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医薬品(製薬業)(その3)(「花粉症薬が保険適用外に」医療費約600億円削減でも現役医師が困る理由とは?、捨てられ続ける抗インフルエンザ薬の備蓄薬、たくさんの薬は害になる!? ~“多剤服用”の深刻なリスク~) [産業動向]

医薬品(製薬業)については、昨年8月21日に取上げた。今日は、(その3)(「花粉症薬が保険適用外に」医療費約600億円削減でも現役医師が困る理由とは?、捨てられ続ける抗インフルエンザ薬の備蓄薬、たくさんの薬は害になる!? ~“多剤服用”の深刻なリスク~)である。

先ずは、9月15日付けダイヤモンド・オンラインがAERAdot. 週刊朝日を転載した「「花粉症薬が保険適用外に」医療費約600億円削減でも現役医師が困る理由とは?」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2019083100010.html?page=1
・『「花粉症薬が保険適用外に」というニュースが、8月下旬に話題になりました。これが正式に決まるとどういうことになるのでしょうか? 著書『心にしみる皮膚の話』が好評発売中の京都大学医学部特定准教授の大塚篤司医師が解説します。 「花粉症に対する抗アレルギー薬が保険適用外」というニュースに大きな反響がありました。これはまだ決まったわけではなく、企業の健康保険組合からなる健康保険組合連合会(健保連、けんぽれん)が、2020年度の診療報酬改定にむけて秋から開催される中央社会保険医療協議会で提起する内容の一部です。 17年度の医療費は42.2兆円。ここ数年は年間2%の割合で費用が増えています。医療費の増加は人口の高齢化に加え高額薬剤の登場による影響もあります。医療費削減は毎年マスコミで取り上げられるテーマの一つです。 大々的に取り上げられた健保連の「花粉症に対する抗アレルギー薬が保険適用外」ですが、皮膚科でも抗アレルギー薬を頻用します。例えば、じんましんやアトピー性皮膚炎など、かゆみを伴う皮膚疾患の患者さんには抗アレルギー剤を処方します。皮膚疾患を治療するうえで抗アレルギー薬は大事な武器の一つです。 健保連は、この提言以外に診療報酬改定に向けて五つの提案をしています。 今回のコラムでは、健保連が提案した五つの政策提言を、一つずつ解説したいと思います』、「健保連」も台所事情が苦しくなっているので、やむを得ない提言なのだろう。
・『【1】機能強化加算のあり方についての検討  機能強化加算とは18年度に施行された、診療所(クリニック)や200床未満の病院の初診料に上乗せされた費用です。保険点数は80点(1点10円)、つまり800円。3割負担の場合は240円が患者さんの自己負担になります。 機能強化加算を請求している医療機関は、地域のかかりつけ医として機能し、夜間や休日の問い合わせへの対応を行っている医療機関になります。この加算を設けることで、かかりつけ医制度を普及させる狙いです。 かかりつけ医制度とは、いきなり専門の診療科に行くのではなく、まずは相談できる地域の医師をつくる制度のことを指します。 大学病院などの高度な専門分野では、限られたリソースを必要としている患者に回す必要があるため、かかりつけ医の普及が重要です。 さて、18年4月から施行された機能強化加算ですが、患者の約6割が1回のみの受診で再診がなかったことがわかりました。かかりつけ医制度の定着を目的としたこの加算ですが、実際のところ4割の患者さんにはかかりつけ医となっていない可能性が指摘されています。また、二つ以上のクリニックから機能強化加算を算定された患者さんも6割いたとのことで、この制度の本来の目的とはかけ離れていることが明らかとなりました。 そのため、この加算は生活習慣病などの継続的な管理が必要な疾患に絞ることを健保連は提案しています』、「かかりつけ医制度」が実態としては余り機能してないのであれば、絞り込みは当然だ。
・『【2】 生活習慣病治療薬の適正な選択(フォーミュラリー)の導入に向けた検討  フォーミュラリーは08年に発表された手法(Am J Health-Syst Pharm 2008;65:1272-83)です。日本語では「医学的妥当性や経済性等を踏まえて作成された医薬品の使用方針」と訳されます。もう少しわかりやすく説明すると、病気の治療方針に薬剤のコストも考えて選択を提案する手法のことです。 フォーミュラリーに関しては独自に取り組んでいる医療施設があります。例えばインフルエンザの場合、重症の場合は薬剤A、妊婦さんには薬剤B、それ以外の患者さんには薬剤C、というように、医学的な根拠に加えてコストの問題も視野に入れた薬剤選択を提示しています。 薬の使い方に関して、多くの疾患で学会主導のガイドラインが公開されています。しかし、そのガイドラインの中で具体的な薬剤名の指定をしたものはなく、コストの観点から一歩踏み込んで使用する薬剤を提案するのがフォーミュラリーです。 このフォーミュラリーを導入すると医療費削減につながると健保連は提案しています。健保連の算定では、血圧をさげる降圧薬で1794億円、高脂血症などに対する脂質異常症治療薬で765億円、糖尿病に対する血糖降下薬で582億円。合計で約3100億円の薬剤費削減額が見込まれるとのことです。 健保連は、薬剤コストを加味したガイドライン作成の環境整備を国がすることを提言しています』、「学会主導のガイドライン」が徹底されないのであれば、「環境整備を国がする」のも当然だ。
・『【3】 繰り返し利用可能な処方箋(リフィル処方)の導入に向けた検討  リフィルとは「おかわり」の意味の英語。リフィル処方箋とは、繰り返し使える処方箋のことです。患者さんが医師の診察を受けることなく繰り返し使える処方箋を指します。薬剤の変更がない長期処方の場合に活用できる可能性があります。 医師限定のポータルサイト「m3(エムスリー)」がおこなった調査では、薬剤師の半数以上がリフィル処方箋に賛成していますが、医師は半数近くが反対しています。反対する医師はおそらく副作用のリスクを考え、賛成する薬剤師の方々は医師でなくとも対応できると判断しているのでしょう。 フィル処方箋と似た制度に分割調剤というものがあります。これは薬を長期処方された患者さんで家での保管が難しいなどの方を対象として、最大3回にわけて薬剤師が調剤できる仕組みです。 分割調剤はリフィル処方箋に近い概念の制度ですが、現在0.1%未満しか使用されていません。リフィル処方箋を活用することで、健保連は年間約362億円の医療費削減を見込んでいます』、「医師は半数近くが反対」、本音では診断・処方箋の機会が減るので反対しているのだろう。提言に賛成だ。
・『【4】 調剤報酬のあり方についての検討  薬局で薬を受け取る際、調剤基本料という項目があります。これは薬局の立地や処方箋の受け付け回数で異なるものです。具体的には、町中にある個人経営の薬局では調剤基本料1、大きな病院の前などにあるチェーン店では調剤基料本2もしくは3。大学病院の中にある薬局では、特別調剤基本料となり、それぞれ点数が41点、25点、(20点、15点)、10点となっています。つまり、町中の個人経営の小さな薬局の点数を上げ、かかりつけ薬局として機能してほしいという政策です。 しかし現実には、大きな病院の近くにある薬局で調剤基本料1を算定していたとのことでした。 かかりつけ医と同じように、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師の普及が望まれていますが、複数の病院を利用した患者さんのうち、かかりつけ薬局をもっている患者さんは4.5%とのこと。健保連は調剤報酬の体制を改善するように提言しています』、「かかりつけ薬局をもっている患者さんは4.5%」、驚くべき低さだ。提言はもっともだ。
・『【5】花粉症治療薬の保険適用範囲についての検討  そして、五つ目の提言がニュースで大きく取り上げられた「花粉症治療薬の保険適用外」です。 花粉症の薬は病院の処方箋がなくとも、薬局で購入することができます。いわゆるスイッチOTCと呼ばれるものです。 OTCはOver The Counterの略。カウンター越しに販売者のアドバイスを受け、医者の処方箋がなくとも買える医薬品です。スイッチOTCとは医薬品で使われていた成分がOTCに変わったものです。今回の花粉症に関係したもので言うと、アレジオン、アレグラ、エバステルなどが該当します。つまり、同じ成分の薬を医療機関で処方されると、患者さんの負担は3割ですみますが、処方箋なく薬局で購入すると全額負担となります。 これらの薬剤を保険適用外とすると、医療機関での処方も患者の全額負担となり、その結果約600億円の医療費削減となるようです。 花粉症は日本人の多くが罹患している疾患であり、この提言は国民の負担増につながることから、多くの反対の声があがりました。 また、国が花粉症の治療を健康保険を通してサポートすることは国益につながるのではないかという意見もあります。花粉症や鼻炎は仕事の生産性を下げる報告(J Allergy Clin Immunol Pract. 2018 Jul - Aug;6(4):1274-1286.)や、疾患による患者さんの損失は年間25万円以上との報告があるからです(Allergy. 2017 Jun;72(6):959-966.)』、これは確かに難しく、ここで判断するのは材料不足だ。
・『まとめ  花粉症治療薬の保険適用外だけがニュースで注目されましたが、健保連は五つの提言をしていることを紹介しました。それぞれの提言は負担増(もしくは収入源)を求める相手が異なることがわかります。 抗アレルギー薬が保険適用外になると、皮膚科医の私も困る状況が訪れそうです。例えば、他の病気で入院中の患者さんに皮膚病が出現したとき、抗アレルギー薬が効くとわかっていても入院中は処方できないことになります。 「申し訳ないですが、薬局で抗アレルギー薬を買ってきてください」とは言えません。 国の財源が限られている中で、国民だけが負担増にならないよう2020年度の診療報酬改定を注目しておく必要があります』、健保財政の立て直しも重要な課題で、必要があれば国民負担も求めてゆくばきだろう。

次に、11月28日付け日経メディカル「捨てられ続ける抗インフルエンザ薬の備蓄薬」を紹介しよう。
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/eye/201911/563183.html
・『政府は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき、国民の45%に相当する5650万人分の抗インフルエンザ薬を備蓄目標量に設定。うち約1000万人分は流通備蓄薬とし、約4650万人分を国と都道府県で備蓄している。備蓄しているのは、タミフル(一般名オセルタミビルリン酸塩)の錠剤およびドライシロップ、リレンザ(ザナミビル水和物)、イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)、ラピアクタ(ペラミビル水和物)。ちなみに、承認後5年程度経った薬が備蓄される仕組みなので、ゾフルーザ(バロキサビルマルボキシル)は現時点では備蓄品目になっていない。 2005年に始まった抗インフルエンザ薬の備蓄に費やした国費は、購入費だけでおおよそ800億円。ここに保管費や輸送費などが上乗せされる。その金額を聞いただけでも驚くが、しかも、使用されることなく期限を迎えると、巨額を投じた備蓄薬がただ廃棄されていることをご存じだろうか。 2006年に購入された1093万人分(約200億円)のタミフルは16年に期限切れとなり、18年には1123万人分(約220億円)、19年には527万人分(約100億円)が期限切れとなった。同様にリレンザも、16年に59.5万人分(約15億円)、17年に75万人分(約18億円)が廃棄され、22年には14.3万人分、23年には215.7万人分(約54億円)が使用期限を迎える(図1、2)。 実は備蓄される抗インフルエンザ薬は、薬価よりも安い金額で購入されている。具体的にはタミフルは薬価の約65%、リレンザは約80%の価格といった具合だ。価格が安いのは、市場に流通させないことを条件に国が直接製薬会社と価格交渉しているから。ここで決まった金額が、全国の自治体が購入する場合にも適用される仕組みだ。 この条件があるため、購入した都道府県は、使用年限が迫ってきた薬剤を市場に放出したり、備蓄以外の目的に使ったりすることができない。大量の備蓄薬が安価に市場に流れれば、医薬品卸ルートで通常価格で購入する医療機関が減り、市場が混乱する。それを避けるために、製薬会社は備蓄薬の市場流通の禁止を条件にしているわけだ』、「製薬会社は備蓄薬の市場流通の禁止を条件にしている」、事情は理解できるが、「使用期限」切れで大量廃棄とはもったいない話だ。何とか工夫できないのだろうか。
・『このような大量廃棄の事態に陥ることは当初から予想されてはいた。備蓄を開始した2005年当時は、使用期限が5年だったため、2010年には期限切れを迎える備蓄薬が出始め、大量の薬が破棄される。このことを問題視する声が専門家の間で広がっていた。 そこで2008年には、厚労省が備蓄薬のタミフルの使用期限を5年から7年に延長。13年には、さらに10年に延長した。リレンザに関しても同様に、2009年に使用期限が5年から7年に、2013年には10年に延長されている。 しかし当然のことながら、こうした問題の先送りにも限界がある。そして、10年目を迎えた2016年から続々と抗インフルエンザ薬の大量廃棄が始まった。もちろん廃棄したのと同じ分を新規に購入し備蓄する必要があるため、今後も莫大な費用が新型インフルエンザ薬に投じ続けられることになる。 備蓄のコストを抑えるべく、厚労省は2019年1月に原薬で備蓄することを認めた。これは国内に製造工場ができ、安定な製造体制が確保できるようになったためだ。原薬の状態で保管すれば、保管スペースが少なくて済み、その分のコストを浮かせることができる。原薬保管の方が、備蓄期間をさらに延長できる可能性もありそうだ。 インフルエンザA(H1N1)pdm09型のパンデミックから10年。もし再び日本で新型インフルエンザによるパンデミックが起こると、全人口の最大25%の約3200万人が感染し、最大で65万人が死亡するという推計もある。 そうした危機的状況を想定すれば、抗インフルエンザ薬の備蓄を中止することは現実的ではない。しかしだからといって、未使用薬が使用期限を迎えるとただ廃棄されるという現実は看過できない。原薬備蓄も抜本的な解決になっているとは言い難い。備蓄薬とは別に、毎年大量の抗インフルエンザ薬が使用されている我が国だからこそ、国と製薬会社・卸が協力して流通を工夫すれば、ある程度、薬剤を無駄なく使用する仕組みができるのではないだろうか』、「流通を工夫」は是非やってほしい。ただ、もともと「インフルエンザ」は毎年型が違っている筈だが、こうした「抗インフルエンザ薬」は万能なのだろうか。素人の私には気になるところだ。

第三に、10月22日付けNHKクローズアップ現代+「たくさんの薬は害になる!? ~“多剤服用”の深刻なリスク~」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4343/
・『たくさんの薬を飲む“多剤服用”。最新の研究で、高齢者が6種類以上の薬を服用すると副作用の危険性が高まることがわかってきた。中には、多種類の薬の副作用で寝たきりになったり、認知機能の低下から認知症と診断されてしまうケースまで起きている。現役世代もひと事ではない。健康食品として扱われるサプリメントと薬を併用すると副作用の危険性が高まる可能性が指摘され始めている。“多剤服用”の深刻なリスクの実態とその対策を考える。 出演者:秋下雅弘さん (東京大学大学院教授・医師) 武田真一 (キャスター) 、 合原明子 (アナウンサー)』、「薬漬け」の弊害とは興味深そうだ。
・『寝たきりの人が劇的改善 原因は薬だった  多剤服用が原因で、寝たきりの状態にまでなったという人に、話を聞くことができました。新江敏子さん、80歳です。3年前、うつや狭心症、不眠などで同時に複数の医療機関にかかっていた、新江さん。それぞれの病院から処方された薬は、12種類にのぼっていました。 新江敏子さん「(飲むだけでも)大変ですね。飲みすぎているかなというのも、その時はあまり考えていなかったです。」 ある日、新江さんに異変が起こり始めます。その様子を、夫の祥泰さんが目の当たりにしました。 夫 祥泰さん「ここで倒れちゃっているんですよ。顔半分があざでした。」 ふらつくことが増え、転倒。動くことが少なくなり、その後、寝たきりの状態にまで陥ってしまいました。当時のカルテです。日常的に介護が必要になり、夫の祥泰さんがつきっきりで、行っていました。 夫 祥泰さん「何が(原因で)悪いんだか、トイレ行くのでも歩けなくなって。」 新江敏子さん「『早く死にたい、死にたい』って言っていました。もう治らないし、ただ寝てるだけはでしょうがないから、『もう早く死にたい』って言っていました。」 転機となったのが、現在の主治医、橋本昌也さんに出会ったことでした。高齢者の医療に詳しい橋本さんは、ふらつきの原因が、薬の種類の多さにあるのではないかと疑いました。 医師 橋本昌也さん「どうも睡眠薬とか安定剤とか、そういうのを飲んでいたようだと。もしかしたら原因なんじゃないかなと思って見ていった。」 最新の研究で、高齢者は薬の種類が増えるほど、体に異常が起こりやすくなることが明らかになっています。特に、6種類を超えるとそのリスクがより高まるのです。 薬の種類が増えると、なぜ、体に異常が起こるのか。大きくかかわっているのが、老化に伴って、薬を代謝する肝臓や、排泄する腎臓の機能が衰えることです。薬の種類が少ないうちは、代謝、排せつされ、さほど問題は起きません。しかし、6種類以上では代謝する機能を超えるため、体内に蓄積されやすくなってしまいます。薬の種類が増えるほど、思いもよらない異常をきたすというのです。 新江さんの場合、蓄積された薬の中で、睡眠薬などの4種類に問題があったのではないかと、橋本さんは考えました。それぞれの薬には、ふらつきなどを引き起こす副作用があります。1つでは副作用が少なくても、複数、蓄積されていると症状が強く現れる可能性があるからです。 合原「薬が原因だって疑うことはありましたか?」 新江敏子さん「いや、疑ってなかったですね。飲めば治ると思っていたから。」 橋本さんは、新江さんの体調を見ながら、副作用を疑った睡眠薬から見直しました。最終的に、5種類にまで減りました。すると、1か月ほどで自力で歩けるほど、回復。夫婦の日常を取り戻すことができました。 新江敏子さん「本当に先生にお会いしてなかったら今がないと思います。」 新江さんのように、多剤服用のリスクを抱える高齢者は、少なくありません。7種類以上の薬をもらう人の割合は、64歳以下では10%。一方、75歳以上になると、24%に増加。4人に1人にのぼります』、「6種類以上では代謝する機能を超えるため、体内に蓄積されやすくなってしまいます。薬の種類が増えるほど、思いもよらない異常をきたす」、「7種類以上の薬をもらう人の割合は・・・75歳以上になると、24%に増加」、恐ろしいことだ。医者には処方箋を出す際に、患者の常用薬を確かめさせるべきだろう。
・『認知症の疑い 2割の人が薬の多さが原因  多剤服用による、体の異変。ある病院では、認知症を疑った患者のうち、実は薬の種類の多さに原因があったという人が2割にのぼっていました 神戸市にある認知症患者が多く訪れる、脳の専門病院です。認知症の検査に来た、小池斐太郎さん、85歳です。3年前、ガスやたばこの火を消し忘れるなど、物忘れが急に増え、他のクリニックを受診しました。 娘 晴美さん「1日寝ているような状態が続いたりして、ちょっと認知症になったのか。」 この時、「認知症」と診断され薬も処方されました。小池さん親子は、さらに詳しい検査をしてもらいたいと、この病院を訪れました。 小池さんを診察した、医師の平田温さんです。脳の画像を見ると、認知症の特徴の一つ、脳の萎縮は、さほど見られませんでした。 医師 平田温さん「隙間が多いと脳が縮んでいるんだけど、あなたの場合は年齢相応ぐらい。」 平田さんは、小池さんが飲んでいた16種類の薬のうち、鎮痛薬と睡眠薬、合わせて4種類に注目しました。それぞれの薬には、物忘れや認知機能の低下を招く副作用があります。小池さんの場合は、これらの薬の副作用が、認知症と同じような症状として現れていると考えました。原因とみられる薬を減らすと、小池さんの物忘れは大きく改善しました。 医師 平田温さん(物忘れのテストで)「何があったのか1回隠すので覚えてください。」 小池斐太郎さん「スプーン、歯ブラシ、時計。」 医師 平田温さん「すごい、30点満点で27点。」 物忘れのテストの結果も、問題ありませんでした。小池さんは、認知症ではないと判断されたのです。 医師 平田温さん「現実に悪さをしている薬をやめてないために(症状が)良くならない。早い時期に気が付いてやめることで対応できるのではないかと。だから、非常に大きな問題だと思っているんです。」 複数の薬を飲んでいる皆さん。決してひと事ではありません』、「小池さん」や先の「新江さん」の場合は、幸いいい医師にめぐり会って治ったから幸運だったとはいえ、多くのケースではそのまま「多剤服用」を続け、副作用に苦しめられ続けているのだろう。
・『なぜ薬が6種類以上でリスク高まる?  武田:多剤服用のリスクを実際に研究された秋下さん、6種類を超えると体に異常が出やすくなるという研究結果ですけれども、詳しくは、どういうふうに見たらいいのでしょうか。 ゲスト 秋下雅弘さん(東京大学大学院教授・医師)秋下さん:基本的には、薬が多くなればなるほど薬の副作用は出やすくなるということなんです。しかし、この研究では、特に6種類以上の方は副作用の発現率が10%を超えていましたし、何種類以上から増えるのかなというのを特殊な解析で検討したところ、5種類まではそうでもないけど、6種類以上から急に増えるというような解析結果になりましたので、6種類ということを報告させていただきました。高齢者はやはり、薬の代謝・排泄機能にもかなり個人差がありますので、2種類でも問題が起きる人もいますし、10種類でも大丈夫という人もいます。ですから、6種類というところにこだわって、自分が6種類より多いからと、自己判断で薬をやめるようなことはしていただきたくないと思います』、「6種類以上の方は副作用の発現率が10%を超えていました」、驚くべき高さだ。一般の医師にも周知徹底させるべく、厚労省も「ガイドライン」など示すべきだ。
・『高齢者だけ?現役世代にリスクは?  武田:多剤服用の問題、高齢の方は特にということですけれども、私たちの世代も何種類も薬を飲んでいる人はいると思うんですよね。 合原:こちら、年代別にどのくらい薬をもらっているかを示したグラフです。64歳以下の現役世代でも、オレンジから赤の範囲、実に半数以上で3種類以上の薬をもらっているということなんです。秋下さん、まだ高齢ではないから大丈夫だと考えていいんでしょうか。 秋下さん:やはり、そうではないです。高齢者に比べると、まだ代謝、あるいは排出する機能は保たれていますのでリスクは低いです。しかし、背景となっている病気をいくつかお持ちで、こういう薬の種類になっていると思うのですが、(年を重ねると)そういう病気もどうしてもまた増えてきます。そうすると、薬ももっと増えてきますので、多剤服用予備軍というような状態の人たちだと思います。 武田:ということは、私たちの世代から、ちゃんと知っておいたほうがいいということですね。 秋下さん:はい。多剤服用にならないように、予備軍でとどまっていただけるように、なるべく新しい病気を増やさない、新しい病気にかからない。そのためにどうしたらいいかということを考えていただく必要があると思います』、我々自身が気を付ける必要があることは当然だが、それ以上に医師や薬剤師などの医療従事者がまずは気を付けるべきだろう。
・『副作用に注意!薬の種類との関係は?  武田:薬の種類、どんな薬を飲んでいるのかはやはり関係あるんですか。 秋下さん:その中に含まれているお薬に、睡眠薬とか鎮痛薬、あるいは精神安定剤といった、いわゆる副作用を起こしやすいお薬が入っていることが多いので、まず、そういったお薬が問題を起こすことがあります。ただ、必ずしもそういうお薬が入っていなくても、薬の種類が多い人は副作用が多いんですね。しかも、例えば高血圧のお薬や、花粉症のお薬、胃薬ですとか、ごく普通に皆さんが飲まれているお薬でもそういうことが起きうるということなんです』、これも医療従事者がまずは気を付けるべきだろう。
・『薬とサプリメントの併用に注意!  合原:この多剤服用のリスクというのは、処方される薬だけではないんです。サプリメントや健康食品にも注意が必要です。いわば、「隠れ多剤服用」ともいえる、医療者が把握できず、本人も気づきにくい問題なんです。 合原「今、サプリとか飲んでいますか?」 50代女性「1、2、3、4。それから腸内環境を良くするものを飲んでいるので、6種類。」 30代女性「ビタミン系が3種類と、亜鉛と、あとアルファリポ酸っていうので5種類飲んでいます。」 合原「お薬と併用していますか?」 30代女性「していますね。頭痛薬とか、風邪薬とか、胃薬とか。」 50代男性「血圧の薬を飲んでいるので、1個だとなんか寂しいからサプリをいっぱい飲んで。なんか薬いっぱい飲んでいるなって感じ。サプリは基本的に毒じゃないと思うので。薬でもないから、別に特にそんなことは気にしてないです。」 サプリメントを複数飲んでいる人の割合は、年齢とともに増えていきます。20代では3割ほどですが、50代を超えるとおよそ半数にのぼります。専門家は、薬だけでなく、サプリメントもその種類が増えるほど、リスクは高まると指摘します。 国立健康・栄養研究所 薬学博士 千葉剛さん「健康食品は薬ほどは作用は強くないんですけれども、やはり何かしら人の健康に影響する、影響を及ぼす成分が入っていますので、そういうものをやはり多量にとる、複数とることによって体に何かしら影響が出てくる可能性はあります。」 去年発表された、高齢者の多剤服用に関する国の指針です。その中でも、サプリメントを含む健康食品と薬を併用すると、重大な影響があると指摘されています。 高血圧の薬と合わせて多くのサプリメントを飲んでいると話してくれた、津田広信さん、59歳。健康が気になり始めた30代から飲みはじめ、年齢とともに種類が増えていきました。 津田広信さん「酵素アンド酵母、ミドリムシダイエットなど、14種類です。ふだんから毎日お酒も飲むし、太ってきているので、せめてこういうのを飲んでごまかしている。自分の気持ちをごまかしているみたいなものです。」 津田さんの飲み方をチェックするため、今回、薬とサプリメントに詳しい薬剤師の力を借りました。薬剤師が特に注意する必要があると指摘したのは、薬とサプリメントの飲み合わせ。血圧の薬と飲み合わせの悪いサプリメントを見つけました。 薬剤師 千葉一敏さん「血圧のために飲んでいるということで、2つの健康食品(サプリメント)を飲まれているということだった。医薬品と健康食品を見ると、確かに健康食品のほうがかなり弱い作用ではあるんですけど、足すことによってさらに医薬品の効果が出すぎてしまうことがあるので、こういうのは控えたほうがいいですね。」 津田さんは、高血圧でかかっている医師に、サプリメントを使っていることを伝えていませんでした。 津田広信さん「実際に飲んでいる血圧の薬に対して悪い作用が起きるのは、ちょっと問題。とりあえずお医者さんに持っていって見てもらいます。」 薬とサプリメントの飲み合わせについて、相談を受け付けているサプリメントメーカーもあります。およそ150種類のサプリメントを取り扱う会社。飲み合わせについての電話相談は、年間2万5千件にのぼっています。 合原「どうやって電話対応ってされているんですか。」 スタッフ「お客様から電話がかかってまいりましたら、こちらに商品名を打ち込みましてこちらにお薬名を入力いたします。」 薬とサプリメントをそれぞれ入力し、飲み合わせが悪い場合、サプリメントの摂取を控えるよう、アドバイスしています。 サプリメントメーカー 検索システム担当部門 阿部泉さん「今サプリメントを飲んでいらっしゃる方は、やはり50代60代の方が多くいらっしゃいます。そういった方はお薬を飲み始める年代とちょうど重複する年代でもありますので、お客さまにきちんと情報を提供するということを優先して行っております。」 薬とサプリメントの多剤服用。減らすとき、どんな事に気をつければいいでしょうか。 合原:サプリメントなどを飲んでいることを医師に伝えていないという人の割合というのが、実に7割にものぼるという調査もあるんですね。実際に取材をした中にも、高血圧を治療中の女性が、医師に相談をせずに血圧が高めの方にというサプリメントを多くとって、急激に血圧が下がってしまうというケースもありました。 武田:私はそれほど飲んでないのですけれども、周りに飲んでいるという人が多いんですよね。処方された薬に加えて何種類ものサプリメントをとってしまう。秋下さん、どんなリスクがあるとお考えですか。 秋下さん:何種類も、特に10種類も飲んでいらっしゃるような方の場合には、やはり多剤服用と同じような問題というのが起きうる。しかも、処方薬も一緒に飲まれていたりしますので、そういうものと合算するとかなりの数になることを考えますと、リスクを自覚していただく必要はあると思います。 武田:サプリメントは、きちんと相談して、医師や薬剤師さんに相談してとったほうがいいということですか。 秋下さん:はい。厚生労働省の指針でも、「サプリメントなどを含めて注意しましょう」と出していますので、薬剤師さんに聞いていただいて、そういうことをチェックすることも必要になります。その一方で、特に高齢者で栄養状態などに問題がある方の場合は、必要なサプリメントもありますので、サプリメントは無用であるということではなくて、よく相談した上で使うというふうにしていただきたいと思います』、「サプリメントを複数飲んでいる人の割合は・・・50代を超えるとおよそ半数にのぼります」、私は一切飲んでないので、割合の高さに驚いた。サプリメントの広告が目立つが、「多剤服用」のリスクも明記させるべきだ。
・『減らすときのポイントは?  武田:今とっている薬、あるいはサプリメントの種類を、自分にとって適切な量に減らしたいと思った場合、どうしたらいいのでしょう。 合原:こちらがそのポイントです。まず、自己判断で薬を減らさない。そして、やめないということですね。そして、病院にかかるときは、お薬手帳に薬の情報だけではなくて、飲んでいるサプリメントについても書いて、きちんと医師と情報共有をすることが大事になってきます。 武田:お薬手帳に、こんなサプリメントをとっていますというのを自分で書いてもいいんですか。 秋下さん:もちろんです。お薬手帳はシールを貼ることが多いのですが、それ以外のところというのはただの手帳ですので、手書きで書いていただくのもいいと思いますし、できたら、サプリメントを買ったときについている説明書などを切り取ってペタッと貼っていただく。名前を間違えたりすると調べるにも調べられなくなりますので、正確な情報という意味ではそういうものをうまく使っていただくといいかなと思います。 合原:そうした中、いま、多剤服用の問題を大きく動かすのではないかと期待されている取り組みがあります。薬を減らすことで、進行した認知症の症状を改善しようという大規模なプロジェクトです』、「お薬手帳に薬の情報だけではなくて、飲んでいるサプリメントについても書いて、きちんと医師と情報共有をすることが大事」、その通りだろう。
・『注目される認知症“減薬”プロジェクト  首都圏に48ある、有料老人ホームです。2300人あまりの入居者のうち、半数以上が認知症を患っています。薬を減らして認知症を防ぐ、去年10月から始まったプロジェクト。薬を減らすことで、認知症の症状の改善を目指しています。東京大学の薬学の専門家や、高齢者医療の専門医などが協力して、認知症の高齢者1000人以上を対象に、薬を調整。効果がどの程度出るのか、検証しています。 まず取り組んだのが、薬の種類や量が適正なのか、確認することです。医師や薬剤師、介護士などの専門チームを立ち上げ、日々の体調の変化をみながら、慎重に検討しています。 プロジェクトが始まって半年あまり。薬の種類や量が適正ではなく、改善の余地がある人が実に、7割を超えていることが分かりました。 プロジェクトに参加する医師 髙瀬義昌さん「今までの日本の医療は、どちらかというと薬の種類は多くて、減らすタイミングを見逃して、かえって副作用が大きくなってしまうことがあるので、これから頑張って挑んでいかなきゃいけないと思っています。」 薬を減らすことで、症状が大きく改善する人も出てきました。稲垣ミヨさん、91歳です。12種類の薬を飲んでいた、稲垣さん。当時、症状は悪化していました。 介護士「はいかいされたりとか、大声出して、『助けて』なんていう声も頻回に聞こえていました。」 暴力や暴言で、トラブルを起こすこともありました。稲垣さんの薬をチェックすると、12種類から7種類に減らすことができました。それから2ヶ月。暴力行為は一切なくなり、会話を楽しむまで回復しました。 介護士「ここの生活はどうですか?」 稲垣ミヨさん「いいですね。」 さらに、思いがけない効果が。周囲にも、いい影響が広がり始めたのです。 合原「(介護士の)負担としてもかなり減った?」 介護士 山﨑善斗さん「かなり減りましたね。やはり家族の方は、身体的な負担より、心の負担が大きいと思うので、何でこうなっちゃったんだろうとか。あとはここに足を運ぶのが重くなっていたりとか、そういうのが軽減されたほうが僕たちは嬉しいと思います。」 薬との上手なつきあい方。高齢者と現役世代、それぞれのポイントをみていきます。 合原:このプロジェクトによって、症状の改善だけではなくて周囲の人たちの負担もとても軽くなっているのを感じました。例えば、介護スタッフの方は入所者1人1人に向き合える時間が増えたといいます。さらに家族は、症状が改善したことで、再び親とコミュニケーションを取ることができるようになったと喜びを感じている方もいらっしゃいました。このプロジェクトでは、今後、減薬による効果をまとめて、指標を作成し、さまざまな医療機関や介護施設に広めていきたいとしています』、「認知症“減薬”プロジェクト」はいい取り組みだ。今後の展開が楽しみだ。
・『薬との上手なつきあい方  武田:多剤服用のリスクや減薬の効果を見てきましたけれども、やはり対策を進めていくべきだと感じました。患者や医師や薬剤師、すべての人の意識の変化というのが求められると思うんですけれども、そのために何が必要なのかキーワードを書いていただきました。 秋下さん:「足し算医療からの脱却」ということだと思います。薬が効かない場合に、ついつい、次の薬、次の薬ともらう、あるいは処方すると。こういうことが行われてきたわけですが、もし1つ足すのであれば、1つ引くと、こういう考え方です。それが「足し算医療からの脱却」ということではないかと思います。 武田:いま患者さんが持っていらっしゃるすべての症状を改善しようということで薬が増えていってしまう。そうではなくて、その患者さんの状態の何が大事なのかっていうのを、見極める作業にもつながると思うのですが。 秋下さん:例えば若い人であれば、心筋梗塞とか脳梗塞、あるいはがんといったような、かなり命に関わるような病気が大切。これは異論がないところだと思いますが、高齢者になってきますと、転倒して骨折をする。その原因となっている、ふらつきという問題もあります。それから、もう1つは認知症の問題ですね。こういったことのほうが、心筋梗塞の予防などより重要な場合があるんですね。そうしますと、若い人と高齢者では優先順位が変わってくるということが起きますので、そこはよく考える必要があると思います。 武田:そういった優先順位をつけて、薬の種類も整理していくことによって、患者さん自身も状況が改善し、周りも、社会全体もメリットがあると、その可能性があるということなんですね。 秋下さん:そうですね。 武田:ありがとうございました。 ※専門家が「多剤服用のリスク」情報をまとめた一般向けパンフレット『高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用』をこちらからダウンロードできます。(NHKサイトを離れます)』、「足し算医療からの脱却」は確かに重要だ。「多剤服用のリスク」は、一般のメディアは製薬会社や医師、薬剤師らを忖度して余り取上げられないが、あえて取り上げたNHKはさすがだ。
『高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用』のURLは下記
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20161117_01_01.pdf
タグ:まとめ 医薬品 ダイヤモンド・オンライン 日経メディカル NHKクローズアップ現代+ AERAdot. 週刊朝日 (製薬業) (その3)(「花粉症薬が保険適用外に」医療費約600億円削減でも現役医師が困る理由とは?、捨てられ続ける抗インフルエンザ薬の備蓄薬、たくさんの薬は害になる!? ~“多剤服用”の深刻なリスク~) 「「花粉症薬が保険適用外に」医療費約600億円削減でも現役医師が困る理由とは?」 『心にしみる皮膚の話』 大塚篤司医師 健康保険組合連合会(健保連、けんぽれん) 中央社会保険医療協議会で提起する内容の一部 五つの政策提言 【1】機能強化加算のあり方についての検討 「かかりつけ医制度」が実態としては余り機能してないのであれば、絞り込みは当然だ 【2】 生活習慣病治療薬の適正な選択(フォーミュラリー)の導入に向けた検討 医学的な根拠に加えてコストの問題も視野に入れた薬剤選択を提示 【3】 繰り返し利用可能な処方箋(リフィル処方)の導入に向けた検討 【4】 調剤報酬のあり方についての検討 かかりつけ薬局をもっている患者さんは4.5% 【5】花粉症治療薬の保険適用範囲についての検討 「捨てられ続ける抗インフルエンザ薬の備蓄薬」 「新型インフルエンザ等対策特別措置法」 国民の45%に相当する5650万人分の抗インフルエンザ薬を備蓄目標量に設定。うち約1000万人分は流通備蓄薬とし、約4650万人分を国と都道府県で備蓄 005年に始まった抗インフルエンザ薬の備蓄に費やした国費は、購入費だけでおおよそ800億円 使用されることなく期限を迎えると、巨額を投じた備蓄薬がただ廃棄されている 備蓄される抗インフルエンザ薬は、薬価よりも安い金額で購入 市場に流通させないことを条件に国が直接製薬会社と価格交渉している 都道府県は、使用年限が迫ってきた薬剤を市場に放出したり、備蓄以外の目的に使ったりすることができない 10年目を迎えた2016年から続々と抗インフルエンザ薬の大量廃棄が始まった 備蓄のコストを抑えるべく、厚労省は2019年1月に原薬で備蓄することを認めた 原薬保管の方が、備蓄期間をさらに延長できる可能性も 国と製薬会社・卸が協力して流通を工夫すれば、ある程度、薬剤を無駄なく使用する仕組みができるのではないだろうか 「たくさんの薬は害になる!? ~“多剤服用”の深刻なリスク~」 寝たきりの人が劇的改善 原因は薬だった 高齢者は薬の種類が増えるほど、体に異常が起こりやすくなることが明らかになっています。特に、6種類を超えるとそのリスクがより高まるのです 6種類以上では代謝する機能を超えるため、体内に蓄積されやすくなってしまいます。薬の種類が増えるほど、思いもよらない異常をきたす 7種類以上の薬をもらう人の割合は、64歳以下では10%。一方、75歳以上になると、24%に増加。4人に1人にのぼります 認知症の疑い 2割の人が薬の多さが原因 なぜ薬が6種類以上でリスク高まる? 6種類以上の方は副作用の発現率が10%を超えていました 高齢者だけ?現役世代にリスクは? 医師や薬剤師などの医療従事者がまずは気を付けるべき 副作用に注意!薬の種類との関係は? 薬とサプリメントの併用に注意! サプリメントを複数飲んでいる人の割合は、年齢とともに増えていきます。20代では3割ほどですが、50代を超えるとおよそ半数にのぼります サプリメントもその種類が増えるほど、リスクは高まる サプリメントを含む健康食品と薬を併用すると、重大な影響があると指摘 サプリメントは、きちんと相談して、医師や薬剤師さんに相談してとったほうがいい 減らすときのポイントは? お薬手帳に薬の情報だけではなくて、飲んでいるサプリメントについても書いて、きちんと医師と情報共有をすることが大事 注目される認知症“減薬”プロジェクト 薬との上手なつきあい方 「足し算医療からの脱却」 『高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用』
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シェアリングエコノミー(その2)(儲からないのに「シェアオフィス増殖」のなぜ 貸会議室大手・TKP「500億円買収」の狙い、IPO後株価低迷のウーバーが映すライドシェアの壁、ウーバーイーツに苦情のオンパレード…配達員が料理投げ捨て→本部は「警察に連絡しろ」) [産業動向]

シェアリングエコノミーについては、2017年7月19日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その2)(儲からないのに「シェアオフィス増殖」のなぜ 貸会議室大手・TKP「500億円買収」の狙い、IPO後株価低迷のウーバーが映すライドシェアの壁、ウーバーイーツに苦情のオンパレード…配達員が料理投げ捨て→本部は「警察に連絡しろ」)である。

先ずは、昨年4月17日付け東洋経済オンライン「儲からないのに「シェアオフィス増殖」のなぜ 貸会議室大手・TKP「500億円買収」の狙い」を紹介しよう(追記は省略)。
https://toyokeizai.net/articles/-/277208
・『貸会議室大手のティーケーピー(TKP)は4月15日、シェアオフィスを展開するIWGの日本法人「日本リージャスホールディングス」(以下、リージャス)を買収すると発表した。取得額は約500億円弱とみられる。 IWGは世界110ヵ国以上で約3300カ所ものシェアオフィスを展開し、日本では「リージャス」ブランドなどで全国145カ所(2018年末時点)を展開している。 シェアオフィスとは、オフィス家具やネット環境が揃い、そのまま仕事に取りかかれる時間貸しの事務所だ。フリーアドレスから個室ブースまで形態は様々で、フリードリンクや郵便物の受取、法人登記ができるものもある。各社によっては「レンタルオフィス」や「コワーキングスペース」などと呼ばれることもある』、「レンタルオフィス」であれば、かつてから流行していた。
・『前途多難のシェアオフィス経営  買収の理由について、TKPの河野貴輝社長は「リージャスとは同じビルに入居していることが多く、リージャスの利用者がTKPの会議室を使うなど、提携前から利用者が重複する部分があった。互いに組むことのシナジーは大きい」と力説する。TKPの国内拠点数は、自社の貸会議室と買収したシェアオフィスを合わせて約400カ所。将来的には1500カ所まで増やしていく。 シェアオフィスは拡大の一途をたどっている。アメリカの不動産サービス大手JLLによれば、シェアオフィスの延床面積はここ数年で急増。日本の大手デベロッパーやアメリカのウィーワークなどの外資系企業がこぞって参入し、さながら乱戦模様となっている。国内勢で最大手の三井不動産は、自社で展開するシェアオフィス「WORK STYLING」を2020年度までに50カ所まで拡大する予定だ。 沸騰するシェアオフィス市場だが、実態は「収益性に疑問符が付く」(不動産筋)。通常のオフィスであれば、法人テナントが一度入居すれば中長期的に安定した賃料収入が見込める一方、個人が相手のシェアオフィスでは月額会員を積み上げる必要がある。会員の入れ替わりも激しく、収益が安定しない。 住友不動産は2014年10月、本社を置く新宿住友ビル内にシェアオフィス「World Lounge」を開業したが、翌2015年12月に閉鎖した。同社は「シェアオフィスについては研究を続けているが、今は主力のビル賃貸に力を入れる」と距離を取る。1等地のビルに集中して出店するウィーワークも赤字が常態化。当のIWGも新規開業費がかさみ、営業利益はここ数年伸び悩んでいる』、「個人が相手のシェアオフィスでは・・・会員の入れ替わりも激しく、収益が安定しない・・・1等地のビルに集中して出店するウィーワークも赤字が常態化」、まだまだのようだ。
・『シェアオフィス単独のビジネスは厳しい  実は、TKP自身も2017年4月にベンチャー企業向けのシェアオフィス運営会社を買収したものの、事業が軌道に乗らず手放した過去がある。成長が著しい反面、淘汰も激しいベンチャー企業向けのビジネスは、営業コストがかかる割に収益がついてこなかった。河野社長は「シェアオフィスを単独の事業として運営するのは難しい」と振り返る。 不採算事業であるはずにもかかわらず、各社はシェアオフィス事業をなぜ拡大しようとしているのか。それは、シェアオフィスはその後に続くビジネスの「入口」にすぎず、月額利用料そのものを収益源にしていないからだ。IWG自身、他社と比べて優位な点について、「シェアオフィス利用料ではなく会員向けの付帯サービスによるものが、売上高のうち29%を占める。これは競合他社の約4倍だ」(マーク・ディクソンCEO)と認める。 三井不動産のシェアオフィス「WORK STYLING」の場合、フリーランスやテレワーカーだけでなく、同じビルに入居するテナントも得意客だ。自社オフィスの会議室が埋まっている場合に同施設で会議を行ったり、オフィスを移転・増床したい企業が仮住まいとしてフロアの一部を月単位で借りたりする場合もある。シェアオフィスは、自社ビルのテナント向けサービスという顔も併せ持つ。) ベンチャー企業向けのシェアオフィス事業も、単なる起業支援では終わらない。ベンチャー企業が成長してシェアオフィスが手狭になった際に、シェアオフィスの運営会社が保有する別の賃貸ビルにテナントとして入居してもらうことを見込んでいる。 TKPが今後も成長していくには、貸会議室を新規に出店し続けなければならないが、足下では肝心のオフィスビルに空きがなく、出店の余地が狭まっている。 オフィス仲介会社の三鬼商事によれば、今年3月時点で東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率はわずか1.78%。人手不足ならぬ「床不足」がTKPに立ちはだかる。新築ビルやテナントが移転して空室となったビルに出店攻勢をかけているものの、飛躍的な成長は難しい』、「東京都心5区・・・の空室率はわずか1.78%。人手不足ならぬ「床不足」がTKPに立ちはだかる」、これでは「飛躍的な成長は難しい」、のは確かなようだ。
・『「貸会議室以外」で稼ぐ  リージャスの買収により、TKPがすでに保有する貸会議室11.4万坪に加えてシェアオフィス約2.9万坪が加わった。「リージャスの一部をTKPの会議室に変えたり、逆に稼働率の低い会議室の一部をシェアオフィスに変えていく」(河野社長)といったことが可能になる。TKPとしては、シェアオフィスそのものによってもたらされる収益よりも、リージャスのシェアオフィスを高単価サービスを利用してもらうための「呼び水」にすることを期待しているようだ。 TKPの売上高に占める貸会議室関連売上の比率は年々低下し、2019年2月期にはついに50%を切った。代わりに存在感を増すのは、弁当や宴会、宿泊など会議室の利用に付帯するサービス。今回の買収によって、リージャスの会員向けに上記のサービスを提供していくことも可能になった。「シェアオフィスは(場所を貸し出すだけの)シンプルなビジネスモデルだと思われているが、実際には複雑なオペレーションが要求される」(IWGのディクソンCEO)。働き方改革が叫ばれる中、自由な働き方を支えるインフラとして重宝されるシェアオフィスだが、収益化には表面では見えない企業努力が必要なようだ』、なるほど、濡れ手に粟のビジネスではなさそうだ。

次に、5月17日付け日経ビジネスオンライン「IPO後株価低迷のウーバーが映すライドシェアの壁」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00019/051400050/?P=1
・『「CEOの年収は4300万ドル、我々の時給は9ドル」 5月8日正午、米ライドシェア大手、ウーバーテクノロジーズの本社の前には100人を超える人だかりができていた。集まったのはウーバーや同業のリフトのドライバーたち。冒頭の文言が記された横断幕を掲げ、ウーバー本社の周辺をデモ行進した。デモに加えてアプリをオフにするストも呼びかけられ、ごく一部のドライバーが参加したもようだ。 ドライバーのデモから2日後の5月10日、ウーバーはニューヨーク証券取引所に上場した。時価総額は約760億ドル(約8兆3600億円)。米ブルームバーグによると、米国で9番目の規模のIPO(新規株式公開)となり、2014年の中国・アリババ集団以来だという。 ただ、上場後の株価は振るわない。IPO時の売り出し価格を45ドルと、事前想定の44~48ドルの下限に設定したものの、上場初日から株価は下落。米株式市場の軟調もあるが、14日の終値は39.96ドルと、40ドルを割り込んだ。3月に上場した同業のリフトはさらに売り込まれている。3月29日の初値は87.24ドルと売り出し価格の72ドルを2割以上上回った。ただ、5月10日の終値は51.09ドルと初値を3割も下回っている。 評価額10億ドル以上のユニコーン企業の代表として、注目されたライドシェア2社の株価が低迷しているのは、投資家らが両社のビジネスモデルの将来性を疑問視し始めているからだ。 1つ目の課題は、冒頭のデモに象徴されるドライバーとの関係だ。 390万人ものウーバーのドライバーは正社員ではない。アプリを通してウーバーから配車の依頼を受ける“個人事業主”だ。案件ごとに個人に仕事が発注される「ギグエコノミー」の典型例である。当然ながら労働組合はないので、5月8日のデモはソーシャルメディアやウェブサイトを通じて告知された。 デモやストに参加したドライバーの不満はやはり報酬だ。 ウーバーやリフトは運賃から2割を差し引いて残りの8割をドライバーに渡しているとしている。ただデモに参加した男性ドライバーは「前は20%だったが、最近は25%を引かれている。なんでそうなっているのかきちんと説明するなど透明性が必要だ」と不満をぶちまけていた』、日本にはライドシェアを「白タク」として原則禁止する規制がある。規制のない米国でも「ドライバーとの関係」が問題化しているようだ。
・『車両が増えてドライバーの効率が悪化との声も  取り分が下がる上に、効率も悪くなっている。 シリコンバレー在住でリフトと契約する日本人ドライバー吉元逸郎氏は「そもそもサンフランシスコなど都市部ではウーバーやリフトの車両が増えて、時間当たりに稼げる金額が減っている。乗車を多くこなすドライバーへのインセンティブも減らされている」と解説する。 この状況を解消するには、ウーバーの取り分を減らすか、乗客の支払う料金を引き上げるしかない。いずれにしても収益の悪化や、顧客の離反につながる。 2つめの課題が自動運転開発で後れを取っていることだ。 ウーバーの将来は完全自動運転の実現に懸かっていると言っても過言ではない。完全自動運転が実現すれば、1つ目の課題であるドライバーに対する処遇の問題を解決できる上、収益力を高められる可能性もあるからだ。 ウーバーの乗客が支払う運賃の総額は「売上高」ではなく「取扱高」と呼ばれる。18年の取扱高はおよそ5兆5000億円(497億9900万ドル)。ドライバーの取り分は、8割で換算して4兆4000億円にも上る。 ウーバーは毎年、本業で3000億~4000億円の赤字を出している。車両の調達や運用で追加費用がかかったとしても、自動運転の導入によりドライバーへの支払いが必要なくなれば、大きな利益を生み出す可能性がある。 ただ、ウーバーの自動運転技術は多くの乗客を乗せるレベルには至っていない。米アリゾナ州では18年3月に自動運転車による世界で初めての死亡事故を起こしているが、そもそもの技術レベルに疑問符がついている』、「ウーバーは毎年、本業で3000億~4000億円の赤字」、しかも「ウーバーの自動運転技術は多くの乗客を乗せるレベルには至っていない」、「自動運転」が可能になる前に、破綻してしまう懸念もありそうだ。
・『560mごとに自動走行モードから離脱  米カリフォルニア州の車両管理局(DMV)は19年2月、自動運転の実験車両に関する18年11月までの1年間のデータを公開した。これによるとウーバーの実験車両は8217マイルを走行し、何らかの理由で自動走行モードを離脱したのは2万3499回だった。クルマの人工知能(AI)が判断不能になるケースが、実に0.35マイル(約560m)の走行ごとに発生している計算だ。 一方で、先行する米グーグル系のウェイモはほとんど離脱することがなくなっている。同資料によると、ウェイモの実験車は平均で1万マイル以上、自動運転モードで走行している。 さらには新たな競合も登場している。ウーバーが米国のタクシー業界を短期間にディスラプト(崩壊)させたように、ウーバー自身も競合から攻め込まれている。ライドシェアのビジネスは参入が容易なのだ。 例えば、米テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は4月末、2020年以降に実現するテスラ車の自動運転機能「ロボタクシー」によって、オーナーが副収入を得られるという構想をぶち上げた。テスラのアプリを通して、知り合いなどに自分のテスラを貸し出すことができるというものだ。ピックアップ場所までテスラ車が自動で迎えにいくという。 ライドシェアの台頭によって多くの人がクルマを所有しなくなる将来が予測されている。駐車場などのコストの高い都市部では特に顕著になるだろう。テスラのロボタクシーのように、ライドシェアなどの影響を受ける自動車メーカーからの逆襲も起こりうる。テスラは市販車の走行データを収集し続けており、完全自動運転でも優位に立つ可能性が高い。 上場直後から逆風にさらされるウーバーは今後も成長を続けられるのか。IPOで得た資金を有効に使えるかがカギを握りそうだ』、「ウーバー」では「560mごとに自動走行モードから離脱」、「ウェイモ」と大きな格差は何故なのだろう。「テスラ」の「ロボタクシー」が登場したら、「ウーバー」は蹴散らされてしまうかも知れない。

第三に、10月7日付けBusiness Journal「ウーバーイーツに苦情のオンパレード…配達員が料理投げ捨て→本部は「警察に連絡しろ」」を紹介しよう。
https://biz-journal.jp/2019/10/post_122278.html
・『お気に入りの料理を簡単に取り寄せられるフードデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」。サービス開始以来、注目度が高まる一方で悪評も目立ち、配達員に“料理を投げ捨てられた”というクレームまで飛び出した。 話題になっているのは、ツイッターへ投稿された利用者の声で、「Uber Eats頼んだら、配送30分ぐらい遅れたうえに、スープこぼされてグチャグチャになってたから受取拒否したら、マンション共有部分に投げ捨てられてた」というコメント。続けて「かなりありえないんだけど、(Uber Eatsの)サポートに連絡したら、個人事業主だから関与できない、勝手に警察に連絡しろの一点張り。ありえない」とUber Eats本部の対応を非難しつつ、紙袋が破れ、食べ物が床に散乱した様子の写真も公開した。 ウーバーイーツをめぐっては、ネット上にたびたびクレームが寄せられている。たとえば、口コミサイト「みん評」でユーザー評価を確認できる。寄せられた口コミのなかには、「商品不足してるし、ウーバーもお店も知らんぷり」「商品延着の上、商品一部なし」「配達員のマナーが悪すぎる」といった厳しい声がある。 今回ユーザーから寄せられた投稿は物議を醸し、ネット上には「悪質な配達員はごく一部だろうけど、ウーバーイーツは使いたくないな」「遅延は仕方ないにしても、料理を投げ捨てるというのは酷すぎる」「こういう人が運んでいると思うと、料理が届いても怖くて食べられない」「トラブルを想定して利用しないといけないなんて、サービスとして成立してるの?」といった反応が相次いだ。 ウーバーイーツを展開するUber(ウーバー)の公式サイトを見ると、「法的情報」ページに「ユーザーは、輸送業者が提供する輸送サービスに関する苦情を、輸送業者に提出するものとします」と明記。つまり、ウーバー側は責任を負わないと宣言しているわけだ。とはいえ、ウーバーに対して不信感を抱くユーザーも多く、「ウーバー本体に責任追及できないとなると、ずいぶん高額なサービスなのだなという気持ちになる」「ウーバーは仕組みを提供して稼ぐだけで、そのサービスには無責任」という批判も上がっている。 他方、ウーバーイーツについては配達員からクレームが上がることも珍しくない。2016年には、配達員がツイッターに「Uber Eats、オペレーションやばいのは知ってるけど給料が説明会やウェブに記載されてる予定日に入ってないのはさすがにマジでやばいだろ」と投稿。ほかの配達員からもネット上に、予定されていた給料日に未入金となっている現状を訴える投稿が相次いだ。 また今年7月には、配達中に事故に遭った配達員が、ウーバー事件対応担当者から、「(事故が)再度あれば、あなたのアカウントは永久停止になるかもしれません」と、脅しをかけるようなメールを送られたとネット上に投稿し、ウーバー本部の対応が非人道的だと非難の声が高まった。 配達員の行動に対して一切の責任を負わないとしているウーバー本部の立場は、法的に問題はないのだろうか。弁護士法人ALG&Associates執行役員の山岸純弁護士は次のように解説する』、自転車に乗って、「ウーバーイーツ」のロゴの入ったバッグをしょった配達員の姿をよく見かけるようになったが、「本部の対応」には明らかに問題がありそうだ。
・『かつての「バイク便」と類似の関係  確かに、ウーバー本部と配達員は、給料を払って働いてもらうという「雇用関係」にあるわけではなく、「料理等をお客さまに届ける」という業務を依頼されている関係(準委任関係)にあるので、ウーバー本部は、配達員が第三者に対し行った不法行為などの責任を負わないのが原則です。 ところで、かつてバイク便の「本部」と「ドライバー」も、同じような問題がありました。当初、バイク便の本部は、個人のドライバーとは雇用契約にないから残業代なども支払わないし、第三者に対し行った不法行為(交通事故など)も責任を負わない、という態度をとっていましたが、多くの裁判や厚生労働省の指針などにより、今ではドライバーは、(1)配達に従事する時間を拘束されている(配達業務がなくても、何時から何時まではどこどこで待機しているようにといった指示がある)、(2)指揮命令に従っている(日報などの提出を求められたり、配送ルートなどが逐一指定されているなど)ことなどを理由に、「本部に雇用される労働者である」という判断がなされています。 これと同じように、もし、ウーバーの配達員にも、(1)配達に従事する時間を拘束されている、(2)指揮命令に従っている、といった要素があるのであれば、やはり労働者と判断される可能性が高くなることと思われます。 この場合、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」旨、規定する民法715条(使用者責任)が直接適用されないまでも、人を“雇用”して利益を得ているのであれば責任も負うべきであるとする「報償責任」の考え方から、ウーバー本部も配達員が第三者に対し行った不法行為(スープをマンション共用部に投げ捨てて汚すなどの行為)の責任を負うと考えることができます』、「山岸純弁護士」の言い分はもっともだ。そのうち、訴訟が相次ぐ可能性がありそうだ。シェアリングエコノミーはまだまだ問題が山積しているようだ。
タグ:レンタルオフィス 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン コワーキングスペース Business Journal シェアリングエコノミー 山岸純弁護士 (その2)(儲からないのに「シェアオフィス増殖」のなぜ 貸会議室大手・TKP「500億円買収」の狙い、IPO後株価低迷のウーバーが映すライドシェアの壁、ウーバーイーツに苦情のオンパレード…配達員が料理投げ捨て→本部は「警察に連絡しろ」) 「儲からないのに「シェアオフィス増殖」のなぜ 貸会議室大手・TKP「500億円買収」の狙い」 貸会議室大手のティーケーピー シェアオフィスを展開するIWGの日本法人「日本リージャスホールディングス」(以下、リージャス)を買収 「リージャス」 シェアオフィスとは、オフィス家具やネット環境が揃い、そのまま仕事に取りかかれる時間貸しの事務所だ 前途多難のシェアオフィス経営 シェアオフィスの延床面積はここ数年で急増 実態は「収益性に疑問符が付く」 個人が相手のシェアオフィス 会員の入れ替わりも激しく、収益が安定しない シェアオフィス単独のビジネスは厳しい 東京都心5区 空室率はわずか1.78% 「床不足」がTKPに立ちはだかる 「貸会議室以外」で稼ぐ 収益化には表面では見えない企業努力が必要なようだ 「IPO後株価低迷のウーバーが映すライドシェアの壁」 CEOの年収は4300万ドル、我々の時給は9ドル ウーバー本社の周辺をデモ行進 上場後の株価は振るわない 投資家らが両社のビジネスモデルの将来性を疑問視し始めている 1つ目の課題は、冒頭のデモに象徴されるドライバーとの関係 車両が増えてドライバーの効率が悪化との声も ドライバーの取り分は、8割で換算して4兆4000億円 ウーバーは毎年、本業で3000億~4000億円の赤字 560mごとに自動走行モードから離脱 米グーグル系のウェイモはほとんど離脱することがなくなっている テスラのロボタクシーのように、ライドシェアなどの影響を受ける自動車メーカーからの逆襲も 「ウーバーイーツに苦情のオンパレード…配達員が料理投げ捨て→本部は「警察に連絡しろ」」 悪評も目立ち、配達員に“料理を投げ捨てられた”というクレームまで飛び出した サポートに連絡したら、個人事業主だから関与できない、勝手に警察に連絡しろの一点張り ウーバー側は責任を負わないと宣言 かつての「バイク便」と類似の関係 多くの裁判や厚生労働省の指針などにより、今ではドライバーは、 「本部に雇用される労働者である」という判断
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小売業(百貨店)(その3)(アジアの日系百貨店は「オワコン」か?中国やタイ資本に猛追される理由、そごう・西武の奇策「再雇用者リストラ」のわけ 希望退職実施が「百貨店再編」の引き金に、三越 日本橋本店に「ビックカメラ誘致」の真相 欧米の潮流を受け、家電量販店を初導入) [産業動向]

小売業(百貨店)については、2018年10月11日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その3)(アジアの日系百貨店は「オワコン」か?中国やタイ資本に猛追される理由、そごう・西武の奇策「再雇用者リストラ」のわけ 希望退職実施が「百貨店再編」の引き金に、三越 日本橋本店に「ビックカメラ誘致」の真相 欧米の潮流を受け、家電量販店を初導入)である。

先ずは、ジャーナリストの姫田小夏氏が昨年9月9日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「アジアの日系百貨店は「オワコン」か?中国やタイ資本に猛追される理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/214040
・『閑古鳥が鳴いていた上海高島屋だけでなく、バンコクに進出する伊勢丹や東急百貨店など、アジアの主要都市で集客に苦労する日系百貨店は少なくない。人気を集めるタイ資本や中国資本の商業施設は、一体どこが優れているのだろうか?』、なんとも寂しい話だ。「オワコン」とは、終わったコンテンツの略で、一時は栄えていたが現在では見捨てられてしまったこと、ブームが去って流行遅れになったこと、および時代に合わなくなった漫画・アニメや商品・サービスを指す(Wikipedia)。
・『タイ資本のショッピングモールに圧倒される日本の百貨店  「凋落する日系、台頭するアジア系」――そのコントラストが顕著に表れるのがバンコクの商業施設だ。伊勢丹、東急百貨店など日系百貨店が進出するも、今やタイ資本のショッピングモールにすっかり圧倒され、その存在感は薄い。 巨大な売り場面積と洗練された館内コーディネート、最先端ブランドの入店とその集客力でプレゼンスを高めるタイ資本の商業施設。経済成長とともに増え続ける「中間層」を惹きつける地元モールのキラーコンテンツは“食”だ。タイ資本のモールは、とにかく“食の演出”がうまい。 地下には気軽なフードコート、上階にはちょっとリッチなレストラン街――バンコクのモールでほぼ共通するレイアウトだが、タイ最大といわれるモール企業「モール・グループ」が運営する「エムクオーティエ」(エンポリアム2号店)の地下フードコートは、モール全体の中で最も人を集めるフロアだ。 バンコク最大の繁華街・スクンビット地区に立地する同モールの地下には、タイのローカルフードはもとより、インド、広州、潮州、香港などの、ありとあらゆる“アジアの味”がずらりと並ぶ。ホールの面積も広大で座席数も多く、内装もシンプルかつお洒落だ。 タイの1人当たりGDPは7187米ドル(2018年)と、中国の9608ドルよりも低いが、このフードコートの1食当たりの平均価格は100~200バーツ(1バーツ=約3.5円)と、日本のファストフード程度並みの食事代を払える消費者層が存在する。 同グループは、サイアム地区に立地する巨大モール「サイアム・パラゴン」も経営する。ここのフードコートは「バンコク最大」だといわれるが、文字通り“食のパラダイス”だった。その充実ぶりは「ありったけのエネルギーとアイディアと資本を投入したのでは」と思わせるほど。バンコクの市民はもとより外国人客も多いが、その選択はあまりにバラエティ豊かなので、誰もが“うれしい悩み”に頭を抱える。こんな巨大なフードコートは日本ではお目にかかったことがない。 同じ商圏には日系百貨店もあるが、規模の小ささや施設の老朽化による“見劣り”がとても気になった。フロア構成も“日本の伝統”を踏襲するが、果たして現地のニーズを反映したものなのかどうか。肝心な食のフロアも単なる“食堂の集合”に近い。日系百貨店といえば、かつては東南アジアの花形といわれた商業施設だったが、進出も早かっただけに、“売り場のレトロ感”は否めない。すでに撤退した店舗もある』、「かつては東南アジアの花形といわれた商業施設」だけに、凋落ぶりは強烈だ。日本から優秀な社員を送り込んでいるのに、時代から取り残されたようなのは情けない。
・『閑古鳥が鳴いていた上海高島屋でも「デパ地下」だけは人気だった  “食”が人を集めるのは、中国の上海高島屋にも共通する。上海高島屋百貨有限公司の清算騒動(「上海高島屋、撤退取りやめて『継続宣言』も前途はいばらの道」参照)は物議を醸したが、6年半前の開業時から一度も黒字を出せず、長らく「閑古鳥が鳴いている」と言われ続けていた同店で、唯一賑わいを見せていたフロアが“デパ地下”部分だった。 同店の、食品スーパーやベーカリー、スイーツなどの売り場の充実ぶりには定評があった。6月の撤退宣言に近隣の住民は「残念なのは、“デパ地下”にあるパン屋の『ドンク』やサラダ・惣菜の『Rf1』がなくなってしまうこと」だと悲しんだ。上階の飲食街には日本料理店やラーメン店が出店しており、昼食時になれば、近隣のホワイトカラーで席が埋まった。多少値が張っても、おいしいものにはつい財布のひもを緩めてしまう――食のフロアには中国人たちの特徴ある消費動向がはっきりと映し出されていた。 ちなみに昨年、高島屋(高の文字は、正式には“はしご高”)はバンコクの大型複合施設の中にアンカーテナントとして初出店した。華々しい幕開けだったが、ほどなくして「(同店が立地する)チャオプラヤー川西岸に行くのは不便」という声が出始める。上海高島屋同様、日本人居住者の間で話題になったのは、むしろその“立地”だった。 衣料品あり、日用品ありのフルラインが日本の百貨店のモデルだったが、アジア全体の市場を見渡せば、“百貨型”の売り場構成はもはや新鮮さを失いつつあるのだろうか。昨夏、筆者はベトナム・ハノイのロッテデパート(韓国系)を視察したが、日本型の百貨店構造に酷似した同店もまた、地下の食品スーパーだけが賑わっており、一階から上の婦人服・紳士服売り場では買物客をほとんど見かけることはなかった。 レジャーサービス研究所(本社:東京・渋谷)の斉藤茂一所長の指摘は興味深い。なんと、中国資本の百貨店では売り上げの半分を「食が占める」というのだ。斉藤氏は「あくまで私がコンサルした範囲ですが」と前置きしつつ、次のように語る。 「北京の百貨店の売上構成比は、実に58%を飲食が占めています。地方では、朝7時に開店して朝食ニーズまで取り込む百貨店もあります。お客さんは朝・昼・晩の食事のために百貨店を訪れるのです。中国では、売り上げを支えているのは物販ではなく飲食であり、これが集客の原動力になっています」 メインは飲食、物販はサブ――この傾向は中国のみならず、アジア市場全体にも共通するのかもしれない。 アジアの人々が最も喜びと感じ、消費を惜しまないのは“食”をおいてほかにはない。“百貨”から“一貨”に絞り込むのはさすがに極端な話だが、「思い切った発想の転換が必要」だと斉藤氏もいう。いかに“食”に光を当てるかが、日系百貨店にとっての起死回生のカギとなりそうだ』、「日本人居住者の間で話題になったのは、むしろその“立地”だった」、メイン顧客がいまだに「日本人居住者」なのだろうか。そうだとすれば、むしろ大問題だ。筆者の情報収集力に疑問を感じざるを得ない。「「デパ地下」だけは人気」、ありそうな話だ。
・『楽しさのプロデュースも計算ずく 東京はもはやアジア最先端ではない  最後に、アジアの各都市・各商業施設で筆者の心に残った集客スポットを紹介したい。 それはバンコクの「アジアティーク・ザ・リバー・フロント」だ。東京ドーム約2.5個分という広大な敷地に約1500もの小売店舗と約40店舗の飲食店 (数字は公式サイトより) を構える商業施設で、観覧車やお化け屋敷などのアトラクションとともに、ファミリーで1日楽しむことができる。バンコクといえば、長らく「寺院」と「パッポン」(男性向けの怪しげなスポット)が観光の代名詞だったが、アジアティークはこの固定観念を払拭させる新名所の一つとなった。 古くは19世紀後半にチャオプラヤー川沿いに建造された船着き場だったが、2012年に観光スポットとして再開発された。古い倉庫や引き込み線を生かしたリノベーションは、横浜の「赤レンガ倉庫」を思い起こさせる。両者ともに、「小売+飲食」のコンセプトは共通するが、アジアティークで世界から集まる観光客をひきつけていたのは、徹底的に充実させた「食」部門だった。 敷地内にはカジュアルから高級店までさまざまなジャンルの飲食店があり、ウォーターフロントならではの解放感が巧みに演出されていた。さらに「夜市」的な食べ歩きスポットも非常に充実。低予算でさまざまな味を訪ねて回れるという「食べ歩きスタイル」は、洋の東西を問わず観光客には大人気であり、最も賑わうエリアとなっていた。 その「夜市エリア」は屋根付きで照明が美しく、什器などのデザインも統一感があり、メニューはどれをとっても洗練されていた。中でも“ワニ肉の解体ショー”は観光客をくぎ付けにし、スマホ撮影の人だかりができていた。生バンドの演奏も観光客を楽しませるには十分に効果的であり、味はもとより、楽しさのプロデュースにも力が入る。単なるテナントの寄せ集めではなく、施設全体が「楽しい時間と空間」を演出しているのだ。 魅力溢れる商業施設の出店ラッシュにあるバンコクは、外国からの訪問者を惹きつけてやまない。バンコクには年間2300万人が訪れ、「世界渡航先ランキング2018」(米マスターカード社調べ)で4年連続1位を維持する。気になる東京は約1300万人で9位だ。 百貨店に限った話ではない。かつて、アジアの諸都市を訪問すると、「日本がまだまだ上」という優越感を持つことが多かったが、今は違う。すでにアジアに学ぶ時代が到来しているのだ』、「バンコクには年間2300万人(の外国からの訪問者)が訪れ、バンコクが「世界渡航先ランキング2018」で4年連続1位を維持する。気になる東京は約1300万人で9位」、確かに、「アジアティーク・ザ・リバー・フロント」は魅力的なようだ。それにしても、日系の不振は目を覆わんばかりだ。現地のライバルの戦略を真剣に学ぼうとしなかった当然のツケだ。撤退か、巻き返しに打って出るのか、早急に決断すべきだろう。

次に、9月13日付け東洋経済オンライン「そごう・西武の奇策「再雇用者リストラ」のわけ 希望退職実施が「百貨店再編」の引き金に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/302404
・『セブン&アイ・ホールディングス傘下の百貨店事業会社である「そごう・西武」が、リストラに乗り出していることが明らかになった。 同社は今年7月の一定期間に、「ライセンス社員」と呼ぶ60歳から65歳までの再雇用者を対象にした希望退職を募り、8月31日付で実施した。再雇用時の月収をベースに、65歳まで働いた場合の「みなし」分を割り増しして退職者に支払った。そごう・西武では早期退職制度をすでに設けていたが、今回のような再雇用者を対象に希望退職を募ったのは初めてだ。「今後、再雇用をしないということではない。常設の制度ではなく、今回限りの措置」(広報担当者)という』、「再雇用」する段階で、必要人数に応じて再雇用するのではなく、機械的に再雇用した結果、余剰が生じたのだろうか。それにしても、お粗末だ。
・『再雇用者のリストラは「聞いたことがない」  数多くの商品を扱う百貨店では、ベテランの知識・経験を生かすために再雇用制度を設けている企業が多い。ある大手百貨店の場合は、「60歳で定年退職を迎えた人のうち、おそらく7割ぐらいは再雇用を希望する」(大手百貨店の中堅社員)という。 再雇用後は退職前に従事していた仕事に就くケースが多い。例えば、店舗の紳士服売り場ならば、そのまま紳士服売り場に、事務職ならば事務系の仕事を続けることが一般的だ。中には、外商のセールスマンがコンシェルジュのような店頭の接客専門員として配属されるケースもある。 今回のそごう・西武は、応募した社員の具体的な数など詳細について公表していない。再雇用者が対象のため、店長やフロアマネジャーのような幹部クラスが辞めていったわけではない。ただ、8月31日までに定年退職となる60歳を迎える社員も例外的に対象としたため、退職者の一部には59歳の部長など幹部社員も含まれていたようだ。百貨店の要職であるバイヤー(商品仕入れ担当)に従事していた社員もいた。 こういった再雇用した社員を、わざわざ手厚い手当を支払ってリストラするのは珍しい。前出とは別の大手百貨店中堅は「聞いたことがない」と驚きの声を上げる。) 今回の希望退職実施について、会社側は「組織全体の若返りを図ることが狙い。また、社会が高齢化していく中で、60歳を超える社員の転職支援という意味もある。ワークライフバランスを見直すきっかけになれば」(広報担当者)と説明する。 しかし、この説明は鵜呑みにできない。継続雇用年数の引き上げなどにより高齢者の活用を図る企業が増えている中で、今回の動きは逆行している。今回の希望退職は「余剰人員の整理」と理解するほうが自然だ。 セブン&アイは、今年10月に予定されている今上期(2019年3~8月期)決算説明会において、グループ全体の経営再建策を打ち出すと見られている。低採算に苦しむイトーヨーカ堂については、展開エリアを絞り込むなどの採算向上策を公表する見通し。同じく低採算のそごう・西武についても、何らかの経営改善策が打ち出されそうだ』、決算説明会では所沢店のショッピング・センター化以外には特段の記載はなかった。
・『セブン&アイ入り後も収益は上向かず  歴史を振り返ると、西武百貨店が前身の武蔵野デパートとして創業したのは1940年のこと。その後、1970年代から1980年代にかけて、西武池袋本店の館内に公園・広場を模した設備や美術館を常設し、話題を集めた。西武百貨店の売上高は一時、三越を抜いて業界トップになったほどだ。 ところが、1990年代のバブル崩壊以降は、消費不振を映して業績が冴えなくなっていく。同じく、業績不振の百貨店大手そごうが民事再生法の適用を2000年に申請。この同時期に経営難に苦しんでいた両社が統合し、再建を目指すことになり、2003年に2社の持ち株会社ミレニアムリテイリンググループが発足した。 経営統合後は再建が順調に進んでいたかに見られていた。が、財務的な不安は完全には払拭されなかった。結局、2006年にセブン&アイ・ホールディングスの傘下に入り、再び立て直しを図ることになった。 セブン&アイ・ホールディングスの傘下に入ってからは、店舗撤退を加速。2016年にそごう柏店(千葉県柏市)、2018年に西武船橋店(千葉県船橋市)など大型店舗も次々に閉店した。そごう神戸店(兵庫県神戸市)と西武高槻店(大阪府高槻市)は2017年に、阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリングに売却した。 こういった経営スリム化を徹底しても、収益性は一向に上向かない。2018年度の営業収益に対する営業利益率は0.5%と、低利益率にあえぐ。そごう・西武は現在15店舗を展開するが、今回さらなる店舗閉鎖に踏み切ることも考えられる。店舗縮小が続けば、いっそうの人員整理も避けられないだろう。 今回の希望退職実施は、次の動きを加速する「引き金」になる可能性もある。百貨店の動向に詳しい業界関係者は、「そごう・西武の最近の動きは、事業整理を進めているように見える。近い将来、一部店舗の譲渡や会社そのものを身売りすることも考えられる」と語る。 店舗譲渡先や身売り先としては、先にそごう・西武の2店舗を譲り渡したエイチ・ツー・オーリテイリングが候補としてあがる。確かに、好立地の西武池袋店本店やそごう千葉店を譲り受ければ、東京圏での展開強化へ向けて、これ以上の足がかりはないように見える。 ただ、エイチ・ツー・オーリテイリングは目下、関西地域を中心に主力小売り業態の集中出店を進める「関西ドミナント戦略」を掲げている。エイチ・ツー・オーリテイリングの幹部は、「ここ2年ほどは、お経のように『ドミナント戦略』の重要性を社内外で唱えている。不得意な関東圏に主力業態で出ていくことは、この戦略から大きく外れることになる」と否定する』、「エイチ・ツー・オーリテイリング」には殆ど期待できないようだ。
・『身売り先候補に「ドン・キホーテ」の名も  店舗譲渡や身売り先としては、ドン・キホーテを擁するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスも名前が挙がる。同社の大原孝治社長は2019年3月の東洋経済のインタビューに対し、「(当時売却が噂された)西友よりむしろ、そごう・西武の売却話が出てきてもおかしくないだろう。西武渋谷店は非常に立地がよい」と、興味を示していた。 とはいえ、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、子会社化したユニーの経営立て直しを当面の課題として抱えている。ドンキとユニーのダブルネーム店舗の展開も緒に就いたばかり。9月25日の株主総会後には、大原氏が社長の座を退き、専務の吉田直樹氏が後任となる。マッキンゼー・アンド・カンパニーなどでコンサルタントとしての経験がある吉田氏が、そごう・西武についてどのような見方をしているのかは、現時点では不透明だ。 行方が混沌とするそごう・西武。セブン&アイが「持て余す」存在だけに、10月にはさらに踏み込んだ再建策が打ち出される可能性がある』、「10月にはさらに踏み込んだ再建策が打ち出される」ことはなかったが、どうなるのだろう。「ドン・キホーテ」はスーパーとならシナジー効果もあるかも知れないが、百貨店とは殆ど期待できない筈だ。

第三に、11月28日付け東洋経済オンライン「三越、日本橋本店に「ビックカメラ誘致」の真相 欧米の潮流を受け、家電量販店を初導入」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/316518
・『日本最古の百貨店と家電量販チェーンが結びついた。 百貨店首位の三越伊勢丹ホールディングスは11月13日、基幹店の1つである日本橋三越本店に家電量販店の「ビックカメラ」を誘致すると発表した。 ビックカメラは新館6階フロアに、広さ約1200平方メートルの店舗を2020年春にオープンする。機能性やデザイン性の高い高級家電を取りそろえ、日本橋三越本店のコンシェルジュやスタイリスト(販売員)と連携して、顧客に商品を提案する。三越伊勢丹が店舗に家電量販店を受け入れるのは、初めてのケースとなる』、他でもない「日本橋三越本店」に誘致するとは、驚きだ。
・『老舗百貨店と家電量販店は不釣り合い?  今回の三越伊勢丹の発表に対して、百貨店関係者は一様に首をかしげる。「日本橋三越本店とビックカメラは、組み合わせとしてはマッチしないのではないか」(ライバル百貨店の中堅社員)。 業界関係者が疑問を持つのも無理はない。百貨店は高級感を大事にする。とくに、日本橋三越本店は、祖業である呉服屋「越後屋」発祥の地に立つ歴史ある店舗だ(越後屋の創業は1673年)。店頭に商品を陳列し、現金で販売をする日本の小売業態のスタイルは、この越後屋が広めたものだ。 その後、呉服屋から百貨店へと進化していく中で、中心顧客である富裕層に対して丁寧な接客を提供することで長期的な関係を構築してきた。 このような長い伝統を持つ百貨店と低価格を訴求する家電量販チェーンは、確かに不釣り合いのようにも映る。 また、百貨店業界では近年、百貨店が商品企画や品ぞろえを決める自主運営の売り場を縮小し、テナントを誘致する賃貸形式に移行する店舗が増えている。例えば、大丸松坂屋百貨店を擁するJ.フロントリテイリングは「脱百貨店」を標榜し、賃貸形式への移行を進めている。 2017年に東京・銀座に開業した商業施設「GINZA SIX」は、テナントから賃料を得る不動産ビジネスに特化した施設だ。 三越伊勢丹は自主運営の売り場にこだわってきたが、今回のビックカメラは賃貸形式での入居となる。そのため、三越伊勢丹もこうした業界の流れに沿って、今後は賃貸形式を増やしていくようにも見える』、「三越伊勢丹は自主運営の売り場にこだわってきたが、今回のビックカメラは賃貸形式での入居となる」、とはいっても、やはり違和感が拭えない。
・『欧米で増える「高級家電」売り場  しかし、ビックカメラの入居は三越伊勢丹全体の方針として、賃貸方式への移行を意味するのではない。「あくまで、品ぞろえ強化の一環」と三越伊勢丹は位置づける。三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦社長は「ビックカメラには、今までとは違う業態を考えていただいている。高級家電をお客に売ることを主眼にしている」と語る。 そのうえで、「欧米の百貨店では今、家電売り場が増えている。家電が進化していて、『高級家電』というジャンルが確立されている。とくに、欧州の百貨店は高級家電が自分たちのビジネスになることを理解し始めた。日本でももちろん、高所得者層も家電を購入される。そういったお客を、われわれのマーチャンダイジング(商品政策)で取り込んでいきたい」と話す。 さらに、杉江社長は日本橋地域に家電販売店が必要であることを強調する』、『高級家電』となると、「ビックカメラ」のイメージにふさわしくない感じもする。
・『「マーケット調査をしてみると、日本橋エリアに家電店がないことがわかった。地域の皆さまが困っているので、街に必要な機能を持つ必要性がある。また、百貨店は衣料品販売を拡大して儲かるビジネスモデルをつくってきたが、そこから拡縮(変化)してこなかった。われわれは、アパレルにこだわっているわけではない。売れないのであればそこを縮小して、時代に合った、売れるものを入れていくのが、小売業の使命だと思っている」 杉江社長がこのように考えるようになったきっかけは、1年ほど前のある出来事があった。 三越伊勢丹は、東京・新宿の土地・建物をビックカメラに貸している。その関係からビックカメラの宮嶋宏幸社長が杉江社長を訪問し、「ビックカメラは高級家電を扱っていて、品ぞろえはあるが、お客に訴える場所がない。百貨店を利用する富裕層は家電量販店にはあまり来ず、高級家電に触れることがない。みすみす商機を逃している」と訴えた。 欧米の百貨店が高級家電売り場を増やしていることを知っていた杉江社長は、宮嶋社長の話に「商機がある」と判断した。ただ、「高級家電を自分たちで仕入れて販売するのはとうてい無理」(杉江社長)なため、プロジェクトチームを設置して検討を重ね、日本橋三越本店にビックカメラをテナントとして入居させることになった』、「東京・新宿の・・・ビックカメラ」では、「高級家電」の売上は順調なのだろうか。
・『高級家電誘致は理にかなっている  小売業界に詳しい、ある経営コンサルタントは、「日本橋三越本店が品ぞろえ強化の一環として高級家電を取り入れることは、何も驚かない。高級家電のニーズは必ずある。例えば、オーディオメーカーのBOSEは高音質オーディオ機器などを売っており、こういったものを百貨店にそろえることは理にかなっている」と語る。 歴史を振り返ると、百貨店は品ぞろえを柔軟に増やすことで業容を拡大してきた。江戸時代は衣服を中心に扱い、「百貨店化」が進んだ明治時代の後半ごろからは、輸入品への願望が高まっていることを受け、欧米の化粧品や帽子、幼児用服飾品などを取りそろえた。 家族連れの顧客が増えた大正時代には食堂を設けて、和食やぜんざいなどを提供した。そして、1923年に発生した関東大震災を契機に、一般の消費者が生活で必要なものをそろえる必要性を実感し、食料品や一般雑貨、玩具といった日用品を増やしていった。かつては時代の変化やニーズを捉えることが巧みだったのだ。 ネット通販の台頭などの消費者行動の変化をうまく捉えられず、百貨店各社は売り上げが右肩下がりの苦しい状況にある。前出の百貨店中堅社員が指摘したように、三越本店へのビックカメラ誘致は「安売りの家電チェーンが入った」というイメージで顧客に受け止められる懸念もあるが、思惑どおりに高級家電という新しい売り場を確立できれば、販売回復への打開策となる可能性を秘める。 今回のビックカメラ誘致は、業界全体が「百貨店が求められているものは何か」を再考察するきっかけになるのかもしれない』、「ビックカメラ」の「デザイン(高級)家電」のホームページを見ると、BOSEの他にも、高級なトースターや電子レンジ、ダイソンの掃除機や扇風機などが掲載されている。
https://www.biccamera.com/bc/c/kaden/design/index.jsp
「今回のビックカメラ誘致」が狙い通り上手くいくのか、注目したい。
タグ:東洋経済オンライン 小売業 ダイヤモンド・オンライン 姫田小夏 (百貨店) (その3)(アジアの日系百貨店は「オワコン」か?中国やタイ資本に猛追される理由、そごう・西武の奇策「再雇用者リストラ」のわけ 希望退職実施が「百貨店再編」の引き金に、三越 日本橋本店に「ビックカメラ誘致」の真相 欧米の潮流を受け、家電量販店を初導入) 「アジアの日系百貨店は「オワコン」か?中国やタイ資本に猛追される理由」 アジアの主要都市で集客に苦労する日系百貨店は少なくない タイ資本のショッピングモールに圧倒される日本の百貨店 「凋落する日系、台頭するアジア系」 伊勢丹、東急百貨店など日系百貨店が進出するも、今やタイ資本のショッピングモールにすっかり圧倒され、その存在感は薄い 地元モールのキラーコンテンツは“食”だ こんな巨大なフードコートは日本ではお目にかかったことがない フロア構成も“日本の伝統”を踏襲するが、果たして現地のニーズを反映したものなのかどうか かつては東南アジアの花形といわれた商業施設だったが、進出も早かっただけに、“売り場のレトロ感”は否めない。すでに撤退した店舗もある 閑古鳥が鳴いていた上海高島屋でも「デパ地下」だけは人気だった 楽しさのプロデュースも計算ずく 東京はもはやアジア最先端ではない 「アジアティーク・ザ・リバー・フロント」 「夜市」的な食べ歩きスポットも非常に充実 バンコクには年間2300万人が訪れ、「世界渡航先ランキング2018」(米マスターカード社調べ)で4年連続1位を維持する。気になる東京は約1300万人で9位だ 「そごう・西武の奇策「再雇用者リストラ」のわけ 希望退職実施が「百貨店再編」の引き金に」 「ライセンス社員」と呼ぶ60歳から65歳までの再雇用者を対象にした希望退職を募り、8月31日付で実施 再雇用者のリストラは「聞いたことがない」 セブン&アイ入り後も収益は上向かず 身売り先候補に「ドン・キホーテ」の名も 「三越、日本橋本店に「ビックカメラ誘致」の真相 欧米の潮流を受け、家電量販店を初導入」 日本橋三越本店に家電量販店の「ビックカメラ」を誘致 老舗百貨店と家電量販店は不釣り合い? J.フロントリテイリングは「脱百貨店」を標榜し、賃貸形式への移行を進めている 欧米で増える「高級家電」売り場 高級家電誘致は理にかなっている
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ホテル(その1)(ユニゾTOB劇で「得」をした意外なプレーヤー 米ブラックストーンの登場で株価も上昇、ユニゾHD 1株5100円で従業員がTOB 非公開化へ、公金で高級ホテル50カ所開発という愚策) [産業動向]

今日は、ホテル(その1)(ユニゾTOB劇で「得」をした意外なプレーヤー 米ブラックストーンの登場で株価も上昇、ユニゾHD 1株5100円で従業員がTOB 非公開化へ、公金で高級ホテル50カ所開発という愚策)を取上げよう。

先ずは、昨年10月23日付け東洋経済オンライン「ユニゾTOB劇で「得」をした意外なプレーヤー 米ブラックストーンの登場で株価も上昇」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/309996
・『「結局、当事者であるユニゾ以外のステークホルダーにとっては“敵対的買収”ではなく、歓迎すべき買収だったのではないか」 ある外資系M&Aアドバイザーは、不動産やホテルなどを手掛けるユニゾホールディングスをめぐる一連のTOB(株式公開買い付け)に関して、このように指摘する。 そもそものきっかけは、今年7月。旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が、事前の交渉なしでユニゾ株を1株3100円で買い付けると表明、保有比率を45%まで高めようとしたことだった。 これに対しHIS傘下に入るのを嫌ったユニゾは、“ホワイトナイト(白馬の騎士)”探しに奔走。8月中旬になって、ソフトバンクグループ傘下でアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループが、1株4000円でTOBを開始した。 ところが、ここから事態は混迷する。当初ユニゾはフォートレスのTOBに賛同の意思を表明していたにもかかわらず、HISを追い出すことができた途端、用済みとばかりに、「聞いたこともない、むちゃくちゃな条件」(前出のM&Aアドバイザー)をつけて、フォートレスに“三行半”を突きつけたのだ』、ユニゾは全国で24ホテル、稼働客室数5422(昨年4月末、同社HP)。TOB合戦での行儀は、お世辞にもいいとはいえないようだ。
・『ブラックストーンもTOBに参戦  「むちゃくちゃな条件」とは、TOBをかけられたユニゾ側が、フォートレスに対し「買収提案者の取り分と出口(ファンドによる株式売却)の時期・方法を合意書に明記し、出口の時期・方法を従業員持ち株管理会社が選択できる」(ユニゾが発表した「買収提案に対する対応の基本方針」)よう求めたことだ。「買収逃れだけを目的とした、常識外れのなりふり構わぬ条件」(M&Aアドバイザー)としか言いようがない。 そんな折、今度は1株5000円で買収提案をしていたものの、ユニゾに拒否されていたアメリカの投資ファンド、ブラックストーン・グループが、TOBを再提案する意向を表明した。ユニゾが提案を拒否した場合は「あらゆる選択肢を検討する」(ブラックストーン)としており、これまた敵対的TOBに発展する可能性がある。 これだけの短期間に、同じ企業が3度もTOBの提案を受けるのは、極めて異例の事態だ。 今回の事態に対して、「ユニゾの小崎(哲資)社長は、とにかく自分の独立王国を死守したいのだろう」(別のM&Aアドバイザー)と評する声がもっぱらだ。 そもそもユニゾは、常和ホールディングスという旧日本興業銀行(現みずほ銀行)系の不動産会社として発足。今も小崎社長を筆頭に旧興銀出身者が経営陣に名を連ねている。小崎社長はみずほフィナンシャルグループ(FG)出身で、現在同FGの取締役会長を務める佐藤康博氏とはトップ争いを繰り広げたライバルでもあった。 小崎社長は2010年4月の就任以降、「脱みずほ」を志向し、2018年5月までの5年間で4回の公募増資を実施した。当初はみずほの関連先と思われる株主だけで過半を占めていたが、公募増資によってどんどん希薄化し、みずほ銀行の持ち株比率は3.7%となっている。 これに対しみずほFG側も今回、「水面下でHISにユニゾ買収を持ち掛けるなどした節がある」(別のM&Aアドバイザー)。こうした経緯が、小崎社長のなりふり構わぬ姿勢につながっているという指摘は多い』、「就任以降、「脱みずほ」を志向」、銀行出身者にはありがちな話だ。「公募増資によってどんどん希薄化し、みずほ銀行の持ち株比率は3.7%となっている」、自ら格好のTOB候補としてしまったようだ。
・『「ユニゾは詰んだも同然」  ユニゾの株価は7月のHISによるTOB表明を契機に上昇。10月17日には年初来高値の4980円をつけた。ブラックストーンが提案する5000円に収れんしたかたちだが、そのブラックストーンの提案に対する回答期限は10月23日。「ユニゾは恐らく反対するだろうが、これだけ価格が高くなってきたら説得力がない。ユニゾは詰んだも同然」と前出の外資系M&Aアドバイザーは語る。 M&A先進国のアメリカには、高い買収価格を提示した買い手に会社を売るのを義務付ける「レブロン基準」というものがあり、世界のM&A業界では定着している。アメリカの判例に基づいた基準のため、日本には適用されないという言い分もあるが、「M&A界の常識を覆せば、誰からも相手にされなくなるため主張しづらい」(外資系M&Aアドバイザー)というわけだ。) ユニゾがあがく可能性も捨てきれないが、一連の混乱は収束に向かう可能性が高い。だが、今回の混乱劇を歓迎する向きも多い。 というのも、小崎社長が就任して以来、ユニゾの株価は下落し続け、HISによる提案前には2000円を割り込んでいた。それが見る見るうちにつり上がり、5000円近くにまで上昇したのだから、塩漬けにしていた既存株主は願ったりかなったりだ。 また、8月以降に筆頭株主に躍り出た米エリオット・マネジメントや、途中に買い増した英バークレイズ・キャピタル・セキュリティーズ、そしていちごアセットマネジメント・インターナショナルなども、高値で売り抜けることができる』、自ら格好のTOB候補にした「小崎社長」の深慮遠謀なのかも知れない。
・『TOB不成立でも得をしたHIS  そして何より得をしたのはHISだ。 不成立を受けて、すでにユニゾ株を売却して29億円の特別利益を上げている。また、ブラックストーンがTOBに成功した場合、「もうかっているホテル事業をHISに売却する可能性もある」(関係者)といい、くしくも当初の目的を達成することができるからだ。 「こんなことになるなら、ユニゾは初めからHISの提案に乗っておけばよかったのに」 M&A界からはそんな声が聞こえてくる』、その後の状況を次の記事で見てみよう。

次に、12月23日付けロイター「ユニゾHD、1株5100円で従業員がTOB 非公開化へ」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/unizo-idJPKBN1YQ0MU
・『ユニゾホールディングスは22日、従業員による買収(EBO)により非公開化すると発表した。従業員と米投資ファンドのローンスターが買収を目的に共同で設立したチトセア投資が株式公開買い付け(TOB)を実施し、全株式を取得する。TOBが成立した場合には、ユニゾの経営陣は全員辞任する。 TOB価格は1株5100円。買い付け期間は12月24日から2020年2月4日まで。買い付け予定株数の下限は、発行済株式総数の3分の2超となる2281万3400株。 TOBを実施するチトセア投資は、ユニゾの従業員のみを株主とする会社が73%、ローンスターが27%を保有している。ローンスターは、融資最大1300億円、優先株式最大450億円の計最大1750億円のTOB資金をチトセア投資に供与する。 TOBの代理人は東海東京証券が務める。 また、このTOBが成立することを条件に、中間配当(40円)、期末配当(45円)を無配にすることも決議した。 ユニゾには米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループが2020年1月8日を期限に1株4100円でTOBを実施中だが、これには反対する。また、ブラックストーンなど他の提案者との協議もすべて終了する』、「チトセア投資」の株主には「小崎社長」は入ってないようだ。何故、このような決着になったのかは、後日の解説記事を待つしかなさそうだ。

第三に、国際カジノ研究所所長の木曽崇氏が12月9日付けBLOGOSに掲載した「公金で高級ホテル50カ所開発という愚策」を紹介しよう。
https://blogos.com/article/422546/
・『意味不明の観光振興施策が始まるようです。以下朝日新聞からの転載。
・▽菅長官、高級ホテル新設めざす「世界レベルを50カ所」(https://www.asahi.com/articles/ASMD75HP7MD7UTFK006.html 菅義偉官房長官は7日、訪日外国人客の受け入れ態勢を強化するため、高級ホテルの建設を後押しする考えを示した。新たな経済対策に盛り込む融資制度などを活用し、「各地に世界レベルのホテルを50カ所程度、新設することをめざす」と述べた。熊本地震の復興状況を視察後、熊本県益城町で記者団に語った。) いやいやいや。我が国ではここ数年全国的にホテル建設ラッシュが続いており、既に供給過剰が心配され始めているところ。関西などでは、ホテルの収益性を示す指標であるRevPar(レヴパー)(注)が大きく下落し始めていることが報告されるなど、実は一部地域では「底抜け」の傾向が見え始めています』、確かに、政府が「高級ホテルの建設を後押し」、そこまでする必要があるのだろうか。(注)RevPar:「Revenue Per Available Room」の略語で、販売可能な客室1室あたりの売上を表す値のこと。OCC(客室稼働率) × ADR(平均客室単価)によって求める(MINPAKUBiz)。
・『過剰供給のツケ、「関西ホテルバブル」に変調 ホテルリートの数値が悪化、安値競争も懸念(https://toyokeizai.net/articles/-/313899?display=b ホテルに特化した不動産投資信託(リート)のいちごホテルリート投資法人が9月に発表した2019年7月期決算(2019年2~7月)によると、同法人が大阪市および京都市に2棟ずつ保有するホテルの「RevPAR」が前期比でそれぞれ19%減、16%減に沈んだ。 そんな現行市場に対して財政投融資を利用して政策的に高級ホテルを全国に大量にブッコむというという事らしいですが、かつてのリゾート法下の公共主導の開発が一つとして黒字化せず、オール赤字のまま破たんに向かって行った当時の状況が目に浮かびます。それ(注:「は」が抜けている?)完全に市場の需給バランスを崩し、また市場の需給関係の中で成立している民業としてのホテル業を痛めますよ』、「財政投融資」の最も好ましくない使い方で、焦げ付く懸念もある。
・『実は、2018年に成立した我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入を実現するIR整備法にも、今回政府が目指す高級ホテルの建設を後押しする施策が埋め込まれています。(第二条 この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設と第一号から第五号までに掲げる施設から構成される一群の施設(これらと一体的に設置され、及び運営される第六号に掲げる施設を含む。)であって、民間事業者により一体として設置され、及び運営されるものをいう。[…] 五 利用者の需要の高度化及び多様化に対応した宿泊施設であって、政令で定める基準に適合するもの) 現在、政府はIR整備に関する基本方針の中で、上記条項に基づいて統合型リゾートに世界レベルの高級ホテルの設置を求めて居るワケですが、IR整備法はかつてのリゾート法の失敗の反省に立ち、初期の論議の頃から「民設民営」を前提として法整備が進んできたのが実態。一方で、我が国の賭博法制は公営賭博を旨としていたワケで、2018年IR整備法の制定時に最大の論点となり、また法案審議上の最も難しい課題となったのがこの「民設民営」規定でありました。 その様に、ほんの数年前のIR整備法制定時には「かつてのリゾート法の反省に立ち、多額の公金が施設開発に投入されることはまかりならん」と主張していた政府が、なぜか今回はそれこそ一般の民間市場の中で成り立っているはずのホテル産業に多額の税投入を行う方向で進み始めてしまったわけで、正直、あの時の論議は一体何だったのか、と。 繰り返しになりますが、この施策は完全に市場の需給バランスを崩すことになると思いますよ』、どうやら、今回の「高級ホテル新設めざす」政策は、「IR整備法」で「世界レベルの高級ホテル」が出来るので、一般のホテル側がこれに対抗できるように投資するのに助成して欲しい、との要望が水面下であった可能性がありそうだ。「高級ホテル」の乱立をもたらしかねない余りにお粗末極まる政策だ。なお、「多額の税投入を行う」、とあるが、財政投融資なので、あくまで公的資金の投融資であって、一般会計での「税投入」とは異なる。
タグ:ホテル ロイター 東洋経済オンライン BLOGOS ユニゾホールディングス (その1)(ユニゾTOB劇で「得」をした意外なプレーヤー 米ブラックストーンの登場で株価も上昇、ユニゾHD 1株5100円で従業員がTOB 非公開化へ、公金で高級ホテル50カ所開発という愚策) 「ユニゾTOB劇で「得」をした意外なプレーヤー 米ブラックストーンの登場で株価も上昇」 エイチ・アイ・エス(HIS)が、事前の交渉なしでユニゾ株を1株3100円で買い付けると表明 HIS傘下に入るのを嫌ったユニゾは、“ホワイトナイト(白馬の騎士)”探しに奔走。8月中旬になって、ソフトバンクグループ傘下でアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループが、1株4000円でTOBを開始 当初ユニゾはフォートレスのTOBに賛同の意思を表明していたにもかかわらず、HISを追い出すことができた途端、用済みとばかりに、「聞いたこともない、むちゃくちゃな条件」(前出のM&Aアドバイザー)をつけて、フォートレスに“三行半”を突きつけたのだ ブラックストーンもTOBに参戦 ユニゾの小崎(哲資)社長は、とにかく自分の独立王国を死守したいのだろう 小崎社長は2010年4月の就任以降、「脱みずほ」を志向し、2018年5月までの5年間で4回の公募増資を実施 当初はみずほの関連先と思われる株主だけで過半を占めていたが、公募増資によってどんどん希薄化し、みずほ銀行の持ち株比率は3.7%となっている 「ユニゾは詰んだも同然」 アメリカには、高い買収価格を提示した買い手に会社を売るのを義務付ける「レブロン基準」 TOB不成立でも得をしたHIS 「ユニゾHD、1株5100円で従業員がTOB 非公開化へ」 従業員による買収(EBO)により非公開化 従業員と米投資ファンドのローンスターが買収を目的に共同で設立したチトセア投資が株式公開買い付け(TOB)を実施し、全株式を取得 TOB価格は1株5100円 ユニゾの従業員のみを株主とする会社が73%、ローンスターが27%を保有 木曽崇 「公金で高級ホテル50カ所開発という愚策」 菅長官、高級ホテル新設めざす「世界レベルを50カ所」 我が国ではここ数年全国的にホテル建設ラッシュが続いており、既に供給過剰が心配され始めているところ 関西などでは、ホテルの収益性を示す指標であるRevPar(レヴパー)(注)が大きく下落し始めていることが報告されるなど、実は一部地域では「底抜け」の傾向が見え始めています 過剰供給のツケ、「関西ホテルバブル」に変調 ホテルリートの数値が悪化、安値競争も懸念 リゾート法下の公共主導の開発が一つとして黒字化せず、オール赤字のまま破たんに向かって行った当時の状況が目に浮かびます IR整備法にも、今回政府が目指す高級ホテルの建設を後押しする施策が埋め込まれています この施策は完全に市場の需給バランスを崩すことになる IR整備法 「世界レベルの高級ホテル」
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エネルギー(その5)(日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由、シーメンスガメサ 洋上風力で世界シェア5割超のワケ、洋上風力発電 日本も舞台に 東北電 青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資、太陽光発電事業者の負担は1兆円増?「発電側基本料金」新制度の深層) [産業動向]

エネルギーについては、昨年2月3日に取上げた。今日は、(その5)(日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由、シーメンスガメサ 洋上風力で世界シェア5割超のワケ、洋上風力発電 日本も舞台に 東北電 青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資、太陽光発電事業者の負担は1兆円増?「発電側基本料金」新制度の深層)である。

先ずは、昨年5月14日付けダイヤモンド・オンライン「日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/200086
・『2011年の福島第一原発事故直後、再生可能エネルギーとして一躍脚光を浴びたのが「地熱エネルギー」。火山国の日本にとって、うってつけの発電方法に思えるが、現在、地熱発電の電力供給量が54万kWと総発電量の0.2%にすぎないのはなぜか。地熱発電の歴史と現状や、将来について、九州大学名誉教授で現在地熱情報研究所代表の江原幸雄氏に話を聞いた』、もったいない話の理由とは興味深そうだ。
・『日本は世界第3位の地熱資源大国  まず地熱発電の話に入る前に、地熱エネルギーとはそもそも何なのか。 地熱発電が扱う地熱エネルギーとは、「地球内部の熱(中心部約6370kmの深さでおよそ5000~6000℃)のうち、地表から数km以内に存在する利用可能な熱エネルギー」のこと。その地熱エネルギーでつくられた蒸気や熱水がたまっているところを“地熱貯留層”という。 地熱発電は、この地熱貯留層に井戸を掘り、吹き出した蒸気の力で直接タービン(プロペラのようなもの)を回して発電機を動かし、電力を生み出すという仕組みだ。 地熱発電の歴史を振り返ると、世界最初の地熱発電は1904年、イタリア北部のラルデレロという地域で始まった。 日本では1925年に大分県別府市で、1.12kWの試験的地熱発電に初めて成功。その後、1946年から地熱発電の研究が進み始め、1966年に本格的な地熱発電所である岩手県松川地熱発電所が日本で初めて建設された。 そして、1999年までに日本全国で18ヵ所、総設備量54万kWの地熱発電国になったものの、今年1月、22年ぶりに岩手県で出力7000kWを超える地熱発電所が本格的に稼働するまで、地熱発電所の建設は遅々として進んでいなかった。 日本には2347万kW(発電量換算)の地熱資源があるという。地熱エネルギーの点ではアメリカ、インドネシアに次いで、世界3位の“資源大国”なのだ。にもかかわらず、なぜこれまで地熱発電が普及しなかったのか。江原氏はこう説明する。 「1970年代、石炭や石油に代わる資源として候補に挙がった。一定の前進はあったが、石油供給事情が好転する中で、地熱を含めた再生可能エネルギーより、原子力および石炭が選択されました。当時は原子力や石炭の方が安い発電コストだと試算されていたので、国は地熱より原子力や石炭を推進したのです」(江原氏、以下同)』、発電コストのほかにも、”原子力ムラ”が「原子力」最優先政策を採っていたためだろう。
・『3.11以前は国立公園に地熱発電所新設が困難  ところが、2011年の東日本大震災による福島第一原発事故後は事情が変わった。事故によって、原子力は安全性に問題があり、かつ発電コストが決して安くないことが明らかになり、世界的に高まるCO2削減対策として、太陽光や風力、地熱発電などの再生可能エネルギーに注目が集まったのだ。 地熱発電は、太陽光や風力のように発電量が昼夜、年間で変動することもなく、1年365日、朝から晩まで24時間、発電し続けられる。その上、地球内部の莫大な熱を利用するため、エネルギー源が枯渇する心配がないのもメリットだ。 しかし、東日本大震災以前も、地熱発電の普及には、特有の問題が立ちはだかっていたと江原氏は語る。 「日本の場合、全国で活火山は100個ほど存在し、多くが国立公園内(および国定公園)にあります。ですが、1972年の旧通産省と旧環境庁との覚書により、環境保護が必要な国立公園内特別地域では新たに地熱発電所は建設しないという方針を採りました。地熱資源量2347万kWのうち、81.9%がその国立公園内特別地域内にあるので、そもそも制約が厳しかったのです」 その “国立公園問題”も、3.11以後は徐々に規制が緩くなり、解決に向かいはじめている。これまで国立公園の約2割の場所でしか調査、建設できなかったのが、環境や生態系に影響を与えないとされる地域にまで対象が広がり、地元の同意を得られれば、国立公園内の約7割にあたる場所で地熱発電所が新設できるようになったのだ。 とはいえ、地方によってその対応には差があり、一筋縄ではいかないのだという。 「環境省の本省は、全国的に地熱発電所を増やそうとしています。しかし地方の環境省事務所は、本質的に役所は規制をするのが仕事だという考え方がまだ根強く、本省と意識が共有されていないのが実態です。たとえば、地熱発電所を新しくつくろうと申請しても、なかなかスムーズに事が進まないケースもまだあります」』、「1972年の旧通産省と旧環境庁との覚書」は、旧環境庁が頑張ったためではなく、「原子力」最優先政策を採っていた旧通産省にやる気がなかったためだろう。
・『地熱発電で温泉が枯れた例はゼロ  これまで地熱発電が普及しなかった原因である発電コスト、国立公園の問題は解決に向かっている。だが、最後にもうひとつ、温泉地での地熱発電問題が残っている。具体的に言えば、「温泉地周辺で地熱発電所が建設されると、温泉が枯れてしまうのではないか」といった理由で、反対運動が起こるケースだ。 ただ日本の場合、温泉が枯れる心配はない。現実に日本の地熱発電所の歴史は50年を超えるが、温泉が枯れた例はないと、江原氏は言う。 「地熱発電は、地表から1~3kmにある地熱貯留層から熱を取り出します。一方、温泉は地表から100~200mの温泉帯水層という所から、温まった地下水を採取します。構造としては、温泉帯水層の下に地熱貯留層があり、その間には“キャップロック”という水を通しにくいふたの役割を果たす岩石があるので、地熱貯留層から熱を取っても温泉帯水層には直接影響しません。また、そのキャップロックが部分的に破れている場合でも、地熱貯留層から取った熱水を地下に戻して再利用するシステム(取り出される水の量と補給される水の量のバランスが取れている)が開発されているので問題はありません」 江原氏によると、日本が地熱発電を始めて50年以上がたっているものの、温泉に悪影響を与えた例は1つもなく、むしろ近隣で温泉を掘り合うことの影響の方が大きいのだという。なぜなら、答えは単純で、温泉は同じ温泉帯水層から熱水を取り出しているからだ。 とはいえ、温泉事業者にこうした話をしても、最終的には了承を得られないことがまだ多く、どのように理解してもらうかはなかなかに難しいようだ。 国は、2030年度までに地熱発電で、現在の3倍にあたる150万kWを発電することを目標としており、すでに全国100ヵ所ほどで調査・発電所建設が始まっている。大規模な地熱発電(万kW級)は発電設備をつくるための調査や開発に少なくとも10年はかかってしまうが、それでもこの5月中には、秋田県湯沢市山葵沢(わさびざわ)に4万2000kWの地熱発電所が稼働することが決まっている。 徐々にではあるが、地熱発電所を推進していくための土壌はでき始めている。将来、地熱発電のシェアが増えていくのは間違いないだろう』、「地熱貯留層から熱を取っても温泉帯水層には直接影響しません。また、そのキャップロックが部分的に破れている場合でも、地熱貯留層から取った熱水を地下に戻して再利用するシステムが開発されているので問題はありません」、ということであれば、「温泉事業者」を粘り強く説得してゆく他ないだろう。「葵沢」「地熱発電所」は5月20日に営業運転を開始したようだ。出力は原発約半分に相当するので、大きな効果がある。太陽光と違って24時間運転が可能な「ベース電源」としての役割が期待される。

次に、6月10日付け日経ビジネスオンライン「シーメンスガメサ、洋上風力で世界シェア5割超のワケ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00019/060600059/?P=1
・『洋上風力発電市場が急拡大している。 4月に世界風力エネルギー会議が発表したデータによると、2018年末の世界の発電容量は2300万キロワットと10年前に比べて約23倍の規模に拡大している。10年前は年間の新規の風力発電導入量に占める洋上風力発電の割合が1%未満だったが、18年は4.5%に拡大している。けん引しているのが英国やドイツなど欧州各国と中国だ。2018年の導入量では中国が40%、英国が29%、ドイツが22%を占める。 拡大の背景にあるのは、コストの低下だ。欧州においては5年前には1000キロワット時当たり230ドル(約2万5000円)ほどだった発電コストが、足元では120ドルほどまで低下してきている。日本では実証実験の段階だが、日本企業は商社などが欧州で多くのプロジェクトに参画している。 住友商事は18年12月にフランスで約100万キロワットの洋上風力発電プロジェクトに参画すると発表した。総事業費は約5000億円で、住友商事は同事業に29.5%を出資する。同社はこの他にも欧州で5件の洋上風力発電プロジェクトに参画するなど攻勢をかけている。三菱商事も欧州で数件の風力発電プロジェクトを手がけている。 この洋上風力の発電機メーカーで、5割超の世界シェアを持つのがスペインのシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジーだ。同社は17年にシーメンスの風力発電事業とガメサが統合して誕生した。シーメンスは04年にデンマークのボーナス・エナジーを買収し、風力発電事業に参入した後発組である。もともとボーナスは世界初の洋上風力発電所を作った経験があり、シーメンスは買収時も傍流であった洋上風力発電にいち早く力を入れ、建設やメンテナンスの技術で先行した。 風力発電の開発事業者にとって、風力発電の故障によって発電量が下がるのは最悪の事態だ。また洋上の場合は陸上に比べてメンテナンスコストが高くなる。その点で多くの実績を積むシーメンスは受注で有利に働いている。 シーメンスガメサの統合の象徴は、アフリカ初の風力発電工場であるモロッコ工場だ。同工場では風力発電の羽根(ブレード)を生産している。シーメンスガメサのマーカス・タケCEO(最高経営責任者)は「立地的に輸出に適しており、労働コストが安いために低コストで羽根を生産できる」と話す。実はブレードの製造は手作業の部分が多く、労働コストの安さは武器になる。記者が4月中旬に訪れた際には多くのモロッコ人が工場で働いていた。立地的に欧州やアフリカ向けだけでなく、大西洋を挟んだ北米や南米にも輸出がしやすいのも売りだ』、「ブレードの製造は手作業の部分が多く」、初めて知ったが、確かに「モロッコ工場」は、人件費や輸出の両面で最適な立地のようだ。
・『アフリカ初の工場で低コスト生産  モロッコ工場は、シーメンスとガメサという2つの企業の生産技術を生かせるという特徴がある。両社は17年に経営統合し、モロッコ工場がほぼ同時に立ち上がったため、双方の技術を持ち寄った。洋上か陸上、寒冷地か温暖地なのかなど、それぞれの需要に応じて、技術を使い分けて適切なブレードを生産していく。ブレードの生産は手作業によるところがあるため、モロッコ人が他の工場で長期間の研修を積み、技術を培ったという。 風力発電市場は価格競争が激しく、ライバルの米ゼネラル・エレクトリック(GE)が、18年度の風力発電事業の営業利益率が3%と収益悪化に苦しんでいる中で、シーメンスガメサは同5.3%と堅調だ。モロッコ工場に象徴されるような低コスト生産や多様な需要に応えられる強みが収益を支えている。 コスト競争力を高めるために、風力発電機の巨大化を進めている。22年には直径が現状より約3割大きい193メートルの風力発電機を投入する。タケCEOは「大型化と同時に、25種類あった風力発電のタイプを9種類に減らしてコストを削減する」と語る。 また、あらゆるモノがネットにつながるIoTも洋上風力発電のメンテナンスに活用しようとしている。従来は故障後に修理することが多かったが、IoTを使うことで事前に故障を予測し、効率的に修理できるようになった。故障で風力発電が停止する時間を減らし、発電量を増やせる。 シーメンスは5月7日に火力発電向けタービンなどを手掛けるガス・電力事業を2020年までに分離・上場させると発表した。独立させる新会社にシーメンスガメサを合流させ、成長余力のある風力発電事業は稼ぎ頭として期待されている。タケCEOは、「風力発電事業はシーメンスから切り離された。経営の独立性がなければ、意思決定が遅くなる。独立しているからこそ、船は速く進むことができる」と強調する。 今後は洋上風力発電のコスト競争がさらに激化しそうだ。競争入札の導入で20年代には1000キロワット時当たり50ドル程度まで発電コストが下がる予測がある。他の発電手段に比べてコスト競争力が高まり市場が拡大する一方で、コスト競争についていけないメーカーは市場から撤退を余儀なくされる可能性がある。新技術や市場変化への対応のスピードがますます重要になりそうだ』、「22年には直径が現状より約3割大きい193メートルの風力発電機を投入」、欧州での「洋上風力発電」は予想以上に進展しているようだ。

第三に、12月18日付け日経新聞「洋上風力発電 日本も舞台に 東北電、青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資」を紹介しよう(リンクは省略)。
・『再生エネルギーの導入が遅れてきた日本で、洋上風力発電の大型プロジェクトが相次ぐ。東北電力は約3000億円で国内最大級の設備を青森県に建てる。北欧石油最大手のエクイノールも約3000億円を投じて日本の洋上風力に参入。洋上風力による発電容量は2030年度にも原発9基分に達する見通しだ。30年に22~24%に再生エネの比率を高める目標を達成するには送配電網の運用の見直しが急務となる。東北電力は風力発電を手掛けるグリーンパワーインベストメント(GPI、東京・港)が計画する案件に出資し、共同で青森県つがる市の沖合に出力48万キロワットの大型洋上風力の整備に乗り出す。総事業費は3000億円。運転を終了した女川原発1号機にほぼ相当する規模で、2029年ごろの稼働を目指す』、遅れていた日本でも、「洋上風力発電」急速に進むようで、結構なことだ。

第四に、12月20日付けダイヤモンド・オンライン「太陽光発電事業者の負担は1兆円増?「発電側基本料金」新制度の深層」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/224136
・『今、太陽光発電業界を大きく揺るがす問題が起こっている。それは「発電側基本料金」だ。電気を各地に配る設備コストの制度変更で、一部の発電事業者の負担が重くなるだけ。国民負担が増える訳ではないため、世間にはあまり周知されていない。しかし、いずれは国民負担の増加につながるという可能性も指摘されている。業界に冷や水を浴びせた、新たな課金システムの深層に迫る』、どういうことなのだろう。
・『国民負担を増やさないかたちで事業者側で送配電負担を分担  「発電側基本料金」が太陽光発電業者の経営を圧迫する懸念がある――そんな反発の声が業界内からわきあがり、この仕組みを提案した経済産業省との間で攻防戦が繰り広げられている。 発電側基本料金とは、全ての発電事業者に対して最大出力(kW)に応じた基本料金を課金するという新たな課金システムだ。現在、経済産業省が導入を検討しており、特に太陽光発電事業者の注目の的となっている。 なぜなら、これが導入されれば、太陽光発電事業者は10年間で総額約1兆円もの負担が増えるとの予測があるからだ。 今月、そんな試算を、オリックス、カナディアン・ソーラー・アセットマネジメント、ベーカー&マッケンジー法律事務所の3社が1つの資料にまとめた。(以下、OCB資料)。それを基に発電側基本料金問題の深層に迫る。 まず、経緯を把握するために時計の針を巻き戻そう。 2012年、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱などによる発電)に固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、国のお墨付きにより一定価格で20年間電気を売れるようになった。中でも太陽光発電は、他の再エネより初期投資のハードルが低く事業者が爆発的に増えた。 一方で、分散型の発電所がたくさんできたことで、発電した電気を各地に送る送配電網(例えば電線など)に接続する系統連系のニーズが拡大した。しかも、今後は人口減少で電力需要が伸び悩むという予測もある。そのため、いずれは老朽化する送配電設備の維持管理コストが課題となっていた。 通常、電気は送配電設備を介して発電事業者→送配電事業者→小売り電気事業者→一般消費者というかたちで流通している。その流通コストは現在、「託送料金」として、電力会社などの小売電気事業者(その先の一般消費者)が100%負担している。 将来、この送配電設備が古くなって維持管理コストが増えれば、国民負担(電気料金)が高くなる可能性がある。 そこで、善後策として受益者である発電事業者にも、例えば100のうち10だけも負担を分かちあってもらい、早めに整備コストの財源を確保する。かつ、一般消費者(国民)の電気料金は増えない仕組みにする。 そんな狙いから編み出されたのが、今回の発電側基本料金という訳だ』、「送配電設備」の「維持管理コスト」の一部を「受益者である発電事業者にも」負担してもらうというのは、当然のことだ。
・『既稼働6000億、未稼働4000億 明らかになった負担の全貌  ここで問題となっているのが、FIT価格が高かった2012年7月から15年6月の利潤配慮期間、いわゆる「プレミア価格」(売電価格29円、32円、36円、40円)の案件が狙い打ちされていることだ。 例えば火力や原子力など昔からある非FIT電気は、小売り電気事業者への卸価格に転嫁できる「調整措置」というものができる。そのため影響が少ないと見られている。 一方、プレミア価格のFIT電源では、この調整措置が基本的に認められていない。「発電事業者は十分もうかったのだし配慮は不要」という経産省の意図が見え隠れし、太陽光発電事業者、特に影響の大きいメガソーラー事業者が不公平感を抱いているのだ。 これまで具体的な負担総額は明らかではなかったが、今回、OCB資料によって全貌が見えてきた。 まず経産省の資料では、現状では発電側基本料金で負担する1kW当たりの単価は月150円、年1800円程度と試算されている。 また、今回対象となる12~14年度の太陽光のプレミア案件は、経産省の資料を基にOCB資料では既稼働案件33.39GW、未稼働案件22.1GWと推定されている。 これらのデータを基に計算すると、既稼働案件だけで33.39GW×1800円/kW=年間601億円。ここから10年間事業を続けると仮定して約6000億円の負担、また未稼働案件は22.1GW×1800円/kW×10年間=約4000億円の負担が増える。 つまり、既稼働案件と未稼働案件の総額で約1兆円の負担増につながるというのがOCB資料で示された試算という訳だ。 たしかにプレミア価格によって太陽光発電バブルを生み出し、多くの事業者が潤ったのは間違いない。だから事業者側も、発電側基本料金の導入に反対している訳ではない。しかし、彼らにとって今回の「プレミア価格を調整措置から外す」という措置は、国策で事後的に負担が増えて収益性が落ちるというデメリットしかない。 そこで事業者側は、経産省に「プレミア価格を調整措置から外すことの見直しを求める」という“新たな調整措置”を要望しており、そこが攻防戦の最終防衛線となっているという訳だ』、何やら既得権者の手前勝手な言い分のようにしか思えない。
・『対日投資にも影響が出るのか 国際仲裁で損害賠償の可能性も  なおOCB資料では、他にも以下のような問題点が指摘されている。 ■日本政府が関与する制度への信頼を毀損し、対日投資全体に影響が出る(プレミア価格を調整措置から外すというのは、「もうかっている」からという理由だけ。リスクの高い初期に太陽光発電に投資したのが、たまたまもうかったからといって、そのもうけをかすめ取る制度を後から導入する国は信用を失うのではないか。) ■国際仲裁を申し立てられるリスク(「エネルギー憲章条約第10条」が保護する締約国の投資家の利益が侵害されているとして、多額の損害賠償を請求されるリスクがある。例えば、スペイン政府が2010年に遡及的制度変更をして、32件の仲裁を申し立てられ、5件敗訴し、総額740億円の損害賠償を負った。政府が仲裁で負ければ賠償金は税金から支出されるため、国民負担の増加につながる。) ■個人投資家・年金への影響(上場インフラファンド合計で5万人を超える個人投資家がいる。私募ファンドを通じて、また国内外の年金基金も再エネ投資している。幅広い影響が出るのではないか。) ■再エネ事業者が支払ったお金の行方(再エネ事業者は「転嫁措置なし」で約1兆円を負担することになる。ただ、制度前後で託送料金の原価総額は変わらず、あくまで分配の話。再エネ事業者が負担した分、確実に誰かの負担が減っており、1兆円はどこへいくのか。) ■議論プロセスの正当性(これだけ経済的インパクトが大きい、かつ再エネを導入するという国の政策に逆行する恐れのある制度が、経産省の一委員会で決まろうとしている。また、一部の委員が反対を表明しているが、ほとんど無視されている。) これら一連の指摘に対し、経産省はどのように考えているのか。本誌の取材に対し、同省担当者は以下のように回答した。おそらくこの問題に関しての見解表明は、これが初めてだ。 ●再エネ電源の増加で送配電設備の増強などに必要な費用は今後も拡大していく見込み。こうした環境変化に対応し、費用の増大を抑制しつつ再エネ拡大に必要な送配電設備の整備を確実に実施していく。そのため、系統利用者である発電側にも送配電費用の一部を負担してもらうべく、発電側基本料金を導入する。 ●この制度は、送配電設備の費用に与える影響を踏まえ、発電設備の系統側への最大出力(kW)に応じて公平に負担を求めるもの。これにより、最大出力を下げつつ出力の平準化を図るなど、発電者が送配電設備を最大限効率的に利用しようとするインセンティブが生まれる。発電側に起因する送配電設備の費用の増大の抑制にもつながると期待される。 ●この制度の導入により基本料金による回収割合が上昇すれば、費用回収の確実性が確保されるため、再エネ拡大などに必要な投資がしやすくなると期待される。 ●導入にあたって電力・ガス取引監視等委員会に設置された審議会などにおいて、事業者ヒアリングやパブリックコメントなどで2年以上にわたって議論を重ねた。その上で、制度見直しについてとりまとめた。18年7月のエネルギー基本計画においても、長きにわたる議論・パブリックコメントを経て制度導入を閣議決定しており、十分な議論を経ていると考えている。 ●一般論として、制度変更は社会の変化に応じて不断に行われるもの。この制度も昨今の系統を巡る環境変化を踏まえて、必要な制度改正として新たに導入する。 ●発電側基本料金により、再エネに限らず、既稼働事業も含めて全発電事業者に対して追加的な負担が発生する。しかし、この負担については電源種を問わず、市場や当事者間の交渉の中で取引価格に転嫁されることが想定される。 ●FIT電源については、買い取り価格(FIT価格)を変更できないため転嫁が難しいのではないかとの指摘がある。そのため、どのような場合にどのような調整措置を講じるべきか、調達価格等算定委員会の中で今後議論していく。 ●制度の詳細設計の議論が進む中、今月17日の審議会において「FIT電源についても他電源と同様に小売りからの転嫁がされうるものとしてはどうか」という議論もなされている。それも含めて調整措置全体については、調達価格等算定委員会の中で今後議論していく。 ●適地が限定され、今後大規模な系統増強が避けられない電源については、発電側基本料金の導入とセットで初期負担の軽減策(一般負担上限の見直し)を講じている。昨年6月に措置済みで、例えば東北北部エリアにおける大規模な系統増強が検討されている事例では、再エネ事業者の初期負担が総額で約700億円が軽減された。 ●立地場所に選択の余地がある電源については、割引地域に立地することで発電側基本料金の負担は軽減される。 要するに、今回の措置は再エネ拡大のためにも必要で、反発しているメガソーラー事業者が求めている調整措置への対応は今後検討中ということだが、いずれにせよ制度の詳細設計はいずれ固まっていく見込みだ。それまで太陽光発電事業者は戦々恐々の日々を送るだろう』、確かに、今回の措置は後出しジャンケン的色彩があり、「日本政府が関与する制度への信頼を毀損」、「国際仲裁を申し立てられるリスク」があるとはいえ、「制度変更は社会の変化に応じて不断に行われるもの。この制度も昨今の系統を巡る環境変化を踏まえて、必要な制度改正として新たに導入する」との経産省の反論の方が説得力がある。今後、細目をめぐって、議論が活発化する可能性があるので、注視していきたい。
タグ:エネルギー 日経新聞 日経ビジネスオンライン プレミア価格 江原幸雄 ダイヤモンド・オンライン 地熱エネルギー 維持管理コスト (その5)(日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由、シーメンスガメサ 洋上風力で世界シェア5割超のワケ、洋上風力発電 日本も舞台に 東北電 青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資、太陽光発電事業者の負担は1兆円増?「発電側基本料金」新制度の深層) 「日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由」 地熱発電の電力供給量が54万kWと総発電量の0.2%にすぎない 日本は世界第3位の地熱資源大国 岩手県松川地熱発電所が日本で初めて建設 1999年までに日本全国で18ヵ所、総設備量54万kWの地熱発電国になった 日本には2347万kW(発電量換算)の地熱資源 地熱エネルギーの点ではアメリカ、インドネシアに次いで、世界3位の“資源大国” 当時は原子力や石炭の方が安い発電コストだと試算 国は地熱より原子力や石炭を推進 3.11以前は国立公園に地熱発電所新設が困難 1972年の旧通産省と旧環境庁との覚書 地熱発電で温泉が枯れた例はゼロ 「シーメンスガメサ、洋上風力で世界シェア5割超のワケ」 洋上風力発電市場が急拡大 日本では実証実験の段階だが、日本企業は商社などが欧州で多くのプロジェクトに参画 発電機メーカーで、5割超の世界シェアを持つのがスペインのシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー モロッコ工場 立地的に輸出に適しており、労働コストが安い ブレードの製造は手作業の部分が多く アフリカ初の工場で低コスト生産 「洋上風力発電 日本も舞台に 東北電、青森で3000億円 欧州大手も3000億円投資」 東北電力は約3000億円で国内最大級の設備を青森県に建てる 北欧石油最大手のエクイノールも約3000億円を投じて日本の洋上風力に参入 洋上風力による発電容量は2030年度にも原発9基分に達する見通し 「太陽光発電事業者の負担は1兆円増?「発電側基本料金」新制度の深層」 発電側基本料金 国民負担を増やさないかたちで事業者側で送配電負担を分担 発電側基本料金とは、全ての発電事業者に対して最大出力(kW)に応じた基本料金を課金するという新たな課金システムだ いずれは老朽化する送配電設備の維持管理コストが課題 善後策として受益者である発電事業者にも、例えば100のうち10だけも負担を分かちあってもらい、早めに整備コストの財源を確保 既稼働6000億、未稼働4000億 明らかになった負担の全貌 事業者側は、経産省に「プレミア価格を調整措置から外すことの見直しを求める」 対日投資にも影響が出るのか 国際仲裁で損害賠償の可能性も 日本政府が関与する制度への信頼を毀損 国際仲裁を申し立てられるリスク 制度変更は社会の変化に応じて不断に行われるもの。この制度も昨今の系統を巡る環境変化を踏まえて、必要な制度改正として新たに導入する
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小売業(コンビニ)(その6)(セブン加盟店アンケートで隠された 公式見解と違う過半数の「本音」、セブン-イレブン「残業代未払い」の呆れた顛末 ガバナンスの利いていない経営体制が露呈、東大阪セブン店主「店から締め出されないよう 泊り込む」 契約解除問題で法的措置も) [産業動向]

小売業(コンビニ)については、10月13日に取上げた。今日は、(その6)(セブン加盟店アンケートで隠された 公式見解と違う過半数の「本音」、セブン-イレブン「残業代未払い」の呆れた顛末 ガバナンスの利いていない経営体制が露呈、東大阪セブン店主「店から締め出されないよう 泊り込む」 契約解除問題で法的措置も)である。

先ずは、11月25日付けダイヤモンド・オンライン「セブン加盟店アンケートで隠された、公式見解と違う過半数の「本音」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/221523
・『将来、24時間営業を続けられるかどうか分からない――。セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)が今夏に実施したアンケートで、50%強の加盟店がこうした趣旨の回答をしていたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。アンケート結果についてSEJは、「将来、時短営業を検討している加盟店は15%」という数字しか公表していない。不安を隠せない過半数の加盟店の意見を、なぜ公表しないのか』、ここまでミエミエの隠蔽をするとは、「24時間営業を続け」させたいSEJの思惑が透けて見える。
・『セブン&アイの決算説明資料で開示された24時間営業に関するアンケート結果  「将来非24時間営業を検討:15%」――。 コンビニ業界最大手のセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)を擁するセブン&アイ・ホールディングス(HD)が10月10日に発表した2020年2月期中間決算。その説明資料には、SEJが加盟店向けに実施したアンケート結果について、こう記されている。 コンビニ各社が24時間営業の見直しを迫られる中、SEJは今夏、国内の全加盟店オーナーに対して、深夜に閉店する時短営業を希望するかどうかのアンケート調査を実施していた。 決算説明会資料の表現では、将来も含め、時短営業を希望する加盟店は全体の15%に留まるように読める。それでは、残り85%の店が時短営業を考えていないのかというと、実はそうではないらしい』、ここまでの酷い隠蔽を隠し切れるとでも思っていたのだろうか。
・『過半数の店が「将来は24時間を続けられるか不明」と回答 ファミマ48%が「時短を検討」との乖離  複数のSEJ関係者によると、開示されなかった回答のうち、全体の50%強が、「現時点で時短営業を検討していないが、将来はどうするかわからない」という趣旨の回答をしていたのだという。国内の過半数の加盟店が、この先も24時間営業を続けられるかどうか確信を持てないでいるのだ。 今後、人手不足がますます深刻化することを考えれば納得のいく結果だ。ところがSEJは、時短営業を検討している店舗は15%という数字だけを強調しており、こちらの回答については公表していないのである。 業界2位のファミリーマートが6月に実施したアンケートでは、全体の48.3%に当たる7039店が時短営業を「検討したい」と回答。アンケートの設問によって答え方が変わる可能性はあるが、「SEJとの差が大きすぎる」と業界関係者の間で指摘されていた。 SEJは表向き、時短営業を認める姿勢を表明しているが、その本気度を疑う加盟店オーナーは多い。 なぜなら、SEJの永松文彦社長が4月の就任当初から、時短営業について「個店別に柔軟に対応する」と述べたにもかかわらず、現場では本部社員による“時短潰し”が横行。時短を希望する加盟店に対し、深夜に従業員を店に置かなければ特定の商品の納入を止めるなどの条件を突き付け、時短営業を断念させようとする動きがあった』、「社長」にはキレイ事を言わせるが、「現場では本部社員による“時短潰し”が横行」、しているのであれば、「アンケート」にも無難に答えておくほかない、というのがオーナーの本音だろう。
・『ガイドライン発表直前にも“時短潰し” 「無人閉店認めない」と10月に説明した社員も  あるセブン-イレブンの加盟店オーナーは、「本部社員から『深夜の閉店中も従業員を置かないと、時短営業を認めないのが会社の方針だ』と10月になってから言われた」と取材に対して語っている。 SEJは加盟店に対して、時短営業を始めるための「ガイドライン」を11月1日に公表。深夜に無人の店舗でも、商品が入った保冷ケースを配送ドライバーが納入できる仕組みを取り入れる方針を打ち出した。あるSEJ幹部は、「社長の方針で時短営業を可能にするガイドラインを出したのだから、本部社員による時短潰しは起きない」と主張する。 とはいえこのガイドラインは、ダイヤモンド編集部が「セブンの時短ガイドラインににじむ『24時間営業を死守』の本音」(11月7日付)で報じたように冒頭部分に「従来通り、24時間営業を期待してご来店されるお客様がいらっしゃる点にも十分留意し、慎重にご検討ください」と明記されている。さらに時短営業を始める前に、SEJ本部が用意した求人システムを活用して人手を確保することや、店舗の周辺の世帯数や事業所の従業員数を把握することを要求するなど、多忙な加盟店の実態にそぐわない努力を求めている。 永松社長は「時短営業をするかどうかの決定権は加盟店に委ねている」と繰り返し述べている。しかし、ガイドラインでは時短営業について「本部との合意」が必要とされており、土地の貸主の意向で時短営業ができない可能性を挙げるなど、加盟店側の裁量を認めているとは到底言えない内容となっている。 本部の本音はあくまで24時間営業を“死守”すること。加盟店の過半数が、将来24時間営業を続けられるか分からないという不安を抱えているといった、ネガティブな要素の公表は渋っている。こうとらえられても仕方がないだろう』、SEJを忖度して表現はソフトだが、その通りだろう。「店舗の周辺の世帯数や事業所の従業員数を把握することを要求」、こんな基礎的データは本部で把握している筈で、忙しいオーナーへのいやがらせだろう。
・『ファミマは本部の同意なしで時短が可能に セブンは無断発注でガバナンスの欠陥露呈  SEJのスタンスと対照的なのはファミマだ。11月15日、経済産業省で開かれた有識者会議「新たなコンビニのあり方検討会」の席上、ファミマの澤田貴司社長は、本部の同意がなくても加盟店の判断で時短営業を始めることができるよう、加盟店とのフランチャイズ契約を見直す方針を説明した。 澤田社長は、「加盟店が(時短営業を)やりたいと言ったら、我々が全面的に合わせる。(本部側に)コストが発生する可能性はあるが、それでも運営できるとみている」と述べ、SEJよりさらに踏み込んだ。 その一方で、同会議に出席したSEJの永松社長はミソをつけた。検討会直前の11月13日、SEJの本部社員がオーナーに無断で商品を発注するケースが横行していると報道されたことに対して、委員から見解を求められた永松社長は「あってはいけない問題だ」とした上で、実際に無断発注をした社員2人を懲戒処分にしたことを明らかにした。 そして、検討会終了後、報道陣に対して永松社長は、「本部社員に売り上げなどのノルマは課していない」と述べたが、無断発注の要因については「数字に追われてプレッシャーがあったのではないか」と、ノルマの存在を“肯定”するようなちぐはぐな回答に終始した。 前出とは別のセブンのベテランオーナーは、「永松社長はもともと人事担当幹部で、過去の処分を把握していたとの報道もあった。このまま社長を続けることが許されるのか」と語気を強める。 無断発注や時短潰しは、上層部が現場をグリップできていないというガバナンスの問題であり、これはこれで深刻だ。ただ、加盟店向けのアンケートを実施したにも関わらず、本部に都合のよい結果しか公表せず、前出のガイドラインを作成したのは、永松社長ら本部の中枢である。 あるコンビニ大手首脳は、「コンビニのあり方に批判的な意見にも耳を傾けなければ、ますます社会の価値観から離れていく」と危機感を募らせる。HDの井阪隆一社長や永松社長に、どこまでその覚悟があるのだろうか』、「無断発注や時短潰し」、セブンペイ撤回騒ぎ、などSEJの歯車は歯が欠けてしまったのだろうか。

第三に、12月27日付け弁護士ドットコム「東大阪セブン店主「店から締め出されないよう、泊り込む」、契約解除問題で法的措置も」を紹介しよう。
http://www.connectnews.jp/post?id=583196477464069217#read-more
・『セブン-イレブン・ジャパンから契約解除を通告されている東大阪市のセブンオーナー松本実敏さんが12月27日、都内で記者会見を開き、双方の弁護士も交え、12月29日に大阪で本部と話し合うことになったと明かした。 セブン本部は12月20日、客からのクレームの多さと本部に対する誹謗中傷ツイートを理由に、10日以内に改善がなければ、年内で契約を解除すると通告している。 松本さんは「改善の意思がある」と本部に回答。円満な解決を望んでいるが、もし契約解除になるなら、法的措置をとるとともに、店から締め出されないよう、12月30日の夜から店に泊り込むことも検討するという。なお、その場合でも1月1日は休業する考えだ』、「松本さん」は時短営業を最初に求めたSEJにとっては、「目の上のタンコブ」だったようだが、それにしても急な通告だ。
『「10日で改善を判断できる?」  松本さんは本部に対し、1月1日の休業を宣言していた。 「(契約解除の理由は)元日休業だと思ったら、クレームの多さが理由でびっくりした」(松本さん) また、クレームの内容について、本部の経営相談員(OFC)からその都度報告がなかったとも明かした。クレームがブランドイメージを毀損するのであれば、都度指導し、時間をかけて改善を目指すという方向性も考えられる。 松本さんを支援するコンビニ関連ユニオンの鎌倉玲司書記長は、「改善したかどうかは1週間で判断できない。やりとりの積み重ねの中で改善される。経過を見るとしても、時間がないとおかしい」と指摘した』、「クレームの内容について、本部の経営相談員(OFC)からその都度報告がなかった」、のであれば、余りに唐突で、言いがかりとしか思えない。
・『記者「なんでセブンにこだわるんですか?」  松本さんに対し、会場の記者から「なんでセブンにこだわるのか」と質問が飛ぶ場面もあった。 これに対し、松本さんは「実はあまりこだわっていない。解除を通告され、やめてもいいかと思ったこともあった」と明かした。 しかし、周囲から「自分のためにしてきたのか(声をあげてきたのか)」「(松本さんがやめたらコンビニが変化する)機運が押さえつけられるのではないか」といった反応があったという。 「自分の店のためでもあるが、24時間年中無休の営業で苦しんだり、亡くなったりしている人もいる。それがないようにしたいから(声をあげ)始めた。オーナーでいることに意味があると思う。そういう人たちと一緒に(コンビニ業界が)良くなるようにやっていきたい」』、「もし契約解除になるなら、法的措置をとる」、裁判になれば、余りに一方的なSEJは不利な筈だ。年内にSEJが取る次の一手が注目される。
タグ:小売業 弁護士ドットコム ダイヤモンド・オンライン (コンビニ) (その6)(セブン加盟店アンケートで隠された 公式見解と違う過半数の「本音」、セブン-イレブン「残業代未払い」の呆れた顛末 ガバナンスの利いていない経営体制が露呈、東大阪セブン店主「店から締め出されないよう 泊り込む」 契約解除問題で法的措置も) 「セブン加盟店アンケートで隠された、公式見解と違う過半数の「本音」」 将来、24時間営業を続けられるかどうか分からない――。セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)が今夏に実施したアンケートで、50%強の加盟店がこうした趣旨の回答 SEJは、「将来、時短営業を検討している加盟店は15%」という数字しか公表していない セブン&アイの決算説明資料で開示された24時間営業に関するアンケート結果 過半数の店が「将来は24時間を続けられるか不明」と回答 ファミリーマートが6月に実施したアンケートでは、全体の48.3%に当たる7039店が時短営業を「検討したい」と回答 現場では本部社員による“時短潰し”が横行 ガイドライン発表直前にも“時短潰し” ファミマは本部の同意なしで時短が可能に 「東大阪セブン店主「店から締め出されないよう、泊り込む」、契約解除問題で法的措置も」 東大阪市のセブンオーナー松本実敏さん セブン本部は12月20日、客からのクレームの多さと本部に対する誹謗中傷ツイートを理由に、10日以内に改善がなければ、年内で契約を解除すると通告 もし契約解除になるなら、法的措置をとるとともに、店から締め出されないよう、12月30日の夜から店に泊り込むことも検討 「10日で改善を判断できる?」 クレームがブランドイメージを毀損するのであれば、都度指導し、時間をかけて改善を目指すという方向性も考えられる クレームの内容について、本部の経営相談員(OFC)からその都度報告がなかった
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物流問題(その6)(アマゾンがついに「自前物流」構築の衝撃 配送業者に「契約打ち切り」の恐怖が広がる、ヤマト「アマゾンの仕事が戻らない」誤算の真因 「荷主の離反」に株価は直近ピーク時の半値へ、開発続く「物流施設」 駅チカ物件が増えるワケ 託児所やスポーツジム併設の施設も登場) [産業動向]

物流問題については、昨年11月1日に取上げた。1年以上経った今日は、(その6)(アマゾンがついに「自前物流」構築の衝撃 配送業者に「契約打ち切り」の恐怖が広がる、ヤマト「アマゾンの仕事が戻らない」誤算の真因 「荷主の離反」に株価は直近ピーク時の半値へ、開発続く「物流施設」 駅チカ物件が増えるワケ 託児所やスポーツジム併設の施設も登場)である。

先ずは、本年6月6日付け東洋経済オンライン「アマゾンがついに「自前物流」構築の衝撃 配送業者に「契約打ち切り」の恐怖が広がる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/285198
・『アマゾンの小売り事業を支える大事なパートナーは「デリバリープロバイダ」と呼ばれる地域限定の配送業者だ。宅配最大手のヤマトホールディングスが悲鳴をあげるきっかけとなった急増するアマゾン経由の荷物配送は、このデリバリープロバイダが担っている。 だが今年に入り、全国で9社しかない、そのデリバリープロバイダのうちの1社がひっそりと名前を消した』、興味深そうだ。
・『アマゾン依存からの脱却を迫られる  5月30日、東証1部に上場する中堅物流企業のファイズが決算説明会を開いた。 「(アマゾン向けの)一本足打法でいいのか。顧客の分散化を進めていかなければいけない」。ファイズの榎屋幸生社長はこう語り、「アマゾン依存」から脱却する必要性について言及した。 ファイズは昨年までアマゾンのデリバリープロバイダのうちの1つだった。人材派遣会社・ヴィ企画の3PL(物流の一括請負)部門が独立する形で2013年に設立され、アマゾンを主要顧客とした3PL業務を中心に成長を遂げ、派遣やデリバリーサービスまで事業領域を広げてきた。アマゾンジャパン向けの売り上げは2018年3月期に7割弱で、2019年3月期も約6割を占める。 アマゾンジャパンは今年9月から埼玉県川口市で新たな物流拠点を立ち上げる予定で、ファイズはそこの3PL業務も請け負うとされる。「数百人から1000人を送り込む規模になる」(榎屋社長)。株式市場からは典型的な「アマゾン関連銘柄」と位置付けられており、自らアマゾン離れを掲げる積極的な理由はない。 両社の関係が変化したことを示したのが、ファイズの業績下方修正だ。2019年3月期の実績は赤字こそ避けられたが、創業以来初めて営業減益となった。要因の1つが、宅配を行うデリバリーサービスにおける大型案件の終了だった。ファイズは「顧客との契約内容については答えられない」とするが、物流関係者は「アマゾンからデリバリープロバイダの契約を打ち切られたからだろう」とみる。 アマゾンのデリバリープロバイダの1つである丸和運輸機関の和佐見勝社長は、「配送の品質が悪ければ、(荷主から)契約を打ち切られることは当然ある」と話す。 「アマゾンとの契約期間は基本1年間。ファイズは軽貨物車を用いた宅配業務に進出してからまだ日が浅く、アマゾンは顧客からのクレームが多いことに業を煮やしたのではないか」と指摘する運送会社の幹部もいる。アマゾンとファイズとのデリバリー契約が終了した時期は2018年末と見られている』、ファイズの「アマゾンジャパン向けの売り上げは2018年3月期に7割弱で、2019年3月期も約6割を占める」、どうみても依存度が高過ぎたようだ。
・『昨年11月から始まったアマゾンフレックス  時を同じくしてアマゾンが始めたのが、「アマゾンフレックス」という新サービスだ。アマゾンが個人事業主のドライバーと直接業務委託して配送する。2018年11月から東京都と神奈川県でサービスを展開し、現在は愛知県での募集を始めている。 アメリカでは2015年から始まり、日本を含め現在6カ国で展開している。アマゾンフレックスは軽バンなどの軽貨物車を保有している個人事業主を束ねるプラットフォームであり、不特定多数の人を募るクラウドソーシングという点では、配車アプリの「ウーバー」などと仕組みは近い。日本では始まっていないが、アメリカでは徒歩で配達することもできる。 アマゾンがドライバーに支払う報酬条件は、1注文2時間程度で税込み4000円。ドライバーにとっては、1日5注文10時間程度で月22日働けば、月44万円稼げる計算になる。 アマゾンフレックスは手持ちのアプリでスケジュールに合った時間を選択し、配達ステーションで荷物をピックアップ。アプリでルートを確認しながら配達できるという手軽さがセールスポイントだ。他社と比べて報酬は高くないが、届け先が不在時の場合、ドライバーが再配達する必要がないメリットがあるという』、「アマゾンフレックス」が日本ではまだ導入されてないのは、貨物自動車運送事業者法の許可をどうするかが、問題になっているためではなかろうか。
・『自社物流の道を歩み始めるアマゾン  ファイズとの契約打ち切りは、「アマゾンがいよいよ、ヤマトでもデリバリープロバイダでもない、“自社物流”の道を歩み始めた」と物流業界では受け止められている。あるデリバリープロバイダの幹部は「(アマゾンの本社がある)アメリカ・シアトルの人たちは、基本的にすべて自前で配送を管理したいのだろう」と警戒感を示す。 アマゾンは昨年、本社でドライバーが配送ビジネスを立ち上げる支援プログラムを始めている。日本でも「物流の自前化」が今後さらに進んでいく可能性が高い。 アマゾンジャパンが取り扱う年間の荷物は5億個と言われ、宅配会社別のシェアは2017年4月時点でヤマトが断トツの71%だった。それが、2018年4月時点で49%に下がり、足元はさらに低下しているとみられる(再配達管理アプリを運営するウケトル調べ)。対照的にアマゾン向けシェアを伸ばしているのがデリバリープロバイダだったが、アマゾンはそのデリバリープロバイダの依存度すら引き下げようとしている。 配送会社にとっては、重要顧客であるアマゾンからの発注を維持しつつ、新たな顧客を開拓していけるかが生き残りのカギを握る。今期から荷受け量の回復を目指すヤマトなど大手も含め、小売りの巨人といかに向き合うかは、自らの行方を左右する死活問題となっている』、物流業者にとっては、アマゾンの一挙手一投足に機敏に対応してゆく必要がありそうだ。

次に、11月12日付け」東洋経済オンライン「ヤマト「アマゾンの仕事が戻らない」誤算の真因 「荷主の離反」に株価は直近ピーク時の半値へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/313722
・『失った信頼の代償は、大きかった。 ヤマトホールディングス(HD)は10月31日、2020年3月期の業績見通しを下方修正した。営業収益は250億円減額して1兆6700億円(前期比2.7%増)に、営業利益は同100億円引き下げ、620億円(同6.3%増)を見込んでいる。 主力のデリバリー事業において、大口法人顧客の取扱数量が想定を下回ったことなどが響いた。中核子会社のヤマト運輸は2017年春から法人向けの運賃値上げを進めているが、それによって顧客である荷主がヤマトから離れてしまった格好だ』、興味深そうだ。
・『アマゾンのヤマト向け委託比率は3割に低下  「ヤマト離れ」した大口法人顧客の中で、最も大きい存在がアマゾンだ。佐川急便に代わり、2013年から大部分のアマゾンの荷物をヤマトが扱っていたが、2017年に従業員に対する未払い残業代問題が発覚。ヤマトは働き方改革の一環として宅急便の荷受け量抑制と運賃値上げなどの事業構造改革を進め、結果的にアマゾンの荷物の取扱量が減少した。 再配達問題解決アプリ「ウケトル」のデータによると、アマゾンのヤマトへの委託比率は2017年4月時点で7割強あったが、2019年5月時点では3割強まで下がった。 アマゾンが日本で出荷する荷物は年間で推定5億個に及び、単純計算で年間約18億個にのぼるヤマトの取扱荷物の3割弱を占める。比率が縮小したとはいえ、ヤマトにとってアマゾンが最大の顧客であることは間違いないとみられる。 アマゾンの荷物の数量が減ること自体はヤマトの想定どおりだったが、今期になっても数量が戻ってこないことは誤算だった。 事業構造改革を経て、今期の取扱数量は前期比3.9%増を見込んでいたが、2019年4~9月期は0.6%増にとどまった。荷物量の回復に備え、午後の配達に特化した配達員「アンカーキャスト」を2020年3月末までに1万人を採用する予定だったが、荷物量の回復力が鈍く、採用はいったん凍結している(2019年9月末時点で約6500人)』、「アマゾンのヤマトへの委託比率は2017年4月時点で7割強あったが、2019年5月時点では3割強まで下がった」、2年間でこれだけ下がるとは、第一の記事にあった「デリバリープロバイダ」を育成・活用したのだろう。ヤマトもこうしたアマゾンの動きは、水面下で把握していた筈だが・・・。
・『アマゾン、楽天が相次ぎ自前物流を強化  誤算の背景にあるのは、荷主による物流の自前化だ。アマゾンはSBS即配サポートや丸和運輸機関(SBSと丸和運輸のトップインタビューを週刊東洋経済PLUSに掲載)といった地域限定の配送業者「デリバリープロバイダ」への委託を強化しているほか、個人事業主のドライバーに直接業務委託する「アマゾンフレックス」を2019年1月から本格的に始めている。アマゾンフレックスは現在、関東圏・愛知県・宮城県・北海道で展開している。 ウケトルのデータによると、アマゾンの自前配送比率は2019年7月時点で41.2%にのぼる。楽天も2018年7月に自前の物流拠点や配送網を構築する「ワンデリバリー構想」を打ち出し、累計で2000億円を投じるとしている。 現在、ヤマトがアマゾンから引き受ける荷物の配送料金は1個当たり平均420円とされる。関係者によれば、デリバリープロバイダはそれよりも4~5割程度安い200~250円で引き受けているという。接客応対や時間指定など配送品質の面でヤマトなど大手に分があるが、荷主からするとより安価な配送業者を選ぶのは合理的だ。 慌てたヤマトがとった策が、アマゾンとの価格再交渉だ。交渉の結果、2018年1月に1個当たり平均280円だった配送料を420円へ値上げすることで決着したとされるが、2019年10月上旬に両者が新たな契約を結んだことが関係者の間で話題になっている。 10月31日の決算会見でヤマトHDの芝﨑健一副社長は「(アマゾンに対する)値下げの事実はない」と語っている。ただ、あるデリバリープロバイダの幹部は「2018年1月のヤマトによるアマゾンへの値上げは、個数が増えるごとに値段が上がる累進課税的な仕組みだった。ヤマトは今回、この条件を放棄したようだ」と話す。 そのうえで「一部地域では、現状より1割強安い約360円で妥結する方向で交渉が進んでいる」(同幹部)という。また別の物流関係者は「一定を超える数量の荷物をアマゾンが出荷した際、ヤマトからアマゾンに金銭的な補助をするリベート的な契約が盛り込まれた可能性がある」と説明する。 こうした関係者の証言を総合すると、「事実上の値下げ」と言える合意が両者の間であるのは確かなようだ。この点について、ヤマトHDは「個別の企業との契約内容になるため回答を控えるが、宅急便の数量拡大のために値下げを行うことはない。同社(=アマゾン)とは、つねに適正かつよりよいサービスに向けた協議を行っている」と回答した』、ヤマトが今になって実質値下げをしたところで、アマゾンは、「デリバリープロバイダ」や「アマゾンフレックス」といった別チャネルの活用を始めてしまったので、「時既に遅し」なのではなかろうか。
・『株価は直近ピーク時の半値で推移  アマゾンに事実上の値下げをしたことで憤るのは、ヤマトの現場で働く社員と値上げをのまされたアマゾン以外の荷主だろう。あるヤマト関係者は「ヤマトの幹部が6月頃、荷物の量が戻らないことに対し『蛇口をひねれば大丈夫』ということを言っていた。いつでもアマゾンの荷物は戻ってくるという意味の発言だが、見通しが甘すぎる。これまでの働き方改革とも逆行する」と語る。 また、ある日用品ECメーカー関係者は「アマゾンだけに値下げするのは不公平だ。われわれも値下げをしてほしい」と漏らす。 一連の混乱も反映して、ヤマトHDの株価は2018年9月にピーク(3506円)をつけた後、およそ半値まで低迷している(11月11日の終値は1802円)。9月中旬にはアメリカ運用大手のキャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーが、保有する7.05%の株式すべてを売却し、一時ヤマトHDの株価が前日比9%安まで急落する場面があった。「業績回復の見込みが立たないと判断し、損切りせざるをえなくなったようだ」(市場関係者)。 JPモルガン証券の姫野良太アナリストは「荷主の離反はヤマトHDが考えているより深刻な可能性があり、下期の修正計画達成も現時点ではハードルが高い印象がある」と指摘する。 ヤマトグループは、11月29日に創業100周年を迎えるが、次の100年を見通すことができない五里霧中状態にある。2019年4月に社長に就任した長尾裕氏はこの間対外的な発信をほとんど行っておらず、リーダーシップを発揮すべき局面を迎えている』、「ヤマトの幹部が」『蛇口をひねれば大丈夫』と言ったというのは、業界NO.1の座からの「驕り」だろう。「アマゾン、楽天が相次ぎ自前物流を強化」したなかでは、戦略の抜本的見直しが必要だろう。

第三に、12月1日付け東洋経済オンライン「開発続く「物流施設」、駅チカ物件が増えるワケ 託児所やスポーツジム併設の施設も登場」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/316530
・『10月、千葉市内で巨大物流施設の竣工式が執り行われた。 事業主は物流施設開発で最大手の米プロロジス。今回竣工した「プロロジスパーク千葉1」は、東京ドーム1.4個分の敷地に延べ床面積14.7万平方メートルを誇り、物流施設でも大型の部類に属する。さらに隣ではもう1つの物流施設の工事も進んでおり、こちらは来年11月に竣工する予定だ。 会場には千葉市長や建設を担当したゼネコン社長などが居並ぶ中、冒頭で挨拶に立ったプロロジスの山田御酒社長が自信を見せたのは、意外な点だった。「これまでに国内95棟の物流施設を開発してきたが、今回は最も広いカフェテリアを施設内に用意した。宅配ボックスやシェアサイクルも設置し、最寄り駅までの専用バスも手配する予定だ」。 これらはすべて、物流施設で働く従業員への福利厚生だ。といっても、プロロジス自体は物流施設そのものを開発、賃貸する立場。ここで言う従業員とは施設に入居するテナントが雇用する人たちであり、プロロジスと直接の関係はない。「赤の他人」を異例の厚遇で迎える背景には、物流業界を悩ませる深刻な人手不足がある』、「人手不足」が「物流施設」の立地や設備にまで大きな影響を与えているようだ。
・『1に雇用、2に雇用、3に雇用  物流業界が欲する人材は、トラックドライバーや宅配便の配送員だけではない。施設内で荷物の仕分けや梱包、ピッキングなどをする作業員の不足も深刻化している。「顧客に今の課題は何かと聞くと、『1に雇用、2に雇用、3に雇用』という答えが返ってくる」(プロロジスのハミード・R・モガダム会長兼CEO)。 大規模かつ安価な土地を求めて、郊外に立地することが多い物流施設。都市部ほど働き口が豊富でない地域にあって、これまでは労働力を確保することが比較的容易だった。だが電子商取引(EC)の急成長などを受け、この数年で物流施設の数は急増した。物流施設が多数立地する地域の求人情報は「倉庫内作業」「軽作業」といった言葉で埋め尽くされ、施設同士で労働力の奪い合いも起きている。 物流施設開発で大手の日本GLPの帖佐義之社長は、「人手不足に対して物流施設の開発者として何ができるかは、テナントの入居にも関わる」と話す。単なる立地や賃料だけでなく、従業員にとって魅力ある施設を開発することが不動産会社に求められるようになってきた。そこで各社は「働きたくなる」物流施設の開発に知恵を絞る。 日本GLPが昨年2月に千葉県流山市で開発した「GLP流山1」。延べ床面積約13万平方メートルの巨大施設には、施設内にコンビニやカフェテリアのほかに託児所を開設した。「(子育てのために)これまで働くことを諦めていたが、『託児所があるから働きたい』という人もいる」(帖佐社長)。 オリックスが今年3月に埼玉県松伏町で開発した「松伏ロジスティクスセンター」には、ランニングマシンやエアロバイクなどが並んだフィットネスルームが併設されている。一見物流施設とは縁遠いが、これも人手確保の一環だ。 オリックスの清田衛・物流事業部長は、「物流施設で働く方が、健康になりながら働けるような環境であることを訴求していきたい。女性だけでなく、運動不足などを気軽に解消したい男性パート社員の確保にも追い風だ」と狙いを話す。施設で働く従業員であれば、仕事がない日でも利用されているようだ』、「託児所」はまだしも、「フィットネスルームが併設」とは恐れ入った。
・『立地戦略にも影響  深刻な人手不足は、物流施設の開発立地にも影響を与え始めている。 「物流施設開発を始めた頃は、インターチェンジからの距離が最大の関心事だった。だが現在は駅からの距離を重視するようになっている」。三井不動産の三木孝行・常務執行役員ロジスティクス本部長は、近年の物流業界の変化をこう振り返る。 これまでの物流施設は、高速道路の出入口に近い場所が一等地とされてきた。荷物を運ぶトラックが迅速に配送地まで行き来できることが重要だった。だが時代は下り、輸送効率よりもまず施設内の作業員確保が重要視されるようになり、電車や路線バスなど公共交通機関で通える土地が脚光を浴びている。 三井不動産が今年10月に竣工させた「MFLP船橋Ⅱ」は、JR京葉線「南船橋」から徒歩10分の距離にある。さらに同社が現在開発を進める佐賀県の「MFLP鳥栖」や「MFLP大阪交野」も、最寄駅から徒歩圏内だ。 香港に本社を構える物流施設開発会社「ESR」は昨年9月、埼玉県久喜市に延べ床面積約15万平方メートルの物流施設「ESR久喜ディストリビューションセンター」を開発した。もともとは東京理科大学のキャンパスがあった場所で、久喜駅からも路線バスが通っている。「施設が出来上がる前から、『いつパート社員の募集が始まるのか』という電話がかかってきた」と担当者は述懐する。 前述の「GLP流山1」の周辺にはもともと駅やバス停がなかったが、「バスがなければ通せばいい」と言わんばかりに、敷地内にバス停そのものを作ってしまった。現在は東武バスがつくばエクスプレス「流山おおたかの森」駅まで、従業員専用の直行バスを運行している。日本GLPは将来的に、近隣のスーパーマーケットなどにも専用のバス停を設けたい構えだ。 荷物を保管するだけの「倉庫」が、仕分け・梱包・流通まで担う「物流施設」へと変貌して久しい。旧来型の倉庫が競争力を失う一方で、物流施設はさながら時代の寵児のごとく隆盛を極めてきた。だが今後は「物流施設同士でも競争が繰り広げられるだろう」(三井不動産の三木氏)』、「立地」が変化したのは、確かに「荷物を保管するだけの「倉庫」が、仕分け・梱包・流通まで担う「物流施設」へと変貌」、という物流業界の構造変化の影響が大きいだろう。
・『物流施設が抱えるジレンマ  例えば、ある不動産会社が今年に開発した物流施設。延べ床面積は約4万平方メートルと中型で、最寄駅から施設までは路線バスも走っている。だが施設内に従業員向けの食堂や売店、休憩スペースなどは設置されていない。「大型の物流施設ならさまざまな福利厚生を提供できるが、中小規模だと収益的に厳しい」と担当者は打ち明ける。 物流施設の賃料はテナントに貸し出す面積によって決まる。福利厚生を充実させればさせるほど、施設全体が生み出す賃料は下がるジレンマを抱える。 首都圏の物流施設では、併設した託児所の運用に頭を悩ませる。「テナントから何歳の子が何人来そうかをヒアリングしているところだ。場合によっては、利用者がゼロの可能性もある」(開発担当者)。流動的な非正規従業員のニーズを的確に捉えることは難しく、どんなサービスを提供するか各社の手腕が問われる部分だ。 物流施設への投資額は重くなる一方、不動産会社からは「魅力的な施設を作れば、それに見合った賃料を取れる」という声も上がる。物流施設というハードを整えるのみならず、働きやすさというソフトに対しても大胆な投資を行うことこそ、遠回りに見えて実際は収益化の近道となるのかもしれない』、「物流施設」へのニーズ変化に対応する必要がある不動産会社も知恵の勝負になってきたようだ。
タグ:東洋経済オンライン 託児所 フィットネスルーム デリバリープロバイダ 物流問題 (その6)(アマゾンがついに「自前物流」構築の衝撃 配送業者に「契約打ち切り」の恐怖が広がる、ヤマト「アマゾンの仕事が戻らない」誤算の真因 「荷主の離反」に株価は直近ピーク時の半値へ、開発続く「物流施設」 駅チカ物件が増えるワケ 託児所やスポーツジム併設の施設も登場) 「アマゾンがついに「自前物流」構築の衝撃 配送業者に「契約打ち切り」の恐怖が広がる」 アマゾン依存からの脱却を迫られる 昨年11月から始まったアマゾンフレックス 貨物自動車運送事業者法の許可 自社物流の道を歩み始めるアマゾン 「ヤマト「アマゾンの仕事が戻らない」誤算の真因 「荷主の離反」に株価は直近ピーク時の半値へ」 アマゾンのヤマト向け委託比率は3割に低下 アマゾン、楽天が相次ぎ自前物流を強化 株価は直近ピーク時の半値で推移 「開発続く「物流施設」、駅チカ物件が増えるワケ 託児所やスポーツジム併設の施設も登場」 物流施設開発で最大手の米プロロジス 「人手不足」が「物流施設」の立地や設備にまで大きな影響 1に雇用、2に雇用、3に雇用 立地戦略にも影響 これまでの物流施設は、高速道路の出入口に近い場所が一等地 輸送効率よりもまず施設内の作業員確保が重要視されるようになり、電車や路線バスなど公共交通機関で通える土地が脚光 荷物を保管するだけの「倉庫」が、仕分け・梱包・流通まで担う「物流施設」へと変貌 物流施設が抱えるジレンマ 物流施設というハードを整えるのみならず、働きやすさというソフトに対しても大胆な投資を行うことこそ、遠回りに見えて実際は収益化の近道となるのかもしれない
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ネットビジネス(その7)(赤字のメルカリ 「メルペイ」普及のため鹿島アントラーズ買収は得か損か、お布施の定額化で躍進 明瞭価格の葬儀スタートアップ・よりそうが20億円調達、「お坊さん便」がアマゾンでの提供終了 全日本仏教会に屈したのか?、“五つ星”はカネで買える 揺らぐアマゾンの信頼 消費者だます「やらせレビュー」蔓延、首謀者が全告白) [産業動向]

ネットビジネスについては、5月22日に取上げた。今日は、(その7)(赤字のメルカリ 「メルペイ」普及のため鹿島アントラーズ買収は得か損か、お布施の定額化で躍進 明瞭価格の葬儀スタートアップ・よりそうが20億円調達、「お坊さん便」がアマゾンでの提供終了 全日本仏教会に屈したのか?、“五つ星”はカネで買える 揺らぐアマゾンの信頼 消費者だます「やらせレビュー」蔓延、首謀者が全告白)である。

先ずは、7月31日付けダイヤモンド・オンライン「赤字のメルカリ、「メルペイ」普及のため鹿島アントラーズ買収は得か損か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/210411
・『フリーマーケットアプリ大手のメルカリがサッカーJ1の鹿島アントラーズを買収する。赤字続きのメルカリが、畑違いのサッカービジネス参入で狙うのは、競争が激化しているキャッシュレスサービス「メルペイ」の普及だ』、興味深そうだ。
・『「小泉社長の悲願」地元愛をアピール  「テクノロジーで変革を起こし、鹿島アントラーズをグローバルでナンバーワンのチームにしたい」———。 7月30日、東京都文京区の日本サッカー協会ビルで開催された記者会見。フリーマーケットアプリ大手メルカリの小泉文明社長は高らかに宣言した。 メルカリはサッカーJ1の「鹿島アントラーズ」を買収する。鹿島の運営会社、鹿島アントラーズ・エフ・シーの株式の61.6%を、約16億円で日本製鉄から取得し、子会社化する。公正取引委員会の承認を得た上で、8月30日に買収が完了する見通しだ。 メルカリは2017年から鹿島のスポンサー契約を締結。今回の買収の経緯について、「スポンサーとして意見交換する中で、どちらから(買収を持ちかけた)ということはなく、自然発生的に今回の話はまとまった」と小泉社長は説明している。 メルカリの関係者によれば、今回の鹿島の経営権参画は「小泉社長が数年前から語っていた悲願」だという。会見でも小泉社長は、鹿島の本拠地に近い茨城県麻生町(現行方市)出身であることを強調。「中学生時代に巨大なサッカースタジアムができ、ジーコのプレーを見てファンになった。サッカー中心に地域を活性化したい」と“地元愛”をアピールした。 ただ、メルカリが現在事業の3本柱として掲げるのは国内メルカリ事業、米国メルカリ事業、キャッシュレス決済「メルペイ」事業だ。そして、国内メルカリ事業は黒字であるものの、米国メルカリ事業とメルペイ事業での出費がかさみ、19年6月期の業績は137億円の赤字の見込みだ。なぜサッカーという畑違いのビジネスに踏み込むのか』、いくら「“地元愛”」があるとはいっても、上場企業が買収する以上、会社にとってのメリットが必要だ。
・『16億円で買った広告塔  鹿島買収でメルカリが目論むのは、キャッシュレス決済「メルペイ」の普及だ。急増する「〜ペイ」の名がつく決済サービスの中で、今年2月にサービスを開始したメルペイは後発組。登録数は200万を超えたが、競合の背中は遠い。 数多くある決済サービスで、自社のものを使ってもらう有効な手法の一つは、使わざるを得ない場を強制的に生み出すことだ。 例えば、「PayPay」を展開するソフトバンクは、ヤフオクドームで開催される福岡ソフトバンクホークスの試合で、PayPayで支払いをすると生ビールが半額になるなどのキャンペーンを展開。また、「楽天Pay」を展開する楽天は、ヴィッセル神戸や楽天イーグルスのスタジアムをキャッシュレス化するなど、自社決済に囲い込む場として活用している。 「グッズや飲食販売でのキャッシュレス決済の利用や、チケットのペーパーレス化でスタジアムが快適になる。決済は日々利用するローカル色が強いサービス。スタジアムをショーケースとして、新しいチャレンジの場として活用できる」と小泉社長は相乗効果を強調。メルペイ経済圏の本拠地としての期待を寄せる。 また、国内メルカリ事業についても、「メルカリの利用者は20~30台の女性が中心。40台以上の男性にアプローチできるサッカーの可能性は大きい」(小泉社長)と広告塔としての役割を狙っており、鹿島の選手にメルカリで出品してもらうことなども考えているという。 昨年6月に上場し、約600億円を調達したメルカリ。米国メルカリとメルペイを強化すべく人材獲得などを進める一方で、旅行などの新規事業開発を担っていた子会社ソウゾウを7月に解散。また、シェアリング自転車サービス「メルチャリ」事業も譲渡し、事業の選択と集中を進めていた。 決算で赤字が続いていることについて、小泉社長は「赤字というPL(損益計算書)だけでなく、BS(貸借対照表)やキャッシュフローのバランスと事業の成長が重要だ」と訴える。メルペイ普及のために投じることになる、16億円という鹿島の買収額。ソフトバンクグループがPayPay普及のために投じた2度にわたる「100億円キャンペーン」と比べれば、メルカリにとって“お得な”買い物なのかもしれない』、「メルペイ」の決済サービスを伸ばす手段、広報効果が「16億円」で得られるなら、確かに「“お得な”買い物」のようだ。

次に、9月3日付けダイヤモンド・オンライン「お布施の定額化で躍進、明瞭価格の葬儀スタートアップ・よりそうが20億円調達」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/213303
・『不明瞭な料金体系やさまざまな慣習が残る葬儀業界に挑戦するスタートアップ・よりそう。もともと葬儀社の比較サービスから始まった同社は、明瞭価格をうたう葬儀サービスを軸に、ライフエンディング領域の事業を拡大している。そのよりそうが総額20億円の資金調達を実施したことを明らかにした。同社のこれまでの軌跡と、今後の展開について、よりそう代表取締役社長の芦沢雅治氏に聞いた』、同社の「お坊さん便」については、このブログの2016年4月19日、2018年9月8日に取上げた。
・『レビューサイト運営で気付いた「葬儀」の課題  葬儀サービス「よりそうのお葬式」、僧侶の手配サービス「お坊さん便」などを手がけるスタートアップ・よりそう。同社は9月2日、SBIインベストメント、ジャパン・コインベスト、新生企業投資、ナントCVC2号 ファンド、山口キャピタル、AGキャピタルの計6社より総額20億円の資金を調達したことを明らかにした。よりそうはこれまでグローバル・ブレイン、三井住友海上キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、Spiral Ventures Japan、みずほキャピタルからも資金を調達しており、累計調達額は約32.6億円に上る。 よりそう(当時の社名はみんれび)の設立は2009年3月。学生時代からウェブサイトを制作していた芦沢氏は、2009年にみんれびを設立。当初はさまざまなジャンルのレビューサイトを作り、アフィリエイトを軸に事業を行っていた。その中でもユーザーを集めていたのが葬儀のレビューサイト「葬儀レビ」。そこで芦沢氏は葬儀に関する情報のニーズについて知ることになった。 「いろいろなサイトを立ち上げる中で、当時は葬儀領域の競合が少なく反響もよかったんです。ただ、自分の身のまわりの人がいつ亡くなるかは分からないことがほとんど。急な相談のニーズも多いため、365日、24時間のコールセンターが必要だと感じたんです。当時は私も電話に出ていました」(芦沢氏) 芦沢氏も語るように、葬儀の多くは短い時間で大きな選択を迫られることがほとんど。また、経験する機会もそうそうないものだ。そんな中でいつでも相談できるコールセンターを作ったことが、ユーザーを集めたのだという。 「正直なところ、その頃は事業的には常に苦しい状況でした。レビューサイトやコンサル事業、他社サイトの集客支援などをやりながら、それをコールセンター業務につぎ込んでいる状況。ですが、レビューして、比較するだけではダメだったんだと思っています。コールセンターまで作ったことが、サイトの価値につながりました」(芦沢氏)』、「コールセンターまで作ったことが、サイトの価値につながりました」、目のつけどころは確かそうだ。さらに、ベンチャー・キャピタルから総額32.6億円も調達したとは、たいしたものだ。
・『「価格が明瞭な葬儀サービスが必要」  レビューサイトは事業として育ちつつあったという当時のよりそう。葬儀に関する相談を受ける中で、現状の葬儀ビジネスにまだまだ不明瞭な点があるということだと気付いた芦沢氏。2013年には明瞭な価格体系を打ち出した葬儀サービスの「よりそうのお葬式(開始当初の名称は「シンプルなお葬式」)」や、法事や法要に定額のお布施で僧侶を手配する「お坊さん便」といった葬儀関連サービスを自ら展開するに至った。 「たとえばお布施の金額を相談されても、これまでだと『お気持ちです』としか言えませんでした。それを定額化して示したことの反応がよかったんです。葬儀の業界を研究してきましたが、すればするほど、『分かりづらい』と感じました。たとえ複数社を並べて比較検討したところで、何が違うのかが見えにくい。お客さまのニーズ考えると、価格が明瞭で、パッケージとしてしっかりした葬儀が必要だと考えました」「老後は怖い。それはみんな怖いじゃないですか。年金をはじめとしたお金、親や自分自身の介護だってそうです。もちろん終活もそうです。だからまず、ここからやっていこうと決めました。最初の頃には『インターネットで葬儀社は探さない』とも言われました。今までは家族や知り合い経由、もしくは病院の提携先などのつながり、もしくは電話帳で探していた領域。それをパソコンやスマホで検索しないわけはないと思っていました」(芦沢氏) 2009年にはユニクエストの「小さなお葬式」、イオン子会社であるイオンライフの「イオンのお葬式」といった明瞭な価格設定をうたう葬儀サービスがスタート。業界団体との摩擦もあったが、その認知を広げつつあった。また、病院提携の葬儀社に葬儀を依頼する割合も減ってきている(芦沢氏によると現在では10%にも満たない状況だという)。さらに、都市圏を中心に核家族化が進んで葬儀自体の規模も小さくなってきた。こういった状況も葬儀サービスのニーズに拍車をかけた』、「明瞭な価格設定をうたう葬儀サービス」がライバルとして出現しているようだ。
・『問い合わせは4年で8倍以上に  同社の売上高は非開示だが、葬儀サービスを軸に、数十億円規模に成長しているという。また、葬儀サービスへの累積問い合わせ件数は2014年度末から2018年度末で比較して約8倍、お坊さん便では約13倍になった。また、2018年3月には社名変更に加えて、墓地、法事、相続といった葬儀周辺領域のサービスをワンストップで提供するブランドとして「よりそう」を打ち出している。よりそうでは生前に加入することで、葬儀や供養の特典が受けられる「よりそうメンバー制度」を展開しているが、その会員は数万人になっているという。 「喪主としてお葬式を上げて、お坊さんを手配します。そうすると今度は四十九日、一周忌法要と続きます。周忌法要だけでなく、位牌や仏壇、お墓も必要になりますし、相続についてもなくなってから10ヵ月以内に決めないといけません。そういったことを一元化していきます」(芦沢氏) よりそうでは、今回調達した資金をもとに採用やサービスの拡大を進める。来年度末までに社員数は現在の2倍にあたる200人にまで拡大する。葬儀の市場規模は2兆円。高齢化が進むため、2040年頃までさらに拡大するとの見方もある。 今後はテレビCMをはじめとしたマスプロモーションについても検討中だ。また、提携する葬儀社とも連携し、顧客満足度向上のための仕組みも作っていくという。ユニクエスト(2018年12月)、イオンライフ(2019年4月)同様、2019年1月には景表法の有利誤認にあたるとして措置命令も受けたが、表示を訂正し、再発防止のための体制作りも進めた。 「米国でも、ある葬儀社が価格を公開したら州知事に褒められたというニュースがありました。もちろんそのままの形式で持っていけるかは別ですが、グローバルに課題がある領域です。ですがまずは国内で、そして葬儀の前後までをサポートする事業をやっていきたいと思っています」(芦沢氏)』、「葬儀周辺領域のサービスをワンストップで提供するブランドとして「よりそう」を打ち出している」、広がりがあるビジネスに一挙に拡げてゆく戦略の行方が注目される。

第三に、11月9日付けダイヤモンド・オンライン「「お坊さん便」がアマゾンでの提供終了、全日本仏教会に屈したのか?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/219904
・『僧侶を手軽に分かりやすい金額で手配できることで好評を博した「お坊さん便」が、アマゾンでの取り扱いを終了する。その背景には仏教界との対立があった。今後、僧侶派遣サービスはどうなるのか』、資金調達もしたのに、本当にどうなっているのだろうか。
・『昨年比150%超の成長 僧侶派遣サービスが普及した理由  「アマゾンでの『お坊さん便』の取り扱いを終了します」――10月24日、よりそう(旧みんれび)は、こうリリースした。 お坊さん便とは、葬儀供養など仏事の際にインターネット上で民間の僧侶を手配し、全国に一律定額で派遣できるサービスのことだ。 2013年に運営を開始し、15年から大手ECサイトのアマゾンで出品。年間累計問い合わせ件数の実績は、14年度に比べて18年度は約13倍になった。また、直近の19年第2四半期では、新規外部受注分で昨年比150%超と成長を続けている。 僧侶の登録者数も1300超に及んでおり、革新的なアイデアが消費者、僧侶の双方に受け入れられたことになる。 では、なぜお坊さん便が普及したのか。 その背景には、お墓参りに行く時間がない、お布施の金額が不明瞭で僧侶とはあまり付き合いたくない、などの理由で先祖供養をする「菩提寺」を必要としなくなった葬儀や供養といった法事をめぐる消費市場の変化がある。 その一方で、僧侶も収入源が減っており、少しでも法事に関わる機会を増やしたいというニーズがあった』、ここまで順調に伸びていたのに、「アマゾンでの取り扱いを終了」した理由は、何なんだろう。
・『「宗教行為を商品化するな」 新勢力と旧勢力の対立  同社の売上高に占めるお坊さん便の割合は「非開示」(同社広報)だが、同社の主力サービスであることは間違いない。 では、なぜ売上に貢献してきたアマゾンでの取り扱いを終了したのか。 その背景には、日本の伝統仏教界における唯一の連合組織「全日本仏教会」の存在がある。 「お坊さん便」がアマゾンで出品された際、同会は「お布施はサービスの対価ではない」「宗教行為を商品化してはいけない」といった反対声明を出した。 こうして、新勢力のお坊さん便VS旧勢力の全日本仏教会という構図が生まれた。 そんな中、よりそうは1年ほど前から「仏教関係者に対してお坊さん便の役割を説明する機会を増やしてきた」(同社広報)という。 そして今年春ごろ、両者が直接対話する場が設けられた。 その中でアマゾンでの出品が文化・宗教行事を商品化したように見えたり、不要なものだという誤解を広めてしまった側面があったこと。葬儀と弔いにおける仏事の重要な役割は、身近な人と死別した悲しみを癒す「グリーフケア」であり、その重要性を希薄化させてしまったことなどを、よりそう側が認めたという』、「アマゾンでの出品」が仏教的には問題があったことを認めざるを得なかったようだ。
・『僧侶の目から見た仏教界の生存競争  こうしてみると、新勢力が旧勢力との争いに屈したともみてとれるが、事はそう単純でもなさそうだ。 よりそうは、お坊さん便の窓口を自社サイトに一本化し、サービスを継続する。 なぜなら、消費者心理の変化によって寺院離れが進んでいるという現実があり、全日本仏教会としては民間企業の力を借りてでも消費者と寺院との接点を維持し、グリーフケアの意義を広めたいという思惑があるからだ。 よりそうとしても、消費者が寺院や仏事に価値を感じなくなれば、サービスそのものが成立しなくなる。そこで両者は対立ではなく、協業という選択をとったという訳だ。 最近では、お坊さん便のみならず、僧侶派遣サービスを手掛ける企業が増えた。 ある僧侶はこう話す。 「今の世の中、お寺を維持して僧侶たちの生活の面倒を見たいという人はほぼいない。今回の件は、よりそうにダメージはないだろう。むしろ自社サイトに一本化して勝負を賭けてくる。つまり各社とも一層、熾烈さが増していくだろう。今後、寺院と葬儀社の生き残りをかけた戦いがいよいよ始まる」 今や、葬儀はいらない、お墓はいらない、僧侶はいらないというのが時代の流れだ。 そんな中、お坊さん便のアマゾンからの撤退は僧侶派遣サービスの終えんではなく、むしろ仏教界とそれを取り巻くビジネスの生存を賭けた本格的な競争の号砲が鳴ったと捉えた方がいい。 この僧侶の言葉には、そんな意味が込められている』、「自社サイトに一本化して勝負を賭けてくる」、ある程度、有名にもなったので、「アマゾン」の軒先を借りなくても済むと判断した可能性もある。「僧侶派遣サービス」は各社の「自社サイト」を中心に激化していくのだろう。

第四に、11月22日付け日経ビジネスオンライン「“五つ星”はカネで買える 揺らぐアマゾンの信頼 消費者だます「やらせレビュー」蔓延、首謀者が全告白」を紹介しよう。2頁目後半以降は、有料会員限定になるので、無料部分だけの紹介である。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00117/00082/
・『世界最大の通販サイト、アマゾンで商品を絶賛する「やらせレビュー」が横行している。大勢の消費者を惑わす者の正体を追って中国・深圳の雑居ビルにたどり着いた。不正対策に年間400億円超を投じるアマゾンをあざ笑う首謀者が、ついに全手口を明かした。 IT関連メーカーが集積する中国・深圳。その中心部から10kmほど北の坂田(バンティエン)地区に足を踏み入れた。牛肉や豚肉のおいしそうな匂いを漂わせる飲食店、零細の物流会社、家族経営の商店が混然と立ち並ぶ。 現地を案内してくれた深圳在住の王宇航氏(仮名)が流暢な日本語で切り出した。「坂田地区には、アマゾンにIT関連製品を出品する、私たちのようなネット販売業者が集結しています」 王氏とはフェイスブックを通じて知り合った。チャットで取材交渉を重ねること1カ月。現地で初対面した王氏は社交的な20代の若者だった。 「今から向かう勤務先の同僚たちにはあなたの来訪目的を伝えていません。のちほど真相をすべてお話ししますから、職場では決して余計な詮索をしないようお願いします」 そう念押しして、路地に建つ雑居ビル内のオフィスに招き入れてくれた。2フロアに分かれて50人ほどが働いている。多少雑然としてはいるが、いかがわしさは感じられない。 自社開発したワイヤレスイヤホンや携帯型スピーカーなどのIT関連製品を、日本、米国、英国、ドイツ、フランスに輸出し、アマゾンを通じて現地で販売している。各国のアマゾンに開設した「ストア」と呼ばれるオンライン店舗を、現地語を操る従業員が運営していた。日本語を勉強した王氏は、日本向けのストアを任されている。一見したところ何の変哲もない、一般的なネット販売業者である。 しかし一皮むけば、ここは秘密裏に遂行される捏造の中枢だ。ストア運営者せは全員「やら」に手を染めている。担当国の協力者を操って、アマゾンで自社商品を絶賛するレビューを量産している。王氏は、日本の消費者向けのやらせレビューを担う首謀者である。 「私たちだけではありませんよ。この辺りのネット販売業者はどこでもレビューを操作しています」 王氏はそうささやいた。坂田地区は世界最大の通販サイト、アマゾンに偽のレビューを蔓延させる“汚染源”だった』、“汚染源”が「深圳の北の坂田(バンティエン)地区」だったとは、改めて驚かされた。
・『ネットの評判は死活に直結  「商品が届きました。品質がよく、しかも安い。コスパ最高!」 「料理はどれもおいしく、接客も行き届いていました。大満足です」 通販サイトや口コミサイトにずらりと並ぶ高評価のレビューを信頼し、商品を購入したりサービスを選択したりする人は多い。三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)が、SNS(交流サイト)の利用者を対象に実施したアンケート調査では、ほぼ全員が商品やサービスの購入時にレビューを参考にしていた。他人のレビューを「とても参考にしている」もしくは「ある程度参考にしている」と回答した比率は合わせて95%を占める。 「レビューを確認するのは、特にどのような商品やサービスを購入するときか」との問いに対して最も多かった答えが「白物家電、AV家電、カメラ」で、46%に達した(複数選択可)。2位は29%の「パソコン、携帯電話」だった。1位と2位の製品群は、日本のネット通販業界では、アマゾンが抜群の販売力を誇っている。 サービス業の中で「特にレビューを確認する」ことが最も多かったカテゴリーは「飲食サービス」で、22%に上った。飲食業ではカカクコムが運営する口コミサイト、食べログのレビューが最も権威があると見なされている。 圧倒的な影響力を持つ「レビュー界」の両雄といえるアマゾンと食べログ。アマゾンに出品するネット販売業者や、食べログに掲載された飲食店は、少しでも評価を高めようと必死だ。MURCの調査では、レビューがよくなかった場合に「購入を取りやめる」あるいは「購入を取りやめることの方が多い」とした者は、合計76%に達した。ネット販売業者や飲食店にとってレビューの良しあしは死活に直結する。 「これは戦争です」 職場から少し離れた喫茶店で、王氏はアマゾンのレビューが販売に与えるインパクトを口にした。 「同業者を上回る評価を獲得しなければ、販売競争に負けてしまいます」 飲食店もレビューに振り回されている。最近まで東京都内でレストランの店長を務めていた川崎理明氏は振り返る。 「食べログでは2年前にレビューの集計方法が突然変わったため、店の総合得点が一気に下がったことがありました。その影響でお客さんからの予約はぴたりと止まりました」 現在、川崎氏は飲食関連のコンサルタントとして活動している。 「クライアントの中には、食べログの点数が下がったせいで、月商700万円が600万円まで落ち込んだ飲食店があります。損益分岐点が月商600万円のお店だったので、店主は頭を抱えています」 わずかな点数の変化で売り上げが大きく増減するストレスから逃れようと、禁断のやらせに手を出そうと思う飲食店経営者が増えるのも無理はない。そうやってやらせレビューに頼る競合店が増えていけば、「正直者がバカを見る」傾向は強まっていく。 坂田地区は正直者がバカを見る段階を通り過ぎている。やらせレビューで攻勢をかける競合相手にやらせで対抗していった結果、もはや正直者は見当たらなくなった。 この記事は有料会員限定です』、「やらせ」がはびこり続ければ、「レビュー」の信頼性が低下する筈だ。現在はそれまでの過渡期なのかも知れない。
タグ:ネットビジネス 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン よりそう 「お坊さん便」 (その7)(赤字のメルカリ 「メルペイ」普及のため鹿島アントラーズ買収は得か損か、お布施の定額化で躍進 明瞭価格の葬儀スタートアップ・よりそうが20億円調達、「お坊さん便」がアマゾンでの提供終了 全日本仏教会に屈したのか?、“五つ星”はカネで買える 揺らぐアマゾンの信頼 消費者だます「やらせレビュー」蔓延、首謀者が全告白) 「赤字のメルカリ、「メルペイ」普及のため鹿島アントラーズ買収は得か損か」 鹿島アントラーズを買収 「小泉社長の悲願」地元愛をアピール 約16億円で日本製鉄から取得し、子会社化する 2017年から鹿島のスポンサー契約を締結 自然発生的に今回の話はまとまった 小泉社長は、鹿島の本拠地に近い茨城県麻生町(現行方市)出身 国内メルカリ事業は黒字であるものの、米国メルカリ事業とメルペイ事業での出費がかさみ、19年6月期の業績は137億円の赤字の見込み 16億円で買った広告塔 数多くある決済サービスで、自社のものを使ってもらう有効な手法の一つは、使わざるを得ない場を強制的に生み出すことだ グッズや飲食販売でのキャッシュレス決済の利用や、チケットのペーパーレス化でスタジアムが快適になる。決済は日々利用するローカル色が強いサービス。スタジアムをショーケースとして、新しいチャレンジの場として活用できる 「お布施の定額化で躍進、明瞭価格の葬儀スタートアップ・よりそうが20億円調達」 レビューサイト運営で気付いた「葬儀」の課題 累計調達額は約32.6億円に上る よりそう(当時の社名はみんれび) 365日、24時間のコールセンターが必要だと感じた コールセンターまで作ったことが、サイトの価値につながりました 「価格が明瞭な葬儀サービスが必要」 問い合わせは4年で8倍以上に 墓地、法事、相続といった葬儀周辺領域のサービスをワンストップで提供するブランドとして「よりそう」を打ち出している 「「お坊さん便」がアマゾンでの提供終了、全日本仏教会に屈したのか?」 「お坊さん便」が、アマゾンでの取り扱いを終了する 昨年比150%超の成長 僧侶派遣サービスが普及した理由 「宗教行為を商品化するな」 新勢力と旧勢力の対立 「全日本仏教会」 「お坊さん便」がアマゾンで出品された際、同会は「お布施はサービスの対価ではない」「宗教行為を商品化してはいけない」といった反対声明 よりそうは1年ほど前から「仏教関係者に対してお坊さん便の役割を説明する機会を増やしてきた アマゾンでの出品が文化・宗教行事を商品化したように見えたり、不要なものだという誤解を広めてしまった側面があったこと。葬儀と弔いにおける仏事の重要な役割は、身近な人と死別した悲しみを癒す「グリーフケア」であり、その重要性を希薄化させてしまったことなどを、よりそう側が認めた 僧侶の目から見た仏教界の生存競争 自社サイトに一本化して勝負を賭けてくる 「“五つ星”はカネで買える 揺らぐアマゾンの信頼 消費者だます「やらせレビュー」蔓延、首謀者が全告白」 アマゾンで商品を絶賛する「やらせレビュー」が横行 中国・深圳 坂田(バンティエン)地区 ストア運営者は全員「やらせ」に手を染めている 担当国の協力者を操って、アマゾンで自社商品を絶賛するレビューを量産 アマゾンに偽のレビューを蔓延させる“汚染源”だった ネットの評判は死活に直結 やらせレビューで攻勢をかける競合相手にやらせで対抗していった結果、もはや正直者は見当たらなくなった
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自動車(一般)(その3)(赤字転落のホンダで吹き荒れる「内紛」の全内幕 こんな会社に誰がした?、トヨタ前代未聞の労使交渉 「変われない社員」への警告) [産業動向]

自動車(一般)については、5月6日に取上げた。今日は、(その3)(赤字転落のホンダで吹き荒れる「内紛」の全内幕 こんな会社に誰がした?、トヨタ前代未聞の労使交渉 「変われない社員」への警告)である。

先ずは、ジャーナリストの井上 久男氏が6月20日付け現代ビジネスに掲載した「赤字転落のホンダで吹き荒れる「内紛」の全内幕 こんな会社に誰がした?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65230
・『高い技術力とブランドイメージで世界に名を馳せたこの企業が、振るわない。商品・技術戦略の失敗だけが理由ではないようだ。社内の対立によって溜まってきた膿のほうが、どうやら根深いのだ』、かつての優良企業に何が起きたのだろう。
・『二輪部門vs.四輪部門  ホンダの経営中枢にいた元役員はこう指摘する。 「今の経営体制ではホンダはいずれ経営危機を迎えます。トップの八郷隆弘社長にせよ、ナンバー2の倉石誠司副社長にせよ、経営をかじ取りする力量がない。 経営陣を総入れ替えする荒療治が必要だ。昨年の株主総会ではOBの一部株主が結託して解任動議を出そうとしていたくらいです」 ホンダが5月8日に発表した2019年3月期決算の売上高は前期比3.4%増加の15兆8886億円、本業のもうけを示す営業利益は12.9%減少の7263億円だった。 営業利益率は4.6%と、トヨタ自動車(8.2%)や、安価な軽自動車中心のスズキ(8.4%)の足元にも及ばない。 その要因は不振の四輪事業にある。ホンダの事業は、四輪、二輪、汎用エンジンや草刈り機などのパワープロダクツの3部門で構成されるが、売上高の最も多い主力の四輪が、'19年1~3月期決算で売上高2兆9128億円に対し、営業損益は530億円の赤字に陥ってしまったのだ。今後も収益性が大きく回復する見込みがない。 ホンダの四輪が赤字に陥ったのは、過剰設備と開発コストの高さによるものだ。国内で最も売れている「N-BOX」シリーズを抱える軽自動車部門でさえも赤字だというから驚く。 ホンダ低迷の構図はかつての日産自動車と全く同じだ。日産は過剰設備と高コスト体質に苦しみ、赤字体質から脱却できずに有利子負債を膨らませて経営危機に陥り、仏ルノーの傘下に落ちた。 この惨状にもかかわらず、ホンダはあちこちで内部対立を抱えている。 まずは稼ぎ頭の二輪事業と、赤字の四輪事業の対立だ。 いまホンダは、本田技術研究所内にある二輪の研究開発部門を切り離して、本社の二輪事業本部と一体化させることで意思決定の迅速化を図ろうとしている。追い上げてくるインド・中国メーカーに対抗するためだ。 ところが二輪部門の幹部は、「意思決定の迅速化を狙うならば、二輪事業部門をホンダ本体から切り離して分社化する手もあったはずだ」と語る。 稼ぎ頭の自分たちだけを分社化すればいい。この幹部は、「赤字転落した四輪とは一緒にされたくない。モチベーションが落ちる」とまで言うのだ』、「主力の四輪が・・・営業・・・赤字に陥ってしまった」、「この惨状にもかかわらず、ホンダはあちこちで内部対立を抱えている」、ということでは、「「今の経営体制ではホンダはいずれ経営危機を迎えます。トップの八郷隆弘社長にせよ、ナンバー2の倉石誠司副社長にせよ、経営をかじ取りする力量がない。 経営陣を総入れ替えする荒療治が必要だ」、との「経営中枢にいた元役員」の指摘も頷ける。
・『中国派の専横  二輪と四輪の対立だけではない。四輪事業の不振の元凶の一つとされた北米事業の出身者「米国派」の幹部たちは、中国事業を長く手がけてきた八郷氏や倉石氏ら「中国派」が人事を専横していると不満を募らせる。 さらにはその「中国派」のなかでも、八郷氏と倉石氏の関係に軋みが生じ始めているというのだから、ただ事ではない。 今、ホンダ社内で何が起こっているのか。 「八郷体制」の力量不足は否めない。前任者の伊東孝紳氏(現取締役相談役)が無謀な拡大路線を敷いたことで、品質管理力が追い付かず、主力車「フィット」の大規模リコールの責任をとって退任。後任として'15年6月に八郷氏が選ばれた。 当時、八郷氏は全く無名の存在で、社長就任が決まり、社内からも「八郷WHO?」といった声が出たくらいだった。その経緯について前出・元役員がこう解説する。 「伊東君は辞めるつもりはなかったが、伊東君を引き上げてきた川本さん(信彦元社長)に『お前、責任取れ』と一喝されて退任が決まった。 伊東君が『後任は誰にしましょうか』と川本さんにお伺いを立てると、『そこまでは関与しない』と言われて、同じ車体開発畑で自分の言うことを素直に聞く八郷君を選んだ」 40代の頃から将来の社長と言われてきた伊東氏は「暴君タイプ」だったのに対し、八郷氏は「聞く耳を持つ」ボトムアップ型の社長で、経営トップになっても自分が前面に出ることはなかった。 「伊東前社長が現場をすぐにどなりつけて社内が萎縮していたので、八郷さんはそれを反省して社員の自主性を促すことを重視していた。 役員同士もぎくしゃくした関係だったのが、八郷さんは役員同士でお弁当を食べたり、飲み会に行ったりして社内融和に徹していた」とホンダの中堅幹部は語る。 しかし、八郷氏の尻に火がついてきたのは昨年夏ごろからだった。温厚な八郷氏の眉間にしわが寄るようになり、いら立って語気を強めて部下に説明を求める場面が増えたという。 「俺が納得する新しい案を持ってこい」昨年6月のある日、八郷氏が珍しく声を荒らげた。八郷氏が求めた案とは、コストを下げて商品力も落とさない自動車の新たな開発手法の導入計画のことだった。 自動車会社では、開発の上流段階から設計・部品の共通化を進めるコストダウン戦略がはやっている。 トヨタの「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」やマツダの「一括企画」と呼ばれる設計手法が有名で、こうした新たな設計手法の導入によって、開発部門の組織や仕事の進め方を見直し、車種によっては製造原価を30%下げたと言われる。 これに対し、ホンダは何も取り組んでこなかった。今年5月の決算発表の際、ようやく八郷氏が「ホンダ アーキテクチャー」を導入して開発効率を上げると発表した。他社より10年遅れて設計改革に取り組むことになった』、「他社より10年遅れて設計改革に取り組むことに」、驚きの事実だが、以前の経営陣にも重い責任がありそうだ。
・『「出る杭」を打つ管理職  八郷氏がいら立っていたのは、開発部門から正しい情報が自分に上がってこなかったからだ。ホンダの役員が言う。 「他社に比べてあまりにも収益性が低いので、八郷社長が現状を調べ直したところ、主力車種『アコード』と『CR-V』では部品の共通化率が金額ベースでわずか0.3%。 設計改革をしていると開発部門は言いながら、全くできていなかったことに怒ったのでしょう」 こうした設計改革だけに限らず、昨年4月から八郷氏は全社的な改革運動「SED2.0プロジェクト」を開始した。Sはセールス(販売)、Eはエンジニアリング(生産)、Dはディベロップメント(開発)を意味する。 100年に一度の変革期を迎えている自動車産業の中で生き残っていくために、発想や仕事の進め方を全社的に見直そうというものだ。 その活動ではトヨタに対しても今のホンダについての意見を求めている。改革運動を紹介する冊子で、原価管理についてトヨタOBが「ホンダにはトヨタがコンプレックスを持つ対象であって欲しい。トヨタは何するものぞという気概でクルマづくりをして欲しい」とエールを送っている。 これでは、もはやホンダはライバルではないと言われているに等しく、屈辱とも受け取れるが、社内に危機感を煽るために敢えて載せているのだろう。 しかし、これがホンダ社内では頗る評判が悪い。若手社員は「現場から改革案をたくさん出しているのに、潰しているのはむしろ経営上層部。特に倉石副社長だ。こんな冊子を作ること自体無意味だ」と指摘する。 別の中堅幹部によると、実際、設計の共通化を推進しようとしたら、「業務が効率化されるとポストが減って困る」と言って、改革案を潰しにきた管理職も多かったという。 ホンダの開発部門には、行き場のない技術者崩れの管理職があふれ、こうした管理職は、何の専門性もなく、上司の意向を探ることと無駄な会議が大好きで、自己保身のためだけにリスクをとにかく嫌い、「出る杭」を打つ傾向にあるという。 「こんな組織でヒット車が出るはずがない」(同前) 社員の平均年齢を見てもホンダは45歳。意外にも39歳のトヨタよりも高齢化が進む。 八郷氏自身が「ホンダは今までと同じような生き方をしていたら老衰してしまうかもしれない。いまこそ、生まれ変わるくらいの気持ちで生活を変えることが必要だ」と訴えているが、それもむなしく響く。 現場には倉石副社長への批判が渦巻く。ホンダでは創業者の本田宗一郎氏が夢を語り、それを後ろから支えたのが副社長の藤沢武夫氏だった時代の名残が今でも残っており、管理部門は副社長が束ねる。現在は倉石氏がその任にある。ところが、倉石氏は八郷氏が社長になる直前の上司だ。 「2人は同期入社で仲良しだった。伊東君から社長就任の内示を受けた時は八郷君が中国統括会社の副総経理で、倉石君が総経理だった。 社長になるとは思っていなかった八郷君が、倉石君に相談したら『俺が支えるからお前、受けろ』と言ったそうです。そうした関係から倉石君のほうが力を持っており、陰の社長は倉石君です」と、ホンダOBは解説する。人事権は倉石氏が掌握している。 八郷氏、倉石氏ともに中国の経験が長いので、中国事業の出身者が出世する傾向が強まり、主流派だった「米国派」との対立が深まったという。 「これまでホンダを支えてきた北米事業出身者がポストを寄こせと言って社内で抗議しているようです。 4月1日付で倉石君が会長になる案もあったが、これでは益々米国派の不満が募るので、その折衷案として米国と中国の両方を経験した神子柴寿昭君が会長に選ばれたのではないか」(同前) もともと八郷体制はワンポイントつなぎの「短命政権」との見方があり、ポスト八郷には三部敏宏常務が有力視される。三部氏は現在、本体社長への登竜門である開発部門で子会社の本田技術研究所社長の地位にある。 三部氏は開発部門の中でも改革派として知られた。しかし、「三部氏があまりにも早急に改革を進めるので、倉石氏が『あまり改革をやり過ぎると次の社長の目はないぞ』と言って改革をつぶした」(前出OB)。 ところがここにきて、「改革が全く進まないのは倉石君のせいではないかと八郷君が気付き始め、仲良しだった2人の関係にひびが入りそうな状況」(同前)だそうだ』、「主力車種『アコード』と『CR-V』では部品の共通化率が金額ベースでわずか0.3%」、「設計の共通化を推進しようとしたら、「業務が効率化されるとポストが減って困る」と言って、改革案を潰しにきた管理職も多かった」、こんな現場の専横を許していた経営陣は失格だ。「社員の平均年齢を見てもホンダは45歳。意外にも39歳のトヨタよりも高齢化が進む」というのは初めて知った。中国経験者で同期を社長・副社長にするとは、余りにもバランスが悪い。今年になって米中経験者を会長にしたようだが、バランスが多少改善した程度だ。「「改革が全く進まないのは倉石君のせいではないかと八郷君が気付き始め、仲良しだった2人の関係にひびが入りそうな状況」」、気付くのが遅すぎる。
・『銀行も経営介入を意識  ホンダの決算発表はこれまで副社長が行うのが慣例だったが、今年は5月8日の決算発表に八郷氏が顔を出した。 決算発表の前に、八郷氏が自ら異例の「事業方針説明」を行った。その内容は主に四輪事業の強化策の発表で、売れない派生車種の削減と、過剰な生産能力の削減を展開していくことが強調された。 しかし、今年2月19日に発表した組織の見直しの際に説明したものとほとんど同じで新鮮味に欠けた。同時にホンダは、英国南部のスウィンドン工場やトルコ工場での生産終了も発表。一昨年には狭山工場の閉鎖も決めている。 だが社内には「英国やトルコの生産拠点を閉鎖しても、まだまだホンダの生産過剰問題は解決しない。内製している変速機の生産能力も過剰、いずれ人員整理に手を付けないといけないだろう」との見方がある。 こうした事態にメーンバンクである三菱UFJ銀行も経営介入を準備しているとされる。 「三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行会長は以前、三菱自動車の担当を務め、現在はトヨタの社外監査役を務めるなど自動車産業に詳しい。平野会長がホンダの行く末を心配している」(ホンダ関係者) 三菱UFJ銀行はホンダ系下請け企業に資金を貸し込んでおり、四輪事業がさらに苦境に落ち込めば、下請けが疲弊するとの危機感も強い。 現役社員が語る。「ホンダは『末期癌患者』のようなものと言っていい。将来に期待していませんし、30代、40代の若い社員も将来がないと絶望して自発的に転職しています」 内紛だらけの社内では、不満が渦巻き、空中分解寸前と言っても過言ではない。本田宗一郎が築き上げた「技術のホンダ」に危機が忍び寄っている』、頼りない経営陣を前にすれば、「三菱UFJ銀行も経営介入」は当然だろう。株価は、2018年初の4000円強から本日は2895円と大幅に下落している。

次に、10月19日付け日経ビジネスオンライン「トヨタ前代未聞の労使交渉、「変われない社員」への警告」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/101000041/?P=1
・『トヨタ自動車は10月9日、秋季労使交渉を開催した。「春季」の労使交渉で決着が付かず、延長戦を実施するという異例の事態だ。結果は、労働組合側が要求したボーナス(一時金)は満額回答となったが、その背景にはトヨタの大きな危機感がある。これまでトヨタは、年功序列や終身雇用といった「日本型雇用」の象徴的存在と見られていたが、その同社ですら今、雇用の在り方を大きく見直そうとしている。 日経ビジネスは10月14日号の特集「トヨタも悩む 新50代問題 もうリストラでは解決できない」で、抜本的な修正を迫られている日本型雇用の実態と、新たな雇用モデルをつくろうという日本企業の挑戦を取材している。あわせてお読みいただきたい。 10月9日、トヨタ自動車で「秋季」労使交渉が開かれた。1969年に年間ボーナス(一時金)の労使交渉を導入してからこれまで、延長戦に突入したことは一度もない。 異常事態である。 ふたを開ければ満額回答で、冬季の一時金を、基準内賃金の3.5カ月、2018年冬季比16%増の128万円にすると決めた。日経ビジネスは半年間にわたる延長戦の内実を取材。満額回答に至る裏側で、トヨタの人事制度がガラガラと音を立てて変わろうとしていた。 春の交渉では、労使のかみ合わなさがあらわになった。13年ぶりに3月13日の集中回答日まで決着がずれ込み、結局、一時金について年間協定が結べなかった。「夏季分のみ」という会社提案を組合がのみ、結論を先延ばしにした格好だ。 きっかけは、その1週間前だった──。 3月6日に開かれた第3回の労使協議会は、異様な雰囲気に包まれていた。「今回ほどものすごく距離感を感じたことはない。こんなにかみ合っていないのか。組合、会社ともに生きるか死ぬかの状況が分かっていないのではないか?」。緊迫感のなさに対して、豊田章男社長がこう一喝したからだ。 組合側からの「モチベーションが低い」などの意見を聞いての発言だが、重要なのはそのメッセージが、非組合員である会社側の幹部社員にも向けられた点にある。 労使交渉関係者は次のように証言する。「社長は、若手が多い組合側よりも、ベテランを含むマネジメント層に危機感を持っていたようだ」 豊田社長の発言を受けて急きょ、部長などの幹部側が集まった。危機感の不足を議論し共有するのに1週間を要した。これが、会社回答が集中日までずれ込んだ理由の一つだった。 10月9日、労使交渉を終えた後の説明会で、河合満副社長はこう述べた。「労使が『共通の基盤』に立てていなかった。春のみの回答というのは異例だったが、労使が共通の基盤に立つための苦渋の決断だった。今回の(労使での)やり取りの中で、労使それぞれが変わりつつあるのかを丁寧に確認した」 豊田章男社長や河合副社長が実際に現場をアポイントなしで訪れ、現場の実態を確認。そのうえで、トヨタの原点である「カイゼン」や「創意くふう」に改めて取り組んだ。5月には60%だった社員の参加率は9月には90%まで上昇したという。「全員が変われるという期待が持てた。労使で100年に1度の大変革期を必ず越えられる点を確認し、回答は満額とした」(河合副社長) 豊田社長が危機感をあらわにし、トヨタが頭を悩ませているのは、「変わろうとしない」社員の存在だった』、「豊田社長が危機感」を浸透させるための一芝居という感もあるが、「「社長は、若手が多い組合側よりも、ベテランを含むマネジメント層に危機感を持っていたようだ」、足元の業績は好調ななかで、「危機感」を持たせるというのは、さすがオーナー社長ならではだ。前の記事でみたホンダとは大違いだ
・『トヨタ労組「機能していない人がたくさんいるのでは」  事実、河合副社長も「取り組みはまだまだ道半ば。マネジメントも含め、変わりきれていない人も少なくとも存在する」と報道陣に述べ、トヨタ自動車労働組合の西野勝義執行委員長も労使交渉の場で「職場の中には、まだまだ意識が変わりきれていなかったり、行動に移せていないメンバーがいる」と会社側に伝えた。 この問題に対応するため、トヨタ労使は、春季交渉からの延長戦の中で、現場の意識の確認とは別に、評価制度の見直しに着手していた。 労使交渉の関係者などへの取材によると、トヨタにはいまだ、年次による昇格枠が設定されている。総合職に当たる「事技職」では、40歳手前で課長、40代後半で部長というのが出世コースで、このコースから外れると挽回はほぼ不可能とされる。労使交渉では、組合側から「機能していない人がたくさんいるのではないか」「組織に対して貢献が足りない人もいるのではないか」という率直な意見が出た。 関係者は語る。「リーマン・ショックまでは拡大路線が続き、働いていなくても職場の中で隠れていられた。最近はそうはいかず、中高年の『働かない層』が目立ち始めた」 秋の労使交渉後に報道陣の取材に応じたトヨタ自動車総務・人事本部の桑田正規副本部長は、日経ビジネスの「年功序列をどう変えていくのか」との質問に対して「これまでは『何歳でこの資格に上がれる』という仕組みがあった」と認め、こう続けた。 「その仕組みが、現状を反映していない場合もあった。例えば、業務職では、ある程度の年齢にならないと上がれなかったが、その期間が長すぎた。明らかに時代に合っていないものは見直していきたい。それ以外(の職種)でも、できるだけ早めにいろんな経験をさせたい。大きく(年功序列の仕組みを)撤廃するということではなく、多少、幅を広げていきたいと思っている」 トヨタは今年1月、管理職制度を大幅に変更した。55人いた役員を23人に半減し、常務役員、役員待遇だった常務理事、部長級の基幹職1級、次長級の基幹職2級を「幹部職」として統合。「事実上の降格」を可能にした。 ただし、幹部職の創設は人事制度改革の入り口にすぎない』、「人事制度改革」の全貌はどんなものなのだろう。
・『動き始めた評価制度見直し「年次による昇格枠を廃止」  トヨタはさらに、評価制度の見直しを労使で議論し始めた。協議の場は月に1回で、これまでに計5回。会社側は人事本部長、組合側は副委員長をトップとし、ひざ詰めの議論が続く。 8月21日の5回目の労使専門委員会で、トヨタは初めて総合職の評価制度見直しの具体案を組合に提示した。目玉は、桑田副本部長が「見直していきたい」と発言した、年次による昇格枠の廃止にある。 曖昧だった評価基準を、トヨタの価値観の理解・実践による「人間力」と、能力をいかに発揮したかという「実行力」に照らし、昇格は是々非々で判断するとした。「ぶら下がっていただけの50代は評価されない。これから降格も視野に入るだろう」(先の関係者) 組合執行部は「勤続年数や年齢ではなく、それぞれの意欲や能力発揮の状況をより重視する方向だ」と好意的に受け止め、運用の詳細について引き続き議論していくとしている。 評価制度だけでなく、一時金の成果反映分を変更する加点額の見直しや、中途採用の強化などを労使は議論している。トヨタは総合職に占める中途採用の割合を中長期的に5割に引き上げるとも報じられている。桑田副本部長は人事制度の見直し全般について「試行錯誤しながらやっていきたい。長く議論しても意味がないので、よく考えながら進めたい」とした。 前代未聞の労使交渉延長戦から見えてきたのは、変われない社員に対する警告ともいえる人事制度の再点検だった。幹部職の創設から中途採用強化まで、トヨタは100年に1度の大変革を乗り越えるべく、従来の雇用モデルを見直そうとしている』、「勤続年数や年齢ではなく、それぞれの意欲や能力発揮の状況をより重視する方向だ」、「トヨタは総合職に占める中途採用の割合を中長期的に5割に引き上げる」、意欲的な目標だ。人事制度改革は従業員の納得性がカギを握る。円滑に運用できるか、否かが注目される。既に変わりつつある日本型雇用は、さらに変化していくようだ。
タグ:自動車 現代ビジネス (一般) 井上 久男 (その3)(赤字転落のホンダで吹き荒れる「内紛」の全内幕 こんな会社に誰がした?、トヨタ前代未聞の労使交渉 「変われない社員」への警告) 「赤字転落のホンダで吹き荒れる「内紛」の全内幕 こんな会社に誰がした?」 二輪部門vs.四輪部門 「今の経営体制ではホンダはいずれ経営危機を迎えます。トップの八郷隆弘社長にせよ、ナンバー2の倉石誠司副社長にせよ、経営をかじ取りする力量がない。 経営陣を総入れ替えする荒療治が必要だ 営業利益率は4.6%と、トヨタ自動車(8.2%)や、安価な軽自動車中心のスズキ(8.4%)の足元にも及ばない 主力の四輪が、'19年1~3月期決算で売上高2兆9128億円に対し、営業損益は530億円の赤字に陥ってしまった ホンダの四輪が赤字に陥ったのは、過剰設備と開発コストの高さによるものだ ホンダ低迷の構図はかつての日産自動車と全く同じだ。日産は過剰設備と高コスト体質に苦しみ、赤字体質から脱却できずに有利子負債を膨らませて経営危機に陥り この惨状にもかかわらず、ホンダはあちこちで内部対立を抱えている 稼ぎ頭の二輪事業と、赤字の四輪事業の対立だ 中国派の専横 中国事業を長く手がけてきた八郷氏や倉石氏ら「中国派」が人事を専横していると不満 前任者の伊東孝紳氏(現取締役相談役)が無謀な拡大路線 主力車「フィット」の大規模リコールの責任をとって退任 八郷氏は全く無名の存在 八郷氏は「聞く耳を持つ」ボトムアップ型の社長で、経営トップになっても自分が前面に出ることはなかった 八郷氏の尻に火がついてきたのは昨年夏ごろから 今年5月の決算発表の際、ようやく八郷氏が「ホンダ アーキテクチャー」を導入して開発効率を上げると発表した。他社より10年遅れて設計改革に取り組むことになった 「出る杭」を打つ管理職 主力車種『アコード』と『CR-V』では部品の共通化率が金額ベースでわずか0.3% 全社的な改革運動「SED2.0プロジェクト」を開始 「現場から改革案をたくさん出しているのに、潰しているのはむしろ経営上層部。特に倉石副社長だ 行き場のない技術者崩れの管理職があふれ、こうした管理職は、何の専門性もなく、上司の意向を探ることと無駄な会議が大好きで、自己保身のためだけにリスクをとにかく嫌い、「出る杭」を打つ傾向にあるという 社員の平均年齢を見てもホンダは45歳。意外にも39歳のトヨタよりも高齢化が進む 倉石氏は八郷氏が社長になる直前の上司だ。 「2人は同期入社で仲良し 倉石君のほうが力を持っており、陰の社長は倉石君です これまでホンダを支えてきた北米事業出身者がポストを寄こせと言って社内で抗議 折衷案として米国と中国の両方を経験した神子柴寿昭君が会長に選ばれた ポスト八郷には三部敏宏常務が有力視 銀行も経営介入を意識 平野会長がホンダの行く末を心配している
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EC(電子商取引)(その4)(「日本人はなぜアマゾンに怒らない」潜入ジャーナリストが暴く現場の絶望、アマゾン「偽ブランド品」販売の責任はないのか 商標権侵害の商品が横行、甘い自主規制) [産業動向]

EC(電子商取引)については、5月25日に取上げた。今日は、(その4)(「日本人はなぜアマゾンに怒らない」潜入ジャーナリストが暴く現場の絶望、アマゾン「偽ブランド品」販売の責任はないのか 商標権侵害の商品が横行、甘い自主規制)である。

先ずは、9月20日付けダイヤモンド・オンライン「「日本人はなぜアマゾンに怒らない」潜入ジャーナリストが暴く現場の絶望」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/214964
・『圧倒的な品揃えと便利さで消費者を魅了するアマゾン。しかし、その労働現場の実情を知ってなお、日本人は無批判にアマゾンを受け入れられるのか。「潜入ルポamazon帝国」(小学館)を発表したジャーナリストの横田増生氏に聞いた』、ガードが堅いアマゾンへの「潜入ルポ」とは興味深そうだ。Qが聞き手の質問、Aは横田氏の回答
・『時間に追われながら毎日20キロを歩いた  Q:2005年に「アマゾン・ドット・コムの光と影」という、やはりアマゾン潜入ルポを出版しましたが、今回2冊目を書こうと思った理由は? A:前著の文庫版が在庫切れになったことで、小学館に増刷話を持って行ったんです。最初は少しだけ加筆すればいいかなと思ったんだけど、「せっかくだったら改めて書きましょう」と提案されました。 アマゾンは取材をあまり受けない会社です。特に僕の場合は完全にNGらしく、日本ではもちろん、シアトルの本社に行くと伝えても、絶対に受けない。 その上、またあの倉庫に潜入するだなんて、正直嫌だなと思いました。ただ、いつまでアマゾン批判の本を出せるのかなって。アマゾンの存在感はどんどん増しているから、出版社だって批判本は出しにくくなってきています。今がラストチャンスかもしれない。そう思ったんです。 Q:前回は6ヵ月、今回は2週間の潜入取材でした。 A:前回はまだ30代でしたからね。今は6ヵ月なんて絶対無理。体力が持ちません。2週間、ネタを集めるために行きましたけどね。毎日涙目でしたよ(笑)。 Q:アマゾンのバイトは、どのあたりが一番辛かったですか? A:たくさん歩くことでしょうね。歩数を計測できる機能のついた時計を身につけて測ったんですが、6時間45分の労働時間で歩行距離は20キロを超えるんです。10時間働いている人は30キロ以上になるんじゃないでしょうか。 しかも、ハンディー端末でピッキング時間を管理される。「あと30秒、25秒、20秒」…時間切れになるとピピッとアラームが鳴るわけです。ただ歩くだけならまだしも、こうやって常に追い立てられるわけですから、そりゃあ辛いですよ。「そんなの無視すればいいじゃない」という人もいるけれど、僕みたいにお金のためじゃなくて、期間限定でネタ集めのために働いているような人間だって、気にしないではいられなかった。全部記録が残って、後で指導されたりしますしね』、「ハンディー端末でピッキング時間を管理される」、「全部記録が残って、後で指導されたりします」、労働者の管理は徹底しているようだ。
・『倒れてもすぐには救急車を呼んでもらえない  今回、本を書くにあたって、欧州に飛んで、イギリスやフランスでアマゾンの物流センターに潜入取材した現地の記者たちにも話を聞きました。例えば、イギリスのジェームズ・ブラッドワース氏はアマゾンの物流センターと介護士、コールセンター、そしてウーバーの運転手の4つの仕事に潜入した人物ですが、どこが一番ひどかったかと聞くと、間髪入れずに「アマゾンが飛び抜けてひどかった」と断言していました。 別の記者はフルマラソンで3時間を切るタイムを出すようなスポーツマンですが、それでもやっぱりきつかった、と。たった2週間とはいえ、50代の僕がどれだけ頑張ったか、わかっていただけるでしょう(笑)。 Q:日本の小田原(神奈川県)の物流センターでは、わかっているだけで業務中に5人の従業員が亡くなっています。 A:BBCのアマゾン潜入番組では、仕事におけるストレスを研究する第一人者が「この種の仕事では、心身の病気のリスクが増すというエビデンスがある」と証言していました。もちろん、業務中に少なくとも5人もの方が亡くなっているという事実も重いけれども、取材を進めてさらに驚いたのは、救急車を呼ぶまでにずいぶん時間がかかっている点です。 くも膜下出血で亡くなった59歳の女性の場合、倒れてから救急車が到着するまで1時間前後もかかっていました。なぜかというと、アルバイトは携帯電話の持ち込みが禁止されているし、アマゾンの物流センターでは、こうした場合の連絡系統が厳格に決まっているんです。発見者からリーダーに報告し、次にスーパーバイザー、そしてアマゾン社員…といった具合に。この連絡網をすっ飛ばして119番するわけにはいかないというのです。 これはさすがに空恐ろしい話です。人命よりルールが優先するわけですから。物流センターの壁には、いろんな健康に関するポスターが貼ってあるんです。中には「早く救急車を呼びましょう」みたいなのもあったんですが。ゾッとしましたね』、「小田原の物流センターでは、わかっているだけで業務中に5人の従業員が亡くなっています」、高い労働密度下ではあり得る話だ。「くも膜下出血で亡くなった59歳の女性の場合、倒れてから救急車が到着するまで1時間前後もかかっていました」、女性の遺族は訴えなかったのだろうか。訴えない条件で高目の弔慰金を受け取ったのだろうか。
・『「人間扱いされていない」潜入記者たちの本音  Q:物流センターの現場だけでなく、例えばマーケットプレイスの出品者の打ち明け話でも、アマゾンは無機質な対応をする会社なんだな、という感想を持ちました。 マーケットプレイスの出品者の多くは「アマゾンに生殺与奪権を握られている」と訴えていました。商品の著作権侵害など、外部からクレームが来た場合、アマゾンはロクに出品者と話し合うこともなく、一方的にアカウントの閉鎖や削除を通告してくるのです。 普通なら、出品者と連絡を取り合って、何がまずかったのか、どうすればいいのかを話し合うと思うんですが、アマゾンはそれをしない。実は消費者に対してもそうで、アマゾンでの買い物で何か問題が起きた場合、彼らはコールセンターの電話番号すらあまりオープンにしていませんから、お客はどうしていいか困ってしまう。 Q:それだと、「人」がいる意味がなさそうですが。 A:そう。アマゾンの仕事は、アルゴリズム的、あるいはテンプレートを貼り付けたみたいなやり方なんですよ。きっと、業務の9割とかは「テンプレ通り」でうまく回るんじゃないですかね。でも、イレギュラーな出来事が起きたとき――例えば物流センターで人が倒れるとか、マーケットプレイスの出品者にクレームがつくとか、そうしたテンプレでは処理できない事態が起きると大変です。救急車を呼ぶのに1時間もかかってしまったり、出品者を問答無用で切り捨てるなんてことになるのです。 物流センターのバイトは時給だってそこそこだし、食堂の定食は350円、サラダは100円、メニューのブラッシュアップもしているし、センターの壁には、これでもかというくらいに健康を啓発するポスターが貼ってある。これのどこが非人道的なのか、とアマゾンは言うのかもしれない。 でも、アルバイトを人間としてリスペクトしているとは到底思えない。いくら定食が安かろうが、そういうことでカバーできないですよ。人を人として見ていないんだから。イギリスやフランスの潜入記者たちも、僕と全く同じ感想を持っていたのが印象的でした』、「アルバイトを人間としてリスペクトしているとは到底思えない」、その通りなのだろう。
・『欧米の政治家たちがアマゾンに突きつける「NO」  Q:欧米では、政治家や労働組合、消費者団体などがアマゾンに対して異を唱える場面が多いみたいですね。 A:ええ。例えばアメリカでは、バーニー・サンダース上院議員がアマゾン従業員の時給の低さを指摘し、アマゾンは15ドルに引き上げると表明しました。ドイツでは、労働組合が週1回ものハイペースでストライキをしています。イギリスでは、政治家が組織した委員会がアマゾンの租税回避を指摘し、それがきっかけで「デジタル課税」に踏み切りました。 アマゾンは日本でも租税回避をしています。法律を犯しているわけではないから「脱税」ではないものの、税制の抜け道を上手に探して納税額を最低限に抑えているわけです。これは、アマゾンを追及したイギリスの政治家・ホッジ氏が指摘するように、「抜け道を無理やり見つけて悪用している」といえます。 しかし、日本では政治家もマスコミも、こうした指摘をほとんどしていません。労働者の地位向上に関しては、せめて労組があればと思いますが、今はまだアマゾンで活動していない。アマゾンにとって、日本は世界で3番目に大きな売り上げをあげている国ですが、誰も何も言ってこないわけです。唯一、公正取引委員会がちょっとうるさいな、という程度かな。正直、こんなおいしい国はないんじゃないでしょうか。 残念ながら、アマゾンは間違いを自ら進んで正すようなカルチャーの会社ではありません。欧米の例を見ても、政治家や法律などが「NO」を突きつけてはじめて、渋々変わる、という感じです。業績は突出していて、企業カルチャーはクレバーではあるけれど、社会的責任を果たすという観点では、かなりみっともない会社なのです。 アマゾンで買い物することが悪いとは思いません。確かに便利ですしね。でも、反対すべき点は、きっちり反対してもいいんじゃないでしょうか。税金をちゃんと払えとか、労働者を大切にしろとか。便利だから無条件・無批判に受け入れるということで本当にいいのかと問いたい。 欧米みたいに、大新聞やテレビ局など、大きなメディアに、もっとこの問題を報道してもらいたいものです。僕みたいなフリージャーナリストが1人で騒いでも、広がりがないですからね』、日本の租税当局も遅ればせながら、OECDなど海外勢から押される形で、重い腰を上げつつあるようだ。

次に、10月11日付け東洋経済オンライン「アマゾン「偽ブランド品」販売の責任はないのか 商標権侵害の商品が横行、甘い自主規制」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/307629
・『「はい、富士市役所です」 インターネット通販大手のアマゾンにバッグを出品している販売業者に電話したところ、なぜか静岡県の富士市役所につながった。見間違いやかけ間違いではない。販売業者の連絡先として記載されているのが、市役所の番号そのものなのだ。 この業者が販売している商品の中には、どう見ても「ルイ・ヴィトン」としか思えないマークが入ったショルダーバッグがある。値段は1万7600円。決して安くはないが、本物のルイ・ヴィトンの10分の1以下である』、アマゾンのマーケットプレイスでは、飛んでもない商品が売られているものだ。
・『本物とうたわなくても商標権侵害の可能性  アマゾンには別の高級ブランドそっくりのロゴが入った商品も出品されている。本物と比べると98%安い商品もある。どれも「本物」とは明記しておらず、「ノーブランド品」など、むしろ偽物であることを匂わせている。 消費者をだますわけではない、とでも言いたいようだ。しかし、たとえ本物とうたってなくても、これらは「偽ブランド品」として商標権侵害に問われる可能性が高い。商標登録されたブランドロゴが入った商品を販売している時点で、商標権侵害が成立するためだ。 この業者が出店しているのは、アマゾンのマーケットプレイスと呼ぶインターネット上の場所貸しサービスだ。アマゾンは自社で商品を仕入れて販売する小売り業者でありながら、多くの事業者をマーケットプレイスに集めている。アマゾンは、こうした事業者に対しネット上の店舗や決済サービスに加え、アマゾンの倉庫で商品を保管し、配送を代行するサービスなども提供している。 冒頭のルイ・ヴィトン風バッグは、アマゾン内の広告で宣伝されている。実際に購入して信頼できる機関に鑑定を依頼すると、販売基準外と判定された。いわゆる「偽物」との結果だ。 このような販売業者は氷山の一角でしかない。ほかにもブランドに似せた、安価な商品を扱う業者はアマゾン上で多数見つかる。冒頭のように、アマゾンに掲載されている電話番号に電話しても、その多くが使用されていない電話で、20件かけて、つながったのは3件。そのうち実際に業たのは者が出1件だけだった』、「「偽ブランド品」として商標権侵害に問われる可能性が高い」ような商品を掲載しているのは問題だ。
・『アマゾンに偽ブランド販売の責任はないのか  この業者もまた、ルイ・ヴィトンに似たロゴを使用したバック2つを1万6000円前後で販売している。電話口の男性に「偽物なら法律違反なのでは」と指摘すると、「類似品であり、違法ではない」と主張し、「近くで見ると正直安っぽいですよ」と悪びれる様子もない。 通販事業者には、特定商取引法で電話番号や住所の記載が義務付けられている。これはネット通販業者も同様で、偽りの電話番号を載せている事業者は、同法に違反している可能性が高い。同法違反でなくても、商標権侵害の疑いが濃い。 では、マーケットプレイスとして場を提供しているアマゾンに責任はないのだろうか。結論から言えば、日本ではアマゾンのような企業が商標権侵害に問われる可能性は低い。 商標権はブランドなどを保護するために認められている権利で、ブランド権利者と販売業者間の損害賠償や販売差し止めの問題になる。つまり刑事罰などはない当事者間の問題だ。ただ、判例によると、アマゾンのような「場所貸し」の場合には、違反出品を知ることができた、または知ったタイミングから合理的な期間内に削除などの対応を取れば責任を問われることはない。 一方、特定商取引法などでは、行政罰の規定も設けられている。しかし、場所貸しを規制する記述はなく、野放し状態だ。さらに、前述のような広告やおすすめ表示もアマゾンのような第三者が行う場合には規制がないのが現状だ。 偽ブランド品に対する法的規制が緩い日本国内では、民間事業者による自主的な健全化の取り組みが行われている』、日本の遅れた緩い法規制を早急に強化すべきだ。
・『自主規制団体による市場健全化の努力も  個人が出品を行うメルカリやラクマなどのフリマアプリでは、SMS認証など電話番号の確認を行わないと出品者として登録できない仕組みを採用。商標権を侵害している商品を含め、各社数百人規模でのパトロール体制で監視している。ただ、CtoCモデルは出品者の数が多く、すべてをチェックするのは難しい。 ヤフーや楽天などが参加する自主規制団体「インターネット知的財産権侵害品流通防止協議会」(CIPP)は、商標権を侵害している商品のページからの削除やパトロールのためのガイドラインを作るなど市場の健全化に向け努力している。アマゾンも機械による排除や人力によるパトロールを行っているとするが、前出の偽ブランド品は、サイト内広告に表示されていた。 偽ブランド品最大の原産国とされる中国でもECの健全化対策が進んでいる。中国でブランド権利者などから偽ブランド品排除を請け負う「上海BOB」の担当者によると、ECサイト側による出品者への事前チェックが強化されているという。 出品が法人の場合、日本の登記にあたるビジネスライセンス番号を確認。個人の場合は身分証明証と顔認証の組み合わせなどで身分を確認する。中国では、今年に入ってオンライン上の取引を包括的に規制する電子商取引法が施行された。出品者の違法行為に対し、一定条件下でECサイトにも法的責任を課す内容になっている。 日本でも経済産業省や消費者庁がECサイトに対する法的規制を検討している。内閣府知的財産事務局の担当者は「自主規制が機能しないのであれば法的規制をせざるを得ない」と話す』、中国でまで法規制が強化されたのであれば、日本の取り組みは遅きに失した感がある。
・『アマゾンは偽ブランド品の排除プログラムを導入  市役所の電話番号など誤った番号表記が多いとの指摘に対して、アマゾン日本法人は「販売事業者の情報を精査しており、不正を発見した場合は適切な措置を講じています」と回答した。実際、冒頭の市役所の番号を表示していた業者はすでに出品を行っていないが、類似の業者は簡単に見つかる。 アマゾン日本法人は10月8日、偽ブランド品などの排除プログラム「プロジェクトゼロ」の導入を発表した。このプログラムでは、登録したブランド権利者がアマゾン上の偽ブランド品を自分で削除したり、機械学習を使って出品を阻止したりすることができる。アマゾンが選んだブランドしか参加できず、アマゾンは自らのサイトの健全性を維持するコストの一部を出品者に負担させており、中小ブランドには大きな負担となる。 偽ブランド品の完璧な排除は難しいとしても、電話番号が有効かどうかの確認の強化や、おすすめの表示から排除するなど、アマゾンにできることは多いはずだ。しかし現状は、ブランド権利者に対してだけでなく、消費者に対する責任を十分果たしているとは思えない。今のような状況が続くなら、法的規制が必要になるのではなかろうか』、アマゾンは、偽ブランド品排除プログラム」には、余り手間をかけないで済まそうとしているようだ。「自らのサイトの健全性を維持するコストの一部を出品者に負担」、ことで「中小ブランドには大きな負担となる」のはやむを得ないだろう。いずれにしろ、アマゾンなどの自主規制に任せるだけでなく、「法的規制が必要」と思われる。過熱化したECブームが多少落ち着きを取り戻すきっかけになってほしいものだ。
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