SSブログ
産業動向 ブログトップ
前の10件 | -

シェアリングエコノミー(その3)(ウーバーイーツ配達員の交通事故で裁判が注目されるワケ、インタビュー/出前館 藤井英雄社長 「デリバリー市場はあと3年は成長が続く」、宅配の「個人ドライバー」が直面する争奪戦 緊急事態宣言でドライバーの数が右肩上がり) [産業動向]

シェアリングエコノミーについては、昨年1月25日に取上げた。今日は、(その3)(ウーバーイーツ配達員の交通事故で裁判が注目されるワケ、インタビュー/出前館 藤井英雄社長 「デリバリー市場はあと3年は成長が続く」、宅配の「個人ドライバー」が直面する争奪戦 緊急事態宣言でドライバーの数が右肩上がり)である。

先ずは、昨年12月27日付け日刊ゲンダイが掲載した髙橋裕樹弁護士による「ウーバーイーツ配達員の交通事故で裁判が注目されるワケ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/283227
・『今年のコロナ禍は意外な仕事を生み出しました。巣ごもり需要と職を失ったり減収した人の労働需要、これらを吸い上げた受け皿としてウーバーイーツのサービスが商圏を拡大した年でした。都心ではウーバーイーツのリュックサックを背負った人を見ない日はないと言っても過言ではないでしょう。 その一方で、マナーが悪い配達員が起こした事故などのトラブルがSNSで発信されたり、ウーバーイーツを訴えたという報道もあり、問題になったものです。 皆さんのイメージでは、宅配便の配達員と同じように、ウーバーイーツの配達員がトラブルを起こしたら、ウーバーイーツを訴えるのが当然と思われるかもしれません。しかし、必ずしもそうはならないのが現実です。 ウーバーの規約には、「全ての当該デリバリー等サービスはUber又はその関連会社により雇用されていない独立した第三者の契約者により提供される」との記載があり、ウーバーイーツと配達員とは雇用関係ではなく業務委託先に過ぎず、ウーバーイーツはプラットフォームを提供しているに過ぎないというスタンスだからです。 そのため、裁判でも、配達員が事故を起こしてもウーバーイーツ側は法的な責任はないという反論をしています』、「ウーバーイーツと配達員とは雇用関係ではなく業務委託先に過ぎず、ウーバーイーツはプラットフォームを提供しているに過ぎないというスタンス」、驚くべき厚かましさだ。
・『しかし、実際の裁判でウーバーイーツが全く責任を負わないという結論になるかといえば、必ずしもそうではないと思います。 民法は、「ある事業のために他人を使用する者」(使用者)は被用者が事業の執行について生じさせた第三者への損害を賠償しなければなりません(民法715条、使用者責任)。ここにいう使用者は、雇用主だけでなく他人を使って利益を得る者が広く含まれます。ウーバーイーツも、アプリを介して配達員に仕事の指示をし、その販売利益の一部を自身の利益にしています。まさに「事業のために他人を使用している」と言えるのではないかと思います。 この点は現在裁判で争われており、いずれ裁判所が出す判断に注目していただきたいと思います』、既に海外では、本年2月20日付け日経新聞は、「ウーバー運転手は「従業員」 英最高裁、仏に続き認定」を伝えた。また、3月17日付け日経夕刊は、「ウーバー、英で最低賃金保障 運転手7万人、雇用法の「労働者」に 最高裁判決受け」と伝えた。英仏での裁判例からみて、日本でも「「運転手は「従業員」」と見做される可能性が高そうだ。

次に、本年1月5日付け東洋経済Plus「インタビュー/出前館 藤井英雄社長 「デリバリー市場はあと3年は成長が続く」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/25757/?utm_campaign=EDtkprem_2101&utm_source=edTKO&utm_medium=article&utm_content=210105&_ga=2.187565352.1680389212.1618707326-1011151403.1569803743
・『新型コロナ禍で需要が急増しているフードデリバリー業界にあって、日本最大のフードデリバリーポータルサイトを運営する出前館。2020年3月にはLINEと資本業務提携契約を結び、2012年以降、現場の陣頭指揮を執ってきた中村利江社長が2020年6月に退任することになった。 新社長に就いたのは、出前館の同業「LINEデリマ」を展開するLINEのO2OカンパニーCEOを務めた藤井英雄氏。出前館には2017年11月から社外取締役として関わってきた。 UberEatsをはじめとする競合他社とのシェア争いが熾烈を極める中、どんな成長シナリオを描くのか。藤井社長に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは藤井氏の回答)』、興味深そうだ。
・『向こう3年間は市場拡大が続く  Q:出前館のトップに就いてみて、どんな印象を抱きましたか。 A:第一印象は『すごい会社』。古くからのデリバリートップ企業で、ヤフーや楽天の追撃を振り払っての業界1位。しかもシェアの差は僅差ではない。 株主と直接向き合う上場会社の社長はLINEの子会社の社長とはまったく違う。先日(2020年11月26日)、株主総会が終わったが、高い経営計画数値へのプレッシャーも感じているし、株主をどうフォローアップしていくか、(経営の)方向性にどうやって納得してもらうか。経営者としてコミットしていく責任の重さは上場会社ならでは、と思う。 Q:2021年8月期の業績予想は、売上高が280億円と前期比170%増の計画なのに対し、営業利益は130億円(2020年8月期実績は26億円の赤字)の赤字見通しです。2018年10月策定の中期経営計画では、大胆な成長投資を行い、2021年8月期には50億円の営業利益を達成する計画でした。巨額の成長投資はいつまで続けるのでしょうか。 この10カ月で、20年間かけて獲得してきた数を超える加盟店を獲得できた。このペースを維持できれば、(2021年8月期の)売上高(目標)は十分達成可能だ。 市場が拡大している間は成長投資をやめるべきではないと考えている。デリバリー市場には中食からも需要が流れ込んできていて、市場全体がハイペースの成長を続けている。ライバルも伸びているが、出前館も伸びている。市場が拡大している間はライバルがいたほうがいい。パイの食い合いになっているのなら不毛感もあるだろうが、今はそうではない。 デリバリー普及で先行した各国の状況を見ても、市場拡大の余地が十分あるのは明らか。アメリカですらまだ二桁成長が続いている。日本はまだ圧倒的に普及率が低い。少なくとも向こう3年間は成長が続くと思う。 Q:成長投資の原資はLINEが投じた300億円に加え、出前館が自前で稼ぐキャッシュですね。 A:トップライン(売上高)があがればあがるだけ、成長投資に(資金を)回す。株価を見てもこの戦略に株主が理解を示してくれていることを実感できる。海外の投資家とはテレビ会議でコミュニケーションをとっているが、海外の投資家はよく研究していて、積極的な投資に賛同してくれている。(資金を)ちゃんと使いきれと、むしろ背中を押されている』、「出前館」は「古くからのデリバリートップ企業で、ヤフーや楽天の追撃を振り払っての業界1位」、「ウーバー」との明確な比較はないが、上回っているのだろう。「この10カ月で、20年間かけて獲得してきた数を超える加盟店を獲得」、すごいペースだ。
・『抜本的なシステム改革に注力  Q:2021年に一番力を入れたいことは何ですか。 A:まずは抜本的なシステム改革だ。出前館のシステムは約20年にわたって機会損失を回避できるよう対応してきたために、いわばつぎはぎ。われわれが想定しているトラフィック量には対応ができない。クラウド化し、トラフィック量の増加に合わせて拡張できるようにする。 この部分はユーザーからは見えにくいが、ユーザーから見えやすい改革という点では、ユーザーのレビューや趣味嗜好などから、ユーザーをパーソナライズするデータベースを構築したい。これができないとメニューのリコメンドができない。 Q:アマゾンで何かを買うと、「これを買った人はあれも買っている」という商品推奨情報が出ますが、あのイメージでしょうか。 A:ほぼそれに近い。日本のフードサービスはお店にフォーカスする傾向にあるが、われわれはメニューにフォーカスしたい。例えば、天津飯がおいしい店を探したいと思っても、今のシステムでは探せない。これができれば差別化できる。 現状では何と迷ってそのメニューを選んだのかや、同時に購入したメニューのデータも取れていない。それができれば、サイドメニューの効果的なリコメンドも可能になり、客単価の引き上げにつなげられる。これらはすべて抜本的なシステム改革があってこそ実現できる。 Q:メニューにフォーカスする場合、これまで以上に加盟店の獲得は重要になりますね。 A:加盟店を獲得できる体制はほぼ整い、2020年12月末時点で加盟店は5万店を突破した。2020年11月~12月ペースの加盟店獲得が継続できれば、2022年12月末に10万店の達成は十分可能。 2021年は新規(の加盟店)獲得だけでなく、既加盟だが、売れていない店のサポートも強化したい。これは競合がやっていないことだ。その意味では(加盟店に包装材料や食材を供給する)仕入館もキラーコンテンツになる。 Q:仕入館は2014年にサービスを開始しましたが、目立たない存在でした。 A:仕入館は大きく伸ばしたい事業の1つだ。中小規模の店舗を加盟店として取り込んでいくうえで、当社が安く、小ロットで、デリバリーに適した包装材を提供できれば、店舗側の需要に応えられるだけでなく、当社の配送品質向上にも寄与する。 冷めにくい、デリバリーに適した容器の開発はまだノウハウが確立しておらず、包装材メーカーと共同開発していく。食材についても当社が大量購入し、小ロット化して中小規模の加盟店に提供できるメリットは大きい。 いずれにしても、出前館への加盟と同時に仕入館の口座も開いてもらい、当社が売り上げと仕入れを相殺して店舗に支払う形にすれば、場合によっては店舗側の資金繰りが好転する可能性もある。実は中期計画にも数字は織り込んでいる。単体で成り立つくらいのビジネスにしたい。 Q:配送品質は出前館にとって最大の強みですが、トップラインを大きく伸ばす中で、配送効率と配送品質の両立は可能なのでしょうか。 A:配送品質と配送効率の両立はもっともハードルが高く、かつ重要な課題だと認識している。配送品質では競合に勝てていると自負しているが、配送効率は若干負けている。加盟店にもユーザーにも配送コストを負担してもらっている状態なので、何とかしたい。そのために始めたのがクラウドキッチンだ』、「冷めにくい、デリバリーに適した容器の開発はまだノウハウが確立しておらず、包装材メーカーと共同開発していく」、まだまだ工夫の余地があるのだろう。「出前館への加盟と同時に仕入館の口座も開いてもらい、当社が売り上げと仕入れを相殺して店舗に支払う形にすれば、場合によっては店舗側の資金繰りが好転する可能性もある」、「仕入館」とは面白い取り組みだ。配達員との関係はウーバーとは違うのだろうか。
・『企業向けの福利厚生サービスも展開  Q:東京・江東区で2020年暮れに始めた、飲食店にキッチンスペースを貸す事業ですね。 A:過去には名店のレシピをもらい、出前館のスタッフが調理して提供する試みも実施していたが、やはり調理はプロにやってもらったほうがいい。 基本は注文から30分での配送を目指している。その地域に足りないカテゴリーメニューの補完という目的もある。首都圏店舗の地方進出や地方店舗の首都圏進出にも活用できる。当社でマーケティングデータを持っているので、進出したい店舗が自前でマーケティング調査をする必要がない。 Q:企業向けの福利厚生サービスも始めました。 A:全国に拠点がある企業から相談を受けたことをきっかけに始めた。リモートワークが定着し、通勤交通費や事務所コストが削減できた分、企業は従業員に何らかの形で還元したいと考えているが、何をしたらいいかわからない。 そこで、出前館のクーポン配布を提案した。出前館は全国をカバーしているので、全国規模の会社にとって従業員に平等に、同じものを提供できる。郵便番号で加盟店を調べられるから出前館にした、という声もいただいている。 Q:目下の経営課題は。 A:とにかく配送効率と配送品質の両立だ。そのためには外から優秀な人が来たいと思う会社にしたい。そのために、弊社に来れば市場価値が高い人になれるような環境作りをする。報酬面を含め、制度を抜本的に改革したい。まだこれからだが、教育制度も確立していきたい』、ビジネスとして、今後一層磨かれてゆくのだろう。

第三に、4月30日付け東洋経済オンライン「宅配の「個人ドライバー」が直面する争奪戦 緊急事態宣言でドライバーの数が右肩上がり」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/425683
・『「来週の配送案件が取れていない。他のドライバーとの奪い合いになっている」――。4月下旬、個人事業主のドライバーである首都圏の30代男性、Aさんはそう言ってうなだれた。コロナ禍でネット通販(EC)の荷物が増える一方、その配送では“競争”が一段と熾烈化している。 2020年初めに個人ドライバーになったAさんは、もともと工場の派遣社員だった。「以前の職場は残業が多く家族との時間が思うように取れなかった」(Aさん)ため、自分で仕事の案件を選び、労働時間を調整できる個人ドライバーになることを決めた。 Aさんが利用しているのが「アマゾンフレックス」だ。EC最大手アマゾンが手掛けるサービスで、個人ドライバーと配送拠点ごとの案件をマッチングしている。直接業務委託の形で、個人ドライバーは、アマゾンフレックスのアプリ上に表示されている案件の中から自由に受注できる。 報酬額は2時間枠1回で4000円程度。「週に5日間働けば最低でも6万円超は稼いでいる。工場のときと比べると収入はおよそ1.5倍。予定時間よりも早く荷物を配り終える日もあり、家族と過ごす時間が増えた」(Aさん)』、「報酬」は「工場の派遣社員」よりもややや高くなる程度だったようだ。
・『個人ドライバーが急増  ところが、2021年1月に首都圏で緊急事態宣言が出されたときに状況が一変。Aさんによれば、「配送案件が取りづらくなり、他のドライバーのキャンセルを待つことが多くなった。配送拠点で見かけるドライバーの数も2~3倍に増えたように感じる」という。ドライバー増加はアマゾンフレックスを利用する複数のドライバーが口にする。 この背景には、コロナ禍での休業や失業が増加していることに加え、個人ドライバーの開業支援を行うサービスが出てきていることもあるだろう。 例えば、スタートアップ企業のグローバルモビリティサービス(以下、GMS)は、配送車両の購入などで金融機関に借り入れを申し込んで与信審査が通らなかった人にも車両をリースしている。 そうしたことが可能なのは、同社はIoTデバイスを通じて走行距離や稼働時間のデータを把握し、貸し倒れの兆候をある程度事前に把握できるようにしているため。仮に利用者の支払いが滞った場合、遠隔制御で車両を円滑に回収できる仕組みを構築している。) GMSの長澤亮執行役員は「2020年2月にサービスを開始してから、利用者数は右肩上がりで伸びている」と語る。1カ月のリース代は5~6万円ほど。アマゾンフレックスであれば「5日ほど働けば支払える金額」(前出のAさん)だという。 2020年夏ころから個人ドライバーとして働く首都圏の40代男性のBさんも、GMSカーリースで配送車両をリースし、アマゾンフレックスで仕事をしている。「飲食店を開くのが夢だったが、コロナ禍で先行きが不透明になった。当面はコロナ禍でも仕事のある個人ドライバーとして仕事を続けたい」(Bさん) だが、Bさんは「半年後に仕事や報酬の条件ががらりと変わってしまわないか心配だ」と打ち明ける。アマゾンフレックスは、報酬額が同じでも配送エリアの状況に応じて荷物の個数が大きく変動する。荷物の多寡は案件を実際に受注してみないとわからない。複数の業界関係者は「アマゾンフレックスで長く働いていると、荷物が増やされるようだ」と話す』、「個人ドライバーが急増」すると、「個人ドライバーの開業支援を行うサービスが出てきている」、意外な広がりがあるようだ。
・『今までどおりの報酬を得られるか  前出のAさんも「アマゾンフレックスには、優良ドライバーに案件を優先的に回す仕組みもあるらしい。だが、具体的な基準はドライバーにもわからない。今までどおりの報酬を稼げるかどうか不安だ」とこぼす。 とはいえ、「アマゾンフレックス以外の働き口も必要だが、他がなかなか見つからない。アマゾンのような時間制ではなく、単発の配送案件ごとに報酬が支払われるサービスを使ってみたが、効率が悪かった」(Aさん)。当面はアマゾンフレックス一本で稼ぐつもりだという。 大手宅配企業などの配送事業者から配送業務を受託するドライバーとは違い、個人ドライバーは自由に仕事を選べるのが利点だった。しかし、実際はアマゾンフレックス頼み。荷物量と個人ドライバーの需給バランスが崩れると、先行き不透明な状況に置かれるという現実がある』、さらに、「ドライバー」と雇用関係にあることになれば、また「報酬」も見直されるだろう。いずれにしても、まだビジネスとしては、緒についたばかりで、今後とも変わってゆくだろう。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ シェアリングエコノミー 髙橋裕樹 東洋経済Plus (その3)(ウーバーイーツ配達員の交通事故で裁判が注目されるワケ、インタビュー/出前館 藤井英雄社長 「デリバリー市場はあと3年は成長が続く」、宅配の「個人ドライバー」が直面する争奪戦 緊急事態宣言でドライバーの数が右肩上がり) 「ウーバーイーツ配達員の交通事故で裁判が注目されるワケ」 「ウーバーイーツと配達員とは雇用関係ではなく業務委託先に過ぎず、ウーバーイーツはプラットフォームを提供しているに過ぎないというスタンス」、驚くべき厚かましさだ 既に海外では、本年2月20日付け日経新聞は、「ウーバー運転手は「従業員」 英最高裁、仏に続き認定」を伝えた。また、3月17日付け日経夕刊は、「ウーバー、英で最低賃金保障 運転手7万人、雇用法の「労働者」に 最高裁判決受け」と伝えた。英仏での裁判例からみて、日本でも「「運転手は「従業員」」と見做される可能性が高そうだ。 「インタビュー/出前館 藤井英雄社長 「デリバリー市場はあと3年は成長が続く」 「出前館」は「古くからのデリバリートップ企業で、ヤフーや楽天の追撃を振り払っての業界1位」、「ウーバー」との明確な比較はないが、上回っているのだろう。「この10カ月で、20年間かけて獲得してきた数を超える加盟店を獲得」、すごいペースだ 「冷めにくい、デリバリーに適した容器の開発はまだノウハウが確立しておらず、包装材メーカーと共同開発していく」、まだまだ工夫の余地があるのだろう。 ビジネスとして、今後一層磨かれてゆくのだろう。 「宅配の「個人ドライバー」が直面する争奪戦 緊急事態宣言でドライバーの数が右肩上がり」 「報酬」は「工場の派遣社員」よりもややや高くなる程度だったようだ。 「個人ドライバーが急増」すると、「個人ドライバーの開業支援を行うサービスが出てきている」、意外な広がりがあるようだ。 さらに、「ドライバー」と雇用関係にあることになれば、また「報酬」も見直されるだろう。いずれにしても、まだビジネスとしては、緒についたばかりで、今後とも変わってゆくだろう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

鉄道(その7)(終電繰り上げ 人は消えても回送が走る不条理 「ダイヤ改正」は困難、電車は急に止められない、乗客激減で大ピンチ「ユーロスター」が破綻危機 政府支援なく「航空会社に準じた救済」求めるが、世界2大鉄道メーカー 小さくない「合併」の代償 市場寡占避けるため手放さざるをえない製品も) [産業動向]

鉄道については、2019年11月20日に取上げたままだった。今日は、(その7)(終電繰り上げ 人は消えても回送が走る不条理 「ダイヤ改正」は困難、電車は急に止められない、乗客激減で大ピンチ「ユーロスター」が破綻危機 政府支援なく「航空会社に準じた救済」求めるが、世界2大鉄道メーカー 小さくない「合併」の代償 市場寡占避けるため手放さざるをえない製品も)である。

先ずは、本年1月22日付け東洋経済オンライン「終電繰り上げ、人は消えても回送が走る不条理 「ダイヤ改正」は困難、電車は急に止められない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/405692
・『新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況を受け、1月7日に東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県に発令された緊急事態宣言。1月13日には栃木や愛知、大阪、福岡など7府県にも対象が広がった。首都圏の鉄道各社は、「夜間の外出自粛」を強く呼びかける国や自治体の要請を受け、1月20日から終電の時刻を繰り上げた。 終電の繰り上げは、夜間の保守作業時間確保などを目的に都市部のJR各線や大手私鉄各社が今春のダイヤ改正から予定している。それだけに、今回の緊急事態宣言に伴う繰り上げは「前倒し」での実施のように見えるが、内容は別物だ。 単に春からの新ダイヤと時刻が違うだけではない。繰り上がった「終電」の後も、電車そのものは走るケースが少なくないのだ』、「国や自治体の要請」に従ったフリをしただけのようだ。
・『基本のダイヤは変えずに対応  今回、首都圏で終電を繰り上げたのは、JR東日本や大手私鉄各社をはじめ、1都3県の計25事業者。今春のダイヤ改正では繰り上げを行わない予定の路線も含まれる。 JR東日本は山手線や中央線快速、京浜東北・根岸線など、首都圏の計11線区で終電時刻を繰り上げた。山手線外回りの池袋―品川間は14分程度、中央線快速の東京―武蔵小金井間は30分程度と、各線でおおむね10~30分早まっている。「要請があった1都3県の路線で、終電時刻が遅い路線を対象にした」とJRの広報担当者は話す。 20日からの終電繰り上げは、基本となるダイヤは変えずに深夜の電車を運休したり、運転区間を短縮したりすることで対応している。例えば、中央線快速の下りは東京駅0時10分発以降の4本を運休し、終電を0時06分発に繰り上げた。池袋発の山手線品川方面行きは0時38分発が最後だったが、同列車を池袋止まりにすることで0時26分発が終電になった。 ただ、運休や運転区間の短縮によって終電時刻は繰り上がるものの、「運休となった部分も『回送』として電車自体は走る」(同社広報)ケースがあるという。「翌朝の列車を走らせるために(本来の終点に)回送しなければならない」ためだ。 私鉄も同様だ。例えば、首都圏の大手私鉄の中でも終電時刻が比較的遅い西武鉄道は、本来の終電を含め深夜帯の電車を運休する形で対応するが、運休となる列車も「基本的には回送として走る」(西武鉄道広報部)。「要請への対応で急を要するため、やむをえずこのような(回送する)形になった」という。 ほかの鉄道も「すべてではないが、現行ダイヤの一部を回送として運用するものがある」(東京メトロ)、「列車によって異なるがそういった(回送する)場合もある」(京王電鉄)など、客を乗せる営業列車としては運休しても、回送として電車を走らせるケースは少なくない』、「客を乗せる営業列車としては運休しても、回送として電車を走らせるケースは少なくない」、無駄に思えるが、「夜間の外出自粛」に寄与していることは確かだ。
・『作業時間確保には効果なし  鉄道のダイヤは乗務員のシフトや車両の運用などさまざまな要素が複雑に関連しており、ダイヤ改正の準備には長期間を要する。一方、今回の終電繰り上げは緊急事態宣言発令による国や自治体の要請を受けて急きょ実施したため、車両などの運用まで変えるのは難しい。運休による終電時刻の前倒しと「運休列車の回送」は、要請に対応するための苦肉の策といえる。 鉄道各社が今春のダイヤ改正で実施する予定の終電繰り上げは、夜間の保線作業や工事の時間確保、現場の労働負荷の軽減などが大きな狙いだ。 だが、今回の繰り上げは「要請を受けた急きょの対応なので、そもそもその点は想定していない」(ある大手私鉄)。終電後に回送電車が走るケースもあり、「作業時間を確保するなどの効果はない」と複数の鉄道会社関係者はいう。 さらに、発表から実施までの期間が約1週間と短かったため、利用客への周知も課題となった。各社は駅へのポスター掲示や車内の案内放送などで告知したが、「JRなどエリアの広い鉄道は相当大変では」(大手私鉄の広報担当者)。今回の終電繰り上げは、負荷軽減どころか「苦労はむしろ増えている」と、ある私鉄社員は漏らす。 今回、国や自治体が終電の繰り上げを要請したのは、深夜の人出を減らし、コロナの蔓延を防ぐことが狙いだ。東京都の小池百合子知事は緊急事態宣言が発令された1月7日の記者会見で、都民に外出自粛などを求めるとともに「人流を抑える具体的な対策」として、鉄道各社に終電時刻の繰り上げなどを要請すると述べた。 だが、深夜の電車はコロナ感染が広まった昨年春以来、大幅に利用が減っている。 とくに減っているのが終電間際の時間帯だ。JR東日本が公開しているデータによると、昨年10月の山手線終電付近(0時台)の利用者は、コロナ禍以前の前年と比較して40%減少。ほかの鉄道も同様で、東急は23時以降に渋谷を発車する電車の混雑率がコロナ禍前と比べて東横線で49%、田園都市線で46%減少している』、「深夜の電車はコロナ感染が広まった昨年春以来、大幅に利用が減っている。とくに減っているのが終電間際の時間帯だ」、こんなにも「利用」が急減したとは初めて知った。
・『感染抑制の効果はあるのか  緊急事態宣言の発令後はさらに減っているとみられる。終電繰り上げを控えた平日、東京駅を0時06分に発車する中央線快速電車に乗ってみると、発車時点で乗客は各車両に3~4人ほど。新宿駅からは乗客が増えるものの、それでも立客の姿はほとんど見られなかった。コロナ禍以前は満員だった0時台の田園都市線下り電車も、渋谷駅発車時点で最も人の多い車両でも1人おきにシートに座れるほどだった。 深夜の人出がすでに激減している中、終電繰り上げが感染拡大防止につながるのかは疑問符が付く。 しかし、鉄道側としては国や自治体の要請を受けないわけにもいかないのが実情だ。ある鉄道関係者は「各社が終電繰り上げのダイヤ改正を予定していたから『前倒し』要請ということになったのだろうが、ダイヤ改正は簡単に前倒しできるものではない」と語る。 緊急事態宣言の期間は2月7日までだが、終電の繰り上げ期間は今のところ「当面の間」だ。迷走するコロナ対策に、ライフラインである鉄道も振り回されてる』、「深夜の人出がすでに激減している中、終電繰り上げが感染拡大防止につながるのかは疑問符が付く」、確かだが、「国や自治体の要請を受けないわけにもいかないのが実情」、大人の対応のようだ。

次に、3月17日付け東洋経済オンラインが掲載した在英ジャーナリストのさかい もとみ氏による「乗客激減で大ピンチ「ユーロスター」が破綻危機 政府支援なく「航空会社に準じた救済」求めるが」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/417127
・『国と欧州大陸を結ぶ国際高速列車ユーロスターが、コロナ禍による移動需要の蒸発で破綻の危機にさらされている。コロナ以前のユーロスターはビジネス需要も観光利用も極めて好調で、平均の乗車率は80%を超えていたが、新型コロナの影響により乗車率が1%まで落ちる大打撃を受けている。 欧州の鉄道会社はコロナ禍で軒並み事業環境が悪化し、救済のための政府支援が積極的に行われた。例えば、英国国内の鉄道各線は一時的に「国有化」される形となったほか、フランス政府は国鉄(SNCF)に対し、コロナ禍による利用減少だけでなくSDGs (持続可能な開発目標)を見越した財政支援を行っている。 その中で、なぜユーロスターが破綻の危機に陥っているのか。それは、運行会社のユーロスター社が会社としては英国の企業であるものの、複数国を結ぶ国際高速列車であることなどから、一筋縄ではいかない事情を抱えているためだ』、「乗車率が1%まで落ちる大打撃」、で「消滅リスク」に瀕しているのに、どういうことだろう。
・『「支援なければ消滅リスク」  コロナ禍以前のユーロスターは、ロンドンとパリ、ブリュッセル、アムステルダムをつなぐ列車を1日当たり片道約50本運行。ロンドン―パリ間は早朝から夕方まで毎時1本程度走っていた。 ところがコロナ感染拡大を受けて各国が厳しいロックダウン措置を取る中、国際間の人の動きが激減。今やロンドン―パリ便1往復と、ロンドン―ブリュッセル―アムステルダム便1往復のみまで減便された。 この状況を受け、ユーロスター社は今年1月下旬、自ら「現状は極めて深刻で、政府からの支援がなければ、ユーロスターは消滅リスクに直面する」と述べ、英政府に対し「航空会社に与えられた政府支援の融資をわれわれにも適用してほしいと改めて求めたい」と窮状を訴えた。 ユーロスターの現状については、フランス国鉄の旅客運行部門SNCF Voyageursのクリストフ・ファニシェ(Christophe Fanichet)最高経営責任者(CEO)も「非常に危機的な状況」だと認めている。しかし目下のところ、英政府の動きは重い。 法人としてのユーロスター社の登記先はロンドンにあり、れっきとした英国企業である。だが、英政府の支援が得られず立ち往生している理由として大きなポイントは2つあると筆者は考えている。 1つは、現状では英国政府や鉄道会社の資本がまったく入っていないことだ。 ここでユーロスター社の資本関係について解説しておこう。会社の設立当初は、列車が乗り入れている3カ国が応分出資しており、その割合はフランス国鉄(SNCF)が55%、英運輸省が出資するロンドン&コンチネンタル鉄道(LCR)が40%、そしてベルギー国鉄(SNCB)が5%となっていた。 ところが2014年、英政府はLCR保有のユーロスター株の民間放出を決めた』、なるほど。
・『英ではフランスの企業扱い?  その結果、英政府の保有分はカナダ・ケベック州の政府系基金が30%、アメリカのインフラ投資ファンドであるヘルメス・インフラストラクチャーが10%をそれぞれ買収。英国が拠点でありながらも、英国関連の出資者はいなくなってしまった。 英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、「ユーロスター社は、英国においては英国の支援を受けていないフランスの企業と見なされる一方、フランスではフランスの支援を受けていない英国を拠点とする企業と見なされている」と説明。どういう根拠で支援を進めていいかさえも決まっていない状況が見え隠れする。 そしてもう1つは、英国の鉄道として「国内間列車」としての機能を持たないため、そもそも「鉄道フランチャイズ制度」の枠から外れていることだ。英国ではコロナ禍での鉄道事業の苦境を受け、実質的に運営を国有化する救済措置が講じられているが(2020年7月16日付記事「『日本式』がベスト?岐路に立つ英鉄道の民営化」参照)、ユーロスターは国際列車のため、この救済の枠に入らなかった。 英国ではコロナ禍によるロックダウンが合計3回行われたが、最初の実施からまもなく1年が経つ。ユーロスターの需要はそれ以来、「ほぼゼロ」まで収縮してしまった。運輸関係のアナリストの間では、「ユーロスターのキャッシュフローはこの夏まで持たないのではないか」とする声も聞こえてきている。 一方、「政府による救済の必要はない」と訴える英国民も少なくない。彼らの多くは「経営が厳しいのは理解できるが、株主がその責を負うべきだ」と主張する。 しかし、このまま政府支援など新たな動きがなければ、破綻手続きに入るという懸念も生まれてきている。コロナ禍という想定外の問題であるとともに、そもそも公共性の高い交通インフラをこのまま見殺しにするのは正しい道なのだろうか。 目下の最悪のシナリオは、政府支援もなく新たな出資者も出てこないというものだ。通常の破綻処理は投資銀行などが管財人となり、企業や事業の新たな買い手を探すわけだが、それが振るわない場合は資産を現金に換えて清算を進めることとなる。もっとも懸念されるのは、管財人が車両売却を進めてしまい「英国と欧州大陸を結ぶ国際高速列車サービス」が消滅してしまうことだ』、「ユーロスター社は、英国においては英国の支援を受けていないフランスの企業と見なされる一方、フランスではフランスの支援を受けていない英国を拠点とする企業と見なされている」、「ユーロスター」はなんとも難しい立場に追い込まれてしまったようだ。「目下の最悪のシナリオは、政府支援もなく新たな出資者も出てこないというものだ・・・もっとも懸念されるのは、管財人が車両売却を進めてしまい「英国と欧州大陸を結ぶ国際高速列車サービス」が消滅してしまうことだ」、こうした「最悪のシナリオ」も現実味を帯びてきたようだ。
・『最悪シナリオは車両売却  現在ユーロスターで使われている車両は、開業時に導入された「e300」(仏アルストム製11編成)と、ドイツを走る高速列車ICE3と基本設計が同じ「e320」(独シーメンス製17編成)の2タイプがある。e300は20両編成、e320は16両編成と、欧州の高速列車としては長い編成で、全長は両タイプとも約390mだ。 現在の乗車率なら編成両数を減らしてもよさそうだが、車両の構造上の問題だけでなく、ユーロスターはそれができない規程がある。英仏海峡トンネル内部の非常口への避難を前提に編成長が決まっているためだ。 トンネルの非常口は375mごとに設けてあり、編成の長さを非常口の設置間隔以上にすることで、万が一の際、編成中のどこかのドアからより早く非常口にアクセスできることが求められている。このため、需要に応じて編成を短縮するわけにもいかない。 だが、英仏海峡トンネルを通って英国―欧州大陸間を営業運転できる車両は現在、ユーロスター用に使われているものしか存在しないという。関係のない路線に車両が売却されてしまうことは避けたい事態だ。 英国と欧州大陸を結ぶ高速列車がなくなるという事態を避けるため、仮に破綻手続きが始まったとして、管財人は新規出資者を探す際に「英国―欧州大陸間を結ぶ鉄道サービスを提供できることという条件を付けるべき」(英国の鉄道アナリスト)という考え方もある。 現状ではあまり想像したくないオプションではあるが、それでも欧州ではすでに「ユーロスター」の売却先に関する予想があれこれと語られている。 目下有力視されているのはドイツ鉄道(DB)だ。何度となくドイツとロンドンとの直結を求め、さらにICEの試験車両をロンドン・セントパンクラス駅まで乗り入れるなど、さまざまな仕掛けに及んだが、現在まで実現していない。現在のユーロスターの主力車両はドイツ・シーメンス製で、DBにとっては親和性が高い』、確かに「ドイツ鉄道(DB)」は有力な候補になりそうだ。
・『貴重な国際交通をどう維持する?  これは筆者の想像だが、ダークホース的な出資者の候補として香港MTRC(香港鉄路)の名を挙げておきたい。同社は、英国の高速鉄道新線「HS2」の運行オペレーターとしてフランチャイズ獲得に向け、中国の広深鉄路公司とコンソーシアムを組み入札したが、最終候補選出の際に落選した。しかし、MTRCはすでに中国本土から乗り入れる高速鉄道の香港領内での運営、および長年にわたって広州市―九龍半島間を結ぶ直通列車の運行に携わっており、「国際列車」の経験は豊富だ。 ユーロスターの運行がなくなってしまうことは、国際交通インフラ維持の観点から見て由々しき問題だ。それに加え、欧州では環境保護の観点から500~600km程度の移動は航空機でなく列車を利用することが奨励されている。SDGsへの考慮が世界的に叫ばれる中、「島国・イギリス」への鉄道アクセスは残しておくべき貴重な交通インフラのひとつであることは疑いない。 コロナ禍の収束、あるいはワクチン接種の進展など、旅客需要回復までの道のりの予想がつけば、より短期間の融資や支援で延命できる可能性もある。破綻や売却という形での結論は見たくない、というのが大方の意見だ。はたしてどんな格好で生き延びるのだろうか』、「香港MTRC」の場合は、「中国」との関係がネックになる可能性もあろそうだ。「はたしてどんな格好で生き延びるのだろうか」、大いに注目されるところだ。

第三に、3月31日付け東洋経済オンラインが掲載した欧州鉄道フォトライターの橋爪 智之氏による「世界2大鉄道メーカー、小さくない「合併」の代償 市場寡占避けるため手放さざるをえない製品も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/419791
・『アルストムによるボンバルディアの鉄道部門、ボンバルディア・トランスポーテーションの買収は、欧州委員会(EC)の承認を得たことで順調に進み、2021年1月29日に正式に完了した。買収額は5.5億ユーロ(約711億7500万円)で、これは昨年2月に公表されていた5.8~6.2億ユーロよりはるかに低い額となった。 買収が完了したことで、かつて欧州鉄道メーカーのビッグ3としてしのぎを削った2社は同じ会社となり、70か国で約7万5000人の従業員を抱える巨大企業となった』、興味深そうだ。
・『弱みを相互補完  アルストムは今回のボンバルディア買収により、それまでお互いが弱いとされていた地域を相互補完でき、商業的に高いアドバンテージを持つことになったと自信を見せる。アルストムは地元フランス以外に、イタリア、スペイン、インド、東南アジア、ブラジルに拠点を確立しており、一方のボンバルディアは英国、ドイツ、北欧、中国、北米の市場を開拓している。両社が合併したことで、これらの地域すべてに商業的基盤を持つことになった。 両社の合併は、現在世界シェア1位で、近い将来に自分たちの基盤であるヨーロッパや北米市場において脅威となりかねない中国中車(CRRC)への対抗であることはよく知られている。欧州委員会からの承認を得ることができず破談になったものの、2019年に合併寸前まで至ったアルストムとシーメンスの合併話も、裏ではドイツおよびフランス政府の強力なバックアップがあったからこそと言われている。 アルストムとシーメンスの合併が破談となったのは、とりわけ信号システムと高速列車の2つの分野で市場を独占しかねない、という大きな懸念があったためだ。両社はその対応に奔走することとなったが、結局最後まで欧州委員会を納得させるだけの条件を提示することはできず、合併を諦めざるをえなかった。 欧州委員会は域内における市場の寡占を避けるため、今回の合併にもいくつかの注文を付けている。 対等合併だったシーメンスのときとは異なり、今回はアルストムがボンバルディアを買収する吸収合併だったこと、またシーメンスと違い、ボンバルディアは高速列車の技術プラットフォームは保有しているものの、製品としてラインナップはしていないため、高速列車分野における市場寡占化はないと判断されたことは大きかった。 とはいえ、競合する鉄道メーカー同士であれば、同種の製品を保有しているのは自然なことである。当然、それらのうちいくつかの技術は手放さなければならなかった』、今回の合併が認められた背景の1つに、「中国中車(CRRC)への対抗」がありそうだ
・『高速列車技術はどうなる?  では、合併後に手を離れることになったのは何か。 アルストムが基幹製品である高速列車TGVを手放すはずはない。代わりにボンバルディアの高速列車プラットフォーム「ゼフィーロ」の知的財産などは手放さなければならなくなった。 「ゼフィーロ」プラットフォームは、日立製作所のイタリア法人である日立レールS.p.Aによって製造される高速列車「ETR400型」で採用されている。現在はイタリア鉄道がフランスおよびスペイン国内での営業へ向けて追加編成を注文するなど、今も非常に関係が深いことから、日立製作所が譲渡先の筆頭候補になることは間違いないが、現時点では日立側からも特にアナウンスはされていない。 一方で、「ゼフィーロ」プラットフォームは譲渡されることなく廃止という話もある。もし日立がその技術を入手した場合、高速列車市場ではアルストムのライバルとなることから、その可能性も完全には否定できない。そうなると日立は独自の技術でETR400型の後継車種を構築する必要が出てくる。 欧州ではシーメンスと並んで多数の納入実績がある、ボンバルディアの汎用型機関車TRAXXシリーズも残され、今後は「アルストムTRAXXシリーズ」として販売されることになる。一方で、アルストムにも同様の機関車シリーズ「プリマ」がある。欧州ではまったく鳴かず飛ばずであったが、アゼルバイジャンやインド、モロッコなど、他の地域ではそれなりに販売実績があるため、その処遇は気になるところだ。 近郊列車用連接車両のボンバルディア「タレント3」とアルストム「コラディア・ポリヴァレント」は、ともに工場ごと他社へ譲渡することを決定しているが、譲渡先としてチェコのシュコダの名前が浮上している。同社は低床連接式車両の技術を獲得することで、ドイツおよびフランス市場へ本格参入したい意向だ。 とくにアルストム・コラディアに関しては欧州で注目を集める水素燃料車両の技術も含まれており、もし実現すればシュコダは次世代型低公害車両メーカーとして一躍名を馳せることになる。水素燃料車両については、アルストムはすでにフランス国鉄と最初の契約を締結しており、技術と工場が譲渡された場合、シュコダがその契約を引き継ぐことになる。 トラム車両も、両社それぞれが製品を保有していたので、いずれこれらも整理されていくことになるだろうが、現時点では具体的な情報は入ってこない。 ただし、2020年12月15日の段階で117編成の新型車両を供給する契約をボンバルディアと交わしていたベルリン交通局は、3月16日にそのデザインを公表したが、外見からはボンバルディアの製品であるFlexityをベースしているようだ。これが同シリーズの最後の契約となるのか、今後も製造が続けられるのかが注目される』、「譲渡先」候補の「チェコのシュコダ」は、「次世代型低公害車両メーカーとして一躍名を馳せることになる」、どうなるのだろう。
・『合併でやっかいな問題も  しかし一方で、すでに交わされた契約の中にはややこしい問題が発生している案件もある。パリ市内を走る高速地下鉄RER-B線は、車両老朽化に伴う置き換えを計画しており、2018年に行われた入札で(アルストムとの合併が浮上する前の)ボンバルディアとスペインのCAFによる連合が146編成+最大34編成分の追加オプションという契約を獲得した。 しかしアルストムは、新型コロナの影響による需要の変動を想定した車両導入計画、および購入後の一時的な車両保管に対して柔軟性を求める内容が契約条件に後付けで加えられたことに異議を唱え、入札を実施したフランス国鉄SNCFとパリ交通局RATPを提訴した。 アルストムとしては、いったん受注し製造した車両を需要変動によって一時的に保管しなければならなかったり、製造の途中で仕様が変更されたりする可能性があるのはリスクが高いうえ、ボンバルディアとCAFが提示した金額では十分な柔軟性を確保できず、メーカーがリスクを背負わなければならない、というのが言い分だ。 パリ司法裁判所はSNCFとRATPに対し、こうした契約後の調達条件変更などを停止するよう命じたが、それに対し両者が控訴するなど問題は複雑な方向へ向かっていた。 アルストムによるボンバルディア買収が完了したことで、状況はさらに複雑化することになった。ボンバルディアの契約はそのままアルストムが引き継ぐことになったが、契約書を確認した後、アルストム側は改めて、この契約については再交渉したいと申し出た。その理由は前述の価格面に加え、技術面においても大きな懸念があるというものだった。 アルストムの会長兼CEOのアンリ・プーパルト=ラファージュ氏は、「契約金額は、ボンバルディアが損失を出している(2021年末の営業を目指してテスト中の新型車両)RER-NGよりもさらに20%も低い」「CAFが提供する予定の台車は技術的問題を抱え、すでに供給されたブラジルの地下鉄では2年間の運転休止を伴う大問題となった」と語っており、再契約は譲れない姿勢を示した。アルストム側はSNCFとRATPに対し、CAF抜きで会議の場を設けたいと打診しており、価格面に加えて技術的に不安のあるCAF製品を排除し、すべて自社製に切り替えたい意向を示すものと考えられる。 対してSNCFとRATPは、ボンバルディア=CAFコンソーシアムに対する契約は継続されていることを確認し、「ボンバルディアを買収したアルストムは、本契約とコミットメントをすべて引き継いでいる」と譲らない姿勢だが、車両の老朽化が進んでいることから速やかな問題解決を必要としている。新型車両への置き換えは2024年には開始される予定であったが、この期限内には不可能になるとRATPは述べており、問題が長引けば納入はさらに遅れることになる』、こうしたややこしい問題は、ある意味で「合併」につきものではある。
・『世界メーカー3位に日立が浮上  さて、2社が合併した後の各鉄道メーカーの年間売り上げの最新シェアについて、現地ニュースが興味深いデータを掲載した。1位のCRRCは揺るがないものの、アルストム+ボンバルディアが2位に浮上した。ここまでは容易に想像できるが、3位にはシーメンス・モビリティと並び、なんと日立製作所が急浮上したのだ。 つまり2021年のビッグ3ならぬ「新ビッグ4」とは、「CRRC・新生アルストム・シーメンスおよび日立」ということになる。上位3社の顔触れは基本的に変わらないが、ついにそこへ肩を並べるに至った日立製作所の今後にも大いに期待したい』、「世界メーカー3位に日立が浮上」とは喜ばしいことだ。「日立」の「今後にも大いに期待したい」、同感だ。
タグ:鉄道 東洋経済オンライン 橋爪 智之 さかい もとみ (その7)(終電繰り上げ 人は消えても回送が走る不条理 「ダイヤ改正」は困難、電車は急に止められない、乗客激減で大ピンチ「ユーロスター」が破綻危機 政府支援なく「航空会社に準じた救済」求めるが、世界2大鉄道メーカー 小さくない「合併」の代償 市場寡占避けるため手放さざるをえない製品も) 「終電繰り上げ、人は消えても回送が走る不条理 「ダイヤ改正」は困難、電車は急に止められない」 「国や自治体の要請」に従ったフリをしただけのようだ。 「客を乗せる営業列車としては運休しても、回送として電車を走らせるケースは少なくない」、無駄に思えるが、「夜間の外出自粛」に寄与していることは確かだ 「深夜の電車はコロナ感染が広まった昨年春以来、大幅に利用が減っている。とくに減っているのが終電間際の時間帯だ」、こんなにも「利用」が急減したとは初めて知った。 「深夜の人出がすでに激減している中、終電繰り上げが感染拡大防止につながるのかは疑問符が付く」、確かだが、「国や自治体の要請を受けないわけにもいかないのが実情」、大人の対応のようだ。 「乗客激減で大ピンチ「ユーロスター」が破綻危機 政府支援なく「航空会社に準じた救済」求めるが」 「乗車率が1%まで落ちる大打撃」、で「消滅リスク」に瀕しているのに、どういうことだろう。 「ユーロスター社は、英国においては英国の支援を受けていないフランスの企業と見なされる一方、フランスではフランスの支援を受けていない英国を拠点とする企業と見なされている」、「ユーロスター」はなんとも難しい立場に追い込まれてしまったようだ 「目下の最悪のシナリオは、政府支援もなく新たな出資者も出てこないというものだ もっとも懸念されるのは、管財人が車両売却を進めてしまい「英国と欧州大陸を結ぶ国際高速列車サービス」が消滅してしまうことだ」、こうした「最悪のシナリオ」も現実味を帯びてきたようだ 確かに「ドイツ鉄道(DB)」は有力な候補になりそうだ。 「香港MTRC」の場合は、「中国」との関係がネックになる可能性もあろそうだ。「はたしてどんな格好で生き延びるのだろうか」、大いに注目されるところだ。 「世界2大鉄道メーカー、小さくない「合併」の代償 市場寡占避けるため手放さざるをえない製品も」 今回の合併が認められた背景の1つに、「中国中車(CRRC)への対抗」がありそうだ 「譲渡先」候補の「チェコのシュコダ」は、「次世代型低公害車両メーカーとして一躍名を馳せることになる」、なるほど どうなるのだろう こうしたややこしい問題は、ある意味で「合併」につきものではある。 「世界メーカー3位に日立が浮上」とは喜ばしいことだ。「日立」の「今後にも大いに期待したい」、同感だ
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

EC(電子商取引)(その7)(アマゾンを破壊する「ショッピファイ」の超威力 5年後の世界を変える10兆円ベンチャー、楽天への日本郵政・テンセントの出資に浮かび上がる深刻な懸念、中国テンセントに見られてしまう楽天の「帳簿」 業務資本提携に生じるこれだけの懸念) [産業動向]

EC(電子商取引)については、昨年7月24日に取上げた。今日は、(その7)(アマゾンを破壊する「ショッピファイ」の超威力 5年後の世界を変える10兆円ベンチャー、楽天への日本郵政・テンセントの出資に浮かび上がる深刻な懸念、中国テンセントに見られてしまう楽天の「帳簿」 業務資本提携に生じるこれだけの懸念)である。

先ずは、昨年11月30日付け東洋経済オンラインが掲載したDNX Ventures インダストリー パートナーの山本 康正氏による「アマゾンを破壊する「ショッピファイ」の超威力 5年後の世界を変える10兆円ベンチャー」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/391647
・『日本ではあまり知られていないけれど、世界で注目されている企業、それがShopify(ショッピファイ)です。企業のECサイト開発・運営を手がけている同企業によって、ルイ・ヴィトン、ディズニーやナイキ、ワークマンなど、いま多くの企業が「アマゾンにはもう出店しない」と宣言し始めています。 『2025年を制覇する破壊的企業』の著者であり、ビジネスとテクノロジーをつなぐベンチャーキャピタリストである山本康正氏は「アマゾンや楽天がなくなる日が本当にやってくるかもしれません」と言います。一体どういうことか、語っていただきました』、「アマゾンや楽天がなくなる日が本当にやってくるかもしれません」、本当だろうか。
・『ルイ・ヴィトン、ナイキがアマゾン出店をやめる理由  われわれベンチャーキャピタリストの間では有名なベンチャーですが、日本ではあまり知られていない注目企業の1つが、Shopify(ショッピファイ)です。 ショッピファイは、企業のECサイト開発・運営を手がけています。ウェブサイトの制作、カード決済の仕組み、売上分析、その他もろもろ。企業がインターネットで商売をするために必要な、専門知識がなければ難しいことを、すべてまとめて代行してくれます。事業者が用意するのは、パソコンと画像くらいのものです。 ライバルが多いビジネスモデルでもありますが、モバイル対応など使い勝手のよさが突出しており、急激に成長。創業はカナダですが、現在はヨーロッパ、アメリカなどにも進出。今回の新型コロナウイルスによる外出自粛で、さらに需要が伸びています。 ショッピファイの台頭と呼応するように、企業がアマゾンや楽天といった大手ECプラットフォームから離脱する動きが出てきています。ルイ・ヴィトン、ディズニーやナイキ、ワークマンなどの企業が次々に「アマゾンには出店しない」と宣言し、代わりにショッピファイと組みながら自社のECサイトを充実させているのです。 ショッピファイの時価総額は現在約10兆円。日本の企業と比べると、ホンダが約5兆円ですからおよそ倍。三菱商事やソフトバンクグループの時価総額も抜き始めている。創業2004年のベンチャーが、ここまでの規模になっているのです。 最近の動向では、世界最大のスーパーマーケットチェーンであり、売上高も同じく世界一の企業、ウォルマートと連携しました。ちなみにウォルマートの売上高は約56兆円でほとんどがまだリアル店舗の売り上げです。今回の提携は、ウォルマート側が主導したと私は見ています。アマゾンへの対抗策です。 そして今後も、ウォルマートとの連携と同じような動きが起こるでしょう。そしてさらに成長は加速していくはずです。現在10兆円の時価総額がどこまで増えるのか、注目しています。 ショッピファイのような中小企業のインターネットサービスを支援するビジネスは、日本でも広まっています。ショッピファイと同じように、サービスの質で人気を博しているのが、BASE(ベイス)です。 ベイスもショッピファイと同じように、日本のデパートと連携。ショッピファイと同じく新型コロナウイルスの影響が追い風となり、時価総額は3000億円を突破しました。2025年にどこまで成長しているか、ショッピファイとあわせて楽しみです。 ショッピファイの日本への進出も注目しています。ウォルマートは西友の親会社ですから、そのコネクションを使って日本に進出してくる可能性は十分に考えられるからです。そして注目すべきは、西友の現在のeコマースシステムは、楽天が担っている点です。 2025年には西友のeコマースだけでなく、日本国内におけるeコマース事業をショッピファイがリードしている。その可能性は、今の勢いからすれば十分ありえます』、「すべてまとめて代行してくれます。事業者が用意するのは、パソコンと画像くらいのものです」、とあるが商品を購入者宅に届ける物流まで提供しているのだろうか。それとも提供せず、これは顧客企業が独自に展開するのだろうか。「「アマゾンには出店しない」と宣言した」、例示された企業はブランド力もあるので、独自のネット集客が可能なのだろう。
・『b8ta(ベータ)にも注目  ほかにも、ビジネスの大転換を行っているベンチャーを紹介します。b8ta(ベータ)です。従来の小売事業は店舗を借りて在庫を仕入れて、マージンをいくらか上乗せして販売する。このようなビジネスモデルでした。 ところがeコマースが広まったことで、実店舗で商品を購入する人は激減しました。その結果、実店舗では商品の手触りや動作を確認。そのうえで、ネットで商品を買う人が増えました。つまりこのままでは、実店舗はこれまでほどは必要とされなくなっていきます。 そこでベータは、あるユニークな発想をします。eコマースでは、最終的にネットショップで商品を購入しますが、そこにたどり着くまでに検索をしたり、ほかのサイトやユーチューブ、フェイスブックといったコンテンツに貼られた広告からの誘導で行くことが少なくありません。そして誘導した広告主は、その分のフィーを得ています。 オンラインでは当たり前となったこのような小売りビジネスの流れを、ベータはオフラインに持ち込みました』、興味深いビジネスモデルのようだ。
・『店頭でお客からはお金をとらない?  一見するとベータは、おしゃれなデバイスを置いている、アップルストアのような外観です。ユニークなのは、置かれているデバイスをその場で販売することがメインではないことです。自動車ディーラーがショールームに変わっていったのと似ています。ベータのお店も、まさにショールームだからです。 置かれているのは、社名からもわかるように大規模店舗に置かれているような完成されたデバイスばかりではありません。エッジが立っていたり、大化けして売れそうな、話題となるような商品を意図的にセレクトし置いています。そしてその手のデバイスを好むユーザーに見てもらい、触ってもらい、感想を述べてもらい、反応を開発企業にフィードバックします。もちろん新製品が完成した際の予約も受け付けます。 企業としては、将来的な顧客になるとの広告効果もありますし、よりよい製品にブラッシュアップされる場でもありますから、ベータにお金を払い、製品を置いてもらう。そのようなビジネスモデルです。 店内にはカメラやセンサーも備わっていて、何名の客が実際に関心を持ったのか。そのうち手に取ったのは何名か。このような統計から、グーグル広告のような広告課金ビジネスも行っています。サンフランシスコ発で、アメリカではすでに多くの店舗を出店していましたが、いよいよ2020年の8月に日本にも上陸。有楽町駅前やマルイビルに出店しています。 ショッピファイやベータの動きを知り、ぜひ今後のビジネスのヒントにしていただけたらと思います』、ECもずいぶん広がりが出てきたものだ。

次に、3月16日付け日経ビジネスオンラインが掲載した明星大学経営学部教授(元経経済産業省中部経済産業局長)の細川 昌彦氏による「楽天への日本郵政・テンセントの出資に浮かび上がる深刻な懸念」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00054/
・『楽天は12日、日本郵政や中国のネット大手・騰訊控股(テンセント)などを引き受け手とする第三者割当増資を実施し、2423億円を調達すると発表した。その中で、最大の資金の出し手が日本郵政である。日本郵政は楽天との資本・業務提携に約1500億円を投じ、出資比率は8.32%となる。物流やモバイル、デジタルトランスフォーメーション、金融など幅広い分野で提携を強化するとしている。 ビジネス戦略としてみれば、楽天と日本郵政の資本・業務提携はシナジー効果(相乗効果)を期待して評価することもできよう。「歴史的な提携だ」との自画自賛はともかくとして、大方のメディアはポジティブな反応だ。私もそれを否定するつもりは毛頭ない。 しかしそこには、国民の財産と安全保障に関わる見逃せない深刻な懸念が潜んでいる』、「深刻な懸念」とはどういうことだろうか。
・『政府過半出資の会社による“資本注入”の異様さ  まず、楽天から見れば、今回の提携は歴史的快挙であっても、日本郵政から見れば、違った風景が見えてくる。その際忘れてはならないのが、日本郵政は政府が過半を出資する会社(56.87%を政府・自治体が保有)であることだ。 その親会社の下に、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険という個別の事業会社が置かれている。個々の事業会社が業務提携するのならば、ともかくも、問題は政府が過半出資している親会社が特定企業に約1500億円という巨額の出資をすることが、果たして妥当かどうかだ。 多くのメディアは今回の発表だけを見て論じているが、時間を遡って経緯をたどれば、その異様さが見えてくる。 昨年12月24日、事業会社の日本郵便が楽天と物流分野での包括的な業務提携を基本合意したと発表したばかりだ。その際には、物流での戦略提携を打ち出し、金融やモバイルなど物流以外の事業分野でも幅広く提携について協議、検討していき、3月に包括的な業務提携の最終合意を目指すとしていた。あくまで業務提携が前提だ。 楽天は、物流について日本のEC(電子商取引)市場で攻勢をかける米アマゾン・ドット・コムに対抗していく必要がある。全国2万4000カ所の郵便局のネットワークを抱える日本郵便との戦略的提携は楽天にとってはアマゾンと戦う切り札となり得る。 一方、楽天とゆうちょ銀行、かんぽ生命との接点はこれまでわずかだ。今後の業務提携の検討項目に金融も入っているが、具体的な中身は明らかになっていない。 日本郵政の主な狙いは、流通総額が年間3兆円規模というECモール「楽天市場」の宅配物を優先的に引き受けることにある。もちろん、郵便事業にとっては重要なことではあるが、事業会社である日本郵便による業務提携で十分対応できるもので、昨年末の業務提携の基本合意がそれだ。資本提携、しかも日本郵政から一方的に1500億円を持ち出す必然性はどこにあるのか。 楽天は、日本郵政などから調達した資金の大部分を、基地局の整備など携帯電話事業の投資に充てるという。これが日本郵政の事業に直結するとは思えない。 昨年末時点ではあくまでも広範な業務提携であったのが、たった2カ月半後に急転直下、親会社による1500億円の資本提携が付け加わった。その間、一体何があったのか』、「日本郵政から一方的に1500億円を持ち出す必然性はどこにあるのか」、確かに合理的な説明は困難だ。
・『携帯料金の引き下げで苦しむ楽天を“救済”?  菅義偉首相肝煎りの政府主導による携帯料金の引き下げで、昨年4月から携帯電話事業に新規参入した楽天のダメージは大きい。 「大手3社を凌駕(りょうが)する携帯キャリアをつくる」 楽天の三木谷浩史会長兼社長はそう豪語していたが、携帯基地局への先行投資が響き、2020年12月期の最終損益は1141億円の赤字で、これが発表されたのが2月12日だ。連結の自己資本比率も2020年12月末時点で4.9%に下がっている。今後も電波エリアの拡大のために基地局の設置の投資に兆円単位の膨大な資金が必要となるため、厳しい財務状況であった。 そこにこの資本提携だ。話は今年1月に三木谷社長から持ち掛けたことを、三木谷社長本人が記者会見で認めている。資本提携では多くの場合、相互に第三者割当増資を行う「株式の持ち合い」をするが、今回はそうではない。一方的に日本郵政が楽天に出資した形で、これは事実上、巨額の“資金注入”とも言えるのではないか。これでは楽天に対する“救済”と思われても仕方がない。 資本提携は単なる業務提携とは訳が違う。携帯電話事業のように4社が激しい競争をしている中で、政府が過半の出資をしている会社がその1社に対して巨額の資金を注入するのは、果たして公正と言えるのだろうか。厳格な議論が必要だろう。 政府が過半を出資する会社が国民の財産を特定企業に注ぎ込んだのも同然、とも言われかねない行為は妥当なのだろうか。仮にこうした行為をするのならば、最低限、政府保有株を売却して、政府保有比率を3分の1以下にしてからするのが筋ではないだろうか。 第2に、世間の目が日本郵政との資本提携ばかりに奪われているが、日本の経済安全保障にも関わる懸念もある。テンセントの子会社から約660億円の出資を楽天が受け入れることだ』、「事実上、巨額の“資金注入”とも言えるのではないか。これでは楽天に対する“救済”と思われても仕方がない」、「携帯電話事業のように4社が激しい競争をしている中で、政府が過半の出資をしている会社がその1社に対して巨額の資金を注入するのは、果たして公正と言えるのだろうか。厳格な議論が必要だろう」、その通りだ。
・『テンセントの楽天への出資は経済安保の観点で大丈夫か?  テンセントについては、米国のトランプ政権末期、人気アプリ「WeChat(ウィーチャット)」のダウンロード禁止の大統領令が出され、連邦地裁によって執行差し止めになった。また最終的には見送りになったが、人民解放軍と関係が深い企業のリストに加えて、米国人の投資禁止の対象にすることも一時検討されていた。これらはいずれも米国顧客の個人情報が中国政府に流出するとの疑念が背景にあったからだ。 中国国内では事実上独占的に使用されているWeChatによって、約10億人の国民の会話・行動・購買履歴まで監視できるようになっている。また最近、中国共産党政権はアリババと共にテンセントに対しても急速に統制を強めつつあることは周知の事実だ。テンセントも中国政府への協力を表明している。まさに中国政府によるコントロールが強まって、顧客データの流出の懸念はますます高まっている。 そうしたテンセントが楽天に出資して、今後ネット通販などでの協業も検討しているという。楽天はECのみならず物流も含めた日本のプラットフォーマーだ。楽天は、膨大な個人情報を持ち、ECなどのオンラインサービスのみならず通信インフラでも重要な役割を担っている。楽天へのテンセントの出資は、経済安全保障の観点から大丈夫なのだろうか。 さらに楽天と日本郵政との間で広範な提携がなされると、懸念はいっそう大きくなる。テンセントによる出資以外、楽天との具体的な協業の内容が明らかにされていない。それだけに、テンセントが楽天を介して結果的に、日本郵政に接近する可能性も懸念されるからだ。 日本郵政には日本郵便の豊富な物流データがある。日本郵政は、楽天とデータを共有する新しい物流プラットフォームも構築するとしている。ゆうちょ銀、かんぽ生命には豊富な金融データもある。いわば、個人データの宝の山を日本郵政は抱えている。 これは日本の経済安全保障にも関わる深刻な問題ではないだろうか。日本も安全保障上重要な業種については、外為法で事前届け出を義務付けるなど外資規制をしている。その際には楽天の事業全般を見て、外資による影響力を行使されて安全保障上大丈夫かを判断していくことになる。日本政府も事の重大さを認識して、責任ある判断をすべきだ。 日本郵政と楽天の提携は単にビジネスの目でだけ追っていてはいけない。日本国民の財産や安全保障に深刻な懸念を投げかけていることに気づくべきだ。 この記事はシリーズ「細川昌彦の「深層・世界のパワーゲーム」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます』、「日本郵政と楽天の提携は単にビジネスの目でだけ追っていてはいけない。日本国民の財産や安全保障に深刻な懸念を投げかけていることに気づくべきだ」、同感である。

第三に、4月7日付けJBPressが掲載した日本戦略研究フォーラム政策提言委員の平井宏治氏による「中国テンセントに見られてしまう楽天の「帳簿」 業務資本提携に生じるこれだけの懸念」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64774
・『2021年3月31日、中国企業のテンセントは、その子会社を通じて、楽天が新たに発行した株を購入し(「第三者割当増資」という)、楽天の第6位の大株主になった。本件は3月12日に公表されて以降、識者から懸念が示されていた。にもかかわらず、楽天はテンセントとの業務資本提携を強行した。 本稿では、ポートフォリオ投資、楽天の帳簿閲覧権、中国の国家情報法との関係などから懸念される問題を取り上げたい』、第二の記事を「テンセント」中心に深く掘り下げたもののようだ。
・『テンセントとは何者か  楽天の大株主になったテンセント(騰訊)グループとは何者だろうか。チャットアプリ「WeChat」を知る人は多いが、その実態を知る人は少ない。 同社は、香港証券取引所に上場する持株会社で、中国の広東省深セン市に本拠を置く。傘下にインターネット関連の子会社を持ち、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、インスタントメッセンジャー、Webホスティングサービスなどを提供する。 2020年8月、アメリカ政府はテンセントとの取引を禁止すると公表した(注:実際には禁止に至らなかった)。トランプ大統領は、「このデータ収集によって中国共産党がアメリカ国民の個人情報や機密情報の入手が可能になる恐れがある」と指摘した。取引禁止になれば、WeChatの利用が禁止されるため在米中国人の間に衝撃が走った。 一例だが、アメリカのメディアは、中国人産業スパイがWeChatを使い中国国内の同僚と連絡を取り、「中国軍によるアメリカ軍軍事戦略データの解読とリスク評価」に関する研究論文について議論していたと報道し、WeChatが連絡ツールとして使用されていたことが明るみに出た。) 2021年1月には、アメリカの国防総省がアリババとテンセントが人民解放軍を支援しているとして、中国軍関連企業リスト(Communist Chinese military companies list)への追加を計画した。しかし、財務省がこれに「待った」をかけてしまった。 このリストに掲載された企業は、アメリカの法人、個人を問わず資本取引が禁止される。ブルームバーグは「待った」の理由について「米政府は中国人民解放軍とのつながりが疑われる同国の巨大IT企業について、証券投資を禁止した場合の経済的影響を検討した結果、アリババグループとテンセント・ホールディングス(騰訊)、百度(バイドゥ)への投資は今後も容認する見通しだ」と報道した。人民解放軍との関係がシロだからストップがかかったのではないようだ』、「アメリカの国防総省がアリババとテンセントが人民解放軍を支援しているとして、中国軍関連企業リスト(Communist Chinese military companies list)への追加を計画」、「財務省がこれに「待った」をかけ」たが、その理由は、「人民解放軍との関係がシロだからストップがかかったのではない」、中国マネーに依存せざるを得ないためなのかも知れない。
・『外為法の「ポートフォリオ投資」とは  テンセントと楽天の業務資本提携の問題は、外為法との関係がポイントの1つだ。わが国では、外為法で、外国企業や外国の投資家による対内直接投資等(M&Aが含まれる)に事前届出を義務付けている。 2019年11月、外為法が大幅に改正され、2020年5月から施行された。改正内容の1つにポートフォリオ投資制度の導入がある。ポートフォリオ投資とは、経営に重要な影響を与えることを企図しない投資に限り、事前届出を免除する制度のことだ。楽天は、本件を「純投資」(=ポートフォリオ投資)と主張している。 財務省は「外為法改正案についてのよくある質問」の中で、事前届出免除を受けるために遵守することが求められる基準は、具体的には以下の3基準であるとした。 (1)外国投資家自ら又はその密接関係者が役員に就任しないこと (2)重要事業の譲渡・廃止を株主総会に自ら提案しないこと (3)国の安全等に係る非公開の技術情報にアクセスしないこと さて、2021年3月12日に楽天が公表したプレスリリースには、以下の記載がある。 Tencent Holdings Limited Executive Director and President, Martin Lau氏からのコメント。 「楽天は、これまでメンバーシップとロイヤリティプログラムを通じて活気に満ちたエコシステムを構築し、Eコマース、FinTech及びデジタルコンテンツと比類のない強みを発揮しています。我々は楽天のユーザーに向けたイノベーションとエンパワーメントを通じた価値創造への想いを共有しています。そして、グローバルイノベーションリーダーへの進化に向けて投資を通じてサポートできることを嬉しく思います。我々は、デジタルエンターテインメント、Eコマースなどの事業を通じて戦略的提携を追求し、ユーザーへの価値創造とインターネットのエコシステムを共に創るためのパートナーシップを築くことを楽しみにしています。」(太字は筆者)) 楽天は、子会社で携帯端末事業も手掛ける。「通信」は、国の安全等を損なう恐れが大きい業種とされ、携帯電話事業を営む企業も対象になる。 さらに、楽天は、2020年5月8日財務省が発表した外国人投資家が投資する際に届出対象となる上場企業518社(いわゆるコア企業)の1社でもある。そして、テンセントの社長は「(楽天と)戦略的提携を追求する」と明言している。 M&Aには、いくつかの段階がある。最も関係が緩いのは、「業務提携」といい、資本関係は持たず、経営の独立性を保つ企業同士が共同して業務を行うことだ。次の段階が「資本業務提携」である。資本業務提携とは、業務提携とセットで、業務提携先へ経営権まで影響を及ぼさない範囲で議決権を与えるものだ。資本業務提携では、両社の提携内容を明確にする業務提携契約も締結する。 これらのことを考えると、本件は「純投資」ではなく「資本業務提携」と映る。資本業務提携ならば、外為法に従い、1%の閾値を超える株式取得は事前審査を受けなければならない。このことは、外資規制の法的趣旨に関わる重大な論点だ』、「資本業務提携」を「純投資」と強弁するとは、「楽天」もいいかげんだ。
・『テンセント子会社が持つ帳簿閲覧権  次の論点は、帳簿閲覧権だ。 テンセント子会社は、楽天の株式を3.65%保有する第6位の株主になった。実は、この3.65%という持ち分が重要になる。何故なら、発行済株式の3%以上を保有する株主には、会社法で帳簿閲覧権が認められているからだ。 帳簿閲覧権とは、株主が「会計帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など)又はこれに関する資料(伝票、契約書、領収証など)」を閲覧することができることだ。会社側は一定の場合には閲覧を拒否することができるが、会社側には拒絶理由の立証責任がある。 仮に、テンセント子会社がもっともな理由をつけて楽天に帳簿閲覧を求めた場合、楽天は謝絶理由を立証しなければ拒絶できなくなる。この立証は容易ではないだろう。 さらに、会社法では、3%以上の持ち分がある株主は、裁判所に申し立てて認められれば、親会社(楽天)の意向を無視して子会社(楽天トラベル、楽天証券、楽天銀行など消費者相手の事業を行う会社)の会計帳簿等を閲覧できる規定がある。 裁判所がテンセントの申し立てを認めなければ、子会社のもつ情報は開示されないが、裁判所がテンセントの主張を正当なものと認めれば、テンセントに子会社の情報が開示される。 楽天は、この点に懸念を示す関係者に説得力のある説明をできるのか』、「会社法では、3%以上の持ち分がある株主は、裁判所に申し立てて認められれば、親会社(楽天)の意向を無視して子会社・・・の会計帳簿等を閲覧できる規定がある」、「楽天は、この点に懸念を示す関係者に説得力のある説明」、はできないだろう。
・『国家情報法とテンセント  明星大学経営学部教授の細川昌彦氏は、日経ビジネスのサイトで、以下の点を指摘している。 (1)そもそも米国はテンセントに対して、中国政府との結びつきから米国顧客の個人データが利用される強い疑念を持っている。 (2)楽天は安全保障上重要な通信事業であるだけでなく、膨大な個人情報などを有している。 従って、これは日本の経済安全保障にもかかわる重大な問題である。(以上、転載) 細川教授が指摘する通りだ。識者たちが本件を問題視する理由に中国の国家情報法がある。その7条には、以下のように記載されている。よく読んで頂きたい。 第7条 いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人及び組織を保護する。》 中国企業であるテンセントは、中国の法律に従う。つまり、中国政府が楽天からテンセントに流れた非公開情報の中身を知りたいと思えば、国家情報法に基づいてテンセントへ情報提出を命じれば済む。 細川教授が指摘するように、「楽天は安全保障上重要な通信事業であるだけでなく、膨大な個人情報などを有している」。楽天は、国家情報法に基づいてテンセントに開示した情報が中国政府と共有される点について、楽天利用者が納得できる説明をしているだろうか』、「中国政府が楽天からテンセントに流れた非公開情報の中身を知りたいと思えば、国家情報法に基づいてテンセントへ情報提出を命じれば済む」、「楽天利用者が納得できる説明」すべきだ。
・『政府は厳格な審査をするべきだ  2020年4月1日、我が国の政府の国家安全保障局(NSS)に経済安全保障を扱う経済班が設置された。NSS経済班の存在意義の1つが、外為法をはじめとする法律に基づき、わが国の安全保障に深刻な影響を及ぼすM&Aを阻止することだ。 今回の外為法改正は、2018年にアメリカで成立した2019年度国防権限法と一緒に成立した「外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)」と密接に関連している。 アメリカの外資規制法であるFIRRMAの審査対象となるのは、TID(Technology, Infrastructure, sensitive personal Data)に関連する米国事業だ。アメリカ政府は、わが国の政府が、テンセント出資問題にどう対処するかに注目するだろう。 楽天が主張するように、この株式取得が「純投資」であれば、10%までの株式取得に事前申請は不要だ。この場合、前述の3つの基準を厳守することが条件となる。テンセント子会社に一切の個人情報を開示せず、中国政府に楽天利用者の個人情報が渡らないことも説明しなければならない。「テンセントはいかなる第三者へも情報を提供しないと言いました」ではお話にならない。 アメリカ政府により中国軍関連企業リストに入れられそうになった会社が、資本業務提携なのに「純投資」と主張して楽天の大株主になった。楽天は、コア業種に含まれる上場企業518社の1社だ。 わが国の政府が本件を黙認すれば、これに味を占めた懸念国が、「これは純投資」と主張して外為法の外資規制を骨抜きにし、コア業種の日本企業の大株主になり、機微技術や軍民両用技術を日本から移転し、軍事転用を行うことは、容易に想像できる。 純投資でも事後報告が義務付けられている。政府には本件を厳格に審査することを期待する。外為法は、虚偽届出などに対し、最終的に売却を含む措置命令を発することができる(下の図を参照)。国民の個人情報が国家情報法により守ることができないリスクがあるなら、政府はためらうことなく措置命令を出し、機微技術と共に国民の個人情報を守るべきだ。 出典:「対内直接投資制度について」財務省国際局作成 令和元年8月22日 』、「アメリカ政府により中国軍関連企業リストに入れられそうになった会社が、資本業務提携なのに「純投資」と主張して楽天の大株主になった。楽天は、コア業種に含まれる上場企業518社の1社だ」、「楽天」は資本が欲しいの余り、「「純投資」と主張」、いくら何でも信じ難い動きだ。ここはやはり「日本政府」が乗り出し、「厳格な審査をするべき」だろう。
タグ:EC 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン JBPRESS 細川 昌彦 (電子商取引) 平井宏治 (その7)(アマゾンを破壊する「ショッピファイ」の超威力 5年後の世界を変える10兆円ベンチャー、楽天への日本郵政・テンセントの出資に浮かび上がる深刻な懸念、中国テンセントに見られてしまう楽天の「帳簿」 業務資本提携に生じるこれだけの懸念) 山本 康正 「アマゾンを破壊する「ショッピファイ」の超威力 5年後の世界を変える10兆円ベンチャー」 Shopify(ショッピファイ) 「アマゾンや楽天がなくなる日が本当にやってくるかもしれません」、本当だろうか。 「すべてまとめて代行してくれます。事業者が用意するのは、パソコンと画像くらいのものです」、とあるが商品を購入者宅に届ける物流まで提供しているのだろうか。それとも提供せず、これは顧客企業が独自に展開するのだろうか。「「アマゾンには出店しない」と宣言した」、例示された企業はブランド力もあるので、独自のネット集客が可能なのだろう b8ta(ベータ)にも注目 興味深いビジネスモデルのようだ ECもずいぶん広がりが出てきたものだ 「楽天への日本郵政・テンセントの出資に浮かび上がる深刻な懸念」 「深刻な懸念」とはどういうことだろうか 政府過半出資の会社による“資本注入”の異様さ 「日本郵政から一方的に1500億円を持ち出す必然性はどこにあるのか」、確かに合理的な説明は困難だ 「事実上、巨額の“資金注入”とも言えるのではないか。これでは楽天に対する“救済”と思われても仕方がない」、「携帯電話事業のように4社が激しい競争をしている中で、政府が過半の出資をしている会社がその1社に対して巨額の資金を注入するのは、果たして公正と言えるのだろうか。厳格な議論が必要だろう」、その通りだ 「日本郵政と楽天の提携は単にビジネスの目でだけ追っていてはいけない。日本国民の財産や安全保障に深刻な懸念を投げかけていることに気づくべきだ」、同感である。 「中国テンセントに見られてしまう楽天の「帳簿」 業務資本提携に生じるこれだけの懸念」 第二の記事を「テンセント」中心に深く掘り下げたもののようだ 「アメリカの国防総省がアリババとテンセントが人民解放軍を支援しているとして、中国軍関連企業リスト(Communist Chinese military companies list)への追加を計画」、「財務省がこれに「待った」をかけ」たが、その理由は、「人民解放軍との関係がシロだからストップがかかったのではない」、中国マネーに依存せざるを得ないためなのかも知れない。 「資本業務提携」を「純投資」と強弁するとは、「楽天」もいいかげんだ。 「会社法では、3%以上の持ち分がある株主は、裁判所に申し立てて認められれば、親会社(楽天)の意向を無視して子会社・・・の会計帳簿等を閲覧できる規定がある」、「楽天は、この点に懸念を示す関係者に説得力のある説明」、はできないだろう 「中国政府が楽天からテンセントに流れた非公開情報の中身を知りたいと思えば、国家情報法に基づいてテンセントへ情報提出を命じれば済む」、「楽天利用者が納得できる説明」すべきだ 「アメリカ政府により中国軍関連企業リストに入れられそうになった会社が、資本業務提携なのに「純投資」と主張して楽天の大株主になった。楽天は、コア業種に含まれる上場企業518社の1社だ」、「楽天」は資本が欲しいの余り、「「純投資」と主張」、いくら何でも信じ難い動きだ。ここはやはり「日本政府」が乗り出し、「厳格な審査をするべき」だろう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

半導体産業(その2)(世界の半導体供給に地殻変動の兆し 日・米・台の連携に取り残される韓国、加速する半導体ウォーズ 供給不安が「ウィンテル」の復活呼ぶ、韓国にも敗れた「日の丸半導体」が これから世界一に返り咲く意外なシナリオ 米中の覇権争いが日本の好機になる) [産業動向]

半導体産業については、2016年7月14日に取上げた。久しぶりの今日は、(その2)(世界の半導体供給に地殻変動の兆し 日・米・台の連携に取り残される韓国、加速する半導体ウォーズ 供給不安が「ウィンテル」の復活呼ぶ、韓国にも敗れた「日の丸半導体」が これから世界一に返り咲く意外なシナリオ 米中の覇権争いが日本の好機になる)である。

先ずは、本年2月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「世界の半導体供給に地殻変動の兆し、日・米・台の連携に取り残される韓国」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/263576
・『昨年秋頃から、世界経済全体で半導体の需給がひっ迫している。コロナ禍によって世界経済のデジタル・トランスフォーメーションが加速し、スマートフォンや高性能コンピューター向けの最先端の半導体需要が高まった。そこに車載半導体の需要回復も加わったのである。TSMCの生産ラインを各国企業が取り合うというべき状況となっている。今後、日・米・台を軸に、世界の半導体サプライチェーンは変化する可能性がある』、興味深そうだ。
・『台湾のTSMCとの関係強化に動き始めたバイデン政権  米国のバイデン政権は、自国の企業が必要とする半導体の確保に現在、注力している。 そのためバイデン政権は、台湾当局や半導体ファウンドリー(受託製造企業)最大手であるTSMC(台湾積体電路製造)との関係強化に動き始めた。また、同政権はわが国の半導体産業へも秋波を送っているという。 米国にとって、日本と台湾との連携強化は半導体の調達や安全保障体制の強化に欠かせないとの図式なのだろう。 世界のファウンドリー業界では、TSMCが54%、韓国のサムスン電子が17%程度のシェアを持つ。本来であれば米国は同盟国である韓国にも連携を求めたいだろう。しかし、現時点でバイデン政権は、日台との関係を優先しているようだ。 その要因の一つに、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の政策への不安がある』、「経済面では中国を優先し、外交面では北朝鮮との宥和」政策を推進しているので、「米国」が不信感を抱くのは当然だ。
・『半導体確保に必死のバイデン政権 TSMCの生産ラインを取り合う各国企業  文氏は安全保障面で米国を重視する一方で、経済面では中国を優先し、外交面では北朝鮮との宥和(ゆうわ)と反日の考えを重視してきた。ここへ来て文大統領は、中国の習近平氏と電話会談を行うなど、中国との関係強化を一段と強めているようだ。 バイデン政権は、韓国に対して対北朝鮮政策について日米と歩調を合わせるよう求めているが、今までのところ文政権は立場を明確にしていない。むしろ、北朝鮮の金正恩氏の発言に合わせて、政府内の人事を修正するなどしている。文氏の「北朝鮮優先主義」に大きな変化はないようだ。専門家の中には「文大統領がバイデン政権の信頼を確保できるか否か難しい」との見方もある。 昨年(2020年)の秋頃から、世界経済全体で半導体の需給ひっ迫が鮮明となっている。 その一因として、世界経済のデジタル・トランスフォーメーションが加速し、スマートフォンや高性能コンピューター向けの最先端の半導体需要が高まった。そこに車載半導体の需要回復も加わったのである。TSMCの生産ラインを各国企業が取り合うというべき状況となっている。 米中の対立が半導体不足に与えた影響も軽視できない。 米国のトランプ前政権は、中国のファウンドリーであるSMIC(中芯国際集成電路製造)へ制裁を科した。車載半導体メーカーは委託先をSMICからTSMCへ切り替え、TSMCは供給能力を上回る需要に直面している。車載半導体が不足し、米国ではフォードとGMが減産を決定した。労働組合を主な支持基盤としてきた民主党のバイデン政権にとって、半導体確保は経済運営上の重要課題なのである。 事態の打開に向けて、バイデン政権は台湾当局との連携を強めている。その背景には、目先の半導体確保だけでなく、中長期的な視点で最先端分野を中心とする半導体関連技術を自国に集積させ、中国との覇権争いを有利に進める狙いがあるはずだ。 米国の制裁によってSMICは、思うように半導体製造装置を調達することができていない。製造技術に関しても中国の実力は十分ではなく、「中国製造2025」の進捗は遅れるだろう。その状況は、米国がIT先端分野での優位性を維持し、基軸国家としての地位を守るために重要だ。 そのためにバイデン政権は、TSMCに米国内でのいち早い生産開始や生産能力の増強を求める可能性がある。それに加えて、バイデン政権が垂直統合を重視する、インテルなど自国の半導体企業に補助金を支給し、事業運営をサポートすることも考えられる』、「米国のトランプ前政権は、中国のSMIC・・・へ制裁・・・車載半導体メーカーは委託先をSMICからTSMCへ切り替え、TSMCは供給能力を上回る需要に直面」、こんな特需まで乗っかったのであれば、「車載半導体が不足」も当然だ。
・『米国が不安視する文大統領の政策運営  半導体の確保に向けてバイデン政権が、ファウンドリー事業の強化に取り組む韓国のサムスン電子よりも台湾のTSMCを重視する背景には、北朝鮮などに関する文氏の政策への不安がある。 米国務省は、同盟国が連携して北朝鮮に毅然とした立場で臨むことが重要との立場だ。わが国もその考えに賛同し、米国はわが国との連携を重視している。 その一方で、文大統領は「米韓の合同軍事演習を北朝鮮と協議できる」と発言するなど、北朝鮮との宥和を重視している。2018年に文政権が北朝鮮での原子力発電所建設を検討していたことも見逃せない。 日韓関係も不透明だ。一時、文氏はわが国に対して秋波を送る発言を行った。しかし、今年2月に入って韓国の大田地裁は、元挺身(ていしん)隊員らへの賠償問題を巡って、わが国の三菱重工が行った即時抗告の一部を棄却した。文氏の対日政策が変わったとはいえない。 ある意味、バイデン政権にとって文政権は困ったパートナーに映っているだろう。米国が安全保障にかかわる半導体分野で韓国との関係強化に取り組むことは難しい。 しかし韓国にとっては、米国との安全保障面での関係強化は、海外からの技術移転を進め、その上で外需を取り込むために不可欠な要素だ。日米の半導体関連の技術や部材を必要とするサムスン電子などが世界的な半導体の需給ひっ迫に対応し、収益拡大を目指すためには、文政権が日米との連携を重視するという立場を明確に示すことが重要だ。だが、現実にはそうなっていない。 文政権は北朝鮮との宥和政策などを重視することによって、目先の政権基盤の安定につなげたいようだ。それは中長期的な社会と経済の安定を目指す政策とは異なる』、「文大統領の政策運営」は「米国が不安視する」のも当然だ。
・『日米台を軸とする半導体サプライチェーン構築の可能性  今後、世界の半導体サプライチェーンは変化する可能性がある。一つのシナリオは、日・米・台を軸に、世界の半導体供給網が再整備される展開だ。 半導体の設計・開発と生産の分離が進む中、米国は、最先端の製造技術や設計・開発に関するソフトウエア(知的財産)の強化に取り組む。米国が中国の人権弾圧にIT先端技術が使われていることを問題視し、半導体製造技術などの流出を食い止めるために制裁を強化する可能性もある。 台湾では、TSMCが微細化や後工程への取り組みを強化している。 また、わが国は旧世代の生産ラインを用いた半導体の供給や、高付加価値の関連部材、製造装置などの供給者としての役割を発揮しつつある。 それは半導体産業を強化したいEUにとっても重要だ。車載半導体を手掛ける欧州の半導体企業は、生産をTSMCなどに委託している。最先端の半導体生産に用いられる極紫外線(EUV)露光装置に関して、唯一の供給者であるオランダのASMLは米国の知的財産などに頼っている。 半導体業界における日米台の連携は、EU各国企業にも大きく影響するのである。国際社会と世界経済の安定に、半導体サプライチェーンが与える影響は増すだろう。 このように考えたとき、韓国政府とサムスン電子などの企業が、半導体業界の変化にどう対応するかが不透明だ。 TSMCは2021年内に回路線幅3ナノメートルの半導体の生産を開始すると、見込まれている。ファウンドリー分野でTSMCとサムスン電子とのシェアや技術面での格差は、今後拡大していく可能性が高い。 他方で、メモリ半導体や家電などの分野において、韓国の企業は、中国企業に追い上げられている。文政権の政策は、国際社会における韓国の立場と、韓国企業の変化への対応力にマイナスの影響を与える恐れがある』、「日・米・台を軸に、世界の半導体供給網が再整備」されるなかで、「サムスン電子」などの「韓国企業」がどのような地位を占めるのか注目される。

次に、3月31日付け日経ビジネスオンライン「加速する半導体ウォーズ 供給不安が「ウィンテル」の復活呼ぶ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00991/
・『半導体の受託製造事業への再参入を宣言した米インテルに米IT(情報技術)大手がそろって賛同の声を寄せた。米中の主導権争いに、米テキサス州の停電による工場停止、ルネサスエレクトロニクスの主力工場の火災……。供給不安の半導体をめぐり各国政府が異例の対応を進める中、ようやく日本政府も動き出した』、「ルネサス」の那珂工場は2011年の東日本大震災で被災し、トヨタ自動車などからの応援を受けて当初半年かかると言われた復旧を3カ月で成し遂げた経緯がある工場で、よりによってこんな時に「火災」とはと、自動車各社も頭にきていることだろう。
・『オレゴン州にあるインテルの半導体工場  インテルが3月23日(米国時間)に開いた説明会。半導体の受託製造(ファウンドリー)事業への再参入を発表したパット・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)が「特別な顧客であり、友人で、長期にわたるパートナー」と真っ先に紹介したのは米マイクロソフトのサティア・ナデラCEOだった。 ナデラCEOは「米国での半導体の製造という新しい選択肢を加える投資に賛同する」と、最大200億ドル(約2.2兆円)を投じてアリゾナ州に2工場を設置する計画を示したインテルを持ち上げた。「ウィンテル」連合でパソコン市場を支配した2社が、半導体の設計者と製造者として手を組む。 2014年にファウンドリー事業に進出したが事実上撤退していたインテルがあらためてファウンドリー事業に乗り出す背景には、米国政府の強力な後押しがある。バイデン米大統領は2月、半導体などの供給網を見直す大統領令に署名。自ら半導体を片手に持って熱弁をふるい、国内製造の支援に370億ドル(約4兆円)を投じる方針を示した。 半導体の供給網をめぐる米国と中国の争いは激しくなるばかりだ。米国は中国の半導体メーカーに対する輸出規制で圧力をかける。一方の中国は、半導体製造装置世界首位の米アプライドマテリアルズによるKOKUSAI ELECTRIC(東京・千代田)の買収を独禁法当局が認めず、買収断念に追い込んだ。米国は先端半導体の製造を台湾や韓国に依存してきた。「米国は半導体市場でのシェアは高いがファブレス企業が多く製造シェアが低い。中国との争いで半導体の調達が難しくなるリスクが大きくなっていた」と英調査会社オムディアの南川明氏は指摘する』、「米国企業」が一旦は「ファウンドリー」に委ねた「生産」に、再び乗り出すとはいっても、果たして上手くいくのだろうか。
・『数世代前の技術のままの日本  欧州連合(EU)も域内で製造する半導体の世界シェアを2割にする目標を打ち出すなど各国・地域が異例の対応を打ち出す。そんな中でようやく日本政府も動き出した。経済産業省は半導体やデジタル産業の戦略を議論する会議を3月24日に開き、梶山弘志経産相は「大きな戦略を描いて大胆な政策に打って出たい」と語った。 経産省の危機感は強い。日本の半導体産業は数十年にわたり足踏みを続け、国内にある半導体工場はいずれも数世代前の技術のままだ。西川和見情報産業課長は「これまでの支援策のままでは状況は変わらない。半導体産業により大きな政治的・資金的リソースを投入するために公の場で議論してコンセンサスを得ていく」と話す。会議では出席者から「海外のファウンドリーを誘致する米欧のような政策を進めるべき」といった意見も出た。 ただし、米国や欧州、中国に比べて小粒の戦略にとどまる可能性は否めない。経産省が水面下で誘致した台湾積体電路製造(TSMC)も、パッケージング(シリコンチップを端子付きのパッケージに収める工程)の開発拠点の設置を決めるにとどまった。問題は今の供給不足ではなく、あらゆる産業の基盤となった半導体を将来にわたって安定的に調達できるかどうかだ。国の未来の競争力を左右しかねない岐路に立っている』、「日本の半導体産業は数十年にわたり足踏みを続け、国内にある半導体工場はいずれも数世代前の技術のまま」、日米半導体協議は予想以上に深刻な影響を及ぼしたようだ。「梶山経産相」が勇ましいことを言っても、むなしい感じを受ける。

第三に、4月6日付けPRESIDENT Onlineが掲載した作家・ジャーナリスト、KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授の小林 雅一氏による「韓国にも敗れた「日の丸半導体」が、これから世界一に返り咲く意外なシナリオ 米中の覇権争いが日本の好機になる」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/44686
・『30年前、日本の半導体は世界シェア51%で世界一だった。しかし現在の市場シェアは6%にまで低下している。KDDI総合研究所リサーチフェローの小林雅一さんは「86年の日米半導体協定で、韓国企業が伸長し、日本企業は存在感を失った。しかしスパコン富岳が世界一になったように、ハイテク・ジャパンには復活の兆しがある」という――。 ※本稿は、小林雅一『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるのか』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです』、歴史的な経緯も踏まえた分析は、興味深そうだ。
・『ハイテク分野でも始まった米中の覇権争い  近年のトランプ政権下で始まった米中貿易戦争は、やがて中国のIT企業「ファーウェイ」や動画サービス「ティックトック」などをめぐるハイテク覇権争いへと発展し、2021年に発足したバイデン政権へと引き継がれた。 それは両国の狭間で身を屈めてチャンスを窺う巨大経済圏EUや日本を巻き込み、国際政治と先端技術が複雑に絡み合う「テクノ・ポリティクス」時代の幕開けを告げている。 これを象徴するのがスーパーコンピュータの開発競争だ。スパコンが次なる「エクサ・スケール(1000ペタ級)」に向けて世代交代の時期を迎える中、「富岳の世界ナンバーワンは短期間に終わる」との見通しも当初囁かれたが、間もなく相反する見方も出てきた。 米中のハイテク覇権争いの影響などから、両国による次世代スパコンの開発プロジェクトが滞る気配があるのだ。これらエクサ級のスパコンが実現されない限り、優に440ペタ以上の性能を誇る富岳の世界王座は当面揺るがない』、「富岳の世界王座は当面揺るがない」のは確かなのだろうが、競争の場は「スパコン」から量子コンピュータに移った可能性もあるのではなかろうか。
・『日米ハイテク覇権争いとの類似点と相違点  スパコンや半導体技術をめぐる米中間の激しい争いは、1980~90年代における日米間のハイテク覇権争いをある意味で彷彿させる。 当時、世界市場を席巻した便利で廉価な家電商品など日本のエレクトロニクス産業に対抗するため、米国政府はそのベースとなる日本の半導体産業を弱体化する戦略をとった。それが端的に現れたのが86年の日米半導体協定であり、(もちろんこれだけが原因ではないが)これらを契機に日本の半導体、ひいてはエレクトロニクス産業は衰退の道を辿った。 ちょっと言葉は悪いが、当時、そこから「漁夫の利」を得たのはサムスン電子など韓国を代表する巨大メーカーであった。 それから30年以上の歳月が流れた今日、米国政府は今度はファーウェイやティックトックなど進境著しい中国のIT企業をハイテク覇権争いのターゲットに選んだ。今回もそのカギを握るのは、スパコンやAI、5GなどIT産業のベースとなる先進の半導体技術である。 かつての日米半導体協定では、「日本の半導体市場を外国の半導体メーカーに開放すること」を日本側に義務付け、ついには日本メーカーが顧客企業に韓国製品を推奨するなど常識ではあり得ないような事態へとつながった。 筆者は国際政治が専門ではないが、それでも素人なりにあえて言わせてもらえば、要するに米国による「核の傘」など安全保障上の同盟関係にある日本は結局、理不尽な協定でも受け入れざるを得ない、という読みが米国政府側にあったのではないか。 これに対し、21世紀の今日、米国がハイテク覇権争いの相手とする中国は同盟国ではなく、ロシアなども含めた対立陣営に位置付けられる。これには80年代の日本に対してとったようなやり方は通用しない。 しかも中国はAIや5G、さらにはスパコンや宇宙開発などさまざまな分野で米国に接近、ないしは追い着くほどの技術力を蓄えてきている。が、それらのベースとなる半導体、特にその製造技術では少なくとも4~5年、米国や台湾、日本などに遅れていると見られる』、「米国」にとって「中国」は、確かに「日本」とは比べものにならないほど、扱い難い相手もようだ。
・『米中の覇権争いで「漁夫の利」を得る国  となると米国にとって中国への対抗策はある意味単純だ。米国製の半導体技術に禁輸措置をかけ「て、中国企業が使えないようにすればいいだけだ。実際、米国政府はそれを実行に移して、既にかなりの効果が現れ始めている。 では今回、ここから漁夫の利を得るのは、どの国になるだろうか? それはおそらく日本である。 2期連続で世界ランキング4冠を達成したスパコン富岳が、まさにそれを示している。富岳の開発プロジェクトが正式に始まって以来、理研をはじめ富岳の関係者は「ベンチマーク・テストで1位になることが目標ではない。社会の役に立つスパコンを作ることが本来の目標だ」と言い続けてきた。 とはいえ、世界1位が獲れるなら、それに越したことはない。 この業界では日米中など競合する国の間で「腹の探り合い」というか、要するに相手の技術力が今、どのレベルにあって、いつごろ次世代機が完成しそうかなどのインサイダー情報を互いによく調べている。 おそらく理研・富士通など富岳関係者は、2017年にトランプ政権が誕生し、やがて米中間の貿易摩擦がハイテク覇権争いへと発展する19年頃には、その影響で両国の次世代スパコン開発が予定よりも遅れそうだ、という情報を掴んでいたはずだ。 当初の計画では富岳は21年に稼働を開始する予定だった。しかし米中のエクサ級スパコンの完成が遅れるという情報を握ったことで、富岳関係者は「今がチャンスだ!」とばかりにあえて前倒しで20年に稼働させて、ずっと「目標ではない」と言い続けてきた1位を獲りにいったのではないか』、「今回、ここから漁夫の利を得るのは、どの国になるだろうか? それはおそらく日本である。 2期連続で世界ランキング4冠を達成したスパコン富岳が、まさにそれを示している」、いささか大げさな印象だ。
・『「世界一」の大きな意味  仮にそうだとすれば、その策は見事に功を奏し、富岳は2期連続でスパコン世界一となったわけだが、この王座はもうしばらく続きそうだ。米中どちらが先にエクサ級マシンを完成させるにせよ、それは早くて22年、下手をすれば23年にずれこむとの見方もある。となると、富岳は最長3年間も世界王座に君臨し続ける可能性があるのだ。 もちろん「スパコンのベンチマーク・テストで1位になることに実質的な意味がどれほどあるのか?」という冷めた意見も聞かれるだろう。しかし、それでも富岳の世界ナンバーワンは高く評価されるべきだと筆者は思う。ここ数年、米国のGAFAや勃興する中国の巨大IT企業などに押され、日本のハイテク産業は一種の自信喪失に近い状態にあった。特にAIや5Gなど先端的な技術分野では、日本企業はすっかり存在感を失ってしまった。 こうした状況下で「国力を反映する」スパコンの性能で世界一に返り咲いたことは、日本の科学技術力の底力を証明し、失いかけていた自信を取り戻す上で大きな意味があったと言えるのではないか。 しかも、この流れはスパコン開発だけに止まらない。『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるのか』の第2章でも紹介しているように、富岳のCPUに採用されたSIMDなど日本の伝統的な半導体テクノロジーが蘇りつつある。 今後はこうした基礎的な高度技術を、爆発的な需要増加が期待されるクラウド・サーバー、さらにはIoT端末や自動運転車など次世代製品に広げていくことで、ハイテク・ジャパンの復活は単なる希望的観測ではなくなってきた』、この流れはスパコン開発だけに止まらない」、事実であれば喜ばしいことだ。
・『日本の存在感を高めるチャンスだ  こうした中で海外に目を転じると、米国では司法省やFTC(連邦取引委員会)、各州政府などが20年10月以降、反トラスト法(米国の独占禁止法)に抵触した疑いでグーグルやフェイスブックを提訴。今後はアップルやアマゾンなども含め、これら巨大IT企業の事業を分割するなどして絶大な市場独占力を奪い、代わって未来を担う新しい企業が勃興する環境を整えることが狙いと見られている。 かつて1998年に始まるマイクロソフトの反トラスト法訴訟を経て同社が力を落とし、これに代わってアマゾンやグーグルなど当時の新興企業が台頭してきたのと同様、現在もまたきわめて大きなスケールで主力企業の世代交代が迫っているのかもしれない。 一方、中国では20年11月、アリババ集団創業者ジャック・マー氏の政府批判が共産党指導者の逆鱗に触れ、傘下の金融会社アントグループが上海・香港市場で上場停止となった。 同社に対しては、取引先の企業にライバル企業と取り引きしないよう求める行為が独占禁止法違反の疑いがあるとして、中国当局による捜査も進んでいる。 今後、テンセントや百度など他のインターネット企業にも、規制当局による統制が及ぶとの見方もある。米国同様、中国でも巨大IT企業に激しい逆風が吹き始めているようだ。 もちろんGAFAやファーウェイ、アリババなど、外国企業のトラブルを歓迎するのは決して褒められた姿勢ではないし、ここで強調したいのはそういうことではない。あくまで一般論として、どこかの国の企業が国際競争力を落とせば、他の国の企業は相対的な優位性を確保できるということだ。バブル崩壊後の90年代とは逆に、今度は日本企業が世界のハイテク市場で存在感を高めるチャンスがめぐってきたと言えそうだ』、これまで力があった米中の「巨大IT企業」に「逆風が吹き始めている」のは事実だが、筆者の見方はやはり希望的観測といった印象が拭えない。
タグ:日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 半導体産業 PRESIDENT ONLINE (その2)(世界の半導体供給に地殻変動の兆し 日・米・台の連携に取り残される韓国、加速する半導体ウォーズ 供給不安が「ウィンテル」の復活呼ぶ、韓国にも敗れた「日の丸半導体」が これから世界一に返り咲く意外なシナリオ 米中の覇権争いが日本の好機になる) 「世界の半導体供給に地殻変動の兆し、日・米・台の連携に取り残される韓国」 台湾のTSMCとの関係強化に動き始めたバイデン政権 「経済面では中国を優先し、外交面では北朝鮮との宥和」政策を推進しているので、「米国」が不信感を抱くのは当然だ。 米国のトランプ前政権は、中国のSMIC・・・へ制裁・・・車載半導体メーカーは委託先をSMICからTSMCへ切り替え、TSMCは供給能力を上回る需要に直面」、こんな特需まで乗っかったのであれば、「車載半導体が不足」も当然だ 「文大統領の政策運営」は「米国が不安視する」のも当然だ 「日・米・台を軸に、世界の半導体供給網が再整備」されるなかで、「サムスン電子」などの「韓国企業」がどのような地位を占めるのか注目される。 「加速する半導体ウォーズ 供給不安が「ウィンテル」の復活呼ぶ」 「ルネサス」の那珂工場は2011年の東日本大震災で被災し、トヨタ自動車などからの応援を受けて当初半年かかると言われた復旧を3カ月で成し遂げた経緯がある工場で、よりによってこんな時に「火災」とはと、自動車各社も頭にきていることだろう。 「米国企業」が一旦は「ファウンドリー」に委ねた「生産」に、再び乗り出すとはいっても、果たして上手くいくのだろうか 「日本の半導体産業は数十年にわたり足踏みを続け、国内にある半導体工場はいずれも数世代前の技術のまま」、日米半導体協議は予想以上に深刻な影響を及ぼしたようだ 「梶山経産相」が勇ましいことを言っても、むなしい感じを受ける。 小林 雅一 「韓国にも敗れた「日の丸半導体」が、これから世界一に返り咲く意外なシナリオ 米中の覇権争いが日本の好機になる」 小林雅一『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるのか』 「富岳の世界王座は当面揺るがない」のは確かなのだろうが、競争の場は「スパコン」から量子コンピュータに移った可能性もあるのではなかろうか 「米国」にとって「中国」は、確かに「日本」とは比べものにならないほど、扱い難い相手もようだ。 「今回、ここから漁夫の利を得るのは、どの国になるだろうか? それはおそらく日本である。 2期連続で世界ランキング4冠を達成したスパコン富岳が、まさにそれを示している」、いささか大げさな印象だ この流れはスパコン開発だけに止まらない」、事実であれば喜ばしいことだ。 これまで力があった米中の「巨大IT企業」に「逆風が吹き始めている」のは事実だが、筆者の見方はやはり希望的観測といった印象が拭えない
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

携帯・スマホ(その4)(ドコモ 競合3社の新料金プランで薄れる「新味」 料金は2980円で横並び 次なる差別化のカギは、ドコモ「脱自前主義」で次に攻め入る新たな分野 新料金プラン「ahamo」は予約者100万人で手応え、総務省なぜ今公表?携帯2社「解約ページ問題」で批判かわす、ドコモショップ店員の言葉に潜む「代理店施策」 「わざとスマホを壊して!」驚愕営業の実態) [産業動向]

携帯・スマホについては、本年1月16日に取上げた。今日は、(その4)(ドコモ 競合3社の新料金プランで薄れる「新味」 料金は2980円で横並び 次なる差別化のカギは、ドコモ「脱自前主義」で次に攻め入る新たな分野 新料金プラン「ahamo」は予約者100万人で手応え、総務省なぜ今公表?携帯2社「解約ページ問題」で批判かわす、ドコモショップ店員の言葉に潜む「代理店施策」 「わざとスマホを壊して!」驚愕営業の実態)である。

先ずは、2月2日付け東洋経済オンライン「ドコモ、競合3社の新料金プランで薄れる「新味」 料金は2980円で横並び、次なる差別化のカギは」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/409480
・『第4の携帯キャリアである楽天モバイルが料金戦略を大きく転換した。これまで同社は「容量無制限で月額2980円」の単一料金プランを前面に打ち出していたが、1月29日に発表した新プランは、利用データ量に応じて料金を4段階に分けた。1GB(ギガバイト)以下は無料、1~3GBは980円、3~20GBは1980円、20GBを超えると2980円という体系だ。 「もともとの(単一)プランを作ったときは、どちらかというとスマートフォンでネットをたくさん使う人向けだった。ただ、実際はたくさん使う人もいれば、あまり使わないのに料金が高くなっている人がいる」。楽天の三木谷浩史社長は発表会見で、料金を4段階に分けた背景をそう語った。 総務省の調査によれば、スマホユーザーのうち毎月の利用データ量が5GB以下の人は66%に上る。楽天としては、いわゆる「ガラケー」から移行したばかりであまりデータ通信を使わない人から、高速通信の5G(2020年9月からサービス開始)で大容量を使う人まで幅広くカバーしたい考えだ』、「利用データ量が5GB以下の人は66%」、やはり「あまりデータ通信を使わない人」が多いようだ。
・『ドコモの先制攻撃で他社も追随  これで通信大手4社による料金値下げ競争はいったん打ち止めだろう。もともと、口火を切ったのは最大手のNTTドコモだった。2020年12月3日、就任直後の井伊基之社長がお披露目した新プラン「ahamo(アハモ)」は20GBで月額2980円(サービス提供は2021年3月から)という価格設定で業界を驚かせた。データ量が無制限とはいえ、同じ価格の楽天には脅威となった。 楽天と既存大手の最大の違いは、ネットワークのつながりやすさにある。2020年4月から本格サービスを開始した楽天は、2021年1月時点における4G回線の人口カバー率が73.5%。他社はすでに99%を達成しており、5G網の整備でも先を行く。楽天の場合、自社エリア外では提携するKDDIの回線につなぐことになっており、その場合は月5GBを超えると速度制限がかかる。 「(4Gの人口カバー率は)今年の夏には96%に達成する見込み。凄まじい勢いで開通が進んでいる」と三木谷社長は話す。ただ、自社回線の現楽天モバイルに移行すれば先着300万人が1年間無料になるにもかかわらず、ドコモ回線に接続するMVNO(仮想移動通信事業者)である旧楽天モバイルのユーザーはいまだに100万人いる。移行の煩雑さだけでなく、つながりやすさに懸念する層がいるからだろう。 ドコモに続き、ソフトバンクとKDDIも対抗策を打ち出している。2020年12月22日にはソフトバンクが傘下のLINEモバイルを吸収する形で、ドコモと同じく20GBで月額2980円の新プラン「SoftBank on LINE」を発表。コミュニケーションアプリ「LINE」の通信は利用データ量に含めないという「売り」を強調した。 年が明け1月13日にはKDDIも新プラン「povo(ポボ)」を発表した。こちらはドコモとソフトバンクがつけている「1回5分以内の通話は無料」をオプション(月額500円)にすることで、20GBで月額2480円という料金にした。 今後の焦点は事業者間でユーザーの乗り換えが進むのかどうかだ。アハモは1月11時点で事前の予約者数が55万人に達した。ドコモは2020年7~9月の契約が20.9万件の純減だったので、一見するとアハモの引き合いは上々ともいえる。 【2020年2月10日17時45分追記】初出時、ドコモの2020年7~9月の純減数が誤っていました。お詫びして訂正いたします。 だが、ドコモはこの予約者数の内訳(既存プランのユーザーと他社ユーザーの比率)を開示していない。井伊社長はアハモの発表時に「(他社に奪われた)若い世代を取り戻さないといけない」と語っていたが、狙い通りいったのかはまだ不明だ。仮にアハモに切り替えたドコモユーザーの割合が多ければ、顧客単価の下げ圧力が強まるだけだ』、「ドコモはこの予約者数の内訳を開示していない」のは、「他社ユーザーの比率」が想定より少ないためからなのかも知れない。
・『抜本的な打開策が必要  ドコモ、KDDI、ソフトバンクの各社は20GBの中容量帯だけでなく、大容量帯も1000円前後値下げした。つまり楽天以外の料金プランはほぼ横並びだ。値下げ競争が一巡した後は、サービス面での差別化が重要になる。 先述の通りソフトバンクの新プランではLINEの利用はビデオ通話などを含めて無制限だ。KDDIのポボには「24時間データ使い放題を200円で買う」といった、さまざまな有料オプションがある。後発の楽天はもともとネット通販の「楽天市場」など広範なサービス群を持ち、多くのポイントが貯まることを訴求する。実際、楽天モバイルのユーザーのうち55%が楽天市場を利用しており、「モバイルが“楽天経済圏”で非常に重要になる」(三木谷氏)。 一方のドコモは、2980円という料金発表時の衝撃は大きかったものの、結果的にアハモのプランには目立った特徴がなく、他社の対抗プランが出そろった中では「新味」が薄れた。井伊社長は昨年12月の東洋経済のインタビューでサービス戦略について、「今までのドコモだったらやらなかったことを思い切ってやる」と話していたが、顧客獲得を推し進めるうえでサービス面での打開策が早急に求められそうだ』、「ドコモ」はどんな「サービス面での打開策」を打ち出すのだろう。

次に、2月10日付け東洋経済オンライン「ドコモ「脱自前主義」で次に攻め入る新たな分野 新料金プラン「ahamo」は予約者100万人で手応え」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/410872
・『12年間続いた顧客流出に歯止めをかけた。NTTドコモは2月5日、上場廃止となってから初めてとなる決算を発表し、2020年12月にモバイルナンバーポータビリティ(MNP)による携帯契約者の転入数が転出数を上回ったことを明らかにした。これは実に2009年1月以来のことだ。 決算会見で井伊基之社長は「既存プランの『ギガホ』や『ギガライト』の販促を昨秋からドコモショップで強化したのに加え、新プランの『ahamo(アハモ)』開始を前に流出が抑制された」と契約者数の純増の理由を説明。この1月も同様に転入が転出を上回ったという。 国内通信大手3社の決算が出そろったが、四半期ごとの契約数の純増減(前年同期比)を見ると、ドコモは純減幅を大きく縮めたが、KDDIとソフトバンクは純増を維持している。純減拡大を食い止めたとはいえ、ライバルに追いついたとまではいえない。 この差を縮めるためにドコモが繰り出したのが新プランのアハモである。データ量20GBで通話1回5分無料がついて月額2980円、オンラインでのみ契約が可能な若年層向けプランだ。サービス開始は3月26日を予定する。アハモは2月5日時点で事前予約者数が100万を突破。1カ月前が約55万だったことを考えれば、順調に伸びたといえる』、「ドコモ」はNTTによる買収・子会社化により積極姿勢に転じたようだ。
・『金融サービスに強化の余地がある  アハモ予約者の流入元について井伊社長は、「ドコモユーザーと他社ユーザーで比べると、比率は非開示だが、若干ドコモ内からの移行が多い」と明かした。つまり、50万弱は他社から奪い取ったわけだ。アハモ発表当初から若い世代の取り込みを強調していたが、「100万のうちほぼ半分が20~30代で想定したとおり。ドコモの従来ユーザーの比率と比べると倍の水準だ」(井伊社長)と満足げだ。 昨年の値下げの影響で通信事業が減益となる一方、増益に貢献したのがスマートライフ領域だ。ドコモの第3四半期(2020年4~12月)決算でスマートライフ領域の営業利益は前年同期比で約3割増の1778億円となった。その中心が金融だ。クレジットカード「dカード」の取扱高は前年同期比28%増、スマホ決済「d払い」は同2.2倍となった。金融・決済取扱高は第3四半期時点で約5兆円となり、2021年度に6兆円という目標の前倒し達成も視野に入ってきた。 ただ、井伊社長は「金融サービスにはまだまだ強化の余地がある」と述べ、提携を積極化すると強調した。三菱UFJ銀行との提携交渉も報じられたが、「他社との提携についてはしかるべき時期に発表する」と述べるにとどめた。次に繰り出す一手として金融は大きなポイントになる。 2月1日には出前・宅配サービスの「dデリバリー」を今年6月に終了すると発表。ドコモは「d」がつくさまざまなサービスを展開しているが、「負けているものは撤退も含めて検討する。すべて自社でやるのは無理」(井伊社長)。料金値下げで先制攻撃を仕掛け、選択と集中そして提携拡大で新たな強みを構築する。ドコモの戦略は早くも次のステージに移行しそうだ』、今後の「「金融サービス強化」策が注目点だ。

第三に、2月28日付け日刊ゲンダイ「総務省なぜ今公表?携帯2社「解約ページ問題」で批判かわす」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/285749
・『菅政権による携帯電話料金の引き下げ要請により、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社の料金プランは、月額2980円に集約された。サービス内容は「データ使用量20ギガバイト」、「5分以内の国内通話無料」込みのプランで、現状の6割減と大幅な値下げとなった。 ようやく決着がついた携帯料金の値下げ問題だが、26日に総務省は大手2社の不正を公表した。 ドコモとKDDIが自社の解約ページを検索しても、意図的に表示させないようにしていたのだ。ホームページのHTMLタグに「noindex」というタグを入れることで、検索しても表示されなくなる仕組みになっているが、両社は解約ページにこの細工をしていたというのだ。 しかし、ドコモ、KDDIは、すでにこの年末年始で改善しており、現在、解約ページは表示されるようになっている。なぜ、総務省はこのタイミングで発表したのか。 「契約者の離脱を防ごうと、すぐにバレるような細工をしていた2社も問題です。しかし、このタイミングでの発表は、菅義偉首相長男の接待問題で揺れる総務省が、違う問題に批判の矛先を向けようとしたとしか思えません」(市場関係者) 菅首相の長男で、放送事業関連会社の東北新社勤務の正剛氏が繰り返していた総務省幹部への違法接待問題が、連日大きく取り上げられている。くしくも、総務省が今回の解約ページ問題を公表した26日に行われるはずだった、緊急事態宣言の先行解除に関する菅首相の記者会見は、急きょ取りやめになった。 会見中止の理由は、正剛氏から7万円超の接待を受けていた司会進行役の山田真貴子内閣報道官が、集中砲火を浴びるのを避けるためといわれている。 長男の“パパ活”による、政権崩壊の危機を食い止めるのに必死なようだ』、「このタイミングでの発表は、菅義偉首相長男の接待問題で揺れる総務省が、違う問題に批判の矛先を向けようとしたとしか思えません」、見えすいたお粗末極まる広報戦術だ。

第四に、2月26日付け東洋経済Plus「ドコモショップ店員の言葉に潜む「代理店施策」 「わざとスマホを壊して!」驚愕営業の実態」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26325/?utm_campaign=EDtkprem_2103&utm_source=edTKO&utm_medium=article&utm_content=210302&_ga=2.55483688.2032093983.1607135662-1011151403.1569803743#tkol-cont
・『「iPhoneをご自分でわざと壊してください。最近の端末は水に強いので、水没以外の方法がいいですよ。アスファルトの路上に置いて、車で踏みつぶせば確実です」 2020年の暮れ、ドコモショップゲートシティ大崎店(東京都品川区)を客として訪れた記者は、スタッフから衝撃的な説明を受けた。家族分も含めスマホ数台分について乗り換えを検討していることを告げ、ドコモに移った場合の“メリット”を聞いたときに飛び出した話だ。 スタッフがこのような言葉を発した裏には、実はドコモの携帯電話販売代理店施策がある』、携帯電話の販売代理店はもともと行儀が良くないが、「ご自分でわざと壊してください」とのアドバイスには驚かされた。
・『ゴールドカードの補償10万円を悪用  店頭で勧められたのは乗り換えやiPhoneの購入と同時に、年会費が1万円のドコモのクレジットカード「dカードGOLD」に加入することだった。 毎月の通信料金を含むドコモのサービスの支払いはdカードGOLDで行えば10%がポイント還元される(年会費無料のdカードでは1%)。このdカードGOLDのサービス内容には、「ケータイ補償3年間で最大10万円」というものがある。 iPhoneなどスマホの購入時から3年以内にスマホが壊れて修理不可能になるか、紛失・盗難にあった場合には、ドコモが同一機種・カラーのスマホの新たな購入費用を10万円まで補償するというものだ。これは規約に明記されている。 ゲートシティ大崎店のスタッフの勧誘はこの規約を念頭に置いたものだ。「2年後くらいに機種変更したいタイミングで、今回ご購入いただくiPhoneを全損させてください。最大10万円の補償を活用すれば機種変更が事実上、タダになりますよ」と説明された。 「同一機種」の縛りは、現行のiPhoneの人気モデルは2年後には在庫がないため気にしなくていいという。このスタッフは「その頃にはおそらくiPhone14が10万円前後で出ているでしょうからそれに替えればいいです。(通信契約を)ドコモにお乗り換えいただき、dカードGOLDに入っていただければ他社よりも断然お得です」と熱心に営業してきた。 dカードの規約では「故意・重過失または法令違反によって生じた事故による損害」は補償対象にならないとしている。だが、スタッフは「理由を細かく確認されること自体がほぼないし、わざとかどうかはまずわからないので心配しないでいい」と言う。 しかし、故意に壊しておきながら過失を装うのは、言うまでもなく詐欺行為だ。そうした犯罪行為を推奨してまで契約を取ろうとするのは、著しくモラルを欠いたやり方だ』、「機種変更したいタイミングで、今回ご購入いただくiPhoneを全損させてください。最大10万円の補償を活用すれば機種変更が事実上、タダになりますよ」、「故意に壊しておきながら過失を装うのは、言うまでもなく詐欺行為だ。そうした犯罪行為を推奨してまで契約を取ろうとするのは、著しくモラルを欠いたやり方だ」、保険会社も同じ販売店経由の携帯が、壊れるのは怪しいと調査部門が調査に入る筈だ。
・『違法トークの背景にインセンティブ依存  ショップスタッフはなぜそこまで必死になるのか。 それは、勧誘がうまくいけば他社からの乗り換えとdカードGOLDの獲得件数を稼ぐことができ、ドコモからのインセンティブ(成果に応じた手数料)の評価につながるからだ。 インセンティブは、ショップを運営する代理店にとっては非常に重要なものだ。ドコモを含む携帯電話ショップの経営は、携帯電話事業者(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)が代理店に支給するインセンティブに大きく左右される構造になっている。 携帯電話ショップではスマホ端末などを携帯電話事業者から仕入れて数多く販売してはいる。だが、こちらは携帯電話事業者から非常に高い原価率で仕入れさせられており、物販で十分な利益を上げるのは困難だ。そのためショップの利益は、通信契約獲得などに対する携帯電話事業者からの評価に基づいたインセンティブ依存になっている。 メインのインセンティブの評価では複数の項目についてドコモが基準値(目標の数字)を設定しており、その達成率によって点数が決まる仕組みだ。評価対象にはドコモの光回線の獲得や、ドコモの決済サービス「d払い」の初期設定を客にどれだけ完了させたかなども含まれる。「dカードGOLD」の獲得も評価対象だ。 トータルでは100点満点で、点数次第でインセンティブのベースとなる単価が大きく変わる。この単価に、携帯電話の通信プランの契約件数(他社からの乗り換え、新規、機種変更の総数)を掛けたものがインセンティブの支給額になる。つまり、単価が1000円違うだけで、月間のインセンティブ収入は数百万円単位で上下することもある。 冒頭の「iPhoneをわざと壊せ」という話は、このドコモの代理店施策に起因したものとみられる。他社からの乗り換えは最高で30点と配点が最も高く、dカードGOLDの獲得は最高で10点の配点だ。 ゲートシティ大崎店を運営する大手携帯販売代理店のティーガイアに今回の件についての見解を聞くと、広報担当者は「回答を差し控えたい」とのみ話した』、「ティーガイア」としても公式に不正を認める訳にはいかないので、当然の対応だ。
・『ガラケーユーザーに虚偽説明  ドコモショップにおいて、各店が前述のインセンティブ評価の指標を懸命に追いかける中で、多くの利用者に不利益をもたらすことが懸念される項目がある。 それは「スマホ移行」だ。ショップがガラケー(2つ折り型など従来型の携帯電話。日本国内で独自に進化したガラパゴス・ケータイ)を使う利用者をどれだけスマホに移行させたのかを測る指標だ。こちらの配点は最高30点で、他社からの乗り換えと並んで最も高い。 一般的に、スマホよりもガラケーのほうが月額の通信料金は安い場合がほとんどだ。ネットはほぼ使わずメールや通話がメインという利用者であれば、ガラケーを使い続けたほうが料金的なメリットはある。 ドコモからすれば、スマホ移行は通信料金の客単価上昇につながるプラスの面がある。だが、この裏返しで、本来はガラケーで十分な利用者は、余分な出費を強いられかねない。ドコモはガラケーに使う通信規格3Gの終了を2026年3月末と発表しており、ガラケー利用者の側には、あわてて乗り換える必要性もない。 だが、あるショップ関係者によるとインセンティブの評価の点数を稼ぐために、「この携帯(ガラケー)は『まもなく』使えなくなります」などと虚偽の説明をし、直ちにスマホに移行するように促すことがざらにあるという。 この関係者は「ガラケーの利用者には携帯電話に詳しくない高齢者が多く、ドコモを信頼している人が多いので、こちらの説明を疑いなく聞いてもらえる。ただ、こうしたやり方は不適切だとわかっている」としつつ、「本来は顧客本位に徹すべきだが、代理店施策に対応するため、正直言って余裕がない」と苦しい心境を明かす。 ドコモの代理店担当部長・川瀬裕吾氏は取材に「インセンティブの数値は、過去のお店の実績やお客様の意向調査も踏まえて設定している。ショップが適正な形で最大限努力すれば売れる数だ」と述べるが、販売店の声とは明らかに温度差がある。(NTTドコモ担当者との一問一答はこちら)。 ドコモショップでは2019年1月、市川インター店(千葉県市川市)のスタッフが、インセンティブの評価につながらない客を「クソ野郎」呼ばわりするメモを書いていたことが表面化し、大問題になったことも記憶に新しい』、「ガラケーの利用者には携帯電話に詳しくない高齢者が多く、ドコモを信頼している人が多いので、こちらの説明を疑いなく聞いてもらえる」、客の弱味にツケ込むとは悪質だ。
・『ソフトバンクでも問題が  ドコモの同業他社ではどうか。例えば、東洋経済が2020年2月に代理店施策の中身を詳報したソフトバンクだ。当時、大容量プランの獲得率や有料オプションの加入率に高い水準を求め、結果が悪ければショップが得られるインセンティブが下がる「クオリティ評価」という施策を採り入れていた。同社は記事が出た翌月、クオリティ評価を廃止した。 しかし、このほかにも問題のありそうな施策が存在していた。利用者がソフトバンクの大容量プランから割安な同社サブブランドのワイモバイルに移行した場合は、インセンティブを決める店舗評価の点数が2分の1以下に下がる。逆にワイモバイルからソフトバンクに移行した場合は点数が2倍以上に上がるようになっていたのだ。 2021年1月のソフトバンクの代理店施策の内部資料を確認すると、こちらの施策は今も変わらず続いている。 ソフトバンクは相対評価で代理店を激しく競わせており、評価が振るわなければ強制閉店の措置まで取る。あるソフトバンクの代理店関係者は「これではお客様に適切なプランをお勧めすることなどできない。どうしても配点がチラついてしまう」と話す。 携帯電話は通信プランの通常料金のほかに、光回線とのセット割引や家族割引、期間限定の値下げオプションの組み合わせなど今なお料金体系が複雑で、そのために携帯電話ショップの案内を頼る人は少なくない。 ドコモの川瀬氏は、「ドコモでは無理な販売は絶対にダメだと考えており、代理店にもご理解いただいていると思っている」と述べ、代理店施策に問題はないと主張する。それならばなぜ、市川インター店やゲートシティ大崎店のようなことが起きるのか。ドコモは代理店で起きている現実を直視し、代理店施策の見直しを検討するべきだろう』、「販売店」への「インセンティブ」体系を各社の営業方針に沿ったものではなく、顧客本位のものに変えてゆくべきなのだろう。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ 携帯・スマホ 東洋経済Plus (その4)(ドコモ 競合3社の新料金プランで薄れる「新味」 料金は2980円で横並び 次なる差別化のカギは、ドコモ「脱自前主義」で次に攻め入る新たな分野 新料金プラン「ahamo」は予約者100万人で手応え、総務省なぜ今公表?携帯2社「解約ページ問題」で批判かわす、ドコモショップ店員の言葉に潜む「代理店施策」 「わざとスマホを壊して!」驚愕営業の実態) 「ドコモ、競合3社の新料金プランで薄れる「新味」 料金は2980円で横並び、次なる差別化のカギは」 「利用データ量が5GB以下の人は66%」、やはり「あまりデータ通信を使わない人」が多いようだ。 ドコモの先制攻撃で他社も追随 「ドコモはこの予約者数の内訳を開示していない」のは、「他社ユーザーの比率」が想定より少ないためからなのかも知れない 抜本的な打開策が必要 「ドコモ」はどんな「サービス面での打開策」を打ち出すのだろう 「ドコモ「脱自前主義」で次に攻め入る新たな分野 新料金プラン「ahamo」は予約者100万人で手応え」 「ドコモ」はNTTによる買収・子会社化により積極姿勢に転じたようだ。 金融サービスに強化の余地がある 今後の「「金融サービス強化」策が注目点だ 「総務省なぜ今公表?携帯2社「解約ページ問題」で批判かわす」 「このタイミングでの発表は、菅義偉首相長男の接待問題で揺れる総務省が、違う問題に批判の矛先を向けようとしたとしか思えません」、見えすいたお粗末極まる広報戦術だ 「ドコモショップ店員の言葉に潜む「代理店施策」 「わざとスマホを壊して!」驚愕営業の実態」 「iPhoneをご自分でわざと壊してください 携帯電話の販売代理店はもともと行儀が良くないが、「ご自分でわざと壊してください」とのアドバイスには驚かされた ゴールドカードの補償10万円を悪用 「機種変更したいタイミングで、今回ご購入いただくiPhoneを全損させてください。最大10万円の補償を活用すれば機種変更が事実上、タダになりますよ」、 「故意に壊しておきながら過失を装うのは、言うまでもなく詐欺行為だ。そうした犯罪行為を推奨してまで契約を取ろうとするのは、著しくモラルを欠いたやり方だ」、保険会社も同じ販売店経由の携帯が、壊れるのは怪しいと調査部門が調査に入る筈だ 違法トークの背景にインセンティブ依存 「ティーガイア」としても公式に不正を認める訳にはいかないので、当然の対応だ ガラケーユーザーに虚偽説明 「ガラケーの利用者には携帯電話に詳しくない高齢者が多く、ドコモを信頼している人が多いので、こちらの説明を疑いなく聞いてもらえる」、客の弱味にツケ込むとは悪質だ ソフトバンクでも問題が 「販売店」への「インセンティブ」体系を各社の営業方針に沿ったものではなく、顧客本位のものに変えてゆくべきなのだろう
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

ネットビジネス(その10)(はじめしゃちょーとUUUM・鎌田和樹社長CEOが語る 「スターも事務所もまだ進化できる」、人気のゲーム機など高額転売はやりたい放題 「転売ヤー」の増殖を誰も止められない事情、インタビュー/メルカリ日本事業CEO 田面木宏尚 「転売対策で法律に頼ったら事業者として失格」) [産業動向]

ネットビジネスについては、昨年7月25日に取上げた。今日は、(その10)(はじめしゃちょーとUUUM・鎌田和樹社長CEOが語る 「スターも事務所もまだ進化できる」、人気のゲーム機など高額転売はやりたい放題 「転売ヤー」の増殖を誰も止められない事情、インタビュー/メルカリ日本事業CEO 田面木宏尚 「転売対策で法律に頼ったら事業者として失格」)である。

先ずは、昨年11月10日付け東洋経済プラス「はじめしゃちょーとUUUM・鎌田和樹社長CEOが語る 「スターも事務所もまだ進化できる」」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/25176
・『ユーチューブでの動画投稿を続けること8年のはじめしゃちょー(注2)と、ユーチューバーなどクリエーターのマネジメント事務所・UUUMを創業し、7年間経営の舵を取ってきた鎌田和樹社長(注1)。激変するユーチューブ市場のど真ん中を歩んできた2人に、自身と業界の展望を聞いた(Qは聞き手の質問)。 Q:UUUM創業時と現在でユーチューブを取り巻く環境はどう変わりましたか? 鎌田和樹社長(以下、鎌田):コンテンツの作り手と内容、両方のバリエーションがかなり広がった。 最初はHIKAKIN(ヒカキン)やはじめしゃちょーのように、1人でいろいろなネタを手がけるユーチューバーが脚光を浴びた。そこに複数人のグループ型ユーチューバーやバーチャルユーチューバーが出てきて、コンテンツ面ではガジェット系から、美容、旅行、釣りといったジャンル特化型へ広がっていった。老若男女に視聴者の裾野が広がったからこその変化だと感じている。 企業がユーチューバーやその事務所に向ける目も劇的に変わった。創業当時、真夏も真冬もあちこち営業して個人が発信する動画の影響力について語って回ったけど、「どこぞの個人になんでお金を出さなきゃいけないんですか?」という反応ばかりだった。 それが今は、動画で商品紹介をしてほしい、テレビCMに出てほしいと、たくさん声がかかる。直近では日本コカ・コーラの「東京2020」関連の案件なども経験させてもらい、社会的な信頼を勝ち取れてきたのだと実感する。 Q:わずか数年でこれだけの変化が起こった要因は? 鎌田:ひとえに、ユーチューバーたちの頑張りではないか。全然見られなくても、儲からなくても、自分が楽しいからやるというクリエーターが根気強くコンテンツを増やしていったことで、視聴者の関心が高まり市場が形成された。 個人でも自由な表現で活躍できる、それを生活の糧にできるんだと、「ジャパニーズ・ドリーム」みたいなものを見せてくれた。だから、あこがれの職業として子どもたちの人気も得ているのだと思う』、「わずか数年でこれだけの変化が起こった要因は」、「ユーチューバーたちの頑張りではないか。全然見られなくても、儲からなくても、自分が楽しいからやるというクリエーターが根気強くコンテンツを増やしていったことで、視聴者の関心が高まり市場が形成された。 個人でも自由な表現で活躍できる、それを生活の糧にできるんだと、「ジャパニーズ・ドリーム」みたいなものを見せてくれた。だから、あこがれの職業として子どもたちの人気も得ているのだと思う」、なるほど。
・『注1:かまだ・かずき/2003年大手通信会社に入社。総務、店舗開発・運営などで実績を上げ、2011年より系列会社役員。その後起業を決意し、ヒカキンとの出会いを経て2013年に現UUUM設立。
・(注2:はじめしゃちょー/2012年、大学在学中に同級生とともにユーチューブへの動画投稿を開始。実験系をメインにオールジャンルの動画を手がける。チャンネル登録者数は890万人超』、
・『会社としてできたことを挙げるなら、株式上場するなど社会的信頼を得る努力をしたことか。ユーチューバーはどうしても、クレジットカードを作れない、家を借りたいのに審査がおりないといったことがザラだった。 今は(所属先がUUUMであることを保証に)そういう不便を徐々に解消できている。広告主企業とユーチューバーとのハブ機能を果たすうえでも、企業としての社会的信頼は重要だ。 はじめしゃちょー(以下、はじめ):僕は「マルチクリエイター」と言われることが多いけど、自分でそう名乗ったわけではなく、ジャンル特化のユーチューバーが増える中でそう呼ばれるようになった。自分が変わったというより、周りの環境が変わったと感じる。 最近の大きな変化は、テレビで活躍する芸能人がユーチューブにどんどん入ってきたこと。ユーチューブを主戦場にしてきた僕らからすれば、今までユーチューブをあまり見なかった人を連れてきてくれたのは非常にありがたい。 ただ、チャンネルが増えれば当然競争は激しくなる。ヒカキンさんや僕のような長年やってきたユーチューバーはさておき、これから頑張っていくぞというタイミングのユーチューバーにとっては、大きな脅威になると感じる』、「ユーチューバーはどうしても、クレジットカードを作れない、家を借りたいのに審査がおりないといったことがザラだった。 今は(所属先がUUUMであることを保証に)そういう不便を徐々に解消できている」、確かに「UUUM」の存在意義だ。
・『Q:自身の動画の見られ方には変化を感じますか? はじめ:自分の場合、実はあまり細かい分析をしていないのでわからない部分も多い。ただ7年もやっていると、見ている人も僕と一緒に歳を取っていく。 昔はよくコメントくれたあの人、最近は疎遠になってしまった、とか、「就活中です、応援してください!」と言っていた人が、「就職先が決まりました!」と報告をくれたあと音沙汰なし、とか、生活や視聴習慣の変化を感じる。 一方で、今新しくファンになってくれる人もいるので、悲観はしていない。出ていく人がいれば、入ってくる人もいる。 Q:年齢の上がっていく昔からのファンに合わせて動画の内容を変えていくことはしないのですか? はじめ:自分のキャラクターやポリシーとして、あまり変えるべきでないと思っている。ただ、視聴者の年齢には関係ないけど、動画を見せるうえでのテクニックにはその時々のトレンドがあるので、ちょっとずつ取り入れている。 Q:例えばどんなふうに? はじめ:まず、動画のサムネイル。以前は目立つ文字を入れて派手にするのが定番だったけど、芸能人とかはもう顔が写っているだけで強いので、文字より人物をしっかり見せるほうがいい?みたいな風潮が出てきていたりする。 あとは字幕テロップ。昔はしゃべっていることを全部起こすことはしていなかったけど、子どもたちも見るようになったので、できるだけ字幕にしたほうが見やすいかな、とか。 もちろん自分のスタイルがあるので、流されすぎるのもよくない。「最近はこんなトレンドか」と頭の片隅に置いて、嫌らしくない程度に取り入れられればと。 Q:はじめしゃちょーのように数百万規模のチャンネル登録者数を抱える“トップ・オブ・トップ”のユーチューバーが今後新しく生まれるのは、ちょっと難しい時代になっていると感じます。 鎌田:今から800万みたいなチャンネル登録者数に追いつくのは、正直かなりハードルが高い。日本の人口が増えない中で、適切な言い方かわからないけど、初期から積み上げた“既得権益”みたいなものがある。 ただ、800万みたいな数字を目指さないと成功できないかというと、そうではなくなっている。ユーチューバーの成功を「好きなことで食べていける」と定義するなら、そこまで登録者数や再生数がなくても全然問題ない。 ユーチューブのチャンネルというのは、ビジネスでいえば名刺を持っているようなものだと思う。ツイッターやインスタグラムのアカウントも同じ。何かを発信したい人は当たり前に運用していて、そのうえで自分の影響力や才能を生かして何をするかが稼ぎ方の肝になってきている。 だからUUUMに求められることも変わってきた。もともとは単純にユーチューブの運営ノウハウを伝えていればよかった。けど、ユーチューブを基盤にして、次は自分のブランドを作りたい、ゲームを作りたい、サロンをやってみたいと、そういうニーズに対してのサポートが必要だ。 コンテンツ自体の収益化の方法もユーチューブ一択ではなくなった。人によってはツイッターのほうが向いている場合もあり、事務所としてその提案やハンドリングをすることも増えた。 そういう意味で、最近は「ユーチューバー」より、「クリエーター」や「インフルエンサー」という呼び方のほうが主流になっている』、「「クリエーター」や「インフルエンサー」という呼び方のほうが主流に」、「呼び方」が出てきた経緯が理解できた。
・『Q:直近のUUUMの決算は、2020年の3~5月期が営業赤字、6~8月期も以前の水準に比べ利益がかなり低い水準です。 鎌田:新型コロナの影響が大きい。所属クリエーターの動画再生数は伸びたものの、全体的に広告主の出稿マインドが下がってしまった。ファンと触れ合うリアルイベントを開催できなかったのも痛い。 これらの要因に加え、攻めの先行投資も増やしている。具体的には、制作予算を増やしたり、トップクリエイターに専門の支援チームを作ったりしている。ファンが1回見て終わりという動画だけでなく、例えばミュージックビデオとか、今まで見なかった人にも届いたり、何度も見られたりするようなクオリティの高いものを作るチャレンジをしている。 はじめ:支援してもらえる内容が増えているのは実感する。とくにタイアップ案件で、クライアントとの時間がかかるやり取りを代行してもらえるのはありがたい。 普段の動画づくりも、1人で作業しているわけではなく、字幕テロップを付ける作業を代行してもらったり、企画の相談に乗ってもらったり。どうすればもっといい動画にできるかという相談は、なかなかほかにできる場所がない。 Q:はじめしゃちょーは、UUUMを退所するユーチューバーが増えている件に触れた動画の中で、「炎上して地の底に落ちたときも見放さず適切な対処やアドバイスをくれた」ことを挙げ、事務所に居続けたいと語っていました。 はじめ:いやー、そこは本当に、実体験として助かったところが大きい。実務的な部分も、精神的な部分もものすごく支えてもらった。 物を作って世の中に出していくうえで、いい精神状態を保つことは非常に大事だと思っている。そういう意味では、すぐそばに信頼できる人がいて、何かあったときに助けてくれるのは何にも代えがたい価値だ。 鎌田:前提として、事務所を辞めてもユーチューバーとして十分活動できる環境になったのは本当にいいことだと思っている。ユーチューバーというものが社会的に認められて、市場が成熟してきた証拠なので。 メディアでも社員からフリーランスになる人はいるでしょう。どんな会社でも転職していく人はいる。今いるところがイケてない、支援が十分じゃないから辞めるというケースもあるだろうが、違う挑戦をしたいという動機もある。こちらが何か言うことではない。 そのうえで、はじめしゃちょーの言うように事務所に所属してもらうメリットも依然としてある。ユーチューバーの影響力が増す中で、タイアップ案件の規模も大きくなっている。億円単位の仕事も出てきているが、そういうものを進めていくにはやっぱり信頼がセットになっている。 もしそのユーチューバーにトラブルが起きたらと考えると、広告主企業も一個人に発注するより間に事務所が入っているほうが安心だ。 そういう意味では、ユーチューバーにとって事務所は半分「保険」みたいなものかもしれない。入らない選択肢もあって、何もなければ「お金が浮いてラッキーだったな」と思うだろう。ただ何かあったときに「入っていてよかったね」というのもまた違う価値だ。入っていることでより大きな仕事が来る可能性も高まる。 もちろん、もっと稼げるようにする、創作活動を楽にするという価値も今後いっそう発揮したい。所属クリエーターにも、事務所をどううまく使っていくかに着目してほしい。より手数料率の安い事務所に行こうか、あるいは独立しようかというのも選択だけど、目先の収益を見て身の振り方を考えている時間を、もっとスケールの大きな活動をするための思考に使えるかもしれない』、「ユーチューバーにとって事務所は半分「保険」みたいなものかもしれない。入らない選択肢もあって、何もなければ「お金が浮いてラッキーだったな」と思うだろう。ただ何かあったときに「入っていてよかったね」というのもまた違う価値だ。入っていることでより大きな仕事が来る可能性も高まる』、その通りだろう。
・『クリエーターはモノではなく人  Q:人気が出たとたんに辞められてしまうことが続くと、育成期間の投資を回収できず、事務所としてのビジネスは成り立たないのでは、との指摘もあります。 鎌田:悲観的な方程式を立てるとそうだろうが、実際は多くのスターが今も残ってくれている。それに、「次はこんな企画をやりたい」という所属ユーチューバーの無理難題に対し、どうやったら実現できるか会社として一緒に試行錯誤する中で、それがお互いの信頼にもなるし、会社のノウハウにもなっている。そういうノウハウに価値を感じて新しいスター候補も入ってきてくれる。 「投資してきたものなのに収穫できなかった」みたいな言い方だけど、クリエーターはモノではなく人。そんなに単純ではない。事務所としてまだまだ進化しないといけないけど、その分ビジネスとしての伸びしろがある。 Q:はじめしゃちょーは今27歳ですね。長くやって来られた方の中にはユーチューバー活動を休止される方も出ていますが、この先の展望や不安はありますか? はじめ:難しい質問ですね。なんというか、テレビに出てもっと有名になりたいとか、そういう思いはあまりなくて、この先10年も、自分が面白いと思う動画を作っていたいというのがいちばん大きい。 同じことをずっとというわけではなく、さらにスケールの大きなことに挑戦できればと思う。今でも「明らかに赤字になりそうだな……」という無茶苦茶な企画もやっている。歴史に残ると言ったら大げさだけど、人の記憶に残る作品を作っていきたい。それで、継続して見てくださる人がいて、ユーチューバーとして稼いで生活する期間をできるだけ長く続けられたらと。 不安はもちろんある。「大学生のはじめしゃちょー」だから応援していたというファンもいると思う。歳を重ねていくと、親近感がなくなっていくかもしれない。そうなったときに次は何をやってくか。それを考えるのは、1人より事務所の皆さんと一緒だとなおいい。 鎌田:ちょっと年上の僕からしても、その気持ちはわかる。やっぱり30代に入るくらいのときにはこのままでいいのかと悩んだし、それが起業のきっかけにもなった。 UUUMはクリエーターに何かを諭すというより、どんな相談にも乗る事務所でありたい。個々人のロングスパンの人生を考えて、資産形成できるようにもしたい。今後は結婚し、子どもが生まれるユーチューバーも増えるだろう。その際に必要な支援が変わってくるなら、それも準備したい』、今後の「UUUM」や「ユーチューバー」の発展を見守りたい。

次に、2月16日付け東洋経済プラス「人気のゲーム機など高額転売はやりたい放題 「転売ヤー」の増殖を誰も止められない事情」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26188/?utm_campaign=EDtkprem_2102&utm_source=edTKP&utm_medium=article&utm_content=210218
・『「転売ヤーに対していろいろと批判があるのはわかっているが、自分たちは“必要悪”といえる存在だ」 ある40代の転売ヤーの男性はそう話す。かつてはパチプロだったが、転売で生計を立てるようになってから10年以上になるという。昨年は、人気ゲーム機の「Nintendo Switch(スイッチ)」や「PlayStation(PS)5」、「鬼滅の刃」グッズなどのエンタメ商材のほか、規制直前までマスクなどの衛生用品も転売し、「数千万円を売り上げた」と打ち明ける。 人気商品を大量に仕入れ、高値をつけて売る人たちは、ネットの世界で「転売ヤー(転売屋)」と呼ばれる。フリマアプリやオークションサイト、出店者として登録をしたアマゾンなどのECサイト上で商品を転売し、利益を稼ぐ。小遣い稼ぎの個人から、転売を生業にする人までそのタイプはさまざまだ。 転売の商材は、一般消費者が買いそうなものであれば何でもあり。これから人気化しそうで品薄が見込まれる限定商品、抽選販売が実施される新商品を徹底的に調べ上げる。1つでも多く買うために、ネット販売ならば、1人で複数のアカウントを作ったり、ウェブブラウザを自動で動かすbot(ボット)を利用したりする。どこかの実店舗で数量限定の販売があるとわかれば、アルバイトを雇って行列に並んでもらい、商材を買い集める“プロ集団”もいる。 「昨年はまさにマスクの転売バブルから始まった。その後も確実に稼げる商材がたくさんあって、プロでも初心者でも誰でも稼げたのではないか。不謹慎かもしれないが、亡くなった芸能人の写真集やDVDなども高値で売れた」(前出の転売ヤー)という』、「小遣い稼ぎの個人から、転売を生業にする人までそのタイプはさまざまだ」、「数千万円を売り上げた」ケースまであるとは、存在を再認識した。
・『転売に法的な規制はない  前出の転売ヤーはプロ中のプロだが、個人間における転売が身近になったのはフリマサイトが台頭してからだろう。国内最大手である「メルカリ」のサービス開始は2013年7月。自分が要らなくなった不要品を出品者として売りに出し、それを別の利用者が買うのは昔からあるフリーマーケットと同じだが、スマートフォンで簡単に売買できる手軽さから2次流通のプラットフォームは急速に成長した。経済産業省の推計では2018年のフリマアプリの市場規模は約6400億円。2016年比で2倍以上に拡大している。 健全な出品者と購入者のやり取りが大半を占める一方、転売ヤーたちが入手困難な商品を買い集め、フリマサイトなどで高値で出品する事例も目立つようになった。そして、昨年に社会問題化したのが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスクやアルコール消毒液などの衛生用品の高額転売だった。 店頭販売のマスクが瞬間蒸発する中、ネットでは転売が横行し販売価格が通常の100倍以上に高騰した事例もあった。このため、国民生活安定緊急措置法により2020年3月に衛生用品の転売が禁止された(同年8月に規制解除)。 また、コロナを背景に巣ごもり消費でにわかに需要が高まったのがゲーム機だった。スイッチは2020年4~5月にネット上での売買価格が跳ね上がっている(詳しくは、連載第3回「スイッチ」の異常な転売価格と「PS5」高騰の必然)。エンタメ関連では、映画が日本歴代興行収入で1位となるなど一大ブームを巻き起こした「鬼滅の刃」が典型だ。関連商品や映画の限定特典などあらゆるものが転売の標的になった。 法律で転売が禁止されている興行チケットやフリマサイト側が出品禁止物とする衛生用品、販売免許が必要な医薬品などを除けば、ネット上の転売に法的な規制はない。そのため、ルールを設けてどこまで出品を制限するかは、オークションやフリマサイト側の判断にゆだねられている。 PS5の場合、2020年11月の発売直後からフリマサイトのメルカリへの高額出品が続出。100台900万円という抽選販売ではありえない出品も報じられたことから、販売元のソニーがPS5の転売防止と協力を求めたが、メルカリ側は出品禁止などの個別対応は行っていない(詳しくは、連載第2回「メルカリ、ヤフオクが高額転売を「禁止」しない理由)。 「ゲーム機の転売は、法律で規制されていないからやっている。世の中のものは(仕入れて、別のところに売る)転売で成り立っているわけだし。自分たちはこれ(転売)で経済が回っているのだから、突っ走るしかない。マスクやチケットのように法規制が入れば、ほかの商材を転売する」(前出の転売ヤー)』、「転売ヤー」はあらゆる商機を見極めているようだ。
・『消費者の声を受けて付録の見直しも  こうした転売ヤーに対し消費者からは不満や対策を求める声が上がっている。「ゲーム機やエンタメグッズは生活必需品ではないし興味ない人から見ればどうでもよいのかもしれない。ただ、欲しい商品が欲しい人の手元に行き渡らないことについて、何か対策が必要ではないか」(20代男性)。 転売ヤーの買い占めで予定していた企画の中止を余儀なくされるケースもある。ある女性誌を刊行する出版社の担当者は「『雑誌の付録がフリマサイトで転売されているのを対策してほしい』『購入できず非常に残念だった』など数多くの意見が寄せられ、予定していた宣伝物の中止・差し替えを行う事態となっている。お客が一度購入したものを強制的に禁止する法的根拠がないので対策が難しい」と悩みを打ち明ける。 女性向けのファッション雑誌では雑誌の付録に有名ブランドとコラボした限定アイテムを同梱して発売することが多い。「転売不可」と明記していても、雑誌の付録だけをオークションやフリマサイトに出品される事例が後を絶たない。 例えば、「CanCam」の2021年3月号(850円)に同梱されたドラえもんとGUCCIの「コラボノート」がそうだった。「発売翌日に近所の書店に問い合わせてもどこも売り切れ。それなのに、フリマサイトでは付録だけが大量に出品されている。1冊2000円。悔しいから買わなかった」(40代女性)という』、「雑誌の付録だけをオークションやフリマサイトに出品される事例が後を絶たない」、のは、「雑誌の付録に有名ブランドとコラボした限定アイテムを同梱して発売することが多い」ので、やむを得ないといえよう。
・『罵倒されても転売ヤーに売らないノジマ  こうした転売ヤーに対して明確に反対を打ち出す企業も出てきている。「リラックマ」や「すみっコぐらし」などの人気キャラクター商材を展開するサンエックスは2018年12月「悪質な転売につながるような行為について断固反対」として指針を表明した。 また、大手家電量販店のノジマは2021年1月に「転売撲滅宣言」を出した。メーカーや小売店が転売に対する反対姿勢を表明するのは、本当に欲しい消費者の手元に商品が十分に届いていないという問題意識があるからだ。ノジマではゲーム機などで購入履歴から転売目的とみられるお客には、店頭での販売を断っている。そうした場合、「『法律で禁止されていないのになぜノジマが決めたことに従わないといけないのか』と店舗のスタッフが罵倒されることもしばしばある」(ノジマ・ゲームMD担当者)という。 メーカーや小売店だけでなく2次流通のプラットフォーム側も対策に乗り出す構えを示している。だが、不当な転売をどう位置づけるかが難しく、高額転売についての対応に大きな差はない。 前出の転売ヤーの男性によれば、コロナ禍による金銭的な不安から、転売初心者から「どうすれば儲けられるのか」といった問い合わせが例年の5倍近くあったという。高額転売をもくろむ人たちが増えると、標的になる商材が拡大し、欲しい商品が手に入らないと不満を募らす人が一段と増える。この循環が止められそうな気配はない』、「ノジマ」のような小売店はあくまで例外。法規制の対象外の商品については、自由な取引に委ねる他ないようだ。

第三に、2月18日付け東洋経済プラス「インタビュー/メルカリ日本事業CEO 田面木宏尚 「転売対策で法律に頼ったら事業者として失格」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26196/?utm_campaign=EDtkprem_2102&utm_source=edTKO&utm_medium=article&utm_content=210218&_ga=2.265220108.2032093983.1607135662-1011151403.1569803743#tkol-cont
・『国内最大のフリマアプリ・メルカリ。個人間の売買を劇的に手軽にしたプラットフォームは、人気商品の高額転売で利益を得る「転売ヤー」にとっても使い勝手のいい場になっている。売りたい人、買いたい人をつなぐ存在としての「健全性」をどう考えるか。メルカリで日本事業のCEOを務める田面木宏尚氏に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは田面木氏の回答)。 Q:2020年に有識者会議を立ち上げて「マーケットプレイスの基本原則」を定めた背景は。 A:メルカリは設立8年の会社。フリマアプリ自体も歴史が浅く、個人間の売買が身近になったのはまだ最近のことだ。そんな中で去年、新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の状況になり、マスクや消毒液の買い占め・転売問題が起きた。 考えてみれば東日本大震災のときにも物資の買い占めは起こったが、売る手段としてフリマアプリはまだなく、転売が大問題に発展することもなかった。今回噴出した新しい現象・課題をどうとらえていくべきか。それを問われたことが有識者会議立ち上げの背景にある。 メルカリは「循環型社会を創ること」を創業の理念としている。要らなくなったものを必要とする誰かに届け、それを世界レベルで実現すればより経済が回っていく。この思いは一貫しているが、その過程で対処すべき課題を外部の識者と今一度議論してみたいと思った。 Q:「高額転売」についてはどんな意見が出ましたか? A:フリマには売る側と買う側、どちらにも多様な視点があるだろうというのは総意だった。いわゆる「高額転売」についてもさまざまなケースがある。手元にモノが余っているから売るという人もいれば、(ある商品を)買い占めて利ザヤを取ろうとする人もいる。それを買っている側にも意見もあるだろう。それだけのお金を投じても、欲しい、買う価値があると。 市場原理の観点から、価格が高騰することそれ自体が問題であるという意見は、有識者からも出なかった。ただメルカリとしては、ここに何らかアクションをしたい。そう意見したことで出た方策が「アラート機能」だった。 なぜ高額でも買ってしまうのか。その要因の1つとして、情報が不足していることが挙げられた。「今買わないと」と焦る。そこに対処してはどうだろうという話になった。1次流通の皆さんと連携して、事前の注意喚起や販売スケジュールなどの情報を(メルカリのサービス画面上で)出していければ、今慌てて買わなくてもいいと思えるかもしれない』、「転売問題」で「有識者会議立ち上げ」とは驚かされた。
・『「一律の規制」が本当に有効なのかを考えるべき  Q:出品そのものへの規制は? A:重要なのは1次流通であるメーカーの意見だと思う。僕自身、たくさんの1次流通の方と直接話をしてきたけど、高額転売への意見はさまざま。2次流通の価格高騰を問題視するケースもあれば、小売店で買い占めが起きることを問題視するケースや、(転売にはさほど関心がなく)偽物の流通などに頭を悩ませるケースもある。販売元の思いの多様性を尊重する意味でも、一律の規制が本当に有効なのかは考えなければならない。 まずわれわれとしては、販売元の皆さんからたくさん意見を聞きたい。そのうえで対応について今後も検討していく。ひとまず今回出した「アラート機能」は、いろいろなケースに横断的に活用できる。 販売元の意向によってメッセージの内容を変えることもできるだろう。(新たに機能として加える)アラートが購入を思いとどまらせてメルカリの流通額を下押しする可能性はあるが、それでも踏み込んでやる。 Q:特定の商品を欲している消費者としては、アラートを見ても「高いのは重々承知」と思うだけのような気もします。それでもアラートを出す意味はあるでしょうか。 A:そのあたりは実際に出してみないとわからない。メルカリの中で買い手の行動がどう変わるのかを見たい。 あとは、あらゆる販売元と連携してケースをどんどん作っていきたい。商品ジャンルごとに違った傾向が出るかもしれないので、まずは知見をためる』、「まずは知見をためる」とは賢明なやり方のようだ。
・『場合によっては「出品禁止」の措置を取る  Q:PS5についてはソニー・インタラクティブエンタテインメント側からメルカリに転売防止の協力を要請しています。販売元企業がそう言ってきた場合も、メルカリ側で規制するのは難しいのでしょうか? A:そうですね。本件に限らず、偽物や詐欺は別として、高額で出品されているという理由だけで一律に規制することは現状考えていない。禁止の根拠となる法律もない。その点は(販売元の)各社としっかり話し合う中でご理解いただいていると思っている。実際、出品自体を全部規制してほしいという要望はほぼない。 とはいえ、われわれとしては販売元から要望を聞き、どういう対応が可能か引き続き対話していきたい。ときにはアラート以上の対応をとるかもしれない。例えば、(ある商品の売買によって)詐欺が横行しそうで信頼が担保できない場合。あくまで想像の範囲だが、そういった事態になりそうなら、出品禁止に踏み切る可能性はある。 いずれにしろ、判断の拠り所となるのは今回定めた基本原則だ。つまり、売買取引が「安全であること」「信頼できること」「人道的であること」。ここに抵触する可能性があれば何らかの措置を行う。今までは基準として参照するものがなく議論しづらかったが、今後は1次流通の企業にも「われわれはこう考えているんですが、どうでしょう?」と問える。 Q:正規の値段で買えずもどかしい思いをしている人の不満が、SNSやメルカリのサービス内などで表出しています。こうした声に、メルカリとしてどう向き合いますか。 A:冒頭で話した通り、フリマアプリはまだ新しいサービス。人によって見方が多様であっていいし、当社としても意見をもらえるのは改善の参考になりありがたい。自分は以前、カスタマーサポートを統括していたが、メルカリは本当にひとつひとつの取引がユニークで、問い合わせも意見もさまざまなのが特徴だと思っている。 SNSの声もやはりさまざまで、非常に注目して見ている。メルカリを使ったことのない人の声や、グレーな商売をしている転売ヤーの声も、メルカリにとってはどれも貴重な「お客様の声」ととらえている。それらを粛々とサービス改善に生かしていくのみだ。 フリマアプリでモノを売ることがもっと当たり前になり、多くの人の生活に自然に溶け込んでいる状態になればまた変わってくるだろう。サービスもより改善されて、不快に思うことが減っているかもしれない。とくに出品に関してはまだまだ使っている人が限られている。これが浸透していけば自然と、使い方のいい・悪いの議論もなくなっていくかと』、なるほど。
・『流通をむやみに法律で縛るのは危険  Q:つまり、サービスの普及とともに悪質な転売が自然淘汰されていくということですか? A:僕が思うのは、情報格差がなくなっていくだろうということ。 今はまだ「メルカリってどうやって使うの?」という人が多いわけだが、いわゆる転売ヤーはそのあたりを熟知していて、一部の人しか知らないやり方で利ザヤを稼いでいる面がある。でも歴史に照らせば、そういう”うまい話”は(多くの人が習熟していくにつれ)たいていなくなっていく。 そういう状態を目指す意味でも、出品をより簡単にするための機能開発にはものすごく投資している。まだメルカリに触れたことのない人にも有効に使ってもらえるようにしたい。 Q:チケット転売のように、法律(2018年にチケット不正転売禁止法が施行)を作って規制してしまえばいいという議論もありますが。 A:法律は最終手段だと思う。資本主義社会で市場原理で動いている流通を、むやみに法律で縛るのは危険な気もする。 法規制が打ち出される前に、サービス提供者がシステムを駆使するなり、自主的な努力で対処することが重要だ。法律のお世話になってしまうようではプラットフォーマーとして失格。そういう意気込みで日々サービスを作っているし、官公庁とも対話している。』、「法規制が打ち出される前に、サービス提供者がシステムを駆使するなり、自主的な努力で対処することが重要だ。法律のお世話になってしまうようではプラットフォーマーとして失格」、健全な考え方で、同感できる。 
タグ:ネットビジネス はじめしゃちょー 東洋経済プラス (その10)(はじめしゃちょーとUUUM・鎌田和樹社長CEOが語る 「スターも事務所もまだ進化できる」、人気のゲーム機など高額転売はやりたい放題 「転売ヤー」の増殖を誰も止められない事情、インタビュー/メルカリ日本事業CEO 田面木宏尚 「転売対策で法律に頼ったら事業者として失格」) 「はじめしゃちょーとUUUM・鎌田和樹社長CEOが語る 「スターも事務所もまだ進化できる」」 「わずか数年でこれだけの変化が起こった要因は」、「ユーチューバーたちの頑張りではないか。全然見られなくても、儲からなくても、自分が楽しいからやるというクリエーターが根気強くコンテンツを増やしていったことで、視聴者の関心が高まり市場が形成された。 個人でも自由な表現で活躍できる、それを生活の糧にできるんだと、「ジャパニーズ・ドリーム」みたいなものを見せてくれた。だから、あこがれの職業として子どもたちの人気も得ているのだと思う」 かまだ・かずき ユーチューバーはどうしても、クレジットカードを作れない、家を借りたいのに審査がおりないといったことがザラだった。 今は(所属先がUUUMであることを保証に)そういう不便を徐々に解消できている 「「クリエーター」や「インフルエンサー」という呼び方のほうが主流に」、「呼び方」が出てきた経緯が理解できた 「ユーチューバーにとって事務所は半分「保険」みたいなものかもしれない。入らない選択肢もあって、何もなければ「お金が浮いてラッキーだったな」と思うだろう。ただ何かあったときに「入っていてよかったね」というのもまた違う価値だ。入っていることでより大きな仕事が来る可能性も高まる』 クリエーターはモノではなく人 今後の「UUUM」や「ユーチューバー」の発展を見守りたい 「人気のゲーム機など高額転売はやりたい放題 「転売ヤー」の増殖を誰も止められない事情」 「小遣い稼ぎの個人から、転売を生業にする人までそのタイプはさまざまだ」、「数千万円を売り上げた」ケースまであるとは、存在を再認識した 転売に法的な規制はない 消費者の声を受けて付録の見直しも 「雑誌の付録だけをオークションやフリマサイトに出品される事例が後を絶たない」、のは、「雑誌の付録に有名ブランドとコラボした限定アイテムを同梱して発売することが多い」ので、やむを得ないといえよう 罵倒されても転売ヤーに売らないノジマ 「ノジマ」のような小売店はあくまで例外。法規制の対象外の商品については、自由な取引に委ねる他ないようだ 「インタビュー/メルカリ日本事業CEO 田面木宏尚 「転売対策で法律に頼ったら事業者として失格」 「転売問題」で「有識者会議立ち上げ」とは驚かされた 「一律の規制」が本当に有効なのかを考えるべき 「まずは知見をためる」とは賢明なやり方のようだ 場合によっては「出品禁止」の措置を取る 流通をむやみに法律で縛るのは危険 「法規制が打ち出される前に、サービス提供者がシステムを駆使するなり、自主的な努力で対処することが重要だ。法律のお世話になってしまうようではプラットフォーマーとして失格」、健全な考え方で、同感できる。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

GAFA(その4)(EU IT大手の影響力抑制へ2法案 巨額罰金や分割命令も、GAFAが突然やたら訴えられるようになった事情 規制に火をつけた元インサイダーの正体、グーグルと豪州の対立に世界が注目するワケ 報道機関へニュース使用料の支払いを求める) [産業動向]

GAFAについては、昨年5月23日に取上げた。今日は、(その4)(EU IT大手の影響力抑制へ2法案 巨額罰金や分割命令も、GAFAが突然やたら訴えられるようになった事情 規制に火をつけた元インサイダーの正体、グーグルと豪州の対立に世界が注目するワケ 報道機関へニュース使用料の支払いを求める)である。

先ずは、昨年12月16日付けロイター「EU、IT大手の影響力抑制へ2法案 巨額罰金や分割命令も」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/eu-tech-idJPKBN28P2HF
・『 欧州連合(EU)は15日、アマゾン・ドット・コム、アップル、フェイスブック、グーグルなどの米大手IT企業の影響力抑制などを目的としたデジタル規制法案を公表した。違反には年間売上高の最大10%の罰金や企業分割などの制裁が科される可能性がある。 世界各国の規制当局はプライバシーや誤情報を巡る一連の不祥事を受けて、巨大ハイテク企業とその影響力に対する監視を強化している。 欧州委員会のブルトン委員(域内市場担当)とベステアー委員(競争政策担当)は今回の新規制案について、反競争的な支配的企業の出現を防ぐための対策と捉えている。 法案の一つである「デジタル市場法」は、規則に違反した「ゲートキーパー(門番)」と呼ばれる大手プラットフォームに対して、世界全体の年間売上高の最大10%の罰金のほか、最終手段として分割を命じることを盛り込んだ。 また、ゲートキーパーの企業が競合企業やユーザー向けに公正な競争の場を提供するよう、違反に当たる行為などを明示したほか、ライバル企業をつぶすための買収を阻止するため、買収提案に関する報告も義務付けた。 もう一つの法案である「デジタルサービス法」は、利用者が4500万人を超える巨大オンラインプラットフォームを対象とし、違法コンテンツ対策のほか、基本的権利を侵害するサービスの違法利用、プラットフォームを意図的に操作して選挙や公衆衛生に影響を与える行為などの対策強化を義務付けている。 また、プラットフォーム上の政治広告の詳細や、情報の表示やランク付けにアルゴリズムが使用するデータを開示する必要がある。 これらの法案はEU各国と欧州議員の承認を得る必要があり、最終的な草案がまとまるのは数カ月から数年先になるとみられる。 新たな規制案について、米商工会議所のマイロン・ブリリアント上級副会頭は「欧州は域内経済成長と景気回復に大きな投資をしてきた成功企業に罰を与える考えのようだ」と批判。 欧州委のブルトン委員は、規制案が差別的だとする指摘を否定し、「欧州は誰でも歓迎する。われわれの責務は欧州に重要なものを守るための方向性やルールを提示することだ」と述べた。 一方、グーグルのカラン・バティア副社長(行政・公共政策担当)は、規制案により技術革新と成長が損なわれる恐れがあるとし、「これらの規制は特に一部の企業を標的にしているようで、欧州の中小企業を支援する新製品開発が難しくなることを懸念している」と語った。*内容を追加しました』、「最終的な草案がまとまるのは数カ月から数年先」、まだまだ先だが、議論の行方を注視する必要がありそうだ。

次に、1月12日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「GAFAが突然やたら訴えられるようになった事情 規制に火をつけた元インサイダーの正体」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/401260
・『アメリカでは大手テクノロジー企業が反トラスト法(独占禁止法)違反で次々と提訴されるようになっている。この新たな"訴訟ウェーブ"の青写真を用意した反トラスト法研究者ディーナ・スリニバサン(40)は3年前、デジタル広告企業の幹部だった。仕事に退屈し、テック業界がもたらす荒涼とした未来に懸念を深めていた。 「フェイスブックとグーグルだけが勝ち組となり、それ以外の全員が負け組となる。そういう不利な状況になっているのに、問題が広く理解されていないと感じていた」とスリニバサンは振り返る。 そこで彼女は世界最大の広告代理店グループWPPの仕事を辞めて、法学論文を書くことにした。論文を執筆するのは、イェール大学のロースクール(法科大学院)を卒業して以来のことだった』、実務と「法学」双方に通じた才媛のようだ。
・『内部知識から生まれた斬新な理論  学者としての経歴があったわけではない。が、デジタル広告業界の内部知識と、大量の書籍から取り入れた経済学の知見を組み合わせ、斬新な理論を打ち出す論文を書き上げた。フェイスブックは無料のサービスと引き換えに個人情報をどんどんと引き出し、消費者に害を及ぼしている――そんな理論だ。 2020年には別の論文でグーグルの独占を論じた。広告テクノロジーの独占によって、グーグルにはウォール街で違法とされている自己取引やインサイダー取引と同様の取引が可能になっている、という主張である。 スリニバサンの論考は反トラスト法の考え方を組み替えるものであり、発表されたタイミングもドンピシャだった。 連邦規制当局と各州の司法長官らは、とどまるところを知らない大手テック企業の独占状態に不安を募らせ、懸念も表明していたが、問題を法廷に持ち込むのには難儀していた。テック企業、およびテック業界の複雑性ゆえだ。これらの企業が提供するサービスの多くが無料だったため、消費者に害を与えていると主張することも難しかった。 過去20年間にわたり巨大テック企業がさらに強大となり、次々と新しいビジネスに手を伸ばし、買収によって競合他社をのみ込んでいく中、アメリカの規制当局は反トラスト法をなかなか適用しようとしてこなかった。ところがここ何カ月かで、テック企業に対する反トラスト法訴訟が相次ぐようになっている(本稿執筆時点でグーグルに対しては3件、フェイスブックに対しては2件の訴訟が起こされている)』、「連邦規制当局と各州の司法長官らは、とどまるところを知らない大手テック企業の独占状態に不安を募らせ、懸念も表明していたが、問題を法廷に持ち込むのには難儀していた。テック企業、およびテック業界の複雑性ゆえだ。これらの企業が提供するサービスの多くが無料だったため、消費者に害を与えていると主張することも難しかった」、確かに「スリニバサンの論考は・・・発表されたタイミングもドンピシャ」と、運もよかったようだ。
・『GAFAを追及する当局のブレーンに  巨大テック企業の圧倒的な影響力に対する懸念が強まったためだが、法的な論拠固めにおいてはスリニバサンの論文が大きな影響を与えたのは明らかだ。 例えば、ライバル企業を買収し、違法に競争を握りつぶしてきたとしてフェイスブックを多数の州と共同で2020年12月に提訴したニューヨーク州の司法長官レティシア・ジェームズはこう述べている。消費者はプライバシーの保護が犠牲になるという形で代償を支払わされている――。 これはまさに、スリニバサンの論文「フェイスブックに対する反トラスト法訴訟」の核心を成す議論である。 テキサス州など10州が反トラスト法違反で2020年12月中旬にグーグルを提訴したときも、訴状にはスリニバサンがスタンフォード大学の法学雑誌で発表した論文「グーグルが広告市場を支配している理由」で指摘したのと同じ利益相反が列挙されていた。 訴えの理由はこうだ。グーグルは広告に関わる全プロセスを支配し、これを自社のサービスに有利となるように利用し、「ピッチャーとバッター、審判の役割をすべて同時に」担っていた――。 提訴の論拠がスリニバサン論文と重なるのも当然だ。というのは、スリニバサンは9月に、グーグルを調査していたテキサス州司法長官事務所の技術コンサルタントとなっていたのだから。経済学と広告市場に精通した彼女は幅広い役割を与えられ、訴状の原案づくりにも深く貢献した――。事情をよく知る人物は、この件で公に発言する権限がないことを理由に匿名で明かした。 裁判所がスリニバサンの法的主張をどう受け止めるかは、まだわからない。フェイスブックは、プライバシーや有害コンテンツの扱いに対する懸念の重要性は認めつつも、これらは反トラスト法に関わる問題ではないと反論した。一方のグーグルは、テキサス州が主導する訴訟は「事実無根だ」とコメントしている』、「グーグルは広告に関わる全プロセスを支配し・・・「ピッチャーとバッター、審判の役割をすべて同時に」担っていた」、言い得て尿だ。
・『転機はフェイスブックのユーザー監視  巨大テック企業に照準を合わせた規制当局は、スリニバサンのようなインサイダーを頼りにするようになっている。ここには現職の業界関係者も含まれる。20世紀型の競争法を21世紀のテクノロジーと市場に適用するには、ディープな専門知識が欠かせないからだ。 一方のスリニバサンは、反トラスト法の研究者としての第2のキャリアによって、イェール大学で取得した法学の学位をついに役立てることができた。イェール大学で学んでいたころ、彼女は競争法に強い関心を抱いていた。 2006年に同大学で最後に執筆した研究論文では、全米不動産協会(NAR)の規則は会員による違法な共謀に相当する、と論じた(この問題は2005年に司法省がNARを反トラスト法違反で提訴したことから当時ニュースで話題になっていた。両者の間では2008年に和解が成立している)。 ロースクールを卒業したスリニバサンは法律関係の道には進まず、地元の企業が効率的にインターネット上の広告枠を購入できるようにする会社を立ち上げた。後にこの技術はWPPの一部門に売却。2012年に当時WPPの子会社だったカンター・メディアの幹部となった。 「悟り」が訪れたのは2014年6月、フェイスブックが広告のターゲティングを強化するためインターネットの全域で(つまり、フェイスブックのネットワークの外も含めて)ユーザーの行動追跡を開始すると発表したときだったという。同僚は、広告主に飛躍的な進歩をもたらす重要なニュースだと喜んでいたが、スリニバサンは自由市場が失敗しているとの感覚を振り払うことができなかった。 「一企業がインターネット全体にわたってユーザーの行動を追跡することに同意する人間なんて、いるはずがない」。彼女は当時、こう思ったという。「明らかに消費者の利益に反することができるのは、独占力を手にしているからにほかならない」。 スリニバサンは2017年に広告業界を去ると、フェイスブックが独占企業であることを論証するため、翌年を調査研究と論文の執筆に費やした。完成した論文は、10を超す法学雑誌のウェブサイトに投稿した。すると驚いたことに、カリフォルニア大学バークレー校ロースクールの法学雑誌『バークレー・ビジネス・ロー・ジャーナル』で論文が掲載されることになった。スリニバサンはこの知らせに涙したと話す。 この論文は、すぐさま規制当局の目にとまる。掲載から1カ月後の2019年3月、議会下院司法委員会で反トラスト小委員会の委員長を務めていた民主党議員デビッド・シシリーヌは、連邦取引委員会(FTC)に書簡を書き送り、反トラスト法違反でフェイスブックを調査するよう求めたが、そこで引用された文献にはスリニバサンの論文が含まれていた。その後、ニューヨーク州の司法長官事務所も、スリニバサンに研究内容のレクチャーを依頼している』、「明らかに消費者の利益に反することができるのは、独占力を手にしているからにほかならない」、との「スリニバサン」氏の直観は、さすが的確だ。
・『グーグルの「問題点」  スリニバサンは2020年、オンライン広告界のもう1つの巨人、グーグルに狙いを定めた論文を『スタンフォード・テクノロジー・ロー・レビュー』で発表した。そこで明らかにされたのは、1000分の1秒単位でディスプレイ広告が売買されるオンライン・アドエクスチェンジ(広告取引市場)の複雑な世界だ。スリニバサンは、グーグルがこれらの市場のあらゆる側面をほぼ独占し、最大の取引所を運営しながら、買い手側と売り手側の双方の代理を務めていると論じた。 電子的に取引される他の市場、つまり金融市場には、利益相反のほか、高速取引やインサイダー情報によって一部の市場参加者が不当に利益を上げることを防ぐ厳しい規制がかけられている。にもかかわらず、オンライン広告市場はほとんど規制されることもなく、優越的な地位を持つグーグルによって広告の価格がつり上げられているとスリニバサンは主張した。テキサス州が多数の州と共同で訴えた訴訟で「独占税」と呼ばれている概念だ。 グーグルとフェイスブックに関するスリニバサンの論文は、最近の反トラスト法訴訟に対し、競争政策を専門とする伝統的な経済学者によるテック企業およびテック業界に関するどの研究よりも大きな影響を与えた、とユタ大学経済学部の助教授マーシャル・スタインバウムはツイートしている。 「彼女の論文によって、こうしたプラットフォーム企業の実際の行動と、それが競争に及ぼす重大な影響が非常に明解になった」とスタインバウムは言う。「規制当局に役立つ研究であり、業界の実情を熟知する人物だからこそ書くことのできた論文といえる」。=敬称略=』、「規制当局に役立つ研究であり、業界の実情を熟知する人物だからこそ書くことのできた論文といえる」、「規制当局」にとっては「スリニバサン」氏は貴重な存在のようだ。

第三に、2月13日付け東洋経済オンラインが転載したブルームバーグ「グーグルと豪州の対立に世界が注目するワケ 報道機関へニュース使用料の支払いを求める」を紹介しよう。
・『1日に50億回を超える語句入力検索の起点となり、広く利用されている検索エンジン、グーグルのない生活を想像してみる-。ニュースコンテンツ使用料の支払いを巡り、同社と対立するオーストラリアが直面しているのはこうした状況だ』、「グーグル」と「豪州」政府の対立とは、興味深そうだ。
・『グーグルは検索サービス停止すると警告  報道機関へのニュース使用料の支払いをグーグルや米フェイスブックに義務付ける法案が議会に提出された。法案に反対するグーグルは修正を要求し、さもなければ検索サービスを閉鎖する可能性があると警告。豪州ではインターネット検索の95%がグーグル経由だ。 世界の広告市場で圧倒的な存在感を誇り、各規制当局の標的となっている米アルファベット傘下グーグルにとって、今回の対立による潜在的な余波は豪国内にとどまらない。同社が譲歩してニュース使用料の支払いを義務付ける法律が施行されれば、同じく関係がぎくしゃくし、グーグルの市場支配力を弱めたいカナダや欧州連合(EU)にとってのお手本になりかねない。 とはいえ、豪州で検索サービスを停止すればグーグルの後塵(こうじん)を拝するマイクロソフトの「Bing(ビング)」やダックダックゴーなどのライバルに市場を明け渡すことになる。開発に向けた絶好の場を突如提供し、世界の舞台で躍進するきっかけを与える可能性がある。 英語で「ベストビーチ・シドニー」と検索すると、グーグルと競争相手の精度の違いが分かる。ダックダックゴーの最初の検索結果は1000キロメートル以上離れたクイーンズランド州にあるホテルの広告だった。データ保護機能を売りにするサーチ・エンクリプトは「大きく一致するものはなさそうです」と表示。ビングはボンダイビーチの郵便局を示し、実際のビーチであるボンダイがまず表示されたのはグーグルだけだった。 豪州全体の経済規模はアルファベットの時価総額(1兆4000億米ドル=約147兆円)を下回り、遠く離れた豪州という小さな市場の重要性が突然高まったことには驚きがあるかもしれない。しかし、米インターネット大手は豪州を世界の前例にしてはならないとして対応に乗り出しており、アルファベットのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)やフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOはこの数週間にスケジュールを調整し、豪州のモリソン首相または閣僚らと電話協議した』、3つの「検索」サービスを比較すると、確かに「グーグル」の表示がもっともらしい。
・『今回の対立はライバルにとって劣勢挽回の好機  一方、今回の対立を好機とみたマイクロソフトのブラッド・スミス社長とサティア・ナデラCEOも豪政府に連絡。スミス社長はモリソン首相に対し、「競争相手にビングが肩を並べられるよう」投資を進める考えを示した。 グーグル検索が存在しないのは中国も同じだが、同社のサイトが利用できなくなれば欧米型の民主主義国としては異例で、情報への迅速なアクセスという点で後退を余儀なくされる恐れがある。 グーグルの強硬姿勢が軟化しつつある兆しもある。モリソン首相は同社との会談について「建設的」だったとし、「プロセスへの関与を大きく後押しするはずだ」と述べた。グーグルは同会合に関してコメントを控えたが、同社は「ニュースショーケース」サービスを通じた対価の支払いを提案していると資料で説明した』、「グーグル」は日本のメディアのいくつかとニュース配信で対価を支払うことで合意したようだ。「豪州」政府との「合意」も近いのかも知れない。
タグ:ロイター 東洋経済オンライン The New York Times ブルームバーグ GAFA (その4)(EU IT大手の影響力抑制へ2法案 巨額罰金や分割命令も、GAFAが突然やたら訴えられるようになった事情 規制に火をつけた元インサイダーの正体、グーグルと豪州の対立に世界が注目するワケ 報道機関へニュース使用料の支払いを求める) 「EU、IT大手の影響力抑制へ2法案 巨額罰金や分割命令も」 米大手IT企業の影響力抑制などを目的としたデジタル規制法案を公表 違反には年間売上高の最大10%の罰金や企業分割などの制裁 「デジタル市場法」 デジタルサービス法 「最終的な草案がまとまるのは数カ月から数年先」、まだまだ先だが、議論の行方を注視する必要がありそうだ 「GAFAが突然やたら訴えられるようになった事情 規制に火をつけた元インサイダーの正体」 大手テクノロジー企業が反トラスト法(独占禁止法)違反で次々と提訴されるように "訴訟ウェーブ"の青写真を用意した反トラスト法研究者ディーナ・スリニバサン 3年前、デジタル広告企業の幹部 イェール大学のロースクール 実務と「法学」双方に通じた才媛 内部知識から生まれた斬新な理論 連邦規制当局と各州の司法長官らは、とどまるところを知らない大手テック企業の独占状態に不安を募らせ、懸念も表明していたが、問題を法廷に持ち込むのには難儀していた アメリカの規制当局は反トラスト法をなかなか適用しようとしてこなかった。ところがここ何カ月かで、テック企業に対する反トラスト法訴訟が相次ぐようになっている 確かに「スリニバサンの論考は 発表されたタイミングもドンピシャ」と、運もよかったようだ GAFAを追及する当局のブレーンに グーグルは広告に関わる全プロセスを支配し、これを自社のサービスに有利となるように利用し、「ピッチャーとバッター、審判の役割をすべて同時に」担っていた 転機はフェイスブックのユーザー監視 「明らかに消費者の利益に反することができるのは、独占力を手にしているからにほかならない」、との「スリニバサン」氏の直観は、さすが的確だ グーグルの「問題点」 オンライン広告市場はほとんど規制されることもなく、優越的な地位を持つグーグルによって広告の価格がつり上げられている 彼女の論文によって、こうしたプラットフォーム企業の実際の行動と、それが競争に及ぼす重大な影響が非常に明解になった」とスタインバウムは言う 「規制当局に役立つ研究であり、業界の実情を熟知する人物だからこそ書くことのできた論文といえる」、「規制当局」にとっては「スリニバサン」氏は貴重な存在のようだ。 「グーグルと豪州の対立に世界が注目するワケ 報道機関へニュース使用料の支払いを求める」 グーグルは検索サービス停止すると警告 3つの「検索」サービスを比較すると、確かに「グーグル」の表示がもっともらしい 今回の対立はライバルにとって劣勢挽回の好機 「グーグル」は日本のメディアのいくつかとニュース配信で対価を支払うことで合意したようだ。「豪州」政府との「合意」も近いのだろう
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

自動車(一般)(その4)(マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える 皆さんはどう思いますか、ホンダ GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ、「脱ガソリン車」を急ぐと 自動車業界が電機業界と同じ轍を踏む理由) [産業動向]

自動車(一般)については、2019年10月21日に取上げた。今日は、(その4)(マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える 皆さんはどう思いますか、ホンダ GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ、「脱ガソリン車」を急ぐと 自動車業界が電機業界と同じ轍を踏む理由)である。

先ずは、昨年9月7日付け現代ビジネス「マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える 皆さんはどう思いますか」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75394?imp=0
・『「好き勝手に書きやがって」「監視するのが我々の役目」。古くから行われてきた、企業とメディアの丁々発止のやり取り。いまここに、日本一の企業の社長が、大きな波紋を投げかけようとしている。発売中の『週刊現代』が特集する』、何があったのだろう。
・『唐突に始まった寓話  「話は長くなりますが、ロバを連れている老夫婦の話をさせていただきたい」 6月11日に開かれたトヨタの定時株主総会の壇上、話題が2021年3月期決算の業績見通しに及ぶと、豊田章男社長(64歳)はおもむろに語りだした。 「ロバを連れながら、夫婦二人が一緒に歩いていると、こう言われます。『ロバがいるのに乗らないのか?』と。 また、ご主人がロバに乗って、奥様が歩いていると、こう言われるそうです。『威張った旦那だ』。 奥様がロバに乗って、ご主人が歩いていると、こう言われるそうです。『あの旦那さんは奥さんに頭が上がらない』。 夫婦揃ってロバに乗っていると、こう言われるそうです。『ロバがかわいそうだ』。 要は『言論の自由』という名のもとに、何をやっても批判されるということだと思います。 最近のメディアを見ておりますと『何がニュースかは自分たちが決める』という傲慢さを感じずにはいられません」 遡ること1ヵ月ほど前、トヨタが発表した見通しを元に、マスコミ各社は、「トヨタの今期営業利益、8割減の5000億円」(日本経済新聞)、「トヨタ衝撃『8割減益』危機再び」(朝日新聞)と報じていた。 豊田氏の不満は、こうした報道に対して向けられたものだった。 「マスコミの報道について、私も決算発表の当日は、いろんな方から『よく予想を出しましたね』『感動しましたよ』と言っていただきました。 ただ、次の日になると『トヨタさん大丈夫』『本当に大丈夫なの』と言われてしまい、一晩明けたときの報道の力に、正直悲しくなりました」 なぜ「こんな状況でも臆さずに決算予想を発表した」ことを評価せず、「8割減益」というネガティブな報じ方をするのか。豊田氏は、そう言いたかったのだろう。 豊田氏は、社長に就任して以来、幾度となくメディアの「掌返し」を味わってきた。 社長に就任した'09年から'10年にかけて、トヨタでは「大規模リコール」が発生し、一時は「経営危機」とまで報じられた。 ところが、'13年に世界の自動車メーカーで初の生産台数1000万台を超え、'15年3月期決算で日本企業として初の純利益2兆円超えを達成すると、今度は一転、豊田氏の経営を称賛する報道が相次ぐ。 その後も、コストをカットすれば「下請け叩き」と非難されたし、執行役員の数を減らせば「独裁体制」と言われた。 そして今度は、あらゆる企業が苦しんでいるコロナ危機のなかで、トヨタの減益だけがことさら大々的に報じられ―。 何を言おうが、何をしようが、その時々の気分で好き勝手に報じるだけのマスコミの相手はしていられない。今回の決算報道のみならず、積年の思いが込められたのが、「ロバの話」だったのだ』、「豊田章男社長」が「時株主総会」で切り出したとは、よほど腹に据えかねていたのだろう。
・『だからキレてしまった  他の企業の経営者たちは、いったいどのようにこの寓話を受け止めたのだろうか。 「すき家」「ココス」などを展開する外食チェーン大手・ゼンショーホールディングスの代表取締役会長兼社長の小川賢太郎氏は「豊田さんの気持ちは理解できる」と語る。 「民主主義国家である以上、それぞれのメディアが変な忖度をせず、自由に報道すべきなのは大前提です。しかし企業側の感覚からすると、メディアの取材を受けても、『こちらの真意がきちんと伝わった』と思えることはめったにありません。 たとえば、テレビであれば10分の取材を受けても、都合のいい10秒だけが切り取られて放送されることもある。『それは、あまりにもアンフェアだよ』という気持ちは、僕が知っている多くの経営者が持っています。 豊田さんは、日本を代表する企業のトップとして常に矢面に立ってきたから、なおのことでしょう。 企業の責務として山ほど社会貢献をしてもほとんど報じてもらえない一方、ほんの少しでもヘマをすれば、『それ見たことか』と鬼の首をとったように書きたてられる。経営する側も人間ですから、苛立たないほうがおかしいのです」 別の一部上場メーカーの広報担当役員も、大手マスコミの取材手法に対する不満を打ち明ける。 「新聞やテレビの記者さんたちと話していて思うのは、とにかく勉強不足だということ。彼らは頻繁に『担当替え』があるので、業界や企業のことをあまり勉強しないまま取材に来る。 別に、難しいことを要求するつもりはありませんが、ホームページで逐一公開しているIR情報とか、有価証券報告書に記載している基本的な経営事項すら頭に入っていない状態はさすがに困ります。 『そんなことも知らないで、ウチの経営を評価する記事を書くんですか?』と思ってしまいます」 くわえて、前出の小川氏は、メディアの報道姿勢が「結論ありき」になっていることにも疑問を感じているという。 「現場の若い記者さんと話していると、『私の考えとは違うのですが、デスクや次長が話の方向性をあらかじめ決めつけていて、異論を受け入れてくれないんです』と言われることが多々あります。 我々の商売もそうですが、本質は現場の人間が一番わかっているものです。しかし、それを重視せず、会社にいる上司が記事の方向性を決めるというのは時代遅れです」 こうした思いを、豊田氏もずっと感じ続けてきたのだろう。'19年には、豊田氏は自ら肝いりでオウンド(自社)メディア「トヨタイムズ」の運用を開始する』、「彼らは頻繁に『担当替え』があるので、業界や企業のことをあまり勉強しないまま取材に来る。 別に、難しいことを要求するつもりはありませんが、ホームページで逐一公開しているIR情報とか、有価証券報告書に記載している基本的な経営事項すら頭に入っていない状態はさすがに困ります」、同感だ。
・『マスコミを見捨てた  一時期、「編集長」を拝命した香川照之が、テレビ電話で豊田氏に取材するCMがやたらと流れていたので、このサイトの名前を知っている人も多いだろう。 ページを開いてみると、アナウンサー・小谷真生子の司会のもと、豊田氏とスズキの鈴木修会長が語らう対談動画から、先述の株主総会の一部始終を書き起こした記事まで、コンテンツがずらりと並んでいる。 デザインも機能も、大手メディアのニュースサイト顔負けの作りで、トヨタの「本気」が伝わってくる。 トヨタイムズが本格始動して以来、豊田氏は大手メディアのインタビューをほとんど受けなくなった。 決算後の会見も、現行の年4回から、年2回(中間、本決算)に減らすという。代わりに、トヨタイムズの記事や動画には頻繁に登場し、経営の理念や考えを事細かに語っている。 消費者に対し、自前でメッセージを発することのできる環境が整ったのだから、もはや大手マスコミを介する必要はないということだろう。 「ここのところ、大手各社が豊田社長にインタビューを依頼しても、すべて断られる状況が続いています。 7月7日には、めずらしく中日新聞にインタビュー記事が載りましたが、後に、まったく同じ内容が『トヨタイムズ』に掲載された。『あれでは、もはや取材ではなく広告だろう』と言われています」(在京キー局記者) こうしたトヨタの姿勢を、当の大手メディアの記者たちは複雑な思いで見つめている。 「今回の『5000億円の減益』という業績予想だって、客観的な数字を報じているだけで、どの社もトヨタを過剰に批判したり、叩いたりしたわけではありません。 東証一部上場企業であるトヨタは、株主にも、車の消費者に対しても、大きな責任を負っている。それを監視し、情報を提供するのはマスメディアの責務です。 企業の目線で選別された都合のいい情報だけを伝えるのであれば、我々の存在は必要ない」(全国紙経済部デスク)) 元日本経済新聞記者でジャーナリストの磯山友幸氏は、「ロバの話」そのものに異論を唱える。 「なぜロバに自分が乗るのか、なぜ妻を乗せるのか、あるいは、なぜ乗らないのか。あらゆる場面ごとに意図を丁寧に説明して、世の中に納得してもらうことこそが、経営者の仕事でしょう。 そもそも、消費者の側だって、オウンドメディアが企業のPRの延長上にあることくらいわかります。 ひとたび自分たちに都合の良い情報だけしか発信されていないと思われれば、常に眉に唾して読まれる媒体になってしまう。そのことをよく考えなければいけません」 インターネットやSNSの普及と共に、大手メディアの報道を「マスゴミ」「ウソばかり」とこき下ろす流れは、次第に大きくなっている。 「新聞通信調査会が行った調査によれば、『新聞の情報は信頼できますか』という質問に対し、70代以上であれば60%以上の人が『信頼できる』と評価したのに対し、30代になると50%弱、20代になると40%弱まで落ちてしまいます。 企業はそういう状況を見て、『マスコミよりも自分達が直に出す情報のほうが消費者に支持される』と踏んでいるのです。 だから、かつては決して表に出すことはなかったオールドメディアへの不満を露にすることをためらわなくなってきた」(元共同通信社記者で名古屋外国語大学教授の小野展克氏) 世間のメディアに対する不信の目は、今年の5月、東京高検の黒川弘務検事長(当時)と大手新聞2社の記者たちがコロナ禍の真っ最中に「賭け麻雀」をしていたことが発覚したのをピークに、更に広がっている。 「メディアのスタンスが問われているいま、取材対象と身内レベルで懇意になってネタをとるというかつての手法は、読者の理解を得られなくなっている。だからこそ、なおさら企業の意向を忖度するような報道はできません」(全国紙経済部記者) だが、コロナ禍においては、企業トップへの取材が、以前にも増して難しくなっているという。 「多くの企業の会見がオンライン化したため、広報担当者がチャットで事前に記者からの質問をチェックしたうえで、会見に関係のある内容しか、経営者に回答させないようになりました。質問数も各社1問と限定されることがほとんど。 これでは、予想外の質問をして経営者の反応を見たり、追加の質問を重ねて企業の本音に迫りにくい」(前出・全国紙経済部記者)』、「トヨタイムズ」のURL[は、https://toyotatimes.jp/
これによれば、タレントの「香川照之」氏は依然、「編集長」のようだ。お飾りなのだろうが、「トヨタの現在地を確認できた95分間」、「豊田章男が語ったトヨタの未来とは 極秘映像を香川編集長が見た!、などが掲載されている。
・『損をするのは誰か  こうした、報じる側と報じられる側の「相互不信」は、企業報道のみならず、官邸とメディアの間でも顕著になっている。 「一昨年、森友学園問題に関して『私たちは国民の代表として聞いているんですから、ちゃんと対応してください』と官邸に要求した東京新聞の記者に対し、官邸側が『国民の代表は国会議員。あなたたちは人事で官邸クラブに所属されているだけでしょ』と突き放したことがありました。以前の官邸なら、こんな態度に出ることはなかった。 ネットの普及と同時に、『マスコミなんて信用されていないし、取るに足りないものだ』と考える政治家や経営者は、今後どんどん増えていくでしょう」(前出・小野氏) かつて広報部門の責任者を務めた経験もあるキリンホールディングスの磯崎功典社長は「どんな状況でも、企業とマスコミは対等に、誠実にやっていかなければいけない」と語る。 「メディアから厳しく書かれて悔しい思いをすることもあります。でも、それを報じるのが彼らの仕事であり、逃げずに対応するのが我々の仕事。耳が痛い内容であっても、事実であれば素直に耳を傾けることが、状況の改善に繋がります。 一方で、メディアの側も、『見出しありき』の記事が通用する時代ではなくなったと認識する必要がある。 トヨタさんのように、企業が世の中に広く発信することも可能になった以上、結論ありきの報道では読者の支持も得られなくなる。『反目はしないけれど緊張感のある関係』を保っていくことが、一番大切でしょう」 豊田社長の「ロバの話」が図らずも浮き彫りにした問題。書く側にも、書かれる側にもいずれも理はある。しかし、相互不信のまま、不完全な情報公開が続けば、損をするのは受け取る側だ。 皆さんは、どうお考えになるだろうか』、「不完全な情報公開が続けば、損をするのは受け取る側だ」、さらにいえば、企業の株価に占める不確実性リスク・プレミアムが上昇し、企業も損をすることになる。

次に、9月10日付け東洋経済オンライン「ホンダ、GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/374627
・『ホンダがアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)と提携拡大に踏み出した。 両社は9月3日、北米向けの車両でのエンジンやプラットホームの共通化、部品の共同購買など幅広い分野での包括提携を検討すると発表。ホンダがこれまでの部分的な提携から大幅に深化させる背景には、自前主義の限界が垣間見える。 「新たな協業を通じて、将来のモビリティ技術への投資に向け、最大市場の北米で大幅なコスト効率の向上が実現可能となる」。ホンダの倉石誠司副社長は発表声明の中で、提携拡大の意義を強調した』、「GMと提携拡大」は当然だろう。
・『車の基幹部分にも提携範囲を拡大  1990年代に始まった両社の協業は近年、次世代技術の開発を中心に進んできた。2013年に燃料電池車(FCV)の開発で提携したほか、2018年にライドシェア向けの自動運転車、今年4月には電気自動車(EV)での共同開発を決めるなどしてきた。ただ、あくまで個別の技術分野ごとの協業にとどめてきた。 今回は車の土台に相当するプラットホームやエンジンなどを含め、車の商品力を左右する基幹部分にまで範囲を広げる。先進技術の研究開発全般での協力も模索しており、従来「独立独歩」を信条としてきたホンダにとっては大きな路線転換とも言える内容だ。 提携拡大における最大の目的は、低空飛行が続く4輪事業の収益改善にある。売上高では7割近くを占める4輪事業だが、2019年度の営業利益率は2輪事業が13.9%だったのに対し、4輪はわずか1.5%。高収益の2輪が不振の4輪を支える構図が近年定着している。 その4輪の低迷は、伊東孝紳・前社長の時代に世界販売600万台を掲げて推し進めた急激な拡大戦略が招いたものだ(2019年度は479万台)。身の丈を超えた生産能力が収益を押し下げたほか、モデル数の急増によって現場が混乱して開発効率も悪化した。 こうした事態を受け、2015年に就任した八郷隆弘社長は収益重視の方針に舵を切り、国内や英国などの工場閉鎖や研究開発体制の再編などに取り組んできた。とはいえ、業績面で目に見える成果はいまだ表れておらず、ここ数年は追加の収益改善策を迫られていた。 とりわけ北米は世界販売の4割近くを占める。本来であればホンダの屋台骨であるはずだが、2000年代後半に7~8%だった北米事業の利益率は2019年度には3.7%にまで低下。北米事業へのテコ入れが、そのまま4輪事業の再建に直結することになる。 ホンダはセダンを中心とした中小型車やハイブリッド車、GMはピックアップトラックなど大型車やEVを得意としており、新車開発での補完関係を築きやすい。ホンダ側の部品の現地生産も進んでおり、調達面での連携も比較的容易だ。 4輪事業の再建とGMとの協業深化を進めるのは、自動運転や電動化などCASEと呼ばれる次世代技術の開発競争が活発になっていることが背景にある。ホンダも年間8000億円超の開発費を投じるものの、独フォルクスワーゲン(VW)やトヨタ自動車など業界トップメーカーやIT大手に比べると見劣りする。ホンダはEVなど一部分野では出遅れも指摘されており、巻き返しのためにも協業は欠かせない。 新型コロナウイルスによる事業環境の悪化も提携拡大の背中を押した。ホンダの北米での4~6月期の4輪販売台数は前年同期比で68%も減った。世界の4輪需要がコロナ前の水準まで戻るには3~4年程度要するとの見方が大勢だ。2輪に至っては、主力市場のインドや東南アジアでの感染収束が遅れ、販売回復時期の見通しさえ立たない。苦しいのはGMも同様で、両社とも投資への余力を失いつつある』、「ホンダ」と「GM」は「新車開発での補完関係を築きやすい」、シナジーを大いに生かしてもらいたい。
・『資本提携には踏み込まず  自動車業界ではVWとアメリカのフォードが自動運転などの開発で提携したほか、仏グループPSAとFCAが経営統合を決めるなど、合従連衡の動きが加速。ホンダはこれまで業界の仲間づくりの波に乗り遅れ気味だったが、GMとの提携拡大が実現すれば巨大市場の北米でも有数のアライアンスになる。 「GMと資本関係の議論はまったくしていない」とホンダ幹部が言うように、提携の範囲は拡大しても、あくまで資本の独立は維持するという従来方針に変更はなさそうだ。今回の提携は北米での事業に限られるが、ほかの地域に展開していくことも考えられる。将来的には生産拠点を相互活用する可能性もある。 4輪改革を進めてきた八郷社長には、今回の提携を通じて、目に見える形で成果を出すことが求められる』、「将来的には生産拠点を相互活用する可能性もある」、その場合には「資本提携」も必要になるだろう。

第三に、12月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した早稲田大学大学院経営管理研究科教授の長内 厚氏による「「脱ガソリン車」を急ぐと、自動車業界が電機業界と同じ轍を踏む理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/256869
・『「脱ガソリン車」の方針を明確化 温室効果ガスのゼロ目標は現実的か(菅政権は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると表明し、それに向けて2030年代半ばまでに、ガソリン車の国内での販売をやめる方針を打ち出した。 ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授は、1991年に環境規制に関するポーター仮説を発表し、環境規制が企業に明確な技術開発のターゲットを示すことで、各社がそのターゲットに向けて効率よく技術革新を行うため、こうした環境規制は結果的にイノベーションを促進する、と指摘した。菅政権のガソリン車廃止の方針も、世界的にEV(電気自動車)の開発競争が進む中で、日本の自動車メーカーの開発競争を刺激する起爆剤となる可能性がある。 その一方で、急速なEVシフトには気をつけなければならない点が2つある。EVの早期シフトだけが必ずしも温暖化問題を解決し、日本の競争力向上に繋がるとは限らないからだ。 1つは、日本の技術的優位性の特徴にある。日本の自動車産業は、トヨタ自動車をはじめとする世界を代表するメーカーが高い国際競争力を有していて、その源泉は自動車開発の技術にある。しかしそれは、エンジンやサスペンションといった個々の要素技術が強いからではなく、個々の部品の関係性を上手く調整するノウハウにある。少し難しい話になるが、経営学ではこれを「アーキテクチャ知識」と呼んでいる。 たとえば同じPCでも、デスクトップPCとノートPCを比較すると、デスクトップPCは、部品さえ手に入れれば素人でも組み立てることができる。実際、PC専門店などでCPUやマザーボードなどの部品を購入し、自作PCを組み立てた経験がある人も多いだろう。 しかし、同じ部品から構成されるノートPCを自作する人はまずいないだろう。デスクトップPCは個々の部品と部品のつなぎ合わせが汎用的な規格で標準化され、基本的にはソケットに部品を入れたり、ケーブルをつないだりするだけでPCが完成する。なぜなら、部品同士をつなぐインターフェースが事前に規格化され、標準化されているので、標準的な部品と標準的なケーブルを接続するだけで、製品が完成してしまうからだ。 こうした製品の構成を、モジュール型のアーキテクチャと呼ぶ。モジュールとは、調整なしに組み合わせることができる部品のことを指している。PCとマウスはUSB端子で接続するが、これもUSBという事前に標準化されたインターフェースを使って、PCとマウスをつないでいるので、マウスは独立して開発することができ、どこのメーカーのPCにでも接続することができる。このとき、PCに対してマウスはモジュールであり、マウスをPCに接続するときに専用のカスタマイズなどをする必要はない。 一方、ノートPCは狭い筐体の中に効率よく部品を詰め込み、CPUが発生する熱などを上手く放熱してやる必要があるので、部品と部品の配置や関係性を上手くコントロールしないと、PCとして組み上げることができない。この場合、部品と部品との間のインターフェースは個別にカスタマイズされ、標準的な部品やケーブルなどを組み合わせるだけでは完成させることができない』、なるほど。
・『日系自動車メーカーの強みの源泉 インテグラル型のアーキテクチャ  こうした製品の構成をインテグラル型のアーキテクチャと呼ぶ。インテグラルとは統合の意味で、東京大学の藤本隆宏教授は「すり合わせ」という日本語で表現するが、すり合わせのイメージの通り、部品と部品を一つひとつ調整しながら、カスタマイズしてつなげていくことで製品がつくられる構成が、インテグラル型のアーキテクチャである。 この際、より機能や性能を向上させたり、サイズを小さくしたりするために、部品間の調整を行う知識やノウハウのことをアーキテクチャ知識と呼び、日本の自動車メーカーは自動車をつくるためのアーキテクチャ知識に優れていることが、競争優位の源泉となっている。 たとえば燃費を向上させる、乗り心地をよくするといった性能や機能は、エンジンだけではなくブレーキやシャシー、タイヤなどさまざまな自動車部品を複雑に調整することによって実現される。CPUを取り替えれば処理速度が速くなる、メモリを取り替えれば記憶容量が増えるといった、PCのようなモジュラー型の製品とは異なり、自動車のような一つの機能の実現が複雑な部品間の調整によって成り立っているインテグラル型製品の場合、技術や部品だけを持ってきても新規参入企業が先発メーカーの自動車と同等のクオリティの製品を真似することは、簡単にはできない。 なぜならば、日本車の優位性は個別の要素技術だけでなく、部品と部品を複雑に調整するアーキテクチャ知識によって成り立っているからだ。 アメリカのテスラや中国のEVメーカーが躍起になってEVを開発しているのは、単にガソリンエンジンなどの内燃機関を電気モーターに置き換えようとしているだけではなく、従来のインテグラル型の内燃機関の自動車製品開発を、モジュール型の製品に変えようとしているためだ。 まずEVにすることで部品点数を減らし、アーキテクチャの複雑性を下げるとともに、電気モーターをコンピュータ制御することで、これまで機械的に行われてきた巧みな調整プロセスをなくそうという試みである。EVがモジュール型の製品として確立すれば、日本の自動車産業が持つアーキテクチャ知識を無意味なものにすることができる』、私は「すり合わせ」型はよく見聞きするが、恰好良く言えば、「インテグラル型のアーキテクチャ」となるようだ。
・『ハイブリッド車は技術優位性の延命策だった  トヨタ自動車やホンダといった日本メーカーが、これまでハイブリッド車に力を入れてきた理由の1つは、電気モーターに内燃機関をセットにすることによって、複雑でインテグラルなアーキテクチャを自動車の製品開発に残すという、技術優位性の延命策でもあった。 意外に思われるかもしれないが、そもそもEVとは決して新しい技術ではない。実は、100年以上前のアメリカでは多くのEVが生産されていた。19世紀末から20世紀初頭の自動車の黎明期には、さまざまな自動車の動力源が提案され、ガソリン車の他に蒸気自動車や電気自動車など、さまざまなアイデアの自動車が製品化された。 愛知県長久手市にあるトヨタ博物館には、1902年にアメリカで発売されたベイカー・エレクトリックというEVが展示されている。「1馬力のモーターで時速40キロメートルの走行が可能。走れる距離は80キロメートルだった」という。 しかし、当時の電池やモーターの技術では十分な自動車の性能を引き出すことができず、内燃機関に一日の長があったので、今日までガソリン車やディーゼル車といった内燃機関の自動車が自動車界の主流を占めてきたのである。 その意味で言えば、どの自動車メーカーにとっても、EVは決して見たこともない新しい技術ではなく、かつて一度捨てたアイデアの1つに過ぎない。高容量のリチウムイオン電池や高性能な電気モーターの技術が登場するに至って、初めて内燃機関に並ぶ性能の自動車がつくられるようになった、というだけの話である。 日本の自動車産業にとって怖いのは、急速なEVの普及が自動車の製品アーキテクチャを急速に変化させ、モジュール型の製品にしてしまうことである。デスクトップPCやデジタル家電などはモジュール型アーキテクチャの製品の代表例であるが、どれも標準的な部品の組み合せによって誰でもつくることができる製品になったので、新規参入企業が増え、価格競争が激化し、あっという間にコモディティ化に陥ったのである』、「ハイブリッド車は技術優位性の延命策」、言われてみれば、その通りだ。「電機業界」の「コモディティ化」は、確かに業界構造を一変させた。
・『急速なモジュール化によって強みを奪われてしまった電機業界  日本のエレクトロニクスメーカーが2000年代以降、業績が振るわなくなったのは、急速なエレクトロニクス製品のモジュール化によって、日本が得意とするインテグラル型のアーキテクチャ知識が無意味になったことも一因だ。 エレクトロニクス産業の失敗の轍を踏まないためには、内燃機関からEVへのシフトはある程度慎重に行う必要がある。少なくとも、日本の主要自動車メーカーがEV化しても競争優位を維持できるような体制づくりができるようになるまで、ガソリン車という既存製品のビジネスが「キャッシュカウ」となって利益を出し続ける必要がある。ハイブリッド車という既存のアーキテクチャ知識を必要としながら、電気モーターという新たな潮流を組み合わせたまさに「ハイブリッド」なアイデアは、内燃機関からEVへのソフトランディングを行うための上手い戦略といえる。 また、現在のEVの性能は、かつてに比べれば飛躍的に向上したものの、まだ世界中の自動車をEVに置き換えるほどの性能にまで達しているとは言い切れない。一番の問題は、寒冷地対策だろう。気温が下がるとバッテリーの性能は低下するので、満充電からの連続走行距離は低下する。 さらに、暖房の問題もある。現在のガソリン車の暖房は、エンジンが発する余熱を利用しているので、暖房は燃費に影響しない。冷房の場合は、エアコンコンプレッサーを作動させるためにエンジンの力を必要とするし、送風のために電力も使うので、燃費に影響する。一方のEVは、そもそも熱を発するエンジンがないので、暖房をつけるためにもわざわざ電気を消費する必要があり、さらに走行距離は短くなる。 中国ではEVが急速に普及しているイメージがあるが、南部の沿岸部の比較的温暖な地域でこそ、タクシーはほとんどEVに置き換わっているものの、東北部などではまだまだガソリン車が主力だ。各社がEVにシフトする中で、内燃機関の自動車を必要とする地域が残るとすれば、ガソリン車をつくり続けるメーカーが残存者利益を獲得できるかもしれない。 さらに、Well-to-Wheel(油井から自動車まで)の考え方でいえば、日本でEVを走らせても「ゼロエミッション」にはならない。日本では東日本大震災以降、全ての原子力発電所を止めており、順次再稼働の方向性ではあるが、現在の電力の大半は石油などを燃やしてつくっている(参考URL)。電気は電池に充電する以外は燃料のように貯めておくことができないので、発電しても使われなかった電力や、電線の抵抗による電力のロスなども含めて考えると、発電所で重油を燃やすより、走るときに必要なだけガソリンを消費する方が効率は良い、という考え方もある』、「内燃機関からEVへのシフトはある程度慎重に行う必要がある」、理屈の上ではその通りだが、現実の競争社会では「中国」や「欧米」のライバルに遅れをとるわけにはいかない。「発電所で重油を燃やすより、走るときに必要なだけガソリンを消費する方が効率は良い、という考え方もある」、もっと実証的な論文などで裏付けてほしいものだ。
・『国内のガソリン消費を減らすだけで済む話なのか  もう1つの問題は、ガソリンだけが石油製品ではないという問題だ。ガソリンは原油を精製することによって取り出される石油製品の1つだが、同時に原油からは産業用に使われる重油、ディーゼル車に使われる軽油、家庭の暖房などに使われる灯油、家庭の調理器具やお風呂に使われるLPガス、プラスチックなどの化学製品の原料となるナフサなどが精製されている。 (石油製品の得率のグラフはリンク先参照) ガソリンの消費だけを減らしても、他の石油由来の製品の使用もバランス良く減らしていかなければ、日本国内のガソリン消費量を削減できたとしても、地球全体ではガソリン消費量が変わらないかもしれない。日本では、1970年代頃の公害問題が契機となってディーゼル車規制が強化され、極端にディーゼル車の販売台数が少ない。そのため、日本で原油から精製される軽油は国内消費よりも多くなり、韓国などに輸出されている。 ガソリンでも、同じことが起こるかもしれない。重油やナフサ、LPガスなどを必要とする産業がある限り、原油を輸入し精製するというビジネスは残り続け、これらを精製する過程でガソリンも生産されてしまう。余剰のガソリンを外国に輸出するようになれば、日本国内でガソリン車がなくなったとしても、世界のどこかでガソリンが消費されることには変わらないことになる。 温室効果ガス排出ゼロを実現するためにガソリン車を削減するということであれば、ガソリンが輸出され他国で消費されるのでは意味がなく、原油の消費全体を下げていくことを同時並行で行っていかなければならない。そのためには、重油を使う工場や、ナフサを使う化学メーカーなどが消費している石油由来製品の削減と歩調を合わせて、バランスを取る必要がある。その意味でも、ガソリン車だけを急速に削減することには課題が残る。 長期的な視点で見れば、自動車の大半はEVへシフトしていくだろう。またEVは、温室効果ガス排出量の削減に大きな貢献をすることが期待できる。しかし、自動車単体だけを捉えたガソリン消費削減ではなく、石油製品を使用する産業全体のエコシステムを見直すことが必要となり、また日本の自動車産業の競争優位の源泉を転換させるための時間稼ぎも必要となる。 冒頭に述べたように、政府がEVシフトの具体的な目標を掲げたことは産業界のイノベーション促進にプラスではあるが、目標数値だけが一人歩きしないようにする必要がある。全体のバランスを取りながら、何が地球環境と日本の自動車産業の競争優位にとってプラスなのかを、考えていく必要があるだろう。 また、本気でゼロエミッションを実現するためには、EVを走らせるだけでは意味がなく、動力源の電力の生産も含めてEVのサプライチェーン全体をゼロエミッション化することも必要だ。 サプライチェーン全体のゼロエミッション化では、スウェーデンに本社があるノースボルトという会社の取り組みが面白い。スウェーデンには、リチウムイオン電池の原料となるリチウムなどのレアメタル鉱山があり、ノースボルト社はリチウムの採掘から、EV用リチウムイオン電池の生産までを手がけているのだが、リチウムを細工するために必要なドリルなどの工具も、風力発電などのゼロエミッションエネルギーによって充電された機器だけを利用しているという。同様に、リチウムイオン電池の工場の建設や、生産設備の稼働も、ゼロエミッションエネルギーだけを利用して生産している。 同社の電池工場には、ドイツ政府やドイツの自動車メーカーも注目していて、メーカーとの提携や政府による融資保証などに基づいて、ドイツ国内にノースボルト社のリチウムイオン電池生産のためのギガファクトリー建設が進んでいる』、「全体のバランスを取りながら、何が地球環境と日本の自動車産業の競争優位にとってプラスなのかを、考えていく必要があるだろう」、正論だが、具体的姿を出さずに、筋論だけ主張するのは、問題だ。
・『自動車業界だけでなく各産業の協力が必要に  日本でも、単にEVを走らせるだけでは温室効果ガス排出ゼロは実現しないため、サプライチェーン全体のゼロエミッション化のために、多くの産業の協力が必要であろう。 太陽光発電も期待されるエネルギー源だが、発電量は天候に左右されるという問題があり、さらに森林を切り開いて無秩序に太陽光パネルを設置するような発電設備をつくることにより、景観破壊の問題も指摘されている。地域の景観問題とも両立し得る、高効率で小型化が可能、なしいはデザイン的に自然と調和するような太陽光パネルの新しい技術開発、製品開発も必要だろう。 ガソリン車ゼロの目標を柔軟に活用しながらも、将来的な温室効果ガス排出ゼロを目指して、自動車産業だけではなく各産業の協力が必要だろう。また、そこには新たなビジネスチャンスがあるだろう』、筋論としては異論はないが、そこまで話を広範囲に広げて、どうするつもりなのだろうか。「各産業の協力」、というのも、道義的なものではなく、価格メカニズムを通じたものでなければ、機能しないだろう。
タグ:自動車 東洋経済オンライン 現代ビジネス 長内 厚 イヤモンド・オンライン (一般)(その4)(マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える 皆さんはどう思いますか、ホンダ GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ、「脱ガソリン車」を急ぐと 自動車業界が電機業界と同じ轍を踏む理由) 「マスコミはもういらない…トヨタ社長の「ロバの話」を考える 皆さんはどう思いますか」 唐突に始まった寓話 トヨタの定時株主総会 ロバを連れている老夫婦の話 「豊田章男社長」が「時株主総会」で切り出したとは、よほど腹に据えかねていたのだろう だからキレてしまった 彼らは頻繁に『担当替え』があるので、業界や企業のことをあまり勉強しないまま取材に来る。 別に、難しいことを要求するつもりはありませんが、ホームページで逐一公開しているIR情報とか、有価証券報告書に記載している基本的な経営事項すら頭に入っていない状態はさすがに困ります」、同感だ マスコミを見捨てた トヨタイムズ 「香川照之」氏は依然、「編集長」 損をするのは誰か 不完全な情報公開が続けば、損をするのは受け取る側だ」、さらにいえば、企業の株価に占める不確実性リスク・プレミアムが上昇し、企業も損をすることになる 「ホンダ、GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ」 ホンダがアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)と提携拡大 車の基幹部分にも提携範囲を拡大 「ホンダ」と「GM」は「新車開発での補完関係を築きやすい」、シナジーを大いに生かしてもらいたい 資本提携には踏み込まず 「将来的には生産拠点を相互活用する可能性もある」、その場合には「資本提携」も必要になるだろう 「「脱ガソリン車」を急ぐと、自動車業界が電機業界と同じ轍を踏む理由」 日系自動車メーカーの強みの源泉 インテグラル型のアーキテクチャ 私は「すり合わせ」型はよく見聞きするが、恰好良く言えば、「インテグラル型のアーキテクチャ」となるようだ ハイブリッド車は技術優位性の延命策だった 「ハイブリッド車は技術優位性の延命策」、言われてみれば、その通りだ。「電機業界」の「コモディティ化」は、確かに業界構造を一変させた 急速なモジュール化によって強みを奪われてしまった電機業界 内燃機関からEVへのシフトはある程度慎重に行う必要がある」、理屈の上ではその通りだが、現実の競争社会では「中国」や「欧米」のライバルに遅れをとるわけにはいかない 「発電所で重油を燃やすより、走るときに必要なだけガソリンを消費する方が効率は良い、という考え方もある」、もっと実証的な論文などで裏付けてほしいものだ。 国内のガソリン消費を減らすだけで済む話なのか 「全体のバランスを取りながら、何が地球環境と日本の自動車産業の競争優位にとってプラスなのかを、考えていく必要があるだろう」、正論だが、具体的姿を出さずに、筋論だけ主張するのは、問題だ 自動車業界だけでなく各産業の協力が必要に 筋論としては異論はないが、そこまで話を広範囲に広げて、どうするつもりなのだろうか。「各産業の協力」、というのも、道義的なものではなく、価格メカニズムを通じたものでなければ、機能しないだろう
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

商社問題(その3)(三菱商事と伊藤忠 コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社 5年ぶりに業界首位が交代へ、三井物産 新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ、伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ) [産業動向]

商社問題については、昨年9月18日に取上げた。今日は、(その3)(三菱商事と伊藤忠 コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社 5年ぶりに業界首位が交代へ、三井物産 新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ、伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ)である。

先ずは、昨年11月13日付け東洋経済オンライン「三菱商事と伊藤忠、コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社、5年ぶりに業界首位が交代へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/388479
・『総合商社大手の三菱商事が、コロナ禍で喘いでいる。 同社は11月5日、2020年4月~9月期決算を発表した。純利益は前年同期比64%減の866億円と、苦しい結果となった。通期の業績見通しについては、純利益2000億円(前期比62%減)の当初計画を据え置いている。下半期(2020年10月~2021年3月期)も大きな回復は望めなさそうだ。 同日、電話会議で決算内容について説明した三菱商事の垣内威彦社長は、「業績が低迷していることを真摯に受け止め、緊張感のある経営を実行していきたい」と語った』、「三菱商事」は大丈夫だろうか。
・『踏ん張った伊藤忠  三菱商事はここ数年、総合商社5社の中でトップの純利益を叩きだしてきた。ところが今期に入ると、厳しい局面に立たされた。 前2020年3月期決算は業界2位だった伊藤忠商事がコロナ禍でも堅調な業績をみせ、今2020年4~9月期の純利益は2525億円と、前年同期比12%減ながら、上半期としては過去3番目の好業績だった。 コロナ禍でも幅広い事業部門が健闘したことがその理由だ。伊藤忠の鉢村剛CFO(最高財務責任者)は「エネルギー・化学品部門では合成樹脂の取引、衛生用品や日用品の取り扱いが堅調だった」と語る。鉄鉱石市況の高い状態が続いたことも、利益に寄与した。 伊藤忠は通期も純利益4000億円(前期比20%減)計画としていることから、5大商社の中で頭一つ飛び抜ける格好になる。三菱商事と伊藤忠商事の今期純利益計画は、その差が2倍に開く。 5番手の丸紅は食料事業や金属事業が好調なため、11月4日に今2021年3月期の通期純利益計画を従来の1000億円から1500億円に引き上げた(前期実績は1974億円の赤字)。これにより、三菱商事と丸紅の通期純利益の差は500億円に肉薄する。 2020年3月期には純利益5354億円を稼いだ三菱商事だったが、今期はコロナによる業績の下押し影響を約3000億円と見込んでいる。 中でも足を引っ張っているのが自動車関連の事業だ。三菱商事が20%出資する持分法適用会社の三菱自動車は、今2021年3月期の最終利益が3600億円の赤字と、前期に続いて水面下が続く見通しだ(前期実績は257億円の赤字)。三菱自の不調が打撃となり、三菱商事の自動車・モビリティグループは通期で500億円の赤字に転落する計画となっている。 これまで三菱商事の業績を下支えしてきた資源事業にも、コロナ影響が強く及んでいる。原料炭やLNG(液化天然ガス)は市況が低迷。原料炭は今上期純利益353億円(前期実績は896億円)、天然ガス事業も同86億円(前期は429億円)と、大きく目減りしている。垣内社長は原料炭やLNG、自動車について、「市況の回復まで我慢せざるをえない」と説明する。業績回復は早くても2022年3月期を待つことになりそうだ』、「資源」「商社」としては、「資源事業」が不振ではどうにもならないようだ。
・『資源価格低迷でも多額の減損計上せず  足元ではコロナの影響をまともに受けている三菱商事だが、中期的にはどうか。今後の業績を推察するうえで着目すべき点がある。 同社は資源価格の低迷にもかかわらず、多額の減損を計上する事態には至っていないのだ。2016年3月期には資源バブルの崩壊で1493億円の純損失を計上するなど、初の赤字に沈んだ。それ以来、資源価格が大きく下がっても利益を出し続けられる体質への転換を進めてきた。 2020年4月には原油先物(WTI)が一時マイナス価格に陥るような事態もあった。そのため、例えば石油元売り大手のENEOSホールディングスは上流事業の資産価値見直しを迫られ、2020年3月期に約900億円の減損を出した。 商社業界でも、三井物産は石油・ガス事業の複数のプロジェクトで475億円、丸紅も石油・ガス開発で1313億円の減損を2020年3月期に計上した。一方の三菱商事も北米シェールガス関連で約100億円を減損しているが、金額は大きくない。「うまくいかなかったこともあり、油を掘って売る事業(石油開発事業)はいまではほとんどなくなっている」(三菱商事の増一行CFO)ためだ。 三菱商事が力を入れてきたLNG事業は、販売価格が原油価格に一部連動するため、大きく利幅が縮小した。だが、顧客企業との契約が大幅な原油安になっても損が出にくい仕組みであるため、「びっくりするほど原油価格が安くならないとLNG事業は赤字にはならない」と、増CFOは説明する。 金属事業でも2015年度の資源バブル崩壊時の教訓が生きている。原料炭は2010年代の最もコスト高だったころと比べると、操業コストは約4割も減った。現在も鉱山のトラック自動化といった施策を展開して、一層の効率化を目指す。 低迷していた原料炭市況は、8月ごろから鉄鋼生産が回復基調にあったことから上昇していたが、中国で豪州産原料炭の輸入が滞っていることが伝えられると10月ごろに再び値を下げる事態となった。 背景には中国と豪州間の関係悪化があり、中国が通関規制をかけているとされる。一説には規制の影響で、中国国内産の原料炭価格は輸入炭よりも1トン当たり70ドルも高くなっているとされる。増CFOは「(こうした)経済不合理なことが続くとは思えない」としており、規制が緩和されれば原料炭の価格が回復し、三菱商事の業績を押し上げる要因になりそうだ』、「資源価格の低迷にもかかわらず、多額の減損を計上する事態には至っていない」、体質改善は進んだようだ。
・『赤字が続く関連会社の整理を急ぐ  足腰の強さがあるとはいえ、今後はさらなるグループ内の改革も求められる。 三菱商事には約1700社の連結事業会社がある。特に今上期ではコロナ禍で複数の連結事業会社が赤字に陥っている。サーモン養殖大手のセルマック社(ノルウェー)が打撃を受けている1社だ。コロナ禍でレストラン向けのサーモン需要が減少している影響を受けており、今上期時点では赤字に陥っている。このように赤字を抱える連結事業会社の規模は、足元で数百億円にのぼる。 三菱商事はコロナ前から赤字が続いてきた関連会社などについて合併や売却を含めた整理をできるだけ早く進める考えだ。増CFOは「インパクトの大きいもの(事業)からすでに始めている」と説明。垣内社長も「赤字になっている会社に対してはしっかりとした見直しをして赤字をなくす施策をとる」と強調する。膿を出す施策を果敢に進めることで再び成長軌道に乗せることができるか、真価が問われる』、「コロナ前から赤字が続いてきた関連会社などについて合併や売却を含めた整理をできるだけ早く進める考え」、当然だろう。

次に、本年1月13日付け東洋経済オンライン「三井物産、新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/403398
・『三井物産は「資源商社」から脱却できるのか。 大手商社の三井物産は安永竜夫社長(60)に代わり、堀健一専務(59)を4月1日付けで昇格させることを決めた。安永社長は会長に就く。 2015年に54 歳で社長に就任した安永氏は執行役員だった当時、32人抜きの大抜擢で社長に就任した。そのため、安永氏の時と同様、三井物産の次期社長も執行役員級の若い年次から抜擢される可能性がささやかれていた』、新社長が僅か1歳若いだけということは、「若い年次から抜擢」はあきらめたようだ。
・『化学品畑を歩んだ新トップ  堀氏は化学品畑を中心に歩み、アメリカの家畜飼料添加物メーカー・ノーバス社の買収にも関わった。その後、経営企画部長やニュートリション・アグリカルチャー本部長を経て2019年4月に専務に就任した。安永氏が執行役員から社長に大抜擢されたことを考えれば、今回の社長人事にサプライズはなかった。 2020年12月23日に開かれた記者会見で安永氏は、堀氏の課題解決能力の高さなどを挙げ、「新しいリーダーシップを発揮するに当たって最適の人物だ」と説明した。 三井物産はかつて、純利益で業界第2位を誇る名門商社として存在感を示してきた。ただ、近年は非資源事業に強い伊藤忠商事が伸長し、業界3位が定着している。記者会見で堀氏は、「成果、経営指標について(マーケットの)期待に応えられていない」と答えた。 三井物産は資源事業で強固な収益基盤を持ち、鉄鉱石や銅などの金属資源、LNG(液化天然ガス)など資源事業から上がる利益の割合が大きい。同社が「資源商社」と称される所以で、過去最高益を記録した2012年3月期の当期純利益4344億円のうち、約9割は高市況に沸いた資源事業が稼いだ。資源事業の割合は2020年3月期時点でも約6割を占める。 資源事業は、市況によって業績が大きく乱高下しがちだ。安定した収益構造への変革が安永氏の課題でもあった』、「当期純利益」のうち「資源事業の割合」は、「2012年3月期」で「約9割」、「2020年3月期」でも「約6割」とはかなり高いようだ。
・『非資源分野の育成目標は未達に  実際、安永氏は社長就任直後、資源バブルの崩壊に直面した。資源事業で約2500億円もの大型減損を計上したことなどから2016年3月期の業績は初めて最終赤字に転落した。社長就任早々に辛酸をなめた安永氏が取り組んだのが資源事業の収益改善だ。鉱山の操業コストを低減し、市況が悪化しても赤字になりにくい資源事業への転換を図った。 安永氏が取り組んだもう1つの収益改善策が非資源事業の育成だ。2018年~2020年3月期を計画期間とする前の中期経営計画では、機械・インフラや化学品などの非資源分野を伸ばす計画を策定した。計画期間中に非資源事業の純利益を2017年3月期比の4割増、2000億円にする計画だったが、2020年3月期の実績は1611億円にとどまっている。 ブラジルの農業事業や鉄道事業が不調に終わったことが原因だが、赤字続きの案件を処理するなど、みるべき成果もある。三井物産は飯島彰己・現会長の社長在任時の2011年、世界の穀物需要拡大を見込んで、累計470億円を投じてブラジルの農業生産・穀物物流事業を手掛けるマルチグレイン社を完全子会社化した。だが、競合激化で赤字決算が常態化していた。 安永氏はそのマルチグレイン社からの撤退を決め、2018年5月に公表した。現在は清算に向けて事業の整理を行っている。撤退を決めた結果、マルチグレイン社に割いていた人員などの経営資源を他の事業に振り向けられるようになった。 安永氏は「マルチグレインからの撤退などを進めた結果として、次の躍進につながる種まきはできてきている」と振り返る。その中でとくに成長が期待できるのがヘルスケア事業だ。今後は「環境と健康というキーワードに結び付いたビジネス以外は残れない」と強調する安永氏にとって肝煎りの事業だとも言える。 2019年3月には約2300億円を投じ、インドやマレーシアなどで80病院を経営するアジア最大級の民間病院グループ・IHHグループの筆頭株主となった。同グループの総病床数は1万5000床を誇り、病院運営だけでなく、医療データを使った健康維持など「未病領域」でのビジネス拡大も狙っている』、「市況が悪化しても赤字になりにくい資源事業への転換」は上手くいったようだが、「非資源事業の育成」は今一歩のようだ。「IHHグループ」のマネジメントは大丈夫なのだろうか。
・『次期中計の利益目標は4000億円  その矢先に直面したのが新型コロナウイルスの感染拡大だった。コロナ影響による資源市況の低迷などで、三井物産の2021年3月期の純利益は前期比54%減の1800億円に沈む見通しだ。 2020年5月に発表した2021年~2023年3月期までの中期経営計画では、最終年度の純利益目標として4000億円を掲げた。この半分以上をヘルスケアや機械などといった非資源事業で稼ぐ算段だ。 中でも低・脱炭素ビジネスについて。三井物産は業界内でいち早く2050年のGHG(温室効果ガス)排出量の実質ゼロを標榜。現中計にもすでに盛り込んでいる。2020年4月にはエネルギーソリューション本部を新設し、再生可能エネルギーや水素、EV(電気自動車)関連のインフラまで、既存の本部を横断するような形で取り組む。2030年に純利益200億円に成長させる方針だ。 商社3位からの脱却に向け、非資源事業の花をどのように咲かせるのか。堀新社長の手腕が問われる』、「低・脱炭素ビジネスについて。三井物産は業界内でいち早く2050年のGHG・・・排出量の実質ゼロを標榜。現中計にもすでに盛り込んでいる」、「エネルギーソリューション本部」の活躍に期待したい。

第三に、1月18日付け東洋経済オンライン「伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/404678
・『躍進を続ける大手総合商社の伊藤忠商事は、経営の底上げを図るために首脳陣の大胆な交代に打って出た。 同社は1月13日、4月1日付で石井敬太専務執行役員(60)が社長COO(最高執行責任者)に昇格すると発表した。鈴木善久社長COO(65)は代表権のない副会長に就く。2018年4月に社長COOに就任した鈴木氏は、在任わずか3年で社長を退くことになる。 1月13日に行われたオンライン会見において、石井氏は2020年末に岡藤正広会長CEO(最高経営責任者、71)から新社長就任の打診を受けたことを明らかにした。石井氏は「(化学品部門という)地味な業界にいたので、社長就任は1ミリも考えていなかった。今までも私の名前が(報道などで社長候補として)挙がったこともない」と、自身にとってもサプライズであったことを率直に語った』、「鈴木氏は、在任わずか3年で社長を退く」、後任が「石井敬太専務執行役員(60)が社長COO」、まさに「サプライズ」人事だ。
・『6回も挙がった岡藤会長の名  石井氏は化学品部門が長く、アメリカ・ヒューストンやタイ・バンコクの駐在経験もある。2018年にはエネルギー・化学品カンパニーのトップに就任した。伊藤忠では繊維や食料、住生活といった生活消費関連事業がいわば花形で、石井氏が歩んできた化学畑はBtoBビジネスが多く、目立つ存在ではない。 だが、エネルギー・化学品カンパニーは蓄電池や再生可能資源由来のバイオマスプラスチック事業に参入するなど、伊藤忠が重視する環境配慮型ビジネスを手掛けており、そうした経験が買われて今回の起用に至ったものとみられる。 わずか30分のオンライン会見だったが、その中で存在感を放っていたのは、むしろ会見には姿を見せなかった岡藤氏だ。石井氏が「(岡藤)会長も言っているように……」と話すなど、鈴木氏と石井氏は会見中に合わせて6回も岡藤氏の名前を挙げて伊藤忠の方向性や社長就任の経緯について説明した。 岡藤氏は4月以降も会長CEOとして続投する。鈴木氏は「岡藤会長が続投して次期中期経営計画(2021~2023年度)をまっとうされると、私は理解している」と述べた。 岡藤氏は2010年4月の社長就任以来、伊藤忠を牽引している。この間に、伊藤忠の業績は大幅に伸びた。2010年3月期(アメリカ会計基準)の純利益は1281億円だったが、10年経った2020年3月期(IFRS)には純利益5013億円を稼ぐまでになった。「伊藤忠を躍進させたカリスマ」(商社業界関係者)の下、同社の時価総額は2020年6月に三菱商事を抜いて商社業界トップに立った。 現在の伊藤忠は各部門がバランスよく稼いでおり、突出して稼ぐ部門がないことが特徴だ。資源事業への依存度も低く、非資源事業が純利益の約8割を占める。岡藤氏は伊藤忠グループ各社の経営管理を徹底することで、利益を積み上げてきた。 2000年頃には1000社ある事業会社のうち黒字会社は約6割だったが、2020年3月期には事業会社を300社弱にまで減らし、黒字会社比率は約9割に達した』、「6回も挙がった岡藤会長の名」、「岡藤会長」の権威は極めて高くなったようだ。「関連会社の整理・黒字化は大きな成果を挙げたようだ。
・『肝煎り新組織で「縦割り」打破へ  その岡藤氏が目下、強く必要性を唱えているのがビジネスモデルの転換だ。伊藤忠に限らず、総合商社各社には商品軸の「縦割り」文化が根付いている。縦割りだったからこそ、商品知識に富んだプロフェッショナルが社内に育ち、取引先に付加価値を提供できた。 だが、顧客ニーズが多様化する現在では、それに応じた事業を展開するためには縦割り組織では対応し切れないケースが多く、この弊害をどう克服するかが各商社の課題となっている。 伊藤忠も単に製品を販売するのではなく、今後は川下領域の事業を通じて顧客ニーズをすくい上げることを重視する。部門にとらわれず、顧客ニーズをもとに新たなビジネスをつくる「マーケットイン」型への組織転換を目指す。 こうしたビジネスモデル変革に向けて打った布石が、2019年7月の第8カンパニーの設立だ。伊藤忠には機械や繊維部門などといった7カンパニーがある。第8カンパニーは岡藤氏肝煎りの組織で、他のカンパニーを巻き込みながら顧客起点のビジネスを具体化していくことが使命となっている。 とくに生活消費分野の核となるファミリーマート関連事業を一手に担う。この第8カンパニーのトップには、岡藤氏の「懐刀」と言われる細見研介執行役員が就いていた。 ファミマは伊藤忠の今後の成長エンジンと期待されるが、多くの課題を抱えている。例えば海外展開が遅々として進んでいない。中国では現地のパートナー企業が継続的な利益相反取引などを行っていたとして訴訟を継続しており、出口はまだ見えていない。国内でも、弁当などの商品開発力はコンビニ王者のセブン-イレブンに比べると見劣りする。 伊藤忠はファミマへのテコ入れを行うために、2020年7月から8月にかけて約5800億円を投じてTOB(株式公開買い付け)を実施。50.1%だった株式保有比率を最終的には9割超とする。伊藤忠が主導してファミマの経営課題の解決に当たる算段だ』、中国最大のコングロマリットのCITIC、タイのCPグループと業務・資本提携をしている。ただ、「中国では現地のパートナー企業が継続的な利益相反取引などを行っていたとして訴訟」、との関連は不明である。
https://www.itochu.co.jp/ja/business/alliance/index.html
・『注視すべきは細見氏の行方?  そして今回、新たに社長を送り込むことも決めた。第8カンパニーのトップである細見氏が3月1日付でファミマの新社長に就任する。細見氏はファミマの立て直しだけではなく、ファミマの強みを伊藤忠の成長に結びつけることが期待される。そのためには、全国で1日約1500万人もが来店するファミマの顧客購買データの活用が焦点のひとつになる。 そういった意味で注目されるのが、伊藤忠がファミマ、NTTドコモ、サイバーエージェントと組んで2020年10月に設立した「データ・ワン」という新会社だ。ファミマの購買データと、約4700万人が登録するドコモのdポイントカードの会員データ、そして顧客の位置情報を組み合わせてターゲッティング広告などを展開する。例えば、購買データを分析し、ユーザーに合わせてサプリメントの広告を配信するといったことが考えられる。 岡藤氏の描くマーケットインを重視する次世代の伊藤忠にとって、ファミマの事業強化・活用はグループのさらなる成長へのカギを握りそうだ。その点、ファミマのテコ入れや新たなビジネスの具体化といった重責を担う細見氏の今回の人事は、伊藤忠本体の社長交代よりも重要な意味を持つのかもしれない。 社内からは早くも、「細見氏はいずれ伊藤忠の社長になるだろう」(伊藤忠社員)との声が聞こえてくる。次の社長人事を占う意味でも、ファミマの動向に注視する必要がある』、確かに「ファミマの動向」は大いに注目される。
タグ:東洋経済オンライン 商社問題 (その3)(三菱商事と伊藤忠 コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社 5年ぶりに業界首位が交代へ、三井物産 新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ、伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ) 「三菱商事と伊藤忠、コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社、5年ぶりに業界首位が交代へ」 踏ん張った伊藤忠 三菱商事はここ数年、総合商社5社の中でトップの純利益を叩きだしてきた。ところが今期に入ると、厳しい局面 三菱商事と伊藤忠商事の今期純利益計画は、その差が2倍に開く 「資源」「商社」としては、「資源事業」が不振ではどうにもならないようだ 資源価格低迷でも多額の減損計上せず 「資源価格の低迷にもかかわらず、多額の減損を計上する事態には至っていない」、体質改善は進んだようだ 赤字が続く関連会社の整理を急ぐ コロナ前から赤字が続いてきた関連会社などについて合併や売却を含めた整理をできるだけ早く進める考え」、当然だろう 「三井物産、新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ」 三井物産は「資源商社」から脱却できるのか 新社長が僅か1歳若いだけということは、「若い年次から抜擢」はあきらめたようだ 化学品畑を歩んだ新トップ 「当期純利益」のうち「資源事業の割合」は、「2012年3月期」で「約9割」、「2020年3月期」でも「約6割」とはかなり高いようだ 非資源分野の育成目標は未達に 市況が悪化しても赤字になりにくい資源事業への転換」は上手くいったようだが、「非資源事業の育成」は今一歩のようだ 「IHHグループ」のマネジメントは大丈夫なのだろうか。 次期中計の利益目標は4000億円 低・脱炭素ビジネスについて。三井物産は業界内でいち早く2050年のGHG 排出量の実質ゼロを標榜。現中計にもすでに盛り込んでいる 「エネルギーソリューション本部」の活躍に期待したい。 「伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ」 「鈴木氏は、在任わずか3年で社長を退く」、後任が「石井敬太専務執行役員(60)が社長COO まさに「サプライズ」人事だ 6回も挙がった岡藤会長の名 岡藤会長」の権威は極めて高くなったようだ 「関連会社の整理・黒字化は大きな成果を挙げたようだ 肝煎り新組織で「縦割り」打破へ 中国最大のコングロマリットのCITIC、タイのCPグループと業務・資本提携をしている 「中国では現地のパートナー企業が継続的な利益相反取引などを行っていたとして訴訟」、との関連は不明 注視すべきは細見氏の行方? 確かに「ファミマの動向」は大いに注目される
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

携帯・スマホ(その3)(ジョブズが子供の「iPad使用」に慎重だったワケ T企業のトップたちは複雑な感情を抱いている、巨象NTTが突如として動き出した決定的理由 グループ6社の社長に直撃 見えてきた次の一手、インタビュー/NTT社長 澤田 純 「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」、携帯業界「情報争奪」の実態…元SB社員逮捕は“氷山の一角”) [産業動向]

携帯・スマホについては、昨年4月1日に取上げた。今日は、(その3)(ジョブズが子供の「iPad使用」に慎重だったワケ T企業のトップたちは複雑な感情を抱いている、巨象NTTが突如として動き出した決定的理由 グループ6社の社長に直撃 見えてきた次の一手、インタビュー/NTT社長 澤田 純 「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」、携帯業界「情報争奪」の実態…元SB社員逮捕は“氷山の一角”)である。

先ずは、昨年12月28日付け東洋経済オンラインが掲載した 精神科医のアンデシュ・ハンセン氏による「ジョブズが子供の「iPad使用」に慎重だったワケ T企業のトップたちは複雑な感情を抱いている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/394337
・『スマホやiPadの登場は、便利な一方で、私たちの生活をいつの間にか蝕んでいきます。それは子供たちも同様です。精神科医のアンデシュ・ハンセン氏が上梓した『スマホ脳』を一部抜粋・再構成し、スマートデバイスが子供に与える影響を紐解きます。 極めてテクノロジーに精通している人ほど、その魅力が度を過ぎていることを認識し、制限した方がいいと考えているようだ。ジャスティン・ローゼンスタインという30代のアメリカ人は、自分のフェイスブックの利用時間を制限することに決め、スナップチャットのほうはすっぱりやめた。 依存性ではヘロインに匹敵するからと言って。スマホの使用にブレーキをかけるために、本来は保護者が子供のスマホ使用を制限するためのアプリまでインストールした。 ローゼンスタインの行為が興味深いのは、彼こそがフェイスブックの「いいね」機能を開発した人物だからだ。つまり、「立てた親指」の立役者は、自分の創造物が度を過ぎて魅力的だと感じているのだ。あるインタビューでは、後悔したようにこう発言している。 「製品を開発するときに最善を尽くすのは当然のこと。それが思ってもみないような悪影響を与える──それに気づいたのは後になってからだ」』、「フェイスブックの「いいね」機能を開発した人物」がここまで正直に述懐したことには驚かされた。
・『子供たちを夢中にさせすぎる  このような意見を持つのは、シリコンバレーで彼1人ではない。iPodやiPhoneの開発に携わったアップル社の幹部トニー・ファデルも、スクリーンが子供たちを夢中にさせる点について同意見だ。 「冷や汗をびっしょりかいて目を覚ますんだ。僕たちはいったい何を創ってしまったんだろうって。うちの子供たちは、僕がスクリーンを取り上げようとすると、まるで自分の一部を奪われるような顔をする。そして感情的になる。それも、激しく。そのあと数日間、放心したような状態なんだ」 IT企業のトップは、自分たちが開発した製品に複雑な感情を抱いている。その最たるものが、アップル社の創業者スティーブ・ジョブズのエピソードだ。 ジョブズは、2010年初頭にサンフランシスコで開かれた製品発表会でiPadを初めて紹介し、聴衆を魅了した。「インターネットへのアクセスという特別な可能性をもたらす、驚くべき、比類なき存在」と、iPadに最大級の賛辞を浴びせた。 ただし、自分の子供の使用には慎重になっている──ことまでは言わなかった。あまりに依存性が高いことには気づいていたのに。ニューヨーク・タイムズ紙の記者が、あるインタビューでジョブズにこう尋ねている。 「自宅の壁は、スクリーンやiPadで埋め尽くされてるんでしょう?ディナーに訪れたゲストには、お菓子の代わりに、iPadを配るんですか?」それに対するジョブズの答えは「iPadはそばに置くことすらしない」、そしてスクリーンタイムを厳しく制限していると話した。仰天した記者は、ジョブズをローテクな親だと決めつけた』、「ジョブズ」が「インタビューで」、(自宅には)「「iPadはそばに置くことすらしない」、そしてスクリーンタイムを厳しく制限している」、やはり「iPad」の弊害を熟知しているようだ。
・『ビル・ゲイツも14歳までスマホを持たせず  テクノロジーが私たちにどんな影響を与えるのか、スティーブ・ジョブズほど的確に見抜いていた人は少ない。たった10年の間に、ジョブズはいくつもの製品を市場に投入し、私たちが映画や音楽、新聞記事を消費する方法を変貌させた。 コミュニケーションの手段については言うまでもない。それなのに自分の子供の使用には慎重になっていたという事実は、研究結果や新聞のコラムよりも多くを語っている。 スウェーデンでは2~3歳の子供のうち、3人に1人が毎日タブレットを使っている。まだろくに喋ることもできない年齢の子供がだ。 一方で、スティーブ・ジョブズの10代の子供は、iPadを使ってよい時間を厳しく制限されていた。ジョブズは皆の先を行っていたのだ。テクノロジーの開発だけでなく、それが私たちに与える影響においても。 絶対的な影響力を持つIT企業のトップたち。その中でスティーブ・ジョブズが極端な例だったわけではない。ビル・ゲイツは子供が14歳になるまでスマホは持たせなかったと話す。 現在、スウェーデンの11歳児の98%が自分のスマホを持っている。ビル・ゲイツの子供たちは、スマホを持たない2%に属していたわけだ。それは確実に、ゲイツ家に金銭的余裕がなかったせいではないのだ』、「ジョブズの10代の子供は、iPadを使ってよい時間を厳しく制限されていた」、「ビル・ゲイツは子供が14歳になるまでスマホは持たせなかったと話す」、「IT企業のトップたち」は、自分たちの売り物の欠陥が自分たちの「子供」に及ばないようにしているようだ。

次に、 1月8日付け東洋経済オンライン「巨象NTTが突如として動き出した決定的理由 グループ6社の社長に直撃、見えてきた次の一手」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/402030?amp_event=related_4
・『海外事業の強化に向けたグループ再編、トヨタや三菱商事など異業種大手との提携、そして4.3兆円の巨費を投じたNTTドコモの完全子会社化。澤田純氏が2018年に持ち株会社NTTの社長に就いてから、矢継ぎ早に新たな一手を繰り出している。 澤田氏は「スピードは重要だ。商売人はやっぱりタイム・イズ・マネー」と言い切る。猛然と動き出した巨象NTTはどこへ向かおうとしているのか。グループの主要6社トップを直撃した』、「NTT」グループが長い眠りから突如、目覚めたようだ。
・『①NTT 澤田純社長  「ゲームチェンジすればGAFAは脅威じゃない」 昨年、業界を驚かせたNTTによるNTTドコモの完全子会社化。澤田社長はインタビューで「ドコモは10年以上契約数のシェアが毎月のように下がっているし、売上高と利益の面では3番手になってしまった」と“不満”を口にした。もっとも、ドコモの取り込みは国内事業強化の一環にすぎない。澤田社長の視線の先には「GAFA」の存在がある』、「続き」は第三の記事で紹介。
・『②NTTドコモ 井伊基之社長  「準備が整った。早急にV字回復させる」「ドコモを強くしてこい」とNTTの澤田社長に言われ、2020年12月からドコモの社長に就任した井伊基之氏。独り負け状態から脱却するために、就任早々、激安の料金プランをブチ上げた。井伊氏はこれまでのやり方について、利益を着実に出すために「守りの経営」に入っていたと指摘。インタビューでは「今までのドコモだったらやらなかったことを思い切ってやる」と断言した>>続きを読む』、②以降のコメントは最後に。
・『③NTTデータ 本間洋社長  「もっと上へ“世界トップ5”目指す」 現在、NTTグループの海外売上高は全体の約2割。海外事業を今後の成長柱にできるかどうか。カギを握るのがNTTデータだ。近年はM&Aを積極的に推進。それでも本間社長は「海外で『NTTデータ』と名乗ってもわかってくれない」と話す。世界に通用するITベンダーになるために次の一手をどう打つか>>続きを読む』、同上。
・『④NTT東日本 井上福造社長  「地域密着型の“ICT商社”に生まれ変わる」 グループの「長男」に当たるNTT東日本。固定電話離れで売上高の減少が続いてきた。しかし、井上福造社長が「よく節約して利益が出せている」と言うように、ドコモに次いで利益が多い。課題は売り上げの増加だ。既存市場で成長が見込めない中、反転攻勢をかけられるか。井上社長は「方向感が変われば、全員がそちらに向かう団結力が東日本の強み」と語った>>続きを読む』、同上。
・『⑤NTT西日本 小林充佳社長  「地域分散の“弱み”を“強み”にできる」 NTT西日本は、大都市圏から山間部、島嶼部まで広範な地域で固定電話や光回線を提供する。いわば小さの市場の集合体だ。そのため、首都圏を抱えるNTT東日本と比べると、事業環境は不利だった。だが、小林社長は「西日本の社員は『やったろう』という反骨精神が強い」と話す。非効率な地域分散の「弱み」をどう「強み」に変えていくのか>>続きを読む』、同上。
・『⑥NTTコミュニケーションズ 丸岡亨社長  「ドコモと組んで“プラットフォーマー”になる」 グループで海外事業の“顔”として展開を拡大してきたNTTコミュニケーションズ。祖業は国内の長距離電話や国際電話だが、大規模な通信網を生かし、法人向けのネットワーク構築やデータセンター、クラウドで成長してきた。NTTによるドコモの完全子会社化で、丸岡亨社長は「ドコモとの連携が強まるのは間違いない」と言う>>続きを読む』、「「NTT」グループ各社が長い眠りから目覚め、やる気を出したのかは、もう少し見守る必要がありそうだ。

第三に、上記のうち「NTT社長 澤田 純氏」へのインタビューを12月25日付け週刊東洋経済プラス「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」の一部を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/25675
・『NTTのグループ売上高に占める海外事業の比率はいまだ2割と小さい。2018年の就任以来、NTTの澤田純社長はこれを強化すべく、グローバル事業の再編や世界的大企業の提携など矢継ぎ早に新たな手を打ってきた。澤田氏は「スピードは重要だ。商売人はやっぱりタイム・イズ・マネーですよ」と言い切る。 それは今回のNTTドコモの完全子会社化も同様だ。検討が始まったのが2020年4月。その5カ月後には発表にこぎ着けた。また、澤田氏の視線の先には「GAFA」の脅威があるという。「ゲームチェンジをしなければいけない」と語る澤田氏の真意を直撃した(Qは聞き手の質問、Aは澤田氏の回答)』、興味深そうだ。
・『Q:NTTドコモを12月に完全子会社化します。このタイミングで決断した理由は何ですか。 A:ドコモはNTTグループにとって収入面、利益面、人材面でも重要な会社だ。だが、もう10年以上契約数のシェアが毎月のように下がっているし、売上高と利益の面では3番手になってしまった。 そこに海外のOTT(オーバー・ザー・トップ:動画配信やSNSなどのサービス事業者)が入ってきて、競争が激しくなった。そんな中でドコモを強くしないといけない。そうすればNTT全体が強くなる。 完全子会社化したからといって自然にドコモが強くなるわけじゃない。意思決定を速くして、グループ間の連携を深める。現在研究開発を進めている「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想(詳細は後述)を実現するためにも、ドコモとの連携強化は必須だ。 Q:具体的にどう強くしますか。 A:一番わかりやすいのはコストだ。(ドコモが整備している)基盤のネットワークは、モバイル回線のみに使われている。ただKDDIは固定回線から始まり、ここにモバイルを足した。他社のほうがコスト効率がいい。完全子会社化を経てドコモがNTTコミュニケーションズ(コム)と連携すれば、(基盤のネットワークをコムの固定回線にも使えるので)コスト効率が良くなる。 もう1つは法人事業だ。ドコモは法人向けビジネスが非常に弱かった。ここでも(法人が主顧客である)コムと連携すればモバイルのソリューションをセットで売りやすくなり、競争力を上げられる。 これまでは無線(携帯)しかなかったので、KDDIやソフトバンクとの競争でドコモはスタートラインにも立てていなかった。5G時代には法人向けのソリューションも重要だ。KDDIもソフトバンクも「MaaS(Mobility as a Service)」など包括的なソリューションを提案しており、その入口に立つことを目指している。 ドコモが「スマートライフ」と呼んでいる(決済やアプリなどの)サービス開発も重要だ。ここはソフトウェア開発力の高いNTTコムウェアと連携を深めることで強化できる。 Q:今回の完全子会社化は国内の足場固めといえます。一方、2018年に澤田社長が就任してから、海外事業の強化を進めてきました。どんな立ち位置を目指しますか。 A:「BtoBtoX」と呼ばれるモデルだ。われわれ(B)が法人や自治体の顧客(B)にいろいろなソリューションを提案して、その先のエンドユーザー(X)向けに一緒に新しい事業をつくりましょうということ。海外はもともと国内以上にBtoBの色が強い。システム構築やプラットフォーム(データセンターやソフトウェア)などソリューションに近い部分をやっている。 消費者向けのビジネスはやはりGAFAが世界レベルで強い。よほどユニークでないと成長できない。(NTTとしては)そこでGAFAと戦う気もあまりないので、BtoBが必然的に多くなる。 Q:通信インフラの面では、米中摩擦の影響で中国ファーウェイの通信機器が各国で禁止される動きが広がっています。この12月にもイギリス政府がファーウェイから調達しない方針を発表しました。この流れは追い風ですか。 A:チャンスですね。うちだけではなく通信機器で世界に出遅れた日系メーカーにもチャンスだ。 西側諸国では今、「NECがいいんじゃないの?」と言われている。イギリスではまさにNECが(5G基地局の)実証実験をやっている。「Open RAN」(基地局設備をオープン化し特定のベンダー依存を防ぐ仕組み)の流れもあり参入の余地が広がる。 NTTとしてはそうした通信機器を導入する際のシステム構築が商機になる。NECや富士通の製品と一緒に必要になるシステムは、NTTデータが持ってくる。特に欧州での5Gの展開はまさにこれから。通信キャリアの基地局でも、「ローカル5G」でも入っていける。日本は遅れているといわれるが、5Gの導入という意味では先頭に立っている・・・』、「日本は遅れているといわれるが、5Gの導入という意味では先頭に立っている」、本当であれば一安心なのだが・・・。
・『GAFAはパートナーだが「脅威」  Q:澤田社長はつねづね「GAFAが競争相手だ」と口にしています。しかし、GAFAがNTTの競合といってもピンときません。ここにはどんな意図があるのですか? A:GAFAとの関係は互いに顧客であり、パートナーでもある。ただ、領域によっては戦う相手でもある。ドコモの話だが、端末やアプリでは連携している。アップルの「iOS」やグーグルの「アンドロイド」などのスマホのOS(基本ソフト)がなければ事業ができない。 Q:「戦う相手」となる領域とは? A:「脅威」といったほうがいいかもしれない。通信に目を向けると、今、インフラのソフトウェア化が進んでいる。楽天モバイルがアメリカのアルティオスター社と組んで、ネットワークの仮想化(汎用サーバー上にネットワークを構築すること)を進めているのは一つの例だ。 そうなると(専用機器をそろえる必要がなくなるため)GAFAのような企業も参入しやすくなる。通信キャリアのネットワークを制御するプラットフォームをGAFAが構築することも考えられる』、「GAFAとの関係」は確かに一筋縄ではいかず、複雑なようだ。

第四に、1月14日付け日刊ゲンダイ「携帯業界「情報争奪」の実態…元SB社員逮捕は“氷山の一角”」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/283844
・『元ソフトバンク社員が楽天モバイルに転職する際、高速・大容量通信規格「5G」に関する営業秘密を不正に持ち出して逮捕されたことが話題になっている。逮捕された合場邦章容疑者(45)は、一昨年12月にソフトバンクを退社して翌月の昨年1月に楽天へ入社。退社の際に5Gの技術ファイルを引き出して、自分のパソコンに保存していた。 合場容疑者が手に入れたのは基地局設備や、基地局と交換機を結ぶ固定通信網に関する技術情報とされる。ただし、楽天は「(合場容疑者が)前職により得た営業情報を弊社業務に利用した事実は確認していない。5Gに関する技術情報も含まれていない」と説明。ソフトバンクは営業秘密の利用停止と廃棄などを目的として楽天を相手に民事訴訟を提起する予定だ。 昨年から携帯業界は5G時代に突入し、菅政権の値下げ圧力により低価格競争も激化。日進月歩の業界では熾烈な情報争奪戦が行われている』、「楽天」は「携帯」でいくら大きく立ち遅れたとはいえ、すぐにバレる不正な手段まで使って、キャッチアップしようとしたというのは、考え難い。
・『「基地局情報などの持ち出しよりも深刻なのが、頭脳の流出です」とはITジャーナリストの井上トシユキ氏だ。 「携帯各社が欲しがっているのは通信網の技術情報。高速でデータを送り、安定したネットワークを構築する技術です。こうした秘密情報は最高幹部でないと持ち出しは不可能。ハッキングでも入手できません。そこで業界で行われているのがライバル社のトップエンジニアのスカウト。もちろん、こうした技術者は情報を他社に漏らさないという誓約書を書いています。だけど、頭の中には自分が開発したシステムの設計図やこれまでのプロセスの記憶がある。これが重要なのです」』、なるほど。
・『A社で開発した技術をB社にそのまま持っていくと誓約書に違反するが、A社の技術をB社で発展させて別物にすれば法律に触れない。また、その技術者がA社でどんな試行錯誤をしたのか、どんな実験をしたのかというプロセスの中に、役立つ情報が潜んでいる。 スカウトで獲得した技術者が画期的な発明をして特許を取れば、ライバル企業から特許料を得ることもできる。そのため、現在の4、5倍の収入や、ウン億円の成功報酬を提示することもあるという。 「プロのスカウトマンが密かに接触したり、大学時代の先輩が優秀な後輩をお酒に誘って『ウチに来ないか』と持ちかけるなど、やり方はさまざまです。だから有能なエンジニアが『退職』を切り出したら、直属の上司や役員が責任を問われる。現在、5GではNTTの技術が抜きんでています。ライバル各社は同社のエンジニアをスカウトしたくてたまらないでしょう。菅政権の値下げ圧力により携帯各社は減益を覚悟している。だからこそ、コストと開発時間を抑えるために他社の技術入手に興味津々。情報と人材の戦国時代に突入したといえます」(井上トシユキ氏) 今回の事件は氷山の一角かもしれない』、「5GではNTTの技術が抜きんでています」、「ソフトバンク」の「技術」でも意味があったのだろうか。いずれにしろ、眞の事情が分かり難い事件で、今後の解明を待ちたい。
タグ:東洋経済オンライン 日刊ゲンダイ 携帯・スマホ (その3)(ジョブズが子供の「iPad使用」に慎重だったワケ T企業のトップたちは複雑な感情を抱いている、巨象NTTが突如として動き出した決定的理由 グループ6社の社長に直撃 見えてきた次の一手、インタビュー/NTT社長 澤田 純 「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」、携帯業界「情報争奪」の実態…元SB社員逮捕は“氷山の一角”) アンデシュ・ハンセン 「ジョブズが子供の「iPad使用」に慎重だったワケ T企業のトップたちは複雑な感情を抱いている」 極めてテクノロジーに精通している人ほど、その魅力が度を過ぎていることを認識し、制限した方がいいと考えているようだ 「製品を開発するときに最善を尽くすのは当然のこと。それが思ってもみないような悪影響を与える──それに気づいたのは後になってからだ」 「フェイスブックの「いいね」機能を開発した人物」がここまで正直に述懐したことには驚かされた 子供たちを夢中にさせすぎる 「ジョブズ」が「インタビューで」、(自宅には)「「iPadはそばに置くことすらしない」、そしてスクリーンタイムを厳しく制限している」、やはり「iPad」の弊害を熟知しているようだ ビル・ゲイツも14歳までスマホを持たせず ジョブズの10代の子供は、iPadを使ってよい時間を厳しく制限されていた 「IT企業のトップたち」は、自分たちの売り物の欠陥が自分たちの「子供」に及ばないようにしているようだ 「巨象NTTが突如として動き出した決定的理由 グループ6社の社長に直撃、見えてきた次の一手」 澤田純氏が2018年に持ち株会社NTTの社長に就いてから、矢継ぎ早に新たな一手を繰り出している ①NTT 澤田純社長  「ゲームチェンジすればGAFAは脅威じゃない」 ②NTTドコモ 井伊基之社長 「準備が整った。早急にV字回復させる」 ③NTTデータ 本間洋社長  「もっと上へ“世界トップ5”目指す」 ④NTT東日本 井上福造社長  「地域密着型の“ICT商社”に生まれ変わる」 ⑤NTT西日本 小林充佳社長  「地域分散の“弱み”を“強み”にできる」 ⑥NTTコミュニケーションズ 丸岡亨社長  「ドコモと組んで“プラットフォーマー”になる」 「NTT」グループ各社が長い眠りから目覚め、やる気を出したのかは、もう少し見守る必要がありそうだ NTT社長 澤田 純氏 週刊東洋経済プラス 「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」 10年以上契約数のシェアが毎月のように下がっているし、売上高と利益の面では3番手になってしまった 海外のOTT(オーバー・ザー・トップ:動画配信やSNSなどのサービス事業者)が入ってきて、競争が激しくなった 意思決定を速くして、グループ間の連携を深める 。完全子会社化を経てドコモがNTTコミュニケーションズ(コム)と連携すれば、(基盤のネットワークをコムの固定回線にも使えるので)コスト効率が良くなる もう1つは法人事業だ。ドコモは法人向けビジネスが非常に弱かった。ここでも(法人が主顧客である)コムと連携すればモバイルのソリューションをセットで売りやすくなり、競争力を上げられる 日本は遅れているといわれるが、5Gの導入という意味では先頭に立っている」、本当であれば一安心なのだが・・・ GAFAはパートナーだが「脅威」 GAFAとの関係」は確かに一筋縄ではいかず、複雑なようだ 「携帯業界「情報争奪」の実態…元SB社員逮捕は“氷山の一角”」 元ソフトバンク社員が楽天モバイルに転職する際、高速・大容量通信規格「5G」に関する営業秘密を不正に持ち出して逮捕 「楽天」は「携帯」でいくら大きく立ち遅れたとはいえ、すぐにバレる不正な手段まで使って、キャッチアップしようとしたというのは、考え難い 「基地局情報などの持ち出しよりも深刻なのが、頭脳の流出です A社の技術をB社で発展させて別物にすれば法律に触れない。また、その技術者がA社でどんな試行錯誤をしたのか、どんな実験をしたのかというプロセスの中に、役立つ情報が潜んでいる 5GではNTTの技術が抜きんでています 「ソフトバンク」の「技術」でも意味があったのだろうか。いずれにしろ、眞の事情が分かり難い事件で、今後の解明を待ちたい
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感
前の10件 | - 産業動向 ブログトップ