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不動産(その10)(空き家が増加中 高級住宅街「田園調布」の住民が 自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?、東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由、財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路) [産業動向]

不動産については、4月21日に取上げた。今日は、(その10)(空き家が増加中 高級住宅街「田園調布」の住民が 自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?、東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由、財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路)である。

先ずは、5月3日付け幻冬舎Gold Online「空き家が増加中。高級住宅街「田園調布」の住民が、自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?」を紹介しよう。
https://gentosha-go.com/articles/-/42647?per_page=1
・『近年、都内の高級住宅地に空き家が増加するという現象が起こっています。それはかつての高級住宅地の代名詞「田園調布」も例外ではありません。なぜ、空き家が増加しているのか? その原因のひとつである“建築協定”とはどんなものかについて解説します』、興味深そうだ。
・『渋沢栄一が創った理想住宅地「田園調布」  日本資本主義の父と謳われる渋沢栄一。1873年に自ら設立に携わった日本最初の銀行・第一国立銀行(現・みずほ銀行)の総監役に就任したのを皮切りに、次々と銀行の設立、経営を手がけました。その天賦の才を発揮するフィールドは銀行にとどまることを知らず、ガスや鉄道などのインフラ事業、貿易や保険、新聞など、産業革命後の日本人の暮らしを支える、あらゆる重要事業で活躍しました。 常に未来を見据え、進歩的な目線で社会システムの構築に取り組んだ渋沢栄一。彼が都市づくりを目的に設立した「田園都市株式会社」が開発したのが、現在の「田園調布」である「多摩川台住宅地」です。 イギリスの近代都市計画の祖と敬われている、エベネザー・ハワードというイギリス人社会改良家がいます。彼が1898年に提唱した、都市労働者が健全な生活を送るため、都市と田園の長所を兼ね備えた、自然の美と都市の機能が同時に享受できる理想都市論が「田園都市論」です。 この「田園都市論」を日本で応用しようと考えたのが渋沢栄一です。「田園調布」は1923年(大正12年)の誕生以降、昭和の高度経済成長期の一戸建て住宅需要の高まりとともに、高級住宅地の代名詞としてその名を高めていきました。 しかし、近年では「空き家」の増加、それに伴う住人の高年齢化などが懸念されています。なぜ? 人気住宅地として高名な「田園調布」で、「空き家」が増加したのでしょうか。その理由は“建築協定”にあります』、なるほど。
・『住民自らが取り決める“建築協定”  建築基準法(第69条~77条)に基づくまちづくりの制度のなかに、“建築協定”というものがあります。建築基準法で定められた国の基準に加えて、住民が自発的に基準を設けるのです。 建築物の形態や用途に関してルールを決めて、互いに守り、監視し合うことで、良好な住環境を永続させていくための制度です。「田園調布」の場合は、「田園調布憲章」という名のもとに、次のような基準が設けられています。 “●敷地は165平方メートル以上 ●建物の高さは9メートル、地上2階建てまで ●敷地周囲に原則として塀は設けず、植栽による生け垣。石材、コンクリートなどの塀の場合、高さ1.2メートル以下 ●一定面積の樹木による緑化。既存樹木は原則として残す ●外壁や屋根などの色は、地区の環境に調和した落ち着いたものとする ●道路や敷地境界線から1メートルには塀や門、看板など、緑化を妨げる工作物の設置禁止 ●ワンルームタイプの集合住宅は不可” (2016年10月6日付朝日新聞「(田園調布…高級住宅地の街:1)時間ゆるり、緑の邸宅街」より引用) つまり、「田園調布」では165平方メートル以上の敷地がなければ、住宅を建てることが出来ません。すなわち、土地の所有者が亡くなり、相続人が手放そうとした場合、土地を分割して売ることが難しいという問題が発生してしまうのです』、確かに「田園調布憲章」は、住民自治の基本で、「土地」細分化の歯止めにはなる反面、流動性を著しく小さくしてしまうようだ。
・『個人にも、不動産業者にも不都合な土地  例えば、相続人が300平方メートルの土地を売ろうとする場合、分割して売りに出し、各々にしっかり買い手を見つけることは非常に困難です。 なぜなら、最低165平方メートル以上の面積がなければ住宅を建てることができず、この面積を確保するとなると、残りは住宅を建てられる基準には広さが到底及ばず、適切な使途が見当たらないからです。 土地を分割せずに売るとしても、土地代があまりに高額すぎるため、購入できる層の母数がぐっと減ってしまい、こちらも買い手を見つけるのが非常に困難です。「田園調布」の300平方メートルの土地の相場は1億数千万円にも及ぶと言われています。 では、個人の住宅用ではなく、資金の準備がある不動産業者は買い手になるでしょうか。この場合も“建築協定”の「田園調布憲章」がネックとなります。 「建物の高さは9メートル、地上2階建てまで」とされているため、継続的な利益が見込める、高層マンションや商業ビルなどを建てることはできません。さらに、「ワンルームタイプの集合住宅は不可」とされているため、単身者向け住宅も建てられません。 このように、「田園調布」の土地は個人にとっても、不動産業者にとっても、手が出しづらい状況にあります』、「不動産業者にとっても、手が出しづらい状況」、これではどうしようもなさそうだ。
・『高額な相続税も、相続人のネックに  土地の価値が高いということは、それだけ相続税も高騰します。支払う余力がない場合には、相続した土地を担保に融資を受け、別の土地で不動産経営をするなど、工夫が必要です。また、リフォームをしてファミリー向け賃貸物件として経営するという選択肢もあります。 さらに、空き家が増え新しい住民が入らなくなると懸念されるのは、住民の高齢化です。「田園調布」は坂も多く、スーパーなどの商業施設は駅周辺にしかないことを考えると、高齢者にとって住みやすいとは決して言えない街でもあります。ですが、住民にとっては、このうえなく親しみのある街なのです。 戦前に誕生し、高度経済成長期の日本とともに成長し、様変わりしてきた「田園調布」。さらなる時代の変化とともに、新たな息吹が吹き込まれることを期待せずにはいられません』、「田園調布憲章」自体は、田園調布町会の自主基準で法的拘束力はないとはいえ、やはり住むためには順守が求められるだろう。私権への制限が少ない日本では例外的な存在だ。相続税などの問題はあるにせよ、既に保有している資産価値を守るには有効な策で、私は現在の行き過ぎた私権万能を制限する考え方は支持する。

次に、6月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したLIFULL HOME’S総合研究所・副所長チーフアナリストの中山登志朗氏による「東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304129
・『コロナ禍での「働き方改革」で東京のオフィス空室率が拡大  西暦2000年になるとコンピュータが誤作動する恐れがあるとされた「2000年問題(Y2K問題)」以降、「オフィス2003年問題」「国債償還期限2008年問題」「生産緑地2022年問題」など、毎年のように「20××年問題」と、火のないところに煙を立てるかのような話題作りが続けられてきた印象がある。 だが「東京のオフィス2023年問題」だけは、例外だと言わなければならないようだ。 コロナ前の2019年、東京のオフィス平均空室率は1%台で安定推移しており(しかも年間を通じてじりじりと縮小していた)、2019年12月には1.55%、新築ビルでも4.82%と、入居好不調目安の5%を下回るほどの好調を維持していた(三鬼商事調べ、以下同)。 また全国で見ても、新型コロナ感染者が発生し“Withコロナ”に突入した2020年2月時点で平均1.49%、新築ビル3.95%と順調かつ安定的な空室消化を示している。) しかし、それ以降はコロナ感染者の増加に初の緊急事態宣言の発出と、コロナ感染の急拡大状況を受けて東京のオフィス空室率は拡大の一途となり、同年8月には平均で3%、11月には4%を突破した。その後も東京のオフィス空室率は拡大を続け、1年後の2021年10月には6.47%(新築ビル14.03%/既存ビル6.39%)にまで達している。 新規に供給されるオフィスの空室率を見る上では5%、つまり95%埋まっているかどうかが市況の好不調の目安とされている。新築マンションの初月契約率については70%が売れ行きの好不調の目安とされるように、その数値自体にさしたる根拠はないのだが、コロナ禍における2021年のオフィス空室率の推移はその目安を上回る状況であり、少なくとも好調とは到底いえない状況だった。それだけオフィス市場に対するコロナの影響は直接的だったというべきだろう。 正確に言えば、コロナの影響というよりは、コロナによっていわゆる“働き方改革”が半強制的に推進されることとなり、テレワークが多くの企業で導入・実施されたことが影響したというべきだろう。 テレワークも当初は毎週1日程度の試験的な導入であったものが、コロナ禍の拡大によって毎週数日になり、政府や自治体、経団連などの団体からの要請も重なって、ついには原則として在宅で勤務し必要なときだけ出社するという就業形態を導入する企業が増えた。 特に東京はテレワークという働き方に親和性の高い規模の上場企業(就業者数が多い企業ほど導入率は高い傾向がある)、業種(情報・通信、金融・保険業などは特に親和性が高い)、およびエリア(こういった規模および業種は東京都内に本社を置いていることが圧倒的に多い)という条件がそろっており、テレワークの導入が加速度的に進んだことが、不要になったオフィスの返却、契約変更などに表れたものとみることができる。 余談ながら、筆者が所属する不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sを運営するLIFULLでも、コロナ禍の拡大とともに出社とテレワークの選択制からテレワーク推奨へ、さらに原則テレワークへと出社頻度が漸減し、宣言や措置が発出されていない現状においても出社するかどうかは部署ごとにコントロールするという比較的柔軟な体制が敷かれている。ノートPC1台とネット環境さえあればどこでも仕事ができるというIT関連企業ならではの仕事のスタイルといえるだろう(この原稿も自宅で会社のノートPCに向かって打ち込んでいる)。) 従来、オフィスは効率良くかつ快適に活用できることで、その利便性と利用価値をアピールし続けてきたわけだが、コロナ感染防止の観点から社員相互の直接交流が難しくなったことで、“場”としてのオフィスの役割は大きく変化したといえる。従業員全員を収容する必要が初めからないのであれば、オフィスはそれだけ少なくて済むし、リモートワークが促進されれば、賃料が高額な都心にオフィスを構える意味も薄らいでくるというものだ。 これまでのビジネス慣習によってなかなか推進することが難しかった“働き方改革”だが、コロナ禍に対応せざるを得なくなった各企業が試しに導入してみたら、意外にもすんなりとテレワークに移行できた結果、これまで必要だったオフィスが余るという現象が発生することになった。このためコロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大していったものと考えられる。 これまでも六本木ヒルズや丸ビル、品川インターシティなど巨大な床が創出される大型オフィスビルの竣工によって、一時的に空室率が高まるという現象はあったが(リーマン・ショック時も一時的にオフィス空室率が拡大した)、コロナ禍においてこのような大規模オフィスが次々と竣工すればコロナ禍&テレワークの進捗によって需要が減少したオフィス市場は一体どうなってしまうのか…これが「東京のオフィス2023年問題」の端緒といえる』、「コロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大」、「これが「東京のオフィス2023年問題」の端緒」、その通りだろう。
・『注目の常盤橋タワーでも開業時の空室率は10%  コロナ以前の2018年からコロナ禍に突入した2020年にかけては、幸いなことにコロナ前から新たに供給されるオフィスに入居する企業が順調に決まっていたこと、またオフィスの大量供給がなく需要と供給のバランスが取れていたことなどにより、冒頭で述べた通り、オフィス空室率は極めて良好な水準で推移していた。 またこれも幸か不幸か、2021年および2022年は東京オリンピック・パラリンピックのインフラ整備による人手不足などで、以前から新規のオフィス供給が控えめだったこともあり、コロナ禍においても空室率が7%前後にとどまっていたという見方ができる。 だが、2023年以降は一転してオフィスの大量供給が始まるため、これらの新規の床をどのように吸収・活用するのか、もしくはできるのかということが焦点となる。 それを占う意味で重要なポイントと思われるのが、2021年に竣工・開業した浜松町駅に直結する「世界貿易センタービルディング南館」と大手町に誕生した三菱地所の「常盤橋タワー」の需給状況だ。 開業時の空室率は、「世界貿易センタービルディング南館」でおおむね15%、「常盤橋タワー」も10%と、コロナ禍の収束が見通せないこの時期にしてはかなり健闘したというべきだろう。  だが、「常盤橋タワー」のような知名度と最新設備、立地条件をもってしても、好不調の目安とされる5%に届かなかったという事実は、今後のオフィス大量供給についてネガティブな印象を与える可能性が高いとみるべきだ。 これまで“去る者は追わず”だったオフィスの供給サイドも、新たな借り手探しが難しいと考えれば、入居企業が去ることを引き留めようとするだろう。その結果、オフィス市場は貸し手市場から借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる』、「開業時の空室率は、「世界貿易センタービルディング南館」でおおむね15%、「常盤橋タワー」も10%」、とはやはり「借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる」のだろう。
・『2023年以降に完成予定の主な大規模開発案件とは  では、実際に2023年以降完成予定の主な大規模開発案件とはどういったものがあるのか。 先ず先頭を切るのは、森ビルが事業参画する「虎ノ門ヒルズステーションタワー・虎ノ門・麻布台プロジェクト」で、2023年7月(A-1/A-3街区)および11月(A-2街区)が竣工・開業する。 虎ノ門ヒルズステーションタワーの総床面積は合計で約33万平方メートルとされており、虎ノ門ヒルズプロジェクト全体では約80万平方メートルの床が創出されることになるから、森ビルのアプローチ次第ではあるものの、一気にオフィス床の流動化が発生する可能性が高まることは想像に難くない。 以降も、JR東日本が手掛ける総床面積約21万平方メートルの「高輪ゲートウェイシティ」が2025年3月竣工予定、三井不動産と野村不動産のJVで進行する総床面積約38万平方メートルの「日本橋一丁目中地区再開発・東京駅前八重洲一丁目東地区市街地再開発・八重洲二丁目中築第一種市街地再開発」が2026年3月竣工予定、三菱地所が日本最高層のオフィスとして建築する「TOKYO TORCH(東京トーチ)」のシンボルとなる地上63階/高さ約390m、総床面積約54万平方メートルのTORCH TOWERが2027年度竣工予定などとなっている。 ほかにも再開発が進む浜松町~田町エリアでも多くの計画が進んでいることから、巨大オフィスが2023年以降続々と新たなオフィス床を創出し続けることになる。 これら最新の設備と仕様を誇る超高層オフィスビルは、当然のことながら賃料も周辺相場より格段に高額な水準となることが想定されるから、与信および信用力が担保できる大手企業以外に入居を検討するところはほぼ皆無であろうし、オフィスの移転(特に本社機能の移転)には多くの時間と労力を要することから、2027年度竣工予定のTORCH TOWERにおいても既に水面下での入居交渉が始まっている。 供給サイドもコロナ禍でのオフィス需要の厳しさは把握しており、ワンフロア全てではなく小分けにして活用できるように工夫したり、複数の企業がオフィスの一部を共同使用できるようにしたり、オフィス・インテリアごと貸せるようにしたりとあの手この手で需要を喚起しようとしているようだ。 東京都内の企業では2022年4月以降、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されていなくてもテレワークは今も継続しており(コロナ前の就業体制へ一気に戻すと再びコロナ感染が拡大する局面に対応しにくくなるため)、東京のオフィス需要は依然として厳しい状況に変わりはないといえる。 この状況下で、上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」(正確には2023年以降も続くのだが)は現実味を帯びて迫ってくることになる。 折悪しく、ロシアのウクライナ侵攻による資材・食料価格の高騰や日米の政策金利の格差拡大による円安が発生し、その多くを輸入に頼らざるを得ない資材・エネルギー価格の高騰が足元で起きているから、オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念されている。 コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない。果たしてオフィス開発を手掛ける各デベロッパーにはこの状況を乗り越える手段があるのか、今後の推移を注視したい。 コロナが明けて外資の日本での動きが本格化すれば、「東京のオフィス2023年問題」などあっという間に雲散霧消するとうそぶく業界関係者もいるにはいるのだが…。 (記事は個人の見解であり、執筆者が所属する会社の見解を示すものではありません)』、「上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」・・・は現実味を帯びて迫ってくることになる」、「オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念されている。 コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない」、「環境」は本当に厳しくなりそうだ。

第三に、8月8日付け現代ビジネス「財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/98344?imp=0
・『財閥系デベロッパーによるタワマン計画はなぜ頓挫したのか。前編記事「有名タレントが住む都心の超一等地に建つマンションが、なぜか空室だらけ…廃墟寸前のヤバすぎる実態」に続き、「マンション地上げ」の詳細をお伝えする』、興味深そうだ。
・『住民側に不利な設定が次々発覚  都心の超一等地に立つマンションの住人たちに対し、財閥系デベロッパーのM社側から、徐々に詳しい建て替え計画の内容が提示されていく。ただ、区分所有者の中には「2000万円以上の負担なんて、おかしいのではないか」「この場所で住戸数も倍近くに増えるのだから、負担がゼロでも可能ではないのか」といった意見が出るようになる。 そのマンションに住む岸先生(仮名)の職業は弁護士である。彼も疑問に思うところがあり、計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ。 例えば、区分所有者の現有住戸の権利は内法面積を基にしているのに、建て替え後の取得住戸の面積は壁芯が基準となっていた。壁芯とは躯体である鉄筋コンクリートの真ん中のこと。壁芯で面積を測ると、実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる。 それは建築や不動産の業界にいる人なら誰でも知っていること。ただし、一般の方には知らない人も多い。 要するに、S社とM社は区分所有者たちを舐めてかかった、という疑いが濃厚であった。 岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる。彼らのあまりにもズサンな計画と横柄な対応に、区分所有者たちの間に不信感が広まる。当然、反対派グループが形成された。そのリーダー格はもちろん岸先生である。 そうこうするうち、反対派の区分所有者たちの元には怪しい社名を名乗る業者から、頻繁に電話がかかってくるようになった。 「そちらの住戸を買わせてください」 いくらで買いたいの、と聞くと「どうぞ金額をおっしゃってください。その値段で買わせていただきます」。 地上げ屋の登場である。 反対派の所有住戸を買い進めていき、建て替えを強行できる5分の4をめざそうというのだ。後手に回ったM社側の、苦し紛れの手だてだったのだろう。 しかし、地上げ屋に売却する区分所有者はほとんどいなかったそうだ。 やがて岸先生は、M社やS社側の手続き上などの不法行為を追及する訴訟を、いくつも提起。何といっても現役弁護士である岸先生本人が区分所有者の一人として、訴訟の原告になっているのだ。訴訟を起こす心理的、金銭的負担は一般人に比べると極めて軽微。すでにそれらの訴訟の一部では勝訴の判決も出ている』、「計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ」、「壁芯が基準となっていた」「実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる」、「岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる」、「地上げ屋の登場」、と「不動産会社のS社や、開発するM社側」の対応は余りにお粗末だ。
・『完全に失敗した財閥系デベの策略  計画案が示されてから、すでに何年もの年月が経過している。建て替え計画は一向に前進する気配がない。それどころか、M社側は建て替えによる再開発を諦めたふしもある。 岸先生によると、最近そのマンションを売却して引っ越した人が2組ほどあったそうだ。 「M社系の地上げ屋に売ったのですか?」と私が聞くと、「いや、そうではない一般人が買ったみたいだね」と岸先生。 金額は、私が数年前に「先生、3億円以上で売れますよ」と半ば冗談で示した額よりも3割強は高くなっていた。その間、東京都心のマンション価格は値上がりを続けているのだ。 どうやらそのマンションの地上げは、今のところ完全に失敗した様子である。 それにしても、惜しい話だと思う。あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態。 地上げというのは、平成バブルの時代はよく話題になった。嫌がる権利者から半ば暴力的に物件を買い取る、というイメージだった。 しかし、時代は変わっている。 逆に今は、不動産を活用するために重要な役割を担う仕事になっている。地上げを丁寧に、誠実に行うことで生かされる不動産は多い。また権利を売り渡す側にとってのメリットも創り出せる。 だが残念なことに、この岸先生のマンションは何とも悲惨な失敗例といえよう。 誰の利益にもならず、超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている』、「権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態」、「超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている」、まるで夏向きのミステリーだ。

第三に、8月8日付け現代ビジネス「財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路」を紹介しよう。
・『財閥系デベロッパーによるタワマン計画はなぜ頓挫したのか。前編記事「有名タレントが住む都心の超一等地に建つマンションが、なぜか空室だらけ…廃墟寸前のヤバすぎる実態」に続き、「マンション地上げ」の詳細をお伝えする』、興味深そうだ。
・『住民側に不利な設定が次々発覚  都心の超一等地に立つマンションの住人たちに対し、財閥系デベロッパーのM社側から、徐々に詳しい建て替え計画の内容が提示されていく。ただ、区分所有者の中には「2000万円以上の負担なんて、おかしいのではないか」「この場所で住戸数も倍近くに増えるのだから、負担がゼロでも可能ではないのか」といった意見が出るようになる。 そのマンションに住む岸先生(仮名)の職業は弁護士である。彼も疑問に思うところがあり、計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ。 例えば、区分所有者の現有住戸の権利は内法面積を基にしているのに、建て替え後の取得住戸の面積は壁芯が基準となっていた。壁芯とは躯体である鉄筋コンクリートの真ん中のこと。壁芯で面積を測ると、実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる。 それは建築や不動産の業界にいる人なら誰でも知っていること。ただし、一般の方には知らない人も多い。 要するに、S社とM社は区分所有者たちを舐めてかかった、という疑いが濃厚であった。 岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる。彼らのあまりにもズサンな計画と横柄な対応に、区分所有者たちの間に不信感が広まる。当然、反対派グループが形成された。そのリーダー格はもちろん岸先生である。 そうこうするうち、反対派の区分所有者たちの元には怪しい社名を名乗る業者から、頻繁に電話がかかってくるようになった。 「そちらの住戸を買わせてください」 いくらで買いたいの、と聞くと「どうぞ金額をおっしゃってください。その値段で買わせていただきます」。 地上げ屋の登場である。 反対派の所有住戸を買い進めていき、建て替えを強行できる5分の4をめざそうというのだ。後手に回ったM社側の、苦し紛れの手だてだったのだろう。 しかし、地上げ屋に売却する区分所有者はほとんどいなかったそうだ。 やがて岸先生は、M社やS社側の手続き上などの不法行為を追及する訴訟を、いくつも提起。何といっても現役弁護士である岸先生本人が区分所有者の一人として、訴訟の原告になっているのだ。訴訟を起こす心理的、金銭的負担は一般人に比べると極めて軽微。すでにそれらの訴訟の一部では勝訴の判決も出ている』、信じられないようなお粗末さだ。
・『完全に失敗した財閥系デベの策略  計画案が示されてから、すでに何年もの年月が経過している。建て替え計画は一向に前進する気配がない。それどころか、M社側は建て替えによる再開発を諦めたふしもある。 岸先生によると、最近そのマンションを売却して引っ越した人が2組ほどあったそうだ。 「M社系の地上げ屋に売ったのですか?」と私が聞くと、「いや、そうではない一般人が買ったみたいだね」と岸先生。 金額は、私が数年前に「先生、3億円以上で売れますよ」と半ば冗談で示した額よりも3割強は高くなっていた。その間、東京都心のマンション価格は値上がりを続けているのだ。 どうやらそのマンションの地上げは、今のところ完全に失敗した様子である。 それにしても、惜しい話だと思う。あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態。 地上げというのは、平成バブルの時代はよく話題になった。嫌がる権利者から半ば暴力的に物件を買い取る、というイメージだった。 しかし、時代は変わっている。 逆に今は、不動産を活用するために重要な役割を担う仕事になっている。地上げを丁寧に、誠実に行うことで生かされる不動産は多い。また権利を売り渡す側にとってのメリットも創り出せる。 だが残念なことに、この岸先生のマンションは何とも悲惨な失敗例といえよう。 誰の利益にもならず、超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている』、「あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態」、「S社」と「M社」が欲の皮を突っ張らせた代償を払っていると考えるべきだ。

なお、明日は更新を休むので、明後日にご期待を!
タグ:不動産 (その10)(空き家が増加中 高級住宅街「田園調布」の住民が 自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?、東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由、財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路) 幻冬舎Gold Online「空き家が増加中。高級住宅街「田園調布」の住民が、自らの首を絞めることとなった“建築協定”とは?」 確かに「田園調布憲章」は、住民自治の基本で、「土地」細分化の歯止めにはなる反面、流動性を著しく小さくしてしまうようだ。 「不動産業者にとっても、手が出しづらい状況」、これではどうしようもなさそうだ。 「田園調布憲章」自体は、田園調布町会の自主基準で法的拘束力はないとはいえ、やはり住むためには順守が求められるだろう。私権への制限が少ない日本では例外的な存在だ。相続税などの問題はあるにせよ、既に保有している資産価値を守るには有効な策で、私は現在の行き過ぎた私権万能を制限する考え方は支持する。 ダイヤモンド・オンライン 中山登志朗氏による「東京のオフィス賃料が来年下落?「2023年問題」が避けられない理由」 「コロナ禍の長期化とともにオフィスの空室率が徐々に拡大」、「これが「東京のオフィス2023年問題」の端緒」、その通りだろう。 「開業時の空室率は、「世界貿易センタービルディング南館」でおおむね15%、「常盤橋タワー」も10%」、とはやはり「借り手市場へと急激にシフトし、オフィス賃料が低下することになる」のだろう。 「上記に掲出したオフィスビルだけでも合計200万平方メートル弱もの新規の床が創出されることになれば、「東京のオフィス2023年問題」・・・は現実味を帯びて迫ってくることになる」、「オフィスのテナントとして想定される多くの企業で今後の業績の悪化が懸念されている。 コロナ禍によるテレワークの実施・定着、円安などによる企業業績の悪化、物価の上昇傾向など、オフィス環境を取り巻く状況は決して芳しくはない」、「環境」は本当に厳しくなりそうだ。 現代ビジネス「財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路」 「計画案の内容を細かくチェックしていった。 すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ」、「壁芯が基準となっていた」「実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる」、「岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる」、「地上げ屋の登場」、と「不動産会社のS社や、開発するM社側」の対応は余りにお粗末だ。 「権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態」、「超一等地の不動産がいつまでも「幽霊」のままになっている」、まるで夏向きのミステリーだ。 信じられないようなお粗末さだ。 「あれだけの一等地の物件が「幽霊マンション」として、ほとんど使われていないのだ。権利全体では半分前後を所有するS社は、貴重な超一等地の資産を寝かせたままにしておかざるを得ない。相当な固定資産税や都市計画税がかかっているはずだ。 M社も、建て替えが成功すれば都心の目玉物件にできた案件を、ズサンな仕事を仕掛けたばかりに逃してしまった状態」、「S社」と「M社」が欲の皮を突っ張らせた代償を払っていると考えるべきだ。
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医薬品(製薬業)(その7)(ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長 現場にゆがみ、モデルナが「製薬業界のアマゾン」だといえる2つの理由~『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(田中道昭 著)を読む、コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす 「医薬分業」をやめて薬に競争原理を導入せよ) [産業動向]

医薬品(製薬業)については、昨年10月5日に取上げた。今日は、(その7)(ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長 現場にゆがみ、モデルナが「製薬業界のアマゾン」だといえる2つの理由~『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(田中道昭 著)を読む、コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす 「医薬分業」をやめて薬に競争原理を導入せよ)である。

先ずは、昨年10月25日付け朝日新聞アピタル「ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長、現場にゆがみ」を紹介しよう。
https://www.asahi.com/articles/ASPBT3JLRPBGPISC01F.html
・『低価格なジェネリック医薬品(後発薬)はこの10年ほど、国の旗振りで普及が進んだ。だが、水面下でメーカーによる法令違反が横行していた。次々と明るみに出た急成長のゆがみが、「薬都」の富山県など北陸を直撃している。 「状況は日に日に悪化している。そして終わりが見えない」。薬剤師の竹腰利広さんはため息交じりだ。 富山市郊外にあり、竹腰さんが責任者を務めるチューリップ薬局アリス店では夏以降、後発薬の品薄が深刻だ。扱う薬の8割は後発薬で、その5分の1ほどが不足がちという。 患者が希望する品がない場合、代替品や他店舗の在庫を探すが、不足品目が多すぎて苦慮する。不急の薬は処方を避けるよう医療機関と調整することすらあるという。 特に、薬の切り替えを窓口で患者に理解してもらうのが一苦労。竹腰さんは「切り替える薬の効用は保証されているが、コロコロ変わると患者は戸惑う。そもそもなぜ欠品なのかという説明も、情報不足だから分からない」と話した。 原因は相次いだメーカーの不祥事にある。 まず、2020年12月、小林化工(福井県あわら市)が製造したジェネリックの皮膚病薬の服用者から健康被害が報告された。同社によると、服用者324人の7割超の245人が健康被害を訴え、死者も出た。国に承認を受けた手順を守らず製造した違反行為がいくつも確認され、福井県から過去最長となる116日間の業務停止命令を受けた。 同じ頃、業界最大手の一角、日医工(富山市)でも同様の違反行為が見つかった。20年2月、富山県による立ち入り調査で最初の違反が判明。県は調査をさらに進め、翌年3月に発表した。不正は少なくとも10年前から行われていたという。 その頃、何があったか』、「ジェネリック」の問題点については、このブログの昨年3月3日、10月5日にも取上げた。
・『第1次安倍内閣の「骨太方針」  ジェネリックは特許の切れた先発薬と同等の成分や薬効を持ちながら、開発費を抑える分だけ安く供給できる医薬品だ。患者の費用負担や国の医療費を減らすとされている。 国内では低調だったが、第1次安倍内閣の「骨太方針」でシェアの目標数値が盛り込まれた。厚生労働省によると、先発薬と後発薬がある場合、後発薬が占める割合は11年は4割だったが、20年は8割に迫った。 小林化工も呼応して拡大した。19年度の売り上げは約370億円で、08年度の4・5倍にのぼった。一方、品質管理を担う人材は不足し、意識は高まっていなかった。 引責辞任した小林広幸社長は今年4月、「国の施策に応えるべく工場を積極的に建てた。ただ、それに教育や人的なインフラが追いつかなかった」と悔やんだ。19年度の売り上げ約1900億円を誇った日医工の田村友一社長も法令違反を公表した3月、「拡大の中で現場に無理をさせすぎた」と認めた』、「後発薬」メーカーにとっては、「国の施策に応えるべく工場を積極的に建てた。ただ、それに教育や人的なインフラが追いつかなかった」のが、原因のようだ。
・『出荷再開の見通し立たず  厚労省の担当者は、後発薬の供給量について、国内で大きく減っているわけではない、と説明。ただ「一部の薬局が困っているのは認識している。最大手の日医工の生産が止まったため、それが戻るまで見通しは立たない」という。 小林化工の出荷再開見通しは立っていない。日医工の多くの品目も、出荷再開は22年4月以降の予定という。 チューリップ薬局をチェーン展開するチューリップ調剤薬局事業部の内田陽一課長は供給不足の長期化を覚悟している。「法令違反を許してはならないが、同時にどうすれば安定供給できるのか、政府は考えて欲しい」と求める。 100以上の製薬会社が集まり、医薬品生産額が6937億円(19年)にのぼる富山県は、急ぎ対策に乗り出した。有識者による部会は、企業に法令順守体制の整備や身の丈に合った経営などを、県には無通告の査察の強化などを求めた。 その後の査察で、漢方などの北日本製薬(富山県上市町)、配置薬の老舗の広貫堂(富山市)で、手順を守っていない疑いが発覚した。「ジェネリックだから無理をしたのでは」と説明されていた不正の根は、本当はもっと広く、深いのか。まだ見えていない』、「出荷再開の見通し立たず」とは深刻だ。

次に、2月22日付けダイヤモンド・オンライン「モデルナが「製薬業界のアマゾン」だといえる2つの理由~『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(田中道昭 著)を読む」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/296061
・『視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします』、興味深そうだ。
・『コロナ禍前までは製品販売の売り上げがゼロだったモデルナ  オミクロン株のまん延によって、新型コロナウイルスと人類の闘いの出口が見えづらくなってきた。今後どんな変異株が登場するか、予測がつかないからだ。ワクチンと特効薬の開発、そして日常生活での感染対策を続けるとともに、一人一人が当事者意識を持って、ウィズコロナへのシフトを考えていかなければならない。 ワクチンに関しては、ファイザーに続きモデルナも、オミクロン株に対応したワクチンの臨床試験を開始したと報じられている。日本における新型コロナウイルスワクチン接種は今のところ、この2社製に限られており、有効性の高いワクチンの開発に期待したいところだ。 さて、もはやほとんどの日本人にその名が知れ渡ったモデルナだが、どのような企業なのか、ご存じだろうか? 海外では有名な、製薬大手と思っている人もいるかもしれない。だが実はモデルナは、2010年に米国で設立されたばかりのバイオベンチャーなのだ。 わずか創業10年余りのベンチャー企業が、170年以上の歴史を誇る巨大製薬会社であるファイザーと、コロナワクチンでは肩を並べているのは驚くべきことだ。しかもモデルナは、2019年度まで市販製品が一つもなく、製品販売による売り上げはゼロだったという。 本書『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』は、モデルナをはじめ、アップル、アマゾン、アリババといった企業の戦略が世界の医療・健康(ヘルスケア)産業を激変させる可能性を探っている。 著者の田中道昭氏は立教大学ビジネススクール教授で、テレビ東京の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」コメンテーターを務める。シカゴ大学経営大学院MBA、専門は企業戦略&マーケティング戦略。『アマゾンが描く2022年の世界』(PHPビジネス新書)、『GAFA×BATH』(日本経済新聞出版)など多数の著書がある。 モデルナは、2020年1月10日に中国の科学者によって新型コロナウイルスの遺伝子情報がインターネット掲示板に公開されてから、たった3日でワクチン候補の設計を完了した(モデルナは遺伝子情報の開示を1月11日と捉え、2日で完了したとしている)。そこから臨床試験の準備完了までは42日。それまで、このプロセスの最速は20カ月だったというから、業界的にはとても信じられないスピードだったことが分かる』、「モデルナは、2010年に米国で設立されたばかりのバイオベンチャーなのだ。 わずか創業10年余りのベンチャー企業が、170年以上の歴史を誇る巨大製薬会社であるファイザーと、コロナワクチンでは肩を並べているのは驚くべきことだ。しかもモデルナは、2019年度まで市販製品が一つもなく、製品販売による売り上げはゼロだった」、「創業10年余りのベンチャー企業が」「170年以上の歴史を誇る巨大製薬会社であるファイザーと、コロナワクチンでは肩を並べているのは驚くべきことだ」、その通りだ。
・『「一石○鳥」を狙うmRNAプラットフォーム戦略  モデルナが驚異的な速さでワクチンを開発し、しかもその有効性が認められ世界中で使われるようになった理由について田中氏は、「プラットフォーム」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という二つのポイントを指摘している。 まず、モデルナの「mRNAプラットフォーム戦略」から説明しよう。 知っている人も多いだろうが、ファイザー製とモデルナ製のワクチンは「mRNAワクチン」である。mRNA(メッセンジャーRNA)は、体内の細胞でタンパク質を作り出すのに必要な「設計図」を伝える働きをする物質。各細胞にはヒトの全遺伝子情報が格納されたDNAがあり、mRNAはその一部をコピーして細胞の外に持ち出し、タンパク質の「工場」であるリボソームに伝える。リボソームでは、mRNAがもたらした情報をもとに、特定の機能を担うタンパク質を作り出す。 mRNAワクチンは、体外から人工のmRNAを注入し、特定のタンパク質を合成させる。新型コロナウイルスワクチンの場合は、コロナウイルス特有のスパイクと呼ばれる細胞を覆う突起部分となるタンパク質を作らせる。スパイクという異物が体内にできれば、それを排除する免疫機能が働き、抗体ができる。そうすれば次にコロナウイルスが体内に侵入しても、抗体がスパイクを目印に撃退するので、感染や重症化を防げるというわけだ。 mRNAは設計図なので、どんなタンパク質を作るかによって自在に書き直しができる。遺伝子情報さえ分かれば、短時間で対応する設計図(mRNA)を設計することが可能だ。モデルナが3日でワクチンの設計を完了できたのは、mRNAを使ったからなのだ。 設計図を簡単に書き直せるということは、新型コロナウイルス以外にも有効なワクチンや薬品を短時間で開発できることを意味する。すなわち、mRNAという共通の基盤(プラットフォーム)の上で、多種多様な、あるいは一度に複数の疾患に対処する医薬品を開発できるということだ。 これは、これまでの製薬の常識を覆す破壊的イノベーションと言えるだろう。すなわち、これまでは個々の疾患ごとに治療法を考え、それに応じた薬を開発していた。しかし、mRNAを共通のプラットフォームとして開発すれば、mRNAを使った同じ仕組みでさまざまな疾患に対処できるようになる。 モデルナは、創業当初から、こうしたmRNAの可能性に着目し、より効率的でスピーディーに開発できる「mRNAプラットフォーム」を構築してきた。その最初の成果が新型コロナウイルスワクチンだった。 mRNAプラットフォームは、言ってみれば「一石○鳥」を狙うものだ。mRNA(一石)を使うことで、複数の疾患(○鳥)に対応できるからだ。 アマゾン ジャパンで新規ビジネス立ち上げに携わったキャリアを持つ太田理加氏が著した『アマゾンで私が学んだ 新しいビジネスの作り方』(宝島社)によると、アマゾンでは「イノベーションは誰にでも起こせる」という意識が全ての社員に浸透しているそうだ。 太田氏もそうした意識を持ち、イノベーションを「一石二鳥の問題解決」と分かりやすく解釈し、二つ以上の問題を同時に解決するにはどうしたらいいか、という視点で新規ビジネスを考えていったという。 太田氏も指摘しているが、アマゾンの典型的な「一石二鳥」にAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)がある。AWSは今や世界一のシェアを誇るクラウドサービスだが、もともとは自社の業務用であり、クリスマス前などの繁忙期以外は、サーバーに余剰が発生していた。その問題と、他社の業務改善という二つの問題を「一石」で解決しようとしたのがAWSというわけだ。 『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』で紹介されているアマゾンのヘルスケア事業の一つに「アマゾン・ヘルスレイク」がある。病院、薬局などのデータをAIによって整理・インデックス化・構造化するもので、AWSの機能の一つに位置付けられている。アマゾンも、AWSというプラットフォームを活用して多事業展開をしているのである』、「モデルナが3日でワクチンの設計を完了できたのは、mRNAを使ったからなのだ」、「mRNAという共通の基盤(プラットフォーム)の上で、多種多様な、あるいは一度に複数の疾患に対処する医薬品を開発できるということだ。 これは、これまでの製薬の常識を覆す破壊的イノベーションと言えるだろう。すなわち、これまでは個々の疾患ごとに治療法を考え、それに応じた薬を開発していた。しかし、mRNAを共通のプラットフォームとして開発すれば、mRNAを使った同じ仕組みでさまざまな疾患に対処できるようになる」、「アマゾンも、AWSというプラットフォームを活用して多事業展開をしている」、なるほど。
・『モデルナは創業当初から「デジタルを前提とした」製薬会社  田中氏が指摘するモデルナのもう一つの成功ポイントが、「DX」だ。モデルナの場合、前述のmRNAプラットフォームを機能させるのに、DXが前提となっているとのこと。より多くのデータの集積・解析や実験・臨床試験、それらによる、より効果のあるmRNAによる医薬品や治療法の開発のためにはデジタル技術が必須だからだ。実際、モデルナは創業以来、自動化やロボティクス、アナリティクス、データサイエンス、AIなどに1億ドル以上を投資しているという。 モデルナのDXは、製薬会社がデジタル技術を取り入れて効率化を図るという次元ではない。モデルナは、最初からデジタルを前提とした、これまでにない新しいタイプの製薬会社なのだ。田中氏は、プラットフォームとDXをセットで展開するモデルナを「製薬業界のアマゾン」とみなしている。 モデルナは、2021年5月に開催した「Moderna Fourth Annual Science Day」において、生命活動におけるDNA、mRNA、タンパク質の関係を、コンピューターのストレージ、ソフトウエア、アプリケーションの関係にたとえて説明している。 すなわち、DNAは全てのタンパク質を作るための設計図を格納したストレージであり、mRNAはそのストレージのデータをもとにタンパク質を作るよう指示を出すソフトウエア、タンパク質は体内のさまざまな機能を実行するアプリケーション、というわけだ。これは、モデルナがまさしくテクノロジー企業の考え方で製薬ビジネスを展開していることを、如実に表している。 このように、異分野のシステム同士の類似性を見つける「見立て」は、さまざまなイノベーションのヒントになるだろう。なかなか新しい発想が浮かばない時には、「一石○鳥」で問題を解決できる方法はないか、異分野の似たシステムに「見立て」ることはできないか、と考えてみてはいかがだろうか』、「モデルナ」が「DNAは全てのタンパク質を作るための設計図を格納したストレージであり、mRNAはそのストレージのデータをもとにタンパク質を作るよう指示を出すソフトウエア、タンパク質は体内のさまざまな機能を実行するアプリケーション、というわけだ。これは、モデルナがまさしくテクノロジー企業の考え方で製薬ビジネスを展開していることを、如実に表している」、本当に凄い企業だ。 

第三に、8月5日付けJBPressが掲載したNHK出身で経済学者・アゴラ研究所代表取締役所長の池田 信夫氏による「コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす 「医薬分業」をやめて薬に競争原理を導入せよ」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71248
・『文部科学省は7月22日、薬学部の新設を2023年度から認可しない方針を決めた。その最大の原因は、厚労省が進めてきた医薬分業のおかげで、薬剤師が過剰になったことだ。 薬価差益で儲けるために医師が薬を過剰に処方する「薬漬け」をなくすため、病院が処方箋を出し、院外の薬局で薬を出すようにしたのだが、その結果、病院の前に並ぶ「門前薬局」が増え、医療費を圧迫しているのだ』、確かに「門前薬局」の繁盛は異常というほかない。
・『「門前薬局」の国民負担は7.7兆円  昔は病院でもらう処方薬と街のドラッグストアで買う市販薬がわかれていたが、最近は病院の処方箋を受け付けて処方薬を出すだけの調剤薬局が増えた。その数(薬剤師のいる薬局数)は約6万店。コンビニエンスストアより多い。 日本の薬剤師は32.2万人と人口あたり世界一多く、調剤医療費は7.7兆円にのぼる。これが国民医療費42.2兆円の2割近くを占めるようになったため、厚労省はその抑制に乗り出し、文科省は薬学部の新設を認めないことにしたわけだ。 (調剤医療費の推移のグラフはリンク先参照) これは逆である。処方薬の薬価が高いのは、薬剤師の利潤を確実に保証するからだ。調剤医療費は市販薬1.1兆円の7倍の市場で、そのうち1.9兆円が、薬剤師の取り分になる「調剤技術料」である。 このような浪費を減らすためには、処方薬にも市販薬のような競争を導入すればいい。その簡単な方法は、薬剤師の免許を廃止して資格認定にすることだ──こう書くと怒る人が多いが、これは薬剤師を廃止しろという意味ではない。 免許というのは国家試験に合格した人に業務独占を認め、無免許の人の業務を禁じる制度である。たとえば医師は診察や治療ができるが、無免許で治療を行うと違法行為として処罰の対象になる。) それに対して情報処理技術者は国家資格だが、それをもたない人がプログラミングしても違法にはならない。薬剤師も資格認定にすればいいのだ。免許なしで処方薬を売れるようにすれば、薬局はこれ以上増えない。ドラッグストアなどとの競争が起こるからだ。 こう書くと「薬剤師には疑義照会などのチェック業務がある」と反論してくる薬剤師がいるが、そんな業務は3%程度で、ほとんどは処方箋の通り薬を袋に入れるだけだ。チェックしてほしい人は薬剤師のいる薬局で買い、そうでない人はドラッグストアで買えばいいのだ』、「調剤薬局」「の数・・・は約6万店。コンビニエンスストアより多い。 日本の薬剤師は32.2万人と人口あたり世界一多く、調剤医療費は7.7兆円にのぼる。これが国民医療費42.2兆円の2割近くを占める」、「厚労省」の「医薬分業」という愚策がもたらした結果だ。
・『「医薬分業」が薬剤費上昇の元凶  医薬分業には、それなりに意味があった。かつては診療報酬の低い分を薬価差益で補う医療が「薬漬け」として批判され、開業医の収入の半分近くを薬剤費が占める状態だったが、1974年に日本医師会の武見太郎会長が診療報酬の引き上げを要求し、処方箋料が大幅に引き上げられた。 厚労省は過剰投薬を避けるために医薬分業を進め、病院に勤務するサラリーマンだった薬剤師が独立できるように調剤技術料も上げた。その結果、門前薬局が急速に増え、調剤医療費は2000年以降、ほぼ倍増した。 約1万5000種類の医薬品のうち、市販薬は約7000種類だが、処方薬の売り上げは市販薬の7倍である。薬価が独占価格として設定でき、保険適用で安く買えるからだ。厚労省は薬剤師の既得権を守るために処方薬のネット販売を禁止しているが、海外では処方薬もネット販売で買える。 こういう混乱が生まれたのは、医薬分業を進めるために処方箋料や調剤技術料など、インセンティブをつけすぎたためだ。医薬分業は義務ではないので、病院が院内処方すれば昔に戻せる。病院や診療所で薬を出すことは今も禁止されていない。 海外では、処方薬も病院内の自動販売機で売っている。病院の診察カードに処方箋データを書き込み、それを自販機に読ませるだけだ。すべての処方薬を自販機で売ることはできないが、他の処方薬は窓口で出せば、薬剤師はいらない。 それでは昔の薬漬けに戻ると心配する人がいるだろうが、処方箋を電子化して、マイナンバーで管理すれば、過剰診療や過剰投薬はチェックできる。医薬分業では、医療費の大部分を占める診療報酬のチェックができないので、「検査漬け」などの乱診乱療は是正できない。 医師のモラルハザードを防ぐ上で効果的なのは、マイナンバーで電子処方箋のデータをネットワークで共有し、他の医師や保険組合がチェックできるようにすることだ。 「薬剤師がいないと薬害が出る」という人がいるが、薬害の責任は製薬会社にあり、薬剤師が防ぐことはできない。「薬剤師が濫用の歯止めになっている」というが、睡眠薬を大量に買おうと思えば、複数の医者に行って複数の薬局で買えばいい。 現実には、薬局でレセコン(レセプト・コンピュータ)と呼ばれる端末に入力しており、投薬ミスなどもこれでチェックできる。処方箋を電子化してネットワークで連携することは簡単だが、医師会が「事務負担」を理由に反対している。この電子化を義務づければいい』、「約1万5000種類の医薬品のうち、市販薬は約7000種類だが、処方薬の売り上げは市販薬の7倍である。薬価が独占価格として設定でき、保険適用で安く買えるからだ。厚労省は薬剤師の既得権を守るために処方薬のネット販売を禁止しているが、海外では処方薬もネット販売で買える」、「こういう混乱が生まれたのは、医薬分業を進めるために処方箋料や調剤技術料など、インセンティブをつけすぎたためだ。医薬分業は義務ではないので、病院が院内処方すれば昔に戻せる」、なるほど。
・『医師の業務を薬剤師も分担する規制改革  医薬分業の見直しは今までも専門家が提案しているが、実現しない。それは32万人の薬剤師の雇用を奪うからだ。他方でコロナ騒動でもわかったように、医師は不足している。文科省が長年にわたって医学部の新設を認可しなかったため、医師の数は約34万人と、薬剤師とほとんど変わらない。 この問題を解決するには、薬剤師に医師の業務の一部を認めることが考えられる。開業医の仕事のほとんどは診察して処方箋を書くことなので、その一部を薬剤師がやればいいのだ。これで薬剤師の雇用不安も解決できる。 処方箋なしで買える市販薬でも、同じ成分の薬は多い。たとえば花粉症の薬はドラッグストアでも同じものが買えるが、病院なら3割負担なので、処方箋をもらって薬局で買う人が多い。これは健康保険の負担になるので、保険組合は保険の対象から除外するよう求めている。 このように処方薬と同じ機能の市販薬は、零売薬局と呼ばれる薬局で売られているが、同じことを調剤薬局でやり、保険適用すればいいのだ。これによって患者は病院に行く代わりに薬局で(3割負担で)薬を買うことができ、薬剤師は医師の業務の一部を代行できる。 これは医師免許の規制緩和なので、医師会は強く反対するだろうが、その答も同じである。今まで通り医師免許をもつ医師に処方してほしい人は、病院で処方してもらえばいい。待ち時間などのコストがもったいない人は、薬局で同じ薬を買えばいいのだ』、「薬剤師に医師の業務の一部を認めることが考えられる。開業医の仕事のほとんどは診察して処方箋を書くことなので、その一部を薬剤師がやればいいのだ。これで薬剤師の雇用不安も解決できる」、「処方薬と同じ機能の市販薬は、零売薬局と呼ばれる薬局で売られているが、同じことを調剤薬局でやり、保険適用すればいいのだ。これによって患者は病院に行く代わりに薬局で(3割負担で)薬を買うことができ、薬剤師は医師の業務の一部を代行できる。 これは医師免許の規制緩和なので、医師会は強く反対するだろうが、その答も同じである。今まで通り医師免許をもつ医師に処方してほしい人は、病院で処方してもらえばいい。待ち時間などのコストがもったいない人は、薬局で同じ薬を買えばいいのだ」、同感である。
タグ:(その7)(ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長 現場にゆがみ、モデルナが「製薬業界のアマゾン」だといえる2つの理由~『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(田中道昭 著)を読む、コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす 「医薬分業」をやめて薬に競争原理を導入せよ) 「後発薬」メーカーにとっては、「国の施策に応えるべく工場を積極的に建てた。ただ、それに教育や人的なインフラが追いつかなかった」のが、原因のようだ。 「ジェネリック」の問題点については、このブログの昨年3月3日、10月5日にも取上げた。 朝日新聞アピタル「ジェネリック不正「薬都」を直撃 業界急成長、現場にゆがみ」 「モデルナは、2010年に米国で設立されたばかりのバイオベンチャーなのだ。 わずか創業10年余りのベンチャー企業が、170年以上の歴史を誇る巨大製薬会社であるファイザーと、コロナワクチンでは肩を並べているのは驚くべきことだ。しかもモデルナは、2019年度まで市販製品が一つもなく、製品販売による売り上げはゼロだった」、「創業10年余りのベンチャー企業が」「170年以上の歴史を誇る巨大製薬会社であるファイザーと、コロナワクチンでは肩を並べているのは驚くべきことだ」、その通りだ。 ダイヤモンド・オンライン「モデルナが「製薬業界のアマゾン」だといえる2つの理由~『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』(田中道昭 著)を読む」 「モデルナが3日でワクチンの設計を完了できたのは、mRNAを使ったからなのだ」、「mRNAという共通の基盤(プラットフォーム)の上で、多種多様な、あるいは一度に複数の疾患に対処する医薬品を開発できるということだ。 これは、これまでの製薬の常識を覆す破壊的イノベーションと言えるだろう。すなわち、これまでは個々の疾患ごとに治療法を考え、それに応じた薬を開発していた。しかし、mRNAを共通のプラットフォームとして開発すれば、mRNAを使った同じ仕組みでさまざまな疾患に対処できるようになる」、「アマゾンも、AWS 「出荷再開の見通し立たず」とは深刻だ。 JBPRESS 「モデルナ」が「DNAは全てのタンパク質を作るための設計図を格納したストレージであり、mRNAはそのストレージのデータをもとにタンパク質を作るよう指示を出すソフトウエア、タンパク質は体内のさまざまな機能を実行するアプリケーション、というわけだ。これは、モデルナがまさしくテクノロジー企業の考え方で製薬ビジネスを展開していることを、如実に表している」、本当に凄い企業だ。 「アマゾンも、AWSというプラットフォームを活用して多事業展開をしている」、なるほど。 「約1万5000種類の医薬品のうち、市販薬は約7000種類だが、処方薬の売り上げは市販薬の7倍である。薬価が独占価格として設定でき、保険適用で安く買えるからだ。厚労省は薬剤師の既得権を守るために処方薬のネット販売を禁止しているが、海外では処方薬もネット販売で買える」、「こういう混乱が生まれたのは、医薬分業を進めるために処方箋料や調剤技術料など、インセンティブをつけすぎたためだ。医薬分業は義務ではないので、病院が院内処方すれば昔に戻せる」、なるほど。 「調剤薬局」「の数・・・は約6万店。コンビニエンスストアより多い。 日本の薬剤師は32.2万人と人口あたり世界一多く、調剤医療費は7.7兆円にのぼる。これが国民医療費42.2兆円の2割近くを占める」、「厚労省」の「医薬分業」という愚策がもたらした結果だ。 確かに「門前薬局」の繁盛は異常というほかない。 池田 信夫氏による「コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす 「医薬分業」をやめて薬に競争原理を導入せよ」 「処方薬と同じ機能の市販薬は、零売薬局と呼ばれる薬局で売られているが、同じことを調剤薬局でやり、保険適用すればいいのだ。これによって患者は病院に行く代わりに薬局で(3割負担で)薬を買うことができ、薬剤師は医師の業務の一部を代行できる。 これは医師免許の規制緩和なので、医師会は強く反対するだろうが、その答も同じである。今まで通り医師免許をもつ医師に処方してほしい人は、病院で処方してもらえばいい。待ち時間などのコストがもったいない人は、薬局で同じ薬を買えばいいのだ」、同感である。 医薬品(製薬業)
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電機産業(その6)(富士通「幹部3000人の希望退職」に映る覚悟と焦り ジョブ型雇用や要職立候補制も急ピッチで拡充、パナソニックがひそかに「業界を揺るがす新制度」を導入していた…その「意外な背景」、パナソニックの持株会社制移行に見る ステークホルダーが気付かない「本気度」、ソニーやパナソニックが再び世界で戦うために必要な「21世紀の水道哲学」) [産業動向]

電機産業については、1月27日に取上げた。今日は、(その6)(富士通「幹部3000人の希望退職」に映る覚悟と焦り ジョブ型雇用や要職立候補制も急ピッチで拡充、パナソニックがひそかに「業界を揺るがす新制度」を導入していた…その「意外な背景」、パナソニックの持株会社制移行に見る ステークホルダーが気付かない「本気度」、ソニーやパナソニックが再び世界で戦うために必要な「21世紀の水道哲学」)である。

先ずは、3月18日付け東洋経済オンライン「富士通「幹部3000人の希望退職」に映る覚悟と焦り ジョブ型雇用や要職立候補制も急ピッチで拡充」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/577375
・『「DX(デジタルトランスフォーメーション)企業へのシフト」というゴールに近づけるか。ITサービス国内首位の富士通が、幹部社員の”入れ替え”を急ピッチで進めている。 同社は3月8日、本体と国内グループ会社で募集していた早期退職に、主に50歳以上の幹部社員3031人の応募があったと発表した。退職金の積み増し分や再就職支援にかかる費用650億円を計上するため、2022年3月期の営業利益予想を下方修正。過去最高益の計画が一転、営業減益となる。 富士通のグループ従業員数は、グローバルで約13万人、国内で約8万人だ。今回の希望退職で会社を去る人数は、国内従業員の4%弱に当たる。 2019年3月期にも大規模な早期退職を実施し、45歳以上で総務や人事などの間接部門、支援部門の一般社員と幹部社員2850人が退職したが、今回はそれを上回る規模だ』、「国内従業員の4%弱」を「早期退職」とは思い切ったリストラだ。
・『過去の人員整理と根本的に違う  同社には従前から「セルフ・プロデュース支援制度」という、早期退職支援にあたる仕組みが存在する。それでも今回、同制度を一時的に広げる形で大規模な早期退職を実施したのには、成長事業を牽引できる人材の登用という狙いがある。 1月の決算説明会で磯部武司CFO(最高財務責任者)は、「富士通が自らのDX、事業モデルやプロセスの変革を進める中で、人材配置をタイムリーに実施していく必要がある」と説明。今回の早期退職は「過去にやってきた事業撤退に伴う人員整理的なものと、根本的に趣旨が異なる」と強調した。 2019年に就任した時田隆仁社長のもと、「IT企業からDX企業へ」を旗印に変革を進める富士通。従来の”御用聞き”的なシステム構築や機器販売から脱却し、コンサルティングを起点に顧客企業のDXや事業構想のパートナーを担う収益性の高いサービスへと軸足を移そうとしている。) 体制を整えるため、全社的な人事制度改革や人材配置の最適化を急いでいる。制度面ではまず、ジョブ型雇用への移行を推進。以前から導入する海外に続き、国内でも2020年4月から課長以上の幹部社員1万5000人に導入した。 ジョブ型は年功序列を廃し、職務(ジョブ)の範囲を明確化しつつ最適な能力の人材を起用する、いわば「適所適材」を目指す雇用方式だ。幹部社員に続き、今後は国内の一般社員6万5000人にもジョブ型の対象を広げる予定だ。 加えて、公募の役職(ポスト)に社員自ら立候補できるポスティング制度も大幅に拡大した。新任の課長についてはすべてポスティングで決めているという。 大和証券の上野真アナリストは「さまざまな部署で中堅幹部のポストが空くので、DXやクラウド、セキュリティーといった成長分野に精通する人材や、若手で能力の高い人材の登用が進むだろう」と指摘する。さらに「幹部の顔ぶれが変われば現場の雰囲気も一新され、収益性や成長性の面で有望なビジネスの加速につながるだろう」と評価する』、「今回の早期退職は「過去にやってきた事業撤退に伴う人員整理的なものと、根本的に趣旨が異なる」と強調」、「成長事業を牽引できる人材の登用という狙いがある」、「幹部社員に続き、今後は国内の一般社員6万5000人にもジョブ型の対象を広げる予定だ。 加えて、公募の役職(ポスト)に社員自ら立候補できるポスティング制度も大幅に拡大」、「IT企業からDX企業へ」を旗印」にする以上、当然だろう。
・『連続最高益を断念して目指すもの  富士通が手がけるシステム構築や、クラウド化などのDX関連事業に対して、足元の需要はおおむね良好だ。コロナ禍に対応するため、大手を中心に顧客企業はテレワーク環境の導入やシステムのクラウド移行などを急いでおり、それをサポートする富士通のビジネスには追い風が吹いている。 前期の2021年3月期は営業利益が2663億円に達し、過去最高を記録。今期も早期退職に伴う費用計上で下方修正をするまでは連続最高益の見通しだった。 その目先の最高益を断念してまで早期退職に踏み込んだのには、2023年3月期が中期経営計画(3カ年)の最終年度にあたるという事情もありそうだ。「IT企業からDX企業へ」の変革達成を占ううえでも、この計画の達成は1つの重要な布石になる。 同計画では2023年3月期、売上収益全体の8割超を占める事業柱で、システム構築やDX関連を担う「テクノロジーソリューション」事業において、売上収益3兆5000億円、営業利益率10%の達成を目標に掲げている。 ただこの目標のうち、売上収益については達成が厳しくなっている状況だ。時田社長は2021年12月の東洋経済の取材に対して「半導体不足も影響し、トップライン(売上収益)は思っていた道筋からやや鈍化している」と語った。 磯部CFOも直近の決算説明会で「(営業利益率10%は)ハードルは高いが必ず達成できる」と決意表明した一方、売り上げ目標については「よりハードルが高い」と、慎重な言い回しにとどめた。 時田社長の話すとおり、世界的に広がった半導体不足の影響は甚大だ。 半導体部品を扱う「デバイスソリューション」事業の業績は期初想定を大きく上振れて推移しているものの、それとは対照的に、テクノロジーソリューション事業では一部のサーバーやネットワーク機器の調達に遅れが生じるなど、悪影響が次第に深刻になった』、確かに「半導体不足の影響は甚大だ」。
・『一時的費用は減るものの  2023年3月期はどうか。半導体不足については「上期(2022年4~9月)は今の水準で影響が続くと想定し、2022年12月あたりから緩やかに改善するとみている」(磯部CFO)。売り上げへのマイナス影響がしばらく続くとの見立てだ。 一方、今回の早期退職には費用の圧縮につながるプラス効果がある。同社の平均年収などから概算して、来期の同事業において約300億円の費用減につながる見通しだ。目下かさんでいる、オフィスの改築・移転費用や社内DXなどの成長投資負担も減る見通しではある。 とはいえ、仮に来期の同事業の売り上げ規模を今期見通しと同水準と想定すると、中期経営計画で示す「10%の営業利益率」の達成には3100億円超の営業利益が必要になる。翻って、今期の同事業の営業利益は、早期退職の影響を除く実力ベースで考えると約2050億円。つまり来期は今期比で1000億円超、50%以上の増益が求められるのだ。 目標達成は一筋縄ではいかなそうだが、全社の営業利益率が15%超の野村総合研究所をはじめ「同業他社ではすでに達成している企業も多い」(大和証券・上野氏)。富士通には、次世代を担う人材の幹部登用を足場に、収益性改善のスピードをもう一段引き上げることが求められている』、「次世代を担う人材の幹部登用を足場に、収益性改善のスピードをもう一段引き上げることが求められている」、今後はかなりの困難も予想される。

次に、6月29日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「パナソニックがひそかに「業界を揺るがす新制度」を導入していた…その「意外な背景」」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/96838?imp=0
・『パナソニックが、在庫リスクを負担する代わりに価格決定権を持ち、店頭での値引きができない制度の導入を進めている。かつてメーカーの力は絶大で、戦後経済は小売店がメーカーから価格決定権を奪うという流れで消費経済が発展してきた。だが、ここに来て、その流れが逆転する可能性が見えてきた』、「メーカーから価格決定権を」取り戻そうというのは確かに画期的だ。
・『メーカーと小売店、「価格主導権」をめぐる争い  卸や小売店など流通部門における製品の販売価格をメーカー側が拘束することは独占禁止法違反となる。メーカーは、自社の製品について、何円で売って欲しいという希望を表明することはできるが(希望小売価格)、これを小売店などに要請することはできない。製品のカタログに「オープン価格」などと表示してあるケースをよく見かけるが、これはメーカー側がいくらで売って欲しいのかについて具体的な数字を示していないことを意味している。 製品の価格を決めるのはメーカーではなく、あくまで小売店や消費者であり、売れない製品は安く、売れる製品は高いという感覚は今では当たり前のものかもしれない。だが、こうした商習慣は最近になって確立したものであり、昭和の時代はそうではなかった。 当時も独占禁止法という法律は存在しており、メーカーが小売価格を拘束することはできなかったが、実質的にメーカーが拘束力を持ち、小売店側が自由に販売価格を決めることはできなかった。仮に安値販売する小売店があった場合には、メーカー側が嫌がらせで商品を卸さないといったこともあったといわれる。 戦後間もなくのモノが不足している時代は、こうしたメーカー主導の価格形成もうまく機能したが、社会が豊かになるにつれて、定価販売に対する不満が高まってきた。メーカー主導の価格決定に強く反発し、消費者目線の価格で製品を提供する方針を掲げて急成長したのがスーパーや量販店などの業態である。) スーパーは1960年代に急拡大し、一部の企業は店舗の大規模化に成功。その絶大な販売力を生かして、メーカーに対して強気の価格交渉を行い、店頭では大胆な値引き販売を実施するようになった。メーカーから価格決定権を奪うという意味で、一連の取り組みは「流通革命」と言われた。 特にダイエーは、価格決定権をめぐってメーカーと真っ向から対峙したことで知られており、一部のメーカーはダイエーに対して出荷を停止するなど、相当な嫌がらせを実施。ダイエー側は、裏ルートで製品を仕入れるなど、まさに戦争とも呼べる状況にまで事態はエスカレートした。 商品を安く買いたいという消費者の声は大きく、一連の流通革命はスーパーや量販店の勝利という形で終了。1991年には公正取引委員会が「流通・取引慣行ガイドライン」を制定し、メーカーによる価格拘束の是非がさらに明確に定められた。前述のように希望小売価格も示さないメーカーも出てくるなど、価格は市場が決めるという商慣行が当たり前になったと考えてよいだろう』、「一連の流通革命はスーパーや量販店の勝利という形で終了。1991年には公正取引委員会が「流通・取引慣行ガイドライン」を制定し、メーカーによる価格拘束の是非がさらに明確に定められた」、なるほど。
・『消費経済の大きな転換点に?  これによって量販店など小売店の力はさらに高まり、メーカーに対して、店頭販売員の派遣を要請できるまでになった。量販店に行くと、その量販店の名前が入った制服ではなく、メーカー名の入った制服を着た店員を見かけることがあるが、これはメーカーが量販店に派遣した販売員である。 販売員の派遣については様々な形式があるが、販売員の人件費はメーカー側が負担することが多いと言われる。量販店にしてみれば、販売員が多い方が、商品が売れるのは間違いなく、メーカーからすれば、できるだけ量販店に協力し、自社製品を多く売って欲しい。) 最近では、一部の販売員が過重労働を強いられているとして問題になり、量販店の要請による販売員の派遣を取りやめるところも出てきた。いずれにせよ、昭和後期から平成にかけては、メーカーと小売店の力関係が完全に逆転し、販売員の派遣を要請できるほどに、小売店の力は高まった。 こうした戦後の大きな流れを考えると、今回の動きは要注目といってよい。 パナソニックが導入したのは、同社が在庫リスクを負う代わりに、販売価格の決定権を持つという仕組みである。価格決定権がメーカーにあるものの、すべてのリスクをメーカーが負っているので、この場合には独占禁止法違反にはならない。 メーカーにとっては、奪い取られた価格決定権を取り戻す動きということになるが、この制度を導入した場合、価格の決定権はメーカーに戻る一方で、在庫リスクのすべてメーカーが負うため、必ずしもメーカーに有利とは限らない。それにもかかわらずパナソニックがこうした仕組みの導入を決めた背景には、2つの要因があると考えられる。 ひとつはネット販売の拡大によるさらなる廉価販売の進展、もうひとつは、このところ進んでいるインフレである』、「パナソニックが導入したのは、同社が在庫リスクを負う代わりに、販売価格の決定権を持つという仕組みである」、「メーカーにとっては、奪い取られた価格決定権を取り戻す動きということになるが、この制度を導入した場合、価格の決定権はメーカーに戻る一方で、在庫リスクのすべてメーカーが負うため、必ずしもメーカーに有利とは限らない」、「パナソニックがこうした仕組みの導入を決めた背景には、2つの要因があると考えられる。 ひとつはネット販売の拡大によるさらなる廉価販売の進展、もうひとつは、このところ進んでいるインフレである」、「インフレ」下では「販売価格の決定権」を取り戻す意味はありそうだ。
・『本格的なインフレ時代が到来する前兆  近年、ネット販売の比率が上昇したことで、製品の販売価格がさらに不安定になってきた。量販店とメーカーは互いに価格の主導権をめぐって争い続けてきたものの、メーカーにとって量販店は主要な販路であり、量販店にとっては重要な仕入れ先なので、最終的にはどこかで妥協できる。メーカーと量販店の交渉がまとまれば、価格は最適な水準で落ち着くはずだ。 ところがネット通販の場合、小規模を含めた多数の事業者が様々なルートで商品を販売するため、製品によっては激しく値崩れするケースが出てくる。こうした事態を受けてメーカーと量販店は、一定以上の利益を確保するため、最新モデルを比較的高い価格で販売することに力を入れるようになってきたが、これがさらに値崩れを激しくする結果を招いている(春に出た新製品の価格が、次のモデルが出る秋になると半値以下になっていることもザラである)。 大幅に値崩れした製品があると、メーカーにとってはブランド力の低下につながるため、そうした事態はできるだけ避けたい。在庫のリスクを負うことで、値崩れを防げるのであれば、当該リスクを負った方がよいとの判断はあり得るだろう。 加えて、世界的な物価高騰の影響を受けて、とうとう日本国内でもインフレが進みつつあり、これも新制度の導入を後押ししている。日本の場合、物価高騰に円安が加わっていることから、メーカーにとっては部品など仕入れコストの上昇が激しくなっている。国内では長く不景気が続き、賃金も上がっていないことから、消費者の購買力が低下しているため、小売店側の論理からすると、簡単に商品の値上げは決断できない。 メーカーがコスト上昇分を価格に転嫁するためには、ある程度、メーカーが価格をコントロールする必要が出てくる。インフレは長期化するとの見通しが高まっており、今後、他のメーカーの中からも同じような仕組みの導入を決断するところが出てくるだろう。もしこの動きが市場全体に波及した場合、数十年ぶりに価格の主導権がメーカーに移ることになるかもしれない。 まだ大きなニュースにはなっていないが、この動きは日本でも本格的なインフレ時代が到来することの前兆かもしれない。場合によっては時代の大きな転換点となる可能性も十分にある』、「メーカーがコスト上昇分を価格に転嫁するためには、ある程度、メーカーが価格をコントロールする必要が出てくる。インフレは長期化するとの見通しが高まっており、今後、他のメーカーの中からも同じような仕組みの導入を決断するところが出てくるだろ」、「場合によっては時代の大きな転換点となる可能性も十分にある」、同感である。

第三に、7月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した早稲田大学大学院経営管理研究科教授の長内 厚氏による「パナソニックの持株会社制移行に見る、ステークホルダーが気付かない「本気度」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/305917
・『パナソニックが持株会社制へ移行した本当の意義  2021年、パナソニックでは12年からトップを務めてきた津賀一宏氏から楠見雄規氏に社長が交代し、同時に持株会社制への移行を発表。今年4月にはパナソニックホールディングスへ商号変更した。社名変更といえば、ソニーも昨年4月、本社をソニーグループに変更し、各事業会社がその下にぶら下がる格好になった。両社のこのタイミングでの組織変更やパナソニックの社長交代は何を意味するのだろうか。 結論から言えば、両社とも歴史を紐解けば両社らしい意思決定だということだ。パナソニックは、日本でいち早く事業部制を実施し、事業部ごとに商売の責任を持たせることで、ミドルマネジメントや現場社員の士気を上げてきた。戦後の財閥解体の流れの中で、当時の松下は松下電器産業と松下電工に分かれたが、これも戦前に松下幸之助がつくった事業部が独立会社になった格好だ。 松下正治社長時代に始めた事業本部制も、松下が他社に先駆けて実施した組織形態であったし、現在までにビジネスユニットごとのカンパニー制を実施してきた。かつては持株会社制が禁止されていたので、言わばバーチャルに持株会社制を実施してきたのがパナソニックの歴史である。 今回の持株会社制への移行は、パナソニックの業務範囲の広がりと、コロナ禍をはじめとしたそれぞれの事業が直面している不確実性の高さから、全社戦略と個々の事業戦略を1つの会社の1人のトップが見ることが難しい状況になったということであろう。津賀社長への評価は、在任中の10年近くの前半と後半で大きく異なるといえる。前半は、特定の問題を抱える事業を切り離して、注力すべき事業に集中して経営資源を投入し、グループ全体のトップが個別事業へのてこ入れを行うことで、経営の改善をしてきた。 その後、全体のポートフォリオを考えた全社戦略と、個別の事業戦略の陣頭指揮を1人のトップが担う限界が見えてきたわけだが、これは津賀社長個人の資質や能力の問題ではないにもかかわらず、任期後半の氏の評価の低下に影響しているのではないだろうか。 これまでも各カンパニー長が独立して事業責任を負ってきたため、「持株会社制に移行しても結局カンパニー制と変わらないのではないか」という反論もあるかもしれない。しかし、商法上独立した事業会社の社長と、バーチャルな企業内組織のトップでは、その責任や重圧はやはり異なるのではないか。 松下幸之助氏が事業部制を持株会社制として実施しなかったのは当時の法規制によるもので、もしかすると現代において松下幸之助がパナソニックのリーダーであったら、やはり持株会社制に移行していたのではないだろうか。今日のパナソニックが置かれた状況は、松下幸之助の時代とは大きく異なるが、幸之助イズムを現代的に解釈すれば、パナソニックの持株会社制移行はわりと素直に受け入れられる気がする』、「松下幸之助氏が事業部制を持株会社制として実施しなかったのは当時の法規制によるもので、もしかすると現代において松下幸之助がパナソニックのリーダーであったら、やはり持株会社制に移行していたのではないだろうか」、その通りかも知れない。
・『カンパニーと独立事業会社に 見える「本気度」の差とは  各ビジネスユニットにおけるトップの本気度という話に戻れば、筆者も前職でカンパニー制が敷かれていた頃のソニーに在職していたが、「どうせ数年すればカンパニーの枠組みは変わる」「今は自分のカンパニーの業績が悪くても、ソニー自体が潰れるということはないだろう」といった、実際の企業の社長のような本気度が見られないカンパニーのトップもいたように思える。 事業ユニットの経営に対する本気度は、バーチャルなカンパニーと実際の独立した事業会社では異なるのではないだろうか。現在、ソニーの社長を務める吉田憲一郎氏も副社長でCSOの十時裕樹氏も、現在のSo-net運営会社やソニー銀行など、ソニーグループの中で本社の一部門ではなく、独立した事業会社の経営を担って、平井一夫前社長時代のソニーの経営を支えてきた。平井氏自身も、ミュージックからゲームまで多様な独立事業のトップを務めた経歴を持つ。 So-netもソニー銀行も、ステークホルダーから「本業ではない」と言われ続けてきた事業会社であり、それらをいかに持続させ発展させるかは、経営者としての本気度が問われただろう。ある意味、本社のコア事業と言われるビジネスは、本社という大きな組織に守られたぬるま湯的な事業でもある。そこで育ったリーダーと比べて平井、吉田、十時体制以降のソニーが好調なのは、ぬるま湯的な本社ではなく、周縁の子会社の経営者として、本当に厳しい経営を経験してきたことによるのかもしれない。) もちろん、事業ユニットごとに別会社をつくれば、いざというときに切り売りして選択と集中がしやすくなるということもあるだろう。しかしそれ以上に、パナソニックやソニーが期せずして事業会社を独立させたのは、各事業がそれぞれ真剣に不確実な世の中をサーバイブするための経営を、ミドルマネジメントに期待しているということの表れではないだろうか。切り売りしやすい組織形態であるということは、各事業会社のトップにとっては、切り売りされない経営とその結果が求められるからである』、「本社のコア事業と言われるビジネスは、本社という大きな組織に守られたぬるま湯的な事業でもある。そこで育ったリーダーと比べて平井、吉田、十時体制以降のソニーが好調なのは、ぬるま湯的な本社ではなく、周縁の子会社の経営者として、本当に厳しい経営を経験してきたことによるのかもしれない」、言われてみれば、その通りなのだろう。
・『ソニーはもともと何をするかわからない会社だった  ソニーも本社をソニーグループに社名変更して、その下に各事業会社がぶら下がる形態となった。これまで本業と言われてきたエレクトロニクスもその1つになり、音楽、映画、ゲーム、金融と様々な事業と横並びになる。それを「僕らのソニーは終わった」と嘆く人もいる。センチメンタルにいえば、自分もエレキのソニーに憧れて入社した1人なので、その気持ちはわからなくもない。 しかし、そもそもソニーが東京通信工業株式会社という電子技術の会社から、ソニー株式会社という何の事業を行っているのかさえわからない名称の会社に変わった歴史を紐解くと、ソニーとは「本業のない会社」であることがわかる。 ソニーの社史によると、東通工からソニーへ社名変更をする際にステークホルダーから「ソニー株式会社では何の会社なのかわからない。せめてソニー電子などにしたらどうか」と言われたのに対し、当時の経営者は「ソニーがいつまでエレクトロニクス関連の事業をしているかはわからない。社名で事業を縛ることで将来のソニーの可能性を狭めたくない」と説明し、あえてソニー株式会社にしたという。「今のソニーは何の会社かわからない」という皮肉を言う人もいるが、まさにその通りで、ソニーとは時代によって何をするかわからない会社であり、そもそもそれが正解なのだろう。 だからこそ、エレキもあり、エンタテインメントもあり、金融もあるという現在のソニーは、創業時にやっていたことを形式上トレースするのではなく、新しい分野にどんどんトライしていこうという創業世代のフィロソフィーを、受け継いでいるのだと思える。 こうして見ると、パナソニックもソニーも、健全に創業の理念を受け継いでいると言えるのではないだろうか。その意味で、パナソニックに受け継いでほしい創業の理念は「水道哲学」である。これについては次回に議論したい』、「ソニーへ社名変更をする際にステークホルダーから「ソニー株式会社では何の会社なのかわからない。せめてソニー電子などにしたらどうか」と言われたのに対し、当時の経営者は「ソニーがいつまでエレクトロニクス関連の事業をしているかはわからない。社名で事業を縛ることで将来のソニーの可能性を狭めたくない」と説明し、あえてソニー株式会社にしたという」、社名をめぐってそんなエピソードがあったのは初めて知った。

第四に、この続きを、7月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した早稲田大学大学院経営管理研究科教授の長内 厚氏による「ソニーやパナソニックが再び世界で戦うために必要な「21世紀の水道哲学」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/305968
・『イノベーションを阻害する本業ではないから切り捨てるという発想  前回の記事では、パナソニックもソニーも案外創業の理念を正しく受け継いでいるという話をした。その最後に、パナソニックにはぜひ今こそ「水道哲学」を受け継いでほしいとも語った。 そもそも、イノベーションとはインベンション(発明)とイコールではない。常に新しい技術をゼロから開発すれば、イノベーションが生まれるものではない。むしろイノベーションとは、日本語訳で「新結合」とされるように、新しい組み合わせであって、組み合わせるもの同士は新しくなくてもよい。 ソニーのビジネスの柱の1つとなっているプレイステーションのゲーム事業も、ソニーミュージック(当時のCBSソニー)の丸山茂雄氏がサプライチェーン改革によって生み出したレコード会社の付加価値創造と、ソニーの久夛良木健氏がもともとは放送局用機器で活用していたポリゴン技術を、新たに組み合わせたイノベーションであった。 久夛良木氏のポリゴン技術は、ゲーム業界に全く新しいリアリティのある映像を持ち込んだ。しかし、ゲームソフトを開発するのはサードパーティのソフトウェアハウスであり、彼らがソフトを供給してくれなければ、ゲーム機はタダの箱である。 プレイステーションのもう1つの成功は、それまで旧態依然としていたゲームメーカー、ソフトウェアハウス、おもちゃ問屋、小売店の関係性を改め、かつてファミコン時代に見られた抱き合わせ販売のような、サプライチェーンの一部にしわ寄せが行くビジネスの慣行を改善したことが大きかった。ゲーム機メーカー以外のソフトウェアハウス、流通も含めて、全ての事業者に利益をもたらすサプライチェーン改革をしたことによって、サードパーティがソニーの味方についてくれたのだ。 ソニーミュージックには丸山学校というソニーミュージック流の経営を学ぶ勉強会があったそうだが、同社のこうしたビジネスの能力もまたソニーグループの大切な資産であり、ソニーグループが全社の資産を上手く使いこなすことが今後も求められる。 「本業ではないから切り捨てる」という発想は、イノベーションを阻害する。ソニーグループの強みは一見シナジーがないように見える、様々な業種の集まりであるところだと、イノベーション研究を本業とする筆者は見ている』、「「本業ではないから切り捨てる」という発想は、イノベーションを阻害する」、その通りだ。「久夛良木氏のポリゴン技術は、ゲーム業界に全く新しいリアリティのある映像を持ち込んだ。しかし、ゲームソフトを開発するのはサードパーティのソフトウェアハウスであり、彼らがソフトを供給してくれなければ、ゲーム機はタダの箱である。 プレイステーションのもう1つの成功は、それまで旧態依然としていたゲームメーカー、ソフトウェアハウス、おもちゃ問屋、小売店の関係性を改め、かつてファミコン時代に見られた抱き合わせ販売のような、サプライチェーンの一部にしわ寄せが行くビジネスの慣行を改善したことが大きかった」、やはり「プレイステーション」は典型的な「イノベーション」の成功例のようだ。
・『苦境期におけるソニーとパナソニック・シャープの決定的な違い  これまで、パナソニックとソニーを同列に論じてきたが、今ソニーの経営は絶好調なのに対しパナソニックは不調であり、比較にならないのではないかとの批判があるかもしれない。しかし、パナソニックの津賀一宏社長やソニーの平井一夫社長がそれぞれ就任した2010年代の始めは、両社の立場を入れ替えて同じことが言われていたのを忘れてはいけない。 パナソニックの現在の問題の1つを遡るとすれば、2010年代始めにV字回復をして、メディアにもてはやされたことにあるのではないかと筆者は考える。同様に、当時V字回復した企業にシャープがある。パナソニックやシャープがV字回復する中で、ソニーだけが経営の回復が遅れ、「さよならソニー」「ソニーだけが凋落」とメディアに書き立てられ、当時の平井社長を「レコード屋の兄ちゃんにソニーの経営は無理」とまで罵る記事も多く見受けられた。 一方で、V字回復したパナソニックやシャープの経営は素晴らしいともてはやされたのである。しかし、考えて欲しい。利益とは売上から支出を引いたものである。支出には将来の事業への投資分も含まれる。 具体的にいえば、当時のパナソニックやシャープは研究開発投資を削減する方向に動いた。一方ソニーの平井社長は、エレクトロニクス事業の選択は行ったものの、残した事業への研究開発投資は赤字の中でも続けてきたのである。 研究開発は未来の収益源である。今期の経営数値には表れないが、確実に将来の経営を左右するものである。そうした未来の収益源を減らせば、見かけ上経営はV字回復する。大抵の場合、企業のV字回復は将来の利益の先取りでしかない。現在の楠見パナソニックに求められるのは、短期的な見かけ上のV字回復ではなく、長期的な組織能力の向上であり、将来への投資を疎かにしない経営であろう。 最後に、パナソニックとソニーの両社に苦言を呈するとすれば、経営を建て直した後、パナソニックはおそらく数年後の、ソニーは足もとの課題として、「今後何をして、どのようにグローバルな競争の中で戦っていくのか」というビジョンを明確に示していくことが、まだ不十分かもしれない。 パナソニックもソニーも、日本を代表する大企業である。しかし、グローバルで見れば、時価総額は決して上位に食い込んではいない。とはいえ、両社には優れた技術の蓄積がある。パナソニックといえば、松下幸之助の商売のイメージが強いかもしれないが、高い技術開発力を持ち、他社にない技術的優位性をいくつも持っている会社である。) これらの技術や経営資源を使って、パナソニックやソニーは世界でどうありたいのか、トップがもっと明確に示して欲しい。両社とも新規事業創出の組織をつくり、ユニークな事業をいくつも生み出し始めているが、どれもグローバルに両社を牽引していく事業に育つ道筋は見えていない。 ソニーの場合、「動くもの」というところにヒントがあるのかもしれない。aiboの復活やEVの開発、最近ではドローン事業への参入など、エレクトロニクスから古き良きメカトロニクスの分野で、新しいものを見せ始めている。 世間ではGAFAがもてはやされているが、プラットフォーマーの彼らにもハードウェアは必要だ。Amazon AlexaもAmazon Echoという端末がなければ使えないし、Facebookも大量にデータを処理するデータセンターにはハードウェアが必要である。こうしたハードウェアの開発は、日本やアジア地域の企業のハードの力をなくしては実現しない。 東芝の島田太郎社長が指摘するように、GAFAの弱点はハードにあるといってもよい。現在は、IoTのサプライチェーンの中で、ソフトウェア領域を担っているところがうまみを持っているが、ハードウェア領域の会社がプラットフォームリーダーになることも、理論的には不可能ではないはずだ。 パナソニックもソニーも、ハードがつくれるという強みがある。ただし、ハードウェアの機能性能だけで勝てるほど今の市場は甘くない。たとえばパナソニックの車載電池事業も、規模を追う一方で、「世界でなにがなんでもナンバーワンの電池サプライヤーになる」という本気度は、生産設備の投資からはうかがえない。そこは、「いたずらに規模を追わずに技術で差別化を」となってしまう』、「当時のパナソニックやシャープは研究開発投資を削減する方向に動いた。一方ソニーの平井社長は、エレクトロニクス事業の選択は行ったものの、残した事業への研究開発投資は赤字の中でも続けてきたのである」、当時、「パナソニックやシャープ」は「V字回復」、経営がもてはやされていたが、「研究開発投資を削減する方向に動いた」、「ソニー」は「残した事業への研究開発投資は赤字の中でも続けてきた」とは大したものだ。
・『ハードだけが競争力ではない 「21世紀の水道哲学」が必要だ  むしろここで、「世界で最も安価に、大量にリチウムイオン電池を供給できるのはパナソニックだ」と、「21世紀の水道哲学」を主張してもらいたい。グローバルに部品や技術を組み合わせ、分業によって製品をつくり出す今日、とりわけ電池のような部品ビジネスで自社しかつくれないユニークな製品というのは、むしろ製品価値を下げるかもしれない。 EVのバッテリー供給を受ける自動車メーカーにしてみれば、様々な企業から複数購買をしたいはずである。1社の技術に縛られれば、サプライヤーに肝を握られてしまうからだ。そうすると、BtoBの部品事業は標準化を指向するようになる。日本が得意な自社しかつくれない部品は、もはや非標準の使いにくい部品に過ぎない。シャープが液晶の外販も視野に入れて建設した堺コンビナートで失敗したケースも、同じであろう。) 今のところソニーのセンサービジネスは、グローバルナンバーワンを目指すため、しっかりとした生産設備への投資を行っているように見える。しかし油断をすれば、すぐに韓サムスンに追いつかれてしまうかもしれないし、そのためにもセンサーの次の事業を育てていく必要がある。 この先10年のパナソニックとソニーは、何をする会社なのか。また、その事業でグローバル展開できるのか。これは両社が現在課せられた宿題だろう。 国内でしか売れない商品をつくっても、パナソニックやソニーほどの規模を持つ企業は経営を維持することはできない。グローバルに何の会社になるのか、持株会社制への移行によって事業形態が複雑になった今こそ、ステークホルダーを納得させる方向性をしっかり示すことが両社に求められる』、「21世紀の水道哲学」については、私には安値イメージが強過ぎ、これまでの日本的経営の弱点と考えているので、これが「必要」との筆者の主張には同意できない。 
・『ソニーとパナソニックが肝に銘じるべき逆転の発想  やはり、求められるのは「水道哲学」である。「安かろう、悪かろう」を売るのではない。安くつくって大量に売ることで、少量の高いものをつくるための原資をつくる。それが今日の「水道哲学」の意義であろう。 パナソニックもソニーも、今よりさらに規模を縮小したいのであれば、販売数量を減らし、規模に見合った中堅メーカーになればよい。しかし、多くの社員とその家族、両社を支え日本に数多く存在するサプライヤーのことを考えれば、規模を負うことも重要であるし、規模を追えば規模の経済性のメリットが享受できる。 米中貿易摩擦や、ロシアのウクライナ侵攻とそれを容認する中国に対して、世界は厳しい目を向けている。IoTとはあらゆる家電製品に通信機能が入り込むということだ。基地局設備は米国でも英国でも、ファーウェイを排除する方向にある。しかし、クライアント機器が中国製であれば、そこが抜け道になるのは当然のことである。日本の防衛省でもレノボのPCを使っているという話を聞いたが、それこそ日本のパナソニックの「レッツノート」が全官庁の標準PCになってもいいはずだ。経済安全保障は日本のエレクトロニクス企業にとって、大きなチャンスとなる。 今こそ反転攻勢に出て、世界で規模を追い求めるときではないだろうか』、「経済安全保障は日本のエレクトロニクス企業にとって、大きなチャンスとなる」、確かに事実だが、それだけでは限界がある。「反転攻勢に出て、世界で規模を追い求める」には、何らかの強味を付け加える必要があるのではなかろうか。 
タグ:「一連の流通革命はスーパーや量販店の勝利という形で終了。1991年には公正取引委員会が「流通・取引慣行ガイドライン」を制定し、メーカーによる価格拘束の是非がさらに明確に定められた」、なるほど。 「メーカーから価格決定権を」取り戻そうというのは画期的だ。 「メーカーがコスト上昇分を価格に転嫁するためには、ある程度、メーカーが価格をコントロールする必要が出てくる。インフレは長期化するとの見通しが高まっており、今後、他のメーカーの中からも同じような仕組みの導入を決断するところが出てくるだろ」、「場合によっては時代の大きな転換点となる可能性も十分にある」、同感である。 加谷 珪一氏による「パナソニックがひそかに「業界を揺るがす新制度」を導入していた…その「意外な背景」」 現代ビジネス 「次世代を担う人材の幹部登用を足場に、収益性改善のスピードをもう一段引き上げることが求められている」、今後はかなりの困難も予想される。 確かに「半導体不足の影響は甚大だ」 「今回の早期退職は「過去にやってきた事業撤退に伴う人員整理的なものと、根本的に趣旨が異なる」と強調」、「成長事業を牽引できる人材の登用という狙いがある」、「幹部社員に続き、今後は国内の一般社員6万5000人にもジョブ型の対象を広げる予定だ。 加えて、公募の役職(ポスト)に社員自ら立候補できるポスティング制度も大幅に拡大」、「IT企業からDX企業へ」を旗印」にする以上、当然だろう。 「国内従業員の4%弱」を「早期退職」とは思い切ったリストラだ。 「パナソニックが導入したのは、同社が在庫リスクを負う代わりに、販売価格の決定権を持つという仕組みである」、「メーカーにとっては、奪い取られた価格決定権を取り戻す動きということになるが、この制度を導入した場合、価格の決定権はメーカーに戻る一方で、在庫リスクのすべてメーカーが負うため、必ずしもメーカーに有利とは限らない」、「パナソニックがこうした仕組みの導入を決めた背景には、2つの要因があると考えられる。 ひとつはネット販売の拡大によるさらなる廉価販売の進展、もうひとつは、このところ進んでいるインフレである」 東洋経済オンライン「富士通「幹部3000人の希望退職」に映る覚悟と焦り ジョブ型雇用や要職立候補制も急ピッチで拡充」 「ソニーへ社名変更をする際にステークホルダーから「ソニー株式会社では何の会社なのかわからない。せめてソニー電子などにしたらどうか」と言われたのに対し、当時の経営者は「ソニーがいつまでエレクトロニクス関連の事業をしているかはわからない。社名で事業を縛ることで将来のソニーの可能性を狭めたくない」と説明し、あえてソニー株式会社にしたという」、社名をめぐってそんなエピソードがあったのは初めて知った。 「本社のコア事業と言われるビジネスは、本社という大きな組織に守られたぬるま湯的な事業でもある。そこで育ったリーダーと比べて平井、吉田、十時体制以降のソニーが好調なのは、ぬるま湯的な本社ではなく、周縁の子会社の経営者として、本当に厳しい経営を経験してきたことによるのかもしれない」、言われてみれば、その通りなのだろう。 「松下幸之助氏が事業部制を持株会社制として実施しなかったのは当時の法規制によるもので、もしかすると現代において松下幸之助がパナソニックのリーダーであったら、やはり持株会社制に移行していたのではないだろうか」、その通りかも知れない。 「「本業ではないから切り捨てる」という発想は、イノベーションを阻害する」、その通りだ。「久夛良木氏のポリゴン技術は、ゲーム業界に全く新しいリアリティのある映像を持ち込んだ。しかし、ゲームソフトを開発するのはサードパーティのソフトウェアハウスであり、彼らがソフトを供給してくれなければ、ゲーム機はタダの箱である。 プレイステーションのもう1つの成功は、それまで旧態依然としていたゲームメーカー、ソフトウェアハウス、おもちゃ問屋、小売店の関係性を改め、かつてファミコン時代に見られた抱き合わせ販売のような、サプライ 長内 厚氏による「パナソニックの持株会社制移行に見る、ステークホルダーが気付かない「本気度」」 ダイヤモンド・オンライン 「当時のパナソニックやシャープは研究開発投資を削減する方向に動いた。一方ソニーの平井社長は、エレクトロニクス事業の選択は行ったものの、残した事業への研究開発投資は赤字の中でも続けてきたのである」、当時、「パナソニックやシャープ」は「V字回復」、経営がもてはやされていたが、「研究開発投資を削減する方向に動いた」、「ソニー」は「残した事業への研究開発投資は赤字の中でも続けてきた」とは大したものだ。 長内 厚氏による「ソニーやパナソニックが再び世界で戦うために必要な「21世紀の水道哲学」」 「経済安全保障は日本のエレクトロニクス企業にとって、大きなチャンスとなる」、確かに事実だが、それだけでは限界がある。「反転攻勢に出て、世界で規模を追い求める」には、何らかの強味を付け加える必要があるのではなかろうか。 「21世紀の水道哲学」については、私には安値イメージが強過ぎ、これまでの日本的経営の弱点と考えているので、これが「必要」との筆者の主張には同意できない。 (その6)(富士通「幹部3000人の希望退職」に映る覚悟と焦り ジョブ型雇用や要職立候補制も急ピッチで拡充、パナソニックがひそかに「業界を揺るがす新制度」を導入していた…その「意外な背景」、パナソニックの持株会社制移行に見る ステークホルダーが気付かない「本気度」、ソニーやパナソニックが再び世界で戦うために必要な「21世紀の水道哲学」) 電機産業
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鉄道(その9)(多すぎる「東京の踏切」 パリの90倍もある理由とは、普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も SLは複数免許が必要、3大高速列車合併 「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス ルート拡大期待高まる) [産業動向]

鉄道については、昨年12月16日に取上げた。今日は、(その9)(多すぎる「東京の踏切」 パリの90倍もある理由とは、普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も SLは複数免許が必要、3大高速列車合併 「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス ルート拡大期待高まる)である。

先ずは、本年2月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏による「多すぎる「東京の踏切」、パリの90倍もある理由とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/295395
・『横浜市は1月25日、相鉄本線の一部区間を地下化し、10カ所の踏切を減らす計画を明らかにした。東京や大阪などでも大規模な高架化の計画があるが、予定より大幅に遅れるなど難航している。そもそも日本の主要都市における踏切の数は、海外と比べて多い。その理由はどこにあるのか』、興味深そうだ。
・『用地確保の難しさなどで進まぬ線路の立体交差化  横浜市道路局建設課は1月25日、相模鉄道本線の鶴ヶ峰駅付近を中心に西谷~二俣川駅間約2.1キロを地下化し、10カ所の踏切を除却する連続立体交差事業の都市計画決定を行ったと発表した。概算事業費は約784億円で、2022年度上期に事業認可を得て、下期に着工する計画だ。完成は2033年度を予定している。 相鉄ではこれ以前にも、2002年から2018年まで16年もの年月をかけて星川~天王町駅間を中心とする約1.9キロを高架化し、9カ所の踏切を除却している。駅前広場や周辺道路、高架下の整備などの付帯する事業も2021年度に完了した。総事業費は約550億円だった。 線路の立体交差化(高架化または地下化)は、踏切の除却による混雑・渋滞や事故の危険の解消、線路による地域分断の解消だけでなく、鉄道事業者にとっても事故多発ポイントである踏切の除去による運行の安定化向上、また高架下用地の活用が可能になるなど、三方が得をする事業である。 しかし用地の確保が困難な市街地で、運行を確保しながら線路を切り替える立体交差化工事は新線建設以上に困難で莫大な費用を要するため、なかなか進まないのが実情だ。 例えば近年行われた大規模な高架化としては、JR中央線三鷹~立川駅間約13.1キロでは、1995年から2010年まで15年の月日と約1790億円の事業費が費やされた。 また京急本線は2000年から2012年にかけて京急蒲田駅を中心とする平和島~六郷土手間約4.7キロおよび空港線蒲田~大鳥居間約1.3キロを高架化し28もの踏切を除却している。こちらの事業費は1650億円だった。 現在行われている工事の中で事業区間が最長なのは京王線笹塚~仙川駅間約7.2キロの高架化だ。事業費は約1701億円。2013年に事業化し2022年度に完了予定だったが、実際は昨年秋にようやく高架橋が建ち始めたところで、工事は大幅に遅れている。京王は今後の工程について精査した上で、事業期間の変更について関係者と調整したいとしている。 次いで長いのが、阪急京都線・千里線の淡路駅を中心とした約7.1キロの高架化工事だ。こちらは1997年に事業着手したが用地の取得が難航し、実際に着工できたのは2008年のことだった。それでも2017年度末の高架切り換えを予定していたが、2015年になって事業期間の7年延長を決定。付帯する工事も含めて全体が完了するのは、事業着手からちょうど30年後の2027年度ということになる。事業費は約1632億円だ』、「付帯する工事も含めて全体が完了するのは、事業着手からちょうど30年後の2027年度ということになる。事業費は約1632億円だ」、いずれも工事期間は延長されることが多いようだ。
・『立体交差化の財源の多くはガソリン税・自動車重量税  これらはいずれも鉄道を大幅に造り替える工事だが、鉄道事業者が事業費の多くを負担するわけではない。それどころか鉄道側の負担は非常に少ない。「連続立体交差事業」とは、鉄道事業者が自主的に線路を高架化または地下化するのとは異なり、渋滞解消など自動車交通の円滑化のために自治体が事業主体となって行われる「道路整備事業」だからだ。 そのため事業費の概ね90%は自治体が負担し、その半分を国が「ガソリン税・自動車重量税」を財源とする「社会資本整備総合交付金」で充当する。鉄道事業者の負担は、高架下利用と踏切事故解消などの受益分とされる残り10%程度(23区内は15%)にすぎない。 ただ連続立体交差事業による高架化・地下化は鉄道の改良工事ではなく、あくまで地上にあった設備と同程度のものに作り替えるのが原則なので、工事とあわせて設備を増強するとなれば話は別だ。 西武池袋線では1990年から2015年にかけて西武池袋線桜台~大泉学園間の連続立体交差事業が行われたが、高架化にあわせて練馬~石神井公園間が複々線化され、増額分の事業費は西武が全額負担した。 京王線柴崎~西調布駅間および相模原線調布~京王多摩川駅間約3.7キロで2003年から2014年にかけて行われた地下化でも、調布駅での京王線と相模原線の平面交差を解消するために線路も立体交差化したことから、事業費約1150億円のうち約650億円を京王が負担している。 上記のように近年、大規模な連続立体交差事業が次々と完成しているが、都心の踏切はなお多く残っている。国土交通省は昨年3月、1961年の制定以来5年ごとの時限立法として運用してきた踏切道改良促進法を恒久化するなど対策を強化しているが、そもそも諸外国と比較して都市部に踏切が多すぎる日本では、抜本的な解決には気の遠くなるような時間を要することになるだろう』、「渋滞解消など自動車交通の円滑化のために自治体が事業主体となって行われる「道路整備事業」だからだ。 そのため事業費の概ね90%は自治体が負担し、その半分を国が「ガソリン税・自動車重量税」を財源とする「社会資本整備総合交付金」で充当する。鉄道事業者の負担は、高架下利用と踏切事故解消などの受益分とされる残り10%程度(23区内は15%)にすぎない」、「都市部に踏切が多すぎる日本では、抜本的な解決には気の遠くなるような時間を要することになるだろう」、なるほど。
・『東京の踏切数はパリの約90倍  なぜこんなに踏切が多いのか。国土交通省の資料によると2014年度末時点の海外主要都市の踏切数は東京23区が620なのに対して、ニューヨークが48、ベルリンが46、ソウルが16、ロンドンが13、パリ(周辺3県含む)が7と、けたが違う。このうちソウルとパリは23区と面積がほぼ同等である。 日本は路線数が多いからと思うかもしれないが、都市部の鉄道に限ればどこの都市も遜色ないネットワークを有している。日本の都市鉄道は根本的に性質が異なるのである。 敷かれたレールに沿って走る鉄道にとって、線路上の障害物は事故に直結する。1830年に開業した世界初の鉄道と1872年に開業した日本初の鉄道は、どちらも開業初日に線路内に立ち入った人と接触する人身事故が起こっている。 煙を吐き、高速で走行する危険な鉄道は都市の内部には乗り入れさせず、中心部への移動は町はずれに置かれたターミナル駅から馬車鉄道(後に路面電車)などに乗り換えなければならなかった。しかし車体が小さく速度も遅い馬車鉄道(路面電車)では都市の輸送を捌ききれない。そこで危険な鉄道を都心まで安全に乗り入れさせるための工夫が始まった。 その最初の事例が1863年にロンドンで開業した世界初の地下鉄「メトロポリタン鉄道」である。続いて1871年、ニューヨークで高架鉄道が開業。どちらも線路と道路を立体交差させることで市街でも蒸気機関車を運転できるようにしようとしたものだ。 こうした事例は明治初期の日本にも伝わっていた。明治の東京の都市計画を主導した「市区改正委員会」は1888年、ロンドンやニューヨークを念頭に市内の鉄道は道路と立体交差とするとの原則を定めており、現在のJR中央線が新宿~牛込(現在の飯田橋駅付近)駅間の延伸を出願した際も、途中に踏切を設置する計画があったのを立体交差構造に改めさせている。 その後もメインストリートである新橋~上野間(現在の山手線・京浜東北線)や、さらにそれを乗り越える総武線御茶ノ水~両国間などの高架鉄道が建設されていく。日本も明治時代から都市に踏切は作るべきではないと分かっていたのである。それがなぜこのような事態になってしまったのか』、「日本も明治時代から都市に踏切は作るべきではないと分かっていたのである。それがなぜこのような事態になってしまったのか」、なるほど。
・『東京の急拡大で顕在化した踏切問題  問題は東京の急激な拡大だった。当時の行政区域である「東京市」は皇居を中心に半径5キロ(概ね山手線の内側から深川、押上、三ノ輪を結んだエリア)の範囲しかなかったが、1920年の時点で東京府(現在の東京都)の人口のおよそ3分の2にあたる約218万人が住んでいた過密都市であった。 後の23区内に相当する周辺地域(当時における「郊外」)の合計は約118万人で、既に郊外化は進み始めていたが、この流れは関東大震災で決定的なものとなる。1925年の調査では東京市の人口は10万人以上減少して約205万人となる一方、周辺地域は206万人となり一気に逆転した。この原動力となったのが大正時代から昭和初期にかけて相次いで開業した山手線に接続する私鉄だ。 前述のとおり東京市内の線路は道路と立体交差させなくてはならない。そのため私鉄は莫大な資金を要する独力での都心乗り入れはせず、山手線に都心直通を依存する形でその外側に路線を延ばしていった。その過程で多くの踏切が設置されたのである。 現在では「都心」に含まれる品川、渋谷や、高級住宅地を擁する世田谷区、大田区、杉並区も当時は市外であり、当時の交通量を踏まえれば莫大な費用を投じて立体交差化しなくても踏切で事足りた。 しかし郊外の人口はさらに増え続け、市街は発展し、交通量は激増。踏切の問題が顕在化する。東京市は1932年に周辺地域を組み入れ、現在の23区とほぼ同じ広さとなるが、踏切だらけの路線を都市鉄道に組み込めば当然無理が生じてくる。政策決定者は立体交差の必要性を認識し、対策を講じていたにもかかわらず、それを上回るほど短期間に都市圏が拡大してしまったのだ。 これに対して海外主要都市は都心の地下鉄道・高架鉄道が早くに開業し、市域の拡大とともに郊外へと延伸したため踏切が少ない。東京に地下鉄が開業したのは、郊外の私鉄があらかた開業し終わった1927年のことだった。 実は既にこの頃から立体交差化の必要性が認識されており、1940年には内務省と鉄道省が重要道路の立体交差を費用折半で進める協定を結んでいる。1952年には道路法が公布され、鉄道と道路は原則として立体交差にしなければならないと法律に明記された。その後、建設省と運輸省の間で連続立体交差事業の費用負担について協定が結ばれ、幾度の改定を経ながら現在の制度につながっていく。 全国連続立体交差事業促進協議会のウェブサイトによれば、1969年以降に全国で行われた連続立体交差事業の総延長は556.5キロ(これは奇しくも東海道本線東京~新大阪間とほぼ等しい)、除却できた踏切は1657だ。現在事業中の事業の総延長は約105.2キロ、除却できる踏切数は287だから徐々にだがスピードアップしていると言えるだろう。 それでも終わりは全く見えない。連続立体交差事業とは100年前から積み重ねてきた宿題を解くような地道な取り組みなのである』、「私鉄は莫大な資金を要する独力での都心乗り入れはせず、山手線に都心直通を依存する形でその外側に路線を延ばしていった。その過程で多くの踏切が設置された」、「政策決定者は立体交差の必要性を認識し、対策を講じていたにもかかわらず、それを上回るほど短期間に都市圏が拡大してしまった」、「連続立体交差事業とは100年前から積み重ねてきた宿題を解くような地道な取り組みなのである」、後手に回った行政の尻拭いには時間がかかるようだ。

次に、2月24日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライターの小林 拓矢氏による「普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も、SLは複数免許が必要」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/514209
・『新幹線、特急ロマンスカー、SL――。鉄道の運転士に憧れる子どもたちならば、いつかはこういった「かっこいい」列車の運転をしてみたい、という思いを抱くのは当然のことだろう。大人でもかつてそうだった、あるいは今もそう思うという人も少なくないのではないだろうか。 鉄道の運転士になるには、まず鉄道会社に入社して訓練を積み、試験を突破して運転免許を取得しなくてはならない。ただ、列車によってはさらに別の資格や社内での選抜が必要な場合もある。先に挙げたような列車を運転できるようになるにはどうすればいいのだろうか』、鉄道オタクでなくても、興味深そうだ。
・『どんな人が新幹線運転士に?  東京から新大阪、博多などを結ぶ「のぞみ」は鉄道好きな子どもたちの憧れの列車である。きりっとした制服に身を包み、ダイヤ通りの高速運転を正確に行う運転士は、そんな子どもたちからすると「神」のように見えるだろう。 新幹線を運転するには、在来線とは別の「新幹線電気車運転免許」を取得しなくてはならない。では、東海道新幹線を運行するJR東海ではどんな人が新幹線の運転士になれるのか。 JR東海に聞くと、主に駅係員、車掌、運転士など鉄道の運行に直接携わる職種で入社した場合に、駅係員や車掌などの経験を積んだのち、運転士の資格を取得したうえで新幹線の運転士業務に従事することが一般的だという。運転士の仕事ができるような採用区分に応募し、そこで仕事の実績を積んでいく。 現在のJR東海の採用方式ならば、「総合職」もしくは「プロフェッショナル職」の「運輸部門」に応募することになる。総合職は将来的にマネジメントを担う職種、プロフェッショナル職は「主に鉄道部門で高い技術力・専門性を発揮することを期待」される職種、つまり現場の第一線だ。総合職の場合は、ジョブローテーションの一環として新幹線の運転免許を取得する。 実は同社は以前、総合職全員に新幹線の運転免許を取得させていた。つまりオフィスで働くマネジメント系の社員もみな新幹線の運転ができたわけだ。これは何かあったときでも新幹線をきちんと動かせるようにしたいという考えが背景にあったためだが、現在は鉄道の運行に直接携わる職種のみに取得させているという。総合職の運輸部門は主に理系の大卒者が採用される。 JR東海の場合、新幹線の運転士は「選抜」されるという性質とは違うものの、本気でなりたいという人は、入社を志願する際にコースをよく見極める必要がある』、「JR東海の採用方式ならば、「総合職」もしくは「プロフェッショナル職」の「運輸部門」に応募することになる。総合職は将来的にマネジメントを担う職種、プロフェッショナル職は「主に鉄道部門で高い技術力・専門性を発揮することを期待」される職種、つまり現場の第一線だ。総合職の場合は、ジョブローテーションの一環として新幹線の運転免許を取得する」、なるほど。
・『ロマンスカーの運転士は「エース」  子どもたちの憧れの列車としては特急列車も大きな存在だ。さまざまな特急があるが、とくに小田急電鉄のロマンスカーは憧れの存在としてポジションを確立している。 小田急電鉄に話を聞いてみると、ロマンスカーの運転士は選抜度の高い仕事であることがわかった。まず同社にエキスパート職で入社し、駅業務や車掌業務を経て、電車の運転免許である「甲種電気車運転免許」を取得する。その後、3年間は一般車両の運転を経験する。そしてようやく、ロマンスカーの運転士になるための社内試験を受けるのだ。 まずは基礎試験として、筆記試験と実務試験。それに合格したら、任用試験で接遇のロールプレイが試される。不合格になる人もいるという。 ロマンスカーといえば展望席付き車両が有名だ。赤いロマンスカー「GSE」や3月に定期運行から引退する「VSE」の運転室は展望席上の2階にある。そこに乗り込む運転士の姿はカッコいいが、その運転台のタラップをのぼるには厳しい選抜基準を満たさなければならないのだ。 さて、新幹線、私鉄特急と見てきたが、鉄道の運転士の中でもさらになるのが難しそうなものがある。SLの運転士だ。そもそも蒸気機関車は、免許の種類が違うのだ。 「SL大樹」を運行する東武鉄道によると、まずSL運転士になるには、電車の運転士としての免許(甲種電気車運転免許)の保有が前提だ。そのうえで「東武鉄道のSL事業を積極的に牽引したいという高い意欲とともに、運転技能やサービスマインドを総合的に勘案したうえで、日光・鬼怒川エリアにおけるSL事業を担うSL機関士・機関助士としてふさわしい人材を選抜している」という。わかりやすくいうと、「力量」と「品格」が求められるといえようか。大相撲の横綱昇進基準のようである。 そうして選ばれた人たちが機関助士となり、甲種蒸気機関車運転免許を取得して機関士となる。ボイラー技士の免許も必要だ。人数も限られているだけに、「特別な列車」の中でもとくに選抜の度合いが厳しいといえそうだ。 【2022年2月27日20時20分 追記】記事初出時、免許取得についての記述に誤りがあったため上記のように修正しました。 このほかにも、鉄道事業者によっては職種が設定され、そのための選抜が行われるところがある。京急電鉄では、「運転主任」という職級が設けられている。これは「営業車の運転士」の上位職級である。分割・併合作業を含む車庫からホームまでにおける車両の出入庫、運転関連では信号・ポイントの切り替え指示というのがあり、営業運転者への指示や、検査修繕などを考慮した車両運用(車庫への列車格納配置の差配)を行っているという。 京急電鉄によると、「営業車の運転経験を活かし、列車の運転から運用へと、1段上の視座から業務を行う仕事で、鉄道部門業務の中間管理職」という。運転士になったあと、本人の選抜や適性を見て配属しているという』、「小田急電鉄に話を聞いてみると、ロマンスカーの運転士は選抜度の高い仕事であることがわかった。まず同社にエキスパート職で入社し、駅業務や車掌業務を経て、電車の運転免許である「甲種電気車運転免許」を取得する。その後、3年間は一般車両の運転を経験する。そしてようやく、ロマンスカーの運転士になるための社内試験を受けるのだ。 まずは基礎試験として、筆記試験と実務試験。それに合格したら、任用試験で接遇のロールプレイが試される」、選抜は予想以上に厳しそうだ。「「SL大樹」を運行する東武鉄道によると、まずSL運転士になるには、電車の運転士としての免許(甲種電気車運転免許)の保有が前提だ。そのうえで「東武鉄道のSL事業を積極的に牽引したいという高い意欲とともに、運転技能やサービスマインドを総合的に勘案したうえで、日光・鬼怒川エリアにおけるSL事業を担うSL機関士・機関助士としてふさわしい人材を選抜している」という」、「SL機関士・機関助士」の「選抜」はさらに厳しそうだ。
・『「特別手当」はあるのか  では、こういった「特別な列車」の運転士は特別な手当などはあるのだろうか。JR東海では運転士や車掌に出る手当はあるものの、新幹線運転士だけの特別な手当はない。小田急でも、ロマンスカー運転の特別手当はない。 ただ、東武のSL運転士の場合、SL(とそれを補佐するディーゼル機関車)には電車の運転と違う技能が求められるため、SLおよびDLの操縦にかかわる社員には特別な手当を支給しているという。京急の「運転主任」は、職能に応じた給与設定があるとのことだ。 「特別な列車」の運転士だからといって手当などの面で特別扱いはされないようだが、そういった面とは違うやりがいがあるからこそ子どもたちの憧れとなり、そして実際に目指す人も多いのだろう』、「特別手当」の有無に拘らず、厳しい「選抜」をくぐり抜けたことで、「子どもたちの憧れ」の対象になるのだろう。

第三に、6月1日付け東洋経済オンラインが掲載した在英ジャーナリストのさかい もとみ氏による「3大高速列車合併、「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス、ルート拡大期待高まる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/593461
・『コロナ禍による移動需要の激減により、一時は瀕死の状態まで陥っていたイギリスと欧州大陸を結ぶ国際列車「ユーロスター」。欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会の競争当局は3月末、同社とフランス・ベルギー・オランダ・ドイツを結ぶ国際高速列車「タリス」の合併について承認し、このほど両社を束ねる持株会社が設立された。 2つの高速列車の合併プロジェクトは、欧州がコロナ禍に襲われる半年前の2019年9月、“グリーンスピード”という名称のもと、検討が開始された。しかし、コロナ禍での移動制限がもたらした利用者激減による多額の損失を受け、2年間にわたって保留となっていた。コロナ禍の落ち着きを受けて欧州各国間の往来が再び増え始めた2021年秋、両社は合併取得承認に向けた動きを再開。そしてこの春、欧州委による合併承認を得ることができた。 合併により、イギリスでは、「ロンドンから直通列車で行ける欧州大陸の都市が一気に増えるかも」と大きな期待が寄せられている』、「2つの高速列車の合併」により「「ロンドンから直通列車で行ける欧州大陸の都市が一気に増える」との「期待」も頷ける。
・『「レッド」と「ブルー」の2種類に  両社はユーロスターグループという持株会社を設立、ユーロスターとタリスの運行会社はその傘下となった。現在は従来通りの列車名で運行しているが、列車のブランド名はいずれタリスの名が消え、すべてユーロスターに統合される。 ただ、車両の色は現状を維持し、英国へ乗り入れているほうを「ユーロスター・ブルー」、現在のタリスを「ユーロスター・レッド」とすると報じられている。 合併10年目となる2032年の年間利用者数は3000万人を目標とする。業界では「コロナ後のV字回復を期待する“ショック療法”として提示された野心的すぎる数字ではないか?」との声もあるが、目標達成に向けて新たなルートの拡大を目指す一方、車両や乗務員数の最適化、ポイントプログラムの統合、ITや予約システムの統合などによるシナジー効果の創出を目指す。 コロナ禍の2年間、ユーロスターは最も影響を受けた乗り物のひとつだった。2019年には年間1110万人だった利用者数は、2021年には160万人まで減少。存続に向け、同年5月には株主および銀行から2億5000万ポンド(約390億円)の短期借入金の注入を受け、なんとか破綻の危機をしのいだ。 2021年秋以降は、イギリスやフランス政府によるコロナ感染対策の緩和で、観光需要が一気に回復した。筆者も在住するイギリスからフランスやドイツなどを訪れる機会があったが、すでに出入国時のコロナ検査などは省略されており、それが旅行業界の回復に一役買っている。検査の有無は旅行の日程を大きく左右する。フランスで日本への帰国前にPCR検査を受ける同行者と検査施設を訪れたが、旅行の最中に検査のためにまるまる午前中が潰れるというのは大変な手間だ。 ユーロスターの分析によると、ビジネス客の戻りは「観光客ほどには順調ではない」という。オンラインによるビデオ会議の普及はもとより、ブレグジットの完全実施でロンドン金融街シティーから欧州連合(EU)各国籍の金融マンの多くが職場を離れ、欧州大陸との往復需要が減少したことなどが重なったためだ。 タリスとの合併による「新生ユーロスター」の誕生後、「その効果が現れるのは、2〜3年先」(フランスの経済アナリスト)と予想される。共通ブランドで今後、さまざまなキャンペーンや企画運賃の導入などを図り、輸送量の増加やシェア再拡大を目指すことになる』、「タリスとの合併による「新生ユーロスター」の誕生後、「その効果が現れるのは、2〜3年先」」、意外に時間がかかるようだ。
・『英国で期待高まる「ドイツ直通」  2019年時点の“グリーンスピード”計画は、合併後のロンドン発着ユーロスターのネットワークとして、現在の3カ国(フランス・ベルギー・オランダ)に加え、ドイツへ乗り入れるとしていた。タリスのネットワークはもともとフランス・オランダ・ベルギー・ドイツに広がっており、合併後にユーロスターがドイツへ、というのは妥当な選択だろう。 同計画発表時の資料では、ロンドン発ドイツ行きはベルギーのブリュッセルからリエージュを経てドイツ領に入り、ケルンを目指すという形だ。さらにその先、デュッセルドルフ、デュイスブルクを経てドルトムントまでのルートも描かれている。 イギリス―ドイツ間の直通に関しては、ドイツ鉄道(DB)がロンドン乗り入れを目指した時期もあったが、結局さまざまな障害で実現しなかった経緯もある。本格的に英独直通列車が運行されるとなれば、両国の鉄道界にとって大きなインパクトとなるだろう。 ユーロスターグループの広報担当は、仏紙コネクシオン(Connexion)に対し「新規区間や運行開始時期を公表するのは時期尚早」としながらも、イギリスでは大衆紙デイリーメールをはじめとする複数メディアが「ロンドンからドイツ行き国際直通列車実現か?」と報じている。そのほか、旅行関係の雑誌各社もこぞって新生ユーロスターのルート拡大に期待を寄せる記事を発表しており、関心の高さがうかがえる。 一方、ビジネス路線として需要が極めて高い、ロンドン―フランクフルト間は前述の合併後のネットワーク計画には入っていない。タリスがフランクフルトに乗り入れていないからだ。 両都市間は飛行機だと2時間ほどだが、空港と市内中心部の行き来や出入国手続きの時間、そして時差(欧州大陸はイギリス+1時間)を考えると、ロンドンから朝一番のフライトに乗っても、フランクフルトの用務先にはランチタイムに間に合うかどうかギリギリだ。一方、ロンドンからユーロスター・ブルーでケルンへ行き、そこからDBのICEへの接続がしっかりできれば、列車でもランチタイムごろのフランクフルト到着が可能となりそうだ。 航空機にはない、列車ならではのメリットもある。車内で同行者とミーティングができ、携帯電話での通話やメールチェックなどの「穴」が出る心配もないからだ。都心発着の列車利用なら、航空機といい勝負になるかもしれない。 一般の人々の間に環境意識が大きく広まったことも新生ユーロスターにとっては追い風だ。「列車では所要時間がかかりすぎる」と思われる目的地へも列車利用で行こうと考える人が増加している。例えば、欧州投資銀行(EIB)の調査によると、欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」しているという』、「一般の人々の間に環境意識が大きく広まったことも新生ユーロスターにとっては追い風だ。「列車では所要時間がかかりすぎる」と思われる目的地へも列車利用で行こうと考える人が増加している。例えば、欧州投資銀行(EIB)の調査によると、欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」しているという」、飛び恥なる言葉が生まれるほど、環境意識は高まっている。「欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」、確かに「新生ユーロスターにとっては追い風だ」。
・『スペイン国鉄も英国進出目指す?  欧州の鉄道ネットワーク拡大に関しては5月末、DBとフランス国鉄(SNCF)がパリ―ベルリン間の直通高速列車を2023年中にも運行開始すると報じられた。「片道7時間かかっても列車利用のマーケットがある」と新規路線開設に踏み切るのは、今や列車の所要時間をさほど気にしない人が増えていることの現れと言えようか。 また、英仏海峡トンネルの運営会社であるゲットリンク(Getlink)は同区間のシャトルサービスを検討するスタートアップ企業に利用してもらうため、SNCFから中古TGV車両10編成を購入する意向を示している。実現すれば、年間で200万〜300万人の利用客は見込めるとされ、これは新生ユーロスターの大きな競争相手となるだろう。さらに、スペイン国鉄(Renfe)が、英国向け国際列車への参入に向け、パリに事務所を開設したという動きも伝わってきている。 コロナで大きく傷ついた欧州圏内の国際間移動だが、それ以前から、国際列車網は格安航空会社(LCC)の路線拡大でずいぶんと荒らされてしまっていた。経済の回復とともに、イギリスを取り巻く欧州の国際鉄道はどのような形で再興していくのだろうか』、「欧州の国際鉄道」、が「どのような形で再興していく」か、大いに注目される。
タグ:鉄道 (その9)(多すぎる「東京の踏切」 パリの90倍もある理由とは、普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も SLは複数免許が必要、3大高速列車合併 「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス ルート拡大期待高まる) ダイヤモンド・オンライン 枝久保達也氏による「多すぎる「東京の踏切」、パリの90倍もある理由とは」 「付帯する工事も含めて全体が完了するのは、事業着手からちょうど30年後の2027年度ということになる。事業費は約1632億円だ」、いずれも工事期間は延長されることが多いようだ。 「渋滞解消など自動車交通の円滑化のために自治体が事業主体となって行われる「道路整備事業」だからだ。 そのため事業費の概ね90%は自治体が負担し、その半分を国が「ガソリン税・自動車重量税」を財源とする「社会資本整備総合交付金」で充当する。鉄道事業者の負担は、高架下利用と踏切事故解消などの受益分とされる残り10%程度(23区内は15%)にすぎない」、「都市部に踏切が多すぎる日本では、抜本的な解決には気の遠くなるような時間を要することになるだろう」、なるほど。 「日本も明治時代から都市に踏切は作るべきではないと分かっていたのである。それがなぜこのような事態になってしまったのか」、なるほど。 「私鉄は莫大な資金を要する独力での都心乗り入れはせず、山手線に都心直通を依存する形でその外側に路線を延ばしていった。その過程で多くの踏切が設置された」、「政策決定者は立体交差の必要性を認識し、対策を講じていたにもかかわらず、それを上回るほど短期間に都市圏が拡大してしまった」、「連続立体交差事業とは100年前から積み重ねてきた宿題を解くような地道な取り組みなのである」、後手に回った行政の尻拭いには時間がかかるようだ。 東洋経済オンライン 小林 拓矢氏による「普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も、SLは複数免許が必要」 鉄道オタクでなくても、興味深そうだ。 「JR東海の採用方式ならば、「総合職」もしくは「プロフェッショナル職」の「運輸部門」に応募することになる。総合職は将来的にマネジメントを担う職種、プロフェッショナル職は「主に鉄道部門で高い技術力・専門性を発揮することを期待」される職種、つまり現場の第一線だ。総合職の場合は、ジョブローテーションの一環として新幹線の運転免許を取得する」、なるほど。 「小田急電鉄に話を聞いてみると、ロマンスカーの運転士は選抜度の高い仕事であることがわかった。まず同社にエキスパート職で入社し、駅業務や車掌業務を経て、電車の運転免許である「甲種電気車運転免許」を取得する。その後、3年間は一般車両の運転を経験する。そしてようやく、ロマンスカーの運転士になるための社内試験を受けるのだ。 まずは基礎試験として、筆記試験と実務試験。それに合格したら、任用試験で接遇のロールプレイが試される」、選抜は予想以上に厳しそうだ。「「SL大樹」を運行する東武鉄道によると、まずSL運転士になる 「特別手当」の有無に拘らず、厳しい「選抜」をくぐり抜けたことで、「子どもたちの憧れ」の対象になるのだろう さかい もとみ氏による「3大高速列車合併、「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス、ルート拡大期待高まる」 「2つの高速列車の合併」により「「ロンドンから直通列車で行ける欧州大陸の都市が一気に増える」との「期待」も頷ける。 「タリスとの合併による「新生ユーロスター」の誕生後、「その効果が現れるのは、2〜3年先」」、意外に時間がかかるようだ。 「一般の人々の間に環境意識が大きく広まったことも新生ユーロスターにとっては追い風だ。「列車では所要時間がかかりすぎる」と思われる目的地へも列車利用で行こうと考える人が増加している。例えば、欧州投資銀行(EIB)の調査によると、欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」しているという」、飛び恥なる言葉が生まれるほど、環境意識は高まっている。「欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」、確か 「欧州の国際鉄道」、が「どのような形で再興していく」か、大いに注目される。
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携帯・スマホ(その8)(格安事業者はもう不要?大手値下げで消滅危機 格安スマホ 「7年で7割減」市場の壮絶生存バトル、ドコモだけが「店舗大リストラ」に動いた複雑事情 コスト削減大号令 「1000億円以上浮く」試算も、ドコモが大量閉店へ 「ショップの潰し方」の全貌 代理店を撤退に追い込む「3つのステップ」) [産業動向]

携帯・スマホについては、昨年10月7日に取上げた。今日は、(その8)(格安事業者はもう不要?大手値下げで消滅危機 格安スマホ 「7年で7割減」市場の壮絶生存バトル、ドコモだけが「店舗大リストラ」に動いた複雑事情 コスト削減大号令 「1000億円以上浮く」試算も、ドコモが大量閉店へ 「ショップの潰し方」の全貌 代理店を撤退に追い込む「3つのステップ」)である。

先ずは、本年3月22日付け東洋経済オンライン「格安事業者はもう不要?大手値下げで消滅危機 格安スマホ、「7年で7割減」市場の壮絶生存バトル」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/577612
・『契約回線数は7年で7割減する――。格安スマホについてのそんな野村総研の推計が、業界に衝撃を与えた。競争が激化する中、生き残りの道はあるか。 携帯電話料金値下げに一役買ってきた「格安スマホ」事業者が、消滅の危機に直面している。NTTドコモをはじめとする大手キャリアが「格安プラン」の提供を始めたことで、存在意義が宙に浮いてしまったからだ。 実際、足元では通信品質などに優れる大手キャリアへの顧客流出が顕著だ。そんな中、格安スマホを展開してきたMVNO(仮想移動体通信事業者)の契約回線数が「7年で7割減少する」という推計も飛び出し、業界をざわつかせている。 2021年12月にこの推計を発表したのは、国内大手シンクタンクの野村総合研究所。アンケート調査などを基に、MNO(大手キャリア)とMVNO、それぞれの市場動向について独自試算したものだ』、「契約回線数は7年で7割減」とは衝撃的な予測だ。
・『市場縮小を加速する2要因  MVNOとは、大手キャリアから通信回線を借り受けて格安スマホの通信サービスを提供する事業者のこと。大手キャリアがカバーしていなかった低容量・低価格帯のプランを充実させ、節約志向が強い消費者を取り込んできた。 ところが野村総研の推計によれば、MVNOの契約回線数(携帯電話端末)は2019年度にピークアウトし、2020年度末は1351万、2021年度末は958万と急減する。そして2027年度末には456万と、ピーク時の3割程度まで縮小する見立てだ。 大きな要因は2つある。1つは、すでに新規受付を停止したMVNO、楽天モバイルとLINEモバイル(2022年3月1日にソフトバンクに吸収合併)がMNO側に移行している影響だ。 楽天モバイルは「第4のキャリア」として2019年10月に一部の商用サービスを開始。2020年4月の正式ローンチ以降は、従前から営んでいたMVNOの新規受付は行っていない。LINEモバイルもソフトバンクの傘下入りを経て、2021年3月以降は同社のオンライン専用プラン「LINEMO(ラインモ)」への転換を進めている。 かつてはMVNOにカウントされていたこれらサービスがMNO側に移ることで、MVNO側の見かけ上の減りが大きくなるわけだ。 より本質的、かつMVNO勢にとって深刻なのは、2つ目の要因だ。野村総研の澤田和志主任コンサルタントは、「今後は大手キャリアのサブブランドや、昨春から開始した新料金プランへの顧客流出が急増する」とみる。 なぜなら、MVNOのほぼ唯一にして最大の売りであった「価格優位性」が、消滅しかかっているからだ。) ドコモは2021年3月、オンライン専用の新料金プラン「ahamo(アハモ)」を投入した。続いてKDDIは「povo(ポヴォ、2021年9月にpovo2.0にリニューアル)」を、ソフトバンクはLINEMOを投入。楽天もデータ使用量1GB(ギガバイト)以下を無料とする新料金プランの提供を開始した。 積極的な広告宣伝の効果もあってか、大手キャリアの「格安プラン」は消費者から広く支持を集めている。 ahamoは「(2022年2月上旬時点で)200万台の真ん中くらい」(NTTの澤田純社長)、povoは「(1月末時点で)百数十万」(KDDIの高橋誠社長)まで契約回線数が膨れ上がっており、楽天モバイルは2月に550万回線を突破した。いずれもMVNO最大手・インターネットイニシアティブ(IIJ)が提供する「IIJmio」の約107万回線(2021年12月末時点)を大きく上回る規模だ。 料金プランを比べてみると、MVNOとMNOで大きな差はなくなりつつある。データ使用量が少なければ、むしろMNOのほうが安いケースすらある。 大手MVNO幹部は「キャリアは(携帯料金が0円でも)自社経済圏に顧客を囲い込んで収益化できるが、資金力に劣るわれわれは同じ土俵で戦えない。大手キャリアの0円プランは公正競争上問題ではないか」と恨み節を吐く。 MNO系では新プランに加えて、ソフトバンクの「ワイモバイル」、KDDIの「UQモバイル」といったサブブランドも、足並みをそろえる形の値下げを実施。こうなると、MVNOの優位性はますます薄くなる』、「かつてはMVNOにカウントされていたこれらサービス(楽天モバイルとLINEモバイル)がMNO側に移ることで、MVNO側の見かけ上の減りが大きくなるわけだ。 より本質的、かつMVNO勢にとって深刻なのは、2つ目の要因だ。野村総研の澤田和志主任コンサルタントは、「今後は大手キャリアのサブブランドや、昨春から開始した新料金プランへの顧客流出が急増する」とみる」「MVNOのほぼ唯一にして最大の売りであった「価格優位性」が、消滅しかかっているからだ」、なるほど。
・『「解約率は従前の2倍近くに」  こうした流れを受け、IIJが運営するIIJmioのほか、NTT系の「OCNモバイルONE」、関西電力傘下のオプテージの「mineo(マイネオ)」などの主要MVNO各社も相次ぎ料金プランを引き下げた。 値下げした大手MVNOの幹部は「顧客をつなぎとめるため、利幅を削るしかない」と説明する。中堅MVNO社員も「やむなく値下げ合戦に加わった結果、赤字を深掘りすることになった」とうなだれる。 IIJなどのMVNO大手は現状、かろうじて契約回線数を維持できている。が、業界団体のテレコムサービス協会MVNO委員会の佐々木太志主査は、「キャリアとの競争は厳しく、とくにプランの見直しが遅れている各社は苦戦している」と話す。実際、ある中堅MVNO幹部は「昨春から解約率が従前の2倍近くにハネ上がり、高止まりしている」と嘆く。) 歴史を振り返ると、MVNOの先駆けは日本通信だ。1996年に法人向け携帯電話(通話のみ)のMVNOを、2001年にはDDIポケット(現ソフトバンク)のPHS回線を使ってデータ通信も行えるMVNOを開始した。 総務省は当時、MVNOに対し「大手の寡占で競争が停滞していた携帯市場に風穴を開けることを期待していた」(総務省関係者)。そのため、2007年にはMVNOの新規参入促進などを柱とした「モバイル市場活性化プラン」を策定。側面支援を続けてきた。 2010年代中盤には、楽天モバイルやmineoなどの参入が話題となり、「格安スマホ」という言葉が定着。複数のキャリア回線で使える「SIM(シム)フリー」のスマホ端末が普及したことも、MVNO市場の拡大を後押しした。以降は新規参入事業者が急増。2021年末時点で、全国約1600社を数える。 日本通信の福田尚久社長は「MVNOは低容量・低価格のニーズに加え、タブレット端末などの2台目、3台目SIMのニーズを取り込んできた」と振り返る。 一方、MVNOは舵取りの難しいビジネスでもある。通信網を自社で整備しなくていいとはいえ、とくにスケールメリットの効きにくい中小の事業者にとって回線の仕入れ費用の負担は重い。そのうえ、料金は大手キャリアより安くしなければ顧客にアピールできず、利幅は薄くなりがちだ。 中堅の日本通信の営業利益率は2021年4~12月期決算で約6%だが、これは事業立ち上げ期で営業赤字の続く楽天モバイルを除いたドコモ、KDDI、ソフトバンク(同20~22%)より圧倒的に低い。ある大手MVNOの幹部は「赤字の中小事業者も多いのでは」と推測する』、「MVNOは舵取りの難しいビジネスでもある。通信網を自社で整備しなくていいとはいえ、とくにスケールメリットの効きにくい中小の事業者にとって回線の仕入れ費用の負担は重い。そのうえ、料金は大手キャリアより安くしなければ顧客にアピールできず、利幅は薄くなりがち」、「ある大手MVNOの幹部は「赤字の中小事業者も多いのでは」と推測する」、なるほど。
・『座して死を待つわけじゃない  総務省の調査(2021年3月)では、ニューヨークなど世界主要6都市における携帯料金(20GB)の比較で、東京はロンドンに次いで低い水準となった。国際的に最も高い水準だった2020年から状況は一変しており、「(競争を促進する)MVNOの歴史的使命は終わった」(証券アナリスト)とまで言われている。 だが、MVNO各社は「座して死を待つ」わけではなさそうだ。マイネオを展開するオプテージの福留康和モバイル事業戦略部長は、「MVNOは大手キャリアと比べて(回線数が少なく)小回りがきくため、ニッチな顧客ニーズを実現しやすい。存在意義はこれからもなくならない」と反論する。 挽回に向けた動きも活発化している。大手キャリアの値下げで状況が一変したこの1年で、MVNO各社は「契約することで社会貢献ができる」「キャリア並みの通信品質」などの個性的なプランを相次ぎ投入している。 2021年10月には、ドコモが旗振り役となる異色のMVNO振興策「エコノミーMVNO」も始まった。提携するMVNOのプランを全国のドコモショップで販売するというものだ。ドコモ側にも提携したMVNOを「dポイント経済圏」に囲い込むどの狙いがあるようだ(詳細は3月22日配信記事:ドコモが「敵に塩」?格安スマホ囲い込む策の魂胆)。 安さを売りに一時代を築いた各社は、新たな存在意義を見いだし復権できるのか。MVNO事業者は、生き残りをかけた正念場を迎えている』、「ドコモが旗振り役となる異色のMVNO振興策「エコノミーMVNO」も始まった。提携するMVNOのプランを全国のドコモショップで販売するというもの」、「MVNO事業者は、生き残りをかけた正念場を迎えている」、というのは確かだ。

次に、6月6日付け東洋経済オンライン「ドコモだけが「店舗大リストラ」に動いた複雑事情 コスト削減大号令、「1000億円以上浮く」試算も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/594399
・『向こう4年で最大3割の店舗を削減へ。NTTグループの全体戦略を俯瞰すると、ドコモがコスト削減に注力せざるをえない事情も見えてくる。 大胆な”店舗リストラ”の背景にはどんな思惑があるのか。 ドコモが全国の「ドコモショップ」の大幅削減に踏み出す。2023年3月期中に100店舗を、2026年3月期までに700店舗を減らし、2022年2月時点(2308店舗)から最大で3割近く削減する見通しだ。 携帯電話の契約数で業界首位のドコモは、店舗数でも現在業界最大規模。だが計画どおりに削減が進めば、単純計算でソフトバンク(2268店舗)やKDDI(2143店舗)より少ない「業界3番手」となる。 大手3社の販売店は、人口減少やオンライン経由の契約の比率が高まったことに伴い、近年微減傾向ではあった。ただ、大胆な削減に乗り出す会社はこれまでになく、新規参入の楽天モバイルはむしろ店舗拡大に積極的。店舗戦略は各社”まだら模様”だ』、「最大で3割近く削減する見通し」、かなり思い切った「削減」だ。
・『コスト削減効果は「1000億円以上」  そうした状況下で、なぜドコモは店舗削減に踏み込むのか。最大の目的はコスト削減だ。 「(700店舗を削減すれば)1000億円以上のコストカットになる」。SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストはこう試算する。 ドコモによると、2022年3月期に代理店へ支払った手数料や支援金など販売関連費用の総額は3266億円。この費用はおおむね店舗数に比例してかかるため、店舗数が3割減れば費用も3割ほど減ると、ざっくり計算できるわけだ。 店舗を削減する分、同社はリモート接客体制を強化するとしているが、リアル店に比べれば大きな負担減となるとみられる。 ドコモは2023年3月期(2022年1月に連結子会社化したNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアを含む)の営業利益を1兆0840億円(前期比1%増)と計画している。が、達成に向けては”綱渡り”状態であるといえ、そのことが今回の店舗削減にも関係している。 主軸の通信事業では2021年3月から投入した廉価なオンライン専用プラン「ahamo(アハモ)」への契約切り替えなどが進み、減収・減益トレンドが続く。これを「dカード」などの金融・決済や法人事業の伸びで補い、かろうじて増益基調を維持しているのが現状だ。 そんなドコモにとって、4年で1000億円におよぶコスト削減効果は極めて大きな意味を持つ。加えて、NTTグループの全体戦略を俯瞰すると、ドコモにはコスト削減に注力せざるをえない別の事情も見えてくる。 持ち株会社のNTTは、2021年10月に修正した中期経営戦略の中で、2024年3月期までに2018年3月期比で固定通信(固定電話など)と移動通信(携帯電話など)の事業にかかるコストを、累計1兆円以上削減する目標をぶち上げている。EPS(1株当たり純利益)を高め、株式市場での評価をさらに上げる狙いがある』、「ドコモにとって、4年で1000億円におよぶコスト削減効果は極めて大きな意味」、「持ち株会社のNTTは、2021年10月に修正した中期経営戦略の中で、2024年3月期までに2018年3月期比で固定通信・・・と移動通信・・・の事業にかかるコストを、累計1兆円以上削減する目標」、なるほど。
・『ショップ削減以外のコスト削減も  あるNTT関係者は「1兆円の内訳のうち、ドコモが半分程度を占める」と明かす。NTTの2022年3月期決算を見ると、ドコモを含む「総合ICT事業」の営業費用は全体の5割を占める。通信値下げ影響で大幅な増収が見込めない中、ドコモ事業の採算改善は急務だった。 ドコモのコスト削減額の内訳については「5割が販売関連費用、4割が基地局関連、1割がその他費用になる計画」(同)。ショップ削減とオンライン化推進は、まさに目玉施策の1つに位置づけられているようだ。 上記の1兆円計画とは別に、ドコモはコム、コムウェアとの統合により2024年3月期までに1000億円、2026年3月期までに2000億円の営業利益を創出することも掲げている。その内訳は増収効果と経費削減で半分ずつという方針で、この面でも各分野のコスト削減圧力は高まりつつあった。 コスト削減の大波はショップなど販売関連以外にもおよんでいる。例えば、NTTグループの中でも高水準とされるドコモ社員の給与水準切り下げ、5G基地局工事の効率化促進などだ。今後も2024年、2026年のそれぞれの目標に向け、追加的に施策を打つ可能性もありそうだ。) 今回明らかになったショップ削減に関していえば、今後の焦点はドコモの店舗削減が計画通りに進むのか、そして他キャリアも追随する形でショップ削減に踏み切るのか、という2点だ。 まず、店舗削減が計画通り進むのか。これに関しては、ドコモ側とショップを運営する販売代理店が協議を重ねているさなかとみられる。 ある大手代理店は「今期減らす分について目下交渉中で、まだ削減店舗を最終的に絞り切れていない」と明かす。将来的に削減する700店舗は「どこの店舗が対象になるのかもまったくわからない」(同)のが実態だ。 代理店にとって、今回ドコモが打ち出した削減方針は自社の存亡にかかわる一大事といえる(詳細は6月6日配信記事:ドコモが大量閉店へ、「ショップの潰し方」の全貌)。今後交渉が難航することも考えられる。 また、社内からは「ドコモショップを通じて販売している『ドコモ光』や『ドコモでんき』の売れ行きが鈍れば(供給元であるNTT東日本など)グループ全体に悪影響が出ないか」(NTTドコモの関係者)と懸念する声も聞かれる。こうした方面から戦略の見直しを迫られる可能性もゼロではない』、「代理店にとって」、「自社の存亡にかかわる一大事」、「今後交渉が難航することも考えられる」、「「ドコモショップを通じて販売している『ドコモ光』や『ドコモでんき』の売れ行きが鈍れば・・・グループ全体に悪影響」、「戦略の見直しを迫られる可能性もゼロではない」、なるほど。
・『ドコモとは事情の異なる他キャリア  他キャリアの追随についてはどうか。KDDIやソフトバンクは廉価なサブブランド「UQモバイル」「ワイモバイル」が近年の契約数増を牽引しているが、いずれも店舗での接客サービスに対応しているのが売りだ。 一方のドコモは、そうしたサブブランドを持たず、伸びているのはオンライン専用で契約時にリアル店舗をほぼ通さないアハモ。ほかの2社とは事情が異なり、各社の店舗戦略については「ドコモは利益追求のために削減、KDDI、ソフトバンク、楽天は契約数拡大のために残存と、違いがより鮮明化するのでは」(冒頭の菊池悟シニアアナリスト)との指摘がある。 とはいえ、他キャリアの動向について「オンライン契約比率がさらに高まっていけば(新規参入組の楽天モバイルを除く)大手2社もいずれドコモに追随するのでは」(中堅販売代理店)とみる向きもある。 ドコモショップ削減の余波は今後、社内外の各方面に出てきそうだ』、「ドコモは利益追求のために削減、KDDI、ソフトバンク、楽天は契約数拡大のために残存と、違いがより鮮明化するのでは」・・・との指摘」、「他キャリアの動向について「オンライン契約比率がさらに高まっていけば・・・大手2社もいずれドコモに追随するのでは」・・・とみる向きも」、当面は「ドコモ」だけが「削減」となりそうだ。

第三に、6月6日付け東洋経済オンライン「ドコモが大量閉店へ、「ショップの潰し方」の全貌 代理店を撤退に追い込む「3つのステップ」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/594453
・『来春までに100店以上の大量閉店を目指すドコモ。そのために代理店を“追い込む”施策を行っている。 「ドコモはショップを干し上げて利益を出せないようにしてから『やめるなら今のうちだぞ』と言ってきた。これは脅しだ」。あるドコモ代理店の幹部は、憤りの表情でまくし立てた。 ドコモはショップの経営が厳しくなる条件変更や独自商材・サービスへの制約を一方的に行ったうえで、運営する代理店に対し「申込期限付きの閉店支援金」を提示し、早期の決断を迫っている。ドコモのやり方に対し、有識者からは「優越的地位の濫用に当たる可能性がある」との指摘が出ている』、「ドコモ」としては、「優越的地位の濫用に当たる可能性」との「指摘」が出ることは覚悟の上で、踏み切った可能性がある。
・『一方的に条件を変更  複数の関係者によると、コスト削減を目的にドコモは約2300あるドコモショップのうち、まず2022年度末(2023年3月末)までに「少なくとも100店舗以上」の閉店を進める方針だ。翌年度以降も大量閉店を推し進め、数年内に1500~1600店ほどに絞りたい考えだという。 ドコモが100%子会社を通じて事実上、直営するショップ数は30のみ。98%以上のショップは代理店が運営する。ドコモの社内計画に沿った大量閉店の実現は、代理店に多数のショップを閉めさせなければ不可能だ。もしドコモが合理的な理由がなく代理店に閉店を命じれば、代理店との間で訴訟沙汰になりかねない。 ドコモもそこは認識しているのか、「著しい成績不良などやめさせる名目」がない限り、直接的な閉店命令までは下していない。その代わりにドコモが大量スピード閉店のために行っているのが、「3つのステップ」だ。 まずステップ1は、ショップへのインセンティブ(通信契約の獲得数などに応じた報奨金)や支援金の大幅カット、または廃止だ。インセンティブはドコモが店舗ごとに定めたノルマ(例えば他社からの通信契約の乗り換え獲得数)の達成率などで決まる。 ドコモのインセンティブカットの手法はすでに詳報しているが、目標値はドコモが一方的に決めるため、自由にバーを高くできる。これによって代理店の成績評価を下げ、インセンティブをいくらでもカットできる。) このインセンティブの条件の厳格化を如実に表す数字がある。約370のドコモショップを運営するドコモ最大の代理店・コネクシオの2022年3月期決算(2021年4月~2022年3月31日)の期初計画と、このほど発表された結果との乖離だ。 2021年3月期に営業利益106億円稼いだ同社は、ドコモが2021年3月下旬からオンライン受付専用の割安プラン「ahamo」を投入した影響などの逆風を考慮し、2021年4月に発表した2022年3月期の期初計画で営業利益予想を前年度比9.1%減の97億円としていた。 だが、コネクシオは2022年1月、営業利益予想を期初計画比からは17.5%減、対前年度比では25.0%減となる80億円へと大幅に下方修正し、ドコモの代理店関係者の間で大きな話題になった。結局、4月27日に発表した実際の結果は下方修正とほぼ同じ営業利益80億円強となった。 コネクシオが5月12日に開いた決算説明会で、直田宏社長は当初の見通しとのズレについて「通信キャリア(ドコモ)の手数料体系変更による手数料収入の減少が主な原因だ。条件悪化のスピードと規模感は想定を大きく上回るものになった」と率直に語った』、「ドコモが大量スピード閉店のために行っているのが、「3つのステップ」だ。 まずステップ1は、ショップへのインセンティブ(通信契約の獲得数などに応じた報奨金)や支援金の大幅カット、または廃止だ」、「ドコモ最大の代理店・コネクシオの2022年3月期決算」、「下方修正とほぼ同じ営業利益80億円強となった」、「「通信キャリア(ドコモ)の手数料体系変更による手数料収入の減少が主な原因だ。条件悪化のスピードと規模感は想定を大きく上回るものになった」、やはり「ステップ1」は冷徹に実施されたようだ。
・『代理店の独自商材を制限  ステップ2は、代理店が生き残りをかけて取り組む独自商材・サービスへの制限や介入だ。代理店はインセンティブの減収を補うため、あの手この手で独自の収益を増やそうとしてきた。 代理店が期待をかけていた独自収益の目玉の一つに「ENEOSでんき」という電力小売りの代理販売がある。ショップに来た客の電気契約を「ENEOSでんき」に乗り換えさせれば、ENEOSから手数料がもらえるものだ。代理店関係者によると「1契約の獲得あたり8000円ほどもらえる好条件」という。前出のコネクシオも2021年7月から独自収益の目玉として「ENEOSでんき」の取り扱いを始め、好調だった。 だが、ドコモが2021年12月下旬以降に突如として、2022年3月から「ドコモでんき」を開始して電力小売りに参入することを代理店に通達。ドコモから「ドコモでんき」の販売への注力を求められた代理店は、「ENEOSでんき」の取り扱いを断念せざるをえなくなったという。 代理店関係者によると、「ドコモでんき」の手数料は「ENEOSでんき」の半分程度。だが、「ドコモでんき」はドコモが代理店の成績を総合評価する「統一評価」の査定に組み込まれている。統一評価は、四半期ごとに行われる5段階のランク分けだ。 低評価の「1」か「2」を取るとドコモからの支援金が大幅カットされるほか、連続で「2」以下を取ると成績不振を理由に強制的に閉店させられるという。「ドコモでんき」と競合する「ENEOSでんき」の取り扱いを続ければ、この統一評価に少なからず響くようだ。 「ENEOSでんき」の取り扱いを諦めた代理店関係者は、統一評価に響くだけに「ドコモのほうが完全な『後出し』だが、従うほかに道はなかった。『ドコモでんき』は事実上、強制なのだから」と話す。 さらにドコモは昨春から、ショップによる「端末を購入した来店客の初期設定サポート」など有料の接客サービスにも介入し、高率の手数料を取る。初期設定サポートの場合、ドコモが料金を一律3300円に定めるうえ、3分の1の1100円を手数料として代理店から徴収しているのだ。 代理店関係者は「うちが人件費を払うスタッフが長い時は1時間以上割いて対応するサービスなのに、ドコモから3割以上の手数料を取られるので、メリットは限られる。ドコモの担当者に手数料の根拠を聞くと『看板代だ』といわれた」とこぼす』、「「ENEOSでんき」の取り扱いを諦めた代理店関係者は、統一評価に響くだけに「ドコモのほうが完全な『後出し』だが、従うほかに道はなかった。『ドコモでんき』は事実上、強制なのだから」と話す」、「完全な『後出し』」でも「事実上、強制」するとは、ひどい。。
・『期限付きの閉店支援金  ドコモがステップ1やステップ2で代理店の稼ぎを減らしたり、独自収益の拡大を阻害したりする「兵糧攻め」を行ったうえで、仕上げに行うのがステップ3の「タイムリミット付きの閉店の募集」だ。 代理店関係者によると今春、ドコモは代理店に対し、2023年3月末までの閉店を2022年10月末までに申し出れば「店舗統廃合支援費」を出す方針を伝えている。具体的には、ショップ規模に応じて毎月出している「運営体制支援」「家賃支援」などの支援金を10カ月分支払う条件を提示している。支援費は店舗で異なるが、代理店関係者の試算では1店舗当たりおおよそ1500万~2000万円程度の見込みだという。 だが、ドコモショップを運営する代理店は5年や10年、あるいはそれ以上の賃貸借契約をしているところも少なくない。代理店にとっては予期しなかったタイミングでの撤退となれば、残る賃料負担など不慮の損害が発生しうる。 代理店関係者は「社員の雇用をどうするのかの問題もある。諸々考えれば支援費はかなり少ない」としつつ、「このままショップを続けても、ますますドコモからのインセンティブ条件は厳しくなるだろう。難しい決断だ」と嘆く。 代理店やフランチャイズ問題に詳しい中村昌典弁護士は「ドコモの手法は代理店の同意がない条件変更などで経営的に追い込んでおり、3つのステップをトータルで見て『優越的地位の濫用』にあたる可能性が高い。独自商材・サービスへの介入や制限は、『拘束条件付き取引』として違法になるおそれがある」と指摘する』、「ステップ3の「タイムリミット付きの閉店の募集」だ。 代理店関係者によると今春、ドコモは代理店に対し、2023年3月末までの閉店を2022年10月末までに申し出れば「店舗統廃合支援費」を出す方針」、しかし、「ドコモショップを運営する代理店は5年や10年、あるいはそれ以上の賃貸借契約をしているところも少なくない。代理店にとっては予期しなかったタイミングでの撤退となれば、残る賃料負担など不慮の損害が発生しうる」、「3つのステップをトータルで見て『優越的地位の濫用』にあたる可能性が高い。独自商材・サービスへの介入や制限は、『拘束条件付き取引』として違法になるおそれがある」と指摘」、いくら独禁法上、問題があっても、「公取委」の判断が出るまでには時間がかかり、事実上、適用は難しいのではあるまいか。
・『店舗数は「3割程度減少していく」  ドコモ側に、大量閉店計画に関する一連の問題を尋ねると、「中期的には店舗数は3割程度減少していくと見込んでいる」と回答した。全国2300店の「3割程度」は700店弱。「1500〜1600店に絞る」という冒頭の代理店関係者の話とも合致する。 一方で、インセンティブの一方的な大幅削減や独自商材・サービスへの介入・制約の妥当性については回答がなかった。 ドコモ自身も、通信料金の値下げによって収益力が低下し、岐路に立っているのは間違いない。オンラインシフトを進めている事情もある(詳細は6月6日配信記事:ドコモだけが「店舗大リストラ」に動いた複雑事情)。 とはいえ、自社の都合を優先するあまり、立場の弱い代理店を3つのステップで追い込み、急速な大量閉店を実現させようとするやり方に、はたして大義はあるのか。公共の通信電波を扱う「インフラ企業」としてのモラルが問われている』、「自社の都合を優先するあまり、立場の弱い代理店を3つのステップで追い込み、急速な大量閉店を実現させようとするやり方に、はたして大義はあるのか。公共の通信電波を扱う「インフラ企業」としてのモラルが問われている」、同感である。
タグ:携帯・スマホ (その8)(格安事業者はもう不要?大手値下げで消滅危機 格安スマホ 「7年で7割減」市場の壮絶生存バトル、ドコモだけが「店舗大リストラ」に動いた複雑事情 コスト削減大号令 「1000億円以上浮く」試算も、ドコモが大量閉店へ 「ショップの潰し方」の全貌 代理店を撤退に追い込む「3つのステップ」) 東洋経済オンライン「格安事業者はもう不要?大手値下げで消滅危機 格安スマホ、「7年で7割減」市場の壮絶生存バトル」 「契約回線数は7年で7割減」とは衝撃的な予測だ。 「かつてはMVNOにカウントされていたこれらサービス(楽天モバイルとLINEモバイル)がMNO側に移ることで、MVNO側の見かけ上の減りが大きくなるわけだ。 より本質的、かつMVNO勢にとって深刻なのは、2つ目の要因だ。野村総研の澤田和志主任コンサルタントは、「今後は大手キャリアのサブブランドや、昨春から開始した新料金プランへの顧客流出が急増する」とみる」「MVNOのほぼ唯一にして最大の売りであった「価格優位性」が、消滅しかかっているからだ」、なるほど。 「MVNOは舵取りの難しいビジネスでもある。通信網を自社で整備しなくていいとはいえ、とくにスケールメリットの効きにくい中小の事業者にとって回線の仕入れ費用の負担は重い。そのうえ、料金は大手キャリアより安くしなければ顧客にアピールできず、利幅は薄くなりがち」、「ある大手MVNOの幹部は「赤字の中小事業者も多いのでは」と推測する」、なるほど。 「ドコモが旗振り役となる異色のMVNO振興策「エコノミーMVNO」も始まった。提携するMVNOのプランを全国のドコモショップで販売するというもの」、「MVNO事業者は、生き残りをかけた正念場を迎えている」、というのは確かだ。 東洋経済オンライン「ドコモだけが「店舗大リストラ」に動いた複雑事情 コスト削減大号令、「1000億円以上浮く」試算も」 「最大で3割近く削減する見通し」、かなり思い切った「削減」だ。 「ドコモにとって、4年で1000億円におよぶコスト削減効果は極めて大きな意味」、「持ち株会社のNTTは、2021年10月に修正した中期経営戦略の中で、2024年3月期までに2018年3月期比で固定通信・・・と移動通信・・・の事業にかかるコストを、累計1兆円以上削減する目標」、なるほど。 「代理店にとって」、「自社の存亡にかかわる一大事」、「今後交渉が難航することも考えられる」、「「ドコモショップを通じて販売している『ドコモ光』や『ドコモでんき』の売れ行きが鈍れば・・・グループ全体に悪影響」、「戦略の見直しを迫られる可能性もゼロではない」、なるほど。 「ドコモは利益追求のために削減、KDDI、ソフトバンク、楽天は契約数拡大のために残存と、違いがより鮮明化するのでは」・・・との指摘」、「他キャリアの動向について「オンライン契約比率がさらに高まっていけば・・・大手2社もいずれドコモに追随するのでは」・・・とみる向きも」、当面は「ドコモ」だけが「削減」となりそうだ。 東洋経済オンライン「ドコモが大量閉店へ、「ショップの潰し方」の全貌 代理店を撤退に追い込む「3つのステップ」」 「ドコモ」としては、「優越的地位の濫用に当たる可能性」との「指摘」が出ることは覚悟の上で、踏み切った可能性がある。 「ドコモが大量スピード閉店のために行っているのが、「3つのステップ」だ。 まずステップ1は、ショップへのインセンティブ(通信契約の獲得数などに応じた報奨金)や支援金の大幅カット、または廃止だ」、「ドコモ最大の代理店・コネクシオの2022年3月期決算」、「下方修正とほぼ同じ営業利益80億円強となった」、「「通信キャリア(ドコモ)の手数料体系変更による手数料収入の減少が主な原因だ。条件悪化のスピードと規模感は想定を大きく上回るものになった」、やはり「ステップ1」は冷徹に実施されたようだ。 「「ENEOSでんき」の取り扱いを諦めた代理店関係者は、統一評価に響くだけに「ドコモのほうが完全な『後出し』だが、従うほかに道はなかった。『ドコモでんき』は事実上、強制なのだから」と話す」、「完全な『後出し』」でも「事実上、強制」するとは、ひどい。。 「ステップ3の「タイムリミット付きの閉店の募集」だ。 代理店関係者によると今春、ドコモは代理店に対し、2023年3月末までの閉店を2022年10月末までに申し出れば「店舗統廃合支援費」を出す方針」、しかし、「ドコモショップを運営する代理店は5年や10年、あるいはそれ以上の賃貸借契約をしているところも少なくない。代理店にとっては予期しなかったタイミングでの撤退となれば、残る賃料負担など不慮の損害が発生しうる」、「3つのステップをトータルで見て『優越的地位の濫用』にあたる可能性が高い。独自商材・サービスへの介 「自社の都合を優先するあまり、立場の弱い代理店を3つのステップで追い込み、急速な大量閉店を実現させようとするやり方に、はたして大義はあるのか。公共の通信電波を扱う「インフラ企業」としてのモラルが問われている」、同感である。
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EC(電子商取引)(その9)(アマゾンが17年前から「パワポ禁止」する深い理由 花形職種も容赦なく自動化する「変革」の精神、楽天証券 「1%ポイント還元」の重すぎた代償 付与率が0.2%に引き下げへ 改悪変更の必然、コロナ禍で急成長の「越境EC」 海外で人気の日本製商品とは) [産業動向]

EC(電子商取引)については、昨年8月15日に取上げた。今日は、(その9)(アマゾンが17年前から「パワポ禁止」する深い理由 花形職種も容赦なく自動化する「変革」の精神、楽天証券 「1%ポイント還元」の重すぎた代償 付与率が0.2%に引き下げへ 改悪変更の必然、コロナ禍で急成長の「越境EC」 海外で人気の日本製商品とは)である。

先ずは、昨年10月16日付け東洋経済オンラインが掲載した「バズフィード・ニュース」テクノロジー担当シニアレポーター のアレックス・カントロウィッツ氏による「アマゾンが17年前から「パワポ禁止」する深い理由 花形職種も容赦なく自動化する「変革」の精神」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/462108
・『他の追随を許さないアメリカの巨大IT企業群、GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)。この5社の株式時価総額だけで日本株全体の時価総額を上回るほどのビッグ・テックが、世界経済に大きな影響を与えていることは誰もが知るとおりだ。 そんなGAFAMの中から、「創業初日」を合い言葉にして新たなビジネスを創出し続けるアマゾンをピックアップ。創始者でありCEOであるジェフ・ベゾスが従業員たちの変革の力をどのように導いてきたのか、『GAFAMのエンジニア思考』(アレックス・カントロウィッツ著)より一部抜粋・編集してお届けする』、「「創業初日」を合い言葉にして新たなビジネスを創出し続けるアマゾン」、興味深そうだ。
・『アマゾン本社ビル1階に「最先端コンビニ」  アマゾンは、デイワン(創業初日)オフィス棟の1階に、アマゾンGOというレジのない新形式のコンビニエンスストアを運営している。 GOで何かを買うときは、入口でまずアプリをスキャンして、欲しいものを棚からとって、あとは……出ていくだけだ。しばらくすると、買った品物の代金が記載された領収書がアマゾンからスマートフォンに届く。GOには行列も順番待ちもレジも必要ない。まるで未来を見ているかのようだ。おそらく未来はこうなるのだろう。 GOでは、あらゆる方向に向いたカメラやセンサーが天井に並び、陳列棚の間を歩く人の身体とその動きをとらえている。 コンピューター・ビジョン(機械学習の1種)を利用して、GOはあなたが誰で、何を手にとり、何を棚に戻したかを把握する。それから課金する。何度も試した経験からいって、GOはほぼ間違えることがない。 GOの背景にある物語は、ハードウェアとプログラムにとどまらない。それは何よりも、目には見えないアマゾンならではの企業文化の成果なのだ。 アマゾンでは、ジェフ・ベゾスが変革を社内に行き渡らせていて、GOなどの新しい実験的企画の創造を会社のビジネスの中心にすえて、主要なアマゾン・ドットコム(ドットコム)の運用と並べて重要視している。 アマゾンに属するすべての人はヒエラルキーの最上層から最下層に至るまで、誰もがアイデアを出せる。そしてベゾスはできる限りすべてを自動化することで、変革の余地をさらに増やす。 ベゾスの仕事は、ただ創意工夫をうながすことだけではない。ベゾスはアイデアが大量に生まれるような仕組みをつくり、一度採用したアイデアに対しては成功に向けてあらゆるチャンスを与えてきた。 たとえばGOは当初、巨大な自動販売機として提案された。それがベゾスの検討を経て、人間の購買行動を変える力を持った存在に変身したのだ。 私たちがスピーカーや電子レンジ、時計に話しかけるようになったのは、ベゾスの変革の文化がきっかけだ。どれもアマゾンの音声AI「アレクサ」が組み込まれている機器である。 本をモニターで読むようになり、会社をクラウド上でつくるようになり、インターネットで思うままに買い物をするようになったのもアマゾンの影響だ。おそらくもうすぐ、レジに寄らずにどの店からも出ていくようになるだろう。 「変革はベゾスの燃料、彼の知性を刺激するものです。変革は彼の体に組み込まれ、アマゾンという企業の基礎になっています」と、アマゾンのワールドワイド・コンシューマー部門CEOでベゾスの片腕のジェフ・ウィルクは言う。「彼がいちばん楽しそうに見えるのは、創意工夫や洞察、革新、それから先進的な思考に出合ったときですからね」』、「変革はベゾスの燃料、彼の知性を刺激するものです。変革は彼の体に組み込まれ、アマゾンという企業の基礎になっています」、「変革」を「アマゾン」内にビルトインするとは大したものだ。
・『2004年「パワポ」を全社で禁止  アマゾン内のすべての新プロジェクトは文書で始まる。2004年に、ジェフ・ベゾスがパワーポイントの使用を全社で禁止したからだ。ベゾスによればパワーポイントは「アイデアをもっともらしく言いつくろうことができる」ため、欠点があったり不完全なコンセプトでも、プレゼンテーションの時点では気づかないことが多いという。代わりに、新しい製品やサービスについてのアイデアを完全な文と段落で構成された文章にするようにとアマゾニアン(アマゾンで働く人々)に求めた。 新プロジェクトの文書は、未来を舞台に提案する製品がどんなものかについて、まだ誰も何もしていないうちに事細かに説明するものだ。 アマゾニアンたちは、これを「さかのぼって作業する」と呼ぶ。まず完成品を思い描いて、そこからさかのぼって取り組んでいくわけだ。 この文書は上限6ページで、行間を空けずに11ポイントのカリブリ・フォントで印字され、提案する新製品やサービスについて伝えたいことがすべて詳細に書かれる。 6ページ文書を書くのはSF小説を書くのに似ていると、ある元アマゾニアンは言った。 「それは、未来を舞台にした将来そうなると信じているものの物語、存在しないものについての物語です」 実際、6ページ文書にはフィクションも含まれる。提案する製品を世界に向けて発表するプレスリリースや、その製品の導入を歓迎する経営陣の声などが創作されることも多い。 6ページ文書が承認されると、提案者に予算が与えられ、人員を集めて、描いた夢を形づくることになる。そして変革をうながすために、6ページ文書を書いた本人をそのアイデアを実現するための責任者にする。それが重要なのだ。 この仕組みのなかで、アマゾニアンはプロジェクトの成功に向けて励む。6ページ文書を通してつねに改善し、調整し、創意工夫する。そしてベゾスは、彼らの活動をうながす役割を果たす』、「「パワポ」を全社で禁止」、とは画期的だ。確かに「パワーポイントは「アイデアをもっともらしく言いつくろうことができる」ため、欠点があったり不完全なコンセプトでも、プレゼンテーションの時点では気づかないことが多いという」、コンサルタントらの「パワポ」のプリゼンテーションは、聞いた直後は圧倒されるが、少し時間が経つと「本当かな」と疑問が沢山出てくるのが通常だ。「代わりに、新しい製品やサービスについてのアイデアを完全な文と段落で構成された文章にするようにとアマゾニアン(アマゾンで働く人々)に求めた」、「6ページ文書を書いた本人をそのアイデアを実現するための責任者にする」、「ベゾスは、彼らの活動をうながす役割を果たす」、「文書は上限6ページ」にまとめるのは大変だろう。
・『アマゾンを支える20万台のロボット  アマゾンが変革に集中するために活用しているのが、ロボットだ。 ベゾスは、より創造的な仕事をする自由を従業員に与えるために、できる限りあらゆるものを自動化しようとする。 アマゾンは過去8年にわたって、人間とロボットの協働の方法を探ってきた。2012年3月には、配送センターで使われるロボットのメーカー「キバ・システムズ」を買収し、それ以来驚くべきスピードでロボットの配備を進めてきた。 現在は約80万人の人間の従業員に加えて、20万台以上のロボットを「雇用」している。近隣のニューアーク・リバティ国際空港のコード名をとってEWR9と名づけられた倉庫では、約2000人が数百台のロボットと働いている。 さらにロボット技術の進歩によって、アマゾンは配送センター以外の配送業務の中核部分も自動化しようとしている。) EWR9では、これまで存在しなかった職種を次から次へと耳にすることになった。 ロボティクスフロア・テクニシャン、アメニティー・プロフェッショナル(ロボットが落とした商品を掃除する)、ICQAメンバー(棚の品物を数えて、システム上の数と合っていることを確認する)、クォーターバック(上階からロボティクスフロアを監視する)など。 アマゾンは20万台のロボットを増やしたと同時に、人間の仕事も30万個増やしたのだ。 アマゾンの自動化推進は必ずしもアソシエイトを解雇することにはつながらないが、彼らに対してつねに変わりつづけることを強制する。変わりつづけることは退屈しない反面、消耗するものだ。アマゾンでは、ある日やっていた仕事が次の日にはコンピューターやロボットに置きかえられても不思議ではない。 つねに変わりつづけることは、変化にうまく対応できない人には過酷かもしれないとベゾスも認めている』、「現在は約80万人の人間の従業員に加えて、20万台以上のロボットを「雇用」」、4人で1台とは、ロボットの割合はかなり高いようだ。
・『「花形職種」にも自動化の波  アマゾンは「ハンズオフ・ザ・ホイール(ハンドルから手を放す)」構想のもとで、社内の多種多様な事務作業を自動化している。 アマゾンには、フルフィルメントセンターでの処理をスムーズに進めるため「ベンダーマネジャー」という職位がある。 たとえばある洗剤メーカーを担当するベンダーマネジャーは、各フルフィルメントセンターに「どのくらいの量の洗剤を配置するか」「必要な時期はいつか」「1ユニットいくらで仕入れるか」などを割り出す。それから、メーカーと価格交渉をして発注する。 この職位は以前、社内であこがれのものだった。面白くて人間関係が築けて、世界トップクラスのブランドと接するきっかけになる仕事だったからだ。 しかしアマゾンではつねに、変化が近くに潜んでいる。 アマゾン幹部たちは「予測・値付け・購入」を含む旧来のベンダーマネジャーの仕事を自動化することに決めた。 アマゾンのベンダーマネジャーは、決定の際に単に機械学習アルゴリズムの予測を参考にするだけでなく、自動化システムに仕事をやらせるように指示された。 このようにして、ベンダーマネジャーの仕事は大幅に変わった。ベンダーマネジャーは、いまや実行者というより監査人だ。 ハンズオフ・ザ・ホイールのおかげで、アマゾンの小売部門は現在、以前よりもずっと堅実で効率的に運営されている。アマゾン・マーケットプレイスもこのコンセプトに沿って運営されていて、中間業者としてのアマゾンが販売を請け負うのではなく、アマゾンのサイト上にベンダーが直接リストアップされる』、「ベンダーマネジャー・・・の職位は以前、社内であこがれのものだった。 アマゾンのベンダーマネジャーは、決定の際に単に機械学習アルゴリズムの予測を参考にするだけでなく、自動化システムに仕事をやらせるように指示された」、中核的な仕事も自動化するとはさすがだ。
・『急増する2つの職種  いまではベンダーマネジャーという仕事の人気も少し下がって、多くのベンダーマネジャーがアマゾン内の別の職位に移った。主に、プログラムマネジャーとプロダクトマネジャーという2種類の職種のどちらかだ。 どちらも、アマゾン内で創意工夫を担当する仕事である。新しいことを構想し、実現までの面倒を見る。プロダクトマネジャーは個別の商品開発を担当し、プログラムマネジャーは複数の関連するプロジェクトに関わることが多い。 リンクトインのデータによれば、この2つは現在アマゾン内で最も急速に増えている職種だ。 小売り部門の仕事を自動化することで、アマゾンは新しい変革の機会を開いている。ウィルクによれば、それはずっと前から計画されてきたという。 「こういうつまらない繰り返される仕事をしていた人たちは、いまや解放されて変革に関わる仕事に就いています。機械には難しすぎる仕事にね」 現在の社会には、技術志向の人間は創造的に考えず、創造的な人間は技術的に考えないという思い込みがある。片方にアーティストやミュージシャンをおき、他方にプログラマーや数学者をおく。右脳対左脳というやつだ。 しかしアマゾンでは、ベゾスが両者を統合する方法を教えてくれる。彼に後押しされてアマゾニアンは未来を想像し、SFを書き、プログラミングし、自動化し、次を想像するのだ』、「多くのベンダーマネジャーがアマゾン内の別の職位に移った。主に、プログラムマネジャーとプロダクトマネジャーという2種類の職種のどちらかだ。 どちらも、アマゾン内で創意工夫を担当する仕事」、社内で陳腐化した職種から、「創意工夫」を要する仕事」へと従業員をシフトさせたというのは、素晴らしいことだ。これでは、日本企業との生産性格差は開く一方だ。

次に、本年2月13日付け東洋経済オンライン「楽天証券、「1%ポイント還元」の重すぎた代償 付与率が0.2%に引き下げへ、改悪変更の必然」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/576808
・『利用者の多くに「改悪」と受け止められた還元率の引き下げ。その背景には、のっぴきならない事情があった。 「ビジネスとしての正常化をはかるため、こうした手を打つことになった」 2月2日、決算説明会に登壇した楽天証券の楠雄治社長は苦い表情を浮かべた。ポイント還元の見直しで、「ネット上でも散々コメントが出ている」(楠社長)からだ。 楽天証券は投資信託購入時のポイント還元を見直す。従来は楽天グループ傘下のクレジットカードを用いて投信を積立購入すると、購入額の1%をポイントとして還元していた。だが2022年9月以降、一部を除いて還元率を0.2%とする。 楽天グループの電子マネー・楽天キャッシュを経由すれば0.5%還元、投信の保有費用である信託報酬が0.4%以上のファンドについては従来どおり1%還元など、いくつか例外はある。が、利用者の多くには“改悪”と受け止められた』、「ポイント還元」が「購入額の1%」から「0.2%」では、手厚過ぎた分を是正したつもりだろうが、「“改悪”と受け止められた」のもやむを得ないだろう。
・『昨年末から始まっていた見直し  楽天証券ではポイント関連施策の見直しが相次いでいる。2021年12月にも、投信の残高に応じて毎月付与してきたポイントを見直し、4月以降は一定額に到達するたびに1度だけ付与する形式にする。 手厚いポイント還元は口座獲得の原動力となってきた。競合するSBI証券やマネックス証券、松井証券などと比べても高い還元率で、2021年12月には700万口座を達成。単体の証券会社としては業界トップの水準まで登り詰めた。 ポイント還元率を見直せば、新規顧客の獲得が鈍る可能性が高い。それどころか、既存の顧客が競合他社へ流れる可能性もある。実際、すでにSBI証券やマネックス証券が足元で投信やポイント関連施策の増強を表明。顧客争奪戦が激しさを増している。 楽天証券としてもこうした批判や顧客流出は一定程度覚悟していたはず。それでも見直しに動いたのには、のっぴきならない事情がある。 楽天証券の過去4年間の営業利益率をみると、2018年から減少傾向が続いている。つまり、収益が増えても利益が増えにくいという問題にぶち当たっているということだ。 この間、外部環境はかつてないほどの追い風だった。とくに2020年夏以降はコロナ禍の金融緩和で巨額のマネーが資本市場に流入し、株価が上昇。日経平均株価やアメリカのS&P500なども急上昇した。コロナ禍の10万円給付などを機に新たに投資を始める人も増え、多くの証券会社が増収増益を連発した』、「楽天証券の過去4年間の営業利益率をみると、2018年から減少傾向」、「手厚いポイント還元」を「顧客流出」を「一定程度覚悟」した上で、「見直しに動いた」のはやむを得なかったようだ。
・『ポイント原資も重い負担に  ただ、楽天証券では収益が増えても利益があまり増えなかった。理由はいたって単純で、収益が伸びるのと同時に費用が増えていたからだ。中でも広告宣伝費は2019年からの3年間で44億円から98億円まで増えた。 また、利益が伸び悩んだ理由としては「ポイントとカード決済に関する手数料、こういったところが非常に大きなインパクトになっていた」(楠社長)のだ。 さらに、ポイントを付与してきた投資信託という商品が、証券会社にとって極端に利益の薄い商品だという問題もあった。 例えば楽天証券で最も売れているS&P500連動の投信は、信託報酬が年率約0.096%しかない。このうち販売会社である楽天証券は、年率約0.034%を受け取ることになる。) 現状では、仮に投資信託を毎月3万円分楽天カードで積立購入したとすると、楽天ポイントは1回につき300ポイント付与されている。一方で楽天証券がこの3万円分の投信について得られる収益は年間10円ほどだ。長期保有が前提の投資信託とはいえ、投じたコストの回収に時間がかかりすぎていた』、もともとの「ポイント付与」が甘過ぎたのではあるまいか。
・『激化する顧客争奪戦の行方  SBIホールディングスの北尾吉孝社長は1月31日に開いた業績説明会で「楽天は自分たちのポイント制度を改悪しちゃった。だからどんどんウチ(SBI)へ移ってくる。ウチはそれに追い打ちをかけるように、お客様が(口座)移管前の他社に支払った手数料をSBI証券で全額負担する」と発言。 SBI証券では三井住友カードで投信を購入すると0.5%以上のポイント還元が受けられるサービスを以前から提供しているほか、マネックス証券も「マネックスカード」で投資信託を購入すると、購入額の1.1%のポイントを付与するサービスを2月7日に発表した。いずれも見直し後の楽天証券より高い還元水準だ。 激化する顧客獲得競争はどこへ向かうのか。株式や投資信託などの金融商品は、どの証券会社で購入しても基本的に同じ商品。それだけに、1999年に実施された株式の取引手数料自由化以降、ネット証券を中心に各社は手数料の引き下げと、サービスの使い勝手向上にしのぎを削ってきた。 ただ、過剰な価格競争や還元施策は証券会社の経営を揺るがしかねない。他社との競争に向き合いつつ、利益を確保できるビジネスモデルを確立できるか。経営陣には今後も難しい舵取りが求められそうだ』、「楽天証券」から「SBI証券」、「マネックス証券」にどの程度顧客が移動するか、当面の注目点だ。

第三に、2月15日付けダイヤモンド・オンライン「コロナ禍で急成長の「越境EC」、海外で人気の日本製商品とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/294353
・『インターネットを介して商品を買ったり、サービスを受けたりするEC(電子商取引)は、インターネットの普及とともに私たちの生活に根付いてきた。さらに近年では、コロナ禍の巣ごもり需要で国内ECが活況を迎えている。それと同時に、日本製品を海外ユーザーに向けて販売する「越境EC」も、大きな注目を集めているという』、興味深そうだ。
・『2027年の越境EC 市場規模は500兆円か  日本国外の人々をターゲットに、EC事業を展開する「越境EC」が今、急速に市場を拡大している。越境ECのプラットフォーム「Cafe24」で、日本の越境ECサイトの運営をサポートするCafe24 Japan代表取締役社長・正代誠氏は、越境ECの概要についてこう語る。 「越境ECとは、インターネット上で日本の商品やサービスを海外マーケットに向けて販売する電子商取引を指します。現地にリアル店舗を出さずに、海外市場に進出できるのが特徴です。越境ECには日本の企業が運営する『海外向けECモール』への出店や、『販売国のECモール』への出品、海外向けにネットショップを立ち上げるなどの方法がありますね」 経産省が発表した『電子商取引に関する市場調査』によると、中国の消費者が日本の越境ECサイト経由で商品を購入した金額は、2020年の1年間で約1兆9499億円。前年比では17.8%増を記録した。 「同じ調査では、世界の越境ECの市場規模は約89兆円になり、その規模は今後7年間で500兆円を超える見込みです。そしてこれからの越境EC市場をけん引するのは、インターネットの普及や経済成長が著しい東南アジアの国々といわれていますね」 日本の越境EC市場は「コロナ禍を機にスイッチが入った」と、正代氏は話す。聞けば、この2年間で多くのメーカーや卸業者が越境ECをスタートさせているそう。 「当社で越境ECサイトを開設するユーザーの傾向ですが、この2年で中小規模の事業者が越境ECを始めるケースが増えていますね。コロナ禍の今、国内ECの競合が急増してしまい価格競争が激しくなり、なかなか利益が出にくい状況になっています。そのため、自社の国内ECを生かしつつ海外にもマーケットを広げたいという相談も多くなりました。なかには、中国向けECサイトをすでに運営して成功した企業が、別の国への“横展開”を始めるケースもあります」 日本貿易振興機構が発表した「2020年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査報告書2021年2月」でも、46.7%の中小企業が「今後海外向けECサイトによる輸出を拡大する」と回答している。2018年の調査時よりも9.5ポイント増加しており、中小企業が越境ECに意欲的な姿勢がうかがえる。 「この調査では、大企業にも同じアンケートを取っているのですが、大企業の市場拡大意向は28.5%にとどまり、2018年に比べて1.4ポイント減少しています。おそらく大企業は、すでにリアル店舗を海外に出店していたり、海外店を拠点にECを展開していたりするケースもあるため、積極的に市場を拡大しない方針のようです。仮説ですが、大企業はコロナ禍で海外での実店舗運営の課題に直面し、その対応に追われて海外へのEC展開は“現状維持”を選択している印象ですね」』、「「2020年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査報告書2021年2月」でも、46.7%の中小企業が「今後海外向けECサイトによる輸出を拡大する」と回答している。2018年の調査時よりも9.5ポイント増加しており、中小企業が越境ECに意欲的な姿勢がうかがえる」、確かに中小企業は意欲的だ。
・『紙おむつや粉ミルクだけじゃない越境ECの意外な売れ筋商品  今後さらに躍進が期待される越境EC市場。どのような人々が日本の越境ECサイトを利用しているのだろうか。 「7~10年くらい前から、中国のユーザーがインターネットで日本製品を買うようになり、年々購入金額が増えています。当時から安定して人気が高いのは、日本製の『紙おむつ』『粉ミルク』『化粧品』。中国の工場で作られているものもありますが、子どもが口にするものや肌に直接つけるものは、日本の厳しい品質管理基準をクリアした日本製品を使いたい、というニーズが高いです。ほかの国でも、衛生面や安全面、トレーサビリティーを含めて“日本製品ならば安心”という見方は根強いですね」 また、越境ECの利用者はインバウンドとも深く関わっている。越境ECユーザーのなかには、観光で日本に訪れたときに気に入った商品を“ECサイトでリピート買い”する傾向があるという。 「特に最近は、コロナ禍による渡航制限もあって日本で大量購入しにくい状況です。そのため、インバウンドで人気だった家電も、継続してECで購入されています。日本の伝統工芸品も人気ですが、なかには奇抜な置物など『どうしてこれが海外で人気なんだろう?』と不思議に感じるヒット商品もあるんです。日本とは異なる視点で、意外なものが売れるのも越境ECの特徴ですね。その逆もまたしかりで、日本で売れているからといって、海外でも売れるとは限りません。日本で人気のジュエリーを台湾で売り出したものの、激しく苦戦を強いられているケースもあります」 正代氏は「日本と同じ“アジア圏だから”という認識のままでは、越境ECは成功しない」と、指摘する。そのため、越境ECではどの国で何を売るか、というマーケティングは必須だという。 「当社には『中国向けにECを始めたい』という相談が多く寄せられます。確かに中国は人口が多い分、マーケットとしては大きいですが、すでに日本製品を卸して売っている現地企業もあれば、長年中国を対象にEC事業を展開している日本企業もあり、競合が多い。中国の越境EC市場を今から狙うよりも、ほかの国を対象にするほうが参入のハードルは低いですね」 確実に利益を出すには、現地の状況や流行、文化を把握して臨む必要があるのだ。 「実務面では、現地での物流やユーザーとの間にある“言語の壁”も大きな課題になります。もしも個人や自社での対応が難しい場合は、当社のように現地に法人を持ち、言語や他国の物流サポートを行うプラットフォームを利用する手段もありますね」 そのほか関税への理解や、国ごとに法律で定められた越境ECで販売可能な商品の把握など、越境EC独自のルールへの対応が求められる。そのため、国内ECよりも綿密に計画を立てるのが吉だという』、「特に最近は、コロナ禍による渡航制限もあって日本で大量購入しにくい状況です。そのため、インバウンドで人気だった家電も、継続してECで購入されています」、「“言語の壁”も大きな課題になります。もしも個人や自社での対応が難しい場合は、当社のように現地に法人を持ち、言語や他国の物流サポートを行うプラットフォームを利用する手段もありますね」 そのほか関税への理解や、国ごとに法律で定められた越境ECで販売可能な商品の把握など、越境EC独自のルールへの対応が求められる」、なるほど。
・『越境ECを通してインバウンド顧客を獲得  さまざまなハードルはあるものの「コロナ禍の今が越境ECの始め時だろう」と、正代氏は話す。 「コロナが落ち着いて海外渡航ができるようになると、ECのユーザーが減るのでは、と懸念する声もあります。しかし日本に実店舗がある場合は、今のうちにECサイトで海外のファンを増やしておくと、インバウンドが復活したときにファンが実店舗に来店する可能性があります。そして帰国後には、ECサイトのユーザーになってもらえるというメリットも。たとえインバウンドが増えても、ECのユーザーがゼロになることはありません」 ネット上で海外ユーザーとの関係が築ける越境ECは、アフターコロナにも適したビジネスモデルといえる。 そして地方自治体も越境ECに積極的に取り組めば、インバウンド需要を獲得できる、と正代氏。 「かつて『インバウンドが活況』といわれた頃は、彼らの多くが関西空港から入国して京都から名古屋に渡り、富士山を見て東京に行き、成田空港から帰国するという王道ルートをたどっていました。結局、インバウンドの恩恵を受けていたのは都市部ばかりで、多くの県が訪日外国人に注目されにくい傾向にありました。越境ECサイトを通じて地元の特産品や観光地をアピールし、魅力を海外に発信できれば、その県を目指す訪日外国人も増えるはず。今後は、ECサイトをインバウンドの窓口にする自治体も増えていくでしょうね」 現状では、国内ECに比べて競合が少ない越境EC市場だが、今後は競合も増え、市場規模が拡大する可能性が高い。未来の越境EC市場を生き残る鍵は「いち早く海外のファンを増やすこと」にあるという。新たなマーケットを求めて大海原へとこぎ出すチャンスは、今なのかもしれない。 ●参考URL ・市場規模の拡大予想https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html
・中小企業・大企業の市場拡大意向
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/3f6c5dc298a628be/20200024.pdf』、「現状では、国内ECに比べて競合が少ない越境EC市場だが、今後は競合も増え、市場規模が拡大する可能性が高い。未来の越境EC市場を生き残る鍵は「いち早く海外のファンを増やすこと」にあるという」、その通りなのだろう。
タグ:EC(電子商取引) (その9)(アマゾンが17年前から「パワポ禁止」する深い理由 花形職種も容赦なく自動化する「変革」の精神、楽天証券 「1%ポイント還元」の重すぎた代償 付与率が0.2%に引き下げへ 改悪変更の必然、コロナ禍で急成長の「越境EC」 海外で人気の日本製商品とは) 東洋経済オンライン アレックス・カントロウィッツ氏による「アマゾンが17年前から「パワポ禁止」する深い理由 花形職種も容赦なく自動化する「変革」の精神」 「「創業初日」を合い言葉にして新たなビジネスを創出し続けるアマゾン」、興味深そうだ。 「変革はベゾスの燃料、彼の知性を刺激するものです。変革は彼の体に組み込まれ、アマゾンという企業の基礎になっています」、「変革」を「アマゾン」内にビルトインするとは大したものだ。 「「パワポ」を全社で禁止」、とは画期的だ。確かに「パワーポイントは「アイデアをもっともらしく言いつくろうことができる」ため、欠点があったり不完全なコンセプトでも、プレゼンテーションの時点では気づかないことが多いという」、コンサルタントらの「パワポ」のプリゼンテーションは、聞いた直後は圧倒されるが、少し時間が経つと「本当かな」と疑問が沢山出てくるのが通常だ。「代わりに、新しい製品やサービスについてのアイデアを完全な文と段落で構成された文章にするようにとアマゾニアン(アマゾンで働く人々)に求めた」、「6ページ 「現在は約80万人の人間の従業員に加えて、20万台以上のロボットを「雇用」」、4人で1台とは、ロボットの割合はかなり高いようだ。 「ベンダーマネジャー・・・の職位は以前、社内であこがれのものだった。 アマゾンのベンダーマネジャーは、決定の際に単に機械学習アルゴリズムの予測を参考にするだけでなく、自動化システムに仕事をやらせるように指示された」、中核的な仕事も自動化するとはさすがだ。 「多くのベンダーマネジャーがアマゾン内の別の職位に移った。主に、プログラムマネジャーとプロダクトマネジャーという2種類の職種のどちらかだ。 どちらも、アマゾン内で創意工夫を担当する仕事」、社内で陳腐化した職種から、「創意工夫」を要する仕事」へと従業員をシフトさせたというのは、素晴らしいことだ。 これでは、日本企業との生産性格差は開く一方だ。 東洋経済オンライン「楽天証券、「1%ポイント還元」の重すぎた代償 付与率が0.2%に引き下げへ、改悪変更の必然」 「ポイント還元」が「購入額の1%」から「0.2%」では、手厚過ぎた分を是正したつもりだろうが、「“改悪”と受け止められた」のもやむを得ないだろう。 「楽天証券の過去4年間の営業利益率をみると、2018年から減少傾向」、「手厚いポイント還元」を「顧客流出」を「一定程度覚悟」した上で、「見直しに動いた」のはやむを得なかったようだ。 もともとの「ポイント付与」が甘過ぎたのではあるまいか。 「楽天証券」から「SBI証券」、「マネックス証券」にどの程度顧客が移動するか、当面の注目点だ。 ダイヤモンド・オンライン「コロナ禍で急成長の「越境EC」、海外で人気の日本製商品とは」 「「2020年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査報告書2021年2月」でも、46.7%の中小企業が「今後海外向けECサイトによる輸出を拡大する」と回答している。2018年の調査時よりも9.5ポイント増加しており、中小企業が越境ECに意欲的な姿勢がうかがえる」、確かに中小企業は意欲的だ。 「特に最近は、コロナ禍による渡航制限もあって日本で大量購入しにくい状況です。そのため、インバウンドで人気だった家電も、継続してECで購入されています」、「“言語の壁”も大きな課題になります。もしも個人や自社での対応が難しい場合は、当社のように現地に法人を持ち、言語や他国の物流サポートを行うプラットフォームを利用する手段もありますね」 そのほか関税への理解や、国ごとに法律で定められた越境ECで販売可能な商品の把握など、越境EC独自のルールへの対応が求められる」、なるほど。 「現状では、国内ECに比べて競合が少ない越境EC市場だが、今後は競合も増え、市場規模が拡大する可能性が高い。未来の越境EC市場を生き残る鍵は「いち早く海外のファンを増やすこと」にあるという」、その通りなのだろう。
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電力・ガス自由化(その2)(卸価格高騰が新電力を直撃 大手事業者優位に 電力値上げ 事業者撤退に困惑する電力ユーザー、新電力事業者の(株)ホープエナジーは3月25日 東京地裁に破産を申請し同日 破産開始決定を受けた、「契約お断り」大手電力で相次ぐ受付停止の異常 新電力が相次ぎ撤退 自由化の仕組みが崩壊) [産業動向]

電力・ガス自由化については、昨年6月16日に取上げた。今日は、(その2)(卸価格高騰が新電力を直撃 大手事業者優位に 電力値上げ 事業者撤退に困惑する電力ユーザー、新電力事業者の(株)ホープエナジーは3月25日 東京地裁に破産を申請し同日 破産開始決定を受けた、「契約お断り」大手電力で相次ぐ受付停止の異常 新電力が相次ぎ撤退 自由化の仕組みが崩壊)である。

先ずは、昨年12月20日付け東洋経済オンライン「卸価格高騰が新電力を直撃、大手事業者優位に 電力値上げ、事業者撤退に困惑する電力ユーザー」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/576285
・『卸電力価格が高騰し、法人向け電力販売から撤退する新電力会社が後を絶たない。困惑したユーザーからの相談も急増している。 卸電力市場での調達価格高騰による経営難を理由に、法人向け電力販売からの撤退を決める新電力会社が相次いでいる。 「誠に遺憾ではございますが、高圧供給につきまして、他の電力会社への切り替えをお願い申し上げます」 神戸市の新電力会社・リケン工業は2021年11月16日、顧客へのお願い文をホームページ上に掲載。契約解除日をわずか2週間ほど先の12月3日に設定したうえで、「契約解除日を超えて無契約となった場合には電気の供給が停止されることがございます」と言い切っている』、「契約解除日をわずか2週間ほど先」、ずいぶん急な通知だ。少なくとも1カ月はほしいところだ。
・『困惑したユーザーからの相談が急増  光通信の子会社であるハルエネ(東京都豊島区)も、高圧電力販売からの撤退を決め、契約期間の満了をもってサービス提供を終了する方針をユーザーに通知している。 寝屋川電力(大阪府寝屋川市)は「弊社事業停止につき」として、ユーザーに対して指定した他社への契約切り替えをするようにホームページ上で求めている。 電力やガス契約の切り替え支援サービスを提供するENECHANGEには、突然の撤退を告げられて困惑する電力ユーザーからの相談が急増している。11月の相談件数は前月の約8倍にものぼった。 「撤退を通告している新電力会社の数は把握できているだけでも7社。あまりにも急なため、切り替え先探しが間に合わないことも多い」(千島亨太執行役)という。 無契約となった場合でも、大手電力グループの一般送配電会社に顧客自身が「最終保障契約」を申し込めば、電力供給自体がストップすることはない。ただし、通常の契約と比べて料金が割高になるなど、顧客は不利益を被る。) リケン工業の電力供給約款は、地震などの天災地変や戦争、内乱などの非常事態が起きた場合でない限り、供給開始日から1年未満の期間での解約を禁止している。その一方で「双方が同意すればこの限りではありません」とも書かれている。だが今回、顧客の同意がない場合にも契約解除を行う構えだ。 新電力会社の撤退の原因となったのは、卸電力市場の価格高騰だ。10年に1度といわれる大寒波の襲来や、LNG(液化天然ガス)燃料の不足、石炭火力発電所や原子力発電所のトラブルによる相次ぐ停止などが原因となって、取引価格は2020年12月末から2021年1月にかけて暴騰した。 その後、同年10月以降、再び高騰している。その結果、市場で電力を調達して顧客に販売しても赤字になる事態が発生している』、現在のエネルギー情勢からすれば、「取引価格」の「暴騰」はやむを得ない。
・『突然の値上げ通告も  影響は地方自治体などの公共入札にも及んでいる。顧客の電力調達を支援している日本省電の久保欣也社長によれば、「2016年4月の電力小売り全面自由化以降、大きく下落した公共入札における落札単価は2021年初の卸電力価格高騰を機に反転上昇した。それ以来、大手電力会社の標準料金と比較して、新電力会社の料金の割安感が急速に失われている」。 突然、値上げを通告される企業も少なくない。 ある中堅新電力会社幹部は、「民間企業に対して見積もりを出せない新電力会社が多く、大手電力会社の思惑通りに価格が決まりつつある」と語る。 一方、撤退の引き金となった2021年秋の卸電力価格の高騰には、不自然な点もある。10~11月は一般に電力需要の少ない時期であるにもかかわらず、2021年の同時期に取引価格が1キロワット時当たり20~30円という高値が付いたからだ。 前出の久保氏は2021年秋の卸電力価格高騰について、「釜(=発電所)も薪(=燃料)もあるのに、十分な発電量が出てこない状態」と描写する。その理由については諸説あるが、業界では「大手電力会社によるブロック入札が一因ではないか」(新電力会社幹部)と見られている。 卸電力取引所で売買を行う場合、30分を1コマ(=1単位)として札を入れるが、ブロック入札とは4コマ(2時間)以上の時間帯をひとまとめにして売り札を入れる。 経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会・制度設計専門会合が2021年11月に示した資料によると、卸電力価格が高騰した10月の入札量全体に占めるブロック入札の割合は73.8%に達する一方、売りブロック入札の約定率は24.7%にとどまった。これは売りブロック入札の大半で値段が折り合わず、買いに対して売りが不足していたことを意味している。 監視等委員会は現時点ではブロック入札が高騰の主因とは断定していないが、一部の事業者で入札量全体に占めるブロック入札の割合が90%を超えていると指摘。また、一部の大手電力会社で10月~11月という不需要期にもかかわらず、買い約定量が高水準で推移していることも判明している。 監視等委員会は「大きな問題を含む可能性があることから念を入れて分析を行い、より詳細な検証を進める」としている。 事業が行き詰まった新電力会社の一部が顧客を放り出す形で撤退を始める一方、新電力会社の撤退情報を流して自社に顧客を誘導しようとする大手電力会社の営業マンもいる。卸電力市場価格高騰の背後で起きた事態は、看過できなくなっている』、「監視等委員会は現時点ではブロック入札が高騰の主因とは断定していないが、一部の事業者で入札量全体に占めるブロック入札の割合が90%を超えていると指摘」、「一部の大手電力会社で10月~11月という不需要期にもかかわらず、買い約定量が高水準で推移」、今後、分析が進むことを期待したい。

次に、本年3月28日付けYahooニュースが転載したTSR東京商工リサーチ「東京商工リサーチ情報部の増田和史氏による「新電力事業者の(株)ホープエナジーは3月25日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2ae12193066ea4caefa34295a09fc28e9cc8b925
・『破産管財人には伊藤尚弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所・・・)が選任された。 負債総額は約300億円。 東証マザーズ、福証Q-Board上場の(株)ホープの子会社。2021年12月、ホープの持株会社体制への移行に伴い、当社がエネルギー事業(電力小売、新電力)を承継していた。 ホープのエネルギー事業を巡っては、2020年12月から2021年1月に日本卸電力取引所(JEPX)での電力取引価格が高騰したことで調達コストが跳ね上がり、多額の不足インバランスが発生するなどして大幅な損失を計上。ホープは2021年6月期に69億円を超える当期損失を計上し、債務超過に転落した。さらに2021年10月以降、JEPXでの調達価格が想定以上に高値推移したことで逆ざや状態が続き、赤字が拡大。 持株会社体制へ移行しホープエナジーへ事業を移管後も、グループの資金繰りひっ迫が露呈するなか2022年3月14日、ホープエナジーが一部の電力小売契約者宛てに「電力供給停止にお知らせ」を通知。一般送配電事業者の中部電力パワーグリッド(株)・・・から託送供給契約にかかる解除通知を受け、電力供給を停止せざるを得ない状況として、他社への契約切り替えを要請した。 しかし、中部電力パワーグリッドは3月15日、東京商工リサーチの取材に対し、「正確にはホープエナジーとの契約は解約されていない。11日に現状の改善を申し入れ、改善されない場合は解約もあり得ると通知した」との認識を示すなど、通知内容などに混乱が生じていた。 こうしたなか、3月22日までに不足インバランス料金等の債務不履行に基づき、取引のあるすべての一般送配電事業者との託送供給契約が解除された。このため、同日開催のホープの取締役会で、当社の破産申立を決議していた』、「不足インバランス料金等の債務不履行」が発生しているのであれば、「破産申立」はやむを得ない。

第三に、4月16日付け東洋経済オンライン「「契約お断り」大手電力で相次ぐ受付停止の異常 新電力が相次ぎ撤退、自由化の仕組みが崩壊」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/584356
・『燃料価格が高騰し、電力会社との契約を断られる企業が増えている。国が進めてきた電力自由化の仕組みが崩壊しつつある。 燃料価格が高騰するさなか、電力会社から契約を断られるケースが急増している。 燃料高で新電力会社が事業から相次いで撤退。大手電力会社の多くも通常の料金メニューの申し込みに応じられず、「最終保障供給契約」と呼ばれる特別な契約の締結を余儀なくされる企業が急増している。 経済産業省によると、大手10電力会社の同契約の件数は3月時点で4782件に達した。2月には875件だったため、1カ月の間に5倍以上に急増した格好だ』、「最終保障供給契約」は「セーフティネット」の役割を果たしているが、「1カ月の間に5倍以上に急増」とは確かにすごい増加だ。
・『セーフティネットの契約が急増  同契約は、大手電力会社の小売部門や新電力会社が提供する通常の料金メニューと異なり、大手電力会社系列の一般送配電子会社が、行き場のない顧客へのセーフティネットとして設けているものだ。 例えば、契約していた新電力会社が経営破綻し、引き継ぎ先の電力会社が見つからない場合に一時的に同契約を結ぶケースがある。企業が電気料金を滞納して、電力会社から契約を解除された場合に申し込む場合もある。 ただ、きわめて例外的な契約であり、料金も通常の料金メニューの約1.2倍と割高な水準に設定されている。通常であれば自ら積極的に同契約を結ぶ企業はないはずだが、最近になってこの契約の件数が急増するという異例の事態が生じている。 経産省によると、燃料価格の高騰によって卸電力市場価格が大きく上昇し、一部の新電力会社が小売事業から撤退。その結果、新電力と契約していた企業が大手電力会社に契約を申し込んでいるが、大手電力の多くが「想定以上の申し込みに対応できない」として契約を断っている。企業は新たな小売事業者を見つけられず、やむをえず最終保障供給契約を申し込んでいる。) 原油や天然ガスの価格は2021年から上昇しており、そこに2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻が加わった。新電力会社が主たる調達先としていた卸電力取引所の電力価格が著しく高くなり、電力を売れば売るほど赤字になるという悪循環に陥った。 足元では新電力会社の撤退や倒産が相次ぎ、契約継続が困難になっている。帝国データバンクによると、新電力会社の倒産は2021年度に14件に達し、過去最多を更新した(2020年度は2件)。また、4月に営業が確認できた新電力約700社のうち、約4%に相当する31社が過去1年間に倒産や廃業、事業撤退に至った。 電力の契約切り替え支援サービスを提供しているENECHANGEの千島亨太執行役員は、企業向けの大口契約(特別高圧と高圧)の現状について、「北海道電力と沖縄電力を除き、大手電力は新電力の顧客だった企業からの申し込み受け付けを事実上停止している。新電力各社もほぼ受け付け停止中だ」と実態の深刻さを指摘する』、「最終保障供給契約」では「料金も通常の料金メニューの約1.2倍と割高な水準に設定」、なるほど。「新電力会社の倒産は2021年度に14件に達し、過去最多を更新」、「北海道電力と沖縄電力を除き、大手電力は新電力の顧客だった企業からの申し込み受け付けを事実上停止している。新電力各社もほぼ受け付け停止中」、確かに「事態」は「深刻」だ。
・『電力自由化の仕組みが壊れてしまった  企業に電力調達支援サービスを提供する日本省電の久保欣也社長は、「最近、企業に代わって新電力会社に契約申し込みを試みたところ、業界上位54社のうち新規受け付け中は1社もなく、条件付きで新規受け付け中は9社、新規受け付け中止39社、撤退4社などという結果となった」と明かす。 また、年内に受け付け再開のメドがあると答えたのはわずか3社で、久保氏は「電力小売自由化により顧客は電力会社を選ぶ自由を得たが、今やその仕組みが崩壊してしまった」と事態の深刻さを指摘する。 大手電力の顧客が新電力に移った後、再び戻ってきて申し込みを行う「戻り需要」は、とくに厳しい状況に追い込まれている。大手電力会社はこの戻り需要客との契約締結について、「(発電用燃料調達など)供給面での制約からご希望にお応えできない場合もある」(東京電力グループの電力小売り会社である東京電力エナジーパートナー)と説明している。経産省は「(戻り需要について)実質的に申し込みを一時停止している大手電力会社は10社のうち8社にのぼる」という。 東洋経済が大手10電力会社に聞き取り調査したところ、北海道電力と沖縄電力以外の8社は、新電力からの契約切り替えの新規受け付けを停止していたり、事実上対応できない状況であることがわかった。 ただ、各社がそのような事実をホームページ上で開示したのはつい最近になってからのことだ。萩生田光一経産相が4月15日の会見で「開示することが望ましい」と発言し、それまで開示に消極的だった大手各社の開示姿勢は一変した。 もっとも、九州電力のように一時受け付け停止を明示する会社がある一方、「ご希望に沿えない場合がございます」(東電エナジーパートナー)や「新規の契約のお申し出をお受けするのが難しい状況です」(中国電力)といった、あいまいな記述も目立つ。東洋経済の「申し込みを受け付けているか」との質問に対し、「詳細はお答えしかねる」という回答もあった』、「北海道電力と沖縄電力以外の8社は、新電力からの契約切り替えの新規受け付けを停止していたり、事実上対応できない状況」、これは本来、独禁法上問題がある行為ではなかろうか。
・『当事者能力を欠く経済産業省  最終保障供給契約の料金水準も問題だ。もともとは通常の料金メニューの約1.2倍と割高に設定されていたが、昨今の卸電力価格高騰に伴い、通常の料金の一部が最終保障供給契約の料金よりも割高になるという逆転現象が見られている。 そうしたことから、専門家から「最終保障供給契約に長くとどまろうとする誘因が働きかねない」という問題点が指摘されている。新電力会社からも「(最終保障供給のほうが安くなることにより)自由競争が阻害されているといった懸念の声も寄せられている」と経産省は説明している。 ただ、最終保障供給契約をやめて通常の契約に戻るのは簡単ではない。「新設案件」として新たな契約申し込みが必要となるうえ、構内平面図や単線結線図などの建物構造や電力設備に関する図面の提出を求められる。だが、「古いビルなどの場合、図面をすぐに探し出すことができず、大変な手間になりかねない」(前出の久保氏)という。新電力から大手電力に契約を移す通常の契約切り替えなら、このような手間は生じない。 なお、中部電力グループのように単線結線図などの提出を求めない電力会社もある。関西電力では、送配電子会社と最終保障契約を締結している顧客が関電との契約を希望する場合、構内平面図や単線結線図などの提出を4月より不要とした。 経産省は卸電力市場の価格を最終保障契約の料金に反映させるなどして引き上げを図ろうとしている。ただ、新電力の経営状況は悪化し、大手電力による契約停止も長期化しそうだ。 4月21日に開かれた経産省の審議会では、大手電力会社が新築ビルなど新規の顧客には従来通りの契約受け付けをする一方、戻り需要の受け付けを停止していることについて、「独占禁止法上問題はないのか」といった指摘もあがった。 問題は山積しているが、経産省は有効な対応策を示せずにいる。電力自由化が重大な危機を迎えている中、経産省による実効性のある危機克服の対策が求められている』、「戻り需要の受け付けを停止」はやはり「独占禁止法上問題」だ。「電力小売自由化」、の仕組みは抜本的な見直しが急務だ。「経産省」はもっと責任ある態度で、積極的に望むべきだ。
タグ:電力・ガス自由化 (その2)(卸価格高騰が新電力を直撃 大手事業者優位に 電力値上げ 事業者撤退に困惑する電力ユーザー、新電力事業者の(株)ホープエナジーは3月25日 東京地裁に破産を申請し同日 破産開始決定を受けた、「契約お断り」大手電力で相次ぐ受付停止の異常 新電力が相次ぎ撤退 自由化の仕組みが崩壊) 東洋経済オンライン「卸価格高騰が新電力を直撃、大手事業者優位に 電力値上げ、事業者撤退に困惑する電力ユーザー」 「契約解除日をわずか2週間ほど先」、ずいぶん急な通知だ。少なくとも1カ月はほしいところだ。 現在のエネルギー情勢からすれば、「取引価格」の「暴騰」はやむを得ない。 「監視等委員会は現時点ではブロック入札が高騰の主因とは断定していないが、一部の事業者で入札量全体に占めるブロック入札の割合が90%を超えていると指摘」、「一部の大手電力会社で10月~11月という不需要期にもかかわらず、買い約定量が高水準で推移」、今後、分析が進むことを期待したい。 Yahooニュースが転載したTSR東京商工リサーチ「東京商工リサーチ情報部の増田和史氏による「新電力事業者の(株)ホープエナジーは3月25日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた」 「不足インバランス料金等の債務不履行」が発生しているのであれば、「破産申立」はやむを得ない。 東洋経済オンライン「「契約お断り」大手電力で相次ぐ受付停止の異常 新電力が相次ぎ撤退、自由化の仕組みが崩壊」 「最終保障供給契約」は「セーフティネット」の役割を果たしているが、「1カ月の間に5倍以上に急増」とは確かにすごい増加だ。 「最終保障供給契約」では「料金も通常の料金メニューの約1.2倍と割高な水準に設定」、なるほど。「新電力会社の倒産は2021年度に14件に達し、過去最多を更新」、「北海道電力と沖縄電力を除き、大手電力は新電力の顧客だった企業からの申し込み受け付けを事実上停止している。新電力各社もほぼ受け付け停止中」、確かに「事態」は「深刻」だ。 「北海道電力と沖縄電力以外の8社は、新電力からの契約切り替えの新規受け付けを停止していたり、事実上対応できない状況」、これは本来、独禁法上問題がある行為ではなかろうか。 「戻り需要の受け付けを停止」はやはり「独占禁止法上問題」だ。「電力小売自由化」、の仕組みは抜本的な見直しが急務だ。「経産省」はもっと責任ある態度で、積極的に望むべきだ。
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リニア新幹線(その6)(調布市の道路陥没事故でリニア新幹線工事が不安になる理由、JR「超電導リニア」の技術は本当に完成したのか 気鋭の技術ライターの疑問と JR東海の見解、静岡リニア「トンネル湧水全量戻し」本当の問題点 有識者会議の結論は妥当だったが静岡県は反発) [産業動向]

リニア新幹線については、2020年5月24日に取上げた。また、昨日のJR(一般)(その1)のなかでリニア問題を取上げた。今日は、(その6)(調布市の道路陥没事故でリニア新幹線工事が不安になる理由、JR「超電導リニア」の技術は本当に完成したのか 気鋭の技術ライターの疑問と JR東海の見解、静岡リニア「トンネル湧水全量戻し」本当の問題点 有識者会議の結論は妥当だったが静岡県は反発)である。

先ずは、2020年10月23日付けダイヤモンド・オンライン「調布市の道路陥没事故でリニア新幹線工事が不安になる理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/251962
・『突然、住宅の前の道路が陥没する――。衝撃を禁じ得ない現場の直下では、東京外郭環状道路のトンネル工事が進められていた。同じ工法で大深度地下を掘り進むリニア中央新幹線工事に不安はないのか』、このニュースは昨日のこのブログでも紹介した。
・『47メートル下をシールドマシンが通過 因果関係は不明で工事が中断(休日の朝、自宅のガレージのすぐ前を走る道路に亀裂が入り、少しずつ広がって、昼ごろには深さ5メートルの大きな穴になった――。 そんな“嘘のような本当の話”が起きたのは10月18日、東京都調布市の京王線つつじヶ丘駅から徒歩4~5分ほどの住宅街だ。 すでに報じられている通り、この現場の約47メートル直下では、千葉県から埼玉県、そして現場のあった調布市などを通って東名高速道路に接続する全長約85キロメートルの東京外郭環状道路(外環道)のトンネル建設工事が進められ、9月中旬にシールドマシンが通過していた。 ここは外環道を南に向かって東名高速道路に接続するまでのトンネルで、施工主は東日本高速道路(ネクスコ東日本)。工事を請け負ったのは、鹿島建設・前田建設工業・三井住友建設・鉄建建設・西武建設共同企業体(JV)だ。 ネクスコ東日本は翌19日に、「東京外環トンネル施工等検討委員会」を開いた後の記者会見で、陥没と道路工事の関連の有無や原因が判明するまで工事を中断する、と説明した。再開の時期は未定だ。 検討委員会の委員長を務める小泉淳・早稲田大学名誉教授は会見で、「断定するのはまだ早い。ただ、(道路工事と陥没の)因果関係はないとは言えないし、(道路が)急に落ちるとは思えない」と述べた上で、陥没の原因として、(1)シールドマシンが土を取り込みすぎたことによる地盤への影響、(2)陥没した地表付近に以前から空間があった――の2つの可能性を挙げた。 外環道は、都心での渋滞緩和を目指して1966年に都市計画決定した。ところが、住民の反対や用地買収の難航によって計画が遅れ、2007年に当初の高架から地下方式に変更した上で工事が進められた。 首都高速道路の渋滞の大きな要因が、東京都心を目的地とせずに通過する長距離運転の車両の進入だった。これを外環道や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)を経由させることで都心の交通渋滞を緩和するという、交通政策の面から見ると非常に理にかなった計画といえる』、確かに「外環道計画」自体は「交通政策」上は合理的だ。
・『トンネル付近の地盤は強固だが 地表から数メートルには弱い層も  ただ、地下トンネル工事という自然を相手にするプロジェクトゆえ、机上の合理的な計画がそのまま通用するとは限らないのが、こうした巨大土木プロジェクトの常である。 しかも「大深度地下」と呼ばれる地下40メートル以上の深さを掘り進むことで、地上の土地所有者の同意が原則不要となったものの、その地質的な影響を事前に予測することは困難だった可能性がある。 ネクスコ東日本によると、工事現場となった地下約47メートル付近は、東久留米層と呼ばれる地層であり、砂層(砂でできた層)に一部、礫層(石ころの層)が入っており、総じて強固な地層だという。検討委員会への報告によると、トンネル内で事故や異常につながるひび割れ、漏水は確認されていない。 一方で、今回の現場の地表では道路の陥没だけでなく、住宅の玄関前のコンクリートのズレや、建物の壁のヒビも発生した。地元で民生委員を務める東村達夫さんは、シールドマシンが通過した9月中旬、自宅で強い振動を感じたことがあったという。 ネクスコ東日本によると、大深度地下をシールドマシンで掘り進むという今回と同様に行われたこれまでの外環道の工事によって、東村さんが訴えたような地上の住民が振動を感じたとの報告はあったそうだ。しかし、道路の陥没だけでなく、今回生じたような地面や建物の亀裂やヒビも報告はなかったという。 また国土交通省によると、国などの認可を受けた大深度地下の工事は過去5件あり、うち外環道と、大深度地下に送水管を通す工事を行った神戸市の工事が着工済みだ。神戸市水道局によると、今回のように道路や建物への損害が発生した事例はないという。 ただ土木工事に詳しい関係者によると、神戸市の工事で使われたシールドマシンの直径はわずか3メートルであり、地下40メートルの深さに対して13分の1しかない。一方で今回調布市の現場で使われたものは16メートルと巨大で、47メートルという深さの3分の1にも達する。「これだけの大きさだと、地表に影響を与えることがあるのかもしれない」(前述の土木工事に詳しい関係者)。 さらに、今回陥没が起きた地表付近の地盤は、必ずしも強固とは言えないようだ。地表に最も近い部分は、数メートルの深さの盛り土で固められていた。一般的に、盛り土は造成時に締め固められるため、強さがある。ところが、さらにその下の数メートルは「沖積層」と呼ばれる、地震などによって液状化現象が起きやすい弱い地層だった。 今回の陥没の深さは5メートルだが、盛り土の中で起きたのか、沖積層にまで達していたのか、現時点では不明だ。ただ東村さんによると、住宅が立ち並ぶ現場付近は数十年前までは水田が多く、すぐ横を流れる入間川は現在のようにコンクリートで護岸工事がされるまで数回、護岸工事後も1回、氾濫を起こしていたという。一般的に水害があった土地の地盤は、決して強くないと考えられることが多い』、本年2月28日付けNHKナビによれば、東京地裁は「外環道」の 東名JCT~中央JCTの区間の工事中止を命じたようだ。
・『静岡県の抵抗に遭うリニア中央新幹線計画 都市部の大深度地下工事は大丈夫なのか!?  ネクスコ東日本が記者会見を開いたまさに同じ日である10月19日、JR東海は山梨県の施設で、リニア中央新幹線の改良型の試験車両を報道機関に公開した。 リニア新幹線を巡っては、静岡県の川勝平太知事が、静岡工区のトンネル工事の影響で大井川の水の流量が減少する懸念があるとして、流量の確保を強く求めている。さらに「リニア計画に反対しない」としながらも、環境保護などを理由に計画の大幅な見直しを訴えている。 トンネルなどの土木工事では、地下水の管理が最大の課題であり、事前に地下水の動きや、掘削工事による流れ方と流量の変化を予測し、工事の最中にこれを管理することは極めて難しい。 だからこそ、国やJR東海は静岡県に対して有効な解決策を打ち出せず、静岡県側も納得する姿勢を見せないという面がある。 一方でリニアの計画路線では、静岡工区のような山岳トンネルではない都内や神奈川県、愛知県内は、外環道と同様の工事を予定。住宅地や商業地の下の40メートル以上の大深度地下をシールドマシンで掘り進んでトンネルを通すことになる。こうした工事については従来、強い不安を訴える声は上がってこなかった。 ちなみにリニアの首都圏の地下トンネル工事に用いられるシールドマシンの直径は14メートルと、こちらもかなり巨大だ。 繰り返すが、今回の調布市での道路陥没と、外環道でのシールドマシン工事との因果関係は現時点では不明だ。逆に因果関係が特定されなければ、都内や神奈川県内などのリニア工事でも、地表部の地盤が弱い箇所で陥没事故が起きるのではないか――。このような不安が沿線住民に付きまとい続けることになる。 調布市の道路陥没現場は、砂を積んだダンプカーが列をなし、夜を徹した作業で、翌19日にはとりあえずふさがれた。とはいえ、付近の住民やリニア中央新幹線計画にまで飛び火した不安の穴をふさぐには、しばらく時間がかかりそうだ』、「リニア」の平地部分は、多くが「大深度地下」の「トンネル」なので、今回の問題がどういう形で決着するか、大いに注目される。

次に、2020年12月28日付け東洋経済オンライン「JR「超電導リニア」の技術は本当に完成したのか 気鋭の技術ライターの疑問と、JR東海の見解」を紹介しよう。
・『リニア中央新幹線は2014年にJR東海の工事実施計画が国から認可され、沿線各地で工事が行われている。走行する車両の研究開発は1960年代からスタートし、これまで数種類の試験車両が開発され、走行試験を繰り返してきた。2013年には営業仕様の「L0(エルゼロ)系」を活用した走行試験が行われ、リニアに関する国の実用技術評価委員会は、2017年に「営業に必要な技術開発は完了」と結論付けた。 現在は、「さらなる快適性の向上や保守の効率化等」を目指したL0系の改良型試験車が走行試験を重ねている。静岡工区におけるトンネル工事が始まらず、目標としていた2027年の開業は事実上不可能となったが、走行に関する技術開発は着々と進んでいるように見える。 しかし、「技術的に本当に実現可能なのか、わからないことがたくさんある」と交通技術ライターの川辺謙一氏は超電導リニアの技術開発に疑問を呈する。川辺氏は大手化学メーカーの技術者を経て独立。難しい技術を一般向けにわかりやすく解説することをモットーに、鉄道、交通分野での著書も多い。 超電導リニアの何が問題なのか、このたび『超電導リニアの不都合な真実』(草思社)を著した川辺氏に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは川辺氏の回答)』、興味深そうだ。
・『超電導磁石「クエンチ」の問題  Q:著書では、走行に関わるリスクとして、「クエンチ」という問題を指摘しています。 A:クエンチとは、超電導磁石から発生する磁力が急激に低下する現象です。超電導リニアは超電導磁石から発生する磁力によって浮上や推進を行っているのですが、クエンチが起きると正常な走行ができなくなる可能性があります。 クエンチの原因はわかっていない部分がたくさんあります。技術者向けの専門書『超伝導・低温工学ハンドブック』には「クエンチ発生の可能性を完全に回避することは不可能である」と書いてあります。このような不確定な要素を持ったものを鉄道車輪の代わりに使うというのは飛躍的だと感じます。) 超電導磁石が使われているのは超電導リニアだけではありません。医療機器のMRIや私がメーカー勤務時代に化学分析で使っていたNMR(核磁気共鳴装置)にも超電導磁石が使われていますが、MRIやNMRではクエンチが起きています。国内の病院の約12%でMRIのクエンチを経験しているというデータもあります。 MRIは空調の利いた室内に静置されているという非常に条件のいい状態で使われているにもかかわらず、クエンチが起きています。それに比べると、超電導リニアの超電導磁石は外気にさらされ、振動や衝撃も受けやすいという過酷な状況にさらされています。クエンチが起きやすい状態なのです』、「MRIは空調の利いた室内に静置されているという非常に条件のいい状態で使われているにもかかわらず、クエンチが起きています」、「外気にさらされ、振動や衝撃も受けやすいという過酷な状況にさらされて」いる「超電導リニアの超電導磁石」は「クエンチが起きやすい状態なのです」。走行中に発生したら恐ろしいになりそうだ。
・『技術に100%はないが…  Q:超電導リニアの山梨実験線ではクエンチが起きているのですか。 (川辺氏の略歴はリンク先参照) JR東海の葛西敬之名誉会長の著書『飛躍への挑戦』の中で、「山梨実験線ではクエンチは1度も起きていない」と記されているほか、私自身も超電導リニアに関する記事を書く際に、JR東海から「山梨実験線ではクエンチは1度も起きていない」と書くようにとの指示が編集部経由で伝わってくることがありました。 一方で、1999年8月に山梨リニア実験線でクエンチが起きて車両が停止したとことを報じる新聞報道もあります(山梨日日新聞1999年9月4日付「山梨リニア実験線クエンチで車両停止」)。ところが、国の超電導リニアの実用技術評価委員会の資料はこのクエンチのトラブルについて一切触れていません。 Q:クエンチを完全に回避することが不可能だとしたら、超電導リニアはやめるべきでしょうか? A:技術に100%はありません。90数%で安全が確保されるなら技術として使える部分はあると思います。ただ、その残りの数%で何が起きているのかは技術を評価するうえで、非常に重要です。実用技術評価委員会はクエンチが1度も起きていない、超電導磁石の故障が1度も起きていないということを前提に評価していますが、それはおかしいと私は思います。 Q:著書では、トイレの設置についても言及しています。 A:私はL0系の乗車体験にも参加しましたが、その際、スタッフの方は「車内にご利用いただける化粧室はございません」と案内していました。L0系より以前に製造されたMLX01という車両にはトイレが設置されていましたが、リニア中央新幹線公式サイトで公開されているL0系の車両の図面にはトイレが見当たりません。 しかし、営業運転を想定すれば、トイレがないのは不自然です。スタッフがトイレがないと案内した理由について、私は、高速走行する車両におけるトイレに関する技術が確立できていないと推測します。車両メーカーの技術者の方が、時速360km運転する車両のトイレは使用禁止だと話していました。車両が高速走行すると、トイレの汚物タンクに大きな気密荷重がかかり、トイレの使用に支障をきたす可能性が高まるというのです。時速360kmで難しいのなら、時速500kmではもっと難しいのではないでしょうか』、「JR東海から「山梨実験線ではクエンチは1度も起きていない」と書くようにとの指示が編集部経由で伝わってくる」、不自然な指示だ。「L0系の車両の図面にはトイレが見当たりません」、「高速走行する車両におけるトイレに関する技術が確立できていないと推測」、「「高速走行」では「トイレ」まで難しくなるとは初めて知った。
・『乗り心地は改善できるか  Q:乗り心地についても辛口の評価をしていますね。私は0系や300系など以前の東海道新幹線ほど揺れないと思いますし、線路の状態が悪いローカル線ならもっと揺れると思いますが。 A:人によって感じ方が違うので評価が難しいのですが、私は乗り心地があまりよくないと感じました。特に「耳ツン」に関しては、私の妻も乗りましたが、乗った後、30分以上耳ツンが止まらなかったと言っていました。 Q:技術的に改善できると思いますか。 A:改善できると思います。ただ、そのためには時間もコストもかかります。実際の営業運転を考えると、どこで折り合いをつけるかという問題があると思います。 Q:車内の空調装置や照明装置の電力を賄う誘導集電技術にも疑問を呈していますね。 A:誘導集電方式はMLX01で導入され、性能試験をした実績があります。国の実用技術評価委員会はその実績を踏まえて「誘導集電については、車上電源として実用化に必要な技術が確立している」と評価しました。しかし、本格的な導入はこれからです。 L0系の初期型には先頭車にガスタービン発電装置が搭載されており、そこから空調装置や照明装置の電力を賄っていました。その後登場したL0系改良型試験車は電磁誘導を利用して電力を取り込む誘導集電方式を採用し、ガスタービン発電装置は搭載されていません。 でも、今年9月に撮影した写真では、2つある先頭車のうち1両はガスタービン発電装置が搭載された初期型のL0系で、写真に陽炎がたっていることからガスタービン発電装置が作動している証拠といえます。もし誘導集電方式だけで車内電源を確保できるのであれば、改良型先頭車を2両製造して同じ編成に組み込むはずです。それをやっていないのは、誘導集電の技術が十分に磨かれていないことを意味します。 Q:JR東海の技術に対して、国の技術評価委員会の突っ込みが足りない? A:そう思います。それと、もっと情報を開示してほしいです。論文も出ていないので、どうなっているかがさっぱりわかりません』、「もし誘導集電方式だけで車内電源を確保できるのであれば、改良型先頭車を2両製造して同じ編成に組み込むはずです。それをやっていないのは、誘導集電の技術が十分に磨かれていないことを意味します」、「JR東海の技術に対して、国の技術評価委員会の突っ込みが足りない」、その通りだ。
・『建設的な議論が盛り上がれば  Q:中央新幹線は在来線の開業を匂わせていると著書に書かれています。山梨実験線には超電導リニアには不要な架線柱のようなものも立っているとのことですが。 架線柱のようなものがおおむね50m間隔で立っています。東海道新幹線とほぼ同じ間隔です。電柱がなぜここに立っているのか疑問に感じました。 Q:全般的に超電導リニアに対して辛口に書かれていると感じました。せっかく、さまざまな事実を丁寧に並べているので、ご自身の意見は抑えて、是非の判断は読者に委ねたほうがよかったのでは? A:そこは難しかったのです。本書の目的は批判ではなく、建設的な議論を進めることです。国もJR東海も批判するつもりはまったくありません。私の意見を述べないことも考えたのですが、編集者と相談して、私の意見を述べることにしました。私の意見が正しいとは限らないので、いろいろな意見が出てきてほしいと思っています。そのうえで、もし議論が盛り上がったらうれしいです』、「本書の目的は批判ではなく、建設的な議論を進めることです」、なるほど。
・『インタビューを終えて 難しい技術をわかりやすく伝えるというのが川辺氏の信条だけあって、川辺氏の著書によって超電導の技術やその問題をきちんと理解することができた。著書に記されている内容についても、基となる文献の出典も丁寧に紹介されている。また、鉄道、リニア、航空の現役、OBの技術者ともディスカッションを繰り返したという。 では、川辺氏の指摘についてJR東海はどのように考えているか。同社に確認を取ったところ、以下のような回答があった。 「クエンチについては、山梨リニア実験線で実験の目的上、意図的に起こしたことはあるが、意図せずに起きたことは1度もない。また、1999年の新聞報道については、車両が停止するトラブルは起きたが、その後の調査で原因は冷却材の配管の亀裂による真空度の低下に伴う温度上昇が発生し、磁力が低下した事象であり、超電導磁石のクエンチではなかったことが判明した」』、「超電導磁石のクエンチではなかったことが判明した」、確かにそのようだ。
・『さらなる情報開示が必要では  では、MRIではクエンチが起きているのに、超電導リニアでは1度も起きていないのはなぜか。この点を尋ねたところ、「MRIとの比較はしてないので違いについては説明できないが、超電導リニアは宮崎実験線以来長年にわたってクエンチが起きないように研究を重ね、改良を続けてきたので、その成果である」という回答があった。 また、「L0系にはトイレが付いている」とのことで、高速走行中にトイレが使えないということも「絶対にない」という。体験乗車の際は、「L0系は試験車両であることからトイレは1両しか設置されておらず、乗車イベント等の際は、乗車前にトイレの利用を促しているだけ」ということであった。 現在の走行試験でL0系の両方の先頭車両が初期型と改良試験車に分かれている理由は、「乗り心地の改善に向け初期型を先頭にした走行と改良試験車を先頭にした走行を比較検証するため」であり、ガスタービンを用いている理由は、「誘導集電に必要な地上ループは技術開発に必要な一部の区間にのみ敷設され、実験線の42.8km全線に敷設していない」ためで、誘導集電に関する技術が磨かれていないということはないとしている。また、山梨実験線に立っている架線柱のようなものは、「架空地線という避雷設備」で、役割としては避雷針のようなものだという。 JR東海の回答からは走行試験は順調に進んでいることがうかがえるが、川辺氏のように技術に明るい人からも疑問の声が上がるのは、情報開示が不完全だからだろうか。 とはいえ、先端技術の情報開示は難しい。中国も超電導リニアの開発に乗り出している中、高度な技術をあからさまに開示するのは競争上得策ではない。逆に、完全な秘匿は疑心暗鬼を生む。 難しい問題だが、国民の不安を払拭するためには、情報開示も含めて川辺氏の提唱するような「国民の幅広い議論」が必要かもしれない。それは、膠着状態にある静岡工区の未着工問題においても同様だ』、「国民の不安を払拭するためには、情報開示も含めて川辺氏の提唱するような「国民の幅広い議論」が必要かもしれない」、同感である。

第三に、本年1月5日付け東洋経済オンラインが掲載した「静岡経済新聞」編集長の小林 一哉氏による「静岡リニア「トンネル湧水全量戻し」本当の問題点 有識者会議の結論は妥当だったが静岡県は反発」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/479860
・『南アルプス・リニアトンネルに伴う大井川の水環境問題を議論した国の有識者会議の結論(中間報告)が2021年12月19日に取りまとめられた。その結論は以下のとおりだ。 1) トンネル湧水量の全量を大井川に戻すことで中下流域の河川流量は維持される。 2) トンネル掘削による中下流域の地下水量への影響は、極めて小さい。 ところが、翌日の静岡県内の朝刊各紙は『湧水全量戻し 示さず』(中日)、『全量戻し 方法示さず』(静岡)、『水「全量戻し」議論残る』(朝日)などの大見出しで、中間報告への疑問を投げかけた。 静岡県の川勝平太知事は会見で、「全量戻しができるのかできないのかわからないのが中間報告を読んでの率直な感想。全量戻せないならばおそらくは工事はできないだろうと思う人が多い」と述べ、約2年間もかけた議論を粉々に打ち砕いてしまった。 「全量戻し」とはいったい、何か。国は流域住民に有識者会議の結論をわかりやすく伝えなければ、リニア静岡工区の着工は遠のいたままだ』、「1)」がどうして『湧水全量戻し 示さず』になるのか、理解できない。しかし、「全量戻せないならばおそらくは工事はできないだろうと思う人が多い」と述べ、約2年間もかけた議論を粉々に打ち砕いてしまった」、「中間報告」の意味はどこにあったのだろう。
・『「全量戻し問題」の発端は?  JR東海は2013年9月、環境アセス準備書の中で「トンネル工事によって、大井川上流部の流量が毎秒2㎥減少する」と予測した。この予測に対して、静岡県は「毎秒2立方メートル減少するメカニズムを関係者に分かりやすく説明するとともに(中略)同施設内の湧水を大井川へ戻す対策をとることを求める」などの知事意見書を提出した。 JR東海は2015年11月、トンネル内の湧水減量分の6割強、毎秒1.3立方メートルをリニアトンネルから大井川までの導水路トンネル設置で回復させ、残り0.7立方メートルは『必要に応じて』ポンプアップで戻す対策を明らかにした。 JR東海の対策に、川勝知事は「62万人の“命の水”が失われる。全量を戻してもらう。これは県民の生死に関わる」などと反発、流域住民らは知事を強く支援した。『必要に応じて』の対策では「県民の生死に関わる」としたから、知事は「減少する毎秒2立方メートルの全量戻し」を主張、工事の着工を認めない方針を示した。これが「全量戻し」問題の始まりだった。) その後、県は減量分の毎秒2立方メートルだけでなく、トンネル内の湧水全量を試算して、そのすべてを戻せとハードルを上げた。県の求めに応じて、JR東海は2018年10月になって、『原則としてトンネル湧水の全量を大井川に戻す措置を実施する』と表明した。減量分の毎秒2立方メートルだけでなく、湧水全量を毎秒2.67立方メートルと試算、その全量を戻すとしたのだ。この表明で、川勝知事の“命の水”問題は解決したはずだった。 しかし、今回の有識者会議結論に、新聞各紙は「全量戻しの方法示さず」などと報道。静岡新聞1面トップ記事は『表流水の量は「トンネル湧水の全量戻し」をすれば維持され、地下水量の影響も「極めて小さい」としたが、全量戻しの具体的な方法は示さず、JRと県、流域市町の協議に問題解決を委ねた』と伝え、有識者会議結論を厳しく批判した。 新聞報道を踏まえ、川勝知事は「実質は毎秒2トンの水が失われる、と(JR東海は)言っていた。毎秒2トンの水は60万人の水道水の量」などと述べたから、ふつうに考えれば、JR東海は、トンネル湧水毎秒2.67立方メートルの「全量戻しの方法」を示さなかったと考えるだろう』、地元マスコミにも批判されるような「結論」を出すよう「有識者会議」には、意味がないようだ。
・『静岡県民には理解できない  ところが、JR東海は、毎秒2.67立方メートルについて、導水路トンネルとポンプアップという具体的な方法で、「湧水の全量を戻す」計画を示していた。有識者会議は、JR東海の「湧水全量戻しの方法」を認めたうえで、中下流域の河川流量は維持され、地下水への影響はほぼないという結論を出したのだ。 JR東海は、最大の難工事となる、南アルプス断層帯が続く山梨県境付近の工事で、山梨県側から上り勾配で掘削、まったく対策を取らなければ、最大300万〜500万立方メートルの湧水が県外に流出すると推計した。工事期間のうち、10カ月間だけは県外流出することを当初から説明していた。 静岡県は、トンネル湧水全量の毎秒2.67立方メートル戻しをJR東海が表明してから、約1年後の2019年8月になって、「湧水の県外流出を認めない」と、さらにハードルを上げた。「全量戻し」には、「水1滴」も含まれるという主張に変わってしまった。 県内の新聞各紙が有識者会議結論に疑問を投げかけた「全量戻しの方法を示せ」とは県外流出分についてだったが、一般の県民にはまったく理解できない記事となった。 JR東海は有識者会議で、作業員の安全確保を踏まえ、静岡県側からの下り勾配よる水没の可能性などを説明した。有識者会議の専門家は、静岡県側からの下り勾配工事の危険性を認め、作業員の人命安全を優先、山梨県側からの上り勾配による掘削で、県外流出する300万〜500万立方メートルが中下流域の水環境に影響を及ぼすのかどうかを議論した。) 2021年2月の有識者会議で、県外流出される水量(最大500万立方メートル)について、水循環研究の第一人者、沖大幹・東大教授(水文学)は「非常に微々たる値でしかない」と指摘した。今回の結論となった中下流域への水環境への影響はほぼないという大きな理由のひとつである。 川勝知事の“命の水”とされる上水道だけでなく、農業、工業用水は下流域にある川口発電所付近の2つの取水口から年約9億立方メートルの表流水を導水管で取り入れている。 川口発電所直下の神座地区の河川流量は年平均約19億立方メートルで、上水道などに取られる約9億立方メートルを合計すると、実際の河川流量は年約28億立方メートルにも上る。 さらに、神座地区の河川流量は平均約19億立方メートルだが、変動幅はプラスマイナス9億立方メートルもある。沖教授は、この部分に着目、県外流出する量が最大500万立方メートルとしても、変動幅約9億立方メートルの0・55%と極めてわずかであり、リニア工事による県外流出量は年間の変動幅に吸収されてしまう値である、と説明した』、なるほど。
・『水問題は感情に結び付きやすい  「非常に微々たる値でしかない」県外流出量を静岡県は大きな問題にするのに、利水安定のために変動幅約9億立方メートルもの水をコントロールする対策に取り組んでいないと、沖教授は厳しく批判した。つまり、有識者会議は県外流出についての湧水全量戻しは取るに足らない問題だと結論づけたのだ。 ところが、有識者会議の中間報告が決定した直後、静岡県の難波喬司副知事は会見で「静岡県の意見もかなりの部分を反映してもらったが、必ずしも100%評価できない」としたうえで、県外流出する湧水について「関係者が納得する方策を協議すべきだ」などと述べた。静岡県内の記者たちは、そもそもの「全量戻し」や有識者会議の議論を理解しておらず、「JR東海の説明の不十分さが証明された」(難波氏)という指摘をそのまま受け入れてしまった。 県は2018年8月作成のリニア資料「水循環の状況(断面)」で、源流部から下流域まで地下水路が続き、下流域で大量の地下水が湧出していて、リニア工事が地下水路を遮断するイメージ図を提供、下流域の住民らの不安を煽ったのを皮切りに、川勝知事が先頭に立ち、リニア工事によって、下流域の水資源が枯渇するというイメージをつくり上げるのに躍起だった。 第1回有識者会議で、金子慎JR東海社長は「トンネル工事がどういう仕組みで(下流域に)被害を発生させるのか、専門的な知見から影響が起きる蓋然性(確率)を示してほしい」と要望、有識者会議は「ほぼ影響ない」という結論を示し、問題解決への道筋を示した。県外流出する湧水を含めて、「感情に結び付きやすい水問題」(沖教授)だけに、国、JR東海は有識者会議の結論をわかりやすく丁寧に流域住民に説明すべきである』、こじれ切った「水」問題、改めて中立的な「有識者会議」を作り、「JR東海」、「静岡県」とも冷静になって、ゼロから議論してゆくほかないのではなかろうか。
タグ:リニア新幹線 (その6)(調布市の道路陥没事故でリニア新幹線工事が不安になる理由、JR「超電導リニア」の技術は本当に完成したのか 気鋭の技術ライターの疑問と JR東海の見解、静岡リニア「トンネル湧水全量戻し」本当の問題点 有識者会議の結論は妥当だったが静岡県は反発) ダイヤモンド・オンライン「調布市の道路陥没事故でリニア新幹線工事が不安になる理由」 このニュースは昨日のこのブログでも紹介した 、確かに「外環道計画」自体は「交通政策」上は合理的だ。 、本年2月28日付けNHKナビによれば、東京地裁は「外環道」の 東名JCT~中央JCTの区間の工事中止を命じたようだ。 「リニア」の平地部分は、多くが「大深度地下」の「トンネル」なので、今回の問題がどういう形で決着するか、大いに注目される。 東洋経済オンライン「JR「超電導リニア」の技術は本当に完成したのか 気鋭の技術ライターの疑問と、JR東海の見解」 「MRIは空調の利いた室内に静置されているという非常に条件のいい状態で使われているにもかかわらず、クエンチが起きています」、「外気にさらされ、振動や衝撃も受けやすいという過酷な状況にさらされて」いる「超電導リニアの超電導磁石」は「クエンチが起きやすい状態なのです」。走行中に発生したら恐ろしいになりそうだ。 「JR東海から「山梨実験線ではクエンチは1度も起きていない」と書くようにとの指示が編集部経由で伝わってくる」、不自然な指示だ。「L0系の車両の図面にはトイレが見当たりません」、「高速走行する車両におけるトイレに関する技術が確立できていないと推測」、「「高速走行」では「トイレ」まで難しくなるとは初めて知った。 「もし誘導集電方式だけで車内電源を確保できるのであれば、改良型先頭車を2両製造して同じ編成に組み込むはずです。それをやっていないのは、誘導集電の技術が十分に磨かれていないことを意味します」、「JR東海の技術に対して、国の技術評価委員会の突っ込みが足りない」、その通りだ。 「本書の目的は批判ではなく、建設的な議論を進めることです」、なるほど。 「超電導磁石のクエンチではなかったことが判明した」、確かにそのようだ。 「国民の不安を払拭するためには、情報開示も含めて川辺氏の提唱するような「国民の幅広い議論」が必要かもしれない」、同感である。 東洋経済オンライン 小林 一哉氏による「静岡リニア「トンネル湧水全量戻し」本当の問題点 有識者会議の結論は妥当だったが静岡県は反発」 「1)」がどうして『湧水全量戻し 示さず』になるのか、理解できない。しかし、「全量戻せないならばおそらくは工事はできないだろうと思う人が多い」と述べ、約2年間もかけた議論を粉々に打ち砕いてしまった」、「中間報告」の意味はどこにあったのだろう。 地元マスコミにも批判されるような「結論」を出すよう「有識者会議」には、意味がないようだ。 こじれ切った「水」問題、改めて中立的な「有識者会議」を作り、「JR東海」、「静岡県」とも冷静になって、ゼロから議論してゆくほかないのではなかろうか。
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JR一般(その1)(JR東労組 大量脱退の背景に何があったの タブーに切り込んだ「暴君」著者インタビュー、リニアとコロナ JR東海を襲う「二重苦」 ドル箱の新幹線に大逆風、JR西日本が「赤字ローカル線」公表 廃線議論のための3つの論点とは) [産業動向]

本日は、JR一般(その1)(JR東労組 大量脱退の背景に何があったの タブーに切り込んだ「暴君」著者インタビュー、リニアとコロナ JR東海を襲う「二重苦」 ドル箱の新幹線に大逆風、JR西日本が「赤字ローカル線」公表 廃線議論のための3つの論点とは)を取上げよう。

先ずは、やや古いが、2019年7月29日付け東洋経済オンライン「JR東労組、大量脱退の背景に何があったの タブーに切り込んだ「暴君」著者インタビュー」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/292377
・『JR東日本で最大の労働組合・JR東労組から2018年春、3万3000人もの組合員が一挙に脱退し、同労組の組合員はあっという間に3分の1に激減した。いったい、何が起きたのか。 旧国鉄時代から労働運動を牽引し、JR東労組の初代委員長を務めた松崎明氏がJR東日本を支配していく様子を丹念な取材で描いたのが牧久氏の著書『暴君』(小学館)である。 元日経新聞記者として長年にわたり鉄道業界を取材してきた牧氏には、国鉄分割民営化の軌跡を追った『昭和解体』(講談社)という著書がある。この『昭和解体』が表の歴史だとすれば、『暴君』はまさに裏の歴史である。松崎氏は“JRの組合のトップ”という表の顔の裏に、極左組織・革マル派の最高幹部の顔を持っていたのだ。 JR最大のタブーともされる組合問題をなぜ真正面から取り上げたのか。牧氏に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは枚氏の回答)』、「組合員はあっという間に3分の1に激減」「労組の「トップ」が、「極左組織・革マル派の最高幹部の顔を持っていた」、かねて噂にはなっていたが、事実だったようだ。
・『マスコミ側に「恐怖心」があった  Q:JR東日本の鉄道路線を多くの国民が毎日利用しており、同社は就職したい会社としても学生に高い人気があります。その会社の内部で、しかも現代の日本で、本書に書かれているようなことが起きていたというのが信じられません。世間が持つJR東日本のイメージと、なぜここまでかけ離れているのでしょうか。 A:われわれマスコミが正確に報道しなかったからです。恐怖心がマスコミの側にあったのだと思います。 Q:恐怖心? A:そうです。決定的となったのは、1994年にJR東日本管内のキヨスクの売り場から『週刊文春』が全部排除された問題です。小林峻一氏の「JR東日本に巣くう妖怪」と題する連載記事にJR東日本の労使が激しく反発、キヨスクでの販売拒否という信じがたい行動に出たのです。 あの当時は新聞も雑誌の駅売りの比率が非常に高く、キヨスクで販売できないと経営的には非常に痛い。キヨスクに『週刊文春』だけ並ばないという状態が3カ月も続きました。結局文春が「全面降伏」して事態は収束しましたが、こうなるとマスコミの側で自己規制が働き、松崎明氏や異常な労使関係の問題は扱いづらくなってしまいました。) それでも、2006年には『週刊現代』でジャーナリストの西岡研介氏が「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」を連載しました。しかし、この記事は松崎・組合側から50件もの訴訟を受けたのです。私も日経新聞の社会部長時代に名誉毀損で3件の訴訟を受けた経験がありますが、当事者として訴訟を受けるのは大変なことはよくわかります。 (牧 久氏の略歴はリンク先参照) メディアがこの問題を扱うのはどうしても慎重にならざるをえない。だからJRの内部で起きていることが世間に伝わらなかったのだと思います。 Q:では、今回、『暴君』を執筆した理由は? A:この年になって、知っていながら書かなかった、書けなかったことへの苦い思いと強い反省の念がふつふつとわいてきたんです。われわれがやるべき仕事を放棄しているようなものだから。生きている間に書き残したいという思いもありました。 本が出たら、昔の国鉄記者クラブの仲間や私がお世話になった人たちが、「ご苦労さん会」をやってくれました。みな新聞記者として、知っているのに書かなかった、書けなかったことを無念に感じていたようです。「お前はよくぞ書いてくれた」と言ってくれましたよ』、「小林峻一氏の「JR東日本に巣くう妖怪」と題する連載記事にJR東日本の労使が激しく反発、キヨスクでの販売拒否という信じがたい行動に出たのです。 あの当時は新聞も雑誌の駅売りの比率が非常に高く、キヨスクで販売できないと経営的には非常に痛い。キヨスクに『週刊文春』だけ並ばないという状態が3カ月も続きました。結局文春が「全面降伏」して事態は収束しましたが、こうなるとマスコミの側で自己規制が働き、松崎明氏や異常な労使関係の問題は扱いづらくなってしまいました」、このような騒ぎがあったことを思い出した。それにしても、「結局文春が「全面降伏」して事態は収束」、とは現在の「文春砲」で築いた圧倒的地位からは考えられないような事態だ。
・『JR東が毅然とした態度をとれなかった理由  Q:JR東日本の歴代の経営者は、組合に対してなぜ毅然とした態度をとらなかったのでしょうか。 A:分割民営化に際して、JR東日本の初代社長は元運輸事務次官の住田正二氏に決まりました。ただ、あのとき、民営化を推し進めた国鉄の若手幹部「改革3人組」の1人、井手正敬氏が住田氏を補佐すると誰もが思っていました。松田昌士氏、葛西敬之氏、井手氏という3人組の中では井手氏が最年長で、改革派の“総指揮官的な立場”にいたからです。 一方で、松田氏は旧国鉄では珍しい北海道大学出身で企画畑。東大出身者が幅を利かす旧国鉄時代には運輸省に出向していた時期もあります。住田氏にとっては旧国鉄のエリートコースを走り続けた、やり手の井手氏や葛西氏よりも、運輸省時代に部下として使ったことがあり気心も知れている松田氏がやりやすかったのでしょう。) 松田氏自身はJR北海道に行くと思っていたのですが、「JR東日本で住田を助けて、労務をやれ」ということになりました。JR西日本に行った井手氏、JR東海に行った葛西氏は、当時JR東労組の委員長だった松崎明氏の“革マルの本性”を見抜いて、いち早く決別しましたが、松田氏は松崎氏の力量をJR東日本の経営改革に活用しようと考え、積極的に手を握ったと、今回の取材で語りました。 また、松田氏は国鉄時代に手ごわい組合を相手にしてきた経験豊富な井手氏や葛西氏のような労務屋さんではないので、JR東日本で労務をうまくやっていくためには、松崎明氏と手を握らざるをえなかったという側面もあるでしょう。 2012年から2018年まで社長を務めた冨田哲郎氏が、2018年春の賃上げ交渉で会社側がJR東労組と全面対決に踏み切る姿勢を見せたわけですが、松田氏、大塚陸毅氏、清野智氏のJR東日本の歴代社長は労使関係の正常化は時間をかけて軟着陸するしかないと考えていました。それが2018年の動きにつながったともいえます。それにしても、ここまで時間をかけなければ変わらなかったというのはやっぱりおかしい』、「松田氏は国鉄時代に手ごわい組合を相手にしてきた経験豊富な井手氏や葛西氏のような労務屋さんではないので、JR東日本で労務をうまくやっていくためには、松崎明氏と手を握らざるをえなかったという側面もある」、「それにしても、ここまで時間をかけなければ変わらなかったというのはやっぱりおかしい」、その通りだ。
・『多くの組合員はじっと見ていた  Q:昨年、JR東労組から大量に組合員が脱退したのはなぜですか。 A:発端は春闘での賃上げをめぐってJR東労組がスト権を確立し、ストを構えたことです。JR東労組は全組合員一律のベースアップや格差ベアの永久的根絶を要求しましたが、実力によって賃金に差を付けることは当たり前で、どこの会社でもやっていることです。一律の賃上げを会社がのめないのは当然です。 かといって、平成の終わりの時代に昭和のような大規模な交通ストに突入するようなことがあれば、世間の厳しい目が労使双方に向けられるのは必至でしょう。 しかし、ここで会社側は一歩も引かず、JR東日本発足以来、JR東労組との間で結んできた、労使ともに過激な手段に訴えることなく平和的手段で問題を解決するという「労使共同宣言」の失効を宣言しました。この過程でJR東労組の12の地方本部が、強硬姿勢を崩さない地本と、それ以外の地本に分裂し、組合員の脱退に拍車がかかったのです。 松崎氏が組合を私物化し、当局に業務上横領容疑で送検されるなど失意のうち亡くなったのが2010年末ですから、それから8年経過してのことです。松崎氏の行動や発言には、彼の革命理論としては正しい部分もありましたが、松崎氏の死後にそれを受け継ぐリーダーは誰もいなかった。松崎氏は自らの権力を守るため、力のある後継候補を次々と排除したためです。多くの組合員はそれをじっと見ていたのでしょう。 Q:JR東日本の組合問題は今後どのような方向に向かうのでしょうか。 A:ここに至るまで30年もの時間がかかったのですから、JR東日本の経営者も性急に事を進めず、時間をかけて慎重に判断していくのではないでしょうか。 Q:『昭和解体』と『暴君』で、国鉄からJRにつながる歴史はすべて書き尽くしましたか。あるいは第3弾があるのでしょうか。 A:昭和解体の前に『不屈の春雷――十河信二とその時代』(ウェッジ)という本を書いています。これは明治から始まって、十河氏が後藤新平氏と出会い、そして十河氏が新幹線を造るまでの話です。 十河氏は、国鉄内外の誰もが猛反対する中で、当初の建設予算をわざと低く見積もって国会で予算を通した、つまりウソをついてまで新幹線を完成させました。東京オリンピック直前の開業式のときは国鉄を石もて追われ、1人寂しくその様子をテレビで見ていたんです。彼がいなければ、その後、高度成長を遂げる日本の「背骨」となる新幹線はこの世に生まれなかったでしょう』、「会社側は一歩も引かず、JR東日本発足以来、JR東労組との間で結んできた、労使ともに過激な手段に訴えることなく平和的手段で問題を解決するという「労使共同宣言」の失効を宣言しました。この過程でJR東労組の12の地方本部が、強硬姿勢を崩さない地本と、それ以外の地本に分裂し、組合員の脱退に拍車がかかったのです」、冒頭の「JR東労組、大量脱退の背景」が理解できた。「十河氏は、国鉄内外の誰もが猛反対する中で、当初の建設予算をわざと低く見積もって国会で予算を通した、つまりウソをついてまで新幹線を完成させました」、新幹線の真の功労者で、初めて知った。
・『リニアの経済効果を検証すべき  しかしその年(1964年)、皮肉なことに国鉄は赤字に転落し、以降、どんどん赤字が膨らみ、最後に解体され、そして今日、JRができておよそ30年が経ちました。明治から平成に至る鉄道の物語を書き尽くしたという思いはあります。 今、気になっているのはリニア中央新幹線です。日本のものづくりという点において、リニアという技術が、ITなど先端分野で後手に回っている日本の起死回生の武器になる可能性はもちろんありますが、リニアがもたらす経済効果についての検証はきちんと行われているのでしょうか。 もはや東海道新幹線開業時のような元気な時代でもないし、むしろ人口が減少期に入っているのは誰の目にも明らかです。そこに巨額の資金を投入して建設する必要性がどこまであるのか、この点についてメディアはもっと俎上に載せて、議論を盛り上げていくべきではないでしょうか』、「リニア」については、このブログでも紹介しているが、私は新幹線と競合するとして反対の立場だ。

次に、本年2月3日付け東洋経済オンライン「リニアとコロナ、JR東海を襲う「二重苦」 ドル箱の新幹線に大逆風」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/573358
・『名古屋城天守閣の南南東、愛知県庁や愛知県警のビルが立ち並ぶ官庁街の一角でリニア中央新幹線の建設工事が進められている。 品川と名古屋を結ぶリニアは、ルートの大半で地下を走る。首都圏や中京圏の都心部では、用地買収の必要がない地下40メートルより深い「大深度地下」と呼ばれる地下区間が使用される。 この大深度区間を含めた本線トンネルはシールドマシンで掘削工事が行われる。名古屋地区におけるシールドマシンの発進拠点の1つが、現在工事中の「名城非常口」である』、「大深度地下」の工事では、外環道の調布市周辺の工事で、予想外の土砂崩れが起こり、工事の安全性そのものに疑問符がつきつつある。
・『2027年のリニア開業は絶望的に  地表から約83メートルの地下に直径37メートルの円形の空間が広がる。シールドマシンはここから出発し、まず品川方面に向けてトンネルを掘り進める。その後、途中で引き返し、今度は逆に名古屋方面に向けて掘り進める。非常口という名称のとおり、リニアの営業運転開始後は異常時の乗客避難や保守作業の拠点として使用される。 首都圏と中京圏を結ぶリニアのルート上には、約5キロメートル間隔で非常口が設置され、首都圏では9カ所、中京圏では4カ所が設置される。この非常口のようにリニアは各所で工事が本格化しているが、唯一着工していないのが静岡工区だ。 リニアのトンネル工事は南アルプスの最深部を掘り進める。工事に伴って発生する湧水が大井川流域の利水者や南アルプスの生物多様性に影響を与えかねないとして、静岡県の川勝平太知事が工事にゴーサインを出さないためだ。 JR東海が目標としていた2027年の品川―名古屋間の開業はもはや絶望的だ。リニア駅周辺の自治体も2027年開業を前提に開発を予定しており、開業時期がいつになるか気をもんでいる。静岡工区の工事をいつ開始できるかわからないため、JR東海も新たな開業時期も見通せないというのが実情だ。) 「リニアの開業延期が静岡のせいにされるのは遺憾だ」。静岡県内からはこうした声も聞こえてくる。「静岡以外でも、工事が遅れているところがあるのではないか」。 実は、冒頭の名城非常口の工事も、掘削中に大量の地下水が噴出して工事が一時中断。そのため、工事完了は予定から1年半遅れの2022年7月となる。ただ、名城非常口の工事担当者は「工事の遅れはリニア全体の工期に影響を与えるものではない」と断言している』、「唯一着工していないのが静岡工区だ」、「JR東海が目標としていた2027年の品川―名古屋間の開業はもはや絶望的だ」、この際、「リニア工事」の中止を検討すべきではなかろうか。
・『東海道新幹線が追い打ち  膠着状態に陥ったリニア工期問題に追い打ちをかけたのが、コロナ禍による東海道新幹線の利用者激減だ。 東海道新幹線はJR東海の鉄道事業の9割を占める、経営の屋台骨というべき存在だ。2020年4月の緊急事態宣言により、同4〜5月における東海道新幹線の輸送量は前年比90%減少した。 6月以降、輸送量はじわじわと盛り返し、11月には同46%減まで回復したが、2020年の年末年始の利用は同68%減まで低下してしまった。 通勤や通学、買い物といった日常利用の多い在来線と比べると、出張や観光目的の利用が多い東海道新幹線の利用頻度はどうしても低くなりがち。新幹線への依存度が大きい分、在来線の割合の高いJR東日本よりも経営的には苦しい。その反面、好材料もある。それは、利用者数が過去20年間で4割近く増えた一方で、運行の効率化により経費は漸減傾向にあり、東海道新幹線の利益率が高くなっているためだ。 JR東海は東海道新幹線の利益率を開示していないため、JR東海単独決算から推計すると、新型コロナの影響を受けなかった2019年4〜9月期は売上高7512億円に対して営業利益は3900億円。売上高営業利益率は実に5割を超える。 新幹線の運行コストは運転士・車掌らの人件費、駅や設備の維持費用、車両や設備の減価償却費などが大半を占める。収入の多寡にかかわらず発生する固定費が中心だ。) コロナ禍の2020年4〜9月期(単独決算)は、売上高が前期比70%減の2217億円、営業損益は1000億円の赤字だった。ところが、2020年10~12月期の売上高は前年同期比51%減の1867億円にとどまり、177億円の営業利益を実現した。通期でも、売上高が前期比5割減程度であれば営業損益を黒字に持ち込むことができるわけだ。 【2021年2月3日10時10分追記】初出時の通期業績に関する表記を修正いたします』、足元の業績は改善傾向のようだ。
・『コロナ長期化ならリニア計画に影響も  2020年11月に行われた決算説明会でJR東海は、運輸収入(在来線を含む)は2021年3月に前年比40%減まで、6月には20%減まで回復するという見通しを発表した。このレベルであれば2022年3月期は営業黒字に復帰する可能性が高い。 問題はコロナの再拡大だ。もし新幹線の利用率が半減以下では営業赤字は解消できない。 コロナ禍があまり長引くようだと、リニアの建設計画にも影響が出かねない。品川―名古屋間の建設費用は約5兆5000億円と見込まれており、そのうち3兆円は政府から借り入れた財政投融資でまかなう。財投の資金使途はリニア工事に限定されており、当面はこの資金を取り崩せば、しのぐことができる。 2020年9月末時点で財投から調達した3兆円のうち、すでに7458億円を取り崩した。工事が佳境を迎え、これを使い切ってしまうと自己資金で賄う必要が生じる。そのときに業績が悪化したままの状況は避けたいはずだ。 これまでのJR東海は毎期数千億円単位で内部留保を積み上げてきた。コロナがなければ今後も同じペースで積み上がっていたはずだ。リニア建設費のうち財投で足りない2.5兆円は、これまでの内部留保の取り崩しや今後積み上がる利益で賄える予定だった。 コロナ禍による旅客収入の減少がもたらす資金不足が続くようだと、当初描いていたシナリオは根本から見直しを迫られることになる』、「コロナ禍」の影響は長引くと考えざるを得ないことも考えると、前述の「リニア工事」の中止を真剣に考えるべきだ。

第三に、4月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家の塚崎公義氏による「JR西日本が「赤字ローカル線」公表、廃線議論のための3つの論点とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302093
・『JR西日本が赤字ローカル線の収支状況を公表した。ローカル線の状況が苦しいのは、ここだけにとどまらない。赤字ローカル線を存続させるのか、廃止してバスなどに代替させるかを、国民的に議論すべき時に来ているのではないだろうか』、興味深そうだ。
・『100円稼ぐのに経費2万5000円以上? 赤字ローカル線の収支は悲惨  JR西日本が赤字ローカル線の収支状況を公表した。過密と過疎が叫ばれて久しいので、ローカル線の赤字が悲惨であることは当然に予想されていたが、それにしてもすごい赤字だ。最悪の路線は、100円の収入を得るために2万5000円以上の経費がかかっている計算だという。 過疎地に暮らす人々にとっては、極めて重要な交通の足であろうが、その路線の赤字を誰かが負担しているということを忘れてはならない。 もう一つ重要なのは、鉄道を廃止しても、同じ区間にバスなどを運行すれば、住民にとって死活問題にはならないのではないか、ということである。 「おらが村には鉄道の駅がある」ということを誇りに感じている人もいるだろう。問題は、そうした誇りのために、他人に巨額の費用を負担してもらっている事態をどう考えるか、である。 以下では、赤字ローカル線を廃止してバス路線に切り替えることの是非について、「存続させるとして、費用は誰が負担すべきか」「費用負担者が納得しているのか」「人口減少社会で永遠に存続させるのは不可能」という3つの観点から論じてみたい』、論点は整理され、もっともだ。
・『赤字ローカル線を存続させるなら費用は誰が負担すべきか  赤字ローカル線の場合には、誰が費用を負担しているのか、明確でない部分もあろう。黒字路線の乗客が負担している部分が大きいのだろうが、株主も負担していることは疑いないし、沿線の自治体などから補助金が投入されているケースもある。) 都市部の黒字路線の乗客が負担するのは、筋が違うのではないか。「都市部の便利な所に住んでいる人が不便な人の分も負担すべき」というのは、一応理屈にはなる。しかし、そうであれば、都市部で私鉄通勤している人や、自動車通勤している人にも負担してもらうべきだ。 これは、「べき論」にとどまらない。潜在的な乗客が私鉄やマイカーなどに逃げてしまえば、JRの収入が減ってしまい、一層都市部の運賃を値上げしなければならない、といった悪循環に陥る可能性があるからだ。 株主が負担するのも、筋が違うだろう。過疎地に住む人のために、株主の利益を削ってローカル線を運転する義務はないからだ。 そうだとすれば、仮に存続させるとした場合には、政府が負担すべきだと思われる。「過疎地に住む人が困っているから、政府が助ける」というのは政府の重要な役割の一つだから、政府が負担するのは自然であろう。 ここで、中央政府なのか自治体なのか、という議論は当然必要だ。すなわち、大都市からの税収で過疎地のローカル線の赤字を補填(ほてん)すべきか、それともその自治体の中で完結すべきか、という議論だ。それはそもそも、地方自治体の財政をどう考えるべきか、という極めて大きな枠組みで議論されるべきであろう』、これは政策負担を中央政府と「地方自治体」でどう分け合うかというかなり難しい問題になる。
・『負担する人の納得は得られているか  日本人は、政府に対しても「かわいそうな人は助けてやれ」と言うだけの人が多く、「かわいそうな人は助けてやれ。そのための増税なら喜んで受け入れるから」「そのためなら、俺たちへの行政サービスを減らしてもいいから」と言う人は少ないのではなかろうか。 しかし、政府が「かわいそうな人」を助けるためには金がかかる。その金をどう捻出すべきなのかを併せて言わないと、政府としては困ってしまう。「かわいそうな人を助ける費用は赤字国債で賄って、子供たちに払わせろ」では無責任だ。増税、もしくは自分たちの行政サービスの縮小が不可避になる。 そうとなれば、国民的な議論が必要だ。自分たちがコストを負担すべきか、誰を優先的に助けるべきか、などを議論した上で、ローカル線の存廃を政治が決めればよい。 筆者は納税者が負担すべきだと考えている。都市部の乗客が負担するという現在の制度を維持するのであれば、都市部の乗客の理解を得なければなるまい。「過疎地のローカル線を維持しなければ運賃は半額になりますが、それでも過疎地のローカル線を維持するために現在の運賃を支払い続けていただけますでしょうか」といったアンケートを取ってはどうだろうか』、この場合、「過疎地」と一括りにしただけでは、判断し難いので、個別の路線毎にブレークダウンする方がよさそうと思うが、やはりそれも無理が多そうだ。
・『人口減少社会でローカル線の存続は困難  高度成長期にも赤字ローカル線の問題はあったが、当時は人口も増えていて経済も発展していたので、今とは状況が異なる。 日本の人口は、今後数十年は間違いなく減っていく。しかも、高度成長期に金の卵たちを都会に送り出した地域では、残った親たちが高齢化している一方で若者が少ないため、これからさらに人口減少が加速する。 そうした中で、乗客が何人まで減ったら廃線にするのか、といった基準も必要になる。「乗客が1人でもいる限り、廃線しない」という選択肢も当然あり得るが、納税者や都会の通勤客が納得するとは思えない。 この問題についても、人口減少と過疎地の問題として広範な議論が必要だ。例えば、人口3人の離島に郵便を届けるコストを全国民が負担すべきか、といったものだ。 筆者は、補助金を支払って問題を解決すべきだと考えている。「ローカル線をバス路線に転換してくれたら、沿線住民に多額の補助金を支払います」「人口3人の離島から引っ越してくれたら多額の補助金を支払います」という具合である。 赤字企業が希望退職を募るときには、割増退職金を支払う。それと同様に、こちらの要望に応えてくれた人にはそれに応じて謝礼を払う、というのが解決策になるのではなかろうか。 本稿は、以上である。なお、本稿は筆者の個人的な見解である。また、わかりやすさを優先しているので、細部は必ずしも厳密ではない』、現実には、既に「ローカル線をバス路線に転換した」「沿線住民」や、少人数の「離島」から「引っ越した」住民に、今さら「謝礼」を払うとすえば歯止めがなくなってしまう。アイデア倒れで、余りに粗削りだ。本人も「細部は必ずしも厳密ではない」と認めているが、やはり単なる頭の体操に過ぎないようだ。
タグ:JR一般 (その1)(JR東労組 大量脱退の背景に何があったの タブーに切り込んだ「暴君」著者インタビュー、リニアとコロナ JR東海を襲う「二重苦」 ドル箱の新幹線に大逆風、JR西日本が「赤字ローカル線」公表 廃線議論のための3つの論点とは) 東洋経済オンライン「JR東労組、大量脱退の背景に何があったの タブーに切り込んだ「暴君」著者インタビュー」 「組合員はあっという間に3分の1に激減」「労組の「トップ」が、「極左組織・革マル派の最高幹部の顔を持っていた」、かねて噂にはなっていたが、事実だったようだ。 「小林峻一氏の「JR東日本に巣くう妖怪」と題する連載記事にJR東日本の労使が激しく反発、キヨスクでの販売拒否という信じがたい行動に出たのです。 あの当時は新聞も雑誌の駅売りの比率が非常に高く、キヨスクで販売できないと経営的には非常に痛い。キヨスクに『週刊文春』だけ並ばないという状態が3カ月も続きました。結局文春が「全面降伏」して事態は収束しましたが、こうなるとマスコミの側で自己規制が働き、松崎明氏や異常な労使関係の問題は扱いづらくなってしまいました」、このような騒ぎがあったことを思い出した。それにしても、 「松田氏は国鉄時代に手ごわい組合を相手にしてきた経験豊富な井手氏や葛西氏のような労務屋さんではないので、JR東日本で労務をうまくやっていくためには、松崎明氏と手を握らざるをえなかったという側面もある」、「それにしても、ここまで時間をかけなければ変わらなかったというのはやっぱりおかしい」、その通りだ。 「会社側は一歩も引かず、JR東日本発足以来、JR東労組との間で結んできた、労使ともに過激な手段に訴えることなく平和的手段で問題を解決するという「労使共同宣言」の失効を宣言しました。この過程でJR東労組の12の地方本部が、強硬姿勢を崩さない地本と、それ以外の地本に分裂し、組合員の脱退に拍車がかかったのです」、冒頭の「JR東労組、大量脱退の背景」が理解できた。「十河氏は、国鉄内外の誰もが猛反対する中で、当初の建設予算をわざと低く見積もって国会で予算を通した、つまりウソをついてまで新幹線を完成させました」、新幹 「リニア」については、このブログでも紹介しているが、私は新幹線と競合するとして反対の立場だ。 東洋経済オンライン「リニアとコロナ、JR東海を襲う「二重苦」 ドル箱の新幹線に大逆風」 「大深度地下」の工事では、外環道の調布市周辺の工事で、予想外の土砂崩れが起こり、工事の安全性そのものに疑問符がつきつつある。 「唯一着工していないのが静岡工区だ」、「JR東海が目標としていた2027年の品川―名古屋間の開業はもはや絶望的だ」、この際、「リニア工事」の中止を検討すべきではなかろうか。 足元の業績は改善傾向のようだ。 「コロナ禍」の影響は長引くと考えざるを得ないことも考えると、前述の「リニア工事」の中止を真剣に考えるべきだ。 ダイヤモンド・オンライン 塚崎公義氏による「JR西日本が「赤字ローカル線」公表、廃線議論のための3つの論点とは」 論点は整理され、もっともだ。 これは政策負担を中央政府と「地方自治体」でどう分け合うかというかなり難しい問題になる。 この場合、「過疎地」と一括りにしただけでは、判断し難いので、個別の路線毎にブレークダウンする方がよさそうと思うが、やはりそれも無理が多そうだ。 現実には、既に「ローカル線をバス路線に転換した」「沿線住民」や、少人数の「離島」から「引っ越した」住民に、今さら「謝礼」を払うとすえば歯止めがなくなってしまう。アイデア倒れで、余りに粗削りだ。本人も「細部は必ずしも厳密ではない」と認めているが、やはり単なる頭の体操に過ぎないようだ。
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不動産(その9)(「実は雨漏りしやすい」タワマン老後を楽しみにする人を待つ悲惨な末路【2020年BEST5】2050年にはほとんどが廃墟になる、「世田谷の地価下落」が示す不動産三極化の現実 好立地マンションの価格上昇は止まらないが…、「日本の空き家問題はほぼデマ」データが示す根拠 本当に対処すべき問題は別のところにある) [産業動向]

不動産については、昨年11月12日に取上げた。今日は、(その9)(「実は雨漏りしやすい」タワマン老後を楽しみにする人を待つ悲惨な末路【2020年BEST5】2050年にはほとんどが廃墟になる、「世田谷の地価下落」が示す不動産三極化の現実 好立地マンションの価格上昇は止まらないが…、「日本の空き家問題はほぼデマ」データが示す根拠 本当に対処すべき問題は別のところにある)である。

先ずは、本年1月6日付けPRESIDENT Onlineが掲載した住宅ジャーナリストの榊 淳司氏による「「実は雨漏りしやすい」タワマン老後を楽しみにする人を待つ悲惨な末路【2020年BEST5】2050年にはほとんどが廃墟になる」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/52386
・『2020年(1~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。老後部門の第5位は――。(初公開日:2020年12月29日) タワーマンションと低層マンション、どちらのほうが住みやすいのか。住宅ジャーナリストの榊淳司氏は「タワーマンションは維持費も通常の2倍以上かかり、コストが大きい。建て替えも困難であるため、30年後にはほとんど廃墟になっている可能性が高いんど廃墟になっている可能性が高い」という――。(第1回/第2回)』、「タワーマンションは」「30年後にはほとんど廃墟になっている可能性が高い」』とはショッキングは予測だ。
・『日本にあるマンションの95%が建て替え不可能  オフィスビルというのは、古くなったら建て替えればいい。 これは実に簡単な話である。ところが、分譲マンションはそう簡単に建て替えられない。 理由は、オーナーが何人もいるからである。オフィスビルや賃貸マンションというのは、基本的にワンオーナーである。持ち主が一人、あるいは一社なのだ。複数の場合でも、せいぜい数人か数社。 そのオーナーが「建て替える」という意志を持てば、あとは資金だけの問題となる。仮に、そのオフィスビルや賃貸マンションの立地が、都心や近郊の不動産的評価として一等地であった場合、銀行が喜んで建て替えの資金を貸してくれる。 もちろん土地を担保に差し出さなければならないが、それでもマンションに比べれば建て替えは容易である。 それが、マンションの場合はそんなに簡単ではない。簡単でないどころか、かなり難しい。 そして、日本中の95%以上のマンションは、現行法上では実質的に建て替えは不可能なのだ。こう書くと、多くの人は不思議に思われるだろう』、「日本中の95%以上のマンションは、現行法上では実質的に建て替えは不可能」、これもショッキングな数字だ。
・『104万戸あるマンションのうち建て替えられたのは300件  東京の都心を歩けば、新しく建て替えられているマンションがいくつもあるではないか、と考える人がいそうだ。しかし実際のところは、2020年の4月時点において、全国で建て替えられたマンションは、準備中も含めて300件に満たないのだ。 これは国土交通省が把握している全国の旧耐震基準(1981年以前の建築確認基準)のマンションの総数である約104万戸に比べると、ほんのわずかでしかない。 東京の街角で見かける建て替えられたマンションは、非常に幸運な300事例未満の中の一つなのだ。では、なぜマンションが老朽化しても建て替えられないのか。 簡単に説明しよう。 日本は私有財産をかなり強力に守る国である。これは日本国憲法第29条で明記されている。よほどの公益的な理由がない限り、この国では国民の持つ私有財産権を制限することはできない。 マンションの区分所有権も立派な私有財産権に当たる。高いお金を払って購入した(区分所有権を得た)マンションの住戸は、私有財産として制度的にしっかりと守られている。 ところが、マンションは鉄筋コンクリートで作られた頑丈な建物ながら、必ず老朽化する。建物ができて何十年も経過すると、日常の生活に支障をきたすほどに老朽化する場合もある。 そうなると、区分所有者の多くは「建て替えたい」と考えるようになるはずだ。マンションを建て替える場合、最も大きな問題はお金である。要するに、建て替える資金を誰が出すか、という問題だ』、「東京の街角で見かける建て替えられたマンションは、非常に幸運な300事例未満の中の一つなのだ」、「建て替える資金を誰が出すか、という問題だ」、なるほど。
・『東京の高級住宅街であれば建て替えは可能  東京の真ん中にあるマンションなら、この問題を易々やすやすと解決できたりする。 その仕組みを説明すると、以下のようになる。まず、建て替えがうまくいくのは、容積率が余っている場合がほとんどだ。容積率とは、その土地に建てられる建物の床面積が土地面積と比べてどれくらいになるか、という比率のことだ。 これは基本的に市区町村などの行政が定めている。例えば面積が1000平方メートルの土地の容積率が400%だったとすると、その土地には床面積の総計が4000平方メートルまでの建物が建てられることになる。 仮に港区高輪にある容積率400%の地域に、敷地面積1000平方メートルで築50年超のマンションがあって、たまたま容積率が半分ほど余っていたとする。 つまり、その土地では延べ床面積が4000平方メートルの建物までが建築可能だけれども、その老朽マンションの現況床面積は2000平方メートルだったという場合だ。 この場合、新しく床面積が4000平方メートルのマンションに建て替えても、元の住民に前と同じ面積の住戸を配分したうえで、残り2000平方メートル分の住戸を誰かに販売することができる。 港区高輪あたりだと、新しく建築した2000平方メートル分のマンション住戸がけっこうな値段で販売できるので、残り2000平方メートル分の建築費までそこから出すことができる。元の住民は1円も払わずに、ピカピカの新しいマンションを手に入れられることになる。 相対的に元の住民が所有している敷地の持ち分は半分になってしまうが、それでも新しいマンションがタダで手に入るわけだから、計画に反対する人はほとんどいない、というわけだ』、「建て替えがうまくいくのは、容積率が余っている場合がほとんどだ」、「港区高輪あたりだと、新しく建築した2000平方メートル分のマンション住戸がけっこうな値段で販売できるので、残り2000平方メートル分の建築費までそこから出すことができる。元の住民は1円も払わずに、ピカピカの新しいマンションを手に入れられることになる」、これは幸運なケースの筈だ。
・『容積率が低く高齢者の多いマンションは建て替えられない  ところが、築50年超のマンションが港区高輪ではなく、東京都下の郊外某市にあったとする。仮に私鉄の最寄り駅から徒歩12分、容積率を調べてみると、まったく余っていなかったら……。 この場合、このマンションを建て替えようとすると、費用はすべて現在の区分所有者の負担となる。 今の建築費相場観から推計すると、マンションを新たに建て替えるには取り壊し費用も含めて、1戸当たり約2500万円が必要となる。他に、建て替え期間中の仮住まい費用まで発生する。 「そんなお金はないから、建て替えなくてもいい」建物が老朽化しているということは、そこに住む区分所有者も少なからず高齢化している。特に郊外型の分譲マンションは、区分所有者の入れ替わりが少ない。 新築時から暮らしていて高齢化した方の中には、建て替え費用を負担できる人もいれば、年金でギリギリに暮らしている人もいる。 こうして区分所有者同士で建て替えについての意見が賛成と反対に分かれた場合は、どうなるのか。 現実的には、ほとんど建て替えは不可能となるのだ。 現行の区分所有法をはじめとした諸法規では、全区分所有者の5分の4が賛成すれば、建て替えを決定することが可能である。最後まで反対する人の住戸は、強制的に買い上げることができるという規定もある。しかし、そこまでして建て替えているケースは稀まれである』、「容積率が低く高齢者の多いマンションは建て替えられない」、やむを得ないだろう。
・『ほとんどのマンションは自己負担で建て替えるしかない  だいたいからして、各自が約2500万円以上を負担する建て替え決議案に、全区分所有者の5分の4が賛成するケースは少ない。 というより、私は今までにそのような「全額負担」で建て替えたケースを知らない。 建て替えたら、負担した約2500万円よりもはるかに資産価値評価が高い住戸を得られるようなケースなら、5分の4まで賛成者を増やせるかもしれないが、先に上げたように「東京都郊外の○○市、駅徒歩12分」の場合、約2500万円以上の資産価値評価になるケースは少ない。 今後はさらに、こういった条件が厳しくなりそうだ。 このように現行法の規定では、マンションの建て替えはかなり困難である。それでも、マンションの老朽化は日々進んでいく。 では、どうすればいいのか。私も日々この問題を考えているが、うまい解決策はない。ある程度私有財産権を制限するような法規を新たに設けるか、現行法の運用規定を変えていくしかないだろう。 そうした法規制の緩和で、よりスムーズに建て替えが進むようにするのだ。私有財産権を一部制限するなどの法規制緩和が実現したとしても、費用の問題は残る。 マンションはあくまでも私有財産であり、そこに公的な資金は注ぎ込めない。建て替えるにしても、費用負担は各自の自己責任で賄まかなうしかないのだ』、「私は今までにそのような「全額負担」で建て替えたケースを知らない」、「「東京都郊外の○○市、駅徒歩12分」の場合、約2500万円以上の資産価値評価になるケースは少ない」、「マンションの老朽化は日々進んでいく。 では、どうすればいいのか。私も日々この問題を考えているが、うまい解決策はない」、困ったことだ。
・『タワマンの建て替えは非常にやっかい  そんな未来を考えると、区分所有のマンションというのは何とも不安定な住形態である。 これは東京だけではなく、日本全体を悩ます問題になりそうだ。そして東京には、さらに厄介やっかいなタワーマンションという、区分所有のモンスターのような建物が何百棟もある。 実のところ、タワマンは普通の板状マンションに比べて、さらに深刻な老朽化問題を抱えそうなのである。2050年頃の東京を考える時、都市を形作っている様々なハードの中で、最も問題が深刻化していそうなのがタワマンではないかと考える。 タワマンも、基本的には普通のマンションと同じく区分所有法が適用される。そこに何も違いはない。だから建て替えの時には、全区分所有者の5分の4が賛成しなければならない。 もちろん、費用の問題も普通のマンションと同じだ。まだ例がないので何とも言えないが、タワマンの場合は建物の取り壊し費用が通常型の2倍程度になるのではないか。 取り壊しただけで、おおよそ1住戸当たり1000万円見当である。これだけでも相当に厄介だ。お気づきだとは思うが、タワマンで「容積率が余っている」という事象はほぼありえない。 それどころか、規制緩和の特例をいくつも重ねて建設されているのがタワマンである。2050年時点でそうした規制緩和がなくなっていた場合、多くのタワマンが既存不適格にさえなってしまう可能性がある。 それがタワマンというものなのだ。つまり、タワマンには未来における「幸運な建て替え」はありえないと言っていい』、「タワマンで「容積率が余っている」という事象はほぼありえない。 それどころか、規制緩和の特例をいくつも重ねて建設されているのがタワマンである。2050年時点でそうした規制緩和がなくなっていた場合、多くのタワマンが既存不適格にさえなってしまう可能性がある」、大変だ。
・『タワマンの寿命は45年で尽きる  次に、タワマンにはやたらと維持費がかかる。管理費や修繕積立金は通常タイプのマンションに比べると、だいたい倍だと思っていい。 そして当然ながら、タワマンも大規模修繕が必要である。必要という以上に、プレハブのパネルを張り合わせるようにして外壁が作られているタワマンは、その隙間から雨漏りがしやすいという弱点がある。 だから15年に一度くらいの割合で、必ず外壁の修繕補修工事をすべきだろう。これにはかなりの費用がかかる。それでも、これをやらないと雨漏りだらけのマンションになりかねない。 タワマンがやたらと増え出したのは、2000年前後からである。その理由は、1997年に建築基準法の大きな改正があって、タワマンが作りやすくなったことだ。 その頃から猛烈な勢いで東京にタワマンが増え出した。私はかねがね「タワマン45年寿命説」というものを唱えている。前述のように、タワマンは15年程度の年数ごとに、外壁の補修をともなった大規模修繕工事が必要である。 1回目の築15年頃の工事では、せいぜい外壁とその他劣化部分の修繕補修でいいはずだ。2回目の築30年頃の工事では、上下水道の配管を取り替えたほうがいいだろう。縦管はもちろん、各住戸の給湯管も取り替えるべきだ。これにも多額の費用がかかる。 3回目の大規模修繕工事は、スケジュール通りだと築45年あたりになる。2000年頃から竣工ラッシュを迎えた東京のタワマンにとって、その時期は2050年頃になるのではないか』、「3回目の大規模修繕工事は、スケジュール通りだと築45年あたりになる」、「東京のタワマンにとって、その時期は2050年頃になるのではないか」、なるほど。
・『特注のエレベーターに多額の費用がかかる  2回目、もしくは3回目の工事では、エレベーターの交換があるはずだ。30年から45年も経過すると、エレベーターもさすがに交換時期である。 何といってもエレベーターは人の命を預かって運ぶ装置だ。安全性には特に配慮すべきである。タワマンのエレベーターは、すべてが特注である。 数十階を行き来するようなタワマンのエレベーターは、既製品化できないからだ。交換の際にも特注でメーカーに作ってもらうしかない。これにも当然、多額の費用が発生する。 多くのタワマンの管理組合は、これらの費用負担に見合った額の修繕積立金を徴収していない。だから、ほとんどのタワマンが築30年前後にくる2回目の大規模修繕工事の時には、すでに資金不足に陥っているはずだ。 そこを銀行融資などで乗り切っても、築45年前後の3回目の大規模修繕工事が実施できるだろうか。そう考えると、2050年頃には3回目の大規模修繕工事が実施できないタワマンが、東京の街で目立ってくるのではないかと予測する。 考えたくはないが、タワマンが廃墟化すると、東京の街にとってはかなり厄介なお荷物になる。それにしてもタワマンという住形態は、建造物としても区分所有のコミュニティとしても、未完成で未知な部分が多すぎる。我々はタワマンという異形の住形態の、壮大な耐久実験をしているようなものなのだ』、「2050年頃には3回目の大規模修繕工事が実施できないタワマンが、東京の街で目立ってくるのではないかと予測する」、「タワマンが廃墟化すると、東京の街にとってはかなり厄介なお荷物になる」、「我々はタワマンという異形の住形態の、壮大な耐久実験をしているようなものなのだ」、恐ろしい事態だ。
・『2050年には大量のタワマンが廃墟化する  そして、どうやらこれは厄介なことになりそうだ、という未来も見えてきた。最悪の場合、タワマンは廃墟となる。少なくとも現行法規では救いようがない。 そうなれば、もちろん資産価値もなくなる。廃墟化の危機を迎えたタワマンが立ち並ぶ2050年の東京。今からでも何か対策は立てられないものかと考えるが、良い考えは出てこない。 できることがあるとすれば、これ以上はタワマンを作らないことだ。また、現に所有しているのなら早めに手放したほうがよい。 そもそもタワマンとは、限られた敷地に多くの住戸を作るために作られた必要悪のような存在である。であるにもかかわらず、所かまわずに建てられたのは、デベロッパー側に「儲もうかる」という強烈な理由があったからだ。 だから、敷地が余っている湾岸の埋立地にまで建ててしまった。考えてみれば相当に無責任なことである。2050年にそういったタワマンが廃墟化の危機を迎えているのであれば、それは製造者責任として開発分譲したデベロッパーに、それなりの負担を課すべきではないのか』、「2050年には大量のタワマンが廃墟化する」、「製造者責任として開発分譲したデベロッパーに、それなりの負担を課すべきではないのか」、余りに乱暴な議論で法律上も、実態上も「実現不可能だ。

第三に、4月17日付け東洋経済オンラインが掲載した不動産コンサルタントの沖 有人氏による「「日本の空き家問題はほぼデマ」データが示す根拠 本当に対処すべき問題は別のところにある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/582125
・『日本において、長期的な空き家率の上昇という現実と、将来のいっそうの悪化というイメージは描きやすい。なぜなら、総人口はすでに減少しており、現在でも空き家率が高いうえに、新規着工戸数が毎年100万戸弱あるからだ。単純に住宅ストックは今後も余り続けるに違いないと思うかもしれない。 私たちが空き家問題で想像していたことは、賃貸でいうと空室が多くて賃貸住宅経営が立ち行かないという問題であり、持ち家でいうと放置されて廃墟化しつつあり異臭を放つような空き家の問題ではないだろうか。 しかし、この空き家の基となる5年おきに行われる「住宅・土地統計調査」の空き家の定義はその想像とは異なっている。入居者が募集されている賃貸住宅、売りに出されている住宅、通常は住んでいない別荘が含まれているのだ。国土交通省の「令和元年空き家所有者実態調査」によると、それらは43%(二次的住宅・別荘用25.8%、貸家用4.4%、売却用12.8%)もある。つまり、何らかの形で利用されている住宅で、それほど問題視する対象ではない』、興味深そうだ。
・『実家が「トランクルーム化」しているケースも多い  それ以外で最も多いのは、物置として利用しているケースで23%。建て替え・取り壊し予定や、転勤で長期不在なども入れると、何も利用される予定のない空き家は2割を割り込む。 空き家の中で賃貸のシェアはこの5年で減少したのに対して、増加したのが持ち家の戸建てで、全体の4割強を占めて急増中だ。いちばん多いケースは親の実家を相続したものだ。先ほどの物置はほとんどこれで、地方・郊外で多く、売却などの対応が放置されている。 放置すると固定資産税が相続した所有者にかかるが、遺品整理も何もしないという選択は「実家のトランクルーム化」を意味する。固定資産税を月1万円程度のトランクルーム代と考えると相続した財産で当面まかなえてしまう。 この実家を空き家問題とするなら、誰にも迷惑をかけていないので問題にはならない。有効活用されていないと主張されても、築年数は40年以上に及ぶ木造が中心で住むにはすでに環境がよいとはいえない状況にある。) 空き家についてあたかも問題のように感じさせてしまったのが、野村総合研究所が2015年に出した空き家率予測だ。空き家問題で必ずといっていいほど引用された。そこでは、問題が今後急速に深刻になり、2033年には空き家率が30%を超えるというものだった(2013年の実績値は13.5%)。 しかし、この予測は大きくはずれた。2018年の空き家率を16.9%と予測していたが、実績は13.6%。住宅ストックは約180万戸増えたが、世帯数は150万世帯以上増えていて、空き家は26万戸しか増えなかった。人口は減っても、まだ世帯数は増えているし、住宅との対比は世帯数である。 また、この5年間の着工戸数は466万戸だが、住宅ストックが180万戸しか増えないのは、滅失(取り壊し)が286万戸あることになる。要は、世帯数予測と滅失戸数予測が正確にできていないだけだ。 実際に増えた空き家総数は26万戸だったのに対し、180万戸多い206万戸と予測し、約8倍も違った。この予測差は桁外れに大きい』、「実際に増えた空き家総数は26万戸だったのに対し、180万戸多い206万戸と予測し、約8倍も違った。この予測差は桁外れに大きい」、外れたのは、「世帯数予測と滅失戸数予測が正確にできていない」ためのようだ。
・『公表されている数字はいろいろあるが…  これ以外で引用されるのが、TASという会社の空室インデックスだ。数十%にも及ぶこの数字は賃貸住宅経営が立ち行かないように見える。しかし、この数字は通常では考えられない変な計算で算出されている。それは満室物件を除いて空室率を計算するというものだ。 A物件の総戸数が10戸で空室3戸、B物件総戸数の20戸で空室無しとすると、B物件を除くので、空室率は30%となる。しかし、実質は10%だ。 数字は整合性を取らないといけないし、誤解されないようにしなければならない。公表されている数字だけでもいろいろある。住宅REITの空室率は4%程だし、管理会社の団体である日本賃貸住宅管理協会の空室率(2020年度下期)は3%程だ。 明らかに実態と乖離した印象を持たれやすい数字には意味がない。 実際、東京都の2018年時点の空き家率減少が明らかになった。5年前の10.9%から10.4%に0.5%下がった。たった0.5%と思われるかもしれないが、これまで5年ごとに1%ずつ上がってきた過去から見ると、逆回転の様相を呈する。これを証明するように、家賃は値上げされているのが現実である。 廃墟化した空き家の問題は、強制撤去できるようになっている。2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」では、次のように定義されている。 「特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう」 この数がどの程度あるかというと、例えば、世田谷区の「世田谷区空家等実態調査」によると、調査した1492件中8件が「特定空き家」に該当していたという。率にして0.5%だ。問題視するには少ないので、空き家を全調査するよりも住民の苦情を発端にして対応したほうがいいような数字だ。 これらの結果から、空き家問題はデマに近い情報にすぎない。それよりも問題は築古のストックが今後急増することだ。また、そのストックの構造も木造から鉄筋コンクリート造に割合がシフトしていく。滅失することもなく残っていくが、快適に住める住戸は減っていく』、「空き家問題はデマに近い情報にすぎない。それよりも問題は築古のストックが今後急増することだ。また、そのストックの構造も木造から鉄筋コンクリート造に割合がシフトしていく。滅失することもなく残っていくが、快適に住める住戸は減っていく」、なるほど。
・『海外の先進国と比較しても意味がないワケ  この手の古いストックを問題視するときに、引き合いに出されるのが、海外の先進国の事例だが、日本とは根本的に置かれた環境が異なる。決定的に違うのは、地震の有無だ。イギリスではヴィクトリア朝時代(1837~1901年)に建てられた建物がいまだに有効活用されているし、入居者の人気もある。 しかし、イギリスでは大きな地震はほとんどない。建物がそれに耐える必要もなく、状態が大きく変わることもないから、利用し続けることができるが、日本ではそうはいかない。古い住宅はそれなりに傷んでしまうので、諸外国と比較しても意味がない。 世帯数は増え続けているし、一定量の滅失があるので、需給はタイトになる可能性のほうが明らかに高い。だからこそ、空き家よりも古い住宅ストックが増えていくことが問題であり、そこに住み続けられるかを問題視すべきである。 快適に住める環境とするには、リフォームがコスト高であるわりに物件自体に魅力(立地や外観など)がない。つまり、新しい家が必要だということで、空き家問題とはまったく逆の答えになる。 その認識に立たないと、新規供給が減り、需給バランスがいっそうタイトになり、その結果として私たちは持ち家価格(とくにマンション)の高騰と家賃の上昇に苦しめられることになってしまう』、「空き家よりも古い住宅ストックが増えていくことが問題であり、そこに住み続けられるかを問題視すべきである」のはともかく、「リフォームがコスト高であるわりに物件自体に魅力(立地や外観など)がない」、は実証抜きに決めつけるのは乱暴な気がする。
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