韓代表は国会議員ではないので、指導力は未知数だったが、早速16日に代表を辞任すると表明した。 韓代表は、もともと検事として長年、尹錫悦氏に付き従ってきた経緯があるにもかかわらず、今回は完全に尹大統領と「決別」したので、尹派の仲間からすれば「裏切者」である。「国民の力」の内部に詳しい人物は、韓東勲代表について、こうこき下ろした。 「韓東勲は検事として、2018年に李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)元大統領を投獄し、今度はボスだった尹錫悦大統領を裏切って、投獄に向かわせようとしている。3人もの大統領を葬り去るとは大したタマだが、最後は自分も無傷では済まないだろう。 それくらい、いま『国民の力』の内部で恨みを買っている。ましてやこの先、反対勢力の『共に民主党』が政権を取ったら、真っ先に首根っこを掴まれるだろう』、「韓東勲は検事として、2018年に李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)元大統領を投獄し、今度はボスだった尹錫悦大統領を裏切って、投獄に向かわせようとしている。3人もの大統領を葬り去るとは大したタマだが、最後は自分も無傷では済まないだろう。 それくらい、いま『国民の力』の内部で恨みを買っている」、なるほど。
・『「KY」尹錫悦大統領の完全な一人芝居  ともあれ、14日夜に尹錫悦大統領は職務停止となり、韓悳洙首相が代行し始めた。韓首相が最初に行ったのは、ジョー・バイデン米大統領に報告の電話をして、変わらぬ支持を取り付けることだった。 尹大統領に関しては、憲法裁判所が180日以内に、弾劾訴追に対して「正当性」の結論を出す。「弾劾訴追は不当」と結論づければ、尹錫悦大統領は職務に復帰。「弾劾訴追は妥当」と結論づければ、直ちに失職し、60日以内に新たな大統領選挙を行うという流れだ。 韓国の場合、憲法裁判所の判断となるのは、法的根拠以上に「国民感情」である。例えば、2017年3月には、どう見ても法に照らして、朴槿恵大統領は「極めて白に近い灰色」だったのに、大統領失職を求める「ろうそくデモ」の「大声」に押される形で、失職を決定した。 今回の弾劾も、国民感情としては、圧倒的に「失職賛成」である。韓国ギャラップが13日に発表した最新の世論調査によれば、「弾劾に賛成」が75%で、「反対」は21%。尹大統領の支持率も、過去最低の11%まで下がった。こうした状況が続けば、やはり尹大統領は数ヵ月後に失職する可能性が高いと見てよいだろう。 だが今回、私は尹錫悦大統領に対して、同情する気持ちは起こらない。というのも、今回の一連の騒動は、「KY」(空気を読めない)尹錫悦大統領の完全な一人芝居であり、オウンゴール(自殺点)だからだ。大統領が突然、一人で暴れ出し、一人で転んでいったのだ。その結果、弾劾訴追を受けるのは、自業自得というものだろう。 その間、上述のように「国民向け談話」は、5回に及んだ。私はそのすべてを聞いたが、「KY」感が滲(にじ)み出ていた。 ひと言で言えば、尹大統領が思い描いている「国民の声」と、実際の「国民の声」とが、大きく乖離(かいり)しているのである。尹大統領は、「談話」によって国民の理解が得られると思っていたのだろうが、実際には「談話」を発するたびに、国民は離れていった。「談話」は尹大統領の「KY」ぶりを露呈させただけであり、すべて裏目に出る結果となったのだ。ついには、与党議員の一部まで「造反」し、弾劾訴追案が可決してしまった。』、「「国民向け談話」は、5回に及んだ。私はそのすべてを聞いたが、「KY」感が滲(にじ)み出ていた。 ひと言で言えば、尹大統領が思い描いている「国民の声」と、実際の「国民の声」とが、大きく乖離(かいり)しているのである。尹大統領は、「談話」によって国民の理解が得られると思っていたのだろうが、実際には「談話」を発するたびに、国民は離れていった」、なるほど。
・『突然発表した「戒厳宣言」  まず1回目、3日の夜に突然発表した「戒厳宣言」は、こんな調子だった。 「今日、私たちの国会は犯罪者の巣窟となり、立法独裁を通じて国の司法行政制度を麻痺させ、自由民主主義制度を打倒しようとしている。自由民主の根幹であるはずの国会が、自由民主のシステムを破壊する怪物と化している。 今、韓国は、すぐに崩壊してもおかしくない風前の灯火の運命に直面している。同胞の市民の皆さん、私は、北朝鮮の共産主義勢力の脅威から自由な大韓民国を守り、わが国民の自由と幸福を略奪している北朝鮮のすべての悪徳な反国家勢力を根絶し、自由な憲法秩序を守るために、戒厳令を宣言する。 この非常事態令を通じて、破滅の淵に堕(お)ちた自由な大韓民国を再建し、守っていく。そのために私は、廃墟となった国の犯人と、今まで腐敗を続けてきた反国家勢力を、必ず根絶する」 尹大統領は力強く語ったが、圧倒的多数の韓国国民の反応は、「はっ? 大統領は夜中に何を言っているんだ?」。隣国の緊急ニュースに叩き起こされた私も、同様だった。 韓国の国会が停滞しているのは事実だが、それはそもそも尹錫悦政権2年間の所産である。2022年5月に発足した尹政権の最大の成果は、日韓関係を急速に改善し、日米韓の緊密な連携体制を築いたことだった。 ただ、その強引な姿勢から、国内で多くの反発を招き、国民が望む好景気や高福祉は果たせなかった。今年4月10日の総選挙のキャンペーンでスーパーを視察し、たまたま店頭で大安売りしていたネギを見て、物価の安定を誇るかのような発言をした時には、国民が「ドン引き」した。 その結果、総選挙で大敗を喫した。前述のように300議席中、108議席しか取れなかったのだ。逆に野党は、過半数を取ったばかりか、「ファストトラック」(法案迅速処理)を行使できる全議席の6割も取った。取れなかったのは、大統領の弾劾訴追案を可決できる3分の2だけだった』、「尹政権の最大の成果は、日韓関係を急速に改善し、日米韓の緊密な連携体制を築いたことだった。 ただ、その強引な姿勢から、国内で多くの反発を招き、国民が望む好景気や高福祉は果たせなかった。今年4月10日の総選挙のキャンペーンでスーパーを視察し、たまたま店頭で大安売りしていたネギを見て、物価の安定を誇るかのような発言をした時には、国民が「ドン引き」した。 その結果、総選挙で大敗を喫した。前述のように300議席中、108議席しか取れなかったのだ」、なるほど。
・『国会の停滞は尹大統領の身から出た錆  つまり国会の停滞は、尹大統領の身から出た錆(さび)だったのだ。そうであるならば、石破茂首相ではないが、「少数与党として他党にも丁寧に意見を聴き可能なかぎり幅広い合意形成を図る姿勢」が必要だった。 ところが尹大統領は、「悪いのはすべて野党であり、非常戒厳令を敷けば、国民は野党の悪徳ぶりを理解してくれる」と考えたのである。それは、大いなる誤算というものだった。 韓国国民は、まるで1960年代~1970年代の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領か、1980年代の全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領のような軍事独裁者が、21世紀に亡霊のように飛び出したと、ぶったまげたのである。「尹錫悦大統領はとち狂ったか?」と思い、そんな人間に5200万国民の生殺与奪の権限を与えておくことに、不安を覚えたのである。 それで国会議員が190人、深夜の国会議事堂に駆けつけて、戒厳の解除を決議した。韓国憲法の第77条1項に、大統領の戒厳発令の権限が明記されているが、同5項には、国会が過半数の決議でそれを解除できるとしている。大統領の独裁化を防ぐための項目が作用したのだ』、「国会議員が190人、深夜の国会議事堂に駆けつけて、戒厳の解除を決議した。韓国憲法の第77条1項に、大統領の戒厳発令の権限が明記されているが、同5項には、国会が過半数の決議でそれを解除できるとしている。大統領の独裁化を防ぐための項目が作用したのだ」、なるほど。
・2度目の談話  すると尹大統領は、4日の午前4時半頃になって、虚ろな顔で2度目の「談話」を発表した。 「国会から戒厳解除の要求があり、戒厳の業務に投入した軍を撤収させた。直ちに国務会議を開いて、国会の要求を受け入れて、戒厳令を解除する」 こうして「大統領のクーデター」は、わずか6時間で幕を閉じたのだった。まったくお粗末極まりない「クーデター未遂」だった。 あえて誤解を恐れずに言えば、国家のリーダーというのは、いったん刀を抜いたら、それを振り続けなければならない。前述の朴正煕大統領は18年、全斗煥大統領は8年振り続けた。彼らがそこまで突っ張ったのは、刀を下ろしたとたんに、自己の政権が崩壊することを熟知していたからだ』、「「大統領のクーデター」は、わずか6時間で幕を閉じたのだった。まったくお粗末極まりない「クーデター未遂」だった」、なるほど。
・『3度目の談話  実際、尹大統領は国会での1回目の弾劾訴追案決議が行われた7日午前、「謝罪談話」に追い込まれた。3回目の談話である。 「今回の決定は、大統領としての私の切迫した思いから出したものだ。しかし、それが国民に不安と不便をもたらした。大変申し訳なく思っており、お詫びする。 この宣言によって生じた法的および政治的責任から逃れるつもりはない。また、再び非常戒厳が宣布されることは絶対にないと、はっきり申し上げる。 私の任期を含め、国をどう安定させるか、その決定は、わが党に委ねる。今後の国の運営については、党と政府が責任を負う。国民にご心配をおかけしたことを、改めてお詫びする」 このように、全面敗北を認めたのだった。この談話によって、同日夜に国会で行われた弾劾訴追案の決議に、大部分の与党議員が退席。賛成が3分の2に届かず、廃案となった』、「全面敗北を認めたのだった。この談話によって、同日夜に国会で行われた弾劾訴追案の決議に、大部分の与党議員が退席。賛成が3分の2に届かず、廃案となった」、なるほど。
・『4度目の談話  だが、週が代わって、野党が再び弾劾訴追案の提出を目指すと、尹大統領は、前週とは打って変わって、これに噛みついた。12日午前に、4度目の「談話」を発表したのである。この時のスピーチは、延々29分に及んだ。だいぶ要約するが、以下の通りだ。 「いま野党は、非常戒厳の宣布が内乱罪に該当するとして、狂乱の剣の舞を舞っている。本当にそう(内乱罪)だろうか? 大韓民国の勢力で、中央政府を麻痺させ、憲法に違反しているのは誰なのか? 過去2年半、主要野党は、国民が選んだ大統領を認めず、引きずり下ろそうとしてきた。大統領の任期が始まって以降、大統領を罷免し弾劾するための集会が178回も開催されている。 大統領の国政運営を麻痺させるため、何十人もの政府高官の弾劾を強く求めてきた。彼らの不正行為を調査した大臣、国会議長、および会計検査官を弾劾し、裁判官を威嚇するところまでいった。さらに、彼は違憲の特別検察官法案を27回も提出し、政治プロパガンダ攻勢を開始したのだ。 大きな野党が支配する国会は、自由民主主義の根幹ではなく、自由民主主義の憲法秩序を破壊する怪物と化している。これが国政の麻痺や国家の緊急事態でないとしたら何なのか? いま大きな反政府勢力が、国家安全保障と社会保障を脅かしている。例えば6月には、釜山に停泊している米国の航空母艦をドローンで撮影するために3人の中国人が逮捕された。 しかし現行法では、外国人によるスパイ行為を罰する方法はない。私は刑法のスパイ条項を改正しようと試みたが、最大野党が頑なに阻止しているのだ。 北朝鮮が核兵器やミサイルの脅威、GPS 妨害や汚物気球、スパイ事件など違法な挑発を行っている。それにもかかわらず、主要野党はこれに同意し、さらに北朝鮮の側に立って、対応に苦慮している政府を中傷しただけだ。来年度の検察・警察特別経費の予算もゼロにしてしまった。彼らは、大韓民国をスパイの楽園、 麻薬の巣窟、そしてギャングの国に変えるつもりではないのか?国を滅ぼそうとしている反国家勢力ではないのか? 国家情報院の職員が、選挙管理委員会にハッカーとしてハッキングしてみたところ、好きなだけデータを操作することができた。ファイアウォールは事実上なかった。そのパスワードも、『12345』のように非常にシンプルだった。民主主義の中核である選挙管理のコンピュータ化されたシステムがこれほど混乱しているとしたら、人々はどうして選挙結果を信用できるだろうか? 私は、もはや手をこまねいているわけにはいかないと思った。何かをしなければならないと思ったのだ。 主要野党の党首の有罪判決が差し迫っているため、彼らは大統領を弾劾し、早期選挙を呼びかけることでこれを回避しようとしている。国家制度を壊し、彼らの犯罪を隠蔽することによってでも、彼らは国を支配しようとしている。これは憲法を軽視する行為ではないか。 あなたが私を弾劾しようと、私を捜査しようと、私はそれに立ち向かう」 以上である。尹錫悦大統領の一世一代の「熱いスピーチ」と言ってもよいかもしれない。またその内容も、「正論」と思える部分が少なからずある』、「釜山に停泊している米国の航空母艦をドローンで撮影するために3人の中国人が逮捕された。 しかし現行法では、外国人によるスパイ行為を罰する方法はない。私は刑法のスパイ条項を改正しようと試みたが、最大野党が頑なに阻止しているのだ。 北朝鮮が核兵器やミサイルの脅威、GPS 妨害や汚物気球、スパイ事件など違法な挑発を行っている。それにもかかわらず、主要野党はこれに同意し、さらに北朝鮮の側に立って、対応に苦慮している政府を中傷しただけだ」、「野党」が安全保障上の観点よりも、党利を優先した投票行動をしているのは、困ったことだ。
・『「まるでヒトラーのビデオを見ているよう」  だが、この時点で多くの韓国国民は、尹大統領を「戒厳令を振り回すアブナイ権力者」とみなしていた。そんな人物がこのような熱弁を振るったところで、国民感情には響かない。むしろ「鬼の形相」をした大統領が30分近くも熱弁を振るうのを見て、「やっぱりこの人、ヤバいよ」と、火に油を注いでしまったのだ。 私が韓国の友人に聞いたら、「まるでヒトラーのビデオを見ているようだった」と述べた。実際、前述の韓東勲「国民の力」代表は、この演説の後に、「もうダメだ、(弾劾訴追案に)賛成しよう」と与党議員たちに呼びかけた。 そして14日18時、弾劾訴追案は国会で可決された。その報告が龍山(ヨンサン)の大統領執務室に届けられたら、大統領は職務停止となる』、安全保障上の懸念材料が国民に正しく受け止められず、党利に基づいた発言と受け止められたのは、残念だ。
・『5度目の談話  同日18時半、尹錫悦大統領は、テレビカメラの前で5回目の談話を発表した。この「最後の談話」は、全文を訳す。 「尊敬する国民の皆さん、今日、国会が弾劾訴追を採決するのを見ながら、私が初めて政治への参加を表明した2021年6月29日を思い出した。この国の自由民主主義と、法の支配は壊れていた。自営業者の絶望と 若者の欲求不満が、国中に広がっていた。その熱烈な国民的な志(こころざし)を持って、私は政界入りした。それからは休むことなく全力で取り組んできた。 大統領になって現場の人々に会った時、中小企業の経営者や自営業者が前政権の消極的な政策のために喘(あえ)いでいるのを、若者や一般の人々が不動産ローンのために嘆いているのを見た。しかし、その困難な状況を冷静に聞き、少しずつ問題を解決していった時、何よりも幸せを感じた。 輸出が復活するにつれ、経済は活力を取り戻し、少しずつ温かさが広がっていったのは心強いことだった。崩壊した原子力発電所の生態系を回復し、原子力発電所の輸出を実現した。私たちは、将来に必要な4つの主要な改革を必死に進めたが、以前の政府は選挙に負けることを恐れて実行できなかった。国民のために考え、推進してきた政策が行き詰まったとき、私は胃の調子が悪くなり、夜も眠れなかった。 韓国・米国・日本の協力関係を回復し、世界外交の視野を広げるために、日夜努力した。韓国No.1の営業マンの肩書きを身にまとい、世界中を旅して結果を出した時、言葉では言い表せないほど大きな満足感を感じた。私は疲れを忘れて、韓国の国際的地位が高まり、安全保障と経済が強くなっていくのを見ていた。 いまや、辛いが幸せだったやりがいのある旅が止まってしまった。私の努力が無駄になることが悔しい。私はいま立ち止まるが、この2年半、この国の人々と共に歩んできた未来への旅は、決して止まってはならない。 私は決して放棄しない。私に向けられたすべての叱責、励まし、そして支援を心に抱きながら、最後の瞬間まで国のために最善を尽くす。 公職者の皆さんにお願い申し上げたい。大変な時期だが、皆さんには自分の立場を貫き、揺らぐことなく役割を果たしてほしい。私は、皆さんが大統領代行を中心に協力し、国民の安全と幸福を守るために最善を尽くすことを強く求める。 そして政界にお願い申し上げたい。いまや暴走と対決の政治から、熟議と配慮の政治に変えられるよう、政治文化と制度を改善することに、関心と努力を傾けるよう願う。
・『21世紀の民主主義がもどかしい 同時に、こうも思った。これほど高邁無私なことを考えているのなら、なぜこれまで国民と真摯(しんし)に対話してこなかったのか? あと1時間以内に大統領の職務が止まるという時に述べても、「いまわの際」の「遺言」にしかならないではないか。 今後、憲法裁判所が「弾劾訴追は妥当」との判断を下せば、尹錫悦大統領は「ただの韓国人」となる。いや、「疑惑のデパート」と言われる金建希(キム・ゴンヒ)夫人とともに、「内乱罪」などの罪を着せられて監獄行きは免(まぬか)れないだろう。 そしてかなり高い確率で、尹大統領の最大の政敵である李在明(イ・ジェミョン)「共に民主党」代表が、後釜の大統領に就く。その奔放な物言いから「韓国のトランプ」との異名を取るが、私は「反日モンスター」と呼んでいる。李在明代表に関しては、いま発売している『週刊現代』の巻頭3ページで詳述した。 それにしても、民主主義とは、一体何だろう? 「韓国のCNN」ことYTNの解説者が思わず、「もどかしい」(답답하다)と口走っていた。そう、21世紀の民主主義がもどかしい……。 愛する国民の皆さん、私はわが国民の底力を信じている。われわれ全員が、大韓民国の自由民主主義と繁栄のために力を合わせよう。ありがとう」 以上である。私はYTNの生放送で見ていて、とてもよいことを述べていると感じた。「5つの談話」の中では秀逸だ。) 山上信吾前駐豪大使が書かれた『日本外交の劣化』(文藝春秋)は、今年読んだ本の中で秀逸だった。山上大使のことを「変人扱い」する霞が関関係者もいるが、日本以外の大使というのは、エマニュエル駐日米国大使や呉江浩駐日中国大使らを見ても分かるように、得てして「才能溢れる変人」が多い。 そんな山上大使の「続編」として本書を読んだ。第1章の日豪史は知らないことばかりでフムフム。第2章では、在豪邦人がまもなく10万人を超え、在中邦人を追い越すことなどを知ってヘエー。第3章の外交とメディアは、身につまされることもありイヤハヤ。第4章の日本外交の「宿痾(しゅくあ)」はアチャー。そして第5章の日本外交の再建は、ソーダヨ! 結論として、山上大使の本は「面白くてためになる」(この言葉は弊社の社是でもある)。もしトランプが日本の首相なら、山上大使を駐中国大使に任命していたかもしれないと、読後の妄想が膨らんだ』、「山上信吾前駐豪大使が書かれた『日本外交の劣化』(文藝春秋)では、「在豪邦人がまもなく10万人を超え、在中邦人を追い越すことなどを知ってヘエー」、面白そうで、是非読んでみたい。
タグ:「山上信吾前駐豪大使が書かれた『日本外交の劣化』(文藝春秋)では、「在豪邦人がまもなく10万人を超え、在中邦人を追い越すことなどを知ってヘエー」、面白そうで、是非読んでみたい。 「尹大統領は、妄想でも見ていたかのように、完全に世論を読み誤ったものと推察されます。誠に愚か極まりない話しですが、少なくとも公表された情報から推察するに・・・、その可能性以外思い当たりません』、なるほど。 「韓国での戒厳令は、45年ぶりです」、しかし、「このクーデターに対して国民は猛反発します。 司令部が禁じている筈の「デモ」が拡大し、国会議事堂の門に殺到し、議員たちは司令部が同じく禁じている筈の「国会決議」を行い、大統領の措置解除を決定しました。 その結果、尹大統領は「立法府の命令に従う」と述べ、戒厳令をわずか6時間で解除する決定を下しました」、なるほど。 「釜山に停泊している米国の航空母艦をドローンで撮影するために3人の中国人が逮捕された。 しかし現行法では、外国人によるスパイ行為を罰する方法はない。私は刑法のスパイ条項を改正しようと試みたが、最大野党が頑なに阻止しているのだ。 北朝鮮が核兵器やミサイルの脅威、GPS 妨害や汚物気球、スパイ事件など違法な挑発を行っている。それにもかかわらず、主要野党はこれに同意し、さらに北朝鮮の側に立って、対応に苦慮している政府を中傷しただけだ」、「野党」が安全保障上の観点よりも、党利を優先した投票行動をしているのは、困っ 「全面敗北を認めたのだった。この談話によって、同日夜に国会で行われた弾劾訴追案の決議に、大部分の与党議員が退席。賛成が3分の2に届かず、廃案となった」、なるほど。 「「大統領のクーデター」は、わずか6時間で幕を閉じたのだった。まったくお粗末極まりない「クーデター未遂」だった」、なるほど。 (その2)(韓国「戒厳令」報道で露呈…日本メディアは英米より「圧倒的にレベルが低かった」!「隣国の暴挙」でさえ、まともに報じることができないのか、尹錫悦は「何を間違えた」のか?...お粗末すぎた大統領の自作自演クーデター計画を解説、韓国のレトロな戒厳令騒ぎ つながり強い〝高校閥 の先輩後輩 飲食しながら極秘の話か、ついに職務停止…尹錫悦大統領「5回の談話」の恐るべきKY度 「北京のランダム・ウォーカー」第763回) 韓国(尹錫悦大統領) 藤井 聡氏による「韓国「戒厳令」報道で露呈…日本メディアは英米より「圧倒的にレベルが低かった」!「隣国の暴挙」でさえ、まともに報じることができないのか」 現代ビジネス 「仮に尹大統領が弾劾されなかったとしても、支持率の下落、そして、野党の反発はこれまで以上により過激なものとなるのは必至であり、「国会運営の行き詰まり」は、クーデター前よりもさらに酷くなることは確実です。 かくして韓国の政治状況は全く予断を許さない状況にあると言えるでしょう」、なるほど。 ~ 結局何が突然の戒厳令を招いてしまったのか」)の記事です」、全く日本のマスコミの取材力のお粗末さには呆れ果てた。 「日本の記事を見てみても「韓国の国民性はそんなものだ」というものや、「大統領に進言できる人間がいない」等の、周辺的な情報ばかりで、クーデターが起こる必然性は明確には書かれていません。 そんな中、しっかりと腑に落ちる解説が書かれている記事が二つありました。BBC(12月5日「【解説】 韓国大統領は何を考えていたのか 裏目に出た『非常戒厳』」)とNew York Times(12月4日「戒厳令で露呈した『韓国社会が抱える圧倒的な闇』 Newsweek日本版 「戒厳司令部は国会と地方議会に一切の政治活動を禁じ、全ての言論と出版を統制し、市民の集会を禁じると命じた。首都ソウル市内には装甲車やヘリコプターが出現した」、いきなりの「戒厳司令部」の出現には心底驚かされた。 是非、これからもメディアやSNS情報には注意して参りましょう。「欧米に比した日本のマスメディア(所謂オールドメディア、という奴ですね)のレベルの低さを露呈するものでもありました。 何と言っても日本のマスメディアは、公表された事実情報だけを列挙し、一部識者達の声を断片的に挿入しているだけで、英米が的確に伝えている「物事の本質」についての情報を一切提供してはいなかったのです」、致命的な欠陥だ。 「野党議員の金民錫(キム・ミンソク)はこの夏から、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が戒厳令を出しかねないと警告していた。しかし誰もが、さすがにそれはないと思っていたし、そう思いたかった」、なるほど。 米「責任ある外交に関するクインシー研究所」研究員のネーサン・パク氏による「尹錫悦は「何を間違えた」のか?...お粗末すぎた大統領の自作自演クーデター計画を解説」 いかにも韓国らしいエピソードだ。 「悲しいかな、保守派の中でもそれなりに分別のある議員たちはまたしても、自分たちの担いだ大統領を弾劾するしかないのだ」、なるほど。 「午前1時1分、300人の国会議員のうち、なんとか議場に入ることのできた190人が全員一致で戒厳令の解除を決議した。 なかには与党・国民の力に属する議員18人も含まれていた。しばらくためらった後、ヘリコプターと装甲車、そして兵士たちは議事堂を離れ始めた」、クーデターは僅差で阻止されたようだ。 産経新聞「韓国のレトロな戒厳令騒ぎ つながり強い〝高校閥〟の先輩後輩 飲食しながら極秘の話か」 「韓国」では民主主義が着実に根付きつつある。その基盤を揺るがすのが「クーデター騒ぎ」だ。 「韓東勲は検事として、2018年に李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)元大統領を投獄し、今度はボスだった尹錫悦大統領を裏切って、投獄に向かわせようとしている。3人もの大統領を葬り去るとは大したタマだが、最後は自分も無傷では済まないだろう。 それくらい、いま『国民の力』の内部で恨みを買っている」、なるほど。 誠に目まぐるしい状況の変化だ。 近藤 大介氏によ「ついに職務停止…尹錫悦大統領「5回の談話」の恐るべきKY度 「北京のランダム・ウォーカー」第763回」 「国会議員が190人、深夜の国会議事堂に駆けつけて、戒厳の解除を決議した。韓国憲法の第77条1項に、大統領の戒厳発令の権限が明記されているが、同5項には、国会が過半数の決議でそれを解除できるとしている。大統領の独裁化を防ぐための項目が作用したのだ」、なるほど。 「尹政権の最大の成果は、日韓関係を急速に改善し、日米韓の緊密な連携体制を築いたことだった。 ただ、その強引な姿勢から、国内で多くの反発を招き、国民が望む好景気や高福祉は果たせなかった。今年4月10日の総選挙のキャンペーンでスーパーを視察し、たまたま店頭で大安売りしていたネギを見て、物価の安定を誇るかのような発言をした時には、国民が「ドン引き」した。 その結果、総選挙で大敗を喫した。前述のように300議席中、108議席しか取れなかったのだ」、なるほど。 「談話」は尹大統領の「KY」ぶりを露呈させただけであり、すべて裏目に出る結果となったのだ。ついには、与党議員の一部まで「造反」し、弾劾訴追案が可決してしまった。』、「「国民向け談話」は、5回に及んだ。私はそのすべてを聞いたが、「KY」感が滲(にじ)み出ていた。 ひと言で言えば、尹大統領が思い描いている「国民の声」と、実際の「国民の声」とが、大きく乖離(かいり)しているのである。尹大統領は、「談話」によって国民の理解が得られると思っていたのだろうが、実際には「談話」を発するたびに、国民は離れていった」、なる 公職者の皆さんにお願い申し上げたい。大変な時期だが、皆さんには自分の立場を貫き、揺らぐことなく役割を果たしてほしい。私は、皆さんが大統領代行を中心に協力し、国民の安全と幸福を守るために最善を尽くすことを強く求める。 そして政界にお願い申し上げたい。いまや暴走と対決の政治から、熟議と配慮の政治に変えられるよう、政治文化と制度を改善することに、関心と努力を傾けるよう願う。 安全保障上の懸念材料が国民に正しく受け止められず、党利に基づいた発言と受け止められたのは、残念だ。 たことだ。
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韓国ユン大統領、事実上の職務停止に追い込まれる? 与党代表「残る任期は最長でも半年」:<ソフトランディング目指す与党と徹底して弾劾目指す野党の対立続く> 韓国国会で7日、ユン大統領に対する弾劾決議は不成立となったが、これで事態が収まった訳ではない。与党からも大統領職の事実上の停止を求める動きが出ているからだ。 国民の力のハン·ドンフン代表は8日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)の国民の力党本部でハン・ドクス首相と会談した後、共同で対国民共同談話を発表。ユン大統領が職から退く方法と [世界情勢]

「韓国ユン大統領、事実上の職務停止に追い込まれる? 与党代表「残る任期は最長でも半年」」を紹介しよう。この記事は12月8日付けNewsweek日本版が伝えたものである。
・『<ソフトランディング目指す与党と徹底して弾劾目指す野党の対立続く> 韓国国会で7日、ユン大統領に対する弾劾決議は不成立となったが、これで事態が収まった訳ではない。与党からも大統領職の事実上の停止を求める動きが出ているからだ。 国民の力のハン·ドンフン代表は8日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)の国民の力党本部でハン・ドクス首相と会談した後、共同で対国民共同談話を発表。ユン大統領が職から退く方法として、弾劾や下野ではなく「秩序ある退陣」を提示した。韓国メディアMBC、YTN、京郷新聞などが報じた』、「国民の力のハン·ドンフン代表は8日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)の国民の力党本部でハン・ドクス首相と会談した後、共同で対国民共同談話を発表。ユン大統領が職から退く方法として、弾劾や下野ではなく「秩序ある退陣」を提示」、なるほど。
・『ハン代表「大統領に弾劾や下野ではなく秩序ある退陣を」  ハン代表はきょう午前、ソウル汝矣島(ヨイド)で韓悳洙(ハン・ドクス)首相と会談し、ユン大統領の職務を実質的に停止させる案や、下野の具体的なタイムテーブルについて話し合った。 ハン代表は特に、今後弾劾案が可決され、憲法裁判所もユン大統領の罷免を決定すると仮定した場合、ユン政権の残りの任期は5〜6カ月になるとして、これより時間がかかると国民を説得するのは難しいと判断したと言われている』、「ハン代表は特に、今後弾劾案が可決され、憲法裁判所もユン大統領の罷免を決定すると仮定した場合、ユン政権の残りの任期は5〜6カ月になるとして、これより時間がかかると国民を説得するのは難しいと判断したと言われている」、なるほど
・『ハン代表「秩序ある退陣で混乱を最小化」  ハン代表は会談後の対国民談話で、「12月3日、大統領の非常戒厳宣言と戒厳軍による国会進入事態は大韓民国の民主主義毀損であり反憲法的行為だった。非常戒厳事態による国民不安と国家的被害が取り返しのつかないほど莫大だ」とし、「国民が政府に感じる失望感と不信が非常に大きい」と指摘した。 ハン代表は「ユン大統領が残った任期の間、正常に国政運営ができないので職から退かなければならないというのが国民多数の判断だと考える」として「国民の力は執権与党で国民の峻厳な判断を謙虚に受け入れる」と話した。 彼は弾劾や下野ではなく「秩序ある退陣」をユン大統領が職から退く方法として提示した。 「秩序ある退陣で混乱を最小化し、国民と国際不安を解消し、国民生活、国格を回復させる」とし「党内議論を経て具体的な方策を早く発表する」と話した。 また、「ユン大統領も国民の命令によって任期を含め、政局安定策を党に一任することを約束した」とし、「したがって、秩序ある早期退陣の過程で混乱はないと思う」と述べた。 さらに「ユン大統領は退陣するまで国政に関与しない」と強調した。 そして「大統領退陣前まで首相が党と緊密に協議し、国民生活と国政を支障なく管理する。退陣前でも大統領は外交を含む国政に関与しないだろう。 国民と国際社会が憂慮しないようにする」と述べた。 またハン首相と定例会合を開く計画も明らかにした。 彼は「国民生活に気を配らなければならない」とし、「党代表と国務総理の会合を週1回以上定例化する」とし、「常時会合で政治、外交、国防などの懸案を議論し、一寸の国政空白も起きないようにする」と話した。 ハン首相「国会議長の下、与野党が協力を」 ハン代表と共に対国民談話を発表したハン・ドクス首相は非常戒厳事態に対して「国務総理として重い責任感を感じている」として「国民の皆様に心より申し訳ないという話を申し上げる」と話した。 さらにハン首相は「何より重要なことは国政において一寸の空白もあってはならないという事実だ。国家の安危と国民の日常が一寸の動揺もなく維持されるように毎瞬間最善を尽くして国民に仕える」と話した。 また、ハン首相は外交分野については「国際情勢も不確実性が大きくなっている」とし「韓米同盟を堅固に維持しながら韓日米協力を強固に維持することが非常に大きく重要な課題」と話した。 続いて「堅固な安保態勢を確立し、対外信頼を安定的に管理していく」とし、「国民が不安に思うことがないよう治安秩序を確立し、各種災難にも徹底的に備える」と述べた。 さらにハン首相は禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長のリーダーシップの下、与野党の協議を通じた国会運営などで傾聴と妥協、合理と調整が根付くことを希望する」とし、「政府が先に体を低くして協力を求める」と野党側への協力を呼びかけた。
・『ハン代表らの対国民談話に反発の声  ユン大統領の弾劾や下野といった荒療治をせずに、いわば与党のハン代表とハン首相による大統領代行という発表には、野党のみならず各方面から反対の声が上がっている。 禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は対国民談話について、「大統領の権限を首相と与党が共同行使することは明白な違憲だ」と批判した。 そのうえで「大統領の職務を直ちに中断させるための与野党会談を提案する」とも述べた。 ウ議長は「今日の首相の談話には憲法も国民も見当たらない。大統領権力の付与も権限の移譲も国民から出るもので、その手続きは憲法と国民主権の原則に従わなければならない」とし、「大韓民国憲法は大統領が憲法と法律を重大に違反した時、大統領の権限を停止させ、職から退くための手続きとして弾劾手続きを規定している。今すぐ憲法にない一切の行為を中断し、憲法と法律に従って国政安定に集中することを国会議長として警告する」と述べた。 また、与党の重鎮、洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長は、国民の力のハン代表の対国民談話について「ハン代表に国民が選出した大統領を職務排除する権限があるのか? さらに混乱が来る前に辞退しなさい。 それが責任政治だ」と強調した。  ホン市長は「このような事態になったのは初心者大統領と初心者党代表の2人で反目し、ここまで来ることになった」とし「(職務排除権限は)弾劾手続きしかない」と話した。  続いて彼はハン代表に向けて「大韓民国国民はハン代表に国政を任せたことがない。党員が党務を任せただけだ」と批判、「朴槿恵(パク・クネ)弾劾の時も党代表は辞退した。 事実上、弾劾事態ではないか。 もっと混乱する前に辞退しなさい。 それが責任政治だ」と重ねて強調した。
・『野党側は弾劾案の再提出へ  こうした与党側の動きに対して野党側はあくまで、ユン大統領を弾劾させるということで一致しており、最大野党の共に民主党は、ユン大統領弾劾訴追案を一週間単位で臨時国会会期を切り、表決処理に乗り出すという方針を決定した。 共に民主党は12月10日で通常国会が閉会する直後の12月11日に再び臨時国会を召集し、当日は尹大統領に対する弾劾訴追案を再発議し、土曜日の14日に採決を試みる案を有力に検討している。 これは韓国国会では案件が否決された場合、同じ会期に再び発議できないため、これを避けるため、会期を1週間という臨時国会を開催し、弾劾案が可決されるまで1週間ごとに再発議する計画だ』、「これは韓国国会では案件が否決された場合、同じ会期に再び発議できないため、これを避けるため、会期を1週間という臨時国会を開催し、弾劾案が可決されるまで1週間ごとに再発議する計画だ」、国会のルールを踏まえた最善の政策だ。いずれにしても、熟柿が落ちるような効果を見せる筈だ。
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中国国内政治(その15)(習近平はもうおしまいなのか…中国人民解放軍で「静かなクーデター」!粛清に反抗してとうとう制服組トップが軍を掌握、中国の権力闘争がさらに激化!習近平主席の猜疑心を煽る…ベトナムが李強首相に与えた「国賓待遇」の波紋、もはや滑稽! 14億国民も呆れた習近平の「皇帝ぶりっこ」 林愛華「中南海ディープスロート」第13回) [世界情勢]

中国国内政治については、昨年8月12日に取上げた。今日は、(その15)(習近平はもうおしまいなのか…中国人民解放軍で「静かなクーデター」!粛清に反抗してとうとう制服組トップが軍を掌握、中国の権力闘争がさらに激化!習近平主席の猜疑心を煽る…ベトナムが李強首相に与えた「国賓待遇」の波紋、もはや滑稽! 14億国民も呆れた習近平の「皇帝ぶりっこ」 林愛華「中南海ディープスロート」第13回)である。特に、第一の記事はスクープといえる衝撃的な内容だ。

先ずは、本年10月30日付け現代ビジネスが掲載した評論家の石 平氏による「習近平はもうおしまいなのか…中国人民解放軍で「静かなクーデター」!粛清に反抗してとうとう制服組トップが軍を掌握」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/140302?imp=0
・『張又侠、踊り出る  今年10月に入ってからの中国軍上層部の動きを時間列順に追っていくと、大きな異変が静かに起きていることに気がつく。解放軍に対する習近平主席の指揮権は実質上解除され、それに取って代わって、共産党中央軍事委員会筆頭副主席で制服組のトップの張又侠氏がすでに軍の掌握に成功している模様である。 まずは10月14日、15日、解放軍の「全軍軍事理論工作会議」が北京で開かれた。習主席がその間、福建省などで地方視察中であって会議に出席しなかった中で、前述の張又侠氏は会議を主宰し講話を行なった。 会議は一応、「軍事理論の構築」に関する習主席の「重要指示」を受けて開催されたものではある。しかし、解放軍各軍種と五大戦区のトップたちが揃って参加する重要会議に習主席が欠席するのはやはり異様なことである。特にそれは「軍事理論」に関する全軍会議であれば、軍の方向性を示す立場の習主席こそが本来、自ら参加して仕切るべき会議のはずである。 ところが今回、全軍会議の事実上の中心人物となったのは張氏である。習主席はその間、緊急性の全くない地方視察に出かけているが、その理由に関しては、習主席は自分が軍会議に呼ばれなかったことを覆い隠すためにわざと地方に出かけたのではないかとの観測も成り立つ』、「解放軍に対する習近平主席の指揮権は実質上解除され、それに取って代わって、共産党中央軍事委員会筆頭副主席で制服組のトップの張又侠氏がすでに軍の掌握に成功している模様である・・・解放軍の「全軍軍事理論工作会議」が北京で開かれた。習主席がその間、福建省などで地方視察中であって会議に出席しなかった中で、前述の張又侠氏は会議を主宰し講話を行なった。 会議は一応、「軍事理論の構築」に関する習主席の「重要指示」を受けて開催されたものではある。しかし、解放軍各軍種と五大戦区のトップたちが揃って参加する重要会議に習主席が欠席するのはやはり異様なことである。特にそれは「軍事理論」に関する全軍会議であれば、軍の方向性を示す立場の習主席こそが本来、自ら参加して仕切るべき会議のはずである。 ところが今回、全軍会議の事実上の中心人物となったのは張氏である。習主席はその間、緊急性の全くない地方視察に出かけているが、その理由に関しては、習主席は自分が軍会議に呼ばれなかったことを覆い隠すためにわざと地方に出かけたのではないかとの観測も成り立つ」、これは大スクープだ。
・『習主席の指揮権は排除  以上は、10月に入ってから、軍活動と軍外交における張氏の突出ぶりであるが、実はそれとは対照的に、もう一人の軍事委員会副主席である何衛東氏は10月に入ってから全く公の場に出てこないという異常事態も生じてきている。 何氏が公の活動に出たのは9月13日、北京で開催された安全保障関係の国際フォーラムに参加しに来た外国の防衛関係者と会談した時である。しかしそれ以後は、彼のいっさい動静が伝わっていない。特に、前述の二つの張氏主宰の全軍会議には、同じ軍事委員会副主席の何氏が参加していないのはもはや完全なる異常事態。普通ならばそれは、彼の失脚さえ意味するものである。 何氏という人物は、習近平独裁体制が完全確立した2022年10月の党大会で習主席によって政治局員・軍事委員会副主席に大抜擢された軍人であり、まさに軍における習主席側近の一人である。しかし今、この何氏が張氏によって軍指導部の重要会議から排除されたのであれば、それは当然、張氏はすでに、軍における習主席の指揮権を排除して軍の掌握に成功していることを示している』、「何氏という人物は、習近平独裁体制が完全確立した2022年10月の党大会で習主席によって政治局員・軍事委員会副主席に大抜擢された軍人であり、まさに軍における習主席側近の一人である。しかし今、この何氏が張氏によって軍指導部の重要会議から排除されたのであれば、それは当然、張氏はすでに、軍における習主席の指揮権を排除して軍の掌握に成功していることを示している」、なるほど。
・昨年からの軍幹部粛清で習近平との関係に亀裂  張氏は解放軍古参将軍を父親に持ち、1979年の対ベトナム国境戦争に参戦したという実戦体験の実力派軍人だ。習近平政権以前は大軍区の瀋陽軍区の司令官にまで上り詰めたが、習近平政権になってから五年間にわたって解放軍総装備部部長・中央軍事委員会装備発展部部長を勤めた。習政権の2期目には政治局員・軍事委員会副主席に昇進して現代に至る。 こうしてみると、張氏は本来、習主席と同様に共産党高官を父親にもつ「太子党」として主席とは緊密な関係にあり、習主席の軍掌握の要でもあり続けたが、二人の関係に亀裂が生じてきたきっかけは、昨年から始まった習主席主導の腐敗摘発としての軍粛清であると考えられる。 粛清された大物軍人の一人である前国防大臣の李尚福は、まさに張氏の後任として軍事委員会装備発展部長を五年間務めた人間であるから、李尚福の装備発展部長昇進はやはり張氏の推薦によるものであると知られて、李は張氏人脈の軍人であることは明らかである。したがって、習主席による李尚福粛清は張氏にとっても大打撃であるだけでなく、装備発展部長としての李尚福の腐敗問題に対する追究はいずれかその前任の張氏の身に及んでくる可能性もある。 その一件から張氏は徐々に反習近平へ傾いてきているが、その痕跡の一つとして挙げられるのは、解放軍機関紙が事実上の「習近平批判」を展開した珍事にある。 今年7月27日付の解放軍機関紙「解放軍報」は、「いま、個別なところでは党内政治生活が正常さを失い、個人は党組織の上に凌駕し、家長制的なやり方で、鶴の一声で物事を決めるようなことが起きている」と、独裁者の習近平主席を暗に批判している論説を掲載した。これに続いて、8月10日付の解放軍報はまたも、「民主的な意思決定はすなわち党組織の集団的意思決定であって、個人的な独断による意思決定があってはならない」とする論評を掲載して露骨に習近平独裁を批判した。 そして今年8月の北戴河会議で長老たち中心の「反習近平政変」が起きたことは色々と伝わってきている中で、どうやら実力軍人の張氏は長老の支持と、習主席の軍粛清拡大を恐れている軍幹部の支持を受けて軍に対する習主席の実質上の指導権を排除した上で軍の掌握に成功しているのではないかと考えられる』、「8月10日付の解放軍報はまたも、「民主的な意思決定はすなわち党組織の集団的意思決定であって、個人的な独断による意思決定があってはならない」とする論評を掲載して露骨に習近平独裁を批判した。 そして今年8月の北戴河会議で長老たち中心の「反習近平政変」が起きたことは色々と伝わってきている中で、どうやら実力軍人の張氏は長老の支持と、習主席の軍粛清拡大を恐れている軍幹部の支持を受けて軍に対する習主席の実質上の指導権を排除した上で軍の掌握に成功しているのではないかと考えられる」、なるほど。
・『軍でも政府でも習近平はお飾りに  ただし、習氏は依然として共産党総書記・軍事委員会主席である以上、張氏に掌握された軍は今後においても、少なくとも形的には習主席の「指導下」にある体裁をとり、習主席をいわば「飾り物」に祭り上げておきながら軍独自の路線を自主的に走ることとなろう。 その一方、習主席のもう一人の側近であった李強首相も今、習氏から離反して独自路線を走り始めているから、3期目の習近平政権は早くも空中分解の局面を迎えている様相である。 ただし権力闘争の激化が双方の共倒れと政権そのものの崩壊をもたらす危険性もあるから、おそらく2027年秋の党大会開催までは、共産党指導部は習氏を名目上の最高指導者として担ぎながら、「軍は張又侠、政府は李強首相」という形で政権運営を行なっていくことになろう。しかしそれでは、3期目の満了に伴う習近平政権の終焉は現実味を帯びてきているのである。 【つづきを読む】『中国の権力闘争がさらに激化!習近平主席の猜疑心を煽る…ベトナムが李強首相に与えた「国賓待遇」の波紋』』、「張氏に掌握された軍は今後においても、少なくとも形的には習主席の「指導下」にある体裁をとり、習主席をいわば「飾り物」に祭り上げておきながら軍独自の路線を自主的に走ることとなろう。 その一方、習主席のもう一人の側近であった李強首相も今、習氏から離反して独自路線を走り始めているから、3期目の習近平政権は早くも空中分解の局面を迎えている様相である・・・2027年秋の党大会開催までは、共産党指導部は習氏を名目上の最高指導者として担ぎながら、「軍は張又侠、政府は李強首相」という形で政権運営を行なっていくことになろう。しかしそれでは、3期目の満了に伴う習近平政権の終焉は現実味を帯びてきているのである」、なるほど。

次に、10月26日付け現代ビジネスが掲載した評論家の石 平氏による「中国の権力闘争がさらに激化!習近平主席の猜疑心を煽る…ベトナムが李強首相に与えた「国賓待遇」の波紋」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/139907?imp=0
・『異例! なんで公安部トップが天津を経済視察  10月16日、中国の新華社通信が次のニュ=スを伝えた。15日、16日の両日、中国公安部長の王小洪氏は、共産党中央書記処書記、国務委員の肩書で直轄市の天津市で「経済の高品質発展」について視察を行ったという。 視察中、王氏は関連企業を訪れ、当面の経済情勢と経済工作に関する習近平主席の重要講話精神の学習・貫徹を呼びかけた。同時に彼は、内需の拡大、経済構造の向上、全国統一大市場の構築などについて語り、それらの重要性を強調したという。 王氏は国務委員の一人ではあるが、本職が公安部長であって、全国の公安警察の総責任者だ。国務院における彼の役割分担はあくまでも公安や治安維持である。したがって彼の立場と仕事は本来、「経済」とは何の関係もない。公安責任者が地方で企業を視察して「内需の拡大、経済構造の向上」を語るのはまさに前代未聞の大珍事、荒唐無稽でさえある』、「中国公安部長の王小洪氏は、共産党中央書記処書記、国務委員の肩書で直轄市の天津市で「経済の高品質発展」について視察を行ったという。 視察中、王氏は関連企業を訪れ、当面の経済情勢と経済工作に関する習近平主席の重要講話精神の学習・貫徹を呼びかけた。同時に彼は、内需の拡大、経済構造の向上、全国統一大市場の構築などについて語り、それらの重要性を強調したという。 王氏は国務委員の一人ではあるが、本職が公安部長であって、全国の公安警察の総責任者だ。国務院における彼の役割分担はあくまでも公安や治安維持である・・・公安責任者が地方で企業を視察して「内需の拡大、経済構造の向上」を語るのはまさに前代未聞の大珍事、荒唐無稽でさえある」、なるほど。
・『習近平人脈の中核中の中核  王氏の経歴をみれば、彼が1984年から2013年までにずっと福建省で公安警察の仕事に従事していたが、習近平主席は1990年から96年までに福州市党委員会書記を務めた時、王氏が福州市公安副局長・局長を歴任し、習氏直轄の部下として仕え、それ以来、習氏の側近の一人となった。 そして2012年秋の習近平政権成立後、王氏はまず河南省公安庁長に昇進し、2015年には北京公安局長に転任、16年からは公安部副部長、2022年には公安部長に昇進して全国の公安警察のトップとなって、習主席の公安警察掌握の要となった。 その一方、王氏は習主席一番側近の政治局常務委員の蔡奇と並んで、習近平の福建省勤務時代からの「譜代側近」として、今や習政権の一番中枢の「福建組」の核心人物の一人でもある』、「王氏の経歴をみれば、彼が1984年から2013年までにずっと福建省で公安警察の仕事に従事していたが、習近平主席は1990年から96年までに福州市党委員会書記を務めた時、王氏が福州市公安副局長・局長を歴任し、習氏直轄の部下として仕え、それ以来、習氏の側近の一人となった。 そして2012年秋の習近平政権成立後、王氏はまず河南省公安庁長に昇進し・・・2022年には公安部長に昇進して全国の公安警察のトップとなって、習主席の公安警察掌握の要となった・・・習近平の福建省勤務時代からの「譜代側近」として、今や習政権の一番中枢の「福建組」の核心人物の一人でもある」、なるほど。
・『他に信頼できる側近がいない!?  このような背景からは、公安警察トップの王氏が突如、天津に現れて、畑違いの「経済視察」を行ったことの理由がある程度分かってくる。 つまり、本来は習主席の側近であるはずの李強首相が経済運営の問題上、習主席と悉く対立している中で、習主席は李首相を制する切り札として、国務委員でもある公安トップの王氏に経済運営に関与させることによって、李首相の仕事を邪魔し徹底的に牽制する魂胆であろう。 そしてそのことは、習主席と李首相との信頼関係が完全に崩壊したことを意味する一方、習主席は今、蔡奇や王小洪など数名の福建時代からの「譜代側近」以外に、もう誰も信頼できなくなっていることを意味する。 信頼できる人が数名しかいないから、習主席はやむを得ず、公安一筋の王氏に無理やり「経済」を語らせ、経済運営にまで関与させようとしているが、これほど荒唐無稽なことは逆に、習近平政権は完全に行き詰まって末期症状を呈していることを示している。そして公安警察トップが経済運営に口出しするようでは、中国経済自体は地獄入りする以外にないのであろう』、「本来は習主席の側近であるはずの李強首相が経済運営の問題上、習主席と悉く対立している中で、習主席は李首相を制する切り札として、国務委員でもある公安トップの王氏に経済運営に関与させることによって、李首相の仕事を邪魔し徹底的に牽制する魂胆であろう・・・公安一筋の王氏に無理やり「経済」を語らせ、経済運営にまで関与させようとしているが、これほど荒唐無稽なことは逆に、習近平政権は完全に行き詰まって末期症状を呈していることを示している。そして公安警察トップが経済運営に口出しするようでは、中国経済自体は地獄入りする以外にないのであろう」、なるほど。
・『もはやベトナムが李強を「元首」扱い  一方、渦中の人物である李首相の方でも最近、次のような興味深い動きがあった。今月12日と13日の両日、ラオスでの国際会議参加を終えた彼はその足でハノイへ行き、二日間の日程でベトナムに対する公式訪問を行った。訪問での首脳会談の中には特に注目すべきところは特にないが、意外だったのは、ベトナム側の李首相に対する異例な厚遇ぶりである。 012日の夕刻、李首相がハノイ空港に到着した時、ベトナムの副首相兼外相は飛行機の下で彼を迎えた。そしてその晩のうち、李首相はベトナム共産党中央本部へ赴き、ベトナム共産党総書記・国家主席トー・ラムと会談した。 ベトナムでは総書記・国家主席は国家元首の立場であって、中国首相のカウンターパートナーではなく、本来、李首相と会談しなくても良い。たとえ会談があるとしても、李首相の表敬訪問を受ける形での儀礼的な会談で済ませて良い。しかし今回、ベトナム主席は高官たちを率いて李首相をトップとする中国側と長方形のテーブルを挟む形での正式会談を行った。それは普通、対等な立場にある首脳同士の会談の様式である。 そして翌日の13日、今度はベトナム首相は李首相の歓迎式典をとり行った後に首脳会談。午後には、ベトナムの国会主席(議長)が李首相と会談した。 このようして、李首相訪越の二日間において、ベトナム側は党・国家・政府・国会のトップが総出の形で彼と会談したわけである。それは普段、習近平主席やバイデン大統領などの外国元首に対する首脳外交の行い方であって、中国の首相であるはずの李首相に事実上の国賓待遇を与えたのである』、「ベトナムでは総書記・国家主席は国家元首の立場であって、中国首相のカウンターパートナーではなく、本来、李首相と会談しなくても良い。たとえ会談があるとしても、李首相の表敬訪問を受ける形での儀礼的な会談で済ませて良い。しかし今回、ベトナム主席は高官たちを率いて李首相をトップとする中国側と長方形のテーブルを挟む形での正式会談を行った。それは普通、対等な立場にある首脳同士の会談の様式である。 そして翌日の13日、今度はベトナム首相は李首相の歓迎式典をとり行った後に首脳会談。午後には、ベトナムの国会主席(議長)が李首相と会談した。 このようして、李首相訪越の二日間において、ベトナム側は党・国家・政府・国会のトップが総出の形で彼と会談したわけである。それは普段、習近平主席やバイデン大統領などの外国元首に対する首脳外交の行い方であって、中国の首相であるはずの李首相に事実上の国賓待遇を与えた」、ベトナム側の狙いは何なのだろう。
・『猜疑心の強い習近平は……  習主席と李首相との確執がすでに表面化している中で、ベトナム側は一体どうして、習主席の不興を買うかもしれないことも覚悟の上、李首相に余分な厚遇を与えたのか。 ここに出てくる可能性の一つはすなわち、同じ共産党一党独裁国家として共産党流の権力闘争をよく知っているベトナムは、最近の動向から李首相の台頭が不可避と読んで、将来有望の李首相に恩を売っておく判断となっているのではないか。 つまり、李首相に対する異例な厚遇の背後には、中国中枢部の権力闘争の行方に対するベトナム側の読みと国益からの打算があると思われるが、その一方、ベトナム側のこの挙動は逆、習近平vs.李強の確執に火を注ぐことにもなりかねない。 猜疑心が強く了見の狭い習主席は、子分の李首相がベトナムで国家主席の自分と同様な待遇を受けたことに対し不快ないし嫉妬を感じてしまう可能性が十分にある。そして、その一方、李首相が国際的に評価が高まることに対し、独裁者の習主席はそれが自分の地位に対する潜在的脅威だと捉えて警戒心を強めることもある。 ベトナムが余計なことをしてくれたことで、習主席と李首相との確執がむしろ深まる方向へと向かい、いよいよ「佳境」に入っていく様相である』、「李首相に対する異例な厚遇の背後には、中国中枢部の権力闘争の行方に対するベトナム側の読みと国益からの打算があると思われるが、その一方、ベトナム側のこの挙動は逆、習近平vs.李強の確執に火を注ぐことにもなりかねない。 猜疑心が強く了見の狭い習主席は、子分の李首相がベトナムで国家主席の自分と同様な待遇を受けたことに対し不快ないし嫉妬を感じてしまう可能性が十分にある・・・ベトナムが余計なことをしてくれたことで、習主席と李首相との確執がむしろ深まる方向へと向かい、いよいよ「佳境」に入っていく様相である」、どういう形で決着するのだろう。

第三に、昨年12月28日付け現代ビジネスが掲載した「林愛華氏による「もはや滑稽! 14億国民も呆れた習近平の「皇帝ぶりっこ」 林愛華「中南海ディープスロート」第13回」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/122004?imp=0
・『香港特別行政区長官との会談で異変  香港の李家超特別行政区長官が北京へ来て、12月18日に中南海で、習近平主席に政務報告した。会談の出席者などの変化には、大きなメッセージが隠されている。 なんと会見の場で、李家超長官の向かいに座っていたのは、李強国務院総理(首相)だった。慣例に従うなら、彼がその場にいるはずはない。 本来であれば、香港特別行政区長官が北京で政務報告する場合、まず国務院総理に会い、そのあと、国家主席に報告してきた。それは香港が特別行政区で、中国と対等な関係にあることを示していた。 昨年まではルール通りだった。すなわち、2022年12月22日午後に上京した李家超行政長官は、まず李克強総理(当時)と会い、翌日の23日午後に習近平主席と会って、それぞれに報告した。 しかし、今年はまったく違った。報告は一回だけとなり、李強総理との単独会見はなくなった。 異変と言ってよいだろう。李強総理は習近平主席が李家超長官の報告を聞く会見の一列席者にされたのだ。 今回は、中国共産党中央委員会書記処の蔡奇筆頭書記(党中央弁公庁主任)、中共中央統戦部の石泰峰部長、中央政法委員会の陳文清書記も、初めて加わった。ほかには丁薛祥筆頭副総理と、中共中央港澳(香港マカオ)弁公室の夏宝龍主任がいた。李強総理を含めて、計6人だった。 しかし昨年は、当時の韓正副総理、中央弁公庁の丁薛祥主任、中共中央港澳弁公室の夏宝龍主任などが同席したと報道されている(光明日報 2022年12月24日付)。今年の中国政府側の同席者の数が、第19回中国共産党代表大会(2017年)以来、最も多かったと「北(京)青(年報)政知新媒体」は報道した』、「報告は一回だけとなり、李強総理との単独会見はなくなった。 異変と言ってよいだろう。李強総理は習近平主席が李家超長官の報告を聞く会見の一列席者にされたのだ」、なるほど。
・『会談から消えた外交メンバー  異変のその2は、外交関係者が同席しなかったことだ。以前は香港の特別行政長官との会見の場には、必ず外交関係の長がいた。例えば楊潔篪や王毅など歴代外交部長(外相)が常連であった。しかし、今回から外交メンバーがいなくなり、中共中央書記処の蔡奇筆頭書記などが初めて同席した。 香港は、かつてのような中国との対等な関係ではなくなり、完全に中国に従属する一地域に成り下がった。李家超長官はもはや、ひとつの省のトップにすぎなかったのだ。 昨年と同様、今年の香港特別長官との会見でも、習近平主席は帝王を象徴する龍の椅子には座らなかった。しかし、2021年12月22日に当時の香港特別行政長官の林鄭月蛾と会見したときには、龍が彫刻された椅子に座って、帝王のカラーを象徴する黄色のコップを使ったことで、話題になった。習近平主席が昔の皇帝となったように見せていたからだ。 騒ぎになって、翌年は龍の椅子はなくなったが、黄色のコップはそのまま今年も使われた。椅子を変えたのは、習主席も内外の世論を気にしているのであろう。 習主席が帝王趣味にこだわっていることは、隠すことができない。2017年11月8日に、トランプ米大統領と夫人が訪中した。習主席は贅を尽くして一行を接待した。故宮を独占した豪華な茶会、贅沢な宴会、宮廷を再現した京劇鑑賞など、習主席はその帝王ぶりたいという「美学」を実現させたのだ。 故宮で外国の首脳を招待する。これは、「建国の父」と呼ばれた毛沢東氏をはじめとする歴代指導者たちにもできなかったことだ』、「習主席が帝王趣味にこだわっていることは、隠すことができない。2017年11月8日に、トランプ米大統領と夫人が訪中した。習主席は贅を尽くして一行を接待した。故宮を独占した豪華な茶会、贅沢な宴会、宮廷を再現した京劇鑑賞など、習主席はその帝王ぶりたいという「美学」を実現させたのだ。 故宮で外国の首脳を招待する。これは、「建国の父」と呼ばれた毛沢東氏をはじめとする歴代指導者たちにもできなかったことだ」、なるほど。
・『習近平の「帝国趣味」  2014年には、APEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議が、北京で行われた。宴会で使った食器セットは68種類もあり、全部黄色だった。それらの食器セットは「帝王黄」と名付けられたと報道されている。清朝の中国では、黄色は皇帝しか使えない色だった。 2015年から、習氏が香港特別行政区長官と会見するときには、龍の椅子を愛用してきた。2021年からその椅子のほかに「帝王黄」のコップも加えて、不評を買った。それで習主席は、龍の椅子を封印せざるを得なくなった。 習主席は帝王文化にこだわり過ぎで、ますます国民との距離が乖離しているように見える。彼が中国の最高指導者になって以来、洪水やコロナなどの自然災害の際、素早く現地を見舞ったことは一度もない。被災地を訪ねるのは、いつも安全になった数か月後だった。前任者たちの時代ではあり得なかったことだ。 習氏はこのようなやり方で、自分を神格化しようと考えているのかもしれないが、国民の間ではかなり不評だった。江沢民元主席も胡錦涛前主席も、大災害の後はすぐに現地を視察した。それらの写真が災害の後によくネットで流れるのは、習主席に対する不満の現れだ』、「習主席は帝王文化にこだわり過ぎで、ますます国民との距離が乖離しているように見える。彼が中国の最高指導者になって以来、洪水やコロナなどの自然災害の際、素早く現地を見舞ったことは一度もない。被災地を訪ねるのは、いつも安全になった数か月後だった。前任者たちの時代ではあり得なかったことだ」、なるほど。
・『一枚岩ではない政権  ここまでして独裁体制にこだわる習主席だが、本当は自分の地位に対する不安が極めて大きい。12月22日、習主席が主催して中共中央政治局の民主生活会が開かれた。新華社の報道からは、中共中央政治局の内部が一枚板ではないことが読み取れる。 「習氏は中央政治局のすべての同志に自省した発言をさせ、評価し、要求して、総括した。今度の中央政治局の民主生活会の成果は大きい。政治の健康診断をし、政治の埃(ほこり)をふき取り、政治の魂を浄化する目的を達した」(新華社12月23日付) 「思想の一致は、政治の一致と行動の一致の基礎だ。政治面と行動面で党中央と高度な一致を保つこと。特に思想を党中央と高度な一致をすることが最重要だと、習氏は指摘した」(新華社12月23日付) 筆者は思わず噴き出した。民主生活会を利用して、最高幹部の一人一人に自省、裏返して言えば「忠誠」の言葉を面と向かって言わせている。思想も行動も必ず党中央(習近平総書記)に一致すべきと強要した。 習近平をここまでさせた不安の大きさをどう考えるべきだろう。中央政治局委員は全部で24名いる。そのメンバーたちに面と向かって、自分に対する忠誠心を誓わせた上に、思想や行動を党中央、つまり自分自身に合わせるように求めた。ここまで言わせなければ、安心できないのだ。 12月25日、「財新網」が社説を掲載したが、すぐ消えた。タイトルは「重温実事求是思想路線(事実を重んじる思想路線を再び考えよう)」。文革の弊害を指摘して、暗に習氏の路線が中国経済を後退させ、国民生活を貧しくしたと批判したのだ。 社説は掲載された後、すぐに削除されたが、ネット上にはコピーが出回っている。その社説はすぐ大きな話題となり、ウォール・ストリート・ジャーナルの「今日のウォールストリートのチャンネル」及び海外の中国系マスコミが報じている。 政権の中枢にいても安心できないだけではなく、統制しているはずのメディアすら逆らっている。2024年を迎える習氏の内心は穏やかではないだろう』、「民主生活会を利用して、最高幹部の一人一人に自省、裏返して言えば「忠誠」の言葉を面と向かって言わせている。思想も行動も必ず党中央(習近平総書記)に一致すべきと強要した。 習近平をここまでさせた不安の大きさをどう考えるべきだろう。中央政治局委員は全部で24名いる。そのメンバーたちに面と向かって、自分に対する忠誠心を誓わせた上に、思想や行動を党中央、つまり自分自身に合わせるように求めた。ここまで言わせなければ、安心できないのだ・・・12月25日、「財新網」が社説を掲載したが、すぐ消えた。タイトルは「重温実事求是思想路線(事実を重んじる思想路線を再び考えよう)」。文革の弊害を指摘して、暗に習氏の路線が中国経済を後退させ、国民生活を貧しくしたと批判したのだ。 社説は掲載された後、すぐに削除されたが、ネット上にはコピーが出回っている。その社説はすぐ大きな話題となり、ウォール・ストリート・ジャーナルの「今日のウォールストリートのチャンネル」及び海外の中国系マスコミが報じている・・・政権の中枢にいても安心できないだけではなく、統制しているはずのメディアすら逆らっている。2024年を迎える習氏の内心は穏やかではないだろう」、ここまでするのかと驚かされたが、末期的な印象も受ける。
タグ:中国国内政治 (その15)(習近平はもうおしまいなのか…中国人民解放軍で「静かなクーデター」!粛清に反抗してとうとう制服組トップが軍を掌握、中国の権力闘争がさらに激化!習近平主席の猜疑心を煽る…ベトナムが李強首相に与えた「国賓待遇」の波紋、もはや滑稽! 14億国民も呆れた習近平の「皇帝ぶりっこ」 林愛華「中南海ディープスロート」第13回) 現代ビジネス 石 平氏による「習近平はもうおしまいなのか…中国人民解放軍で「静かなクーデター」!粛清に反抗してとうとう制服組トップが軍を掌握」 「解放軍に対する習近平主席の指揮権は実質上解除され、それに取って代わって、共産党中央軍事委員会筆頭副主席で制服組のトップの張又侠氏がすでに軍の掌握に成功している模様である・・・解放軍の「全軍軍事理論工作会議」が北京で開かれた。習主席がその間、福建省などで地方視察中であって会議に出席しなかった中で、前述の張又侠氏は会議を主宰し講話を行なった。 会議は一応、「軍事理論の構築」に関する習主席の「重要指示」を受けて開催されたものではある。 しかし、解放軍各軍種と五大戦区のトップたちが揃って参加する重要会議に習主席が欠席するのはやはり異様なことである。特にそれは「軍事理論」に関する全軍会議であれば、軍の方向性を示す立場の習主席こそが本来、自ら参加して仕切るべき会議のはずである。 ところが今回、全軍会議の事実上の中心人物となったのは張氏である。習主席はその間、緊急性の全くない地方視察に出かけているが、その理由に関しては、習主席は自分が軍会議に呼ばれなかったことを覆い隠すためにわざと地方に出かけたのではないかとの観測も成り立つ」、これは大スクープ だ。 「何氏という人物は、習近平独裁体制が完全確立した2022年10月の党大会で習主席によって政治局員・軍事委員会副主席に大抜擢された軍人であり、まさに軍における習主席側近の一人である。しかし今、この何氏が張氏によって軍指導部の重要会議から排除されたのであれば、それは当然、張氏はすでに、軍における習主席の指揮権を排除して軍の掌握に成功していることを示している」、なるほど。 「8月10日付の解放軍報はまたも、「民主的な意思決定はすなわち党組織の集団的意思決定であって、個人的な独断による意思決定があってはならない」とする論評を掲載して露骨に習近平独裁を批判した。 そして今年8月の北戴河会議で長老たち中心の「反習近平政変」が起きたことは色々と伝わってきている中で、どうやら実力軍人の張氏は長老の支持と、習主席の軍粛清拡大を恐れている軍幹部の支持を受けて軍に対する習主席の実質上の指導権を排除した上で軍の掌握に成功しているのではないかと考えられる」、なるほど。 「張氏に掌握された軍は今後においても、少なくとも形的には習主席の「指導下」にある体裁をとり、習主席をいわば「飾り物」に祭り上げておきながら軍独自の路線を自主的に走ることとなろう。 その一方、習主席のもう一人の側近であった李強首相も今、習氏から離反して独自路線を走り始めているから、3期目の習近平政権は早くも空中分解の局面を迎えている様相である・・・ 2027年秋の党大会開催までは、共産党指導部は習氏を名目上の最高指導者として担ぎながら、「軍は張又侠、政府は李強首相」という形で政権運営を行なっていくことになろう。しかしそれでは、3期目の満了に伴う習近平政権の終焉は現実味を帯びてきているのである」、なるほど。 石 平氏による「中国の権力闘争がさらに激化!習近平主席の猜疑心を煽る…ベトナムが李強首相に与えた「国賓待遇」の波紋」 「中国公安部長の王小洪氏は、共産党中央書記処書記、国務委員の肩書で直轄市の天津市で「経済の高品質発展」について視察を行ったという。 視察中、王氏は関連企業を訪れ、当面の経済情勢と経済工作に関する習近平主席の重要講話精神の学習・貫徹を呼びかけた。同時に彼は、内需の拡大、経済構造の向上、全国統一大市場の構築などについて語り、それらの重要性を強調したという。 王氏は国務委員の一人ではあるが、本職が公安部長であって、全国の公安警察の総責任者だ。国務院における彼の役割分担はあくまでも公安や治安維持である・・・ 公安責任者が地方で企業を視察して「内需の拡大、経済構造の向上」を語るのはまさに前代未聞の大珍事、荒唐無稽でさえある」、なるほど。 「王氏の経歴をみれば、彼が1984年から2013年までにずっと福建省で公安警察の仕事に従事していたが、習近平主席は1990年から96年までに福州市党委員会書記を務めた時、王氏が福州市公安副局長・局長を歴任し、習氏直轄の部下として仕え、それ以来、習氏の側近の一人となった。 そして2012年秋の習近平政権成立後、王氏はまず河南省公安庁長に昇進し・・・2022年には公安部長に昇進して全国の公安警察のトップとなって、習主席の公安警察掌握の要となった・・・ 習近平の福建省勤務時代からの「譜代側近」として、今や習政権の一番中枢の「福建組」の核心人物の一人でもある」、なるほど。 「本来は習主席の側近であるはずの李強首相が経済運営の問題上、習主席と悉く対立している中で、習主席は李首相を制する切り札として、国務委員でもある公安トップの王氏に経済運営に関与させることによって、李首相の仕事を邪魔し徹底的に牽制する魂胆であろう・・・公安一筋の王氏に無理やり「経済」を語らせ、経済運営にまで関与させようとしているが、これほど荒唐無稽なことは逆に、習近平政権は完全に行き詰まって末期症状を呈していることを示している。そして公安警察トップが経済運営に口出しするようでは、中国経済自体は地獄入りする以外 にないのであろう」、なるほど。 「ベトナムでは総書記・国家主席は国家元首の立場であって、中国首相のカウンターパートナーではなく、本来、李首相と会談しなくても良い。たとえ会談があるとしても、李首相の表敬訪問を受ける形での儀礼的な会談で済ませて良い。しかし今回、ベトナム主席は高官たちを率いて李首相をトップとする中国側と長方形のテーブルを挟む形での正式会談を行った。それは普通、対等な立場にある首脳同士の会談の様式である。 そして翌日の13日、今度はベトナム首相は李首相の歓迎式典をとり行った後に首脳会談。午後には、ベトナムの国会主席(議長)が李 李首相と会談した。 このようして、李首相訪越の二日間において、ベトナム側は党・国家・政府・国会のトップが総出の形で彼と会談したわけである。それは普段、習近平主席やバイデン大統領などの外国元首に対する首脳外交の行い方であって、中国の首相であるはずの李首相に事実上の国賓待遇を与えた」、ベトナム側の狙いは何なのだろう。 「李首相に対する異例な厚遇の背後には、中国中枢部の権力闘争の行方に対するベトナム側の読みと国益からの打算があると思われるが、その一方、ベトナム側のこの挙動は逆、習近平vs.李強の確執に火を注ぐことにもなりかねない。 猜疑心が強く了見の狭い習主席は、子分の李首相がベトナムで国家主席の自分と同様な待遇を受けたことに対し不快ないし嫉妬を感じてしまう可能性が十分にある・・・ ベトナムが余計なことをしてくれたことで、習主席と李首相との確執がむしろ深まる方向へと向かい、いよいよ「佳境」に入っていく様相である」、どういう形で決着するのだろう。 「林愛華氏による「もはや滑稽! 14億国民も呆れた習近平の「皇帝ぶりっこ」 林愛華「中南海ディープスロート」第13回」 「報告は一回だけとなり、李強総理との単独会見はなくなった。 異変と言ってよいだろう。李強総理は習近平主席が李家超長官の報告を聞く会見の一列席者にされたのだ」、なるほど。 「習主席が帝王趣味にこだわっていることは、隠すことができない。2017年11月8日に、トランプ米大統領と夫人が訪中した。習主席は贅を尽くして一行を接待した。故宮を独占した豪華な茶会、贅沢な宴会、宮廷を再現した京劇鑑賞など、習主席はその帝王ぶりたいという「美学」を実現させたのだ。 故宮で外国の首脳を招待する。これは、「建国の父」と呼ばれた毛沢東氏をはじめとする歴代指導者たちにもできなかったことだ」、なるほど。 「習主席は帝王文化にこだわり過ぎで、ますます国民との距離が乖離しているように見える。彼が中国の最高指導者になって以来、洪水やコロナなどの自然災害の際、素早く現地を見舞ったことは一度もない。被災地を訪ねるのは、いつも安全になった数か月後だった。前任者たちの時代ではあり得なかったことだ」、なるほど。 「民主生活会を利用して、最高幹部の一人一人に自省、裏返して言えば「忠誠」の言葉を面と向かって言わせている。思想も行動も必ず党中央(習近平総書記)に一致すべきと強要した。 習近平をここまでさせた不安の大きさをどう考えるべきだろう。中央政治局委員は全部で24名いる。そのメンバーたちに面と向かって、自分に対する忠誠心を誓わせた上に、思想や行動を党中央、つまり自分自身に合わせるように求めた。ここまで言わせなければ、安心できないのだ・・・ 12月25日、「財新網」が社説を掲載したが、すぐ消えた。タイトルは「重温実事求是思想路線(事実を重んじる思想路線を再び考えよう)」。文革の弊害を指摘して、暗に習氏の路線が中国経済を後退させ、国民生活を貧しくしたと批判したのだ。 社説は掲載された後、すぐに削除されたが、ネット上にはコピーが出回っている。その社説はすぐ大きな話題となり、ウォール・ストリート・ジャーナルの「今日のウォールストリートのチャンネル」及び海外の中国系マスコミが報じている・・・ 政権の中枢にいても安心できないだけではなく、統制しているはずのメディアすら逆らっている。2024年を迎える習氏の内心は穏やかではないだろう」、ここまでするのかと驚かされたが、末期的な印象も受ける。
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中国情勢(軍事・外交)(その16)(日本の高校で中国人留学生が増え続ける仰天事態 過当競争の中国と少子化ニッポンの利害が一致、中国人が異民族を「同化」させようとするワケ 日本人とは本質的に異なる“頭の中”、いつから「中国5000年の歴史」に?モンゴル生まれの帰化日本人が暴く!歴史の書き換え) [世界情勢]

中国情勢(軍事・外交)については、昨年5月22日に取上げた。今日は、(その16)(日本の高校で中国人留学生が増え続ける仰天事態 過当競争の中国と少子化ニッポンの利害が一致、中国人が異民族を「同化」させようとするワケ 日本人とは本質的に異なる“頭の中”、いつから「中国5000年の歴史」に?モンゴル生まれの帰化日本人が暴く!歴史の書き換え)である。

先ずは、本年5月18日付け東洋経済オンラインが掲載した中国・東南アジア専門ジャーナリストの舛友 雄大氏による「日本の高校で中国人留学生が増え続ける仰天事態 過当競争の中国と少子化ニッポンの利害が一致」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/754566
・『中国から日本の中学校や高校に留学する「低年齢留学」が増え始めた。背景にあるのは、中国における教育環境の悪化と日本の過疎地が直面する超少子化だ』、興味深そうだ。
・『生徒の5割が中国人留学生に  房総半島の南部に位置し、太平洋が目の前に広がる鴨川令徳高校(千葉県鴨川市)の教務担当は、「10年ほど前から中国人留学生を受け入れるようになっており、生徒全体に占める割合が50%ほどになっている」と話す。校内には中国語が話せるスタッフもいる。 明徳義塾中学・高等学校(高知県須崎市・土佐市)の担当者からは、全校生徒1000人近くのうち250人ほどの留学生がおり、そのうち中国人留学生は約200人」との回答があった。つまり、中国人の比率は2割ほどということだ。 また、岡山県の山間部に位置する中高一貫の朝日塾中等教育学校(岡山市)の国際交流部長は「6学年全体で中国人留学生が3割を占めているが、高校に該当する3学年では3割を超えている」と話す。こちらには教員と事務を兼ねた、中国語が話せるスタッフがいるそうだ。 「(中国人留学生は)徐々に増えてきています。バックグラウンドが違う他者との触れ合いは大切なので、計画的に入れていこうということです。エージェントや中国での姉妹校を通じて募集しています」(同前) 朝日塾中等教育学校では、今後については学習環境を維持するために留学生比率は3割を堅持していく方針なのだという。「あまり留学生が増えると学びが妨げられる懸念があります。仲間内で母国語ばかりしゃべるようなことになりかねません」。 中学生の場合は子どもの生活を支える監護者が必須となるため、留学のハードルが上がる。そのため受け入れが進んでいるのは高校生だ。特に中国人留学生の受け入れが多いのが、寮を備えた地方の高校だ。 楽商ジャパンは高校留学に関して中国でのマーケティングや日本語教育から試験のアレンジまで一手に担う留学エージェントだ。同社の袁列・代表取締役は、「ここ10年で中国人高校留学生は大体10倍になった。10年前には積極的に受け入れる高校は日本全国で4校程度だったが、今では20校以上になっている」と明かす。) 地方だけの動きではない。東京はじめ大都市でも中国人留学生の受け入れに積極的な高校は出てきている。関西の都市部にある高校の担当者は「全校生徒450人中ざっと50人ほど」つまり1割強が中国人留学生で、「感覚的にはコロナになる1年ほど前から増え始めた」と回答した。 さらに、筆者は首都圏にある入試偏差値60台の有力進学校でも中国人留学生の受け入れが始まっていることを確認した。驚くことに、受け入れ校の中には、合格後に集中的に日本語を学ぶことを前提に「面接時点で日本語能力を要求しない学校もある」(袁列氏)という。 全国的に高校の中国人留学生が増えてきているらしいことは、「学校基本調査」からも見てとれる。日本の私立高校における外国人生徒数は2013年から2023年にかけて3694人から6272人まで増えている。高校以下の学齢で中国人の留学を斡旋するエージェントが増えていることも、その傍証となる。 中国人留学生比率がすでに一定の水準に達している高校の教師が、匿名を条件に全国で中国人留学生の受け入れが広がる現状について語る。 「これは日本の少子化のあおりです。生徒が減っても高校には一定数の教師が必要です。教師の人件費を払うためには、どうにか生徒を入れて、学校を回さないといけない」 だが、あまりに中国人留学生を増やしすぎると経営とは別の意味で”学校崩壊”が始まることになる。この教師は、「受け入れる留学生の学力にこだわらなくなると、指導できくなった教師が辞めていき、代わりの教師を探すという悪循環に陥る」と事情を明かす。 この日本人教師は、「国際的プログラムを持たない一般の高校が受け入れられる留学生の数は全体の2〜5%ほどで、10〜15%までいくと違和感が出る」と打ち明ける。 「中国人の学校」とみなされ、日本人生徒から敬遠される事態を避ける工夫も必要ということだ。 そもそも、なぜ中国で日本への高校留学が人気となっているのか』、「「受け入れる留学生の学力にこだわらなくなると、指導できくなった教師が辞めていき、代わりの教師を探すという悪循環に陥る」と事情を明かす。 この日本人教師は、「国際的プログラムを持たない一般の高校が受け入れられる留学生の数は全体の2〜5%ほどで、10〜15%までいくと違和感が出る」と打ち明ける。 「中国人の学校」とみなされ、日本人生徒から敬遠される事態を避ける工夫も必要ということだ」、なるほど。
・『中国の体制への失望が背中を押す  都内で中国系進学塾を経営する中国人男性は「(中国人保護者の)中国国内の体制への失望です。つまりイデオロギー色の強い中国の教育を避けているのです。そして中国の教育をめぐる『巻』(ジュアン、過度な競争を意味する)が無意味で、子どもの心身を破壊することがわかったのです」と話す。 日本への留学を考えても、競争率の高いインターナショナルスクールに入るのは難しい(参考:日本のインター校に中国から「教育移民」が殺到中)。さらにインターの場合、保護者が日本に居住しているのが前提なので、一般の高校への留学が有力なオプションになってきている。 中国から都内の高校に留学した経験がある現役の女子大学生は、小学生の頃に家族で日本に旅行してすっかり気に入り、日本留学を決めたのだという。「中国の高校はすごく『巻』なので比較的早い段階で出国しました」と語る。) 一方、袁列氏は「最大の原因は中国の『中考分流』です」と断言する。中考分流とは、2018年に導入が始まった新たな教育制度だ。増加する一方の大卒者が就職難に苦しむ現状への対策として、大学に進む学生の数を絞るのが目的である。 高校入試(中考)時点で、約半数の生徒が高校や大学への進学の道を閉ざされる。この制度のもとで中国では大学に行けそうもなくなった子どものため、親が海外留学を用意しているのだ。 ある西日本の高校に通う現役の中国人留学生王濤君(仮名)は、自分のクラスでは8人に1人が中国人だと教えてくれた。本人も、まさに「巻」と「中考分流」が留学の理由なのだという。中国でこの高校の評判を聞いて来日を決めた。 王君が語る中国の教育熱は、日本人の想像の遥か上を行く。 「幼稚園のとき、私がまだ泥遊びをしている頃に幾何学や関数を学んでいる子どもがいました。私が小学校や中学校に通っていたときは、みんな楽器やダンスなどの特技を持っていました」「春節で中国に帰ったときには、空港で幼稚園児くらいの子が円周率を100桁まで暗唱していました」 王君によると、日本での学校生活は充実していて、教師の面倒見もいいという。卒業後は首都圏にある某私立大学の理工学部を目指しているそうだ』、「「最大の原因は中国の『中考分流』です」と断言する。中考分流とは、2018年に導入が始まった新たな教育制度だ。増加する一方の大卒者が就職難に苦しむ現状への対策として、大学に進む学生の数を絞るのが目的である。 高校入試(中考)時点で、約半数の生徒が高校や大学への進学の道を閉ざされる。この制度のもとで中国では大学に行けそうもなくなった子どものため、親が海外留学を用意しているのだ・・・日本での学校生活は充実していて、教師の面倒見もいいという。卒業後は首都圏にある某私立大学の理工学部を目指しているそうだ」、なるほど。
・『費用がアメリカの2割以下で済む  日本留学がブームとなっているのには、経済的要因もある。袁列氏によると、コロナの影響で、留学先として近場の日本が好まれるようになったという。国際情勢の不安定化で欧米を避ける傾向が強まったうえ、ここ数年円安が続いていることも日本の人気を高めた。「アメリカだと生活費など含めて年1600万円ほど必要ですが、日本なら多くても300万円です」。 中国からやってきた高校留学生は、基本的に日本の大学に進学する。受け入れ校にはたいてい協定校や指定校推薦がある。留学生の在留資格では高校卒業後に浪人生としては日本に残れないという制約もあるが、日本人と同じ入試に挑む生徒もいる。 「国語が苦手な生徒が多く国立大学合格は難しいが、優秀層には早慶などのトップ私立校に入学する人もいる」(袁列氏)という。ただ、前出の教師は、昔は私立有名大学を目指す留学生が少なくなかったが、最近は「意識が薄かったり、向上心が乏しかったりする生徒が増えた」と嘆く。それでも日本は大学全入時代なので、選り好みしなければ進学は難しくない。 年々悪化する自国の教育環境から子どもを救い出そうとする中国人保護者の増加、そして少子化のなかで生徒数確保が焦眉の急である日本の高校の利害は一致している。中国から日本の高校を目指す留学生はますます増えていきそうだ』、「ここ数年円安が続いていることも日本の人気を高めた。「アメリカだと生活費など含めて年1600万円ほど必要ですが、日本なら多くても300万円です」。 中国からやってきた高校留学生は、基本的に日本の大学に進学する・・・年々悪化する自国の教育環境から子どもを救い出そうとする中国人保護者の増加、そして少子化のなかで生徒数確保が焦眉の急である日本の高校の利害は一致している。中国から日本の高校を目指す留学生はますます増えていきそうだ』、「中国から日本の高校を目指す留学生はますます増えていきそうだ」、なにやら不気味な予感がする。

次に、10月24日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した静岡大学教授の楊 海英氏による「中国人が異民族を「同化」させようとするワケ、日本人とは本質的に異なる“頭の中”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/352341
・『気が付けば近所や職場に中国人がいることが珍しくない日本社会。中国人の考え方を知る上で、知らなければならないキーワードが「同化」である。モンゴルに生まれて中国で学び、日本に帰化した著者が述べる、「日中文化の本質的な違い」とは? ※本稿は、楊海英著『中国を見破る』(PHP新書)を一部抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『町中華から“ガチ中華”へ  数年前から“ガチ中華”が増えたという話を聞くようになった。いわゆる「町中華」が日本人の舌に合わせた中華料理であるのに対して、“ガチ中華”は中国人が好む本場の料理を食べられる店のことをいうそうだ。 ブームの火付け役となったのは東京・池袋にある中華店だといわれる。池袋といえば豊島区の大繁華街で、日本を代表するターミナル駅がある。その豊島区に居住する外国人の国籍は中国人がおよそ半数にも上っているという。 東京全体を見ても、2024年1月時点の都内在住外国人約65万人のうち約40%が中国人(都総務局人口統計部データ)であり、26万人近い中国人が都内に住んでいることになる。これだけ多くの中国人がいれば、昔ながらの町中華ではなく、中華圏の人々が好む味の中華料理店が東京で増えるのは当然かもしれない。 いうまでもなく、日本には、古くから多くの中国人が移住してきた。華僑と呼ばれた従来の移住者は、横浜、神戸、長崎といった各都市でチャイナタウンを形成している。つまり中国のローカルルールはチャイナタウンのなかに限定して、地元の日本人とは良好な関係を築くことで共存共栄を望んできたように思う(日本が好きになって、私のように、日本に帰化する人も多数いたにちがいない!)』、「2024年1月時点の都内在住外国人約65万人のうち約40%が中国人・・・であり、26万人近い中国人が都内に住んでいることになる。これだけ多くの中国人がいれば、昔ながらの町中華ではなく、中華圏の人々が好む味の中華料理店が東京で増えるのは当然かもしれない・・・中国のローカルルールはチャイナタウンのなかに限定して、地元の日本人とは良好な関係を築くことで共存共栄を望んできたように思う」、なるほど。
・『背後に見え隠れする国家の存在  そのように日本のルールを尊重しながら地元社会との間では衝突を避け、静かに暮らしてきた人たちがいる一方で、そうでない中国系の人たちもいる。 たとえば、2022年10月にサンシャイン60のフランス料理店で起きた大乱闘事件は記憶に新しいところだろう。サンシャイン60といえば池袋のシンボルタワーであり、家族連れや中高生も訪れる有名スポット。そのような場所で起きたことは衝撃的だった。 また地方の私立高校では、経営難から脱するために、中国人留学生を積極的に受け入れていたら、いつのまにか留学生ばかりの学校になったという例もある。 日本でもようやく経済安全保障推進法が成立したが、中国人留学生を介して、先端技術が流出、漏洩するリスクに対する責任を日本企業が負う時代になっている。 さらには、マネーロンダリング、スパイ、日本国内の攪乱といった非合法な行為を目的に入国した中国人が、一般市民が暮らす社会に潜伏していることも否定できない。 そうかと思えば、共産党支配に嫌気がさし、純粋に日本で暮らすことに希望をもち、祖国と決別し、移住してくる中国人もいる。 そうしたことは何も「中国人」だけに限ったことではないだろう。しかしこと「中国人」に関しては、それぞれの背後に「中国」という国家の存在が見え隠れすることに注意を払う必要がある。日本人にとっては、長年の歴史から身近な存在であるだけに、その本質が見えにくくなっていることに気づかなければならない』、「こと「中国人」に関しては、それぞれの背後に「中国」という国家の存在が見え隠れすることに注意を払う必要がある。日本人にとっては、長年の歴史から身近な存在であるだけに、その本質が見えにくくなっていることに気づかなければならない」、なるほど。
・『「心が異なる」相手は同化させる  紀元前の非常に古い文献である『左伝』(春秋左氏伝)に「わが族に非ざる者は、その心もまた異なる」という有名な言葉が記されている。 要するに、中華以外の人間は心がわれわれと違うので、自分たちとは違う人間だと言っているのだが、これを「異心論」という。その「わが族に非ざる者」に対し、中国がたどり着いたのは「同化させるべき」だという考え方だった(私はこれを「同化論」と呼ぶことにした!)。 欧米でいう「カルチャー」に、「文化」という訳語をつけたのは近世の日本人で、中国語の「文化」は意味がまるで違う。それは、相手を「文明化」させることであり、別の言い方をすれば、「中華化」することだ。つまり中国人(漢族、漢人)と同化させることである。この「中華化」は、「華化」「華夏化」と言い換えることもできる。 「華夏」とは、まさしく「中華」そのものを指し、あるいは「中華民族」そのものを意味する言葉だ。異民族を華夏にすることこそ、中国人にとって「文化」だといえる。漢字圏に生きる日本人だからこそ、見えにくい例のひとつである』、「「華夏」とは、まさしく「中華」そのものを指し、あるいは「中華民族」そのものを意味する言葉だ。異民族を華夏にすることこそ、中国人にとって「文化」だといえる」、なるほど。
・『中国語の祖型  ところが話をややこしくするようだが、最初に「われわれは華夏だ」と称したのは漢人ではない。五胡十六国時代の五胡、つまり万里の長城を越えて南下してきた北方異民族の匈奴(きょうど)と鮮卑(せんぴ)が、自らを「華夏」と呼んだのである。 これは1990年代にNHKの後藤多聞氏が、台湾の中央研究院で電子化された漢籍をつぶさに検索したところ、最も古い「華夏」の文字が五胡十六国時代の文献で見つかったことからわかったものだ。 五胡十六国、つまりテュルク系言語やモンゴル系言語を話す匈奴系・鮮卑系の人々が大挙して万里の長城以南の地に入り、互いに融合して共存をめざすなかで、ある種のスローガンとして自分たちを「華夏」であると唱えた。 彼らは長城以南の地に暮らしていた中国人(プロト・チャイニーズ)たちともコミュニケーションをとるため、一種のピジン語(異なる言語の話者間で通じる混合言語)を話すようになった。おそらくは漢語の語彙をベースに文法表現をアルタイ語化した言葉で、それが後に現代の中国語の祖型になっていったと考えられる。つまり中国語とは、諸民族融合の必要性により生まれたピジン語だといえるのだ。 ちなみに、北方から遊牧民がやってきたことで、それまで長城の南に暮らしていたプロト・チャイニーズはどう対応したかというと、一部は異民族の支配からどんどん南へ逃れ、いわゆる「客家(ハッカ)」となった(どこへ行っても客人扱いされるがゆえに、そう呼ばれるのだ!)』、「五胡十六国、つまりテュルク系言語やモンゴル系言語を話す匈奴系・鮮卑系の人々が大挙して万里の長城以南の地に入り、互いに融合して共存をめざすなかで、ある種のスローガンとして自分たちを「華夏」であると唱えた。 彼らは長城以南の地に暮らしていた中国人(プロト・チャイニーズ)たちともコミュニケーションをとるため、一種のピジン語・・・を話すようになった。おそらくは漢語の語彙をベースに文法表現をアルタイ語化した言葉で、それが後に現代の中国語の祖型になっていったと考えられる。つまり中国語とは、諸民族融合の必要性により生まれたピジン語だ」、なるほど。
・『歴史を書き換えたのは漢人である  ところで今、私が説明してきた意味での「華夏族」は、自らを漢人と名乗ったか。もちろんそうではなく、もともとが遊牧民であることに誇りをもっていた。祖先が匈奴であることを示す石碑が数多く長城沿いに残っているのは、その証左であろう。 つまり、「北方異民族は野蛮人であり、万里の長城の南に入ってきた人々を当時の漢人たちが漢化すなわち文明化した。それゆえに異民族たちは北方からきた民族であることを隠していた」というような現代中国がいう歴史は、後世に書き換えられたものだといえる。 歴史を書き換えたのは、いうまでもなく漢人だろう。「中国文化は優れているため、野蛮な遊牧民を同化したのだ」という論理とその実行プロセス。それこそ、中国人にとっての「文化」なのである。 同時に「北方異民族たちは漢化したからこそ華夏と呼ばれるようになった」という見解もあるようだが、これも適切ではない。繰り返すようだが、実際は北からきた異民族らが、長城の南に暮らしはするものの、いわゆる漢人になるつもりはなかったため、新たに華夏と自称したのである』、「北からきた異民族らが、長城の南に暮らしはするものの、いわゆる漢人になるつもりはなかったため、新たに華夏と自称したのである」、なるほど。
・『「負け惜しみ」の思想としての朱子学  こうした「中国文化が優れているため、異民族は漢化した」という歴史認識が打ち出されたのは主に近代以降で、その祖型は宋代にまでさかのぼる。南宋の儒学者である朱熹が形にしたといわれる、日本人が近世からとくに受け入れてきた朱子学の「負け惜しみ」論がその原型となる。 宋は国力が弱く、モンゴル系の契丹(キタイ帝国)や満洲系の金と軍事的に対抗できなかった。契丹や金と戦って五胡十六国の再来を招くことを恐れたがゆえに、金によって南に追われて南宋を建国したとき、「自分たちは野蛮人と異なり戦いには興味がないが、代わりに文化がある、それゆえに強い」という一種の自己満足、言い換えれば負け惜しみの思想として朱子学が誕生した。 それが近世に入り、とりわけ満洲人の清朝が崩壊していく過程を見て「満洲人も漢化=漢文化に同化した」という考え方が生まれ、歴史を書き換えるという不合理な仕業が合理的なものへと転換していったといえる。すべては漢人や漢人の文化が優れているという物語を捏造するためである』、「宋は国力が弱く、モンゴル系の契丹(キタイ帝国)や満洲系の金と軍事的に対抗できなかった。契丹や金と戦って五胡十六国の再来を招くことを恐れたがゆえに、金によって南に追われて南宋を建国したとき、「自分たちは野蛮人と異なり戦いには興味がないが、代わりに文化がある、それゆえに強い」という一種の自己満足、言い換えれば負け惜しみの思想として朱子学が誕生した・・・それが近世に入り、とりわけ満洲人の清朝が崩壊していく過程を見て「満洲人も漢化=漢文化に同化した」という考え方が生まれ、歴史を書き換えるという不合理な仕業が合理的なものへと転換していったといえる。すべては漢人や漢人の文化が優れているという物語を捏造するためである」、「負け惜しみの思想として朱子学が誕生した」、というのは初めて知ったが、興味深い。

第三に、10月25日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した静岡大学教授の楊 海英氏による「いつから「中国5000年の歴史」に?モンゴル生まれの帰化日本人が暴く!歴史の書き換え」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/352343
・『『三国志』や『キングダム』などの作品を通じて日本に浸透する中国の歴史と文化。だが、私たちが自明に考える中国史の裏には、「国家による操作」が潜んでいた…。モンゴルに生まれ、中国で学んだ帰化日本人が「中国5000年」のウソを学術的に明らかにする。※本稿は、楊海英著『中国を見破る』(PHP新書)を一部抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『司馬遷の『史記』より『キングダム』  日本には中国の歴史や文化に詳しい人が多いと感じる。中学、高校で中国の歴史や地理、漢文を学び、大学生や社会人になれば中国関連の単行本や新書を読む。書店にいけば単行本、新書、文庫、漫画、雑誌と各コーナーに中国関連の本が並んでいる。 エンタメ作品でも、昔の中国を舞台にした小説、漫画、アニメ、ゲームはたくさんある。たとえば、秦の始皇帝たちを描く『キングダム』は、コミックの新刊がいつもベストセラー入りし、テレビアニメのシリーズが続いている。本場の中国でも人気は高く、司馬遷の『史記』は読んでいなくても、『キングダム』のファンという人たちがいるくらいだ。 『三国志』も日本では長らく人気の読み物といえよう。居酒屋で「三国志では趙雲が一番好き」「あいつは曹操タイプだ」と、中国古典の知識が会話に出てくることも珍しくない。そのように、日本人は昔から巨大な隣国を意識し、中国の歴史や文化からたくさんのことを学んできたのは間違いない。 令和に改元されたときにそのことを認識した日本人もいただろう。日本の元号は、西暦645年の「大化」以来、漢籍の言葉をもとに定められてきた。『大学』『中庸』『論語』『孟子』の四書、『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』の五経が出典として多く、「令和」の出典が『万葉集』だと話題になるほど、「元号は漢籍の言葉」というのが常識だった。 しかし、である。これほど多大な影響を受けてきたにもかかわらず、日本人の中国理解が本当に正しいものなのかというと、疑問符を付けざるを得ない。言い換えれば、中国の本質を知っているか否かも、疑いたくなる』、「『三国志』も日本では長らく人気の読み物といえよう。居酒屋で「三国志では趙雲が一番好き」「あいつは曹操タイプだ」と、中国古典の知識が会話に出てくることも珍しくない。そのように、日本人は昔から巨大な隣国を意識し、中国の歴史や文化からたくさんのことを学んできたのは間違いない・・・しかし、である。これほど多大な影響を受けてきたにもかかわらず、日本人の中国理解が本当に正しいものなのかというと、疑問符を付けざるを得ない。言い換えれば、中国の本質を知っているか否かも、疑いたくなる」、なるほど。
・『中国の歴史はせいぜい2500年  「昔は“中国4000年の歴史”と言ってたのに?最近は“中国5000年の歴史”になった。いつの間に1000年も延びたんですかね」 日本人からたまにそんな質問を受けることがある。 日本で「中国4000年の歴史」が広まったのは、1980年代にインスタントラーメンのコマーシャルで「中国4000年の幻の麺」というフレーズが広まったからだと言われる。実はその頃から中国では「わが国の歴史は5000年」と主張しだしたようだ。私が小学生の頃も3000年だと教わったのだが。 だから、中国人が先ほどのコマーシャルを観たら、「1000年も短くされた」と憤慨しただろう。しかし私は「日本人は優しいから、中国人の顔を立てて4000年にしてくれた」と思っている。 欧米はじめ他の国々では「中国の歴史はせいぜい2500年、長くても3000年」とみるのが一般的だからだ』、「日本で「中国4000年の歴史」が広まったのは、1980年代にインスタントラーメンのコマーシャルで「中国4000年の幻の麺」というフレーズが広まったからだと言われる。実はその頃から中国では「わが国の歴史は5000年」と主張しだしたようだ・・・欧米はじめ他の国々では「中国の歴史はせいぜい2500年、長くても3000年」とみるのが一般的」、そんなにいい加減なものとは、驚かされた。
・『文明の起点はいつか  もちろん、中国には5000年よりもはるか昔から人間が住んでいた。しかし、現在につながる“中国の歴史”と呼ぶわけにはいかない。人間が生活をしていればそれで歴史と認証されるのなら、5000年の歴史を誇る国は世界各地に存在することになる。 大事なのは、現在につながる文明があったかどうかだろう。にもかかわらず、そうした認識を持ち合わせていないかのように、中国は、5000年の歴史を証明することに力を注いできた。なかでも特徴的なものが、国を挙げて取り組んだ「夏商周年表プロジェクト」という研究だ。 中国語では「夏商周断代工程」と書き、21世紀を迎えるにあたってのミレニアム・プロジェクトとして、1996年から2000年にかけて進められた。「夏商周」の3文字でピンときた人もいるだろう。最初の王朝とされる夏王朝、それに続く商(殷)王朝、周王朝について具体的な年代を確定するという取り組みだ。 それまで中国の歴史は、司馬遷の『史記』にある周王朝の「共和元年」(紀元前841年)が、文献によって確認できる最も古い時代とされてきた。共和元年より古い時代は、文献によって確認できないから、夏王朝と商王朝は「神話伝説の時代」と呼ばれてきた。 司馬遷にならって、中国の歴史が紀元前841年に始まるとすれば、現在から2865年前になる。「どれだけ長くても3000年の歴史」という通説に根拠を与えるものだ』、「大事なのは、現在につながる文明があったかどうかだろう。にもかかわらず、そうした認識を持ち合わせていないかのように、中国は、5000年の歴史を証明することに力を注いできた。なかでも特徴的なものが、国を挙げて取り組んだ「夏商周年表プロジェクト」という研究だ。 中国語では「夏商周断代工程」と書き、21世紀を迎えるにあたってのミレニアム・プロジェクトとして、1996年から2000年にかけて進められた。「夏商周」の3文字でピンときた人もいるだろう。最初の王朝とされる夏王朝、それに続く商(殷)王朝、周王朝について具体的な年代を確定するという取り組みだ・・・夏王朝と商王朝は「神話伝説の時代」と呼ばれてきた。 司馬遷にならって、中国の歴史が紀元前841年に始まるとすれば、現在から2865年前になる。「どれだけ長くても3000年の歴史」という通説に根拠を与えるものだ」、なるほど。
・『単に歴史を書き換えたにすぎない  ところが「夏商周年表プロジェクト」では、中国の歴史として夏・商・周の年表を作成した。約200人の学者が参加し、天文学、考古学、文献学などの手法を取り入れて研究を進めた結果、次のような“歴史”を定めた。 ◆夏王朝:紀元前2070年頃~紀元前1600年頃 ◆商(殷)王朝:紀元前1600年頃~紀元前1046年頃。そのうち殷墟(いんきょ、河南省安陽市)への遷都は紀元前1300年頃 ◆周王朝:紀元前1046年頃~紀元前256年 周王朝については、各時代の王の在位年も確定している。 この“歴史”は従来の古代中国史と異なり、根拠が乏しいことから、外国の歴史研究者から批判されたし、その“説”を信じる人もいない。日本の中国史研究者たちも、さすがに認められないという立場が多かった。商王朝以前が実際にあったとする根拠に乏しいからだ。 新たな文献の発見や科学的な研究方法の進歩によってこれまでの歴史が見直され、修正されることはある。しかし有力な根拠がない場合は、単に歴史を書き換えたにすぎない。 2000年に終了した「夏商周年表プロジェクト」の内容は、2004年にスタートした「中華文明探源プロジェクト」(中華文明探源工程)に受け継がれ、2018年に最終報告がまとめられた。 この報告では、5800年ほど前に、黄河と揚子江(長江)の中・下流域や長城の外、モンゴル高原南部を流れる西遼河流域に文明が出現したことになっている。その文明は500年ほどかけて中国全土に広がり、3800年ほど前に、中原地域に成熟した文明が形成され、現在まで中国文明として発展してきた、というのである。 いわゆる“中国5000年の歴史”も最初は、黄河と揚子江で生まれた文明が中国全土に広がった頃を起点とした歴史観ということだ。しかし、いつの間にか、モンゴルの西遼河まで盗まれてしまったのではないか』、「「中華文明探源プロジェクト」(中華文明探源工程)に受け継がれ、2018年に最終報告がまとめられた。 この報告では、5800年ほど前に、黄河と揚子江(長江)の中・下流域や長城の外、モンゴル高原南部を流れる西遼河流域に文明が出現したことになっている。その文明は500年ほどかけて中国全土に広がり、3800年ほど前に、中原地域に成熟した文明が形成され、現在まで中国文明として発展してきた、というのである。 いわゆる“中国5000年の歴史”も最初は、黄河と揚子江で生まれた文明が中国全土に広がった頃を起点とした歴史観ということだ。しかし、いつの間にか、モンゴルの西遼河まで盗まれてしまったのではないか」、「モンゴルの西遼河まで盗まれてしまった」というのはどういうことなのだろうか。私には意味が分からない。
タグ:中国情勢(軍事・外交) (その16)(日本の高校で中国人留学生が増え続ける仰天事態 過当競争の中国と少子化ニッポンの利害が一致、中国人が異民族を「同化」させようとするワケ 日本人とは本質的に異なる“頭の中”、いつから「中国5000年の歴史」に?モンゴル生まれの帰化日本人が暴く!歴史の書き換え) 東洋経済オンライン 舛友 雄大氏による「日本の高校で中国人留学生が増え続ける仰天事態 過当競争の中国と少子化ニッポンの利害が一致」 「「受け入れる留学生の学力にこだわらなくなると、指導できくなった教師が辞めていき、代わりの教師を探すという悪循環に陥る」と事情を明かす。 この日本人教師は、「国際的プログラムを持たない一般の高校が受け入れられる留学生の数は全体の2〜5%ほどで、10〜15%までいくと違和感が出る」と打ち明ける。 「中国人の学校」とみなされ、日本人生徒から敬遠される事態を避ける工夫も必要ということだ」、なるほど。 「「最大の原因は中国の『中考分流』です」と断言する。中考分流とは、2018年に導入が始まった新たな教育制度だ。増加する一方の大卒者が就職難に苦しむ現状への対策として、大学に進む学生の数を絞るのが目的である。 高校入試(中考)時点で、約半数の生徒が高校や大学への進学の道を閉ざされる。この制度のもとで中国では大学に行けそうもなくなった子どものため、親が海外留学を用意しているのだ・・・ 日本での学校生活は充実していて、教師の面倒見もいいという。卒業後は首都圏にある某私立大学の理工学部を目指しているそうだ」、なるほど。 「ここ数年円安が続いていることも日本の人気を高めた。「アメリカだと生活費など含めて年1600万円ほど必要ですが、日本なら多くても300万円です」。 中国からやってきた高校留学生は、基本的に日本の大学に進学する・・・年々悪化する自国の教育環境から子どもを救い出そうとする中国人保護者の増加、そして少子化のなかで生徒数確保が焦眉の急である日本の高校の利害は一致している。 「中国から日本の高校を目指す留学生はますます増えていきそうだ」、なにやら不気味な予感がする。 ダイヤモンド・オンライン 楊 海英氏による「中国人が異民族を「同化」させようとするワケ、日本人とは本質的に異なる“頭の中”」 楊海英著『中国を見破る』(PHP新書) 「2024年1月時点の都内在住外国人約65万人のうち約40%が中国人・・・であり、26万人近い中国人が都内に住んでいることになる。これだけ多くの中国人がいれば、昔ながらの町中華ではなく、中華圏の人々が好む味の中華料理店が東京で増えるのは当然かもしれない・・・中国のローカルルールはチャイナタウンのなかに限定して、地元の日本人とは良好な関係を築くことで共存共栄を望んできたように思う」、なるほど。 「こと「中国人」に関しては、それぞれの背後に「中国」という国家の存在が見え隠れすることに注意を払う必要がある。日本人にとっては、長年の歴史から身近な存在であるだけに、その本質が見えにくくなっていることに気づかなければならない」、なるほど。 「「華夏」とは、まさしく「中華」そのものを指し、あるいは「中華民族」そのものを意味する言葉だ。異民族を華夏にすることこそ、中国人にとって「文化」だといえる」、なるほど。 「五胡十六国、つまりテュルク系言語やモンゴル系言語を話す匈奴系・鮮卑系の人々が大挙して万里の長城以南の地に入り、互いに融合して共存をめざすなかで、ある種のスローガンとして自分たちを「華夏」であると唱えた。 彼らは長城以南の地に暮らしていた中国人(プロト・チャイニーズ)たちともコミュニケーションをとるため、一種のピジン語・・・ を話すようになった。おそらくは漢語の語彙をベースに文法表現をアルタイ語化した言葉で、それが後に現代の中国語の祖型になっていったと考えられる。つまり中国語とは、諸民族融合の必要性により生まれたピジン語だ」、なるほど。 「北からきた異民族らが、長城の南に暮らしはするものの、いわゆる漢人になるつもりはなかったため、新たに華夏と自称したのである」、なるほど。 「宋は国力が弱く、モンゴル系の契丹(キタイ帝国)や満洲系の金と軍事的に対抗できなかった。契丹や金と戦って五胡十六国の再来を招くことを恐れたがゆえに、金によって南に追われて南宋を建国したとき、「自分たちは野蛮人と異なり戦いには興味がないが、代わりに文化がある、それゆえに強い」という一種の自己満足、言い換えれば負け惜しみの思想として朱子学が誕生した・・・ それが近世に入り、とりわけ満洲人の清朝が崩壊していく過程を見て「満洲人も漢化=漢文化に同化した」という考え方が生まれ、歴史を書き換えるという不合理な仕業が合理的なものへと転換していったといえる。すべては漢人や漢人の文化が優れているという物語を捏造するためである」、「負け惜しみの思想として朱子学が誕生した」、というのは初めて知ったが、興味深い。 楊 海英氏による「いつから「中国5000年の歴史」に?モンゴル生まれの帰化日本人が暴く!歴史の書き換え」 「『三国志』も日本では長らく人気の読み物といえよう。居酒屋で「三国志では趙雲が一番好き」「あいつは曹操タイプだ」と、中国古典の知識が会話に出てくることも珍しくない。そのように、日本人は昔から巨大な隣国を意識し、中国の歴史や文化からたくさんのことを学んできたのは間違いない・・・しかし、である。これほど多大な影響を受けてきたにもかかわらず、日本人の中国理解が本当に正しいものなのかというと、疑問符を付けざるを得ない。言い換えれば、中国の本質を知っているか否かも、疑いたくなる」、なるほど。 「日本で「中国4000年の歴史」が広まったのは、1980年代にインスタントラーメンのコマーシャルで「中国4000年の幻の麺」というフレーズが広まったからだと言われる。実はその頃から中国では「わが国の歴史は5000年」と主張しだしたようだ・・・欧米はじめ他の国々では「中国の歴史はせいぜい2500年、長くても3000年」とみるのが一般的」、そんなにいい加減なものとは、驚かされた。 「大事なのは、現在につながる文明があったかどうかだろう。にもかかわらず、そうした認識を持ち合わせていないかのように、中国は、5000年の歴史を証明することに力を注いできた。なかでも特徴的なものが、国を挙げて取り組んだ「夏商周年表プロジェクト」という研究だ。 中国語では「夏商周断代工程」と書き、21世紀を迎えるにあたってのミレニアム・プロジェクトとして、1996年から2000年にかけて進められた。「夏商周」の3文字でピンときた人もいるだろう。 最初の王朝とされる夏王朝、それに続く商(殷)王朝、周王朝について具体的な年代を確定するという取り組みだ・・・夏王朝と商王朝は「神話伝説の時代」と呼ばれてきた。 司馬遷にならって、中国の歴史が紀元前841年に始まるとすれば、現在から2865年前になる。「どれだけ長くても3000年の歴史」という通説に根拠を与えるものだ」、なるほど。 「「中華文明探源プロジェクト」(中華文明探源工程)に受け継がれ、2018年に最終報告がまとめられた。 この報告では、5800年ほど前に、黄河と揚子江(長江)の中・下流域や長城の外、モンゴル高原南部を流れる西遼河流域に文明が出現したことになっている。その文明は500年ほどかけて中国全土に広がり、3800年ほど前に、中原地域に成熟した文明が形成され、現在まで中国文明として発展してきた、というのである。 いわゆる“中国5000年の歴史”も最初は、黄河と揚子江で生まれた文明が中国全土に広がった頃を起点とした歴史観ということだ。しかし、いつの間にか、モンゴルの西遼河まで盗まれてしまったのではないか」、「モンゴルの西遼河まで盗まれてしまった」というのはどういうことなのだろうか。私には意味が分からない。
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トランプ(その54)(トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?、トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅、衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに) [世界情勢]

トランプについては、本年7月30日に取上げた。今日は、(その54)(トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?、トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅、衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに)である。

先ずは、本年8月6日付けNewsweek日本版が掲載したパックン(パトリック・ハーラン)による「トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/pakkun/2024/08/post-97_1.php
・『<米連邦最高裁によると、トランプら歴代大統領の「公的行為」は刑事責任に問えない。それってバイデン現大統領は実質やり放題ってこと?と米出身芸人パックンは指摘します> このコラムを、バイデン米大統領は読んでいる。僕はそれを確信している。証拠は、前回僕がこのコラムで「バイデンは病気を理由に1週間ぐらい休みを取り大統領選から撤退して、その後職務に復帰する」というシナリオを描いたら、現実世界でそのとおりの流れになったこと!  新型コロナではなく胃痙攣の仮病が僕のおすすめだったけど、まあ細かいことは気にしない。 偶然だと思えない。絶対にチャットGPTで翻訳してこのコラムを読んでいるのだ、バイデンは。 ということで、今回はドナルド・トランプが絶対に大統領に返り咲かないようにする「決め手」をバイデンにお伝えしよう。みなさんも読んでいいけど、これはバイデンさん宛のメッセージだ。 へ?バイデン用ならなぜ英語で書かないの~? という疑問が浮かぶだろうけど、まあ、細かいことは気にしない』、興味深そうだ。
・『政敵の暗殺もおとがめなし?  実はバイデンは今までの大統領になかった、とんでもない必殺技を手に入れている。それも保守派判事が牛耳る連邦最高裁のおかげだ。7月、最高裁は大統領が「公的な行為」に関して刑事責任を負わないとする判決を出した。 以前から現役大統領は逮捕・訴追されないことになっていたが、この判決でさらに退任してからもずっと免責される新世界が開かれた。バイデン、チャンス! 幸い、大統領の職務の幅はとても広い。一番分かりやすいのは、憲法に定められている軍の最高司令官という立場。特殊部隊に指令を出すことは「公的な行為」に当たるから、政敵の暗殺を命じても司法上のおとがめはないようだ。 つまり、必殺技はまさに必「殺」技になり得る。リベラル派のソニア・ソトマイヨール判事も、先の判決の反対意見書でも実際にこのような危険性を指摘している。 もちろん、僕は暗殺もどんな暴力も一切推薦も擁護もしない。だが判決発表の数日後にトランプが「耳一髪」で暗殺を免れた事件が起きたことで、世の中では暗殺はバイデンが仕組んだとする陰謀論が出回っている。)  最高裁判決で免責を受けたことで、反対意見書で危惧されていたシナリオを実現させたという荒唐無稽な主張だ。もちろん僕はそんなことは信じない。そもそもバイデンのシナリオライターはソトマイヨールではなく、僕だからね。 とにかく、えぐすぎるから暗殺は忘れよう。暴力以外にも「公的な行為」としてできることは沢山ある。 例えば、大統領は行政府の長なので、財務省を通じて政府の予算を使うのも仕事だ。トランプ当選を防ぐため、与党民主党のカマラ・ハリス陣営にお金を大量に回すこともできるはず。選挙CMを大量に制作して放送できる!税金で! そういえば、放送・通信を管轄する米連邦通信委員会(FCC)も行政府に属する機関だ。公共の電波はバイデンの手中にある。 トランプのCMを流さないようにすることも、保守派大手のFOXニュースの放送認可を取り消すことも可能だ。トランプ派のスローガン「MAGA」を放送禁止用語に設定できる!そうなれば逆に反抗期の若者は口に出したくなるだろうけど』、「7月、最高裁は大統領が「公的な行為」に関して刑事責任を負わないとする判決を出した。 以前から現役大統領は逮捕・訴追されないことになっていたが、この判決でさらに退任してからもずっと免責される新世界が開かれた・・・大統領の職務の幅はとても広い。一番分かりやすいのは、憲法に定められている軍の最高司令官という立場。特殊部隊に指令を出すことは「公的な行為」に当たるから、政敵の暗殺を命じても司法上のおとがめはないようだ。 つまり、必殺技はまさに必「殺」技になり得る」、なるほど。
・『不正な捜査も免責?  なんだったら、司法省も大統領の管轄。トランプもその側近も、邪魔してくるヤツを逮捕させることもできる!やろうと思えば、トランプ支持者を全員捕まえて、国外に追放することができる。不法移民全員をそうすると、トランプ本人が公約しているぐらい、国外追放はれっきとした「公的行為」だ。 ここで、このコラムを読んでいるバイデンは「ドワハハハハ!」と、高笑いし始めていることだろう。映画『アラジン』の最後に、悪党のジャファーが無限の力を手に入れ、巨人化していくシーンを思い出してください。あんな感じだ。 もちろん、上記のような権力乱用は法律違反であって、憲法違反でもある。公的な行為でも、権限を不正な目的で利用した場合、横領、背任、人権侵害などの犯罪に当たり、犯人は取り締まられてしかるべきだ。本来は。 だが最高裁の判決によると、その犯人が大統領である場合「目的」も審査することができない! 判決文の中で「たとえ捜査がでっち上げであったり、不正な目的で行われたりしたとしても、それは司法省の捜査や起訴機能に対する大統領の独占的権限を奪うものではない」と指摘。大統領が行政府をどう利用しても「絶対的な免責」があると、はっきりと結論付けている。 どんな悪業でも「公的な行為」であれば罪に問われないのだ。しかも、トランプを止めるのはむしろ善行でしょう、バイデンさん? おそらくいくつかの疑問が浮かんでいることでしょう。それにも答えておこう。) Q:例え大統領が免責されても、不正な命令を実行する公務員は逮捕・訴追されるのではないか? A:大統領が司法省に取り締まらないように命令すればいいし、たとえ有罪になっても(トランプが側近に対して何度もやったように)恩赦もできる! Q:自分の良心が働いて、部下の公務員が命令を断った場合は? A:更迭すればいい。逮捕もできる! Q:上下両院に弾劾されないのか? A:そんな動きがあるときも打つ手はある。大統領には(両院の意見が一致しないとき)議会を休会させる権限も憲法で規定されている。あと、何度も言うけど、議員たちを逮捕や国外追放できるぞ。 Q:国民が反発しない? A:国民なんか知るもんか。大統領が全能だ!ドワハハハハ! バイデン大統領は再び笑い始め、天に向かって指先から雷を放ち始めているだろう。究極のパワー!全宇宙を支配するのだ!と、叫んでいて、下半身が竜巻になっているはずだ。 僕、映画の見すぎかな......? まあ、『アラジン』のランプの精、ジーニーになることはなくても、均衡も抑制もなしに「公的な行為」で政敵を仕留められる大統領が独裁者になる危険性を今回の判決がはらんでいることは心から懸念している。 実は、バイデンも既にこのことに気づいている。判決が発表された日にテレビ会見で「この判決は、大統領のできることには実質的に制限がないことをほぼ確実に意味している」と指摘している。 しかし、それに気づいていても、権力を乱用しないのがバイデン。ハリスもきっとそうだと信じる。だが、万が一トランプになった場合はどうなのでしょうか......。 このコラムを、トランプが読んでいないことを祈ろう』、「トランプもその側近も、邪魔してくるヤツを逮捕させることもできる!やろうと思えば、トランプ支持者を全員捕まえて、国外に追放することができる。不法移民全員をそうすると、トランプ本人が公約しているぐらい、国外追放はれっきとした「公的行為」だ・・・最高裁の判決によると、その犯人が大統領である場合「目的」も審査することができない! 判決文の中で「たとえ捜査がでっち上げであったり、不正な目的で行われたりしたとしても、それは司法省の捜査や起訴機能に対する大統領の独占的権限を奪うものではない」と指摘。大統領が行政府をどう利用しても「絶対的な免責」があると、はっきりと結論付けている。 どんな悪業でも「公的な行為」であれば罪に問われないのだ・・・均衡も抑制もなしに「公的な行為」で政敵を仕留められる大統領が独裁者になる危険性を今回の判決がはらんでいることは心から懸念している」、現在の最高裁判事の殆どはトランプの息がかかっているとはいえ、飛んでもない判断を下すものだ。

次に、7月18日付け野村総合研究所の刊行物NRIに同研究所 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏が寄稿した「トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅:ドル高・円安が緩やかに修正されるのであれば日本経済にプラスだが。。。」を紹介しよう。
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2024/fis/kiuchi/0718
・『トランプ再選は「ドル高、株高要因」か「ドル安、株安要因」か?  7月13日に起きた襲撃事件を受けて、米国大統領選はトランプ前大統領が優勢との見方が一段と強まっている。しかし、それを受けた金融市場の反応は概して薄い(コラム「金融市場はトランプ再選をどう織り込むか:トランプトレードの再来も」、2024年7月5日)。 見方は分かれるところではあるが、トランプ前大統領が再選を果たし、同氏の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」が実施されれば、それは、世界経済、米国経済にマイナスとなり、世界的な株安とドル安を生じさせると筆者は考えている。ただしそれがどの程度の規模になるのかは、今後の米国経済の行方次第だろう。「トランポノミクス2.0」は、米国経済・金融が抱える問題を増幅する役割を果たすことになるのではないか。 トランプ再選については、「ドル高、株高要因」との見方と、筆者のように「ドル安、株安要因」との見方の双方がある。実際、「トランポノミクス2.0」の経済・金融への影響には両面があることは確かである。 トランプ氏が公約に掲げる追加関税は、国内物価を押し上げ、金利上昇要因となる。それはドル高要因にもなる。また、大型減税の延長や社会保障支出の抑制などを行わない姿勢は、財政悪化をもたらし、これも金利上昇を通じてドル高要因になり得る。また、大型減税の延長や規制緩和は景気にプラス効果を生む。それは株高要因であり、ドル高要因ともなる』、「トランプ再選については、「ドル高、株高要因」との見方と、筆者のように「ドル安、株安要因」との見方の双方がある・・・トランプ氏が公約に掲げる追加関税は、国内物価を押し上げ、金利上昇要因となる。それはドル高要因にもなる。また、大型減税の延長や社会保障支出の抑制などを行わない姿勢は、財政悪化をもたらし、これも金利上昇を通じてドル高要因になり得る。また、大型減税の延長や規制緩和は景気にプラス効果を生む。それは株高要因であり、ドル高要因ともなる」、なるほど。
・『「トランポノミクス2.0」は経済に逆風で「ドル安、株安要因」か  他方で、中国に加えてすべての貿易相手国に対して追加関税を導入するとするトランプ氏の政策では、輸入を減らして米国内の生産、雇用を拡大させる効果よりも、経済を悪化させる効果の方が勝るだろう(コラム「ノーベル賞受賞の経済学者16人がトランプ再選に警鐘」、2024年7月3日)。 追加関税は貿易相手側の報復措置を引き出し、世界貿易を縮小させる。また、追加関税は、国内消費者に輸入品をより高く買わせる増税策にも等しく、個人消費を悪化させる。こうした追加関税など保護主義的な政策がもたらす経済の悪影響は、大型減税の延長や規制緩和のプラス効果を大きく上回るものと考える。さらに、財政悪化による金利上昇も、景気に逆風となる。景気悪化は株安要因である。 また、トランプ氏はドル安政策を標榜している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関与する考えや財政悪化も、通貨の信認の低下を通じてドル安要因となる。保護主義的な政策などを通じて経済が悪化すれば、最終的には金利は大きく下がり、ドル安が進むだろう。 大統領選でのトランプ優勢の流れを金融市場は比較的静観し、反応が薄いのは、上記のようにトランプ再選がもたらす経済、金融市場への影響が両面あるなど、複雑であることも関係しているだろう』、「中国に加えてすべての貿易相手国に対して追加関税を導入するとするトランプ氏の政策では、輸入を減らして米国内の生産、雇用を拡大させる効果よりも、経済を悪化させる効果の方が勝るだろう・・・追加関税は貿易相手側の報復措置を引き出し、世界貿易を縮小させる。また、追加関税は、国内消費者に輸入品をより高く買わせる増税策にも等しく、個人消費を悪化させる。こうした追加関税など保護主義的な政策がもたらす経済の悪影響は、大型減税の延長や規制緩和のプラス効果を大きく上回るものと考える。さらに、財政悪化による金利上昇も、景気に逆風となる・・・トランプ氏はドル安政策を標榜している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関与する考えや財政悪化も、通貨の信認の低下を通じてドル安要因となる。保護主義的な政策などを通じて経済が悪化すれば、最終的には金利は大きく下がり、ドル安が進むだろう・・・金融市場は比較的静観し、反応が薄いのは、上記のようにトランプ再選がもたらす経済、金融市場への影響が両面あるなど、複雑であることも関係しているだろう」、なるほど。
・『トランプ前政権時と現在とでは経済・金融情勢は大きく異なる  さらに、トランプ前政権時には、極端な保護主義的な政策がとられたものの、米国及び世界経済は深刻な悪化を免れた。また、トランプ氏はFRBへの緩和要請を強めつつドル安志向を明言したが、実際にはドルは大きく下落しなかった。 恐らくこうした経験を踏まえて、トランプが再選しても、経済、金融には大きな影響をもたらさないという楽観論が金融市場に広まっているのではないか。いわば「トランプ慣れ」したのである。 しかし、留意しておきたいのは、トランプ前政権時と現在とでは、米国経済及び世界経済と金融情勢は大きく異なるという点だ。第1に、バイデン政権になってから、物価は大きく上昇し、それを受けてFRBは大幅な利上げを行った。米国経済は金融引き締めの影響を受けて既に脆弱であり、この先大きく減速する可能性がある。この点から、保護主義的な政策が米国経済を悪化させるリスクは、現在の方が高いのである。また、当時と比べて中国経済の減速が強まっていることも、保護主義的な政策が世界経済を悪化させるリスクを高めるだろう。 第2に、財政面で積極的なコロナ対策を行った結果、現在の財政環境はトランプ前政権時よりも悪化しており、また金融市場は財政環境の悪化をより警戒するようになっている。そのもとで財政拡張的な政策がとられれば、金利上昇あるいは金利高止まりが経済を悪化させるだろう。また、財政の悪化は通貨の信認を損ねることから、ドル安のリスクも高める。 ドルは歴史的な高水準でこの先は大幅下落のリスクもある 第3に、FRBの大幅利上げによって、現在のドルの水準は、トランプ前政権時よりもかなり高くなった。実質実効ドル指数は、2022年10月には、1985年2月のプラザ合意前の歴史的ドル高水準に3%程度にまで迫った(図表)。大幅に高くなったドルは、経済、金融環境の変化や為替政策の変化によって、急速に下落するリスクも高まっている可能性がある。 (図表 実質実効ドル指数はリンク先参照) 以上の点から、トランプ再選時の経済、金融への影響を、トランプ前政権時の経験に基づいて予想するのはリスクがある。米国経済、金融が抱える問題は当時と比べてより大きくなっているのである。 それらの問題が顕在化していく中、トランプ再選後の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」は、それらを増幅する役割を果たすだろう。トランプ再選がもたらす経済や通貨への悪影響が非常に大きなものになるのか、そこまでには至らないのかは、大幅利上げを受けた今後の米国経済のパフォーマンスに大きく依存するだろう。 ただしその点も含めて、経済悪化のリスクは比較的高く、金融市場での株安、ドル安リスクを相応に高めるものと見ておきたい』、「米国経済、金融が抱える問題は当時と比べてより大きくなっている・・・トランプ再選後の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」は、それらを増幅する役割を果たすだろう。トランプ再選がもたらす経済や通貨への悪影響が非常に大きなものになるのか、そこまでには至らないのかは、大幅利上げを受けた今後の米国経済のパフォーマンスに大きく依存するだろう。 ただしその点も含めて、経済悪化のリスクは比較的高く、金融市場での株安、ドル安リスクを相応に高めるものと見ておきたい」、なるほど。
・『急速な円高と輸出環境悪化が日本経済に打撃となる可能性  トランプ再選が日本経済や金融市場に与える影響は、米国経済の減速、ドル安、米国株安を通じたものとなるだろう。日本では現在、急速な円安による物価高懸念が、個人消費を悪化させている。この点から、トランプ再選によって緩やかにドル高円安が修正されるのであれば、日本経済にとってはプラスであり歓迎すべきこととなるだろう。 しかし、ドル高円安の調整が緩やかに進むことは保証されるものではない。実質実効ドルが歴史的高水準にある中で、米国の政権が事実上の基軸通貨であるドルの価値を引き下げることを正式に掲げることは、世界経済や金融市場に大きな打撃を与えうるリスクの高い施策だ。その結果、ドル高円安の調整が急速なものになることは十分に考えられる。 急速な円高となれば、輸出企業の収益を悪化させ、また株価を大きく下落させることを通じて、日本経済にも打撃となる。それに米国の保護主義政策と米国経済の大幅減速による輸出環境の悪化が重なれば、日本は景気後退に陥る可能性が高まるだろう。 こうした点から、トランプ再選の影響については、日本としては慎重に見ておく必要がある』、「ドル高円安の調整が急速なものになることは十分に考えられる。 急速な円高となれば、輸出企業の収益を悪化させ、また株価を大きく下落させることを通じて、日本経済にも打撃となる。それに米国の保護主義政策と米国経済の大幅減速による輸出環境の悪化が重なれば、日本は景気後退に陥る可能性が高まるだろう。 こうした点から、トランプ再選の影響については、日本としては慎重に見ておく必要がある」、なるほど。

第三に、10月17日付けNewsweek日本版が掲載したフォーリン・ポリシー誌コラムニストのマイケル・ハーシュ氏による「衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに」を紹介しよう。
・『・ウッドワードの新著『戦争』には、11月の米大統領選の選挙結果を左右しかねない暴露話が多数収録されている──> あまりに対照的な光景だ。そして、アメリカの政治システムが外交分野においてさえ機能不全に陥っている現状の表れでもある。 過去数年間、ジョー・バイデン米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と対峙していたのとほぼ同じ期間にわたって、前任のドナルド・トランプは秘密裏にプーチンと対話をし、アメリカのウクライナへの軍事支援に反対していた──ワシントン・ポスト紙の著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードが新著『戦争』でそう明かしたのだ。 この本には衝撃的な暴露話が多数ある。 10月15日の発売日を前にフォーリン・ポリシー誌が入手した同書の中で、ウッドワードはトランプが大統領退任後にプーチンと最大7回電話で話したと書いた。 また今年のある時点では、フロリダ州の別荘マールアラーゴに滞在していたトランプが、ロシア指導者との「プライベートな電話」のために側近に部屋から出るよう命じたという。 それ以外の電話が、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月24日より前だったのか後だったのか、詳細は不明だ。 それでも、今回の暴露は トランプがローガン法──米国民が連邦政府の許可なく外国の高官と通信したり、アメリカと対立する「外国政府の措置や行動に影響を与える」行為を禁じる法──に違反していたとの疑惑をかき立てる。 この疑惑は、トランプが17年1月の大統領就任以前から側近を通じてロシアと接触していたという指摘にも通じるものだ。) 米大統領選の投票日まで1カ月を切るなか、この本はトランプとプーチンの関係、ビジネスや財政面でのトランプとロシアとのつながりをめぐる不穏な疑惑を再燃させている。 なかでも改めて注目されるのが、なぜトランプはやたらとプーチンを持ち上げるのかという謎だ。トランプは自分が大統領選に勝利すれば、ウクライナ戦争を交渉によって「24時間以内」に終結させると約束。ウクライナに対し、ロシアに国土を譲渡してNATO加盟を断念するよう迫るとほのめかしている(これはプーチンの要求の一部でもある)。) 22年の侵攻開始のわずか2日前、トランプはプーチンの侵略を称賛するような行動に出た。右派のラジオ番組に出演し、プーチンによるウクライナ東部の独立承認を「天才的」と評したのだ』、「過去数年間、ジョー・バイデン米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と対峙していたのとほぼ同じ期間にわたって、前任のドナルド・トランプは秘密裏にプーチンと対話をし、アメリカのウクライナへの軍事支援に反対していた──ワシントン・ポスト紙の著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードが新著『戦争』でそう明かしたのだ。 この本には衝撃的な暴露話が多数ある。 10月15日の発売日を前にフォーリン・ポリシー誌が入手した同書の中で、ウッドワードはトランプが大統領退任後にプーチンと最大7回電話で話したと書いた。 また今年のある時点では、フロリダ州の別荘マールアラーゴに滞在していたトランプが、ロシア指導者との「プライベートな電話」のために側近に部屋から出るよう命じたという・・・それでも、今回の暴露は トランプがローガン法──米国民が連邦政府の許可なく外国の高官と通信したり、アメリカと対立する「外国政府の措置や行動に影響を与える」行為を禁じる法──に違反していたとの疑惑をかき立てる。・・・22年の侵攻開始のわずか2日前、トランプはプーチンの侵略を称賛するような行動に出た。右派のラジオ番組に出演し、プーチンによるウクライナ東部の独立承認を「天才的」と評したのだ」、「プーチンと最大7回電話で話した」、というのは衝撃的だ。
・『側近も戸惑う蜜月ぶり  新著は「トランプがプーチンを批判しようとしないのは1回限りの出来事ではなく、一貫した性格的特徴だ」と指摘している。 ウッドワードによれば、トランプが大統領退任後もプーチンと電話しているという情報のソースは、トランプ側近の匿名の1人のみ。ただし現在もトランプの最側近であるジェーソン・ミラーもウッドワードの話を完全には否定せず、「異議を唱えたい」と答えたという。 さらに、トランプは本当に電話1本でウクライナ戦争を解決できるのかという質問に対し、ミラーはこう答えた。 「できると思う。彼は相手の弱点を知っていて、双方を動かせる要素を分かっている。(プーチンとウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に)それぞれ1本電話するだけで実現できるだろう」) ウッドワードは、トランプ政権で国家情報長官を務めたダニエル・コーツが、トランプとプーチンの関係に長年困惑していたとも指摘している。コーツは、トランプは「プーチンに手を差し伸べ、決して彼を悪く言わない。私にとっては‥...恐ろしいことだ」と語っている。 一方、トランプ陣営の広報担当者スティーブン・チョンは、新著は嘘だらけの作り話だとしてウッドワードへの個人攻撃を展開。「彼は精神を病んだごろつきだ。頭の回転が遅く無気力で無能、全体的に個性のない退屈な人間だ」と述べた。 新著では、22年にバイデンが直面した「10月ミサイル危機」の恐ろしい詳細も記されている。ロシアの侵攻開始から半年ほどがたち、ウクライナの反転攻勢が始まった同年秋、バイデン政権の元に、プーチンが戦場での苦境に絶望を募らせているという危険な情報が届き始めた。 米情報機関は、ロシアが戦術核を使用する可能性を50%と判断したという(侵攻初期の5%およびその後の10%と比べると劇的な上昇だ)。 著書によれば、バイデンはジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)に、「あらゆるチャンネルを使ってロシアと連絡を取り、われわれがどう反応するかを伝えろ」と即座に指示した。 バイデンは「直接的な脅し文句ではない威圧的な言葉」を使うようチームに命じ、「ウクライナとの交渉のためではなく、米ロが大惨事を回避するためにチャンネルを開く必要がある」と語ったという。) ロイド・オースティン米国防長官は22年10月21日の電話会談で、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(当時)にこう警告した。 「われわれの指導者も、そちらの指導者も、核戦争には勝者は存在せず、絶対に手を出してはならないと繰り返し述べてきた。(核を使用すれば)双方にとって存続を脅かす対立の道に踏み出すことになる。滑りやすい坂道に足を踏み入れるな」 オースティンはまた、もし核兵器が使われたら「ウクライナにおけるわれわれの作戦行動を縛ってきた制限を全て見直すことになるだろう」と述べたという。「これによりロシアは、あなた方ロシア人には想像できないレベルで国際舞台で孤立することになるだろう」 これに対し、脅迫されるのは気に入らないとショイグが答えると、オースティンはこう返したという。「私は世界史上最も強力な軍隊の指導者だ。脅迫などするものか」 2日後、ショイグは電話をかけてきて、ウクライナ側に「汚い爆弾」を使う計画があるとの虚偽の主張をした。核兵器使用の口実にするために嘘を持ち出したというのがアメリカ側の見立てだ。 あなたの言うことは信じられない」とオースティンは答えたとウッドワードは書いている。「そうした兆候は見つかっていないし、世界にもすぐに見抜かれるはずだ。やめておきなさい」。ショイグはこれに対し、「分かった」と答えたという』、「オースティン米国防長官は22年10月21日の電話会談で、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(当時)にこう警告した。 「われわれの指導者も、そちらの指導者も、核戦争には勝者は存在せず、絶対に手を出してはならないと繰り返し述べてきた。(核を使用すれば)双方にとって存続を脅かす対立の道に踏み出すことになる。滑りやすい坂道に足を踏み入れるな」、「2日後、ショイグは電話をかけてきて、ウクライナ側に「汚い爆弾」を使う計画があるとの虚偽の主張をした。核兵器使用の口実にするために嘘を持ち出したというのがアメリカ側の見立てだ。 あなたの言うことは信じられない」とオースティンは答えたとウッドワードは書いている。「そうした兆候は見つかっていないし、世界にもすぐに見抜かれるはずだ。やめておきなさい」。ショイグはこれに対し、「分かった」と答えたという」、いずれもずいぶんギリギリの発言で驚かされた。
・『「オバマの対応は失敗だった」  ウッドワードによれば、当時、国防総省の幹部を務めていたコリン・カールは後になって、ウクライナ侵攻が始まって以降で22年秋がたぶん「最も背筋が凍る思いをした」時期だったと語ったという。 一方でこの時期、バイデンは世界の指導者として、1962年のキューバ・ミサイル危機でソ連に立ち向かったジョン・F・ケネディ大統領ばりの気概を見せたのかもしれない。かつて副大統領として仕えたバラク・オバマ元大統領についてバイデンが述べたという、批判的な発言は注目に値する。 ロシアは14年、ウクライナ東部の一部を「占領」するとともにクリミア半島をロシアに併合した。この時、オバマは比較的穏やかな対応を取ったが、それは大きな過ちだったとバイデンは言ったのだ。 「おかげでこんなことになってしまった。われわれの大失敗だ」とバイデンは述べたという。「バラクはプーチン(のやること)をまともに取り合おうとしなかった。プーチンにそのまま続けていいと許可を出してしまったんだ。で、私がそのいまいましい許可を取り消そうとしているわけだ!」 ウクライナ侵攻が始まって2年半というもの、バイデンは「対応が煮え切らない」とか、「ウクライナ防衛のための十分な武器をすぐに送らなかった」といった批判を浴びてきた。 確かにバイデンは、M1A1エイブラムズといった主力の戦車や精度の高い長距離砲、F16などのジェット戦闘機の供与には二の足を踏んだ(最終的には供与したが)。) そしてウクライナがハルキウ州で反攻を始めた後の22年10月、バイデンはアメリカ国民に対し、ロシアが核兵器を使用すれば「アルマゲドン(最終戦争)」に発展する可能性もあると警告を発した。 そんな事態は、核兵器が使われる「直接的な脅威」が存在したキューバ・ミサイル危機以来初めてだとも彼は述べた。 当時、核兵器の使用などプーチンのはったりではと考える人もいた。だがウッドワードが引用したアメリカの情報機関の分析は、侵攻前のプーチンの意図を驚くほど正確に見抜いていたのと同様に、この場合もまさに慧眼というべき内容だった。 実際、後になってプーチンは、何がロシアの戦術核使用のきっかけになり得るかを具体的に説明している。 プーチンは9月、ウクライナが西側から供与された長距離ミサイルでロシア領の奥深くまで攻撃するのを西側諸国が認めるなら、核兵器による反撃は正当化されるかもしれないと述べたのだ』、「ロシアは14年、ウクライナ東部の一部を「占領」するとともにクリミア半島をロシアに併合した。この時、オバマは比較的穏やかな対応を取ったが、それは大きな過ちだったとバイデンは言ったのだ。 「おかげでこんなことになってしまった。われわれの大失敗だ」とバイデンは述べたという。「バラクはプーチン(のやること)をまともに取り合おうとしなかった。プーチンにそのまま続けていいと許可を出してしまったんだ。で、私がそのいまいましい許可を取り消そうとしているわけだ!」、「オバマ」がこんな失敗をしたとは初めて知った。尻拭いさせられる「バイデン」には同情したくなる。
・『「10月ミサイル危機」の対応  ウクライナの抵抗ゆえに、ロシア側に何十万人もの犠牲が出ていることも、見方によっては大きな危険をはらんでいる。 本書には米統合参謀本部議長(当時)のマーク・ミリーとロシアのバレリー・ゲラシモフ参謀総長の会話が出てくるが、そこでゲラシモフは、ロシア側の核兵器使用の条件の1つとして「戦場において壊滅的な損害を受けた」場合を挙げている。それに対しミリーは「そんなことはあり得ない」と述べた。) 一方で、そう遠くない未来にそうした事態が起こらないとは限らない。 「10月ミサイル危機」で──それも トランプとプーチンの関係に対する疑惑が拡大していくなかで──バイデンが取った行動の理由は、今となってはよく分かる。 政治家として台頭するなかで、トランプは繰り返し、自分とプーチンの間には、プーチンの言いなりにならなければならないような関係は存在しないと主張してきた。その一方で、トランプはプーチンへの批判を拒んでもきた。 ウッドワードは、9月にロシアで開催されたある経済会議でのこんなプーチンの言葉を取り上げている。「トランプ氏は、ウクライナ危機を含むあらゆる火急の問題を数日で解決すると述べている。喜ばしい話だと言うほかない」 ちなみに、トランプが大統領選に出馬するよりもっと前、彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていたことについては、本書以外でも調査や報道が何度もされている』、「ウッドワードは、9月にロシアで開催されたある経済会議でのこんなプーチンの言葉を取り上げている。「トランプ氏は、ウクライナ危機を含むあらゆる火急の問題を数日で解決すると述べている。喜ばしい話だと言うほかない」 ちなみに、トランプが大統領選に出馬するよりもっと前、彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていたことについては、本書以外でも調査や報道が何度もされている」、「数日で解決する」、とは「ウクライナ」に和平を飲ませるという意味だろうか。「彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていた」、「トランプ」系企業が「ロシア」への「依存の度を深めていた」というのは、事実であれば、飛んでもないことだ。私的な利益のために、「ウクライナ」支援という米国の国益を犠牲にすることになる。米国の法律に違反する可能性はないのだろうか。  
タグ:Newsweek日本版 (その54)(トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?、トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅、衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに) トランプ パックン(パトリック・ハーラン)による「トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?」 「7月、最高裁は大統領が「公的な行為」に関して刑事責任を負わないとする判決を出した。 以前から現役大統領は逮捕・訴追されないことになっていたが、この判決でさらに退任してからもずっと免責される新世界が開かれた・・・大統領の職務の幅はとても広い。一番分かりやすいのは、憲法に定められている軍の最高司令官という立場。特殊部隊に指令を出すことは「公的な行為」に当たるから、政敵の暗殺を命じても司法上のおとがめはないようだ。 つまり、必殺技はまさに必「殺」技になり得る」、なるほど。 「トランプもその側近も、邪魔してくるヤツを逮捕させることもできる!やろうと思えば、トランプ支持者を全員捕まえて、国外に追放することができる。不法移民全員をそうすると、トランプ本人が公約しているぐらい、国外追放はれっきとした「公的行為」だ・・・最高裁の判決によると、その犯人が大統領である場合「目的」も審査することができない! 判決文の中で「たとえ捜査がでっち上げであったり、不正な目的で行われたりしたとしても、それは司法省の捜査や起訴機能に対する大統領の独占的権限を奪うものではない」と指摘。 大統領が行政府をどう利用しても「絶対的な免責」があると、はっきりと結論付けている。 どんな悪業でも「公的な行為」であれば罪に問われないのだ・・・均衡も抑制もなしに「公的な行為」で政敵を仕留められる大統領が独裁者になる危険性を今回の判決がはらんでいることは心から懸念している」、現在の最高裁判事の殆どはトランプの息がかかっているとはいえ、飛んでもない判断を下すものだ。 野村総合研究所の刊行物NRI 木内登英氏が寄稿した「トランプ再選は米国経済・金融市場が抱える問題を増幅:ドル高・円安が緩やかに修正されるのであれば日本経済にプラスだが。。。」 「トランプ再選については、「ドル高、株高要因」との見方と、筆者のように「ドル安、株安要因」との見方の双方がある・・・トランプ氏が公約に掲げる追加関税は、国内物価を押し上げ、金利上昇要因となる。それはドル高要因にもなる。また、大型減税の延長や社会保障支出の抑制などを行わない姿勢は、財政悪化をもたらし、これも金利上昇を通じてドル高要因になり得る。また、大型減税の延長や規制緩和は景気にプラス効果を生む。それは株高要因であり、ドル高要因ともなる」、なるほど。 「中国に加えてすべての貿易相手国に対して追加関税を導入するとするトランプ氏の政策では、輸入を減らして米国内の生産、雇用を拡大させる効果よりも、経済を悪化させる効果の方が勝るだろう・・・追加関税は貿易相手側の報復措置を引き出し、世界貿易を縮小させる。また、追加関税は、国内消費者に輸入品をより高く買わせる増税策にも等しく、個人消費を悪化させる。 こうした追加関税など保護主義的な政策がもたらす経済の悪影響は、大型減税の延長や規制緩和のプラス効果を大きく上回るものと考える。さらに、財政悪化による金利上昇も、景気に逆風となる・・・トランプ氏はドル安政策を標榜している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関与する考えや財政悪化も、通貨の信認の低下を通じてドル安要因となる。保護主義的な政策などを通じて経済が悪化すれば、最終的には金利は大きく下がり、ドル安が進むだろう・・・金融市場は比較的静観し、反応が薄いのは、上記のようにトランプ再選がもたらす経済、 金融市場への影響が両面あるなど、複雑であることも関係しているだろう」、なるほど。 「米国経済、金融が抱える問題は当時と比べてより大きくなっている・・・トランプ再選後の経済政策、いわゆる「トランポノミクス2.0」は、それらを増幅する役割を果たすだろう。トランプ再選がもたらす経済や通貨への悪影響が非常に大きなものになるのか、そこまでには至らないのかは、大幅利上げを受けた今後の米国経済のパフォーマンスに大きく依存するだろう。 ただしその点も含めて、経済悪化のリスクは比較的高く、金融市場での株安、ドル安リスクを相応に高めるものと見ておきたい」、なるほど。 「ドル高円安の調整が急速なものになることは十分に考えられる。 急速な円高となれば、輸出企業の収益を悪化させ、また株価を大きく下落させることを通じて、日本経済にも打撃となる。それに米国の保護主義政策と米国経済の大幅減速による輸出環境の悪化が重なれば、日本は景気後退に陥る可能性が高まるだろう。 こうした点から、トランプ再選の影響については、日本としては慎重に見ておく必要がある」、なるほど。 マイケル・ハーシュ氏による「衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに」 「過去数年間、ジョー・バイデン米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と対峙していたのとほぼ同じ期間にわたって、前任のドナルド・トランプは秘密裏にプーチンと対話をし、アメリカのウクライナへの軍事支援に反対していた──ワシントン・ポスト紙の著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードが新著『戦争』でそう明かしたのだ。 この本には衝撃的な暴露話が多数ある。 10月15日の発売日を前にフォーリン・ポリシー誌が入手した同書の中で、ウッドワードはトランプが大統領退任後にプーチンと最大7回電話で話したと書いた。 また今年のある時点では、フロリダ州の別荘マールアラーゴに滞在していたトランプが、ロシア指導者との「プライベートな電話」のために側近に部屋から出るよう命じたという・・・それでも、今回の暴露は トランプがローガン法──米国民が連邦政府の許可なく外国の高官と通信したり、アメリカと対立する「外国政府の措置や行動に影響を与える」行為を禁じる法──に違反していたとの疑惑 をかき立てる。・・・22年の侵攻開始のわずか2日前、トランプはプーチンの侵略を称賛するような行動に出た。右派のラジオ番組に出演し、プーチンによるウクライナ東部の独立承認を「天才的」と評したのだ」、「プーチンと最大7回電話で話した」、というのは衝撃的だ。 「オースティン米国防長官は22年10月21日の電話会談で、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(当時)にこう警告した。 「われわれの指導者も、そちらの指導者も、核戦争には勝者は存在せず、絶対に手を出してはならないと繰り返し述べてきた。(核を使用すれば)双方にとって存続を脅かす対立の道に踏み出すことになる。滑りやすい坂道に足を踏み入れるな」、「2日後、ショイグは電話をかけてきて、ウクライナ側に「汚い爆弾」を使う計画があるとの虚偽の主張をした。 核兵器使用の口実にするために嘘を持ち出したというのがアメリカ側の見立てだ。 あなたの言うことは信じられない」とオースティンは答えたとウッドワードは書いている。「そうした兆候は見つかっていないし、世界にもすぐに見抜かれるはずだ。やめておきなさい」。ショイグはこれに対し、「分かった」と答えたという」、いずれもずいぶんギリギリの発言で驚かされた。 「ロシアは14年、ウクライナ東部の一部を「占領」するとともにクリミア半島をロシアに併合した。この時、オバマは比較的穏やかな対応を取ったが、それは大きな過ちだったとバイデンは言ったのだ。 「おかげでこんなことになってしまった。われわれの大失敗だ」とバイデンは述べたという。「バラクはプーチン(のやること)をまともに取り合おうとしなかった。プーチンにそのまま続けていいと許可を出してしまったんだ。で、私がそのいまいましい許可を取り消そうとしているわけだ!」、「オバマ」がこんな失敗をしたとは初めて知った。 尻拭いさせられる「バイデン」には同情したくなる。 「ウッドワードは、9月にロシアで開催されたある経済会議でのこんなプーチンの言葉を取り上げている。「トランプ氏は、ウクライナ危機を含むあらゆる火急の問題を数日で解決すると述べている。喜ばしい話だと言うほかない」 ちなみに、トランプが大統領選に出馬するよりもっと前、彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていたことについては、本書以外でも調査や報道が何度もされている」、 「数日で解決する」、とは「ウクライナ」に和平を飲ませるという意味だろうか。「彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていた」、「トランプ」系企業が「ロシア」への「依存の度を深めていた」というのは、事実であれば、飛んでもないことだ。私的な利益のために、「ウクライナ」支援という米国の国益を犠牲にすることになる。米国の法律に違反する可能性はないのだろうか。
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イスラエル・パレスチナ(その9)(ヒズボラ指導者の殺害という「勝利の美酒」に酔うネタニヤフ首相だが 政権の足元は「崩壊」寸前、国外から批判の声も…イスラエル・ネタニヤフ政権の右傾化が止まらない「3つの要因」、爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか、「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル 「真の実力」が見えてきた) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、本年10月8日に取上げたばかりだが、今日は、(その9)(ヒズボラ指導者の殺害という「勝利の美酒」に酔うネタニヤフ首相だが 政権の足元は「崩壊」寸前、国外から批判の声も…イスラエル・ネタニヤフ政権の右傾化が止まらない「3つの要因」、爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか、「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル 「真の実力」が見えてきた)である。

先ずは、10月10日付けNewsweek日本版が掲載したイスラエル紙ハーレツの英語版コラムニストのデービッド・ローゼンバーグ氏による「ヒズボラ指導者の殺害という「勝利の美酒」に酔うネタニヤフ首相だが、政権の足元は「崩壊」寸前」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/10/518878_1.php
・『<ヒズボラ最高指導者ナスララの暗殺成功は、危機的状況にあったネタニヤフ政権に一時の勝利をもたらしたが、イスラエル世論の支持はなく経済も悪化の一途> イスラエルがレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師を殺害(9月27日)したことで、胸をなで下ろしたイスラエル人はたくさんいる。だが一番喜んだのは、おそらく首相のベンヤミン・ネタニヤフだ。長い政治家人生で最も困難な1年が過ぎようという時に、降って湧いた歓喜の瞬間だったと言っていい。 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが昨年10月7日に仕掛けた残忍な奇襲攻撃を、彼は防げなかった。そのことの汚点は、いくら頑張っても消せない。一方でレバノンに陣取るヒズボラとの交戦に終わりは見えず、ガザに残る多数の人質を無事に救出できる見込みもないままだ。 世論調査を見ても、ネタニヤフに国を率いる能力ありとする人はほとんどいなかった。総選挙をやれば、彼の率いる宗教右派連立政権は負ける確率が高かった。 しかし9月17日にはポケベルの遠隔操作でヒズボラ構成員多数を殺害するという劇的な成果が上がり、その10日後には指導者ナスララの命も奪えた。自分こそイスラエルの「安全を守る男」だと自負してきたネタニヤフの面目躍如──と言いたいところだろうが、そうはいかない。 ナスララ殺害の成功を受けて右派政党「新たな希望」の党首ギデオン・サールが政権への復帰を表明したおかげで、ネタニヤフ率いる連立与党の議席数は68となり、国会の過半数は維持できた。しかし、安心するのはまだ早い。) ナスララの死を受けてネタニヤフがほくそ笑んだのは当然として、興味深いのはその発言だ。軍と秘密情報機関モサドの功績をたたえるに先立ち、ネタニヤフは言ったものだ。「この間、イスラエル軍はヒズボラに強烈な打撃を与えてきた。しかし私は、まだ不十分だという結論に達した。故に(ナスララ殺害の)命令を下した」と。 何事も自分の手柄にしたがるのは政治家の常だが、それだけではあるまい。この間ずっと、10.7奇襲を防げなかった国軍を非難してきたネタニヤフとしては、ここで軍部やモサドを英雄に仕立てるわけにはいかなかった』、「「この間、イスラエル軍はヒズボラに強烈な打撃を与えてきた。しかし私は、まだ不十分だという結論に達した。故に(ナスララ殺害の)命令を下した」と・・・この間ずっと、10.7奇襲を防げなかった国軍を非難してきたネタニヤフとしては、ここで軍部やモサドを英雄に仕立てるわけにはいかなかった」、なるほど。
・『司法改革で対立激化  軍部との摩擦は、連立政権発足直後の昨年1月に発表した司法改革案にさかのぼる。表向きは司法の民主化策とされていたが、実は政権の政治的な都合に警察や検察、裁判所を従わせ、イスラエルを「自由なき民主国家」につくり替えようとする極右ポピュリスト勢力の構想だった。そしてネタニヤフ政権自身も、こんな改革には軍部も反対するだろうことを予期していた。 この危険な改革案には世論の猛反発があり、実現は難しいとみられていた。しかしそこへハマスとの戦争が起き、極右勢力に時ならぬ追い風が吹いた。極右のベツァレル・スモトリッチ財務相はパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の統治に関する権限を掌握し、ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力を容認した。 国家治安担当相のイタマル・ベングビールも警察に対する支配力を強めている。彼らは口をそろえて、軍部や情報機関は弱腰で敗北主義者だと非難した。国軍幹部が画策し、ネタニヤフを失脚させるためにハマスの急襲を仕組んだという極端な発言まで出ていた。) ネタニヤフ自身は、10.7の責任を誰かに押し付ければ満足だったかもしれない。だが極右の宗教的保守派は、この機会に軍や情報機関から左派(つまり世俗派)を一掃したいと考えていた。 この試みはほぼ失敗に終わった。 同国のシンクタンク「ユダヤ人政策研究所」の調査によれば、ハマスとの戦争が長引くにつれて国軍への信頼は低下し、今年3月時点で75%だった軍部に対する信頼感は7月時点で43%まで落ちていた。 しかし、政府はもっと信用されていない。同じ調査で、政府への信頼感は同じ期間に35%から26%へ低下していた。別の世論調査でも、国民の多くは早期の総選挙を望んでおり、いま選挙が行われたら現政権は敗退するという可能性が示されている。 今のネタニヤフは対ヒズボラ戦勝利の美酒に酔っているが、その戦果をもたらしたのは軍と情報機関の実戦部隊だ。 しかも彼らの多くは予備役の軍人で、招集される前にはネタニヤフ政権の進める司法改革に反対するデモの先頭に立っていた。実際、ナスララの暗殺を敢行したF15飛行隊に所属する予備役兵士の過半数も、招集されるまではデモに参加していた。 それだけではない。9月の劇的な戦果は過去16年間にわたる緻密で執拗な情報収集活動のたまものだが、それを制服組トップとして率いてきたのはベニー・ガンツとガディ・エイゼンコット。いずれも今は野党の有力政治家だ。) つまり、無能だったのは軍や情報機関の指揮官ではなく文民の政治家だった。今の政権は最初の1年を無益な司法改革に費やした。10.7奇襲で多くの国民が犠牲になった後も、自らは地域住民の支援に乗り出さず、ボランティア任せにしていた。 ガザでの戦闘が長引き、アメリカとの関係が悪化しても、ネタニヤフはガザの将来的な統治に関する構想を示せずにいる。そして今も、そこには100人以上の人質がいる』、「司法改革案にさかのぼる。表向きは司法の民主化策とされていたが、実は政権の政治的な都合に警察や検察、裁判所を従わせ、イスラエルを「自由なき民主国家」につくり替えようとする極右ポピュリスト勢力の構想だった。そしてネタニヤフ政権自身も、こんな改革には軍部も反対するだろうことを予期していた。 この危険な改革案には世論の猛反発があり、実現は難しいとみられていた・・・しかしそこへハマスとの戦争が起き、極右勢力に時ならぬ追い風が吹いた。極右のベツァレル・スモトリッチ財務相はパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の統治に関する権限を掌握し、ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力を容認した・・・ハマスとの戦争が長引くにつれて国軍への信頼は低下し、今年3月時点で75%だった軍部に対する信頼感は7月時点で43%まで落ちていた。 しかし、政府はもっと信用されていない。同じ調査で、政府への信頼感は同じ期間に35%から26%へ低下していた。別の世論調査でも、国民の多くは早期の総選挙を望んでおり、いま選挙が行われたら現政権は敗退するという可能性が示されている・・・今のネタニヤフは対ヒズボラ戦勝利の美酒に酔っているが、その戦果をもたらしたのは軍と情報機関の実戦部隊だ。 しかも彼らの多くは予備役の軍人で、招集される前にはネタニヤフ政権の進める司法改革に反対するデモの先頭に立っていた。実際、ナスララの暗殺を敢行したF15飛行隊に所属する予備役兵士の過半数も、招集されるまではデモに参加していた・・・9月の劇的な戦果は過去16年間にわたる緻密で執拗な情報収集活動のたまものだが、それを制服組トップとして率いてきたのはベニー・ガンツとガディ・エイゼンコット。いずれも今は野党の有力政治家だ。) つまり、無能だったのは軍や情報機関の指揮官ではなく文民の政治家だった。今の政権は最初の1年を無益な司法改革に費やした」、なるほど。
・『国の信用格付けが急降下  しかし現政権の最大の汚点は経済だ。戦争が長引けば経済に負担がかかるのは常識で、だからこそ歴代のイスラエル政府はできる限り戦争を避けてきた。 ところが財務相のスモトリッチは戦時予算を組もうともせず、ヨルダン川西岸への入植者や超保守派のユダヤ教徒に対する支援金をばらまいている。結果、今年第2四半期の経済成長率はマイナス0.2%に落ち込んだ。 格付け機関のムーディーズは9月27日、イスラエルの信用度をA2からBaa1へ引き下げ、「地政学的リスクの上昇」次第で評価はさらに下がると警告した。S&Pもイスラエルの格付けをA+からAに引き下げている。 9月後半における軍事的成功が今後のイスラエル政局にどう作用するか、現時点で推し量るのは難しい。直近の世論調査でネタニヤフ率いる与党リクードの支持率が上がったのは事実だが、ヒズボラとの戦争はまだ終わっていない。 10月1日に始まったレバノンへの地上侵攻で死傷者が増えれば、逆に政権批判が強まるだろう。イランの報復が終わる保証もない。 Foreign Policy logoFrom Foreign Policy Magazine』、「現政権の最大の汚点は経済だ。戦争が長引けば経済に負担がかかるのは常識で、だからこそ歴代のイスラエル政府はできる限り戦争を避けてきた。 ところが財務相のスモトリッチは戦時予算を組もうともせず、ヨルダン川西岸への入植者や超保守派のユダヤ教徒に対する支援金をばらまいている。結果、今年第2四半期の経済成長率はマイナス0.2%に落ち込んだ。 格付け機関のムーディーズは9月27日、イスラエルの信用度をA2からBaa1へ引き下げ、「地政学的リスクの上昇」次第で評価はさらに下がると警告した。S&Pもイスラエルの格付けをA+からAに引き下げている」、「格付け機関」の格付は下げられたといっても、水準的には投資適格で依然、高い。「戦時予算を組もうともせず、ヨルダン川西岸への入植者や超保守派のユダヤ教徒に対する支援金をばらまいている」、ようでは、格付の実態は酷く悪化している筈だ。

次に、10月11日付け現代ビジネスが掲載した国際政治学者・放送大学教授の高橋 和夫氏による「国外から批判の声も…イスラエル・ネタニヤフ政権の右傾化が止まらない「3つの要因」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/139045?imp=0
・『2023年10月に発生したハマスによるイスラエル攻撃に端を発し、緊張が高まる一方の中東情勢。国外から批判の声が上がる中、ネタニヤフ政権が強硬姿勢を崩さない理由はどこにあるのだろうか。 国際政治学者の高橋和夫氏は『なぜガザは戦場になるのか』にて、その要因と今後予想されうる事態について詳細に解説している』、興味深そうだ。
・『イスラエル社会が右に振れる要因  イスラエルの政治は、どんどん右に傾いている。中でも2022年末に発足した現在のネタニヤフ政権は、イスラエル史上もっとも右寄りの極右政権である。クネセットで7議席を有する「宗教シオニズム」党と、6議席の「ユダヤの力」党といった極右の少数政党が連立政権に入り、警察行政に関わる閣僚ポストを手に入れたことで、混乱も起きている。こうした極右政党は、パレスチナ人の追放あるいは違法な入植地「アウトポスト」の撤去の停止を主張している。ガザのハマスに対して核兵器の使用も「選択肢の一つ」かと問われ、否定しなかったアミハイ・エリヤフ・エルサレム問題・遺産相も、「ユダヤの力」の議員である。これが国際的に物議を醸した。 なぜイスラエル社会が右に傾いて来たのか。理由のひとつは、和平に対する幻滅である。1993年にラビン首相がオスロ合意を結んで以来、和平のために譲歩をして来たが、パレスチナ側に和平をする気がないという考え方が一般的になっている。イスラエルは最大限に譲っているのに、まだ満足できない強欲な人々という認識である。もちろん、占領されているパレスチナの側から言えば、イスラエル側が最大限に譲ったといっても、占領地の一部しか戻ってこないという話であり、納得のできる条件とは言えないのだが。 理由の2つ目は、1991年に旧ソ連が崩壊して、ロシア移民が100万人単位でやってきた。この人たちは、元からアラブ人に対する人種差別的な意識が強く、妥協しようという考えが少ない傾向がある。ロシア系ユダヤ人は、いまやイスラエル国内で一大勢力となり、「我が家イスラエル」という右派政党も組織し影響力を高めている。 3つ目は、先に述べた占領地ではなく解放地であるとの認識を持つ人が増えていることである。この人たちの人口比を大きくしている人口動態については、次の項で取り上げよう。それにともなって入植者も増えている。そして、イスラエル政府の入植地の拡大やパレスチナ人の追放といった右寄りの政策が、そうした人々の行動を助長している。) イスラエル社会が右に振れる要因は、他にもある。他方で、パレスチナとの和平に踏み出すべきだとの世論を強めるような要因は、残念ながら少ない。イスラエル経済は、ハイテク産業の活況で好調である。社会が右傾化しようと、経済が順調であれば良いと考える人は多い。また占領地で何が起きているかという事実について、興味がないし考えたくないし、見たくもないというイスラエル人は多い。これが、ある意味では最大の問題だろうか。ガザの人々がどれほど苦しんできたかについては、何も知らない。そして“テロ”が起きると、「私たちは平和に暮らしていただけなのになぜ」という反応になる。 そして、イスラエルは国外からのユダヤ人の移民を奨励している。それにより、アメリカなどから移住をして、入植地に住んだりイスラエル軍に入隊したりする熱狂的なユダヤ系の人が増えている。他方でこれだけ社会が右傾化すると、和平を望んでいたイスラエル人にはますます居場所がなくなる。出国してアメリカやヨーロッパに新天地を求める人もいる。そのため、ますますイスラエル社会の右傾化に拍車がかかっている。極右政権の誕生は、その象徴かもしれない』、「2022年末に発足した現在のネタニヤフ政権は、イスラエル史上もっとも右寄りの極右政権である。クネセットで7議席を有する「宗教シオニズム」党と、6議席の「ユダヤの力」党といった極右の少数政党が連立政権に入り、警察行政に関わる閣僚ポストを手に入れたことで、混乱も起きている。こうした極右政党は、パレスチナ人の追放あるいは違法な入植地「アウトポスト」の撤去の停止を主張している・・・なぜイスラエル社会が右に傾いて来たのか。理由のひとつは、和平に対する幻滅である。1993年にラビン首相がオスロ合意を結んで以来、和平のために譲歩をして来たが、パレスチナ側に和平をする気がないという考え方が一般的になっている。イスラエルは最大限に譲っているのに、まだ満足できない強欲な人々という認識である。もちろん、占領されているパレスチナの側から言えば、イスラエル側が最大限に譲ったといっても、占領地の一部しか戻ってこないという話であり、納得のできる条件とは言えないのだが・・・理由の2つ目は、1991年に旧ソ連が崩壊して、ロシア移民が100万人単位でやってきた。この人たちは、元からアラブ人に対する人種差別的な意識が強く、妥協しようという考えが少ない傾向がある。ロシア系ユダヤ人は、いまやイスラエル国内で一大勢力となり、「我が家イスラエル」という右派政党も組織し影響力を高めている。 3つ目は、先に述べた占領地ではなく解放地であるとの認識を持つ人が増えていることである・・・イスラエルは国外からのユダヤ人の移民を奨励している。それにより、アメリカなどから移住をして、入植地に住んだりイスラエル軍に入隊したりする熱狂的なユダヤ系の人が増えている。他方でこれだけ社会が右傾化すると、和平を望んでいたイスラエル人にはますます居場所がなくなる。出国してアメリカやヨーロッパに新天地を求める人もいる。そのため、ますますイスラエル社会の右傾化に拍車がかかっている」、なるほど。
・『ユダヤ教“超正統派”の出生率は6.64  イスラエルの人口は増えている。その人口をおさらいしておこう。イスラエルの総人口は、約1000万人である。その75%がユダヤ人で、アラブ人が20%、そして、その他が5%である。実数にすると、ユダヤ人が750万人になる。そして、イスラエル成立後にその地に踏みとどまったパレスチナ人が、子孫を含めて人口の20%を占める。実数にすると200万人である。そのほかは、ユダヤ人でもアラブ人でもない少数派で、実数にすると50万人である。 イスラエル女性の生涯出生率は3.0程度である。これは、一人の女性が産む子どもの数である。現在の人口を維持するためには、この数値が2.07 必要である。大半の先進工業国では、出生率がこの2.07を切っており、人口の減少を経験している。ちなみに日本の2022年の数値は1.26だった。 イスラエルの出生率の高さの理由は何だろうか。最大の要因は、超正統派と呼ばれる人々の子どもの多さである。第二に、好景気が持続していたという経済的要因があるだろう。第三に移民の流入も指摘できるだろう。第四に不妊治療が広く行われているという医療サービスの水準の高さがあるだろう。 宗教・宗派別では、イスラム教徒の方が出生率は高いものの、爆発的に増えているわけではない。注目すべきは、ユダヤ教徒内での出生率の比較である。ユダヤ教の超正統派と呼ばれる人々の間の出生率が極端に高い。数値が6.64である。ということは長期的には非常に保守的で宗教的な層の人口比が高まっていく。これが、イスラエル国内の世俗的な層との緊張を高めるだろう。また宗教的には改革的な傾向の強いアメリカのユダヤ教徒と、イスラエルとの間の距離をこれまで以上に広げかねない。) ヨルダン川西岸とガザでの人口動態も重要だ。ヨルダン川西岸には約330万人、ガザには約220万人のパレスチナ人が生活している。そして、その生涯出生率は3.5である。 おおざっぱな算数をしよう。国際的に認められたイスラエル国境内、ヨルダン川西岸、ガザの人口を全て合わせると、1550万人になる。そのうち750万人はユダヤ人である。そして760万人はパレスチナ人になる。その他が50万人である。 聖地パレスチナ、つまりイスラエルとガザとヨルダン川西岸を合わせた地域の人口の過半数は、すでにユダヤ人ではない。そして占領地での出生率の高さを考慮すると、パレスチナ人の比率はさらに高まってくる』、「国際的に認められたイスラエル国境内、ヨルダン川西岸、ガザの人口を全て合わせると、1550万人になる。そのうち750万人はユダヤ人である。そして760万人はパレスチナ人になる。その他が50万人である。 聖地パレスチナ、つまりイスラエルとガザとヨルダン川西岸を合わせた地域の人口の過半数は、すでにユダヤ人ではない。そして占領地での出生率の高さを考慮すると、パレスチナ人の比率はさらに高まってくる」、なるほど。
・『アパルトヘイト状態の社会構造  西岸地区では、ほんのわずかな土地がパレスチナ人の自治に委ねられているだけで、大半の地域がイスラエルの支配下にある。つまり占領下にある。その占領下では、パレスチナ人の土地を奪ってユダヤ人の入植活動が行われている。ガザ地区は、イスラエルとエジプトによって封鎖が続いている。220万人のパレスチナ人を、ここまで追い詰める政策に対し、国連などを中心に非難の声が上がってきた。 聖地と呼ばれる土地にユダヤ人が特権階級として君臨し、二級市民としてイスラエル国籍を持つパレスチナ人がいる。さらにその下に占領下のパレスチナ人が生活している。そこでは、重大な人権の蹂躙が日常化している。どこかで見たような社会構造である。そう、かつて少数派の白人が多数派の有色人種を支配した、南アフリカの支配構造と類似している。南アフリカの人種隔離と差別の構造には、つまり人種隔離政策にはアパルトヘイトという名称がつけられていた。このまま占領を続ければ、イスラエルはアパルトヘイト国家としてやっていくことになる。 さらに関連記事【爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか】ではイスラエルが警戒を強める「ヒズボラ」誕生の背景について解説している』、「かつて少数派の白人が多数派の有色人種を支配した、南アフリカの支配構造と類似している。南アフリカの人種隔離と差別の構造には、つまり人種隔離政策にはアパルトヘイトという名称がつけられていた。このまま占領を続ければ、イスラエルはアパルトヘイト国家としてやっていくことになる」、なるほど。

第三に、10月11日付け現代ビジネスが掲載した国際政治学者・放送大学教授の高橋 和夫氏による「爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか」を紹介しよう。
・『2023年10月に発生したハマスによるイスラエル攻撃に端を発し、緊張が高まる一方の中東情勢。ここ数日特にイスラエルと一触即発状態となっているヒズボラという組織はどのように誕生し、イスラム世界ではどのように評価されているのだろうか。国際政治学者の高橋和夫氏の『なぜガザは戦場になるのか』には中東情勢を理解するためにいまこそ知りたい、その歴史的背景が記されている』、興味深そうだ。
・『ヒズボラとは何か?  イスラエルが警戒するヒズボラとは、どのような組織なのだろうか。ヒズボラとは、アラビア語で「神の党」という意味である。1982年に、イランの支援でレバノン南部で創設された。 ヒズボラの支配地域は、レバノンの首都であるベイルートの南から、レバノン南部一帯である。ヒズボラの戦力や戦闘員の能力は、レバノン正規軍を上まわっている。 軍事力だけではない。ヒズボラの政治部門はレバノンの選挙に参加しており、2022年の定数128の国会議員選挙で半数近くの62議席を獲得するなど、大きな政治力を持っている。 また、支配地域では貧困状態の人々に対し、医療や福祉、教育を提供するなど、住民サービスも行っている。先に述べたハマスと同様のNGO的な側面である。また、ヒズボラの戦闘員として、イスラエルとの戦いで負傷した若者や殉教した兵士の家族への支援を行っている。ヒズボラの指導者であるナスララは、息子をイスラエルとの戦闘で亡くしている。「息子が死んで悲しいが、これでやっと殉教者の母親たちの目を見て話すことができる。親としての悲しみを共有できる」と述べている。 本人は、暗殺を恐れて集会に直接に顔を出すことはないが、映像を通じて話しかける。人々の心を掴むのが巧みだ』、「ヒズボラの戦力や戦闘員の能力は、レバノン正規軍を上まわっている。 軍事力だけではない。ヒズボラの政治部門はレバノンの選挙に参加しており、2022年の定数128の国会議員選挙で半数近くの62議席を獲得するなど、大きな政治力を持っている。 また、支配地域では貧困状態の人々に対し、医療や福祉、教育を提供するなど、住民サービスも行っている。先に述べたハマスと同様のNGO的な側面である。また、ヒズボラの戦闘員として、イスラエルとの戦いで負傷した若者や殉教した兵士の家族への支援を行っている」、いわば政府的な役割を果たしているようだ。
・『レバノンは「生きた宗教の博物館」  ヒズボラがなぜ誕生したかという理由を説明するために、少々回り道になるが、レバノンの歴史をたどりたい。レバノンはかつてオスマン帝国の領土であったが、第一次世界大戦後にシリアと共にフランスの支配下に入った。レバノンが独立し、フランスが撤退したのは1943年のことだ。 レバノンは、宗教的にはキリスト教とイスラム教のさまざまな宗派がモザイクのように入り乱れる複雑な社会だ。歴史的に迫害を受けた多くの少数派が、レバノンの山岳地帯に避難して住みついてきたからだ。いわば「生きた宗教の博物館」状態となっている。独立の際に、各宗派の間で権力を分割する協定が結ばれた。大統領はキリスト教マロン派、国会議長はイスラム教スンニー派という具合にである。その基礎になったのが、1932年の人口調査であった。 ところが、キリスト教徒が多数を占めていたころの人口統計に基づいたシステムは、段々と実情に合わなくなってくる。イスラム教徒の方が多産なので、人口増加率が高かった。中でも、南部のイスラム教シーア派の人々は、特に所得が低く、人口増加率も高かった。しかし、人口調査は1932年以降行われず、キリスト教徒優位のシステムが続いた。そして、このシステムへのイスラム教徒の不満が高まった。キリスト教徒の側も、自らの特権を脅かされるのではないかという不安を募らせていく。各宗派は、独自の武装組織を育成し自衛の構えを見せていた。 そんな危うい状況のレバノンに、1970年に乗り込んできたのがアラファト率いるPLO(パレスチナ解放機構)だった。前に触れたヨルダンでの内戦に敗れレバノンに亡命してきたPLOは、レバノンの中で独立国家のように振る舞った。イスラム教徒が多数を占めるPLOの存在は、レバノンの宗派間のバランスをさらに危うくした。そして1975年にレバノンは内戦に突入した。内戦にはシリアも介入した。その後1982年にはイスラエルがレバノンに侵攻して、レバノン情勢は泥沼化していく』、「独立の際に、各宗派の間で権力を分割する協定が結ばれた。大統領はキリスト教マロン派、国会議長はイスラム教スンニー派という具合にである。その基礎になったのが、1932年の人口調査であった。 ところが、キリスト教徒が多数を占めていたころの人口統計に基づいたシステムは、段々と実情に合わなくなってくる。イスラム教徒の方が多産なので、人口増加率が高かった・・・レバノンに、1970年に乗り込んできたのがアラファト率いるPLO(パレスチナ解放機構)だった。前に触れたヨルダンでの内戦に敗れレバノンに亡命してきたPLOは、レバノンの中で独立国家のように振る舞った。イスラム教徒が多数を占めるPLOの存在は、レバノンの宗派間のバランスをさらに危うくした。そして1975年にレバノンは内戦に突入した。内戦にはシリアも介入した。その後1982年にはイスラエルがレバノンに侵攻して、レバノン情勢は泥沼化していく」、なるほど。
・『イランのサポートで誕生したヒズボラ  イスラエルが侵攻した理由は、PLOがレバノン南部を拠点に、イスラエルにゲリラ攻撃を仕掛けていたからだ。迷惑を被っていったのは、レバノン南部に住んでいたイスラム教シーア派の人たちである。当時シーア派は、組織化されておらず、したがって政治力がなく、人口は多くても発言権がなかった。PLOがイスラエルを攻撃すれば、その報復でレバノン南部が攻撃された。そのため、イスラエル軍がアラファトを撃つために南レバノンに侵攻すると、当初シーア派の住民たちは大歓迎をした。その後、アラファト率いるPLOはレバノンからチュニジアに亡命した。しかしPLO撤退後も、イスラエル軍はレバノン南部の占領を続けた。 シーア派の住民はPLOは嫌いだったが、イスラエルの支配下に入りたいと望んだわけではなかった。そして、その組織化をシーア派が多数派を占めるイランがサポートして、ヒズボラが創設された。 ヒズボラが世の注目を集めた最初の事件は、アメリカ軍の海兵隊宿舎の爆破だった。アラファトなどのPLOの戦士たちがチュニジアへと去った後、ベイルートの治安維持を名目にアメリカ軍海兵隊などが進駐した。1983年にヒズボラのメンバーが爆弾を満載したトラックで海兵隊の宿舎に突っ込んで自爆し、多くの米兵を殺害した。それにより海兵隊は撤退した。筆者が知る限り、イスラム教徒による歴史上最初の自爆攻撃である。 またイスラエルが占領していたレバノン南部では、ヒズボラが抵抗運動を強めた。そして2000年までの18年間にわたり戦った。爆弾を巻いて死ぬ気で戦うヒズボラの若者たちに、中東最強とされるイスラエル軍も苦戦した。そして、殉教精神だけでなく、イランの軍事顧問団による訓練と、実戦を積むことにより、ヒズボラは強力な戦闘集団となった』、「イスラエルが占領していたレバノン南部では、ヒズボラが抵抗運動を強めた。そして2000年までの18年間にわたり戦った。爆弾を巻いて死ぬ気で戦うヒズボラの若者たちに、中東最強とされるイスラエル軍も苦戦した。そして、殉教精神だけでなく、イランの軍事顧問団による訓練と、実戦を積むことにより、ヒズボラは強力な戦闘集団となった」、なるほど。
・『イスラム世界全体の英雄となる  ヒズボラは、イスラエル軍の行動パターンを読んで戦った。たとえば、イスラエル軍のパトロール部隊を待ち伏せして包囲すれば、必ず救出部隊が送られてくる。パトロール部隊を全滅させても10人程度だが、救出部隊を待ち伏せすればその何倍も倒すことができる。ヒズボラはパトロール部隊を包囲すると同時に、救出部隊を攻撃する準備をして待ち伏せを行った。そのため、イスラエル軍は救援に行くのが危険になった。ヒズボラよりはるかに強力な兵器で武装しているイスラエルが、苦戦を強いられた。何より士気が違う。ヒズボラは自らの土地を取り返すために死をも恐れず戦う。イスラエル兵は、他人の土地を占領して、こんなところで死にたくないと思って戦う。士気が上がるはずもない。最終的には2000年に、イスラエル軍がレバノンから撤退した。 アラブ側が戦ってイスラエル軍を撤退させた例は少ない。イスラエルが建国されてから、アラブ側は負け続けていた。ヒズボラは、その憎っくきイスラエル軍を撤退に追い込んだ。そのためレバノンでは、ヒズボラが英雄となった。もちろん、レバノンにはシーア派やヒズボラが大嫌いという人は多い。それでも、対イスラエルに関しては、ヒズボラはよく戦ったとの評価である。またレバノンを越えてイスラム世界全体でヒズボラは英雄となった。 そして、このヒズボラのイスラエル軍に対する善戦は、占領下で苦しむ多くのパレスチナ人にとっても刺激となった。それが後にパレスチナ人自身による抵抗運動、インティファーダ(1987年)につながった。また、ハマスをはじめとする抵抗組織の設立につながった。そして自爆、つまり殉教攻撃という戦術がイスラム世界全体に広がった。「殉教者こそ神の友」という叫び声が広くこだまするようになった。 さらに、イスラエルが脅威を抱く「ヒズボラのミサイル」について関連記事【「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル、「真の実力」が見えてきた】で解説する』、「ヒズボラは、イスラエル軍の行動パターンを読んで戦った。たとえば、イスラエル軍のパトロール部隊を待ち伏せして包囲すれば、必ず救出部隊が送られてくる。パトロール部隊を全滅させても10人程度だが、救出部隊を待ち伏せすればその何倍も倒すことができる。ヒズボラはパトロール部隊を包囲すると同時に、救出部隊を攻撃する準備をして待ち伏せを行った。そのため、イスラエル軍は救援に行くのが危険になった。ヒズボラよりはるかに強力な兵器で武装しているイスラエルが、苦戦を強いられた。何より士気が違う。ヒズボラは自らの土地を取り返すために死をも恐れず戦う。イスラエル兵は、他人の土地を占領して、こんなところで死にたくないと思って戦う。士気が上がるはずもない。最終的には2000年に、イスラエル軍がレバノンから撤退した・・・このヒズボラのイスラエル軍に対する善戦は、占領下で苦しむ多くのパレスチナ人にとっても刺激となった。それが後にパレスチナ人自身による抵抗運動、インティファーダ(1987年)につながった。また、ハマスをはじめとする抵抗組織の設立につながった。そして自爆、つまり殉教攻撃という戦術がイスラム世界全体に広がった。「殉教者こそ神の友」という叫び声が広くこだまするようになった」、なるほど。

第四に、10月11日付け現代ビジネスが掲載した国際政治学者・放送大学教授の高橋 和夫氏による「「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル、「真の実力」が見えてきた」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/138993?imp=0
・『2023年10月に発生したハマスによるイスラエル攻撃に端を発し、緊張が高まる一方の中東情勢。ここへ来て動きが活発化しているイランはなぜハマスを支援するのだろうか。そしてイスラエルが警戒するもう一つの勢力・ヒズボラの実力とは。国際政治学者の高橋和夫氏は『なぜガザは戦場になるのか』にて、その構造を分かりやすく解説している』、興味深そうだ。
・『なぜイランはハマスを支援するのか?  ガザ情勢の展開で大きな役割を担っているのが、アメリカとイランである。一方でアメリカはイスラエルを支援している。その背景については前の章で論じた。他方でイランはハマスを支持し、軍事的な援助を与えてきた。またヒズボラや、さらにはイエメンのフーシ派の支援を行っている。その上、シリアやイラクではシーア派の民兵組織を支えている。ハマス以外は全てシーア派である。同じ宗派ならば、支援しても不思議ではない。しかし、なぜイランはハマスを支援するのだろうか。ハマスはスンニー派の組織である。 背景には、イランの革命政権の発想がある。イランの革命はすばらしいものだから、アラブ世界にも広めていきたいという認識である。ただ、アラブ諸国の大半がスンニー派が多数派である。しかも、ペルシア人のイランとは民族が違う。そこで、イランがアラブ世界に影響力を浸透させるテコとしたのがパレスチナ問題である。民族や宗派は違っても同じイスラム教徒としてである。イスラムの聖地であるエルサレムが、イスラエルに占領されている。それなのにアラブ諸国は、何もしていない。黙って見ている。それに比べてイランは、イスラエルと戦うハマスを支援しているという構図である』、「イスラムの聖地であるエルサレムが、イスラエルに占領されている。それなのにアラブ諸国は、何もしていない。黙って見ている。それに比べてイランは、イスラエルと戦うハマスを支援しているという構図である」、「イラン」の立場がよく理解できた。
・『イランはシーア派、ハマスはスンニー派  イランはシーア派でハマスはスンニー派だが、それがイラン革命の正しさは宗派を超えるとの宣伝になる。イランには、革命防衛隊というイスラム革命体制を守るための軍隊がある。その中で対外工作などを担当する部隊の名称はアル・クッズ部隊である。アル・クッズはエルサレムを意味する。この部隊名こそ、イランがイスラム教の聖地であるエルサレムのイスラエルからの解放を錦の御旗にしている証である。 なおシーア派の民兵組織についても説明しておこう。まずイラクやシリアにはシーア派の民兵組織がある。フセイン体制が倒れて以来、イラクではイランの支援を受けた民兵組織が自由に活動できるようになった。IS(イスラム国)との戦闘にも貢献したこうした組織は、必ずしもイラク政府のコントロール下になく、イランの影響下にある。 同じようにシリアでも、2011年の人々が民主化を求めた「アラブの春」以降の内戦下でシーア派の民兵組織がイランの支援を受けて活動し始めた。両者は、イラクとシリアにあるアメリカ軍基地をドローンで攻撃するなど、ガザへのイスラエル軍の侵攻以来、微妙な動きを見せている。 微妙というよりは鮮明過ぎるくらいなのが、イエメンのフーシ派である。フーシ派はこの戦争への参戦を表明してイスラエルへのミサイルやドローンの攻撃を行った。また紅海を航行する船舶を攻撃したり、捕獲したりした。捕獲された船は日本郵船がチャーターしていた。これはイスラエル資本が一部を所有する船だった。紅海での交通が妨げられると、アジアとヨーロッパを結ぶ貿易は大きな影響を受ける。このフーシ派の動向が注目される。 このフーシ派とは何者なのか。フーシ派はシーア派の組織が、やはり2011年の「アラブの春」以降の混乱の中で台頭してきた。サウジアラビアなどが支援する「イエメン政府」との内戦で優勢に立ち、首都サナアなどを支配している。同じシーア派ということでイランの支援を受けてきたのは確かなのだが、どのくらいイランの意向に沿って行動しているかは、不明である。 以下に述べるようにイランは明らかに戦争の拡大を望んでいないにもかかわらず、フーシ派は活発にイスラエルを攻撃している。 他のアラブ・イスラム世界の国々は、ガザの人々の支援を口にしながら、実際には何もしていない。それに比べ、フーシ派は敢然として立ちイスラエルに打撃を与えている――そうした姿勢である。 イエメンでは大規模なハマス支援のデモが行われている。イスラエル攻撃は、そうした世論を踏まえてのフーシ派の独自の軍事作戦の色彩が濃い。アメリカが、あれだけイスラエルに援助を与えながら同国をコントロールできないように、イランもフーシ派に援助を与えながら制御はできていないのだろうか』、「他のアラブ・イスラム世界の国々は、ガザの人々の支援を口にしながら、実際には何もしていない。それに比べ、フーシ派は敢然として立ちイスラエルに打撃を与えている――そうした姿勢である。 イエメンでは大規模なハマス支援のデモが行われている。イスラエル攻撃は、そうした世論を踏まえてのフーシ派の独自の軍事作戦の色彩が濃い」、なるほど。
・『ヒズボラのミサイル  民兵組織、フーシ派、ヒズボラなどの軍事組織とシリアとイランを合わせて「抵抗の枢軸」というような表現が使われる。その中心は、もちろんイランであるが、その次に軍事的に強力なのは、おそらく内戦で分裂したシリアではなくヒズボラだろうか。ヒズボラはレバノン南部を拠点としている。イスラエルとアメリカが、そのミサイル戦力を特に警戒している。 ハマスもミサイルを持っているが、その多くは花火が進化した程度である。スピードが遅く遠くまで飛ばない。また限られた数の長距離ミサイルも精確な誘導装置を持っていない。ところがヒズボラは十数万発のミサイルを保有している。その中には精密誘導の弾道ミサイルも数多く含まれる。つまりハマスとはケタ違いに強大な戦力を保有している。イスラエルとハマスとヒズボラの軍事力を野球で例えるとすると、イスラエルはメジャーリーグで、ハマスはリトルリーグくらいだろう。ヒズボラは日本のプロ野球くらいの実力がある。ヒズボラと戦争をすれば、イスラエルの主要都市のハイファやテルアビブの街にミサイルの雨が降る。 ヒズボラのミサイルはイラン製である。そして、イラン製のミサイルは非常に命中率が高い。その例を紹介しよう。2020年に、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官がアメリカ軍に暗殺された。数日後に、イランは報復として、イラクにあるアメリカ軍基地に10数発の弾道ミサイルを撃ち込んだ。このとき、ミサイルはことごとく目標に命中した。ただし、一人の死者も出なかった。その理由は、何だろうか。二つの説が流布している。最初の説によれば、アメリカ軍がイランが民間の衛星会社からアメリカ軍基地の衛星写真を買っていることを知っていたからだ。イランが最新の写真を購入した直後に、兵士を移動させたため死者が出なかった。イランのミサイルが正確に兵士の元いた場所に着弾したからだ。 第二の説はイラン軍はアメリカの将兵の居場所を知っていたが、正確に目標を外した。これによって、アメリカ軍基地へのミサイル攻撃という強い措置を取ったとして報復を求める内外世論を納得させ、同時にアメリカとの戦争を避けた。要するにイランとアメリカの八百長であった。だが、いずれにしろミサイルの精確さが証明された・・・』、「ヒズボラは十数万発のミサイルを保有している。その中には精密誘導の弾道ミサイルも数多く含まれる。つまりハマスとはケタ違いに強大な戦力を保有している・・・イランは報復として、イラクにあるアメリカ軍基地に10数発の弾道ミサイルを撃ち込んだ。このとき、ミサイルはことごとく目標に命中した。ただし、一人の死者も出なかった。その理由は、何だろうか。二つの説が流布している。最初の説によれば、アメリカ軍がイランが民間の衛星会社からアメリカ軍基地の衛星写真を買っていることを知っていたからだ。イランが最新の写真を購入した直後に、兵士を移動させたため死者が出なかった。イランのミサイルが正確に兵士の元いた場所に着弾したからだ。 第二の説はイラン軍はアメリカの将兵の居場所を知っていたが、正確に目標を外した。これによって、アメリカ軍基地へのミサイル攻撃という強い措置を取ったとして報復を求める内外世論を納得させ、同時にアメリカとの戦争を避けた。要するにイランとアメリカの八百長であった」、中東問題での真相解明は本当に難しいようだ。
タグ:東問題での真相解明は本当に難しいようだ。 最初の説によれば、アメリカ軍がイランが民間の衛星会社からアメリカ軍基地の衛星写真を買っていることを知っていたからだ。イランが最新の写真を購入した直後に、兵士を移動させたため死者が出なかった。イランのミサイルが正確に兵士の元いた場所に着弾したからだ。 第二の説はイラン軍はアメリカの将兵の居場所を知っていたが、正確に目標を外した。これによって、アメリカ軍基地へのミサイル攻撃という強い措置を取ったとして報復を求める内外世論を納得させ、同時にアメリカとの戦争を避けた。要するにイランとアメリカの八百長であった」、中 「ヒズボラは十数万発のミサイルを保有している。その中には精密誘導の弾道ミサイルも数多く含まれる。つまりハマスとはケタ違いに強大な戦力を保有している・・・イランは報復として、イラクにあるアメリカ軍基地に10数発の弾道ミサイルを撃ち込んだ。このとき、ミサイルはことごとく目標に命中した。ただし、一人の死者も出なかった。その理由は、何だろうか。二つの説が流布している。 「他のアラブ・イスラム世界の国々は、ガザの人々の支援を口にしながら、実際には何もしていない。それに比べ、フーシ派は敢然として立ちイスラエルに打撃を与えている――そうした姿勢である。 イエメンでは大規模なハマス支援のデモが行われている。イスラエル攻撃は、そうした世論を踏まえてのフーシ派の独自の軍事作戦の色彩が濃い」、なるほど。 「イスラムの聖地であるエルサレムが、イスラエルに占領されている。それなのにアラブ諸国は、何もしていない。黙って見ている。それに比べてイランは、イスラエルと戦うハマスを支援しているという構図である」、「イラン」の立場がよく理解できた。 高橋 和夫氏による「「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル、「真の実力」が見えてきた」 また、ハマスをはじめとする抵抗組織の設立につながった。そして自爆、つまり殉教攻撃という戦術がイスラム世界全体に広がった。「殉教者こそ神の友」という叫び声が広くこだまするようになった」、なるほど。 何より士気が違う。ヒズボラは自らの土地を取り返すために死をも恐れず戦う。イスラエル兵は、他人の土地を占領して、こんなところで死にたくないと思って戦う。士気が上がるはずもない。最終的には2000年に、イスラエル軍がレバノンから撤退した・・・このヒズボラのイスラエル軍に対する善戦は、占領下で苦しむ多くのパレスチナ人にとっても刺激となった。それが後にパレスチナ人自身による抵抗運動、インティファーダ(1987年)につながった。 「ヒズボラは、イスラエル軍の行動パターンを読んで戦った。たとえば、イスラエル軍のパトロール部隊を待ち伏せして包囲すれば、必ず救出部隊が送られてくる。パトロール部隊を全滅させても10人程度だが、救出部隊を待ち伏せすればその何倍も倒すことができる。ヒズボラはパトロール部隊を包囲すると同時に、救出部隊を攻撃する準備をして待ち伏せを行った。そのため、イスラエル軍は救援に行くのが危険になった。ヒズボラよりはるかに強力な兵器で武装しているイスラエルが、苦戦を強いられた。 「イスラエルが占領していたレバノン南部では、ヒズボラが抵抗運動を強めた。そして2000年までの18年間にわたり戦った。爆弾を巻いて死ぬ気で戦うヒズボラの若者たちに、中東最強とされるイスラエル軍も苦戦した。そして、殉教精神だけでなく、イランの軍事顧問団による訓練と、実戦を積むことにより、ヒズボラは強力な戦闘集団となった」、なるほど。 レバノンに、1970年に乗り込んできたのがアラファト率いるPLO(パレスチナ解放機構)だった。前に触れたヨルダンでの内戦に敗れレバノンに亡命してきたPLOは、レバノンの中で独立国家のように振る舞った。イスラム教徒が多数を占めるPLOの存在は、レバノンの宗派間のバランスをさらに危うくした。そして1975年にレバノンは内戦に突入した。内戦にはシリアも介入した。その後1982年にはイスラエルがレバノンに侵攻して、レバノン情勢は泥沼化していく」、なるほど。 「独立の際に、各宗派の間で権力を分割する協定が結ばれた。大統領はキリスト教マロン派、国会議長はイスラム教スンニー派という具合にである。その基礎になったのが、1932年の人口調査であった。 ところが、キリスト教徒が多数を占めていたころの人口統計に基づいたシステムは、段々と実情に合わなくなってくる。イスラム教徒の方が多産なので、人口増加率が高かった・・・ また、ヒズボラの戦闘員として、イスラエルとの戦いで負傷した若者や殉教した兵士の家族への支援を行っている」、いわば政府的な役割を果たしているようだ。 「ヒズボラの戦力や戦闘員の能力は、レバノン正規軍を上まわっている。 軍事力だけではない。ヒズボラの政治部門はレバノンの選挙に参加しており、2022年の定数128の国会議員選挙で半数近くの62議席を獲得するなど、大きな政治力を持っている。 また、支配地域では貧困状態の人々に対し、医療や福祉、教育を提供するなど、住民サービスも行っている。先に述べたハマスと同様のNGO的な側面である。 高橋 和夫氏による「爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか」 「かつて少数派の白人が多数派の有色人種を支配した、南アフリカの支配構造と類似している。南アフリカの人種隔離と差別の構造には、つまり人種隔離政策にはアパルトヘイトという名称がつけられていた。このまま占領を続ければ、イスラエルはアパルトヘイト国家としてやっていくことになる」、なるほど。 「国際的に認められたイスラエル国境内、ヨルダン川西岸、ガザの人口を全て合わせると、1550万人になる。そのうち750万人はユダヤ人である。そして760万人はパレスチナ人になる。その他が50万人である。 聖地パレスチナ、つまりイスラエルとガザとヨルダン川西岸を合わせた地域の人口の過半数は、すでにユダヤ人ではない。そして占領地での出生率の高さを考慮すると、パレスチナ人の比率はさらに高まってくる」、なるほど。 イスラエルは国外からのユダヤ人の移民を奨励している。それにより、アメリカなどから移住をして、入植地に住んだりイスラエル軍に入隊したりする熱狂的なユダヤ系の人が増えている。他方でこれだけ社会が右傾化すると、和平を望んでいたイスラエル人にはますます居場所がなくなる。出国してアメリカやヨーロッパに新天地を求める人もいる。そのため、ますますイスラエル社会の右傾化に拍車がかかっている」、なるほど。 理由の2つ目は、1991年に旧ソ連が崩壊して、ロシア移民が100万人単位でやってきた。この人たちは、元からアラブ人に対する人種差別的な意識が強く、妥協しようという考えが少ない傾向がある。ロシア系ユダヤ人は、いまやイスラエル国内で一大勢力となり、「我が家イスラエル」という右派政党も組織し影響力を高めている。 3つ目は、先に述べた占領地ではなく解放地であるとの認識を持つ人が増えていることである・・・ なぜイスラエル社会が右に傾いて来たのか。理由のひとつは、和平に対する幻滅である。1993年にラビン首相がオスロ合意を結んで以来、和平のために譲歩をして来たが、パレスチナ側に和平をする気がないという考え方が一般的になっている。イスラエルは最大限に譲っているのに、まだ満足できない強欲な人々という認識である。もちろん、占領されているパレスチナの側から言えば、イスラエル側が最大限に譲ったといっても、占領地の一部しか戻ってこないという話であり、納得のできる条件とは言えないのだが・・・ 「2022年末に発足した現在のネタニヤフ政権は、イスラエル史上もっとも右寄りの極右政権である。クネセットで7議席を有する「宗教シオニズム」党と、6議席の「ユダヤの力」党といった極右の少数政党が連立政権に入り、警察行政に関わる閣僚ポストを手に入れたことで、混乱も起きている。こうした極右政党は、パレスチナ人の追放あるいは違法な入植地「アウトポスト」の撤去の停止を主張している・・・ 『なぜガザは戦場になるのか』 高橋 和夫氏による「国外から批判の声も…イスラエル・ネタニヤフ政権の右傾化が止まらない「3つの要因」」 現代ビジネス A+からAに引き下げている」、「格付け機関」の格付は下げられたといっても、水準的には投資適格で依然、高い。「戦時予算を組もうともせず、ヨルダン川西岸への入植者や超保守派のユダヤ教徒に対する支援金をばらまいている」、ようでは、格付の実態は酷く悪化している筈だ。 「現政権の最大の汚点は経済だ。戦争が長引けば経済に負担がかかるのは常識で、だからこそ歴代のイスラエル政府はできる限り戦争を避けてきた。 ところが財務相のスモトリッチは戦時予算を組もうともせず、ヨルダン川西岸への入植者や超保守派のユダヤ教徒に対する支援金をばらまいている。結果、今年第2四半期の経済成長率はマイナス0.2%に落ち込んだ。 格付け機関のムーディーズは9月27日、イスラエルの信用度をA2からBaa1へ引き下げ、「地政学的リスクの上昇」次第で評価はさらに下がると警告した。S&Pもイスラエルの格付けを 9月の劇的な戦果は過去16年間にわたる緻密で執拗な情報収集活動のたまものだが、それを制服組トップとして率いてきたのはベニー・ガンツとガディ・エイゼンコット。いずれも今は野党の有力政治家だ。) つまり、無能だったのは軍や情報機関の指揮官ではなく文民の政治家だった。今の政権は最初の1年を無益な司法改革に費やした」、なるほど。 今のネタニヤフは対ヒズボラ戦勝利の美酒に酔っているが、その戦果をもたらしたのは軍と情報機関の実戦部隊だ。 しかも彼らの多くは予備役の軍人で、招集される前にはネタニヤフ政権の進める司法改革に反対するデモの先頭に立っていた。実際、ナスララの暗殺を敢行したF15飛行隊に所属する予備役兵士の過半数も、招集されるまではデモに参加していた・・・ 権限を掌握し、ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力を容認した・・・ハマスとの戦争が長引くにつれて国軍への信頼は低下し、今年3月時点で75%だった軍部に対する信頼感は7月時点で43%まで落ちていた。 しかし、政府はもっと信用されていない。同じ調査で、政府への信頼感は同じ期間に35%から26%へ低下していた。別の世論調査でも、国民の多くは早期の総選挙を望んでおり、いま選挙が行われたら現政権は敗退するという可能性が示されている・・・ 「司法改革案にさかのぼる。表向きは司法の民主化策とされていたが、実は政権の政治的な都合に警察や検察、裁判所を従わせ、イスラエルを「自由なき民主国家」につくり替えようとする極右ポピュリスト勢力の構想だった。そしてネタニヤフ政権自身も、こんな改革には軍部も反対するだろうことを予期していた。 この危険な改革案には世論の猛反発があり、実現は難しいとみられていた・・・しかしそこへハマスとの戦争が起き、極右勢力に時ならぬ追い風が吹いた。極右のベツァレル・スモトリッチ財務相はパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の統治に関する 「「この間、イスラエル軍はヒズボラに強烈な打撃を与えてきた。しかし私は、まだ不十分だという結論に達した。故に(ナスララ殺害の)命令を下した」と・・・この間ずっと、10.7奇襲を防げなかった国軍を非難してきたネタニヤフとしては、ここで軍部やモサドを英雄に仕立てるわけにはいかなかった」、なるほど。 デービッド・ローゼンバーグ氏による「ヒズボラ指導者の殺害という「勝利の美酒」に酔うネタニヤフ首相だが、政権の足元は「崩壊」寸前」 Newsweek日本版 (その9)(ヒズボラ指導者の殺害という「勝利の美酒」に酔うネタニヤフ首相だが 政権の足元は「崩壊」寸前、国外から批判の声も…イスラエル・ネタニヤフ政権の右傾化が止まらない「3つの要因」、爆弾を身体に巻いて自爆…イスラエルと衝突つづくヒズボラはなぜ「強力な戦闘集団」になったのか、「兵士がいる場所まで正確に着弾…」イスラエルが警戒する「ヒズボラ」のミサイル 「真の実力」が見えてきた) イスラエル・パレスチナ
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