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ホテル(その7)(【無料公開】アパが電鉄系を大量買収!「ゾンビ化ホテル」に突き付けられる3つの究極の選択、アパホテル「コロナ禍の逆風でも業績好調」の戦略 「直販+ダイナミック・プライシング」で成功、シャトレーゼホテルに「汚部屋」批判…ホテル再生には“性悪説”が重要だ) [産業動向]

ホテルについては、昨年7月31日に取上げた。今日は、(その7)(【無料公開】アパが電鉄系を大量買収!「ゾンビ化ホテル」に突き付けられる3つの究極の選択、アパホテル「コロナ禍の逆風でも業績好調」の戦略 「直販+ダイナミック・プライシング」で成功、シャトレーゼホテルに「汚部屋」批判…ホテル再生には“性悪説”が重要だ)である。

先ずは、昨年8月2日付けダイヤモンド・オンライン「【無料公開】アパが電鉄系を大量買収!「ゾンビ化ホテル」に突き付けられる3つの究極の選択」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/305778
・『アパグループが電鉄系ビジネスホテルを大量買収するなど攻勢をかけている。アパにとってコロナ危機はチャンスでもあった。一方で宿泊客激減でゾンビ化したホテルは、ピンチを前に「三つの究極の選択肢」を突き付けられている。特集『ホテルの新・覇者』(全18回)の#14では、ゾンビ化ホテルの今後に迫る』、興味深そうだ。
・『アパにチャンス到来 電鉄系ビジネスホテルを買収  新型コロナウイルスの感染拡大により、電鉄会社のホテル売却が相次いだ。本業の鉄道における収益が伸び悩む中、インバウンド需要を当て込んで建てたビジネスホテルの事業が赤字に転落して足を引っ張ったためだ。 ホテル大手のアパグループにとってはチャンス到来。立て続けに電鉄会社のビジネスホテルを買収した(次ページに「アパグループが取得した電鉄系ホテル」のリストを掲載)。 次ページでは、アパがなぜ当該の電鉄系ホテルを選んで買ったのか、その詳細を明らかにする。さらに、宿泊客激減でゾンビ化したホテルが突き付けられている「三つの究極の選択肢」を示す』、「インバウンド需要を当て込んで建てたビジネスホテルの事業が赤字に転落して足を引っ張ったためだ・・・アパグループにとってはチャンス到来。立て続けに電鉄会社のビジネスホテルを買収した」、なるほど。
・『京急と西鉄がホテルを売却 「所有直営」だから選択できた  アパグループはコロナ禍以降、京浜急行電鉄から「京急EXイン羽田・穴守稲荷駅前」と「京急EXイン浅草橋駅前」(いずれも東京都)の2軒、西日本鉄道から「西鉄イン蒲田」(東京都)、「西鉄イン名古屋錦」(名古屋市)、「西鉄イン心斎橋」(大阪市)の3軒を買収した。 アパホテルの空白地帯にあったもの、自社ホテルと競合するエリアにあったものなどで、いずれもアパホテルにリブランドして最近リニューアルオープンした』、「京浜急行電鉄から「京急EXイン羽田・穴守稲荷駅前」と「京急EXイン浅草橋駅前」(いずれも東京都)の2軒、西日本鉄道から「西鉄イン蒲田」(東京都)、「西鉄イン名古屋錦」(名古屋市)、「西鉄イン心斎橋」(大阪市)の3軒を買収した」、なるほど。
・『アパが電鉄系を大量買収!「ゾンビ化ホテル」に突き付けられる3つの究極の選択  赤字を垂れ流して今後も厳しい状況が続く、あるいは完成直前ないし直後にコロナ禍がぶつかりオープンの見通しが立たないことで“ゾンビ化”したホテル――。そうしたホテルを抱える企業は今後どうするか決断を迫られている。 京急や西鉄のように「物件を売却」するのが一つ目の選択肢になる。ただし、この手が使えるのは土地と建物がワンセットになっている場合に限られる。 下図のように、主なホテル運営の方式には「所有直営方式」と「賃貸(リース)方式」がある。 (図表:ホテルの所有と賃貸の仕組み はリンク先参照) 所有直営方式では、土地・建物のオーナーが自ら運営する。この方式のメリットは、自らオーナーとなるため、土地・建物の賃料を払わなくていいこと。不動産取得費用は通常、金融機関からの借り入れで賄われる。そのため資金調達が必要で、短期間でのチェーン展開がしにくいというのがデメリットだ。 この方式なら、電鉄会社のようにホテルを切り売りして手元キャッシュを賄い急場をしのげる。多額の借金が残っている新築物件などは売ってもマイナスになる場合もあるが、早めに手放すことでキャッシュがこれ以上流出していくのを防ぐ手だてとなる。つまり「損切り」である。 収益用マンション開発を本業とする不動産会社、第一リアルターは大胆に損切りを決断した。同社はインバウンド需要の追い風を受け、ビジネスホテルを建てて完成後に投資家に売るという事業に乗り出していた。このホテル建て売りビジネスに2000億円以上を投じ、50棟以上のホテルを建て、業績を急激に伸ばした。「その分野では日本トップだった」と同社の奈良田隆社長は自負する。 ところが、投資したうちの1500億円分程度まで売却が終わったところでコロナ禍に直面した。ここで奈良田社長は買った土地をすぐ損切りしてでも売却すると決め、残っていた建設計画をストップした。「当社は未上場で業績予想を出す必要がない。だから自分で考えられるリスク・リターン分析だけでやれた」と奈良田社長。インバウンド需要で数百億円の利益を得ていたことに加え、コロナ禍の初期段階で“止血”したからこそ「何とか生き残れた」という』、「第一リアルターは大胆に損切りを決断した。同社はインバウンド需要の追い風を受け、ビジネスホテルを建てて完成後に投資家に売るという事業に乗り出していた。このホテル建て売りビジネスに2000億円以上を投じ、50棟以上のホテルを建て、業績を急激に伸ばした。「その分野では日本トップだった」と同社の奈良田隆社長は自負する。 ところが、投資したうちの1500億円分程度まで売却が終わったところでコロナ禍に直面した。ここで奈良田社長は買った土地をすぐ損切りしてでも売却すると決め、残っていた建設計画をストップした。「当社は未上場で業績予想を出す必要がない。だから自分で考えられるリスク・リターン分析だけでやれた」と奈良田社長。インバウンド需要で数百億円の利益を得ていたことに加え、コロナ禍の初期段階で“止血”したからこそ「何とか生き残れた」という」、賢明な手仕舞いだ。
・『「リース方式」の会社はホテル切り売りを選択できない  ホテル運営には賃貸(リース)方式もある。 ホテル会社は、不動産を持たずにオーナーから土地や建物を借りて運営する。メリットは、短期間でのチェーン展開がしやすいこと。しかし、宿泊客がゼロでもオーナーに一定の賃料を支払うという契約になっていることが多く、コロナ禍のようなケースではたちまち赤字に陥ってしまうデメリットがある。 リース方式で運営しているホテル会社は不動産がないため、ホテルを切り売りするという選択ができない。また、更地を借りてホテルは自ら建てようとしていた場合、コロナ禍で建物を建てられずに収益を出す見通しが立たないまま、地代家賃だけをオーナーに支払い続けることになるケースも。 インバウンドやビジネスの需要が戻るまで雇用調整助成金やコロナ融資などで食いつないだとしても、借り入れが膨らみ、コロナ禍が終息してもその返済に追われることになる。返済が追い付かず、金融機関が返済猶予や追い貸しに応じなくなった瞬間、息が続かなくなってしまう。 そのとき迫られる二つ目の選択肢が会社の売却、つまり「身売り」だ』、「迫られる二つ目の選択肢が会社の売却、つまり「身売り」だ」、なるほど。
・『「リース方式」のホテル会社は身売りも難しい  THEグローバル社の身売りは、世間でも話題になった。同社は京都市を中心に、2016年ごろからインバウンド向けのホテルを仕込んで建てまくり、飛ぶ鳥を落とす勢いで業績も急上昇した。 だがコロナ禍で一転、大赤字に。中国平安保険グループとSBIホールディングスが大株主である、マンションデベロッパーのアスコットに買収され、その軍門に下った。 ここで注意を払いたいのは、THEグローバル社に切り売りできる不動産があったからこそ身売りができたという点だ。 一方、ホテルバブルで業績を伸ばしてきた多くのホテル会社はリース方式で、オーナーに固定賃料を支払うために借金を重ねてきた。宿泊料収入がなくなれば、たちまち返済に行き詰まる。 それを投資家も分かっているから、オーナーとの賃料減額交渉が成立しているといったポジティブな要素でも見いだせない限り、リース方式のホテル会社は買わない。 リース方式の会社は身売りも難しいのだ』、「リース方式の会社は身売りも難しいのだ」、なるほど。
・『第三の選択はオフィスなどへの「用途転換」 三つ目の選択肢は、用途をホテル以外に変更する「用途転換(コンバージョン)」だ。 ホテル・旅館売買仲介業務やマーケット分析などを手掛けるバンガード・パートナーズには、日々売り物件の情報が入ってくる。だが、「ビジネスホテルでいい物件はあまりない」と、同社の檜山宗孝社長は言う。 「いい物件はあまりない」というのは価格面、ハード面の両方に当てはまる。価格面では売却希望価格が高く、買い手が出せる金額とのギャップが大きい。売り主はなるべく損切りしたくないため、価格を下げたがらないのだ。 ハード面では、近年造られた新しいものであっても魅力に乏しいものが多い。というのも、客室面積が小さいものが多く、今後の需要の取り込みを期待できないからだ。 ビジネスホテルは供給過多な上に、出張需要はコロナ禍前のレベルに戻らないと見立てるホテル関係者は多い。そうなると1~2人用客室の利用者は限られ、インバウンドからの3~5人用客室のニーズの方が強くなる。実際、損切りを行った第一リアルターの奈良田社長も今後、客室が広めの新たなタイプのホテル開発にチャンスを見いだしている。 バンガード・パートナーズでは最近、ビジネスホテルが供給過多の京都市で、あるホテル売却に携わった。本業が別にあって、ホテルがもうかるからちょっとやってみようという安易な考えで手を出してしまった揚げ句、失敗したというケースだ。 それでも売れればまだましだ。京都市で売りに出ている物件の中には、明らかにインバウンド狙いで住宅地に建ててしまったホテルもある。そうしたホテルは不便な場所にあるなど立地が悪く、コロナ禍以降、いまだに閉じられたままだ。 ホテルとしては価値がなく、そのままでは買い手もつかないという窮地に陥り、オフィスビルに用途転換するケースも出てきた。「客室の天井高がそれなりにあればオフィスにはできる」と檜山社長。もっとも、「採光の問題などから住宅への転用は基本的に難しい」という。 現状で需要は見込めそうもないが、ホテルとして続けたい、あるいは他への用途転換が難しい場合、ベッド数を増やしてファミリー層を取り込むなど顧客のターゲットを変えるといった策もあるにはある。だが、客室面積が小さいホテルではこれができないから、なかなか買い手がつかない。 究極ともいえる三つの選択肢。このどれも実行できなければ、残された道は倒産である。コロナ禍前から事業の急拡大によって多額の有利子負債を抱えていたり、競争激化で業績が低迷していたところは、ことさら危ない』、「ビジネスホテルは供給過多な上に、出張需要はコロナ禍前のレベルに戻らないと見立てるホテル関係者は多い。そうなると1~2人用客室の利用者は限られ、インバウンドからの3~5人用客室のニーズの方が強くなる。実際、損切りを行った第一リアルターの奈良田社長も今後、客室が広めの新たなタイプのホテル開発にチャンスを見いだしている・・・客室面積が小さいホテルではこれができないから、なかなか買い手がつかない。 究極ともいえる三つの選択肢。このどれも実行できなければ、残された道は倒産である。コロナ禍前から事業の急拡大によって多額の有利子負債を抱えていたり、競争激化で業績が低迷していたところは、ことさら危ない」、「ビジネスホテル」を取り巻く環境は厳しそうだ。

次に、8月22日付け東洋経済オンラインが掲載したボナ・ヴィータ代表取締役、BBT大学教授(マーケティング)の菅野 誠二 氏による「アパホテル「コロナ禍の逆風でも業績好調」の戦略 「直販+ダイナミック・プライシング」で成功」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/691314
・『インフレ、増税、円安、リセッションがニュースで報じられる昨今、「価格と利益」について、誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。最近、最も世間を騒がせた話題は「卵」の高騰でした。 『価格支配力とマーケティング』の著者 菅野誠二氏は、「自由に価格が設定できて、しかもお客さんが喜んで買ってくれるような、ハッピーな値付けが実現できたら夢のようではないか」と話します。 この記事では、需給が変化しやすいマーケットでも顧客価値創造をしながら価格支配力を獲得するバランスの妙を実現したアパホテルを例に解説します』、興味深そうだ。
・『他のビジネスホテルと異なる  ■出張族のインサイト  密かな楽しみ」から自社の強みを創造する  アパホテルは、コロナの逆風を経ても圧倒的な業績を示し続けている*。 目標、理念として同社は「利益の最大化ではなく、あくまで日本の住まい文化に貢献するという大義にある」としている。アパグループはホテル事業だけでなくリゾート事業、住宅事業、マンション・ビル管理事業も傘下に持つ。 *2022年11月末の連結決算で売上1,382億(過去5年CAGR 3.6%)、営業利益358億円(売上利益率25.9%)、経常利益353億円と、業界内で圧倒的な利益率を誇る。ホテルネットワークとして全国最大の 719 ホテル 110,395 室(建築・設計中、海外、FC、アパ直参画ホテルを含む)を展開 ターゲットは主に、企業の上位5%層のビジネスパーソンだ。このターゲットは急な出張の機会が多く、その際の価格弾力性が低い。会社が費用負担してくれるからである。同社の最大の強みは、「他のビジネスホテルと異なるビジネスマンの顧客インサイトの捉え方」にある。 同社がまず特定したビジネスパーソンのインサイトは「会社の出張費でポイントを貯め、それをプライベートの割引に活用することが出張族の密かな楽しみ」である。 価格弾力性が低く、同社クラスのホテル代なら、企業が支払える価格帯に設定する。 さらに、会社の経理に言えない、もう少し深いインサイトは、「急な出張を強いるのは会社都合なのだから、ホテル料金は高くなる。多めにポイントをもらえるくらいの余禄があってもよいよね」だと考えれば、同社の勝利の打ち手はダイナミック・プライシングにあると、私は理解している』、「アパホテル」は現在テレビCMを大量に流している。「「会社の出張費でポイントを貯め、それをプライベートの割引に活用することが出張族の密かな楽しみ」である。 価格弾力性が低く、同社クラスのホテル代なら、企業が支払える価格帯に設定する」、なるほど
・『ビジネスモデルの8割は「真似」  ■業界の外からダイナミック・プライシングを持ち込む  このビジネスモデル・イノベーションは、もともとは航空業界の手法である。そのため、同社のダイナミック・プライシングは世界初の取り組みではないが、日本のビジネスホテル業界に本格的に持ち込んだ企業がアパホテルなのだ。 「ダイナミック・プライシング」についてはのちほど説明するが、こうしたビジネスモデル・イノベーションを生む思考法を「アナロジー思考」と呼ぶ。 アナロジー/Analogy(類推思考)とは、他の業界の事例をアイデアの発想のもとにすることだ。単なる真似ではなく、新たなアイデアの追加が必要で、世の新規ビジネスモデルのうち80%は他業種にある業態の真似である、といわれる*。 シュンペーターの新結合の思想に同じく、新しいアイデアは既にあるアイデアの組みあわせが多いのだ』、「業界の外からダイナミック・プライシングを持ち込む  このビジネスモデル・イノベーションは、もともとは航空業界の手法である。そのため、同社のダイナミック・プライシングは世界初の取り組みではないが、日本のビジネスホテル業界に本格的に持ち込んだ企業がアパホテルなのだ」、なるほど。 
・『■ギリギリまで最高値で販売できるAIシステム  アパホテルの戦略は、「直販+ダイナミック・プライシング」だ。価格は市場ニーズに応じて一物多価で常に変化させ、価格支配力を維持する。 他社は予約サイトとの力関係上、どうしても値下げに応じて予約サイトへの割り当てを提供しがちだ。しかしアパホテルはTV広告やデジタル・マーケティングで顧客が直接予約サイトを訪れ、決済するまでをうまく誘導している。 また、コロナ禍で窮地に陥った多くのホテル事業者を底値で買収しており、これを「逆張りの投資」と呼んでいる。これまでにも幾多のホテル・観光・不動産不況時に、強靭な財務力と元谷外志雄会長の逆張り発想で、業績が低迷したホテルを底値で買収して事業規模を拡大してきた。 マーケティング・ミックスとそれを支えるシステムとしては、宿泊当日の予約が一番高価格で売れることから、キャンセル料は無料で、ギリギリまで最高値で販売できるようにAIシステムを導入している。最終判断はAIを参考にして各ホテルの支配人がそれぞれ全権を握り、効率的に稼働率を向上させつつ、平均単価をあげる仕組みがある。) ITのシステム上、ホテル比較サイトで近隣の空き部屋状況をリアルタイムで把握しながら空室在庫を分析し、1000円程度、価格をあげてプレミアムを取る。 部屋は豪華ではないが、コンパクトな部屋に大きなTVと、広く上等なベッドがあり、その上でも仕事ができるという仕様だ。徹底的にビジネスパーソンの出張に焦点を当てている。 アパホテルのホームページではロイヤルティプログラムが解説されており、ここで狙うのは「ファン化」である。 会員制度1900万人に対して平均で10%程度キャッシュバックしながら、ホテル予約サイトの宿泊料金設定は「アパ直」が最安値となるようにアパホテルが一括設定している。これによって直販サイトからの顧客流入を増やしてマージンを確保する』、「会員制度1900万人に対して平均で10%程度キャッシュバックしながら、ホテル予約サイトの宿泊料金設定は「アパ直」が最安値となるようにアパホテルが一括設定している。これによって直販サイトからの顧客流入を増やしてマージンを確保する」、なかなか賢明なやり方だ。
・『独自予約サイト利用でポイント  このロイヤルティプログラムでは、「年間利用実績(泊数等)に応じて5つの会員ステータスを用意している。「レギュラー」会員は最大9%だが最高位の「プレジデント」になると最大還元率が15%となる。これらは独自予約サイト「アパ直」経由の宿泊予約でアパポイントがたまるという仕組みだ。 また、「アパトリプルワンシステム」は、ホテル利用時スマホでアプリを使用すると「1ステップ予約」「1秒チェックイン」「1秒チェックアウト」ができる。 こと細かに顧客の使用シーンからペインを取り除いているのだ。 AIを含むITの活用とターゲット顧客に焦点を当てたビジネスモデル・イノベーションが成功の鍵である』、「AIを含むITの活用とターゲット顧客に焦点を当てたビジネスモデル・イノベーションが成功の鍵である」、大したものだ。
・『■ダイナミック・プライシングのリスクとアパホテルのコミュニケーション力  最後に「ダイナミック・プライシング」の解説をしておこう。 近年ではデジタル・マーケティングと相性のよいダイナミック・プライシングがさまざまな業界で活用されるようになってきた。従来、使用されていたアルゴリズムは、競合価格の監視や在庫量にあわせて価格を変動させる自動化レベルだった。 ここに数理、統計をもとに決定を補佐する「機械学習」や、AIが天気・イベントなどから需給に関連する変数をもとに収益最大化の選択肢を提示する「強化学習」が加わっている。 メリットは収益性の向上と在庫の低減にある。 一方でデメリットは、極端な価格変動を体感して「損した」「ぼったくりだ」など、顧客からの不信を生みかねず、ブランド棄損につながる可能性があることだ。 システム導入のコストも高く、解析のための人的能力が必要だし、一定量のデータ蓄積が必要で、成果が出るまでにそれなりの時間がかかることも懸念点である。 一時期、アパホテルに対して繁忙期の価格が高すぎるという不満がSNS上で炎上し、2017年に日経ビジネスが実施したホテル満足度調査では35社中最下位だった』、「一時期、アパホテルに対して繁忙期の価格が高すぎるという不満がSNS上で炎上し、2017年に日経ビジネスが実施したホテル満足度調査では35社中最下位だった」、こうしたデメリットを覚悟した上で、取り組んだようだ。
・『顧客満足度を向上させるために  しかし、日経ビジネスからのインタビュー**に対してアパグループの元谷外志雄代表の対応には、価格支配力への強い意思と戦略性を感じる。 一般論で言えば、価格設定がうまく機能して宿泊料金を上げれば、利用者の評価は下がる。 価格設定が不十分で、高く売れる日に安く売っていれば評価は上がる。 裏を返せば評価が低いということはそれだけ、うちは価格設定がうまいと言えなくもない。 だから非常に高い評価を維持しているホテルは、本来高く売れるのを安く売っているから評価が高いとも言える。 ……儲からないホテルはいいホテルと言えないと思います。 赤字で破綻するようなことがあれば、社会に対しても従業員にも迷惑をかけます。 ……いずれにしてもうちとしても利用者の評価を上げていこうと今、努力中です。 **『アパホテル、繁忙期の料金高騰に不満相次ぐ元谷外志雄代表・芙美子社長が夫婦で語る料金の秘密』日経ビジネス/2017年11月6日価格支配力とマーケティング 実際、顧客満足度を向上させるために価格の上限にキャップをかぶせて表示価格/正規料金の1.8倍とし、ポイントバック制度を活用して設備リニューアルを積極的に導入している。 また、各ホテルの支配人の評価基準をRevPAR/Revenue Per Available Room:販売可能な客室1室あたりの収益を稼働率×単価であらわす値としているため、稼働率が他社と比べて高い。 ダイナミック・プライシングの導入には顧客へのていねいな説明をするコミュニケーション能力が問われるのだが、同社はそれをやってのけているといえるだろう』、「ダイナミック・プライシングの導入には顧客へのていねいな説明をするコミュニケーション能力が問われるのだが、同社はそれをやってのけているといえるだろう」、経営陣の強い意志で導入したとすれば、立派なものだ。

第三に、本年3月1日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「シャトレーゼホテルに「汚部屋」批判…ホテル再生には“性悪説”が重要だ」を紹介しよう。
・『和洋菓子店「シャトレーゼ」を国内外で展開するシャトレーゼホールディングスが運営するホテルが話題です。スイーツでファミリー層を呼び込み稼働率をアップさせる一方で、「汚部屋」批判も集まっています。実は、シャトレーゼには「構造的な弱点」があるのです』、「シャトレーゼには「構造的な弱点」がある」、とはどういうことだろう。
・『シャトレーゼがホテル再生に着手 黒字化の裏で批判も…?  お菓子やケーキの製造直販で全国に1000店舗を展開するシャトレーゼが、ここ数年、ホテル再生を始めています。経営難に陥ったホテルや旅館を買収し、そこにシャトレーゼの価値を加えて再生するという面白い視点の再生事業です。 現在、全国に11カ所のシャトレーゼホテルを運営するところまで広がっていて、その多くで黒字化を実現したといいます。 一方でそれぞれのシャトレーゼホテルの口コミを調べてみると、全体的に評価はいい半面で、一部のホテルの評価がばらついていることに気づかされます。 実はわたしもコンサルタント歴が長いせいで、ホテル再生を手伝ったこともあります。その過程で、わたし自身はホテル再生には向いていないと思いました。 では、シャトレーゼはどうなのかというと、やはり一部のホテルは苦戦しているようです。 今回の記事ではそれらの口コミを切り口に、シャトレーゼのホテル再生事業について見ていきたいと思います』、「ホテル再生」事業と「お菓子やケーキの製造直販」事業にシナジーが働く部分が多いとは思えない、むしろマイナスの影響もあるのではなかろうか。
・『スイーツでファミリー層を呼び込み稼働率アップ! 同時に「引き算」も行っている  まず、シャトレーゼホテルとはどのようなものかを理解するために、長野駅から徒歩5分のところにあるシャトレーゼホテル長野についてご紹介したいと思います。 このホテルは、2022年9月まではメルパルク長野でした。もともと日本郵政グループのホテル事業でしたが、メルパルク全体を民営化後にワタベウェディングへ売却。そのうち長野のホテルをシャトレーゼが買収して、2023年7月にリニューアルオープンさせたものです。 シャトレーゼホテル長野では、15時~17時45分の間にチェックインするとウエルカムケーキとしてシャトレーゼのケーキをドリンク付きで食べることができます。さらに滞在中は、ホテルに2カ所あるアイスバーで好きなアイスバーが食べ放題。そして朝食のバイキングでも、店舗と同じ大きさのシャトレーゼのケーキが提供されます。 旅行サイトで見ると2人で宿泊する場合、朝食付きで一人7000円近辺が最安値となっています。今年4月には現在改装中の1階にシャトレーゼの店舗が開店する予定なので、そうなればお菓子好きにはたまらない宿泊施設になりそうです。 後述するように11のホテルはサービス内容が微妙に異なることもあるのですが、チェックイン時にウエルカムケーキが楽しめて、滞在中はアイスが食べ放題というサービスが滞在客に刺さっている様子です。 そのおかげで、シャトレーゼホテルになってからは家族客が増加したといいます。ホテル再生の方程式としては、これまでの固定客層に加えて新たにシャトレーゼのスイーツ好きな家族客が加わった分、稼働率が上がり、ホテル経営としては増収となり、黒字化しやすくなったというのが基本図式のようです。 ただ当然ですが、ホテル再生というのは簡単な仕事ではありません。前のオーナーがホテル業をやっていてうまくいかず、新しいオーナーはそれにお菓子事業を加えたらうまくいくというようなシンプルな話であれば、皆がそれをまねするはずです。 シャトレーゼホテルの場合、ホテル再生にはそのような足し算だけでなく、引き算もきちんと行っている様子です』、「チェックイン時にウエルカムケーキが楽しめて、滞在中はアイスが食べ放題というサービスが滞在客に刺さっている様子です。 そのおかげで、シャトレーゼホテルになってからは家族客が増加したといいます。ホテル再生の方程式としては、これまでの固定客層に加えて新たにシャトレーゼのスイーツ好きな家族客が加わった分、稼働率が上がり、ホテル経営としては増収となり、黒字化しやすくなったというのが基本図式のようです・・・ホテル再生というのは簡単な仕事ではありません。前のオーナーがホテル業をやっていてうまくいかず、新しいオーナーはそれにお菓子事業を加えたらうまくいくというようなシンプルな話であれば、皆がそれをまねするはずです。 シャトレーゼホテルの場合、ホテル再生にはそのような足し算だけでなく、引き算もきちんと行っている様子です」、なるほど。
・『フロントとスタッフ 「2つのムダ」をそぎ落としている  それは製造業が得意とする「ムダ取り」の手法を、サービス業であるホテル業に導入したという話です。 山梨県にあるシャトレーゼホテル旅館富士野屋は、もともと老舗の温泉旅館だったところをシャトレーゼホテルに改装したものです。その再生についてシャトレーゼの齊藤寛会長が言うには、ホテル業や旅館業には製造業から見たらムダがあるということです。 富士野屋について齊藤会長が指摘されたのは、旅館の顔でもあるフロントです。製造業の視点で見ればスペースが広いわりには結構ガラガラだというのです。それで、これは面白い発想だと思うのですが、その一番重要なスペースを玄関ではなくシャトレーゼグループの高級菓子店であるYATSUDOKIの店舗に改装するのです。 さらに、YATSUDOKIの店舗とレストランの稼働のピーク時間がずれているのもムダがあるといいます。レストランと店舗を隣接させることで、レストランが忙しい時間は店舗のスタッフが手伝えばいいし、その逆もできるというのです。 これらは製造業発想だといえば製造業発想なのですが、ある意味でサービス業の経営にとってはコロンブスの卵のような指摘です。そしてホテルの再生ですから、製造業的なムダ取りという引き算も大いに収益改善に貢献するはずです。 さて、全体としては以前の経営よりも良くなったというのがシャトレーゼホテルの評判ですが、口コミの中には厳しい意見も散見されます。それほど厳しくはないものも含めると、シャトレーゼホテルの改善点とおぼしき口コミは大きく分けて3種類あります』、「シャトレーゼホテルの改善点とおぼしき口コミは大きく分けて3種類あります」、具体的にはどんなものなのだろう。
・『シャトレーゼは組織風土的に横ぐしの運営が苦手  一つ目のかたまりとしては、これはシャトレーゼらしい批判だと思えるのですが、シャトレーゼホテルの間でサービスがそこそこ違うというのです。 あるホテルではケーキがバイキングで提供されていたのに、ここでは一つしかケーキが選べないとか、提供されるケーキが最高級のYATSUDOKIのもののホテルもあれば、安価な(でもおいしいのではありますが)シャトレーゼのホテルもあるといった具合です。 実はシャトレーゼホテルの公式ページを見ても、シャトレーゼホテルでどのようなサービスが受けられるのかは読み取れません。 予約をするためにじゃらんなどの予約サイトを訪れても、価格や部屋の広さ、設備の概要などは書いてあるのですが、顧客が一番知りたいスイーツのサービスの中身がわかる場所に書かれていない。一番ちゃんとわかるのが実は口コミのページだったりします。 そしてこれは、実にシャトレーゼらしい欠点だとわたしは感じました。シャトレーゼはホテル全体といった横ぐしの運営が組織風土的には苦手なのです。 シャトレーゼの社内はプレジデント制を敷いていて、社内に150人ものプレジデントがいらっしゃいます。株式会社シャトレーゼの場合、それぞれのプレジデントが洋菓子や和菓子など縦割りの責任者として責任を持つスタイルです。 わたしは経済評論家として、シャトレーゼは武田信玄型の経営をする企業だと考えています。 シャトレーゼの地元である山梨県甲府市は、武田信玄のおひざ元で、その信玄公は「人は城、人は石垣、人は堀」という言葉で知られるように、人を育て、その人が国そのものを形作る国造りをした人物です。たくさんの人数の社員に小さな縦割り組織の責任を持たせることで人を育てるというのは、信玄公的発想ではないでしょうか。 そのシャトレーゼが経営するホテルですから、おそらくそれぞれのホテルの再生をそれぞれの人物に責任を持たせているのでしょう。 いい意味でそれぞれのホテルが競争しながら再生させていくのでしょうけれども、そうなるとホテルごとに特色が出てくることになります。それもいいことなのですが、そのせいでブランドマネジメントという横ぐしが抜けてしまって、サービスが統一されていないというのが一つ目の課題でしょう。 さて、二番目にほぼすべてのシャトレーゼホテルの口コミに見られるのがハードウエア面の課題です。 ホテル買収後、リニューアル投資をしてシャトレーゼホテルとして再オープンするのですが、それでも「廊下のカーペットが古い」とか「共用部分の壁紙が汚れている」といった元々のホテルの古さが目に付く部分は気になるのでしょう。口コミでは、そのようなマイナスの指摘が散見されます。特に宿泊客が気にするのがWi-Fi設備が古い場合のクレームです。 限られた予算の中でホテルを再生しようとすると、当然ながらすべての改修に手が回るのは難しい。特にシャトレーゼホテルは昔からの経営でうまくいっていないホテルや旅館を改装するので、どうしても古い部分は目立ってしまうようです。この二番目のマイナス点は、わたしはそれほど気にすることではないように思います』、「たくさんの人数の社員に小さな縦割り組織の責任を持たせることで人を育てるというのは、信玄公的発想ではないでしょうか。 そのシャトレーゼが経営するホテルですから、おそらくそれぞれのホテルの再生をそれぞれの人物に責任を持たせているのでしょう。 いい意味でそれぞれのホテルが競争しながら再生させていくのでしょうけれども、そうなるとホテルごとに特色が出てくることになります。それもいいことなのですが、そのせいでブランドマネジメントという横ぐしが抜けてしまって、サービスが統一されていないというのが一つ目の課題でしょう・・・二番目にほぼすべてのシャトレーゼホテルの口コミに見られるのがハードウエア面の課題です。 ホテル買収後、リニューアル投資をしてシャトレーゼホテルとして再オープンするのですが、それでも「廊下のカーペットが古い」とか「共用部分の壁紙が汚れている」といった元々のホテルの古さが目に付く部分は気になるのでしょう」、食品企業にとっては、致命的なのではなかろうか。
・『M&Aの成功には「性悪説的な厳しさ」が必須  さて、三番目に一部のシャトレーゼホテルは他のシャトレーゼホテルよりもマイナスが大きな部分があります。それは働く人に起因する悪い口コミです。 具体例を挙げると、部屋が汚かったという口コミがあります。前の宿泊客の髪の毛が落ちていたとか、冷蔵庫に残り物が入っていたとか、きちんと清掃がなされていたらそんなことが起きないようなことが書き込まれているホテルがあります。 アメニティーが不足しているというような場合にクレームをつけたところ、「対応します」と言っておきながらチェックアウトまでに対応してもらえなかったという口コミもあります。 このようなホテルではスタッフの対応に対するクレームが多くみられることから、働く人に問題があるようです。コンサルタントとしての立場で眺めると、内部の人間関係がギスギスしている場合によくみられる症状です。 そしてこれは、ホテル再生でよくみられる課題でもあります。 ホテルの買収というものはホテル運営をする組織を一緒に買収するわけで、人も一緒に付いてきます。その人がちゃんと再生できないリスクは常にあるのです。 これはコンサル経験からくる私見ですが、M&Aがうまくいくケースは往々にして性悪説によって立った経営者が行うほうが多いように思えます。 経営が傾いた組織の中にはたちの悪い従業員も一定数いるわけで、それを早めに見抜いて厳しく処遇する、ないしはそういった従業員が悪さをしないように目を光らせて早めに手を打つといった厳しさが重要だったりするものです。 それに対して人に期待をし過ぎる経営や、人を信じやすい経営者は、M&Aの結果を出せないケースが結構あるのです。シャトレーゼは長い時間をかけて、従業員や取引先、契約農家など同じ考えを持つ人の数を増やし成長してきた会社です。 そういった強みを持つ会社は、実はM&Aによる事業再生は本質的には向いていないかもしれません。 それを避けるためには、M&Aの前に買収する企業の内部の人についてじっくりとデューデリジェンスをすべきなのですが、わずか2年ほどで11ものホテルを買収したという事実だけから推察するに、その過程が甘かったのかもしれません。 さて、このように口コミから見るといいことばかりではないように見えるシャトレーゼのホテル再生ですが、最初に申し上げたように、全体的には黒字になるホテルも多く、かつ宿泊客はシャトレーゼのファンになってくれる好循環を生んでいるようです。 若干気になるのが、ハイペースでの展開から起きるネガティブな反応だということではあるのですが、まだ再生も始まったばかり。シャトレーゼのファンとしては、うまく乗り越えてシャトレーゼホテルにも成功していただきたいと思います』、「スタッフの対応に対するクレームが多くみられることから、働く人に問題がある・・・前述の「元々のホテルの古さが目に付く部分」と合わせてみると、私には「M&A」に無理があるように思える。私も「シャトレーゼのファン」ではあるが、大きな混乱なく丸く収まってほしいものだ。 
タグ:「迫られる二つ目の選択肢が会社の売却、つまり「身売り」だ」、なるほど。 「当社は未上場で業績予想を出す必要がない。だから自分で考えられるリスク・リターン分析だけでやれた」と奈良田社長。インバウンド需要で数百億円の利益を得ていたことに加え、コロナ禍の初期段階で“止血”したからこそ「何とか生き残れた」という」、賢明な手仕舞いだ。 「第一リアルターは大胆に損切りを決断した。同社はインバウンド需要の追い風を受け、ビジネスホテルを建てて完成後に投資家に売るという事業に乗り出していた。このホテル建て売りビジネスに2000億円以上を投じ、50棟以上のホテルを建て、業績を急激に伸ばした。「その分野では日本トップだった」と同社の奈良田隆社長は自負する。 ところが、投資したうちの1500億円分程度まで売却が終わったところでコロナ禍に直面した。ここで奈良田社長は買った土地をすぐ損切りしてでも売却すると決め、残っていた建設計画をストップした。 「京浜急行電鉄から「京急EXイン羽田・穴守稲荷駅前」と「京急EXイン浅草橋駅前」(いずれも東京都)の2軒、西日本鉄道から「西鉄イン蒲田」(東京都)、「西鉄イン名古屋錦」(名古屋市)、「西鉄イン心斎橋」(大阪市)の3軒を買収した」、なるほど。 「インバウンド需要を当て込んで建てたビジネスホテルの事業が赤字に転落して足を引っ張ったためだ・・・アパグループにとってはチャンス到来。立て続けに電鉄会社のビジネスホテルを買収した」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン「【無料公開】アパが電鉄系を大量買収!「ゾンビ化ホテル」に突き付けられる3つの究極の選択」 (その7)(【無料公開】アパが電鉄系を大量買収!「ゾンビ化ホテル」に突き付けられる3つの究極の選択、アパホテル「コロナ禍の逆風でも業績好調」の戦略 「直販+ダイナミック・プライシング」で成功、シャトレーゼホテルに「汚部屋」批判…ホテル再生には“性悪説”が重要だ) ホテル 「リース方式の会社は身売りも難しいのだ」、なるほど。 「ビジネスホテルは供給過多な上に、出張需要はコロナ禍前のレベルに戻らないと見立てるホテル関係者は多い。そうなると1~2人用客室の利用者は限られ、インバウンドからの3~5人用客室のニーズの方が強くなる。実際、損切りを行った第一リアルターの奈良田社長も今後、客室が広めの新たなタイプのホテル開発にチャンスを見いだしている・・・客室面積が小さいホテルではこれができないから、なかなか買い手がつかない。 究極ともいえる三つの選択肢。このどれも実行できなければ、残された道は倒産である。コロナ禍前から事業の急拡大によって多額の有利子負債を抱えていたり、競争激化で業績が低迷していたところは、ことさら危ない」、「ビジネスホテル」を取り巻く環境は厳しそうだ。 東洋経済オンライン 菅野 誠二 氏による「アパホテル「コロナ禍の逆風でも業績好調」の戦略 「直販+ダイナミック・プライシング」で成功」 「アパホテル」は現在テレビCMを大量に流している。「「会社の出張費でポイントを貯め、それをプライベートの割引に活用することが出張族の密かな楽しみ」である。 価格弾力性が低く、同社クラスのホテル代なら、企業が支払える価格帯に設定する」、なるほど。 「業界の外からダイナミック・プライシングを持ち込む  このビジネスモデル・イノベーションは、もともとは航空業界の手法である。そのため、同社のダイナミック・プライシングは世界初の取り組みではないが、日本のビジネスホテル業界に本格的に持ち込んだ企業がアパホテルなのだ」、なるほど。 「会員制度1900万人に対して平均で10%程度キャッシュバックしながら、ホテル予約サイトの宿泊料金設定は「アパ直」が最安値となるようにアパホテルが一括設定している。これによって直販サイトからの顧客流入を増やしてマージンを確保する」、なかなか賢明なやり方だ。 「AIを含むITの活用とターゲット顧客に焦点を当てたビジネスモデル・イノベーションが成功の鍵である」、大したものだ。 「一時期、アパホテルに対して繁忙期の価格が高すぎるという不満がSNS上で炎上し、2017年に日経ビジネスが実施したホテル満足度調査では35社中最下位だった」、こうしたデメリットを覚悟した上で、取り組んだようだ。 「ダイナミック・プライシングの導入には顧客へのていねいな説明をするコミュニケーション能力が問われるのだが、同社はそれをやってのけているといえるだろう」、経営陣の強い意志で導入したとすれば、立派なものだ。 ダイヤモンド・オンライン 鈴木貴博氏による「シャトレーゼホテルに「汚部屋」批判…ホテル再生には“性悪説”が重要だ」 「ホテル再生」事業と「お菓子やケーキの製造直販」事業にシナジーが働く部分が多いとは思えない、むしろマイナスの影響もあるのではなかろうか。 「チェックイン時にウエルカムケーキが楽しめて、滞在中はアイスが食べ放題というサービスが滞在客に刺さっている様子です。 そのおかげで、シャトレーゼホテルになってからは家族客が増加したといいます。ホテル再生の方程式としては、これまでの固定客層に加えて新たにシャトレーゼのスイーツ好きな家族客が加わった分、稼働率が上がり、ホテル経営としては増収となり、黒字化しやすくなったというのが基本図式のようです・・・ホテル再生というのは簡単な仕事ではありません。 前のオーナーがホテル業をやっていてうまくいかず、新しいオーナーはそれにお菓子事業を加えたらうまくいくというようなシンプルな話であれば、皆がそれをまねするはずです。 シャトレーゼホテルの場合、ホテル再生にはそのような足し算だけでなく、引き算もきちんと行っている様子です」、なるほど。 「シャトレーゼホテルの改善点とおぼしき口コミは大きく分けて3種類あります」、具体的にはどんなものなのだろう。 「たくさんの人数の社員に小さな縦割り組織の責任を持たせることで人を育てるというのは、信玄公的発想ではないでしょうか。 そのシャトレーゼが経営するホテルですから、おそらくそれぞれのホテルの再生をそれぞれの人物に責任を持たせているのでしょう。 いい意味でそれぞれのホテルが競争しながら再生させていくのでしょうけれども、そうなるとホテルごとに特色が出てくることになります。それもいいことなのですが、そのせいでブランドマネジメントという横ぐしが抜けてしまって、サービスが統一されていないというのが一つ目の課題でしょう・ ・・二番目にほぼすべてのシャトレーゼホテルの口コミに見られるのがハードウエア面の課題です。 ホテル買収後、リニューアル投資をしてシャトレーゼホテルとして再オープンするのですが、それでも「廊下のカーペットが古い」とか「共用部分の壁紙が汚れている」といった元々のホテルの古さが目に付く部分は気になるのでしょう」、食品企業にとっては、致命的なのではなかろうか。 「スタッフの対応に対するクレームが多くみられることから、働く人に問題がある・・・前述の「元々のホテルの古さが目に付く部分」と合わせてみると、私には「M&A」に無理があるように思える。私も「シャトレーゼのファン」ではあるが、大きな混乱なく丸く収まってほしいものだ。
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自動車(一般)(その6)(繰り返されるトヨタ系列不正問題に見る “病” の根深さ… 日本的企業が陥る「機能不全」の根本原因とは、トヨタ・豊田章男会長に社外取締役が実名で苦言 「副社長を次々放逐して、率直に物を言う人がいなくなった」 《グループ3社で不正が連続発覚》、文春砲がトヨタに炸裂も 豊田章男は「凡人の戦略」を貫く天才だ) [産業動向]

自動車(一般)については、2021年7月6日に取上げた。今日は、(その6)(繰り返されるトヨタ系列不正問題に見る “病” の根深さ… 日本的企業が陥る「機能不全」の根本原因とは、トヨタ・豊田章男会長に社外取締役が実名で苦言 「副社長を次々放逐して、率直に物を言う人がいなくなった」 《グループ3社で不正が連続発覚》、文春砲がトヨタに炸裂も 豊田章男は「凡人の戦略」を貫く天才だ)である。

先ずは、本年2月15日付け弁護士JPニュース「繰り返されるトヨタ系列不正問題に見る “病” の根深さ… 日本的企業が陥る「機能不全」の根本原因とは」を紹介しよう。
https://www.ben54.jp/news/890
・『2022年に公表された日野自動車のエンジンの排ガス処理装置に関わる試験における認証不正に始まり、昨年末のダイハツ工業、今年に入ってからの豊田自動織機と、トヨタ系列の不祥事が立て続けに公表された。日本を代表する名門企業でいったい何が起きているのか…』、興味深そうだ。
・『セクショナリズム、タイト過ぎる納期の末路  日野自動車では、「みんなでクルマをつくっていない」という言葉に象徴されるセクショナリズムが指摘されている。各部署が自分の役割を果たすことに懸命で、他を振り返る余裕がなく、孤立し追い込まれた部署は不正を行うしかなかったのだ。 ダイハツ工業では、タイトすぎる納期にもかかわらず管理職が現場を支援できなかったことが指摘されている。たとえば進捗の大幅遅延で上司に相談すると、「で?」という返事しか返ってこなかったという。コーチング手法の誤った用い方だ。 このような大きな相談で、「で、君はその問題をどのように解決するつもりかね?」と質問で返されても部下は返答のしようがない。八方ふさがりで思いつめているからこそ、上司に相談しているのだ。結果、部下は「相談しても無駄」とあきらめ、不正を選択してしまった…。 豊田自動織機についても類似の状況がみられ、管理職の機能不全が指摘されている』、「日野自動車では」、「進捗の大幅遅延で上司に相談すると、「で?」という返事しか返ってこなかった」、「結果、部下は「相談しても無駄」とあきらめ、不正を選択」、マネジメントがこんな体たらくでは悲劇的だ。
・『“トヨタ”でも問題が生じる製造業の病の根深さ  「問題は発生したのと同じ次元では解決できない」(アインシュタイン) この原因を現場のコンプライアンス意識の低さやリスク感度の鈍さに求めるのは酷である。では真の原因はどこにあるのか。 この3社に対する第三者委員会報告書では管理の仕組みや教育不足など、多岐にわたって問題原因が指摘されており、それぞれ頷けるものばかりである。 ではそれらの問題を個々につぶしていけば、不正の再発は防げるのだろうか。考えてみてほしい。今回の一連の事件を起こしたのはトヨタ系列である。高度な管理システムの構築では、世界的に定評ある企業群なのだ。 それでも問題が生じてしまった…。ということは、より根本的な部分に原因を求めるしかない。改めてアインシュタインが残した言葉を改めて噛みしめるべきだろう』、「今回の一連の事件を起こしたのはトヨタ系列である。高度な管理システムの構築では、世界的に定評ある企業群なのだ。 それでも問題が生じてしまった…。ということは、より根本的な部分に原因を求めるしかない。改めてアインシュタインが残した言葉を改めて噛みしめるべきだろう」、その通りだ。
・『「任務重視型」をいまだ引きずる日本の組織  元防衛大学校教官の関口高史氏によると軍隊には『環境重視型』と『任務重視型』の二種類があるという。前者はそのときどきの環境に応じてリソース確保を行い、それが出来ないときは任務の内容を柔軟に変更する。それに対して後者は最初に任務ありきで、環境変化があっても「万難を排し、任務を遂行せよ」となる。旧日本陸軍は後者であり、悪名高きインパール作戦のように、「弾薬も食料も送れない。兵力は1/10まで減ったかもしれないが、それでも天長節(天皇誕生日)までにインパールを占領せよ」といった上級司令部からの命令がまかり通る。「ちょっと何言ってるのかわからない」である。「無い袖は振れない」というリソースの制約もあるが、日本人の命令に対する従順さへの甘えもあるだろう』、トヨタに限らず、日本企業の多くは『任務重視型』だ。
・『値引き、厳しい納期、人材不足など多重苦で成果だけは強く求められる理不尽  これは戦争時の話だが、現代の日本企業でも同じことが言える。最近、管理職向けコンプライアンス研修の受講者から、「そんなこと、中間管理職に言われてもね」という冷めた声が聞かれることが増えてきた。これが必ずしも管理職の職責放棄とはいえない点が問題である。 値引きを求められる、納期と品質要求は厳しくなる、必要な人材は与えられず、逆に育てた部下をよそに引き抜かれるという多重苦の状況で、成果実現(任務達成)だけが強く求められる。 経営陣に訴えても、「そこを何とかするのが君の仕事だ。期待してるぞ」という激励の名を借りた責任転嫁が返ってくるばかり。管理職の機能不全の背景に経営陣の機能不全が存在するのである。 これで不正の誘惑に負けなかった多くの管理職こそ賞賛されるべきだ。まさに旧陸軍の悪弊が、形を変えて現代の日本企業にも綿々と受け継がれているのである』、「管理職の機能不全の背景に経営陣の機能不全が存在するのである。 これで不正の誘惑に負けなかった多くの管理職こそ賞賛されるべきだ。まさに旧陸軍の悪弊が、形を変えて現代の日本企業にも綿々と受け継がれている」、その通りだ。
・『もはや経営陣が腹をくくって判断するしかない末期症状  いままさに日本企業は任務重視型から環境重視型へ、経営と組織運営の方向転換を迫られている。 トヨタ系列の3社の報告書に共通するのは、経営陣が現場の事情を理解せず、リソース不足を無視して当初の任務達成だけを強く求めているとの指摘である。 開発期間の短縮が必要なら、そのためのリソースを追加投入しなければならない。そのリソースを新たに調達できないなら他の開発案件から引き抜くしかない。 だとすれば一部の開発案件を中止や延期するしかないが、この判断は経営陣にしかできない。経営陣が腹をくくるべきときに「現場で何とかしろ」で済ませるから問題が起きる。難しい判断から逃げるような者を責任ある地位につけてはならない。 ここまで読んできて、「まさに当社の話を聞いているようだ」と感じている読者も多いことだろう。現場レベルの内部統制ももちろん重要だが、それだけでいまのコンプライアンス問題は防げない。経営陣が腹をくくる。それが本質的な問題解決への処方箋であろう』、「トヨタ系列の3社の報告書に共通するのは、経営陣が現場の事情を理解せず、リソース不足を無視して当初の任務達成だけを強く求めているとの指摘・・・開発期間の短縮が必要なら、そのためのリソースを追加投入しなければならない。そのリソースを新たに調達できないなら他の開発案件から引き抜くしかない。 だとすれば一部の開発案件を中止や延期するしかないが、この判断は経営陣にしかできない。経営陣が腹をくくるべきときに「現場で何とかしろ」で済ませるから問題が起きる。難しい判断から逃げるような者を責任ある地位につけてはならない・・・経営陣が腹をくくる。それが本質的な問題解決への処方箋であろう」、同感である。

次に、本年2月21日付け文春オンライン「トヨタ・豊田章男会長に社外取締役が実名で苦言 「副社長を次々放逐して、率直に物を言う人がいなくなった」 《グループ3社で不正が連続発覚》」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/69100
・『グループ会社3社での検査不正が相次いで発覚したトヨタ自動車。同社の社外取締役を務める菅原郁郎氏(66)が「週刊文春」の取材に応じ、豊田章男会長(67)の経営姿勢に苦言を呈した。 創業家出身で絶対的な存在とされる豊田会長に対する社外取締役からの苦言は、大きな波紋を呼びそうだ』、興味深そうだ。
・『豊田会長は「トヨタにものが言いづらい点もあると思う」  トヨタのグループ会社による検査不正は昨年末から立て続けに明るみに出た。子会社のダイハツ工業は昨年12月20日、車両の認証試験で過去30年以上、データの捏造や改ざんを行っていた事実を公表。「ミライース」など10車種で出荷停止を余儀なくされた。 グループ会社の豊田自動織機も1月29日、トヨタ車「ハイエース」などのエンジン認証試験で不正があった事実を公表。さらに子会社の日野自動車でも2022年、トラックなどのエンジン燃費試験で不正があったことが報告されている。 1月30日に行われたグループビジョン説明会で、豊田会長は「極めて重いことだと受け止めております」と謝罪するとともに、不正を招いた背景には「トヨタにものが言いづらい点もあると思う」などと述べた』、「トヨタ」にものが言いづらい点もあると思う」、と「豊田会長」自身が述懐するのは、どう考えても問題だ。
・『「章男さんは変わってしまった」と菅原氏   こうした中、「週刊文春」の取材に応じたのが、2018年からトヨタの社外取締役を務める菅原氏だ。1981年に旧通産省に入省。経産省製造産業局長などを歴任し、2015年に事務次官に就任。退任後、内閣官房参与を経て、現在のポストに就いた。トヨタの取締役会は10人で構成され、菅原氏は4人いる社外取締役の一人だ。 Q:菅原さんは、章男氏についてどう見ている? A:「章男さんは変わってしまった。昔は一家言持っている人たちが周りにいた。でも2020年頃からかな、副社長を次々放逐したり、3人置くと言ったり。それで置いた人もまたいなくなって。章男さんに引き上げられた人ばかりで、率直に物を言う人がいなくなりました」』、「章男さんに引き上げられた人ばかりで、率直に物を言う人がいなくなりました」、これでは取締役会として本来の役割を果たしておらず、組織としては由々しい問題だ。
・『社長の下に執行役員が21人並ぶ異例の人事  トヨタは2020年4月、「若手役員との接点を増やす」などの理由で、副社長ポスト(6人)を廃止。豊田社長(当時)の下に同格の執行役員が21人並ぶ人事に踏み切った。その後、2022年4月には「外部環境の変化に対応する」などの理由で副社長ポスト(3人)を復活。 ところが、昨年4月にその3人を交代させるなど、毎年のように異例とも呼べる人事を断行してきた。 Q:イエスマンで固めたい思惑が? A:「結果として、そうなったんじゃないかな」 2月21日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および2月22日(木)発売の「週刊文春」では、菅原氏とのより詳しい一問一答のほか、“ダイハツの天皇”こと白水宏典元会長や日野自動車社長への直撃、一般には殆ど知られていないトヨタの“迎賓館”の存在、社内で疑念の声が上がる豊田会長と元レースクイーンや元コンパニオンとの「本当の関係」、豊田会長が日経新聞を“拒絶”するようになった経緯など、トヨタグループを巡る問題について8ページにわたって特集している』、「豊田会長が日経新聞を“拒絶”するようになった経緯」、「豊田会長」は自分の言うことを聞かない「日経新聞」を遠ざけているとすれば、偉ぶった経営者の悪いクセだ。

第三に、2月29日付けダイヤモンド・オンライン イトモス研究所所長の小倉健一氏による「文春砲がトヨタに炸裂も、豊田章男は「凡人の戦略」を貫く天才だ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338624
・『週刊文春電子版は「【巨弾レポート】元コンパニオンの重用、日経新聞を拒絶…豊田章男・トヨタ会長はなぜ不正を招いたのか《グループ3社で連続発覚》」特集で、トヨタに厳しい姿勢を見せている。最新の国内外のトヨタ報道を読み解く』、興味深そうだ。
・『北朝鮮でトヨタ車が 愛用される理由  北朝鮮が「トヨタ」を愛していることはあまり知られていない。昨年の北朝鮮の金正恩委員長とロシアのプーチン大統領が首脳会談を行った後で、「特別な個人的関係」の証しとして、プーチン大統領も専用リムジンとして使うロシア車の「アウルス・セナート」を贈呈している。 これまで、金委員長は、メルセデス・マイバッハのS650セダンをイタリアの企業が装甲を施したものに乗車していた。そして面白いことに、金委員長の随行員たちは皆、「トヨタ」に乗っていることが確認されている。 <国連の制裁は、贈り物であっても北朝鮮への車の供給を禁止していますが、金正恩はこれらを回避して外国製車のコレクションを維持するのに何の問題もありませんでした。金正恩のお気に入りの車はメルセデス・マイバッハS650セダンだ。金正恩はマイバッハに乗り、レクサスやトヨタのスポーツユーティリティビークルの車列と一緒に行列を組んでいます(英タイムズ紙『ウラジーミル・プーチンから金正恩への最新の贈り物』2月20日)> 車列を組むクルマといえば、実用性を重視しているということが推測されるわけで、トヨタ車へのアツい信頼が北朝鮮からも寄せられていることが明らかになった。 今回は、トヨタについて述べたい』、「金委員長の随行員たちは皆、「トヨタ」に乗っていることが確認されている・・・トヨタ車へのアツい信頼が北朝鮮からも寄せられている」、なるほど。
・『トランプ氏勝利で 電気自動車の普及が止まる可能性  今、世界では、電気自動車が、果たして本当にエンジン車に取って代わることができる存在なのかが、激しく議論されている。少し前までは、いずれガソリン車がなくなると言われていたが、電気自動車がこれ以上普及発展するためには、多くの問題を抱えていることがわかっており、それが技術的に解決できるのかどうかということだ。世界は、混沌としている。 <トランプが大統領選挙に勝利すれば、アメリカの電気自動車ブームは終わりを迎える。トランプの選挙勝利により、アメリカにおける電気自動車に対する風向きはおそらく大きく変わるだろう。2023年秋にミシガン州の自動車産業のストライキ中の労働者たちの前で、トランプは電気自動車に警鐘を鳴らし、ジョー・バイデンによるその支援を軽蔑する発言をした。 トランプは、ストライキを行っている労働者たちに対し、大手自動車会社との交渉で良い結果を得たとしても、電気自動車が彼らを無用の長物にするだろうから、それがどうでも良いと述べた。トランプは労働者たちに向かって、「お前たちが何を手に入れようと、2年後には全員がクビだ」と叫んだ (独経済メディアDeutsche Wirtschaftsnachrichten「電気自動車は内燃機関よりも故障しやすい」2月19日)> 米大統領選挙は、今日投票が行われれば、トランプ氏はバイデン大統領に勝利するような情勢であり、電気自動車の普及は止まることになるかもしれない。しかし、EU(欧州連合)では真逆の情勢だ』、「トランプ氏」が「内燃機関」優遇を続けても、「EU」では「電気自動車」と股裂き状態だ。
・『電気自動車にかじを切ったドイツ 失敗すれば「自らの足を撃つことに」  <ドイツやヨーロッパが「電気自動車」に全てを懸けており、2035年からはEU内での新車のガソリン車販売が不可能になる見込みである。中国は電気自動車とガソリン車の両方を追求している。つまり、電気自動車とガソリン車の二兎を追うのである。中国はガソリン車の禁止を排除している。ドイツおよびヨーロッパの自動車メーカーの電気自動車戦略が成功するか、そして米国、インド、ロシア、南米、アフリカ、東南アジアのような大国でガソリン車の禁止が実際に行われるかは疑問である。もしそうならなければ、ドイツの政策と自動車メーカーは自らの足を撃つことになる。その結果、ドイツの鍵産業と経済拠点としてのドイツにとって壊滅的な影響を与えるだろう(同独メディア)>  これには少し説明が必要かもしれないが、EUでは、2035年以降、環境にやさしい合成燃料(実用化・商用化は40年頃とされている)を使うエンジン車だけは例外として、エンジン車の新車販売を禁止する方針を取っているのだ。フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツがあるドイツでは、頭の痛い問題となってくるであろう。 米国の消費者保護団体「コンシューマー・レポート」の会員を対象に毎年実施している、自動車の信頼性に関する調査によれば、電気自動車は従来のエンジン車よりも80%近く問題が多く、一般的に信頼性が低いことがわかっている。エンジン車であれば5分もすれば満杯になるガソリンの供給も、電気自動車ではだいぶ時間がかかる。寒冷地では航続距離が極端に短くなることも負担となる』、「電気自動車」の問題点は全固体電池の実用化などで今後ある程度改善が見込まれる。
・『「エンジンやるぞ!」 豊田章男の檄  こんな先行きが不透明な状況で、トヨタは何を考えているのか。その手がかりは、トヨタ自動車会長の豊田章男氏の発言にある。 <今、オートサロンの途中ですが、昨日もその会場で「エンジン(編集部注:おそらくエンジン車のこと)やるぞ!」とぶち上げました。いくらBEV(バッテリー電気自動車)が進んだとしても、市場のシェアの3割だと思います。そうすると、あとの7割はHEV(ハイブリッドカー)なり、FCEV(水素を使った燃料電池車)なり、水素エンジンなり。そして、エンジン車は必ず残ると思います。 それは規制値、政治の力ではなく、お客様や市場が決めることだと思います。 だから、全世界で勝負をしているトヨタ自動車は、フルラインナップで、マルチパスウェイをやらせていただいております(第40回NPS研究会の総会・「トヨタイムズ」1月23日)>  マルチパスウェイは、手段よりも目標到達を大事にする考え方だ。トヨタの例でいえば、電気自動車を普及することにこだわらず、エンジン性能の向上、燃料電池車、ハイブリッドカーなど、さまざまな手段でカーボンニュートラルを達成していこうということだ。エンジン部品を製造する工場・会社に、銀行がお金を貸さないという事態が発生していて、トヨタとしても強い危機感を持って、「全方位外交」を続けていくということになる』、「いくらBEV・・・が進んだとしても、市場のシェアの3割だと思います。そうすると、あとの7割はHEV・・・なり、FCEV・・・なり、水素エンジンなり。そして、エンジン車は必ず残ると思います。 それは規制値、政治の力ではなく、お客様や市場が決めることだと思います・・・トヨタ自動車は、フルラインナップで、マルチパスウェイをやらせていただいております」、「トヨタ」は余裕たっぷりのようだ。
・『「凡人中の凡人戦略」を貫く豊田氏は 称賛されてしかるべき  全方位外交、悪く言えば、八方美人であり、全てが中途半端になってしまう懸念が起きるのだが、豊田氏はそんなことは臆せずやっている。トヨタ自動車内のフルラインナップ戦略をはじめとして、マツダ、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、いすゞ自動車に巨額の出資をし、通信業界のNTT、KDDIに出資、ソフトバンクとは「モネ・テクノロジーズ」を立ち上げている。 豊田氏は「町工場から世界規模の自動車メーカーに成長しても、それを忘れてはならない。自分たちはクルマ屋だ。もっといいクルマをつくって、お客様に喜んでもらおう」と言っている。この言葉の意味を、全方位外交を貫いた経営スタイルと重ねて解釈をすれば、こうではないだろうか。 「将来のことは予測不可能で、EVの時代が来るかもしれないし、来ないかもしれない。フルラインナップで何が起きても大丈夫な構えをしておこう」。何か一つの分野に懸けることは一切やろうともしてこなかった、自分たちができる当たり前のことを繰り返すという「凡人中の凡人戦略」を貫いたのは、やはりこの時代に合っているし、称賛されてしかるべきではないだろうか』、「自分たちができる当たり前のことを繰り返すという「凡人中の凡人戦略」を貫いたのは、やはりこの時代に合っているし、称賛されてしかるべきではないだろうか」、いささか褒め過ぎのようだ。
・『元コンパニオンを秘書にしたって 別にいいではないか  週刊文春電子版(2月21日)の「【巨弾レポート】元コンパニオンの重用、日経新聞を拒絶…豊田章男・トヨタ会長はなぜ不正を招いたのか《グループ3社で連続発覚》」特集で、トヨタについて力の入った取材をしている。その中でも、経産省の元事務次官で、18年から社外取締役を務めている菅原郁郎(いくろう)氏のコメントは、トヨタに相当厳しいものがあった。 <昔は一家言持っている人たちが周りにいた。でも20年頃からかな、副社長を次々放逐したり、3人置くと言ったり。それで置いた人もまたいなくなって。章男さんに引き上げられた人ばかりで、率直に物を言う人がいなくなりました> トヨタは、2024年3月期の連結業績予想で、純利益は前年比83.6%増となり、過去最高の4兆5000億円となる見通しだ。これほどの過去最高益を上げてもガバナンスが悪いかのように批判を受けるのは、さすがにかわいそうに感じる。元コンパニオンを秘書にしたって別にいいではないか。赤字だった企業を利益4兆円にしたのだから、稀代の名経営者だ。誰も言ってあげないが、数字だけ見れば、豊田氏は天才ではないのか。 EVやカーボンニュートラルを巡って政治的なリスクを消すには、トヨタのように全てに手を出していくのが一番と思われる。そしてこんなことができるのも日本ではトヨタだけだ。EVをつぶすというトランプリスク、EVだけしかダメというEUリスクに直面したとき、どう転んでも勝てるトヨタの一人勝ちの時代がやってくるだろう。腐敗しきったダイハツのトヨタによる再建が楽しみでならない』、「これほどの過去最高益を上げてもガバナンスが悪いかのように批判を受けるのは、さすがにかわいそうに感じる。元コンパニオンを秘書にしたって別にいいではないか。赤字だった企業を利益4兆円にしたのだから、稀代の名経営者だ。誰も言ってあげないが、数字だけ見れば、豊田氏は天才ではないのか」、ここまで褒め言葉が並ぶと、著者の良識を疑いたくなる。「ダイハツ」を「腐敗させた」のも「トヨタ」の責任なのではなかろうか。ここで「トヨタ」経営陣に恩を売っておこうという下心が見え隠れするようだ。 
タグ:自動車(一般) (その6)(繰り返されるトヨタ系列不正問題に見る “病” の根深さ… 日本的企業が陥る「機能不全」の根本原因とは、トヨタ・豊田章男会長に社外取締役が実名で苦言 「副社長を次々放逐して、率直に物を言う人がいなくなった」 《グループ3社で不正が連続発覚》、文春砲がトヨタに炸裂も 豊田章男は「凡人の戦略」を貫く天才だ) 弁護士JPニュース「繰り返されるトヨタ系列不正問題に見る “病” の根深さ… 日本的企業が陥る「機能不全」の根本原因とは」 「日野自動車では」、「進捗の大幅遅延で上司に相談すると、「で?」という返事しか返ってこなかった」、「結果、部下は「相談しても無駄」とあきらめ、不正を選択」、マネジメントがこんな体たらくでは悲劇的だ。 「今回の一連の事件を起こしたのはトヨタ系列である。高度な管理システムの構築では、世界的に定評ある企業群なのだ。 それでも問題が生じてしまった…。ということは、より根本的な部分に原因を求めるしかない。改めてアインシュタインが残した言葉を改めて噛みしめるべきだろう」、その通りだ。 トヨタに限らず、日本企業の多くは『任務重視型』だ。 「管理職の機能不全の背景に経営陣の機能不全が存在するのである。 これで不正の誘惑に負けなかった多くの管理職こそ賞賛されるべきだ。まさに旧陸軍の悪弊が、形を変えて現代の日本企業にも綿々と受け継がれている」、その通りだ。 「トヨタ系列の3社の報告書に共通するのは、経営陣が現場の事情を理解せず、リソース不足を無視して当初の任務達成だけを強く求めているとの指摘・・・開発期間の短縮が必要なら、そのためのリソースを追加投入しなければならない。そのリソースを新たに調達できないなら他の開発案件から引き抜くしかない。 だとすれば一部の開発案件を中止や延期するしかないが、この判断は経営陣にしかできない。経営陣が腹をくくるべきときに「現場で何とかしろ」で済ませるから問題が起きる。難しい判断から逃げるような者を責任ある地位につけてはならない・・・経営陣が腹をくくる。それが本質的な問題解決への処方箋であろう」、同感である。 文春オンライン「トヨタ・豊田章男会長に社外取締役が実名で苦言 「副社長を次々放逐して、率直に物を言う人がいなくなった」 《グループ3社で不正が連続発覚》」 「トヨタ」にものが言いづらい点もあると思う」、と「豊田会長」自身が述懐するのは、どう考えても問題だ。 「章男さんに引き上げられた人ばかりで、率直に物を言う人がいなくなりました」、これでは取締役会として本来の役割を果たしておらず、組織としては由々しい問題だ。 「豊田会長が日経新聞を“拒絶”するようになった経緯」、「豊田会長」は自分の言うことを聞かない「日経新聞」を遠ざけているとすれば、偉ぶった経営者の悪いクセだ。 ダイヤモンド・オンライン 小倉健一氏による「文春砲がトヨタに炸裂も、豊田章男は「凡人の戦略」を貫く天才だ」 「金委員長の随行員たちは皆、「トヨタ」に乗っていることが確認されている・・・トヨタ車へのアツい信頼が北朝鮮からも寄せられている」、なるほど。 「トランプ氏」が「内燃機関」優遇を続けても、「EU」では「電気自動車」と股裂き状態だ。 「電気自動車」の問題点は全固体電池の実用化などで今後ある程度改善が見込まれる。 「いくらBEV・・・が進んだとしても、市場のシェアの3割だと思います。そうすると、あとの7割はHEV・・・なり、FCEV・・・なり、水素エンジンなり。そして、エンジン車は必ず残ると思います。 それは規制値、政治の力ではなく、お客様や市場が決めることだと思います・・・ トヨタ自動車は、フルラインナップで、マルチパスウェイをやらせていただいております」、「トヨタ」は余裕たっぷりのようだ。 「これほどの過去最高益を上げてもガバナンスが悪いかのように批判を受けるのは、さすがにかわいそうに感じる。元コンパニオンを秘書にしたって別にいいではないか。赤字だった企業を利益4兆円にしたのだから、稀代の名経営者だ。誰も言ってあげないが、数字だけ見れば、豊田氏は天才ではないのか」、ここまで褒め言葉が並ぶと、著者の良識を疑いたくなる。 「ダイハツ」を「腐敗させた」のも「トヨタ」の責任なのではなかろうか。ここで「トヨタ」経営陣に恩を売っておこうという下心が見え隠れするようだ。
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コンサルティング(コンサルティングとは? 就活人気の高いコンサル業界を分かりやすく解説!、米マッキンゼー 経営トップ再選も亀裂あらわ ボブ・スターンフェルズ氏が再びグローバル・マネジングパートナーに選出されたが パートナーの間に反対意見があることが明らかに、急成長モノタロウのボスコン出身社長を直撃!今に生きる コンサル時代に得た「3つのスキル」とは?) [産業動向]

本日は、コンサルティング(コンサルティングとは? 就活人気の高いコンサル業界を分かりやすく解説!、米マッキンゼー 経営トップ再選も亀裂あらわ ボブ・スターンフェルズ氏が再びグローバル・マネジングパートナーに選出されたが パートナーの間に反対意見があることが明らかに、急成長モノタロウのボスコン出身社長を直撃!今に生きる コンサル時代に得た「3つのスキル」とは?)を取上げよう。

先ずは、入門編として、2021年8月27日付けen-courege「コンサルティングとは? 就活人気の高いコンサル業界を分かりやすく解説!」を紹介しよう。
https://app.en-courage.com/articles/2021-08-27/45?locale=ja
・『コンサルティングと聞いて何をイメージするでしょうか。聞いたことはあるけれど何をしているか分からないという人も多いのではないでしょうか。この記事ではコンサルティングについて分かりやすく解説していきます。コンサルティングに適性のある人についても解説していきますので、どんな仕事かを知りたい人や興味を持った人は志望企業を考えるうえで参考にしましょう』、興味深そうだ。
・『はじめにーーコンサルティングとは? どんな仕事かを簡単に解説!  コンサルティングとは一言でいうと、相手の課題に対して解決策を示す仕事です。 もっと簡単に言えば「相手(クライアント)の困りごとを解決する仕事」。 この場合の相手は企業、経営者、個人、政府など多岐に渡ります。 困りごとを解決する相手がどんな職種・立場の人かによってコンサルティングの分類が異なります。 この記事ではまず、どんな分類があるのかを見ていきます。 分類を知ったうえで、一般企業とは大きく違う仕事の流れ、具体的な仕事内容を紹介し、コンサルティングの魅力に迫ります。 自分はコンサルティングの仕事に興味があるか、向いているか、やってみたいかを考える参考にしましょう!』、「相手(クライアント)の困りごとを解決する仕事」といっても、実際には幅広い。
・『就活でめざす代表的なコンサルティングファーム  就活をしていると「コンサルティングファーム」「コンサルタント」という言葉をよく聞きます。 コンサルティングファームとはコンサルティングの事業や実施する企業を指す言葉です。「コンサル」と略されます。 そしてコンサルタントとは「コンサルティングを行う人」を指します。 この記事では、就活で学生がめざす代表的なコンサルティングファームを、経営・戦略コンサルティング、業務コンサルティング、ITコンサルティング、金融コンサルティング、シンクタンクに分けて解説します。 「誰の困りごとを解決するのか」によってこれらは分類されます。 それでは、代表的なコンサルティングファームを見ていきましょう』、「「誰の困りごとを解決するのか」によってこれらは分類されます」、なるほど。
・『経営・戦略コンサルティング  経営者やトップマネジメントの課題を解決する仕事です。 継続して優れた業績を上げるにはどのような経営をすればいいか、 この市場には参入すべきか否か、 どんな新規事業を立ち上げれば業績が伸びるか、 などの困りごとを解決していきます。 企業の経営 層を相手に、経営戦略を練り、上記のようなアドバイスをする仕事であるため、高度な知識や分析力、リサーチ能力が要求されます。 このコンサルファームは、外資系企業が多く、グローバル展開されることが多いです。そのため英語力を必要とされる場合が多いです。 戦略コンサルを強みとする代表的な企業にはマッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストンコンサルティンググループ、ベイン・アンド・カンパニー、A.T.カーニーなどがあります』、「戦略コンサルを強みとする」ところは、最も高度で、料金も高い。
・『業務コンサルティング  前述の経営・戦略コンサルに対し、経営層というよりその下のマネージャークラスの困りごとを解決する仕事です。 経営・戦略コンサルが長期の経営ビジョンやこの市場に参入すべきかという課題解決をするのに対し、業務コンサルは「どうやって業務コストを削減するか」などのより具体的な日々のテーマ、会社が抱える困りごとに対し戦略を練り、課題解決をします。 業務コンサルといっても「どんな種類の困りごとを解決するか」によってその領域は多岐に渡ります。 例えば以下があります。 ・監査法人 企業の財務書類が法的に問題ないかをチェックする。 監査や税務の手続きなどは複雑で、専門的な知識を必要とすることが多いため、その代行をすることでクライアントの困りごとを解決する。・人事コンサル   企業が優秀な人を採用するにはどうしたらいいか、人材育成をどう行うかなど戦略を考え、課題を解決する』、「業務コンサルティング」は実務的内容だ。
・『ITコンサルティング  IT技術を駆使してクライアント企業の課題を解決する仕事です。 例えば、「商品の受発注の方法が部署によってバラバラで管理しにくい。 受発注のやり方を一元化したい」というクライアントの困りごとに、「こんなITシステムを導入すれば業務が改善されますよ」と提案、実際にシステムの導入から実装までを行います。 業務コンサルに内包されるものの、昨今はIT関連の発展が著しいため「ITコンサルはITの専門家」として業務コンサルと区別される傾向が強いです。 フューチャーアーキテクト、ワークスアプリケーションズ、日本IBMなどがあります』、この他にコンピューターメーカーも「ITコンサルティング」を提供している。
・『金融コンサルティング  資金調達などの事業戦略・M&A・不動産の投資相談などに関するコンサルティングを行います。 「新規事業立ち上げに向けて資金調達をどうしよう」「このビジネスに投資すべきか」など金融面で会社は様々な困りごとを抱えています。 金融コンサルタントは、会計や法務の専門知識を持ち、国際情勢や金融情勢にも常にアンテナを張りながら課題解決をしていきます。 PwCアドバイザリー、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーなどがあります』、ここは投資銀行が取引そのもので勝負をする世界でもある。
・『シンクタンク  元々シンクタンクとは民間や政府の経済問題を調査する研究機関を指しました。 しかしこれらの研究機関が、自らの分野で培ったリサーチ力を生かし、他企業の問題解決、つまりコンサルティングを請け負うようになったため、シンクタンクもコンサルティング業務の一つとする分類が主流となりました。 企業からの調査案件や官公庁向けのリサーチや分析、分析をもとにした政策提言などを行います。 「〇〇の分野での投資をしたいが経済動向はどうなるのだろう」などのクライアントの悩みを専門知識や独自の調査、高い分析力で解決していきます。 代表的な会社に、野村総合研究所、大和総研、日本総合研究所などがあります。 このように「誰の課題を解決するか」「どのように解決するか」によりコンサルティング事業には様々な分類があります』、なるほど。 
・『総合系コンサルティング会社  これは一つの会社のなかに、戦略コンサルの仕事も、業務コンサルの仕事もある会社を指します。 具体的にはアクセンチュア、デロイト トーマツ コンサルティング、アビームコンサルティングなどがあります。 総合系コンサルはアメリカや欧米に本社を構える外資系が多く、クライアントも大企業であるのに対し、国内独立系は日本発のコンサルティングファームです。 クライアント規模も中小企業など様々で、会社の生産・製造など現場に入り込んだコンサルティングを行います。 メーカーが製造した商品を売っていたり、銀行や保険会社が金融商品を売っているのに対し、コンサルティング会社は「課題を解決すること」を売っているといえます。 そのため、商品やエリアごとに部署が分けられるメーカーや金融業界とは仕事の流れ、部署の編成が大きく異なるのが特徴です』、「総合系コンサルはアメリカや欧米に本社を構える外資系が多く、クライアントも大企業であるのに対し、国内独立系は日本発のコンサルティングファームです。 クライアント規模も中小企業など様々で、会社の生産・製造など現場に入り込んだコンサルティングを行います」、なるほど。
・『コンサルティング会社の仕事の流れ 一般企業との大きな違い  コンサルティング会社の実際の仕事の流れを具体的に解説します。 クライアントがコンサルティング会社に依頼する。 或いはコンサルティング会社が営業をしたり、競合他社とのプレゼンをする。→ クライアントに提案を受け入れてもらえると、コンサルティング会社が正式に受注する。 → 社内から適切な人材を集め、プロジェクトチームが編成される。 → キックオフ・ミーティングでチームの顔合わせやスケジュール確認をする。 ↓ インタビューやデータ収集、解決に向けての仮説をたてる。→ チーム内で議論を重ね、課題解決方法を決定する。 → 経営層に報告。クライアントと一緒に実行支援まで行うことも。 → チームは解散し、また新しいプロジェクトに割り当てられる。 つまり、一般企業が商品・サービスやエリアなどによって部署が分けられてるのに対し、具体的な所属部署はなく、編成されたプロジェクトチームに参加して業務を担当します。 そのためプロジェクトごとに一緒に働く上司や同僚が変わります。 場合によってはプロジェクトを同時に2~3個担当することもあったり、クライアント先に常駐するケースもあります』、「プロジェクトを同時に2~3個担当する」のは、繁閑を調整する一般的な方法だ。
・『コンサルティングの役職の具体的な仕事内容とは?  上記で解説したプロジェクトチームには様々な役職の人が入っています。 役職によって仕事内容は異なります。 案件を獲得する人、人を集めプロジェクトチームを作る人、作られたチームの責任者、情報収集や資料作成をする人、集まった情報もとに分析し、仮説をたて、戦略を考える人。 それぞれ役職ごとに役割があります。 どんな役職があるのかをみていきましょう。 ・パートナー 営業をし、案件を獲得します。 コンサルティングファームを経営します。 ・マネージャー プロジェクトが始動したら、その責任者のポジションです。プロジェクトを管理し、顧客と折衝、予算などの管理も行います。 ・コンサルタント 仮説をたてて具体的な課題解決を検証していきます。 ・アナリスト 新卒入社したコンサルタントのスタートポジション。 主に情報収集、資料作成、分析、クライアントへインタビューを行います』、なるほど。
・『コンサルティングの仕事はどんな人に向いてる? 資格は必要?  どの業界のコンサルタントになるか、どの企業でコンサルティングの仕事をするかによって必要な資格は異なります。 財務系であれば簿記や公認会計士などの資格、IT系であればITストラテジストや情報技術者試験などがあります。 しかし、新卒でコンサル業界を受けるのに必ずしも資格が必要というわけではありません。 コンサルの仕事はクライアントの困りごとを解決する仕事です。 企業が自分たちで解決できてしまうような簡単な困りごとであれば、わざわざお金をかけてコンサルに依頼する必要はありません。 企業の内部の人間では解決できないから、高度な知識や分析力、情報収集力、発想力を有するコンサルに相談するのです。 そのため、資格を持っていることより、相手の課題解決に向けとにかく考えることが大切になります。 課題解決に向け考えるというのは、課題を的確に洗い出し、情報を集め、データを分析し、有効な戦略を練るということです。 論理的に考える人、アイディアを出し続けられる人に向いている職種といえます。 日頃から様々な角度で考えること、 疑問に思ったことはすぐ調べること、 もし~をしたら結果はどうなるだろう、 どんな戦略が有効的だろうと仮説をたてて考えること、 自分の考えを分かやすく、説得力を持って人に伝えられるようにすることなど、 日常のなかで「つきつめて考え、発信する力」を養う必要があります』、大企業のクライアントでは、反対派を説得する材料として「コンサル」を活用することもある。
・『コンサルティングの魅力  コンサルには働くうえでどのような魅力があるのでしょうか。 ・年収が高い 会社や分野にもよりますが入社1~3年目のアナリストで400万~800万、パートナーまでいけば2000万以上となります。 経団連の調査によると、日本の平均年収は663.2万円であるため、コンサルティングの年収は高いといえます。 ・自分が成長できる・スキルアップできる 一般的な日系企業では、やりがいが「自分の会社・部署の業績のため」「自分が仕事で担当する商品の売り上げのため」という、会社や部署に軸があるのに対し、部署編成などのないコンサルはもっと個人主義といえます。 会社のためというよりクライアントの課題解決のため、自分のキャリアアップのためという軸であることが多いでしょう。 そのため転職者も多く、コンサル業界のなかでスキルや知識など自分に合った条件の会社を探し、渡り歩く人も多いといいえます。 そういった働き方を理想とする人には合っている業界です。 ・クライアントに感謝されることでやりがいを感じられる クライアントに寄り添い、課題を洗い出し、課題解決に向けとにかく考える仕事という点で、うまくいけば感謝されますし、自分のスキルもどんどん上がっていきます。 会社内のしがらみや上下関係、変な社会慣習などもなく、実力主義の世界です。 こうした魅力がある一方、会社によっては激務であったり、「なぜそう思ったのか」を論理的に説明する能力が求められる難しさもあるといえるでしょう』、「論理的に説明する能力」は必須の「能力」だ。
・『コンサルティング会社を受けるなら就活対策は念入りに!  コンサルティングと一言でいってもその領域や仕事内容は多岐に渡ります。 論理的に、つきつめて考えることが好きな人や説明力のある人、クライアントに寄り添って課題解決をし、感謝されることにやりがいを感じたい人におすすめな業界です。 それゆえに就活でも人気が高い会社が多いです。 コンサルを目指すなら自己分析や面接対策をテスト対策をきっちりすることが必須といえます。 エンカレッジでは、たくさんの先輩方のES全文や選考体験記を公開しています。 人気業界や、有名企業に受かるためのポイントが満載!! 会員登録して、気になる例文をチェックしましょう』、ここはPRなので、紹介は省略。

次に、本年2月7日付けダイヤモンド・オンラインが転載したThe Wall Street Journal「米マッキンゼー、経営トップ再選も亀裂あらわ ボブ・スターンフェルズ氏が再びグローバル・マネジングパートナーに選出されたが、パートナーの間に反対意見があることが明らかに」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338477
・『昨年のクリスマスの少し前、米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの経営トップ、ボブ・スターンフェルズ氏は4万人を超えるスタッフにメモを送り、単純な質問を投げかけた。「マッキンゼーとは何か」 グローバル・マネジングパートナーのスターンフェルズ氏は、この質問には単純な答えはないと記し、2024年を迎えるに当たってマッキンゼーをどう定義するか考えるよう求めた。 この質問に答えるのは難しくなる一方だ。 コンサルティング業界に長年君臨するマッキンゼーは、大手企業や政府の指導者に助言し、未来の最高経営責任者(CEO)や国家元首を輩出してきた。そのマッキンゼーが今、自社の運営に苦労している。 スターンフェルズ氏は、自分を追い出し、2021年以降で3人目となるリーダーを就任させようとする動きを何とか切り抜けて今月1日までに過半数の票を獲得。グローバル・マネジングパートナーとして2期目を勝ち取ったが、最初の2回の投票ではパートナーから再選に十分な支持を得られなかった。 トップを選出するための投票であらわになったのは、世界で最も収益性の高いパートナーシップ制企業の一つであるマッキンゼーの内部に不満が生じていることと、3年ごとにリーダーを選ぶ権限をパートナーに与える珍しい統治構造の潜在的な欠点だ。ビジネスが順調で、何百万ドルという収入をもたらすパートナーが変化を求める理由がほとんどないときには、この構造はうまく機能する。しかしこの数年は安定しているとは決して言えない状態だった。 スターンフェルズ氏がグローバル・マネジングパートナーに就任したのは、新型コロナウイルス禍によって加速したビジネスの変化に対応するため企業がマッキンゼーの助言を求め、同社の急成長が始まった頃だった。同社は人材採用を加速、スタッフ数は2012年の水準の2倍以上に増えた。しかし経済が減速し、顧客が減るにつれ、自社のサービスに対する将来的な需要を読み違えたと批判されてきた。 この1年、マッキンゼーは人員削減を進めた。バックオフィス業務を担当していた1400人を削減し、破産処理業務の一部を段階的に縮小した。またベイン・アンド・カンパニーなど同業他社と同様に、新規採用した経営学修士号(MBA)取得者の入社時期を今年に先送りした。12月に新規に指名したパートナーは約250人で、2022年の380人から減少した。 マッキンゼーは一連のスキャンダル後、評判の修復にも努めている。麻薬性鎮痛剤「オピオイド」の販売でパーデュー・ファーマなどの製薬会社に協力したとして批判を浴びた同社は21年、パーデューに協力したことに対して5億7300万ドル(現在のレートで約850億円)の和解金を支払うと発表。その後、顧客を選ぶ上でパートナーにどの程度の裁量が認められるかが幅広く再検討された。 シニアパートナーらによると、トップクラスのコンサルティングサービスへの需要は今もある。北米担当マネジングパートナー、アストシュ・パディ氏は1月半ばのインタビューで「われわれの今の仕事の質は以前よりはるかに高い」と話した。インタビューを行ったスイス・ダボスでは、スターンフェルズ氏らマッキンゼーのパートナーが経済界のリーダーと親しく言葉を交わしていた。 スターンフェルズ氏は21年のインタビューで「世界が再び速度を落とすことはないだろう。当社の顧客は自分たちより速く動くことをわれわれに求めている」と話した。「より速く動ける世界的企業のモデルをどう作るかだ」 スターンフェルズ氏はまた、マッキンゼーの世界的なパートナーシップモデルを擁護し、適切に運用されれば同社は世界のどこからでも最良の助言を顧客に提供することができると述べた。「パートナーシップのモデルを機能させるには、視点の共有と率直な議論の実施にエネルギーを注がなければならない」と話した』、「麻薬性鎮痛剤「オピオイド」の販売でパーデュー・ファーマなどの製薬会社に協力したとして批判を浴びた同社は21年、パーデューに協力したことに対して5億7300万ドル(現在のレートで約850億円)の和解金を支払うと発表・・・経済が減速し、顧客が減るにつれ、自社のサービスに対する将来的な需要を読み違えたと批判されてきた。 この1年、マッキンゼーは人員削減を進めた。バックオフィス業務を担当していた1400人を削減し、破産処理業務の一部を段階的に縮小した。またベイン・アンド・カンパニーなど同業他社と同様に、新規採用した経営学修士号(MBA)取得者の入社時期を今年に先送りした。12月に新規に指名したパートナーは約250人で、2022年の380人から減少した」、なるほど。
・『750人のシニアパートナー  同社が抱える問題の一つはトップの選出に投票できるシニアパートナーが15年ほど前の約400人から約750人に増加し、合意形成が難しくなったことだ。シニアパートナーは60歳になる前に1期目を終えていれば誰でも選出の対象になる。 シニアパートナーは最初の投票では誰にでも投票できる。2回目の投票に進む候補者は10人に絞られる。この時点で勝者が決まらなければ、上位2人の候補者を対象に3回目の投票が行われる。 もう一つの問題はマネジングパートナーを務めることができる期数を最大3期から2期に短縮すると数年前に決定したことだ。マネジングパートナーの任期を3期(9年)から2期(6年)にすれば、若い世代が昇進できるというわけだ。しかし任期が3年1期しかなければ、または1期しかないという不安があれば、戦略を十分に実施することは難しい。 スターンフェルズ氏の前任のケビン・スニーダー氏は1期目のあと、抗議票によって2021年にトップの座を追われた。同氏は現在、ゴールドマン・サックスのアジア担当上級幹部を務めている。 スターンフェルズ氏は周囲からは決断力のあるリーダーと受け止められている。しかし同氏が関係の近い少人数のチームに頼り、パートナーシップ制企業のリーダーというより従来の最高経営責任者(CEO)のようなやり方で会社を経営していると感じていた一部のパートナーはこの3年間、そのやり方にいら立っていた。 2023年のマッキンゼーの売上高は約160億ドルに増加したが、コロナ下と比べると伸び率は鈍化した。上半期には同社がパートナーに対し、報酬の一部について受け取りの先送りを要請したが、年末までにビジネスが回復し、パートナーは報酬を全額受け取った。 スターンフェルズ氏はスタッフに送付したメモでは会社の再構築や成長の鈍化を取り上げず、その代わりに会社の評価を試みた。「今年は大変な1年だった。われわれはこの1年を切り抜けただけでなく、2024年を迎えるに当たって他とは異なる独自の立場に立っている」と述べた。 同氏はまた、マッキンゼーはコンサルティング会社であるだけでなく、スタートアップ支援組織、デザインラボ、訓練の場などでもあると述べた。「人材獲得担当者と話をするたびに、非常に多くの人がわれわれと同じ立場に立ちたいと考えていることを思い出す。毎年100万人以上が当社に応募している」とも記した。 スターンフェルズ氏の2期目で最後の任期は7月に始まる』、「スターンフェルズ氏の前任のケビン・スニーダー氏は1期目のあと、抗議票によって2021年にトップの座を追われた・・・スターンフェルズ氏は周囲からは決断力のあるリーダーと受け止められている。しかし同氏が関係の近い少人数のチームに頼り、パートナーシップ制企業のリーダーというより従来の最高経営責任者(CEO)のようなやり方で会社を経営していると感じていた一部のパートナーはこの3年間、そのやり方にいら立っていた」、「マッキンゼー」といえどもトップ人事は思うようにはいかないものらしい。

第三に、3月1日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した田村咲耶・MonotaRO代表執行役社長インタビュー「急成長モノタロウのボスコン出身社長を直撃!今に生きる、コンサル時代に得た「3つのスキル」とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339658
・『「工具界のアマゾン」などと称され、MRO(修理・整備)市場に特化したEC(電子商取引)企業として急成長を遂げてきたのがMonotaRO(モノタロウ)だ。工具通販のニッチ市場で牙城を築き、2023年12月期決算まで14期連続で最高益を更新。そんな同社は今年1月、12年ぶりのトップ交代で、41歳の田村咲耶氏を新社長に起用した。同氏は外資系戦略ファームのボストン・コンサルティング・グループ(BCG)出身である。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、MonotaRO初の女性社長となった田村氏に、コンサル時代に培った経験を今の職務にどう生かしているのかについて、中長期的な方針などと併せて語ってもらった』、興味深そうだ。
・『急成長MonotaROのボスコン出身社長がコンサル時代に得た「3つの経験」とは?  Q:1月から社長となったMonotaROでは、今後4~5年で売上高を現状のほぼ倍増の5000億円(23年12月期の連結売上高は2543億円)にする方針を掲げています。 A:事業成長を考える上でも、コンサルタント時代の力が生きているかもしれません。 田村咲耶・MonotaRO代表執行役社長 たむら・さくや/2007年4月、外資系戦略ファームのボストン・コンサルティング・グループ(BCG)入社。GEヘルスケア・ジャパンを経て20年3月、MonotaRO入社。サプライチェーンマネジメント部門長、執行役サプライチェーンマネジメント部門長、常務執行役サプライチェーンマネジメント部門長を経て、24年1月から現職。 写真提供:MonotaRO 今まで一つ大きい市場(間接資材調達市場)で考えてきたことの精緻化をしています。攻めていく市場を「スモール」「ミッド」「ラージ」と分解して、それに合わせた事業成長戦略やサービス設計、品ぞろえ、マーケティング戦略を作っていくのが事業成長の鍵ですね。 それによって売り上げを伸ばしていくのと、コスト的にもサービスを支える物流やオペレーションを作っていくところ。あとは将来の大きな成長に向けて、日本発のモデルであるMonotaROを海外に展開していく、という構図だと思います』、「今まで一つ大きい市場(間接資材調達市場)で考えてきたことの精緻化をしています。攻めていく市場を「スモール」「ミッド」「ラージ」と分解して、それに合わせた事業成長戦略やサービス設計、品ぞろえ、マーケティング戦略を作っていくのが事業成長の鍵ですね。 それによって売り上げを伸ばしていくのと、コスト的にもサービスを支える物流やオペレーションを作っていくところ。あとは将来の大きな成長に向けて、日本発のモデルであるMonotaROを海外に展開していく、という構図だと思います」、なるほど。
・『Q:まだ売上高の数%程度である海外事業の重要性も増していきそうですが、どのような戦略を考えていますか。 韓国やインド、インドネシアに展開していますが、やはりインド市場の存在は大きいと考えています。こちらはサプライチェーン上の課題やニーズの違いなどがあり、一歩ずつ作り上げていく必要があります。今は国のニーズや、そこで求められている価値を作っている段階ですね。 インドは、とにかく国土が広い難しさがあります。日本では狭いところで、(オーダーから)次の日には届けることができても、インドではそうはいかない。規模の経済性(スケールメリット)が利く中で、どんな顧客にどのようなサービスを行うかを含めて構築していきたいところです。 Q:業績拡大が続いてきた一方、MonotaROの株価は約3年前(21年2月)に上場来高値を付けて以降、低迷が続いています。市場の高い期待に応えるには、何が必要だと考えますか。 次ページ以降では、外資系戦略ファームのボストン・コンサルティング・グループ(BCG)出身で、MonotaRO初の女性社長となった田村氏に、コンサル時代に培った経験がいかに今の職務へ生かされているのかを明かしてもらう。また、直近で低迷する株価の反発に向けた自身の役割、中長期的な方針などと併せて語ってもらった。) 株価自体はコントロールできませんが、私が期待されているのは事業成長だと考えています。前期(23年12月期)の増収率は12.5%でしたが、その前はもっと高いレベルだった(編集部注:22年12月期の増収率は19.1%、21年12月期は20.6%)中で、事業や戦略の領域を精緻化し、年率15%程度の成長を続ければ「売り上げ2倍」が近づき、株価も伴ってくると考えています。 前年比15%程度(の増収率)の絵を考えると、2028~29年頃には売上高が5000億円になる見込みです。もちろん、そのためには適切な戦略が必要ですが、それに見合う市場の余地はあると考えています。 Q:キャリアの始点は大手戦略系ファームのBCGでした。コンサルタント時代の経験は、これまでの職務へどのように役立っていますか。 A:私自身は有能なコンサルタントではなかったと思っていますが、新卒で入社してとても助かったと考えている経験が三つあります。 一つ目に、構造化・論理力が鍛えられたことです。最初は会議の議事録や、メモした内容を夜通しかけてまとめる、といった場面がよくありました。品質を担保するために一言一句直して、添削してくれるようなことは、事業会社ではなかなか難しく、コンサルのパッケージングの品質ならではであり、今でもこのような経験は財産になっていると考えています。 もう一つは、人前で話す場面が数多く経験できたことです。当時もなぜ、経営層の方が新卒生の話を真剣に聞いてくれるのだろうと思ったのですが、やはり「データや事実」を基に話すからこそ聞いてもらえる。それをたたき込んでもらいました。 三つ目に、ネットワーキングも大きな財産です。BCG時代の同期には、(AI開発の)PKSHA Technology(パークシャー・テクノロジー)の上野山さん(上野山勝也・代表取締役)や、(遠隔画像診断サービスを手掛ける)ドクターネットの長谷川さん(長谷川雅子・代表取締役社長)、(医療データ分析の)JMDCの野口さん(野口亮・代表取締役社長)などがいます。 私の代は結構、社長をしている方も多いですね。同期の他にも、後輩や先輩にいろいろな方がいて、皆興味を持って話を聞いてくれました。助け合う文化があったと思いますし、苦楽を共にした仲間の存在は大きかったと感じています。 Q:BCGのアラムナイ(同窓生)同士で集うこともあるのでしょうか。 A:アラムナイの関係性はすごく強いですね。仲間内で情報を共有することもありますし、基本的にサポートし合う文化があって、先輩からもすごく助けられてきました。 特に同時代に在籍してきた方はそうですが、元BCG同士だと、(プロジェクトを共にした)パートナーが被っていたり、御立さん(元BCG日本代表の御立尚資氏)を知っているよという会話になったり。共通の話題ができることも多いです』、「コンサルタント時代の経験は、これまでの職務へどのように役立っていますか・・・一つ目に、構造化・論理力が鍛えられたこと・・・もう一つは、人前で話す場面が数多く経験できたこと・・・三つ目に、ネットワーキングも大きな財産です・・・アラムナイの関係性はすごく強いですね。仲間内で情報を共有することもありますし、基本的にサポートし合う文化があって、先輩からもすごく助けられてきました。 特に同時代に在籍してきた方はそうですが、元BCG同士だと、(プロジェクトを共にした)パートナーが被っていたり、御立さん(元BCG日本代表の御立尚資氏)を知っているよという会話になったり。共通の話題ができることも多いです」、なるほど。
・『Q:MonotaROに話を戻せば、国内でも既存の競合であるアスクルの他、アマゾンが「アマゾンビジネス」(事業者向けのECサイト)を拡大させるなど、競争環境が激化しています。どこに差別化要素を見いだしていますか。 充実した品ぞろえや、コンサルティングを含めた営業、サプライチェーンと利便性、そこに尽きると思っています。 アマゾンより当社が選ばれるのは、やはりBtoBに特化しているため見つけやすい。早く探せるなど、現場に支持されているところがあります。そこはより強くしつつ、他社からシェアを広げていく上で、切り替えていただくには何が必要なのかを、市場を分けながら考えたいと思っています。 Q:3月の春闘が迫る時期となっていますが、高成長を続ける企業の中では、相対的に平均年収が低いように見受けられます(22年12月期の従業員710人の平均年収は585万円)。 当社もインフレなどの状況に応じて、賃上げの検討を行っています。あとは在籍者の能力向上によって、というところですね。他の会社と比べ、どういった人材を採用しているかにもよりますが、当社は長く安心して働いていただいている方が多いように感じます。 私も外資系では年収が高かったわけですが、カルチャー的には少し違うかなとも思ったりしています。社員自体が成長や仕事に満足を感じる体系にはしていきたいなと思います。 Q:人員の規模が拡大する中で、組織マネジメントも難しさを増しそうです。社長の前任である鈴木雅哉氏は以前、ダイヤモンド編集部が行ったインタビューにおいて、社員の週報のほとんどに目を通していると話していました(『“工具のアマゾン”モノタロウに死角はないのか?鈴木社長が明かす「アマゾンよりも怖い敵」』参照)。 私も社員の週報は、部門長になった時から全て読んでいますよ。社長になるとかなり解像度が上がるし、何が起こっているのか分かるところもありますね。従業員が1000~2000人規模になった時にできるか難しくなってくる中で、どういう風に社員とコミュニケーションしていくかは考えています。やり方そのものは、鈴木の時から変えているわけではありません。 Q:鈴木前社長から受けた、印象的な言葉などはありますか。 A:ずっと一緒に仕事をして、いろいろなことを話しましたが…「感謝と謙虚の気持ちを忘れずに10年頑張れ」ということですね。鈴木が(創業者の)瀬戸(欣哉氏)から受け継ぎ、今回についても当社が10年単位で経営をアップデートしていく流れの一つといえます。 私は世の中でも若い社長になると思いますが、それは先代から続いたカルチャーでもありました(前任の鈴木氏は37歳で2代目社長に就任)。私の力だけではなく、この会社をどうしたいか、という中で引き継いできた。だからこそ感謝だし、作ってくれた仕組みを良くしていきたいところです。あとは、100年続く企業にしたいと二人で話してきました。 Q:鈴木氏から言われたように10年間社長を全うする場合、4~5年後に売上高を倍増させた後、現時点でどのような目標を置きたいと考えますか。 A:次の成長につなげることですね。基本的には、前任者が作った数字のトラック(足跡)を磨いていくのと、私は例えば(売上高)1兆円であるとか、その際は違うビジネスモデルになるかもしれませんが、そうした世界も目指していかなければならないと考えています』、「アマゾンより当社が選ばれるのは、やはりBtoBに特化しているため見つけやすい。早く探せるなど、現場に支持されているところがあります。そこはより強くしつつ、他社からシェアを広げていく上で、切り替えていただくには何が必要なのかを、市場を分けながら考えたいと思っています・・・私の力だけではなく、この会社をどうしたいか、という中で引き継いできた。だからこそ感謝だし、作ってくれた仕組みを良くしていきたいところです・・・次の成長につなげることですね。基本的には、前任者が作った数字のトラック(足跡)を磨いていくのと、私は例えば(売上高)1兆円であるとか、その際は違うビジネスモデルになるかもしれませんが、そうした世界も目指していかなければならないと考えています」、「田村」新社長もなかなか優秀そうだ。今後の活躍を期待したい。
タグ:コンサルティング (コンサルティングとは? 就活人気の高いコンサル業界を分かりやすく解説!、米マッキンゼー 経営トップ再選も亀裂あらわ ボブ・スターンフェルズ氏が再びグローバル・マネジングパートナーに選出されたが パートナーの間に反対意見があることが明らかに、急成長モノタロウのボスコン出身社長を直撃!今に生きる コンサル時代に得た「3つのスキル」とは?) en-courege「コンサルティングとは? 就活人気の高いコンサル業界を分かりやすく解説!」 「相手(クライアント)の困りごとを解決する仕事」といっても、実際には幅広い。 「「誰の困りごとを解決するのか」によってこれらは分類されます」、なるほど。 「戦略コンサルを強みとする」ところは、最も高度で、料金も高い。 「業務コンサルティング」は実務的内容だ。 この他にコンピューターメーカーも「ITコンサルティング」を提供している。 ここは投資銀行が取引そのもので勝負をする世界でもある。 「総合系コンサルはアメリカや欧米に本社を構える外資系が多く、クライアントも大企業であるのに対し、国内独立系は日本発のコンサルティングファームです。 クライアント規模も中小企業など様々で、会社の生産・製造など現場に入り込んだコンサルティングを行います」、なるほど。 「プロジェクトを同時に2~3個担当する」のは、繁閑を調整する一般的な方法だ。 大企業のクライアントでは、反対派を説得する材料として「コンサル」を活用することもある。 「論理的に説明する能力」は必須の「能力」だ。 ここはPRなので、紹介は省略。 ダイヤモンド・オンライン The Wall Street Journal「米マッキンゼー、経営トップ再選も亀裂あらわ ボブ・スターンフェルズ氏が再びグローバル・マネジングパートナーに選出されたが、パートナーの間に反対意見があることが明らかに」 「麻薬性鎮痛剤「オピオイド」の販売でパーデュー・ファーマなどの製薬会社に協力したとして批判を浴びた同社は21年、パーデューに協力したことに対して5億7300万ドル(現在のレートで約850億円)の和解金を支払うと発表・・・経済が減速し、顧客が減るにつれ、自社のサービスに対する将来的な需要を読み違えたと批判されてきた。 この1年、マッキンゼーは人員削減を進めた。バックオフィス業務を担当していた1400人を削減し、破産処理業務の一部を段階的に縮小した。またベイン・アンド・カンパニーなど同業他社と同様に、新規採用した経営学修士号(MBA)取得者の入社時期を今年に先送りした。12月に新規に指名したパートナーは約250人で、2022年の380人から減少した」、なるほど。 「スターンフェルズ氏の前任のケビン・スニーダー氏は1期目のあと、抗議票によって2021年にトップの座を追われた・・・スターンフェルズ氏は周囲からは決断力のあるリーダーと受け止められている。しかし同氏が関係の近い少人数のチームに頼り、パートナーシップ制企業のリーダーというより従来の最高経営責任者(CEO)のようなやり方で会社を経営していると感じていた一部のパートナーはこの3年間、そのやり方にいら立っていた」、「マッキンゼー」といえどもトップ人事は思うようにはいかないものらしい。 田村咲耶・MonotaRO代表執行役社長インタビュー「急成長モノタロウのボスコン出身社長を直撃!今に生きる、コンサル時代に得た「3つのスキル」とは?」 「今まで一つ大きい市場(間接資材調達市場)で考えてきたことの精緻化をしています。攻めていく市場を「スモール」「ミッド」「ラージ」と分解して、それに合わせた事業成長戦略やサービス設計、品ぞろえ、マーケティング戦略を作っていくのが事業成長の鍵ですね。 それによって売り上げを伸ばしていくのと、コスト的にもサービスを支える物流やオペレーションを作っていくところ。あとは将来の大きな成長に向けて、日本発のモデルであるMonotaROを海外に展開していく、という構図だと思います」、なるほど。 「コンサルタント時代の経験は、これまでの職務へどのように役立っていますか・・・一つ目に、構造化・論理力が鍛えられたこと・・・もう一つは、人前で話す場面が数多く経験できたこと・・・三つ目に、ネットワーキングも大きな財産です・・・アラムナイの関係性はすごく強いですね。仲間内で情報を共有することもありますし、基本的にサポートし合う文化があって、先輩からもすごく助けられてきました。 特に同時代に在籍してきた方はそうですが、元BCG同士だと、(プロジェクトを共にした)パートナーが被っていたり、御立さん(元BCG日本 代表の御立尚資氏)を知っているよという会話になったり。共通の話題ができることも多いです」、なるほど。 「アマゾンより当社が選ばれるのは、やはりBtoBに特化しているため見つけやすい。早く探せるなど、現場に支持されているところがあります。そこはより強くしつつ、他社からシェアを広げていく上で、切り替えていただくには何が必要なのかを、市場を分けながら考えたいと思っています・・・私の力だけではなく、この会社をどうしたいか、という中で引き継いできた。だからこそ感謝だし、作ってくれた仕組みを良くしていきたいところです・・・ 次の成長につなげることですね。基本的には、前任者が作った数字のトラック(足跡)を磨いていくのと、私は例えば(売上高)1兆円であるとか、その際は違うビジネスモデルになるかもしれませんが、そうした世界も目指していかなければならないと考えています」、「田村」新社長もなかなか優秀そうだ。今後の活躍を期待したい。
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物流問題(その9)(ヤマト「配達員2.5万人契約終了」の大改革も すでに佐川と“明暗くっきり”のワケ、物も人も動かない… 「ドライバーが消える日」 トラック タクシー バスは深刻な人手不足だ) [産業動向]

物流問題については、2021年9月17日に取上げた。今日は、(その9)(ヤマト「配達員2.5万人契約終了」の大改革も すでに佐川と“明暗くっきり”のワケ、物も人も動かない… 「ドライバーが消える日」 トラック タクシー バスは深刻な人手不足だ)である。

先ずは、本年2月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授の矢部謙介氏による「ヤマト「配達員2.5万人契約終了」の大改革も、すでに佐川と“明暗くっきり”のワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338982
・『働き方改革に伴う「2024年問題」が懸念される物流業界。宅配大手のヤマト運輸、佐川急便はそれぞれ運賃の値上げに踏み切る。では、両社の業績はどのような状況にあるのか。それぞれの持ち株会社の決算書をひもとくと、両社には「大きな差」が生まれていることが分かる。 働き方改革に伴う「2024年問題」が懸念される物流業界。宅配大手のヤマト運輸、佐川急便はそれぞれ運賃の値上げに踏み切る。では、両社の業績はどのような状況にあるのか。それぞれの持ち株会社の決算書をひもとくと、両社には「大きな差」が生まれていることが分かる』、興味深そうだ。
・『「2024年問題」を控える物流業界  ここ10年間でヤマトと佐川に「大差」のワケとは? 働き方改革に伴う残業時間の規制により人手不足が懸念される、いわゆる「2024年問題」の到来を控えている物流業界。ともに宅配便大手の、ヤマト運輸を傘下に抱えるヤマトホールディングス(以下、ヤマトHD)と、佐川急便を持つSGホールディングス(以下、SGHD)が、相次いで値上げや構造改革に動いている。 ヤマトHDは、2024年4月1日から宅急便の届け出運賃を約2%値上げすることを発表。SGHDも、24年4月1日から宅配便の届け出運賃を平均で7%程度値上げすると発表している。 また、ヤマトHDでは23年6月に発表した日本郵政グループとの協業を踏まえて、これまで自社で行っていたクロネコDM便などの配送を日本郵便に移管。それに伴って、配達委託契約を結んでいた個人事業主(クロネコメイト)との契約を終了したと、24年2月1日に発表した。その人数は約2万5000人に上るという。 SGHDは、それに先んじて21年9月に日本郵便との提携を発表しており、小型宅配荷物の輸送や国際荷物の輸送、クール宅配便事業などでの協業を行っている。また、22年3月からは幹線輸送を2社共同で行うなど、協業の取り組みを深めてもいる。 物流業界では、働き方改革関連法により24年4月からドライバーの時間外労働時間の上限が制限されることで、輸送能力の不足や輸送コストの上昇などが見込まれる。 ヤマトHDやSGHDの値上げや構造改革は、こうした問題に対応して採算性を向上させるための打ち手であると見ることができる。一方で、実はここ約10年の間にヤマトHDとSGHDの決算書には、大きな差がついてきている。 今回は、なぜ両社の決算に大差がついたのかを見ていくことにしよう』、「今回は、なぜ両社の決算に大差がついたのかを見ていくことにしよう」、楽しみだ。
・『ヤマトHDの決算書を図解 原価率が高い物流業界  ヤマトHDの決算書から見ていく。以下の図は、ヤマトHDの23年3月期の決算書を比例縮尺図に図解したものだ。 (図_ヤマトHD23年3月期の決算書の比例縮尺図 はリンク先参照) まずは、貸借対照表(B/S)から見ていこう。B/Sの左側(資産サイド)で最大の金額を占めているのは、流動資産(約4850億円)だ。ここには、売上債権(受取手形、売掛金及び契約資産)が約2160億円、現預金が約1850億円含まれている。いずれも営業を行っていく上で必要な資産だ。 次いで大きいのは、有形固定資産(約4430億円)だ。ヤマトHDのような物流業では、営業所や物流拠点を全国各地に配置しているため、そうした施設の有形固定資産が大きくなる。 B/Sの右側(負債・純資産サイド)には、流動負債が約3450億円、固定負債が約1460億円計上されている。流動負債および固定負債には有利子負債(借入金およびリース債務)が合計で約480億円含まれている。純資産の金額は約6160億円で、自己資本比率は約56%だ。 続いて、損益計算書(P/L)についても見ていこう。営業収益(売上高に相当)が約1兆8010億円であるのに対し、営業原価(売上原価に相当)は約1兆6870億円(原価率は約94%)、販売費及び一般管理費(販管費)は約530億円(販管費率は約3%)となっており、物流業のコストは配送にかかる営業原価が中心であることがわかる。営業利益は約600億円で、売上高営業利益率(=営業利益÷営業収益)は約3%にとどまっている』、「「今回は、なぜ両社の決算に大差がついたのかを見ていくことにしよう」、なるほど。
・『ヤマトHDの決算書を図解 原価率が高い物流業界  ヤマトHDの決算書から見ていく。以下の図は、ヤマトHDの23年3月期の決算書を比例縮尺図に図解したものだ。 (図_ヤマトHD23年3月期の決算書の比例縮尺図 はリンク先参照) まずは、貸借対照表(B/S)から見ていこう。B/Sの左側(資産サイド)で最大の金額を占めているのは、流動資産(約4850億円)だ。ここには、売上債権(受取手形、売掛金及び契約資産)が約2160億円、現預金が約1850億円含まれている。いずれも営業を行っていく上で必要な資産だ。 次いで大きいのは、有形固定資産(約4430億円)だ。ヤマトHDのような物流業では、営業所や物流拠点を全国各地に配置しているため、そうした施設の有形固定資産が大きくなる。 B/Sの右側(負債・純資産サイド)には、流動負債が約3450億円、固定負債が約1460億円計上されている。流動負債および固定負債には有利子負債(借入金およびリース債務)が合計で約480億円含まれている。純資産の金額は約6160億円で、自己資本比率は約56%だ。 続いて、損益計算書(P/L)についても見ていこう。営業収益(売上高に相当)が約1兆8010億円であるのに対し、営業原価(売上原価に相当)は約1兆6870億円(原価率は約94%)、販売費及び一般管理費(販管費)は約530億円(販管費率は約3%)となっており、物流業のコストは配送にかかる営業原価が中心であることがわかる。営業利益は約600億円で、売上高営業利益率(=営業利益÷営業収益)は約3%にとどまっている』、「営業収益(売上高に相当)が約1兆8010億円であるのに対し、営業原価(売上原価に相当)は約1兆6870億円(原価率は約94%)、販売費及び一般管理費(販管費)は約530億円(販管費率は約3%)となっており、物流業のコストは配送にかかる営業原価が中心であることがわかる。営業利益は約600億円で、売上高営業利益率(=営業利益÷営業収益)は約3%にとどまっている」、なるほど。
・『売上高はヤマトHDが大きいが 収益性ではSGHDに軍配  以下の図は、SGHDにおける23年3月期の決算書を図解したものだ。 (図_SGHDにおける23年3月期の決算書 はリンク先参照) こちらもB/Sから見ていこう。左側で最大の金額を占めているのは流動資産(約4070億円)で、ここには売上債権(受取手形、営業未収入金及び契約資産)が約1840億円、現預金が約1780億円計上されている。次いで大きいのは有形固定資産(約3920億円)であり、SGHDの資産はヤマトHDと非常に良く似た構成になっていることがわかる。 B/Sの右側には流動負債が約2290億円、固定負債が約1090億円計上されており、これらには有利子負債が合計で約970億円含まれている。純資産は5670億円で、自己資本比率は約63%という水準だ。 P/Lでは、営業収益が約1兆4350億円であるのに対し、営業原価は約1兆2380億円(原価率は約86%)、販管費は約620億円(販管費率は約4%)となっている。営業利益は約1350億円で、売上高営業利益率は約9%だ。ヤマトHDに比べると約6ポイント高い。コスト構造で見ると、原価率がヤマトHDは約94%であるのに対し、SGHDでは約86%と、差がついている。 営業収益ではヤマトHDが約1兆8010億円、SGHDが約1兆4350億円とヤマトHDのほうが大きいが、営業利益ではヤマトHDが約600億円、SGHDが約1350億円となっており、SGHDに軍配が上がる。 なぜ、両社の営業利益には差が付いたのか。その理由を探るために、次のページでは両社の13年3月期のP/Lと23年3月期のP/Lを比較してみよう』、「営業利益ではヤマトHDが約600億円、SGHDが約1350億円となっており、SGHDに軍配が上がる。 なぜ、両社の営業利益には差が付いたのか・・・両社の13年3月期のP/Lと23年3月期のP/Lを比較してみよう」、比較の結論はどうなったのだろうか。
・『「二つの指標」で見えてくるヤマトHDとSGHDの成長性の違い  まず、ヤマトHDのP/Lを比較してみよう(下図)。 (図_ヤマトHDのP/Lはリンク先参照) これによれば、13年3月期の営業収益が約1兆2820億円、営業利益が約660億円であったのに対し、23年3月期はそれぞれ約1兆8010億円、約600億円となっている。営業収益は5000億円超増加している一方で、営業利益は約60億円減少している。営業収益の増加以上にコストが増加しているということだ。 ここで、ヤマトHDの各数値の変化について、成長性を分析する際に使用される「二つの指標」を当てはめて分析してみよう。 その指標とは、趨勢(すうせい)比率とCAGRである。 趨勢比率とは、基準とする年度の数字を100として、計算の対象となる年度の数字がいくつに相当するのかを見る指標だ。計算式は、「趨勢比率=(計算年度の数値÷基準年度の数値)×100」である。例としてヤマトHDにおける13年3月期の営業利益を100として23年3月期の営業利益の趨勢比率を計算してみると、約91となる。 CAGRとは、「Compound Annual Growth Rate」の頭文字を取ったもので、年平均成長率とも呼ばれる。最初の年度の数字から、毎年平均で何%成長すると最終年度の数字になるかを表したものだ。計算式は図中に示しているが、Excelでは、「CAGR=(最終年度の数値/初年度の数値)^(1/年数)-1」のように入力すると計算できる。こちらも例としてヤマトHDの営業収益について13年3月期から23年3月期にかけてのCAGRを計算してみると、約3.5%となる。 (図_連結P/Lの比較(SGHD) はリンク先参照) 続いて、SGHDのP/Lも比較してみよう(上図)。13年3月期の営業収益が約8710億円、営業利益が約310億円だったのに対し、23年3月期にはそれぞれ約1兆4350億円、約1350億円となっており、営業収益、営業利益ともに大きく増加している。 ヤマトHDと同様に営業利益の趨勢比率を計算してみると約436、営業収益のCAGRは約5.1%だった。こうした指標からも、SGHDの業績はここ10年間で大きく伸びていることが見て取れる。 では、ヤマトHDの営業利益が伸び悩む一方、SGHDの業績が大きく伸びた理由は何だったのだろうか』、「ヤマトHDの営業収益」の「CAGR」は「約3.5%」、「SGHD」の「CAGR」は「約5.1%」と大きな差となり、「SGHDの業績が大きく伸びた」ようだ。
・『長年に及ぶ「値上げ交渉」が奏功 国際物流も利益に貢献したSGHD  SGHDの利益が大きく伸びた理由を探るために、趨勢比率を時系列で分析してみよう。以下の図は、ヤマトHDとSGHDについて、13年3月期を基準年度として23年3月期までの営業収益の趨勢分析を行ったものだ。 (図_ヤマトHDとSGHDの営業収益の趨勢分析 はリンク先参照) これによると、ヤマトHDの営業収益はほぼ一貫して拡大してきたことがわかる。この間、ヤマトHDの宅急便の取扱個数は増加しており、それが収益の拡大に寄与している。 一方で、SGHDの営業収益は2014年3月期に一時的に低下している。これは、利益率の改善を目指してSGHDが荷主企業への値上げ交渉を行ったことが原因だ。 当時の報道によれば、値上げ幅は1~2割程度であったとされる(週刊東洋経済13年9月28日号)。これにより、AmazonなどをはじめとしたEC関連の大口顧客からの荷物の取扱個数が大きく減少し、一時的な収益低下を招いたというわけだ。 しかしながら、その後は単価の上昇に伴って収益は拡大傾向に転じている。また、コロナ禍に入った21年3月期以降はEC需要の大きな拡大に伴って、取扱個数が大きく増加したことも収益の拡大に寄与している。 こうしたSGHDにおける荷物の引受単価の引き上げは、利益の増加に大きく貢献した。運賃値上げによって採算性の悪いECの荷物が減少したことも、結果として収益性の改善につながった。営業利益の趨勢分析(下図)を見ると、SGHDの営業利益は2013年3月期以降、増加傾向で推移していることがわかる。 (図_営業利益の趨勢分析 はリンク先参照) その一方で、ヤマトHDの営業利益は伸び悩んでいる様子が見て取れる。単価の低い小型荷物が多く、小口の配送コストや再配達コストがかさみやすい構造になっていることが大きな要因だ。 冒頭で、2024年問題に対応するためヤマトHD、SGHDがともに値上げに踏み切ったことに触れたが、SGHDは10年以上前から値上げ交渉に継続的に取り組むとともに、コスト管理を徹底することで収益性の改善を行ってきた。その結果が、趨勢分析にも表れているといえる。 そして、SGHDの営業収益と営業利益が伸びた主な理由はもう一つある。以下の図は、事業別の営業収益と営業利益を13年3月期と23年3月期の間で比較したものだ。 (図_事業別の営業収益と営業利益(SGHD) はリンク先参照) これによれば、宅配便事業を中心としたデリバリー事業の業績拡大に加えて、企業の物流業務を包括して受託するサードパー今回は、ヤマトHDとSGHDという物流業界の2社を取り上げてその決算書を分析してきたが、直近の物流業界を取り巻く環境は厳しい。冒頭でも取り上げた2024年問題だけではなく、コロナ禍後においてEC需要が落ち込んでおり、国内の宅配便の取扱個数は減少傾向にある点も懸念材料の一つだ。 また、国際的なサプライチェーンの混乱からSGHDのロジスティクス事業の業績は大きな伸びを見せたが、その間の荷主の在庫積み増しの影響などから国際物流の市況は大きく悪化している。24年3月期第3四半期段階での通期業績予想によれば、SGHDにおけるロジスティクス事業の24年3月期営業利益は約45億円の赤字になる見込みだ。 こうした厳しい事業環境の中で、冒頭で述べたような協業をはじめとした事業構造改革による採算性向上に取り組んでいくとともに、業務の効率化を進めていくことで利益を再び拡大基調に乗せていくことができるかが問われている』、「ヤマトHDの営業収益はほぼ一貫して拡大してきたことがわかる。この間、ヤマトHDの宅急便の取扱個数は増加しており、それが収益の拡大に寄与している。 一方で、SGHDの営業収益は2014年3月期に一時的に低下している。これは、利益率の改善を目指してSGHDが荷主企業への値上げ交渉を行ったことが原因だ。 当時の報道によれば、値上げ幅は1~2割程度であったとされる(週刊東洋経済13年9月28日号)。これにより、AmazonなどをはじめとしたEC関連の大口顧客からの荷物の取扱個数が大きく減少し、一時的な収益低下を招いたというわけだ。 しかしながら、その後は単価の上昇に伴って収益は拡大傾向に転じている。また、コロナ禍に入った21年3月期以降はEC需要の大きな拡大に伴って、取扱個数が大きく増加したことも収益の拡大に寄与している・・・国際物流の市況は大きく悪化している。24年3月期第3四半期段階での通期業績予想によれば、SGHDにおけるロジスティクス事業の24年3月期営業利益は約45億円の赤字になる見込みだ。 こうした厳しい事業環境の中で、冒頭で述べたような協業をはじめとした事業構造改革による採算性向上に取り組んでいくとともに、業務の効率化を進めていくことで利益を再び拡大基調に乗せていくことができるかが問われている」、「SGHD」も一転して苦境に陥っているが、今後の展開が注目される。

次に、2月26日付け東洋経済オンライン「物も人も動かない… 「ドライバーが消える日」 トラック、タクシー、バスは深刻な人手不足だ」を紹介しよう。
・『「2024年問題」が懸念される4月まで約1カ月。トラック、タクシー、バスはいずれも人手不足が深刻だ。 『週刊東洋経済』のこの問題での特集の説明は省略。 もともと”3K労働”、”ブラック職場”などと揶揄され、なり手不足で頭打ちだったところに、2024年問題が加わる。高齢化も進んでいる。ドライバー不足に拍車がかかるのは必至だ。 朝7時から11時にタクシーがつかまらない 国内の営業用トラックの輸送能力は、このままいけば2030年に34.1%が不足するという(NX総合研究所調べ)。消費者も物流問題では、その深刻さを年々身近に感じつつある。 EC(ネット通販)の普及によって、ヤマト運輸が宅配便の総量規制や値上げを実施し、「宅配クライシス」と呼ばれたのが2017年。日本郵便が普通郵便(手紙・葉書き)の土曜配達を中止したのが2021年だった。近年では、セブン‐イレブンが弁当や総菜など日配品の配送回数について、1日4回から3回に順次変更している。 2024年問題で残業規制が適用されるのは、タクシーやバスのドライバーも事情は同じである。 タクシーの場合、2023年5月の新型コロナウイルスの5類移行を受け、日本人やインバウンド(訪日外国人)の観光が復活したという事情もある。コロナ禍でタクシードライバーが大量に離職したが、コロナ収束後も業界には戻ってこないからだ。 とくに繁華街や観光地では、目立ってタクシーがつかまらなくなった。東京ハイヤー・タクシー協会によると、都内で最もタクシーが足りない時間帯は、通勤にかかわる平日の朝7時~11時だという。 さらにはバスもドライバー不足を受け、地方で路線バスの減便・廃止が続く。 長野の長電バスは1月下旬から日曜運休に踏み切り、大阪の金剛自動車は2023年12月に路線バス事業の廃止を決断した。何と東京23区も例外でなく、足立区はコミュニティバス「はるかぜ」を減便している。バスは“地域の足”を奪われているのが実態なのだ』、「2024年問題で残業規制が適用されるのは、タクシーやバスのドライバーも事情は同じである。 タクシーの場合、2023年5月の新型コロナウイルスの5類移行を受け、日本人やインバウンド(訪日外国人)の観光が復活したという事情もある。コロナ禍でタクシードライバーが大量に離職したが、コロナ収束後も業界には戻ってこないからだ。とくに繁華街や観光地では、目立ってタクシーがつかまらなくなった」、大変だ。
・トラック87万人、タクシー23万人、バス13万人  政府は追加で対策を打つ。2月13日には物流関連2法の改正案を閣議決定。事業者にドライバーの荷待ち時間を削減する計画を義務づけ、違反すると最大100万円の罰金を課すなど、労働環境改善に懸命だ。ほかにも”多重下請け”の是正をはじめ、今国会での法改正で労働環境改善を図るが、問題はそう簡単には解消しそうにない。 国内のドライバー数はトラックが約87万人、タクシーが約23万人、バスは約13万人いる。ドライバー不足で物や人が動かない事態は、次第に顕在化しつつある。 需要の大きさに供給が追いつかず、街から消えるドライバー。本特集では、全国で物流・人流が滞る最新事情をリポートし、その処方箋について探る』、「政府は追加で対策を打つ。2月13日には物流関連2法の改正案を閣議決定。事業者にドライバーの荷待ち時間を削減する計画を義務づけ、違反すると最大100万円の罰金を課すなど、労働環境改善に懸命だ。ほかにも”多重下請け”の是正をはじめ、今国会での法改正で労働環境改善を図るが、問題はそう簡単には解消しそうにない」、焼け石に水のようなものだ。国内のドライバー数はトラックが約87万人、タクシーが約23万人、バスは約13万人いる」、マイカーの「ドライバー数」ははるかに多いので、プロの「ドライバー数」が多少減ったとしても、道路の渋滞が緩和する可能性は少なそうだ。
タグ:物流問題 (その9)(ヤマト「配達員2.5万人契約終了」の大改革も すでに佐川と“明暗くっきり”のワケ、物も人も動かない… 「ドライバーが消える日」 トラック タクシー バスは深刻な人手不足だ) ダイヤモンド・オンライン 矢部謙介氏による「ヤマト「配達員2.5万人契約終了」の大改革も、すでに佐川と“明暗くっきり”のワケ」 「今回は、なぜ両社の決算に大差がついたのかを見ていくことにしよう」、楽しみだ。 「「今回は、なぜ両社の決算に大差がついたのかを見ていくことにしよう」、なるほど。 「営業収益(売上高に相当)が約1兆8010億円であるのに対し、営業原価(売上原価に相当)は約1兆6870億円(原価率は約94%)、販売費及び一般管理費(販管費)は約530億円(販管費率は約3%)となっており、物流業のコストは配送にかかる営業原価が中心であることがわかる。営業利益は約600億円で、売上高営業利益率(=営業利益÷営業収益)は約3%にとどまっている」、なるほど。 「営業利益ではヤマトHDが約600億円、SGHDが約1350億円となっており、SGHDに軍配が上がる。 なぜ、両社の営業利益には差が付いたのか・・・両社の13年3月期のP/Lと23年3月期のP/Lを比較してみよう」、比較の結論はどうなったのだろうか。 「ヤマトHDの営業収益」の「CAGR」は「約3.5%」、「SGHD」の「CAGR」は「約5.1%」と大きな差となり、「SGHDの業績が大きく伸びた」ようだ。 「ヤマトHDの営業収益はほぼ一貫して拡大してきたことがわかる。この間、ヤマトHDの宅急便の取扱個数は増加しており、それが収益の拡大に寄与している。 一方で、SGHDの営業収益は2014年3月期に一時的に低下している。これは、利益率の改善を目指してSGHDが荷主企業への値上げ交渉を行ったことが原因だ。 当時の報道によれば、値上げ幅は1~2割程度であったとされる(週刊東洋経済13年9月28日号)。これにより、AmazonなどをはじめとしたEC関連の大口顧客からの荷物の取扱個数が大きく減少し、一時的な収益低下を招いたというわけだ。 しかしながら、その後は単価の上昇に伴って収益は拡大傾向に転じている。また、コロナ禍に入った21年3月期以降はEC需要の大きな拡大に伴って、取扱個数が大きく増加したことも収益の拡大に寄与している・・・ 国際物流の市況は大きく悪化している。24年3月期第3四半期段階での通期業績予想によれば、SGHDにおけるロジスティクス事業の24年3月期営業利益は約45億円の赤字になる見込みだ。 こうした厳しい事業環境の中で、冒頭で述べたような協業をはじめとした事業構造改革による採算性向上に取り組んでいくとともに、業務の効率化を進めていくことで利益を再び拡大基調に乗せていくことができるかが問われている」、「SGHD」も一転して苦境に陥っているが、今後の展開が注目される。
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鉄道(その12)(イギリス高速鉄道「未着工区間は中止」の衝撃 コスト増など理由 沿線からは失望と怒りの声、日本人が知らないサンマリノ 「神社」と電車の謎 短命の山岳鉄道が動態復元 ブドウ畑に鳥居が、LRTか それともバスか?中国製「ART」とは何者か レールなし 路面の白線マーカーに沿い走行) [産業動向]

鉄道については、昨年12月30日に取上げた。今日は、(その12)(イギリス高速鉄道「未着工区間は中止」の衝撃 コスト増など理由 沿線からは失望と怒りの声、日本人が知らないサンマリノ 「神社」と電車の謎 短命の山岳鉄道が動態復元 ブドウ畑に鳥居が、LRTか それともバスか?中国製「ART」とは何者か レールなし 路面の白線マーカーに沿い走行)である。


先ずは、昨年10月11日付け東洋経済オンラインが掲載した在英ジャーナリスト のさかい もとみ氏による「イギリス高速鉄道「未着工区間は中止」の衝撃 コスト増など理由、沿線からは失望と怒りの声」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/707413
・『イギリスのリシ・スナク首相は10月4日、ロンドンとイングランド北部を結ぶ高速鉄道「HS2(ハイスピード2)」の第2期区間の建設計画を取りやめると発表した。 HS2をめぐってはこの発表前の数週間、計画の縮小に関するうわさでざわついていたが、スナク首相はこれを追認する格好となった。首相は第2期区間計画の中止について、大幅なコストの増加、建設計画の遅延が主な理由と説明している。長期にわたって練られてきた大規模交通インフラ計画を断念するに至った流れを追ってみることにしたい』、興味深そうだ。
・『建設中の区間だけで終了へ  HS2は2020年、当時のボリス・ジョンソン首相が建設計画にGOサインを出した。移動時間の短縮のほか、輸送力の増加、雇用創出、ロンドンを中心とするイングランド南部に偏っている英国経済の均衡化などが開業効果として見込まれるとしている。 当初の計画では、HS2は南端のロンドンを起点にイングランド中部のバーミンガムを経て2方向に分岐し、北西側(左側)はマンチェスター、北東側(右側)はリーズに至るY字型の路線となっていた。分岐地点のやや南側にあるバーミンガムまでが第1期区間で、2029年の開業を目指して工事が進んでいる。その北側、左右に分かれる部分が第2期区間だ。このうち、リーズへの延伸は2021年に途中のイースト・ミッドランズ・パークウェイまでで打ち切ることが決まっていた。 今回、スナク首相が中止を決めたのは、第2期区間のバーミンガムから北側の部分すべてだ。したがって、HS2は現在建設が進んでいる区間だけで計画終了となる。) もっとも、第1期区間についても建設は大幅に遅れている。2029年予定の開業時には、ロンドン市内中心部にあるターミナル、ユーストン駅までの乗り入れが期待されている。しかし、10月に入って「十分な民間投資が確保されない限り、HS2は同駅まで乗り入れない」という報道が流れた。これを受け、ロンドンのサディク・カーン市長は改めて市内中心部へのHS2乗り入れを実現すべく、スナク首相に書簡を送ったという。 ユーストン駅まで乗り入れない場合、ロンドン北西部で建設が進むオールド・オーク・コモンという新駅が当初のターミナルとなる。建設にかかるコスト増もあり、「最終的にHS2はロンドンの街中まで乗り入れないかも」という臆測が依然飛び交っている。 第2期計画の中止が決まったとはいえ、何らかの代替案なしに頓挫したのでは開通を期待していた沿線住民に示しがつかない。スナク首相は英国の国政与党・保守党の党大会で第2期計画の中止を表明した際、次のような代替案を明らかにした。 【スナク首相が発表したHS2第2期建設中止に伴う代替案】 ・360億ポンドを投じ、陸上交通網のテコ入れを行う ・「ミッドランズ鉄道ハブ」の建設。ここから周辺駅50カ所とつなぐ ・幹線国道A1、A2、A5および高速道路M6をアップグレードする ・リーズにトラム(路面電車)を敷設する ・イングランド北部の道路70本の改良に資金を投入 ・ウェールズ北部の鉄道路線の電化 ・国内の主要道路の再舗装に着手 ・現在行われている「バス運賃の減免措置」(多くの地方路線が2ポンド=約360円で乗れる)を2024年12月末まで延長』、「スナク首相が中止を決めたのは、第2期区間のバーミンガムから北側の部分すべてだ。したがって、HS2は現在建設が進んでいる区間だけで計画終了となる・・・「ユーストン駅まで乗り入れない場合、ロンドン北西部で建設が進むオールド・オーク・コモンという新駅が当初のターミナルとなる」、こんなに短くなっては、高速鉄道の意味もかなり薄らぎざるを得ないだろう。
・『沿線自治体「不満と怒り」  長年にわたって「高速鉄道の恩恵」を期待していた沿線住民からは、当然のことながら失望や怒りの声が聞こえてくる。 イングランド北部、とくに高速鉄道でロンドンとの直結が約束されていたマンチェスターとその周辺の自治体首長からは怨嗟の声がやまない。例えば、グレーター・マンチェスター(広域市)のバーナム市長は、今回の決定を受け、イギリスの公共放送BBCに対し「不満と怒り」があると語っている。またデイビッド・キャメロン元首相は、「一世一代の機会が失われた」とX(旧ツイッター)に投稿している。) そして、実際に悲惨な目に遭っている人々もいる。イングランド北部でHS2の敷設計画による土地の強制収用に応じ、それまで保有していた住宅や農場を手放した人々だ。とくに畜産業を営んでいた人々は代替地の選定や移転に相当な労力を費やしており、「苦労の結果が敷設中止では困る」とし、補償の上乗せを求める声も聞こえてきている。今後、政府はこうした「計画の影響」を受けた人々にも丁寧に向き合うことが必要だろう。 一方、2大政党制の英国議会における野党・労働党は、もともとHS2への経済効果を疑問視していたこともあり、同党としては「計画の復活」を約束しない、仮に今後の選挙で政権を奪回しても、まずはコスト等の数字の精査が必要との見方を示している』、「HS2の敷設計画による土地の強制収用に応じ、それまで保有していた住宅や農場を手放した人々だ。とくに畜産業を営んでいた人々は代替地の選定や移転に相当な労力を費やしており、「苦労の結果が敷設中止では困る」とし、補償の上乗せを求める声も聞こえてきている・・・野党・労働党は、もともとHS2への経済効果を疑問視していたこともあり、同党としては「計画の復活」を約束しない、仮に今後の選挙で政権を奪回しても、まずはコスト等の数字の精査が必要との見方を示している」、なるほど。
・『日立製車両への影響は?  HS2に導入される車両をめぐっては2021年12月、日立製作所と仏アルストムが折半出資する共同事業体が同線向け車両の製造・保守事業の受注を決めている。受注したのは欧州最速となる最高時速360kmの高速列車54編成の設計・製造と、12年間に及ぶ保守業務で、契約金額は総額19億7000万ポンド(約3578億円)に及ぶ。 この契約ではあくまで第1期区間の運行用として結ばれたものであるため、今回の第2期延伸の中止決定が影響を及ぼすものではない。とはいえ、当然ながらメーカーとしては第2期分の納入にも期待を寄せていただけに、今回の決定は歓迎されざるものであろう。 衝撃的とも言えるイギリス政府の「高速鉄道建設打ち切り」の決定は、コロナ禍後の経済情勢の変化が遠因でもある。資材の高騰や賃金の上昇などに加え、オンライン会議の増加など、人々の「移動需要」が計画段階と比べて大きく変わっている。この決定が吉と出るか凶と出るか、結果を見るにも5年、10年といった長期戦になる。イギリス経済の行く末も含め、今後のHS2の展開はどうなるのだろうか』、「日立製作所と仏アルストムが折半出資する共同事業体が同線向け車両の製造・保守事業の受注を決めている。受注したのは欧州最速となる最高時速360kmの高速列車54編成の設計・製造と、12年間に及ぶ保守業務で、契約金額は総額19億7000万ポンド(約3578億円)に及ぶ。 この契約ではあくまで第1期区間の運行用として結ばれたものであるため、今回の第2期延伸の中止決定が影響を及ぼすものではない。とはいえ、当然ながらメーカーとしては第2期分の納入にも期待を寄せていただけに、今回の決定は歓迎されざるものであろう」、「この契約ではあくまで第1期区間の運行用として結ばれたものである」とはいえ、「第1期分」だけで終わるのであれば、採算は悪くならざるを得ない。これでは、「共同事業体」としては、馬鹿らしくてやっていられないだろう。

次に、本年1月5日付け東洋経済オンラインが掲載した在英ジャーナリストのさかい もとみ氏による「日本人が知らないサンマリノ、「神社」と電車の謎 短命の山岳鉄道が動態復元、ブドウ畑に鳥居が」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/725027
・『イタリアに周囲を囲まれた小国・サンマリノ共和国。アドリア海近くにそそり立つ岩山が国土のこの国は人口3万5000人弱、面積は"山手線の内側”ほどの60平方kmしかなく、ロープウェーこそあるものの鉄道はない。だが、「国の中枢」にあたる山頂付近のトンネルには電車が停まっており、ときおり動く姿が見られるという。 さらに、同国には欧州で初の、日本の神社本庁に認められた「神社」もある。欧州でもバチカン市国、モナコ公国に次いで面積で3番目に小さい国に、なぜ神社があるのだろう。 さまざまな疑問を解きに、現地を訪れた』、興味深そうだ。
・『「世界最古の共和国」にあった鉄道  駐日サンマリノ共和国大使館の説明によると、同国は「世界で最も古い共和国であり、唯一生き残っている都市国家」「憲法は1600年に制定され、現在も使用されているものでは世界最古」だという。 市街地に行くとまるで中世から時が止まっているかのような印象を覚える。国の創設は4世紀とされるが、これは“マリノ”という石工が石灰岩の岩山であるティターノ山の頂上に登り、そこに小さな共同体を創設したことが起源だという。 サンマリノは中世を通じて自己統治を維持、13世紀には議会に当たる最高評議会が設立され、現在もなお執政機関として存在している。近代には、ナポレオンの侵攻やイタリアとの統一運動もあったが、独立を維持。1862年に当時のイタリア王国と友好・中立条約を締結したことで都市国家として現代まで残る形となった。) 国民は、今でこそ国土のあちこちに住居を構えて住んでいるが、政治・商業の中心地はティターノ山の山頂付近に張り付く石造りの建物群が並ぶ一帯に集中している。 この中心地区の町名こそが「サンマリノ」と称されるが、海抜ほぼゼロの平地にある下界から、標高600m以上ある岩山の上まで登るための交通確保が古くからの課題であった。そこで検討されたのが、イタリア領の最も近い都市で、アドリア海に面したリミニ(Rimini)とサンマリノとを結ぶ山岳鉄道「リミニ・サンマリノ鉄道」の敷設だった。 現在も乗客を乗せて動き出しそうな車両が残っているこの鉄道だが、実際には1932年から1944年までわずか12年あまりの短命で終わっている。 こうした山岳鉄道の敷設は概して、山の上で暮らしている住民が下界との行き来を楽にするために敷設運動を起こす傾向がありそうだが、リミニ・サンマリノ鉄道ではイタリア側の出資で計画が着手された。1901年ごろには鉄道敷設計画があったとされるが、第1次世界大戦の終了から約10年を経たころ、時の宰相で独裁政権を率いたムッソリーニがサンマリノを訪問したことで、敷設計画が一気に前進、国費を投入し建設を決定した』、「山岳鉄道「リミニ・サンマリノ鉄道」」は「時の宰相で独裁政権を率いたムッソリーニがサンマリノを訪問したことで、敷設計画が一気に前進、国費を投入し建設を決定した」、なるほど。
・『戦時中の誤爆で損傷、そのまま運行停止  着工は1928年で、その後約3年をかけて約32kmの路線が完成した。当時の記録によると、約19.8kmがサンマリノ領内、残りの12.2kmがイタリア領内に敷かれていた。イタリア各地で見られる軌間950mmのナローゲージで、直流3000Vで電化されていた。路線には2カ所のループを含むトンネル17カ所があり、リミニからサンマリノまで53分で走破していた。 サンマリノは第2次世界大戦の開戦に際して中立を宣言していたものの、1944年6月に連合国軍の誤爆で鉄道は損傷。修復されることなく、翌月の7月4日に定期運行がいきなり終了してしまった。記録によると、1944年7月11日から12日にかけて、電気機関車が客車2両を牽引する運行終了の記念列車が走ったという。) 第2次世界大戦終了後、リミニ・サンマリノ鉄道の復活を期待する声はあちこちから幾度となく上がったという。しかしサンマリノの人々の願いは届かず、イタリア領内にあった同鉄道の線路は1958年から1960年にかけて完全に外されてしまった。 一方で、サンマリノ側では鉄道があった痕跡を残そうとする活動が脈々と行われている。1kmに満たない長さとはいえ、保存状態のよかった旧サンマリノ駅近くのモンターレ(Montale)トンネル前後の区間が修復され、鉄道車両の動態保存区間としてよみがえった。復活したのは2012年7月21日で、1等と3等の客室を備えた合造車の電車「AB03」と、有蓋貨車1両が不定期にトンネル内を行き来している。バッテリー動力などへの改造ではなく、実際に架線に480Vの電力を通し、架線集電の「電車」として動かせるようにしているのが心憎い。 普段「AB03」は昼夜を問わずトンネル内に停めてある。出入りも自由とあって、観光客などが写真を撮る姿も見られる』、「戦時中の誤爆で損傷、そのまま運行停止」したが、「サンマリノ側・・・1kmに満たない長さとはいえ、保存状態のよかった旧サンマリノ駅近くのモンターレ(Montale)トンネル前後の区間が修復され、鉄道車両の動態保存区間としてよみがえった」、動態保存とは大したものだ。
・『動態保存区間を延長する構想も  ちなみに現在、下界とティターノ山の山頂付近にあるサンマリノの街とを結ぶ公共交通機関はロープウェーがあるほか、イタリア鉄道(トレニタリア)のリミニ駅前からはサンマリノの街への定期路線バスが運行されており、1時間ほどで中心街まで行ける。 また、リミニの南東には空の玄関、リミニ・サンマリノ空港がある。空港敷地はイタリア領に位置しながらも、サンマリノ共和国に籍を置くプライベート機がここを拠点に登録されている。 リミニ・サンマリノ鉄道の動態保存については、モンターレトンネルのふもと側(リミニ方)の先、ループ状になっているピアッジェ(Piagge)トンネルを通った先に位置するロープウェー駅(下界側)近くまで、約3km強の区間を復元し、列車を走れるようにする構想もあるというが、果たして計画はどう進むのだろうか。) 一方、もう1つの「不思議」である神社の歴史は鉄道に比べてはるかに新しい。その創建はリミニ・サンマリノ鉄道の動態保存区間復活よりも後だ。 お正月といえば「初詣は欠かせない」という人も少なくないだろう。しかし日本から遠く離れた欧州に住む邦人にとって、神社での参拝はなかなか叶わない。そんな中、サンマリノには神社本庁に認められた欧州初の神社が建てられている。 その名も「サンマリノ神社」と称し、2011年の東日本大震災の犠牲者を追悼し、日本とサンマリノの友好関係を深めるため、2014年に創建された。鎮座式には、神社本庁総長をはじめ、故安倍晋三元首相の実母・洋子さんも参列したという。 ところで「神社がなぜサンマリノにあるのか?」という疑問を持つ人もいることだろう。由来によると、2011年の東日本大震災の犠牲者を追悼するため、マンリオ・カデロ駐日サンマリノ大使が神社本庁にこの神社の建立を相談したことがきっかけなのだという。カデロ大使は2002年から駐日大使の職にある。全ての大使の中でも在職期間が最も長いことから外交序列筆頭の駐日外交団長でもある。ちなみに、神職は現地に住むサンマリノ人で、日本で修行したフランチェスコ・ブリガンテさんという方が宮司を務める』、「リミニ・サンマリノ鉄道の動態保存については、モンターレトンネルのふもと側(リミニ方)の先、ループ状になっているピアッジェ(Piagge)トンネルを通った先に位置するロープウェー駅(下界側)近くまで、約3km強の区間を復元し、列車を走れるようにする構想もあるというが、果たして計画はどう進むのだろうか・・・2011年の東日本大震災の犠牲者を追悼するため、マンリオ・カデロ駐日サンマリノ大使が神社本庁にこの神社の建立を相談したことがきっかけなのだという。カデロ大使は2002年から駐日大使の職にある・・・神職は現地に住むサンマリノ人で、日本で修行したフランチェスコ・ブリガンテさんという方が宮司を務めるサンマリノに神社本庁のお墨付きを得た「神社」があるとは心底驚いた。
・『ブドウ畑の一角に神社  小さいながらも本殿があり、伊勢神宮と同じ「神明造」の様式を持ち、その一部は伊勢神宮が遷宮の際に用いた木材を使用。日本で組まれたのち、サンマリノに輸送されこの地で再構築されたものだ。 神社はワイン用のブドウ畑の一角に設けられており、鳥居をくぐる際には遠くにサンマリノの象徴である3つの砦を擁したティターノ山の威容を眺めることができる。ただ、この神社の立地はサンマリノ旧市街地から遠く、険しい山道をくねくねと登りながら目指すことになる。クルマがないと行きにくいのが残念だ。とはいえ、欧州の小国にある神社という貴重さは何事にも代えがたい。 欧州大陸にある小国のうち、モナコ公国とリヒテンシュタイン公国は周辺国の鉄道幹線が国の一角を通り抜ける形で敷かれている。一方でサンマリノは岩山が国土という悪条件の下、100年近く前に鉄道で下界と中心地をつなぐ「国際列車」を通すという先見性があったことは忘れてはならない。 正直なところ、日本との縁はあまりなさそうな欧州の小国・サンマリノだが、今世紀に入って、“神社がある国”にもなった。「観光鉄道の延伸」が実現すれば、”世界最古の共和国”へ電車で登るという楽しみが増える。神社と共に、日本人観光客への関心がより高まる日が来ることを期待したい』、「「観光鉄道の延伸」が実現すれば、”世界最古の共和国”へ電車で登るという楽しみが増える。神社と共に、日本人観光客への関心がより高まる日が来ることを期待したい」、同感である。

第三に、2月24日付け東洋経済オンラインが掲載したアジアン鉄道ライターの高木 聡氏による「LRTか、それともバスか?中国製「ART」とは何者か レールなし、路面の白線マーカーに沿い走行」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/736326
・『2月1日から4日にかけて、マレーシアの首都クアラルンプール近郊、プトラジャヤ地区にて中国中車(CRRC)株洲が開発を進めている「ART(Autonomous Rapid Transit)」の、東南アジアで初となる一般向け試乗会が開かれた。 日本ではまだほとんど知られていないART。見た目はLRTだが車輪はゴムタイヤで、さらに運転台には丸いハンドルまで付いている。車体も3連接で、最大5連接にまで伸ばせるというから驚きだ』、「中国中車(CRRC)株洲が開発を進めているART。見た目はLRTだが車輪はゴムタイヤで、さらに運転台には丸いハンドルまで付いている。車体も3連接で、最大5連接にまで伸ばせる」、中国製のようだが、興味深そうだ。
・『LRT並みの輸送力で低コスト  進路の制御は、ART専用に設置した道路上の白線マーカーを光学式センサーが読み取り、これに沿って走行する。丸いハンドル(ステアリングホイール)も設置しているが、これは搬入時や非常時、また車庫等での入れ換えなどの際に機動性を確保するためである。今回の試乗会も、ハンドルを使用したマニュアル運転となった。 動力はバッテリー駆動だ。ただ、各国のバッテリー式LRTで見られる充電用のパンタグラフはなく、車体側面に急速充電用のソケットがある。そういった点ではLRTではなくEVバスに分類されそうだ。実際に、車体前面にはナンバープレート設置用の枠がある。 CRRCはART開発の理由について、LRT並みの輸送力を保ちつつ、整備費用を大幅に削減できることを掲げている。ゴムタイヤ式のため加減速に優れ勾配にも強い。その反面、鉄車輪方式に比べてエネルギー効率は悪い。定員は一般的な連接バスの約2倍となる239名(3連接車体の場合)で、設計最高速度は時速70kmだ。 現在は、数十年来の懸案であったシンガポール―ジョホール間の越境都市鉄道(RTS)の開業に合わせる形での運行開始を目指しているが、実際の開業時期は不明である。 BRTはRTSのジョホール(マレーシア)側の起点から3方向に約50kmがフェーズ1整備区間として示されているが、先の関係者は、2023年末頃にプロジェクトの呼称がBRTからLRTに突如変わったという。RTSはもともとシンガポールのMRT(地下鉄)規格で建設予定だったが、2019年にマレーシア側の政治的理由で急遽LRT規格に変更された。そして、規定路線のごとく車両はCRRC株洲が受注した。 もし、ジョホール側の市内交通にARTが採用された場合、シンガポール―マレーシア間のわずかな区間に、MRT、LRT、ARTと3つのシステムが混在することになる。RTSにCRRC株洲製のLRT車両が導入されるとすれば、これに規格を合わせるという理由でジョホール側にもARTでなくLRTを導入できる。そのため、不要になったART車両が今回プトラジャヤに移動してきたようだ』、「道路上の白線マーカーを光学式センサーが読み取り、これに沿って走行する・・・ジョホール側の市内交通にARTが採用された場合、シンガポール―マレーシア間のわずかな区間に、MRT、LRT、ARTと3つのシステムが混在することになる。RTSにCRRC株洲製のLRT車両が導入されるとすれば、これに規格を合わせるという理由でジョホール側にもARTでなくLRTを導入できる。そのため、不要になったART車両が今回プトラジャヤに移動してきたようだ」、なるほど。
・『予算のない都市にARTは「朗報」となるか  プトラジャヤでは既存鉄道駅からのフィーダー交通(注)としてモノレール計画が存在していたが、コスト面から頓挫しており、ARTはそれに代わるシステムとして導入調査が進む模様である。それにしても、ARTがいかに「規格」を売り込むビジネスであるかがわかる。 おりしも2024年1月から5年間の任期で、ジョホール州のイブラヒム・イスカンダル氏が第17代マレーシア国王として即位した。同氏は高速鉄道推進派としても知られ、シンガポールの対岸にありながら公共交通整備に後れをとってきたジョホールはRTS開業とともに大変貌を遂げる可能性がある。LRTとは別にARTが導入される可能性もあり、目が離せない。 LRTを導入したくとも予算のない地域、バス輸送に任せるには心もとない、抵抗があるといった地域にとっては、朗報とも言える存在になるかもしれない。まずは、マレーシアでどのようなオペレーションが始まるか、続報を待ちたい。) 路線バスと普通鉄道の間に位置づけられる輸送システムは、主にBRT、またLRTとして世界の国々で確立している。世界のBRTは、日本のそれと異なり、一般車線から完全に分離されていることがほとんどだ。バス停は道路中央に「駅」として存在し、車内での料金支払いがないため、連接バスで一度に多くの乗客を運べて時間のロスがない。 ただ、あくまで一般車線とセパレーターで区切られた専用レーンを走るだけで、運行システム上は限りなく一般のバスに近い。よって整備費用が安価なため、先進国、途上国問わず多くの都市で導入、また導入計画がある。しかし、これより鉄道システムに近いガイドウェイ方式(走行路の側面にあるガイドに沿って走行する)は、専用軌道を最高時速100kmで走るOバーン(オーストラリア・アデレード)が知られているものの、採用例はあまり多くない。日本でも、名古屋のゆとりーとラインで採用されただけである』、「シンガポールの対岸にありながら公共交通整備に後れをとってきたジョホールはRTS開業とともに大変貌を遂げる可能性がある。LRTとは別にARTが導入される可能性もあり、目が離せない」、なるほど。
(注)フィーダー交通:交通網において幹線と接続し、支線の役割をもって運行される路線(Wikipedia)。
・『ゴムタイヤ式LRT、試行錯誤の歴史  ARTはLRTをバスに近づけた存在と呼べそうだが、ゴムタイヤで走るLRT自体は以前から存在し、1990年代から2000年代初めにかけてボンバルディアが「GLT(Guided Light Transit)」、フランスのロールが「トランスロール」として開発、実用化している。前者は運転台にハンドルを設置しているが、どちらのシステムも走行路の中央に設置した1本のガイドレールに従って走る仕組みである。 低コストで整備できるLRTを目指したこれらのシステムだが、採用例は少なく、特殊仕様の域を出ることはないままで、スペアパーツの供給などメンテナンスコストが高騰した。また、ゴムタイヤ走行による轍が道路上に発生するなどして、乗り心地が悪化した。 結局目立ったコスト削減効果は表れず、ほとんどが通常の鉄車輪式のLRTやトロリーバスなどに置き換えられ、GLTはすでに全廃された。両システムを開発したボンバルディア、ロールはともにアルストムに買収され、トランスロールの技術は同社に引き継がれている。 ARTを開発した中国でも、2007年に天津、2010年に上海でトランスロールのゴムタイヤ式LRTを導入したが、いずれも上記の理由で2023年に廃止された。) だが、中国におけるEVや自動運転技術の急速な発展により、トランスロールのようにガイドレールを使う高コストなシステムにこだわる必要はないと判断されたとしてもおかしくないだろう。CRRC株洲はシーメンスとのライセンス契約により鉄車輪式のLRTを製造しており、同社がゴムタイヤ式LRTのような交通機関であるARTを開発したのは自然な成り行きと言えるかもしれない。
ARTは2018年以降、中国国内では株洲市、西安市、上海市など6都市で運行中、または現在試験運行中である。海外展開も進めており、マレーシアのジョホールバル(2021年から)、クチン(2023年から)、プトラジャヤ(2024年から)、オーストラリアのパース(2023年から)で導入に向け、実車を用いた試運転を実施している。 また、アラブ首長国連邦のアブダビでは、3編成を用いた一般旅客も乗車可能な試験運行が2023年10月からスタートした。ただし、白線マーカー未設置のマニュアル運転で、自動車用ナンバープレートを付けての運転だ』、「ARTは2018年以降、中国国内では株洲市、西安市、上海市など6都市で運行中、または現在試験運行中である。海外展開も進めており、マレーシアのジョホールバル(2021年から)、クチン(2023年から)、プトラジャヤ(2024年から)、オーストラリアのパース(2023年から)で導入に向け、実車を用いた試運転を実施」、なるほど
・『導入は「温暖な人工的都市」  試運転はいずれも、人口集中が穏やか、かつ人工的で整然とした近代的都市計画に成功している地域が選定されていることがわかる。また、温暖な地域というのも1つのポイントだろう。降雪地区では白線の読み取りができず、スリップなどの恐れもあるため、ARTは導入できないためだ。 2018年にはインドネシア鉄道(KAI)とも導入に関わる協力覚書を結んだ。KAIの廃線跡も活かしつつ、バンドン、スラバヤ、マランなどの地方都市やバリ島に導入する計画が持ち上がったが、道路環境の悪さなどの理由で具体化には至っていない。 それでも引き続き導入に向けた調査検討が進められ、法的な部分もクリアし、最終報告書が運輸省に提出された。2020年に協力覚書は延長された。そして2024年、運輸省は現在建設中の新首都・ヌサンタラへの導入意向を示し、運輸大臣が中国で試乗もしている。道路環境がよく、人口が少ない新首都への導入は容易だろう。 現在、開業に向けて最も具体化が進んでいるのはマレーシア、サラワク州クチンの「クチン・アーバン・トランスポート・システム(KUTS)」プロジェクトだ。クチンは同州の州都であるが、人口は約33万人、人口密度は300人/平方キロメートルを超える程度で、一般的な路線バスで十分輸送を賄える都市規模である。軌道系交通の導入が計画されること自体に驚きを隠せないが、だからこそARTが採用されたとも言える。) 018年に同プロジェクトは中国によるLRT方式での整備を前提に構想されたが、高額なコストを理由に実現には至らず、翌2019年にART方式での建設が決定した。KUTSの運営主体となるサラワクメトロは、LRT方式に比べ、3分の1のコストで整備が可能であると発表している。 KUTSはスマートシティ構想の一環であるとしており、ART停留所からはフィーダー交通として自動運転バスも導入し、全ての人がARTにアクセスできるようにするという。しかも、このARTは、他都市で導入されているタイプとは異なり、水素を動力源とする全く新しい車両になっている。東南アジア初のサステナブルシティを目指す構えだが、都市開発全体を中国が売り込んでいるという背景もある。 サラワク州はKUTSプロジェクトを総額60億リンギット(約1884億円)と見積もり、ナジブ首相の提唱で設立されたサラワク開発銀行を経由し融資され、公共事業として実施される。計70kmにも及ぶフェーズ1区間のうち、クチン市中心部と隣接するサマラハン市を結ぶブルーライン(27.6km)と、クチン市中心部と空港方面を結ぶレッドライン(12.3km)の路線、車両基地建設や車両、信号システムなどの調達について、2023年末までに業者選定を済ませ着工している』、「試運転はいずれも、人口集中が穏やか、かつ人工的で整然とした近代的都市計画に成功している地域が選定されていることがわかる。また、温暖な地域というのも1つのポイントだろう。降雪地区では白線の読み取りができず、スリップなどの恐れもあるため、ARTは導入できないためだ・・・KUTSはスマートシティ構想の一環であるとしており、ART停留所からはフィーダー交通として自動運転バスも導入し、全ての人がARTにアクセスできるようにするという。しかも、このARTは、他都市で導入されているタイプとは異なり、水素を動力源とする全く新しい車両になっている。東南アジア初のサステナブルシティを目指す構えだが、都市開発全体を中国が売り込んでいるという背景もある」、中国が大手を振って受注しているのは要注意だ。
・『技術はユニークだが法的課題も  いずれもマレーシア企業と中国企業のJVが落札しており、車両は当然、CRRC株洲が納入することになるが、書類上はマレーシアの民間投資会社ECCAZとCRRC子会社の合弁会社Mobilusが受注している。このパッケージには水素式ART車両38編成、信号システム一式、ホームドア、車両基地設計などが含まれており、契約額は14億2500万リンギット(約447億6200万円)だ。 ART自体がCRRCとMobilusの共同開発であるとも説明されており、公式ページにはMobilusは今後、マレーシアのみならず、近隣諸国への営業を強化すると記載されている。KUTSのARTは、高速道路や高規格道路の一部を専用レーンとして自律走行し、交通量の多い交差点は立体交差、一部区間には高架駅も設けられる。道路信号に従って進む区間では、ART優先信号が導入される。 車両は1編成がプロトタイプとして2023年8月に到着、試運転が続けられており、2025年末までに先行区間の開業を目指している。クチンが中国国外で初のART営業区間となる可能性が高い。政治的意図はあるとは言え、ART技術は注目に値するだろう。) 一方で、課題も多いとマレーシアの運輸関係者は指摘する。まずは法令上の問題で、鉄道車両なのかバスなのかをはっきりさせないと一般運行は難しいのではないかという点である。白線マーカーから逸脱して接触事故などが起きたときの責任範囲も現状では不明で、新たな法律を作るか、法規制の緩い国や地域での導入に限られるのではないかということだ。プトラジャヤではイベント期間中、交通を規制しての運行となった。 その点で、サラワク州のクチンで具体化が進んでいることは納得がいく。同州は歴史的経緯から、マレーシアでありながら独立した強い自治権を持っており、本土のマレー半島側との行き来にはパスポートが必要で、ほぼ外国という扱いのためだ。本土側の運輸行政とも全く別の管理下にあり、本土側ではどのようなプロセスで建設を進めているかわからないという。 そして、ARTというシステムを現状でCRRCしか持っていないことを懸念しているという。導入仕様書にARTと指定された場合、必然的にCRRC車両を導入することになってしまい、結果的にコスト高になる可能性があるためだ』、「ARTというシステムを現状でCRRCしか持っていないことを懸念しているという。導入仕様書にARTと指定された場合、必然的にCRRC車両を導入することになってしまい、結果的にコスト高になる可能性があるためだ」、中国に首根っこを押さえられてしまう。
・『中国の影響力に懸念  2009年のナジブ政権以降、マレーシア政府が突出して中国寄りの姿勢を見せていることに、先述の関係者は懸念を示している。事実上の国鉄であるマレー鉄道(KTM)は、今やCRRC株洲の独占的利権になっており、今後も同社以外からの車両調達はできないだろうと言う。 RRCはマレーシアに子会社を持ち、車両調達からその後のメンテナンスまでを一手に引き受けている。「一帯一路」の肝煎りの政策でもある東海岸鉄道(ECRL)も順調に工事が進んでおり、一度は白紙に戻ったマレーシア―シンガポール間の高速鉄道も、中国規格での着工が有力視されている。乗り入れのために中国と規格を合わせるという点ではECRLも高速鉄道も中国規格の採用は理にかなっているが、独立した存在である都市鉄道やLRTは、CRRCにとって参入障壁がある。 実際に都市鉄道の分野は、欧州メーカーが存在感を示しており、中国が十分に入り込めていない分野だった。ただ、2015年にクアラルンプールの高架式LRT、Rapid KLのアンパン線の旧型車置き換えをCRRC株洲が受注したのを皮切りに、徐々に攻勢を強めている。現在建設中のサーアラム線も同社が受注している。 今回のART試乗会に供された車両は、もともと2021年にジョホールバルで試運転を行っていた車両である。当時は自動車用ナンバーを取得し、白線マーカーによる自律走行を実施していた。2017年に当時のナジブ首相によって立ち上げられた「イスカンダル マレーシアBRT」プロジェクトとしてART導入に向けた調査が進んでおり、高速鉄道の開業及び接続を前提に2021年までの開業を目指していた。) 現在は、数十年来の懸案であったシンガポール―ジョホール間の越境都市鉄道(RTS)の開業に合わせる形での運行開始を目指しているが、実際の開業時期は不明である。 BRTはRTSのジョホール(マレーシア)側の起点から3方向に約50kmがフェーズ1整備区間として示されているが、先の関係者は、2023年末頃にプロジェクトの呼称がBRTからLRTに突如変わったという。RTSはもともとシンガポールのMRT(地下鉄)規格で建設予定だったが、2019年にマレーシア側の政治的理由で急遽LRT規格に変更された。そして、規定路線のごとく車両はCRRC株洲が受注した。 もし、ジョホール側の市内交通にARTが採用された場合、シンガポール―マレーシア間のわずかな区間に、MRT、LRT、ARTと3つのシステムが混在することになる。RTSにCRRC株洲製のLRT車両が導入されるとすれば、これに規格を合わせるという理由でジョホール側にもARTでなくLRTを導入できる。そのため、不要になったART車両が今回プトラジャヤに移動してきたようだ』、いずれにしても、中国系企業が受注するようだ。
・『予算のない都市にARTは「朗報」となるか  プトラジャヤでは既存鉄道駅からのフィーダー交通としてモノレール計画が存在していたが、コスト面から頓挫しており、ARTはそれに代わるシステムとして導入調査が進む模様である。それにしても、ARTがいかに「規格」を売り込むビジネスであるかがわかる。 おりしも2024年1月から5年間の任期で、ジョホール州のイブラヒム・イスカンダル氏が第17代マレーシア国王として即位した。同氏は高速鉄道推進派としても知られ、シンガポールの対岸にありながら公共交通整備に後れをとってきたジョホールはRTS開業とともに大変貌を遂げる可能性がある。LRTとは別にARTが導入される可能性もあり、目が離せない。 LRTを導入したくとも予算のない地域、バス輸送に任せるには心もとない、抵抗があるといった地域にとっては、朗報とも言える存在になるかもしれない。まずは、マレーシアでどのようなオペレーションが始まるか、続報を待ちたい』、「LRT」、「ART」いずれにしても、中国系企業が受注、日本企業はカヤの外なのは腹が立つ。
タグ:鉄道 (その12)(イギリス高速鉄道「未着工区間は中止」の衝撃 コスト増など理由 沿線からは失望と怒りの声、日本人が知らないサンマリノ 「神社」と電車の謎 短命の山岳鉄道が動態復元 ブドウ畑に鳥居が、LRTか それともバスか?中国製「ART」とは何者か レールなし 路面の白線マーカーに沿い走行) 東洋経済オンライン さかい もとみ氏による「イギリス高速鉄道「未着工区間は中止」の衝撃 コスト増など理由、沿線からは失望と怒りの声」 「スナク首相が中止を決めたのは、第2期区間のバーミンガムから北側の部分すべてだ。したがって、HS2は現在建設が進んでいる区間だけで計画終了となる・・・「ユーストン駅まで乗り入れない場合、ロンドン北西部で建設が進むオールド・オーク・コモンという新駅が当初のターミナルとなる」、こんなに短くなっては、高速鉄道の意味もかなり薄らぎざるを得ないだろう。 「HS2の敷設計画による土地の強制収用に応じ、それまで保有していた住宅や農場を手放した人々だ。とくに畜産業を営んでいた人々は代替地の選定や移転に相当な労力を費やしており、「苦労の結果が敷設中止では困る」とし、補償の上乗せを求める声も聞こえてきている・・・野党・労働党は、もともとHS2への経済効果を疑問視していたこともあり、同党としては「計画の復活」を約束しない、仮に今後の選挙で政権を奪回しても、まずはコスト等の数字の精査が必要との見方を示している」、なるほど。 「日立製作所と仏アルストムが折半出資する共同事業体が同線向け車両の製造・保守事業の受注を決めている。受注したのは欧州最速となる最高時速360kmの高速列車54編成の設計・製造と、12年間に及ぶ保守業務で、契約金額は総額19億7000万ポンド(約3578億円)に及ぶ。 この契約ではあくまで第1期区間の運行用として結ばれたものであるため、今回の第2期延伸の中止決定が影響を及ぼすものではない。とはいえ、当然ながらメーカーとしては第2期分の納入にも期待を寄せていただけに、今回の決定は歓迎されざるものであろう」、 「この契約ではあくまで第1期区間の運行用として結ばれたものである」とはいえ、「第1期分」だけで終わるのであれば、採算は悪くならざるを得ない。これでは、「共同事業体」としては、馬鹿らしくてやっていられないだろう。 さかい もとみ氏による「日本人が知らないサンマリノ、「神社」と電車の謎 短命の山岳鉄道が動態復元、ブドウ畑に鳥居が」 「山岳鉄道「リミニ・サンマリノ鉄道」」は「時の宰相で独裁政権を率いたムッソリーニがサンマリノを訪問したことで、敷設計画が一気に前進、国費を投入し建設を決定した」、なるほど。 「戦時中の誤爆で損傷、そのまま運行停止」したが、「サンマリノ側・・・1kmに満たない長さとはいえ、保存状態のよかった旧サンマリノ駅近くのモンターレ(Montale)トンネル前後の区間が修復され、鉄道車両の動態保存区間としてよみがえった」、動態保存とは大したものだ。 「リミニ・サンマリノ鉄道の動態保存については、モンターレトンネルのふもと側(リミニ方)の先、ループ状になっているピアッジェ(Piagge)トンネルを通った先に位置するロープウェー駅(下界側)近くまで、約3km強の区間を復元し、列車を走れるようにする構想もあるというが、果たして計画はどう進むのだろうか・・・2011年の東日本大震災の犠牲者を追悼するため、マンリオ・カデロ駐日サンマリノ大使が神社本庁にこの神社の建立を相談したことがきっかけなのだという。カデロ大使は2002年から駐日大使の職にある・・・ 神職は現地に住むサンマリノ人で、日本で修行したフランチェスコ・ブリガンテさんという方が宮司を務めるサンマリノに神社本庁のお墨付きを得た「神社」があるとは心底驚いた。 「「観光鉄道の延伸」が実現すれば、”世界最古の共和国”へ電車で登るという楽しみが増える。神社と共に、日本人観光客への関心がより高まる日が来ることを期待したい」、同感である。 高木 聡氏による「LRTか、それともバスか?中国製「ART」とは何者か レールなし、路面の白線マーカーに沿い走行」 「中国中車(CRRC)株洲が開発を進めているART。見た目はLRTだが車輪はゴムタイヤで、さらに運転台には丸いハンドルまで付いている。車体も3連接で、最大5連接にまで伸ばせる」、中国製のようだが、興味深そうだ。 「道路上の白線マーカーを光学式センサーが読み取り、これに沿って走行する・・・ジョホール側の市内交通にARTが採用された場合、シンガポール―マレーシア間のわずかな区間に、MRT、LRT、ARTと3つのシステムが混在することになる。RTSにCRRC株洲製のLRT車両が導入されるとすれば、これに規格を合わせるという理由でジョホール側にもARTでなくLRTを導入できる。そのため、不要になったART車両が今回プトラジャヤに移動してきたようだ」、なるほど。 「シンガポールの対岸にありながら公共交通整備に後れをとってきたジョホールはRTS開業とともに大変貌を遂げる可能性がある。LRTとは別にARTが導入される可能性もあり、目が離せない」、なるほど。 (注)フィーダー交通:交通網において幹線と接続し、支線の役割をもって運行される路線(Wikipedia)。 「ARTは2018年以降、中国国内では株洲市、西安市、上海市など6都市で運行中、または現在試験運行中である。海外展開も進めており、マレーシアのジョホールバル(2021年から)、クチン(2023年から)、プトラジャヤ(2024年から)、オーストラリアのパース(2023年から)で導入に向け、実車を用いた試運転を実施」、なるほど 「試運転はいずれも、人口集中が穏やか、かつ人工的で整然とした近代的都市計画に成功している地域が選定されていることがわかる。また、温暖な地域というのも1つのポイントだろう。降雪地区では白線の読み取りができず、スリップなどの恐れもあるため、ARTは導入できないためだ・・・KUTSはスマートシティ構想の一環であるとしており、ART停留所からはフィーダー交通として自動運転バスも導入し、全ての人がARTにアクセスできるようにするという。 KUTSはスマートシティ構想の一環であるとしており、ART停留所からはフィーダー交通として自動運転バスも導入し、全ての人がARTにアクセスできるようにするという。しかも、このARTは、他都市で導入されているタイプとは異なり、水素を動力源とする全く新しい車両になっている。東南アジア初のサステナブルシティを目指す構えだが、都市開発全体を中国が売り込んでいるという背景もある」、中国が大手を振って受注しているのは要注意だ。 「ARTというシステムを現状でCRRCしか持っていないことを懸念しているという。導入仕様書にARTと指定された場合、必然的にCRRC車両を導入することになってしまい、結果的にコスト高になる可能性があるためだ」、中国に首根っこを押さえられてしまう。 いずれにしても、中国系企業が受注するようだ。 「LRT」、「ART」いずれにしても、中国系企業が受注、日本企業はカヤの外なのは腹が立つ。
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小売業(一般)(その8)(「イトーヨーカ堂」3題:「イトーヨーカ堂」が都内屈指の好立地店から立ち退きのナゼ…ライバル「イオン」が後継テナントに、イトーヨーカドー、23区全店訪れて見えた"厳しさ" 消費者理解の欠如に、ちぐはぐな改善策も…、ヨーカドー、大量撤退で「無責任」批判なぜ起きた 「地元の商店街をぶち壊したのに…」の声の"誤解") [産業動向]

小売業(一般)については、昨年5月2日に取上げた。今日は、(その8)(「イトーヨーカ堂」3題:「イトーヨーカ堂」が都内屈指の好立地店から立ち退きのナゼ…ライバル「イオン」が後継テナントに、イトーヨーカドー、23区全店訪れて見えた"厳しさ" 消費者理解の欠如に、ちぐはぐな改善策も…、ヨーカドー、大量撤退で「無責任」批判なぜ起きた 「地元の商店街をぶち壊したのに…」の声の"誤解")である。

先ずは、昨年12月7日付け日刊ゲンダイが掲載した経済ジャーナリストの重道武司氏による「「イトーヨーカ堂」が都内屈指の好立地店から立ち退きのナゼ…ライバル「イオン」が後継テナントに」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/333023
・『50年以上も連れ添った古女房を叩き出し、新しいカミさんを迎え入れる。しかも新旧両妻は、かねて因縁の間柄──とあっては格好の世間話ネタと言えなくもない。 流通大手、イトーヨーカ堂が「都内屈指」(業界関係者)ともいわれる好立地店から立ち退きを迫られる。後継テナントと目されているのは、最大のライバル、イオンだ。 焦点となっているのは「イトーヨーカドー上板橋店」。東武東上線上板橋駅から徒歩2分という超駅近物件だ』、こんな「好立地店から立ち退きを迫られる」には特別の事情があるのだろう。 
・『■1971年に開業  地上4階建て、食料品のほか衣料品なども扱う総合スーパー(GMS)で、平日昼間でも多くの買い物客で賑わう。ヨーカ堂は土地・建物を所有する地元の不動産会社、小宮恒産と賃貸借契約を結び、1971年に開業した。 しかし、本体の業績悪化を受けて2000年以降、小宮恒産側に複数回にわたって賃料の減額を要請。小宮恒産もやむなくこれに応じてきたが、この間、ヨーカ堂側からは「建て替えを含む収益力向上に向けた抜本的な提案が何らなされなかった」(事情通)という。) このため、小宮恒産は21年末での賃貸借契約の終了を通告。ヨーカ堂側がこれを無視して居座り続けたことから明け渡しを求めて東京地裁に提訴、係争事件に発展していた。その結果、1審、2審ともヨーカ堂の敗訴で終わったことから、ヨーカ堂としては「上告審まで争っても勝ち目はない」(関係者)と判断、11月下旬になって退去を決めた。 店舗閉鎖の時期などは今後、両者で協議するが、小宮恒産側は「立ち退き料を支払う意向を示している」(事情通)という。そのうえで小宮では現有物件を解体。建て替えを行ってイオンに賃貸する方向のようだ。イオンでは新たな都市型ショッピングセンターブランド「そよら」での展開も含めて出店形態を検討しているとされる。 ヨーカ堂は3期連続最終赤字に陥っている。このため、親会社のセブン&アイ・ホールディングスは都内を中心に店舗網を集約。足元124店舗を26年2月末までに93店舗に絞り込む計画を進めている。ただ、上板橋店の“喪失”は「想定外」(幹部)とみられ、グループ内からは「痛い」の声も漏れる』、「本体の業績悪化を受けて2000年以降、小宮恒産側に複数回にわたって賃料の減額を要請。小宮恒産もやむなくこれに応じてきたが、この間、ヨーカ堂側からは「建て替えを含む収益力向上に向けた抜本的な提案が何らなされなかった」(事情通)という」、「本体の業績悪化」を理由として「値下げ」を迫ったようだが、本来はあくまで「上板橋店」が生み出すキャッシュフローが基礎となるべきで、そうすれば値下げの理由はなかっらのかも知れない。「小宮恒産は21年末での賃貸借契約の終了を通告。ヨーカ堂側がこれを無視して居座り続けたことから明け渡しを求めて東京地裁に提訴、係争事件に発展していた。その結果、1審、2審ともヨーカ堂の敗訴で終わったことから、ヨーカ堂としては「上告審まで争っても勝ち目はない」(関係者)と判断、11月下旬になって退去を決めた」、「ヨーカ堂側」はよにかく安くすることを優先し、よもやライバルが狙っているとは知らなかったのだろう。交渉担当チームはあとで、こっぴどく叱られた筈だ。

次に、本年2月16日付け東洋経済オンラインが掲載したチェーンストア研究家・ライターの谷頭 和希氏による「イトーヨーカドー、23区全店訪れて見えた"厳しさ" 消費者理解の欠如に、ちぐはぐな改善策も…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/735015
・『イトーヨーカドーが北海道・東北・信越の全17店舗をこの春から順次撤退していくというニュースが報道された。多くの論者が指摘する通り、都心周辺の店舗を残し、都心に特化する戦略だ。 前回(大量閉店「イトーヨーカドー」どこで間違えたのか)はこうした経緯に至る過程を、立地戦略というマクロな視点から概観した。 今回は、よりミクロな視点でヨーカドーについて考えてみよう。都心でヨーカドーは勝ち抜くことができるのか? それを考えるべく、筆者は週末から平日にわたって、東京都23区にあるイトーヨーカドー全15店舗を実際に巡り、現場を徹底的に分析してきた。 この後繰り広げる論考は、あくまで、イチ消費者かつイチ・イトーヨーカドーファンである筆者の個人的な感想に過ぎない。しかし、数日でギュッと見てきたからこその濃さはあるはずだ』、興味深そうだ。
・『見えてきたヨーカドーの“リアルな姿”  というわけで、筆者は数日間で23区の15店舗を巡った(疲れた)。連続でイトーヨーカドーに行き続けることはなかなかないが、それゆえに現場レベルで多くの発見を得ることができた。まずは、回ってみての率直な感想を箇条書きで説明していこう。 ①どの店舗も、食料品売り場と、テナントとして入居しているチェーンストアには人がいる(逆にほとんどの客がそこにしかいない)) このことは、すでに情報として知ってはいたが、実際に行くと、すごい。本当に衣料品コーナーや雑貨コーナーには人がいないのだ。 ヨーカドーの店舗通路は広く、それは歩きやすいということでもあるのだが、人がいないと逆に不思議な風通しが生まれて、余計寂しく思えてしまう』、「衣料品コーナーや雑貨コーナーには人がいないのだ。 ヨーカドーの店舗通路は広く、それは歩きやすいということでもあるのだが、人がいないと逆に不思議な風通しが生まれて、余計寂しく思えてしまう」、なるほど。
・『一方、盛況だった食料品売り場  逆に食料品売り場はどの店もかなり混んでいて、活気がある。特に大森店などは非常に賑わいがあり、試食品販売の声なども相まって、楽しい。 食料品売り場は、さまざまな装飾もなされていて、わくわくする空間もある。 また、最近改装した店舗の食料品売り場ではディスプレイなどにも工夫が凝らされている。 たとえば、イトーヨーカドーアリオ西新井店では、商品棚の上にディスプレイを置いており、イトーヨーカドーアリオ北砂店でも、「ご当地レトルトカレーライブラリー」として、カレーが陳列されていた。食料品売り場にはこうした工夫もあった』、「食料品売り場」はどこも「盛況」のようだ。「食品スーパー」に堅調なところが多い訳だ。
・『チェーン系のテナントも混んでいた  また、もう一つ混んでいるのが、入居するチェーン系のテナントだ。 代表的なものに、マクドナルド、100円ショップ、ミスタードーナツ、カルディ、GUなどがある。GMS部分がガラガラでも、こうした店には人が集まっている。つまり、人がいないわけではないのだ。 2024年秋頃の閉店が決定している上板橋店で一番混んでいたのは、マクドナルドだった』、「チェーン系のテナント」は激烈の競争に勝ち残った勝者だ。
・『②改装に伴い、売り場の至る所に空きがある。バックヤードをあけすけに見せてしまっている  ヨーカドーは衣料品部門の不採算化を受けて、大規模な店舗改革に乗り出している。後述するが、不採算部門をテナントに変える方向だ。 現在、どの店でもそのためなのか、改装に伴って、売り場に空きが見られた。本来は店舗を盛り上げるための改装なのだが、逆に売り場が空きだらけで、イメージとして寂しさが増幅している。 もちろん、これは一過性のものなのだろうが、この問題が本質的なのは、例えばポップアップストアの展開前の機材がそのまま置かれていたり、客から見えるところにダンボールが積んであったり、「バックヤード」があからさまに見えてしまっていることだ。 というより、「バックヤード」を隠す意識があまりないようにさえ思える。 たとえば、イトーヨーカドー綾瀬店では、紅白幕で隠しているが、商品やダンボールの類が見えてしまっていた。また、イトーヨーカドー赤羽店では、無造作に置かれたマネキンたちが確認できた。 もちろん店舗運営において、こうしたバックヤードを完全に隠すことはとても難しいだろう。しかし、消費者の立場からすれば、ダンボールが乱雑に置かれていたり、売り場がスカスカなのは、良い印象を抱かないはずだ。 実際、百貨店などでフロアの改装が行われる場合は、目隠しのための壁が用意されていることが多い。今回のイトーヨーカドー行脚を通じて、「あの壁には意味があったんだな」と感じさせられた』、「百貨店などでフロアの改装が行われる場合は、目隠しのための壁が用意されていることが多い。今回のイトーヨーカドー行脚を通じて、「あの壁には意味があったんだな」と感じさせられた」、なるほど。
・『せっかくの改革案も、消費者目線ではない感が…  ③改装した店舗では、商品構成を大きく変えているが、それが逆にわかりづらい 近年、ヨーカドーは業績悪化を受けて、さまざまな売り場改革をしている。 例えば、「イトーヨーカドー高砂店」では、これまで衣料品や雑貨として売られていたフロアが再編され「新しい生活様式のフロア」となっている。高砂店以外のいくつかのヨーカドーでもこうした売り場は見られた。) この編成によって、商品はその種類ではなく、「家事をする」「毎日をサポートする」「身なりを整える」というように機能で分類されている。 これ自体はより生活に密着した売り場にしようという意図が見えるのだが、問題はその分類のわかりづらさだ』、「機能で分類されている。 これ自体はより生活に密着した売り場にしようという意図が見えるのだが、問題はその分類のわかりづらさだ」、一時的にはやむを得ないだろう。
・『DX面でも本末転倒な施策が見られた  例えば、高砂店の「家事をする」というコーナーには時計やライト、マウスなどが分類されて置かれていた。正直いえば「家事をする」というイメージで、これらの商品を探し出すのは難しいのではないかと思う。 こうした点で、逆に売り場のわかりにくさが増幅しているところも散見された』、「高砂店の「家事をする」というコーナーには時計やライト、マウスなどが分類されて置かれていた。正直いえば「家事をする」というイメージで、これらの商品を探し出すのは難しいのではないかと思う。 こうした点で、逆に売り場のわかりにくさが増幅しているところも散見された」、これも一時的にはやむを得ないだろう。
・『④セルフレジが機能していない  また、近年ではどこのスーパーでも採用されているが、改装した店舗では、セルフレジの台数も多い。 しかし、特にヨーカドーの場合、客層はシニア層が多く、店舗によってはほとんどセルフレジが使われていないところもあった。セルフレジが多い分、有人レジの台数は少なく、レジの行列が長くなっているところがあるのだ。 DXに伴う改革は、小売店であればもちろん対応する必要があるだろう。しかしなぜDXをするのかといえば、それは顧客の利益になるからだ。しかし、現在のヨーカドー店舗の多くでは、本末転倒な事態が起こっている。 労働者不足の昨今では、セルフレジをある程度導入しないと現場が回らない現実もあるかもしれないが、だからといってシニア層の足が遠のく原因になってはいけないはずだ。 ここまで、店舗を巡って感じた率直な意見を書いてきた。正直なところ、都内の店舗でも、駅前の便利なところにあるから行く、ぐらいに思えてしまうのがつらい』、「特にヨーカドーの場合、客層はシニア層が多く、店舗によってはほとんどセルフレジが使われていないところもあった。セルフレジが多い分、有人レジの台数は少なく、レジの行列が長くなっているところがあるのだ」、店の特性に合わせた「有人レジの台数」に「すべきだろう。
・『15店舗めぐった筆者なりの改善策を考えてみた  では、イトーヨーカドーに勝ち筋はあるのだろうか。 以下、ここまでのフィールドワークを通して、僭越ではあるが、イトーヨーカドーがどうなれば、より楽しい買い物体験ができるのかを考えてみた。 これは、コンサルとか偉そうなものではなく、私がイトーヨーカドーにこうなってほしい、というような、それなりのファン精神を含んだイチ顧客としての願望混じりのものであることをあらかじめ断っておきたい。 ①ショッピングモール化を推し進める(食料品売り場の他に客数が多いのは、入居しているチェーンである。特にミスタードーナツやカルディ、100円ショップ(ダイソー、キャンドゥ、Seria等)に多くの人が集まっている。 これらが人気の理由については、それぞれいくつかの記事も発表されているだろうからここでは詳しく書かないが、とにかく売るものの「コンテンツ」でいえば、ヨーカドーはこれらの店に敵わない。 であれば、GMSという「コンテンツ」は捨て、むしろ、そうしたコンテンツをさまざまに集め配置する「プラットフォーム」に変化することが一つの可能性としてあるだろう。つまり、ショッピングモール化である。) 実は、ヨーカドーはこうしたショッピングモール化に舵を切ろうとしている。 近年の改革では、GMSとして扱う商品のうち、不採算部門である肌着以外の衣料品売り場をなくし、それらを専門店へと変化させようとしている。いわば、GMSという存在自体を否定する改革だ。 では、これで一安心かといえばそうではないと思う。というのも、「ショッピングモール化」は確かに必要なプロセスにしても、最終的な目的ではないからだ。そこで次の②だ』、「「ショッピングモール化」は確かに必要なプロセスにしても、最終的な目的ではない」、「最終的な目的」とは何なのだろう。
・『②顧客ニーズをもっと汲み取り、消費者理解を進める  なぜ、テナントに人が集まるのか。それは入居するチェーンストアが、顧客に選ばれているからだ。なぜ、顧客に選ばれているのかといえば、それは顧客ニーズを満たしているから。 100均は安く、さまざまな商品が手に入るし、意外な商品があったりもして楽しい買い物体験を提供してくれる。ミスタードーナツは、美味しいドーナツを低価格で食べられ、居心地も良く、最近では多くのファンも生み出している。こうした人気の店舗は、常に消費者が何を求めているのかを敏感にキャッチし、それを経営戦略に活かしている。 あまりにも当然だが、消費者理解がすべてにおいて重要なのだ。消費者の動向を考えれば、GMSという業態が古く、ショッピングモールのようなもののほうがニーズを満たしていることは明白で、だからこそショッピングモール化を進めるべきなのだ』、「GMSという業態が古く、ショッピングモールのようなもののほうがニーズを満たしていることは明白で、だからこそショッピングモール化を進めるべきなのだ」、その通りだ。
・『そこに消費者理解の姿勢はあるのか?  では、こうした消費者理解の姿勢が、イトーヨーカドーにあるかといえば、やはり疑問符が付いてしまう。それは、先ほども述べてきたところだ。 実は、ヨーカドーはもともと、消費者理解、消費者に寄り添う経営を大事にしてきた企業であった。その創業者である伊藤雅俊は、ヨーカドーの事業を多角化せず、GMS業態だけを守り続けた。それは、事業を多角化して、本業のGMSの売り場が荒れると顧客からの信用がなくなってしまうという伊藤の危機感にあったといわれている。 また、POSシステムによる単品管理を行ったのも早かったが、これも伊藤が、かつての個人商店のように「顔の見えるお客さん」がそれぞれどのようなニーズで商品を購入しているのかを的確に把握できるようにするためのものであった(三品和広+三品ゼミ『総合スーパーの興亡』)。) そもそも、ヨーカドーの始まりは、浅草にあった洋品店で、そこでは顔の見える関係性の中で商いが行われていたはずだ。そのような消費者理解の原点に立ち返るべきなのではないか』、「顔の見える関係性の中で商いが行われていたはずだ。そのような消費者理解の原点に立ち返るべきなのではないか」、今さら原点に立ち返」ろうとしても困難なのではなあろうか。
・『③立地を活かす  創業者の伊藤は、その立地について非常に慎重だったという。出店地域の交通量や家族構成などを綿密に調べあげたうえで最終的に出店にGOサインを出した。そのため、特に都内23区のヨーカドーの立地は非常に優れている。 また、ヨーカドーが多く出店をする、江戸川区、江東区などの東東京エリアは、東京スカイツリーの開業以後、不動産価値も上がり続けている地域だ。 近年では、かつしかけいたのマンガ『東東京区区』でその地域の多様性が描かれるなど、文化的に再注目を集めている。筆者の知り合いも、ヨーカドーがある木場に引っ越すなど、エリアとしての価値は高い。 その点で、こうしたエリアに店舗を持っていることの意義は深いはずだ。ヨーカドーが店舗改革の成功例としている大森店は、大森という下町の代表的な場所に位置していて、食料品売り場の活気も非常にある。試食品販売なども盛んで、かつての商店街を見ているかのような賑わいであった。 試食品の実演コーナーを設けるなどの工夫が、最近の店舗改革では見られるが、そうした改革で、いかに下町の活気をうまく取り込めるかが重要だ』、「大森店」のような「成功例」を如何に増やしていくかが重要だ。
・『買い物の楽しさをヨーカドーは取り戻せるか  というわけで、ずいぶんと好き勝手に書いてしまった。これらは15店舗を全部巡ったからこそ見えてきた視点だったと思う。) 基本的に筆者は、楽しく買い物をしたいし、楽しんで買い物をできる場所が増えてくれればいいな、と感じている。 伊藤雅俊が築いたヨーカドーは、立地の面、そして知名度の面でも、たぶん、うまくやれば楽しい買い物体験を提供できる場所になるポテンシャルはあると思う。 ヨーカドーが今後どうなっていくのかは誰にもわからない。 しかし、筆者はまた数年後、23区内のヨーカドーを全部巡ってみようと思う。そのとき、ヨーカドーで楽しい買い物経験ができることを願いながら……。 =敬称略= 筆者が巡った23区内・全店舗はこちら)』、「うまくやれば楽しい買い物体験を提供できる場所になるポテンシャルはある」、そのポテンシャルを引き出して、「買い物の楽しさを」「取り戻せるか」がポイントだ。

第三に、2月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したチェーンストア研究家・ライターの谷頭 和希氏による「ヨーカドー、大量撤退で「無責任」批判なぜ起きた 「地元の商店街をぶち壊したのに…」の声の"誤解"」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/735986
・『セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のイトーヨーカ堂が、北海道・東北・信越地方の17店を閉店すると報じられた。同エリアからの撤退により、ヨーカドー空白地帯が拡大することになる。中四国、九州、沖縄にはすでにヨーカドーはない。 筆者はこれまで2回、このニュースを受けて、ヨーカドーの歴史や、実際の現地のフィールドワークを通して見えてきたそのリアルな姿について書いてきた。今回は、そのシリーズのラストとして、今回のヨーカドー撤退に伴って巻き起こった「ヨーカドーは無責任」という言説について、検討してみたい』、興味深そうだ。
・『商店街を潰したヨーカドーが撤退するのは無責任?  ヨーカドーが撤退するというニュースを受けて、各所から聞こえた声の一つが「無責任」という声だった。いろいろな人の投稿の要点をまとめると、こんな感じだ。 「ヨーカドーは出店する際にさんざん地元商店をぶち壊した。にもかかわらず、利益が上がらなければ撤退するとは無責任だ、けしからん」 このとき言われる「地元商店」とは往々にして「商店街」のことが念頭に置かれている場合が多く、こうした言説は、たしかに私たちの頭にすんなりと入ってくるものである。「スーパーvs商店街」とでもいおうか。) こうした構図は、なぜか私たちの頭の中に小売りをめぐる「型」としてインストールされている。「ありきたりな決まり文句」を「クリシェ」というが、まさにこうした言説は小売りをめぐるクリシェである。 今回、ヨーカドーが撤退するというニュースを受けて、私たちの中にあるそのクリシェが顔を出した、というわけだ。 しかし、この「スーパーが商店街を潰した」という構図、実はかなりイメージ先行のものであることを指摘しなければならない。 まず、最初に断っておかなければならないのは、もちろん、日本全国でみれば、ヨーカドー等のGMSが出店したことによって存続が厳しくなった中小小売店が存在することも確かだ、ということ。それはもちろん認識したうえで、このクリシェに隠された「ウソ」を見ていきたい。 『日本流通史: 小売業の近現代』などの著作を持つ満薗勇によれば、そもそも「商店街」という小売りの形態が本格的に成立したのは1920〜1930年代で、全盛期を迎えたのは1950年〜1970年代。そして、衰退期を迎えるのは1970年代以降。「商店街実態調査報告書」によれば、自身の商店街を「繁栄している」と回答したのは、1970年の39.5%から1990年には8.5%になる。 満薗が指摘するのは、この商店街が最も栄えた1950〜1970年代は同時に、総合スーパーが隆盛を極めた時期でもあったということだ。ダイエーが大きく店舗を伸ばしたのは1960年代だし、ヨーカドーがGMSとして「ヨーカ堂」となったのも1958年のことだ。 私たちのイメージの時系列でいえば、「商店街」→「スーパー」という流れで捉えられることが多いのだが、実はこの2つはかなりの時期、共存してきたのである』、「私たちのイメージの時系列でいえば、「商店街」→「スーパー」という流れで捉えられることが多いのだが、実はこの2つはかなりの時期、共存してきた」、なるほど。
・『「大店法廃止」への批判も、実は的外れ  実は、こうした併存の形は、現在でも都内を中心とするヨーカドーではかなり見ることができる姿でもある。 一つ前の記事で、筆者は23区のヨーカドーすべてを実際に見て回ったのだが、例えばヨーカドー大森店の近くには、大森の商店街があって、基本的にはどちらも賑わいがあった。私たちが「スーパーvs商店街」と思うほどには、その両者は鋭くは対立しないのである。 関連記事:イトーヨーカドー、23区全店訪れて見えた"厳しさ" また、こうした議論のときによく言われる「大店法廃止」の影響も、実は時期からいうと検討はずれの批判だ。) 「大店法」は1974年から始まった法律で、大規模な小売店舗の出店を規制するものであった。それがスタートした1974年は、すでに商店街の衰退は始まっていて、むしろ衰退していくものを守ろうという応急処置にしかならなかった。 大店法が廃止されたのは2000年で、さきほどの「商店街実態調査報告書」では、すでに、自身の商店街が繁栄している、と思っていたのは2%前後の人しかいなかった。大店法があろうがなかろうが、商店街の衰退は行くところまで行っていたのだ。 以上のようなデータも踏まえると、今回のヨーカドー撤退における批判が、イメージ先行であることがよくわかるだろう』、「大店法があろうがなかろうが、商店街の衰退は行くところまで行っていたのだ」、なるほど。
・『「スーパーマーケット=悪」論とファスト風土批判論は似ている  しかし、なぜ、こうした「スーパーvs商店街」という構図がここまで根強いイメージを持ち続けているのだろうか。 この点について、筆者は以前東洋経済オンラインで「地方都市の『ファスト風景化』勝手に憂う人の病理」という記事を書いていて、そこで取り上げた議論が参考にできる。 この記事では、「今の地方はチェーンストアやショッピングモールばかりになってつまらない」という、いわゆる「ファスト風土」を批判する人が多いことに対して、それがいかに「幻想の中の郊外像」にすぎないのかを提示し、なおかつ、そのような人が理想の街の姿として「商店街」を一つの典型パターンとして「人と人との触れ合い」を求める傾向にあると書いた。 今回ヨーカドーの撤退騒動で出てきたクリシェは、まさにこうした感覚と通じるものがあるのではないだろうか。つまり、「スーパー=悪」、「商店街=善」として、単純な善悪の問題でこうした出来事を片付けようという考え方である。 もちろん、これはヨーカドーに限った話ではない。例えばイオンモールなども、「地方の商店街を破壊した存在」として、これまで散々語られてきている。) では、こうした認識はどこから生まれるのか。重要なのは「交通」である。 この記事では、「商店街」を理想の街とする人々の考え方に、「自動車」という交通手段が登場しないことにも触れ、そうした人々の「街」観が「歩行ベース」のものなのではないか、とも書いた。 しかし、現実には、日本国民全体の車の保有台数は歴史上、現在がもっとも高く、多くの商業施設が国道沿いに誕生している。街の形が、線上になっているのだ。 その一方で駅前を中心とする歩行ベースの都市は(シャッター商店街が顕著に表しているように)、衰退している。 実は今回のヨーカドー問題についても、こうした「自動車」と「歩行」の問題は顔をのぞかせている。ヨーカドーが撤退する地域について、「別にヨーカドーがなくても車で少しいけばいくらでも商業施設はある」という意見が見られたからだ。 もちろん、高齢化社会が進み、免許を返納する高齢者が多くなってくることも踏まえる必要はあるし、それはそれで解決しなければいけない問題だが、たしかに』、「駅前からヨーカドーがなくなったとしても、ロードサイド沿いの店舗で買い物をする、という選択肢もある。 実際、駅前から少し離れれば、今回ヨーカドーが撤退した北海道、東北、信越でも、ショッピングモールをはじめとする多くの商業施設が立ち並んでいる。 その意味でも、イメージする「街」観のズレがこうした批判を生ませるのだ」、なるほど。
・『結局、すべてを決めるのは「顧客」  最後に、補足的に重要なことを述べておこう。 近年、商店街が衰退してきたことに対しては、さまざまな理由が指摘されている。その中でも多く語られるのは、結局、商店街自体が顧客にとって魅力あるものでなくなってきた、ということだ。 中小企業診断士の鈴木隆男はこの点について、商店街の「外の敵」、ではなくて「内の敵」がその衰退の要因の一つになっていたという(東京都中小企業診断士協会のサイトより)。 また、中沢孝夫は『変わる商店街』の中で、商店街にある店が「地域独占」で、ある種の「殿様商売」的になっていた可能性を指摘する。 共存していた商店街とGMSは、結果的にGMSだけが生き残っていく状態になったが、それは、顧客の好みを敏感に反映していたのが、GMSだったからではないか。イトーヨーカドーは、かつて「顧客理解」に大きな力を注ぎ、顧客の満足度を高めようとしていた(三品和広+三品ゼミ『総合スーパーの興亡』)。GMSに結果的に客が流れたのは、顧客ニーズを的確にくみ取ったゆえだろう。) こうして考えると、一つの「悪」の組織があって、それが何かを駆逐していくという単純な図式で消費の動向を見ることはできなくて、結局は顧客の満足度に寄与した店が生き残るという当然の結果が見えてくる。 その流れの中で、郊外の商業施設が盛り上がりを見せ、かつて商店街から流れた顧客を満足させてきたイトーヨーカドーが、今度は顧客を満足させられなくなり、苦戦を強いられている』、「結局は顧客の満足度に寄与した店が生き残るという当然の結果が見えてくる。 その流れの中で、郊外の商業施設が盛り上がりを見せ、かつて商店街から流れた顧客を満足させてきたイトーヨーカドーが、今度は顧客を満足させられなくなり、苦戦を強いられている」、なるほど。
・『23区15店舗を歩いてわかったヨーカドーの問題点  前回の記事では、筆者は現在のイトーヨーカドーについて、主に以下の4つを問題にあげている。 ①どの店舗も、食料品売り場と、テナントとして入居しているチェーンストアには人がいる(逆にほとんどの客がそこにしかいない) ②改装に伴い、売り場の至る所に空きがある。バックヤードをあけすけに見せてしまっている ③改装した店舗では、商品構成を大きく変えているが、それが逆にわかりづらい ④セルフレジが機能していない この記事には少なくない反応が寄せられているが、生の声は筆者が思う以上にリアルだった。例えば、以下のような声が一例だ。 「普通のレジ余ってるのに、ガラガラのセルフレジに3人も4人も従業員かけてて普通のレジに長蛇の列ができてるのを延々続けてたりしてるし、よくある自分たちで潰そうとしてるのかと思うパターン」 「それでどうして衣料品売り場も雑貨売り場も重宝される地方から潰していくのか理解できない」 「ヨーカドーのGMSという形態そのものが業績改善の進まない最大の要因なんだよなぁ」 拡大時は「街の商店街を破壊する」と批判され、撤退時にも「さんざん地元の商店街をぶち壊したのに、利益が上がらなければ撤退するとは無責任だ」と言われたヨーカドー。 本稿ではその見方そのものの誤解を説明してきたわけだが、重要なのは、その時代に適したものが生き残るということだ。 消費文化を取り巻く人々のイメージにかかわらず、結局重要なのは、「顧客」を向いているかどうか、なのかもしれない』、「「普通のレジ余ってるのに、ガラガラのセルフレジに3人も4人も従業員かけてて普通のレジに長蛇の列ができてるのを延々続けてたりしてるし、よくある自分たちで潰そうとしてるのかと思うパターン」 「それでどうして衣料品売り場も雑貨売り場も重宝される地方から潰していくのか理解できない」 「ヨーカドーのGMSという形態そのものが業績改善の進まない最大の要因なんだよなぁ」、「重要なのは、その時代に適したものが生き残るということだ。 消費文化を取り巻く人々のイメージにかかわらず、結局重要なのは、「顧客」を向いているかどうか、なのかもしれない」、その通りだ。
タグ:小売業(一般) (その8)(「イトーヨーカ堂」3題:「イトーヨーカ堂」が都内屈指の好立地店から立ち退きのナゼ…ライバル「イオン」が後継テナントに、イトーヨーカドー、23区全店訪れて見えた"厳しさ" 消費者理解の欠如に、ちぐはぐな改善策も…、ヨーカドー、大量撤退で「無責任」批判なぜ起きた 「地元の商店街をぶち壊したのに…」の声の"誤解") 日刊ゲンダイ 重道武司氏による「「イトーヨーカ堂」が都内屈指の好立地店から立ち退きのナゼ…ライバル「イオン」が後継テナントに」 こんな「好立地店から立ち退きを迫られる」には特別の事情があるのだろう。 「本体の業績悪化を受けて2000年以降、小宮恒産側に複数回にわたって賃料の減額を要請。小宮恒産もやむなくこれに応じてきたが、この間、ヨーカ堂側からは「建て替えを含む収益力向上に向けた抜本的な提案が何らなされなかった」(事情通)という」、「本体の業績悪化」を理由として「値下げ」を迫ったようだが、本来はあくまで「上板橋店」が生み出すキャッシュフローが基礎となるべきで、そうすれば値下げの理由はなかっらのかも知れない。 「小宮恒産は21年末での賃貸借契約の終了を通告。ヨーカ堂側がこれを無視して居座り続けたことから明け渡しを求めて東京地裁に提訴、係争事件に発展していた。その結果、1審、2審ともヨーカ堂の敗訴で終わったことから、ヨーカ堂としては「上告審まで争っても勝ち目はない」(関係者)と判断、11月下旬になって退去を決めた」、「ヨーカ堂側」はよにかく安くすることを優先し、よもやライバルが狙っているとは知らなかったのだろう。交渉担当チームはあとで、こっぴどく叱られた筈だ。 東洋経済オンライン 谷頭 和希氏による「イトーヨーカドー、23区全店訪れて見えた"厳しさ" 消費者理解の欠如に、ちぐはぐな改善策も…」 興味深そうだ。 「衣料品コーナーや雑貨コーナーには人がいないのだ。 ヨーカドーの店舗通路は広く、それは歩きやすいということでもあるのだが、人がいないと逆に不思議な風通しが生まれて、余計寂しく思えてしまう」、なるほど。 「食料品売り場」はどこも「盛況」のようだ。「食品スーパー」に堅調なところが多い訳だ。 「チェーン系のテナント」は激烈の競争に勝ち残った勝者だ。 「百貨店などでフロアの改装が行われる場合は、目隠しのための壁が用意されていることが多い。今回のイトーヨーカドー行脚を通じて、「あの壁には意味があったんだな」と感じさせられた」、なるほど。 「機能で分類されている。 これ自体はより生活に密着した売り場にしようという意図が見えるのだが、問題はその分類のわかりづらさだ」、一時的にはやむを得ないだろう。 「高砂店の「家事をする」というコーナーには時計やライト、マウスなどが分類されて置かれていた。正直いえば「家事をする」というイメージで、これらの商品を探し出すのは難しいのではないかと思う。 こうした点で、逆に売り場のわかりにくさが増幅しているところも散見された」、これも一時的にはやむを得ないだろう。 「特にヨーカドーの場合、客層はシニア層が多く、店舗によってはほとんどセルフレジが使われていないところもあった。セルフレジが多い分、有人レジの台数は少なく、レジの行列が長くなっているところがあるのだ」、店の特性に合わせた「有人レジの台数」に「すべきだろう。 「「ショッピングモール化」は確かに必要なプロセスにしても、最終的な目的ではない」、「最終的な目的」とは何なのだろう。 「GMSという業態が古く、ショッピングモールのようなもののほうがニーズを満たしていることは明白で、だからこそショッピングモール化を進めるべきなのだ」、その通りだ。 「顔の見える関係性の中で商いが行われていたはずだ。そのような消費者理解の原点に立ち返るべきなのではないか」、今さら原点に立ち返」ろうとしても困難なのではなあろうか。 「大森店」のような「成功例」を如何に増やしていくかが重要だ。 「うまくやれば楽しい買い物体験を提供できる場所になるポテンシャルはある」、そのポテンシャルを引き出して、「買い物の楽しさを」「取り戻せるか」がポイントだ。 ダイヤモンド・オンライン 谷頭 和希氏による「ヨーカドー、大量撤退で「無責任」批判なぜ起きた 「地元の商店街をぶち壊したのに…」の声の"誤解"」 「私たちのイメージの時系列でいえば、「商店街」→「スーパー」という流れで捉えられることが多いのだが、実はこの2つはかなりの時期、共存してきた」、なるほど。 「大店法があろうがなかろうが、商店街の衰退は行くところまで行っていたのだ」、なるほど。 「駅前からヨーカドーがなくなったとしても、ロードサイド沿いの店舗で買い物をする、という選択肢もある。 実際、駅前から少し離れれば、今回ヨーカドーが撤退した北海道、東北、信越でも、ショッピングモールをはじめとする多くの商業施設が立ち並んでいる。 その意味でも、イメージする「街」観のズレがこうした批判を生ませるのだ」、なるほど。 「結局は顧客の満足度に寄与した店が生き残るという当然の結果が見えてくる。 その流れの中で、郊外の商業施設が盛り上がりを見せ、かつて商店街から流れた顧客を満足させてきたイトーヨーカドーが、今度は顧客を満足させられなくなり、苦戦を強いられている」、なるほど。 「「普通のレジ余ってるのに、ガラガラのセルフレジに3人も4人も従業員かけてて普通のレジに長蛇の列ができてるのを延々続けてたりしてるし、よくある自分たちで潰そうとしてるのかと思うパターン」 「それでどうして衣料品売り場も雑貨売り場も重宝される地方から潰していくのか理解できない」 「ヨーカドーのGMSという形態そのものが業績改善の進まない最大の要因なんだよなぁ」、「重要なのは、その時代に適したものが生き残るということだ。 消費文化を取り巻く人々のイメージにかかわらず、結局重要なのは、「顧客」を向いているかどう
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半導体産業(その11)(NTT「光半導体」が世界の電力不足を救う?iモード失敗の教訓を生かせるか、半導体ルネサス 「異質の巨額買収」の裏に危機感 9000億円弱で電子回路設計ツール企業を買収)     [産業動向]

半導体産業については、昨年8月6日に取上げた。今日は、(その11)(NTT「光半導体」が世界の電力不足を救う?iモード失敗の教訓を生かせるか、半導体ルネサス 「異質の巨額買収」の裏に危機感 9000億円弱で電子回路設計ツール企業を買収)である。

先ずは、本年2月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「NTT「光半導体」が世界の電力不足を救う?iモード失敗の教訓を生かせるか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338708
・『NTTの「光半導体」事業が注目されている。生成AI強化のため世界中でデータセンター需要が急増する中、光半導体がデジタル化と省エネの切り札になるからだ。NTTは国内外の有力企業と連携を強化し、技術開発を急いでいる。その背景には、iモードの世界的な普及を実現できなかった大いなる反省があるだろう』、「光半導体」とは興味深そうだ。
・『NTT「光半導体」の驚くべき潜在能力  最近、相次ぐ半導体工場の建設や水素製鉄、全固体電池の開発など、わが国経済にとって明るいニュースも舞い込むようになった。中でも1月30日、経済産業省が「NTTが進める光半導体事業に最大で452億円を補助する」と発表したのは注目に値する。 振り返れば2019年、NTTは「IOWN」(アイオン、Innovative Optical and Wireless Network)という光を用いた通信技術の研究開発を強化した。光半導体の潜在能力は非常に高い。特に重要なのは、今後、需要が高まるデータセンターの電力消費量を大幅に軽減する可能性があることだ。 近年、生成AIの性能を引き上げるため、世界中でデータセンター需要が急増している。それに伴い消費電力が大きく増加する。国際エネルギー機関(IEA)は、データセンターでのAI学習強化により、26年の電力消費量が22年の2.3倍程度に増えると予想した。 一方、主要国の電力供給能力の余裕は少ない。異常気象で冷暖房需要は増えた。電気自動車(EV)シフトも電力需要を押し上げる。供給面で、脱炭素に対応した発送電インフラの整備は一朝一夕には進まない。地政学リスクの上昇で、エネルギー資源調達コストの上昇も懸念される。光半導体は世界経済の成長率向上と省エネの両立の切り札になりうる。 NTTは光半導体を実用化し付加価値を高めるため、国内外の企業と協力体制を強化している。「iモード」失敗の教訓を生かし、国際的なコンソーシアムの強化を急いでいるようだ。NTT主導で、国際的な企業連合の体制が整備される期待も高い』、「2019年、NTTは「IOWN」(アイオン・・・という光を用いた通信技術の研究開発を強化「(IEA)は、データセンターでのAI学習強化により、26年の電力消費量が22年の2.3倍程度に増えると予想・・・一方、主要国の電力供給能力の余裕は少ない。異常気象で冷暖房需要は増えた。電気自動車(EV)シフトも電力需要を押し上げる。光半導体は世界経済の成長率向上と省エネの両立の切り札になりうる」、なるほど。
・『「光半導体」がデジタル化と省エネの切り札  生成AIの登場に伴い、世界全体でデジタル化が一段と加速している。今後、あらゆる分野でAIが用いられるようになる。主要国や企業は、データセンターを増やしてAIの深層学習を促進する体制づくりが求められている。 現在、データセンターで用いられるGPUやメモリーチップなどは、電子(電気)を用いてデータの演算や転送を行う。回路の線幅や半導体の精度向上などで、より多くの電力が必要になった。また、ロジック半導体の回路線幅の微細化は限界に近いとの指摘も多い。 NTTはそうした課題を克服するため、光半導体の研究開発を強化した。光の速度は、電子を上回る。NTTはその特性を活用し、消費電力性能の向上など、より効率的なデータセンターの構築を目指している。 2030年、世界全体で、データセンターの電力消費量は2600テラワット/時に達するとの見方もある。実に2018年の14倍だ。米オープンAIのサム・アルトマンCEOも、電力問題の克服に強い関心を持っている。同氏は、核融合発電関連の新興企業に投資したことを明らかにした。 一方、短期間で主要国が電力の供給体制を拡大することは難しい。再生可能エネルギーの活用、サーバーの冷却など課題も多い。欧州では、アイルランドでデータセンターが急増し、政府は電力ひっ迫を避けるため、建設を規制せざるを得なくなった。 データセンターの消費電力性能の向上は、生成AIの性能向上に大きく影響する。電力問題の解消は、AI性能向上、それによる中長期的な経済成長、さらに社会の安定にも影響する。その切り札の一つとなるのが、NTTが推進する光半導体である』、「電力問題の解消は、AI性能向上、それによる中長期的な経済成長、さらに社会の安定にも影響する。その切り札の一つとなるのが、NTTが推進する光半導体である」、なるほど。
・『“iモード失敗”の教訓を生かすNTT  光半導体の実用化を目指すNTTは、早い段階から他社との連携を意識してきた。複数社で研究開発を進めることは、リスク分散に有効だ。手始めに、日本電気(NEC)、富士通と連携を強化した(なお、これらの企業は「電電ファミリー」と呼ばれた)。 成果を実用化するため、製造技術の強化も必要だ。光半導体の開発には、キオクシア(旧東芝メモリ)、基盤に形成したチップの切り出しや配線を行う新光電気工業、光ケーブル大手の古河電気工業も参画する。 海外企業との連携も強化している。19年に米インテルやソニーグループとIOWN関連の研究開発を強化すると発表。22年には韓国のSKテレコム(SKグループの移動通信事業会社)とも業務提携を交わした。 国内外の企業との連携を強化し、自社の技術に賛同者を増やす。こうした発想でNTTが事業運営体制を強化するのは珍しい。この背景には、iモードの世界的な普及を実現できなかった大いなる反省があるだろう。 1999年2月に始まったNTTのiモードは、世界初のモバイル・インターネットサービスだった。iモードによってNTTグループが世界トップクラスのIT先端企業になる――。こう予想する経済の専門家も一部にいた。 しかし、現実の展開は大きく異なるものだった。当時のNTTグループにとって、1億人超の人口規模を持つ国内市場で、シェアを維持する考えが強かっただろう。旧ドコモの海外買収戦略の失敗、リーマンショックの発生、デジタル化の遅れによるGAFAMとの格差が拡大し、iモードは“日本のガラパゴス化”の典型例と化した。こうした教訓があるからこそ、光半導体プロジェクトの初期段階からNTTは内外企業との連携を模索している』、「iモードは“日本のガラパゴス化”の典型例と化した。こうした教訓があるからこそ、光半導体プロジェクトの初期段階からNTTは内外企業との連携を模索している」、失敗を教訓にするとは賢明なことだ。
・『国際規格実現に主体的な役割を果たせるか  今般発表された政府からの補助をきっかけに、NTTが国際的なコンソーシアム(企業連合)の形成を目指す可能性は高い。期待したいのは、光半導体の国際規格実現に主体的な役割を果たすことだ。 戦略物資としての半導体の重要性が高まる中、次世代の超高速通信を決定づける光半導体は、世界の経済・安全保障体制により大きな影響を与えるはずだ。主要先進国を中心に、通信規格の統一や、製造技術の第三国への流出阻止など、厳格なルールを策定することがいっそう重要となっている。 そのため、光半導体を実用化し量産技術を確立できる企業が本拠点を置く国は、国際世論・世界経済の運営に主導的な影響を与えるだろう。産業、経済、安全保障などあらゆる分野で光半導体は大きな可能性を秘める。 NTTは法律の制約があることから、世界規模で研究開発を進めることが難しかったとの指摘は多い。しかし、状況は変わりつつある。NTTに期待したいのは、スピードと規模感でIOWNプロジェクトを進めることだ。 研究開発の成果を守りつつ、よりオープンな姿勢で海外企業の参画を呼び込む。それにより賛同企業を増やす。それは、わが国の関連産業の需要獲得につながり、先端分野にかかわる企業を活性化させるはずだ。 ただし、ライバルも多い。米国ではGAFAMなどのIT先端企業と、光通信技術などの開発を行うスタートアップ企業の連携強化が起きている。中国は、武漢光電国家研究センターなど政府主導で光電融合に関する研究開発、先端技術の実用化を目指している。 光半導体に関する製造技術の実装は、NTTが世界規模で新しい市場をつくり、優位に付加価値を獲得する重要な機会になる可能性が高い。NTT、関連企業および政府が一貫した姿勢で先端分野の研究開発を進め、主要国に先駆けて実用化することができるか。それは、中長期的なわが国経済の回復にも大きく影響するはずだ』、「光半導体に関する製造技術の実装は、NTTが世界規模で新しい市場をつくり、優位に付加価値を獲得する重要な機会になる可能性が高い。NTT、関連企業および政府が一貫した姿勢で先端分野の研究開発を進め、主要国に先駆けて実用化することができるか。それは、中長期的なわが国経済の回復にも大きく影響するはずだ」、その通りだ。

次に、2月20日付け東洋経済オンライン「半導体ルネサス、「異質の巨額買収」の裏に危機感 9000億円弱で電子回路設計ツール企業を買収」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/735700
・『大手半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスが、同社史上最大となる巨額買収に踏み切る。買収するのは、アメリカに本社を置き、オーストラリア証券取引所に上場するアルティウム。約8879億円を投じ、今年中に全株を取得する予定だ。 「今回の買収は異質。将来への重要な一歩になる」。柴田英利社長は2月15日の会見でそう意気込んだ。 この数年のルネサスは、海外半導体メーカーの買収を積極的に仕掛け、7000億円前後の買収も2件行った。その同社が「異質」と表現するには理由がある。目的が「伝統的な半導体メーカー」からの脱皮にあるからだ』、興味深そうだ。
・『巨額を投じる企業は年商400億円規模  アルティウムは、電機製品の電子回路を設計する際に使われるPCB(プリント基板)設計ツールを手がける。半導体など電子部品の組み合わせをアルティウムのソフトウェア上で仮想的にシミュレーションすることで、物理的に電子部品を組み立てることなくその性能や安全性を検証できる。 サービスは月額数万円から提供。ユーザー数は3万社を超え、日立製作所、アメリカのテスラやロッキード・マーチンなどさまざまな産業の顧客が使用する。年間売上高は足元で400億円前後だが、直近5年で2倍に拡大した成長企業だ。 ルネサス製品を用いた電子回路の検証は現状でも可能であり、その意味でルネサスはアルティウムの提供するプラットフォームの参加者だ。だが巨額を投じて完全子会社化するのは、「参加者としてでは少し踏み込み不足」(柴田社長)だと感じていたからだという。 ルネサスは現在の柴田社長体制下になった2019年以降、同社が「ウィニング・コンビネーション」と呼ぶ戦略を進めてきた。「ルネサスの半導体を組み合わせることでこんな機能が実現できる」と提案し売り込んでいくことで、半導体単品とは異なった付加価値を生み出していく戦略だ。 必要な製品ラインナップを増やすため、この数年間は数百億〜数千億円規模で半導体メーカーの買収を相次いで行ってきた。そうして手に入れた製品群をテコに、収益性は大幅に改善。赤字体質にもがいていたかつての姿からは一変、業績と株式市場からの評価ともに完全復活を果たしている。 こうした経緯を踏まえれば、ソフトウェア企業であるアルティウムの買収は畑違いともいえる。「ルネサスはいったいどこへ向かおうとしているのか」――。買収会見に参加した記者や証券アナリストの関心は、その一点にあった』、「必要な製品ラインナップを増やすため、この数年間は数百億〜数千億円規模で半導体メーカーの買収を相次いで行ってきた。そうして手に入れた製品群をテコに、収益性は大幅に改善。赤字体質にもがいていたかつての姿からは一変、業績と株式市場からの評価ともに完全復活を果たしている」、大したものだ。
・『ものづくりの工程が変化  「従来であればメカだけで事足りた製品の機能も、エレクトロニクスで決まるようになってきている。一方で、購入品が主流のメカ設計と違ってエレクトロニクスの設計では部品を組み合わせる専門知識が不可欠。だからこそ幅広い産業のプレーヤーが使いやすいツールを、プラットフォームとして提供していきたい」 柴田社長が会見で語ったのは、半導体・電子部品と、ルネサスが主顧客とする自動車や産業機械メーカーとを取り巻く環境の変化だ。製造業に強いコンサルティング会社、アーサー・ディ・リトルの赤山真一パートナーも次のように解説する。 「AI(人工知能)やソフトウェアを扱う企業が最終製品を企画し、それからハードウェアを手がける企業にものづくりを任せる、というケースが増えている。その場合、企画段階からシミュレーションで検証できることが重要。自動車や産業機械が“AIの塊”に進化していく中、ルネサスはこの動きについていくと決めたのではないか」) 半導体産業を30年以上見てきた技術ジャーナリストの津田建二氏は、ルネサスの目指すものが「今までになかったビジネスモデルだ」と次のように評価する。 「これまでは半導体メーカーのような〝電気屋〟と、それを組み合わせて電機製品を造る〝機械屋〟の役割は分かれていた。この垣根を徐々にとはいえ取り払おうとしているように見える」 一方で、ある国内半導体メーカーの関係者は懸念も示す。 「アルティウムのようなプラットフォーム企業は、どのメーカーともフラットな関係だからこそ支持される。ルネサスが取り込むことで、参加者に敬遠されることにはならないのか」 前述のように、アルティウムの顧客は電機や自動車メーカー。ルネサスと直接の競合にはならない。とはいえ、アルティウムに「ルネサス色」がつきすぎてしまうことへの懸念があるのも確かだろう』、「「AI(人工知能)やソフトウェアを扱う企業が最終製品を企画し、それからハードウェアを手がける企業にものづくりを任せる、というケースが増えている。その場合、企画段階からシミュレーションで検証できることが重要。自動車や産業機械が“AIの塊”に進化していく中、ルネサスはこの動きについていくと決めたのではないか」・・・「アルティウムのようなプラットフォーム企業は、どのメーカーともフラットな関係だからこそ支持される。ルネサスが取り込むことで、参加者に敬遠されることにはならないのか」、前述のように、アルティウムの顧客は電機や自動車メーカー。ルネサスと直接の競合にはならない。とはいえ、アルティウムに「ルネサス色」がつきすぎてしまうことへの懸念があるのも確かだろう」、こうした利益相反は確かに懸念材料だ。
・「ルネサスは現在の柴田社長体制下になった2019年以降、同社が「ウィニング・コンビネーション」と呼ぶ戦略を進めてきた。「ルネサスの半導体を組み合わせることでこんな機能が実現できる」と提案し売り込んでいくことで、半導体単品とは異なった付加価値を生み出していく戦略だ。 必要な製品ラインナップを増やすため、この数年間は数百億〜数千億円規模で半導体メーカーの買収を相次いで行ってきた。そうして手に入れた製品群をテコに、収益性は大幅に改善。赤字体質にもがいていたかつての姿からは一変、業績と株式市場からの評価ともに完全復活を果たしている」、そんなに業績が改善したとは初めて知った。
・『「伝統的メーカー」のままではいられない  もちろんこうした見方は柴田社長も承知のうえだ。「(成功するためには)オープンなプラットフォームを維持していくことが肝になる。われわれ自身が、一緒に仕事をしていくパートナーと競合にならないことが大事」と強調する。 むしろ強く抱くのは、「デジタル化の流れは不可避。『伝統的な半導体メーカー』でい続ける限り、いずれマージナライズされてしまう(潮流から外れる)だろう」という危機感だ。 昨年には、2013年の経営危機時に出資したINCJ(旧産業革新機構)がすべてのルネサス株を売却。母体となった日立やNECも全株売却の方針だ。真の意味で「新生ルネサス」に生まれ変わることができるのか。それは「異質」な買収の成否が左右する』、「(成功するためには)オープンなプラットフォームを維持していくことが肝になる・・・昨年には、2013年の経営危機時に出資したINCJ(旧産業革新機構)がすべてのルネサス株を売却。母体となった日立やNECも全株売却の方針だ。真の意味で「新生ルネサス」に生まれ変わることができるのか。それは「異質」な買収の成否が左右する」、「真の意味で「新生ルネサス」に生まれ変わることができるのか」、今後の動向を注視したい。
タグ:半導体産業 (その11)(NTT「光半導体」が世界の電力不足を救う?iモード失敗の教訓を生かせるか、半導体ルネサス 「異質の巨額買収」の裏に危機感 9000億円弱で電子回路設計ツール企業を買収) 「光半導体」とは興味深そうだ。 「2019年、NTTは「IOWN」(アイオン・・・という光を用いた通信技術の研究開発を強化「(IEA)は、データセンターでのAI学習強化により、26年の電力消費量が22年の2.3倍程度に増えると予想・・・一方、主要国の電力供給能力の余裕は少ない。異常気象で冷暖房需要は増えた。電気自動車(EV)シフトも電力需要を押し上げる。光半導体は世界経済の成長率向上と省エネの両立の切り札になりうる」、なるほど。 「電力問題の解消は、AI性能向上、それによる中長期的な経済成長、さらに社会の安定にも影響する。その切り札の一つとなるのが、NTTが推進する光半導体である」、なるほど。 「iモードは“日本のガラパゴス化”の典型例と化した。こうした教訓があるからこそ、光半導体プロジェクトの初期段階からNTTは内外企業との連携を模索している」、失敗を教訓にするとは賢明なことだ。 「光半導体に関する製造技術の実装は、NTTが世界規模で新しい市場をつくり、優位に付加価値を獲得する重要な機会になる可能性が高い。NTT、関連企業および政府が一貫した姿勢で先端分野の研究開発を進め、主要国に先駆けて実用化することができるか。それは、中長期的なわが国経済の回復にも大きく影響するはずだ」、その通りだ。 東洋経済オンライン「半導体ルネサス、「異質の巨額買収」の裏に危機感 9000億円弱で電子回路設計ツール企業を買収」 「必要な製品ラインナップを増やすため、この数年間は数百億〜数千億円規模で半導体メーカーの買収を相次いで行ってきた。そうして手に入れた製品群をテコに、収益性は大幅に改善。赤字体質にもがいていたかつての姿からは一変、業績と株式市場からの評価ともに完全復活を果たしている」、大したものだ。 「「AI(人工知能)やソフトウェアを扱う企業が最終製品を企画し、それからハードウェアを手がける企業にものづくりを任せる、というケースが増えている。その場合、企画段階からシミュレーションで検証できることが重要。自動車や産業機械が“AIの塊”に進化していく中、ルネサスはこの動きについていくと決めたのではないか」・・・ 「アルティウムのようなプラットフォーム企業は、どのメーカーともフラットな関係だからこそ支持される。ルネサスが取り込むことで、参加者に敬遠されることにはならないのか」、前述のように、アルティウムの顧客は電機や自動車メーカー。ルネサスと直接の競合にはならない。とはいえ、アルティウムに「ルネサス色」がつきすぎてしまうことへの懸念があるのも確かだろう」、こうした利益相反は確かに懸念材料だ。 そんなに業績が改善したとは初めて知った。 「(成功するためには)オープンなプラットフォームを維持していくことが肝になる・・・昨年には、2013年の経営危機時に出資したINCJ(旧産業革新機構)がすべてのルネサス株を売却。母体となった日立やNECも全株売却の方針だ。真の意味で「新生ルネサス」に生まれ変わることができるのか。それは「異質」な買収の成否が左右する」、「真の意味で「新生ルネサス」に生まれ変わることができるのか」、今後の動向を注視したい。
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コンビニ(その11)(絶頂セブン-イレブンの死角 「食品開発力と調達力」の強みが弱みになり“下剋上”リスク浮上、:内なる「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」を自覚し 広い視野で世の中を見よう ローソン・竹増貞信社長 コンビニ百里の道をゆく、「セブン-イレブン」が太刀打ちできない地域は? 「コンビニ勢力図」から見えてくる意外な強者) [産業動向]

コンビニについては、昨年4月10日に取上げた。今日は、(その11)(絶頂セブン-イレブンの死角 「食品開発力と調達力」の強みが弱みになり“下剋上”リスク浮上、内なる「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」を自覚し 広い視野で世の中を見よう ローソン・竹増貞信社長 コンビニ百里の道をゆく、「セブン-イレブン」が太刀打ちできない地域は? 「コンビニ勢力図」から見えてくる意外な強者)である。

先ずは、昨年8月1日付けダイヤモンド・オンライン「絶頂セブン-イレブンの死角、「食品開発力と調達力」の強みが弱みになり“下剋上”リスク浮上」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/326456
・『コンビニ業界はインフレや人手不足で激変期を迎えている。セブン-イレブンは成功モデルを継承し、出店の再加速と食品の開発力で荒波を乗り切ろうとしている。横綱相撲を続けるセブンに対し、新しい土俵をつくって戦いを挑むのがファミリーマートとローソンだ。それぞれ親会社の伊藤忠商事と三菱商事の力を借りて、新機軸を打ち出し、“下克上”を狙う。特集『セブンの死角 伊藤忠&三菱商事の逆襲』(全15回)の#10では、セブンが抱える、王者であるがゆえの衰退リスクに迫る』、興味深そうだ。
・『横綱相撲のままではファミマやローソンの奇策に対応できず  出店が頭打ちになって成長が鈍化したコンビニ業界を、インフレや人手不足といった大波が襲っている。 波をもろにかぶれば、コスト上昇で減益になるばかりではない。複合的な要因で、コンビニが他業態に市場を奪われかねないのだ。その要因とは、(1)値上げが消費者の許容範囲を超える(2)人手不足で大量生産・長距離輸送の商品が不利になる(3)急成長を前提とした加盟店オーナーやメーカーとの関係が悪化する──などのリスクだ。 (図_コンビニ3社の国内店舗数の推移はリンク先参照) そうしたリスクに晒されている大手コンビニ3社で、唯一これまでの勝ちパターンを繰り返そうとしているのが王者セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)だ。 同社の永松文彦社長はダイヤモンド編集部の取材で、2022年度75店だった対前年度比の増加店舗数を、「150~200店に増やしていく」と明言した。 勝ちパターンを踏襲するのは出店戦略だけではない。食品の開発に注力し、総菜やプライベートブランド(PB)の魅力で客を集める戦略も継続する。 実は、21年度にSEJを揺るがす大事件があった。成長のけん引役だったPB、セブンプレミアムの売上高が初めて減少に転じたのだ。 (図_セブンプレミアムの売上高とアイテム数 はリンク先参照) 「食」を戦略の軸に据えるSEJがこのような事態を放置するはずはない。「不人気商品の改廃を進め、22年度後半からPBの売上高を上昇に転じさせた」(青山誠一商品戦略本部長)のだ。まさにSEJならではの横綱相撲といえる。 しかし、である。往年の戦略だけで激変期を切り抜けるのは難しい。むしろ、王者だからこそ戦い方を変えられず、時代の変化への対応が遅れ、負のスパイラルに陥ることもあり得る。 次ページではセブンの急成長を支えてきた三つの強みが、弱みに変わりかねない実態とその要因を明らかにする』、「セブンの急成長を支えてきた三つの強み」はどうなるのだろう。
・『加盟店オーナーとベンダーが離反すれば競争力を失うことになりかねない  SEJの変調の兆候はすでにある。コロナ禍や電力代の値上がりなどで中食ベンダーの経営体力が奪われ、「SEJが開発したい商品を製造するために必要な投資をしてくれるパートナーが少なくなっている」(SEJ関係者)のだ(詳細は本特集の#5『セブン強さの源泉「食品開発・鉄の結束」に綻び!?中食ベンダーの経営悪化&撤退で揺らぐ王座』参照)。 加盟店オーナーとの関係も波乱要因になり得る。オーナーは本部にロイヤルティー(粗利にチャージ率を掛けたもの)を納めるが、SEJのチャージ率はファミリーマートやローソンより高い。 それでもオーナーがSEJとの契約を続けるのは、日販(店舗当たりの1日の売上高)が67万円と、競合の2社より13万円以上多いからだ。この格差は、SEJの最大の武器である食品の売れ行きが良いために生じる。 つまり、SEJは「食品の商品力」→「日販の向上」→「店舗数の拡大」→「高いロイヤルティー収入」→「商品開発力の向上」という好循環を生むことで、チャンピオンとして君臨してきた。 店舗数の拡大は、特定地域に集中出店するドミナント戦略が取られてきた。これは売り上げを伸ばしたい本部には有利だが、近隣店同士が需要を食い合うことになるのでオーナーには不評である。 だが、オーナーやベンダーはSEJの成長性と収益性があるからこそ不満をのみ込んできた。店舗数の拡大や食品の魅力を基軸にした明るいビジョンが見えなくなれば、オーナーやベンダーが離反し、競争力を失うことになりかねない。 (図_セブンの三つの強みとその変調要因 はリンク先参照)』、「店舗数の拡大は、特定地域に集中出店するドミナント戦略が取られてきた。これは売り上げを伸ばしたい本部には有利だが、近隣店同士が需要を食い合うことになるのでオーナーには不評である。 だが、オーナーやベンダーはSEJの成長性と収益性があるからこそ不満をのみ込んできた。店舗数の拡大や食品の魅力を基軸にした明るいビジョンが見えなくなれば、オーナーやベンダーが離反し、競争力を失うことになりかねない」、確かに隠れたリスク要因だ。
・『ファミマは広告事業で ローソンはネット販売の本格展開で勝負  横綱相撲のSEJに対し、新しい土俵をつくって戦おうとしているのがファミマとローソンだ。 両社は、親会社の総合商社の広い知見を活用できる強みがある。 ファミマは伊藤忠商事と店内のディスプレーなどへの広告配信を本格化。5年後に100億円の利益計上を目指す(詳細は本特集の#11『ファミマ&伊藤忠「広告事業」の野望、店舗やアプリを媒体に5年後利益100億円を目指す』参照)。 ローソンは三菱商事とインターネット販売を強化中で、売上高を1割以上増やそうとしている(詳細は本特集の#4『ローソン&三菱商事が大勝負!「アマゾンに勝つ新型ECプラットフォーム」の全貌』参照)。 SEJが「何を売るか」という従来の土俵で勝負しているのに対し、他の2社は「どう売るか」という別の競争軸を立て、経営資源をシフトしているのだ。 SEJにとって、商社系列に属さない独立した立場にいるのは強みだった。取引先を競争させ、品質が良く、価格が安い提案を採用することができたからだ。しかし、この手法は、長期的な視点で成長するパートナーの関係を他社と築くのには適していない。 孤高のSEJと、商社との提携で勝負する競合2社の生き残りを懸けた戦いが始まった』、「SEJにとって、商社系列に属さない独立した立場にいるのは強みだった。取引先を競争させ、品質が良く、価格が安い提案を採用することができたからだ。しかし、この手法は、長期的な視点で成長するパートナーの関係を他社と築くのには適していない。 孤高のSEJと、商社との提携で勝負する競合2社の生き残りを懸けた戦いが始まった」、結果はどう出てくるのだろう。

次に、昨年11月27日付けAERA「内なる「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」を自覚し、広い視野で世の中を見よう ローソン・竹増貞信社長 コンビニ百里の道をゆく」を紹介しよう。
・『「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。 最近、「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」という言葉を耳にすることが増えてきましたね。社会においてそれぞれの「違い」を尊重するダイバーシティー(多様性)&インクルージョン(包括と受容)の観点からも、注目されているようです。 私も「自分にもアンコンシャス・バイアスがある」と常に自覚をもつことは、とても大事なことだと考えています。 人はそれぞれの国、環境や文化の中で育つ過程で、さまざまな常識が身についていきます。実際には同じ日本で育ってもまったく違う価値観や常識を身につける人がたくさんいて当然ですが、どうしても「自分が育った環境や文化に基づいた常識」を軸に物事を考えてしまいます。でもそれが一方で、無意識の差別や相手にとっては誤解でしかない決めつけにつながることも多々ありますよね。) 自分の常識と違うことと向き合ったとき、いかに柔軟に受け止められるか。そこで「あ、私が思っていたのはアンコンシャス・バイアスだったんだ」と気づき取り除くことができれば、「決めつけ」という偏見から来る視野の狭さから解放されていくのではないかなと思います。 それは、商品開発にも思いがけない形でつながります。 例えばローソンで無印良品さんのエイジングケア化粧水を扱うことになった当初、購買層について私たちにはあるイメージがありました。でも実際には、そのイメージからは遠い男性の方々からも「置いてくれてよかったです。すごく重宝してますよ」と言われることも多かったのです。私たちに「化粧水=女性」というバイアスがあったわけです。アンコンシャス・バイアスが取り除かれた瞬間でした。 内なる「無意識の偏見」を自覚し、広い視野で世の中を見ていけたら、皆がより暮らしやすい社会にできるかもしれません。 ◎竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長)』、「ローソンで無印良品さんのエイジングケア化粧水を扱うことになった当初、購買層について私たちにはあるイメージがありました。でも実際には、そのイメージからは遠い男性の方々からも「置いてくれてよかったです。すごく重宝してますよ」と言われることも多かったのです。私たちに「化粧水=女性」というバイアスがあったわけです。アンコンシャス・バイアスが取り除かれた瞬間でした。 内なる「無意識の偏見」を自覚し、広い視野で世の中を見ていけたら、皆がより暮らしやすい社会にできるかもしれません」、実際に「アンコンシャス・バイアス」を取り除くのはかなり困難を伴いそうだ。

第三に、昨年12月23日付け東洋経済オンラインが掲載したデータ可視化職人のにゃんこそば氏による「「セブン-イレブン」が太刀打ちできない地域は? 「コンビニ勢力図」から見えてくる意外な強者」を紹介しよう。
・『昨今、ITを利用してさまざまなデータを集めることができます。しかし、データを漠然と見ていても、そこに隠された本質にたどりつくことは簡単ではありません。これを防ぐ1つの方法がデータの「可視化」です。可視化することで「思い込み」にとらわれていたことに気が付いたり、意外な事実を発見できたりすることがあります。ここでは、『ビジュアルでわかる日本』の著者である、「にゃんこそば」さんが、「コンビニの勢力」を可視化してみました』、興味深そうだ。
・『現在も続くコンビニ「戦国時代」  日本全国、津々浦々に広がるコンビニエンスストア。遠くの街に出かけたときにも「だいたい、そこにある」という安心感が素敵ですが、地域によってセブン-イレブンばかりを見かけたり、またある地域ではご当地コンビニがまとまっていたりと、意外と地域差が大きいと感じます。 この地域差を可視化するために「コンビニ勢力図」を作成してみました(図1)。コンビニ大手6社を対象に、各市区町村を「店舗数が一番多いブランド」で塗り分けたものです。同率1位のブランドが複数ある場合、全国で店舗数が少ないほう(マイナーなほう)の色をつけました。) 全国約5.7万店舗のコンビニチェーンのうち、一番多いのがセブン-イレブン(2.1万店)。業界2位のファミリーマート(1.7万店)に差をつけているものの、全国を“平定”できているわけではないことが読み取れます。大まかな傾向としては、関東地方と中国、九州北部ではセブン-イレブンが優位、中部地方ではファミリーマートが優位、東北北部や山陰、四国などではローソンが陣取っています(図2、3)』、「コンビニ勢力図」によれば、「全国を“平定”できているわけではないことが読み取れます。大まかな傾向としては、関東地方と中国、九州北部ではセブン-イレブンが優位、中部地方ではファミリーマートが優位、東北北部や山陰、四国などではローソンが陣取っています」、なるほど。
・『地域差が生じる理由に、コンビニチェーンの統廃合(図2:(西日本)山陰地方や対馬、五島列島では、ポプラからローソンへの転換が進んでいる はリンク先参照) (図3:(東日本)中部地方ではサークルKがファミリーマートに吸収された はリンク先参照) このような地域差が生じる理由の1つに、コンビニチェーンどうしの統廃合の歴史があります。かつて、名古屋などの中部地方にはサークルK(愛知県の総合スーパー「ユニー」傘下)が広がっていたのですが、2004年にサンクスと合併、さらに2016年にはファミリーマートと経営統合し、2018年までにすべての「サークルKサンクス」がファミリーマートに置き換わりました。) 広島で生まれたポプラ(生活彩家、スリーエイトを含む)も、ローソンとの共同運営を徐々に進めています。こちらはファミリーマートと異なり、ポプラの店舗運営が一部継承されているのが特徴で、両社の共同ブランド店舗「ローソン・ポプラ」では、ポプラ時代に人気を博したポプ弁(あったかいご飯を後から詰める方式の弁当)が健在です』、「地域差が生じる理由の1つに、コンビニチェーンどうしの統廃合の歴史があります」、なるほど。
・『北海道では大手チェーンより強いセイコーマート  北海道には本州と違う色が広がっていますね(図4)。地場のコンビニ、セイコーマートです。 (図4:(北海道・東北)セイコーマートが北海道民の暮らしを支えている はリンク先参照) セイコーマートは1971年に札幌で開業したコンビニチェーンで、2023年8月末現在、道内に1090店、本州に96店を構えています。もともと酒の卸売業を展開していた強みを活かして、取引先の酒屋をコンビニに業態転換。さらには弁当などの製造、流通を自社グループ内で行うことで仕入れコストを削減し、札幌から過疎地や離島までをカバーする一大チェーン店に成長していきました。店内厨房で調理する弁当や総菜「ホットシェフ」が人気です。 コンビニの陣取り合戦には「早い者勝ち」の側面が大きいため、セイコーマートの牙城と言える北海道(とくに道東、道北)には大手チェーンが長らく参入してきませんでした。 2023年8月、稚内市内にローソンが2店舗オープンしましたが、それまでの間、ローソンは約150キロ南(オホーツク海側)の紋別郡雄武町が最北でした。 セブン-イレブンは中川郡美深町(旭川と稚内の中間地点)、さらにファミリーマートは滝川市(札幌から旭川までの道のりを3分の2ほど進んだところ)までしか進出できていません。 セイコーマートの守備は堅く、この勢力図は今後もしばらく変わりそうにありません。 激しい競争が続くコンビニ業界。5年後、10年後の「コンビニ勢力図」はどうなるのでしょうか』、「コンビニの陣取り合戦には「早い者勝ち」の側面が大きい」とするが、むしろネットワーク効果が大きいと考えるべきで、ある程度の密度になるまでは効果が出難いようだ。
タグ:コンビニ (その11)(絶頂セブン-イレブンの死角 「食品開発力と調達力」の強みが弱みになり“下剋上”リスク浮上、:内なる「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」を自覚し 広い視野で世の中を見よう ローソン・竹増貞信社長 コンビニ百里の道をゆく、「セブン-イレブン」が太刀打ちできない地域は? 「コンビニ勢力図」から見えてくる意外な強者) ダイヤモンド・オンライン「絶頂セブン-イレブンの死角、「食品開発力と調達力」の強みが弱みになり“下剋上”リスク浮上」 「セブンの急成長を支えてきた三つの強み」はどうなるのだろう。 「店舗数の拡大は、特定地域に集中出店するドミナント戦略が取られてきた。これは売り上げを伸ばしたい本部には有利だが、近隣店同士が需要を食い合うことになるのでオーナーには不評である。 だが、オーナーやベンダーはSEJの成長性と収益性があるからこそ不満をのみ込んできた。店舗数の拡大や食品の魅力を基軸にした明るいビジョンが見えなくなれば、オーナーやベンダーが離反し、競争力を失うことになりかねない」、確かに隠れたリスク要因だ。 「SEJにとって、商社系列に属さない独立した立場にいるのは強みだった。取引先を競争させ、品質が良く、価格が安い提案を採用することができたからだ。しかし、この手法は、長期的な視点で成長するパートナーの関係を他社と築くのには適していない。 孤高のSEJと、商社との提携で勝負する競合2社の生き残りを懸けた戦いが始まった」、結果はどう出てくるのだろう。 AERA「内なる「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」を自覚し、広い視野で世の中を見よう ローソン・竹増貞信社長 コンビニ百里の道をゆく」 「ローソンで無印良品さんのエイジングケア化粧水を扱うことになった当初、購買層について私たちにはあるイメージがありました。でも実際には、そのイメージからは遠い男性の方々からも「置いてくれてよかったです。すごく重宝してますよ」と言われることも多かったのです。私たちに「化粧水=女性」というバイアスがあったわけです。アンコンシャス・バイアスが取り除かれた瞬間でした。 内なる「無意識の偏見」を自覚し、広い視野で世の中を見ていけたら、皆がより暮らしやすい社会にできるかもしれません」、実際に「アンコンシャス・バイアス」 を取り除くのはかなり困難を伴いそうだ。 東洋経済オンライン にゃんこそば氏による「「セブン-イレブン」が太刀打ちできない地域は? 「コンビニ勢力図」から見えてくる意外な強者」 「コンビニ勢力図」によれば、「全国を“平定”できているわけではないことが読み取れます。大まかな傾向としては、関東地方と中国、九州北部ではセブン-イレブンが優位、中部地方ではファミリーマートが優位、東北北部や山陰、四国などではローソンが陣取っています」、なるほど。 「地域差が生じる理由の1つに、コンビニチェーンどうしの統廃合の歴史があります」、なるほど。 「コンビニの陣取り合戦には「早い者勝ち」の側面が大きい」とするが、むしろネットワーク効果が大きいと考えるべきで、ある程度の密度になるまでは効果が出難いようだ。
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リニア新幹線(その8)(「リニア開業を引き延ばしてもいいことは何もない」静岡市長がそう語る理由、激論 リニア新幹線#4:リニア新幹線、完成したら乗りたい?池上彰が「名古屋までならNO」と答えるワケ、「リニア妨害」川勝知事が議会で激ヅメ…過去に否定した“解決策”を今さら主張する自己矛盾、地下深くの工事「本当に安全か」 調布陥没事故 広がる余波 リニア計画のJR東海 説明会開催へ) [産業動向]

リニア新幹線については、昨年4月29日に取上げた。今日は、(その8)(「リニア開業を引き延ばしてもいいことは何もない」静岡市長がそう語る理由、激論 リニア新幹線#4:リニア新幹線、完成したら乗りたい?池上彰が「名古屋までならNO」と答えるワケ、「リニア妨害」川勝知事が議会で激ヅメ…過去に否定した“解決策”を今さら主張する自己矛盾、地下深くの工事「本当に安全か」 調布陥没事故 広がる余波 リニア計画のJR東海 説明会開催へ)である。

先ずは、昨年12月24日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの池上 彰氏とライター・編集者の梶原麻衣子氏による「「リニア開業を引き延ばしてもいいことは何もない」静岡市長がそう語る理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/336395
・『静岡工区の着工のめどが立たず、2027年開業が危ぶまれているリニア中央新幹線だが、静岡市長は「リニア開業を引き延ばしてもいいことは何もない」という。#1、#2に続き、ジャーナリストの池上彰氏が、静岡県・川勝知事の元側近で現在静岡市長を務める難波喬司氏と対談した』、興味深そうだ。
・『大きな活断層とフォッサマグナ  池上 リニアを巡る問題には、静岡で問われている川の水の問題や、残土置き場の問題以外の危険性を指摘する声もあります。例えば駿台予備学校の名物物理学講師で全共闘世代の山本義隆氏は、南アルプスは造山活動の激しい山岳で、直下には中央構造線と糸魚川―静岡構造線という2つの大きな活断層が走っているため、地震のリスクを懸念しています。また、活火山が多く、地震や地滑りが起こりやすいフォッサマグナも通っています』、「南アルプスは造山活動の激しい山岳で、直下には中央構造線と糸魚川―静岡構造線という2つの大きな活断層が走っているため、地震のリスクを懸念しています。また、活火山が多く、地震や地滑りが起こりやすいフォッサマグナも通っています」、リスク要因が揃ってご丁寧なことだ。
・『「フォッサマグナ」とは  新潟県から伊豆半島にかけて南北に横断する地下6000メートル以上もの溝に堆積物が積み重なった地帯。この地帯では南北に活火山が列をなし、多くの断層が走っている。フォッサマグナを境にして地質が分断されている。 難波 確かに問題の指摘としては理解できます。大井川上流の一番の問題は地層が立っていること。通常の平野は古い地層の上に新しい地層が乗っかっているので、トンネルを掘るにしても均質な層を掘り進んでいけばいいし、地震が来ても均質な層の中で揺れる分には影響が少ない。 しかし大井川上流地域では地層が横ではなく縦に立っている状態なので、それを串刺しする形のトンネル内での揺れ方が部分ごとに違ってくるという点があります』、「大井川上流地域では地層が横ではなく縦に立っている状態なので、それを串刺しする形のトンネル内での揺れ方が部分ごとに違ってくるという点があります」、なるほど。
・『科学でも分からないことは多い  難波 それは事実ですが、この危険性について考えるべき立場にあるのは、第一に事業者であるJR東海です。当然、JR東海側はトンネルの技術者も抱えていますし、リスクに関しても勘案しているはず。克服できると判断したから事業として進めているのでしょう。 もちろん、甘く見てはいけないと思いますし、実際に想定や考慮の度合いが甘い点については指摘してきました。さまざまなリスクを考慮して決めた事業そのものについて、静岡市長が事業全体について「危ないからやめるべきだ」「反対だ」と言えるものではないと思っています。 池上 JR東海としてはさまざまなリスクがあっても、技術的に回避できると思っているからこそ、やると決めたんだろうと。そう解釈しているということですね。 難波 そもそも皆さん、科学には正解があるという前提で話をされていますが、実際には分からないことも多いんです。リスクはもちろん考慮した上で対策を講じなければなりませんが、実際に地震が来たときにどうなるかというのは、事前のリスク管理とは別の問題です』、「科学には・・・分からないことも多いんです」というのはその通りだが、現実の生活では、経験的、科学的に問題ないと判断された上で、やっているが、リニアのトンネルなどの技術は、科学で安全性を確かめる必要がある。
・『真冬に標高1500メートルの非常口に置き去りにされた人はどうするのか  池上 リスクということでいえば、仮にトンネル内で停車してしまったときの避難経路についても問題を指摘されています。例えば地上では南アルプスの高い位置に当たる、その真下のトンネル内で事故が起きたら、乗客はどうするのか。 千石(せんごく)と西俣(にしまた)に非常口が設置される予定ですが、千石非常口は標高1340メートル、地表からの深さは約260メートルで、非常口までの長さは約3キロメートルに及びます。西俣非常口も標高1535メートルで、地表からの深さは約320メートル、非常口までの長さは約3.5キロメートルもある。もし真冬に事故が起きたら、標高1300~1500メートルの高さに脱出しても、今度は凍えてしまいます。 (南アルプストンネルの断面図 はリンク先参照) 難波 しかも出たところで誰もいませんから、もしそういう事故が起きれば静岡市の防災ヘリが救助に向かうことになるでしょう。しかし「真冬に非常口から出てきて標高1300~1500メートルの所に置き去りにされた人はどうするのか」は静岡市が考えるべき問題ではありません。 池上 それもJR東海が考えるべき問題であるということですね。川勝知事はこうしたさまざまなリスクを考慮した上で反対しているのか、それとも別の理由によってルート変更を主張しているのか、このあたりはいかがですか。 難波 反対に至るまでにはさまざまな要素や理由があったと思います。そもそもの川勝知事の持論は、鉄道と空港の連携を図ることでした。リニアは松本側を通る長野ルートを走ることで松本空港との連携を取り、東海道新幹線は静岡の新幹線の新駅と静岡空港とで連携を取る。交通体系としてはこれがベストだという考えはお持ちだったと思います。 池上 それが受け入れられないからリニアに反対だ、と?』、「真冬に非常口から出てきて標高1300~1500メートルの所に置き去りにされた人はどうするのか」について、「JR東海」はどう考えているのだろう。
・『静岡県はメリットがない状況で環境に対するリスクだけ背負わされる  難波 そうではありません。交通体系とリニアへの反対はまったく別の論点です。あくまでも静岡の自然体系、水の問題で影響が出る以上は静岡を通らないルートにしてほしいと。長野ルートの方が明らかに自然環境に対するリスクが少ないのだから、そちらを通られたらどうですかと。 池上 ではJR東海は自然への影響を軽く見ていたということなのかな。まさかそれを理由に、ここまで反対するとは思わなかった、と。 難波 JR東海が環境アセスに対する意識が低かったのは事実だと思います。だから今、(国土交通省の有識者会議で)1年5カ月かけて生物多様性に関する調査をしたでしょう。専門家を入れて、改めてこれだけの月日をかけてやっと、というのが事実です。 大井川の水問題にしても1年8カ月、専門家で議論して、ようやく先進坑貫通までの約10カ月間も含めた全量戻しも決まり、「影響なし」と結論を出しました。だからその点に関しては決して静岡県が難癖を付けて着工を遅らせているのではなく、最初に出してきたJRのアセスの詰めが甘かったということなんです。 池上 東京や神奈川、山梨県などは駅もできるので、早くリニアに開業してほしい。JR東海としても国が事業を認め、社会的な要請を受けているから「そうはいってもそれほど反対はしないだろう」とばかりに甘く見ていた面はありそうです。 難波 そうですね。私はよく講演などでリスクコミュニケーションについて話します。リスクコミュニケーションとは起こり得るリスクを関係者と情報共有し、相互理解を深めるためのコミュニケーションを図ることですね。難しいのは、リスクの受け取り方は立場によって変わることです。 例えば放射線の問題でいえば、誘致してもいないのに原発立地に選ばれたら、「事故が起きたら放射能が怖い」となりますよね。そのときのリスクはものすごく大きく感じられます。 しかし一方で、飛行機に乗る際に受けるX線検査の放射線について、健康リスクを問題視する人は少ない。なぜなら、飛行機に乗ることは自分で選択しているからです。つまり、受動側か能動側かで、リスクの受け取り方が違うのです。 そのため、「環境に対する影響がある」という同じ問題についても、進んでリニアを開通しようと考えている人にとっては、環境に対するリスクは少なく感じられるし、実際にリスクを大きく見ない。 しかし自分たちでリニアの通り道になることを選んだわけではない静岡県民からしてみれば、環境への影響リスクは大きなものになるんです。静岡にはリニアは止まらないわけですから、端的に言えばメリットがない状況で、環境に対するリスクだけは「受け入れろ」と言われているに等しいわけです。 だから川勝知事がリスクについて指摘し、それを静岡県民が支持しているのも当然のことで、何も難癖を付けているわけではないんです。 池上 もし長野ルートを通っていれば長野にも駅ができ、長野県民にもメリットがある。特に伊那は現状では東京まで片道4時間かかりますから、それが30分に短縮できるなら、多少の影響があってももろ手を挙げて大歓迎するでしょうね。それでいうと、静岡県はメリット・デメリットであまりにも釣り合いが取れていない、と。 難波 はい。10月に入ってようやく、静岡にもこれだけの経済効果が出るという試算が出ましたが、当初はこういう話も出てきませんでしたから。しかもあくまでも国交省の試算であって、JRによるものではない。停車本数の増加分も経済効果も、具体的な数字は一切出してきていません。 池上 ということは、JRは初期の段階で静岡とのリスクコミュニケーションに失敗したということですか。 難波 初期の失敗はそこにあったと思います。 池上 リニアが通ってもメリットを感じられない静岡県民にしてみれば、リスクばかり背負わされることになる。大事な自分たちの財産である南アルプスの自然が軽視されている、と。川勝知事はそうした県民心理をうまくつかんだともいえそうです』、「JRは初期の段階で静岡とのリスクコミュニケーションに失敗したということですか・・・リニアが通ってもメリットを感じられない静岡県民にしてみれば、リスクばかり背負わされることになる。大事な自分たちの財産である南アルプスの自然が軽視されている、と。川勝知事はそうした県民心理をうまくつかんだともいえそうです」、なるほど。
・『開業が3年遅れれば1兆円の損失  難波 ただ、静岡県としても、これ以上引き延ばしてもいいことは何もないんです。私がよく申し上げるのは、リニアは1日10億円、1年で3650億円の利益が出る事業です。7兆円、9兆円という予算をかけるということは、そのくらいの利益を出さないと採算が取れない。ということは、開業が3年遅れれば1兆円の損失になるということです。1兆円の損失を出すくらいなら、長野ルートを取っていた方がよかったでしょう。結果論ではありますが。 池上 川勝知事はどう思っているか分かりませんが、さすがに今更ルート変更はできないでしょう。 難波 今更変えられませんから、懸案を解決し、一日も早く進めるしかないと思います。「リニアは国も関わっている、1日10億円の事業」であることを頭に入れて、解決に協力する。 私が国交省にいた時に羽田空港の第4滑走路(D滑走路)の事業に携わったのですが、あの便益はだいたい1日3億円でした。だから職員に、漁業補償の交渉をする際にも、「1年早く済めば、1000億円の社会的便益が出るんだから頑張ろう」と職員にハッパをかけていました。 池上 第4滑走路には私もかなりの恩恵を受けております。 難波 ありがとうございます……って私がお礼を言うのも変なのですが(笑)。だからやはりリニアも、科学的根拠と社会的合意形成がクリアできたら、あとは賛否は別にして、「1日10億円の事業である」ということも前提に対応していく必要があると思います』、「リニアも、科学的根拠と社会的合意形成がクリアできたら、あとは賛否は別にして、「1日10億円の事業である」ということも前提に対応していく必要があると思います」、役人らしい1つの考え方ではある。

次に、この続きを、昨年12月25日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの池上 彰氏とライター・編集者の梶原麻衣子氏による「激論 リニア新幹線#4:リニア新幹線、完成したら乗りたい?池上彰が「名古屋までならNO」と答えるワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/336404
・『リニア中央新幹線の工事着工を認めない川勝平太静岡県知事の強固な反対姿勢が注目されているが、そもそもリニア中央新幹線のメリットとデメリットとは。気になる安全面も含めてジャーナリストの池上彰氏が徹底解説する』、興味深そうだ。
・『リニアのメリットとデメリットが多数ある  静岡リニア中央新幹線問題は、川勝平太静岡県知事の強固な反対姿勢が注目を集め、地元紙のみならず多くのメディアで取り上げられています。「静岡を通過することを許さない」とばかりにさまざまな論点で反対を述べる川勝知事に対する批判的な論調もある一方で、「そもそもリニア中央新幹線のメリットとデメリットとはどのようなものなのか」を改めて知りたいという声もあるのではないでしょうか。 そこで、利用者としての立場からリニア中央新幹線をどう考えるべきか、7つの論点から見ていきましょう。 まずは「所要時間」。現在、東京―名古屋間は新幹線「こだま」であれば約2時間40分、新幹線「のぞみ」であれば所要時間は約1時間40分。これがリニアであれば品川―名古屋間でなんと40分で到着します。しかも想定では、料金は新幹線と比べて700円程度の上乗せだと発表されています。安価な追加料金で所要時間が1時間も短縮されるとなれば、特にビジネス利用者にとっては大きな価値があるといえそうです。 何より、品川まで40分となれば、名古屋から東京へ毎朝通勤することも可能になります。そうしたリニア後の需要を見込んでか、現在、名古屋駅周辺は大規模な再開発が進んでおり、高層マンションも林立しています。 さらに東京―新大阪間では現在、最短でも新幹線で2時間30分近くかかるところ、リニアでは67分と見込まれています。1時間半も短縮できるのであれば、使いたいという人も多いはずです。 日頃、新幹線を利用している方は最近如実に感じられるところではないかと思うのですが、コロナ禍明けの現在、新幹線の指定席予約がかなり取りづらくなっている現状があります。というのも、新幹線はこれまでの観光利用、ビジネス利用に加え、インバウンドによる外国人観光客の利用も爆発的に増えているからです。 こうした状況を考えれば、リニアは新幹線利用者の溢れた分を受け入れる輸送手段になり得ます。リニアは「輸送量」で見れば間違いなくプラスです』、「リニアは「輸送量」で見れば間違いなくプラスです」、その通りだ。ただ、料金収入面ではどうなるのだろうか。
・『列車運行中なら乗客を巻き込んで大惨事になっていたかもしれない  ほとんどの区間で地下を走るリニアは、車窓から見える景色を楽しむ機会はほとんどありませんし、所要時間もかなり短いため、旅には向きません。そこで早く現地につくことを優先するビジネス利用者と、旅情を楽しみたい観光客とでリニアと新幹線の使い分けが進むかもしれません。 今、「ほとんどの区間で地下を走る」と述べたように、リニアは286キロメートルの区間のうち、約8割が地下を通ることになります。そのため、リニアは一般的な新幹線に比べて台風や大雨、大雪などの「自然災害」に強いといわれています。近年では台風だけでなく線状降水帯発生の予測段階で翌日の運休などが発表される例も多くなってきた新幹線の代替輸送手段としても、リニアが期待されている面はあります。 一方では少子高齢化、人口減少によって将来的に利用者が減少するのではないかと指摘する声もありますが、現在の利用者増の傾向はまだまだ続きそうですから、利用者の増減現象が逆転する日はもう少し先になりそうです。 ではリニアは「安全性」が高いのか。もちろん高い安全性を確保するための工夫がさまざまなされていますが、何事もゼロリスクはあり得ません。これはリニアに限らず新幹線でも同様です。そこで運行会社は、地震の揺れで最初に出る地震波P波を感知した段階でブレーキをかける仕組みを使っています。その名も「ユレダス」という名称です。 2004年の中越地震の際には、上越新幹線が脱線事故を起こしました。この時にもユレダスを導入していましたが、この地震を契機にJR東日本では地震計同士をネットワークで通信させて、いち早く捉えた地震計の情報を他の変電所に伝えられるようになり、東日本大震災の時に役立ちました。JR東海は現在では独自に開発したテラス(東海道新幹線早期地震警報システム)を導入しています。 ほとんどの場所で地下を走るリニアは地震にも強いといわれています。しかし問題は、リニア開通が予定されている路線上には幾つもの活断層が存在している点です。 断層」とは:長い年月をかけて地下の岩盤に力が加わり、それが限界に達したとき、ある面を境として岩盤が急速に動いてずれることで地震が起こる。この岩盤のずれを断層という。中でも活断層はこの数十万年の間に、おおむね千年から数万年の間隔で繰り返し活動し、今後も再び活動すると考えられている断層を指す。 (地震の発生の仕組みはリンク先参照) 予定路線上には、次の7つの活断層の存在が指摘されています。 (1)曽根丘陵断層帯 (2)糸魚川―静岡構造線断層帯 南部区間 (3)伊那谷断層帯 主部 (4)清内路峠断層帯 (5)木曽山脈西縁断層帯 主部 (6)阿寺断層帯 主部の南部 (7)笠寺断層  この周辺は「30年以内に確実に発生する」と予測されている南海トラフ地震の影響を受ける地帯でもあり、仮にリニアができてから大地震が発生すれば、人的被害を含む大きな損害を免れないのでは、といわれているのです。 実際、これまでにも鉄道路線が活断層で切断された事例があります。北伊豆断層系・丹那(たんな)断層が1930年に引き起こした北伊豆地震(M7.3)の際には、東海道本線の丹那トンネルの掘削工事が行われていました。地震によって東西方向のトンネルが、断層運動によって掘削の先端面が2メートルほどズレてしまい、その分の穴を掘り直したのです。もし、地震が工事中ではなく列車運行中に起きていれば、乗客を巻き込んだ大惨事になっていたかもしれません』、「北伊豆地震(M7.3)」が「工事中」に起きたのは幸いだった。
・『開通までの車両開発のノウハウや運用が生かせる  リニア計画を進めているJR東海は「活断層が心配」との声に対し「地質調査済みである」とした上で「全ての活断層を回避することは現実的ではない」と回答しています。 しかし仮に車両が地下を走っている際に地震が発生すれば、地上まで避難しなければなりません。南アルプスを貫通する地下トンネル内で地震が発生しリニアを急停止させた場合、乗客が避難するには地上の避難口まで標高差300メートル前後登らなければならず、かなり大変です。日本は地震大国であるだけに対策も進んでいますが、一方で常にリスクを抱えていることも考慮すべきでしょう。 リニア新幹線はJR東海という民間企業が国から3兆円もの財政投融資を受けた肝いりプロジェクトですが、一方で国家戦略の一つでもあります。東京・名古屋・大阪を短時間で結ぶ交通網の整備によって、地方経済の活性化や、日本の国際競争強化を見込んでのことです。税金から貸し出された3兆円は30年間も元本返済を猶予することになっています。 これだけのプロジェクトですから、開通までの車両開発のノウハウや運用が蓄積されることで、それ自体が価値を持つようにもなります。例えば「海外へのリニアの輸出」。現在、米国ではニューヨーク―ワシントン間の新幹線構想があり、日本も参画を狙っています。2023年2月には、JR東海が開発主体の米国企業と組んでニューヨークでリニア建設促進PRイベントを開催しました。 さらに私自身も部分的に試験運転として開通している山梨県のリニア実験区で試乗したり、工事現場を取材したりしましたが、トンネル掘削にしても、今回のリニア開通に合わせたさまざまな掘削機械や掘削技術が開発されています。こうしたノウハウも、他国や他の事業で生かせる可能性があります。 このように、リニア開通にはメリットとデメリットが多数あります。では、リニアが開通したら、私・池上彰はリニアを利用するか。答えは「名古屋までならNO」です。一番の理由は、仮に名古屋まで行くにしても40分ではゆっくり駅弁を食べる時間がないことです。名古屋に行くまでに新書を1冊読むという習慣もあるのですが、これまた乗車時間40分では難しい。大阪までの1時間であれば、乗るかもしれません。 つまり、鉄道会社が提示する「時短」という最大のメリットが、私にとっては(少なくとも名古屋までの間は)メリットではないのです。 さて、皆さんはリニアに乗りますか?』、私はトンネルが嫌いなので、大阪まででも「リニア」には乗りたくない。「南アルプスを貫通する地下トンネル内で地震が発生しリニアを急停止させた場合、乗客が避難するには地上の避難口まで標高差300メートル前後登らなければならず、かなり大変です」、死ねと宣告されるに等しい責め苦だ。

第三に、昨年12月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「「リニア妨害」川勝知事が議会で激ヅメ…過去に否定した“解決策”を今さら主張する自己矛盾」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/336561
・『リニア中央新幹線の着工を認めない川勝平太静岡県知事の出した解決策が、波紋を呼んでいる。かつて本人が否定していた「部分開業」案だったためだ。静岡県議会では川勝知事が激ヅメされるシーンも目立ってきたという』、興味深そうだ。
・『「仮定だらけの飛躍した結論」県議会で川勝知事への厳しい糾弾  その言い草はまるで「『飛行機が墜落するかもしれないから乗るな』と言っているような議論にしか聞こえない」と議会からも厳しい指摘を受けるようになった、リニア工事着工を妨害し続ける川勝平太静岡県知事。圧勝した静岡県知事選挙から2年半が過ぎて、だんだんと包囲網が狭まっているようだ。 12月7日に行われた静岡県議会で、「リニアトンネル工事による国の有識者会議と県の専門部会との意見対立が続いておりますが、県の専門部会は川勝知事の意向をくんだ学者やコンサルもおり、その会議たるや、仮定だらけの飛躍した結論で、極論すれば、まるで『交通事故で死ぬかもしれないから車に乗るな』『飛行機が墜落するかもしれないから乗るな』と言っているような議論にしか聞こえてきません。工事をやらせないように遅らせようとするネガティブな議論しかしてないように思われます」と川勝知事を糾弾したのは、桜井勝郎県議(無所属)だ』、手厳しい批判だ。
・『過半数を超える自民党が県知事選では負け続けるのは奇妙  川勝平太静岡県知事は、これまでに何度も失言や暴言を繰り返してきたにもかかわらず、現在4期目を迎えている。この事実は静岡県の政治環境の特異性を示している。県議会の議席は本来68席だが、現在は1人の欠員があるため、実際には67人の議員がいる。自由民主党(会派名は自民改革会議)は41議席を持ち、半数を大きく超えている。一方で、川勝知事を支持する「ふじのくに県民クラブ」は17議席、公明党は5議席、無所属が4議席となっている。 このように自民党が静岡県議会で大きな力を持っているにもかかわらず、県知事選では連続して敗北していることが、静岡県の政治状況の特異さを示している。県議会において自民党がここまで圧倒的な勢力を保持しているのに、県知事選や国政選挙では同じ傾向が得られないのは、奇妙である』、確かに不思議だ。
・『“県議会のドン“が不在で会派はバラバラの状態  地方レベルの選挙では自民党が圧倒的優位に立つが、より大きな規模の選挙では異なる結果が出るのは、地域住民の投票行動の違いや、候補者の資質、政治的なイメージなど、さまざまな要因が絡み合っているからだろうが、自分以外の選挙や、県議会での意思決定で、一つにまとまれないのは静岡自民党の体質かもしれない。 静岡県議会が川勝氏を知事職からいまだに引きずり下ろすことができない状況の中で、2025年6月に予定されている次の静岡知事選に、自民党から強力な対抗馬が出るのかどうかが問題となっているが、静岡県選出の自民党国会議員の存在感はない。 比例復活で当選した塩谷立衆議院議員(安倍派・座長)は、2017年の前々回の知事選で細野豪志衆議院議員(当時民進党、現在自民党)の立候補の意思を黙殺し、2021年の知事選では1年前から準備したにもかかわらず有力候補を立てられずに大敗を喫した。さらに、最近の安倍派の裏金問題で、当面の間、表舞台に立つことはできないだろう。 塩谷氏以外にも、静岡県には、上川陽子外相や城内実自民党静岡県支部連合会会長などがいるが、彼らは国政において外交分野の経験が多く、川勝知事への対抗に積極的な動きを見せていない。彼らには県内の重要な問題に対する熱意が不足しているように見える。 先日、採決された川勝知事への不信任決議案は、地方自治法第178条の規定により、議員数の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の賛成が必要だが、1票足らず否決された。自民党職員の一人はこう解説する。 「川勝知事を支持する『ふじのくに県民クラブ』会派の議員たちが、もし1人でも反対に回っていれば、不信任決議が可決された。しかし、これを実現できるような寝技を得意とする自民党の議員がいなかった。静岡県は東部、中部、西部と地域ごとに異なる気質を持っており、自民党の県議団にもそれぞれの地域から声の大きい議員がいる。しかし、全体をまとめ上げることができるような強力なリーダー、いわゆる“県議会のドン“が不在で、結果として会派はバラバラの状態にある。議会は県政に絶大な力を持つにもかかわらず、川勝知事の好き勝手を許してきたのは議会の責任だ。現在、世論は川勝知事に大きな反発を示しているのだから、議会がもっとアグレッシブに行動すべきだ」』、「先日、採決された川勝知事への不信任決議案は・・・その4分の3以上の賛成が必要だが、1票足らず否決された」、僅差だったようだ。
・『「なめられてるんだよ、完全に!」 県議会と知事の緊張関係  とはいえ、川勝知事に吹く風向きは随分変わってきたようだ。文化事業「東アジア文化都市」の発展的継承センターの建設に関して、川勝平太静岡県知事は議会の承認を得る前に、「東アジア文化都市を継承する拠点を三島市に作りたい。土地を物色していて、『詰めの段階』に入っている」と発言し、独断で三島市に拠点を造る計画を進めていることを発表した。 これに対して、県議会のある議員が「訂正させろ!もうちょっと闘う姿勢を見せないとだめ!なめられてるんだよ、完全に!訂正させなきゃだめ!」と強く反発するなどした結果、県議会は川勝知事に発言の訂正を求める決議案を全会一致で可決した。この状況に慌てた川勝知事は、自身の発言を謝罪し、計画を白紙に戻すと表明した。この一連の出来事は、現在の県議会と知事との間の緊張関係を浮き彫りにしている』、「現在の県議会と知事との間」はかなり悪化したようだ。
・『川勝知事の解決策「部分開業」案は本人が過去に否定していた  川勝知事が議会で激ヅメされるシーンも目立ってきた。10月10日の記者会見で川勝知事は「私がJRの意思決定者であれば解決策を出せる自信はある」と話した。静岡県に10年で1600億円を超える経済効果があることがわかっているリニアの開業を、川勝知事がただ妨害し時間を引き延ばしているのは、なぜなのか。関係者は一様に疑問に思っていたものの、地元で川勝知事を応援する静岡新聞を中心に、それについて聞くことを避けてきた。 しかし、12月12日の県議会では、中田次城議員(自民)が「解決策とは一体何なのか?」と質問した。川勝知事は「JR東海との対話を速やかに進めるために、意思決定者である丹羽(俊介)社長には強いリーダーシップを持って取り組んでほしいとの思いを述べたものである」といつものようにはぐらかしたものの、中田議員は「ルート変更を意識して言ったのか?」と再度詰め寄ると「ルート変更は念頭にない」と否定した。 そして、重ねて「解決策」とは何なのかについて質問を受けた結果、「現行ルートを前提にした上で、できるところから、つまり開通できる状況になった部分から開通させることが営業実績となり、解決策となると考えている」などと発言した。 ゴールポストを動かし続けてきた川勝知事が、議会に激ヅメされて、この場で表明させられた「解決策」とはなんと「部分開業」だったということだ。「部分開業」が静岡工区の問題解決に一体どうつながるというのか。しかも、この部分開業案は、川勝知事自身が過去に実現が難しいものとして、すでに主張を取り下げたものだ。この答弁を聞いた誰もが耳を疑ったことだろう。 つまり、一連の質疑を通して、川勝知事には解決策などなく、とにかく建設を止めろと言っているだけであることがハッキリしてしまった』、「一連の質疑を通して、川勝知事には解決策などなく、とにかく建設を止めろと言っているだけであることがハッキリしてしまった」、これは大変だ。
・『解決策がないのにリニア推進を表明することの矛盾  川勝知事は、表向き「リニア中央新幹線の工事着工を推進する」と言いながら、実際には工事を徹底的に妨害する戦略を取っていた。しかし、議会によるこの鋭い質問を受けて、その発言が単なるうそであることが明らかになった。このように二枚舌を使って事実をごまかし続ける知事に対しては、メディアも議会に負けないよう、川勝知事の発言に対してしっかりと追及する必要がある。 静岡県知事の定例記者会見の模様はYouTubeで公開されているが、川勝知事が質問に直接答えず、関係のない自説を延々と続けることが多い。多くの場合、メディア側は2回の問い詰めで諦めてしまうことが多いが、記者たちは細かく質問を詰めていくべきだ。不信任案の決議を恐れる川勝知事は、議員の質問には真摯(しんし)に答えざるを得ない状況にある。メディアだって、その気になれば、川勝知事の本音の答弁を引き出すことが可能だろう。 川勝知事には「解決策がない」ことが明らかになった今、明らかにしておくべきは「解決策がない(川勝知事にとってリニア計画を止めるしか道はない)のに、リニア推進を表明することの矛盾」を答えさせることだ。どんなにはぐらかしを弄(ろう)しても、詰め将棋を一手、一手打っていくような徹底した追及がここでは必要だ。 この矛盾を認めさせることで、この2017年に始まった川勝知事の一連のリニア妨害が、ただの嫌がらせ、ムダだったことが判明する。そうなれば、この間の県政停滞の責任を取らせるべきであり、不信任決議案提出の、大きな、大きな大義となり得よう。 知事任期満了を待つと、川勝知事の対抗馬が与野党間で乱立して、川勝知事の再選に有利に働く可能性が高い。任期途中で突然の知事選へと持ち込むことで一対一の対決ができるかもしれない。そうなれば、勝てる可能性はグンと増すだろう』、「知事任期満了を待つと、川勝知事の対抗馬が与野党間で乱立して、川勝知事の再選に有利に働く可能性が高い。任期途中で突然の知事選へと持ち込むことで一対一の対決ができるかもしれない。そうなれば、勝てる可能性はグンと増すだろう」、面白い展開になってきた。

第四に、やや古い記事だが、2021年6月3日付け東京新聞「地下深くの工事「本当に安全か」 調布陥没事故、広がる余波 リニア計画のJR東海、説明会開催へ」を紹介しよう。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/108239
・『東京都調布市の東京外郭環状道路(外環道)の地下トンネルルート上で陥没や空洞が発生した問題を受け、JR東海が8日に、リニア中央新幹線の工事に関する住民説明会を品川区で開くことが分かった。外環道と同様に深さ40メートル超の大深度地下をシールドマシンで掘る工事のため、沿線住民の不安を解消する狙い。参加予定の住民は「真摯な説明を」と求めている。(梅野光春)』、「大深度地下」の安全性に疑問を投げかけた事故だ。
・『◆都内・川崎・名古屋で大深度地下トンネル  リニアの工事では、品川―名古屋の286キロのうち、都内と川崎市の33キロと名古屋市などの17キロの大深度地下にトンネルを掘る。大深度なら地権者から工事の同意を得る必要はなく、事業者は手続きを省ける。 JR東海は2018年の住民説明会で「シールドトンネルの施工は40メートル以上深い所に計画しており、騒音・振動の影響はほとんどない」としていた。だが昨年10月以降、調布市の外環道工事現場で陥没や空洞が見つかり、東日本高速道路が工事との因果関係を認めて謝罪。リニア沿線からも不安の声が上がった。 【関連記事】調布陥没は「特殊地盤と施工ミス原因」 有識者委が見解 このためJR東海は、品川、大田、世田谷の3区を通るトンネル9・2キロの沿線住民に、施工上の安全対策を説明する』、「東日本高速道路が工事との因果関係を認めて謝罪。リニア沿線からも不安の声が上がった」、「東日本高速道路」で問題が出たのであれば、「リニア」「「シールドトンネル」でも問題が出る可能性がある。
・『◆「外環道での陥没知り、いっそう不安」 大田区の真保雅一さん(65)は自宅直下をリニアが通る予定で「外環道での陥没や空洞を知り、いっそうリニア工事に不安を感じる。JR東海が外環道の件を十分に分析したうえで、本当に安全・安心と言えるのか、納得のいく説明を聞きたい」と話す。 会場はJR大井町駅近くのきゅりあん(品川区東大井5)で先着500人まで。問い合わせは、平日午前9時~午後5時にJR東海中央新幹線東京工事事務所=電03(6847)3701=へ。 【関連記事】<社説>調布陥没の波紋 リニア工事は大丈夫か 
・『◆外環道訴訟では原告「国の主張は破綻」 東京外環道の練馬―世田谷区のトンネル建設を巡り、国による大深度地下の使用認可の無効確認を求めて住民らが起こした訴訟の口頭弁論が2日、東京地裁(鎌野真敬裁判長)であった。原告側は調布市の住宅地での陥没や空洞問題に言及し、「人身の被害が生じかねない危険な工事だ」と主張した。 口頭弁論後に内容を振り返るなどした原告団の集会=2日、東京都千代田区で 口頭弁論後に内容を振り返るなどした原告団の集会=2日、東京都千代田区で この日の弁論で原告側は、陥没などが起きた調布市での事前のボーリング調査について「国は『調査は十分だ』と主張してきたが、陥没や空洞が発生した事実により、その主張は粉砕され破綻した」と指摘。大深度の掘削を認可した国の判断の違法性を、改めて強調した。【関連記事】外環道、トンネル掘削工事を2年凍結 調布の陥没問題で一部区間』、「「国は『調査は十分だ』と主張してきたが、陥没や空洞が発生した事実により、その主張は粉砕され破綻した」と指摘」、恐らくその後問題ないとのニュースがあったのに、それを取り漏らした可能性がある。土木工学上でも「大深度地下」の特性がこれまでのものとは全く異なったものになる可能性がある。 
タグ:梶原麻衣子氏による「「リニア開業を引き延ばしてもいいことは何もない」静岡市長がそう語る理由」 池上 彰氏 ダイヤモンド・オンライン (その8)(「リニア開業を引き延ばしてもいいことは何もない」静岡市長がそう語る理由、激論 リニア新幹線#4:リニア新幹線、完成したら乗りたい?池上彰が「名古屋までならNO」と答えるワケ、「リニア妨害」川勝知事が議会で激ヅメ…過去に否定した“解決策”を今さら主張する自己矛盾、地下深くの工事「本当に安全か」 調布陥没事故 広がる余波 リニア計画のJR東海 説明会開催へ) リニア新幹線 「南アルプスは造山活動の激しい山岳で、直下には中央構造線と糸魚川―静岡構造線という2つの大きな活断層が走っているため、地震のリスクを懸念しています。また、活火山が多く、地震や地滑りが起こりやすいフォッサマグナも通っています」、リスク要因が揃ってご丁寧なことだ。 「大井川上流地域では地層が横ではなく縦に立っている状態なので、それを串刺しする形のトンネル内での揺れ方が部分ごとに違ってくるという点があります」、なるほど。 「科学には・・・分からないことも多いんです」というのはその通りだが、現実の生活では、経験的、科学的に問題ないと判断された上で、やっているが、リニアのトンネルなどの技術は、科学で安全性を確かめる必要がある。 「真冬に非常口から出てきて標高1300~1500メートルの所に置き去りにされた人はどうするのか」について、「JR東海」はどう考えているのだろう。 「JRは初期の段階で静岡とのリスクコミュニケーションに失敗したということですか・・・リニアが通ってもメリットを感じられない静岡県民にしてみれば、リスクばかり背負わされることになる。大事な自分たちの財産である南アルプスの自然が軽視されている、と。川勝知事はそうした県民心理をうまくつかんだともいえそうです」、なるほど。 「リニアも、科学的根拠と社会的合意形成がクリアできたら、あとは賛否は別にして、「1日10億円の事業である」ということも前提に対応していく必要があると思います」、役人らしい1つの考え方ではある。 梶原麻衣子氏による「激論 リニア新幹線#4:リニア新幹線、完成したら乗りたい?池上彰が「名古屋までならNO」と答えるワケ」 「リニアは「輸送量」で見れば間違いなくプラスです」、その通りだ。ただ、料金収入面ではどうなるのだろうか。 「北伊豆地震(M7.3)」が「工事中」に起きたのは幸いだった。 私はトンネルが嫌いなので、大阪まででも「リニア」には乗りたくない。「南アルプスを貫通する地下トンネル内で地震が発生しリニアを急停止させた場合、乗客が避難するには地上の避難口まで標高差300メートル前後登らなければならず、かなり大変です」、死ねと宣告されるに等しい責め苦だ。 小倉健一氏による「「リニア妨害」川勝知事が議会で激ヅメ…過去に否定した“解決策”を今さら主張する自己矛盾」 極論すれば、まるで『交通事故で死ぬかもしれないから車に乗るな』『飛行機が墜落するかもしれないから乗るな』と言っているような議論にしか聞こえてきません。工事をやらせないように遅らせようとするネガティブな議論しかしてないように思われます」と川勝知事を糾弾したのは、桜井勝郎県議(無所属)だ』、手厳しい批判だ。 県議会において自民党がここまで圧倒的な勢力を保持しているのに、県知事選や国政選挙では同じ傾向が得られないのは、奇妙である』、確かに不思議だ 「先日、採決された川勝知事への不信任決議案は・・・その4分の3以上の賛成が必要だが、1票足らず否決された」、僅差だったようだ。 「現在の県議会と知事との間」はかなり悪化したようだ。 「一連の質疑を通して、川勝知事には解決策などなく、とにかく建設を止めろと言っているだけであることがハッキリしてしまった」、これは大変だ。 「知事任期満了を待つと、川勝知事の対抗馬が与野党間で乱立して、川勝知事の再選に有利に働く可能性が高い。任期途中で突然の知事選へと持ち込むことで一対一の対決ができるかもしれない。そうなれば、勝てる可能性はグンと増すだろう」、面白い展開になってきた。 東京新聞「地下深くの工事「本当に安全か」 調布陥没事故、広がる余波 リニア計画のJR東海、説明会開催へ」 東京外郭環状道路(外環道)の地下トンネルルート上で陥没や空洞が発生 「大深度地下」の安全性に疑問を投げかけた事故だ。 「東日本高速道路が工事との因果関係を認めて謝罪。リニア沿線からも不安の声が上がった」、「東日本高速道路」で問題が出たのであれば、「リニア」「「シールドトンネル」でも問題が出る可能性がある。 「「国は『調査は十分だ』と主張してきたが、陥没や空洞が発生した事実により、その主張は粉砕され破綻した」と指摘」、恐らくその後問題ないとのニュースがあったのに、それを取り漏らした可能性がある。土木工学上でも「大深度地下」の特性がこれまでのものとは全く異なったものになる可能性がある。
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鉄道(その11)(富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行、開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調) [産業動向]

鉄道については、本年9月1日に取上げた。今日は、(その11)(富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行、開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調)である。

先ずは、本年12月4日付け東洋経済オンライン「富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/718700
・『富士山のふもとと5合目を結ぶ自動車道路・富士スバルライン上に軌道を整備して、富士山にLRT(軽量軌道交通)の車両を走らせるという「富士山登山鉄道構想」が山梨県で進められている。これに対し、スバルライン5合目の所在地である富士吉田市の堀内茂市長は「電気バスで十分」と反対、「そもそも地元への説明なしに進めているのがおかしい」と批判する。 合意形成を急ぐ長崎幸太郎知事は地元自治体向けの説明会を始めた。その第1弾は11月21日の山中湖村。さらに2024年1月にかけて忍野村、鳴沢村などでも開催する。とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた』、「とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた」、なるほど。
・『富士山「世界遺産の地位喪失」の危機  当日、会場となったふじさんホールにやってきた住民の数はおよそ780人。会場はほぼ満席で後方には立ち見客も出るほど。説明会は定刻の16時にスタートし、冒頭から約45分は知事が登山鉄道構想について説明した。 知事はまず、かなり長い時間をかけて現在の富士山が置かれた状況について説明した。アメリカのCNN、フランスのAFP、イギリスのロイターといった海外メディアの報道を引き合いに、弾丸登山が登山者を危険にさらしていることや、登山道沿いの汚れたトイレやゴミの山で「世界遺産の地位喪失」の危機に直面しているとした。) こんなエピソードも紹介された。富士山は2013年に世界文化遺産として登録されたが、登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」(長崎知事)。 富士山の現状に関する説明に続き、知事は会場に2つの同意を求めた。「富士山が地元の宝、日本の宝であるということに対して、私たちの間に意識の違いはないと思う」、「富士山の世界文化遺産としての価値を後世に引き継がないといけないということに反対する人はいないと思う」。知事が会場に対して「これらの点において私たちとみなさんは共通している。いかがでしょうか」と問うと大きな拍手が起きた』、「登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」・・・」、私は「富士山」が「世界遺産」から外されても、鉄道建設には絶対反対だ。
・『電気バスにも「大いに関心がある」  登山鉄道構想の反対派も拍手をしたかどうかはわからない。しかし、富士山が日本の宝であり、その価値を守らなくてはいけないという理念に反対する人はいないだろう。その点において、知事は登山鉄道構想の賛成派と反対派の共通認識を明確にすることには成功した。 「ではどうやって共通の目標を実現するか。その方法を議論したい」として、知事が「県の案」として持ち出したのが登山鉄道構想である。その内容は9月19日付記事(富士山「登山鉄道」、山梨県がこだわる真の理由)にあるとおりだが、それだけではなく、「LRTは街中にも延ばせる」として、富士山麓から山口湖や河口湖方面への延伸の可能性についても付け加えた。1400億円とされる総事業費については、「すべて県が負担するわけではない」として、国の補助金や民間企業の参加を示唆した。 電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした。最後に、知事は「あくまで提案であり、もっとよいアイデアはあるはず。ご関心のある人といっしょに考えて最善のアイデアを作り上げたい」と発言し、説明の内容を締めくくった。 その後は、会場の参加者との質疑応答に移った。すべての質問は知事が自ら回答した。堀内市長が会場から質問することはなかったため、知事と市長の直接対決を見たかった人は肩すかしをくらったことになるが、県と市は富士山のオーバーツーリズム対策で協力関係を築いていることもあり、あからさまな対決は避けたのだろう。大人の対応だ』、「電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした」、「電気バス」の優先順位は低いようだ。
・『地元住民「本当の議論をしていない」  気になった会場からの質問とそれに対する知事の回答をいくつか挙げてみる。たとえば、LRTの運賃が1万円というのは高すぎるという質問が出た。知事は「県民は1万円でなくてもいい。無料にすることも考えられる」と回答した。しかし、国費投入を想定するプロジェクトであることを考えれば、山梨県民が無料でそれ以外の日本国民が1万円というのは虫がよすぎる。あくまで地元向けのリップサービスと理解したい。 世界文化遺産登録が抹消されたらどんな影響があるかという質問もあった。知事は「想像もつかない。調べてみる」と回答した。登録抹消とは世界中から「富士山の価値を守っていない」と非難されることを意味するのだからそれを望む人はいないだろう。しかし、世界遺産登録が富士山の来訪者増に拍車をかけたのは間違いなく、登録が抹消されると登山者数は減り、オーバーツーリズムの問題も解消されるかもしれない。その意味では問題の本質を突く”怖い”質問だった。 「地元には反対意見が多いと思う。それは本当の議論をしていないからだ」という地元住民からの発言もあった。これはまったくそのとおり。県はあらゆる交通モードを比較検討してLRTが最善だと判断を下したというが、その過程で地元への説明が行われていなかった。それだけに、なんの議論もなくいきなりLRTという案が出てきたことに不信感を抱く地元住民は少なくない。知事は「今日は議論の始まりだ。LRTはあくまで1つのアイデアだ」と返した。) 数多くの質疑応答の中でも、知事は「これからみなさんといっしょに考えていきたい」と何度も繰り返した。その意味で「鉄道ありきではない」ことを宣言する説明会だったともいえる。 ところが、水面下では大学教授、JR職員など専門家による「富士山登山鉄道構想事業化検討会」が設けられており、事業面、技術面の課題を洗い出し、構想を事業化レベルまで引き上げるための検討が進められている。その第1回の会合が10月30日に都内で行われた。今後も議論を重ね、今年度末をめどに報告書をまとめる予定だ』、「富士山登山鉄道構想事業化検討会」は秘密会なのだろうか。「報告書をまとめる」前に検討状況を開示すべきだ。
・『本当に「鉄道ありきでない」のか  第1回会合の後、県で富士山登山鉄道推進事業を担当する和泉正剛知事政策局次長に「登山鉄道構想の事業化に関する研究を進めているということは、結局のところ”鉄道ありき、LRTありき”ということなのか」と尋ねると、「LRTありきではない。現実的かつ具体的な提案が出れば検討する」という返答があった。とはいえ、「登山鉄道構想事業化検討会」という名前の検討会で、委員が電気バスなど鉄道以外の交通モードについて提案するということは考えにくい。 また、知事が今後行う説明会の質疑応答の場で会場からほかの交通モードの検討を求める発言があったとして、知事がそれを「現実かつ具体的な提案」と認めるかどうか。知事は地域住民と「議論をしたい」「いっしょに考えていきたい」というが、それはどのような形を指すのだろう。少なくとも今回のような説明会で議論をしたり、いっしょに考えたりすることは難しい。 LRTと電気バスのどちらがふさわしいのかはさておき、知事が「鉄道ありきではない」というなら、今後についてはそれを前提に進めていくべきだ。山梨県の組織図を見ると、知事政策局の中に「富士山登山鉄道推進グループ」という部署がある。こういう部署があること自体、「鉄道ありきではない」という発言と矛盾している。本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう』、「本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう」、その通りだ。

次に、12月30日付け東洋経済オンライン「開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/722179
・『2023年の鉄道界は、新幹線の開業のような「大物」はなかったものの、地域の交通や鉄道ネットワークの姿を変える注目すべき新路線の開業や延伸があった。 3月18日には、東急電鉄東横線・目黒線と相模鉄道(相鉄)線を新横浜駅経由で結ぶ「相鉄・東急新横浜線」が開業。同月27日には、福岡市地下鉄七隈線が従来の終点だった天神南駅から博多駅まで延伸した。そして8月26日には、日本初の全線新設LRT(次世代型路面電車)として、栃木県宇都宮市と隣接する芳賀町を結ぶ「芳賀・宇都宮LRT」(ライトライン)が走り始めた。 地域の期待を集めて開業した各線。「その後」の姿はどうなっているのだろうか』、「その後」の姿をフォローする意味は大きい。
・『予想を下回る新横浜線  首都圏の鉄道ネットワークに新たな変化をもたらしたのが、相鉄・東急直通線だ。2023年3月に新規開業したのは、東急線の日吉駅から新横浜駅を経て、相鉄線の羽沢横浜国大駅までの約10km。東急線側の日吉―新横浜間を「東急新横浜線」、相鉄線側は新横浜―羽沢横浜国大間と、2019年に開業した同駅―西谷間を合わせて「相鉄新横浜線」と呼ぶ。 新規に開業した区間は約10km。これによって相鉄線と東急東横線・目黒線、そして両線に直通する東京メトロ副都心線・東武東上線、メトロ南北線・埼玉高速鉄道、都営地下鉄三田線を結ぶ直通運転がスタートした。直接の乗り入れはないものの、東横線と副都市線を介して線路のつながる西武鉄道を含めると、神奈川・東京・埼玉の1都2県にまたがる7社局14路線、計約250kmにおよぶネットワークが誕生した。 新横浜駅を経由することから、東海道新幹線へのアクセス路線としても注目される同線。JR東海も新横浜駅6時03分発の臨時「のぞみ」を新設し、東京駅や品川駅の始発列車よりも大阪方面へ早く着けることをPRしている。 では、開業後の利用実態はどうか。相鉄ホールディングスの2023年度第2四半期決算発表時の資料によると、相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果となった。東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている。 相鉄にとっては2019年11月開業の「相鉄・JR直通線」に次ぐ2つ目の都心直通ルート、東急にとっては東海道新幹線と接続する新横浜へのアクセス路線として期待を集めて開業した相鉄・東急新横浜線。定期外客の利用は堅調というが、定期客の利用が定着するまでにはまだ時間がかかりそうだ』、「相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果・・・東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている」、「定期客」の利用が思わしくないようだが、この要因はもっとじっくり分析する必要がありそうだ。
・『大混雑の七隈線、予測上回る宇都宮LRT  一方、好調なのが3月27日に天神南―博多間約2kmが延伸開業した福岡市地下鉄七隈線だ。同線は2005年2月に福岡市西南部の橋本と天神南を結ぶ約12kmが開業。東京の都営地下鉄大江戸線や大阪メトロ長堀鶴見緑地線などと同じ、リニアモーター駆動によってレールの上を車輪で走る「鉄輪式リニアモーター」の地下鉄で、JR在来線などの一般的な車両と比べてやや小ぶりな電車が4両編成で走る。 同線は開業以来、輸送人員が予想を大きく下回る状態が続いていた。当初の1日平均乗車人員の目標値は11万人だったが、2005年4月の1日平均乗車人員は約4万6000人と4割程度で、その後も低迷。天神南駅が繁華街である天神地区の中心から外れており、福岡市地下鉄空港線や西日本鉄道(西鉄)天神大牟田線の駅とも離れていることなどが要因だったとみられる。 だが、博多駅への直結で利用者数は急増。3月に1日当たり約7万5000人だった輸送人員は、延伸開業後の4月には約12万人と一気に1.6倍に。混雑の緩和が課題として急浮上し、8月にはダイヤ改正を実施してラッシュ時の列車を増便するまでになった。約2kmの延伸が大変貌をもたらした。) 8月26日には、栃木県宇都宮市と芳賀町に、LRT(次世代型路面電車)「芳賀・宇都宮LRT」(ライトライン)が開業した。同線はJR宇都宮駅東口から市内の清原工業団地などを経由し、隣接する芳賀町の芳賀・高根沢工業団地まで約15kmを結ぶ。 日本で初めて全線を新設したLRTとしても話題を呼んだ同線。開業初年度の需要予測は平日が1日当たり約1万2800人、休日は約4400人だったが、開業後1カ月の実績は平日がほぼ同程度の一方、休日は1万5000~1万6000人と大幅に予測を上回った。その後も利用は堅調で、11月15日には開業以来の累計利用者数が100万人に達した。 建設費の度重なる増加などで批判を受けたものの、クルマ社会の宇都宮で好調な滑り出しを見せているLRT。開業後の熱気が一段落する2024年からが本番といえる。今後はさらなる増発や快速運転の実施予定なども注目される』、「宇都宮」「LRT」の2024の「本番」が注目される。
・『2024年は北陸新幹線と北急(2024年も新たな路線が開業する。「目玉」となるのは、3月16日に開業する北陸新幹線の金沢(石川県)―敦賀(福井県)間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される。 初の新幹線開業となる福井県は「100年に1度のチャンス」として、観光振興などに期待を寄せる。一方で並行在来線は第三セクターに分離され、関西方面とを結ぶ在来線特急は敦賀止まりとなり、乗り換えを強いられることになる。 もう1つは北陸新幹線の1週間後、3月23日に開業する北大阪急行電鉄(大阪府)の千里中央―箕面萱野(みのおかやの)間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる。 新路線の開業は鉄道界にとって明るい話題だが、重要なのは「その後」だ。2023年開業の路線はおおむね好調に推移しているといえる。2024年開業の路線は期待通りの効果を生み出せるか』、「北陸新幹線の金沢―敦賀・・・間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される、これは便利そうだ。「北大阪急行電鉄・・・の千里中央―箕面萱野・・・間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる」、これも注目路線だ。 
タグ:「その後」の姿をフォローする意味は大きい。 「本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう」、その通りだ。 東洋経済オンライン「開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調」 「北陸新幹線の金沢―敦賀・・・間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される、これは便利そうだ。「北大阪急行電鉄・・・の千里中央―箕面萱野・・・間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる」、これも注目路線だ。 「宇都宮」「LRT」の2024の「本番」が注目される。 「相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果・・・東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている」、「定期客」の利用が思わしくないようだが、この要因はもっとじっくり分析する必要がありそうだ。 「富士山登山鉄道構想事業化検討会」は秘密会なのだろうか。「報告書をまとめる」前に検討状況を開示すべきだ。 「電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした」、「電気バス」の優先順位は低いようだ。 「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」・・・」、私は「富士山」が「世界遺産」から外されても、鉄道建設には絶対反対だ。 「登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。 「とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた」、なるほど。 東洋経済オンライン「富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行」 (その11)(富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行、開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調) 鉄道
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